Libo

五灯会元

宋 · 普济

七仏

仏家典籍

短いものは心経・金剛経・四十二章経・壇経から読み始められる。浄土は阿弥陀経・無量寿経・観経を見る。大乗の叙事と禅を見るなら、法華・維摩・楞厳・円覚・地蔵へ進む。

五燈会元 巻第一

七佛

七仏

古佛應世。緜歷無窮。不可以周知而悉數也。近故譚賢劫有千如來。暨於釋迦。但紀七佛。按長阿含經云。七佛精進力。放光滅闇冥。各各坐樹下。於中成正覺。又曼殊室利為七佛祖師。金華善慧大士登松山頂行道。感七佛引前。維摩接後。今之撰述。斷自七佛而下。

古来、諸仏は世に応現し、久遠にわたって経歴は無窮であり、一々に周知し尽くすことはできない。近世がただ賢劫(現在の、千仏が出世する大劫)に千の如来ありと説き、釈迦牟尼に至っても七仏だけを記すのはこのためである。《長阿含経》にいう:七仏の精進の力は光を放って暗冥を滅し、それぞれ樹下に坐してその中に正覚を成ず。また曼殊室利(すなわち文殊菩薩。菩薩は菩提薩埵の略で、覚りを求めつつ衆生を済度する者)は七仏の祖師である。金華の善慧大士は松山の頂に登って行道し、七仏が前に引導し維摩が後に続くのに感応した。いまこの撰述は、七仏以下から断って筆を起こす。

毗婆尸佛(過去莊嚴劫。第九百九十八尊)

毘婆尸仏(過去荘厳劫の第九百九十八尊)

偈曰。身從無相中受生。猶如幻出諸形象。幻人心識本來無。罪福皆空無所住。長阿含經云。人壽八萬歲時。此佛出世。種剎利。姓拘利若。父槃頭。母槃頭婆提。居般頭婆提城。坐波波羅樹下。說法三會。度人三十四萬八千。神足二。一名騫茶。二名提舍。侍者無憂子方膺。

偈にいう:身体は無相の中から生を受け、幻の術が諸々の形象を出すようである。幻人の心識はもとより無く、罪も福も空であって住する所がない。《長阿含経》にいう:人の寿命が八万歳の時、この仏が世に出た。種姓は刹帝利、姓は拘利若。父は槃頭、母は槃頭婆提という。般頭婆提城に居り、波波羅樹の下に坐した。説法すること三会、度した者は三十四万八千。神足の弟子二名:一は騫茶、二は提舎。侍者は無憂といい、子は方膺という。

屍棄佛(莊嚴劫。第九百九十九尊)

尸棄仏(荘厳劫の第九百九十九尊)

偈曰。起諸善法本是幻。造諸惡業亦是幻。身如聚沫心如風。幻出無根無實性。長阿含經云。人壽七萬歲時。此佛出世。種剎利。姓拘利若。父明相。母光耀。居光相城。坐分陀利樹下。說法三會。度人二十五萬。神足二。一名阿毗浮。二名婆婆。侍者忍行子無量。

偈にいう:諸々の善法を起こすももとより幻、諸々の悪業を造るもまた幻である。身は聚沫のごとく、心は風のごとし。幻より出でて根無く、実性もない。《長阿含経》にいう:人の寿命が七万歳の時、この仏が世に出た。種姓は刹帝利、姓は拘利若。父は明相、母は光耀という。光相城に居り、分陀利樹の下に坐した。説法三会、度した者は二十五万。神足の弟子二名:一は阿毘浮、二は婆婆。侍者は忍行といい、子は無量という。

毗舍浮佛(莊嚴劫。第一千尊)

毘舎浮仏(荘厳劫の第一千尊)

偈曰。假借四大以為身。心本無生因境有。前境若無心亦無。罪福如幻起亦滅。長阿含經云。人壽六萬歲時。此佛出世。種剎利。姓拘利若。父善燈。母稱戒。居無喻城。坐婆羅樹下。說法二會。度人一十三萬。神足二。一扶遊。二鬱多摩。侍者寂滅子妙覺。

偈にいう:地水火風の四大を仮に借りて身体とするも、心はもとより生ぜず、ただ境界に因ってのみある。前の境界が無くなれば、心もまた無い。罪と福は幻のごとく、起こっては滅する。《長阿含経》にいう:人の寿命が六万歳の時、この仏が世に出た。種姓は刹帝利、姓は拘利若。父は善燈、母は称戒という。無喻城に居り、婆羅樹の下に坐した。説法二会、度した者は一十三万。神足の弟子二名:一は扶遊、二は郁多摩。侍者は寂滅といい、子は妙覚という。

拘留孫佛(見在賢劫。第一尊)

拘留孫仏(現在賢劫の第一尊)

偈曰。見身無實是佛身。了心如幻是佛幻。了得身心本性空。斯人與佛何殊別。長阿含經云。人壽四萬歲時。此佛出世。種婆羅門。姓迦葉。父禮得。母善枝。居安和城。坐尸利沙樹下。說法一會。度人四萬。神足二。一薩尼。二毗樓。侍者善覺子上勝。

偈にいう:身に実体なきを見る、これがすなわち仏身である。心の幻のごときを了達する、これがすなわち仏の幻である。身心の本性が空であると了得すれば、この人と仏とに何の別があろうか。《長阿含経》にいう:人の寿命が四万歳の時、この仏が世に出た。種姓は婆羅門、姓は迦葉。父は礼得、母は善枝という。安和城に居り、尸利沙樹の下に坐した。説法一会、度した者は四万。神足の弟子二名:一は薩尼、二は毘楼。侍者は善覚といい、子は上勝という。

拘那含牟尼佛(賢劫。第二尊)

拘那含牟尼仏(賢劫の第二尊)

偈曰。佛不見身知是佛。若實有知別無佛。智者能知罪性空。坦然不怖於生死。長阿含經云。人壽三萬歲時。此佛出世。種婆羅門。姓迦葉。父大德。母善勝。居清淨城。坐烏暫婆羅門樹下。說法一會。度人三萬。神足二。一舒槃那。二鬱多樓。侍者安和子導師。

偈にいう:仏は身を見ず、ゆえにこれが仏と知れる。もし実に知る者があれば、すなわち別に仏はない。智者は罪の性が空であると知れば、泰然として生死に怖れない。《長阿含経》にいう:人の寿命が三万歳の時、この仏が世に出た。種姓は婆羅門、姓は迦葉。父は大徳、母は善勝という。清浄城に居り、烏暫婆羅門樹の下に坐した。説法一会、度した者は三万。神足の弟子二名:一は舒槃那、二は郁多楼。侍者は安和といい、子は導師という。

迦葉佛(賢劫。第三尊)

迦葉仏(賢劫の第三尊)

偈曰。一切眾生性清淨。從本無生無可滅。即此身心是幻生。幻化之中無罪福。長阿含經云。人壽二萬歲時。此佛出世。種婆羅門。姓迦葉。父梵德。母財主。居波羅奈城。坐尼拘律樹下。說法一會。度人二萬。神足二。一提舍。二婆羅婆。侍者善友子集軍。

偈にいう:一切衆生の性はもとより清浄で、本より生ぜず、また滅すべきものもない。この身心はすなわち幻より生じたものである。幻化の中には罪もなく福もない。《長阿含経》にいう:人の寿命が二万歳の時、この仏が世に出た。種姓は婆羅門、姓は迦葉。父は梵徳、母は財主という。波羅奈城に居り、尼拘律樹の下に坐した。説法一会、度した者は二万。神足の弟子二名:一は提舎、二は婆羅婆。侍者は善友といい、子は集軍という。

釋迦牟尼佛(賢劫。第四尊)

釈迦牟尼仏(賢劫の第四尊)

姓剎利。父淨飯天。母大清淨妙位。登補處。生兜率天上。名曰勝善天人。亦名護明大士。度諸天眾。說補處行。於十方界中。現身說法。普曜經云。佛初生剎利王家。放大智光明。照十方世界。地湧金蓮華。自然捧雙足。東西及南北。各行於七步。分手指天地。作師子吼聲。上下及四維。無能尊我者。即周昭王二十四年甲寅歲四月八日也。至四十二年二月八日。年十九。欲求出家而自念言。當復何遇。即於四門遊觀。見四等事。心有悲喜而作思惟。此老.病.死。終可厭離。於是夜子時。有一天人名曰淨居。於窻牖中叉手白言。出家時至。可去矣。太子聞已。心生歡喜。即逾城而去。於檀特山中修道。始於阿藍迦藍處三年。學不用處定。知非便捨。復至鬱頭藍弗處三年。學非非想定。知非亦捨。又至象頭山。同諸外道日食麻麥。經於六年。故經云。以無心意.無受行。而悉摧伏諸外道。先歷試邪法。示諸方便。發諸異見。令至菩提。故普集經云。菩薩於二月八日。明星出時成道。號天人師。時年三十矣。即穆王三年癸未歲也。既而於鹿野苑中為憍陳如等五人轉四諦法輪而證道果。說法住世四十九年。後告弟子摩訶迦葉。吾以清淨法眼.涅槃妙心.實相無相.微妙正法。將付於汝。汝當護持。並勑阿難。副貳傳化。無令斷絕。而說偈曰。法本法無法。無法法亦法。今付無法時。法法何曾法。爾時世尊說此偈已。復告迦葉。吾將金縷僧伽梨衣傳付於汝。轉授補處。至慈氏佛出世。勿令朽壞。迦葉聞偈。頭面禮足曰。善哉。善哉。我當依勑。恭順佛故。爾時世尊至拘屍那城。告諸大眾。吾今背痛。欲入涅槃。即往熈連河側。娑羅雙樹下。右脇累足。泊然宴寂。復從棺起。為母說法。特示雙足化婆耆。並說無常偈曰。諸行無常。是生滅法。生滅滅已。寂滅為樂。時諸弟子即以香薪競茶毗之。燼後金棺如故。

種姓は刹帝利。父は浄飯王、母は大清浄妙という。位は補処(次の世に仏となるべき候補の位)に登り、兜率天に生まれて勝善天人と名づき、護明大士ともいう。諸天の大衆を教化し、補処の修行を説いて、十方世界に身を現して説法した。(底本の句読は「母大清浄妙位。登補処」とするが、いま「大清浄妙。位登補処」と読む。)《普曜経》にいう:仏は初め刹帝利の王家に生まれ、大智慧の光明を放って十方世界を照らし徹し、地より金蓮華が涌き出でて自然に両足を托した。東・西・南・北にそれぞれ七歩歩み、分手して天を指し地を指して師子吼した:上下および四維に、我より尊き者なし。この日が周の昭王二十四年甲寅の歳の四月八日である。昭王四十二年二月八日、年十九歳にして出家を求めんとし、自ら思った:さらに何に遇うことがあろうか。すなわち四門に遊観して老・病・死など四等の事を見、心中また悲しくまた喜ばしく、思惟した:この老・病・死は、ついに厭離すべきものである。ここに夜の子の時、浄居という天人が窓牖の中より合掌して告げた:出家の時到れり、行くべし。太子これを聞きて心に歓喜し、すなわち城墻を翻越えて去った。檀特山の中に道を修めた。まず阿藍迦藍のもとに三年いて不用処定(無所有処定)を学び、究竟でないと知って捨て、次に郁頭藍弗のもとに三年いて非非想定を学び、これもまた究竟でないと知ってまた捨てた。さらに象頭山に至り、外道と同じく日に麻麦のみを食して六年を過ごした。ゆえに経にいう:心意なく領受なき行持をもって、諸の外道をことごとく摧伏したと。まず一々に邪法を試み、種々の方便を開示し、種々の異見を発起して、人をして菩提(覚り)に到らしめんとしたのである。ゆえに《普集経》にいう:菩薩は二月八日に明星の出ずる時に道を成り、天人師と号した、時に三十歳。これすなわち周の穆王三年癸未の歳である。そして鹿野苑の中にて憍陳如ら五人のために四諦(苦・集・滅・道)の法輪を転じて道果を証さしめた。説法住世四十九年。後に弟子の摩訶迦葉に告げた:「我は清浄法眼・涅槃(煩悩が止息し、再び生死に流転しない境地)妙心・実相無相の微妙なる正法を、まさに汝に付嘱せんとす。汝はまさに護持すべし。」また阿難に命じて副贰として伝化せしめ、断絶せしむることなかれ。ここに偈を説いていう:法の根本はもとより法なし、法なき法もまた法なり。いま無法を付嘱する時、法法はいずれもかつて法ならんや。この時世尊この偈を説き已りて、また迦葉に告げた:「我はまさに金縷の僧伽梨衣(仏の大衣)を汝に伝え付け、転じて補処の菩薩に授けて、慈氏仏(すなわち弥勒)の出世するに及び、朽壊せしむることなかれ。」迦葉偈を聞きて頭面礼足していう:「善いかな善いかな。まさに依命して仏に恭順するがゆえに。」この時世尊拘尸那城に至り、大衆に告げた:「我いま背痛みて、涅槃に入らんとす。」すなわち熙連河の側に詣り、娑羅双樹の下にて右脇に臥し、両足を累ねて、泊然として宴寂に入った。また棺中より起ちて、母のために法を説き、特に双足を出して婆耆を度し、さらに無常の偈を説いた:一切の造作は皆無常なり、これすなわち生滅の法なり。生滅滅尽せば、寂滅を楽と為す。この時諸弟子は香薪をもって争い荼毘(火葬)せんとした。焼き尽くした後、金棺はなお故のごとし。

爾時大眾即於佛前。以偈讚曰。凡俗諸猛熾。何能致火爇。請尊三昧火。闍維金色身。爾時金棺從座而舉。高七多羅樹。往反空中。化火三昧。須臾灰生。得舍利八斛四斗。即穆王五十二年壬申歲二月十五日也。自世尊滅後一千一十七年。教至中夏。即後漢永平十年戊辰歲也。世尊才生下。乃一手指天。一手指地。周行七步。目顧四方曰。天上天下。唯吾獨尊。世尊一日陞座。大眾集定。文殊白椎曰。諦觀法王法。法王法如是。世尊便下座。世尊一日陞座。默然而坐。阿難白椎曰。請世尊說法。世尊雲。會中有二比丘犯律行。我故不說法。阿難以他心通觀是比丘。遂乃遣出。世尊還復默然。阿難又白。適來為二比丘犯律。是二比丘已遣出。世尊何不說法。世尊曰。吾誓不為二乘聲聞人說法。便下座。世尊一日陞座。大眾集定。迦葉白椎曰。世尊說法竟。世尊便下座。世尊九十日在忉利天。為母說法。及辭天界而下。時四眾八部。俱往空界奉迎。有蓮花色比丘尼作念雲。我是尼身。必居大僧後見佛。不如用神力變作轉輪聖王。千子圍繞。最初見佛。果滿其願。世尊才見。乃訶雲。蓮花色比丘尼。汝何得越大僧見吾。汝雖見吾色身。且不見吾法身。須菩提巖中宴坐。卻見吾法身。世尊昔因文殊至諸佛集處。值諸佛各還本處。唯有一女人近彼佛坐。入於三昧。文殊乃白佛雲。何此人得近佛坐。而我不得。佛告文殊。汝但覺此女令從三昧起。汝自問之。文殊遶女人三帀。鳴指一下。乃托至梵天。盡其神力而不能出。世尊曰。假使百千文殊。亦出此女人定不得。下方過四十二恆河沙國土。有罔明菩薩能出此女人定。須臾。罔明大士從地湧出。作禮世尊。世尊勑罔明出。罔明卻至女子前。鳴指一下。女子於是從定而出。世尊因波斯匿王問。勝義諦中有世俗諦否。若言無。智不應二。若言有。智不應一。一二之義。

この時大衆はすなわち仏前にて偈をもって讃えていう:凡俗の諸々の猛火は熾盛なれど、いずくんぞ焼き動かさん。尊者に願わくは三昧(心を専らにして散ぜざる定境)の火をもって、この金色の身を荼毘したまえ。この時金棺は座より昇起し、高さ七つの多羅樹(仏典に常用される一種の棕櫚で、高さの単位にも用いる)に及び、空中に往反して火光三昧を化出した。片刻の間にただ灰燼(底本のこの字は生僻な字形、いま「灰」と読む)のみ残り、舎利八斛四斗を得た。これすなわち周の穆王五十二年壬申の歳の二月十五日である。世尊の滅度より一千一十七年にして、教法は中土に伝わり、後漢の永平十年戊辰の歳となる。世尊生まれてすぐ、一の手で天を指し一の手で地を指し、七歩を行じて目で四方を顧りていう:「天上天下、唯我独尊。」世尊ある日座に昇り、大衆が集まり定まって後、文殊は椎を敲いていう:「法王の法を諦かに観よ、法王の法はかくのごとし。」世尊すなわち座を下りた。世尊ある日座に昇り、黙然として坐す。阿難は椎を敲いていう:「世尊に法を説きたまえと請う。」世尊いう:「会中に二名の比丘(出家の男衆)あり、戒律を犯す行為あり。我この故に法を説かず。」阿難は他心通をもってこの二名の比丘を観見し、すなわち彼らを遣り出した。世尊なお黙然。阿難また告げた:「さきに二名の比丘の戒を犯せるに因りて、この二名はすでに遣り出せり、世尊なにゆえまだ法を説かざるや。」世尊いう:「我は誓って二乗声聞人(ただ自らの解脱を求める声聞・縁覚)のために法を説かず。」便ち座を下りた。世尊ある日座に昇り、大衆集まり定まって後、迦葉は椎を敲いていう:「世尊法を説き已れり。」世尊便ち座を下りた。世尊は忉利天にて九十日間母のために法を説き、天界に辞して下る時、四衆八部は皆空中に至り奉迎した。蓮華色比丘尼ありて心に思う:「我は尼衆の身なれば、かならず大僧の後に列なって始めて仏を見ん。しからば神力をもって転輪聖王と化し、千子に囲遶されて最も先に仏を見んに如かず。」果たして願満ちたり。世尊一見するや、すなわち訶斥していう:「蓮華色比丘尼、なんぞ僧衆を越えて我を見ることを得んや。汝は我の色身を見たれども、我の法身を見ず。須菩提は巌中に宴坐して、かえって我の法身を見たり。」世尊は昔、文殊が諸仏の集会する処に至るに因りて、ちょうど諸仏が各々本処に還るに当たり、ただ一女人ありてその仏に近づきて坐し、三昧に入る。文殊すなわち仏に問う:「なにゆえこの人は仏に近づきて坐することを得、しかして我は得ざるや。」仏は文殊に告ぐ:「汝はただこの女子を三昧より覚せしめ、自ら往きて彼女に問え。」文殊は女子を三匝遶り、弹指一し、また彼女を梵天に托し挙げ、神力を尽くすも彼女を定より出すこと能わず。世尊いう:「たとえ百千の文殊たりとも、この女子の定を出ること能わず。下方に四十二恒河沙国土を過ぎて罔明菩薩あり、この女子の定を出すこと能わん。」片刻、罔明大士は地より涌出し、世尊に作礼す。世尊は罔明に命じて彼女を引出さしむ。罔明はかえって女子の面前に至り、弹指一すれば、女子はすなわち定より出た。世尊は波斯匿王の問いに因りて:勝義諦の中に世俗諦ありや。もし無しと言わば、智慧は二とあるべからず。もし有りと言わば、智慧は一とあるべからず。この一と二との義は、

其義云何。佛言。大王。汝於過去龍光佛法中曾問此義。我今無說。汝今無聽。無說無聽。是名為一義二義。世尊一日見文殊在門外立。乃曰。文殊。文殊。何不入門來。文殊曰。我不見一法在門外。何以教我入門。世尊一日坐次。見二人舁豬過。乃問。這箇是甚麼。曰。佛具一切智。豬子也不識。世尊曰。也須問過。世尊因有異學問。諸法是常邪。世尊不對。又問。諸法是無常邪。亦不對。異學曰。世尊具一切智。何不對我。世尊曰。汝之所問。皆為戲論。世尊一日示隨色摩尼珠。問五方天王。此珠而作何色。時五方天王互說異色。世尊復藏珠入袖。卻擡手曰。此珠作何色。天王曰。佛手中無珠。何處有色。世尊嘆曰。汝何迷倒之甚。吾將世珠示之。便各彊說有青.黃.赤.白色。吾將真珠示之。便總不知。時五方天王悉皆悟道。世尊因乾闥婆王獻樂。其時山河大地盡作琴聲。迦葉起作舞。王問。迦葉豈不是阿羅漢。諸漏已盡。何更有餘習。佛曰。實無餘習。莫謗法也。王又撫琴三徧。迦葉亦三度作舞。王曰。迦葉作舞。豈不是。佛曰。實不曾作舞。王曰。世尊何得妄語。佛曰。不妄語。汝撫琴。山河大地木石盡作琴聲。豈不是。王曰。是。佛曰。迦葉亦復如是。所以實不曾作舞。王乃信受。世尊因外道問。昨日說何法。曰。說定法。外道曰。今日說何法。曰。不定法。外道曰。昨日說定法。今日何說不定法。世尊曰。昨日定。今日不定。世尊因五通仙人問。世尊有六通。我有五通。如何是那一通。佛召五通仙人。五通應諾。佛曰。那一通。你問我。世尊因普眼菩薩欲見普賢。不可得見。乃至三度入定。徧觀三千大千世界。覔普賢不可得見。而來白佛。佛曰。汝但於靜三昧中起一念。便見普賢。普眼於是才起一念。便見普賢。向空中乘六牙白象。世尊因自恣日文殊三處過夏。迦葉欲白椎擯出。才拈椎。

(波斯匿王は引き続き問う:)いったい如何なる事か。仏いう:「大王、汝は過去に龍光仏の法中にてかつてこの意を問えり。我はいま説かず、汝はいま聴かず。説かざると聴かざると、これをこそ一義・二義と名づく。」世尊ある日文殊が門外に立てるを見て、すなわちいう:「文殊、文殊、なにゆえ門内に入らざる。」文殊いう:「我は一法も門外に在るを見ず、何をもってか我をして門内に入らしめん。」世尊ある日坐して、二人が猪を舁きて過ぐるを見て、すなわち問う:「これは何物ぞ。」対ていう:「仏は一切智を具足せり、猪すら識らざらんや。」世尊いう:「なお問い一すことを須う。」世尊は外道の来りて問うに因りて:「諸法は常なりや。」世尊答えず。また問う:「諸法は無常なりや。」また答えず。外道いう:「世尊は一切智を具足せり、なにゆえ我に答えざる。」世尊いう:「汝の問う所は皆これ戯論なり。」世尊ある日随色摩尼珠を出示して五方の天王に問う:「この珠は何色ぞ。」この時五方の天王は各々別の色を説いた。世尊また珠を袖中に蔵し、かえって手を抬げていう:「この珠は何色ぞ。」天王いう:「仏の手中に珠無し、いずくんぞ色あらん。」世尊嘆息していう:「汝らの迷倒するや何とも甚し。我は世間の珠を汝らに示せば、すなわち各々硬に青・黄・赤・白の色ありと説き、我が真珠を汝らに示せば、すなわち一概に知らず。」この時五方の天王は皆悟道した。世尊は乾闥婆王の楽を献ずるに因りて、この時山河大地は皆琴声と化し、迦葉起ちて舞す。王問う:「迦葉は豈に阿羅漢(煩悩を断尽し、再び受生せざる聖者)にあらずや。諸漏すでに尽きたれば、なにゆえ余習あらん。」仏いう:「実に余習無し、法を謗ること勿れ。」王また琴を撫ずること三遍、迦葉もまた三度舞す。王いう:「迦葉舞せり、豈に然らずや。」仏いう:「実にかつて舞せず。」王いう:「世尊なにぞ妄語を説くことを得ん。」仏いう:「妄語にあらず。汝が琴を撫ずれば、山河大地木石皆琴声と化す、豈に然らずや。」王いう:「是なり。」仏いう:「迦葉もまたかくのごとし。ゆえに実にかつて舞せず。」王はここに信受した。世尊は外道の問うに因りて:「昨日は何の法を説きしか。」いう:「定法を説きし。」外道いう:「今日は何の法を説く。」いう:「不定法。」外道いう:「昨日は定法と説きしに、今日なにゆえ不定法と説く。」世尊いう:「昨日は定、今日は不定。」世尊は五通仙人の問うに因りて:「世尊は六通あり、我は五通あり、あの一通とは如何。」仏は五通仙人を呼び、五通は声に応ず。仏いう:「あの一通は、汝我に問え。」世尊は普眼菩薩が普賢を見んと欲するも見ること能わず、乃至三度入定して三千大千世界を遍観し、普賢を尋ねるも見ること能わざるに因りて、便ち来りて仏に白す。仏いう:「汝はただ静三昧の中に一念を起こせば、便ち普賢を見ることを得ん。」普眼はここに纔かに一念を起こせば、便ち普賢が空中に六牙の白象に乗れるを見た。世尊は自恣日に文殊が三処にて夏を過ごせるに因りて、迦葉は椎を敲きて彼を擯出せんとし、纔かに椎を拈じ起せば、

乃見百千萬億文殊。迦葉盡其神力。椎不能舉。世尊遂問迦葉。汝擬擯那箇文殊。迦葉無對。世尊因長爪梵志索論義。預約曰。我義若墮。我自斬首。世尊曰。汝義以何為宗。志曰。我以一切不受為宗。世尊曰。是見受否。志拂袖而去。行至中路。乃省。謂弟子曰。我當回去。斬首以謝世尊。弟子曰。人天眾前。幸當得勝。何以斬首。志曰。我寧於有智人前斬首。不於無智人前得勝。乃歎曰。我義兩處負墮。是見若受。負門處麤。是見不受。負門處細。一切人天二乘。皆不知我義墮處。唯有世尊諸大菩薩知我義墮。回至世尊前曰。我義兩處負墮。故當斬首以謝。世尊曰。我法中無如是事。汝當迴心向道。於是同五百徒眾一時投佛出家。證阿羅漢。世尊昔欲將諸聖眾。往第六天說大集經。勑他方此土.人間天上.一切獰惡鬼神。悉皆輯會。受佛付囑。擁護正法。設有不赴者。四天門王飛熱鐵輪追之令集。既集會已。無有不順佛勑者。各發弘誓。擁護正法。唯有一魔王謂世尊曰。瞿曇。我待一切眾生成佛盡。眾生界空。無有眾生名字。我乃發菩提心。世尊甞與阿難行次。見一古佛塔。世尊便作禮。阿難曰。此是甚麼人塔。世尊曰。此是過去諸佛塔。阿難曰。過去諸佛是甚麼人弟子。世尊曰。是吾弟子。阿難曰。應當如是。世尊因有外道問。不問有言。不問無言。世尊良久。外道讚歎曰。世尊大慈大悲。開我迷雲。令我得入。乃作禮而去。阿難白佛。外道得何道理。稱讚而去。世尊曰。如世良馬。見鞭影而行。世尊一日勑阿難。食時將至。汝當入城持缽。阿難應諾。世尊曰。汝既持缽。須依過去七佛儀式。阿難便問。如何是過去七佛儀式。世尊召阿難。阿難應諾。世尊曰。持缽去。世尊因有比丘問。我於世尊法中見處即有。證處未是。世尊當何所示。世尊曰。比丘某甲。當何所示。是汝此問。世尊成道後。

すなわち百千万億の文殊を見た。迦葉は神力を尽くすも椎を挙げる能わず。世尊はここに迦葉に問う:「汝はいずれの文殊を擯出せんとする。」迦葉対うる言無し。世尊は長爪梵志の来りて論義を求むるに因りて、あらかじめ約定していう:「我の義もし駁倒せられば、我自ら首を斬らん。」世尊いう:「汝の義は何を以て宗と為す。」梵志いう:「我は一切を受けざるを以て宗と為す。」世尊いう:「この『見』を汝は受くるや否や。」梵志は袖を払い去り、半路に至りて始めて省悟し、弟子にいう:「我は回帰して首を斬り世尊に謝罪すべし。」弟子いう:「人天大衆の面前にて幸いに勝を得たりと謂うべし、何となれば首を斬らん。」梵志いう:「我は寧ろ智ある者の面前にて首を斬るとも、智なき者の面前にて勝を得ず。」ここに嘆息していう:「我の義は両処とも堕負せり。この見もし受くれば、堕負の処は粗。もし受けざれば、堕負の処は細。一切の人天二乗は皆我が義の堕負する所を知らず、ただ世尊と諸大菩薩のみ我が義の堕負せるを知る。」世尊の前に回りていう:「我の義両処堕負せり、ゆえにまさに首を斬りて謝罪すべし。」世尊いう:「我が法の中にこの事無し。汝はまさに回心して道に向かうべし。」ここに彼と五百の徒衆と同時に仏に投じて出家し、阿羅漢を証す。世尊は昔諸聖衆を将いて、第六天に至りて《大集経》を講ぜんと欲し、他方此土・人間天上の一切の狞悪の鬼神を勅して皆集会せしめ、仏の付嘱を受けて正法を擁護せしめんとす。もし会に赴かざる者あらば、四天の門王は熱鉄輪を飛ばして彼を追い来集せしむ。集会の後、仏勅に順わざる者なく、各々弘誓を発して正法を擁護す。ただ一魔王ありて世尊にいう:「瞿曇、我は一切衆生が仏と成り尽くし、衆生界空しきに及び、衆生の二字も無きに至りて、始めて菩提心を発さん。」世尊かつて阿難と行きて、一の古仏塔を見、世尊便ち礼拝す。阿難いう:「これ何人の塔ぞ。」世尊いう:「これ過去諸仏の塔なり。」阿難いう:「過去諸仏は何人の弟子ぞ。」世尊いう:「是れ我が弟子なり。」阿難いう:「まさにかくあるべし。」世尊は外道の問うに因りて:「言語あるを問わず、また言語なきをも問わず。」世尊良久せり。外道讃歎していう:「世尊大慈大悲にて、我が迷雲を撥き開き、我をして入ることを得しめたり。」ここに作礼して去る。阿難仏に問う:「外道は何の道理を得て、讃言して去る。」世尊いう:「世の良馬が鞭影を見て走るが如し。」世尊ある日阿難に分付す:「飯の時至れり、汝はまさに城に入り鉢を持すべし。」阿難応諾す。世尊いう:「汝すでに鉢を持せば、須く過去七仏の儀式に依るべし。」阿難便ち問う:「如何なるものか過去七仏の儀式は。」世尊阿難を呼び、阿難声に応ず。世尊いう:「鉢を持して行け。」世尊は比丘の問うに因りて:「我世尊の法の中に於いて、見処はすでに有り、証処は未だ是れならず。世尊まさに何を指示すべきか。」世尊いう:「比丘某甲、まさに指示すべきはすなわち汝のこの一問なり。」世尊道を成じて後、

在逝多林中一樹下跏趺而坐。有二商人以五百乘車經過林畔。有二車牛不肯前進。商人乃訝。見之山神。報言。林中有聖人成道。經逾四十九日未食。汝當供養。商人入林。果見一人端然不動。乃問曰。為是梵王邪。帝釋邪。山神邪。河神邪。世尊微笑。舉袈裟角示之。商人頂禮。遂陳供養。世尊因耆婆善別音響。至一塚間。見五髑髏。乃敲一髑髏問耆婆。此生何處。曰。此生人道。世尊又敲一曰。此生何處。曰。此生天道。世尊又別敲一問。此生何處。耆婆罔知生處。世尊因黑氏梵志運神力。以左右手擎合歡.梧桐花兩株。來供養佛。佛召仙人。梵志應諾。佛曰。放下著。梵志遂放下左手一株華。佛又召仙人。放下著。梵志又放下右手一株華。佛又召仙人。放下著。梵志曰。世尊。我今兩手皆空。更教放下箇甚麼。佛曰。吾非教汝放捨其華。汝當放捨外六塵.內六根.中六識。一時捨卻。無可捨處。是汝免生死處。梵志於言下悟無生忍。世尊因靈山會上五百比丘得四禪定。具五神通。未得法忍。以宿命智通。各各自見過去殺父害母。及諸重罪。於自心內各各懷疑。於甚深法不能證入。於是文殊承佛神力。遂手握利劒。持逼如來。世尊乃謂文殊曰。住。住。不應作逆。勿得害吾。吾必被害。為善被害。文殊師利。爾從本已來無有我人。但以內心見有我人。內心起時。我必被害。即名為害。於是五百比丘自悟本心。如夢如幻。於夢幻中無有我人。乃至能生所生父母。於是五百比丘同讚嘆曰。文殊大智士。深達法源底。自手握利劒。持逼如來身。如劒佛亦爾。一相無有二。無相無所生。是中雲何殺。世尊因地布髮掩泥。獻華於然燈。然燈見布髮處。遂約退眾。乃指地曰。此一方地。宜建一梵剎。時眾中有一賢於長者。持標於指處插曰。建梵剎竟。時諸天散華。讚曰。庶子有大智矣。世尊因七賢女遊屍陀林。

逝多林の中の一樹の下に結跏趺坐す。二商人ありて五百輛の車を将いて林の辺を過ぐるに、その中二車の牛は進む肯んぜず。商人らは怪しみ、山神を見、山神彼らに告ぐ:「林中に聖人ありて道を成り、すでに四十九日を過ぎて食せず。汝らまさに供養すべし。」商人林に入り、果たして一人が端坐して動かざるを見、すなわち問う:「梵王か、帝釈か、山神か、河神か。」世尊微笑し、袈裟の一角を舉げて彼らに示す。商人頂礼し、ここに供養を陳す。世尊は耆婆の音響を弁ずるに善きに因りて、一の墳間に至りて、五髑髏を見、便ち一髑髏を敲いて耆婆に問う:「この人は何処に生ぜし。」いう:「この人は人道に生ぜし。」世尊また一髑髏を敲いていう:「この人は何処に生ぜし。」いう:「この人は天道に生ぜし。」世尊また別に一髑髏を敲いて問う:「この人は何処に生ぜし。」耆婆は生処を知らず。世尊は黒氏梵志が神力を運らし、左右の手を以て合歓・梧桐の花二株を擎げて仏に供養せるに因りて、仏仙人を呼ぶに梵志声に応ず。仏いう:「放下せよ。」梵志はここに左手の花一株を放下す。仏また仙人を呼ぶ:「放下せよ。」梵志また右手の花一株を放下す。仏また仙人を呼ぶ:「放下せよ。」梵志いう:「世尊、我いま両手皆空なり、更に箇の何を放下せん。」仏いう:「我は汝にその花を放捨せよと教ふるにあらず。汝はまさに外の六塵(色・声・香・味・触・法)、内の六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)、中間の六識を、一時に捨却すべし。捨つべき処無きに至る、すなわち汝の生死を免るる処なり。」梵志この言の下に悟りて無生忍に入る。世尊は霊山会の五百比丘が四禅定を得、五神通を具足し、未だ法忍を得ざるに因りて、宿命智通を憑みて各々過去に父を殺し母を害し及び種々の重罪を見て、自心に於いて各々懐疑し、甚深の法に証入すること能わず。ここに文殊は仏の神力を承けて、手に利剣を握り、持てて如来を逼む。世尊すなわち文殊に対していう:「住せ住せ、まさに逆事を作すべからず、我を害するを得ず。我かならず害せられん、善のために害せらるるが為なり。文殊師利、汝は本より我・人无し、ただ内心に我・人あるを見るが故のみ。内心起る時、我かならず害せらる、これを害と名づく。」ここに五百比丘は自ら本心に悟見し、夢のごとく幻のごとし。夢幻の中に我・人無し、乃至能生と所生の父母もなし。ここに五百比丘は同時に讃歎していう:「文殊は大智の士にして、深く法の源頭を通達して底に窮まる。自ら手に利剣を握り、持てて如来の身を逼む。剣の如く、仏もまたかくのごとし、一相にして二相無し。無相・無所生、ここに於いてなんぞ殺すことを得ん。」世尊は昔、因地的に頭髪を以て地に鋪きて泥濘を掩い、燃燈仏に花を献ず。燃燈は鋪髪の処を見て、便ち衆人をして退後せしめ、地を指していう:「この一方の地は、よく一座の梵刹を建つべし。」この時衆中に賢于長者ありて、標竿を執りて指す所に一插していう:「梵刹建ち已れり。」この時諸天は花を散じて讃歎していう:「この人真に大智慧あり。」世尊は七位の賢女が尸陀林に遊べるに因りて、

一女指屍曰。屍在這裡。人向甚處去。一女曰。作麼。作麼。諸姊諦觀。各各契悟。感帝釋散華曰。惟願聖姊有何所須。我當終身供給。女曰。我家四事七珍。悉皆具足。唯要三般物。一要無根樹子一株。二要無陰陽地一片。三要呌不響山谷一所。帝釋曰。一切所須。我悉有之。若三般物。我實無得。女曰。汝若無此。爭解濟人。帝釋罔措。遂同往白佛。佛言。憍屍迦。我諸弟子大阿羅漢不解此義。唯有諸大菩薩乃解此義。世尊因調達謗佛。生身入地獄。遂令阿難問。你在地獄中安否。曰。我雖在地獄。如三禪天樂。佛又令問。你還求出否。曰。我待世尊來便出。阿難曰。佛是三界大師。豈有入地獄分。曰。佛既無入地獄分。我豈有出地獄分。世尊因文殊忽起佛見.法見。被世尊威神攝向二鐵圍山。城東有一老母。與佛同生而不欲見佛。每見佛來。即便迴避。雖然如此。回顧東西。總皆是佛。遂以手掩面。於十指掌中亦總是佛。殃崛摩羅因持缽至一長者門。其家婦人正值產難。子母未分。長者曰。瞿曇弟子。汝為至聖。當有何法能免產難。殃崛語長者曰。我乍入道。未知此法。待我回問世尊。卻來相報。及返。具事白佛。佛告殃崛。汝速去報。言我自從賢聖法來。未曾殺生。殃崛奉佛語疾往告之。其婦得聞。當時分免。世尊甞在尼俱律樹下坐次。因二商人問。世尊還見車過否。曰。不見。商人曰。還聞否。曰。不聞。商人曰。莫禪定否。曰。不禪定。曰。莫睡眠否。曰。不睡眠。商人乃嘆曰。善哉。善哉。世尊覺而不見。遂獻白㲲兩段。世尊在靈山會上。拈華示眾。是時眾皆默然。唯迦葉尊者破顏微笑。世尊曰。吾有正法眼藏。涅槃妙心。實相無相。微妙法門。不立文字。教外別傳。付囑摩訶迦葉。世尊至多子塔前。命摩訶迦葉分座令坐。以僧伽梨圍之。遂告曰。吾以正法眼藏密付於汝。汝當護持。

一女子が死尸を指していう:「尸はここに在り。人は何の処かに向かい往きしか。」一女子いう:「何を作さん何を作さん、諸姉よ仔細に看よ。」各々皆契悟す。帝釈の花を散じていうを感応す:「ただ願わくは聖姉に何の須要かあらば、我まさに終身供給せん。」女子いう:「我家は衣食・臥具・薬の四事と七種の珍宝と皆具足せり。ただ三様の物を要す:一要に無根の樹子一株、二要に陰陽なき地一片、三要に叫んでも響かざる山谷一処。」帝釈いう:「一切の須要は我皆之有り。至ってこの三様の物は、我実に無し。」女子いう:「汝もしこれら無ければ、なんぞ人を救済することを解せん。」帝釈対うる言無し、ここに一同仏に白せんと往く。仏いう:「憍尸迦、我が弟子の大阿羅漢は皆この意を解せず、ただ諸大菩薩のみこの意を解す。」世尊は提婆達多が仏を謗りて生身地獄に陥れたるに因りて、便ち阿難をして問はしむ:「汝地獄の中に安穏なりや。」いう:「我地獄に在りといえども、三禅天の楽の如し。」仏また問はしむ:「汝なお出離を求めるや。」いう:「我世尊の来たらんを待ちて便ち出づ。」阿難いう:「仏は三界の大師なり、いずくんぞ地獄に入る分あらん。」いう:「仏すでに地獄に入る分無し、我いずくんぞ地獄を出る分あらん。」世尊は文殊が忽然として仏見・法見を起こせるに因りて、世尊の威神に摂せられて二座の鉄圍山に至る。城東に一老母ありて、仏と同日に生まれしが仏を見んことを願わず。仏の来るを見る毎に、便ち回避す。然れどもこの如く、回頭して物を看れば、処処皆仏なり。ここに手を以て面を掩うも、十指の掌中も皆仏なり。央掘摩羅は鉢を持して一長者の門に至れるに因りて、その家の婦人ちょうど産難に値い、母子未だ分たれず。長者いう:「瞿曇の弟子、汝すでに至聖なれば、まさに何の法かよく産難を免るるや。」央掘は長者にいう:「我は道に入ること新しく、未だこの法を知らず、我が世尊に問うを帰りて、来りて相報せん。」帰りて事を仏に具さに白す。仏央掘に告ぐ:「汝速やかに往きて報いよ、曰く我賢聖の法を行じて以来、かつて生を殺さずと。」央掘仏の言を奉じて急ぎ往きて告ぐ。その婦人これを聞きて、当時に分嬬す。世尊かつて尼拘律樹の下に坐し、二商人の問えるに因りて:「世尊車の過ぎるを見たりや。」いう:「見ず。」商人いう:「聞えたりと聞くや。」いう:「聞かず。」商人いう:「もし禅定の中にあらずや。」いう:「禅定に在らず。」「もし睡眠にあらずや。」いう:「睡眠に在らず。」商人ここに讃歎していう:「善いかな善いかな、世尊覚醒して見ず。」ここに白叠布二段を献ず。世尊は霊山会の上に於いて、花を拈じて大衆に示す。この時衆皆黙然、ただ迦葉尊者の顔に破顔微笑せり。世尊いう:「我に正法眼蔵(正法の眼目と宝蔵)・涅槃妙心・実相無相・微妙の法門あり、文字を立てず、教外別伝して摩訶迦葉に付嘱す。」世尊は多子塔の前に来たりて、摩訶迦葉をして座を分ち坐せしめ、僧伽梨を以て彼を圍み、ここに告げていう:「我は正法眼蔵を以て密かに汝に付嘱す。汝はまさに護持して、

傳付將來。世尊臨入涅槃。文殊大士請佛再轉法輪。世尊咄曰。文殊。吾四十九年住世。未曾說一字。汝請吾再轉法輪。是吾曾轉法輪邪。世尊於涅槃會上。以手摩胸。告眾曰。汝等善觀吾紫磨金色之身。瞻仰取足。勿令後悔。若謂吾滅度。非吾弟子。若謂吾不滅度。亦非吾弟子。時百萬億眾。悉皆契悟。

(世尊は引き続きいう:)将来また伝付し続けよ。」世尊臨みて涅槃に入らんとし、文殊大士仏に請うて再び法輪を転ぜしめんとす。世尊叱責していう:「文殊、我四十九年間世に住すれども、かつて一字も説かず。汝は我に請うて再び法輪を転ぜんとす、豈に我かつて法輪を転ぜしと謂わんや。」世尊涅槃会の上に於いて、手を以て胸を摩して大衆に告ぐ:「汝らよく我が紫磨金色の身を観て、瞻仰すること足らんことを得よ、事後に悔ゆること勿れ。もし我滅度せりと言わば、即ち我が弟子に非ず。もし我滅度せずと言わば、亦た我が弟子に非ず。」この時百万億の大衆は皆契悟したり。

西天祖師

西天(印度)の祖師

一祖摩訶迦葉尊者

一祖摩訶迦葉尊者

摩竭陀國人也。姓婆羅門。父飲澤。母香志。昔為鍛金師。善明金性。使其柔伏。付法傳云。甞於久遠劫中。毗婆尸佛入涅槃後。四眾起塔。塔中像面金色有缺壞。時有貧女。將金珠往金師所。請飾佛面。既而因共發願。願我二人為無姻夫妻。由是因緣。九十一劫身皆金色。後生梵天。天壽盡。生中天摩竭陀國婆羅門家。名曰迦葉波。此雲飲光勝尊。葢以金色為號也。繇是志求出家。冀度諸有。佛言。善來。比丘。鬚髮自除。袈裟著體。常於眾中稱歎第一。復言。吾以清淨法眼。將付於汝。汝可流佈。無令斷絕。涅槃經云。爾時世尊欲涅槃時。迦葉不在眾會。佛告諸大弟子。迦葉來時。可令宣揚正法眼藏。爾時迦葉在耆闍崛山畢缽羅窟覩勝光明。即入三昧。以淨天眼。觀見世尊於熈連河側。入般涅槃。乃告其徒曰。如來涅槃也。何其駛哉。即至雙樹間。悲戀號泣。佛於金棺出示雙足。爾時迦葉告諸比丘。佛已茶毗。金剛舍利。非我等事。我等宜當結集法眼。無令斷絕。乃說偈曰。如來弟子。且莫涅槃。得神通者。當赴結集。於是得神通者悉集王舍耆闍崛山畢缽羅窟。時阿難為漏未盡。不得入會。後證阿羅漢果。由是得入。迦葉乃白眾言。此阿難比丘多聞總持。有大智慧。常隨如來。梵行清淨。所聞佛法。如水傳器。無有遺餘。佛所讚歎。聰敏第一。宜可請彼集修多羅藏。大眾默然。迦葉告阿難曰。汝今宜宣法眼。阿難聞語信受。觀察眾心而宣偈言。比丘諸眷屬。離佛不莊嚴。猶如虗空中。眾星之無月。說是偈已。禮眾僧足。升法座而宣是言。如是我聞。一時佛住某處說某經教。乃至人天等作禮奉行。時迦葉問諸比丘。阿難所言。不錯謬乎。皆曰。不異世尊所說。迦葉乃告阿難言。我今年不久留。今將正法付囑於汝。汝善守護。聽吾偈言。法法本來法。無法無非法。何於一法中。有法有不法。說偈已。

摩揭陀国の人なり。姓は婆羅門。父は飲澤と名づき、母は香志という。昔は鍛金師にて、善く金の本性を明了して、これを柔伏せしめたり。《付法伝》にいう:かつて久遠劫の中に於いて、毘婆尸仏の涅槃に入りたりし後、四衆塔を建て、塔中の仏像の面部の金色に缺壊あり。この時一貧女ありて、金珠を執りて金師のもとに詣り、彼に請うて仏面を修飾せしむ。隨って二人ともに発願す:願わくは我ら二人無姻の夫妻(もとより婚姻なきが願いを発して夫婦と為る)と結ばれん。この因縁によりて、九十一劫の身上皆金色なり。後に梵天に生まれ、天寿尽きて、中天の摩揭陀国の婆羅門家に生まれ、迦葉波と名づく、此土に訳して飲光勝尊と為す、すなわち金色の因を以て名を得たり。ここに志を立てて出家を求め、諸有を度脱せんと願う。仏いう:「善来、比丘。」鬚髪自ら脱落し、袈裟身に着たり。常に衆中に於いて称歎せられて第一と為す。仏またいう:「我は清浄法眼をまさに汝に付嘱せん、汝よく流布して断絶せしむること勿れ。」《涅槃経》にいう:この時世尊まさに涅槃せんとする時、迦葉衆会の中に在らず。仏は諸大弟子に告ぐ:迦葉の来たる時、彼をして正法眼蔵を宣揚せしめよ。この時迦葉は耆闍崛山の畢鉢羅窟にて殊勝の光明を見、便ち三昧に入り、浄天眼を以て世尊が熙連河の側に於いて般涅槃に入るを観見し、ここに徒衆に告ぐ:「如来涅槃せり、何の迅速なるや。」隨即双樹間に趕至し、悲恋号泣す。仏は金棺の中より双足を出示す。この時迦葉は諸比丘に告ぐ:「仏すでに荼毘せり。金剛舎利は我等の事に非ず。我等まさに法眼を結集して断絶せしむること勿れ。」ここに偈を説いていう:如来の弟子らよ、しばらく涅槃すること勿れ。神通を得たる者は、まさに結集に趕赴すべし。ここに神通を得たる者皆王舎城の耆闍崛山畢鉢羅窟に集まる。この時阿難は漏いまだ尽きざるを以て、会に入ることを得ず。後に阿羅漢果を証得し、この因に始めて入ることを得たり。迦葉ここに大衆に対ていう:「この阿難比丘は多聞総持にして、大智慧あり、常に如来に随い、梵行清浄なり。聴聞する所の仏法は水を別器に伝うるが如く、遺漏する所無し。仏に讃歎せられ、聡敏第一なり。まさに彼を請じて修多羅(契経)蔵を結集すべし。」大衆黙然。迦葉阿難に告げていう:「汝いままさに正法眼を宣説すべし。」阿難この言を聞きて便ち信受し、衆心を観察して偈を宣ぶていう:比丘の諸眷属、仏を離れれば荘厳あらず、虚空の中の衆星が月無きが如し。この偈を説き已りて、衆僧の足を礼拝し、法座に昇りてこの言を宣告す:「如是我聞:一時仏某処に住して某の経教を説く……」人天等の作礼奉行に至るまで。この時迦葉諸比丘に問う:「阿難の説く所、錯謬なきや。」皆いう:「世尊の説く所と異ならず。」迦葉ここに阿難に告ぐ:「我年歳人の世に久しからず、いま正法を汝に付嘱す、汝よく守護せよ。我が偈を聴け:法法はもとより法、法無し亦非法無し。何の一法の中に於いてか、法あり亦不法あるや。」偈を説き已りて、

乃持僧伽梨衣入雞足山。俟慈氏下生。即周孝王五年丙辰歲也。尊者因外道問。如何是我我。者曰。覔我者是汝我。外道曰。這箇是我我。師我何在。者曰。汝問我覔。尊者一日踏泥次。有一沙彌見。乃問尊者。何得自為。者曰。我若不為。誰為我為。

ここに僧伽梨衣を持てて鶏足山に入り、慈氏の下生を待つ。これすなわち周の孝王五年丙辰の歳なり。尊者は外道の問うに因りて:「如何なるがか『我我』と為す。」尊者いう:「あの『我』を尋ぬる者は、即ち汝の『我』なり。」外道いう:「これは『我我』なり。師の『我』は何処に在る。」尊者いう:「汝我に問うて尋ねよ。」尊者ある日泥を踏めり、一沙弥ありてこれを見て、便ち尊者に問う:「なにぞ自らこれを作す。」尊者いう:「我もし作さずば、誰か我に替わりてこれを作さん。」

二祖阿難尊者

二祖阿難尊者

王舍城人也。姓剎利帝。父斛飯王。實佛之從弟也。梵語阿難陀。此雲慶喜。亦云歡喜。如來成道夜生。因為之名。多聞博達。智慧無礙。世尊以為總持第一。甞所讚歎。加以宿世有大功德。受持法藏。如水傳器。佛乃命為侍者。尊者一日白佛言。今日入城。見一奇特事。佛曰。見何奇特事。者曰。入城時見一攢樂人作舞。出城總見無常。佛曰。我昨日入城。亦見一奇特事。者曰。未審見何奇特事。佛曰。我入城時見一攢樂人作舞。出城時亦見樂人作舞。一日問迦葉曰。師兄。世尊傳金襴袈裟外。別傳箇甚麼。迦葉召阿難。阿難應諾。迦葉曰。倒卻門前剎竿著。後阿闍世王白言。仁者。如來.迦葉尊勝二師。皆已涅槃。而我多故。悉不能覩。尊者般涅槃時。願垂告別。尊者許之。後自念言。我身危脆。猶如聚沫。況復衰老。豈堪久長。阿闍世王與吾有約。乃詣王宮。告之曰。吾欲入涅槃。來辭耳。門者曰。王寢。不可以聞。者曰。俟王覺時。當為我說。時阿闍世王夢中見一寶葢。七寶嚴飾。千萬億眾圍繞瞻仰。俄而風雨暴至。吹折其柄。珍寶瓔珞。悉墜於地。心甚驚異。既寤。門者具白上事。王聞。失聲號慟。哀感天地。即至毗舍離城。見尊者在恆河中流。跏趺而坐。王乃作禮。而說偈曰。稽首三界尊。棄我而至此。暫憑悲願力。且莫般涅槃。時毗舍離王亦在河側。說偈言。尊者一何速。而歸寂滅場。願住須臾間。而受於供養。尊者見二國王鹹來勸請。乃說偈言。二王善嚴住。勿為苦悲戀。涅槃當我淨。而無諸有故。尊者復念。我若偏向一國。諸國爭競。無有是處。應以平等度諸有情。遂以恆河中流。將入寂滅。是時山河大地。六種震動。雪山有五百仙人。覩茲瑞應。飛空而至。禮尊者足。胡跪白言。我於長老。當證佛法。願垂大慈。度脫我等。尊者默然受請。即變殑伽河悉為金地。為其仙眾說諸大法。

王舎城の人なり。姓は刹帝利。父は斛飯王にて、実は仏の堂弟なり。梵語阿難陀、此土に訳して慶喜、亦訳して歓喜と為す。如来道を成ぜし夜に生まれ、此の因に名を得たり。多聞博達、智慧に滞碍無し。世尊は彼を以て総持第一と為してかつて讃歎し加えたり。加以宿世に大功德あり、法蔵を受持すること水を別器に伝うるが如し。仏便ち彼をして侍者を為さしむ。尊者ある日仏に言う:「今日城に入りて、一の奇特の事を見たり。」仏いう:「何の奇特の事を見る。」尊者いう:「城に入る時に一簇の楽人が舞を為すを見、城を出る時には一概に無常を見たり。」仏いう:「我昨日城に入りて、亦一の奇特の事を見たり。」尊者いう:「何の奇特の事を見しか知らず。」仏いう:「我城に入る時に一簇の楽人が舞を為すを見、城を出る時にも亦楽人が舞を為すを見たり。」ある日迦葉に問う:「師兄、世尊が金襴袈裟を伝うるの外、別に箇の何をか伝えしか。」迦葉阿難を呼ぶに阿難声に応ず。迦葉いう:「門前の刹竿を倒してし去れ。」後に阿闍世王告白していう:「仁者、如来と迦葉の二位の尊勝の導師は已に涅槃せり。然るに我は事多きを以て、皆見ること能わず。尊者般涅槃の時、願わくは告げて別れを言わしめん。」尊者許諾す。後に自ら思う:我が身体は危脆にして聚沫の如し、況んやまた衰老せり、いずくんぞ久しからん。阿闍世王我と約あり、便ち王宮に往き、彼らに告ぐ:「我涅槃に入らん、辞行に来る。」門人いう:「王睡せり、通報する能わず。」尊者いう:「王の覚むる時を俟ちて、我に為りて一言せよ。」この時阿闍世王は夢中に一の宝蓋を見、七宝にて厳飾し、千万億人に囲遶されて瞻仰せり。忽然として風雨暴至し、柄を吹折して珍宝瓔珞皆地に墜落す。心中甚だ驚異す。覚悟した後、門人上の事を一々具白す。王これを聞きて、声を失いて号恸し、哀感天地、隨即毘舎離城に趕至し、尊者が恒河の中流に結跏趺坐せるを見る。王ここに礼を作して偈を説く:稽首三界尊、我を拋棄して此に到る。且く悲願の力を憑みて、且く般涅槃に入ること勿れ。この時毘舎離王も亦河側に在り、偈を説く:尊者何の迅速なるや、便ち寂滅の場所に帰向せん。願わくは再び片刻住して、供養を受納せん。尊者は二国の王皆勧請に来るを見て、便ち偈を説く:二王よく安住せよ、苦々悲恋すること勿れ。涅槃は正に我が清浄なり、諸有無きが故なり。尊者また思う:我もし一国に偏向せば、諸国争競してこの理なし。まさに平等を以て有情を度脱すべし。ここに恒河の中流に於いて、まさに寂滅に入らんとす。この時山河大地は六種震動す。雪山に五百仙人ありてこの瑞応を見て、空中を飛びて来り、尊者の足を礼し、胡跪して告白す:「我等長老の此処に於いてまさに仏法を証すべし。願わくは大慈を垂れて、我等を度脱せん。」尊者黙然として請を受け、便ち殑伽河(即ち恒河)を尽く金地と為し、これらの仙衆の為に種種の大法を説く。

尊者復念。先所度脫弟子應當來集。須臾。五百羅漢從空而下。為諸仙人出家授具。其仙眾中有二羅漢。一名商那和修。二名末田底迦。尊者知是法器。乃告之曰。昔如來以大法眼付大迦葉。迦葉入定而付於我。我今將滅。用傳於汝。汝受吾教。當聽偈言。本來付有法。付了言無法。各各須自悟。悟了無無法。尊者付法眼藏竟。踴身虗空。現十八變入風奮迅三昧。分身四分。一分奉忉利天。一分奉娑竭羅龍宮。一分奉毗舍離王。一分奉阿闍世王。各造寶塔而供養之。乃厲王十二年癸巳歲也。

尊者また思う:さきに度脱せし弟子はまさに集まるべし。片刻、五百羅漢空中より下来し、諸仙人の為に出家して具足戒を授く。仙衆の中に二羅漢あり、一を商那和修、二を末田底迦と名づく。尊者は彼らが法器なるを知りて、便ち彼らに告ぐ:「昔如来は大法眼を大迦葉に付し、迦葉は入定して我に付せり。我いま滅せんとして、以て汝らに伝えん。汝ら我が教を受け、まさに偈を聴くべし:本来付する所は有法、付すれども無法と説く。各々須く自ら悟るべし、悟れば『無法』無し。」尊者法眼蔵を付し已りて、身を虚空に踊らし、十八種の変化を現じ、風奮迅三昧に入りて、身体を四分に分かつ:一分は忉利天に奉り、一分は娑竭羅龍宮に奉り、一分は毘舎離王に奉り、一分は阿闍世王に奉る。各々宝塔を建てて供養す。これすなわち周の厲王十二年癸巳の歳なり。

三祖商那和修尊者

三祖商那和修尊者

摩突羅國人也。亦名舍那婆斯。姓毗舍多。父林勝。母憍奢耶。在胎六年而生。梵語商諾迦。此雲自然服。即西域九枝秀草名也。若聖人降生。則此草生於淨潔之地。和修生時。瑞草斯應。昔如來行化至摩突羅國。見一青林。枝葉茂盛。語阿難曰。此林地名優留茶。吾滅度後一百年。有比丘商那和修。於此轉妙法輪。後百歲。果誕和修。出家證道。受慶喜尊者法眼。化導有情。及止此林。降二火龍。歸順佛教。龍因施其地。以建梵宮。尊者化緣既久。思付正法。尋於吒利國。得優波毱多以為給侍。因問毱多曰。汝年幾邪。答曰。我年十七。者曰。汝身十七。性十七邪。答曰。師髮已白。為髮白邪。心白邪。者曰。我但髮白。非心白耳。毱多曰。我身十七。非性十七也。尊者知是法器。後三載。遂為落髮授具。乃告曰。昔如來以無上法眼付囑迦葉。展轉相授。而至於我。我今付汝。勿令斷絕。汝受吾教。聽吾偈言。非法亦非心。無心亦無法。說是心法時。是法非心法。說偈已。即隱於罽賓國南象白山中。後於三昧中。見弟子毱多有五百徒眾。常多懈慢。尊者乃往彼。現龍奮迅三昧以調伏之。而說偈曰。通達非彼此。至聖無長短。汝除輕慢意。疾得阿羅漢。五百比丘聞偈已。依教奉行。皆獲無漏。尊者乃現十八變火光三昧。用焚其身。毱多收舍利。葬於梵迦羅山。五百比丘各持一幡。迎導至彼。建塔供養。乃宣王二十三年乙未歲也。

摩突羅国の人なり。舍那婆斯ともいう。姓は毎舎多。父は林勝と名づき、母は憍奢耶という。胎に六年ありて始めて出生す。梵語商諾迦、此土に訳して自然服と為す、即ち西域の一種の九枝秀草の名なり。もし聖人降生あらば、この草は清浄の地に生ず。和修が出生する時、瑞草応現せり。昔如来行化して摩突羅国に至り、一片の青林を見、枝葉茂盛なり。阿難に対していう:「この林の落地は名を優留茶という。我が滅度の後一百年に、比丘商那和修ありて此処に妙法輪を転ぜん。」後に百年満ちて、果たして和修誕生す。出家して道を証し、慶喜尊者の法眼を受け、有情を化導し、並びにこの林中に住し、二条の火龍を降伏して彼らを仏教に帰順せしむ。龍はこの因にこの地を施舎して、以て梵宮を建造せしむ。尊者化縁すでに久しく、正法を付嘱せんと欲して、便ち咤利国に於て優波毱多を得て給侍と為す。ここに毱多に問う:「汝年幾許ぞ。」答えていう:「我十七歳。」尊者いう:「汝の身十七か、それとも性十七か。」答えていう:「師父の頭髪すでに白し、是れ髪白か、それとも心白か。」尊者いう:「我はただ髪白のみ、心白に非ず。」毱多いう:「我は身十七、性十七に非ず。」尊者彼が法器なるを知る。三年の後、便ち彼の為に落髪授具し、ここに彼に告ぐ:「昔如来は無上法眼を迦葉に付嘱し、展転相授けて、我に至る。我いま汝に付す、断絶せしむること勿れ。汝我が教を受け、我が偈を聴け:法にも非ず、心にも非ず。心无ければ、法も亦無し。この心法を説く時、この法は心法に非ず。」偈を説き已りて、便ち罽賓国の南の象白山の中に隠居す。後に三昧の中に於て弟子毱多に五百の徒衆ありて、常に懈怠軽慢多きを見る。尊者便ち彼処に往きて、龍奮迅三昧を現じて彼らを調伏し、並びに偈を説く:通達は彼此に非ず、至聖に長短無し。汝軽慢の心意を除けば、速やかに阿羅漢を得ん。五百比丘偈を聞き已りて、教に依り奉行して皆無漏を獲たり。尊者ここに十八種の変化を現じ、火光三昧を以て自らの身を焚焼す。毱多舎利を収めて、梵迦羅山に葬る。五百比丘各々一幡を持して、迎え導いて彼処に至り、塔を建てて供養す。これすなわち周の宣王二十三年乙未の歳なり。

四祖優波毱多尊者

四祖優波毱多尊者

吒利國人也。亦名優波崛多。又名鄔波毱多。姓首陀。父善意。十七出家。二十證果。隨方行化。至摩突羅國。得度者甚眾。由是魔宮震動。波旬愁怖。遂竭其魔力。以害正法。尊者即入三昧。觀其所由。波旬復伺便。密持瓔珞縻之於頸。及尊者出定。乃取人狗蛇三屍。化為華鬘。䎡言慰諭波旬曰。汝與我瓔珞。甚是珍妙。吾有華鬘。以相酬奉。波旬大喜。引頸受之。即變為三種臭屍。蟲蛆壞爛。波旬厭惡。大生憂惱。盡己神力。不能移動。乃升六慾天。告諸天主。又詣梵王。求其解免。彼各告言。十力弟子。所作神變。我輩凡陋。何能去之。波旬曰。然則柰何。梵王曰。汝可歸心尊者。即能除斷。乃為說偈。令其迴向曰。若因地倒。還因地起。離地求起。終無其理。波旬受教已。即下天宮。禮尊者足。哀露懺悔。尊者告曰。汝自今去。於如來正法。更不作嬈害否。波旬曰。我誓迴向佛道。永斷不善。尊者曰。若然者。汝可口自唱言。皈依三寶。魔王合掌三唱。華鬘悉除。乃歡喜踴躍。作禮尊者而說偈曰。稽首三昧尊。十力聖弟子。我今願迴向。勿令有劣弱。尊者在世化導。證果最多。每度一人。以一籌置於石室。其室縱十八肘。廣十二肘。充滿其間。最後有一長者子。名曰香眾。來禮尊者。志求出家。尊者問曰。汝身出家。心出家。答曰。我來出家。非為身心。尊者曰。不為身心。復誰出家。答曰。夫出家者。無我我故。無我我故。即心不生滅。心不生滅。即是常道。諸佛亦常心無形相。其體亦然。尊者曰。汝當大悟。心自通達。宜依佛法僧。紹隆聖種。即為剃度。授具足戒。仍告之曰。汝父甞夢金日而生汝。可名提多迦。復謂曰。如來以大法眼藏。次第傳授。以至於我。今復付汝。聽吾偈言。心自本來心。本心非有法。有法有本心。非心非本法。付法已。乃踴身虗空。呈十八變。卻復本座。跏趺而逝。

咤利国の人なり。優波崛多ともいい、また鄔波毱多ともいう。姓は首陀。父は善意と名づく。十七歳にて出家し、二十歳にて果を証す。方に随って行化し、摩突羅国に至りて、度を得る人甚だ多し。この因に魔宮震動し、波旬愁怖して、便ち魔力を竭くして正法を傷害せんとす。尊者便ち三昧に入りて、其中の縁由を観察す。波旬また機を伺い、密かに瓔珞を以て彼の頸に套す。尊者が定を出るを俟ちて、便ち人・狗・蛇の三具の死尸を取りて、花鬘と化し、柔言にて波旬を慰諭していう:「汝我に瓔珞を與うること甚だ珍妙なり。我に花鬘あり、以て汝に酬謝せん。」波旬大喜し、頸を伸ばして受け、立即ち三種の臭尸と変じ、虫蛆壊爛す。波旬厭悪し、大いに憂悩し、自らの神力を尽くすも移動する能わず。ここに六欲天に昇りて、諸天主に告げ、また梵王の所に至りて、彼に求めて解除せんとす。彼ら各々告げていう:「十力弟子の作す所の神変、我輩凡陋、いずくんぞ去ることを得ん。」波旬いう:「然らば如何。」梵王いう:「汝よく尊者に帰心せば、便ち除くことを得ん。」ここに彼の為に偈を説きて、回向せしむ:もし地に因りて倒れば、還って地に因りて起つ。地を離れて起つを求めば、終にこの理無し。波旬教を受けて後、便ち天宮に下り、尊者の足を礼して、哀み求めて坦白に懺悔す。尊者彼に告ぐ:「汝今より以後、如来の正法に於いて、還って嬈害を作すや否や。」波旬いう:「我誓って仏道に回向し、永く不善を断たん。」尊者いう:「もしこの如くならば、汝よく親口に唱えていうべし:三宝に帰依すと。」魔王合掌して三遍唱え、花鬘尽く除去せられ、ここに歓喜踊躍し、尊者に向かい作礼して偈を説く:稽首三昧尊、十力の聖弟子。我いま回向せんと願う、劣弱有らしむること勿れ。尊者在世の化導に於いて、果を証する人最も多し。一人を度する毎に、便ち一根の籌を石室の中に投げ入る。その石室は長さ十八肘、闊さ十二肘にて、籌は其間に充満せり。最後に一長者子ありて、香衆と名づき、来りて尊者を礼し、志を立てて出家を求む。尊者問う:「汝は身出家か、それとも心出家か。」答えていう:「我の出家するに来るは、身の為に非ず、亦心の為に非ず。」尊者いう:「身心の為に非ざれば、また誰か出家する。」答えていう:「出家と説く者は、『我』と『我が所』無きが因なり。『我』と『我が所』無ければ、心は生滅せず。心生滅せざれば、即ち是れ常道なり。諸仏も亦常なり、心に形相無くして、その体も亦かくの如し。」尊者いう:「汝かならず大悟すべし、心自ら通達す。まさに仏法僧に依止して、聖種を紹隆すべし。」便ち彼の為に剃度して具足戒を授け、並びに彼に告ぐ:「汝父かつて金日を夢見て汝を生めり、よく提多迦と名づくべし。」また彼に対していう:「如来は大法眼蔵を次第に伝授して、我に至る。いま再び汝に付す。我が偈を聴け:心自ら本より是れ心、本心は並非有一個法。法有るが故有る本心、既に心に非ず、本法にも非ず。」法を付して後、便ち身を虚空に踊らし、十八種の変化を呈し、本座に回りて結跏趺して逝く。

提多迦以室內籌用焚師軀。收舍利。建塔供養。即平王三十一年庚子歲也。

提多迦は室内の籌を以て師父の遺体を火化し、舎利を収め、塔を建てて供養す。これすなわち周の平王三十一年庚子の歳なり。

五祖提多迦尊者

五祖提多迦尊者

摩伽陀國人也。梵語提多迦。此雲通真量。初生之時。父夢金日自屋而出。照耀天地。前有大山。諸寶嚴飾。山頂泉湧。滂沱四流。後遇毱多尊者。為解之曰。寶山者。吾身也。泉湧者。法無盡也。日從屋出者。汝今入道之相也。照耀天地者。汝智慧超越也。尊者聞師說已。歡喜踴躍。而唱偈言。巍巍七寶山。常出智慧泉。回為真法味。能度諸有緣。毱多尊者亦說偈曰。我法傳於汝。當現大智慧。金日從屋出。照耀於天地。提多迦聞師妙偈。設禮奉持。後至中印度。彼國有八千大仙。彌遮迦為首。聞尊者至。率眾瞻禮。謂尊者曰。昔與師同生梵天。我遇阿私陀仙授我仙法。師逢十力弟子。修習禪那。自此報分殊途。已經六劫。者曰。支離累劫。誠哉不虗。今可捨邪歸正。以入佛乘。彌遮迦曰。昔阿私陀仙人授我記雲。汝卻後六劫。當遇同學。獲無漏果。今也相遇。非宿緣邪。願師慈悲。令我解脫。者即度出家。命諸聖授戒。其餘仙眾。始生我慢。尊者示大神通。於是俱發菩提心。一時出家。者乃告彌遮迦曰。昔如來以大法眼藏密付迦葉。展轉相授。而至於我。我今付汝。當護念之。乃說偈曰。通達本法心。無法無非法。悟了同未悟。無心亦無法。說偈已。踴身虗空作十八變。火光三昧。自焚其軀。彌遮迦與八千比丘同收舍利。於班茶山中起塔供養。即莊王七年己丑歲也。

摩伽陀国の人なり。梵語提多迦、此土に訳して通真量と為す。初生の時、父は金日が屋裏より出でて天地を照耀し、前面に一座の大山ありて諸宝にて厳飾し、山頂に泉湧きて滂沱として四方に流向するを夢見たり。後に毱多尊者に遇い、彼の為に解説していう:「宝山は是れ我が身、泉湧は是れ法の窮尽無き、日の屋裏より出づるは是れ汝いま入道の相、天地を照耀するは是れ汝の智慧の超越。」尊者師父の解説を聞きて、歓喜踊躍し、偈を唱えていう:巍巍たる七宝の山、常に智慧の泉を流出す。転じて真法味と成りて、よく一切有縁の人を度せん。毱多尊者も亦偈を説く:我が法は汝に伝わり、汝かならず大智慧を現出せん。金日屋裏より出でて、天地に於いて照耀せん。提多迦師父の妙偈を聞きて、礼を設けて奉持す。後に中印度に至る。その国に八千の大仙あり、弥遮迦を首と為す。尊者の到来を聞きて、衆を率いて瞻礼し、尊者に対していう:「昔師父と同じく梵天に生ぜり。我は阿私陀仙に遇い我に仙法を伝授せし、師父は十力弟子に逢うて禅那を修習せり。此より果報は別の路に分かれ、すでに六劫を過ぎたり。」尊者いう:「支離累劫す、誠に虚ならず。いまよく邪を捨て正に帰して、以て仏乗に入るべし。」弥遮迦いう:「昔阿私陀仙人我に授記していう:汝再び六劫を過ぎて、かならず同学に遇い、無漏果を獲得せん、と。いま相遇う、豈に宿縁に非ずや。願わくは師父慈悲にて、我を解脱せしめん。」尊者便ち彼を度して出家せしめ、諸聖に命じて戒を授けしむ。其余の仙衆は始めて我慢を生起す。尊者は大神通を顕示し、ここに皆菩提心を発して同時に出家す。尊者ここに弥遮迦に告ぐ:「昔如来は大法眼蔵を秘密に迦葉に付嘱し、展転相授けて我に至る。我いま汝に付す、まさに護念すべし。」ここに偈を説いていう:本法に通達する心、法無く非法も亦無し。悟りと未悟とは相同じく、心無く法も亦無し。偈を説き已りて、身を虚空に踊らして十八種の変化を作し、火光三昧を以て自らその身を焚す。弥遮迦と八千比丘とは一同に舎利を収め、班茶山の中に塔を起てて供養す。これすなわち周の莊王七年己丑の歳なり。

六祖彌遮迦尊者

六祖弥遮迦尊者

中印度人也。既傳法已。遊化至北天竺國。見雉堞之上有金色祥雲。歎曰。斯道人氣也。必有大士為吾嗣。乃入城。於闤闠間有一人手持酒器。逆而問曰。師何方來。欲往何所。祖曰。從自心來。欲往無處。曰。識我手中物否。祖曰。此是觸器而負淨者。曰。師識我否。祖曰。我即不識。識即非我。復謂之曰。汝試自稱名氏。吾當後示本因。彼說偈答曰。我從無量劫。至於生此國。本姓頗羅墮。名字婆須密。祖曰。我師提多迦說。世尊昔遊北印度。語阿難言。此國中吾滅度後三百年。有一聖人姓頗羅墮。名婆須蜜。而於禪祖。當獲第七。世尊記汝。汝應出家。彼乃置器禮師。側立而言曰。我思往劫。甞作檀那。獻一如來寶座。彼佛記我曰。汝於賢劫釋迦法中。宣傳至教。今符師說。願加度脫。祖即與披剃。復圓戒相。乃告之曰。正法眼藏。今付於汝。勿令斷絕。乃說偈曰。無心無可得。說得不名法。若了心非心。始解心心法。祖說偈已。入師子奮迅三昧。踴身虗空。高七多羅樹。卻復本座。化火自焚。婆須蜜收靈骨。貯七寶函。建浮圖寘於上級。即襄王十七年甲申歲也。

中印度の人なり。法を伝えて後、北天竺国に遊化し、城垛の上に金色の祥雲あるを見て、嘆息していう:「これ道人の気象なり、かならず大士ありて我が後嗣を作さん。」ここに城に入る。街市の間に一人ありて手に酒器を執り、迎え来たりて問う:「師父は何方より来たり、何処に往かんとする。」祖いう:「自心より来たり、処所無きの処に往かんとす。」問う:「我が手裏の物を識るや。」祖いう:「これ染汚の器具なり、而も清浄の人を担負す。」問う:「師父は我を識るや。」祖いう:「我は即ち識らず、識れば即ち我に非ず。」また彼に対していう:「汝試みに自ら姓名を報じよ、我隨って汝の本因を開示せん。」その人偈を以て答えていう:我無量劫より来して、直にこの国家に生まれに至る。本姓は頗羅堕、名字は婆須密。祖いう:「我が師父提多迦かつて説きて曰く:世尊昔北印度に遊びて、阿難に対していう:この国の中、我が滅度の後三百年に、一の聖人ありて姓は頗羅堕、名は婆須蜜、禅祖の中に於いてかならず第七位を得ん、と。世尊汝に記せり、汝まさに出家すべし。」その人便ち酒器を放下して師父を礼拝し、側立していう:「我往劫かつて檀那(施主)と作したるを想起す、一如来に宝座を献ぜり。その仏我に記していう:汝賢劫の釈迦法の中に至教を宣伝せん、と。いま正に師父の説く所と符合す。願わくは度脱を加えん。」祖便ち彼の為に披剃し、また戒相を円具せしめ、ここに彼に告ぐ:「正法眼蔵、いま汝に付す、断絶せしむること勿れ。」ここに偈を説いていう:心無く、亦得べきも無し。説き出すべきは法と叫ばず。もし心の心に非ざるを了達せば、始めて心の心法を解せん。祖偈を説き已りて、師子奮迅三昧に入り、身を虚空に踊らし、高さ七つの多羅樹に及び、本座に回りて、火を化して自焚す。婆須蜜霊骨を収めて、七宝函の中に貯存し、浮図を建てて上級に置く。これすなわち周の襄王十七年甲申の歳なり。

七祖婆須蜜尊者

七祖婆須蜜尊者

北天竺國人也。姓頗羅墮。常服淨衣。執酒器。遊行裡閈。或吟或嘯。人謂之狂。及遇彌遮迦尊者。宣如來往誌。自省前緣。投器出家。受法行化。至迦摩羅國。廣興佛事。於法座前。忽有智者自稱。我名佛陀難提。今與師論義。祖曰。仁者論即不義。義即不論。若擬論義。終非義論。難提知師義勝。心即欽服。曰。我願求道。霑甘露味。祖遂與剃度。而授具戒。復告之曰。如來正法眼藏。我今付汝。汝當護持。乃說偈曰。心同虗空界。示等虗空法。證得虗空時。無是無非法。即入慈心三昧。時梵王帝釋及諸天眾俱來作禮。而說偈言。賢劫眾聖祖。而當第七位。尊者哀念我。請為宣佛地。尊者從三昧起。示眾曰。我所得法。而非有故。若識佛地。離有無故。語已。還入三昧。示涅槃相。難提即於本座起七寶塔。以塟全身。即定王十九年辛未歲也。

北天竺国の人なり。姓は頗羅堕。常に浄衣を着し、酒器を執りて、里巷に游行し、或いは吟じ或いは嘯く。他人は彼を狂と謂う。弥遮迦尊者に遇うて如来往昔の授記を宣説するに及び、自ら前縁を省察し、酒器を放下して出家し、法を受けて行化す。迦摩羅国に至りて、広く仏事を興す。法座の前に於いて、忽然として一智者ありて自称していう:「我名づけて仏陀難提、いま師父と論義せんと欲す。」祖いう:「仁者、論ずれば即ち義に非ず、義は即ち論ぜず。もし論義せんと擬すれば、終に義論に非ず。」難提師父の義が己に勝れるを知りて、心中便ち欽服し、いう:「我願くは道を求めて、甘露の味を霑わん。」祖ここに彼の為に剃度して具足戒を授け、また彼に告ぐ:「如来の正法眼蔵、我いま汝に付す、汝まさに護持すべし。」ここに偈を説いていう:心は虚空界の如し、虚空に等しき法を開示す。虚空を証得する時、是無く、非法も亦無し。便ち慈心三昧に入る。この時梵王・帝釈および諸天衆皆来りて作礼し、偈を説く:賢劫衆聖の祖にして、而も正に第七位に当たる。尊者我等を哀念し、請うて仏地を宣説したまえ。尊者三昧より起ちて、大衆に開示していう:「我が得たる所の法は、有るの故に非ず。もし仏地を識らんと欲せば、有を離れ無を離るるが故なり。」説き已りて、また三昧に入り、涅槃の相を示現す。難提便ち本座に於いて七宝塔を建起し、全身を葬む。これすなわち周の定王十九年辛未の歳なり。

八祖佛陀難提尊者

八祖仏陀難提尊者

迦摩羅國人也。姓瞿曇氏。頂有肉髻。辯捷無礙。初遇婆須蜜。出家受教。既而領徒行化。至提伽國毗舍羅家。見舍上有白光上騰。謂其徒曰。此家有聖人。口無言說。真大乘器。不行四衢。知觸穢耳。言訖。長者出致禮。問。何所須。祖曰。我求侍者。長者曰。我有一子。名伏馱蜜多。年已五十。口未曾言。足未曾履。祖曰。如汝所說。真吾弟子。伏䭾聞之。遽起禮拜。而說偈曰。父母非我親。誰是最親者。諸佛非我道。誰為最道者。祖以偈答曰。汝言與心親。父母非可比。汝行與道合。諸佛心即是。外求有相佛。與汝不相似。欲識汝本心。非合亦非離。伏䭾聞偈已。便行七步。祖曰。此子昔曾值佛。悲願廣大。慮父母愛情難捨。故不言不履耳。長者遂捨令出家。祖尋授具戒。復告之曰。我今以如來正法眼藏付囑於汝。勿令斷絕。乃說偈曰。虗空無內外。心法亦如此。若了虗空故。是達真如理。伏䭾承師付囑。以偈讚曰。我師禪祖中。當得為第八。法化眾無量。悉獲阿羅漢。爾時佛陀難提即現神變。卻復本座。儼然寂滅。眾興寶塔。塟其全身。即景王十二年丙寅歲也。

迦摩羅国の人なり。姓は瞿曇氏。頭頂に肉髻あり、弁才敏捷にして滞碍無し。初め婆須蜜に遇い、出家して教を受く。隨って徒衆を帯領して行化し、提伽国の毎舎羅家に至り、屋上に白光の上騰するを見て、徒衆に対していう:「この家に聖人あり、口裏に言説無く、真に大乗の法器なり。彼四通の大路を行かず、是れ触途に穢あるを知るなり。」説き已りて、長者出で来りて礼を行じ、問う:「何をか須要とする。」祖いう:「我侍者を求む。」長者いう:「我に一子あり、伏駄蜜多と名づき、すでに五十歳なり、口裏かつて言を説かず、脚かつて路を行かず。」祖いう:「汝の説く如くは、真に我が弟子なり。」伏駄これを聞きて、立刻に起ちて礼拝し、偈を説いていう:父母は並非我の親、誰か最も親しき者ぞ。諸仏は並非我の道、誰か最も是れ道なる者ぞ。祖偈を以て答えていう:汝の言は心と親しみ、父母比ぶ可からず。汝の行は道と相合し、諸仏の心即ち是なり。外に向かい有相の仏を求むるは、汝と相似せず。汝の本心を識らんと欲せば、合に非ず、離にも非ず。伏駄偈を聞き已りて、便ち七歩を行ず。祖いう:「この子往昔かつて仏に遇えり、悲願広大、ただ父母の恩愛は離れ難しと恐れ、ゆえに言を説かず路を行かざりき。」長者ここに彼を捨てて出家せしむ。祖隨即具足戒を授け、また彼に告ぐ:「我いま如来の正法眼蔵を汝に付嘱す、断絶せしむること勿れ。」ここに偈を説いていう:虚空に内外無し、心法も亦かくの如し。もし虚空の故を了達せば、即ち是れ真如の理に通達す。伏駄師父の付嘱を承受し、偈を以て讃称す:我が師父禅祖の中に在りて、かならず第八と作さん。法化の徒衆限量無く、皆阿羅漢を獲得せん。この時仏陀難提便ち神変を現じ、本座に回りて、儼然として寂滅す。衆人宝塔を建起し、全身を葬む。これすなわち周の景王十二年丙寅の歳なり。

九祖伏䭾蜜多尊者

九祖伏䭾蜜多尊者

提伽國人也。姓毗舍羅。既受八祖付囑。後至中印度行化。時有長者香葢。𢹂一子而來。瞻禮祖曰。此子處胎六十歲。因號難生。甞會一仙者。謂此兒非凡。當為法器。今遇尊者。可令出家。祖即與落髮授戒。羯磨之際。祥光燭座。仍感舍利三七粒現前。自此精進忘疲。既而祖告之曰。如來大法眼藏。今付於汝。汝護念之。乃說偈曰。真理本無名。因名顯真理。受得真實法。非真亦非偽。祖付法已。即入滅盡三昧而般涅槃。眾以香油旃檀闍維。收舍利。建塔於那爛陀寺。即敬王三十五年甲寅歲也。

提伽国の人なり。姓は毎舎羅。すでに八祖の付嘱を受けて、後に中印度に至りて行化す。この時長者香蓋ありて、一の児子を帯て来りて瞻礼し、祖に対していう:「この子胎裏に六十年あり、此の因に難生と号す。かつて一仙人に遇い、この子凡ならず、かならず法器と為るべしと説けり。いま尊者に遇う、彼をして出家せしむべし。」祖便ち彼の為に落髪授戒す。羯磨の時、祥光座席を照耀し、還って舎利二十一组の前に出現するに感応す。此より精進し、疲労を忘る。隨後祖彼に告ぐ:「如来の大法眼蔵、いま汝に付す、汝これを護念せよ。」ここに偈を説いていう:真理本より名無し、名に因りて始めて真理を顕す。真実の法を受くる、真に非ず、亦偽に非ず。祖法を付して後、便ち滅尽三昧に入りて般涅槃す。衆人香油・旃檀を以て荼毘し、舎利を収め、那爛陀寺に塔を建つ。これすなわち周の敬王三十五年甲寅の歳なり。

十祖脇尊者

十祖脅尊者

中印度人也。本名難生。初將誕時。父夢一白象。背有寶座。座上安一明珠。從門而入。光照四眾。既覺遂生。後值九祖。執侍左右。未甞睡眠。謂其脇不至席。遂號脇尊者焉。初至華氏國。憩一樹下。右手指地而告眾曰。此地變金色。當有聖人入會。言訖。即變金色。時有長者子富那夜奢。合掌前立。祖問曰。汝從何來。答曰。我心非往。祖曰。汝何處住。答曰。我心非止。祖曰。汝不定邪。曰。諸佛亦然。祖曰。汝非諸佛。曰。諸佛亦非。祖因說偈曰。此地變金色。預知有聖至。當坐菩提樹。覺華而成已。夜奢復說偈曰。師坐金色地。常說真實義。回光而照我。令入三摩諦。祖知其意。即度出家。復具戒品。乃告之曰。如來大法藏。今付於汝。汝護念之。乃說偈曰。真體自然真。因真說有理。領得真真法。無行亦無止。祖付法已。即現神變而入涅槃。化火自焚。四眾各以衣裓盛舍利。隨處興塔而供養之。即貞王二十二年己亥歲也。

中印度の人なり。本名は難生。まさに出生せんとする時、父は一頭の白象が背上に宝座あり、座上に一顆の明珠を安じて、門より入り、光は四衆を照らすを夢見たり。覚めて便ち出生す。後に九祖に遇上りて、左右に執侍し、かつて睡眠せず、脅席に沾らずと謂い、ここに脅尊者と号す。初め華氏国に至りて、一樹の下に歇息し、右手を以て地を指し大衆に告ぐ:「この地金色に変ぜば、かならず聖人ありて会に入らん。」説き已りて、地便ち金色に変ず。この時長者子富那夜奢ありて、合掌して前面に立つ。祖問う:「汝何処より来たる。」答えていう:「我が心並往まず。」祖いう:「汝何処に住する。」答えていう:「我が心並止まず。」祖いう:「汝定まらざるか。」いう:「諸仏も亦かくの如し。」祖いう:「汝は諸仏に非ず。」いう:「諸仏も亦是れに非ず。」祖ここに偈を説いていう:この地金色に変ずるは、預め聖人の到来あるを知る。かならず菩提樹下に坐して、覚花開成せん。夜奢また偈を説いていう:師父金色の地に坐し、常に真実義を説く。回光して我を照らし、我をして三摩地に入らしめよ。祖その意を知りて、便ち彼を度して出家せしめ、また具足戒を授け、ここに彼に告ぐ:「如来の大法蔵、いま汝に付す、汝これを護念せよ。」ここに偈を説いていう:真体自然に即ち真、真に因りて始めて理あるを説く。この真にして又真の法を領得すれば、行無く、止も亦無し。祖法を付して後、便ち神変を現じて涅槃に入り、火を化して自焚す。四衆各々衣襟を以て舎利を盛り、処に随い塔を建てて供養す。これすなわち周の貞王二十二年己亥の歳なり。

十一祖富那夜奢尊者

十一祖富那夜奢尊者

華氏國人也。姓瞿曇氏。父寶身。既得法於脇尊者。尋詣波羅柰國。有馬鳴大士迎而作禮。問曰。我欲識佛。何者即是。祖曰。汝欲識佛。不識者是。曰。佛既不識。焉知是乎。祖曰。既不識佛。焉知不是。曰。此是鋸義。祖曰。彼是木義。祖問。鋸義者何。曰。與師平出。馬鳴卻問。木義者何。祖曰。汝被我解。馬鳴豁然省悟。稽首皈依。遂求剃度。祖謂眾曰。此大士者。昔為毗舍利國王。其國。有一類人如馬裸露。王運神力分身為蠶。彼乃得衣。王後復生中印度。馬人感戀悲鳴。因號馬鳴焉。如來記雲。吾滅度後六百年。當有賢者馬鳴於波羅柰國。摧伏異道。度人無量。繼吾傳化。今正是時。即告之曰。如來大法眼藏。今付於汝。即說偈曰。迷悟如隱顯。明暗不相離。今付隱顯法。非一亦非二。尊者付法已。即現神變。湛然圓寂。眾興寶塔。以閟全身。即安王十四年戊戌歲也。

華氏国の人なり。姓は瞿曇氏。父は宝身と名づく。すでに脅尊者の所に於いて法を得、隨即波羅奈国に前往す。馬鳴大士ありて迎え来りて作礼し、問う:「我仏を識らんと欲す、いずれか是れ。」祖いう:「汝仏を識らんと欲す、あの識らざるは即ち是なり。」問う:「仏すでに識らず、なんぞ是なるを知らん。」祖いう:「すでに仏を識らず、なんぞ非なるを知らん。」いう:「これ鋸の義なり。」祖いう:「彼は木の義なり。」祖問う:「鋸の義は何ぞ。」いう:「師父と平斉に出ず。」馬鳴かえって問う:「木の義は何ぞ。」祖いう:「汝我に解開せられたり。」馬鳴豁然として省悟し、稽首して帰依し、ここに出家剃度を求む。祖大衆に対していう:「この大士、往昔は毘舎利国王なり。その国に一類の人ありて馬の如く赤裸なり、王神力を運らして分身を蚕と為し、それらの人始めて衣服を得たり。王後に再生して中印度に、馬人感恋して悲鳴す、此の因に馬鳴と号す。如来かつて説きていわく:我が滅度の後六百年、かならず賢者馬鳴ありて波羅奈国に於いて異道を摧伏し、人を度すること無量、我が伝化を継承せん、と。いま正にその時なり。」便ち彼に告ぐ:「如来の大法眼蔵、いま汝に付さん。」ここに偈を説いていう:迷と悟は隠と顕の如く、明と暗とは相離れず。いまこの隠顕の法を付す、一に非ず、亦二に非ず。尊者法を付して後、便ち神変を現じ、湛然として円寂す。衆人宝塔を建起し、全身を封蔵す。これすなわち周の安王十四年戊戌の歳なり。

十二祖馬鳴大士者

第十二祖馬鳴大士

波羅柰國人也。亦名功勝。以有作無作諸功德最為殊勝。故名焉。既受法於夜奢尊者。後於華氏國轉妙法輪。忽有老人。座前仆地。祖謂眾曰。此非庸流。當有異相。言訖不見。俄從地湧出一金色人。復化為女子。右手指祖而說偈曰。稽首長老尊。當受如來記。今於此地上。宣通第一義。說偈已。瞥然不見。祖曰。將有魔來。與吾較(音角)力。有頃。風雨暴至。天地晦冥。祖曰。魔之來信矣。吾當除之。即指空中。現一大金龍。奮發威神。震動山嶽。祖儼然於座。魔事隨滅。經七日。有一小蟲。大若蟭螟。潛形座下。祖以手取之。示眾曰。斯乃魔之所變。盜聽吾法耳。乃放之令去。魔不能動。祖告之曰。汝但歸依三寶。即得神通。遂復本形。作禮懺悔。祖問曰。汝名誰邪。眷屬多少。曰。我名迦毗摩羅。有三千眷屬。祖曰。盡汝神力。變化若何。曰。我化巨海極為小事。祖曰。汝化性海得否。曰。何謂性海。我未甞知。祖即為說性海曰。山河大地。皆依建立。三昧六通。由茲發現。迦毗摩羅聞言。遂發信心。與徒眾三千。俱求剃度。祖乃召五百羅漢。與授具戒。復告之曰。如來大法眼藏。今當付汝。汝聽偈言。隱顯即本法。明暗元不二。今付悟了法。非取亦非離。付囑已。即入龍奮迅三昧。挺身空中。如日輪相。然後示滅。四眾以真體藏之龍龕。即顯王三十七年甲午歲也。

波羅奈国の人なり。亦名づけて功勝、有作・無作の種種の功德最も殊勝なるを以て、故に名を得たり。すでに夜奢尊者の所に於いて法を受け、後に華氏国に於いて妙法輪を転ず。忽然として一の老人ありて座前に仆倒す。祖大衆に対していう:「これ庸常一流に非ず、かならず異相あらん。」説き已りて便ち見えず。片刻地より涌出して一の金色人、また女子と化し、右手を以て祖を指し偈を説く:稽首長老尊、かならず如来の記を受けん。いまこの地の上に於て、第一義を宣通せん。偈を説き已りて、眨眼の間に見えず。祖いう:「まさに魔来たらん、我と力を較べん。(「較」は音角、較量なり。)」過ぎて一会儿、風雨暴至し、天地晦暗す。祖いう:「魔の来るは真なり、我まさにこれを除くべし。」便ち空中を指して、一条の大金龍を現出し、威神を奮発し、山岳を震動す。祖座上に儼然として動かず、魔事隨即滅除す。七日を過ぎて、一条の小虫あり、大きさ蟭螟の如く、座下に潜蔵す。祖手を以て捉えて、大衆に出示していう:「これ魔の変じたる所にして、来りて我が法を偷聴するなり。」ここにそれを放し去らしむるも、魔は動くこと能わず。祖それに告ぐ:「汝ただ三宝に帰依せば、便ち神通を得ん。」ここに本形を回復し、作礼して懺悔す。祖問う:「汝名づけて誰、眷属多少。」いう:「我名づけて迦毘摩羅、三千の眷属あり。」祖いう:「汝の神力を尽くせば、変化は如何ばかりに至る。」いう:「我巨海を変ずるも、極めて小事なり。」祖いう:「汝性海を変ずること、能うや。」いう:「何をか性海と謂う、我かつて知らず。」祖便ち彼の為に性海を説く:「山河大地、皆これに依りて建立す。三昧六通、此処より発現す。」迦毘摩羅これを聞きて、便ち信心を発し、徒衆三千と一斉に出家剃度を求む。祖ここに五百羅漢を召集し、彼らの為に具足戒を授け、また彼に告ぐ:「如来の大法眼蔵、いままさに汝に付すべし。汝偈を聴け:隠と顕とは即ち本法、明と暗とは元来不二なり。いまこの悟りたる法を付す、取に非ず、亦離にも非ず。」付嘱の後、便ち龍奮迅三昧に入り、身を空中に挺し、日輪の相の如くして、而して後示滅す。四衆真体を龍龕の裏に蔵す。これすなわち周の顕王三十七年甲午の歳なり。

十三祖迦毗摩羅尊者

十三祖迦毘摩羅尊者

華氏國人也。初為外道。有徒三千。通諸異論。後於馬鳴尊者得法。領徒至西印度。彼有太子。名雲自在。仰尊者名。請於宮中供養。祖曰。如來有教。沙門不得親近國王.大臣權勢之家。太子曰。今我國城之北。有大山焉。山有一石窟。可禪寂於此否。祖曰。諾。即入彼山。行數裡。逢一大蠎。祖直前不顧。盤繞祖身。祖因與授三皈依。蟒聽訖而去。祖將至石窟。復有一老人素服而出。合掌問訊。祖曰。汝何所止。答曰。我昔甞為比丘。多樂寂靜。有初學比丘數來請益。而我煩於應答。起嗔恨想。命終墮為蠎身。住是窟中。今已千載。適遇尊者。獲聞戒法。故來謝爾。祖問曰。此山更有何人居止。曰。此去十里。有大樹蔭覆五百大龍。其樹王名龍樹。常為龍眾說法。我亦聽受耳。祖遂與徒眾詣彼。龍樹出迎曰。深山孤寂。龍蟒所居。大德至尊。何枉神足。祖曰。吾非至尊。來訪賢者。龍樹默唸曰。此師得決定性明道眼否。是大聖繼真乘否。祖曰。汝雖心語。我已意知。但辦出家。何慮吾之不聖。龍樹聞已。悔謝。祖即與度脫。及五百龍眾俱授具戒。復告之曰。今以如來大法眼藏。付囑於汝。諦聽偈言。非隱非顯法。說是真實際。悟此隱顯法。非愚亦非智。付法已。即現神變。化火焚身。龍樹收五色舍利。建塔焉。即赧王四十一年壬辰歲也。

華氏国の人なり。初めは外道にして、徒衆三千あり、種種の異論に通暁す。後に馬鳴尊者の所に於いて法を得、徒衆を帯領して西印度に至る。彼処に太子ありて、雲自在と名づき、尊者の名を仰慕し、宮中に請じて供養す。祖いう:「如来に教あり:沙門は国王・大臣の権勢の家に親近することを得ず。」太子いう:「いま我が国の城北に一座の大山あり、山裏に一の石窟あり、彼処に於いて禅寂する可きや。」祖いう:「可なり。」便ちその山に進入す。数里を行きて、一条の大蟒に遇上る。祖直に向前し、並びに回頭せず、蟒は祖の身を盤繞す。祖ここにそれに為りて三帰依を授け、蟒聴き已りて便ち離去す。祖まさに石窟に到らんとする時、また一の老人ありて素服を着て出で、合掌して問訊す。祖いう:「汝何処に住する。」答えていう:「我往昔かつて比丘なりき、甚だ寂静を喜べり。初学の比丘の屢々来りて請益する有り、我応答に厭煩し、瞋恨の想を生起し、命終して蟒身に堕し、この窟の中に住す、いま已に千載なり。さきに尊者に遇上りて、戒法を聞くことを得たり、故に来りて謝を致す。」祖問う:「この山裏に還って何人か居住する。」いう:「此処より十里を去るに、一の大樹ありて五百の大龍を蔭覆す。その樹王は名づけて龍樹、常に龍衆の為に法を説き、我も亦聴受す。」祖ここに徒衆とともに彼処に前往す。龍樹出で迎えていう:「深山孤寂にして、龍蟒の居る所なり。大徳至尊、何を以てか枉げて神足を労せられん。」祖いう:「我は至尊に非ず、是れ賢者を来訪するなり。」龍樹心中默念す:この師父は決定性を得、道眼を明了せるや。是れ大聖真乗を継承せるや。祖いう:「汝心中に語るといえども、我已に意上に於て知れり。只管出家の事を弁ぜよ、何ぞ我が聖に非ざるを顧慮せん。」龍樹これを聞きて、悔過して謝罪す。祖便ち彼を度脱し、連ねて五百の龍衆と一斉に具足戒を授け、また彼に告ぐ:「いま如来の大法眼蔵を汝に付嘱す。仔細に偈を聴け:隠にも非ず顕にも非ざる法、説くは始めて真実際なり。この隠顕の法を悟れば、愚に非ず、亦智にも非ず。」法を付して後、便ち神変を現じ、火を化して身を焚く。龍樹五色の舎利を収め、塔を建つ。これすなわち周の赧王四十一年壬辰の歳なり。

十四祖龍樹尊者

十四祖龍樹尊者

西天竺國人也。亦名龍勝。始於摩羅尊者得法。後至南印度。彼國之人。多信福業。祖為說法。𮞏相謂曰。人有福業。世間第一。徒言佛性。誰能覩之。祖曰。汝欲見佛性。先須除我慢。彼人曰。佛性大小。祖曰。非大非小。非廣非狹。無福無報。不死不生。彼聞理勝。悉回初心。祖復於座上。現自在身。如滿月輪。一切眾唯聞法音。不覩祖相。彼眾中有長者子。名迦那提婆。謂眾曰。識此相否。眾曰。目所未覩。安能辨識。提婆曰。此是尊者現佛性體相。以示我等。何以知之。葢以無相三昧。形如滿月。佛性之義。廓然虗明。言訖。輪相即隱。復居本座。而說偈言。身現圓月相。以表諸佛體。說法無其形。用辨非聲色。彼眾聞偈。頓悟無生。鹹願出家。以求解脫。祖即為剃髮。命諸聖授具。其國先有外道五千餘眾。作大幻術。眾皆宗仰。祖悉為化之。令歸三寶。復造大智度論.中論.十二門論。垂之於世。後告上首弟子迦那提婆曰。如來大法眼藏今當付汝。聽吾偈言。為明隱顯法。方說解脫理。於法心不證。無瞋亦無喜。付法訖。入月輪三昧。廣現神變。復就本座。凝然禪寂。迦那提婆與諸四眾。共建寶塔以塟焉。即秦始皇三十五年己丑歲也。

西天竺国の人なり。亦名づけて龍勝。初め摩羅尊者の所に於いて法を得、後に南印度に至る。その国の人は多半福業を信ず。祖彼らの為に法を説けば、彼ら便ち相いていう:「人に福業あれば、是れ世間の第一なり。空しく口に仏性を説くも、誰か見ることを得ん。」祖いう:「汝仏性を見んと欲せば、先ず須く我慢を除去すべし。」その人問う:「仏性は大なるか小なるか。」祖いう:「大に非ず、小に非ず、広に非ず、狭に非ず、福無く、報無く、死せず、生ぜず。」彼らこの道理が己に勝れるを聞きて、皆初心を回転す。祖また座上に於いて自在身を現出し、満月輪の如く、一切の大衆はただ法音を聴聞して、祖の形相を見ず。衆中に長者子ありて、迦那提婆と名づき、衆人に対していう:「この相を認識するや。」衆人いう:「眼目すらかつて見ず、いずくんぞ弁識することを得ん。」提婆いう:「これ尊者が仏性の体相を顕現して、我等を開示するなり。何を以てか知る。無相三昧は形状満月の如く、仏性の意は廓然として虚明なるが故なり。」説き已りて、輪相便ち隱没し、祖また本座に回りて、偈を説いていう:身体は円月の相を現出し、以て諸仏の体を表示す。説法に形無く、以て声色に非ざるを弁明す。それらの人偈を聞きて、頓悟して無生に入り、皆出家を願い以て解脱を求む。祖便ち彼らの為に剃髪し、諸聖に命じて具を授けしむ。その国は原先に外道五千余人ありて、大幻術を作し、衆人皆宗仰せり。祖尽く彼らを度化して、彼らをして三宝に帰依せしむ。また《大智度論》《中論》《十二門論》を撰造し、世に流伝す。後に上首弟子迦那提婆に告ぐ:「如来の大法眼蔵いままさに汝に付すべし。我が偈を聴け:隠顕の法を闡明するが為に、始めて解脱の理を説き出す。法に於いて心は並証得せず、瞋無く、亦喜無し。」法を付し畢りて、月輪三昧に入り、広く神変を現じ、また本座に就きて、凝然として禅寂す。迦那提婆と四衆と共同に宝塔を建起して安葬す。これすなわち秦始皇三十五年己丑の歳なり。

十五祖迦那提婆尊者

十五祖迦那提婆尊者

南天竺國人也。姓毗舍羅。初求福業。兼樂辯論。後謁龍樹大士。將及門。龍樹知是智人。先遣侍者以滿缽水置於座前。尊者覩之。即以一針投之而進。欣然契會。龍樹即為說法。不起於座。現月輪相。唯聞其聲。不見其形。祖語眾曰。今此瑞者。師現佛性。表說法非聲色也。祖既得法。後至迦毗羅國。彼有長者。曰梵摩淨德一日。園樹生耳如菌。味甚美。唯長者與第二子羅睺羅多取而食之。取已隨長。盡而復生。自餘親屬。皆不能見。祖知其宿因。遂至其家。長者廼問其故。祖曰。汝家昔曾供養一比丘。然此比丘道眼未明。以虗霑信施。故報為木菌。唯汝與子精誠供養。得以享之。餘即否矣。又問長者。年多少。答曰。七十有九。祖乃說偈曰。入道不通理。復身還信施。汝年八十一。此樹不生耳。長者聞偈已。彌加歎伏。且曰。弟子衰老。不能事師。願捨次子。隨師出家。祖曰。昔如來記此子。當第二五百年為大教主。今之相遇。葢符宿因。即與剃髮執侍。至巴連弗城。聞諸外道慾障佛法。計之既久。祖乃執長旛入彼眾中。彼問祖曰。汝何不前。祖曰。汝何不後。彼曰。汝似賤人。祖曰。汝似良人。彼曰。汝解何法。祖曰。汝百不解。彼曰。我欲得佛。祖曰。我灼然得佛。彼曰。汝不合得。祖曰。元道我得。汝實不得。彼曰。汝既不得。云何言得。祖曰。汝有我故。所以不得。我無我我。故自當得。彼辭既屈。乃問祖曰。汝名何等。祖曰我名迦那提婆。彼既夙聞祖名。乃悔過致謝。時眾中猶互興問難。祖折以無礙之辯。由是歸伏。乃告上足羅睺羅多而付法眼。偈曰。本對傳法人。為說解脫理。於法實無證。無終亦無始。祖說偈已。入奮迅定。身放八光。而歸寂滅。學眾興塔而供養之。即前漢文帝十九年庚辰歲也。

南天竺国の人なり。姓は毎舎羅。初め福業を求め、また弁論を喜好す。後に龍樹大士を謁見せんとし、まさに門に至らんとするに、龍樹は智人なるを知りて、先に侍者をして満鉢の水を座前に置かしむ。尊者これを見て、便ち一針を投下して然る後に入り、欣然として契会す。龍樹便ち彼の為に法を説き、並びに座位を離れず、月輪の相を現出し、ただ声音を聴聞するのみにて、形を見ず。祖大衆に対していう:「いまこの瑞相は、師父が仏性を顕現して、説法は声色に非ざるを表示するなり。」祖すでに法を得て、後に迦毘羅国に至る。彼処に長者ありて、名を梵摩浄徳という。ある日園中の樹上に木耳の菌の如きを生じ、味道甚だ美なり。ただ長者と第二の子羅睺羅多と取りて食するのみ。取れば還って随いて長じ、尽きて又生ず。其余の親属は皆見ること能わず。祖其中の宿因を知りて、便ち彼の家に至る。長者ここに縁故を問う。祖いう:「汝の家往昔かつて一比丘を供養せり、而もこの比丘は道眼未だ明らかならず、空しく信施を沾受せり、故に身を報じて木菌と為す。ただ汝と児子と精誠に供養するを以て、始めて享用を得、其余の人は則ち能わず。」また長者の年紀多少を問う。答えていう:「七十九。」祖ここに偈を説いていう:道に入りて理に通達せず、還って身を以て信施を償還す。汝八十一歳に到れば、この樹便ち木耳を生ぜじ。長者偈を聞き已りて、倍加して歎服し、並びにいう:「弟子衰老して、師父に事奉する能わず、願わくは次子を捨てて師父に随い出家せしめん。」祖いう:「往昔如来この子に記せり、かならず第二の五百年に於いて大教主と作さんと。いま相遇うは、正に宿因に符合す。」便ち彼の為に剃髪して執侍せしむ。巴連弗城に到りて、諸外道まさに仏法を障碍せんとするを聞き、計議すでに久し。祖便ち手に長幡を執りて彼らの衆中に走り入る。彼ら祖に問う:「汝なにゆえ向前せざる。」祖いう:「汝なにゆえ向後せざる。」彼らいう:「汝賤人に似たり。」祖いう:「汝良人に似たり。」彼らいう:「汝何の法を解する。」祖いう:「汝百様皆解せず。」彼らいう:「我仏を得んと欲す。」祖いう:「我は明明白白に仏を得たり。」彼らいう:「汝得べからず。」祖いう:「元来我は得ると説く、汝実に得ず。」彼らいう:「汝すでに得ず、なんぞ得と説く。」祖いう:「汝『我』有るの故、故に得ず。我『我我』無し、故に自然まさに得べし。」彼ら詞窮まりて、便ち祖に問う:「汝名づけて何。」祖いう:「我名づけて迦那提婆。」彼ら夙に祖の名を聞きて、ここに悔過して謝を致す。この時衆中なお相いに問難を興起す、祖は滞碍無き弁才を以て一々に折服せしめ、此の因に帰伏す。ここに上足羅睺羅多に告げて法眼を付す、偈にいう:本より伝法の人に対して、始めて解脱の理を説き出す。法に於いて実に証無く、終無く、亦始無し。祖偈を説き已りて、奮迅定に入り、身上より八道の光を放ちて、寂滅に帰す。学衆塔を建てて以て供養す。これすなわち前漢の文帝十九年庚辰の歳なり。

十六祖羅睺羅多尊者

十六祖羅睺羅多尊者

迦毗羅國人也。行化至室羅筏城。有河名曰金水。其味殊美。中流復現五佛影。祖告眾曰。此河之源。凡五百里。有聖者僧伽難提居於彼處。佛誌。一千年後。當紹聖位。語已。領諸學眾。泝流而上。至彼。見僧伽難提安坐入定。祖與眾伺之。經三七日。方從定起。祖問曰。汝身定邪。心定邪。提曰。身心俱定。祖曰。身心俱定。何有出入。提曰。雖有出入。不失定相。如金在井。金體常寂。祖曰。若金在井。若金出井。金無動靜。何物出入。提曰。言金動靜。何物出入。言金出入。金非動靜。祖曰。若金在井。出者何金。若金出井。在者何物。提曰。金若出井。在者非金。金若在井。出者非物。祖曰。此義不然。提曰。彼義非著。祖曰。此義當墮。提曰。彼義不成。祖曰。彼義不成。我義成矣。提曰。我義雖成。法非我故。祖曰。我義已成。我無我故。提曰。我無我故。復成何義。祖曰。我無我故。故成汝義。提曰。仁者師誰。得是無我。祖曰。我師迦那提婆。證是無我。難提以偈讚曰。稽首提婆師。而出於仁者。仁者無我故。我欲師仁者。祖以偈答曰。我已無我故。汝須見我我。汝若師我故。知我非我我。難提心意豁然。即求度脫。祖曰。汝心自在。非我所繫。語已。即以右手擎金缽。舉至梵宮。取彼香飯。將齋大眾。而大眾忽生厭惡之心。祖曰。非我之咎。汝等自業。即命難提分座同食。眾復訝之。祖曰。汝不得食。皆由此故。當知與吾分座者。即過去娑羅樹王如來也。愍物降跡。汝輩亦莊嚴劫中已至三果而未證無漏者也。眾曰。我師神力。斯可信矣。彼雲過去佛者。即竊疑焉。難提知眾生慢。乃曰。世尊在日。世界平正。無有丘陵。江河溝洫。水悉甘美。草木滋茂。國土豐盈。無八苦.行十善。自雙樹示滅八百餘年。世界丘墟。樹木枯悴。人無至信。正念輕微。不信真如。唯愛神力。言訖。

迦毘羅国の人なり。行化して室羅筏城に至り、一条の河ありて金水と名づき、味道特別に美なり、中流また五仏の影を現出す。祖大衆に告ぐ:「この河の源頭、大約五百里、聖者僧伽難提ありて彼処に住す。仏かつて記せり:一千年後、かならず聖位を紹継せん、と。」説き已りて、諸学衆を帯領して流に沿い而上す。彼処に到りて、僧伽難提の安坐して定に入れるを見る。祖衆人と等候して、二十一日を過ぎて、始めて定中より起つ。祖問う:「汝は身定か、それとも心定か。」難提いう:「身心皆定なり。」祖いう:「身心皆定なれば、なんぞ還って出入あらん。」難提いう:「出入ありといえども、定相を失わず。金の井裏に在るが如し、金の体は常に寂なり。」祖いう:「もし金井に在らば、もし金井を出ずれば、金に動静無し、何物か出入する。」難提いう:「金の動静を説けば、何物か出入する。金の出入を説けば、金は並非動静。」祖いう:「もし金井に在らば、出づるは何の金ぞ。もし金井を出ずれば、在るは何の物ぞ。」難提いう:「金もし井を出ずれば、在るは便ち金に非ず。金もし井に在らば、出づるは便ち物に非ず。」祖いう:「この義は然らず。」難提いう:「あの義は並非執著。」祖いう:「この義はかならず堕負せん。」難提いう:「あの義は成立する能わず。」祖いう:「あの義は成立する能わざれば、我が義便ち成ぜり。」難提いう:「我が義成ずといえども、法は並非我の故なり。」祖いう:「我が義已に成ぜり、我『我』無きが因なり。」難提いう:「我『我』無きの故、また何の義を成ぜん。」祖いう:「我『我』無きの故、故に汝の義を成ぜり。」難提いう:「仁者の師父は誰ぞ、この無我を得たる。」祖いう:「我が師父迦那提婆、この無我を証得せり。」難提偈を以て讃称す:稽首提婆師、而も仁者の身上に出現す。仁者『我』無きの故、我仁者を以て師と為さんと欲す。祖偈を以て答えていう:我已に『我』無きの故、汝須く『我我』を見るべし。汝もし我を以て師と為すの故、我は並非『我我』なるを知るべし。難提心意豁然として、便ち度脱を求む。祖いう:「汝の心自在なり、我の係縛する所に非ず。」説き已りて、便ち右手を以て金鉢を擎げて、梵宮に挙げ至り、彼処の香飯を取りて、まさに大衆の斎を供せんとす、而も大衆は忽然として厭悪の心を生起す。祖いう:「我が過に非ず、是れ汝ら自家の業なり。」便ち難提をして座を分ちて同食せしむ。衆人また驚訝す。祖いう:「汝ら食を得ざるは、皆この故の因なり。まさに我と座を分つ者は、即ち過去娑羅樹王如来なり。万物を憐愍して形跡を降下せし者なるを知るべし。汝らも亦荘厳劫の中に已に三果に到りて、未だ無漏を証得せざる者なり。」衆人いう:「我が師の神力はこれ信ずべし。彼過去仏と説くは、便ち私に懐疑す。」難提衆生の我慢を知りて、便ちいう:「世尊在世の時、世界平正にして丘陵無く、江河溝洫の水皆甘美にして、草木滋茂し、国土豊盈し、八苦無く、十善通行せり。双樹の示滅より八百余年、世界は丘墟と変成し、樹木枯悴し、人に至信無く、正念軽微にして、真如を信ぜず、ただ神力を愛するのみ。」説き已りて、

以右手漸展入地。至金剛輪際。取甘露水。以琉璃器持至會所。大眾見之。即時欽慕。悔過作禮。於是。祖命僧伽難提而付法眼。偈曰。於法實無證。不取亦不離。法非有無相。內外云何起。祖付法已。安坐歸寂。四眾建塔。當前漢武帝二十八年戊辰歲也。

便ち右手を漸々地下に伸入し、直に金剛輪際に至り、甘露水を取りて、琉璃器を以て会所に持て至る。大衆これを見て、当時に欽慕し、悔過して作礼す。ここに祖は僧伽難提に命じて法眼を付す、偈にいう:法に於いて実に証無く、取らず亦離れず。法は有相に非ず亦無相に非ず、内外は何処よりか生起せん。祖法を付して後、安坐して寂に帰す。四衆塔を建つ。当時前漢の武帝二十八年戊辰の歳なり。

十七祖僧伽難提尊者

十七祖僧伽難提尊者

室羅筏城寶莊嚴王之子也。生而能言。常讚佛事。七歲即厭世樂。以偈告其父母曰。稽首大慈父。和南骨血母。我今欲出家。幸願哀愍故。父母固止之。遂終日不食。乃許其在家出家。號僧伽難提。復命沙門禪利多為之師。積十九載。未嘗退倦。每自念言。身居王宮。胡為出家。一夕。天光下矚。見一路坦平。不覺徐行。約十里許。至大巖前。有石窟焉。乃燕寂於中。父既失子。即擯禪利多出國。訪尋其子。不知所在。經十年。祖得法受記已。行化至摩提國。忽有涼風襲眾。身心悅適非常。而不知其然。祖曰。此道德之風也。當有聖者出世。嗣續祖燈乎。言訖。以神力攝諸大眾。遊歷山谷。食頃。至一峰下。謂眾曰。此峰頂有紫雲如葢。聖人居此矣。即與大眾徘徊久之。見山舍一童子。持圓鑑直造祖前。祖問。汝幾歲邪。曰。百歲。祖曰。汝年尚幼。何言百歲。童曰。我不會理。正百歲耳。祖曰。汝善機邪。童曰。佛言。若人生百歲。不會諸佛機。未若生一日。而得決了之。祖曰。汝手中者。當何所表。童曰。諸佛大圓鑑。內外無瑕翳。兩人同得見。心眼皆相似。彼父母聞子語。即捨令出家。祖擕至本處。授具戒訖。名伽耶舍多。他時聞風吹殿鈴聲。祖問曰。鈴鳴邪。風鳴邪。舍多曰。非風鈴鳴。我心鳴耳。祖曰。心復誰乎。舍多曰。俱寂靜故。祖曰。善哉。善哉。繼吾道者。非子而誰。即付法眼。偈曰。心地本無生。因地從緣起。緣種不相妨。華果亦復爾。祖付法已。右手攀樹而化。大眾議曰。尊者樹下歸寂。其垂蔭後裔乎。將奉全身於高原建塔。眾力不能舉。即就樹下起塔。當前漢昭帝十三年丁未歲也。

室羅筏城の宝荘厳王の子。生まれてすぐ言葉を話し、常に仏事を称賛した。七歳で世俗の楽しみを厭い、偈をもって父母に告げた。「大慈の父に稽首し、血肉の母に和南いたします。私は今出家しようと思います。どうか哀愍を賜りますように。」父母が固く止めたので、彼は一日中食べず、ようやく在家での出家を許され、僧伽難提と号し、また沙門の禅利多を師とさせられた。十九年を積み、退くことも倦むこともなかった。常に自ら思った。「王宮に身を置いて、何が出家であろうか。」ある夜、天の光が下り照り、一条の平坦な道が見え、知らず知らずゆるゆると歩いて行き、約十里で大きな岩の前に至り、石窟があったので、その中で宴寂した。父はすでに子を失い、禅利多を国から追放し、子を捜したが行方が分からなかった。十年過ぎ、祖は法を得て記を受けた後、化を行って摩提国に至った。忽然として涼風が大衆を吹き、身心が非常に悦び快かったが、理由が分からなかった。祖は言った。「これは道徳の風である。必ず聖者が世に出て、祖灯を嗣ぐであろう。」言い終わると、神力をもって諸大衆を攝持し、山谷を遊歴した。一食の工夫で一つの峰の下に至り、衆人に言った。「この峰の頂に紫雲が傘蓋のようである。聖人がここに住している。」大衆とともに久しく徘徊し、山の庵に一人の童子が、円鑑を持って祖の前まで来るのを見た。祖は尋ねた。「お前は何歳か。」答えて「百歳です。」祖は言った。「お前の年はまだ幼いのに、なぜ百歳と言うのか。」童子は言った。「私は理に会しないので、ちょうど百歳です。」祖は言った。「お前は機鋒に巧みか。」童子は言った。「仏が言うには、もし人が百歳生きても諸仏の機に会せぬならば、一日生きて決了を得るに如かず。」祖は言った。「お前が手に持つものは、何を表すのか。」童子は言った。「諸仏の大円鑑は、内外に瑕翳なく、二人がともに見ると、心眼が皆似ています。」その父母は子の言葉を聞き、彼を捨てて出家させた。祖は本処に連れて行き、具足戒を授け終え、名を伽耶舍多とした。後に風が殿の鈴を鳴らすのを聞き、祖は尋ねた。「鈴が鳴るのか、風が鳴るのか。」舍多は言った。「風鈴が鳴るのではなく、我が心が鳴るのです。」祖は言った。「心はまた誰か。」舍多は言った。「みな寂静のゆえです。」祖は言った。「善いかな、善いかな。我が道を継ぐのは、お前をおいて誰がいよう。」すなわち法眼を付し、偈に言う。「心地は本来無生、因は地上で縁に随って起こる。縁と種は互いに妨げず、花と果もまたこのようである。」祖は法を付した後、右手で木を攀じて化し去った。大衆は議して言った。「尊者が樹下に帰寂したのは、後裔に蔭を垂れんとするのか。」全身を高原に奉って塔を建てようとしたが、衆人が力を尽くしても挙がらず、樹の下に塔を起した。前漢昭帝十三年丁未の歳に当たる。

十八祖伽耶舍多尊者

十八祖伽耶舍多尊者

摩提國人也。姓鬱頭藍。父天葢。母方聖。甞夢大神持鑑。因而有娠。凡七日而誕。肌體瑩如琉璃。未甞洗沐。自然香潔。幼好閑靜。語非常童。持鑑出遊。遇難提尊者。得度後。領徒至大月氏國。見一婆羅門舍有異氣。祖將入彼舍。舍主鳩摩羅多問曰。是何徒眾。祖曰。是佛弟子。彼聞佛號。心神竦然。即時閉戶。祖良久扣其門。羅多曰。此舍無人。祖曰。答無者誰。羅多聞語。知是異人。遽開關延接。祖曰。昔世尊記曰。吾滅後一千年。有大士出現於月氏國。紹隆玄化。今汝值吾。應斯嘉運。於是鳩摩羅多發宿命智。投誠出家。授具訖。付法偈曰。有種有心地。因緣能發萌。於緣不相礙。當生生不生。祖付法已。踴身虗空。現十八種神變。化火光三昧。自焚其身。眾以舍利起塔。當前漢成帝二十年戊申歲也。

摩提国の人。姓は鬱頭藍。父の名は天蓋、母の名は方聖。かつて大神が鑑を持つのを夢見て、それによって娠し、ただ七日で誕生した。肌体は瑩澈として瑠璃のごとく、洗沐しなくても自然に香潔であった。幼い頃から閑静を好み、言葉は平常の児童のようではなかった。鑑を持って遊び出て、難提尊者に遇い、度を得た後、徒衆を率いて大月氏国に至り、一戸の婆羅門の舎に異気があるのを見た。祖がその舎に入らんとすると、舎主の鳩摩羅多が尋ねた。「何の徒衆か。」祖は言った。「仏弟子である。」彼は仏の名号を聞き、心神竦然として、すぐに門を閉じた。祖は久しくその門を敲いた。羅多は言った。「この舎の中に人はいない。」祖は言った。「『いない』と答えたのは誰か。」羅多はこの言葉を聞き、異人と知り、すぐに門を開いて延接した。祖は言った。「昔世尊が記した。『我が滅後一千年、大士が月氏国に出現し、玄化を紹隆せん。』今お前が我に遇うは、まさにこの嘉運に応ずる。」そこで鳩摩羅多は宿命智を発し、誠を投じて出家した。授具が終わり、法を付す偈に言う。「種あり、心地あり、因縁は萌を発することができる。縁において礙なきとき、当にあの生を生じて生ぜず。」祖は法を付した後、身を踊らせて虚空に至り、十八種の神変を現じ、火光三昧を化して、自らその身を焚いた。衆人は舍利をもって塔を起した。前漢成帝二十年戊申の歳に当たる。

十九祖鳩摩羅多尊者

十九祖鳩摩羅多尊者

大月氏國婆羅門之子也。昔為自在天人(欲界第六天)。見菩薩瓔珞。忽起愛心。墮生忉利(欲界第二天)。聞憍屍迦說般若波羅蜜多。以法勝故。升於梵天(色界)。以根利故。善說法要。諸天尊為導師。以繼祖時至。遂降月氏。後至中天竺國。有大士名闍夜多。問曰。我家父母素信三寶。而常縈疾瘵。凡所營作。皆不如意。而我鄰家久為旃陀羅行。而身常勇徤。所作和合。彼何幸。而我何辜。祖曰。何足疑乎。且善惡之報有三時焉。凡人但見仁夭暴壽.逆吉義兇。便謂亡因果.虗罪福。殊不知影響相隨。毫𨤲靡忒。縱經百千萬劫。亦不磨滅。時闍夜多聞是語已。頓釋所疑。祖曰。汝雖已信三業。而未明業從惑生。惑因識有。識依不覺。不覺依心。心本清淨。無生滅。無造作。無報應。無勝負。寂寂然。靈靈然。汝若入此法門。可與諸佛同矣。一切善惡.有為無為。皆如夢幻。闍夜多承言領旨。即發宿慧。懇求出家。既受具。祖告曰。吾今寂滅時至。汝當紹行化跡。乃付法眼。偈曰。性上本無生。為對求人說。於法既無得。何懷決不決。又云。此是妙音如來見性清淨之句。汝宜傳布後學。言訖。即於座上。以指爪剺面。如紅蓮開出。大光明照耀四眾。而入寂滅。闍夜多起塔。當新室十四年壬午歲也。

大月氏国の婆羅門の子。昔は自在天人(欲界第六天)で、菩薩の瓔珞を見て、忽然として愛心を起こし、忉利(欲界第二天)に堕生した。憍尸迦が般若波羅蜜多(「彼岸に到る」の意、すなわち生死の此岸から解脱の彼岸に渡る)を説くのを聞き、法が殊勝なるがゆえに、梵天(色界)に昇った。根器が鋭利なるがゆえに、法要を説くに善く、諸天は尊師と為した。祖を継ぐ時が至ったので、月氏に降生した。後に中天竺国に至り、大士の名を闍夜多という者がいて、問うた。「我家の父母は一向に三宝を信じていますが、常に疾病に纏われ、凡そ営むところ皆意に如しません。一方、隣家は久しく旃陀羅の業を営んでいますが、身体は常に勇健で、作すところ皆和合します。彼は何と幸運で、私は何と罪がないのでしょう。」祖は言った。「何を疑うことがあろう。そもそも善悪の報応には三時がある。凡人はただ仁者が夭折し、暴者が長寿で、悖逆が吉利で、行義が凶であるのを見て、因果がなく罪福は虚しいと言うが、影と響が互いに随い、毫厘も差し違えないことを知らない。たとい百千万劫を経ても、磨滅することはない。」そのとき闍夜多はこの言葉を聞き、たちまち疑いを消釋した。祖は言った。「お前はすでに三業を信じたが、まだ業は惑より生じ、惑は識によって有り、識は不覚に依り、不覚は心に依ることを明らめていない。心は本来清浄で、生滅なく、造作なく、報応なく、勝負なく、寂寂然として、霊霊然としている。お前がもしこの法門に入れば、諸仏と同じことができる。一切の善悪、有為無為は、皆夢幻のごとし。」闍夜多はこの言葉を承けて旨趣を領得し、宿慧を発して出家を懇請した。すでに受具し、祖は告げた。「我は今寂滅の時が至った。お前は行化の行跡を紹継すべきである。」そこで法眼を付し、偈に言う。「性上は本来無生、対して求むる人のためにのみ説く。法においてすでに得なければ、何ぞ決或いは不決を懐かん。」また言った。「これは妙音如来の見性清浄の句である。お前は当に後学に伝布すべし。」言い終わると、座の上で爪をもって面門を劃き開き、紅蓮が開くがごとく、大光明が四衆を照耀して、寂滅に入った。闍夜多は塔を建てた。新室十四年壬午の歳(王莽新朝)に当たる。

二十祖闍夜多尊者

二十祖闍夜多尊者

北天竺國人也。智慧淵沖。化導無量。後至羅閱城。敷揚頓教。彼有學眾。唯尚辯論。為之首者。名婆修盤頭(此雲徧行)。常一食不臥。六時禮佛。清淨無欲。為眾所歸。祖將欲度之。先問彼眾曰。此徧行頭陀。能修梵行。可得佛道乎。眾曰。我師精進。何故不可。祖曰。汝師與道遠矣。設苦行歷於塵劫。皆虗妄之本也。眾曰。尊者蘊何德行而譏我師。祖曰。我不求道。亦不顛倒。我不禮佛。亦不輕慢。我不長坐。亦不懈怠。我不一食。亦不雜食。我不知足。亦不貪欲。心無所希。名之曰道。時徧行聞已。發無漏智。歡喜讚歎。祖又語彼眾曰。會吾語否。吾所以然者。為其求道心切。夫絃急即斷。故吾不贊。令其住安樂地。入諸佛智。復告徧行曰。吾適對眾。抑挫仁者。得無惱於衷乎。徧行曰。我憶念七劫前。生常安樂國。師與智者月淨。記我非久當證斯陀含果。時有大光明菩薩出世。我以老故。䇿杖禮謁。師叱我曰。重子輕父。一何鄙哉。時我自謂無過。請師示之。師曰。汝禮大光明菩薩。以杖倚壁畫佛面。以此過慢。遂失二果。我責躬悔過以來。聞諸惡言。如風如響。況今獲飲無上甘露。而反生熱惱邪。惟願大慈。以妙道垂誨。祖曰。汝久植眾德。當繼吾宗。聽吾偈曰。言下合無生。同於法界性。若能如是解。通達事理竟。祖付法已。不起於座。奄然歸寂。闍維。收舍利建塔。當後漢明帝十七年甲戌歲也。

北天竺国の人。智慧は淵深冲虚で、化導に限量なかった。後に羅閱城に至り、頓教を敷揚した。そこに学衆がいて、ただ論議を崇尙していた。彼らの首領をなす者、名を婆修盤頭(ここでは遍行と訳す)といい、常に一食にして臥せず、六時に仏を礼し、清浄にして欲なく、衆人の帰するところであった。祖は彼を度せんとして、先ずその人々に問うた。「この遍行頭陀が梵行を修して、仏道を得ることができるか。」衆人は言った。「我が師は精進です。なぜ不可でありましょう。」祖は言った。「お前たちの師は道から遠い。たとい苦行が塵劫を経ても、皆虚妄の根本である。」衆人は言った。「尊者はどのような徳を蘊積して、我が師を譏諷するのですか。」祖は言った。「我は道を求めず、また顛倒せず。我は仏を礼せず、また軽慢せず。我は長坐せず、また懈怠せず。我は一食せず、また雑食せず。我は足ることを知らず、また貪欲せず。心に希求する所がないのを、名づけて道という。」そのとき遍行はこれを聞き、無漏智を発し、歓喜して讃嘆した。祖はまたその人々に言った。「我が言葉を領会するか。我がこのようにする所以は、彼が道を求める心が切りすぎるためである。弦が急なれば断ずる。ゆえに我は許さず、彼をして安楽地に住せしめ、諸仏の智に入らしめんとする。」また遍行に告げた。「我がさきほど衆人に対して仁者を挫抑したこと、心に悩みはないか。」遍行は言った。「我が憶うに、七劫前に常安楽国に生まれ、師父と智者の月浄が我に記して、久しからずして斯陀含果を証せんとしました。当時大光明菩薩が世に出て、我は年老いたので、杖を拄いて礼謁しました。師父は我を叱責して言いました。『子を重んじ父を軽んずるとは、何と鄙陋なことか。』当時私は過ちがないと思い、師父に開示を請いました。師父は言いました。『お前が大光明菩薩を礼して、杖を壁画の仏面に倚せた。この過慢によって、すなわち二果を失った。』私が身を責め悔改して以来、種種の悪言を聞いても、風のごとく響のごとくです。いわんや今無上の甘露を飲むを得て、反って熱悩を生ぜんや。ただ大慈が妙道をもって垂誨せんことを願うのみ。」祖は言った。「お前は久しく衆徳を種殖してきた。必ず我が宗を継ぐであろう。我が偈を聴け。『言下に無生に契し、法界性に同じ。若し能くこのように解れば、事理を通達して便ち了らん。』」祖は法を付した後、座位を離れず、奄然として帰寂した。荼毘して舍利を収め、塔を建てた。後漢明帝十七年甲戌の歳に当たる。

二十一祖婆修盤頭尊者

二十一祖婆修盤頭尊者

羅閱城人也。姓毗舍佉。父光葢。母嚴一。家富而無子。父母禱於佛塔而求嗣焉。一夕。母夢吞明暗二珠。覺而有孕。經七日。有一羅漢名賢眾至其家。光葢設禮。賢眾端坐受之。嚴一齣拜。賢眾避席。雲。回禮法身大士。光葢罔測其由。遂取一寶珠跪獻。試其真偽。賢眾即受之。殊無遜謝。光葢不能忍。問曰。我是丈夫。致禮不顧。我妻何德。尊者避之。賢眾曰。我受禮納珠。貴福汝耳。汝婦懷聖子。生當為世燈慧日。故吾避之。非重女人也。賢眾又曰。汝婦當生二子。一名婆修盤頭。則吾所尊者也。二名芻尼(此雲野鵲子)。昔如來在雪山修道。芻尼巢於頂上。佛既成道。芻尼受報為那提國王。佛記雲。汝至第二五百年。生羅閱城毗舍佉家。與聖同胞。今無爽矣。後一月。果產二子。尊者婆修盤頭年至十五。禮光度羅漢出家。感毗婆訶菩薩與之授戒。行化至那提國。彼王名常自在。有二子。一名摩訶羅。次名摩拏羅。王問祖曰。羅閱城土風。與此何異。祖曰。彼土曾三佛出世。今王國有二師化導。王曰。二師者誰。祖曰。佛記第二五百年。有二神力大士出家繼聖。即王之次子摩拏羅。是其一也。吾雖德薄。敢當其一。王曰。誠如尊者所言。當捨此子作沙門。祖曰。善哉。大王能遵佛旨。即與授具。付法。偈曰。泡幻同無礙。如何不了悟。達法在其中。非今亦非古。祖付法已。踴身高半由旬。屹然而住。四眾仰瞻䖍請。復坐跏趺而逝。茶毗得舍利。建塔。當後漢殤帝十二年丁巳歲也。

羅閱城の人。姓は毘舍佉。父の名は光蓋、母の名は厳一。家は富んでいたが子がなく、父母は仏塔に祈って後嗣を求めた。ある夜、母は明・暗二つの珠を呑む夢を見、覚めて孕んだ。七日過ぎ、一人の羅漢の名を賢衆という者がその家に来た。光蓋は礼を設け、賢衆は端坐して受けた。厳一が出て拜すると、賢衆は座席を避けて言った。「法身大士に回礼します。」光蓋はその中の因縁を推し測れず、一顆の宝珠を取り跪いて献上し、彼の真偽を試した。賢衆はすぐに受け取り、全く遜謝しなかった。光蓋は堪えられず、問うた。「私は丈夫であるのに、礼を致しても顧みず。我が妻にどのような徳があって、尊者は避けたのですか。」賢衆は言った。「我が礼を受け珠を納れたのは、お前に福を得させるためである。お前の婦は聖子を懐いており、生まれて必ず世間の灯、智慧の日となる。ゆえに我は避けたのであって、女人を重んじたのではない。」賢衆はまた言った。「お前の婦は必ず二子を生む。一人を婆修盤頭といい、すなわち我が敬するところである。二人目を芻尼(ここでは野鵲子と訳す)という。昔如来が雪山で道を修していたとき、芻尼が頂上に巣を作った。仏がすでに道を成じ、芻尼は報を受けて那提国王と作った。仏が記した。『お前は第二の五百年に羅閱城毘舍佉家に生まれ、聖人と同胞となる。』今差違いない。」一月後、果たして二子を産んだ。尊者婆修盤頭は年十五にして、光度羅漢に礼して出家し、感応して毘婆訶菩薩が彼のために戒を授けた。化を行って那提国に至った。そこの国王の名は常自在といい、二子があった。一人を摩訶羅、次を摩拏羅という。王は祖に問うた。「羅閱城の土風は、ここと何が違いますか。」祖は言った。「あの土はかつて三仏が世に出ました。今王国には二師が化導しています。」王は言った。「二師とは誰ですか。」祖は言った。「仏が記した第二の五百年に、二位の神力の大士が出家して聖を継ぎます。すなわち王の次子摩拏羅がその一人です。我は徳薄いけれど、敢えてその一人に当たります。」王は言った。「果たして尊者の言うごとくならば、当にこの子を捨てて沙門と作さん。」祖は言った。「善いかな。大王が仏旨に遵うことができるならば。」すなわち彼のために具を授け、法を付し、偈に言う。「泡幻は同じく滞礙なく、如何にして了悟せざらん。法に達すればすなわちその中にあり、今にもあらず、古にもあらず。」祖は法を付した後、身を踊らせて高さ半由旬に至り、屹然として住した。四衆は仰ぎ瞻り虔請したが、また坐して結跏趺して逝した。荼毘して舍利を得、塔を建てた。後漢殤帝十二年丁巳の歳に当たる。

二十二祖摩拏羅尊者

二十二祖摩拏羅尊者

那提國常自在王之子也。年三十。遇婆修祖師出家傳法至西印度。彼國王名得度。即瞿曇種族。歸向佛乘。勤行精進。一日。於行道處。現一小塔。欲取供養。眾莫能舉。王即大會梵行.禪觀.呪術等三眾。欲問所疑。時祖亦赴此會。是三眾皆莫能辨。祖即為王廣說塔之所因(塔。阿育王造者。此不繁錄)。今之出現。王福力之所致也。王聞是說。乃曰。至聖難逢。世樂非久。即傳位太子。投祖出家。七日而證四果。祖深加慰誨曰。汝居此國。善自度人。今異域有大法器。吾當往化。得度曰。師應跡十方。動念當至。寧勞往邪。祖曰。然。於是焚香。遙語月氏國鶴勒那比丘曰。汝在彼國。教導鶴眾。道果將證。宜自知之。時鶴勒那為彼國王寶印說修多羅偈。忽覩異香成穗。王曰。是何祥也。曰。此是西印土傳佛心印祖師摩拏羅將至。先降信香耳。曰。此師神力何如。曰。此師遠承佛記。當於此土廣宣玄化。時王與鶴勒那俱遙作禮。祖知已。即辭得度比丘。往月氏國。受王與鶴勒那供養。後鶴勒那問祖曰。我止林間。已經九白(印度以一年為一白)。有弟子龍子者。幼而聰慧。我於三世推窮。莫知其本。祖曰。此子於第五劫中。生妙喜國婆羅門家。曾以旃檀施於佛宇。作槌撞鐘。受報聰敏。為眾欽仰。又問。我有何緣而感鶴眾。祖曰。汝第四劫中。甞為比丘。當赴會龍宮。汝諸弟子鹹欲隨從。汝觀五百眾中。無有一人堪任妙供。時諸弟子曰。師常說法。於食等者。於法亦等。今既不然。何聖之有。汝即令赴會。自汝捨生.趣生.轉化諸國。其五百弟子以福微德薄。生於羽族。今感汝之惠。故為鶴眾相隨。鶴勒那問曰。以何方便。令彼解脫。祖曰。我有無上法寶。汝當聽受。化未來際。而說偈曰。心隨萬境轉。轉處實能幽。隨流認得性。無喜復無憂。時鶴眾聞偈。飛鳴而去。祖跏趺。寂然奄化。

那提国常自在王の子。年三十、婆修祖師に遇って出家し法を伝え、西印度に至った。そこの国王の名は得度といい、すなわち瞿曇種族で、仏乗に帰向し、勤行精進していた。ある日、行道の処に一座の小塔が現れ、取って供養しようとしたが、衆人は皆挙げることができなかった。王はすなわち梵行・禅観・呪術など三衆を大会し、疑うところを問おうとした。当時祖もこの会に赴いた。この三衆は皆辨明することができなかった。祖はすなわち王のために広く塔の因由を説いた(塔は阿育王の造るところ、ここでは繁く録しない)。今現れたのは、王の福力の致すところである。王はこの説を聞き、便ち言った。「至聖は逢い難く、世楽は久しくあり得ない。」すなわち位を太子に伝え、祖に投じて出家した。七日にして四果を証した。祖は深く慰め誨えて言った。「お前はこの国に住して、よく自ら人を度しなさい。今異域に大法器あり、我は当に往きて度化すべし。」得度は言った。「師父は十方に応跡し、念を動かせばすなわち到る。何ぞ往くを労せん。」祖は言った。「是なり。」そこで香を焚き、遥かに月氏国の鶴勒那比丘に対して言った。「お前はあの国で鶴衆を教導し、道果は将に証せんとす。当に自ら知るべし。」当時鶴勒那はまさにそこの国王宝印のために修多羅偈を説いていたが、忽然として異香が結んで穗となるのを見た。王は言った。「これは何の祥瑞か。」答えて「これは西印土の伝仏心印の祖師摩拏羅が将に至らんとし、先に信香を降したのです。」問うて「この師父の神力はどのようなものか。」答えて「この師父は遠く仏記を承け、必ずこの土に玄化を広く宣べん。」当時王と鶴勒那は皆遥かに作礼した。祖は知って、すなわち得度比丘に辞し、月氏国に往き、王と鶴勒那の供養を受けた。後に鶴勒那は祖に問うた。「私は林間に住して、すでに九白を過ぎました(印度は一年を一白とする)。弟子に龍子という名の者がいて、幼年から聡慧で、私が三世のうちに推し窮めても、その本因が分かりません。」祖は言った。「この子は第五劫の中に妙喜国の婆羅門家に生まれ、かつて旃檀をもって仏宇に施し、槌を作って鐘を撞いた。報を受けて聡敏となり、衆人に欽仰される。」また問うて「私はどのような因縁で鶴衆を感応したのですか。」祖は言った。「お前は第四劫の中でかつて比丘で、当に龍宮の法会に赴かんとしたとき、お前の諸弟子は皆従わんと欲した。お前は五百衆の中を観察して、一人も妙供に堪える者がいなかった。当時諸弟子は言った。『師父は常に法を説き、食において平等なれば、法においても平等です。今すでにこのようでないならば、何の聖があらん。』お前はすなわち彼らをして会に赴かせた。お前が生を捨て生に趣き諸国を転化してから、その五百弟子は福微く徳薄いがゆえに、羽族に生れた。今お前の恩惠に感じて、ゆえに鶴衆として相随する。」鶴勒那は問うた。「どのような方便をもって、彼らを解脱させますか。」祖は言った。「我に無上法宝あり、お前は当に聴受し、未来際を教化すべし。」そこで偈を説いた。「心は万境に随って轉ず、轉ずる処実に能く幽深。流に随いて性を認むれば、喜びなく、また憂いもなし。」当時鶴衆は偈を聞き、飛び鳴いて去った。祖は結跏趺し、寂然として奄化した。

鶴勒那與寶印王起塔。當後漢桓帝十九年乙巳歲也。

鶴勒那と宝印王は塔を建てた。後漢桓帝十九年乙巳の歳に当たる。

二十三祖鶴勒那尊者(勒那梵語。鶴即華言。以常感群鶴戀慕故名耳)

第二十三祖鶴勒那尊者(勒那は梵語、鶴は華言。常に群鶴が恋慕するを感応するがゆえに名を得た)

月氏國人也。姓婆羅門。父千勝。母金光。以無子故。禱於七佛金幢。即夢須彌山頂一神童。持金環雲。我來也。覺而有孕。年七歲。遊行聚落。覩民間淫祀。乃入廟叱之曰。汝妄興禍福。幻惑於人。歲費牲牢。傷害斯甚。言訖。廟貌忽然而壞。由是鄉黨謂之聖子。年二十二出家。三十遇摩拏羅尊者。付法眼藏。行化至中印度。彼國王名無畏海。崇信佛道。祖為說正法次。王忽見二人緋素服拜祖。王問曰。此何人也。祖曰。此是日月天子。吾昔曾為說法。故來禮拜。良久不見。唯聞異香。王曰。日月國土。總有多少。祖曰。千釋迦佛所化世界。各有百億迷盧日月。我若廣說。即不能盡。王聞忻然。時祖演無上道。度有緣眾。以上足龍子早夭。有兄師子。博通強記。事婆羅門。厥師既逝。弟復雲亡。乃歸依尊者而問曰。我欲求道。當何用心。祖曰。汝欲求道。無所用心。曰。既無用心。誰作佛事。祖曰。汝若有用。即非功德。汝若無作。即是佛事。經云。我所作功德。而無我所故。師子聞是語已。即入佛慧。時祖忽指東北問曰。是何氣象。師子曰。我見氣如白虹。貫乎天地。復有黑氣五道。橫亙其中。祖曰。其兆云何。曰。莫可知矣。祖曰。吾滅後五十年。北天竺國當有難起。嬰在汝身。吾將滅矣。今以法眼付囑於汝。善自護持。乃說偈曰。認得心性時。可說不思議。了了無可得。得時不說知。師子比丘聞偈欣愜。然未曉將罹何難。祖乃密示之。言訖。現十八變。而歸寂。闍維畢。分舍利。各欲興塔。祖復現空中而說偈曰。一法一切法。一切一法攝。吾身非有無。何分一切塔。大眾聞偈。遂不復分。就䭾都場而建塔焉。即後漢獻帝二十年己丑歲也。

月氏国の人。姓は婆羅門。父の名は千勝、母の名は金光。子がなかったので、七仏金幢に祈ると、すなわち須弥山頂に一人の神童がいて、金環を持って「我來れり」と言う夢を見た。覚めて孕んだ。年七歳、聚落に遊行し、民間の淫祀を見て、便ち廟に進み叱責して言った。「お前たちは妄りに禍福を興し、人に幻惑し、毎年牲牢を耗費し、傷害すること何と甚だしいか。」言い終わると、廟貌は忽然として壊れた。これによって郷党は彼を聖子と称した。年二十二にして出家し、三十にして摩拏羅尊者に遇い、法眼蔵を付された。化を行って中印度に至った。そこの国王の名は無畏海といい、仏道を崇信した。祖が彼のために正法を説くとき、王は忽然として二人を見た。一人は緋、一人は素で、祖を礼拜した。王は問うた。「これは何の人か。」祖は言った。「これは日月の天子である。我は往昔かつて彼らのために法を説いたので、礼拜しに来たのである。」久しくして見えなくなり、ただ異香を聞くのみであった。王は言った。「日月国土は、総じてどれほどありますか。」祖は言った。「一千位の釈迦仏の化する世界に、各々百億の迷盧日月あり。我若し広く説かば、説き尽くすこと能わず。」王はこれを聞いて欣然とした。当時祖は無上道を演説し、有縁の大衆を度した。上足の龍子が早夭したので、兄の名を師子という者がいて、博通強記で、婆羅門に事えていた。その師父はすでに逝し、弟もまた亡故し、便ち尊者に帰依して問うた。「私が道を求めんとするに、当にどのように心を用いるべきですか。」祖は言った。「お前が道を求めるに、用いるべき心はない。」問うて「すでに心を用いることがなければ、誰が仏事を作すのですか。」祖は言った。「お前若し用あらば、すなわち功德にあらず。お前若し作なければ、すなわち仏事である。経に説く。『我が作すところの功德、而も「我所」なきがゆえに。』」師子はこの言葉を聞き、すなわち仏慧に入った。当時祖は忽然として東北を指して問うた。「これは何の気象か。」師子は言った。「私が見るに気は白虹のごとく、天地に貫き、また黒気五道がその中に横亙しています。」祖は言った。「この予兆は何か。」答えて「知ることができません。」祖は言った。「我が滅後五十年、北天竺国に必ず難が起きて、お前の身に落ちる。我は将に滅せんとす。今法眼をお前に付嘱する。よく自ら護持せよ。」そこで偈を説いた。「心性を認むる時、説くべし不可思議。了々として得るべきなく、得る時知ると説かず。」師子比丘は偈を聞いて欣愜したが、まだ将に何の難に遭わんとするかを明らめなかった。祖は便ち祕密に彼に開示した。言い終わると、十八種の変化を現じて帰寂した。荼毘が終わり、舍利を分けようとして、各々塔を建てようと思った。祖はまた空中に顕現して偈を説いた。「一法はすなわち一切法、一切は一法に攝せらる。我が身は有にもあらず無にもあらず、何ぞ分かちて一切の塔とせん。」大衆は偈を聞き、便ち分かたず、すなわち駄都場に塔を建てた。すなわち後漢献帝二十年己丑の歳である。

二十四祖師子比丘尊者

二十四祖師子比丘尊者

中印度人也。姓婆羅門。得法遊方。至罽賓國。有波利迦者。本習禪觀。故有禪定.知見.執相.捨相.不語之五眾。祖詰而化之。四眾皆默然心服。唯禪定師達磨達者。聞四眾被責。憤悱而來。祖曰。仁者習定。何當來此。既至於此。胡云習定。彼曰。我雖來此。心亦不亂。定隨人習。豈在處所。祖曰。仁者既來。其習亦至。既無處所。豈在人習。彼曰。定習人故。非人習定。我當來此。其定常習。祖曰。人非習定。定習人故。當自來時。其定誰習。彼曰。如淨明珠。內外無翳。定若通達。必當如此。祖曰。定若通達。一似明珠。今見仁者。非珠之徒。彼曰。其珠明徹。內外悉定。我心不亂。猶若此淨。祖曰。其珠無內外。仁者何能定。穢物非動搖。此定不是淨。達磨達蒙祖開悟。心地朗然。祖既攝五眾。名聞遐邇。方求法嗣。遇一長者。引其子問祖曰。此子名斯多。當生便拳左手。今既長矣。終未能舒。願尊者示其宿因。祖覩之。即以手接曰。可還我珠。童子遽開手奉珠。眾皆驚異。祖曰。吾前報為僧。有童子名婆舍。吾甞赴西海齋。受䞋珠付之。今還吾珠。理固然矣。長者遂捨其子出家。祖即與授具。以前緣故名婆舍斯多。祖即謂之曰。吾師密有懸記。罹難非久。如來正法眼藏今轉付汝。汝應保護。普潤來際。偈曰。正說知見時。知見俱是心。當心即知見。知見即於今。祖說偈已。以僧伽梨密付斯多。俾之他國。隨機演化。斯多受教。直抵南天。祖謂難不可以苟免。獨留罽賓。時本國有外道二人。一名摩目多。二名都落遮。學諸幻法。欲共謀亂。乃盜為釋子形象。潛入王宮。且曰。不成即罪歸佛子。妖既自作。禍亦旋踵。王果怒曰。吾素歸心三寶。何乃構害。一至於斯。即命破毀伽藍。祛除釋眾。又自秉劒。至尊者所。問曰。師得蘊空否。祖曰。已得蘊空。王曰。離生死否。祖曰。已離生死。王曰。

中印度の人。姓は婆羅門。法を得た後遊方し、罽賓国に至った。波利迦という類の人がいて、もともと禅観を修習していたので、禅定・知見・執相・捨相・不語の五衆があった。祖は詰問して彼らを度化し、四衆は皆黙然として心服した。ただ禅定師の達磨達だけが、四衆が責められたのを聞き、憤悱して来た。祖は言った。「仁者は定を修習するのに、なぜここに来たのか。すでにここに到ったのに、どうしてまだ習定と言うのか。」彼は言った。「私はここに来たけれど、心も乱れません。定は人に随って習するので、どうして処所に在りましょう。」祖は言った。「仁者はすでに来たならば、あの習もまた到った。すでに処所がなければ、どうして人の習に在らん。」彼は言った。「是れ定が人を習するがゆえに、人が定を習するのではありません。私は必ずここに来るので、あの定は常に習に在ります。」祖は言った。「人は定を習するのではなく、定が人を習するがゆえに、当に自ら来るの時、あの定は誰が習するのか。」彼は言った。「浄明珠のごとく、内外に翳なし。定が若し通達すれば、必ずこのようでありましょう。」祖は言った。「定が若し通達すれば、一に明珠に似たり。今仁者を見るに、珠の類ではない。」彼は言った。「あの珠は明徹にして、内外皆定です。我が心は乱れず、この浄のごとし。」祖は言った。「あの珠に内外はなく、仁者はどうして定めることができるか。穢物は動揺ではない。この定は浄ではない。」達磨達は祖の開悟を蒙り、心地朗然となった。祖はすでに五衆を攝受し、名は遠近に聞こえ、ようやく法嗣を求めて、一人の長者に遇い、子を領いて祖に問うた。「この子の名は斯多といい、生まれた時から左手を握り、今すでに長大したが、終始舒げることができません。願わくは尊者がその宿因を開示してください。」祖は見て、すなわち手をもって接して言った。「珠を我に還す可し。」童子はたちまち手を張きて珠を奉った。衆人は皆驚異した。祖は言った。「我は前世僧と作り、童子の名を婆舎という者がいた。我はかつて西海の斎会に赴き、嚫珠を彼に交えた。今我に珠を還すは、道理本来このようである。」長者はそこで子を捨てて出家させた。祖はすなわち彼のために具を授け、前縁のゆえに名を婆舎斯多とした。祖は便ち彼に言った。「我が師父は祕密に懸記あり、難に遭うこと久しからず。如来の正法眼蔵を今お前に転付する。お前は当に保護し、来際に普遍に潤澤すべし。」偈に言う。「正に知見を説くの時、知見は皆是れ心。この心が当に知見なれば、知見は即今に在り。」祖は偈を説き終わり、僧伽梨を祕密に斯多に付し、彼をして別の国に至り、機に随って演化せしめた。斯多は教を受け、直ちに南天に抵った。祖は難は苟くも免るべからずと以て、独り罽賓に留まった。当時本国に外道二人がいて、一人を摩目多、二人目を都落遮といい、種種の幻法を学習し、ともに乱を謀ろうと欲し、便ち偸んで釈子の形象を装い、潜かに王宮に入り、且つ言った。「成功せざれば罪を仏子の身に帰せん。」妖はすでに自ら作し、禍もまた脚跟に随って到った。王は果たして怒って言った。「我は一向に三宝に帰心してきた。何ぞ搆害すること此の地步に至らん。」すなわち令を下して伽藍を破毀し、釈衆を祛除した。又親ら剣を持ち、尊者の所に至り、問うた。「師父は蘊空を得たか。」祖は言った。「すでに蘊空を得た。」王は言った。「生死を離れたか。」祖は言った。「すでに生死を離れた。」王は言った。

既離生死。可施我頭。祖曰。身非我有。何恡於頭。王即揮刃。斷尊者首。白乳湧高數尺。王之右臂旋亦墮地。七日而終。太子光首歎曰。我父何故自取其禍。時有象白山仙人者。深明因果。即為光首廣宣宿因。解其疑網(事具聖胄集及寶林傳)。遂以師子尊者報體而建塔焉。當魏齊王二十年己卯歲也。

(王が続けて問う:)「すでに生死を離れたならば、頭を我に施すことができるか。」祖は言った。「身体ですら我の有ではない。頭に何の吝惜があろう。」王はすなわち刃を揮い、尊者の頭を斬断した。白乳が涌起して高さ数尺に達し、王の右臂もすぐに地に堕ち、七日にして終わった。太子の光首は嘆息して言った。「我が父はなぜ自ら禍を取ったのか。」当時象白山仙人がいて、深く因果を明らめ、便ち光首のために広く宿因を宣べ、その疑網を解いた(事は《聖胄集》および《寶林傳》に見ゆ)。そこで師子尊者の報体をもって塔を建てた。魏斉王二十年己卯の歳に当たる。

二十五祖婆舍斯多尊者

二十五祖婆舎斯多尊者

罽賓國人也。姓婆羅門。父寂行。母常安樂。初。母夢得神劒。因而有孕既誕。拳左手。遇師子尊者顯發宿因。密授心印。後適南天。至中印度。彼國王名迦勝。設禮供養。時有外道。號無我尊。先為王禮重。嫉祖之至。欲與論義。幸而勝之。以固其事。乃於王前謂祖曰。我解默論。不假言說。祖曰。孰知勝負。彼曰。不爭勝負。但取其義。祖曰。汝以何為義。彼曰。無心為義。祖曰。汝既無心。豈得義乎。彼曰。我說無心。當名非義。祖曰。汝說無心。當名非義。我說非心。當義非名。彼曰。當義非名。誰能辨義。祖曰。汝名非義。此名何名。彼曰。為辨非義。是名無名。祖曰。名既非名。義亦非義。辨者是誰。當辨何物。如是往返五十九番。外道杜口信伏。於時祖忽面北。合掌長籲曰。我師師子尊者。今日遇難。斯可傷焉。即辭王南邁。達於南天。潛隱山谷。時彼國王名天德。迎請供養。王有二子。一名德勝。兇暴而色力充盛。一名不如密多。和柔而長嬰疾苦。祖乃為陳因果。王即頓釋所疑。又有呪術師。忌祖之道。乃潛置毒藥於飲食中。祖知而食之。彼返受禍。遂投祖出家。祖即與授具。後六十載。德勝即位。復信外道。致難於祖。不如密多以進諫被囚。王遽問祖曰。予國素絕妖訛。師所傳者當是何宗。祖曰。王國昔來。實無邪法。我所得者。即是佛宗。王曰。佛滅已千二百載。師從誰得邪。祖曰。飲光大士。親受佛印。展轉至二十四世師子尊者。我從彼得。王曰。予聞師子比丘不能免於刑戮。何能傳法後人。祖曰。我師難未起時。密授我信衣法偈。以顯師承。王曰。其衣何在。祖即於囊中出衣示王。王命焚之。五色相鮮。薪盡如故。王即追悔致禮。師子真嗣既明。乃赦密多。密多遂求出家。祖問曰。汝欲出家。當為何事。密多曰。我若出家。不為其事。祖曰。不為何事。密多曰。不為俗事。祖曰。

罽賓国の人。姓は婆羅門。父の名は寂行、母の名は常安楽。初め、母は神剣を得る夢を見て、それによって孕んだ。すでに誕生し、左手を握っていた。師子尊者に遇って宿因を顕発し、祕密に心印を授けられた。後に南天に往き、中印度に至った。そこの国王の名は迦勝といい、礼を設けて供養した。当時外道がいて、無我尊と号し、先に王に礼重され、祖の到来を嫉妬し、彼と論義して、彼に勝ち、以て自己の事を固めんと欲した。便ち王の前で祖に言った。「私は黙論を解し、言語を借りません。」祖は言った。「誰が勝負を知るか。」彼は言った。「勝負を争わず、ただその義を取るのみ。」祖は言った。「お前は何をもって義とするか。」彼は言った。「無心を義とします。」祖は言った。「お前はすでに心がないのに、どうして義を得るか。」彼は言った。「私が無心と説くは、当に非義と名づくべし。」祖は言った。「お前が無心と説くは、当に非義と名づくべし。我が非心と説くは、当に義は名にあらずとすべし。」彼は言った。「当に義は名にあらずとせば、誰が義を辨ぜん。」祖は言った。「お前の名は義にあらず。この名は何の名か。」彼は言った。「非義を辨ずるがために、この名は無名です。」祖は言った。「名はすでに名にあらず、義もまた義にあらず。辨ずる者は誰か。当に何物を辨ずべきか。」このように往返五十九番にして、外道は口を閉じて信伏した。この時祖は忽然として北に面し、合掌して長嘆して言った。「我が師父師子尊者は、今日難に遭う。これ悲しむべきかな。」すなわち王に辞して南に行き、南天に到達し、山谷に潜隠した。当時そこの国王の名は天徳といい、迎え請いて供養した。王に二子あり、一人を徳勝といい、凶暴にして色力充盛。一人を不如密多といい、和柔であるが久しく疾病に纏われていた。祖は便ち彼らのために因果を陳説し、王は当時たちまち疑いを消釋した。又呪術師がいて、祖の道を忌み惮り、便ち暗に毒薬を飲食の中に置いた。祖は知りながら食べ、その人は反って禍を受け、そこで祖に投じて出家した。祖はすなわち彼のために具を授けた。後六十年、徳勝が即位し、また外道を信じ、祖に難を発した。不如密多は進諫したために囚われた。王は卒然として祖に問うた。「我が国は素より妖訛を杜絶してきた。師父の伝えるところは当に何の宗か。」祖は言った。「王国は従来実に邪法なし。我が得るところは、すなわち仏宗である。」王は言った。「仏の滅してすでに一千二百載、師父は誰より得たか。」祖は言った。「飲光大士が親く仏印を受け、展転して第二十四世師子尊者に至り、我はあそこより得た。」王は言った。「私が聞くに師子比丘は刑戮を免れ得なかった。どうして後人に法を伝えることができたのか。」祖は言った。「我が師父は難がまだ起きない時、祕密に我に信衣法偈を授けて、師承を顕明した。」王は言った。「あの衣はどこにあるか。」祖はすなわち囊中より衣を取出して王に見せた。王は人を命じて焚燒させたが、五色鮮明で、柴が尽きても衣はもとのごとくであった。王は当時追悔して礼を致した。師子の真嗣がすでに明らかになったので、便ち密多を赦免した。密多はそこで出家を求めた。祖は問うた。「お前は出家せんとする。当に何の事を為すべきか。」密多は言った。「我若し出家せば、あの事を為さず。」祖は言った。「何の事を為さざるか。」密多は言った。「俗事を為さず。」祖は言った。

當為何事。密多曰。當為佛事。祖曰。太子智慧天至。必諸聖降跡。即許出家。六年侍奉。後於王宮受具。羯磨之際。大地震動。頗多靈異。祖乃命之曰。吾已衰朽。安可久留。汝當善護正法眼藏。普濟群有。聽吾偈曰。聖人說知見。當境無是非。我今悟真性。無道亦無理。不如密多聞偈。再啟祖曰。法衣宜可傳授。祖曰。此衣為難故。假以證明。汝身無難。何假其衣。化被十方。人自信向。不如密多聞語。作禮而退。祖現於神變。化三昧火自焚。平地舍利可高一尺。德勝王創浮圖而秘之。當東晉明帝太寧三年乙酉歲也。

(祖が続けて問う:)「当に何の事を為すべきか。」密多は言った。「当に仏事を為すべし。」祖は言った。「太子の智慧は天の与えたところ。必ず諸聖の降跡である。」すなわち出家を許した。六年事奉し、後に王宮で具を受けた。羯磨の時、大地が震動し、頗る霊異が多かった。祖はそこで彼に吩咐して言った。「我はすでに衰朽した。どうして久しく留まらん。お前は当に正法眼蔵を善く護持し、群有を普遍に救済すべし。我が偈を聴け。『聖人が知見を説くは、境界に当って是非なし。我は今真性を悟得して、道もなく、理もなし。』」不如密多は偈を聞き、再び祖に啓禀した。「法衣は伝授すべきか。」祖は言った。「この衣は難あるがゆえに、借用して証と為す。お前の身に難なし、何ぞこの衣を借らん。教化十方に被れば、人は自然に信向する。」不如密多はこの言葉を聞き、礼を作して退いた。祖は神変を現じ、三昧火を化して自焚した。平地に舍利高さ一尺に及んだ。徳勝王は浮図を創建して祕蔵した。東晋明帝太寧三年乙酉の歳に当たる。

二十六祖不如密多尊者

二十六祖不如密多尊者

南印度天德王之次子也。既受度得法。至東印度。彼王名堅固。奉外道師長爪梵志。暨尊者將至。王與梵志同覩白氣貫於上下。王曰。斯何瑞也。梵志預知祖入境。恐王遷善。乃曰。此是魔來之兆耳。何瑞之有。即鳩諸徒眾議曰。不如密多將入都城。誰能挫之。弟子曰。我等各有呪術。可以動天地.入水火。何患哉。祖至。先見宮牆有黑氣。乃曰。小難耳。直詣王所。王曰。師來何為。祖曰。將度眾生。王曰。以何法度。祖曰。各以其類度之。時梵志聞言。不勝其怒。即以幻法。化大山於祖頂上。祖指之。忽在彼眾頭上。梵志等怖懼投祖。祖愍其愚惑。再指之。化山隨滅。乃為王演說法要。俾趣真乘。謂王曰。此國當有聖人而繼於我。是時有婆羅門子。年二十許。幼失父母。不知名氏。或自言纓絡。故人謂之纓絡童子。遊行閭裡。丐求度日。若常不輕之類。人問。汝行何急。即答曰。汝行何緩。或曰。何姓。乃曰。與汝同姓。莫知其故。後。王與尊者同車而出。見纓絡童子稽首於前。祖曰。汝憶往事否。童曰。我念遠劫中。與師同居。師演摩訶般若。我轉甚深修多羅。今日之事。葢契昔因。祖又謂王曰。此童子非他。即大勢至菩薩是也。此聖之後。復出二人。一人化南印度。一人緣在震旦。四五年內。卻返此方。遂以昔因。故名般若多羅。付法眼藏。偈曰。真性心地藏。無頭亦無尾。應緣而化物。方便呼為智。祖付法已。即辭王曰。吾化緣已終。當歸寂滅。願王於最上乘。無忘外護。即還本座。跏趺而逝。化火自焚。收舍利塔而瘞之。當東晉孝武帝太元十三年戊子歲也。

南印度天徳王の次子。すでに度を受け法を得、東印度に至った。そこの国王の名は堅固といい、外道師の長爪梵志を奉っていた。尊者が将に至らんとするとき、王と梵志はともに白気が上下を貫くのを見た。王は言った。「これは何の瑞か。」梵志はあらかじめ祖が境に入ることを知り、王が善に遷ることを怕れ、便ち言った。「これは魔の來る兆で、何の瑞がありましょう。」すなわち諸徒衆を糾集して議して言った。「不如密多が将に都城に入らんとす。誰か彼を挫敗せしめ得るか。」弟子は言った。「我らは各々呪術あり、天地を動かし水火に入ることができます。何を担心することがありましょう。」祖は到り、先ず宮牆に黒気あるを見て、便ち言った。「小難のみ。」直ちに王の所に行った。王は言った。「師父は来て何を為すか。」祖は言った。「将に衆生を度せんとす。」王は言った。「何の法をもって度すか。」祖は言った。「各々その類に按って度す。」当時梵志はこの言葉を聞き、憤怒に堪えず、便ち幻法を用いて、祖の頭頂上に一座の大山を化出した。祖が一指すると、忽然としてあの人々の頭上に在った。梵志らは恐懼して祖に投じた。祖は彼らの愚惑を憐憫し、再び一指すれば、化山はすなわち滅除した。そこで王のために法要を演説し、彼をして真乗に趨向せしめ、王に言った。「この国に必ず聖人が出て我を継ぐであろう。」この時婆羅門子がいて、年約二十、幼年に父母を失い、名氏を知らず、あるとき自ら纓絡と言ったので、人は彼を纓絡童子と呼んだ。閭里に遊行し、乞うて日を度り、常不軽の類のようであった。人が問うて「お前は歩くこと何と急なるか。」便ち答えて「お前は歩くこと何と緩なるか。」あるいは問うて「何の姓か。」便ち言って「お前と同姓。」その故を知る者はいなかった。後に王と尊者は同車して出で、纓絡童子が前に稽首するのを見た。祖は言った。「お前は往事を記得するか。」童子は言った。「私が念うに遠劫の中で師父と同住し、師父は摩訶般若を演説し、私は甚深修多羅を轉じました。今日の事は、正に昔日の因縁に契合します。」祖はまた王に言った。「この童子は他人ではない。すなわち大勢至菩薩である。この聖の後、また二人出づ。一人は南印度を教化し、一人は因縁が震旦(中国)に在り。四五年の内に、却って此方に返る。」そこで昔日の因縁によって、名を般若多羅とし、法眼蔵を付し、偈に言う。「真性は心地蔵、頭もなく、尾もなし。縁に応じて万物を教化し、方便して智と名づく。」祖は法を付した後、すなわち王に辞して言った。「我が化縁はすでに終了した。当に寂滅に帰すべし。願わくは王、最上乘において、外護を忘れることなかれ。」すなわち本座に帰り、結跏趺して逝し、火を化して自焚した。舍利を収取して塔を建てて埋藏した。東晋孝武帝太元十三年戊子の歳に当たる。

二十七祖般若多羅尊者

二十七祖般若多羅尊者

東印度人也。既得法已。行化至南印度。彼王名香至。崇奉佛乘。尊重供養。度越倫等。又施無價寶珠。時王有三子。曰月淨多羅。曰功德多羅。曰菩提多羅。其季開士也。祖欲試其所得。乃以所施珠問三王子曰。此珠圓明。有能及否。第一王子.第二王子皆曰。此珠七寶中尊。固無踰也。非尊者道力。孰能受之。第三王子曰。此是世寶。未足為上。於諸寶中。法寶為上。此是世光。未足為上。於諸光中。智光為上。此是世明。未足為上。於諸明中。心明為上。此珠光明。不能自照。要假智光。光辨於此。既辨此已。即知是珠。既知是珠。即明其寶。若明其寶。寶不自寶。若辨其珠。珠不自珠。珠不自珠者。要假智珠而辨世珠。寶不自寶者。要假智寶以明法寶。然則師有其道。其寶即現。眾生有道。心寶亦然。祖歎其辯慧。乃復問曰。於諸物中。何物無相。曰。於諸物中。不起無相。又問。於諸物中。何物最高。曰。於諸物中。人我最高。又問。於諸物中。何物最大。曰。於諸物中。法性最大。祖知是法嗣。以時尚未至。且默而混之。及香至王厭世。眾皆號絕。唯第三子菩提多羅於柩前入定。經七日而出。乃求出家。既受具戒。祖告曰。如來以正法眼付大迦葉。如是展轉。乃至於我。我今囑汝。聽吾偈曰。心地生諸種。因事復生理。果滿菩提圓。華開世界起。尊者付法已。即於座上起立。舒左右手。各放光明二十七道。五色光耀。又踴身虗空。高七多羅樹。化火自焚。空中舍利如雨。收以建塔。當宋孝武帝大明元年丁酉歲。祖因東印度國王請。祖齋次。王乃問。諸人盡轉經。唯師為甚不轉。祖曰。貧道出息不隨眾緣。入息不居蘊界。常轉如是經百千萬億卷。非但一卷兩卷。

東印度の人。すでに法を得、化を行って南印度に至った。そこの国王の名は香至といい、仏乗を崇奉し、尊重供養すること同列を超え、また無価の宝珠を施舍した。当時王に三子あり。月浄多羅、功徳多羅、菩提多羅という。最も少きは開士であった。祖は彼らの得るところを試さんと欲し、便ち施された珠を取って三王子に問うた。「この珠は円明である。比べ得るものがあるか。」第一王子・第二王子は皆言った。「この珠は七宝の中で最も尊く、固くより超える者なし。尊者の道力でなければ、誰か受け得ん。」第三王子は言った。「これは世宝で、算え上るに足らず。諸宝の中、法宝を上と為す。これは世光で、算え上るに足らず。諸光の中、智光を上と為す。これは世明で、算え上るに足らず。諸明の中、心明を上と為す。この珠の光明は、自ら照らすこと能わず、智光を借ることを要す。光ここに辨明せられ、すでにこれを辨明せば、すなわち珠を知る。すでに珠を知れば、すなわちあの宝を明らむ。若しあの宝を明らめば、宝は自ら宝と為さず。若しあの珠を辨明せば、珠は自ら珠と為さず。珠が自ら珠と為さざるは、智珠を借りて世珠を辨ずるを要す。宝が自ら宝と為さざるは、智宝を借りて法宝を明らむるを要す。然らば師父にその道あれば、あの宝は現れん。衆生に道あれば、心宝もまたこのようである。」祖は彼の辨慧を讚嘆し、また問うた。「諸物の中、何物か相なき。」答えて「諸物の中、起きざるは相なし。」また問うて「諸物の中、何物か最も高き。」答えて「諸物の中、人我が最も高し。」また問うて「諸物の中、何物か最も大なり。」答えて「諸物の中、法性が最も大なり。」祖はこれが法嗣なるを知り、時がまだ至らざるがゆえに、且つ黙々としてその中に混ざった。香至王が世を厭うに及んで、衆人は皆号哭して気絶したが、ただ第三子菩提多羅は柩前に入定し、七日を過ぎてようやく出で、そこで出家を求めた。すでに具戒を受け、祖は告げた。「如来は正法眼を大迦葉に付し、このように展転して、乃ち我に至る。我は今お前に嘱す。我が偈を聴け。『心地は種種の種子を生じ、事に因ってまた理を生ず。果満じて菩提円なり、花開きて世界起こる。』」尊者は法を付した後、すなわち座上に起立し、左右の手を舒げ開き、各々光明二十七道を放ち、五色光耀した。また身を踊らせて虚空に至り、高さ七棵の多羅樹に達し、火を化して自焚した。空中に舍利雨のごとく、収取して塔を建てた。宋孝武帝大明元年丁酉の歳に当たる。祖は東印度国王に請われて斎を用いたので、王は便ち問うた。「諸人は皆経を轉ずるに、ただ師父はなぜ轉ぜざるか。」祖は言った。「貧道の出息は衆縁に随わず、入息は蘊界に住せず。常にこのような経を百千万億巻轉ず。ただ一巻二巻のみにあらず。」

東土祖師

東土祖師

初祖菩提達磨大師者

初祖菩提達磨大師

南天竺國香至王第三子也。姓剎帝利。本名菩提多羅。後遇二十七祖般若多羅至本國受王供養。知師密跡。因試令與二兄辨所施寶珠。發明心要。既而尊者謂曰。汝於諸法。已得通量。夫達磨者。通大之義也。宜名達磨。因改號菩提達磨。祖乃告尊者曰。我既得法。當往何國而作佛事。願垂開示。者曰。汝雖得法。未可遠遊。且止南天。待吾滅後六十七載。當往震旦。設大法藥。直接上根。慎勿速行。衰於日下。祖又曰。彼有大士。堪為法器否。千載之下有留難否。者曰。汝所化之方。獲菩提者不可勝數。吾滅後六十餘年。彼國有難。水中文布。自善降之。汝至時。南方勿住。彼唯好有為功業。不見佛理。汝縱到彼。亦不可久留。聽吾偈曰。路行跨水復逢羊。獨自棲棲暗渡江。日下可憐雙象馬。二株嫰桂久昌昌。又問曰。此後更有何事。者曰。從是已去。一百五十年。而有小難。聽吾讖曰。心中雖吉外頭㐫。川下僧房名不中。為遇毒龍生武子。忽逢小鼠寂無窮。又問。此後如何。者曰。卻後二百二十年。林下見一人。當得道果。聽吾讖曰。震旦雖濶無別路。要假兒孫腳下行。金雞解銜一粒粟。供養十方羅漢僧。復演諸偈。皆預讖佛教隆替(事具寶林傳及聖胄集)。祖恭稟教義。服勤左右垂四十年。未甞廢闕。迨尊者順世。遂演化本國。時有二師。一名佛大先。二名佛大勝多。本與祖同學佛陀跋陀小乘禪觀。佛大先既遇般若多羅尊者。捨小趣大。與祖並化。時號二甘露門矣。而佛大勝多更分徒而為六宗。第一有相宗。第二無相宗。第三定慧宗。第四戒行宗。第五無得宗。第六寂靜宗。各封己解。別展化源。聚落崢嶸。徒眾甚盛。祖喟然歎曰。彼之一師已陷牛跡。況復支離繁盛而分六宗。我若不除。永纏邪見。言已。微現神力。至有相宗所。問曰。一切諸法何名實相。彼眾中有一尊長薩婆羅答曰。

南天竺国香至王の第三子。姓は刹帝利。本名は菩提多羅。後に二十七祖般若多羅が本国に至り王の供養を受けるに遇い、師父の密跡を知り、それによって試みに彼をして二兄と施された宝珠を辨ぜしめ、心要を発明した。隨後尊者は彼に言った。「お前は諸法においてすでに通量を得た。達磨は、通大の意である。宜しく名を達磨とすべし。」これによって号を菩提達磨と改めた。祖は便ち尊者に告げた。「我はすでに法を得た。当にどの国に往きて仏事を作すべきか。願わくは開示を請わん。」尊者は言った。「お前は法を得たといえども、まだ遠遊すべからず。且つ南天に留まれ。我が滅後六十七年、当に震旦に往き、大法薬を設施し、直上根すべし。謹んで速行することなかれ、日下に衰敗せん。」祖はまた問うた。「あそこに大士法器に堪える者ありか。千載の下に留難ありや。」尊者は言った。「お前の教化する所、菩提を獲る者は勝数すべからず。我が滅後六十余年、あの国に難あり、水中に文布し、自然に善が来りてこれを降さん。お前到るの時、南方には住するなかれ。あそこはただ有為功業を好み、仏理を見ず。お前たといあそこに至るとも、久しく留まるべからず。我が偈を聴け。『路行は水を跨ぎまた羊に逢い、独り栖栖として暗に江を渡る。日下に憐れむべし双象馬、両株の嫩桂は長く昌昌たり。』」また問うて「この後更に何の事ありか。」尊者は言った。「ここより後一百五十年、小難あらん。我が讖を聴け。『心中は吉なれども、外頭は凶。川下の僧房の名は中らず。毒龍に遇いて武子を生じ、忽然として小鼠に逢えば、寂滅無窮なり。』」また問うて「この後いかん。」尊者は言った。「再び二百二十年を過ぎ、林下に一人を見ん。必ず道果を得ん。我が讖を聴け。『震旦は闊なれども、別の路なし。児孫の脚下の走るを借るを要す。金鶏は一粒の粟を銜むることを解り、十方の羅漢僧を供養せん。』」また諸偈を演説し、皆あらかじめ仏教の隆替を讖記した(事は《寶林傳》および《聖胄集》に見ゆ)。祖は恭敬して教義を禀受し、左右に服勤することほぼ四十年、曽て廃缺せず。尊者が世に順ずるに及んで、便ち本国に演化した。当時二師あり、一人を仏大先、二人目を仏大勝多といい、もともと祖とともに仏陀跋陀の小乘禅観を学んだ。仏大先はすでに般若多羅尊者に遇い、小を捨て大に趣き、祖とともに教化し、当時二甘露門と号した。而るに仏大勝多はさらに徒衆を分かちて六宗と為した。第一有相宗、第二無相宗、第三定慧宗、第四戒行宗、第五無得宗、第六寂靜宗。各々自己の見解を封閉し、別に化源を展開し、聚落崢嶸として、徒衆は甚だ盛んであった。祖は喟然として嘆息して言った。「あの一位の師父はすでに牛跡の中に陥り、いわんやまた支離繁盛して六宗に分かれたるをや。我若し除かざれば、永く邪見の裏に纏わらん。」言い終わり、微かに神力を現じ、有相宗のある所に至り、問うた。「一切諸法、何をか実相と名づくる。」衆中に一位の尊長薩婆羅がいて、答えて言った。

於諸相中不互諸相。是名實相。祖曰。一切諸相而不互者。若名實相。當何定邪。彼曰。於諸相中實無有定。若定諸相。何名為實。祖曰。諸相不定。便名實相。汝今不定。當何得之。彼曰。我言不定。不說諸相。當說諸相。其義亦然。祖曰。汝言不定。當為實相。定不定故。即非實相。彼曰。定既不定。即非實相。知我非故。不定不變。祖曰。汝今不變。何名實相。已變已往。其義亦然。彼曰。不變當在。在不在故。故變實相。以定其義。祖曰。實相不變。變即非實。於有無中。何名實相。薩婆羅心知聖師懸解潛達。即以手指虗空曰。此是世間有相。亦能空故。當我此身。得似此否。祖曰。若解實相。即見非相。若了非相。其色亦然。當於色中。不失色體。於非相中。不礙有故。若能是解。此名實相。彼眾聞已。心意朗然。欽禮信受。祖瞥然匿跡。至無相宗所。問曰。汝言無相。當何證之。彼眾中有波羅提答曰。我明無相。心不現故。祖曰。汝心不現。當何明之。彼曰。我明無相。心不取捨。當於明時。亦無當者。祖曰。於諸有無。心不取捨。又無當者。諸明無故。彼曰。入佛三昧。尚無所得。何況無相。而欲知之。祖曰。相既不知。誰雲有無。尚無所得。何名三昧。彼曰。我說不證。證無所證。非三昧故。我說三昧。祖曰。非三昧者。何當名之。汝既不證。非證何證。波羅提聞祖辯㭊。即悟本心。禮謝於祖。懺悔往謬。祖記曰。汝當得果。不久證之。此國有魔。非久降之。言已。忽然不現。至定慧宗所。問曰。汝學定慧。為一為二。彼眾中有婆蘭陀者答曰。我此定慧。非一非二。祖曰。既非一二。何名定慧。彼曰。在定非定。處慧非慧。一即非一。二亦不二。祖曰。當一不一。當二不二。既非定慧。約何定慧。彼曰。不一不二。定慧能知。非定非慧。亦復然矣。祖曰。慧非定故。然何知哉。不一不二。

(薩婆羅が続けて言う:)「諸相の中において諸相と互いに対待せざるを、名づけて実相という。」祖は言った。「一切諸相にして互いに対待せざるを、若し実相と名づけば、当にどのように定むべきか。」彼は言った。「諸相の中に実に定なし。若し諸相を定めば、どうして実と名づけん。」祖は言った。「諸相定まらず、便ち実相と名づく。お前今定まらず、当にどのように得べきか。」彼は言った。「我は不定を説くも、諸相を説かず。当に諸相を説かば、その義もまたこのようである。」祖は言った。「お前は不定を説く。当に実相と為すべし。定また定まらざるがゆえに、すなわち実相にあらず。」彼は言った。「定はすでに定まらず、すなわち実相にあらず。我が非を知るがゆえに、不定不変なり。」祖は言った。「お前今変わらず、どうして実相と名づけん。すでに変わりすでに往したるは、その義もまたこのようである。」彼は言った。「不変は当に在るべし。在また在らざるがゆえに、ゆえに実相を変じて、その義を定むるを来す。」祖は言った。「実相は変わらず、変わればすなわち実にあらず。有無の中において、どうして実相と名づけん。」薩婆羅は心の中に聖師の懸解潛達を知り、便ち指をもって虚空を指して言った。「これは世間有相、また能く空なるがゆえに。我がこの身に当って、能くこのようにならんや。」祖は言った。「若し実相を理解せば、すなわち非相を見ん。若し非相を了達せば、あの色もまたこのようである。当に色の中において、色の体を失わざるべし。非相の中において、有を妨げざるがゆえに、若し能くこのように理解せば、これを実相と名づく。」あの人々はこれを聞き、心意朗然として、欽礼信受した。祖は眨眼の間に跡を隠し、無相宗のある所に至り、問うた。「お前は無相を説く。当にどのように証すべきか。」衆中に波羅提がいて答えて言った。「我は無相を明らむ。心が現ぜざるがゆえに。」祖は言った。「お前の心が現ぜず、当にどのように明らむべきか。」彼は言った。「我は無相を明らむ。心が取捨せず。明に当るの時、また当るの人なし。」祖は言った。「諸有無において、心は取捨せず、また当るの人なし。諸明なきがゆえに。」彼は言った。「仏三昧に入るも、尚お得る所なし。いわんや無相にして、それを知らんと欲するをや。」祖は言った。「相はすでに知らず、誰か有無を説かん。尚お得る所なし、どうして三昧と名づけん。」彼は言った。「我は不証を説く。証は証する所なし。三昧にあらざるがゆえに、我は三昧を説く。」祖は言った。「三昧にあらざるは、当に何の名と称すべきか。お前すでに証せず、非証また何をか証せん。」波羅提は祖の辨析を聞き、便ち本心を悟見し、祖に礼謝し、往日の謬誤を懺悔した。祖は彼に記して言った。「お前は必ず果を得ん。久しからずして証せん。この国に魔あり、久しからずして降伏せん。」言い終わり、忽然として現れず。定慧宗のある所に至り、問うた。「お前は定慧を学ぶ。一か、それとも二か。」衆中に婆蘭陀がいて答えて言った。「我が定慧は、一にあらず、二にあらず。」祖は言った。「すでに一二にあらず、どうして定慧と名づけん。」彼は言った。「定在にあらず、慧処にあらず。一はすなわち一にあらず、二もまた二にあらず。」祖は言った。「一に当ってまた一にあらず、二に当ってまた二にあらず。すでに定慧にあらず、何を約して定慧とせん。」彼は言った。「不一不二、定慧は能く知る。定にあらず慧にあらざるも、またこのようである。」祖は言った。「慧は定にあらざるがゆえに、またどうして知らん。不一不二、

誰定誰慧。婆蘭陀聞之。疑心氷釋。至第四戒行宗所。問曰。何者名戒。云何名行。當此戒行。為一為二。彼眾中有一賢者答曰。一二二一。皆彼所生。依教無染。此名戒行。祖曰。汝言依教。即是有染。一二俱破。何言依教。此二違背。不及於行。內外非明。何名為戒。彼曰。我有內外。彼已知竟。既得通達。便是戒行。若說違背。俱是俱非。言及清淨。即戒即行。祖曰。俱是俱非。何言清淨。既得通故。何談內外。賢者聞之。即自慚伏。至無得宗所。問曰。汝雲無得。無得何得。既無所得。亦無得得。彼眾中有寶靜者答曰。我說無得。非無得得。當說得得。無得是得。祖曰。得既不得。得亦非得。既雲得得。得得何得。彼曰。見得非得。非得是得。若見不得。名為得得。祖曰。得既非得。得得無得。既無所得。當何得得。寶靜聞之。頓除疑網。至寂靜宗所。問曰。何名寂靜。於此法中。誰靜誰寂。彼眾中有尊者答曰。此心不動。是名為寂。於法無染。名之為靜。祖曰。本心不寂。要假寂靜。本來寂故。何用寂靜。彼曰。諸法本空。以空空故。於彼空空。故名寂靜。祖曰。空空已空。諸法亦爾。寂靜無相。何靜何寂。彼尊者聞師指誨。豁然開悟。既而六眾。鹹誓歸依。由是化被南天。聲馳五印。經六十載。度無量眾。後值異見王輕毀三寶。每雲。我之祖宗。皆信佛道。陷於邪見。壽年不永。運祚亦促。且我身是佛。何更外求。善惡報應。皆因多智之者妄搆其說。至於國內耆舊。為前王所奉者。悉從廢黜。祖知已。歎彼德薄。當何救之。即念無相宗中二首領。其一波羅提者。與王有緣。將證其果。其二宗勝者。非不博辯。而無宿因。時六宗徒眾。亦各念言。佛法有難。師何自安。祖遙知眾意。即彈指應之。六眾聞雲。此是我師達磨信響。我等宜速行。以副慈命。即至祖所。禮拜問訊。祖曰。一葉翳空。

(祖が続けて問う:)誰が定で誰が慧か。」婆蘭陀はこれを聞き、疑心氷釋した。第四戒行宗のある所に至り、問うた。「何をか戒と名づけ、何をか行と名づくる。この戒行に当って、一か、それとも二か。」衆中に一位の賢者がいて答えて言った。「一二・二一、皆是れあちらの生ずる所。教に依って染なく、これを戒行と名づく。」祖は言った。「お前は教に依ると説く。すなわち染あり。一二は皆破され、どうして教に依ると説かん。これ二相は相違背し、行に及ばず。内外は並び明らかならず、どうして戒と名づけん。」彼は言った。「我に内外あり、あちらはすでに知り尽くした。すでに通達を得たれば、便ち戒行である。若し違背と説かば、倶是倶非。清浄に到ると説かば、即ち戒即ち行である。」祖は言った。「倶是倶非、どうして清浄と説かん。すでに通を得たるがゆえに、何ぞ内外を談ぜん。」賢者はこれを聞き、すなわち自ら慚愧して折伏した。無得宗のある所に至り、問うた。「お前は無得を説く。無得は何をか得る。すでに得る所なく、また得得なし。」衆中に宝靜がいて答えて言った。「我が説く無得は、無得得にあらず。当に得得を説けば、無得こそ是れ得なり。」祖は言った。「得はすでに得ず、得もまた得にあらず。すでに得得を説かば、得得は何をか得る。」彼は言った。「得にあらざるを見るは、非得こそ是れ得なり。若し得ざるを見ざれば、名づけて得得という。」祖は言った。「得はすでに得にあらず、得得に得なし。すでに得る所なければ、当に何をか得得とせん。」宝靜はこれを聞き、頓に疑網を除去した。寂靜宗のある所に至り、問うた。「何をか寂靜と名づくる。この法の中において、誰が靜で誰が寂か。」衆中に尊者がいて答えて言った。「この心動かざるを、名づけて寂という。法において染なきを、名づけて靜という。」祖は言った。「本心は寂ならず、寂靜を借ることを要す。本来寂なるがゆえに、何ぞ寂靜を用いん。」彼は言った。「諸法は本空、空空なるがゆえに。あの空空において、ゆえに寂靜と名づく。」祖は言った。「空空はすでに空なり、諸法もまたこのようである。寂靜に相なし。何が靜で、何が寂か。」あの尊者は師父の指誨を聞き、豁然として開悟した。隨後六衆は皆誓って帰依した。此より教化は南天に被り、声名は五印に馳せ、六十年を経て、無量衆を度した。後に異見王に遇い、三宝を軽毀し、常に言った。「我が祖宗は皆仏道を信じて、邪見の裏に陥り、寿年永からず、運祚もまた短促なりき。そもそも我が身はすなわち仏なり。何ぞ更に外に求めん。善悪の報応は、皆多智の人が妄りに自ら其の説を構作するがゆえに。」以至って国内の前王の奉じたる耆旧は、ことごとく廃黜せられたり。祖はこれを知り、彼の徳薄きを嘆息し、当にどうして救わん。便ち無相宗の中の两位の首領に想到した。その一波羅提は、王と縁あり、将に果を証せんとす。その二宗勝は、博辨ならざるにあらざるも、宿因なし。当時六宗の徒衆もまた各々思った。「仏法に難あり、師父はなぜ自ら安穏なりや。」祖は遥かに衆人の意を知り、便ち彈指して応答した。六衆は聞いて言った。「これは我が師達磨の信響なり。我らは当に急ぎ走りて、慈命に応ずべし。」すなわち祖の所に至り、礼拜問訊した。祖は言った。「一片の葉が虚空を翳すれば、

孰能翦拂。宗勝曰。我雖淺薄。敢憚其行。祖曰。汝雖辯慧。道力未全。宗勝自念。我師恐我見王大作佛事。名譽顯達。映奪尊威。縱彼福慧為王。我是沙門受佛教旨。豈難敵也。言訖潛去。至王所廣說法要及世界苦樂.人天善惡等事。王與之往返徵詰。無不詣理。王曰。汝今所解。其法何在。宗勝曰。如王治化。當合其道。王所有道。其道何在。王曰。我所有道。將除邪法。汝所有法。將伏何人。祖不起於座。懸知宗勝義墮。遽告波羅提曰。宗勝不稟吾教。潛化於王。須臾理屈。汝可速救。波羅提恭稟祖旨。雲。願假神力。言已。雲生足下。至大王前。默然而住。時王正問宗勝。忽見波羅提乘雲而至。愕然忘其問答。曰。乘空之者。是正是邪。提曰。我非邪正。而來正邪。王心若正。我無邪正。王雖驚異。而驕慢方熾。即擯宗勝令出。波羅提曰。王既有道。何擯沙門。我雖無解。願王致問。王怒而問曰。何者是佛。提曰。見性是佛。王曰。師見性否。提曰。我見佛性。王曰。性在何處。提曰。性在作用。王曰。是何作用。我今不見。提曰。今現作用。王自不見。王曰。於我有否。提曰。王若作用。無有不是。王若不用。體亦難見。王曰。若當用時。幾處出現。提曰。若出現時。當有其八。王曰。其八出現。當為我說。波羅提即說偈曰。在胎為身。處世為人。在眼曰見。在耳曰聞。在鼻辨香。在口談論。在手執捉。在足運奔。徧現俱該沙界。收攝在一微塵。識者知是佛性。不識喚作精魂。王聞偈已。心即開悟。悔謝前非。諮詢法要。朝夕忘倦。迄於九旬。時宗勝既被斥逐。退藏深山。唸曰。我今百歲。八十為非。二十年來。方歸佛道。性雖愚昧。行絕瑕疵。不能禦難。生何如死。言訖。即自投崖。俄有神人以手捧承。置於巖上。安然無損。宗勝曰。我忝沙門。當與正法為主。不能抑絕王非。是以捐身自責。

(祖が続けて問う:)誰か翦拂し得るか。」宗勝は言った。「私は浅薄なれども、敢えてこの行を怕れましょうか。」祖は言った。「お前は弁慧あるといえども、道力はまだ完全ではない。」宗勝は自ら思った。「我が師父は、私が王に見えて大いに仏事を作し、名誉が顕達して尊威を掩奪することを怕れるのだ。たとい彼が福慧を王となしても、私は沙門で仏教旨を受けている。どうして敵し難かろうか。」言い終わって密かに去り、王の所に至り、広く法要および世界の苦楽・人天の善悪などの事を説いた。王は彼と往返して征詰し、理に詣らざるなし。王は言った。「お前が今解する所、その法はどこにあるか。」宗勝は言った。「王の治化のごとく、当に道に合すべし。王の所有する道、その道はどこにありますか。」王は言った。「我の所有する道は、将に邪法を除かんとす。お前の所有する法は、将に何人を降伏せんとするか。」祖は座位を離れず、懸かに宗勝の義堕するを知り、急いで波羅提に告げた。「宗勝は我が教を禀承せず、暗に往きて王を化した。片刻に理屈するであろう。お前は急ぎ往きて救うべし。」波羅提は恭敬して祖旨を禀受し、言った。「願わくは神力を借らん。」言い終わると、雲が脚下に生じ、大王の前に至り、黙然として住した。当時王はまさに宗勝に問うていたが、忽然として波羅提が雲に乗って至るを見て、愕然として問答を忘れ、言った。「空に乗る人は、正か邪か。」提は言った。「我は邪正ではなく、來て邪を糾す。王の心若し正しければ、我に邪正なし。」王は驚異したけれども、驕慢は正に熾盛で、便ち宗勝を摈出した。波羅提は言った。「王はすでに道あるに、なぜ沙門を摈するか。私は解なしといえども、願わくは王、提問あれ。」王は怒って問うた。「何をか仏とする。」提は言った。「性を見るは仏。」王は言った。「師父は性を見たか。」提は言った。「我は仏性を見た。」王は言った。「性は何処に在るか。」提は言った。「性は作用に在り。」王は言った。「何の作用か。我は今見えない。」提は言った。「今正に作用を現ず、王自ら見ず。」王は言った。「我に在るか無いか。」提は言った。「王若し作用せば、是ならざるなし。王若し用いざれば、体もまた見難し。」王は言った。「若し用に当るの時、幾処に出現するか。」提は言った。「若し出現の時、当に八あるべし。」王は言った。「あの八処に出現するを、当に我が為に説くべし。」波羅提はすなわち偈を説いた。「胎に在りては身と為り、世に処りては人と為る。眼に在りては見と曰い、耳に在りては聞と曰う。鼻に在りては香を辨え、口に在りては談論す。手に在りては執捉し、足に在りては運奔す。遍く現ずれば即ち沙界を遍くし、収攝すれば即ち一微塵に在り。識得する者はこれを仏性と知り、識らざる者はこれを精魂と喚ぶ。」王は偈を聞き終わり、心に便ち開悟し、前非を悔謝し、法要を咨詢し、朝夕に疲倦を忘れ、九十日に至った。当時宗勝はすでに斥逐せられ、深山に退蔵し、思った。「我は今百歳、八十歳に非を作し、二十年来ようやく仏道に帰した。性は愚昧なれども、行に瑕疵なし。あの難に抵禦すること能わざれば、生は死に如かず。」言い終わり、便ち自ら崖に投じた。忽然として神人が手をもって捧げ承け、岩上に置き、安然として損傷なし。宗勝は言った。「我は沙門に忝く、当に正法と主を作すべきに、王の非を抑絶すること能わず。これによって身を捐てて自ら責む。

何神祐助。一至於斯。願垂一語。以保餘年。於是神人乃說偈曰。師壽於百歲。八十而造非。為近至尊故。燻修而入道。雖具少智慧。而多有彼我。所見諸賢等。未甞生珍敬。二十年功德。其心未恬靜。聦明輕慢故。而獲至於此。得王不敬者。當感果如是。自今不疎怠。不久成奇智。諸聖悉存心。如來亦復爾。宗勝聞偈欣然。即於巖間宴坐。時王復問波羅提曰。仁者智辯。當師何人。提曰。我所出家。即娑羅寺烏沙婆三藏為受業師。其出世師者。即大王叔菩提達磨是也。王聞祖名。驚駭久之。曰。鄙薄忝嗣王位。而趣邪背正。忘我尊叔。遽敕近臣。特加迎請。祖即隨使而至。為王懺悔往非。王聞規誡。泣謝於祖。又詔宗勝歸國。大臣奏曰。宗勝被謫投崖。今已亡矣。王告祖曰。宗勝之死。皆自於吾。如何大慈。令免斯罪。祖曰。宗勝今在巖間宴息。但遣使召。當即至矣。王即遣使入山。果見宗勝端居禪寂。宗勝蒙召。乃曰。深愧王意。貧道誓處巖泉。且王國賢德如林。達磨是王之叔。六眾所師。波羅提法中龍象。願王崇仰二聖。以福皇基。使者復命。未至。祖謂王曰。知取得宗勝否。王曰。未知。祖曰。一請未至。再命必來。良久使還。果如祖語。祖遂辭王曰。當善修德。不久疾作。吾且去矣。經七日。王乃得疾。國醫診治。有加無瘳。貴戚近臣憶師前記。急發使告祖曰。王疾殆至彌留。願叔慈悲。遠來診救。祖即至慰問。時宗勝再承王召。即別巖間。波羅提亦來問疾。謂祖曰。當何施為。令王免苦。祖即令太子為王宥罪施恩。崇奉三寶。復為懺悔。願罪消滅。如是者三。王疾有間。師念震旦緣熟。行化時至。乃先辭祖塔。次別同學。後至王所。慰而勉之曰。當勤修白業。護持三寶。吾去非晚。一九即回。王聞師言。涕淚交集曰。此國何罪。彼土何祥。叔既有緣。非吾所止。惟願不忘父母之國。事畢早回。

(宗勝が続けて言う:)何の神か保佑扶助し、竟にこの地步に至らしめたか。願わくは一言を請い、以て余年を保全せん。」そこで神人は便ち偈を説いた。「師父の寿は百歳に在り、八十歳にして非を造る。至尊に近づくのゆえをもって、薫修して道に入る。少しばかりの智慧を具有すといえども、彼我多し。見る所の諸賢等、曽て珍敬を生ぜず。二十年の功德、あの心まだ恬静せず。聰明にして軽慢なるのゆえに、而も此に至るを得たり。王を得て敬わざるは、当に果を感じてこのごとくなるべし。今より疏怠せざれば、久しからずして奇智を成就せん。諸聖は皆心裏に存し、如来もまたこのようである。」宗勝は偈を聞いて欣然とし、便ち岩間に宴坐した。当時王はまた波羅提に問うた。「仁者の智辯、当に誰を以て師とするか。」提は言った。「我が出家したる所は、すなわち娑羅寺の烏沙婆三蔵を受業師と作す。あの出世師は、すなわち大王の叔父菩提達磨なり。」王は祖の名を聞き、驚駭すること久しくして言った。「鄙薄、忝くも王位を嗣ぐも、却って邪に趣き正に背き、我が尊叔を忘れたり。」急いで近臣を敕し、特に迎請を加えた。祖は便ち使に随って至り、王の為に往日の非を懺悔した。王は規誡を聞き、祖に泣謝した。又宗勝を国に還るを詔した。大臣は奏して言った。「宗勝は謫せられ崖に投じ、如今已に亡し。」王は祖に告げた。「宗勝の死は、皆我に由る。如何にして大慈、以てこの罪を免れしめんか。」祖は言った。「宗勝は今岩間に宴息す。但だ使を遣って召さば、必ず即ち至らん。」王は便ち使を遣って山に入らしめ、果たして宗勝の端居禅寂するを見た。宗勝は召を蒙り、便ち言った。「深く王意に愧いる。貧道は誓って岩泉に住せん。そもそも王国の賢徳は林のごとし。達磨は王の叔父にして、六衆の師とする所。波羅提は法中の龍象なり。願わくは王、二聖を崇仰して、以て皇基に福祐せん。」使者はまだ復命に至らざるに、祖は王に言った。「宗勝を取得したことを知るか。」王は言った。「まだ知らず。」祖は言った。「一請して未だ至らざれば、再び命ずれば必ず來らん。」久しくして使者は帰り、果たして祖の言うが如し。祖はそこで王に辞して言った。「当に善く徳を修すべし。久しからずして疾病発作せん。我は且く去らん。」七日を過ぎ、王は便ち疾を得た。国医は診治するも、加えて瘳えることなし。貴戚近臣は師父の先の記を憶え、急ぎ使を発して祖に告げた。「王の病はほとんど彌留に至らん。願わくは叔父、慈悲して、遠く來りて診救せん。」祖は便ち至りて慰問した。当時宗勝は再び王の召を承け、便ち岩間に告別した。波羅提もまた來りて疾を問い、祖に言った。「当に如何に施為して、王をして苦を免れしめんか。」祖は便ち太子をして王の為に罪を赦し恩を施し、三宝を崇奉し、再び懺悔を為し、願わくは罪消滅せんことをせしめた。この如く三度にして、王の病は好転し得た。師父は震旦の因縁成熟し、行化の時至るを念い、便ち先ず祖塔に辞し、次に同学に別れ、後に王の所に至り、慰勉して言った。「当に勤めて白業を修し、三宝を護持すべし。我去ること晩からず、一九に即ち回らん。」王は師父の言葉を聞き、涕泪交じり集って言った。「この国は何の罪か、あの土は何の祥か。叔父すでに縁あり、我の留め得る所にあらず。但だ願わくは父母の国を忘れることなく、事畢わりて早く回らん。」

王即具大舟。實以眾寶。躬率臣寮。送至海壖。祖汎重溟。凡三週寒暑。達於南海。實梁普通七年庚子歲九月二十一日也。廣州刺史蕭昂具主禮迎接。表聞武帝。帝覽奏。遣使齎詔迎請(舊板年甲差誤。今依梁僧寶唱續法記宋嵩禪師正宗記前後改雲)。十月一日至金陵。帝問曰。朕即位已來。造寺寫經。度僧不可勝紀。有何功德。祖曰。並無功德。帝曰。何以無功德。祖曰。此但人天小果。有漏之因。如影隨形。雖有非實。帝曰。如何是真功德。祖曰。淨智妙圓。體自空寂。如是功德。不以世求。帝又問。如何是聖諦第一義。祖曰。廓然無聖。帝曰。對朕者誰。祖曰。不識。帝不領悟。祖知機不契。是月十九日。潛回江北。十一月二十三日。屆於洛陽。當魏孝明帝正光元年也。寓止於嵩山少林寺。面壁而坐。終日默然。人莫之測。謂之壁觀婆羅門。時有僧神光者。曠達之士也。久居伊洛。博覧群書。善談玄理。每歎曰。孔老之教。禮術風規。莊易之書。未盡妙理。近聞達磨大士住止少林。至人不遙。當造玄境。乃往彼。晨夕參承。祖常端坐面壁。莫聞誨勵。光自惟曰。昔人求道。敲骨取髓。刺血濟饑。布髮掩泥。投崖飼虎。古尚若此。我又何人。其年十二月九日夜。天大雨雪。光堅立不動。遲明積雪過膝。祖憫而問曰。汝久立雪中。當求何事。光悲淚曰。惟願和尚慈悲。開甘露門。廣度群品。祖曰。諸佛無上妙道。曠劫精勤。難行能行。非忍而忍。豈以小德小智。輕心慢心。欲冀真乘。徒勞勤苦。光聞祖誨勵。潛取利刀。自斷左臂。置於祖前。祖知是法器。乃曰。諸佛最初求道。為法忘形。汝今斷臂吾前。求亦可在。祖遂因與易名曰慧可。可曰。諸佛法印。可得聞乎。祖曰。諸佛法印。匪從人得。可曰。我心未寧。乞師與安。祖曰。將心來。與汝安。可良久曰。覔心了不可得。祖曰。我與汝安心竟。

国王は便ち大船を備え、珍宝を満載し、親ら臣僚を率いて、海辺に送った。祖師は大海を漂い、一共に三箇の寒暑を過ぎ、南海に到達した。正に梁普通七年庚子歳九月二十一日である。広州刺史の蕭昂は主人の礼を按じて迎接し、上表して武帝に禀報した。帝は奏章を看て、使者を遣わして詔書を持たせ迎請した(旧版の年干支に錯あり。今梁の僧寶唱《續法記》、宋の嵩禅師《正宗記》に依り、前後を改めた)。十月一日に金陵に至った。帝は問うた。「朕が即位以来、寺を造り経を写し僧を度すこと、多く数えられず。何の功德かあらん。」祖師は言った。「並びに功德なし。」帝は言った。「なぜ功德なきか。」祖師は言った。「これはただ人天の小果、有漏の因。影の身に随うが如く、有るといえども実ならず。」帝は言った。「如何にしてか真功德とする。」祖師は言った。「浄智妙円、体は自ら空寂。このような功德は、世上の求に倚らず。」帝はまた問うた。「如何にしてか聖諦第一義とする。」祖師は言った。「廓然として聖無し。」帝は言った。「朕に対するは誰か。」祖師は言った。「識らず。」帝は領略して過ぐることができず。祖師は機縁契らざるを知り、この月十九日、悄々として江北に轉回した。十一月二十三日、洛陽に至り、正に魏孝明帝正光元年に当たる。嵩山少林寺に寄住し、壁に面して坐し、終日黙然として、人は彼を測り透さず、彼を壁観婆羅門と呼んだ。当時一僧の神光あり、曠達の人なり。久しく伊洛の一带に住し、群書を博覧し、玄理を談ずるに善し。常に嘆いて曰く。「孔・老の教は、礼術風規なり。荘・易の書は、未だ妙理を窮めず。近く達磨大士が少林に住すと聞く。至人は遠からず、当にあの玄境に造るべし。」便ちあそこに往き、朝夕参承した。祖師は常に端坐して壁に面し、訓誨激励を聞くことを得ず。神光は自ら思った。「昔の人が道を求むるや、骨を敲きて髓を取り、血を刺して飢えを救済し、頭髪を布きて泥を掩い、崖に投じて虎に飼す。古人尚且つこのごとし、我又何人ぞや。」その年十二月九日の夜、天下の大雪。神光は堅立して動かず、天亮に至り積雪は膝を過ぎた。祖師は憐憫して問うた。「お前が久しく雪裏に立つのは、当に何の事を求むるか。」神光は悲涙して言った。「ただ願わくは和尚慈悲して、甘露門を開き、広く諸類の衆生を度せん。」祖師は言った。「諸仏の無上妙道は、曠劫に精勤し、難行なるを能く行じ、忍ならざるを却って忍ぶ。豈に小徳小智・軽心慢心を憑みて、便ち真乗を冀望せんと欲せんや。只だ徒らに勤苦するのみ。」神光は祖師の訓誨を聞き、暗裏に利刀を取出し、自ら左臂を砍断し、祖師の面前に置いた。祖師は彼が法器なるを知り、便ち言った。「諸仏は最初に道を求むるや、法の為に形骸を忘る。お前今我が面前に於いて断臂するは、求むるも亦た可なり。」祖師は便ち因って彼に改めて慧可と名づけた。慧可は言った。「諸仏の法印、聞くべきか。」祖師は言った。「諸仏の法印は、人より得るにあらず。」慧可は言った。「我が心まだ安んぜず、老師に求めて安んぜん。」祖師は言った。「心を將て來らば、お前に安んぜん。」慧可は久しくを過ぎ、言った。「心を覓むるに、了して得るべからず。」祖師は言った。「お前に心を安んずるを与え、了りぬ。」

越九年。欲返天竺。命門人曰。時將至矣。汝等盍各言所得乎。時有道副對曰。如我所見。不執文字。不離文字。而為道用。祖曰。汝得吾皮。尼總持曰。我今所解。如慶喜見阿閦佛國。一見更不再見。祖曰。汝得吾肉。道育曰。四大本空。五陰非有。而我見處。無一法可得。祖曰。汝得吾骨。最後慧可禮拜。依位而立。祖曰。汝得吾髓。乃顧慧可而告之曰。昔如來以正法眼付迦葉大士。展轉囑累。而至於我。我今付汝。汝當護持。並授汝袈裟。以為法信。各有所表。宜可知矣。可曰。請師指陳。祖曰。內傳法印。以契證心。外付袈裟。以定宗旨。後代澆薄。疑慮競生。雲吾西天之人。言汝此方之子。憑何得法。以何證之。汝今受此衣法。卻後難生。但出此衣並吾法偈。用以表明其化無礙。至吾滅後二百年。衣止不傳。法周沙界。明道者多。行道者少。說理者多。通理者少。潛符密證。千萬有餘。汝當闡揚。勿輕未悟。一念回機。便同本得。聽吾偈曰。吾本來茲土。傳法救迷情。一花開五葉。結果自然成。祖又曰。吾有楞伽經四卷。亦用付汝。即是如來心地要門。令諸眾生開示悟入。吾自到此。凡五度中毒。我甞自出而試之。置石石裂。緣吾本離南印來此東土。見赤縣神州有大乘氣象。遂踰海越漠。為法求人。際會未諧。如愚若訥。今得汝傳授。吾意已終(別記雲。祖初居少林寺九年。為二祖說法。秖教外息諸緣。內心無喘。心如牆壁。可以入道。慧可種種說心性。曾未契理。祖秖遮其非。不為說無念心體。可忽曰。我已息諸緣。祖曰。莫成斷滅去否。可曰。不成斷滅。祖曰。此是諸佛所傳心體。更勿疑也)。言已。乃與徒眾往禹門千聖寺。止三日。有期城太守楊衒之。早慕佛乘。問祖曰。西天五印。師承為祖。其道如何。祖曰。明佛心宗。行解相應。名之曰祖。又問。此外如何。祖曰。須明他心。

九年を過ぎ、天竺に返らんと欲し、門人に吩咐して言った。「時は将に至らん。お前たち何ぞ各々所得を説かざる。」当時道副は対答した。「我が見る所の如く、文字に執着せず、亦た文字を離れず、以て道の用と為す。」祖師は言った。「お前は我が皮を得た。」尼総持は言った。「我が今解する所は、慶喜が阿閦仏国を見るに似て、一見して更に再び見ず。」祖師は言った。「お前は我が肉を得た。」道育は言った。「四大は本来空、五陰(色・受・想・行・識の五類の身心要素)は有にあらず。而も我が見る処、一法も得る可きなし。」祖師は言った。「お前は我が骨を得た。」最後に慧可は礼拜し、位に依って立った。祖師は言った。「お前は我が髓を得た。」便ち慧可を看て告げた。「昔如来は正法眼を迦葉大士に付し、展轉嘱累し、我に至る。我は今お前に付す。お前は当に護持すべし。且つ袈裟を授けて、以て法の凭信と為す。各々表する所有り、当に知るべし。」慧可は言った。「老師に指陳を請わん。」祖師は言った。「内裏に法印を伝え、以て心に契証す。外頭に袈裟を付し、以て宗旨を定む。後代澆薄にして、疑慮争って生起し、我は西天の人と言い、お前は此方の子と言い、何を以て法を得、何を将て証とせん。お前今この衣法を受くるは、往後難処生ぜん。只だこの衣と我が法偈を拿出して、以てあの教化の滞礙なきを表明せん。我が滅後二百年、衣は止まりて更に伝えず、法は沙界に周遍せん。道を明るむる者多く、道を行ずる者少なし。理を説く者多く、理を通ずる者少なし。暗裏に相符し、密密に証得するは、千万も尚お余りあり。お前は当に闡揚し、未だ悟らざるを軽看することなかれ。一念機を回らば、便ち本来所得に同じ。我が偈を聴け。『吾本来より兹土に至り、法を伝えて迷情を救う。一花開きて五葉、結果は自然に成る。』」祖師は又言った。「我に《楞伽経》四巻あり、亦た以てお前に付す。すなわち如来の心地の要門にして、諸の衆生をして開・示・悟・入せしむ。我自ら此に至りて、一共に五度中毒せり。我かつて自ら取出して試し、石上に置けば、石裂けたり。我本より南印より離れ、此の東土に來り、赤県神州に大乘の気象あるを見て、便ち海を越え沙漠を過ぎ、法の為に人を求む。際会まだ諧合せず、愚人の如く、口拙なる者の如く。今お前を得て伝授せば、我が意は已に畢んぬ。」(別記に曰く、祖師初め少林寺に住すること九年、二祖に法を説くに、只だ外に諸縁を歇し、内に喘なく、心は壁の如く、以て道に入るべしと教えたり。慧可種種に心性を説くも、一直に理に契せず。祖師は只だ彼の不是を遮りて、彼に無念の心体を説かず。慧可忽然として曰く、「我已に諸縁を歇めたり。」祖師曰く、「莫れや断滅に成り去らんや。」慧可曰く、「断滅に成らず。」祖師曰く、「これがすなわち諸仏の伝える所の心体なり。更に疑うことなかれ。」)言い終わり、便ち徒衆と禹門千聖寺に往き、三日住す。期城太守の楊衒之有り、早くより仏乗を慕い、祖師に問うた。「西天五印、師承祖と称す、あの道は如何なるか。」祖師曰く、「仏の心宗を明らめ、行解相応す、名づけて祖という。」又問うて、「此の外如何。」祖師曰く、「須らく他心を明らむべし。」

知其今古。不厭有無。於法無取。不賢不愚。無迷無悟。若能是解。故稱為祖。又曰。弟子歸心三寶亦有年矣。而智慧昏蒙。尚迷真理。適聽師言。罔知攸措。願師慈悲。開示宗旨。祖知懇到。即說偈曰。亦不覩惡而生嫌。亦不觀善而勤措。亦不捨智而近愚。亦不拋迷而就悟。達大道兮過量。通佛心兮出度。不與凡聖同躔。超然名之曰祖。衒之聞偈。悲喜交並。曰。願師久住世間。化導群有。祖曰。吾即逝矣。不可久留。根性萬差。多逢愚難。衒之曰。未審何人。弟子為師除得否。祖曰。吾以傳佛秘密。利益迷途。害彼自安。必無此理。衒之曰。師苦不言。何表通變觀照之力。祖不獲已。乃為讖曰。江槎分玉浪。管炬開金鎖。五口相共行。九十無彼我。衒之聞語。莫究其端。默記於懷。禮辭而去。祖之所讖。雖當時不測。而後皆符驗。時魏氏奉釋。禪雋如林。光統律師.流支三藏者。乃僧中之鸞鳳也。覩師演道。斥相指心。每與師論義。是非蜂起。祖遐振玄風。普施法雨。而偏局之量。自不堪任。競起害心。數加毒藥。至第六度。以化緣已畢。傳法得人。遂不復救之。端居而逝。即魏莊帝永安元年戊申十月五日也。其年十二月二十八日。塟熊耳山。起塔於定林寺。後三歲。魏宋雲奉使西域回。遇祖於蔥嶺。見手𢹂隻履。翩翩獨逝。雲問。師何往。祖曰。西天去。雲歸。具說其事。及門人啟壙。唯空棺。一隻革履存焉。舉朝為之驚歎。奉詔取遺履。於少林寺供養。至唐開元十五年丁卯歲為信道者竊在五臺華嚴寺。今不知所在。初。梁武遇祖。因緣未契。及聞化行魏邦。遂欲自撰師碑而未暇也。後聞宋雲事。乃成之。代宗諡圓覺大師。塔曰空觀(年號依紀年通譜)。

(祖師が続けて言う:)「古今を知り、有無を厭わず、法において取なく、賢ならず愚ならず、迷なく悟なし。若し能くこのように解せば、祖と称する所以なり。」楊衒之は又言った。「弟子が三宝に帰心して年あり。しかれども智慧は昏蒙にして、未だ真理に迷う。さきほど老師の言葉を聞き、如何にすべきか知らず。願わくは老師慈悲して、宗旨を開示せん。」祖師は彼の懇切なるを知り、便ち偈を説いた。「亦た悪を覩て嫌を生ぜず、亦た善を観て勤め措かず、亦た智を捨てて愚に近づかず、亦た迷を抛てて悟に就かず。大道に達するや過量、仏心に通ずるや出度。凡聖と同じ躔せず、超然として之を祖と名づく。」楊衒之は偈を聞き、悲喜交じり併せて言った。「願わくは老師、久しく世間に住し、諸類の衆生を化導せん。」祖師は言った。「我は即ち去らんとす、久しく留まるべからず。根性万差にして、多く愚難に逢う。」楊衒之は言った。「何人なるかを知らず。弟子が老師の為に除き去る、可なるか。」祖師は言った。「我は仏の祕密を伝え、迷途を利益せんが為なり。他人を害して自ら安きは、必ずこの理なし。」楊衒之は言った。「老師若し苦々説かざれば、何を以てあの通変照覧の力を表せん。」祖師は已むを得ず、便ち讖を作した。「江槎は玉浪を分かち、管炬は金鎖を開く。五口相共に行き、九十に彼我なし。」楊衒之はこの言葉を聞き、頭緒を摸ること能わず、黙々として心に記し、礼辞して去った。祖師の讖する所は、当時は測り透さずといえども、後に皆応験した。当時魏氏は仏を奉じ、禅門の俊傑は林の如し。光統律師・流支三蔵は、僧中の鸞鳳なり。老師が道を演び、相を斥けて心を指すを見て、毎に老師と義を論じ、是非蜂起した。祖師は遠く玄風を振い、普く法雨を施したれども、あの偏局の器量は、自ら当に堪えず、争って害心を起こし、幾度か毒薬を下した。第六度に至り、化縁已に畢り、伝法に人を得たれば、便ち更に救わず、端坐して逝した。すなわち魏荘帝永安元年戊申十月五日なり。その年十二月二十八日、熊耳山に葬り、定林寺に塔を起した。後三年過ぎ、魏の宋雲が西域に使いして帰り、葱嶺で祖師に遇い、手に一隻の鞋を帯び、翩翩として独り歩くを見た。宋雲は問うた。「老師はどこへ往かれるか。」祖師は言った。「西天へ去る。」宋雲は帰り、一々にこの事を説いた。門人が墓穴を開くに及んで、空棺のみ、一隻の革履だけ在り。満朝これが為に驚嘆した。詔を奉じて遺履を取り、少林寺に供養した。唐開元十五年丁卯歳に至り、道を信ずる人に五台華厳寺に偸まれたり、今どこに在るかを知らず。初め、梁武は祖師に遇うも、因縁契せず。教化が魏邦に行わると聞くに及んで、便ち自ら老師の碑を撰さんと欲すも、未だ暇を得ず。後に宋に宋雲の事を聞き、ようやく成した。代宗は圓覚大師と諡し、塔を空観と曰う(年号は《紀年通譜》に依る)。

(通論曰。傳燈謂魏孝明帝欽祖異跡。三屈詔命。祖竟不下少林。及祖示寂。宋雲自西域還。遇祖於蔥嶺。孝莊帝有旨令啟壙。如南史普通八年。即大通元年也。孝明以是歲四月癸丑殂。祖以十月至梁。葢祖未至魏時。孝明已去世矣。其子即位未幾。為爾朱榮所弒。乃立孝莊帝。由是魏國大亂。越三年。而孝莊殂。又五年分割為東西魏。然則吾祖在少林時。正值其亂。及宋雲之還。則孝莊去世亦五六年。其國至於分割久矣。烏有孝莊令啟壙之說乎。按唐史雲。後魏末。有僧達磨航海而來。既卒。其年魏使宋雲於蔥嶺回見之。門徒發其墓。但有隻履而已。此乃實錄也)。

(通論に曰く:《傳燈》に曰く、魏孝明帝は祖師の異跡を欽慕し、三度詔命を下したが、祖師は終竟少林を下らなかった。祖師が寂を示すに及んで、宋雲が西域より帰り、葱嶺で祖師に遇い、孝荘帝に旨ありて墓穴を開かしめたという。《南史》を按ずるに、普通八年はすなわち大通元年なり。孝明はこの年四月癸丑に歿す。祖師は十月に梁に至る。そもそも祖師がまだ魏に至らざる時、孝明は已に歿したり。その子が即位して久しからずして、尒朱栄の弑する所となり、ようやく孝荘帝を立てた。此より魏国大乱。三年を過ぎ、孝荘歿す。又五年、分割して東魏・西魏と為る。然らば吾が祖が少林に在りし時は、正にあの乱に当たれり。宋雲の帰るに及んで、孝荘の歿するも已に五六年、あの国の分割は已に久し。豈に孝荘が墓を開かしめたりとの説あらんや。《唐史》に按ずるに、後魏の末、僧の達磨が航海して來り。既に卒し、その年魏の使宋雲が葱嶺で回頭して彼に遇う。門徒がその墓を發くに、只だ一隻の鞋のみあり。これがすなわち実録なり。)

二祖慧可大師者

二祖慧可大師、

武牢人也。姓姬氏。父寂。未有子時。甞自念言。我家崇善。豈令無子。禱之既久。一夕感異光照室。其母因而懷姙。及長。遂以照室之瑞。名之曰光。自幼志氣不群。博涉詩書。尤精玄理。而不事家產。好遊山水。後覽佛書。超然自得。即抵洛陽龍門香山。依寶靜禪師。出家受具於永穆寺。浮游講肆。徧學大小乘義。年三十三。卻返香山。終日宴坐。又經八載。於寂默中倐見一神人謂曰。將欲受果。何滯此邪。大道匪遙。汝其南矣。祖知神助。因改名神光。翌日。覺頭痛如刺。其師欲治之。空中有聲曰。此乃換骨。非常痛也。祖遂以見神事白於師。師視其頂骨。即如五峰秀出矣。乃曰。汝相吉祥。當有所證。神令汝南者。斯則少林達磨大士必汝之師也。祖受教。造於少室。其得法傳衣事蹟。達磨章具之矣。自少林託化西歸。大師繼闡玄風。博求法嗣。至北齊天平二年。有一居士。年踰四十。不言名氏。聿來設禮。而問祖曰。弟子身纏風恙。請和尚懺罪。祖曰。將罪來。與汝懺。士良久曰。覔罪不可得。祖曰。與汝懺罪竟。宜依佛法僧住。士曰。今見和尚。已知是僧。未審何名佛法。祖曰。是心是佛。是心是法。法佛無二。僧寶亦然。士曰。今日始知罪性不在內。不在外。不在中間。如其心然。佛法無二也。祖深器之。即為剃髮。雲。是吾寶也。宜名僧璨。其年三月十八日。於光福寺受具。自茲疾漸愈。執侍經二載。祖乃告曰。菩提達磨遠自竺乾。以正法眼藏並信衣密付於吾。吾今授汝。汝當守護。無令斷絕。聽吾偈曰。本來緣有地。因地種華生。本來無有種。華亦不曾生。祖付衣法已。又曰。汝受吾教。宜處深山。未可行化。當有國難。璨曰。師既預知。願垂示誨。祖曰。非吾知也。斯乃達磨傳般若多羅懸記雲心中雖吉外頭㐫是也。吾校年代。正在於汝。汝當諦思前言。勿罹世難。然吾亦有宿累。

武牢の人。姓は姬。父の名は寂。未だ子なきの時、かつて自ら念じて曰く、「我家は善を崇べ、豈に子なからしめんや。」禱告すること久し。ある夜、異光が室を照らすを感得し、母は因って孕んだ。長ずるに及んで、便ち照室の瑞応に因り、名を取って光と曰う。少しより志気群れず、詩書を博渉し、尤も玄理に精し。しかれども家産を経営せず、山水を遊ぶを好む。後に仏書を読み、超然として自得し、便ち洛陽龍門香山に至り、宝靜禅師に依り、永穆寺に於いて出家して具を受けた。浮游して講肆を歴り、大小の乗義を遍く学ぶ。三十三歳、又香山に返り、終日宴坐した。又八年を過ぎ、寂默の中に忽然として一神人が彼に言うを見た。「将に果を受けんとす。何ぞ此に滞まる。大道は遠からず、お前は南に往け。」祖師は神の助くるを知り、因って名を改めて神光と曰う。明日、頭痛して針の刺すが如くを覚えた。その師は彼に治せんと欲した。空中に声有りて曰く、「これは骨を換ゆ、尋常の痛にあらず。」祖師は便ち神に見えたる事を師に告げた。師はその頂骨を看るに、すなわち五座の峰が秀出するが如し。便ち言った。「お前の相は吉祥なり、当に証する所有るべし。神がお前をして南に往かしむは、すなわち少林の達磨大士が必ずお前の師ならん。」祖師は教を受け、少室に至った。彼が法を得衣を伝えたる事蹟は、達磨の一章に皆具わる。少林の化を託して西に帰してより、大師は続きて玄風を闡揚し、広く法嗣を求めた。北斉天平二年に至り、一居士あり、年紀四十を過ぎ、名氏を言わず、特地前來して礼を設け、祖師に問うた。「弟子、身上に風恙を纏う。和尚に請いて罪を懺さん。」祖師は言った。「罪を將て來らば、お前に懺せん。」居士は久しくを過ぎ、言った。「罪を覓むるに、得るべからず。」祖師は言った。「お前に罪を懺することを与え、了りぬ。当に仏法僧に依って住すべし。」居士は言った。「今和尚を見て、已に是れ僧を知る。何をか仏法と謂うを知らず。」祖師は言った。「是れ心是れ仏、是れ心是れ法。法・仏は二なく、僧宝も亦た是の如し。」居士は言った。「今日ようやく罪性が内に在らず、外に在らず、中間に在らず、あの心の如きを知る。仏法は二なし。」祖師は深く彼を器重し、便ち彼に剃発せしめ、言った。「是れ我が宝なり、当に名を僧璨とすべし。」その年三月十八日、光福寺に於いて具を受けた。此より病は漸く愈えた。執侍すること二年を過ぎ、祖師は便ち彼に告げた。「菩提達磨は遠く竺乾より、正法眼蔵と信衣を我に密付したり。我は今お前に授く。お前は当に守護して、断絶せしむることなかれ。我が偈を聴け。『本来縁は地有り、地に因りて華を種生ず。本来種有りと無くば、華も亦た曽て生ぜず。』」祖師は衣法を付し、又言った。「お前は我が教を受け、当に深山に処るべし。未だ化を行うべからず。当に国难有るべし。」僧璨は言った。「老師既に預め知る、願わくは教誨を垂示せん。」祖師は言った。「我が知るにあらず。これは達磨の伝うる般若多羅の懸記に『心中は吉なれども外頭は凶』と曰う。我が年代を挍合するに、正にお前の身に在り。お前は当に前面の言葉を仔細に想い、世難に落ち入ることなかれ。しかれども我も亦た宿累有り、今それを酬いんと欲す。好く去り、好く行き、時を待ちて再び伝付せよ。」

今要酬之。善去善行。俟時傳付。祖付囑已。即往鄴都。隨宜說法。一音演暢。四眾皈依。如是積三十四載。遂韜光混跡。變易儀相。或入諸酒肆。或過於屠門。或習街談。或隨廝役。人問之曰。師是道人。何故如是。祖曰。我自調心。何關汝事。又於筦城縣匡救寺三門下。談無上道。聽者林會。時有辯和法師者。於寺中講涅槃經。學徒聞師闡法。稍稍引去。辯和不勝其憤。興謗於邑宰翟仲侃。翟惑其邪說。加祖以非法。祖怡然委順。識真者謂之償債。時年一百七歲。即隋文帝開皇十三年癸丑歲三月十六日也。塟磁州滏陽縣東北七十里。唐德宗諡大祖禪師(皓月供奉問長沙岑和尚。古德雲。了即業障本來空。未了應須償宿債。只如師子尊者.二祖大師。為甚麼得償債去。沙曰。大德不識本來空。月曰。如何是本來空。沙曰。業障是。曰。如何是業障。沙曰。本來空是。月無語。沙以偈示之曰。假有元非有。假滅亦非無。涅槃償債義。一性更無殊)。

祖師は付嘱を畢り、便ち鄴都に往き、宜に随って法を説いた。一音演暢して、四衆帰依した。この如く三十四年を積み、便ち光を韜し跡を混し、儀相を改換し、或いは諸の酒肆に進み、或いは屠門を過ぎ、或いは街談に習い、或いは厮役に随った。或る人彼に問うて曰く、「老師は道人なり。何を以てか然らん。」祖師は言った。「我自ら心を調う。お前に何の事かあらん。」又筦城県匡救寺の三門の下に於いて、無上道を談じ、聴く者は林の如く聚った。当時辯和法師あり、寺裏に於いて《涅槃経》を講ず。学徒は老師が法を闡くを聞き、漸々引き去られたり。辯和は憤を禁じ得ず、邑宰の翟仲侃に誹謗を興した。翟は彼の邪説に惑わされ、祖師に非法を加えた。祖師は怡然として順受した。真を識る者は是れ債を償うなりと曰う。当時一百七歳、すなわち隋文帝開皇十三年癸丑歳三月十六日なり。磁州滏陽県東北七十里に葬る。唐徳宗は大祖禅師と諡す。(皓月供奉が長沙岑和尚に問う、「古徳に曰く、了ればすなわち業障本来空、未だ了せざれば応に宿債を償うべし。只だ師子尊者・二祖大師の如きは、なぜ債を償いて去らせ得たか。」長沙曰く、「大徳は本来空を識らず。」皓月曰く、「如何にしてか本来空とする。」長沙曰く、「業障是れ。」問うて、「如何にしてか業障とする。」長沙曰く、「本来空是れ。」皓月、言うことなし。長沙は偈を以て開示した、「假有は元より有に非ず、假滅も亦た無に非ず。涅槃の償債の義、一性更に殊なし。」)

三祖僧璨大師者

三祖僧璨大師、

不知何許人也。初以白衣謁二祖。既受度傳法。隱於舒州之皖公山。屬後周武帝破滅佛法。祖往來太湖縣司空山。居無常處。積十餘載。時人無能知者。至隋開皇十二年壬子歲。有沙彌道信。年始十四。來禮祖曰。願和尚慈悲。乞與解脫法門。祖曰。誰縛汝。曰。無人縛。祖曰。何更求解脫乎。信於言下大悟。服勞九載。後於吉州受戒。侍奉尤謹。祖屢試以玄微。知其緣熟。乃付衣法。偈曰。華種雖因地。從地種華生。若無人下種。華地盡無生。祖又曰。昔可大師付吾法。後往鄴都行化。三十年方終。今吾得汝。何滯此乎。即適羅浮山。優遊二載。卻還舊址。逾月士民奔趨。大設檀供。祖為四眾廣宣心要訖。於法會大樹下合掌立終。即隋煬帝大業二年丙寅十月十五日也。唐玄宗諡鑑智禪師.覺寂之塔。師信心銘曰。至道無難。唯嫌揀擇。但莫憎愛。洞然明白。毫𨤲有差。天地懸隔。欲得現前。莫存順逆。違順相爭。是為心病。不識玄旨。徒勞念靜。圓同太虗。無欠無餘。良由取捨。所以不如。莫逐有緣。勿住空忍。一種平懷。泯然自盡。止動歸止。止更彌動。唯滯兩邊。寧知一種。一種不通。兩處失功。遣有沒有。從空背空。多言多慮。轉不相應。絕言絕慮。無處不通。歸根得旨。隨照失宗。須臾返照。勝卻前空。前空轉變。皆由妄見。不用求真。唯須息見。二見不住。慎莫追尋。才有是非。紛然失心。二由一有。一亦莫守。一心不生。萬法無咎。無咎無法。不生不心。能由境滅。境逐能沉。境由能境。能由境能。欲知兩段。元是一空。一空同兩。齊含萬象。不見精麤。寧有偏黨。大道體寬。無易無難。小見狐疑。轉急轉遲。執之失度。必入邪路。放之自然。體無去住。任性合道。逍遙絕惱。繫念乖真。昏沉不好。不好勞神。何用疎親。欲取一乘。勿惡六塵。六塵不惡。還同正覺。智者無為。愚人自縛。

何の処の人なるかを知らず。初め白衣を以て二祖に謁見した。既に度を受け法を伝え、舒州の皖公山に隠れた。後周武帝が仏法を破滅するに遭い、祖師は太湖県司空山を往来し、住する所常なく、十餘年を積み、当時の人は知る能くする者なし。隋開皇十二年壬子歳に至り、沙彌道信あり、年紀才だ十四、前來して祖師に礼して曰く、「願わくは和尚慈悲して、解脱の法門を与えんことを求む。」祖師は言った。「誰かお前を縛る。」道信は言った。「縛する人なし。」祖師は言った。「何ぞ更に解脱を求めん。」道信は言下に大悟した。服労九年。後に吉州に於いて戒を受け、事奉すること愈々謹。祖師は屢々玄微を以て彼を試し、縁の熟するを知り、便ち衣法を付した。偈に曰く、「華種は地に因るといえども、地に従りて華を種生ず。若し人下種なければ、華地は尽く生なし。」祖師は又言った。「昔可大師は我に法を付し、後に鄴都に往きて化を行い、三十年にして終わりぬ。今我はお前を得たり、何ぞ此に滞まらん。」便ち羅浮山に往き、優游二年、又旧址に帰った。一月を過ぎ、士民奔趨して、大いに檀供を設けた。祖師は四衆の為に広く心要を宣べ畢り、法会の大樹の下に合掌して立ちて終わりぬ。すなわち隋煬帝大業二年丙寅十月十五日なり。唐玄宗は鑑智禅師・覚寂之塔と諡す。老師の《信心銘》に曰く、至道は難からず、只だ揀擇を嫌う。但だ憎愛なからしめば、便ち洞然として明白。毫厘差あらば、天地は懸隔。現前を得んと欲せば、順逆を存すること莫れ。違和順の相争うは、これが心病なり。玄旨を識らざれば、徒らに静を念ず。円にして太虚に同じく、欠なく、余りなし。只だ取舍有るが為に、然らば如からず。有縁に逐うこと莫れ、空忍に住すること莫れ。一种の平怀、泯然として自ら尽く。動を止めて止に帰するを去り、止は更に動を加ふ。只だ両辺に滞まる、何処か一种を知らん。一种通通ぜざれば、両処に功を失す。有を遣るも却って有に没入し、空に従るも却って空に背く。多言多慮は、轉じて相応せず。絶言絶慮は、通ぜざる所なし。根に帰して旨を得、照に随いて宗を失す。須臾に返照すれば、前面の空に勝る。前面の空の轉変は、皆妄見に由る。真を求むるを用いず、只だ見を歇むるを須う。二見住せず、慎んで追尋すること莫れ。才だ是非有れば、紛然として心を失す。二は一有るに由り、一も亦た守ること莫れ。一心生生ぜざれば、万法に咎なし。無咎は法なく、不生は心なし。能は境に由りて滅し、境は能に随いて沉む。境は能に由りて境と成り、能は境に由りて能と成る。此の两段を知らんと欲せば、元来是れ一空なり。一空は両に同じく、一斉に万象を含む。精粗を見ず、何ぞ偏党あらん。大道は体寛にして、易なく難なし。小見は狐疑して、轉じて急轉じて遲し。之を執着すれば便ち度を失し、必ず邪路に入らん。之を放けば自然にして、体は去住なし。性に任せて道に合し、逍遥として悩を絶つ。念を繋ぐは真に乖り、昏沉は好からず。好からざれば便ち神を労し、何ぞ疎親を用いん。一乗を取らんと欲せば、六塵を悪むこと莫れ。六塵悪まざれば、還って正覚に同じ。智者は無為、愚者は自ら縛す。

法無異法。妄自愛著。將心用心。豈非大錯。迷生寂亂。悟無好惡。一切二邊。良由斟酌。夢幻空華。何勞把捉。得失是非。一時放卻。眼若不睡。諸夢自除。心若不異。萬法一如。一如體玄。兀爾忘緣。萬法齊觀。歸復自然。泯其所以。不可方比。止動無動。動止無止。兩既不成。一何有爾。究竟窮極。不存軌則。契心平等。所作俱息。狐疑盡淨。正信調直。一切不留。無可記憶。虗明自照。不勞心力。非思量處。識情難測。真如法界。無他無自。要急相應。唯言不二。不二皆同。無不包容。十方智者。皆入此宗。宗非促延。一念萬年。無在不在。十方目前。極小同大。忘絕境界。極大同小。不見邊表。有即是無。無即是有。若不如是。必不須守。一即一切。一切即一。但能如是。何慮不畢。信心不二。不二信心。言語道斷。非去來今。

法に異法なし、妄に自ら愛着す。心を將て心を用いるは、豈に大錯にあらずや。迷えば便ち寂乱を生じ、悟れば好悪なし。一切の二辺は、皆斟酌に由る。夢幻空花、何ぞ労して把捉せん。得失是非、一時に放却せよ。眼若し睡らざれば、諸夢自ら除く。心若し異なければ、万法一如。一如の体玄、兀爾として縁を忘る。万法斉観して、自然に帰復す。あの所以を泯せば、方比すべからず。止動に動なく、動止に止なし。両既に成らざれば、一何の処か還有らん。究竟窮極して、軌則を存せず。心に契り平等、作する所皆歇む。狐疑は尽浄、正信は調直。一切留まらず、記憶すべきなし。虚明は自ら照らす、心力を労せず。思量の処にあらず、識情は測り難し。真如法界、他なく自なし。急に相応せんと要せば、只だ不二を説け。不二は皆同、包容せざるなし。十方の智者、皆此の宗に入る。宗は促延にあらず、一念万年。在るに在らざるなし、十方は目前。極小は大に同じく、境界を忘絶す。極大は小に同じく、辺表を見ず。有は即ち是れ無、無は即ち是れ有。若し此の如くならざれば、必ず守るを須いず。一は即ち一切、一切は即ち一。但だ能く此の如くならば、何ぞ慮らん畢らざるを。信心は不二、不二は信心。言語の道は断え、去来今にあらず。

四祖道信大師者

四祖道信大師、

姓司馬氏。世居河內。後徙於蘄州廣濟縣。生而超異。幼慕空宗諸解脫門。宛如宿習。既嗣祖風。攝心無寐。脅不至席者僅六十年。隋大業十三載領徒眾抵吉州。值群盜圍城。七旬不解。萬眾惶怖。祖愍之。教令念摩訶般若。時賊眾望雉堞間若有神兵。乃相謂曰。城內必有異人。不可攻矣。稍稍引去。唐武德甲申歲師卻返蘄春。住破頭山。學侶雲臻。一日往黃梅縣。路逢一小兒。骨相奇秀。異乎常童。祖問曰。子何姓。答曰。姓即有。不是常姓。祖曰。是何姓。答曰。是佛性。祖曰。汝無姓邪。答曰。性空。故無。祖默識其法器。即俾侍者至其母所。乞令出家。母以宿緣故。殊無難色。遂捨為弟子。以至付法傳衣。偈曰。華種有生性。因地華生生。大緣與性合。當生生不生。遂以學徒委之。一日告眾曰。吾武德中游廬山。登絕頂。望破頭山。見紫雲如葢。下有白氣。橫分六道。汝等會否。眾皆默然。忍曰。莫是和尚他後橫出一枝佛法否。祖曰。善。後貞觀癸卯歲太宗嚮師道味。欲瞻風彩。詔赴京。祖上表遜謝。前後三返。竟以疾辭。第四度命使曰。如果不起。即取首來。使至山諭旨。祖乃引頸就刃。神色儼然。使異之。回以狀聞。帝彌加欽慕。就賜珍繒。以遂其志。迄高宗永徽辛亥歲閏九月四日。忽垂誡門人曰。一切諸法。悉皆解脫。汝等各自護念。流化未來。言訖安坐而逝。壽七十有二。塔於本山。明年四月八日。塔戶無故自開。儀相如生。爾後。門人不敢復閉。代宗諡大醫禪師.慈雲之塔。

姓は司馬。世々河內に住し、後に蘄州広済県に遷った。生まれてすなわち超異にして、幼年にして空宗の諸解脱門を慕い、宛如として宿習。既に祖風を嗣ぎ、心を攝めて睡らず、脇は席に至らざることほぼ六十年。隋大業十三年に徒衆を領して吉州に至り、群盗が城を囲むに遭い、七十日にして解かず、万衆惶怖した。祖師は彼らを憐憫し、彼らに摩訶般若を念ぜしめた。当時賊衆は雉堞の間に神兵の如くあるを望見し、便ち相い言った。「城の中に必ず異人有り、攻むべからず。」漸々退去した。唐武德甲申歳、老師は又蘄春に帰り、破頭山に住し、学侶は雲の如く聚まり來った。ある日黄梅県に往き、路に一小児に遇う。骨相奇秀にして、尋常の児童に同じからず。祖師は問うた。「お前は何の姓か。」答えて曰く、「姓は即ち有、常姓にあらず。」祖師は言った。「是れ何の姓か。」答えて曰く、「是れ仏性。」祖師は言った。「お前は姓なしか。」答えて曰く、「性空なり、然る故に無。」祖師は黙々として彼が法器なるを識り、便ち侍者をしてその母の所に至らしめ、彼をして出家せしめんことを求めしめた。母は宿縁のゆえに、一点も為難の神色なく、便ち彼を捨てて弟子と作し、遂に法を付し衣を伝うるに至った。偈に曰く、「華種に生性有り、地に因りて華生生す。大縁性と合して、当に生を生じて生ぜず。」便ち学徒を彼に託した。ある日衆に告げて曰く、「我は武德年間に廬山に遊び、絶頂に登り、破頭山を望み、紫雲が蓋の如く、その下に白気有りて、横に六道に分かるを見たり。お前たち会するか。」衆は皆黙然。弘忍は曰く、「莫れや和尚が往後に横に一枝の佛法を出さんとするをや。」祖師は言った。「好し。」後に貞観癸卯歳、太宗は老師の道味に向往し、風彩を瞻らんと欲し、彼に詔して京に赴かしめた。祖師は上表して遜謝し、前後三回、終竟病を以て辞した。第四度に使者に命じて曰く、「若し真に起身せざれば、首級を取りて來れ。」使者は山上に至りて旨を伝えた。祖師は便ち頸を伸びて刃に就き、神色儼然たり。使者は驚異し、帰りて情状を禀報した。帝は愈々欽慕し、地に就いて珍繒を賜い、以てその志を遂げしめた。高宗永徽辛亥歳閏九月四日に至り、忽然として門人に垂誡して曰く、「一切諸法、悉く皆解脱す。お前たち各々護念して、未來に流化せよ。」言い終わり安坐して逝した。寿七十二。塔は本山に在り。明年四月八日、塔戸が故なく自ら開き、儀相は生けるが如し。此の後門人は敢えて更に閉さず。代宗は大医禅師・慈雲之塔と諡す。

五祖弘忍大師者

五祖弘忍大師、

蘄州黃梅人也。先為破頭山中栽松道者。甞請於四祖曰。法道可得聞乎。祖曰。汝已老。脫有聞。其能廣化邪。儻若再來。吾尚可遲汝。廼去。行水邊。見一女子浣衣。揖曰。寄宿得否。女曰。我有父兄。可往求之。曰。諾我。即敢行。女首肯之。遂回䇿而去。女周氏季子也。歸輙孕。父母大惡。逐之。女無所歸。日傭紡裡中。夕止於眾館之下。已而生一子。以為不祥。因拋濁港中。明日見之。泝流而上。氣體鮮明。大驚。遂舉之。成童。隨母乞食。里人呼為無姓兒。逢一智者。歎曰。此子缺七種相。不逮如來。後遇信大師。得法嗣。化於破頭山。咸亨中有一居士。姓盧名慧能。自新州來參謁。祖問曰。汝自何來。盧曰。嶺南。祖曰。欲須何事。盧曰。唯求作佛。祖曰。嶺南人無佛性。若為得佛。盧曰。人即有南北。佛性豈然。祖知是異人。乃訶曰。著槽廠去。盧禮足而退。便入碓房。服勞於杵臼之間。晝夜不息。經八月。祖知付授時至。遂告眾曰。正法難解。不可徒記吾言。持為己任。汝等各自隨意述一偈。若語意冥符。則衣法皆付。時會下七百餘僧。上座神秀者。學通內外。眾所宗仰。鹹推稱曰。若非尊秀。疇敢當之。神秀竊聆眾譽。不復思惟。乃於廊壁書一偈曰。身是菩提樹。心如明鏡臺。時時勤拂拭。莫使惹塵埃。祖因經行。忽見此偈。知是神秀所述。乃讚歎曰。後代依此修行。亦得勝果。其壁本欲令處士盧珍繪楞伽變相。及見題偈在壁。遂止不畫。各令念誦。盧在碓坊。忽聆誦偈。乃問同學。是何章句。同學曰。汝不知和尚求法嗣。令各述心偈。此則秀上座所述。和尚深加歎賞。必將付法傳衣也。盧曰。其偈云何。同學為誦。盧良久曰。美則美矣。了則未了。同學訶曰。庸流何知。勿發狂言。盧曰。子不信邪。願以一偈和之。同學不答。相視而笑。盧至夜。密告一童子。引至廊下。盧自秉燭。

蘄州黄梅の人。先代は破頭山の中で松を栽える道者であった。かつて四祖に請うて曰く、「法道を聞いてもよろしいか。」祖師は言った。「お前は已に老いた。仮令聞いたとて、還た広化できようか。若し再び來らば、我もまたお前を待たん。」便ち離れ去った。水辺に至り、一女子が衣を浣ぐを見、揖して曰く、「寄宿してもよいか。」女子は言った。「我に父兄あり、彼らに求めよ。」曰く、「お前が我に応ずれば、我は始めて敢えて行く。」女子は頷いて応じた。便ち策を回らし去った。女子は周氏の末の娘。帰るや便ち孕んだ。父母は大いに悪み、彼女を逐い出した。女子は帰る所なく、昼は里中に傭ぎ紡ぎ、夜は衆館の下に歇した。後に一男を生み、不祥と為して、便ち濁れる港に拋げ入れた。翌日彼を見るに、逆流して上り、気体鮮明たり。大いに驚き、便ち彼を撫養した。童子と成り、母に従いて食を乞い、里人は彼を無姓児と呼んだ。一智者に遇い、嘆じて曰く、「この子は七種の相を缺き、如来に及ばず。」後に信大師に遇い、法嗣を得、破頭山に於いて化を行った。咸亨年間、一居士あり、姓は盧、名は慧能、新州より來りて参謁した。祖師は問うた。「お前は何の處より來たるか。」盧は言った。「嶺南。」祖師は言った。「何事を求むるか。」盧は言った。「只だ仏を作るを求むるのみ。」祖師は言った。「嶺南人に仏性なし、何を以てか仏を得ん。」盧は言った。「人に南北はあれども、仏性は豈に然らんや。」祖師は異人なるを知り、便ち呵斥して曰く、「槽廠に行け。」盧は足を礼して退き、便ち碓房に進み、杵臼の間に服労し、昼夜息まず。八箇月を過ぎ、祖師は付授の時の至れるを知り、便ち衆人に告げて曰く、「正法は難解なり、只だ我が言を記して、將て來りて自己のものと為すことを可ならず。お前たち各自に意に随い一偈を述べよ。若し語意冥符せば、衣法を皆付せん。」当時会下に七百餘僧あり。上座の神秀、内外に学び通じ、衆人の宗仰する所にして、皆推し称した。「秀尊者にあらざれば、誰か敢えて当たらん。」神秀は暗に衆人の誉を聞き、更に思惟せず、便ち廊壁に一偈を書いた。「身は是れ菩提樹、心は明鏡台の如し。時時に勤めて拂拭し、塵埃を惹起せしむること莫れ。」祖師は經行のゆえ、忽然として此の偈を見、神秀の述ぶる所なるを知り、便ち讚嘆して曰く、「後代は此に依りて修行せば、亦た勝果を得ん。」その壁は本來處士盧珍に楞伽變相を畫かしめんと欲したるに、題偈の壁上に有るを見るに及び、便ち畫くことを停め、各々念诵せしめた。盧は碓坊に在りて、忽然として偈を誦するを聞き、便ち同學に問うた。「是れ何の章句か。」同學は言った。「お前は和尚が法嗣を求め、各自に心偈を述べしむるを知らざるか。是れすなわち秀上座の述ぶる所。和尚は深く嘆賞し、必ず將に法を付し衣を傳えんとす。」盧は言った。「其の偈は如何に言う。」同學は彼に誦した。盧は久しきを過ぎ、言った。「美しきは美しけれど、了とすれども未だ了せず。」同學は訶斥して曰く、「庸流は何をか知る、狂言を發すること莫れ。」盧は言った。「お前は信は信ぜざるか。願わくは一偈を用いて彼に和せん。」同學は答えず、相視て笑うた。盧は夜に至り、暗に一童子に告げ、廊下に引き至らしめた。盧は自ら燭を執り、

請別駕張日用於秀偈之側。寫一偈曰。菩提本無樹。明鏡亦非臺。本來無一物。何處惹塵埃。祖後見此偈曰。此是誰作。亦未見性。眾聞師語。遂不之顧。逮夜。祖潛詣碓坊。問曰。米白也未。盧曰。白也。未有篩。祖於碓以杖三擊之。盧即以三皷入室。祖告曰。諸佛出世為一大事。故隨機大小而引導之。遂有十地.三乘.頓漸等旨。以為教門。然以無上微妙.秘密圓明.真實正法眼藏付於上首大迦葉尊者。展轉傳授二十八世。至達磨屆於此土。得可大師承襲以至於今。以法寶及所傳袈裟用付於汝。善自保護。無令斷絕。聽吾偈曰。有情來下種。因地果還生。無情既無種。無性亦無生。盧行者跪受衣法。啟曰。法則既受。衣付何人。祖曰。昔達磨初至。人未之信。故傳衣以明得法。今信心已熟。衣乃爭端。止於汝身。不復傳也。且當遠隱。俟時行化。所謂受衣之人。命如懸絲也。盧曰。當隱何所。祖曰。逢懷即止。遇會且藏。盧禮足已。捧衣而出。是夜南邁。大眾莫知。五祖自後不復上堂。大眾疑怪。致問。祖曰。吾道行矣。何更詢之。復問。衣法誰得邪。祖曰。能者得。於是眾議盧行者名能。尋訪既失。潛知彼得。即共奔逐。五祖既付衣法。復經四載。至上元二年忽告眾曰。吾今事畢。時可行矣。即入室。安坐而逝。壽七十有四。建塔於黃梅之東山。代宗諡大滿禪師.法雨之塔。

別駕の張日用に請いて、秀偈の傍に一偈を書せしめた。「菩提本より樹なく、明鏡も亦た台に非ず。本來一物無し、何處にか塵埃を惹かせん。」祖師は後に此の偈を見て、言った。「是れ誰か作れる、亦た未だ性を見ず。」衆人は老師の言を聞き、便ち復た之を看ず。夜に至り、祖師は悄々として碓坊に至り、問うた。「米は白けりや。」盧は言った。「白けり、未だ篩はず。」祖師は碓の上に杖を以て三下敲いた。盧は便ち三更に室に入った。祖師は彼に告げた。「諸仏の出世は一大事の為なり、根機の大小に随い引導するが故に、便ち十地・三乘・頓漸等の旨有りて、教門と作る。然れども無上微妙・祕密圓明・眞實の正法眼藏を上首の大迦葉尊者に付し、展轉傳授して二十八世。達磨の此土に至るに及んで、可大師の承襲を得て、一直に如今に至る。法寶と所傳の袈裟を以てお前に付す。善く自ら保護して、斷絕せしむること莫れ。我が偈を聽け。『有情來りて種を下す、地に因りて果は還た生ず。無情は既に種無く、性無ければ亦た生無し。』」盧行者は跪いて衣法を受け、啟禀して曰く、「法は既に受けたり、衣は何人に付するか。」祖師は言った。「昔達磨初めて至りし時、人未だ信せず、故に衣を傳えて以て法を得たるを表明せり。如今信心已に熟し、衣は争の端なり。お前の身に止め、復た傳えず。且く當に遠く隱去し、時を待ちて復た化を行ずべし。所謂衣を受くる者、命は懸絲の如し。」盧は言った。「當に何の所在に隱るべきか。」祖師は言った。「懷に逢えば止まれ、會に遇うて且く藏れ。」盧は禮足を畢り、衣を捧げて出た。此の夜南に向かい、大衆の知るもの無し。五祖此の後復た堂に上らず。大衆は疑怪し來りて問うた。祖師は言った。「我が道は已に行われたり、何ぞ更に問わん。」又問うて、「衣法は誰か得たる。」祖師は言った。「能くする者は得たり。」是に於いて衆人は盧行者の名が能なりと議論し、尋訪すれども已に無く、暗に是れ彼の得たるを知り、便ち一齊に奔逐した。五祖は既に衣法を付し、又四年を過ぎ、上元二年に至り忽然として衆人に告げて曰く、「我は如今事已わる、時は行くべし。」便ち室に入り、安坐して逝した。壽七十四。黄梅の東山に塔を建つ。代宗は大滿禪師・法雨之塔と諡す。

六祖慧能大師者

六祖慧能大師、

俗姓盧氏。其先範陽人。父行瑫。武德中左官於南海之新州。遂占籍焉。三歲喪父。其母守志。鞠養及長。家尤貧窶。師樵採以給。一日負薪至市中。聞客讀金剛經。至應無所住而生其心。有所感悟。而問客曰。此何法也。得於何人。客曰。此名金剛經。得於黃梅忍大師。祖遽告其母以為法尋師之意。直抵韶州。遇高行士劉志略。結為交友。尼無盡藏者。即志略之姑也。常讀涅槃經。師暫聽之。即為解說其義。尼遂執卷問字。祖曰。字即不識。義即請問。尼曰。字尚不識。曷能會義。祖曰。諸佛妙理。非關文字。尼驚異之。告鄉裡耆艾曰。能是有道之人。宜請供養。於是居人競來瞻禮。近有寶林古寺舊地。眾議營緝。俾祖居之。四眾霧集。俄成寶坊。祖一日忽自唸曰。我求大法。豈可中道而止。明日遂行。至昌樂縣西山石室間遇智遠禪師。祖遂請益。遠曰。觀子神姿爽拔。殆非常人。吾聞西域菩提達磨傳心印於黃梅。汝當往彼參決。祖辭去。直造黃梅之東山。即唐咸亨二年也。忍大師一見。默而識之。後傳衣法。令隱於懷集四會之間。至儀鳳元年丙子正月八日。屆南海。遇印宗法師於法性寺講涅槃經。祖寓止廊廡間。暮夜。風颺剎幡。聞二僧對論。一曰幡動。一曰風動。往復酬答。曾未契理。祖曰。可容俗流輙預高論否。直以風幡非動。動自心耳。印宗竊聆此語。竦然異之。明日。邀祖入室。徵風幡之義。祖具以理告。印宗不覺起立曰。行者定非常人。師為是誰。祖更無所隱。直敘得法因由。於是印宗執弟子之禮。請授禪要。乃告四眾曰。印宗具足凡夫。今遇肉身菩薩。乃指座下盧居士曰。即此是也。因請出所傳信衣。悉令瞻禮。至正月十五日。會諸名德。為之剃髮。二月八日。就法性寺智光律師授滿分戒。其戒壇。即宋朝求那䟦陀三藏之所置也。三藏記雲。後當有肉身菩薩在此壇受戒。

俗姓は盧。その先人は范陽の人。父は行瑫、武德年間に南海の新州に貶官せられ、便ち彼處に占籍した。三歳にして父を喪い、彼の母は志を守りて撫養した。長ずるに及んで、家は愈々貧窶。老師は樵採を以て供給した。一日薪を負いて市に至り、客が《金剛經》を讀むを聞き、「應無所住而生其心」に至りて感じ悟る所有り、便ち客に問うた。「是れ何の法か、何人に得たるか。」客は言った。「是れ《金剛經》と名づく、黄梅の忍大師に得たり。」祖師は直ちに母に告げ、法の為に師を尋ぬるの意を說いた。韶州に直抵して、高行士の劉志略に遇い、交友と結ばれた。尼の無盡藏はすなわち志略の姑。常に《涅槃經》を讀す。老師は暫く聴き、便ち彼女に其の義を解說した。尼は便ち卷を執りて字を問うた。祖師は言った。「字は即ち識らず、義は即ち問うべし。」尼は言った。「字尚ほ識らず、焉んぞ能く義を會せん。」祖師は言った。「諸仏の妙理、文字に關はらず。」尼は驚異し、郷里の耆老に告げて曰く、「能は有道の人なり、請うて供養すべし。」是に於いて居人は爭い來りて瞻禮した。近した。近處に寶林古寺の舊地あり、衆人は商議して營緝し、祖師をして住せしめた。四衆は霧の如く集まり來り、久しからずして寶坊と成った。祖師は一日忽然として自ら念じた。「我は大法を求む、豈に中道に止まらんや。」翌日便ち行った。昌樂県西山の石室の間に至りて智遠禪師に遇う。祖師は便ち益を請うた。智遠は言った。「お前の神姿爽拔を看るに、大概常人に非ず。我は聞く、西域の菩提達磨は心印を黄梅に傳えりと。お前は當に彼處に往きて參決すべし。」祖師は辭し去りて、直に黄梅の東山に造る、すなわち唐咸亨二年なり。忍大師は一見して、默默として彼を識得した。後に衣法を傳え、彼をして懷集・四會の間に隱れしめた。儀鳳元年丙子正月八日に至り、南海に到り、印宗法師が法性寺に於いて《涅槃經》を講ずるに遇う。祖師は廊廡の間に寄住した。暮夜、風が刹幡を颺げ、兩個の僧人が對論するを聞き、一は幡動と言い、一は風動と言い、來回に酬答して、未だ理に契せず。祖師は言った。「俗流を容れて亦た此の高論に預からしめんか。直ちに是れ風・幡は皆動に非ず、動は自己の心より出づるのみ。」印宗は暗に此の語を聞き、竦然として驚異した。明日、祖師を邀えて室に入れ、風幡の義を徵問した。祖師は理を一々彼に告げた。印宗は覺えず起立して曰く、「行者は一定に常人に非ず。老師は誰か。」祖師は更に隱す所なく、直に得法の因由を叙した。是に於いて印宗は弟子禮を執り、禪要を授けんことを請うた。便ち四衆に告げて曰く、「印宗は具足凡夫なり、如今肉身菩薩に遇う。」便ち座下の盧居士を指して曰く、「即ち是の人。」因って所傳の信衣を出さしめんことを請い、皆瞻禮せしめた。正月十五日に至り、諸の名德を會集し、彼に剃髮せしめた。二月八日、法性寺に就いて智光律師より滿分戒を授かる。其の戒壇はすなわち宋朝の求那跋陀三藏の置く所。三藏の記に曰く、「後に當に肉身菩薩ありて此の壇に於いて戒を受けん。」

又梁末真諦三藏於壇之側手植二菩提樹。謂眾曰。卻後一百二十年。有大開士於此樹下演無上乘。度無量眾。祖具戒已。於此樹下開東山法門。宛如宿契。明年二月八日。忽謂眾曰。吾不願此居。欲歸舊隱。即印宗與緇白千餘人。送祖歸寶林寺。韶州刺史韋據。請於大梵寺轉妙法輪。並受無相心地戒。門人紀錄。目為壇經。盛行於世。後返曹溪。雨大法雨。學者不下千數。中宗神龍元年降詔雲。朕請安秀二師宮中供養。萬機之暇。每究一乘。二師並推讓曰。南方有能禪師。密受忍大師衣法。可就彼問。今遣內侍薛簡馳詔迎請。願師慈念。速赴上京。祖上表辭疾。願終林麓。簡曰。京城禪德皆雲。欲得會道。必須坐禪習定。若不因禪定而得解脫者。未之有也。未審師所說法如何。祖曰。道由心悟。豈在坐也。經云。若見如來。若坐若臥。是行邪道。何故。無所從來。亦無所去。若無生滅。是如來清淨禪。諸法空寂。是如來清淨坐。究竟無證。豈況坐邪。簡曰。弟子回。主上必問。願和尚慈悲。指示心要。祖曰。道無明暗。明暗是代謝之義。明暗無盡。亦是有盡。相待立名。故經云。法無有比。無相待故。簡曰。明喻智慧。暗況煩惱。修道之人。儻不以智慧照破煩惱。無始生死。憑何出離。祖曰。煩惱即是菩提。無二無別。若以智慧照煩惱者。此是二乘小見。羊鹿等機。大智上根。悉不如是。簡曰。如何是大乘見解。祖曰。明與無明。其性無二。無二之性。即是實性。實性者。處凡愚而不減。在賢聖而不增。住煩惱而不亂。居禪定而不寂。不斷不常。不來不去。不在中間。及其內外。不生不滅。性相如如。常住不遷。名之曰道。簡曰。師說不生不滅。何異外道。祖曰。外道所說不生不滅者。將滅止生。以生顯滅。滅猶不滅。生說無生。我說不生不滅者。本自無生。今亦無滅。所以不同外道。汝若欲知心要。

又梁末の眞諦三藏は壇の傍に自ら兩棵の菩提樹を種え、衆人に對して曰く、「往後一百二十年、大開士ありて此の樹下に於いて無上乘を演び、無量の衆を度さん。」祖師は具戒を受け畢り、此の樹下に於いて東山法門を開き、宛如として宿契。明年二月八日、忽然として衆人に對して曰く、「我は此に住せんことを欲せず、舊隱に歸らんと欲す。」是れすなわち印宗と緇白一千餘人、祖師を送りて寶林寺に回らしめた。韶州刺史の韋據、請うて大梵寺に於いて妙法輪を轉じ、且つ無相心地戒を受く。門人は紀錄し、題して《壇經》と作す、世に盛行せり。後に曹溪に返回し、大法雨を雨らせ、學者は一千を下らず。中宗神龍元年に詔を降して曰く、「朕は安・秀二師を請じて宮中に供養す。萬機の暇、毎々一乘を究む。二師は皆推讓して曰く、南方に能禪師あり、密かに忍大師の衣法を受け、彼處に就いて問うべしと。如今内侍の薛簡を遣はして詔を馳せ迎請せん。願はくは老師は慈念して、速かに上京に赴け。」祖師は上表して病を以て推辭し、林麓に終老せんことを願う。薛簡は言った。「京城の禪德は皆曰く、道を得會せんと欲せば、必ず坐禪習定を須う。禪定に因らずして解脫を得るは、此の事有ること無しと。老師の說く所の法は如何に。」祖師は言った。「道は心より悟る、豈に坐に在らんや。經に說く、若し如來が若しくは坐し若しくは臥するを見るは、是れ邪道を行ず。何を以てか。來る所なく、亦た去る所なし。若し生滅無ければ、是れ如來淸淨禪。諸法空寂は、是れ如來淸淨坐。究竟に證なく、何を況んや坐をや。」薛簡は言った。「弟子は歸らば、主上必ず問わん。願はくは和尚は慈悲して、心要を指示せよ。」祖師は言った。「道に明闇無し。明闇は代謝の義なり。明闇は盡き無しと言うも、亦た盡有り。相待して名を立つ。故に經に曰く、法に比有ること無し、相待無きが故に。」薛簡は言った。「明は智慧に譬え、闇は煩惱に比況す。道を修する人、若し智慧を用いて照破して煩惱せずば、無始の生死、何を以てか出離せん。」祖師は言った。「煩惱は即ち是れ菩提、二無く別無し。若し智慧を用いて煩惱を照らば、是れ二乘の小見、羊鹿等の機なり。大智上根は、皆是の如くならず。」薛簡は言った。「如何にか是れ大乘の見解。」祖師は言った。「明と無明、其の性は二無し。二無き之性は、即ち是れ實性。實性は、凡愚に處りて減せず、賢聖に在りて增せず、煩惱に住して乱れず、禪定に居して寂せず。斷ぜず常ならず、來らず去らず、中間と其の内外に在らず、生せず滅せず。性相如如にして、常住して遷らず、名づけて道と曰う。」薛簡は言った。「老師の說く不生不滅は、外道と何の異同か有らん。」祖師は言った。「外道の說く不生不滅は、滅を將て生を止め、生を將て滅を顯はす。滅は還た滅せず、生は無生と說く。我が說く不生不滅は、本より生無く、今も亦た滅無し。故に外道に同じからず。お前若し心要を知らんと欲せば、

但一切善惡都莫思量。自然得入清淨心體。湛然常寂。妙用恆沙。簡蒙指教。豁然大悟。禮辭歸闕。表奏祖語。有詔謝師。並賜磨衲袈裟.絹五百匹.寶缽一口。十二月十九日。勑改古寶林為中興寺。三年十一月十八日。又勑韶州刺史重加崇飾。賜額為法泉寺。祖新州舊居為國恩寺。一日。祖謂眾曰。諸善知識。汝等各各淨心。聽吾說法。汝等諸人。自心是佛。更莫狐疑。外無一物而能建立。皆是本心生萬種法故。經云。心生種種法生。心滅種種法滅。若欲成就種智。須達一相三昧。一行三昧。若於一切處而不住相。彼相中不生憎愛。亦無取捨。不念利益成壞等事。安閑恬靜。虗融澹泊。此名一相三昧。若於一切處。行住坐臥。純一直心。不動道場。真成淨土。名一行三昧。若人具二三昧。如地有種。能含藏長養。成就其實。一相一行。亦復如是。我今說法。猶如時雨溥潤大地。汝等佛性。譬諸種子。遇茲霑洽。悉得發生。承吾旨者。決獲菩提。依吾行者。定證妙果。先天元年告諸四眾曰。吾忝受忍大師衣法。今為汝等說法。不付其衣。葢汝等信根淳熟。決定不疑。堪任大事。聽吾偈曰。心地含諸種。普雨悉皆生。頓悟華情已。菩提果自成。說偈已。復曰。其法無二。其心亦然。其道清淨。亦無諸相。汝等慎勿觀淨及空其心。此心本淨。無可取捨。各自努力。隨緣好去。甞有僧舉臥輪禪師偈曰。臥輪有伎倆。能斷百思想。對境心不起。菩提日日長。祖聞之曰。此偈未明心地。若依而行之。是加繫縛。因示一偈曰。慧能沒伎倆。不斷百思想。對境心數起。菩提作麼長(臥輪非名即住處也)。祖說法利生。經四十載。其年七月六日。命弟子往新州國恩寺。建報恩塔。仍令倍工。又有蜀僧。名方辯。來謁曰。善揑塑。祖正色曰。試塑看。方辯不領旨。乃塑祖真。可高七尺。曲盡其妙。祖觀之曰。汝善塑性。

(六祖は続けて曰く:)只だ一切の善惡を思量せずんば、自然に淸淨の心體に入ることを得、湛然として常寂、妙用は恆沙の如し。」薛簡は指教を蒙り、豁然として大悟し、禮して辭して闕に歸り、祖師の言を表奏した。詔ありて師に謝し、且つ磨衲袈裟・絹五百匹・寶鉢一口を賜う。十二月十九日、敕して古寶林を改めて中興寺と爲す。三年十一月十八日、又韶州刺史に敕して重ねて崇飾せしめ、額を賜うて法泉寺と爲す。祖師の新州の舊居を國恩寺と爲す。一日、祖師は衆人に對して曰く、「諸の善知識、お前たち各々心を淨め、我が說法を聽け。お前たち諸人、自心は即ち佛、更に狐疑すること莫れ。外に一物の建立し得る者無し、皆是れ本心が萬種の法を生ずるが故なり。經に曰く、心が生ずれば種種の法生じ、心が滅すれば種種の法滅すと。若し種智を成就せんと欲せば、須く一相三昧・一行三昧に達すべし。若し一切處に於いて相に住せざれば、其の相の中に憎愛を生ぜず、亦た取捨無く、利益成壞等の事を念ぜず、安閑恬靜・虛融淡泊、是れ名づけて一相三昧と曰う。若し一切處に於いて、行住坐臥、純一に直心し、道場を動かさず、眞に淨土を成ずるは、名づけて一行三昧と曰う。若し人が此の兩種の三昧を具すれば、地に種有るが如く、含藏長養し、其の果實を成就す。一相・一行も、亦是の如し。我如今法を說くは、猶ほ時雨が普遍に大地を潤すが如し。お前たちの佛性は、譬へば種子の如く、此の沾洽に遇ひて、皆發生することを得。我が旨を承くる者は、決して菩提を獲ん。我が行に依る者は、定めて妙果を證せん。」先天元年、諸の四衆に告げて曰く、「我は忝くも忍大師の衣法を受け、如今お前たちに法を說くも、其の衣は付さず。お前たちの信根淳熟にして、決定して疑はず、大事に堪へたるを以てなり。我が偈を聽け、『心地に諸種を含み、普く雨すれば悉く皆生ず。頓悟して華情已れば、菩提の果は自ら成る。』」偈を說き畢り、又曰く、「其の法に二無く、其の心も亦是の如し。其の道は淸淨にして、亦た諸相無し。お前たちは愼んで淨を觀じて其の心を空にすること莫れ。此の心は本より淨にして、取捨すべき無し。各自に努力して、縁に随い好く去れ。」かつて僧あり、臥輪禪師の偈を舉げて曰く、「臥輪に伎倆有り、能く百思想を斷ず。境に對して心起らず、菩提は日々に長ず。」祖師は之を聞いて曰く、「此の偈は未だ心地を明かさず。若し依りて行ぜば、是れ繫縛を加ふ。」因って一偈を示した、「慧能は伎倆無し、百思想を斷ぜず。境に對して心數起り、菩提は作麼にか長ぜん。」(臥輪は名字に非ず、即ち住處なり。)祖師は法を說き生を利すること、四十年を經た。其の年七月六日、弟子に命じて新州國恩寺に往きて報恩塔を建てしめ、還た功を倍せしめた。又蜀僧あり、名を方辯と曰い、來りて謁して曰く、「善く捏塑す。」祖師は正色して曰く、「試みに塑して看よ。」方辯は旨を領會せず、便ち祖師の眞を塑り、高さ約七尺、曲盡して其の妙なり。祖師は之を看て曰く、「お前は塑性を善くすれども、

不善佛性。酬以衣物。辯禮謝而去。先天二年七月一日。謂門人曰。吾欲歸新州。汝速理舟檝。時大眾哀慕。乞師且住。祖曰。諸佛出現。猶示涅槃。有來必去。理亦常然。吾此形骸。歸必有所。眾曰。師從此去。早晚卻回。祖曰。葉落歸根。來時無口。又問。師之法眼。何人傳受。祖曰。有道者得。無心者通。又問。後莫有難否。祖曰。吾滅後五六年。當有一人來取吾首。聽吾記曰。頭上養親。口裡須飱。遇滿之難。楊柳為官。又曰。吾去七十年。有二菩薩從東方來。一在家。一齣家。同時興化。建立吾宗。締緝伽藍。昌隆法嗣。言訖。往新州國恩寺。沐浴跏趺而化。異香襲人。白虹矚地。即其年八月三日也。時韶新兩郡。各修靈塔。道俗莫決所之。兩郡刺史。共焚香祝曰。香菸引處。即師之慾歸焉。時鑪香騰湧。直貫曹溪。以十一月十三日入塔。壽七十六。時韶州刺史韋據撰碑。門人憶念取首之記。遂先以鐵葉漆布固護師頸。塔中有達磨所傳信衣。(西域屈眴布也。緝木𦄋華心織成。後人以碧絹為裡)。中宗賜磨衲寶缽。以辯塑真道具等。主塔侍者屍之。開元十年壬戌八月三日。夜半。忽聞塔中如拽鐵索聲。僧眾驚起。見一孝子從塔中走出。尋見師頸有傷。具以賊事聞於州縣。縣令楊侃.刺史柳無忝得牒。切加擒捉。五月於石角村捕得賊人。送韶州鞠問。雲。姓張名淨滿。汝州梁縣人。於洪州開元寺受新羅僧金大悲錢二十千。令取六祖大師首。歸海東供養。柳守聞狀。未即加刑。乃躬至曹溪。問祖上足令韜曰。如何處斷。韜曰。若以國法論。理須誅夷。但以佛教慈悲。冤親平等。況彼欲求供養。罪可恕矣。柳守嘉歎曰。始知佛門廣大。遂赦之(爾後。甚有名賢贊述。檀施珍異。文繁不錄)。上元元年肅宗遣使就請師衣缽。歸內供養。至永泰元年五月五日。代宗夢六祖大師請衣缽。七日。

佛性を善くせず。」衣物を以て彼に酬いた。方辯は禮謝して去った。先天二年七月一日、門人に對して曰く、「我は新州に歸らんと欲す、お前たち速かに舟楫を料理せよ。」當時大衆は哀慕し、老師に且く住まらんことを求めた。祖師は曰く、「諸佛の出現、還た涅槃を示す。來有れば必ず去る、理は常然なり。我が此の形骸、歸れば必ず所あらん。」衆は曰く、「老師此より去れば、早晚に却って回るか。」祖師は曰く、「葉落ちて根に歸す、來る時口無し。」又問うて、「老師の法眼、何人か傳受せん。」祖師は曰く、「道有る者は得、心無き者は通ず。」又問うて、「後來難有ること莫れや。」祖師は曰く、「我が滅後五六年、當に一人ありて來りて我が首を取らん。我が記を聽け、頭上親を養い、口裏須く餐し、滿の難に遇う、楊柳官と為る。」又曰く、「我が去る七十年、二菩薩の東方より來る有らん、一は在家、一は出家、同時に興化して、我が宗を建立し、伽藍を締緝し、法嗣を昌隆せしめん。」說き畢り、新州國恩寺に往き、沐浴して跏趺して化した。異香人を襲い、白虹地を照らす。即ち是の年八月三日。當時韶・新兩郡は各々靈塔を修め、道俗は往く所を決する能はず。兩郡の刺史は一齊に香を焚き祝して曰く、「香煙の引き至る所、即ち老師の歸せんと欲する所。」當時爐香は騰涌して、直に曹溪に貫いた。十一月十三日塔に入る。壽七十六。當時韶州刺史の韋據は碑を撰す。門人は取首の記を憶念し、便ち先に鐵葉漆布を以て老師の頸を固護した。塔の中に達磨の傳へし信衣(西域の屈眴布、木棉華心を緝して織り成る。後人は碧絹を以て裏と作す)、中宗の賜へる磨衲寶鉢、及び方辯の塑れる眞・道具等あり、主塔侍者の掌る所。開元十年壬戌八月三日の夜半、忽然として塔の中に鐵索を拽くが如き聲を聞いた。僧衆は驚き起き、一孝子の塔中より走出するを見た。隨りて老師の頸上に傷有るを見、賊の事を一々州縣に報した。縣令の楊侃・刺史の柳無忝は牒を得て、嚴に擒捉を加えた。五月、石角村に於いて賊人を捕得し、韶州に送りて審問した。曰く、姓は張名は淨滿、汝州梁縣の人、洪州開元寺に於いて新羅僧の金大悲より錢二十千を受け、六祖大師の首を取り、海東に歸りて供養せしめんとすと。柳守は情狀を聞き、未だ刑を加えず、便ち自ら曹溪に至り、祖師の上足の令韜に問うて曰く、「如何にか處斷せん。」令韜は曰く、「若し國法を以て論ずれば、理は當に誅夷すべし。但し佛教の慈悲を按ずれば、冤親平等なり。何を況んや彼は供養を求め、罪は恕すべきなり。」柳守は嘉嘆して曰く、「始めて佛門の廣大なるを知る。」便ち彼を赦した。(此の後甚だ名賢の讚述・檀施の珍異あり、文は繁く錄せず。)上元元年、肅宗は使者を遣はして老師の衣鉢を請ひ、內に歸りて供養せしめた。永泰元年五月五日に至り、代宗は六祖大師が衣鉢を請ふを夢見た。七日、

勑刺史楊瑊曰。朕夢感禪師請傳法袈裟卻歸曹溪。今遣鎮國大將軍劉崇景頂戴而送。朕謂之國寶。卿可於本寺如法安置。專令僧眾。親承宗旨者。嚴加守護。勿令遺墜。後或為人偷竊。皆不遠而獲。如是者數四。憲宗諡大鑒禪師。塔曰元和靈照。皇朝開寶初。王師平南海劉氏。殘兵作梗。祖之塔廟。鞠為煨燼。而真身為守塔僧保護。一無所損。尋有制興修。功未竟。會太宗皇帝即位。留心禪宗。頗增壯麗焉。

刺史の楊瑊に敕して曰く、「朕は夢に感ず、禪師が傳法袈裟を請ひて曹溪に歸らんことを。如今鎭國大將軍の劉崇景を遣はし、頂戴して送らしめん。朕は之を國寶と呼ばん。卿は本寺に於いて法の如く安置し、專ら僧衆に令して宗旨を親承する者をして、嚴に守護を加え、遺墜せしむること莫れ。」後に時として人の竊取せしこと有るも、皆遠からずして拿獲せり、此の如く幾度か數を経た。憲宗は大鑑禪師と諡し、塔は元和靈照と曰う。本朝開寶の初、王師は南海劉氏を平げ、殘兵は梗を作した。祖師の塔廟は、悉く灰燼と成れり、而して眞身は守塔僧の保護せしを以て、一も損する所無し。久しからず制ありて興修す。功未だ畢らずして、太宗皇帝の即位に遇い、禪宗を留心し、愈々増し壯麗と爲した。

五燈會元卷第一

五燈會元卷第二

四祖大醫禪師旁出法嗣第一世

四祖大醫禪師の旁出法嗣第一世

牛頭山法融禪師者

牛頭山法融禪師、

潤州延陵人也。姓韋氏。年十九。學通經史。尋閱大部般若。曉達真空。忽一日歎曰。儒道世典。非究竟法。般若正觀。出世舟航。遂隱茅山。投師落髮。後入牛頭山幽棲寺北巖之石室。有百鳥銜華之異。唐貞觀中。四祖遙觀氣象。知彼山有奇異之人。乃躬自尋訪。問寺僧。此間有道人否。曰。出家兒那箇不是道人。祖曰。阿那箇是道人。僧無對。別僧曰。此去山中十里許。有一懶融。見人不起。亦不合掌。莫是道人麼。祖遂入山。見師端坐自若。曾無所顧。祖問曰。在此作甚麼。師曰。觀心。祖曰。觀是何人。心是何物。師無對。便起作禮曰。大德高棲何所。祖曰。貧道不決所止。或東或西。師曰。還識道信禪師否。祖曰。何以問他。師曰。嚮德滋久。冀一禮謁。祖曰。道信禪師。貧道是也。師曰。因何降此。祖曰。特來相訪。莫更有宴息之處否。師指後面曰。別有小庵。遂引祖至庵所。遶庵。唯見虎狼之類。祖乃舉兩手作怖勢。師曰。猶有這箇在。祖曰。這箇是甚麼。師無語。少選。祖卻於師宴坐石上書一佛字。師覩之竦然。祖曰。猶有這箇在。師未曉。乃稽首請說真要。祖曰。夫百千法門。同歸方寸。河沙妙德。總在心源。一切戒門.定門.慧門.神通變化。悉自具足。不離汝心。一切煩惱業障。本來空寂。一切因果。皆如夢幻。無三界可出。無菩提可求。人與非人。性相平等。大道虗曠。絕思絕慮。如是之法。汝今已得。更無闕少。與佛何殊。更無別法。汝但任心自在。莫作觀行。亦莫澄心。莫起貪嗔。莫懷愁慮。蕩蕩無礙。任意縱橫。不作諸善。不作諸惡。行住坐臥。觸目遇緣。總是佛之妙用。快樂無憂。故名為佛。師曰。心既具足。何者是佛。何者是心。祖曰。非心不問佛。問佛非不心。師曰。既不許作觀行。於境起時。心如何對治。祖曰。境緣無好醜。好醜起於心。心若不強名。

潤州延陵の人。姓は韋。十九歳にして、經史に學び通ず。隨るに大部の般若を讀み、真空に曉達す。忽然として一日嘆じて曰く、「儒道の世典は、究竟の法に非ず。般若の正觀、方に是れ出世の舟航なり。」便ち茅山に隱居し、師に投じて髮を落した。後に牛頭山幽棲寺北巖の石室に進み、百鳥が花を銜ぶの異象有り。唐貞觀年間、四祖は遙かに氣象を觀て、那の山に奇異の人有るを知り、便ち自ら尋訪した。寺僧に問うた、「此處に道人有るか。」曰く、「出家人は阿箇か道人ならざらん。」祖師は曰く、「阿箇か是れ道人。」僧は對えず。別の僧は曰く、「此處より山中に去ること約十里、一懶融あり、人を見て起たず、亦た合掌せず。道人有ること莫れや。」祖師は便ち山に入り、老師の端坐自若として、全く顧る所無きを見た。祖師は問うた、「此處に在りて何をか作す。」老師は曰く、「心を觀ず。」祖師は曰く、「觀は是れ何人、心是れ何物。」老師は對えず、便ち身を起し禮を作して曰く、「大德は何の所在に高栖するか。」祖師は曰く、「貧道は止まる所を決せず、或いは東或いは西。」老師は曰く、「還た道信禪師を識るか。」祖師は曰く、「何を以てか彼を問う。」老師は曰く、「那の德に向往すること久し、一たび禮謁せんことを冀う。」祖師は曰く、「道信禪師は、貧道是れなり。」老師は曰く、「何を因りてか此處に降る。」祖師は曰く、「特地に來りて相訪す。可に宴息の處所あらんか。」老師は後を指して曰く、「別に小庵有り。」便ち祖師を引きて庵所に至る。庵を繞るに、只だ虎狼の類を見る。祖師は便ち兩手を舉げて怖勢を作した。老師は曰く、「猶ほ此の個の在ることあらん。」祖師は曰く、「此の個は是れ何。」老師は語無し。許りを過ぎ、祖師は却って老師の宴坐の石上に一個の佛字を寫した。老師は見て、竦然たり。祖師は曰く、「猶ほ此の個の在ることあらん。」老師は未だ曉らず、便ち稽首して真要を說かんことを請うた。祖師は曰く、「那の百千法門、同じく方寸に歸す。河沙の妙德、總じて心源に在り。一切の戒門・定門・慧門・神通變化、皆自己に具足し、お前の心を離れず。一切の煩惱業障、本より空寂。一切の因果、皆夢幻の如し。出ずべき三界無く、求むべき菩提無し。人と非人、性相平等。大道は虛曠にして、思を絶ち慮を絶つ。此の如きの法、お前は如今已に得たり、更に缺少無く、佛と何の異るか有らん、更に別の法無し。お前は只管に心に任せ自在せよ、觀行を作すこと莫れ、亦た心を澄ますこと莫れ、貪瞋を起すこと莫れ、愁慮を懷くこと莫れ、蕩蕩として礙無く、意のままに縱橫し、諸の善を作さず、諸の惡を作さず。行住坐臥、目に觸れ緣に遇うは、總じて是れ佛の妙用、快樂無憂、故に名づけて佛と曰う。」老師は曰く、「心は既に具足、阿箇をか佛と為し、阿箇をか心と為す。」祖師は曰く、「心に非ざれば佛を問はず、佛を問へば心に非らず。」老師は曰く、「既に觀行を作すことを許さず、境起る時に於いて、心は如何にか對治せん。」祖師は曰く、「境緣に好醜無し。好醜は心より起る。心若し強く名づけざれば、

妄情從何起。妄情既不起。真心任徧知。汝但隨心自在。無復對治。即名常住法身。無有變異。吾受璨大師頓教法門。今付於汝。汝今諦受吾言。只住此山。向後當有五人達者。紹汝玄化。祖付法訖。遂返雙峰終老。師自爾法席大盛。唐永徽中。徒眾乏糧。師往丹陽緣化。去山八十里。躬負米一石八斗。朝往暮還。供僧三百。二時不闕。三年。邑宰蕭元善請於建初寺講大般若經。聽者雲集。至滅靜品。地為之震動。講罷歸山。博陵王問師曰。境緣色發時。不言緣色起。云何得知緣。乃欲息其起。師曰。境色初發時。色境二性空。本無知緣者。心量與知同。照本發非發。爾時起自息。抱暗生覺緣。心時緣不逐。至如未生前。色心非養育。從空本無念。想受言念生。起發未曾起。豈用佛教令。問曰。閉目不見色。境慮乃便多。色既不關心。境從何處發。師曰。閉目不見色。內心動慮多。幻識假成用。起名終不過。知色不關心。心亦不關人。隨行有相轉。鳥去空中真。問曰。境發無處所。緣覺了知生。境謝覺還轉。覺乃變為境。若以心曳心。還為覺所覺。從之隨隨去。不離生滅際。師曰。色心前後中。實無緣起境。一念自疑忘。誰能計動靜。此知自無知。知知緣不會。當自檢本形。何須求域外。前境不變謝。後念不來今。求月執玄影。討跡逐飛禽。欲知心本性。還如視夢裡。譬之六月氷。處處皆相似。避空終不脫。求空復不成。借問鏡中像。心從何處生。問曰。恰恰用心時。若為安隱好。師曰。恰恰用心時。恰恰無心用。曲譚名相勞。直說無繁重。無心恰恰用。常用恰恰無。今說無心處。不與有心殊。問曰。智者引妙言。與心相會當。言與心路別。合則萬倍乖。師曰。方便說妙言。破病大乘道。非關本性譚。還從空化造。無念為真常。終當絕心路。離念性不動。生滅無乖悞。谷響既有聲。鏡像能回顧。問曰。

(四祖は続けて曰く:)妄情は何の處より起る。妄情は既に起らず、眞心は遍知に任す。お前は只管に心に随い自在せよ、更に對治せざれば、即ち名づけて常住法身と曰う、變異無し。我は璨大師の頓教法門を受け、如今お前に付す。お前は如今諦かに我が言を受け、只だ此の山に住せよ。往後當に五人の達者有りて、お前の玄化を紹繼せん。」祖師は法を付し畢り、便ち雙峰に返りて終老した。老師は此より法席大いに盛ん。唐永徽年間、徒衆は糧を缺いた。老師は丹陽に往きて緣化し、山を離るること八十里、自ら米一石八斗を負い、朝に往き暮に還り、僧三百を供して、兩時も缺かず。三年、邑宰の蕭元善は請うて建初寺に於いて《大般若《大般若經》を講ぜしめ、聽く人は雲の如く聚まった。滅靜品に至りて、地は因って震動した。講じ畢りて山に回る。博陵王は老師に問うた、「境緣色發の時、言はず緣色起。云何にか知ることを得、緣に乃ち其の起を息めんと欲す。」老師は曰く、「境色初めて發るの時、色境は二性空。本より緣を知る者無く、心量は知と同じ。本を照すは發に非ず、爾の時起りは自ら息む。暗を抱きて覺緣を生じ、心の時緣は逐はず。未だ生前に至らずんば、色心は養育に非ず。空に從りて本より念無く、想受は言念を生ず。起發は曾て起らず、豈に佛教令を用いん。」問うて、「目を閉ぢて色を見ず、境慮は乃ち便ち多し。色は既に心に關はらず、境は何の處より發る。」老師は曰く、「目を閉ぢて色を見ず、内心は動慮多し。幻識は假に成用し、名を起して終に過ぎず。色は心に關はらざるを知り、心も亦た人に關はらず。行に随行相轉有り、鳥去りて空中真。」問うて、「境發は處所無く、緣覺は了知を生ず。境謝し覺は還轉して、覺は乃ち變じて境と爲る。若し心を以て心を曳けば、還た覺の覺する所と爲る。之に從い随随に去り、生滅の際を離れず。」老師は曰く、「色心は前後中に、實に緣起境無し。一念自ら疑忘す、誰か能く動靜を計らん。此の知は自ら知無く、知知は緣會せず。當に自ら本形を檢すべし、何ぞ須く域外を求めん。前境は變謝せず、後念は今に來らず。月を求めて玄影を執り、跡を討ちて飛禽を逐う。心の本性を知らんと欲せば、還た夢裏を視るが如し。之を譬へば六月の冰、處處に皆相似たり。空を避けて終に脫せず、空を求めて復た成らず。借問す、鏡中の像、心は何の處より生ず。」問うて、「恰恰に心を用ゆるの時、若しくは安隱を以て好しと爲すか。」老師は曰く、「恰恰に心を用ゆるの時、恰恰に心を用うること無し。曲談は名相を勞し、直說は繁重無し。心無ければ恰恰に用い、常に用いて恰恰に無し。今心無き處を說く、心有ると殊にせず。」問うて、「智者は妙言を引き、心と會當せしむ。言は心路と別れ、合すれば萬倍も乖る。」老師は曰く、「方便に妙言を說き、病を破して大乘の道。本性の談に關はらず、還た空化より造る。念無きを眞常と爲し、終に當に心路を絶つべし。念を離れて性は動かず、生滅に乖誤無し。谷響は既に聲有り、鏡像は能く回顧す。」問うて、

行者體境有。因覺知境亡。前覺及後覺。並境有三心。師曰。境用非體覺。覺罷不應思。因覺知境亡。覺時境不起。前覺及後覺。並境有三遲。問曰。住定俱不轉。將為正三昧。諸業不能牽。不知細無明。徐徐躡其後。師曰。復聞別有人。虗執起心量。三中事不成。不轉還虗妄。心為正受縛。為之淨業障。心塵萬分一。不了說無明。細細習因起。徐徐名相生。風來波浪轉。欲靜水還平。更欲前途說。恐畏後心驚。無念大獸吼。性空下霜雹。星散穢草摧。縱橫飛鳥落。五道定紛綸。四魔不前卻。既如猛火燎。還如利劒斫。問曰。賴覺知萬法。萬法本來然。若假照用心。只得照用心。不應心裡事。師曰。賴覺知萬法。萬法終無賴。若假照用心。應不在心外。問曰。隨隨無揀擇。明心不現前。復慮心闇昧。在心用功行。智障復難除。師曰。有此不可有。尋此不可尋。無揀即真擇。得闇出明心。慮者心冥昧。存心託功行。何論智障難。至佛方為病。問曰。折中消息間。實亦難安怗。自非用行人。此難終難見。師曰。折中欲消息。消息非難易。先觀心處心。次推智中智。第三照推者。第四通無記。第五解脫名。第六等真偽。第七知法本。第八慈無為。第九徧空陰。第十雲雨被。最盡彼無覺。無明生本智。鏡像現三業。幻人化四衢。不住空邊盡。當照有中無。不出空有內。未將空有俱。號之名折中。折中非言說。安怗無處安。用行何能決。問曰。別有一種人。善解空無相。口言定亂一。復道有中無。同證用常寂。知覺寂常用。用心會真理。復言用無用。智慧方便多。言亂與理合。如如理自如。不由識心會。既知心會非。心心復相泯。如是難知法。永劫不能知。同此用心人。法所不能化。師曰。別有證空者。還如前偈論。行空守寂滅。識見暫時翻。會真是心量。終知未了原。又說息心用。多智疑相似。良由性不明。

(博陵王は続けて問う:)「行者は境有るを體して、覺に因りて境の亡ぶを知る。前覺と後覺、境を併せて三心有り。」老師は曰く、「境用は體覺に非ず、覺を罷みて應じて思ふべからず。覺に因りて境の亡ぶを知る、覺の時境は起らず。前覺及び後覺、境を併せて三遲有り。」問うて、「定に住して俱に轉ぜず、將に正三昧と爲さんとす。諸業は牽くこと能はず、細き無明を知らず、徐徐に其の後を蹑む。」老師は曰く、「復た聞く別の人に、虛執して心量を起す。三中は事成らず、轉ぜずして還た虛妄。心は正受の爲に縛せられ、之が爲に淨業障。心塵の萬分の一、了せずして無明と說く。細細習因に起り、徐徐に名相を生ず。風來りて波浪轉じ、靜まらんと欲すれば水は還た平ら。更に前途の說を欲す、恐畏して後心驚かん。念無きは大獸の吼、性空は霜雹を下す。星散して穢草摧れ、縱橫に飛鳥落つ。五道は定めて紛綸し、四魔は前却せず。既に猛火の燎かるが如く、還た利劍の斫るが如し。」問うて、「覺に賴りて萬法を知る、萬法は本來然り。若し照用心を假れば、只だ照用心を得るのみ、心裏の事に應ぜず。」老師は曰く、「覺に賴りて萬法を知る、萬法は終に賴る所無し。若し照用心を假れば、應に心外に在らず。」問うて、「随随に揀擇無く、明心は現前せず。復た慮る心暗昧に、心に在りて功行を用い、智障は復た除き難しと。」老師は曰く、「此有るは有すべからず、此を尋ぬるは尋ぬべからず。揀無きは即ち真の擇、暗を得て明心を出づ。慮る者は心冥昧、心を存して功行に托す。何ぞ智障の難を論せん、佛に至りて方に病と爲る。」問うて、「折中消息の間、實に亦た安帖し難し。用行の人に非ざれば、此の難は終に見難し。」老師は曰く、「折中は消息せんと欲す、消息は難易に非ず。先づ心の處の心を觀じ、次いで智の中の智を推す。第三に推す者を照し、第四に無記を通ず。第五は解脫と名づけ、第六に真偽を等し。第七は法本を知り、第八は慈の無爲。第九は遍く空陰し、第十は雲雨の被すが如し。最盡彼の無覺、無明は本智を生ず。鏡像は三業を現じ、幻人は四衢を化す。空辺に住せずして盡き、當に有の中の無を照すべし。空有の内を出でず、未だ空有を俱に將せず。號して之を折中と名づく。折中は言說に非ず。安帖は安んずる處無く、用行は何ぞ能く決せん。」問うて、「別に一種の人有り、善く空と無相とを解す。口に定乱一と言い、復た有の中の無と道う。同く寂を證し、常に寂を用ゆ。心を用いて真理に會し、復た用うること無用と言う。智慧方便多く、言乱は理と合す。如如の理は自如にして、識心の會するに由らず。既に心會の非を知り、心心は復た相い泯す。是の如き難知の法、永劫も知る能はず。此に同じく心を用ゆる人、法の化し得る所に非ず。」老師は曰く、「別に空を證する者有り、還た前の偈論の如し。空を行じて寂滅を守り、識見は暫時に翻る。眞に會するは心量、終に未了の原を知る。又心を息むの用を說く、智多くして疑ふこと相似たり。良く由るは性の明ならざるに在り、

求空且勞己。永劫住幽識。抱相都不知。放光便動地。於彼欲何為。問曰。前件看心者。復有羅縠難。師曰。看心有羅縠。幻心何待看。況無幻心者。從容下口難。問曰。久有大基業。心路差互間。得覺微細障。即達於真際。自非善巧師。無能決此理。仰惟我大師。當為開要門。引導用心者。不令失正道。師曰。法性本基業。夢境成差互。實相微細身。色心常不悟。忽逢混沌士。哀怨愍群生。託疑廣設問。抱理內常明。生死幽徑徹。毀譽心不驚。野老顯分答。法相媿來儀。蒙發群生藥。還如色性為。顯慶元年。邑宰蕭元善請住建初。師辭不獲免。遂命入室上首智巖付囑法印。令以次傳授。將下山。謂眾曰。吾不復踐此山矣。時鳥獸哀號。踰月不止。庵前有四大桐樹。仲夏之月。忽自凋落。明年正月二十三日。不疾而逝。窆於雞籠山。

(融禪師は続けて曰く:)空を求むるは且く己を勞す。永劫に幽識に住し、相を抱きて皆知らず。光を放ちて便ち地を動かす、彼に於いて何をか為さんと欲す。」問うて、「前面の看心する人は、還た羅縠の難有り。」老師は曰く、「看心に羅縠有り、幻心は何ぞ看るを待たん。況んや幻心無き者は、從容に下口難し。」問うて、「久く大基業有り、心路は差互の間。微細の障を覺え得れば、即ち真際に達す。自ら善巧の師に非ざれば、此の理を決する能はず。仰ぎ惟る我が大師、當に要門を開かんことを爲に。用心する者を引導して、正道を失はしめず。」老師は曰く、「法性は本基業、夢境は差互を成す。實相は微細身、色心は常に悟らず。忽ち混沌の士に逢ひ、哀怨して群生を愍む。疑に托して廣く問を設け、理を抱きて內に常明。生死は幽徑に徹し、毁譽は心驚かず。野老は顯分の答、法相は來儀に愧ぢ。群生の藥を發すを蒙り、還た色性の爲するが如し。」顯慶元年、邑宰の蕭元善は請うて建初に住せしめんとした。老師は推辭して免れ得ず、便ち入室上首の智巖に命じて法印を付囑し、次いで傳授せしめた。將に山を下らんとし、衆人に對して曰く、「我は此の山を踏むことを再びせず。」當時鳥獸哀號し、一月を過ぎて止まず。庵前に四棵の大桐樹あり、仲夏の月、忽然として自ら凋落した。明年正月二十三日、病まずして逝した。鷄籠山に葬る。

四祖下二世(旁出)

四祖下二世(旁出)

金陵牛頭山融禪師法嗣

金陵牛頭山融禪師法嗣

牛頭山智巖禪師者

牛頭山智巖禪師、

曲阿人也。姓華氏。弱冠智勇過人。身長七尺六寸。隋大業中為郎將。常以弓掛一濾水囊。隨行所至汲用。累從大將徵討。頻立戰功。唐武德中。年四十。遂乞出家。入舒州皖公山。從寶月禪師為弟子。後一日宴坐。覩異僧身長丈餘。神姿爽拔。詞氣清朗。謂師曰。卿八十生出家。宜加精進。言訖不見。甞在谷中入定。山水暴漲。師怡然不動。其水自退。有獵者遇之。因改過修善。復有昔同從軍者二人。聞師隱遁。乃共入山尋之。既見。因謂師曰。郎將狂邪。何為住此。師曰。我狂欲醒。君狂正發。夫嗜色淫聲。貪榮冐寵。流轉生死。何由自出。二人感悟。歎息而去。師後謁融禪師發明大事。融謂師曰。吾受信大師真訣。所得都亡。設有一法勝過涅槃。吾說亦如夢幻。夫一塵飛而翳天。一芥墮而覆地。汝今已過此見。吾復何雲。山門化導。當付之於汝。師稟命為第二世。後以正法付方禪師。師住白馬.棲玄兩寺。又遷石頭城。於儀鳳二年正月十日示滅。顏色不變。屈伸如生。室有異香。經旬不歇。遺言水塟焉。

曲阿の人。姓は華。弱冠の時智勇は人に過ぎ、身長七尺六寸。隋大業年間、郎將を爲し、常に弓に一個の濾水囊を掛け、行く所に隨いて汲用した。屢々大將に從いて征討し、頻りに戰功を立てた。唐武德年間、四十歳にして、便ち出家を求め、舒州皖公山に進み、寶月禪師に從いて弟子と爲った。後に一日宴坐して、異僧の身長一丈餘、神姿爽拔、詞氣淸朗を見て、老師に對して曰く、「卿は八十生の出家、加えるに精進すべし。」說き畢りて見えず。かつて谷中に於いて定に入り、山水暴長すれども、老師は怡然として動かず、其の水は自ら退いた。獵者ありて彼に遇い、因って過を改め善を修した。又從前同じく軍に從った二人あり、老師の隱遁を聞き、便ち一齊に山に入りて彼を尋ねた。既に見て、便ち老師に對して曰く、「郎將は狂せるか。何を以てか此處に住する。」老師は曰く、「我が狂は將に醒めんとす、君の狂は正に發す。那の色に嗜み聲に淫し、榮を貪り寵を冒して、生死に流轉す、何を以てか自ら出づる。」二人は感悟し、嘆息して去った。老師は後に融禪師に謁し、大事を發明した。融は老師に對して曰く、「我は信大師の真訣を受け、得る所皆亡す。假令涅槃に勝るる一法あるとも、我が說くも夢幻の如し。一塵飛ばば便ち天を翳し、一芥墮ちば便ち地を覆う。お前は如今已に此の見を過ぐ、我は還た何をか說かん。山門の化導、當にお前に付すべし。」老師は命を禀けて第二世と爲った。後に正法を方禪師に付した。老師は白馬・栖玄兩寺に住し、又石頭城に遷った。儀鳳二年正月十日、示滅した。顏色變らず、屈伸は生けるが如し。室に異香あり、十日を過ぎて歇まず。遺言は水葬なり。

金陵鍾山曇璀禪師者

金陵鍾山曇璀禪師、

吳郡人也。姓顏氏。初謁融禪師。融目而奇之。乃告之曰。色聲為無生之鴆毒。受想是至人之坑穽。子知之乎。師默而審之。大悟玄旨。尋晦跡鍾山。多歷年所。茅庵瓦缶。以終老焉。唐天授三年二月六日。恬然入定。七日而滅。

吳郡の人。姓は顏。初め融禪師に謁す。融は彼を看て、奇と爲し、便ち彼に告げて曰く、「色聲は無生の鴆毒、受想は至人の坑穽。お前は知るか。」老師は默默として審察し、玄旨に大悟した。隨って晦跡して鍾山に隱れ、年所を歴ること多し。茅庵瓦缶、以て終老した。唐天授三年二月六日、恬然として定に入り、七日にして滅した。

四祖下三世四世(旁出)(不列章次)

四祖下三世・四世(旁出)(章次を列せず)

四祖下五世(旁出)

四祖下五世(旁出)

金陵牛頭山持禪師法嗣

金陵牛頭山持禪師法嗣

牛頭山智威禪師者

牛頭山智威禪師、

江寧人也。姓陳氏。依天寶寺統法師出家。謁法持禪師。傳授正法。自爾江左學徒。皆奔走門下。有慧忠者。目為法器。師甞有偈示曰。□□莫繫念。念成生死河。輪迴六趣海。無見出長波。忠答曰。念想由來幻。性自無終始。若得此中意。長波當自止。師又示偈曰。餘本性虗無。緣妄生人我。如何息妄情。還歸空處坐。忠答曰。虗無是實體。人我何所存。妄情不須息。即汎般若船。師知其了悟。乃付以院事。隨緣化導。終於延祚寺。

江寧の人。姓は陳。天寶寺の統法師に依りて出家す。法持禪師に謁し、正法を傳授せられた。此より江左の學徒は皆門下に奔走した。慧忠あり、法器と看なされた。老師はかつて偈を以て開示した、「□□念を繫ぐること莫れ、念は生死河と成る。輪回は六趣の海、見る無くして長波を出づ。」慧忠は答えた、「念想は由來幻、性は自ら終始無し。若し此の中意を得れば、長波は當に自ら止まん。」老師は又偈を示した、「我が本性は虛無、妄に緣りて人我を生ず。如何にしてか妄情を息め、還た空處に坐せん。」慧忠は答えた、「虛無は是れ實體、人我は何の存する所か。妄情は須く息めず、即ち般若船に泛べ。」老師は彼の了悟するを知り、便ち院事を彼に付した。縁に隨い化導し、延祚寺に終わった。

四祖下六世(旁出)

四祖下六世(旁出)

金陵牛頭山威禪師法嗣

金陵牛頭山威禪師法嗣

牛頭山慧忠禪師者

牛頭山慧忠禪師、

潤州人也。姓王氏。年二十三。受業於莊嚴寺。聞威禪師出世。乃往謁之。威才見曰。山主來也。師感悟微旨。遂給侍左右。後辭。詣諸方巡禮。威於具戒院。見凌霄藤遇夏萎悴。人慾伐之。因謂之曰。勿剪。慧忠還時。此藤更生。及師回。果如其言。即以山門付囑訖。出居延祚寺。師平生一衲不易。器用唯一鐺。甞有供僧糓兩廩。盜者窺伺。虎為守之。縣令張遜者。至山頂謁。問師。有何徒弟。師曰。有三五人。遜曰。如何得見。師敲禪床。有三虎哮吼而出。遜驚怖而退。後眾請入城。居莊嚴舊寺。師欲於殿東別創法堂。先有古木。群鵲巢其上。工人將伐之。師謂鵲曰。此地建堂。汝等何不速去。言訖。群鵲乃遷巢他樹。初築基。有二神人定其四角。復潛資夜役。遂不日而就。繇是四方學徒雲集。得法者有三十四人。各住一方。轉化多眾。師有安心偈曰。人法雙淨。善惡兩忘。直心真實。菩提道場。大曆三年石室前掛鐺樹.掛衣藤忽盛夏枯死。四年六月十五日。集僧布薩訖。命侍者淨髮浴身。至夜有瑞雲覆其精舍。空中復聞天樂之聲。詰旦。怡然坐化。時風雨暴作。震折林木。復有白虹貫於巖壑。五年春。茶毗。獲舍利不可勝計。

潤州の人。姓は王。二十三歳、莊嚴寺に於いて受業す。威禪師の出世を聞き、便ち往きて謁した。威は纔かに見て曰く、「山主來れり。」老師は微旨を感悟し、便ち左右に給侍した。後に辭別し、諸方に往きて巡禮した。威は具戒院に在り、凌霄藤の夏に趕きて萎悴するを見て、人は之を伐らんと欲した。便ち曰く、「剪ること莫れ。慧忠が回る時、此の藤は再生せん。」老師の回るに及び、果たして其の言の如し。便ち山門を付囑し畢り、出でて延祚寺に住した。老師は平生一件の衲衣を換えず、器用は一口の鐺のみ。かつて僧を供する穀兩廩あり、盜者は窺伺したれども、虎が彼の爲に之を守った。縣令の張遜は山頂に至りて謁し、老師に問うた、「何の徒弟か有る。」老師は曰く、「三五人有り。」張遜は曰く、「如何にしてか見ることを得ん。」老師は禪床を敲くに、三隻の虎ありて哮吼して出でた。張遜は驚怖して退下した。後に衆人は城に入れんことを請い、莊嚴の舊寺に住した。老師は殿東に別に法堂を創らんと欲した。先に古木有り、群鵲は其の上に巢を築く。工人は將に之を伐らんとした。老師は鵲に對して曰く、「此の地は堂を建つ、お前たちは何ぞ速かに去らざる。」說き畢り、群鵲は便ち巢を遷して別樹に移った。初め基を築くに、二神人ありて其の四角を定め、又暗に夜役を資助し、便ち日を不て成った。此より四方の學徒は雲集す。法を得たるは三十四人、各々一方に住して、衆多を轉化した。老師に安心の偈あり、「人法雙く淨め、善惡兩つ忘る。直心は真實、菩提の道場。」大曆三年、石室前の鐺を掛くる樹・衣を掛くる藤、忽然として盛夏に枯死した。四年六月十五日、僧を集めて布薩し畢り、侍者に命じて髮を淨め身を浴せしめた。夜に至りて瑞雲は其の精舍を覆い、空中に又天樂の聲を聞いた。翌朝、怡然として坐化した。當時風雨暴作し、林木を震折し、又白虹は巖壑に貫いた。五年春、荼毗して、舍利を獲ること數ふべからず。

宣州安國寺玄挺禪師

宣州安國寺玄挺禪師

初參威禪師。侍立次。有講華嚴僧問。真性緣起。其義云何。威良久。師遽召曰。大德。正興一念問時。是真性中緣起。其僧言下大悟。或問。南宗自何而立。曰。心宗非南北。

初め威禪師に參す。侍立する時、《華嚴》を講ずる僧ありて問うた、「真性の緣起、那の義は如何に。」威は良久。老師は便ち召して曰く、「大德、正に一念の問を興すの時、即ち是れ真性の中の緣起。」其の僧は言下に大悟した。人ありて問うて曰く、「南宗は何より立つるか。」曰く、「心宗は南北に非ず。」

舒州天柱山崇慧禪師者

舒州天柱山崇慧禪師、

彭州人也。姓陳氏。唐乾元初。往舒州天柱山創寺。永泰元年賜額。僧問。如何是天柱境。師曰。主簿山高難見日。玉鏡峰前易曉人。問。達磨未來此土時。還有佛法也無。師曰。未來且置。即今事作麼生。曰。某甲不會。乞師指示。師曰。萬古長空。一朝風月。僧無語。師復曰。闍梨會麼。曰。不會。師曰。自己分上作麼生。幹他達磨來與未來作麼。他家來。大似賣卜漢。見汝不會。為汝錐破卦文。才生吉㐫。盡在汝分上。一切自看。僧曰。如何是解卜底人。師曰。汝才出門時。便不中也。問。如何是天柱家風。師曰。時有白雲來閉戶。更無風月四山流。問。亡僧遷化向甚麼處去也。師曰。𤅬嶽峰高長積翠。舒江明月色光暉。問。如何是大通智勝佛。師曰。曠大劫來。未曾壅滯。不是大通智勝佛是甚麼。曰。為甚麼佛法不現前。師曰。只為汝不會。所以成不現前。汝若會去。亦無佛可成。問。如何是道。師曰。白雲覆青嶂。蜂蝶戀庭華。問。從上諸聖有何言說。師曰。汝今見吾有何言說。問。宗門中事。請師舉唱。師曰。石牛長吼真空外。木馬嘶時月隱山。問。如何是和尚利人處。師曰。一雨普滋。千山秀色。問。如何是天柱山中人。師曰。獨步千峰頂。優遊九曲泉。問。如何是西來意。師曰。白猿抱子來青嶂。蜂蝶銜華綠蘂間。大曆十四年歸寂。塔于山之北。

彭州の人。姓は陳。唐乾元の初、舒州天柱山に往きて寺を創めた。永泰元年、額を賜う。僧は問うた、「如何にしてか天柱の境。」老師は曰く、「主簿山は高くして日を見難し、玉鏡峰前は人を曉り易し。」問うて、「達磨は此の土に來らざる時、還た佛法有りや。」老師は曰く、「來らざるは且く放け。即今の事は作麼生。」曰く、「某甲は會せず、老師の指示を求む。」老師は曰く、「萬古の長空、一朝の風月。」僧は語無し。老師は又曰く、「闍梨は會するか。」曰く、「會せず。」老師は曰く、「自己の分上は作麼生。達磨の來ると來らざるとを干して作麼。他家が來るは、大いに卜を賣る漢に似たり。お前の會せざるを見て、お前に卦文を錐破し、纔かに吉凶を生ぜしむ、盡くお前の分上に在り、一切自己看よ。」僧は曰く、「如何にしてか卜を解する人。」老師は曰く、「お前は纔かに門を出づる時、便ち中らず。」問うて、「如何にしてか天柱の家風。」老師は曰く、「時に白雲ありて來りて戸を閉ぢ、更に風月は四山に流れず。」問うて、「亡僧は遷化して何の處か向かって去る。」老師は曰く、「灊岳の峰は高くして長く翠を積み、舒江の明月は色光暉り。」問うて、「如何にしてか大通智勝佛。」老師は曰く、「曠大劫より來り、未だ曾て壅滯せず。大通智勝佛に非ずんば是れ何ぞ。」曰く、「何を以てか佛法は現前せざる。」老師は曰く、「只だお前の會せざるが爲、故に現前せざるを成す。お前若し會するを得れば、亦た成す可き佛無し。」問うて、「如何にしてか道。」老師は曰く、「白雲は青嶂を覆い、蜂蝶は庭花に戀う。」問うて、「上よりの諸聖は何の言說か有る。」老師は曰く、「お前は如今我を見て何の言說か有る。」問うて、「宗門の中の事、老師の擧唱を請ふ。」老師は曰く、「石牛は長吼して真空の外、木馬は嘶く時に月は山に隱る。」問うて、「如何にしてか和尚の利人の處。」老師は曰く、「一雨は普く滋し、千山は秀色。」問うて、「如何にしてか天柱山中の人。」老師は曰く、「獨り歩む千峰の頂、優游たり九曲の泉。」問うて、「如何にしてか西來意。」老師は曰く、「白猿は子を抱きて青嶂に來り、蜂蝶は花を銜びて綠蕊の間。」大曆十四年歸寂した。塔は山の北に在り。

潤州鶴林玄素禪師者

潤州鶴林玄素禪師、

延陵人也。姓馬氏。晚參威禪師。遂悟性宗。後居鶴林寺。一日有屠者禮謁。願就所居辦供。師欣然而往。眾皆見訝。師曰。佛性平等。賢愚一致。但可度者。吾即度之。復何差別之有。僧問。如何是西來意。師曰。會即不會。疑即不疑。又曰。不會不疑底。不疑不會底。有僧扣門。師問。是甚麼人。曰。是僧。師曰。非但是僧。佛來亦不著。曰。為甚麼不著。師曰。無汝棲泊處。

延陵の人。姓は馬。晚年に威禪師に參し、便ち性宗を悟れた。後に鶴林寺に住す。一日屠者ありて禮謁し、所居に就きて供を辦せんことを願う。老師は欣然として前往した。衆人皆之を見て驚いた。老師は曰く、「佛性は平等、賢愚は一致。但だ度すべきは、我即ち之を度す、又た何の差別か有らん。」僧は問うた、「如何にしてか西來意。」老師は曰く、「會すれば即ち會せず、疑へば即ち疑はず。」又曰く、「會せずして疑はずんば、疑はずして會せず。」僧ありて門を扣く。老師は問うた、「是れ何人か。」曰く、「是れ僧。」老師は曰く、「非但僧なり、佛來りても著けず。」曰く、「何を以てか著けざる。」老師は曰く、「お前に栖泊の處無し。」

四祖下七世(旁出)

四祖下七世(旁出)

金陵牛頭山忠禪師法嗣

金陵牛頭山忠禪師法嗣

天台山佛窟巖惟則禪師者

天臺山佛窟巖惟則禪師、

京兆人也。姓長孫氏。初謁忠禪師。大悟玄旨。乃曰。天地無物也。物我無物也。雖無物也。而未甞無物也。如此。則聖人如影。百姓如夢。孰為死生哉。至人以是能獨照。能為萬物主。吾知之矣。遂南遊天台。隱於瀑布之西巖。元和中慕道者日至。有弟子可素。遂築室廬。漸成法席。佛窟之稱自師始也。僧問。如何是那羅延箭。師曰。中的也。忽一日告門人曰。汝其勉之。閱一日。跏趺而寂。後三年。塔全身於本山(唐韓文公撰碑。今存國清寺)。

京兆の人。姓は長孫。初め忠禪師に謁し、玄旨に大悟し、便ち曰く、「天地に物無し。物我に物無し。物無しと雖も、未だ曾て物無きにあらず。此の如くなれば、則ち聖人は影の如く、百姓は夢の如し、誰をか死生と爲さん。至人は此を以て能く獨り照らし、能く萬物の主と爲る。我は之を知る。」便ち南に天臺に遊び、瀑布の西巖に隱れた。元和年間、道を慕う人は日に至った。弟子の可素あり、便ち室廬を築き、漸く法席と成った。佛窟の稱は老師より始まる。僧は問うた、「如何にしてか那羅延の箭。」老師は曰く、「的を中つ。」忽然として一日門人に告げて曰く、「お前たち勉勵せよ。」一日を過ぎ、跏趺して寂した。後三年を過ぎ、全身を本山に塔す。(唐の韓文公は碑を撰す、如今國淸寺に存す。)

鶴林素禪師法嗣

鶴林素禪師法嗣

杭州徑山道欽禪師者

杭州徑山道欽禪師、

蘇州崑山人也。姓朱氏。初服膺儒教。年二十八。遇素禪師。謂之曰。觀子神氣溫粹。真法寶也。師感悟。因求為弟子。素躬與落髮。乃戒之曰。汝乘流而行。逢徑即止。師遂南邁。抵臨安。見東北一山。因問樵者。樵曰。此徑山也。乃駐錫焉。僧問。如何是道。師曰。山上有鯉魚。海底有蓬塵。馬祖令人送書到。書中作一圓相。師發緘。於圓相中著一點。卻封回(忠國師聞。乃雲。欽師猶被馬師惑)。問。如何是祖師西來意。師曰。汝問不當。曰。如何得當。師曰。待吾滅後。即向汝說。馬祖令智藏來問。十二時中以何為境。師曰。待汝回去時有信。藏曰。如今便回去。師曰。傳語卻須問取曹溪。崔趙公問。弟子今欲出家。得否。師曰。出家乃大丈夫事。非將相之所能為。公於是有省。唐大曆三年。代宗詔至闕下。親加瞻禮。一日。同忠國師在內庭坐次。見帝駕來。師起立。帝曰。師何以起。師曰。檀越何得向四威儀中見貧道。帝悅。謂國師曰。欲錫欽師一名。國師欣然奉詔。乃賜號國一焉。後辭歸本山。於貞元八年十二月示疾。說法而逝。諡大覺禪師。

蘇州崑山の人。姓は朱。初め儒教を服膺した。二十八歳、素禪師に遇う。素は彼に對して曰く、「お前の神氣は溫粹を看るに、真に法寶なり。」老師は感悟し、因って弟子を爲るを求めた。素は自ら彼に落髮せしめ、便ち誡めて曰く、「お前は流に乘じて行き、徑に逢うて止まれ。」老師は便ち南に行き、臨安に抵り、東北の一山を見て、便ち樵者に問うた。樵は曰く、「此れは徑山。」便ち彼處に錫を駐めた。僧は問うた、「如何にしてか道。」老師は曰く、「山上に鯉魚有り、海底に蓬塵有り。」馬祖は人を遣はして書を送り至らしめた。書の中に一個の圓相を作す。老師は緘を開き、圓相の中に一点を著け、却って封して回らしめた。(忠國師は之を聞きて、便ち曰く、「欽師は還た馬師に惑はされてをる。」)問うて、「如何にしてか祖師西來意。」老師は曰く、「お前の問は當らず。」曰く、「如何にしてか當を得ん。」老師は曰く、「我が滅するを待ちて、更に向かってお前に說かん。」馬祖は智藏を令して來りて問はしめた、「十二時の中に何を以てか境と爲す。」老師は曰く、「お前の回るを待ちて信有らん。」智藏は曰く、「如今便ち回る。」老師は曰く、「傳話は却って須く曹溪に問取せよ。」崔趙公は問うた、「弟子は如今出家せんと欲す、行不行。」老師は曰く、「出家は乃ち大丈夫の事、將相の爲し得る所に非ず。」公は是に於いて省あり。唐大曆三年、代宗は闕下に詔し、自ら瞻禮を加えた。一日、忠國師と同じく內庭に坐して、帝駕の來るを見た。老師は起立した。帝は曰く、「老師は何を以てか起つ。」老師は曰く、「檀越は何ぞ四威儀の中に向かって貧道を見ることを得ん。」帝は悅び、國師に對して曰く、「欽師に一個の名を賜はらんと欲す。」國師は欣然として詔を奉じ、便ち號を國一と賜うた。後に辭して本山に歸った。貞元八年十二月、疾を示し、法を說いて逝した。諡して大覺禪師と曰う。

四祖下八世(旁出)

四祖下八世(旁出)

佛窟則禪師法嗣

佛窟則禪師法嗣

天台山雲居智禪師

天臺山雲居智禪師

甞有華嚴院。僧繼宗問。見性成佛。其義云何。師曰。清淨之性。本來湛然。無有動搖。不屬有無.淨穢.長短.取捨.體自翛然。如是明見。乃名見性。性即佛。佛即性。故曰見性成佛。曰。性既清淨。不屬有無。因何有見。師曰。見無所見。曰。既無所見。何更有見。師曰。見處亦無。曰。如是見時。是誰之見。師曰。無有能見者。曰。究竟其理如何。師曰。汝知否。妄計為有。即有能所。乃得名迷。隨見生解。便墮生死。明見之人即不然。終日見。未甞見。求名處體相不可得。能所俱絕。名為見性。曰。此性徧一切處否。師曰。無處不徧。曰。凡夫具否。師曰。上言無處不徧。豈凡夫而不具乎。曰。因何諸佛菩薩不被生死所拘。而凡夫獨縈此苦。何曾得徧。師曰。凡夫於清淨性中計有能所。即墮生死。諸佛大士善知清淨性中不屬有無。即能所不立。曰。若如是說。即有能了不了人。師曰。了尚不可得。豈有能了人乎。曰。至理如何。師曰。我以要言之。汝即應念清淨性中無有凡聖。亦無了不了人。凡之與聖。二俱是名。若隨名生解。即墮生死。若知假名不實。即無有當名者。又曰。此是極究竟處。若雲我能了.彼不能了。即是大病。見有淨穢.凡聖。亦是大病。作無凡聖解。又屬撥無因果。見有清淨性可棲止。亦大病。作不棲止解。亦大病。然清淨性中。雖無動搖。且不壞方便應用。及興慈運悲。如是興運之處。即全清淨之性。可謂見性成佛矣。繼宗踴躍。禮謝而退。

かつて華嚴院の僧の繼宗あり、問うて曰く、「性を見て佛と成る、那の義は如何に。」老師は曰く、「淸淨の性は、本來湛然として、動搖無く、有無・淨穢・長短・取捨に屬せず、體は自ら翛然たり。此の如く明見するを、纔かに名づけて見性と曰う。性は即ち是れ佛、佛は即ち是れ性、故に見性成佛と說く。」問うて、「性は既に淸淨、有無に屬せざれば、何を因りてか見有る。」老師は曰く、「見る所無きを見。」問うて、「既に見る所無ければ、何ぞ更に見有らん。」老師は曰く、「見る處も亦た無し。」問うて、「此の如く見る時、是れ誰の見か。」老師は曰く、「能く見る者無し。」問うて、「究竟那の理は如何に。」老師は曰く、「お前は知るか。妄計して有と爲せば、便ち能所有り、纔かに迷と名づくることを得。見に隨いて解を生ぜば、便ち生死に墮す。明見の人は則ち是の如くならず。終日に見れども、未だ曾て見ず。名・處・體・相を求むるも得る可からず。能所は俱に絶し、名づけて見性と曰う。」問うて、「此の性は一切處に遍しや。」老師は曰く、「遍せざる處無し。」問うて、「凡夫は具有するか。」老師は曰く、「上面に遍せざる處無しと說く、豈に凡夫は則ち具せざらんや。」問うて、「何を因りてか諸佛菩薩は生死に拘らざる、而して凡夫は獨り此の苦に縈る。何ぞ曾て遍を得たる。」老師は曰く、「凡夫は淸淨性の中に能所有るを計り、便ち生死に墮す。諸佛大士は善く淸淨性の中に有無に屬せざるを知り、便ち能所を立てず。」問うて、「若し此の說くが如くならば、便ち能了・不了の人有らん。」老師は曰く、「了は尚ほ得る可からず、豈に能了の人有らんや。」問うて、「至理は如何に。」老師は曰く、「我は要處を以て說く。お前は即ち當に念るべし、淸淨性の中に凡聖無く、亦た了・不了の人無し。凡と聖、兩方皆是れ名。若し名に隨いて解を生ぜば、便ち生死に墮す。若し假名の不實を知れば、便ち其の名に當る者無し。」又曰く、「此れは極究竟の處。若し我が能了・他は不能了と說かば、即ち大病なり。淨穢・凡聖を見るも、亦是れ大病。凡聖無しの解を作すも、又た因果を撥無するに屬す。淸淨性の栖止すべきあるを見るも、亦是れ大病。栖止せざるの解を作すも、亦是れ大病。然れども淸淨性の中に動搖無しと雖も、且つ方便應用、及び慈を興し悲を運ぶを壞らず。此の如く興運の處、即ち是れ全淸淨の性、見性成佛と說くべし。」繼宗は踊躍して、禮謝して退いた。

徑山國一欽禪師法嗣

徑山國一欽禪師法嗣

杭州鳥窠道林禪師

杭州鳥窠道林禪師

本郡富陽人也。姓潘氏。母朱氏。夢日光入口。因而有娠。及誕。異香滿室。遂名香光。九歲出家。二十一於荊州果願寺受戒。後詣長安西明寺復禮法師學華嚴經.起信論禮示以真妄頌。俾修禪那。師問曰。初云何觀。云何用心。禮久而無言。師三禮而退。屬代宗詔國一禪師至闕。師乃謁之。遂得正法。及南歸孤山永福寺。有辟支佛塔。時道俗共為法會。師振錫而入。有靈隱寺韜光法師問曰。此之法會。何以作聲。師曰。無聲誰知是會。後見秦望山有長松。枝葉繁茂。盤屈如葢。遂棲止其上。故時人謂之鳥窠禪師。復有鵲巢於其側。自然馴狎。人亦目為鵲巢和尚。有侍者會通。忽一日欲辭去。師問曰。汝今何往。對曰。會通為法出家。和尚不垂慈誨。今往諸方學佛法去。師曰。若是佛法。吾此間亦有少許。曰。如何是和尚佛法。師於身上拈起布毛吹之。通遂領悟玄旨。元和中。白居易侍郎出守茲郡。因入山謁師。問曰。禪師住處甚危險。師曰。太守危險尤甚。白曰。弟子位鎮江山。何險之有。師曰。薪火相交。識性不停。得非險乎。又問。如何是佛法大意。師曰。諸惡莫作。眾善奉行。白曰。三歲孩兒也解恁麼道。師曰。三歲孩兒雖道得。八十老人行不得。白作禮而退。師於長慶四年二月十日告侍者曰。吾今報盡。言訖坐亡(有云師名圓修者。恐是諡號)。

本郡富陽の人。姓は潘。母の朱氏、日光の口に入るを夢見、因って娠有り。誕生に及んで、異香室に滿ち、便ち名づけて香光と曰う。九歳にて出家。二十一歳、荊州果願寺に於いて戒を受く。後に長安西明寺に至り、復禮法師に從い《華嚴經》・《起信論》を學ぶ。復禮は真妄の頌を出示し、彼をして禪那を修せしめた。老師は問うた、「初め如何にしてか觀じ、如何にしてか心を用ゆる。」復禮は良久話無し。老師は三禮して退いた。代宗が國一禪師を闕に詔するに遇い、老師は便ち謁見し、是に於いて正法を得た。南歸して孤山永福寺に及び、辟支佛の塔有り。當時道俗は共に法會を作した。老師は錫を振りて入った。靈隱寺の韜光法師ありて問うた、「此の法會、何を以てか聲を作す。」老師は曰く、「聲無ければ誰か是れ會と知らん。」後に秦望山に長松有るを見て、枝葉繁茂し、盤屈して蓋の如く、便ち其の上に栖止し、故に當時の人は彼を鳥窠禪師と呼んだ。又鵲の巢は傍に有りて、自然に馴狎し、人も亦た彼を鵲巢和尚と稱した。侍者の會通あり、忽然として一日辭去せんと欲した。老師は問うた、「お前は如今何の處に往く。」對えて曰く、「會通は法の爲に出家す、和尚は慈誨を垂れず、如今諸方に往きて佛法を學ばん。」老師は曰く、「若し佛法ならば、我が此處にも少許有り。」問うて、「如何にしてか和尚の佛法。」老師は身上より布毛を拈起して吹いた。會通は便ち玄旨を領悟した。元和年間、白居易侍郎は出でて此の郡を守り、因って山に入りて老師に謁した。問うて、「禪師の住處は甚だ危險。」老師は曰く、「太守は危險更に甚し。」白居易は曰く、「弟子は位として江山を鎭む、何の險か有らん。」老師は曰く、「薪火相交はり、識性は停まらず、險ならざるを得んや。」又問うて、「如何にしてか佛法の大意。」老師は曰く、「諸の惡は作すこと莫れ、衆の善は奉行せよ。」白居易は曰く、「三歳の孩兒も解して此の如く道えり。」老師は曰く、「三歳の孩兒は道えると雖も、八十の老人は行い得ず。」白居易は禮を作して退いた。老師は長慶四年二月十日、侍者に告げて曰く、「我は如今報盡く。」說き畢りて坐亡した。(老師の名は圓修と說く者あり、諡號なるを恐る。)

五祖大滿禪師旁出法嗣第一世

五祖大滿禪師の旁出法嗣第一世

北宗神秀禪師者(耶舍三藏誌雲。艮地生玄旨。通尊媚亦尊。比肩三九族。足下一毛分)

北宗神秀禪師、(耶舍三藏の志に曰く、艮地に玄旨生じ、通尊は媚亦是れ尊。比肩は三九の族、足下は一毛の分。)

開封人也。姓李氏。少親儒業。博綜多聞。俄捨愛出家。尋師訪道。至蘄州雙峰東山寺。遇五祖以坐禪為務。乃歎伏曰。此真吾師也。誓心苦節。以樵汲自役。而求其道。祖默識之。深加器重。祖既示滅。秀遂住江陵當陽山。唐武后聞之。召至都下。於內道場供養。特加欽禮。命於舊山置度門寺。以旌其德。時王公士庶皆望塵拜伏。暨中宗即位。尤加禮重。大臣張說甞問法要。執弟子禮。師有偈示眾曰。一切佛法。自心本有。將心外求。捨父逃走。神龍二年於東都天宮寺入滅。諡大通禪師。羽儀法物。送殯於龍門。帝送至橋。王公士庶皆至塟所。張說及徵士盧鴻一各為碑誄。門人普寂.義福等。並為朝野所重。

開封の人。姓は李。少年より儒業を親しみ、博綜多聞。久しからず愛を捨て出家し、師を尋ね道を訪ふ。蘄州雙峰東山寺に至り、五祖が坐禪を務とするに遇い、便ち嘆服して曰く、「此れ真に我が老師。」心を誓して苦節し、樵汲を以て自己を役して其の道を求めた。祖師は默默として彼を識得し、深く器重した。祖師は既に示滅し、神秀は便ち江陵當陽山に住した。唐の武后は之を聞き、都下に召し、內道場に於いて供養し、特に欽禮を加え、舊山に度門寺を置きて命じ、以て其の德を旌表せしめた。當時王公士庶は皆塵を望みて拜伏した。中宗の即位に及び、禮重するを加ふ。大臣の張說はかつて法要を問ひ、弟子禮を執った。老師は偈ありて衆に示した、「一切の佛法、自心に本來有り。心を將て外に求むるは、父を捨てて逃走す。」神龍二年、東都天宮寺に於いて入滅した。諡して大通禪師と曰う。羽儀法物、殯を送りて龍門に至る。帝は橋に送り、王公士庶は皆葬所に至った。張說と徵士の盧鴻一、各々碑誄を作る。門人の普寂・義福等、皆朝野に重ぜられた。

嵩嶽慧安國師(耶舍三藏誌雲。九女出人倫。八女絕婚姻。朽床添六腳。心祖眾中尊)

嵩岳慧安國師(耶舍三藏の志に曰く、九女は人倫を出づ、八女は婚姻を絶つ。朽牀は六脚を添え、心祖は衆中の尊。)

荊州枝江人也。姓衛氏。隋開皇十七年括天下私度僧尼。勘師。師曰。本無名。遂遁于山谷。大業中。大發丁夫開通濟渠。饑殍相枕。師乞食以救之。獲濟者眾。煬帝徵師。不赴。潛入大和山。暨帝幸江都。海內擾攘。乃杖錫登衡嶽。行頭陀行。唐貞觀中。至黃梅謁忍祖。遂得心要。麟德元年遊終南山石壁。因止焉。高宗甞召。師不奉詔。於是徧歷名跡。至嵩少。雲。是吾終焉之地也。自爾禪者輻湊。有坦然.懷讓二僧來參問曰。如何是祖師西來意。師曰。何不問自己意。曰。如何是自己意。師曰。當觀密作用。曰。如何是密作用。師以目開合示之。然於言下知歸。讓乃即謁曹溪。武后徵至輦下。待以師禮。與秀禪師同加欽重。後甞問師。甲子多少。師曰。不記。後曰。何不記邪。師曰。生死之身。其若循環。環無起盡。焉用記為。況此心流注。中間無間。見漚起滅者。乃妄想耳。從初識至動相滅時。亦只如此。何年月而可記乎。後聞稽顙。信受。神龍二年中宗賜紫袈裟。度弟子二七人。仍延入禁中供養。三年。又賜摩衲。辭歸嵩嶽。是年三月三日。囑門人曰。吾死已。將屍向林中。待野火焚之。俄爾萬回公來。見師猖狂。握手言論。傍侍傾耳。都不體會。至八日。閉戶偃身而寂。春秋一百二十八(隋開皇二年壬寅生。唐景龍三年己酉滅。時稱老安國師)。門人遵旨。舁置林間。果野火自然。闍維得舍利八十粒。內五粒色紫。留於宮中。至先天二年門人建浮圖焉。

荊州枝江の人。姓は衛。隋開皇十七年、天下の私度の僧尼を搜括し、老師を勘問した。老師は說いた、「本來名無し。」便ち山谷に逃げ入った。大業年間、大いに丁夫を發して通濟渠を開き、餓死する人は互相に枕藉した。老師は食を乞い來りて救い、濟を獲たる人甚だ多し。煬帝は老師を徵すれども、赴かず、潛かに大和山に入った。帝の江都に幸するに及んで、海內擾攘し、便ち錫を杖して衡岳に登り、頭陀の行を行った。唐貞觀年間、黄梅に至りて忍祖に謁し、便ち心要を得た。麟德元年、終南山の石壁に遊び、因って住した。高宗はかつて召しけれども、老師は詔を奉ぜず。是に於いて名跡を遍歴し、嵩少に至り、說いた、「此れは我が終焉の地。」此より禪者は輻湊した。坦然・懷讓の二僧ありて來りて參し、問うた、「如何にしてか祖師西來意。」老師は曰く、「何ぞ自己意を問はざる。」問うて、「如何にしてか自己意。」老師は曰く、「當に密作用を觀ずべし。」問うて、「如何にしてか密作用。」老師は眼の開合を以て彼に看た。坦然は話下に歸するを知った。懷讓は便ち去りて曹溪に謁した。武后は輦下に徵し、師禮を以て待ち、秀禪師と同じく欽重を加えた。后はかつて老師に問うた、「甲子は多少。」老師は曰く、「記さず。」后は曰く、「何を以てか記せざる。」老師は曰く、「生死の身は、循環の如し。環は起盡なく、何を用いてか記せん。何を況んや此の心は流注して、中間に間斷無し。漚の起滅するを看るは、只だ是れ妄想のみ。初識より動相の滅する時に至るも、亦た只だ是の如し、何の年月か記すべき。」后は之を聞きて稽顙し信受した。神龍二年、中宗は紫袈裟を賜い、弟子二十一人を度し、還た禁中に延入して供養せしめた。三年、又磨衲を賜う。辭して嵩岳に歸った。此の年三月三日、門人に囑して曰く、「我が死したらば、屍を林中に放き、野火の焚くを待て。」久しからず萬回公は來りて老師に見え、猖狂に手を握りて言論せしを、傍に侍立する者は耳を側て聽くも、皆體會せず。八日に至り、戶を閉ぢ身を偃して寂した。春秋一百二十八。(隋開皇二年壬寅に生まれ、唐景龍三年己酉に滅す。當時老安國師と稱す。)門人は旨に遵い、擡りて林間に放くに、果たして野火は自然に焚きた。闍維して舍利八十粒を得、內の五粒は色紫にして、宮中に留めた。先天二年に至り門人は浮圖を建てた。

袁州蒙山道明禪師者

袁州蒙山道明禪師、

鄱陽人。陳宣帝之裔也。國亡落於民間。以其王孫。甞受署。因有將軍之號。少於永昌寺出家。慕道頗切。往依五祖法會。極意研尋。初無解悟。及聞五祖密付衣法與盧行者。即率同志數十人。躡跡追逐。至大庾嶺。師最先見。餘輩未及。盧見師奔至。即擲衣缽於磐石曰。此衣表信。可力爭邪。任君將去。師遂舉之。如山不動。踟躕悚慄。乃曰。我來求法。非為衣也。願行者開示於我。盧曰。不思善。不思惡。正恁麼時。阿那箇是明上座本來面目。師當下大悟。徧體汗流。泣禮數拜。問曰。上來密語密意外。還更別有意旨否。盧曰。我今與汝說者。即非密也。汝若返照自己面目。密卻在汝邊。師曰。某甲雖在黃梅隨眾。實未省自己面目。今蒙指授入處。如人飲水。冷暖自知。今行者即是某甲師也。盧曰。汝若如是。則吾與汝同師黃梅。善自護持。師又問。某甲向後宜往何所。盧曰。逢袁可止。遇蒙即居。師禮謝。遽回至嶺下。謂眾人曰。向陟崔嵬。遠望杳無蹤跡。當別道尋之。皆以為然。師既回。遂獨往廬山布水臺。經三載後。始往袁州𫎇山。大唱玄化。初名慧明。以避六祖上字。故名道明。弟子等盡遣過嶺南。參禮六祖。

鄱陽の人。陳宣帝の後裔。國亡して民間に落ちた。彼が王孫なるを以て、かつて署を受け、因って將軍の稱有り。少年より永昌寺に於いて出家し、道を慕うこと甚だ切り、往きて五祖の法會に依り、意を極めて研尋すれども、初め解悟せず。五祖が密かに衣法を盧行者に密付するを聞くに及び、便ち同志數十人を率りて、蹤を追うて逐いた。大庾嶺に至り、老師は最も先に見え、餘の人は未だ至らず。盧は老師の奔至するを見て、便ち衣鉢を磐石の上に擲して曰く、「此の衣は信を表す、力を以て爭うべきか。君に任せて拿去れ。」老師は便ち之を擧ぐるに、山の如く動かず。踟蹰悚栗し、便ち曰く、「我は法を求めて來る、衣の爲に非ず。願はくは行者は我に開示せん。」盧は曰く、「善を思はず、惡を思はず、正に此の如くなる時、阿箇か是れ明上座の本來面目。」老師は當下に大悟し、遍體に汗流し、泣禮して數拜した。問うて、「上來の密語密意の外、還た更に別の意旨有るか。」盧は曰く、「我が如今お前に說く所は、即ち密に非ず。お前若し自ら面目を返照せば、密は却ってお前の邊に在り。」老師は曰く、「某甲は黄梅に於いて衆に隨うと雖も、實に未だ自己の面目を省かず。如今指授の入處を蒙るは、人の水を飲みて冷暖を自ら知るが如し。如今行者は即ち某甲の老師なり。」盧は曰く、「お前若し此の如くならば、那我とお前とは黄梅に同師す。好く自ら護持せよ。」老師は又問うた、「某甲は往後當に何の所在に往くべきか。」盧は曰く、「袁に逢うて止むべく、蒙に遇えば即ち居れ。」老師は禮謝し、立刻に嶺下に回り、衆人に對して曰く、「先ほど崔嵬に登り、遙かに望むに杳として蹤跡無し、別に路を尋ねて尋ぬべし。」皆然りと爲した。老師は既に回り、便ち獨り廬山布水臺に往きた。三年を過ぎて後、纔かに袁州蒙山に往き、大いに玄化を唱えた。初め名を慧明と曰い、六祖の上字を避けるが爲、故に名を道明と曰う。弟子等は皆嶺南に打發して、六祖に參禮せしめた。

五祖下二世(旁出)

五祖下二世(旁出)

北宗秀禪師法嗣

北宗秀禪師法嗣

五臺山巨方禪師

五臺山巨方禪師

安陸人也。姓曹氏。幼稟業於明福院朗禪師。初講經論。後參禪會。及造北宗。秀問曰。白雲散處如何。師曰。不昧。秀又問。到此間後如何。師曰。正見一枝生五葉。秀默許之。入室侍對。應機無爽。尋至上黨寒嶺居焉。數歲之間。眾盈千數。後於五臺山闡化二十餘年。示寂。塔於本山。

安陸の人。姓は曹。幼年、明福院の朗禪師の處に業を禀けた。初め經論を講じ、後に禪會に參した。北宗に造るに及んで、神秀は問うた、「白雲の散する處は如何。」老師は曰く、「昧せず。」神秀は又問うた、「此の間に至りて後は如何。」老師は曰く、「正に一枝が五葉を生ずるを見。」神秀は默默として許可した。入室して侍對し、機に應じて差錯無し。隨って上黨寒嶺に至りて住した。數年の間、衆は一千に滿ちた。後に五臺山に於いて化を闡くこと二十餘年。示寂した。塔は本山に在り。

河中府中條山智封禪師

河中府中條山智封禪師

姓吳氏。初習唯識論。滯於名相。為知識所詰。乃發憤罷講。遊方見秀禪師。疑心頓釋。乃辭去。居於蒲津安峰。不下山十年。木食㵎飲。州牧衛文昇建安國院居之。緇素歸依。憧憧不絕。使君問曰。某今日後如何。師曰。日從濛汜出。照樹全無影。使君初不能諭。拱揖而退。少選開曉。釋然自得。師來往中條山二十餘年。得其道者不可勝紀。滅後。門人於州城北建塔焉。

姓は吳。初め《唯識論》を習い、名相に滯在して、知識に詰られ、便ち憤を發して講を停め、方を遊びて秀禪師に見え、疑心頓に釋し、便ち辭去した。蒲津安峰に住し、十年山西を下らず、木食澗飮す。州牧の衛文升は安國院を建てて彼に住せしめた。緇素は歸依し、來往絶えず。使君は問うた、「某は今日より後如何。」老師は曰く、「日は蒙汜より出づ、樹を照らして全く影無し。」使君は初め曉諭する能はず、拱揖して退いた。許りを過ぎ開曉し、釋然として自得した。老師は中條山を來往すること二十餘年、其の道を得る人は數ふべからず。滅後、門人は州城の北に塔を建てた。

兗州降魔藏禪師

兗州降魔藏禪師

趙郡人也。姓王氏。父為亳掾。師七歲出家。時屬野多妖鬼。魅惑於人。師孤形制伏。曾無少畏。故得降魔名焉。即依廣福院明讚禪師落髮。後遇北宗盛化。便誓摳衣。秀問曰。汝名降魔。此無山精木怪。汝翻作魔邪。師曰。有佛有魔。秀曰。汝若是魔。必住不思議境界。師曰。是佛亦空。何境界之有。秀懸記之曰。汝與少皡之墟有緣。師尋入泰山。數稔。學者雲集。一日告門人曰。吾今老朽。物極有歸。言訖而逝。

趙郡の人。姓は王。父は亳掾を爲す。老師は七歳にして出家。當時野外に妖鬼多く、人を魅惑す。老師は孤身にて制伏し、一点も畏れず、故に降魔の名を得た。便ち廣福院の明贊禪師に依りて髮を落す。後に北宗の盛化に遇い、便ち摳衣を誓した。神秀は問うた、「お前の名は降魔。此處に山精木怪無し、お前は翻って魔と作るか。」老師は曰く、「佛有り魔有り。」神秀は曰く、「お前若し魔なれば、必ず不思議の境界に住せん。」老師は曰く、「是れ佛も亦た空なり、何の境界か之れ有らん。」神秀は彼に懸記した、「お前は少皞の墟と縁有り。」老師は隨って泰山に進んだ。數年、學者は雲集す。一日門人に告げて曰く、「我は如今老朽したり。物は極まれば歸有り。」說き畢りて逝した。

壽州道樹禪師

壽州道樹禪師

唐州人也。姓聞氏。幼探經籍。年將五十。因遇高僧誘諭。遂誓出家。禮本部明月山慧文為師。師恥乎年長。求法淹遲。勵志遊方。無所不至。後歸東洛。遇秀禪師。言下知微。乃卜壽州三峰山。結茅而居。常有野人。服色素樸。言譚詭異。於言笑外化作佛形及菩薩.羅漢.天仙等形。或放神光。或呈聲響。師之學徒覩之。皆不能測。如此涉十年。後寂無形影。師告眾曰。野人作多色伎倆。眩惑於人。只消老僧不見不聞。伊伎倆有窮。吾不見不聞無盡。唐寶曆元年。示疾而終。

唐州の人。姓は聞。幼年より經籍を探る。年紀は將に五十に近き、高僧に遇いて誘諭せられ、便ち出家を立誓し、本部明月山の慧文を師と禮した。老師は年長・法を求むること遲きを耻じ、志を勵まし方を遊び、到らざる處無し。後に東洛に歸り、秀禪師に遇い、言下に微を知り、便ち壽州三峰山に居を卜し、茅を結びて住した。常に野人あり、服色素朴にして、言談詭異、言笑の外に佛形・及び菩薩・羅漢・天仙等の形を化作し、或いは神光を放ち、或いは聲響を呈した。老師の學徒は之を見るも、皆測る能はず。此の如く十年を過ぎ、後に寂として形影無し。老師は衆人に告げて曰く、「野人は多色の伎倆を作して、人を眩惑す。只だ老僧の見ず聞かずに消ゆ。彼の伎倆は窮有り、我が不見不聞は盡き無し。」唐寶曆元年、疾を示して終わった。

嵩嶽安國師法嗣

嵩岳安國師法嗣

洛京福先寺仁儉禪師

洛京福先寺仁儉禪師

自嵩山罷問。放曠郊鄽。謂之騰騰和尚。唐天冊萬歲中。天后詔入殿前。仰視天后。良久曰。會麼。後曰。不會。師曰。老僧持不語戒。言訖而出。翌日。進短歌一十九首。天后覽而嘉之。厚加賜賚。師皆不受。又令寫歌辭傳布天下。其辭並敷演真理。以警時俗。唯了元歌一首盛行於世。

嵩山より問を罷めて後、郊廛に放曠し、騰騰和尚と呼ばれた。唐天冊萬歳年間、天后は殿前に詔し入れしめた。天后を仰視すること許りを過ぎ、曰く、「會するか。」后は曰く、「會せず。」老師は曰く、「老僧は不語戒を持す。」說き畢りて便ち出た。明日、短歌十九首を進めた。天后は之を看て嘉許し、賜賚を厚く加えた。老師は皆受けず。又歌辭を寫して天下に傳布せしめた。其の辭は皆真理を敷演し、以て時俗を警醒せしむ。唯だ《了元歌》一首のみ世に盛行せり。

嵩嶽破灶墮和尚

嵩岳破竈墮和尚

不稱名氏。言行叵測。隱居嵩嶽。山塢有廟甚靈。殿中唯安一灶。遠近祭祀不輟。烹殺物命甚多。師一日領侍僧入廟。以杖敲灶三下曰。咄。此灶只是泥瓦合成。聖從何來。靈從何起。恁麼烹宰物命。又打三下。灶乃傾破墮落。須臾。有一人青衣峩冠。設拜師前。師曰。是甚麼人。曰。我本此廟灶神。久受業報。今日蒙師說無生法。得脫此處。生在天中。特來致謝。師曰。是汝本有之性。非吾彊言。神再禮而沒。少選。侍僧問曰。某等久侍和尚。不蒙示誨。灶神得甚麼徑旨。便得生天。師曰。我只向伊道是泥瓦合成。別也無道理為伊。侍僧無言。師曰。會麼。僧曰。不會。師曰。本有之性。為甚麼不會。侍僧等乃禮拜。師曰。墮也。墮也。破也。破也。後義豐禪師舉似安國師。安嘆曰。此子會盡。物我一如。可謂如朗月處空。無不見者。難搆伊語脈。豐問曰。未審甚麼人搆得他語脈。安曰。不知者。時號為破灶墮。僧問。物物無形時如何。師曰。禮即唯汝非我。不禮即唯我非汝。其僧乃禮謝。師曰。本有之物。物非物也。所以道心能轉物。即同如來。有僧從牛頭處來。師問曰。來自何人法會。僧近前叉手。遶師一匝而出。師曰。牛頭會下。不可有此人。僧乃回師上肩叉手而立。師曰。果然。果然。僧卻問曰。應物不由他時如何。師曰。爭得不由他。曰。恁麼則順正歸元去也。師曰。歸元何順。曰。若非和尚。幾錯招愆。師曰。猶是未見四祖時道理。見後道將來。僧卻遶師一匝而出。師曰。順正之道。今古如然。僧作禮。又僧侍立久。師乃曰。祖祖佛佛。只說如人本性本心。別無道理。會取。會取。僧禮謝。師乃以拂子打之曰。一處如是。千處亦然。僧乃叉手近前。應喏一聲。師曰。更不信。更不信。僧問。如何是大闡提人。師曰。尊重禮拜。曰。如何是大精進人。師曰。毀辱嗔恚。其後莫知所終。

名氏を稱せず、言行測る可らず、嵩岳に隱居す。山の塢に廟ありて甚だ靈し、殿中に只だ一口の竈を安ず、遠近は祭祀停まらず、物命を烹殺すること甚だ多し。老師は一日侍僧を領して廟に進み、杖を以て竈を三下敲きて曰く、「咄、此の竈は只だ泥瓦より合成す。聖は何より來る、靈は何より起る。此の如く物命を烹宰せん。」又三下打つ。竈は便ち傾破墮落した。許りを過ぎ、一人ありて青衣峨冠にて、老師の前に拜を設く。老師は曰く、「是れ何人か。」曰く、「我は本是れ此の廟の竈神、久しく業報を受く。今日老師が無生法を說くを蒙り、此の處を脫することを得、天中に生れんとす、特地に來りて謝を致さんとす。」老師は曰く、「是れお前の本有の性、我が強く說くに非ず。」神は再禮して沒した。許りを過ぎ、侍僧は問うた、「某等は久しく和尚に侍すれども、示誨を蒙らず。竈神は何の徑旨を得て、便ち天に生るを得たるか。」老師は曰く、「我は只だ彼に向かって是れ泥瓦より合成すと說く、別に彼に與ふる道理無し。」侍僧は言無し。老師は曰く、「會するか。」僧は曰く、「會せず。」老師は曰く、「本有の性、何を以てか會せざる。」侍僧等は便ち禮拜した。老師は曰く、「墮なり墮なり、破なり破なり。」後に義豐禪師は擧げて安國師に似た。安は嘆じて曰く、「此の漢は盡く會せり。物我一如、朗月の空に處るが如し、見えざる無しと說く可し。彼の語脈を搆ふる難し。」義豐は問うた、「何人か彼の語脈を搆ふるを知らずや。」安は曰く、「知らざる者。」當時號して破竈墮と曰う。僧は問うた、「物物形無き時は如何。」老師は曰く、「禮すれば即ち唯だ汝にして我に非ず、不禮すれば即ち唯だ我にして汝に非ず。」其の僧は便ち禮謝した。老師は曰く、「本有の物は、物は物に非ざるなり。故に道く、心は能く物を轉ずれば、即ち如來に同じと。」僧ありて牛頭の處より來る。老師は問うた、「何人の法會より來るか。」僧は近前して叉手し、老師を繞ること一匝にして出た。老師は曰く、「牛頭の會下、此の人有る可からず。」僧は便ち回り、老師の上肩に叉手して立つ。老師は曰く、「果然果然。」僧は却って問うた、「物に應ずるに他に由らざれば如何。」老師は曰く、「爭いでか他に由らざらん。」曰く、「此の如くなれば則ち正に順い元に歸せり。」老師は曰く、「元に歸するは何を順わん。」曰く、「和尚に非ざれば、幾ほどか愆を錯招せし。」老師は曰く、「還た四祖を見ざる時の道理なり。見て後道って將來れ。」僧は却って老師を繞ること一匝にして出た。老師は曰く、「順正の道、今古如然なり。」僧は禮を作した。又僧ありて侍立すること久し。老師は便ち曰く、「祖祖佛佛は、只だ人の本性本心の如きを說く、別の道理無し。會取せよ會取せよ。」僧は禮謝した。老師は便ち拂子を以て彼を打ちて曰く、「一處是の如し、千處も亦然り。」僧は便ち叉手して近前し、應喏の一聲す。老師は曰く、「更に信せず、更に信せず。」僧は問うた、「如何にしてか大闡提の人。」老師は曰く、「尊重して禮拜す。」問うて、「如何にしてか大精進の人。」老師は曰く、「毁辱瞋恚す。」其の後終わる所を知らず。

嵩嶽元珪禪師

嵩岳元珪禪師

伊闕人也。姓李氏。幼歲出家。唐永淳二年。受具戒。𨽻閑居寺。習毗尼無懈。後謁安國師。頓悟玄旨。遂卜廬於嶽之龐塢。一日。有異人峩冠袴褶(徒頰切)而至。從者極多。輕步舒徐。稱謁大師。師覩其形貌。奇偉非常。乃諭之曰。善來仁者胡為而至。彼曰。師寧識我邪。師曰。吾觀佛與眾生等。吾一目之。豈分別邪。彼曰。我此嶽神也。能生死於人。師安得一目我哉。師曰。吾本不生。汝焉能死。吾視身與空等。視吾與汝等。汝能壞空與汝乎。苟能壞空及汝。吾則不生不滅也。汝尚不能如是。又焉能生死吾邪。神稽首曰。我亦聦明正直於餘神。詎知師有廣大之智辯乎。願授以正戒。令我度世。師曰。汝既乞戒。即既戒也。所以者何。戒外無戒。又何戒哉。神曰。此理也我聞茫昧。止求師戒我身為門弟子。師即為張座。秉爐正幾曰。付汝五戒。若能奉持。即應曰能。不能。即曰否。曰。謹受教。師曰。汝能不婬乎。曰。我亦娶也。師曰。非謂此也。謂無羅欲也。曰。能。師曰。汝能不盜乎。曰。何乏我也。焉有盜取哉。師曰。非謂此也。謂饗而福淫。不供而禍善也。曰。能。師曰。汝能不殺乎。曰。實司其柄。焉曰不殺。師曰。非謂此也。謂有濫誤疑混也。曰。能。師曰。汝能不妄乎。曰。我正直。焉有妄乎。師曰。非謂此也。謂先後不合天心也。曰。能。師曰。汝不遭酒敗乎。曰。能。師曰。如上是為佛戒也。又言。以有心奉持而無心拘執。以有心為物而無心想身。能如是。則先天地生不為精。後天地死不為老。終日變化而不為動。畢盡寂默而不為休。信此則雖娶非妻也。雖饗非取也。雖柄非權也。雖作非故也。雖醉非惽也。若能無心於萬物。則羅欲不為婬。福淫禍善不為盜。濫誤疑混不為殺。先後違天不為妄。惽荒顛倒不為醉。是謂無心也。無心則無戒。無戒則無心。無佛無眾生。無汝及無我。

伊闕の人。姓は李。幼年にて出家。唐永淳二年、具戒を受け、閑居寺に隸し、毗尼を習うこと懈怠無し。後に安國師に謁し、玄旨に頓悟し、便ち岳の龐塢に廬を卜した。一日、異人ありて峨冠袴褶(徒頰切)にて來り、從者極めて多く、輕歩舒徐にて、大師に謁すと稱した。老師は彼の形貌奇偉非常を看て、便ち曉諭して曰く、「善來の仁者、何を以てか此に到る。」其の人は曰く、「老師は豈に我を識らざるか。」老師は曰く、「我は佛と衆生との平等を看、我一律に看待す、豈に分別せんや。」其の人は曰く、「我は是れ此の岳の神、人をして生ぜしめ、人をして死せしむる能くす。老師は怎能く一律に我を看待せん。」老師は曰く、「我は本より生ぜず、お前は怎能く我を死せしめん。我は身を視るに空と等し、我を視るにお前と等し。お前は能く空とお前とを壞るか。若し能く空及びお前を壞らば、我は則ち不生不滅。お前は尚ほ此の如く能はず、又た怎能く我を生死せん。」神は稽首して曰く、「我も亦た聰明正直は餘の神に過過ぎ、豈に老師の廣大の智辯有るを知らんや。願はくは正戒を授けて、我をして世を度せしめよ。」老師は曰く、「お前は既に戒を乞ふ、即ち既是れ戒なり。何を以てか。戒外に戒無し、又た何の戒かあらん。」神は曰く、「此の理は我は聞きて茫昧。只だ老師が我が身を戒し、門弟子と作らんことを求む。」老師は便ち彼に座を張り、爐を秉り几を正しくし、曰く、「お前に五戒を付す。若し能く奉持せば、應じて能と說け。能はずんば、即ち否と說け。」曰く、「謹んで教を受けん。」老師は曰く、「お前は能く淫らざるか。」曰く、「我も亦た娶る。」老師は曰く、「此の個を說くに非ず、是れ羅欲無しを說く。」曰く、「能。」老師は曰く、「お前は能く盜まざるか。」曰く、「何ぞ曾て我を乏しましめん、何の盜取か有らん。」老師は曰く、「此の個を說くに非ず、是れ飨へば淫を福し、供せざれば善を禍すを說く。」曰く、「能。」老師は曰く、「お前は能く殺さざるか。」曰く、「實に其の柄を司る、怎能く殺さずと說かん。」老師は曰く、「此の個を說くに非ず、是れ濫誤疑混有りを說く。」曰く、「能。」老師は曰く、「お前は能く妄らざるか。」曰く、「我は正直なり、何の妄か有らん。」老師は曰く、「此の個を說くに非ず、是れ先後天心に合はざるを說く。」曰く、「能。」老師は曰く、「お前は酒に遭いて敗れざるか。」曰く、「能。」老師は曰く、「上の如く是れ佛戒と爲す。」又曰く、「心を以て奉持して心無く拘執せず、心を以て物と爲して心想身無し。能く此の如くならば、則ち天地に先んじて生まれて精と爲さず、天地に後れて死して老と爲さず、終日變化して動と爲さず、畢盡寂默して休と爲さず。此を信ずれば則ち娶ると雖も妻に非ず、飨すと雖も取に非ず、柄と雖も權に非ず、作すと雖も故に非ず、醉すと雖も惛に非ず。若し能く萬物に心無くんば、則ち羅欲は淫と爲さず、淫を福し善を禍すは盜と爲さず、濫誤疑混は殺と爲さず、先後天に違うは妄と爲さず、惛荒顚倒は醉と爲さず。是を心無しと謂う。心無ければ則ち戒無し、戒無ければ則ち心無し。佛無く衆生無く、お前無く及び我無し。

孰為戒哉。神曰。我神通亞佛。師曰。汝神通十句.五能五不能。佛則十句.七能三不能。神悚然避席。跪啟曰。可得聞乎。師曰。汝能戾上帝.東天行而西七曜乎。曰。不能。師曰。汝能奪地祗.融五嶽而結四海乎。曰。不能。師曰。是謂五不能也。佛能空一切相。成萬法智。而不能即滅定業。佛能知群有性。窮億劫事。而不能化導無緣。佛能度無量有情。而不能盡眾生界。是為三不能也。定業亦不牢久。無緣亦是一期。眾生界本無增減。亙無一人能主其法。有法無主。是謂無法。無法無主。是謂無心。如我解。佛亦無神通也。但能以無心通達一切法爾。神曰。我誠淺昧。未聞空義。師所授戒。我當奉行。今願報慈德。効我所能。師曰。吾觀身無物。觀法無常。塊然更有何欲邪。神曰。師必命我為世間事。展我小神功。使已發心.初發心.未發心.不信心.必信心五等人目我神蹤。知有佛有神。有能有不能。有自然有非自然者。師曰。無為是。無為是。神曰。佛亦使神護法。師寧隳叛佛邪。願隨意垂誨。師不得已而言曰。東巖寺之障。莽然無樹。北岫有之而背非屏擁。汝能移北樹於東嶺乎。神曰。已聞命矣。然昏夜必有喧動。願師無駭。即作禮辭去。師門送而且觀之。見儀衛逶迤。如王者之狀。嵐靄煙霞。紛綸間錯。幢幡環珮。凌空隱沒焉。其夕。果有暴風吼雷。奔雲掣電。棟宇搖蕩。宿鳥聲喧。師謂眾曰。無怖。無怖。神與我契矣。詰旦和霽。則北巖松栝盡移東嶺。森然行植。師謂其徒曰。吾沒後無令外知。若為口實。人將妖我。以開元四年丙辰歲囑門人曰。吾始居寺東嶺。吾滅。汝必寘吾骸於彼。言訖若委蛻焉。

聲喧し。老師は衆人に對して曰く、「怖るな怖るな。神は我と契れり。」明朝和霽し、北巖の松栝は盡く東嶺に移り、森然として成行に種植せり。老師は徒衆に對して曰く、「我が沒したらば外頭に知らしむること莫れ。若し口實と成らば、人は將に我を以て妖と爲さん。」開元四年丙辰歳、門人に囑して曰く、「我は初め寺の東嶺に住せり。我が滅したらば、お前たちは必ず我が骸を其の處に放け。」說き畢りて委蛻の如く逝した。

五祖下三世(旁出)

五祖下三世(旁出)

嵩山寂禪師法嗣

嵩山寂禪師法嗣

終南山惟政禪師

終南山惟政禪師

平原人也。姓周氏。受業於本州延和寺詮澄法師。得法於嵩山普寂禪師。即入太一山中。學者盈室。唐文宗好嗜蛤蜊。㳂海官吏先時𮞏進。人亦勞止。一日御饌中有擘不張者。帝以其異。即焚香禱之。乃開。見菩薩形儀。梵相具足。帝遂貯以金粟檀香合。覆以美錦。賜興善寺。令眾僧瞻禮。因問群臣。斯何祥也。或奏太一山惟政禪師深明佛法。博聞強記。乞詔問之。帝即頒詔。師至。帝問其事。師曰。臣聞物無虗應。此乃啟陛下之信心耳。故契經云。應以此身得度者。即現此身。而為說法。帝曰。菩薩身已現。且未聞說法。師曰。陛下覩此為常邪。非常邪。信邪。非信邪。帝曰。希奇之事。朕深信焉。師曰。陛下已聞說法竟。皇情悅豫。得未曾有。詔天下寺院各立觀音像。以答殊休。留師於內道場。累辭歸山。詔令住聖壽寺。至武宗即位。師忽入終南山隱居。人問其故。師曰。吾避仇矣。終後闍維。收舍利四十九粒。而建塔焉。

平原の人。姓は周。本州延和寺の詮澄法師の處に於いて受業し、嵩山普寂禪師に於いて法を得、便ち太一山の中に進み、學者は室に滿ちた。唐文宗は蛤蜊を好嗜し、沿海の官吏は事先に趕して進貢し、人も亦た勞苦すること極まり。一日御饌の中に擘開せざるあり。帝は異と爲し、便ち香を焚きて禱告し、纔かに開きて、菩薩の形儀・梵相具足を見た。帝は便ち金粟の檀香合に貯え、美錦を覆い、興善寺に賜い、衆僧に瞻禮せしめた。因って群臣に問うた、「此れは何の祥か。」或る人は奏して太一山惟政禪師は佛法に深明、博聞強記、彼に詔して問はんことを求めた。帝は便ち詔を頒した。老師は至り、帝は此事を問うた。老師は曰く、「臣は聞く、物に虛應無し、此れは陛下の信心を啓くのみ。故に契經に說く、應に此の身を以て度を得べき者は、即ち此の身を現じて法を爲に說くと。」帝は曰く、「菩薩の身は已に現ず、且つ未だ法を說くを聞かず。」老師は曰く、「陛下は之を看て是れ常か、非常か。信か、非信か。」帝は曰く、「希奇の事、朕は深く信す。」老師は曰く、「陛下は已に法を說くを聞き畢れり。」皇情は悅豫し、未曾有を得た。天下の寺院に詔して各々觀音像を立てしめ、以て殊休に答えしめた。老師を內道場に留め、累次に山に歸らんことを辭すれども、詔して聖壽寺に住せしめた。武宗の即位に至り、老師は忽然として終南山に進みて隱居した。人は其の故を問うた。老師は曰く、「我は讐を避く。」終わりて後闍維し、舍利四十九粒を収め、塔を建てた。

破灶墮和尚法嗣

破竈墮和尚法嗣

嵩山峻極禪師

嵩山峻極禪師

僧問。如何是修善行人。師曰。擔枷帶鏁。曰。如何是作惡行人。師曰。修禪入定。曰。某甲淺機。請師直指。師曰。汝問我惡。惡不從善。汝問我善。善不從惡。僧良久。師曰。會麼僧。曰。不會。師曰。惡人無善念。善人無惡心。所以道善惡如浮雲。俱無起滅處。僧於言下大悟。後破灶墮聞舉。乃曰。此子會盡諸法無生。

僧は問うた、「如何にしてか善を修する行人。」老師は曰く、「枷を擔い鎖を帶び。」問うて、「如何にしてか惡を作す行人。」老師は曰く、「禪を修し定に入る。」曰く、「某甲は淺機、老師に直指を請ふ。」老師は曰く、「お前は我に惡を問う、惡は善に從はず。お前は我に善を問う、善は惡に從はず。」僧は良久。老師は曰く、「會するか僧。」曰く、「會せず。」老師は曰く、「惡人に善念無く、善人に惡心無し。故に道く、善惡は浮雲の如く、俱に起滅の處無し。」僧は話下に大悟した。後に破竈墮は擧げられたるを聞き、便ち曰く、「此の漢は諸法の無生を盡く會せり。」

五祖下四世

五祖下四世

益州無相禪師法嗣

益州無相禪師法嗣

益州保唐寺無住禪師

益州保唐寺無住禪師

初得法於無相大師。乃居南陽白崖山。專務宴寂。經累歲。學者漸至。勤請不已。自此垂誨。雖廣演言教。而唯以無念為宗。唐相國杜鴻漸出撫坤維。聞師名。思一瞻禮。遣使到山延請。時節度使崔寧亦命諸寺僧徒遠出。迎引至空慧寺。時杜公與戎帥召三學碩德俱會寺中。致禮訖。公問曰。弟子聞今和尚說無憶.無念.莫妄三句法門。是否。師曰。然。公曰。此三句是一是三。師曰。無憶名戒。無念名定。莫妄名慧。一心不生。具戒定慧。非一非三也。公曰。後句妄字莫是從心之忘乎。曰。從女者是也。公曰。有據否。師曰。法句經云。若起精進心。是妄非精進。若能心不妄。精進無有涯。公聞疑情盪然。公又問。師還以三句示人否。師曰。初心學人。還令息念。澄停識浪。水清影現。悟無念體。寂滅現前。無念亦不立也。於時庭樹鵶鳴。公問。師聞否。師曰。聞。鵶去已。又問。師聞否。師曰。聞。公曰。鵶去無聲。云何言聞。師乃普告大眾曰。佛世難值。正法難聞。各各諦聽。聞無有聞。非關聞性。本來不生。何曾有滅。有聲之時。是聲塵自生。無聲之時。是聲塵自滅。而此聞性。不隨聲生。不隨聲滅。悟此聞性。則免聲塵之所轉。當知聞無生滅。聞無去來。公與僚屬大眾稽首。又問。何名第一義。第一義者。從何次第得入。師曰。第一義無有次第。亦無出入。世諦一切有。第一義即無。諸法無性性。說名第一義。佛言有法名俗諦。無性第一義。公曰。如師開示。實不可思議。公又曰。弟子性識微淺。昔因公暇。撰得起信論章疏兩卷。可得稱佛法否。師曰。夫造章疏。皆用識心。思量分別。有為有作。起心動念。然可造成。據論文雲。當知一切法。從本以來。離言說相。離名字相。離心緣相。畢竟平等。無有變異。唯有一心。故名真如。今相公著言說相。著名字相。著心緣相。既著種種相。

初め無相大師に於いて法を得、便ち南陽白崖山に住し、專ら宴寂を務とした。多年を過過ぎ、學者は漸く至り、勤く請うて已まず、此より誨を垂れた。廣く言教を演ぶれども、只だ無念を以て宗と爲す。唐相國の杜鴻漸は出でて坤維を撫し、老師の名を聞き、一たび瞻禮せんと欲し、使者を派して山に至り延請せしめた。當時節度使の崔寧も亦た諸寺の僧徒に命じて遠く出で、空慧寺に迎引せしめた。當時杜公と戎帥は三學の碩德を召して皆寺中に聚會せしめた。禮を致し畢り、公は問うた、「弟子は聞く、如今和尚は無憶・無念・莫妄の三句の法門を說く、是不、是不。」老師は曰く、「是なり。」公は曰く、「此の三句は是れ一か是れ三か。」老師は曰く、「無憶を名づけて戒、無念を名づけて定、莫妄を名づけて慧。一心生ぜざれば、戒定慧を具す。一に非ず三に非ず。」公は曰く、「後句の妄字は心に從う忘にあらずや。」曰く、「女に從う者是れなり。」公は曰く、「根據有るか。」老師は曰く、「《法句經》に說く、若し精進心を起せば、是れ妄にして精進に非ず。若し能く心妄らざれば、精進に涯有ること無しと。」公は之を聞きて疑情蕩然たり。公は又問うた、「老師は還た三句を以て人に示すか。」老師は曰く、「初心の學人、還た念を息めしめ、識浪を澄停せしめ、水清ければ影現ず。無念の體を悟れば、寂滅現前し、無念も亦た立てず。」當時庭樹に鴉鳴く。公は問うた、「老師は聞くか。」老師は曰く、「聞く。」鴉は去り、又問うた、「老師は聞くか。」老師は曰く、「聞く。」公は曰く、「鴉は去りて聲無し、何を以てか聞くと說く。」老師は便ち普く大衆に告げた、「佛世は値い難し、正法は聞き難し。各々諦かに聽け。聞は聞有ること無く、聞性に關はらず。本來生ぜず、何ぞ曾て滅有らん。聲有るの時、是れ聲塵の自生ずるなり。聲無きの時、是れ聲塵の自滅するなり。而るに此の聞性は、聲に隨いて生ぜず、聲に隨いて滅せず。此の聞性を悟れば、則ち聲塵の轉ずる所を免れん。當に知るべし、聞は生滅無く、聞は去來無し。」公と僚屬大衆は稽首した。又問うた、「何をか第一義と名づく。第一義は何の次第より入るを得ん。」老師は曰く、「第一義に次第有ること無く、亦た出入無し。世諦は一切有り、第一義は即ち無し。諸法の性無き性、說き名づけて第一義。佛は言う、法有るを名づけて俗諦、性無きは第一義と。」公は曰く、「老師の開示するが如く、實に不思議なり。」公は又曰く、「弟子の性識は微淺。從前は公務の空暇に因り、《起信論》の章疏兩卷を撰得したり、佛法と稱すべきか。」老師は曰く、「那の章疏を造るは、皆識心を用い、思量分別し、有爲有作、心を起し念を動かし、然る後造成すべし。論の文に據れば說く、當に知るべし、一切法は本より以來、言說相を離れ、名字相を離れ、心緣相を離れ、畢竟平等、變異有ること無く、唯だ一心有るのみ、故名づけて真如と。如今相公は言說相に著し、名字相に著し、心緣相に著す。既に種種の相に著すれば、

云何是佛法。公起作禮曰。弟子亦曾問諸供奉大德。皆讚弟子不可思議。當知彼等但狥人情。師今從理解說。合心地法。實是真理不可思議。公又問。云何不生。云何不滅。如何得解脫。師曰。見境心不起。名不生。不生即不滅。既無生滅。即不被前塵所縛。當處解脫。不生名無念。無念即無滅。無念即無縛。無念即無脫。舉要而言。識心即離念。見性即解脫。離識心見性外。更有法門證無上菩提者。無有是處。公曰。何名識心見性。師曰。一切學道人。隨念流浪。葢為不識真心。真心者。念生亦不順生。念滅亦不依寂。不來不去。不定不亂。不取不捨。不沈不浮。無為無相活鱍鱍。平常自在。此心體畢竟不可得。無可知覺。觸目皆如。無非見性也。公與大眾作禮稱讚。踴躍而去。師後居保唐寺而終。

(無住は続けて曰く:)如何にしてか佛法。」公は身を起し禮を作して曰く、「弟子も亦たかつて諸の供奉大德に問うたれども、皆弟子を不可思議と讚す。當に知るべし、其の人は只だ人情に徇う。老師は如今理に從って解說し、心地の法に合し、實に真理不可思議なり。」公は又問うた、「如何にしてか生ぜず、如何にしてか滅せず、如何にしてか解脫を得ん。」老師は曰く、「境を見て心起らざるを、名づけて不生。不生は即ち不滅。既に生滅無ければ、即ち前塵に縛る所あらず、當處解脫なり。不生を名づけて無念。無念は即ち無滅。無念は即ち無縛。無念は即ち無脫。要を擧げて言へば、心を識れば即ち念を離れ、性を見れば即ち解脫。識心見性の外に、更に法門の無上菩提を證する有るは、是の處有ること無し。」公は曰く、「何をか識心見性と名づく。」老師は曰く、「一切の學道の人、念に隨いて流浪するは、真心を識らざるを以てなり。真心は、念生ずるも生に順はず、念滅するも寂に依らず、來らず去らず、定まらず乱れず、取らず捨てず、沈まず浮かず、無爲無相、活鱍鱍として、平常自在。此の心心體は畢竟に得る可からず、知覺すべき無し。目に觸るる皆如なり、見性に非ざる無し。」公と大衆とは禮を作し讚稱して、踊躍して去った。老師は後に保唐寺に住して終わった。

六祖大鑒禪師旁出法嗣第一世

六祖大鑑禪師の旁出法嗣第一世

西域崛多三藏者

西域崛多三藏、

天竺人也。於六祖言下契悟。後遊五臺。見一僧結庵靜坐。師問曰。孤坐奚為。曰。觀靜。師曰。觀者何人。靜者何物。其僧作禮。問曰。此理何如。師曰汝何不自觀自靜。彼僧茫然。師曰。汝出誰門邪。曰。秀禪師。師曰。我西域異道最下種者不墮此見。兀然空坐。於道何益。其僧卻問。師所師者何人。師曰。我師六祖。汝何不速往曹溪。決其真要。其僧即往參六祖。六祖垂誨。與師符合。僧即悟入。師後不知所終。

天竺の人。六祖の話下に於いて契悟した。後に五臺に遊び、一僧の庵を結びて靜坐するを見た。老師は問うた、「孤坐して何を作す。」曰く、「靜を觀ず。」老師は曰く、「觀ずる者は何人、靜なる者は何物。」其の僧は禮を作して問うた、「此の理は如何。」老師は曰く、「お前は何ぞ自ら觀じ自ら靜まらざる。」其の僧は茫然たり。老師は曰く、「お前は誰の門より出づる。」曰く、「秀禪師。」老師は曰く、「我が西域は異道の最も下種の者も此の見に墮ちず。兀然として空坐して、道に於いて何の益か有らん。」其の僧は却って問うた、「老師の師とする所は何人か。」老師は曰く、「我は六祖を師とす。お前は何ぞ速かに曹溪に往きて、其の真要を決せざる。」其の僧は便ち往きて六祖に參した。六祖は誨を垂れ、老師の說と符合す。僧は便ち悟入した。老師は後に終わる所を知らず。

韶州法海禪師者

韶州法海禪師、

曲江人也。初見六祖。問曰。即心即佛。願垂指喻。祖曰。前念不生即心。後念不滅即佛。成一切相即心。離一切相即佛。吾若具說。窮劫不盡。聽吾偈曰。即心名慧。即佛乃定。定慧等持。意中清淨。悟此法門。由汝習性。用本無生。雙脩是正。師信受。以偈贊曰。即心元是佛。不悟而自屈。我知定慧因。雙脩離諸物。

曲江の人。初め六祖に見え、問うて曰く、「即心即佛、願はくは指喩を垂れよ。」祖は說いた、「前念生ぜざれば即ち心、後念滅せざれば即ち佛。一切相を成ずれば即ち心、一切相を離れば即ち佛。我若し具に說かば、劫を窮めても盡きず。我が偈を聽け、『即心を名づけて慧、即佛は乃ち定。定慧は等持して、意中淸淨。此の法門を悟るは、汝の習性に由る。用は本來生無く、雙修は是れ正。』」老師は信受し、偈を用いて讚した、「即心は元より是れ佛、悟らずして自ら屈す。我は定慧の因を知る、雙修は諸物を離る。」

吉州志誠禪師者

吉州志誠禪師、

本州太和人也。初參秀禪師。後因兩宗盛化。秀之徒眾往往譏南宗曰。能大師不識一字。有何所長。秀曰。他得無師之智。深悟上乘。吾不如也。且吾師五祖親付衣法。豈徒然哉。吾所恨不能遠去親近。虗受國恩。汝等諸人無滯於此。可往曹谿質疑。他日回。當為吾說。師聞此語。禮辭至韶陽。隨眾參請。不言來處。時六祖告眾曰。今有盜法之人。潛在此會。師出禮拜。具陳其事。祖曰。汝師若為示眾。師曰。甞指誨大眾。令住心觀靜。長坐不臥。祖曰。住心觀靜。是病非禪。長坐拘身。於理何益。聽吾偈曰。生來坐不臥。死去臥不坐。一具臭骨頭。何為立功過。師曰。未審和尚以何法誨人。祖曰。吾若言有法與人。即為誑汝。但且隨方解縛。假名三昧。聽吾偈曰。心地無非自性戒。心地無痴自性慧心地無亂自性定。不增不減自金剛。身去身來本三昧。師聞偈悔謝。即誓依歸。乃呈偈曰。五蘊幻身。幻何究竟。回趣真如。法還不淨。

本州太和の人。初め秀禪師に參す。後に兩宗の盛化に因り、秀の徒衆は往往にして南宗を譏りて曰く、「能大師は一字を識らず、何の長ずる所有らん。」秀は曰く、「彼は無師の智を得て、上乘に深く悟れたり。我は如かず。且つ我が師の五祖は親しく衣法を付せり、豈に徒然ならん。我が恨むは遠く去りて親近する能はざる、虛しく國恩を受く。お前たち諸人は此に滯まること莫れ、曹溪に往きて疑を質すべし。他日回り來らば、當に我に說かん。」老師は此の話を聞き、禮辭して韶陽に至り、衆に隨いて參請し、來る處を說かず。當時六祖は衆人に告げて曰く、「如今法を盜む人有り、潛かに此の會に在り。」老師は出でて禮拜し、其の事を一一に陳說した。祖は曰く、「お前の老師は如何にか衆に示す。」老師は曰く、「かつて大衆を指誨して、心を住して靜を觀じ、長く坐して臥せざらしめたり。」祖は曰く、「心を住して靜を觀ずるは、是れ病にして禪に非ず。長く坐して身を拘す、理に於いて何の益か。我が偈を聽け、『生れ來りて坐して臥せず、死去りて臥して坐せず。一具の臭骨頭、何を以てか功過を立てん。』」老師は曰く、「和尚は何の法を以てか人を誨るを知らず。」祖は曰く、「我若し人に與ふる法有りと說かば、即ち是れお前を誑す。只だ方に隨いて縛を解く、假名して三昧と曰う。我が偈を聽け、『心地は非無く自性戒、心地は痴無く自性慧、心地は乱無く自性定。增減せずして自ら金剛、身去身來は本來三昧。』」老師は偈を聞きて悔謝し、便ち依歸せんことを誓い、是に於いて偈を呈した、「五蘊は幻身、幻は何をか究竟。回りて真如に趣けば、法は還た不淨。」

匾擔山曉了禪師者

匾擔山曉了禪師、

傳記不載。唯北宗門人忽雷澄禪師撰塔碑盛行於世。其略曰。師住匾擔山。號曉了。六祖之嫡嗣也。師得無心之心。了無相之相。無相者森羅眩目。無心者分別熾然。絕一言一響。響莫可傳。傳之行矣。言莫可窮。窮之非矣。師得無無之無。不無於無也。吾今以有有之有。不有於有也。不有之有。去來非增。不無之無。涅槃非滅。嗚呼。師住世兮曹谿明。師寂滅兮法舟傾。師譚無說兮寰宇盈。師示迷徒兮了義乘。匾擔山色垂茲色。空谷猶留曉了名。

傳記は載せず、只だ北宗門人の忽雷澄禪師の撰る所の塔碑有りて世に盛行す。大略は說く、老師は匾擔山に住し、曉了と號し、是れ六祖の嫡嗣。老師は無心の心を得、無相の相を了す。無相と雖も森羅は目を眩ます、無心と雖も分別は熾然たり。一言一響を絶して、響は傳ふ可からず、傳ふれば之れ行く。言は窮む可からず、窮むれば之れ非なり。老師は無無の無を得、無において無ならず。我が如今有有の有を以て、有において有ならず。不有の有は、去來增さず。不無の無は、涅槃滅ならず。嗚呼。老師が世に住せしや曹溪明にして、老師が寂滅せしや法舟傾き、老師が談無說なりしや寰宇盈ち、老師が迷徒を示ししや了義乘。匾擔山の色は兹に垂れ、空谷は猶ほ曉了の名を留む。

洪州法達禪師者

洪州法達禪師、

洪州豐城人也。七歲出家。誦法華經。進具之後。禮拜六祖。頭不至地。祖訶曰。禮不投地。何如不禮。汝心中必有一物。蘊習何事邪。師曰。念法華經已及三千部。祖曰。汝若念至萬部。得其經意。不以為勝。則與吾偕行。汝今負此事業。都不知過。聽吾偈曰。禮本折慢幢。頭奚不至地。有我罪即生。亡功福無比。祖又曰。汝名甚麼。對曰。名法達。祖曰。汝名法達。何曾達法。復說偈曰。汝今名法達。勤誦未休歇。空誦但循聲。明心號菩薩。汝今有緣故。吾今為汝說。但信佛無言。蓮華從口發。師聞偈。悔過曰。而今而後。當謙恭一切。惟願和尚大慈。略說經中義理。祖曰。汝念此經。以何為宗。師曰。學人愚鈍。從來但依文誦念。豈知宗趣。祖曰。汝試為吾念一徧。吾當為汝解說。師即高聲念經。至方便品。祖曰。止。此經元來以因緣出世為宗。縱說多種譬喻。亦無越於此。何者。因緣唯一大事。一大事即佛知見也。汝慎勿錯解經意。見他道開示悟入。自是佛之知見。我輩無分。若作此解。乃是謗經毀佛也。彼既是佛。已具知見。何用更開。汝今當信。佛知見者。只汝自心。更無別體。葢為一切眾生自蔽光明。貪愛塵境。外緣內擾。甘受驅馳。便勞他從三昧起。種種苦口。勸令寢息。莫向外求。與佛無二。故云。開佛知見。汝但勞勞執念。謂為功課者。何異氂牛愛尾也。師曰。若然者。但得解義。不勞誦經邪。祖曰。經有何過。豈障汝念。只為迷悟在人。損益由汝。聽吾偈曰。心迷法華轉。心悟轉法華。誦久不明己。與義作讐家。無念念即正。有念念成邪。有無俱不計。長御白牛車。師聞偈再啟曰。經云諸大聲聞。乃至菩薩。皆盡思度量。尚不能測於佛智。今令凡夫但悟自心。便名佛之知見。自非上根。未免疑謗。又經說三車。大牛之車與白牛車如何區別。願和尚再垂宣說。祖曰。經意分明。

洪州豐城の人。七歳にて出家し、《法華經》を誦す。具に進みての後、六祖に禮拜すれども、頭地に至らず。祖は訶斥して說いた、「禮して地に投ぜざれば、何ぞ禮せざるに如かざる。お前の心中に必ず一物有らん。習う所は何事か。」老師は說いた、「《法華經》を念ずること已に三千部に至れり。」祖は說いた、「お前若し萬部に念りて、其の經意を得て、以て勝と爲さずば、便ち我と偕に行かん。お前は如今此の事業を負いて、都て過を知らず。我が偈を聽け、『禮は本と慢幢を折る、頭何ぞ地に至らざる。我有れば罪即ち生じ、功を亡せば福は比無し。』」祖は又說いた、「お前の名は何と叫ぶ。」對えて、「名は法達。」祖は說いた、「お前の名は法達、何ぞ曾て法に達せん。」又偈を說いた、「汝は今名は法達、勤誦未だ休歇せず。空く誦するは但だ聲に循い、心を明らかにして菩薩と號す。汝に今緣有るを以て、吾は今汝の爲に說かん。但だ佛は言無きを信ぜよ、蓮華は口より發す。」老師は偈を聞き、悔過して說いた、「今より以後、當に一切に謙恭すべし。只だ願はくは和尚大慈、經中の義理を略說せよ。」祖は說いた、「お前は此の經を念ず、何を以てか宗と爲す。」老師は說いた、「學人は愚鈍、從來は只だ文に依りて誦念し、豈に宗趣を知らんや。」祖は說いた、「お前は試みに我に一遍念じよ、我は當にお前に解說せん。」老師は便ち高聲に經を念じ、方便品に至る。祖は說いた、「止めよ。此の經は元來因緣出世を以て宗と爲す。縱い多種の譬喩を說くも、亦た此に越えず。何を以てか。因緣は唯一の大事、一大事は即ち佛の知見。お前は愼んで經意を錯解すること勿れ。彼の開・示・悟・入と說くを見て、自ずから佛の知見にして、我輩に分無しと。若し此の解を作さば、乃ち是れ經を謗り佛を毀る。彼は既に佛、已に知見を具す、何ぞ用いて更に開かん。お前は如今當に信ずべし、佛の知見は只だお前の自心、更に別體無し。一切衆生の自ら光明を蔽い、塵境を貪愛し、外に緣し内に擾われ、甘んじて驅馳を受け、便ち彼をして三昧より起ち、種種に苦口して、寢息せしめんことを勸め、外に求むること莫れ、佛と二無し、を煩はさしめたるを以てなり。故に說きて佛の知見を開く。お前は只だ勞勞として念に執し、當に功課と作す、何何ぞ犛牛が尾を愛するに異ならん。」老師は說いた、「然らば、只だ義を解するを得て、經を誦することを勞せずや。」祖は說いた、「經に何の過か有らん、豈にお前の念を障せん。只だ迷悟の人に在り、損益はお前に由るを爲すのみ。我が偈を聽け、『心迷すれば法華轉じ、心悟れば法華を轉ず。誦して久しく己を明らかにせざれば、義と仇家を作す。念無くんば念即ち正、念有れば念成って邪。有無俱に計らず、長く白牛車を御す。』」老師は偈を聞きて再啓した、「經に說く、諸の大聲聞乃至菩薩は、盡く思度量しても、尚ほ佛智を測る能はず。如今凡夫をして只だ自心を悟らしめ、便ち佛の知見と名づく。自ずから上根に非ざれば、未だ疑謗を免れず。又た經に三車を說く、大牛の車と白牛の車とは如何に區別する。願はくは和尚再び垂れて宣說せよ。」祖は說いた、「經意は分明なり。

汝自迷背。諸三乘人不能測佛智者。患在度量也。饒伊盡思共推。轉加懸遠。佛本為凡夫說。不為佛說。此理若不肯信者。從他退席。殊不知坐卻白牛車。更於門外覔三車。況經文明向汝道。無二亦無三。汝何不省三車是假。為昔時故。一乘是實。為今時故。只教你去假歸實。歸實之後。實亦無名。應知所有珍財。盡屬於汝。由汝受用。更不作父想。亦不作子想。亦無用想。是名持法華經。從劫至劫。手不釋卷。從晝至夜。無不念時也。師既蒙啟發。踴躍歡喜。以偈贊曰。經誦三千部。曹谿一句亡。未明出世旨。寧歇累生狂。羊鹿牛權設。初中後善揚。誰知火宅內。元是法中王。祖曰。汝今後方可為念經僧也。師從此領旨。亦不輟誦持。

(六祖は続けて曰く:)お前は自ら迷背す。諸の三乘の人は佛智を測る能はざる、患は度量に在り。彼を饒して盡く思を共に推らしむるも、轉て加うるに懸遠。佛は本と凡夫の爲に說く、佛の爲に說かず。此の理若し信ぜずんば肯てせず、他に從って席を退け。殊に知らず、坐して白牛車を卻きて、更に門外に於いて三車を覓む。何を況んや經文は明らかにお前に向かって道く、二も無く亦た三も無し。お前は何ぞ三車の是れ假、昔時の爲に故を省ぜざる。一乘は是れ實、今時の爲に故。只だお前をして假を去り實に歸せしむるのみ。實に歸するの後、實も亦た名無し。應に知るべし、所有の珍財は盡くお前に屬し、お前に由って受用す。更に父の想を作さず、亦た子の想を作さず、亦た用の想無し。是を名づけて《法華經》を持すと爲す。劫より劫に至るまで、手に卷を釋さず。晝より夜に至るまで、念ぜざるの時無し。」老師は既に啓發を蒙り、踊躍歡喜し、偈を用いて讚した、「經は誦すこと三千部、曹溪の一句に亡ぶ。未だ出世の旨を明らかにせず、寧ぞ累生の狂を歇めん。羊鹿牛は權に設け、初・中・後善く揚ぐ。誰か知らん火宅の内、元より是れ法中の王を。」祖は說いた、「お前は今後に纔かに經を念ずる僧と稱すべし。」老師は此より旨を領くも、亦た誦持を停めず。

壽州智通禪師者

壽州智通禪師、

安豐人也。初看楞伽經約千餘徧。而不會三身四智。禮拜六祖。求解其義。祖曰。三身者。清淨法身。汝之性也。圓滿報身。汝之智也。千百億化身。汝之行也。若離本性。別說三身。即名有身無智。若悟三身無有自性。即名四智菩提。聽吾偈曰。自性具三身。發明成四智。不離見聞緣。超然登佛地。吾今為汝說。諦信永無迷。莫學馳求者。終日說菩提。師曰。四智之義。可得聞乎。祖曰。既會三身。便明四智。何更問邪。若離三身。別譚四智。此名有智無身也。即此有智。還成無智。復說偈曰。大圓鏡智性清淨。平等性智心無病。妙觀察智見非功。成所作智同圓鏡。五八六七果因轉。但用名言無實性。若於轉處不留情。繁興永處那伽定(轉識為智者。教中雲。轉前五識為成所作智。轉第六識為妙觀察智。轉第七識為平等性智。轉第八識為大圓鏡智。雖六七因中轉。五八果上轉。但轉其名而不轉其體也)。師禮謝。以偈贊曰。三身元我體。四智本心明。身智融無礙。應物任隨形。起修皆妄動。守住匪真精。妙旨因師曉。終亡汙染名。

安豐の人。初め《楞伽經》を看ること約一千餘遍なりしが、三身四智を會せず。六祖に禮拜して、其の義を解せんことを求めた。祖は說いた、「三身は、淸淨法身はお前の性、圓滿報身はお前の智、千百億の化身はお前の行。若し本性を離れて別に三身を說かば、即ち名づけて身有りて智無しと爲す。若し三身に自性無きを悟れば、即ち名づけて四智菩提と爲す。我が偈を聽け、『自性は三身を具し、發明して四智と成る。見聞の緣を離れずして、超然として佛地に登る。吾は今汝の爲に說かん、諦かに信じて永く迷無からん。馳求する者に學ぶこと莫れ、終日菩提と說く。』」老師は說いた、「四智の義、聞くべきか。」祖は說いた、「既に三身を會せば、便ち四智を明らむ、何ぞ必ずしも更に問はん。若し三身を離れて別に四智を談ぜば、此を名づけて智有りて身無しと爲す。即ち此の智有りも、還た無智と成る。」又偈を說いた、「大圓鏡智は性淸淨、平等性智は心に病無し。妙觀察智は見るに功非ざり、成所作智は圓鏡に同じ。五八六七は果と因と轉ず、但だ名言を用うるに實性無し。若し轉ずる處に於いて情を留めざれば、繁興も永く那伽定に處らん。」(識を轉じて智と爲すとは:教の中に說く、前五識を轉じて成所作智と爲し、第六識を轉じて妙觀察智と爲し、第七識を轉じて平等性智と爲し、第八識を轉じて大圓鏡智と爲す。六七は因の中に轉ずと雖も、五八は果上に轉ず、但だ其の名を轉じて其の體を轉ぜず。)老師は禮謝し、偈を用いて讚した、「三身は元より我が體、四智は本心明らかなり。身智は融うるに礙無く、物に應じて形に任す。修を起すは皆妄動、住を守るは眞精に匪ず。妙旨は師に因りて曉け、終に污染の名を亡ぶ。」

江西志徹禪師

江西志徹禪師

姓張氏。名行昌。少任俠。自南北分化。二宗主雖亡彼我。而徒侶競起愛憎。時北宗門人自立秀禪師為第六祖。而忌大鑑傳衣為天下所聞。然祖預知其事。即置金十兩於方丈。時行昌受北宗門人之囑。懷刃入祖室。將欲加害。祖舒頸而就。行昌揮刃者三。都無所損。祖曰。正劒不邪。邪劒不正。只負汝金。不負汝命。行昌驚僕。久而方蘇。求哀悔過。即願出家。祖遂與金曰。汝且去。恐徒眾翻害於汝。汝可他日易形而來。吾當攝受。行昌稟旨宵遁。投僧出家。具戒精進。一日憶祖之言。遠來禮覲。祖曰。吾久念於汝。汝來何晚。曰。昨蒙和尚捨罪。今雖出家苦行。終難報於深恩。其唯傳法度生乎。弟子甞覽涅槃經。未曉常無常義。乞和尚慈悲。略為宣說。祖曰。無常者。即佛性也。有常者。即善惡一切諸法分別心也。曰。和尚所說。大違經文。祖曰。吾傳佛心印。安敢違於佛經。曰。經說佛性是常。和尚卻言無常。善惡諸法乃至菩提心。皆是無常。和尚卻言是常。此即相違。令學人轉加疑惑。祖曰。涅槃經。吾昔者聽尼無盡藏讀誦一徧。便為講說。無一字一義不合經文。乃至為汝。終無二說。曰。學人識量淺昧。願和尚委曲開示。祖曰。汝知否佛性若常。更說甚麼善惡諸法。乃至窮劫。無有一人發菩提心者。故吾說無常。正是佛說真常之道也。又一切諸法若無常者。即物物皆有自性。容受生死。而真常性有不徧之處。故吾說常者。正是佛說真無常義也。佛比為凡夫外道。執於邪常諸二乘人。於常計無常。共成八倒。故於涅槃了義教中。破彼偏見而顯說真常.真樂.真我.真淨。汝今依言背義。以斷滅無常。及確定死常而錯解佛之圓妙最後微言。縱覧千徧。有何所益。行昌忽如醉醒。乃說偈曰。因守無常心。佛演有常性。不知方便者。猶春池拾礫。我今不施功。佛性而見前。非師相授與。我亦無所得。祖曰。

姓は張、名は行昌。少年にて俠に任す。南北分化して自り、二宗主は彼我を亡せども、徒侶は争うて愛憎を起した。當時北宗門人は自ら秀禪師を第六祖と立て、而れども大鑑が衣を傳ふるが天下に聞ゆるを忌んだ。可祖は豫め其の事を知り、便ち金十兩を方丈に置いた。當時行昌は北宗門人の囑を受け、刃を懷きて祖の室に進み、將に害を加えんとした。祖は頸を伸べて刃に就いた。行昌は刃を揮うこと三たび、皆損する所無し。祖は說いた、「正劍は邪ならず、邪劍は正ならず。只だお前の金に負ふ、お前の命に負かず。」行昌は驚仆し、久しくして纔かに甦り、哀を求め悔過して、便ち出家せんことを願えり。祖は便ち彼に金を與えて說いた、「お前は且く去れ。徒衆が翻ってお前に害するを怕る。お前は他日形を易えて來るべし、我は當に攝受せん。」行昌は旨を稟けて宵遁し、僧に投じて出家し、具戒精進した。一日祖の言を憶起し、遠く來りて禮覲した。祖は說いた、「我は久しくお前を念う、お前の來ること何ぞ晚き。」說いて、「昨は和尚の罪を捨つるを蒙り。如今出家苦行すと雖も、終に深恩に報い難し、其れ唯だ法を傳え生を度するのみか。弟子はかつて《涅槃經》を覽るも、常・無常の義を曉かず。和尚の慈悲を求め、略して宣說せんことを。」祖は說いた、「無常なる者は、即ち佛性。有常なる者は、即ち善惡一切の諸法の分別心。」說いて、「和尚の說く所、大いに經文に違う。」祖は說いた、「我は佛心印を傳ふ、怎ぞ敢えて佛經に違はん。」說いて、「經に說く、佛性は是れ常、和尚は却って無常と說く。善惡の諸法乃至菩提心は、皆是れ無常、和尚は却って是れ常と說く。此れが即ち相違して、學人をして轉て疑惑を加えしむ。」祖は說いた、「《涅槃經》は、我は從前尼の無盡藏が讀誦するを一遍聽き、便ち爲に講說し、一字一義として經文に合はざる無し。乃ちお前に爲るに至るまで、終に二說無し。」說いて、「學人の識量は淺昧、願はくは和尚委曲に開示せん。」祖は說いた、「お前は知らんや、佛性若し常ならば、更に何の善惡諸法を說かん、乃至劫を窮めても、菩提心を發する人は一人も有らず。故に我が無常と說くは、正に佛の說く真常の道なり。又た一切諸法若し無常ならば、即ち物物皆自性有りて、生死を容受し、而れども真常の性は遍あらざるの處有らん。故に我が常と說くは、正に佛の說く真無常の義なり。佛は比來凡夫外道の邪常に執するが爲、諸の二乘の人は常に於いて無常を計り、共に八倒を成す。故に涅槃の了義教の中に於いて、彼の偏見を破して真常・真樂・真我・真淨を顯說す。お前は如今言に依りて義に背き、斷滅の無常及び確定の死常を以て佛の圓妙なる最後の微言を錯解す。縱い千遍を覽るも、何の益する所有らん。」行昌は忽然として醉の醒めしが如く、便ち偈を說いた、「無常心を守るに因りて、佛は有常性を演ぶ。方便を知らざれば、猶ほ春池に礫を拾うが如し。我今功を施さずして、佛性にして見前す。師が相授與するに非ざれば、我も亦た得る所無し。」祖は說いた、

汝今徹也。宜名志徹。師禮謝而去。

「お前は如今徹し了れり、應に名を志徹と作すべし。」老師は禮謝して去った。

信州智常禪師者

信州智常禪師、

本州貴谿人也。髫年出家。志求見性。一日參六祖。祖問。汝從何來。欲求何事。師曰。學人近禮大通和尚。蒙示見性成佛之義。未決狐疑。至吉州遇人指迷。令投和尚。伏願垂慈攝受。祖曰。彼有何言句。汝試舉看。吾與汝證明。師曰。初到彼三月。未蒙開示。以為法切。故於中夜獨入方丈。禮拜哀請。大通乃曰。汝見虗空否。對曰。見。彼曰。汝見虗空有相貌否。對曰。虗空無形。有何相貌。彼曰。汝之本性猶如虗空。返觀自性。了無一物可見。是名正見。無一物可知。是名真知。無有青黃長短。但見本源清淨。覺體圓明。即名見性成佛。亦名極樂世界。亦名如來知見。學人雖聞此說。猶未決了。乞和尚示誨。令無凝滯。祖曰。彼師所說。猶存見知。故令汝未了。吾今示汝一偈曰。不見一法存無見。大似浮雲遮日面。不知一法守空知。還如太虗生閃電。此之知見瞥然興。錯認何曾解方便。汝當一念自知非。自己靈光常顯見。師聞偈已。心意豁然。乃述一偈曰。無端起知解。著相求菩提。情存一念悟。寧越昔時迷。自性覺源體。隨照枉遷流。不入祖師室。茫然趣兩頭。

本州貴溪の人。髫年にて出家し、志して見性を求めた。一日六祖に參す。祖は問うた、「お前は何處より來る、何事を求める。」老師は說いた、「學人は近く大通和尚に禮し、見性成佛の義を示され、未だ狐疑を決せず。吉州に到りて人に指迷に遭い、和尚に投ぜよと。伏して願はくは慈を垂れて攝受せん。」祖は說いた、「彼に何の言句か有る、お前は試みに擧げて看よ。我はお前に證明せん。」老師は說いた、「初め彼の處に到ること三箇月、未だ開示を蒙らず。法を求むること急切なるを以て、中夜獨り方丈に進み、禮拜哀請した。大通は便ち說いた、『お前は虛空を見るか。』對えて、『見る。』彼は說いた、『お前は虛空に相貌有るを見るか。』對えて、『虛空は形無し、何の相貌か有らん。』彼は說いた、『お前の本性は猶ほ虛空の如し。返り觀じれば自性に了に一物の見る可き無し、是を名づけて正見と爲す。一物の知る可き無し、是を名づけて真知と爲す。青黃長短の有ること無く、但だ本源淸淨・覺體圓明を見るのみ、即ち名づけて見性成佛と爲し、亦た名づけて極樂世界と爲し、亦た名づけて如來知見と爲す。』學人は此の說を聞くと雖も、猶ほ未だ決了せず。和尚の示誨を求め、凝滯無からしめんことを。」祖は說いた、「彼の老師の說く所、猶ほ見・知を存す、故にお前をして未だ了せざらしめ。我は如今お前に一偈を示さん、『一法を見ざれば無見を存し、大いに浮雲が日面を遮るに似たり。一法を知らざれば空知を守り、還た太虛に閃電の生ずるが如し。此の知見は瞥然として興り、錯認して曾て方便を解せず。汝は當に一念に自ら非を知るべし、自己の靈光は常に顯見す。』」老師は偈を聞き畢り、心意豁然とし、便ち一偈を述べた、「端無く知解を起し、相に著して菩提を求む。情に一念の悟を存すも、寧ぞ昔時の迷に越ゆる。自性は覺源の體、照に隨いて枉して遷流す。祖師の室に入らざれば、茫然として兩頭に趣かん。」

廣州志道禪師者

廣州志道禪師、

南海人也。初參六祖。問曰。學人自出家覧涅槃經僅十餘載。未明大意。願和尚垂誨。祖曰。汝何處未了。對曰。諸行無常。是生滅法。生滅滅已。寂滅為樂。於此疑惑。祖曰。汝作麼生疑。對曰。一切眾生皆有二身。謂色身.法身也。色身無常。有生有滅。法身有常。無知無覺。經云生滅滅已。寂滅為樂者。未審是何身寂滅。何身受樂。若色身者。色身滅時。四大分散。全是苦。苦不可言樂。若法身寂滅。即同草木瓦石。誰當受樂。又法性是生滅之體。五蘊是生滅之用。一體五用。生滅是常。生則從體起用。滅則攝用歸體。若聽更生。即有情之類不斷不滅。若不聽更生。即永歸寂滅。同於無情之物。如是則一切諸法。被涅槃之所禁伏。尚不得生。何樂之有。祖曰。汝是釋子。何習外道斷常邪見。而議最上乘法。據汝所解。即色身外。別有法身。離生滅求於寂滅。又推涅槃常樂。言有身受者。斯乃執吝生死。耽著世樂。汝今當知。佛為一切迷人。認五蘊和合為自體相。分別一切法為外塵相。好生惡死。念念遷流。不知夢幻虗假。枉受輪迴。以常樂涅槃翻為苦相。終日馳求。佛愍此故。乃示涅槃真樂。剎那無有生相。剎那無有滅相。更無生滅可滅。是則寂滅見前。當見前之時。亦無見前之量。乃謂常樂。此樂無有受者。亦無不受者。豈有一體五用之名。何況更言涅槃禁伏諸法。令永不生。斯乃謗佛毀法。聽吾偈曰。無上大涅槃。圓明常寂照。凡愚謂之死。外道執為斷。諸求二乘人。目以為無作。盡屬情所計。六十二見本。妄立虗假名。何為真實義。唯有過量人。通達無取捨。以知五蘊法。及以蘊中我。外現眾色象。一一音聲相。平等如夢幻。不起凡聖見。不作涅槃解。二邊三際斷。常應諸根用。而不起用想。分別一切法。不起分別想。劫火燒海底。風皷山相擊。真常寂滅樂。涅槃相如是。吾今強言說。

南海の人。初め六祖に參して問うた、「學人は出家して自り《涅槃經》を覽ること將に十餘年、未だ大意を明らかにせず。願はくは和尚垂れて誨えよ。」祖は說いた、「お前は何處が未だ了せざる。」對えて、「諸行無常、是れ生滅の法。生滅滅已、寂滅を樂と爲す。此に於いて疑惑す。」祖は說いた、「お前は作麼生に疑う。」對えて、「一切衆生は皆二身有り、色身・法身と謂う。色身は無常にして生有り滅有り。法身は有常にして知無く覺無し。經に說く、生滅滅已、寂滅を樂と爲す、何の身か寂滅し何の身か樂を受くるを知らず。若し色身ならば、色身滅するの時、四大分散して全く是れ苦、苦は樂と言う可からず。若し法身寂滅ならば、即ち草木瓦石に同じ、誰か當に樂を受くべき。又た法性は生滅の體、五蘊は生滅の用。一體五用にして、生滅は是れ常。生すれば則ち體より用を起し、滅すれば則ち用を攝して體に歸す。若し更生を聽さば、即ち有情の類は斷えず滅せず。若し更生を聽さずんば、即ち永く寂滅に歸して、無情の物に同じ。此の如くならば則ち一切の諸法は、涅槃に禁伏せらるる所にして、尚ほ生を得ず、何の樂か之れ有らん。」祖は說いた、「お前は釋子なり、何ぞ外道の斷常の邪見を習いて、最上乘の法を議する。お前の解する所に據れば、即ち色身の外に別に法身有り、生滅を離れて寂滅を求め、又た涅槃の常樂を推して、身有りて受くる者有りと說く。此れは乃ち生死を執吝し、世樂に耽著す。お前は如今當に知るべし、佛は一切の迷人の爲に、五蘊和合を認めて自體相と爲し、一切法を分別して外塵相と爲し、生を好み死を惡み、念念に遷流して、夢幻の虛假を知らず、枉して輪回を受け、常樂涅槃を以て翻って苦相と爲して、終日馳求す。佛は此を愍みて故に、乃ち涅槃の真樂を示す。刹那に生相有ること無く、刹那に滅相有ること無く、更に生滅の滅すべき無し、是れ則ち寂滅現前なり。現前するの時に當たりて、亦た現前の量無し、乃ち常樂と謂う。此の樂に受くる者無く、亦た受けざる者無し。豈に一體五用の名有らん。何を況んや更に涅槃が諸法を禁伏し、令して永く生生ぜざらしむと說かん。此れは乃ち佛を謗り法を毀る。我が偈を聽け、『無上の大涅槃、圓明にして常寂照。凡愚は之を死と謂い、外道は執して斷と爲す。諸の二乘を求める人は、目して無作と爲す。盡く情の計する所に屬し、六十二見の本。妄に虛假の名を立て、何をか眞實の義と爲さん。唯だ過量の人有り、通達して取捨無し。以て五蘊の法を知り、及び蘊中の我を。外に衆の色象を現じ、一一の音聲相。平等にして夢幻の如く、凡聖の見を起さず。涅槃の解を作さず、二邊三際斷えり。常に諸根の用に應じて、而して用の想を起さず。一切法を分別して、分別の想を起さず。劫火は海底を燒き、風は鼓いて山相撃つ。真常寂滅の樂、涅槃の相是の如し。吾は今強いて言說す、

令汝捨邪見。汝勿隨言解。許汝知少分。師聞偈踴躍。作禮而退。

汝をして邪見を捨てしめん。汝は言に随いて解する莫れ、汝に少分を知るを許す。」老師は偈を聞きて踊躍し、禮を作して退いた。

永嘉真覺禪師

永嘉真覺禪師

諱玄覺。本郡戴氏子。丱歲出家。徧探三藏。精天台止觀圓妙法門。於四威儀中。常冥禪觀。後因左谿朗禪師激勵。與東陽䇿禪師同詣曹溪。初到振錫。繞祖三匝。卓然而立。祖曰。夫沙門者。具三千威儀。八萬細行。大德自何方而來。生大我慢。師曰生死事大。無常迅速。祖曰。何不體取無生.了無速乎。師曰。體即無生。了本無速。祖曰。如是。如是。於時大眾無不愕然。師方具威儀參禮。須臾告辭。祖曰。返大速乎。師曰。本自非動。豈有速邪。祖曰。誰知非動。師曰。仁者自生分別。祖曰。汝甚得無生之意。師曰。無生豈有意邪。祖曰。無意誰當分別。師曰。分別亦非意。祖歎曰。善哉。善哉。少留一宿。時謂一宿覺矣。師翌日下山。乃回溫州。學者輻湊。著證道歌一首。及禪宗悟修圓旨。自淺之深。慶州刺史魏靖緝而序之。成十篇。目為永嘉集。並行於世慕道志儀第一。夫欲修道。先須立志。及事師儀則。彰乎軌訓。故標第一。明慕道儀式。戒憍奢意第二。初雖立志修道。善識軌儀。若三業憍奢。妄心擾動。何能得定。故次第二。明戒憍奢意也。淨修三業第三。前戒憍奢。略標綱要。今子細檢責。令麁過不生。故次第三。明淨修三業。戒乎身口意也。奢摩他頌第四。已檢責身口。令麁過不生。次須入門修道漸次。不出定慧五種起心。六種料揀。故次第四。明奢摩他頌也。毗婆舍那頌第五。非戒不禪。非禪不慧。上既修定。定久慧明。故次第五。明毗婆舍那頌也。優畢叉頌第六。偏修於定。定久則沈。偏學於慧。慧多心動。故次第六。明優畢叉頌等於定慧。令不沈動。使定慧均等。捨於二邊。三乘漸次第七。定慧既均。則寂而常照。三觀一心。何疑不遣。何照不圓。自解雖明。悲他未悟。悟有深淺。故次第七。明三乘漸次也。事理不二第八。三乘悟理。理無不窮。窮理在事。了事即理。故次第八。

諱は玄覺。本郡の戴氏の子。幼年にて出家し、遍く三藏を探り、天台止觀の圓妙法門に精し、四威儀の中に常に禪觀を冥した。後に左溪朗禪師の激勵に因り、東陽策禪師と同じく曹溪に詣す。初めて到りて錫を振い、祖を繞ること三匝、卓然として立つ。祖は說いた、「那の沙門は、三千威儀・八萬細行を具す。大德は何方より自來りて、大いに我慢を生ずる。」老師は說いた、「生死の事は大にして、無常は迅速なり。」祖は說いた、「何ぞ無生を體取し、速無きを了せざる。」老師は說いた、「體は即ち無生、了は本來速無し。」祖は說いた、「是の如し是の如し。」當時大衆は愕然たらざる無し。老師は纔かに威儀を具えて參禮した。一會の後告辭す。祖は說いた、「返ること太だ速きや。」老師は說いた、「本來自ずから動に非ず、豈に速かあらん。」祖は說いた、「誰か動に非ざるを知る。」老師は說いた、「仁者は自ら分別を生ず。」祖は說いた、「お前は甚だ無生の意を得たり。」老師は說いた、「無生は豈に意有らん。」祖は說いた、「意無ければ誰か當に分別すべき。」老師は說いた、「分別も亦た意に非ず。」祖は歎じて曰く、「善いかな善いかな。少しく留めて一宿せよ。」當時に呼んで一宿覺と作した。老師は第二天山を下り、便ち溫州に回った。學者は輻輳す。《證道歌》一首を著し、及び禪宗の悟修圓旨は、淺より深に之く。慶州刺史の魏靖は緝して之に序し、十篇と成り、題して《永嘉集》と作し、一竝に世に行く。慕道志儀第一:那の道を修せんと想うには、先ず志を立てるを須い、及び師に事うるの儀則は、軌訓に彰く、故に第一に標して、慕道の儀式を明らかにす。戒驕奢意第二:初め志を立てて道を修すと雖も、善く軌儀を識るも、若し三業驕奢して、妄心擾動せば、何ぞ定を得る能けん、故に第二に次いで、戒驕奢意を明らかにす。淨修三業第三:前に驕奢を戒め、略く綱要を標す、如今仔細に檢責して、粗過を生ぜしめず、故に第三に次いで、淨修三業を明らかにし、身口意を戒む。奢摩他頌第四:已に身口を檢責し、粗過を生ぜしめずんば、次に入門修道の漸次を須い、定慧五種の起心・六種の料揀を出でず、故に第四に次いで、奢摩他頌を明らかにす。毗婆舍那頌第五:戒に非ざれば禪ならず、禪に非ざれば慧ならず。上に既に定を修し、定久しければ慧明らかなり、故に第五に次いで、毗婆舍那頌を明らかにす。優畢叉頌第六:偏ら定を修すれば、定久しければ則ち沈む。偏ら慧を學べば、慧多ければ心動く。故に第六に次いで、優畢叉頌を明らかにし、定慧に等しくして、沈動せざらしめ、定慧をして均等ならしめ、二邊を捨てしむ。三乘漸次第七:定慧既に均しければ、則ち寂にして常に照し、三觀一心にして、何の疑か遣はざらん、何の照か圓ならざらん。自解は明らかと雖も、他の未悟を悲しむ、悟に淺深有り、故に第七に次いで、三乘漸次を明らかにす。事理不二第八:三乘は理を悟る、理は窮まらざる無し。理を窮めるは事に在り、事を了れば即ち理なり。故に第八に次いで、

明事理不二。即事而真。用祛倒見也。勸友人書第九。事理既融。內心自瑩。復悲遠學。虗擲寸陰。故次第九。明勸友人書也。發願文第十。勸友雖是悲他。專心在一。情猶未普。故次第十。明發願文。誓度一切也優畢叉頌略曰。復次。觀心十門。初則言其法爾。次則出其觀體。三則語其相應。四則警其上慢。五則誡其疎怠。六則重出觀體。七則明其是非。八則簡其詮旨。九則觸途成觀。十則妙契玄源。第一言法爾者。夫心性虗通。動靜之源莫二。真如絕慮。緣計之念非殊。惑見紛馳。窮之則唯一寂。靈源不狀。鑒之則以千差。千差不同。法眼之名自立。一寂非異。慧眼之號斯存。理量雙銷。佛眼之功圓著。是以三諦一境。法身之理常清。三智一心。般若之明常照。境智冥合。解脫之應隨機。非縱非橫。圓伊之道玄會。故知三德妙性。宛爾無乖。一心深廣難思。何出要而非路。是以即心為道者。可謂尋流而得源矣。第二齣其觀體者。只知一念。即空不空。非空非不空。第三語其相應者。心與空相應。則譏毀讚譽。何憂何喜。身與空相應。則刀割香塗。何苦何樂。依報與空相應。則施與劫奪。何得何失。心與空不空相應。則愛見都忘。慈悲普救。身與空不空相應。則內同枯木。外現威儀。依報與空不空相應。則永絕貪求。資財給濟。心與空不空.非空非不空相應。則實相初明。開佛知見。身與空不空.非空非不空相應。則一塵入正受。諸塵三昧起。依報與空不空.非空非不空相應。則香臺寶閣。嚴土化生。第四警其上慢者。若不爾者。則未相應也。第五誡其疎怠者。然渡海應須上船。非船何以能渡。修心必須入觀。非觀無以明心。心尚未明。相應何日。思之勿自恃也。第六重出觀體者。只知一念即空不空。非有非無。不知即念即空不空。非非有。非非無。第七。明其是非者。心不是有。心不是無。心不非有。

事理不二を明らかにし、事に即いて眞、用いて倒見を祛ぐ。勸友人書第九:事理既に融けば、內心自ら瑩し、又た遠學の寸陰を虛擲するを悲しむ、故に第九に次いで、勸友人書を明らかにす。發願文第十:友を勸むは他を悲しむと雖も、心を專らにするは一に在り、情は猶ほ普まらず、故に第十に次いで、發願文を明らかにし、誓して一切を度せんとす。優畢叉頌は大略は說く、次いで、觀心の十門。初めは則ち其の法爾を言い、次には則ち其の觀體を出し、三には則ち其の相應を語り、四には則ち其の上慢を警め、五には則ち其の疏怠を誡め、六には則ち重ねて觀體を出し、七には則ち其の是非を明らかにし、八には則ち其の詮旨を簡び、九には則ち途に觸れて觀と成り、十には則ち玄源に妙契す。第一是の法爾を言う:那の心性は虛通にして、動靜の源は二無く莫れ。真如は慮を絶して、緣計の念は殊ならず。惑見は紛馳して、之を窮むれば則ち唯一の寂。靈源は状せず、之を鑑するに則ち千差を以てす。千差は同じからず、法眼の名は自ら立つ。一寂は異ならず、慧眼の號は斯に存す。理量は雙に銷え、佛眼の功は圓に著く。故に三諦一境にして、法身の理は常に淸し。三智一心にして、般若の明は常に照す。境智は冥合して、解脫の應は機に隨う。縱ならず横ならず、圓伊の道は玄く會す。故に知る、三德の妙性、宛爾として乖なし。一心は深廣にして思議し難し、何ぞ要に出でて路に非ざらん。故に心に即いて道と爲す的は、可く說く流を尋ねて源を得るなりと。第二其の觀體を出す:只だ一念に即いて空不空、非空非不空を知る。第三其の相應を語る:心が空に相應すれば、則ち譏毀贊譽、何の憂か何の喜か。身が空に相應すれば、則ち刀割香塗、何の苦か何の樂か。依報が空に相應すれば、則ち施與劫奪、何の得か何の失か。心が空不空に相應すれば、則ち愛見都て忘れ、慈悲普く救う。身が空不空に相空に相應すれば、則ち內に枯木に同じく、外に威儀を現ず。依報が空不空に相應すれば、則ち永く貪求を絶し、資財を給濟す。心が空不空・非空非不空に相應すれば、則ち實相初めて明らかに、佛の知見を開く。身が空不空・非空非不空に相應すれば、則ち一塵は正受に入り、諸塵は三昧起る。依報が空不空・非空非不空に相應すれば、則ち香臺寶閣、土を嚴して化生す。第四其の上慢を警める:若し此の如くならざれば、則ち未だ相應せず。第五其の疏怠を誡める:然りと雖も海を渡るは應に船に上るを須い、船に非ざれば何を以てか渡る能けん。心を修するは必ず觀に入るを須い、觀に非ざれば心を明らかにする無し。心は未だ明らかならず、相應する日は何れぞ。之を思え、自ら恃むこと勿れ。第六重ねて觀體を出す:只だ一念に即いて空不空、非有非無を知る。念に即いて空不空、非非有・非非無を知らざるなり。第七其の是非を明らかにす:心は是有らず、心是無ならず、心は非有ならず、

心不非無。是有是無即墮是。非有非無即墮非。如是隻是是非之非。未是非是非非之是。今以雙非破兩是。是破非是猶是非。又以雙非破兩非。非破非非即是是。如是隻是非是非非之是。未是不非不不非.不是不不是。是非之惑。綿微難見。神清慮靜。細而研之。第八簡其詮旨者。然而至理無言。假文言以明其旨。旨宗非觀。藉修觀以會其宗。若旨之未明。則言之未的。若宗之未會則。觀之未深。深觀乃會其宗。的言必明其旨。旨宗既其明會。言觀何得復存邪。第九觸途成觀者。夫再演言詞。重標觀體。欲明宗旨無異。言觀有逐方移。移言則言理無差。改觀則觀旨不異。不異之旨即理。無差之理即宗。宗旨一而二名。言觀明其弄引耳。第十妙契玄源者。夫悟心之士。寧執觀而迷旨。達教之人。豈滯言而惑理。理明則言語道斷。何言之能議。旨會則心行處滅。何觀之能思。心言不能思議者。可謂妙契環中矣。先天二年十月十七日。安坐示滅。塔於西山之陽。諡無相大師。塔曰淨光。

心は非無ならず。是有り是無なれば即ち是に墮つ。非有非無なれば即ち非に墮つ。是の如くは只だ是非の非、未だ是非是非非の是ならず。今雙非を以て兩是を破れば、是は非を破るも猶ほ是非なり。又た雙非を以て兩非を破れば、非は非非を破るも即ち是れ是なり。是の如くは只だ非是非非の是、未だ不非不不非・不是不不是ならず。是非の惑は、綿微にして見え難し。神を淸くし慮を靜かにして、細かに之を研ぐ。第八其の詮旨を簡ぶ:然りと雖も至理に言無し、文言を假りて其の旨を明らかにす。旨の宗は觀に非ず、觀を修するに藉りて其の宗を會す。若し旨の未だ明らかならざれば、則ち言の未だ的ならざるなり。若し宗の未だ會せざれば、則ち觀の未だ深きならざるなり。深觀は乃ち其の宗を會し、的言は必ず其の旨を明らかにす。旨宗既に其の明會せば、言觀は何ぞ復た存せんを得ん。第九途に觸れて觀と成す:那の言詞を再演し、重ねて觀體を標すは、宗旨異なきを明らかにせんと想ふが爲、言觀は方に逐うて移る有り。言を移せば則ち言理差無く、觀を改めれば則ち觀旨異ならず。異ならざる旨は即ち理、差なき理は即ち宗。宗旨は一にして二名、言觀は其の弄引を明らかにするのみ。第十玄源に妙契す:那の心を悟れる士は、寧ぞ觀に執して旨に迷はん。教に達する人は、豈に言に滯りて理に惑わん。理明らかなれば則ち言語道斷し、何の言か議する能けん。旨會せば則ち心行の處滅し、何の觀か思する能けん。心言の思議する能はざる的は、可く說く環中に妙契するなりと。先天二年十月十七日、安坐して示滅した。塔は西山の陽に在り。諡は無相大師。塔は淨光と叫ぶ。

溫州淨居尼玄機。唐景雲中得度。常習定於大日山石窟中。一日忽唸曰。法性湛然。本無去住。厭喧趍寂。豈為達邪。乃往參雪峰。峰問。甚處來。曰。大日山來。峰曰。日出也未。師曰。若出則鎔卻雪峰峰曰。汝名甚麼。師曰。玄機。峰曰。日織多少。師曰。寸絲不掛。遂禮拜退。才行三五步。峰召曰。袈裟角拖地也。師回首。峰曰。大好寸絲不掛(世傳玄機乃永嘉大師女弟。甞同遊方。以景雲歲日考之。是矣.第所見雪峰。非真覺存也。永嘉既到曹谿。必嶺下雪峰也。未詳法嗣。故附於此)。

溫州淨居尼の玄機。唐景雲年間に度を得、常に大日山の石窟の中に定を習う。一日忽然として想うた、「法性は湛然として、本來去住無し。喧を厭いて寂に趣く、豈に是れ達ならんや。」便ち往きて雪峰に參す。峰は問うた、「甚處より來る。」說いて、「大日山より來る。」峰は說いた、「日は出づるや未だ。」老師は說いた、「若し出づれば則ち雪峰を鎔却せん。」峰は說いた、「お前の名は何と叫ぶ。」老師は說いた、「玄機。」峰は說いた、「日に織ること多少。」老師は說いた、「寸絲も挂けず。」便ち禮拜して退いた。纔かに三五步を走る、峰は召して、「袈裟の角は地に拖くなり。」老師は首を回らした。峰は說いた、「大いに好し寸絲不挂を。」(世に傳えて玄機は永嘉大師の女弟にして、かつて同じく方に遊ぶ。景雲の歳日を以て考ふれば、是なり。只だ見る所の雪峰は、真覺の還た在るに非ず。永嘉は既に曹溪に到らば、必ず是れ嶺下の雪峰。法嗣は未だ詳ならず、故に此に附す。)

司空山本淨禪師者

司空山本淨禪師、

絳州人也。姓張氏。幼歲披緇於曹谿之室。受記𨽻司空山無相寺。唐天寶三年玄宗遣中使楊光庭入山。採常春藤。因造丈室。禮問曰。弟子慕道斯久。願和尚慈悲。略垂開示。師曰。天下禪宗碩學。鹹會京師。天使歸朝。足可諮決。貧道隈山傍水。無所用心。光庭泣拜。師曰。休禮貧道。天使為求佛邪。問道邪。曰。弟子智識昏昧。未審佛之與道。其義云何。師曰。若欲求佛。即心是佛。若欲會道。無心是道。曰。云何即心是佛。師曰。佛因心悟。心以佛彰。若悟無心。佛亦不有。曰。云何無心是道。師曰。道本無心。無心名道。若了無心。無心即道。光庭作禮。信受。既回闕庭。具以山中所遇奏聞。即勑光庭詔師到京。勑住白蓮亭。越明年正月十五日。召兩街名僧碩學赴內道場。與師闡揚佛理。時有遠禪師者。抗聲謂師曰。今對聖上。較量宗旨。應須直問直答。不假繁辭。只如禪師所見。以何為道。師曰。無心是道。遠曰。道因心有。何得言無心是道。師曰。道本無名。因心名道。心名若有。道不虗然。窮心既無。道憑何立。二俱虗妄。總是假名。遠曰。禪師見有身心。是道已否。師曰。山僧身心本來是道。遠曰。適言無心是道。今又言身心本來是道。豈不相違。師曰。無心是道。心泯道無。心道一如。故言無心是道。身心本來是道。道亦本是身心。身心本既是空。道亦窮源無有。遠曰。觀禪師形質甚小。卻會此理。師曰。大德只見山僧相。不見山僧無相。見相者是大德所見。經云。凡所有相。皆是虗妄。若見諸相非相。即見其道。若以相為實。窮劫不能見道。遠曰。今請禪師於相上說於無相。師曰。淨名經云。四大無主。身亦無我。無我所見。與道相應。大德若以四大有主是我。若有我見。窮劫不可會道也。遠聞語失色。逡巡避席。師有偈曰。四大無主復如水。遇曲逢直無彼此。淨穢兩處不生心。

絳州の人。姓は張。幼年にて緇を披き、曹溪の室に記を受け、司空山無相寺に隸した。唐天寶三年、玄宗は中使の楊光庭を派して山に進み、常春藤を採らしめ、因って丈室に造り、禮して問うた、「弟子は道を慕うこと此の如く久し、願はくは和尚慈悲、略く開示を垂れよ。」老師は說いた、「天下の禪宗の碩學は、皆京師に聚會す。天使の朝に歸る、足れり咨決すべき。貧道は山に隈れ水に傍うて、用心する所無し。」光庭は泣き拜した。老師は說いた、「貧道に禮すること休めよ。天使は佛を求むる爲か、還た道を問うか。」說いて、「弟子の智識は昏昧、佛と道とを知らず、其の義は如何。」老師は說いた、「若し佛を求めんと欲せば、即ち心是れ佛。若し道を會せんと欲せば、心無きは是れ道。」問うて、「如何にしてか即心是佛。」老師は說いた、「佛は心に因りて悟り、心は佛を以て彰らかなり。若し心無きを悟れば、佛も亦た有らず。」問うて、「如何にしてか心無きは道。」老師は說いた、「道は本來心無し、心無きを名づけて道。若し心無きを了せば、心無きが即ち道。」光庭は禮を作し信受した。既に闕庭に回り、山中の遇う所を一一に奏聞した。便ち光庭に敕して老師を詔して京に到らしめ、敕して白蓮亭に住せしめた。第二年正月十五日を過ぎて、兩街の名僧碩學を召して內道場に赴かしめ、老師と佛理を闡揚せしめた。當時遠禪師有りて、聲を抗して老師に對して說いた、「如今聖上に對して宗旨を較量す、應に直問直答を須い、繁辭を假らず。只だ禪師の見る所の如く、何を以てか道と爲す。」老師は說いた、「心無きは是れ道。」遠は說いた、「道は心有るに因る、何を得てか心無きは道と言う。」老師は說いた、「道は本來名無し、心に因りて道と名づく。心名若し有れば、道は虛然とせず。心を窮めて既に無ければ、道は何に憑りて立たん。二つは俱に虛妄、總じて是れ假名。」遠は說いた、「禪師は身心有りを見る、是れ道や否や。」老師は說いた、「山僧の身心は本來是れ道。」遠は說いた、「さっき心無きは道と說き、如今又た身心本來是れ道と說く、豈に相違せざるか。」老師は說いた、「心無きは道とは、心泯じて道無く、心道一如、故に心無きは道と說く。身心本來是れ道とは、道も亦た本是れ身心。身心本は既に是れ空、道も亦た源を窮めて有ること無し。」遠は說いた、「禪師の形質は甚だ小きを觀るも、却って此の理に會せり。」老師は說いた、「大德は只だ山僧の相を見て、山僧の無相を見ず。相を見る者は是れ大德の見る所。經に說く、凡そ相有る所は、皆是れ虛妄。若し諸相に非相を見れば、即ち其の道を見ん。若し相を以て實と爲せば、劫を窮めても道を見る能はず。」遠は說いた、「如今請うて禪師に相上に於いて無相を說かん。」老師は說いた、「《淨名經》に說く、四大は主無く、身も亦た我無し。我見無き所は、道に相應す。大德は若し四大に主有りは我と以爲すれば、若し我見有れば、劫を窮めても道に會す可からず。」遠は語を聞きて色を失い、逡巡として席を避けた。老師に偈有り、「四大は主無く復た水の如し、曲に遇い直に逢うて彼此無し。淨穢の兩處に心を生ぜず、

壅決何曾有二意。觸境但似水無心。在世縱橫有何事。復雲。一大如是。四大亦然。若明四大無主。即悟無心。若了無心。自然契道。志明禪師問。若言無心是道。瓦礫無心亦應是道。又曰。身心本來是道。四生十類皆有身心。亦應是道。師曰。大德若作見聞覺知解會。與道懸殊。即是求見聞覺知之者。非是求道之人。經云。無眼.耳.鼻.舌.身.意。六根尚無。見聞覺知憑何而立。窮本不有。何處存心。焉得不同草木瓦礫。明杜口而退。師有偈曰。見聞覺知無障礙。聲香味觸常三昧。如鳥空中只麼飛。無取無捨無憎愛。若會應處本無心。始得名為觀自在。真禪師問。道既無心。佛有心否。佛之與道。是一是二。師曰。不一不二。曰。佛度眾生。為有心故。道不度人。為無心故。一度一不度。何得無二。師曰。若言佛度眾生.道無度者。此是大德妄生二見。如山僧即不然。佛是虗名。道亦妄立。二俱不實。總是假名。一假之中。如何分二。曰。佛之與道。總是假名。當立名時。是誰為立。若有立者。何得言無。師曰。佛之與道。因心而立。推窮立心。心亦是無。心既是無。即悟二俱不實。知如夢幻。即悟本空。彊立佛道二名。此是二乘人見解。師乃說無修無作偈曰。見道方修道。不見復何修。道性如虗空。虗空何所修。徧觀修道者。撥火覔浮漚。但看弄傀儡。線斷一時休。法空禪師問。佛之與道。俱是假名。十二分教。亦應不實。何以從前尊宿皆言修道。師曰。大德錯會經意。道本無修。大德彊修。道本無作。大德彊作。道本無事。彊生多事。道本無知。於中強知。如此見解。與道相違。從前尊宿不應如是。自是大德不會。請思之。師有偈曰。道體本無修。不修自合道。若起修道心。此人不會道。棄卻一真性。卻入閙浩浩。忽逢修道人。第一莫向道。安禪師問。道既假名。佛雲妄立。

壅決は何ぞ曾て二意有らん。境に觸るるは但だ水の心無きに似たり、世に在りて縱橫するに何の事か有らん。」又說いた、「一大是の如くなれば、四大も亦然り。若し四大に主無きを明らかにせば、即ち心無きを悟る。若し心無きを了せば、自然に道に契う。」志明禪師は問うた、「若し心無きは道と言わば、瓦礫も心無し、亦た應に是れ道と爲すべし。又た身心本來是れ道と說く、四生十類は皆身心有り、亦た應に是れ道と爲すべし。」老師は說いた、「大德は若し見聞覺知の解會を作せば、道と懸殊なり、即ち是れ見聞覺知を求める人、是れ道を求める人に非ず。經に說く、眼・耳・鼻・舌・身・意無し。六根は尚ほ無し、見聞覺知は何に憑りて立たん。本を窮めて有らず、何處に心を存せん。焉んぞ草木瓦礫と同じからざるを得ん。」志明は口を杜じて退いた。老師に偈有り、「見聞覺知は障碍無く、聲香味觸は常に三昧。鳥が空中を只麼に飛ぶが如く、取る無く捨つる無く憎愛無し。若し應ずる處の本來心無きに會せば、始めて觀自在と名づくるを得ん。」真禪師は問うた、「道は既に心無し、佛は心有るか。佛と道とは、是れ一か是れ二か。」老師は說いた、「一ならず二ならず。」問うて、「佛は衆生を度する、心の故有るを爲。道は人を度せず、心無きの故を爲。一度一度せず、何を得てか二無しと。」老師は說いた、「若し佛は衆生を度し・道は度無しと說かば、此れは大德の妄に二見を生ずるなり。山僧の如くは即ち然らず。佛は是れ虛名、道も亦た妄に立つ。二つは俱に實ならず、總じて是れ假名。一假の中、如何にか二を分かたん。」問うて、「佛と道とは、總じて是れ假名。名を立つるの時に當たりて、是れ誰か立てるを爲。若し立てる者有れば、何を得てか無しと言う。」老師は說いた、「佛と道とは、心に因りて立つ。立てる心を推窮すれば、心も亦た是れ無。心既に是れ無なれば、即ち二つは俱に實ならざるを悟る。夢幻の如しを知れば、即ち本來空を悟る。強いて佛道の二名を立つるは、此れは二乘の人の見解。」老師は便ち無修無作の偈を說いた、「道を見て方に道を修す、見ざれば復た何をか修せん。道性は虛空の如し、虛空は何をか修する所。遍く道を修する者を觀れば、火を撥きて浮漚を覓む。但だ傀儡を弄ずるを看よ、線斷えば一時に休む。」法空禪師は問うた、「佛と道とは、俱に是れ假名、十二分教も亦た應に實ならざるべし。何を以てか從前の尊宿は皆道を修すと說く。」老師は說いた、「大德は經意を錯會す。道は本來修無し、大德は強いて修す。道は本來作無し、大德は強いて作す。道は本來事無し、強いて多事を生ず。道は本來知無し、中に於いて強いて知る。此の如き見解は、道に相違す。從前の尊宿は應に是の如くならざるべし。自ずから是れ大德の會せざるなり。請うて之を思え。」老師に偈有り、「道體は本來修無し、修せずして自ら道に合す。若し道を修する心を起せば、此の人は道に會せず。一真性を棄却して、却って鬧浩浩に入る。忽ち道を修する人に逢わば、第一に道に向かうこと莫れ。」安禪師は問うた、「道は既に假名、佛說は妄立、

十二分教亦是接物度生。一切是妄。以何為真。師曰。為有妄故。將真對妄。推窮妄性本空。真亦何曾有故。故知真妄總是假名。二事對治。都無實體。窮其根本。一切皆空。曰。既言一切是妄。妄亦同真。真妄無殊。復是何物。師曰。若言何物。何物亦妄。經云。無相似。無比況。言語道斷。如鳥飛空。安慙伏不知所措。師有偈曰。推真真無相。窮妄妄無形。返觀推窮心。知心亦假名。會道亦如此。到頭亦只寧。達性禪師問。禪師至妙至微。真妄雙泯。佛道兩亡。修行性空。名相不實。世界如幻。一切假名。作此解時。不可斷絕眾生善惡二根。師曰。善惡二根。皆因心有。窮心若有。根亦非虗。推心既無。根因何立。經云。善不善法。從心化生。善惡業緣。本無有實。師有偈曰。善既從心生。惡豈離心有。善惡是外緣。於心實不有。捨惡歸何處。取善令誰守。傷嗟二見人。攀緣兩頭走。若悟本無心。始悔從前咎。又有近臣問曰。此身從何而來。百年之後復歸何處。師曰。如人夢時。從何而來。睡覺時。從何而去。曰。夢時不可言無。既覺不可言有。雖有有無。來往無所。師曰。貧道此身。亦如其夢。師有偈曰。視生如在夢。夢裡實是閙。忽覺萬事休。還同睡時悟。智者會悟夢。迷人信夢閙。會夢如兩般。一悟無別悟。富貴與貧賤。更無分別路。上元二年歸寂。諡大曉禪師。

十二分教も亦た物を接して生を度する、一切は是れ妄、何を以てか眞と爲さん。」老師は說いた、「妄有るを以て、眞を將て妄に對す。推窮すれば妄性は本空、眞も亦た何ぞ曾て故あらん。故に知る、眞妄は總じて是れ假名。二事は對治して、都て實體無し。其の根本を窮めれば、一切は皆空。」問うて、「既に一切は是れ妄と言う、妄も亦た眞に同じ。眞妄殊無ければ、復た是れ何物。」老師は說いた、「若し何物と言わば、何物も亦た妄。經に說く、相似無く、比況無し。言語道は斷え、鳥が空を飛ぶが如し。」安は慙伏して、措く所を知らず。老師に偈有り、「眞を推せば眞に相無く、妄を窮めれば妄に形無し。返り觀じて窮むる心を推すれば、心も亦た假名を知る。道に會するも亦た此の如し、到頭も亦た只だ寧し。」達性禪師は問うた、「禪師は妙に至り微に至り、眞妄は雙に泯え、佛道は兩に亡び、修行は性空にして、名相は實ならず、世界は幻の如く、一切は假名。此の解を作すの時、衆生の善惡二根を斷絶す可からず。」老師は說いた、「善惡の二根は、都て心の有るに因る。心を窮めて若し有れば、根も亦た虛ならず。心を推して既に無ければ、根は何に因りて立たん。經に說く、善不善の法は、心より化生す。善惡の業緣は、本來實有ること無し。」老師に偈有り、「善は既に心より生ず、惡は豈に心を離れて有らん。善惡は是れ外緣、心に於いて實に有らず。惡を捨てて何の處に歸せん、善を取りて誰をして守らしめん。嗟傷す二見の人、攀緣して兩頭を走る。若し本來心無きを悟れば、始めて從前の咎に悔いん。」又た近臣有りて問うた、「此の身は何處より而來り、百年の後復た何の處に歸せん。」老師は說いた、「人が夢るの時の如く、何處より而來る。睡り覺むるの時、何處より而去る。」問うて、「夢るの時は無しと言う可からず、既に覺むれば有りと言う可からず。有無有ると雖も、來往は所無し。」老師は說いた、「貧道の此の身も、亦た其の夢の如し。」老師に偈有り、「生を視るに夢に在るが如く、夢裏は實に是れ鬧なり。忽ち覺めて萬事休せば、還た睡る時の悟に同じ。智者は夢を會悟し、迷人は夢の鬧を信ず。夢に會するは兩般の如く、一悟して別悟無し。富貴と貧賤と、更に分別の路無し。」上元二年に歸寂した。諡は大曉禪師。

玄䇿禪師者

玄策禪師、

婺州金華人也。遊方時屆於河朔。有隍禪師者。曾謁黃梅。自謂正受。師知隍所得未真。往問曰。汝坐於此作麼。隍曰。入定。師曰。汝言入定。有心邪。無心邪。若有心者。一切蠢動之類。皆應得定。若無心者。一切草木之流。亦合得定。曰。我正入定時。則不見有有無之心。師曰。既不見有有無之心。即是常定。何有出入。若有出入。則非大定。隍無語。良久問。師嗣誰。師曰。我師曹谿六祖。曰。六祖以何為禪定。師曰。我師雲。夫妙湛圓寂。體用如如。五陰本空。六塵非有。不出不入。不定不亂。禪性無住。離住禪寂。禪性無生。離生禪想。心如虗空。亦無虗空之量。隍聞此說。遂造於曹谿。請決疑翳。而祖意與師冥符。隍始開悟。師後卻歸金華。大開法席。

婺州金華の人。方に遊ぶ時、河朔に到った。隍禪師有りて、かつて黃梅に謁し、自ら以て正受と爲す。老師は隍の得る所は未だ眞ならざるを知り、往きて問うた、「お前は此に坐して作麼す。」隍は說いた、「定に入る。」老師は說いた、「お前は定に入ると說く、心有りか、心無しか。若し心有れば、一切蠢動の類は皆定を得るべし。若し心無ければ、一切草木の流も亦た定を得るべし。」說いて、「我は正に定に入るの時、則ち有無の心有るを見ず。」老師は說いた、「既に有無の心有るを見ざれば、即ち是れ常定、何の出入か有らん。若し出入有れば、則ち大定に非ず。」隍は語無し。久しくして問うた、「老師は誰に嗣ぐ。」老師は說いた、「我は曹溪六祖を師とす。」問うて、「六祖は何を以てか禪定と爲す。」老師は說いた、「我が師は說く、夫れ妙湛圓寂にして、體用如如。五陰は本空、六塵は有りに非ず。出でず入らず、定まらず乱れず。禪性は住無く、住を離れて禪は寂。禪性は生無く、生を離れて禪は想。心は虛空の如くして、亦た虛空の量無し。」隍は此の說を聞き、便ち曹溪に造り、疑翳を決せんことを請うた。而るに祖意は老師と冥符す。隍は纔かに開悟した。老師は後に却って金華に歸り、大いに法席を開いた。

河北智隍禪師者

河北智隍禪師、

始參五祖。雖甞諮決而循乎漸行。乃往河北結庵長坐。積二十餘載。不見惰容。後遇䇿禪師激勵。遂往參六祖。祖愍其遠來。便垂開決。師於言下豁然契悟。前二十年所得心都無影響。其夜。河北檀越士庶。忽聞空中有聲曰。隍禪師今日得道也。後回河北。開化四眾。

初め五祖に參し、かつて咨決する有りと雖も、却って漸行に循い、便ち河北に往きて庵を結びて長く坐し、積ること二十餘年、惰容を見ること無し。後に策禪師の激勵に遇い、便ち往きて六祖に參した。祖は彼の遠く來るを愍み、便ち開決を垂れた。老師は話下に豁然として契悟した。前の二十年の所得の心は都て影響無し。其の夜、河北の檀越士庶は忽然として空中の聲の說くを聞いた、「隍禪師は今日道を得れり。」後に河北に回り、四衆を開化した。

南陽慧忠國師者

南陽慧忠國師、

越州諸暨人也。姓冉氏。自受心印。居南陽白崖山黨子谷。四十餘祀不下山。道行聞於帝裡。唐肅宗上元二年。勑中使孫朝進賷詔徵赴京。待以師禮。初居千福寺西禪院。及代宗臨御。復迎止光宅精藍十有六載。隨機說法。時有西天大耳三藏到京。雲得他心通。肅宗命國師試驗。三藏才見師便禮拜。立於右邊。師問曰。汝得他心通那。對曰。不敢。師曰。汝道老僧即今在甚麼處。曰。和尚是一國之師。何得卻去西川看競渡。良久。再問。汝道老僧即今在甚麼處。曰。和尚是一國之師。何得卻在天津橋上看弄猢猻。師良久。復問。汝道老僧只今在甚麼處。藏罔測。師叱曰。這野狐精。他心通在甚麼處。藏無對(僧問仰山曰。大耳三藏第三度為甚麼不見國師。山曰。前兩度是涉境心。後入自受用三昧。所以不見。又有僧問玄沙。沙曰。汝道前兩度還見麼。玄覺雲。前兩度見。後來為甚麼不見。且道利害在甚麼處。僧問趙州。大耳三藏第三度不見國師。未審國師在甚麼處。州雲。在三藏鼻孔上。僧後問玄沙。既在鼻孔上。為甚麼不見。沙雲。只為太近)。一日喚侍者。者應諾。如是三召三應。師曰。將謂吾孤負汝。卻是汝孤負吾(僧問玄沙。國師喚侍者。意作麼生。沙雲。卻是侍者會。雲居錫雲。且道侍者會不會。若道會。國師又道汝孤負吾。若道不會。玄沙又道卻是侍者會。且作麼生商量。玄覺徵問僧。甚麼處是侍者會處。僧雲。若不會。爭解恁麼應。玄覺雲。汝少會在。又云。若於這裡商量得去。便識玄沙。僧問法眼。國師喚侍者意作麼生。眼雲。且去。別時來。雲居錫雲。法眼恁麼道。為復明國師意。不明國師意。僧問趙州。國師喚侍者。意作麼生。趙州雲。如人暗裡書字。字雖不成。文彩已彰)。南泉到參。師問。甚麼處來。曰。江西來。師曰。還將得馬師真來否。曰。只這是。師曰。背後底聻。

越州諸暨の人。姓は冉。心印を受けて自り、南陽白崖山黨子谷に住し、四十餘年山西を下らず、道行は帝里に聞ゆ。唐肅宗上元二年、中使の孫朝進に敕して詔を賚りて京に征赴せしめ、師の禮を以て待つ。初め千福寺西禪院に住す。代宗の臨御に及んで、又た迎えて光宅精藍に止め、十六年、機に隨いて法を說く。當時西天の大耳三藏が京に到り、他心通を得たと說す。肅宗は國師に命じて試驗せしめた。三藏は纔かに老師を見るや便ち禮拜し、右邊に立つ。老師は問うた、「お前は他心通を得たか。」對えて、「敢えてせず。」老師は說いた、「お前は道え、老僧は即今何の處に在る。」說いて、「和尚は一國の師なり、何を得てか却って西川に去りて競渡を看る。」久しくして、再び問うた、「お前は道え、老僧は即今何の處に在る。」說いて、「和尚は一國の師なり、何を得てか却って天津橋上に在りて猢猻を弄ずるを看る。」老師は久しくして、又問うた、「お前は道え、老僧は只今何の處に在る。」三藏は罔く測れず。老師は叱った、「此の野狐精、他心通は何の處に在る。」三藏は對無し。(僧は仰山に問うた、「大耳三藏の第三度は什麼の爲に國師を見ざる。」仰山は說いた、「前の兩度は境心に渉る、後は自受用三昧に入る、故に見えず。」又有りて僧は玄沙に問うた。玄沙は說いた、「お前は道え、前の兩度は還た見えるか。」玄覺は說いた、「前の兩度は見る、後來は什麼の爲に見えざる。且らく利害は何の處に在るを道え。」僧は趙州に問うた、「大耳三藏の第三度は國師を見ず、國師は何の處に在るを知らず。」趙州は說いた、「三藏の鼻孔の上に在り。」僧は後に玄沙に問うた、「既に鼻孔の上に在り、什麼の爲に見えざる。」玄沙は說いた、「只だ太だ近きを爲すのみ。」)一日侍者を喚ぶ。侍者は應諾す。是の如く三召三應す。老師は說いた、「將に吾がお前に孤負せりと謂うも、却って是れお前が吾に孤負せり。」(僧は玄沙に問うた、「國師が侍者を喚ぶ、意は作麼生。」玄沙は說いた、「却って是れ侍者が會せり。」雲居錫は說いた、「且らく侍者は會すか會せざるかを道え。若し會すと道わば、國師は又たお前が吾に孤負せりと道う。若し會せざると道わば、玄沙は又た却って是れ侍者會すと道う。且らく作麼生にか商量せん。」玄覺は僧に征問した、「什麼の處か是れ侍者會する處。」僧は說いた、「若し會せざれば、争ぞ此の如く應ずるを解せん。」玄覺は說いた、「お前は少く會して在る。」又說いた、「若し此の裏に於いて商量して去るを得ば、便ち玄沙を識る。」僧は法眼に問うた、「國師が侍者を喚ぶ意は作麼生。」法眼は說いた、「且く去れ、別の時に來れ。」雲居錫は說いた、「法眼が此の如く道うは、爲に復た國師の意を明らかにすか、國師の意を明らかにせざるか。」僧は趙州に問うた、「國師が侍者を喚ぶ意は作麼生。」趙州は說いた、「人が暗裏に字を書くが如し、字は成らざると雖も、文彩は已に彰れり。」)南泉は到りて參す。老師は問うた、「什麼の處より來る。」說いて、「江西より來る。」老師は說いた、「還た馬師の眞を將て來るか否。」說いて、「只だ此れ是なり。」老師は說いた、「背後の底の聻。」

南泉便休(長慶稜雲。大似不知。保福展雲。幾不到和尚此間。雲居錫雲。此二尊宿。盡扶背後。只如南泉休去。為當扶面前。扶背後)。麻谷到參。繞禪床三匝。振錫而立。師曰。汝既如是。吾亦如是。谷又振錫。師叱曰。這野狐精出去。上堂。禪宗學者。應遵佛語。一乘了義。契自心源。不了義者。互不相許。如師子身中蟲。夫為人師。若涉名利。別開異端。則自他何益。如世大匠。斤斧不傷其手。香象所負。非驢能堪。僧問。若為得成佛去。師曰。佛與眾生。一時放卻。當處解脫。曰。作麼生得相應去。師曰。善惡不思。自見佛性。曰。若為得證法身。師曰。越毗盧之境界。曰。清淨法身作麼生得。師曰。不著佛求耳。曰。阿那箇是佛。師曰。即心是佛。曰。心有煩惱否。師曰。煩惱性自離。曰。豈不斷邪。師曰。斷煩惱者。即名二乘。煩惱不生。名大涅槃。曰。坐禪看靜。此復若為。師曰。不垢不淨。寧用起心而看淨相。問。禪師見十方虗空。是法身否。師曰。以想心取之。是顛倒見。問。即心是佛。可更修萬行否。師曰。諸聖皆具二嚴。豈撥無因果邪。又曰。我今答汝。窮劫不盡。言多去道遠矣。所以道。說法有所得。斯則野幹鳴。說法無所得。是名師子吼。上堂。青蘿夤緣。直上寒松之頂。白雲淡濘。出沒太虗之中。萬法本閑而人自閙。師問僧。近離甚處。曰。南方。師曰。南方知識以何法示人。曰。南方知識。秖道一朝風火散後。如蛇退皮。如龍換骨。本爾真性。宛然無壞。師曰。苦哉。苦哉。南方知識說法。半生半滅。曰。南方知識即如是。未審和尚此間說何法。師曰。我此間身心一如。身外無餘。曰。和尚何得將泡幻之身同於法體。師曰。你為甚麼入於邪道。曰。甚麼處是某甲入於邪道處。師曰。不見教中道。若以色見我。以音聲求我。是人行邪道。不能見如來。南陽張濆行者問。

南泉は便ち休した。(長慶稜は說いた、「大いに知らざるに似たり。」保福展は說いた、「幾んど和尚の此間に到らざりし。」雲居錫は說いた、「此の二尊宿は、盡く背後を扶す。只だ南泉の休して去るが如くは、爲に當に面前を扶すか、背後を扶すか。」)麻谷は到りて參し、禪床を繞ること三匝、錫を振りて立つ。老師は說いた、「お前は既に是の如くなれば、吾も亦是の如し。」麻谷は又た錫を振った。老師は叱った、「此の野狐精は出去れ。」上堂して曰く、「禪宗の學者は、應に佛語に遵うべし。一乘了義は、自心源に契う。了義ならざる者は、互いに相許さず。師子身中の蟲の如し。夫れ人の師と爲るは、若し名利に渉り、別に異端を開かば、則ち自他何の益か有らん。世の大匠の如く、斤斧は其の手を傷らざるなり。香象の負う所は、驢の堪ふる能きに非ず。」僧は問うた、「若を以てか成佛して去らんを得ん。」老師は說いた、「佛と衆生と、一時に放却すれば、當處解脫なり。」問うて、「作麼生に相應して去らんを得ん。」老師は說いた、「善惡を思はざれば、自ら佛性を見ん。」問うて、「若を以てか法身を證するを得ん。」老師は說いた、「毘盧の境界を越ゆ。」問うて、「淸淨法身は作麼生に得ん。」老師は說いた、「佛に著いて求めずのみ。」問うて、「阿那個か是れ佛。」老師は說いた、「即心是佛。」問うて、「心に煩惱有るか否。」老師は說いた、「煩惱の性は自ら離る。」問うて、「豈に斷ぜざるか。」老師は說いた、「煩惱を斷ずる者は、即ち名づけて二乘。煩惱の生生ぜざるを、名づけて大涅槃。」問うて、「禪に坐して靜を看る、此れ復た若為なり。」老師は說いた、「垢ならず淨ならず、寧ぞ心を起して淨相を看んを用いん。」問うて、「禪師は十方虛空を見る、是れ法身か否。」老師は說いた、「想心を以て之を取れば、是れ顚倒見。」問うて、「即心是佛、更に萬行を修すべきか否。」老師は說いた、「諸聖は皆二嚴を具す、豈に因果を撥無せん。」又說いた、「我今お前に答う、劫を窮めても盡きず。言多ければ道を去ること遠し。故に道く、法を說くに所得有れば、斯れ則ち野干の鳴くなり。法を說くに所得無ければ、是を名づけて師子吼と爲す。」上堂して曰く、「青蘿は夤緣して、直に寒松の頂に上る。白雲は淡濘として、太虛の中に出沒す。萬法は本來閑なりて人自ら鬧す。」老師は僧に問うた、「近く何處を離る。」說いて、「南方。」老師は說いた、「南方の知識は何の法を以てか人に示す。」說いて、「南方の知識は只だ道う、一朝風火散後、蛇が皮を退くが如く、龍が骨を換ふるが如く、本爾の真性は、宛然として壞無しと。」老師は說いた、「苦しいかな苦しいかな。南方の知識が法を說くは、半生半滅。」說いて、「南方の知識は即ち是の如し。和尚の此間に說く何の法かを知らず。」老師は說いた、「我が此間は身心一如、身の外に餘無し。」說いて、「和尚は何を得てか泡幻の身を將て法體に同じくせん。」老師は說いた、「お前は什麼の爲に邪道に入る。」說いて、「什麼の處か是れ某甲の邪道に入る處。」老師は說いた、「教の中に道くを見ず、若し色を以て我を見、音聲を以て我を求むれば、是の人は邪道を行じて、如來を見る能はずと。」南陽の張𣸣行者は問うた、

承和尚說無情說法。某甲未體其事。乞和尚垂示。師曰。汝若問無情說法。解他無情。方得聞我說法。汝但聞取無情說法去。濆曰。只約如今有情方便之中。如何是無情因緣。師曰。如今一切動用之中。但凡聖兩流都無少分起滅便是出。識不屬有無。熾然見覺。只聞無其情識繫執。所以六祖雲。六根對境。分別非識。有僧到參禮。師問。蘊何事業。曰。講金剛經。師曰。最初兩字是甚麼。曰。如是。師曰。是甚麼。僧無對。有人問。如何是解脫。師曰。諸法不相到。當處解脫。曰。恁麼即斷去也。師曰。向汝道諸法不相到。斷甚麼。師見僧來。以手作圓相。相中書日字。僧無對。師問本淨禪師。汝已後見奇特言語如何淨。曰。無一念心愛。師曰。是汝屋裡事。肅宗問。師在曹谿得何法。師曰。陛下還見空中一片雲麼。帝曰。見。師曰。釘釘著。懸掛著。帝又問。如何是十身調御。師乃起立曰。會麼。帝曰。不會。師曰。與老僧過淨瓶來。帝又曰。如何是無諍三昧。師曰。檀越蹋毗盧頂上行。帝曰。此意如何。師曰。莫認自己清淨法身。帝又問。師都不視之。曰。朕是大唐天子。師何以殊不顧視。師曰。還見虗空麼。帝曰。見。師曰。他還眨目視陛下否。魚軍容問。師住白崖山。十二時中如何修道。師喚童子來。摩頂曰。惺惺直言惺惺。歷歷直言歷歷。已後莫受人謾。師與紫璘供奉論議。師陞座。奉曰。請師立義。某甲破。師曰。立義竟。奉曰。是甚麼義。師曰。果然不見。非公境界。便下座。一日。師問紫璘供奉。佛是甚麼義。曰。是覺義。師曰。佛曾迷否。曰。不曾迷。師曰。用覺作麼。奉無對。奉問如何是實相。師曰。把將虗底來。曰。虗底不可得。師曰。虗底尚不可得。問實相作麼。僧問。如何是佛法大意。師曰。文殊堂裡萬菩薩。曰。學人不會。師曰。大悲千手眼。師以化緣將畢。涅槃時至。

「和尚の說く無情說法を承く、某甲は未だ其の事を體せず、和尚の垂示を求む。」老師は說いた、「お前は若し無情說法を問わば、彼の無情を解すれば、方に我が法を說くを聞くを得ん。お前は但だ無情無情說法を聞き取りて去れ。」張𣸣は說いた、「只だ如今有情方便の中に約す、如何にか是れ無情の因緣。」老師は說いた、「如今一切の動用の中、但だ凡聖の兩流は都て少分の起滅無ければ便ち是れ出。識は有無に屬せず、熾然として見覺して、只だ其の情識の係執無きを聞く。故に六祖は說く、六根は境に對して、分別は識に非ずと。」僧有りて到りて參禮す。老師は問うた、「何事業を蘊す。」說いて、「《金剛經》を講ず。」老師は說いた、「最初の兩字は什麼。」說いて、「如是。」老師は說いた、「是れ什麼。」僧は對無し。人有りて問うた、「如何にしてか是れ解脫。」老師は說いた、「諸法は相到せず、當處解脫なり。」說いて、「此の如くなれば即ち斷えて去るなり。」老師は說いた、「お前に向かって諸法は相到せずと道う、何をか斷えん。」老師は僧の來るを見て、手を用いて圓相を作し、相の中に日字を書く。僧は對無し。老師は本淨禪師に問うた、「お前は以後奇特の言語を見れば如何。」本淨は說いた、「一分の心愛無し。」老師は說いた、「是れお前の屋裏の事。」肅宗は問うた、「老師は曹溪に於いて何の法を得た。」老師は說いた、「陛下は還た空中一片の雲を見るか。」帝は說いた、「見る。」老師は說いた、「釘釘し著けて、懸挂し著けて。」帝は又問うた、「如何にしてか是れ十身調御。」老師は便ち起立して說いた、「會するか。」帝は說いた、「會せず。」老師は說いた、「老僧に淨瓶を過して來れ。」帝は又說いた、「如何にしてか是れ無諍三昧。」老師は說いた、「檀越は毘盧の頂上を踏みて行け。」帝は說いた、「此の意は如何。」老師は說いた、「自己の淸淨法身を認むること莫れ。」帝は又問うた。老師は都て彼を視ず。帝は說いた、「朕は是れ大唐天子、老師は何以てか殊に顧視せざる。」老師は說いた、「還た虛空を見るか。」帝は說いた、「見る。」老師は說いた、「彼は還た目を眨じて陛下を視るか否。」魚軍容は問うた、「老師は白崖山に住す、十二時の中に如何にか道を修する。」老師は童子を喚び來らしめ、頂を摩して說いた、「惺惺には直に惺惺と言い、歷歷には直に歷歷と言え。以後人に謾けられること莫れ。」老師は紫璘供奉と論議す。老師は座に升る。供奉は說いた、「老師に請うて義を立てよ、某甲は破らん。」老師は說いた、「義を立て畢れり。」供奉は說いた、「是れ什麼の義。」老師は說いた、「果然見えず、公の境界に非ず。」便ち座を下った。一日、老師は紫璘供奉に問うた、「佛は什麼の義。」說いて、「是れ覺の義。」老師は說いた、「佛は曾て迷うこと有るか否。」說いて、「曾て迷わず。」老師は說いた、「覺を用いて作麼せん。」供奉は對無し。供奉は問うた、「如何にしてか是れ實相。」老師は說いた、「虛底を將て來れ。」說いて、「虛底は得る可からず。」老師は說いた、「虛底は尚ほ得る可からず、實相を問うて作麼せん。」僧は問うた、「如何にしてか是れ佛法の大意。」老師は說いた、「文殊堂裏の萬菩薩。」說いて、「學人は會せず。」老師は說いた、「大悲の千手眼。」老師は因って化緣將に畢らんとして、涅槃の時至る、

乃辭代宗。代宗曰。師滅度後。弟子將何所記。師曰。告檀越造取一所無縫塔。帝曰。就師請取塔樣。師良久。曰。會麼。帝曰。不會。師曰。貧道去後。有侍者應真卻知此事。乞詔問之。大曆十年十二月十九日。右脇長往。塔於黨子谷。諡大證禪師。代宗後詔應真問前語。真良久。曰。聖上會麼。帝曰。不會。真述偈曰。湘之南。潭之北。中有黃金充一國。無影樹下合同船。瑠璃殿上無知識。

便ち代宗に辭す。代宗は說いた、「老師が滅度した後、弟子は將に何を以て記と爲せん。」老師は說いた、「檀越に告げて一所の無縫塔を造り取らしめよ。」帝は說いた、「老師に就いて塔樣を請取せん。」老師は良久して說いた、「會するか。」帝は說いた、「會せず。」老師は說いた、「貧道が去りて後、侍者の應真有りて却って此の事を知らん。詔して彼に問うことを求めよ。」大曆十年十二月十九日、右脅にて長往した。塔は黨子谷に在り。諡は大證禪師。代宗は後に應真に詔して前の語を問はしめた。應真は良久して說いた、「聖上は會するか。」帝は說いた、「會せず。」應真は偈を述べた、「湘の南、潭の北、中に黃金有りて一國に充つ。影無き樹下に合同船、瑠璃殿上に知識無し。」

西京荷澤神會禪師者

西京荷澤神會禪師、

襄陽人也。姓高氏。年十四為沙彌。謁六祖。祖曰。知識遠來大艱辛。將本來否。若有本則合識主。試說看。師曰。以無住為本。見即是主。祖曰。這沙彌爭合取次語。便打。師於杖下思惟。曰。大善知識。歷劫難逢。今既得遇。豈惜身命。自此給侍。他日。祖告眾曰。吾有一物。無頭無尾。無名無字。無背無面。諸人還識否。師乃出曰。是諸法之本源。乃神會之佛性。祖曰。向汝道無名無字。汝便喚作本源佛性。師禮拜而退。祖曰。此子向後。設有把茆葢頭。也只成得箇知解宗徒(法眼雲。古人授記人終不錯。如今立知解為宗。即荷澤也)。師尋往西京受戒。唐景龍年中。卻歸曹谿。閱大藏經於內。六處有疑。問於六祖。第一問戒定慧曰。所用戒何物。定從何處修。慧因何處起。所見不通流。祖曰。定即定其心。將戒戒其行。性中常慧照。自見自知深。第二問。本無今有有何物。本有今無無何物。誦經不見有無義。真似騎驢更覔驢。祖曰。前念惡業本無。後念善生今有。念念常行善行。後代人天不久。汝今正聽吾言。吾即本無今有。第三問。將生滅卻滅。將滅滅卻生。不了生滅義。所見似聾盲。祖曰。將生滅卻滅。令人不執性。將滅滅卻生。令人心離境。未即離二邊。自除生滅病。第四問。先頓而後漸。先漸而後頓。不悟頓漸人。心裡常迷悶。祖曰。聽法頓中漸。悟法漸中頓。修行頓中漸。證果漸中頓。頓漸是常因。悟中不迷悶。第五問。先定後慧。先慧後定。定慧後初。何生為正。祖曰。常生清淨心。定中而有慧。於境上無心。慧中而有定。定慧等無先。雙修自心正。第六問。先佛而後法。先法而後佛。佛法本根源。起從何處出。祖曰。說即先佛而後法。聽即先法而後佛。若論佛法本根源。一切眾生心裡出。祖滅後二十年間。曹谿頓旨沈廢於荊吳嵩嶽。漸門盛行於秦洛。師入京。

襄陽の人。姓は高。十四歳にて沙彌と作り、六祖に謁す。祖は說いた、「知識は遠く來りて大に艱辛。本を將て來るか否。若し本有れば則ち主を識るに合す。試みに說いて看よ。」老師は說いた、「無住を以て本と爲し、見は即ち是れ主。」祖は說いた、「此の沙彌は争ぞ取次の語を合せん。」便ち打った。老師は杖下に思惟し、說いた、「大善知識は、劫を歷て逢い難し。今既に遇うを得、豈に身命を惜しまん。」此より給侍す。他日、祖は衆人に告げて曰く、「吾に一物有り、頭無く尾無く、名無く字無く、背無く面無し。諸人は還た識るか否。」老師は便ち出で來りて說いた、「是れ諸法の本源、乃ち神會の佛性。」祖は說いた、「お前に向かって名無く字無しと道う、お前は便ち本源佛性と喚ぶ。」老師は禮拜して退いた。祖は說いた、「此の子は向後、設い茅を把りて頭を蓋う有らんも、也只だ知解宗徒を成し得る個。」(法眼は說いた、「古人は授記する人は終に錯らず。如今知解を立てて宗と爲す、即ち荷澤なり。」)老師は隨い後に西京に往きて戒を受けた。唐景龍年中、却って曹溪に歸る。內に大藏經を閱して、六處に疑有り、六祖に問うた。第一は戒定慧を問う、說いて、「用いる所の戒は何物。定は何處より修する。慧は何處に因りて起る。見る所は通流せず。」祖は說いた、「定は即ち其の心を定め、戒は將て其の行を戒む。性中に常に慧照すれば、自見自知深し。」第二問う、「本無今有とは何物有る。本有今無とは何物無る。經を誦して有無の義を見ず、真に騎驢して更に驢を覓むるに似たり。」祖は說いた、「前念の惡業は本無、後念の善生は今有。念念に常に善行を行ぜば、後代は人天久しからず。お前は今正に吾が言を聽く、吾は即ち本無今有。」第三問う、「生を將て滅を卻け、滅を將て生を卻く。生滅の義を了せず、見る所は聾盲に似たり。」祖は說いた、「生を將て滅を卻くは、人をして性に執せざらしむ。滅を將て生を卻くは、人をして心を境に離れしむ。未だ二邊を離れざれば、自ら生滅の病を除く。」第四問う、「先づ頓にして而る後に漸、先づ漸にして而る後に頓。頓漸を悟らざる人は、心裏に常に迷悶す。」祖は說いた、「法を聽くは頓中の漸、法を悟るは漸中の頓。修行は頓中の漸、果を證するは漸中の頓。頓漸は是れ常因、悟中は迷悶せず。」第五問う、「先づ定にして後に慧、先づ慧にして後に定。定慧の後初は、何の生か是れ正。」祖は說いた、「常に淸淨心を生じて、定中にして慧有り。境上に於いて心無ければ、慧中にして定有り。定慧は先無しに等し、雙修は自心正し。」第六問う、「先づ佛にして而る後に法、先づ法にして而る後に佛。佛法の本根源は、何處より起て出づる。」祖は說いた、「說けば即ち先づ佛にして而る後に法、聽けば即ち先づ法にして而る後に佛。若し佛法の本根源を論ぜば、一切衆生の心裏より出づ。」祖が滅して後二十年间、曹溪の頓旨は荊吳嵩岳に沈廢し、漸門は秦洛に盛行す。老師は京に進んだ。

天寶四年方定兩宗(南能頓宗。北秀漸教)。乃著顯宗記。盛行於世。一日鄉信至。報二親亡。師入堂白槌曰。父母俱喪。請大眾念摩訶般若。眾才集。師便打槌曰。勞煩大眾。師於上元元年奄然而化。塔於龍門。

天寶四年、纔かに兩宗を定む(南能頓宗、北秀漸教)。便ち《顯宗記》を著し、世に盛行す。一日鄕信到り、二親の亡びを報ず。老師は堂に進みて白槌して說いた、「父母は俱に喪れり、大衆に請うて摩訶般若を念ぜん。」衆は纔かに集まり、老師は便ち槌を打ちて說いた、「大衆を勞煩す。」老師は上元元年に奄然として化した。塔は龍門に在り。

六祖下二世(旁出)

六祖下二世(旁出)

南陽忠國師法嗣

南陽忠國師法嗣

吉州耽源山應真禪師

吉州耽源山應真禪師

為國師侍者時。一日國師在法堂中。師入來。國師乃放下一足。師見便出。良久卻回。國師曰。適來意作麼生。師曰。向阿誰說即得。國師曰。我問你。師曰。甚麼處見某甲。師又問。百年後有人問。極則事如何。國師曰。幸自可憐生。須要覔箇護身符子作麼。異日。師擕籃子歸方丈。國師問。籃裡甚麼物。師曰。青梅。國師曰。將來何用。師曰。供養。國師曰。青在爭堪供養。師曰。以此表獻。國師曰。佛不受供養。師曰。某甲只恁麼。和尚如何。國師曰。我不供養。師曰。為甚麼不供養。國師曰。我無果子。百丈海和尚在泐潭山牽車次。師曰。車在這裡。牛在甚麼處。丈斫額。師乃拭目。麻谷問。十二面觀音豈不是聖。師曰。是。麻谷與師一摑。師曰。想汝未到此境。國師諱日設齋。有僧問曰。國師還來否。師曰。未具他心。曰。又用設齋作麼。師曰。不斷世諦。

國師の侍者と作るの時、一日國師は法堂の中に在り。老師は進み來る。國師は便ち一足を放下す。老師は見て便ち出づ。久しくして却って回る。國師は說いた、「適來の意は作麼生。」老師は說いた、「阿誰に向かって即ち得と說かん。」國師は說いた、「我はお前に問う。」老師は說いた、「什麼の處に某甲を見る。」老師は又問うた、「百年の後に人問う有らば、極則の事は如何。」國師は說いた、「幸いに自ら可憐生なり、須うじて個の護身符子を覓めて作麼せん。」另の一日、老師は籃子を携えて方丈に歸る。國師は問うた、「籃裏は什麼の物。」老師は說いた、「青梅。」國師は說いた、「將來して何に用いる。」老師は說いた、「供養。」國師は說いた、「青は在りて争ぞ供養に堪えん。」老師は說いた、「此を以て表獻す。」國師は說いた、「佛は供養を受けず。」老師は說いた、「某甲は只だ此の如し。和尚は如何。」國師は說いた、「我は供養せず。」老師は說いた、「什麼の爲に供供養せざる。」國師は說いた、「我に果子無し。」百丈海和尚が泐潭山に於いて車を牽くの時、老師は說いた、「車は此の裏に在り、牛は什麼の處に在る。」百丈は額を斫った。老師は便ち目を拭った。麻谷は問うた、「十二面觀音は豈に聖に非ずや。」老師は說いた、「是なり。」麻谷は老師に一掴を與えた。老師は說いた、「お前が未だ此の境に到らざるを想う。」國師の諱日に齋を設く。僧有りて問うた、「國師は還た來るか否。」老師は說いた、「未だ他心を具せず。」問うて、「又た齋を設けて作麼せん。」老師は說いた、「世諦を斷ぜず。」

荷澤會禪師法嗣

荷澤會禪師法嗣

沂水蒙山光寶禪師

沂水蒙山光寶禪師

幷州人也.姓周氏。初謁荷澤。澤謂之曰。汝名光寶。名以定體。寶即己有。光非外來。縱汝意用而無少乏。長夜蒙照而無間歇。汝還信否。師曰。信則信矣。未審光之與寶。同邪異邪。澤曰。光即寶。寶即光。何有同異之名乎。師曰。眼耳緣聲色時。為復抗行。為有回互。澤曰。抗互且置。汝指何法為聲色之體乎。師曰。如師所說。即無有聲色可得。澤曰。汝若了聲色體空。亦信眼耳諸根。及與凡與聖。平等如幻。抗行回互。其理昭然。師由是領悟。禮辭而去。初隱沂水蒙山。於唐元和二年圓寂。

幷州の人。姓は周。初め荷澤に謁す。荷澤は彼に對して說いた、「お前の名は光寶。名は以て體を定む。寶は即ち己有、光は外來に非ず。縱いお前が意に用うるに少乏無く、長夜に蒙照して間歇無し。お前は還た信ずるか否。」老師は說いた、「信ずれば信了せり。光と寶とは、同か還た異かを知らず。」荷澤は說いた、「光は即ち寶、寶は即ち光。何の同異の名か有らん。」老師は說いた、「眼耳が聲色に緣するの時、爲に復た抗行か、爲に回互有るか。」荷澤は說いた、「抗互は且く放着しとけ。お前は何の法を指して聲色の體と爲す。」老師は說いた、「老師の說く所の如くは、即ち聲色の得る可き無し。」荷澤は說いた、「お前若し聲色の體が空なるを了せば、亦た眼耳の諸根、及び凡と與聖と、平等にして幻の如しを信ず。抗行回互、其の理は昭然なり。」老師は此に由りて領悟し、禮辭して去った。初め沂水蒙山に隱る。唐元和二年に圓寂した。

六祖下三世四世(旁出)(不列章次)

六祖下三世・四世(旁出)(章次を列せず)

六祖下五世(旁出)

六祖下五世(旁出)

遂州圓禪師法嗣

遂州圓禪師法嗣

終南山圭峰宗密禪師者

終南山圭峰宗密禪師、

果州西充人也。姓何氏。家本豪盛。髫齓通儒書。冠歲探釋典。唐元和二年將赴貢舉。偶造圓和尚法席。欣然契會。遂求披剃。當年進具。一日。隨眾僧齋於府吏任灌家。居下位以次受經。得圓覺十二章。覧未終軸。感悟流涕。歸以所悟之旨告於圓。圓撫之曰。汝當大弘圓頓之教。此諸佛授汝耳。行矣。無自滯於一隅也。師涕泣奉命。禮辭而去。因謁荊南忠禪師(南印)。忠曰。傳教人也。當宣導於帝都。復見洛陽照禪師(奉國神照)。照曰。菩薩人也。誰能識之。尋抵襄漢。因病。僧付華嚴疏。即上都澄觀大師之所撰也。師未甞聽習。一覧而講。自欣所遇。曰。曏者諸師述作。罕窮厥旨。未若此疏。辭源流暢。幽賾煥然。吾禪遇南宗。教逢圓覺。一言之下。心地開通。一軸之中。義天朗耀。今復偶茲絕筆。罄竭於懷。暨講終。思見疏主。時屬門人泰恭斷臂醻恩。師先齎書上疏主。遙敘師資。往復慶慰。尋泰恭痊損。方隨侍至上都。執弟子之禮。觀曰。毗盧華藏。能隨我遊者。其汝乎。師預觀之室。惟日新其德。而認筌執象之患永亡矣。北遊清涼山。回住鄠縣草堂寺。未幾。復入終南圭峰蘭若。大和中徵入內。賜紫衣。帝累問法要。朝士歸慕。唯相國裴公休。深入堂奧。受教為外護。師以禪教學者互相非毀。遂著禪源諸詮。寫錄諸家所述。詮表禪門根源道理。文字句偈。集為一藏(或雲一百卷)。以貽後代。其都序略雲。禪是天竺之語。具雲禪那。此雲思惟修。亦云靜慮。皆定慧之通稱也。源者。是一切眾生本覺真性。亦名佛性。亦名心地。悟之名慧。修之名定。定慧通名為禪。此性是禪之本源。故云禪源。亦名禪那。理行者。此之本源是禪理。忘情契之是禪行。故云理行。然今所集諸家述作。多譚禪理。少說禪行。故且以禪源題之。今時有人但目真性為禪者。是不達理行之旨。又不辨華竺之音也。

果州西充の人。姓は何。家は本と豪盛。幼年にて儒書に通じ、冠歳に釋典を探る。唐元和二年、將に貢擧に赴かんとして、偶然圓和尚の法席に造り、欣然として契會し、便ち出家を求めた。當年に具に進む。一天、衆僧に隨いて府吏の任灌の家に齋を受け、下位に居り次序を按して經を受け、《圓覺》十二章を得た。覽ること未だ軸を終えざれども、感悟して涕を流した。回りて悟る所の旨を圓に告げた。圓は彼を撫して說いた、「お前は當に圓頓の教を大いに弘むべし。此れは諸佛がお前に授けたなり。去れ、自ら一隅に滯まること勿れ。」老師は涕泣して命を奉じ、禮辭して去った。因って荊南忠禪師に謁す(南印)。忠は說いた、「教を傳うる人は、當に帝都に於いて宣導すべし。」又た洛陽照禪師に見ゆ(奉國神照)。照は說いた、「菩薩の人なり、誰か識らん。」隨って襄漢に抵達し、病に因る。僧は《華嚴疏》を付す、即ち上都の澄觀大師の撰する所なり。老師は未だ嘗て聽習せざれども、一覽して講じた。自ら遇う所を欣喜し、說いた、「向來諸師の述作は、其の旨を窮めること少なし。未だ此の疏の、辭源は流暢にして、幽賾焕然たるに若かず。我が禪は南宗に遇い、教は《圓覺》に逢い、一言の下に、心地は開通し、一軸の中に、義天は朗耀す。如今又た偶に此の絶筆を得て、懷に罄竭す。」講ずるを終えて、疏の主人を解すに見えんと欲した。當時趕いて門人の泰恭が臂を斷って恩を酬うるに及んだ。老師は先づ書を賚りて疏主に上り、遙かに師資を敘し、往復慶慰す。泰恭が痊損せるに及び、纔かに隨侍して上都に到り、弟子の禮を執った。澄觀は說いた、「毘盧の華藏、能く我に隨いて遊ぶ者は、蓋しお前ならん。」老師は澄觀の室に預り、只是れ日に其の德を新たにして、而して筌を認め象に執するの患は永く亡びた。北に清涼山に遊び、回りて鄠縣草堂寺に住す。未だ久しからず、又た終南圭峰蘭若に進む。大和中に内に征せられ、紫衣を賜う。帝は屢々法要を問うた。朝士は歸慕し、惟だ相國裴公休が堂奧に深入して、教を受けて外護と作した。老師は禪・教の學者が相い非毀するを以て、便ち《禪源諸詮》を著し、諸家の述する所を寫錄し、禪門の根源道理・文字句偈を詮表し、集めて一藏と爲す(或いは說く一百卷)、以て後代に遺さんとす。其の都序の大略は說く、禪は是れ天竺の語、全くは禪那と稱す。此の方は思惟修と說き、亦た靜慮と說き、皆是れ定慧の通稱。源は、一切衆生の本覺真性、亦た名づけて佛性、亦た名づけて心地。它を悟るは名づけて慧、它を修するは名づけて定。定慧は通じて名て名づけて禪。此の性は禪の本源、故に說きて禪源。亦た名づけて禪那。理行とは:此の本源は是れ禪理、情を忘れて它に契うは是れ禪行、故に理行と說く。然れども如今集むる所の諸家の述作は、多くは禪理を談じ、少くは禪行を說く、故に且く禪源を用いて之に題す。今時的人有りて只だ真性を以て禪と看るは、是れ理行の旨に達せず、又た華・竺の音を辨えず。

然非離真性。別有禪體。但眾生迷真合塵。即名散亂。背塵合真。方名禪定。若直論本性。即非真非妄。無背無合。無定無亂。誰言禪乎。況此真性。非唯是禪門之源。亦是萬法之源。故名法性。亦是眾生迷悟之源。故名如來藏藏識(出楞伽經)。亦是諸佛萬德之源。故名佛性(涅槃等經)。亦是菩薩萬行之源。故名心地(梵網經云。是諸佛之本源。行菩薩道之根本。是大眾諸佛子之根本也)。萬行不出六波羅蜜。禪者。但是六中之一。當其第五。豈可都目真性為一禪行哉。然禪定一行最為神妙。能發起性上無漏智慧。一切妙用。萬行萬德。乃至神通光明。皆從定發。故三乘人慾求聖道。必須修禪。離此無門。離此無路。至於念佛求生淨土。亦修十六觀禪。及念佛三昧.般舟三昧等也。又真性即不垢不淨。凡聖無差。禪門則有淺有深。階級殊等。謂帶異計.欣上厭下而修者。是外道禪。正信因果。亦以欣厭而修者。是凡夫禪。悟我空偏真之理而修者。是小乘禪。悟我法二空所顯真理而修者。是大乘禪(上四類。皆有四色四空之異也)。若頓悟自心本來清淨。元無煩惱。無漏智性本自具足。此心即佛。畢竟無異。依此而修者。是最上乘禪。亦名如來清淨禪。亦名一行三昧。亦名真如三昧。此是一切三昧根本。若能念念修習。自然漸得百千三昧。達磨門下展轉相傳者。是此禪也。達磨未到。古來諸家所解。皆是前四禪八定。諸高僧修之。皆得功用。南嶽天台令依三諦之理修三止三觀。教義雖最圓妙。然其趣入門戶次第。亦只是前之諸禪行相。唯達磨所傳者。頓同佛體。迥異諸門。故宗習者難得其旨。得即成聖。疾證菩提。失即成邪。速入塗炭。先祖革昧防失。故且人傳一人。後代已有所憑。故任千燈千照。洎乎法久成弊。錯謬者多。故經論學人疑謗亦眾。原夫佛說頓教漸教。禪開頓門漸門。二教二門。

然れども非ず真性を離れて別に禪體有る。只だ衆生は眞に迷い塵に合う、即ち名づけて散乱と爲す。塵に背き眞に合すれば、纔かに名づけて禪定と爲す。若し直に本性を論ぜば、即ち眞に非ず妄に非ず、背無く合無く、定無く乱無し、誰か禪と說かん。何を況んや此の真性は、唯だ是れ禪門の源ならずして、亦是れ萬法の源、故に名づけて法性。亦是れ衆生の迷悟の源、故に名づけて如來藏・藏識(《楞伽經》に出づ)。亦是れ諸佛萬德の源、故に名づけて佛性(《涅槃》等の經)。亦是れ菩薩萬行の源、故に名づけて心地(《梵網經》に說く、是れ諸佛の本源、菩薩道を行ずるの根本、大衆諸佛子の根本)。萬行は六波羅蜜を出でず。禪は只だ六中の一、其の第五に當る、豈に都て真性を以て一種の禪行と看る可けんや。然れども禪定の一行は最も神妙、能く性上の無漏智慧を發起す。一切の妙用、萬行萬德、乃至神通光明は、皆定より發す。故に三乘の人は聖道を求めんと欲すれば、必ず禪を修するを須い。此を離るれば門無く、此を離るれば路無し。念佛に至りては淨土に生ぜんことを求むるも、亦た十六觀禪、及び念佛三昧・般舟三昧等を修す。又た真性は即ち垢ならず淨ならず、凡聖に差無し。禪門は則ち淺有り深有り、階級は殊等なり。謂うに異計を帶び、上を欣い下を厭いて修するは、是れ外道禪。因果を正信し、亦た欣厭を以て修するは、是れ凡夫禪。我空偏眞の理を悟りて修するは、是れ小乘禪。我法二空の顯す所の眞理を悟りて修するは、是れ大乘禪。(上の四類は、皆四色四空の異有り。)若し自心の本來淸淨、元より煩惱無く、無漏智性は本自具足し、此の心即ち佛、畢竟に異無きを頓悟し、此に依りて修するは、是れ最上乘禪、亦た名づけて如來淸淨禪、亦た名づけて一行三昧、亦た名づけて真如三昧。此れは一切三昧の根本。若し能く念念に修習せば、自然に漸く百千三昧を得ん。達磨門下の展轉相傳する所は、是の禪なり。達磨の未だ至らざるに先んじて、古來諸家の解する所は、皆是れ前四禪八定。諸の高僧は它を修して、皆功用を得たり。南岳天台は三諦の理に依りて三止三觀を修せしめ、教義は最も圓妙と雖も、然れども其の門戸次第に入るの趣は、也只是れ前の諸禪行相。唯だ達磨の傳ふる所は、頓ちに佛體に同じ、迥く諸門に異なり。故に宗習するは其の旨を得難し。得れば即ち聖と成り、疾く菩提を證す。失えば即ち邪と成り、速やかに塗炭に入る。先祖は昧を革め失を防ぐ、故に且く人一人を傳う。後代は已に憑る所有り、故に千燈千照に任す。法久しくして弊と成り、錯謬の多きに及びて、故に經論の學人も疑謗衆し。原夫れ佛は頓教漸教を說き、禪は頓門漸門を開く。二教二門は、

各相符契。今講者偏彰漸義。禪者偏播頓宗。禪講相逢。胡越之隔。宗密不知。宿生何作。燻得此心。自未解脫。欲解他縛。為法亡於軀命。愍人切於神情(亦如淨名經云。若自有縛。能解他縛。無有是處。然欲罷不能。驗是宿習難改故)。每歎人與法差。法為人病。故別撰經律論疏。大開戒定慧門。顯頓悟資於漸修。證師說符於佛意。意既本末而委示。文乃浩博而難尋。汎學雖多。秉志者少。況跡涉名相。誰辨金鍮。徒自疲勞。未見機感。雖佛說悲增是行。而自慮愛見難防。遂捨眾入山。習定均慧。前後息慮。相繼十年。微細習情。起滅彰於靜慮。差別法義。羅列現於空心。虗隙日光。纖埃擾擾。清潭水底。影像昭昭。豈比夫空守默之痴禪。但尋文之狂慧者也。然本因了自心而辨諸教。故懇情於心宗。又因辨諸教而解修心。故虔誠於教義。教也者。諸佛菩薩所留經論也。禪也者。諸善知識所述句偈也。但佛經開張。羅大千八部之眾。禪偈撮略。就此方一類之機。羅眾則莾蕩難依。就機則指的易用。今之纂集。意在斯焉。裴休為之序曰。諸宗門下。皆有達人。然各安所習。通少局多。故數十年來。師法益壞。以承稟為戶牖。各自開張。以經論為干戈。互相攻擊。情隨函矢而遷變(周禮曰。函人為甲。孟子曰。矢人豈不仁於函人哉。函人唯恐傷人。矢人唯恐不傷人。葢所習之術使然也。今學者但隨宗徒。彼此相非耳)。法逐人我以高低。是非紛拏。莫能辨析。則曏者世尊菩薩諸方教宗。適足以起諍後人。增煩惱病。何利益之有。我圭峰大師久而歎曰。吾丁此時。不可以默矣。於是以如來三種教義。印禪宗三種法門。鎔缾盤釵釧為一金。攪酥酪醍醐為一味。振綱領而舉者皆順(荀子云。如振裘領。屈五指而頓之。順者不可勝數)。據會要而來者同趣(周易略例雲。據會要以觀方來。則六合輻湊。未足多也。

各々相符契す。如今講ずるは偏に漸義を彰し、禪的は偏に頓宗を播く。禪講は相逢えば、胡越の隔たり。宗密は宿生に何を作してか、此の心を熏じ得たを知らず。自ら未だ解脫せざれども、他縛を解かんと想い、法の爲に軀命を亡ぼし、人を愍むは神情に切なり。(亦た《淨名經》の說くが如く、若し自ら縛有れば、能く他縛を解けば、是の處有ること無し。然れども能く已めんと欲して能はず、驗すれば是れ宿習の改め難きの故なり。)每々人と法と差あり、法は人に病有りを歎ず。故に別に經律論疏を撰し、大いに戒定慧の門を開き、頓悟は漸修に資し、師說は佛意に符すを顯す。意は既に本末して委かに示せども、文は乃ち浩博にして尋ね難し。泛學は多しと雖も、志を秉るは少なし。何を況んや迹は名相に渉り、誰か金鍮を辨えん。徒らに自ら疲勞して、未だ機感を見ず。然りと雖も佛說は悲增是行を增して、而して自ら愛見の防ぎ難きを慮り、便ち衆を捨てて山に入り、定を習いて慧を均にす。前後息慮して、相繼ぐこと十年。微細習情は、靜慮に於いて起滅彰かり。差別法義は、空心に羅列現ず。虛隙の日光に、纖埃は擾擾。淸潭の水底に、影像は昭昭。豈に比べん那の空く默を守るの痴禪、但だ文を尋ねるの狂慧に。然れども本と自心を了して諸教を辨ずるに因りて、故に心宗に懇情す。又た諸教を辨じて心を解修するに因りて、故に教義に虔誠す。教は是れ諸佛菩薩の留める所の經論。禪は是れ諸善知識の述する所の句偈。只だ佛經は開張して、大千八部の衆を羅す。禪偈は撮略して、此の方一類の機に就く。衆を羅すれば則ち莽蕩として依り難し、機に就けば則ち指的として用い易し。如今纂集するは、意は此の裏に在り。裴休は之に序を作して曰く、諸宗の門下は、皆達人有り。然れども各々習う所に安んじ、通少く局多し。故に数十年來、師法は益く壞れ、承稟を以て戸牖と爲して、各々自ら開張し、經論を以て干戈と爲して、互いに攻撃す。情は函矢に隨いて遷變す(《周禮》に說く、函人は甲を作る。《孟子》に說く、矢人は豈に函人に仁ならざる。函人は惟だ人を傷るを恐れ、矢人は惟だ人を傷らざるを恐れざる。原く習う所の術の然らしむるなり。如今學者は只だ宗徒に隨う、彼此相い非するのみ)。法は人我に逐うて高低す。是非は紛拏して、辨析する能き莫し。則ち向來世尊菩薩諸方の教宗は、適に足りて後人に諍を起し、煩惱の病を增す、何の利益か有らん。我が圭峰大師は久しくして歎いて曰く、「吾は此の時に丁り、默す可からず。」是に於いて如來三種の教義を以て、禪宗三種の法門を印す。瓶盤釵釧を熔かして一金と爲し、酥酪醍醐を攪めて一味と爲す。綱領を振い而して擧ぐる者は皆順なり(《荀子》に說く、裘領を振うが如く、五指を屈して之を頓かれば、順なる者は數うる可からず)。會要に據り而して來る者は同く趣く(《周易略例》に說く、會要に據りて方來を觀れば、則ち六合は輻輳して、多きに足らず。

都序據圓教以印諸宗。雖百家亦無所不統也)。尚恐學者之難明也。又復直示宗源之本末。真妄之和合。空性之隱顯。法義之差殊。頓漸之異同。遮表之回互。權實之深淺。通局之是非。若吾師者。捧佛日而委曲回照。疑曀盡除。順佛心而橫亙大悲。窮劫蒙益。則世尊為闡教之主。吾師為會教之人。本末相符。遠近相照。可謂畢一代時教之能事矣。或曰。自如來未甞大都而通之。今一旦違宗趣而不守。廢關防而不據。無乃乖秘藏密契之道乎。答曰。如來初雖別說三乘。後乃通為一道。(三十年前。或說小乘。或說空教。或說相教。或說性教。聞者各隨機證悟。不相通知也。四十年後。坐靈鷲而會三乘。詣拘屍而顯一性。前後之軌則也)。故涅槃經迦葉菩薩曰。諸佛有密語。無密藏。世尊讚之曰。如來之言開發顯露。清淨無翳。愚人不解。謂之秘藏。智者了達。則不名藏。此其證也。故王道興則外戶不閉。而守在戎夷。佛道備則諸法總持。而防在魔外(涅槃圓教和會諸法。唯揀別魔說及外道邪宗)。不當復執情攘臂於其間也(師又著圓覺大小二疏鈔。法界觀門.原人等論。皆裴休為之序引。盛行於世)。蕭俛相公呈己見解。請禪師注釋。荷澤雲。見清淨體於諸三昧。八萬四千諸波羅蜜門。皆於見上一時起用。名為慧眼。若當真知相應之時萬化寂滅(善惡不思。空有不念。萬法俱從思想緣念而生。皆是虗空。故云化也。既一念不生。則萬法不起。故不待泯之。自然寂滅也)。此時更無所見(照體獨立。夢智亡階)。三昧諸波羅蜜門。亦一時空寂。更無所得(散亂與三昧。此岸與彼岸。是相待對治之說。若知心無念。見性無生。則定亂真妄。一時空寂。故無所得也)。不審此是見上一時起用否(然見性圓明。理絕相累。即絕相為妙用。住相為執情。於八萬法門。一一皆爾。一法有為一塵。一法空為一用。故云。

都序は圓教に據りて諸宗を印す、百家と雖も統べざる無し)。還た學者の明らかにし難きを怕れ、又た再び直に宗源の本末・眞妄の和合・空性の隱顯・法義の差殊・頓漸の異同・遮表の回互・權實の淺深・通局の是非を示す。若し吾が師の、佛日を捧げて委曲回照すれば、疑翳は盡く除かる。佛心に順いて橫亘の大悲を施せば、劫を窮めて益を蒙る。則ち世尊は闡教の主と爲り、吾が師は會教の人と爲る。本末相符し、遠近相照す、可く說く一代時教の能事を畢んぬと。或いは說く、如來は自ら未だ嘗て大都して之を通ぜず。如今一旦宗趣に違いて守らず、關防を廢して據らず、無乃は祕藏密契の道に乖くか。答う、如來は初め三乘を別說すると雖も、後乃ち一道に通ず。(三十年前は、或いは小乘を說き、或いは空教を說き、或いは相教を說き、或いは性教を說く。聞く者は各々機に隨いて證悟し、相い通知せず。四十年後は、靈鷲に坐して三乘を會し、拘尸に詣して一性を顯す。前後の軌則なり。)故に《涅槃經》の迦葉菩薩は說く、諸佛に密語有りて、密藏無し。世尊は彼を讚して說く、如來の言は開發顯露にして、淸淨にして翳無し。愚人は解せず、之を祕藏と謂う。智者は了達すれば、則ち藏と名づけず。此れが即ち證なり。故に王道興れば外戸閉ぢず、而して守は戎夷に在り。佛道備れば諸法總持にして、而して防は魔外に在り(《涅槃》圓教は諸法を和會し、只だ魔說及び外道邪宗を揀別す)。當に再び情を執りて其の間に攘臂す可からず。(老師は又た《圓覺》大小二疏鈔・《法界觀門》・《原人》等の論を著し、皆裴休が之に序引を爲し、世に盛行す。)蕭俛相公は己見を呈して、禪師に注釋せんことを請う。荷澤は說いた、淸淨體を諸の三昧に見れば、八萬四千の諸波羅蜜門は、都て見の上に於いて一時に起用して、名づけて慧眼と爲す。若し當に眞知相應するの時、萬化は寂滅す(善惡を思はず、空有を念ぜず。萬法は皆思想緣念より生ず、皆是れ虛空、故に化と說く。既に一念生ぜざれば、則ち萬法起らず、故に之を泯することを待たずして、自然寂滅す)。此の時更に見る所無し(照體獨立して、夢智は階亡す)。三昧の諸波羅蜜門も、亦た一時に空寂して、更に得る所無し(散乱と三昧、此岸と彼岸とは、是れ相待對治の說。若し心に念無きを知り、性に生無きを見れば、則ち定乱真妄は、一時に空寂す、故に得る所無し)。此れは見上の一時起用か否かを知らず(然れども性を見れば圓明にして、理は相累を絶す、即ち相を絶するを妙用と爲し、相に住するを執情と爲す。八萬法門に於いて、一一に皆此の如し。一法有を爲れば一塵と爲し、一法空を爲れば一用と爲す。故に說く、

見清淨體。則一時起用矣)。望於此後示及俛狀。答史山人十問。一問。如何是道。何以修之。為復必須修成。為復不假功用。答。無礙是道。覺妄是修。道雖本圓。妄起為累。妄念都盡。即是修成。二問。道若因修而成。即是造作。便同世間法。虗偽不實。成而復壞。何名出世。答。造作是結業。名虗偽世間。無作是修行。即真實出世。三問。其所修者。為頓為漸。漸則忘前失後。何以集合而成。頓則萬行多方。豈得一時圓滿。答。真理即悟而頓圓。妄情息之而漸盡。頓圓如初生孩子。一日而肢體已全。漸修如長養成人。多年而志氣方立。四問。凡修心地之法。為當悟心即了。為當別有行門。若別有行門。何名南宗頓旨。若悟即同諸佛。何不發神通光明。答。識冰池而全水。藉陽氣而鎔消。悟凡夫而即真。資法力而修習。冰消則水流潤。方呈溉滌之功。妄盡則心靈通。始發通光之應。修心之外。無別行門。五問。若但修心而得佛者。何故諸經復說必須莊嚴佛土。教化眾生。方名成道。答。鏡明而影像千差。心淨而神通萬應。影像類莊嚴佛國。神通則教化眾生。莊嚴而即非莊嚴。影像而亦色非色。六問。諸經皆說度脫眾生。且眾生即非眾生。何故更勞度脫。答。眾生若是實。度之則為勞。既自雲即非眾生。何不例度而無度。七問。諸經說佛常住。或即說佛滅度。常即不滅。滅即非常。豈不相違。答。離一切相。即名諸佛。何有出世入滅之實乎。見出沒者在乎機緣。機緣應則菩提樹下而出現。機緣盡則娑羅林間而涅槃。其猶淨水無心。無像不現。像非我有。葢外質之去來。相非佛身。豈如來之出沒。八問。云何佛化所生。吾如彼生。佛既無生。生是何義。若言心生法生。心滅法滅。何以得無生法忍邪。答。既雲如化。化即是空。空即無生。何詰生義。生滅滅已。寂滅為真。忍可此法無生。名曰無生法忍。

淸淨體を見れば、則ち一時に起用す)。此に於いて後續示して俛の状に及ばんことを望む。史山人の十問に答う。一問、如何にしてか是れ道。何以てか之を修せん。爲に復た必ず修成を須いるか、爲に功用を假らざるか。答う、碍無きは是れ道、妄を覺るは是れ修。道は本來圓なりと雖も、妄起るは累と爲る。妄念都て盡きれば、即ち是れ修成。二問、道若し修に因りて成れば、即ち是れ造作、便ち世間の法に同じ、虛僞にして實ならず、成って復た壞る、何をか出世と名づくる。答う、造作は是れ業を結び、名づけて虛僞世間。作無きは是れ修行、即ち眞實出世なり。三問、其の修する所は、爲に頓か爲に漸か。漸ならば前を忘え後を失う、何以てか集合して成らん。頓ならば萬行多方、豈に一時に圓滿するを得ん。答う、眞理は悟るに即ち頓圓し、妄情は之を息むに漸く盡く。頓圓は初めて生まるる孩子の如く、一日にして肢體已に全し。漸修は長養して人と成るが如く、多年にして志氣方に立つ。四問、凡そ心地の法を修するは、爲に當に心を悟りて即ち了か、爲に別に行門有るか。若し別に行門有れば、何をか南宗頓旨と名づくる。若し悟れば即ち諸佛に同じ、何ぞ神通光明を發せざる。答う、冰池を識して全く水なり、陽氣に藉りて熔消す。凡夫を悟りて即ち眞なり、法力に資りて修習す。冰消えれば則ち水は流潤して、方に溉滌の功を呈す。妄盡きれば則ち心は靈通して、始めて通光の應を發す。心を修するの外、別に行門無し。五問、若し但だ心を修して佛を得ば、何の故にか諸經は又た說く必ず佛土を莊嚴し、衆生を教化して、方に道を成ると名づくと。答う、鏡明ければ而して影像は千差、心淨ければ而して神通は萬應。影像は佛國を莊嚴するに類し、神通は則ち衆生を教化す。莊嚴して而して即ち莊嚴に非ず、影像して而して亦た色非色。六問、諸經は皆衆生を度脱すと說く。且つ衆生は即ち衆生に非ず、何の故にか更に度脱を勞せん。答う、衆生若し是れ實ならば、之を度すれば則ち勞と爲る。既に自ら即ち衆生に非ずと說く、何ぞ度して度無きを例せざる。七問、諸經は佛常住を說き、或いは即ち佛滅度を說く。常は即ち不滅、滅は即ち非常、豈に相違せざるか。答う、一切相を離るれば、即ち名づけて諸佛。何の出世入滅の實有らん。出沒を見る者は機緣に在り。機緣應すれば菩提樹下に於いて出現し、機緣盡きれば娑羅林間に於いて涅槃す。其れは猶ほ淨水に心無し、現ぜざる像無し。像は我の有に非ず、原來は外質の去來。相は佛身に非ず、豈に如來の出沒あらん。八問、云々佛化に生ずる所、吾は彼の生の如し。佛は既に生無し、生は是れ何の義。若し心生ずれば法生じ、心滅すれば法滅すと言わば、何以てか無生法忍を得ん。答う、既に化の如しと說く、化は即ち是れ空。空は即ち生無し、何ぞ生義を詰せざる。生滅滅已、寂滅は是れ眞。此の法の生無きを忍可すれば、名づけて無生法忍。

九問。諸佛成道說法。秖為度脫眾生。眾生既有六道。佛何但住在人中現化。又。佛滅後付法於迦葉。以心傳心。乃至此方六祖。每代秖傳一人。既雲。於一切眾生皆得一子之地。何以傳授不普。答。日月麗天。六合俱照。而盲者不見。盆下不知。非日月不普。是障隔之咎也。度與不度。義類如斯。非局人天。揀於鬼畜。但人道能結集。傳授不絕。故秖知佛現人中也。滅度後委付迦葉。展轉相承。一人者。此亦槩論。當代為宗教主。如土無二王。非得度者唯爾數也。十問。和尚因何發心。慕何法而出家。今如何修行。得何法味。所行得至何處地位。今住心邪。修心邪。若住心妨修心。若修心則動念不安。云何名為學道。若安心一定。則何異定性之徒。伏願大德。運大慈悲。如理如如。次第為說。答。覺四大如壞幻。達六塵如空華。悟自心為佛心。見本性為法性。是發心也。知心無住。即是修行。無住而知。即為法味。住著於法。斯為動念。故如人入闇。則無所見。今無所住。不染不著。故如人有目。及日光明。見種種法。豈為定性之徒。既無所住著。何論處所。又山南溫造尚書問。悟理息妄之人。不結業一期壽終之後。靈性何依。師曰。一切眾生。無不具有覺性。靈明空寂。與佛無殊。但以無始劫來。未曾了悟。妄執身為我相。故生愛惡等情。隨情造業。隨業受報。生老病死。長劫輪回。然身中覺性。未曾生死。如夢被驅役。而身本安閑。如水作冰。而濕性不易。若能悟此性。即是法身。本自無生。何有依託。靈靈不昧。了了常知。無所從來。亦無所去。然多生妄執。習以性成。喜怒哀樂。微細流注。真理雖然頓達。此情難以卒除。須長覺察。損之又損。如風頓止。波浪漸停。豈可一生所修。便同諸佛力用。但可以空寂為自體。勿認色身。以靈知為自心。勿認妄念。妄念若起。都不隨之。即臨命終時。

九問、諸佛は道を成りて法を說く、只だ衆生を度脱するを爲すのみ。衆生は既に六道有り、佛は何ぞ但だ人の中に住して化を現ずる。又た、佛の滅して後法を迦葉に付して、心を以て心を傳え、乃至此の方六祖は、毎代只だ一人を傳う。既に一切衆生に於いて皆一子の地を得と說く、何以てか傳授普まらざる。答う、日月は天に麗き、六合は俱に照さるるも、而して盲る者は見えず、盆下は知らず。非ず日月の普からざる、是れ障隔の咎。度する與度せざるとは、義は斯の如し。非ず人天に局りて、鬼畜に揀ぶ。但だ人道は能く結集して、傳授絶えざるを以て、故に只だ佛が人の中に現ずるを知る。滅度して後に迦葉に委付して、展轉相承くる一人、此れも亦た概く当代に宗教主と爲すを論ず、土に二王無きが如く、度を得る者は唯だ爾の數に非ず。十問、和尚は何に因りて心を發し、何の法を慕いて出家した、今は如何に修行して、何の法味を得て、行じる所は何處の地位に至る。今は心に住するか、還た心を修するか。若し心に住すれば心を修するを妨げ、若し心を修すれば則ち念を動して安らかならず、如何にか學道と名づくる。若し心を安ずること一定なれば、則ち定性の徒と何の異ならん。伏して願はくは大德は大慈悲を運らして、理の如く如の如く、次第に説きを爲さん。答う、四大を覺るに壞幻の如く、六塵を達するに空花の如く、自心を悟って佛心と爲し、本性を見て法性と爲す、是れ發心。心に住無きを知る、即ち是れ修行。住無くして知る、即ち是れ法味。法に住着すれば、斯れ爲に動念と爲る。故に人が暗に入れば、則ち見る所無きが如し。今住する所無く、染ぜず著せず、故に人が目有りて、及び日光の明らかなれば、種種の法を見るが如し。豈に定性の徒爲らん。既に住着する所無ければ、何をか處所を論ぜん。又た山南の温造尚書は問うた、理を悟りて妄を息むる人は、業を結ばず、一期の壽終の後、靈性は何に依る。老師は說いた、一切衆生は、覺性を具有せざる無し、靈明空寂にして、佛と殊無し。但だ無始劫より以來、未だ嘗て了悟せず、妄に身を執して我相と爲し、故に愛惡等の情を生じ、情に隨いて業を造り、業に隨いて報を受け、生老病死して、長劫輪回す。然れども身中の覺性は、未だ嘗て生死せず。夢に驅役せらるるが如くして、而して身は本來安閑なり。水が冰と作るが如くして、而して濕性は易らず。若し能く此の性を悟れば、即ち是れ法身、本自生無し、何の依託有らん。靈靈として昧からず、了了として常に知り、從來する所無く、亦た去る所無し。然れども多生の妄執は、習は性と成りて、喜怒哀樂は、微細に流注す。眞理は頓達すと雖も、此の情は卒に除き難し。須うじて長く覺察して、之を損じ又た損すべし。風の頓に止まば、波浪は漸く停むが如し。豈に一生の修する所にして、便ち諸佛の力用に同じからんや。但だ空寂を以て自體と爲し、色身を認むること勿れ。靈知を以て自心と爲し、妄念を認むること勿れ。妄念若し起らば、都て之に隨うこと勿れ。即ち命終するに臨みて、

自然業不能繫。雖有中陰。所向自由。天上人間。隨意寄託。若愛惡之念已泯。即不受分段之身。自能易短為長。易麤為妙。若微細流注。一切寂滅。唯圓覺大智朗然獨存。即隨機應現千百億化身。度有緣眾生。名之為佛。謹對。釋曰。馬鳴菩薩撮略百本大乘經宗旨。以造大乘起信論。論中立宗。說一切眾生心。有覺義不覺義。覺中復有本覺義.始覺義。上所述者。雖但約照理觀心處言之。而法義亦同。彼論謂從初至與佛無殊。是本覺也。從但以無始下。是不覺也。從若能悟此下。是始覺也。始覺中復有頓悟漸修。從若能至亦無所去。是頓悟也。從然多生妄執下。是漸修也。漸修中從初發心乃至成佛。有三位自在。從初至隨意寄託者。是受生自在也。從若愛惡之念下。是變易自在也。從若微細流注下至末。是究竟自在也。又從但可以空寂為自體至自然業不能繫。正是悟理之人朝暮行心修習止觀之要節也。宗密先有八句之偈。顯示此意。曾於尚書處誦之。奉命解釋。偈曰。作有義事。是惺悟心。作無義事。是狂亂心。狂亂隨情念。臨終被業牽。惺悟不由情。臨終能轉業。師會昌元年正月六日。於興福院誡門人。令舁屍施鳥獸。焚其骨而散之。勿得悲慕以亂禪觀。每清明上山講道七日。其餘住持儀則當合律科。違者非吾弟子。言訖坐滅。道俗等奉全身於圭峰。茶毗得舍利。明白潤大。後門人泣而求之。皆得於煨燼。乃藏之石室。暨宣宗再闢真教。追諡定慧禪師。塔曰青蓮。

自然に業も係ふる能はず。中陰有ると雖も、向かう所は自由。天上人間、意に隨いて寄托す。若し愛惡の念已に泯みれば、即ち分段の身を受けず、自ら短を易えて長と爲し、粗を易えて妙と爲す能くす。若し微細流注、一切寂滅せば、唯だ圓覺の大智は朗然として獨り存し、即ち機に隨いて応じて千百億の化身を現じて、緣有る衆生を度し、之を名づけて佛と爲す。謹んで對す。解釋して說く、馬鳴菩薩は百本の大乘經の宗旨を撮略して、《大乘起信論》を造る。論の中に宗を立て、說いて一切衆生の心に、覺の義・不覺の義有り。覺の中に復た本覺の義・始覺の義有り。上の述する所は、但だ照理觀心の處に約して之を言うと雖も、而して法義も亦た同じ。彼の論は謂う、初めより佛と殊無きに至るまでは、是れ本覺。但だ無始より下よりは、是れ不覺。若し此を悟る能ければ下よりは、是れ始覺。始覺の中に復た頓悟漸修有り。若し至る能ければより亦た去る所無しに至るまでは、是れ頓悟。然れども多生の妄執より下よりは、是れ漸修。漸修の中に初發心より乃至成佛に至るまで、三位自在有り。初めより意に隨いて寄托すに至るまでは、是れ受生自在。若し愛惡の念より下よりは、是れ變易自在。若し微細流注より下より末に至るまでは、是れ究竟自在。又た但だ空寂を以て自體と爲すより自然に業も係ふる能はずに至るまでは、正に是れ理を悟れる人の朝暮に行心して止觀を修習するの要節。宗密は先に八句の偈有りて、此の意を顯示し、かつて尚書の處に於いて之を誦したり。命を奉じて解釋す。偈は說く、「有義の事を作すは、是れ惺悟の心。無義の事を作すは、是れ狂亂の心。狂亂は情念に隨い、臨終は業に牽かる。惺悟は情に由らず、臨終は業を轉ずる能くす。」老師は會昌元年正月六日、興福院に於いて門人に誡し、尸を擡して鳥獸に施し、其の骨を焚きて之を散ぜ、悲慕して禪觀を乱すことを得ざらしめた。每に淸明に山に上りて道を講ずること七日。其の餘の住持儀則は當に律科に合すべし。違う者は吾が弟子に非ず。說き畢りて坐滅した。道俗等は全身を圭峰に奉った。茶毗して舍利を得たるに、明白にして潤大なり。後に門人は泣きて之を求め、皆煨燼に得て、便ち之を石室に藏した。宣宗が再び眞教を闢くに及び、諡を定慧禪師と追した。塔は青蓮と叫ぶ。

西天東土應化聖賢

西天東土應化の聖賢

文殊菩薩

文殊師利菩薩

一日令善財採藥。曰。是藥者採將來。善財徧觀大地。無不是藥。卻來白曰。無有不是藥者。殊曰。是藥者採將來。善財遂於地上拈一莖草。度與文殊。文殊接得。呈起示眾曰。此藥亦能殺人。亦能活人。文殊問菴提遮女曰。生以何為義。女曰。生以不生生為生義。殊曰。如何是生以不生生為生義。女曰。若能明知。地水火風四緣未甞自得。有所和合而能隨其所宜。是為生義。殊曰。死以何為義。女曰。死以不死死為死義。殊曰。如何是死以不死死為死義。女曰。若能明知。地水火風四緣未甞自得。有所離散而能隨其所宜。是為死義。菴提遮女問文殊曰。明知生是不生之理。為甚麼卻被生死之所流轉。殊曰。其力未充。

一天善財に藥を採らしめて說いた、「是れ藥ならば、採りて將來れ。」善財は遍く大地を觀れば、藥ならざる無し、却って來りて稟白した、「藥ならざる無し。」文殊は說いた、「是れ藥ならば、採りて將來れ。」善財は便ち地上に於いて一莖の草を拈じて、文殊に度した。文殊は接得して、呈起して衆に示して說いた、「此の藥も亦た能く人を殺し、亦能く人を活かす。」文殊は庵提遮女に問うた、「生は何を以てか義と爲す。」女は說いた、「生は生生ぜざるを以て生義と爲す。」文殊は說いた、「如何にしてか生は生生ぜざるを以て生義と爲す。」女は說いた、「若し能く明らかに知らば、地水火風の四緣は未だ嘗て自ら得ず、和合する所有りて其の宜しきに隨う能くす、是を生義と爲す。」文殊は說いた、「死は何を以てか義と爲す。」女は說いた、「死は死せざるを以て死義と爲す。」文殊は說いた、「如何にしてか死は死せざるを以て死義と爲す。」女は說いた、「若し能く明らかに知らば、地水火風の四緣は未だ嘗て自ら得ず、離散する所有りて其の宜しきに隨う能くす、是を死義と爲す。」庵提遮女は文殊に問うた、「生は不生の理を明らかに知る、什麼の爲に却って生死に流轉せらるる。」文殊は說いた、「其の力は未だ充たず。」

天親菩薩

天親菩薩

從彌勒內宮而下。無著菩薩問曰。人間四百年。彼天為一晝夜。彌勒於一時中成就五百億天子。證無生法忍。未審說甚麼法。天親曰。秖說這箇法。秖是梵音清雅。令人樂聞。

彌勒內宮より下る。無著菩薩は問うた、「人間の四百年は、彼の天を以て一晝夜と爲す。彌勒は一時の中に於いて五百億の天子を成就して、無生法忍を證せしむ。何の法を說いたを知らず。」天親は說いた、「只だ此の個の法を說く。只だ是れ梵音淸雅にして、人をして聞くを樂しましむ。」

維摩會上。三十二菩薩各說不二法門。文殊曰。我於一切法。無言無說。無示無識。離諸問答。是為菩薩入不二法門。於是文殊又問維摩。仁者當說何等是菩薩入不二法門。維摩默然。文殊讚曰。乃至無有語言文字。是菩薩真入不二法門。

維摩の會上、三十二菩薩は各々不二法門を說く。文殊は說いた、「我は一切法に於いて、言無く說無く、示無く識無く、諸の問答を離る、是を菩薩の不二法門に入ると爲す。」是に於いて文殊は又た維摩に問うた、「仁者は當に何等が是れ菩薩の不二法門に入るを說くべき。」維摩は默然たり。文殊は贊して說いた、「乃至語言文字の有ること無し、是れ菩薩の眞に不二法門に入るなり。」

善財

善財

參五十三員善知識。末後到彌勒閣前。見樓閣門閉。瞻仰讚嘆。見彌勒從別處來。善財作禮曰。願樓閣門開。令我得入。尋時。彌勒至善財前。彈指一聲。樓閣門開。善財入已。閣門即閉。見百千萬億樓閣。一一樓閣內有一彌勒領諸眷屬並一善財而立其前。善財因無著菩薩問曰。我欲見文殊。何者即是。財曰。汝發一念心清淨即是。無著曰。我發一念心清淨。為甚麼不見。財曰。是真見文殊。

五十三員の善知識に參す。末後に彌勒の閣前に到りて、樓閣の門閉ぢたるを見て、瞻仰贊歎す。彌勒が別處より來るを見る。善財は禮を作して說いた、「願はくは樓閣の門を開きて、我をして入るを得しめよ。」尋ぬる時、彌勒は善財の前に至り、指を彈くこと一聲、樓閣の門は開けり。善財は入りて已り、閣門は即ち閉ぢた。百千萬億の樓閣を見、一一の樓閣の內に一彌勒有りて諸の眷屬を領し竝に一善財と其の前に立つ。善財は因って無著菩薩の問うた、「我は文殊を見んと欲す、何れの者か即ち是れ。」善財は說いた、「お前が一念心淸淨を發すれば即ち是なり。」無著は說いた、「我が一念心淸淨を發す、什麼の爲に見えざる。」善財は說いた、「是れ眞に文殊を見るなり。」

須菩提尊者

須菩提尊者

在巖中宴坐。諸天雨華讚嘆。者曰。空中雨華讚嘆。復是何人。云何讚嘆。天曰。我是梵天。敬重尊者善說般若。者曰。我於般若未甞說一字。汝云何讚嘆。天曰。如是尊者無說。我乃無聞。無說無聞。是真說般若。尊者一日說法次。帝釋雨華。者乃問。此華從天得邪。從地得邪。從人得邪。釋曰。弗也。者曰。從何得邪。釋乃舉手。者曰。如是。如是。

巖中に宴坐す。諸天は花を雨らして贊歎す。尊者は說いた、「空中に花を雨らして贊歎するは、復た是れ何人。云何にか贊歎する。」天は說いた、「我は是れ梵天、尊者の善く般若を說くを敬重す。」尊者は說いた、「我は般若に於いて未だ嘗て一字を說かず、お前は云何にか贊歎する。」天は說いた、「是の如し。尊者は說く無く、我は乃ち聞く無し。說無く聞無し、是れ眞の般若を說くなり。」尊者は一天法を說くの時、帝釋は花を雨らした。尊者は便ち問うた、「此の花は天より得か、地より得か、人より得か。」帝釋は說いた、「弗し。」尊者は說いた、「何より得る。」帝釋は便ち手を擧げた。尊者は說いた、「是の如し是の如し。」

舍利弗尊者

舍利弗尊者

因入城遙見月上女出城。舍利弗心口思惟。此姊見佛。不知得忍不得忍否。我當問之。才近便問。大姊往甚麼處去。女曰。如舍利弗與麼去。弗曰。我方入城。汝方出城。何言如我恁麼去。女曰。諸佛弟子。當依何住。弗曰。諸佛弟子依大涅槃而住。女曰。諸佛弟子既依大涅槃而住。而我亦如舍利弗與麼去。舍利弗問須菩提夢中說六波羅蜜與覺時同異。提曰。此義深遠。吾不能說。會中有彌勒大士。汝往彼問。舍利弗問彌勒。彌勒雲。誰名彌勒。誰是彌勒。舍利弗問天女曰。何以不轉女身。女曰。我從十二年來求女人相。了不可得。當何所轉。即時天女以神通力變舍利弗。令如天女。女自化身如舍利弗。乃問言。何以不轉女身。舍利弗以天女像而答言。我今不知云何轉面而變為女身。

城に入るに因って遙かに月上女が城を出づるを見た。舍利弗は心口に思惟す、此の姉は佛を見て、忍を得るか不得かを知らず。我は當に之に問うべし。纔かに近づきて便ち問うた、「大姉は什麼の處に往く。」女は說いた、「舍利弗が此の如く往くが如く。」舍利弗は說いた、「我は方に城に入り、お前は方に城を出づ、何ぞ我が此の如く往くが如しと言わん。」女は說いた、「諸佛の弟子は、當に何に依りて住すべき。」舍利弗は說いた、「諸佛の弟子は大涅槃に依りて住す。」女は說いた、「諸佛の弟子は既に大涅槃に依りて住す、而して我も亦た舍利弗が此の如く往くが如し。」舍利弗は須菩提に問うた、夢中に六波羅蜜を說くと覺る時と同異如何。須菩提は說いた、「此の義は深遠、吾は說く能はず。會中に彌勒大士有り、お前は彼に往きて問え。」舍利弗は彌勒に問うた。彌勒は說いた、「誰か名づけて彌勒、誰か是れ彌勒。」舍利弗は天女に問うた、「何以てか女身を轉ぜざる。」女は說いた、「我は十二年より以來女人の相を求むれども、了に得る可からず。當に何を轉ずる所あらん。」即時天女は神通力を以て舍利弗を變え、天女の如からしめた。女は自ら化身して舍利弗の如くなり、便ち問うた、「何以てか女身を轉ぜざる。」舍利弗は天女の像を以て答えた、「我は今云何にか面を轉じて變じて女身と爲るを知らず。」

殃崛摩羅尊者

殃崛摩羅尊者

未出家時。外道受教為嬌屍迦。欲登王位。用千人拇指為花冠。已得九百九十九。唯欠一指。遂欲殺母取指。時佛在靈山。以天眼觀之。乃作沙門在殃崛前。殃崛遂釋母欲殺佛。佛徐行。殃崛急行。追之不及。乃喚曰。瞿曇。住。住。佛告曰。我住久矣。是汝不住。殃崛聞之。心忽開悟。遂棄刃。投佛出家。

未だ出家せざるの時、外道は教を受けて嬌尸迦と爲し、王位に登らんことを欲し、千人の拇指を用いて花冠と爲す。已に九百九十九を得て、只だ一指を欠く、便ち母を殺して指を取らんと想えり。當時佛は靈山に在り、天眼を以て之を觀て、便ち沙門と作して殃崛の前に在り。殃崛は便ち母を放ちて佛を殺さんと想った。佛は徐に行き、殃崛は急ぎ行くも、之を追うに及ばず、便ち喚いた、「瞿曇、住まれ住まれ。」佛は彼に告げた、「我は住して久し。是れお前が住せざるなり。」殃崛は之を聞き、心は忽ち開悟し、便ち刃を棄て、佛に投じて出家した。

賓頭盧尊者

賓頭盧尊者

因阿育王內宮齋三萬大阿羅漢。躬自行香。見第一座無人。王問其故。海意尊者曰。此是賓頭盧位。此人近見佛來。王曰。今在何處。者曰。且待須臾。言訖。賓頭盧從空而下。王請就座。禮敬。者不顧。王乃問。承聞尊者親見佛來。是否。者以手䇿起眉。曰。會麼。王曰。不會。者曰。阿耨達池龍王曾請佛齋。吾是時亦預其數。

阿育王が內宮に三萬の大阿羅漢を齋するに因って、親しく香を行じ、第一座に人無きを見た。王は其の故を問うた。海意尊者は說いた、「此れは賓頭盧の位。此の人は近く佛を見て來り。」王は說いた、「今何の處に在る。」海意は說いた、「且く須臾を待て。」說き畢りて、賓頭盧は空より下った。王は座に就くことを請い、禮敬した。尊者は顧みず。王は便ち問うた、「尊者は親しく佛を見て來たと承聞する、是か否か。」尊者は手を以て眉を策起して說いた、「會するか。」王は說いた、「會せず。」尊者は說いた、「阿耨達池の龍王はかつて佛を請うて齋せしむ、吾は是の時亦た其の數に預れり。」

障蔽魔王

障蔽魔王

領諸眷屬一千年。隨金剛齊菩薩覔起處不得。忽一日得見。乃問曰。汝當依何而住。我一千年覔汝起處不得。齊曰。我不依有住而住。不依無住而住。如是而住。

諸の眷屬を領して一千年、金剛齊菩薩に隨って起って起處を覓むれども得ず。忽然一天見るを得て、便ち問うた、「お前は何に依りて住すべき。我は一千年お前の起處を覓むれども得ず。」齊は說いた、「我は有に依りて住せず、無に依りて住せず、是の如くして住す。」

那叱太子

那咤太子

析肉還母。析骨還父。然後現本身。運大神力。為父母說法。

肉を析きて母に還し、骨を析きて父に還して、然る後本身を現じ、大神力を運らして、父母の爲に法を說く。

秦跋陀禪師

秦跋陀禅師

問生法師講何經論。生曰。大般若經。師曰。作麼生說色空義。曰。眾微聚曰色。眾微無自性曰空。師曰。眾微未聚。喚作甚麼。生罔措。師又問。別講何經論。曰。大涅槃經。師曰。如何說涅槃之義。曰。涅而不生。槃而不滅。不生不滅。故曰涅槃。師曰。這箇是如來涅槃。那箇是法師涅槃。曰。涅槃之義。豈有二邪。某甲秖如此。未審禪師如何說涅槃。師拈起如意曰。還見麼。曰。見。師曰。見箇甚麼。曰。見禪師手中如意。師將如意擲於地曰。見麼。曰。見。師曰。見箇甚麼。曰。見禪師手中如意墮地。師斥曰。觀公見解。未出常流。何得名喧宇宙。拂衣而去。其徒懷疑不已。乃追師扣問。我師說色空涅槃不契。未審禪師如何說色空義。師曰。不道汝師說得不是。汝師秖說得果上色空。不會說得因中色空。其徒曰。如何是因中色空。師曰。一微空故眾微空。眾微空故一微空。一微空中無眾微。眾微空中無一微。

生法師に何の經論を講ずると問うた。生は說いた、「《大般若經》。」老師は說いた、「作麼生して色空の義を說く。」說いた、「衆微聚まりて色と曰い、衆微自性無きを空と曰う。」老師は說いた、「衆微未だ聚まらざるに、何とか喚ぶ。」生は罔措せり。老師は又た問うた、「別に何の經論を講ずる。」說いた、「《大涅槃經》。」老師は說いた、「如何に涅槃の義を說く。」說いた、「涅にして生ぜず、槃にして滅せず。不生不滅、故に涅槃と曰う。」老師は說いた、「此れは是れ如來涅槃、彼れは是れ法師涅槃。」說いた、「涅槃の義、豈に二あらん。某甲は只だ是の如し。禪師は如何に涅槃を說くを知らず。」老師は如意を拈起して說いた、「還って見るか。」說いた、「見る。」老師は說いた、「箇の什麼を見る。」說いた、「禪師の手中の如意を見る。」老師は如意を地に擲ちて說いた、「見るか。」說いた、「見る。」老師は說いた、「箇の什麼を見る。」說いた、「禪師の手中の如意の地に墮つるを見る。」老師は斥けて說いた、「公の見解を觀るに、未だ常流を出でず、何を以てか名の宇宙に喧しいを得る。」衣を拂りて去った。其の徒は懷疑已まず、便ち老師を追いて扣問した、「我が師の色空・涅槃を說けるは契らず。禪師は如何に色空の義を說くを知らず。」老師は說いた、「お前の師の說くは是れに非ずと道わず。お前の師は只だ果上の色空を說けり、因中の色空を說くを會せず。」其の徒は說いた、「如何なるか是れ因中の色空。」老師は說いた、「一微の空なる故に衆微は空、衆微の空なる故に一微は空。一微の空中に衆微無く、衆微の空中に一微無し。」

寶誌禪師

寶志禪師

初。金陵東陽民朱氏之婦。上巳日聞兒啼鷹巢中。梯樹得之。舉以為子。七歲依鍾山大沙門僧儉出家。專修禪觀。宋太始二年髮而徒跣。著錦袍往來皖山劒水之下。以翦尺拂子拄杖頭。負之而行。天鑑二年梁武帝詔問。弟子煩惑未除。何以治之。答曰。十二。帝問。其旨如何。答曰。在書字時節刻漏中。帝益不曉。帝甞詔畫工張僧繇寫師像。僧繇下筆輙不自定。師遂以指𠢐面門。分披出十二面觀音。妙相殊麗。或慈或威。僧繇竟不能寫。他日。與帝臨江縱望。有物泝流而上。師以杖引之。隨杖而至。乃紫旃檀也。即以屬供奉官俞紹。令雕師像。頃刻而成。神采如生。師問一梵僧。承聞尊者喚我作屠兒。曾見我殺生麼。曰。見。師曰。有見見。無見見。不有不無見。若有見見是凡夫見。無見見是聲聞見。不有不無見是外道見。未審尊者如何見。梵僧曰。你有此等見邪(汾陽曰。不枉西來)。師垂語曰。終日拈香擇火。不知身是道場。又曰。大道秖在目前。要且目前難覩。欲識大道真體。不離聲色言語。又曰。京都鄴都浩浩。還是菩提大道(法眼曰。京都鄴都浩浩。不是菩提大道)。

初めは、金陵東陽の民朱氏の婦、上巳の日に兒の啼くを聞きて鷹の巢に在り、樹に梯し之を得て、擧げて以て子と爲す。七歲にして鍾山大沙門僧儉に依りて出家し、專ら禪觀を修す。宋太始二年、髮を披き脚を赤脚にして、錦袍を著て皖山劍水の下を往來し、翦尺・拂子を把りて杖頭に拄けて、之を負いて行く。天監二年、梁武帝は詔して問うた、「弟子は煩惑未だ除かず、何を以てか之を治せん。」答えた、「十二。」帝は問うた、「其の旨は如何。」答えた、「書字の時節、刻漏の中に在り。」帝は愈々曉らず。帝は嘗て詔して畫工張僧繇に老師の像を寫さしめし。僧繇は筆を下す輒ち自ら定まらず。老師は便ち指を用いて面門を劃き開き、分披して十二面觀音を出だし、妙相は殊麗にして、或いは慈しみ或いは威あり。僧繇は竟に寫す能はず。他日、帝と江に臨んで縱望す。物有りて流に逆らい上る。老師は杖を用いて之を引き、杖に隨いて至れり、乃ち是れ紫旃檀なり。便ち供奉官兪紹に交付して、老師の像を彫らしむ。頃刻にして成り、神采は生けるが如し。老師は一梵僧に問うた、「承り聞くに尊者は我を屠兒と喚ぶと、曾て我が生を殺すを見たか。」說いた、「見た。」老師は說いた、「見有る見、見無き見、不有る亦た不無の見。若し見有る見は是れ凡夫見、見無き見は是れ聲聞見、不有る亦た不無の見は是れ外道見。尊者は如何にか見るを知らず。」梵僧は說いた、「お前に此等の見有るか。」(汾陽は說いた、「枉げず西來なり。」)老師は語を垂れて說いた、「終日香を拈じ火を擇ぶも、身は是れ道場なるを知らず。」又た說いた、「大道は只だ目前に在り、要するに目前は睹め難し。大道の眞體を識らんと欲せば、聲色言語を離れず。」又た說いた、「京都鄴都浩浩たり、還って是れ菩提大道。」(法眼は說いた、「京都鄴都浩浩たり、菩提大道に非ず。」)

善慧大士者

善慧大士

婺州義烏縣人也。齊建武四年丁丑五月八日。降於雙林鄉傳宣慈家。本名翕。年十六納劉氏女。名妙光。生普建.普成二子。二十四與里人稽亭浦漉魚。獲已。沈籠水中。祝曰。去者適。止者留。人或謂之愚。會有天竺僧嵩頭陀曰。我與汝毗婆尸佛所發誓。今兜率宮衣缽見在。何日當還。因命臨水觀影。見圓光寶葢。大士笑謂之曰。鑪韛之所多鈍鐵。良醫之門足病人。度生為急。何思彼樂乎。嵩指松山頂曰。此可棲矣。大士躬耕而居之。有人盜菽麥瓜果。大士即與籃籠盛去。日常營作。夜則行道。見釋迦.金粟。定光三如來。放光襲其體。大士乃曰。我得首楞嚴定。天嘉二年。感七佛相隨。釋迦引前。維摩接後。唯釋尊數顧共語。為我補處也。其山頂黃雲盤旋若葢。因號雲黃山。梁武帝請講金剛經。士才陞座。以尺揮按一下。便下座。帝愕然。聖師曰。陛下還會麼。帝曰。不會。聖師曰。大士講經竟。又一日講經次。帝至。大眾皆起。唯士端坐不動。近臣報曰。聖駕在此。何不起。士曰。法地若動。一切不安。大士一日披衲.頂冠.靸履朝見。帝問。是僧邪。士以手指冠。帝曰。是道邪。士以手指靸履。帝曰。是俗邪。士以手指衲衣。大士心王銘曰。觀心空王。玄妙難測。無形無相。有大神力。能滅千災。成就萬德。體性雖空。能施法則。觀之無形。呼之有聲。為大法將。心戒傳經。水中鹽味。色裡膠青。決定是有。不見其形。心王亦爾。身內居停。面門出入。應物隨情。自在無礙。所作皆成。了本識心。識心見佛。是心是佛。是佛是心。念念佛心。佛心念佛。欲得早成。戒心自律。淨律淨心。心即是佛。除此心王。更無別佛。欲求成佛。莫染一物。心性雖空。貪嗔體實。入此法門。端坐成佛。到彼岸已。得波羅蜜。慕道真士。自觀自心。知佛在內。不向外尋。即心即佛。即佛即心。心明識佛。曉了識心。

是れ婺州義烏縣の人。齊建武四年丁丑五月八日、雙林鄕の傅宣慈の家に降誕す。本名は翕。十六歲にして劉氏の女を納れ、名を妙光と曰い、普建・普成の二子を生む。二十四歲にして里人と稽亭浦に於いて魚を漉す。獲已りて、籠を把りて水中に沈め、祝して說いた、「去る者は適き、止まる者は留まれ。」人或いは之を愚と謂う。會に天竺の僧嵩頭陀有りて說いた、「我はお前と毘婆尸佛の所に於いて誓を發したり。今兜率宮の衣鉢は見に在り、何の日にか當に還るべき。」因って水に臨み影を觀ぜしむ、圓光寶蓋を見たり。大士は笑いて他に對して說いた、「鑪鞲の所は鈍鐵多く、良醫の門は病人足る。生を度するを急と爲す、何ぞ彼の樂を思わん。」嵩は松山の頂を指して說いた、「此れ棲し了るべし。」大士は躬ら耕して之に居たり。人の菽麥瓜果を盜む者有れば、大士は即ち籃籠に盛りて去らしめたり。日は常に營作し、夜は則ち道を行ず。釋迦・金粟・定光の三如來を見るに、光を放ちて其の體を襲ふ。大士は便ち說いた、「我は首楞嚴定を得たり。」天嘉二年、七佛の相隨うを感ず、釋迦は前を引き、維摩は後を接ぎ、唯だ釋尊は數々顧みて共に語る、我が補處と爲す。其の山頂は黃雲盤旋して蓋の若し、因って號けて雲黃山と曰う。梁武帝は請うて《金剛經》を講ぜしむ。大士は纔かに座に升りて、尺を以て揮按すること一下、便ち座を下りた。帝は愕然たり。聖師は說いた、「陛下は還って會するか。」帝は說いた、「會せず。」聖師は說いた、「大士は經を講じ竟えり。」又た一天、經を講ずる時、帝至る。大衆は皆起つも、唯だ大士は端坐して動かず。近臣は報じた、「聖駕は此に在り、何ぞ起たざる。」大士は說いた、「法地は若し動かば、一切安んぜず。」大士は一天、衲を披き冠を頂き靸を履して朝見した。帝は問うた、「是れ僧か。」大士は指を以て冠を指した。帝は說いた、「是れ道か。」大士は指を以て靸履を指した。帝は說いた、「是れ俗か。」大士は指を以て衲衣を指した。大士の《心王銘》に說く、心を觀れば空王なり、玄妙にして測り難し。形無く相無くして、大神力有り。能く千千災を滅し、萬德を成就す。體性は空なりと雖も、能く法則を施す。之を觀れば形無く、之を呼べば聲有り。大法將と爲りて、心戒經を傳う。水中の鹽味、色裏の膠靑。決定して是れ有りて、其の形を見ず。心王も亦た爾、身內に居停す。面門を出入して、物に應じ情に隨う。自在にして无碍、作す所は皆成る。本を了して心を識し、心を識して佛を見る。是の心是れ佛、是の佛是れ心。念々佛心、佛心念佛。早く成らんことを得んと欲せば、心に戒して自律せよ。淨律淨心、心即ち是れ佛。此の心王を除きて、更に別の佛無し。佛と成らんことを求めば、一物に染ずる莫れ。心性は空なりと雖も、貪瞋の體は實なり。此の法門に入れば、端坐して佛と成る。彼岸に到り已れば、波羅蜜を得る。道を慕う眞士、自ら自の心を觀よ。佛は內に在るを知り、外に向かいて尋ねず。即心即佛、即佛即心。心明ければ佛を識り、曉了して心を識る。

離心非佛。離佛非心。非佛莫測。無所堪任。執空滯寂。於此漂沉。諸佛菩薩。非此安心。明心大士。悟此玄音。身心性妙。用無更改。是故智者。放心自在。莫言心王。空無體性。能使色身。作邪作正。非有非無。隱顯不定。心性離空。能凡能聖。是故相勸。好自防慎。剎那造作。還復漂沉。清淨心智。如世黃金。般若法藏。並在身心。無為法寶。非淺非深。諸佛菩薩。了此本心。有緣遇者。非去來今。有偈曰。夜夜抱佛眠。朝朝還共起。起坐鎮相隨。語默同居止。纖毫不相離。如身影相似。欲識佛去處。秖這語聲是。又曰。空手把鋤頭。步行騎水牛。人從橋上過。橋流水不流。又曰。有物先天地。無形本寂寥。能為萬象主。不逐四時凋。四相偈。曰生.曰老.曰病.曰死。識託浮泡起。生從愛慾來。昔時曾長大。今日復嬰孩。星眼隨人轉。朱唇向乳開。為憐迷覺性。還卻受輪回。覧鏡容顏改。登階氣力衰。咄哉今已老。趨拜復還虧。身似臨崖樹。心如念水龜。尚猶耽有漏。不肯學無為。忽染沉痾疾。因成臥病身。妻兒愁不語。朋友厭相親。楚痛抽千脈。呻吟徹四隣。不知前路險。猶尚恣貪嗔。精魄隨生路。遊魂入死關。秖聞千萬去。不見一人還。寶馬空嘶立。庭華永絕攀。早求無上道。應免四方山。

心を離れれば佛に非ず、佛を離れれば心に非ず。佛に非ざれば測る莫く、堪任する所無し。空を執り寂に滯して、此に於いて漂沈す。諸佛菩薩、此れ安心に非ず。心明らかなる大士、此の玄音を悟る。身心の性妙、用は更改無し。是の故に智者、心を放ちて自在なり。心王は空にして體性無しと言う莫れ。能く色身をして邪を作さしめ正を作さしむ。有に非ず無に非ず、隱顯は定まらず。心性は空を離れ、能く凡たり能く聖たり。是の故に相勸めて、好く自ら防慎せよ。刹那に造作すれば、還って復た漂沈す。淸淨の心智、世の黃金の如し。般若の法藏、竝びに身心に在り。無爲の法寶、淺に非ず深に非ず。諸佛菩薩、此の本心を了す。緣有りて遇う者、去來今に非ず。偈有りて說く、「夜々佛を抱きて眠り、朝朝還って共に起つ。起坐鎮に相隨い、語默同じく居止す。纎毫も相離れず、身の影と相似たり。佛の去處を識らんと欲せば、只だ此の語聲是なり。」又た說いた、「空手にして鋤頭を把り、步行にして水牛に騎る。人は橋の上を過り、橋は流れ水は流れず。」又た說いた、「物有りて天地に先んじ、形無き本より寂寥。能く萬象の主と爲り、四時に逐いて凋めず。」四相の偈、生と曰い・老と曰い・病と曰い・死と曰う。識は浮泡に托して起り、生は愛欲より來る。昔時は曾て長大たり、今日は復た嬰孩。星眼は人に隨いて轉り、朱唇は乳に向かいて開く。迷覺性を憐み、還って輪回を受くるを爲す。鏡を覧れば容顏改り、階を登れば氣力衰えたり。咄哉今已に老いたり、趨拜して復た還って虧る。身は崖に臨む樹の似、心は念水の亀の如し。尚も猶ほ有漏に耽り、無爲を學ばんことを肯ぜず。忽ち沈疴の疾に染みて、因って臥病の身と成る。妻兒は愁えて語らず、朋友は厭えて親しまず。楚痛は千脈を抽き、呻吟は四鄰に徹す。前路の險なるを知らずして、猶ほ尚も貪瞋を恣にす。精魄は生路に隨い、遊魂は死關に入る。只だ千萬の去るを聞き、一人の還るを見ず。寶馬は空しく嘶き立ち、庭の花は永く攀ずるを絶つ。早く無上道を求めば、四方の山を免るべし。

南嶽慧思禪師

南嶽慧思禪師

武津李氏子。因誌公令人傳語曰。何不下山教化眾生。目視雲漢作甚麼。師曰。三世諸佛。被我一口吞盡。何處更有眾生可化。示眾曰。道源不遠。性海非遙。但向己求。莫從他覔。覔即不得。得亦不真。偈曰。頓悟心源開寶藏。隱顯靈通現真相。獨行獨坐常巍巍。百億化身無數量。縱令畐塞滿虗空。看時不見微塵相。可笑物兮無比況。口吐明珠光晃晃。尋常見說不思議。一語標名言下當。又曰。天不能葢地不載。無去無來無障礙。無長無短無青黃。不在中間及內外。超群出眾太虗玄。指物傳心人不會。

武津李氏の子。志公に因りて人をして語を傳えて說かしむ、「何ぞ山を下りて衆生を教化せざる。目を雲漢に視て作麼す。」老師は說いた、「三世の諸佛、我が一口に吞み盡されたり。何の處にか更に化すべき衆生有らん。」衆に示して說いた、「道源は遠からず、性海は遥かならず。但だ己に向かいて求め、他に從いて覓めず。覓めれば即ち得ず、得るも亦た眞ならず。」偈に說く、「頓に心源を悟って寶藏を開き、隱顯靈通にして眞相を現ず。獨行獨坐して常に巍巍たり、百億の化身は數量無し。縱び逼塞して虛空に滿つると令すとも、看る時は微塵の相を見ず。笑うべし物は比況無く、口は明珠を吐きて光晃晃たり。尋常には不思議を說くを見る、一語の標名は言下に當る。」又た說いた、「天も能く蓋へず地も載せず、去無く來無く障碍無し。長無く短無く青黃無く、中間及び內外に在らず。群を超え衆を出だして太虛玄たり、物を指し心を傳えて人は會せず。」

天台山修禪寺智者禪師

天台山修禅寺智者禪師

諱智顗。荊州華容陳氏子。在南嶽誦法華經至藥王品曰。是真精進。是名真法。供養如來。於是悟法華三昧.獲旋陀羅尼。見靈山一會。儼然未散。

諱を智𫖮と曰う。荊州華容陳氏の子。南岳に在りて《法華經》を誦して藥王品に至りて說く、是れ眞の精進、是れ眞法と名づけ、如來を供養す。是に於いて法華三昧を悟りて、旋陀羅尼(總持。能く善を持して失わせざる呪語或いは法門)を獲て、靈山一會の儼然として未だ散ぜざるを見たり。

泗州僧伽大聖

泗州僧伽大聖

或問。師何姓。師曰。姓何。曰。何國人。師曰。何國人。

或る者問うた、「老師は何の姓。」老師は說いた、「姓は何。」問うた、「何の國の人。」老師は說いた、「何の國の人。」

天台山豐幹禪師

天台山豐干禪師

因寒山問。古鏡未磨時如何照燭。師曰。冰壺無影像。猿猴探水月。曰。此是不照燭也。更請道看。師曰。萬德不將來。教我道甚麼。寒山.拾得俱作禮而退。師欲遊五臺。問寒山.拾得曰。汝共我去遊五臺。便是我同流。若不共我去遊五臺。不是我同流。山曰。你去遊五臺作甚麼。師曰。禮文殊。山曰。你不是我同流。師尋獨入五臺。逢一老人。便問。莫是文殊麼。曰。豈可有二文殊。師作禮未起。忽然不見(趙州代曰。文殊。文殊)。

寒山が問うたに因りて、「古鏡未だ磨かざる時、如何にしてか燭を照らす。」老師は說いた、「氷壺は影像無し、猿猴は水月を探る。」說いた、「此れは是れ燭を照らさざる。更に請う看ん道を。」老師は說いた、「萬德は將來らず、我に什麼を道えと教うる。」寒山・拾得俱に禮を作して退く。老師は五台に遊びんことを想うて、寒山・拾得に問うた、「お前が我と共に五台に遊ばば、便ち我が同流なり。若し我と共に五台に遊ばざれば、我が同流に非ず。」寒山は說いた、「お前が五台に遊んで作麼す。」老師は說いた、「文殊に禮す。」寒山は說いた、「お前は我が同流に非ず。」老師は隨後獨り五台に入り、一老人に逢いて、便ち問うた、「莫し文殊か。」說いた、「豈に二の文殊有る可けん。」老師は禮を作して未だ起たざるに、忽然として見えず。(趙州は代わって說いた、「文殊、文殊。」)

天台山寒山子

天台山寒山子

因眾僧炙茄次。將茄串向一僧背上打一下。僧回首。山呈起茄串曰。是甚麼。僧曰。這風顛漢。山向傍僧曰。你道這僧費卻我多少鹽醋。因趙州遊天台。路次相逢。山見牛跡。問州曰。上座還識牛麼。州曰。不識。山指牛跡曰。此是五百羅漢遊山。州曰。既是羅漢。為甚麼卻作牛去。山曰。蒼天。蒼天。州呵呵大笑。山曰。作甚麼。州曰。蒼天。蒼天。山曰。這廝兒宛有大人之作。

衆僧が茄を炙る時に因りて、茄串を將りて一僧の背に向かいて一た打つ。僧は首を回らす。寒山は茄串を呈起して說いた、「是れ什麼。」僧は說いた、「此の風顚漢。」寒山は傍の僧に向かいて說いた、「お前は道う此の僧が我の多少の鹽醋を費やしたと。」趙州の天台に遊ぶに因りて、路次に相逢う。寒山は牛の跡を見て、趙州に問うた、「上座は還って牛を識るか。」趙州は說いた、「識らず。」寒山は牛の跡を指して說いた、「此れは五百羅漢が山に遊ぶなり。」趙州は說いた、「既に羅漢ならば、什麼の爲に却って牛と爲る。」寒山は說いた、「蒼天、蒼天。」趙州は呵呵と大笑す。寒山は說いた、「作麼す。」趙州は說いた、「蒼天、蒼天。」寒山は說いた、「此の厮兒は宛として大人の作有り。」

天台山拾得子

天台山拾得子

一日掃地。寺主問。汝名拾得。因豐幹拾得汝歸。汝畢竟姓箇甚麼。拾得放下掃帚。叉手而立。主再問。拾得拈掃帚掃地而去。寒山搥胸曰。蒼天。蒼天。拾得曰。作甚麼。山曰。不見道東家人死。西家人助哀。二人作舞。笑哭而出國清寺。半月。念戒眾集。拾得拍手曰。聚頭作想那事如何。維那叱之。得曰。大德且住。無嗔即是戒。心淨即出家。我性與你合。一切法無差。

一天地を掃く。寺主は問うた、「お前が名は拾得、豐干が拾得お前を歸せるに因る。お前は畢竟姓は箇の什麼。」拾得は箒を放下して叉手して立つ。寺主は再び問うた。拾得は箒を拈じて地を掃いて去った。寒山は胸を捶きて說いた、「蒼天、蒼天。」拾得は說いた、「作麼す。」寒山は說いた、「道えるを見ず東家の人死せば、西家の人が哀を助くと。」二人は舞を作し、笑い哭いて出づ。國清寺は半月、戒を念じ衆集まる。拾得は手を拍ちて說いた、「頭を聚めて想を作す那の事如何。」維那は之を叱る。拾得は說いた、「大德は且く住まれ。嗔無きは即ち是れ戒、心淨きは即ち出家。我が性はお前と合し、一切法は差無し。」

明州奉化縣布袋和尚

明州奉化縣布袋和尚

自稱契此。形裁腲(烏罪切)脮(奴罪切)。蹙額皤腹。出語無定。寢臥隨處。常以杖荷一布囊並破席。凡供身之具。盡貯囊中。入鄽肆聚落。見物則乞。或醯醢魚𦵔。才接入口。分少許投囊中。時號長汀子。一日。有僧在師前行。師乃拊其背。僧回首。師曰。乞我一紋錢。曰。道得即與汝一紋。師放下布袋。叉手而立。白鹿和尚問。如何是布袋。師便放下布袋。曰。如何是布袋下事。師負之而去。先保福和尚問。如何是佛法大意。師放下布袋。叉手。福曰。為秖如此。為更有向上事。師負之而去。師在街衢立。有僧問。和尚在這裡作甚麼。師曰。等箇人。曰。來也。來也(歸宗柔和尚別曰歸去來)。師曰。汝不是這箇人。曰。如何是這箇人。師曰。乞我一文錢。師有歌曰。秖箇心心心是佛。十方世界最靈物。縱橫妙用可憐生。一切不如心真實。騰騰自在無所為。閑閑究竟出家兒。若覩目前真大道。不見纖毫也大奇。萬法何殊心何異。何勞更用尋經義。心王本自絕多知。智者秖明無學地。非聖非凡復若何。不強分別聖情孤。無價心珠本圓淨。凡是異相妄空呼。人能弘道道分明。無量清高稱道情。擕錫若登故國路。莫愁諸處不聞聲。又有偈曰。是非憎愛世偏多。子細思量柰我何。寬卻肚腸須忍辱。豁開心地任從他。若逢知己須依分。縱遇冤家也共和。若能了此心頭事。自然證得六波羅。我有一布袋。虗空無罣礙。展開遍十方。入時觀自在。吾有三寶堂。裡空無色相。不高亦不低。無遮亦無障。學者體不如。來者難得樣。智慧解安排。千中無一匠。四門四果生。十方盡供養。吾有一軀佛。世人皆不識。不塑亦不裝。不雕亦不刻。無一滴灰泥。無一點彩色。人畫畫不成。賊偷偷不得。體相本自然。清淨非拂拭。雖然是一軀。分身千百億。又有偈曰。一缽千家飯。孤身萬裡遊。青目覩人少。問路白雲頭。

自ら契此と稱す。形裁は腲脮たり、額を蹙め腹は皤たり。語を出だすに定無く、寢臥するに處に隨う。常に杖を以て一布嚢竝びに破席を荷い、凡そ身を供するの具は盡く嚢中に貯えたり。廛肆聚落に入り、物を見れば則ち乞う、或いは醯醢魚菹をば、纔かに口に接して入るれば、少許を分けて囊中に投ず。時に號して長汀子と曰う。一天、僧有りて老師の前を行く。老師は便ち其の背を拊つ。僧は首を回らす。老師は說いた、「我に一文の錢を乞え。」說いた、「道え得ば即ちお前に一文を與えん。」老師は布袋を放下して叉手して立つ。白鹿和尚は問うた、「如何なるか是れ布袋。」老師は便ち布袋を放下した。問うた、「如何なるか是れ布袋下の事。」老師は之を負いて去った。先に保福和尚は問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は布袋を放下して叉手す。保福は說いた、「爲に只だ是の如くか、爲に更に向上の事有るか。」老師は之を負いて去った。老師は街衢に立つ。僧有りて問うた、「和尚は此に在りて什麼を作す。」老師は說いた、「人を待つ。」說いた、「來たり、來たり。」(歸宗柔和尚は別に說いた、「歸去來たり。」)老師は說いた、「お前は此の人に非ず。」問うた、「如何なるか是れ此の人。」老師は說いた、「我に一文の錢を乞え。」老師は歌有り、「只だ此の心心心は是れ佛、十方の世界は最も靈物。縱横の妙用は可憐に生き、一切は心の眞實に如かず。騰騰として自在にして爲す所無し、閑閑として究竟す、出家の兒。若し目前の眞大道を睹れば、纎毫を見ずとも亦た大奇なり。萬法は何の殊あらん心は何の異あらん、何ぞ勞して更に經義を尋ねん。心王は本より多知を絕つ、智者は只だ無學の地を明らかにす。聖に非ず凡に非ず復た若何、強いて聖を分別せざれば情は孤なり。無價の心珠は本より圓淨、凡そ異相は妄りに空しく呼ぶ。人は能く道を弘む道は分明なり、無量の淸高は道情を稱す。錫を携えて若し故國の路に登らば、諸處に聲を聞かざるを愁うる莫れ。」又た偈有り、「是非憎愛は世に偏く多し、仔細に思量すとも我を如何ともせん。肚腸を寬くして須らく忍辱すべく、心地を豁きて他に任從せよ。若し知己に逢わば須らく分に依りて、縱び冤家に遇うとも亦た共和せよ。若し能く此の心頭の事を了せば、自然に六波羅を證得せん。我に一布袋有り、虛空に罣礙無し。展開して十方に遍し、入る時は自在を觀ず。吾に三寶堂有り、裏空にして色相無し。高くもなく亦た低くもなく、遮も無く亦た障も無し。學者の體は如かず、來る者は樣を得難し。智慧は安排を解す、千中に一匠無し。四門は四果を生じ、十方は盡く供養す。吾に一軀の佛有り、世人は皆識らず。塑らず亦た裝せず、雕らず亦た刻まず。一滴の灰泥も無く、一點の彩色も無し。人は畫くも成らず、賊は偷むも得ず。體相は本より自然、淸淨にして拂拭に非ず。然りと雖も是れ一軀、身を分けて千百億なり。」又た偈有り、「一鉢は千家の飯、孤身は萬里に遊ぶ。青目は人を睹るに少なく、路を問うは白雲の頭。」

梁貞明三年丙子三月。師將示滅。於嶽林寺東廊下端坐磐石。而說偈曰。彌勒真彌勒。分身千百億。時時示時人。時人自不識。偈畢。安然而化。其後復現於他州。亦負布袋而行。四眾競圖其像。

梁貞明三年丙子三月、老師は將に滅を示さんとて、岳林寺の東廊下に於いて磐石に端坐して、偈を說いて曰く、「彌勒は眞の彌勒、身を分けて千百億。時時に時人に示すも、時人自ら識らず。」偈畢りて、安然として化す。其の後復た他州に現われて、亦た布袋を負いて行く。四衆は競い其の像を圖う。

法華志言大士

法華志言大士

壽春許氏子。弱冠遊東都。繼得度於七俱胝院。留講肆久之。一日。讀雲門錄。忽契悟。未幾。宿命遂通。獨語笑。口吻囁嚅。日常不輟。世傳誦法華。因以名之。丞相呂許公問佛法大意。師曰。本來無一物。一味卻成真。集仙王質問。如何是祖師西來意。師曰。青山影裡潑藍起。寶塔高吟撼曉風。又曰。請法華燒香。師曰。未從齋戒覔。不向佛邊求。國子助教徐嶽問祖師西來意。師曰。街頭東畔底。徐曰。某甲未會。師曰。三般人會不得。僧問。世有佛不。師曰。寺裡文殊。有問師。凡邪。聖邪。遂舉手曰。我不在此住。慶曆戊子十一月二十三日將化。謂人曰。我從無量劫來。成就逝多國土。分身揚化。今南歸矣。言畢。右脇而逝。

壽春許氏の子。弱冠にして東都に遊び、繼いで七俱胝院に於いて度を得たり。講肆に留まること久し。一天、《雲門錄》を讀みて、忽ち契悟す。久しからずして、宿命は遂に通ず。獨り語り笑うて、口吻は嗫嚅として、日常輟かず。世は《法華》を誦すると傳え、因って之に名づけたり。丞相呂許公は佛法の大意を問うた。老師は說いた、「本來一物無く、一味にして却って眞と成る。」集仙王は質問した、「如何なるか是れ祖師西來の意。」老師は說いた、「靑山の影裏に潑藍起り、寶塔は高吟して曉風を撼つ。」又た說いた、「法華を請うて香を燒く。」老師は說いた、「未だ齋戒に從いて覓めず、佛邊に向かいて求めず。」國子助教徐岳は祖師西來の意を問うた。老師は說いた、「街頭東畔の底。」徐は說いた、「某甲は未だ會せず。」老師は說いた、「三般の人は會すを得ず。」僧は問うた、「世に佛有るか。」老師は說いた、「寺裏の文殊。」老師に問う者有り、「凡か、聖か。」便ち手を擧げて說いた、「我は此に住せず。」慶曆戊子十一月二十三日、將に化さんとて、人に對して說いた、「我は無量劫より來り、逝多の國土を成就して、身を分けて化を揚ぐ、今南歸了なり。」言畢りて、右脇にして逝く。

扣冰澡先古佛

扣冰澡先古佛

建寧新豐翁氏子。母夢比丘。風神烱然。荷錫求宿。人指謂曰。是辟支佛。已而孕。生於武宗會昌四年。香霧滿室。彌日不散。年十三求出家。父母許之。依烏山興福寺行全為師。咸通乙酉落髮受具。初以講說。為眾所歸。棄謁雪峰。手擕鳧茈一包.醬一器獻之。峰曰。包中是何物。師曰。鳧茈。峰曰。何處得來。師曰。泥中得。峰曰。泥深多少。師曰。無丈數。峰曰。還更有麼。曰。轉有轉深。又問。器中何物。曰。醬。峰曰。何處得來。曰。自合得。峰曰。還熟也未。曰。不較多。峰異之。曰。子異日必為王者師。後自鵞湖歸溫嶺結庵(今為永豐寺)繼居將軍巖。二虎侍側。神人獻地為瑞巖院。學者爭集。嘗謂眾曰。古聖修行。須憑苦節。吾今夏則衣楮。冬則扣冰而浴。故世人號為扣冰古佛。後住靈曜。上堂。四眾雲臻。教老僧說箇甚麼。便下座。有僧燒炭。積成火龕。曰。請師入此修行。曰。真玉不隨流水化。琉璃爭奪眾星明。曰。莫秖這便是麼。曰。且莫認奴作郎。曰。畢竟如何。曰。梅華臘月開天成。戊子應閩主之召。延居內堂。敬拜曰。謝師遠降。賜茶次。師提起橐子曰。大王會麼。曰。不會。曰。人王法王。各自照了。留十日。以疾辭。至十二月二日。沐浴陞堂。告眾而逝。王與道俗備香薪蘇油茶毗之。祥耀滿山。獲舍利五色。塔於瑞嚴正寢。諡曰妙應法威慈濟禪師。

建寧新豐翁氏の子。母親は夢に比丘を見るに、風神炯然として、錫を荷いて宿を求む。人は指して說いた、「是れ辟支佛。」已りて孕む。武宗會昌四年に生まれ、香霧は室に滿ちて、日彌えて散ぜず。年十三にして出家を求む。父母は之を許す。烏山興福寺の行全に依りて師と爲す。咸通乙酉に髮を落して具を受く。初めは講說を以て衆人の歸する所と爲す。之を棄てて雪峯に謁す。手裏に鳧茈一包・醬一器を携えて之を獻ず。雪峯は說いた、「包中は何物。」老師は說いた、「鳧茈。」雪峯は說いた、「何の處より得た。」老師は說いた、「泥の中に得た。」雪峯は說いた、「泥の深さは多少。」老師は說いた、「丈數無し。」雪峯は說いた、「還って更有るか。」說いた、「轉じて有り轉じて深し。」又た問うた、「器中は何物。」說いた、「醬。」雪峯は說いた、「何の處より得た。」說いた、「自ら合して得た。」雪峯は說いた、「還って熟するや未や。」說いた、「較多ならず。」雪峯は之を異として說いた、「子は異日に必ず王者の師と爲らん。」後に鵞湖に從いて溫嶺に歸りて庵を結ぶ(如今、永豐寺と爲す)、繼いで將軍巖に居たり。二虎は側に侍す。神人は地を獻じて瑞巖院と爲す。學者は爭い集まる。嘗て衆人に對して說いた、「古聖の修行は、須らく苦苦節に憑るべし。吾は今、夏は則ち楮を衣し、冬は則ち冰を扣きて浴す。」世の人が號して扣冰古佛と爲す所以なり。後に靈曜に住す。上堂して、「四衆は雲の如く臻れり、老僧に箇の什麼を說かしめん。」便ち座を下りた。僧の炭を燒く有りて、積りて火龕と成りて說いた、「老師をして此に入りて修行せしめんことを請う。」說いた、「眞玉は流水に隨いて化せず、琉璃は爭うて衆星の明を奪う。」說いた、「莫れ只だ此れ便ち是なりか。」說いた、「且く奴を認めて郎と作す莫れ。」問うた、「畢竟如何。」說いた、「梅花は臘月に開く。」天成戊子、閩主の召に應じて、內堂に延居す。拜を敬して說いた、「師の遠く降りたるを謝す。」茶を賜う時、老師は橐子を提起して說いた、「大王は會するか。」說いた、「會せず。」說いた、「人王法王、各自照了せり。」十日を留め、疾を以て辭す。十二月二日に至りて、沐浴して堂に升り、衆に告げて逝く。王と道俗は香薪酥油茶を備えて之を毗す。祥耀は山に滿ちて、舍利五色を獲たり。瑞巖の正寢に塔す。諡して妙應法威慈濟禪師と曰う。

千歲寶掌和尚

千歲寶掌和尚

中印度人也。周威烈十二年丁卯。降神受質。左手握拳。七歲祝髮乃展。因名寶掌。魏晉間東遊此土。入蜀禮普賢。留大慈。常不食。日誦般若等經千餘卷。有詠之者曰。勞勞玉齒寒。似迸巖泉急。有時中夜坐。堦前神鬼泣。一日。謂眾曰。吾有願住世千歲。今年六百二十有六。故以千歲稱之。次遊五臺。徙居祝融峰之華嚴。黃梅之雙峰。廬山之東林。尋抵建鄴。會達磨入梁。師就扣其旨。開悟。武帝高其道臘。延入內庭。未幾如吳。有偈曰。梁城遇導師。參禪了心地。飄零二浙遊。更盡佳山水。順流東下。由千頃至天竺。往鄮峰。登太白。穿鴈蕩。盤礴於翠峰七十二庵。回赤城。憩雲門.法華.諸暨.漁浦.赤符.大巖等處。返飛來。棲止石竇。有行盡支那四百州。此中徧稱道人遊之句。時貞觀十五年也。後居浦江之寶嚴。與朗禪師友善。每通問。遣白犬馳往。朗亦以青猿為使令。故題朗壁曰。白犬銜書至。青猿洗缽回。師所經處。後皆成寶坊。顯慶二年正旦。手塑一像。至九日像成。問其徒慧雲曰。此肖誰。雲曰。與和尚無異。即澡浴易衣趺坐。謂雲曰。吾住世已一千七十二年。今將謝世。聽吾偈曰。本來無生死。今亦示生死。我得去住心。他生復來此。頃時。囑曰。吾滅後六十年。有僧來取吾骨。勿拒。言訖而逝。入滅五十四年。有刺浮長老自雲門至塔所。禮曰。冀塔洞開。少選。塔戶果啟。其骨連環若黃金。浮即持往秦望山。建窣堵波奉藏。以周威烈丁卯至唐高宗顯慶丁巳攷之。實一千七十二年。抵此土。歲歷四百餘。僧史皆失載。開元中慧雲門人宗一者。嘗勒石識之。

是れ中印度の人。周威烈十二年丁卯、神を降し質を受く。左手は拳を握み、七歲にして髮を祝ぎて纔かに展く、因って寶掌と名づく。魏晉の間、東方此の土に遊び、蜀に入りて普賢に禮し、大慈に留まる。常に食せず、日に般若等の經千餘卷を誦す。之を詠ずる者有りて說いた、「勞勞として玉齒寒く、迸くる岩泉の急なるに似たり。時には中夜に坐して、階前に神鬼泣く。」一天、衆人に對して說いた、「吾は世に住する千歲の願有り。今年六百二十六なり、千歲を以て之を稱す所以なり。」次に五台に遊び、祝融峯の華嚴・黃梅の雙峯・廬山の東林に徙居す。隨後建鄴に抵る。會して達磨の梁に入る、老師は就きて其の旨を扣く、開悟す。武帝は其の道臘を高くして、內庭に延く。久しからずして呉に如く。偈有りて說く、「梁城に導師に遇いて、禪を參じて心地を了す。飄零として二浙に遊び、更に佳山水を盡くす。」流に順いて東下し、千頃に由りて天竺に至り、鄮峯に往き、太白に登り、雁蕩を穿って、翠峯七十二庵に盤礴す。赤城に回りて、雲門・法華・諸曁・漁浦・赤符・大岩等の處に憩う。飛來に返りて、石竇に棲止す。「行盡く支那四百州、此の中遍く道人の遊を稱す」の句有り。當時貞觀十五年なり。後に浦江の寶嚴に居り、朗禪師と友善なり。每に通問するに、白犬を遣りて馳往せしむ。朗も亦た青猿を以て使令と爲す。朗の壁に題して說く所以の、「白犬は書を銜えて至り、青猿は鉢を洗いて回る。」老師の經る處は、後に皆寶坊と成る。顯慶二年正旦、手づから一像を塑す。九日に至りて像成りて、其の徒慧雲に問うた、「此れ誰に肖る。」慧雲は說いた、「和尚と異る無し。」便ち澡浴して衣を易え趺坐して、慧雲に對して說いた、「吾は世に住する已に一千七十二年、今將に世を謝せん。吾が偈を聽け。本來生死無し、今も亦た生死を示す。我得れば去住の心、他生復た此に來らん。」頃時、囑して說いた、「吾が滅して後六十年、僧有りて來りて吾が骨を取らん、拒ぐ勿れ。」說き竟えて逝く。入滅五十四年、刺浮長老有りて雲門より塔所に至り、禮して說いた、「冀くは塔を洞開せしめよ。」少選、塔戸は果して開けり。其の骨は連環して黄金の若し。刺浮は即ち之を持して秦望山に往き、窣堵波を建てて奉藏す。周威烈丁卯を以て唐高宗顯慶丁巳に至るを考うれば、實に一千七十二年。此の土に抵る、歲は四百餘を歷る。僧史は皆失載す。開元中、慧雲の門人宗一、嘗て石を勒して之を識りたり。

五燈會元卷第二

五燈會元卷第三

六祖大鑒禪師法嗣

六祖大鑑禪師法嗣

南嶽懷讓禪師者

南嶽懷讓禪師

姓杜氏。金州人也。於唐儀鳳二年四月八日降誕。感白氣應於玄象。在安康之分。太史瞻見。奏聞高宗皇帝。帝乃問。是何祥瑞。太史對曰。國之法器。不染世榮。帝傳勑金州太守韓偕親往。存慰其家。家有三子。唯師最小。炳然殊異。性唯恩讓。父乃安名懷讓。年十歲時。唯樂佛書。時有三藏玄靜過舍。告其父母曰。此子若出家。必獲上乘。廣度眾生。至垂拱三年方十五歲。辭親。往荊州玉泉寺。依弘景律師出家。通天二年。受戒後習毗尼藏。一日自歎曰。夫出家者。為無為法。天上人間。無有勝者。時同學坦然。知師志氣高邁。勸師謁嵩山安和尚。安啟發之。乃直指詣曹谿參六祖。祖問。甚麼處來。曰。嵩山來。祖曰。甚麼物恁麼來。師無語。遂經八載。忽然有省。乃白祖曰。某甲有箇會處。祖曰。作麼生。師曰。說似一物即不中。祖曰。還假修證否。師曰。修證則不無。汙染即不得。祖曰。祇此不汙染。諸佛之所護念。汝既如是。吾亦如是。西天般若多羅讖汝足下出一馬駒。踏殺天下人。病在汝心。不須速說。師執侍左右一十五年。先天二年往衡嶽居般若寺。開元中有沙門道一(即馬祖也)。在衡嶽山常習坐禪。師知是法器。往問曰。大德坐禪圖甚麼。一曰。圖作佛。師乃取一甎。於彼庵前石上磨。一曰。磨作甚麼。師曰。磨作鏡。一曰。磨甎豈得成鏡邪。師曰。磨甎既不成鏡。坐禪豈得作佛。一曰。如何即是。師曰。如牛駕車。車若不行。打車即是。打牛即是。一無對。師又曰。汝學坐禪。為學坐佛。若學坐禪。禪非坐臥。若學坐佛。佛非定相。於無住法。不應取捨。汝若坐佛。即是殺佛。若執坐相。非達其理。一聞示誨。如飲醍醐。禮拜。問曰。如何用心。即合無相三昧。師曰。汝學心地法門。如下種子。我說法要。譬彼天澤。汝緣合故。當見其道。又問。道非色相。云何能見。師曰。

姓は杜。是れ金州の人。唐の儀鳳二年四月八日に降誕し、白氣を感じて玄象に應ず、安康の分に在り。太史は瞻見して、高宗皇帝に奏聞す。帝は便ち問うた、「是れ何の祥瑞。」太史は對えた、「國の法器、世榮に染まず。」帝は金州太守韓偕に傳敕して親しく往きて、其の家を存慰せしめた。家に三子有りて、唯だ老師は最も小、炳然として殊異にして、性は唯だ恩讓なり。父親は便ち懷讓と名を安んじた。年十歲の時、唯だ佛書を樂しむ。當時に三藏玄靜有りて舍を過ぎ、其の父母に告げて說いた、「此の子若し出家せば、必ず上乘を獲て、廣く衆生を度せん。」垂拱三年に至りて方に十五歲、親を辭し、荊州玉泉寺に往き、弘景律師に依りて出家す。通天二年、戒を受けて後毗尼藏を習う。一天自ら歎いた、「那の出家する者は、無爲法を爲す。天上人間、勝る有る無し。」當時同學坦然、老師の志氣の高邁なるを知りて、老師に勸めて嵩山安和尚に謁せしめた。安は之を啓發し、便ち直指して曹溪に詣りて六祖に參せしめた。祖は問うた、「什麼の處より來る。」說いた、「嵩山より來る。」祖は說いた、「什麼の物、恁麼に來る。」老師は語無し。遂に八載を經て、忽然省有りて、便ち祖に白して說いた、「某甲に箇の會處有り。」祖は說いた、「作麼生。」老師は說いた、「一物に似せて說けば即ち中らず。」祖は說いた、「還って修證を假るか。」老師は說いた、「修證すれば則ち無しと云うに非ず、污染すれば即ち得ず。」祖は說いた、「只だ此の污染せざる、諸佛の護念する所。お前既に是の如し、吾も亦た是の如し。西天般若多羅はお前が足下に一の馬駒を出だして、天下の人を踏殺すと讖した。病はお前の心に在り、速やかに說くを須いず。」老師は左右に執侍すること一十五年。先天二年、衡岳に往きて般若寺に居る。開元年間、沙門道一(即ち馬祖)有りて、衡岳山に在りて常に坐禪を習う。老師は是れ法器なるを知りて、往きて問うた、「大德は坐禪して何を圖る。」道一は說いた、「佛を作るを圖る。」老師は便ち一磚を取りて、彼の庵前の石上に於いて磨く。道一は說いた、「磨いて什麼を作す。」老師は說いた、「鏡を作るを磨す。」道一は說いた、「磚を磨せば豈に鏡と成るを得ん。」老師は說いた、「磚を磨して既に鏡と成らずば、坐禪して豈に佛を作るを得ん。」道一は說いた、「如何にしてか即ち是ならん。」老師は說いた、「牛が車を駕ぐが如し。車は若し行かずば、車を打つは即ち是なり、牛を打つは即ち是なり。」道一は對無し。老師は又た說いた、「お前が坐禪を學ぶは、坐佛を學ぶを爲す。若し坐禪を學ばば、禪は坐臥に非ず。若し坐佛を學ばば、佛は定相に非ず。住無き法に於いて、取捨を應せず。お前が若し佛を坐せば、即ち是れ佛を殺す。若し坐相を執れば、其の理を達するに非ず。」道一は示誨を聞いて、醍醐を飲むが如く、禮拜して問うた、「如何にしてか心を用いて、即ち無相三昧に合せん。」老師は說いた、「お前が心地の法門を學ぶは、種子を下すが如し。我が法要を說くは、彼の天澤を譬えるが如し。お前が緣の合する故に、當に其の道を見るべし。」又た問うた、「道は色相に非ず、云何にか見る能くせん。」老師は說いた、

心地法眼能見乎道。無相三昧亦復然矣。一曰。有成壞否。師曰。若以成壞聚散而見道者。非見道也。聽吾偈曰。心地含諸種。遇澤悉皆萌。三昧華無相。何壞復何成。一蒙開悟。心意超然。侍奉十秋。日益玄奧。入室弟子總有六人。師各印可。曰。汝等六人同證吾身。各契其一。一人得吾眉。善威儀(常浩)一人得吾眼。善顧盻(智達)一人得吾耳。善聽理(坦然)一人得吾鼻。善知氣(神照)一人得吾舌。善譚說(嚴峻)一人得吾心。善古今(道一)又曰。一切法皆從心生。心無所生。法無所住。若達心地。所作無礙。非遇上根。宜慎辭哉。有一大德問。如鏡鑄像。像成後未審光向甚麼處去。師曰。如大德為童子時。相貌何在(法眼別雲。阿那箇是大德鑄成底像)。曰。祇如像成後。為甚麼不鑑照。師曰。雖然不鑑照。謾他一點不得。後馬大師闡化於江西。師問眾曰。道一為眾說法否。眾曰。已為眾說法。師曰。總未見人持箇消息來。眾無對。因遣一僧去。囑曰。待伊上堂時。但問作麼生。伊道底言語。記將來。僧去一如師旨。回謂師曰。馬師雲。自從胡亂後。三十年不曾少鹽醬。師然之。天寶三年八月十一日。圓寂於衡嶽。諡大慧禪師。最勝輪之塔。

心地法眼は能く道を見る。無相三昧も復た然り。」道一は說いた、「成壞有るか。」老師は說いた、「若し成壞聚散を以て道を見る者は、道を見るに非ず。吾が偈を聽け。心地は諸の種を含み、澤に遇えば悉く皆萌えん。三昧の華は相無し、何の壞れんか復た何の成らん。」道一は開悟を蒙りて、心意は超然たり。侍奉十秋、日に玄奥に益す。入室の弟子は總に六人。老師は各々印可して說いた、「お前等六人は同じく吾が身を證し、各々其の一に契す。一人は吾が眉を得て、威儀を善くす(常浩)。一人は吾が眼を得て、顧盼を善くす(智達)。一人は吾が耳を得て、理を聽くを善くす(坦然)。一人は吾が鼻を得て、氣を知るを善くす(神照)。一人は吾が舌を得て、談說を善くす(嚴峻)。一人は吾が心を得て、古今を善くす(道一)。」又た說いた、「一切法は皆心より生ず。心は生ずる所無く、法は住する所無し。若し心地を達せば、作す所は礙無し。上根に遇わざるに非ざれば、辭を慎むべき哉。」一大德有りて問うた、「鏡の像を鑄るが如く、像成りて後に光の何の處に向かいて去るを知らず。」老師は說いた、「大德が童子の時の如く、相貌は何に在り。」(法眼は別に說いた、「阿那の箇は是れ大德の鑄成の像。」)問うた、「只だ像成りて後の如く、什麼の爲に鑑照せざる。」老師は說いた、「鑑照せずと雖も、他を一點も谩め得ず。」後に馬大師は江西に於いて化を闡く。老師は衆に問うた、「道一は衆の爲に法を說くか。」衆は說いた、「已に衆の爲に法を說く。」老師は說いた、「總て未だ人が箇の消息を持して來るを見ず。」衆は對無し。因って一僧を遣りて去らしめて、囑して說いた、「伊の堂に上る時を待ち、但だ作麼生と問え。伊の道う言語を、記して將來れ。」僧は去りて、一如老師の旨なり。回りて老師に對えた、「馬師は說く、胡亂の後より、三十年曾て鹽醬を少くせず。」老師は之を然とした。天寶三年八月十一日、衡岳に於いて圓寂す。諡して大慧禪師と曰う。最勝輪の塔。

南嶽讓禪師法嗣(第一世)

南嶽讓禪師法嗣(第一世)

江西道一禪師

江西道一禪師

漢州什邡縣人也。姓馬氏。本邑羅漢寺出家。容貌奇異。牛行虎視。引舌過鼻。足下有二輪文。幼歲依資州唐和尚落髮。受具於渝州圓律師。唐開元中。習禪定於衡嶽山中。遇讓和尚。同參六人。唯師密受心印(讓之一。猶思之遷也。同源而異派。故禪法之盛。始於二師。劉軻雲。江西主大寂。湖南主石頭。往來憧憧。不見二大士。為無知矣。西天般若多羅記達磨雲。震旦雖濶無別路。要假兒孫腳下行。金雞解銜一粒粟。供養十方羅漢僧。又六祖謂讓和尚曰。向後佛法從汝邊去。馬駒蹋殺天下人。厥後江西嗣法。布於天下。時號馬祖)。始自建陽佛跡嶺。遷至臨川。次至南康龔公山。大曆中。𨽻名於鍾陵開元寺。時連帥路嗣恭聆風景慕。親受宗旨。由是四方學者。雲集座下。一日謂眾曰。汝等諸人。各信自心是佛。此心即是佛心。達磨大師從南天竺國來至中華。傳上乘一心之法。令汝等開悟。又引楞伽經文。以印眾生心地。恐汝顛倒。不自信此一心之法。各各有之。故楞伽經以佛語心為宗。無門為法門。夫求法者應無所求。心外無別佛。佛外無別心。不取善。不捨惡。淨穢兩邊。俱不依怙。達罪性空。念念不可得。無自性故。故三界唯心。森羅萬象。一法之所印。凡所見色。皆是見心。心不自心。因色故有。汝但隨時言說。即事即理。都無所礙。菩提道果。亦復如是。於心所生。即名為色。知色空故。生即不生。若了此意。乃可隨時。著衣吃飯。長養聖胎。任運過時。更有何事。汝受吾教。聽吾偈曰。心地隨時說。菩提亦祇寧。事理俱無礙。當生即不生。僧問。和尚為甚麼說即心即佛。師曰。為止小兒啼。曰。啼止時如何。師曰。非心非佛。曰。除此二種人來。如何指示。師曰。向伊道不是物。曰。忽遇其中人來時如何。師曰。且教伊體會大道。問。如何是西來意。師曰。即今是甚麼意。龐居士問。

是れ漢州什邡縣の人。姓は馬。本邑の羅漢寺に出家す。容貌は奇異にして、牛行虎視、舌を引いて鼻を過ぎ、足下に二輪の文有り。幼年に資州唐和尚に依りて髮を落し、渝州圓律師に於いて具を受く。唐開元年間、衡岳山中に於いて禪定を習う、讓和尚に遇う。同參六人、唯だ老師は密かに心印を受く。(讓の一は、猶ほ思の遷の如し。同源にして異派なり。禪法の盛なる、二師より始まる所以なり。劉軻は說く、江西は大寂を主とし、湖南は石頭を主とす。往來憧憧として、二大士を見ざれば、知無しと爲す。西天般若多羅は達磨を記して說く、震旦は闊きと雖も別路無し、要ず兒孫の脚下の行を假る。金雞は一粒の粟を銜えて、十方の羅漢僧を供養す。又た六祖は讓和尚に對して說いた、向後佛法はお前の邊より去る。馬駒は天下の人を踏殺す。厥の後江西は法を嗣いで、天下に布かる。時に號して馬祖と曰う。)始めは建陽佛跡嶺より、臨川に遷り、次いで南康龔公山に至る。大曆中、鍾陵開元寺に隸名す。當時連帥路嗣恭は風を聆きて景慕し、親しく宗旨を受く。此に由りて四方の學者、座下に雲集す。一天、衆人に對して說いた、「お前等の諸人、各々自の心は佛なりを信ぜよ。此の心即ち是れ佛心。達磨大師は南天竺國より來りて中華に至り、上乘一心の法を傳えて、お前等をして開悟せしむ。又た《楞伽經》の文を引きて、以て衆生の心地を印す。恐るお前が顛倒して、此の一心の法に自信せず、各々之を有す。所以《楞伽經》は佛語心を以て宗と爲し、門無きを以て法門と爲す。夫れ法を求むる者は求むる所無きを應す。心外に別の佛無く、佛外に別の心無し。善を取らず、惡を捨てず。淨穢の兩邊、俱に依怙せず。罪性の空なるを達し、念々得る可からず、自性無き故なり。所以三界は唯心なり。森羅萬象は、一法の印する所なり。凡そ色を見るは、皆是れ心を見る。心は自ら心せず、色に因りて故有り。お前は但だ時に隨いて言說し、事に即ちて理に即けば、都て礙る所無し。菩提道果も、亦た復た是の如し。心の生ずる所に於いて、即ち名づけて色と爲す。色空なるを知る故に、生は即ち不生なり。若し此の意を了せば、乃ち時に隨う可し。衣を著て飯を喫して、聖胎を長養す。運に任りて時を過す、更に何の事あらん。お前は吾が教を受け、吾が偈を聽け。心地は時に隨いて說き、菩提も亦た只だ寧なり。事理は俱に礙無し、當に生は即ち不生なり。」僧は問うた、「和尚は什麼の爲に即心即佛と說く。」老師は說いた、「小兒の啼を止むるを爲す。」問うた、「啼止みて時如何。」老師は說いた、「心に非ず佛に非ず。」問うた、「此の二種の人を除きて來らば、如何にしてか指示せん。」老師は說いた、「伊に向かいて物に非ずと道う。」問うた、「忽ち其の中の人に遇うて來る時如何。」老師は說いた、「且く伊に大道を體會せしめよ。」問うた、「如何なるか是れ西來の意。」老師は說いた、「即今是れ什麼の意。」龐居士は問うた、

不昧本來人。請師高著眼。師直下覷。士曰。一等沒絃琴。唯師彈得妙。師直上覷。士禮拜。師歸方丈。居士隨後。曰。適來弄巧成拙。又問。如水無筋骨。能勝萬斛舟。此理如何。師曰。這裡無水亦無舟。說甚麼筋骨。一夕。西堂.百丈.南泉隨侍翫月次。師問。正恁麼時如何。堂曰。正好供養。丈曰。正好修行。泉拂袖便行。師曰。經入藏。禪歸海。唯有普願。獨超物外。百丈問。如何是佛法旨趣。師曰。正是汝放身命處。師問百丈。汝以何法示人。丈竪起拂子。師曰。祇這箇。為當別有。丈拋下拂子。僧問。如何得合道。師曰。我早不合道。問。如何是西來意。師便打曰。我若不打汝。諸方笑我也。有小師耽源行腳回。於師前畫箇圓相。就上拜了立。師曰。汝莫欲作佛否。曰。某甲不解揑目。師曰。吾不如汝。小師不對。鄧隱峰辭師。師曰。甚麼處去。曰。石頭去。師曰。石頭路滑。曰。竿木隨身。逢場作戲。便去。才到石頭。即繞禪床一匝。振錫一聲。問。是何宗旨。石頭曰。蒼天。蒼天。峰無語。卻回舉似師。師曰。汝更去問。待他有答。汝便噓兩聲。峰又去。依前問。石頭乃噓兩聲。峰又無語。回舉似師。師曰。向汝道石頭路滑。有僧於師前作四畫。上一畫長。下三畫短。曰。不得道一畫長.三畫短。離此四字外。請和尚答。師乃畫地一畫曰。不得道長短。答汝了也(忠國師聞。別雲。何不問老僧)。有講僧來。問曰。未審禪宗傳持何法。師卻問曰。座主傳持何法。主曰。忝講得經論二十餘本。師曰。莫是師子兒否。主曰。不敢。師作噓噓聲。主曰。此是法。師曰。是甚麼法。主曰。師子出窟法。師乃默然。主曰。此亦是法。師曰。是甚麼法。主曰。師子在窟法。師曰。不出不入。是甚麼法。主無對(百丈代雲。見麼)。遂辭出門。師召曰。座主。主回首。師曰。是甚麼。主亦無對。師曰。

本來人を昧からずば、老師をして高く眼を著けしめんことを請う。」老師は直下に觑る。居士は說いた、「一等の絃無き琴、唯だ老師は彈くを妙と得す。」老師は直上に觑る。居士は禮拜す。老師は方丈に歸る。居士は隨後して說いた、「適來巧を弄して拙と成れり。」又た問うた、「水の如く筋骨無く、能く萬斛の舟に勝つ。此の理は如何。」老師は說いた、「此の裏は水無く亦た舟無し、什麼をか筋骨と說く。」一夕、西堂・百丈・南泉は侍に隨いて月を玩ぶ時。老師は問うた、「正に恁麼なる時如何。」西堂は說いた、「正に好く供養す。」百丈は說いた、「正に好く修行す。」南泉は袖を拂いて便ち行く。老師は說いた、「經は藏に入り、禪は海に歸し、唯だ普願有りて、獨り物外を超ゆ。」百丈は問うた、「如何なるか是れ佛法の旨趣。」老師は說いた、「正に是れお前が身命を放つ處。」老師は百丈に問うた、「お前は何の法を以て人に示す。」百丈は拂子を豎起す。老師は說いた、「只だ此の個、爲に當に別有るか。」百丈は拂子を拋下す。僧は問うた、「如何にしてか道に合するを得ん。」老師は說いた、「我は早く道に合せず。」問うた、「如何なるか是れ西來の意。」老師は便ち打ちて說いた、「我は若しお前を打たざれば、諸方は我を笑わん。」小師耽源行脚して回る有りて、老師の前に箇の圓相を畫き、上に就いて拜して立つ。老師は說いた、「お前は佛を作らんと欲するか否や。」說いた、「某甲は目を捏むを解せず。」老師は說いた、「吾はお前に如かず。」小師は對えず。鄧隱峰は老師を辭す。老師は說いた、「什麼の處に去る。」說いた、「石頭に去る。」老師は說いた、「石頭の路は滑らか。」說いた、「竿木は身に隨い、場に逢いて戲を作す。」便ち去る。纔かに石頭に到りて、即ち禪牀を繞ること一匝、錫を振ること一聲、問うた、「是れ何の宗旨。」石頭は說いた、「蒼天、蒼天。」隱峰は語無くして、却って回りて老師に擧似す。老師は說いた、「お前は更に去りて問え。彼に答有らば待ちて、お前は便ち嘘くこと兩聲せよ。」隱峰は又た去りて、前に依りて問うた。石頭は乃ち嘘くこと兩聲す。隱峰は又た語無くして、回りて老師に擧似す。老師は說いた、「お前に向かいて石頭の路は滑らかと道えり。」僧有りて老師の前に四畫を作し、上一畫は長く、下三畫は短くして說いた、「一畫長・三畫短と道うを得ず。此の四字の外を離れて、和尚に答へんことを請う。」老師は便ち地に一畫を畫きて說いた、「長短を道うを得ず。お前に答へ了り。」(忠國師は聞きて別に說いた、「何ぞ老僧に問わざる。」)講僧有りて來りて問うた、「禪宗は何の法を傳持するを知らず。」老師は却って問うた、「座主は何の法を傳持する。」座主は說いた、「忝くも經論二十餘本を講ず。」老師は說いた、「莫し師子兒か否や。」座主は說いた、「敢えず。」老師は嘘嘘の聲を作す。座主は說いた、「此れは是れ法。」老師は說いた、「是れ什麼の法。」座主は說いた、「師子出窟の法。」老師は便ち默然たり。座主は說いた、「此れも亦た是れ法。」老師は說いた、「是れ什麼の法。」座主は說いた、「師子在窟の法。」老師は說いた、「出でず入らずは、是れ什麼の法。」座主は對無し。(百丈は代わって說いた、「見るか。」)便ち辭して門を出づ。老師は召した、「座主。」座主は首を回らす。老師は說いた、「是れ什麼。」座主も亦た對無し。老師は說いた、

這鈍根阿師。洪州廉使問曰。吃酒肉即是。不吃即是。師曰。若吃是中丞祿。不吃是中丞福。師入室弟子一百三十九人。各為一方宗主。轉化無窮。師於真元四年正月中。登建昌石門山。於林中經行。見洞壑平坦。謂侍者曰。吾之朽質。當於來月歸茲地矣。言訖而回。既而示疾。院主問。和尚近日尊候如何。師曰。日面佛。月面佛。二月一日沐浴。跏趺入滅。元和中。諡大寂禪師。塔曰大莊嚴。

此の鈍根阿師。」洪州廉使は問うた、「酒肉を喫すれば即ち是なり、喫せざれば即ち是なり。」老師は說いた、「若し喫すれば是れ中丞の祿、喫せざれば是れ中丞の福。」老師の入室の弟子は一百三十九人、各々一方の宗主と爲りて、轉化すること窮まり無し。老師は貞元四年正月中、建昌石門山に登り、林中に於いて經行し、洞壑の平坦なるを見て、侍者に對して說いた、「吾が朽質、當に來月茲の地に歸して了るべし。」說き竟えて回る。既にして疾を示す。院主は問うた、「和尚は近日尊候如何。」老師は說いた、「日面佛、月面佛。」二月一日沐浴し、跏趺して入滅す。元和中、諡して大寂禪師と曰う。塔は大莊嚴と叫ぶ。

南嶽下二世

南嶽下二世

馬祖一禪師法嗣

馬祖一禪師法嗣

洪州百丈山懷海禪師者

洪州百丈山懷海禪師

福州長樂人也。姓王氏。丱歲離塵。三學該練。屬大寂闡化江西。乃傾心依附。與西堂智藏.南泉普願同號入室。時三大士為角立焉。師侍馬祖行次。見一群野鴨飛過。祖曰。是甚麼。師曰。野鴨子。祖曰。甚處去也。師曰。飛過去也。祖遂把師鼻扭。負痛失聲。祖曰。又道飛過去也。師於言下有省。卻歸侍者寮。哀哀大哭。同事問曰。汝憶父母邪。師曰。無。曰。被人罵邪。師曰。無。曰。哭作甚麼。師曰。我鼻孔被大師扭得痛不徹。同事曰。有甚因緣不契。師曰。汝問取和尚去。同事問大師曰。海侍者有何因緣不契。在寮中哭。告和尚為某甲說。大師曰。是伊會也。汝自問取他。同事歸寮曰。和尚道汝會也。教我自問汝。師乃呵呵大笑。同事曰。適來哭。如今為甚卻笑。師曰。適來哭。如今笑。同事罔然。次日。馬祖陞堂。眾才集。師出卷卻席。祖便下座。師隨至方丈。祖曰。我適來未曾說話。汝為甚便卷卻席。師曰。昨日被和尚扭得鼻頭痛。祖曰。汝昨日向甚處留心。師曰。鼻頭今日又不痛也。祖曰。汝深明昨日事。師作禮而退。師再參。侍立次。祖目視繩床角拂子。師曰。即此用。離此用。祖曰。汝向後開兩片皮。將何為人。師取拂子竪起。祖曰。即此用。離此用。師掛拂子於舊處。祖振威一喝。師直得三日耳聾。自此雷音將震。檀信。請於洪州新吳界。住大雄山以居處。巖巒峻極。故號百丈。既處之。未朞月。參玄之賓。四方麏至。溈山黃檗當其首。一日。師謂眾曰。佛法不是小事。老僧昔被馬大師一喝。直得三日耳聾。黃檗聞舉。不覺吐舌。師曰。子已後莫承嗣馬祖去麼。檗曰。不然。今日因和尚舉。得見馬祖大機之用。然且不識馬祖。若嗣馬祖。已後喪我兒孫。師曰。如是。如是。見與師齊。減師半德。見過於師。方堪傳授。子甚有超師之見。檗便禮拜(溈山問仰山。百丈再參馬祖因緣。

是れ福州長樂の人。姓は王。幼年に塵を離れ、三學は該練す。大寂の江西に闡化するに趕ぬけて、便ち心を傾けて依附し、西堂智藏・南泉普願と同じく入室を號す。當時三大士は角立と爲す。老師は馬祖の行に侍する時、一群の野鴨の飛び過ぐるを見た。祖は說いた、「是れ什麼。」老師は說いた、「野鴨子。」祖は說いた、「甚の處に去る。」老師は說いた、「飛び過ぐる。」祖は便ち老師の鼻を扭んで、痛を負いて聲を失す。祖は說いた、「又た飛び過ぐると道う。」老師は言下に於いて省有り。却って侍者寮に歸りて、哀哀として大哭す。同事は問うた、「お前は父母を憶うか。」老師は說いた、「無し。」問うた、「人に罵られ。」老師は說いた、「無し。」問うた、「哭いて什麼を作す。」老師は說いた、「我が鼻孔は大師に扭められて痛み徹せず。」同事は說いた、「甚の因緣の契らざる有る。」老師は說いた、「お前は和尚に問いて去れ。」同事は大師に問うた、「海侍者に何の因緣の契らざる有りて、寮中に在りて哭く。和尚に告げて某甲に爲りて說かん。」大師は說いた、「是れ伊が會するなり。お前は自ら彼に問うて取れ。」同事は寮に歸りて說いた、「和尚はお前が會するなりと道いて、我に自らお前に問わしむ。」老師は便ち呵呵と大笑す。同事は說いた、「適來哭いて、如今什麼の爲に却って笑う。」老師は說いた、「適來哭き、如今笑く。」同事は罔然たり。次日、馬祖は堂に升る。衆纔かに集まりて、老師は出でて席を卷き却す。祖は便ち座を下る。老師は隨って方丈に至る。祖は說いた、「我は適來未だ曾て話をせざるに、お前は什麼の爲に便ち席を卷き却す。」老師は說いた、「昨日は和尚に扭められて鼻頭痛き。」祖は說いた、「お前は昨日、甚の處に向かいて心を留む。」老師は說いた、「鼻頭は今日又た痛まず。」祖は說いた、「お前は昨日の事を深く明す。」老師は禮を作して退く。老師は再び參す。侍立の時、祖は繩牀角の拂子を目視す。老師は說いた、「即ち此れ用い、離れて此れ用う。」祖は說いた、「お前は向後に兩片の皮を開きて、將に何を以て人と爲せん。」老師は拂子を取りて豎起す。祖は說いた、「即ち此れ用い、離れて此れ用う。」老師は拂子を舊處に挂す。祖は威を振るいて一喝す、老師は直に三日の耳聾を得たり。此より雷音は將に震わんとす。檀信は洪州新吳界に請うて、大雄山に住して以て居處と爲す。巖巒は峻極なり、百丈と號す所以なり。既に之に處りて、未だ月滿たざるに、玄を參ずるの賓は四方より麇至す。潙山・黃檗は其の首に當る。一天、老師は衆人に對して說いた、「佛法は小事に非ず。老僧は昔馬大師の一喝に遭いて、直に三日の耳聾を得たり。」黃檗は擧を聞きて、覺えず舌を吐く。老師は說いた、「子は以後馬祖を承嗣して去ること莫れか。」黃檗は說いた、「然らず。今日は和尚の擧に因りて、馬祖の大機の用を見るを得たり。然も且つ馬祖を識らず。若し馬祖を嗣がば、以後は我が兒孫を喪わん。」老師は說いた、「是の如し是の如し。見は師と齊しく、師の半德を減ず。見は師を過ぎて、方に傳授に堪ゆ。子は甚だ師を超ゆるの見有り。」黃檗は便ち禮拜す。(潙山は仰山に問うた、「百丈の再び馬祖に參ずるの因緣は、

此二尊宿意旨如何。仰雲。此是顯大機大用。溈雲。馬祖出八十四人。善知識幾人得大機。幾人得大用。仰雲。百丈得大機。黃檗得大用。餘者盡是唱導之師。溈雲。如是。如是)。有僧哭入法堂來。師曰。作麼。曰。父母俱喪。請師選日。師曰。明日來。一時埋卻。溈山.五峰.雲巖侍立次。師問溈山。併卻咽喉唇吻。作麼生道。山曰。卻請和尚道。師曰。不辭向汝道。恐已後喪我兒孫。又問五峰。峰曰。和尚也須併卻。師曰。無人處斫額望汝。又問雲巖。巖曰。和尚有也未。師曰。喪我兒孫。師謂眾曰。我要一人。傳語西堂。阿誰去得。五峰曰。某甲去。師曰。汝作麼生傳語。峰曰。待見西堂。即道。師曰。見後道甚麼。峰曰。卻來說似和尚。師每上堂。有一老人隨眾聽法。一日眾退。唯老人不去。師問。汝是何人。老人曰。某非人也。於過去迦葉佛時。曾住此山。因學人問。大修行人還落因果也無。某對雲。不落因果。遂五百生墮野狐身。今請和尚代一轉語。貴脫野狐身。師曰。汝問。老人曰。大修行人還落因果也無。師曰。不昧因果。老人於言下大悟。作禮曰。某已脫野狐身。住在山後。敢乞依亡僧津送。師令維那白椎告眾。食後送亡僧。大眾聚議。一眾皆安。涅槃堂又無病人。何故如是。食後師領眾至山後巖下。以杖挑出一死野狐。乃依法火塟。師至晚上堂。舉前因緣。黃檗便問。古人錯祇對一轉語。墮五百生野狐身。轉轉不錯。合作箇甚麼。師曰。近前來。向汝道。檗近前。打師一掌。師拍手笑曰。將謂胡鬚赤。更有赤鬚胡(溈山舉問仰山。仰曰。黃檗常用此機。溈曰。汝道天生得。從人得。仰曰。亦是稟受師承。亦是自性宗通。溈曰。如是。如是)。時溈山在會下作典座。司馬頭陀舉野狐話問典座。作麼生。座撼門扇三下。司馬曰。大麤生。座曰。佛法不是這箇道理。問。如何是奇特事。

此の二尊宿の意旨は如何。」仰山は說いた、「此れは大機大用を顯す。」潙山は說いた、「馬祖は八十四人の善知識を出だす、幾人か大機を得、幾人か大用を得た。」仰山は說いた、「百丈は大機を得、黃檗は大用を得たり。其の餘は盡く唱導の師。」潙山は說いた、「是の如し是の如し。」)僧有りて哭きて法堂に入り來る。老師は說いた、「作麼。」說いた、「父母は俱に喪して、老師に日を選ばんことを請う。」老師は說いた、「明日來れ、一時に埋けん。」潙山・五峰・雲巖は侍立の時。老師は潙山に問うた、「咽喉唇吻を倂卻して、作麼生に道う。」潙山は說いた、「却って和尚に道えんことを請う。」老師は說いた、「お前に向かいて道うを辭せず、恐る以後我が兒孫を喪わんことを。」又た五峰に問うた。五峰は說いた、「和尚も亦た須らく倂卻すべし。」老師は說いた、「人無き處に於いて額を斫きてお前を望む。」又た雲巖に問うた。雲巖は說いた、「和尚は有るや未や。」老師は說いた、「我が兒孫を喪う。」老師は衆人に對して說いた、「我は一人を要して西堂に語を傳えしめん。阿誰か去るを得る。」五峰は說いた、「某甲が去らん。」老師は說いた、「お前は作麼生に語を傳う。」五峰は說いた、「西堂を見るを待ちて、即ち道わん。」老師は說いた、「見て後什麼を道う。」五峰は說いた、「却って來りて和尚に說似せん。」老師は每に堂に上るに、一老人有りて衆に隨いて法を聽く。一天衆は退くも、唯だ老人は去らず。老師は問うた、「お前は是れ何人。」老人は說いた、「某は人に非ず。過去迦葉佛の時に於いて、曾て此の山に住せり。學人の問うに因りて、大修行の人は還って因果に落つるや無きやと。某は對して說いた、因果に落ちず。遂に五百生野狐の身に墮ちたり。今和尚に請うて代わりて一轉語を爲さん、貴んで野狐の身を脱せん。」老師は說いた、「お前問え。」老人は說いた、「大修行の人は還って因果に落つるや無きや。」老師は說いた、「因果を昧からず。」老人は言下に於いて大悟して、禮を作して說いた、「某は已に野狐の身を脱し、山後に住す。敢えて亡僧に依りて津送せんを乞う。」老師は維那をして椎を白せしめて衆に告げしむ、食後に亡僧を送ると。大衆は聚まり議す、一衆は皆安んじ、涅槃堂に又た病人無し、何の故にか是の如しと。食後老師は衆を領して山後の巖下に至りて、杖を以て一死野狐を挑出だし、便ち法に依りて火葬す。老師は至る晩に堂に上りて、前の因緣を擧ぐ。黃檗は便ち問うた、「古人は錯りて只だ一轉語を對えて、五百生野狐の身に墮ちたり。轉轉錯らざれば、合作り箇の什麼。」老師は說いた、「近く前に來れ、お前に向かいて道わん。」黃檗は近づき前に至りて、老師を一掌打つ。老師は手を拍ちて笑いて說いた、「將に謂う胡の鬚は赤し、更に赤き鬚の胡有りと。」(潙山は擧げて仰山に問うた。仰山は說いた、「黃檗は常用此の機。」潙山は說いた、「お前は道う天生に得るか、人に從いて得るか。」仰山は說いた、「亦た是れ師承を禀受し、亦た是れ自性の宗通なり。」潙山は說いた、「是の如し是の如し。」)當時潙山は會下に在りて典座を作す。司馬頭陀は野狐の話を擧げて典座に問うた、「作麼生。」典座は門扇を撼ること三下。司馬は說いた、「大いに粗し。」典座は說いた、「佛法は此の道理に非ず。」問うた、「如何なるか是れ奇特の事。」

師曰。獨坐大雄峰。僧禮拜。師便打。上堂。靈光獨耀。迥脫根塵。體露真常。不拘文字。心性無染。本自圓成。但離妄緣。即如如佛。問。如何是佛。師曰。汝是阿誰。曰。某甲。師曰。汝識某甲否。曰。分明箇。師乃舉起拂子曰。汝還見麼。曰。見。師乃不語。普請钁地次。忽有一僧聞鼓鳴。舉起钁頭。大笑便歸。師曰。俊哉。此是觀音入理之門。師歸院。乃喚其僧問。適來見甚麼道理。便恁麼。曰。適來肚饑。聞鼓聲。歸吃飯。師乃笑。問。依經解義。三世佛冤。離經一字。如同魔說時如何。師曰。固守動靜。三世佛冤。此外別求。即同魔說。因僧問西堂。有問有答即且置。無問無答時如何。堂曰。怕爛卻那。師聞舉。乃曰。從來疑這箇老兄。曰。請和尚道。師曰。一合相不可得。師謂眾曰。有一人長不吃飯不道饑。有一人終日吃飯不道飽。眾無對。雲巖問。和尚每日區區為阿誰。師曰。有一人要。巖曰。因甚麼不教伊自作。師曰。他無家活。問。如何是大乘頓悟法要。師曰。汝等先歇諸緣。休息萬事。善與不善。世出世間。一切諸法。莫記憶。莫緣念。放捨身心。令其自在。心如木石。無所辨別。心無所行。心地若空。慧日自現。如雲開日出相似。但歇一切攀緣。貪嗔愛取。垢淨情盡。對五欲八風不動。不被見聞覺知所縛。不被諸境所惑。自然具足神通妙用。是解脫人。對一切境。心無靜亂。不攝不散。透過一切聲色。無有滯礙。名為道人。善惡是非俱不運用。亦不愛一法。亦不捨一法。名為大乘人。不被一切善惡.空有.垢淨.有為無為.世出世間.福德智慧之所拘繫。名為佛慧。是非好醜.是理非理。諸知見情盡。不能繫縛。處處自在。名為初發心菩薩。便登佛地。問。對一切境。如何得心如木石去。師曰。一切諸法。本不自言空。不自言色。亦不言是非垢淨。亦無心繫縛人。

老師は說いた、「獨り大雄峯に坐す。」僧は禮拜す。老師は便ち打つ。堂に上りて、「靈光は獨り耀き、迥として根塵を脱す。體は眞常を露し、文字に拘らず。心性は染無く、本より自ら圓成す。但だ妄緣を離れば、即ち如如の佛なり。」問うた、「如何なるか是れ佛。」老師は說いた、「お前は是れ阿誰。」說いた、「某甲。」老師は說いた、「お前は某甲を識るか。」說いた、「分明個。」老師は便ち拂子を擧起して說いた、「お前は還って見るか。」說いた、「見る。」老師は便ち語らず。普請して地を镢る時、忽ち一僧有りて鼓の鳴るを聞き、镢頭を擧起して、大笑して便ち歸る。老師は說いた、「俊なる哉。此れは觀音の理に入るの門。」老師は院に歸りて、便ち其の僧を喚して問うた、「適來什麼の道理を見て、便ち恁麼す。」說いた、「適來肚は饑え、鼓聲を聞いて、歸りて飯を喫す。」老師は便ち笑う。問うた、「經に依りて義を解すれば、三世の佛は冤なり。經を離るること一字、魔の說に同じ時如何。」老師は說いた、「動靜を固守すれば、三世の佛は冤なり。此の外に別に求むれば、即ち魔の說に同じ。」僧が西堂に問うに因りて、「問有り答有れば即ち且く置く。問無く答無き時如何。」西堂は說いた、「爛れ却すること那を怕る。」老師は擧を聞きて、便ち說いた、「從來此の老兄を疑う。」說いた、「和尚に道えんことを請う。」老師は說いた、「一合相は得る可からず。」老師は衆人に對して說いた、「一人有りて長く飯を喫せずして饑と道わず、一人有りて終日飯を喫して飽くと道わず。」衆は對無し。雲巖は問うた、「和尚は每日區區として誰の爲に作す。」老師は說いた、「一人の要有り。」雲巖は說いた、「什麼に因って伊に自ら作さしめざる。」老師は說いた、「彼は家活無し。」問うた、「如何なるか是れ大乘頓悟の法要。」老師は說いた、「お前等は先づ諸緣を歇し、萬事を休息せよ。善と不善と、世出世間の一切諸法を、記憶すること莫く、緣念すること莫れ。身心を放捨して、其れ自在ならしめよ。心は木石の如く、辨別する所無し。心は行ずる所無く、心地は若し空なれば、慧日は自ら現ず、雲開き日出づるに相似たり。但だ一切の攀緣を歇し、貪瞋愛取をば、垢淨の情盡く。五欲八風に對して動かず、見聞覺知に縛られず、諸境に惑わされずば、自然に神通妙用を具足して、是れ解脱の人。一切の境に對して、心は靜亂なく、攝せず散ぜず、一切の聲色を透過して、滯礙有る無し、名づけて道人と爲す。善惡是非は俱に運用せず、亦た一法を愛さず、亦た一法を捨てず、名づけて大乘の人と爲す。一切の善惡・空有・垢淨・有爲無爲・世出世間・福德智慧の拘繫する所に被らず、名づけて佛慧と爲す。是非好醜・是理非理の諸の知見情盡して、繫縛する能はず、處處自在なり、名づけて初發心の菩薩と爲し、便ち佛地に登る。」問うた、「一切の境に對して、如何にしてか心を木石の如くして去るを得ん。」老師は說いた、「一切の諸法は、本より自ら空と言わず、自ら色と言わず、亦た是非垢淨と言わず、亦た心に繫縛する人有らず。

但人自虗妄計著。作若干種解會。起若干種知見。生若干種愛畏。但了諸法不自生。皆從自己一念。妄想顛倒。取相而有知。心與境本不相到。當處解脫。一一諸法當處寂滅。當處道場。又本有之性不可名目。本來不是凡不是聖。不是垢淨。亦非空有。亦非善惡。與諸染法相應。名人天二乘界。若垢淨心盡。不住繫縛。不住解脫。無一切有為無為縛脫心量處。於生死其心自在。畢竟不與諸妄虗幻.塵勞蘊界.生死諸入和合。逈然無寄。一切不拘。去留無礙。往來生死。如門開相似。夫學道人。若遇種種苦樂。稱意不稱意事。心無退屈。不念名聞利養衣食。不貪功德利益。不為世間諸法之所滯礙。無親無愛。苦樂平懷。麤衣遮寒。糲食活命。兀兀如愚如聾。稍有相應分。若於心中廣學知解。求福求智。皆是生死。於理無益。卻被知解境風之所漂溺。還歸生死海裡。佛是無求人。求之即乖。理是無求理。求之即失。若著無求。復同於有求。若著無為。復同於有為。故經云。不取於法。不取非法。不取非非法。又云。如來所得法。此法無實無虗。若能一生心如木石相似。不被陰界五欲八風之所漂溺。即生死因斷。去住自由。不為一切有為因果所縛。不被有漏所拘。他時還以無因縛為因。同事利益。以無著心應一切物。以無礙慧解一切縛。亦云應病與藥。問。如今受戒。身口清淨。已具諸善。得解脫否。師曰。少分解脫。未得心解脫。亦未得一切處解脫。曰。如何是心解脫及一切處解脫。師曰。不求佛法僧。乃至不求福智知解等。垢淨情盡。亦不守此無求為是。亦不住盡處。亦不欣天堂.畏地獄。縛脫無礙。即身心及一切處皆名解脫。汝莫言有少分戒。身口意淨。便以為了。不知河沙戒定慧門.無漏解脫。都未涉一毫在。努力向前。須猛究取。莫待耳聾眼暗。面皺髮白。老苦及身。悲愛纏綿。眼中流淚。心裡慞惶。

但だ人は自ら虛妄に計着して、若干種の解會を作し、若干種の知見を起し、若干種の愛畏を生ず。但だ諸法は自ら生ぜず、皆自の一念妄想顛倒より、相を取りて知有りを了せよ。心と境は本より相到らず、處に當りて解脱す。一一の諸法は處に當りて寂滅し、處に當りて道場なり。又た本有の性は名目す可からず。本來是れ凡に非ず是れ聖に非ず、是れ垢淨に非ず、亦た空有に非ず、亦た善惡に非ず。諸の染法と相應して、人天二乘の界と名づく。若し垢淨の心盡きれば、繫縛に住せず、解脱に住せず、一切の有爲無爲の縛脱の心量の處無し。生死に於いて其の心は自在なり、畢竟諸の妄虛幻・塵勞蘊界・生死の諸入と和合せず、迥然として寄無く、一切は拘らず、去留礙無く、往來生死は門開くに相似たり。夫れ學道の人、若し種種の苦樂・稱意不稱意の事に遇うて、心は退屈無く、名聞利養衣食を念わず、功德利益を貪らず、世間の諸法の滯礙する所と爲らず、親無く愛無く、苦樂は平懷なり。粗衣は寒を遮り、糲食は命を活かす。兀兀として愚の如く聾の如く、稍々相應の分有り。若し心中に於いて廣く知解を學び、福を求め智を求めば、皆是れ生死にして、理に益無く、却って知解の境風に漂溺せられて、還って生死の海裏に歸す。佛は求無き人なり、之を求めれば即ち乖く。理は求無き理なり、之を求めれば即ち失う。若し求無しに着けば、復た有求に同じ。若し無爲に着けば、復た有爲に同じ。所以經は說く、法を取らず、非法を取らず、非非法を取らずと。又た說く、如來の所得の法は、此の法は實無く虛無し。若し能く一生の心は木石に相似れば、陰界五欲八風の漂溺する所に被らず、即ち生死の因は斷え、去住は自由なり、一切の有爲因果に縛られず、有漏に拘えられず。他の時は還って因縛無きを以て因と爲し、事を同じくして利益す。着無き心を以て一切の物に應じ、礙無き慧を以て一切の縛を解す。亦た病に應じて藥を與えよと說く。」問うた、「如今戒を受けて、身口は淸淨にして、已に諸の善を具えば、解脱を得るか。」老師は說いた、「少分の解脱、未だ心の解脱を得ず、亦た未だ一切處の解脱を得ず。」問うた、「如何なるか是れ心の解脱及び一切處の解脱。」老師は說いた、「佛法僧を求めず、乃至福智知解等を求めず。垢淨の情は盡く、亦た此の求無きを守りて是と爲さず、亦た盡く處に住せず、亦た天堂を欣わず、地獄を畏れず。縛脱は礙無し、即ち身心及び一切處は皆名づけて解脱と爲す。お前は少分の戒有りて、身口意は淨なりと言う莫れ、便以て了と爲す。河沙の戒定慧門・無漏解脱を知らず、都て未だ一毫も渉らず在り。努力して前に向かい、須らく猛く究取すべし。耳聾眼暗にして、面は皺み髮は白く、老苦身に及び、悲愛は纏綿し、眼中は淚を流し、心裏は慞惶するを待つこと莫れ。

一無所據。不知去處。到恁麼時節。整理腳手不得也。縱有福智.名聞.利養。都不相救。為心眼未開。唯念諸境。不知返照。復不見佛道。一生所有善惡業緣。悉現於前。或忻或怖。六道五蘊。俱時現前。盡敷嚴好舍宅。舟船車轝。光明顯赫。皆從自心貪愛所現。一切惡境。皆變成殊勝之境。但隨貪愛重處。業識所引。隨著受生。都無自由分。龍畜良賤。亦總未定。問。如何得自由分。師曰。如今得即得。或對五欲八風。情無取捨。慳嫉貪愛。我所情盡。垢淨俱亡。如日月在空。不緣而照。心心如木石。念念如救頭。然亦如香象渡河。截流而過。更無疑滯。此人天堂地獄所不能攝也。夫讀經看教。語言皆須宛轉歸就自己。但是一切言教。祇明如今鑒覺自性。但不被一切有無諸境轉。是汝導師。能照破一切有無諸境。是金剛慧。即有自由獨立分。若不能恁麼會得。縱然誦得十二韋陀典。祇成憎上慢。卻是謗佛。不是修行。但離一切聲色。亦不住於離。亦不住於知解。是修行讀經看教。若準世間是好事。若向明理人邊數。此是壅塞人。十地之人脫不去。流入生死河。但是三乘教。皆治貪瞋等病。祇如今念念若有貪瞋等病。先須治之。不用求覔義句知解。知解屬貪。貪變成病。祇如今但離一切有無諸法。亦離於離。透過三句外。自然與佛無差。既自是佛。何慮佛不解語。秖恐不是佛。被有無諸法縛。不得自由。以理未立。先有福智。被福智載去。如賤使貴。不如先立理。後有福智。若要福智。臨時作得。撮土成金。撮金為土。變海水為酥酪。破須彌為微塵。攝四大海水入一毛孔。於一義作無量義。於無量義作一義。伏惟珍重。師有時說法竟。大眾下堂。乃召之。大眾回首。師曰。是甚麼(藥山目之為百丈下堂句)。師兒時隨母入寺拜佛。指佛像問母。此是何物。母曰。是佛。師曰。形容似人無異。

一の據る所無く、去處を知らず。恁麼の時節に到りて、脚手を整理するを得ず。縱び福智・名聞・利養有るとも、都て救わず。心眼未だ開けざるを爲り、唯だ諸境を念い、返照を知らず、復た佛道を見ず。一生の所有の善惡業緣は、悉く前に現ず。或いは忻み或いは怖る。六道五蘊は、俱時に現前す。盡く嚴好の舍宅を敷き、舟船車輿は、光明顯赫として、皆自の心の貪愛の現ずる所なり。一切の惡境は、皆變じて殊勝の境と成る。但だ貪愛の重き處に隨い、業識の引く所に、隨着して生を受け、都て自由の分無し。龍畜良賤も、亦た總て未だ定まらず。」問うた、「如何にしてか自由の分を得ん。」老師は說いた、「如今得れば即ち得なり。或いは五欲八風に對して、情は取捨無し。慳嫉貪愛、我所の情は盡く。垢淨は俱に亡ぶ。日月の空に在りて、緣らずして照らすが如し。心心は木石の如く、念々は頭燃を救うが如し。然も亦た香象の河を渡りて、流れを截って過ぐるが如く、更に疑滯無し。此の人は天堂地獄の攝する能わざる所なり。夫れ經を讀み教を看るに、言語は皆須らく宛轉として自に歸就すべし。但だ是れ一切の言教は、只だ如今の鑑覺自性を明かす。但だ一切の有無諸境に轉ぜられざれば、是れお前が導師。能く一切の有無諸境を照破すれば、是れ金剛慧。即ち自由獨立の分有り。若し能く恁麼に會得せざれば、縱び十二韋陀の典を誦し得るとも、只だ增上慢と成りて、却って是れ佛を謗る、修行に非ず。但だ一切の聲色を離れ、亦た離るるに住せず、亦た知解に住せざれば、是れ修行して經を讀み教を看るなり。若し世間に准じて好事と爲せば。若し理を明らかにする人の邊に向かいて數えば、此れは壅塞の人。十地の人も脱して去らず、流れ入りて生死の河。但だ是れ三乘の教は、皆貪瞋等の病を治す。只だ如今の念々に若し貪瞋等の病有らば、先づ之を治するを須うず。義句知解を求覓るを用いず。知解は貪に屬し、貪は變じて病と成る。只だ如今但だ一切の有無諸法を離れ、亦た離るるを離れよ。三句の外を透過して、自然に佛と差無し。既に自ら是れ佛、何ぞ慮えん佛の語を解せざるを。只だ恐る是れ佛に非ざる、有無諸法に縛られて、自由を得ざるを。理未だ立たざるを以て、先に福智有りて、福智に載せられて去る、賤が貴を使うが如し。先に理を立て、後に福智有るに如かず。若し福智を要せば、臨時に作すを得。土を撮みて金と成し、金を撮みて土と爲す。海水を變じて酥酪と爲し、須彌を破りて微塵と爲し、四大海の水を一毛孔に攝し、一義に於いて無量義を作し、無量義に於いて一義を作す。伏して惟れ珍重せん。」老師は時に法を說き竟えて、大衆は堂を下るに、便ち之を召す。大衆は首を回らす。老師は說いた、「是れ什麼。」(藥山は之を目して百丈下堂の句と爲す。)老師は兒の時に母に隨いて寺に入りて佛を拜し、佛像を指して母に問うた、「此れは何物。」母は說いた、「是れ佛。」老師は說いた、「形容は人に似て異無し。

我後亦當作焉。師凡作務執勞。必先於眾。主者不忍。密收作具而請息之。師曰。吾無德。爭合勞於人。既徧求作具不獲。而亦忘飡。故有一日不作。一日不食之語流播寰宇矣。唐元和九年正月十七日歸寂。諡大智禪師。塔曰大寶勝輪。

我は後に亦た當に作らん。」老師は凡そ作務に勞を執るに、必ず衆に先んず。主者は忍びず、密かに作具を收めて之を息まんことを請う。老師は說いた、「吾は德無し、爭いで人に勞するを合せん。」既に遍く作具を求むれども獲ず、而して亦た餐を忘る。一日作らざれば、一日食せずの語が寰宇に流播する所以なり。唐元和九年正月十七日に寂に歸す。諡して大智禪師と曰う。塔は大寶勝輪と叫ぶ。

池州南泉普願禪師者

池州南泉普願禪師

鄭州新鄭人也。姓王氏。幼慕空宗。唐至德二年依大隗山大慧禪師受業。詣嵩嶽受具足戒。初習相部舊章。究毗尼篇聚。次遊諸講肆。歷聽楞伽.華嚴。入中百門觀。精練玄義。後扣大寂之室。頓然忘筌。得遊戲三昧。一日。為眾僧行粥次。馬祖問。桶裡是甚麼。師曰。這老漢合取口作恁麼語話。祖便休。自餘。同參之流無敢詰問。貞元十一年憩錫於池陽。自建禪齋。不下南泉三十餘載。大和初。宣城廉使陸公亙嚮師道風。遂與監軍同請下山。伸弟子之禮。大振玄綱。自此學徒不下數百。言滿諸方。目為郢匠。上堂。然燈佛道了也。若心相所思。出生諸法。虗假不實。何以故。心尚無有。云何出生諸法。猶如形影。分別虗空。如人取聲。安置篋中。亦如吹網。欲令氣滿。故老宿雲。不是心。不是佛。不是物。且教你兄弟行履。據說十地菩薩住首楞嚴三昧。得諸佛秘密法藏。自然得一切禪定解脫神通妙用。至一切世界。普現色身。或示現成等正覺。轉大法輪。入涅槃。使無量入毛孔。演一句經無量劫。其義不盡。教化無量億千眾生得無生法忍。尚喚作所知愚.極微細所知愚。與道全乖。大難。大難。珍重。上堂曰。王老師自小養一頭水牯牛。擬向溪東牧。不免食他國王水草。擬向溪西牧。亦不免食他國王水草。不如隨分納些些。總不見得。師問僧曰。夜來好風。曰。夜來好風。師曰。吹折門前一枝松。曰。吹折門前一枝松。次問一僧曰。夜來好風。曰。是甚麼風。師曰。吹折門前一枝松。曰。是甚麼松。師曰。一得一失。師有書與茱萸曰。理隨事變。寬廓非外。事得理融。寂寥非內。僧達書了。便問萸。如何是寬廓非外。萸曰。問一答百也無妨。曰。如何是寂寥非內。萸曰。覩對聲色。不是好手。僧又問長沙。沙瞪目視之。僧又進後語。沙乃閉目示之。僧又問趙州。州作吃飯勢。僧又進後語。

是れ鄭州新鄭の人。姓は王。幼くして空宗を慕う。唐至德二年、大隗山大慧禪師に依りて業を受け、嵩岳に詣りて具足戒を受く。初め相部の舊章を習い、毗尼篇聚を究む。次に諸の講肆に遊び、歴聽する所は《楞伽》・《華嚴》、中百門の觀に入り、玄義を精練す。後に大寂の室を扣きて、頓然として筌を忘れ、遊戲三昧を得たり。一天、衆僧の爲に粥を行ずる時、馬祖は問うた、「桶の裏は是れ什麼。」老師は說いた、「此の老漢は口を取りて恁麼の語話を作すを合せん。」祖は便ち休す。余の同參の流に敢えて詰問する者無し。貞元十一年、池陽に憩錫して、自ら禪齋を建て、南泉を下らざること三十餘載。大和の初め、宣城廉使陸公亘は老師の道風を向慕し、便ち監軍と同じく下山を請うて、弟子の禮を伸す。玄綱を大いに振るう。此より學徒は數百を下らず。言は諸方に滿ちて、目して郢匠と爲す。堂に上りて、「然燈佛の道了れり。若し心相の思する所は、諸法を出生す、虛假にして實ならず。何の故。心は尚も有無し、云何にか諸法を出生せん。猶ほ形影の如く、虛空を分別す。人の聲を取りて、箧の中に安置するが如し。亦た網を吹きて、氣をして滿ちしめんと欲するが如し。所以老宿は說く、心に非ず、佛に非ず、物に非ず。且くお前等の兄弟の行履を教う。據れ説く十地の菩薩は首楞嚴三昧に住して、諸佛の祕密法藏を得て、自然に一切の禪定解脱神通妙用を得、一切の世界に至りて、普く色身を現ず。或いは現じて等正覺を成じ、大法輪を轉じて、涅槃に入る。無量をして毛孔に入らしめ、一句の經を演べること無量劫して、其の義盡きず。無量億千の衆生を教化して無生法忍を得せしむ。尚も喚びて所知愚・極微細の所知愚と作す。道と全く乖く。大難、大難。珍重。」堂に上りて說いた、「王老師は小さきより一頭の水牯牛を養う。擬して溪東に向かいて牧らば、他の國王の水草を食するを免れず。擬して溪西に向かいて牧らばも、亦た他の國王の水草を食するを免れず。分に隨いて些些を納るに如かず、總て見るを得ず。」老師は僧に問うた、「夜來好き風。」說いた、「夜來好き風。」老師は說いた、「門前の一枝の松を吹折す。」說いた、「門前の一枝の松を吹折す。」次に一僧に問うた、「夜來好き風。」說いた、「是れ什麼の風。」老師は說いた、「門前の一枝の松を吹折す。」說いた、「是れ什麼の松。」老師は說いた、「一得一失。」老師は茱萸に書有りて說いた、「理は事の變に隨いて、寬廓として外に非ず。事は理の融を得て、寂寥として內に非ず。」僧は書を達して了りて、便ち茱萸に問うた、「如何なるか是れ寬廓非外。」茱萸は說いた、「一を問い百を答うとも妨無し。」問うた、「如何なるか是れ寂寥非內。」茱萸は說いた、「聲色に對睹して、好手に非ず。」僧は又た長沙に問うた。長沙は目を瞪らして之を視る。僧は又た後の語を進めた。長沙は便ち目を閉ぢて之に示す。僧は又た趙州に問うた。趙州は飯を喫する勢を作す。僧は又た後の語を進めた。

州以手作拭口勢。後僧舉似師。師曰。此三人。不謬為吾弟子。南泉山下有一庵主。人謂曰。近日南泉和尚出世。何不去禮見。主曰。非但南泉出世。直饒千佛出興。我亦不去。師聞。乃令趙州去勘。州去便設拜。主不顧。州從西過東。又從東過西。主亦不顧。州曰。草賊大敗。遂拽下簾子。便歸舉似師。師曰。我從來疑著這漢。次日。師與沙彌擕茶一瓶.盞三隻。到庵擲向地上。乃曰。昨日底。昨日底。主曰。昨日底是甚麼。師於沙彌背上拍一下曰。賺我來。賺我來。拂袖便回。上堂。道箇如如早是變了也。今時師僧須向異類中行。歸宗曰。雖行畜生行。不得畜生報。師曰。孟八郎漢又恁麼去也。上堂。文殊.普賢昨夜三更相打。每人與二十棒。趁出院去也。趙州曰。和尚棒教誰吃。師曰。且道王老師過在甚處。州禮拜而出。師因至莊所。莊主預備迎奉。師曰。老僧居常出入。不與人知。何得排辦如此。莊主曰。昨夜土地報道。和尚今日來。師曰。王老師修行無力。被鬼神覷見。侍者便問。和尚既是善知識。為甚麼被鬼神覷見。師曰。土地前更下一分飯。(玄覺雲。甚麼處是土地前更下一分飯。雲居錫雲。是賞伊罰伊。只如土地前見。是南泉不是南泉)。師有時曰。江西馬祖說即心即佛。王老師不恁麼道。不是心。不是佛。不是物。恁麼道還有過麼。趙州禮拜而出。時有一僧隨問趙州曰。上座禮拜便出。意作麼生。州曰。汝卻問取和尚。僧乃問。適來諗上座意作麼生。師曰。他卻領得老僧意旨。黃檗與師為首座。一日。捧缽向師位上坐。師入堂見。乃問曰。長老甚麼年中行道。檗曰。威音王已前。師曰。猶是王老師兒孫在。下去。檗便過第二位坐。師便休。師一日問黃檗。黃金為世界。白銀為壁落。此是甚麼人居處。檗曰。是聖人居處。師曰。更有一人居何國土。檗乃叉手立。師曰。道不得。

趙州は手を以て口を拭う勢を作す。後に僧は擧げて老師に似す。老師は說いた、「此の三人、謬らず吾が弟子と爲る。」南泉山下に一庵主有り。人は說いた、「近日南泉和尚は出世す、何ぞ去りて禮見せざる。」庵主は說いた、「但だ南泉の出世に非ず、直に千佛の出興を饒らばとも、我も亦た去らず。」老師は聞きて、便ち趙州をして去りて勘えしめた。趙州は去りて便ち拜を設く。庵主は顧みず。趙州は西より東に過ぎ、又た東より西に過ぐ。庵主も亦た顧みず。趙州は說いた、「草賊は大いに敗れり。」便ち帘子を拽き下し、便ち歸りて老師に擧似す。老師は說いた、「我は從來此の漢を疑い着く。」次日、老師と沙彌は茶一瓶・盞三隻を携えて、庵に到りて地上に擲向して、便ち說いた、「昨日の底、昨日の底。」庵主は說いた、「昨日の底は是れ什麼。」老師は沙彌の背に於いて一た拍して說いた、「我をして來らしめ、我をして來らしめ。」袖を拂いて便ち回る。堂に上りて、「如如を道うも早く是れ變じたり。今時の師僧は須らく異類の中に向かいて行ずべし。」歸宗は說いた、「畜生の行を行ずと雖も、畜生の報を得ず。」老師は說いた、「孟八郎漢は又た恁麼に去れり。」堂に上りて、「文殊・普賢は昨夜三更に相打ち、每人に二十棒を與えて、趁りて院を出づ。」趙州は說いた、「和尚の棒は誰をして喫せしむ。」老師は說いた、「且く王老師の過は甚の處に在ると道え。」趙州は禮拜して出づ。老師は因って庄所に至る。庄主は豫備して迎奉す。老師は說いた、「老僧は居常出入に、人に知らしめず。何の得ん排辦する此の如く。」庄主は說いた、「昨夜土地は報道す、和尚は今日來らんと。」老師は說いた、「王老師は修行力無く、鬼神に觑見せらる。」侍者は便ち問うた、「和尚は既に善知識なり、什麼の爲に鬼神に觑見せられん。」老師は說いた、「土地の前に更に一分の飯を下せ。」(玄覺は說いた、「什麼の處か是れ土地の前に更に一分の飯を下す。」雲居錫は說いた、「是れ伊を賞するか伊を罰するか。只だ土地の前に見るが如く、是れ南泉か南泉に非ずや。」)老師は時に說いた、「江西馬祖は即心即佛と說く。王老師は恁麼に道わず。心に非ず、佛に非ず、物に非ず。恁麼に道うも還って過有るか。」趙州は禮拜して出づ。時に一僧有りて趙州に隨い問うた、「上座は禮拜して便ち出づ、意は作麼生。」趙州は說いた、「お前は却って和尚に問うて取れ。」僧は便ち問うた、「適來諗上座の意は作麼生。」老師は說いた、「彼は却って老僧の意旨を領得せり。」黃檗は老師と首座を爲す。一天、鉢を捧げて老師の位上に向かいて坐す。老師は堂に入りて見、便ち問うた、「長老は什麼の年中に道を行ず。」黃檗は說いた、「威音王已前。」老師は說いた、「猶ほ是れ王老師の兒孫在り。下去れ。」黃檗は便ち第二位に過ぎて坐す。老師は便ち休す。老師は一天黃檗に問うた、「黃金を世界と爲し、白銀を壁落と爲す。此れは什麼の人の居處。」黃檗は說いた、「是れ聖人の居處。」老師は說いた、「更に一人有りて何の國土に居る。」黃檗は便ち叉手して立つ。老師は說いた、「道うを得ず。

何不問王老師。檗卻問。更有一人居何國土。師曰。可惜許。師問黃檗。定慧等學。明見佛性。此理如何。檗曰。十二時中不依倚一物。師曰。莫是長老見處麼。檗曰。不敢。師曰。漿水錢且置。草鞋錢教阿誰還。師見僧斫木次。師乃擊木三下。僧放下斧子。歸僧堂。師歸法堂。良久卻入僧堂。見僧在衣缽下坐。師曰。賺殺人。問。師歸丈室。將何指南。師曰。昨夜三更失卻牛。天明起來失卻火。師因東西兩堂爭貓兒。師遇之。白眾曰。道得即救取貓兒。道不得即斬卻也。眾無對。師便斬之。趙州自外歸。師舉前語示之。州乃脫履安頭上而出。師曰。子若在。即救得貓兒也。師在方丈。與杉山向火次。師曰。不用指東指西。直下本分事道來。山插火箸叉手。師曰。雖然如是。猶較王老師一線道。有僧問訊。叉手而立。師曰。太俗生。其僧便合掌。師曰。太僧生。僧無對。一僧洗缽次。師乃奪卻缽。其僧空手而立。師曰。缽在我手裡。汝口喃喃作麼。僧無對。師因入菜園。見一僧。師乃將瓦子打之。其僧回顧。師乃翹足。僧無語。師便歸方丈。僧隨後入。問訊曰。和尚適來擲瓦子打某甲。豈不是警覺某甲。師曰。翹足又作麼生。僧無對(後有僧問石霜雲。南泉翹足。意作麼生。霜舉手雲。還恁麼無)。上堂。王老師賣身去也。還有人買麼。一僧出曰。某甲買。師曰。不作貴。不作賤。汝作麼生買。僧無對(臥龍代雲。屬某甲去也。禾山代雲。是何道理。趙州代雲。明年與和尚縫一領布衫)。師與歸宗.麻谷同去參禮南陽國師。師於路上畫一圓相曰。道得即去。宗便於圓相中坐。谷作女人拜。師曰。恁麼則不去也。宗曰。是甚麼心行。師乃相喚便回。更不去禮國師(玄覺雲。只如南泉恁麼道。是肯語是不肯語。雲居錫雲。比來去禮拜國師。南泉為甚麼卻相喚回。且道古人意作麼生)。師在山上作務。僧問。

何ぞ王老師に問わざる。」黃檗は却って問うた、「更に一人有りて何の國土に居る。」老師は說いた、「許すを惜し。」老師は黃檗に問うた、「定慧の等學、佛性を明見す。此の理は如何。」黃檗は說いた、「十二時の中に一物に依倚せず。」老師は說いた、「莫し是れ長老の見處か。」黃檗は說いた、「敢えず。」老師は說いた、「漿水の錢は且く置く。草鞋の錢は阿誰をして還せしめん。」老師は僧が木を斫るを見る時、老師は便ち木を撃つこと三下。僧は斧子を放下して、僧堂に歸る。老師は法堂に歸る。久しくして却って僧堂に入りて、僧が衣鉢の下に坐するを見た。老師は說いた、「人を殺すを賺す。」問うた、「老師は丈室に歸りて、將に何を以て指南と爲さん。」老師は說いた、「昨夜三更に牛を失却し、天明に起き來りて火を失却す。」老師は因って東西兩堂が猫兒を争う。老師は之に遇いて、衆に白して說いた、「道え得ば即ち猫兒を救取らん、道うを得ずば即ち斬却せん。」衆は對無し。老師は便ち之を斬る。趙州は外より歸る。老師は前の語を擧げて之に示す。趙州は便ち履を脱ぎて頭上に安んじて出づ。老師は說いた、「子は若し在りてば、即ち猫兒を救い得ん。」老師は方丈に在りて、杉山と火に向かう時。老師は說いた、「東を指し西を指すを用いず、直下本分の事を道い來れ。」杉山は火箸を插して叉手す。老師は說いた、「然りと雖も是の如し、猶ほ王老師の一線の道に較く。」僧有りて問訊して、叉手して立つ。老師は說いた、「太く俗なる。」其の僧は便ち合掌す。老師は說いた、「太く僧なる。」僧は對無し。一僧は鉢を洗う時、老師は便ち鉢を奪却す。其の僧は空手にして立つ。老師は說いた、「鉢は我が手裏に在り、お前が口の喃喃は作麼。」僧は對無し。老師は因って菜園に入りて、一僧を見た。老師は便ち瓦子を將りて之を打つ。其の僧は回顧す。老師は便ち足を翹ぐ。僧は語無し。老師は便ち方丈に歸る。僧は隨後に入りて、問訊して說いた、「和尚は適來瓦子を擲ちて某甲を打つ、豈に某甲を警覺するに非ず。」老師は說いた、「足を翹ぐるは又た作麼生。」僧は對無し。(後に僧有りて石霜に問うた、「南泉が足を翹ぐ、意は作麼生。」石霜は手を擧げて說いた、「還って恁麼なるか無きか。」)堂に上りて、「王老師は身を賣りて去る。還って買う人有るか。」一僧は出でて說いた、「某甲が買わん。」老師は說いた、「貴を作さず、賤を作さず。お前は作麼生に買わん。」僧は對無し。(臥龍は代わって說いた、「某甲の去るに屬す。」禾山は代わって說いた、「是れ何の道理。」趙州は代わって說いた、「明年和尚に一領の布衫を縫い與えん。」)老師は歸宗・麻谷と同じく去りて南陽國師に參禮す。老師は路上に於いて一圓相を畫きて說いた、「道え得ば即ち去らん。」歸宗は便ち圓相の中に坐す。麻谷は女人拜を作す。老師は說いた、「恁麼ならば則ち去らざる。」歸宗は說いた、「是れ什麼の心行。」老師は便ち相喚して便ち回りて、更に國師に禮せず。(玄覺は說いた、「只だ南泉が恁麼に道うが如く、是れ肯の語か不肯の語か。」雲居錫は說いた、「比來國師に禮拜し去らんとせり、南泉は什麼の爲に却って相喚して回る。且く古人の意は作麼生と道え。」)老師は山上に在りて作務す。僧は問うた、

南泉路向甚麼處去。師拈起鎌子曰。我這茆鎌子。三十錢買得。曰。不問茆鎌子。南泉路向甚麼處去。師曰。我使得正快。有一座主辭師。師問。甚麼處去。對曰。山下去。師曰。第一不得謗王老師。對曰。爭敢謗和尚。師乃噴嚏曰。多少。主便出去(雲居膺雲。非師本意。先曹山雲。賴也。石霜雲。不為人斟酌。長慶雲。請領話。雲居錫雲。座主當時出去。是會不會)。師一日掩方丈門。將灰圍卻門外。曰。若有人道得。即開。或有祇對。多未愜師意。趙州曰。蒼天。師便開門。師翫月次。僧問。幾時得似這箇去。師曰。王老師二十年前。亦恁麼來。曰。即今作麼生。師便歸方丈。陸亙大夫問。弟子從六合來。彼中還更有身否。師曰。分明記取。舉似作家。曰。和尚不可思議。到處世界成就。師曰。適來總是大夫分上事。陸異日謂師曰。弟子亦薄會佛法。師便問。大夫十二時中作麼生。曰。寸絲不掛。師曰。猶是堦下漢。師又曰。不見道。有道君王不納有智之臣。上堂次。陸大夫曰。請和尚為眾說法。師曰。教老僧作麼生說。曰。和尚豈無方便。師曰。道他欠少甚麼。曰。為甚麼有六道四生。師曰。老僧不教他。陸大夫與師見人雙陸。指骰子曰。恁麼.不恁麼.正恁麼。信彩去時如何。師拈起骰子曰。臭骨頭十八。又問。弟子家中有一片石。或時坐。或時臥。如今擬鐫作佛。還得否。師曰。得。陸曰。莫不得否。師曰。不得(雲巖雲。坐即佛。不坐即非佛。洞山雲。不坐即佛。坐即非佛)。趙州問。道非物外。物外非道。如何是物外道。師便打。州捉住棒曰。已後莫錯打人去。師曰。龍蛇易辨。衲子難謾。師喚院主。主應諾。師曰。佛九十日在忉利天為母說法。時優填王思佛。請目連運神通三轉。攝匠人往彼彫佛像。秖雕得三十一相。為甚麼梵音相雕不得。主問。如何是梵音相。師曰。賺殺人。

南泉路は什麼の處に向かいて去る。」老師は鐮子を拈起して說いた、「我が此の茆鐮子は、三十錢にて買い得た。」說いた、「茆鐮子は問わず。南泉路は什麼の處に向かいて去る。」老師は說いた、「我が使うこと正に快し。」一座主有りて老師を辭す。老師は問うた、「什麼の處に去る。」對えた、「山下に去る。」老師は說いた、「第一に王老師を謗るを得ず。」對えた、「爭いで和尚を謗らんや。」老師は便ち嚏をして說いた、「多少。」座主は便ち出去す。(雲居膺は說いた、「師の本意に非ず。」先曹山は說いた、「頼れり。」石霜は說いた、「人に爲りて斟酌せず。」長慶は說いた、「話を領せんことを請う。」雲居錫は說いた、「座主は當時出去す、是れ會か不會か。」)老師は一天方丈の門を掩いて、灰を將りて門外を圍却して、說いた、「若し人有りて道え得ば、即ち開かん。」或いは只だ對あるも、多くは未だ老師の意に愜えず。趙州は說いた、「蒼天。」老師は便ち門を開けり。老師が月を玩ぶ時、僧は問うた、「幾時にか此の個の如くして去るを得ん。」老師は說いた、「王老師は二十年前も、亦た恁麼に來れり。」問うた、「即今は作麼生。」老師は便ち方丈に歸る。陸亘大夫は問うた、「弟子は六合より來れり。彼の中は還って更に身有るか。」老師は說いた、「分明に記取して、作家に擧似せよ。」說いた、「和尚は不可思議にして、處處の世界を成就す。」老師は說いた、「適來は總て是大夫の分上の事。」陸は異日に老師に對して說いた、「弟子も亦た薄く佛法を會す。」老師は便ち問うた、「大夫は十二時の中に作麼生。」說いた、「寸絲挂らず。」老師は說いた、「猶ほ是れ階下の漢。」老師は又た說いた、「道えるを見ず、道有る君王は智有るの臣を納れずと。」堂に上る時、陸大夫は說いた、「和尚をして衆の爲に法を說かしめんことを請う。」老師は說いた、「老僧に作麼生に說かしめん。」說いた、「和尚は豈に方便無からん。」老師は說いた、「彼に什麼を欠少すると道え。」問うた、「什麼の爲に六道四生有る。」老師は說いた、「老僧は彼に教えず。」陸大夫は老師と人の雙陸を見て、骰子を指して說いた、「恁麼・不恁麼・正恁麼。信彩の去る時如何。」老師は骰子を拈起して說いた、「臭骨頭十八。」又た問うた、「弟子の家中に一片の石有りて、或いは時に坐し、或いは時に臥す。如今擬して佛と鐫る、還って得るか。」老師は說いた、「得。」陸は說いた、「莫し得ざるか。」老師は說いた、「得ず。」(雲巖は說いた、「坐すれば即ち佛、坐せざれば即ち佛に非ず。」洞山は說いた、「坐せざれば即ち佛、坐すれば即ち佛に非ず。」)趙州は問うた、「道は物外に非ず、物外は道に非ず。如何なるか是れ物外の道。」老師は便ち打つ。趙州は棒を捉住して說いた、「以後は人を錯りて打つこと莫れ。」老師は說いた、「龍蛇は辨じ易く、衲子は谩め難し。」老師は院主を喚ぶ。院主は應諾す。老師は說いた、「佛は九十日忉利天に在りて母の爲に法を說く。時に優填王は佛を思いて、目連を請うて神通を運らして三轉し、匠人を攝して彼に往きて佛像を雕らしむ、只だ三十一相を雕り得たり。什麼の爲に梵音の相は雕るを得ざる。」院主は問うた、「如何なるか是れ梵音の相。」老師は說いた、「人を殺すを賺す。」

師問維那。今日普請作甚麼。對曰。拽磨。師曰。磨從你拽。不得動著磨中心樹子。那無語(保福代雲。比來拽磨。如今卻不成。法眼代雲。恁麼即不拽也)。一日。有大德問師曰。即心是佛又不得。非心非佛又不得。師意如何。師曰。大德且信即心是佛便了。更說甚麼得與不得。祇如大德吃飯了。從東廊上西廊下。不可總問人得與不得也。師住庵時。有一僧到庵。師向伊道。我上山去作務。待齋時作飯自吃了。送一分上來。少時。其僧自作飯吃了。卻一時打破家事就床臥。師待不見來。便歸庵。見僧臥。師亦就伊邊臥。僧便起去。師住後曰。我往前住庵時。有箇靈利道者。直至如今不見。師拈起毬子問僧。那箇何似這箇。對曰。不似。師曰。甚麼處見那箇。便道不似。曰。若問某甲見處。和尚放下手中物。師曰。許你具一隻眼。陸大夫向師道。肇法師也甚奇怪。解道天地與我同根。萬物與我一體。師指庭前牡丹花曰。大夫。時人見此一株花如夢相似。陸罔測。又問。天王居何地位。師曰。若是天王。即非地位。曰。弟子聞說天王是居初地。師曰。應以天王身得度者。即現天王身。而為說法。陸辭歸宣城治所。師問。大夫去彼。將何治民。曰。以智慧治民。師曰。恁麼則彼處生靈盡遭塗炭去也。師入宣州。陸大夫出迎接。指城門曰。人人盡喚作雍門。未審和尚喚作甚麼門。師曰。老僧若道。恐辱大夫風化。曰。忽然賊來時作麼生。師曰。王老師罪過。陸又問。大悲菩薩用許多手眼作甚麼。師曰。秖如國家。又用大夫作甚麼。師洗衣次。僧問。和尚猶有這箇在。師拈起衣曰。爭奈這箇何(玄覺雲。且道是一箇。是兩箇)。師問僧良欽。空劫中還有佛否。對曰。有。師曰。是阿誰。對曰。良欽。師曰。居何國土。欽無語。問。祖祖相傳。合傳何事。師曰。一二三四五。問。如何是古人底。師曰。待有即道。曰。

老師は維那に問うた、「今日は普請して什麼を作す。」對えた、「磨を拽す。」老師は說いた、「磨はお前に從いて拽すも、磨の中心の樹子を動着するを得ず。」維那は語無し。(保福は代わって說いた、「比來磨を拽す、如今却って成らず。」法眼は代わって說いた、「恁麼ならば即ち拽せざる。」)一天、大德有りて老師に問うた、「即心是佛は又た得ず、非心非佛も又た得ず。老師の意は如何。」老師は說いた、「大德は且く即心是佛を信ぜば便ち了り、更に什麼か得と不得とを說く。只だ大德が飯を喫して了るが如く、東廊より西廊の下を上るとも、總て人に得と不得とを問う可からず。」老師が庵に住する時、一僧有りて庵に到る。老師は伊に向かいて道いた、「我は山に上りて作務す。齋の時を待ちて飯を作りて自ら喫して了りて、一分を上りて送れ。」少時、其の僧は自ら飯を作りて喫して了りて、却って一時に家事を打破して牀に就きて臥す。老師は來るを見ず待ちて、便ち庵に歸る。僧の臥するを見て、老師も亦た伊の邊に就きて臥す。僧は便ち起きて去る。老師は後に住して說いた、「我は往前に庵に住する時、箇の靈利なる道者有りて、直に如今に至るまで見ず。」老師は毬子を拈起して僧に問うた、「那の個は此の個に何似。」對えた、「似ず。」老師は說いた、「什麼の處に那の個を見て、便ち似ずと道う。」說いた、「若し某甲の見處を問わば、和尚は手中の物を放下せよ。」老師は說いた、「お前に許す一隻の眼を具えし。」陸大夫は老師に向かいて道いた、「肇法師も甚だ奇怪にして、天地は我と同根にして、萬物は我と一體なるを解道す。」老師は庭前の牡丹の花を指して說いた、「大夫、時人は此の一株の花を見るに夢に相似たり。」陸は罔測せり。又た問うた、「天王は何の地位に居る。」老師は說いた、「若し是れ天王ならば、即ち地位に非ず。」說いた、「弟子は聞き說く天王は是れ初地に居る。」老師は說いた、「應に天王の身を以て度を得る者は、即ち天王の身を現じて爲に法を說く。」陸は辭して宣城の治所に歸る。老師は問うた、「大夫は彼に去りて、將に何を以て民を治めん。」說いた、「智慧を以て民を治む。」老師は說いた、「恁麼ならば則ち彼の處の生靈は盡く塗炭に遭いて去らん。」老師は宣州に入りて、陸大夫は出でて迎接し、城門を指して說いた、「人人は盡く雍門と喚ぶ。和尚は何の門と喚ぶを知らず。」老師は說いた、「老僧は若し道えば、恐る大夫の風化を辱しめんことを。」問うた、「忽然賊の來る時作麼生。」老師は說いた、「王老師の罪過。」陸は又た問うた、「大悲菩薩は許多の手眼を用いて什麼を作す。」老師は說いた、「只だ國家の如く、又た大夫を用いて什麼を作す。」老師が衣を洗う時、僧は問うた、「和尚は猶ほ此の個有りて在り。」老師は衣を拈起して說いた、「此の個を如何とも奈せん。」(玄覺は說いた、「且く道え一個か、兩個か。」)老師は僧良欽に問うた、「空劫の中は還って佛有るか。」對えた、「有。」老師は說いた、「是れ阿誰。」對えた、「良欽。」老師は說いた、「何の國土に居る。」良欽は語無し。問うた、「祖祖相傳、何の事を傳うべき。」老師は說いた、「一二三四五。」問うた、「如何なるか是れ古人の底。」老師は說いた、「有るを待ちて即ち道わん。」說いた、

和尚為甚麼妄語。師曰。我不妄語。盧行者卻妄語。問。十二時中以何為境。師曰。何不問王老師。曰。問了也。師曰。還曾與汝為境麼。問。青蓮不隨風火散時是甚麼。師曰。無風火不隨是甚麼。僧無對。師問。不思善。不思惡。思總不生時。還我本來面目來。曰。無容止可露(洞山雲。還曾將示人麼)。師問座主。你與我講經得麼。曰。某甲與和尚講經。和尚須與某甲說禪始得。師曰。不可將金彈子博銀彈子去。曰。某甲不會。師曰。汝道空中一片雲。為復釘釘住。為復藤纜著。問。空中有一珠。如何取得。師曰。斫竹布梯空中取。曰。空中如何布梯。師曰。汝擬作麼生取。僧辭。問曰。學人到諸方。有人問。和尚近日作麼生。未審如何祗對。師曰。但向道近日解相撲。曰。作麼生。師曰。一拍雙泯。問。父母未生時。鼻孔在甚麼處。師曰。父母已生了。鼻孔在甚麼處。師將順世。第一座問。和尚百年後向甚麼處去。師曰。山下作一頭水牯牛去。座曰。某甲隨和尚去還得也無。師曰。汝若隨我。即須銜取一莖草來。師乃示疾。告門人曰。星翳燈幻亦久矣。勿謂吾有去來也。言訖而逝。

和尚は什麼の爲に妄語す。」老師は說いた、「我は妄語せず。盧行者は却って妄語す。」問うた、「十二時の中に何を以てか境と爲す。」老師は說いた、「何ぞ王老師に問わざる。」說いた、「問えり。」老師は說いた、「還って曾てお前と境と爲したか。」問うた、「青蓮は風火に隨いて散いて散ぜざる時、是れ什麼。」老師は說いた、「風火無きに隨わざるは是れ什麼。」僧は對無し。老師は問うた、「善を思わず、惡を思わず、思は總て生ぜざる時、我が本來の面目を還し來れ。」說いた、「容止する可く露れ無し。」(洞山は說いた、「還って曾て人に將示したか。」)老師は座主に問うた、「お前は我と經を講ずるを得るか。」說いた、「某甲は和尚と經を講ずれば、和尚は須らく某甲と禪を說いて始めて得べし。」老師は說いた、「金彈子を將りて銀彈子と博ち去る可からず。」說いた、「某甲は會せず。」老師は說いた、「お前は道う空中の一片の雲は、爲に復た釘に釘付くか、爲に復た藤に纜着すか。」問うた、「空中に一珠有り、如何にしてか取るを得ん。」老師は說いた、「竹を斫きて空中に梯を布きて取れ。」問うた、「空中に如何にしてか梯を布かん。」老師は說いた、「お前は擬して作麼生に取らん。」僧は辭して問うた、「學人は諸方に到りて、人若し和尚の近日は作麼生と問わば、如何なるか只だ對すべきを知らず。」老師は說いた、「但だ向かいて近日は相撲を解すと道え。」問うた、「作麼生。」老師は說いた、「一拍して雙泯す。」問うた、「父母未だ生生ぜざる時、鼻孔は什麼の處に在る。」老師は說いた、「父母已に生じ了んぬ、鼻孔は什麼の處に在る。」老師は將に世に順わんとす。第一座は問うた、「和尚は百年の後、什麼の處に向かいて去らん。」老師は說いた、「山下に一頭の水牯牛を作して去らん。」座は說いた、「某甲は和尚に隨いて去る、還って得るや無きや。」老師は說いた、「お前は若し我に隨わば、即ち須らく一莖の草を銜取して來るべし。」老師は便ち疾を示して、門人に告げて說いた、「星翳燈幻も亦た久し。吾に去來有りと謂う勿れ。」說き竟えて逝く。

杭州鹽官海昌院齊安國師

杭州鹽官海昌院齊安國師

海門郡人也。姓李氏。生時神光照室。後有異僧謂之曰。建無勝幢。使佛日回照者。豈非汝乎。長依本郡雲琮禪師落髮受具。後聞大寂行化於龔公山。乃振錫而造焉。師有奇相。大寂一見深器之。乃令入室。密示正法。僧問。如何是本身盧舍那。師曰。與老僧過淨瓶來。僧將淨瓶至。師曰。卻安舊處著。僧送至本處。復來詰問。師曰。古佛過去久矣。有講僧來參。師問座主。蘊何事業。對曰。講華嚴經。師曰。有幾種法界。曰。廣說則重重無盡。略說有四種。師竪起拂子曰。這箇是第幾種法界。主沉吟。師曰。思而知。慮而解。是鬼家活計。日下孤燈。果然失照。(保福聞雲。若禮拜即吃和尚棒。禾山代雲。某甲不煩。和尚莫怪。法眼代拊掌三下)。僧問大梅。如何是西來意。大梅曰。西來無意。師聞乃曰。一箇棺材。兩箇死漢(玄沙雲。鹽官是作家)。師一日喚侍者曰。將犀牛扇子來。者曰。破也。師曰。扇子既破。還我犀牛兒來。者無對(投子代雲。不辭將出。恐頭角不全。資福代作圓相。心中書牛字。石霜代雲。若還和尚即無也。保福雲。和尚年尊。別請人好)。師一日謂眾曰。虗空為鼓。須彌為椎。甚麼人打得。眾無對(有人舉似南泉。泉雲。王老師不打這破鼓。法眼別雲。王老師不打)。有法空禪師到。請問經中諸義。師一一答了。卻曰。自禪師到來。貧道總未得作主人。法空曰。請和尚便作主人。師曰。今日夜也。且歸本位安置。明日卻來。法空下去。至明旦。師令沙彌屈法空禪師。法空至。師顧沙彌曰。咄。這沙彌不了事。教屈法空禪師。屈得箇守堂家人來。法空無語。法昕院主來參。師問。汝是誰。對曰。法昕。師曰。我不識汝。昕無語。師後不疾。宴坐示滅。諡悟空禪師。

是れ海門郡の人。姓は李。生まるる時、神光は室を照らす。後に異僧有りて他に對して說いた、「無勝の幢を建て、佛日をして照り回らしむる者は、豈にお前に非ずや。」長大して本郡雲琮禪師に依りて髮を落し具を受く。後に大寂が龔公山に於いて化を行ずるを聞きて、便ち錫を振りて之に造る。老師は奇相有り。大寂は一見して深く之を器とし、便ち入室せしめて、密かに正法を示す。僧は問うた、「如何なるか是れ本身の盧舍那。」老師は說いた、「老僧と淨瓶を過して來れ。」僧は淨瓶を將りて至る。老師は說いた、「却って舊處に安んじ著けよ。」僧は本處に送りて、復た來りて詰問す。老師は說いた、「古佛は過去して久し。」講僧有りて來り參す。老師は座主に問うた、「何の事業を蘊む。」對えた、「《華嚴經》を講ず。」老師は說いた、「幾種の法界有る。」說いた、「廣く說けば則ち重々無盡、略く說けば四種有り。」老師は拂子を豎起して說いた、「此の個は第幾種の法界。」座主は沈吟す。老師は說いた、「思りて知り、慮りて解すは、是れ鬼家の活計。日下の孤燈、果然として照を失す。」(保福は聞きて說いた、「若し禮拜せば即ち和尚の棒を喫せん。」禾山は代わって說いた、「某甲は煩わず、和尚は怪る莫れ。」法眼は代わって掌を拊すること三下。)僧は大梅に問うた、「如何なるか是れ西來の意。」大梅は說いた、「西來は意無し。」老師は聞きて乃ち說いた、「一個の棺材、兩個の死漢。」(玄沙は說いた、「鹽官は是れ作家。」)老師は一天侍者を喚して說いた、「犀牛の扇子を將來れ。」侍者は說いた、「破れり。」老師は說いた、「扇子は既に破れり、我が犀牛兒を還し來れ。」侍者は對無し。(投子は代わって說いた、「將出するを辭せず、恐る頭角の全からざるを。」資福は代わって圓相を作し、心の中に牛の字を書す。石霜は代わって說いた、「若し還せば和尚は即ち無し。」保福は說いた、「和尚は年尊し、別に人を請うて好し。」)老師は一天衆人に對して說いた、「虛空を鼓と爲し、須彌を椎と爲す。什麼の人か打ち得る。」衆は對無し。(人擧げて南泉に似す。南泉は說いた、「王老師は此の破鼓を打たず。」法眼は別に說いた、「王老師は打たず。」)法空禪師有りて到りて、經中の諸義を請問す。老師は一一答え了りて、却って說いた、「禪師の到來より、貧道は總て未だ主人を作すを得ず。」法空は說いた、「和尚をして便ち主人を作さしめんことを請う。」老師は說いた、「今日は夜なり、且く本位に歸りて安置せよ。明日に却って來れ。」法空は下去す。明旦に至りて、老師は沙彌をして法空禪師を屈せしむ。法空至る。老師は沙彌を顧みて說いた、「咄、此の沙彌は事を了さず。法空禪師を屈せよと教えば、箇の守堂の家人を屈得て來れり。」法空は語無し。法昕院主は來り參す。老師は問うた、「お前は是れ誰。」對えた、「法昕。」老師は說いた、「我はお前を識らず。」法昕は語無し。老師は後に疾せず、宴坐して滅を示す。諡して悟空禪師と曰う。

盧山歸宗寺智常禪師

廬山歸宗寺智常禪師

上堂。從上古德。不是無知解。他高尚之士。不同常流。今時不能自成自立。虗度時光。諸子莫錯用心。無人替汝。亦無汝用心處。莫就他覔。從前祇是依他解。發言皆滯。光不透脫。祇為目前有物。僧問。如何是玄旨。師曰。無人能會。曰。曏者如何。師曰。有向即乖。曰。不向者如何。師曰。誰求玄旨。又曰。去。無汝用心處。曰。豈無方便門。令學人得入。師曰。觀音妙智力。能救世間苦。曰。如何是觀音妙智力。師敲鼎蓋三下。曰。子還聞否。曰。聞。師曰。我何不聞。僧無語。師以棒趂下。師嘗與南泉同行。後忽一日相別。煎茶次。南泉問曰。從來與師兄商量語句。彼此已知。此後或有人問。畢竟事作麼生。師曰。這一片地大好卓庵。泉曰。卓庵且置。畢竟事作麼生。師乃打飜茶銚。便起。泉曰。師兄吃茶了。普願未吃茶。師曰。作這箇語話。滴水也難銷。僧問。此事久遠。又如何用心。師曰。牛皮鞔露柱。露柱啾啾呌。凡耳聽不聞。諸聖呵呵笑。師因官人來。乃拈起帽子兩帶曰。還會麼。曰。不會。師曰。莫怪老僧頭風。不卸帽子。師入園取菜次。乃畫圓相。圍卻一株。語眾曰。輙不得動著這箇。眾不敢動。少頃。師復來。見菜猶在。便以棒趂眾僧曰。這一隊漢。無一箇有智慧底。師問。新到甚麼處來。曰。鳳翔來。師曰。還將得那箇來否。曰。將得來。師曰。在甚麼處。僧以手從頂擎捧呈之。師即舉手作接勢。拋向背後。僧無語。師曰。這野狐兒。師剗草次。有講僧來參。忽有一蛇過。師以鉏斷之。僧曰。久嚮歸宗。元來是箇麤行沙門。師曰。你麤。我麤。曰。如何是麤。師竪起鉏頭。曰。如何是細。師作斬蛇勢。曰。與麼。則依而行之。師曰。依而行之且置。你甚處見我斬蛇。僧無對。雲巖來參。師作挽弓勢。巖良久。作㧞劒勢。師曰。來太遲生。上堂。吾今欲說禪。諸子總近前。

堂に上りて、「上古德より、知解無きに非ず。他の高尚の士は、常流と同じからず。今時は能く自成自立せず、時光を虛度す。諸の子は心を用うるに錯る莫れ。人のお前に替る者無く、亦たお前の心を用うる處無し。他に就いて覓める莫れ。前より只だ他の解に依りて、言を發すれば皆滯る。光は透脱せず、只だ目前に物有るを爲す。」僧は問うた、「如何なるか是れ玄旨。」老師は說いた、「能く會する人無し。」問うた、「向する者は如何。」老師は說いた、「向有れば即ち乖く。」問うた、「向せざる者は如何。」老師は說いた、「誰か玄旨を求めん。」又た說いた、「去れ。お前の心を用うる處無し。」問うた、「豈に方便の門無からん、學人をして入るを得しめん。」老師は說いた、「觀音の妙智力、能く世間の苦を救う。」問うた、「如何なるか是れ觀音の妙智力。」老師は鼎の蓋を敲くこと三下して說いた、「子は還って聞くか。」說いた、「聞く。」老師は說いた、「我は何ぞ聞かざる。」僧は語無し。老師は棒を以て趁り下す。老師は嘗て南泉と同行せり、後に忽ち一日相別す。茶を煎ずる時、南泉は問うた、「從來師兄と語句を商量して、彼此已に知る。此の後或いは人の問う有らば、畢竟の事は作麼生。」老師は說いた、「此の一片の地は大いに庵を卓するに好し。」南泉は說いた、「庵を卓するは且く置く。畢竟の事は作麼生。」老師は便ち茶銚を打翻して、便ち起つ。南泉は說いた、「師兄は茶を喫して了れり、普願は未だ茶を喫せず。」老師は說いた、「此の個の語話を作す、滴水も亦た銷し難し。」僧は問うた、「此の事は久遠なり、又た如何にしてか心を用いん。」老師は說いた、「牛皮は露柱を鞔い、露柱は啾啾と叫ぶ。凡耳は聽きて聞かず、諸聖は呵呵と笑う。」老師は因って官人來るに、便ち帽子を拈起して兩帶を說いた、「還って會するか。」說いた、「會せず。」老師は說いた、「老僧の頭風を怪る莫れ、帽子を卸さず。」老師は園に入りて菜を取る時、便ち圓相を畫きて、一株を圍却して、衆に語って說いた、「輒ち此の個を動着するを得ず。」衆は敢えて動かず。少頃、老師は復た來りて、菜が猶ほ在るを見て、便ち棒を以て衆僧を趁りて說いた、「此の一隊の漢、一個の智慧有る底無し。」老師は問うた、「新に什麼の處より來る。」說いた、「鳳翔より來る。」老師は說いた、「還って那の個を將得て來たか。」說いた、「將得て來れり。」老師は說いた、「什麼の處に在る。」僧は手を以て頂より擎捧して之を呈す。老師は即ち手を擧げて接の勢を作し、背後に拋向す。僧は語無し。老師は說いた、「此の野狐兒。」老師が草を鏟る時、講僧有りて來り參す。忽ち一蛇有りて過ぐ。老師は鋤を以て之を斷つ。僧は說いた、「久しく歸宗に向かいて、原來是れ箇の粗行の沙門。」老師は說いた、「お前は粗、我は粗。」問うた、「如何なるか是れ粗。」老師は鋤頭を豎起す。問うた、「如何なるか是れ細。」老師は蛇を斬る勢を作す。說いた、「恁麼ならば、則ち依りて之を行ず。」老師は說いた、「依りて之を行ずるは且く置く。お前は甚の處に我が蛇を斬るを見た。」僧は對無し。雲巖は來り參す。老師は弓を挽く勢を作す。雲巖は久しくして、劍を拔く勢を作す。老師は說いた、「來ること太く遲し。」堂に上りて、「吾は今禪を說かんと欲す、諸の子は總て近く前へ。」

大眾近前。師曰。汝聽觀音行。善應諸方所。問。如何是觀音行。師乃彈指曰。諸人還聞否。曰。聞。師曰。一隊漢向這裡覔甚麼。以棒趂出。大笑歸方丈。僧辭。師問。甚麼處去。曰。諸方學五味禪去。師曰。諸方有五味禪。我這裡祇有一味禪。曰。如何是一味禪。師便打。僧曰。會也。會也。師曰。道。道。僧擬開口。師又打。僧後到黃檗。舉前話。檗上堂曰。馬大師出八十四人。善知識問著。箇箇屙漉漉地。祇有歸宗較些子。江州刺史李㴾問。教中所言。須彌納芥子。㴾即不疑。芥子納須彌。莫是妄譚否。師曰。人傳使君讀萬卷書籍。還是否。曰。然。師曰。摩頂至踵如椰子大。萬卷書向何處著。李俛首而已。李異日又問。一大藏教。明得箇甚麼邊事。師舉拳示之。曰。還會麼。曰。不會。師曰。這箇措大。拳頭也不識。曰。請師指示。師曰。遇人即途中授與。不遇即世諦流佈。師以目有重瞳。遂將藥手按摩。以致兩目俱赤。世號赤眼歸宗焉。後示滅。諡至真禪師。

大衆は近く前に来る。老師は說いた、「お前は觀音の行を聽け、善く諸方の所に應ず。」問うた、「如何なるか是れ觀音の行。」老師は便ち指を彈いて說いた、「諸人は還って聞くか。」說いた、「聞く。」老師は說いた、「一隊の漢は此の裏に向かいて什麼を覓める。」棒を以て趁り出し、大笑して方丈に歸る。僧は辭す。老師は問うた、「什麼の處に去る。」說いた、「諸方に五味の禪を學びに去る。」老師は說いた、「諸方は五味の禪有り、我が此の裏は只だ一味の禪有るのみ。」問うた、「如何なるか是れ一味の禪。」老師は便ち打つ。僧は說いた、「會せり、會せり。」老師は說いた、「道え、道え。」僧は口を開かんと擬す。老師は又た打つ。僧は後に黄檗に到りて、前話を擧す。黄檗は堂に上りて說いた、「馬大師は八十四人の善知識を出す、問い著くれば、個個は漉漉たり。只だ歸宗は些子を較ぶ。」江州の刺史李渤は問うた、「教中に言える所は、須彌は芥子を納れ、渤は即ち疑わず。芥子は須彌を納る、莫し是れ妄談か。」老師は說いた、「人は使君は萬卷の書籍を讀むと傳う、還って是れか。」說いた、「然。」老師は說いた、「頂を摩して踵に至るまで椰子の如く大なり、萬卷の書は何の處に向かいて著けん。」李は首を俯せるのみ。李は異日に又た問うた、「一大藏教は、箇の什麼の邊事を明らめん。」老師は拳を擧げて之を示して說いた、「還って會するか。」說いた、「會せず。」老師は說いた、「此の措大は、拳頭をも識らず。」說いた、「老師の指示を請う。」老師は說いた、「人に遇えば即ち途中に授與し、遇わざれば即ち世諦に流布す。」老師は因って目に重瞳有りて、遂に藥手を將りて按摩し、以て兩目は俱に赤し。世は號けて赤眼の歸宗と爲す。後に滅を示す。諡して至真禪師と曰う。

明州大梅山法常禪師者

明州大梅山法常禪師

襄陽人也。姓鄭氏。幼歲從師於荊州玉泉寺。初參大寂。問。如何是佛。寂曰。即心是佛。師即大悟。遂之四明梅子真舊隱縛茆燕處。唐真元中。鹽官會下有僧。因採拄杖。迷路至庵所。問。和尚在此多少時。師曰。祇見四山青又黃。又問。出山路向甚麼處去。師曰。隨流去。僧歸舉似鹽官。官曰。我在江西時曾見一僧。自後不知消息。莫是此僧否。遂令僧去招之。師答以偈曰。摧殘枯木倚寒林。幾度逢春不變心。樵客遇之猶不顧。郢人那得苦追尋。一池荷葉衣無盡。數樹松花食有餘。剛被世人知住處。又移茅舍入深居。大寂聞師住山。乃令僧問。和尚見馬大師得箇甚麼。便住此山。師曰。大師向我道。即心是佛。我便向這裡住。僧曰。大師近日佛法又別。師曰。作麼生。曰。又道。非心非佛。師曰。這老漢惑亂人。未有了日。任他非心非佛。我祇管即心即佛。其僧回舉似馬祖。祖曰。梅子熟也(僧問禾山。大梅恁麼道。意作麼生。禾山雲。真師子兒)。龐居士聞之。欲驗師實。特去相訪。才相見。士便問。久嚮大梅。未審梅子熟也未。師曰。熟也。你向甚麼處下口。士曰。百雜碎。師伸手曰。還我核子來。士無語。自此學者漸臻。師道彌著。上堂。汝等諸人。各自迴心達本。莫逐其末。但得其本。其末自至。若欲識本。唯了自心。此心元是一切世間.出世間法根本。故心生種種法生。心滅種種法滅。心且不附一切善惡而生。萬法本自如如。問。如何是佛法大意。師曰。蒲花柳絮。竹針麻線。夾山與定山同行。言話次。定山曰。生死中無佛。即無生死。夾山曰。生死中有佛。即不迷生死。互相不肯。同上山見師。夾山便舉問。未審二人見處那箇較親。師曰。一親一疎。夾山復問。那箇親。師曰。且去。明日來。夾山明日再上問。師曰。親者不問。問者不親(夾山住後自雲。當時失一隻眼)。新羅僧參。

是れ襄陽の人。姓は鄭。幼年に師に從って荊州の玉泉寺に在り。初め大寂に參して問うた、「如何なるか是れ佛。」大寂は說いた、「即心是佛。」老師は即ち大悟して、便ち四明の梅子真の舊隱に往きて、茆を縛りて燕處す。唐の貞元の中、鹽官の會下に僧有りて、拄杖を採るに因りて、路に迷いて庵の所に至りて問うた、「和尚は此に在りて多少の時。」老師は說いた、「只だ四山の青く又た黄なるを見る。」又た問うた、「山を出づる路は什麼の處に向かいて去る。」老師は說いた、「流れに隨いて去れ。」僧は歸りて鹽官に擧似す。鹽官は說いた、「我は江西の時、曾て一僧を見て、後より消息を知らず。莫し是れ此の僧か。」便ち僧をして之を招き去らしむ。老師は偈を以て答えた、「枯木を摧残して寒林に倚り、幾度か春に逢いても心を變えず。樵客は之に遇いても猶ほ顧みず、郢人は那りて苦く追尋を得ん。一池の荷葉は衣は盡きず、數樹の松花は食は餘有り。剛ち世人に住處を知られて、又た茅舍を移して深居に入る。」大寂は老師が山に住するを聞きて、便ち僧をして問い去らしめた、「和尚は馬大師を見て箇の什麼を得て、便ち此の山に住する。」老師は說いた、「大師は我に即心是佛と道えり、我は便ち此の裏に向かいて住す。」僧は說いた、「大師は近日佛法は又た別なり。」老師は說いた、「作麼生。」說いた、「又た非心非佛と道う。」老師は說いた、「此の老漢は人を惑亂して、未だ了の日有らず。彼の非心非佛に任せよ、我は只だ即心即佛を管す。」其の僧は回りて馬祖に擧似す。祖は說いた、「梅子は熟れり。」(僧は禾山に問うた、「大梅は恁麼に道う、意は作麼生。」禾山は說いた、「真の師子兒。」)龐居士は之を聞きて、老師の實を驗せんと欲して、特に往きて相訪う。纔かに相見すれば、居士は便ち問うた、「久しく大梅に向かいて、梅子が熟れしや未だしやを知らず。」老師は說いた、「熟れり。お前は什麼の處に向かいて口を下す。」居士は說いた、「百雜碎。」老師は手を伸して說いた、「我が核子を還し來れ。」居士は語無し。此より學者は漸く臻りて、老師の道は彌よく著わる。堂に上りて、「お前等の諸人、各自心を回りて本に達し、その末を逐う莫れ。但だ其の本を得れば、其の末は自ら至る。若し本を識らんと欲せば、唯だ自心を了え。此の心は元來一切の世間・出世間の法の根本なり。心の生ずれば種種の法は生じ、心の滅すれば種種の法は滅する所以なり。心は且く一切の善惡に附せずして生じ、萬法は本自に如如なり。」問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は說いた、「蒲花・柳絮、竹針・麻線。」夾山は定山と同行して、言話する時。定山は說いた、「生死の中は佛無きが、即ち生死無し。」夾山は說いた、「生死の中は佛有るが、即ち生死に迷わず。」互いに肯せず、同じく山に上りて老師を見る。夾山は便ち擧げて問うた、「二人の見處は那の個が較ぶべきを知らず。」老師は說いた、「一親一疎。」夾山は復た問うた、「那の個が親。」老師は說いた、「且く去れ。明日來れ。」夾山は明日に復た上りて問う。老師は說いた、「親なる者は問わず、問う者は親ならず。」(夾山は後に住して自ら說いた、「當時一隻の眼を失えり。」)新羅の僧參す。

師問。發足甚處。曰。欲通來處。恐遭怪責。師曰。不可無來處也。曰。新羅。師曰。爭怪得汝。僧作禮。師曰。是與不是。知與不知。祇是新羅國裡人。忽一日謂其徒曰。來莫可抑。往莫可追。從容間聞鼯鼠聲。乃曰。即此物。非他物。汝等諸人。善自護持。吾今逝矣。言訖示滅。永明壽禪師讚曰。師初得道。即心是佛。最後示徒。物非他物。窮萬法源。徹千聖骨。真化不移。何妨出沒。

老師は問うた、「足を發せし處は甚處。」說いた、「來處を通ぜんと欲すも、怪責に遭うを恐る。」老師は說いた、「來處無きは可ならず。」說いた、「新羅。」老師は說いた、「爭いでお前を怪るを得ん。」僧は禮を作す。老師は說いた、「是と不與、知與不知、只是れ新羅國の裏の人。」忽然一天其の徒に對して說いた、「來ること莫く抑へ可く、往くこと莫く追う可く。」從容の間に鼯鼠の聲を聞きて、便ち說いた、「即ち此の物、他物に非ず。お前等の諸人、善く自ら護持せよ。吾は今逝かん。」說き竟えて滅を示す。永明壽禪師は贊して說いた、「師は初め道を得ん、即心是佛。最後に徒に示して、物は他物に非ず。萬法の源を窮め、千聖の骨を徹す。真化は移らず、何の妨げか出沒にあらん。」

洛京佛光如滿禪師(曾住五臺山金閣寺)

洛京佛光如滿禪師(曾住五臺山金閣寺)

唐順宗問。佛從何方來。滅向何方去。既言常住世。佛今在何處。師答曰。佛從無為來。滅向無為去。法身等虗空。常住無心處。有念歸無念。有住歸無住。來為眾生來。去為眾生去。清淨真如海。湛然體常住。智者善思惟。更勿生疑慮。帝又問。佛向王宮生。滅向雙林滅。住世四十九。又言無法說。山河與大海。天地及日月。時至皆歸盡。誰言不生滅。疑情猶若斯。智者善分別。師答曰。佛體本無為。迷情妄分別。法身等虗空。未曾有生滅。有緣佛出世。無緣佛入滅。處處化眾生。猶如水中月。非常亦非斷。非生亦非滅。生亦未曾生。滅亦未曾滅。了見無心處。自然無法說。帝聞大悅。益重禪宗。

唐の順宗は問うた、「佛は何の方より來りて、滅して何の方に向かいて去る。既に常住世と言えば、佛は今何の處に在る。」老師は答えた、「佛は無爲より來りて、滅して無爲に向かいて去る。法身は虛空に等しく、常住して心無き處。念有るは念無きに歸し、住有るは住無きに歸す。來るは衆生の爲に來り、去るは衆生の爲に去る。清淨の真如の海は、湛然として體は常住なり。智の者は善く思惟し、更に疑慮を生ずる勿れ。」帝は又た問うた、「佛は王宮に向かいて生じ、雙林に向かいて滅す。世に住する四十九年、又た法の說く無きと言う。山河と大海、天地及び日月。時至れば皆盡き歸す、誰か生滅無しと言わん。疑情は猶ほ斯くの若し、智の者は善く分別せよ。」老師は答えた、「佛體は本來無爲、迷情は妄りに分別す。法身は虛空に等しく、未曾て生滅有らず。緣有れば佛は世に出で、緣無ければ佛は滅に入る。處處に衆生を化す、猶ほ水中の月の如し。非常なり亦た斷に非ず、非生なり亦た滅に非ず。生も亦た未曾て生じず、滅も亦た未曾て滅せず。見えり了く心無き處、自然に法を說く無し。」帝は聞きて大いに悅び、益々禪宗を重んず。

婺州五洩山靈默禪師

婺州五泄山靈默禪師

毗陵人也。姓宣氏。初謁馬祖。遂得披剃受具。後遠謁石頭。便問。一言相契即住。不契即去。石頭據坐。師便行。頭隨後召曰。闍黎。師回首。頭曰。從生至死。祇是這箇。回頭轉腦作麼。師言下大悟。乃拗折拄杖而棲止焉(洞山雲。當時若不是五洩先師。大難承當。然雖如此。猶涉在途。長慶雲。險。玄覺雲。那箇是涉在途處。有僧雲。為伊三寸途中薦得。所以在途。玄覺雲。為復薦得自己。為復薦得三寸。若是自己。為甚麼成三寸。若是三寸。為甚麼悟去。且道洞山意作麼生。莫亂說。子細好)。

是れ毘陵の人。姓は宣。初め馬祖に謁して、遂に披剃して具を受くを得る。後に遠く石頭に謁して、便ち問うた、「一言相契せば即ち住し、契せざれば即ち去る。」石頭は坐に據る。老師は便ち行く。石頭は隨後して召した、「闍黎。」老師は首を回す。石頭は說いた、「生より死に至るまで、只是れ此の個。頭を回し腦を轉じて作麼。」老師は言下に大悟して、便ち拄杖を拗折して而るも栖止して焉とす。(洞山は說いた、「當時是れ五泄の先師ならざれば、大いに承當し難し。然りと雖も如此なり、猶ほ途に在るを渉る。」長慶は說いた、「險。」玄覺は說いた、「那の個が是れ途に在る處を渉る。」僧有りて說いた、「伊の三寸を爲りて途中に薦得す、所以は途に在る。」玄覺は說いた、「爲に復た自己を薦得するか、爲に復た三寸を薦得するか。若し是れ自己ならば、什麼の爲に三寸を成ずる。若し是れ三寸ならば、什麼の爲に悟り去る。且く道え洞山の意は作麼生。亂に說く莫れ、仔細に好し。」)

唐貞元初。住白沙道場。復居五洩。僧問。何物大於天地。師曰。無人識得伊。曰。還可雕琢也無。師曰。汝試下手看。問。此箇門中。始終事如何。師曰。汝道目前底成來得多少時也。曰。學人不會。師曰。我此間無汝問底。曰。和尚豈無接人處。師曰。待汝求接我即接。曰。便請和尚接。師曰。汝少欠箇甚麼。問。如何得無心去。師曰。傾山覆海晏然靜。地動安眠豈採伊。元和十三年三月二十三日。沐浴焚香端坐。告眾曰。法身圓寂。示有去來。千聖同源。萬靈歸一。吾今漚散。胡假興哀。無自勞神。須存正念。若遵此命。真報吾恩。儻固違言。非吾之子。時有僧問。和尚向甚麼處去。師曰。無處去。曰。某甲何不見。師曰。非眼所覩(洞山雲。作家)。言畢。奄然順化。

唐の貞元の初、白沙の道場に住し、復た五泄に居す。僧は問うた、「何の物か天地より大なり。」老師は說いた、「人の伊を識得する無し。」問うた、「還って雕琢する可きや無きや。」老師は說いた、「お前は試みに手を下して看よ。」問うた、「此の個の門の中、始終の事は如何。」老師は說いた、「お前は道え目前の底の成り來れる多少の時か。」說いた、「學人は會せず。」老師は說いた、「我が此の間はお前の問う底無し。」問うた、「和尚は豈に人を接する處無からん。」老師は說いた、「お前が我に接を求むるを待ちて即ち接せん。」說いた、「便ち和尚に接を請う。」老師は說いた、「お前は箇の什麼を少欠す。」問うた、「如何にしてか心無くして去るを得ん。」老師は說いた、「山を傾け海を覆して晏然として靜かり、地は動いて安眠して豈に伊を採らんや。」元和の十三年三月二十三日、沐浴して香を焚きて端坐して、衆に告げて說いた、「法身は圓寂にして、去來有るを示す。千聖は同源にして、萬靈は一に歸す。吾は今漚散す、胡ぞ哀を興すを假らん。自ら神を勞する無く、須らく正念を存すべし。若し此の命に遵わば、真に吾の恩を報ず。倘し固く言に違わば、吾の子に非ず。」時に僧問うた、「和尚は什麼の處に向かいて去らん。」老師は說いた、「去る處無し。」問うた、「某甲は何ぞ見ざる。」老師は說いた、「眼の睹る所に非ず。」(洞山は說いた、「作家。」)言を畢りて、奄然として化に順う。

幽州盤山寶積禪師

幽州盤山寶積禪師

因於市肆行。見一客人買豬肉。語屠家曰。精底割一斤來。屠家放下刀。叉手曰。長史。那箇不是精底。師於此有省。又一日出門。見人舁喪。謌郎振鈴雲。紅輪決定沉西去。未委魂靈往那方。幕下孝子哭曰。哀哀。師忽身心踴躍。歸舉似馬祖。祖印可之。住後。僧問。如何是道。師便咄。僧曰。學人未領旨。師曰。去。上堂。心若無事。萬法不生。意絕玄機。纖塵何立。道本無體。因體而立名。道本無名。因名而得號。若言即心即佛。今時未入玄微。若言非心非佛。猶是指蹤極則。向上一路。千聖不傳。學者勞形。如猿捉影。上堂。夫大道無中。復誰先後。長空絕際。何用稱量。空既如斯。道復何說。上堂。夫心月孤圓。光吞萬象。光非照境。境亦非存。光境俱亡。復是何物。禪德譬如擲劒揮空。莫論及之不及。斯乃空輪無跡。劒刃無虧。若能如是。心心無知。全心即佛。全佛即人。人佛無異。始為道矣。上堂。禪德。可中學道。似地擎山。不知山之孤峻。如石含玉。不知玉之無瑕。若如此者。是名出家。故導師雲。法本不相礙。三際亦復然。無為無事人。猶是金鎻難。所以靈源獨耀。道絕無生。大智非明。真空無跡。真如凡聖。皆是夢言。佛及涅槃。並為增語。禪德直須自看。無人替代。上堂。三界無法。何處求心。四大本空。佛依何住。璿璣不動。寂爾無言。覿面相呈。更無餘事。珍重。師將順世。告眾曰。有人邈得吾真否。眾將所寫真呈。皆不契師意。普化出曰。某甲邈得。師曰。何不呈似老僧。化乃打筋斗而出。師曰。這漢向後掣風狂去在。師乃奄化。諡凝寂大師。

老師は市肆の間を行走して、一客の豚肉を買うを見て、屠家に對して說いた、「精のを一斤割きて來れ。」屠家は刀を放下して、手を叉して說いた、「長史、那の個か精のに非ざる。」老師は此に於いて省有り。又た一天門を出でて、人が喪を擡ぐを見て、歌郎は鈴を振りて說いた、「紅輪は決定して西に沈み去り、未だ委かに魂靈の那の方に往くを知らず。」幕下の孝子は哭して說いた、「哀哀。」老師は忽然として身心は踊躍し、歸りて馬祖に擧似す。祖は之を印可す。住後、僧は問うた、「如何なるか是れ道。」老師は便ち喝す。僧は說いた、「學人は未だ旨を領せず。」老師は說いた、「去れ。」堂に上りて、「心は若し事無ければ、萬法は生ぜず。意は玄機を絕りて、纖塵何ぞ立たん。道は本來體無く、體に因りて名を立つ。道は本來名無く、名に因りて號を得る。若し即心即佛と言わば、今時は未だ玄微に入らず。若し非心非佛と言わば、猶ほ是れ蹤の極則を指す。向上の一路は、千聖も傳えず。學者は形を勞す、猿の影を捉うが如し。」堂に上りて、「大道は中無く、復た誰か先後せん。長空は際を絕りて、何ぞ稱量を用いん。空は既に如此、道は復た何をか說かん。」堂に上りて、「心の月は孤圓にして、光は萬象を吞む。光は境を照るに非ず、境も亦た存るに非ず。光と境は俱に亡びて、復た是れ何の物ぞ。禪德は譬えば劍を擲ちて空を揮うが如く、之に及ぶ及ばずを論ずる莫れ。此れ乃ち空輪は跡無く、劍刃は虧け無きなり。能く如此なれば、心心は知ること無し。全心は即ち佛、全佛は即ち人。人と佛は異無く、始めて道と爲る。」堂に上りて、「禪德。可く中に道を學ぶ、地の山を擎ぐが如くして、山の孤峻なるを知らず。石の玉を含むが如くして、玉の瑕無きを知らず。若し如此の者は、是れ出家と名づく。故に導師は說く、『法は本來相礙えず、三際も亦た復た然り。無爲無事の人は、猶ほ是れ金金鎖の難。』靈源は獨り耀く所以、道は生を絕りて無し。大智は明に非ず、真空は跡無し。真如・凡聖は、皆な是れ夢言。佛及び涅槃は、竝びに爲る增語。禪德は直に須らく自ら看るべし、人の替代は無し。」堂に上りて、「三界は法無く、何の處に心を求めん。四大は本來空にして、佛は何に依りて住せん。璿璣は動かず、寂爾として言無し。觌面に相呈し、更に餘事無し。珍重。」老師は將に世に順わんとし、衆に告げて說いた、「人の吾が真を描くを得るや否や。」衆は寫せし真を將りて呈上するも、皆な老師の意に契せず。普化は出でて說いた、「某甲は描き得る。」老師は說いた、「何ぞ老僧に呈似せざる。」普化は乃ち筋斗を打ちて出づ。老師は說いた、「此の漢は向後風を掣くこと狂き去りて在る。」老師は乃ち奄化す。諡して凝寂大師と曰う。

蒲州麻谷山寶徹禪師

蒲州麻谷山寶徹禪師

侍馬祖行次。問。如何是大涅槃。祖曰。急。師曰。急箇甚麼。祖曰。看水。師使扇次。僧問。風性常住。無處不周。和尚為甚麼卻搖扇。師曰。你祇知風性常住。且不知無處不周。曰。作麼生是無處不周底道理。師卻搖扇。僧作禮。師曰。無用處師僧。著得一千箇。有甚麼益。問僧。甚處來。僧不審。師又問。甚處來。僧珍重。師下床擒住曰。這箇師僧。問著便作佛法祇對。曰。大似無眼師。放手曰。放汝命。通汝氣。僧作禮。師欲扭住。僧拂袖便行。師曰。休將三歲竹。擬比萬年松。師同南泉二三人去謁徑山。路逢一婆。乃問。徑山路向甚處去。婆曰。驀直去。師曰。前頭水深過得否。婆曰。不濕腳。師又問。上岸稻得與麼好。下岸稻得與麼怯。婆曰。總被螃蠏吃卻也。師曰。禾好香。婆曰。沒氣息。師又問。婆住在甚處。婆曰。祇在這裡。三人至店。婆煎茶一瓶。攜盞三隻至。謂曰。和尚有神通者即吃茶。三人相顧間。婆曰。看老朽自逞神通去也。於是拈盞傾茶便行。僧問。如何是佛法大意。師默然。僧又問石霜。此意如何。霜曰。主人擎拳帶累。闍黎拖泥涉水。

馬祖に隨いて行の次、問うた、「如何なるか是れ大涅槃。」祖は說いた、「急。」老師は說いた、「急ぐ箇の什麼。」祖は說いた、「水を看よ。」老師が扇を使う次、僧は問うた、「風性は常住にして、處に周らざる無し。和尚は什麼の爲に却って扇を搖る。」老師は說いた、「お前は只だ風性の常住なるを知りて、且く處に周らざる無きを知らず。」說いた、「作麼生に是れ處に周らざる無き底の道理。」老師は却って扇を搖る。僧は禮を作す。老師は說いた、「用處無き師僧は、一千個を著くとも、什麼の益有る。」僧に問うた、「甚の處より來る。」僧は不審。老師は又た問うた、「甚の處より來る。」僧は珍重。老師は牀を下りて擒住して說いた、「此の個の師僧は、問い著きて便ち佛法に對し只だ。」說いた、「大いに眼無き師に似たり。」手を放して說いた、「お前の命を放ち、お前の氣を通ず。」僧は禮を作す。老師は扭らんと欲して住す、僧は袖を拂いて便ち行く。老師は說いた、「三歲の竹を將りて、萬年の松に比すること擬する休め。」老師は南泉と二三の人と同じく徑山に謁し去りて、路に一婆に逢いて、乃ち問うた、「徑山の路は甚の處に向かいて去る。」婆は說いた、「驀直に去れ。」老師は說いた、「前頭の水深は過るを得るか。」婆は說いた、「脚は濕れず。」老師は又た問うた、「上岸の稻は得る與麼好く、下岸の稻は得る與麼怯なる。」婆は說いた、「總て螃蟹に喫却さる。」老師は說いた、「禾は好く香し。」婆は說いた、「氣息無し。」老師は又た問うた、「婆は甚の處に住む。」婆は說いた、「只だ此の裏に在る。」三人は店に至りて、婆は茶一瓶を煎じて、盞三隻を攜えて至りて、謂って說いた、「和尚の神通有る者は即ち茶を喫せ。」三人は相顧みる間、婆は說いた、「看よ老朽は自ら神通を逞しくして去る。」是に於いて盞を拈りて茶を傾して便ち行く。僧は問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は默然。僧は又た石霜に問うた、「此の意は如何。」霜は說いた、「主人は拳を擎げて帶累し、闍黎は泥を拖して水を渉る。」

湖南東寺如會禪師

湖南東寺如會禪師

始興曲江人也。初謁徑山。後參大寂。學徒既眾。僧堂床榻為之陷折。時稱折床會也。自大寂去世。師常患門徒以即心即佛之譚誦憶不已。且謂。佛於何住。而曰即心。心如畫師。而云即佛。遂示眾曰。心不是佛。智不是道。劒去遠矣。爾方刻舟。時號東寺為禪窟焉。相國崔公群出為湖南觀察使。見師問曰。師以何得。師曰。見性得。師方病眼。公譏曰。既雲見性。其柰眼何。師曰。見性非眼。眼病何害。公稽首謝之(法眼別雲。是相公眼)。公見鳥雀於佛頭上放糞。乃問。鳥雀還有佛性也無。師曰。有。公曰。為甚麼向佛頭上放糞。師曰。是伊為甚麼不向鷂子頭上放。仰山參。師問。汝是甚處人。仰曰。廣南人。師曰。我聞廣南有鎮海明珠。是否。仰曰。是。師曰。此珠如何。仰曰。黑月即隱。白月即現。師曰。還將得來也無。仰曰。將得來。師曰。何不呈似老僧。仰叉手近前曰。昨到溈山。亦被索此珠。直得無言可對。無理可伸。師曰。真師子兒。善能哮吼。仰禮拜了。卻入客位。具威儀。再上人事。師才見。乃曰。已相見了也。仰曰。恁麼相見。莫不當否。師歸方丈。閉卻門。仰歸。舉似溈山。溈曰。寂子是甚麼心行。仰曰。若不恁麼。爭識得他。後復有人問師曰。某甲擬請和尚開堂得否。師曰。待將物裹石頭煖即得。彼無語(藥山代雲。石頭煖也)。唐長慶癸卯歲歸寂。諡傳明大師。

是れ始興曲江の人。初め徑山に謁し、後に大寂に參す。學徒は既に衆くして、僧堂の牀榻は之が爲に陷折し、時に折床の會と稱す。大寂の去世より、老師は常に門徒が即心即佛の談を誦憶して已まざるを患え、且つ說いた、「佛は何に住せんや、而るに即心と曰う。心は畫師の如くして、而るに即佛と云う。」遂に衆に示して說いた、「心は佛に非ず、智は道に非ず。劍は去りて遠し、お前は方に舟を刻す。」時は東寺を號けて禪窟と爲す。相國の崔公群は出でて湖南觀察使と爲りて、老師を見て問いて說いた、「師は何を以て得る。」老師は說いた、「性を見るを以て得る。」老師は方に眼を病む、公は譏りて說いた、「既に性を見ると云えば、その眼を奈何せん。」老師は說いた、「性を見るは眼に非ず、眼の病み何の害せん。」公は稽首して之を謝す。(法眼は別に說いた、「是れ相公の眼。」)公は鳥雀が佛頭の上に糞を放つを見て、乃ち問うた、「鳥雀は還って佛性有るや無きや。」老師は說いた、「有。」公は說いた、「什麼の爲に佛頭の上に向かいて糞を放つ。」老師は說いた、「是れ伊は什麼の爲に鹞子の頭の上に向かいて放たざる。」仰山は來り參す。老師は問うた、「お前は甚の處の人。」仰は說いた、「廣南の人。」老師は說いた、「我は聞く廣南に鎮海の明珠有り、是れ否。」仰は說いた、「是。」老師は說いた、「此の珠は如何。」仰は說いた、「黑月は即ち隱れ、白月は即ち現わる。」老師は說いた、「還って將得て來るや無きや。」仰は說いた、「將得て來れり。」老師は說いた、「何ぞ老僧に呈似せざる。」仰は手を叉して近く前へ說いた、「昨は沩山に到りて、亦た此の珠を索められ、直に言無く對すべからず、理無く伸ぶべからず。」老師は說いた、「真の師子兒、善く哮吼能う。」仰は禮拜して了りて、却って客位に入りて、威儀を具えて、再び上りて人事す。老師は纔かに見て、乃ち說いた、「已に相見了れり。」仰は說いた、「恁麼相見、莫し當らざるか。」老師は方丈に歸りて、門を閉却す。仰は歸りて、沩山に擧似す。沩は說いた、「寂子は什麼の心行ぞ。」仰は說いた、「若し恁麼ならずば、爭いで他を識得せん。」後に復た人の老師に問いて說く有りて、「某甲は擬して和尚の堂を開くを請え得るか。」老師は說いた、「物を將りて石頭を裹みて暖めれば即ち得。」彼は語無し。(藥山は代わって說いた、「石頭は暖まり。」)唐の長慶の癸卯の歲に寂に歸す。諡して傳明大師と曰う。

䖍州西堂智藏禪師

虔州西堂智藏禪師

䖍化廖氏子。八歲從師。二十五具戒。有相者覩其殊表。謂之曰。骨氣非凡。當為法王之輔佐也。師遂參禮大寂。與百丈海禪師同為入室。皆承印記。一日。大寂遣師詣長安。奉書於忠國師。國師問曰。汝師說甚麼法。師從東過西而立。國師曰。祇這箇更別有。師卻從西過東邊立。國師曰。這箇是馬師底。仁者作麼生。師曰。早箇呈似和尚了也。尋又送書上徑山(語在國一章)。屬連帥路嗣恭延請大寂居府。應期盛化。師回郡。得大寂付授衲袈裟。令學者親近。僧問馬祖。離四句.絕百非。請師直指西來意。祖曰。我今日勞倦。不能為汝說得。問取智藏。其僧乃來問師。師曰。汝何不問和尚。僧曰。和尚令某甲來問上座。師曰。我今日頭痛。不能為汝說得。問取海兄去。僧又去問海百丈和尚。海曰。我到這裡卻不會。僧乃舉似馬祖。祖曰。藏頭白。海頭黑。馬祖一日問師曰。子何不看經。師曰。經豈異邪。祖曰。然雖如此。汝向後為人也須得。曰。智藏病思自養。敢言為人。祖曰。子末年必興於世。師便禮拜。馬祖滅後。師唐貞元七年。眾請開堂。李尚書嘗問僧。馬大師有甚麼言教。僧曰。大師或說即心即佛。或說非心非佛。李曰。總過這邊。李卻問師。馬大師有甚麼言教。師呼李翱。李應諾。師曰。鼓角動也。師普請次。曰。因果歷然。爭柰何。爭柰何。時有僧出。以手托地。師曰。作甚麼。曰。相救。相救。師曰。大眾。這箇師僧猶較些子。僧拂袖便走。師曰。師子身中蟲。自食師子肉。僧問。有問有答。賓主歷然。無問無答時如何。師曰。怕爛卻那(後有僧舉問長慶。慶雲。相逢盡道休官去。林下何曾見一人)。制空禪師謂師曰。日出太早生。師曰。正是時。師住西堂。後有一俗士問。有天堂地獄否。師曰。有。曰。有佛法僧寶否。師曰。有。更有多問。盡答言有。曰。和尚恁麼道莫錯否。師曰。

虔化の廖氏の子。八歲にして師に從い、二十五にして戒を具す。相者有りて其の殊表を睹て、他に對して說いた、「骨氣は非凡にして、當に法王の輔佐と爲るべし。」老師は遂に大寂に參禮して、百丈海禪師と同じく入室と爲りて、皆な印記を承く。一天、大寂は老師を遣わして長安に詣でて、忠國師に書を奉らしむ。國師は問いて說いた、「お前の師は什麼の法を說く。」老師は東より西を過ぎて立つ。國師は說いた、「只だ此の個、更に別に有るか。」老師は却って西より東邊を過ぎて立つ。國師は說いた、「此の個は是れ馬師の底。仁者は作麼生。」老師は說いた、「早く箇のは和尚に呈似了れり。」尋いで又た書を徑山に送る(語は國の一章に在り)。連帥の路嗣恭は屬して大寂を延請して府に居らしめ、應期に化を盛んにす。老師は郡に回りて、大寂の付授する衲袈裟を得て、學者をして親近せしむ。僧は馬祖に問うた、「四句を離れ、百非を絕りて、師に請う西來の意を直指せよ。」祖は說いた、「我は今日勞倦して、能くお前の爲に說得せず。智藏を問取せよ。」其の僧は乃ち來りて老師に問う。老師は說いた、「お前は何ぞ和尚に問わざる。」僧は說いた、「和尚は某甲をして來りて上座に問わしめた。」老師は說いた、「我は今日頭痛して、能くお前の爲に說得せず。海兄を問取して去れ。」僧は又た去りて海百丈和尚に問う。海は說いた、「我は此の裏に到りて却って會せず。」僧は乃ち馬祖に擧似す。祖は說いた、「藏は頭白く、海は頭黑し。」馬祖は一天老師に問いて說いた、「子は何ぞ經を看ざる。」老師は說いた、「經は豈に異なるや。」祖は說いた、「然りと雖も如此なり、お前は向后に人に爲る也須らく得べし。」說いた、「智藏は病思して自ら養い、敢えて人に爲ると言う。」祖は說いた、「子は末年に必ず世に興らん。」老師は便ち禮拜す。馬祖の滅後、老師は唐の貞元七年、衆は堂を開くを請う。李尚書は嘗て僧に問うた、「馬大師は什麼の言教有る。」僧は說いた、「大師は或いは即心即佛と說き、或いは非心非佛と說く。」李は說いた、「總て此の邊を過ぐ。」李は却って老師に問うた、「馬大師は什麼の言教有る。」老師は李翱を呼ぶ。李は應諾す。老師は說いた、「鼓角は動けり。」老師は普請の次、說いた、「因果は歷然にして、爭い奈何せん、爭い奈何せん。」時に僧出でて、手を以て地に托す。老師は說いた、「什麼を作す。」說いた、「相救、相救。」老師は說いた、「大衆、此の個の師僧は猶ほ些子を較ぶ。」僧は袖を拂いて便ち走る。老師は說いた、「師子の身の中の蟲は、自ら師子の肉を食う。」僧は問うた、「問有り答有りて、賓主は歷然。問無く答無き時は如何。」老師は說いた、「那を爛却するを怕る。」(後に僧擧げて長慶に問う。慶は說いた、「相逢うて盡く休官して去ると道う、林下は何ぞ曾て一人を見ん。」)制空禪師は老師に對して說いた、「日は出づること太く早し。」老師は說いた、「正に是れ時。」老師は西堂に住す。後に一俗士有りて問うた、「天堂地獄有るか。」老師は說いた、「有。」說いた、「佛法僧寶有るか。」老師は說いた、「有。」更に問う多く、盡く有と答う。說いた、「和尚は恁麼に道う莫し錯るか。」老師は說いた、

汝曾見尊宿來邪。曰。某甲曾參徑山和尚來。師曰。徑山向汝作麼生道。曰。他道一切總無。師曰。汝有妻否。曰。有。師曰。徑山和尚有妻否。曰。無。師曰。徑山和尚道無即得。俗士禮謝而去。師元和九年四月八日歸寂。憲宗諡大宣教禪師。穆宗重諡大覺禪師。

(老師は接いて說いた:)「お前は曾て尊宿を見來れるや。」說いた、「某甲は曾て徑山和尚に參じ來れり。」老師は說いた、「徑山はお前に向かいて作麼生に道えし。」說いた、「他は道う一切は總て無し。」老師は說いた、「お前は妻有るか。」說いた、「有。」老師は說いた、「徑山和尚は妻有るか。」說いた、「無。」老師は說いた、「徑山和尚は無と道えば即ち得。」俗士は禮謝して去る。老師は元和九年四月八日に寂に歸す。憲宗は諡して大宣教禪師と曰う。穆宗は重ねて諡して大覺禪師と曰う。

京兆府章敬寺懷暉禪師

京兆府章敬寺懷暉禪師

泉州謝氏子。上堂。至理亡言。時人不悉。強習他事。以為功能。不知自性元非塵境。是箇微妙大解脫門。所有鑒覺。不染不礙。如是光明。未曾休廢。曩劫至今。固無變易。猶如日輪。遠近斯照。雖及眾色。不與一切和合。靈燭妙明。非假鍛鍊。為不了故。取於物象。但如揑目。妄起空華。徒自疲勞。枉經劫數。若能返照。無第二人。舉措施為。不虧實相。僧問。心法雙亡。指歸何所。師曰。郢人無汙。徒勞運斤。曰。請師不返之言。師曰。即無返句(後僧舉問洞山。山雲。道即甚道。罕遇作家)。百丈和尚令僧來候。師上堂次。展坐具。禮拜了。起來拈師一隻靸鞋。以衫袖拂卻塵了。倒覆向下。師曰。老僧罪過。或問。祖師傳心地法門。為是真如心。妄想心。非真非妄心。為是三乘教外別立心。師曰。汝見目前虛空麼。曰。信知常在目前。人自不見。師曰。汝莫認影像。曰。和尚作麼生。師以手撥空三下。曰。作麼生即是。師曰。汝向後會去在。有僧來。遶師三匝。振錫而立。師曰。是。是(長慶代雲。和尚佛法身心何在)。其僧又到南泉。亦遶南泉三匝。振錫而立。泉曰。不是。不是。此是風力所轉。終成敗壞。僧曰。章敬道是。和尚為甚麼道不是。泉曰。章敬即是。是汝不是(長慶代雲。和尚是甚麼心行。雲居錫雲。章敬未必道是。南泉未必道不是。又云。這僧當初但持錫出去。恰好)。小師行腳回。師問曰。汝離此間多少年邪。曰。離和尚左右將及八年。師曰。辦得箇甚麼。小師於地畫一圓相。師曰。祇這箇。更別有。小師乃畫破圓相。便禮拜。師曰。不是。不是。僧問。四大五蘊身中。阿那箇是本來佛性。師乃呼僧名。僧應諾。師良久曰。汝無佛性。唐元和十三年示滅。諡大覺禪師。

泉州の謝氏の子。堂に上りて、「至理は言を亡くして、時人は悉くせず。强いて他事を習いて、以て功能と爲す。自性が元來塵境に非ざるを知らず、是れ箇の微妙大解脱の門。所有の鑑覺は、染めず礙えず。如是の光明は、未曾て廢を休めず。曩劫より今に至るまで、固より變易無し。猶ほ日輪の如く、遠近斯く照る。衆色に及ぶと雖も、一切と和合せず。靈燭妙明は、鍛煉を假らず。了せざるが故に、物象に取す。但だ目を捏くるが如く、妄りに空華を起す。徒らに自ら疲勞し、枉げて劫數を經る。若し能く照を返せば、第二の人無し。舉措の施爲は、實相を虧かず。」僧は問うた、「心法は雙亡して、指歸は何の所。」老師は說いた、「郢人は污れ無く、徒らに斤を運らす。」說いた、「師の返さざるの言を請う。」老師は說いた、「即ち返句無し。」(後に僧擧げて洞山に問う。山は說いた、「道えば即ち甚く道うも、罕く作家に遇う。」)百丈和尚は僧をして候に來らしむ。老師が堂に上る次、坐具を展めて、禮拜して了りて、起きて老師の一隻の靸鞋を拈りて、衫の袖を以て塵を拂却して了りて、倒して下に覆す。老師は說いた、「老僧の罪過。」或いは問うた、「祖師は心地の法門を傳え、爲れ是真如心・妄想心・非真非妄心、爲れ是三乘教外に別に心を立つ。」老師は說いた、「お前は目前の虛空を見るか。」說いた、「信に常に目前に在るを知るも、人は自ら見ず。」老師は說いた、「お前は影像を認める莫れ。」說いた、「和尚は作麼生。」老師は手を以て空を撥くこと三下。說いた、「作麼生に則ち是れ。」老師は說いた、「お前は向后に會し去りて在らん。」僧有りて來りて、老師を繞ること三匝し、錫を振りて立つ。老師は說いた、「是、是。」(長慶は代わって說いた、「和尚の佛法身心は何處に在る。」)其の僧は又た南泉に到りて、亦た南泉を繞ること三匝し、錫を振りて立つ。泉は說いた、「不是、不是。此れ是れ風力の轉する所、終に成敗壞す。」僧は說いた、「章敬は是と道う、和尚は什麼の爲に不是と道う。」泉は說いた、「章敬は即ち是、是れお前が不是。」(長慶は代わって說いた、「和尚は什麼の心行ぞ。」雲居錫は說いた、「章敬は未だ必ずしも是と道わず、南泉は未だ必ずしも不是と道わず。」又た說いた、「此の僧は當初但だ錫を持して出去せば、恰好なり。」)小師は行脚して回る。老師は問いて說いた、「お前は此の間を離れて多少年ぞ。」說いた、「和尚の左右を離れて將に八年に及ばん。」老師は說いた、「箇の什麼を辦得した。」小師は地に一圓相を畫く。老師は說いた、「只だ此の個、更に別に有るか。」小師は乃ち圓相を畫破して、便ち禮拜す。老師は說いた、「不是、不是。」僧は問うた、「四大五蘊の身の中、阿の個か是れ本來の佛性。」老師は乃ち僧名を呼ぶ。僧は應諾す。老師は良久して說いた、「お前は佛性無し。」唐の元和十三年に滅を示す。諡して大覺禪師と曰う。

越州大珠慧海禪師

越州大珠慧海禪師

建州朱氏子。依越州大雲寺智和尚受業。初參馬祖。祖問。從何處來。曰。越州大雲寺來。祖曰。來此擬須何事。曰。來求佛法。祖曰。我這裡一物也無。求甚麼佛法。自家寶藏不顧。拋家散走作麼。曰。阿那箇是慧海寶藏。祖曰。即今問我者。是汝寶藏。一切具足。更無欠少。使用自在。何假外求。師於言下。自識本心。不由知覺。踴躍禮謝。師事六載後。以受業師老。遽歸奉養。乃晦跡藏用。外示痴訥。自撰頓悟入道要門論一卷。法姪玄晏竊出江外。呈馬祖。祖覽訖。告眾曰。越州有大珠。圓明光透自在。無遮障處也。眾中有知師姓朱者。相推來越尋訪依附(時號大珠和尚)。師謂曰。禪客。我不會禪。並無一法可示於人。不勞久立。且自歇去。時學侶漸多。日夜叩激。事不得已。隨問隨答。其辭無礙。時有法師數人來謁。曰。擬伸一問。師還對否。師曰。深潭月影。任意撮摩。問。如何是佛。師曰。清譚對面。非佛而誰。眾皆茫然(法眼雲。是即沒交涉)。僧良久。又問。師說何法度人。師曰。貧道未曾有一法度人。曰。禪師家渾如此。師卻問。大德說何法度人。曰。講金剛經。師曰。講幾座來。曰。二十餘座。師曰。此經是阿誰說。僧抗聲曰。禪師相弄。豈不知是佛說邪。師曰。若言如來有所說法。則為謗佛。是人不解我所說義。若言此經不是佛說。則是謗經。請大德說看。僧無對。師少頃。又問。經云。若以色見我。以音聲求我。是人行邪道。不能見如來。大德且道。阿那箇是如來。曰。某甲到此卻迷去。師曰。從來未悟。說甚卻迷。曰。請禪師為說。師曰。大德講經二十餘座。卻不識如來。僧禮拜曰。願垂開示。師曰。如來者。是諸法如義。何得忘卻。曰。是諸法如義。師曰。大德。是亦未是。曰。經文分明。那得未是。師曰。大德如否。曰。如。師曰。木石如否。曰。如。師曰。

建州の朱氏の子。越州大雲寺の智和尚に依りて業を受く。初め馬祖に參す。祖は問うた、「何の處より來る。」說いた、「越州大雲寺より來る。」祖は說いた、「此に來りて擬して須らく何の事ぞ。」說いた、「佛法を求めに來る。」祖は說いた、「我が此の裏は一物も無し、什麼の佛法を求める。自家の寶藏を顧みず、家を拋きて散走して作麼。」說いた、「阿の個か是れ慧海の寶藏。」祖は說いた、「即ち今我に問う者は、是れお前の寶藏。一切は具足して、更に欠少無く、使用は自在、何ぞ外求を假らん。」老師は言下に於いて、自ら本心を識り、知覺に由らず、踊躍して禮謝す。師事して六載の後、受業の師老いたるを以て、遽に歸りて奉養し、乃ち跡を晦めて用を藏し、外に癡訥を示す。自ら《頓悟入道要門論》一卷を撰す。法侄玄晏は竊かに江外に出でて、馬祖に呈す。祖は覽じ訖えて、衆に告げて說いた、「越州に大珠有り、圓明にして光は透りて自在、遮障の處無き也。」衆の中に老師の姓朱を知る者有りて、相推して越に來り尋訪して依附す(時に號けて大珠和尚)。老師は謂って說いた、「禪客、我は禪を會せず、竝びに人に示すべき一法無し。久立を勞する無く、且く自ら歇して去れ。」時に學侶は漸く多くして、日夜叩激して、事已むを得ず、問に隨いて答に隨え、其の辭は礙え無し。時に法師數人の來り謁する有りて、說いた、「一問を伸ぶことを擬す、師は還って對するか。」老師は說いた、「深潭の月影、意に任せて撮摩せ。」問うた、「如何なるか是れ佛。」老師は說いた、「清談は面對す、佛に非ずんば誰ぞ。」衆は皆な茫然。(法眼は說いた、「是れ即ち交涉沒れり。」)僧は良久して、又た問うた、「師は何の法を說いて人を度す。」老師は說いた、「貧道は未曾て人を度す一法有らず。」說いた、「禪師の家は渾と如此。」老師は却って問うた、「大德は何の法を說いて人を度す。」說いた、「《金剛經》を講ず。」老師は說いた、「幾座講じ來れる。」說いた、「二十餘座。」老師は說いた、「此の經は是れ阿誰の說ける。」僧は聲を抗げて說いた、「禪師は弄を相う、豈に是れ佛の說きを知らざるや。」老師は說いた、「若し如來は法を說く所有りと言わば、則ち佛を謗る爲り、是の人は我が說義を解せず。若し此の經は佛の說に非ずと言わば、則ち是れ經を謗る。大德に說看を請う。」僧は對無し。老師は少頃して又た問うた、「經に云う、若し色を以て我を見、音聲を以て我を求むるは、是の人は邪道を行ず、能く如來を見るを得ずと。大德は且く道え、阿の個か是れ如來。」說いた、「某甲は此に到りて却って迷い去れり。」老師は說いた、「從來未だ悟らず、甚の却って迷うと說く。」說いた、「禪師に爲に說くを請う。」老師は說いた、「大德は經を二十餘座講ずるに、却って如來を識らず。」僧は禮拜して說いた、「開示を垂れんことを願う。」老師は說いた、「如來は是れ諸法の如の義、何ぞ忘却するを得ん。」說いた、「是れ諸法の如の義。」老師は說いた、「大德、是れ亦た未だ是れならず。」說いた、「經文は分明にして、那りて未だ是れならざるを得ん。」老師は說いた、「大德は如否。」說いた、「如。」老師は說いた、「木石は如否。」說いた、「如。」老師は說いた、

大德如同木石如否。曰。無二。師曰。大德與木石何別。僧無對。良久。卻問。如何得大涅槃。師曰。不造生死業。曰。如何是生死業。師曰。求大涅槃。是生死業。捨垢取淨。是生死業。有得有證。是生死業。不脫對治門。是生死業。曰。云何即得解脫。師曰。本自無縛。不用求解。直用直行。是無等等。曰。禪師如和尚者。實謂希有。禮謝而去。有行者問。即心即佛。那箇是佛。師曰。汝疑那箇不是佛。指出看。者無對。師曰。達即徧境是。不悟永乖疎。律師法明謂師曰。禪師家。多落空。師曰。卻是座主家落空。明大驚曰。何得落空。師曰。經論是紙墨文字。紙墨文字者。俱是空設。於聲上建立名句等法。無非是空。座主執滯教體。豈不落空。明曰。禪師落空否。師曰。不落空。明曰。何得卻不落空。師曰。文字等皆從智慧而生。大用現前。那得落空。明曰。故知一法不達。不名悉達。師曰。律師不唯落空。兼乃錯會名言。明作色曰。何處是錯處。師曰。未辨華竺之音。如何講說。明曰。請禪師指出錯處。師曰。豈不知悉達是梵語邪。明雖省過。而心猶憤然(梵語具雲。婆曷剌他悉陀。中國翻雲一切義成。舊雲悉達多。猶是訛略梵語也)。又曰。夫經律論是佛語。讀誦依教奉行。何故不見性。師曰。如狂狗趂塊。師子齩人。經律論是性用。讀誦者是性法。明曰。阿彌陀佛有父母及姓否。師曰。阿彌陀姓憍屍迦。父名月上。母名殊勝妙顏。明曰。出何教文。師曰。出鼓音王經。法明禮謝。讚歎而退。有三藏法師問。真如有變易否。師曰。有變易。藏曰。禪師錯也。師卻問三藏。有真如否。曰。有。師曰。若無變易。決定是凡僧也。豈不聞善知識者。能回三毒為三聚淨戒。回六識為六神通。回煩惱作菩提。回無明為大智。真如若無變易。三藏真是自然外道也。藏曰。若爾者。真如即有變易也。師曰。

(老師は接いて說いた:)「大德は木石と如して同じからずか。」說いた、「二無し。」老師は說いた、「大德と木石と何の別ぞ。」僧は對無し。良久して、却って問うた、「如何にしてか大涅槃を得ん。」老師は說いた、「生死の業を造らず。」說いた、「如何なるか是れ生死の業。」老師は說いた、「大涅槃を求むるは、是れ生死の業。垢を捨てて淨を取るは、是れ生死の業。得あり證あるは、是れ生死の業。對治の門を脱れざるは、是れ生死の業。」說いた、「如何にしてか即ち解脱を得ん。」老師は說いた、「本自に縛無くして、解を求むるを用いず。直に行き直に用うるは、是れ等々無し。」說いた、「禪師は和尚の如き者、實に希有と謂う。」禮謝して去る。行者有りて問うた、「即心即佛、那の個か是れ佛。」老師は說いた、「お前は那の個が佛に非ずと疑う、指し出して看よ。」行者は對無し。老師は說いた、「達すれば即ち境に遍ねて是、悟らざれば永く乖疏す。」律師法明は老師に對して說いた、「禪師の家は多く空に落す。」老師は說いた、「却って是れ座主の家の空に落する。」明は大いに驚きて說いた、「何ぞ空に落するを得ん。」老師は說いた、「經論は是れ紙墨の文字。紙墨の文字は、俱に是れ空設。聲の上に名句等の法を建立するは、非ずんば是れ空ならず。座主は教體を執滯して、豈に空に落さざらんや。」明は說いた、「禪師は空に落すか。」老師は說いた、「空に落さず。」明は說いた、「何ぞ却って空に落さざるを得ん。」老師は說いた、「文字等は皆な智慧より生ず、大用は前に現ず、那りて空に落せん。」明は說いた、「故に知る一法も達せざれば、悉達と名づけず。」老師は說いた、「律師は唯だ空に落すのみならず、兼ねて乃ち名言を錯會す。」明は色を作して說いた、「何の處か是れ錯處。」老師は說いた、「未だ華竺の音を辨ぜずして、如何にしてか講說す。」明は說いた、「禪師に錯處を指し出すを請う。」老師は說いた、「豈に悉達は是れ梵語なるを知らざるや。」明は過を省むと雖も、而るに心は猶ほ憤然たり。(梵語は具には婆曷剌他悉陀と云い、中國は一切義成と翻す。舊云く悉達多は、猶ほ是れ梵語を訛略せるなり。)又た說いた、「經律論は是れ佛語、讀誦して教に依りて奉行す、何の故に性を見ざる。」老師は說いた、「狂狗の塊を趁うが如く、師子は人を咬む。經律論は是れ性の用、讀誦する者は是れ性の法。」明は說いた、「阿彌陀佛に父母及び姓有るか。」老師は說いた、「阿彌陀の姓は憍尸迦、父の名は月上、母の名は殊勝妙顏。」明は說いた、「何の教文に出づる。」老師は說いた、「《鼓音王經》に出づ。」法明は禮謝して、讚嘆して退く。三藏法師有りて問うた、「真如に變易有るか。」老師は說いた、「變易有り。」藏は說いた、「禪師は錯れり。」老師は却って三藏に問うた、「真如有るか。」說いた、「有。」老師は說いた、「若し變易無ければ、決定して是れ凡僧也。豈に聞かざるか善知識は能く三毒を回して三聚淨戒と爲し、六識を回して六神通と爲し、煩惱を回して菩提と作し、無明を回して大智と爲すと。真如は若し變易無ければ、三藏は真に是れ自然の外道也。」藏は說いた、「若し爾る者は、真如は即ち變易有り。」老師は說いた、

若執真如有變易。亦是外道。曰。禪師適來說真如有變易。如今又道不變易。如何即是的當。師曰。若了了見性者。如摩尼珠現色。說變亦得。說不變亦得。若不見性人。聞說真如變易。便作變易解會。說不變易。便作不變易解會。藏曰。故知南宗實不可測。有道流問。世間還有法過於自然否。師曰。有。曰。何法過得。師曰。能知自然者。曰。元氣是道不。師曰。元氣自元氣。道自道。曰。若如是者。則應有二也。師曰。知無兩人。又問。云何為邪。云何為正。師曰。心逐物為邪。物從心為正。源律師問。和尚修道。還用功否。師曰。用功。曰。如何用功。師曰。饑來吃飯。困來即眠。曰。一切人總如是。同師用功否。師曰。不同。曰。何故不同。師曰。他吃飯時不肯吃飯。百種須索。睡時不肯睡。千般計較。所以不同也。律師杜口。韞光大德問。禪師自知生處否。師曰。未曾死。何用論生。知生即是無生。法無離生。法有無生。祖師曰。當生即不生。曰。不見性人。亦得如此否。師曰。自不見性。不是無性。何以故。見即是性。無性不能見。識即是性。故名識性。了即是性。喚作了性。能生萬法。喚作法性。亦名法身。馬鳴祖師雲。所言法者。謂眾生心。若心生故。一切法生。若心無生。法無從生。亦無名字。迷人不知法身無象。應物現形。遂喚青青翠竹。總是法身。鬱鬱黃華。無非般若。黃華若是般若。般若即同無情。翠竹若是法身。法身即同草木。如人吃筍。應總吃法身也。如此之言。寧堪齒錄。對面迷佛。長劫希求。全體法中。迷而外覔。是以解道者。行住坐臥。無非是道。悟法者。縱橫自在。無非是法。光又問。太虗能生靈智否。真心緣於善惡否。貪欲人是道否。執是執非人向後心通否。觸境生心人有定否。住寂寞人有慧否。懷傲物人有我否。執空執有人有智否。

(老師は接いて說いた:)「若し真如に變易有りと執すれば、亦た是れ外道。」說いた、「禪師は適來真如に變易有りと說きて、如今又た變易ならずと道う、如何にしてか即ち是れ的當。」老師は說いた、「若し了了に性を見る者は、摩尼珠の色を現ずるが如くして、變と說いても得、不變と說いても得。若し性を見ざる人は、真如は變易と說くを聞きて、便ち變易の解會を作し、不變易と說けば、便ち不變易の解會を作す。」藏は說いた、「故に知る南宗は實に測る可からず。」道流有りて問うた、「世間に還って自然より過ぎる法有るか。」老師は說いた、「有。」說いた、「何の法か過ぎるを得る。」老師は說いた、「能く自然を知る者。」說いた、「元氣は是れ道か。」老師は說いた、「元氣は自ら元氣、道は自ら道。」說いた、「若し如是の者は、則ち應に二有るべし。」老師は說いた、「知るは兩人無し。」又た問うた、「如何にしてか邪と爲し、如何にしてか正と爲す。」老師は說いた、「心は物を逐うを邪と爲し、物は心に從うを正と爲す。」源律師は問うた、「和尚は道を修むるに、還って功を用いるか。」老師は說いた、「功を用いる。」說いた、「如何にしてか功を用いる。」老師は說いた、「飢え來れば飯を喫し、困り來れば即ち眠る。」說いた、「一切の人は總て是の如く、師と功を用いるに同じきか。」老師は說いた、「同じからず。」說いた、「何の故に同じからざる。」老師は說いた、「他は飯を喫する時は飯を喫すること肯んぜず、百種の須索;睡る時は睡ること肯んぜず、千般の計較。同じからざる所以也。」律師は口を杜す。韞光大德は問うた、「禪師は自ら生處を知るか。」老師は說いた、「未曾て死せず、何ぞ生を論ずるを用いん。生を知れば即ち是れ無生。法は生を離るる無し、法は無生有り。祖師は說く、當に生ずれば即ち生ぜずと。」說いた、「性を見ざる人も、亦た如此を得るか。」老師は說いた、「自ら性を見ざれば、性無きに非ず。何の故ぞ。見れば即ち是れ性、性無ければ見るを得ず。識れば即ち是れ性、故に名づけて識性と曰う。了れば即ち是れ性、喚びて了性と作す。萬法を生ずる能き、喚びて法性と作し、亦た名づけて法身と曰う。馬鳴祖師は說く、法と言える所は、衆生の心と謂う。若し心の生ずるが故に、一切の法は生ず。若し心は生ぜざれば、法は生ずるに從う無く、亦た名字無し。迷の人は法身が象無く、物に應じて形を現ずるを知らず、遂に青青たる翠竹を喚びて、總て是れ法身;鬱鬱たる黄花は、非ずんば般若に非ざる。黄花は若し是れ般若ならば、般若は即ち無情に同じからん。翠竹は若し是れ法身ならば、法身は即ち草木に同じからん。人が筍を喫するが如く、應に總て法身を喫すべき也。如此の言は、寧んぞ齒錄に堪えん。面對して佛に迷いて、長劫に希求す。全體の法の中、迷いて外に覓める。是の解道の者は以て、行住坐臥、非ずんば是れ道ならず。悟法の者は、縱橫自在、非ずんば是れ法ならず。」光は又た問うた、「太虛は能く靈智を生ずるか。真心は善惡に緣ずるか。貪欲の人は是れ道か。是を執り非を執る人は向后に心は通ずるか。境に觸れて心を生ずる人は定有るか。寂寞に住する人は慧有るか。傲物の人を懷くは我有るか。空を執り有を執る人は智有るか。」

尋文取證人.苦行求佛人.離心求佛人.執心是佛人。此智稱道否。請禪師一一為說。師曰。太虗不生靈智。真心不緣善惡。嗜慾深者機淺。是非交爭者未通。觸境生心者少定。寂寞忘機者慧沉。傲物高心者我壯。執空執有者皆愚。尋文取證者益滯。苦行求佛者俱迷。離心求佛者外道。執心是佛者為魔。曰。若如是。畢竟無所有也。師曰。畢竟是大德。不是畢竟無所有。光踴躍禮謝而去。問。儒.釋.道三教同異如何。師曰。大量者用之即同。小機者執之即異。總從一性上起用。機見差別成三。迷悟由人。不在教之同異也。

(韞光は接いて問うた:)文を尋ねて證を取る人・苦行して佛を求むる人・心を離れて佛を求むる人・心を執して是れ佛と爲す人、此の智は道を稱するか。禪師に一一爲に說かんことを請う。老師は說いた、「太虛は靈智を生ぜず。真心は善惡に緣ぜず。嗜欲の深き者は機は淺し。是非に交爭する者は未だ通せず。境に觸れて心を生ずる者は定少し。寂寞にして機を忘るる者は慧は沈む。傲物して心高き者は我は壯なり。空を執り有を執る者は皆な愚なり。文を尋ねて證を取る者は益々滯る。苦行して佛を求むる者は俱に迷う。心を離れて佛を求むる者は外道。心を執して是れ佛と爲す者は魔と爲る。」說いた、「若し如是ならば、畢竟は所有無き也。」老師は說いた、「畢竟は是れ大德、畢竟の所有無しに非ず。」光は踊躍して禮謝して去る。問うた、「儒・釋・道の三教は同異如何。」老師は說いた、「大量の者は之を用いれば即ち同じ、小機の者は之を執れば即ち異なり。總て一性の上より用を起す、機見は差別して三を成す。迷悟は人に由りて、教の同異に在らず。」

洪州百丈山惟政禪師

洪州百丈山惟政禪師

有老宿見日影透窻。問師。為復窻就日。日就窻。師曰。長老房中有客。歸去好。師問南泉。諸方善知識。還有不說似人底法也無。曰。有。師曰。作麼生。曰。不是心。不是佛。不是物。師曰。恁麼則說似人了也。曰。某甲即恁麼。和尚作麼生。師曰。我又不是善知識。爭知有說不說底法。曰。某甲不會。請和尚說。師曰。我太煞。與汝說了也。僧問。如何是佛佛道齊。師曰。定也。師因入京。路逢官人吃飯。忽見驢鳴。官人召曰。頭陀。師舉頭。官人卻指驢。師卻指官人(法眼別雲。但作驢鳴)。

老宿有りて日影の窓を透るを見て、老師に問うた、「爲に復た窓は日に就くか、日は窓に就くか。」老師は說いた、「長老の房の中に客有り、歸りて去れ好し。」老師は南泉に問うた、「諸方の善知識に、還って人に說似する底の法を說かざる有るや無きや。」說いた、「有。」老師は說いた、「作麼生。」說いた、「心に非ず、佛に非ず、物に非ず。」老師は說いた、「恁麼ならば則ち人に說似了れり。」說いた、「某甲は即ち恁麼、和尚は作麼生。」老師は說いた、「我は又た善知識に非ず、爭いで說と不說との底の法有るを知らん。」說いた、「某甲は會せず、和尚に說くを請う。」老師は說いた、「我は太くお前と煞りて說了れり。」僧は問うた、「如何なるか是れ佛佛の道の齊しき。」老師は說いた、「定也。」老師は因って京に入りて、路に官人の飯を喫するに逢いて、忽ち驢の鳴くを見る。官人は召して說いた、「頭陀。」老師は頭を擧ぐ。官人は却って驢を指す。老師は却って官人を指す。(法眼は別に說いた、「但だ驢鳴を作せ。」)

洪州泐潭法會禪師

洪州泐潭法會禪師

問馬祖。如何是祖師西來意。祖曰。低聲。近前來。向汝道。師便近前。祖打一摑曰。六耳不同謀。且去。來日來。師至來日。獨入法堂曰。請和尚道。祖曰。且去。待老漢上堂出來問。與汝證明。師忽有省。遂曰。謝大眾證明。乃繞法堂一匝。便去。

馬祖に問うた、「如何なるか是れ祖師の西來の意。」祖は說いた、「聲を低くして、近く前へ來れ、お前に向かいて道わん。」老師は便ち近く前へ。祖は一掴を打ちて說いた、「六耳は謀を同じくせず。且く去れ、來日に來れ。」老師は來日に至りて、獨り法堂に入りて說いた、「和尚に道うを請う。」祖は說いた、「且く去れ。老漢が堂に上りて出でて問うを待ちて、お前に證明せん。」老師は忽ち省有りて、遂に說いた、「大衆の證明を謝す。」乃ち法堂を繞ること一匝して、便ち去る。

池州杉山智堅禪師

池州杉山智堅禪師

初與歸宗.南泉行腳時。路逢一虎。各從虎邊過了。泉問歸宗。適來見虎似箇甚麼。宗曰。似箇貓兒。宗卻問師。師曰。似箇狗子。又問南泉。泉曰。我見是箇大蟲。師吃飯次。南泉収生飯。乃曰。生聻。師曰。無生。泉曰。無生猶是末。泉行數步。師召曰。長老。泉回頭曰。作麼。師曰。莫道是末。普請擇蕨次。南泉拈起一莖曰。這箇大好供養。師曰。非但這箇。百味珍羞。他亦不顧。泉曰。雖然如是。箇箇須甞過始得(玄覺雲。是相見語不是相見語)。僧問。如何是本來身。師曰。舉世無相似。

初め歸宗・南泉と行脚する時、路に一虎に逢いて、各おの虎の邊より過ぎ了れり。泉は歸宗に問うた、「適來虎を見るに箇の什麼に似たる。」宗は說いた、「箇の貓兒に似たり。」宗は却って老師に問う。老師は說いた、「箇の狗子に似たり。」又た南泉に問う。泉は說いた、「我が見るには是れ大蟲。」老師が飯を喫する次、南泉は生飯を收めて、乃ち說いた、「生か。」老師は說いた、「生無し。」泉は說いた、「生無きは猶ほ是れ末。」泉は數步行けば、老師は召して說いた、「長老。」泉は頭を回して說いた、「作麼。」老師は說いた、「末と道う莫れ。」普請して蕨を擇ぶ次、南泉は一莖を拈起して說いた、「此の個は大いに供養するに好し。」老師は說いた、「此の個のみに非ず、百味の珍羞も、他も亦た顧みず。」泉は說いた、「然りと雖も如是なり、個個は須らく嘗過して始めて得べし。」(玄覺は說いた、「是れ相見の語か相見の語に非ずか。」)僧は問うた、「如何なるか是れ本來の身。」老師は說いた、「世に擧げて相似無し。」

洪州泐潭惟建禪師

洪州泐潭惟建禪師

一日在法堂後坐禪。馬祖見。乃吹師耳。兩吹師起。見是祖。卻復入定。祖歸方丈。令侍者持一椀茶與師。師不顧。便自歸堂。

一天法堂の後に禪に坐す。馬祖は見て、乃ち老師の耳を吹くこと兩吹す。老師は起きて、是れ祖を見て、却って復た定に入る。祖は方丈に歸りて、侍者をして一碗の茶を持せて老師に與えしむ。老師は顧みず、便ち自ら堂に歸る。

澧州茗谿道行禪師

澧州茗溪道行禪師

甞曰。吾有大病。非世所醫(後僧問曹山。古人曰。吾有大病。非世所醫。未審是甚麼病。山曰。攢簇不得底病。曰。一切眾生還有此病也無。山曰。人人盡有。曰。和尚還有此病也無。山曰。正覔起處不得。曰。一切眾生為甚麼不病。山曰。一切眾生若病。即非眾生。曰。未審諸佛還有此病也無。山曰。有。曰。既有。為甚麼不病。山曰。為伊惺惺)。僧問。如何脩行。師曰。好箇阿師。莫客作。曰。畢竟如何。師曰。安置即不堪。問。如何是正修行路。師曰。涅槃後有。曰。如何是涅槃後有。師曰。不洗面。曰。學人不會。師曰。無面得洗。

嘗て說いた、「吾に大病有りて、世の醫する所に非ず。」(後に僧は曹山に問うた、「古人は說く、『吾に大病有りて、世の醫する所に非ず。』未だ審かならず是れ什麼の病ぞ。」山は說いた、「攢簇するを得ざる底の病。」說いた、「一切衆生は還って此の病有るや無きや。」山は說いた、「人人は盡く有。」說いた、「和尚は還って此の病有るや無きや。」山は說いた、「起處を正しく覓めて得ず。」說いた、「一切衆生は什麼の爲に病せざる。」山は說いた、「一切衆生は若し病せば、即ち衆生に非ず。」說いた、「未だ審かならず諸佛は還って此の病有るや無きや。」山は說いた、「有。」說いた、「既有れば、什麼の爲に病せざる。」山は說いた、「伊が惺惺なるを爲る。」)僧は問うた、「如何にしてか修行す。」老師は說いた、「好き箇の阿師、客作する莫れ。」說いた、「畢竟は如何。」老師は說いた、「安置すれば即ち堪えず。」問うた、「如何なるか是れ正修行の路。」老師は說いた、「涅槃の後に有。」說いた、「如何なるか是れ涅槃の後の有。」老師は說いた、「面を洗わず。」說いた、「學人は會せず。」老師は說いた、「面無きが洗を得る。」

撫州石鞏慧藏禪師

撫州石鞏慧藏禪師

本以弋獵為務。惡見沙門。因逐鹿從馬祖庵前過。祖乃逆之。師遂問。還見鹿過否。祖曰。汝是何人。曰。獵者。祖曰。汝解射否。曰。解射。祖曰。汝一箭射幾箇。曰。一箭射一箇。祖曰。汝不解射。曰。和尚解射否。祖曰。解射。曰。一箭射幾箇。祖曰。一箭射一群。曰。彼此生命。何用射他一群。祖曰。汝既知如是。何不自射。曰。若教某甲自射。直是無下手處。祖曰。這漢曠劫無明煩惱。今日頓息。師擲下弓箭。投祖出家。一日。在廚作務次。祖問。作甚麼。曰。牧牛。祖曰。作麼生牧。曰。一回入草去。驀鼻拽將回。祖曰。子真牧牛。師便休。師住後常以弓箭接機(載三平章)。師問西堂。汝還解捉得虗空麼。堂曰。捉得。師曰。作麼生捉。堂以手撮虗空。師曰。汝不解捉。堂卻問。師兄作麼生捉。師把西堂鼻孔拽。堂作忍痛聲曰。太煞。拽人鼻孔。直欲脫去。師曰。直須恁麼捉虗空始得。眾參次。師曰。適來底甚麼處去也。有僧曰。在。師曰。在甚麼處。僧彈指一聲。問。如何免得生死。師曰。用免作甚麼。曰。如何免得。師曰。這底不生死。

本來弋獵を務めと爲して、沙門を見るを惡む。因って鹿を逐いて馬祖の庵の前より過ぎ、祖は乃ち之を逆う。老師は遂に問うた、「還って鹿が過ぐるを見たか。」祖は說いた、「お前は是れ何人。」說いた、「獵者。」祖は說いた、「お前は射るを解すか。」說いた、「射るを解す。」祖は說いた、「お前は一箭は幾個を射る。」說いた、「一箭は一個を射る。」祖は說いた、「お前は射るを解せず。」說いた、「和尚は射るを解するか。」祖は說いた、「射るを解す。」說いた、「一箭は幾個を射る。」祖は說いた、「一箭は一群を射る。」說いた、「彼此は生命、何ぞ他の一群を射るを用いん。」祖は說いた、「お前は既に如是を知れば、何ぞ自ら射ざる。」說いた、「若し某甲をして自ら射らしめば、直に是れ手を下す處無し。」祖は說いた、「此の漢は曠劫の無明煩惱、今日は頓息す。」老師は弓箭を擲下して、祖に投じて出家す。一天、廚に在りて務を作す次、祖は問うた、「什麼を作す。」說いた、「牛を牧う。」祖は說いた、「作麼生に牧う。」說いた、「一回草に入りて去れば、鼻を驀りて拽將りて回る。」祖は說いた、「子は真に牛を牧う。」老師は便ち休む。老師は住後常に弓箭を以て機に接す(三平章に載す)。老師は西堂に問うた、「お前は還って虛空を捉得するを解するか。」堂は說いた、「捉得す。」老師は說いた、「作麼生に捉う。」堂は手を以て虛空を撮む。老師は說いた、「お前は捉るを解せず。」堂は却って問うた、「師兄は作麼生に捉う。」老師は西堂の鼻孔を把りて拽く。堂は痛みに忍ぶ聲を作して說いた、「太く人の鼻孔を拽くに、直に脱し去らんと欲す。」老師は說いた、「直に須らく恁麼に虛空を捉えて始めて得べし。」衆參の次、老師は說いた、「適來の底は什麼の處に去れり。」僧有りて說いた、「在。」老師は說いた、「什麼の處に在る。」僧は指を彈くこと一聲。問うた、「如何にしてか生死を免るを得ん。」老師は說いた、「免るを作して什麼を用いん。」說いた、「如何にしてか免るを得ん。」老師は說いた、「此の底は生死せず。」

江西北蘭讓禪師

江西北蘭讓禪師

湖塘亮長老問。承聞師兄畫得先師真。暫請瞻禮。師以兩手擘胷開示之。亮便禮拜。師曰。莫禮。莫禮。亮曰。師兄錯也。某甲不禮師兄。師曰。汝禮先師真那。亮曰。因甚麼教莫禮。師曰。何曾錯。

湖塘亮長老は問うた、「聞くに師兄は先師の真を畫き得たと承れり、暫く瞻禮を請う。」老師は兩手を以て胸を擘きて之を開示す。亮は便ち禮拜す。老師は說いた、「禮する莫れ、禮する莫れ。」亮は說いた、「師兄は錯れり。某甲は師兄を禮せず。」老師は說いた、「お前は先師の真を禮する那。」亮は說いた、「因って什麼に禮する莫れと教う。」老師は說いた、「何ぞ曾て錯らん。」

袁州南源道明禪師

袁州南源道明禪師

上堂。快馬一鞭。快人一言。有事何不出頭來。無事各自珍重。僧問。一言作麼生。師乃吐舌雲。待我有廣長舌相。即向汝道。洞山參。方上法堂。師曰。已相見了也。山便下去。明日卻上。問曰。昨日已蒙和尚慈悲。不知甚麼處是與某甲已相見處。師曰。心心無間斷。流入於性海。山曰。幾合放過。山辭。師曰。多學佛法。廣作利益。山曰。多學佛法即不問。如何是廣作利益。師曰。一物莫違。僧問。如何是佛。師曰。不可道你是也。

堂に上りて、「快馬は一鞭、快人は一言。事有れば何ぞ頭を出せざる、事無ければ各自珍重せよ。」僧は問うた、「一言は作麼生。」老師は乃ち舌を吐きて說いた、「我に廣長舌の相有るを待ちて、即ちお前に向かいて道わん。」洞山は來り參す、方に法堂に上れば、老師は說いた、「已に相見了れり。」山は便ち下去す。明日に却って上りて、問いて說いた、「昨日は已に和尚の慈悲を蒙りて、什麼の處か是れ某甲と已に相見せし處を知らず。」老師は說いた、「心心は間斷無くして、性海に流入す。」山は說いた、「幾い合して放過せん。」山は辭す。老師は說いた、「佛法を多く學び、利益を廣く作せ。」山は說いた、「佛法を多く學ぶは即ち問わず、如何なるか是れ利益を廣く作す。」老師は說いた、「一物も違う莫れ。」僧は問うた、「如何なるか是れ佛。」老師は說いた、「お前は是れ也と道う可からず。」

忻州酈村自滿禪師

忻州酈村自滿禪師

上堂。古今不異。法爾如然。更復何也。雖然如此。這箇事大有人罔措在。僧問。不落古今。請師直道。師曰。情知汝罔措。僧欲進語。師曰。將謂老僧落伊古今。曰。如何即是。師曰。魚騰碧漢。階級難飛。曰。如何免得此過。師曰。若是龍形。誰論高下。僧禮拜。師曰。苦哉。屈哉。誰人似我。上堂。除卻日明夜暗。更說甚麼即得。珍重。問。如何是無諍之句。師曰。喧天動地。

堂に上りて、「古今は異ならず、法爾として如然、更に復た何ぞ。然りと雖も如此なり、此の個の事は大いに人の罔措する有りて在り。」僧は問うた、「古今に落ちざるを、師に直に道うを請う。」老師は說いた、「情に知るお前が罔措するを。」僧は語を進めんと欲す。老師は說いた、「老僧が伊の古今に落つと將に謂わんとす。」說いた、「如何にしてか即ち是れ。」老師は說いた、「魚は碧漢に騰り、階級は飛び難し。」說いた、「如何にしてか此の過を免れん。」老師は說いた、「若し是れ龍形ならば、誰か高下を論ぜん。」僧は禮拜す。老師は說いた、「苦哉、屈哉、誰人か我に似たらん。」堂に上りて、「日明夜暗を除却して、更に什麼をか說いて即ち得。珍重。」問うた、「如何なるか是れ無諍の句。」老師は說いた、「天に喧く地に動く。」

朗州中邑洪恩禪師

朗州中邑洪恩禪師

每見僧來。拍口作和和聲。仰山謝戒。師亦拍口作和和聲。仰從西過東。師又拍口作和和聲。仰從東過西。師又拍口作和和聲。仰當中而立。然後謝戒。師曰。甚麼處得此三昧。仰曰。於曹谿印子上脫來。師曰。汝道曹谿用此三昧接甚麼人。仰曰。接一宿覺。仰曰。和尚甚處得此三昧。師曰。我於馬大師處得此三昧。仰問。如何得見佛性義。師曰。我與汝說箇譬喻。如一室有六窻。內有一獼猴。外有獼猴從東邊喚猩猩。猩猩即應。如是六窻俱喚俱應。仰山禮謝。起曰。適蒙和尚譬喻。無不了知。更有一事。祇如內獼猴睡著。外獼猴欲與相見。又且如何。師下繩床。執仰山手作舞曰。猩猩與汝相見了。譬如蟭螟蟲。在蚊子眼睫上作窠。向十字街頭呌雲。土曠人稀。相逢者少(雲居錫雲。中邑當時若不得仰山這一句語。何處有中邑也。崇壽稠雲。還有人定得此道理麼。若定不得。只是箇弄精魂腳手。佛性義在甚麼處。玄覺雲。若不是仰山。爭得見中邑。且道甚麼處是仰山得見中邑處)。

每に僧の來るを見ては、口を拍ちて和和の聲を作す。仰山は戒を謝す、老師も亦た口を拍ちて和和の聲を作す。仰は西より東を過ぎ、老師は又た口を拍ちて和和の聲を作す。仰は東より西を過ぎ、老師は又た口を拍ちて和和の聲を作す。仰は中に當りて立ちて、然して後に戒を謝す。老師は說いた、「什麼の處に此の三昧を得た。」仰は說いた、「曹溪の印子の上に於いて脱し來れり。」老師は說いた、「お前は道え曹溪は此の三昧を用いて什麼の人を接する。」仰は說いた、「一宿の覺を接す。」仰は說いた、「和尚は甚の處に此の三昧を得た。」老師は說いた、「我は馬大師の處に於いて此の三昧を得た。」仰は問うた、「如何にしてか佛性の義を見るを得ん。」老師は說いた、「我はお前に箇の譬喻を說かん。一室に六窗有りて、內に一獼猴有り、外に獼猴有りて東邊より猩猩を喚べば、猩猩は即ち應ず。如是六窗は俱に喚び俱に應ず。」仰山は禮謝して、起きて說いた、「適來和尚の譬喻を蒙りて、了知せざる無し。更に一事有り。只だ內の獼猴が睡着せば、外の獼猴は與に相見せんと欲す、又た且く如何。」老師は繩牀を下りて、仰山の手を執りて舞を作して說いた、「猩猩はお前と相見了れり。譬如ば蟭螟蟲の、蚊子の眼睫の上に窠を作して、十字の街頭に向かいて叫びて說く、土は曠く人は稀にして、相逢う者は少し。」(雲居錫は說いた、「中邑は當時若し仰山の此の一句の語を得ざりせば、何の處に中邑有らん。」崇壽稠は說いた、「還って人の此の道理を定め得る有るか。若し定め得ざれば、只是れ箇の精魂の脚手を弄す。佛性の義は什麼の處に在る。」玄覺は說いた、「若し是れ仰山ならざれば、爭いで中邑を見るを得ん。且く道え什麼の處か是れ仰山が中邑を見得せし處。」)

洪州泐潭常興禪師

洪州泐潭常興禪師

僧問。如何是曹谿門下客。師曰。南來燕。曰。學人不會。師曰。養羽候秋風。問。如何是宗乘極則事。師曰。秋雨草離披。南泉至。見師面壁。乃拊師背。師問。汝是阿誰。曰。普願。師曰。如何。曰。也尋常。師曰。汝何多事。

僧は問うた、「如何なるか是れ曹溪門下の客。」老師は說いた、「南來の燕。」說いた、「學人は會せず。」老師は說いた、「羽を養いて秋風を候す。」問うた、「如何なるか是れ宗乘の極則の事。」老師は說いた、「秋雨に草は離披す。」南泉は至りて、老師が壁に面するを見て、乃ち老師の背を拊す。老師は問うた、「お前は是れ阿誰。」說いた、「普願。」老師は說いた、「如何。」說いた、「也た尋常。」老師は說いた、「お前は何ぞ事多き。」

汾州無業禪師

汾州無業禪師

商州上洛杜氏子。母李氏聞空中言。寄居得否。乃覺有娠。誕生之夕。神光滿室。甫及丱歲。行必直視。坐即跏趺。九歲。依開元寺志本禪師受大乘經。五行俱下。諷誦無遺。十二落髮。二十受具戒於襄州幽律師。習四分律疏。才終。便能敷演。每為眾僧講涅槃大部。冬夏無廢。後聞馬大師禪門鼎盛。特往瞻禮。祖覩其狀貌奇偉。語音如鐘。乃曰。巍巍佛堂。其中無佛。師禮跪而問曰。三乘文學。粗窮其旨。常聞禪門即心是佛。實未能了。祖曰。祇未了底心即是。更無別物。師曰。如何是祖師西來密傳心印。祖曰。大德正閙在。且去。別時來。師才出。祖召曰。大德。師回首。祖曰。是甚麼。師便領悟。乃禮拜。祖曰。這鈍漢禮拜作麼(雲居錫雲。甚麼處是汾州正閙)。自得旨後。詣曹溪禮祖塔。及廬嶽天台。徧尋聖跡。後住開元精舍。學者致問。多答之曰。莫妄想。唐憲宗屢召。師皆辭疾不赴。暨穆宗即位。思一瞻禮。乃命兩街僧錄靈阜等齎詔迎請。至彼作禮曰。皇上此度恩旨。不同常時。願和尚且順天心。不可言疾也。師微笑曰。貧道何德。累煩世王。且請前行。吾從別道去矣。乃澡身剃髮。至中夜告弟子惠愔等曰。汝等見聞覺知之性。與太虗同壽。不生不滅。一切境界。本自空寂。無一法可得。迷者不了。即為境惑。一為境惑。流轉不窮。汝等當知。心性本自有之。非因造作。猶如金剛不可破壞。一切諸法。如影如響。無有實者。經云。唯此一事實。餘二則非真。常了一切空。無一物當情。是諸佛用心處。汝等勤而行之。言訖。跏趺而逝。荼毗日。祥雲五色。異香四徹。所獲舍利璨若珠玉。弟子等貯以金缾。塟於石塔。當長慶三年。諡大達國師。

商州上洛の杜氏の子。母李氏は空中に言を聞く、「寄居するを得るか。」乃ち娠する有るを覺う。誕生の夕、神光は室に滿つ。甫ねく童年に及ぶに、行は必ず直視し、坐は即ち跏趺す。九歲にして、開元寺志本禪師に依りて大乘經を受け、五行は俱に下り、諷誦は遺無し。十二にして髮を落し、二十にして襄州幽律師に於いて具戒を受く。《四分律疏》を習い、纔かに終わるに、便ち能く敷演す。每に衆僧の爲に涅槃の大部を講じて、冬夏は廢無し。後に馬大師の禪門が鼎盛なるを聞きて、特に往きて瞻禮す。祖は其の狀貌が奇偉、語音が鐘の如きを睹て、乃ち說いた、「巍巍たる佛堂、其の中に佛無し。」老師は禮跪して問いて說いた、「三乘の文學は、粗く其の旨を窮めたり。常に禪門の即心是佛を聞くも、實に未だ了する能わず。」祖は說いた、「只だ未だ了せざる底の心が即ち是れ、更に別物無し。」老師は說いた、「如何なるか是れ祖師の西來に密傳する心印。」祖は說いた、「大德は正に鬧れり在り。且く去れ、別時に來れ。」老師は纔かに出づれば、祖は召して說いた、「大德。」老師は首を回す。祖は說いた、「是れ什麼。」老師は便ち領悟して、乃ち禮拜す。祖は說いた、「此の鈍漢は禮拜して作麼。」(雲居錫は說いた、「什麼の處か是れ汾州の正鬧。」)自ら旨を得る後、曹溪に詣りて祖塔を禮し、及び廬岳・天臺に至りて、遍ねく聖跡を尋ぬ。後に開元の精舍に住す。學者は問いを致して、多く之に答えて說いた、「妄想する莫れ。」唐の憲宗は屢ば召すも、老師は皆な疾を辭して赴かず。暨ち穆宗が位に即きて、一たび瞻禮せんことを思いて、乃ち兩街僧錄靈阜等に詔を齎えて迎請せしむ。彼に至りて禮を作して說いた、「皇上の此の度の恩旨は、常時と同じからず。願わくは和尚は且く天心に順い、疾と言う可からず。」老師は微笑して說いた、「貧道は何の德ぞ、世王を累で煩わす。且く前行を請う、吾は別道より去らん。」乃ち身を澡い髮を剃りて、中夜に至りて弟子惠愔等に告げて說いた、「お前等の見聞覺知の性は、太虛と壽を同じくして、生じず滅せず。一切の境界は、本自に空寂にして、得一べき法無し。迷う者は了せず、即ち境に惑わされん。一たび境に惑わされば、流轉して窮まらず。お前等は當に知るべし、心性は本自に之有りて、造作に因らず、猶ほ金剛の壞る可からざるが如し。一切の諸法は、影の如く響の如くして、實有る者無し。經は說く、『唯だ此の一事は實、其の餘の二は則ち真に非ず。』常に了一切空、一物も情に當る無し、是れ諸佛の心を用うる處。お前等は勤しんで之を行ぜよ。」言を訖えて、跏趺して逝く。荼毗の日、祥雲は五色にして、異香は四徹す。所獲の舍利は璨として珠玉の若し。弟子等は金瓶を以て貯えて、石塔に葬す。當に長慶三年。諡して大達國師と曰う。

澧州大同廣澄禪師

澧州大同廣澄禪師

僧問。如何得六根滅去。師曰。輪劒擲空。無傷於物。問。如何是本來人。師曰。共坐不相識。曰。恁麼則學人禮謝去也。師曰。暗寫愁腸寄與誰。

僧は問うた、「如何にしてか六根を滅し去るを得ん。」老師は說いた、「劍を輪して空に擲てば、物に傷無し。」問うた、「如何なるか是れ本來の人。」老師は說いた、「共に坐するも相識らず。」說いた、「恁麼ならば則ち學人は禮謝して去る。」老師は說いた、「愁腸を暗に寫して誰に寄與せん。」

信州鵝湖大義禪師

信州鵝湖大義禪師

衢州須江徐氏子。唐憲宗嘗詔入內。於麟德殿論義。有法師問。如何是四諦。師曰。聖上一帝。三帝何在。又問。欲界無禪。禪居色界。此土憑何而立。禪師曰。法師祇知欲界無禪。不知禪界無欲。曰。如何是禪。師以手點空。法師無對。帝曰。法師講無窮經論。祇這一點。尚不柰何。師卻問諸碩德曰。行住坐臥。畢竟以何為道。有對。知者是道。師曰。不可以智知。不可以識識。安得知者是乎。有對。無分別者是。師曰。善能分別諸法相。於第一義而不動。安得無分別是乎。有對。四禪八定是。師曰。佛身無為。不墮諸數。安在四禪八定邪。眾皆杜口。師卻舉順宗問尸利禪師。大地眾生如何得見性成佛。利曰。佛性猶如水中月。可見不可取。因謂帝曰。佛性非見必見。水中月如何攫取。帝乃問。何者是佛性。師對曰。不離陛下所問。帝默契真宗。益加欽重有一僧乞置塔。李翱尚書問曰。教中不許將屍塔下過。又作麼生。僧無對。僧卻問師。師曰。他得大闡提。元和十三年歸寂。諡慧覺禪師。

衢州須江の徐氏の子。唐の憲宗は嘗て詔して內に入れて、麟德殿に於いて義を論ず。法師有りて問うた、「如何なるか是れ四諦。」老師は說いた、「聖上は一帝、三帝は何處に在る。」又た問うた、「欲界は禪無く、禪は色界に居す。此の土は何に憑りて立つ。」禪師は說いた、「法師は只だ欲界に禪無きを知りて、禪界に欲無きを知らず。」說いた、「如何なるか是れ禪。」老師は手を以て空を點ず。法師は對無し。帝は說いた、「法師は無窮の經論を講ずるに、只だ此の一點も、尚ほ奈何ともせず。」老師は却って諸の碩德に問うて說いた、「行住坐臥は、畢竟何を以てか道と爲す。」對する有りて、「知る者是れ道。」老師は說いた、「智を以て知る可からず、識を以て識る可からず、安んぞ知る者を得ん是れ乎。」對する有りて、「分別無き者是。」老師は說いた、「善く能く諸法の相を分別して、第一義に於いて動かざる、安んぞ分別無きを得ん是れ乎。」對する有りて、「四禪八定是。」老師は說いた、「佛身は無爲にして、諸數に墮せず、安んぞ四禪八定に在らん邪。」衆は皆な口を杜す。老師は却って順宗が尸利禪師に問うを擧げた、「大地の衆生は如何にしてか性を見て佛を成ずるを得ん。」利は說いた、「佛性は猶ほ水中の月の如く、見る可くして取る可からず。」因って帝に謂って說いた、「佛性は見るに非ずんば必ず見る、水中の月は如何にしてか攫取せん。」帝は乃ち問うた、「何の者か是れ佛性。」老師は對して說いた、「陛下の問われる所を離れず。」帝は默かに真宗を契し、益々欽重を加ふ。一僧有りて塔を置くを乞う。李翱尚書は問いて說いた、「教中は尸を將りて塔の下を過ぐるを許さず、又た作麼生。」僧は對無し。僧は却って老師に問う。老師は說いた、「他は大闡提を得た。」元和十三年に寂に歸す。諡して慧覺禪師と曰う。

伊闕伏牛山自在禪師

伊闕伏牛山自在禪師

吳興李氏子。初依國一禪師。受具後參馬祖發明心地。祖令送書與忠國師。國師曰。馬大師以何法示徒。曰。即心即佛。國師曰。是甚麼語話。良久又問曰。此外更有何言教。師曰。非心非佛。或曰不是心。不是佛。不是物。國師曰。猶較些子。師曰。馬大師即恁麼。未審和尚此間如何。國師曰。三點如流水。曲似刈禾鎌。師後居伏牛山。上堂曰。即心即佛。是無病求藥句。非心非佛。是藥病對治句。僧問。如何是脫灑底句。師曰。伏牛山下古今傳。示滅於隨州開元寺。

吳興の李氏の子。初め國一禪師に依る。具を受けて後に馬祖に參して心地を發明す。祖は書を忠國師に送るを令す。國師は說いた、「馬大師は何の法を以て徒に示す。」說いた、「即心即佛。」國師は說いた、「是れ什麼の語話。」良久して又た問いて說いた、「此の外は更に何の言教有る。」老師は說いた、「非心非佛。或いは曰く心に非ず、佛に非ず、物に非ず。」國師は說いた、「猶ほ些子を較ぶ。」老師は說いた、「馬大師は即ち恁麼、未だ審かならず和尚は此の間は如何。」國師は說いた、「三點は流水の如く、曲りて刈禾の鐮に似たり。」老師は後に伏牛山に居す。堂に上りて說いた、「即心即佛は、是れ病無きに藥を求むる句。非心非佛は、是れ藥と病と對治する句。」僧は問うた、「如何なるか是れ脱洒の底の句。」老師は說いた、「伏牛山の下は古今に傳わる。」隨州開元寺に於いて滅を示す。

京兆興善寺惟寬禪師

京兆興善寺惟寬禪師

衢州信安祝氏子。年十三。見殺生者。衋然不忍食。乃求出家。初習毗尼。修止觀。後參大寂。乃得心要。唐貞元六年。始行化於吳越間。八年至鄱陽。山神求受八戒。十三年。止嵩山少林寺。僧問。如何是道。師曰。大好山。曰。學人問道。師何言好山。師曰。汝秖識好山。何曾達道。問。狗子還有佛性否。師曰。有。曰。和尚還有否。師曰。我無。曰。一切眾生皆有佛性。和尚因何獨無。師曰。我非一切眾生。曰。既非眾生。莫是佛否。師曰。不是佛。曰。究竟是何物。師曰。亦不是物。曰。可見可思否。師曰。思之不及。議之不得。故曰不可思議。元和四年憲宗詔至闕下。侍郎白居易嘗問曰。既曰禪師。何以說法。師曰。無上菩提者。被於身為律。說於口為法。行於心為禪。應用者三。其致一也。譬如江湖淮漢。在處立名。名雖不一。水性無二。律即是法。法不離禪。云何於中妄起分別。曰。既無分別。何以修心。師曰。心本無損傷。云何要修理。無論垢與淨。一切勿念起。曰。垢即不可念。淨無念可乎。師曰。如人眼睛上。一物不可住。金屑雖珍寶。在眼亦為病。曰。無修無念。又何異凡夫邪。師曰。凡夫無明。二乘執著。離此二病。是曰真修。真修者不得勤。不得忘。勤即近執著。忘即落無明。此為心要雲爾。僧問。道在何處。師曰。祇在目前。曰。我何不見。師曰。汝有我故。所以不見。曰。我有我故即不見。和尚還見否。師曰。有汝有我。展轉不見。曰。無我無汝還見否。師曰。無汝無我。阿誰求見。元和十二年二月晦日。陞堂說法訖。就化。諡大徹禪師。

衢州信安の祝氏の子。年十三にして、生を殺す者を見て、衋然として食に忍びず、乃ち出家を求む。初め毘尼を習い、止觀を修す。後に大寂に參して、乃ち心要を得る。唐の貞元六年、始めて呉越の間に化を行ず。八年に鄱陽に至りて、山神は八戒を受くを求む。十三年、嵩山少林寺に止まる。僧は問うた、「如何なるか是れ道。」老師は說いた、「大好の山。」說いた、「學人は道を問う、師は何ぞ好山と言う。」老師は說いた、「お前は只だ好山を識る、何ぞ曾て道に達せん。」問うた、「狗子は還って佛性有るか。」老師は說いた、「有。」說いた、「和尚は還って有るか。」老師は說いた、「我は無。」說いた、「一切衆生は皆な佛性有る、和尚は因何に獨り無き。」老師は說いた、「我は一切衆生に非ず。」說いた、「既に衆生に非ざれば、莫し是れ佛か。」老師は說いた、「佛に非ず。」說いた、「究竟は是れ何の物。」老師は說いた、「亦た物に非ず。」說いた、「見る可く思る可きか。」老師は說いた、「之を思うに及ばず、之を議るに得ず、故に不思議と曰う。」元和四年に憲宗は闕下に詔す。侍郎白居易は嘗て問いて說いた、「既に禪師と曰う、何を以て法を說く。」老師は說いた、「無上菩提は、身に被せば律と爲り、口に說けば法と爲り、心に行えば禪と爲る。應用するは三、其の致は一也。譬如ば江・湖・淮・漢の、處に在りて名を立つるが如し。名は一ならずと雖も、水性は二無し。律は即ち是れ法、法は禪を離れず、如何にしてか中に於いて妄りに分別を起さん。」說いた、「既に分別無ければ、何を以て心を修む。」老師は說いた、「心は本來損傷無し、如何にしてか修理を要せん。垢と淨とを論すること無く、一切は念を起す勿れ。」說いた、「垢は即ち念ずべからず、淨は念ずべき無きか。」老師は說いた、「人の眼睛の上の如く、一物も住する可からず。金屑は珍寶と雖も、眼に在りて亦た病と爲る。」說いた、「修無し念無し、又た凡夫と何の異ぞ邪。」老師は說いた、「凡夫は無明、二乘は執著。此の二病を離るるは、是れ真修と曰う。真修する者は勤を得ず、忘を得ず。勤は即ち執著に近く、忘は即ち無明に落つ。此を心要と爲す云爾。」僧は問うた、「道は何の處に在る。」老師は說いた、「只だ目前に在る。」說いた、「我は何ぞ見ざる。」老師は說いた、「お前は我有るが故に、見ざる所以也。」說いた、「我が我有るが故に即ち見ざれば、和尚は還って見るか。」老師は說いた、「お前有り我有れば、展轉して見ず。」說いた、「我無しお前無きは還って見るか。」老師は說いた、「お前無し我無ければ、阿誰か見るを求めん。」元和十二年二月晦日、堂に升りて法を說き訖えて、化に就く。諡して大徹禪師と曰う。

鄂州無等禪師

鄂州無等禪師

尉氏人也。出家於龔公山。密受心要。出住隨州土門。一日謁州牧王常侍。辭退將出門。牧召曰。和尚。師回顧。牧敲柱三下。師以手作圓相。復三撥之。便行。後住武昌大寂寺。一日大眾晚參。師見人人上來師前道不審。廼謂眾曰。大眾。適來聲向甚麼處去也。有一僧竪起指頭。師曰。珍重。其僧至來朝上參。師乃轉身面壁而臥。佯作呻吟聲曰。老僧三兩日來。不多安樂。大德身邊有甚麼藥物。與老僧些。小僧以手拍淨缾曰。這箇淨缾甚麼處得來。師曰。這箇是老僧底。大德底在甚麼處。曰。亦是和尚底。亦是某甲底。

尉氏の人也。龔公山に於いて出家して、密かに心要を受く。出でて隨州土門に住す。一天州牧王常侍に謁して、辭退して將に門を出でんとす、牧は召して說いた、「和尚。」老師は回顧す。牧は柱を敲くこと三下。老師は手を以て圓相を作し、復た三たび之を撥りて、便ち行く。後に武昌大寂寺に住す。一天大衆は晩參に、老師は人人が上りて老師の前に不審を道うを見て、乃ち衆に謂って說いた、「大衆、適來の聲は什麼の處に向かいて去れり。」一僧有りて指頭を豎起す。老師は說いた、「珍重。」其の僧は來朝に至りて上參す、老師は乃ち身を轉じて壁に面して臥し、佯りて呻吟の聲を作して說いた、「老僧は三兩日より來る、多からず安樂。大德の身の邊に什麼の藥物有るか、老僧に些を與えよ。」小僧は手を以て淨瓶を拍ちて說いた、「此の個の淨瓶は什麼の處に得來れる。」老師は說いた、「此の個は是れ老僧の底。大德の底は什麼の處に在る。」說いた、「亦た是れ和尚の底、亦た是れ某甲の底。」

潭州三角山總印禪師

潭州三角山總印禪師

僧問。如何是三寶。師曰。禾.麥.豆。曰。學人不會。師曰。大眾欣然奉持。上堂。若論此事。眨上眉毛。早已蹉過也。麻谷便問。眨上眉毛即不問。如何是此事。師曰。蹉過也。谷乃掀倒禪床。師便打(長慶代雲。悄然)。

僧は問うた、「如何なるか是れ三寶。」老師は說いた、「禾、麥、豆。」說いた、「學人は會せず。」老師は說いた、「大衆は欣然として奉持す。」堂に上りて、「若し此の事を論ぜば、眉毛を眨ぐ上、早已に蹉過せり。」麻谷は便ち問うた、「眉毛を眨ぐ上は即ち問わず、如何なるか是れ此の事。」老師は說いた、「蹉過せり。」谷は乃ち禪牀を掀倒す。老師は便ち打つ。(長慶は代わって說いた、「悄然。」)

池州魯祖山寶雲禪師

池州魯祖山寶雲禪師

僧問。如何是諸佛師。師曰。頭上有寶冠者不是。曰。如何即是。師曰。頭上無寶冠。洞山來參。禮拜。起。侍立。少頃而出。卻再入來。師曰。祇恁麼。祇恁麼。所以如此。山曰。大有人不肯。師曰。作麼取汝口辯。山便禮拜。僧問。如何是不言言。師曰。汝口在甚麼處。曰。無口。師曰。將甚麼吃飯。僧無對(洞山代雲。他不飢。吃甚麼飯)。師尋常見僧來。便面壁。南泉聞曰。我尋常向師僧道。向佛未出世時會取。尚不得一箇半箇。他恁麼驢年去(玄覺雲。為復唱和語。不肯語。保福問長慶。祇如魯祖。節文在甚麼處。被南泉恁麼道。長慶雲。退己讓於人。萬中無一箇。羅山雲。陳老師當時若見背上與五火抄。何故為伊解放不解收。玄沙雲。我當時若見。也與五火抄。雲居錫雲。羅山.玄沙總恁麼道。為復一般。別有道理。若擇得出許上座佛法有去處。玄覺雲。且道玄沙五火抄。打伊著不著)。

僧は問うた、「如何なるか是れ諸佛の師。」老師は說いた、「頭の上に寶冠有る者は不是。」說いた、「如何にしてか即ち是れ。」老師は說いた、「頭の上に寶冠無し。」洞山は來り參して、禮拜し、起きて、侍立す。少頃にして出づ、却って再び入り來る。老師は說いた、「只だ恁麼、只だ恁麼、如此する所以也。」山は說いた、「大いに人の肯んぜざる有り。」老師は說いた、「作麼にしてお前の口辯を取る。」山は便ち禮拜す。僧は問うた、「如何なるか是れ不言の言。」老師は說いた、「お前の口は什麼の處に在る。」說いた、「口無し。」老師は說いた、「什麼を將りて飯を喫する。」僧は對無し。(洞山は代わって說いた、「他は飢えず、什麼の飯を喫する。」)老師は尋常僧の來るを見ては、便ち壁に面す。南泉は聞きて說いた、「我は尋常師僧に向かいて道う、佛の未だ世に出でざる時に會取して、尚ほ一個半個を得ず。他は恁麼に驢年に去れ。」(玄覺は說いた、「爲に復た唱和の語か、肯んぜざるの語か。」保福は長慶に問うた、「只だ魯祖の如く、節文は什麼の處に在りて、南泉に恁麼に道わる。」長慶は說いた、「己を退きて人に讓る、萬の中に一個無し。」羅山は說いた、「陳老師は當時若し見ば、背上に五火抄を與えん。何の故ぞ。伊が解する放するも解せず收を爲る。」玄沙は說いた、「我は當時若し見ば、も亦た五火抄を與えん。」雲居錫は說いた、「羅山・玄沙は總て恁麼に道う、爲に復た一般か、別に道理有るか。若し擇し出すを得ば、上座の佛法に去處有るを許す。」玄覺は說いた、「且く道え玄沙の五火抄は、伊に打ち著く著かざる。」)

常州芙蓉山太毓禪師

常州芙蓉山太毓禪師

金陵范氏子。因行食到龐居士前。士擬接。師乃縮手曰。生心受施。淨名早訶。去此一機。居士還甘否。士曰。當時善現。豈不作家。師曰。非關他事。士曰。食到口邊。被他奪卻。師乃下食。士曰。不消一句。士又問。馬大師著實為人處。還分付吾師否。師曰。某甲尚未見他。作麼生知他著實處。士曰。祇此見知。也無討處。師曰。居士也不得一向言說。士曰。一向言說。師又失宗。若作兩向三向。師還開得口否。師曰。直是開口不得。可謂實也。士撫掌而出。寶曆中。歸齊雲入滅。諡大寶禪師。

金陵の范氏の子。因って食を行じて龐居士の前に到れば、士は接せんと擬す。老師は乃ち手を縮めて說いた、「心を生じて施を受くるは、淨名は早く訶す。此の一機を去りて、居士は還って甘んずるか。」士は說いた、「當時の善現は、豈に作家ならざらん。」老師は說いた、「他の事に關せず。」士は說いた、「食は口の邊に到れど、他に奪却さる。」老師は乃ち食を下す。士は說いた、「一句を消さず。」士は又た問うた、「馬大師の實に人に爲る處を著く、還って吾が師に分付するか。」老師は說いた、「某甲は未だ他を見ず、作麼生に他の實處を著くを知らん。」士は說いた、「只だ此の見知も、亦た討處無し。」老師は說いた、「居士も亦た一向に言說するを得ず。」士は說いた、「一向に言說すれば、師は又た宗を失う。若し兩向三向を作さば、師は還って口を開くを得るか。」老師は說いた、「直に是れ口を開くを得ず、實と謂う可し。」士は掌を撫して出づ。寶曆の中、齊雲に歸りて滅に入る。諡して大寶禪師と曰う。

唐州紫玉山道通禪師

唐州紫玉山道通禪師

盧江何氏子。隨父守官泉南。因而出家。詣建陽。謁馬祖。祖尋遷龔公山。師亦隨之。祖將歸寂。謂師曰。夫玉石潤山秀麗。益汝道業。遇可居之。師不曉其言。是秋遊洛。回至唐州。西見一山。四面懸絕。峰巒秀異。因詢鄉人。曰。紫玉山。師乃陟山頂。見石方正。瑩然紫色。歎曰。此其紫玉也。先師之言懸記耳。遂剪茅構舍而居焉。後學徒四集。僧問。如何出得三界去。師曰。汝在裡許。得多少時也。曰。如何出離。師曰。青山不礙白雲飛。於頔相公問。如何是黑風吹其船舫。漂墮羅剎鬼國。師曰。於頔客作漢。問恁麼事作麼。於公失色。師乃指曰。這箇便是漂墮羅剎鬼國。公又問。如何是佛。師喚相公。公應諾。師曰。更莫別求(藥山聞曰。噫。可惜於家漢生埋向紫玉山中。公聞。乃謁見藥山。山問曰。聞相公在紫玉山中大作佛事。是否。公曰。不敢。乃曰。承聞有語相救。今日特來。山曰。有疑但問。公曰。如何是佛。山召於頔。公應諾。山曰。是甚麼。公於此有省)。元和八年。弟子金藏參百丈回。師曰。汝其來矣。此山有主也。於是囑付訖。筞杖徑去襄州。道俗迎之。至七月十五日。無疾而終。

廬江の何氏の子。父に隨いて官を泉南に守りて、因って出家す。建陽に詣りて、馬祖に謁す。祖は尋いで龔公山に遷りて、老師も亦た之に隨う。祖は將に寂に歸らんとして、老師に謂って說いた、「夫れ玉石は山を潤して秀麗なり、お前の道業を益す、遇うべくして之に居れ。」老師は其の言を曉えず。是の秋に洛に遊びて、回りて唐州に至りて、西に一山を見て、四面は懸絕して、峰巒は秀異なり、因って鄉人に詢ぬ。說いた、「紫玉山。」老師は乃ち山頂に陟りて、石が方正にして、瑩然として紫色なるを見て、歎じて說いた、「此れ其の紫玉也。先師の言は懸記のみ。」遂に茅を剪りて舍を構えて而るに居す。後に學徒は四集す。僧は問うた、「如何にしてか三界を出で得て去らん。」老師は說いた、「お前は裏許に在りて、多少の時を得た。」說いた、「如何にしてか出離せん。」老師は說いた、「青山は白雲の飛ぶを礙えず。」于頔相公は問うた、「如何なるか是れ黑風が其の船舫を吹きて、漂いて羅刹の鬼國に墮つ。」老師は說いた、「于頔の客作の漢、恁麼の事を問いて作麼。」于公は色を失う。老師は乃ち指して說いた、「此の個は便ち是れ漂墮して羅刹の鬼國。」公は又た問うた、「如何なるか是れ佛。」老師は相公を喚ぶ。公は應諾す。老師は說いた、「更に別に求むる莫れ。」(藥山は聞きて說いた、「噫、惜しむべし于家の漢は紫玉山の中に向かいて生きたるまま埋めらる。」公は聞きて、乃ち藥山を謁見す。山は問いて說いた、「相公は紫玉山の中に在りて大いに佛事を作すと聞く、是れ否。」公は說いた、「敢えず。」乃ち說いた、「語有りて相救すると承聞して、今日は特に來れり。」山は說いた、「疑有れば但だ問え。」公は說いた、「如何なるか是れ佛。」山は于頔を召す。公は應諾す。山は說いた、「是れ什麼。」公は此に於いて省有り。)元和八年、弟子金藏は百丈に參して回る。老師は說いた、「お前は其れ來れり。此の山は主有り。」是に於いて囑付して訖えて、杖を策して徑ちに襄州に去る。道俗は之を迎う。七月十五日に至りて、疾無くして終わる。

五臺山隱峰禪師

五臺山隱峰禪師

邵武軍鄧氏子(時稱鄧隱峰)。幼若不慧。父母聽其出家。初遊馬祖之門。而未能覩奧。復來往石頭。雖兩番不捷(語見馬祖章)。而後於馬祖言下相契。師問石頭。如何得合道去。頭曰。我亦不合道。師曰。畢竟如何。頭曰。汝被這箇得多少時邪。石頭剗草次。師在左側。叉手而立。頭飛剗子。向師前剗一株草。師曰。和尚祇剗得這箇。不剗得那箇。頭提起剗子。師接得。便作剗草勢。頭曰。汝祇剗得那箇。不解剗得這箇。師無對(洞山雲。還有堆阜麼)。師一日推車次。馬祖展腳在路上坐。師曰。請師收足。祖曰。已展不縮。師曰。已進不退。乃推車碾損祖腳。祖歸法堂。執斧子曰。適來碾損老僧腳底出來。師便出於祖前。引頸。祖乃置斧。師到南泉。覩眾僧參次。泉指淨瓶曰。銅瓶是境。瓶中有水。不得動著境。與老僧將水來。師拈起淨瓶。向泉面前瀉。泉便休。師後到溈山。便入堂於上板頭解放衣缽。溈聞師叔到。先具威儀。下堂內相看。師見來。便作臥勢。溈便歸方丈。師乃發去。少間。溈山問侍者。師叔在否。曰。已去。溈曰。去時有甚麼語。曰。無語。溈曰。莫道無語。其聲如雷。師冬居衡嶽。夏止清涼。唐元和中薦登五臺。路出淮西。屬吳元濟阻兵。違拒王命。官軍與賊軍交鋒。未決勝負。師曰。吾當去解其患。乃擲錫空中。飛身而過。兩軍將士仰觀。事符預夢。鬬心頓息。師既顯神異。慮成惑眾。遂入五臺。於金剛窟前將示滅。先問眾曰。諸方遷化。坐去臥去。吾嘗見之。還有立化也無。曰。有。師曰。還有倒立者否。曰。未嘗見有。師乃倒立而化。亭亭然其衣順體。時眾議舁就茶毗。屹然不動。遠近瞻覩。驚歎無已。師有妹為尼。時亦在彼。乃拊而咄曰。老兄。疇昔不循法律。死更熒惑於人。於是以手推之。僨然而踣。遂就闍維。收舍利建塔。

邵武軍の鄧氏の子(時に鄧隱峰と稱す)。幼くして慧あらざるが若くして、父母は其の出家を聽す。初め馬祖の門に遊ぶも、而るに未だ奧を睹る能わず。復た石頭に來往して、兩番捷たざると雖も(語は馬祖の章に見ゆ)。而して後に馬祖の言下に於いて相契す。老師は石頭に問うた、「如何にしてか道に合して去るを得ん。」頭は說いた、「我も亦た道に合せず。」老師は說いた、「畢竟は如何。」頭は說いた、「お前は此の個に被れて多少の時ぞ。」石頭が草を鏟る次、老師は左側に在りて、手を叉して立つ。頭は鏟子を飛ばして、老師の前に向かいて一株の草を鏟る。老師は說いた、「和尚は只だ此の個を鏟得して、那の個を鏟得せず。」頭は鏟子を提起す。老師は接得して、便ち草を鏟る勢を作す。頭は說いた、「お前は只だ那の個を鏟得して、此の個を鏟得するを解せず。」老師は對無し。(洞山は說いた、「還って堆阜有るか。」)老師は一天車を推す次、馬祖は脚を展べて路の上に坐す。老師は說いた、「師に足を收むを請う。」祖は說いた、「已に展べて縮まず。」老師は說いた、「已に進みて退かず。」乃ち車を推して祖の脚を碾損す。祖は法堂に歸りて、斧子を執りて說いた、「適來老僧の脚底を碾損せし者は出で來れ。」老師は便ち祖の前に出でて、頸を引く。祖は乃ち斧を置く。老師は南泉に到りて、衆僧が參する次を睹て、泉は淨瓶を指して說いた、「銅瓶は是れ境、瓶の中に水有りて、境を動着するを得ず、老僧と水を將來れ。」老師は淨瓶を拈起して、泉の面前に向かいて瀉す。泉は便ち休む。老師は後に沩山に到りて、便ち堂に入りて上板頭に於いて衣鉢を解放す。沩は師叔の到るを聞きて、先に威儀を具えて、堂内を下りて相看す。老師は來るを見て、便ち臥の勢を作す。沩は便ち方丈に歸る。老師は乃ち發して去る。少間、沩山は侍者に問うた、「師叔は在るか。」說いた、「已に去れり。」沩は說いた、「去る時に什麼の語有りし。」說いた、「語無し。」沩は說いた、「語無しと道う莫れ、其の聲は雷の如し。」老師は冬は衡岳に居り、夏は清涼に止まる。唐の元和の中、薦めて五臺に登りて、路は淮西に出でて、吳元濟が兵を阻みて、王命に違拒するに屬す。官軍と賊軍とは交鋒して、未だ勝負を決せず。老師は說いた、「吾は當に往きて其の患を解くべし。」乃ち錫を空中に擲ちて、身を飛ばして過ぐ。兩軍の將士は仰觀して、事は預夢に符し、鬥心は頓息す。老師は既に神異を顯して、衆を惑わすことを慮りて、遂に五臺に入る。金剛窟の前に於いて將に滅を示さんとし、先に衆に問うて說いた、「諸方の遷化は、坐して去り臥して去る、吾は嘗て之を見れり。還って立ちて化する有るや無きや。」說いた、「有。」老師は說いた、「還って倒立する者有るか。」說いた、「未だ嘗て有るを見ず。」老師は乃ち倒立して化す、亭亭然として其の衣は體に順う。時に衆は舁して茶毗に就かんと議すも、屹然として動かず。遠近は瞻睹して、驚嘆已まず。老師に妹の尼と爲る有りて、時に亦た彼に在りて、乃ち拊して喝して說いた、「老兄、疇昔は法律に循わず、死して更に人を熒惑す。」是に於いて手を以て之を推せば、僨然として踣る。遂に闍維に就きて、舍利を收めて塔を建つ。

潭州石霜(亦作龍)大善禪師

潭州石霜(亦作龍)大善禪師

僧問。如何是佛法大意。師曰。春日雞鳴。曰。學人不會。師曰。中秋犬吠。上堂。大眾出來出來。老漢有箇法要。百年後不累汝。眾曰。便請和尚說。師曰。不消一堆火。

僧は問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は說いた、「春日に鷄鳴く。」說いた、「學人は會せず。」老師は說いた、「中秋に犬吠ゆ。」堂に上りて、「大衆は出で來れ出で來れ、老漢に箇の法要有りて、百年の後お前を累わず。」衆は說いた、「便ち和尚に說くを請う。」老師は說いた、「一堆の火を消さず。」

泉州龜洋無了禪師

泉州龜洋無了禪師

本郡沈氏子。年七歲。父𢹂入白重院。視之如家。因而捨愛。至十八。剃度受具於靈巖寺。後參大寂。了達祖乘。即還本院之北。樵採路絕。師一日筞杖披榛而行。遇六眸巨龜。斯須而失。乃庵此峰。因號龜洋。一日。有虎逐鹿入庵。師以杖格虎。遂存鹿命。洎將示化。乃述偈曰。八十年來辨西東。如今不要白頭翁。非長非短非大小。還與諸人性相同。無來無去兼無住。了卻本來自性空。偈畢。儼然告寂。瘞於正堂垂二十載。為山泉淹沒。門人發塔。見全身水中而浮。閩王聞之。遣使舁入府庭供養。忽臭氣遠聞。王焚香祝之曰。可還龜洋舊址建塔。言訖。異香普燻。傾城瞻禮。本道奏諡真寂大師。塔曰靈覺。後弟子慧忠塟於塔左。今龜洋二真身存焉。忠得法於草菴義和尚。

本郡の沈氏の子。年七歲にして、父は攜えて白重院に入れて、之を視ること家の如くして、因って愛を捨つ。十八に至りて、靈巖寺に於いて剃度して具を受く。後に大寂に參して、祖乘を了達し、即ち本院の北に還る。樵採は路を絕つ。老師は一天杖を策して榛を披きて行きて、六眸の巨龜に遇いて、斯須にして失せ、乃ち此の峰に庵し、因って號けて龜洋と爲す。一天、虎有りて鹿を逐いて庵に入れば、老師は杖を以て虎を格えて、遂に鹿の命を存す。洎ぎ將に化を示さんとして、乃ち偈を述べて說いた、「八十年來西東を辨えり、如今は白頭翁を要せず。長にも非ず短にも非ず大小にも非ず、還って諸人と性相同じ。來無し去無し兼ねて住無し、本來自性の空なるを了却す。」偈を畢えて、儼然として寂を告ぐ。正堂に瘞めて二十載を垂れど、山泉の淹沒するを爲す。門人は塔を發きて、全身が水の中にして浮かぶを見る。閩王は之を聞きて、使を遣わして舁して府庭に入れて供養せしむるに、忽ち臭氣は遠く聞ゆ。王は香を焚きて之を祝して說いた、「還って龜洋の舊址に塔を建つべき也。」言を訖えて、異香は普く熏りて、城を傾けて瞻禮す。本道は奏して諡して真寂大師と曰い、塔は靈覺と曰う。後に弟子慧忠は塔の左に葬る。今の龜洋は二の真身存る焉。忠は草庵義和尚に於いて法を得たり。

南嶽西園蘭若曇藏禪師

南嶽西園蘭若曇藏禪師

受心印於大寂。後謁石頭。瑩然明徹。出住西園。禪侶日盛。師一日自燒浴次。僧問。何不使沙彌。師撫掌三下(僧舉似曹山。山雲。一等是拍手撫掌。就中西園奇恠。俱胝一指頭禪。葢為承當處不諦當。僧卻問曹山。西園撫掌。豈不是奴兒婢子邊事。山雲。是。雲。向上更有事也無。山雲。有。雲。如何是向上事。山叱雲。這奴兒婢子)。師養一犬。常夜經行時。其犬銜師衣。師即歸方丈。又常於門側伏守。忽一夜頻吠。奮身作猛噬之勢。詰旦。東廚有一大蟒。長數丈。張口呀氣。毒𦦨熾然。侍者請避之。師曰。死可逃乎。彼以毒來。我以慈受。毒無實性。激發則強。慈苟無緣。冤親一揆。言訖。其蟒按首徐行。倐然不見。復一夕。有群盜至。犬亦銜衣。師語盜曰。茅舍有可意物。一任將去。終無所吝。盜感其言。皆稽首而散。

大寂に於いて心印を受く。後に石頭に謁して、瑩然として明徹す。出でて西園に住し、禪侶は日に盛んなり。老師は一天自ら浴を燒く次、僧は問うた、「何ぞ沙彌を使わざる。」老師は掌を撫すること三下。(僧は曹山に擧似す。山は說いた、「一は等しく是れ手を拍ち掌を撫するに、中に就いて西園は奇怪なり。俱胝の一指頭の禪は、蓋し承當の處が諦當ならざるを爲る。」僧は却って曹山に問うた、「西園の撫掌は、豈に是れ奴兒婢子の邊の事に非ずや。」山は說いた、「是。」說いた、「向上は更に事有るや無きや。」山は說いた、「有。」說いた、「如何なるか是れ向上の事。」山は叱って說いた、「此の奴兒婢子。」)老師は一犬を養い、常に夜の經行の時、其の犬は老師の衣を銜えば、老師は即ち方丈に歸る。又た常に門の側に於いて伏守す。忽ち一夜に頻りに吠えて、身を奮いて猛噬の勢を作す。詰旦、東廚に一大蟒有りて、長さ數丈、口を張きて氣を呀えて、毒焰は熾然たり。侍者は之を避けんことを請う。老師は說いた、「死は逃る可きか。彼は毒を以て來る、我は慈を以て受く。毒は實性無くして、激發すれば則ち强し。慈は苟も緣無ければ、冤親は一揆なり。」言を訖えて、其の蟒は首を按じて徐行して、倏然として見えず。復た一夕、群盜の至る有りて、犬も亦た衣を銜む。老師は盜に語って說いた、「茅舍に意に可なる物有らば、一に任せて將去す、終に吝とする所無し。」盜は其の言に感じて、皆な稽首して散ず。

袁州楊岐山甄叔禪師

袁州楊岐山甄叔禪師

上堂。群靈一源。假名為佛。體竭形銷而不滅。金流樸散而常存。性海無風。金波自湧。心靈絕非。萬象齊照。體斯理者。不言而徧歷沙界。不用而功益玄化。如何背覺。反合塵勞。於陰界中。妄自囚執。禪月問。如何是祖師西來意。師呈起數珠。月罔措。師曰。會麼。曰。不會。師曰。某甲參見石頭來。曰。見石頭得何意旨。師指庭前鹿曰。會麼。曰。不會。師曰。渠儂得自由。唐元和十五年歸寂。茶毗獲舍利七百粒。於東峰下建塔。

堂に上りて、「群靈は一源にして、名を假りて佛と爲す。體は竭き形は銷して滅せず、金は流れ朴は散じて常に存す。性海は風無くして、金波は自ら涌く。心靈は非を絕りて、萬象は齊しく照らす。斯の理を體する者は、言わずして遍ねく沙界を歷り、用いずして功は益々玄化す。如何にしてか覺に背きて、反りて塵勞に合して、陰界の中に於いて、妄りに自ら囚囚執す。」禪月は問うた、「如何なるか是れ祖師の西來の意。」老師は數珠を呈起す。月は罔措す。老師は說いた、「會するか。」說いた、「會せず。」老師は說いた、「某甲は石頭に參見して來れり。」說いた、「石頭を見て何の意旨を得た。」老師は庭前の鹿を指して說いた、「會するか。」說いた、「會せず。」老師は說いた、「渠儂は自由を得たり。」唐の元和十五年に寂に歸す。茶毗して舍利七百粒を獲て、東峰の下に塔を建つ。

磁州馬頭峰神藏禪師

磁州馬頭峰神藏禪師

上堂。知而無知。不是無知。而說無知。便下座(南泉雲。恁麼依師道。始道得一半。黃檗雲。不是南泉駁他。要圓前話)。

堂に上りて、「知りて知ること無きは、是れ知ること無きに非ずして知ること無きと說く。」便ち座を下る。(南泉は說いた、「恁麼に師の道に依れば、始めて半を道得す。」黄檗は說いた、「是れ南泉が他を駁したに非ず、前話を圓せんと要す。」)

潭州華林善覺禪師

潭州華林善覺禪師

常持錫杖。夜出林麓間。七步一振錫。一稱觀音名號。夾山問。遠聞和尚念觀音。是否。師曰。然。山曰。騎卻頭時如何。師曰。出頭即從汝騎。不出頭騎甚麼。山無對。僧參。方展坐具。師曰。緩緩。曰。和尚見甚麼。師曰。可惜許。磕破鐘樓。其僧從此悟入。觀察使裴休訪之。問曰。還有侍者否。師曰。有一兩箇。祇是不可見客。裴曰。在甚麼處。師乃喚大空.小空。時二虎自庵後而出。裴覩之驚悸。師語二虎曰。有客。且去。二虎哮吼而去。裴問曰。師作何行業。感得如斯。師乃良久曰。會麼。曰。不會。師曰。山僧常念觀音。

常に錫杖を持して、夜は林麓の間に出でて、七步に錫を一振し、觀音の名號を一稱す。夾山は問うた、「遠く和尚が觀音を念ずるを聞く、是れ否。」老師は說いた、「然。」山は說いた、「頭を騎却する時は如何。」老師は說いた、「頭を出せば即ちお前に騎られん、頭を出さざれば什麼を騎する。」山は對無し。僧參して、方に坐具を展す。老師は說いた、「緩々。」說いた、「和尚は什麼を見る。」老師は說いた、「惜しい許し、鐘樓を磕破す。」其の僧は此より悟入す。觀察使裴休は之を訪い、問いて說いた、「還って侍者有るか。」老師は說いた、「一兩個有るも、只だ是れ客に見る可からず。」裴は說いた、「什麼の處に在る。」老師は乃ち大空・小空を喚ぶ。時に二虎は庵の後より出づ。裴は之を睹て驚悸す。老師は二虎に語って說いた、「客有り、且く去れ。」二虎は哮吼して去る。裴は問いて說いた、「師は何の行業を作して、斯くの如くを感得せし。」老師は乃ち良久して說いた、「會するか。」說いた、「會せず。」老師は說いた、「山僧は常に觀音を念ず。」

汀州水塘和尚

汀州水塘和尚

問歸宗。甚麼人。宗曰。陳州人。師曰。年多少。宗曰。二十二。師曰。闍黎未生時。老僧去來。宗曰。和尚幾時生。師竪起拂子。宗曰。這箇豈有生邪。師曰。會得即無生。曰。未會在。師無語。

歸宗に問うた、「什麼の人ぞ。」宗は說いた、「陳州の人。」老師は說いた、「年は多少。」宗は說いた、「二十二。」老師は說いた、「闍黎が未だ生まれざる時、老僧は去來す。」宗は說いた、「和尚は幾時に生まれし。」老師は拂子を豎起す。宗は說いた、「此の個に豈に生有らんや。」老師は說いた、「會得すれば即ち生無し。」說いた、「未だ會せず。」老師は語無し。

濛谿和尚

蒙溪和尚

僧問。一念不生時如何。師良久。僧便禮拜。師曰。汝作麼生會。曰。某甲終不敢無慙愧。師曰。汝卻信得及。問。本分事如何體悉。師曰。汝何不問。曰。請師答話。師曰。汝卻問得好。僧大笑而出。師曰。秖有這僧靈利。有僧從外來。師便喝。僧曰。好箇來由。師曰。猶要棒在。僧珍重便出。師曰。得能自在。

僧は問うた、「一念も生生ぜざる時は如何。」老師は良久す。僧は便ち禮拜す。老師は說いた、「お前は作麼生に會する。」說いた、「某甲は終に敢て慚愧無しとせず。」老師は說いた、「お前は却て信じ得及す。」問うた、「本分の事は如何に體悉する。」老師は說いた、「お前は何ぞ問わざる。」說いた、「師に答話を請う。」老師は說いた、「お前は却て好く問えり。」僧は大笑して出づ。老師は說いた、「只だ此の僧の靈利有り。」僧有りて外より來れば、老師は便ち喝す。僧は說いた、「好個の來由ぞ。」老師は說いた、「猶が棒を要する在り。」僧は珍重して便ち出づ。老師は說いた、「能く自在を得たり。」

溫州佛㠗和尚

溫州佛㠗和尚

尋常見人來。以柱杖卓地曰。前佛也恁麼。後佛也恁麼。問。正恁麼時作麼生。師畫一圓相。僧作女人拜。師便打。問。如何是佛法大意。師曰。賊也。賊也。問。如何是異類。師敲椀曰。花奴花奴吃飯來。

尋常、人の來るを見て、拄杖を以て地に卓して說いた、「前佛も恁麼、後佛も恁麼。」問うた、「正に恁麼の時は作麼生。」老師は一の圓相を畫す。僧は女人の拜を作す。老師は便ち打つ。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は說いた、「賊ぞ賊ぞ。」問うた、「如何なるか是れ異類。」老師は椀を敲いて說いた、「花奴花奴、飯を喫しに來い。」

烏臼和尚

烏臼和尚

玄.紹二上座參。師乃問。二禪客發足甚麼處。玄曰。江西。師便打。玄曰。久知和尚有此機要。師曰。汝既不會。後面箇師僧祇對看。紹擬近前。師便打。曰。信知同坑無異土。參堂去。問僧。近離甚處。曰。定州。師曰。定州法道何似這裡。曰。不別。師曰。若不別。更轉彼中去。便打。僧曰。棒頭有眼。不得草草打人。師曰。今日打著一箇也。又打三下。僧便出去。師曰。屈棒元來有人吃在。曰。爭柰杓柄在和尚手裡。師曰。汝若要。山僧回與汝。僧近前奪棒。打師三下。師曰。屈棒。屈棒。曰。有人吃在。師曰。草草打著箇漢。僧禮拜。師曰。卻與麼去也。僧大笑而出。師曰。消得恁麼。消得恁麼。

玄・紹の二上座參す。老師は乃ち問うた、「二禪客は發足什麼の處。」玄は說いた、「江西。」老師は便ち打つ。玄は說いた、「久しく和尚に此の機要有りを知れり。」老師は說いた、「お前は既に會せず、後面の個の師僧は只だ看對せよ。」紹は近づかんと擬すれば、老師は便ち打って說いた、「同坑に異土無しと信知す。堂に參し去れ。」僧に問うた、「近離什麼の處。」說いた、「定州。」老師は說いた、「定州の法道は此裏に何く似たる。」說いた、「別ならず。」老師は說いた、「別ならざれば、更に彼中に轉れ。」便ち打つ。僧は說いた、「棒頭に眼有りて、草草に人を打つを得ず。」老師は說いた、「今日は一個を打着したり。」又た三下打つ。僧は便ち出去す。老師は說いた、「屈棒は元來喫する人有る在り。」說いた、「爭奈杓柄は和尚の手裏に在る。」老師は說いた、「お前が要らば、山僧はお前に回え與えん。」僧は近づきて棒を奪い、老師を三下打つ。老師は說いた、「屈棒屈棒。」說いた、「喫する人有る在り。」老師は說いた、「草草に個の漢を打着せり。」僧は禮拜す。老師は說いた、「却て與麼に去れり。」僧は大笑して出づ。老師は說いた、「恁麼を消得す、恁麼を消得す。」

古寺和尚

古寺和尚

丹霞來參。經宿。明旦粥熟。行者祇盛一缽與師。又盛一椀自吃。殊不顧丹霞。霞亦自盛粥吃。者曰。五更侵早起。更有夜行人。霞問。師何不教訓行者。得恁麼無禮。師曰。淨地上不要點汙人家男女。霞曰。幾不問過這老漢。

丹霞が參に來て、宿を經る。明旦、粥熟すれば、行者は只だ一鉢を盛りて老師に與え、又た一碗を盛りて自ら喫し、殊に丹霞を顧みず。霞も亦た自ら粥を盛りて喫す。者は說いた、「五更に侵早く起きて、更に夜行の人有り。」霞は問うた、「師は何ぞ行者を教訓せざる、恁麼に無禮なるを得しめん。」老師は說いた、「淨地の上には人家の男女を點污するを要せず。」霞は說いた、「幾く此の老漢に過り問わざるを得たり。」

石臼和尚

石臼和尚

初參馬祖。祖問。甚麼處來。師曰。烏臼來。祖曰。烏臼近日有何言句。師曰。幾人於此茫然。祖曰。茫然且置。悄然一句作麼生。師乃近前三步。祖曰。我有七棒寄打烏臼。你還甘否。師曰。和尚先吃。某甲後甘。

初め馬祖に參す。祖は問うた、「什麼の處より來る。」老師は說いた、「烏臼より來る。」祖は說いた、「烏臼は近日何の言句有る。」老師は說いた、「幾人か此に於いて茫然たる。」祖は說いた、「茫然は且く置け、悄然の一句は作麼生。」老師は乃ち近づくこと三步。祖は說いた、「我に七棒有りて烏臼に寄せて打たんとす、お前還って甘んずるか。」老師は說いた、「和尚は先先づ喫し、某甲は後に甘んぜん。」

本谿和尚

本溪和尚

因龐居士問。丹霞打侍者。意在何所。師曰。大老翁見人長短在。士曰。為我與師同參。方敢借問。師曰。若恁麼從頭舉來。共你商量。士曰。大老翁不可共你說人是非。師曰。念翁年老。士曰。罪過。罪過。

龐居士の問うに因って、「丹霞が侍者を打つの、意は何の所に在る。」老師は說いた、「大老翁は人の長短を見る在り。」士は說いた、「我が師と同參するを爲め、方に敢て借問す。」老師は說いた、「若し恁麼に頭より擧來れば、お前と商量せん。」士は說いた、「大老翁はお前と人の是非を說く可からず。」老師は說いた、「翁の年老いたるを念う。」士は說いた、「罪過罪過。」

石林和尚

石林和尚

見龐居士來。乃竪起拂子曰。不落丹霞機。試道一句子。士奪卻拂子。卻自竪起拳。師曰。正是丹霞機。士曰。與我不落看。師曰。丹霞患瘂。龐公患聾。士曰。恰是。師無語。士曰。向道偶爾。又一日問士。某甲有箇借問。居士莫惜言語。士曰。便請舉來。師曰。元來惜言語。士曰。這箇問訊。不覺落他便宜。師乃掩耳。士曰。作家。作家。

龐居士の來るを見て、乃ち拂子を豎起して說いた、「丹霞の機に落ちず、試みに一句子を道え。」士は拂子を奪い却りて、却って自ら拳を豎起す。老師は說いた、「正に是れ丹霞の機。」士は說いた、「我と落ちずに看よ。」老師は說いた、「丹霞は啞に患え、龐公は聾に患えたり。」士は說いた、「恰も是れ。」老師は語無し。士は說いた、「向に偶爾と道え。」又た一天士に問うた、「某甲に個の借問有り、居士は言語を惜しむ莫れ。」士は說いた、「便ち擧來を請う。」老師は說いた、「元來言語を惜しむ。」士は說いた、「此の問訊は、覺えず他の便宜に落ちたり。」老師は乃ち耳を掩う。士は說いた、「作家作家。」

亮座主

亮座主

蜀人也。頗講經論。因參馬祖。祖問。見說座主大講得經論。是否。師曰。不敢。祖曰。將甚麼講。師曰。將心講。祖曰。心如工伎兒。意如和伎者。爭解講得。師抗聲曰。心既講不得。虗空莫講得麼。祖曰。卻是虗空講得。師不肯。便出。將下堦。祖召曰。座主。師回首。祖曰。是甚麼。師豁然大悟。便禮拜。祖曰。這鈍根阿師。禮拜作麼。師曰。某甲所講經論。將謂無人及得。今日被大師一問。平生功業。一時氷釋。禮謝而退。乃隱於洪州西山。更無消息。

蜀人なり。頗る經論を講ず。馬祖に參するに因って、祖は問うた、「座主が大に經論を講ずと見說せり、是か否か。」老師は說いた、「敢へず。」祖は說いた、「將に何を以て講ず。」老師は說いた、「心を以て講ず。」祖は說いた、「心は工伎兒の如く、意は和伎者の如し、爭でか講ずるを解せん。」老師は聲を抗げて說いた、「心は既に講ずるを得ず、虛空は講ずるを得ざるか。」祖は說いた、「却て是れ虛空は講ずるを得。」老師は肯せず、便ち出ち出づ。階を將に下らんとすれば、祖は召して說いた、「座主。」老師は首を回らす。祖は說いた、「是れ什麼ぞ。」老師は豁然として大悟し、便ち禮拜す。祖は說いた、「此の鈍根の阿師、禮拜して作麼。」老師は說いた、「某甲の講ずる所の經論は、將に人の及ぶ者無しと謂えり。今日は大師の一問に被りて、平生の功業は一時に冰釋す。」禮謝して退く。乃ち洪州の西山に隱れて、更に消息無し。

黑眼和尚

黑眼和尚

僧問。如何是不出世師。師曰。善財拄杖子。問。如何是佛法大意。師曰。十年賣炭漢。不知秤畔星。

僧は問うた、「如何なるか是れ世に出ざるの師。」老師は說いた、「善財の拄杖子。」問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は說いた、「十年炭を賣る漢は、秤畔の星を知らず。」

米嶺和尚

米嶺和尚

僧問。如何是衲衣下事。師曰。醜陋任君嫌。不掛雲霞色。師將示滅。遺偈曰。祖祖不思議。不許常住世。大眾審思惟。畢竟祇這是。言訖而寂。

僧は問うた、「如何なるか是れ衲衣下の事。」老師は說いた、「醜陋に任せて君の嫌うを掛けず、雲霞の色を掛けず。」老師は將に滅を示さんとして、遺偈を說いた、「祖祖不思議、世に常住するを許さず。大衆は審らかに思惟せよ、畢竟ただ只だ此れ。」言を訖えて寂す。

齊峰和尚

齊峰和尚

龐居士來。師曰。俗人頻頻入僧院。討箇甚麼。士回顧兩邊曰。誰恁麼道。師乃咄之。士曰。在這裡。師曰。莫是當陽道麼。士曰。背後底聻。師回首。曰。看。看。士曰。草賊大敗。士卻問。此去峰頂有幾裡。師曰。甚麼處去來。士曰。可謂峻硬。不得問者。師曰。是多少。士曰。一二三。師曰。四五六。士曰。何不道七。師曰。才道七。便有八。士曰。住得也。師曰。一任添取。士喝便出去。師隨後亦喝。

龐居士が來る。老師は說いた、「俗人は頻々として僧院に入りて、個の什麼を討つ。」士は兩邊を回顧して說いた、「誰が恁麼に道う。」老師は乃ち之を喝す。士は說いた、「此裏に在り。」老師は說いた、「當陽に道う莫れか。」士は說いた、「背後の底聻は。」老師は首を回らして說いた、「看よ看よ。」士は說いた、「草賊は大敗す。」士は却って問うた、「此より峰の頂に去ること幾里ぞ。」老師は說いた、「什麼の處に去來。」士は說いた、「峻硬と謂う可し、問する者を得ず。」老師は說いた、「是れ多少。」士は說いた、「一二三。」老師は說いた、「四五六。」士は說いた、「何ぞ七を道わざる。」老師は說いた、「纔かに七を道えば、便ち八有り。」士は說いた、「得住也。」老師は說いた、「一任せて添取せよ。」士は喝して便ち出去す。老師は後に隨いて亦た喝す。

大陽和尚

大陽和尚

因伊禪師相見。乃問伊禪。近日有一般知識。向目前指教人。了取目前事。作這箇為人。還會文彩未兆時也無。曰。擬向這裡致一問。不知可否。師曰。答汝已了。莫道可否。曰。還識得目前也未。師曰。若是目前。作麼生識。曰。要且遭人檢點。師曰。誰。曰。某甲。師便喝。伊退步而立。師曰。汝秖解瞻前。不解顧後。曰。雪上更加霜。師曰。彼此無便宜。

伊禪師の相見するに因って、乃ち伊禪に問うた、「近日に一般の知識有りて、目前に向かいて人を指教して了して目前の事を取る、此の爲人を作して、還って文彩未兆の時をも會するや否や。」說いた、「此裏に向かいて一問を致さんと擬す、可否を知らず。」老師は說いた、「お前に答え已んだ、可否と道う莫れ。」說いた、「還って目前を識得するや未だ。」老師は說いた、「若し是れ目前ならば、作麼生に識せん。」說いた、「要して且く人の檢點に遭う。」老師は說いた、「誰ぞ。」說いた、「某甲。」老師は便ち喝す。伊は退步して立つ。老師は說いた、「お前は只だ前を瞻るを解して、後を顧るを解せず。」說いた、「雪上に更に霜を加う。」老師は說いた、「彼此便乗無し。」

幽州紅螺山和尚

幽州紅螺山和尚

有頌示門人曰。紅螺山子近邊夷。度得之流半是奚。共語問醻都不會。可憐祇解那斯祁。

門人に示す頌有りて說いた、「紅螺の山子は邊夷に近く、度を得る流れは半ば是れ奚。共に語問酬會せず、可憐ただ那斯祁を解すのみ。」

百靈和尚

百靈和尚

一日與龐居士路次相逢。問曰。南嶽得力句。還曾舉向人也無。士曰。曾舉來。師曰。舉向甚麼人。士以手自指曰。龐公。師曰。真是妙德.空生也讚歎不及。士卻問。阿師得力句。是誰得知。師戴笠子便行。士曰。善為道路。師更不回首。

一天、龐居士と路次に相逢い、問うて說いた、「南嶽の得力の句、還って嘗て人に向かいて擧するや無きや。」士は說いた、「嘗て擧して來れり。」老師は說いた、「什麼の人に擧向せし。」士は手を以て自ら指して說いた、「龐公。」老師は說いた、「真に是れ妙德・空生なり、讚歎も及ばざる也。」士は却って問うた、「阿師の得力の句は、是れ誰が知り得る。」老師は笠子を戴いて便ち行く。士は說いた、「善く道路を爲せよ。」老師は更に首を回らさず。

鎮州金牛和尚

鎭州金牛和尚

每自做飯。供養眾僧。至齋時。舁飯桶到堂前作舞。呵呵大笑曰。菩薩子。吃飯來(僧問長慶。古人撫掌喚僧吃飯。意旨如何。慶雲。大似因齋慶讚。僧問大光。未審慶讚箇甚麼。光作舞。僧禮拜。光雲。這野狐精。東禪齊雲。古人自出手作飯。舞了喚人來吃。意作麼生。還會麼。祇如長慶與大光。是明古人意。別為他分析。今問上座。每日持缽掌盂時。迎來送去時。為當與古人一般。別有道理。若道別。且作麼生得別來。若一般。恰到他舞。又被喚作野狐精。有會處麼。若未會。行腳眼在甚麼處)。

每に自から飯を作して、衆僧を供養す。齋時に至れば、飯桶を舁して堂前に到りて舞を作し、呵呵として大笑して說いた、「菩薩子、飯を喫しに來い。」(僧は長慶に問うた、「古人が掌を撫して僧を喚んで飯を喫せしむ、意旨は如何。」慶は說いた、「大いに齋に因りて慶讚するに似たり。」僧は大光に問うた、「未だ審かならず慶讚する個の什麼ぞ。」光は舞を作す。僧は禮拜す。光は說いた、「此の野狐精。」東禪齊は說いた、「古人が自ら手を出して飯を作り、舞い了して人を喚んで來て喫せしむ、意は作麼生、還って會するか。只だ長慶と大光とが如きは、是れ古人の意を明して、別に他の爲に分析す。今上座に問う、每の日鉢を持し盂を掌る時、迎へ來て送り去る時、當に古人と一般と爲す、別に道理有る。若し別と道わば、且く作麼生に別たり來れ。若し一般ならば、恰も他の舞に到れば、又た野狐精と喚ばる。會する處有るか。若し未だ會せざれば、行脚の眼は什麼の處に在る。」)

洛京黑㵎和尚

洛京黑㵎和尚

僧問。如何是密室。師曰。截耳臥街。曰。如何是密室中人。師乃換手槌胷。

僧は問うた、「如何なるか是れ密室。」老師は說いた、「耳を截りて街に臥す。」說いた、「如何なるか是れ密室の中の人。」老師は乃ち手を換えて胸を槌つ。

利山和尚

利山和尚

僧問。眾色歸空。空歸何所。師曰。舌頭不出口。曰。為甚麼不出口。師曰。內外一如故。問。不歷僧祇獲法身。請師直指。師曰。子承父業。曰。如何領會。師曰。貶剝不施。曰。恁麼則大眾有賴去也。師曰。大眾且置。作麼生是法身。僧無對。師曰。汝問。我與汝道。僧問。如何是法身。師曰。空華陽𦦨。問。如何是西來意。師曰。不見如何。曰。為甚麼如此。師曰。祇為如此。

僧は問うた、「衆色は空に歸し、空は何の所に歸する。」老師は說いた、「舌頭は口を出でず。」說いた、「什麼の故に口を出でざる。」老師は說いた、「内外一如の故なり。」問うた、「僧祇を歷らずして法身を獲る、師に直指を請う。」老師は說いた、「子は父の業を承る。」說いた、「如何に領會する。」老師は說いた、「貶剝を施さず。」說いた、「恁麼に則ち大衆は頼み有りて去れり。」老師は說いた、「大衆は且く置け、作麼生か是れ法身。」僧は對無し。老師は說いた、「お前が問えば、我がお前に道わん。」僧は問うた、「如何なるか是れ法身。」老師は說いた、「空華陽焰。」問うた、「如何なるか是れ西來の意。」老師は說いた、「如何を見ず。」說いた、「什麼の故に如此なる。」老師は說いた、「只だ如此なるを爲め。」

韶州乳源和尚

韶州乳源和尚

上堂。西來的的意不妨。難道眾中莫有道得者。出來試道看。時有僧出禮拜。師便打。曰。是甚麼時節。出頭來。便歸方丈(僧舉似長慶。慶雲。不妨。不妨。資福代雲。為和尚不惜身命)。仰山作沙彌時。念經聲高。師咄曰。這沙彌念經恰似哭。曰。慧寂秖恁麼。未審和尚如何。師乃顧視。仰曰。若恁麼。與哭何異。師便休。

堂に上りて、「西來的的の意は妨げず。衆中に道得する者莫れと難えず、出で來て試みに道い看よ。」時に僧の出で禮拜する有り。老師は便ち打って說いた、「是れ什麼の時節ぞ、頭を出す。」便ち方丈に歸る。(僧は長慶に擧似す。慶は說いた、「妨げず妨げず。」資福が代わって說いた、「和尚の爲に身命を惜しまず。」)仰山が沙彌の時、經を念ずる聲高し。老師は喝して說いた、「此の沙彌は經を念ずること恰も哭くが似たり。」說いた、「慧寂は只だ恁麼、未だ審かならず和尚は如何。」老師は乃ち顧視す。仰は說いた、「若し恁麼ならば、哭くと何の異ならん。」老師は便ち休む。

松山和尚

松山和尚

同龐居士吃茶。士舉橐子曰。人人盡有分。為甚麼道不得。師曰。祇為人人盡有。所以道不得。士曰。阿兄為甚麼卻道得。師曰。不可無言也。士曰。灼然。灼然。師便吃茶。士曰。阿兄吃茶。為甚麼不揖客。師曰。誰。士曰。龐公。師曰。何須更揖。後丹霞聞。乃曰。若不是松山。幾被箇老翁惑亂一上。士聞之。乃令人傳語霞曰。何不會取未舉橐子時。

龐居士と茶を喫す。士は橐子を擧げて說いた、「人人は盡く分有るに、什麼の故に道えざる。」老師は說いた、「只だ人人が盡く有るを爲め、然る所に道えず。」士は說いた、「阿兄は什麼の故に却て道得する。」老師は說いた、「言無き可からざる也。」士は說いた、「灼然灼然。」老師は便ち茶を喫す。士は說いた、「阿兄が茶を喫する、什麼の故に客を揖せざる。」老師は說いた、「誰ぞ。」士は說いた、「龐公。」老師は說いた、「何ぞ更に揖せんを須いん。」後に丹霞が聞きて、乃ち說いた、「若し是れ松山ならざれば、幾く個の老翁の爲に惑亂せられんとす一上。」士は之を聞きて、乃ち人をして語を霞に傳えしめて說いた、「何ぞ未だ橐子を擧げざる時を會取せざる。」

則川和尚

則川和尚

蜀人也。龐居士相看次。師曰。還記得見石頭時道理否。士曰。猶得阿師重舉在。師曰。情知久參事慢。士曰。阿師老耄。不啻龐公。師曰。二彼同時。又爭幾許。士曰。龐公鮮徤。且勝阿師。師曰。不是勝我。祇欠汝箇幞頭。士拈下幞頭曰。恰與師相似。師大笑而已。師摘茶次。士曰。法界不容身。師還見我否。師曰。不是老師洎答公話。士曰。有問有答。葢是尋常。師乃摘茶不聽。士曰。莫怪適來容易借問。師亦不顧。士喝曰。這無禮儀老漢。待我一一舉嚮明眼人。師乃拋卻茶籃。便歸方丈。

蜀人なり。龐居士が相看する次、老師は說いた、「還って石頭に見る時の道理を記得するか否。」士は說いた、「猶が阿師の重擧を得て在り。」老師は說いた、「情に知る、久參の事慢なり。」士は說いた、「阿師は老耄たり、啻に龐公のみにあらず。」老師は說いた、「二彼は同時なり、又た幾許を爭わん。」士は說いた、「龐公は鮮健にして、且く阿師に勝る。」老師は說いた、「是れ我に勝つに非ず、只だお前の個の襆頭を欠く。」士は襆頭を拈下して說いた、「恰も師と相似たり。」老師は大笑するのみ。老師が茶を摘む次、士は說いた、「法界は身を容れず、師は還って我を見るか否。」老師は說いた、「是れ老師が洎た公話に答うるに非ず。」士は說いた、「問有り答有るは、蓋し是れ尋常なり。」老師は乃ち茶を摘みて聽かず。士は說いた、「適來容易に借問せしを怪す莫れ。」老師も亦た顧みず。士は喝して說いた、「此の無禮儀の老漢、我を待ちて一々明眼人に向かいて擧げん。」老師は乃ち茶籃を抛却して、便ち方丈に歸る。

忻州打地和尚

忻州打地和尚

自江西領旨。常晦其名。凡學者致問。唯以棒打地示之。時謂之打地和尚。一日被僧藏卻棒然後致問。師但張其口。僧問門人曰。秖如和尚每日有人問便打地。意旨如何。門人即於灶內取柴一片。擲在釜中。

江西より旨を領して來り、常に其の名を晦まし。凡そ學者が問を致すに、唯だ棒を以て地を打ちて之を示す。時に之を打地和尚と謂う。一天、僧に棒を藏却せられて然る後問を致され、老師は但だ其の口を張く。僧は門人に問うて說いた、「只だ和尚が每日人の問あれば便ち地を打つが如き、意旨は如何。」門人は即ち竈内に於いて柴一片を取りて、釜中に擲つ。

潭州秀溪和尚

潭州秀溪和尚

谷山問。聲色純真。如何是道。師曰。亂道作麼。山卻從東過西立。師曰。若不恁麼。即禍事也。山又從西過東立。師乃下禪床。方行兩步。被谷山捉住。曰。聲色純真。事作麼生。師便打一掌。山曰。三十年後。要箇人下茶也無在。師曰。要谷山這漢作甚麼。山呵呵大笑。

谷山は問うた、「聲色は純真なり、如何なるか是れ道。」老師は說いた、「亂に道い作麼。」山は却て東より西に過ぎて立つ。老師は說いた、「若し恁麼ならざれば、即ち禍事なり。」山は又た西より東に過ぎて立つ。老師は乃ち禪牀を下りて、方に兩步行けば、谷山に捉えられて說いた、「聲色は純真なり、事は作麼生。」老師は便ち一掌を打つ。山は說いた、「三十年の後、個の人に茶を下さんと要するに無し在り。」老師は說いた、「谷山の此の漢を要して作麼。」山は呵呵として大笑す。

江西椑樹和尚

江西椑椑樹和尚

臥次。道吾近前。牽被覆之。師曰。作麼。吾曰。葢覆。師曰。臥底是。坐底是。吾曰。不在這兩處。師曰。爭奈葢覆何。吾曰。莫亂道。師向火次。吾問。作麼。師曰。和合。吾曰。恁麼即當頭脫去也。師曰。隔濶來多少時邪。吾便拂袖而去。吾一日從外歸。師問。甚麼處去來。吾曰。親近來。師曰。用簸這兩片皮作麼。吾曰。借。師曰。他有從汝借。無作麼生。吾曰。秖為有。所以借。

臥する次、道吾が近づきて、被を牽きて之を覆う。老師は說いた、「作麼。」吾は說いた、「蓋覆。」老師は說いた、「臥する底是れか、坐する底是れか。」吾は說いた、「此の兩處に在らず。」老師は說いた、「爭奈蓋覆を何せん。」吾は說いた、「亂に道う莫れ。」老師が火に向かう次、吾は問うた、「作麼。」老師は說いた、「和合。」吾は說いた、「恁麼に即ち當頭に脫去す。」老師は說いた、「隔闊して來ること多少の時ぞ。」吾は便ち袖を拂いて去る。吾が一天外より歸りて、老師は問うた、「什麼の處に去來。」吾は說いた、「親近して來れり。」老師は說いた、「此の兩片の皮を簸いて作麼。」吾は說いた、「借。」老師は說いた、「他はお前に從りて借す有り、作麼生か無き。」吾は說いた、「只だ有るを爲め、然る所に借す。」

京兆草堂和尚

京兆草堂和尚

自罷參大寂。至海昌和尚處。昌問。甚麼處來。師曰。道場來。昌曰。這裡是甚麼處。師曰。賊不打貧人家。僧問。未有一法時。此身在甚麼處。師作一圓相。於中書身字。

大寂に參するを罷めて、海昌和尚の處に至る。昌は問うた、「什麼の處より來る。」老師は說いた、「道場より來る。」昌は說いた、「此裏は是れ什麼の處ぞ。」老師は說いた、「賊は貧人の家を打たず。」僧は問うた、「未だ一法有らざる時、此の身は什麼の處に在る。」老師は一の圓相を作り、中に於いて身の字を書す。

洞安和尚

洞安和尚

有僧辭。師曰。甚麼處去。曰。本無所去。師曰。善為闍黎。曰。不敢。師曰。到諸方。分明舉似。僧侍立次。師問。今日是幾。曰。不知。師曰。我卻記得。曰。今日是幾。師曰。今日昏晦。

僧の辭する有り。老師は說いた、「什麼の處に去る。」說いた、「本より去る所無し。」老師は說いた、「善く闍黎を爲せ。」說いた、「敢へず。」老師は說いた、「諸方に到りて、分明に擧似せよ。」僧が侍立する次、老師は問うた、「今日は是れ幾ぞ。」說いた、「知らず。」老師は說いた、「我は却て記得す。」說いた、「今日は是れ幾ぞ。」老師は說いた、「今日は昏晦なり。」

京兆興平和尚

京兆興平和尚

洞山來禮拜。師曰。莫禮老朽。山曰。禮非老朽。師曰。非老朽者不受禮。山曰。他亦不止。洞山卻問。如何是古佛心。師曰。即汝心是。山曰。雖然如此。猶是某甲疑處。師曰。若恁麼。即問取木人去。山曰。某甲有一句子。不借諸聖口。師曰。汝試道看。山曰。不是某甲。山辭。師曰。甚麼處去。山曰。㳂流無定止。師曰。法身㳂流。報身㳂流。山曰。總不作此解。師乃拊掌(保福雲。洞山自是一家。乃別雲。覔得幾人)。

洞山が來りて禮拜す。老師は說いた、「老朽を禮する莫れ。」山は說いた、「禮するは老朽に非ず。」老師は說いた、「老朽ならざる者は禮を受けず。」山は說いた、「他も亦た止まず。」洞山は却って問うた、「如何なるか是れ古佛の心。」老師は說いた、「即ちお前の心是れ。」山は說いた、「然ると雖も如此なり、猶が是れ某甲の疑う處。」老師は說いた、「若し恁麼ならば、即ち木人に問取せ。」山は說いた、「某甲に一句子有りて、諸聖の口を借らず。」老師は說いた、「お前は試みに道い看よ。」山は說いた、「是れ某甲に非ず。」山は辭す。老師は說いた、「什麼の處に去る。」山は說いた、「流に沿うて定止無し。」老師は說いた、「法身は流に沿い、報身は流に沿う。」山は說いた、「總じて此の解を作さず。」老師は乃ち掌を拊す。(保福は說いた、「洞山は自ら是れ一家なり。」乃ち別に說いた、「幾人を覓得せん。」)

逍遙和尚

逍遙和尚

鹿西和尚問。念念攀緣。心心永寂。師曰。昨晚也有人恁麼道。西曰。道箇甚麼。師曰。不知。西曰。請和尚說。師以拂子驀口打。西拂袖便出。師召眾曰。頂門上著眼。

鹿西和尚は問うた、「念念に攀緣し、心心は永寂。」老師は說いた、「昨晩も人の恁麼に道う有り。」西は說いた、「個の什麼を道う。」老師は說いた、「知らず。」西は說いた、「和尚に說くを請う。」老師は拂子を以て驀に口を打つ。西は袖を拂いて便ち出づ。老師は衆を召して說いた、「頂門の上に眼を着けよ。」

福谿和尚

福溪和尚

僧問。古鏡無瑕時如何。師良久。僧曰。師意如何。師曰。山僧耳背。僧再問。師曰。猶較些子。問。如何是自己。師曰。你問甚麼。曰。豈無方便。師曰。你適來問甚麼。曰。得恁麼顛倒。師曰。今日合吃山僧手裡棒。問。緣散歸空。空歸何所。師乃召僧。僧應諾。師曰。空在何處。曰。卻請和尚道。師曰。波斯吃胡椒。

僧は問うた、「古鏡に瑕無き時は如何。」老師は良久す。僧は說いた、「師の意は如何。」老師は說いた、「山僧は耳背なり。」僧は再び問う。老師は說いた、「猶が些子を較ぶ。」問うた、「如何なるか是れ自己。」老師は說いた、「お前は什麼を問う。」說いた、「豈に方便無からんや。」老師は說いた、「お前は適來什麼を問うた。」說いた、「恁麼に顛倒を得たり。」老師は說いた、「今日は山僧の手裏の棒を喫すに合す。」問うた、「緣散じて空に歸す、空は何の所に歸する。」老師は乃ち僧を召す。僧は諾う。老師は說いた、「空は何の處に在る。」說いた、「却って和尚に道わんことを請う。」老師は說いた、「波斯は胡椒を喫す。」

洪州水潦和尚

洪州水潦和尚

初參馬祖。問曰。如何是西來的的意。祖曰。禮拜著。師才禮拜。祖乃當𮌎蹋倒。師大悟。起來拊掌呵呵大笑曰。也大奇。也大奇。百千三昧無量妙義。祇向一毫頭上。識得根源去。禮謝而退。住後。每告眾曰。自從一吃馬祖蹋。直至如今笑不休。有僧作一圓相。以手撮向師身上。師乃三撥。亦作一圓相。卻指其僧。僧便禮拜。師打曰。這虗頭漢。問。如何是沙門行。師曰。動則影現。覺則冰生。問。如何是佛法大意。師乃拊掌呵呵大笑。凡接機。大約如此。

初め馬祖に參して、問うて說いた、「如何なるか是れ西來的的の意。」祖は說いた、「禮拜せよ。」老師は纔かに禮拜すれば、祖は乃ち當胸に踏み倒す。老師は大悟し、起きて掌を拊して呵呵と大笑して說いた、「大奇なるかな大奇なるかな。百千三昧無量の妙義、只だ一毫の頭上に向かいて、根源を識得し去れり。」禮謝して退く。住して後、每に衆に告げて說いた、「一に馬祖に踏まれ喫してより、直に如今に至るまで笑い休まず。」僧の一の圓相を作し、手を以て撮りて老師の身上に向かう有り。老師は乃ち三拨して、亦た一の圓相を作り、却って其の僧を指す。僧は便ち禮拜す。老師は打って說いた、「此の虛頭の漢。」問うた、「如何なるか是れ沙門の行。」老師は說いた、「動けば則ち影は現じ、覺れば則ち冰は生ず。」問うた、「如何なるか是れ佛法の大意。」老師は乃ち掌を拊して呵呵と大笑す。凡そ機に接するに、大約此の如し。

浮盃和尚

浮杯和尚

凌行婆來禮拜。師與坐吃茶。婆乃問。盡力道不得底句分付阿誰。師曰。浮盃無剩語。婆曰。未到浮盃。不妨疑著。師曰。別有長處。不妨拈出。婆斂手哭曰。蒼天中更添冤苦。師無語。婆曰。語不知偏正。理不識倒邪。為人即禍生。後有僧舉似南泉。泉曰。苦哉浮盃。被這老婆摧折一上。婆後聞笑曰。王老師猶少機關在。澄一禪客逢見行婆。便問。怎生是南泉猶少機關在。婆乃哭曰。可悲可痛。一罔措。婆曰。會麼。一合掌而立。婆曰。伎死禪和。如麻似粟。一舉似趙州。州曰。我若見這臭老婆。問教口瘂。一曰。未審和尚怎生問他。州便打。一曰。為甚麼卻打某甲。州曰。似這伎死漢不打。更待幾時。連打數棒。婆聞。卻曰。趙州合吃婆手裡棒。後僧舉似趙州。州哭曰。可悲可痛。婆聞此語。合掌歎曰。趙州眼光。爍破四天下。州令僧問。如何是趙州眼。婆乃竪立拳頭。僧回。舉似趙州。州作偈曰。當機覿面提。覿面當機疾。報汝凌行婆。哭聲何得失。婆以偈答曰。哭聲師已曉。已曉復誰知。當時摩竭國。幾喪目前機。

凌行婆が來りて禮拜す。老師は坐を與えて茶を喫す。婆は乃ち問うた、「力を盡くして道えざる底の句は阿誰に分付する。」老師は說いた、「浮杯に剩語無し。」婆は說いた、「未だ浮杯に到らざる、妨げず疑着せよ。」老師は說いた、「別に長處有らば、妨げず拈出せよ。」婆は手を斂めて哭いて說いた、「蒼天の中に更に冤苦を添う。」老師は語無し。婆は說いた、「語は偏正を知らず、理は倒邪を識らず、人を爲れば即ち禍は生ず。」後に僧の南泉に擧似する有り。泉は說いた、「苦しいかな浮杯、此の老婆の爲に摧折せらる一上。」婆は後に聞きて笑って說いた、「王老師は猶が機關を少くする在り。」澄一禪客が行婆に逢い見て、便ち問うた、「怎生か是れ南泉が猶が機關を少くする在る。」婆は乃ち哭いて說いた、「悲しむ可し痛む可し。」一は罔措す。婆は說いた、「會するか。」一は合掌して立つ。婆は說いた、「伎死の禪和は、麻の如く粟に似たり。」一は趙州に擧似す。州は說いた、「我が若し此の臭老婆を見れば、問して口を啞ならしめん。」一は說いた、「未だ審かならず和尚は怎生に他を問わん。」州は便ち打つ。一は說いた、「什麼の故に却て某甲を打つ。」州は說いた、「此の伎死の漢に似たり、打たずば更に幾時を待たん。」連れて數棒を打つ。婆は聞きて、却って說いた、「趙州は婆の手裏の棒を喫すに合す。」後に僧の趙州に擧似する有り。州は哭いて說いた、「悲しむ可し痛む可し。」婆は此の語を聞きて、合掌して歎じて說いた、「趙州の眼光は、四天下を爍破す。」州は僧をして問わしめて說いた、「如何なるか是れ趙州の眼。」婆は乃ち拳頭を豎立す。僧は回りて、趙州に擧似す。州は偈を作して說いた、「機に當りて觌面に提す、觌面に機に當りて疾し。お前に報ゆ凌行婆、哭聲は何ぞ得と失とせん。」婆は偈を以て答えて說いた、「哭聲は師已に曉れり、已に曉れるに復た誰が知らん。當時の摩竭國、幾くか目前の機を喪したる。」

潭州龍山和尚(亦云隱山)

潭州龍山和尚(亦云隱山)

問僧。甚麼處來。曰。老宿處來。師曰。老宿有何言句。曰。說則千句萬句。不說則一字也無。師曰。恁麼則蠅子放卵。僧禮拜。師便打。洞山與密師伯經由。見溪流菜葉。洞曰。深山無人。因何有菜隨流。莫有道人居否。乃共議撥草溪行。五七里間。忽見師羸形異貌。放下行李問訊。師曰。此山無路。闍黎從何處來。洞曰。無路且置。和尚從何而入。師曰。我不從雲水來。洞曰。和尚往此山多少時邪。師曰。春秋不涉。洞曰。和尚先住。此山先住。師曰。不知。洞曰。為甚麼不知。師曰。我不從人天來。洞曰。和尚得何道理。便住此山。師曰。我見兩箇泥牛鬬入海。直至於今絕消息。洞山始具威儀禮拜。便問。如何是主中賓。師曰。青山覆白雲。曰。如何是賓中主。師曰。長年不出戶。曰。賓主相去幾何。師曰。長江水上波。曰。賓主相見。有何言說。師曰。清風拂白月。洞山辭退。師乃述偈曰。三間茅屋從來住。一道神光萬境閑。莫把是非來辨我。浮生穿鑿不相關。因茲燒庵。入深山不見。後人號為隱山和尚。

僧に問うた、「什麼の處より來る。」說いた、「老宿の處より來る。」老師は說いた、「老宿に何の言句有る。」說いた、「說けば則ち千句萬句、說かざれば則ち一字も無し。」老師は說いた、「恁麼に則ち蠅子の卵を放つ。」僧は禮拜す。老師は便ち打つ。洞山と密師伯とが經由して、溪流の菜葉を見たり。洞は說いた、「深山に人無し、因何に菜の流に隨う有る。道人の居するや莫れ否。」乃ち共に議りて草を撥きて溪行す。五七里の間、忽ち老師の羸形異貌を見て、行李を放下して問訊す。老師は說いた、「此の山に路無し、闍黎は何の處よりか來る。」洞は說いた、「路無しは且く置け、和尚は何よりか入りし。」老師は說いた、「我は雲水より來らず。」洞は說いた、「和尚が此の山に住する多少の時ぞ。」老師は說いた、「春秋は渉らず。」洞は說いた、「和尚が先に住せし、此の山が先に住せし。」老師は說いた、「知らず。」洞は說いた、「什麼の故に知らざる。」老師は說いた、「我は人天より來らず。」洞は說いた、「和尚は何の道理を得て、便ち此の山に住する。」老師は說いた、「我は兩個の泥牛の鬥いで海に入るを見て、直に于今に至るまで消息を絕つ。」洞山は始めて威儀を具えて禮拜し、便ち問うた、「如何なるか是れ主中の賓。」老師は說いた、「青山は白雲を覆う。」說いた、「如何なるか是れ賓中の主。」老師は說いた、「長年戸を出でず。」說いた、「賓主は相去ること幾何ぞ。」老師は說いた、「長江の水上の波。」說いた、「賓主が相見えば、何の言說有る。」老師は說いた、「清風は白月を拂う。」洞山は辭して退く。老師は乃ち偈を述べて說いた、「三間の茅屋は從來住す、一道の神光は萬境に閑なり。是非を把りて我を辨ずること莫れ、浮生は穿鑿して相關らず。」茲に因って庵を燒きて、深山に入りて見えず。後の人は號けて隱山和尚と爲す。

襄州居士龐蘊者

襄州居士龐蘊

衡州衡陽縣人也。字道玄。世本儒業。少悟塵勞。志求真諦。唐貞元初謁石頭。乃問。不與萬法為侶者是甚麼人。頭以手掩其口。豁然有省。後與丹霞為友。一日。石頭問曰。子見老僧以來。日用事作麼生。士曰。若問日用事。即無開口處。乃呈偈曰。日用事無別。唯吾自偶諧。頭頭非取捨。處處沒張乖。朱紫誰為號。丘山絕點埃。神通並妙用。運水及搬柴。頭然之。曰。子以緇邪。素邪。士曰。願從所慕。遂不剃染。後參馬祖。問曰。不與萬法為侶者是甚麼人。祖曰。待汝一口吸盡西江水。即向汝道。士於言下頓領玄旨。乃留駐。參承二載。有偈曰。有男不婚。有女不嫁。大家團欒頭。共說無生話。自爾機辯迅捷。諸方嚮之。因辭藥山。山命十禪客相送至門首。士乃指空中雪曰。好雪。片片不落別處。有全禪客曰。落在甚處。士遂與一掌。全曰。也不得草草。士曰。恁麼稱禪客。閻羅老子未放你在。全曰。居士作麼生。士又掌曰。眼見如盲。口說如瘂。甞遊講肆。隨喜金剛經。至無我無人處致問曰。座主。既無我無人。是誰講誰聽。主無對。士曰。某甲雖是俗人。粗知信向。主曰。祇如居士意作麼生。士以偈答曰。無我復無人。作麼有疎親。勸君休歷座。不似直求真。金剛般若性。外絕一纖塵。我聞並信受。總是假名陳。主聞偈。欣然仰歎。居士所至之處。老宿多往復問醻。皆隨機應響。非格量軌轍之可拘也。元和中。北遊襄漢。隨處而居。有女名靈照。常鬻竹漉籬以供朝夕。士有偈曰。心如境亦如。無實亦無虗。有亦不管。無亦不拘。不是賢聖。了事凡夫。易復易。即此五蘊有真智。十方世界一乘同。無相法身豈有二。若捨煩惱入菩提。不知何方有佛地。護生須是殺。殺盡始安居。會得箇中意。鐵船水上浮。士坐次。問靈照曰。古人道。明明百草頭。明明祖師意。如何會。照曰。老老大大作這箇語話。

是れ衡州衡陽縣の人。字は道玄。世は本より儒業。少くして塵勞を悟りて、真諦を志し求む。唐の貞元の初め石頭に謁して、乃ち問うた、「萬法と侶と爲らざる者は是れ什麼の人ぞ。」頭は手を以て其の口を掩う。豁然として省有り。後に丹霞と友を爲す。一天、石頭は問うて說いた、「子が老僧を見てより來る、日用の事は作麼生。」士は說いた、「若し日用の事を問わば、即ち開口の處無し。」乃ち偈を呈して說いた、「日用の事は別無し、唯だ吾が自ら偶譜す。頭頭は取舍に非ず、處處は張乖を没す。朱紫は誰が號けを爲す、丘山は點埃を絕す。神通と並びに妙用とは、水を運びて柴を搬く。」頭は之を然として說いた、「子は緇を以てするか、素を以てするか。」士は說いた、「慕う所に從わんことを願う。」遂に剃染せず。後に馬祖に參して、問うて說いた、「萬法と侶と爲らざる者は是れ什麼の人ぞ。」祖は說いた、「お前が一口に西江の水を吸い盡くすを待ちて、即ちお前に向かいて道わん。」士は言下に於いて頓に玄旨を領し、乃ち留駐して、參承すること二載。偈有りて說いた、「男有るに婚せず、女有るに嫁せず。大家は團欒頭、共に無生の話を說く。」自爾より機辯は迅捷にして、諸方は之に向う。藥山を辭するに因って、山は十禪客をして相送せしめて門首に至らしむ。士は乃ち空中の雪を指して說いた、「好き雪ぞ、片片は別處に落ちず。」全禪客有りて說いた、「甚處に落つ。」士は遂に一掌を與う。全は說いた、「草草たるを得ず。」士は說いた、「恁麼に禪客と稱する、閻羅老子は未だお前を放さざる在り。」全は說いた、「居士は作麼生。」士は又た掌して說いた、「眼の見ること盲の如く、口の說くこと啞の如し。」嘗て講肆に遊びて、『金剛經』に随喜して、無我無人の處に至りて問を致して說いた、「座主、既に無我無人なり、是れ誰が講り誰が聽く。」主は對無し。士は說いた、「某甲は俗人なりと雖も、麁かに信向を知る。」主は說いた、「只だ居士の意の作麼生が如き。」士は偈を以て答えて說いた、「無我復た無人、作麼か疏親有らん。君に勸む座を歷るを休めよ、直に真を求むるに似ず。金剛般若の性は、外に一纖塵を絕つ。我聞くと並びに信受とは、總じて是れ假名の陳。」主は偈を聞きて、欣然として仰歎す。居士の至る所の處は、老宿は多く往復して問酬し、皆な機に隨りて響に應ず、格量の軌轍の拘る可きに非ざる也。元和の中、北に襄漢に遊びて、處に隨いて居す。女有りて名は靈照、常に竹漉籬を鬻ぎて朝夕を供す。士に偈有りて說いた、「心は境の如く亦た如し、實無くして亦た虛無し。有るも亦た管せず、無きも亦た拘らず。是れ賢聖ならず、事を了せる凡夫なり。易くして復た易し、即ち此の五蘊に真智有り。十方の世界は一乘と同じ、無相の法身は豈に二有らん。若し煩惱を捨てて菩提に入らば、何方に佛地有るを知らず。生を護るは須らく是れ殺せん、殺し盡くして始めて安居す。個中の意を會得すれば、鐵船は水の上に浮かぶ。」士が坐する次、靈照に問うて說いた、「古人の說く、明明たる百草の頭、明明たる祖師の意。如何に會する。」照は說いた、「老老大大として此の語話を作す。」

士曰。你作麼生。照曰。明明百草頭。明明祖師意。士乃笑。士因賣漉籬。下橋吃撲。靈照見。亦去爺邊倒。士曰。你作甚麼。照曰。見爺倒地。某甲相扶。士將入滅。謂靈照曰。視日早晚及午以報。照遽報。日已中矣。而有蝕也。士出戶觀次。靈照即登父座。合掌坐亡。士笑曰。我女鋒捷矣。於是更延七日。州牧於公頔問疾次。士謂之曰。但願空諸所有。慎勿實諸所無。好住。世間皆如影響。言訖。枕於公膝而化。遺命焚棄江湖。緇白傷悼。謂禪門龐居士。即毗耶淨名矣。有詩偈三百餘篇傳於世。

士は說いた、「お前は作麼生。」照は說いた、「明明たる百草の頭、明明たる祖師の意。」士は乃ち笑う。士は漉籬を賣るに因って、橋を下りて撲を喫す。靈照は見て、亦た爺の邊に去りて倒る。士は說いた、「お前は什麼を作す。」照は說いた、「爺の地に倒るるを見て、某甲が相扶く。」士は將に滅に入らんとして、靈照に謂えて說いた、「日の早晚を視て、午に及びて以て報え。」照は遽かに報えて說いた、「日は已に中なるも、而して蝕有る也。」士は戸を出でて觀る次、靈照は即ち父の座に登りて、合掌して坐亡す。士は笑って說いた、「我が女は鋒捷なるかな。」是に於いて更に七日を延ばす。州牧于公頔が疾を問う次、士は之に謂えて說いた、「但だ願わくは諸の所有を空くして、愼んで諸の所無を實にする勿れ。好く住せ。世間は皆な影響の如し。」言を訖えて、于公の膝に枕して化す。遺命は焚して江湖に棄つ。緇白は傷悼して、禪門の龐居士は即ち毗耶の淨名なりと謂う。詩偈三百餘篇有りて世に傳う。

五燈會元 卷第三

五燈會元巻第四

南嶽下三世

南嶽下三世

百丈海禪師法嗣

百丈海禅師法嗣

洪州黃檗希運禪師

洪州黄檗希運禅師

閩人也。幼於本州黃檗山出家。額間隆起如珠。音辭朗潤。志意沖澹。後遊天台逢一僧。與之言笑。如舊相識。熟視之。目光射人。乃偕行。屬㵎水暴漲。捐笠植杖而止。其僧率師同渡。師曰。兄要渡自渡。彼即褰衣躡波。若履平地。回顧曰。渡來。渡來。師曰。咄。這自了漢。吾早知當斫汝脛。其僧歎曰。真大乘法器。我所不及。言訖不見。師後遊京師。因人啟發。乃往參百丈。丈問。巍巍堂堂。從何方來。師曰。巍巍堂堂。從嶺南來。丈曰。巍巍堂堂。當為何事。師曰。巍巍堂堂。不為別事。便禮拜。問曰。從上宗乘如何指示。丈良久。師曰。不可教後人斷絕去也。丈曰。將謂汝是箇人。乃起。入方丈。師隨後入。曰。某甲特來。丈曰。若爾。則他後不得孤負吾。丈一日問師。甚麼處去來。曰。大雄山下採菌子來。丈曰。還見大蟲麼。師便作虎聲。丈拈斧作斫勢。師即打丈一摑。丈吟吟而笑。便歸。上堂曰。大雄山下有一大蟲。汝等諸人也須好看。百丈老漢今日親遭一口。師在南泉普請擇菜次。泉問。甚麼處去。曰。擇菜去。泉曰。將甚麼擇。師竪起刀。泉曰。祇解作賓。不解作主。師以刀點三下。泉曰。大家擇菜去。泉一日曰。老僧有牧牛歌請長老和。師曰。某甲自有師在。師辭南泉。泉門送。提起師笠曰。長老身材沒量大。笠子太小生。師曰。雖然如此。大千世界總在裡許。泉曰。王老師聻。師戴笠便行。師在鹽宮殿上禮佛次。時唐宣宗為沙彌。問曰。不著佛求。不著法求。不著僧求。長老禮拜。當何所求。師曰。不著佛求。不著法求。不著僧求。常禮如是事。彌曰。用禮何為。師便掌。彌曰。大麤生。師曰。這裡是甚麼所在。說麤說細。隨後又掌。裴相國鎮宛陵。建大禪苑。請師說法。以師酷愛舊山。還以黃檗名之。公一日拓一尊佛於師前。跪曰。請師安名。師召曰。裴休。公應諾。師曰。

閩の人である。幼い頃、本州の黄檗山で出家した。額のあいだに珠のような隆起があり、声は朗らかで、志は淡白だった。後に天台山を遊んで一人の僧に出逢い、語らい笑うこと旧知のようだった。よく見ると、その目は人を射抜くような光を放ち、それでともに行くことにした。ちょうど渓水が急に増水し、笠を脱ぎ杖を突いて立ち止まった。その僧が師を誘ってともに渡ろうとした。師は言った。「あなたが渡りたければ、自分で渡るがいい。」すると彼は衣を褰げて波の上を歩み、平地を踏むようで、振り返って言った。「渡れ、渡れ。」師は言った。「とっ、この自了漢め。お前の脛を斫ってやるべきだったと分かっていたのだ。」その僧は嘆じて言った。「まことに大乘の法器だ。私の及ぶところではない。」言い終わると姿を消した。師は後に京師を遊び、人の啓発によって百丈に参じた。丈は問うた。「堂堂たる威風の者よ、どこから来たのか。」師は言った。「堂堂たる威風で、嶺南から来ました。」丈は言った。「堂堂たる威風で、何事のために来たのか。」師は言った。「堂堂たる威風で、他の事のためではありません。」そのまま礼拜した。問うていった。「上代より伝わる宗乗を、どのように指示していただけますか。」丈はしばらく黙っていた。師は言った。「後の人々に断絶させてはなりません。」丈は言った。「てっきり汝は一人前の人かと思っていたぞ。」立ち上がって方丈に入った。師は後に続いて入り、言った。「某甲はわざわざ参じました。」丈は言った。「そうであるなら、後日、吾を裏切ってはならぬ。」丈がある日師に問うた。「どこへ行って来たのか。」答えて言った。「大雄山の下に茸を採りに行って来ました。」丈は言った。「大蟲(虎)に会ったか。」師はすぐに虎の吼え声をまねた。丈は斧を取って斫りつける構えをした。師はすぐに丈の頬を一つ張った。丈はにこにこと笑い、そのまま帰って行った。上堂して言った。「大雄山の下に一頭の大蟲がいる。汝らもよく気をつけて見ておくがいい。百丈老漢は今日、自ら一口を喰らった。」師が南泉の普請(作務)で菜を摘んでいる時、泉が問うた。「どこへ行くのか。」答えて言った。「菜を摘みに行きます。」泉は言った。「何をもって摘むのか。」師は菜切り刀を竪に立てた。泉は言った。「賓となることは解しても、主となることを解さぬな。」師は刀で三下を点じた。泉は言った。「みんなで菜を摘みに行こう。」泉がある日言った。「老僧に牧牛の歌がある。長老に和してもらいたい。」師は言った。「某甲には自分の師がおります。」師が南泉を辞すると、泉は門まで送り、師の笠をつまみ上げて言った。「長老の体躯はこれほど大きいのに、笠が小さすぎるな。」師は言った。「そうはいっても、大千世界はみなこの中に収まっています。」泉は言った。「王老師はどうなのだ。」師は笠をかぶってそのまま行ってしまった。師が塩宮の殿上で礼仏していた時、ちょうど唐の宣宗が沙弥であって、問うていった。「仏に求めず、法に求めず、僧に求めない。長老が礼拜なさるのは、何をお求めですか。」師は言った。「仏に求めず、法に求めず、僧に求めず、常にこのように礼しているだけです。」宣宗は言った。「礼して何になるのか。」師はすぐに頬を張った。宣宗は言った。「なんと粗野な。」師は言った。「ここはどんな場所だ。粗いだの細かいだのと言うのか。」続けてもう一つ張った。裴相国(裴休)が宛陵を鎮め、大きな禅苑を建てて師に説法を請うた。師が故山をことのほか愛していたので、やはり黄檗と名づけた。裴公がある日一尊の仏像を師の前に置き、跪いて言った。「師に名をお付けいただきたい。」師は呼んだ。「裴休。」公ははいと答えた。師は言った。

與汝安名竟。公禮拜。師因有六人新到。五人作禮。中一人提起坐具。作一圓相。師曰。我聞有一隻獵犬甚惡。僧曰。尋𦏪羊聲來。師曰。𦏪羊無聲到汝尋。曰。尋𦏪羊跡來。師曰。𦏪羊無跡到汝尋。曰。尋𦏪羊蹤來。師曰。𦏪羊無蹤到汝尋。曰。與麼則死𦏪羊也。師便休去。明日陞堂曰。昨日尋𦏪羊僧出來。僧便出。師曰。昨日公案未了。老僧休去。你作麼生。僧無語。師曰。將謂是本色衲僧。元來祇是義學沙門。便打趂出。師一日揑拳曰。天下老和尚。總在這裡。我若放一線道。從汝七縱八橫。若不放過。不消一揑。僧問。放一線道時如何。師曰。七縱八橫。曰。不放過。不消一揑時如何。師曰。普。裴相國一日請師至郡。以所解一編示師。師接置於座。略不披閱。良久曰。會麼。裴曰。未測。師曰。若便恁麼會得。猶較些子。若也形於紙墨。何有吾宗。裴乃贈詩一章曰。自從大士傳心印。額有圓珠七尺身。掛錫十年棲蜀水。浮盃今日渡漳濵。一千龍象隨高步。萬裡香花結勝因。擬欲事師為弟子。不知將法付何人。師亦無喜色。自爾黃檗門風。盛於江表矣。一日上堂。大眾雲集。乃曰。汝等諸人慾何所求。以拄杖趂之。大眾不散。師卻復坐曰。汝等諸人盡是噇酒糟漢。恁麼行腳。取笑於人。但見八百一千人處便去。不可圖他熱閙也。老漢行腳時。或遇草根下有一箇漢。便從頂門上一錐。看他若知痛癢。可以布袋盛米供養他。可中總似汝如此容易。何處更有今日事也。汝等既稱行腳。亦須著些精神好。還知道大唐國內無禪師麼。時有僧問。諸方尊宿盡聚眾開化。為甚麼卻道無禪師。師曰。不道無禪。祇是無師。闍黎不見馬大師下有八十四人坐道場。得馬師正法眼者止三兩人。廬山歸宗和尚是其一。夫出家人。須知有從上來事分始得。且如四祖下牛頭。橫說竪說。猶未知向上關捩子。

(師は続けて言った。)「お前に名を付け終えたぞ。」公は礼拜した。師のところに六人の新参が来たので、五人は礼をしたが、中の一人は坐具を掲げて円相(円を描くしぐさ)を作った。師は言った。「聞いたところ、ひどく悪い猟犬が一隻いるそうだな。」僧は言った。「羚羊の声を尋ねて来ました。」師は言った。「羚羊に声はない。何を尋ねるのか。」曰く、「羚羊の跡を尋ねて来ました。」師は言った。「羚羊に跡はない。何を尋ねるのか。」曰く、「羚羊の蹤を尋ねて来ました。」師は言った。「羚羊に蹤はない。何を尋ねるのか。」曰く、「それでは死んだ羚羊です。」師はそのまま引き下がってしまった。翌日、陞堂して言った。「昨日羚羊を尋ねた僧、出て来い。」僧はすぐに出た。師は言った。「昨日の公案はまだ了していないが、老僧はもう休んだ。お前はどうする。」僧は答えられなかった。師は言った。「てっきり本色の衲僧かと思ったら、元はといえばただの義学沙門だった。」すぐに打って追い出した。師がある日拳を握って言った。「天下の老和尚はみなここにいる。吾が一筋の道を放てば、お前たちは七縦八横に自在だ。放さなければ、一握りで消えてしまう。」僧が問うた。「一筋の道を放つ時はどうなりますか。」師は言った。「七縦八横。」曰く、「放さず一握りで消える時はどうなりますか。」師は言った。「普。」裴相国がある日師を郡に迎え、自分が著した一編を師に示した。師は受け取って座に置き、少しも開こうとしなかった。しばらくして言った。「会得したか。」裴は言った。「測りかねます。」師は言った。「そのまま会得できたなら、まだいくらかましだ。紙墨に形づけたなら、吾宗の何たるかがあろうか。」裴はそこで詩一首を贈った。「大士より心印を伝えしより、額に円珠ある七尺の身。錫を掛けて十年蜀水に棲み、杯を浮かべて今日漳濱を渡る。一千の龍象は高き歩みに随い、万里の香花は勝縁を結ぶ。師に仕えて弟子と為らんと愿うも、法を何人に付さんか知らず。」師もまた喜色を見せなかった。これより黄檗の門風は江表に盛んとなった。ある日上堂して、大衆が雲集した。そこで言った。「汝らは何を求めて来たのか。」拄杖で追い払った。大衆は散らなかった。師はまた座に戻って言った。「お前たちは皆、酒粕を喰らうような輩だ。そんな行脚をして人に笑われる。千人八百人のいる所を見ればそこへ行く。人のにぎやかさを当てにしてはならぬ。老漢が行脚していた頃、草むらの下に一人の漢に会えば、すぐに天灵の上から一錐を与えた。彼が痛痒を知るなら、布袋に米を盛って供養してやれる。みなお前たちのようにこんな容易なことなら、どうして今日の事があろうか。お前たちは行脚と名乗るからには、少しは気骨を持たねばならぬ。大唐国内に禅師がいないことを知っているか。」その時、僧が問うた。「諸方の尊宿はみな衆を集めて教化しているのに、なぜ禅師がいないと言うのですか。」師は言った。「禅がないとは言わぬ。ただ師がいないだけだ。闍黎は見ないか、馬大師の下に八十四人が道場に坐したが、馬師の正法眼を得た者はわずか二三人だった。廬山の帰宗和尚はその一人だ。出家した者は、上代より伝わる事の分を知っていてこそ一人前だ。たとえば四祖の下の牛頭は、横説竪説しても、なお向上の關捩子を知らなかった。」

有此眼目。方辨得邪正宗黨。且當人事宜。不能體會得。但知學言語念。向皮袋裡安著。到處稱我會禪。還替得汝生死麼。輕忽老宿。入地獄如箭。我才見汝入門來。便識得了也。還知麼。急須努力。莫容易事。持片衣口食。空過一生。明眼人笑汝。久後總被俗漢筭將去在。宜自看遠近。是阿誰面上事。若會即便會。若不會即散去。珍重。問。如何是西來意。師便打。自餘施設。皆被上機。中下之流。莫窺涯涘。唐大中年終於本山。諡斷際禪師。

(師は続けて言った。)「この眼目があってこそ、邪正の宗徒を弁別できる。さて目の前の人事すら体会できずに、ただ言葉を学び覚えて皮袋の中に収め、どこへ行っても『私は禅を会している』と言い張る。それでお前の生死に代われるか。老宿を軽んじれば、地獄に入ること箭のごとし。お前が門に入って来ただけで、もう見抜いていたのだ。分かるか。急いで努力しなさい。たやすいことと思うな。わずかの衣と食を得て、空しく一生を過ごすな。明眼の人はお前を笑う。後には皆、俗物に数えられてしまう。自ら遠近をよく見よ。これは誰の顔の上の事なのか。会するならそのまま会し、会せないなら散って行け。珍重。」問うた。「西来意とは何ですか。」師はすぐに打った。そのほかの施設は、みな上根の機に応じたもので、中下の輩には涯も涯も見えなかった。唐の大中年間に本山で遷化した。諡は断際禅師。

福州長慶大安禪師(號懶安)

福州長慶大安禅師(号は懶安)

郡之陳氏子。受業於黃檗山。習律乘。甞自念言。我雖勤苦。而未聞玄極之理。乃孤錫遊方。將往洪井。路出上元。逢一老父謂師曰。師往南昌。當有所得。師即造百丈。禮而問曰。學人慾求識佛。何者即是。丈曰。大似騎牛覔牛。師曰。識得後如何。丈曰。如人騎牛至家。師曰。未審始終如何保任。丈曰。如牧牛人執杖視之。不令犯人苗稼。師自茲領旨。更不馳求。同參祐禪師。創居溈山。師躬耕助道。及祐歸寂。眾請接踵住持。上堂。汝諸人總來就安。求覔甚麼。若欲作佛。汝自是佛。擔佛傍家走。如渴鹿趂陽𦦨相似。何時得相應去。汝欲作佛。但無許多顛倒攀緣.妄想惡覺.垢淨眾生之心。便是初心正覺佛。更向何處別討所以。安在溈山三十來年。吃溈山飯。屙溈山屎。不學溈山禪。祇看一頭水牯牛。若落路入草。便把鼻孔拽轉來。才犯人苗稼。即鞭撻。調伏既久。可憐生受人言語。如今變作箇露地白牛。常在面前。終日露迥迥地。趂亦不去。汝諸人各自有無價大寶。從眼門放光。照見山河大地。耳門放光。領釆一切善惡音響。如是六門。晝夜常放光明。亦名放光三昧。汝自不識取。影在四大身中。內外扶持。不教傾側。如人負重擔。從獨木橋上過。亦不教失腳。且道是甚麼物任持。便得如是。且無絲髮可見。豈不見誌公和尚雲。內外追尋覔總無。境上施為渾大有。珍重。僧問。一切施為是法身用。如何是法身。師曰。一切施為是法身用。曰。離卻五蘊。如何是本來身。師曰。地水火風。受想行識。曰。這箇是五蘊。師曰。這箇異五蘊。問。此陰已謝.彼陰未生時如何。師曰。此陰未謝。那箇是大德。曰。不會。師曰。若會此陰。便明彼陰。問。大用現前.不存軌則時如何。師曰。汝用得但用。僧乃脫膊。遶師三匝。師曰。向上事何不道取。僧擬開口。師便打。曰。這野狐精出去。有僧上法堂。

その郡の陳氏の子。黄檗山で受業し、律乗を学んだ。嘗て自ら念じた。「私は勤苦しているが、まだ玄奥の極理を聞いていない。」そこで錫杖一本で行脚に出た。洪州に向かう途中、上元を通った時、一人の老人が師に言った。「師が南昌へ行けば、得るものがあるでしょう。」師はすぐに百丈のもとへ行き、礼して問うた。「学人は仏を識りたいと求めています。どれがそれですか。」丈は言った。「まるで牛に乗って牛を探すようなものだ。」師は言った。「識り得た後はどうなりますか。」丈は言った。「人が牛に乗って家に帰るようなものだ。」師は言った。「始終どのように保任すべきか、まだ分かりません。」丈は言った。「牧童が杖を執って牛を見守り、人の苗や作物を荒らさせないようにするようなものだ。」師はこれによって旨を領し、もはや外へ駆け求めなかった。同参の祐禅師が沩山を開いて居すると、師は自ら耕して道を助けた。祐が寂すると、衆は師に跡を継いで住持するよう請うた。上堂して言った。「お前たちは皆、安のところに集まって来て、何を探しているのか。仏になりたいのなら、お前はすでに仏だ。仏を担いで他家を走り回るのは、渇いた鹿が陽炎を追うようなもので、いつ応え得るだろうか。仏になりたければ、多くの顛倒・攀縁・妄想・悪覚・垢浄衆生の心さえなければ、それがそのまま初心正覚の仏だ。どこへ別に道理を求めに行くのか。安は沩山で三十年来、沩山の飯を食い、沩山の糞を垂れ、沩山の禅は学ばず、ただ一頭の水牯牛を見ているだけだ。路を外れて草に入れば、すぐ鼻輪を引いて戻す。人の苗や作物を荒らせば、すぐ鞭打つ。調伏して久しく、かわいそうに人の言葉を聞くようになった。今では露地の白牛と化して、常に目の前にいて、一日中あらわに光って、追っても去らない。お前たちにはそれぞれ無価の大宝がある。眼の門から光を放って山河大地を照らし、耳の門から光を放って一切の善悪の音響を聞き取る。このような六門は、昼夜つねに光明を放つ。放光三昧とも名づく。お前は自分で見出さないが、その光は四大の身の中にあって、内外を支えて倒れさせない。人が重い荷を負って一本橋を渡るように、足を踏み外させもしない。さあ言ってみよ、何が支えていればこのようになるのか。しかも糸髪ほども見えるものがない。志公和尚が言ったではないか、『内外に追い求めても何もなく、境に施為すれば実に大有』と。珍重。」僧が問うた。「一切の施為は法身の用です。法身とは何ですか。」師は言った。「一切の施為は法身の用だ。」曰く、「五蘊を離れて、本来の身とは何ですか。」師は言った。「地水火風、受想行識だ。」曰く、「それは五蘊です。」師は言った。「それは五蘊とは異なる。」問うた。「この陰がすでに謝し、あの陰がまだ生じない時はどうですか。」師は言った。「この陰はまだ謝していない。あれは大徳だ。」曰く、「会しません。」師は言った。「この陰を会すれば、あの陰が明らかになる。」問うた。「大用が現前して軌則を存しない時はどうですか。」師は言った。「お前は用いられるならただ用いよ。」僧はそこで衣服を脱ぎ、師の周りを三度回った。師は言った。「向上の事をどうして言い取らない。」僧が口を開こうとした。師はすぐに打って言った。「この野狐精め、出て行け。」ある僧が法堂に上がり、

顧視東西。不見師。乃曰。好箇法堂。祇是無人。師從門裡出。曰。作麼。僧無對。雪峰因入山採得一枝木。其形似虵。於背上題曰。本自天然。不假雕琢。寄與師。師曰。本色住山人。且無刀斧痕。僧問。佛在何處。師曰。不離心。又問。雙峰上人。有何所得。師曰。法無所得。設有所得。得本無得。問。黃巢軍來。和尚向甚麼處迴避。師曰。五蘊山中。曰。忽被他捉著時如何。師曰。惱亂將軍。師大化閩城。唐中和三年歸黃檗示寂。塔於楞伽山。諡圓智禪師。

東西を見回して師の姿がないので、言った。「立派な法堂だが、人がいない。」師は門の陰から出て、言った。「何か用か。」僧は答えられなかった。雪峯が山に入って一枝の木を採り、その形が蛇に似ていたので、背に書きつけた。「本より天然、雕琢を仮らず。」師に送った。師は言った。「本色の住山人で、しかも刀斧の痕がない。」僧が問うた。「仏はどこにいますか。」師は言った。「心を離れない。」また問うた。「双峯の上人は、何を得たのですか。」師は言った。「法に得る所はない。たとい得る所があっても、その得は本より得がない。」問うた。「黄巣の軍が来たら、和尚はどこへお避けになりますか。」師は言った。「五蘊山の中。」曰く、「もし彼に捕まえられたらどうします。」師は言った。「将軍を悩ませ乱す。」師は閩城で大いに教化した。唐の中和三年、黄檗に帰って示寂した。楞伽山に塔を建てた。諡は円智禅師。

杭州大慈山寰中禪師

杭州大慈山寰中禅師

蒲坂盧氏子。頂骨圓聳。其聲如鐘。少丁母憂。廬於墓所。服闋思報罔極。乃於幷州童子寺出家。嵩嶽登戒。習諸律學。後參百丈。受心印。辭往南嶽常樂寺。結茅于山頂。一日。南泉至。問。如何是庵中主。師曰。蒼天。蒼天。泉曰。蒼天且置。如何是庵中主。師曰。會即便會。莫忉忉。泉拂袖而出。後住大慈。上堂。山僧不解答話。秖能識病。時有僧出。師便歸方丈。(法眼雲。眾中喚作病在目前。不識。玄覺雲。且道大慈識病不識病。此僧出來是病不是病。若言是病。每日行住不可總是病。若言不是病。出來又作麼生)。趙州問。般若以何為體。師曰。般若以何為體。州大笑而出。明日。州掃地次。師曰。般若以何為體。州置帚。拊掌大笑。師便歸方丈。僧辭。師問。甚麼處去。曰。江西去。師曰。我勞汝一段事得否。曰。和尚有甚麼事。師曰。將取老僧去得麼。曰。更有過於和尚者。亦不能將去。師便休。僧後舉似洞山。山曰。闍黎爭合恁麼道。曰。和尚作麼生。山曰。得(法眼別雲。和尚若去。某甲提笠子)。山又問其僧。大慈別有甚麼言句。曰。有時示眾曰。說得一丈。不如行取一尺。說得一尺。不如行取一寸。山曰。我不恁麼道。曰。和尚作麼生。山曰。說取行不得底。行取說不得底(雲居雲。行時無說路。說時無行路。不說不行時。合行甚麼路。洛浦雲。行說俱到。即本分事無。行說俱不到。即本分事在)。後屬武宗廢教。師短褐隱居。大中歲重剃染。大揚宗旨。咸通三年不疾而逝。僖宗諡性空大師。

蒲坂の盧氏の子。頂骨は丸く高く、声は鐘のようだった。幼くして母を亡くし、墓のそばに庵を結んだ。服喪が終わると罔極の恩に報いようと思い、并州の童子寺で出家した。嵩岳で具足戒を受け、諸々の律学を学んだ。後に百丈に参じて心印を受けた。辞して南岳の常楽寺に向かい、山頂に茅庵を結んだ。ある日、南泉が来て問うた。「庵の中の主とは何か。」師は言った。「蒼天、蒼天。」泉は言った。「蒼天はさておき、庵の中の主とは何か。」師は言った。「会するならただ会せよ。ごちゃごちゃ言うな。」泉は袖を払って出て行った。後に大慈に住した。上堂して言った。「山僧は問答に応じることはしない。ただ病を見分けるだけだ。」その時、一人の僧が出た。師はすぐに方丈に帰った。(法眼は言った。「衆の中で『病が目前にある』と呼ばれても、識らなかったのだ。」玄覚は言った。「さあ言ってみよ、大慈は病を識ったのか識らなかったのか。この僧が出て来たのは病か、病ではないか。もし病だと言うなら、毎日の行住がすべて病とは言えまい。もし病でないと言うなら、出て来て何をしようというのか。」)趙州が問うた。「般若は何を以って体とするか。」師は言った。「般若は何を以って体とするか。」州は大笑して出て行った。翌日、州が掃除をしている時、師は言った。「般若は何を以って体とするか。」州は箒を置き、手を叩いて大笑した。師はすぐに方丈に帰った。僧が辞した。師は問うた。「どこへ行く。」曰く、「江西へ行きます。」師は言った。「お前に一件頼んでもいいか。」曰く、「和尚にどんな用事がありますか。」師は言った。「老僧を連れて行ってくれるか。」曰く、「和尚以上のものでも、連れて行くことはできません。」師はそのままやめた。その僧は後にこの話を洞山に挙げて聞かせた。山は言った。「闍黎、どうしてそんなことを言うのか。」曰く、「和尚ならどうします。」山は言った。「連れて行く。」(法眼は別に言った。「和尚が行かれるなら、某甲が笠をお持ちしましょう。」)山はまたその僧に問うた。「大慈にはほかにどんな言句がある。」曰く、「時々衆に示して言います、『一丈説き得るより一尺行い取るが如かず。一尺説き得るより一寸行い取るが如かず』と。」山は言った。「私はそうは言わぬ。」曰く、「和尚はどう言いますか。」山は言った。「行えないことを説き取り、説けないことを行い取る。」(雲居は言った。「行う時は説く路がなく、説く時は行う路がない。説かず行わない時は、どの路を行うべきか。」洛浦は言った。「行も説も俱に至れば、本分の事はない。行も説も俱に至らなければ、本分の事がある。」)後に武宗の廃仏に遭い、師は粗衣を着て隠居した。大中の年に再び剃染し、大いに宗旨を興揚した。咸通三年、病むことなく逝った。僖宗は性空大師と諡した。

天台平田普岸禪師

天台平田普岸禅師

洪州人也。於百丈門下得旨。後聞天台勝槩。聖賢間出。思欲高蹈方外。遠追遐躅。乃結茅薙草。宴寂林下。日居月諸。為四眾所知。創平田禪院居之。上堂。神光不昧。萬古徽猷。入此門來。莫存知解。便下座。僧參。師打一拄杖。其僧近前把住拄杖。師曰。老僧適來造次。僧卻打師一拄杖。師曰。作家。作家。僧禮拜。師把住曰。是闍黎造次。僧大笑。師曰。這箇師僧今日大敗也。臨濟訪師。到路口先逢一嫂在田使牛。濟問嫂。平田路向甚麼處去。嫂打牛一棒曰。這畜生到處走。到此路也不識。濟又曰。我問你平田路向甚麼處去。嫂曰。這畜生五歲尚使不得。濟心語曰。欲觀前人。先觀所使。便有抽釘拔楔之意。及見師。師問。你還曾見我嫂也未。濟曰。已收下了也。師遂問。近離甚處。濟曰。江西黃檗。師曰。情知你見作家來。濟曰。特來禮拜和尚。師曰。已相見了也。濟曰。賓主之禮。合施三拜。師曰。既是賓主之禮。禮拜著。有偈示眾曰。大道虗曠。常一真心。善惡莫思。神清物表。隨緣飲啄。更復何為。終於本院。遺塔存焉。

洪州の人である。百丈の門下で旨を得た。後に天台の勝れた景観を聞き、聖賢が代々出ていると思い、俗世を超えて高く住し、遠い古人の跡を追おうとして、茅を結び草を刈り、林の下に静かに住んだ。月日が経つうちに四衆に知られ、平田禅院を創って住した。上堂して言った。「神光は昧らず、万古の美しい法則。この門に入って来たら、知解を蓄えるな。」そのまま下座した。僧が参ずると、師は拄杖で一打した。その僧は近寄って拄杖をつかんだ。師は言った。「老僧がさっき軽率だった。」僧はかえって師に一打した。師は言った。「手だれだ、手だれだ。」僧は礼拜した。師はつかんで言った。「それは闍黎の軽率だ。」僧は大笑した。師は言った。「この師僧は今日大敗したな。」臨済が師を訪ねて、道の口に着くと先ず一人の女性が田で牛を使っていた。済は彼女に問うた。「平田への道はどちらへ行くのですか。」彼女は牛に一棒を打って言った。「この畜生はあちこち歩き回るくせに、ここへ来て道も知らない。」済はまた言った。「私は平田への道を尋ねたのですが。」彼女は言った。「この畜生は五歳にもなってまだ使い物にならない。」済は心の中で思った。「先達を見ようと思うなら、まずその使うものを見よ。」そこで釘を抜き楔を除く意を抱いた。師に会うと、師は問うた。「お前はわしの彼女に会ったことがあるか。」済は言った。「もう収めてしまいました。」師はそこで問うた。「近くどこを離れて来た。」済は言った。「江西の黄檗です。」師は言った。「お前が手だれに会って来たことは分かっていた。」済は言った。「わざわざ和尚を礼しに来ました。」師は言った。「もう会ってしまったぞ。」済は言った。「賓主の礼では三拜を施すべきです。」師は言った。「賓主の礼なら、礼しなさい。」衆に示した偈があった。「大道は虚曠、常に一つの真心。善悪を思うな、神は清く物の表。縁に随って啄ばみ飲み、さらに何を為さん。」本院で寂し、遺塔が残っている。

瑞州五峰常觀禪師

瑞州五峯常観禅師

僧問。如何是五峰境。師曰。險。曰。如何是境中人。師曰。塞。僧辭。師曰。甚麼處去。曰。臺山去。師竪一指曰。若見文殊了。卻來這裡與汝相見。僧無語。師問。僧甚麼處來。曰。莊上來。師曰。汝還見牛麼。曰。見。師曰。見左角。見右角。僧無語。師代曰。見無左右(仰山別雲。還辨左右麼)。又僧辭。師曰。汝諸方去。莫謗老僧在這裡。曰。某甲不道和尚在這裡。師曰。汝道老僧在甚麼處。僧竪起一指。師曰。早是謗老僧也。

僧が問うた。「五峯の境とはどのようなものですか。」師は言った。「険しい。」曰く、「境の中の人とはどのようなものですか。」師は言った。「塞がっている。」僧が辞しようとした。師は言った。「どこへ行く。」曰く、「台山へ行きます。」師は指一本を立てて言った。「文殊に会い終わったら、ここへ来てお前に会おう。」僧は答えられなかった。師は問うた。「僧はどこから来た。」曰く、「荘上から来ました。」師は言った。「お前は牛を見たか。」曰く、「見ました。」師は言った。「左の角を見たか、右の角を見たか。」僧は答えられなかった。師は代わって言った。「見るに左右はない。」(仰山は別に言った。「まだ左右を弁じられるか。」)また僧が辞した。師は言った。「お前は諸方へ行っても、老僧がここにいるなどと謗るなよ。」曰く、「某甲は和尚がここにいるとは言いません。」師は言った。「では老僧はどこにいると言う。」僧は指一本を立てた。師は言った。「それでもう老僧を謗ったぞ。」

潭州石霜山性空禪師

潭州石霜山性空禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。如人在千尺井中。不假寸繩。出得此人。即答汝西來意。僧曰。近日湖南暢和尚出世。亦為人東語西話。師喚沙彌。拽出這死屍著(沙彌即仰山。山後問耽源。如何出得井中人。源曰。咄。痴漢。誰在井中。山復問溈山。溈召慧寂。山應諾。溈曰。出也。仰山住後。常舉前語謂眾曰。我在耽源處得名。溈山處得地)。

僧が問うた。「祖師西来の意とは何ですか。」師は言った。「人が千尺の井戸の中にいるとする。寸の綱も借りずにその人を出せたら、お前の西来意に答えよう。」僧は言った。「近頃湖南の暢和尚が出世して、人のためにあれこれ説いています。」師は沙弥を呼んで言った。「この死体を引きずり出せ。」(沙弥とは仰山のこと。山は後に耽源に問うた。「どうすれば井戸の中の人を出せますか。」源は言った。「とっ、愚痴な奴め、誰が井戸の中にいるというのか。」山はまた潙山に問うた。潙は慧寂と呼んだ。山ははいと答えた。潙は言った。「出たぞ。」仰山が住職となった後、いつもこの話を挙げて衆に言った。「私は耽源のところで名を得、潙山のところで地を得た。」)

福州古靈神贊禪師

福州古霊神賛禅師

本州大中寺受業。後行腳遇百丈開悟。卻回受業。本師問曰。汝離吾在外。得何事業。曰。並無事業。遂遣執役。一日。因澡身命師去垢。師乃拊背曰。好所佛堂而佛不聖。本師回首視之。師曰。佛雖不聖。且能放光。本師又一日在牕下看經。蜂子投牕紙求出。師覩之曰。世界如許廣濶不肯出。鑽他故紙驢年去。遂有偈曰。空門不肯出。投窓也大痴。百年鑽故紙。何日出頭時。本師置經。問曰。汝行腳遇何人。吾前後見汝發言異常。師曰。某甲蒙百丈和尚指箇歇處。今欲報慈德耳。本師於是告眾致齋。請師說法。師乃登座。舉唱百丈門風曰。靈光獨耀。迥脫根塵。體露真常。不拘文字。心性無染。本自圓成。但離妄緣。即如如佛。本師於言下感悟曰。何期垂老得聞極則事。師後住古靈。聚徒數載。臨遷化。剃浴聲鐘告眾曰。汝等諸人。還識無聲三昧否。眾曰。不識。師曰。汝等靜聽。莫別思惟。眾皆側聆。師儼然順寂。塔存本山。

本州の大中寺で受業した。後に行脚して百丈に遇って悟りを開き、受業の寺に戻った。本師が問うて言った。「お前は私を離れて外で、どんな修業をして来た。」曰く、「何の修業もありません。」そこで雑役を命じられた。ある日、沐浴の時に師に背中の垢をこすらせた。師は背中を撫でて言った。「立派な佛堂なのに、仏が聖ではない。」本師は顔を回して彼を見た。師は言った。「仏は聖でなくとも、光を放つことはできる。」本師がまたある日窓の下で経を読んでいると、蜂が窓紙にぶつかって出ようとしていた。師はそれを見て言った。「世界はこれほど広いのに出ようとせず、古い紙を鑚って驢年までも行く気か。」そこで偈を述べた。「空門から出ようとしない、窓に向かうも大いに愚か。百年古紙を鑚り続けて、いつの日か頭を出す時が来よう。」本師は経を置いて問うた。「お前は行脚して誰に会ったのか。近頃お前の発言がいつもと違うのを見ていた。」師は言った。「某甲は百丈和尚に歇み所を指していただき、今はその慈徳に報いたいだけです。」本師はここにおいて衆に告げて斎を設け、師に説法を請うた。師は座に上がり、百丈の門風を挙唱して言った。「霊光は独り耀き、迥かに六根六塵を脱する。体は真常を露し、文字に拘らない。心性は染まることなく、もとより自ら円成している。ただ妄縁を離れれば、すなわち如如の仏だ。」本師はこの言葉のもとで悟りを得て言った。「思いもかけず、老いさきがけて極則の事を聞けた。」師は後に古霊に住して、数年のあいだ徒を集めた。遷化に臨み、剃髪・沐浴して鐘を鳴らして衆に告げて言った。「お前たちは、無声三昧を識るか。」衆は言った。「識りません。」師は言った。「お前たちは静かに聴け。よけいな思惟をするな。」衆は皆耳を傾けた。師は厳として安らかに寂した。塔は本山に残っている。

廣州和安寺通禪師

広州和安寺通禅師

婺州雙林寺受業。自幼寡言。時人謂之不語通。因禮佛次。有禪者問。座主禮底是甚麼。師曰。是佛。禪者乃指像曰。這箇是何物。師無對。至夜。具威儀禮問。今日所問。某甲未知意旨如何。禪者曰。座主幾夏邪。師曰。十夏。禪者曰。還曾出家也未。師轉茫然。禪者曰。若也不會。百夏奚為。乃命同參馬祖。及至江西。祖已圓寂。遂謁百丈。頓釋疑情。有人問師。是禪師否。師曰。貧道不曾學禪。師良久。召其人。其人應諾。師指椶櫚樹子。其人無對。師一日召仰山將床子來。山將到。師曰。卻送本處著。山從之。師召。慧寂。山應諾。師曰。床子那邊是甚麼物。山曰。枕子。師曰。枕子這邊是甚麼物。山曰。無物。師復召。慧寂。山應諾。師曰。是甚麼。山無對。師曰。去。

婺州の双林寺で受業した。幼い頃から口数が少なく、当時の人は彼を「不語通」と呼んだ。礼仏していた時、一人の禅者が問うた。「座主が礼しているものは何ですか。」師は言った。「仏です。」禅者は仏像を指して言った。「これは何物ですか。」師は答えられなかった。夜になって、威儀を整えて礼して尋ねた。「今日のご質問の意旨が、某甲には分かりません。」禅者は言った。「座主は何夏ですか。」師は言った。「十夏です。」禅者は言った。「本当に出家したことがあるのか。」師はいっそう茫然とした。禅者は言った。「これが分からないなら、百夏いても何になる。」そこで馬祖に参ずるよう命じられた。江西に着いた時、馬祖はすでに円寂していたので、百丈に謁して、たちまち疑いが晴れた。ある人が師に問うた。「あなたは禅師ですか。」師は言った。「貧道は禅を学んだことがない。」師はしばらくしてその人を呼んだ。その人ははいと答えた。師は棕櫚の木を指した。その人は答えられなかった。師がある日仰山を呼んで「牀子を持って来い」と言った。山が持って来ようとした。師は言った。「元の所へ戻せ。」山は従った。師は呼んだ。「慧寂。」山ははいと答えた。師は言った。「牀子の向こう側は何物だ。」山は言った。「枕です。」師は言った。「枕のこちら側は何物だ。」山は言った。「物はありません。」師はまた呼んだ。「慧寂。」山ははいと答えた。師は言った。「それは何だ。」山は答えられなかった。師は言った。「行け。」

江州龍雲臺禪師

江州龍雲台禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。昨夜欄中失卻牛。

僧が問うた。「祖師西来の意とは何ですか。」師は言った。「昨夜、欄の中で牛を失いました。」

京兆衛國院道禪師

京兆衛国院道禅師

新到參。師問。何方來。曰。河南來。師曰。黃河清也未。僧無對(溈山代雲。小小狐兒。要過但過。用疑作甚麼)。師不安。不見客。有人來謁。乃曰。久聆和尚道德。忽承法體違和。略請和尚相見。師將缽鐼盛缽楮。令侍者擎出呈之。其人無對。

新参が来て参じた。師は問うた。「どこから来た。」曰く、「河南から来ました。」師は言った。「黄河は清くなったか。」僧は対がなかった。(潙山は代わって言った。「小さな狐の子よ、渡りたければ渡れ、何を疑うことがあろう。」)師は体調が優れず、客に会わなかった。ある人が謁しに来て、言った。「久しく和尚の道徳を仰ぎ聞いておりましたが、忽ち法体が違和されたと承り、どうかひと目和尚にお目にかかりたい。」師は鉢鐼に鉢楮を盛らせ、侍者に掲げて出て呈させた。その人は対がなかった。

鎮州萬歲和尚

鎮州万歳和尚

僧問。大眾雲集。合譚何事。師曰。序品第一(歸宗柔別雲。禮拜了去)。

僧が問うた。「大衆が雲集しています。いったい何事を談ずべきですか。」師は言った。「序品第一。」(帰宗柔は別に言った。「礼拜し終わったら去れ。」)

洪州東山慧禪師

洪州東山慧禅師

遊山。見一巖。僧問。此巖還有主也無。師曰。有。曰。是甚麼人。師曰。三家村裡覔甚麼。曰。如何是巖中主。師曰。汝還氣急麼。小師行腳回。師問。汝離吾在外多少時邪。曰。十年。師曰。不用指東指西。直道將來。曰。對和尚不敢謾語。師喝曰。這打野榸漢。師同大於.南用到茶堂。有僧近前不審。用曰。我既不納汝。汝亦不見我。不審阿誰。僧無語。師曰。不得平白地恁麼問伊。用曰。大於亦無語那。於把定其僧曰。是你恁麼累我亦然。便打一摑。用大笑曰。朗月與青天。大於侍者到。師問。金剛正定。一切皆然。秋去冬來。且作麼生。者曰。不妨和尚借問。師曰。即今即得。去後作麼生。者曰。誰敢問著某甲。師曰。大於還得麼。者曰。猶要別人點檢在。師曰。輔弼宗師。不廢光彩。侍者禮拜。

山を遊んで一つの岩を見た。僧が問うた。「この岩にも主はあるのですか。」師は言った。「ある。」曰く、「どんな人ですか。」師は言った。「三家村の裏で何を探す。」曰く、「岩の中の主とは何ですか。」師は言った。「汝はまだ息が切れるか。」小師が行脚から帰った。師は問うた。「汝は吾を離れてどのくらいいた。」曰く、「十年です。」師は言った。「東を指し西を指すな。ただまっすぐに言って来い。」曰く、「和尚に対して謾語はあえてしません。」師は喝して言った。「この野を駆ける漢め。」師が大于・南用とともに茶堂に至った時、僧が近寄って不審(挨拶)しようとした。用は言った。「我はすでに汝を受け入れず、汝もまた我を見ていない。誰に不審するのか。」僧は語がなかった。師は言った。「平白にそう彼に問うてはいけない。」用は言った。「大于も語がないではないか。」于はその僧を把し押さえて言った。「お前がそう言うから、吾までが累を受ける。」すぐに一つ頬を張った。用は大笑して言った。「朗月と青天と。」大于の侍者が来た。師は問うた。「金剛の正定は一切皆然。秋が去り冬が来る、さてどうする。」侍者は言った。「妨げません、和尚が借りて問うてください。」師は言った。「只今すぐに得たとして、去った後はどうする。」侍者は言った。「誰があえて某甲に問おう。」師は言った。「大于は得たか。」侍者は言った。「なお他人に点検してもらうことが要ります。」師は言った。「宗師を輔弼する、光彩を廃さぬな。」侍者は礼拜した。

清田和尚

清田和尚

與瑫上座煎茶次。師敲繩床三下。瑫亦敲三下。師曰。老僧敲。有箇善巧。上座敲。有何道理。瑫曰。某甲敲。有箇方便。和尚敲作麼生。師舉起盞子。瑫曰。善知識眼應須恁麼。茶罷。瑫卻問。和尚適來舉起盞子。意作麼生。師曰。不可更別有也。

瑫上座とともに茶を煎じている時、師は繩床を三下敲いた。瑫もまた三下敲いた。師は言った。「老僧が敲くには善巧がある。上座が敲くのは、どんな道理がある。」瑫は言った。「某甲が敲くには方便があります。和尚が敲くのはどうですか。」師は茶盞を挙げた。瑫は言った。「善知識の眼はまさにこうであるべきです。」茶が済んで、瑫は却って問うた。「和尚がさっき茶盞を挙げたのは、どういう意ですか。」師は言った。「更に別のものがあるはずがない。」

百丈山涅槃和尚

百丈山涅槃和尚

一日謂眾曰。汝等與我開田。我與汝說大義。眾開田了。歸請說大義。師乃展兩手。眾罔措(洪覺範林間錄雲。百丈第二代法正禪師。大智之高弟。其先甞誦涅槃經。不言姓名。時呼為涅槃和尚。住成法席。師功最多。使眾開田。方說大義者。乃師也。黃檗。古靈諸大士皆推尊之。唐文人黃武翊撰其碑甚詳。柳公權書。妙絕今古。而傳燈所載百丈惟政禪師。又係於馬祖法嗣之列。悞矣。及觀正宗記。則有惟政.法正。然百丈第代可數。明教但皆見其名。不能辨而俱存也。今當以柳碑為正)。

ある日衆に謂って言った。「汝等が吾のために田を開いてくれたら、吾は汝に大義を説こう。」衆が田を開き終えて、帰って来て大義を説くよう請うた。師は乃ち両手を展べた。衆は措く所を知らなかった。(洪覚範の《林間録》に言う。百丈第二代の法正禅師は、大智の高弟である。その先かつて《涅槃経》を誦して姓名を言わず、時に涅槃和尚と呼ばれた。住して法席を成さしめた功は師が最も多い。衆に田を開かせて方に大義を説いたのは師である。黄檗・古霊の諸大士は皆これを推尊した。唐の文人黄武翊がその碑を撰して甚だ詳しく、柳公権が書して妙に古今に絶した。しかるに《傳燈》に載せる所の百丈惟政禅師は、また馬祖法嗣の列に係せられているが、誤りである。及び《正宗記》を観れば、惟政・法正がある。しかし百丈の世代は数えられ、明教はただ皆その名を見て、弁ずることができず倶に存したのだ。今まさに柳碑を以って正とすべきである。)

南泉願禪師法嗣

南泉願禅師法嗣

趙州觀音院(亦曰東院)。從諗禪師

趙州観音院(亦た東院と曰う)従諗禅師

曹州郝鄉人也。姓郝氏。童稚於本州扈通院從師披剃。未納戒便抵池陽。參南泉。值泉偃息而問曰。近離甚處。師曰。瑞像。泉曰。還見瑞像麼。師曰。不見瑞像。祇見臥如來。泉便起坐。問。汝是有主沙彌。無主沙彌。師曰。有主沙彌。泉曰。那箇是你主。師近前躬身曰。仲冬嚴寒。伏惟和尚尊候萬福。泉器之。許其入室。他日問泉曰。如何是道。泉曰。平常心是道。師曰。還可趣向也無。泉曰。擬向即乖。師曰。不擬爭知是道。泉曰。道不屬知。不屬不知。知是妄覺。不知是無記。若真達不疑之道。猶如太虗。廓然蕩豁。豈可強是非邪。師於言下悟理。乃往嵩嶽瑠璃壇納戒。仍返南泉。一日問泉曰。知有底人向甚麼處去。泉曰。山前檀越家作一頭水牯牛去。師曰。謝師指示。泉曰。昨夜三更月到牕。泉曰。今時人。須向異類中行始得。師曰。異即不問。如何是類。泉以兩手拓地。師近前一踏。踏倒。卻向涅槃堂裡呌曰。悔。悔。泉令侍者問。悔箇甚麼。師曰。悔不更與兩踏。南泉上堂。師出問。明頭合。暗頭合。泉便下座。歸方丈。師曰。這老和尚被我一問。直得無言可對。首座曰。莫道和尚無語好。自是上座不會。師便打一掌曰。此掌合是堂頭老漢吃。師到黃檗。檗見來便閉方丈門。師乃把火於法堂內。呌曰。救火。救火。檗開門捉住曰。道。道。師曰。賊過後張弓。到寶壽。壽見來。於禪床上背坐。師展坐具禮拜。壽下禪床。師便出。又到道吾。才入堂。吾曰。南泉一隻箭來也。師曰。看箭。吾曰。過也。師曰。中。又到茱萸。執拄杖於法堂上。從東過西。萸曰。作甚麼。師曰。探水。萸曰。我這裡一滴也無。探箇甚麼。師以杖倚壁。便下。師將遊五臺。有大德作偈。留曰。無處青山不道場。何須䇿杖禮清涼。雲中縱有金毛現。正眼觀時非吉祥。師曰。作麼生是正眼。德無對(法眼代雲。

曹州郝郷の人。姓は郝。童稚にして本州の扈通院で師に従って披剃した。まだ戒を納れないうちに池陽に抵り、南泉に参じた。ちょうど泉が偃息しているところで、問うて言った。「近くどこを離れた。」師は言った。「瑞像。」泉は言った。「瑞像は見たか。」師は言った。「瑞像は見ず、ただ臥した如来を見ただけです。」泉は便ち坐を起き、問うた。「汝は主ある沙弥か、主なき沙弥か。」師は言った。「主ある沙弥です。」泉は言った。「どれがお前の主だ。」師は近づき躬を屈して言った。「仲冬厳寒、伏して惟れば和尚の尊候万福。」泉は之を器とし、その入室を許した。他日、泉に問うて言った。「如何なるか是れ道。」泉は言った。「平常心是れ道。」師は言った。「還た趣向すべきか無きか。」泉は言った。「向かわんと拟すれば即ち乖れる。」師は言った。「拟せざれば争でか是れ道と知らん。」泉は言った。「道は知に属せず、不知に属せず。知は妄覚、不知は無記。若し真に不疑の道に達せば、猶お太虚の如く、廓然として蕩豁し、豈に強いて是非すべけんや。」師は言下に理に悟り、乃ち嵩岳の琉璃壇に往きて戒を納れ、仍りて南泉に返った。ある日泉に問うて言った。「知有る底の人は何の処に向かう。」泉は言った。「山前の檀越家に行って一頭の水牯牛となる。」師は言った。「師の指示に謝します。」泉は言った。「昨夜三更の月、窓に到る。」泉は言った。「今時の人は、異類の中に行ってこそ始めて得る。」師は言った。「異は問わず、如何なるか是れ類。」泉は両手を以って地を拓いた。師は近づいて一踏みし、踏み倒して、却って涅槃堂の裏に向かい叫んで言った。「悔しい、悔しい。」泉は侍者に問わしめた。「何を悔いる。」師は言った。「更に両踏み与えなかったことを悔いる。」南泉が上堂した時、師が出て問うた。「明頭に合するか、暗頭に合するか。」泉は便ち下座して方丈に帰った。師は言った。「この老和尚は我の一問に、ただ言うこと能わず対すらなかった。」首座が言った。「和尚に語なしと道う莫れ。自ずから上座が会せぬだけだ。」師は便ち一掌を打って言った。「この掌は合に堂頭の老漢が喰らうべきものだ。」師が黄檗に到ると、檗は来るのを見て便ち方丈の門を閉じた。師は乃ち法堂の内で火を把り、叫んで言った。「火事だ、火事だ。」檗は門を開いて捉えて言った。「道え、道え。」師は言った。「賊が過ぎて後に弓を張る。」宝寿に到ると、寿は来るのを見て禅床上に背いて坐した。師は坐具を展べて礼拜した。寿は禅床を下りた。師は便ち出た。又到って道吾に至り、才しく堂に入ると、吾は言った。「南泉の一隻の箭が来た。」師は言った。「箭を看よ。」吾は言った。「過ぎた。」師は言った。「中った。」又到って茱萸に至り、拄杖を執って法堂の上を、東から西へ過ぎた。萸は言った。「何をする。」師は言った。「水を探る。」萸は言った。「ここには一滴もない。何を探る。」師は杖を壁に倚せ、便ち下りた。師が五台に遊ばんとする時、大徳ありて偈を作って留めて言った。「青山に道場なき処なく、何ぞ杖を策して清凉を礼せん。雲中に縦い金毛現ずとも、正眼に観ずれば吉祥に非ず。」師は言った。「如何なるか正眼。」徳は対無し。(法眼は代わって言った。

請上座領某甲情。同安顯代雲。是上座眼)。師自此道化被於北地。眾請住觀音院。上堂。如明珠在掌。胡來胡現。漢來漢現。老僧把一枝草為丈六金身用。把丈六金身為一枝草用。佛是煩惱。煩惱是佛。僧問。未審佛是誰家煩惱。師曰。與一切人煩惱。曰。如何免得。師曰。用免作麼。掃地次。僧問。和尚是大善知識。為甚麼掃地。師曰。塵從外來。曰。既是清淨伽藍。為甚麼有塵。師曰。又一點也。師與官人遊園次。兔見乃驚走。遂問。和尚是大善知識。兔見為甚麼走。師曰。老僧好殺。問。覺華未發時。如何辨真實。師曰。開也。曰。是真是實。師曰。真是實。實是真。曰。甚麼人分上事。師曰。老僧有分。闍黎有分。曰。某甲不招納時如何。師佯不聞。僧無語。師曰。去。石幢子被風吹折。僧問。陀羅尼幢子作凡去。作聖去。師曰。也不作凡。亦不作聖。曰。畢竟作甚麼。師曰。落地去也。僧辭。師曰。甚處去。曰。諸方學佛法去。師竪起拂子曰。有佛處不得住。無佛處急走過。三千里外。逢人不得錯舉。曰。與麼則不去也。師曰。摘楊花。摘楊花。問。承聞和尚親見南泉。是否。師曰。鎮州出大蘿蔔頭。大眾晚參。師曰。今夜答話去也。有解問者出來。時有一僧便出禮拜。師曰。比來拋甎引玉。卻引得箇墼子(保壽雲。射虎不真。徒勞沒羽。長慶問覺上座雲。那僧才出禮拜。為甚麼便收伊為墼子。覺雲。適來那邊亦有人恁麼問。慶雲。向伊道甚麼。覺雲。也向伊恁麼道。玄覺雲。甚麼處卻成墼子去。叢林中道才出來。便成墼子。祇如每日出入。行住坐臥。不可總成墼子。且道這僧出來。具眼不具眼)。上堂。金佛不度爐。木佛不度火。泥佛不度水。真佛內裡坐。菩提涅槃。真如佛性。盡是貼體衣服。亦名煩惱。實際理地甚麼處著。一心不生。萬法無咎。汝但究理。坐看三二十年。若不會。

(法眼は続けて言った。)「上座に某甲の情を領けてもらいたい。」同安顕は代わって言った。「是れ上座の眼。」)師はこれより道化が北地に被った。衆は請うて観音院に住せしめた。上堂して言った。「明珠が掌に在るが如し。胡が来れば胡を現じ、漢が来れば漢を現ず。老僧は一枝の草を把って丈六の金身と為して用い、丈六の金身を把って一枝の草と為して用いる。佛は是れ煩悩、煩悩は是れ佛。」僧が問うた。「未だ審らかに佛は誰が家の煩悩か。」師は言った。「一切の人に煩悩を与える。」曰く、「如何にすれば免れられる。」師は言った。「免れて何を作さん。」掃地する次、僧が問うた。「和尚は大善知識なのに、何のために掃地するのですか。」師は言った。「塵は外から来る。」曰く、「既に清浄の伽藍ならば、何の故に塵がある。」師は言った。「また一点来たな。」師が官人と園を遊ぶ次、兎が見えて乃ち驚き走った。遂に問うた。「和尚は大善知識なのに、兎が見て何の故に走る。」師は言った。「老僧は殺を好む。」問う。「覚華未だ発せざる時、如何にして真実を弁ずる。」師は言った。「開けり。」曰く、「是れ真か実か。」師は言った。「真は是れ実、実は是れ真。」曰く、「何人の分上の事か。」師は言った。「老僧に分有り、闍黎に分有り。」曰く、「某甲が招納せざる時は如何。」師は佯りて聞かず。僧は語無し。師は言った。「去れ。」石幢子が風に吹かれて折れた。僧が問うた。「陀羅尼の幢子は凡と作るか、聖と作るか。」師は言った。「亦た凡と作らず、亦た聖と作らず。」曰く、「畢竟何と作る。」師は言った。「地に落ちるのみ。」僧が辞した。師は言った。「何の処に行く。」曰く、「諸方に佛法を学びに行きます。」師は拂子を竪てて言った。「佛有る処には住する不得、佛無き処には急いで走り過ぎよ。三千里の外、人に逢うとも錯りて挙ぐる莫れ。」曰く、「さらば則ち行きません。」師は言った。「楊花を摘め、楊花を摘め。」問う。「承くるに和尚は親しく南泉に見えたと、是や否や。」師は言った。「鎮州は大蘿蔔頭を出す。」大衆が晩参した。師は言った。「今夜は答話せんとす。問うを解する者は出て来い。」時に一僧ありて便ち出て礼拜した。師は言った。「比来磚を抛って玉を引くに、却って墼子を引き得たり。」(保寿は言った。「虎を射て真ならざれば、徒らに羽を没す。」長慶は覚上座に問うて言った。「あの僧が才しく出て礼拜したのに、何の故に便ち彼を収めて墼子とする。」覚は言った。「適来あちらにも人あってかく問うた。」慶は言った。「彼に何と道うた。」覚は言った。「亦た彼にかく道うた。」玄覚は言った。「何の処か却って墼子と成る。叢林の中に道う、才しく出来すれば便ち墼子と成ると。只だ如し毎日の出入、行住坐臥、すべからく総て墼子と成るべからず。且く道え、この僧の出来は眼を具すや具せざるや。」)上堂して言った。「金の佛は炉を度らず、木の佛は火を度らず、泥の佛は水を度らず。真の佛は内裏に坐す。菩提涅槃、真如佛性、尽く是れ体に貼る衣服、亦た名づけて煩悩とす。実際の理地は何の処にか著く。一心生ぜずんば万法咎無し。汝但だ理を究め、坐して三二十年看よ。若し会せずんば、

截取老僧頭去。夢幻空華。徒勞把捉。心若不異。萬法一如。既不從外得。更拘執作麼。如羊相似。亂拾物安向口裡。老僧見藥山和尚道。有人問著。但教合取狗口。老僧亦教合取狗口。取我是垢。不取我是淨。一似獵狗專欲得物吃。佛法在甚麼處。千人萬人盡是覔佛漢子。於中覔一箇道人無。若與空王為弟子。莫教心病最難醫。未有世界。早有此性。世界壞時。此性不壞。一從見老僧後。更不是別人。祇是箇主人公。這箇更向外覔作麼。正恁麼時。莫轉頭換腦。若轉頭換腦。即失卻也。僧問。承師有言。世界壞時。此性不壞。如何是此性。師曰。四大五陰。曰。此猶是壞底。如何是此性。師曰。四大五陰(法眼雲。是一箇兩箇。是壞不壞。且作麼生會。試斷看)。師因老宿問。近離甚處。曰。滑州。宿曰。幾程到這裡。師曰。一躂到。宿曰。好箇捷疾鬼。師曰。萬福大王。宿曰。參堂去。師應喏喏。尼問。如何是密密意。師以手掐之。尼曰和尚猶有這箇在。師曰。卻是你有這箇在。僧辭。師問。甚麼處去。曰。閩中去。師曰。彼中兵馬隘。你須迴避始得。曰。向甚麼處迴避。師曰。恰好。問。如何是賓中主。師曰。山僧不問婦。曰。如何是主中賓。師曰。山僧無丈人。有僧遊五臺。問一婆子曰。臺山路向甚麼處去。婆曰。驀直去。僧便去。婆曰。好箇師僧又恁麼去。後有僧舉似師。師曰。待我去勘過。明日。師便去問。臺山路向甚麼處去。婆曰。驀直去。師便去。婆曰。好箇師僧又恁麼去。師歸院謂僧曰。臺山婆子為汝勘破了也(玄覺雲。前來僧也恁麼道。趙州去也恁麼道。甚麼處是勘破婆子處。又云。非唯被趙州勘破。亦被這僧勘破)。問。恁麼來底人。師還接否。師曰。接。曰。不恁麼來底。師還接否。師曰。接。曰。恁麼來者從師接。不恁麼來者如何接。師曰。止。止。不須說。我法妙難思。

(師は続けて言った。)老僧の頭を截取って去れ。夢幻空華、徒らに把捉すること労のみ。心若し異ならずんば万法一如。既に外より得ず、更に拘執して何を作さん。羊に似て、乱りに物を拾い口に安く向うが如し。老僧は薬山和尚の道うを見たり、人問い著けば、但だ狗口を合せ取れと教うと。老僧も亦た狗口を合せ取れと教う。我を取るは垢、我を取らざるは浄。一に猟狗が専ら物を得て喰わんと欲するに似たり。佛法は何の処にか在る。千人万人、尽く是れ佛を覓むる汉子、その中に一人の道人を覓めて無し。若し空王と弟子と為らば、心病を教うこと最も医し難しと莫れ。未だ世界有らざるに、早く此の性有り。世界壊るる時、此の性壊れず。一に老僧に見えて後、更に是れ别人に非ず、只だ是れ主人公。この更に外に向って覓めて何を作さん。正にかくの如くなる時、頭を転じ腦を換うる莫れ。若し頭を転じ腦を換えば、即ち失い却るなり。」僧が問うた。「師の言有るを承く、世界壊るる時、此の性壊れずと。如何なるか是れ此の性。」師は言った。「四大五陰。」曰く、「此れ猶お壊るる底。如何なるか是れ此の性。」師は言った。「四大五陰。」(法眼は言った。「是れ一箇か两箇か、是れ壊るか壊れざるか。且く作麼生か会せん、試みに断じて看よ。」)師に因りて老宿が問うた。「近く何の処を離れた。」曰く、「滑州。」宿は言った。「几程にしてここに到った。」師は言った。「一跶にして到った。」宿は言った。「好個の捷疾の鬼。」師は言った。「万福大王。」宿は言った。「参堂に行け。」師は喏喏と応えた。尼が問うた。「如何なるか是れ密密の意。」師は手を以って之を掐した。尼は言った。「和尚は猶おこの個が在る。」師は言った。「却是りてお前にこの個が在る。」僧が辞した。師は問うた。「何の処に行く。」曰く、「閩中に行きます。」師は言った。「彼の中は兵馬隘し。お前は須く回避すべし。」曰く、「何の処に向って回避する。」師は言った。「恰好なり。」問う。「如何なるか是れ賓中の主。」師は言った。「山僧は婦を問わず。」曰く、「如何なるか是れ主中の賓。」師は言った。「山僧に丈人無し。」僧有りて五台を遊び、一の婆子に問うて言った。「台山の路は何の処に向かう。」婆は言った。「驀直に行け。」僧は便ち行った。婆は言った。「好個の師僧が又かくの如く去った。」後に僧有りて師に挙似した。師は言った。「我が行って勘過せん。」明日、師は便ち往きて問うた。「台山の路は何の処に向かう。」婆は言った。「驀直に行け。」師は便ち行った。婆は言った。「好個の師僧が又かくの如く去った。」師は院に帰りて僧に謂うて言った。「台山の婆子は汝が為に勘破し了れたり。」(玄覚は言った。「前来の僧もかく道い、趙州が行きてもかく道えり。何の処か是れ婆子を勘破せる処。」又言った。「唯だ趙州に勘破せらるるのみならず、亦たこの僧に勘破せらる。」)問う。「かくの如く来たる底の人、師は還た接するや否や。」師は言った。「接す。」曰く、「かくの如くならず来たる底、師は還た接するや否や。」師は言った。「接す。」曰く、「かくの如く来る者は師の接するに從うも、かくの如くならず来る者は如何に接する。」師は言った。「止め、止め。須らく説く莫れ。我が法は妙にして思議し難し。」

師因出。路逢一婆。婆問。和尚住甚麼處。師曰。趙州東院西。婆無語。師歸問眾僧。合使那箇西字。或言東西字。或言棲泊字。師曰。汝等總作得鹽鐵判官。曰。和尚為甚恁麼道。師曰。為汝總識字(法燈別眾僧雲。已知去處)。問。如何是囊中寶。師曰。合取口(法燈別雲。莫說似人)。有一婆子令人送錢。請轉藏經。師受施利了。卻下禪床轉一匝。乃曰。傳語婆。轉藏經已竟。其人回舉似婆。婆曰。比來請轉全藏。如何祇為轉半藏。(玄覺雲。甚麼處是欠半藏處。且道那婆子具甚麼眼。便與麼道)。因僧侍次。遂指火問曰。這箇是火。你不得喚作火。老僧道了也。僧無對。復筴起火曰。會麼。曰。不會。師曰。此去舒州。有投子和尚。汝往禮拜。問之。必為汝說。因緣相契。不用更來。不相契卻來。其僧到投子。子問。近離甚處。曰。趙州。子曰。趙州有何言句。僧舉前話。子曰。汝會麼。曰。不會。乞師指示。子下禪床。行三步卻坐。問曰。會麼。曰。不會。子曰。你歸舉似趙州。其僧卻回。舉似師。師曰。還會麼。曰。不會。師曰。投子與麼。不較多也。有新到謂師曰。某甲從長安來。橫擔一條拄杖。不曾撥著一人。師曰。自是大德拄杖短(同安顯別雲。老僧這裡不曾見恁麼人)。僧無對(法眼代雲。呵呵。同安顯代雲。也不短)。僧寫師真呈。師曰。且道似我不似我。若似我。即打殺老僧。不似我。即燒卻真。僧無對(玄覺代雲。留取供養)。問。如何是祖師西來意。師曰。庭前栢樹子。曰。和尚莫將境示人。師曰。我不將境示人。曰。如何是祖師西來意。師曰。庭前栢樹子。問。僧發足甚處。曰。雪峰。師曰。雪峰有何言句示人。曰。尋常道盡十方世界。是沙門一隻眼。你等諸人。向甚處屙。師曰。闍黎若回。寄箇鍬子去。師謂眾曰。我向行腳到南方。火爐頭有箇無賓主話。

師が出るに因り、路に一の婆に逢うた。婆が問うた。「和尚は何の処に住する。」師は言った。「趙州東院の西。」婆は語無し。師は帰りて衆僧に問うた。「合にあの西字を使うべきか。」或る者は東西の字と言い、或る者は栖泊の字と言う。師は言った。「汝等は総て塩鉄判官と作り得る。」曰く、「和尚は何の故にかく道う。」師は言った。「汝が総て字を識るが為だ。」(法燈は別に衆僧に言った。「已に去処を知れり。」)問う。「如何なるか是れ囊中の宝。」師は言った。「口を合せ取れ。」(法燈は別に言った。「人に説き似せる莫れ。」)一の婆子ありて人をして銭を送らせ、蔵経を転ずるを請うた。師は施利を受け了えて、却って禅床を下りて一匝転り、乃ち言った。「婆に伝えよ、蔵経を転じ已れりと。」其の人は回りて婆に挙似した。婆は言った。「比来全蔵を転ぜんを請うたに、如何にして只だ半蔵を転ずる為めや。」(玄覚は言った。「何の処か是れ半蔵を欠く処。且く道え、あの婆子は何の眼を具して、便ちかく道うぞ。」)因りて僧が侍する次、遂に火を指して問うて言った。「这个是れ火、お前は之を喚んで火と作す不得。老僧道い了れり。」僧は対無し。復た火を策き起して言った。「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「此れ去りて舒州に投子和尚有り。汝往きて礼拜して之を問え、必ず汝が為に説かん。因縁相契せば、更に来るを用いず。相契せずんば却って来い。」其の僧は投子に到る。子は問うた。「近く何の処を離れた。」曰く、「趙州。」子は言った。「趙州に何の言句か有る。」僧は前話を挙げた。子は言った。「汝会すか。」曰く、「会せず。師の指示を乞う。」子は禅床を下り、三步行きて却って坐し、問うて言った。「会すか。」曰く、「会せず。」子は言った。「お前帰りて趙州に挙似せよ。」其の僧は却って回り、師に挙似した。師は言った。「還た会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「投子はかくの如く、あまり較べ多からず。」新到有りて師に謂うて言った。「某甲は長安より来たり。一条の拄杖を横担にして、曾て一人を撥き著けず。」師は言った。「自ずから是れ大徳の拄杖短きのみ。」(同安顕は別に言った。「老僧ここに曾てかくの如き人を見ず。」)僧は対無し。(法眼は代わって言った。「呵呵。」同安顕は代わって言った。「亦た短からず。」)僧が師の真を写して呈した。師は言った。「且く道え、我に似るか我に似ざるか。若し我に似れば、即ち老僧を打殺せよ。我に似ざれば、即ち真を焼き却れ。」僧は対無し。(玄覚は代わって言った。「留め取りて供養せよ。」)問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「庭前の柏樹子。」曰く、「和尚、境を将て人に示す莫れ。」師は言った。「我は境を将て人に示さず。」曰く、「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「庭前の柏樹子。」僧に問うた。「足を発たる処は何の処ぞ。」曰く、「雪峯。」師は言った。「雪峯に何の言句か有りて人に示す。」曰く、「尋常に道う、十方世界を尽くせば是れ沙門の一只眼、你等諸人は何の処に向って屙すと。」師は言った。「闍黎若し回らば、鍬子一箇を寄せよ。」師は衆に謂うて言った。「我向に行脚して南方に到り、火爐の頭に無賓主の話有り、

直至如今無人舉著。上堂。至道無難。唯嫌揀擇。才有語言是揀擇。是明白。老僧不在明白裡。是汝還護惜也無。時有僧問。既不在明白裡。護惜箇甚麼。師曰。我亦不知。僧曰。和尚既不知。為甚道不在明白裡。師曰。問事即得。禮拜了退。別僧問。至道無難。唯嫌揀擇。是時人窠窟否。師曰。曾有人問我。老僧直得五年分疎不下。又問。至道無難。唯嫌揀擇。如何是不揀擇。師曰。天上天下。唯我獨尊。曰。此猶是揀擇。師曰。田庫奴甚處是揀擇。僧無語。問。至道無難。唯嫌揀擇。才有語言是揀擇。和尚如何為人。師曰。何不引盡此語。僧曰。某甲祇念得到這裡。師曰。至道無難。唯嫌揀擇。問。如何是道。師曰。墻外底。曰。不問這箇。師曰。你問那箇。曰。大道。師曰。大道透長安。問。道人相見時如何。師曰。呈漆器。上堂。兄弟若從南方來者。即與下載。若從北方來者。即與上載。所以道。近上人問道即失道。近下人問道即得道。師因與文遠行。乃指一片地曰。這裡好造箇巡舖。文遠便去路傍立曰。把將公驗來。師遂與一摑。遠曰。公驗分明過。師與文遠論義曰鬪劣不鬪勝。勝者輸果子。遠曰。請和尚立義。師曰。我是一頭驢。遠曰。我是驢胃。師曰。我是驢糞。遠曰。我是糞中蟲。師曰。你在彼中作甚麼。遠曰。我在彼中過夏。師曰。把將果子來。新到參。師問。甚麼處來。曰。南方來。師曰。佛法盡在南方。汝來這裡作甚麼。曰。佛法豈有南北邪。師曰。饒汝從雪峰.雲居來。祇是箇擔板漢(崇壽稠雲。和尚是據客置主人)。問。如何是佛。師曰。殿裡底。曰。殿裡者豈不是泥龕塑像。師曰。是。曰。如何是佛。師曰。殿裡底。問。學人乍入叢林。乞師指示。師曰。吃粥了也未。曰吃粥了也。師曰。洗缽盂去。其僧忽然省悟。上堂。才有是非。紛然失心。還有答話分也無。僧舉似洛浦。

(師は続けて言った。)直に如今に至るまで人之を挙げ著くる無し。」上堂して言った。「至道は難きこと無く、唯だ揀擇を嫌う。才しく言語有れば是れ揀擇、是れ明白。老僧は明白の裏に在らず。是れ汝、還た護惜するや無きや。」時に僧有りて問うた。「既に明白の裏に在らずんば、何をか護惜する。」師は言った。「我も亦た知らず。」僧は言った。「和尚既に知らず、何の故に明白の裏に在らずと道う。」師は言った。「問事は即ち得たり、礼拜し了えて退け。」別の僧が問うた。「至道は難きこと無く、唯だ揀擇を嫌うとは、是れ時人の窠窟か否や。」師は言った。「曾て人有りて我に問うた。老僧直に五年分疏し下さず。」又問うた。「至道は難きこと無く、唯だ揀擇を嫌う。如何なるか是れ不揀擇。」師は言った。「天上天下、唯我独尊。」曰く、「此れ猶お是れ揀擇。」師は言った。「田庫の奴め、何の処か是れ揀擇。」僧は語無し。問う。「至道は難きこと無く、唯だ揀擇を嫌う。才しく言語有れば是れ揀擇。和尚は如何にして人の為めにす。」師は言った。「何ぞ此の語を引き尽さざる。」僧は言った。「某甲は只だここに至るまで念じ得るのみ。」師は言った。「至道は難きこと無く、唯だ揀擇を嫌う。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「牆外の底。」曰く、「この個は問わず。」師は言った。「お前はあの個を問え。」曰く、「大道。」師は言った。「大道は長安を透す。」問う。「道人相見る時は如何。」師は言った。「漆器を呈す。」上堂して言った。「兄弟若し南方より来る者は、即ち与に下載せん。若し北方より来る者は、即ち与に上載せん。所以に道う、上に近き人は道を問えば即ち道を失い、下に近き人は道を問えば即ち道を得ると。」師が因りて文遠と行くに、乃ち一片の地を指して言った。「ここは好く巡舗を造るべし。」文遠は便ち路の傍らに去りて立ちて言った。「公験を把り将て来い。」師は遂に与へて一摑した。遠は言った。「公験分明に過ぎたり。」師は文遠と義を論じ、劣を鬪わして勝を鬪わず、勝者は果子を輸すと説いた。遠は言った。「和尚に義を立てんことを請う。」師は言った。「我は是れ一頭の驢。」遠は言った。「我は是れ驢の胃。」師は言った。「我は是れ驢の糞。」遠は言った。「我は是れ糞中の虫。」師は言った。「お前は彼の中に在りて何を作す。」遠は言った。「我は彼の中に在りて夏を過ぐす。」師は言った。「果子を把り将て来い。」新到が参じた。師は問うた。「何の処より来た。」曰く、「南方より来ました。」師は言った。「佛法は尽く南方に在り、汝ここに来て何を作す。」曰く、「佛法に豈に南北有らんや。」師は言った。「汝が雪峯・雲居より来たるを饒すとも、只だ是れ担板の漢。」(崇寿稠は言った。「和尚は是れ客に拠りて主人を置く。」)問う。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「殿裏の底。」曰く。「殿裏の者は豈に是れ泥龕の塑像に非ずや。」師は言った。「是れ。」曰く、「如何なるか是れ佛。」師は言った。「殿裏の底。」問う。「学人乍く叢林に入り、師の指示を乞う。」師は言った。「粥を喫し了れたりや未だや。」曰く、「粥を喫し了れり。」師は言った。「鉢盂を洗いに行け。」其の僧は忽然として省悟した。上堂して言った。「才しく是非有れば、紛然として心を失う。還た答話の分有るや無きや。」僧は洛浦に挙似し、

浦扣齒。又舉似雲居。居曰。何必。僧回舉似師。師曰。南方大有人喪身失命。曰。請和尚舉。師才舉前語。僧指傍僧曰。這箇師僧吃卻飯了。作恁麼語話。師休去。問。久嚮趙州石橋。到來祇見略彴。師曰。汝祇見略彴。且不見石橋。曰。如何是石橋。師曰。度驢度馬。曰。如何是略彴。師曰。箇箇度人。後有如前問。師如前答。又僧問。如何是石橋。師曰。過來。過來(雲居錫雲。趙州為當扶石橋。扶略彴)。師聞沙彌喝參。向侍者曰。教伊去。者乃教去。沙彌便珍重。師曰。沙彌得入門。侍者在門外(雲居錫雲。甚麼處是沙彌入門。侍者在門外。這裡若會得。便見趙州)。問。僧甚麼處來。曰。從南來。師曰。還知有趙州關否。曰。須知有不涉關者。師曰。這販私鹽漢。問。如何是西來意。師下禪床立。曰。莫祇這箇便是否。師曰。老僧未有語在。問菜頭。今日吃生菜。吃熟菜。頭拈起菜呈之。師曰。知恩者少。負恩者多。問。狗子還有佛性也無。師曰。無。曰。上至諸佛。下至螻蟻。皆有佛性。狗子為甚麼卻無。師曰。為伊有業識在。師問一婆子。甚麼處去。曰。偷趙州筍去。師曰。忽遇趙州。又作麼生。婆便與一掌。師休去。師一日於雪中臥。曰相救。相救。有僧便去身邊臥。師便起去。問。如何是趙州一句。師曰。老僧半句也無。曰豈無和尚在。師曰。老僧不是一句。師問新到。曾到此間麼。曰。曾到。師曰。吃茶去。又問僧。僧曰。不曾到。師曰。吃茶去。後院主問曰。為甚麼曾到也雲吃茶去。不曾到也雲吃茶去。師召院主。主應喏。師曰。吃茶去。問。二龍爭珠。誰是得者。師曰。老僧秖管看。問。空劫中還有人修行也無。師曰。汝喚甚麼作空劫。曰。無一物是。師曰。這箇始稱得修行。喚甚麼作空劫。僧無語。問。如何是玄中玄。師曰。汝玄來多少時邪。曰。玄之久矣。師曰。

浦は歯を扣いた。又云居に挙似した。居は言った。「何ぞ必ずしも。」僧は回りて師に挙似した。師は言った。「南方には大いに人有りて身を喪し命を失う。」曰く、「和尚の挙げんことを請う。」師は才しく前の語を挙げると、僧は傍の僧を指して言った。「この師僧は飯を喫い了えて、かくの如き語話を作す。」師は休み去った。問う。「久しく趙州の石橋に向う。到り来れば只だ略彴を見る。」師は言った。「汝は只だ略彴を見て、且つ石橋を見ず。」曰く、「如何なるか是れ石橋。」師は言った。「驢を度し馬を度す。」曰く、「如何なるか是れ略彴。」師は言った。「箇箇に人を度す。」後に前の如く問う者有り、師は前の如く答えた。又僧が問うた。「如何なるか是れ石橋。」師は言った。「過ぎ来い、過ぎ来い。」(雲居錫は言った。「趙州は当に石橋を扶するか、略彴を扶するか。」)師は沙弥の参じ喝するを聞き、侍者に向って言った。「彼をして去らしめよ。」者は乃ち去らしめ教えた。沙弥は便ち珍重した。師は言った。「沙弥は門に入ることを得、侍者は門の外に在り。」(雲居錫は言った。「何の処か是れ沙弥の門に入り、侍者の門外に在る。ここ若し会得せば、便ち趙州を見ん。」)僧に問うた。「何の処より来た。」曰く、「南より来ました。」師は言った。「還た趙州の關有るを知るか否や。」曰く、「須く關に渉らざる者有るを知るべし。」師は言った。「この私塩を販る漢め。」問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は禅床を下りて立った。曰く、「只だこの個は便ち是か非か。」師は言った。「老僧は未だ語在ること有らず。」菜頭に問うた。「今日は生菜を喫うか、熟菜を喫うか。」頭は菜を拈じ起して之を呈した。師は言った。「恩を知る者は少なく、恩に負く者は多し。」問う。「狗子に還た佛性有るや無きや。」師は言った。「無。」曰く、「上は諸佛より、下は螻蟻に至るまで、皆佛性有り。狗子は何の故に却って無き。」師は言った。「彼に業識在るが為だ。」師は一の婆子に問うた。「何の処に行く。」曰く、「趙州の笋を偷みに行く。」師は言った。「忽ち趙州に遇わば、又作麼生。」婆は便ち与に一掌した。師は休み去った。師がある日雪中に臥して言った。「相い救え、相い救え。」僧有りて便ち身辺に去りて臥した。師は便ち起き去った。問う。「如何なるか是れ趙州の一句。」師は言った。「老僧は半句も無し。」曰く、「豈に和尚無からんや。」師は言った。「老僧は是れ一句に非ず。」師は新到に問うた。「曾て此の間に到るや。」曰く、「曾て到りました。」師は言った。「茶を喫しに行け。」又僧に問うた。僧は言った。「曾て到らず。」師は言った。「茶を喫しに行け。」後に院主が問うて言った。「何の故に、曾て到りたるにも茶を喫しに行けと云い、曾て到らざるにも茶を喫しに行けと云う。」師は院主を召した。主は喏と応えた。師は言った。「茶を喫しに行け。」問う。「二龍珠を争う、誰か是れ得る者。」師は言った。「老僧は只だ管め看る。」問う。「空劫の中に還た人の修行する有るや無きや。」師は言った。「汝は何を喚んで空劫と作す。」曰く、「一物無き是れ。」師は言った。「この個始めて修行と称し得べし。何を喚んで空劫と作す。」僧は語無し。問う。「如何なるか是れ玄中の玄。」師は言った。「汝が玄来ること多少の時ぞ。」曰く、「玄たること久し。」師は言った。

闍黎若不遇老僧。幾被玄殺。問。萬法歸一。一歸何所。師曰。老僧在青州作得一領布衫。重七斤。問。夜生兜率。晝降閻浮。於其中間。摩尼珠為甚麼不現。師曰。道甚麼。其僧再問。師曰。毗婆尸佛早留心。直至如今不得妙。問院主。甚麼處來。主曰。送生來。師曰。鵶為甚麼飛去。主曰。怕某甲。師曰。汝十年知事作恁麼語話。主卻問。鵶為甚麼飛去。師曰。院主無殺心。師拓起缽曰。三十年後若見老僧。留取供養。若不見。即撲破。別僧曰。三十年後敢道見和尚。師乃撲破。師在東司上。見遠侍者過。驀召文遠。遠應諾。師曰。東司上不可與汝說佛法。僧辭。師問。甚麼處去。曰。雪峰去。師曰。雪峰忽若問和尚有何言句。汝作麼生秖對。曰。某甲道不得。請和尚道。師曰。冬即言寒。夏即道熱。又曰。雪峰更問。汝畢竟事作麼生。僧又曰。道不得。師曰。但道親從趙州來。不是傳語人。其僧到雪峰。一依前語祇對。峰曰。也須是趙州始得(玄沙聞曰。大小趙州敗闕也不知。雲居錫雲。甚麼處是趙州敗闕。若檢得出。是上座眼)。問。如何是出家。師曰。不履高名。不求苟得。問。澄澄絕點時如何。師曰。這裡不著客作漢。問。如何是祖師意。師敲床腳。僧曰。祇這莫便是否。師曰。是。即脫取去。問。如何是毗盧圓相。師曰。老僧自幼出家。不曾眼花。曰。豈不為人。師曰。願汝常見毗盧圓相。官人問。和尚還入地獄否。師曰。老僧末上入。曰。大善知識為甚麼入地獄。師曰。我若不入。阿誰教化汝。真定帥王公𢹂諸子入院。師坐而問曰。大王會麼。王曰。不會。師曰自小持齋身已老。見人無力下禪床。王尤加禮重。翌日令客將傳語。師下禪床受之。侍者曰。和尚見大王來。不下禪床。今日軍將來。為甚麼卻下禪床。師曰。非汝所知。第一等人來。禪床上接。中等人來。下禪床接。末等人來。

(師は続けて言った。)「闍黎若し老僧に遇わずんば、几たんと欲して玄に殺されん。」問う。「万法は一に帰す、一は何の所に帰す。」師は言った。「老僧は青州に在りて一領の布衫を作れり、重さ七斤。」問う。「夜に兜率に生じ、昼に閻浮に降る。其の中間に於て、摩尼珠は何の故に現ぜざる。」師は言った。「何を道う。」其の僧は再び問うた。師は言った。「毘婆尸佛早く心を留め、直に如今に至るまで妙を得ず。」院主に問うた。「何の処より来た。」主は言った。「生を送り来ました。」師は言った。「鴉は何の故に飛び去る。」主は言った。「某甲を怕れて。」師は言った。「汝は十年知事してかくの如き語話を作す。」主は却って問うた。「鴉は何の故に飛び去る。」師は言った。「院主は殺心無し。」師は鉢を拓き起して言った。「三十年の後、若し老僧を見れば、留め取りて供養せよ。若し見ずんば、即ち扑き破れ。」別の僧は言った。「三十年の後、敢えて和尚を見んと道わん。」師は乃ち扑き破った。師は東司の上に在りて、遠侍者の過ぐるを見、驀して文遠を召した。遠は応諾した。師は言った。「東司の上は汝と佛法を説くべからず。」僧が辞した。師は問うた。「何の処に行く。」曰く、「雪峯に行きます。」師は言った。「雪峯忽ち若し和尚に何の言句か有ると問わば、汝作麼生か対せん。」曰く、「某甲は道い得ず、和尚の道わんことを請う。」師は言った。「冬は即ち寒きを言い、夏は即ち熱きを道え。」又曰く、「雪峯更に問わば、汝の畢竟の事は作麼生と。」僧は又曰く、「道い得ず。」師は言った。「但だ趙州より親しく来たり、是れ伝語の人に非ずと道え。」其の僧は雪峯に到り、一に前の語に依りて対した。峯は言った。「亦た須しく是れ趙州ならば始めて得ん。」(玄沙は聞きて言った。「大小の趙州、敗闕をも知らず。」雲居錫は言った。「何の処か是れ趙州の敗闕。若し検出し得ば、是れ上座の眼。」)問う。「如何なるか是れ出家。」師は言った。「高名を履まず、苟得を求めず。」問う。「澄澄として点を絶する時は如何。」師は言った。「ここは客作の漢を著けず。」問う。「如何なるか是れ祖師の意。」師は床脚を敲いた。僧は言った。「只だこれは便ち是か非か。」師は言った。「是なれば脱ぎ取りて去れ。」問う。「如何なるか是れ毘盧の円相。」師は言った。「老僧は自幼に出家して、曾て眼花せず。」曰く、「豈に人の為めにせざらんや。」師は言った。「汝に毘盧の円相を常に見んことを愿う。」官人が問うた。「和尚は還た地獄に入るや否や。」師は言った。「老僧は末に上りて入る。」曰く、「大善知識は何の故に地獄に入る。」師は言った。「我若し入らずんば、阿誰か汝を教化せん。」真定の帥王公が諸子を携えて院に入った。師は坐して問うて言った。「大王会すか。」王は言った。「会せず。」師は言った。「自ら少きより斎を持ち身已に老いたり、人に見えて禅床を下る力無し。」王は尤も礼を加え重んじた。翌日、客将をして語を伝えしめ、師は禅床を下りて之を受けた。侍者は言った。「和尚は大王の来るに、禅床を下りず。今日軍将の来るに、何の故に却って禅床を下る。」師は言った。「汝の知る所に非ず。第一等の人来れば、禅床上に接す。中等の人来れば、禅床を下りて接す。末等の人来れば、

三門外接。因侍者報大王來也。師曰。萬福大王。者曰。未到在。師曰。又道來也。師到一庵主處。問。有麼。有麼。主竪起拳頭。師曰。水淺不是泊船處。便行。又到一庵主處。問。有麼。有麼。主亦竪起拳頭。師曰。能縱能奪。能殺能活。便作禮。問僧。一日看多少經。曰。或七八。或十卷。師曰。闍黎不會看經。曰。和尚一日看多少。師曰。老僧一日祇看一字。文遠侍者在佛殿禮拜次。師見以拄杖打一下曰。作甚麼。者曰。禮佛。師曰。用禮作甚麼。者曰。禮佛也是好事。師曰。好事不如無。上堂。正人說邪法。邪法悉皆正。邪人說正法。正法悉皆邪。諸方難見易識。我這裡易見難識。問。如何是趙州。師曰。東門西門。南門北門。問。初生孩子還具六識也無。師曰。急水上打毬子。僧卻問投子。急水上打毬子。意旨如何。子曰。念念不停留。問。和尚姓甚麼。師曰。常州有。曰。甲子多少。師曰。蘇州有。問。十二時中如何用心。師曰。汝被十二時辰使。老僧使得十二時。乃曰。兄弟莫久立。有事商量。無事向衣缽下坐窮理好。老僧行腳時。除二時粥飯是雜用心處。除外更無別用心處。若不如是大遠在。僧問。如何是古佛心。師曰。三箇婆子排班拜。問。如何是不遷義。師曰。一箇野雀兒從東飛過西。問。學人有疑時如何。師曰。大宜小宜。曰。大疑。師曰。大宜東北角。小宜僧堂後。問。栢樹子還有佛性也無。師曰。有。曰。幾時成佛。師曰。待虗空落地時。曰。虗空幾時落地。師曰。待栢樹子成佛時。問。如何是毗盧師。師便起立。僧曰。如何是法身主。師便坐。僧禮拜。師曰。且道坐者是。立者是。師謂眾曰。你若一生不離叢林。不語五年十載。無人喚你作瘂漢。已後佛也不柰你何。你若不信。截取老僧頭去。師魚鼓頌曰。四大由來造化功。有聲全貴裡頭空。莫嫌不與凡夫說。

(師は続けて言った。)三門の外に接す。」因りて侍者が報じた。「大王来たれり。」師は言った。「万福大王。」者は言った。「未だ到らず。」師は言った。「又た来たれりと道う。」師は一の庵主の処に到り、問うた。「有るか、有るか。」主は拳頭を竪てた。師は言った。「水浅くして是れ船を泊する処に非ず。」便ち行った。又到りて一の庵主の処に至り、問うた。「有るか、有るか。」主も亦た拳頭を竪てた。師は言った。「能く縦し能く奪い、能く殺し能く活かす。」便ち礼を作した。僧に問うた。「一日に多少の経を看る。」曰く、「或いは七八、或いは十巻。」師は言った。「闍黎は経を看ることを会せず。」曰く、「和尚は一日に多少を看る。」師は言った。「老僧は一日に只だ一字を看る。」文遠侍者が佛殿に礼拜する次、師は見て拄杖を以って一下打って言った。「何を作す。」者は言った。「佛を礼す。」師は言った。「礼して何を用いる。」者は言った。「佛を礼するも亦た好事なり。」師は言った。「好事は無きに如かず。」上堂して言った。「正人は邪法を説けば、邪法悉く皆正。邪人は正法を説けば、正法悉く皆邪。諸方は見ること難く識ること易し、我がここは見ること易く識ること難し。」問う。「如何なるか是れ趙州。」師は言った。「東門・西门・南門・北門。」問う。「初生の孩子は還た六識を具するや無きや。」師は言った。「急水の上に毬子を打つ。」僧は却って投子に問うた。「急水の上に毬子を打つとは、意旨如何。」子は言った。「念念停留せず。」問う。「和尚は姓は何ぞ。」師は言った。「常州に有り。」曰く、「甲子は多少。」師は言った。「蘇州に有り。」問う。「十二時の中、如何に心を用いる。」師は言った。「汝は十二時辰に使わる、老僧は十二時を使い得る。」乃ち言った。「兄弟、久しく立つ莫れ。事有れば商量し、事無ければ衣鉢の下に向って坐して理を窮めるが好し。老僧行脚の時、二時の粥飯を除くは雑に心を用いる処、除くの外更に別に心を用いる処無し。若し如し是れならずんば、大いに遠き在り。」僧が問うた。「如何なるか是れ古佛の心。」師は言った。「三箇の婆子、班に排して拜す。」問う。「如何なるか是れ不遷の義。」師は言った。「一箇の野雀兒、東より飛びて西を過ぐ。」問う。「学人に疑有る時は如何。」師は言った。「大は宜しく東北角、小は宜しく僧堂の後。」曰く、「大いに疑う。」師は言った。「大は宜しく東北角、小は宜しく僧堂の後。」問う。「柏樹子に還た佛性有るや無きや。」師は言った。「有。」曰く、「几時に佛と成る。」師は言った。「虚空の地に落つる時を待て。」曰く、「虚空は几時に地に落つる。」師は言った。「柏樹子の佛と成る時を待て。」問う。「如何なるか是れ毘盧の師。」師は便ち起立した。僧は言った。「如何なるか是れ法身の主。」師は便ち坐した。僧は礼拜した。師は言った。「且く道え、坐する者是か、立つ者是か。」師は衆に謂うて言った。「汝若し一生叢林を離れず、五年十載語らざれば、人の汝を喚んで啞漢と作す無し。已後佛も亦た汝を奈何ともせん。汝若し信ぜずんば、老僧の頭を截取って去れ。」師の《魚鼓頌》に曰く、「四大由来は造化の功、声有りて全く貴ぶ裏頭の空。嫌う莫れ凡夫と与に説かざるを、

祇為宮商調不同。師因趙王問。師尊年有幾箇齒在。師曰。祇有一箇。王曰。爭吃得物。師曰。雖然一箇。下下齩著。師寄拂子與王曰。若問何處得來。但說老僧平生用不盡者。師之玄言。布於天下。時謂趙州門風。皆悚然信伏矣。唐乾寧四年十一月二日。右脇而寂。壽一百二十歲。諡真際大師。

(頌は続けて言う。)只だ是れ宮商の調同じからざるが為。」師に因りて趙王が問うた。「師の尊年に幾箇の歯か在る。」師は言った。「只だ一箇有り。」王は言った。「争でか物を喫い得ん。」師は言った。「一箇と雖も、下々に咬著す。」師は拂子を王に寄せて言った。「若し何の処より得たると問わば、但だ老僧平生用いて尽さざる者と説け。」師の玄言は天下に布かれた。時に趙州の門風と謂い、皆悚然として信伏せり。唐の乾寧四年十一月二日、右脇にして寂した。寿一百二十歳。諡は真際大師。

湖南長沙景岑招賢禪師

湖南長沙景岑招賢禅師

初住鹿苑為第一世。其後居無定所。但徇緣接物。隨宜說法。時謂之長沙和尚。上堂。我若一向舉揚宗教。法堂裡須草深一丈。事不獲已。向汝諸人道。盡十方世界是沙門眼。盡十方世界是沙門全身。盡十方世界是自己光明。盡十方世界在自己光明裡。盡十方世界無一人不是自己。我常向汝諸人道。三世諸佛。法界眾生。是摩訶般若光。光未發時。汝等諸人向甚麼處委悉。光未發時。尚無佛無眾生消息。何處得山河國土來。時有僧問。如何是沙門眼。師曰。長長出不得。又曰。成佛成祖出不得。六道輪回出不得。僧曰。未審出箇甚麼不得。師曰。晝見日。夜見星。曰。學人不會。師曰。妙高山色青又青。問。教中道而常處此菩提座。如何是座。師曰。老僧正坐。大德正立。問。如何是大道。師曰。沒卻汝。問。諸佛師是誰。師曰。從無始劫來。承誰覆蔭。曰。未有諸佛已前作麼生。師曰。魯祖開堂。亦與師僧東道西說。問。學人不據地時如何。師曰。汝向甚麼處安身立命。曰。卻據地時如何。師曰。拖出死屍著。問。如何是異類。師曰。尺短寸長。問。如何是諸佛師。師曰。不可更拗直作曲邪。曰。請和尚向上說。師曰。闍黎眼瞎耳聾。作麼遊山歸。首座問。和尚甚處去來。師曰。遊山來。座曰。到甚麼處。師曰。始從芳草去。又逐落花回。座曰。大似春意。師曰。也勝秋露滴芙蕖。師遣僧問同參會和尚曰。和尚見南泉後如何。會默然。僧曰。和尚未見南泉已前作麼生。會曰。不可更別有也。僧回舉似師。師示偈曰。百尺竿頭不動人。雖然得入未為真。百尺竿頭須進步。十方世界是全身。僧便問。秖如百尺竿頭如何進步。師曰。朗州山。澧州水。曰。不會。師曰。四海五湖皇化裡。有客來謁。師召尚書。其人應諾。師曰。不是尚書本命。曰。不可離卻即今祇對。別有第二主人。師曰。喚尚袹作至尊得麼。

初め鹿苑に住して第一世と為す。其の後居る所定まらず、但だ縁に徇って物を接し、宜に随って法を説く。時に之を長沙和尚と謂う。上堂して言った。「我若し一向に宗教を挙揚せば、法堂の裏は須く草深きこと一丈ならん。事獲已ざれば、汝諸人に向って道う。十方世界を尽くせば是れ沙門の眼、十方世界を尽くせば是れ沙門の全身、十方世界を尽くせば是れ自己の光明、十方世界を尽くせば自己の光明の裏に在り、十方世界を尽くせば一人も自己に非ざる無し。我常に汝諸人に向って道う、三世の諸佛、法界の衆生、是れ摩訶般若の光。光未だ発せざる時、汝等諸人は何の処に向って委悉せん。光未だ発せざる時、尚お佛無く衆生無き消息、何の処にか山河国土を得ん。」時に僧が問うた。「如何なるか是れ沙門の眼。」師は言った。「長長として出るを得ず。」又曰く、「佛と成り祖と成るも出るを得ず、六道輪廻も出るを得ず。」僧は言った。「未だ審らかに箇の什麼を出るを得ざるか。」師は言った。「昼は日を見、夜は星を見。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「妙高の山、色青く又青し。」問う。「教に中道にして常に此の菩提座に処ると。如何なるか是れ座。」師は言った。「老僧正に坐し、大徳正に立つ。」問う。「如何なるか是れ大道。」師は言った。「汝を没し却る。」問う。「諸佛の師は誰ぞ。」師は言った。「無始劫より来り、誰の覆蔭を承けん。」曰く、「未だ諸佛有らざる已前は作麼生。」師は言った。「魯祖が堂を開き、亦た師僧と東道西説す。」問う。「学人地に拠らざる時は如何。」師は言った。「汝は何の処に向って身を安んじ命を立てん。」曰く、「却って地に拠る時は如何。」師は言った。「死屍を拖き出せ。」問う。「如何なるか是れ異類。」師は言った。「尺短く寸長し。」問う。「如何なるか是れ諸佛の師。」師は言った。「更に直を拗ねて曲と作すこと邪ならざるべからず。」曰く、「和尚の向上に説かんことを請う。」師は言った。「闍黎は眼瞎れ耳聾せり。」作麼く山を遊びて帰ると、首座が問うた。「和尚は何の処に行きて来た。」師は言った。「山を遊びて来た。」座は言った。「何の処に到った。」師は言った。「始め芳草より去り、又落花に逐うて回る。」座は言った。「大いに春意に似たり。」師は言った。「亦た秋露の芙蕖に滴るに勝れり。」師は僧を遣わして同参の会和尚に問わしめて言った。「和尚は南泉に見えて後如何。」会は默然たり。僧は言った。「和尚未だ南泉に見えざる已前は作麼生。」会は言った。「更に別有るべからず。」僧は回りて師に挙似した。師は偈を示して言った。「百尺の竿頭動かざる人、得入と雖も未だ真と為さず。百尺の竿頭須く進歩すべし、十方世界是れ全身。」僧は便ち問うた。「只だ如し百尺の竿頭如何に進歩する。」師は言った。「朗州の山、澧州の水。」曰く、「会せず。」師は言った。「四海五湖皇化の裏。」客有りて謁す。師は尚書を召した。其の人は応諾した。師は言った。「是れ尚書の本命に非ず。」曰く、「只今の只対を離却するべからず、別に第二の主人有り。」師は言った。「尚書を喚びて至尊と作して得るか。」

曰。恁麼。總不祇對時。莫是弟子主人否。師曰。非但祗對與不祗對時。無始劫來。是箇生死根本。有偈曰。學道之人不識真秖為從來認識神。無始劫來生死本。痴人喚作本來人。有秀才看千佛名經。問曰。百千諸佛。但見其名。未審居何國土。還化物也無。師曰。黃鶴樓崔顥題後。秀才還曾題也未。曰。未曾。師曰。得閑題取一篇好。問。南泉遷化向甚麼處去。師曰。東家作驢。西家作馬。曰。學人不會。此意如何。師曰。要騎即騎。要下即下。皓月供奉問。天下善知識證三德涅槃也未。師曰。大德問果上涅槃。因中涅槃。曰。問果上涅槃。師曰。天下善知識未證。曰。為甚麼未證。師曰。功未齊於諸聖。曰。功未齊於諸聖。何為善知識。師曰。明見佛性。亦得名為善知識。曰。未審功齊何道。名證大涅槃。師示偈曰。摩訶般若照。解脫甚深法。法身寂滅體。三一理圓常。欲識功齊處。此名常寂光。曰。果上三德涅槃。已蒙開示。如何是因中涅槃。師曰。大德是。月又問。教中說幻意是有邪。師曰。大德是何言歟。曰。恁麼則幻意是無邪。師曰。大德是何言歟。曰。恁麼。則幻意是不有不無邪。師曰。大德是何言歟。曰。如某三明盡。不契於幻意。未審和尚如何明教中幻意。師曰。大德信一切法不思議否。曰。佛之誠言。那敢不信。師曰。大德言信。二信之中是何信。曰。如某所明。二信之中是名緣信。師曰。依何教門得生緣信。曰。華嚴雲。菩薩摩訶薩以無障無礙智慧。信一切世間境界。是如來境界。又華嚴雲。諸佛世尊。悉知世法及諸佛法性無差別。決定無二。又華嚴雲。佛法世間法。若見其真實。一切無差別。師曰。大德所舉緣信教門甚有來處。聽老僧與大德明教中幻意。若人見幻本來真。是則名為見佛人。圓通法法無生滅。無滅無生是佛身。月又問。蚯蚓斷為兩段。兩頭俱動。

曰く、「かくの如く、総て只対せざる時、是れ弟子の主人か否や。」師は言った。「非但だ只対する与只対せざるの時、無始劫より来り、是れ箇の生死の根本。」偈有りて曰く、「道を学ぶ人は真を識らず、只だ是れ従来神を認識するが為。無始劫より来る生死の本、痴人喚びて本来人と作す。」秀才ありて《千佛名経》を看て、問うて言った。「百千の諸佛、但だ其の名を見るのみ。未だ審らかに何の国土に居り、還た物を化するや無きや。」師は言った。「黄鶴楼に崔顥が題して後、秀才還た曾て題せしや未だや。」曰く、「未曾だ。」師は言った。「閑を得て一篇を題せば好し。」問う。「南泉遷化して何の処に向いて去る。」師は言った。「東家に驢と作り、西家に馬と作る。」曰く、「学人会せず、此の意如何。」師は言った。「騎らんと要すれば即ち騎り、下らんと要すれば即ち下る。」皓月供奉が問うた。「天下の善知識は三徳涅槃を証するや未だや。」師は言った。「大徳は果上の涅槃を問うか、因中の涅槃を問うか。」曰く、「果上の涅槃を問う。」師は言った。「天下の善知識は未だ証せず。」曰く、「何の故に未だ証せざる。」師は言った。「功未だ諸聖に齊しからず。」曰く、「功未だ諸聖に齊しからざれば、何を為めてか善知識と為る。」師は言った。「佛性を明見せば、亦た善知識と名づくるを得。」曰く、「未だ審らかに功何の道に齊しければ、大涅槃を証すると名づくる。」師は偈を示して言った。「摩訶般若の照、解脱甚深の法。法身寂滅の体、三一の理円常。功齊き処を識らんと欲せば、此れ常寂光と名づく。」曰く、「果上の三徳涅槃、已に開示を蒙る。如何なるか是れ因中の涅槃。」師は言った。「大徳是れ。」月は又问うた。「教中に幻意を説くは是れ有か邪。」師は言った。「大徳是れ何の言ぞ欤。」曰く、「かくの如くすれば則ち幻意是れ無か邪。」師は言った。「大徳是れ何の言ぞ欤。」曰く、「かくの如くすれば、則ち幻意是れ不有不无か邪。」師は言った。「大徳是れ何の言ぞ欤。」曰く、「某の三明尽く如し、幻意に契せず。未だ審らかに和尚如何に教中の幻意を明らむ。」師は言った。「大徳は一切法の不思議を信ずるか否や。」曰く、「佛の誠言、那ぞ敢えて信ぜざらん。」師は言った。「大徳信ずると言う、二信の中は是れ何の信ぞ。」曰く、「某の明らむ所の如く、二信の中は是れ名づけて縁信とす。」師は言った。「何の教門に依りて縁信を生ずるを得。」曰く、「《華嚴》に云く、菩薩摩訶薩は無障無礙の智慧を以って、一切世間の境界は是れ如来の境界と信ず。又《華嚴》に云く、諸佛世尊は悉く世法及び諸佛法性の差別無きを知る、決定して二無しと。又《華嚴》に云く、佛法世間法、若し其の真実を見れば一切差別無しと。」師は言った。「大徳の挙ぐる所の縁信教門は甚だ来処有り。老僧が大徳と教中の幻意を明らめんを聴け。若し人幻の本来真を見れば、是れ則ち名づけて見佛の人と為す。円通は法法生滅無く、無滅無生是れ佛身。」月は又问うた。「蚯蚓断かれて两段と為る、両頭倶に動く、

未審佛性在阿那頭。師曰。動與不動是何境界。曰。言不幹典。非智者之所談。祇如和尚言動與不動是何境界。出自何經。師曰。灼然。言不幹典。非智者之所談。大德豈不見首楞嚴雲。當知十方無邊。不動虗空。並其動搖。地水火風。均名六大。性真圓融。皆如來藏。本無生滅。師示偈曰。最甚深。最甚深。法界人身便是心。迷者迷心為眾色。悟時剝境是真心。身界二塵無實相。分明達此號知音。月又問。如何是陀羅尼。師指禪床右邊曰。這箇師僧卻誦得。曰。別還有人誦得否。師又指禪床左邊曰。這箇師僧亦誦得。曰。某甲為甚麼不聞。師曰。大德豈不知道。真誦無響。真聽無聞。曰。恁麼。則音聲不入法界性也。師曰。離色求觀非正見。離聲求聽是邪聞。曰。如何是不離色是正見。不離聲是真聞。師示偈曰。滿眼本非色。滿耳本非聲。文殊常觸目。觀音塞耳根。會三元一體。達四本同真。堂堂法界性。無佛亦無人。僧問南泉道。三世諸佛不知有。貍奴白牯卻知有。為甚麼三世諸佛不知有。師曰。未入鹿苑時。猶較些子。曰。貍奴白牯為甚麼卻知有。師曰。汝爭怪得伊。僧問。和尚繼嗣何人。師曰。我無人得繼嗣。曰。還參學也無。師曰。我自參學。曰。師意如何。師有偈曰。虗空問萬象。萬象答虗空。誰人親得聞。木叉丱角童。問。如何是平常心。師曰。要眠即眠。要坐即坐。曰。學人不會。意旨如何。師曰。熱即取涼。寒即向火。問。向上一路。請師道。師曰。一口針。三尺線。曰。如何領會。師曰。益州布。楊州絹。問。動是法王苗。寂是法王根。如何是法王。師指露柱曰。何不問大士。師與仰山翫月次。山曰。人人盡有這箇。秖是用不得。師曰。恰是倩汝用。山曰。你作麼生用。師劈胷與一踏。山曰。㘞。直下似箇大蟲(長慶雲。前彼此作家。後彼此不作家。乃別雲邪法難扶)。

(皓月は続けて問うた。)未だ審らかに佛性は阿那頭に在るか。」師は言った。「動く与動かざるとは是れ何の境界ぞ。」曰く、「言は典に干らず、智者の談ずる所に非ず。只だ如し和尚の言う動く与動かざるは何の境界ぞとは、何の経より出づ。」師は言った。「灼然たり。言は典に干らず、智者の談ずる所に非ず。大徳豈に見ずや《首楞嚴》に云く、十方の無辺不動の虚空、并びに其の動揺する地水火風は、均しく六大と名づくと。性は真円融、皆如来蔵、本より生滅無しと。」師は偈を示して言った。「最甚深、最甚深。法界人身便ち是れ心。迷う者は心を迷いて衆色と為し、悟る時は境を剝ぎて是れ真心。身界の二塵に実相無く、分明に此を達して知音と号す。」月は又问うた。「如何なるか是れ陀羅尼。」師は禅床の右辺を指して言った。「この師僧は却って誦じ得。」曰く、「別に還た人誦じ得る有るか否や。」師は又禅床の左辺を指して言った。「この師僧も亦た誦じ得。」曰く、「某甲は何の故に聞かざる。」師は言った。「大徳豈に知らずや、真の誦は響無く、真の聴は聞無し。」曰く、「かくの如くすれば、則ち音声は法界性に入らざるなり。」師は言った。「色を離れて観を求むるは正見に非ず、声を離れて聴を求むる是れ邪聞。」曰く、「如何なるか是れ色を離れざる是れ正見、声を離れざる是れ真聞。」師は偈を示して言った。「眼に満てる本より色に非ず、耳に満てる本より声に非ず。文殊常に目に触れ、観音耳の根を塞ぐ。三元一体を会し、四本同真を達す。堂堂たる法界性、佛無く亦た人無し。」僧が問うた。「南泉道う、三世の諸佛は有るを知らず、狸奴白牯は却って有るを知ると。何の故に三世の諸佛は有るを知らざる。」師は言った。「未だ鹿苑に入らざる時は、猶お較べ些子あり。」曰く、「狸奴白牯は何の故に却って有るを知る。」師は言った。「汝争でか彼を怪しみ得ん。」僧が問うた。「和尚は何人に継嗣する。」師は言った。「我は人の継嗣を得る無し。」曰く、「還た参学するや無きや。」師は言った。「我自ら参学す。」曰く、「師の意如何。」師は偈有りて言った。「虚空は万象に問い、万象は虚空に答う。誰人か親しく聞くことを得る、木叉の丱角の童。」問う。「如何なるか是れ平常心。」師は言った。「眠らんと要すれば即ち眠り、坐せんと要すれば即ち坐す。」曰く、「学人会せず、意旨如何。」師は言った。「熱ければ即ち涼を取り、寒ければ即ち火に向う。」問う。「向上の一路、師の道わんことを請う。」師は言った。「一口の針、三尺の線。」曰く、「如何に領会する。」師は言った。「益州の布、揚州の絹。」問う。「動は是れ法王の苗、寂は是れ法王の根。如何なるか是れ法王。」師は露柱を指して言った。「何ぞ大士に問わざる。」師は仰山と月を玩ぶ次、山は言った。「人々尽くこの個有り、只だ是れ用い得ず。」師は言った。「恰も是れ汝に用いしめんを倩す。」山は言った。「你は作麼生に用いる。」師は胸を劈きて与に一踏した。山は言った。「㘞、直下に大蟲に似たり。」(長慶は言った。「前は彼此作家、後は彼此作家ならず。」乃ち別に言った。「邪法は扶け難し。」)

自此諸方稱為岑大蟲。問。本來人還成佛也無。師曰。汝見大唐天子還自種田割稻麼。曰。未審是何人成佛。師曰。是汝成佛。僧無語。師曰。會麼。曰。不會。師曰。如人因地而倒。依地而起。地道甚麼。三聖令秀上座問曰。南泉遷化向甚麼處去。師曰。石頭作沙彌時參見六祖。秀曰。不問石頭見六祖。南泉遷化向甚麼處去。師曰。教伊尋思去。秀曰。和尚雖有千尺寒松。且無抽條石筍。師默然。秀曰。謝和尚答話。師亦默然。秀回舉似三聖。聖曰。若恁麼。猶勝臨濟七步。然雖如此。待我更驗看。至明日。三聖上問。承聞和尚昨日答南泉遷化一則語。可謂光前絕後。今古罕聞。師亦默然。僧問。如何是文殊。師曰。牆壁瓦礫是。曰。如何是觀音。師曰。音聲語言是。曰。如何是普賢。師曰。眾生心是。曰。如何是佛。師曰。眾生色身是。曰。河沙諸佛體皆同。何故有種種名字。師曰。從眼根返源名文殊。耳根返源名觀音。從心返源名普賢。文殊是佛妙觀察智。觀音是佛無緣大慈。普賢是佛無為妙行。三聖是佛之妙用。佛是三聖之真體。用則有河沙假名。體則總名一薄伽梵。問。色即是空。空即是色。此理如何。師曰。聽老僧偈。礙處非牆壁。通處沒虗空。若人如是解。心色本來同。又曰。佛性堂堂顯現。住性有情難見。若悟眾生無我。我面何如佛面。問。第六第七識及第八識畢竟無體。云何得名轉第八為大圓鏡智。師示偈曰。七生依一滅。一滅持七生。一滅滅亦滅。六七永無遷。問。蚯蚓斷為兩段。兩頭俱動。未審佛性在阿那頭。師曰。妄想作麼。曰。其如動何。師曰。汝豈不知火風未散。問。如何轉得山河國土歸自己去。師曰。如何轉得自己成山河國土去。曰。不會。師曰。湖南城下好養民。米賤柴多足四鄰。僧無語。師示偈曰。誰問山河轉。山河轉向誰。圓通無兩畔。法性本無歸。華嚴座主問。

此より諸方に岑大蟲と称す。問う。「本来人は還た佛と成るや無きや。」師は言った。「汝は大唐天子が還た自ら田を種え稲を割るを見るか。」曰く、「未だ審らかに是れ何人の佛と成るか。」師は言った。「是れ汝の佛と成る。」僧は語無し。師は言った。「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「人の地に因りて倒れ、地に依りて起つが如し。地は何を道う。」三聖は秀上座をして問わしめて言った。「南泉遷化して何の処に向いて去る。」師は言った。「石頭沙弥と為る時、六祖に参見す。」秀は言った。「石頭の六祖に見ゆるを問わず。南泉遷化して何の処に向いて去る。」師は言った。「彼をして尋ね思わしめよ。」秀は言った。「和尚は千尺の寒松有ると雖も、且つ条を抽く石笋無し。」師は默然たり。秀は言った。「和尚の答話に謝す。」師も亦た默然たり。秀は回りて三聖に挙似した。聖は言った。「若しかくの如くならば、猶お臨済の七歩に勝れり。然りと雖も此の如く、我更に験看せんを待て。」明日に至り、三聖は上りて問うた。「承くるに和尚昨日南泉遷化の一則の語に答えたり、光前絶後、今古に罕聞と謂うべし。」師も亦た默然たり。僧が問うた。「如何なるか是れ文殊。」師は言った。「牆壁瓦礫是れ。」曰く、「如何なるか是れ観音。」師は言った。「音声語言是れ。」曰く、「如何なるか是れ普賢。」師は言った。「衆生の心是れ。」曰く、「如何なるか是れ佛。」師は言った。「衆生の色身是れ。」曰く、「河沙の諸佛体皆同じ、何の故に種種の名字有る。」師は言った。「眼根より源に返れば文殊と名づけ、耳根より源に返れば観音と名づけ、心より源に返れば普賢と名づく。文殊是れ佛の妙観察智、観音是れ佛の無縁大慈、普賢是れ佛の無為妙行。三聖是れ佛の妙用、佛是三聖の真体。用ならば則ち河沙の仮名有り、体ならば則ち総て名づけて一の薄伽梵とす。」問う。「色即ち是れ空、空即ち是れ色。此の理如何。」師は言った。「老僧の偈を聴け。礙る処は牆壁に非ず、通ずる処は虚空を没す。若し人かくの如く解せば、心色本来同じ。」又曰く、「佛性堂堂として顕現し、性に住する有情は見難し。若し衆生無我を悟れば、我が面は佛の面に何如。」問う。「第六・第七識及び第八識は畢竟体無し、如何に名を得て第八を転じて大円鏡智と為す。」師は偈を示して言った。「七生は一滅に依り、一滅は七生を持つ。一滅は滅も亦た滅し、六七は永く遷らず。」問う。「蚯蚓断かれて两段と為る、両頭倶に動く、未だ審らかに佛性は阿那頭に在るか。」師は言った。「妄想を作して何す。」曰く、「其れ動くを如之何せん。」師は言った。「汝豈に火風未だ散ぜざるを知らずや。」問う。「如何に転じて山河国土を得て自己に帰せしめん。」師は言った。「如何に転じて自己を得て山河国土と成さしめん。」曰く、「会せず。」師は言った。「湖南城下は民を養うに好し、米は賤く柴は多く四隣に足る。」僧は語無し。師は偈を示して言った。「誰か山河の転ずるを問う、山河転じて誰に向う。円通に両畔無く、法性本より帰無し。」華嚴座主が問うた。

虗空為是定有。為是定無。師曰。言有亦得。言無亦得。虗空有時但有假有。虗空無時但無假無。曰。如和尚所說。有何教文。師曰。大德豈不聞首楞嚴雲。十方虗空生汝心內。猶如片雲點太清裡。豈不是虗空生時但生假名。又云。汝等一人發真歸源。十方虗空悉皆消殞。豈不是虗空滅時但滅假名。老僧所以道。有是假有。無是假無。又問。經云如淨瑠璃中內現真金像。此意如何。師曰。以淨瑠璃為法界體。以真金像為無漏智。體能生智。智能達體。故云如淨瑠璃中內現真金像。問。如何是上上人行處。師曰。如死人眼。曰。上上人相見時如何。師曰。如死人手。問。善財為甚麼無量劫遊普賢身中世界不遍。師曰。你從無量劫來。還遊得遍否。曰。如何是普賢身。師曰。含元殿裡。更覔長安。問。如何是學人心。師曰。盡十方世界是你心。曰。恁麼。則學人無著身處也。師曰。是你著身處。曰。如何是著身處。師曰。大海水。深又深。曰。學人不會。師曰。魚龍出入任升沉。問。有人問和尚。即隨因緣答。無人問和尚時如何。師曰。困則睡。徤則起。曰。教學人作麼生會。師曰。夏天赤骨力。冬寒須得被。問。亡僧遷化甚麼處去也。師示偈曰。不識金剛體。卻喚作緣生。十方真寂滅。誰在復誰行。師讚南泉真曰。堂堂南泉。三世之源。金剛常住。十方無邊。生佛無盡。現已卻還。久依南泉。有投機偈曰。今日還鄉入大門。南泉親道遍乾坤。法法分明皆祖父。回頭慙愧好兒孫。泉答曰。今日投機事莫論。南泉不道遍乾坤。還鄉盡是兒孫事。祖父從來不出門。勸學偈曰。萬丈竿頭未得休。堂堂有路少人遊。禪師願達南泉去。滿目青山萬萬秋。臨濟雲。赤肉團上。有一無位真人。師因有偈曰。萬法一如不用揀。一如誰揀誰不揀。即今生死本菩提。三世如來同箇眼。誡斫松竹偈曰。千年竹。萬年松。

「虚空は是れ定めて有か、是れ定めて無か。」師は言った。「有と言うも亦た得、無と言うも亦た得。虚空有る時は但だ仮に有り、虚空無き時は但だ仮に無し。」曰く、「和尚の説く所の如く、何の教文か有る。」師は言った。「大徳豈に聞かずや《首楞嚴》に云く、十方の虚空は汝が心内に生じ、猶お片雲の太清裏を点ずるが如しと。豈に是れ虚空生ずる時は但だ仮名を生ずるに非ずや。又云く、汝等一人真を発して源に帰せば、十方の虚空悉く皆消殞すと。豈に是れ虚空滅する時は但だ仮名を滅するに非ずや。老僧の道う所以、有は是れ仮有、無は是れ仮無。」又问うた。「経に云く、浄琉璃の中に内に真金の像を現ずるが如しと。此の意如何。」師は言った。「浄琉璃を以って法界の体と為し、真金の像を以って無漏智と為す。体能く智を生じ、智能く体に達す。故に云く、浄琉璃の中に内に真金の像を現ずるが如しと。」問う。「如何なるか是れ上上人の行処。」師は言った。「死人の眼の如し。」曰く、「上上人相見る時は如何。」師は言った。「死人の手の如し。」問う。「善財は何の故に無量劫普賢の身中の世界を遊びて遍からざる。」師は言った。「汝は無量劫より来り、還た遊び遍かんことを得るか否や。」曰く、「如何なるか是れ普賢の身。」師は言った。「含元殿の裏、更に長安を覓めよ。」問う。「如何なるか是れ学人の心。」師は言った。「十方世界を尽くせば是れ汝が心。」曰く、「かくの如くすれば則ち学人に著身の処無きなり。」師は言った。「是れ汝が著身の処。」曰く、「如何なるか是れ著身の処。」師は言った。「大海の水、深く又深し。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「魚龍の出入、升沈に任す。」問う。「人有りて和尚に問えば、即ち因縁に随って答う。人の和尚に問う無き時は如何。」師は言った。「困れば則ち睡り、健なれば則ち起く。」曰く、「学人をして作麼生に会せしめん。」師は言った。「夏は赤骨力、冬寒は須く被を得べし。」問う。「亡僧遷化して何の処に去る也。」師は偈を示して言った。「金剛の体を識らず、却って喚びて縁生と作す。十方真に寂滅、誰か復た誰か行く。」師は南泉の真を讃して言った。「堂堂たる南泉、三世の源。金剛常住、十方無辺。生佛尽きず、現じ已に還く。」久しく南泉に依り、投機の偈有りて言った。「今日郷に還り大門に入る、南泉親しく道う乾坤に遍しと。法法分明に皆祖父、頭を回らして慚愧せよ好兒孫。」泉は答えて言った。「今日投機の事論ずる莫れ、南泉は道わず乾坤に遍しと。還郷は尽く是れ兒孫の事、祖父従来門を出でず。」勧学の偈に曰く、「万丈の竿頭未だ休を得ず、堂堂たる路有りて人遊ぶこと少し。禅師達して南泉に去らんことを愿う、目に満てる青山万万秋。」臨済は説いた。「赤肉団の上に、一の無位真人有り。」師因りて偈有りて言った。「万法一如にして揀ぶを用いず、一如は誰か揀い誰か揀わざる。即今生死は本より菩提、三世如来は同箇の眼。」誡めて松竹を斫る偈に曰く、「千年の竹、万年の松、

枝枝葉葉盡皆同。為報四方玄學者。動手無非觸祖公。

(偈は続けて言う。)枝枝葉葉尽く皆同じ。四方の玄学者に報いんが為め、手を動かせば祖公に触るに非ずと言うこと無し。」

鄂州菜萸山和尚

鄂州茱萸山和尚

初住隨州護國。上堂。擎起一橛竹曰。還有人虗空裡釘得橛麼。時有靈虗上座出眾曰。虗空是橛。師擲下竹。便下座。趙州到雲居。居曰。老老大大。何不覔箇住處。曰。甚麼處住得。居曰。山前有箇古寺基。州曰。和尚自住取。後到師處。師曰。老老大大。何不覔箇住處。州曰。向甚處住。師曰。老老大大。住處也不知。州曰。三十年弄馬騎。今日卻被驢撲(雲居錫雲。甚麼處是趙州被驢撲處)。眾僧侍立次。師曰。祇恁麼白立。無箇說處。一場氣悶。僧擬問。師便打。曰。為眾竭力。便入方丈。有行者參。師曰。會去看趙州麼。曰。和尚敢道否。師曰。非但茱萸。一切人道不得。曰。和尚放某甲過。師曰。這裡從前不通人情。曰。要且慈悲心在。師便打。曰。醒後來為汝。

初め随州の護国に住す。上堂して、一橛の竹を擎げ起して言った。「還た人虚空裏に橛を釘り得る者有るか。」時に靈虚上座有りて衆より出でて言った。「虚空是れ橛。」師は竹を擲ち下し、便ち下座した。趙州が雲居に到る。居は言った。「老老大大たるに、何ぞ箇の住处を覓めざる。」曰く、「什麼の処に住し得る。」居は言った。「山前に箇の古寺基有り。」州は言った。「和尚自住して取れ。」後に師の処に到る。師は言った。「老老大大たるに、何ぞ箇の住处を覓めざる。」州は言った。「何の処に向って住する。」師は言った。「老老大大たるに、住处も亦た知らず。」州は言った。「三十年馬を弄して騎り、今日却って驢に扑かれたり。」(雲居錫は言った。「什麼の処か是れ趙州の驢に扑かれたる処。」)衆僧侍立する次、師は言った。「只だかくの如く白立して、箇の説処無し、一場の気悶。」僧は問わんと拟した。師は便ち打ちて言った。「衆の為に力を竭す。」便ち方丈に入った。行者有りて参ず。師は言った。「会して趙州を看に行くか。」曰く、「和尚敢えて道うか否や。」師は言った。「非但だ茱萸、一切の人道い得ず。」曰く、「和尚某甲を放ち過ごせ。」師は言った。「ここは従来人情を通ぜず。」曰く、「要は且つ慈悲心在り。」師は便ち打ちて言った。「醒めて後来りて汝の為にす。

衢州子湖巖利蹤禪師

衢州子湖巖利蹤禅師

澶州人也。姓周氏。幽州開元寺出家。依年受具。後入南泉之室。乃抵於衢州之馬蹄山。結茅宴居。唐開元二年。邑人翁遷貴施山下子湖創院。師於門下立牌曰。子湖有一隻狗。上取人頭。中取人心。下取人足。擬議即喪身失命。臨濟會下二僧參。方揭簾。師喝曰。看狗。僧回顧。師便歸方丈。與勝光和尚鉏園次。驀按钁。回視光曰。事即不無。擬心即差。光便問。如何是事。被師攔胷踏倒。從此有省。尼到參。師曰。汝莫是劉鐵磨否。曰。不敢。師曰。左轉右轉。曰。和尚莫顛倒。師便打。師一夜於僧堂前呌曰。有賊。眾皆驚動。有一僧在堂內出。師把住曰。維那。捉得也。捉得也。曰。不是某甲。師曰。是即是。祇是汝不肯承當。有偈示眾曰。三十年來住子湖。二時齋粥氣力麤。無事上山行一轉。借問時人會也無。廣明中。無疾歸究。塔於本山。

澶州の人。姓は周。幽州の開元寺で出家し、年に依りて具戒を受けた。後に南泉の室に入り、乃ち衢州の馬蹄山に抵り、茅を結びて宴居した。唐の開元二年、邑人の翁遷貴が山下の子湖を施して院を創った。師は門下に牌を立てて言った。「子湖に一隻の狗有り。上は人の頭を取り、中は人の心を取り、下は人の足を取る。拟議すれば即ち身を喪し命を失う。」臨済の会下の二僧が参じ、方に簾を揭げた。師は喝して言った。「狗を看よ。」僧は回顧した。師は便ち方丈に帰った。勝光和尚と園を鋤く次、驀然として钁を按え、光を回顧して言った。「事は即ち無きに非ず、心を拟すれば即ち差れる。」光は便ち問うた。「如何なるか是れ事。」師に胸を攔まれて踏み倒された。此より省すところあり。尼が到りて参じた。師は言った。「汝は劉鉄磨か。」曰く、「敢えず。」師は言った。「左に転じ右に転ぜ。」曰く、「和尚顛倒する莫れ。」師は便ち打った。師がある夜僧堂の前で叫んで言った。「賊有り。」衆は皆驚動した。一僧ありて堂内より出た。師は把り住めて言った。「維那、捉えたり、捉えたり。」曰く、「是れ某甲に非ず。」師は言った。「是なれば即ち是、只だ汝が承当を肯んぜざるのみ。」偈有りて衆に示して言った。「三十年来子湖に住し、二時の斎粥は気力粗し。事無く山に上りて一転行く、借問す時人会するや有るや無しと。」広明の中、疾無くして寂に帰した。本山に塔す。

荊南白馬曇照禪師

荊南白馬曇照禅師

常曰。快活。快活。及臨終時呌。苦。苦。又曰。閻羅王來取我也。院主問曰。和尚當時被節度使拋向水中。神色不動。如今何得恁麼地。師舉枕子曰。汝道當時是。如今是。院主無對(法眼代雲。此時但掩耳出去)。

常に言った。「快活、快活。」及び臨終の時に叫んだ。「苦しい、苦しい。」又曰く、「閻羅王来たりて我を取る。」院主が問うて言った。「和尚は当時節度使に抛げられて水の中に入れられた時、神色動かざりき。如今何ぞかくの如くなる。」師は枕子を挙げて言った。「汝道え、当時是なるか、如今是なるか。」院主は対無し。(法眼は代わって言った。「此の時但だ耳を掩うて出づべし。」)

終南山雲際師祖禪師

終南山雲際師祖禅師

初參南泉。問。摩尼珠人不識。如來藏裡親收得。如何是藏。泉曰。與汝往來者是。師曰。不往來者如何。泉曰。亦是。曰。如何是珠。泉召師祖。師應諾。泉曰。去。汝不會我語。師從此信入。

初めて南泉に参じて問うた。「摩尼珠は人識らず、如来蔵の裏に親しく収め得たり。如何なるか是れ蔵。」泉は言った。「汝と往来する者是れ。」師は言った。「往来せざる者は如何。」泉は言った。「亦是れ。」曰く、「如何なるか是れ珠。」泉は師祖を召した。師は応諾した。泉は言った。「去れ。汝は我が語を会せず。」師は此より信入す。

鄧州香嚴下堂義端禪師

鄧州香厳下堂義端禅師

上堂。兄弟。彼此未了。有甚麼事相共商量。我三五日即發去也。如今學者。須了卻今時。莫愛他向上人無事。兄弟。縱學得種種差別義路。終不代得自己見解。畢竟著力始得。空記持他巧妙章句。即轉加煩亂去。汝若欲相應。但恭恭地盡。莫停留纖毫。直似虗空。方有少分。以虗空無鎻閉。無壁落。無形段。無心眼。時有僧問。古人相見時如何。師曰。老僧不曾見古人。曰。今時血脈不斷處。如何仰羨。師曰。有甚麼仰羨處。問。某甲不問閑事。請和尚答話。師曰。更從我覔甚麼。曰。不為閑事。師曰。汝教我道。乃曰。兄弟。佛是塵。法是塵。終日馳求。有甚麼休歇。但時中不用掛情。情不掛物。無善可取。無惡可棄。莫教他籠罩著。始是學處也。問。某甲曾辭一老宿。宿曰。去則親良朋。附善友。某今辭和尚。未審有何指示。師曰。禮拜著。僧禮拜。師曰。禮拜一任禮拜。不得認奴作郎。上堂。僧問。如何是直截根源。師乃擲下拄杖。便歸方丈。上堂。語是謗。寂是誑。語寂向上有路在。老僧口門窄。不能與汝說得。便下座。上堂。問。正因為甚麼無事。師曰。我不曾停留。乃曰。假饒重重剝得。淨盡無停留。權時施設。亦是方便接人。若是那邊事。無有是處。

上堂して言った。「兄弟、彼此未だ了せず、何の事か相共に商量せん。我三五日にして即ち発ち去らん。如今の学者は、須く今時を了却すべし。他の向上の人の無事を愛する莫れ。兄弟、縱し種種の差別義路を学び得るとも、終に自己の見解に代るを得ず。畢竟力を著けて始めて得。空しく他の巧妙の章句を記持すれば、即ち転じて煩乱を加え去る。汝若し相应せんと欲せば、但だ恭恭として尽くし、纎毫を停留する莫れ。直に虚空に似て、方に少分有り。虚空に鎖閉無く、壁落無く、形段無く、心眼無きを以ってなり。」時に僧が問うた。「古人相見る時は如何。」師は言った。「老僧は曾て古人を見ず。」曰く、「今時の血脉断えざる処、如何に仰羡せん。」師は言った。「什麼の仰羡する処か有る。」問う。「某甲は閑事を問わず、和尚の答話を請う。」師は言った。「更に我より何を覓む。」曰く、「閑事と為さず。」師は言った。「汝我に道わしめよ。」乃ち言った。「兄弟、佛是れ塵、法是れ塵。終日馳求して、什麼の休歇か有る。但だ時中に情を挂するを用いず。情は物に挂からず、取るべき善無く、棄つべき悪無し。他をして籠罩せしめ著けず、始めて是れ学ぶ処なり。」問う。「某甲は曾て一の老宿に辞せり。宿は曰く、去れば則ち良朋に親しみ、善友に附けと。某今和尚に辞す。未だ審らかに何の指示か有る。」師は言った。「礼拜せよ。」僧は礼拜した。師は言った。「礼拜は礼拜に一任せよ、奴を認めて郎と作すこと得ざれ。」上堂して、僧が問うた。「如何なるか是れ直截の根源。」師は乃ち拄杖を擲ち下し、便ち方丈に帰った。上堂して言った。「語は是れ謗、寂是れ誑。語寂の向上に路在り。老僧は口門窄く、汝と与に説き得ること能わず。」便ち下座した。上堂して、問う。「正因は何の故に無事。」師は言った。「我は曾て停留せず。」乃ち言った。「仮令重重に剥ぎ得て、浄尽して停留無からしむとも、権時の施設、亦是れ方便の人を接するなり。若しあちらの事は、是の処有ること無し。」

池州靈鷲閑禪師

池州霊鷲閑禅師

上堂。是汝諸人本分事。若教老僧道。即是與蛇畫足。時有僧問。與蛇畫足即不問。如何是本分事。師曰。闍黎試道看。僧擬再問。師曰。畫足作麼。明水和尚問。如何是頓獲法身。師曰。一透龍門雲外望。莫作黃河點額魚。仰山問。寂寂無言。如何視聽。師曰。無縫塔前多雨水。僧問。二彼無言時如何。師曰。是常。曰。還有過常者無。師曰。有。曰。請師唱起。師曰。玄珠自朗耀。何須壁外光。問。今日供養西川無染大師。未審還來否。師曰。本自無所至。今豈隨風轉。曰。恁麼則供養何用。師曰。功力有為。不換義相涉。

上堂して言った。「是れ汝諸人の本分の事。若し老僧をして道わしめば、即ち是れ蛇と与に足を画く。」時に僧が問うた。「蛇と与に足を画くは即ち問わず、如何なるか是れ本分の事。」師は言った。「闍黎試みに道いて看よ。」僧は再び問わんと拟した。師は言った。「足を画きて何を作さん。」明水和尚が問うた。「如何なるか是れ頓に法身を獲る。」師は言った。「一たび龍門を透し雲外に望む、黄河の額に点ずる魚と作る莫れ。」仰山が問うた。「寂寂として言無し、如何に視聴せん。」師は言った。「無縫の塔の前、雨水多し。」僧が問うた。「二彼の言無き時は如何。」師は言った。「是れ常。」曰く、「還た常を過ぐる者有るや無きや。」師は言った。「有。」曰く、「師の唱え起さんことを請う。」師は言った。「玄珠自ら朗耀せり、何ぞ須いん壁外の光を。」問う。「今日西川の無染大師を供養す。未だ審らかに還た来たるや否や。」師は言った。「本より至る所無し、今豈に風に随いて転ぜんや。」曰く、「かくの如くすれば則ち供養何の用ぞ。」師は言った。「功力有為、換へず義相渉れり。」

洛京嵩山和尚

洛京嵩山和尚

僧問。古路坦然時如何。師曰。不前。曰。為甚麼不前。師曰。無遮障處。問。如何是嵩山境。師曰。日從東出。月向西頹。曰。學人不會。師曰。東西也不會。問。六識俱生時如何。師曰。異。曰。為甚麼如此。師曰。同。

僧が問うた。「古路坦然たる時は如何。」師は言った。「前ならず。」曰く、「何の故に前ならざる。」師は言った。「遮障無き処。」問う。「如何なるか是れ嵩山の境。」師は言った。「日は東より出で、月は西に向って頹る。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「東西も亦た会せず。」問う。「六識倶に生ずる時は如何。」師は言った。「異。」曰く、「何の故にかくの如く。」師は言った。「同。」

日子和尚

日子和尚

因亞谿來參。師作起勢。谿曰。這老山鬼。猶見某甲在。師曰。罪過。罪過。適來失祗對。谿欲進語。師便喝。谿曰。大陣當前。不妨難禦。師曰。是。是。谿曰。不是。不是(趙州雲。可憐兩箇漢。不識轉身句)。

亞渓の来りて参ずるに因り、師は起つ勢いを作した。渓は言った。「この老山鬼、猶お某甲の在るを見て居る。」師は言った。「罪過、罪過。適来対を失したり。」渓は語を進めんと欲した。師は便ち喝した。渓は言った。「大陣前に当たる、妨げず御し難し。」師は言った。「是、是。」渓は言った。「不是、不是。」(趙州は言った。「憐れむべし两箇の漢、身を転ずる句を識らず。」)

蘇州西禪和尚

蘇州西禅和尚

僧問。三乘十二分教則不問。如何是祖師西來的的意。師舉拂子示之。其僧不禮拜。竟參雪峰。峰問。甚麼處來。曰。浙中來。峰曰。今夏甚麼處。曰。西禪。峰曰。和尚安否。曰。來時萬福。峰曰。何不且在彼從容。曰。佛法不明。峰曰。有甚麼事。僧舉前話。峰曰。汝作麼生不肯伊。曰。是境。峰曰。汝見蘇州城裡人家男女否。曰。見。峰曰。汝見路上林木池沼否。曰。見。峰曰。凡覩人家男女。大地林沼。總是境。汝還肯否。曰。肯。峰曰。祇如舉起拂子。汝作麼生不肯。僧乃禮拜曰。學人取次發言。乞師慈悲。峰曰。盡乾坤是箇眼。汝向甚麼處蹲坐。僧無語。

僧が問うた。「三乗十二分教は則ち問わず、如何なるか是れ祖師西来の的的の意。」師は拂子を挙げて之に示した。其の僧は礼拜せず、竟に雪峯に参じた。峯は問うた。「什麼の処より来た。」曰く、「浙中より来ました。」峯は言った。「今夏は什麼の処。」曰く、「西禅。」峯は言った。「和尚安きか否や。」曰く、「来る時万福なり。」峯は言った。「何ぞ且く彼に従容せざる。」曰く、「佛法明らかならず。」峯は言った。「什麼の事か有る。」僧は前話を挙げた。峯は言った。「汝作麼生に彼を肯んぜざる。」曰く、「是れ境。」峯は言った。「汝は蘇州城裏の人家の男女を見るか。」曰く、「見ます。」峯は言った。「汝は路上の林木池沼を見るか。」曰く、「見ます。」峯は言った。「凡そ人家の男女、大地の林沼を睹れば、総て是れ境。汝は還た肯んずるか否や。」曰く、「肯んじます。」峯は言った。「只だ如し拂子を挙げ起すに、汝作麼生に肯んぜざる。」僧は乃ち礼拜して言った。「学人取次に言を発したり、師の慈悲を乞う。」峯は言った。「乾坤を尽くして是れ箇の眼、汝は何の処に向って蹲坐せん。」僧は語無し。

宣州刺史陸亙大夫

宣州刺史陸亙大夫

問南泉。古人瓶中養一鵝。鵝漸長大。出瓶不得。如今不得毀瓶。不得損鵝。和尚作麼生出得。泉召大夫。陸應諾。泉曰。出也。陸從此開解。即禮謝。暨南泉圓寂。院主問曰。大夫何不哭先師。陸曰。院主道得即哭。院主無對(長慶代雲。合哭不合哭)。

南泉に問うた。「古人は瓶中に一の鵞を養い、鵞漸く長大して、瓶を出ることを得ず。如今瓶を毀るを得ず、鵞を損ずるを得ず。和尚作麼生に出し得べき。」泉は大夫を召した。陸は応諾した。泉は言った。「出たり。」陸は此より開解し、即ち礼して謝した。暨ちて南泉円寂し、院主が問うて言った。「大夫何ぞ先師を哭せざる。」陸は言った。「院主道い得れば即ち哭せん。」院主は対無し。(長慶は代わって言った。「哭すべきか哭すべからざるか。」)

池州甘贄行者

池州甘贄行者

一日入南泉設齋。黃檗為首座。行者請施財。座曰。財法二施。等無差別。甘曰。恁麼道。爭消得某甲䞋。便將出去。須臾復入。曰。請施財。座曰。財法二施。等無差別。甘乃行䞋。又一日。入寺設粥。仍請南泉念誦。泉乃白椎曰。請大眾為貍奴白牯念摩訶般若波羅蜜。甘拂袖便出。泉粥後問典座。行者在甚處。座曰。當時便去也。泉便打破鍋子。甘常接待往來。有僧問曰。行者接待不易。甘曰。譬如餧驢餧馬。僧休去。有住庵僧緣化什物。甘曰。有一問。若道得即施。乃書心字。問。是甚麼字。曰。心字。又問妻。甚麼字。妻曰。心字。甘曰。某甲山妻亦合住庵。其僧無語。甘亦無施。又問一僧。甚麼處來。曰。溈山來。甘曰。曾有僧問溈山。如何是西來意。溈山舉起拂子。上座作麼生會溈山意。曰。借事明心。附物顯理。甘曰。且歸溈山去好(保福聞之。乃仰手覆手)。

ある日南泉に入りて斎を設けた。黄檗が首座と為す。行者は財を施さんことを請うた。座は言った。「財法の二施、等しく差別無し。」甘は言った。「かく道えば、争でか某甲の嚫を消し得ん。」便ち将て出でんとす。須臾にして復た入り、曰く、「財を施さんことを請う。」座は言った。「財法の二施、等しく差別無し。」甘は乃ち嚫を行じた。又ある日、寺に入りて粥を設け、仍りて南泉に念誦を請うた。泉は乃ち椎を白して言った。「大衆に請う、狸奴白牯の為に摩訶般若波羅蜜を念ぜよ。」甘は袖を拂って便ち出た。泉は粥の後に典座に問うた。「行者は何の処に在る。」座は言った。「当時便ち去れり。」泉は便ち鍋子を打破った。甘は常に往来を接待す。僧有りて問うて言った。「行者の接待は易ならず。」甘は言った。「譬えば驢を餧い馬を餧うが如し。」僧は休み去った。庵に住む僧有りて縁を化し什物す。甘は言った。「一問有り、若し道い得れば即ち施さん。」乃ち心字を書き、問うた。「是れ什麼の字ぞ。」曰く、「心字。」又问うた妻に、「什麼の字ぞ。」妻は言った。「心字。」甘は言った。「某甲の山妻も亦た庵に住するに合す。」其の僧は語無し。甘も亦た施無し。又一僧に問うた。「什麼の処より来た。」曰く、「潙山より来ました。」甘は言った。「曾て僧有りて潙山に問う、如何なるか是れ西来の意。潙山は拂子を挙げ起せり。上座は作麼生に潙山の意を会する。」曰く、「事を借りて心を明らかにし、物に附いて理を顕す。」甘は言った。「且く潙山に帰り去れ。」(保福は之を聞きて、乃ち手を仰ぎ手を覆うた。)

鹽官安國師法嗣

塩官安国師法嗣

襄州關南道常禪師

襄州關南道常禅師

僧問。如何是西來意。師舉拄杖。曰。會麼。曰。不會。師便打。師每見僧來參禮。多以拄杖打趂。或曰。遲一刻。或曰。打動關南鼓。而時輩鮮有唱和者。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来の意。」師は拄杖を挙げ、曰く、「会すか。」曰く、「会せず。」師は便ち打った。師は毎に僧の来りて参礼するを見るに、多くは拄杖を以って打ち趁った。或いは曰く、「一刻遲し。」或いは曰く、「關南の鼓を打動せり。」しかるに時輩の唱和する者鮮し。

洪州雙嶺玄真禪師

洪州双嶺玄真禅師

初問道吾。無神通菩薩為甚麼足跡難尋。吾曰。同道者方知。師曰。和尚還知否。吾曰。不知。師曰。何故不知。吾曰。去。你不識我語。師後於鹽官處悟旨焉。

初めて道吾に問うた。「無神通の菩薩は何の故に足迹尋ね難き。」吾は言った。「道を同じくする者のみ方に知る。」師は言った。「和尚還た知るか否や。」吾は言った。「知らず。」師は言った。「何の故に知らざる。」吾は言った。「去れ。お前は我が語を識らず。」師は後に塩官の処に於て旨に悟れり。

杭州徑山鑒宗禪師

杭州徑山鑑宗禅師

湖州錢氏子。依本州開元寺大德高閑出家。學通淨名思益經。後往鹽官決擇疑滯。唐咸通三年。住徑山。有小師洪諲以講論自矜(諲即法濟大師)。師謂之曰。佛祖正法。直截亡詮。汝筭海沙。於理何益。但能莫存知見。泯絕外緣。離一切心。即汝真性。諲茫然。遂禮辭。遊方至溈山。方悟玄旨。乃嗣溈山師。咸通七年示滅。諡無上大師。

湖州の銭氏の子。本州開元寺の大徳高閑に依りて出家し、《浄名》《思益経》に学び通ず。後に塩官に往きて疑滞を決択す。唐の咸通三年、徑山に住す。小師の洪𬤇有りて講論を以って自ら矜る(𬤇は即ち法済大師)。師は之に謂うて言った。「佛祖の正法は、直截にして詮を亡くす。汝は海沙を算して、理に於て何の益か有る。但だ能く知見を存せず、外縁を泯絶し、一切の心を離れば、即ち汝の真性。」𬤇は茫然として、遂に礼して辞した。方を遊びて潙山に至り、方に玄旨に悟り、乃ち潙山に嗣いだ。師は咸通七年に示滅した。諡は無上大師。

歸宗常禪師法嗣

帰宗常禅師法嗣

福州芙蓉山靈訓禪師

福州芙蓉山霊訓禅師

初參歸宗。問。如何是佛。宗曰。我向汝道。汝還信否。曰。和尚誠言。安敢不信。宗曰。即汝便是。師曰。如何保任。宗曰。一翳在眼。空華亂墜(法眼雲。若無後語。有甚麼歸宗也)。師辭。宗問。甚麼處去。師曰。歸嶺中去。宗曰。子在此多年。裝束了卻來。為子說一上佛法。師結束了上去。宗曰。近前來。師乃近前。宗曰。時寒。途中善為。師聆此言。頓忘前解。歸寂。諡弘照大師。

初めて帰宗に参じて問うた。「如何なるか是れ佛。」宗は言った。「我汝に向って道わば、汝還た信ずるか否や。」曰く、「和尚の誠言、安んぞ敢えて信て信ぜざらんや。」宗は言った。「即ち汝便ち是れ。」師は言った。「如何に保任せん。」宗は言った。「一の翳眼に在れば、空華乱れ墜つ。」(法眼は言った。「若し後語無からんには、什麼の帰宗か有らん。」)師は辞した。宗は問うた。「什麼の処に行く。」師は言った。「嶺中に帰りて行きます。」宗は言った。「子ここに多年、装束し了えて来い。子の為に一上の佛法を説かん。」師は結束して上り去らんとす。宗は言った。「近前せよ。」師は乃ち近前した。宗は言った。「時寒し、途中善く為れ。」師は此の言を聆きて、頓ちに前の解を忘れた。寂に帰した。諡は弘照大師。

漢南高亭和尚

漢南高亭和尚

有僧自夾山來禮拜。師便打。僧曰。特來禮拜。何得打某甲。僧再禮拜。師又打趂。僧回。舉似夾山。山曰。汝會也無。曰。不會。山曰。賴汝不會。若會。即夾山口瘂。

僧有りて夾山より来りて礼拜す。師は便ち打った。僧は言った。「特に礼拜しに来たり、何ぞ某甲を打つを得ん。」僧は再び礼拜した。師は又打ち趁った。僧は回り、夾山に挙似した。山は言った。「汝会すや無きや。」曰く、「会せず。」山は言った。「汝が会せざるに頼る。若し会せば、即ち夾山の口啞ならん。」

新羅大茅和尚

新羅大茅和尚

上堂。欲識諸佛師。向無明心內識取。欲識常住不凋性。向萬物遷變處識取。僧問。如何是大茅境。師曰。不露鋒。曰。為甚麼不露鋒。師曰。無當者。

上堂して言った。「諸佛の師を識らんと欲せば、無明の心内に向いて識り取れ。常住不凋の性を識らんと欲せば、万物の遷変する処に向いて識り取れ。」僧が問うた。「如何なるか是れ大茅の境。」師は言った。「鋒を露さず。」曰く、「何の故に鋒を露さざる。」師は言った。「当たる者無きが故に。」

五臺山智通禪師(自稱大禪佛)

五台山智通禅師(自ら大禅佛と称す)

初在歸宗會下。忽一夜連呌曰。我大悟也。眾駭之。明日上堂眾集。宗曰。昨夜大悟底僧出來。師出曰。某甲。宗曰。汝見甚麼道理。便言大悟。試說看。師曰。師姑元是女人作。宗異之。師便辭去。宗門送。與提笠子。師接得笠子。戴頭上便行。更不回顧。後居臺山法華寺。臨終有偈曰。舉手攀南斗。回身倚北辰。出頭天外看。誰是我般人。

初めて帰宗の会下に在り。忽ち一夜連ねて叫んで言った。「我大悟せり。」衆は之に駭きたり。明日上堂して衆集まる。宗は言った。「昨夜大悟せる底の僧出で来い。」師は出でて言った。「某甲。」宗は言った。「汝は什麼の道理を見て、便ち大悟と言う。試みに説いて看よ。」師は言った。「師姑は元是女人と作る。」宗は之を異とした。師は便ち辞去した。宗は門に送り、与に笠子を提げた。師は笠子を接し得て、頭上に戴きて便ち行き、更に回顧せず。後に台山の法華寺に居す。臨終に偈有りて言った。「手を挙げて南斗に攀じ、身を回して北辰に倚る。頭を出でて天外に看れば、誰人か是我が般の人。

大梅常禪師法嗣

大梅常禅師法嗣

新羅國迦智禪師

新羅国迦智禅師

僧問。如何是西來意。師曰。待汝裡頭來。即與汝道。問。如何是大梅的旨。師曰。酪本一時拋。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「汝が裏頭に来るを待ちて、即ち汝と与に道わん。」問う。「如何なるか是れ大梅の的旨。」師は言った。「酪本は一時に抛ぐ。」

杭州天龍和尚

杭州天龍和尚

上堂。大眾莫待老僧上來便上來。下去便下去。各有華藏性海。具足功德。無礙光明。各各參取。珍重。僧問。如何得出三界去。師曰。汝即今在甚麼處。

上堂して言った。「大衆、老僧が上り来たれば便ち上り来て、下り去れば便ち下り去るを待つ莫れ。各おの華蔵性海有り、功德具足し、光明に礙え無し。各おの参じ取れ。珍重。」僧が問うた。「如何にして三界を出で去るを得ん。」師は言った。「汝は即今什麼の処に在る。」

佛光滿禪師法嗣

佛光満禅師法嗣

杭州刺史白居易

杭州刺史白居易

字樂天。久參佛光得心法。兼稟大乘金剛寶戒。元和中造於京兆興善法堂。致四問(語見興善章)。十五年。牧杭州。訪鳥窠和尚。有問答語句(見鳥窠章)。甞致書於濟法師。以佛無上大慧演出教理。安有狥機高下。應病不同。與平等一味之說相反。援引維摩及金剛三昧等六經。闢二義而難之。又以五蘊十二緣說名色。前後不類。立理而徵之。並鉤深索隱。通幽洞微。然未覩法師醻對。後來亦鮮有代答者。復受東都凝禪師八漸之目。各廣一言而為一偈。釋其旨趣。自淺之深。猶貫珠焉。凡守任處多訪祖道。學無常師。後為賓客。分司東都。罄己俸修龍門香山寺。寺成自撰記。凡為文動關教化。無不贊美佛乘。見於本集。其歷官次第歸全代祀。即史傳存焉。

字は楽天。久しく佛光に参じて心法を得、兼ねて大乗の金剛宝戒を禀けた。元和の中、京兆の興善法堂に造りて、四問を致した(語は興善の章に見ゆ)。十五年、杭州を牧し、鳥窠和尚を訪い、問答の語句有り(鳥窠の章に見ゆ)。嘗て済法師に書を致し、佛の無上大慧に依りて教理を演出し、安んぞ機に徇りて高下有り、病に応じて同からざること、平等一味の説と相反するや有らんと。維摩及び金剛三昧等の六経を援引して、二義を辟きて之に難ず。又以て五蘊十二縁の説、名色を言う、前後類せず、理を立てて之に征す。倶に深を鉤り隠を索め、幽を通じ微を洞す。然れど未だ法師の酬対を睹ず、後来も亦た代わりて答うる者鮮し。復た東都凝禅師の八漸の目を受け、各おの一言を広めて一偈と為し、其の旨趣を釈して、浅きより深きに之く、猶お珠を貫くが如し。凡そ守任する処、多く祖道を訪い、学ぶに常師無し。後に賓客と為り、東都を分司す。己が俸を罄して龍門香山寺を修む。寺成りて自ら記を撰す。凡そ文を為すに、動もて教化に関り、佛乗を賛美せざる無し、本集に見ゆ。其の官を歴る次第、全て代祀に帰す、即ち史伝に存焉。

五洩默禪師法嗣

五泄黙禅師法嗣

福州龜山正元禪師

福州亀山正元禅師

宣州蔡氏子。甞述偈示徒。一曰。滄溟幾度變桑田。唯有虗空獨湛然。已到岸人休戀筏。未曾度者要須船。二曰。尋師認得本心源。兩岸俱玄一不全。是佛不須更覔佛。祇因如此便忘緣。咸通十年終於本山。諡性空大師。

宣州蔡氏の子。嘗て偈を述べて徒に示す。一に曰く、「滄溟幾度か桑田と変わる、唯だ虚空独り湛然とす。已に岸に到る人は筏に恋うを休め、未だ渡らざる者は須く船を要す。」二に曰く、「師を尋ねて本心の源を認め得て、両岸倶に玄しく一全からず。是の佛に須からず更に佛を覓む、只だ因が如くして便ち縁を忘る。」咸通十年に本山に終わる。諡は性空大師。

蘇溪和尚

蘇渓和尚

僧問。如何是定光佛。師曰。鴨吞螺師。曰。還許學人轉身也無。師曰。眼睛突出。

僧が問うた。「如何なるか是れ定光佛。」師は言った。「鴨が螺螄を呑む。」曰く、「還た学人の身を転ずるを許すや無きや。」師は言った。「眼睛突出せり。」

盤山積禪師法嗣

盤山積禅師法嗣

鎮州普化和尚者

鎮州普化和尚、

不知何許人也。師事盤山。密受真訣。而徉狂出言無度。暨盤山順世。乃於北地行化。或城市。或塚間。振一鐸曰。明頭來。明頭打。暗頭來。暗頭打。四方八面來。旋風打。虗空來。連架打。一日。臨濟令僧捉住曰。總不恁麼來時如何。師拓開曰。來日大悲院裡有齋。僧回舉似濟。濟曰。我從來疑著這漢。凡見人無高下。皆振鐸一聲。時號普化和尚。或將鐸就人耳邊振之。或附其背。有回顧者。即展手曰。乞我一錢。非時遇食亦吃。甞暮入臨濟院吃生菜。濟曰。這漢大似一頭驢。師便作驢鳴。濟謂直歲曰。細抹草料著。師曰。少室人不識。金陵又再來。臨濟一隻眼。到處為人開。師見馬步使出喝道。師亦喝道作相撲勢。馬步使令人打五棒。師曰。似即似。是即不是。師甞於闤闠間搖鐸唱曰。覔箇去處不可得。時道吾遇之。把住問曰。汝擬去甚麼處。師曰。汝從甚麼處來。吾無語。師掣手便去。臨濟一日與河陽木塔長老同在僧堂內坐。正說師每日在街市掣風掣顛。知他是凡是聖。師忽入來。濟便問。汝是凡是聖。師曰。汝且道我是凡是聖。濟便喝。師以手指曰。河陽新婦子。木塔老婆禪。臨濟小廝兒。卻具一隻眼。濟曰。這賊。師曰。賊。賊。便出去。唐咸通初。將示滅。乃入市謂人曰。乞我一箇直裰。人或與披襖。或與布裘。皆不受。振鐸而去。臨濟令人送與一棺。師笑曰。臨濟廝兒饒舌。便受之。乃辭眾曰。普化明日去東門死也。郡人相率送出城。師厲聲曰。今日葬不合青烏。乃曰。明日南門遷化。人亦隨之。又曰。明日出西門。方吉。人出漸稀。出已還返。人意稍怠。第四日。自擎棺出北門外。振鐸入棺而逝。郡人奔走出城。揭棺視之。已不見。唯聞空中鐸聲漸遠。莫測其由。

何れの許りの人かを知らず。盤山に師事し、密かに真訣を受けて、佯狂して言を出すに度無し。暨ちて盤山順世して、乃ち北地に於て行化す。或いは城市、或いは塚間に、一の鐸を振うて言った。「明頭来たれば、明頭に打つ。暗頭来たれば、暗頭に打つ。四方八面より来たれば、旋風に打つ。虚空より来たれば、架を連ねて打つ。」ある日、臨済は僧をして捉え住めて言った。「総てかくの如く来らざる時は如何。」師は拓き開けて言った。「来日大悲院裏に斎有り。」僧は回りて済に挙似した。済は言った。「我従来この漢を疑い著き。」凡そ人を見るに高下無く、皆鐸を一声振う。時に普化和尚と号す。或いは鐸を将て人の耳辺に就きて之を振い、或いは其の背に附す。回顧する者有れば、即ち手を展げて言った。「一銭を乞う。」時に非らざる食に遇いても亦た喫す。嘗て暮に臨済院に入りて生菜を喫す。済は言った。「この漢大いに一頭の驢に似たり。」師は便ち驢鳴を作した。済は直歳に謂うて言った。「草料を細かく抹して著けよ。」師は言った。「少室の人は識らず、金陵に又再来す。臨済の一隻眼、処に到りて人の為に開く。」師は馬歩使の出で喝道するを見て、師も亦た喝道して相撲の勢いを作した。馬歩使は人をして打たしめ五棒せしむ。師は言った。「似たれば即ち似たり、是なれば即ち是ならず。」師は嘗て閛閺の間に鐸を摇い唱えて言った。「箇の行く処を覓むるに得る可からず。」時に道吾之に遇い、把り住めて問うて言った。「汝は何の処に行かんと拟する。」師は言った。「汝は什麼の処より来た。」吾は語無し。師は手を掣めて便ち去った。臨済はある日河陽の木塔長老と同じく僧堂内に坐して、正に師が每日街市に風を掣め顛を掣める、彼を知る是れ凡なるか聖なるかと説く。師は忽ち入り来たる。済は便ち問うた。「汝は凡なるか聖なるか。」師は言った。「汝且く道え、我是れ凡なるか聖なるか。」済は便ち喝した。師は指を以って言った。「河陽の新婦子、木塔の老婆禅。臨済の小廝兒、卻て一隻眼を具す。」済は言った。「この賊。」師は言った。「賊、賊。」便ち出で去った。唐の咸通初、示滅せんと将にす、乃ち市に入りて人に謂うて言った。「一箇の直裰を乞う。」人或いは披襖を与え、或いは布裘を与え、皆受けず、鐸を振うて去った。臨済は人をして一棺を送り与えしむ。師は笑うて言った。「臨済の廝兒は饒舌なり。」便ち之を受けた。乃ち衆に辞して言った。「普化は明日東門に行きて死せん。」郡人相率いて城を出で送る。師は厲声に言った。「今日葬るに青烏に合せず。」乃ち曰く、「明日南門に遷化せん。」人も亦た之に随う。又曰く、「明日西門を出でて、方に吉ならん。」人の出づる漸く稀に、出で已りて還り返り、人意稍や怠る。第四日、自ら棺を擎げて北門の外に出で、鐸を振うて棺に入りて逝く。郡人奔走して城を出で、棺を揭げて之を視るに、已に見えず。唯だ空中の鐸声の漸く遠ざかるを聞くのみ、其の由を測る莫し。

麻谷徹禪師法嗣

麻谷徹禅師法嗣

壽州良遂禪師

寿州良遂禅師

參麻谷。谷見來。便將鉏頭去鉏草。師到鉏草處。谷殊不顧。便歸方丈。閉卻門。師次日復去。谷又閉門。師乃敲門。谷問。阿誰。師曰。良遂。才稱名。忽然契悟曰。和尚莫謾良遂。良遂若不來禮拜和尚。洎被經論賺過一生。谷便開門相見。及歸講肆。謂眾曰。諸人知處。良遂總知。良遂知處。諸人不知。

麻谷に参ず。谷は来るを見て、便ち鋤頭を将て草を鋤きに行く。師は草を鋤く処に到り、谷は殊に顧みず、便ち方丈に帰り、門を閉卻す。師は次日復た去り、谷は又門を閉づ。師は乃ち門を敲く。谷は問うた。「阿誰ぞ。」師は言った。「良遂。」纔わかに名を称して、忽然として契悟して言った。「和尚は良遂を謾る莫れ。良遂若し来りて和尚を礼拜せざるは、経論に賺されて一生を過さん。」谷は便ち門を開きて相見た。及び講肆に帰りて、衆に謂うて言った。「諸人の知る処は、良遂総て知る。良遂の知る処は、諸人は知らず。」

東寺會禪師法嗣

東寺会禅師法嗣

吉州薯山慧超禪師

吉州薯山慧超禅師

洞山來禮拜次。師曰。汝已住一方。又來這裡作麼。曰。良价無柰疑何。特來見和尚。師召良价。價應諾。師曰。是甚麼。價無語。師曰。好箇佛。祇是無光𦦨。

洞山の来りて礼拜する次。師は言った。「汝已に一方に住せり、又ここに来りて什麼を作さん。」曰く、「良价は疑に奈何せんことを奈く、特に来りて和尚に見えんとす。」師は良价を召した。价は応諾した。師は言った。「是れ什麼ぞ。」价は語無し。師は言った。「好個の佛、只だ光焰無きを。」

西堂藏禪師法嗣

西堂蔵禅師法嗣

䖍州處微禪師

虔州処微禅師

僧問。三乘十二分教體理得妙。與祖意是同是別。師曰。須向六句外鑒。不得隨聲色轉。曰。如何是六句。師曰。語底默底。不語不默。總是總不是。汝合作麼生。僧無對。問仰山。汝名甚麼。山曰。慧寂。師曰。那箇是慧。那箇是寂。山曰。祇在目前。師曰。猶有前後在。山曰。前後且置。和尚見箇甚麼。師曰。吃茶去。

僧が問うた。「三乗十二分教の体理は妙を得たり、祖意と是れ同なるか別なるか。」師は言った。「須く六句の外に向って鑑るべし、声色に随いて転ずるを得ざれ。」曰く、「如何なるか是れ六句。」師は言った。「語底、黙底、不語不黙、総て是、総て不是。汝は作麼生に合すべき。」僧は対無し。仰山に問うた。「汝名は什麼ぞ。」山は言った。「慧寂。」師は言った。「那箇是れ慧、那箇是れ寂。」山は言った。「只だ目前に在り。」師は言った。「猶お前後在り。」山は言った。「前後且く置く、和尚は箇の什麼を見る。」師は言った。「茶を喫しに行け。」

章敬腪禪師法嗣

章敬腪禅師法嗣

京兆大薦福寺弘辯禪師

京兆大薦福寺弘弁禅師

唐宣宗問。禪宗何有南北之名。對曰。禪門本無南北。昔如來以正法眼付大迦葉。展轉相傳。至二十八祖菩提達磨。來遊此方為初祖。暨第五祖弘忍大師在蘄州東山開法。時有二弟子。一名慧能。受衣法。居嶺南為六祖。一名神秀。在北揚化。其後神秀門人普寂者。立秀為第六祖。而自稱七祖。其所得法雖一。而開導發悟有頓漸之異。故曰南頓北漸。非禪宗本有南北之號也。帝曰。云何名戒。對曰。防非止惡謂之戒。帝曰。云何為定。對曰。六根涉境。心不隨緣名定。帝曰。云何為慧。對曰。心境俱空。照鑒無惑名慧。帝曰。何為方便。對曰。方便者。隱實覆相權巧之門也。被接中下。曲施誘迪謂之方便。設為上根言。捨方便但說無上道者。斯亦方便之譚。乃至祖師玄言。忘功絕謂。亦無出方便之跡。帝曰。何為佛心。對曰。佛者西天之語。唐言覺。謂人有智慧覺照為佛心。心者佛之別名。有百千異號。體唯其一。無形狀。非青黃赤白.男女等相。在天非天。在人非人。而現天現人。能男能女。非始非終。無生無滅。故號靈覺之性。如陛下日應萬機。即是陛下佛心。假使千佛共傳。而不念別有所得也。帝曰。如今有人念佛如何。對曰。如來出世為天人師。善知識隨根器而說法。為上根者開最上乘頓悟至理。中下者未能頓曉。是以佛為韋提希權開十六觀門。令念佛生於極樂。故經云。是心是佛。是心作佛。心外無佛。佛外無心。帝曰。有人持經念佛。持呪求佛。如何。對曰。如來種種開讚。皆為最上一乘。如百川眾流。莫不朝宗於海。如是差別諸數。皆歸薩婆若海。帝曰。祖師既契會心印。金剛經云無所得法。如何。對曰。佛之一化。實無一法與人。但示眾人。各各自性。同一法藏。當時然燈如來但印釋迦本法而無所得。方契然燈本意。故經云。無我無人。無眾生。無壽者。是法平等。修一切善法。

唐の宣宗が問うた。「禅宗何ぞ南北の名有る。」対えて言った。「禅門は本より南北無し。昔如来は正法眼を以って大迦葉に付し、展転相伝えて、二十八祖菩提達磨に至り、来たりて此方に遊びて初祖と為る。暨ちて第五祖弘忍大師、蘄州の東山に在りて法を開く。時に二弟子有り、一名は慧能、衣法を受け、嶺南に居りて六祖と為る。一名は神秀、北に在りて化を揚ぐ。其の後神秀の門人普寂は、秀を立てて第六祖と為し、而自ら七祖と称す。其の得る所の法は一なれども、開導して悟りを発くに頓漸の異有り、故に曰く南頓北漸。禅宗に本より南北の号有るに非ざるなり。」帝は言った。「如何に名づけて戒と為す。」対えて言った。「非を防ぎ悪を止むを戒と謂う。」帝は言った。「如何に為して定と為す。」対えて言った。「六根は境に渉れども、心は縁に随わず、名づけて定と為す。」帝は言った。「如何に為して慧と為す。」対えて言った。「心境倶に空にして、照鑑して惑い無し、名づけて慧と為す。」帝は言った。「何をか方便と為す。」対えて言った。「方便とは、実を隠し相を覆う権巧の門なり。中下を被って接し、曲りに施して誘導す、之を方便と謂う。設し上根の為に言えば、方便を舎て但だ無上道を説く者、斯れも亦た方便の談なり。乃至祖師の玄言、功を忘れ謂を絶するも、亦た方便の跡を出づること無し。」帝は言った。「何をか佛心と為す。」対えて言った。「佛は是れ西天の語、唐の言は覚。人に智慧覚照有るを佛心と謂う。心は是れ佛の別名。百千の異号有り、体は唯だ其の一。形状無く、青黄赤白、男女等の相に非ず。天に在りて天に非ず、人に在りて人に非ず、而も天を現じ人を現じ、能く男し能く女す。始に非ず終に非ず、生無く滅無し。故に霊覚の性と号す。陛下の日に万機に応ずるが如く、即ち是れ陛下の佛心。仮令千佛倶に伝うとも、別に得る所有ることを念ぜざるなり。」帝は言った。「如今人の念佛せる有るは如何。」対えて言った。「如来出世して天人の師と為る。善知識は根器に随いて法を説く。上根の為に最上乗の頓悟至理を開く。中下は未だ頓ちに暁ること能わず。是を以って佛は韋提希の為に権に十六観門を開き、念佛して極楽に生ぜしむ。故に経に云く、是心是佛、是心作佛。心の外に佛無く、佛の外に心無し。」帝は言った。「人の経を持し佛を念じ、呪を持して佛を求むる有るは如何。」対えて言った。「如来の種種の開賛は、皆最上の一乗の為なり。百川の衆流の如く、海に朝宗せざる莫し。是の如き差別の諸数、皆薩婆若海に帰す。」帝は言った。「祖師は既に心印に契会せり、《金剛経》に云く無所得の法は如何。」対えて言った。「佛の一化、実に人と与する一法無し。但だ衆人に示す、各おの自性、同じく一法蔵。当時然灯如来は但だ釈迦の本法を印して得る所無し、方に然灯の本意に契す。故に経に云く、我無く人無く、衆生無く、寿者無し。是の法平等。一切の善法を修し、

不住於相。帝曰。禪師既會祖意。還禮佛轉經否。對曰。沙門釋子。禮佛轉經。蓋是住持常法。有四報焉。然依佛戒修身。參尋知識。漸修梵行。履踐如來所行之跡。帝曰。何為頓見。何為漸修。對曰。頓明自性。與佛同儔。然有無始染習。故假漸修對治。令順性起用。如人吃飯。不一口便飽。師是日辯對七刻。賜紫方袍。號圓智禪師。仍勑修天下祖塔。各令守護。

(対えて続けて曰く:)相に住せざれ。」帝は言った。「禅師は既に祖意に会せり、還た佛を礼し経を転ずるか否や。」対えて言った。「沙門釈子、佛を礼し経を転ず、蓋し是れ住持の常法。四の報焉有り。然して佛戒に依りて身を修め、知識を参尋し、漸く梵行を修め、如来の行く所の跡を履践す。」帝は言った。「何をか頓見と為し、何をか漸修と為す。」対えて言った。「頓ちに自性を明らむれば、佛と俦を同じくす。然れども無始の染習有り、故に漸修を仮りて対治し、性に順いて用を起さしむ。人の飯を喫するが如く、一口にして便ち飽くること無し。」師是の日弁対七刻。紫の方袍を賜い、号して円智禅師と号す。仍りて天下の祖塔を修め、各おの守護せしむるを敕す。

福州龜山智具禪師

福州亀山智具禅師

揚州柳氏子。初謁章敬。敬問。何所而至。師曰。至無所至。來無所來。敬雖默然。師亦自悟。住後。上堂。動容瞬目。無出當人一念淨心。本來是佛。仍說偈曰。心本絕塵何用洗。身中無病豈求醫。欲知是佛非身處。明鑑高懸未照時。後值武宗沙汰。有偈示眾曰。勑命如雷下翠微。風前垂淚脫禪衣。雲中有寺不容住。塵裡無家何處歸。明月分形處處新。白衣寧墜解空人。誰言在俗妨修道。金粟曾為居士身。忍僊林下坐禪時。曾被歌王割截肢。況我聖朝無此事。祇令休道亦何悲。暨宣宗中興。乃不復披緇。咸通六年終於本山。諡歸寂禪師。

揚州柳氏の子。初めて章敬に謁す。敬は問うた。「何の所に至る。」師は言った。「至るに至る所無く、来るに来る所無し。」敬は黙然とすれども、師も亦た自ら悟れり。住の後、上堂して言った。「容を動かし目を瞬く、当人の一念の浄心を出づること無し、本来是れ佛。」仍りて偈を説きて言った。「心本塵を絶つ何を用いてか洗わん、身の中に病無し豈に医を求めん。是の佛の身の処に非ざるを知らんと欲せば、明鑑高く懸りて未だ照らさざる時。」後に武宗の沙汰に値い、偈有りて衆に示して言った。「敕命雷の如く翠微に下り、風前に涙を垂れて禅衣を脱ぐ。雲の中の寺は住するを容れず、塵の裏に家無し何の処に帰らん。明月は形を分かち処処に新た、白衣は寧ろ空を解する人を墜とさん。誰か言う俗に在りて道を修するを妨ぐと、金粟は曾て居士の身と為りき。忍仙は林下に禅を坐する時、曾て歌王に肢を割り截られたり。況んや我が聖朝は此の事無し、只だ道を休めしむるも亦た何の悲かあらん。」暨ちて宣宗中興し、乃ち復た緇を披かず。咸通六年に本山に終わる。諡は帰寂禅師。

金州操禪師

金州操禅師

請米和尚齋。不排坐位。米到。展坐具禮拜。師下禪床。米乃坐師位。師卻席地而坐。齋訖。米便去。侍者曰。和尚受一切人欽仰。今日坐位被人奪卻。師曰。三日後若來即受救在。米三日後果來。曰。前日遭賊(僧問鏡清。古人道。前日遭賊。意旨如何。清雲。祇見錐頭利。不見鑿頭方)。

米和尚を請じて斎せしむに、坐位を排せず。米到りて、坐具を展げて礼拜す。師は禅床を下る。米は乃ち師位に坐す。師は卻て席地に坐す。斎訖りて、米は便ち去った。侍者は言った。「和尚は一切の人に欽仰せられ、今日坐位は人に奪い却されたり。」師は言った。「三日の後若し来たらば即ち救を受くること在り。」米は三日の后果して来り、曰く、「前日賊に遭う。」(僧が鏡清に問うた。「古人の道う、前日賊に遭う、意旨如何。」清は言った。「只だ錐頭の利なるを見て、鑿頭の方なるを見ず。」)

朗州古堤和尚

朗州古堤和尚

尋常見僧來。但曰。去。汝無佛性。僧無對。或有對者。莫契其旨。仰山到參。師曰。去。汝無佛性。山叉手近前三步應喏。師笑曰。子甚麼處得此三昧來。山曰。我從耽源處得名。溈山處得地。師曰。莫是溈山的子麼。山曰。世諦即不無。佛法即不敢。山卻問。和尚從甚處得此三昧。師曰。我從章敬處得此三昧。山嘆曰。不可思議。來者難為湊泊。

尋常僧の来るを見ては、但だ言った。「去れ。汝は佛性無し。」僧は対無し。或いは対する者も、其の旨に契する莫し。仰山到りて参ず。師は言った。「去れ。汝は佛性無し。」山は手を叉きて前三歩して応喏した。師は笑うて言った。「子何の処よりか此の三昧を得て来た。」山は言った。「我は耽源の処より名を得、潙山の処より地を得たり。」師は言った。「潙山の的子か。」山は言った。「世諦は即ち無きに非ず、佛法は即ち敢えず。」山は卻て問うた。「和尚は何の処よりか此の三昧を得た。」師は言った。「我は章敬の処より此の三昧を得たり。」山は嘆じて言った。「不可思議。来る者は湊泊すること難きを為す。」

河中府公畿和尚

河中府公畿和尚

僧問。如何是道。如何是禪。師以偈示之曰。有名非大道。是非俱不禪。欲識箇中意。黃葉止啼錢。

僧が問うた。「如何なるか是れ道、如何なるか是れ禅。」師は偈を以って之に示して言った。「名有るは大道に非ず、是非倶に禅ならず。箇中の意を識らんと欲せば、黄葉は啼を止むる銭。」

永泰湍禪師法嗣

永泰湍禅師法嗣

湖南上林戒靈禪師

湖南上林戒霊禅師

初參溈山。山曰。大德作甚麼來。師曰。介冑全具。山曰。盡卸了來。與大德相見。師曰。卸了也。山咄曰。賊尚未打。卸作甚麼。師無對。仰山代曰。請和尚屏卻左右。溈山以手揖曰。喏。喏。師後參永泰。方諭其旨。

初めて潙山に参ず。山は言った。「大徳何を作して来た。」師は言った。「介冑全く具す。」山は言った。「尽く卸し了えて来い、大徳と相見ん。」師は言った。「卸し了えり。」山は喝して言った。「賊は未だ打たず、卸して什麼を作さん。」師は対無し。仰山は代わって言った。「和尚に請う、左右を屏却せよ。」潙山は手を以って揖して言った。「喏、喏。」師は後に永泰に参じて、方に其の旨に諭れたり。

五臺山秘魔巖和尚

五台山秘魔巖和尚

常持一木叉。每見僧來禮拜。即叉卻頸曰。那箇魔魅教汝出家。那箇魔魅教汝行腳。道得也叉下死。道不得也叉下死。速道。速道。學徒鮮有對者(法眼代雲。乞命。法燈代。但引頸示之。玄覺代雲。老兒家放下叉子得也)。霍山通和尚訪師。才見不禮拜。便攛入懷裡。師拊通背三下。通起拍手曰。師兄三千里外賺我來。三千里外賺我來。便回。

常に一の木叉を持す。毎に僧の来りて礼拜するを見れば、即ち叉を頸に却けて言った。「那箇の魔魅が汝をして出家せしめた、那箇の魔魅が汝をして行脚せしめた。道い得ればも叉下に死し、道い得ざればも叉下に死す。速く道え、速く道え。」学徒の対する者鮮し。(法眼は代わって言った。「命を乞う。」法灯は代わって、但だ頸を引きて之に示す。玄覚は代わって言った。「老兒家は叉子を放下せば得たり。」)霍山通和尚が師を訪うた。纔わかに見えて礼拜せず、便ち懐裏に攅り入る。師は通の背を拊つこと三下。通は起ちて手を拍して言った。「師兄三千里の外より我を賺して来らしめたり、三千里の外より我を賺して来らしめたり。」便ち回った。

湖南祇林和尚

湖南祇林和尚

每叱文殊普賢皆為精魅。手持木劒。自謂降魔。才見僧來參。便曰。魔來也。魔來也。以劒亂揮。歸方丈。如是十二年後。置劒無言。僧問。十二年前為甚麼降魔。師曰。賊不打貧兒家。曰。十二年後為甚麼不降魔。師曰。賊不打貧兒家。

毎に文殊、普賢を叱りて皆精魅と為す。手に木剣を持ち、自ら魔を降すと謂う。纔わかに僧の来りて参ずるを見れば、便ち言った。「魔来たれり、魔来たれり。」剣を以って乱れ揮い、方丈に帰る。是の如くなること十二年の後、剣を置きて言無し。僧が問うた。「十二年前は何の故に魔を降した。」師は言った。「賊は貧兒家を打たず。」曰く、「十二年後は何の故に魔を降さざる。」師は言った。「賊は貧兒家を打たず。」

華嚴藏禪師法嗣

華厳蔵禅師法嗣

黃州齊安禪師

黄州斉安禅師

上堂。言不落句。佛祖徒施。玄韻不墜。誰人知得。僧問。如何識得自己佛。師曰。一葉明時消不盡。松風韻罷怨無人。曰。如何是自己佛。師曰。草前駿馬實難窮。妙盡還須畜生行。有人問。師年多少。師曰。五六四三不得類。豈同一二實難窮。師有偈曰。猛熾𦦨中人有路。旋風頂上屹然棲。鎮常歷劫誰差互。杲日無言運照齊。

上堂して言った。「言は句に落ちず、佛祖も徒らに施す。玄韻墜ちず、誰人か知り得ん。」僧が問うた。「如何にして自己の佛を識り得ん。」師は言った。「一葉明らかな時は消え尽くさず、松風の韻罷みて怨ず人無し。」曰く、「如何なるか是れ自己の佛。」師は言った。「草前の駿馬実に窮め難し、妙を尽くさば還た須く畜生行すべし。」人問う有り。「師年多少。」師は言った。「五六四三、類を得ず、豈に一二と同じくせん、実に窮め難し。」師に偈有りて言った。「猛熾の焰中、人路有り。旋風の頂上、屹然として栖る。鎮常劫を歴るも誰か差互せん、杲日言無くして照を運び斉し。」

南嶽下四世

南嶽下四世

黃檗運禪師法嗣

黄檗運禅師法嗣

睦州陳尊宿

睦州陳尊宿

諱道明。江南陳氏之後也。生時紅光滿室。祥雲葢空。旬日方散。目有重瞳。面列七星。形相奇特。與眾奪倫。因往開元寺禮佛。見僧如故知。歸白父母。願求出家。父母聽許為僧。後持戒精嚴。學通三藏。遊方契旨於黃檗。後為四眾請住觀音院。常百餘眾。經數十載。學者叩激。隨問遽答。詞語峻險。既非循轍。故淺機之流。往往嗤之。唯玄學性敏者欽伏。由是諸方歸慕。鹹以尊宿稱。後歸開元(今改兜率)。居房織蒲鞋以養母。故有陳蒲鞋之號。巢宼入境。師標大草屨於城門。巢欲棄之。竭力不能舉。歎曰。睦州有大聖人。舍城而去。遂免擾攘。一日晚參。謂眾曰。汝等諸人還得箇入頭處也未。若未得箇入頭處。須覔箇入頭處。若得箇入頭處。已後不得孤負老僧。時有僧出禮拜。曰。某甲終不敢孤負和尚。師曰。早是孤負我了也。又曰。明明向你道。尚自不會。何況葢覆將來。又曰。老僧在此住持。不曾見箇無事人到來。汝等何不近前。時有一僧方近前。師曰。維那不在。汝自領去三門外。與二十棒。曰。某甲過在甚麼處。師曰。枷上更著杻。師尋常見衲僧來。即閉門。或見講僧。乃召曰。座主。主應諾。師曰。擔板漢。或曰。這裡有桶。與我取水。一日在廊階上立。僧問。陳尊宿房在何處。師脫草屨驀頭打。僧便走。師召。大德。僧回首。師指曰。卻從那邊去。天使問。三門俱開。從那門入。師喚尚書。使應諾。師曰。從信門入。使又見畫壁。問曰。二尊者對譚何事。師摑露柱曰。三身中那箇不說法。座主參。師問。莫是講唯識論否。曰。不敢。師曰。朝去西天。暮歸唐土。會麼。曰。不會。師曰。吽。吽。五戒不持。師問一長老。了即毛端吞巨海。始知大地一微塵。長老作麼生。曰。問阿誰。師曰。問長老。曰。何不領話。師曰。汝不領話。我不領話。問。座主講甚麼經。曰。講涅槃經。師曰。

諱は道明。江南陳氏の後なり。生るる時紅光室に満ち、祥雲空を蓋い、旬日にして方に散ず。目に重瞳有り、面に七星を列ね、形相奇特、衆と倫を奪う。因りて開元寺に往きて佛を礼し、僧を見ること故知の如し。帰りて父母に白し、出家を求めんと願う。父母聴許して僧と為す。後に戒を持して精嚴、学びて三蔵に通ず。方を遊びて黄檗に於て旨に契す。後に四衆の為に請われて観音院に住し、常に百余衆、数十載を経る。学者叩激し、問に随いて遽かに答う、詞語峻嶮。既に轍を循るに非ず、故に浅機の流、往々に之を嗤う。唯だ玄妙にして性敏なる者のみ欽伏す。是に由りて諸方帰慕し、咸く尊宿を以って称す。後に開元に帰る(今兜率と改む)、房に居りて蒲鞋を織りて以って母を養う。故に陳蒲鞋の号有り。巣寇境に入りて、師は大草履を城門に標す。巣は之を棄てんと欲するも、力を竭くしても挙ぐること能わず、嘆じて言った。「睦州に大聖人有り。」城を舎てて去り、遂に擾攘を免れたり。ある日晚参して、衆に謂うて言った。「汝等諸人還た箇の入頭の処を得や未や。若し未だ箇の入頭の処を得ざれば、須く箇の入頭の処を覓むべし。若し箇の入頭の処を得ば、已後老僧を孤負することを得ざれ。」時に僧有りて出でて礼拜し、曰く、「某甲終に敢えて和尚を孤負せず。」師は言った。「早くも是れ我を孤負したり。」又曰く、「明明として汝に向って道うも、尚お自ら会せず、況んや蓋覆し将來せんや。」又曰く、「老僧ここに住持す、曾て箇の無事の人の到来するを見ず。汝等何ぞ近前せざる。」時に一僧有りて方に近前した。師は言った。「維那在らず、汝自ら領きて三門の外に去りて、二十棒を与えよ。」曰く、「某甲の過は什麼の処に在る。」師は言った。「枷の上に更に杻を著く。」師は尋常衲僧の来るを見れば、即ち門を閉づ。或いは講僧を見れば、乃ち召して言った。「座主。」主は応諾した。師は言った。「板を擔ぐ漢。」或いは曰く、「ここに桶有り、我と与に水を取れ。」ある日廊階の上に立つ。僧が問うた。「陳尊宿の房は何の処に在る。」師は草履を脱ぎて驀頭に打った。僧は便ち走った。師は召した。「大徳。」僧は首を回らした。師は指して言った。「卻てあちらより行け。」天使が問うた。「三門倶に開く、那の門より入らん。」師は尚書を喚んだ。使は応諾した。師は言った。「信門より入れ。」使は又画壁を見て、問うて言った。「二尊者対談するは何事ぞ。」師は露柱を摑めて言った。「三身の中に那箇か法を説かざる。」座主参ず。師は問うた。「唯識論を講ずるか否や。」曰く、「敢えず。」師は言った。「朝に西天に去り、暮に唐土に帰る。会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「吽吽。五戒持たず。」師は一の長老に問うた。「了れば即ち毛端に巨海を呑み、始めて知る大地は一の微塵と。長老作麼生。」曰く、「阿誰に問う。」師は言った。「長老に問う。」曰く、「何ぞ話を領かざる。」師は言った。「汝話を領かざれば、我も話を領かず。」問う。「座主は什麼の経を講ずる。」曰く、「《涅槃経》を講ず。」師は言った、

問一段義得麼。曰。得。師以腳踢空。吹一吹。曰。是甚麼義。曰。經中無此義。師曰。脫空謾語漢。五百力士揭石義。卻道無。師見僧乃曰。見成公案。放汝三十棒。曰。某甲如是。師曰。三門頭金剛為甚麼舉拳。曰。金剛尚乃如是。師便打。問。如何是向上一路。師曰。要道有甚麼難。曰。請師道。師曰。初三十一。中九下七。問。以一重去一重即不問。不以一重去一重時如何。師曰。昨朝栽茄子。今日種冬瓜。問。如何是曹谿的的意。師曰。老僧愛嗔不愛喜。曰。為甚麼如是。師曰。路逢劒客須呈劒。不是詩人莫說詩。問僧。甚處來。曰。瀏陽。師曰。彼中老宿祇對佛法大意道甚麼。曰。徧地無行路。師曰。老宿實有此語否。曰。實有。師拈拄杖打曰。這念言語漢。師問一長老。若有兄弟來。將何祇對。曰。待他來。師曰。何不道。曰。和尚欠少甚麼。師曰請不煩葛藤。僧參。師曰。汝豈不是行腳僧。曰。是。師曰。禮佛也未。曰。禮那土堆作麼。師曰。自領出去。問。某甲講兼行腳。不會教意時如何。師曰。灼然實語當懺悔。曰。乞師指示。師曰汝若不問。老僧即緘口無言。汝既問。老僧不可緘口去也。曰。請師便道。師曰。心不負人。面無慙色。問。一句道盡時如何。師曰。義墮也。曰。甚麼處是學人義墮處。師曰。三十棒教誰吃。問。高揖釋迦。不拜彌勒時如何。師曰。昨日有人問。趂出了也。曰。和尚恐某甲不實邪。師曰。拄杖不在。苕帚柄聊與三十。上堂。我見百丈不識好惡。大眾才集。以拄杖一時打下。復召大眾。眾回首。乃雲。是甚麼。有甚共語處。又黃檗和尚亦然。復召大眾。眾回首。乃雲。月似彎弓。少雨多風。猶較些子。問僧。近離甚處。僧便喝。師曰。老僧被你一喝。僧又喝。師曰。三喝四喝後作麼生。僧無語。師便打曰。這掠虗漢。秀才訪師。稱會二十四家書。

(師は続けて言った:)「一段の義を問うに得たるか。」曰く、「得。」師は脚を以って空を踢り、一吹き吹きて、曰く、「是れ什麼の義ぞ。」曰く、「経の中に此の義無し。」師は言った。「空を脱して語を謾る漢。五百力士の石を揭ぐる義、卻て道う無しと。」師は僧を見て乃ち言った。「見成の公案、汝を放ちて三十棒。」曰く、「某甲是の如し。」師は言った。「三門頭の金剛は何の故に拳を挙ぐ。」曰く、「金剛尚お乃ち是の如し。」師は便ち打った。問う。「如何なるか是れ向上の一路。」師は言った。「道わんと要すれば什麼の難きか有る。」曰く、「師の道わんことを請う。」師は言った。「初三は十一、中九に下七。」問う。「一重を以って一重を去るは即ち問わず、一重を以って一重を去らざる時は如何。」師は言った。「昨朝茄子を栽え、今日冬瓜を種う。」問う。「如何なるか是れ曹渓の的的の意。」師は言った。「老僧は嗔を愛して喜を愛せず。」曰く、「何の故に是の如く。」師は言った。「路に劍客に逢えば須く劍を呈すべし、詩人に非ざれば詩を説く莫れ。」僧に問うた。「甚の処より来た。」曰く、「瀏陽。」師は言った。「彼の中の老宿は佛法の大意に対して只だ什麼と道う。」曰く、「遍地に行路無し。」師は言った。「老宿実に此の語有るか否や。」曰く、「実に有。」師は拄杖を拈じて打ちて言った。「この言語を念ずる漢。」師は一の長老に問うた。「若し兄弟来らば、何を将てか対せん。」曰く、「彼の来るを待たん。」師は言った。「何ぞ道わざる。」曰く、「和尚は什麼を欠少する。」師は言った。「葛藤を煩わすを請わず。」僧参ず。師は言った。「汝は豈に行脚僧に非ずや。」曰く、「是。」師は言った。「佛を礼したるか未や。」曰く、「那の土堆を礼して什麼を作さん。」師は言った。「自ら領きて出で去れ。」問う。「某甲は講を兼ねて行脚す、教意を会せざる時は如何。」師は言った。「灼然として実語は悔懺に当たる。」曰く、「師の指示を乞う。」師は言った。「汝若し問わざれば、老僧は即ち口を緘じて言無し。汝既に問う、老僧は口を緘じて去ること可ならず。」曰く、「師の便ち道わんことを請う。」師は言った。「心は人を負かず、面に慙色無し。」問う。「一句道い尽くす時は如何。」師は言った。「義堕ちたり。」曰く、「什麼の処か是れ学人の義堕する処。」師は言った。「三十棒誰をして喫せしむる。」問う。「釈迦を高揖して、弥勒を拜せざる時は如何。」師は言った。「昨日人の問う有り、趁い出されたり。」曰く、「和尚は恐らく某甲の実ならざるか邪。」師は言った。「拄杖在らず、苕帚の柄を聊か与えて三十。」上堂して言った。「我は百丈を見るに好悪を識らず。大衆纔わかに集まれば、拄杖を以って一時に打ち下す。復た大衆を召す。衆首を回らす。乃ち曰く、是れ什麼ぞ。甚の共に語る処か有る。又黄檗和尚も亦た然り。復た大衆を召す。衆首を回らす。乃ち曰く、月は弯弓に似て、雨少なく風多し。猶お些子を較ぶ。」僧に問うた。「近く何の処を離れた。」僧は便ち喝した。師は言った。「老僧は汝に一喝せられたり。」僧は又喝した。師は言った。「三喝四喝の後作麼生。」僧は語無し。師は便ち打ちて言った。「この虚を掠むる漢。」秀才師を訪うて、二十四家の書を会すと称す、

師以拄杖空中點一點。曰。會麼。秀才罔措。師曰。又道會二十四家書。永字八法也不識。上堂。裂開也在我。揑聚也在我。時有僧問。如何是裂開。師曰。三九二十七。菩提涅槃。真如解脫。即心即佛。我且與麼道。你又作麼生。曰。某甲不與麼道。師曰。盞子撲落地。碟子成七片。曰。如何是揑聚。師乃斂手而坐。問。教意祖意是同是別。師曰。青山自青山。白雲自白雲。曰。如何是青山。師曰。還我一滴雨來。曰。道不得。請師道。師曰。法華鋒前陣。涅槃句後收。問僧。今夏在甚麼處。曰。待和尚有住處即說。師曰。狐非師子類。燈非日月明。問僧。甚處來。僧瞪目視之。師曰。驢前馬後漢。曰。請師鑒。師曰。驢前馬後漢。道將一句來。僧無對。師看經次。陳操尚書問。和尚看甚麼經。師曰。金剛經。書曰。六朝翻譯。此當第幾。師舉起經曰。一切有為法。如夢幻泡影。看經次。僧問。和尚看甚麼經。師曰。涅槃經。茶毗品最在後。問僧。今夏在甚處。曰。徑山。曰。這吃夜飯漢。曰。尊宿叢林。何言吃夜飯。師以棒趂出。師聞一老宿難親近。躬往相訪。才入方丈。宿便喝。師側掌曰。兩重公案。宿曰。過在甚麼處。師曰。這野狐精。便退。問僧。近離甚處。曰。江西。師曰。踏破多少草鞋。僧無對。與講僧吃茶次。師曰。我救汝不得也。曰。某甲不曉。乞師垂示。師拈油餅曰。這箇是甚麼。曰。色法。師曰。這入鑊湯漢。紫衣大德到。禮拜。師拈帽子帶問曰。這箇喚作甚麼。曰。朝天帽。師曰。恁麼則老僧不卸也。復問。所習何業。曰。唯識。師曰。作麼生說。曰。三界唯心。萬法唯識。師指門扇曰。這箇是甚麼。曰。是色法。師曰。簾前賜紫。對御譚經。何得不持五戒。德無對。問。某甲乍入叢林。乞師指示。師曰。你不解問。曰。和尚作麼生。師曰。放汝三十棒。自領出去。問。

師は拄杖を以って空中に一点し、曰く、「会すか。」秀才は罔措した。師は言った。「又道う二十四家の書を会すと、永字八法も亦た識らず。」上堂して言った。「裂き開くも亦た我に在り、捏ね聚むるも亦た我に在り。」時に僧が問うた。「如何なるか是れ裂開。」師は言った。「三九は二十七。菩提涅槃、真如解脱、即心即佛。我且く与么に道う、汝又作麼生。」曰く、「某甲は与么に道わず。」師は言った。「盞子は地に撲ち落ち、碟子は七片と成る。」曰く、「如何なるか是れ捏聚。」師は乃ち手を斂めて坐す。問う。「教意と祖意は是れ同なるか別なるか。」師は言った。「青山自ら青山、白雲自ら白雲。」曰く、「如何なるか是れ青山。」師は言った。「我一滴の雨を還せ来い。」曰く、「道い得ず、師の道わんことを請う。」師は言った。「法華は鋒前に陣し、涅槃は句後に収む。」僧に問うた。「今夏は什麼の処に在る。」曰く、「和尚の住処有らば即ち説かんを待たん。」師は言った。「狐は師子の類に非ず、燈は日月の明に非ず。」僧に問うた。「甚の処より来た。」僧は目を瞪らして之を視た。師は言った。「驢前馬後の漢。」曰く、「師の鑑みんことを請う。」師は言った。「驢前馬後の漢、一句を道い将れ。」僧は対無し。師は経を看る次、陳操尚書が問うた。「和尚は什麼の経を看る。」師は言った。「《金剛経》。」書は言った。「六朝の翻訳、此れ第幾に当たる。」師は経を挙げ起して言った。「一切有為の法、夢幻泡影の如し。」経を看る次、僧が問うた。「和尚は什麼の経を看る。」師は言った。「《涅槃経》、荼毗品最も後に在り。」僧に問うた。「今夏は甚の処に在る。」曰く、「徑山。」曰く、「この夜飯を喫する漢。」曰く、「尊宿の叢林、何ぞ夜飯を喫すと言わん。」師は棒を以って趁い出した。師は一の老宿の親近し難きを聞きて、躬自ら往きて相い訪う。纔わかに方丈に入れば、宿便ち喝した。師は掌を側けて言った。「两重の公案。」宿は言った。「過は什麼の処に在る。」師は言った。「この野狐精。」便ち退いた。僧に問うた。「近く甚の処を離れた。」曰く、「江西。」師は言った。「多少の草鞋を踏み破った。」僧は対無し。講僧と茶を喫する次、師は言った。「我は汝を救うことを得ず。」曰く、「某甲暁らず、師の垂示を乞う。」師は油餅を拈じて言った。「這箇是れ什麼ぞ。」曰く、「色法。」師は言った。「この鑊湯に入る漢。」紫衣の大徳到りて、礼拜す。師は帽子の帯を拈じて問うて言った。「這箇は喚びて什麼と作す。」曰く、「朝天帽。」師は言った。「かくの如くすれば則ち老僧は卸さざるなり。」復た問うた。「習う所の業は何ぞ。」曰く、「唯識。」師は言った。「作麼生に説く。」曰く、「三界は唯だ心、万法は唯だ識。」師は門扇を指して言った。「這箇是れ什麼ぞ。」曰く、「是れ色法。」師は言った。「簾前に紫を賜い、御に対して経を談ず、何ぞ五戒を持たざるを得ん。」徳は対無し。問う。「某甲は乍ち叢林に入り、師の指示を乞う。」師は言った。「汝は問うことを解せず。」曰く、「和尚は作麼生。」師は言った。「汝を放ちて三十棒、自ら領きて出で去れ。」問う、

教意請師提綱。師曰。但問將來。與你道。曰。請和尚道。師曰。佛殿裡燒香。三門頭合掌。問。如何是展演之言。師曰。量才補職。曰。如何是不展演之言。師曰。伏惟尚饗。焦山借斧頭次。師呼童子取斧來。童取斧至。曰。未有繩墨且斫麤。師便喝。又問童曰。作麼生是你斧頭。童遂作斫勢。師曰。斫你老爺頭不得。師問秀才。先輩治甚經。才曰。治易。師曰。易中道。百姓日用而不知。且道不知箇甚麼。才曰。不知其道。師曰。作麼生是道。才無對。僧問。一氣還轉得一大藏教也無。師曰。有甚饆羅鎚子。快下將來。問。如何是一代時教。師曰。上大人。丘乙己。問。如何是禪。師曰。猛火著油煎。僧參。師曰。汝是新到否。曰。是。師曰。且放下葛藤。會麼。曰。不會。師曰。擔枷陳狀。自領出去。僧便出。師曰。來。來。我實問你甚處來。曰。江西。師曰。泐潭和尚在汝背後。怕你亂道。見麼。僧無對。問。寺門前金剛。拓即乾坤大地。不拓即絲髮不逢時如何。師曰。吽。吽。我不曾見此。師卻問。先跳三千。倒退八百。你合作麼生。曰。諾。師曰。先責一紙罪狀好。便打。其僧擬出。師曰。來。我共你葛藤。拓即乾坤大地。你且道洞庭湖水深多少。曰。不曾量度。師曰。洞庭湖又作麼生。曰。祇為今時。師曰。祇這葛藤尚不會。便打。問。如何是觸途無滯底句。師曰。我不恁麼道。曰。師作麼生道。師曰。箭過西天十萬裡。卻向大唐國裡等候。看華嚴經次。僧問。看甚麼經。師曰。大光明雲。青色光明雲。紫色光明雲。卻指面前曰。那邊是甚麼雲。曰。南邊是黑雲。師曰。今日須有雨。問。以字不成。入字不是。是何章句。師彈指一聲。曰。會麼。曰。不會。師曰。上來講讚無限勝因。蝦蟇𨁝跳上天。蚯蚓驀過東海。問僧。近離甚處。曰。河北。師曰。彼中有趙州和尚。你曾到否。曰。

「教意は師の提綱を請う。」師は言った。「但だ問い将れ、汝と与に道わん。」曰く、「和尚の道わんことを請う。」師は言った。「佛殿裏に香を焼き、三門頭に掌を合す。」問う。「如何なるか是れ展演の言。」師は言った。「才を量りて職を補す。」曰く、「如何なるか是れ不展演の言。」師は言った。「伏して惟れ尚お飨けたまえ。」焦山に斧頭を借る次、師は童子を呼びて斧を取り来たらしむ。童は斧を取りて至り、曰く、「未だ縄墨有らず且く粗を斫らん。」師は便ち喝した。又童に問うて言った。「作麼生か是れ汝の斧頭。」童は遂に斫る勢いを作した。師は言った。「汝の老爺の頭を斫ることを得ざれ。」師は秀才に問うた。「先輩は甚の経を治める。」才は曰く、「《易》を治む。」師は言った。「《易》の中に道う、百姓は日に用いて知らず。且く道え知らざる箇の什麼を。」才は曰く、「其の道を知らず。」師は言った。「作麼生か是れ道。」才は対無し。僧が問うた。「一気は還た一大蔵教を転じ得るや無きや。」師は言った。「甚の饆饠の鎚子か有る、快く下し将れ。」問う。「如何なるか是れ一代の時教。」師は言った。「上大人、丘乙己。」問う。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「猛火に油を著けて煎ず。」僧参ず。師は言った。「汝は新到か否や。」曰く、「是。」師は言った。「且く葛藤を放下せよ、会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「枷を擔いで状を陳べ、自ら領きて出で去れ。」僧は便ち出た。師は言った。「来い、来い。我実に汝に問う、甚の処より来た。」曰く、「江西。」師は言った。「泐潭和尚は汝の背後に在り、汝が乱れ道うを怕る。見るか。」僧は対無し。問う。「寺門前の金剛、拓けば即ち乾坤大地、拓かざれば即ち糸髪にも逢わざる時は如何。」師は言った。「吽吽。我は曾て此れを見ず。」師は卻て問うた。「先ず三千を跳び、倒れ退くこと八百、汝は作麼生に合すべき。」曰く、「諾。」師は言った。「先ず一紙の罪状を責むるを好しとす。」便ち打った。其の僧は出でんと拟した。師は言った。「来い。我は汝と共に葛藤せん。拓けば即ち乾坤大地、汝且く道え洞庭湖の水は深さ多少。」曰く、「曾て量度せず。」師は言った。「洞庭湖又作麼生。」曰く、「只だ今時の為に。」師は言った。「只だ這の葛藤すら尚お会せず。」便ち打った。問う。「如何なるか是れ触途に滞る無き底の句。」師は言った。「我はかくの如く道わず。」曰く、「師は作麼生に道う。」師は言った。「箭は西天を過ぐること十万里、卻て大唐国裏に向いて等候す。」《華厳経》を看る次、僧が問うた。「什麼の経を看る。」師は言った。「大光明雲、青色の光明雲、紫色の光明雲。」卻て面前を指して言った。「あちらは什麼の雲ぞ。」曰く、「南辺は是れ黒雲。」師は言った。「今日須く雨有るべし。」問う。「字を以って成らず、八字是ならず、是れ何の章句ぞ。」師は指を弾きて一声、曰く、「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「上に講讃する無限の勝因。蝦蟆は跳躍して天に上り、蚯蚓は驀然として東海を過ぐ。」僧に問うた。「近く甚の処を離れた。」曰く、「河北。」師は言った。「彼の中に趙州和尚有り。汝曾て到りしか否や。」曰く、

某甲近離彼中。師曰。趙州有何言句示徒。僧舉吃茶話。師乃呵呵大笑曰。慚愧。卻問。趙州意作麼生。曰。祇是一期方便。師曰。苦哉。趙州被你將一杓屎潑了也。便打。師卻問沙彌。你作麼生會。彌便設拜。師亦打。其僧往沙彌處問。適來和尚打你作甚麼。彌曰。若不是我。和尚不打某甲。新到參。方禮拜。師叱曰。闍黎因何偷常住果子吃。曰。學人才到。和尚為甚麼道偷果子。師曰。贓物見在。問僧。近離甚處。曰。仰山。師曰。五戒也不持。曰。某甲甚麼處是妄語。師曰。這裡不著沙彌。師臨終召門人曰。此處緣息。吾當逝矣。乃跏趺而寂。郡人以香薪焚之。舍利如雨。乃收靈骨。塑像於寺。壽九十八。臘七十六。

「某甲は近く彼の中を離れたり。」師は言った。「趙州は何の言句か有りて徒に示す。」僧は喫茶の話を挙げた。師は乃ち呵呵と大笑して言った。「慚愧。」卻て問うた。「趙州の意は作麼生。」曰く、「只だ是れ一期の方便。」師は言った。「苦しい哉。趙州は汝に将て一杓の屎を潑かれたり。」便ち打った。師は卻て沙弥に問うた。「汝は作麼生に会する。」弥は便ち拜を設けた。師も亦た打った。其の僧は沙弥の処に往きて問うた。「適来和尚は汝を打つは什麼を作さん。」弥は言った。「若し我に非ざれば、和尚は某甲を打たざらん。」新到参ず、方に礼拜す。師は叱って言った。「闍黎因何に常住の果子を偸んで喫する。」曰く、「学人纔わかに到り、和尚何の故に果子を偸むと道う。」師は言った。「贓物見在。」僧に問うた。「近く甚の処を離れた。」曰く、「仰山。」師は言った。「五戒も亦た持たず。」曰く、「某甲の什麼の処か是れ妄語。」師は言った。「ここに沙弥を著けず。」師は臨終に門人を召して言った。「此の処縁息まり、吾当に逝くべし。」乃ち跏趺して寂す。郡人は香薪を以って之を焚く、舎利雨の如し。乃ち霊骨を収め、寺に像を塑す。寿九十八、腊七十六。

杭州千頃山楚南禪師

杭州千頃山楚南禅師

福州張氏子。初參芙蓉。蓉見曰。吾非汝師。汝師江外黃檗是也。師禮辭。遂參黃檗。檗問。子未現三界影像時如何。師曰。即今豈是有邪。檗曰。有無且置。即今如何。師曰。非今古。檗曰。吾之法眼。已在汝躬。住後。上堂。諸子設使解得三世佛教。如缾注水。及得百千三昧。不如一念修無漏道。免被人天因果繫絆。時有僧問。無漏道如何修。師曰。未有闍黎時體取。曰。未有某甲時教誰體。師曰。體者亦無。問。如何是易。師曰。著衣吃飯。不用讀經看教。不用行道禮拜。燒身煉頂。豈不易邪。曰。如何是難。師曰。微有念生。便具五陰三界。輪回生死皆從汝一念生。所以佛教諸菩薩雲。佛所護念。師雖應機無倦。而常寂然處定。或逾月。或浹旬。文德六年五月遷化。塔於院之西隅。大順二年宣州孫儒宼錢塘。發塔。覩師全身儼然。爪髮俱長。拜謝而去。

福州張氏の子。初めて芙蓉に参ず。蓉は見て言った。「吾は汝の師に非ず。汝の師は江外の黄檗是れなり。」師は礼して辞し、遂に黄檗に参ず。檗は問うた。「子未だ三界の影像を現ぜざる時は如何。」師は言った。「即今豈に是有るか邪。」檗は言った。「有無且く置く、即今如何。」師は言った。「今古に非ず。」檗は言った。「吾が法眼、已に汝が躬に在り。」住の後、上堂して言った。「諸子設し三世の佛教を解り得て、瓶に水を注ぐが如く、及び百千の三昧を得るとも、一念に無漏の道を修するに如かず、人天の因果に繋絆せられるを免れん。」時に僧が問うた。「無漏の道は如何に修せん。」師は言った。「未だ闍黎有らざる時に體取せよ。」曰く、「未だ某甲有らざる時は誰をして體せしめん。」師は言った。「體する者も亦た無し。」問う。「如何なるか是れ易。」師は言った。「衣を著け飯を喫し、経を読み教を看るを用いず、道を行じ礼拜するを用いず、身を焼き頂を煉る、豈に易ならざらん邪。」曰く、「如何なるか是れ難。」師は言った。「微かに念の生ずる有れば、便ち五陰三界を具す。輪回の生死皆汝の一念より生ず。是の故に佛は諸の菩薩に教えて云く、佛の護念する所と。」師は機に応じて倦まざれども、常に寂然として定に処り、或いは月を逾え、或いは旬を浹す。文徳六年五月に遷化す。院の西隅に塔す。大順二年宣州の孫儒銭塘を寇し、塔を発き、師の全身儼然たるを睹る、爪髪倶に長し。拜謝して去った。

福州烏石山靈觀禪師(時稱老觀)

福州烏石山霊観禅師(時に老観と称す)

尋常扄戶。人罕見之。唯一信士每至食時送供。方開。一日。雪峰伺便扣門。師開門。峰驀𮌎搊住曰。是凡是聖。師唾曰。這野狐精。便推出閉卻門。峰曰。也祇要識老兄。剗草次。問僧。汝何處去。曰。西院禮拜安和尚去。時竹上有一青蛇。師指蛇曰。欲識西院老野狐精。祇這便是。師問西院。此一片地。堪著甚麼物。院曰。好著箇無相佛。師曰。好片地被兄放不淨汙了也。引麵次。僧參。師引麵示之。僧便去。師至暮。問小師。適來僧在何處。小師曰。當時便去也。師曰。是即是。祇得一橛(玄覺雲。甚麼處是少一橛)。問。如何是佛。師出舌示之。其僧禮謝。師曰。住。住。你見甚麼便禮拜。曰。謝和尚慈悲。出舌相示。師曰。老僧近日舌上生瘡。僧到敲門。行者開門。便出去。僧入禮拜。問。如何是西來意。師曰。適來出去者。是甚麼人。僧擬近前。師便推出。閉卻門。曹山行腳時。問。如何是毗盧師法身主。師曰。我若向你道。即別有也。曹山舉似洞山。山曰。好箇話頭。祇欠進語。何不問為甚麼不道。曹卻來進前語。師曰。若言我不道。即瘂卻我口。若言我道。即謇卻我舌。曹山歸舉似洞山。山深肯之。

尋常戸を扃じ、人は罕に之を見る。唯だ一の信士ありて毎に食時に至りて供を送るに方に開く。ある日、雪峯は便を伺い門を扣く。師は門を開く。峯は驀然として胸に搊り住めて言った。「是れ凡なるか聖なるか。」師は唾して言った。「この野狐精。」便ち推し出して門を閉卻す。峯は言った。「也只だ老兄を識らんと要す。」草を鏟る次、僧に問うた。「汝何の処に行く。」曰く、「西院に礼拜して安和尚に行きます。」時に竹の上に一の青蛇有り。師は蛇を指して言った。「西院の老野狐精を識らんと欲せば、只だ這便ち是れ。」師は西院に問うた。「此の一片の地、什麼の物を著くるに堪えん。」院は言った。「好く箇の無相の佛を著けん。」師は言った。「好片の地、兄に放ちて不净に汚されたり。」麵を引く次、僧参ず。師は麵を引きて之に示す。僧は便ち去った。師は暮に至り、小師に問うた。「適来の僧は何の処に在る。」小師は言った。「当時便ち去れり。」師は言った。「是なれば即ち是、只だ一橛を得たり。」(玄覚は言った。「什麼の処か是れ一橛を少くする。」)問う。「如何なるか是れ佛。」師は舌を出でて之に示す。其の僧は礼して謝す。師は言った。「住せ、住せ。汝は什麼を見て便ち礼拜する。」曰く、「和尚の慈悲に謝す、舌を出でて相い示せり。」師は言った。「老僧は近日舌の上に瘡を生ぜり。」僧到りて門を敲く。行者は門を開け、便ち出で去った。僧は入りて礼拜し、問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「適来出で去りし者は、是れ什麼の人ぞ。」僧は近前せんと拟した。師は便ち推し出し、門を閉卻す。曹山行脚の時、問うた。「如何なるか是れ毘盧師の法身の主。」師は言った。「我若し汝に向って道わば、即ち別有らん。」曹山は洞山に挙似した。山は言った。「好個の話頭、只だ進語を欠く。何ぞ問わざる、何の故に道わざると。」曹は卻て来りて前の語を進む。師は言った。「若し我道わずと言わば、即ち我が口を啞かしめん。若し我道うと言わば、即ち我が舌を謇かしめん。」曹山は帰りて洞山に挙似した。山は深く之を肯んじた。

杭州羅漢院宗徹禪師

杭州羅漢院宗徹禅師

湖州吳氏子。上堂。僧問。如何是祖師西來意。師曰。骨剉也(師對機多用此語。時號骨剉和尚)。問。如何是南宗北宗。師曰。心為宗。曰。還看教也無。師曰。教是心。問。性地多昏。如何了悟。師曰。煩雲風卷。太虗廓清。曰。如何得明去。師曰。一輪皎潔。萬裡騰光。

湖州呉氏の子。上堂して、僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「骨剉なり。」(師の機に対するに多く此の語を用う、時に骨剉和尚と号す。)問う。「如何なるか是れ南宗北宗。」師は言った。「心を宗と為す。」曰く、「還た教を看るや無きや。」師は言った。「教は是れ心。」問う。「性地多く昏れり、如何に了悟せん。」師は言った。「煩雲は風に巻かれ、太虚廓清たり。」曰く、「如何にして明を得て去らん。」師は言った。「一輪皎潔、万里光を騰す。」

相國裴休居士

相国裴休居士

字公美。河東聞喜人也。守新安日。屬運禪師初於嶺南黃檗山捨眾入大安精舍。混跡勞侶。掃灑殿堂。公入寺燒香。主事祇接。因觀壁畫。乃問。是何圖相。主事對曰。高僧真儀。公曰。真儀可觀。高僧何在。主事無對。公曰。此間有禪人否。曰。近有一僧。投寺執役。頗似禪者。公曰。可請來詢問得否。於是遽尋檗至。公覩之欣然曰。休適有一問。諸德吝辭。今請上人代醻一語。檗曰。請相公垂問。公舉前話。檗朗聲曰。裴休。公應諾。檗曰。在甚麼處。公當下知旨。如獲髻珠。曰。吾師真善知識也。示人剋的若是。何故汩沒於此乎。寺眾愕然。自此延入府署。執弟子禮。屢辭不已。復堅請住黃檗山。薦興祖道。有暇即躬入山頂謁。或渴聞玄論。即請入州中。公既通徹祖意。復博綜教相。諸方禪學鹹謂裴相不浪出黃檗之門也。至遷鎮宣城。還思瞻禮。亦創精藍。迎請居之。雖圭峰該通禪講。為裴之所重。未若歸心於黃檗而傾竭服膺者也。又撰圭峰碑雲。休與師於法為昆仲。於義為交友。於恩為善知識。於教為內外護。斯可見矣。仍集黃檗語要。親書序引。冠於編首。留鎮山門。又親書大藏經五百函號。迄今寶之。又圭峰禪師著禪源詮.原人論及圓覺經疏注.法界觀。皆為之序。公篤志內典。深入法會。有發願文傳於世。

字は公美。河東の聞喜の人なり。新安を守る日、運禅師初めて嶺南の黄檗山に於て衆を舎て大安精舎に入るに属し、劳侶に混迹して殿堂を掃洒す。公は寺に入りて香を焼き、主事只だ接す。因りて壁画を観て、乃ち問うた。「是れ何の図相ぞ。」主事は対えて言った。「高僧の真儀。」公は言った。「真儀は観るべし、高僧は何にか在る。」主事は対無し。公は言った。「此の間に禅人有るか否や。」曰く、「近く一僧有り、寺に投じて役を執る、頗る禅者に似たり。」公は言った。「請い来たりて詢問す可きか否や。」是に於て遽かに檗を尋ね至らしむ。公は之を睹て欣然として言った。「休適に一問有り、諸徳は辞を吝む。今上人に請う、一語を代酬せん。」檗は言った。「相公の垂問を請う。」公は前話を挙げた。檗は朗かな声に言った。「裴休。」公は応諾した。檗は言った。「什麼の処に在る。」公は当下に旨を知り、髻珠を獲るが如く、曰く、「吾が師は真の善知識なり。人に示すに克的すること是の若し、何の故に此に汩没する乎。」寺衆愕然とす。此より府署に延き入れ、弟子の礼を執る。屡ば辞みて已まず、復た堅く請いて黄檗山に住せしめ、祖道を薦め興さしむ。暇有れば即ち躬自ら山頂に入りて謁す。或いは玄論を聞かんことを渇すれば、即ち請じて州中に入る。公は既に祖意に通徹し、復た教相を博綜す。諸方の禅学咸く謂う、裴相は浪りに黄檗の門を出づるに非ざるなり。宣城に鎮を遷すに至りて、還た瞻礼を思い、亦た精藍を創し、迎え請じて之に居らしむ。圭峰は禅講に該通するも、裴の重んずる所と為るも、未だ黄檗に帰心して服膺を傾竭するに若かず。又圭峰の碑を撰して云く、「休は師と法に於て昆仲と為り、義に於て交友と為り、恩に於て善知識と為り、教に於て内外の護と為る。」斯れ以って見るべし。仍りて黄檗の語要を集め、親ら序引を書し、編首に冠し、山門に留め鎮む。又親ら大蔵経五百函の号を書す、今に至るまで之を宝とす。又圭峰禅師は《禅源詮》《原人論》及び《円覚経疏注》《法界観》を著し、皆之が為に序を為す。公は内典に志を篤くし、法会に入ること深く、発願文有りて世に伝わる。

長慶安禪師法嗣

長慶安禅師法嗣

益州大隨法真禪師

益州大随法真禅師

梓州王氏子。妙齡夙悟。決志尋師。於慧義寺出家。圓具後南遊。初見藥山.道吾.雲巖.洞山.次至嶺外大溈會下。數載食不至充。臥不求暖。清苦鍊行。操履不群。溈深器之。一日問曰。闍黎在老僧此間。不曾問一轉話。師曰。教某甲向甚麼處下口。溈曰。何不道如何是佛。師便作手勢掩溈口。溈歎曰。子真得其髓。從此名傳四海。爾後還蜀。寄錫天彭堋口山龍懷寺。於路旁煎茶普施三年。因往後山。見一古院號大隨。群峰矗秀。㵎水清冷。中有一樹。圍四丈餘。南開一門。中空無礙。不假斤斧。自然一菴。時自為木禪菴。師乃居之十餘載。影不出山。聲聞於外。四方玄學。千里趨風。蜀主欽尚。遣使屢徵。師皆辭以老病。署神照大師。上堂。此性本來清淨。具足萬德。但以染淨二緣。而有差別。故諸聖悟之。一向淨用。而成覺道。凡夫迷之。一向染用。沒溺輪回。其體不二。故般若雲。無二無二分。無別無斷故。僧問。劫火洞然。大千俱壞。未審這箇壞不壞。師曰。壞。曰。恁麼則隨他去也。師曰。隨他去。僧不肯。後到投子。舉前話。子遂裝香遙禮曰。西川古佛出世。謂其僧曰。汝速回去懺悔。僧回。大隨師已歿。僧再至投子。子亦遷化。問。如何是大人相。師曰。肚上不貼榜。問。僧甚處去。曰。西山住菴去。師曰。我向東山頭喚汝。汝便來得麼。曰。不然。師曰。汝住菴未得。問。生死到來時如何。師曰。遇茶吃茶。遇飯吃飯。曰。誰受供養。師曰。合取缽盂。庵側有一龜。僧問。一切眾生皮裹骨。這箇眾生為甚骨裹皮。師拈草履覆龜背上。僧無語。問。如何是諸佛法要。師舉拂子曰。會麼。曰。不會。師曰。麈尾拂子。問。如何是學人自己。師曰。是我自己。曰。為甚麼卻是和尚自己。師曰。是汝自己。問。如何是大隨一面事。師曰。東西南北。問。佛法徧在一切處。教學人向甚麼處駐足。

梓州王氏の子。妙齢にして夙悟し、志を決して師を尋ねんとす。慧義寺に於て出家す。円具の後南に遊ぶ。初めて薬山、道吾、雲巖、洞山に見え、次いで嶺外の大潙の会下に至る。数載食は充に至らず、臥は暖を求めず。清苦して行を煉り、操履群れず。潙は深く之を器とす。ある日問うて言った。「闍黎は老僧の此の間に在りて、曾て一転の話を問わず。」師は言った。「某甲をして什麼の処に向って口を下さしめん。」潙は言った。「何ぞ道わざる、如何なるか是れ佛と。」師は便ち手勢を作して潙の口を掩う。潙は嘆じて言った。「子真に其の髄を得たり。」此より名は四海に伝わる。爾後蜀に還り、錫を天彭堋口山の龍懐寺に寄せ、路の旁に於て茶を煎じて普く施すこと三年。因りて後山に往き、一の古院を見て号して大随と曰う。群峰秀を矗し、澗水清冷なり。中に一樹有り、囲り四丈余、南に一門を開き、中空にして礙え無く、斤斧を仮らず、自然の一庵。時に自ら木禅庵と為す。師は乃ち之に居ること十余載、影は山を出でず、声は外に聞ゆ。四方の玄学、千里風に趨る。蜀主欽尚し、使を遣わして屡ば徴す。師は皆老病を以って辞す。神照大師と署す。上堂して言った。「此の性は本来清浄、万徳を具足す。但だ染浄の二縁を以って、差別有ると為る。故に諸の聖は之に悟りて、一向に浄用して、覚道と成る。凡夫は之に迷いて、一向に染用して、輪回に没溺す。其の体は二ならず。故に《般若》に云く、二無く二分無く、別無く断無き故と。」僧が問うた。「劫火洞然として、大千倶に壊れん。未だ審らかに這箇は壊れるや壊れざるや。」師は言った。「壊る。」曰く、「かくの如くすれば則ち他に随いて去らん。」師は言った。「他に随いて去れ。」僧は肯んぜず。後に投子に到りて、前話を挙げた。子は遂に香を装えて遥かに礼して言った。「西川の古佛出世せり。」其の僧に謂うて言った。「汝速やかに回り去りて悔懺せよ。」僧回りて、大随師已に歿せり。僧は再び投子に至り、子も亦た遷化せり。問う。「如何なるか是れ大人の相。」師は言った。「肚の上に榜を貼らず。」僧に問うた。「甚の処に行く。」曰く、「西山に庵に住さんと行きます。」師は言った。「我は東山頭に向いて汝を喚ばん、汝は便ち来り得るか。」曰く、「然らず。」師は言った。「汝は庵に住すること未だ得ず。」問う。「生死の到来する時は如何。」師は言った。「茶に遇えば茶を喫し、飯に遇えば飯を喫す。」曰く、「誰か供養を受くる。」師は言った。「鉢盂を取るに合す。」庵の側に一の亀有り。僧が問うた。「一切衆生は皮は骨を裹む、這箇の衆生は何を為めて骨は皮を裹む。」師は草履を拈じて亀の背の上に覆う。僧は語無し。問う。「如何なるか是れ諸佛の法要。」師は拂子を挙げて言った。「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「麈尾の拂子。」問う。「如何なるか是れ学人の自己。」師は言った。「是れ我自己。」曰く、「何の故に卻て和尚の自己と為る。」師は言った。「是れ汝の自己。」問う。「如何なるか是れ大随の一面の事。」師は言った。「東西南北。」問う。「佛法は遍く一切の処に在り、学人をして什麼の処に向って驻足せしめん。」

師曰。大海從魚躍。長空任鳥飛。問。父子至親。岐路各別時如何。師曰。為有父子。問。如何是無縫塔。師曰。高五尺。曰。學人不會。師曰。鶻崙甎。問。和尚百年後法付何人。師曰。露柱火鑪。曰。還受也無。師曰。火鑪露柱。行者領眾參。師問。參得底人喚東作甚麼。曰。不可喚作東。師咄曰。臭驢漢。不喚作東喚作甚麼。者無語。問。如何是和尚家風。師曰。赤土畫簸箕。曰。未審此理如何。師曰。簸箕有唇。米跳不出。問。僧講甚麼教法。曰。百法論。師拈杖曰。從何而起。曰。從緣而起。師曰。苦哉。苦哉。問。僧甚處去。曰。峨嵋禮普賢去。師舉拂子曰。文殊.普賢總在這裡。僧作圓相拋向後。乃禮拜。師喚侍者取一貼茶與這僧。眾僧參次。師以口作患風勢。曰。還有人醫得吾口麼。眾僧競送藥以至。俗士聞之。亦多送藥。師並不受。七日後。師自摑口令正。乃曰。如許多時鼓這兩片皮。至今無人醫得。即端坐而逝。

師は言った。「大海は魚の躍るに従い、長空は鳥の飛ぶに任す。」問う。「父子至親、岐路各別なる時は如何。」師は言った。「父子有るを為めて。」問う。「如何なるか是れ無縫の塔。」師は言った。「高さ五尺。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「鶻崘の磚。」問う。「和尚百年の後、法は何人に付せん。」師は言った。「露柱火爐。」曰く、「還た受くるや無きや。」師は言った。「火爐露柱。」行者衆を領きて参ず。師は問うた。「参じ得る底の人は東を喚びて什麼と作す。」曰く、「東と喚び作す可からず。」師は喝して言った。「臭驢の漢。東と喚ばずして什麼と喚び作さん。」者は語無し。問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「赤土に簸箕を画く。」曰く、「未だ審らかに此の理如何。」師は言った。「簸箕に唇有り、米は跳び出でず。」僧に問うた。「什麼の教法を講ずる。」曰く、「《百法論》。」師は杖を拈じて言った。「何より起る。」曰く、「縁より起る。」師は言った。「苦しい哉、苦しい哉。」僧に問うた。「甚の処に行く。」曰く、「峨眉に普賢を礼しに行きます。」師は拂子を挙げて言った。「文殊、普賢は総て這裏に在り。」僧は円相を作して後に抛ち、乃ち礼拜した。師は侍者を喚びて一貼の茶を取りて這の僧に与えしむ。衆僧参ずる次、師は口を以って風に患る勢いを作し、曰く、「還た人の吾が口を医するを得る者有るか。」衆僧競いで薬を送りて至る。俗士之を聞きて、亦た多く薬を送る。師は竝びに受けず。七日の後、師は自ら口を摑めて正しきを令し、乃ち曰く、「許多の時この両片の皮を鼓す、今に至るまで人の医し得る無し。」即ち端坐して逝く。

韶州靈樹如敏禪師

韶州霊樹如敏禅師

閩人也。廣主劉氏奕世欽重。署知聖大師。僧問。佛法至理如何。師展手而已。問。如何是和尚家風。師曰。千年田.八百主。曰。如何是千年田.八百主。師曰。郎當屋舍沒人修。問。如何是西來意。師曰。童子莫傜兒。曰。乞師指示。師曰。汝從虔州來。問。是甚麼得恁麼難會。師曰。火官頭上風車子。有尼送瓷缽與師。師拓起問曰。這箇出在甚麼。曰。出在定州(法燈別雲。不遠此間)。師乃撲破。尼無對(保福代雲。欺敵者亡)。問。和尚年多少。師曰。今日生。來朝死。又問。和尚生緣甚麼處。師曰。日出東。月落西。師四十餘年化被嶺表。頗有異跡。廣主將興兵。躬入院請師決臧𠘶。師已先知。怡然坐化。主怒知事曰。和尚何時得疾。對曰。不曾有疾。適封一函子。令呈大王。主開函得一帖子云。人天眼目。堂中上座。主悟師旨。遂寢兵。乃召第一座開堂說法(即雲門也)。龕塔塟儀。廣主具辦。諡靈樹禪師。真身塔焉。

閩の人なり。広主劉氏は奕世欽重し、知聖大師と署す。僧が問うた。「佛法の至理如何。」師は手を展ぐるのみ。問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「千年の田、八百の主。」曰く、「如何なるか是れ千年の田、八百の主。」師は言った。「郎当の屋舎は人の修むる無し。」問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「童子は傜兒と為る莫れ。」曰く、「師の指示を乞う。」師は言った。「汝は虔州より来た。」問う。「是れ什麼がかくの如く会し難きを得た。」師は言った。「火官の頭上の風車子。」尼有りて瓷鉢を師に送る。師は拓き起して問うて言った。「這箇は什麼に出づ。」曰く、「定州に出づ。」(法灯は別に言った。「此の間を遠からず。」)師は乃ち撲ち破る。尼は対無し。(保福は代わって言った。「敵を欺く者は亡ぶ。」)問う。「和尚の年多少。」師は言った。「今日生まれ、来朝死す。」又问うた。「和尚の生縁は什麼の処。」師は言った。「日は東に出で、月は西に落つ。」師は四十余年化は嶺表に被り、頗る異迹有り。広主将に兵を興さんとし、躬自ら院に入りて師に請いて臧否を決せんとす。師は已に先に知り、怡然として坐化す。主は知事を怒りて言った。「和尚は何時に疾を得た。」対えて言った。「曾て疾有らず。適に一の函子を封じ、大王に呈せしめんと令せり。」主は函を開きて一の帖子を得て云く、「人天の眼目、堂中の上座。」主は師旨に悟り、遂に兵を寝す。乃ち第一座を召して堂を開き法を説かしむ(即ち雲門なり)。龕塔の葬儀、広主具えて弁ず。諡は霊樹禅師。真身は塔に焉。

福州靈雲志勤禪師

福州霊雲志勤禅師

本州長谿人也。初在溈山。因見桃華悟道。有偈曰。三十年來尋劒客。幾回落葉又抽枝。自從一見桃華後。直至如今更不疑。溈覧偈。詰其所悟。與之符契。溈曰。從緣悟達。永無退失。善自護持(有僧舉似玄沙。沙雲。諦當甚諦當。敢保老兄未徹在。眾疑此語。沙問地藏。我恁麼道。汝作麼生會。藏雲。不是桂琛。即走殺天下人)。住後。上堂。諸仁者所有長短。盡至不常。且觀四時草木。葉落華開。何況塵劫來。天人七趣。地水火風。成壞輪轉。因果將盡。三惡道苦。毛髮不曾添減。唯根蔕神識常存。上根者遇善友伸明。當處解脫。便是道場。中下痴愚。不能覺照。沈迷三界。流轉生死。釋尊為伊天上人間。設教證明。顯發智道。汝等還會麼。僧問。如何得出離生老病死。師曰。青山元不動。浮雲任去來。問。君王出陣時如何。師曰。春明門外。不問長安。曰。如何得覲天子。師曰。盲鶴下清池。魚從腳底過。問。如何是佛法大意。師曰。驢事未去。馬事到來。曰。學人不會。師曰。彩氣夜常動。精靈日少逢。雪峰有偈送雙峰。末句雲。雷罷不停聲。師別雲。雷震不聞聲。峰聞乃曰。靈雲山頭古月現。峰後問曰。古人道。前三三後三三。意旨如何。師曰。水中魚。天上鳥。峰曰。意作麼生。師曰。高可射兮深可釣。僧問。諸方悉皆雜食。未審和尚如何。師曰。獨有閩中異。雄雄鎮海涯。問。久戰沙場。為甚麼功名不就。師曰。君王有道三邊靜。何勞萬裡築長城。曰。罷卻干戈。束手歸朝時如何。師曰。慈雲普潤無邊剎。枯樹無華爭柰何。長生問。混沌未分時含生何來。師曰。如露柱懷胎。曰。分後如何。師曰。如片雲點太清。曰。未審太清還受點也無。師不答。曰。恁麼則含生不來也。師亦不答。曰。直得純清絕點時如何。師曰。猶是真常流注。曰。如何是真常流注。師曰。似鏡長明。曰。

本州長渓の人なり。初めて潙山に在り、桃花を見るに因りて道に悟る。偈有りて言った。「三十年来劍客を尋ね、幾回落葉し又枝を抽ぬ。一たび桃花を見てより後、直ちに今に至るまで更に疑わず。」潙は偈を覧て、其の悟る所を詰め、之と符契せり。潙は言った。「縁に従いて悟達す、永く退失無し。善く自ら護持せよ。」(僧有りて玄沙に挙似す。沙は言った。「諦当甚だ諦当、敢えて保す老兄は未だ徹せざること在り。」衆は此の語を疑う。沙は地蔵に問うた。「我がかくの如く道うに、汝は作麼生に会する。」蔵は言った。「桂琛に非ざれば、即ち天下人を走り殺さん。」)住の後、上堂して言った。「諸の仁者の所有する長短、尽く不常に至る。且く四時の草木を観よ、葉落ち花開く。況んや塵劫より来たり、天人の七趣、地水火風、成壊輪転す。因果将に尽きんとし、三悪道の苦、毛髪も曾て添減せず。唯だ根蒂の神識は常に存す。上根の者は善友に遇い明を伸ばし、当に処に解脱し、便ち是れ道場。中下は痴愚にして、覚照すること能わず、三界に沈迷し、生死に流転す。釈尊は伊の為に天上人間に教を設けて証明し、智道を顕発す。汝等還た会するか。」僧が問うた。「如何にして生老病死を出離するを得ん。」師は言った。「青山は元より動かず、浮雲は去来に任す。」問う。「君王の陣を出づる時は如何。」師は言った。「春明門の外、長安を問わず。」曰く、「如何にして天子に覲することを得ん。」師は言った。「盲鶴は清池に下り、魚は脚の底より過ぐ。」問う。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「驢の事未だ去らず、馬の事到来す。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「彩気は夜に常に動き、精霊は日に逢うこと少なし。」雪峯に偈有りて双峰に送る、末句に云く、「雷罷みて声を停めず。」師は別に云く、「雷震れども声を聞かず。」峯は聞きて乃ち言った。「霊雲の山頭に古月現ず。」峯は後に問うて言った。「古人の道う前三三後三三、意旨如何。」師は言った。「水中の魚、天上の鳥。」峯は言った。「意は作麼生。」師は言った。「高ければ射る可く、深ければ釣る可し。」僧が問うた。「諸方悉く皆雑食、未だ審らかに和尚如何。」師は言った。「独り閩中の異有り、雄雄として海涯を鎮む。」問う。「久しく沙場に戦い、何の故に功名就かざる。」師は言った。「君王道有りて三辺静かなり、何ぞ劳せん万里に長城を築くを。」曰く、「干戈を罷め却り、手を束ねて朝に帰る時は如何。」師は言った。「慈雲普く無辺の刹を潤し、枯樹に花無し争で奈何せん。」長生が問うた。「混沌未だ分かれざる時、含生は何れより来た。」師は言った。「露柱の胎を懐くが如し。」曰く、「分かれて後如何。」師は言った。「片雲の太清を点ずるが如し。」曰く、「未だ審らかに太清は還た点を受くるや無きや。」師は答えず。曰く、「かくの如くすれば則ち含生は来らざるなり。」師も亦た答えず。曰く、「直ちに純清にして点を絶するを得ば時如何。」師は言った。「猶お是れ真常流注。」曰く、「如何なるか是れ真常流注。」師は言った。「鏡の長明に似たり。」曰く、

向上更有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。打破鏡來。與汝相見。僧問。如何是西來意。師曰。井底種林擒。曰。學人不會。師曰。今年桃李貴。一顆直千金。問。摩尼珠不隨眾色。未審作何色。師曰。白色。曰。恁麼則隨眾色也。師曰。趙璧本無瑕。相如誑秦主。問。僧甚處去。曰。雪峰去。師曰。我有一信寄雪峰。得麼。曰。便請。師脫隻履拋向面前。僧便去。至雪峰。峰問。甚處來。曰。靈雲來。峰曰。靈雲安否。曰。有一信相寄。峰曰。在那裡。僧脫隻履。拋向峰面前。峰休去。

「向上更に事有るや無きや。」師は言った。「有。」曰く、「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「鏡を打破り来たれ、汝と相見ん。」僧が問うた。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「井底に林檎を種う。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「今年は桃李貴し、一顆直ちに千金に価す。」問う。「摩尼珠は衆色に随わず、未だ審らかに何の色を作す。」師は言った。「白色。」曰く、「かくの如くすれば則ち衆色に随うなり。」師は言った。「趙璧は本より瑕無し、相如は秦主を誑かしき。」僧に問うた。「甚の処に行く。」曰く、「雪峯に行きます。」師は言った。「我一信有りて雪峯に寄せん、得たるか。」曰く、「便ち請います。」師は只履を脱ぎて面前に抛ち向く。僧は便ち去った。雪峯に至る。峯は問うた。「甚の処より来た。」曰く、「霊雲より来ました。」峯は言った。「霊雲安きか否や。」曰く、「一信有りて相い寄せんと。」峯は言った。「在るは那裏。」僧は只履を脱ぎ、峯の面前に抛ち向く。峯は休み去った。

福州壽山師解禪師

福州寿山師解禅師

甞參洞山。山問。闍黎生緣何處。師曰。和尚若實問。某甲即是閩中人也。曰。汝父名甚麼。師曰。今日蒙和尚致此一問。直得忘前失後。住後。上堂。諸上座幸有真實言語相勸。諸兄弟合各自體悉。凡聖情盡。體露真常。但一時卸卻從前虗妄。攀緣塵垢。心如虗空相似。他時後日。合識得些子好惡。閩帥問。壽山年多少。師曰。與虗空齊年。曰。虗空年多少。師曰。與壽山齊年。

嘗て洞山に参ず。山は問うた。「闍黎の生縁は何の処。」師は言った。「和尚若し実に問わば、某甲は即ち閩中の人なり。」曰く、「汝の父の名は什麼ぞ。」師は言った。「今日和尚の此の一問を致すを蒙りて、直ちに前を忘れ後を失うを得たり。」住の後、上堂して言った。「諸の上座は幸いに真実の言語有りて相い勧めん。諸の兄弟は各おの體悉すべきを合す。凡聖の情尽きて、體は真常を露わす。但だ一時に従前の虚妄、攀縁の塵垢を卸却して、心は虚空に相似たり。他時日后、些子の好悪を識り得るを合す。」閩帥が問うた。「寿山の年多少。」師は言った。「虚空と年を斉しゅうす。」曰く、「虚空の年多少。」師は言った。「寿山と年を斉しゅうす。」

饒州嶤山和尚

饒州嶢山和尚

僧問。如何是西來意。師曰。仲冬嚴寒。問。如何是和尚深深處。師曰。待汝舌頭落地。即向汝道。問。如何是丈六金身。師曰。判官斷案相公改。長慶問。從上宗乘。此間如何言論。師曰。有願不負先聖。慶曰。不負先聖作麼生。師曰。不露。慶曰。恁麼則請師領話。師曰。甚麼處去來。慶曰。祇守甚麼處去來。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「仲冬厳寒。」問う。「如何なるか是れ和尚の深深の処。」師は言った。「汝の舌頭の地に落つるを待ちて、即ち汝に向って道わん。」問う。「如何なるか是れ丈六の金身。」師は言った。「判官は案を断じ相公は改む。」長慶が問うた。「従上の宗乗、此の間如何に言論せん。」師は言った。「願有りて先聖を負かず。」慶は言った。「先聖を負かざるは作麼生。」師は言った。「露わさず。」慶は言った。「かくの如くすれば則ち師の話を領かんことを請う。」師は言った。「什麼の処に去りて来た。」慶は言った。「只だ什麼の処に去りて来たを守る。」

泉州國歡崇福院文矩慧日禪師

泉州国歓崇福院文矩慧日禅師

福州黃氏子。生而有異。及長為縣獄卒。每每棄役。往神光觀和尚及西院安禪師所。吏不能禁。後謁萬歲塔譚空禪師落髮。不披袈裟。不受具戒。唯以雜綵為掛子。復至神光。光曰。我非汝師。汝禮西院去。師擕一小青竹杖。入西院法堂。院遙見笑曰。入涅槃堂去。師應諾。輪竹杖而入。時有五百許僧染時疾。師以杖次第點之。各隨點而起。閩王禮重。創院以居之。厥後頗多靈跡。唐乾寧中示滅。

福州黄氏の子。生れて異有り。及び長じて県の獄卒と為る。每每役を棄てて、神光観和尚及び西院安禅師の所に往く。吏禁ずること能わず。後に万歳塔の譚空禅師に謁して髪を落とすも、袈裟を披かず、具戒を受けず、唯だ雜彩を以って掛子と為す。復た神光に至る。光は言った。「我は汝の師に非ず。汝は西院を礼しに行け。」師は一小青竹の杖を携えて、西院の法堂に入る。院は遥かに見て笑うて言った。「涅槃堂に入りて行け。」師は応諾し、竹杖を輪して入る。時に五百許りの僧有りて時疾に染む。師は杖を以って次第に之を点ず、各おの点に随いて起つ。閩王礼重し、院を創し以って之に居らしむ。厥の後頗る霊迹多し。唐の乾寧の中に示滅す。

台州浮江和尚

台州浮江和尚

雪峰領眾到。問。即今有二百人寄此過夏。得麼。師將拄杖畫一畫。著不得即道。峰休去。

雪峯は衆を領きて到り、問うた。「即今二百人此に寄せて夏を過さん、得たるか。」師は拄杖を将て一画きて言った。「著け得ざれば即ち道え。」峯は休み去った。

潞州淥水和尚

潞州渌水和尚

僧問。如何是祖師西來意。師曰。還見庭前華藥欄麼。僧無語。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「還た庭前の花の薬欄を見るか。」僧は語無し。

廣州文殊院圓明禪師

広州文殊院円明禅師

福州陳氏子。參大溈得旨後。造雪峰請益。法無異味。甞遊五臺山。覩文殊化現。乃隨方建院。以文殊為額。開寶中樞密使李崇矩巡護南方。因入院覩地藏菩薩像。問僧。地藏何以展手。僧曰。手中珠被賊偷卻也。李卻問師。既是地藏。為甚麼遭賊。曰。今日捉下也。李禮謝之。

福州陳氏の子。大潙に参じて旨を得て後、雪峯に造りて益を請う、法は異味無し。嘗て五台山に遊び、文殊の化現を睹て、乃ち方に随いて院を建て、文殊を以って額と為す。開宝の中、枢密使の李崇矩南方を巡護し、因りて院に入りて地蔵菩薩の像を睹て、僧に問うた。「地蔵は何を以って手を展ぐ。」僧は言った。「手の中の珠は賊に偸み却されたり。」李は卻て師に問うた。「既に地蔵たり、何の故に賊に遭う。」曰く、「今日捉え下されたり。」李は礼して之を謝した。

趙州諗禪師法嗣

趙州諗禅師法嗣

洪州新興嚴陽尊者

洪州新興厳陽尊者

諱善信。初參趙州。問。一物不將來時如何。州曰。放下著。師曰。既是一物不將來。放下箇甚麼。州曰。放不下。擔取去。師於言下大悟。住後。僧問。如何是佛。師曰。土塊。曰。如何是法。師曰。地動也。曰。如何是僧。師曰。吃粥吃飯。問。如何是新興水。師曰。面前江裡。問。如何是應物現形。師曰。與我拈床子過來。師常有一蛇一虎。隨從手中與食。

諱は善信。初めて趙州に参じて問うた。「一物も将て来らざる時は如何。」州は言った。「放下し著けよ。」師は言った。「既に一物も将て来らず、箇の什麼を放下せん。」州は言った。「放下せざれば、擔い取りて行け。」師は言下に大いに悟れり。住の後、僧が問うた。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「土塊。」曰く、「如何なるか是れ法。」師は言った。「地動せり。」曰く、「如何なるか是れ僧。」師は言った。「粥を喫し飯を喫す。」問う。「如何なるか是れ新興の水。」師は言った。「面前の江裏。」問う。「如何なるか是れ物に応じて形を現ず。」師は言った。「我と与に床子を拈じて過らせよ。」師は常に一蛇一虎有り、手に従いて食を与う。

揚州光孝院慧覺禪師

揚州光孝院慧覚禅師

僧問。覺華才綻。遍滿娑婆。祖印西來。合談何事。師曰。情生智隔。曰。此是教意。師曰。汝披甚麼衣服。問。一棒打破虗空時如何。師曰。困即歇去。師問相國宋齊丘曰。還會道麼。宋曰。若是道也著不得。師曰。是有著不得。是無著不得。宋曰。總不恁麼。師曰。著不得底聻。宋無對。師領眾出。見露柱。乃合掌曰。不審世尊。僧曰。和尚。是露柱。師曰。啼得血流無用處。不如緘口過殘春。問。遠遠投師。師意如何。師曰。官家嚴切。不許安排。曰。豈無方便。師曰。且向火倉裡一宿。師到崇壽。法眼問。近離甚處。師曰。趙州。眼曰。承聞趙州有庭前栢樹子話。是否。師曰。無。眼曰。往來皆謂僧問。如何是祖師西來意。州曰。庭前栢樹子。上座何得言無。師曰。先師實無此語。和尚莫謗先師好。張居士問。爭奈老何。師曰。年多少。張曰。八十也。師曰。可謂老也。曰。究竟如何。師曰。直至千歲也未在。俗士問。某甲平生殺牛。還有罪否。師曰。無罪。曰。為甚麼無罪。師曰。殺一箇。還一箇。

僧が問うた。「覚華纔わかに綻びて、遍く娑婆に満つ。祖印西に来たりて、何の事を談ずるを合す。」師は言った。「情生じて智隔たる。」曰く、「此れ是れ教意。」師は言った。「汝は什麼の衣服を披く。」問う。「一棒虚空を打破る時は如何。」師は言った。「困なれば即ち歇めて去れ。」師は相国宋斉丘に問うて言った。「還た道を会するか。」宋は言った。「若し是れ道なればも著け得ず。」師は言った。「是れ有に著け得ざるか、是れ無に著け得ざるか。」宋は言った。「総てかくの如くせず。」師は言った。「著け得ざる底は聻ぞ。」宋は対無し。師は衆を領きて出で、露柱を見て、乃ち掌を合わせて言った。「世尊を審せず。」僧は言った。「和尚、是れ露柱。」師は言った。「啼きて血流るるも用る処無し、口を緘じて残春を過ぐるに如かず。」問う。「遠くより師に投ず、師の意如何。」師は言った。「官家厳切、安排を許さず。」曰く、「豈に方便無からんや。」師は言った。「且く火倉裏に向って一宿せよ。」師は崇寿に到る。法眼は問うた。「近く甚の処を離れた。」師は言った。「趙州。」眼は言った。「承く趙州に庭前の柏樹子の話有りと、是の否や。」師は言った。「無。」眼は言った。「往来皆謂う、僧問う如何なるか是れ祖師西来の意、州曰く庭前の柏樹子と。上座何ぞ無しと言うを得ん。」師は言った。「先師は実に此の語無し、和尚は先師を謗るを好む莫れ。」張居士が問うた。「老を争奈せん。」師は言った。「年多少。」張は言った。「八十なり。」師は言った。「謂うべし老いたりと。」曰く、「究竟如何。」師は言った。「直ちに千歳に至るも未だ在らず。」俗士が問うた。「某甲は平生牛を殺せり、還た罪有るか否や。」師は言った。「罪無し。」曰く、「何の故に罪無き。」師は言った。「一箇を殺し、一箇を還す。」

隴州國清院奉禪師

隴州国清院奉禅師

僧問。祖意教意是同是別。師曰。雨滋三草秀。春風不裹頭。曰。畢竟是一是二。師曰。祥雲競起。巖洞不虧。問。如何是和尚家風。師曰。臺盤椅子。火爐牕牗。問。如何是出家人。師曰。銅頭鐵額。鳥觜鹿身。曰。如何是出家人本分事。師曰。早起不審。夜間珍重。問。牛頭未見四祖時。為甚麼百鳥銜花。師曰。如陝府人送錢財與鐵牛。曰。見後為甚麼不銜花。師曰。木馬投明行八百。問。十二時中如何降伏其心。師曰。敲冰求火。論劫不逢。問。十二分教是止啼之義。離卻止啼。請師一句。師曰。孤峰頂上雙角女。問。如何是佛法大意。師曰。釋迦是牛頭獄卒。祖師是馬面阿旁。問。如何是西來意。師曰。東壁打西壁。問。如何是撲不破底句。師曰。不隔毫氂。時人遠嚮。

僧が問うた。「祖意と教意は是れ同なるか別なるか。」師は言った。「雨は三草の秀を滋し、春風は頭を裹まず。」曰く、「畢竟是れ一なるか二なるか。」師は言った。「祥雲競い起こり、巖洞は虧けず。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「台盤椅子、火爐窓戸。」問う。「如何なるか是れ出家の人。」師は言った。「銅頭鉄額、鳥嘴鹿身。」曰く、「如何なるか是れ出家の人の本分の事。」師は言った。「早く起きて審せず、夜間珍重。」問う。「牛頭は未だ四祖に見えざる時、何の故に百の鳥は花を銜えた。」師は言った。「陝府の人が鉄牛に銭財を送るが如し。」曰く、「見えて後は何の故に花を銜えざる。」師は言った。「木馬は明に投じて八百を行く。」問う。「十二時の中に如何にして其の心を降伏せん。」師は言った。「氷を敲きて火を求む、劫を論じても逢わず。」問う。「十二分教は是れ啼を止むの義。啼を止むを離れて、師の一句を請う。」師は言った。「孤峰の頂上の双角の女。」問う。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「釈迦は是れ牛頭の獄卒、祖師は是れ馬面の阿旁。」問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「東壁は西壁を打つ。」問う。「如何なるか是れ撲ち破ること得ざる底の句。」師は言った。「毫釐を隔てず、時人は遠く向く。」

婺州木陳從朗禪師

婺州木陳従朗禅師

僧問。放鶴出籠和雪去時如何。師曰。我道不一色。因金剛倒。僧問。既是金剛不壞身。為甚麼卻倒地。師敲禪床曰。行住坐臥。師將歸寂。有偈曰。三十年來住木陳。時中無一假功成。有人問我西來意。展似眉毛作麼生。

僧が問うた。「鶴を放ちて籠を出でて雪と和す時は如何。」師は言った。「我は道う一色ならずと。」因りて金剛倒れ、僧が問うた。「既に是れ金剛不壊の身、何の故に卻て地に倒る。」師は禅床を敲きて言った。「行住坐臥。」師は将に寂に帰せんとす、偈有りて言った。「三十年来木陳に住し、時中に一の假の功成りし無し。人の我に問わん西来の意、眉毛を展げて似するも作麼生。」

婺州新建禪師

婺州新建禅師

不度小師。有僧問。和尚年老。何不畜一童子侍奉。師曰。有瞽瞶者為吾討來。僧辭。師問。甚處去。曰。府下開元寺去。師曰。我有一信附與了寺主。汝將去得否。曰。便請。師曰。想汝也不奈何。

小師を度さず。僧有りて問うた。「和尚年は老いたり、何ぞ一の童子を畜して侍奉せざる。」師は言った。「瞽聵の者有れば吾が為に討い来れ。」僧は辞した。師は問うた。「甚の処に行く。」曰く、「府下の開元寺に行きます。」師は言った。「我一信有りて了寺主に附せん。汝は将て行き得るか否や。」曰く、「便ち請います。」師は言った。「想うに汝も奈何せん。」

杭州多福和尚

杭州多福和尚

僧問。如何是多福一叢竹。師曰。一莖兩莖斜。曰。學人不會。師曰。三莖四莖曲。問。如何是衲衣下事。師曰。大有人疑著在。曰。為甚麼如是。師曰。月裡藏頭。

僧が問うた。「如何なるか是れ多福の一叢の竹。」師は言った。「一茎两茎斜めなり。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「三茎四茎曲がれり。」問う。「如何なるか是れ衲衣の下の事。」師は言った。「大いに人の疑い著くこと在り。」曰く、「何の故に是の如く。」師は言った。「月裏に頭を蔵す。」

益州西睦和尚

益州西睦和尚

上堂。有俗士舉手曰。和尚便是一頭驢。師曰。老僧被汝騎。士無語。去後三日再來。白言。某甲三日前著賊。師拈杖趂出。師有時驀喚侍者。者應諾。師曰。更深夜靜。共伊商量。

上堂して、俗士有りて手を挙げて言った。「和尚は便ち一頭の驢なり。」師は言った。「老僧は汝に騎られたり。」士は語無し。去りて後三日再び来りて、白して言った。「某甲は三日前賊に著きたり。」師は杖を拈じて趁い出した。師は時有りて驀然として侍者を喚ぶ。者は応諾した。師は言った。「更けて深く夜は静かなり、伊と共に商量せん。」

長沙岑禪師法嗣

長沙岑禅師法嗣

明州雪竇常通禪師

明州雪竇常通禅師

邢州李氏子。參長沙。沙問。何處人。師曰。邢州人。沙曰。我道汝不從彼來。師曰。和尚還曾住此否。沙然之。乃容入室。住後。僧問。如何是密室。師曰。不通風信。曰。如何是密室中人。師曰。諸聖求覩不見。僧作禮。師曰。千聖不能思。萬聖不能議。乾坤壞不壞。虗空包不包。一切無比倫。三世唱不起。問。如何是三世諸佛出身處。師曰。伊不肯知有汝三世。僧良久。師曰。薦否。不然者且向著佛不得處體取。時中常在。識盡功亡。瞥然而起。即是傷他。而況言句乎。天祐二年七月示寂。塔於寺西南隅。

邢州李氏の子。長沙に参ず。沙は問うた。「何の処の人。」師は言った。「邢州の人。」沙は言った。「我は道う汝は彼より来らずと。」師は言った。「和尚は還た曾て此に住したるか否や。」沙は之を然として、乃ち室に入るを容れたり。住の後、僧が問うた。「如何なるか是れ密室。」師は言った。「風信を通ぜず。」曰く、「如何なるか是れ密室の中の人。」師は言った。「諸の聖は睹るを求めて見えず。」僧は礼を作した。師は言った。「千の聖も思うこと能わず、万の聖も議ること能わず。乾坤は壊れるや壊れざるや、虚空は包むや包まざるや。一切比倫無く、三世唱え起せず。」問う。「如何なるか是れ三世の諸佛の身を出づる処。」師は言った。「伊は汝の三世有るを知るを肯んぜず。」僧は良久とす。師は言った。「薦するや否や。然らざる者は且く佛を著け得ざる処に向って體取せよ。時中に常に在りて、識尽きて功亡ぶ。瞥然として起これば、即ち是れ他を傷る。而るに况んや言句をや。」天祐二年七月に示寂す。寺の西南隅に塔す。

茱萸和尚法嗣

茱萸和尚法嗣

石梯和尚

石梯和尚

因侍者請浴。師曰。既不洗塵。亦不洗體。汝作麼生。者曰。和尚先去。某甲將皂角來。師呵呵大笑。有新到於師前立。少頃便出去。師曰。有甚麼辨白處。僧再回。師曰。辨得也。曰。辨後作麼生。師曰。埋卻得也。曰。蒼天。蒼天。師曰。適來卻恁麼。如今還不當。僧乃出去。一日見侍者拓缽赴堂。乃喚侍者。者應諾。師曰。甚處去。者曰。上堂齋去。師曰。我豈不知汝上堂齋去。者曰。除此外別道箇甚麼。師曰。我祇問汝本分事。者曰。和尚若問本分事。某甲實是上堂齋去。師曰。汝不謬為吾侍者。

侍者の浴を請うに因り。師は言った。「既に塵を洗わず、亦た体を洗わず。汝は作麼生。」者は言った。「和尚は先に去り給え、某甲は皂角を将て来たらん。」師は呵呵と大笑した。新到有りて師の前に立ち、少頃便ち出で去った。師は言った。「什麼の辨白する処か有る。」僧は再び回った。師は言った。「辨じ得たり。」曰く、「辨じて後作麼生。」師は言った。「埋め却るを得たり。」曰く、「蒼天、蒼天。」師は言った。「適来は卻てかくの如く、如今は還た当たらず。」僧は乃ち出で去った。ある日侍者の鉢を拓きて堂に赴くを見て、乃ち侍者を喚んだ。者は応諾した。師は言った。「甚の処に行く。」者は言った。「堂に上りて斎せんと行きます。」師は言った。「我豈に知らざらん、汝が堂に上りて斎せんを。」者は言った。「此の外を除きて別に箇の什麼を道わん。」師は言った。「我只だ汝の本分の事を問う。」者は言った。「和尚若し本分の事を問わば、某甲は実に堂に上りて斎せんと行く。」師は言った。「汝は吾が侍者と為るを謬らざるなり。」

子湖蹤禪師法嗣

子湖蹤禅師法嗣

台州勝光和尚

台州勝光和尚

僧問。如何是和尚家風。師曰。福州茘枝。泉州刺桐。問。如何是佛法兩字。師曰。要道即道。曰。請師道。師曰。穿耳胡僧笑點頭。龍華照和尚來。師把住曰。作麼生。照曰。莫錯。師乃放手。照曰。久嚮勝光。師默然。照乃辭。師門送曰。自此一別。甚麼處相見。照呵呵而去。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「福州の荔枝、泉州の刺桐。」問う。「如何なるか是れ佛法の两字。」師は言った。「道わんと要すれば即ち道え。」曰く、「師の道わんことを請う。」師は言った。「耳を穿った胡僧は笑いて頭を点く。」竜華の照和尚来たる。師は把り住めて言った。「作麼生。」照は言った。「錯る莫れ。」師は乃ち手を放った。照は言った。「久しく勝光に向う。」師は黙然とす。照は乃ち辞した。師は門に送りて言った。「此より一たび別れて、什麼の処に相見ん。」照は呵呵として去った。

漳州浮石和尚

漳州浮石和尚

上堂。山僧開箇卜舖。能斷人貧富。定人生死。僧問。離卻生死貧富。不落五行。請師直道。師曰。金木水火土。

上堂して言った。「山僧は卜の舗を開き、能く人の貧富を断じ、人の生死を定む。」僧が問うた。「生死貧富を離れて、五行に落ちず、師の直に道わんことを請う。」師は言った。「金木水火土。」

紫桐和尚

紫桐和尚

僧問。如何是紫桐境。師曰。汝眼裡著沙得麼。曰。大好紫桐境也不識。師曰。老僧不諱此事。其僧擬出去。師下禪床擒住曰。今日好箇公案。老僧未得分文入手。曰。賴遇某甲是僧。師拓開曰。禍不單行。

僧が問うた。「如何なるか是れ紫桐の境。」師は言った。「汝の眼裏に沙を著け得るか。」曰く、「大好きの紫桐の境も亦た識らず。」師は言った。「老僧は此の事を諱まず。」其の僧は出で去らんと拟した。師は禅床を下りて擒え住めて言った。「今日好個の公案、老僧は未だ分文をも入手せず。」曰く、「頼むところ某甲は是れ僧なりを。」師は拓き開けて言った。「禍は単行せず。」

日容遠和尚

日容遠和尚

因奯上座參。師拊掌三下。曰。猛虎當軒。誰是敵者。奯曰。俊鷂沖天。阿誰捉得。師曰。彼此難當。奯曰。且休。未要斷這公案。師將拄杖舞歸方丈。奯無語。師曰。死卻這漢也。

奯上座の参ずるに因り。師は掌を拊つこと三下して、曰く、「猛虎軒に当たる、誰か是れ敵する者。」奯は言った。「俊鷂天に沖す、阿誰か捉え得ん。」師は言った。「彼此当たり難し。」奯は言った。「且く休め、未だこの公案を断ずるを要せず。」師は拄杖を将て舞い方丈に帰った。奯は語無し。師は言った。「この漢を死せしめたり。」

關南常禪師法嗣

關南常禅師法嗣

襄州關南道吾和尚

襄州關南道吾和尚

始經村墅。聞巫者樂神雲識神無。忽然省悟。後參常禪師。印其所解。復遊德山之門。法味彌著。住後。凡上堂。戴蓮華笠。披襴執簡。擊鼓吹笛。口稱魯三郎神。識神不識神。神從空裡來。卻往空裡去。便下座。有時曰。打動關南鼓。唱起德山歌。僧問。如何是祖師西來意。師以簡揖曰。喏。有時執木劒。橫肩上作舞。僧問。手中劒甚處得來。師擲於地。僧卻置師手中。師曰。甚處得來。僧無對。師曰。容汝三日內。下取一轉語。其僧亦無對。師自代拈劒橫肩上。作舞曰。須恁麼始得。趙州訪師。師乃著豹皮裩。執吉獠棒。在三門下翹一足等候。才見州便高聲唱喏而立。州曰。小心祇候著。師又唱喏一聲而去。問。如何是和尚家風。師下禪床作女人拜曰。謝子遠來。無可祇待。問灌溪。作麼生。溪曰。無位。師曰。莫同虗空麼。溪曰。這屠兒。師曰。有生可殺即不倦。

始めて村墅を経るに、巫者の神を楽しませて云く神を識れば神無しと聞きて、忽然として省悟した。後に常禅師に参じて、其の解する所を印せられたり。復た徳山の門に遊びて、法味弥々著し。住の後、凡そ上堂する毎に、蓮華の笠を戴き、襴を披き簡を執り、鼓を撃ち笛を吹き、口に魯三郎神を称す。「神を識れば神を識らず、神は空裏より来たりて、卻て空裏に向って去る。」便ち下座した。時有りて曰く、「關南の鼓を打動し、徳山の歌を唱え起す。」僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は簡を以って揖して曰く、「喏。」時有りて木剣を執り、肩の上に横たえて舞を作す。僧が問うた。「手中の剣は甚の処より得て来た。」師は地に擲った。僧は卻て師の手中に置いた。師は言った。「甚の処より得て来た。」僧は対無し。師は言った。「汝に三日の内を容れて、一転の語を下し取れ。」其の僧も亦た対無し。師は自ら代わりて剣を拈じて肩の上に横たえ、舞を作して言った。「須くかくの如くして始めて得。」趙州師を訪う。師は乃ち豹皮の裩を著け、吉獠の棒を執り、三門の下に一足を翘げて等候す。纔わかに州を見れば便ち高声に喏を唱えて立つ。州は言った。「小心に只候し著けよ。」師は又喏を一声唱えて去った。問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は禅床を下りて女人の拜を作して言った。「子の遠来を謝す、只待すべき無し。」灌渓に問うた。「作麼生。」渓は言った。「位無し。」師は言った。「虚空と同じか莫れ。」渓は言った。「この屠兒。」師は言った。「生有りて殺すべければ即ち倦まず。」

漳州羅漢和尚

漳州羅漢和尚

初參關南。問。如何是大道之源。南打師一拳。師遂有省。乃為歌曰。咸通七載初參道。到處逢言不識言。心裡疑團若栲栳。三春不樂止林泉。忽遇法王氈上坐。便陳疑懇向師前。師從氈上那伽起。袒膊當胸打一拳。駭散疑團獦狚落。舉頭看見日初圓。從茲蹬蹬以碣碣。直至如今常快活。只聞肚裡飽膨脝。更不東西去持缽。又述偈曰。宇內為閒客。人中作野僧。任從他笑我。隨處自騰騰。

初めて關南に参じて問うた。「如何なるか是れ大道の源。」南は師を一拳打った。師は遂に省すところ有り、乃ち歌を為して言った。「咸通七載初めて道に参ず、処に到りて言に逢うも言を識らず。心裏の疑団は栲栳の若く、三春も楽しまずして林泉に止まる。忽ち法王の毡上に坐するに遇い、便ち疑懇を師前に向って陳ぶ。師は毡上より那伽を起し、膊を袒ぎて胸に当たり一拳を打つ。駭きて疑団を散じて獦狚落ち、頭を挙げて見る日の初めて円なり。茲に従い蹬々として碣碣、直ちに今に至るまで常に快活。只だ肚裏の飽膨脝を聞くのみ、更に東西に去りて鉢を持たず。」又偈を述べて言った。「宇内に閑客と為り、人中に野僧と作る。他の我を笑うに任せて、処に随いて自ら騰騰。」

高安大愚禪師法嗣

高安大愚禅師法嗣

瑞州末山尼瞭然禪師

瑞州末山尼了然禅師

因灌谿閑和尚到。曰。若相當即住。不然即推倒禪床。便入堂內。師遣侍者問。上座遊山來。為佛法來。谿曰。為佛法來。師乃升座。谿上參。師問。上座今日離何處。曰。路口。師曰。何不葢卻。溪無對(末山代雲。爭得到這裡)。始拜禮。問。如何是末山。師曰。不露頂。曰。如何是末山主。師曰。非男女相。溪乃喝曰。何不變去。師曰。不是神。不是鬼。變箇甚麼。溪於是伏膺。作園頭三載。僧到參。師曰。太繿縷生。曰。雖然如此。且是師子兒。師曰。既是師子兒。為甚麼被文殊騎。僧無對。問。如何是古佛心。師曰。世界傾壞。曰。世界為甚麼傾壞。師曰。寧無我身。

灌渓の閑和尚の到るに因り、曰く、「若し相当すれば即ち住せん、然らずんば即ち禅床を推倒せん。」便ち堂内に入る。師は侍者を遣わして問わしむ。「上座は山を遊びて来たか、佛法の為に来たか。」渓は言った。「佛法の為に来ました。」師は乃ち座に升る。渓は上りて参ず。師は問うた。「上座は今日何の処を離れた。」曰く、「路口。」師は言った。「何ぞ蓋い却さざる。」渓は対無し。(末山は代わって言った。「争でかここに到るを得ん。」)始めて拜礼す。問う。「如何なるか是れ末山。」師は言った。「頂を露わさず。」曰く、「如何なるか是れ末山の主。」師は言った。「男女の相に非ず。」渓は乃ち喝して言った。「何ぞ変じ去らざる。」師は言った。「是れ神に非ず、是れ鬼に非ず、箇の什麼を変ぜん。」渓は是に於て膺に伏し、園頭と作ること三載。僧到りて参ず。師は言った。「太も襤褸生なり。」曰く、「此の如しと雖も、且く是れ師子兒。」師は言った。「既に是れ師子兒、何の故に文殊に騎られん。」僧は対無し。問う。「如何なるか是れ古佛の心。」師は言った。「世界は傾き壊る。」曰く、「世界は何の故に傾き壊る。」師は言った。「寧ろ我が身無けれ。」

杭州天龍和尚法嗣

杭州天龍和尚法嗣

婺州金華山俱胝和尚

婺州金華山俱胝和尚

初住庵時。有尼名實際來。戴笠子執錫遶師三匝。曰。道得即下笠子。如是三問。師皆無對。尼便去。師曰。日勢稍晚。何不且住。尼曰。道得即住。師又無對。尼去後。師歎曰。我雖處丈夫之形。而無丈夫之氣。不如棄庵。往諸方參尋知識去。其夜山神告曰。不須離此。將有肉身菩薩來為和尚說法也。逾旬。果天龍和尚到庵。師乃迎禮。具陳前事。龍竪一指示之。師當下大悟。自此凡有學者參問。師唯舉一指。無別提唱。有一供過童子。每見人問事。亦竪指祇對。人謂師曰。和尚。童子亦會佛法。凡有問皆如和尚竪指。師一日潛袖刀子。問童曰。聞你會佛法。是否。童曰。是。師曰。如何是佛。童竪起指頭。師以刀斷其指。童呌喚走出。師召童子。童回首。師曰。如何是佛。童舉手不見指頭。豁然大悟。師將順世。謂眾曰。吾得天龍一指頭禪。一生用不盡。言訖。示滅(長慶代眾雲。美食不中飽人吃。玄沙雲。我當時若見拗折指頭。玄覺雲。且道玄沙恁麼道。意作麼生。雲居錫雲。祇如玄沙恁麼道。肯伊不肯伊。若肯。何言拗折指頭。若不肯。俱胝過在甚麼處。先曹山雲。俱胝承當處鹵莽。祇認得一機一境。一等是拍手拊掌。是他西園奇怪。玄覺又云。且道俱胝還悟也無。若悟。為甚麼道承當處鹵莾。若不悟。又道用一指頭禪不盡。且道曹山意在甚麼處)。

初めて庵に住する時、尼有りて名を実際と曰い来たる、笠子を戴き錫を執りて師を遶ること三匝し、曰く、「道い得れば即ち笠子を下さん。」是の如く三問す、師は皆対無し。尼は便ち去った。師は言った。「日勢稍や晚ず、何ぞ且く住せざる。」尼は言った。「道い得れば即ち住せん。」師は又无対。尼去りて後、師は嘆じて言った。「我は丈夫の形に処ると雖も、而も丈夫の気無し。庵を棄てて、諸方に往きて知識を参尋せんに如かず。」其の夜山神告げて言った。「此を離るるを須いず。将に肉身の菩薩有りて来たりて和尚の為に法を説かんとす。」旬を逾えて、果して天龍和尚庵に到る。師は乃ち迎え礼し、具さに前事を陳ぶ。龍は一指を竪てて之に示す。師は当下に大いに悟る。此より凡そ学者の参問する有れば、師は唯だ一指を挙ぐのみ、別に提唱無し。一の供過の童子有りて、毎に人の事を問うを見ては、亦た指を竪てて只対す。人は師に謂うて言った。「和尚、童子も亦た佛法を会せり。凡そ問有れば皆和尚の指を竪つが如し。」師はある日潜かに刀子を袖にし、童に問うて言った。「聞くに汝は佛法を会すと、是の否や。」童は言った。「是。」師は言った。「如何なるか是れ佛。」童は指头を竪起せり。師は刀を以って其の指を断つ。童は叫喚して走り出づ。師は童子を召す。童は首を回らす。師は言った。「如何なるか是れ佛。」童は手を挙げて指头を見ず、豁然として大悟す。師は将に世を順わんとし、衆に謂うて言った。「吾は天龍の一指頭の禅を得て、一生用い尽くさず。」言い訖りて、示滅す。(長慶は衆に代わって言った。「美食は中らず飽くる人の喫ふ。」玄沙は言った。「我当時若し見なば、指头を拗折せん。」玄覚は言った。「且く道え、玄沙のかくの如く道う、意は作麼生。」雲居の錫は言った。「只だ如し玄沙のかくの如く道う、彼を肯んずるか肯んぜざるか。若し肯んずれば、何ぞ言わん指头を拗折せんと。若し肯んぜざれば、俱胝の過は什麼の処に在る。」先の曹山は言った。「俱胝の承当する処は鹵莽、只だ一機一境を認め得るのみ。一等是れ手を拍し掌を撫するも、是れ他の西園の奇怪。」玄覚は又言った。「且く道え、俱胝は還た悟れるや無きや。若し悟れば、何の故に道わん承当の処鹵莽と。若し悟らざれば、又道う一指頭の禅を用いて尽くさずと。且く道え曹山の意は什麼の処に在る。」)

南嶽下五世

南嶽下五世

睦州陳尊宿法嗣

睦州陳尊宿法嗣

睦州刺史陳操尚書

睦州刺史陳操尚書

齋次。拈起餬餅。問僧。江西.湖南還有這箇麼。曰。尚書適來吃箇甚麼。公曰。敲鐘謝響。又齋僧次。躬自行餅。一僧展手擬接。公卻縮手。僧無語。公曰。果然。果然。問僧。有箇事與上座商量。得麼。曰。合取狗口。公自摑口曰。某甲罪過。曰。知過必改。公曰。恁麼則乞上座口吃飯。得麼。又齋僧自行食次。乃曰。上座施食。僧曰。三德六味。公曰。錯。僧無對。又與僚屬登樓次。見數僧行來。有一官人曰。來者總是行腳僧。公曰。不是。曰。焉知不是。公曰。待來勘過。須臾僧至樓前。公驀喚上座。僧皆舉首。公謂諸官曰。不信道。又與禪者頌曰。禪者有玄機。機玄是復非。欲了機前旨。鹹於句下違。

斎の次、糊餅を拈じ起して、僧に問うた。「江西、湖南に還た這箇有るか。」曰く、「尚書は適来箇の什麼を喫した。」公は言った。「鐘を敲きて響に謝す。」又僧を斎する次、躬自ら餅を行ず。一の僧は手を展げて接えんと拟した。公は卻て手を縮む。僧は語無し。公は言った。「果然、果然。」僧に問うた。「箇の事有りて上座と商量せん、得たるか。」曰く、「狗口を取るを合す。」公は自ら口を摑めて言った。「某甲の罪過。」曰く、「過を知りて必ず改む。」公は言った。「かくの如くすれば則ち上座の口に飯を喫することを乞う、得たるか。」又僧を斎して自ら食を行ずる次、乃ち曰く、「上座食を施す。」僧は言った。「三徳六味。」公は言った。「錯り。」僧は対無し。又僚属と楼に登る次、数僧の行き来るを見る。一の官人有りて言った。「来る者は総て是れ行脚僧。」公は言った。「是ならず。」曰く、「焉んぞ是ならざるを知らん。」公は言った。「来りて勘過せんを待て。」須臾に僧楼前に至る。公は蓦して上座を喚ぶ。僧は皆首を挙ぐ。公は諸の官に謂うて言った。「道を信ぜず。」又禅者と頌して言った。「禅者は玄機有り、機玄は是なれば復た非。機前の旨を了せんと欲せば、咸く句下に於て違えり。」

光孝覺禪師法嗣

光孝覚禅師法嗣

昇州長慶道巘禪師

升州長慶道巖禅師

廬州人也。初侍光孝便領悟微言。即於湖南大光山剃度。既化緣彌盛。出住長慶。上堂。彌勒朝入伽藍。暮成正覺。說偈曰。三界上下法。我說皆是心。離於諸心法。更無有可得。看他恁麼道。也太殺惺惺。若比吾徒。猶是鈍漢。所以一念見道。三世情盡。如印印泥。更無前後。諸子生死事大。快須薦取。莫為等閑。業識茫茫。葢為迷己逐物。世尊臨入涅槃。文殊請再轉法輪。世尊咄曰。吾四十九年住世。不曾說一字。汝請吾再轉法輪。是吾曾轉法輪邪。然今時眾中。建立箇賓主問答。事不獲已。葢為初心耳。僧問。如何是長慶境。師曰。闍黎履踐看。問。如何是佛法大意。師曰。今日三月三。曰。學人不會。師曰。止。止。不須說。我法妙難思。便下座。咸平二年示寂。

廬州の人なり。初めて光孝に侍し便ち微言を領悟し、即ち湖南の大光山に於て剃度す。既に化縁弥々盛んに、出でて長慶に住す。上堂して言った。「弥勒は朝に伽藍に入り、暮に正覚を成ず。偈を説いて曰く、三界上下の法、我が説く皆这是れ心。諸の心法を離れて、更に得る可き有る無しと。他のかくの如く道うを看るに、も亦た殺すほど惺惺たり。若し吾が徒に比すれば、猶お是れ鈍の漢。是の故に一念道を見れば、三世の情尽く。印の印泥の如く、更に前後無し。諸子は生死の事大なり、快く須く薦取すべし、等閑と為す莫れ。業識茫茫、蓋し己に迷いて物を逐うが為なり。世尊は涅槃に入らんと臨み、文殊は再び法輪を転ぜんことを請う。世尊は喝して言った、吾は四十九年世に住して、曾て一字を説かず。汝は吾が再び法輪を転ぜんことを請う、是れ吾曾て法輪を転ぜしや邪。然るに今時衆の中に、箇の賓主問答を建立するは、事やむを獲ざるなり、蓋し初心の為のみ。」僧が問うた。「如何なるか是れ長慶の境。」師は言った。「闍黎は履践して看よ。」問う。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「今日は三月三日。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「止まれ、止まれ、説くを須いず。我が法は妙にして思議し難し。」便ち下座した。咸平二年に示寂す。

五燈會元卷第四

五燈會元卷第五

六祖大鑒禪師法嗣

六祖大鑑禅師法嗣

吉州青原山靜居寺行思禪師

吉州青原山静居寺行思禅師

本州安城劉氏子。幼歲出家。每群居論道。師唯默然。聞曹谿法席。乃往參禮。問曰。當何所務。即不落階級。祖曰。汝曾作甚麼來。師曰。聖諦亦不為。祖曰。落何階級。師曰。聖諦尚不為。何階級之有。祖深器之。會下學徒雖眾。師居首焉。亦猶二祖不言。少林謂之得髓矣。一日。祖謂師曰。從上衣法雙行。師資遞授。衣以表信。法乃印心。吾今得人。何患不信。吾受衣以來。遭此多難。況乎後代。爭競必多。衣即留鎮山門。汝當分化一方。無令斷絕。師既得法。歸住青原。六祖將示滅。有沙彌希遷(即石頭和尚)。問曰。和尚百年後。希遷未審當依附何人。祖曰。尋思去。及祖順世。遷每於靜處端坐。寂若忘生。第一座問曰。汝師已逝。空坐奚為。遷曰。我稟遺誡。故尋思爾。座曰。汝有師兄思和尚。今住吉州。汝因緣在彼。師言甚直。汝自迷耳。遷聞語。便禮辭祖龕。直詣靜居參禮。師曰。子何方來。遷曰。曹谿。師曰。將得甚麼來。曰。未到曹谿亦不失。師曰。若恁麼。用去曹谿作甚麼。曰。若不到曹谿。爭知不失。遷又曰。曹谿大師還識和尚否。師曰。汝今識吾否。曰。識。又爭能識得。師曰。眾角雖多。一麟足矣。遷又問。和尚自離曹谿。甚麼時至此間。師曰。我卻知汝早晚離曹谿。曰。希遷不從曹谿來。師曰。我亦知汝去處也。曰。和尚幸是大人。莫造次。他日。師復問遷。汝甚麼處來。曰。曹谿。師乃舉拂子曰。曹谿還有這箇麼。曰。非但曹谿。西天亦無。師曰。子莫曾到西天否。曰。若到即有也。師曰。未在。更道。曰。和尚也須道取一半。莫全靠學人。師曰。不辭向汝道。恐已後無人承當。師令遷持書與南嶽讓和尚曰。汝達書了。速回。吾有箇鈯斧子。與汝住山。遷至彼。未呈書便問。不慕諸聖不重己靈時如何。嶽曰。子問太高生。何不向下問。遷曰。寧可永劫受沉淪。

本州安城劉氏の子。幼歳に出家す。毎に群居して道を論ずるに、師は唯だ黙然とす。曹渓の法席を聞きて、乃ち往きて参礼す。問うて言った。「当に何をか務むる所、即ち階級に落ちざらん。」祖は言った。「汝は曾て什麼を作して来た。」師は言った。「聖諦も亦た為さず。」祖は言った。「何の階級に落つ。」師は言った。「聖諦すら尚お為さず、何の階級か之れ有らん。」祖は深く之を器とす。会下の学徒衆しと雖も、師は首に居れり。亦た猶お二祖の言わざるが如く、少林は之を得髄と謂う。ある日、祖は師に謂うて言った。「從上衣法双行し、師資は遞授す。衣は以って信を表し、法は乃ち心を印す。吾今人を得たり、何ぞ患えん信ぜられざるを。吾は衣を受けてより来たり、此の多難に遭う。況んや后代、争競必ず多し。衣は即ち留めて山門を鎮めよ。汝当に一方に分化し、断絶せしむること無からしめよ。」師は既に法を得て、帰りて青原に住す。六祖将に示滅せんとし、沙弥希遷有りて(即ち石頭和尚)問うて言った。「和尚百年の後、希遷は未だ審らかに当に何人に依附すべきや。」祖は言った。「思を尋ねて行け。」及び祖順世し、遷は毎に静処に端坐して、寂として生を忘るるが若し。第一座が問うて言った。「汝の師已に逝けり、空しく坐して奚をか為す。」遷は言った。「我は遺誡を禀け、故に思を尋ぬるのみ。」座は言った。「汝に師兄の思和尚有り、今吉州に住す。汝の因縁は彼に在り。師の言甚だ直なり、汝自ら迷うのみ。」遷は語を聞きて、便ち祖の龕を礼し辞し、直ちに静居に詣りて参礼す。師は言った。「子は何の方より来た。」遷は言った。「曹渓。」師は言った。「什麼を将て得て来た。」曰く、「未だ曹渓に到らざるも亦た失わず。」師は言った。「若しかくの如くならば、曹渓に去りて什麼を作さんを用いん。」曰く、「若し曹渓に到らざれば、争でか失わざるを知らん。」遷は又言った。「曹渓大師は還た和尚を識るか否や。」師は言った。「汝今吾を識るか否や。」曰く、「識る。又争でか能く識り得ん。」師は言った。「衆角多しと雖も、一の麟足れり。」遷は又问うた。「和尚自ら曹渓を離れて、什麼の時に此の間に至る。」師は言った。「我は卻て知る、汝が早晚に曹渓を離れしを。」曰く、「希遷は曹渓より来らず。」師は言った。「我も亦た汝の行く処を知るなり。」曰く、「和尚幸いに是れ大人、造次する莫れ。」他日、師は復た遷に問うた。「汝什麼の処より来た。」曰く、「曹渓。」師は乃ち拂子を挙げて言った。「曹渓に還た這箇有るか。」曰く、「非但だ曹渓、西天も亦た無し。」師は言った。「子は曾て西天に到りしか否や。」曰く、「若し到らば即ち有り。」師は言った。「未だ在らず。更に道え。」曰く、「和尚も須く一半を道い取るべし、全く学人に靠る莫れ。」師は言った。「辞せず汝に向って道わん、恐らくは已後人の承当する無からん。」師は遷をして書を持ちて南岳の譲和尚に与えしめて言った。「汝書を達し了らば、速やかに回れ。吾に箇の鈍斧子有り、汝と与に山に住せん。」遷は彼に至り、未だ書を呈せず便ち問うた。「諸の聖を慕わず己が霊を重んぜざる時は如何。」岳は言った。「子の問うは太高き生、何ぞ下に向いて問わざる。」遷は言った。「寧ろ永劫に沈淪を受けん、

不從諸聖求解脫。嶽便休(玄沙曰。大小石頭被南嶽推倒。直至如今起不得)。遷便回。師問。子返何速。書信達否。遷曰。書亦不通。信亦不達。去日蒙和尚許箇鈯斧子。祇今便請。師垂一足。遷便禮拜。尋辭往南嶽。荷澤神會來參。師問。甚處來。曰。曹谿。師曰。曹谿意旨如何。會振身而立。師曰。猶帶瓦礫在。曰。和尚此間莫有真金與人麼。師曰。設有。汝向甚麼處著(玄沙雲。果然。雲居錫雲。秖如玄沙道。果然是真金。是瓦礫)。僧問。如何是佛法大意。師曰。廬陵米作麼價。師既付法石頭。唐開元二十八年十一月十三日。陞堂告眾。跏趺而逝。僖宗諡弘濟禪師.歸真之塔。

(希遷続けて言った:)諸の聖に従いて解脱を求めず。」岳は便ち休めり。(玄沙は言った。「大小の石頭は南岳に推倒せられ、直ちに今に至るまで起つことを得ず。」)遷は便ち回った。師は問うた。「子の返る何ぞ速き。書信達したるか否や。」遷は言った。「書も亦た通ぜず、信も亦た達せず。去る日和尚の箇の鈍斧子を許すを蒙り、只今便ち請わん。」師は一足を垂れた。遷は便ち礼拜した。尋いで辞して南岳に往く。荷沢の神会来りて参ず。師は問うた。「甚の処より来た。」曰く、「曹渓。」師は言った。「曹渓の意旨如何。」会は身を振うて立つ。師は言った。「猶お瓦礫を帯びて在り。」曰く、「和尚此の間に真金有りて人と与するか莫しや。」師は言った。「設し有らば、汝は什麼の処に向って著けん。」(玄沙は言った。「果然。」雲居の錫は言った。「只だ如し玄沙の道う果然、是れ真金か、是れ瓦礫か。」)僧が問うた。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「廬陵の米は作麼の価ぞ。」師は既に法を石頭に付す。唐の開元二十八年十一月十三日、堂に升りて衆に告げ、跏趺して逝く。僖宗は諡して弘済禅師、帰真の塔と曰う。

青原思禪師法嗣(第一世)

青原思禅師法嗣(第一世)

南嶽石頭希遷禪師

南岳石頭希遷禅師

端州高要陳氏子。母初懷娠。不喜葷茹。師雖在孩提。不煩保母。既冠。然諾自許。鄉洞獠民畏鬼神。多淫祀。殺牛釃酒。習以為常。師輒往毀叢祠。奪牛而歸。歲盈數十。鄉老不能禁。後直造曹谿。得度未具戒。屬祖圓寂。稟遺命謁青原。乃攝衣從之(緣會語句。青原章敘之)。一日。原問師曰。有人道嶺南有消息。師曰。有人不道嶺南有消息。曰。若恁麼。大藏小藏從何而來。師曰。盡從這裡去。原然之。師於唐天寶初。薦之衡山南寺。寺之東有石。狀如臺。乃結庵其上。時號石頭和尚。師因看肇論至會萬物為己者。其唯聖人乎。師乃拊幾曰。聖人無己。靡所不己。法身無象。誰雲自他。圓鑑靈照於其間。萬象體玄而自現。境智非一。孰雲去來。至哉斯語也。遂掩卷。不覺寢夢。自身與六祖同乘一龜。游泳深池之內。覺而詳之。靈龜者。智也。池者。性海也。吾與祖師同乘靈智遊性海矣。遂著參同契曰。竺土大仙心。東西密相付。人根有利鈍。道無南北祖。靈源明皎潔。枝派暗流注。執事元是迷。契理亦非悟。門門一切境。回互不回互。回而更相涉。不爾依位住。色本殊質象。聲元異樂苦。暗合上中言。明明清濁句。四大性自復。如子得其母。火熱風動搖。水濕地堅固。眼色耳音聲。鼻香舌鹹醋。然依一一法。依根葉分佈。本末須歸宗。尊卑用其語。當明中有暗。勿以暗相遇。當暗中有明。勿以明相覩。明暗各相對。比如前後步。萬物自有功。當言用及處。事存函蓋合。理應箭鋒拄。承言須會宗。勿自立規矩。觸目不會道。運足焉知路。進步非近遠。迷隔山河固。謹白參玄人。光陰莫虗度。上堂。吾之法門。先佛傳受。不論禪定精進。唯達佛之知見。即心即佛。心佛眾生。菩提煩惱。名異體一。汝等當知。自己心靈。體離斷常。性非垢淨。湛然圓滿。凡聖齊同。應用無方。離心意識。三界六道。

端州高要陳氏の子。母初めて娠を懐くに、葷茹を喜ばず。師は孩提に在ると雖も、保母を煩わさず。既に冠して、然諾自ら許す。郷洞の獠民は鬼神を畏れ、淫祀多く、牛を殺し酒を酾い、以って常と為す。師は輙ち往きて叢祠を毀り、牛を奪い取りて帰る、歳に数十に盈つ、郷の老も禁ずること能わず。後に直ちに曹渓に造りて、度を得るも未だ具戒せず。祖の円寂するに属し、遺命を禀けて青原に謁し、乃ち衣を摂めて之に従う(縁会の語句は、青原の章に之を叙す)。ある日、原は師に問うて言った。「人の道う有り、嶺南に消息有りと。」師は言った。「人の道わざる有り、嶺南に消息有りと。」曰く、「若しかくの如くならば、大蔵小蔵は何より来た。」師は言った。「尽く這裏より去る。」原は之を然とす。師は唐の天宝の初に、之を衡山の南寺に薦む。寺の東に石有り、状は台の如く、乃ち其の上に庵を結ぶ、時に石頭和尚と号す。師は因りて肇論を看て「万物を会して己と為す者は、其れ唯だ圣人か」に至り、師は乃ち几を撫でて言った。「圣人は己無くして、己ならざる所無し。法身は象無くして、誰か自他を云わん。円鑑は其の間に於て霊照し、万象は玄に体して自ら現ず。境智は一に非ず、孰れか去来を云わん。至なり哉斯の語。」遂に巻を掩うて、寝梦するを覚えず、自身六祖と同じく一の亀に乗り、深池の内に游泳す。覚めて之を詳にす、霊亀は是れ智、池は是れ性海なり。吾は祖師と同じく霊智に乗りて性海に遊べり。遂に参同契を著して言った。「竺土大仙の心、東西密かに相い付す。人根は利鈍有り、道は南北の祖無し。霊源は明らかに皎潔、枝派は暗に流注す。事を執るは元は是れ迷、理に契するも亦た悟に非ず。門門一切の境、回互と不回互。回りて更に相渉り、爾らずんば位に依りて住す。色は本より質象を殊にし、声は元より楽苦を異にす。暗は上中の言を合わせ、明は清濁の句を明らかにす。四大の性は自ら復し、子の其の母を得るが如し。火は熱し風は動揺し、水は湿し地は堅固なり。眼は色耳は音声、鼻は香舌は鹹醋。然れども一一の法に依り、根に依りて葉分布す。本末は須く宗に帰すべし、尊卑は其の語を用う。明に当たりて中に暗有り、暗を以って相い遇うこと勿れ。暗に当たりて中に明有り、明を以って相い睹ること勿れ。明暗は各お相い対し、比すれば前後の歩の如し。万物は自ら功有り、当に用及び処を言うべし。事は存して函蓋合せり、理は応じて箭鋒拄す。言を承くるに須く宗を会すべし、自ら規矩を立つる勿れ。触れたる目も道を会せざれば、足を運ぶも焉んぞ路を知らん。進む歩は近遠に非ず、迷えば山河を隔つ固し。謹んで玄に参ずる人に白す、光陰虚しく度る莫れ。」上堂して言った。「吾が法門は、先の佛の伝受なり。禅定精進を論ぜず、唯だ佛の知見を達す。即心即佛。心、佛、衆生、菩提、煩悩、名は異なれど体は一。汝等当に知るべし、自己の心霊は、体は断常を離れ、性は垢浄に非ず、湛然として円満し、凡聖斉同、応用方無く、心意識を離る。三界六道、

唯自心現。水月鏡像。豈有生滅。汝能知之。無所不備。時門人道悟問。曹谿意旨誰人得。師曰。會佛法人得。曰。師還得否。師曰。不得。曰。為甚麼不得。師曰。我不會佛法。僧問。如何是解脫。師曰。誰縛汝。問。如何是淨土。師曰。誰垢汝。問。如何是涅槃。師曰。誰將生死與汝。師問新到。從甚麼處來。曰。江西來。師曰。見馬大師否。曰。見。師乃指一橛柴曰。馬師何似這箇。僧無對(卻回舉似馬祖。祖曰。汝見橛柴大小。曰。沒量大。祖曰。汝甚有力。僧曰。何也。祖曰。汝從南嶽負一橛柴來。豈不是有力)。問。如何是西來意。師曰。問取露柱。曰。學人不會。師曰。我更不會。大顛問。古人云。道有道無俱是謗。請師除。師曰。一物亦無。除箇甚麼。師卻問。併卻咽喉唇吻。道將來。顛曰。無這箇。師曰。若恁麼。汝即得入門。道悟問。如何是佛法大意。師曰。不得不知。悟曰。向上更有轉處也無。師曰。長空不礙白雲飛。問。如何是禪。師曰。碌甎。問。如何是道。師曰。木頭。自餘門屬領旨所有問答。各於本章出焉。南嶽鬼神多顯跡聽法。師皆與授戒。廣德二年。門人請下於梁端。廣闡玄化。貞元六年順寂。塔於東嶺。德宗諡無際大師。塔曰見相。

(師は続けて言った:)唯だ自心の現ず。水月鏡像、豈に生滅有らんや。汝能く之を知れば、備わらざる所無し。」時に門人の道悟が問うた。「曹渓の意旨は誰人か得た。」師は言った。「佛法を会する人が得たり。」曰く、「師は還た得たるか否や。」師は言った。「得ず。」曰く、「何の故に得ざる。」師は言った。「我は佛法を会せざればなり。」僧が問うた。「如何なるか是れ解脱。」師は言った。「誰か汝を縛る。」問う。「如何なるか是れ浄土。」師は言った。「誰か汝を垢す。」問う。「如何なるか是れ涅槃。」師は言った。「誰か生死を将て汝と与する。」師は新到に問うた。「什麼の処より来た。」曰く、「江西より来ました。」師は言った。「馬大師に見えしか否や。」曰く、「見えました。」師は乃ち一橛の柴を指して言った。「馬師は這箇に何ぞ似たる。」僧は対無し。(卻て回りて馬祖に挙似す。祖は言った。「汝は橛柴の大小を見たか。」曰く、「量る無き大。」祖は言った。「汝甚だ力有り。」僧は言った。「何ぞや。」祖は言った。「汝は南岳より一橛の柴を負うて来た、豈に是れ力有るに非ずや。」)問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「露柱に問い取れ。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「我更に会せず。」大顛が問うた。「古人云く、道有道無は倶に是れ謗と。師の除かんことを請う。」師は言った。「一物も亦た無し、箇の什麼を除かん。」師は卻て問うた。「咽喉唇吻を倂せ却けて、道い将れ。」顛は言った。「這箇無し。」師は言った。「若しかくの如くならば、汝は即ち入門を得ん。」道悟が問うた。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「知らざるを得ざれ。」悟は言った。「向上更に転ずる処有るや無きや。」師は言った。「長空は白雲の飛ぶを礙げず。」問う。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「碌磚。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「木頭。」自余の門属は旨を領く、所有の問答は各おの本の章に出す。南岳の鬼神は多く迹を顕して法を聴く、師は皆と与に戒を授く。広徳二年、門人は梁端に下りて請い、広く玄化を闡く。貞元六年に順寂し、東嶺に塔す。徳宗は諡して無際大師、塔は見相と曰う。

青原下二世

青原下二世

石頭遷禪師法嗣

石頭遷禅師法嗣

澧州藥山惟儼禪師

澧州薬山惟儼禅師

絳州韓氏子。年十七。依朝陽西山慧照禪師出家。納戒于衡嶽希操律師。博通經論。嚴持戒律。一日。自歎曰。大丈夫當離法自淨。誰能屑屑事細行於布巾邪。首造石頭之室。便問。三乘十二分教某甲粗知。甞聞南方直指人心。見性成佛。實未明瞭。伏望和尚慈悲指示。頭曰。恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼總不得。子作麼生。師罔措。頭曰。子因緣不在此。且往馬大師處去。師稟命恭禮馬祖。仍伸前問。祖曰。我有時教伊揚眉瞬目。有時不教伊揚眉瞬目。有時揚眉瞬目者是。有時揚眉瞬目者不是。子作麼生。師於言下契悟。便禮拜。祖曰。你見甚麼道理便禮拜。師曰。某甲在石頭處。如蚊子上鐵牛。祖曰。汝既如是。善自護持。侍奉三年。一日。祖問。子近日見處作麼生。師曰。皮膚脫落盡。唯有一真實。祖曰。子之所得。可謂協於心體。布於四肢。既然如是。將三條篾束取肚皮。隨處住山去。師曰。某甲又是何人。敢言住山。祖曰。不然。未有常行而不住。未有常住而不行。欲益無所益。欲為無所為。宜作舟航。無久住此。師乃辭祖返石頭。一日在石上坐次。石頭問曰。汝在這裡作麼。曰。一物不為。頭曰。恁麼即閑坐也。曰。若閑坐即為也。頭曰。汝道不為。不為箇甚麼。曰。千聖亦不識。頭以偈讚曰。從來共住不知名。任運相將祇麼行。自古上賢猶不識。造次凡流豈可明。後石頭垂語曰。言語動用沒交涉。師曰。非言語動用亦沒交涉。頭曰。我這裡針劄不入。師曰。我這裡如石上栽華。頭然之。後居澧州藥山。海眾雲會。師與道吾說茗谿上世為節察來。吾曰。和尚上世曾為甚麼。師曰。我痿痿羸羸。且恁麼過時。吾曰。憑何如此。師曰。我不曾展他書卷(石霜別雲。書卷不曾展)。院主報。打鐘也。請和尚上堂。師曰。汝與我擎缽盂去。曰。和尚無手來多少時。師曰。汝祇是枉披袈裟。

絳州韓氏の子。年十七、朝陽西山の慧照禅師に依りて出家し、衡岳の希操律師に於て戒を納す。経論に博通し、戒律を厳持す。ある日、自ら嘆じて言った。「大丈夫は当に法を離れて自ら浄むべし、誰か能く屑屑として細行を布巾に事せんや。」首めて石頭の室に造り、便ち問うた。「三乗十二分教は某甲粗く知れり。嘗て聞く南方は直ちに人心を指し、性を見て佛と成ると、実に未だ明了せず。伏して望む和尚の慈悲指示を。」頭は言った。「かくの如くも亦た得ず、かくの如くならざるも亦た得ず、かくの如くかくの如くならざるも総て得ず。子は作麼生。」師は罔措した。頭は言った。「子の因縁は此に在らず、且く馬大師の処に往け。」師は命を禀けて恭しく馬祖に礼し、仍りて前の問を伸ぶ。祖は言った。「我は時有りて伊をして眉を揚げ目を瞬かしめ、時有りて伊をして眉を揚げ目を瞬かしめず。時有りて眉を揚げ目を瞬く者是れ、時有りて眉を揚げ目を瞬く者是れ非ず。子は作麼生。」師は言下に契悟し、便ち礼拜した。祖は言った。「汝は什麼の道理を見て便ち礼拜する。」師は言った。「某甲は石頭の処に在りて、蚊の鉄牛に上るが如し。」祖は言った。「汝既に是の如し、善く自ら護持せよ。」侍奉すること三年。ある日、祖は問うた。「子は近日見る処作麼生。」師は言った。「皮膚は脱落して尽き、唯だ一の真実有り。」祖は言った。「子の得る所、謂うべし心体に協い、四肢に布けりと。既然として是の如し、三条の篾を将て肚皮を束ね取り、処に随いて山に住し去れ。」師は言った。「某甲は又是れ何人、敢えて山に住すと言わん。」祖は言った。「然らず。未だ常行にして住せざる有らず、未だ常住にして行ぜざる有らず。益せんと欲するも益する所無く、為さんと欲するも為す所無し。宜しく舟航と作るべし、久しく此に住する無し。」師は乃ち祖に辞して石頭に返る。ある日石の上に坐する次、石頭は問うて言った。「汝は這裏に在りて什麼を作す。」曰く、「一物も為さず。」頭は言った。「かくの如くすれば即ち閑坐なり。」曰く、「若し閑坐すれば即ち為すなり。」頭は言った。「汝は道う為さずと、箇の什麼を為さざる。」曰く、「千の聖も亦た識らず。」頭は偈を以って賛して言った。「従来共に住して名を知らず、運に任せて相い将て只く行く。自古の上賢も猶お識らず、造次の凡流豈に明らめ可けん。」後に石頭は語を垂れて言った。「言語動用は渉らざるに没せり。」師は言った。「言語動用に非ざるも亦た渉らざるに没せり。」頭は言った。「我が這裏は鍼も扎ち入れず。」師は言った。「我が這裏は石上に花を栽うるが如し。」頭は之を然とす。後に澧州の薬山に居り、海衆雲会す。師は道吾と与に茗渓の上世節察たりしを説く。吾は言った。「和尚の上世は曾て什麼を為した。」師は言った。「我は痿痿として羸羸、且くかくの如くして時を過ごせり。」吾は言った。「何に憑りて此の如く。」師は言った。「我は曾て他の書巻を展げず。」(石霜は別に言った。「書巻は曾て展げず。」)院主報じた。「鐘を打てり、和尚の上堂を請う。」師は言った。「汝は我と与に鉢盂を擎げて行け。」曰く、「和尚の手無きこと多少の時ぞ。」師は言った。「汝は只だ袈裟を枉げて披けり。」

曰。某甲祇恁麼。和尚如何。師曰。我無這箇眷屬。謂雲巖曰。與我喚沙彌來。巖曰。喚他來作甚麼。師曰。我有箇折腳鐺子。要他提上挈下。巖曰。恁麼則與和尚出一隻手去也。師便休。園頭栽菜次。師曰。栽即不障汝栽。莫教根生。曰。既不教根生。大眾吃甚麼。師曰。汝還有口麼。頭無對。道吾.雲巖侍立次。師指按山上枯榮二樹。問道吾曰。枯者是。榮者是。吾曰。榮者是。師曰。灼然一切處。光明燦爛去。又問雲巖。枯者是。榮者是。巖曰。枯者是。師曰。灼然一切處。放教枯淡去。高沙彌忽至。師曰。枯者是。榮者是。彌曰。枯者從他枯。榮者從他榮。師顧道吾.雲巖曰。不是。不是。問。如何得不被諸境惑。師曰。聽他何礙汝。曰。不會。師曰。何境惑汝。問。如何是道中至寶。師曰。莫諂曲。曰。不諂曲時如何。師曰。傾國不換。有僧再來依附。師問。阿誰。曰。常坦。師呵曰。前也是常坦。後也是常坦。師久不陞堂。院主白曰。大眾久思和尚示誨。師曰。打鐘著。眾才集。師便下座。歸方丈。院主隨後問曰。和尚既許為大眾說話。為甚麼一言不措。師曰。經有經師。論有論師。爭怪得老僧。師問雲巖。作甚麼。巖曰。擔屎。師曰。那箇聻。巖曰。在。師曰。汝來去為誰。曰。替他東西。師曰。何不教並行。曰。和尚莫謗他。師曰。不合恁麼道。曰。如何道。師曰。還曾擔麼。師坐次。僧問。兀兀地思量甚麼。師曰。思量箇不思量底。曰。不思量底如何思量。師曰。非思量。問。學人擬歸鄉時如何。師曰。汝父母徧身紅爛。臥在荊棘林中。汝歸何所。曰。恁麼則不歸去也。師曰。汝卻須歸去。汝若歸鄉。我示汝箇休糧方子。曰。便請。師曰。二時上堂。不得齩破一粒米。問。如何是涅槃。師曰。汝未開口時喚作甚麼。問僧。甚處來。曰。湖南來。師曰。洞庭湖水滿也未。曰。未。師曰。

(院主続けて言った:)「某甲は只だかくの如く。和尚は如何。」師は言った。「我は這箇の眷属無し。」雲巖に謂うて言った。「我と与に沙弥を喚び来れ。」巖は言った。「彼を喚び来りて什麼を作さん。」師は言った。「我に箇の折脚の鐺子有り、彼をして上に提げ下に挈げしめんと要す。」巖は言った。「かくの如くすれば則ち和尚と与に一隻の手を出で去らん。」師は便ち休めり。園頭の菜を栽うる次、師は言った。「栽うれば即ち汝の栽うるを障らず、根を生ぜしむる莫れ。」曰く、「既に根を生ぜしめず、大衆は什麼を喫せん。」師は言った。「汝は還た口有るか。」頭は対無し。道吾、雲巖侍立の次、師は指して山上の枯栄の二樹を按し、道吾に問うて言った。「枯るる者は是なるか、栄ゆる者は是なるか。」吾は言った。「栄ゆる者是れ。」師は言った。「灼然として一切の処、光明燦爛として去れ。」又雲巖に問うた。「枯るる者は是なるか、栄ゆる者は是なるか。」巖は言った。「枯るる者是れ。」師は言った。「灼然として一切の処、放ちて枯淡を教えて去れ。」高沙弥忽ち至る。師は言った。「枯るる者は是なるか、栄ゆる者は是なるか。」弥は言った。「枯るる者は他に従い枯れ、栄ゆる者は他に従い栄えよ。」師は道吾、雲巖を顧みて言った。「不是、不是。」問う。「如何にして諸の境に惑わされざるを得ん。」師は言った。「他に聴かば何ぞ汝を礙げん。」曰く、「会せず。」師は言った。「何の境か汝を惑わす。」問う。「如何なるか是れ道中の至宝。」師は言った。「諂曲する莫れ。」曰く、「諂曲せざる時は如何。」師は言った。「国を傾けても換えず。」僧有りて再来して依附す。師は問うた。「阿誰ぞ。」曰く、「常坦。」師は呵して言った。「前も亦是れ常坦、後も亦是れ常坦。」師は久しく堂に升らず。院主は白して言った。「大衆は久しく和尚の示誨を思う。」師は言った。「鐘を打ち著けよ。」衆纔わかに集まれば、師は便ち下座して方丈に帰る。院主は後に随いて問うて言った。「和尚既に大衆の為に説話を許せり、何の故に一言も措かざる。」師は言った。「経に経師有り、論に論師有り、争でか老僧を怪しむことを得ん。」師は雲巖に問うた。「什麼を作す。」巖は言った。「屎を擔ぐ。」師は言った。「那箇は。」巖は言った。「在。」師は言った。「汝の来る去るは誰が為。」曰く、「他の東西に替わる。」師は言った。「何ぞ並んで行かしめざる。」曰く、「和尚は他を謗る莫れ。」師は言った。「かくの如く道うに合せず。」曰く、「如何に道う。」師は言った。「還た曾て擔ぎしか。」師は坐する次、僧が問うた。「兀兀として什麼を思量する。」師は言った。「思量する箇の不思量の底を思量す。」曰く、「不思量の底は如何に思量せん。」師は言った。「思量に非ず。」問う。「学人は郷に帰らんと拟する時如何。」師は言った。「汝の父母は遍身紅爛し、荆棘の林中に臥す、汝は何の所に帰らん。」曰く、「かくの如くすれば則ち帰り去らざるなり。」師は言った。「汝は卻て須く帰り去るべし。汝若し郷に帰らば、我は汝に箇の糧を休むる方子を示さん。」曰く、「便ち請う。」師は言った。「二時に堂に上り、一粒の米をも咬み破るを得ざれ。」問う。「如何なるか是れ涅槃。」師は言った。「汝未だ口を開かざる時は喚びて什麼と作す。」僧に問うた。「甚の処より来た。」曰く、「湖南より来ました。」師は言った。「洞庭湖の水は満ちたるか未や。」曰く、「未。」師は言った、

許多時雨水。為甚麼未滿。僧無語(道吾雲。滿也。雲巖雲。湛湛地。洞山雲。甚麼劫中曾增減來。雲門雲。祇在這裡)。師問僧。甚處來。曰。江西來。師以拄杖敲禪床三下。僧曰。某甲粗知去處。師拋下拄杖。僧無語。師召侍者。點茶與這僧。踏州縣困。師問龐居士。一乘中還著得這箇事麼。士曰。某甲祇管日求升合。不知還著得麼。師曰。道居士不見石頭。得麼。士曰。拈一放一。未為好手。師曰。老僧住持事繁。士珍重便出。師曰。拈一放一。的是好手。士曰。好箇一乘問宗。今日失卻也。師曰。是。是。上堂。祖師祇教保護。若貪嗔痴起來。切須防禁。莫教掁觸。是你欲知枯木。石頭卻須擔荷。實無枝葉可得。雖然如此。更宜自看。不得絕言語。我今為你說。這箇語顯無語底。他那箇本來無耳目等貌。師與雲巖遊山。腰間刀響。巖問。甚麼物作聲。師抽刀驀口作斫勢(洞山舉示眾雲。看他藥山橫身。為這箇事。今時人慾明向上事。須體此意始得)。遵布衲浴佛。師曰。這箇從汝浴。還浴得那箇麼。遵曰。把將那箇來。師乃休(長慶雲。邪法難扶。玄覺雲。且道長慶恁麼道。在賓在主。眾中喚作浴佛語。亦曰兼帶語。且道盡善不盡善)。問。學人有疑。請師決。師曰。待上堂時來。與闍黎決疑。至晚。上堂眾集。師曰。今日請決疑上座在甚麼處。其僧出眾而立。師下禪床。把住曰。大眾。這僧有疑。便與一推。卻歸方丈(玄覺曰。且道與伊決疑否。若決疑。甚麼處是決疑。若不與決疑。又道待上堂時與汝決疑)。師問飯頭。汝在此多少時也。曰。三年。師曰。我總不識汝。飯頭罔測。發憤而去。問。身命急處如何。師曰。莫種雜種。曰。將何供養。師曰。無物者。師令供養主抄化。甘行者問。甚處來。曰。藥山來。甘曰。來作麼。曰。教化。甘曰。將得藥來麼。曰。行者有甚麼病。甘便捨銀兩鋌。

(師は続けて言った:)「許多の時雨水、何の故に未だ満ちざる。」僧は語無し。(道吾は言った。「満ちたり。」雲巖は言った。「湛湛として地なり。」洞山は言った。「什麼の劫の中に曾て増減せし来た。」雲門は言った。「只だ這裏に在り。」)師は僧に問うた。「甚の処より来た。」曰く、「江西より来ました。」師は拄杖を以って禅床を敲くこと三下。僧は言った。「某甲は粗く行く処を知れり。」師は拄杖を抛ち下す。僧は語無し。師は侍者を召した。「茶を点じて這の僧と与えよ、州県に踏んで困れたり。」師は龐居士に問うた。「一乗の中に還た這箇の事を著け得るか。」士は言った。「某甲は只管日に升合を求む、還た著け得るやを知らず。」師は言った。「居士は石頭を見ずと道う、得たるか。」士は言った。「一を拈じ一を放つは、未だ好手と為さず。」師は言った。「老僧は住持の事繁し。」士は珍重して便ち出た。師は言った。「一を拈じ一を放つ、的なり是れ好手。」士は言った。「好個の一乗の問宗、今日失い却りき。」師は言った。「是、是。」上堂して言った。「祖師は只だ保護せよと教う。若し貪嗔癡起り来たらば、切に須く防禁して、掁触せしむる莫れ。是れ汝が枯木を知らんと欲するに、石頭は卻て須く担荷すべし、実に枝葉の得る可き無し。此の如しと雖も、更に宜しく自ら看るべし。言語を絶することを得ざれ。我今汝の為に這箇の語を説くは、語無き底を顕さんが為なり。他那箇は本来耳目等の貌無し。」師は雲巖と山に遊ぶに、腰間の刀響く。巖は問うた。「什麼の物か声を作す。」師は刀を抽きて驀口に斫る勢いを作した。(洞山は挙げて衆に示して言った。「他の薬山の身を横たえるを看よ、這箇の事の為なり。今時の人は向上の事を明らめんと欲せば、須く此の意に体して始めて得。」)遵布衲佛を浴す。師は言った。「這箇は汝に従い浴せよ、還た那箇を浴し得るか。」遵は言った。「那箇を把り将れ。」師は乃ち休めり。(長慶は言った。「邪法は扶え難し。」玄覚は言った。「且く道え、長慶のかくの如く道うは、賓に在るか主に在るか。衆の中に喚びて浴佛の語と作すも、亦た曰く兼帯の語。且く道え善を尽くすや尽くさざるや。」)問う。「学人疑有り、師の決せんことを請う。」師は言った。「堂に上る時に来たりて、闍黎と与に疑を決せん。」晚に至り、上堂して衆集まる。師は言った。「今日疑を決せんと請うた上座は什麼の処に在る。」其の僧は衆を出でて立つ。師は禅床を下りて、把り住めて言った。「大衆、這の僧疑有り。」便ちと与に一推して、卻て方丈に帰る。(玄覚は言った。「且く道え、伊と与に疑を決したるか否や。若し疑を決せば、什麼の処か是れ疑を決する。若し与に疑を決せざれば、又道う堂に上る時を待ちて汝と与に疑を決せんと。」)師は飯頭に問うた。「汝は此に多少の時ぞ。」曰く、「三年。」師は言った。「我は総て汝を識らず。」飯頭は測るを罔くして、憤を発して去った。問う。「身命の急なる処如何。」師は言った。「雑種を種うる莫れ。」曰く、「何を将て供養せん。」師は言った。「物無き者。」師は供養主をして抄化せしむ。甘行者が問うた。「甚の処より来た。」曰く、「薬山より来ました。」甘は言った。「来りて什麼を作さん。」曰く、「教化。」甘は言った。「薬を将て来たるか。」曰く、「行者に什麼の病か有る。」甘は便ち銀两錠を舎てた。

意山中有人。此物卻回。無人即休。主便歸納疏。師問曰。子歸何速。主曰。問佛法相當得銀兩鋌。師令舉其語。主舉已。師曰。速送還他。子著賊了也。主便送還。甘曰。由來有人。遂添銀施之(同安顯雲。早知行者恁麼問。終不道藥山來)。問僧。見說汝解算。是否。曰。不敢。師曰。汝試算老僧看。僧無對(雲巖舉問洞山。汝作麼生。山曰。請和尚生月)。師書佛字。問道吾。是甚麼字。吾曰。佛字。師曰。多口阿師。問。己事未明。乞和尚指示。師良久曰。吾今為汝道一句亦不難。祇宜汝於言下便見去。猶較些子。若更入思量。卻成吾罪過。不如且各合口。免相累及。大眾夜參。不點燈。師垂語曰。我有一句子。待特牛生兒。即向你道。有僧曰。特牛生兒。也祇是和尚不道。師曰。侍者把燈來。其僧抽身入眾(雲巖舉似洞山。山曰。這僧卻會。秖是不肯禮拜)。問僧。甚處來。曰。南泉來。師曰。在彼多少時。曰。粗經冬夏。師曰。恁麼。則成一頭水牯牛去也。曰。雖在彼中。且不曾上他食堂。師曰。口欱東南風那。曰。和尚莫錯。自有拈匙把筯人在。問。達磨未來時。此土還有祖師意否。師曰。有。曰。既有。祖師又來作甚麼。師曰。祇為有。所以來。看經次。僧問。和尚尋常不許人看經。為甚麼卻自看。師曰。我祇圖遮眼。曰。某甲學和尚還得也無。師曰。汝若看。牛皮也須穿(長慶雲。眼有何過。玄覺雲。且道長慶會藥山意不會藥山意)。問。平田淺草。麈鹿成群。如何射得麈中主。師曰。看箭。僧放身便倒。師曰。侍者。拖出這死漢。僧便走。師曰。弄泥團漢有甚麼限。朗州刺史李翱問。師何姓。師曰。正是時。李不委。卻問院主。某甲適來問和尚姓。和尚曰。正是時。未審姓甚麼。主曰。恁麼則姓韓也。師聞乃曰。得恁麼不識好惡。若是夏時對他。便是姓熱。師一夜登山經行。

(甘行者続けて言った:)「意に山中に人有らん。この物は卻て回せ、人無ければ即ち休めよ。」主は便ち帰りて疏を納む。師は問うて言った。「子の帰る何ぞ速き。」主は言った。「佛法を問うて相当し銀两錠を得たり。」師は其の語を挙げしむ。主挙げ已りて、師は言った。「速やかに他に送り還せ。子は賊に著きたり。」主は便ち送り還した。甘は言った。「由来人有り。」遂に銀を添えて之を施す。(同安の顕は言った。「早く行者のかくの如く問うを知らば、終に薬山より来たと道わざらん。」)僧に問うた。「説を見るに汝は算を解すと、是の否や。」曰く、「敢えず。」師は言った。「汝試みに老僧を算して看よ。」僧は対無し。(雲巖は挙げて洞山に問うた。「汝は作麼生。」山は言った。「和尚に生月を請わん。」)師は佛字を書き、道吾に問うた。「是れ什麼の字ぞ。」吾は言った。「佛字。」師は言った。「多口の阿師。」問う。「己事未だ明らかならず、和尚の指示を乞う。」師は良久として言った。「吾今汝の為に一句を道うも亦た難からず、只だ宜しく汝が言下に便ち見え去る、猶お些子を較ぶ。若し更に思量に入らば、卻て吾が罪過と成らん。且く各お口を合わせて、相い累及するを免れんに如かず。」大衆夜参して、燈を点けず。師は語を垂れて言った。「我に一句子有り、特牛の兒を生むを待ちて、即ち汝に向って道わん。」僧有りて言った。「特牛の兒を生むとも、也只だ是れ和尚の道わざるなり。」師は言った。「侍者燈を把れ。」其の僧は身を抽きて衆に入る。(雲巖は洞山に挙似す。山は言った。「這の僧は却会せり、只だ礼拜を肯んぜざるのみ。」)僧に問うた。「甚の処より来た。」曰く、「南泉より来ました。」師は言った。「彼に多少の時を在りし。」曰く、「粗く冬夏を経たり。」師は言った。「かくの如くすれば、則ち一頭の水牯牛と成りて去らん。」曰く、「彼の中に在ると雖も、且く曾て他の食堂に上らず。」師は言った。「口に東南の風を欱む那。」曰く、「和尚錯る莫れ、自ら匙を拈じ筯を把る人有り。」問う。「達磨未だ来らざる時、此の土に還た祖師の意有るか否や。」師は言った。「有。」曰く、「既に有れば、祖師又再来りて什麼を作さん。」師は言った。「只だ有るが為に、来たる所なり。」経を看る次、僧が問うた。「和尚は尋常人に経を看ることを許さざれど、何の故に卻て自ら看る。」師は言った。「我只だ眼を遮るを図る。」曰く、「某甲が和尚に学ぶも還た得たるや無きや。」師は言った。「汝若し看らば、牛皮も須く穿たるべし。」(長慶は言った。「眼に何の過か有る。」玄覚は言った。「且く道え、長慶は薬山の意を会するや会せざるや。」)問う。「平田浅草、麈鹿群を成す、如何にして麈中の主を射得ん。」師は言った。「箭を看よ。」僧は身を放ちて便ち倒れた。師は言った。「侍者、這の死漢を拖き出でよ。」僧は便ち走った。師は言った。「泥団を弄する漢は什麼の限りか有る。」朗州の刺史李翱が問うた。「師の姓は何ぞ。」師は言った。「正に是れ時。」李は委せず、卻て院主に問うた。「某甲は適来和尚の姓を問う、和尚は正に是れ時と曰う。未だ審らかに姓は什麼ぞ。」主は言った。「かくの如くすれば則ち姓は韓なり。」師は聞きて乃ち言った。「かくの如く好悪を識らざるを得たり。若し是れ夏の時に他に対せば、便ち是れ姓は熱ならん。」師はある夜山に登りて経行す。

忽雲開見月。大嘯一聲。應澧陽東九十里許。居民盡謂東家。明晨迭相推問。直至藥山。徒眾曰。昨夜和尚山頂大嘯。李贈詩曰。選得幽居愜野情。終年無送亦無迎。有時直上孤峰頂。月下披雲嘯一聲。太和八年十一月六日臨順世。呌曰。法堂倒。法堂倒。眾皆持柱撐之。師舉手曰。子不會我意。乃告寂。塔於院東隅。唐文宗諡弘道大師。塔曰化城。

忽ち雲開けて月を見、大いに啸くこと一声、澧陽の東九十里許りに応ず。居民は尽く東家と謂う。明晨迭々に推し問うて、直に薬山に至る。徒衆は言った。「昨夜和尚は山頂に大いに啸きたり。」李は詩を贈って言った。「幽居を選び得て野情に惬え、終年送るも無く迎うるも無し。時有りて直ちに孤峰の頂に上り、月の下に雲を披きて一声啸く。」太和八年十一月六日世を順わんと臨みて、叫んで言った。「法堂倒れり、法堂倒れり。」衆は皆柱を持ちて之を撑えた。師は手を挙げて言った。「子は我が意を会せず。」乃ち寂を告ぐ。院の東隅に塔す。唐の文宗は諡して弘道大師、塔は化城と曰う。

鄧州丹霞天然禪師

鄧州丹霞天然禅師

本習儒業。將入長安應舉。方宿於逆旅。忽夢白光滿室。占者曰。解空之祥也。偶禪者問曰。仁者何往。曰。選官去。禪者曰。選官何如選佛。曰。選佛當往何所。禪者曰。今江西馬大師出世。是選佛之場。仁者可往。遂直造江西。才見祖。師以手拓幞頭額。祖顧視良久。曰。南嶽石頭是汝師也。遽抵石頭。還以前意投之。頭曰。著槽廠去。師禮謝。入行者房。隨次執㸑役。凡三年。忽一日。石頭告眾曰。來日剗佛殿前草。至來日。大眾諸童行各備鍬钁剗草。獨師以盆盛水。沐頭於石頭前。胡跪。頭見而笑之。便與剃髮。又為說戒。師乃掩耳而出。再往江西謁馬祖。未參禮。便入僧堂內。騎聖僧頸而坐。時大眾驚愕。遽報馬祖。祖躬入堂。視之曰。我子天然。師即下地禮拜曰。謝師賜法號。因名天然。祖問。從甚處來。師曰。石頭。祖曰。石頭路滑。還躂倒汝麼。師曰。若躂倒即不來也。乃杖錫觀方。居天台華頂峰三年。往餘杭徑山禮國一禪師。唐元和中至洛京龍門香山。與伏牛和尚為友。後於慧林寺遇天大寒。取木佛燒火向。院主訶曰。何得燒我木佛。師以杖子撥灰曰。吾燒取捨利。主曰。木佛何有舍利。師曰。既無舍利。更取兩尊燒。主自後眉鬚墮落。後謁忠國師。問侍者。國師在否。曰。在即在。不見客。師曰。太深遠生。曰。佛眼亦覷不見。師曰。龍生龍子。鳳生鳳兒。國師睡起。侍者以告。國師乃打侍者三十棒。遣出。師聞曰。不謬為南陽國師。明日再往禮拜。見國師便展坐具。國師曰。不用。不用。師退後。國師曰。如是。如是。師卻進前。國師曰。不是。不是。師遶國師一匝便出。國師曰。去聖時遙。人多懈怠。三十年後。覓此漢也難得。訪龐居士。見女子靈照洗菜次。師曰。居士在否。女子放下菜籃。斂手而立。師又問。居士在否。女子提籃便行。師遂回。須臾居士歸。女子乃舉前話。

本より儒業を習い、将に長安に入りて挙に応ぜんとす。方に逆旅に宿して、忽ち夢に白光室に満つ。占者は言った。「空を解するの祥なり。」偶ま禅者問うて言った。「仁者は何に往かん。」曰く、「官を選びに行きます。」禅者は言った。「官を選ぶは何ぞ佛を選ぶに如かんや。」曰く、「佛を選ばば当に何の所に往くべき。」禅者は言った。「今江西の馬大師出世す、是れ佛を選ぶの場、仁者は往くべし。」遂に直ちに江西に造る。纔わかに祖を見て、師は手を以って幞頭の額を拓く。祖は顧視すること良久、曰く、「南岳の石頭は是れ汝の師なり。」遽かに石頭に抵り、還た前の意を以って之に投ず。頭は言った。「槽廠に著けて去れ。」師は礼して謝し、行者の房に入り、次に随いて爨役を執る、凡そ三年。忽ちある日、石頭は衆に告げて言った。「来日佛殿前の草を鏟らん。」来日に至り、大衆の諸の童行各おの鍬钁を備えて草を鏟る。独り師は盆を以って水を盛り、石頭の前に於て頭を沐い、胡跪す。頭は見て之を笑い、便ちと与に髪を剃り、又為に戒を説く。師は乃ち耳を掩うて出た。再び江西に往きて馬祖に謁す。未だ参礼せず、便ち僧堂内に入り、聖僧の頸に騎りて坐す。時に大衆驚愕し、遽かに馬祖に報ず。祖は躬自ら堂に入り、之を視て言った。「我が子は天然なり。」師は即ち地に下りて礼拜して言った。「師の法号を賜うを謝す。」因りて名を天然とす。祖は問うた。「甚の処より来た。」師は言った。「石頭。」祖は言った。「石頭の路は滑なり、還た汝を跶き倒したるか。」師は言った。「若し跶き倒らば即ち来らざらん。」乃ち錫を杖して方を観る。天台の華頂峰に居ること三年、余杭の徑山に往きて国一禅師を礼す。唐の元和の中、洛京の龍門香山に至り、伏牛和尚と友を為す。後に慧林寺に於て天の大寒に遇い、木佛を取りて火に焼きて向う。院主は訶して言った。「何ぞ我が木佛を焼くを得ん。」師は杖子を以って灰を撥きて言った。「吾は舎利を焼き取る。」主は言った。「木佛に何の舎利か有る。」師は言った。「既に舎利無ければ、更に两尊を取りて焼かん。」主は自り後眉須堕落す。後に忠国師に謁し、侍者に問うた。「国師在るか否や。」曰く、「在れば即ち在れども、客に見えず。」師は言った。「太も深遠生なり。」曰く、「佛眼も亦た覘い見えず。」師は言った。「龍は龍子を生じ、鳳は鳳兒を生ず。」国師睡り起きて、侍者以って告ぐ。国師は乃ち侍者を打つこと三十棒して、出づるを遣わす。師は聞きて言った。「南陽の国師と為るを謬らざるなり。」明日再び往きて礼拜し、国師を見て便ち坐具を展ぐ。国師は言った。「用いず、用いず。」師は退けて後す。国師は言った。「是の如し、是の如し。」師は卻て進めて前す。国師は言った。「不是、不是。」師は国師を遶ること一匝して便ち出た。国師は言った。「聖の時を去ること遥か、人多く懈怠す。三十年の後、此の漢を覓むるも得ること難し。」龐居士を訪うて、女子の霊照の菜を洗う次を見る。師は言った。「居士在るか否や。」女子は菜籃を放下して、手を斂めて立つ。師は又问うた。「居士在るか否や。」女子は籃を提げて便ち行く。師は遂に回った。須臾に居士帰りて、女子は乃ち前話を挙げた。

士曰。丹霞在麼。女曰。去也。士曰。赤土塗牛嬭。又一日訪龐居士。至門首相見。師乃問。居士在否。士曰。饑不擇食。師曰。龐老在否。士曰。蒼天。蒼天。便入宅去。師曰。蒼天。蒼天。便回。師因去馬祖處。路逢一老人與一童子。師問。公住何處。老人曰。上是天。下是地。師曰。忽遇天崩地陷。又作麼生。老人曰。蒼天。蒼天。童子噓一聲。師曰。非父不生其子。老人便與童子入山去。師問龐居士。昨日相見。何似今日。士曰。如法舉昨日事來作箇宗眼。師曰。祇如宗眼。還著得龐公麼。士曰。我在你眼裡。師曰。某甲眼窄。何處安身。士曰。是眼何窄。是身何安。師休去。士曰。更道取一句。便得此話圓。師亦不對。士曰。就中這一句無人道得。師與龐居士行次。見一泓水。士以手指曰。便與麼也還辨不出。師曰。灼然是辨不出。士乃戽水。潑師二掬。師曰。莫與麼。莫與麼。士曰。須與麼。須與麼。師卻戽水潑士三掬。師曰。正與麼時。堪作甚麼。士曰。無外物。師曰。得便宜者少。士曰。誰是落便宜者。元和三年。於天津橋橫臥。會留守鄭公出。呵之不起。吏問其故。師徐曰。無事僧。留守異之。奉束素及衣兩襲。日給米麫。洛下翕然歸信。至十五年春。告門人曰。吾思林泉終老之所。時門人齊靜卜南陽丹霞山結庵。三年間玄學者至盈三百眾。建成大院。上堂。阿你渾家。切須保護。一靈之物。不是你造作名邈得。更說甚薦與不薦。吾往日見石頭。亦祇教切須自保護。此事不是你談話得。阿你渾家。各有一坐具地。更疑甚麼。禪可是你解底物。豈有佛可成。佛之一字。永不喜聞。阿你自看。善巧方便。慈悲喜捨。不從外得。不著方寸。善巧是文殊。方便是普賢。你更擬趁逐甚麼物。不用經求落空去。今時學者。紛紛擾擾。皆是參禪問道。吾此間無道可修。無法可證。一飲一啄。各自有分。

士は言った。「丹霞在るか。」女は言った。「去れり。」士は言った。「赤土に牛奶を塗りたり。」又ある日龐居士を訪い、門首に至りて相見た。師は乃ち問うた。「居士在るか否や。」士は言った。「飢えて食を択ばず。」師は言った。「龐老在るか否や。」士は言った。「蒼天、蒼天。」便ち宅に入りて去った。師は言った。「蒼天、蒼天。」便ち回った。師は因りて馬祖の処に去りて、路に一の老人と一の童子に逢う。師は問うた。「公は何の処に住する。」老人は言った。「上は是れ天、下は是れ地。」師は言った。「忽ち天崩れ地陥るに遇わば、又作麼生。」老人は言った。「蒼天、蒼天。」童子は嘘くこと一声。師は言った。「父に非ざれば其の子を生ぜず。」老人は便ち童子と与に山に入りて去った。師は龐居士に問うた。「昨日の相見は、今日に何ぞ似たる。」士は言った。「法の如く昨日の事を挙げ来たりて箇の宗眼を作せよ。」師は言った。「只だ如し宗眼、還た龐公を著け得るか。」士は言った。「我は汝の眼裏に在り。」師は言った。「某甲は眼窄し、何の処に身を安んぜん。」士は言った。「是の眼何ぞ窄き、是の身何ぞ安んぜん。」師は休み去った。士は言った。「更に一句を道い取れ、便ち此の話の円なるを得ん。」師も亦た対えず。士は言った。「就中此の一句は人の道い得る無し。」師は龐居士と行く次、一泓の水を見る。士は指を以って言った。「便ち与么にするも還た辨じ出づること能わず。」師は言った。「灼然是れ辨じ出づること能わず。」士は乃ち水を戽い、師に潑くこと二掬。師は言った。「与么する莫れ、与么する莫れ。」士は言った。「須く与么すべし、須く与么すべし。」師は卻て水を戽い士に潑くこと三掬。師は言った。「正に与么なる時、堪えて什麼を作すべき。」士は言った。「外物無し。」師は言った。「便宜を得る者少なし。」士は言った。「誰か是れ便宜に落つる者。」元和三年、天津橋に於て横臥す。留守の鄭公出でるに会い、之を呵するも起たず。吏は其の故を問う。師は徐に言った。「事無き僧。」留守は之を異とし、束素及び衣两襲を奉り、日に米麵を給す。洛下翕然として信に帰す。十五年の春に至り、門人に告げて言った。「吾は林泉に終老する所を思う。」時に門人の斉静は南陽の丹霞山に卜して庵を結ぶ。三年の間玄学者至りて三百衆に盈ち、大院を建て成す。上堂して言った。「阿你の渾家、切に須く保護すべし。一霊の物は、是れ汝の名邈を造作するを得るに非ず。更に什麼の薦と不薦とを説かん。吾は往日に石頭を見るも、亦た只だ切に自ら保護せよと教えき。此の事は是れ汝が談話して得るに非ず。阿你の渾家、各おの一坐具の地有り、更に什麼を疑わん。禅は是れ汝が解する底の物なりや。豈に成すべき佛有らんや。佛の一字、永く聞くを喜ばず。阿你自ら看取せよ。善巧方便、慈悲喜捨は、外より得るに従わず、方寸に著かず。善巧は是れ文殊、方便は是れ普賢。汝更に何の物を趁い逐わんと拟する。経求を用いて空に落ち去るを用いず。今時の学者、紛紛擾擾、皆是れ禅を参じ道を問う。吾が此の間に道の修む可き無く、法の証すべき無し。一飲一啄、各おの分有り。

不用疑慮。在在處處有恁麼底。若識得釋迦即老凡夫是。阿你須自看取。莫一盲引眾盲。相將入火坑。夜裡暗雙陸。賽彩若為生。無事珍重。有僧到參。於山下見師。便問。丹霞山向甚麼處去。師指山曰。青黯黯處。曰。莫秖這箇便是麼。師曰。真師子兒。一撥便轉。問僧。甚麼處宿。曰。山下宿。師曰。甚麼處吃飯。曰。山下吃飯。師曰。將飯與闍黎吃底人。還具眼也無。僧無對(長慶問保福。將飯與人吃。感恩有分。為甚麼不具眼。福雲。施者受者。二俱瞎漢。慶雲。盡其機來還成瞎不。福雲。道某甲瞎得麼。玄覺徵雲。且道長慶明丹霞意。為復自用家財)。長慶四年六月。告門人曰。備湯沐浴。吾欲行矣。乃戴笠䇿杖受屨。垂一足未及地而化。門人建塔。諡智通禪師。塔曰妙覺。

(師は続けて言った:)疑慮を用いる無し。在在処処にかくの如く底有り。若し釈迦を識り得れば即ち老凡夫是れ。阿你須く自ら看取せよ。一盲の衆盲を引きて、相い将て火坑に入る莫れ。夜裏暗く双陸し、彩を賽げて生ずるが若し。事無し珍重。」僧有りて到りて参ず、山下に於て師を見て、便ち問うた。「丹霞山は什麼の処に向って去る。」師は山を指して言った。「青黯黯の処。」曰く、「只だ這箇便ち是なるか莫しや。」師は言った。「真の師子兒、一撥すれば便ち転ず。」僧に問うた。「什麼の処に宿した。」曰く、「山下に宿しました。」師は言った。「什麼の処に飯を喫した。」曰く、「山下に飯を喫しました。」師は言った。「飯を将て闍黎に喫せしめし底の人、還た眼を具するや無きや。」僧は対無し。(長慶は保福に問うた。「飯を将て人に喫せしめば、恩に感ずる分有り、何の故に眼を具せざる。」福は言った。「施す者と受くる者、二倶に是れ瞎の漢。」慶は言った。「其の機を尽くして来たれば還た瞎と成るや否や。」福は言った。「某甲を瞎と道うに得たるか。」玄覚は徴して言った。「且く道え、長慶は丹霞の意を明らむるや、為に復た自家の財を用いるや。」)長慶四年六月、門人に告げて言った。「湯を備えて沐浴せよ、吾行かんと欲す。」乃ち笠を戴き杖を策し屨を受け、一足を垂れて未だ地に及ばざるに化す。門人塔を建て、諡は智通禅師、塔は妙覚と曰う。

潭州大川禪師(亦曰大湖)

潭州大川禅師(亦た曰く大湖)

江陵僧參。師問。幾時發足江陵。僧提起坐具。師曰。謝子遠來。下去。僧繞禪床一帀。便出。師曰。若不恁麼。爭知眼目端的。僧拊掌曰。苦殺人。洎合錯判諸方。師曰。甚得禪宗道理(僧舉似丹霞。霞曰。於大川法道即得。我這裡不然。曰。未審此間作麼生。霞曰。猶較大川三步在。僧禮拜。霞曰。錯判諸方者多。洞山雲。不是丹霞。難分玉石)。

江陵の僧参ず。師は問うた。「幾時に江陵を発足した。」僧は坐具を提起した。師は言った。「子の遠来を謝す。下り去れ。」僧は禅床を遶ること一匝して、便ち出た。師は言った。「若しかくの如くならざれば、争でか眼目の端的を知らん。」僧は掌を撫して言った。「人を殺す苦しさ、洎して諸方を錯判すべきを合す。」師は言った。「甚だ禅宗の道理を得たり。」(僧は丹霞に挙似す。霞は言った。「大川の法道に於ては即ち得、我が這裏は然らず。」曰く、「未だ審らかに此の間作麼生。」霞は言った。「猶お大川より三步を較べて在り。」僧は礼拜した。霞は言った。「諸方を錯判する者多し。」洞山は言った。「丹霞に非ざれば、玉石を分かち難し。」)

潮州靈山大顛寶通禪師

潮州霊山大顛宝通禅師

初參石頭。頭問。那箇是汝心。師曰。見言語者是。頭便喝出。經旬日。師卻問。前者既不是。除此外何者是心。頭曰。除卻揚眉瞬目。將心來。師曰。無心可將來。頭曰。元來有心。何言無心。無心盡同謗。師於言下大悟。異日侍立次。頭問。汝是參禪僧。是州縣白蹋僧。師曰。是參禪僧。頭曰。何者是禪。師曰。揚眉瞬目。頭曰。除卻揚眉瞬目外。將你本來面目呈看。師曰。請和尚除卻揚眉瞬目外鑒。頭曰。我除竟。師曰。將呈了也。頭曰。汝既將呈我心如何。師曰。不異和尚。頭曰。不關汝事。師曰。本無物。頭曰。汝亦無物。師曰。既無物。即真物。頭曰。真物不可得。汝心見量。意旨如此。也大須護持。師住後。學者四集。上堂。夫學道人須識自家本心。將心相示。方可見道。多見時輩祇認揚眉瞬目。一語一默。驀頭印可。以為心要。此實未了。吾今為你諸人分明說出。各須聽受。但除卻一切妄運想念。見量即汝真心。此心與塵境。及守認靜默時全無交涉。即心是佛。不待修治。何以故。應機隨照。泠泠自用。窮其用處。了不可得。喚作妙用。乃是本心。大須護持。不可容易。僧問。其中人相見時如何。師曰。早不其中也。曰。其中者如何。師曰。不作箇問。韓文公一日相訪。問師。春秋多少。師提起數珠。曰。會麼。公曰。不會。師曰。晝夜一百八。公不曉。遂回。次日再來。至門前見首座。舉前話問意旨如何。座扣齒三下。及見師。理前問。師亦扣齒三下。公曰。原來佛法無兩般。師曰。是何道理。公曰。適來問首座亦如是。師乃召首座。是汝如此對否。座曰。是。師便打趂出院。文公又一日白師曰。弟子軍州事繁。佛法省要處。乞師一語。師良久。公罔措。時三平為侍者。乃敲禪床三下。師曰。作麼。平曰。先以定動。後以智拔。公乃曰。和尚門風高峻。弟子於侍者邊得箇入處。僧問。

初めて石頭に参ず。頭は問うた。「那箇是れ汝の心。」師は言った。「言語を見る者是れ。」頭は便ち喝い出した。旬日を経て、師は卻て問うた。「前者既に是ならざれば、此の外を除きて何の者か是れ心。」頭は言った。「眉を揚げ目を瞬くを除き却けて、心を将れ。」師は言った。「心の将て来る可き無し。」頭は言った。「元来心有り、何ぞ言わん心無しと。心無しは尽く謗に同じ。」師は言下に大いに悟る。異日侍立の次、頭は問うた。「汝是れ参禅の僧か、是れ州県の白蹋の僧か。」師は言った。「是れ参禅の僧。」頭は言った。「何の者か是れ禅。」師は言った。「眉を揚げ目を瞬く。」頭は言った。「眉を揚げ目を瞬くの外を除き却けて、汝の本来の面目を将て呈して看よ。」師は言った。「和尚に請う、眉を揚げ目を瞬くの外を除き却けて鑑みよ。」頭は言った。「我は除き竟えり。」師は言った。「呈し将えて了れり。」頭は言った。「汝既に将て呈せり、我が心如何。」師は言った。「和尚と異ならず。」頭は言った。「汝の事に関らず。」師は言った。「本より物無し。」頭は言った。「汝も亦た物無し。」師は言った。「既に物無ければ、即ち是れ真物。」頭は言った。「真物は得る可からず。汝が心の見量、意旨此の如し、も大いに須く護持すべし。」師は住の後、学者四より集まる。上堂して言った。「夫れ道を学ぶ人は須く自家の本心を識るべし、心を将て相い示さば、方に道を見るべし。多くは時輩の只だ眉を揚げ目を瞬く、一語一黙を認め、驀頭に印可し、以って心要と為すを見る。此れ実に未だ了せず。吾今汝諸人の為に分明に説き出さん、各おの須く聴受すべし。但だ一切の妄運想念を除き却けて、見量は即ち汝の真心。此の心は塵境と与、及び守りて静默を認むる時、全く交渉無し。即心是れ佛、修治を待たず。何を以っての故に。機に応じて照に随い、泠泠として自ら用う。其の用いる処を窮むれば、了として得る可からず。喚びて妙用と作すは、乃是れ本心。大いに須く護持すべし、容易すべからず。」僧が問うた。「其の中の人相見る時は如何。」師は言った。「早くも其の中ならず。」曰く、「其の中の者は如何。」師は言った。「箇の問を作さず。」韓文公ある日相い訪い、師に問うた。「春秋多少。」師は数珠を提起して、曰く、「会すか。」公は言った。「会せず。」師は言った。「昼夜一百八。」公は暁らず、遂に回った。次日再び来りて、門前に至りて首座を見、前話を挙げて意旨如何を問う。座は歯を扣くこと三下。及び師を見て、前の問を理す、師も亦た歯を扣くこと三下。公は言った。「原来佛法は两般無し。」師は言った。「是れ何の道理ぞ。」公は言った。「適来首座に問うも亦是の如し。」師は乃ち首座を召した。「是れ汝かくの如く対えしか否や。」座は言った。「是。」師は便ち打ち趁い院を出づ。文公又ある日師に白して言った。「弟子は軍州の事繁し、佛法の省要の処、師の一語を乞う。」師は良久とす。公は罔措した。時に三平は侍者と為り、乃ち禅床を敲くこと三下。師は言った。「作麼。」平は言った。「先ず定を以って動かし、後に智を以って抜く。」公は乃ち言った。「和尚の門風高峻、弟子は侍者の辺に於て箇の入る処を得たり。」僧が問うた、

苦海波深。以何為船筏。師曰。以木為船筏。曰。恁麼即得度也。師曰。盲者依前盲。瘂者依前瘂。一日。將癢和子廊下行。逢一僧問訊次。師以癢和子驀口打曰。會麼。曰。不會。師曰。大顛老野狐。不曾孤負人。

(僧は続けて問うた:)「苦海は波深し、何を以ってか船筏と為す。」師は言った。「木を以って船筏と為す。」曰く、「かくの如くすれば即ち度るを得ん。」師は言った。「盲る者は前に依りて盲り、啞る者は前に依りて啞れり。」ある日、痒和子を将て廊下を行くに、一僧に逢い問訊する次。師は痒和子を以って驀口に打ちて言った。「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「大顛の老野狐、曾て人を孤負せず。」

潭州長髭曠禪師

潭州長髭曠禅師

曹谿禮祖塔回。參石頭。頭問。甚麼處來。曰。嶺南來。頭曰。大庾嶺頭一鋪功德成就也未。師曰。成就久矣。祇欠點眼在。頭曰。莫要點眼麼。師曰。便請。頭乃垂下一足。師禮拜。頭曰。汝見箇甚麼道理便禮拜。師曰。據某甲所見。如紅爐上一點雪(玄覺雲。且道長髭具眼祇對。不具眼祇對。若具眼。為甚麼請他點眼。若不具眼。又道成就久矣。具作麼生商量。法燈代雲。和尚可謂眼昏)。僧參。遶禪床一帀。卓然而立。師曰。若是石頭法席。一點也用不著。僧又遶禪床一帀。師曰。卻是恁麼時。不易道箇來處。僧便出去。師乃喚。僧不顧。師曰。這漢猶少教詔在。僧卻回曰。有一人不從人得。不受教詔。不落階級。師還許麼。師曰。逢之不逢。逢必有事。僧乃退身三步。師卻遶禪床一匝。僧曰。不唯宗眼分明。亦乃師承有據。師乃打三棒。問僧。甚處來。曰。九華山控石庵。師曰。庵主是甚麼人。曰。馬祖下尊宿。師曰。名甚麼。曰。不委他法號。師曰。他不委。你不委。曰。尊宿眼在甚處。師曰。若是庵主親來。今日也須吃棒。曰。賴遇和尚。放過某甲。師曰。百年後討箇師僧也難得。龐居士到。師陞座。眾集定。士出曰。各請自檢好。卻於禪床右立。時有僧問。不觸主人翁。請師答話。師曰。識龐公麼。曰。不識。士便搊住曰。苦哉。苦哉。僧無對。士便拓開。師少間卻問。適來這僧還吃棒否。士曰。待伊甘始得。師曰。居士祇見錐頭利。不見鑿頭方。士曰。恁麼說話。某甲即得。外人聞之。要且不好。師曰。不好箇甚麼。士曰。阿師祇見錐頭尖。不見鑿頭利。李行婆來。師乃問。憶得在絳州時事麼。婆曰。非師不委。師曰。多虗少實在。婆曰。有甚諱處。師曰。念你是女人。放你拄杖。婆曰。某甲終不見尊宿過。師曰。老僧過在甚麼處。婆曰。和尚無過。婆豈有過。師曰。無過的人作麼生。

曹渓に祖塔を礼して回り、石頭に参ず。頭は問うた。「什麼の処より来た。」曰く、「嶺南より来ました。」頭は言った。「大庾嶺頭の一鋪の功德は成就したるか未や。」師は言った。「成就する久し、只だ眼を点ずるを欠きて在り。」頭は言った。「眼を点ずるを要するか。」師は言った。「便ち請う。」頭は乃ち一足を垂れ下す。師は礼拜した。頭は言った。「汝は箇の什麼の道理を見て便ち礼拜する。」師は言った。「某甲の見る所に拠れば、紅爐の上の一点の雪の如し。」(玄覚は言った。「且く道え、長髭は眼を具して只対すや、眼を具せずして只対すや。若し眼を具せば、何の故に彼をして眼を点ぜしめんと請う。若し眼を具せざれば、又道う成就する久しと。具に作麼生に商量せん。」法灯は代わって言った。「和尚は謂うべし眼昏なりと。」)僧参ず、禅床を遶ること一匝して、卓然として立つ。師は言った。「若し是れ石頭の法席ならば、一点も用いて著る所無し。」僧は又禅床を遶ること一匝。師は言った。「卻て是れかくの如くの時、易ならず箇の来る処を道う。」僧は便ち出で去った。師は乃ち喚んだ。僧は顧みず。師は言った。「這の漢は猶お教詔を少しとして在り。」僧は卻て回りて言った。「一人有りて人より得ず、教詔を受けず、階級に落ちず。師は還た許すか。」師は言った。「之に逢う逢わざるに関らず、逢えば必ず事有り。」僧は乃ち身を退くこと三歩。師は卻て禅床を遶ること一匝。僧は言った。「唯だ宗眼の分明なるのみならず、亦た乃ち師承拠有り。」師は乃ち三棒打った。僧に問うた。「甚の処より来た。」曰く、「九華山控石庵。」師は言った。「庵主は是れ什麼の人。」曰く、「馬祖下の尊宿。」師は言った。「名は什麼ぞ。」曰く、「他の法号を委せず。」師は言った。「他は委せず、汝も委せず。」曰く、「尊宿の眼は甚の処に在る。」師は言った。「若し是れ庵主親しく来たれば、今日も須く棒を喫すべし。」曰く、「頼むところ和尚に遇いて、某甲を放過せり。」師は言った。「百年の後、箇の師僧を討むるも亦た得ること難し。」龐居士到る。師は座に升り、衆集まり定まる。士は出でて言った。「各おの請い自ら好く検せよ。」卻て禅床の右に立つ。時に僧が問うた。「主人翁に触れず、師の答話を請う。」師は言った。「龐公を識るか。」曰く、「識らず。」士は便ち搊り住めて言った。「苦しい哉、苦しい哉。」僧は対無し。士は便ち拓き開く。師は少間ありて卻て問うた。「適来の這の僧は還た棒を喫するか否や。」士は言った。「伊の甘とするを待ちて始めて得。」師は言った。「居士は只だ錐頭の利なるを見て、鑿頭の方なるを見ず。」士は言った。「かくの如く話を説けば、某甲は即ち得。外人これを聞かば、要なり且つ好からず。」師は言った。「箇の什麼を好からずとする。」士は言った。「阿師は只だ錐頭の尖なるを見て、鑿頭の利なるを見ず。」李行婆来たる。師は乃ち問うた。「絳州に在りし時の事を憶うか。」婆は言った。「師に非ざれば委せず。」師は言った。「虚多く実少きこと在り。」婆は言った。「甚の諱む処か有る。」師は言った。「汝が是れ女人なるを念い、汝に拄杖を放す。」婆は言った。「某甲は終に尊宿の過を見ず。」師は言った。「老僧の過は什麼の処に在る。」婆は言った。「和尚は過無し、婆豈に過有らんや。」師は言った。「過無き人は作麼生。」

婆乃竪拳曰。與麼。總成顛倒。師曰。實無諱處。師見僧。乃擒住曰。師子兒。野幹屬。僧以手作撥眉勢。師曰。雖然如此。猶欠哮吼在。僧擒住師曰。偏愛行此一機。師與一摑。僧拍手三下。師曰。若見同風。汝甘與麼否。曰。終不由別人。師作撥眉勢。僧曰。猶欠哮吼在。師曰。想料不由別人。師見僧問訊次。師曰。步步是汝證明處。汝還知麼。曰。某甲不知。師曰。汝若知。我堪作甚麼。僧禮拜。師曰。我不堪。汝卻好。

婆は乃ち拳を竪てて言った。「与么なれば、総て顛倒と成れり。」師は言った。「実に諱む処無し。」師は僧を見て、乃ち擒え住めて言った。「師子兒は、野干の属なり。」僧は手を以って眉を撥く勢いを作した。師は言った。「此の如しと雖も、猶お哮吼を欠きて在り。」僧は師を擒え住めて言った。「偏に此の一機を行ずるを愛す。」師はと与に一掴。僧は手を拍つこと三下。師は言った。「若し同風を見れば、汝は与么するを甘んずるか否や。」曰く、「終に别人に由らず。」師は眉を撥く勢いを作した。僧は言った。「猶お哮吼を欠きて在り。」師は言った。「想料するに别人に由らず。」師は僧の問訊する次を見て、師は言った。「歩歩是れ汝の証明する処、汝は還た知るか。」曰く、「某甲知らず。」師は言った。「汝若し知らば、我は堪えて什麼を作すべき。」僧は礼拜した。師は言った。「我は堪えず、汝は卻て好し。」

京兆府尸利禪師

京兆府尸利禅師

問石頭。如何是學人本分事。頭曰。汝何從吾覓。曰。不從師覓。如何即得。石頭曰。汝還曾失麼。師乃契會厥旨。

石頭に問うた。「如何なるか是れ学人の本分の事。」頭は言った。「汝何に従りて吾より覓む。」曰く、「師より覓めず、如何にして即ち得ん。」石頭は言った。「汝は還た曾て失せしか。」師は乃ち厥の旨に契会す。

潭州招提寺慧朗禪師

潭州招提寺慧朗禅師

始興曲江人也。初參馬祖。祖問。汝來何求。曰。求佛知見。祖曰。佛無知見。知見乃魔耳。汝自何來。曰。南嶽來。祖曰。汝從南嶽來。未識曹谿心要。汝速歸彼。不宜他往。師歸石頭。便問。如何是佛。頭曰。汝無佛性。師曰。蠢動含靈。又作麼生。頭曰。蠢動含靈。卻有佛性。曰。慧朗為甚麼卻無。頭曰。為汝不肯承當。師於言下信入。住後。凡學者至。皆曰。去。去。汝無佛性。其接機大約如此(時謂大朗)。

始興曲江の人なり。初めて馬祖に参ず。祖は問うた。「汝来たりて何を求む。」曰く、「佛の知見を求めんと。」祖は言った。「佛は知見無し、知見は乃ち魔のみ。汝自ら何より来た。」曰く、「南岳より来ました。」祖は言った。「汝は南岳より来たれど、未だ曹渓の心要を識らず。汝速やかに彼に帰れ、他往するに宜しからず。」師は石頭に帰りて、便ち問うた。「如何なるか是れ佛。」頭は言った。「汝は佛性無し。」師は言った。「蠢動含霊は、又作麼生。」頭は言った。「蠢動含霊は、卻て佛性有り。」曰く、「慧朗は何の故に卻て無き。」頭は言った。「汝が承当を肯んぜざるを為めて。」師は言下に信入す。住の後、凡そ学者の至るには皆言った。「去れ、去れ。汝は佛性無し。」其の機を接するは大約此の如し(時に大朗と謂う)。

長沙興國寺振朗禪師

長沙興国寺振朗禅師

初參石頭。便問。如何是祖師西來意。頭曰。問取露柱。曰。振朗不會。頭曰。我更不會。師俄省悟。住後。有僧來參。師召上座。僧應諾。師曰。孤負去也。曰。師何不鑒。師乃拭目而見之。僧無語(時謂小朗)。

初めて石頭に参じて、便ち問うた。「如何なるか是れ祖師西来の意。」頭は言った。「露柱に問い取れ。」曰く、「振朗会せず。」頭は言った。「我更に会せず。」師は俄かに省悟す。住の後、僧有りて来りて参ず。師は上座を召した。僧は応諾した。師は言った。「孤負し去れり。」曰く、「師何ぞ鑑みざる。」師は乃ち目を拭いて之を見んとす。僧は語無し(時に小朗と謂う)。

汾州石樓禪師

汾州石楼禅師

上堂。僧問。未識本來性。乞師方便指。師曰。石樓無耳朵。曰。某甲自知非。師曰。老僧還有過。曰。和尚過在甚麼處。師曰。過在汝非處。僧禮拜。師便打。問僧。近離甚處。曰。漢國。師曰。漢國主人還重佛法麼。曰。苦哉。賴遇問著某甲。若問別人。即禍生。師曰。作麼生。曰。人尚不見。有何佛法可重。師曰。汝受戒得多少夏。曰。三十夏。師曰。大好不見有人。便打。

上堂して、僧が問うた。「未だ本来の性を識らず、師の方便に指すを乞う。」師は言った。「石楼は耳朵無し。」曰く、「某甲は自ら非を知れり。」師は言った。「老僧は還た過有り。」曰く、「和尚の過は什麼の処に在る。」師は言った。「過は汝の非の処に在り。」僧は礼拜した。師は便ち打った。僧に問うた。「近く甚の処を離れた。」曰く、「漢国。」師は言った。「漢国の主人は還た佛法を重んずるか。」曰く、「苦しい哉。頼むところ某甲に問い著けたり。若し别人に問わば、即ち禍生ぜん。」師は言った。「作麼生。」曰く、「人すら尚お見えず、何の佛法の重んずべき有らん。」師は言った。「汝は戒を受けて多少の夏を得た。」曰く、「三十夏。」師は言った。「大好き人の有るを見えざるなり。」便ち打った。

鳳翔府法門寺佛陀禪師

鳳翔府法門寺佛陀禅師

尋常持一串數珠。念三種名號。曰一釋迦.二元和.三佛陀。自餘是甚麼椀躂丘。乃過一珠。終而復始。事蹟異常。時人莫測。

尋常一串の数珠を持ち、三种の名号を念ず、一に釈迦、二に元和、三に佛陀と曰う。自余是れ什麼の碗跶丘か、乃ち一珠を過ぎ、終わりて復た始まる。事迹異常、時人測る莫し。

水空和尚

水空和尚

一日廊下見一僧。乃問。時中事作麼生。僧良久。師曰。祇恁便得麼。曰。頭上安頭。師打曰。去。去。已後惑亂人家男女在。

ある日廊下に一僧を見て、乃ち問うた。「時中の事は作麼生。」僧は良久とす。師は言った。「只だ恁れば便ち得たるか。」曰く、「頭上に頭を安んず。」師は打ちて言った。「去れ、去れ。已後人の家の男女を惑乱する在り。」

澧州大同濟禪師

澧州大同済禅師

米胡領眾來。才欲相見。師便拽轉禪床。面壁而坐。米於背後立。少時卻回客位。師曰。是即是。若不驗破。已後遭人貶剝。令侍者請米來。卻拽轉禪床便坐。師乃遶禪床一匝。便歸方丈。米卻拽倒禪床。領眾便出。師訪龐居士。士曰。憶在母胎時。有一則語。舉似阿師。切不得作道理主持。師曰。猶是隔生也。士曰。向道不得作道理。師曰。驚人之句。爭得不怕。士曰。如師見解。可謂驚人。師曰。不作道理。卻成作道理。士曰。不但隔一生.兩生。師曰。粥飯底僧。一任檢責。士鳴指三下。師一日見龐居士來。便掩卻門曰。多知老翁。莫與相見。士曰。獨坐獨語。過在阿誰。師便開門。才出被士把住曰。師多知。我多知。師曰。多知且置。閉門開門。卷之與舒。相較幾許。士曰。祇此一問。氣急殺人。師默然。士曰。弄巧成拙。僧問。此箇法門。如何繼紹。師曰。冬寒夏熱。人自委知。曰。恁麼則蒙分付去也。師曰。頑嚚少智。勔臔多痴。問。十二時中如何合道。師曰。汝還識十二時麼。曰。如何是十二時。師曰。子丑寅卯。僧禮拜。師示頌曰。十二時中那事別。子丑寅卯吾今說。若會唯心萬法空。釋迦.彌勒從茲決。

米胡は衆を領きて来たり、纔わかに相見んと欲するに、師は便ち禅床を拽転して、壁に面して坐す。米は背後に立ち、少時にして卻て客位に回る。師は言った。「是なれば即ち是。若し験破せざれば、已後人の貶剥に遭わん。」侍者をして米を請い来たらしめ、卻て禅床を拽転して便ち坐す。師は乃ち禅床を遶ること一匝して、便ち方丈に帰る。米は卻て禅床を拽倒して、衆を領きて便ち出た。師は龐居士を訪う。士は言った。「憶う母胎の時に在りしに、一則の語有り、阿師に挙似せん、切に道理を作して主持するを得ざれ。」師は言った。「猶お是れ生を隔つるなり。」士は言った。「向って道う道理を作すを得ざれと。」師は言った。「人を驚かすの句、争でか怕らざるを得ん。」士は言った。「師の見解の如く、謂うべし人を驚かすと。」師は言った。「道理を作さざれば、卻て道理を作すと成る。」士は言った。「但だ一生、两生を隔つるのみならず。」師は言った。「粥飯の底の僧、検責に一任せん。」士は指を鳴らすこと三下。師はある日龐居士の来るを見て、便ち門を掩い却けて言った。「多知の老翁、与に相見る莫れ。」士は言った。「独り坐し独り語る、過は阿誰に在る。」師は便ち門を開く。纔わかに出ずれば士に把り住められて言う、「師は多知、我は多知。」師は言った。「多知且く置く。門を閉じ門を開く、之を巻くと之を舒ると、相い較ぶること幾許ぞ。」士は言った。「只だ此の一問、人を殺す気急さ。」師は黙然とす。士は言った。「巧みを弄して拙と成る。」僧が問うた。「此の箇の法門、如何に継紹せん。」師は言った。「冬は寒く夏は熱し、人自ら委知す。」曰く、「かくの如くすれば則ち分付するを蒙りて去らん。」師は言った。「頑嚚は智少なく、腼臔は痴多し。」問う。「十二時の中に如何に道に合せん。」師は言った。「汝は還た十二時を識るか。」曰く、「如何なるか是れ十二時。」師は言った。「子丑寅卯。」僧は礼拜した。師は頌を示して言った。「十二時の中に那の事か別れん、子丑寅卯は吾今説かん。若し唯心万法空を会せば、釈迦、弥勒は茲より決せん。」

青原下三世

青原下三世

藥山儼禪師法嗣

薬山儼禅師法嗣

潭州道吾山宗智禪師

潭州道吾山宗智禅師

豫章海昏張氏子。幼依槃和尚受教登戒。預藥山法會。密契心印。一日。山問。子去何處來。師曰。遊山來。山曰。不離此室。速道將來。師曰。山上烏兒頭似雪。㵎底遊魚忙不徹。師離藥山見南泉。泉問。闍黎名甚麼。師曰。宗智。泉曰。智不到處。作麼生宗。師曰。切忌道著。泉曰。灼然。道著即頭角生。三日後。師與雲巖在後架把針。泉見乃問。智頭陀前日道。智不到處切忌道著。道著即頭角生。合作麼生行履。師便抽身入僧堂。泉便歸方丈。師又來把針。巖曰。師弟適來為甚不祇對和尚。師曰。你不妨靈利。巖不薦。卻問南泉。適來智頭陀為甚不祇對和尚。某甲不會。乞師垂示。泉曰。他卻是異類中行。巖曰。如何是異類中行。泉曰。不見道。智不到處切忌道著。道著即頭角生。直須向異類中行。巖亦不會。師知雲巖不薦。乃曰。此人因緣不在此。卻同回藥山。山問。汝回何速。巖曰。祇為因緣不契。山曰。有何因緣。巖舉前話。山曰。子作麼生會他。這箇時節便回。巖無對。山乃大笑。巖便問。如何是異類中行。山曰。吾今日睏倦。且待別時來。巖曰。某甲特為此事歸來。山曰。且去。巖便出。師在方丈外。聞巖不薦。不覺齩得指頭血出。師卻下來問巖。師兄去問和尚那因緣作麼生。巖曰。和尚不與某甲說。師便低頭(僧問雲居。切忌道著。意作麼生。居雲。此語最毒。雲。如何是最毒底語。居雲。一棒打殺龍蛇)。雲巖臨遷化。遣書辭師。師覧書了。謂洞山.密師伯曰。雲巖不知有。我悔當時不向伊道。雖然如是。要且不違藥山之子(玄覺雲。古人恁麼道。還知有也未。又云。雲巖當時不會。且道甚麼處是伊不會處)。藥山上堂曰。我有一句子。未曾說向人。師出曰。相隨來也。僧問。藥山一句子如何說。山曰。非言說。師曰。早言說了也。師一日提笠出。雲巖指笠曰。用這箇作甚麼。師曰。

豫章海昏張氏の子。幼くして槃和尚に依りて教を受け戒に登り、薬山の法会に預かり、密かに心印に契す。ある日、山は問うた。「子は何の処を去りて来た。」師は言った。「山を遊びて来ました。」山は言った。「此の室を離れず、速やかに道い将れ。」師は言った。「山上の烏兒は頭は雪に似て、澗底の游魚は忙しくて徹せず。」師は薬山を離れて南泉を見る。泉は問うた。「闍黎の名は什麼ぞ。」師は言った。「宗智。」泉は言った。「智の到らざる処、作麼生に宗とせん。」師は言った。「切に道い著くるを忌む。」泉は言った。「灼然。道い著けば即ち頭角生ぜん。」三日の後、師は雲巖と後架に在りて鍼を把る。泉は見て乃ち問うた。「智頭陀前日に道う、智の到らざる処は切に道い著くるを忌め、道い著けば即ち頭角生ぜんと。作麼生に行履せんを合す。」師は便ち身を抽きて僧堂に入る。泉は便ち方丈に帰った。師は又来りて鍼を把る。巖は言った。「師弟は適来何を為めて只だ和尚に対せざる。」師は言った。「汝は妨げず霊利なり。」巖は薦めず、卻て南泉に問うた。「適来智頭陀は何を為めて只だ和尚に対せざる。某甲会せず、師の垂示を乞う。」泉は言った。「他は卻て是れ異類の中に行ず。」巖は言った。「如何なるか是れ異類の中に行ず。」泉は言った。「道を見ざるや、智の到らざる処は切に道い著くるを忌め、道い著けば即ち頭角生ぜんと。直に須く異類の中に向いて行ずべし。」巖も亦た会せず。師は雲巖の薦めざるを知りて、乃ち言った。「此の人の因縁は此に在らず。」卻て同じく薬山に回る。山は問うた。「汝の回る何ぞ速き。」巖は言った。「只だ因縁契せざるを為めて。」山は言った。「何の因縁か有る。」巖は前話を挙げた。山は言った。「子は作麼生に会して他の這箇の時節に便ち回れる。」巖は対無し。山は乃ち大笑した。巖は便ち問うた。「如何なるか是れ異類の中に行ず。」山は言った。「吾は今日困倦せり、且く別の時に来るを待て。」巖は言った。「某甲は特に此の事の為に帰り来たり。」山は言った。「且く去れ。」巖は便ち出た。師は方丈の外に在り、巖の薦めざるを聞きて、覚えず指头を咬みて血を出ださしむ。師は卻て下りて巖に問うた。「師兄は和尚の那の因縁を問い去りて作麼生。」巖は言った。「和尚は某甲と与に説かず。」師は便ち頭を低れた。(僧が雲居に問うた。「切に道い著くるを忌む、意は作麼生。」居は言った。「此の語は最も毒なり。」曰く、「如何なるか是れ最も毒なる底の語。」居は言った。「一棒龍蛇を打ち殺す。」)雲巖遷化に臨みて、書を遣わして師に辞す。師は書を覧了えて、洞山、密師伯に謂うて言った。「雲巖は有るを知らず。我悔む当時伊に向って道わざるを。是の如しと雖も、要して且く薬山の子に違わず。」(玄覚は言った。「古人かくの如く道う、還た有るを知るや未や。」又曰く、「雲巖当時会せざれど、且く道え什麼の処か是れ伊の会せざる処。」)薬山上堂して言った。「我に一句子有り、未曾だ人に向って説かず。」師は出でて言った。「相い随いて来れり。」僧が問うた。「薬山の一句子は如何に説く。」山は言った。「言説に非ず。」師は言った。「早くも言説したり。」師はある日笠を提げて出て出づ。雲巖は笠を指して言った。「這箇を用いて什麼を作さん。」師は言った、

有用處。巖曰。忽遇黑風猛雨來時如何。師曰。葢覆著。巖曰。他還受葢覆麼。師曰。然雖如是。且無滲漏。溈山問雲巖。菩提以何為座。巖曰。以無為為座。巖卻問溈山。山曰。以諸法空為座。又問。師作麼生。師曰。坐也聽伊坐。臥也聽伊臥。有一人不坐不臥。速道。速道。山休去。溈山問師。甚麼處去來。師曰。看病來。山曰。有幾人病。師曰。有病底。有不病底。山曰。不病底莫是智頭陀麼。師曰。病與不病。總不干他事。速道。速道。山曰。道得也與他沒交涉。僧問。萬裡無雲未是本來天。如何是本來天。師曰。今日好曬麥。雲巖問。師弟家風近日如何。師曰。教師兄指點。堪作甚麼。巖曰。無這箇來多少時也。師曰。牙根猶帶生澁在。僧問。如何是今時著力處。師曰。千人萬人喚不回頭。方有少分相應。曰。忽然火起時如何。師曰。能燒大地。師卻問僧。除卻星與燄。那箇是火。曰。不是火。別一僧卻問。師還見火麼。師曰。見。曰。見從何起。師曰。除卻行住坐臥。別請一問。有施主施裩。藥山提起示眾曰。法身還具四大也無。有人道得。與他一腰裩。師曰。性地非空。空非性地。此是地大。三大亦然。山曰。與汝一腰裩。師指佛桑花問僧曰。這箇何似那箇。曰。直得寒毛卓竪。師曰。畢竟如何。曰。道吾門下底。師曰。十里大王。雲巖不安。師乃謂曰。離此殻漏子。向甚麼處相見。巖曰。不生不滅處相見。師曰。何不道非不生不滅處。亦不求相見。雲巖補鞋次。師問。作甚麼。巖曰。將敗壞補敗壞。師曰。何不道即敗壞非敗壞。師聞僧念維摩經云。八千菩薩.五百聲聞。皆欲隨從文殊師利。師問曰。甚麼處去。其僧無對。師便打(後僧問禾山。山曰。給侍者方諧)。師到五峰。峰問。還識藥山老宿否。師曰。不識。峰曰。為甚麼不識。師曰。不識。不識。問。如何是祖師西來意。師曰。

(道吾続けて言った:)「用いる処有り。」巖は言った。「忽ち黒風猛雨の来るに遇わば時如何。」師は言った。「蓋覆し著けよ。」巖は言った。「他は還た蓋覆を受くるか。」師は言った。「然りと雖も是の如し、且く渗漏無し。」潙山は雲巖に問うた。「菩提は何を以ってか座と為す。」巖は言った。「無為を以って座と為す。」巖は卻て潙山に問うた。山は言った。「諸法の空を以って座と為す。」又師に作麼生を問うた。師は言った。「坐するも伊に坐するを聴かしめ、臥するも伊に臥するを聴かしむ。一人有りて坐せず臥せず、速やかに道え、速やかに道え。」山は休み去った。潙山は師に問うた。「什麼の処を去りて来た。」師は言った。「病を看て来ました。」山は言った。「幾人の病有る。」師は言った。「病める底有り、病まざる底有り。」山は言った。「病まざる底は智頭陀か莫しや。」師は言った。「病めると病まざると、総て他の事に干らず。速やかに道え、速やかに道え。」山は言った。「道い得ればも他と与に交渉無し。」僧が問うた。「万里雲無しは未だ是れ本来の天に非ず、如何なるか是れ本来の天。」師は言った。「今日好く麦を晒す。」雲巖が問うた。「師弟の家風は近日如何。」師は言った。「師兄の指点を教う、堪えて什麼を作すべき。」巖は言った。「這箇無しこと多少の時ぞ。」師は言った。「牙根は猶お生渋を帯びて在り。」僧が問うた。「如何なるか是れ今時の力を著くる処。」師は言った。「千人万人喚べども頭を回らさず、方に少分の相应有り。」曰く、「忽然として火起らば時如何。」師は言った。「能く大地を焼く。」師は卻て僧に問うた。「星と焰とを除き却けて、那箇是れ火。」曰く、「是れ火に非ず。」別に一僧卻て問うた。「師は還た火を見るか。」師は言った。「見る。」曰く、「見は何より起る。」師は言った。「行住坐臥を除き却けて、別に一問を請え。」施主有りて裩を施す。薬山は提起して衆に示して言った。「法身は還た四大を具するや無きや。人の道い得る有らば、彼と与に一腰の裩を与えん。」師は言った。「性地は空に非ず、空は性地に非ず。此れ是れ地大。三大も亦然り。」山は言った。「汝と与に一腰の裩を与えん。」師は佛桑の花を指して僧に問うて言った。「這箇は那箇に何ぞ似たる。」曰く、「直ちに寒毛卓竪するを得たり。」師は言った。「畢竟如何。」曰く、「道吾門下の底。」師は言った。「十里の大王。」雲巖安からず。師は乃ち謂うて言った。「此の殻漏子を離れて、什麼の処に向いて相見ん。」巖は言った。「不生不滅の処に相見ん。」師は言った。「何ぞ道わざる、不生不滅の処に非ず、亦た相見を求めずと。」雲巖鞋を補う次、師は問うた。「什麼を作す。」巖は言った。「敗壊を将て敗壊を補う。」師は言った。「何ぞ道わざる、即ち敗壊は敗壊に非ずと。」師は僧の維摩経を念ずるに云く「八千の菩薩、五百の声聞、皆文殊師利に随从せんと欲す」と聞きて、師は問うて言った。「什麼の処に行く。」其の僧は対無し。師は便ち打った。(後に僧は禾山に問うた。山は言った。「給侍の者のみ方に諧す。」)師は五峰に到る。峰は問うた。「還た薬山の老宿を識るか否や。」師は言った。「識らず。」峰は言った。「何の故に識らざる。」師は言った。「識らず、識らず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った、

東土不曾逢。因設先師齋。僧問。未審先師還來也無。師曰。汝諸人用設齋作甚麼。石霜問。和尚一片骨。敲著似銅鳴。向甚麼處去也。師喚侍者。者應諾。師曰。驢年去。唐太和九年九月示疾。有苦。僧眾慰問體候。師曰。有受非償。子知之乎。眾皆愀然。越十日將行。謂眾曰。吾當西邁。理無東移。言訖告寂。闍維得靈骨數片。建塔道吾。後雷。遷於石霜山之陽。

(道吾続けて言った:)「東土に曾て逢わず。」因りて先師の斎を設く。僧が問うた。「未だ審らかに先師は還た来るや無きや。」師は言った。「汝諸人は斎を設けて什麼を作さん。」石霜が問うた。「和尚の一片の骨、敲き著けば銅の鳴るに似たり、什麼の処に向って去らん。」師は侍者を喚んだ。者は応諾した。師は言った。「驢年に去れ。」唐の太和九年九月に疾を示し、苦有り。僧衆は体候を慰問す。師は言った。「受くる有りて償うに非ず、子は之を知るか。」衆は皆愀然とす。十日を越えて将に行かんとし、衆に謂うて言った。「吾は当に西に邁す、理は東に移る無し。」言い訖りて寂を告ぐ。闍維して霊骨数片を得、道吾に塔を建つ。後に雷有りて、石霜山の陽に遷す。

潭州雲巖曇晟禪師

潭州雲巖曇晟禅師

鍾陵建昌王氏子。少出家於石門。參百丈海禪師二十年。因緣不契。後造藥山。山問。甚處來。曰。百丈來。山曰。百丈有何言句示徒。師曰。尋常道。我有一句子。百味具足。山曰。鹹則鹹味。淡則淡味。不鹹不淡是常味。作麼生是百味具足底句。師無對。山曰。爭柰目前生死何。師曰。目前無生死。山曰。在百丈多少時。師曰。二十年。山曰。二十年在百丈。俗氣也不除。他日侍立次。山又問。百丈更說甚麼法。師曰。有時道。三句外省去。六句內會取。山曰。三千里外。且喜沒交涉。山又問。更說甚麼法。師曰。有時上堂。大眾立定。以拄杖一時趂散。復召大眾。眾回首。丈曰。是甚麼。山曰。何不早恁麼道。今日因子得見海兄。師於言下頓省。便禮拜。一日山問。汝除在百丈。更到甚麼處來。師曰。曾到廣南來。曰。見說廣州城東門外有一片石。被州主移去。是否。師曰。非但州主。闔國人移亦不動。山又問。聞汝解弄師子。是否。師曰。是。曰。弄得幾出。師曰。弄得六出。曰。我亦弄得。師曰。和尚弄得幾出。曰。我弄得一齣。師曰。一即六。六即一。後到溈山。溈問。承聞長老在藥山弄師子。是否。師曰。是。曰。長弄。有置時。師曰。要弄即弄。要置即置。曰。置時師子在甚麼處。師曰。置也。置也。僧問。從上諸聖甚麼處去。師良久。曰。作麼。作麼。問。暫時不在。如同死人時如何。師曰。好埋卻。問。太保任底人。與那箇是一是二。師曰。一機之絹。是一段是兩段(洞山代雲。如人接樹)。師煎茶次。道吾問。煎與阿誰。師曰。有一人要。曰。何不教伊自煎。師曰。幸有某甲在。師問石霜。甚麼處來。曰。溈山來。師曰。在彼中得多少時。曰。粗經冬夏。師曰。恁麼即成山長也。曰。雖在彼中卻不知。師曰。他家亦非知非識。石霜無對(道吾聞雲。得恁麼無佛法身心)。住後。

鍾陵建昌王氏の子。少くして石門に出家す。百丈海禅師に参ずること二十年、因縁契せず。後に薬山に造る。山は問うた。「甚の処より来た。」曰く、「百丈より来ました。」山は言った。「百丈に何の言句か有りて徒に示す。」師は言った。「尋常道う、我に一句子有り、百味具足すと。」山は言った。「鹹なれば則ち鹹味、淡なれば則ち淡味、不鹹不淡は是れ常味。作麼生か是れ百味具足の底の句。」師は対無し。山は言った。「目前の生死を争奈せん何。」師は言った。「目前に生死無し。」山は言った。「百丈に在りて多少の時ぞ。」師は言った。「二十年。」山は言った。「二十年百丈に在りて、俗気も亦た除かず。」他日侍立の次、山は又问うた。「百丈は更に什麼の法を説く。」師は言った。「時有りて道う、三句の外に省り去り、六句の内に会い取れと。」山は言った。「三千里の外、且く渉らざる無きを喜ぶ。」山は又问うた。「更に什麼の法を説く。」師は言った。「時有りて上堂して、大衆立ち定まれば、拄杖を以って一時に趁い散らす。復た大衆を召す。衆首を回らす。丈は曰く、是れ什麼ぞ。」山は言った。「何ぞ早くかくの如く道わざる。今日は子に因りて海兄を見るを得たり。」師は言下に頓ちに省り、便ち礼拜した。ある日山は問うた。「汝は百丈に在るを除きて、更に什麼の処に到りて来た。」師は言った。「曾て広南に到りて来ました。」曰く、「説を聞くに広州城の東門の外に一片の石有り、州主に移されりと、是の否や。」師は言った。「非但だ州主、国を闔げて移すも亦た動かず。」山は又问うた。「聞くに汝は師子を弄するを解すと、是の否や。」師は言った。「是。」曰く、「幾出を弄し得た。」師は言った。「六出を弄し得たり。」曰く、「我も亦た弄し得。」師は言った。「和尚は幾出を弄し得た。」曰く、「我は一出を弄し得たり。」師は言った。「一は即ち六、六は即ち一。」後に潙山に到る。潙は問うた。「承く長老は薬山に在りて師子を弄すると、是の否や。」師は言った。「是。」曰く、「長く弄せば、置く時有り。」師は言った。「弄せんと要すれば即ち弄し、置かんと要すれば即ち置く。」曰く、「置く時師子は什麼の処に在る。」師は言った。「置くなり、置くなり。」僧が問うた。「従上の諸の聖は什麼の処に去る。」師は良久として、曰く、「作麼、作麼。」問う。「暫時在らざる時、死人に同じき時如何。」師は言った。「好く埋め却れ。」問う。「太保任の底の人、那箇と是れ一なるか二なるか。」師は言った。「一機の絹、是れ一段なるか两段なるか。」(洞山は代わって言った。「人の樹を接ぐが如し。」)師は茶を煎ずる次、道吾が問うた。「阿誰と与に煎ず。」師は言った。「一人の要する有り。」曰く、「何ぞ伊をして自ら煎ぜしめざる。」師は言った。「幸いに某甲在り。」師は石霜に問うた。「什麼の処より来た。」曰く、「潙山より来ました。」師は言った。「彼の中に在りて多少の時を得た。」曰く、「粗く冬夏を経たり。」師は言った。「かくの如くすれば即ち山長と成れり。」曰く、「彼の中に在ると雖も知らず。」師は言った。「他の家も亦た知らず識らず。」石霜は対無し。(道吾は聞きて言った。「かくの如く佛法身心無きを得たり。」)住の後。

上堂示眾曰。有箇人家兒子。問著無有道不得底。洞山出問曰。他屋裡有多少典籍。師曰。一字也無。曰。爭得恁麼多知。師曰。日夜不曾眠。山曰。問一段事還得否。師曰。道得卻不道。問僧。甚處來。曰。添香來。師曰。還見佛否。曰。見。師曰。甚麼處見。曰。下界見。師曰。古佛。古佛。道吾問。大悲千手眼。那箇是正眼。師曰。如人夜間背手摸枕子。吾曰。我會也。師曰。作麼生會。吾曰。遍身是手眼。師曰。道也太煞道。祇道得八成。吾曰。師兄作麼生。師曰。通身是手眼。掃地次。道吾曰。太區區生。師曰。須知有不區區者。吾曰。恁麼則有第二月也。師竪起掃帚曰。是第幾月。吾便行(玄沙聞雲。正是第二月)。問僧。甚處來。曰。石上語話來。師曰。石還點頭也無。僧無對。師自代曰。未語話時卻點頭。師作草鞋次。洞山近前曰。乞師眼睛得麼。師曰。汝底與阿誰去也。曰。良价無。師曰。設有。汝向甚麼處著。山無語。師曰。乞眼睛底是眼否。師曰。非眼。師便喝出。尼僧禮拜。師問。汝爺在否。曰。在。師曰。年多少。曰。年八十。師曰。汝有箇爺不年八十。還知否。曰。莫是恁麼來者。師曰。恁麼來者。猶是兒孫(洞山代雲。直是不恁麼來者。亦是兒孫)。僧問。一念瞥起便落魔界時如何。師曰。汝因甚麼卻從佛界來。僧無對。師曰。會麼。曰。不會。師曰。莫道體不得。設使體得。也祇是左之右之。院主遊石室回。師問。汝去入到石室裡許。為祇恁麼便回。師無對。洞山代曰。彼中已有人占了也。師曰。汝更去作甚麼。山曰。不可人情斷絕去也。會昌元年辛酉十月二十六日示疾。命澡身竟。喚主事令備齋。來日有上座發去。至二十七夜歸寂。茶毗得舍利一千餘粒。瘞於石塔。諡無住大師。

上堂して衆に示して言った。「箇の人家の兒子有り、問い著けば道い得ざる底無し。」洞山は出でて問うて言った。「他の屋裏は多少の典籍有る。」師は言った。「一字も亦た無し。」曰く、「争でかかくの如く多く知るを得ん。」師は言った。「日夜曾て眠らず。」山は言った。「一段の事を問うも還た得たるか否や。」師は言った。「道い得れども卻て道わず。」僧に問うた。「甚の処より来た。」曰く、「香を添えて来ました。」師は言った。「還た佛を見るか否や。」曰く、「見る。」師は言った。「什麼の処に見る。」曰く、「下界に見る。」師は言った。「古佛、古佛。」道吾が問うた。「大悲の千手眼、那箇是れ正眼。」師は言った。「人の夜間手を背けて枕子を摸るが如し。」吾は言った。「我会えり。」師は言った。「作麼生に会する。」吾は言った。「遍身是れ手眼。」師は言った。「道うも太も殺して道う、只だ八成を道い得るのみ。」吾は言った。「師兄は作麼生。」師は言った。「通身是れ手眼。」地を掃う次、道吾は言った。「太も区々生なり。」師は言った。「須く知るべし、区々ならざる者有るを。」吾は言った。「かくの如くすれば則ち第二月有るなり。」師は箒を竪起して言った。「是れ第幾の月ぞ。」吾は便ち行った。(玄沙は聞きて言った。「正に是れ第二月。」)僧に問うた。「甚の処より来た。」曰く、「石上に語話して来ました。」師は言った。「石は還た頭を点くや無きや。」僧は対無し。師は自ら代わって言った。「未だ語話せざる時に卻て頭を点く。」師は草鞋を作る次、洞山は前に近りて言った。「師の眼睛を乞うに得たるか。」師は言った。「汝の底は阿誰と与に去らん。」曰く、「良价は無し。」師は言った。「設し有らば、汝は什麼の処に向いて著けん。」山は語無し。師は言った。「眼睛を乞う底は是れ眼か否や。」師は言った。「眼に非ず。」師は便ち喝い出した。尼僧礼拜す。師は問うた。「汝の爺は在るか否や。」曰く、「在。」師は言った。「年多少。」曰く、「年は八十。」師は言った。「汝に箇の爺有りて年八十ならず、還た知るか否や。」曰く、「是れかくの如く来る者か莫しや。」師は言った。「かくの如く来る者は、猶お是れ兒孫。」(洞山は代わって言った。「直ちに是れかくの如く来らざる者も、亦た是れ兒孫。」)僧が問うた。「一念瞥然として起れば便ち魔界に落つる時如何。」師は言った。「汝は什麼に因りて卻て佛界より来た。」僧は対無し。師は言った。「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「体し得ざれども道う莫れ。設使体し得るとも、也只だ是れ之を左にし之を右にするのみ。」院主は石室に遊びて回る。師は問うた。「汝は去りて石室裏の許りに入りしか、為に只だかくの如くして便ち回れる。」師は対無し。洞山は代わって言った。「彼の中に已に人の占めたる有り。」師は言った。「汝は更に去りて什麼を作さん。」山は言った。「人情断絶し去る可からず。」会昌元年辛酉十月二十六日に疾を示す。身を澡め竟えて、主事を喚びて斎を備えしめ、来日は上座の発ち去る有りと令す。二十七夜に至りて寂に帰す。茶毗して舎利一千余粒を得、石塔に瘞む。諡は無住大師。

秀州華亭船子德誠禪師

秀州華亭船子徳誠禅師

節操高邈。度量不群。自印心於藥山。與道吾。雲巖為同道交。洎離藥山。乃謂二同志曰。公等應各據一方。建立藥山宗旨。予率性疎野。唯好山水。樂情自遣。無所能也。他後知我所止之處。若遇靈利座主。指一人來。或堪雕琢。將授生平所得。以報先師之恩。遂分擕。至秀州華亭。泛一小舟。隨緣度日。以接四方往來之者。時人莫知其高蹈。因號船子和尚。一日。泊船岸邊閑坐。有官人問。如何是和尚日用事。師竪橈子曰。會麼。官人曰。不會。師曰。棹撥清波。金鱗罕遇。師有偈曰。三十年來坐釣臺。鉤頭往往得黃能。金鱗不遇空勞力。收取絲綸歸去來。千尺絲綸直下垂。一波才動萬波隨。夜靜水寒魚不食。滿船空載月明歸。三十年來海上遊。水清魚現不吞鉤。釣竿斫盡重栽竹。不計功程得便休。有一魚兮偉莫裁。混融包納信奇哉。能變化。吐風雷。下線何曾釣得來。別人祇看採芙蓉。香氣長粘遶指風。兩岸映。一船紅。何曾解染得虗空。問我生涯祇是船。子孫各自賭機緣。不由地。不由天。除卻簑衣無可傳。道吾後到京口。遇夾山上堂。僧問。如何是法身。山曰。法身無相。曰。如何是法眼。山曰。法眼無瑕。道吾不覺失笑。山便下座。請問道吾。某甲適來祇對這僧話必有不是。致令上座失笑。望上座不吝慈悲。吾曰。和尚一等是出世未有師在。山曰。某甲甚處不是。望為說破。吾曰。某甲終不說。請和尚卻往華亭船子處去。山曰。此人如何。吾曰。此人上無片瓦。下無卓錐。和尚若去。須易服而往。山乃散眾束裝。直造華亭。船子才見。便問。大德住甚麼寺。山曰。寺即不住。住即不似。師曰。不似。似箇甚麼。山曰。不是目前法。師曰。甚處學得來。山曰。非耳目之所到。師曰。一句合頭語。萬劫繫驢橛。師又問。垂絲千尺。意在深潭。離鉤三寸。子何不道。山擬開口。被師一橈打落水中。

節操高邈にして、度量群れず。自ら薬山に於て心を印し、道吾、雲巖と同道の交を為す。洎して薬山を離れて、乃ち二同志に謂うて言った。「公等は応に各おの一方に拠りて、薬山の宗旨を建立すべし。予は性を率うに疏野にして、唯だ山水を好み、情を楽しみて自ら遣る、能う所無し。他の後我が止まる処を知らば、若し霊利の座主に遇わば、一人を指して来らしめよ、或いは雕琢に堪えん、生平の得る所を授けて、以って先師の恩に報いん。」遂に携えを分かつ。秀州の華亭に至りて一小舟に泛みて、縁に随いて日を度り、以って四方の往来する者を接す。時人其の高蹈を知る莫し、因りて船子和尚と号す。ある日、船を岸辺に泊めて閑坐す。官人有りて問うた。「如何なるか是れ和尚の日用の事。」師は橈子を竪てて言った。「会すか。」官人は言った。「会せず。」師は言った。「棹は清波を撥き、金鱗は遇うこと罕なり。」師に偈有りて言った。「三十年来釣台に坐し、鉤頭には往々に黄能を得たり。金鱗は遇わずして空しく力を劳し、糸綸を収めて帰去来す。千尺の糸綸直ちに下垂れり、一波纔わかに動けば万波随う。夜静まり水寒くして魚食わず、船に満ちて空しく月明を載せて帰る。三十年来海上に遊び、水清くして魚現れども鉤を呑まず。釣竿斫り尽くして重ねて竹を栽う、功程を計らずして得れば便ち休む。一の魚ありて偉なり裁むる莫し、混融して包納し信に奇なり哉。能く変化し、風雷を吐く、線を下して何ぞ曾て釣り得来たらん。别人は只だ芙蓉を采るを看て、香気は長く指に粘いて風を遶る。両岸映え、一船紅なり、何ぞ曾て虚空を染め得るを解せん。我に生涯を問えば只是れ船、子孫は各おの機縁を賭す。地に由らず、天に由らず、蓑衣を除きて伝うべき無し。」道吾は後に京口に到り、夾山の上堂に遇う。僧が問うた。「如何なるか是れ法身。」山は言った。「法身は相無し。」曰く、「如何なるか是れ法眼。」山は言った。「法眼は瑕無し。」道吾は覚えず笑を失す。山は便ち下座して、道吾に請い問うた。「某甲は適来這の僧と与の対する話に必ず不是有り、上座の笑を失せしむるを致せり。望む上座の慈悲を吝かにせざらんことを。」吾は言った。「和尚は一等是れ出世にして師の在ること未だ有らず。」山は言った。「某甲は甚の処か不是、望む為に説き破らんことを。」吾は言った。「某甲は終に説かず。和尚に請う、卻て華亭の船子の処に往け。」山は言った。「此の人如何。」吾は言った。「此の人は上に片瓦無く、下に錐を卓す地無し。和尚若し行かば、須く服を易えて往くべし。」山は乃ち衆を散じ装を束ねて、直ちに華亭に造る。船子は纔わかに見て、便ち問うた。「大徳は什麼の寺に住する。」山は言った。「寺は即ち住せず、住すれば即ち似ず。」師は言った。「似ず、箇の什麼に似る。」山は言った。「是れ目前の法に非ず。」師は言った。「甚の処に学び得来た。」山は言った。「耳目の到る所に非ず。」師は言った。「一句の合頭の語、万劫の驢を繋ぐ橛。」師は又问うた。「糸を垂るること千尺、意は深潭に在り。鉤を離るること三寸、子何ぞ道わざる。」山は口を開かんと拟し、師の一桡に打たれて水中に落ちた。

山才上船。師又曰。道。道。山擬開口。師又打。山豁然大悟。乃點頭三下。師曰。竿頭絲線從君弄。不犯清波意自殊。山遂問。拋綸擲釣。師意如何。師曰。絲懸淥水。浮定有無之意。山曰。語帶玄而無路。舌頭談而不談。師曰。釣盡江波。金鱗始遇。山乃掩耳。師曰。如是。如是。遂囑曰。汝向去直須藏身處沒蹤跡。沒蹤跡處莫藏身。吾三十年在藥山。祇明斯事。汝今已得。他後莫住城隍聚落。但向深山裡。钁頭邊。覓取一箇半箇接續。無令斷絕。山乃辭行。頻頻回顧。師遂喚闍黎。山乃回首。師竪起橈子曰。汝將謂別有。乃覆船入水而逝。

山は纔わかに船に上る。師は又言った。「道え、道え。」山は口を開かんと拟した。師は又打った。山は豁然として大悟し、乃ち頭を点くこと三下。師は言った。「竿頭の糸線は君に従い弄せよ、清波を犯さざれば意自ら殊なり。」山は遂に問うた。「綸を抛ち釣を擲つ、師の意如何。」師は言った。「糸は渌水に懸り、浮きて有無の意を定む。」山は言った。「語は玄を帯びて路無く、舌頭は談じて談ぜず。」師は言った。「江波を釣り尽くせば、金鱗始めて遇う。」山は乃ち耳を掩うた。師は言った。「是の如し、是の如し。」遂に嘱して言った。「汝向って去れば直に須く身を蔵むる処は踪迹を没すべく、踪迹を没する処は身を蔵むる莫れ。吾は三十年薬山に在りて、只だ斯の事を明らむ。汝今已に得たり、他の後は城隍聚落に住する莫れ、但だ深山の裏、钁頭の辺に向いて、一箇半箇を覓い取りて接続せよ、断絶せしむること無からしめよ。」山は乃ち辞して行き、頻々に回顧す。師は遂に闍黎を喚んだ。山は乃ち首を回らした。師は橈子を竪起して言った。「汝は謂う別有ると。」乃ち船を覆して水に入りて逝く。

宣州椑樹慧省禪師

宣州椑樹慧省禅師

洞山參。師問。來作甚麼。山曰。來親近和尚。師曰。若是親近。用動這兩片皮作麼。山無對(曹山雲。一子親得)。僧問。如何是佛。師曰。貓兒上露柱。曰。學人不會。師曰。問取露柱去。

洞山参ず。師は問うた。「来りて什麼を作さん。」山は言った。「和尚に親近しに来ました。」師は言った。「若し是れ親近ならば、此の両片の皮を動かして什麼を作さんを用いん。」山は対無し。(曹山は言った。「一子親く得たり。」)僧が問うた。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「猫兒は露柱に上る。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「露柱に問い取りて行け。」

鄂州百巖明哲禪師

鄂州百巖明哲禅師

藥山看經次。師曰。和尚休猱人好。山置經曰。日頭早晚也。師曰。正當午。山曰。猶有文彩在。師曰。某甲無亦無。山曰。汝太煞聰明。師曰。某甲祇恁麼。和尚作麼生。師曰。跛跛挈挈。百醜千拙。且恁麼過。洞山與密師伯到參。師問。二上座甚處來。山曰。湖南。師曰。觀察使姓甚麼。曰。不得姓。師曰。名甚麼。曰。不得名。師曰。還治事也無。曰。自有郎幕任。師曰。還出入也無。曰。不出入。師曰。豈不出入。師拂袖便出。師次早入堂。召二上座曰。昨日老僧對闍黎一轉語不相契。一夜不安。今請闍黎別下一轉語。若愜老僧意。便開粥相伴過夏。山曰。請和尚問。師曰。豈不出入。山曰。太尊貴生。師乃開粥。同共過夏。

薬山経を看る次、師は言った。「和尚は人を猱むるを休めんことを好まん。」山は経を置きて言った。「日頭は早晚なり。」師は言った。「正に午に当たる。」山は言った。「猶お文彩有りて在り。」師は言った。「某甲は無も亦た無し。」山は言った。「汝は太も殺して聡明なり。」師は言った。「某甲は只だかくの如く。和尚は作麼生。」師は言った。「跛跛として挈挈、百醜千拙、且くかくの如く過ごさん。」洞山は密師伯と到りて参ず。師は問うた。「二上座は甚の処より来た。」山は言った。「湖南。」師は言った。「観察使の姓は什麼ぞ。」曰く、「姓を得ず。」師は言った。「名は什麼ぞ。」曰く、「名を得ず。」師は言った。「還た事を治するや無きや。」曰く、「自ら郎幕の任有り。」師は言った。「還た出入するや無きや。」曰く、「出入せず。」師は言った。「豈に出入せざらんや。」師は袖を拂いて便ち出た。師は次の早朝堂に入り、二上座を召して言った。「昨日老僧は闍黎と与の一転の語相い契せず、一夜安からず。今闍黎に請う、別に一転の語を下せ。若し老僧の意に惬えば、便ち粥を開きて相伴い夏を過さん。」山は言った。「和尚の問わんことを請う。」師は言った。「豈に出入せざらんや。」山は言った。「太も尊貴生なり。」師は乃ち粥を開きて、同じく共に夏を過ごした。

澧州高沙彌

澧州高沙弥

初參藥山。山問。甚處來。師曰。南嶽來。山曰。何處去。師曰。江陵受戒去。山曰。受戒圖甚麼。師曰。圖免生死。山曰。有一人不受戒。亦無生死可免。汝還知否。師曰。恁麼則佛戒何用。山曰。這沙彌猶掛唇齒在。師禮拜而退。道吾來侍立。山曰。適來有箇跛腳沙彌。卻有些子氣息。吾曰。未可全信。更須勘過始得。至晚。山上堂。召曰。早來沙彌在甚麼處。師出眾立。山問。我聞長安甚閙。你還知否。師曰。我國晏然(法眼別雲。見誰說)。山曰。汝從看經得。請益得。師曰。不從看經得。亦不從請益得。山曰。大有人不看經.不請益。為甚麼不得。師曰。不道他不得。祇是不肯承當。山顧道吾.雲巖曰。不信道。師一日辭藥山。山問。甚麼處去。師曰。某甲在。眾有妨。且往路邊卓箇草菴。接待往來茶湯去。山曰。生死事大。何不受戒去。師曰。知是般事便休。更喚甚麼作戒。山曰。汝既如是。不得離吾左右。時復要與子相見。師住菴後。一日歸來。值雨。山曰。你來也。師曰。是。山曰。可煞濕。師曰。不打這箇鼓笛。雲巖曰。皮也無。打甚麼鼓。道吾曰。鼓也無。打甚麼皮。山曰。今日大好一場曲調。僧問。一句子還有該不得處否。師曰。不順世。藥山齋時。自打鼓。師捧缽作舞入堂。山便擲下鼓槌曰。是第幾和。師曰。是第二和。山曰。如何是第一和。師就桶舀一杓飯便出。

初めて薬山に参ず。山は問うた。「甚の処より来た。」師は言った。「南岳より来ました。」山は言った。「何の処に行く。」師は言った。「江陵に戒を受けに行きます。」山は言った。「戒を受けて什麼を図る。」師は言った。「生死を免れんことを図ります。」山は言った。「一人有りて戒を受けず、亦た免るべき生死無し。汝は還た知るか否や。」師は言った。「かくの如くすれば則ち佛戒何の用ぞ。」山は言った。「這の沙弥は猶お唇歯を挂けて在り。」師は礼拜して退いた。道吾来りて侍立す。山は言った。「適来箇の跛脚の沙弥有り、卻て些子の気息有り。」吾は言った。「未だ全く信ずべからず、更に須く勘過して始めて得。」晚に至り、山は上堂して、召して言った。「早来の沙弥は什麼の処に在る。」師は衆を出でて立つ。山は問うた。「我は聞く長安は甚だ鬧やかと、汝は還た知るか否や。」師は言った。「我が国は晏然とす。」(法眼は別に言った。「誰に説を見る。」)山は言った。「汝は従い経を看て得たか、益を請うて得たか。」師は言った。「経を看て得るに従わず、亦た益を請うて得るに従わず。」山は言った。「大いに人の経を看ず益を請わざる有り、何の故に得ざる。」師は言った。「他の得ざるを道わず、只だ承当を肯んぜざるのみ。」山は道吾、雲巖を顧みて言った。「道を信ぜず。」師はある日薬山に辞した。山は問うた。「什麼の処に行く。」師は言った。「某甲在れば、衆に妨げ有り、且く路の辺に往きて箇の草庵を卓し、往来の茶湯を接待せんと。」山は言った。「生死の事は大なり、何ぞ戒を受けに行かざる。」師は言った。「是の般の事を知れば便ち休めり、更に什麼を喚びて戒と作さん。」山は言った。「汝既に是の如し、吾が左右を離るるを得ざれ、時に復た子と相見んと要す。」師は庵に住して後、ある日帰り来たるに、雨に値う。山は言った。「汝来たれり。」師は言った。「是。」山は言った。「可も殺す湿なり。」師は言った。「這箇の鼓笛を打たず。」雲巖は言った。「皮も無し、什麼の鼓を打たん。」道吾は言った。「鼓も無し、什麼の皮を打たん。」山は言った。「今日は大好き一場の曲調なり。」僧が問うた。「一句子に還た該め得ざる処有るか否や。」師は言った。「世に順わず。」薬山斎の時、自ら鼓を打つ。師は鉢を捧げて舞を作して堂に入る。山は便ち鼓槌を擲ち下して言った。「是れ第幾の和ぞ。」師は言った。「是れ第二和。」山は言った。「如何なるか是れ第一和。」師は桶に就きて一杓の飯を舀いて便ち出た。

鼎州李翱刺史

鼎州李翱刺史

嚮藥山玄化。屢請不赴。乃躬謁之。山執經卷不顧。侍者曰。太守在此。守性褊急。乃曰。見面不如聞名。拂袖便出。山曰。太守何得貴耳賤目。守回拱謝。問曰。如何是道。山以手指上下。曰。會麼。守曰。不會。山曰。雲在青天水在瓶。守忻愜作禮。而述偈曰。鍊得身形似鶴形。千株松下兩函經。我來問道無餘說。雲在青天水在瓶(玄覺雲。且道李太守是讚他語。明他語。須是行腳眼始得)。守又問。如何是戒定慧。山曰。貧道這裡無此閑傢俱。守莫測玄旨。山曰。太守欲得保任此事。直須向高高山頂立。深深海底行。閨閣中物。捨不得便為滲漏。守見老宿獨坐。問曰。端居丈室。當何所務。宿曰。法身凝寂。無去無來(法眼別雲。汝作甚麼來。法燈別雲。非公境界)。

薬山の玄化を嚮き、屡ば請うも赴かず、乃ち躬自ら之に謁す。山は経巻を執りて顧みず。侍者は言った。「太守此に在り。」守は性褊急にして、乃ち言った。「面を見るは名を聞くに如かず。」袖を拂いて便ち出た。山は言った。「太守は何ぞ耳を貴び目を賤しむるを得ん。」守は回りて拱して謝す。問うて言った。「如何なるか是れ道。」山は指を以って上下し、曰く、「会すか。」守は言った。「会せず。」山は言った。「雲は青天に在り、水は瓶に在り。」守は忻惬して礼を作し、而るに偈を述べて言った。「身形を煉りて鶴形に似しめ、千株の松の下に两函の経。我は道を問うに来たりて説く余無し、雲は青天に在り水は瓶に在り。」(玄覚は言った。「且く道え、李太守は是れ他の語を賛するか、他の語を明らむるか。須く是れ行脚の眼にして始めて得。」)守は又问うた。「如何なるか是れ戒定慧。」山は言った。「貧道の這裏には此の閑なる家具無し。」守は玄旨を測る莫し。山は言った。「太守此の事を保任せんと欲せば、直に須く高き高き山の頂に立ち、深き深き海の底に行ずべし。閨閤の中の物は、舎て得ざれば便ち渗漏と為る。」守は老宿の独り坐するを見て、問うて言った。「丈室に端居す、当に何をか務むる所。」宿は言った。「法身は凝寂して、去る無く来る無し。」(法眼は別に言った。「汝は什麼を作して来た。」法灯は別に言った。「公の境界に非ず。」)

丹霞然禪師法嗣

丹霞然禅師法嗣

京兆府翠微無學禪師

京兆府翠微無学禅師

初問丹霞。如何是諸佛師。霞咄曰。幸自可憐生。須要執巾帚作麼。師退身三步。霞曰。錯。師進前。霞曰。錯。錯。師翹一足。旋身一轉而出。霞曰。得即得。孤他諸佛。師由是領旨。住後。投子問。未審二祖初見達磨。有何所得。師曰。汝今見吾。復何所得。投子頓悟玄旨。一日。師在法堂內行。投子進前接禮。問曰。西來密旨。和尚如何示人。師駐步少時。子曰。乞師垂示。師曰。更要第二杓惡水那。子便禮謝。師曰。莫垛根。子曰。時至根苗自生。師因供養羅漢。僧問。丹霞燒木佛。和尚為甚麼供養羅漢。師曰。燒也不燒著。供養亦一任供養。曰。供養羅漢。羅漢還來也無。師曰。汝每日還吃飯麼。僧無語。師曰。少有靈利底。

初めて丹霞に問うた。「如何なるか是れ諸佛の師。」霞は喝して言った。「幸いに自ら憐れむ生なり、須く巾帚を執りて什麼を作さん。」師は身を退くこと三歩。霞は言った。「錯り。」師は前に進む。霞は言った。「錯り、錯り。」師は一足を翘げ、身を旋らして一転して出た。霞は言った。「得れば即ち得、他の諸佛を孤れり。」師は是に由りて旨を領く。住の後、投子が問うた。「未だ審らかに二祖の初めて達磨に見えしに、何の得る所有るや。」師は言った。「汝今吾を見る、復た何の得る所有る。」投子は頓ちに玄旨を悟る。ある日、師は法堂内を行く。投子は前に進みて礼を接し、問うて言った。「西来の密旨、和尚は如何に人に示す。」師は歩を駐むること少時。子は言った。「師の垂示を乞う。」師は言った。「更に第二杓の悪水を要する那。」子は便ち礼して謝す。師は言った。「根を垜むる莫れ。」子は言った。「时至らば根苗自ら生ぜん。」師は因りて羅漢を供養す。僧が問うた。「丹霞は木佛を焼けり、和尚は何の故に羅漢を供養する。」師は言った。「焼くも亦た焼き著けず、供養も亦た供養に一任せよ。」曰く、「羅漢を供養すれば、羅漢は還た来るや無きや。」師は言った。「汝は每日還た飯を喫するか。」僧は語無し。師は言った。「少なくも霊利の底有り。」

吉州孝義寺性空禪師

吉州孝義寺性空禅師

僧參。師乃展手示之。僧近前。卻退後。師曰。父母俱喪。略不慘顏。僧呵呵大笑。師曰。少間與闍黎舉哀。僧打筋斗而出。師曰。蒼天。蒼天。僧參人事畢。師曰。與麼下去。還有佛法道理也無。曰。某甲結舌有分。師曰。老僧又作麼生。曰。素非好手。師便仰身合掌。僧亦合掌。師乃撫掌三下。僧拂袖便出。師曰。烏不前。兔不後。幾人於此茫然走。祇有闍黎達本源。結舌何曾著空有。

僧参ず。師は乃ち手を展げて之に示す。僧は前に近り、卻て後に退く。師は言った。「父母倶に喪せり、略して惨なる顔無し。」僧は呵呵と大笑した。師は言った。「少間有りて闍黎と与に哀を挙げん。」僧は筋斗を打ちて出た。師は言った。「蒼天、蒼天。」僧は人事を参じ畢る。師は言った。「与么に下り去らば、還た佛法の道理有るや無きや。」曰く、「某甲は舌を結ぶ分有り。」師は言った。「老僧は又作麼生。」曰く、「素より好手に非ず。」師は便ち身を仰ぎて掌を合わす。僧も亦た掌を合わす。師は乃ち掌を撫すること三下。僧は袖を拂いて便ち出た。師は言った。「烏は前ならず、兎は後せず、幾人此に於て茫然として走る。只だ闍黎有りて本源に達す、舌を結びて何ぞ曾て空有に著けん。」

米倉和尚

米倉和尚

新到參。遶師三匝。敲禪床曰。不見主人公。終不下參眾。師曰。甚麼處情識去來。曰。果然不在。師便打一拄杖。僧曰。幾落情識。師曰。村草步頭逢著一箇。有甚麼話處。曰。且參眾去。

新到参ず、師を遶ること三匝して、禅床を敲きて言った。「主人公を見ざれば、終に衆を参じて下らず。」師は言った。「什麼の処に情識を去りて来た。」曰く、「果然在らず。」師は便ち一拄杖を打った。僧は言った。「幾ほどなく情識に落ちんとす。」師は言った。「村の草の歩頭に一箇に逢う、什麼の話する処か有る。」曰く、「且く衆に参じて去らん。」

丹霞山義安禪師

丹霞山義安禅師

僧問。如何是佛。師曰。如何是上座。曰。恁麼即無異去也。師曰。誰向汝道。

僧が問うた。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「如何なるか是れ上座。」曰く、「かくの如くすれば即ち異なること無き去れ。」師は言った。「誰か汝に向って道う。」

本童禪師

本童禅師

因僧寫師真呈。師曰。此若是我。更呈阿誰。曰。豈可分外也。師曰。若不分外。汝卻收取。僧擬收。師打曰。正是分外強為。曰。若恁麼即須呈於師也。師曰。收取。收取。

僧が師の真を写し呈するに因り。師は言った。「此れ若し是れ我ならば、更に阿誰に呈ぜん。」曰く、「豈に分外なるべけんや。」師は言った。「若し分外ならざれば、汝は卻て収め取れ。」僧は収めんと拟した。師は打ちて言った。「正に是れ分外なれど強て為す。」曰く、「若しかくの如くならば即ち須く師に呈すべし。」師は言った。「収め取れ、収め取れ。」

大川禪師法嗣

大川禅師法嗣

仙天禪師

仙天禅師

新羅僧參。方展坐具。擬禮拜。師捉住雲。未發本國時道取一句。僧無語。師便推出曰。問伊一句。便道兩句。僧參。展坐具。師曰。這裡會得孤負平生去也。曰。不向這裡會得。又作麼生。師曰。不向這裡會。更向那裡會。便打出。僧參。才展坐具。師曰。不用通時暄。還我文彩未生時道理來。曰。某甲有口。瘂卻即閑。苦死覓箇臘月扇子作麼。師拈棒作打勢。僧把住曰。還我未拈棒時道理。師曰。隨我者隨之南北。不隨我者死住東西。曰。隨與不隨且置。請師指出東西南北。師便打。披雲和尚來。才入方丈。師便問。未見東越老人時。作麼生為物。雲曰。祇見雲生碧嶂。焉知月落寒潭。師曰。祇與麼也難得。曰。莫是未見時麼。師便喝。雲展兩手。師曰。錯怪人者有甚麼限。雲掩耳而出。師曰。死卻這漢平生也。洛瓶和尚參。師問。甚處來。瓶曰。南溪。師曰。還將南溪消息來麼。曰。消即消已。息即未息。師曰。最苦是未息。瓶曰。且道未息箇甚麼。師曰。一回見面。千載忘名。瓶拂袖便出。師曰。弄死虵手有甚麼限。僧參。擬禮拜。師曰。野狐兒見甚麼了便禮拜。曰。老禿奴見甚麼了便恁麼問。師曰。苦哉。苦哉。仙天今日忘前失後。曰。要且得時。終不補失。師曰。爭不如此。曰。誰甘。師呵呵大笑曰。遠之遠矣。僧四顧便出。

新羅の僧参ず。方に坐具を展げ、礼拜せんと拟す。師は捉え住めて言った。「未だ本国を発せざる時に一句を道い取れ。」僧は語無し。師は便ち推し出して言った。「伊に一句を問えば、便ち两句を道う。」僧参ず、坐具を展ぐ。師は言った。「這裏に会い得れば平生を孤負し去らん。」曰く、「這裏に向いて会い得ざれば、又作麼生。」師は言った。「這裏に向いて会わざれば、更に那裏に向いて会わん。」便ち打ち出した。僧参ず、纔わかに坐具を展ぐ。師は言った。「時の暄を通ずるを用いず、我に文彩未だ生ぜざる時の道理を還せ。」曰く、「某甲は口有り、啞き却れば即ち閑なり。苦死に箇の腊月の扇子を覓めて什麼を作さん。」師は棒を拈じて打つ勢いを作した。僧は把り住めて言った。「我に未だ棒を拈ぜざる時の道理を還せ。」師は言った。「我に随う者は之に随いて南北し、我に随わざる者は東西に死住せん。」曰く、「随うと随わざると且く置く。師の東西南北を指出せんことを請う。」師は便ち打った。披雲和尚来たる、纔わかに方丈に入る。師は便ち問うた。「未だ東越の老人に見えざる時、作麼生に物を為した。」雲は言った。「只だ雲の碧嶂に生ずるを見て、焉んぞ月の寒潭に落つるを知らん。」師は言った。「只だ与么なるも亦た得ること難し。」曰く、「未だ見ざる時か莫しや。」師は便ち喝した。雲は両手を展げた。師は言った。「人を錯怪する者は什麼の限りか有る。」雲は耳を掩うて出た。師は言った。「這の漢の平生を死せしめたり。」洛瓶和尚参ず。師は問うた。「甚の処より来た。」瓶は言った。「南渓。」師は言った。「還た南渓の消息を将て来たるか。」曰く、「消せば即ち消え已れり、息すれば即ち未だ息せず。」師は言った。「最も苦しむは是れ未だ息せざるなり。」瓶は言った。「且く道え未だ箇の什麼を息せざる。」師は言った。「一回面を見れば、千載名を忘る。」瓶は袖を拂いて便ち出た。師は言った。「死蛇を弄する手は什麼の限りか有る。」僧参ず、礼拜せんと拟す。師は言った。「野狐兒は什麼を見て了れて便ち礼拜する。」曰く、「老秃奴は什麼を見て了れて便ちかくの如く問う。」師は言った。「苦しい哉、苦しい哉。仙天は今日前を忘れ後を失せり。」曰く、「要して且く時を得れば、終に失を補わず。」師は言った。「争でか此の如くならざらん。」曰く、「誰か甘んぜん。」師は呵呵と大笑して言った。「之を遠くす遠くす。」僧は四顧して便ち出た。

福州普光禪師

福州普光禅師

僧侍立次。師以手開胷曰。還委老僧事麼。曰。猶有這箇在。師卻掩𮌎曰。不妨太顯。曰。有甚麼避處。師曰。的是無避處。曰。即今作麼生。師便打。

僧侍立の次。師は手を以って胸を開きて言った。「還た老僧の事を委すか。」曰く、「猶お這箇有りて在り。」師は卻て胸を掩いもて言った。「妨げず太も顕なり。」曰く、「什麼の避くる処か有る。」師は言った。「的なり是れ避くる処無し。」曰く、「即今作麼生。」師は便ち打った。

大顛通禪師法嗣

大顛通禅師法嗣

漳州三平義忠禪師

漳州三平義忠禅師

福州楊氏子。初參石鞏。鞏常張弓架箭接機。師詣法席。鞏曰。看箭。師乃撥開胷曰。此是殺人箭。活人箭又作麼生。鞏彈弓弦三下。師乃禮拜。鞏曰。三十年張弓架箭。秖射得半箇聖人。遂拗折弓箭。後參大顛。舉前話。顛曰。既是活人箭。為甚麼向弓弦上辨。平無對。顛曰。三十年後。要人舉此話也難得。師問大顛。不用指東劃西。便請直指。顛曰。幽州江口石人蹲。師曰。猶是指東劃西。顛曰。若是鳳凰兒。不向那邊討。師作禮。顛曰。若不得後句。前話也難圓。師住三平。上堂曰。今時人出來盡學馳求造作。將當自己眼目。有甚麼相當。阿汝欲學麼。不要諸餘。汝等各有本分事。何不體取。作麼心憤憤.口悱悱。有甚麼利益。分明向汝說。若要修行路及諸聖建立化門。自有大藏教文在。若是宗門中事宜。汝切不得錯用心。僧問。宗門中還有學路也無。師曰。有一路滑如苔。曰。學人還攝得否。師曰。不擬心。汝自看。問。黑豆未生芽時如何。師曰。佛亦不知。講僧問。三乘十二分教。某甲不疑。如何是祖師西來意。師曰。龜毛拂子。兔角拄杖。大德藏向甚麼處。曰。龜毛兔角豈是有邪。師曰。肉重千斤。智無銖兩。上堂。諸人若未曾見知識即不可。若曾見作者來。便合體取些子意度。向巖谷間木食草衣恁麼去。方有少分相應。若馳求知解義句。即萬里望鄉關去也。珍重。問侍者。姓甚麼。者曰。與和尚同姓。師曰。你道三平姓甚麼。者曰。問頭何在。師曰。幾時問汝。者曰。問姓者誰。師曰。念汝初機。放汝三十棒。師有偈曰。即此見聞非見聞。無餘聲色可呈君。箇中若了全無事。體用何妨分不分。陞座次。有道士出眾從東過西。一僧從西過東。師曰。適來道士卻有見處。師僧未在。士出禮曰。謝師接引。師便打。僧出作禮曰。乞師指示。師亦打。復謂眾曰。此兩件公案作麼生斷。還有人斷得麼。

福州楊氏の子。初めて石鞏に参ず。鞏は常に弓を張り箭を架げて機を接す。師は法席に詣る。鞏は言った。「箭を看よ。」師は乃ち胸を撥き開けて言った。「此れ是れ人を殺すの箭。人を活かすの箭は又作麼生。」鞏は弓弦を弾くこと三下。師は乃ち礼拜した。鞏は言った。「三十年弓を張り箭を架げしに、只だ半箇の圣人を射得たり。」遂に弓箭を拗折す。後に大顛に参じて、前話を挙げた。顛は言った。「既に是れ人を活かすの箭、何の故に弓弦の上に向って辨ず。」平は対無し。顛は言った。「三十年の後、人をして此の話を挙げしめんと要するも亦た得ること難し。」師は大顛に問うた。「東を指し西を划ぐるを用いず、便ち直指せんことを請う。」顛は言った。「幽州江口の石人蹲る。」師は言った。「猶お是れ東を指し西を划ぐるなり。」顛は言った。「若し是れ鳳凰兒ならば、あちらに向いて討わず。」師は礼を作した。顛は言った。「若し後句を得ざれば、前話も亦た円め難し。」師は三平に住す。上堂して言った。「今時の人の出で来たるは尽く馳求造作を学び、将て自己の眼目に当てんとす、什麼の相当するか有る。阿汝は学ばんと欲するか。諸の余を要せず。汝等は各おの本分の事有り、何ぞ体取せざる。作麼か心は憤憤、口は悱悱、什麼の利益か有る。分明に汝に向って説かん。若し修行の路及び諸の聖の建立の化門を要すれば、自ら大蔵教の文有りて在り。若し是れ宗門の中の事宜ならば、汝切に心を錯りて用うるを得ざれ。」僧が問うた。「宗門の中に還た学ぶ路有るや無きや。」師は言った。「一路有りて苔の如く滑なり。」曰く、「学人は還た摂し得るか否や。」師は言った。「心を拟せず、汝自ら看よ。」問う。「黑豆は未だ芽を生を生ぜざる時如何。」師は言った。「佛も亦た知らず。」講僧が問うた。「三乗十二分教は、某甲疑わず。如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「亀毛の拂子、兎角の拄杖、大徳は什麼の処に向いて蔵する。」曰く、「亀毛兎角は豈に是有るか邪。」師は言った。「肉は千斤を重ね、智は銖两無し。」上堂して言った。「諸人若し未曾だ知識を見ざれば即ち不可。若し曾て作者を見て来らば、便ち些子の意度を体取するを合す。巖谷の間に向い木を食い草を衣うてかくの如く去れば、方に少分の相应有り。若し知解義句を馳求すれば、即ち万里に郷関を望みて去らん。珍重。」侍者に問うた。「姓は什麼ぞ。」者は言った。「和尚と姓を同じくす。」師は言った。「汝道え三平の姓は什麼ぞ。」者は言った。「問の頭は何にか在る。」師は言った。「幾時に汝に問いた。」者は言った。「姓を問う者は誰ぞ。」師は言った。「汝が初機なるを念い、汝に三十棒を放す。」師に偈有りて言った。「即ち此の見聞は見聞に非ず、余の声色有りて君に呈すべき無し。箇中若し了れば全く事無し、体用何ぞ妨げん分かつと分かたざると。」座に升る次、道士有りて衆を出でて東より西を過ぎ、一僧は西より東を過ぐ。師は言った。「適来の道士は卻て見る処有り、師僧は未だ在らず。」士は出でて礼して言った。「師の接引を謝す。」師は便ち打った。僧は出でて礼を作して言った。「師の指示を乞う。」師も亦た打った。復た衆に謂うて言った。「此の两件の公案は作麼生に断ぜん。還た人の断じ得る者有るか。」

如是三問。眾無對。師曰。既無人斷得。老僧為斷去。乃擲下拄杖。歸方丈。

(師は続けて言った:)是の如く三問す、衆は対無し。師は言った。「既に人の断じ得る無ければ、老僧は為に断じ去らん。」乃ち拄杖を擲ち下し、方丈に帰った。

馬頰山本空禪師

馬頰山本空禅師

上堂。祇這施為動轉。還合得本來祖翁麼。若合得。十二時中無虗棄底道理。若合不得。吃茶說話往往喚作茶話在。僧便問。如何免得不成茶話去。師曰。你識得口也未。曰。如何是口。師曰。兩片皮也不識。曰。如何是本來祖翁。師曰。大眾前不要牽爺恃娘。曰。大眾欣然去也。師曰。你試點大眾性看。僧作禮。師曰。伊往往道一性一切性在。僧欲進語。師曰。孤負平生行腳眼。問。去卻即今言句。請師直指本來性。師曰。你迷源來得多少時。曰。即今蒙和尚指示。師曰。若指示你。我即迷源。曰。如何即是。師示頌曰。心是性體。性是心用。心性一如。誰別誰共。妄外迷源。祇者難洞。古今凡聖。如幻如夢。

上堂して言った。「只だ這の施為動転、還た本来の祖翁と合するを得るか。若し合するを得れば、十二時の中に虚棄する底の道理無し。若し合するを得ざれば、茶を喫し話を説くに往々に喚びて茶話と作して在り。」僧は便ち問うた。「如何にして茶話と成らざるを免れん。」師は言った。「汝は口を識り得たるか未や。」曰く、「如何なるか是れ口。」師は言った。「両片の皮も亦た識らず。」曰く、「如何なるか是れ本来の祖翁。」師は言った。「大衆の前に於ては爺を牽き娘を恃むるを要せず。」曰く、「大衆は欣然として去れ。」師は言った。「汝試みに大衆の性を点じて看よ。」僧は礼を作した。師は言った。「伊は往々に道う一性一切性と在り。」僧は語を進めんと欲した。師は言った。「平生の行脚の眼を孤負せり。」問う。「即今の言句を去り却けて、師の本来の性を直指せんことを請う。」師は言った。「汝は源に迷いて多少の時を来た。」曰く、「即今は和尚の指示を蒙ります。」師は言った。「若し汝を指示せば、我は即ち源に迷えり。」曰く、「如何にして即ち是れ。」師は頌を示して言った。「心是れ性の体、性是れ心の用。心性一如、誰が別つるや誰が共なる。妄の外に源を迷う、只だ者の洞か難し。古今の凡聖、幻の如く夢の如し。」

本生禪師

本生禅師

拈拄杖示眾曰。我若拈起。你便向未拈起時作道理。我若不拈起。你便向拈起時作主宰。且道老僧為人在甚處。時有僧出曰。不敢妄生節目。師曰。也知闍黎不分外。曰。低低處平之有餘。高高處觀之不足。師曰。節目上更生節目。僧無語。師曰。掩鼻偷香。空招罪犯。

拄杖を拈じて衆に示して言った。「我若し拈起せば、汝は便ち未だ拈起せざる時に向いて道理を作す。我若し拈起せざれば、汝は便ち拈起せる時に向いて主宰を作す。且く道え、老僧の人を為めるは甚の処に在る。」時に僧有りて出でて言った。「敢えて妄りに節目を生ぜず。」師は言った。「も知る闍黎は分外ならざるを。」曰く、「低き低き処は之を平らぐるに余有り、高き高き処は之を観るに足らず。」師は言った。「節目の上に更に節目を生ず。」僧は語無し。師は言った。「鼻を掩うて香を偸むは、空しく罪犯を招く。」

長髭曠禪師法嗣

長髭曠禅師法嗣

潭州石室善道禪師

潭州石室善道禅師

作沙彌時。長髭遣令受戒。謂之曰。汝回日須到石頭和尚處禮拜。師受戒後。仍參石頭。一日隨頭遊山次。頭曰。汝與我斫卻面前樹子。免礙我。師曰。不將刀來。頭乃抽刀倒與。師曰。何不過那頭來。頭曰。你用那頭作甚麼。師即大悟。便歸長髭。髭問。汝到石頭否。師曰。到即到。秖是不通號。髭曰。從誰受戒。師曰。不依他。髭曰。在彼即恁麼。來我這裡作麼生。師曰。不違背。髭曰。太忉忉生。師曰。舌頭未曾點著在。髭喝曰。沙彌出去。師便出。髭曰。爭得不遇於人。師尋值沙汰。乃作行者。居於石室。每見僧。便竪起杖子曰。三世諸佛。盡由這箇。對者少得冥契。長沙聞。乃曰。我若見即令放下拄杖。別通箇消息。三聖將此語秖對。被師認破是長沙語。杏山聞三聖失機。乃親到石室。師見杏山。僧眾相隨。潛入碓坊碓米。杏曰。行者接待不易。貧道難消。師曰。開心椀子盛將來。無葢盤子合取去。說甚麼難消。杏便休。仰山問。佛之與道。相去幾何。師曰。道如展手。佛似握拳。曰。畢竟如何的當。可信可依。師以手撥空三下曰。無恁麼事。無恁麼事。曰。還假看教否。師曰。三乘十二分教是分外事。若與他作對。即是心境兩法。能所雙行。便有種種見解。亦是狂慧。未足為道。若不與他作對。一事也無。所以祖師道本來無一物。汝不見小兒出胎時。可道我解看教.不解看教。當恁麼時。亦不知有佛性義.無佛性義。及至長大。便學種種知解出來。便道我能我解。不知總是客塵煩惱。十六行中。嬰兒行為最哆哆和和時。喻學道之人離分別取捨心。故讚歎嬰兒。可況喻取之。若謂嬰兒是道。今時人錯會。師一夕與仰山翫月。山問。這箇月尖時。圓相甚麼處去。圓時。尖相又甚麼處去。師曰。尖時圓相隱。圓時尖相在(雲巖雲。尖時圓相在。圓時無尖相。道吾雲。尖時亦不尖。圓時亦不圓)。

沙弥を作る時、長髭は遣わして戒を受けしめ、之に謂うて言った。「汝回る日に須く石頭和尚の処に到りて礼拜すべし。」師は戒を受けて後、仍りて石頭に参ず。ある日頭に随いて山に遊ぶ次、頭は言った。「汝は我と与に面前の樹子を斫り却けよ、我を礙げるを免れん。」師は言った。「刀を将て来らず。」頭は乃ち刀を抽きて倒して与えた。師は言った。「何ぞ那の頭を過ぎ来らざる。」頭は言った。「汝は那の頭を用いて什麼を作さん。」師は即ち大悟し、便ち長髭に帰る。髭は問うた。「汝は石頭に到るか否や。」師は言った。「到れば即ち到れど、只だ号を通ぜず。」髭は言った。「誰に従りて戒を受けた。」師は言った。「他に依らず。」髭は言った。「彼に在りては即ちかくの如く、我が這裏に来たりて作麼生。」師は言った。「違背せず。」髭は言った。「太も忉忉生なり。」師は言った。「舌頭は未曾だ点に著きて在らず。」髭は喝して言った。「沙弥出で去れ。」師は便ち出た。髭は言った。「争でか人に遇わざるを得ん。」師は尋いで沙汰に値い、乃ち行者を作りて、石室に居る。毎に僧を見れば、便ち杖子を竪起して言った。「三世の諸佛、尽く是の箇に由る。」対する者は冥契すること少なし。長沙は聞きて、乃ち言った。「我若し見れば即ち杖を放下せしめん、別に箇の消息を通ぜん。」三聖は此の語を将て只対す、師に認め破られて是れ長沙の語なり。杏山は三聖の機を失せしを聞きて、乃ち親しく石室に到る。師は杏山を見て、僧衆相い随い、潜かに碓坊に入りて米を碓く。杏は言った。「行者の接待は易ならず、貧道は消え難し。」師は言った。「心を開けし碗子に盛り将れ、蓋無き盤子に合せ取りて去れ。什麼の消え難しを説かん。」杏は便ち休めり。仰山が問うた。「佛之と道と、相去ること幾何。」師は言った。「道は手を展ぐるが如く、佛は拳を握るに似たり。」曰く、「畢竟如何に的当にして、信じ依るべき。」師は手を以って空を撥くこと三下して言った。「かくの如き事無し、かくの如き事無し。」曰く、「還た教を看るを仮るか否や。」師は言った。「三乗十二分教は是れ分外の事。若し他と与に対を作さば、即ち是れ心境の两法、能所双行、便ち種種の見解有り、亦た是れ狂慧、未だ道と為すに足らず。若し他と与に対を作さざれば、一事も亦た無し。所謂祖師道う本来一物無しと。汝は小兒の胎を出づる時を見ずや、道う可し我は教を看るを解す、教を看るを解せずと。当にかくの如くの時も、亦た佛性義有るを知らず、佛性義無きを知らず。及び長大に至りて、便ち種種の知解を学びて出で来たり、便ち道う我能う我解すと、知らず総て是れ客塵煩悩なり。十六行の中、嬰児の行は最と為す。哆哆和和の時は、道を学ぶの人の分別取捨の心を離るるに喩う、故に嬰児を讃嘆す、况えて喩を取るべし。若し謂わん嬰児是れ道と、今時の人は錯りて会せん。」師はある夕仰山と月を玩ぶ。山は問うた。「這箇の月は尖る時、円相は什麼の処に去る。円なる時、尖相は又什麼の処に去る。」師は言った。「尖る時は円相隠れ、円なる時は尖相在り。」(雲巖は言った。「尖る時は円相在り、円なる時は尖相無し。」道吾は言った。「尖る時も亦た尖らず、円なる時も亦た円ならず。」)

仰山辭。師送出門。乃召曰。闍黎。山應諾。師曰。莫一向去。卻回這邊來。僧問。曾到五臺否。師曰。曾到。曰。還見文殊麼。師曰。見。曰。文殊向行者道甚麼。師曰。文殊道。你生身父母在深草裡。

仰山辞す。師は門を送りて出で、乃ち召して言った。「闍黎。」山は応諾した。師は言った。「一向に去ること莫れ、卻て這の辺に回り来れ。」僧が問うた。「曾て五台に到るか否や。」師は言った。「曾て到る。」曰く、「還た文殊を見るか。」師は言った。「見る。」曰く、「文殊は行者に向いて什麼を道う。」師は言った。「文殊は道う、汝の生身の父母は深草の裏に在りと。」

青原下四世

青原下四世

道吾智禪師法嗣

道吾智禅師法嗣

潭州石霜山慶諸禪師

潭州石霜山慶諸禅師

廬陵新淦陳氏子。依洪井西山紹鑾禪師落髮。詣洛下學毗尼教。雖知聽制。絡為漸宗。回抵溈山。為米頭。一日篩米次。溈曰。施主物。莫拋散。師曰。不拋撒。溈於地上拾得一粒曰。汝道不拋撒。這箇是甚麼。師無對。溈又曰。莫輕這一粒。百千粒盡從這一粒生。師曰。百千粒從這一粒生。未審這一粒從甚麼處生。溈呵呵大笑。歸方丈。溈至晚。上堂曰。大眾。米裡有蟲。諸人好看。後參道吾。問。如何是觸目菩提。吾喚沙彌。彌應諾。吾曰。添淨瓶水著。良久卻問師。汝適來問甚麼。師擬舉。吾便起去。師於此有省。吾將順世。垂語曰。我心中有一物。久而為患。誰能為我除之。師曰。心物俱非。除之益患。吾曰。賢哉。賢哉。師後避世。混俗於長沙瀏陽陶家坊。朝遊夕處。人莫能識。後因僧自洞山來。師問。和尚有何言句示徒。曰。解夏上堂雲。秋初夏末。兄弟或東去西去。直須向萬裡無寸草處去。良久曰。秖如萬裡無寸草處作麼生去。師曰。有人下語否。曰。無。師曰。何不道。出門便是草。僧回。舉似洞山。山曰。此是一千五百人善知識語。因茲囊錐始露。果熟香飄。眾命住持。上堂。汝等諸人自有本分事。不用馳求。無你是非處。無你齩嚼處。一代時教。整理時人腳手。凡有其由。皆落今時。直至法身非身。此是教家極則。我輩沙門全無肯路。若分則差。不分則坐著泥水。但由心意妄說見聞。僧問。如何是西來意。師曰。空中一片石。僧禮拜。師曰。會麼。曰。不會。師曰。賴汝不會。若會即打破汝頭。問。如何是和尚本分事。師曰。石頭還汗出麼。問。到這裡。為甚麼卻道不得。師曰。腳底著口。問。真身還出世也無。師曰。不出世。曰。爭奈真身何。師曰。瑠璃缾子口。問。如何是和尚深深處。師曰。無鬚鎻子兩頭搖。師在方丈內。僧在牕外問。咫尺之間為甚麼不覩師顏。師曰。

廬陵新淦陳氏の子。洪井西山の紹鑾禅師に依りて髪を落す。洛下に詣りて毘尼教を学ぶ。聴制を知ると雖も、絡みて漸宗と為る。回りて潙山に抵りて、米頭と為る。ある日米を篩う次、潙は言った。「施主の物、抛散する莫れ。」師は言った。「抛撒せず。」潙は地上に於て一粒を拾い得て言った。「汝は道う抛撒せずと、這箇は是れ什麼ぞ。」師は対無し。潙は又言った。「此の一粒を軽んずる莫れ。百千の粒は尽く此の一粒より生ず。」師は言った。「百千の粒は此の一粒より生ず。未だ審らかに此の一粒は什麼の処より生ず。」潙は呵呵と大笑して、方丈に帰る。潙は晚に至りて、上堂して言った。「大衆、米の裏に虫有り、諸人好く看よ。」後に道吾に参じて、問うた。「如何なるか是れ目に触るる菩提。」吾は沙弥を喚んだ。弥は応諾した。吾は言った。「浄瓶の水を添え著けよ。」良久にして卻て師に問うた。「汝適来什麼を問いた。」師は挙げんと拟した。吾は便ち起ちて去った。師は此に於て省る所有り。吾は将に世を順わんとして、語を垂れて言った。「我が心中に一物有り、久しくして患を為す、誰か能く我の為に之を除かん。」師は言った。「心物倶に非ず、之を除けば患いを益さん。」吾は言った。「賢なる哉、賢なる哉。」師は後に世を避けて、俗に混じりて長沙瀏陽の陶家坊に、朝に游び夕に処る、人識る能わず。後に僧の洞山より来るに因り。師は問うた。「和尚に何の言句か有りて徒に示す。」曰く、「夏を解くに上堂して云く、秋初夏末、兄弟或いは東に去り西に去り、直に須く万里寸草無き処に向いて去るべし。良久に曰く、只だ如し万里寸草無き処は作麼生に去らん。」師は言った。「人の語を下す者有るか否や。」曰く、「無。」師は言った。「何ぞ道わざる、門を出でれば便ち是れ草と。」僧は回りて、洞山に挙似す。山は言った。「此れ是れ一千五百人の知識の語。」茲に因りて囊の錐は始めて露れ、果熟れて香飄ばり、衆は住持を命ず。上堂して言った。「汝等諸人は自ら本分の事有り、馳求を用いず。汝の是非する処無く、汝の咬嚼する処無し。一代の時教は、時人の脚手を整理す。凡そ其の由有れば、皆今時に落つ。直に法身は身に非ざるに至る、此れ是れ教家の極則。我が輩の沙門は全く肯の路無し。若し分かたば則ち差えり、分かたざれば則ち泥水に坐せり。但だ心意の妄りに見聞を説くに由る。」僧が問うた。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「空中の一片の石。」僧は礼拜した。師は言った。「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「頼むところ汝の会せざるを。若し会せば即ち汝の頭を打ち破らん。」問う。「如何なるか是れ和尚の本分の事。」師は言った。「石頭は還た汗出でるか。」問う。「這裏に到りて、何の故に卻て道い得ざる。」師は言った。「脚底に口を著く。」問う。「真身は還た出世するや無きや。」師は言った。「出世せず。」曰く、「争奈真身何。」師は言った。「瑠璃瓶子の口。」問う。「如何なるか是れ和尚の深き深き処。」師は言った。「須鎖子無く両頭に揺れる。」師は方丈の内に在り。僧は窓の外に在りて問うた。「咫尺の間に何の故に師の顔を睹ざる。」師は言った、

徧界不曾藏。僧舉問雪峰。徧界不曾藏。意旨如何。峰曰。甚麼處不是石霜。師聞曰。這老漢著甚麼死急。峰聞曰。老僧罪過(東禪齊雲。祇如雪峰是會石霜意不會石霜意。若會。他為甚麼道死急。若不會。雪峰作麼不會。然法且無異。奈以師承不同。解之差別。他雲。徧界不曾藏。也須曾學來始得會。亂說即不可)。裴相公來。師拈起裴笏問。在天子手中為珪。在官人手中為笏。在老僧手中且道喚作甚麼。裴無對。師乃留下笏。示眾初機。未覯大事。先須識取頭。其尾自至。疎山仁參。問。如何是頭。師曰。直須知有。曰。如何是尾。師曰。盡卻今時。曰。有頭無尾時如何。師曰。吐得黃金堪作甚麼。曰。有尾無頭時如何。師曰。猶有依倚在。曰。直得頭尾相稱時如何。師曰。渠不作箇解。會亦未許渠在。僧辭。師問。船去陸去。曰。遇船即船。遇陸即陸。師曰。我道半途稍難。僧無對。僧問。三千里外。遠聞石霜有箇不顧。師曰。是。曰。祇如萬象歷然。是顧不顧。師曰。我道不驚眾。曰。不驚眾是與萬象合。如何是不顧。師曰。徧界不曾藏。問。如何是祖師西來意。師乃齩齒示之。僧不會。後問九峰曰。先師齩齒。意旨如何。峰曰。我寧可截舌。不犯國諱。又問雲葢。葢曰。我與先師有甚麼冤讐。問僧。近離甚處。曰。審道。師於面前畫一畫曰。汝刺腳與麼來。還審得這箇麼。曰。審不得。師曰。汝納衣與麼厚。為甚卻審這箇不得。曰。某甲衲衣雖厚。爭奈審這箇不得。師曰。與麼。則七佛出世也救你不得。曰。說甚七佛。千佛出世也救某甲不得。師曰。太懵憧生。曰。爭奈聻。師曰。參堂去。僧曰。喏。喏。問。童子不坐白雲床時如何。師曰。不打水。魚自驚。洞山問。向前一箇童子甚了事。如今向甚處去也。師曰。火焰上泊不得。卻歸清涼世界去也。問。佛性如虗空。是否。師曰。臥時即有。

(石霜続けて言った:)「遍界に曾て蔵れず。」僧は挙げて雪峰に問うた。「遍界に曾て蔵れず、意旨如何。」峰は言った。「什麼の処か是れ石霜に非ず。」師は聞きて言った。「這の老漢は什麼を著けて死急する。」峰は聞きて言った。「老僧罪過なり。」(東禅の斉は言った。「只だ如し雪峰は是れ石霜の意を会するや会せざるや。若し会せば、他何の故に死急と道う。若し会せざれば、雪峰作麼に会せざる。然りと雖も法且く異無し、奈何せん以て師承同じからず、之を解する差別有る。他は云く遍界に曾て蔵れずと、も須く曾て学び来たりて始めて会すべし。乱りに説くは即ち不可。」)裴相公来たる。師は裴の笏を拈起して問うた。「天子の手中に在りては珪と為り、官人の手中に在りては笏と為る。老僧の手中に在りては且く道え喚びて什麼と作す。」裴は対無し。師は乃ち笏を留下す。衆の初機に示して言った。「未だ大事を覿えざれば、先に須く頭を識り取るべし、其の尾自ら至らん。」疏山の仁参じて、問うた。「如何なるか是れ頭。」師は言った。「直に須く有るを知るべし。」曰く、「如何なるか是れ尾。」師は言った。「今時を尽く却けよ。」曰く、「頭有りて尾無き時如何。」師は言った。「黄金を吐き得るも堪えて什麼を作すべき。」曰く、「尾有りて頭無き時如何。」師は言った。「猶お依倚有りて在り。」曰く、「直に頭尾相称するを得る時如何。」師は言った。「渠は箇の解を作さず。会すも亦た未だ渠を許さざる在り。」僧辞す。師は問うた。「船に行くか陸に行くか。」曰く、「船に遇えば即ち船、陸に遇えば即ち陸。」師は言った。「我道う半途に稍か難しと。」僧は対無し。僧が問うた。「三千里の外、遠く石霜に箇の顧みざる有るを聞く。」師は言った。「是。」曰く、「只だ如し万象の歴然は、是れ顧みるか顧みざるか。」師は言った。「我道う衆を驚かさずと。」曰く、「衆を驚かさざるは是れ万象と与に合す。如何なるか是れ顧みざる。」師は言った。「遍界に曾て蔵れず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は乃ち歯を咬みて之に示す。僧は会せず。後に九峰に問うて言った。「先師は歯を咬みたり、意旨如何。」峰は言った。「我は寧ろ舌を截るとも、国諱を犯さず。」又雲蓋に問うた。蓋は言った。「我は先師と与に什麼の冤仇か有る。」僧に問うた。「近く甚の処を離れた。」曰く、「審道。」師は面前に於て一画を画きて言った。「汝は脚を刺して与么に来たり、還た這箇を審するを得るか。」曰く、「審することを得ず。」師は言った。「汝は衣を納めて与么に厚し、何を為めて卻て這箇を審するを得ざる。」曰く、「某甲は衲衣厚しと雖も、争奈這箇を審するを得ざる。」師は言った。「与么なれば、則ち七佛出世すれども汝を救うを得ざらん。」曰く、「甚の七佛を説かん、千佛出世すれども某甲を救うを得ざらん。」師は言った。「太も懵憧生なり。」曰く、「争奈せん。」師は言った。「堂に参じて去れ。」僧は言った。「喏、喏。」問う。「童子は白雲の床に坐せざる時如何。」師は言った。「水を打たず、魚自ら驚く。」洞山が問うた。「前に向う一箇の童子は甚の事を了えり、如今什麼の処に向いて去らん。」師は言った。「火焰の上に泊まるを得ず、卻て清涼の世界に帰りて去れ。」問う。「佛性は虚空の如し、是の否や。」師は言った。「臥する時は即ち有り。

坐時即無。問。忘收一足時如何。師曰。不共汝同盤。問。風生浪起時如何。師曰。湖南城裡太煞閙。有人不肯過江西。問。如何是佛法大意。師曰。落花隨水去。曰。意旨如何。師曰。脩竹引風來。問。如何是塵劫來事。師曰。冬天則有。夏天則無。師頌洞山五位王子。誕生曰。天然貴胤本非功。德合乾坤育勢隆。始末一朝無雜種。分宮六宅不他宗。上和下睦陰陽順。共氣連枝器量同。欲識誕生王子父。鶴沖霄漢出銀籠。朝生曰。苦學論情世莫群。出來凡事已超倫。詩成五字三冬雪。筆落分毫四海雲。萬卷積功彰聖代。一心忠孝輔明君。鹽梅不是生知得。金榜何勞顯至勳。末生曰。久棲巖壑用功夫。草榻柴扉守志孤。十載見聞心自委。一身冬夏衣縑無。澄凝含笑三秋思。清苦高名上哲圖。業就高科酬志極。比來臣相不當途。化生曰。傍分帝位為傳持。萬裡山河佈政威。紅影日輪凝下界。碧油風冷暑炎時。高低豈廢尊卑奉。五袴蘇途遠近知。妙印手持煙塞靜。當陽那肯露纖機。內生曰。九重密處復何宣。掛弊由來顯妙傳。秖奉一人天地貴。從他諸道自分權。紫羅帳合君臣隔。黃閣簾垂禁制全。為汝方隅宮屬戀。遂將黃葉止啼錢。師居石霜山二十年間。學眾有長坐不臥。屹若株杌。天下謂之枯木眾也。唐僖宗聞師道譽。賜紫衣。師牢辭不受。光啟四年示疾告寂。塟於院之西北隅。諡普會大師。

(石霜続けて言った:)坐する時は即ち無し。」問う。「一足を忘れて収むる時如何。」師は言った。「汝と与に同じく盤せず。」問う。「風生じ浪起る時如何。」師は言った。「湖南の城裏は太も殺して鬧やか、人の江西を過ぎるを肯んぜざる有り。」問う。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「落花は水に随いて去れ。」曰く、「意旨如何。」師は言った。「修竹は風を引き来る。」問う。「如何なるか是れ塵劫来の事。」師は言った。「冬天なれば則ち有り、夏天なれば則ち無し。」師は洞山の五位王子を頌す。誕生曰く、「天然の貴胤は本より功に非ず、徳は乾坤に合して勢いを育て隆なり。始末一朝に雑種無く、宮を分かつ六宅に他を宗とせず。上和らぎ下睦びて陰陽順えり、気を共にし枝を連ねて器量同じ。誕生の王子の父を識らんと欲せば、鶴は霄漢に沖して銀の籠を出づ。」朝生曰く、「苦学して情を論ずるに世に群れず、出で来たりて凡事已に倫を超ゆ。詩は五字に成りて三冬の雪、筆は分毫に落ちて四海の雲。万卷は功を積みて聖代を彰し、一心は忠孝にして明君を輔く。塩梅は是れ知を生ぜて得るに非ず、金榜何ぞ至勲を顕さんを労せん。」末生曰く、「久しく巖壑に棲みて功夫を用い、草榻柴扉にして志を守りて孤なり。十載の見聞は心自ら委ね、一身の冬夏は衣の縑無し。澄凝して笑を含み三秋の思い、清苦にして高名は上哲の図。業は高科に就きて志に酬い極まり、比来の臣相は途に当たらず。」化生曰く、「傍ら帝位を分かちて伝持を為し、万里の山河に政威を布く。紅影の日輪は下界に凝り、碧油の風は暑炎の時に冷やかなり。高低豈に尊卑の奉を廃せんや、五袴の蘇途は遠近知れり。妙印は手に持ちて煙塞静か、当陽那んぞ繊機を露らさん肯んせん。」内生曰く、「九重の密処に復た何をか宣べん、弊を挂くるは由来妙伝を顕さんが為。只だ一人を奉じて天地貴し、他の諸道に従い自ら権を分かつ。紫羅の帳は合して君臣隔たり、黄閣の帘は垂れて禁制全し。汝の方隅の宮属恋うが為に、遂に黄葉を将て啼を止むる銭と為さん。」師は石霜山に居ること二十年の間、学衆は長坐して臥せざる者有り、屹として株杌の若く、天下は之を枯木衆と謂う。唐の僖宗は師の道誉を聞きて、紫衣を賜う。師は牢として辞して受けず。光啓四年に疾を示して寂を告ぐ。院の西北隅に葬る。諡は普会大師。

潭州漸源仲興禪師

潭州漸源仲興禅師

在道吾為侍者。因過茶與吾。吾提起盞曰。是邪是正。師叉手近前。目視吾。吾曰。邪則總邪。正則總正。師曰。某甲不恁麼道。吾曰。汝則麼生。師奪盞子提起曰。是邪是正。吾曰。汝不虗為吾侍者。師便禮拜。一日。侍吾往檀越家弔慰。師撫棺曰。生邪死邪。吾曰。生也不道。死也不道。師曰。為甚麼不道。吾曰。不道。不道。歸至中路。師曰。和尚今日須與某甲道。若不道。打和尚去也。吾曰。打即任打。道即不道。師便打。吾歸院曰。汝宜離此去。恐知事得知。不便。師乃禮辭。隱於村院。經三年後。忽聞童子念觀音經。至應以比丘身得度者即現比丘身。忽然大省。遂焚香遙禮曰。信知先師遺言。終不虗發。自是我不會。卻怨先師。先師既沒。唯石霜是嫡嗣。必為證明。乃造石霜。霜見便問。離道吾後到甚處來。師曰。祇在村院寄足。霜曰。前來打先師因緣會也未。師起身進前曰。卻請和尚道一轉語。霜曰。不見道。生也不道。死也不道。師乃述在村院得底因緣。遂禮拜石霜。設齋懺悔。他日。持鍬復到石霜。於法堂上從東過西。從西過東。霜曰。作麼。師曰。覓先師靈骨。霜曰。洪波浩渺。白浪滔天。覓甚先師靈骨。師曰。正好著力。霜曰。這裡針劄不入。著甚麼力。源持鍬肩上便出(大原孚上座代雲。先師靈骨猶在)。師後住漸源。一日在紙帳內坐。有僧來撥開帳曰。不審。師以目視之。良久曰。會麼。曰。不會。師曰。七佛已前事。為甚麼不會。僧舉似石霜。霜曰。如人解射。箭不虗發。一日。寶葢和尚來訪。師便捲起簾子。在方丈內坐。蓋一見乃下卻簾。便歸客位。師令侍者傳語。長老遠來不易。猶隔津在。蓋擒住侍者。與一掌。者曰。不用打某甲。有堂頭和尚在。蓋曰。為有堂頭老漢。所以打你。者回舉似師。師曰。猶隔津在。

道吾に在りて侍者と為る。茶を吾に過ぐるに因り。吾は盞を提起して言った。「是れ邪なるか是れ正なるか。」師は手を叉ぎて前に近り、目を以って吾を視る。吾は言った。「邪なれば則ち総て邪、正なれば則ち総て正。」師は言った。「某甲はかくの如く道わず。」吾は言った。「汝は則么生。」師は盞子を奪いて提起して言った。「是れ邪なるか是れ正なるか。」吾は言った。「汝は虚しく吾が侍者を為らざるなり。」師は便ち礼拜した。ある日、吾に侍して檀越の家に往きて慰めを吊う。師は棺を撫して言った。「生なるか死なるか。」吾は言った。「生も亦た道わず、死も亦た道わず。」師は言った。「何の故に道わざる。」吾は言った。「道わず、道わず。」帰りて中路に至る。師は言った。「和尚は今日須く某甲と与に道うべし。若し道わざれば、和尚を打ちて去らん。」吾は言った。「打たば即ち打つに任せよ、道えば即ち道わず。」師は便ち打った。吾は院に帰りて言った。「汝は宜しく此を離れて去るべし、恐らくは知事の知り得れば、便ならざらん。」師は乃ち礼して辞し、村院に隱る。三年を経て後、忽ち童子の観音経を念ずるを聞き、「応に比丘身を以って度を得る者には即ち比丘身を現ず」に至りて、忽然として大いに省る。遂に香を焚きて遥かに礼して言った。「信に知る先師の遺言、終に虚しく発せざるを。自ら是れ我会せざる、卻て先師を怨む。先師既に没せり、唯だ石霜是れ嫡嗣、必ず証明と為らん。」乃ち石霜に造る。霜は見て便ち問うた。「道吾を離れて後甚の処に到りて来た。」師は言った。「只だ村院に在りて足を寄せたり。」霜は言った。「前に来たる先師を打ちし因縁会したるか未や。」師は身を起し前に進みて言った。「卻て和尚に請う一転の語を道わんことを。」霜は言った。「道を見ざるや、生も亦た道わず、死も亦た道わずと。」師は乃ち村院に在りて得たりし底の因縁を述べ、遂に石霜を礼拜し、斎を設けて懺悔す。他日、鍬を持ちて復た石霜に到り、法堂の上に於て東より西を過ぎ、西より東を過ぐ。霜は言った。「作麼。」師は言った。「先師の霊骨を覓む。」霜は言った。「洪波浩渺、白浪天に滔る、甚の先師の霊骨を覓む。」師は言った。「正に力を著くるに好し。」霜は言った。「這裏は鍼も扎ち入れず、什麼の力を著かん。」源は鍬を持ちて肩上にして便ち出た。(太原の孚上座は代わって言った。「先師の霊骨は猶お在り。」)師は後に漸源に住す。ある日紙帳の内に坐す。僧有りて来りて帳を撥き開けて言った。「不審。」師は目を以って之を視て、良久にして言った。「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「七佛已前の事、何の故に会せざる。」僧は石霜に挙似す。霜は言った。「人の射を解するに、箭は虚しく発せざるが如し。」ある日、宝蓋和尚来りて訪う。師は便ち帘子を巻き起てて、方丈の内に坐す。蓋は一見して乃ち帘を下し卻けて、便ち客位に帰る。師は侍者をして語を伝えしめて曰く、「長老の遠来は易ならず、猶お津を隔てて在り。」蓋は侍者を擒え住めて、と与に一掌。者は言った。「某甲を打つを用いず、堂頭の和尚在り。」蓋は言った。「堂頭の老漢有るを為めて、汝を打つ所なり。」者は回りて師に挙似す。師は言った。「猶お津を隔てて在り。」

淥清禪師

渌清禅師

僧問。不落道吾機。請師道。師曰。庭前紅莧樹。生葉不生華。僧良久。師曰。會麼。曰。不會。師曰。正是道吾機。因甚麼不會。僧禮拜。師打曰。須是老僧打你始得。問。如何是無相。師曰。山青水綠。僧參。師以目視之。僧曰。是箇機關。於某甲分上用不著。師彈指三下。僧遶禪床一匝。依位立。師曰。參堂去。僧始出。師便喝。僧卻以目視之。師曰。灼然用不著。僧禮拜。

僧が問うた。「道吾の機に落ちず、師の道わんことを請う。」師は言った。「庭前の紅苋の樹、葉を生じて華を生ぜず。」僧は良久とす。師は言った。「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「正に是れ道吾の機、什麼に因りて会せざる。」僧は礼拜した。師は打ちて言った。「須く是れ老僧の汝を打ちて始めて得。」問う。「如何なるか是れ無相。」師は言った。「山青く水緑なり。」僧参ず。師は目を以って之を視る。僧は言った。「是れ箇の機関、某甲の分上に於ては用いて著る所無し。」師は指を弾くこと三下。僧は禅床を遶ること一匝して、位に依りて立つ。師は言った。「堂に参じて去れ。」僧は始めて出た。師は便ち喝した。僧は卻て目を以って之を視る。師は言った。「灼然用いる所無し。」僧は礼拜した。

雲巖晟禪師法嗣

雲巖晟禅師法嗣

𣵠州杏山鑒洪禪師

汾州杏山鑑洪禅師

臨濟問。如何是露地白牛。師曰。吽吽。濟曰。瘂卻杏山口。師曰。老兄作麼生。濟曰。這畜生。師便休。示滅後茶毗。收五色舍利建塔。

臨済が問うた。「如何なるか是れ露地の白牛。」師は言った。「吽吽。」済は言った。「杏山の口を啞き却れ。」師は言った。「老兄は作麼生。」済は言った。「這の畜生。」師は便ち休めり。滅を示して後茶毗して、五色の舎利を収めて塔を建つ。

潭州神山僧密禪師

潭州神山僧密禅師

師在南泉打羅次。泉問。作甚麼。師曰。打羅。曰。手打腳打。師曰。卻請和尚道。泉曰。分明記取。向後遇明眼作家。但恁麼舉似(雲巖代雲。無手腳者始解打)。師與洞山渡水。山曰。莫錯下腳。師曰。錯即過不得也。山曰。不錯底事作麼生。師曰。共長老過水。一日。與洞山鉏茶園。山擲下钁頭曰。我今日一點氣力也無。師曰。若無氣力。爭解恁麼道。山曰。汝將謂有氣力底是。裴大夫問僧。供養佛。佛還吃否。僧曰。如大夫祭家神。大夫舉似雲巖。巖曰。這僧未出家在。曰。和尚又如何。巖曰。有幾般飯食。但一時下來。巖卻問師。一時下來又作麼生。師曰。合取缽盂。巖肯之。問。一地不見二地時如何。師曰。汝莫錯否。汝是何地。問。生死事。乞師一言。師曰。汝何時死去來。曰。某甲不會。請師說。師曰。不會須死一場始得。師與洞山行次。忽見白兔走過。師曰。俊哉。洞曰。作麼生。師曰。大似白衣拜相。洞曰。老老大大。作這箇說話。師曰。你作麼生。洞曰。積代簪纓。暫時落魄。師把針次。洞山問曰。作甚麼。師曰。把針。洞曰。把針事作麼生。師曰。針針相似。洞曰。二十年同行。作這箇語話。豈有與麼工夫。師曰。長老又作麼生。洞曰。如大地火發底道理。師問洞山。智識所通。莫不遊踐。徑截處乞師一言。洞曰。師伯意何得取功。師因斯頓覺。下語非常。後與洞山過獨木橋。洞先過了。拈起木橋曰。過來。師喚價闍黎。洞乃放下橋木。

師は南泉に在りて羅を打つ次。泉は問うた。「什麼を作す。」師は言った。「羅を打つ。」曰く、「手打つか脚打つか。」師は言った。「卻て和尚に請う道わんことを。」泉は言った。「分明に記り取れ。後に向いて明眼の作家に遇わば、但だかくの如く挙似せよ。」(雲巖は代わって言った。「手脚無き者は始めて打つを解す。」)師は洞山と与に水を渡る。山は言った。「脚を錯りて下す莫れ。」師は言った。「錯れば即ち過ぐるを得ざるなり。」山は言った。「錯らざる底の事は作麼生。」師は言った。「長老と与に水を過ぐる。」ある日、洞山と与に茶園を鋤く。山は钁頭を擲ち下して言った。「我は今日一点の気力も無し。」師は言った。「若し気力無ければ、争でかかくの如く道うを解せん。」山は言った。「汝は謂う気力有る底是れと。」裴大夫は僧に問うた。「佛を供養すれば、佛は還た喫するか否や。」僧は言った。「大夫の家神を祭るが如し。」大夫は雲巖に挙似す。巖は言った。「這の僧は未だ家を出でざる在り。」曰く、「和尚は又の如く何。」巖は言った。「幾般かの飯食有り、但だ一時に下り来る。」巖は卻て師に問うた。「一時に下り来るは又作麼生。」師は言った。「鉢盂を合せ取れ。」巖は之を肯とす。問う。「一地は二地を見ざる時如何。」師は言った。「汝は錯らざるか莫しや。汝は是れ何地ぞ。」問う。「生死の事、師の一言を乞う。」師は言った。「汝は何時に死し去りて来た。」曰く、「某甲会せず、師の説かんことを請う。」師は言った。「会せざれば須く一場死して始めて得。」師は洞山と与に行く次、忽ち白兎の走り過ぐるを見る。師は言った。「俊なる哉。」洞は言った。「作麼生。」師は言った。「大いに白衣の相に拝するに似たり。」洞は言った。「老老大大、這箇の説話を作す。」師は言った。「汝は作麼生。」洞は言った。「代を積みて簪缨、暫時落魄す。」師は鍼を把る次、洞山は問うて言った。「什麼を作す。」師は言った。「鍼を把る。」洞は言った。「鍼を把る事は作麼生。」師は言った。「鍼々相似なり。」洞は言った。「二十年同行して、這箇の語話を作す、豈に与么の工夫有らんや。」師は言った。「長老は又作麼生。」洞は言った。「大地の火の発する底の道理の如し。」師は洞山に問うた。「智識の通ずる所、游践せざる莫し。径截の処は師の一言を乞う。」洞は言った。「師伯の意何ぞ功を取るを得ん。」師は因りて斯に頓ちに覚え、語を下すこと非常なり。後に洞山と与に独木の橋を過ぐ。洞は先に過ぎ已りて、橋の木を拈起して言った。「過ぎ来れ。」師は价闍黎を喚んだ。洞は乃ち橋木を放下した。

幽谿和尚

幽渓和尚

僧問。大用現前。不存軌則時如何。師起。遶禪床一匝而坐。僧擬進語。師與一蹋。僧歸位而立。師曰。汝恁麼我不恁麼。汝不恁麼我卻恁麼。僧再擬進語。師又與一蹋。曰。三十年後。吾道大行。問。如何是祖師禪。師曰。泥牛步步出人前。問。處處該不得時如何。師曰。夜半石人無影像。縱橫不辨往來源。

僧が問うた。「大用前に現ず、軌則を存せざる時如何。」師は起ち、禅床を遶ること一匝して坐す。僧は語を進めんと拟した。師はと与に一蹋。僧は位に帰りて立つ。師は言った。「汝がかくの如くなれば我はかくの如くならず、汝がかくの如くならざれば我は卻てかくの如く。」僧は再び語を進めんと拟した。師は又と与に一蹋して、曰く、「三十年の後、吾が道大いに行われん。」問う。「如何なるか是れ祖師禅。」師は言った。「泥牛は歩々に人の前に出づ。」問う。「処々該め得ざる時如何。」師は言った。「夜半に石人は影像無し、縦横に往来の源を辨わず。」

船子誠禪師法嗣

船子誠禅師法嗣

澧州夾山善會禪師

澧州夾山善会禅師

廣州廖氏子。幼歲出家。依年受戒。聽習經論。該練三學。出住潤州鶴林。因道吾勸發。往見船子。由是師資道契。微眹不留(語見船子章)。恭稟遺命。遁世忘機。尋以學者交湊。廬室星布。嘵夕參依。咸通庚寅。海眾卜於夾山。遂成院宇。上堂。有祖以來。時人錯會。相承至今。以佛祖言句為人師範。若或如此。卻成狂人。無智人去。他祇指示汝。無法本是道。道無一法。無佛可成。無道可得。無法可取。無法可捨。所以老僧道。目前無法。意在目前。他不是目前法。若向佛祖邊學。此人未具眼在。何故皆屬所依。不得自在。本祇為生死茫茫。識性無自由分。千里萬裡求善知識。須具正眼。求脫虗謬之見。定取目前生死為復實有。為復實無。若有人定得。許汝出頭。上根之人。言下明道。中下根器。波波浪走。何不向生死中定當取。何處更疑佛疑祖替汝生死。有智人笑汝。汝若不會。更聽一頌。勞持生死法。唯向佛邊求。目前迷正理。撥火覓浮漚。僧問。從上立祖意教意。和尚為甚麼卻言無。師曰。三年不吃飯。目前無饑人。曰。既是無饑人。某甲為甚麼不悟。師曰。秖為悟迷卻闍黎。復示偈曰。明明無悟法。悟法卻迷人。長舒兩腳睡。無偽亦無真。問。十二分教及祖意。和尚為甚麼不許人問。師曰。是老僧坐具。曰。和尚以何法示人。師曰。虗空無掛針之路。子虗徒撚線之功。又曰。會麼。曰。不會。師曰。金粟之苗裔。舍利之真身。罔象之玄談。是野狐之窟宅。上堂。不知天曉。悟不由師。龍門躍鱗。不墮漁人之手。但意不寄私緣。舌不親玄旨。正好知音。此名俱生話。若向玄旨疑去。賺殺闍黎。困魚止濼。鈍鳥棲蘆。雲水非闍黎。闍黎非雲水。老僧於雲水而得自在。闍黎又作麼生。西川座主罷講。徧參到襄州華嚴和尚處。問曰。祖意教意。是同是別。嚴曰。如車二輪。如鳥二翼。主曰。

広州廖氏の子。幼歳出家し、年に依りて戒を受け、経論を聴習し、三学に該練す。出でて潤州の鶴林に住す。道吾の勧発に因りて、往きて船子を見る、是に由りて師資道契し、微朕留めず(語は船子の章に見えたり)。恭しく遺命を禀けて、世を遁れ機を忘る。尋いで学者の交じり湊り、廬室星布し、曉夕に参依すること以てす。咸通庚寅、海衆夾山に卜して、遂に院宇を成す。上堂して言った。「祖有り以来、時人錯りて会し、相承けて今に至りて、佛祖の言句を以って人の師範と為す。若し或いは此の如くならば、卻て狂人、無智の人と成りて去らん。他只だ汝に指示す、法無きは本より是れ道、道は一法無し。成すべき佛無く、得べき道無く、取るべき法無く、舎つべき法無し。所謂老僧道う、目前に法無し、意は目前に在り。他は是れ目前の法に非ず。若し佛祖の辺に向いて学ばば、此の人は未だ眼を具せざる在り。何の故に皆所依に属して、自在を得ざる。本より只だ生死茫茫たるが為めて、識性に自由の分無し。千里万里知識を求むるは、須く正眼を具して、虚謬の見を脱するを求めよ。目前の生死を定め取るは為に復た実有か、為に復た実無か。若し人の定め得る有らば、汝に出頭を許さん。上根の人は、言下に道を明らむ。中下の根器は、波波に走り浪れる。何ぞ生死の中に向いて定め当て取らざる。何の処に更に佛を疑い祖を疑いて汝の生死に替わらん。智有る人は汝を笑わん。汝若し会せざれば、更に一頌を聴け。労して生死の法を持ち、唯だ佛の辺に向いて求む。目前に正理を迷いて、火を撥いて浮漚を覓む。」僧が問うた。「従上祖の意教の意を立つ、和尚は何の故に卻て無しと言う。」師は言った。「三年飯を喫せず、目前に飢人無し。」曰く、「既に是れ飢人無し、某甲は何の故に悟らざる。」師は言った。「只だ悟に迷いて卻て闍黎を為す。」復た偈を示して言った。「明らかに悟法無し、悟法は卻て人を迷わす。長く両脚を舒べて睡れば、偽無く亦た真無し。」問う。「十二分教及び祖意、和尚は何の故に人の問うを許さざる。」師は言った。「是れ老僧の坐具。」曰く、「和尚は何の法を以って人に示す。」師は言った。「虚空に鍼を挂くるの路無く、子虚は徒らに線を捻るの功。」又曰く、「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「金粟の苗裔、舎利の真身。罔象の玄談は、是れ野狐の窟宅。」上堂して言った。「知らず天の暁を、悟は師に由らず。龍門の鱗を躍かすは、漁人の手に堕ちず。但だ意は私縁に寄せず、舌は玄旨に親しまず、正に知音に好し。此れ名づけて倶生の話と為す。若し玄旨に向いて疑い去らば、闍黎を騙し殺さん。困れる魚は濼に止まり、鈍なる鳥は芦に栖む。雲水は闍黎に非ず、闍黎は雲水に非ず。老僧は雲水に於て自在を得たり。闍黎は又作麼生。」西川の座主講を罷め、遍く参じて襄州の華厳和尚の処に到り、問うて言った。「祖意と教意は、是れ同なるか是れ別なるか。」厳は言った。「車の二輪の如く、鳥の二翼の如し。」主は言った、

將為禪門別有長處。元來無。遂歸蜀。後聞師道播諸方。令小師持此語問。師曰。雕砂無鏤玉之談。結草乖道人之意。主聞舉。遙禮曰。元來禪門中別有長處。上堂。聞中生解。意下丹青。目前即美。久蘊成病。青山與白雲。從來不相到。機絲不掛梭頭事。文彩縱橫意自殊。嘉祥一路。智者知疏。瑞草無根。賢者不貴。問。如何是道。師曰。太陽溢目。萬裡不掛片雲。曰。不會。師曰。清清之水。遊魚自迷。問。如何是本。師曰。飲水不迷源。問。古人布髮掩泥。當為何事。師曰。九烏射盡。一翳猶存。一箭墮地。天下黯黑。問。祖意教意是同是別。師曰。風吹荷葉滿池青。十里行人較一程。問。撥塵見佛時如何。師曰。直須揮劒。若不揮劒。漁父棲巢。僧後問石霜。撥塵見佛時如何。霜曰。渠無國土。甚處逢渠。僧回舉似師。師上堂舉了。乃曰。門庭施設。不如老僧。入理深談。猶較石霜百步。問。兩鏡相照時如何。師曰。蚌呈無價寶。龍吐腹中珠。問。如何是寂默中事。師曰。寢殿無人。師吃茶了。自烹一椀。過與侍者。者擬接。師乃縮手。曰。是甚麼。者無對。座主問。若是教意。某甲即不疑。秖如禪門中事如何。師曰。老僧秖解變生為熟。問。如何是實際之理。師曰。石上無根樹。山含不動雲。問。如何是出窟師子。師曰。虗空無影像。足下野雲生。師在溈山作典座。溈問。今日吃甚菜。師曰。二年同一春。溈曰。好好修事著。師曰。龍宿鳳巢。問。如何識得家中寶。師曰。忙中爭得作閑人。問。如何是相似句。師曰。荷葉團團團似鏡。菱角尖尖尖似錐。復曰。會麼。曰。不會。師曰。風吹柳絮毛毬走。雨打梨花蛺蝶飛。問。如何是一老一不老。師曰。青山元不動。㵎水鎮長流。手執夜明符。幾箇知天曉。上堂。金烏玉兔。交互爭輝。坐卻日頭。天下黯黑。上唇與下唇。從來不相識。明明向君道。

(座主続けて言った:)「将に禅門に別に長処有らんと為す、元来無し。」遂に蜀に帰る。後に師の道の諸方に播れるを聞きて、小師をして此の語を持ちて問わしむ。師は言った。「砂を彫るに玉を鏤るの談無く、草を結ぶに道人の意に乖く。」主は挙げを聞きて、遥かに礼して言った。「元来禅門の中に別に長処有り。」上堂して言った。「聞の中に解を生じ、意の下に丹青す。目前は即ち美なり、久しく藴ねば病と成る。青山と白雲とは、従来相い到らず。機糸は梭頭の事を挂けず、文彩は縦横に意自ら殊なり。嘉祥の一路、智ある者は疏を知る。瑞草は根無し、賢ある者は貴ばず。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「太陽は目に溢れ、万里は片雲を挂けず。」曰く、「会せず。」師は言った。「清清の水、游魚自ら迷う。」問う。「如何なるか是れ本。」師は言った。「水を飲みて源を迷わず。」問う。「古人は髪を布きて泥を掩う、当に何を為めての事。」師は言った。「九烏射尽くせども、一翳は猶お存す。一箭地に堕ちて、天下黯黑なり。」問う。「祖意教意は是れ同なるか是れ別なるか。」師は言った。「風は荷葉を吹きて池に青満つ、十里の行人は一程を較ぶ。」問う。「塵を撥いて佛を見る時如何。」師は言った。「直に須く剣を揮うべし。若し剣を揮わざれば、漁父は巣に栖まん。」僧は後に石霜に問うた。「塵を撥いて佛を見る時如何。」霜は言った。「渠は国土無し、甚の処に渠に逢わん。」僧は回りて師に挙似す。師は上堂して挙げ了えて、乃ち言った。「門庭の施設は、老僧に如かず。理に入るの深談は、猶お石霜より百歩を較べり。」問う。「両鏡相い照らす時如何。」師は言った。「蚌は無价の宝を呈し、龍は腹中の珠を吐く。」問う。「如何なるか是れ寂黙の中の事。」師は言った。「寝殿に人無し。」師は茶を喫し了えて、自ら一碗を烹じて、侍者に過ぐ。者は接せんと拟した。師は乃ち手を縮めて、曰く、「是れ什麼ぞ。」者は対無し。座主が問うた。「若し是れ教意ならば、某甲は即ち疑わず。只だ如し禅門の中の事如何。」師は言った。「老僧は只だ生を変じて熟と為すを解す。」問う。「如何なるか是れ実際の理。」師は言った。「石上に根無き樹、山は動かざる雲を含む。」問う。「如何なるか是れ窟を出づる師子。」師は言った。「虚空に影像無し、足下に野雲生ず。」師は潙山に在りて典座を作す。潙は問うた。「今日は甚の菜を喫する。」師は言った。「二年は一春を同じくす。」潙は言った。「好く好く事を修し著けよ。」師は言った。「龍は鳳の巢に宿る。」問う。「如何にして家の中の宝を識り得る。」師は言った。「忙の中に争でか閑人を作すを得ん。」問う。「如何なるか是れ相似の句。」師は言った。「荷葉は団団として鏡に似たり、菱角は尖尖として錐に似たり。」復た曰く、「会すか。」曰く、「会せず。」師は言った。「風は柳絮を吹きて毛毬走り、雨は梨花を打ちて蛺蝶飛ぶ。」問う。「如何なるか是れ一老一不老。」師は言った。「青山は元より動かず、澗水は長流に鎮まり流る。手に夜明の符を執れども、幾箇か天の暁を知る。」上堂して言った。「金烏玉兎、交々に輝を争う。日頭を坐し却ければ、天下黯黑なり。上唇と下唇とは、従来相い識らず。明らかに君に向って道う、

莫令眼顧著。何也。日月未足為明。天地未足為大。空中不運斤。巧匠不遺蹤。見性不留佛。悟道不存師。尋常老僧道。目睹瞿曇。猶如黃葉。一大藏教是老僧坐具。祖師玄旨是破草鞋。寧可赤腳不著最好。僧問。如何是佛。師曰。此問無賓主。曰。尋常與甚麼人對談。師曰。文殊與吾𢹂水去。普賢猶未折花來。上堂。我二十年住此山。未曾舉著宗門中事。有僧問。承和尚有言。二十年住此山。未曾舉著宗門中事。是否。師曰。是。僧便掀倒禪床。師休去。至明日普請。掘一坑。令侍者請昨日僧至。曰。老僧二十年說無義語。今日請上座打殺老僧。埋向坑裡。便請。便請。若不打殺老僧。上座自著打殺。埋在坑中始得。其僧歸堂。束裝潛去。上堂。百草頭薦取老僧。閙市裡識取天子。虎頭上座參。師問。甚處來。曰。湖南來。師曰。曾到石霜麼。曰。要路經過。爭得不到。師曰。聞石霜有毬子話。是否。曰。和尚也須急著眼始得。師曰。作麼生是毬子。曰。跳不出。師曰。作麼生是毬杖。曰。沒手足。師曰。且去。老僧未與闍黎相見。明日陞座。師曰。昨日新到在麼。頭出應諾。師曰。目前無法。意在目前。不是目前法。非耳目之所到。頭曰。今日雖問。要且不是。師曰。片月難明。非關天地。頭曰。莫𡱰沸。便作掀禪床勢。師曰。且緩緩。虧著上座甚麼處。頭竪起拳曰。目前還著得這箇麼。師曰。作家。作家。頭又作掀禪床勢。師曰。大眾看這一員戰將。若是門庭佈列。山僧不如他。若據入理之談。也較山僧一級地。上堂。眼不掛戶。意不停玄。直得靈草不生。猶是五天之位。珠光月魄。不是出頭時。此間無老僧。五路頭無闍黎。問。如何是夾山境。師曰。猿抱子歸青嶂裡。鳥銜華落碧巖前(法眼雲。我二十年秖作境話會)。師問僧。甚麼處來。曰。洞山來。師曰。洞山有何言句示徒。曰。

(師は続けて言った:)眼をして顧み著けしむる莫れ。何ぞや。日月は未だ明と為すに足らず、天地は未だ大と為すに足らず。空中に斤を運らさず、巧匠は踪を遺さず。性を見て佛を留めず、道を悟りて師を存せず。尋常老僧道う、瞿曇を睹るは、猶お黄葉の如し。一大蔵教は是れ老僧の坐具。祖師の玄旨は是れ破れ草鞋。寧ろ赤足にして著かざるが最好なり。」僧が問うた。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「此の問は賓主無し。」曰く、「尋常は什麼の人と与に対談する。」師は言った。「文殊は吾と与に水を擔ぎて去れ、普賢は猶お未だ花を折りて来らず。」上堂して言った。「我は二十年此の山に住して、未曾だ宗門の中の事を挙げ著けず。」僧有りて問うた。「承く和尚の言有り、二十年此の山に住して、未曾だ宗門の中の事を挙げ著けずと、是の否や。」師は言った。「是。」僧は便ち禅床を掀り倒した。師は休み去った。明日に至りて普請に、一坑を掘り、侍者をして昨日の僧を請じ至らしめて、曰く、「老僧は二十年義無き語を説きたり、今日上座に請う老僧を打ち殺して、坑裏に向いて埋めん。便ち請う、便ち請う。若し老僧を打ち殺さざれば、上座自ら打ち殺さるるを著けて、坑の中に埋めて始めて得。」其の僧は堂に帰りて、装を束ねて潜かに去った。上堂して言った。「百草の頭に老僧を薦い取れ、鬧市の裏に天子を識り取れ。」虎頭の上座参ず。師は問うた。「甚の処より来た。」曰く、「湖南より来ました。」師は言った。「曾て石霜に到るか。」曰く、「要路経過せり、争でか到らざるを得ん。」師は言った。「聞く石霜に毬子の話有ると、是の否や。」曰く、「和尚も須く眼を急ぐて始めて得。」師は言った。「作麼生か是れ毬子。」曰く、「跳ね出づること能わず。」師は言った。「作麼生か是れ毬杖。」曰く、「手足没せり。」師は言った。「且く去れ。老僧は未だ闍黎と与に相見せず。」明日座に升る。師は言った。「昨日の新到在るか。」頭は出でて応諾した。師は言った。「目前に法無し、意は目前に在り。是れ目前の法に非ず、耳目の到る所に非ず。」頭は言った。「今日問うと雖も、要して且く是ならず。」師は言った。「片月は明らめ難し、天地に関せず。」頭は言った。「屎沸する莫れ。」便ち禅床を掀る勢いを作した。師は言った。「且く緩々せよ。上座の什麼の処を亏き著けた。」頭は拳を竪起して言った。「目前に還た這箇を著け得るか。」師は言った。「作家、作家。」頭は又禅床を掀る勢いを作した。師は言った。「大衆は此の一員の戦将を看よ。若し是れ門庭の布列ならば、山僧は他に如かず。若し理に入るの談に拠れば、も山僧より一級の地を較べり。」上堂して言った。「眼は戸に挂けず、意は玄に停まらず。直ちに霊草の生の生ぜざるを得るも、猶お是れ五天の位。珠光月魄は、是れ頭を出づる時に非ず。此の間に老僧無し、五路の頭に闍黎無し。」問う。「如何なるか是れ夾山の境。」師は言った。「猿は子を抱きて青嶂の裏に帰り、鳥は花を銜えて碧巖の前に落つ。」(法眼は言った。「我は二十年只だ境の話を作して会せり。」)師は僧に問うた。「什麼の処より来た。」曰く、「洞山より来ました。」師は言った。「洞山に何の言句か有りて徒に示す。」曰く、

尋常教學人三路學。師曰。何者三路。曰。玄路.鳥道.展手。師曰。實有此語否。曰。實有。師曰。軌持千里鈔。林下道人悲。師再闡玄樞。迨於一紀。唐中和元年十一月七日。召主事曰。吾與眾僧話道累歲。佛法深旨。各應自知。吾今幻質。時盡即去。汝等善保護。如吾在日。勿得雷同世人。輒生惆悵。言訖奄然而逝。塔於本山。諡傳明大師。

(僧は続けて言った:)「尋常は学人をして三路に学ばしむ。」師は言った。「何の者か三路。」曰く、「玄路、鳥道、展手。」師は言った。「実に此の語有るか否や。」曰く、「実に有り。」師は言った。「千里の鈔を軌持す、林下の道人の悲しみ。」師は再び玄枢を闡く、一紀に迨ぶ。唐の中和元年十一月七日、主事を召して言った。「吾は衆僧と道を話ること歳を累ぬ、佛法の深旨、各おの応に自ら知るべし。吾今幻質、時尽きれば即ち去らん。汝等善く保護して、吾が日の在るが如くせよ。世人と雷同して、輙りて惆怅を生ずることを得る莫れ。」言い訖りて奄然として逝く。本山に塔す。諡は伝明大師。

翠微學禪師法嗣

翠微学禅師法嗣

鄂州清平山安樂院令遵禪師

鄂州清平山安楽院令遵禅師

東平人也。初參翠微。便問。如何是西來的的意。微曰。待無人即向汝說。師良久。曰。無人也。請和尚說。微下禪床。引師入竹園。師又曰。無人也。請和尚說。微指竹曰。這竿得恁麼長。那竿得恁麼短。師雖領其微言。猶未徹其玄旨。出住大通。上堂。舉初見翠微機緣謂眾曰。先師入泥入水為我。自是我不識好惡。師自此化導。次遷清平。上堂。諸上座。夫出家人須會佛意始得。若會佛意。不在僧俗男女貴賤。但隨家豐儉安樂便得。諸上座盡是久處叢林。徧參尊宿。且作麼生會佛意。試出來大家商量。莫空氣高。至後一事無成。一生空度。若未會佛意。直饒頭上出水。足下出火。燒身鍊臂。聰慧多辯。聚徒一千二千。說法如雲如雨。講得天華亂墜。祇成箇邪說。爭競是非。去佛法大遠在。諸人幸值色身安健。不值諸難。何妨近前著些工夫。體取佛意好。僧問。如何是大乘。師曰。井索。曰。如何是小乘。師曰。錢貫。問。如何是清平家風。師曰。一斗麫作三箇蒸餅。問。如何是禪。師曰。猢猻上樹尾連顛。問。如何是有漏。師曰。笊籬。曰。如何是無漏。師曰。木杓。曰。覿面相呈時如何。師曰。分付與典座。自餘逗機方便。靡狥時情。逆順卷舒。語超格量。天祐十六年。終於本山。諡法喜禪師。

東平の人なり。初めて翠微に参じて、便ち問うた。「如何なるか是れ西来の的なる意。」微は言った。「人無きを待ちて即ち汝に向って説かん。」師は良久として、曰く、「人無し、和尚に請う説かんことを。」微は禅床を下りて、師を引きて竹園に入る。師は又言った。「人無し、和尚に請う説かんことを。」微は竹を指して言った。「這の竿はかくの如く長く得たり、那の竿はかくの如く短く得たり。」師は其の微言を領くと雖も、猶お未だ其の玄旨に徹せず。出でて大通に住す。上堂して、初めて翠微を見るの機縁を挙げて衆に謂うて言った。「先師は泥に入り水に入りて我を為めたり、自ら是れ我好悪を識らざる。」師は此より化導す。次いで清平に遷る。上堂して言った。「諸の上座、夫れ出家の人は須く佛の意を会して始めて得。若し佛の意を会せば、僧俗男女貴賤に在らず、但だ家の豊倹に随いて安楽すれば便ち得。諸の上座は尽く久しく叢林に処り、遍く尊宿に参ず、且く作麼生に佛の意を会せん。試みに出で来たりて大家商量せよ。気高きを空しくして、後に至りて一事も成る無く、一生空しく度る莫れ。若し未だ佛の意を会せざれば、直に饒けて頭上に水を出で、足下に火を出で、身を焼き臂を煉り、聡慧にして弁多く、徒を聚むること一千二千、法を説くこと雲の如く雨の如く、講じて天花乱れ堕ちるを得るとも、只だ箇の邪説を成して、是非を争競し、佛法を去ること大いに遠く在り。諸人は幸いに色身の安健に値い、諸の難に値わず、何ぞ妨げん前に近りて些子の工夫を著けて、佛の意を体取せんことを好まんや。」僧が問うた。「如何なるか是れ大乗。」師は言った。「井索。」曰く、「如何なるか是れ小乗。」師は言った。「銭貫。」問う。「如何なるか是れ清平の家風。」師は言った。「一斗の麵に三箇の蒸餅を作す。」問う。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「猢猻は樹に上りて尾は顛に連なれり。」問う。「如何なるか是れ有漏。」師は言った。「笊籬。」曰く、「如何なるか是れ無漏。」師は言った。「木杓。」曰く、「面相觌じて呈する時如何。」師は言った。「典座に分付せよ。」自余機に逗るの方便、時の情に徇わず、逆順卷舒、語は格量を超ゆ。天祐十六年、本山に終す。諡は法喜禅師。

舒州投子山大同禪師

舒州投子山大同禅師

本州懷寧劉氏子。幼歲依洛下保唐滿禪師出家。初習安般觀。次閱華嚴教。發明性海。復謁翠微。頓悟宗旨(語見翠微章)。由是放意周遊。後旋故土。隱投子山。結茅而居。一日趙州和尚至桐城縣。師亦出山。途中相遇。乃逆而問曰。莫是投子山主麼。師曰。茶鹽錢佈施我。州先歸庵中坐。師後擕一缾油歸。州曰。久嚮投子。及乎到來。秖見箇賣油翁。師曰。汝祇識賣油翁。且不識投子。州曰。如何是投子。師提起油缾曰。油。油。州問。大死底人。卻活時如何。師曰。不許夜行。投明須到。州曰。我早侯白。伊更侯黑。上堂。汝諸人來這裡。擬覓新鮮語句。攢華四六。圖口裡有可道。我老兒氣力稍劣。唇舌遲鈍。亦無閑言語與汝。汝若問我。便隨汝答。也無玄妙可及於汝。亦不教汝垛根。終不說向上向下.有佛有法.有凡有聖。亦不存坐繫縛。汝諸人變現千般。總是汝自生見解。擔帶將來。自作自受。我這裡無可與汝。也無表無裡。說似諸人。有疑便問。僧問。表裡不收時如何。師曰。汝擬向這裡垛根。便下座。問。大藏教中還有奇特事也無。師曰。演出大藏教。問。如何是眼未開時事。師曰。目淨脩廣如青蓮。問。一切諸佛及諸佛法。皆從此經出。如何是此經。師曰。以是名字。汝當奉持。問。枯木中還有龍吟也無。師曰。我道髑髏裡有師子吼。問。一法普潤一切群生。如何是一法。師曰。雨下也。問。一塵含法界時如何。師曰。早是數塵也。問。金鎻未開時如何。師曰。開也。問。學人擬欲修行時如何。師曰。虗空不曾爛壞。巨榮禪客參次。師曰。老僧未曾有一言半句掛諸方唇齒。何用要見老僧。榮曰。到這裡不施三拜。要且不甘。師曰。出家兒得恁麼沒碑記。榮乃遶禪床一匝而去。師曰。有眼無耳朵。六月火邊坐。問。一切聲是佛聲。是不。師曰。是。曰。和尚莫𡱰沸盌鳴聲。師便打。問。

本州懐寧劉氏の子。幼歳洛下の保唐満禅師に依りて出家す。初めて安般観を習い、次いで華厳教を閲して、性海を発明す。復た翠微に謁し、頓ちに宗旨を悟る(語は翠微の章に見えたり)。是に由りて意を放ちて周游し、後に故土に旋りて、投子山に隱れ、茅を結びて居る。ある日趙州和尚は桐城県に至り、師も亦た山を出で、途中に相い遇い、乃ち逆らいて問うて言った。「投子の山主か莫しや。」師は言った。「茶塩の銭を我に布施せよ。」州は先に庵中に帰りて坐す。師は後に一瓶の油を携えて帰る。州は言った。「久しく投子を響かす、及び到りて来りて、只だ箇の油を売る翁を見る。」師は言った。「汝は只だ油を売る翁を識れども、且く投子を識らず。」州は言った。「如何なるか是れ投子。」師は油瓶を提起して言った。「油、油。」州は問うた。「大いに死したる底の人、卻て活する時如何。」師は言った。「夜行を許さず、明に投ぐれば須く到れ。」州は言った。「我は早く白を侯ぐ、伊は更に黒を侯ぐ。」上堂して言った。「汝諸人は這裏に来たりて、新鮮なる語句を覓めんと拟し、花を攅むる四六にして、口裏に道う可き有るを図る。我が老兒は気力稍か劣り、唇舌遅鈍にして、亦た閑なる言語無く汝と与にせん。汝若し我を問わば、便ち汝に随いて答えん。も玄妙無く汝に及ぶ可く、亦不汝に根を垜めしめず。終に向上向下、佛有法有、凡有聖有と説かず。亦不坐に繋縛を存せず。汝諸人は千般を変現すれども、総て是れ汝の自ら見解を生じ、担い帯びて将て来る、自作自受なり。我が這裏は汝と与にすべき無し、も表無く里無し。諸人に説き似たり、疑有らば便ち問え。」僧が問うた。「表里は収めざる時如何。」師は言った。「汝は這裏に向いて根を垜めんと拟す。」便ち下座した。問う。「大蔵教の中に還た奇特の事有るや無きや。」師は言った。「演じ出づるは大蔵教。」問う。「如何なるか是れ眼未だ開けざる時の事。」師は言った。「目は浄く修広として青蓮の如し。」問う。「一切の諸佛及び諸の佛法、皆此の経より出づ。如何なるか是れ此の経。」師は言った。「是の名字を以って、汝は当に奉持すべし。」問う。「枯木の中に還た龍吟有るや無きや。」師は言った。「我道う髑髏の裏に師子の吼有りと。」問う。「一法は普く一切の群生を潤す、如何なるか是れ一法。」師は言った。「雨下るなり。」問う。「一塵は法界を含む時如何。」師は言った。「早くも是れ数塵なり。」問う。「金鎖は未だ開けざる時如何。」師は言った。「開けたり。」問う。「学人は修行せんと拟する時如何。」師は言った。「虚空は曾て爛壊せず。」巨栄禅客参ずる次。師は言った。「老僧は未曾だ一言半句も諸方の唇歯に挂けず、何を用いて老僧に見えんと要する。」栄は言った。「這裏に到りて三拜を施さざれば、要して且く甘んぜず。」師は言った。「出家兒はかくの如く碑記無きを得たり。」栄は乃ち禅床を遶ること一匝して去った。師は言った。「眼有りて耳朵無し、六月火の辺に坐す。」問う。「一切の声是れ佛の声、是の否や。」師は言った。「是。」曰く、「和尚は屎沸の碗鳴らす声に莫れ。」師は便ち打った。問う、

麤言及細語。皆歸第一義。是不。師曰。是。曰。喚和尚作頭驢。得麼。師便打。問。如何是十身調御。師下禪床立。師指庵前一片石。謂雪峰曰。三世諸佛總在裡許。峰曰。須知有不在裡許者。師曰。不快漆桶。師與雪峰遊龍眠。有兩路。峰問。那箇是龍眠路。師以杖指之。峰曰。東去西去。師曰。不快漆桶。問。一槌便就時如何。師曰。不是性燥漢。曰。不假一槌時如何。師曰。不快漆桶。峰問。此間還有人參也無。師將钁頭拋向峰面前。峰曰。恁麼則當處掘去也。師曰。不快漆桶。峰辭。師送出門。召曰。道者。峰回首應諾。師曰。途中善為。問。故歲已去。新歲到來。還有不涉二途者也無。師曰。有。曰。如何是不涉二途者。師曰。元正啟祚。萬物鹹新。問。依稀似半月。彷彿若三星。乾坤收不得。師於何處明。師曰。道甚麼。曰。想師祇有湛水之波。且無滔天之浪。師曰。閑言語。問。類中來時如何。師曰。人類中來。馬類中來。問。祖祖相傳。傳箇甚麼。師曰。老僧不解妄語。問。如何是出門不見佛。師曰。無所覩。曰。如何是入室別爺娘。師曰。無所生。問。如何是火焰裡身。師曰。有甚麼掩處。曰。如何是炭庫裡藏身。師曰。我道汝黑似漆。問。的的不明時如何。師曰。明也。問。如何是末後一句。師曰。最初明不得。問。從苗辨地。因語識人。未審將何辨識。師曰。引不著。問。院中有三百人。還有不在數者也無。師曰。一百年前。五十年後看取。問僧。久嚮疎山.薑頭。莫便是否。僧無對(法眼代雲。嚮重和尚日久)。問。抱璞投師。請師雕琢。師曰。不為棟梁材。曰。恁麼則卞和無出身處也。師曰。擔帶即竛竮辛苦。曰。不擔帶時如何。師曰。不教汝抱璞投師。請師雕琢。問。那吒析骨還父。析肉還母。如何是那吒本來身。師放下拂子。叉手。問。佛法二字。如何辯得清濁。師曰。

(僧は続けて問うた:)「粗言及び細語、皆第一義に帰す、是の否や。」師は言った。「是。」曰く、「和尚を喚びて頭の驢と作す、得たるか。」師は便ち打った。問う。「如何なるか是れ十身の調御。」師は禅床を下りて立つ。師は庵前の一片の石を指し、雪峰に謂うて言った。「三世の諸佛は総て裏許りに在り。」峰は言った。「須く知るべし、裏許りに在らざる者有るを。」師は言った。「快ならず漆の桶。」師は雪峰と龍眠に遊ぶに、两路有り。峰は問うた。「那箇是れ龍眠の路。」師は杖を以って之を指す。峰は言った。「東に行くか西に行くか。」師は言った。「快ならず漆の桶。」問う。「一槌便ち就く時如何。」師は言った。「是れ性の燥なる漢に非ず。」曰く、「一槌を仮らざる時如何。」師は言った。「快ならず漆の桶。」峰は問うた。「此の間に還た人の参ずる有るや無きや。」師は钁頭を将て峰の面前に抛ち向けた。峰は言った。「かくの如くすれば則ち処に当たりて掘り去らん。」師は言った。「快ならず漆の桶。」峰は辞す。師は門を送りて出で、召して言った。「道者。」峰は首を回らして応諾した。師は言った。「途中善く為せ。」問う。「故歳已に去り、新歳到来す、還た二途に渉らざる者有るや無きや。」師は言った。「有。」曰く、「如何なるか是れ二途に渉らざる者。」師は言った。「元正祚を啓き、万物咸みな新たなり。」問う。「依稀として半月に似て、仿佛として三星の若し。乾坤も収め得ず、師は何の処に於て明らめん。」師は言った。「什麼を道う。」曰く、「想うに師は只だ湛水の波有り、且く滔天の浪無し。」師は言った。「閑なる言語。」問う。「類の中より来る時如何。」師は言った。「人の類の中より来り、馬の類の中より来り。」問う。「祖祖相い伝え、箇の什麼を伝う。」師は言った。「老僧は妄語を解せず。」問う。「如何なるか是れ門を出でて佛を見ざる。」師は言った。「睹る所無し。」曰く、「如何なるか是れ室に入りて爺娘に別る。」師は言った。「生ずる所無し。」問う。「如何なるか是れ火焰の裏の身。」師は言った。「什麼の掩う処か有る。」曰く、「如何なるか是れ炭庫の裏に身を蔵する。」師は言った。「我道う汝は黒くして漆に似たりと。」問う。「的として明ならざる時如何。」師は言った。「明なり。」問う。「如何なるか是れ末後の一句。」師は言った。「最初は明らむることを得ず。」問う。「苗に従りて地を辨じ、語に因りて人を識る。未だ審らかに何を将て辨識する。」師は言った。「引かれて著かず。」問う。「院の中に三百人有り、還た数に在らざる者有るや無きや。」師は言った。「一百年の前、五十年の後に看取せよ。」僧に問うた。「久しく疏山、姜頭を響かす、便ち是なるか莫しや。」僧は対無し。(法眼は代わって言った。「響くこと和尚に重きこと日久し。」)問う。「璞を抱きて師に投ぐ、師の雕琢を請う。」師は言った。「栋梁の材と為らず。」曰く、「かくの如くすれば則ち卞和は身を出づる処無し。」師は言った。「担い帯ばば即ち伶俜辛苦。」曰く、「担い帯びざる時如何。」師は言った。「汝に璞を抱きて師に投じて師の雕琢を請うを教えず。」問う。「那咤は骨を析きて父に還し、肉を析きて母に還す。如何なるか是れ那咤の本来の身。」師は拂子を放下して、手を叉ぐ。問う。「佛法の二字、如何にして清濁を辨じ得る。」師は言った、

佛法清濁。曰。學人不會。師曰。汝適來問箇甚麼。問。一等是水。為甚麼海鹹河淡。師曰。天上星。地下水(法眼別雲。大似相違)。問。如何是祖師意。師曰。彌勒覓箇受記處不得。問。不斷煩惱而入涅槃時如何。師作色曰。這箇師僧。好發業殺人。問。和尚自住此山。有何境界。師曰。丫角女子白頭絲。問。如何是無情說法。師曰。惡。問。如何是毗盧。師曰。已有名字。曰。如何是毗盧師。師曰。未有毗盧時會取。問。歷落一句。請師道。師曰。好。問。四山相逼時如何。師曰。五蘊皆空。問。一念未生時如何。師曰。真箇謾語。問。凡聖相去幾何。師下禪床立。問。學人一問即和尚答。忽若千問萬問時如何。師曰。如鷄抱卵。問。天上天下。唯我獨尊。如何是我。師曰。推倒這老胡。有甚麼罪過。問。如何是和尚師。師曰。迎之不見其首。隨之罔眺其後。問。鑄像未成。身在甚麼處。師曰。莫造作。曰。爭奈現不現何。師曰。隱在甚麼處。問。無目底人如何進步。師曰。徧十方。曰。無目為甚麼徧十方。師曰。還更著得目也無。問。如何是西來意。師曰。不諱。問。月未圓時如何。師曰。吞卻三箇四箇。曰。圓後如何。師曰。吐卻七箇八箇。問。日月未明。佛與眾生在甚麼處。師曰。見老僧嗔便道嗔。見老僧喜便道喜。問僧。甚麼處來。曰。東西山禮祖師來。師曰。祖師不在東西山。僧無語(法眼代雲。和尚識祖師)。問。如何是玄中的。師曰。不到汝口裡道。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。與人為師。曰。見後如何。師曰。不與人為師。問。諸佛出世為一大事因緣。和尚出世當為何事。師曰。尹司空請老僧開堂。問。如何是佛。師曰。幻不可求。問。千里投師。乞師一接。師曰。今日老僧腰痛。菜頭請益。師曰。且去。待無人時來。頭明日伺得無人。又來。師曰。近前來。頭近前。師曰。

(投子続けて言った:)「佛法の清濁。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「汝適来箇の什麼を問いた。」問う。「一等是れ水、何の故に海は鹹く河は淡き。」師は言った。「天上の星、地下の水。」(法眼は別に言った。「大いに相い違うに似たり。」)問う。「如何なるか是れ祖師の意。」師は言った。「弥勒は箇の記を受くる処を覓めて得ず。」問う。「煩悩を断ぜずして涅槃に入る時如何。」師は色を作して言った。「這箇の師僧、好く業を発して人を殺す。」問う。「和尚自ら此の山に住して、何の境界か有る。」師は言った。「丫角の女子は白き頭の絲。」問う。「如何なるか是れ無情の法を説く。」師は言った。「悪。」問う。「如何なるか是れ毘盧。」師は言った。「已に名字有り。」曰く、「如何なるか是れ毘盧の師。」師は言った。「未だ毘盧有らざる時に会い取れ。」問う。「歴落の一句、師の道わんことを請う。」師は言った。「好し。」問う。「四山相い逼ぐ時如何。」師は言った。「五藴皆空なり。」問う。「一念未だ生ぜざる時如何。」師は言った。「真箇の謾語。」問う。「凡聖相去ること幾何。」師は禅床を下りて立つ。問う。「学人は一問すれば即ち和尚は答う、忽ち若し千問万問の時如何。」師は言った。「鶏の卵を抱くが如し。」問う。「天上天下、唯我独尊。如何なるか是れ我。」師は言った。「這の老胡を推し倒す、什麼の罪過か有る。」問う。「如何なるか是れ和尚の師。」師は言った。「之を迎えて其の首を見ず、之に随いて其の後を罔眺す。」問う。「像を鋳て未だ成らざる、身は什麼の処に在る。」師は言った。「造作する莫れ。」曰く、「争奈現と不現と何。」師は言った。「什麼の処に隱る。」問う。「目無き底の人は如何に進歩せん。」師は言った。「十方に遍ず。」曰く、「目無きは何の故に十方に遍ず。」師は言った。「還た更に目を著け得るや無きや。」問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「諱めず。」問う。「月未だ円ならざる時如何。」師は言った。「三箇四箇を呑み却れ。」曰く、「円の後如何。」師は言った。「七箇八箇を吐き却れ。」問う。「日月未だ明ならず、佛と衆生は什麼の処に在る。」師は言った。「老僧の嗔を見れば便ち嗔と道い、老僧の喜を見れば便ち喜と道え。」僧に問うた。「什麼の処より来た。」曰く、「東西山に祖師を礼して来ました。」師は言った。「祖師は東西山に在らず。」僧は語無し。(法眼は代わって言った。「和尚は祖師を識る。」)問う。「如何なるか是れ玄の中。」師は言った。「汝の口裏に到りて道わず。」問う。「牛頭は未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「人と与に師を為す。」曰く、「見えて後如何。」師は言った。「人と与に師を為さず。」問う。「諸佛の出世は一大事の因縁を為めて。和尚の出世は当に何を為めての事。」師は言った。「尹司空が老僧に堂を開かんことを請う。」問う。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「幻は求むべからず。」問う。「千里師に投ぐ、師の一接を乞う。」師は言った。「今日老僧は腰痛なり。」菜頭が益を請う。師は言った。「且く去れ、人無き時に来たるを待て。」頭は明日人無きを伺い得て、又来た。師は言った。「前に近り来れ。」頭は前に近る。師は言った、

輒不得舉似於人。問。併卻咽喉唇吻。請師道。師曰。師秖要我道不得。問。達磨未來時如何。師曰。徧天徧地。曰。來後如何。師曰。蓋覆不得。問。如何是無情說法。師曰。莫惡口。問。和尚未見先師時如何。師曰。通身不柰何。曰。見後如何。師曰。通身撲不碎。曰。還從師得也無。師曰。終不相孤負。曰。恁麼則從師得也。師曰。得箇甚麼。曰。恁麼則孤負先師也。師曰。非但孤負先師。亦乃孤負老僧。問。七佛是文殊弟子。文殊還有師也無。師曰。適來恁麼道。也大似屈己推人。問。金鷄未鳴時如何。師曰。無這箇音響。曰。鳴後如何。師曰。各自知時。問。師子是獸中之王。為甚麼被六塵吞。師曰。不作大。無人我。師居投子山三十餘載。往來激發。請益者常盈於室。縱以無畏之辯。隨問遽答。啐啄同時。微言頗多。今錄少分而已。中和中巢𭁵暴起。天下喪亂。有狂徒持刃問師曰。住此何為。師乃隨宜說法。渠魁聞而拜伏。脫身服。施之而去。乾化四年四月六日示微疾。大眾請醫。師謂眾曰。四大動作。聚散常程。汝等勿慮。吾自保矣。言訖跏趺而寂。諡慈濟大師。

(投子続けて言った:)「輙りて人に挙似するを得ざれ。」問う。「咽喉唇吻を併せ却けて、師の道わんことを請う。」師は言った。「師は只だ我に道い得ざらしむるを要す。」問う。「達磨未だ来らざる時如何。」師は言った。「天に遍く地に遍し。」曰く、「来りて後如何。」師は言った。「蓋覆するを得ず。」問う。「如何なるか是れ無情の法を説く。」師は言った。「悪口する莫れ。」問う。「和尚は未だ先師に見えざる時如何。」師は言った。「通身奈何を為らず。」曰く、「見えて後如何。」師は言った。「通身扑して砕けず。」曰く、「還た師に従りて得るや無きや。」師は言った。「終に相い孤負せず。」曰く、「かくの如くすれば則ち師に従りて得たり。」師は言った。「箇の什麼を得た。」曰く、「かくの如くすれば則ち先師を孤負せり。」師は言った。「非但だ先師を孤負す、亦た乃ち老僧を孤負せり。」問う。「七佛是れ文殊の弟子。文殊に還た師有るや無きや。」師は言った。「適来かくの如く道うも、も大いに己を屈めて人を推すに似たり。」問う。「金鶏未だ鳴かざる時如何。」師は言った。「這箇の音響無し。」曰く、「鳴きて後如何。」師は言った。「各おの時を知る。」問う。「師子は是れ獣の中の王、何の故に六塵に呑まる。」師は言った。「大を作さず、人我無し。」師は投子山に居ること三十余載、往来激発し、益を請う者は常に室に盈つ。縦に無畏の弁を以って、問に随いて遽かに答え、啐啄同時なり。微言頗る多し、今少分を録するのみ。中和の中に巢寇暴起し、天下喪乱す。狂徒有りて刃を持ちて師に問うて言った。「此に住して何を為す。」師は乃ち宜に随いて法を説く。渠魁は聞きて拜伏し、身の服を脱ぎて、之を施して去った。乾化四年四月六日に微疾を示す。大衆は医を請う。師は衆に謂うて言った。「四大の動作は、聚散の常程なり。汝等慮る勿れ、吾自ら保さん。」言い訖りて跏趺して寂す。諡は慈済大師。

安吉州道場山如訥禪師

安吉州道場山如訥禅師

僧問。如何是教意。師曰。汝自看。僧禮拜。師曰。明月鋪霄漢。山川勢自分。問。如何得聞性不隨緣去。師曰。汝聽看。僧禮拜。師曰。聾人也唱胡笳調。好惡高低自不聞。曰。恁麼則聞性宛然也。師曰。石從空裡立。火向水中焚。問。虗空還有邊際否。師曰。汝也太多知。僧禮拜。師曰。三尺杖頭挑日月。一塵飛起任遮天。問。如何是道人。師曰。行運無蹤跡。起坐絕人知。曰。如何即是。師曰。三爐力盡無煙𦦨。萬頃平田水不流。問。一念不生時如何。師曰。堪作甚麼。僧無語。師又曰。透出龍門雲雨合。山川大地入無蹤。師目有重瞳。手垂過膝。自翠微受訣。止於此山。薙草卓庵。學徒四至。廣闡法化。遂成叢社焉。

僧が問うた。「如何なるか是れ教意。」師は言った。「汝自ら看よ。」僧は礼拜した。師は言った。「明月は霄漢に鋪き、山川の勢い自ら分かつ。」問う。「如何にして聞性は縁に随いて去らざるを得ん。」師は言った。「汝聴き看よ。」僧は礼拜した。師は言った。「聾人も亦た胡笳の調を唱えども、好悪高低は自ら聞かず。」曰く、「かくの如くすれば則ち聞性は宛然なり。」師は言った。「石は空の裏より立ち、火は水の中に向いて焚く。」問う。「虚空に還た辺際有るか否や。」師は言った。「汝も亦た太も多知なり。」僧は礼拜した。師は言った。「三尺の杖頭は日月を挑み、一塵飛び起きて天を遮るに任す。」問う。「如何なるか是れ道人。」師は言った。「行運に踪迹無く、起坐は人知を絶つ。」曰く、「如何にして即ち是れ。」師は言った。「三炉は力尽きて煙焰無く、万頃の平田は水流れず。」問う。「一念生ぜざる時如何。」師は言った。「堪えて什麼を作すべき。」僧は語無し。師は又言った。「龍門を透き出でて雲雨合し、山川大地に入りて踪無し。」師は目に重瞳有り、手は膝に垂れ過ぐ。翠微より訣を受けて、この山に止まり、草を薙ぎて庵を卓す。学徒四より至り、広く法化を闡きて、遂に叢社と成れり。

建州白雲約禪師

建州白雲約禅師

僧問。不坐徧空堂。不居無學位。此人合向甚麼處安置。師曰。青天無電影。韶國師參。師問。甚麼處來。韶曰。江北來。師曰。船來陸來。曰。船來。師曰。還逢見魚鼈麼。曰。往往遇之。師曰。遇時作麼生。韶曰。咄。縮頭去。師大笑。

僧が問うた。「遍空の堂に坐せず、無学の位に居らず、此の人は合して什麼の処に向いて安置せん。」師は言った。「青天に影の電無し。」韶国師参ず。師は問うた。「什麼の処より来た。」韶は言った。「江北より来ました。」師は言った。「船に来たか陸に来たか。」曰く、「船に来ました。」師は言った。「還た魚鼈に逢い見るか。」曰く、「往々に之に遇う。」師は言った。「遇う時は作麼生。」韶は言った。「咄。頭を縮めて去れ。」師は大笑した。

孝義性空禪師法嗣

孝義性空禅師法嗣

歙州茂源禪師

歙州茂源禅師

因平田參。師欲起身。田乃把住曰。開口即失。閉口即喪。去此二途。請師速道。師以手掩耳。田放手曰。一步易。兩步難。師曰。有甚麼死急。田曰。若非此箇。師不免諸方點檢。師不對。

平田の参ずるに因り。師は身を起さんと欲した。田は乃ち把り住めて言った。「口を開けば即ち失い、口を閉じれば即ち喪う。此の二途を去りて、師の速やかに道わんことを請う。」師は手を以って耳を掩うた。田は手を放ちて言った。「一歩は易し、両歩は難し。」師は言った。「什麼の死急か有る。」田は言った。「若し此の箇に非ざれば、師は諸方の点検を免れず。」師は対えず。

棗山光仁禪師

棗山光仁禅師

上堂眾集。師於座前謂眾曰。不負平生行腳眼目。致箇問來。還有麼。眾無對。師曰。若無。即陞座去也。便登座。僧出禮拜。師曰。負我且從大眾。何也。便歸方丈。翌日。有僧請辨前語意旨如何。師曰。齋時有飯與汝吃。夜後有床與汝眠。一向煎迫我作甚麼。僧禮拜。師曰。苦。苦。僧曰。請師直指。師乃垂足曰。舒縮一任老僧。

上堂して衆集まる。師は座の前に於て衆に謂うて言った。「平生の行脚の眼目を負かさざれば、箇の問を致し来れ。還た有るか。」衆は対無し。師は言った。「若し無ければ、即ち座に升りて去らん。」便ち座に登る。僧は出でて礼拜した。師は言った。「我を負けば且く大衆に従え。何ぞや。」便ち方丈に帰る。翌日、僧有りて前語の意旨如何を辨ぜんことを請う。師は言った。「斎の時は飯有りて汝に喫せしめ、夜の後は床有りて汝に眠らしむ。一向に我を煎迫して什麼を作さん。」僧は礼拜した。師は言った。「苦し、苦し。」僧は言った。「師の直指を請う。」師は乃ち足を垂れて言った。「舒縮は老僧に一任せよ。」

五燈會元卷第五

五燈會元卷第六

青原下五世

青原下五世

石霜諸禪師法嗣

石霜諸禅師法嗣

潭州大光山居誨禪師

潭州大光山居誨禅師

京兆人也。初造石霜。長坐不臥。麻衣草履。亡身為法。霜遂令主性空塔院。一日。霜知緣熟。試其所得。問曰。國家每年放舉人及第。朝門還得拜也無。師曰。有一人不求進。霜曰。憑何。師曰。他且不為名。霜曰。除卻今日。別更有時也無。師曰。他亦不道今日是。如是酬問。往復無滯。盤桓二十餘祀。眾請出世。僧問。祇如達磨是祖否。師曰。不是。祖曰。既不是祖。又來作甚麼。師曰。祇為汝不薦。曰。薦後如何。師曰。方知不是祖。問。混沌未分時如何。師曰。時教阿誰敘。上堂。一代時教。祇是整理時人手腳。直饒剝盡到底。也祇成得箇了事人。不可將當衲衣下事。所以道四十九年明不盡。標不起。到這裡合作麼生。更若忉忉。恐成負累。珍重。

京兆の人なり。初めて石霜に造りて、長坐して臥せず、麻衣草履にして、身を亡じて法と為す。霜は遂に性空の塔院を主らしむ。ある日、霜は縁の熟したるを知りて、其の得る所を試みて、問うて言った。「国家は毎年挙人の及第を放つ、朝門に於て還た拜するを得るや無きや。」師は言った。「一人有りて進を求めず。」霜は言った。「何に憑る。」師は言った。「他は且く名を為さず。」霜は言った。「今日を除き却けて、別に更に時有るや無きや。」師は言った。「他も亦た今日是れと道わず。」是の如く酬問して、往復滞り無し。盤桓すること二十余祀、衆は出世を請う。僧が問うた。「只だ如し達磨是れ祖か否や。」師は言った。「是れ祖に非ず。」曰く、「既に是れ祖に非ず、又来りて什麼を作さん。」師は言った。「只だ汝が薦めざるを為めて。」曰く、「薦めて後如何。」師は言った。「方に知る是れ祖に非ざるを。」問う。「混沌未だ分かれざる時如何。」師は言った。「時は阿誰を教えて叙せしめん。」上堂して言った。「一代の時教は、只だ是れ時人の手脚を整理す。直に剥ぎ尽くして底に到るを饒くるも、也只だ箇の事を了する人を成し得るのみ、衲衣下の事に当て将る可からず。所謂道う、四十九年に明らめ尽くさず、標き起たれざるなり。這裏に到りて作麼生を合す。更に若し忉忉ならば、恐らくは負累と成らん。珍重。」

瑞州九峰道虔禪師

瑞州九峰道虔禅師

福州人也。甞為石霜侍者。洎霜歸寂。眾請首座繼住持。師白眾曰。須明得先師意。始可。座曰。先師有甚麼意。師曰。先師道。休去。歇去。冷湫湫地去。一念萬年去。寒灰枯木去。古廟香爐去。一條白練去。其餘則不問。如何是一條白練去。座曰。這箇祇是明一色邊事。師曰。元來未會先師意在。座曰。你不肯我那。但裝香來。香煙斷處。若去不得。即不會先師意。遂焚香。香煙未斷。座已脫去。師拊座背曰。坐脫立亡即不無。先師意未夢見在。住後。僧問。無間中人行甚麼行。師曰。畜生行。曰。畜生復行甚麼行。師曰。無間行。曰。此猶是長生路上人。師曰。汝須知有不共命者。曰。不共甚麼命。師曰。長生氣不常。師乃曰。諸兄弟還識得命麼。欲知命。流泉是命。湛寂是身。千波競湧。是文殊境界。一亙晴空。是普賢床榻。其次。借一句子是指月。於中事是話月。從上宗門中事。如節度使信旗相似。且如諸方先德。未建許多名目指陳已前。諸兄弟約甚麼體格商量。到這裡不假三寸試話會看。不假耳試釆聽看。不假眼試辯白看。所以道。聲前拋不出。句後不藏形。盡乾坤大地都來。是汝當人箇體。向甚麼處安眼耳鼻舌。莫但向意根下圖度作解。盡未來際亦未有休歇分。所以洞山道。擬將心意學玄宗。大似西行卻向東。珍重。問。承古有言。向外紹則臣位。向內紹則王種。是否。師曰。是。曰。如何是外紹。師曰。若不知事極頭。祇得了事。喚作外紹。是為臣種。曰。如何是內紹。師曰。知向裡許承當擔荷。是為內紹。曰。如何是王種。師曰。須見無承當底人。無擔荷底人。始得同一色。同一色了。所以借為誕生。是為王種。曰。恁麼則內紹亦須得轉。師曰。灼然。有承當擔荷。爭得不轉。汝道內紹便是人王種。你且道如今還有紹底道理麼。所以古人道。紹是功。紹了非是功。轉功位了。

福州の人なり。嘗て石霜の侍者と為る。洎して霜寂に帰すに、衆は首座に請いて住持を継がんとす。師は衆に白して言った。「須く先師の意を明らめ得て、始めて可なり。」座は言った。「先師に什麼の意か有る。」師は言った。「先師道う、休め去れ、歇め去れ、冷湫湫として去れ、一念万年として去れ、寒灰枯木として去れ、古廟香爐として去れ、一条の白練として去れと。其の余は則ち問わず。如何なるか是れ一条の白練として去る。」座は言った。「這箇は只だ是れ一色辺の事を明らむ。」師は言った。「元来未だ先師の意を会せざる在り。」座は言った。「汝は我を肯んぜざる那。但だ香を装き来れ。香の煙の断ずる処に、若し去るを得ざれば、即ち先師の意を会せざるなり。」遂に香を焚く。香の煙未だ断ぜざるに、座は已に脱し去れり。師は座の背を撫して言った。「坐して脱し立ちて亡するは即ち無からざれど、先師の意は未だ夢見せざる在り。」住の後。僧が問うた。「無間の中の人は什麼の行を行ず。」師は言った。「畜生の行。」曰く、「畜生は復た什麼の行を行ず。」師は言った。「無間の行。」曰く、「此れ猶お是れ長生の路上の人。」師は言った。「汝は須く知るべし命を共にせざる者有るを。」曰く、「什麼の命を共にせざる。」師は言った。「長生の気は常ならず。」師は乃ち言った。「諸の兄弟は還た命を識り得るか。命を知らんと欲せば、流泉是れ命、湛寂是れ身。千波競い涌けるは、是れ文殊の境界。一亘の晴空は、是れ普賢の床榻。其の次は、一句子を借りて是れ月を指し、中の事に於て是れ月を話す。従上宗門の中の事は、節度使の信旗に相似なり。且く如し諸方の先徳、未だ許多の名目を建てて指陳する已前、諸の兄弟は什麼の体格を約して商量せん。這裏に到りて三寸を仮らずして試みに話を会して看よ、耳を仮らずして試みに聴を采して看よ、眼を仮らずして試みに白を辨じて看よ。所謂道う、声の前は抛ち出づる能わず、句の後は形を蔵れざるなり。乾坤大地を尽くして来るも、是れ汝当人の箇の体なり。什麼の処に向いて眼耳鼻舌を安ぜん。意根の下に向いて度を図り解を作すのみなる莫れ、未来際を尽くすも亦た未だ休歇の分有らず。所謂洞山道う、心意を将て玄宗に学ばんと拟するは、大いに西行して卻て東に向うに似たりと。珍重。」問う。「承く古に言有り、外に向いて紹せば則ち臣の位、内に向いて紹せば則ち王の種と、是の否や。」師は言った。「是。」曰く、「如何なるか是れ外紹。」師は言った。「若し事の極頭を知らざれば、只だ事を了するを得る、喚びて外紹と作す、是れ臣種と為る。」曰く、「如何なるか是れ内紹。」師は言った。「裏許に向いて承当担荷を知る、是れ内紹と為る。」曰く、「如何なるか是れ王種。」師は言った。「須く承当無き底の人、担荷無き底の人を見て、始めて同一色を得。同一色了えり、所謂借りて誕生と為す、是れ王種と為る。」曰く、「かくの如くすれば則ち内紹も亦た須く転ずるを得。」師は言った。「灼然。承当担荷有れば、争でか転転ぜざるを得ん。汝道え内紹は便ち是れ人王種。汝且く道え如今還た紹する底の道理有るか。所謂古人道う、紹は是れ功、紹了えば是れ功に非ず。功位を転じ了えて、

始喚作人王種。曰。未審外紹還轉也無。師曰。外紹全未知有。且教渠知有。曰。如何是知有。師曰。天明不覺曉。問。如何是外紹。師曰。不借別人家裡事。曰。如何是內紹。師曰。推爺向裡頭。曰。二語之中。那語最親。師曰。臣在門裡。王不出門。曰。恁麼則不出門者。不落二邊。師曰。渠也不獨坐世界。裡紹王種名。外紹王種姓。所以道。紹是功。名臣是偏中正。紹了轉功。名君是正中偏。問。誕生還更知聞也無。師曰。更知聞阿誰。曰。恁麼則莫便是否。師曰。若是。古人為甚麼道誕生王有父。曰。既有父。為甚麼不知聞。師曰。同時不識祖。問。古人云。直得不恁麼來者。猶是兒孫。意旨如何。師曰。古人不謾語。曰。如何是來底兒孫。師曰。猶守珍御在。曰。如何是父。師曰。無家可坐。無世可興。問。諸聖間出。祇是箇傳語底人。豈不是和尚語。師曰。是。曰。祇如世尊生下。一手指天。一手指地。雲。天上天下。唯我獨尊。為甚麼喚作傳語底人。師曰。為他指天指地。所以喚作傳語底人。僧禮拜而退。問。九重無信。恩赦何來。師曰。流光雖徧。閫內不周。曰。流光與閫內相去多少。師曰。綠水騰波。青山秀色。問。人人盡言請益。未審師將何拯濟。師曰。汝道巨嶽還曾乏寸土也無。曰。恁麼則四海參尋。當為何事。師曰。演若迷頭心自狂。曰。還有不狂者麼。師曰。有。曰。如何是不狂者。師曰。突曉途中眼不開。問。如何是學人自己。師曰。更問阿誰。曰。便恁麼承當時如何。師曰。須彌還更戴須彌。問。祖祖相傳。復傳何事。師曰。釋迦慳。迦葉富。曰。如何是釋迦慳。師曰。無物與人。曰。如何是迦葉富。師曰。國內孟嘗君。曰。畢竟傳底事作麼生。師曰。百歲老人分夜燈。問。諸佛非我道。如何是我道。師曰。我非諸佛。曰。既非諸佛。為甚麼卻立我道。師曰。適來暫喚來。

(九峰続けて言った:)始めて喚びて人王種と作す。」曰く、「未だ審らかに外紹は還た転ずるや無きや。」師は言った。「外紹は全く未だ有るを知らず、且く渠をして有るを知らしめよ。」曰く、「如何なるか是れ有るを知る。」師は言った。「天明けて暁を覚えず。」問う。「如何なるか是れ外紹。」師は言った。「別に人の家裏の事を借らず。」曰く、「如何なるか是れ内紹。」師は言った。「爺を推して裏頭に向かわしむ。」曰く、「二語の中に、那の語か最も親なる。」師は言った。「臣は門の裏に在り、王は門を出でず。」曰く、「かくの如くすれば則ち門を出でざる者は、二辺に落ちず。」師は言った。「渠も亦た独り世界に坐せず。裏紹は王種の名、外紹は王種の姓。所謂道う、紹は是れ功、名は臣にして是れ偏中正。紹了えて功を転ずる、名は君にして是れ正中偏。」問う。「誕生は還た更に知聞するや無きや。」師は言った。「更に阿誰を知聞せん。」曰く、「かくの如くすれば則ち便ち是なるか莫しや。」師は言った。「若し是ならば、古人は何の故に道う誕生の王は父有りと。」曰く、「既に父有れば、何の故に知故に知聞せざる。」師は言った。「同時に祖を識らず。」問う。「古人は云く、直ちにかくの如く来らざるを得るも、猶お是れ兒孫と。意旨如何。」師は言った。「古人は謾語せず。」曰く、「如何なるか是れ来る底の兒孫。」師は言った。「猶お珍御を守りて在り。」曰く、「如何なるか是れ父。」師は言った。「帰るべき家無く、興すべき世無し。」問う。「諸の聖は間に出づ、只だ箇の語を伝うる底の人、豈に是れ和尚の語に非ずや。」師は言った。「是。」曰く、「只だ如し世尊の生まれて、一手は天を指し、一手は地を指し、云く天上天下、唯我独尊と。何の故に喚びて語を伝うる底の人と作す。」師は言った。「他が天を指し地を指すを為めて、喚びて語を伝うる底の人と作す所なり。」僧は礼拜して退いた。問う。「九重に信無きに、恩赦は何より来る。」師は言った。「流光は遍しと雖も、閫内は周らず。」曰く、「流光と閫内とは相去ること多少。」師は言った。「渌水は波を騰げ、青山は秀色なり。」問う。「人々尽く益を請うと言う、未だ審らかに師は何を将て拯済する。」師は言った。「汝道え、巨岳は還た曾て寸土を乏しくするや無きや。」曰く、「かくの如くすれば則ち四海に参尋するは、当に何を為めての事。」師は言った。「演若の頭を迷うは心自ら狂す。」曰く、「還た狂せざる者有るか。」師は言った。「有。」曰く、「如何なるか是れ狂せざる者。」師は言った。「突き暁けて途中に眼開かず。」問う。「如何なるか是れ学人の自己。」師は言った。「更に阿誰を問う。」曰く、「便ちかくの如く承当する時如何。」師は言った。「須弥は還た更に須弥を戴ぐ。」問う。「祖祖相い伝え、復た何の事を伝う。」師は言った。「釈迦は慳し、迦葉は富めり。」曰く、「如何なるか是れ釈迦の慳。」師は言った。「人と与にする物無し。」曰く、「如何なるか是れ迦葉の富。」師は言った。「国内の孟嘗君。」曰く、「畢竟伝うる底の事は作麼生。」師は言った。「百歳の老人は夜の燈を分かつ。」問う。「諸佛は我が道に非ず。如何なるか是れ我が道。」師は言った。「我は諸佛に非ず。」曰く、「既に諸佛に非ず、何の故に卻て我が道を立つ。」師は言った。「適来暫く喚び来れ。

如今卻遣出。曰。為甚麼卻遣出。師曰。若不遣出。眼裡塵生。問。一切處覓不得。豈不是聖。師曰。是甚麼聖。曰。牛頭未見四祖時。豈不是聖。師曰。是聖境未忘。曰。二聖相去幾何。師曰。塵中雖有隱形術。爭奈全身入帝鄉。問。古人道。因真立妄。從妄顯真。是否。師曰。是。曰。如何是真心。師曰。不雜食是。曰。如何是妄心。師曰。攀緣起倒是。曰。離此二途。如何是本體。師曰。本體不離。曰。為甚麼不離。師曰。不敬功德天。誰嫌黑暗女。問。盡乾坤都來是箇眼。如何是乾坤眼。師曰。乾坤在裡許。曰。乾坤眼何在。師曰。正是乾坤眼。曰。還照矚也無。師曰。不借三光勢。曰。既不借三光勢。憑何喚作乾坤眼。師曰。若不如是。髑髏前見鬼人無數。問。一筆丹青為甚麼邈誌公真不得。師曰。僧繇卻許誌公。曰。未審僧繇得甚麼人證旨。卻許誌公。師曰。烏龜稽首須彌柱。問。動容沉古路。身沒乃方知。此意如何。師曰。偷佛錢買佛香。曰。學人不會。師曰。不會即燒香供養本爺娘。師後住泐潭而終。諡大覺禪師。

(九峰続けて言った:)如今は卻て遣り出づ。」曰く、「何の故に卻て遣り出づ。」師は言った。「若し遣り出づるなくば、眼裏に塵生ぜん。」問う。「一切の処に覓め得ざれば、豈に是れ聖に非ずや。」師は言った。「是れ什麼の聖ぞ。」曰く、「牛頭は未だ四祖に見えざる時、豈に是れ聖に非ずや。」師は言った。「是れ聖境未だ忘れざるなり。」曰く、「二聖は相去ること幾何。」師は言った。「塵の中に形を隱すの術有ると雖も、争奈全身を帝郷に入るる。」問う。「古人は道う、真に因りて妄を立て、妄に従りて真を顕すと、是の否や。」師は言った。「是。」曰く、「如何なるか是れ真心。」師は言った。「食を雑えざる是れ。」曰く、「如何なるか是れ妄心。」師は言った。「縁に攀づれて倒れる是れ。」曰く、「此の二途を離れて、如何なるか是れ本体。」師は言った。「本体は離れず。」曰く、「何の故に離れざる。」師は言った。「功德天を敬わず、誰か黒暗女を嫌わん。」問う。「乾坤を尽くして来るは是れ箇の眼。如何なるか是れ乾坤の眼。」師は言った。「乾坤は裏許りに在り。」曰く、「乾坤の眼は何にか在る。」師は言った。「正に是れ乾坤の眼。」曰く、「還た照嘱するや無きや。」師は言った。「三光の勢いを借らず。」曰く、「既に三光の勢いを借らず、何に憑りて喚びて乾坤の眼と作す。」師は言った。「若し是の如くならざれば、髑髏の前に鬼を見る人無数ならん。」問う。「一笔の丹青は何の故に志公の真を邈するを得ざる。」師は言った。「僧繇は卻て志公を許す。」曰く、「未だ審らかに僧繇は什麼の人の証旨を得て、卻て志公を許す。」師は言った。「烏亀は須弥柱に稽首す。」問う。「容を動かして古路に沈み、身没して乃ち方に知る。此の意如何。」師は言った。「佛の銭を偸みて佛の香を買う。」曰く、「学人会せず。」師は言った。「会せざれば即ち香を焼きて本の爺娘を供養せよ。」師は後に泐潭に住して終る。諡は大覚禅師。

台州湧泉景欣禪師

台州涌泉景欣禅師

泉州人也。自石霜開示而止湧泉。一日。不披袈裟吃飯。有僧問。莫成俗否。師曰。即今豈是僧邪。彊.德二禪客於路次見師騎牛。不識師。忽曰。蹄角甚分明。爭柰騎者不鑒。師驟牛而去。彊.德憩於樹下煎茶。師回。卻下牛問曰。二禪客近離甚麼處。彊曰。那邊。師曰。那邊事作麼生。彊提起茶盞。師曰。此猶是這邊事。那邊事作麼生。彊無對。師曰。莫道騎者不鑒好。上堂。我四十九年在這裡。尚自有時走作。汝等諸人莫開大口。見解人多。行解人萬中無一箇。見解言語總要知通。若識不盡。敢道輪回去在。為何如此。蓋為識漏未盡。汝但盡卻今時。始得成立。亦喚作立中功。轉功就他去。亦喚作就中功。親他去。我所以道。親人不得度。渠不度親人。恁麼譬喻。尚不會薦取渾崙底。但管取性。亂動舌頭。不見洞山道。相續也大難。汝須知有此事。若不知有啼。哭有日在。上堂。拍盲不見佛。開眼遇途人。借問途中事。渠無丈六身。不從五天來。漢地不曾踏。不是張家生。誰雲李家子。三人拄一杖.臥一床。似伊不似伊。拈來搭肩上。為他十八兒。論不奈伊何。

泉州の人なり。石霜より開示して涌泉に止まる。ある日、袈裟を披かずして飯を喫す。僧有りて問うた。「俗と成るか莫しや。」師は言った。「即今豈に是れ僧邪。」強、徳の二禅客は路次に於て師の牛に騎るを見、師を識らず、忽ち言った。「蹄角は甚だ分明なれど、争奈騎る者の鑑みざる。」師は牛を驟らせて去った。強、徳は樹の下に憩いて茶を煎ず。師は回りて、卻て牛を下りて問うて言った。「二禅客は近く什麼の処を離れた。」強は言った。「あちら。」師は言った。「あちらの事は作麼生。」強は茶盞を提起した。師は言った。「此れ猶お是れこちらの事。あちらの事は作麼生。」強は対無し。師は言った。「騎る者の鑑みざることを道う莫れと好まん。」上堂して言った。「我は四十九年這裏に在りて、尚お自ら時有りて走作す。汝等諸人は大口を開く莫れ。見解する人多し、行解する人は万の中に一箇無し。見解言語は総て知通を要す。若し識り尽くさざれば、敢えて道わん輪回在り去らんと。何を為めて此の如く。蓋し識漏未だ尽きざるを為めて。汝但だ今時を尽く却けて、始めて成立を得、亦た喚びて中を立つの功と作す。功を転じて他に就けて去る、亦た喚びて中に就くの功と作す。他に親しみて去れ。我が所謂道う、親き人は度を得ず、渠は親き人を度せずと。かくの如く譬喩すれども、尚お渾侖の底を薦取せざるを会せず、但だ性を管取して、乱りに舌頭を動かす。洞山の道うを見ざるや、相続くもも大いに難しと。汝は須く知るべし此の事有るを。若し啼有るを知らざれば、哭する日有らん。」上堂して言った。「盲を拍して佛を見ず、眼を開きて途人に遇う。借りて途中の事を問わん、渠は丈六の身無し。五天より来たらず、漢地に曾て踏まず。是れ張家に生ぜず、誰か李家の子と云わん。三人は一杖を拄き、一床に臥す。伊に似たるか伊に似ざるか、拈じ来たりて肩上に搭る、他の十八兒を為る、奈んに伊を如何ともせず。」

潭州雲葢山志元圓淨禪師

潭州雲蓋山志元円浄禅師

遊方時問雲居曰。志元不奈何時如何。居曰。祇為闍黎功力不到。師不禮拜。直造石霜。亦如前問。霜曰。非但闍黎。老僧亦不奈何。師曰。和尚為甚麼不奈何。霜曰。老僧若奈何。拈過汝不奈何。師便禮拜。僧問石霜。萬戶俱閉即不問。萬戶俱開時如何。霜曰。堂中事作麼生。僧無對。經半年。方始下一轉語曰。無人接得渠。霜曰。道即太煞道。祇道得八成。曰。和尚又且如何。霜曰。無人識得渠。師知乃禮拜。乞為舉。霜不肯。師乃抱霜上方丈曰。和尚若不道。打和尚去在。霜曰。得在。師頻禮拜。霜曰。無人識得渠。師於言下頓省。住後。僧問。如何是佛。師曰。黃面底是。曰。如何是法。師曰。藏裡是。問。然燈未出時如何。師曰。昧不得。問。蛇為甚麼吞卻師。師曰。通身色不同。問。如何是衲僧。師曰。參尋訪道。潭州道正表聞馬王。乞師論義。王請師上殿相見。茶罷。師就王乞劒。師握劒問道正曰。你本教中道。恍恍惚惚。其中有物。是何物。杳杳冥冥。其中有精。是何精。道得不斬。道不得即斬。道正茫然。便禮拜懺悔。師謂王曰。還識此人否。王曰。識。師曰。是誰。王曰。道正。師曰。不是。其道若正。合對得臣僧。此祇是箇無主孤魂。因茲道士更不紛紜。

方を游ぶ時に雲居に問うて言った。「志元は奈何せざる時如何。」居は言った。「只だ闍黎の功力の到らざるを為めて。」師は礼拜せず、直ちに石霜に造りて、亦た前の如く問うた。霜は言った。「非但だ闍黎、老僧も亦た奈何せず。」師は言った。「和尚は何の故に奈何せざる。」霜は言った。「老僧若し奈何せば、汝の奈何せざるを拈じ過さん。」師は便ち礼拜した。僧は石霜に問うた。「万戸倶に閉ずれば即ち問わず。万戸倶に開く時如何。」霜は言った。「堂の中の事は作麼生。」僧は対無し。半年を経て、方に始めて一転の語を下して言った。「渠を接し得る人無し。」霜は言った。「道うも太も殺して道う、只だ八成を道い得るのみ。」曰く、「和尚は又且く如何。」霜は言った。「渠を識り得る人無し。」師は知りて乃ち礼拜し、為に挙げんことを乞う。霜は肯んぜず。師は乃ち霜を抱きて方丈に上りて言った。「和尚若し道わざれば、和尚を打ちて去る在り。」霜は言った。「得る在り。」師は頻りに礼拜した。霜は言った。「渠を識り得る人無し。」師は言下に頓ちに省りた。住の後。僧が問うた。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「黄なる面の底是れ。」曰く、「如何なるか是れ法。」師は言った。「蔵の裏是れ。」問う。「然灯は未だ出でざる時如何。」師は言った。「昧うるを得ざれ。」問う。「蛇は何を為めて師を呑み却けた。」師は言った。「通身の色同じからず。」問う。「如何なるか是れ衲僧。」師は言った。「尋訪を参じて道を求む。」潭州の道正は表して馬王に聞ゆ、師に義を論ぜんことを乞う。王は師を請じて殿に上りて相見えしむ。茶を罷めて、師は王に就きて剣を乞う。師は剣を握りて道正に問うて言った。「汝の本教の中に道う、恍恍として惚惚、其の中に物有りと。是れ何の物ぞ。杳杳として冥冥、其の中に精有りと。是れ何の精ぞ。道い得れば斬らず、道い得ざれば即ち斬る。」道正は茫然として、便ち礼拜して懺悔す。師は王に謂うて言った。「還た此の人を識るか否や。」王は言った。「識る。」師は言った。「是れ誰ぞ。」王は言った。「道正。」師は言った。「不是。其の道若し正ならば、合して臣僧に対し得べし。此れ只だ箇の主無き孤魂。」茲に因りて道士は更に紛紜せず。

潭州谷山藏禪師

潭州谷山蔵禅師

僧問。法尚應捨。何況非法。如何是法尚應捨。師曰。空裡撒醍醐。曰。如何是非法。師曰。嵩山道士詐明頭。問。逼迫出來時如何。師曰。還曾拶著汝麼。

僧が問うた。「法も尚お舎つべし、況んや法に非ざるをや。如何なるか是れ法も尚お舎つべし。」師は言った。「空の裏に醍醐を撒く。」曰く、「如何なるか是れ非法。」師は言った。「嵩山の道士は明頭を詐る。」問う。「逼迫して出で来たる時如何。」師は言った。「還た曾て汝を拶き著けしか。」

潭州中雲葢禪師

潭州中雲蓋禅師

僧問。和尚開堂。當為何事。師曰。為汝驢漢。曰。諸佛出世。當為何事。師曰。為汝驢漢。問。祖佛未出世時如何。師曰。像不得。曰。出世後如何。師曰。闍黎也須側身始得。問。如何是向上一句。師曰。文殊失卻口。曰。如何是門頭一句。師曰。頭上插花子。問。如何是超百億。師曰。超人不得肯。

僧が問うた。「和尚の堂を開く、当に何を為めての事。」師は言った。「汝の驢の漢を為めて。」曰く、「諸佛の出世は、当に何を為めての事。」師は言った。「汝の驢の漢を為めて。」問う。「祖佛は未だ出世せざる時如何。」師は言った。「像すを得ず。」曰く、「出世して後如何。」師は言った。「闍黎も須く身を側けて始めて得。」問う。「如何なるか是れ上に向うの一句。」師は言った。「文殊は口を失い却けり。」曰く、「如何なるか是れ門頭の一句。」師は言った。「頭の上に花子を挿す。」問う。「如何なるか是れ百億を超ゆ。」師は言った。「人を超ゆるは肯を得ず。」

河中南際山僧一禪師

河南際山僧一禅師

僧問。幸獲親近。乞師指示。師曰。我若指示。即屈著汝。曰。教學人作麼生即是。師曰。切忌是非。問。如何是衲僧氣息。師曰。還曾薰著汝也無。問。同類即不問。如何是異類。師曰。要頭斫將去。問。如何是法身主。師曰。不過來。問。如何是毗盧師。師曰。不超越。師終於長慶。諡本淨大師。

僧が問うた。「幸いに親近を獲、師の指示を乞う。」師は言った。「我若し指示せば、即ち汝を屈し著けん。」曰く、「学人をして作麼生せしめば即ち是れ。」師は言った。「切に是非を忌め。」問う。「如何なるか是れ衲僧の気息。」師は言った。「還た曾て汝を薫し著けしたるや無きや。」問う。「同類は即ち問わず。如何なるか是れ異類。」師は言った。「頭を要し斫り将て去れ。」問う。「如何なるか是れ法身の主。」師は言った。「来たらず。」問う。「如何なるか是れ毘盧の師。」師は言った。「超越せず。」師は長慶に終す。諡は本浄大師。

廬山棲賢懷祐禪師

廬山栖賢懐祐禅師

泉州人也。僧問。如何是五老峰前事。師曰。萬古千秋。曰。恁麼則成絕嗣去也。師曰。躊躇欲與誰。問。自遠趨風。請師激發。師曰。他不憑時。曰。請師憑時。師曰。我亦不換。問。如何是法法無差。師曰。雪上更加霜。上堂。若會此箇事。無有下口處。問。如何是祖師西來意。師曰。井底寒蟾。天中明月。

泉州の人なり。僧が問うた。「如何なるか是れ五老峰の前の事。」師は言った。「万古千秋。」曰く、「かくの如くすれば則ち嗣を絶ちて去らん。」師は言った。「躊躇して誰と与にせんと欲す。」問う。「遠より風に趨りて、師の激発を請う。」師は言った。「他は時に憑らず。」曰く、「師の時に憑るを請う。」師は言った。「我も亦た換えず。」問う。「如何なるか是れ法法差なし。」師は言った。「雪の上に更に霜を加う。」上堂して言った。「若し此の箇の事を会せば、下口の処有ること無し。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「井底の寒蟾、天中の明月。」

福州覆船山洪薦禪師

福州覆船山洪荐禅師

僧問。如何是本來面目。師便閉目吐舌。又開目吐舌。曰。本來有許多面目。師曰。適來見甚麼。僧無語。問。如何是師子。師曰。善哮吼。僧拊掌曰。好手。好手。師曰。青天白日。卻被鬼迷。僧作掀禪床勢。師便打。曰。驢事未去。馬事到來。師曰。灼然作家。僧拂袖便出。師曰。將甌盛水。擬比大洋。問。如何是玄妙。師曰。未聞已前。道吾問。久嚮和尚會禪。是否。師曰。蒼天。蒼天。吾近前掩師口。曰。低聲。低聲。師與一掌。吾曰。蒼天。蒼天。師把住曰。得恁麼無禮。吾卻與一掌。師曰。老僧罪過。吾拂袖便行。師呵呵大笑曰。早知如是。不見如是。僧參。師便作起勢。僧便出。師曰。闍黎且來人事。僧回作抽坐具勢。師卻歸方丈。僧曰。蒼天。蒼天。師曰。龍頭蛇尾。僧近前叉手立。師曰。敗將投王。不存性命。問。抱璞投師。師還接否。師以手拍香臺。僧禮拜。師曰。禮拜則不無。其中事作麼生。僧卻拍香臺。師曰。舌頭不出口。師將示寂。三日前令侍者喚第一座來。師臥。出氣一聲。座喚侍者曰。和尚渴。要湯水吃。師乃面壁而臥。臨終令集眾。乃展兩手出舌示之。時第三座曰。諸人。和尚舌根硬也。師曰。苦哉。苦哉。誠如第三座所言。舌根硬去也。言訖而寂。諡紹隆大師。

僧が問うた。「如何なるか是れ本来の面目。」師は便ち目を閉じて舌を吐き、又目を開きて舌を吐く。曰く、「本来は許多の面目有り。」師は言った。「適来什麼を見た。」僧は語無し。問う。「如何なるか是れ師子。」師は言った。「善く哮吼す。」僧は掌を撫して言った。「好手、好手。」師は言った。「青天白日、卻て鬼に迷わさる。」僧は禅床を掀る勢いを作した。師は便ち打った。曰く、「驢の事は未だ去らず、馬の事は到来す。」師は言った。「灼然作家。」僧は袖を拂いて便ち出た。師は言った。「甌を将て水を盛り、大洋に比せんと拟す。」問う。「如何なるか是れ玄妙。」師は言った。「未だ聞えざる已前。」道吾が問うた。「久しく和尚の禅を会すを響かす、是の否や。」師は言った。「蒼天、蒼天。」吾は前に近りて師の口を掩うて、曰く、「声を低くせよ、声を低くせよ。」師はと与に一掌。吾は言った。「蒼天、蒼天。」師は把り住めて言った。「かくの如く礼無きを得たり。」吾は卻てと与に一掌。師は言った。「老僧罪過なり。」吾は袖を拂いて便ち行った。師は呵呵と大笑して言った。「早く是の如しを知らば、是の如しを見ざらん。」僧参ず。師は便ち起つ勢いを作した。僧は便ち出た。師は言った。「闍黎且く来りて人事せよ。」僧は回りて坐具を抽く勢いを作した。師は卻て方丈に帰った。僧は言った。「蒼天、蒼天。」師は言った。「龍頭蛇尾。」僧は前に近りて手を叉ぎて立つ。師は言った。「敗将は王に投ぐ、性命を存せず。」問う。「璞を抱きて師に投ぐ、師は還た接するか否や。」師は手を以って香台を拍つ。僧は礼拜した。師は言った。「礼拜は則ち無からざれど、其の中の事は作麼生。」僧は卻て香台を拍った。師は言った。「舌頭は口を出でず。」師は将に寂を示さんとして、三日前に侍者をして第一座を喚び来たらしむ。師は臥して、気を出づること一声。座は侍者を喚びて言った。「和尚は渇したり、湯水を喫せんと要す。」師は乃ち壁に面して臥す。終に臨みて衆を集めしめ、乃ち両手を展げて舌を出でて之に示す。時に第三座は言った。「諸人、和尚の舌根は硬し。」師は言った。「苦しい哉、苦しい哉。誠に第三座の言う所の如く、舌根は硬くして去れり。」言い訖りて寂す。諡は紹隆大師。

鼎州德山存德慧空禪師

鼎州徳山存徳慧空禅師

僧問。如何是一句。師曰。更請問。問。如何是和尚先陀婆。師曰。昨夜三更見月明。

僧が問うた。「如何なるか是れ一句。」師は言った。「更に問うことを請え。」問う。「如何なるか是れ和尚の先陀婆。」師は言った。「昨夜三更に月明を見たり。」

吉州崇恩禪師

吉州崇恩禅師

僧問。祖意教意是同是別。師曰。少林雖有月。蔥嶺不穿雲。問。如何是類。師曰。奈何橋畔嘶聲切。劒樹林中去復來。

僧が問うた。「祖意と教意とは同なるか別なるか。」師は言った。「少林に月有りと雖も、葱嶺は雲を穿たず。」問う。「如何なるか是れ類。」師は言った。「奈何橋の畔は嘶声切なり、剣樹の林の中は去りて復た来る。」

石霜暉禪師

石霜暉禅師

僧問。世尊出世。先度五俱輪。和尚出世。先度何人。師曰。總不度。曰。為甚麼不度。師曰。為伊不是五俱輪。

僧が問うた。「世尊の出世は、先ず五倶輪を度せり。和尚の出世は、先ず何人を度せん。」師は言った。「総て度さず。」曰く、「何の故に度せざる。」師は言った。「伊が是れ五倶輪に非ざるを為めて。」

郢州芭蕉禪師

郢州芭蕉禅師

僧問。從上宗乘。如何舉唱。師曰。已被人冷眼覷破了。問。不落諸緣。請師直指。師曰。有問有答。問。如何是和尚為人一句。師曰。祗恐闍黎不問。問。如何是向去底人。師曰。董家稚子聲聲哭。曰。如何是卻來底人。師曰。枯木驪龍露爪牙。

僧が問うた。「従上の宗乗は、如何に挙唱せん。」師は言った。「已に人の冷眼に覗かれ破られたり。」問う。「諸縁に落ちず、師の直指を請う。」師は言った。「問有りて答有り。」問う。「如何なるか是れ和尚の人の為めの一句。」師は言った。「只だ恐らくは闍黎が問わざらんことを。」問う。「如何なるか是れ向き去る底の人。」師は言った。「董家の稚子は声々に哭く。」曰く、「如何なるか是れ卻って来る底の人。」師は言った。「枯木の驪龍は爪牙を露す。」

潭州肥田慧覺伏禪師

潭州肥田慧覚伏禅師

僧問。如何是未出世邊事。師曰。髻中珠未解。石女斂雙眉。曰。出世後如何。師曰。靈龜呈卦兆。失卻自家身。問。此地名甚麼。師曰。肥田。曰。宜種甚麼。師便打。師有偈曰。修多好句枉工夫。返本還源是大愚。祖佛不從修證得。縱行玄路也崎嶇。

僧が問うた。「如何なるか是れ未だ出世せざる辺の事。」師は言った。「髻の中の珠は未だ解けず、石女は双眉を斂す。」曰く、「出世して後如何。」師は言った。「霊亀は卦兆を呈すれど、自家の身を失い却けり。」問う。「此の地は什麼と名づく。」師は言った。「肥田。」曰く、「什麼を種くに宜しい。」師は便ち打った。師は偈有りて言った。「修多の好句は枉げて工夫を費やし、本に返り源に還るは是れ大愚。祖佛は修証に従りて得ず、縦に玄路を行くもも亦た嶇なり。」

潭州鹿苑暉禪師

潭州鹿苑暉禅師

僧問。不假諸緣。請師道。師敲火爐曰。會麼。曰。不會。師曰。瞌睡漢。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。如月在水。曰。見後如何。師曰。如水在月。問。祖祖相傳。未審傳箇甚麼。師曰。汝問我。我問汝。曰。恁麼則緇素不分也。師曰。甚麼處去來。

僧が問うた。「諸縁を仮らず、師の道わんことを請う。」師は火炉を敲きて言った。「会するか。」曰く、「会せず。」師は言った。「瞌睡の漢。」問う。「牛頭は未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「月の水に在るが如し。」曰く、「見えて後如何。」師は言った。「水の月に在るが如し。」問う。「祖祖相い伝え、未だ審らかに箇の什麼を伝う。」師は言った。「汝我に問わば、我汝に問わん。」曰く、「かくの如くすれば則ち緇素分かれざらん。」師は言った。「什麼の処より去り来たる。」

潭州寶葢約禪師

潭州宝葢約禅師

僧問。寶葢高高掛。其中事若何。請師言下旨。一句不消多。師曰。寶葢掛空中。有路不曾通。儻求言下旨。便是有西東。

僧が問うた。「宝葢は高く挂け、其の中の事は若何。師の言下の旨を請う、一句は多を消さず。」師は言った。「宝葢は空中に挂く、路有りて曾て通ぜず。倘し言下の旨を求めば、便ち是れ西東有り。」

越州雲門山拯迷寺海晏禪師

越州雲門山拯迷寺海晏禅師

僧問。如何是衲衣下事。師曰。如齩硬石頭。問。如何是古寺一爐香。師曰。歷代無人齅。曰。齅者如何。師曰。六根俱不到。問。久嚮拯迷。到來為甚麼不見拯迷。師曰。闍黎不識拯迷。

僧が問うた。「如何なるか是れ衲衣下の事。」師は言った。「硬き石頭を咬むが如し。」問う。「如何なるか是れ古寺の一炉の香。」師は言った。「歴代に嗅ぐ人無し。」曰く、「嗅ぐ者は如何。」師は言った。「六根倶に到らず。」問う。「久しく拯迷を響かす、到り来たりて何を為めて拯迷を見ざる。」師は言った。「闍黎は拯迷を識らず。」

湖南文殊禪師

湖南文殊禅師

僧問。僧繇為甚麼邈誌公真不得。師曰。非但僧繇。誌公也邈不得。曰。誌公為甚麼邈不得。師曰。彩繪不將來。曰。和尚還邈得也無。師曰。我亦邈不得。曰。和尚為甚麼邈不得。師曰。渠不以苟我顏色。教我作麼生邈。問。如何是密室。師曰。緊不就。曰。如何是密室中人。師曰。不坐上色牛。

僧が問うた。「僧繇は何を為めて志公の真を邈するを得ざる。」師は言った。「非但だ僧繇、志公も亦た邈するを得ず。」曰く、「志公は何を為めて邈するを得ざる。」師は言った。「彩絵は将て来たらず。」曰く、「和尚は還た邈するを得るや無きや。」師は言った。「我も亦た邈するを得ず。」曰く、「和尚は何を為めて邈するを得ざる。」師は言った。「渠は我が顔色を苟めて以らず、我をして作麼生に邈らしむ。」問う。「如何なるか是れ密室。」師は言った。「緊きに就かず。」曰く、「如何なるか是れ密室の中の人。」師は言った。「上色の牛に坐せず。」

鳳翔府石柱禪師

鳳翔府石柱禅師

遊方時到洞山。時虔和尚垂語曰。有四種人。一人說過佛祖。一步行不得。一人行過佛祖。一句說不得。一人說得行得。一人說不得行不得阿那箇是其人師出眾曰。一人說過佛祖行不得者。祇是無舌不許行。一人行過佛祖一句說不得者。祇是無足不許說。一人說得行得者。祇是函葢相稱。一人說不得行不得者。如斷命求活。此是石女兒。披枷帶鎻。山曰。闍黎分上作麼生。師曰。該通分上卓卓寧彰。山曰。祇如海上明公秀又作麼生。師曰。幻人相逢。拊掌呵呵。

方を游ぶ時に洞山に到る。時に虔和尚は語を垂れて言った。「四種の人有り。一人は説きて佛祖を過ぐれども、一歩も行くことを得ず。一人は行きて佛祖を過ぐれども、一句も説くことを得ず。一人は説くことを得て行くことを得。一人は説くことを得ず行くことを得ず。阿那箇是れ其の人。」師は衆を出でて言った。「一人は説きて佛祖を過ぐれども行くことを得ざる者は、只だ是れ舌無くして行くを許されざるなり。一人は行きて佛祖を過ぐれども一句説くことを得ざる者は、只だ是れ足無くして説くを許されざるなり。一人は説くことを得て行くことを得る者は、只だ是れ函蓋相称なり。一人は説くことを得ず行くことを得ざる者は、命を断じて活を求むるが如し。此れ是れ石女の兒、枷を披き鎖を帯ぶ。」山は言った。「闍黎の分上は作麼生。」師は言った。「該通の分上は卓卓として寧ろ彰らか。」山は言った。「只だ如し海上の明公秀は又作麼生。」師は言った。「幻人相い逢う、掌を撫して呵呵。」

河中府棲巖山大通院存壽禪師

河中府栖巌山大通院存寿禅師

初講經論。後於石霜之室忘筌。住後。僧問。如何是和尚得力處。師曰。不居無理位。豈坐白牛車。問。蓮華未出水時如何。師曰。汝莫問出水後蓮華事麼。僧無語。師平居罕言。叩之則應。諡真寂禪師。

初め経論を講じ、後に石霜の室に於て筌を忘れた。住の後。僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の力を得る処。」師は言った。「理無きの位に居らず、豈に白牛車に坐さんや。」問う。「蓮華は未だ水を出でざる時如何。」師は言った。「汝水を出でて後の蓮華の事を問うか莫しや。」僧は語無し。師は平居言を罕み、之を叩けば則ち応ず。諡は真寂禅師。

南嶽玄泰禪師

南嶽玄泰禅師

沉靜寡言。未甞衣帛。時謂之泰布衲。始見德山。陞於堂矣。後謁石霜。遂入室焉。掌翰二十年。與貫休齊己為友。後居蘭若。曰金剛臺。誓不立門徒。四方後進依附。皆用交友之禮。甞以衡山多被山民斬伐燒畬。為害滋甚。乃作畬山謠曰。畬山兒。畬山兒。無所知。年年斫斷青山嵋。就中最好衡嶽色。杉松利斧摧貞枝。靈禽野鶴無因依。白雲迴避青煙飛。猿猱路絕巖崖出。芝朮失根茆草肥。年年斫罷仍再鉏。千秋終是難復初。又道今年種不來。來年更斫當陽坡。國家嶽域向如此。不知此理如之何。遠邇傳播。達於九重。有詔禁止。故嶽中蘭若無復延燎。師之力也。將示滅。乃召一僧令備薪蒸。留偈曰。今年六十五。四大將離主。其道自玄玄。箇中無佛祖。不用剃頭。不須澡浴。一堆猛火。千足萬足。端坐垂一足而逝。闍維收舍利。建塔於迎雲亭側。

沈静にして言を寡み、未だ嘗て帛を衣せず、時に之を泰布衲と謂う。始めて徳山に見え、堂に升る。後に石霜に謁し、遂に室に入る。翰を掌ること二十年、貫休・斉己と友と為る。後に蘭若に居りて、金剛台と曰う。誓って門徒を立てず、四方の後進は依り附くも、皆交友の礼を用う。嘗て衡山の多く山民に斬伐焼畬せられ、害滋いで甚だしきを以って、乃ち畬山の謡を作して言った。「畬山兒、畬山兒、知る所無し、年年青山の嵋を斫断す。就中に最も好ましきは衡嶽の色、杉松の利斧は貞枝を摧く。霊禽野鶴は因依無く、白雲は回避し青煙は飛ぶ。猿猱は路絶えて巌崖出で、芝朮は根を失い茅の草は肥ゆ。年年斫ぎ罷みて仍お再び鋤く、千秋終に初に復し難し。又道う今年種って来たらず、来年更に当陽の坡を斫らんと。国家の岳域は此の如くなるに向かう、此の理を知らざれば如之何。」遠邇伝播して、九重に達す。詔有りて禁止す。故に岳中の蘭若は復た延燎無し、師の力なり。将に滅を示さんとして、乃ち一僧を召して薪蒸を備えしめ、偈を留めて言った。「今年六十五、四大将に主を離れんとす。其の道は自ら玄玄、箇の中に佛祖無し。頭を剃るを用いず、澡浴するを須いず。一堆の猛火、千足万足。」端坐して一足を垂れて逝く。闍維して舎利を収め、迎雲亭の側に塔を建つ。

潭州雲葢禪師

潭州雲蓋禅師

僧問。佛未出世時如何。師曰。月中藏玉兔。曰。出後如何。師曰。日裡背金烏。問。不可以情測時如何。師曰。無舌童兒機智盡。風穴參。師問。石角穿雲路。攜笻意若何。穴曰。紅霞籠玉象。擁嶂照川源。師曰。相隨來也。穴曰。和尚也須低聲。師曰。且坐吃茶。

僧が問うた。「佛は未だ出世せざる時如何。」師は言った。「月の中に玉兎を蔵す。」曰く、「出でて後如何。」師は言った。「日の裏に金烏を背う。」問う。「情を以って測る可からざる時如何。」師は言った。「舌無き童兒は機智尽きたり。」風穴が参ず。師は問うた。「石角は雲を穿つの路、笻を携うの意は若何。」穴は言った。「紅霞は玉象を籠め、嶂を擁して川源を照らす。」師は言った。「相い随い来たれり。」穴は言った。「和尚も須く声を低くすべし。」師は言った。「且く坐して茶を喫せよ。」

邵武軍龍湖普聞禪師

邵武軍龍湖普聞禅師

唐僖宗太子也。幼不茹葷。長無經世意。僖宗鍾愛之。然百計陶寫。終不能回。中和初。僖宗幸蜀。師斷髮逸遊。人無知者。造石霜。問曰。祖師別傳事。肯以相付乎。霜曰。莫謗祖師。師曰。天下宗旨盛大。豈妄為之邪。霜曰。是實事那。師曰。師意如何。霜曰。待案山點頭。即向汝道。師於言下頓省。辭去至邵武城外。見山鬱然深秀。遂撥草。至煙起處。有一苦行居焉。苦行見師至。乃曰。上人當興此。長揖而去。師居十餘年。一日有一老人拜謁。師問。住在何處。至此何求。老人曰。住在此山。然非人。龍也。行雨不職。上天有罰當死。願垂救護。師曰。汝得罪上帝。我何能致力。雖然。可易形來。俄失老人所在。視坐傍有一小蛇。延緣入袖。至暮雷電震山。風雨交作。師危坐不傾。達旦晴霽。垂袖。蛇墮地而去。有頃。老人拜而泣曰。自非大士慈悲。為血腥穢此山矣。念何以報斯恩。即穴巖下為泉。曰。此泉為他日多眾之設。今號龍湖。邦人聞其事。施財施力。相與建寺。衲子云趨。師闡化三十餘年。臨示寂聲鍾集眾。說偈曰。我逃世難來出家。宗師指示箇歇處。住山聚眾三十年。尋常不欲輕分付。今日分明說似君。我斂目時齊聽取。安然而逝。塔於本山。諡圓覺禪師。

唐の僖宗の太子なり。幼にして葷を茹でず、長じて経世の意無し。僖宗は之を鍾愛すれども、然し百計陶写するも、終に回せる能わず。中和の初、僖宗は蜀に幸す。師は髪を断ちて逸游し、人の知る者無し。石霜に造りて、問うて言った。「祖師の別伝の事、肯んじて以って相い付する乎。」霜は言った。「祖師を謗る莫れ。」師は言った。「天下の宗旨は盛大なり、豈に妄りに之を為す邪。」霜は言った。「是れ実事那。」師は言った。「師の意は如何。」霜は言った。「案山の点头を待ちて、即ち汝に向いて道わん。」師は言下に頓ちに省りた。辞して去りて邵武の城外に至り、山の郁然として深秀なるを見、遂に草を拨く。煙の起こる処に至るに、一苦行有りて焉に居る。苦行は師の至るを見て、乃ち言った。「上人は当に此を興すべし。」長揖して去った。師は居ること十余年。ある日一老人有りて拜謁す。師は問うた。「住は何の処に在る、此に至りて何を求む。」老人は言った。「此の山に住す。然れども人に非ず、竜なり。雨を行いて職せず、上天に罰有りて当に死すべし。願わくは救護を垂れたまえ。」師は言った。「汝は上帝に罪を得たり、我何ぞ能く力を致さん。然りと雖も、形を易えて来るべし。」俄に老人の在所を失す。坐の傍を視るに一小蛇有りて、縁を延べて袖に入る。暮に至りて雷電は山を震い、風雨交り作る。師は危坐して傾かず。旦に達して晴れ霁れたり。袖を垂れれば、蛇は地に堕ちて去った。有頃、老人は拜して泣きて言った。「大士の慈悲に非ざれば、血腥を以って此の山を穢さんとせり。念う何を以って斯の恩に報いん。」即ち巌の下を穴りて泉と為して、言った。「此の泉は他日の多衆の設と為る。」今号して龍湖とす。邦人其の事を聞きて、財を施し力を施し、相い与に寺を建つ。衲子は雲の趨るが如し。師は化を闡くこと三十余年。寂を示すに臨みて鐘を聲して衆を集め、偈を説きて言った。「我は世の難を逃れて出家せり、宗師は箇の歇む処を指示す。山に住して衆を聚むる三十年、尋常は軽んじて分付せんと欲せず。今日分明に君に説き似せん、我が目を斂む時に斉しく聴き取れ。」安然として逝く。本山に塔す。諡は円覚禅師。

張拙秀才

張拙秀才

因禪月大師指參石霜。霜問。秀才何姓。曰。姓張名拙。霜曰。覓巧尚不可得。拙自何來。公忽有省。乃呈偈曰。光明寂照徧河沙。凡聖含靈共我家。一念不生全體現。六根才動被雲遮。斷除煩惱重增病。趣向真如亦是邪。隨順世緣無𦊱礙。涅槃生死等空花。

禅月大師に指されて石霜に参ずるに因り。霜は問うた。「秀才は何の姓ぞ。」曰く、「姓は張、名は拙。」霜は言った。「巧を覓むるも尚お得る可からず、拙は自ら何より来る。」公は忽ち省る所有りて、乃ち偈を呈して言った。「光明の寂照は河沙に遍く、凡聖の含霊は共に我が家なり。一念生ぜざれば全体現れ、六根纔かに動けば雲に遮られん。煩悩を断せば重ねて病を増し、真如に趣向するも亦た是れ邪なり。世縁に随順して罣礙無ければ、涅槃と生死とは空花に等し。」

夾山會禪師法嗣

夾山会禅師法嗣

澧州洛浦山元安禪師

澧州洛浦山元安禅師

鳳翔麟遊人也。丱年出家。具戒通經論。問道臨濟。後為侍者。濟甞對眾美之曰。臨濟門下一隻箭。誰敢當鋒。師蒙印可。自謂已足。一日侍立次。有座主參濟。濟問。有一人於三乘十二分教明得。有一人不於三乘十二分教明得。且道此二人是同是別。主曰。明得即同。明不得即別。師曰。這裡是甚麼所在。說同說別。濟顧師曰。汝又作麼生。師便喝。濟送座主回。問師。汝豈不是適來喝老僧者。師曰。是。濟便打。師後辭濟。濟問。甚麼處去。師曰。南方去。濟以拄杖畫一畫。曰。過得這箇便去。師乃喝。濟便打。師作禮而去。濟明日陞堂曰。臨濟門下有箇赤梢鯉魚。搖頭擺尾。向南方去。不知向誰家虀甕裡淹殺。師遊歷罷。直往夾山卓庵。經年不訪夾山。山乃修書。令僧馳往。師接得便坐卻。再展手索。僧無對。師便打。曰。歸去舉似和尚。僧回舉似。山曰。這僧若開書。三日內必來。若不開書。斯人救不得也。師果三日後至。見夾山不禮拜。乃當面叉手而立。山曰。鷄棲鳳巢。非其同類。出去。師曰。自遠趨風。請師一接。山曰。目前無闍黎。此間無老僧。師便喝。山曰。住。住。且莫草草怱怱。雲月是同。谿山各異。截斷天下人舌頭即不無。闍黎。爭教無舌人解語。師佇思。山便打。因茲服膺(興化代雲。但知作佛。莫愁眾生)。一日問山。佛魔不到處如何體會。山曰。燭明千里像。闇室老僧迷。又問。朝陽已昇。夜月不現時如何。山曰。龍銜海珠。遊魚不顧。山將示滅。垂語曰。石頭一枝。看看即滅矣。師曰。不然。山曰。何也。師曰。他家自有青山在。山曰。苟如是。即吾宗不墜矣。暨夾山順世。師抵於涔陽。遇故人因話武陵事。問曰。倐忽數年。何處逃難。師曰。秖在闤闠中。曰。何不向無人處去。師曰。無人處有何難。曰。闤闠中如何逃避。師曰。雖在闤闠中。要且人不識。故人罔測。

鳳翔麟游の人なり。丱年に出家し、戒を具えて経論に通ず。道を臨済に問い、後に侍者と為る。済は嘗て衆に対して之を美して言った。「臨済の門下に一只の箭有り、誰か敢えて鋒に当たらん。」師は印可を蒙り、自ら已に足れりと謂う。ある日侍立する次に、座主有りて済に参ず。済は問うた。「一人有りて三乗十二分教に於て明らめ得、一人有りて三乗十二分教に於て明らめ得ず。且く道え此の二人は是れ同なるか別なるか。」主は言った。「明らめ得れば即ち同、明らめ得ざれば即ち別。」師は言った。「這裏は什麼の所在ぞ、同を説き別を説く。」済は師を顧みて言った。「汝は又作麼生。」師は便ち喝した。済は座主を送りて回り、師に問うた。「汝は豈に是れ適来老僧を喝した者に非ずや。」師は言った。「是。」済は便ち打った。師は後に済を辞す。済は問うた。「什麼の処に去る。」師は言った。「南方に去る。」済は拄杖を以って一画を画きて、言った。「這箇を過ぎ得れば便ち去れ。」師は乃ち喝した。済は便ち打った。師は礼を作して去った。済は明日堂に升りて言った。「臨済の門下に箇の赤梢の鯉魚有り、頭を摇り尾を摆して、南方に向いて去れり。知らず誰が家の齏の瓮裏に向いて淹れ殺さん。」師は游歴を罷め、直ちに夾山に往きて庵を卓す。年を経て夾山を訪わず。山は乃ち書を修め、僧をして馳せ往かしむ。師は接し得て便ち坐して却け、再び手を展げて索めた。僧は対無し。師は便ち打ちて、言った。「帰りて和尚に挙似せよ。」僧は回りて挙似す。山は言った。「這の僧若し書を開かば、三日の内に必ず来たらん。若し書を開かざれば、斯の人は救うを得ざるなり。」師は果たして三日の後に至る。夾山に見えて礼拜せず、乃ち面に当たりて手を叉ぎて立つ。山は言った。「鶏は鳳の巢に栖む、其の同類に非ず。出でて去れ。」師は言った。「遠より風に趨りて、師の一接を請う。」山は言った。「目の前に闍黎無く、此の間に老僧無し。」師は便ち喝した。山は言った。「住せ、住せ。且く草々匆々たる莫れ。雲月是れ同、渓山是れ各異。天下の人の舌頭を截断するは即ち無からざれど。闍黎、争でか舌無き人をして語を解せしめん。」師は佇り思う。山は便ち打った。茲に因りて服膺す。(興化は代わって言った。「但だ佛を作すを知りて、衆生を愁うる莫れ。」)ある日山に問うた。「佛魔の到らざる処は如何に体会せん。」山は言った。「燭は千里の像を明らむれど、暗室は老僧を迷わす。」又問うた。「朝陽は已に升り、夜月は現れざる時如何。」山は言った。「龍は海の珠を衔え、游魚は顧みず。」山は将に滅を示さんとして、語を垂れて言った。「石頭の一枝は、看看として即ち滅せん。」師は言った。「然らず。」山は言った。「何ぞや。」師は言った。「他家自ら青山有る在り。」山は言った。「苟も是の如くなれば、即ち吾が宗は墜ちざらん。」暨ち夾山世に順するや、師は涔陽に抵りて、故人に遇い武陵の事を話るに因り。問うて言った。「倏忽として数年、何の処に難を逃れた。」師は言った。「只だ闤闠の中に在り。」曰く、「何を為めて人無き処に向いて去らざる。」師は言った。「人無き処は何の難か有る。」曰く、「闤闠の中には如何に逃避する。」師は言った。「闤闠の中に在ると雖も、要して且つ人識らず。」故人は罔し測れず。

又問。佛佛相應。祖祖相傳。彼此不垂曲時如何。師曰。野老門前。不話朝堂之事。曰。合譚何事。師曰。未逢別者。終不開拳。曰。有人不從朝堂來。相逢還話會否。師曰。量外之機。徒勞目擊。師尋之澧陽洛浦山卜築宴處。後遷止朗州蘇谿。四方玄侶。憧憧奔湊。上堂。末後一句始到牢關。鎻斷要津。不通凡聖。尋常向諸人道。任從天下樂欣欣。我獨不肯。欲知上流之士。不將佛祖言教貼在額頭上。如龜負圖。自取喪身之兆。鳳縈金網。趍霄漢以何期。直須旨外明宗。莫向言中取則。是以石人機似汝。也解唱巴歌。汝若似石人。雪曲也應和。指南一路。智者知疏。僧問。瞥然便見時如何。師曰。曉星分曙色。爭似太陽輝。又問。恁麼來不立。恁麼去不泯時如何。師曰。鬻薪樵子貴。衣錦道人輕。問。供養百千諸佛。不如供養一箇無心道人。未審百千諸佛有何過。無心道人有何德。師曰。一片白雲橫谷口。幾多歸鳥盡迷巢。問。日未出時如何。師曰。水竭滄溟龍尚隱。雲騰碧漢鳳猶飛。問。如何是本來事。師曰。一粒在荒田。不耘苗自秀。曰。若也不耘。莫被草埋卻也無。師曰。肌骨異蒭蕘。稊稗終難隱。問。不傷物命者如何。師曰。眼花山影轉。迷者謾彷徨。問。不譚今古時如何。師曰。靈龜無卦兆。空殻不勞鑽。曰。爭奈空殻何。師曰。見盡無機所。邪正不可立。曰。恁麼則無棲泊處也。師曰。玄象始於未形。虗勞煩於飾彩。問。龍機不吐霧滋益事如何。師曰。道本無名。不存明暗。曰。不掛明暗底事。又作麼生。師曰。言中易舉。意外難提。問。不生如來家。不坐華王座時如何。師曰。汝道火爐重多少。問。祖意教意。是同是別。師曰。師子窟中無異獸。象王行處絕狐蹤。問。一時舉來時如何。師曰。獻璞不知機。徒勞招刖足。問僧。近離甚處。曰。荊南。師曰。有一人與麼去。還逢麼。曰。

又問うた。「佛佛相い応じ、祖祖相い伝う、彼此曲を垂れざる時如何。」師は言った。「野老の門の前は、朝堂の事を話さず。」曰く、「合して何の事を談ずべき。」師は言った。「未だ別る者に逢わざれば、終に拳を開かず。」曰く、「人有りて朝堂より来たらざれば、相い逢うて還た話し会するか否や。」師は言った。「量外の機は、徒らに目撃するを労す。」師は澧陽の洛浦山に之れ卜筑して宴处す。後に朗州の蘇渓に遷り止まる。四方の玄侶は、憧々として奔り凑る。上堂して言った。「末後の一句は始めて牢関に到る。要津を鎖断して、凡聖を通ぜず。尋常は諸人に向いて道う、天下の楽しみ欣欣たるに任りて、我は独り肯んぜず。上流の士を知らんと欲せば、佛祖の言教を額頭の上に貼らず。亀の図を負うが如く、自ら喪身の兆を取る。鳳は金網に縈い、霄漢に趨るを何の期かせん。直ちに須く旨外に宗を明らめて、言の中に向いて則を取る莫れ。是を以って石人は汝に似る機あれば、も解ら巴歌を唱え。汝若し石人に似ばば、雪曲も亦た応え和さん。南を指すの一路は、智ある者は疎を知る。」僧が問うた。「瞥然として便ち見る時如何。」師は言った。「暁の星は曙色を分かつも、争でか太陽の輝きに似ん。」又問うた。「かくの如く来りて立たず、かくの如く去りて泯びざる時如何。」師は言った。「薪を鬻ぐ樵子は貴く、錦を衣る道人は軽し。」問う。「百千の諸佛を供養するは、一箇の無心の道人を供養するに如かず。未だ審らかに百千の諸佛は何の過か有り、無心の道人は何の徳か有る。」師は言った。「一片の白雲は谷口を横たえ、幾多の帰鳥は尽く巢を迷う。」問う。「日未だ出でざる時如何。」師は言った。「水は滄溟に竭きて龍は尚お隠れ、雲は碧漢に騰りて鳳は猶お飛ぶ。」問う。「如何なるか是れ本来の事。」師は言った。「一粒は荒田に在りて、耘らざれども苗自ら秀づ。」曰く、「若しも耘らざれば、草に埋もれ却くること無きや莫しや。」師は言った。「肌骨は芻蕘に異なり、稊稗は終に隠し難し。」問う。「物の命を傷ぜざる者は如何。」師は言った。「眼花は山影転じ、迷う者は謾り彷徨す。」問う。「今古を談ぜざる時如何。」師は言った。「霊亀に卦兆無く、空殻は労れて鑽るを煩わず。」曰く、「争奈空殻何。」師は言った。「尽く見るに機の所無く、邪正は立つ可からず。」曰く、「かくの如くすれば則ち栖泊の処無し。」師は言った。「玄象は未形に始まり、虚労は彩を飾るに煩う。」問う。「龍機は霧を吐かず滋益する事如何。」師は言った。「道は本り名無く、明暗を存せず。」曰く、「明暗を挂けざる底の事は、又作麼生。」師は言った。「言の中は挙げ易く、意の外は提げ難し。」問う。「如来の家に生まれず、華王の座に坐せざる時如何。」師は言った。「汝道え火炉は重きこと多少。」問う。「祖意と教意とは、是れ同なるか別なるか。」師は言った。「師子の窟の中に異獣無く、象王の行く処は狐の踪を絶つ。」問う。「一時に挙げ来たる時如何。」師は言った。「璞を献じて機を知らず、徒らに足を刖られんことを招く。」僧に問うた。「近く甚の処を離れた。」曰く、「荊南。」師は言った。「一人有りて与めて去る、還た逢うか。」曰く、

不逢。師曰。為甚不逢。曰。若逢即頭粉碎。師曰。闍黎三寸甚密。雲門於江西見其僧。乃問。還有此語否。曰。是。門曰。洛浦倒退三千里。問。行不思議處如何。師曰。青山常舉足。白日不移輪。問。枯盡荒田獨立事如何。師曰。鷺倚雪巢猶可辯。烏投漆立事難分。問。如何是主中賓。師曰。逢人常問路。足下鎮長迷。曰。如何是賓主雙舉。師曰。枯樹無橫枝。鳥來難措足。問。終日朦朧時如何。師曰。擲寶淵沙中。識者天然異。曰。恁麼則展手不逢師也。師曰。莫將鶴唳悞作鶯啼。問。圓伊三點人皆會。洛浦家風事若何。師曰。雷霆一震。布鼓聲銷。問。正當亭午時如何。師曰。亭午猶虧半。烏沈始得圓。要會箇中意。牛頭尾上安。問。如何是祖師西來意。師曰。颯颯當軒竹。經霜不自寒。僧擬進語。師曰。祇聞風擊響。知是幾千竿。上堂。孫臏收鋪去也。有卜者出來。僧曰。請和尚卜。師曰。汝家爺死。僧無對(法眼代拊掌三下)。問。如何是西來意。師以拂子擊禪床曰。會麼。曰。不會。師曰。天上忽雷驚宇宙。井底蝦蟇不舉頭。問。如何是佛法大意。師曰。雪覆孤峰峰不白。雨滋石筍筍須生。問。法身無為。不墮諸數。是否。師曰。惜取眉毛好。曰。如何免得斯咎。師曰。泥龜任你千年。終不解隨雲鶴。曰。直是孫臏。也遭貶剝。師曰。不穿鼻孔底牛。有甚禦處。僧便作牛吼。師曰。這畜生。僧便喝。師曰。掩尾露牙。終非好手。問。萬丈懸崖撒手去。如何免得喪於身時如何。師曰。須彌繫藕絲。曰。是何境界。師曰。剎竿頭上仰蓮心。曰。恁麼則湛湛澄澄去也。師曰。須彌頂上再翻身。曰。恁麼則兢兢切切去也。師曰。空隨媒鴿走。虗喪網羅身。曰。如何得不隨去。師曰。罌鵝缾項小。擬透望天飛。問。露不垂群木時如何。師曰。有虎鴉須噪。無人鳥不驚。問。撥亂乾坤底人來。師還接否。

(僧は続けて言った:)「逢わず。」師は言った。「何を為めて逢わざる。」曰く、「若し逢えば即ち頭は粉碎せん。」師は言った。「闍黎の三寸は甚だ密なり。」雲門は江西に於て其の僧を見て、乃ち問うた。「還た此の語有るか否や。」曰く、「是。」門は言った。「洛浦は三千里を倒退せり。」問う。「行きて思議せざる処如何。」師は言った。「青山は常に足を挙げ、白日は輪を移さず。」問う。「荒田を枯し尽くして独立の事如何。」師は言った。「鷺は雪の巢に倚て猶お辨ずべし、烏は漆に投じて立つは事分かち難し。」問う。「如何なるか是れ主の中の賓。」師は言った。「人に逢いて常に路を問い、足の下は長に迷う。」曰く、「如何なるか是れ賓主双しぶの挙。」師は言った。「枯樹に横枝無く、鳥は来りて足を措き難し。」問う。「終日朦朧の時如何。」師は言った。「宝を淵沙の中に擲つ、識る者は天然に異なり。」曰く、「かくの如くすれば則ち手を展げても師に逢わず。」師は言った。「鶴の唳りを将て誤って鶯の啼きと作す莫れ。」問う。「伊の三点を円くは人皆会す。洛浦の家風の事は若何。」師は言った。「雷霆の一震は、布鼓の声を銷せり。」問う。「正に亭午に当たる時如何。」師は言った。「亭午は猶お半ばを虧き、烏沈して始めて円を得。箇の中の意を会せんと要せば、牛の頭は尾の上に安け。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「颯颯として軒に当たる竹は、霜を経ても自ら寒からず。」僧は語を進めんと拟した。師は言った。「只だ風の撃つ響きを聞きて、是れ幾千の竿ぞと知る。」上堂して言った。「孫臏は鋪を収めて去れり。卜する者有りて出で来れ。」僧は言った。「和尚の卜せんことを請う。」師は言った。「汝が家の爺は死せり。」僧は対無し。(法眼は代わって掌を三たび撫す。)問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は拂子を以って禅床を撃ちて言った。「会するか。」曰く、「会せず。」師は言った。「天上に忽雷は宇宙を驚かす、井底の蝦蟆は頭を挙げず。」問う。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「雪は孤峰を覆うも峰は白からず、雨は石筍を滋して筍は須く生ずべし。」問う。「法身は無為にして、諸数に堕ちざる、是の否や。」師は言った。「眉毛を惜しみ取るを好しとせよ。」曰く、「如何にして斯の咎を免れん。」師は言った。「泥の亀は千年に任れども、終に雲の鶴に随うを解せず。」曰く、「直に是れ孫臏なるも、も貶剥を遭う。」師は言った。「鼻孔を穿たざる底の牛は、甚の御する処か有る。」僧は便ち牛の吼を作した。師は言った。「這の畜生。」僧は便ち喝した。師は言った。「尾を掩いて牙を露すは、終に好手に非ず。」問う。「万丈の懸崖に手を撒きて去る、如何にして身を喪らんことを免る時如何。」師は言った。「須弥は藕の絲に繋ぐ。」曰く、「是れ何の境界ぞ。」師は言った。「刹竿の頭の上は蓮の心を仰ぐ。」曰く、「かくの如くすれば則ち湛湛として澄澄として去らん。」師は言った。「須弥の頂の上に再び身を翻せ。」曰く、「かくの如くすれば則ち兢兢として切切として去らん。」師は言った。「空しく媒の鴿に随い走り、虚しく網羅の身を喪らん。」曰く、「如何にして随い去らざるを得ん。」師は言った。「罌鵞の瓶は項小さく、透かんと拟して天を望みて飛ぶ。」問う。「露は群木に垂れざる時如何。」師は言った。「虎有れば鴉は須く噪き、人無ければ鳥は驚かず。」問う。「乱を拨く乾坤の底の人来たらば、師は還た接するか否や。」

師竪拂子。僧曰。恁麼則得遇明君去也。師曰。依稀似曲才堪聽。又被風吹別調中。問。佛魔不到處。如何辨得。師曰。演若頭非失。鏡中認取乖。問。如何是救離生死。師曰。執水苟延生。不聞天樂妙。問。四大從何而有。師曰。湛水無波。漚因風激。曰。漚滅歸水時如何。師曰。不渾不濁。魚龍任躍。問。如何離得生死去。師曰。一念忘機。太虗無玷。問。如何是道。師曰。存機猶滯跡。去杌卻通途。問。如何是一大藏教收不得者。師曰。雨滋三草秀。片玉本來輝。問。一毫吞盡巨海。於中更復何言。師曰。家有白澤之圖。必無如是妖怪(保福別雲。家無白澤之圖。亦無如是妖怪)。問。凝然時如何。師曰。時雷應節。震嶽驚蟄。曰。千般運動。不異箇凝然時如何。師曰。靈鶴翥空外。鈍鳥不離巢。曰。如何。師曰。白首拜少年。舉世人難信。問。諸聖恁麼來。將何供養。師曰。土宿雖持錫。不是婆羅門。問。祖意教意。是同是別。師曰。日月並輪輝。誰家別有路。曰。恁麼則顯晦殊途。事非一槩。師曰。但自不亡羊。何須泣岐路。問。學人擬歸鄉時如何。師曰。家破人亡。子歸何處。曰。恁麼則不歸去也。師曰。庭前殘雪日輪消。室內遊塵遣誰掃。乃有偈曰。決志歸鄉去。乘船渡五湖。舉篙星月隱。停棹日輪孤。解䌫離邪岸。張帆出正途。到來家蕩盡。免作屋中愚。問。動是法王苗。寂是法王根。根苗即不問。如何是法王。師舉拂子。僧曰。此猶是法王苗。師曰。龍不出洞。誰人奈何。侍者謂師曰。肇法師製得四論。甚奇怪。師曰。肇公甚奇怪。要且不見祖師。者無對(法燈代雲。和尚甚麼處是。雲居錫雲。甚麼處是肇公不見祖師處。莫是有許多言語麼。又云。肇公有多少言語)。問。如何是生機一路。師曰。敲空有響。擊木無聲。曰兩山開法。語播諸方。光化元年八月。誡主事曰。出家之法。

師は拂子を竪く。僧は言った。「かくの如くすれば則ち明君に遇い得て去らん。」師は言った。「依稀として曲に似て才かに聴くに堪うれど、又被る風に吹かれて別の調の中に。」問う。「佛魔の到らざる処は、如何にして辨じ得ん。」師は言った。「演若の頭は失するに非ず、鏡の中に認め取りて乖く。」問う。「如何なるか是れ生死を救い離る。」師は言った。「水を執りて苟くも生を延ばす、天楽の妙を聞かず。」問う。「四大は何に従りて有る。」師は言った。「湛水は波無く、漚は風に因りて激す。」曰く、「漚は滅して水に帰する時如何。」師は言った。「渾らず濁らず、魚竜は躍るに任す。」問う。「如何にして生死を離れ得て去らん。」師は言った。「一念は機を忘れ、太虚は玷無し。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「機を存するも猶お迹に滞え、杌を去りて卻て途を通ず。」問う。「如何なるか是れ一大蔵教も収め得ざる者。」師は言った。「雨は三草を滋して秀づ、片玉は本来の輝き。」問う。「一毫は巨海を呑み尽くす、中に於て更に復た何を言わん。」師は言った。「家に白沢の図有れば、必ず是の如き妖怪無し。」(保福は別に言った。「家に白沢の図無ければ、も是の如き妖怪無し。」)問う。「凝然たる時如何。」師は言った。「時の雷は節に応じ、嶽を震い蟄を驚かす。」曰く、「千般の運動も、箇の凝然と異ならざる時如何。」師は言った。「霊鶴は空の外に翥り、鈍の鳥は巢を離れず。」曰く、「如何。」師は言った。「白首は少年に拜す、挙世の人は信じ難し。」問う。「諸の聖はかくの如く来り、何を将て供養せん。」師は言った。「土宿は錫を持すると雖も、是れ婆羅門に非ず。」問う。「祖意と教意とは、是れ同なるか別なるか。」師は言った。「日月は輪を並べて輝き、誰が家か別に路有る。」曰く、「かくの如くすれば則ち顕晦は途を殊にして、事は一概に非ず。」師は言った。「但だ自ら羊を亡わざれば、何ぞ須いん岐路に泣くを。」問う。「学人は郷に帰らんと拟する時如何。」師は言った。「家は破れ人は亡び、子は何の処に帰る。」曰く、「かくの如くすれば則ち帰らざらん。」師は言った。「庭前の残雪は日輪に消え、室の内の游塵は誰を遣って掃かしむん。」乃ち偈有りて言った。「志を決めて郷に帰り去らん、船に乗りて五湖を渡る。篙を挙ぐれば星月隠れ、棹を停むれば日輪孤なり。纜を解きて邪の岸を離れ、帆を張りて正の途に出づ。到り来たりて家は蕩み尽く、屋の中の愚と作るを免れん。」問う。「動は是れ法王の苗、寂は是れ法王の根。根苗は即ち問わず、如何なるか是れ法王。」師は拂子を挙ぐ。僧は言った。「此れ猶お是れ法王の苗。」師は言った。「龍は洞を出でず、誰人か奈何せん。」侍者は師に謂うて言った。「肇法師は四論を制し得たり、甚だ奇怪なり。」師は言った。「肇公は甚だ奇怪なれども、要して且つ祖師を見ず。」者は対無し。(法灯は代わって言った。「和尚は什麼の処か是れ。」雲居の錫は言った。「什麼の処か是れ肇公の祖師を見ざる処。莫しや是れ許多の言語有るか。」又言った。「肇公は多少の言語有る。」)問う。「如何なるか是れ生機の一路。」師は言った。「空を敲けば響有り、木を撃てば声無し。」両山に法を開きて、語は諸方に播す。光化元年八月に、主事を誡めて言った。「出家の法は、

長物不留。播種之時。切宜減省。締搆之務。悉從廢停。流光迅速。大道玄深。苟或因循。曷由體悟。雖激厲懇切。眾以為常。略不相儆。至冬示微疾。亦不倦參請。十二月一日告眾曰。吾非明即後也。今有一事問汝等。若道這箇是。即頭上安頭。若道不是。即斬頭求活。第一座對曰。青山不舉足。日下不挑燈。師曰。是甚麼時節。作這箇語話。時有彥從上座對曰。離此二途。請和尚不問。師曰。未在更道。曰。彥從道不盡。師曰。我不管汝盡不盡。曰。彥從無侍者祇對和尚。師便休。至夜令侍者喚從問曰。闍黎今日祇對。甚有道理。汝合體得先師意。先師道。目前無法。意在目前。不是目前法。非耳目之所到。且道那句是賓。那句是主。若擇得出。分付缽袋子。曰。彥從不會。師曰。汝合會。曰。彥從實不會。師喝出。乃曰。苦。苦(玄覺雲。且道從上座實不會。是怕見缽袋子粘著伊)。二日午時。別僧舉前話問師。師曰。慈舟不棹清波上。劒峽徒勞放木鵝。便告寂。

(洛浦続けて言った:)長物は留めず。播種の時は、切に省くに宜し。締構の務は、悉く廃停に従え。流光は迅速にして、大道は玄深なり。苟くも因循すれば、曷くんぞ由りて体悟せん。」激励懇切なれども、衆は常と為して、略ぼ相い儆えず。冬に至りて微疾を示すも、亦た参請に倦まず。十二月一日に衆に告げて言った。「吾は明に非ざれば即ち後なり。今一事有りて汝等に問わん。若し這箇是れと道わば、即ち頭の上に頭を安ず。若し不是と道わば、即ち頭を斬りて活を求む。」第一座は対して言った。「青山は足を挙げず、日の下は灯を挑まず。」師は言った。「是れ什麼の時節ぞ、這箇の語話を作す。」時に彦従上座は対して言った。「此の二途を離れて、和尚の問わざるを請う。」師は言った。「未だ在らず更に道え。」曰く、「彦従は道い尽くさず。」師は言った。「我は汝が尽くす尽くさざるを管せず。」曰く、「彦従は侍者無くて只だ和尚に対す。」師は便ち休めた。夜に至りて侍者をして従を喚びて問わしめて言った。「闍黎の今日の只の対は、甚だ道理有り。汝は合して先師の意を体し得べし。先師道う、目の前に法無く、意は目の前に在り。是れ目の前の法に非ず、耳目の到る所に非ずと。且く道え那の句か是れ賓、那の句か是れ主。若し択び出だし得ば、鉢袋子を分付せん。」曰く、「彦従は会せず。」師は言った。「汝は合して会すべし。」曰く、「彦従は実に会せず。」師は喝して出でしめ、乃ち言った。「苦し、苦し。」(玄覚は言った。「且く道え従上座は実に会せざるか、是れ鉢袋子が伊に粘著するを見るを怕れるか。」)二日午の時に、別の僧は前話を挙げて師に問うた。師は言った。「慈の舟は清波の上に棹せず、剣の峡は徒らに木鵞を放つ。」便ち寂を告げた。

撫州逍遙山懷忠禪師

撫州逍遥山懐忠禅師

僧問。不似之句還有人道得否。師曰。或即五日齋前。或即五日齋後。問。劒鏡明利。毫毛何惑。師曰。不空罥索。問。洪鑪猛燄。烹鍛何物。師曰。烹佛烹祖。曰。佛祖作麼生烹。師曰。業在其中。曰。喚作甚麼業。師曰。佛力不如。問。四十九年不說一句。如何是不說底句。師曰。隻履西行。道人不顧。曰。莫便是和尚消停處也無。師曰。馬是官馬不用印。問。如何是一老一不老。師曰。三從六義。曰。如何是奇特一句。師曰。坐佛床。斫佛樸。問。祖與佛阿那箇最親。師曰。真金不肯博。誰肯換泥丸。曰。恁麼則不肯去也。師曰。汝貴我賤。問。懸劒萬年松時如何。師曰。非言可及。曰。當為何事。師曰。為汝道話。曰。言外事如何明得。師曰。日久年多筋骨成。問。不敵魔軍。如何證道。師曰。海水不勞杓子舀。問。不住有雲山。常居無底船時如何。師曰。果熟自然香。曰。更請師道。師曰。門前真佛子。曰。學人為甚麼不見。師曰。處處王老師。

僧が問うた。「似ざるの句に還た人道い得る有るか否や。」師は言った。「或は即ち五日の斎の前、或は即ち五日の斎の後。」問う。「剣鏡明利なり、毫毛何の惑か有る。」師は言った。「空しく罥索せず。」問う。「洪炉猛焰なり、何の物を烹鍛する。」師は言った。「佛を烹り祖を烹る。」曰く、「佛祖は作麼生に烹る。」師は言った。「業は其の中に在り。」曰く、「喚びて什麼の業と作す。」師は言った。「佛力は如かず。」問う。「四十九年は一句を説かず。如何なるか是れ説かざる底の句。」師は言った。「只履は西行して、道人は顧みず。」曰く、「莫しや便ち是れ和尚の消停の処や無きや。」師は言った。「馬は是れ官馬にして印を用いず。」問う。「如何なるか是れ一老一不老。」師は言った。「三従六義。」曰く、「如何なるか是れ奇特の一句。」師は言った。「佛の床に坐して、佛の朴を斫く。」問う。「祖と佛とは阿那箇か最も親なる。」師は言った。「真金は肯んじて博たず、誰か肯んじて泥丸に換えん。」曰く、「かくの如くすれば則ち肯んぜざるを去らん。」師は言った。「汝は貴く我は賤し。」問う。「万年の松に剣を懸くる時如何。」師は言った。「言を以って及ぶ可からず。」曰く、「当に何を為めての事。」師は言った。「汝が道話を為めて。」曰く、「言の外の事は如何にして明らめ得ん。」師は言った。「日久く年多きに筋骨成れり。」問う。「魔の軍に敵せず、如何にして道を証せん。」師は言った。「海水は杓子に労して舀うを煩わず。」問う。「雲の山有るに住せず、常に底無き船に居る時如何。」師は言った。「果は熟して自然に香ばし。」曰く、「更に師の道わんことを請う。」師は言った。「門の前の真の佛子。」曰く、「学人は何を為めて見ざる。」師は言った。「処処に王老師。」

袁州蟠龍山可文禪師

袁州蟠竜山可文禅師

僧問。亡僧遷化向甚麼處去也。師曰。石牛㳂古路。日裡夜明燈。問。如何是佛。師曰。痴兒捨父逃。

僧が問うた。「亡僧は遷化して什麼の処に向いて去る。」師は言った。「石の牛は古路に沿い、日の裏に夜の灯は明し。」問う。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「痴の兒は父を舎てて逃ぐ。」

撫州黃山月輪禪師

撫州黄山月輪禅師

福唐許氏子。初謁三峰。機緣靡契。尋聞夾山盛化。乃往叩之。山問。名甚麼。師曰。月輪。山作一圓相。曰。何似這箇。師曰。和尚恁麼語話。諸方大有人不肯在。山曰。闍黎作麼生。師曰。還見月輪麼。山曰。闍黎恁麼道。此間大有人不肯諸方。師乃服膺參訊。一日。夾山抗聲問曰。子是甚麼處人。師曰。閩中人。山曰。還識老僧麼。師曰。和尚還識學人麼。山曰。不然。子且還老僧草鞋錢。然後老僧還子廬陵米價。師曰。恁麼則不識和尚也。未委廬陵米作麼價。山曰。真師子兒。善能哮吼。乃入室受印。依附七年。眾請住黃山。上堂。祖師西來。特唱此事。自是諸人不薦。向外馳求。投赤水以尋珠。就荊山而覓玉。所以道。從門入者。不是家珍。認影迷頭。豈非大錯。僧問。如何是祖師西來意。師曰。梁殿不施功。魏邦絕心跡。問。如何是道。師曰。石牛頻吐三春霧。木馬嘶聲滿道途。問。如何得見本來面目。師曰。不勞懸石鏡。天曉自鷄鳴。問。宗乘一句。請師商量。師曰。黃峰獨脫物外秀。年來月往冷颼颼。問。不辨中言。如何指撥。師曰。劒去遠矣。爾方刻舟。問。如何是衲衣下事。師曰。石牛水上臥。東西得自由。問。如何是目前意。師曰。秋風有韻。片月無方。問。如何是學人用心處。師曰。覺戶不掩。對月莫迷。問。如何是青霄路。師曰。鶴棲雲外樹。不倦苦風霜。問。過去事如何。師曰。龍呌清潭。波瀾自肅。師於同光三年示寂。塔於院之西北隅。

福唐許氏の子なり。初めて三峰に謁すれども、機縁は契うこと靡し。尋いで夾山の盛なる化を聞き、乃ち往きて之を叩く。山は問うた。「什麼と名づく。」師は言った。「月輪。」山は一円相を作して、言った。「這箇に何を似る。」師は言った。「和尚はかくの如く語話するに、諸方に大いに人肯んぜざる在り。」山は言った。「闍黎は作麼生。」師は言った。「還た月輪を見るか。」山は言った。「闍黎はかくの如く道う、此の間に大いに人諸方を肯んぜざる在り。」師は乃ち服膺して参訊す。ある日、夾山は声を抗げて問うて言った。「子は什麼の処の人ぞ。」師は言った。「閩の中の人。」山は言った。「還た老僧を識るか。」師は言った。「和尚は還た学人を識るか。」山は言った。「然らず。子且く老僧に草鞋の銭を還せ、然る後に老僧は子に廬陵の米の価を還さん。」師は言った。「かくの如くすれば則ち和尚を識らず。未だ委らかに廬陵の米は作麼の価。」山は言った。「真の師子の兒は、善く哮吼を能す。」乃ち室に入りて印を受く。依附すること七年。衆は黄山に住せんことを請う。上堂して言った。「祖師の西来は、特に此の事を唱う。自ら是れ諸人は薦めず、外に向いて馳求す。赤水に投げて珠を尋ね、荊山に就きて玉を覓む。所謂道う、門より入る者は、是れ家の珍に非ず。影を認めて頭を迷うは、豈に大錯に非ずや。」僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「梁の殿は功を施さず、魏の邦は心迹を絶つ。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「石牛は頻りに三春の霧を吐き、木馬の嘶声は道途に満つ。」問う。「如何にして本来の面目を見るを得ん。」師は言った。「石鏡を懸くるに労せず、天暁けば自ら鶏鳴す。」問う。「宗乗の一句、師と商量せんことを請う。」師は言った。「黄峰は独り物の外を脱して秀で、年の来り月の往くは冷颼颼たり。」問う。「中の言を辨ぜず、如何に指拨せん。」師は言った。「剣は去りて遠し、爾は方に舟を刻む。」問う。「如何なるか是れ衲衣下の事。」師は言った。「石牛は水の上に臥し、東西は自由を得。」問う。「如何なるか是れ目の前の意。」師は言った。「秋風は韻有り、片月は方無し。」問う。「如何なるか是れ学人の心を用いる処。」師は言った。「覚の戸は掩わず、月に対して迷う莫れ。」問う。「如何なるか是れ青霄の路。」師は言った。「鶴は雲の外の樹に栖み、风霜の苦しみに倦まず。」問う。「過去の事如何。」師は言った。「龍は清潭に叫び、波瀾は自ら肅す。」師は同光三年に寂を示す。院の西北隅に塔す。

洛京韶山寰普禪師

洛京韶山寰普禅師

有僧到參。禮拜起立。師曰。大才藏拙戶。僧過一邊立。師曰。喪卻棟梁材。問。如何是韶山境。師曰。古今猿鳥呌。翠色薄煙籠。曰。如何是境中人。師曰。退後看。僧參。師問。莫是多口白頭因麼。因曰。不敢。師曰。有多少口。曰。通身是。師曰。尋常向甚麼處屙。曰。向韶山口裡屙。師曰。有韶山口即得。無韶山口向甚麼處屙。因無語。師便打。遵布衲訪師。在山下相見。遵問。韶山路向甚麼處去。師以手指曰。嗚。那青青黯黯處去。遵近前把住曰。久嚮韶山。莫便是否。師曰。是即是。闍黎有甚麼事。遵曰。擬伸一問。師還答否。師曰。看君不是金牙作。爭解彎弓射尉遲。遵曰。鳳凰直入煙霄去。誰怕林間野雀兒。師曰。當軒畵鼓從君擊。試展家風似老僧。遵曰。一句逈超千聖外。松蘿不與月輪齊。師曰。饒君直出威音外。猶較韶山半月程。遵曰。過在甚處。師曰。倜儻之辭。時人知有。遵曰。恁麼則真玉泥中異。不撥萬機塵。師曰。魯般門下。徒施巧妙。遵曰。學人即恁麼。未審師意如何。師曰。玉女夜拋梭。織錦於西舍。遵曰。莫便是和尚家風也無。師曰。耕夫製玉漏。不是行家作。遵曰。此猶是文言。如何是和尚家風。師曰。橫身當宇宙。誰是出頭人。遵無語。師遂同歸山。才人事了。師召近前曰。闍黎有沖天之氣。老僧有入地之謀。闍黎橫吞巨海。老僧背負須彌。闍黎按劒上來。老僧掗鎗相待。向上一路。速道。速道。遵曰。明鏡當臺。請師一鑒。師曰。不鑒。遵曰。為甚不鑒。師曰。水淺無魚。徒勞下釣。遵無對。師便打。僧問。如何是一如相。師曰。鷺飛霄漢白。山遠色深青。問。是非不到處。還有句也無。師曰。有。曰。是甚麼句。師曰。一片白雲不露醜。終後諡無畏禪師。

僧有りて到り参じ、礼拜して起き立つ。師は言った。「大才は拙を戸に蔵す。」僧は一辺に過ぎて立つ。師は言った。「栋梁の材を喪し却けり。」問う。「如何なるか是れ韶山の境。」師は言った。「古今は猿鳥叫び、翠色は薄煙に籠まる。」曰く、「如何なるか是れ境の中の人。」師は言った。「退きて後に看よ。」僧参ず。師は問うた。「莫しや是れ多口の白頭の因か。」因は言った。「敢えず。」師は言った。「多少の口有る。」曰く、「通身是れ。」師は言った。「尋常は什麼の処に向いて屙る。」曰く、「韶山の口裏に向いて屙る。」師は言った。「韶山の口有れば即ち得。韶山の口無ければ什麼の処に向いて屙る。」因は語無し。師は便ち打った。遵布衲は師を訪い、山の下に於て相い見えた。遵は問うた。「韶山の路は什麼の処に向いて去る。」師は手を以って指して言った。「嗚。那の青青として黯黯たる処に去れ。」遵は前に近りて把り住めて言った。「久しく韶山を響かす、便ち是なるか莫しや。」師は言った。「是れば即ち是れ。闍黎に什麼の事か有る。」遵は言った。「一問を伸べんと拟す、師は還た答うるか否や。」師は言った。「君は金牙の作に非ざるを看る、争でか彎弓を解して尉遅を射ん。」遵は言った。「鳳凰は直ちに煙霄に入りて去る、誰か林の間の野雀の兒を怕れん。」師は言った。「軒に当たる画鼓は君に従りて撃て、試みに家風を展げて老僧に似せん。」遵は言った。「一句は迥かに千聖の外を超え、松蘿は月輪と斉しからず。」師は言った。「君が直ちに威音の外を出づるを饒くるも、猶お韶山の半月の程を較ぶ。」遵は言った。「過は甚の処に在る。」師は言った。「倜儻の辞は、時人は有るを知る。」遵は言った。「かくの如くすれば則ち真の玉は泥の中に異なり、万機の塵を拨かず。」師は言った。「魯般の門下は、徒らに巧妙を施す。」遵は言った。「学人は即ちかくの如し。未だ審らかに師の意は如何。」師は言った。「玉女は夜に梭を抛ちて、錦を西の舎に織る。」遵は言った。「莫しや便ち是れ和尚の家風や無きや。」師は言った。「耕夫は玉漏を制す、是れ行家の作に非ず。」遵は言った。「此れ猶お是れ文言。如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「身を横たえて宇宙に当たる、誰是れ頭を出づる人。」遵は語無し。師は遂に同じく山に帰る。才かに人事を了えて、師は召して前に近づけて言った。「闍黎は天を衝くの気有り、老僧は地に入るの謀有り。闍黎は巨海を横に呑み、老僧は須弥を背負う。闍黎は剣を按じて上に来り、老僧は槍を挜えて相い待つ。上に向うの一路、速やかに道え、速やかに道え。」遵は言った。「明鏡は台に当たり、師の一鑑を請う。」師は言った。「鑑みず。」遵は言った。「何を為めて鑑みざる。」師は言った。「水浅し魚無し、徒らに釣を下すを労す。」遵は対無し。師は便ち打った。僧が問うた。「如何なるか是れ一如の相。」師は言った。「鷺は霄漢に飛びて白く、山は遠く色は深青。」問う。「是非の到らざる処に、還た句有るや無きや。」師は言った。「有。」曰く、「是れ什麼の句ぞ。」師は言った。「一片の白雲は醜を露さず。」終の後、諡は無畏禅師。

洪州上藍令超禪師

洪州上藍令超禅師

初住瑞州上藍山。唱夾山之道。學侶俱會。後於洪井創禪苑。還以上藍為名。化道益盛。僧問。如何是上藍本分事。師曰。不從千聖借。豈向萬機求。曰。祇如不借不求時如何。師曰。不可拈放汝手裡。得麼。問。鋒前如何辨的。師曰。鋒前不露影。莫向舌頭尋。問。如何是無舌人唱歌。師曰。韻震青霄。宮商不犯。問。二龍爭珠。誰是得者。師曰。其珠徧地。目覩如泥。問。善財見文殊後。為甚卻往南方。師曰。學𠗦入室。知乃通方。曰。為甚麼彌勒卻遣見文殊。師曰。道廣無涯。逢人不盡。至唐大順正月初。告眾曰。吾本約住此十年。今化事既畢。當即行矣。齋畢聲鐘。端坐長往。諡元真禪師。

初めて瑞州の上藍山に住し、夾山の道を唱えて、学侶倶に会す。後に洪井に禅苑を創めて、還た上藍を以って名と為し、化道は益々盛なり。僧が問うた。「如何なるか是れ上藍の本分の事。」師は言った。「千聖に従りて借らず、豈に万機に向いて求めんや。」曰く、「只だ如し借らず求めざる時如何。」師は言った。「拈じて汝が手裏に放つ可からず、得たるか。」問う。「鋒の前は如何にして的を辨ず。」師は言った。「鋒の前は影を露さず、舌頭に向いて尋ぬる莫れ。」問う。「如何なるか是れ舌無き人の歌を唱う。」師は言った。「韻は青霄を震い、宮商は犯さず。」問う。「二竜は珠を争う、誰是れ得る者。」師は言った。「其の珠は地に遍し、目の睹るは泥の如し。」問う。「善財は文殊を見て後、何を為めて卻て南方に往く。」師は言った。「道を学びて室に入り、知る乃ち方を通ず。」曰く、「何を為めて弥勒は卻て文殊に見えしめ遣る。」師は言った。「道は広く涯無く、人に逢い尽くさず。」唐の大順の正月の初に至りて、衆に告げて言った。「吾は本り此に住すること十年を約す。今化の事は既に畢われり、当に即ち行くべし。」斎を畢えて鐘を聲し、端坐して長往す。諡は元真禅師。

鄆州四禪禪師

鄆州四禅禅師

僧問。古人有請不背。今請和尚入井。還去也無。師曰。深深無別源。飲者消諸患。問。如何是和尚家風。師曰。會得底人意。須知月色寒。問。諸佛未出世時如何。師曰。王宮絕消息。曰。出世後如何。師曰。榮枯各不同。

僧が問うた。「古人は請うて背かざる有り。今和尚に井に入らんことを請う、還た去るや無きや。」師は言った。「深深として別の源無し、飲む者は諸の患を消す。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「底の人の意を会し得ば、須く知るべし月色の寒きを。」問う。「諸佛は未だ出世せざる時如何。」師は言った。「王宮は消息を絶つ。」曰く、「出世して後如何。」師は言った。「栄枯は各お同じからず。」

太原海湖禪師

太原海湖禅師

因有人請灌頂三藏供養。敷坐訖。師乃就彼位坐。時有雲涉座主問曰。和尚甚麼年行道。師曰。座主近前來。涉近前。師曰。祇如憍陳如是甚麼年行道。涉茫然。師喝曰。這尿床鬼。問。和尚院內人何太少。定水院人何太多。師曰。草深多野鹿。巖高獬豸稀。問。如何是無問而自答。師曰。松韻琴聲響。

人の灌頂蔵を供養せんことを請う有るに因り。坐を敷き訖りて、師は乃ち彼の位に就きて坐す。時に雲渉座主は問うて言った。「和尚は什麼の年に道を行ず。」師は言った。「座主は前に近り来れ。」渉は前に近る。師は言った。「只だ如し憍陳如は是れ什麼の年に道を行ぜし。」渉は茫然たり。師は喝して言った。「這の尿床の鬼。」問う。「和尚の院内の人は何と太少きか、定水院の人は何と太多きか。」師は言った。「草深きに野鹿多し、巌高きに獬豸稀なり。」問う。「如何なるか是れ問う無くして自ら答う。」師は言った。「松の韻は琴の声の響き。」

嘉州白水禪師

嘉州白水禅師

僧問。如何是西來意。師曰。四溟無窟宅。一滴潤乾坤。問。曹溪一路。合譚何事。師曰。㵎松千載鶴來聚。月中香桂鳳凰歸。問。如何是此經。師曰。拋梭石女遼空響。海底泥牛夜呌頻。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「四溟に窟宅無く、一滴は乾坤を潤す。」問う。「曹渓の一路は、合して何の事を談ずべき。」師は言った。「澗の松は千載に鶴の来り聚まり、月の中の香桂は鳳凰の帰る。」問う。「如何なるか是れ此の経。」師は言った。「梭を抛つ石女は遼空に響き、海底の泥の牛は夜に叫び頻し。」

鳳翔府天葢山幽禪師

鳳翔府天葢山幽禅師

僧問。如何是天葢水。師曰。四海滂沲。不犯涓滴。問。學人擬看經時如何。師曰。既是大商。何求小利。問。對境不動時如何。師曰。邊方雖有令。不是太平年。

僧が問うた。「如何なるか是れ天葢の水。」師は言った。「四海滂沱にして、涓滴を犯さず。」問う。「学人は経を看んと拟する時如何。」師は言った。「既に是れ大商、何の小利を求む。」問う。「境に対して動ぜざる時如何。」師は言った。「辺方に令有ると雖も、是れ太平の年に非ず。」

清平遵禪師法嗣

清平遵禅師法嗣

蘄州三角山令珪禪師

蘄州三角山令珪禅師

初參清平。平問。來作麼。師曰。來禮拜。平曰。禮拜阿誰。師曰。特來禮拜和尚。平咄曰。這鈍根阿師。師乃禮拜。平以手斫師頸一下。從此領旨。住後。僧問。如何是佛。師曰。明日來。向汝道。如今道不得。

初めて清平に参ず。平は問うた。「来りて作麼せん。」師は言った。「来りて礼拜せん。」平は言った。「阿誰を礼拜する。」師は言った。「特に来りて和尚を礼拜せん。」平は喝して言った。「這の鈍根の阿師。」師は乃ち礼拜した。平は手を以って師の頸を一下斫る。此より旨を領す。住の後。僧が問うた。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「明日来れ、汝に向いて道わん。如今は道い得ざれ。」

投子同禪師法嗣

投子同禅師法嗣

投子感溫禪師

投子感温禅師

僧問。師登寶座。接示何人。師曰。如月赴千溪。曰。恁麼則滿地不虧也。師曰。莫恁麼道。問。父不投。為甚麼卻投子。師曰。豈是別人屋裡事。曰。父與子還屬功也無。師曰。不屬。曰。不屬功底如何。師曰。父子各自脫。曰。為甚麼如此。師曰。汝與我會。師遊山見蟬蛻。侍者問曰。殻在這裡。蟬向甚麼處去也。師拈殻就耳畔搖三五下。作蟬聲。侍者於是開悟。

僧が問うた。「師は宝座に登りて、何人を接示する。」師は言った。「月の千渓に赴くが如し。」曰く、「かくの如くすれば則ち地に満ちて虧けざらん。」師は言った。「かくの如く道う莫れ。」問う。「父は投ぜず、何を為めて卻て子を投ず。」師は言った。「豈に是れ別人の屋裏の事や。」曰く、「父と子とは還た功に属するや無きや。」師は言った。「属せず。」曰く、「功に属せざる底は如何。」師は言った。「父子は各お自ら脱す。」曰く、「何を為めて此の如くなる。」師は言った。「汝は我と与に会せよ。」師は山に游びて蝉の蜕を見る。侍者は問うて言った。「殻は這裏に在り、蝉は什麼の処に向いて去る。」師は殻を拈じて耳の畔に就きて三五下を摇りて、蝉の声を作した。侍者は是に於て悟を開いた。

福州牛頭微禪師

福州牛頭微禅師

上堂。三世諸佛。用一點伎倆不得。天下老師口似匾擔。諸人作麼生。大不容易。除非知有。餘莫能知。僧問。如何是和尚家風。師曰。山畬脫粟飯。野菜澹黃虀。曰。忽遇上客來。又作麼生。師曰。吃即從君吃。不吃任東西。問。不問驪龍頷下珠。如何識得家中寶。師曰。忙中爭得作閑人。

上堂して言った。「三世の諸佛は、一点の伎俩を用いるを得ず。天下の老師は口は匾担に似たり。諸人は作麼生。大いに容易ならず。除非く有るを知る、余は能く知る莫れ。」僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「山畬は粟を脱がす飯、野菜は淡黄の齏。」曰く、「忽ち上客の来たるに遇えば、又作麼生。」師は言った。「喫せば即ち君に従りて喫し、喫せざれば東西に任す。」問う。「驪竜の頷の下の珠を問わず、如何にして家の中の宝を識り得ん。」師は言った。「忙の中に争でか閑人と作るを得ん。」

西川青城香山澄照禪師

西川青城香山澄照禅師

僧問。諸佛有難。向火燄裡藏身。未審衲僧有難。向甚麼處藏身。師曰。水精甕裡著波斯。問。如何是初生月。師曰。太半人不見。

僧が問うた。「諸佛に難有れば、火焰の裏に向いて身を蔵す。未だ審らかに衲僧に難有らば、什麼の処に向いて身を蔵する。」師は言った。「水精の瓮の裏に波斯を著く。」問う。「如何なるか是れ初生の月。」師は言った。「太半の人は見ず。」

陝府天福禪師

陝府天福禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。黃河無滴水。華嶽總平沈。

僧が問うた。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「黄河に滴水無く、華嶽は総て平沈す。」

興元府中梁山遵古禪師

興元府中梁山遵古禅師

僧問。空劫無人能問法。即今有問法何安。師曰。大悲菩薩甕裡坐。問。如何是祖師西來意。師曰。道士擔漏巵。

僧が問うた。「空劫は人の法を問う能く無し、即今法を問う有るは何を安んず。」師は言った。「大悲菩薩は瓮の裏に坐す。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「道士は漏れ卮を担ぐ。」

襄州谷隱禪師

襄州谷隠禅師

僧問。如何是不觸白雲機。師曰。鶴帶鵶顏。浮生不棄。

僧が問うた。「如何なるか是れ白雲に触れざる機。」師は言った。「鶴は鴉の顔を帯び、浮生は棄てず。」

安州九嵕山禪師

安州九嵕山禅師

僧問。遠聞九嵕。及乎到來。祇見一嵕。師曰。闍黎祇見一嵕。不見九嵕。曰。如何是九嵕。師曰。水急浪花驪。

僧が問うた。「遠く九嵕を聞きて、及んで到り来たるも、只だ一嵕を見る。」師は言った。「闍黎は只だ一嵕を見て、九嵕を見ず。」曰く、「如何なるか是れ九嵕。」師は言った。「水急ければ浪花は驪なり。」

幽州盤山禪師(二世)

幽州盤山禅師(二世)

僧問。如何出得三界。師曰。在裡頭來多少時邪。曰。如何出得。師曰。青山不礙白雲飛。問。承教有言。如化人煩惱。如石女兒。此理如何。師曰。闍黎直如石女兒去。

僧が問うた。「如何にして三界を出で得ん。」師は言った。「裏頭に在りて来ること多少の時ぞ邪。」曰く、「如何にして出で得ん。」師は言った。「青山は白雲の飛ぶを礙げず。」問う。「承く教に言有り、化人の煩悩の如く、石女の兒の如しと。此の理如何。」師は言った。「闍黎は直ちに石女の兒の如くして去れ。」

九嵕敬慧禪師

九嵕敬慧禅師

僧問。解脫深坑。如何過得。師曰。不求過。曰。如何過得。師曰。求過亦非。

僧が問うた。「解脱の深き坑は、如何にして過ぎ得ん。」師は言った。「過ぐるを求めず。」曰く、「如何にして過ぎ得ん。」師は言った。「過ぐるを求むるも亦た非なり。」

東京觀音院巖俊禪師者

東京観音院巌俊禅師

邢臺廉氏子。初參祖席。徧歷衡.廬.岷.蜀。甞經鳳林深谷。欻覩珍寶發現。同侶相顧。意將取之。師曰。古人鉏園。觸黃金若瓦礫。待吾菅覆頂。須此供四方僧。言訖捨去。謁投子。子問。昨夜宿何處。師曰。不動道場。子曰。既言不動。曷由至此。師曰。至此豈是動邪。子曰。元來宿不著處。投子默許之。尋住觀音。眾常數百。周高祖.世宗二帝潛隱時。每登方丈。必施禮。及即位。特賜紫衣。署淨戒大師。示寂垂誡門人訖。怡顏合掌而逝。

邢台廉氏の子なり。初めて祖席に参じ、遍く衡、廬、岷、蜀を歴た。嘗て鳳林の深谷を経て、欻く珍宝の発現を睹た。同侶は相い顧みて、意は将に之を取らんとす。師は言った。「古人は園を鋤りて、黄金に触れて瓦礫の若しとせり。吾が菅を以って頂を覆うを待たば、須く此を以って四方の僧を供すべし。」言い訖りて舎てて去った。投子に謁す。子は問うた。「昨夜は何の処に宿せし。」師は言った。「動かざる道場。」子は言った。「既に動かずと言う、曷くんぞ由りて此に至る。」師は言った。「此に至るは豈に是れ動ぜし邪。」子は言った。「元来宿し著かざる処。」投子は黙して之を許した。尋いで観音に住し、衆は常に数百なり。周の高祖、世宗の二帝は潜隠の時に、毎に方丈に登りて、必ず礼を施す。及び位に即きて、特に紫衣を賜い、浄戒大師を署す。寂を示して門人に垂誡し訖りて、怡顔して掌を合わせて逝く。

濠州思明禪師

濠州思明禅師

在眾時。僧問。如何是上座沙彌童行。師曰。諾。問。如何是清淨法身。師曰。屎裡蛆兒。頭出頭沒。

衆に在る時。僧が問うた。「如何なるか是れ上座沙弥童行。」師は言った。「諾。」問う。「如何なるか是れ清浄の法身。」師は言った。「屎の裏の蛆兒は、頭出で頭没す。」

鳳翔府招福禪師

鳳翔府招福禅師

僧問。東牙烏牙皆出隊。和尚為甚麼不出隊。師曰。住持各不同。闍黎爭得怪。

僧が問うた。「東牙烏牙は皆隊を出づ、和尚は何を為めて隊を出でざる。」師は言った。「住持は各お同じからず、闍黎は争でか怪むを得ん。」

青原下六世

青原下六世

大光誨禪師法嗣

大光誨禅師法嗣

潭州谷山有緣禪師

潭州谷山有縁禅師

僧問。竛竮之子如何得歸向。師曰。會人路不通。曰。恁麼則無奉重處也。師曰。我道你缽盂落地拈不起。問。一撥便轉時如何。師曰。野馬走時鞭轡斷。石人撫掌笑呵呵。

僧が問うた。「伶俜の子は如何にして帰向を得ん。」師は言った。「会する人は路通ぜず。」曰く、「かくの如くすれば則ち奉重の処無し。」師は言った。「我道う汝の鉢盂は地に落ちて拈じ起たれざるを。」問う。「一拨して便ち転ずる時如何。」師は言った。「野馬は走る時に鞭轡断え、石人は掌を撫して笑い呵呵。」

潭州龍興禪師

潭州龍興禅師

僧問。一撥便轉時如何。師曰。根不利。問。得坐披衣時如何。師曰。不端嚴。曰。為甚麼不端嚴。師曰。不從修證得。問。如何是道中人。師曰。終日寂攢眉。問。文不加點時如何。師曰。無目童兒不出戶。問。賓主未分時如何。師曰。雙陸盤中不喝彩。曰。分後如何。師曰。骰子未曾拋。

僧が問うた。「一拨して便ち転ずる時如何。」師は言った。「根利ならず。」問う。「坐を得て衣を披く時如何。」師は言った。「端厳ならず。」曰く、「何を為めて端厳ならざる。」師は言った。「修証に従りて得ず。」問う。「如何なるか是れ道の中の人。」師は言った。「終日寂として眉を攒む。」問う。「文に点を加えざる時如何。」師は言った。「目無き童兒は戸を出でず。」問う。「賓主未だ分かれざる時如何。」師は言った。「双陸の盤の中は彩を喝さず。」曰く、「分かれて後如何。」師は言った。「骰子は未だ曾て抛たず。」

潭州伏龍山禪師(第一世)

潭州伏竜山禅師(第一世)

僧問。攪長河為酥酪。變大地作黃金時如何。師曰。臂長衫袖短。問。隨緣認得時如何。師曰。雪內牡丹花。問。如何是祖師西來意。師曰。你得恁麼不識痛癢。

僧が問うた。「長河を搅めて酥酪と為し、大地を変えて黄金と作す時如何。」師は言った。「臂は長く衫の袖は短し。」問う。「縁に随いて認め得る時如何。」師は言った。「雪の内の牡丹の花。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「汝はかくの如く痛痒を識らざるを得たり。」

京兆白雲善藏禪師

京兆白雲善蔵禅師

僧問。如何是和尚深深處。師曰。矮子渡深谿。問。赤腳時如何。師曰。何不脫卻。問。如何是法法不生。師曰。萬類千差。曰。如何是法法不滅。師曰。縱橫滿目。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の深深の処。」師は言った。「矮子は深き渓を渡る。」問う。「脚を赤くする時如何。」師は言った。「何ぞ脱ぎ却けざる。」問う。「如何なるか是れ法法生ぜず。」師は言った。「万類千差なり。」曰く、「如何なるか是れ法法滅せず。」師は言った。「縦横に目に満つ。」

伏龍山禪師(第二世)

伏竜山禅師(第二世)

僧問。隨緣認得時如何。師曰。汝道興國門樓高多少。問。子不譚父德時如何。師曰。闍黎且低聲。

僧が問うた。「縁に随いて認め得る時如何。」師は言った。「汝道え興国の門楼は高きこと多少。」問う。「子は父の徳を談ぜざる時如何。」師は言った。「闍黎且く声を低くせよ。」

陝府龍峻山禪師

陝府龍峻山禅師

僧問。如何是不知善惡底人。師曰。千聖近不得。曰。此人還知有向上事也無。師曰。不知。曰。為甚麼不知。師曰。不識善惡。說甚麼向上事。曰。畢竟如何。師曰。不見道犴𤞞。問。如何是佛向上人。師曰。不帶容。問。凡有展拓盡落今時。不展拓時如何。師曰。不展。不展。曰。畢竟如何。師曰。不拓。不拓。

僧が問うた。「如何なるか是れ善悪を知らざる底の人。」師は言った。「千聖も近づくを得ず。」曰く、「此の人は還た向上の事有るを知るや無きや。」師は言った。「知らず。」曰く、「何を為めて知らざる。」師は言った。「善悪を識らず、什麼をか向上の事を説く。」曰く、「畢竟如何。」師は言った。「犴狴を道うを見ざるか。」問う。「如何なるか是れ佛向上の人。」師は言った。「容を帯びず。」問う。「凡そ展拓有れば尽く今時に落つ。展拓せざる時如何。」師は言った。「展べず、展べず。」曰く、「畢竟如何。」師は言った。「拓かず、拓かず。」

伏龍山和尚(第三世)

伏竜山和尚(第三世)

僧問。行盡千山路。玄機事若何。師曰。鳥道不曾棲。問。既是師。為甚卻無位次。師曰。古今排不出。三際豈能安。曰。恁麼則某甲隨手去也。師曰。春風吹柳絮。往復幾時休。問。如何是真際。師曰。曠劫無異。不存階級。

僧が問うた。「千山の路を行き尽くす、玄機の事は若何。」師は言った。「鳥の道は曾て栖れず。」問う。「既に是れ師、何を為めて卻て位次無き。」師は言った。「古今は排び出づる能わず、三際は豈に能く安んぜん。」曰く、「かくの如くすれば則ち某甲は手に随いて去らん。」師は言った。「春風は柳絮を吹きて、往復は幾時か休まん。」問う。「如何なるか是れ真際。」師は言った。「曠劫に異無く、階級を存せず。」

九峰虔禪師法嗣

九峰虔禅師法嗣

新羅國清院禪師

新羅国清院禅師

僧問。奔馬爭毬。誰是得者。師曰。誰是不得者。曰。恁麼則不在爭也。師曰。直得不爭。亦有過在。曰。如何免得此過。師曰。要且不曾失。曰。不失處如何鍛鍊。師曰。兩手捧不起。

僧が問うた。「奔馬は毬を争う、誰是れ得る者。」師は言った。「誰是れ得ざる者。」曰く、「かくの如くすれば則ち争いに在らず。」師は言った。「直ちに争わざるを得るも、亦た過有る在り。」曰く、「如何にして此の過を免れん。」師は言った。「要して且つ曾て失わざれ。」曰く、「失わざる処は如何に鍛錬せん。」師は言った。「両手に捧げて起たれず。」

洪州泐潭神黨禪師

洪州泐潭神党禅師

僧問。四威儀中如何辨主。師曰。正遇寶峰不脫鞋。問。如何是佛法大意。師曰。虗空駕鐵船。嶽頂浪滔天。

僧が問うた。「四威儀の中に如何にして主を辨ず。」師は言った。「正に宝峰に遇えば鞋を脱がず。」問う。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「虚空は鉄船を駕し、嶽の頂は浪天に滔り。」

袁州南源行修慧觀禪師(亦曰光睦)

袁州南源行修慧観禅師(亦た曰く光睦)

僧問。如何是南源境。師曰。幾處峰巒猿鳥呌。一帶平川遊子迷。問。如何是南源深深處。師曰。眾人皆見。曰。恁麼則淺也。師曰。也是兩頭搖。問。有口談不得。無心未見伊時如何。師曰。古洞有龍吟不出。巖前木馬喊無形。

僧が問うた。「如何なるか是れ南源の境。」師は言った。「幾処の峰巒は猿鳥叫び、一帯の平川は游子迷う。」問う。「如何なるか是れ南源の深深の処。」師は言った。「衆人皆見る。」曰く、「かくの如くすれば則ち浅し。」師は言った。「も是れ両頭に摇る。」問う。「口有りて談ずるを得ず、心無くて未だ伊を見ざる時如何。」師は言った。「古洞に竜の吟有りて出でず、巌の前の木馬は喊して形無し。」

泐潭明禪師

泐潭明禅師

一日下到客位。眾請師歸方丈。師曰。道得即去。時牟和尚對曰。大眾請。師乃上法堂。僧問。非思量處識情難測時如何。師曰。我不欲違古人。曰。不違古人意作麼生。師曰。也合消得汝三拜。僧問。碓擣磨磨。不得忘卻。此意如何。師曰。虎口裡活雀兒。問。定慧不生時如何。師曰。鐵牛草上臥。昏昏不舉頭。問。如何是道者。師曰。毛𣯶𣯶地。曰。如何是道者家風。師曰。佛殿前逢尊者。問。如何是和尚終日事。師曰。缽盂裡無折筯。曰。如何是沙門日用事。師曰。轟轟不借萬人機。

ある日客位に下る。衆は師の方丈に帰らんことを請う。師は言った。「道い得れば即ち去らん。」時に牟和尚は対して言った。「大衆が請う。」師は乃ち法堂に上った。僧が問うた。「思量に非ざる処は識情測り難き時如何。」師は言った。「我は古人に違わんと欲せず。」曰く、「古人に違わざる意は作麼生。」師は言った。「も合して汝の三拜を消し得べし。」僧が問うた。「碓は搗き磨は磨ぐ、忘却するを得ざれ。此の意如何。」師は言った。「虎の口の裏の活き雀兒。」問う。「定慧生ぜざる時如何。」師は言った。「鉄牛は草の上に臥して、昏昏として頭を挙げず。」問う。「如何なるか是れ道者。」師は言った。「毛毵毵たる地。」曰く、「如何なるか是れ道者の家風。」師は言った。「佛殿の前に尊者に逢う。」問う。「如何なるか是れ和尚の終日の事。」師は言った。「鉢盂の裏に折れ箸無し。」曰く、「如何なるか是れ沙門の日用の事。」師は言った。「轟々として万人の機を借らず。」

吉州禾山禪師

吉州禾山禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。杉樹子。問。文殊以何為師。師曰。風箏有韻真堪聽。聽得由來曲不成。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「杉の樹子。」問う。「文殊は何を以って師と為す。」師は言った。「風箏は韻有りて真に聴くに堪うれど、聴くこと由来にして曲成らず。」

泐潭延茂禪師

泐潭延茂禅師

僧問。如何是古佛心。師曰。終不道土木瓦礫是。問。日落西山去。林中事若何。師曰。庭前花盛發。室內不知春。問。如何是閉門造車。師曰。失卻斑貓兒。曰。如何是出門合轍。師曰。坐地到長安。問。如何是和尚正主。師曰。畵鼓連槌響。耳畔不聞聲。

僧が問うた。「如何なるか是れ古佛の心。」師は言った。「終に土木瓦礫是れと道わず。」問う。「日は西山に落ちて去る、林の中の事は若何。」師は言った。「庭前の花は盛んに発すれど、室の内は春を知らず。」問う。「如何なるか是れ門を閉じて車を造る。」師は言った。「斑猫の兒を失い却けり。」曰く、「如何なるか是れ門を出でて轍に合う。」師は言った。「地に坐して長安に到る。」問う。「如何なるか是れ和尚の正主。」師は言った。「画鼓は槌に連なりて響けど、耳の畔は声を聞かず。」

洪州鳳棲同安院常察禪師

洪州鳳栖同安院常察禅師

僧問。如何是鳳棲家風。師曰。鳳棲無家風。曰。既是鳳棲。為甚麼無家風。師曰。不迎賓。不待客。曰。恁麼則四海參尋。當為何事。師曰。盤飣自有旁人施。問。如何是鳳棲境。師曰。千峰連嶽秀。萬嶂不知春。曰。如何是境中人。師曰。孤巖倚石坐。不下白雲心。問。祖意教意。是同是別。師曰。鐵狗吠石牛。幻人看月色。問。如何是披毛戴角底人。師曰。蓑衣箬笠賣黃金。幾箇相逢不解喚。問。學人未曉時機。乞師指示。師曰。參差松竹煙籠薄。重疊峰巒月上遲。僧擬進語。師曰。劒甲未施。賊身已露。僧曰。何也。師曰。精陽不剪霜前竹。水墨徒誇海上龍。僧遶禪床而出。師曰。閉目食蝸牛。一場酸澁苦。問。返本還源時如何。師曰。蟭蟟雖脫殻。不免抱寒枝。問。如何是猛利底人。師曰。石牛步步吼深潭。紙馬聲聲火中呌。新到持錫遶師三匝。振錫一下曰。凡聖不到處。請師道。師鳴指三下。僧曰。同安今日嚇得忘前失後。師曰。闍黎發足何處。僧珍重便出。師曰。五湖衲子。一錫禪人。未到同安。不妨疑著。僧回首。曰。遠聞不如近見。師曰。貪他一杯酒。失卻滿船魚。問。如何是大沒慚愧底人。師曰。老僧見作這業次。問。如何是祖師西來意。師曰。犀因翫月紋生角。象被雷驚花入牙。問。如何是向去底人。師曰。寒蟬抱枯木。泣盡不回頭。曰。如何是卻來底人。師曰。火裡蘆花秀。逢春恰似秋。曰。如何是不來不去底人。師曰。石羊遇石虎。相看早晚休。座主問。三乘十二分教。某甲粗知。未審和尚說何法示人。師曰。我說一乘法。曰。如何是一乘法。師曰。幾般雲色出峰頂。一樣泉聲落檻前。曰。不問這箇。如何是一乘法。師曰。你不妨靈利。翫月次。謂僧曰。奇哉。奇哉。星明月朗。足可觀瞻。豈異道乎。僧曰。如何是道。師曰。汝試道看。曰。彼自無瘡。勿傷之也。師曰。

僧が問うた。「如何なるか是れ鳳栖の家風。」師は言った。「鳳栖は家風無し。」曰く、「既に是れ鳳栖、何を為めて家風無き。」師は言った。「賓を迎えず、客を待たず。」曰く、「かくの如くすれば則ち四海に参尋するは、当に何を為めての事。」師は言った。「盤の飣は自ら傍人の施す所有り。」問う。「如何なるか是れ鳳栖の境。」師は言った。「千峰は岳に連なりて秀で、万嶂は春を知らず。」曰く、「如何なるか是れ境の中の人。」師は言った。「孤巌は石に倚りて坐し、白雲の心を下さず。」問う。「祖意と教意とは、是れ同なるか別なるか。」師は言った。「鉄狗は石牛に吠え、幻人は月色を看る。」問う。「如何なるか是れ毛を披き角を戴く底の人。」師は言った。「蓑衣箬笠は黄金を売る、幾箇か相い逢うて喚ぶを解せざる。」問う。「学人は未だ時機を暁らず、師の指示を乞う。」師は言った。「参差の松竹は煙籠薄く、重畳の峰巒は月の上ること遲し。」僧は語を進めんと拟した。師は言った。「剣甲は未だ施さず、賊の身は已に露れたり。」僧は言った。「何ぞや。」師は言った。「精陽は霜前の竹を剪らず、水墨は徒らに海上の竜を誇る。」僧は禅床を繞りて出た。師は言った。「目を閉じて蝸牛を食う、一場の酸渋苦。」問う。「本に返り源に還る時如何。」師は言った。「蟭蟟は殻を脱すと雖も、寒枝を抱くを免れず。」問う。「如何なるか是れ猛利なる底の人。」師は言った。「石牛は歩歩に深潭を吼え、紙馬は声声に火の中に叫ぶ。」新到は錫を持ちて師を三匝し、錫を振るうこと一下して言った。「凡聖の到らざる処、師の道わんことを請う。」師は指を三たび鳴らした。僧は言った。「同安は今日嚇れて前を忘れ後を失したり。」師は言った。「闍黎は何の処より足を発した。」僧は珍重して便ち出た。師は言った。「五湖の衲子、一錫の禅人。未だ同安に至らざれば、妨げず疑い著け。」僧は首を回らして、言った。「遠く聞くは近く見るに如かず。」師は言った。「他の一杯の酒を貪りて、満船の魚を失い却けり。」問う。「如何なるか是れ大いに慚愧無き底の人。」師は言った。「老僧は這の業次を作すを見る。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「犀は月を玩ぶに因りて紋角に生じ、象は雷に驚かれて花牙に入る。」問う。「如何なるか是れ向き去る底の人。」師は言った。「寒蝉は枯木を抱き、泣き尽くして頭を回らさず。」曰く、「如何なるか是れ卻って来る底の人。」師は言った。「火の裏の芦花は秀で、春に逢うて恰も秋に似たり。」曰く、「如何なるか是れ来らず去らざる底の人。」師は言った。「石の羊は石の虎に遇い、相い看るに早晚に休す。」座主が問うた。「三乗十二分教は、某甲は粗知す。未だ審らかに和尚は何の法を説きて人に示す。」師は言った。「我は一乗の法を説く。」曰く、「如何なるか是れ一乗の法。」師は言った。「幾般の雲色は峰の頂より出で、一样の泉声は檻の前に落つ。」曰く、「這箇を問わず。如何なるか是れ一乗の法。」師は言った。「汝は妨げず霊利なり。」月を玩ぶの次に、僧に謂うて言った。「奇なる哉、奇なる哉。星は明らかに月は朗らか、足りて観瞻すべし。豈に道に異ならんや。」僧は言った。「如何なるか是れ道。」師は言った。「汝試みに道え看よ。」曰く、「彼は自ら瘡無し、之を傷つくる勿れ。」師は言った、

負笈攻文。不閑弓矢。問僧。近離何處。曰。江西。師曰。江西法道何似此間。曰。賴遇問著某甲。若問別人。則禍生也。師曰。老僧適來造次。曰。某甲不是嬰兒。徒用止啼黃葉。師曰。傷鼈恕龜。殺活由我。問僧。甚處來。曰。五臺。師曰。還見文殊麼。僧展兩手。師曰。展手頗多。文殊誰覩。曰。氣急殺人。師曰。不覩雲中鴈。焉知沙塞寒。問。遠趨丈室。乞師一言。師曰。孫臏門下。徒話鑽龜。曰。名不浪得。師曰。吃茶去。僧便珍重。師曰。雖得一場榮。刖卻一雙足。師看經次。有僧來問訊。師曰。古佛今佛。皆無別理。曰。和尚如何。師打一掌。僧曰。如是。如是。師曰。這風顛漢。曰。今古皆然。師曰。擬欲降龍。卻逢死虎。曰。同安甚生光彩。師曰。守株停舶。非汝而誰。曰。和尚聻。師曰。胡羊往楚。抱屈而歸。師問僧。眼界無光。如何得見。曰。北斗東轉。南斗西移。師曰。夫子入太廟。曰。與麼則同安門下。道絕人荒去也。師曰。橫抱孾孩。擬彰皇簡。師聞鵲聲。謂眾曰。喜鵲鳴寒檜。心印是渠傳。僧出問曰。何別。師曰。眾中有人在。曰。同安門下。道絕人荒。師曰。胡人飲乳。返怪良醫。曰。休。休。師曰。老鶴入枯池。不見魚蹤跡。

(同安続けて言った:)「笈を負い文を攻めて、弓矢は閑かならず。」僧に問うた。「近く何の処を離れた。」曰く、「江西。」師は言った。「江西の法道は何ぞ此の間に似たる。」曰く、「頼らくは某甲に問い著けばに遇う。若し別人に問わば、則ち禍生ぜん。」師は言った。「老僧は適来造次せり。」曰く、「某甲は是れ嬰兒に非ず、徒らに啼を止むる黄葉を用う。」師は言った。「鼈を傷して亀を恕め、殺活は我に由る。」僧に問うた。「甚の処より来た。」曰く、「五台。」師は言った。「還た文殊を見るか。」僧は両手を展げた。師は言った。「手を展ぐること頗る多し、文殊は誰か睹る。」曰く、「気急ければ人を殺す。」師は言った。「雲の中の雁を睹ざれば、焉んぞ沙塞の寒きを知らん。」問う。「遠く丈室に趨りて、師の一言を乞う。」師は言った。「孫臏の門下は、徒らに亀を鑽るを話す。」曰く、「名は浪りに得ず。」師は言った。「茶を喫して去れ。」僧は便ち珍重した。師は言った。「一場の栄を得ると雖も、一双の足を刖ぎ却けり。」師は経を看る次に、僧有りて来りて問訊す。師は言った。「古佛も今佛も、皆別の理無し。」曰く、「和尚は如何。」師は一掌を打った。僧は言った。「是の如し、是の如し。」師は言った。「這の風顛の漢。」曰く、「今古皆然なり。」師は言った。「竜を降さんと拟して、卻て死虎に逢う。」曰く、「同安は甚だ光彩を生ぜり。」師は言った。「株を守り舶を停むは、汝に非ずして誰ぞ。」曰く、「和尚は呢。」師は言った。「胡の羊は楚に往きて、屈を抱きて帰る。」師は僧に問うた。「眼の界に光無きに、如何にして見るを得ん。」曰く、「北斗は東に転じ、南斗は西に移る。」師は言った。「夫子は太廟に入る。」曰く、「与めれば則ち同安の門下は、道絶えて人は荒れ去らん。」師は言った。「嬰孩を横に抱きて、皇簡を彰かんと拟す。」師は鵲の声を聞きて、衆に謂うて言った。「喜鵲は寒檜に鳴く、心印是れ渠の伝ふる所。」僧は出でて問うて言った。「何を別つ。」師は言った。「衆の中に人の在る有り。」曰く、「同安の門下は、道絶えて人は荒れん。」師は言った。「胡人は乳を飲みて、返って良医を怪む。」曰く、「休め、休め。」師は言った。「老鶴は枯れ池に入りて、魚の踪迹を見ず。」

洪州泐潭匡悟禪師

洪州泐潭匡悟禅師

僧問。如何是直截一路。師曰。恰好消息。曰。還通向上事也無。師曰。魚從下過。問。幽關未度。信息不通時如何。師曰。客路如天遠。侯門似海深。問。香煙馥郁。大張法筵。從上宗乘。如何舉唱。師曰。莫錯舉似人。曰。恁麼則總應如是。師曰。還是沒交涉。問。六葉芬芳。師傳何葉。師曰。六葉不相續。花開果不成。曰。豈無今日事。師曰。若是今日即有。曰。今日事如何。師曰。葉葉連枝秀。花開處處芳。

僧が問うた。「如何なるか是れ直截の一路。」師は言った。「恰好の消息。」曰く、「還た向上の事に通ずるや無きや。」師は言った。「魚は下に従りて過ぐ。」問う。「幽関は未だ度らず、信息は通通ぜざる時如何。」師は言った。「客の路は天の如く遠く、侯の門は海に似て深し。」問う。「香の煙馥郁として、大いに法筵を張る。従上の宗乗は、如何に挙唱せん。」師は言った。「人に挙似するを錯る莫れ。」曰く、「かくの如くすれば則ち総て応に是の如し。」師は言った。「還た是れ渉ること無し。」問う。「六葉芬芳なり、師は何の葉を伝う。」師は言った。「六葉は相い続がず、花開きて果は成らず。」曰く、「豈に今日の事無からんや。」師は言った。「若し是れ今日ならば即ち有り。」曰く、「今日の事如何。」師は言った。「葉葉は枝に連なりて秀で、花開きて処処に芳ばし。」

吉州禾山無殷禪師

吉州禾山無殷禅師

福州吳氏子。七歲從雪峰出家。依年受具。謁九峰。峰問。汝遠遠而來。暉暉(音袞)隨眾。見何境界而可修行。由何徑路而能出離。師曰。重昏廓闢。盲者自盲。峰乃許入室。後住禾山。學徒濟濟。諸方降歎。江南李氏召而問曰。和尚何處來。師曰。禾山來。曰。山在甚麼處。師曰。人來朝鳳闕。山嶽不曾移。國主重之。命居楊州祥光院。復乞入山。以翠巖而棲止焉。時上藍亦虗其室。命師來往闡化。號澄源禪師。僧問。學人乍入叢林。乞師指示。師曰。於汝不惜。問。仰山插鍬意旨如何。師曰。汝問我。曰。玄沙踏倒鍬又作麼生。師曰。我問汝。曰。未辯其宗。如何體悉。師曰。頭大尾尖。問。咫尺之間。為甚麼不覩師顏。師曰。且與闍黎道一半。曰。為甚麼不全道。師曰。盡法無民。曰。不怕無民。請師盡法。師曰。推倒禾山也。問。習學謂之聞。絕學謂之隣。過此二者。謂之真過。如何是真過。師曰。禾山解打鼓。曰。如何是真諦。師曰。禾山解打鼓。問。即心即佛則不問。如何是非心非佛。師曰。禾山解打鼓。曰。如何是向上事。師曰。禾山解打鼓。問。萬法齊興時如何。師曰。禾山解打鼓。問。如何是古佛心。師曰。世界崩陷。曰。為甚如此。師曰。寧無我身。問。尊者撥眉擊目。視育王時如何。師曰。即今也恁麼。曰。學人如何領會。師曰。莫非摩利支山。問。摩尼寶殿有四角。一角常露。如何是露底角。師舉手曰。汝打我。復曰。汝還會麼。曰。不會。師曰。汝爭解打得我。問。如何是西來意。師曰。撲破著。問。已在紅爐。請師烹鍊。師曰。槌下成器。曰。恁麼則烹鍊去也。師曰。池州和尚。問。四壁打禾。中間剗草。和尚赴阿那頭。師曰。甚麼處不赴。曰。恁麼則同於眾去也。師曰。小師弟子。建隆元年二月示微疾。三月二日辭眾。乃曰。後來學者未識禾山。即今識取。珍重。

福州呉氏の子なり。七歳にして雪峰に従りて出家し、年に依りて具を受く。九峰に謁す。峰は問うた。「汝は遠々として来り、暉暉(音は衮)として衆に随う。何の境界を見て修行すべく、何の径路に由りて出離を能くせん。」師は言った。「重昏は廓く辟き、盲する者は自ら盲す。」峰は乃ち室に入るを許した。後に禾山に住し、学徒は済済として、諸方は降りて嘆す。江南の李氏は召して問うて言った。「和尚は何の処より来た。」師は言った。「禾山より来ました。」曰く、「山は什麼の処に在る。」師は言った。「人は来りて鳳の闕に朝するも、山岳は曾て移らず。」国主は之を重んじて、揚州の祥光院に居らしむ。復た山に入るを乞い、翠巌を以って栖止せり。時に上藍も亦た其の室を虚しくして、師に来往して化を闡かしめて、澄源禅師と号す。僧が問うた。「学人は乍ち叢林に入る、師の指示を乞う。」師は言った。「汝に於て惜しまず。」問う。「仰山の鍬を挿すの意旨如何。」師は言った。「汝は我に問え。」曰く、「玄沙が踏み倒す鍬は又作麼生。」師は言った。「我は汝に問わん。」曰く、「未だ其の宗を辨ぜず、如何に体悉せん。」師は言った。「頭は大きく尾は尖り。」問う。「咫尺の間に、何を為めて師の顔を睹ざる。」師は言った。「且く闍黎と与に一半を道わん。」曰く、「何を為めて全く道わざる。」師は言った。「法を尽くして民無し。」曰く、「民無きを怕れず、師の法を尽くさんことを請う。」師は言った。「禾山を推し倒せり。」問う。「学習を之れ聞と謂い、学を絶つを之れ鄰と謂う。此の二者を過ぐを、之れ真の過と謂う。如何なるか是れ真の過。」師は言った。「禾山は鼓を打つを解す。」曰く、「如何なるか是れ真諦。」師は言った。「禾山は鼓を打つを解す。」問う。「即心即佛は則ち問わず。如何なるか是れ非心非佛。」師は言った。「禾山は鼓を打つを解す。」曰く、「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「禾山は鼓を打つを解す。」問う。「万法斉しく興る時如何。」師は言った。「禾山は鼓を打つを解す。」問う。「如何なるか是れ古佛の心。」師は言った。「世界は崩陥す。」曰く、「何を為めて此の如くなる。」師は言った。「寧ろ我が身無し。」問う。「尊者は眉を拨き目を撃ちて、育王を視る時如何。」師は言った。「即今ももかくの如し。」曰く、「学人は如何に領会せん。」師は言った。「莫に非ず摩利支山なり。」問う。「摩尼の宝殿に四角有り、一角は常に露る。如何なるか是れ露る底の角。」師は手を挙げて言った。「汝は我を打て。」復た言った。「汝は還た会するか。」曰く、「会せず。」師は言った。「汝は争でか解して我を打たん。」問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「扑して破れ著け。」問う。「已に紅炉に在り、師の烹錬を請う。」師は言った。「槌の下に器と成る。」曰く、「かくの如くすれば則ち烹錬して去らん。」師は言った。「池州の和尚。」問う。「四壁は禾を打ち、中間は草を鏟る。和尚は阿那头に赴く。」師は言った。「什麼の処に赴かざる。」曰く、「かくの如くすれば則ち衆に同じくして去らん。」師は言った。「小師の弟子。」建隆元年二月に微疾を示す。三月二日に衆を辞して、乃ち言った。「後来の学者は未だ禾山を識らず、即今識り取れ。珍重。」

言訖而寂。諡法性禪師。

言い訖りて寂す。諡は法性禅師。

洪州泐潭牟禪師

洪州泐潭牟禅師

僧問。如何是學人著力處。師曰。正是著力處。上堂。僧問。百丈捲席意旨如何。師曰。珍重。便下座。

僧が問うた。「如何なるか是れ学人の力を著くる処。」師は言った。「正に是れ力を著くる処。」上堂。僧が問うた。「百丈の席を卷くの意旨如何。」師は言った。「珍重。」便ち座を下りた。

湧泉欣禪師法嗣

涌泉欣禅師法嗣

台州六通院紹禪師

台州六通院紹禅師

一日。湧泉問。甚麼處去來。師曰。燒畬來。泉曰。火後事作麼生。師曰。鐵蛇鑽不入。住後。僧問。不出咽喉唇吻事如何。師曰。待汝一钁斸斷巾子山。我亦不向汝道。問。南山有一毒蛇。如何近得。師曰。非但闍黎。千聖亦近不得。人問。承聞南方有一劒話。如何是一劒。師曰。不當鋒。曰。頭落又作麼生。師曰。我道不當鋒。有甚麼頭。其人禮謝而去。問。父母未生時。那人何處立。師曰。卦兆未興。孫臏失算。問。如何是大千頂。師曰。不與眾峰齊。師休夏。入天台山華頂峰晦跡。莫知所終。

ある日、涌泉が問うた。「什麼の処より去り来たる。」師は言った。「畬を焼きて来たり。」泉は言った。「火の後の事は作麼生。」師は言った。「鉄の蛇は鑽り入らず。」住の後。僧が問うた。「咽喉唇吻を出でざる事如何。」師は言った。「汝が一钁で巾子山を斫り断たんを待たば、我も亦た汝に向いて道わず。」問う。「南山に一毒の蛇有り、如何にして近づき得ん。」師は言った。「非但だ闍黎、千聖も亦た近づくを得ず。」人が問うた。「承く南方に一剣の話有り。如何なるか是れ一剣。」師は言った。「鋒に当たらず。」曰く、「頭落ちて又作麼生。」師は言った。「我道う鋒に当たらざる、什麼の頭か有る。」其の人は礼謝して去った。問う。「父母未だ生ぜざる時、那の人は何の処に立つ。」師は言った。「卦兆は未だ興らず、孫臏は算を失う。」問う。「如何なるか是れ大千の頂。」師は言った。「衆峰と斉しからず。」師は夏を休め、天台山の華頂峰に入りて迹を晦ませ、終る所を知る莫し。

雲葢元禪師法嗣

雲蓋元禅師法嗣

潭州雲葢山志罕禪師

潭州雲蓋山志罕禅師

僧問。如何是須彌頂上浪滔天。師曰。文殊正作閙。曰。如何是正位中事。師曰。不向機前展大悲。問。如何是那邊人。師曰。鋒前不露影。句後覓無蹤。

僧が問うた。「如何なるか是れ須弥の頂の上に浪天に滔る。」師は言った。「文殊は正に閙を作す。」曰く、「如何なるか是れ正位の中の事。」師は言った。「機の前に大悲を展べず。」問う。「如何なるか是れあちらの人。」師は言った。「鋒の前は影を露さず、句の後は覓めて踪無し。」

新羅國臥龍禪師

新羅国臥竜禅師

僧問。如何是大人相。師曰。紫羅帳裡不垂手。曰。為甚麼不垂手。師曰。不尊貴。問。十二時中如何用心。師曰。猢猻吃毛蟲。問。如何是潭中意。師曰。絲綸垂不到。磻溪謾放鉤。曰。如何是潭外事。師曰。日裡金烏呌。蟾中玉兔驚。

僧が問うた。「如何なるか是れ大人の相。」師は言った。「紫羅の帳の裏は手を垂れず。」曰く、「何を為めて手を垂れざる。」師は言った。「尊貴ならず。」問う。「十二時の中に如何に心を用いる。」師は言った。「猢猻は毛虫を喫す。」問う。「如何なるか是れ潭の中の意。」師は言った。「絲綸は垂れて到らず、磻渓は謾りに鉤を放つ。」曰く、「如何なるか是れ潭の外の事。」師は言った。「日の裏は金烏叫び、蟾の中は玉兎驚く。」

彭州天台燈禪師

彭州天台灯禅師

僧問。古佛向甚麼處去也。師曰。中央甲第高。歲歲出靈苗。問。古鏡未磨時如何。師曰。不施功。曰。磨後如何。師曰。不照燭。問。如何是佛。師曰。紅蓮座上。不覩天冠。

僧が問うた。「古佛は什麼の処に向いて去る。」師は言った。「中央の甲第は高く、歳々に霊苗を出づ。」問う。「古鏡は未だ磨かざる時如何。」師は言った。「功を施さず。」曰く、「磨きて後如何。」師は言った。「照燭せず。」問う。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「紅蓮の座の上は、天冠を睹ず。」

谷山藏禪師法嗣

谷山蔵禅師法嗣

新羅國瑞巖禪師

新羅国瑞巌禅師

僧問。黑白兩亡開佛眼時如何。師曰。恐你守內。問。如何是誕生王子。師曰。深宮引不出。曰。如何是朝生王子。師曰。宮中不列位。曰。如何是末生王子。師曰。處處無標的。不展萬人機。

僧が問うた。「黒白両く亡びて佛の眼を開く時如何。」師は言った。「恐らくは汝の内を守らんことを。」問う。「如何なるか是れ誕生の王子。」師は言った。「深宮は引きて出でず。」曰く、「如何なるか是れ朝生の王子。」師は言った。「宮の中は位を列せず。」曰く、「如何なるか是れ末生の王子。」師は言った。「処処に標的無く、万人の機を展べず。」

新羅國百巖禪師

新羅国百巌禅師

僧問。如何是禪。師曰。古塚不為家。曰。如何是道。師曰。徒勞車馬跡。曰。如何是教。師曰。貝葉收不盡。

僧が問うた。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「古塚は家と為らず。」曰く、「如何なるか是れ道。」師は言った。「徒らに車馬の迹を労す。」曰く、「如何なるか是れ教。」師は言った。「貝葉は収め尽くさず。」

新羅國大嶺禪師

新羅国大嶺禅師

僧問。古人道。祇到潼關便即休。會了便休。未會便休。師曰。祇為迷途中活計。曰。離卻迷途。還得其中活計也無。師曰。體即得。當即不得。曰。既是體得。為甚麼當不得。師曰。體是甚麼人分上事。曰。其中事如何。師曰。不作尊貴。問。如何是一切處清淨。師曰。截瓊枝寸寸是寶。析旃檀片片皆香。問。如何是用中無礙。師曰。一片白雲繚亂飛。

僧が問うた。「古人は道う、只だ潼関に到れば便ち即ち休めと。会し了えば便ち休め、未だ会せざれば便ち休め。」師は言った。「只だ迷途の中の活計を為めて。」曰く、「迷途を離れ却けて、還た其の中の活計を得るや無きや。」師は言った。「体すれば即ち得、当れば即ち得ず。」曰く、「既に是れ体すれば得、何を為めて当れば得ざる。」師は言った。「体するは是れ什麼の人の分上の事。」曰く、「其の中の事如何。」師は言った。「尊貴を作さず。」問う。「如何なるか是れ一切の処清浄なる。」師は言った。「瓊の枝を截れば寸寸是れ宝、旃檀を析けば片片皆香ばし。」問う。「如何なるか是れ用の中に礙え無き。」師は言った。「一片の白雲は繚乱として飛ぶ。」

中雲葢禪師法嗣

中雲蓋禅師法嗣

潭州雲葢山證覺景禪師

潭州雲蓋山証覚景禅師

僧問。國土晏清。功歸何處。師曰。銀臺門下不展賀。曰。轉功無位時如何。師曰。王家事宛然。曰。如何是閫外底事。師曰。畵鼓聲終後。將軍不點頭。

僧が問うた。「国土は晏清なり、功は何の処に帰する。」師は言った。「銀台の門の下は賀を展べず。」曰く、「功を転じて位無き時如何。」師は言った。「王の家の事は宛然なり。」曰く、「如何なるか是れ閫外の底の事。」師は言った。「画鼓の声終りて後、将軍は点头せず。」

吉州禾山師陰禪師

吉州禾山師陰禅師

僧問。王子未來登。誰人當治化。師曰。閫外不行邊塞令。將軍自致太平年。曰。恁麼則治化之功猶不當。師曰。亦有當。曰。如何是當。師曰。十方國土盡屬於王。問。久久尋源。為甚麼不見。師曰。為步數太多。曰。恁麼則不覓去也。師曰。還同避溺而投火。問。如何是佛。師曰。承當者不是好手。

僧が問うた。「王子は未だ来りて登らず、誰人か当に治化すべき。」師は言った。「閫外は辺塞の令を行わず、将軍は自ら太平の年を致す。」曰く、「かくの如くすれば則ち治化の功は猶お当たらず。」師は言った。「も当たる有り。」曰く、「如何なるか是れ当たる。」師は言った。「十方の国土は尽く王に属す。」問う。「久々に源を尋ぬれども、何を為めて見ざる。」師は言った。「歩数の太多きを為めて。」曰く、「かくの如くすれば則ち覓めざらんと去らん。」師は言った。「還た溺を避けて火に投ずるに同じ。」問う。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「承当する者は是れ好手に非ず。」

幽州柘溪從實禪師

幽州柘渓従実禅師

僧問。如何是道。師曰。箇中無紫皂。曰。如何是禪。師曰。不與白雲連。師問。僧作甚麼來。曰。親近來。師曰。任你白雲朝嶽頂。爭奈青山不展眉。

僧が問うた。「如何なるか是れ道。」師は言った。「箇の中に紫皀無し。」曰く、「如何なるか是れ禅。」師は言った。「白雲と与に連ならず。」師は問うた。「僧は什麼を作して来た。」曰く、「親近して来ました。」師は言った。「汝に任す白雲は嶽の頂に朝すれど、争奈青山は眉を展べざるを。」

洛浦安禪師法嗣

洛浦安禅師法嗣

蘄州烏牙山彥賓禪師

蘄州烏牙山彦賓禅師

僧問。未作人身已前。作甚麼來。師曰。三腳石牛坡上走。一枝瑞草目前分。問。疋馬單鎗直入時如何。師曰。饒你雄信解拈鎗。猶較秦王百步在。問。久戰沙場。為甚麼功名不就。師曰。雙鵰隨箭落。李廣不當名。問。百步穿楊。中的者誰。師曰。將軍不上便橋。金牙徒勞拈筈。問。螮蝀飲雲根時如何。師曰。金輪天子下閻浮。鐵縵頭上金花異。曰。正當恁麼時如何。師曰。當今不坐靈明殿。畵鼓休停八佾音。

僧が問うた。「未だ人の身を作さざる已前は、什麼を作して来た。」師は言った。「三脚の石牛は坡の上に走り、一枝の瑞草は目の前に分かつ。」問う。「匹馬単鎗にして直ちに入る時如何。」師は言った。「汝の雄信が鎗を拈ずるを解するを饒くるも、猶お秦王の百歩に較ぶ在り。」問う。「沙場に久しく戦いて、何を為めて功名就らざる。」師は言った。「双雕は箭に随いて落ち、李広は名に当たらず。」問う。「百百歩は楊を穿つ、的に中る者は誰ぞ。」師は言った。「将軍は便橋に上らず、金牙は徒らに筈を拈ずるを労す。」問う。「䗖す。」問う。「䗖𬟽は雲の根を飲む時如何。」師は言った。「金輪の天子は閻浮を下りて、鉄縵の頭の上は金花異なり。」曰く、「正にかくの如くなる時如何。」師は言った。「当今は霊明の殿に坐せず、画鼓は休めて八佾の音を停めず。」

鳳翔府青峰傳楚禪師

鳳翔府青峰伝楚禅師

涇州人也。一日。洛浦問曰。院主去甚麼處來。師曰。掃雪來。浦曰。雪深多少。師曰。樹上總是。浦曰。得即得。汝向後住箇雪窟定矣。後訪白水。水曰。見說洛浦有生機一路。是否。師曰。是。水曰。止卻生路。向熟路上來。師曰。生路上死人無數。熟路上不著活漢。水曰。此是洛浦底。你底作麼生。師曰。非但洛浦。夾山亦不奈何。水曰。夾山為甚麼不奈何。師曰。不見道生機一路。住後。僧問。佛魔未現。向甚麼處應。師曰。諸上座聽祇對。問。大事已明。為甚麼也如喪考妣。師曰。不得春風花不開。及至花開又吹落。問。如何是一色。師曰。全無一滴水。浪激似銀山。問。如何是臨機一句。師曰。便道將來。曰。請和尚道。師曰。穿過髑髏。不知痛癢。問。如何是明瞭底人一句。師曰。駿馬寸步不移。鈍鳥昇騰出路。

涇州の人なり。ある日、洛浦が問うて言った。「院主は什麼の処より去り来たる。」師は言った。「雪を掃きて来たり。」浦は言った。「雪は深きこと多少。」師は言った。「樹の上は総て是れ。」浦は言った。「得れば即ち得。汝は後に向い箇の雪の窟に住すること定まれり。」後に白水を訪う。水は言った。「説を見るに洛浦に生機の一路有りと、是の否や。」師は言った。「是。」水は言った。「生路を止め却けて、熟路に向いて上り来れ。」師は言った。「生路の上は死する人無数、熟路の上は活き漢に著かず。」水は言った。「此れ是れ洛浦の底。汝の底は作麼生。」師は言った。「非但だ洛浦、夾山も亦た奈何せず。」水は言った。「夾山は何を為めて奈何せざる。」師は言った。「道う生機の一路を見ざるか。」住の後。僧が問うた。「佛魔は未だ現ぜず、什麼の処に向いて応ぜん。」師は言った。「諸の上座は只の対を聴け。」問う。「大事は已に明なり、何を為めても考妣を喪うが如く。」師は言った。「春風を得ざれば花開かず、及んで花開きて又吹き落とす。」問う。「如何なるか是れ一色。」師は言った。「全く一滴の水無けれど、浪は激して銀山に似たり。」問う。「如何なるか是れ機に臨むの一句。」師は言った。「便ち道い将て来れ。」曰く、「和尚の道わんことを請う。」師は言った。「髑髏を穿ち過ぐれど、痛痒を知らず。」問う。「如何なるか是れ明了なる底の人の一句。」師は言った。「駿馬は寸歩も移らず、鈍の鳥は升騰して路を出づ。」

京兆府永安院善靜禪師

京兆府永安院善静禅師

郡之王氏子。母夢金像。覺而有娠。師幼習儒學。博通群言。年二十七。忽厭浮幻。潛詣終南山禮廣度禪師披削。唐天復中。南謁洛浦。浦器之。容其入室。乃典園務。力營眾事。一日。有僧辭浦。浦曰。四面是山。闍黎向甚麼處去。僧無對。浦曰。限汝十日。下語得中。即從汝去。其僧經行冥搜。偶入園中。師問曰。上座既是辭去。今何在此。僧具陳所以。堅請代語。師曰。竹密豈妨流水過。山高那阻野雲飛。其僧喜踴。師囑之曰。不得道是某甲語。僧遂白浦。曰。誰語。曰。某甲語。浦曰。非汝語。僧具言園頭見教。浦至晚。上堂謂眾曰。莫輕園頭。他日座下有五百人在。後住永安。眾餘五百。果符洛浦之記。僧問。知有道不得時如何。師曰。知有箇甚麼。曰。不可無去也。師曰。恁麼則合道得。曰。道即不無。爭奈語偏。師曰。水凍魚難躍。山寒花發遲。問。如何是和尚家風。師曰。木馬背斜陽。入草無蹤跡。問。如何是一色。師曰。易分雪裡粉。難辯墨中煤。問。如何是衲衣向上事。師曰。龍魚不出海。水月不吞光。問。不可以智知。不可以識識時如何。師曰。鶴鷺竝頭踏雪睡。月明驚起兩遲疑。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。異境靈松。覩者皆羨。曰。見後如何。師曰。葉落已枝摧。風來不得韻。問。如何得生如來家。師曰。披衣望曉。論劫不明。曰。明後如何。師曰。一句不可得。曰。如何是不坐如來座。師曰。抱頭石女歸來晚。祇園會裡沒蹤由。師往遊𭶚道。避昭宗蒙塵之亂。以漢開運丙午冬。鳴犍槌集僧。囑累入方丈。東向右脇而化。諡淨悟禪師。

郡の王氏の子なり。母は金の像を夢み、覚めて娠有り。師は幼にして儒学を習い、博く群言に通ず。年二十七にして、忽ち浮幻を厭い、潜かに終南山に詣りて広度禅師を礼して披削す。唐の天復の中に、南かりて洛浦に謁す。浦は之を器として、其の室に入るを容れ、乃ち園務を典かしめ、力めて衆の事を営む。ある日、僧有りて浦を辞す。浦は言った。「四面是れ山、闍黎は什麼の処に向いて去る。」僧は対無し。浦は言った。「汝に十日を限る、語を下して中り得ば、即ち汝の去るに従わん。」其の僧は行を経て冥いに搜りて、偶に園の中に入る。師は問うて言った。「上座は既に辞して去る、今何ぞ此に在る。」僧は具さに所以を陳じ、堅く語を代わらんことを請う。師は言った。「竹密なれば豈に流水の過ぐるを妨げん、山高ければ那でか野雲の飛ぶを阻まん。」其の僧は喜び踊る。師は之に嘱して言った。「是れ某甲の語と道うを得ざれ。」僧は遂に浦に白す。曰く、「誰が語ぞ。」曰く、「某甲の語。」浦は言った。「汝の語に非ず。」僧は具さに園頭の教え見しを言う。浦は晩に至りて、上堂して衆に謂うて言った。「園頭を軽んずる莫れ。他日は座の下に五百人の在る有らん。」後に永安に住し、衆は五百に余り、果たして洛浦の記に符えり。僧が問うた。「知りて有るを道い得ざる時如何。」師は言った。「箇の什麼有るを知る。」曰く、「可ならず無くして去らん。」師は言った。「かくの如くすれば則ち合して道い得べし。」曰く、「道うも無からざれど、争奈語の偏れるを。」師は言った。「水凍りて魚は躍り難く、山寒くて花の発ずること遲し。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「木馬は斜陽を背負いて、草に入りて踪迹無し。」問う。「如何なるか是れ一色。」師は言った。「雪の裏の粉は分かち易く、墨の中の煤は辨じ難し。」問う。「如何なるか是れ衲衣の向上の事。」師は言った。「竜魚は海を出でず、水月は光を呑まず。」問う。「智を以って知る可からず、識を以って識る可からざる時如何。」師は言った。「鶴鷺は頭を並べて雪を踏んで睡り、月明に驚き起きて両く迟疑す。」問う。「牛頭は未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「異境の霊松は、睹る者皆羡む。」曰く、「見えて後如何。」師は言った。「葉落ちて已に枝摧け、風来りて韻を得ず。」問う。「如何にして如来の家に生まれ得ん。」師は言った。「衣を披きて暁を望む、劫を論ずれども明ならず。」曰く、「明の後如何。」師は言った。「一句も得る可からず。」曰く、「如何なるか是れ如来の座に坐せざる。」師は言った。「頭を抱く石女は帰り来りて晩し、只園の会の裏は踪由没し。」師は蜀道に往きて游び、昭宗の蒙塵の乱を避く。漢の開運丙午の冬に、犍槌を鳴らして僧を集め、方丈に入りて嘱累し、東に向右脇して化す。諡は浄悟禅師。

鄧州中度禪師

鄧州中度禅師

僧問。海內不逢師。如何是寰中主。師曰。金鷄常報曉。時人自不聞。問。如何是暗中明鏡。師曰。昧不得。曰。未審照何物。師曰。甚麼物不照。問。如何是實際理地不受一塵。佛事門中不捨一法。師曰。真常塵不染。海納百川流。曰。請和尚離聲色外答。師曰。木人常對語。有性不能言。

僧が問うた。「海内に師に逢わず、如何なるか是れ寰中の主。」師は言った。「金鶏は常に暁を報ずれど、時人は自ら聞かず。」問う。「如何なるか是れ暗の中の明鏡。」師は言った。「昧うるを得ざれ。」曰く、「未だ審らかに何の物を照らす。」師は言った。「什麼の物か照らさざる。」問う。「如何なるか是れ実際の理地は一塵を受けず、佛事の門の中は一法を舎てざる。」師は言った。「真常は塵に染まず、海は百の川の流を納る。」曰く、「和尚の声色の外を離れて答えんことを請う。」師は言った。「木人は常に語に対すれど、性有りて言う能わず。」

嘉州洞谿戒定禪師

嘉州洞渓戒定禅師

初問洛浦。月樹無枝長覆蔭。請師直指妙玄微。浦曰。森羅秀處。事不相依。淥水千波。孤峰自異。師於是領旨。住後。僧問。蛇師為甚麼被蛇吞。師曰。幾度扣門招不出。將身直入裡頭看。有官人問。既是清淨伽藍。為甚打魚鼓。師曰。直須打出青霄外。免見龍門點額人。

初めて洛浦に問うた。「月の樹は枝無くして長く覆い蔭す、師の直ちに妙玄微を指さんことを請う。」浦は言った。「森羅の秀でる処は、事は相い依らず。渌水の千波は、孤峰自ら異なり。」師は是に於て旨を領す。住の後。僧が問うた。「蛇師は何を為めて蛇に呑まれた。」師は言った。「幾度も門を叩きて招くも出でず、身を将て直ちに裏頭に入りて看よ。」官人有りて問うた。「既に是れ清浄の伽藍、何を為めて魚鼓を打つ。」師は言った。「直ちに須く青霄の外に打ち出でて、龍門の額を点ずる人を見るを免れよ。」

京兆府臥龍禪師

京兆府臥竜禅師

僧問。杲日符天際。珠光照舊都。浦津通法海。今日意如何。師曰。寶劒揮時。豈該明暗。

僧が問うた。「杲日は天際に符し、珠光は旧都を照らす。浦津は法海に通ず、今日の意は如何。」師は言った。「宝剣は揮う時、豈に明暗を該めん。」

逍遙忠禪師法嗣

逍遥忠禅師法嗣

泉州福清院師巍通玄禪師

泉州福清院師巍通玄禅師

僧問。枝分夾嶺。的紹逍遙。寶座既登。法雷請震。師曰。逍遙迥物外。物外霞不生。問。如何是西來的的意。師曰。立雪未為勞。斷臂方為的。曰。恁麼則一華開五葉。芬芳直至今。師曰。因圓三界外。果滿十方知。

僧が問うた。「枝は夾嶺に分かれ、的に逍遥を紹ぐ。宝座は既に登れたり、法の雷を震わんことを請う。」師は言った。「逍遥は迥かに物の外にして、物の外は霞生ぜず。」問う。「如何なるか是れ西来の的の意。」師は言った。「雪に立つは未だ労と為らず、臂を断つは方に的と為る。」曰く、「かくの如くすれば則ち一華開きて五葉なり、芬芳は直ちに今に至る。」師は言った。「因は三界の外に円え、果は満ちて十方の知る所。」

京兆府白雲無休禪師

京兆府白雲無休禅師

僧問。路逢猛虎。如何降伏。師曰。歸依佛法。僧問。如何是白雲境。師曰。月夜樓邊海客愁。

僧が問うた。「路に猛虎に逢う、如何に降伏せん。」師は言った。「佛法に帰依せよ。」僧が問うた。「如何なるか是れ白雲の境。」師は言った。「月の夜は楼の辺に海の客愁う。」

蟠龍文禪師法嗣

蟠竜文禅師法嗣

廬山永安淨悟禪師

廬山永安浄悟禅師

僧問。如何是出家底事。師曰。萬丈懸崖撒手去。曰。如何是不出家底事。師曰。迥殊雪嶺安巢節。有異許由掛一瓢。問。六門不通。如何達信。師曰。闍黎外邊與誰相識。問。脫籠頭.卸角䭾來時如何。師曰。換骨洗腸投紫塞。鴈門切忌更銜蘆。問。從上諸聖將何示人。師曰。有異祖龍行化節。迥超棲鳳越揚塵。問。如何是解作客底人。師曰。寶御珍裝猶尚棄。誰能歷劫傍他門。問。如何是西來意。師曰。海底泥牛吼。雲中木馬嘶。問。眾手淘金。誰是得者。師曰。黃帝不曾遊赤水。神珠罔象也虗然。問。雪覆蘆華時如何。師曰。雖則沍凝呈瑞色。太陽暉後卻迷人。

僧が問うた。「如何なるか是れ家を出づる底の事。」師は言った。「万丈の懸崖に手を撒きて去る。」曰く、「如何なるか是れ家を出でざる底の事。」師は言った。「迥かに雪嶺の巣を安んずるの節に殊なり、許由の一瓢を挂くるに異有り。」問う。「六門通ぜず、如何に信を達せん。」師は言った。「闍黎の外辺は誰と与に相い識る。」問う。「籠頭を脱ぎ角駄を卸きて来る時如何。」師は言った。「骨を換え腸を洗いて紫塞に投ぐ、雁門は切に更に芦を衔えるを忌め。」問う。「従上の諸聖は何を将て人に示す。」師は言った。「祖竜の化を行うの節に異有り、迥かに鳳に栖みて塵を越え揚ぐを超ゆ。」問う。「如何なるか是れ客を作すを解する底の人。」師は言った。「宝御珍装も猶お尚お棄つ、誰か能く劫を歴りて他の門に傍らん。」問う。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「海底の泥牛は吼え、雲の中の木馬は嘶く。」問う。「衆の手は金を淘す、誰是れ得る者。」師は言った。「黄帝は曾て赤水に游ばず、神珠の罔象も亦た虚然なり。」問う。「雪は芦華を覆う時如何。」師は言った。「冱凝は瑞色を呈すると雖も、太陽の暉の後は卻て人を迷わす。」

袁州木平山善道禪師

袁州木平山善道禅師

初謁洛浦。問。一漚未發已前。如何辨其水脈。浦曰。移舟諳水脈。舉棹別波瀾。師不契。乃參蟠龍。語同前問。龍曰。移舟不別水。舉棹即迷源。師從此悟入。僧問。如何是西來意。師曰。石羊頭子向東看。問。如何是正法眼。師曰。拄杖孔。問。如何是不動尊。師曰。浪浪蕩蕩。問。如何是木平一句。師曰。畐塞虗空。曰。畐塞虗空即不問。如何是一句。師便打。凡有新到。未許參禮。先令運土三擔。而示偈曰。南山路側東山低。新到莫辭三轉泥。嗟汝在途經日久。明明不曉卻成迷。師肉髻螺紋。金陵李氏嚮其道譽。迎請供養。待以師禮。甞問。如何是木平。師曰。不勞斤斧。曰。為甚麼不勞斤斧。師曰。木平。法眼禪師有偈贈曰。木平山裡人。貌古言復少。相看陌路同。論心秋月皎。壞衲線非蠶。助歌聲有鳥。城闕今日來。一漚曾已曉。滅後。門人建塔。諡真寂禪師。

初めて洛浦に謁し、問うた。「一漚未だ発せざる已前は、如何にして其の水の脈を辨ず。」浦は言った。「舟を移して水の脈を諳れ、棹を挙げて波瀾を別け。」師は契わず、乃ち蟠竜に参じて、語は前の問に同じ。竜は言った。「舟を移すも水を別たず、棹を挙ぐれば即ち源を迷う。」師は此より悟り入った。僧が問うた。「如何なるか是れ西来の意。」師は言った。「石の羊の頭子は東に向いて看る。」問う。「如何なるか是れ正法の眼。」師は言った。「拄杖の孔。」問う。「如何なるか是れ動かざる尊。」師は言った。「浪浪として蕩蕩たり。」問う。「如何なるか是れ木平の一句。」師は言った。「畐く虚空を塞ぐ。」曰く、「畐く虚空を塞ぐは即ち問わず。如何なるか是れ一句。」師は便ち打った。凡そ新到は、未だ参礼を許さず、先ず土三担を運ばしめて、而る後に偈を示して言った。「南山の路側は東山低し、新到は三転の泥を辞する莫れ。嗟れ汝は途に在りて日を経ること久し、明明として暁らざれども卻て迷と成れり。」師は肉髻螺の紋有り。金陵の李氏は其の道の誉れを響かし、迎え請うて供養し、師の礼を以って待す。嘗て問うた。「如何なるか是れ木平。」師は言った。「斤斧に労せず。」曰く、「何を為めて斤斧に労せざる。」師は言った。「木平。」法眼禅師は偈有りて贈りて言った。「木平の山の裏の人は、貌は古にして言は復た少なし。相い看るに陌路同じく、心を論ずるに秋の月皎し。壊衲の線は蚕に非ず、歌の声を助くるに鳥有り。城闕に今日来りて、一漚は曾て已に暁く。」滅の後、門人は塔を建つ。諡は真寂禅師。

崇福志禪師

崇福志禅師

僧問。供養百千諸佛。不如供養一無心道人。未審諸佛有何過。無心道人有何德。師曰。雪深宜近火。身煖覺春遲。問。貧子獻珠時如何。師曰。甚麼處得來。問。如何是道。師曰。回車有分。

僧が問うた。「百千の諸佛を供養するは、一無心の道人を供養するに如かず。未だ審らかに諸佛は何の過か有り、無心の道人は何の徳か有る。」師は言った。「雪深きは火に近づくに宜しく、身暖かくして春の遲きを覚ゆ。」問う。「貧子は珠を献ずる時如何。」師は言った。「什麼の処より得て来たる。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「車を回らすに分有り。」

陝府龍溪禪師

陝府龍渓禅師

上堂。僧問。如何是無縫塔。師曰。百寶莊嚴今已了。四門開豁幾多時。師乃曰。直饒說似箇無縫塔。也不免老僧下箇橛。作麼生免得去。眾無對。師曰。下去。

上堂。僧が問うた。「如何なるか是れ縫無き塔。」師は言った。「百宝の荘厳は今已に了え、四門は開豁として幾多の時ぞ。」師は乃ち言った。「直に箇の縫無き塔を説き似るを饒くるも、も老僧の箇の橛を下すを免れず。作麼生にして免れ得て去らん。」衆は対無し。師は言った。「下りて去れ。」

黃山輪禪師法嗣

黄山輪禅師法嗣

郢州桐(或作潼)泉山禪師

郢州桐(或は潼と作す)泉山禅師

參黃山。山問。天門一合。十方無路。有人道得。擺手出漳江。師曰。蟄戶不開。龍無龍句。山曰。是你恁麼道。師曰。是即直言是。不是直言不是。山曰。擺手出漳江。山復問。卞和到處荊山秀。玉印從他天子傳時如何。師曰。靈鶴不於林下憩。野老不重太平年。山深肯之。住後。僧問。如何是相傳底事。師曰。龍吐長生水。魚吞無盡漚。曰。請師挑剔。師曰。擂鼓轉船頭。棹穿波裡月。

黄山に参ず。山は問うた。「天門は一合すれば、十方に路無し。人道い得る者有らば、手を摆して漳江を出でん。」師は言った。「蟄の戸は開かず、竜に竜の句無し。」山は言った。「是れ汝のかくの如く道う所。」師は言った。「是れば即ち直ちに是と言い、不是なれば直ちに不是と言う。」山は言った。「手を摆して漳江を出でよ。」山は復た問うた。「卞和の到る処は荊山秀で、玉の印は他の天子に従りて伝う時如何。」師は言った。「霊鶴は林の下に憩わず、野老は太平の年を重ねず。」山は深く之を肯んじた。住の後。僧が問うた。「如何なるか是れ相い伝うる底の事。」師は言った。「竜は長生の水を吐き、魚は無尽の漚を呑む。」曰く、「師の挑剔を請う。」師は言った。「鼓を擂して船頭を転じ、棹は波の裏の月を穿つ。」

韶山普禪師法嗣

韶山普禅師法嗣

潭州文殊禪師

潭州文殊禅師

僧問。如何是祝融峰前事。師曰。巖前瑞草生。問。仁王登位。萬姓霑恩。和尚出世。有何祥瑞。師曰。萬裡長沙駕鐵船。問。如何是本爾莊嚴。師曰。菊花原上景。行人去路長。

僧が問うた。「如何なるか是れ祝融峰の前の事。」師は言った。「巌の前に瑞草生ず。」問う。「仁王は位に登りて、万姓は恩に沾う。和尚の出世は、何の祥瑞か有る。」師は言った。「万里の長沙は鉄船を駕す。」問う。「如何なるか是れ本爾の荘厳。」師は言った。「菊花の原の上の景は、行人の去る路長し。」

耀州密行禪師

耀州密行禅師

僧問。密室之言。請師垂示。師曰。南方水濶。北地風多。曰。不會。乞師再指。師曰。鳥棲林麓易。人出是非難。

僧が問うた。「密室の言は、師の垂示を請う。」師は言った。「南方は水濶く、北地は風多し。」曰く、「会せず。師の再び指すを乞う。」師は言った。「鳥は林麓に栖るは易く、人は是非を出づるは難し。」

思明禪師法嗣

思明禅師法嗣

襄州鷲嶺善本禪師

襄州鷲嶺善本禅師

浴次。僧問。和尚是離垢人。為甚麼卻浴。師曰。定水湛然滿。浴此無垢人。問。祖意教意。是同是別。師曰。鷲嶺峰上。青草參天。鹿野苑中。狐兔交橫。

浴する次。僧が問うた。「和尚は是れ垢を離れたる人、何を為めて卻て浴す。」師は言った。「定の水は湛然として満ち、此の垢無き人を浴す。」問う。「祖意と教意とは、是れ同なるか別なるか。」師は言った。「鷲嶺の峰の上は、青草は天に参ず。鹿野の苑の中は、狐兎は交横す。」

青原下七世

青原下七世

藤霞禪師法嗣

藤霞禅師法嗣

澧州藥山禪師

澧州薬山禅師

上堂。夫學般若菩薩。不懼得失。有事近前。時有僧問。藥山祖裔。請師舉唱。師曰。萬機挑不出。曰。為甚麼萬機挑不出。師曰。他緣岸谷。問。如何是藥山家風。師曰。葉落不如初。問。法雷哮吼時如何。師曰。宇宙不曾震。曰。為甚麼不曾震。師曰。徧地娑婆。未甞哮吼。曰。不哮吼底事如何。師曰。闔國無人知。

上堂:「夫れ般若を学ぶ菩薩は、得失を惧れず。事有れば近き前ね。」時に僧が問うた。「薬山の祖裔は、師の挙唱を請う。」師は言った。「万機は挑み出さず。」曰く、「何を為めて万機は挑み出さざる。」師は言った。「他は岸谷に縁す。」問う。「如何なるか是れ薬山の家風。」師は言った。「葉落ちて初めに如かず。」問う。「法の雷は哮吼する時如何。」師は言った。「宇宙は曾て震わず。」曰く、「何を為めて曾て震わざる。」師は言った。「遍地の娑婆は、未だ曾て哮吼せず。」曰く、「哮吼せざる底の事如何。」師は言った。「国を闔けて人知る無し。」

雲蓋景禪師法嗣

雲蓋景禅師法嗣

衡嶽南臺寺藏禪師

衡嶽南台寺蔵禅師

僧問。遠遠投師。請師一接。師曰。不隔戶。問。如何是南臺境。師曰。松韻拂時石不點。孤峰山下壘難齊。曰。如何是境中人。師曰。巖前栽野菓。接待往來賓。曰。恁麼則謝師供養。師曰。怎生滋味。問。如何是法堂。師曰。無壁落。問。不顧諸緣時如何。師良久。

僧が問うた。「遠々として師に投ず、師の一接を請う。」師は言った。「戸を隔たず。」問う。「如何なるか是れ南台の境。」師は言った。「松の韻は拂う時に石は点たず、孤峰の山の下は壘は斉し難し。」曰く、「如何なるか是れ境の中の人。」師は言った。「巌の前に野果を栽えて、往来の賓を接待す。」曰く、「かくの如くすれば則ち師の供養を謝す。」師は言った。「怎生の滋味ぞ。」問う。「如何なるか是れ法堂。」師は言った。「壁落無し。」問う。「諸の縁を顧みざる時如何。」師は良久とした。

潭州雲蓋山證覺禪師

潭州雲蓋山証覚禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。四海不曾通。問。如何是一塵含法界。師曰。通身體不圓。曰。如何是九世剎那分。師曰。繁興不布彩。問。如何是宗門中的的意。師曰。萬裡胡僧。不入波瀾。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「四海は曾て通ぜず。」問う。「如何なるか是れ一塵は法界を含む。」師は言った。「身体を通して円ならず。」曰く、「如何なるか是れ九世の刹那の分。」師は言った。「繁興は彩を布かず。」問う。「如何なるか是れ宗門の中の的の意。」師は言った。「万里の胡の僧は、波瀾に入らず。」

烏牙賓禪師法嗣

烏牙賓禅師法嗣

安州大安山興古禪師

安州大安山興古禅師

僧問。亡僧遷化。向甚麼處去也。師曰。昨夜三更拜南郊。問。維摩默然。意旨如何。師曰。黯黑石牛兒。超然不出戶。問。如何是那邊事。師曰。黑漆牧童不展手。銀籠鶴畔野雲飛。

僧が問うた。「亡き僧は化に遷りて、什麼の処に向いて去る。」師は言った。「昨夜の三更は南郊に拜す。」問う。「維摩は黙然なり、意旨如何。」師は言った。「黯黒の石牛の兒は、超然として戸を出でず。」問う。「如何なるか是れあちらの事。」師は言った。「黒漆の牧童は手を展べず、銀の籠の鶴の畔は野雲飛ぶ。」

蘄州烏牙山行朗禪師

蘄州烏牙山行朗禅師

僧問。未作人身已前作甚麼來。師曰。海上石牛歌三拍。一條紅線掌間分。問。迦葉上行衣。何人合得披。師曰。天然無相子。不掛出塵衣。

僧が問うた。「未だ人の身を作さざる已前は什麼を作して来た。」師は言った。「海の上の石牛は歌三たび拍して、一条の紅の線は掌の間に分かつ。」問う。「迦葉の上行の衣は、何人か合して披くを得ん。」師は言った。「天然は相無き子、出塵の衣を挂けず。」

青峰楚禪師法嗣

青峰楚禅師法嗣

西川靈龕禪師

西川霊龕禅師

僧問。如何是諸佛出身處。師曰。出處非幹佛。春來草自青。問。碌碌地時如何。師曰。試進一步看。

僧が問うた。「如何なるか是れ諸佛の身を出づる処。」師は言った。「出づる処は佛に干らず、春来りて草自ら青し。」問う。「碌碌たる地の時如何。」師は言った。「試みに一歩を進めて看よ。」

京兆府紫閣山端己禪師

京兆府紫閣山端己禅師

僧問。四相俱盡。立甚麼為真。師曰。你甚麼處去來。問。渭水正東流時如何。師曰。從來無間斷。

僧が問うた。「四相俱に尽くるに、什麼を立てて真と為す。」師は言った。「汝は什麼の処より去り来たる。」問う。「渭水は正しく東に流るる時如何。」師は言った。「従来間断無し。」

房州開山懷晝禪師

房州開山懐昼禅師

僧問。作何行業。即得不違於千聖。師曰。妙行無倫匹。情玄體自殊。問。有耳不臨清水洗。無心誰為白雲幽時如何。師曰。無木掛千金。曰。掛後如何。師曰。杳杳人難辯。問。如何是塵中師。師曰。荊棘林中隨處到。旃檀林裡任縱橫。問。如何是祖師西來意。師曰。月隱澄潭。金輝正午。

僧が問うた。「何の行業を作せば、即ち千聖に違わざるを得ん。」師は言った。「妙行は倫匹無く、情玄は体自ら殊なり。」問う。「耳有りて清水に臨みて洗わず、心無くて誰か白雲の幽の為めにする時如何。」師は言った。「木無きに千金を挂く。」曰く、「挂けて後如何。」師は言った。「杳杳として人は辨じ難し。」問う。「如何なるか是れ塵の中の師。」師は言った。「荆棘の林の中は処に随いて到り、旃檀の林の裏は縦横に任す。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「月は澄潭に隠れ、金輝は午に正し。」

幽州傳法禪師

幽州伝法禅師

僧問。教意祖意。是同是別。師曰。華開金線秀。古洞白雲深。問。別人為甚麼徒弟多。師為甚麼無徒弟。師曰。海島龍多隱。茅茨鳳不棲。

僧が問うた。「教意と祖意とは、是れ同なるか別なるか。」師は言った。「華開きて金の線秀で、古洞は白雲深し。」問う。「別人は何を為めて徒弟多く、師は何を為めて徒弟無き。」師は言った。「海の島は竜多くして隠れ、茅茨は鳳は栖まず。」

益州淨眾寺歸信禪師

益州浄衆寺帰信禅師

僧問。蓮華未出水時如何。師曰。菡萏滿池流。曰。出水後如何。師曰。葉落不知秋。問。不假浮囊。便登巨海時如何。師曰。紅觜飛超三界外。綠毛也解道煎茶。問。如何是自在底人。師曰。劒樹霜林去便行。曰。如何是不自在底人。師曰。釋迦在闍黎後。

僧が問うた。「蓮華は未だ水を出でざる時如何。」師は言った。「菡萏は池に満ちて流る。」曰く、「水を出でて後如何。」師は言った。「葉落ちて秋を知らず。」問う。「浮囊を仮らずして、便ち巨海に登る時如何。」師は言った。「紅の嘴は飛びて三界の外を超え、緑の毛も亦た煎茶を解す。」問う。「如何なるか是れ自在なる底の人。」師は言った。「剣の樹と霜の林と去りて便ち行く。」曰く、「如何なるか是れ自在ならざる底の人。」師は言った。「釈迦は闍黎の後に在り。」

青峰山清勉禪師

青峰山清勉禅師

僧問。久醞蒲萄酒。今日為誰開。師曰。飲者方知。問。如何是祖師西來意。師曰。耨池無一滴。四海自滔滔。

僧が問うた。「久しく葡萄の酒を醞す、今日は誰が為めに開く。」師は言った。「飲む者は方に知る。」問う。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「耨の池は一滴無く、四海は自ら滔滔たり。」

宋世玉音

宋世玉音

宋太宗皇帝

宋太宗皇帝

一日幸相國寺。見僧看經。問曰。是甚麼經。僧曰。仁王經。帝曰。既是寡人經。因甚卻在卿手裡。僧無對(雪竇代雲。皇天無親。唯德是輔)。幸開寶塔。問僧。卿是甚人。對曰。塔主。帝曰。朕之塔為甚麼卿作主。僧無對(雪竇代曰。合國鹹知)。一日。因僧朝見。帝問。甚處來。對曰。廬山臥雲庵。帝曰。朕聞臥雲深處不朝天。為甚到此。僧無對(雪竇代雲。難逃至化)。僧入對次。奏曰。陛下還記得麼。帝曰。甚處相見來。奏曰。靈山一別。直至如今。帝曰。卿以何為驗。僧無對(雪竇代曰。貧道得得而來)。京寺回祿。藏經悉為煨燼。僧欲乞宣賜。召問。昔日摩騰不燒。如今為甚卻燒。僧無對。(雪竇代雲。陛下不忘付囑)。帝甞夢神人報曰。請陛下發菩提心。因早朝宣問左右街。菩提心作麼生發。街無對(雪竇代雲。實謂今古罕聞)。智寂大師進三界圖。帝問。朕在那一界中。寂無對(保寧勇代曰。陛下何處不稱尊)。一日朝罷。帝擎缽問丞相王隨曰。既是大庾嶺頭提不起。為甚麼卻在朕手裡。隨無對。

ある日相国寺に幸して、僧の経を看るを見た。問うて言った。「是れ什麼の経ぞ。」僧は言った。「仁王経。」帝は言った。「既に是れ寡人の経、因甚しかして卻て卿の手の裏に在る。」僧は対無し。(雪窦代わりて言った。「皇天は親無し、惟だ徳是れ輔。」)開宝塔に幸す。僧に問うた。「卿は是れ甚の人ぞ。」対して言った。「塔の主。」帝は言った。「朕の塔は何を為めて卿が主を作す。」僧は対無し。(雪窦代わりて言った。「国を合わせて咸く知る。」)ある日、僧の朝見に因る。帝は問うた。「甚の処より来た。」対して言った。「廬山の臥雲庵。」帝は言った。「朕聞く臥雲は深くて天に朝せずと、何を為めて此に到る。」僧は対無し。(雪窦代わりて言った。「至化を逃れ難し。」)僧は対に入る次に、奏して言った。「陛下は還た記え給うや。」帝は言った。「甚の処にて相い見えて来たる。」奏して言った。「霊山の一別より、直ちに今に至る。」帝は言った。「卿は何を以って験と為す。」僧は対無し。(雪窦代わりて言った。「貧道は得得として来る。」)京の寺は回禄ありて、蔵経は悉く煨燼と為る。僧は宣賜を乞わんと欲す。召して問うた。「昔日は摩騰は焼けず、如今は何を為めて卻て焼く。」僧は対無し。(雪窦代わりて言った。「陛下は付嘱を忘れず。」)帝は嘗て神人の報するを夢みて言わく、「陛下に菩提の心を発さんことを請う。」早朝に因りて左右街に宣い問うた。「菩提の心は作麼生に発す。」街は対無し。(雪窦代わりて言った。「実に今古に聞くこと罕なりと謂う。」)智寂大師は三界の図を進す。帝は問うた。「朕は那一界の中に在る。」寂は対無し。(保寧勇代わりて言った。「陛下は何の処にか尊と称せざらん。」)ある日朝罷れて、帝は鉢を擎げて丞相王随に問うて言った。「既に是れ大庾嶺の頭に提げ起たれざる、何を為めて卻て朕の手の裏に在る。」随は対無し。

徽宗皇帝

徽宗皇帝

政和三年。嘉州巡捕官奏。本部路傍有大古樹。因風摧折。中有一僧禪定。鬚髮被體。指爪遶身。帝降旨。令肩輿入京。命西天總持三藏以金磬出其定。遂問。何代僧。曰。我乃東林遠法師之弟。名慧持。因遊峨嵋。入定於樹。遠法師無恙否。藏曰。遠法師晉人也。化去七百年矣。持不復語。藏問。師既至此。欲歸何所。持曰。陳留縣。復入定。帝製三偈。令繪像頒行。偈曰。七百年來老古錐。定中消息許誰知。爭如隻履西歸去。生死何勞木作皮。藏山於澤亦藏身。天下無藏道可親。寄語莊週休擬議。樹中不是負趍人。有情身不是無情。彼此人人定裡身。會得菩提本無樹。不須辛苦問盧能。

政和三年、嘉州の巡捕官が奏す:本部の路の傍に大きなる古樹有り、風に因りて摧折し、中に一僧禅定あり、須髪は体を被い、指爪は身を繞る。帝は旨を降し、肩輿を以って京に入らしめ、西天の総持三蔵に命じて金磬を以って其の定を出でしむ。遂に問うた。「何の代の僧ぞ。」曰く、「我は乃ち東林の遠法師の弟、名は慧持。峨嵋に游ぶに因りて、樹に入りて定す。遠法師は恙無きや。」蔵は言った。「遠法師は晋の人なり、化して去ること七百年なり。」持は復た語らず。蔵は問うた。「師は既に此に至る、何の所に帰らんと欲す。」持は言った。「陳留県。」復た定に入る。帝は三偈を制し、像を絵して頒行せしむ。偈に曰く、「七百年の来の老古錐は、定の中の消息は誰に許るを知らん。争か如かん只の履は西に帰り去りて、生死は何ぞ木の皮を作すを労せん。山を蔵するを沢に於てし、も亦た身を蔵す、天下に道の親むべき蔵無し。庄周に寄語して拟議するを休めよ、樹の中は是れ趨を負う人に非ず。有情の身は是れ无情に非ず、彼此は人々の定の裏の身。菩提は本樹無しを会し得て、須く辛苦に卢能を問うを要せず。」

孝宗皇帝

孝宗皇帝

宣問靈隱佛照光禪師。曰。釋迦佛入山修道。六年而成。所成者何事。請師明說。對曰。將謂陛下忘卻。

霊隠佛照光禅師に宣い問うて言った。「釈迦佛は山に入りて道を修して、六年にして成れり。成れる者は何の事ぞ。師に明説を請う。」対して言った。「陛下は忘却せられけるかと将に謂う。」

未詳法嗣

未だ詳ならざる法嗣

實性大師

実性大師

因同參芙蓉訓禪師至。上堂。以右手拈拄杖。倚放左邊。良久曰。此事若不是芙蓉師兄。也大難委悉。便下座。

同参の芙蓉訓禅師の至るに因る。上堂して、右手を以って拄杖を拈じ、左辺に倚り放つ。良久にして言った。「此の事は若し芙蓉の師兄に非ざれば、も大いに委悉し難し。」便ち座を下りた。

茶陵鬱山主

茶陵郁山主

不曾行腳。因廬山有化士至。論及宗門中事。教令看僧問法燈。百尺竿頭。如何進步。燈雲。噁。凡三年。一日乘驢度橋。一踏橋板而墮。忽然大悟。遂有頌雲。我有神珠一顆。久被塵勞關鏁。今朝塵盡光生。照破山河萬朵。因茲更不遊方。師乃白雲端和尚得度師。雲有贊曰。百尺竿頭曾進步。溪橋一踏沒山河。從茲不出茶川上。吟嘯無非囉哩囉。

曾て行脚せず。廬山に化士の至る有り、宗門の中の事に論じ及びて、僧の法灯に問うを看ることを教えしむ:「百尺の竿の頭に、如何にして歩を進めん。」灯は言った。「悪なり。」凡そ三年なり。ある日驢に乗りて橋を度りて、一たび橋の板を踏みて堕ちて、忽然として大いに悟れたり。遂に頌有りて曰く、「我に神の珠一顆有り、久しく塵労の関鎖を被れり。今朝塵尽きて光生じて、山河の万朵を照り破れり。」茲に因りて更に方を游ばず。師は乃ち白雲端和尚の度を得たる師なり。雲は賛有りて曰く、「百尺の竿の頭に曾て歩を進め、渓橋の一踏は山河を没せり。茲に従りて茶川の上を出でず、吟嘯するに非ざるは囉哩囉のみ。」

僧肇法師

僧肇法師

遭秦王難。臨就刑說偈曰。四大元無主。五陰本來空。將頭臨白刃。猶似斬春風(玄沙雲。大小肇法師。臨死猶寱語)。

秦王の難に遭う。刑に就かんと臨みて偈を説きて言った。「四大は元主無く、五陰は本来空なり。頭を将て白刃に臨ましむるに、猶お春風を斬るに似たり。」(玄沙曰く、「大小の肇法師は、死に臨みて猶お囈語す。」)

禪月貫休禪師

禅月貫休禅師

有詩曰。禪客相逢祇彈指。此心能有幾人知。大隨和尚舉問曰。如何是此心。師無對(歸宗柔代雲。能有幾人知)。

詩有りて曰く、「禅の客は相い逢うて只だ指を弾く、此の心は能く幾人か知らん。」大随和尚は挙げて問うて言った。「如何なるか是れ此の心。」師は対無し。(帰宗柔代わりて言った。「能く幾人か知らん。」)

先淨照禪師

先浄照禅師

問楞嚴大師。經中道。若能轉物。即同如來。若被物轉。即名凡夫。祇如昇元閣作麼生轉。嚴無對(汾陽代雲。彼此老大)。

楞厳大師に問うた。「経の中に道う、若し能く物を転ぜば、即ち如来に同じ。若し物に転ぜられば、即ち凡夫と名づく。只だ如升元閣は作麼生に転ずる。」厳は対無し。(汾陽代わりて言った。「彼此は老大なり。」)

公期和尚

公期和尚

因往羅漢。路逢一騎牛公子。師問。羅漢路向甚麼處去。公拍牛曰。道。道。師喝曰。這畜生。公曰。羅漢路向甚麼處去。師卻拍牛曰。道。道。公曰。直饒恁麼。猶少蹄角在。師便打。公拍牛便走。

羅漢に往くに因りて、路に一騎牛の公子に逢う。師は問うた。「羅漢の路は什麼の処に向いて去る。」公は牛を拍ちて言った。「道、道。」師は喝して言った。「這の畜生。」公は言った。「羅漢の路は什麼の処に向いて去る。」師は卻って牛を拍ちて言った。「道、道。」公は言った。「直にかくの如くを饒くるも、猶お蹄角の少なき在り。」師は便ち打った。公は牛を拍ちて便ち走った。

唐朝因禪師

唐朝因禅師

微時。甞運槌擊土次。見一大塊。戲槌猛擊之。應碎。豁然大悟(後有老宿聞雲。盡山河大地。被因禪師一擊百雜碎)。

微の時、嘗て槌を運らして土を撃つ次に、一大塊を見て、戯れに槌を猛く之を撃てば、応に碎けて、豁然として大いに悟れたり。(後に老宿有りて聞きて言った。「山河大地を尽くす、因禅師の一撃に被りて百の雑碎と為れり。」)

福州東山雲頂禪師

福州東山雲頂禅師

泉州人(遺其氏)。以再下春闈。往雲臺大吼寺剃染具戒。即謁大愚.芝神.鼎諲。後見羅漢下尊宿。始徹己事。道學有聞叢林。稱為頂三教。僧問。如何是和尚日用事。師曰。我吃飯。汝受飢。曰。法法不相到。又作麼生。師曰。汝作罪。我皆知。問。如何是和尚一枝拂。師曰。打破修行窟。曰。恁麼則本來無一物也。師曰。知無者是誰。曰。學人罪過。師曰。再思可矣。居士問洞山道。有一物上拄天。下拄地。未審是甚麼物。師曰。擔鐵架。吃鐵棒。曰。天地黑。山河走。師曰。閻老殿前添一鬼。北邙山下臥千年。士呌。快活。快活。師曰。也是野狐吞老鼠。九龍觀道士並三士人。請上堂。儒門畫八卦。造契書。不救六道輪回。道門朝九皇。鍊真氣。不達三祇劫數。我釋迦世尊。洞三祇劫數。救六道輪回。以大願攝人天。如風輪持日月。以大智破生死。若劫火焚秋毫。入得我門者。自然轉變天地。幽察鬼神。使須彌.鐵圍.大地.大海入一毛孔中。一切眾生。不覺不知。我說此法門。如虗空俱含萬象。一為無量。無量為一。若人得一。即萬事畢。珍重。

泉州の人なり(其の氏を遺す)。再び春闈を下げるを以って、雲台の大吼寺に往きて剃染し具戒す。即ち大愚、芝神、鼎𬤇に謁す。後に羅漢の下の尊宿に見えて、始めて己が事を徹す。道の学は叢林に聞えて、頂の三教と称す。僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の日用の事。」師は言った。「我は飯を喫し、汝は飢を受く。」曰く、「法々は相い到らず、又作麼生。」師は言った。「汝は罪を作し、我は皆知る。」問う。「如何なるか是れ和尚の一枝の拂。」師は言った。「修行の窟を打ち破る。」曰く、「かくの如くすれば則ち本来一物無し。」師は言った。「無しと知る者は誰ぞ。」曰く、「学人は罪過なり。」師は言った。「再び思えば可なり。」居士が問うた。「洞山は道う一物有りて上は天を拄き、下は地を拄ぐと。未だ審らかに是れ什麼の物ぞ。」師は言った。「鉄の架を担いで、鉄の棒を喫す。」曰く、「天地は黑く、山河は走る。」師は言った。「閻老の殿の前に一鬼を添え、北邙の山の下に臥すこと千年なり。」士は叫びた。「快活、快活。」師は言った。「も是れ野狐が老鼠を呑みたり。」九龍観の道士と三士人と、上堂を請う:「儒の門は八卦を画き、契書を造るも、六道の輪回を救わず。道の門は九皇に朝して、真の気を錬るも、三祇の劫数を達せず。我が釈迦世尊は、三祇の劫数を洞かにして、六道の輪回を救う。大きなる願を以って人天を摂すこと、風輪の日月を持つが如く。大きなる智を以って生死を破ること、劫火の秋毫を焚くが若し。我が門に入る者は、自然に天地を転変し、幽かに鬼神を察す。須弥、鉄囲、大地、大海をして一毛孔の中に入れしむるに、一切の衆生は覚えず知らず。我は此の法門を説く、虚空の万象を俱に含むが如し。一は無量と為り、無量は一と為る。若し人一を得れば、即ち万事畢えり。珍重。」

婺州雲幽重惲禪師(今曰法雲)

婺州雲幽重恽禅師(今は法雲と曰う)

初謁雪峰。次依石霜。乃開悟。旋里隱居。蔽形唯一衲。住後。上堂。雲幽一隻箭。虗空無背面。射去徧十方。要且無人見。時有僧問。如何是和尚一隻箭。師曰。盡大地人無髑髏。

初めて雪峰に謁し、次いで石霜に依りて、乃ち悟を開く。里に旋りて隠居し、形を蔽うは唯一衲なり。住の後。上堂:「雲幽の一只の箭は、虚空は背面無し。射去りて十方に遍く、要して且つ人の見る無し。」時に僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の一只の箭。」師は言った。「大地の人を尽くして髑髏無し。」

雙溪布衲如禪師

双渓布衲如禅師

因嵩禪師戲以詩悼之曰。繼祖當吾代。生緣行可規。終身常在道。識病懶尋醫。貌古筆難寫。情高世莫知。慈雲布何處。孤月自相宜。師讀罷舉筆答曰。道契平生更有誰。閑卿於我最心知。當初未欲成相別。恐誤同參一首詩。投筆坐亡。於六十年後。塔戶自啟。其真容儼然。

嵩禅師が戯れに詩を以って之を悼みて言うに因る:「祖に継ぐは当に吾が代、生縁は行規る可し。終身は常に道に在り、病を識りて医を尋ぬるを懶す。貌は古にして筆は写し難く、情は高くして世は知る莫し。慈の雲は何の処か布く、孤月は自ら相宜なり。」師は読み罷りて筆を挙げて答えて言った。「道は平生に契う、更に誰か有らん、卿は我に於て最も心を知るを閑す。当初は未だ相い別るを成さんと欲せざる、恐らくは同参の一首の詩を誤らんことを。」筆を投げて坐に亡ぶ。六十年の後に於て、塔の戸は自ら啓きて、其の真の容は俨然たり。

舒州投子通禪師

舒州投子通禅師

僧問。達磨未來時如何。師曰。兩岸唱漁歌。曰。來後如何。師曰。大海湧風波。問。如何是孤峰頂上節操長松。師曰。能為萬象主。不逐四時凋。問。如何是和尚這裡佛法。師曰。東壁打西壁。

僧が問うた。「達磨未だ来たらざる時如何。」師は言った。「両岸は漁歌を唱う。」曰く、「来たりて後如何。」師は言った。「大海は風波を涌ぐ。」問う。「如何なるか是れ孤峰の頂の上の節操の長松。」師は言った。「万象の主と為る能く、四時に逐りて凋まず。」問う。「如何なるか是れ和尚の此の里の佛法。」師は言った。「東の壁は西の壁を打つ。」

處州法海立禪師

処州法海立禅師

因朝廷有旨。革本寺為神霄宮。師陞座謂眾曰。都緣未徹。所以說是說非。葢為不真。便乃分彼分此。我身尚且不有。身外烏足道哉。正眼觀來。一場笑俱。今則聖君垂旨。更僧寺作神霄。佛頭上添箇冠兒。算來有何不可。山僧今日不免橫擔拄杖。高掛缽囊。向無縫塔中安身立命。於無根樹下嘯月吟風。一任乘雲仙客。駕鶴高人。來此呪水書符。叩牙作法。他年成道。白日上昇。堪報不報之恩。以助無為之化。秖恐不是玉。是玉也大奇。然雖如是。且道山僧轉身一句作麼生道。還委悉麼。擲下拂子。竟爾趨寂。郡守具奏其事。奉旨改其寺曰真身。

朝廷に旨有りて、本寺を革めて神霄宮と為るに因る。師は座に升りて衆に謂うて言った。「都て未だ徹せざるに縁りて、所以に是非を説き説くは是なり。蓋し真ならざるを為めて、便ち乃ち彼を分かち此を分かつ。我が身は尚且ち有らざれば、身の外は烏ぞ道うに足らんや。正の眼を以って観れば、一場の笑具なり。今は則ち聖君は旨を垂れて、更に僧寺を神霄と作す。佛の頭の上に箇の冠兒を添うるに、算め来れば何の不可か有らん。山僧は今日は免れず横たえて拄杖を担いで、高く鉢の囊を挂く。縫無き塔の中に向いて身を安んじ命を立て、根無き樹の下に於て月を嘯いて風を吟ず。一たび雲に乗る仙の客、鶴を駕る高の人に任せて、此に来りて水を咒い符を書き、牙を叩きて法を作さしめん。他年は道を成して、白日に上昇せん。報ずべきの恩を報ぜざるに堪えて、無為の化を助けん。只だ恐らくは是れ玉に非ざれ、是れ玉ならばも大いに奇なり。然りと雖も是の如し、且く道え山僧の身を転ずる一句は作麼生に道うや。還た委悉するや。」拂子を擲ち下ろして、竟に爾として寂に趨く。郡守は具さに其の事を奏す。旨を奉じて其の寺を改めて真身と曰う。

汝州天寧明禪師

汝州天寧明禅師

改德士日。師登座謝恩畢。乃曰。木簡信手拈來。坐具乘時放下。雲散水流去。寂然天地空。即斂目而逝。

徳士と改むる日、師は座に登りて恩を謝し畢りて、乃ち言った。「木の簡は手に信じて拈じ来り、坐具は時に乗じて放下す。雲散じ水流れて去れば、寂然として天地空なり。」即ち目を斂めて逝く。

蜀中仁王欽禪師

蜀の中の仁王欽禅師

僧問。如何是佛。師曰。聞名不如見面。曰。如何是祖師西來意。師曰。閙市裡弄猢猻。曰。如何是道。曰。大蟲看水磨。

僧が問うた。「如何なるか是れ佛。」師は言った。「名を聞くは面を見るに如かず。」曰く、「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「閙の市の裏は猢猻を弄す。」曰く、「如何なるか是れ道。」曰く、「大虫は水の磨を看る。」

金陵鐵索山主(遺其名)

金陵鉄索山主(其の名を遺す)

僧問。久嚮鐵索。未審作何面目。主打露柱。僧曰。謝見示。主曰。你據箇甚麼便恁麼道。僧卻打露柱。主曰。且道索在恁麼處。僧作量勢。主曰。今日遇箇同參。

僧が問うた。「久しく鉄索を響かす、未だ審らかに何の面目を作す。」主は露柱を打った。僧は言った。「示し見たるを謝す。」主は言った。「汝は箇の什麼に據りて便ちかくの如く道う。」僧は卻って露柱を打った。主は言った。「且く道え索はかくの如くの処に在る。」僧は勢を量り作さんとす。主は言った。「今日は箇の同参に遇えり。」

樓子和尚

楼子和尚

不知何許人也。遺其名氏。一日偶經遊街市間。於酒樓下整襪帶次。聞樓上人唱曲雲。你既無心我也休。忽然大悟。因號樓子焉。

何許の人かを知らず、其の名氏を遺す。ある日偶さま街市の間を経て游び、酒の楼の下に於て襪帯を整うる次に、楼の上の人の曲を唱うて「汝既に心無くば我も亦た休めり」と説くを聞きて、忽然として大いに悟れり、因りて楼子と号す。

神照本如法師

神照本如法師

甞以經王請益四明尊者。者震聲曰。汝名本如。師即領悟。作偈曰。處處逢歸路。頭頭達故鄉。本來成現事。何必待思量。

嘗て経の王を以って四明尊者に益を請う。者は声を震わせて言った。「汝の名は本如なり。」師は即ち悟を領した。偈を作りて言った。「処処に帰路に逢い、頭頭に故郷に達す。本来は成現の事なり、何ぞ必ずしも思量を待たん。」

臨安府上竺圓智證悟法師

臨安府上竺円智証悟法師

台州林氏子。依白蓮僊法師。問具變之道。蓮指行燈曰。如此燈者。離性絕非。本自空寂。理則具矣。六凡四聖。所見不同。變則在焉。師不契。後因掃地誦法華經。至知法常無性。佛種從緣起。始諭旨。告蓮。蓮然之。師領徒以來。甞患本宗學者囿於名相。膠於筆錄。至以天台之傳為文字之學。南宗鄙之。乃謁護國此庵元禪師。夜語次。師舉東坡宿東林偈。且曰。也不易到此田地。庵曰。尚未見路徑。何言到耶。曰。祇如他道。溪聲便是廣長舌。山色豈非清淨身。若不到此田地。如何有這箇消息。庵曰。是門外漢耳。曰。和尚不吝。可為說破。庵曰。卻秖從這裡猛著精彩覷捕看。若覷捕得他破。則亦知本命元辰落著處。師通夕不寐。及曉鍾鳴。去其秘畜。以前偈別曰。東坡居士太饒舌。聲色關中欲透身。溪若是聲山是色。無山無水好愁人。特以告此庵。庵曰。向汝道是門外漢。師禮謝。未幾。有化馬祖殿瓦者。求語發揚。師書曰。寄語江西老古錐。從教日炙與風吹。兒孫不是無料理。要見冰消瓦解時。此庵見之。笑曰。須是這闍黎始得。

台州林氏の子なり。白蓮仙法師に依りて、具変の道を問う。蓮は行灯を指して言った。「此の灯の如くなる者は、性を離れて非を絶し、本より自ら空寂なり、理は則ち具えり。六凡と四聖とは、見る所は同じからず、変は則ち焉に在り。」師は契わず。後に地を掃きて法華経を誦するに因りて、「法の常に性無きを知る、佛の種は縁より起こる」に至りて、始めて旨を諭さえた。蓮に告ぐ。蓮は之を然とす。師は徒を領して以来、嘗て本宗の学者は名相に囿り、筆の録に膠けて、天台の伝を以って文字の学と為すを患え、南宗は之を鄙びた。乃ち護国の此庵元禅師に謁す。夜の語の次に、師は東坡の東林に宿するの偈を挙げ、且つ言った。「も易らず此の田地に到れり。」庵は言った。「未だ路の径を見ず、何をか到ると言わんや。」曰く、「只だ如他の道う、渓の声は便ち是れ広長の舌、山の色は豈に清浄の身に非ずやと。若し此の田地に到らざれば、如何にして此の消息有らん。」庵は言った。「是れ門外の漢のみ。」曰く、「和尚は吝かならざれば、可なり説き破るを為さん。」庵は言った。「卻て只だ此の裏に従りて猛く精彩を著けて覷捕して看よ。若し覷捕して他の破を得ば、則ち亦た本命の元辰の落ち著く処を知らん。」師は夕を通じて寐ねず。及び暁鐘鳴りて、其の秘畜を去りて、前の偈を以って別して言った。「東坡居士は太だ饒舌なり、声色の関の中は身を透さんと欲す。渓若し是れ声、山は是れ色ならば、山無く水無きは好く人を愁わしむ。」特に此庵に以って告ぐ。庵は言った。「汝に向いて道うは門外の漢と。」師は礼謝す。未だ幾ばくもなく、馬祖殿の瓦を化する者有りて、語を求めて発揚す。師は書して言った。「語を寄す江西の老古錐、教に従え日炙と風吹と。児孫は是れ料理無きに非ず、氷消瓦解の時を見んと要す。」此庵は之を見て、笑うて言った。「須く是れ這の闍黎にして始めて得べし。」

本嵩律師

本嵩律師

因無為居士楊傑請問宣律師所講毗尼性體。師以偈答曰。情智何甞異。犬吠虵自行。終南的的意。日午打三更。

無為居士楊杰の請い問う宣律師の講ずる所の毘尼の性体に因る。師は偈を以って答えて言った。「情智は何ぞ嘗て異ならん、犬は吠え蛇は自ら行く。終南の的の意は、日の午に三更を打つ。」

昔有一老宿。一夏不為師僧說話。有僧歎曰。我秖恁麼空過一夏。不敢望和尚說佛法。得聞正因兩字也得。老宿聞。乃曰。闍黎莫𧬊速。若論正因。一字也無。道了叩齒雲。適來無端。不合與麼道。隣壁有一老宿聞曰。好一釜羹。被一顆鼠糞汙卻(雪竇代雲。誰家釜裡無一兩顆)。

昔一老宿有りて、一夏に師僧の為に話を説かず。僧有りて嘆して言った。「我は只だかくの如く空しく一夏を過ぐ、敢えて和尚に佛法を説かんことを望まず、正因の両字を聞き得ばも得なり。」老宿は聞きて、乃ち言った。「闍黎は躁く速する莫れ。若し正因を論ぜば、一字も無し。」道い了えて歯を叩きて言った。「適来は端無し、与めに道うに合せず。」隣の壁に一老宿有りて聞きて言った。「好一の釜の羹を、一顆の鼠の糞に被りて汚れ却けり。」(雪窦代わりて言った。「誰が家の釜の裏に一両顆無からん。」)

昔有一僧。在經堂內不看經。每日打坐。藏主曰。何不看經。僧曰。某甲不識字。主曰。何不問人。僧近前。叉手鞠躬曰。這箇是甚麼字。主無對(大通本代雲。大道不識)。

昔一僧有りて、経堂の内に在りて経を看ず、毎日坐を打つ。蔵主は言った。「何ぞ経を看ざる。」僧は言った。「某甲は字を識らず。」主は言った。「何ぞ人に問わざる。」僧は近き前ね、手を叉きて鞠躬して言った。「這箇は是れ什麼の字ぞ。」主は対無し。(大通本代わりて言った。「大道は識らず。」)

昔有一老宿。住菴。於門上書心字。於牕上書心字。於壁上書心字(法眼雲。門上但書門字。牕上但書牕字。壁上但書壁字。玄覺雲。門上不要書門字。牕上不要書牕字。壁上不要書壁字。何故。字義炳然)。

昔一老宿有りて、庵に住す。門の上に心字を書し、窓の上に心字を書し、壁の上に心字を書す。(法眼曰く、「門の上は但だ門字を書せ、窓の上は但だ窓字を書せ、壁の上は但だ壁字を書せ。」玄覚曰く、「門の上は門字を書するを要せず、窓の上は窓字を書するを要せず、壁の上は壁字を書するを要せず。何を為めての故。字の義は炳然なり。」)

昔有二庵主。住庵。旬日不相見。忽相會。上庵主問下庵主。多時不相見。向甚麼處去。下庵主曰。在庵中造箇無縫塔。上庵主曰。某甲也要造一箇。就兄借取塔樣子。下庵主曰。何不早說。恰被人借去了也(法眼雲。且道是借他樣。不借他樣)。

昔二庵主有りて、庵に住す。旬日も相い見えず、忽ち相い会す。上庵主は下庵主に問うた。「時多く相い見えず、什麼の処に向いて去った。」下庵主は言った。「庵の中に在りて箇の縫無き塔を造れり。」上庵主は言った。「某甲もも箇を造らんと要す、兄に就きて塔の样子を借り取らん。」下庵主は言った。「何ぞ早く説かざる。恰も人に借り去られたる哉。」(法眼曰く、「且く道え是れ他の様を借るか、他の様を借らざるか。」)

昔有一庵主。見僧來豎起火筒曰。會麼。曰。不會。主曰。三十年用不盡底。僧卻問。三十年前用箇甚麼。主無對(歸宗柔代雲。也要知)。

昔一庵主有りて、僧の来るを見て火筒を竪起して言った。「会するか。」曰く、「会せず。」主は言った。「三十年に用い尽くさざる底。」僧は卻って問うた。「三十年前は箇の什麼を用いた。」主は対無し。(帰宗柔代わりて言った。「も知るを要す。」)

昔有一老宿。因江南國主問。予有一頭水牯牛。萬裡無寸草。未審向甚麼處放。宿無對(歸宗柔代雲。好處放)。

昔一老宿有りて、江南の国主の問うに因る:「予に一頭の水牯牛有り、万里に寸草無し。未だ審らかに什麼の処に向いて放たん。」宿は対無し。(帰宗柔代わりて言った。「好処に放て。」)

昔有一老宿。問僧。甚麼處來。僧曰。牛頭山禮拜祖師來。宿曰。還見祖師麼。僧無對。(歸宗柔代雲。大似不相信)。

昔一老宿有りて、僧に問うた。「什麼の処より来た。」僧は言った。「牛頭山に祖师を礼拜して来たり。」宿は言った。「還た祖师を見るか。」僧は対無し。(帰宗柔代わりて言った。「大いに信じ相わざるに似たり。」)

昔有一老宿。有偈曰。五蘊山頭一段空。同門出入不相逢。無量劫來賃屋住。到頭不識主人公。(有老宿雲。既不識他。當初問甚麼人賃)。

昔一老宿有りて、偈有りて曰く、「五蘊の山の頭の一段の空は、同門は出入して相い逢わず。無量の劫の来は屋を賃して住す、頭に到りて主人公を識らず。」(老宿有りて言った。「既に他を識らざれば、当初は什麼の人に問い賃した。」)

僧問老宿。如何是密室中人。老宿曰。有客不答話(玄沙雲。何曾密。歸宗柔別老宿雲。你因甚麼得見)。

僧が老宿に問うた。「如何なるか是れ密室の中の人。」老宿は言った。「客有りて話に答えず。」(玄沙曰く、「何ぞ曾て密ならん。」帰宗柔は老宿に別して言った。「汝は什麼に因りて見るを得た。」)

昔有一老宿。因僧問。魂兮歸去來。食我家園葚。如何是家園葚(玄覺代雲。是亦食不得。法燈雲。汙卻你口)。

昔一老宿有りて、僧の問うに因る:「魂の兮帰り去り来りて、我が家の園の葚を食う。如何なるか是れ家の園の葚。」(玄覚代わりて言った。「是れも食うを得ざれ。」法灯曰く、「汝の口を汚れ却けり。」)

昔有一老宿。曰。祖師九年面壁。為訪知音。若恁麼會得。吃鐵棒有日在。又一老宿曰。祖師九年面壁。何不慚惶。若恁麼會得。更買草鞋行腳三十年(瑯琊覺雲。既不然。且道祖師面壁意作麼生。良久雲。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪)。

昔一老宿有りて言った。「祖师は九年壁に面したるは、知音を訪わんが為めなり。若しかくの如く会し得ば、鉄棒を喫するに日の有る在り。」又一老宿言った。「祖师は九年壁に面したるに、何、何ぞ慚惶せざる。若しかくの如く会し得ば、更に草鞋を買い行脚すること三十年せん。」(瑯琊覚曰く、「既に然らざれば、且く道え祖师の壁に面したる意は作麼生。」良久にして言った。「無間の業を招かざるを得んと欲せば、如来の正法の輪を謗る莫れ。」)

昔有一老宿。因僧問。師子捉兔亦全其力。捉象亦全其力。未審全箇甚麼力。老宿曰。不欺之力(法眼別雲。不會古人語)。

昔一老宿有りて、僧の問うに因る:「師子は兎を捉ふるも亦た其の力を全うし、象を捉ふるも亦た其の力を全うす。未だ審らかに箇の什麼の力を全うする。」老宿は言った。「欺かざるの力。」(法眼別して言った。「古人の語を会せず。」)

昔有一老宿。曰。這一片田地分付來多時也。我立地待汝搆去(法眼雲。山僧如今坐地。待汝搆去。還有道理也無。那箇親。那箇踈。試裁斷看)。

昔一老宿有りて言った。「這の一片の田地は分付して来ること時多し。我は地に立ちて汝の搆い去るを待つ。」(法眼曰く、「山僧は如今地に坐して、汝の搆い去るを待つ。還た道理有るや無きや。那个か親、那个か疏。試みに裁断して看よ。」)

昔有老宿。畜一童子。竝不知軌則。有一行腳僧到。乃教童子禮儀。晚間見老宿外歸。遂去問訊。老宿怪訝。遂問童子曰。阿誰教你。童曰。堂中某上座。老宿喚其僧來。問。上座傍家行腳。是甚麼心行。這童子養來二三年了。幸自可憐生。誰教上坐教壞伊。快束裝起去。黃昏雨淋淋地。被趂出(眼雲。古人恁麼顯露些子家風。甚怪。且道意在於何)。

昔老宿有りて、一童子を畜し、並びて軌則を知らず。一行脚の僧有りて到りて、乃ち童子に礼儀を教う。晩の間に老宿の外より帰るを見て、遂に去りて問訊す。老宿は怪しみ訝りて、遂に童子に問うて言った。「阿谁か汝に教えた。」童は言った。「堂の中の某の上座。」老宿は其の僧を喚びて来らしめ、問うた。「上座は家を傍れて行脚するは、是れ什麼の心行ぞ。這の童子は養い来ること二三年なり、幸いに自ら憐れむべき生なり。誰か上坐に伊を教え壊らしめた。疾く装を束ねて起きて去れ。」黄昏雨は淋淋たる地に、趁い出された。(眼曰く、「古人はかくの如く些子の家風を顕露す、甚だ怪し。且く道え意は何に在るか。」)

昔有僧到曹溪。時守衣缽僧提起衣曰。此是大庾嶺頭提不起底。僧曰。為甚麼在上座手裡。僧無對(雲門雲。彼此不了。又云。將謂是師子兒)。

昔僧有りて曹渓に到る。時に衣鉢を守る僧は衣を提起して言った。「此れ是れ大庾嶺の頭に提げ起たれざる底。」僧は言った。「何を為めて上座の手の裏に在る。」僧は対無し。(雲門曰く、「彼此は了わず。」又曰く、「将に謂う是れ師子の兒。」)

昔有僧因看法華經至諸法從本來。常自寂滅相。忽疑不決。行住坐臥。每自體究。都無所得。忽春月聞鶯聲。頓然開悟。遂續前偈曰。諸法從本來。常自寂滅相。春至百花開。黃鶯啼柳上。

昔僧有りて法華経を看るに因りて「諸の法は本より従りて、常に自ら寂滅の相」に至りて、忽ち疑い決せず。行住坐臥に、毎に自ら体究すれども、都得る所無し。忽ち春の月に鶯の声を聞きて、頓然として悟り開けり。遂に前の偈を続けて言った。「諸の法は本より従りて、常に自ら寂滅の相。春至りて百花開けり、黄鶯は柳の上に啼く。」

昔有老宿問一座主。疏鈔解義。廣略如何。主曰。鈔解疏。疏解經。宿曰。經解甚麼。主無對。

昔老宿有りて一座主に問うた。「疏の鈔は義を解す、広略如何。」主は言った。「鈔は疏を解し、疏は経を解す。」宿は言った。「経は什麼を解する。」主は対無し。

昔高麗國。來錢塘刻觀音聖像。及舁上船。竟不能動。因請入明州開元寺供養。後有設問。無剎不現身。聖像為甚不去高麗國(長慶稜雲。現身雖普。覩相生偏。法眼別雲。識得觀音未)。

昔高麗国より来りて銭塘に観音の聖像を刻りて、及び舁して船に上げんとするも、竟に能く動かず。因りて明州開元寺に入れて供養すを請う。後に問を設くる者有り:「刹無しして身を現ぜずと。聖像は何を為めて高麗国に去らざる。」(長慶棱曰く、「身を現ずるは普なりと雖も、相を睹るは偏を生ず。」法眼別して言った。「観音を識り得た未だや。」)

泗州塔前。一僧禮拜。有人問。上座日日禮拜。還見大聖麼(法眼代雲。汝道禮拜是甚麼義)。

泗州塔の前に、一僧礼拜す。人問うた。「上座は日日礼拜するに、還た大聖を見るか。」(法眼代わりて言った。「汝道え礼拜は是れ什麼の義ぞ。」)

泗州塔頭侍者。及時鎻門。有人問。既是三界大師。為甚麼被弟子鎻。侍者無對(法眼代雲。弟子鎻。大師鎻。法燈代雲。還我鎻匙來。又老宿代雲。吉州鎻。虔州鎻)。

泗州塔の頭の侍者は、時に及びて門を鎖す。人問うた。「既に是れ三界の大師、何を為めて弟子に鎖せられた。」侍者は対無し。(法眼代わりて言った。「弟子は鎖し、大師は鎖す。」法灯代わりて言った。「我に鎖の匙を還せ。」又老宿代わりて言った。「吉州は鎖し、虔州は鎖す。」)

聖僧像被屋漏滴。有人問僧。既是聖僧。為甚麼有漏。僧無對(韶國師代雲。無漏不是聖僧)。

聖僧の像は屋漏れ滴らる。人僧に問うた。「既に是れ聖僧、何を為めて漏有る。」僧は対無し。(韶国師代わりて言った。「漏無きは是れ聖僧に非ず。」)

有人問。僧點甚麼燈。僧曰。長明燈。曰。甚麼時點。曰。去年點。曰。長明何在。僧無語。(長慶稜代雲。若不如此。知公不受人謾。法眼別雲。利動君子)。

人問うた。「僧は什麼の灯を点ずる。」僧は言った。「長明の灯。」曰く、「什麼の時に点ぜし。」曰く、「去年に点せり。」曰く、「長明は何に在る。」僧は語無し。(長慶棱代わりて言った。「若し此の如くならざれば、公の人に谩けられざるを知らん。」法眼別して言った。「君子を利動す。」)

有座主念彌陀名號次。小師喚和尚。及回顧。小師不對。如是數四。和尚叱曰。三度四度喚。有甚麼事。小師曰。和尚幾年喚他即得。某甲才喚便發業(法燈代雲。咄叱)。

座主有りて弥陀の名号を念ずる次。小師は和尚を喚ぶ。及び顧み回らせば、小師は対せず。是の如く数四たり。和尚は叱りて言った。「三度四度も喚びて、什麼の事か有る。」小師は言った。「和尚は幾年も他を喚びて即ち得。某甲は才に喚びて便ち業を発す。」(法灯代わりて言った。「咄叱。」)

有僧與童子上經了。令持經著函內。童子曰。某甲念底。著向那裡(法燈代雲。汝念甚麼經)。

僧有りて童子と与に経を上げ了えて、経を持して函の内に着けしむ。童子は言った。「某甲の念じたる底は、向いて那の裏に着けん。」(法灯代わりて言った。「汝は什麼の経を念ずる。」)

一僧注道德經。人問曰。久嚮大德注道德經。僧曰。不敢。曰。何如明皇(法燈代雲。是弟子)。

一僧は道徳経に注す。人問うて言った。「久しく大徳の道徳経に注するを向う。」僧は言った。「敢えてせず。」曰く、「何ぞ明皇に如かん。」(法灯代わりて言った。「是れ弟子なり。」)

有僧入冥見地藏菩薩。藏問。你平生修何業。僧曰。念法華經。曰。止止不須說。我法妙難思。為是說。是不說。僧無對(歸宗柔代雲。此回歸去。敢為流通)。

僧有りて冥に入りて地蔵菩薩に見ゆ。蔵は問うた。「汝は平生に何の業を修せし。」僧は言った。「法華経を念ず。」曰く、「止め止め須らく説く莫れ、我が法は妙にして思議し難し。是れ説くを為すか、是れ説かざるか。」僧は対無し。(帰宗柔代わりて言った。「此の回帰り去りて、敢えて流通を為さん。」)

鹽官會下有一主事僧。忽見一鬼使來追。僧告曰。某甲身為主事。未暇修行。乞容七日得否。使曰。待為白王。若許即七日後來。不然。須臾便至。言訖不見。至七日後。復來。覓其僧。了不可得。後有人舉問一僧。若被覓著時。如何抵擬他(洞山代雲。被他覓得也)。

塩官の会の下に一主事の僧有りて、忽ち一鬼の使の来りて追うを見た。僧は告げて言った。「某甲は身主事を為して、未だ修行に暇あらず。七日を容れて得る否やを乞う。」使は言った。「王の為に白さんを待て。若し許さば即ち七日の後に来らん。不らざれば、須臾に便ち至らん。」言い訖りて見えず。七日の後に至りて、復た来りて、其の僧を覓むれども、了えて得る可からず。後に人の挙げて一僧に問う者有り:「若し覓め著けられたる時は、如何にして他を抵拟せん。」(洞山代わりて言った。「他に覓め得られたる哉。」)

台州六通院僧欲渡船。有人問。既是六通。為甚麼假船。僧無對(天台韶國師代雲。不欲驚眾)。

台州六通院の僧は船を渡らんと欲す。人問うた。「既に是れ六通、何を為めて船を仮る。」僧は対無し。(天台韶国師代わりて言った。「衆を驚かさんと欲せず。」)

洪州太守宋令公。一日大寧寺僧陳乞請第二座開堂。公曰。何不請第一座。眾無語(法眼代雲。不勞如此)。

洪州太守宋令公は、ある日大寧寺の僧の陳乞して第二座の堂を開くを請うに、公は言った。「何ぞ第一座を請わざる。」衆は語無し。(法眼代わりて言った。「此の如くを労せず。」)

江南相馮延巳與數僧遊鍾山。至一人泉。問。一人泉許多人爭得足。一僧對曰。不教欠少。延巳不肯。乃別曰。誰人欠少(法眼別雲。誰是不足者)。

江南の相馮延巳は数僧と与に鍾山に游び、一人泉に至る。問うた。「一人泉は許多の人は争い得るに足るや。」一僧対して言った。「欠少せしめず。」延巳は肯んぜず、乃ち別して言った。「誰人か欠少する。」(法眼別して言った。「誰か是れ足らざる者。」)

官人問。僧名甚麼。曰。無揀。官人曰。忽然將一椀沙與上座。又作麼生。曰。謝官人供養。(法眼別雲。此猶是揀底)。

官人問うた。「僧の名は什麼ぞ。」曰く、「無揀。」官人は言った。「忽然として一椀の沙を将て上座に与えば、又作麼生。」曰く、「官人の供養を謝す。」(法眼別して言った。「此は猶お是れ揀む底。」)

廣南有僧住庵。國主出獵。左右報庵主。大王來。請起。主曰。非但大王來。佛來亦不起。王問。佛豈不是汝師。主曰。是。王曰。見師為甚麼不起(法眼代雲。未足酬恩)。

広南に僧有りて庵に住す。国主は猟に出づるに、左右は庵主に報ず:「大王来たる、起たんことを請う。」主は言った。「非但だ大王の来たる、佛の来たるも亦た起たず。」王は問うた。「佛は豈に是れ汝の師に非ずや。」主は言った。「是。」王は言った。「師を見るに何を為めて起たざる。」(法眼代わりて言った。「未だ恩を酬うるに足らず。」)

福州洪塘橋上有僧列坐。官人問。此中還有佛麼。僧無對(法眼代雲。汝是甚麼人)。

福州洪塘の橋の上に僧有りて坐を列ぬ。官人問うた。「此の中に還た佛有るか。」僧は対無し。(法眼代わりて言った。「汝は是れ什麼の人ぞ。」)

昔有官人入鎮州天王院。覩神像。因問院主曰。此是甚麼功德。曰。護國天王。曰。秖護此國。徧護餘國。曰。在秦為秦。在楚為楚。曰。臘月二十九日打破鎮州城。天王向甚處去。主無對。

昔官人有りて鎮州天王院に入りて、神の像を睹て、因りて院主に問うて言った。「此れ是れ什麼の功徳ぞ。」曰く、「護国の天王。」曰く、「只だ此の国を護るか、遍く余国を護るか。」曰く、「秦に在りては秦と為し、楚に在りては楚と為す。」曰く、「臘月の二十九日に鎮州の城を打ち破らば、天王は甚の処に向いて去る。」主は対無し。

昔有官人作無鬼論。中夜揮毫次。忽見一鬼出雲。汝道無我。聻(五祖演雲。老僧當時若見。但以手作鵓鴆觜。向伊道。谷呱呱)。

昔官人有りて鬼無しの論を作す。中夜に毫を揮う次に、忽ち一鬼の出でて言うを見た。「汝は道う我無しと、呢。」(五祖演曰く、「老僧は当時若し見さば、但だ手を以って鵓鴣の嘴を作して、伊に向いて道わん、谷の呱呱と。」)

昔有道流。在佛殿前背佛而坐。僧曰。道士莫背佛。道流曰。大德本教中道。佛身充滿於法界。向甚麼處坐得。僧無對(法眼代雲。識得汝)。

昔道の流有りて、佛殿の前に在りて佛を背けて坐す。僧は言った。「道士は佛を背くる莫れ。」道の流は言った。「大徳の本教の中に道う、佛の身は法界に充満すと。什麼の処に向いて坐し得ん。」僧は対無し。(法眼代わりて言った。「汝を識り得たり。」)

有一行者。隨法師入佛殿。行者向佛而唾。師曰。行者少去就。何以唾佛。者曰。將無佛處來與某甲唾。師無對(溈山雲。仁者卻不仁者。不仁者卻仁者。仰山代法師雲。但唾行者。又云。行者若有語。即向伊道。還我無行者處來)。

一行者有りて、法師に随いて佛殿に入る。行者は佛に向いて唾す。師は言った。「行者は去就少なし、何を以って佛に唾する。」者は言った。「佛無き処を将て某甲と与に唾せしめよ。」師は対無し。(潙山曰く、「仁者は卻て不仁者、不仁者は卻て仁者。」仰山は法師に代わりて言った。「但だ行者に唾せ。」又曰く、「行者若し語有らば、即ち伊に向いて道え、我に行者無き処を還して来れと。」)

死魚浮於水上。有人問僧。魚豈不是以水為命。僧曰。是。曰。為甚麼卻向水中死。僧無對。(杭州天龍機和尚代雲。是伊為甚麼不去岸上死)。

死魚は水の上に浮かぶ。人僧に問うた。「魚は豈に是れ水を以って命と為すに非ずや。」僧は言った。「是。」曰く、「何を為めて卻て水の中に向いて死する。」僧は対無し。(杭州天竜機和尚代わりて言った。「是れ伊は何を為めて岸の上に去りて死せざる。」)

鷂子趂鴿子。飛向佛殿欄幹上顫。有人問僧。一切眾生。在佛影中常安常樂。鴿子見佛為甚麼卻顫。僧無對(法燈代雲。怕佛)。

鷂子は鴿子を趁いて、飛びて佛殿の欄干の上に向いて顫う。人僧に問うた。「一切の衆生は、佛の影の中に在りて常に安く常に楽し。鴿子は佛を見て何を為めて卻て顫う。」僧は対無し。(法灯代わりて言った。「佛を怕れり。」)

昔有一僧去覆船。路逢一賣鹽翁。僧問。覆船路向甚麼處去。翁良久。僧再問。翁曰。你患聾那。僧曰。你向我道甚麼。翁曰。向你道覆船路。僧曰。翁莫會禪麼。翁曰。莫道會禪。佛法也會盡。僧曰。你試說看。翁挑起鹽籃。僧曰。難。翁曰。你喚這箇作甚麼。僧曰。鹽。翁曰。有甚麼交涉。僧曰。你喚作甚麼。曰。不可更向你道是鹽。

昔一僧有りて覆船に去るに、路に塩を売る翁に逢う。僧は問うた。「覆船の路は什麼の処に向いて去る。」翁は良久とした。僧は再び問うた。翁は言った。「汝は聾を患う那。」僧は言った。「汝は我に向いて什麼を道う。」翁は言った。「汝に向いて覆船の路を道う。」僧は言った。「翁は禅を会するや否や。」翁は言った。「道う莫れ禅を会すと、佛法も亦た会し尽くせり。」僧は言った。「汝試みに説きて看よ。」翁は塩の籃を挑げ起した。僧は言った。「難し。」翁は言った。「汝は這箇を喚びて什麼と作す。」僧は言った。「塩。」翁は言った。「什麼の渉ること有る。」僧は言った。「汝は喚びて什麼と作す。」曰く、「可ならず更に汝に向いて是れ塩と道わん。」

昔有婆子供養一庵主。經二十年。常令一二八女子送飯給侍。一日。令女子抱定。曰。正恁麼時如何。主曰。枯木倚寒巖。三冬無暖氣。女子舉似婆。婆曰。我二十年祗供養得箇俗漢。遂遣出。燒卻庵。

昔婆子有りて一庵主を供養す、二十年を経て、常に一二八の女子に飯を送らしめて侍を給す。ある日、女子に抱き定めしめて、言った。「正にかくの如くなる時如何。」主は言った。「枯木は寒巌に倚りて、三冬は暖気無し。」女子は挙げて婆に似す。婆は言った。「我は二十年只だ箇の俗漢を供養し得たり。」遂に遣り出して、庵を焼き却けり。

昔有一僧參米胡。路逢一婆住庵。僧問。婆有眷屬否。曰。有。僧曰。在甚麼處。曰。山河大地。若草若木。皆是我眷屬。僧曰。婆莫作師姑來否。曰。汝見我是甚麼。僧曰。俗人。婆曰。汝不可是僧。僧曰。婆莫混濫佛法好。婆曰。我不混濫佛法。僧曰。汝恁麼。豈不是混濫佛法。婆曰。你是男子。我是女人。豈曾混濫。

昔一僧有りて米胡に参ずるに、路に庵に住する婆に逢う。僧は問うた。「婆は眷属有るか否や。」曰く、「有り。」僧は言った。「什麼の処に在る。」曰く、「山河大地、若くは草若くは木は、皆是れ我が眷属なり。」僧は言った。「婆は師姑を作して来るや否や。」曰く、「汝は我を見て是れ什麼ぞ。」僧は言った。「俗人。」婆は言った。「汝は可ならず僧。」僧は言った。「婆は佛法を混滥するを好まざれ。」婆は言った。「我は佛法を混滥せず。」僧は言った。「汝かくの如くは、豈に是れ佛法を混滥するに非ずや。」婆は言った。「汝は是れ男子、我は是れ女人。豈に曾て混滥せしや。」

龐行婆。入鹿門寺設齋。維那請意旨。婆拈梳子插向髻後曰。迴向了也。便出去。

龐行婆は鹿門寺に入りて齋を設く。維那是意旨を請う。婆は梳子を拈じて髻の後に向いて挿して言った。「回向し了えり。」便ち出でて去った。

溫州陳道婆。甞徧扣諸方名宿。後於長老山淨和尚語下發明。有偈曰。高坡平頂上。盡是採樵翁。人人盡懷刀斧意。不見山花映水紅。

温州の陳道婆は、嘗て遍く諸方の名宿を叩く。後に長老山浄和尚の語の下に於て発明す。偈有りて曰く、「高き坡の平頂の上は、尽く是れ樵を采る翁。人々は尽く刀斧の意を懐きて、山の花の水を映ずる紅を見ず。」

昔有施主婦人入院。行眾僧隨年錢。僧曰。聖僧前著一分。婦人曰。聖僧年多少。僧無對(法眼代雲。心期滿處即知)。年秖供養得箇俗漢。遂遣出。燒卻庵。

昔施主の婦人有りて院に入りて、衆僧に年に随う銭を行す。僧は言った。「聖僧の前に一分を着けよ。」婦人は言った。「聖僧は年多少ぞ。」僧は対無し。(法眼代わりて言った。「心の期の満つる処に即ち知らん。」)年は只だ箇の俗漢を供養し得て、遂に遣り出して、庵を焼き却けり。

昔有一僧參米胡。路逢一婆住庵。僧問。婆有眷屬否。曰。有。僧曰。在甚麼處。曰。山河大地。若草若木。皆是我眷屬。僧曰。婆莫作師姑來否。曰。汝見我是甚麼。僧曰。俗人。婆曰。汝不可是僧。僧曰。婆莫混濫佛法好。婆曰。你是男子。我是女人。豈曾混濫。

昔一僧有りて米胡に参ずるに、路に庵に住する婆に逢う。僧は問うた。「婆は眷属有るか否や。」曰く、「有り。」僧は言った。「什麼の処に在る。」曰く、「山河大地、若くは草若くは木は、皆是れ我が眷属なり。」僧は問うた。「婆は師姑を作して来るや否や。」曰く、「汝は我を見て是れ什麼ぞ。」僧は言った。「俗人。」婆は言った。「汝は可ならず僧。」僧は言った。「婆は佛法を混滥するを好まざれ。」婆は言った。「汝は是れ男子、我は是れ女人。豈に曾て混滥せしや。」

龐行婆。入鹿門寺設齋。維那請意旨。婆拈梳子插向髻後曰。迴向了也。便出去。

龐行婆は鹿門寺に入りて齋を設く。維那是意旨を請う。婆は梳子を拈じて髻の後に向いて挿して言った。「回向し了えり。」便ち出でて去った。

溫州陳道婆。甞徧扣諸方名宿。後於長老山淨和尚語下發明。有偈曰。高坡平頂上。盡是採樵翁。人人盡懷刀斧意。不見山花映水紅。

温州の陳道婆は、嘗て遍く諸方の名宿を叩く。後に長老山浄和尚の語の下に於て発明す。偈有りて曰く、「高き坡の平頂の上は、尽く是れ樵を采る翁。人々は尽く刀斧の意を懐きて、山の花の水を映ずる紅を見ず。」

昔有施主婦人入院。行眾僧隨年錢。僧曰。聖僧前著一分。婦人曰。聖僧年多少。僧無對(法眼代雲。心期滿處即知)。

昔施主の婦人有りて院に入りて、衆僧に年に随う銭を行す。僧は言った。「聖僧の前に一分を着けよ。」婦人は言った。「聖僧は年多少ぞ。」僧は対無し。(法眼代わりて言った。「心の期の満つる処に即ち知らん。」)

五燈會元卷第六

五燈會元巻第七

青原下二世

青原下第二世

石頭遷禪師法嗣

石頭遷禅師の法嗣

荊州天皇道悟禪師

荊州天皇道悟禅師

婺州東陽張氏子。神儀挺異。幼而生知。年十四。懇求出家。父母不聽。遂損減飲膳。日才一食。形體羸悴。父母不得已而許之。依明州大德披削。二十五詣杭州竹林寺具戒。精修梵行。推為勇猛。或風雨昏夜。宴坐丘塚。身心安靜。離諸怖畏。一日。遊餘杭。首謁徑山國一受心法。服勤五載。後參馬祖。重印前解。法無異說。依止二夏。乃謁石頭而致問曰。離卻定慧。以何法示人。頭曰。我這裡無奴婢。離箇甚麼。曰。如何明得。頭曰。汝還撮得虗空麼。曰。恁麼則不從。今日去也。頭曰。未審汝早晚從那邊來。曰。道悟不是那邊人。頭曰。我早知汝來處也。曰。師何以贓誣於人。頭曰。汝身見在。曰。雖然如是。畢竟如何示於後人。頭曰。汝道誰是後人。師從此頓悟。罄殫前二哲匠言下有所得心。後卜荊州當陽紫陵山。學徒駕肩接跡。都人士女。嚮風而至。時崇業寺上首以狀聞於連師。迎入城。郡之左有天皇寺。乃名藍也。因火而廢。主僧靈鑒將謀修復。乃曰。苟得悟禪師為化主。必能福我。乃中宵潛往哀請。肩舁而至。時江陵尹右僕射裴公稽首問法。致禮勤至。師素不迎送。客無貴賤。皆坐而揖之。裴公愈加歸向。由是石頭法道盛矣。師因龍潭問。從上相承底事如何。師曰。不是明汝來處不得。潭曰。這箇眼目。幾人具得。師曰。淺草易為長蘆。僧問。如何是玄妙之說。師曰。莫道我解佛法好。曰。爭奈學人疑滯何。師曰。何不問老僧。曰。即今問了也。師曰。去。不是汝存泊處。元和丁亥四月示疾。命弟子先期告終。至晦日大眾問疾。師驀召典座。座近前。師曰。會麼。曰。不會。師拈枕子拋於地上。即便告寂。壽六十。臘月三十五。以其年八月五日。塔於郡東(按景德傳燈錄稱。青原下出石頭遷。遷下出天皇悟。悟下出龍潭信。信下出德山鑒。鑒下出雪峰存。存下出雲門偃.玄沙備。

師は婺州東陽の張氏の子。神儀秀抜で異相を備え、幼くして生まれながらの知恵があった。十四歳の時出家を懇願したが父母が聴さなかったので、飲膳を減らして一日一食のみとし、体は瘦せ衰えて憔悴したため、父母はやむを得ず許した。明州の大德に依って剃度した。二十五歳で杭州竹林寺に至り具足戒を受けた。梵行を精修し、勇猛と推された。ある時は風雨の昏夜、丘墳のあいだに宴坐して身心安静、あらゆる怖畏を離れた。ある日余杭に遊び、まず徑山国一に謁して心法を受け、服勤すること五年。のち馬祖に参じ、从前の見解をあらためて印可せられ、法に異説はなかった。二夏のあいだ依止した。ここに石頭に謁して問うた、「定慧を離れて、何の法をもって人に示しますか」と。石頭は言った、「我ここに奴婢なし。何をか離れん」。言った、「どうして明らめることができましょう」。石頭は言った、「お前は虚空を掴み得るか」。言った、「さようなら従いません。今日去ります」。石頭は言った、「いつ頃あちらから来たのか、まだ審らかではない」。言った、「道悟はあちらの人ではありません」。石頭は言った、「お前の来た処はとっくに知っている」。言った、「師はどうして人に罪をなすりつけるのですか」。石頭は言った、「お前の身がここに見えている」。言った、「そうはいっても、畢竟どうして後人に示すのですか」。石頭は言った、「誰が後人だと思うか」。師はここにおいて頓悟し、以前二人の哲匠の言下に得た心をことごとく倒し空くした。その後荊州当陽紫陵山に卜居し、学徒は肩摩踵接、城中の士女も風に聞いて至った。当時崇業寺の上首が状を連帥に聞かせ(底本は「連師」と作る。「師」は「帥」の訛り)、迎えて入城させた。郡城の左に天皇寺があり、名刹であったが火災で廃れていた。主僧霊鑑が修复を謀ろうとして言った、「悟禅師を化主と得るなら、必ず我らを福することができよう」と。ここに夜半に潜んで往き哀請し、肩輿で抬えて帰った。当時江陵尹・右僕射裴公が稽首して法を問い、礼を尽くすこと勤めて至った。師はもともと迎送せず、客の貴賎なく皆坐して揖を作した。裴公はいよいよ帰向した。これより石頭の法道が盛んになった。師が龍潭に因って問うた、「従上相承の事はどうですか」と。師は言った、「お前の来た処を明らめないわけにはいかない」。潭は言った、「この眼目、何人が備え得ましょう」。師は言った、「浅草は易く長芦と為る」。僧が問うた、「どんなものが玄妙の説ですか」。師は言った、「私が佛法を解するとは言うな」。言った、「学人の疑滞をどうすればよいのですか」。師は言った、「老僧に問うてはどうか」。言った、「今問いました」。師は言った、「去れ。お前の留まる処ではない」。元和丁亥の四月、疾を示し、弟子に命じてあらかじめ終りを告げさせた。晦日に至り大衆が疾を問うと、師は忽然と典座を呼んだ。典座が近づき前った。師は言った、「会したか」。言った、「会しません」。師は枕子を拈じて地に抛ち、随って告寂した。世寿六十、僧腊三十五。即ちその年八月五日、郡の東に塔を建てた。(按ずるに、《景德伝灯録》にいう、青原下に石頭遷が出、遷の下に天皇悟が出、悟の下に龍潭信が出、信の下に徳山鑑が出、鑑の下に雪峯存が出、存の下に雲門偃・玄沙備が出る。

備再傳為法眼益。皆謂雲門.法眼二宗來自青原石頭。雖二家兒孫。亦自謂青原石頭所自出。不知其差悞所從來久矣。道悟同時有二人。一住荊南城西天王寺。嗣馬祖。一住荊南城東天皇寺。嗣石頭。其下出龍潭信者。乃馬祖下天王道悟。非石頭下天皇道悟也。何以明之。按唐正議大夫戶部侍郎平章事荊南節度使丘玄素所撰天王道悟禪師碑雲。道悟。渚宮人。姓崔氏。子玉之後胤也。年十五依長沙寺曇翥律師出家。二十三詣嵩山受戒。三十參石頭頻沐指示。曾未投機。次謁忠國師。三十四與國師侍者應真南還謁馬祖。祖曰。識取自心本來是佛。不屬漸次。不假修持。體自如如。萬德圓滿。師於言下大悟。祖囑曰。汝若住持。莫離舊處。師蒙旨已。便返荊門。去郭不遠。結草為廬。後因節使顧問左右。申其端緒。節使親臨訪道。見其路隘。車馬難通。極自荒榛。曾未修削。覩茲發怒。令人擒師。拋於水中。旌斾才歸。乃見徧衙火發。內外烘燄。莫可近之。唯聞空中聲曰。我是天王神。我是天王神。節使迴心設拜。煙燄都息。宛然如初。遂往江邊。見師在水。都不濕衣。節使重伸懺悔迎請。在衙供養。於府西造寺。額號天王。師常雲。快活。快活。及臨終時。呌苦。苦。又云。閻羅王來取我也。院主問曰。和尚當時被節度使拋向水中。神色不動。如今何得恁麼地。師舉枕子云。汝道當時是。如今是。院主無對。便入滅。當元和三年戊子十月十三日也。年八十二。坐六十三夏。嗣法一人。曰崇信。即龍潭也。城東天皇道悟禪師者。協律郎符載撰碑。乃與景德傳燈合其碑雲。道悟。姓張氏。婺州東陽人。十四出家。依明州大德祝髮。二十五受戒於杭州竹林寺。初參國一。留五年。大曆十一年。隱於大梅山。建中初。謁江西馬祖。二年參石頭。乃大悟。遂隱當陽紫陵山。後於荊南城東有天皇廢寺。靈鑒請居之。

(編者が引き続き言う:)備は再伝して法眼益となる。みな雲門・法眼二宗は青原石頭から来たと言う。二家の儿孙とはいえ、自らも青原石頭より出ると謂い、その差誤の由来は久しいことを知らない。道悟には同時に二人いた。一人は荊南城の西の天王寺に住して馬祖に嗣ぎ、一人は荊南城の東の天皇寺に住して石頭に嗣いだ。その下に龍潭信を出したのは馬祖下の天王道悟であって、石頭下の天皇道悟ではない。何をもって見えるか。按ずるに、唐の正議大夫・戸部侍郎・平章事・荊南節度使丘玄素の撰した《天王道悟禅師碑》にいう:道悟は渚宮の人、姓は崔、崔子玉の后裔である。十五歳で長沙寺曇翥律師に依って出家した。二十三歳で嵩山に至り戒を受けた。三十歳で石頭に参じ、屢々指示を蒙ったが、かつて投機しなかった。次いで忠国師に謁した。三十四歳で国師の侍者应真と南に還り、馬祖に謁した。祖は言った、「自心を識取すれば本来是れ佛、漸次に属さず、修持を仮らず、体は自ら如如、万徳円満なり」と。師は言下に大悟した。祖は嘱じて言った、「お前もし住持するなら、旧処を離れるな」と。師は旨を蒙り已み、便ち荊門に返り、城を離れること遠からず、草を結んで廬とした。後に節使が左右に問うと、左右が端緒を言った。節使が親臨して道を訪れ、路の窄く車馬の通り難く、荒榛満ちてまだ修削せず、見て怒り、人をして師を擒えて水に抛たしめた。旌旗が衙に回るや否や、満衙が着火するのを見、内外烘々と焰をあげ、近づく術なく、ただ空中に声が言うのを聞いた、「我は是れ天王神なり。我は是れ天王神なり」と。節使は心を回して設拝すれば、烟焰みな息み、宛然として初めのごとし。ここに江辺に往き、師が水の中に在るのを見るに、衣裳ことごとく濡れず。節使はあらためて懺悔して迎え請い、衙の裏に供養し、府の西に寺を造り、額に天王と号した。師は常に言った、「快活、快活」と。臨終に至り叫んだ、「苦、苦」と。また言った、「閻羅王が来て我を取る」と。院主が問うた、「和尚は当時節度使に水の中に抛られて神色動かず、今は何ぞさようであられる」と。師は枕子を挙げて言った、「お前は言うか、当時是れか、今是れか」と。院主対せず、便ち入滅した。元和三年戊子十月十三日に当る。年八十二、坐六十三夏。嗣法一人、崇信と曰い、即ち龍潭である。城東天皇道悟禅師は、協律郎符載が碑を撰し、《景德伝灯録》と相合す。その碑にいう:道悟は姓張、婺州東陽の人。十四歳で出家し、明州の大德に依って剃髮した。二十五歳で杭州竹林寺にて戒を受けた。初め国一に参じ、留まること五年。大暦十一年、大梅山に隠れた。建中初めに江西馬祖に謁した。二年、石頭に参じてはじめて大悟した。ここに当陽紫陵山に隠れた。後に荊南城東に天皇の廃寺あり、霊鑑が彼を請じて住せしめた。

元和二年丁亥四月十三日。以背痛入滅。年六十。坐三十五夏。法嗣三人。曰慧真。曰文賷。曰幽閑。今荊南城東有天皇巷存焉。唐聞人歸登。撰南嶽讓禪師碑。列法孫數人於後。有天王道悟名。圭峰答裴相國宗趣狀。列馬祖法嗣六人。首曰江陵道悟。權德輿撰馬祖塔銘。載弟子慧海智藏等十一人。道悟其一也。又呂夏卿張無盡著書皆稱道悟嗣馬祖。宗門反以為悞。然佛國白續燈錄。敘雪竇顯為大寂九世孫。祖源通要錄中。收為馬祖之嗣。達觀頴以丘玄素碑證之。疑信相半。葢獨見丘玄素碑。而未見符載碑耳。今以二碑參合。則應以天皇道悟嗣石頭。以慧真.文責.幽閑嗣之。而於馬祖法嗣下增入天王道悟。以龍潭.崇信嗣之。始為不差悞矣)。

(編者が引き続き言う:)元和二年丁亥四月十三日、背痛をもって入滅した。年六十、坐三十五夏。法嗣三人、慧真・文賚・幽閑。今荊南城東にいまだ天皇巷在り。唐の聞人帰登が南嶽譲禅師碑を撰し、法孙数人を後に列し、天王道悟の名あり。圭峯が裴相国に答えた宗趣状に、馬祖の法嗣六人を列し、首に江陵道悟と曰す。権徳輿が馬祖塔銘を撰し、弟子慧海・智蔵等十一人を載せ、道悟は其の一つ。又呂夏卿・張無尽が書を著して、皆道悟は馬祖に嗣ぐと称す。宗門はかえって以て誤りと為す。しかるに佛国白の《続灯録》は雪竇顕を叙じて大寂の九世孫と為し、《祖源通要録》の中に収めて馬祖の嗣と為す。達観頴は丘玄素碑を以て之を証し、疑い信じ相半ばした。大概はただ丘玄素碑を見て、符載碑を見ざるのみ。今両碑を参合すれば、則ち天皇道悟を以て石頭に嗣ぎ、慧真・文賚・幽閑を以て彼に嗣がしめ、馬祖法嗣の下に天王道悟を増入し、龍潭崇信を以て彼に嗣がしむるを以て、差誤なしとすべきである。)

青原下三世

青原下第三世

天皇悟禪師法嗣

天皇悟禅師の法嗣

澧州龍潭崇信禪師

澧州龍潭崇信禅師

渚宮人也。其家賣餅。師少而英異。初悟和尚為靈鑒潛請居天皇寺。人莫之測。師家於寺巷。常日以十餅饋之。天皇受之。每食畢。常留一餅曰。吾惠汝以蔭子孫。師一日自唸曰。餅是我持去。何以返遺我邪。其別有旨乎。遂造而問焉。皇曰。是汝持來。復汝何咎。師聞之。頗曉玄旨。因投出家。皇曰。汝昔崇福善。今信吾言。可名崇信。由是服勤左右。一日問曰。某自到來。不蒙指示心要。皇曰。自汝到來。吾未甞不指汝心要。師曰。何處指示。皇曰。汝擎茶來。吾為汝接。汝行食來。吾為汝受。汝和南時。吾便低首。何處不指示心要。師低頭良久。皇曰。見則直下便見。擬思即差。師當下開解。復問。如何保任。皇曰。任性逍遙。隨緣放曠。但盡凡心。別無聖解。師後詣澧陽龍潭棲止。僧問。髻中珠誰人得。師曰。不賞玩者得。曰。安著何處。師曰。有處即道來。有尼問。如何得為僧去。師曰。作尼來多少時也。曰。還有為僧時也無。師曰。汝即今是甚麼。曰。現是尼身。何得不識。師曰。誰識汝。李翱刺史問。如何是真如般若。師曰。我無真如般若。李曰。幸遇和尚。師曰。此猶是分外之言。

渚宮の人。家は餅を売っていた。師は少なくして英異であった。初め悟和尚が霊鑑に暗に請われて天皇寺に住し、人はその事を測ることができなかった。師の家は寺巷にあり、常日ごと十餅を饋送した。天皇はこれを受け、食べ終わるごとに常に一餅を留めて言った、「吾は汝に惠みて子孫を蔭さん」と。師がある日自ら念じた、「餅は我が持ち去ったもの、なぜ返して我に遺すのか。もしや別に旨あるか」と。ここに門に造りて問うた。皇は言った、「是れお前が持ち来たもの、お前に復すに何の咎あらん」と。師はこれを聞き、頗る玄旨を暁り、因りて出家を投じた。皇は言った、「お前は昔福善を崇め、今吾が言を信ず。崇信と名づくべし」と。これにより左右に服勤した。ある日問うた、「某の到来してより、未だ心要を指示することを蒙らず」と。皇は言った、「お前の到来してより、吾は未だ嘗てお前の心要を指さざることなし」と。師は言った、「何の処か指示ありしか」。皇は言った、「お前が茶を擎げて来れば、吾はお前の為に接す。お前が食を行じて来れば、吾はお前の為に受く。お前が和南すれば、吾は便ち低首す。何の処か心要を指示せざる」と。師は低頭すること良久。皇は言った、「見るは則ち直下便ち見る。擬して思えば即ち差す」と。師は当下に開解した。又問うた、「如何にか保任せん」と。皇は言った、「性に任せて逍遥し、縁に随って放曠せよ。但凡心を尽くすのみ、別に聖解なし」と。師は後に澧陽龍潭に至り栖止した。僧が問うた、「髻中の珠は何人が得るか」。師は言った、「賞翫せざる者が得る」。言った、「何の処に安着するか」。師は言った、「処あらば即ち道い来れ」。尼ある人が問うた、「如何にして僧と為るを得ん」。師は言った、「尼と作して来て多少の時ぞ」。言った、「なお僧と為る時有りや無しや」。師は言った、「お前は即今是れ何ぞ」。言った、「現に是れ尼身、何ぞ識らざるを得ん」。師は言った、「誰かお前を識る」。李翱刺史が問うた、「如何なるか是れ真如般若」。師は言った、「我に真如般若なし」。李は言った、「幸いに和尚に遇う」。師は言った、「此は猶ほ是れ分外の言なり」。

青原下四世

青原下第四世

龍潭信禪師法嗣

龍潭信禅師の法嗣

鼎州德山宣鑒禪師

鼎州徳山宣鑑禅師

簡州周氏子。丱歲出家。依年受具。精究律藏。於性相諸經。貫通旨趣。常講金剛般若。時謂之周金剛。甞謂同學曰。一毛吞海。海性無虧。纖芥投鋒。鋒利不動。學與無學。唯我知焉。後聞南方禪席頗盛。師氣不平。乃曰。出家兒千劫學佛威儀。萬劫學佛細行。不得成佛。南方魔子敢言直指人心。見性成佛。我當摟其窟穴。滅其種類。以報佛恩。遂擔青龍疏鈔出蜀。至澧陽路上。見一婆子賣餅。因息肩買餅點心。婆指擔曰。這箇是甚麼文字。師曰。青龍䟽鈔。婆曰。講何經。師曰。金剛經。婆曰。我有一問。你若答得。施與點心。若答不得。且別處去。金剛經道。過去心不可得。現在心不可得。未來心不可得。未審上座點那箇心。師無語。遂往龍潭。至法堂曰。久嚮龍潭。及乎到來。潭又不見。龍又不現。潭引身曰。子親到龍潭。師無語。遂棲止焉。一夕侍立次。潭曰。更深何不下去。師珍重便出。卻回曰。外面黑。潭點紙燭度與師。師擬接。潭復吹滅。師於此大悟。便禮拜。潭曰。子見箇甚麼。師曰。從今向去。更不疑天下老和尚舌頭也。至來日。龍潭陞座。謂眾曰。可中有箇漢。牙如劒樹。口似血盆。一棒打不回頭。他時向孤峰頂上。立吾道去在。師將疏鈔堆法堂前。舉火炬曰。窮諸玄辯。若一毫置於太虗。竭世樞機。似一滴投於巨壑。遂焚之。於是禮辭。直抵溈山。挾複子上法堂。從西過東。從東過西。顧視方丈曰。有麼。有麼。山坐次。殊不顧眄。師曰。無。無。便出至門首。乃曰。雖然如此。也不得草草。遂具威儀。再入相見。才跨門。提起坐具曰。和尚。山擬取拂子。師便喝。拂袖而出。溈山至晚問首座。今日新到在否。座曰。當時背卻法堂。著草鞋出去也。山曰。此子已後向孤峰頂上盤結草菴。呵佛罵祖去在。師住澧陽三十年。屬唐武宗廢教。避難於獨浮山之石室。大中初。

簡州周氏の子。幼年に出家し、年に依り具を受けた。律蔵を精究し、性相の諸経に於て旨趣を貫通した。常に金剛般若を講じ、時人は之を周金剛と謂った。嘗て同学に謂いて曰く、「一毛海を呑むも海性は亏けず。纖芥を鋒に投ずるも鋒利動かず。学と無学、唯我のみ之を知らん」と。後に南方の禅席が頗る盛んなりと聞き、師は気に平かならず、曰く、「出家の児は千劫に佛の威儀を学び、万劫に佛の細行を学ぶも、成佛することを得ず。南方の魔子敢えて直指人心・見性成佛と言う。我はまさに其の窟穴を摟り、其の種類を滅し、以て佛恩に報いん」と。ここに《青龍疏鈔》を擔いで蜀を出でた。澧陽の路に至り、一婆子の餅を売るを見、因りて肩を息め餅を買いて点心せんとす。婆は擔を指して言った、「これは何の文字ぞ」。師は言った、「青龍疏鈔」。婆は言った、「何の経を講ずるか」。師は言った、「金剛経」。婆は言った、「我に一問あり。お前若し答え得ば、点心を施与せん。若し答え得ざれば、且らく別の処に去れ。《金剛経》に道う、過去心は不可得、現在心は不可得、未来心は不可得。上座は未だ審らかならず、那箇の心を点ずるか」と。師は語なし。ここに龍潭に往き、法堂に到りて言った、「久しく龍潭に向うも、到るに及んで、潭は又见えず、龍は又現れず」。潭は身を引きて言った、「子は親く龍潭に到れり」。師は語なし、ここに栖止した。一夕侍立の次、潭は言った、「更けて深し、何ぞ下りて去らざる」。師は珍重して便ち出で、却って回りて言った、「外面黒し」。潭は紙燭を点じて師に度した。師擬して接せんとすれば、潭は復吹き滅した。師ここに於て大悟し、便ち礼拜した。潭は言った、「子は箇の何をか見たる」。師は言った、「今より向う去り、更に天下の老和尚の舌頭を疑わざるなり」と。来日に到り、龍潭は座に升り、衆に謂いて言った、「可中箇の漢有り、牙は劍樹の如く、口は血盆に似たり。一棒打ちても回頭せず。他時に孤峯頂上に向い、吾が道を立てむ」。師は疏鈔を法堂前に堆み、火炬を挙げて言った、「諸の玄辯を窮むるも、一毫を太虚に置くが若し。世の枢機を竭くすも、一滴を巨壑に投ずるに似たり」と。ここに焚いた。ここに礼辞し、直ちに潙山に抵った。複子を挾んで法堂に上り、西より東を過ぎ、東より西を過ぎ、方丈を顧視して言った、「あるか、あるか」と。潙山は坐したまま殊に顧眄せず。師は言った、「無し、無し」。便ち出でて門首に至り、乃ち言った、「さりとて、草草なるを得ず」と。ここに威儀を具え、再び入りて相見た。纔かに門を跨ぎ、坐具を提起して言った、「和尚」。潙山は拂子を取らんと擬すれば、師便ち喝し、袖を拂いて出でた。潙山は晩に至り首座に問うた、「今日の新到は在るか否」と。座は言った、「当時法堂を背却し、草鞋を著けて出でて去りぬ」。山は言った、「此の子は已後孤峯頂上に向い草庵を盤結し、佛を呵し祖を罵ること在らん」と。師は澧陽に住すること三十年。唐武宗の廃教に属り、独浮山の石室に避難した。大中の初め、

武陵太守薛廷望再崇德山精舍。號古德禪院。將訪求哲匠住持。聆師道行。屢請不下山。廷望乃設詭計。遣吏以茶鹽誣之。言犯禁法。取師入州。瞻禮。堅請居之。大闡宗風。上堂。若也於己無事。則勿妄求。妄求而得。亦非得也。汝但無事於心。無心於事。則虗而靈。空而妙。若毛端許。言之本末者。皆為自欺。何故。毫氂繫念。三塗業因。瞥爾情生。萬劫羈鎻。聖名凡號。盡是虗聲。殊相劣形。皆為幻色。汝欲求之。得無累乎。及其厭之。又成大患。終而無益。小參示眾曰。今夜不答話。問話者三十棒。時有僧出禮拜。師便打。僧曰。某甲話也未問。和尚因甚麼打某甲。師曰。汝是甚麼處人。曰。新羅人。師曰。未跨船舷。好與三十棒(法眼雲。大小德山話作兩橛。玄覺雲。叢林中喚作隔下語。且從祇如德山道。問話者三十棒。意作麼生)。僧參。師問維那。今日幾人新到。曰。八人。師曰。喚來。一時生按著。龍牙問。學人仗鏌鎁劒擬取師頭時如何。師引頸近前。曰。㘞(法眼別雲。汝向甚麼處下手)。牙曰。頭落也。師呵呵大笑。牙後到洞山。舉前話。山曰。德山道甚麼。牙曰。德山無語。洞曰。莫道無語。且將德山落底頭呈似老僧看。牙方省。便懺謝。有僧舉似師。師曰。洞山老人不識好惡。這漢死來多少時。救得有甚麼用處。僧問。如何是菩提。師打曰。出去。莫向這裡屙。問。如何是佛。師曰。佛是西天老比丘。雪峰問。從上宗乘。學人還有分也無。師打一棒曰。道甚麼。曰。不會。至明日請益。師曰。我宗無語句。實無一法與人。峰因此有省。巖頭聞之曰。德山老人一條脊梁骨硬似鐵。抝不折。然雖如此。於唱教門中。猶較些子(保福問招慶。祇如巖頭出世。有何言教過於德山。便恁麼道。慶雲。汝不見巖頭道。如人學射。久久方中。福雲。中後如何。慶雲。展闍黎。莫不識痛癢。福雲。

(引き続き言う:)武陵太守薛廷望が再び徳山精舎を崇め、号して古徳禅院と曰い、哲匠の住持を訪求せんとした。師の道行を聞き、屢々請うも山を下りず。廷望は乃ち詭計を設け、吏を遣し茶鹽を以て彼を誣い、禁法に犯すと言い、師を押して州に入れた。瞻礼の後、堅く其の住を請うた。大いに宗風を闡かした。上堂して曰く、「若し己に於て事無ければ、則ち妄求すること勿れ。妄求して得るも、亦是れ得るに非ず。お前但だ心に事無く、事に心無ければ、則ち虚にして霊、空にして妙なり。若し毛端許に言の本末する者は、皆な是れ自欺なり。何の故ぞ。毫釐の繋念は、三塗の業因。瞥爾として情生せば、万劫の羈鎖。聖名凡号は、尽く是れ虚声。殊相劣形は、皆な是れ幻色。お前之を求めんと欲せば、累うこと無からんや。之に厭くに及び、又大患を成す。終りて益無し」と。小参して衆に示して曰く、「今夜は話に答えず。話を問う者は三十棒」と。時に僧ありて出でて礼拜すれば、師便ち打ちた。僧は言った、「某甲は未だ話を問わず、和尚は何の因か某甲を打つか」。師は言った、「お前は是れ何の処の人ぞ」。言った、「新羅人」。師は言った、「未だ船舷を跨がざるに、好く三十棒を与せん」と。(法眼曰く、「大小の徳山、話して両橛を作す」。玄覚曰く、「叢林の中に喚びて隔下語と作す。且らく従わん。只だ徳山の道いし問話者三十棒の如き、意は作麼生ぞ」。)僧来りて参す。師は維那に問うた、「今日幾人の新到ぞ」。言った、「八人」。師は言った、「喚んで来れ、一時に生按ぜむ」。龍牙が問うた、「学人が鏌鋣の劍を仗りて擬して師の頭を取る時は如何」。師は頸を引きて近前し、言った、「嘿」と。(法眼別に曰く、「お前は何の処に向いて手を下さん」と。)牙は言った、「頭落ちぬ」。師は呵呵と大笑した。牙は後に洞山に到り、前話を挙げた。山は言った、「徳山は何をか道いし」。牙は言った、「徳山語無し」。洞は言った、「語無しと道うこと莫れ。且らく徳山の落ち底の頭を将て老僧に呈似せしめ見ん」。牙は方に省り、便ち懺悔した。僧ありて師に挙げ似たり。師は言った、「洞山老人は好悪を識らず。此の漢の死して来て多少の時、救い得て何の用処かあらん」と。僧が問うた、「如何なるか是れ菩提」。師打ちて、言った、「出で去れ。此に向いて屙ること莫れ」。問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「佛は是れ西天の老比丘」。雪峯が問うた、「従上の宗乗、学人なお分有りや無しや」。師一棒を打ちて、言った、「何をか道う」。言った、「会せず」。明日に至り請益す。師は言った、「我が宗に語句無し、実に一法も人に与うること無し」。峯は此に因りて省有り。巖頭は之を聞いて言った、「徳山老人は一条の脊梁骨が鉄に硬く似たり、拗して折るべからず。然りといえども、唱教門中に於ては、猶ほ些子較す」と。(保福が招慶に問うた、「只だ巖頭の出世する如き、何の言教か徳山に過ぎ、便ちさように道うや」。慶は言った、「お前は見ずや、巖頭の道いし、人の射を学ぶが如く、久しくして方に中ると」。福は言った、「中りて後は如何」。慶は言った、「展闍梨,痛痒を識らずや」。福は言った、

和尚今日非唯舉話。慶雲。展闍黎是甚麼心行。明招雲。大小招慶。錯下名言)。示眾曰。道得也三十棒。道不得也三十棒。臨濟聞得。謂洛浦曰。汝去問他。道得為甚麼也三十棒。待伊打汝。接住棒送一送。看伊作麼生。浦如教而問。師便打。浦接住送一送。師便歸方丈。浦回舉似臨濟。濟曰。我從來疑著這漢。雖然如是。你還識德山麼。浦擬議。濟便打(巖頭雲。德山老人尋常秖據一條白棒。佛來亦打。祖來亦打。爭奈較些子。東禪齊雲。祇如臨濟道。我從前疑著這漢。是肯底語。不肯底語。為當別有道理。試斷看)。上堂。問即有過。不問猶乖。有僧出禮拜。師便打。僧曰。某甲始禮拜。為甚麼便打。師曰。待汝開口。堪作甚麼。師令侍者喚義存(即雪峰也)。存上來。師曰。我自喚義存。汝又來作甚麼。存無對。上堂。我先祖見處即不然。這裡無祖無佛。達磨是老臊胡。釋迦老子是乾屎橛。文殊普賢是擔屎漢。等覺妙覺是破執凡夫。菩提涅槃是繫驢橛。十二分教是鬼神簿.拭瘡疣紙。四果三賢.初心十地是守古塚鬼。自救不了。有僧相看。乃近前作相撲勢。師曰。與麼無禮。合吃山僧手裡棒。僧拂袖便行。師曰。饒汝如是。也祇得一半。僧轉身便喝。師打曰。須是我打你始得。曰。諸方有明眼人在。師曰。天然有眼。僧擘開眼曰。貓。便出。師曰。黃河三千年一度清。師見僧來。乃閉門。其僧敲門。師曰。阿誰。曰。師子兒。師乃開門。僧禮拜。師騎僧項曰。這畜生甚處去來。雪峰問。南泉斬貓兒。意旨如何。師乃打趂。卻喚曰。會麼。峰曰。不會。師曰。我恁麼老婆心。也不會。僧問。凡聖相去多少。師便喝。師因疾。僧問。還有不病者也無。師曰。有。曰。如何是不病者。師曰。阿㖿。阿㖿。師復告眾曰。捫空追響。勞汝心神。夢覺覺非。竟有何事。言訖。安坐而化。

(引き続き言う:)「和尚今日は唯だ話を挙ぐるのみに非ず」。慶は言った、「展闍梨は是れ何の心行ぞ」。明招は言った、「大小の招慶、名言を錯り下したり」)衆に示して曰く、「道い得るも三十棒、道い得ざるも三十棒」。臨済は聞き得て、洛浦に謂いて言った、「お前往きて彼に問え、道い得るは何の故かも三十棒と。彼お前を打つを待ち、棒に接住して一送し、彼の作麼生を看よ」と。浦は教の如くして問うた。師便ち打った。浦は接住して一送した。師便ち方丈に帰った。浦は回りて臨済に挙げ似たり。済は言った、「我従来此の漢を疑えり。さりとて、お前はなお徳山を識るか」。浦擬議すれば、済便ち打った。(巖頭曰く、「徳山老人は尋常ただ一条の白棒に拠り、佛来たれば亦打ち、祖来たれば亦打つ。争いか奈らん、些子較す」。東禅斉曰く、「只だ臨済の道いし我従前此の漢を疑えりの如き、是れ肯底の語か、肯らざる底の語か、当に別に道理有るを為るか。試みに断じて看よ」。)上堂して曰く、「問えば即ち過有り、問わざれば猶ほ乖たり」。僧ありて出でて礼拜すれば、師便ち打った。僧は言った、「某甲は始め礼拜したのみ、何の故ぞ便ち打つ」。師は言った、「お前の口を開くを待たば、堪えて何をか作さん」。師は侍者に令めて義存(即ち雪峯)を喚ばしむ。存は上り来た。師は言った、「我自ら義存を喚べり、お前又来たりて何をか作す」。存対せず。上堂して曰く、「我が先祖の見処は即ち然らず。ここに祖無く佛無し。達磨は是れ老臊胡、釈迦老子は是れ干屎橛、文殊普賢は是れ擔屎漢、等覚妙覚は是れ執を破る凡夫、菩提涅槃は是れ驢を繋ぐ橛、十二分教は是れ鬼神簿・拭瘡疣紙、四果三賢・初心十地は是れ古塚を守る鬼、自救せずして了らず」と。僧相看する者有り、乃ち近前して相撲の勢を作す。師は言った、「さよう無礼、山僧の手裡の棒を喫するに合す」。僧は袖を拂いて便ち行く。師は言った、「お前を饒かすが如くも、只だ一半を得るのみ」。僧は身を轉じて便ち喝した。師は打ちて、言った、「須らく是れ我打ちお前を得て始めて得ん」。言った、「諸方に明眼人有りて在り」。師は言った、「天然に眼有り」。僧は眼を擘き開きて言った、「猫」。便ち出でた。師は言った、「黄河三千年に一度清し」。師は僧の来るを見て、乃ち門を閉じた。其の僧門を敲く。師は言った、「阿誰ぞ」。言った、「師子児」。師乃ち門を開いた。僧礼拜す。師は僧の項に騎りて言った、「此の畜生は何の処にか去り来たる」。雪峯が問うた、「南泉が猫児を斬る、意旨如何」。師乃ち打ち趁い、却って喚んで言った、「会したか」。峯は言った、「会せず」。師は言った、「我がさような老婆心、も会せず」。僧が問うた、「凡聖相去ること多少ぞ」。師便ち喝した。師疾に因り、僧問うた、「なお病まざる者有りや無しや」。師は言った、「有り」。言った、「如何なるか是れ病まざる者」。師は言った、「阿耶、阿耶」。師復た衆に告げて言った、「空を捫て響を追うは、お前の心神を労せむ。夢は覚め覚めは非ざるに覚ゆるは、竟に何の事か有らん」と。言い訖りて、安坐して化した。

即唐咸通六年十二月三日也。諡見性禪師。

即ち唐咸通六年十二月三日なり。見性禅師と諡す。

洪州泐潭寶峰和尚

洪州泐潭宝峯和尚

新到參。師問。其中事即易道。不落其中事始終難道。曰。某甲在途中時。便知有此一問。師曰。更與二十年行腳。也不較多。曰。莫不契和尚意麼。師曰。苦瓜那堪待客。問僧。古人有一路接後進初心。汝還知否。曰。請師指出古人一路。師曰。恁麼則闍黎知了也。曰。頭上更安頭。師曰。寶峰不合問仁者。曰。問又何妨。師曰。這裡不曾有人亂說道理。出去。巖頭僧來參。師竪起拂子曰。落在此機底人。未具眼在。僧擬近前。師曰。恰落在此機。僧回舉似巖頭。頭曰。我當時若見。奪卻拂子。看他作麼生。師聞乃曰。我竪起拂子從伊奪。總不將物時又作麼生。巖頭聞得。又曰。無星秤子。有甚辨處。

新到来りて参す。師は問うた、「其中の事は即ち道い易し、其中の事に落ちざれば始終道い難し」。言った、「某甲途中に在る時、便ち此の一問有るを知れり」。師は言った、「更に二十年の行脚を与うるも、較多からず」。言った、「莫れや和尚の意に契うや」。師は言った、「苦瓜は那れか客を待つに堪えん」。僧に問うた、「古人に一路有りて後進初心に接す。お前なお知るか否」。言った、「師に請う古人の一路を指出せんことを」。師は言った、「さよう則ち闍梨は知了せり」。言った、「頭上に更に頭を安ず」。師は言った、「宝峯は仁者に問うべからざりき」。言った、「問わば又何ぞ妨げん」。師は言った、「ここに嘗て人有りて乱に道理を説かず。出で去れ」。巖頭の僧来りて参す。師は拂子を豎起して言った、「此の機に落ち底の人、未だ眼具えざる在り」。僧擬して近前せんとすれば、師は言った、「恰も此の機に落ちぬ」。僧は回りて巖頭に挙げ似たり。頭は言った、「我当時若し見れば、拂子を奪却して、彼の作麼生を看むにあらむ」。師は聞きて乃ち言った、「我拂子を豎起して伊より奪わせん。總て物を将てざる時は又作麼生」。巖頭聞き得て、又言った、「星無き秤子、甚の辨処かあらん」と。

青原下五世

青原下第五世

德山鑒禪師法嗣

徳山鑑禅師の法嗣

鄂州巖頭全奯禪師

鄂州巖頭全豁禅師

泉州柯氏子。少禮青原誼公。落髮往長安寶壽寺。稟戒習經律諸部。優遊禪苑。與雪峰.欽山為友。自杭州大慈山邐迤造於臨濟。屬濟歸寂。乃謁仰山。才入門。提起坐具曰。和尚。仰山取拂子擬舉。師曰。不妨好手。後參德山。執坐具上法堂瞻視。山曰。作麼。師便喝。山曰。老僧過在甚麼處。師曰。兩重公案。乃下參堂。山曰。這箇阿師稍似箇行腳人。至來日上問訊。山曰。闍黎是昨日新到否。曰。是。山曰。甚麼處學得這虗頭來。師曰。全奯終不自謾。山曰。他後不得孤負老僧。一日。參德山。方跨門便問。是凡是聖。山便喝。師禮拜。有人舉似洞山。山曰。若不是奯公。大難承當。師曰。洞山老人不識好惡。錯下名言。我當時一手擡。一手搦。雪峰在德山作飯頭。一日飯遲。德山擎缽下法堂。峰曬飯巾次。見德山乃曰。鐘未鳴。鼓未響。拓缽向甚麼處去。德山便歸方丈。峰舉似師。師曰。大小德山未會末後句在。山聞。令侍者喚師去。問。汝不肯老僧那。師密啟其意。山乃休。明日陞堂。果與尋常不同。師至僧堂前。拊掌大笑曰。且喜堂頭老漢會末後句。他後天下人不奈伊何。雖然。也秖得三年活(山果三年後示滅)。一日。與雪峰.欽山聚話。峰驀指一椀水。欽曰。水清月現。峰曰。水清月不現。師踢卻水碗而去。師與雪峰同辭德山。山問。甚麼處去。師曰。暫辭和尚下山去。曰。子他後作麼生。師曰。不忘。曰。子憑何有此說。師曰。豈不聞。智過於師。方堪傳受。智與師齊。減師半德。曰。如是如是。當善護持。二士禮拜而退。師住鄂州巖頭。值沙汰。於湖邊作渡子。兩岸各掛一板。有人過渡。打板一下。師曰。阿誰。或曰。要過那邊去。師乃舞棹迎之。一日。因一婆抱一孩兒來。乃曰。呈橈舞棹即不問。且道婆手中兒甚處得來。師便打。婆曰。婆生七子。六箇不遇知音。秖這一箇。

泉州柯氏の子。少時青原誼公に礼し、落髪の後長安宝寿寺に往き、戒を禀め、経律の諸部を習い、禅苑に優游し、雪峯・欽山と友と為す。杭州大慈山より迤逦として臨済に造るも、臨済已に歸寂するに趕えり、ここに仰山に謁す。纔かに門に入り、坐具を提起して言った、「和尚」。仰山は拂子を取りて擬して挙げんとす。師は言った、「妨げず好手なり」。後に徳山に参す。坐具を執りて法堂に上り瞻視す。山は言った、「作麼」。師便ち喝した。山は言った、「老僧の過は何の処に在るか」。師は言った、「両重の公案」。ここに参堂に下る。山は言った、「此の阿師は稍や箇の行脚人に似たり」。来日に到りて上りて問訊す。山は言った、「闍梨は昨日の新到か否」。言った、「是れ」。山は言った、「何の処か学び得たる此の虚頭を来たすか」。師は言った、「全豁終に自ら謾らず」。山は言った、「他後老僧を孤負するを得ず」。ある日徳山に参ず。方に門を跨がば便ち問うた、「是れ凡か是れ聖か」。山便ち喝した。師礼拜す。人有りて洞山に挙げ似たり。山は言った、「若し豁公に非ざれば、大いに承当し難し」。師は言った、「洞山老人は好悪を識らず、名言を錯り下せり。我当時一手に抬し、一手に搦めり」。雪峯は徳山に在りて飯頭を作す。ある日飯遅れり。徳山は鉢を擎げて法堂を下る。峯は正に飯巾を晒す。徳山を見て、乃ち言った、「鐘未だ鳴らず、鼓未だ響かず、鉢を拓りて何の処にか去る」。徳山便ち方丈に帰る。峯は師に挙げ似たり。師は言った、「大小の徳山は未だ末後句を会せざる在り」。山聞きて、侍者に令めて師を喚び去らしめ、問うた、「お前は老僧を肯せざるか」。師は密かに其の意を啓し、山乃ち休む。明日堂に升り、果たして尋常と同じからず。師は僧堂前に至り、掌を拊ちて大笑して言った、「且らく喜ばん、堂頭の老漢が末後句を会するを。他後天下の人も伊を奈何すまじ。然りといえども、只だ三年の活を得るのみ」。(徳山果たして三年後に示滅す。)ある日雪峯・欽山と聚まりて話す。峯忽然として一碗の水を指す。欽は言った、「水清くして月現わる」。峯は言った、「水清くして月現われず」。師は水碗を踢倒して便ち去った。師と雪峯と同じく徳山を辞す。山は問うた、「何の処にか去る」。師は言った、「暫く和尚を辞して山を下り去らん」。言った、「子他後作麼生」。師は言った、「忘れず」。言った、「子何に憑りて此の説有るか」。師は言った、「豈に聞かずや、智師に過ぎん、方に伝受に堪えん。智師に齊しければ、師の半徳を減ず」と。言った、「如是、如是。当に善く護持すべし」。二人礼拜して退く。師は鄂州巖頭に住す。沙汰に値い、湖辺に於て渡子を作す。両岸各々一板を挂けたり。人有りて渡らんとするに、板を一下打つ。師は言った、「阿誰ぞ」。或いは言った、「あちに過ぎて去らんと要す」。師便ち棹を舞わして彼を迎えた。ある日一婆一児を抱きて来り、乃ち言った、「橈を呈し棹を舞わすは即ち問わず。且らく道え、婆の手中の児は何の処より得て来たる」。師便ち打った。婆は言った、「婆は七子を生み、六は知音に遇わず。只だ此の一つ、

也不消得。便拋向水中。師後庵於洞庭臥龍山。徒侶臻萃。僧問。無師還有出身處也無。師曰。聲前古毳爛。問。堂堂來時如何。師曰。刺破眼。上堂。吾甞究涅槃經七八年。覩三兩段義似衲僧說話。又曰。休。休。時有一僧出禮拜。請師舉。師曰。吾教意如【圖:X80p0144_01.gif】

(引き続き言う:)も消えて得ず」と。便ち水中に抛ちた。師後に洞庭臥龍山に庵し、徒侶臻萃す。僧問うた、「師無くんばなお出身の処有りや無しや」。師は言った、「声前に古毳爛れたり」。問うた、「堂堂として来る時は如何」。師は言った、「眼を刺破せん」。上堂して曰く、「吾嘗て涅槃経を究めて七八年、両三段の義を睹て衲僧の説話に似たりとす」と。又曰く、「休め、休め」と。時に一僧ありて出でて礼拜し、師に請いて挙げしめんとす。師は言った、「吾が教意は【図:底本元より一図有り、已に佚す】

字三點。第一向東方下一點。點開諸菩薩眼。第二向西方下一點。點諸菩薩命根。第三向上方下一點。點諸菩薩頂。此是第一段義。又曰。吾教意如摩醯首羅。擘開面門。竪亞一隻眼。此是第二段義。又曰。吾教意猶如塗毒鼓。擊一聲遠近聞者皆喪。此是第三段義。時小嚴上座問。如何是塗毒皷。師以兩手按膝。亞身曰。韓信臨朝底。嚴無語。夾山下一僧到石霜。才跨門便道。不審。霜曰。不必。闍黎。僧曰。恁麼則珍重。又到師處。如前道不審。師噓一噓。僧曰。恁麼則珍重。方回步。師曰。雖是後生。亦能管帶。其僧歸。舉似夾山。山上堂曰。前日到巖頭.石霜底阿師出來。如法舉似前話。其僧舉了。山曰。大眾還會麼。眾無對。山曰。若無人道得。山僧不惜兩莖眉毛道去也。乃曰。石霜雖有殺人刀。且無活人劒。巖頭亦有殺人刀。亦有活人劍。師與羅山卜塔基。羅山中路忽曰。和尚。師回顧曰。作麼。山舉手指曰。這裡好片地。師咄曰。瓜州賣瓜漢。又行數裡歇次。山禮拜問曰。和尚豈不是三十年前在洞山而不肯洞山。師曰。是。又曰。和尚豈不是嗣德山又不肯德山。師曰。是。山曰。不肯德山即不問。祇如洞山有何虧闕。師良久曰。洞山好佛。祇是無光。山禮拜。僧問。利劍斬天下。誰是當頭者。師曰。暗。僧擬再問。師咄曰。這鈍漢出去。問。不歷古今時如何。師曰。卓朔地。曰。古今事如何。師曰。任爛。問僧。甚處來。曰。西京來。師曰。黃巢過後。還收得劒麼。曰。收得。師引頸近前曰。㘞。曰。師頭落也。師呵呵大笑。僧後到雪峰。峰問。甚處來。曰。巖頭來。峰曰。巖頭有何言句。僧舉前話。峰便打三十棒。趂出。問。二龍爭珠。誰是得者。師曰。俱錯。僧問雪峰。聲聞人見性。如夜見月。菩薩人見性。如晝見日。未審和尚見性如何。峰打拄杖三下。僧後舉前語問師。師與三摑。問。

(師引き続き言う:)字の三点の如し。第一東方に向いて一点を下し、諸菩薩の眼を点开す。第二西方に向いて一点を下し、諸菩薩の命根を点ず。第三上方に向いて一点を下し、諸菩薩の頂を点ず。此是れ第一段の義なり」と。又曰く、「吾が教意は摩醯首羅の如く、面門を擘き開き、一隻の眼を竪亜す。此是れ第二段の義なり」と。又曰く、「吾が教意は猶ほ塗毒鼓の如く、一聲を撃てば遠近聞く者皆な喪す。此是れ第三段の義なり」と。時に小厳上座が問うた、「如何なるか是れ塗毒鼓」。師は両手を以て膝に按え、身を亜えて言った、「韓信の朝に臨み底」。厳語無し。夾山の下の一僧石霜に到り、纔かに門を跨がば便ち道った、「不審」。霜は言った、「必ずしもせず、闍梨」。僧は言った、「さよう則ち珍重」。又師の処に到り、前の如く「不審」と道う。師嘘一嘘した。僧は言った、「さよう則ち珍重」。方に步を回さんとすれば、師は言った、「是れ後生といえども、亦よく管帶す」。其の僧帰り、夾山に挙げ似たり。山上堂して言った、「前日巖頭・石霜に到り底の阿師出でて来れ、法の如く前話を挙げ似よ」。其の僧挙げ了り。山は言った、「大衆なお会するか」。衆対せず。山は言った、「若し人道い得ること無ければ、山僧両茎の眉毛を惜しまずして道い去らん」。乃ち言った、「石霜は殺人刀有りといえども、且つ活人剣無し。巖頭は亦殺人刀有り、亦活人剣有り」。師と羅山と塔基を卜す。羅山中路に忽然として言った、「和尚」。師回顧して言った、「作麼」。山は手指を挙げて言った、「ここに好片地有り」。師咄して言った、「瓜州の瓜売り漢」。又数里を行き歇する次、山礼拜して問うた、「和尚は豈に三十年前洞山に在りて洞山を肯せざりしに非ずや」。師は言った、「是れ」。又言った、「和尚は豈に徳山に嗣ぎて又徳山を肯せざりしに非ずや」。師は言った、「是れ」。山は言った、「徳山を肯せざるは即ち問わず。只だ洞山に何の亏闕か有る如き」。師良久して言った、「洞山は佛を好む、只だ光無きのみ」。山礼拜す。僧問うた、「利劍天下を斬る、誰か是れ当頭の者」。師は言った、「暗」。僧擬して再び問わんとすれば、師咄して言った、「此の鈍漢、出で去れ」。問うた、「古今を歴ざる時は如何」。師は言った、「卓朔地」。言った、「古今の事は如何」。師は言った、「爛に任せよ」。僧に問うた、「甚の処より来る」。言った、「西京より来る」。師は言った、「黄巢過後、なお劍を収め得るか」。言った、「収め得たり」。師は頸を引きて近前して言った、「嘿」。言った、「師の頭落ちぬ」。師呵呵と大笑した。僧後に雪峯に到り。峯は問うた、「甚の処より来る」。言った、「巖頭より来る」。峯は言った、「巖頭に何の言句か有る」。僧は前話を挙げた。峯便ち三十棒を打ち、趁い出した。問うた、「二龍珠を争う、誰か是れ得る者」。師は言った、「倶に錯なり」。僧雪峯に問うた、「声聞人は性を見るに夜に月を見るが如し。菩薩人は性を見るに昼に日を見るが如し。未だ審らかならず、和尚性を見るは如何」と。峯は拄杖を三下打った。僧後に前語を挙げて師に問う。師は三掴を与えた。問う、

如何是三界主。師曰。汝還解吃鐵棒麼。德山一日謂師曰。我這裡有兩僧入山。住庵多時。汝去看他怎生。師遂將一斧去。見兩人在庵內坐。師乃拈起斧曰。道得也一下斧。道不得也一下斧。二人殊不顧。師擲下斧曰。作家。作家。歸。舉似德山。山曰。汝道他如何。師曰。洞山門下不道全無。若是德山門下。未夢見在。僧參。於左邊作一圓相。又於右邊作一圓相。又於中心作一圓相。欲成未成。被師以手一撥。僧無語。師便喝。出。僧欲跨門。師卻喚回。問。汝是洪州觀音來否。曰。是。師曰。祇如適來左邊一圓相作麼生。曰。是有句。師曰。右邊圓相聻。曰。是無句。師曰。中心圓相作麼生。曰。是不有不無句。師曰。祇如吾與麼又作麼生。曰。如刀畫水。師便打。瑞巖問。如何是毗盧師。師曰。道甚麼。巖再問。師曰。汝年十七八。未問弓折箭盡時如何。師曰。去。問。如何是巖中的的意。師曰。謝指示。曰。請和尚答話。師曰。珍重。問。三界競起時如何。師曰。坐卻著。曰。未審師意如何。師曰。移取廬山來。即向汝道。問。起滅不停時如何。師喝曰。是誰起滅。問。輪中不得轉時如何。師曰。澁。問。路逢猛虎時如何。師曰。拶。問。如何是道。師曰。破草鞋。與拋向湖裡著。問。萬丈井中如何得到底。師曰。吽。僧再問。師曰。腳下過也。問。古帆未掛時如何。師曰。小魚吞大魚。又僧如前問。師曰。後園驢吃草。邇後人或問佛.問法.問道.問禪者。師皆作噓聲。師甞謂眾曰。老漢去時。大吼一聲了去。唐光啟之後。中原盜起。眾皆避地。師端居晏如也。一日賊大至。責以無供饋。遂倳刃焉。師神色自若。大呌一聲而終。聲聞數十里。即光啟三年丁未四月八日也。門人後焚之。獲舍利四十九粒。眾為起塔。諡清嚴禪師。

(僧引き続き問うた:)「如何なるか是れ三界の主」。師は言った、「お前なお鐵棒を喫することを解するか」。徳山ある日師に謂いて言った、「我ここに両僧ありて山に入り、庵に住して多時なり。お前往きて彼の怎生を看よ」。師遂に一斧を将て去り、両人の庵内に坐するを見た。師乃ち斧を拈起して言った、「道い得るも一下の斧、道い得ざるも一下の斧」。二人殊に顧みず。師は斧を擲ち下して言った、「作家、作家」。帰り、徳山に挙げ似たり。山は言った、「お前は彼を如何と道う」。師は言った、「洞山門下は道えども全からず。若し是れ徳山門下ならば、未だ夢に見ざる在り」。僧参す、左辺に於て一円相を作し、又右辺に於て一円相を作し、又中心に於て一円相を作す。成らんと欲して未だ成らざるに、師に手を以て一撥せられぬ。僧語無し。師便ち喝し、出でた。僧門を跨がんと欲すれば、師却って喚び回し、問うた、「お前は是れ洪州の観音より来るか否」。言った、「是れ」。師は言った、「只だ適來左辺の一円相の如きは作麼生」。言った、「是れ有句」。師は言った、「右辺の円相は」。言った、「是れ無句」。師は言った、「中心の円相は作麼生」。言った、「是れ不有不無句」。師は言った、「只だ吾がさようするは又作麼生」。言った、「刀の水を画くが如し」。師便ち打った。瑞巖が問うた、「如何なるか是れ毘盧師」。師は言った、「何をか道う」。巖再び問う。師は言った、「お前年十七八」。又問うた、「弓折れ箭尽きる時は如何」。師は言った、「去れ」。問うた、「如何なるか是れ巖中の的意」。師は言った、「指示を謝す」。言った、「和尚に請う答話せんことを」。師は言った、「珍重」。問うた、「三界競り起る時は如何」。師は言った、「坐却せよ」。言った、「未だ審らかならず師の意如何」。師は言った、「廬山を移取して来れば、即ちお前に向いて道わん」。問うた、「起滅停まざる時は如何」。師喝して言った、「是れ誰の起滅ぞ」。問うた、「輪中轉ずるを得ざる時は如何」。師は言った、「澁」。問うた、「路に猛虎に逢う時は如何」。師は言った、「拶」。問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「破草鞋、湖裏に抛向せよ」。問うた、「万丈の井中、如何にして底に到るを得ん」。師は言った、「吽」。僧再び問う。師は言った、「脚下過ぎぬ」。問うた、「古帆未だ挂けざる時は如何」。師は言った、「小魚大魚を呑む」。又僧前の如く問う。師は言った、「後園の驢草を喫う」。此の後人或いは佛を問い、法を問い、道を問い、禅を問うに、師は皆嘘声を作した。師嘗て衆に謂いて言った、「老漢去る時、大吼一聲して去らん」と。唐光啓の後、中原盜起こり、衆皆な地を避くも、師端居晏如たり。ある日賊大いに至り、供饋無きを以て責め、遂に刃を以て刺す。師神色自若、大叫一聲して終り、声は数十里に聞ゆ。即ち光啓三年丁未四月八日なり。門人後に之を焚きて、舍利四十九粒を獲たり。衆為に塔を起つ。清厳禅師と諡す。

福州雪峰義存禪師

福州雪峯義存禅師

泉州南安曾氏子。家世奉佛。師生惡葷茹。於襁褓中聞鐘梵之聲。或見幡花像設。必為之動容。年十二。從其父遊莆田玉㵎寺。見慶玄律師。遽拜曰。我師也。遂留侍焉。十七落髮。謁芙蓉常照大師。照撫而器之。後往幽州寶剎寺受戒。久歷禪會。緣契德山。唐咸通中回閩中雪峰創院。徒侶翕然。懿宗錫號真覺禪師。仍賜紫袈裟。初與巖頭至澧州鼇山鎮阻雪。頭每日祇是打睡。師一向坐禪。一日喚曰。師兄。師兄。且起來。頭曰。作甚麼。師曰。今生不著便。共文邃箇漢行腳。到處被他帶累。今日到此。又祇管打睡。頭喝曰。噇。眠去。每日床上坐。恰似七村裡土地。他時後日魔魅人家男女去在。師自點胸曰。我這裡未穩在。不敢自謾。頭曰。我將謂你他日向孤峰頂上盤結草菴。播揚大教。猶作這箇語話。師曰。我實未穩在。頭曰。你若實如此。據你見處一一通來。是處與你證明。不是處與你剗卻。師曰。我初到鹽官。見上堂舉色空義。得箇入處。頭曰。此去三十年。切忌舉著。又見洞山過水偈曰。切忌從他覓。迢迢與我疎。渠今正是我。我今不是渠。頭曰。若與麼。自救也未徹在。師又曰。後問德山。從上宗乘中事。學人還有分也無。德山打一棒曰。道甚麼。我當時如桶底脫相似。頭喝曰。你不聞道。從門入者不是家珍。師曰。他後如何即是。頭曰。他後若欲播揚大教。一一從自己𮌎襟流出。將來與我蓋天蓋地去。師於言下大悟。便作禮起。連聲呌曰。師兄。今日始是鼇山成道。師在洞山作飯頭。淘米次。山問。淘沙去米。淘米去沙。師曰。沙米一時去。山曰。大眾吃箇甚麼。師遂覆卻米盆。山曰。據子因緣。合在德山。洞山一日問師。作甚麼來。師曰。斫槽來。山曰。幾斧斫成。師曰。一斧斫成。山曰。猶是這邊事。那邊事作麼生。師曰。直得無下手處。山曰。猶是這邊事。那邊事作麼生。

泉州南安曾氏の子。家世佛を奉ず。師は生まれてより葷茹を悪み、襁褓の中に鐘梵の声を聞き、或いは幡花像設を見れば、必ず之が為に動容した。十二歳で父に従い莆田玉澗寺に遊び(底本「澗」は異体を作す)、慶玄律師を見て、遽かに拜して言った、「我が師なり」と。ここに留まりて侍奉した。十七歳で落髪し、芙蓉常照大師に謁した。照は撫して之を器とした。後に幽州宝剎寺に往き戒を受けた。久しく禅会に歴り、縁徳山に契す。唐咸通中、閩中の雪峯に回りて院を創め、徒侶翕然たり。懿宗は真覚禅師の号を錫い、仍りて紫袈裟を賜う。初め巖頭と澧州鰲山鎮に至り雪に阻まる。頭は毎日ただ打睡するのみ。師は一向に坐禅す。ある日喚んで言った、「師兄、師兄、且らく起きよ」。頭は言った、「何をか作す」。師は言った、「今生便きに著かず、文邃此の漢と行脚を共にし、処処に到りて彼に帯累せらる。今日此に至り、又只管打睡す」。頭喝して言った、「噇、眠り去れ。毎日床上に坐す、恰似七村里の土地、他時日後に人家の男女を魔魅して去ること在らん」。師自ら胸を点じて言った、「我ここに未だ穏かならざる在り、敢えて自ら謾らず」。頭は言った、「我将に謂わん、お前他日孤峯頂上に向い草庵を盤結し、大教を播揚せんと。猶ほ此の語話を作す」。師は言った、「我実に未だ穏かならざる在り」。頭は言った、「お前若し実にさようにあらば、お前の見処に拠りて一一に通じ来れ。是れの処はお前に証明を与え、是れならざる処はお前に鏟却を与えん」。師は言った、「我初め鹽官に到り、上堂に色空の義を挙ぐるを見て、箇の入処を得たり」。頭は言った、「此を去る三十年、切に挙げるを忌む」。又洞山の水を過る偈を見て曰く、「切に他に従い覓するを忌む、迢迢として我と疏なり。渠今正に是れ我、我今是れ渠に非ず」。頭は言った、「若しさようにあらば、自救も未だ徹せざる在り」。師又言った、「後に徳山に問う、従上宗乗中の事、学人なお分有りや無しやと。徳山一棒を打ちて言う、何をか道うと。我当時桶底の脱するに相似たり」。頭喝して言った、「お前は聞かずや道う、門より入る者は是れ家珍に非ずと」。師は言った、「他後如何にして即ち是れか」。頭は言った、「他後若し大教を播揚せんと欲せば、一一に自己の胸襟より流出し、将来に我と蓋天蓋地して去れ」。(底本「胸」は生僻な肉旁の字を作す、「胸襟」に按じて訳す。)師言下に於て大悟し、便ち礼を作して起ち、声を連ねて叫んで言った、「師兄、今日始めて是れ鰲山に成道せり」。師は洞山に在りて飯頭を作し、米を淘米する次。山問うた、「沙を淘して米を去るか、米を淘して沙を去るか」。師は言った、「沙米一時に去る」。山は言った、「大衆は箇の何をか喫う」。師遂に米盆を覆却した。山は言った、「子の因縁に拠れば、徳山に在るに合す」。洞山ある日師に問うた、「何をか作して来る」。師は言った、「槽を斫りて来る」。山は言った、「幾斧に斫り成す」。師は言った、「一斧に斫り成す」。山は言った、「猶ほ是れ此辺の事。彼辺の事は作麼生」。師は言った、「直ちに下手の処無きを得たり」。山は言った、「猶ほ是れ此辺の事。彼辺の事は作麼生」。

師休去(汾陽代雲。某甲早困也)。師辭洞山。山曰。子甚處去。師曰。歸嶺中去。山曰。當時從甚麼路出。師曰。從飛猿嶺出。山曰。今迴向甚麼路去。師曰。從飛猿嶺去。山曰。有一人不從飛猿嶺去。子還識麼。師曰。不識。山曰。為甚麼不識。師曰。他無面目。山曰。子既不識。爭知無面目。師無對。住後。僧問。和尚見德山。得箇甚麼。便休去。師曰。我空手去。空手歸。問。祖意教意。是同是別。師曰。雷聲震地。室內不聞。又曰。闍黎行腳。為甚麼事。問。我眼本正。因師故邪時如何。師曰。迷逢達磨。曰。我眼何在。師曰。得不從師。問。剃髮染衣。受佛依蔭。為甚麼不許認佛。師曰。好事不如無。師問座主。如是兩字盡是科文。作麼生是本文。主無對(五雲代雲。更分三段著)。問。如何是佛。師曰。寐語作甚麼。問。如何是覿面事。師曰。千里未是遠。問。如何是大人相。師曰。瞻仰即有分。問。文殊與維摩對談何事。師曰。義墮也。問。寂然無依時如何。師曰。猶是病。曰。轉後如何。師曰。船子下揚州。問。承古有言。師便作臥勢。良久起曰。問甚麼。僧再舉。師曰。虗生浪死漢。問。箭頭露鋒時如何。師曰。好手不中的。曰。盡眼沒標的時如何。師曰。不妨隨分好手。問。古人道。路逢達道人。不將語默對。未審將甚麼對。師曰。吃茶去。問僧。甚處來。曰。神光來。師曰。晝喚作日光。夜喚作火光。作麼生是神光。僧無對。師自代曰。日光火光。棲典座問。古人有言。知有佛向上事。方有語話分。如何是語話。師把住曰。道。道。棲無對。師遂蹋倒。棲當下汗流。問僧。甚處來。曰。近離浙中。師曰。船來陸來。曰。二途俱不涉。師曰。爭得到這裡。曰。有甚麼隔礙。師便打。問。古人道。覿面相呈時如何。師曰。是。曰。如何是覿面相呈。師曰。蒼天。蒼天。師謂眾曰。

(洞山引き続き問う。師対せず、)師休み去った。(汾陽代えて曰く、「某甲早く困みぬ」。)師は洞山を辞す。山は言った、「子何の処にか去る」。師は言った、「嶺中に帰り去らん」。山は言った、「当時何の路よりか出でし」。師は言った、「飛猿嶺より出でし」。山は言った、「今回りて何の路に向いて去らん」。師は言った、「飛猿嶺より去らん」。山は言った、「一人有りて飛猿嶺より去らず、子なお識るか」。師は言った、「識らず」。山は言った、「何の故ぞ識らざる」。師は言った、「彼は面目無し」。山は言った、「子既に識らず、争いでか面目無きを知る」。師対せず。住して後。僧問うた、「和尚徳山を見て、箇の何を得て、便ち休み去りし」。師は言った、「我空手にして去り、空手にして帰る」。問うた、「祖意教意、是れ同か是れ別か」。師は言った、「雷声地を震うも、室内聞えず」。又言った、「闍梨行脚するは、何の事の為ぞ」。問うた、「我が眼本正しきも、師の故に邪なる時は如何」。師は言った、「達磨に逢うて迷う」。言った、「我が眼は何に在るか」。師は言った、「得るは師に従わず」。問うた、「髪を剃り衣を染め、佛の依蔭を受くるも、何の故ぞ佛を認むるを許さざる」。師は言った、「好事は無きに如かず」。師座主に問うた、「如是の両字は尽く是れ科文。作麼生か是れ本文」。主対せず。(五雲代えて曰く、「更に三段を分け着よ」。)問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「寐語何をか作す」。問うた、「如何なるか是れ覿面の事」。師は言った、「千里は未だ是れ遠からず」。問うた、「如何なるか是れ大人の相」。師は言った、「瞻仰すれば即ち分有り」。問うた、「文殊と維摩と対談するは何の事ぞ」。師は言った、「義堕せり」。問うた、「寂然として依無き時は如何」。師は言った、「猶ほ是れ病」。言った、「転じて後は如何」。師は言った、「船子揚州に下る」。問うた、「古に承くる言有り」。師便ち卧の勢を作し、良久起きて言った、「何をか問う」。僧再び挙ぐ。師は言った、「虚生浪死の漢」。問うた、「箭頭鋒を露す時は如何」。師は言った、「好手は中的せず」。言った、「眼を尽くし標的を没する時は如何」。師は言った、「妨げず随分の好手」。問うた、「古人道う、路に達道の人に逢えば、語黙を将て対せず。未だ審らかならず、何を将てか対せん」。師は言った、「茶を喫して去れ」。僧に問うた、「甚の処より来る」。言った、「神光より来る」。師は言った、「昼は喚びて日光と作し、夜は喚びて火光と作す。作麼生か是れ神光」。僧対せず。師自ら代えて言った、「日光火光」。栖典座が問うた、「古人に言有り、佛向上の事有るを知れば、方に語話の分有り。如何なるか是れ語話」。師把住して言った、「道え、道え」。栖対せず。師遂に踏み倒した。栖当下に汗流す。僧に問うた、「甚の処より来る」。言った、「近く浙中を離れし」。師は言った、「船より来るか陸より来るか」。言った、「二途倶に渉らず」。師は言った、「争いでか此に到るを得たる」。言った、「何の隔礙か有らん」。師便ち打った。問うた、「古人道う、覿面相呈する時は如何」。師は言った、「是れ」。言った、「如何なるか是れ覿面相呈」。師は言った、「蒼天、蒼天」。師衆に謂いて言う、

此箇水牯牛年多少。眾皆無對。師自代曰。七十九也。僧曰。和尚為甚麼作水牯牛去。師曰。有甚麼罪過。問僧。甚處去。曰。禮拜徑山和尚去。師曰。徑山若問汝。此間佛法如何。汝作麼生祇對。曰。待問即道。師便打。後舉問鏡清。這僧過在甚麼處。清曰。問得徑山徹困。師曰。徑山在浙中因甚麼問得徹困。清曰。不見道遠問近對。師曰。如是。如是。一日謂長慶曰。吾見溈山問仰山。從上諸聖向甚麼處去。他道或在天上。或在人間。汝道仰山意作麼生。慶曰。若問諸聖出沒處。恁麼道即不可。師曰。汝渾不肯。忽有人問。汝作麼生道。慶曰。但道錯。師曰。是汝不錯。慶曰。何異於錯。問僧。甚處來。曰。江西。師曰。與此間相去多少。曰。不遙。師竪起拂子曰。還隔這箇麼。曰。若隔這箇。即遙去也。師便打出。問。學人乍入叢林。乞師指箇入路。師曰。寧自碎身如微塵。終不敢瞎卻一僧眼。問。四十九年後事即不問。四十九年前事如何。師以拂子驀口打。僧辭去。參靈雲。問。佛未出世時如何。雲舉拂子。曰。出世後如何。雲亦舉拂子。其僧卻回。師曰。返太速乎。曰。某甲到彼。問佛法不契乃回。師曰。汝問甚麼事。僧舉前話。師曰。汝問。我為汝道。僧便問。佛未出世時如何。師舉起拂子。曰。出世後如何。師放下拂子。僧禮拜。師便打(後僧舉問玄沙。沙雲。汝欲會麼。我與汝說箇喻。如人賣一片園。東西南北一時結契了也。中心樹子猶屬我在。崇壽稠雲。為當打伊解處。別有道理)。師舉。六祖道。不是風動。不是幡動。仁者心動。乃曰。大小祖師。龍頭蛇尾。好與二十拄杖。時太原孚上座侍立。不覺齩齒。師曰。我適來恁麼道。也好吃二十拄杖。師行腳時參烏石觀和尚。才敲門。石問。誰。師曰。鳳凰兒。石曰。來作麼。師曰。來啗老觀。石便開門搊住曰。道。道。師擬議。石拓開。

(師引き続き言う:)「此の箇の水牯牛は年多少ぞ」。衆皆対せず。師自ら代えて言った、「七十九なり」。僧は言った、「和尚は何の故ぞ水牯牛と作して去る」。師は言った、「何の罪過か有らん」。僧に問うた、「甚の処にか去る」。言った、「徑山和尚を礼拜しに去らん」。師は言った、「徑山若しお前に問わば、此間の佛法如何と、お前作麼生か只だ対せん」。言った、「問わるるを待ちて即ち道わん」。師便ち打った。後に挙げて鏡清に問うた、「此の僧の過は何の処に在るか」。清は言った、「徑山を問い得て徹困なり」。師は言った、「徑山は浙中に在り、何の因か問い得て徹困なる」。清は言った、「見ずや道う、遠きを問い近きに対すと」。師は言った、「如是、如是」。ある日長慶に謂いて言った、「吾見る、潙山の仰山に問う、従上の諸聖は何の処に向いて去ると。彼道う、或いは天上に在り、或いは人間に在りと。お前は仰山の意を如何と道う」。慶は言った、「若し諸聖の出没の処を問わば、さように道うは即ち不可なり」。師は言った、「お前渾に肯せず。忽ち人有りて問わば、お前作麼生か道わん」。慶は言った、「但だ錯と道わんのみ」。師は言った、「是れお前錯ならず」。慶は言った、「錯と何ぞ異ならん」。僧に問うた、「甚の処より来る」。言った、「江西」。師は言った、「此間と相去ること多少ぞ」。言った、「遥ならず」。師は拂子を豎起して言った、「なお此の箇に隔つるか」。言った、「若し此の箇に隔つれば、即ち遥に去るなり」。師便ち打ち出した。問うた、「学人乍かに叢林に入り、師に乞う箇の入路を指さんことを」。師は言った、「寧ろ自ら身を碎きて微塵の如くとも、終に敢えて一僧の眼を瞎却せず」。問うた、「四十九年後の事は即ち問わず、四十九年前の事は如何」。師は拂子を以て驀口に打つ。僧辞し去り、靈雲に参す。問うた、「佛未だ出世せざる時は如何」。雲は拂子を挙ぐ。言った、「出世して後は如何」。雲も亦拂子を挙ぐ。其の僧却って回る。師は言った、「返ること太だ速なり乎」。言った、「某甲彼に到り、佛法を問うて契わざれば乃ち回れり」。師は言った、「お前は何の事をか問うたりし」。僧は前話を挙ぐ。師は言った、「お前問え、我お前の為に道わん」。僧便ち問うた、「佛未だ出世せざる時は如何」。師拂子を挙起す。言った、「出世して後は如何」。師拂子を放下す。僧礼拜す。師便ち打った。(後に僧挙げて玄沙に問う。沙は言った、「お前会せんと欲するか。我お前に箇の喻を説かん。人の一片の園を売るが如し。東西南北一時に契を結び了るも、中心の樹子は猶ほ我に属する在り」。崇寿稠曰く、「当に彼の解する処を打つを為るか、別に道理有るか」。)師は六祖の道うを挙げて、「是れ風の動くに非ず、是れ幡の動くに非ず、仁者の心の動くなり」。乃ち言った、「大小の祖師、龍頭蛇尾、好く二十の拄杖を与せん」。時に太原孚上座侍立し、覚えず歯を咬む。師は言った、「我適來さように道いしも、亦よく二十の拄杖を喫せん」。師行脚の時烏石觀和尚に参じ、纔かに門を敲く。石問うた、「誰ぞ」。師は言った、「鳳凰児」。石は言った、「来て何をか作す」。師は言った、「来りて老觀を啖らわん」。石便ち門を開き、搊い住えて言った、「道え、道え」。師擬議す。石拓き開き、

閉卻門。師住後示眾曰。我當時若入得老觀門。你這一隊噇酒糟漢向甚麼處摸索。師問慧全。汝得入處作麼生。全曰。共和尚商量了。師曰。甚麼處商量。曰。甚麼處去來。師曰。汝得入處又作麼生。全無對。師便打。全坦問。平田淺草。麈鹿成群。如何射得麈中主。師喚全坦。坦應諾。師曰。吃茶去。問僧。甚處來。曰。溈山來。師曰。溈山有何言句。曰。某甲曾問如何是祖師西來意。溈山據坐。師曰。汝肯他否。曰。某甲不肯他。師曰。溈山古佛。汝速去懺悔(玄沙雲。山頭老漢蹉過溈山也)。閩王問曰。擬欲葢一所佛殿去時如何。師曰。大王何不葢取一所空王殿。曰。請師樣子。師展兩手(雲門雲。一舉四十九)。僧問。學人道不得處。請師道。師曰。我為法惜人。師舉拂子示一僧。其僧便出去(長慶舉似王延彬大傅了。乃曰。此僧合喚轉與一頓棒。王曰。和尚是甚麼心行。曰。幾放過)。師問長慶。古人道前三三。後三三。意作麼生。慶便出去(鵞湖別雲。喏)。問僧。甚處來。曰。藍田來。師曰。何不入草(長慶雲。險)。上堂。南山有一條鼈鼻蛇。汝等諸人切須好看。長慶出曰。今日堂中大有人喪身失命。雲門以拄杖攛向師前。作怕勢。有僧舉似玄沙。沙曰。須是稜兄始得。然雖如是。我即不然。曰。和尚作麼生。沙曰。用南山作麼。一日。有兩僧來。師以手拓庵門。放身出曰。是甚麼。僧亦曰。是甚麼。師低頭歸庵。僧辭去。師問。甚麼處去。曰。湖南。師曰。我有箇同行住巖頭。附汝一書去。書曰。某書上師兄。某一自鼇山成道後。迄至於今。飽不飢。同參某書上。僧到巖頭問。甚麼處來。曰。雪峰來。有書達和尚。頭接了。乃問僧。別有何言句。僧遂舉前話。頭曰。他道甚麼。曰。他無語低頭歸庵。頭曰。噫。我當初悔不向伊道末後句。若向伊道。天下人不奈雪老何。僧至夏末。

(引き続き言う:)門を閉却す。師住して後衆に示して言った、「我当時若し老觀の門に入り得ば、お前此の一隊の酒糟を噇る漢、何の処に向いて摸孛せん」。師慧全に問うた、「お前は入処を得る作麼生」。全は言った、「和尚と商量し了れり」。師は言った、「何の処にか商量する」。言った、「何の処にか去り来る」。師は言った、「お前の得入る処は又作麼生」。全対せず。師便ち打った。全坦が問うた、「平田浅草、麈鹿群を成す。如何にして麈中の主を射得ん」。師全坦を喚ぶ。坦諾に応ず。師は言った、「茶を喫して去れ」。僧に問うた、「甚の処より来る」。言った、「潙山より来る」。師は言った、「潙山に何の言句か有る」。言った、「某甲嘗て如何なるか是れ祖師西来の意と問うに、潙山坐に拠れり」。師は言った、「お前は彼を肯するか否」。言った、「某甲は彼を肯せず」。師は言った、「潙山は古佛なり。お前速やかに去りて懺悔せよ」。(玄沙曰く、「山頭の老漢は潙山に蹉過せり」。)閩王問うた、「擬して一所の佛殿を蓋い去らんと欲する時は如何」。師は言った、「大王は何ぞ一所の空王殿を蓋い取らざる」。言った、「師に請う様子せんことを」。師両手を展ぶ。(雲門曰く、「一挙四十九」。)僧問うた、「学人道い得ざる処、師に請う道わんことを」。師は言った、「我法の為に人を惜しむ」。師拂子を挙げて一僧に示せば、其の僧便ち出でて去った。(長慶王延彬太傅に挙げ似了りて、乃ち言った、「此の僧は喚び轉じて一頓の棒を与うるに合す」。王は言った、「和尚是れ何の心行ぞ」。言った、「幾ど放過せん」。)師長慶に問うた、「古人道う前三三、後三三、意は作麼生」。慶便ち出でて去った。(鵞湖別に曰く、「喏」。)僧に問うた、「甚の処より来る」。言った、「藍田より来る」。師は言った、「何ぞ草に入らざる」。(長慶曰く、「險なり」。)上堂して曰く、「南山に一条の鱉鼻蛇有り、汝等諸人切に好く看ることを須とす」。長慶出でて言った、「今日堂中に大いに人有りて身を喪い命を失わん」。雲門は拄杖を以て師の前に撺し向け、怕るの勢を作す。僧ありて玄沙に挙げ似たり。沙は言った、「須らく是れ稜兄始めて得ん。然りといえども、我即ち然らず」。言った、「和尚作麼生」。沙は言った、「南山を用いて何をか作す」。ある日、両僧来り。師は手を以て庵門を拓き、身を放ち出でて言った、「是れ何ぞ」。僧も亦言った、「是れ何ぞ」。師低頭して庵に帰る。僧辞し去らんとす。師は問うた、「何の処にか去る」。言った、「湖南」。師は言った、「我に同行有りて巖頭に住す。お前に一書を附して去らしむ」。書に曰く、「某書上師兄。某一より鰲山に成道して後、今に迄りて、飽きて飢えず。同参某書上」と。僧巖頭に到り、問うた、「何の処より来る」。言った、「雪峯より来る。書有りて和尚に達せん」。頭接き了り、乃ち僧に問うた、「別に何の言句か有る」。僧遂に前話を挙ぐ。頭は言った、「彼は何をか道う」。言った、「彼語無く、低頭して庵に帰る」。頭は言った、「噫。我当初悔いず、伊に向いて末後句を道わざりしを。若し伊に向いて道わば、天下の人雪老を奈何すまじ」。僧夏末に至り、

請益前話。頭曰。何不早問。曰。未敢容易。頭曰。雪峰雖與我同條生。不與我同條死。要識末後句。祇這是。上堂。盡大地撮來如粟米粒大。拋向面前。漆桶不會打鼓。普請看(長慶問雲門曰。雪峰與麼道。還有出頭不得處麼。門曰。有。曰。作麼生。門曰。不可總作野狐精見解。文曰。狼籍不少)。問僧。甚麼處去。曰。識得即知去處。師曰。你是了事人。亂走作麼。曰。和尚莫塗汙人好。師曰。我即不塗汙你。古人吹布毛作麼生。與我說來看。曰。殘羹餿飯已有人吃了。師休去。有一僧在山下卓庵多年。不剃頭。畜一長柄杓。溪邊舀水。時有僧問。如何是祖師西來意。主曰。溪深杓柄長。師聞得。乃曰。也甚奇怪。一日。將剃刀同侍者去訪。才相見便舉前話。問。是庵主語否。主曰。是。師曰。若道得。即不剃你頭。主便洗頭。胡跪師前。師即與剃卻。師領徒南遊。時黃涅槃預知師至。搘䇿前迎。抵蘇溪邂逅。師問。近離何處。槃曰。闢支巖。師曰。巖中還有主麼。槃以竹䇿敲師轎。師乃出轎相見。槃曰。曾郎萬福。師遽展丈夫拜。槃作女人拜。師曰。莫是女人麼。槃又設兩拜。遂以竹䇿畫地。右繞師轎三匝。師曰。某甲三界內人。你三界外人。你前去。某甲後來。槃回。師隨至。止囊山憩數日。槃供事隨行徒眾。一無所缺。上堂。此事如一片田地相似。一任諸人耕種。無有不承此恩力者。玄沙曰。且作麼生是這田地。師曰。看。沙曰。是即是。某甲不與麼。師曰。你作麼生。沙曰。祇是人人底。三聖問。透網金鱗。以何為食。師曰。待汝出網來向汝道。聖曰。一千五百人善知識。話頭也不識。師曰。老僧住持事繁。上堂。盡大地是箇解脫門。把手拽伊不肯入。時一僧出曰。和尚怪某甲不得。又一僧曰。用入作甚麼。師便打。玄沙謂師曰。某甲如今大用去。和尚作麼生。師將三箇木毬一時拋出。

(僧引き続き)前話に請益す。頭は言った、「何ぞ早く問わざりし」。言った、「未だ敢えて容易ならず」。頭は言った、「雪峯は我と同条に生ずといえども、我と同条に死せず。末後句を識らんと要せば、只だ此是れ」。上堂して曰く、「大地を尽くして撮み来るに粟米粒の大なるが如く、面前に抛向す。漆桶会せず、鼓を打ちて普請して看よ」。(長慶雲門に問うた、「雪峯さように道う、なお出頭するを得ざる処有るか」。門は言った、「有り」。言った、「作麼生」。門は言った、「總て野狐精の見解と作すこと不可なり」。又曰く、「狼藉少なからず」。)僧に問うた、「何の処にか去る」。言った、「識得すれば即ち去る処を知らん」。師は言った、「お前是れ了事の人、乱走して何をか作す」。言った、「和尚人を塗污すること莫れんことを好む」。師は言った、「我即ちお前を塗污せず。古人布毛を吹くは作麼生。我と説いて来看よ」。言った、「残羹の餿飯は已に人有りて喫い了れり」。師休み去った。一僧有りて山下に庵を卓す多年、頭を剃らず、一長柄の杓を畜い、谿辺に水を舀う。時に僧ありて問うた、「如何なるか是れ祖師西来の意」。主は言った、「谿深く杓柄長し」。師聞き得て、乃ち言った、「も甚だ奇怪なり」。ある日、剃刀を将て侍者と同じく往き訪う。纔かに相見れば便ち前話を挙げ、問うた、「是れ庵主の語か否」。主は言った、「是れ」。師は言った、「若し道い得ば、即ちお前の頭を剃らじ」。主便ち頭を洗い、師の前に胡跪す。師即ち之と剃却した。師徒を領して南に遊ぶ。時に黄涅槃は予め師の至るを知り、杖を撑えて前に迎え、蘇谿に抵り邂逅す。師問うた、「近く何の処を離れし」。槃は言った、「辟支巖」。師は言った、「巖中になお主有るか」。槃は竹杖を以て師の轎を敲く。師乃ち轎を出でて相見た。槃は言った、「曾郎万福」。師遽かに丈夫の拜を展ぶ。槃女人の拜を作す。師は言った、「女人ならずや」。槃又両拜を設け、遂に竹杖を以て地を画き、右に師の轎を繞ること三匝。師は言った、「某甲三界内の人、お前三界外の人。お前は前に去れ、某甲は後に来らん」。槃回る。師随いて至り、囊山に止りて数日を憩う。槃随行の徒衆を供事し、一も欠くる所無し。上堂して曰く、「此の事は一片の田地の相似、諸人の耕種に一任す。此の恩力を承る者無きこと非ず」。玄沙は言った、「且らく作麼生か是れ此の田地」。師は言った、「看よ」。沙は言った、「是れ即是れ、某甲はさようせず」。師は言った、「お前作麼生」。沙は言った、「只だ是れ人人底」。三聖が問うた、「網を透る金鱗、何を以てか食と為す」。師は言った、「お前の網を出で来るを待ちてお前に向いて道わん」。聖は言った、「一千五百人の善知識、話頭をも識らず」。師は言った、「老僧住持の事繁し」。上堂して曰く、「大地を尽くして是れ箇の解脱門、手を把りて伊を拽すれども入るを肯ぜず」。時に一僧出でて言った、「和尚は某甲を怪むを得ず」。又一僧言った、「入るを用いて何をか作す」。師便ち打った。玄沙師に謂いて言った、「某甲今大用して去らん、和尚作麼生」。師三箇の木毬を将て一時に抛出した。

沙作斫牌勢。師曰。你親在靈山方得如此。沙曰。也是自家事。一日陞座。眾集定。師輥出木毬。玄沙遂捉來安舊處。師一日在僧堂內燒火。閉卻前後門。乃呌曰。救火。救火。玄沙將一片柴從牕櫺中拋入。師便開門。問。古㵎寒泉時如何。師曰。瞪目不見底。曰。飲者如何。師曰。不從口入。僧舉似趙州。州曰。不從口入。不可從鼻孔裡入。僧卻問。古㵎寒泉時如何。州曰。苦。曰。飲者如何。州曰。死。師聞得。乃曰。趙州古佛。遙望作禮。自此不答話。師因閩王封柑橘各一顆。遣使送至。柬問。既是一般顏色。為甚名字不同。師遂依舊封回。王復馳問玄沙。沙將一張紙葢卻。問僧。近離甚處。曰。覆船。師曰。生死海未渡。為甚麼覆卻船。僧無語。乃回舉似覆船。船曰。何不道渠無生死。僧再至。進此語。師曰。此不是汝語。曰。是覆船恁麼道。師曰。我有二十棒寄與覆船。二十棒老僧自吃。不幹闍黎事。問。大事作麼生。師執僧手曰。上座將此問誰。有僧禮拜。師打五棒。僧曰。過在甚麼處。師又打五棒。喝出。問僧。甚處來。曰。嶺外來。師曰。還逢達磨也無。曰。青天白日。師曰。自己作麼生。曰。更作麼生。師便打。師送僧出。行三五步。召曰。上座。僧回首。師曰。途中善為。問。拈槌竪拂。不當宗乘。未審和尚如何。師竪起拂子。僧乃抱頭出去。師不顧(法眼代雲。大眾看此一員戰將)。問。三乘十二分教。為凡夫開演。不為凡夫開演。師曰。不消一曲楊柳枝。師謂鏡清曰。古來有老宿。引官人巡堂曰。此一眾盡是學佛法僧。官人曰。金屑雖貴。又作麼生。老宿無對。清代曰。比來拋甎引玉(法眼別雲。官人何得貴耳賤目)。上堂。舉拂子曰。這箇為中下。僧問。上上人來時如何。師舉拂子。僧曰。這箇為中下。師便打。問。國師三喚侍者意如何。師乃起入方丈。問僧。今夏在甚麼處。

沙は斫牌の勢を作す。師は言った、「お前親く霊山に在りて方にさようにを得たり」。沙は言った、「も是れ自家の事」。ある日座に升り、衆集まり定まる。師木毬を滚し出す。玄沙遂に捉え来りて旧処に安ず。師ある日僧堂内に火を燒き、前後の門を閉却し、乃ち叫んで言った、「火を救え、火を救え」。玄沙一片の柴を将て窗櫺の中より抛ち入る。師便ち門を開いた。問うた、「古澗寒泉の時は如何」。師は言った、「目を瞪らすも底を見ず」。言った、「飲む者は如何」。師は言った、「口より入るに従わず」。僧趙州に挙げ似たり。州は言った、「口より入るに従わず、鼻孔裏より入ること不可なり」。僧却って問うた、「古澗寒泉の時は如何」。州は言った、「苦」。言った、「飲む者は如何」。州は言った、「死」。師聞き得て、乃ち言った、「趙州は古佛なり」。遥かに望みて礼を作す。此より話に答えず。師閩王に因りて柑橘各一顆を封じ、使を遣し送り至らしめ、柬して問うた、「既に是れ一般の顔色、何の故ぞ名字同じからざる」。師遂に旧に依りて封じ回す。王復た馳せて玄沙に問う。沙一張の紙を将て蓋却す。僧に問うた、「近く甚の処を離れし」。言った、「覆船」。師は言った、「生死の海未だ渡らず、何の故ぞ船を覆却する」。僧語無し。乃ち回りて覆船に挙げ似たり。船は言った、「何ぞ渠の生死無きを道わざる」。僧再び至り、此の語を進む。師は言った、「此是れお前の語に非ず」。言った、「是れ覆船がさように道いし」。師は言った、「我二十棒有りて覆船に寄与し、二十棒は老僧自ら喫す。阇梨の事に干らず」。問うた、「大事は作麼生」。師僧の手を執りて言った、「上座此の問いを将て誰に問う」。僧ありて礼拜す。師五棒を打つ。僧は言った、「過は何の処に在るか」。師又五棒を打ち、喝し出した。僧に問うた、「甚の処より来る」。言った、「嶺外より来る」。師は言った、「なお達磨に逢うや無しや」。言った、「青天白日」。師は言った、「自己作麼生」。言った、「更に作麼生」。師便ち打った。師僧を送り出で、三五歩を行き、召して言った、「上座」。僧首を回す。師は言った、「途中善く為れ」。問うた、「槌を拈じ拂を豎るも、宗乗に当らず。未だ審らかならず和尚如何」。師拂子を豎起す。僧乃ち頭を抱きて出でて去る。師顧みず。(法眼代えて曰く、「大衆此の一員の戦将を看よ」。)問うた、「三乗十二分教、凡夫の為に開演するか、凡夫の為に開演せざるか」。師は言った、「一曲の楊柳枝を消せず」。師鏡清に謂いて言った、「古来に老宿有り、官人を引きて堂を巡りて曰く、此の一衆は尽く是れ佛法僧を学ぶと。官人曰く、金屑は貴しといえども、又作麼生と。老宿対せず」。清代えて曰く、「比来、磚を抛ちて玉を引く」。(法眼別に曰く、「官人何ぞ耳を貴び目を賤しむを得んや」。)上堂し、拂子を挙げて言った、「此の箇は中下を為る」。僧問うた、「上上の人来る時は如何」。師拂子を挙ぐ。僧は言った、「此の箇は中下を為る」。師便ち打った。問うた、「国師が侍者を三喚する意は如何」。師乃ち起きて方丈に入る。僧に問うた、「今夏は何の処に在るか」。

曰。湧泉。師曰。長時湧。暫時湧。曰。和尚問不著。師曰。我問不著。僧曰。是。師乃打。普請次。路逢一獼猴。師曰。人人有一面古鏡。這箇獼猴亦有一面古鏡。三聖曰。曠劫無名。何以彰為古鏡。師曰。瑕生也。聖曰。這老漢著甚麼死急。話頭也不識。師曰。老僧住持事繁。閩帥施銀交床。僧問。和尚受大王如此供養。將何報答。師以手拓地曰。輕打我。輕打我(僧問踈山雲。雪峰道輕打我。意作麼生。山雲。頭上插瓜虀。埀尾腳跟齊)。問。吞盡毗盧時如何。師曰。福唐歸來還平善否。上堂。我若東道西道。汝則尋言逐句。我若羚羊掛角。汝向甚麼處捫摸(僧問保福。祇如雪峰有甚麼言教。便似羚羊掛角時。福雲。我不可作雪峰弟子不得)。師之法席。常不減千五百眾。梁開平戊辰三月示疾。閩帥命醫。師曰。吾非疾也。竟不服藥。遺偈付法。五月二日。朝遊藍田。暮歸澡身。中夜入滅。

言った、「涌泉」。師は言った、「長時に涌くか、暫時に涌くか」。言った、「和尚の問いは着かず」。師は言った、「我が問いは着かず」。僧は言った、「是れ」。師乃ち打った。普請の次、路に一獼猴に逢う。師は言った、「人人に一面の古鏡有り、此の獼猴も亦一面の古鏡有り」。三聖は言った、「曠劫名無し、何を以てか彰して古鏡と為す」。師は言った、「瑕生ぜり」。聖は言った、「此の老漢は何の死急を着けるぞ。話頭をも識らず」。師は言った、「老僧住持の事繁し」。閩帥銀の交床を施す。僧問うた、「和尚大王の如此の供養を受くるに、何を将てか報答せん」。師手を以て地を拓きて言った、「軽く我を打て、軽く我を打て」。(僧疏山に問うた、「雪峯の道う軽く我を打て、意は作麼生」。山は言った、「頭上に瓜齏を插し、尾を垂れて脚に齊し」と。)問うた、「毘盧を呑み尽くす時は如何」。師は言った、「福唐より帰り来りてなお平善か否」。上堂して曰く、「我若し東道い西道わば、汝則ち言を尋ね句を逐わん。我若し羚羊角に挂くれば、汝は何の処に向いて捫摸せん」。(僧保福に問うた、「只だ雪峯に何の言教か有りて、便ち羚羊角に挂くるに似たる時」。福は言った、「我雪峯の弟子と作らざるを得ざる不可なり」。)師の法席、常に千五百衆を減ぜず。梁開平戊辰の三月疾を示す。閩帥医を命ず。師は言った、「吾は疾に非ず」。竟に薬を服せず。偈を遺して法を付す。五月二日、朝に藍田を遊び、暮に帰りて身を澡め、中夜に入滅した。

洪州感潭資國禪師

洪州感潭資国禅師

白兆問。家內停喪。請師慰問。師曰。苦痛蒼天。曰。死卻爺。死卻孃。師打了趂出。師凡接機皆如此。

白兆問うた、「家内喪を停む、師に請う慰問せんことを」。師は言った、「苦痛の蒼天」。言った、「爺を死却し、娘を死却す」。師打ちて趁い出した。師凡そ機に接するは皆な此の如し。

天台瑞龍慧恭禪師

天台瑞龍慧恭禅師

福州羅氏子。謁德山。山問。會麼。曰。作麼。山曰。請相見。曰。識麼。山大笑。遂許入室。洎山順世。乃開法焉。

福州羅氏の子。徳山に謁す。山問うた、「会するか」。言った、「作麼」。山は言った、「請う相見せん」。言った、「識るか」。山大笑し、遂に入室を許した。山の順世するに及び、乃ち法を開きて焉り。

泉州瓦棺和尚

泉州瓦棺和尚

在德山為侍者。一日。同入山斫木。山將一椀水與師。師接得便吃卻。山曰。會麼。師曰。不會。山又將一椀水與師。師又接吃卻。山曰。會麼。師曰。不會。山曰。何不成褫取不會底。師曰。不會又成褫箇甚麼。山曰。子大似箇鐵橛。住後。雪峰訪師。茶話次。峰問。當時在。德山。斫木因緣作麼生。師曰。先師當時肯我。峰曰。和尚離師太早。時面前偶有一椀水。峰曰。將水來。師便度與。峰接得便潑卻(雲門雲。莫壓良為賤)。

徳山に在りて侍者を為す。ある日、同じく山に入りて木を斫る。山一碗の水を将て師に与う。師接し得て便ち喫い却す。山は言った、「会するか」。師は言った、「会せず」。山又一碗の水を将て師に与う。師又接し喫い却す。山は言った、「会するか」。師は言った、「会せず」。山は言った、「何ぞ成褫して会せざる底を取らざる」。師は言った、「会せざれば又何をか成褫する」。山は言った、「子大いに箇の鐵橛に似たり」。住して後。雪峯師を訪い、茶話の次。峯問うた、「当時徳山に在りて木を斫りし因縁は作麼生」。師は言った、「先師当時我を肯せり」。峯は言った、「和尚師を離るること太早し」。時に面前に偶々一碗の水有り。峯は言った、「水を将て来れ」。師便ち度し与う。峯接し得て便ち潑却す。(雲門曰く、「良を圧して賤と為すこと莫れ」。)

襄州高亭簡禪師

襄州高亭簡禅師

參德山。隔江才見。便雲。不審。山乃搖扇招之。師忽開悟。乃橫趨而去。更不回顧。

徳山に参す。江を隔てて纔かに見れば、便ち言った、「不審」。山乃ち扇を搖りて之を招く。師忽ち開悟し、乃ち横趨して去り、更に回顧せず。

青原下六世

青原下第六世

巖頭奯禪師法嗣

巖頭豁禅師の法嗣

台州瑞巖師彥禪師

台州瑞巖師彦禅師

閩之許氏子。自幼披緇。秉戒無缺。初禮巖頭。問曰。如何是本常理。頭曰。動也。曰。動時如何。頭曰。不是本常理。師良久。頭曰。肯即未脫根塵。不肯即永沈生死。師遂領悟。便禮拜。頭每與語。徵醻無忒。後謁夾山。山問。甚處來。曰。臥龍來。山曰。來時龍還起也未。師乃顧視之。山曰。炙瘡瘢上更著艾燋。曰。和尚又苦如此作甚麼。山休去。師乃問山。與麼即易。不與麼即難。與麼與麼即惺惺。不與麼不與麼即居空界。與麼不與麼。請師速道。山曰。老僧謾闍黎去也。師喝曰。這老和尚。而今是甚時節。便出去(後有僧舉似巖頭。頭雲。苦哉。將我一枝佛法。與麼流將去)。師尋居丹丘瑞巖。坐磐石。終日如愚。每自喚主人公。復應諾。乃曰。惺惺著。他後莫受人謾。(後有僧參玄沙。沙問。近離甚處。雲。瑞巖。沙雲。有何言句示徒。僧舉前話。沙雲。一等是弄精魂。也甚奇怪。乃雲。何不且在彼住。雲。已遷化也。沙雲。而今還喚得應麼。僧無對)。師統眾嚴整。江表稱之。僧問。頭上寶蓋現。足下雲生時如何。師曰。披枷帶鎻漢。曰。頭上無寶葢。足下無雲生時如何。師曰。猶有杻在。曰。畢竟如何。師曰。齋後困。鏡清問。天不能覆。地不能載。豈不是。師曰。若是即被覆載。清曰。若不是瑞巖幾遭也。師自稱曰。師彥。僧問。如何是佛。師曰。石牛。曰。如何是法。師曰。石牛兒。曰。恁麼即不同也。師曰。合不得。曰。為甚麼合不得。師曰。無同可同。合甚麼。問。作麼生商量。即得不落階級。師曰。排不出。曰。為甚麼排不出。師曰。他從前無階級。曰。未審居何位次。師曰。不坐普光殿。曰。還理化也無。師曰。名聞三界重。何處不歸朝。一日有村媼作禮。師曰。汝速歸。救取數千物命。媼回舍。見兒婦拾田螺歸。媼遂放之水濵。師之異跡頗多。茲不繁錄。逝後塔於本山。

閩中許氏の子。幼より緇を披き、戒を秉りて缺なく。初め巖頭に礼し、問うた、「如何なるか是れ本常の理」。頭は言った、「動くなり」。言った、「動く時は如何」。頭は言った、「是れ本常の理に非ず」。師良久。頭は言った、「肯すれば即ち未だ根塵を脱せず、肯せざれば即ち永く生死に沈まん」。師遂に領悟し、便ち礼拜した。頭毎に之と語らうに、征酬忒なく。後に夾山に謁す。山問うた、「甚の処より来る」。言った、「臥龍より来る」。山は言った、「来る時龍なお起きたりか未だや」。師乃ち之を顧視す。山は言った、「瘡瘢を炙る上に更に艾燋を着く」。言った、「和尚又苦しみて此の如く作して何をか作す」。山休み去った。師乃ち山に問うた、「さようするは即ち易く、さようにせざるは即ち難し。さようさようするは即ち惺惺し、さようにさようにせざるは即ち空界に居る。さようさようにせざるは、師に請う速かに道わんことを」。山は言った、「老僧闍梨を謾り去らん」。師喝して言った、「此の老和尚、而今是れ甚の時節ぞ」。便ち出でて去った。(後に僧ありて巖頭に挙げ似たり。頭は言った、「苦しいかな。我が一枝の佛法を将て、さように流し去らん」と。)師尋いで丹丘瑞巖に居り、磐石に坐して、終日愚の如し。毎に自ら主人公を喚び、復た諾に応じ、乃ち言った、「惺惺せよ、他後人の謾るを受くること莫れ」。(後に僧ありて玄沙に参す。沙問うた、「近く甚の処を離れし」。言った、「瑞巖」。沙は言った、「何の言句か有りて徒に示す」。僧前話を挙ぐ。沙は言った、「一等是れ精魂を弄ず、も甚だ奇怪なり」。乃ち言った、「何ぞ且らく彼に住せざる」。言った、「已に遷化せり」。沙は言った、「而今なお喚びて応ぜしむるを得るか」。僧対せず。)師衆を統ぶること厳整、江表之を称す。僧問うた、「頭上に宝蓋現われ、足下に雲生ずる時は如何」。師は言った、「枷を披き鎖を帯ぶる漢」。言った、「頭上に宝蓋無く、足下に雲生ぜざる時は如何」。師は言った、「猶ほ杻有り」。言った、「畢竟如何」。師は言った、「斎後困む」。鏡清問うた、「天は覆う能わず、地は載する能わず、豈に是れに非ずや」。師は言った、「若し是れならば即ち覆載せられん」。清は言った、「若し是れ瑞巖に非ざれば、幾ども遭うなり」。師自ら称して言った、「師彦」。僧問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「石牛」。言った、「如何なるか是れ法」。師は言った、「石牛児」。言った、「さよう則ち同じからざるなり」。師は言った、「合するを得ず」。言った、「何の故ぞ合するを得ざる」。師は言った、「同じく可き同じく無し、何をか合する」。問うた、「作麼生か商量して、即ち階級に落ちざるを得ん」。師は言った、「排出せず」。言った、「何の故ぞ排出せざる」。師は言った、「彼は従前階級無し」。言った、「未だ審らかならず何の位次にか居る」。師は言った、「普光殿に坐せず」。言った、「なお理化するや無しや」。師は言った、「名は三界に重んじ聞ゆ、何の処か朝に帰せざる」。ある日村媪ありて礼を作す。師は言った、「お前速やかに帰り、数千の物命を救い取れ」。媪舍に回り、児婦の田螺を拾い帰るを見、媼遂に之を水濱に放った。師の異蹟頗る多し、茲に繁く録せず。逝して後本山に塔す。

諡空照禪師。

空照禅師と諡す。

懷州玄泉彥禪師

懐州玄泉彦禅師

僧問。如何是道中人。師曰。日落投孤店。問。如何是佛。師曰。張家三箇兒。曰。學人不會。師曰。孟.仲.季也不會。問。如何是聲前一句。師曰。吽。曰。轉後如何。師曰。是甚麼。

僧問うた、「如何なるか是れ道中の人」。師は言った、「日落ちて孤店に投ず」。問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「張家の三箇の児」。言った、「学人会せず」。師は言った、「孟・仲・季も亦会せず」。問うた、「如何なるか是れ声前の一句」。師は言った、「吽」。言った、「転じて後は如何」。師は言った、「是れ何ぞ」。

福州羅山道閑禪師

福州羅山道閑禅師

長溪陳氏子。出家於龜山。年滿受具。徧歷諸方。甞謁石霜。問。去住不寧時如何。霜曰。直須盡卻。師不契。乃參巖頭。亦如前問。頭曰。從他去住。管他作麼。師於是服膺。閩帥飲其法味。請居羅山。號法寶禪師。開堂陞座。方斂衣便曰。珍重。時眾不散。良久師又曰。未識底近前來。僧出禮拜。師抗聲曰。也大苦哉。僧擬伸問。師乃喝出。問。如何是奇特一句。師曰。道甚麼。問。當鋒事如何辨明。師舉如意。僧曰。乞和尚垂慈。師曰。大遠也。問。急急相投。請師一接。師曰。會麼。曰。不會。師曰。箭過也。問。九女不𭬥。誰是哀提者。師曰。高聲問。僧擬再問。師曰。甚麼處去也。僧來參。師問。名甚麼。曰。明教。師曰。還會教也未。曰。隨分。師竪起拳曰。靈山會上。喚這箇作甚麼。曰。拳教。師笑曰。若恁麼。喚作拳教。復展兩足曰。這箇是甚麼教。僧無語。師曰。莫喚作腳教麼。師在禾山。送同行矩長老出門次。把拄杖向面前一攛。矩無對。師曰。石牛攔古路。一馬生雙駒(後僧舉似疎山。山雲。石牛攔古路。一馬生三寅)。僧辭保福。福問。甚處去。曰。禮拜羅山。福曰。汝向羅山道。保福秋間上府朝覲大王。置四十箇問頭問和尚。忽若一句不相當。莫言不道。僧舉似師。師呵呵大笑曰。陳老師自入福建道洪塘橋下一寨。未曾見有箇毛頭星現。汝與我向從展道。陳老師無許多問頭。秖有一口劒。一劒下須有分身之意。亦有出身之路。若不明便須成末。僧回舉似福。福曰。我當時也秖是謔伊。至秋朝覲。師特為辦茶筵請福。福不赴。卻向僧曰。我中間曾有謔語。恐和尚問著。僧歸舉似。師曰。汝向他道。猛虎終不食伏肉。僧又去。福遂來。無軫上座問。祇如巖頭道。洞山好佛。祇是無光。未審洞山有何虧闕。便道無光。師召軫。軫應諾。師曰。灼然好箇佛。祇是無光。曰。

長谿陳氏の子。龜山に於て出家す。年满ちて具を受け、諸方を遍歴す。嘗て石霜に謁し、問うた、「去住寧ならざる時は如何」。霜は言った、「直に尽却することを須とす」。師契わず。ここに巖頭に参じ、亦前の如く問う。頭は言った、「彼の去住に従え、彼を管して何をか作す」。師ここに服膺した。閩帥其の法味を飲み、羅山に居らしむるを請い、法宝禅師と号す。堂を開き座に升り、方に衣を斂むれば便ち言った、「珍重」。時に衆散らず。良久師又言った、「識らざる底は近づき前来れ」。僧出でて礼拜す。師声を抗げて言った、「も大いに苦しきかな」。僧擬して問いを伸ばんとすれば、師乃ち喝し出した。問うた、「如何なるか是れ奇特の一句」。師は言った、「何をか道う」。問うた、「当鋒の事は如何にか辨明せん」。師如意を挙ぐ。僧は言った、「和尚に乞う慈を垂れんことを」。師は言った、「大いに遠きなり」。問うた、「急急に相投ず、師に請う一接せんことを」。師は言った、「会するか」。言った、「会せず」。師は言った、「箭過ぎぬ」。問うた、「九女嫁がず、誰か是れ哀提の者」。(底本「嫁」は生僻な女旁の字を作す、「嫁」に按じて訳す。)師は言った、「声を高くして問え」。僧擬して再び問わんとすれば、師は言った、「何の処にか去りぬ」。僧来りて参す。師問うた、「名は何と謂う」。言った、「明教」。師は言った、「なお教を会するや未だや」。言った、「随分」。師拳を豎起して言った、「霊山会上、此の箇を喚びて何と作す」。言った、「拳教」。師笑みて言った、「若しさようにあらば、拳教と喚び作さん」。復た両足を展べて言った、「此の箇は是れ何の教ぞ」。僧語無し。師は言った、「脚教と喚ぶことを莫れや」。師禾山に在りて、同行矩長老を送りて門を出づる次、拄杖を把りて面前に一撺す。矩対せず。師は言った、「石牛古路を拦え、一馬双駒を生む」。(後に僧疏山に挙げ似たり。山は言った、「石牛古路を拦え、一馬三寅を生む」。)僧保福を辞す。福問うた、「甚の処にか去る」。言った、「羅山を礼拜せん」。福は言った、「お前羅山に向いて道え、保福秋間府に上りて大王を朝覲し、四十箇の問頭を置きて和尚に問わん。忽ち若し一句相当せざれば、道わずと言うこと莫れと」。僧師に挙げ似たり。師呵呵と大笑して言った、「陳老師自ら福建の道洪塘橋の下の一寨に入りてより、未曾だ箇の毛頭星の現ずるを見ず。お前我と従展に向いて道え、陳老師は許多の問頭無く、只だ一口の劍有りのみ。一劍の下に分身の意有ることを須とし、亦出身の路有り。若し明らめざれば、便ち末と成ることを須とすと」。僧回りて福に挙げ似たり。福は言った、「我当時も只だ是れ伊を謔りしのみ」。秋の朝覲に至り、師特に為に茶筵を辦えて福を請う。福赴かず、却って僧に向いて言った、「我中間に嘗て謔語有り、和尚の問い着くを恐る」。僧帰りて挙げ似たり。師は言った、「お前彼に向いて道え、猛虎は終に伏肉を食わずと」。僧又去る。福遂に来る。無軫上座問うた、「只だ巖頭の道う、洞山佛を好む、只だ光無きのみ。未だ審らかならず洞山に何の亏闕か有りて、便ち光無しと道うや」。師軫を召す。軫諾に応ず。師は言った、「灼然として好箇の佛、只だ光無きのみ」。言った、

大師為甚麼撥無軫話。師曰。甚麼處是陳老師撥你話處。快道。快道。軫無語。師打三十棒趂出。軫舉似招慶。慶一夏罵詈。至夏末自來問。師乃分明舉似。慶便作禮懺悔曰。洎錯怪大師。僧舉寒山詩。問。白鶴銜苦桃時如何。師曰。貞女室中吟。曰。千里作一息時如何。師曰。送客郵亭外。曰。欲往蓬萊山時如何。師曰。欹枕覰獼猴。曰。將此充糧食時如何。師曰。古劒髑髏前。問。如何是百草頭上盡是祖師意。師曰。刺破汝眼。問。如何是道。師曰。倚著壁。問。前是萬丈洪崖。後是虎狼師子。正當恁麼時如何。師曰。自在。問。三界誰為主。師曰。還解吃飯麼。臨遷化。上堂集眾。良久展左手。主事罔測。乃令東邊師僧退後。又展右手。又令西邊師僧退後。廼曰。欲報佛恩。無過流通大教。歸去也。歸去也。珍重。言訖。莞爾而寂。

(無軫引き続き言う:)「大師は何の故ぞ無軫の話を撥する」。師は言った、「何の処か是れ陳老師がお前の話を撥する処。快く道え、快く道え」。軫語無し。師三十棒を打ちて趁い出した。軫招慶に挙げ似たり。慶一夏罵詈す。夏末に至り自ら来りて問う。師乃ち分明に挙げ似たり。慶便ち礼を作して懺悔して言った、「洎りて錯りて大師を怪めり」。僧寒山の詩を挙げ、問うた、「白鶴苦桃を銜える時は如何」。師は言った、「貞女室中に吟ず」。言った、「千里一息を作す時は如何」。師は言った、「客を郵亭の外に送る」。言った、「蓬莱山に往かんと欲する時は如何」。師は言った、「枕に欹りて獼猴を覷る」。言った、「此を将て粮食に充てんと欲する時は如何」。師は言った、「古劍髑髏の前」。問うた、「如何なるか是れ百草頭上に尽く是れ祖師の意」。師は言った、「お前の眼を刺破せん」。問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「壁に倚り着け」。問うた、「前は是れ万丈の洪崖、後は是れ虎狼師子。正にさようなる時は如何」。師は言った、「自在」。問うた、「三界は誰をか主と為す」。師は言った、「なお飯を喫することを解するか」。遷化に臨み、堂に上り衆を集む。良久左手を展ぶ。主事測る罔し、乃ち東辺の師僧に退後せしむ。又右手を展べ、又西辺の師僧に退後せしむ。乃ち言った、「佛恩に報いんと欲せば、大教を流通するに過ぎること無し。帰り去らん、帰り去らん。珍重」。言い訖りて、莞爾として寂した。

福州香谿從範禪師

福州香谿從範禅師

新到參。師曰。汝豈不是鼓山僧。僧曰。是。師曰。額上珠為何不見。僧無對。僧辭。師門送。復召。上座。僧回首。師曰。滿肚是禪。曰。和尚是甚麼心行。師大笑而已。師披衲衣次。說偈曰。迦葉上行衣。披來須捷機。才分招的箭。密露不藏龜。

新到来りて参す。師は言った、「お前は豈に鼓山の僧に非ずや」。僧は言った、「是れ」。師は言った、「額上の珠は何の為にか見えざる」。僧対せず。僧辞す。師門に送り、復た召す、「上座」。僧首を回す。師は言った、「満肚是れ禅」。言った、「和尚是れ何の心行ぞ」。師大笑するのみ。師衲衣を披く次、偈を説きて言った、「迦葉の上行衣、披き来りて捷機を須とす。才だ招的の箭を分け、密露して龜を蔵れず」。

福州聖壽嚴禪師

福州聖寿厳禅師

補衲次。僧參。師提起示之曰。山僧一衲衣。展似眾人見。雲水兩條分。莫教露針線。速道。速道。僧無對。師曰。如許多時作甚麼來。

衲を補う次、僧参す。師提起して之に示して言った、「山僧の一衲衣、展べて衆人の見に似たり。雲水両条に分かれ、針線を露さしむること莫れ。速かに道え、速かに道え」。僧対せず。師は言った、「許多の時を如して何をか作し来る」。

吉州靈巖慧宗禪師

吉州靈巖慧宗禅師

福州陳氏子。受業於龜山。僧問。如何是靈巖境。師曰。松檜森森密密遮。曰。如何是境中人。師曰。夜夜有猿啼。問。如何是學人自己本分事。師曰。拋卻真金。拾瓦礫作麼。

福州陳氏の子。龜山に於て業を受く。僧問うた、「如何なるか是れ靈巖の境」。師は言った、「松檜森森として密密に遮る」。言った、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「夜夜猿啼くる有り」。問うた、「如何なるか是れ学人自己の本分の事」。師は言った、「真金を抛却し、瓦礫を拾いて何をか作す」。

雪峰存禪師法嗣

雪峯存禅師の法嗣

福州玄沙師備宗一禪師

福州玄沙師備宗一禅師

閩之謝氏子。幼好垂釣。汎小艇於南臺江。狎諸漁者。唐咸通初年。甫三十。忽慕出塵。乃棄舟投芙蓉訓禪師落髮。往豫章開元寺受具。布衲芒屨。食才接氣。常終日宴坐。眾皆異之。與雪峰本法門昆仲。而親近若師資。峰以其苦行。呼為頭陀。一日峰問。阿那箇是備頭陀。師曰。終不敢誑於人。異日。峰召曰。備頭陀何不徧參去。師曰。達磨不來東土。二祖不往西天。峰然之。暨登象骨山。乃與師同力締搆。玄徒臻萃。師入室諮決。罔替晨昏。又閱楞嚴。發明心地。由是應機敏捷。與修多羅冥契。諸方玄學有所未決。必從之請益。至與雪峰徵詰。亦當仁不讓。峰曰。備頭陀再來人也。雪峰上堂。要會此事。猶如古鏡當臺。胡來胡現。漢來漢現。師出眾曰。忽遇明鏡來時如何。峰曰。胡漢俱隱。師曰。老和尚腳跟猶未點地在。住後。上堂。佛道閑曠。無有程途。無門解脫之門。無意道人之意。不在三際。故不可昇沈。建立乖真。非屬造化。動則起生死之本。靜則醉昏沉之鄉。動靜雙泯。即落空亡。動靜雙收。瞞頇佛性。必須對塵對境。如枯木寒灰。臨時應用。不失其宜。鏡照諸像。不亂光輝。鳥飛空中。不雜空色。所以十方無影像。三界絕行蹤。不墮往來機。不住中間意。鐘中無鼓響。鼓中無鐘聲。鐘鼓不相交。句句無前後。如壯士展臂。不藉他力。師子遊行。豈求伴侶。九霄絕翳。何在穿通。一段光明。未曾昏昧。若到這裡。體寂寂。常的的。日赫燄。無邊表。圓覺空中不動搖。吞爍乾坤迥然照。夫佛出世者。元無出入。名相無體。道本如如。法爾天真。不同修證。祇要虗閑不昧作用。不涉塵泥。箇中纖毫道不盡。即為魔王眷屬。句前句後。是學人難處。所以一句當天。八萬門永絕生死。直饒得似秋潭月影。靜夜鐘聲。隨扣擊以無虧。觸波瀾而不散。猶是生死岸頭事。道人行處。如火銷冰。

閩中の謝家の子。幼い頃から釣りを好み、南台江に小舟を浮かべて漁者と親しんだ。唐の咸通初年、ちょうど三十歳の時、忽然と出塵を慕い、舟を棄てて芙蓉の訓禅師に投じて髪を落とし、豫章開元寺に往きて具足戒を受けた。布衲に芒鞋、食は息を繋ぐほどで、常に終日宴坐し、衆は皆これを異とした。雪峯とはもとより法門の昆仲であったが、師資のごとく親近した。峰はその苦行をもって頭陀と呼んだ。ある日峰が問うた、「阿哪个が是れ備頭陀か」。師は言った、「終に人を誑かすことは敢てせず」。異日、峰が召して言った、「備頭陀、何ぞ遍参してゆかぬ」。師は言った、「達磨は東土に来ず、二祖は西天に往かず」。峰はこれを然とした。象骨山に登るに及び、師と力を同じくして締め構え、玄徒が臻り萃まった。師は入室して咨決し、晨昏を替えず、また楞厳を閲して心地を発明した。これより応機敏捷にして、修多羅と冥契した。諸方の玄学に未決あるものは、必ずこれに従って請益した。雪峯と征詰するに及んでも、亦当仁に譲らず。峰は言った、「備頭陀は再来人なり」。雪峯が堂に上がって言った、「要するに此事を会せんとせば、猶お古鏡の台に当たるがごとし。胡来れば胡現れ、漢来れば漢現る」。師は衆を出でて言った、「忽ち明鏡来る時に遇わば如何」。峰は言った、「胡漢俱に隠る」。師は言った、「老和尚の脚跟は猶お点地せざる在り」。住して後、上堂して言った、「仏道は閑旷にして、程途あることなし。門無き解脱の門、意無き道人の意。三際に在らず、故に升沈すべからず。建立は真に乖き、造化に属せず。動けば即ち生死の本を起し、静まれば即ち昏沈の郷に酔う。動静双泯せば、即ち空亡に落つ。動静双収せば、佛性を颟顸す。須らく塵に対し境に対し、枯木寒灰のごとくあるべし。臨時の応用、その宜しきを失わず。鏡は諸像を照らして光輝乱れず、鳥は空中に飛びて空色を雑えず。所以に十方に影像無く、三界に行踪絶ゆ。往来の機に堕ちず、中間の意に住せず。鐘中に鼓響無く、鼓中に鐘声無し。鐘鼓相交わらず、句句に前後無し。壮士の臂を展ぶるがごとく、他力を藉さず。師子の游行、豈に伴侣を求めんや。九霄に翳絶え、何ぞ穿通に在らん。一段の光明、未曾だ昏昧せず。若し此処に到らば、体は寂寂として、常的的に、日赫焰として、辺表無し。円覚の空中に動揺せず、乾坤を吞爍して迥然と照らす。夫れ仏の出世する者、元より出入無し。名相に体無く、道は本より如如なり。法爾天真、修証に同じからず。ただ虚閑にして作用を昧まず、塵泥に渉らざるを要とす。箇中の織毫も道い尽くさずんば、即ち魔王の眷属と為る。句前句後は、是れ学人の難処なり。所以に一句天に当たれば、八万の門永く生死を絶つ。直饶に秋潭の月影、静夜の鐘声に似たりと得するも、扣撃に随いて以て亏無く、波瀾に触れて散ぜざるも、猶お是れ生死の岸頭の事。道人の行く処、火の冰を銷くがごとく、

終不卻成冰。箭既離弦。無返回勢。所以牢籠不肯住。呼喚不回頭。古聖不安排。至今無處所。若到這裡。步步登玄。不屬邪正。識不能識。智不能知。動便失宗。覺即迷旨。二乘膽顫。十地魂驚。語路處絕。心行處滅。直得釋迦掩室於摩竭。淨名杜口於毗耶。須菩提唱無說而顯道。釋梵絕聽而雨花。若與麼見前。更疑何事沒棲泊處。離去來今。限約不得。心思路絕。不因莊嚴。本來真淨。動用語笑。隨處明瞭。更無欠少。今時人不悟箇中道理。妄自涉事涉塵。處處染著。頭頭繫絆。縱悟。則塵境紛紜。名相不實。便擬凝心斂念。攝事歸空。閉目藏睛。終有念起。旋旋破除。細想才生。即便遏捺。如此見解。即是落空亡底外道。魂不散底死人。冥冥漠漠。無覺無知。塞耳偷鈴。徒自欺誑。這裡分別則不然。也不是隈門傍戶。句句現前。不得商量。不涉文墨。本絕塵境。本無位次。權名箇出家兒。畢竟無蹤。跡真如凡聖。地獄人天。祇是療狂子之方。虗空尚無改變。大道豈有昇沉。悟則縱橫不離本際。若到這裡。凡聖也無立處。若向句中作意。則沒溺殺人。若向外馳求。又落魔界。如如向上。沒可安排。恰似焰爐不藏蚊蚋。此理本來平坦。何用剗除。動靜揚眉。是真解脫道。不彊為意度。建立乖真。若到這裡。纖毫不受。指意則差。便是千聖出頭來。也安一字不得。久立。珍重。上堂。我今問汝諸人。且承當得箇甚麼事。在何世界安身立命。還辨得麼。若辨不得。恰似揑目生花。見事便差。知麼。如今目前。見有山河大地.色空明暗種種諸物。皆是狂勞花相。喚作顛倒知見。夫出家人。識心達本源。故號為沙門。汝今既已剃髮披衣。為沙門相。即便有自利利他分。如今看著。盡黑漫漫地墨汁相似。自救尚不得。爭解為得人。仁者。佛法因緣事大。莫作等閑相似。聚頭亂說。雜話趂謴。過時。光陰難得。

(師が引き続き言う:)終に却て冰と成らず。箭は既に弦を離れ、返回の勢い無し。所以に牢籠は住することを肯ぜず、呼喚は回頭せず。古聖は安排せず、今に至りて処所無し。若し此処に到らば、歩歩玄に登り、邪正に属せず。識は識すること能わず、智は知ること能わず。動けば便ち宗を失い、覚れば即ち旨を迷う。二乗は胆顫し、十地は魂驚す。語路の処絶え、心行の処滅す。直に釈迦をして摩竭に室を掩わしめ、浄名をして毘耶に口を杜がしめ得ん。須菩提は説無きを唱えて道を顕し、釈梵は聴を絶ちて花を雨らす。若し是くのごとく前を見れば、更に何事を疑わん。栖泊する処無く、去来今を離る。限約して得べからず、心思路絶ゆ。荘厳に因らず、本来真浄なり。動用語笑、処に随いて明了なり、更に欠少無し。今時の人は箇中の道理を悟らず、妄りに自ら事に渉り塵に渉り、処処に染着し、頭頭に繋绊す。縦い悟るも、則ち塵境紛紜、名相実ならずとて、便ち心を凝らし念を斂め、事を摂して空に帰し、目を閉じ晴を蔵さんと擬す。終に念起ること有り、旋旋に破除す。細想纔かに生ぜば、即便に遏捺す。是くのごとき見解は、即ち是れ空亡に落つる底の外道、魂散ぜざる底の死人なり。冥冥漠漠として、覚無く知無し。耳を塞ぎて鈴を偷む、徒らに自欺誑す。此処にて分別するは然らず。隈門傍戸にても非ず。句句現前にして、商量を得ず、文墨に渉らず。本より塵境を絶し、本より位次無し。権りに箇の出家児と名づくも、畢竟蹤跡無し。真如に凡聖無く、地獄人天も、ただ是れ狂子を療ずるの方のみ。虚空尚お改変無し、大道豈に升沈あらんや。悟れば縦横に本際を離れず。若し此処に到らば、凡聖も立つ処無し。若し句中に向かい意を作さば、則ち没溺して人を殺す。若し外に向かい馳求すれば、又魔界に落つ。如如として向上せば、安排すべき無し。恰似のごとく焔炉は蚊蚋を蔵せず。此の理本来平坦なり、何ぞ剗除を用いん。動静に眉を揚ぐるは、是れ真の解脱道なり。強いて意度を為さず。建立は真に乖く。若し此処に到らば、織毫も受けず。意を指せば則ち差わる。便ち是れ千聖出頭し来るも、一字をも安くること得ず。久しく立つ。珍重」と。上堂して言った、「我今汝諸人に問う、且く承当し得るは箇の甚麼の事か。何の世界に在りて安身立命するか。還た辨じ得るか。若し辨じ得ざれば、恰似のごとく目を捏んで花を生じ、事を見れば便ち差わる。知るか。如今目の前に、山河大地・色空明暗種種の諸物有るを見るも、皆是れ狂労の花相、顛倒の知見と喚ぶ。夫れ出家の人は、心を識り本源に達す、故に沙門と号す。汝今既に髪を剃り衣を披きて、沙門の相と為る、即便に自利利他の分有り。如今看るに、尽く黑漫漫地として墨汁相似なり。自ら救うも尚お得ず、争で解きて人の為に得ん。仁者、仏法の因縁の事大なり、莫くも等閑相似と作すな。頭を聚めて乱説し、雑話して諢を趁り時を過ごす。光陰は得難し。

可惜許大丈夫兒。何不自省察看是甚麼事。祇如從上宗乘。是諸佛頂族。汝既承當不得。所以我方便勸汝。但從迦葉門接續頓超去。此一門超凡聖因果。超毗盧妙莊嚴世界海。超他釋迦方便門。直下永劫。不教有一物與汝作眼見。何不自急急究取。未必道。我且待三生兩生。久積淨業。仁者。宗乘是甚麼事。不可由汝用工莊嚴便得去。不可他心宿命便得去。會麼。祇如釋迦出頭來作許多變弄。說十二分教。如瓶灌水。大作一場佛事。向此門中用一點不得。用一毛頭伎倆不得。知麼。如同夢事。亦如寐語。沙門不應出頭來。不同夢事。葢為識得。知麼。識得即是大出脫.大徹頭人。所以超凡越聖。出生離死。離因離果。超毗盧。越釋迦。不被凡聖因果所謾。一切處無人識得。汝知麼。莫祇長戀生死愛網。被善惡業拘將去。無自由分。饒汝鍊得身心同虗空去。饒汝到精明湛不搖處。不出識陰。古人喚作如急流水。流急不覺。妄為恬靜。恁麼修行。盡出他輪回際不得。依前被輪回去。所以道。諸行無常。直是三乘功果。如是可畏。若無道眼。亦不究竟。何似如今博地凡夫。不用一毫工夫。便頓超去.解省心力麼。還願樂麼。勸汝。我如今立地待汝搆去。更不教汝加功煉行。如今不恁麼。更待何時。還肯麼。便下座。上堂。汝諸人如在大海裡坐。沒頭浸卻了。更展手問人乞水吃。夫學般若菩薩。須具大根器。有大智慧始得。若有智慧。即今便出脫得去。若是根機遲鈍。直須勤苦耐志。日夜忘疲。無眠失食。如喪考妣相似。恁麼急切。盡一生去。更得人荷挾。尅骨究實。不妨易得搆去。且況如今。誰是堪任受學底人。仁者。莫祇是記言記語。恰似念陀羅尼相似。蹋步向前來。口裡哆哆和和地。被人把住詰問著沒去處。便嗔道和尚不為我答話。恁麼學事大苦。知麼。有一般坐繩床和尚。稱善知識。問著便搖身動手。

(師が引き続き言う:)惜しいかな許の大丈夫児、何ぞ自ら省察して是れ甚麼の事なるかを看ぜざる。只如のごとく従上の宗乗は、是れ諸仏の頂族なり。汝既に承当するを得ず、故に我方便に汝を勧め、但だ迦葉門に従い接続して頓超してゆけ。此の一門は凡聖の因果を超え、毘盧の妙荘厳世界海を超え、他の釈迦の方便門を超ゆ。直下に永劫、一物をも有って汝に為に眼見と作らしめず。何ぞ自ら急急に究め取らざる。未だ必ずしも道わず、我且く三生両生を待ち、久く浄業を積まんと。仁者、宗乗は是れ甚麼の事か。汝に由りて用工し荘厳すれば便ち去るを得べからず。他心宿命に由りて便ち去るを得べからず。会すか。只如のごとく釈迦の出頭して許多の変弄を作し、十二分教を説き、瓶の水を灌ぐがごとく、大いに一場の仏事を作すも、此の門中に向かい一点を用いることを得ず、一毛頭の伎俩を用いることを得ず。知るか。夢事に同じく、亦た寐語のごとし。沙門は出頭すべからず。夢事に同じからざるは、蓋し識得するが為なり。知るか。識得するは即ち是れ大出脱・大徹頭の人なり。所以に凡を超え聖を越え、生を出で死を離れ、因を離れ果を離れ、毘盧を超え釈迦を越え、凡聖の因果に謾されるを被らず。一切の処に人として汝を識る者無し。知るか。莫くも只だ長く生死の愛網を恋い、善悪の業に拘え将られて、自由の分無きこと。饒く汝、身心を錬りて虚空に同じとすと得するも、饒く汝、精明湛として揺がざる処に到るも、識陰を出でず。古人は之を如急流水と喚ぶ、流れ急なるも覚えず、妄りに恬静と為す。是くのごとく修行するも、尽く他の輪廻の際を出でることを得ず、前に依りて輪廻し去る。所以に道う、諸行は無常と。直に是れ三乗の功果も、是くのごとく可畏なり。若し道眼無ければ、亦た究竟せず。何ぞ似ん如今の博地の凡夫、一毫の工夫を用いずして、便ち頓超してゆかんに。心力を省くことを解するか。還た願楽するか。汝を勧む。我如今地に立ちて汝が搆え去るを待つ、更に汝をして功を加え行を錬らしめず。如今是くのごとくせずんば、更に何の時を待たん。還た肯んずるか」と。便ち座を下る。上堂して言った、「汝諸人は大海の裏に坐して在るがごとく、頭を没して浸却し了り、更に手を展べて人に問うて水を乞い喫す。夫れ般若を学ぶ菩薩は、須らく大根器を具え、大智慧有りて始めて得べし。若し智慧有らば、即今便ち出脱し得て去らん。若し是れ根機遅鈍ならば、直に須らく勤苦して志を耐え、日夜疲を忘れ、眠無く食を失い、考妣を喪したるに相似なり。是くのごとく急切にして、一生を尽くして去り、更に人の荷挟を得、骨を刻して実を究むれば、妨げず易く搆え去るを得ん。且く況んや如今、誰か是れ堪えて学を受くる底の人か。仁者、莫くも只だ是れ言を記え語を記えて、恰似のごとく陀羅尼を念ずるに相似なり。歩を踏みて前に向かい来り、口裏に哆哆和和地なり。人に把住し詰問せられて去る処無ければ、便ち嗔って道う、和尚は我が為に話に答えずと。是くのごとく学ぶ事大いに苦なり。知るか。一般の繩床に坐する和尚有り、善知識と称す。問うに着けば便ち身を搖り手を動かし、

點眼吐舌瞪視。更有一般說昭昭靈靈。靈臺智性。能見能聞。向五蘊身田裡作主宰。恁麼為善知識.大賺人。知麼。我今問汝。汝若認昭昭靈靈是汝真實。為甚麼瞌睡時又不成昭昭靈靈。若瞌睡時不是。為甚麼有昭昭時。汝還會麼。這箇喚作認賊為子。是生死根本妄想緣氣。汝欲識根由麼。我向汝道。昭昭靈靈。祇因前塵色聲香等法而有分別。便道此是昭昭靈靈。若無前塵。汝此昭昭靈靈同於龜毛兔角。仁者。真實在甚麼處。汝今欲得出他五蘊身田主宰。但識取汝秘密金剛體。古人向汝道。圓成正遍。遍周沙界。我今少分為汝。智者可以譬喻得解。汝還見南閻浮提日麼。世間人所作興營.養身.活命種種心行作業。莫非皆承日光成立。祇如日體。還有許多般心行麼。還有不周遍處麼。欲識金剛體。亦須如是看。祇如今山河大地.十方國土.色空明暗。及汝身心。莫非盡承汝圓成威光所現。直是天人群生類所作業次。受生果報。有情無情。莫非承汝威光。乃至諸佛成道成果。接物利生。莫非盡承汝威光。祇如金剛體。還有凡夫諸佛麼。有汝心行麼。不可道無便得當去也。知麼。汝既有如是奇特當陽出身處。何不發明取。因何卻隨他向五蘊身田中鬼趣裡作活計。直下自謾去。忽然無常殺鬼到來。眼目譸張。身見命見。恁麼時大難支荷。如生脫龜殻相似。大苦。仁者。莫把瞌睡見解便當卻去。未解葢覆得毛頭許。汝還知麼。三界無安。猶如火宅。且汝未是得安樂底人。祇大作群隊幹他人世。這邊那邊飛走。野鹿相似。但求衣食。若恁麼爭行他王道。知麼。國王大臣不拘執汝。父母放汝出家。十方施主供汝衣食。土地龍神呵護汝。也須具慚愧知恩始得。莫孤負人好。長連床上排行著地銷將去。道是安樂未在。皆是粥飯將養得汝。爛冬瓜相似變將去。土裡埋將去。業識茫茫。無本可據。沙門因甚麼到恁麼地。

(師が引き続き言う:)眼を点じ舌を吐きて瞪視す。更に一般の昭昭霊霊、霊台の智性、能く見能く聞くと説きて、五蘊の身田の裏に向かい主宰を作す者有り。是くのごとく善知識と為すは、大いに人を賺す。知るか。我今汝に問う。汝若し昭昭霊霊を認めて汝の真実とせば、甚麼の故に瞌睡の時は又昭昭霊霊と成らざる。若し瞌睡の時是れならざれば、甚麼の故に昭昭なる時有るか。汝還た会するか。此の箇を認賊為子と喚ぶ、是れ生死根本の妄想の縁気なり。汝根由を識らんと欲するか。我が汝に道わん。昭昭霊霊とは、只だ前塵の色声香等の法に因りて分別有るに因り、便ち道う、此れ是れ昭昭霊霊と。若し前塵無ければ、汝の此の昭昭霊霊は亀毛兎角に同じ。仁者、真実は甚麼の処に在るか。汝今他の五蘊身田の主宰を出でんと欲せば、但だ汝の秘密の金剛体を識り取れ。古人は汝に向かい道う、円成にして正遍し、遍く沙界に周すと。我今少分を汝の為にす。智き者は譬喩を以て解くべし。汝還た南閻浮提の日を見るか。世間の人の作す興営・養身・活命の種種の心行の作業、莫非れ皆日光を承けて成立す。只如のごとく日体は、還た許多般の心行有るか。還た周遍せざる処有るか。金剛体を識らんと欲せば、亦た須らく是くのごとく看るべし。只如のごとく今の山河大地・十方の国土・色空明暗、及び汝の身心、莫非れ尽く汝の円成の威光を承けて現ず。直に是れ天人の群生の類の作業の次、受生の果報、有情無情、莫非れ汝の威光を承く。乃至諸仏の道を成じ果を成じ、物に接し生を利するも、莫非れ尽く汝の威光を承く。只如のごとく金剛体は、還た凡夫諸仏有るか。汝の心行有るか。無しと道うて便ち当たりて去るを得べからざるなり。知るか。汝既に是くのごとき奇特の当陽に身を出す処有れば、何ぞ発明し取らざる。因に何れにか却て他に随い五蘊の身田の中の鬼趣の裏に向かい活計を作し、直下に自ら謾り去る。忽然として無常の殺鬼到来すれば、眼目張惶し、身見命見、是くのごとき時は大難支荷、生きて亀殻を脱するに相似なり。大いに苦なり。仁者、莫くも瞌睡の見解を把りて便ち当たりて去ること。未だ毛頭許をも盖覆し得るを解せず。汝還た知るか。三界に安無し、猶お火宅のごとし。且く汝未だ是れ安楽を得る底の人に非ず。只だ大いに群隊を作りて他の人世を干し、此の辺彼の辺に飛走し、野鹿に相似なり、但だ衣食を求む。若し是くのごとくせば争で他の王道を行かん。知るか。国王大臣は汝を拘執せず、父母は汝を放ちて出家せしめ、十方の施主は汝に衣食を供し、土地の龍神は汝を呵護す、亦た須らく慚愧し恩を知りて始めて得べし。莫くも人を孤負する好し。長連床に排行して地に着き銷け将り去りて、道う、是れ安楽と、未だ在らず。皆是れ粥飯の汝を将養し得て、爛冬瓜に相似として変え将り去り、土の裏に埋め将り去る。業識茫茫として、拠るべき本無し。沙門は因に甚麼にか是くのごとき地に到る。

祇如大地上蠢蠢者。我喚作地獄劫住。如今若不了。明朝後日入驢胎馬肚裡。牽犂拽耙。銜鐵負鞍。碓搗磨磨。水火裡燒煑去。大不容易受。大須恐懼。好是汝自累。知麼。若是了去。直下永劫。不曾教汝有這箇消息。若不了此。煩惱惡業因緣。不是一劫兩劫得休。直與汝金剛齊壽。知麼。師因參次。聞燕子聲。乃曰。深談實相。善說法要。便下座。時有僧請益。曰。某甲不會。師曰。去。誰信汝。鼓山來。師作一圓相示之。山曰。人人出這箇不得。師曰。情知汝向驢胎馬腹裡作活計。山曰。和尚又作麼生。師曰。人人出這箇不得。山曰。和尚與麼道卻得。某甲為甚麼道不得。師曰。我得汝不得。上堂。眾集。遂將拄杖一時趂下。卻迴向侍者道。我今日作得一解。險入地獄如箭射。者曰。喜得和尚再復人身。僧侍立次。師以杖指面前地上白點曰。還見麼。曰。見。如是三問。僧亦如是答。師曰。你也見。我也見。為甚麼道不會。師甞訪三鬥庵主。才相見。主曰。莫怪住山年深無坐具。師曰。人人盡有。庵主為甚麼無。主曰。且坐吃茶。師曰。庵主元來有在。侍雪峰次。有二僧從階下過。峰曰。此二人堪為種草。師曰。某甲不與麼。峰曰。汝作麼生。師曰。便好與三十棒。因雪峰指火曰。三世諸佛在火焰裡轉大法輪。師曰。近日王令稍嚴。峰曰。作麼生。師曰。不許攙奪行市。雲門曰。火焰為三世諸佛說法。三世諸佛立地聽。南際到雪峰。峰令訪師。師問。古人道此事唯我能知。長老作麼生。際曰。須知有不求知者(歸宗柔別。拊掌三下)。師曰。山頭和尚吃許多辛苦作麼。雪峰普請畬田次。見一蛇。以杖挑起。召眾曰。看。看。以刀芟為兩段。師以杖拋於背後。更不顧視。眾愕然。峰曰。俊哉。侍雪峰遊山次。峰指面前地曰。這一片地好造箇無縫塔。師曰。高多少。峰乃顧視上下。師曰。人天福報即不無。

(師が引き続き言う:)只如のごとく大地上の蠢蠢たる者、我が之を地獄に劫住すると喚ぶ。如今若し了せざれば、明朝日後に驢胎馬肚の裏に入り、犁を牽き耙を拽り、鐵を銜え鞍を負い、碓に搗き磨に磨れ、水火の裏に焼煮せられん。大いに容易に受け難し。大いに須らく恐懼すべし。好きは是れ汝の自累なり。知るか。若し是れ了して去らば、直下に永劫、曾て汝に此の消息有らしめず。若し此れを了せずんば、煩悩悪業の因縁、一劫両劫にして休むを得るに非ず、直に汝に金剛と寿を斉しくせん。知るか」と。師は参次に因り、燕子の声を聞き、乃ち言った、「深く实相を談じ、善く法要を説く」と。便ち座を下る。時に僧有りて請益して言った、「某甲は会せず」。師は言った、「去れ。誰か汝を信ぜん」。鼓山来たり。師は一円相を作して之に示す。山は言った、「人人此の箇を出ずるを得ず」。師は言った、「情に知る、汝は驢胎馬腹の裏に向かい活計を作すと」。山は言った、「和尚は又作麼生」。師は言った、「人人此の箇を出ずるを得ず」。山は言った、「和尚は是くのごとく道えば却て得す。某甲は何為にか道うを得ざる」。師は言った、「我は得し汝は得せず」。上堂。衆集まり、遂に拄杖を将て一時に趁い下す。却て向かい侍者に道う、「我今日一解を作し得り、険しく地獄に入らんこと箭の射るがごとし」。者は言った、「喜び得し、和尚再び人身に復ることを」。僧の侍立する次。師は杖を以て面前地上の白点を指して言った、「還た見るか」。曰く、「見る」。是くのごとく三問し、僧も亦是くのごとく答う。師は言った、「你も見え、我も見ゆ、何為にか道う会せずと」。師は嘗て三斗庵主を訪う。纔かに相見れば、主は言った、「怪しむ莫れ、山に住すること年深く坐具無きを」。師は言った、「人人尽く有り、庵主は何為にか無しと」。主は言った、「且く坐して茶を喫せよ」。師は言った、「庵主は元来有りて在り」。雪峯に侍する次、二僧有りて階下より過ぐ。峰は言った、「此の二人は堪えて种草と為すべし」。師は言った、「某甲は是くのごとくせず」。峰は言った、「汝は作麼生」。師は言った、「便ち好き三十棒を与えん」。雪峯が火を指して言うに因り、「三世の諸仏は火焔の裏に在りて大法輪を転ず」。師は言った、「近日王令稍や厳し」。峰は言った、「作麼生」。師は言った、「搀夺して市を行うを許さず」。雲門は言った、「火焔は三世の諸仏の為に法を説き、三世の諸仏は地に立ちて聴く」。南際は雪峯に到る。峰は師を訪はしめんと令す。師は問うた、「古人道う、此の事は唯だ我のみ知るを得ると。長老是作麼生」。際は言った、「須らく知るべし、求知らざる者有ることを」(帰宗柔の別、掌を拊くこと三下)。師は言った、「山頭の和尚、許多の辛苦を喫して作麼せん」。雪峯が普請して畬田する次、一蛇を見、杖を以て挑げ起し、衆を召して言った、「看よ、看よ」。刀を以て芟りて両段と為す。師は杖を以て背後に抛し、更に顧視せず。衆愕然たり。峰は言った、「俊なるかな」。雪峯に侍して山に游ぶ次。峰は面前の地を指して言った、「此の一片の地は好し、箇の無縫塔を造るに」。師は言った、「高きこと多少」峰乃ち顧みて上下を視る。師は言った、「人天の福報は即ち無しとせず。

和尚。若是靈山授記。未夢見在。峰曰。你又作麼生。師曰。七尺八尺。雪峰曰。世界闊一尺。古鏡闊一尺。世界闊一丈。古鏡闊一丈。師指火爐曰。火爐闊多少。峰曰。如古鏡闊。師曰。老和尚腳跟未點地在。師初住普應院。遷止玄沙。天下叢林。皆望風而賓之。閩帥王公待以師禮。學徒餘八百。室戶不閉。上堂。良久曰。我為汝得徹困。也還會麼。僧問。寂寂無言時如何。師曰。寐語作麼。曰。本分事。請師道。師曰。瞌睡作麼。曰。學人即瞌睡。和尚如何。師曰。爭得恁麼不識痛癢。又曰。可惜如許大師僧。千道萬裡行腳到這裡。不消箇瞌睡寐語。便屈卻去。問。如何是學人自己。師曰。用自己作麼。問。從上宗乘。如何理論。師曰。少人聽。曰。請和尚直道。師曰。患聾作麼。又曰。仁者。如今事不獲已。教我抑下如是威光。苦口相勸。百千方便。如此如彼。共汝相知聞。盡成顛倒知見。將此咽喉唇吻。祇成得箇野狐精業謾汝。我還肯麼。祇如有過無過。唯我自知。汝爭得會。若是恁麼人出頭來。甘伏呵責。夫為人師匠大不易。須是善知識始得知。我如今恁麼方便助汝。猶尚不能搆得。可中純舉宗乘。是汝向甚麼處安措。還會麼。四十九年是方便。祇如靈山會上有百萬眾。唯有迦葉一人親聞。餘盡不聞。汝道迦葉親聞底事作麼生。不可道如來無說說。迦葉不聞聞。便得當去。不可是汝修因成果.福智莊嚴底事。知麼。且如道。吾有正法眼藏。付囑大迦葉。我道猶如話月。曹溪竪拂子還如指月。所以道。大唐國內宗乘中事。未曾見有一人舉唱。設有人舉唱。盡大地人失卻性命。如無孔鐵鎚相似。一時亡鋒結舌去。汝諸人賴遇我不惜身命。共汝顛倒知見。隨汝狂意。方有伸問處。我若不共汝恁麼知聞去。汝向甚麼處得見我。會麼。大難。努力珍重。師有偈曰。萬裡神光頂後相。沒頂之時何處望。

(師が引き続き言う:)和尚。若し是れ霊山の授記ならば、未だ夢に見ること在らず」。峰は言った、「汝又作麼生」。師は言った、「七尺八尺」。雪峯は言った、「世界の闊きこと一尺なれば、古鏡の闊きこと一尺。世界の闊きこと一丈なれば、古鏡の闊きこと一丈」。師は火罏を指して言った、「火罏の闊きこと多少」。峰は言った、「古鏡の闊きがごとし」。師は言った、「老和尚の脚跟は未だ点地せざる在り」。師は初め普応院に住し、玄沙に遷り止まる。天下の叢林、皆風を望みて之に賓す。閩帥王公は師礼を以て待つ。学徒八百余り、室戸閉ざさず。上堂。良久にして言った、「我は汝の為に徹困を得たり。還た会するか」。僧問うた、「寂寂として言無き時如何」。師は言った、「寐語を作麼せん」。曰く、「本分の事、請う師に道わんことを」。師は言った、「瞌睡を作麼せん」。曰く、「学人は即ち瞌睡す、和尚は如何」。師は言った、「争で得ん是くのごとく痛痒を識らざる」。又言った、「惜しいかな許の如き大師僧、千道万里行脚して此処に到来り、箇の瞌睡寐語を消せずして、便ち屈せられ却り去る」。問うた、「如何なるか是れ学人の自己」。師は言った、「自己を用い作麼せん」。問うた、「従上の宗乗、如何にか理論せん」。師は言った、「聴く人少なし」。曰く、「請う、和尚直に道え」。師は言った、「聾を患え作麼せん」。又言った、「仁者、如今事已むを獲ず、我をして是くのごとき威光を抑え下し、苦口にして相い勧め、百千の方便、如此彼のごとくして、汝と相知聞を共にすも、尽く顛倒の知見と成る。此の咽喉唇吻を将て、只だ成じ得るは箇の野狐精の業の汝を謾るのみ。我還た肯んずるか。只如のごとく過有り過無きは、唯だ我が自ら知る、汝争で会することを得ん。若し是れ是くのごとき人の出頭し来らば、呵責に伏することを甘んず。夫れ人の師匠と為るは大いに易からず、須らく是れ善知識にして始めて知ることを得べし。我如今是くのごとく方便にして汝を助くるも、猶お尚お搆うること能わず。中か純く宗乗を挙げば、是れ汝は甚麼の処に向かい安措せん。還た会するか。四十九年は是れ方便なり。只如のごとく霊山会上に百万の衆有り、唯だ迦葉一人のみ親しく聞き、余は尽く聞かず。汝道う、迦葉の親聞せし底の事は作麼生。道うべからず、如来は説無くして説き、迦葉は聞かずして聞くと、便ち当たりて去るを得べからず。是れ汝の因を修し果を成じ、福智荘厳する底の事たるべからず。知るか。且く如く道う、我に正法眼蔵有り、大迦葉に付嘱すと。我道う、猶お月を話するがごとし。曹渓の拂子を竪つるは還た月を指すがごとし。所以に道う、大唐国裏の宗乗中の事、未曾だ一人の挙唱するを見ず。設い人の挙唱する有らば、尽く大地の人性命を失却し、孔無き鐡槌に相似として、一時に锋を亡び舌を結ばん。汝諸人、頼りて我が身命を惜しまず、汝と顛倒の知見を共にし、汝の狂意に随いて、方に伸問する処有るを遇う。我若し汝と是くのごとく知聞して去らざれば、汝は甚麼の処に向かい我を見るを得ん。会するか。大いに難し。努力して珍重せよ」と。師に偈有りて曰く、「万里の神光、頂後の相、頂を没する時は何れの処にか望まん

事已成。意亦休。此箇來蹤觸處周。智者撩著便提取。莫待須臾失卻頭。又曰。玄沙遊逕別。時人切須知。三冬陽氣盛。六月降霜時。有語非關舌。無言切要詞。會我最後句。出世少人知。問。四威儀外如何奉王。師曰。汝是王法罪人。爭會問事。問。古人拈槌竪拂。還當宗乘也無。師曰。不當。曰。古人意作麼生。師舉拂子。僧曰。宗乘中事如何。師曰。待汝悟始得。問。如何是金剛力士。師吹一吹。閩王送師上船。師扣船召曰。大王爭能出得這裡去。王曰。在裡許得多少時也(歸宗柔別雲。不因和尚。不得到這裡)。師問文桶頭。下山幾時歸。曰。三五日。師曰。歸時。有無底桶子將一擔歸。文無對(歸宗柔代雲。和尚用作甚麼)。師垂語曰。諸方老宿盡道接物利生。祇如三種病人。汝作麼生接。患盲者。拈槌竪拂他又不見。患聾者。語言三昧他又不聞。患瘂者。教伊說又說不得。若接不得。佛法無靈驗。時有僧出曰。三種病人還許學人商量否。師曰。許。汝作麼生商量。其僧珍重出。師曰。不是。不是。羅漢曰。桂琛現有眼耳口。和尚作麼生接。師曰。慚愧。便歸方丈。中塔曰。三種病人。即今在甚麼處。又一僧曰。非唯謾他。兼亦自謾(法眼雲。我當時見羅漢舉此僧語。我便會三種病人。雲居錫雲。祇如此僧會不會。若道會。玄沙又道不是。若道不會。法眼為甚麼道。我因此僧語。便會三種病人。上座。無事上來商量。大家要知)。有僧請益雲門。門曰。汝禮拜著。僧禮拜起。門以拄杖挃之。僧退後。門曰。汝不是患盲麼。復喚。近前來。僧近前。門曰。汝不是患聾麼。門曰。會麼。曰。不會。門曰。汝不是患瘂麼。僧於是有省。長慶來。師問。除卻藥忌。作麼生道。慶曰。放憨作麼。師曰。雪峰山橡子拾食。來這裡雀兒放糞。師因僧禮拜。師曰。因我得禮汝。普請斫柴次。見一虎。天龍曰。

(偈が引き続き言う:)事已に成り、意亦た休む。此の箇の来踪は処に触れて周なり。智き者は撩き着けば便ち提ぎ取れ、須臾を待ちて頭を失却する莫れ」と。又曰く、「玄沙の游径は別なり、時人切に知るを須いるべし。三冬陽気盛んに、六月霜降る時。語有るも舌に関わらず、言無きも切に詞を要す。我が最後の句を会せば、出世して知る人少なし」と。問うた、「四威儀の外、如何にか王に奉ずる」。師は言った、「汝は是れ王法の罪人、争で会せん事を問う」。問うた、「古人槌を拈じ拂を竪て、還た宗乗に当たるや無しや」。師は言った、「当たらず」。曰く、「古人の意は作麼生」。師は拂子を挙ぐ。僧は言った、「宗乗中の事は如何」。師は言った、「汝が悟るを待ちて始めて得べし」。問うた、「如何なるか是れ金剛力士」。師一吹きして吹く。閩王は師を船に上らせ送る。師は船を扣きて召して言った、「大王争で能く此の裏を出で去るを得ん」。王は言った、「裏許に在りて多少の時を得たるか」(帰宗柔の別にして曰く、「和尚に因らざれば、此処に到るを得ざりき」)。師は文桶頭に問うた、「山を下りて幾時にか帰らん」。曰く、「三五日」。師は言った、「帰る時、底無き桶子を担いで将て一担に帰れ」。文対無し。(帰宗柔代えて曰く、「和尚は用いて甚麼を作さん」)。師は語を垂れて曰く、「諸方の老宿、尽く道う、物に接し生を利すと。只如のごとき三種の病人、汝作麼生に接する。盲を患う者は、槌を拈じ拂を竪ても他又見えず。聾を患う者は、言語の三昧他又不聞。唖を患う者は、伊をして説かしめんと教うるも又説くことを得ず。若し接するを得ざれば、仏法に霊験無し」と。時に僧出でて言った、「三種の病人、還た学人の商量を許すか否か」。師は言った、「許す。汝作麼生に商量する」。其の僧珍重して出づ。師は言った、「是れに非ず、是れに非ず」。羅漢は言った、「桂琛は現に眼耳口有り、和尚は作麼生に接する」。師は言った、「慚愧」と。便ち方丈に帰る。中塔は言った、「三種の病人、即今甚麼の処に在る」。又一僧曰く、「唯だ他を謾るのみに非ず、兼ねて亦た自ら謾る」(法眼曰く、「我が当時羅漢の此の僧の語を挙ぐるを見て、我便ち三種の病人を会せり」。雲居錫曰く、「只だ如く此の僧会するか不や。若し会すと道わば、玄沙又道う是れに非ず。若し会せざると道わば、法眼は何為にか道う、我此の僧の語に因りて便ち三種の病人を会すと。上座、事無くして上り来り商量す、大家よく知るを要す」)。僧有りて雲門に請益す。門は言った、「汝礼拝せよ」。僧礼拝して起つ。門は拄杖を以て之を拄ぐ。僧は後に退る。門は言った、「汝は是れ盲を患うに非ずや」。復た喚ぶ、「近く前に来れ」。僧近く前す。門は言った、「汝は是れ聾を患うに非ずや」。門は言った、「会するか」。曰く、「会せず」。門は言った、「汝は是れ唖を患うに非ずや」。僧是に於て省有り。長慶来たり。師は問うた、「薬忌を除却して、作麼生に道う」。慶は言った、「憨を放ち作麼せん」。師は言った、「雪峯山に橡子を拾い食して、此処に来りて雀児の糞を放たる」。師は僧の礼拝するに因り。師は言った、「我に因りて得汝を礼す」。普請して柴を斫る次、一虎を見る。天龍は言った、

和尚。虎。師曰。是汝。虎。歸院後天龍問。適來見虎。雲是汝。未審尊意如何。師曰。娑婆世界有四種極重事。若人透得。不妨出得陰界(東禪齊雲。上座。古人見了道我身心如大地虗空。如今人還透得麼)。師問長生。維摩觀佛。前際不來。後際不去。今則無住。汝作麼生觀。生曰。放皎然過。有箇道處。師曰。放汝過作麼生道。生良久。師曰。教阿誰委悉。生曰。徒勞側耳。師曰。情知汝向鬼窟裡作活計(崇壽稠別長生雲。喚甚麼作如來)。問。古人皆以瞬視接人。未審和尚以何接人。師曰。我不以瞬視接人。曰。學人為甚道不得。師曰。畐塞汝口。爭解道得(法眼雲。古人恁麼道甚奇特。且問上座口是甚麼)。問。凡有言句。盡落裷䙡。不落裷䙡。請和尚商量。師曰。拗折秤衡來。與汝商量。問。承古有言。舉足下足。無非道場。如何是道場。師曰。沒卻你。曰。為甚麼得恁麼難見。師曰。祇為太近(法眼曰。也無可得近。直下是上座)。師在雪峰時。光侍者謂師曰。師叔若學得禪。某甲打鐵船下海去。師住後問光曰。打得鐵船也未。光無對(法眼代雲。和尚終不恁麼。法燈代雲。請和尚下船。玄覺代雲。貧兒思舊債)。師一日遣僧送書上雪峰。峰開緘。見白紙三幅。問僧。會麼。曰。不會。峰曰。不見道君子千里同風。僧回舉似。師曰。山頭老漢蹉過也不知。曰。和尚如何。師曰。孟春猶寒也不解道。師問鏡清。教中道不見一法為大過患。且道不見甚麼法。清指露柱曰。莫是不見這箇法麼(同安顯別雲。也知和尚不造次)。師曰。浙中清水白米從汝吃。佛法未會在。問。承和尚有言。盡十方世界是一顆明珠。學人如何得會。師曰。盡十方世界是一顆明珠。用會作麼。僧便休。師來日卻問其僧。盡十方世界是一顆明珠。汝作麼生會。曰。盡十方世界是一顆明珠。用會作麼。師曰。

(天龍が引き続き言う:)「和尚、虎」。師は言った、「是れ汝なり、虎」。院に帰りて後、天龍問うた、「適来虎を見て、是れ汝と説けり。未だ審かならず尊意如何」。師は言った、「娑婆世界に四種の極重の事有り。若し人透り得ば、妨げず陰界を出でるを得ん」(東禅斉曰く、「上座、古人見るを了りて道う、我が身心は大地虚空のごとしと。如今の人、還た透るを得るか」)。師は長生に問うた、「維摩は仏を観じ、前際来たらず、後際去らず、今は則ち住せず。汝作麼生に観ず」。生は言った、「皎然に放ち過し、箇の道う処有り」。師は言った、「汝に放ち過す作麼生に道う」。生良久たり。師は言った、「阿誰をか委悉せしめん」。生は言った、「徒らに耳を側む」。師は言った、「情に知る、汝は鬼窟の裏に向かい活計を作すと」(崇寿稠、長生に別えて曰く、「甚麼をか如来と喚ぶ」)。問うた、「古人皆瞬視を以て人を接す。未だ審かならず和尚は何を以て人を接する」。師は言った、「我は瞬視を以て人に接せず」。曰く、「学人は甚為にか道うを得ざる」。師は言った、「汝の口を輻塞し、争で解きて道うを得ん」(法眼曰く、「古人の是くのごとく道うは甚だ奇特なり。且く上座に問う、口は是れ甚麼か」)。問うた、「凡そ言句有るは、尽く裷褧に落つ。裷褧に落ちざるは、請う、和尚商量せんことを」。師は言った、「秤衡を拗折して来り、汝と商量せん」。問うた、「承う、古に言有り、足を挙げ足を下すも、非ずんばあらず道場なり。如何なるか是れ道場」。師は言った、「汝を没し了る」。曰く、「何為にか得ん是くのごとく見難き」。師は言った、「只だ太近きが為なり」(法眼曰く、「亦た近きを得べき無し。直下に是れ上座なり」)。師は雪峯に在る時、光侍者は師に謂いて曰く、「師叔若し禅を学び得ば、某甲は鐵船を打ちて海に下らん」。師は住して後、光に問うて曰く、「鐵船を打ち得たりや未だ」。光対無し。(法眼代えて曰く、「和尚は終には是くのごとくせず」。法燈代えて曰く、「請う、和尚船を下れ」。玄覚代えて曰く、「貧児は旧債を思う」)。師は一日僧を遣わして書を雪峯に送らしむ。峰緘を開き、白紙三幅を見る。僧に問うた、「会するか」。曰く、「会せず」。峰は言った、「見えずや道う、君子は千里同風と」。僧帰りて挙げ似す。師は言った、「山頭の老漢は蹉過して知らず」。曰く、「和尚は如何」。師は言った、「孟春猶お寒きをも解して道わず」。師は鏡清に問うた、「教中に道う、一法を見ざるを大過患と為すと。且く道え、甚麼の法を見ざる」。清は露柱を指して言った、「莫れ此の箇の法を見ざるか」(同安顕別えて曰く、「亦た知る、和尚は造次せざることを」)。師は言った、「浙中の清水白米は汝に従い喫す。仏法は未だ会せざる在り」。問うた、「承う、和尚に言有り、十方世界を尽くすは是れ一顆の明珠。学人如何にか会するを得ん」。師は言った、「十方世界を尽くすは是れ一顆の明珠、会せんを用いて作麼せん」。僧便ち休む。師は来る日却て其の僧に問うた、「十方世界を尽くすは是れ一顆の明珠、汝作麼生に会する」。曰く、「十方世界を尽くすは是れ一顆の明珠、会せんを用いて作麼せん」。師は言った、

知汝向鬼窟裡作活計(玄覺雲。一般恁麼道。為甚麼卻成鬼窟去)。問。如何是無縫塔。師曰。這一縫大小。韋監軍來謁。乃曰。曹山和尚甚奇怪。師曰。撫州取曹山幾裡。韋指傍僧曰。上座曾到曹山否。曰。曾到。韋曰。撫州取曹山幾裡。曰。百二十里。韋曰。恁麼則上座不到曹山。韋卻起禮拜。師曰。監軍卻須禮此僧。此僧卻具慚愧(雲居錫雲。甚麼處是此僧具慙愧。若檢得出。許上座有行腳眼)。問。如何是清淨法身。師曰。膿滴滴地。問。如何是親切底事。師曰。我是謝三郎。西天有聲明三藏至。閩帥請師辨驗。師以鐵火筯敲銅爐。問。是甚麼聲。藏曰。銅鐵聲(法眼別雲。請大師為大王。法燈別雲。聽和尚問)。師曰。大王莫受外國人謾。藏無對(法眼代雲。大師久受大王供養。法燈代雲。卻是和尚謾大王)。師南遊。莆田縣排百戲迎接。來日。師問小塘長老。昨日許多喧閙。向甚麼處去也。塘提起衲衣角。師曰。料掉沒交涉(法眼別雲。昨日有多少喧閙。法燈別雲。今日更好笑)。問僧。乾闥婆城汝作麼生會。曰。如夢如幻(法眼別敲物示之)。師與地藏在方丈說話。夜深侍者閉卻門。師曰。門總閉了。汝作麼生得出去。藏曰。喚甚麼作門(法燈別雲。和尚莫欲歇去)。師以杖拄地。問長生曰。僧見俗見。男見女見。汝作麼生見。曰。和尚還見皎然見處麼。師曰。相識滿天下。問。承和尚有言。聞性遍周沙界。雪峰打皷。這裡為甚麼不聞。師曰。誰知不聞。問。險惡道中。以何為津梁。師曰。以眼為津梁。曰。未得者如何。師曰。快救取好。師舉誌公雲。每日拈香擇火。不知身是道場。乃曰。每日拈香擇火。不知真箇道場(玄覺雲。祇如此二尊宿語。還有親疎也無)。師與韋監軍吃果子。韋問。如何是日用而不知。師拈起果子曰。吃。韋吃果子了。再問。師曰。祇這是日用而不知。普請搬柴。

(師が引き続き言う:)「知る、汝は鬼窟の裏に向かい活計を作すと」(玄覚曰く、「一般に是くのごとく道う、何為にか却て鬼窟に成り去る」)。問うた、「如何なるか是れ無縫塔」。師は言った、「此の一縫の大小」。韋監軍来り謁す、乃ち言った、「曹山和尚は甚だ奇怪なり」。師は言った、「撫州より曹山を取ること幾里」。韋は傍の僧を指して言った、「上座は曾て曹山に到りしか」。曰く、「曾て到れり」。韋は言った、「撫州より曹山を取ること幾里」。曰く、「百二十里」。韋は言った、「是くのごとくせば則ち上座は曹山に到らず」。韋却て起ちて礼拝す。師は言った、「監軍は却て此の僧を礼するを須いるべし。此の僧は却て慚愧を具す」(雲居錫曰く、「甚麼の処か是れ此の僧の慚愧を具する。若し検し出すを得ば、上座に行脚眼有るを許さん」)。問うた、「如何なるか是れ清浄の法身」。師は言った、「膿滴々地」。問うた、「如何なるか是れ親切なる底の事」。師は言った、「我は是れ謝三郎」。西天に声明の三蔵至る。閩帥は師に辨験せんことを請う。師は鐡火箸を以て銅罏を敲き、問うた、「是れ甚麼の声か」。蔵は言った、「銅鐡の声」(法眼別えて曰く、「請う、大師、大王の為にせよ」。法燈別えて曰く、「和尚の問うを聴け」)。師は言った、「大王、外国人に謾されるを受くる莫れ」。蔵対無し。(法眼代えて曰く、「大師は久しく大王の供養を受く」。法燈代えて曰く、「却て是れ和尚大王を謾る」)。師は南に游ぶ。莆田県は百戯を排して迎接す。来る日、師は小塘長老に問うた、「昨日の許多の喧鬧、甚麼の処に向かいて去りしか」。塘は衲衣の角を提起す。師は言った、「料掉するも交渉無し」(法眼別えて曰く、「昨日は多少の喧鬧有り」。法燈別えて曰く、「今日は更に好く笑う」)。僧に問うた、「乾闥婆城、汝作麼生に会する」。曰く、「夢のごとく幻のごとし」(法眼別えて物を敲きて之に示す)。師は地蔵と方丈に在りて説話す。夜深くして侍者は門を閉却す。師は言った、「門は総て閉じ了れり、汝作麼生に出で去るを得ん」。蔵は言った、「甚麼をか門と喚ぶ」(法燈別えて曰く、「和尚、歇め去らんと欲する莫れ」)。師は杖を以て地を拄き、長生に問うて曰く、「僧見俗見、男見女見。汝作麼生に見る」。曰く、「和尚は還た皎然の見処を見るか」。師は言った、「相識は天下に満つ」。問うた、「承う、和尚に言有り、聞性は遍く沙界に周ると。雪峯は鼓を打つ、此処は何為にか聞えざる」。師は言った、「誰か聞えざるを知らん」。問うた、「険悪の道中、何を以て津梁と為す」。師は言った、「眼を以て津梁と為す」。曰く、「得ざる者は如何」。師は言った、「快く救い取りて好し」。師は志公を挙げて曰く、「毎日香を拈じ火を擇ぶも、身の是れ道場なるを知らず」。乃ち言った、「毎日香を拈じ火を擇ぶも、真箇の道場を知らず」(玄覚曰く、「只だ如く此の二尊宿の語、還た親疎有るか無しや」)。師は韋監軍と果子を喫す。韋問うた、「如何なるか是れ日に用いて知らざる」。師は果子を拈げ起して言った、「喫せよ」。韋果子を喫し了りて再び問う。師は言った、「只だ此れ是れ日に用いて知らざる」。普請して柴を搬る。

師曰。汝諸人盡承吾力。一僧曰。既承師力。何用普請。師叱之曰。不普請爭得柴歸。師問明真大師。善財參彌勒。彌勒指歸文殊。文殊指歸佛處。汝道佛指歸甚麼處。曰。不知。師曰。情知汝不知(法眼別雲。喚甚麼作佛)。大普玄通到。禮覲。師曰。你在彼住。莫誑惑人家男女。曰。玄通祇是開箇供養門。晚來朝去。爭敢作恁麼事。師曰。事難。曰。真情是難。師曰。甚麼處是難處。曰。為伊不肯承當。師便入方丈。拄卻門。僧問。學人乍入叢林。乞師指箇入路。師曰。還聞偃溪水聲麼。曰。聞。師曰。從這裡入。泉守王公請師登樓。先語客司曰。待我引大師到樓前。便舁卻梯。客司稟旨。公曰。請大師登樓。師視樓.復視其人。乃曰。佛法不是此道理(法眼雲。未舁梯時。日幾度登樓)。師與泉守在室中說話。有一沙彌揭簾入見。卻退步而出。師曰。那沙彌好與二十拄杖。守曰。恁麼即某甲罪過(同安顯別雲。祖師來也)。師曰。佛法不是恁麼(鏡清雲。不為打水。有僧問。不為打水意作麼生。清雲。青山碾為塵。敢保沒閑人)。梁開平戊辰示寂。閩帥為之樹塔。

師は言った、「汝諸人、尽く我が力を承く」。一僧曰く、「師力を承くるに既にして、何ぞ普請を用いん」。師は之を叱って曰く、「普請せずんば争で柴を得て帰らん」。師は明真大師に問うた、「善財は弥勒に参し、弥勒は文殊に指し帰し、文殊は仏処に指し帰す。汝道え、仏は甚麼の処に指し帰す」。曰く、「知らず」。師は言った、「情に知る、汝知らずと」(法眼別えて曰く、「甚麼をか仏と喚ぶ」)。大普玄通到り、礼觐す。師は言った、「汝彼に住するに在り、人家の男女を誑惑する莫れ」。曰く、「玄通は只だ是れ供養の門を開く、晩に来り朝に去る、争で敢て是くのごとき事を作さん」。師は言った、「事難し」。曰く、「真情に是れ難し」。師は言った、「甚麼の処か是れ難処」。曰く、「伊が承当することを肯ぜざるが為」。師便ち方丈に入り、門を拄き却す。僧問うた、「学人乍ち叢林に入り、師に乞う、箇の入路を指さんことを」。師は言った、「還た偃渓の水声を聞くか」。曰く、「聞く」。師は言った、「此処より入れ」。泉守王公、師に請うて楼に登らしむ。先に客司に語りて曰く、「我が大師を引きて楼前に到らば、便ち梯を抬き却れ」。客司旨を禀す。公は言った、「請う、大師楼に登れ」。師は楼を視、復た其の人を視て、乃ち言った、「仏法は是れ此の道理に非ず」(法眼曰く、「未だ梯を抬がざる時、日に幾度か楼に登る」)。師は泉守と室中に在りて説話す。一沙弥有りて簾を掲げ入り見る、却て歩を退りて出づ。師は言った、「那の沙弥好き二十の拄杖を与えん」。守は言った、「是くのごとくせば即ち某甲の罪過」(同安顕別えて曰く、「祖師来れり」)。師は言った、「仏法は是くのごとくに非ず」(鏡清曰く、「水を打つが為に非ず」。僧有りて問う、「水を打つが為に非ざる意は作麼生」。清は言った、「青山は碾かれて塵と為る、敢て保つ、閑人無きことを」)。梁の開平戊辰に寂を示す。閩帥之が為に塔を樹つ。

福州長慶慧稜禪師

福州長慶慧稜禅師

杭州鹽官人也。姓孫氏。稟性淳澹。年十三於蘇州通玄寺出家登戒。歷參禪苑。後參靈雲。問。如何是佛法大意。雲曰。驢事未去。馬事到來。師如是往來雪峰.玄沙二十年間。坐破七箇蒲團。不明此事。一日捲簾。忽然大悟。乃有頌曰。也大差。也大差。捲起簾來見天下。有人問我解何宗。拈起拂子劈口打。峰舉謂玄沙曰。此子徹去也。沙曰。未可。此是意識著述。更須勘過始得。至晚。眾僧上來問訊。峰謂師曰。備頭陀未肯汝在。汝實有正悟。對眾舉來。師又有頌曰。萬象之中獨露身。唯人自肯乃方親。昔時謬向途中覓。今日看來火裡冰。峰乃顧沙曰。不可更是意識著述。師問峰曰。從上諸聖傳受一路。請師垂示。峰良久。師設禮而退。峰乃微笑。師入方丈參。峰曰。是甚麼。師曰。今日天晴好普請。自此酧問。未嘗爽於玄旨。師在西院。問詵上座曰。這裡有象骨山。汝曾到麼。曰。不曾到。師曰。為甚麼不到。曰。自有本分事在。師曰。作麼生是上座本分事。詵乃提起衲衣角。師曰。為當祇這箇。別更有。曰。上座見箇甚麼。師曰。何得龍頭蛇尾。保福辭歸雪峰。謂師曰。山頭和尚或問上座信。作麼生祇對。師曰。不避腥羶。亦有少許。曰。信道甚麼。師曰。教我分付阿誰。曰。從展雖有此語。未必有恁麼事。師曰。若然者。前程全自闍黎。師與保福遊山。福問。古人道妙峰山頂。莫祇這箇便是也無。師曰。是即是。可惜許(僧問皷山。祇如長慶恁麼道。意作麼生。山雲。孫公若無此語。可謂髑髏徧野)。師來往雪峰二十九載。天祐三年泉州刺史王延彬請住招慶。開堂日。公朝服趨隅曰。請師說法。師曰。還聞麼。公設拜。師曰。雖然如此。恐有人不肯。僧問。如何是正法眼。師曰。有願不撒沙。一日。王太傅入院。見方丈門閉。問演侍者曰。有人敢道太師在否。演曰。

杭州塩官の人。姓は孫。性を禀けて淳澹なり。十三歳にして蘇州通玄寺に在りて出家し戒を受く。歴えて各処の禅苑に参じ、後に来りて靈雲に参す。問うた、「如何なるか是れ仏法の大意」。靈雲は言った、「驢事未だ去らず、馬事到来る」。師是くのごとく雪峯・玄沙に往来すること二十年间、蒲団を坐破すること七箇、尚お此の事を明白せず。一日簾を捲り、忽然として大悟し、便ち頌有りて曰く、「亦た大いに差き、亦た大いに差き。簾を巻き起して天下を見る。人の我に問う、何の宗を解するや、拂子を拈げ起して口に劈き打つ」。雪峯挙げて玄沙に与えて曰く、「此の人は徹し去れり」。玄沙は言った、「未だ可ならず。此れ是れ意識の著述、更に須らく勘過して乃ち行くべし」。晩に到りて、衆僧上り来り問訊す、雪峯は師に対して曰く、「備頭陀は還た汝を肯んぜざる在り。汝若し実に正悟有らば、衆に対して挙げ来れ」。師又頌有りて曰く、「万象の中に独り身を露す、唯だ人自ら肯んずる乃ち方に親し。昔時謬りて途中に向かい覓め、今日看るに来りて火裏の氷」。雪峯便ち玄沙を看て曰く、「更に意識の著述と説くべからず」。師は雪峯に問うた、「従上の諸聖の伝授する此の一路、請う、老師垂れ示さんことを」。雪峯良久たり。師礼を設けて退く。雪峯便ち微笑す。師方丈に入り参す、雪峯は言った、「是れ甚麼」。師は言った、「今日天晴れ、好き普請」。此より酬問、曾て玄旨を偏离せず。師は西院に在り、詵上座に問うた、「此処に象骨山有り、你曾て到りしか」。曰く、「曾て到らず」。師は言った、「何為にか到らざる」。曰く、「自ら本分の事有る在り」。師は言った、「作麼生なるか是れ上座の本分の事」。詵便ち衲衣の角を提起す。師は言った、「当たりて只だ此の箇と為すか、別に更に有るか」。曰く、「上座は箇の甚麼を見る」。師は言った、「何ぞ得ん竜頭蛇尾」。保福辞して雪峯に帰り、師に対して言った、「山頭の和尚或いは上座の信を問わば、作麼生に祇対せん」。師は言った、「腥膻を避けず、亦た少許有り」。曰く、「信に道う甚麼か」。師は言った、「我に分付するは阿誰を教えん」。曰く、「従展此の語有るも、未必是くのごとき事有らず」。師は言った、「若し然る者は、前程は全く闍梨に自ず」。師は保福と山に游ぶ、保福問うた、「古人道う、妙峰山頂、莫れ只だ此の箇便是か無しや」。師は言った、「是れ即ち是れ、惜しいかな許」(僧鼓山に問う、「只だ如く長慶の是くのごとく道うは、意作麼生」。鼓山は言った、「孫公若し此の語無ければ、髑髏の野に遍しと謂うべし」)。師は雪峯に来往すること二十九載。天祐三年、泉州刺史王延彬は請うて招慶に住せしむ。堂を開く日、王公は朝服して席辺に趨り到りて曰く、「請う、老師法を説け」。師は言った、「還た聞くか」。王公拝を設く。師は言った、「此くの如くすと雖も、恐らくは人肯んぜざる有らん」。僧問うた、「如何なるか是れ正法眼」。師は言った、「願有りて沙を撒かず」。一日、王太傅院に入り、方丈の門の関ぎるを見、演侍者に問うた、「敢て道う人有るか、太師在るか否か」。演曰く、

有人敢道太師不在否(法眼別雲。大傅識太師)。閩帥請居長慶。號超覺大師。上堂。良久曰。還有人相悉麼。若不相悉。欺謾兄弟去也。祇今有甚麼事。莫有窒塞也無。復是誰家屋裡事。不肯擔荷。更待何時。若是利根。參學不到這裡。還會麼。如今有一般行腳人。耳裡總滿也。假饒收拾得底。還當得行腳事麼。僧問。行腳事如何學。師曰。但知就人索取。曰。如何是獨脫一路。師曰。何煩更問。問。名言妙義。教有所詮。不涉三科。請師直道。師曰。珍重。師乃曰。明明歌詠汝尚不會。忽被暗裡來底事。汝作麼生。僧問。如何是暗來底事。師曰。吃茶去(中塔代雲。便請和尚相伴)。問。如何是不隔毫端底事。師曰。當不當。問。如何得不疑不惑去。師乃展兩手。僧不進語。師曰。汝更問。我與汝道。僧再問。師露膊而坐。僧禮拜。師曰。汝作麼生會。曰。今日風起。師曰。恁麼道未定人見解。汝於古今中有甚麼節要齊得長慶。若舉得。許汝作話主。其僧但立而已。師卻問。汝是甚處人。曰。向北人。師曰。南北三千里外。學妄語作麼。僧無對。上堂。良久曰。莫道今夜較些子。便下座。僧問。眾手淘金。誰是得者。師曰。有伎倆者得。曰。學人還得也無。師曰。大遠在。上堂。撞著道伴交肩過。一生參學事畢。上堂。淨潔打疊了也。卻近前問我覓。我劈脊與你一棒。有一棒到你。你須生慚愧。無一棒到你。你又向甚麼處會。問。羚羊掛角時如何。師曰。草裡漢。曰。掛角後如何。師曰。亂呌喚。曰。畢竟如何。師曰。驢事未去。馬事到來。問。如何是合聖之言。師曰。大小長慶被汝一問。口似匾擔。曰。何故如此。師曰。適來問甚麼。上堂。我若純舉唱宗乘。須閉卻法堂門。所以道。盡法無民。僧問。不怕無民。請師盡法。師曰。還委落處麼。問。如何是西來意。師曰。香嚴道底。一時坐卻。上堂。

(演侍者が引き続き言う:)「敢て道う人有るか、太師在らざるか否か」(法眼別えて曰く、「太傅は太師を識る」)。閩帥請うて長慶に住せしめ、超覚大師と号す。上堂。良久にして言った、「還た相悉する人有るか。若し相悉せずんば、兄弟を欺謾して去るなり。只今甚麼の事か有る。窒塞する有るか無しや。復た是れ誰が家の屋裏の事か。担荷することを肯んぜず、更に何の時を待たん。若し是れ利根ならば、参学此処に到らず。還た会するか。如今一般の行脚人有り、耳の裏総て満てり。假饒に収拾し得たるも、還た行脚の事に当たるを得んか」。僧問うた、「行脚の事は如何にか学ぶ」。師は言った、「但だ人に就きて索取することを知れ」。曰く、「如何なるか是れ独脱の一路」。師は言った、「何ぞ更に問うを煩はん」。問うた、「名言妙義、教に詮する所有り。三科に渉らず、請う、老師直に道え」。師は言った、「珍重」。師便ち言った、「明明として歌咏するも你尚お会せず。忽ち暗裏より来るの事に被らば、你作麼生」。僧問うた、「如何なるか是れ暗く来るの事」。師は言った、「茶を喫し去れ」(中塔代えて曰く、「便ち請う、和尚相伴せんことを」)。問うた、「如何なるか是れ毫端を隔てざるの事」。師は言った、「当たるか当たらざるか」。問うた、「如何にか得ん疑わず惑わずして去る」。師便ち両手を展開す。僧語を進めず。師は言った、「你更に問え、我你と与に道わん」。僧再び問う。師膊を露して坐す。僧礼拝す。師は言った、「你作麼生に会する」。曰く、「今日風起れり」。師は言った、「是くのごとく道うは未だ人の見解を定めず。你古今の中に於て甚麼の節要か斉しく長慶に得る。若し挙げ得ば、你に話主を作るを許さん」。那の僧只だ立ちて已り。師却て問うた、「你是れ甚処の人」。曰く、「北に向かうの人」。師は言った、「南北三千里外、妄语を学び作麼せん」。僧対無し。上堂。良久にして言った、「今夜較些子と道う莫れ」。便ち座を下る。僧問うた、「衆手金を淘す、誰か是れ得る者」。師は言った、「伎俩有る者は得す」。曰く、「学人還た得するか無しや」。師は言った、「大いに遠く在り」。上堂、「道伴に撞着し肩を交えて過ぐれば、一生参学の事畢わる」。上堂、「浄潔に打畳し了れり、却て近く前より我に覓め問う。我脊に劈きて你と与に一棒。一棒の你到る有らば、你須らく慚愧を生ずべし。一棒の你到る無からば、你又甚麼の処に向かい会せん」。問うた、「羚羊角を挂くる時如何」。師は言った、「草裏の漢」。曰く、「角を挂けて後如何」。師は言った、「乱れて叫喚す」。曰く、「畢竟如何」。師は言った、「驢事未だ去らず、馬事到来る」。問うた、「如何なるか是れ聖に合するの言」。師は言った、「大小の長慶、你の一問に被りて、口は匾担に似たり」。曰く、「何故此くの如し」。師は言った、「適来甚麼を問う」。上堂、「我若し純く宗乗を挙唱せば、須らく法堂の門を閉却すべし。所以に道う、法を尽くせば民無しと」。僧問うた、「民無きを怕れず、請う老師、法を尽くせ」。師は言った、「還た落処を委するか」。問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「香厳の道うたる、一時に坐却せん」。上堂。

總似今日。老胡有望。保福曰。總似今日。老胡絕望(玄覺雲。恁麼道是相見語。不是相見語)。安國𤦆和尚得師號。師去作賀。國出接。師曰。師號來邪。曰。來也。師曰。是甚麼號。曰。明真。師乃展手。國曰。甚麼處去來。師曰。幾不問過。問僧。甚處來。曰。鼓山來。師曰。鼓山有不跨石門底句。有人借問。汝作麼生道。曰。昨夜報慈宿。師曰。劈脊棒汝。又作麼生。曰。和尚若行此棒。不虗受人天供養。師曰。幾合放過。問。古人有言。相逢不拈出。舉意便知有時如何。師曰。知有也未(僧又問保福。福雲。此是誰語。雲。丹霞語。福雲。去。莫妨我打睡)。師入僧堂。舉起疏頭曰。見即不見。還見麼。眾無對(法眼代雲。縱受得。至別處亦不敢呈人)。師到羅山。見製龕子。以杖敲龕曰。太煞預備。山曰。拙佈置。師曰。還肯入也無。山乃吽。吽。上堂。大眾集定。師乃拽出一僧曰。大眾禮拜此僧。又曰。此僧有甚麼長處。便教大眾禮拜。眾無對。僧問。如何是文彩未生時事。師曰。汝先舉。我後舉。其僧但立而已(法眼別雲。請和尚舉)。師曰。汝作麼生舉。曰。某甲截舌有分。保福遷化。僧問。保福拋卻殻漏子。向甚麼處去也。師曰。且道保福在那箇殻漏子裡(法眼別雲。那箇是保福殼漏子)。閩帥夫人崔氏(奉道自稱練師)。遣使送衣物至。曰。練師令就大師請回信。師曰。傳語練師。領取回信。須臾。使卻來師前唱喏便回。師明日入府。練師曰。昨日謝大師回信。師曰。卻請昨日回信看。練師展兩手。帥問師曰。練師適來呈信。還愜大師意否。師曰。猶較些子(法眼別雲。這一轉語大王自道取)。曰。未審大師意旨如何。師良久。帥曰。不可思議。大師佛法深遠。後唐長興三年歸寂。王氏建塔。

(師が引き続き言う:)「総じて今日に似れば、老胡は望み有り」。保福は言った、「総じて今日に似れば、老胡は望み絶ゆ」(玄覚曰く、「是くのごとく道うは是れ相見の語か、相見の語に非ずや」)。安国𤦆和尚、師号を得し、師往きて賀を作す。安国出でて迎接す。師は言った、「師号来るか邪」。曰く、「来れり」。師は言った、「是れ甚麼の号」。曰く、「明真」。師便ち手を展ぐ。安国曰く、「甚麼の処に去り来る」。師は言った、「問過せざること幾なり」。僧に問うた、「甚処より来る」。曰く、「鼓山より来る」。師は言った、「鼓山に石門を跨がざるの句有り、人の借問する有らば、你作麼生に道わん」。曰く、「昨夜報慈に宿す」。師は言った、「脊に劈きて你を棒するも、又作麼生」。曰く、「和尚若し此の棒を行わば、虚しく人天の供養を受けず」。師は言った、「放ち過すこと幾なり」。問うた、「古人に言有り、相逢い拈出せずも、意を挙げば便ち有るを知る、時如何」。師は言った、「有るを知るか未だ」(僧又保福に問う。保福は言った、「此れ是れ誰の語」。曰く、「丹霞の語」。保福は言った、「去れ。我が睡を打つを妨ぐ莫れ」)。師は僧堂に入り、疏頭を挙げて曰く、「見れば即ち見えず。還た見るか」。衆対無し。(法眼代えて曰く、「縦い受け得るも、別の処に到りても敢て人に呈せず」)。師は羅山に到り、龕子を作するに在るを見、杖を用いて龕を敲きて曰く、「太いに煞く預備す」。羅山曰く、「拙く布置す」。師は言った、「還た入るを肯んずるか無しや」。羅山便ち吽吽たり。上堂。大衆集まり定まりて、師便ち一箇の僧を拽き出し、「大衆此の僧を礼拝せよ」。又曰く、「此の僧に甚麼の長処有りて、便ち大衆をして礼拝せしむる」。衆対無し。僧問うた、「如何なるか是れ文彩未だ生ぜざる時の事」。師は言った、「你先に挙げよ、我後に挙げん」。那の僧只だ立ちて已り。(法眼別えて曰く、「請う、和尚挙げよ」)。師は言った、「你作麼生に挙ぐる」。曰く、「某甲は舌を截るの分有り」。保福遷化す。僧問うた、「保福は殻漏子を抛却して、甚麼の処に向かいて去りしか」。師は言った、「且く道え、保福は那箇の殻漏子の裏に在る」(法眼別えて曰く、「那箇か是れ保福の殻漏子」)。閩帥の夫人崔氏(道を奉じ自ら練師と称す)は使を遣わし衣物を送り到らしめて曰く、「練師、大師に就きて回信を請うことを令す」。師は言った、「語を練師に伝えよ、回信を領取せしめん」。片刻、使者又来りて師の前に唱喏して便ち回る。師は明日府に入る。練師曰く、「昨日大師の回信を謝す」。師は言った、「却て昨日の回信を看ることを請う」。練師両手を展ぐ。閩帥師に問うた、「練師適来信を呈す、還た大師の意に愜えるか否か」。師は言った、「猶お較些子」(法眼別えて曰く、「此の一転語は大王自ら道い取れ」)。曰く、「未だ審かならず大師の意旨如何」。師良久たり。閩帥曰く、「不可思議なり、大師の仏法は深遠なり」と。後唐の長興三年に寂に帰す。王氏塔を建つ。

漳州保福院從展禪師

漳州保福院従展禅師

福州陳氏子。年十五。禮雪峰為受業師。遊吳楚間。後歸執侍。峰一日忽召曰。還會麼。師欲近前。峰以杖拄之。師當下知歸。嘗以古今方便詢於長慶。一日慶謂師曰。寧說阿羅漢有三毒。不可說如來有二種語。不道如來無語。祇是無二種語。師曰。作麼生是如來語。慶曰。聾人爭得聞。師曰。情知和尚向第二頭道。慶曰。汝又作麼生。師曰。吃茶去(雲居錫雲。甚麼處是長慶向第二頭道處)。因舉。盤山道。光境俱亡。復是何物。洞山道。光境未亡。復是何物。師曰。據此二尊宿商量。猶未得勦絕。乃問長慶。如今作麼生道得勦絕。慶良久。師曰。情知和尚向鬼窟裡作活計。慶卻問。作麼生。師曰。兩手扶犂水過膝。長慶問。見色便見心。還見船子麼。師曰。見。曰。船子且置。作麼生是心。師卻指船子(歸宗柔別雲。和尚祇解問人)。雪峰上堂曰。諸上座。望州亭與汝相見了也。烏石嶺與汝相見了也。僧堂前與汝相見了也。師舉問鵝湖。僧堂前相見即且置。祇如望州亭.烏石嶺甚麼處相見。鵝湖驟步歸方丈。師低頭入僧堂。梁真明四年。漳州刺史王公創保福禪苑。迎請居之。開堂日。王公禮跪三請。躬自扶掖陞堂。師乃曰。須起箇笑端作麼。然雖如此。再三不容推免。諸仁者還識麼。若識得。便與古佛齊肩。時有僧出。方禮拜。師曰。晴乾不肯去。直待雨淋頭。問。郡守崇建精舍。大闡真風。便請和尚舉揚宗教。師曰。還會麼。曰。恁麼則群生有賴也。師曰。莫塗汙人好。又僧出禮拜。師曰。大德好與。莫覆卻船子。僧問。泯默之時。將何為則。師曰。落在甚麼處。曰。不會。師曰。瞌睡漢出去。上堂。此事如擊石火。似閃電光。搆得搆不得。未免喪身失命。僧問。未審搆得底人還免喪身失命也無。師曰。適來且置。闍黎還搆得麼。曰。若搆不得。未免大眾怪笑。師曰。作家。作家。曰。是甚麼心行。

福州の陳氏の子。十五歳にして雪峯を礼して受業師と為す。呉楚の間に游び、後に来りて帰り執侍す。雪峯一日忽然として召して曰く、「還た会するか」。師前に近づかんと要す、雪峯杖を用いて他を拄ぐ。師当下に帰るを知る。曾て古今の方便を拏げて長慶に問う。一日長慶師に対して曰く、「寧ろ阿羅漢に三毒有りと説くとも、如来に二種の語有りと説くべからず。如来に語無しと道わず、只だ是れ二種の語無し」。師は言った、「作麼生なるか是れ如来の語」。長慶は言った、「聾人争で聞くことを得ん」。師は言った、「情に知る、和尚は第二頭に向かい道うと」。長慶は言った、「你又作麼生」。師は言った、「茶を喫し去れ」(雲居錫曰く、「甚麼の処か是れ長慶の第二頭に向かい道う処」)。盘山の道うを挙げるに因り、「光境俱に亡びて、復た是れ何物」。洞山の道う、「光境未だ亡びず、復た是れ何物」。師は言った、「此の両位の尊宿の商量に拠るに、猶お未だ剿絶を得ず」。便ち長慶に問うた、「如今作麼生に道うて剿絶を得ん」。長慶良久たり。師は言った、「情に知る、和尚は鬼窟の裏に向かい活計を作すと」。長慶却て問うた、「作麼生」。師は言った、「両手は犁を扶え水膝を過ぐ」。長慶問うた、「色を見れば便ち心を見る、還た船子を見るか」。師は言った、「見る」。曰く、「船子且く置き、作麼生なるか是れ心」。師却て船子を指す。(帰宗柔別えて曰く、「和尚は只だ人に問うを解す」)。雪峯上堂して曰く、「諸上座、望州亭にて汝と相見えし了れり、烏石嶺にて汝と相見えし了れり、僧堂前にて汝と相見えし了れり」。師挙げて鵝湖に問うた、「僧堂前に相見るは即ち且く置き、只だ如く望州亭・烏石嶺は甚麼の処にて相見えしか」。鵝湖驟かに方丈に帰る。師頭を低れて僧堂に入る。梁の真明四年、漳州刺史王公保福禅苑を創り、彼を迎え請うて住せしむ。堂を開く日、王公礼を跪して三請し、自ら扶掖して堂に升らしむ。師便ち言った、「須らく箇の笑端を起して作麼せん。然りと雖も此くの如し、再三推免を容れず。諸の仁者還た識るか。若し識り得ば、便ち古仏と肩を斉しくせん」。当時僧出でて、剛く礼拝せんとす、師は言った、「晴干の時は去るを肯んぜず、直に雨頭に淋るを待つ」。問うた、「郡守精舎を崇建し、真風を大いに闡く、便ち請う、和尚宗教を挙揚せんことを」。師は言った、「還た会するか」。曰く、「是くのごとくせば則ち群生頼み有るなり」。師は言った、「人を塗污する好き莫れ」。又僧出でて礼拝す。師は言った、「大徳よく与えん、船子を覆し却る莫れ」。僧問うた、「泯黙の時、何を将て則と為す」。師は言った、「甚麼の処に落つる」。曰く、「会せず」。師は言った、「瞌睡の漢出で去れ」。上堂、「此の事は石火を撃つがごとく、電光を閃かすに似たり。搆うるを得も得ざるも、未だ身を喪い命を失うを免れず」。僧問うた、「未だ審かならず搆うるを得たる人、還た身を喪い命を失うを免るるか無しや」。師は言った、「適来且く置き、闍梨還た搆うるを得るか」。曰く、「若し搆うるを得ざれば、未だ大衆の怪笑を免れず」。師は言った、「作家なり、作家なり」。曰く、「是れ甚麼の心行」

師曰。一杓屎攔面潑。也不知臭。師見僧。以杖打露柱。又打其僧頭。僧作忍痛聲。師曰。那箇為甚麼不痛。僧無對(玄覺代雲。貪行拄杖)。問。摩騰入漢。一藏分明。達磨西來。將何指示。師曰。上座行腳事作麼生。曰。不會。師曰。不會會取。莫傍家取人處分。若是久在叢林。粗委些子。遠近可以隨處任真。其有初心後學。未知次序。山僧所以不惜口業。向汝道塵劫來事。祇在如今。還會麼。然佛法付囑。國王.大臣.郡守昔同佛會。今方如是。若是福祿榮貴。則且不論。祇如當時受佛付囑底事。還記得麼。若識得。便與千聖齊肩。儻未識得。直須諦信此事不從人得。自己亦非。言多去道轉遠。直道言語道斷。心行處滅。猶未是在。久立。珍重。上堂。有人從佛殿後過。見是張三李四。從佛殿前過。為甚麼不見。且道佛法利害在甚麼處。僧曰。為有一分麤境。所以不見。師乃叱之。自代曰。若是佛殿即不見。曰。不是佛殿。還可見否。師曰。不是佛殿。見箇甚麼。問。十二時中如何據驗。師曰。恰好據驗。曰。學人為甚麼不見。師曰。不可更揑目去也。問。主伴重重。極十方而齊唱。如何是極十方而齊唱。師曰。汝何不教別人問。問。因言辯意時如何。師曰。因甚麼言。僧低頭良久。師曰。掣電之機。徒勞佇思。師因僧侍立。問曰。汝得恁麼麤心。僧曰。甚麼處是某甲麤心處。師拈一塊土。度與僧曰。拋向門前著。僧拋了卻來。曰。甚麼處是某甲麤心處。師曰。我見䇿著磕著。所以道汝麤心。師問羅山。僧問巖頭。浩浩塵中如何辨主。頭曰。銅沙鑼裡滿盛油。意作麼生。山召師。師應諾。山曰。獼猴入道場。山卻問明招。忽有人問你。又作麼生。招曰。箭穿紅日影。師問羅山。巖頭道與麼與麼。不與麼不與麼。意作麼生。山召師。師應諾。山曰。雙明亦雙暗。師禮謝。三日後卻問。前日蒙和尚垂慈。

師は言った、「一杓の屎、面に拦み泼すも、臭きを知らず」。師僧を見、杖を用いて露柱を打ち、又那の僧の頭を打つ。僧痛を忍ぶ声を作す。師は言った、「那箇は何為にか痛まざる」。僧対無し。(玄覚代えて曰く、「拄杖を貪り行う」)。問うた、「摩騰漢に入り、一蔵分明なり。達磨西より来りて、何を将て指示せん」。師は言った、「上座の行脚の事作麼生」。曰く、「会せず」。師は言った、「会せざれば会し取れ、傍家に傍りて人の処分を取る莫れ。若し是れ久しく叢林に在り、粗く些子を委ねば、遠近処に随い任真すべし。其の初心後学は、未だ次序を知らず、山僧所以に口業を惜しまず、你に向かい道う、塵劫来の事は只だ如今に在りと。還た会するか。然るに仏法の付嘱は、国王・大臣・郡守、昔は仏の会に同じく、今方に是くの如し。若し是れ福禄栄貴ならば、則ち且く論ぜず。只だ如く当時仏の付嘱を受けしの事、還た記え得るか。若し識り得ば、便ち千聖と肩を斉しくせん。倘し未だ識り得ざれば、直に須らく諦に信ずべし、此の事は人より得ず、自己も亦非ず。言多去れば道転じて遠し。直に言語道断・心行処滅と道うも、猶お未だ是れ在らず。久しく立つ。珍重」と。上堂、「人の仏殿の後を過ぐる有るは、張三李四と見る是れを見る;仏殿の前を過ぐるは、何為にか見ざる。且く道え、仏法の利害は甚麼の処に在る」。僧曰く、「一分の粗境有るが為に、所以に見えず」。師便ち之を叱る。自ら代えて曰く、「若し是れ仏殿ならば即ち見えず」。曰く、「仏殿に非ずんば、還た見るべきか否か」。師は言った、「仏殿に非ず、箇の甚麼を見る」。問うた、「十二時中如何にか拠験せん」。師は言った、「恰好に拠験す」。曰く、「学人は何為にか見ざる」。師は言った、「更に目を捏んじて去るべからず」。問うた、「主伴重重、十方を極めて斉しく唱う。如何なるか是れ十方を極めて斉しく唱う」。師は言った、「你何ぞ别人をして問わしめざる」。問うた、「言に因り意を弁ずる時如何」。師は言った、「甚麼の言に因る」。僧頭を低れて良久たり。師は言った、「掣電の機、徒らに佇思す」。師僧の侍立するに因り、問うて曰く、「你是くのごとく粗心を得たり」。僧曰く、「甚麼の処か是れ某甲の粗心の処」。師一塊の土を拈じ、僧に遞え与えて曰く、「門前に抛り向けて着け」。僧抛り了りて却て来り、曰く、「甚麼の処か是れ某甲の粗心の処」。師は言った、「我見る、策き着き磕き着くを、所以に你は粗心と道う」。師羅山に問うた、「僧巖頭に問う、浩浩の塵中如何にか主を弁ずる。巖頭曰く、銅沙鑼の裏に満く油を盛ると。意作麼生」。羅山師を召す。師応諾す。羅山曰く、「獼猴道場に入る」。羅山却て明招に問うた、「忽ち人の你に問う有らば、又作麼生」。明招曰く、「箭は紅日の影を穿つ」。師羅山に問うた、「巖頭道う、与么与么、不与么不与么、意作麼生」。羅山師を召す。師応諾す。羅山曰く、「双明は亦た双暗」。師礼謝す。三日の後却て問うた、「前日和尚の垂慈を蒙り、

祗為看不破。山曰。盡情向汝道了也。師曰。和尚是把火行山。曰。若與麼。據汝疑處問將來。師曰。如何是雙明亦雙暗。山曰。同生亦同死。師又禮謝而退。別有僧問師。同生亦同死時如何。師曰。彼此合取狗口。曰。和尚收取口吃飯。其僧卻問羅山。同生亦同死時如何。山曰。如牛無角。曰。同生不同死時如何。山曰。如虎戴角。師見僧吃飯。乃拓缽曰。家常。僧曰。和尚是甚麼心行。有尼到參。問師。阿誰。侍者報曰。覺師姑。師曰。既是覺師姑。用來作麼。尼曰。仁義道中即不無。師別雲。和尚是甚麼心行。師聞長生卓庵。乃往相訪。茶話次。生曰。曾有僧問祖師西來意。某甲舉拂子示之。不知得不得。師曰。某甲爭敢道得不得。有箇問。有人讚歎此事如虎戴角。有人輕毀此事分文不直。一等是恁麼事。因甚麼毀讚不同。生曰。適來出自偶爾(老宿雲。毀又爭得。又老宿雲。惜取眉毛好。太原孚雲。若無智眼。難辨得失)。師問僧。殿裡底是甚麼。曰。和尚定當看。師曰。釋迦佛。曰。和尚莫謾人好。師曰。卻是汝謾我。閩帥遣使送朱記到。師上堂提起印曰。去即印住。住即印破。僧曰。不去不住。用印奚為。師便打。僧曰。恁麼則鬼窟裡全因今日也。師持印歸方丈。問僧。甚處來。曰。江西。師曰。學得底那。曰。拈不出。師曰。作麼生(法眼別雲。謾語)。僧無對。師舉洞山真讚雲。徒觀紙與墨。不是山中人。僧問。如何是山中人。師曰。汝試邈掠看。曰。若不黠兒。幾成邈掠。師曰。汝是黠兒。曰。和尚是甚麼心行。師曰。來言不豐。僧數錢次。師乃展手曰。乞我一錢。曰。和尚因何到恁麼地。師曰。我到恁麼地。曰。若到恁麼地。將取一文去。師曰。汝因甚到恁麼地。問僧。甚處來。曰。觀音。師曰。還見觀音麼。曰。見。師曰。左邊見。右邊見。曰。見時不歷左右(法眼別雲。

(羅山が引き続き言う:)「只だ看破せざるが為」。羅山曰く、「情を尽くして你に向かい道い了れり」。師は言った、「和尚は是れ火を把りて山を行く」。羅山曰く、「若し是くのごとくせば、你が疑う処に拠りて問い将れ」。師は言った、「如何なるか是れ双明亦た双暗」。羅山曰く、「同生は亦た同死」。師又礼謝して退く。別に僧師に問うて有り、「同生亦た同死の時如何」。師は言った、「彼此合わせて狗口を取れ」。曰く、「和尚口を収め取りて飯を喫せ」。那の僧却て羅山に問うた、「同生亦た同死の時如何」。羅山曰く、「牛の角無きがごとし」。曰く、「同生にして同死ならざる時如何」。羅山曰く、「虎の角を戴くがごとし」。師僧の飯を喫するを見、便ち鉢を托して曰く、「家常」。僧曰く、「和尚は是れ甚麼の心行」。尼の参に到る有り。師に問うた、「阿誰」。侍者報じて曰く、「覚師姑」。師は言った、「既に覚師姑、用いて来り作麼せん」。尼曰く、「仁義の道中は即ち無しとせず」。師別えて曰く、「和尚は是れ甚麼の心行」。師長生の庵を卓くるを聞き、便ち往きて相い訪う。茶話の次、長生曰く、「曾て僧有りて祖師の西来意を問う、某甲は拂子を挙げて之に示す、得たるか得ざるかを知らず」。師は言った、「某甲争で敢て得たる得ざるを道わん。箇の問う有り、人の此の事を讃嘆する有るは虎の角を戴くがごとく、人の此の事を軽毀する有るは分文に値せず。一等に是れ是くのごとき事、何為にか毀讃同じからざる」。長生曰く、「適来偶爾より出でたり」(老宿曰く、「毀りて又争で得ん」。又老宿曰く、「眉毛を惜しみ取りて好し」。太原孚曰く、「若し智眼無ければ、得失を弁じ難し」)。師僧に問うた、「殿裏の是れ甚麼」。曰く、「和尚定めて当たり看よ」。師は言った、「釈迦仏」。曰く、「和尚人を謾る好き莫れ」。師は言った、「却て是れ你我を謾る」。閩帥使を遣わし朱印を送り到らしむ。師上堂に印を提起して曰く、「去れば即ち印住し、住すれば即ち印破る」。僧曰く、「去らず住せざれば、印を用いて奚を為さん」。師便ち打つ。僧曰く、「是くのごとくせば則ち鬼窟の裏は全く今日に因るなり」。師印を持ちて方丈に帰る。僧に問うた、「甚処より来る」。曰く、「江西」。師は言った、「学び得たるか那」。曰く、「拈げ出さず」。師は言った、「作麼生」(法眼別えて曰く、「謾語」)。僧対無し。師洞山の真讃を挙げて曰く、「徒らに紙と墨を観る、是れ山中の人に非ず」。僧問うた、「如何なるか是れ山中の人」。師は言った、「你試しに邈掠して看よ」。曰く、「若し黠児ならずんば、幾と邈掠を成さん」。師は言った、「你是れ黠児」。曰く、「和尚は是れ甚麼の心行」。師は言った、「来言は豊ならず」。僧銭を数うる次、師便ち手を展げて曰く、「我に一銭を乞え」。曰く、「和尚因に何れにか是くのごとき地に到る」。師は言った、「我是くのごとき地に到る」。曰く、「若し是くのごとき地に到らば、一文を将て取りて去れ」。師は言った、「你因に甚麼にか是くのごとき地に到る」。僧に問うた、「甚処より来る」。曰く、「観音」。師は言った、「還た観音を見るか」。曰く、「見る」。師は言った、「左辺に見るか、右辺に見るか」。曰く、「見る時は左右を歴えず」(法眼別えて曰く、

如和尚見)。問。如何是入火不燒。入水不溺。師曰。若是水火。即被燒溺。師問飯頭。鑊闊多少。曰。和尚試量看。師以手作量勢。曰。和尚莫謾某甲。師曰。卻是汝謾我。問。欲達無生路。應須識本源。如何是本源。師良久。卻問侍者。這僧問甚麼。其僧再舉。師乃喝出。曰。我不患聾。問。學人近入叢林。乞師全示入路。師曰。若教全示。我卻禮拜汝。師問僧。汝作甚麼業來。得恁麼長大。曰。和尚短多少。師卻蹲身作短勢。僧曰。和尚莫謾人好。師曰。卻是汝謾我。師令侍者屈隆壽長老雲。但獨自來。莫將侍者來。壽曰。不許將來。爭解離得。師曰。太煞恩愛。壽無對。師代曰。更謝和尚上足傳示。閩帥奏命服。一日示微疾。僧入丈室問訊。師曰。吾與汝相識年深。有何方術相救。曰。方術甚有。聞說和尚不解忌口(法燈別雲。和尚解忌口麼)。又謂眾曰。吾旬日來氣力困劣。別無他。祇是時至也。僧問。時既至矣。師去即是。住即是。師曰。道。道。曰。恁麼則某甲不敢造次。師曰。失錢遭罪。言訖而寂。

(法眼が引き続き言う:)「和尚の見るがごとし」)。問うた、「如何なるか是れ火に入りて焼かれず、水に入りて溺れざる」。師は言った、「若し是れ水火ならば、即ち焼溺せらる」。師飯頭に問うた、「鑊の闊きこと多少」。曰く、「和尚試しに量りて看よ」。師手を用いて量るの勢を作す。曰く、「和尚某甲を謾る莫れ」。師は言った、「却て是れ你我を謾る」。問うた、「無生の路に達せんと欲せば、応に須らく本源を識るべし。如何なるか是れ本源」。師良久にして、却て侍者に問うた、「此の僧は甚麼を問う」。那の僧再び挙ぐ。師便ち喝い出して曰く、「我聾を患えず」。問うた、「学人近く叢林に入り、老師に乞う、全く入路を示さんことを」。師は言った、「若し全く示さんと教わば、我却て你を礼拝せん」。師僧に問うた、「你甚麼の業を作して来り、是くのごとく長大を得たる」。曰く、「和尚は短かきこと多少」。師却て身を蹲めて短きの勢を作す。僧曰く、「和尚人を謾る好き莫れ」。師は言った、「却て是れ你我を謾る」。師侍者に令して隆寿長老を屈せしめて曰く、「但だ独り自ら来れ、侍者を将て来る莫れ」。隆寿曰く、「将て来るを許さずんば、争で解きて離るるを得ん」。師は言った、「太いに煞く恩愛」。隆寿対無し。師代えて曰く、「更に和尚の上足の伝示を謝す」。閩帥奏して命服を請う。一日微疾を示し、僧丈室に入り問訊す。師は言った、「我汝と相識して年深し、何の方術か相い救う」。曰く、「方術甚だ有り、聞くに和尚は忌口を解せず」(法燈別えて曰く、「和尚忌口を解するか」)。又衆に対して曰く、「我旬日以来気力困劣なり、別に他無し、只だ是れ時至れるなり」。僧問うた、「時既に至れり、老師去るは即是か、住するは即是か」。師は言った、「道え、道え」。曰く、「是くのごとくせば則ち某甲は敢て造次せず」。師は言った、「銭を失して罪に遭う」。言い訖りて寂す。

福州鼓山神晏興聖國師

福州鼓山神晏興聖国師

大梁李氏子。幼惡葷羶。樂聞鐘梵。年十二時。有白氣數道騰於所居屋壁。師題壁曰。白道從茲速改張。休來顯現作妖祥。定祛邪行歸真見。必得超凡入聖鄉。題罷。氣即隨滅。年甫志學。遘疾甚亟。夢神人與藥。覺而頓愈。明年又夢梵僧告曰。出家時至矣。遂依衛州白鹿山規禪師披削。嵩嶽受具。謂同學曰。古德雲。白四羯磨後。全體戒定慧。豈準繩而可拘也。於是杖錫。徧扣禪關。而但記語言。存乎知解。及造雪嶺。朗然符契。一日參雪峰。峰知其緣熟。忽起搊住曰。是甚麼。師釋然了悟。亦忘其了心。唯舉手搖曳而已。峰曰。子作道理邪。師曰。何道理之有。峰審其懸解。撫而印之。後閩帥常詢法要。創鼓山禪苑。請舉揚宗旨。上堂。良久曰。南泉在日。亦有人舉。要且不識南泉。即今莫有識南泉者麼。試出來。對眾驗看。時有僧出。禮拜才起。師曰。作麼生。僧近前曰。諮和尚。師曰。不才請退。乃曰。經有經師。論有論師。律有律師。有函有號。有部有帙。各有人傳持。且佛法是建立教。禪道乃止啼之說。他諸聖出興。葢為人心不等。巧開方便。遂有多門。受疾不同。處方還異。在有破有。居空叱空。二患既除。中道須遣。鼓山所以道。句不當機。言非展事。承言者喪。滯句者迷。不唱言前。寧談句後。直至釋迦掩室。淨名杜口。大士梁時童子。當日一問二問三問。盡有人了也。諸仁者合作麼生。時有僧出禮拜。師曰。高聲問。曰。學人諮和尚。師喝曰。出去。曰。己事未明。以何為驗。師抗聲曰。似未聞那。其僧再問。師曰。一點隨流。食鹹不重。問。如何是包盡乾坤底句。師曰。近前來。僧近前。師曰。鈍置殺人。曰。如何紹得。師曰。犴俗無風。徒勞展掌。曰。如何即是。師曰。錯。曰。學人便承當時如何。師曰。汝作麼生承當(法燈別雲。莫費力)。問。如何是學人正立處。師曰。

大梁の李氏の子。幼年にして葷羶を厭惡し、鐘梵を聞くを楽しむ。十二歳の時、白気数道の住する屋壁に騰る有り。師壁上に題して曰く、「白道は兹より速やかに改張し、来りて顕現して妖祥を作すを休めよ。定めて邪行を祛りて真見に帰し、必ず凡を超えて聖郷に入るを得ん」。題し罷りて、気即ち随い滅す。年甫めて志学、疾に遭うこと甚だ急く、神人の薬を与えるを夢み、醒めて後頓に愈ゆ。明年又梵僧の告げ訴えて曰く、「出家の時至れり」と夢みる。是に於て衛州白鹿山の規禅師に依りて披剃し、嵩岳に在りて具を受く。同の学に対して曰く、「古徳曰く、白四羯磨の後、全体の戒定慧、豈に准縄にして拘うべけんや」と。是に於て杖錫して、遍く禅関を扣くも、而も但だ言語を記え、知解に存す。雪嶺に到るに及び、朗然として符契す。一日雪峯に参す、雪峯其の縁の熟するを知り、忽然として起ち来りて搊え住して曰く、「是れ甚麼」。師释然として了悟し、亦た那の了心を忘れ、只だ手を挙げて揺曳するのみ。雪峯曰く、「你道理を作すか邪」。師は言った、「何の道理か之れ有らん」。雪峯其の懸解を審め、抚して之を印す。後に閩帥常に法要を詢ね、鼓山禅苑を創り、彼を請うて宗旨を挙揚せしむ。上堂。良久にして言った、「南泉の在日、亦た挙ぐる人有り、要するに且く南泉を識らず。即今南泉を識る有るか無しや。試しに出で来り、衆に対して験し看よ」。当時僧出でて、礼拝纔かに起つ、師は言った、「作麼生」。僧近く前より曰く、「和尚に咨す」。師は言った、「不才、請う退け。」便ち言った、「経に経師有り、論に論師有り、律に律師有り。函有り号有り、部有り帙有り、各々人の伝持する有り。且く仏法は是れ建立の教、禅道は乃ち啼を止めるの説。他の諸聖の出興は、蓋し人心の等しからざるが為、巧みに方便を開き、遂に多門有り。疾を受くること同じからず、処方還た異なり。有に在りて有を破り、空に居りて空を叱る。二患既に除かれ、中道須らく遣らるべし。鼓山所以に道う、句は機に当たらず、言は事を展べるに非ず。言を承くる者は喪い、句に滞る者は迷う。言前を唱えず、寧ろ句後を談ず。直に釈迦の室を掩い、浄名の口を杜ぐるに至る。大士は梁の時の童子、当日の一問二問三問、尽く人了えし了れり。諸の仁者合して作麼生せん」。当時僧出でて礼拝す。師は言った、「高く声して問え」。曰く、「学人和尚に咨す」。師喝いて曰く、「出で去れ」。曰く、「己事未だ明らかならず、何を以て験と為す」。師声を抗げて曰く、「未だ聞えざるに似たり那」。那の僧再び問う。師は言った、「一点流に随い、鹹を食いて重からず」。問うた、「如何なるか是れ乾坤を包尽するの句」。師は言った、「近く前に来れ」。僧近く前す。師は言った、「鈍置して人を殺す」。曰く、「如何にか紹ぐるを得ん」。師は言った、「犴俗風無し、徒らに掌を展ぐ」。曰く、「如何にか即是」。師は言った、「错」。曰く、「学人便ち承当する時如何」。師は言った、「你作麼生に承当する」(法燈別えて曰く、「力を費す莫れ」)。問うた、「如何なるか是れ学人の正立処」。師は言った、

不從諸聖行(法燈別雲。汝擬亂走)。問。千山萬山。那箇是正山。師曰。用正山作麼(法燈別雲。千山萬山)。師與招慶相遇次。慶曰。家常。師曰。太無厭生。慶曰。且欵欵。師卻曰。家常。慶曰。今日未有火。師曰。太鄙悋生。慶曰。穩便將取去。上堂。垂語曰。鼓山門下。不得咳嗽。時有僧咳嗽一聲。師曰。作甚麼。曰。傷風。師曰。傷風即得。僧問。如何是宗門中事。師乃側掌。吽。吽。問。如何是向上關棙子。師便打。問。如何是鼓山正主。師曰。瞎作麼。師問保福。古人道。非不非。是不是。意作麼生。福拈起茶盞。師曰。莫是非好。問。如何是真實人體。師曰。即今是甚麼體。曰。究竟如何。師曰。爭得到恁麼地。問。如何是佛法大意。師曰。金烏一點。萬裡無雲。上堂。欲知此事如一口劒。僧問。學人是死屍。如何是劒。師曰。拽出這死屍著。僧應喏。便歸僧堂。結束而去。師至晚聞得。乃曰。好與拄杖(東禪齊雲。這僧若不肯鼓山。有甚過。若肯。何得便發去。又云。鼓山拄杖。賞伊罰伊。具眼底試商量看)。問僧。鼓山有不跨石門句。汝作麼生道。僧曰。請師便打。問。如何是古人省心力處。師曰。汝何費力。問。言滿天下無口過。如何是無口過。師曰。有甚麼過。問。如何是教外別傳底事。師曰。吃茶去。師與閩帥瞻仰佛像。帥問。是甚麼佛。師曰。請大王鑒。帥曰。鑒即不是佛。師曰。是甚麼。帥無對(長慶代雲。久承大師在眾。何得造次)。僧問。從上宗乘如何舉唱。師以拂子驀口打。問。如何是省要處。師曰。汝還恥麼。師復曰。今為諸仁者。刺頭入他諸聖化門裡。抖擻不出。所以向諸人道。教排不到。祖不西來。三世諸佛不能唱。十二分教載不起。凡聖攝不得。古今傳不得。忽爾是箇漢。未通箇消息。向他恁麼道。被他驀口摑。還怪得他麼。雖然如此。也不得亂摑。

(師が引き続き言う:)「諸聖の行よりせず」(法燈別えて曰く、「你乱れ走らんと擬す」)。問うた、「千山万山、那箇か是れ正山」。師は言った、「正山を用いて作麼せん」(法燈別えて曰く、「千山万山」)。師招慶と相遇うる次、招慶曰く、「家常」。師は言った、「太いに厭無き生」。招慶曰く、「且く款款に」。師却て曰く、「家常」。招慶曰く、「今日未だ火有らず」。師は言った、「太いに鄙吝の生」。招慶曰く、「穏かに便ち将て取りて去れ」。上堂。語を垂れて曰く、「鼓山の門下、咳嗽するを得ず」。当時僧咳嗽一声す。師は言った、「甚麼を作す」。曰く、「傷風」。師は言った、「傷風ならば即ち得す」。僧問うた、「如何なるか是れ宗門中の事」。師便ち掌を側け、吽吽たり。問うた、「如何なるか是れ向上の関棙子」。師便ち打つ。問うた、「如何なるか是れ鼓山の正主」。師は言った、「瞎れ作麼せん」。師保福に問うた、「古人道う、非不非、是不是、意作麼生」。保福茶盞を拈げ起す。師は言った、「是れ非を好む莫れ」。問うた、「如何なるか是れ真実の人体」。師は言った、「即今是れ甚麼の体」。曰く、「究竟如何」。師は言った、「争で得て是くのごとき地に到らん」。問うた、「如何なるか是れ仏法の大意」。師は言った、「金烏一点、万里雲無し」。上堂、「此の事を知らんと欲せば如一口の剣のごとし」。僧問うた、「学人是れ死屍、如何なるか是れ剣」。師は言った、「此の死屍を拽き出だし着け」。僧応喏して、便ち僧堂に帰り、結束して去る。師晩間に到りて聞き、便ち言った、「好き拄杖を与えん」(東禅斉曰く、「此の僧若し鼓山を肯んぜずんば、甚だ過有るか。若し肯んずれば、何ぞ得て便ち発去せん」。又曰く、「鼓山の拄杖は、伊を賞し伊を罰す。眼を具する者試しに商量し看よ」)。僧に問うた、「鼓山に石門を跨がざる句有り、你作麼生に道う」。僧曰く、「請う、老師便ち打て」。問うた、「如何なるか是れ古人の心力を省くる処」。師は言った、「你何の力をか費す」。問うた、「言天下に満ちて口過無し、如何なるか是れ口過無き」。師は言った、「甚麼の過か有る」。問うた、「如何なるか是れ教外別伝の事」。師は言った、「茶を喫し去れ」。師閩帥と仏像を瞻仰す。閩帥問うた、「是れ甚麼の仏」。師は言った、「大王に鑑ることを請う」。閩帥曰く、「鑑るは即ち仏に非ず」。師は言った、「是れ甚麼」。閩帥対無し。(長慶代えて曰く、「久しく大師の衆に在るを承く、何ぞ得て造次せん」)。僧問うた、「従上の宗乗如何にか挙唱せん」。師拂子を以て口に蓦え打つ。問うた、「如何なるか是れ省要の処」。師は言った、「你還た恥づるか」。師又言った、「今諸の仁者の為に、頭を刺し他の諸聖の化門の裏に入り、抖擻して出でず。所以に諸人に向かい道う、教の排するは到らず、祖は西より来らず。三世の諸仏も唱うること能わず、十二分教も載せ起すこと能わず。凡聖も摂することを得ず、古今も伝うることを得ず。忽ち爾れ箇の漢、未だ箇の消息を通ぜず、他に向かい是くのごとく道えば、他に蓦口に掴まれん、還た他を怪するを得んか。此くの如くすと雖も、亦た乱れ掴むべからず」。

鼓山尋常道。更有一人不跨石門。須有不跨石門句。作麼生是不跨石門句。鼓山自住三十餘年。五湖四海來者向高山頂上看山翫水。未見一人快利。通得箇消息。如今還有人通得也未。若通得亦不昧諸兄弟。若無。不如散去。珍重。師有偈曰。直下猶難會。尋言轉更賒。若論佛與祖。特地隔天涯。師舉問僧。汝作麼生會。僧無語。乃謂侍者曰。某甲不會。請代一轉語。者曰。和尚與麼道。猶隔天涯在。僧舉似師。師喚侍者。問。汝為這僧代語。是否。者曰。是。師便打趂出院。

(師が引き続き言う:)「鼓山尋常に道う、更に一人の石門を跨がざる者有り、須らく石門を跨がざるの句有るべし。作麼生なるか是れ石門を跨がざるの句。鼓山自ら住すること三十余年、五湖四海より来りて高山の頂上に向かい山を看み水を玩ぶも、未だ一人の快利にして箇の消息を通ずるを見ず。如今還た通じ得る人有るか未だ。若し通じ得ば、亦た諸の兄弟を昧まず。若し無ければ、散じ去るに如かず。珍重」と。師に偈有りて曰く、「直下に猶お会し難し、言を尋ぬれば転じて更に賒し。若し仏と祖とを論ぜば、特地に天涯に隔たる」。師挙げて僧に問うた、「你作麼生に会する」。僧語無く、便ち侍者に対して曰く、「某甲会せず、一転語を代えんことを請う」。侍者曰く、「和尚の是くのごとく道うは、猶お天涯に隔たる在り」。僧挙げて師に似す。師侍者を喚び、問うた、「你此の僧の為に語を代ゆるは、是か否か」。侍者曰く、「是なり」。師便ち打ち、院を趁い出だす。

杭州龍華寺靈照真覺禪師

杭州龍華寺靈照真覚禅師

高麗人也。萍遊閩越。陞雪峰之堂。冥符玄旨。居唯一衲。服勤眾務。閩中謂之照布衲。一夕。指半月問溥上座曰。那一片甚麼處去也。溥曰。莫妄想。師曰。失卻一片也。眾雖歎美。而恬澹自持。初住婺州齊雲山。上堂良久。忽舒手顧眾曰。乞取些子。乞取些子。又曰。一人傳虗。萬人傳實。僧問。草童能歌舞。未審今時還有無。師下座作舞曰。沙彌會麼。曰。不會。師曰。山僧蹋曲子也不會。問。還丹一粒。點鐵成金。至理一言。轉凡成聖。請師一點。師曰。還知齊雲點金成鐵麼。曰。點金成鐵。前之未聞。至理一言。敢希垂示。師曰。句下不薦。後悔難追。次遷越州鏡清。上堂。今日盡令去也。時有僧出曰。請師盡令。師乃吽。吽。問。如何是學人本分事。師曰。鏡清不惜口。問。請師彫琢。師曰。八成。曰。為甚麼不十成。師曰。還知鏡清生修理麼。問僧。甚處來。曰。五峰來。師曰。來作甚麼。曰。禮拜和尚。師曰。何不自禮。曰。禮了也。師曰。鏡湖水淺。問。如何是第一句。師曰。莫錯下名言。曰。豈無方便。師曰。烏頭養雀兒。問。向上一路。千聖不傳。未審甚麼人傳得。師曰。千聖也疑我。曰。莫便是傳也無。師曰。晉帝斬嵆康。問釋迦掩室於摩竭。淨名杜口於毗耶。此意如何。師曰。東廊下兩兩三三。上堂。諸方以毗盧法身為極則。鏡清這裡即不然。須知毗盧有師。法身有主。僧問。如何是毗盧師.法身主。師曰。二公爭敢論。問。古人道見色便見心。此即是色。阿那箇是心。師曰。恁麼問。莫欺山僧麼。問。未剖以前。請師斷。師曰。落在甚麼處。曰。失口即不可。師曰。也是寒山送拾得。僧禮拜。師曰。住。住。闍黎失口。山僧失口。曰。惡虎不食子。師曰。驢頭出。馬頭回。師驀問一僧。記得麼。曰。記得。師曰。道甚麼。曰。道甚麼。師曰。淮南小兒入寺。問。

高麗の人。萍のごとく閩越に游び、雪峯の堂に升り、冥く玄旨に符す。居るに唯だ一衲、衆務に服勤す。閩中は之を照布衲と称す。一夕、半月を指して溥上座に問うた、「那の一片は甚麼の処に去りしか」。溥曰く、「妄想する莫れ」。師は言った、「一片を失却せり」。衆叹美すと雖も、而も恬澹として自ら持す。初め婺州斉雲山に住す。上堂良久にして、忽然として手を舒べて大衆を看て曰く、「些子を乞い取れ、些子を乞い取れ」。又曰く、「一人虚を伝え、万人実を伝う」。僧問うた、「草童は能く歌舞す、未だ審かならず今時還た有るか無しや」。師座を下りて舞を作して曰く、「沙弥会するか」。曰く、「会せず」。師は言った、「山僧は曲子を踏むも会せず」。問うた、「還丹一粒、鉄を点じて金と成す。至理一言、凡を転じて聖と成す。請う、老師一点せんことを」。師は言った、「還た斉雲の金を点じて鉄と成すを知るか」。曰く、「金を点じて鉄と成すは、前に未だ聞かず。至理一言、敢て垂示を希う」。師は言った、「句下に薦らざれば、後の悔い追い難し」。後に越州鏡清に遷る。上堂、「今日は令を尽くして去るなり」。当時僧出でて曰く、「請う、老師令を尽くせ」。師便ち吽吽たり。問うた、「如何なるか是れ学人の本分の事」。師は言った、「鏡清は口を惜しまず」。問うた、「請う、老師雕琢せんことを」。師は言った、「八成」。曰く、「何為にか十成ならざる」。師は言った、「還た鏡清の修理を生ずるを知るか」。僧に問うた、「甚処より来る」。曰く、「五峰より来る」。師は言った、「来りて甚麼を作す」。曰く、「和尚を礼拝す」。師は言った、「何ぞ自ら礼せざる」。曰く、「礼し了れり」。師は言った、「鏡湖の水浅し」。問うた、「如何なるか是れ第一句」。師は言った、「名言を錯り下す莫れ」。曰く、「豈に方便無けんや」。師は言った、「烏頭は雀児を養う」。問うた、「向上の一路、千聖伝えず。未だ審かならず甚麼の人か伝うるを得る」。師は言った、「千聖も亦た我を疑う」。曰く、「莫れ便是伝か無しや」。師は言った、「晋帝は嵆康を斬る」。問うた、「釈迦摩竭に室を掩い、浄名毘耶に口を杜ぐ、此の意如何」。師は言った、「東廊下に両两三三」。上堂、「諸方は毘盧法身を以て極則と為す、鏡清此処は即ち然らず。須らく知るべし、毘盧に師有り、法身に主有ることを」。僧問うた、「如何なるか是れ毘盧の師、法身の主」。師は言った、「二公争で敢て論ぜん」。問うた、「古人道う、色を見れば便ち心を見ると。此れ即ち是れ色、阿哪个か是れ心」。師は言った、「是くのごとく問う、山僧を欺く莫れか」。問うた、「未だ剖せざる以前、請う、老師断ぜよ」。師は言った、「甚麼の処に落つる」。曰く、「口を失すれば即ち不可なり」。師は言った、「亦た是れ寒山の拾得を送る」。僧礼拝す。師は言った、「住れ、住れ。闍梨口を失し、山僧口を失す」。曰く、「悪虎は子を食わず」。師は言った、「驢頭出で、馬頭回る」。師蓦えに一僧に問うた、「記え得るか」。曰く、「記え得り」。師は言った、「甚麼を道う」。曰く、「甚麼を道う」。師は言った、「淮南の小児寺に入る」。問うた、

是甚麼即俊鷹俊鷂趂不及。師曰。闍黎別問。山僧別答。曰。請師別答。師曰。十里行人較一程。問。金屑雖貴。眼裡著不得時如何。師曰。著不得。還著得麼。僧禮拜。師曰。深沙神。問。菩提樹下度眾生。如何是菩提樹。師曰。大似苦練樹。曰。為甚麼似苦練樹。師曰。素非良馬。何勞鞭影。晉天福丁未示寂。塔於杭之大慈山。

問うた、「是れ甚麼か即ち俊鷹俊鷂も趁り及ばざる」。師は言った、「闍梨別に問え、山僧別に答えん」。曰く、「請う、老師別に答えよ」。師は言った、「十里の行人は一程に較ぶ」。問うた、「金屑は貴しと雖も、眼裏に着くるを得ざる時如何」。師は言った、「着くるを得ざれば還た着くるを得るか」。僧礼拝す。師は言った、「深沙神」。問うた、「菩提樹下に衆生を度す、如何なるか是れ菩提樹」。師は言った、「大いに苦錬の樹に似たり」。曰く、「何為にか苦錬の樹に似る」。師は言った、「素より良馬に非ず、何ぞ鞭影を労せん」。晋の天福丁未に寂を示す。塔は杭州大慈山に在り。

明州翠巖令參永明禪師

明州翠巖令参永明禅師

安吉州人也。僧問。不借三寸。請師道。師曰。茶堂裡貶剝去。問。國師三喚侍者。意旨如何。師曰。抑逼人作麼。上堂。一夏與兄弟東語西話。看翠巖眉毛在麼(長慶雲。生也。雲門雲。關。保福雲。作賊人心虛。翠巖芝雲。為眾竭力。禍出私門)。問。凡有言句。盡是點汙。如何是向上事。師曰。凡有言句。盡是點汙。問。如何是省要處。師曰。大眾笑汝。問。還丹一粒。點鐵成金。至理一言。轉凡成聖。學人上來。請師一點。師曰。不點。曰。為甚麼不點。師曰。恐汝落凡聖。曰。乞師至理。師曰。侍者點茶來。問。古人拈槌竪拂。意旨如何。師曰。邪法難扶。問。僧繇為甚寫誌公真不得。師曰。作麼生合殺。問。險惡道中。以何為津梁。師曰。藥山再三叮囑。問。不帶凡聖。當機何示。師曰。莫向人道翠巖靈利。問。玅機言句。盡皆不當。宗乘中事如何。師曰。禮拜著。曰。學人不會。師曰。出家行腳。禮拜也不會。師後遷龍冊而終焉。

安吉州の人。僧問うた、「三寸を借せず、請う、老師道え」。師は言った、「茶堂の裏に貶剥して去れ」。問うた、「国師三たび侍者を喚ぶ、意旨如何」。師は言った、「人を抑逼して作麼せん」。上堂、「一夏兄弟と与に東に語り西に話す、翠巖の眉毛在るか看よ」(長慶曰く、「生えり」。雲門曰く、「関」。保福曰く、「賊を作す人は心虚し」。翠巖芝曰く、「衆の為に力を竭くせば、禍は私門より出ず」)。問うた、「凡そ言句有るは、尽く是れ点污。如何なるか是れ向上の事」。師は言った、「凡そ言句有るは、尽く是れ点污」。問うた、「如何なるか是れ省要の処」。師は言った、「大衆你を笑う」。問うた、「還丹一粒、鉄を点じて金と成す。至理一言、凡を転じて聖と成す。学人上り来り、請う、老師一点せんことを」。師は言った、「点ぜず」。曰く、「何為にか点ぜざる」。師は言った、「你の凡聖に落ちんを恐る」。曰く、「老師に至理を乞う」。師は言った、「侍者茶を点じ来れ」。問うた、「古人槌を拈じ拂を竪つ、意旨如何」。師は言った、「邪法は扶え難し」。問うた、「僧繇は何為にか志公の真を写して得ざる」。師は言った、「作麼生に合殺せん」。問うた、「険悪の道中、何を以て津梁と為す」。師は言った、「薬山再三に叮嘱す」。問うた、「凡聖を帯びず、機に当たり何をか示す」。師は言った、「人に向かい翠巖の霊利と道う莫れ」。問うた、「妙機の言句、尽く皆当たらず。宗乗中の事如何」。師は言った、「礼拝し着け」。曰く、「学人会せず」。師は言った、「出家行脚して、礼拝も会せず」。師後に龍冊に遷りて終わる。

越州鏡清寺道怤順德禪師

越州鏡清寺道怤順徳禅師

永嘉陳氏子。六歲不葷茹。親黨強啖以枯魚。隨即嗢噦遂求出家。於本州開元寺受具。遊方抵閩。謁雪峰。峰問。甚處人。曰。溫州人。峰曰。恁麼則與一宿覺是鄉人也。曰。祇如一宿覺是甚麼處人。峰曰。好吃一頓棒。且放過。一日。師問。祇如古德。豈不是以心傳心。峰曰。兼不立文字語句。師曰。祇如不立文字語句。師如何傳。峰良久。師禮謝。峰曰。更問我一轉豈不好。師曰。就和尚請一轉問頭。峰曰。祇恁麼。為別有商量。師曰。和尚恁麼即得。峰曰。於汝作麼生。師曰。孤負殺人。雪峰謂眾曰。堂堂密密地。師出。問。是甚麼堂堂密密。峰起立曰。道甚麼。師退步而立。雪峰垂語曰。此事得恁麼尊貴。得恁麼綿密。師曰。道怤自到來數年。不聞和尚恁麼示誨。峰曰。我向前雖無。如今已有。莫有所妨麼。曰。不敢。此是和尚不已而已。峰曰。致使我如此。師從此信入。而且隨眾。時謂之小怤布衲。普請次。雪峰舉。溈山道。見色便見心。汝道還有過也無。師曰。古人為甚麼事。峰曰。雖然如此。要共汝商量。師曰。恁麼則不如道怤鉏地去。師再參雪峰。峰問。甚處來。師曰。嶺外來。峰曰。甚麼處逢見達磨。師曰。更在甚麼處。峰曰。未信汝在。師曰。和尚莫恁麼粘泥好。峰便休。師後遍歷諸方。益資權智。因訪先曹山。山問甚麼處來。師曰。昨日離明水。山曰。甚麼時到明水。師曰。和尚到時到。山曰。汝道我甚麼時到。師曰。適來猶記得。山曰。如是。如是。師初住越州鏡清。唱雪峰之旨。學者奔湊。副使皮光業者。日休之子。辭學宏瞻。屢擊難之。退謂人曰。怤師之高論。人莫窺其極也。新到參。師拈起拂子。僧曰。久嚮鏡清。猶有這箇在。師曰。鏡清今日失利。問。學人啐。請師啄。師曰。還得活也無。曰。若不活。遭人怪笑。師曰。也是草裡漢。問僧。近離甚處。曰。三峰。師曰。

永嘉の陳氏の子。六歳にして葷茹せず。親党強いて枯魚を啖らしめ、随い即ち嗢噦す、是に於て出家を求む。本州開元寺に在りて具を受く。方を游びて閩に到り、雪峯を謁す。雪峯問うた、「甚処の人」。曰く、「温州の人」。雪峯曰く、「是くのごとくせば則ち一宿覚と是れ郷人なり」。曰く、「只だ如く一宿覚は是れ甚麼の処の人」。雪峯曰く、「好き一頓の棒を喫し、且く放ち過せん」。一日、師問うた、「只だ如く古徳は、豈に以て心を以て心を伝うるに非ずや」。雪峯曰く、「兼ねて文字語句を立てず」。師は言った、「只だ如く文字語句を立てざれば、老師如何にか伝うる」。雪峯良久たり。師礼謝す。雪峯曰く、「更に我に一転を問えば豈に好からずや」。師は言った、「和尚に就きて一転の問頭を請わん」。雪峯曰く、「只だ是くのごとく、別に商量有ると為すか」。師は言った、「和尚是くのごとくすれば即ち得す」。雪峯曰く、「你に於て作麼生」。師は言った、「孤負して人を殺す」。雪峯衆に対して曰く、「堂堂として密密地なり」。師出でて、問うた、「是れ甚麼の堂堂密密」。雪峯起立して曰く、「甚麼を道う」。師歩を退きて立つ。雪峯語を垂れて曰く、「此の事は是くのごとく尊貴を得、是くのごとく綿密を得たり」。師は言った、「道怤自ら到来して数年、和尚の是くのごとく示誨するを聞かず」。雪峯曰く、「我前に向かい無しと雖も、如今已に有り、妨ぐる所有る莫れか」。曰く、「敢てせず。此れ是れ和尚の已まずして已める」。雪峯曰く、「我をして此くの如くせしむるを致す」。師此より信入し、而且衆に随う。当時之を小怤布衲と称す。普請の次、雪峯潙山の道うを挙げ、「色を見れば便ち心を見る。你道え、還た過有るか無しや」。師は言った、「古人は甚為の事」。雪峯曰く、「此くの如くすと雖も、要するに你と商量を共にせん」。師は言った、「是くのごとくせば則ち道怤の地を鋤り去るに如かず」。師再び雪峯に参す。雪峯問うた、「甚処より来る」。師は言った、「嶺外より来る」。雪峯曰く、「甚麼の処にて達磨に逢見せし」。師は言った、「更に甚麼の処に在る」。雪峯曰く、「未だ你を信ぜざる在り」。師は言った、「和尚是くのごとく粘泥する好き莫れ」。雪峯便ち休む。師後に遍く諸方を歴え、益々権智を資す。先曹山を訪うに因り。曹山問うた、「甚麼の処より来る」。師は言った、「昨日明水を離る」。曹山曰く、「甚麼の時にか明水に到る」。師は言った、「和尚の到る時に到る」。曹山曰く、「你道え、我甚麼の時にか到る」。師は言った、「適来猶お記え得たり」。曹山曰く、「是くの如し、是くの如し」。師初め越州鏡清に住し、雪峯の旨を唱え、学者奔り凑まる。副使皮光業、是れ日休の子、辞学宏贍にして、屡々難を撃つ。退きて人に対して曰く、「怤師の高論は、人其の極を窺う莫し」。新到参す。師拂子を拈げ起す。僧曰く、「久しく鏡清に向かうも、猶お此の箇有る在り」。師は言った、「鏡清今日利を失う」。問うた、「学人啐らば、請う、老師啄まんことを」。師は言った、「還た活するを得るか無しや」。曰く、「若し活せずんば、人の怪笑に遭わん」。師は言った、「亦た是れ草裏の漢」。僧に問うた、「近く甚処を離る」。曰く、「三峰」。師は言った、

夏在甚處。曰五峰。師曰。放你三十棒。曰。過在甚麼處。師曰。為汝出一叢林。入一叢林。師一日於僧堂自擊鐘曰。玄沙道底。玄沙道底。僧問。玄沙道甚麼。師乃畫一圓相。僧曰。若不久參。爭知與麼。師曰。失錢遭罪。師住菴時。有行者至。徐徐近繩床。取拂子提起。問。某甲喚這箇作拂子。庵主喚作甚麼。師曰。不可更安名立字也。行者乃擲卻拂子曰。著甚死急。問僧。外面是甚麼聲。曰。蛇齩蝦蟇聲。師曰。將謂眾生苦。更有苦眾生。師問靈雲。行腳事大。乞師指南。雲曰。浙中米作麼價。師曰。若不是道怤。洎作米價會卻。問。如何是靈源一直道。師曰。鏡湖水可煞深。問。如何是清淨法身。師曰。紅日照青山。曰。如何是法身向上事。師曰。風吹雪不寒。問僧。趙州吃茶話。汝作麼生會。僧便出去。師曰。邯鄲學唐步。問。學人未達其源。請師方便。師曰。是甚麼源。曰。其源。師曰。若是其源。爭受方便。僧禮拜退。侍者問。和尚適來莫是成褫伊麼。師曰。無。曰。莫是不成褫伊麼。師曰。無。曰。未審意旨如何。師曰。一點水墨。兩處成龍。師在帳中坐。有僧問訊。師撥開曰。當斷不斷。反招其亂。曰。既是當斷。為甚麼不斷。師曰。我若盡法。直恐無民。曰。不怕無民。請師盡法。師曰。維那。拽出此僧著。又曰。休。休。我在南方識伊和尚來。普請鉏草次。浴頭請師浴。師不顧。如是三請。師舉钁作打勢。頭便走。師召曰。來。來。頭回首。師曰。向後遇作家。分明舉似。頭後到保福。舉前語未了。福以手掩其口。頭卻回。舉似師。師曰。饒伊恁麼也未作家。師問荷玉。甚處來。曰。天台來。師曰。阿誰問汝天台。曰。和尚何得龍頭蛇尾。師曰。鏡清今日失利。師看經次。僧問。和尚看甚麼經。師曰。我與古人鬪百草。師卻問。汝會麼。曰。少年也曾恁麼來。師曰。如今作麼生。

(師が引き続き言う:)「夏は甚処に在る」。曰く、「五峰」。師は言った、「你に三十棒を放つ」。曰く、「過は甚麼の処に在る」。師は言った、「你が為に一叢林を出で、一叢林に入る」。師一日僧堂に在りて自ら鐘を撃ちて曰く、「玄沙の道うたる、玄沙の道うたる」。僧問うた、「玄沙は甚麼を道う」。師便ち一円相を画く。僧曰く、「若し久しく参ぜずんば、争で知らん是くのごとくを」。師は言った、「銭を失して罪に遭う」。師庵に住する時、行者至る有り、徐徐として繩床に近づき、拂子を取りて提起し、問うた、「某甲此の箇を拂子と喚ぶ、庵主は甚麼と喚ぶ」。師は言った、「更に名を安め字を立つべからず」。行者便ち拂子を擲げ却して曰く、「甚の死急を着くる」。僧に問うた、「外面是れ甚麼の声」。曰く、「蛇の蝦蟆を咬む声」。師は言った、「衆生の苦と謂い将たり、更に衆生を苦しむる有り」。師靈雲に問うた、「行脚の事大なり、老師に指南を乞う」。靈雲曰く、「浙中の米は作麼の価」。師は言った、「若し是れ道怤ならずんば、洎して米価と会し却らん」。問うた、「如何なるか是れ靈源の一直道」。師は言った、「鏡湖の水可いに煞く深し」。問うた、「如何なるか是れ清浄の法身」。師は言った、「紅日青山を照らす」。曰く、「如何なるか是れ法身向上の事」。師は言った、「風雪を吹きて寒からず」。僧に問うた、「趙州の茶を喫するの話、你作麼生に会する」。僧便ち出で去る。師は言った、「邯鄲に唐歩を学ぶ」。問うた、「学人未だ其の源に達せず、請う、老師方便せんことを」。師は言った、「是れ甚麼の源」。曰く、「其の源」。師は言った、「若し是れ其の源ならば、争で方便を受けん」。僧礼拝して退く。侍者問うた、「和尚適来莫れ是れ伊を成褫するか」。師は言った、「無し」。曰く、「莫れ是れ伊を成褫せざるか」。師は言った、「無し」。曰く、「未だ審かならず意旨如何」。師は言った、「一点の水墨、両処に竜と成る」。師帳中に在りて坐す。僧の問訊する有り。師撥き開きて曰く、「当に断ずべきに断ぜず、反りて其の乱を招く」。曰く、「既に当に断ずべし、何為にか断ぜざる」。師は言った、「我若し法を尽くさば、直に民無きを恐れん」。曰く、「民無きを怕れず、請う、老師法を尽くせ」。師は言った、「維那、此の僧を拽き出だし着け」。又曰く、「休め、休め。我南方に在りて伊の和尚を識り来れり」。普請して草を鋤る次、浴頭師に浴を請う。師顧みず。是くのごとく三請す。師钁を挙げて打つの勢を作す。浴頭便ち走る。師召して曰く、「来れ、来れ」。浴頭首を回す。師は言った、「後に向かい作家に遇わば、分明に挙げ似よ」。浴頭後に到りて保福に至り、前の語を挙ぐる未だ了らず、保福手を以て其の口を掩う。浴頭却て回り、挙げて師に似す。師は言った、「伊を饒く是くのごとくするも未だ作家ならず」。師荷玉に問うた、「甚処より来る」。曰く、「天台より来る」。師は言った、「阿誰か你に天台を問う」。曰く、「和尚何ぞ得て竜頭蛇尾せん」。師は言った、「鏡清今日利を失う」。師経を看る次、僧問うた、「和尚は甚麼の経を看る」。師は言った、「我古人と百草を鬥す」。師却て問うた、「你会するか」。曰く、「少年にしても曾て是くのごとく来れり」。師は言った、「如今作麼生」。

僧舉拳。師曰。我輸汝也。問。辨不得.提不起時如何。師曰。爭得到這裡。曰。恁麼則禮拜去也。師曰。鏡清今日失利。師見僧學書。廼問。學甚麼書。曰。請和尚鑒。師曰。一點未分。三分著地。曰。今日又似遇人。又似不遇人。師曰。鏡清今日失利。僧問。聲前絕妙。請師指歸。師曰。許由不洗耳。曰。為甚麼如此。師曰。猶繫腳在。曰。某甲祇如此。師意又如何。師曰。無端夜來鴈。驚起後池秋。錢王命居天龍寺。後創龍冊寺。延請居焉。上堂。如今事不得已。向汝道各自驗看實箇親切。既恁麼親切。到汝分上因何特地生疎。祇為拋家日久。流浪年深。一向緣塵致見如此。所以喚作背覺合塵。亦名捨父逃逝。今勸兄弟未歇歇去好。未徹徹去好。大丈夫兒得恁麼無氣槩。還惆悵麼。終日茫茫地。且覓取箇管帶路好。也無人問我管帶一路。僧問。如何是管帶一路。師噓噓曰。要棒吃即道。曰。恁麼則學人罪過也。師曰。幾被汝打破蔡州。問僧。近離甚處。曰。石橋。師曰。本分事作麼生。曰。近離石橋。師曰。我豈不知你近離石橋。本分事作麼生。曰。和尚何不領話。師便打。僧曰。某甲話在。師曰。你但吃棒。我要這話行。僧問。一等明機雙扣。為甚麼卻遭違貶。師曰。打水魚頭痛。驚林鳥散忙。問。十二時中以何為驗。師曰。得力即向我道。僧曰。諾。師曰。十萬八千猶可近。問。如何是方便門速易成就。師曰。速易成就。曰。爭奈學人領覧未的。師曰。代得也代卻。問。如何是人無心合道。師曰。何不問道無心合人。曰。如何是道無心合人。師曰。白雲乍可來青嶂。明月那教下碧天。問。新年頭還有佛法也無。師曰。有。曰。如何是新年頭佛法。師曰。元正啟祚。萬物鹹新。曰。謝師答話。師曰。鏡清今日失利。問。學人問不到處。請師不答。和尚答不到處。學人即不問。師乃搊住曰。

僧拳を挙ぐ。師は言った、「我你に輸す」。問うた、「弁ずるを得ず提げ起すを得ざる時如何」。師は言った、「争で得て此処に到らん」。曰く、「是くのごとくせば則ち礼拝して去るなり」。師は言った、「鏡清今日利を失う」。師僧の書を学ぶを見、便ち問うた、「甚麼の書を学ぶ」。曰く、「和尚に鑑ることを請う」。師は言った、「一点未だ分かれず、三分地に着く」。曰く、「今日又人に遇うに似たり、又人に遇わざるに似たり」。師は言った、「鏡清今日利を失う」。僧問うた、「声前絶妙、請う、老師指帰せんことを」。師は言った、「許由耳を洗わず」。曰く、「何為にか此くの如し」。師は言った、「猶お脚を繋ぐ在り」。曰く、「某甲只だ此くの如し、老師の意又復如何」。師は言った、「端無く夜来の雁、後池の秋を驚き起す」。銭王命じて天龍寺に居らしめ、後に龍冊寺を創り、彼を延き請うて住せしむ。上堂、「如今事已むを得ず、你に向かい道う、各自験し看よ、実箇の親切を。既に是くのごとく親切なれば、你が分上に到りて因に何れにか特地に生疏なる。只だ家を抛して日久く、流浪して年深きが為、一向に塵に縁りて見を致し此くの如し。所以に覚に背き塵に合するを喚び、亦た父を捨て逃逝すると名づく。今兄弟に勧む、未だ歇せざれば歇して去りて好し、未だ徹せざれば徹して去りて好し。大丈夫児是くのごとく気概無きを得たり。還た惆悵するか。終日茫茫地として、且く箇の管帶の路を覓め取りて好し。亦た人我に管帶一路を問う者無し」。僧問うた、「如何なるか是れ管帶の一路」。師噓噓として曰く、「棒を喫せんことを要せば即ち道え」。曰く、「是くのごとくせば則ち学人の罪過なり」。師は言った、「幾と你に蔡州を打破せられん」。僧に問うた、「近く甚処を離る」。曰く、「石橋」。師は言った、「本分の事作麼生」。曰く、「近く石橋を離る」。師は言った、「我豈に你の近く石橋を離るを知らざらん。本分の事作麼生」。曰く、「和尚何ぞ話を領せざる」。師便ち打つ。僧曰く、「某甲話在り」。師は言った、「你但だ棒を喫せ。我此の話を行かんと要す」。僧問うた、「一等に明機にして双扣すも、何為にか却て違貶に遭う」。師は言った、「水を打てば魚の頭痛み、林を驚かせば鳥散じて忙し」。問うた、「十二時中何を以て験と為す」。師は言った、「力を得れば即ち我に向かい道え」。僧曰く、「諾」。師は言った、「十万八千も猶お近きべし」。問うた、「如何なるか是れ方便の門速く易く成就する」。師は言った、「速く易く成就す」。曰く、「争奈何、学人領覧未だ的ならず」。師は言った、「代うるを得れば代え却るをも得ん」。問うた、「如何なるか是れ人心無くして道に合する」。師は言った、「何ぞ道う、道心無くして人に合すると」。曰く、「如何なるか是れ道心無くして人に合する」。師は言った、「白雲乍ち青嶂より来るべく、明月那れ碧天より下るを教えん」。問うた、「新年頭に還た仏法有るか無しや」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ新年頭の仏法」。師は言った、「元正祚を啓き、万物咸く新なり」。曰く、「老師の答話を謝す」。師は言った、「鏡清今日利を失う」。問うた、「学人の問うて到らざる処は、請う、老師答うる莫れ。和尚の答えて到らざる処は、学人即ち問わず」。師便ち搊え住して曰く、

是我道理。是汝道理。曰。和尚若打學人。學人也打和尚。師曰。得對相耕去。問。承師有言。諸方若不是走人。便是籠人.罩人。未審和尚如何。師曰。被汝致此一問。直得當門齒落。上堂。眾集定。師拋下拄杖曰。大眾動著也二十棒。不動著也二十棒。時有僧出。拈得頭上戴出去。師曰。鏡清今日失利。問僧。門外甚麼聲。曰。雨滴聲。師曰。眾生顛倒。迷己逐物。曰。和尚作麼生。師曰。洎不迷己。曰。洎不迷己。意旨如何。師曰。出身猶可易。脫體道應難。問。如何是同相。師將火筯插向爐中。曰。如何是別相。師又將火筯插向一邊(法眼別雲。問不當理)。有僧引一童子到曰。此童子常愛問人佛法。請和尚驗看。師乃令點茶。童子點茶來。師啜了。過盞橐與童子。子近前接。師卻縮手曰。還道得麼。子曰。問將來(法眼別雲。和尚更吃茶否)。僧曰。此童子見解如何。師曰。也祇是一兩生持戒僧。晉天福初示滅。塔於龍冊山。

(師が引き続き言う:)「是れ我が道理か、是れ你が道理か」。曰く、「和尚若し学人を打たば、学人も亦た和尚を打たん」。師は言った、「対を得て相い耕して去れ」。問うた、「承う、老師に言有り、諸方は若し是れ人を走らせずんば、便ち是れ人を籠め、人を罩むと。未だ審かならず和尚は如何」。師は言った、「你に此の一問を致せられ、直に当門の歯を落すを得たり」。上堂。衆集まり定まりて、師拄杖を抛き下して曰く、「大衆動くに着いても二十棒、動かざるに着いても二十棒」。当時僧出でて、頭上に拈げ得て出で去る。師は言った、「鏡清今日利を失う」。僧に問うた、「門外甚麼の声」。曰く、「雨の滴る声」。師は言った、「衆生顛倒し、己を迷い物を逐う」。曰く、「和尚は作麼生」。師は言った、「洎として己を迷わず」。曰く、「洎として己を迷わず、意旨如何」。師は言った、「身を出ずるは猶お易きべく、体を脱して道うは応に難きべし」。問うた、「如何なるか是れ同相」。師火筯を将て罏中に插し向く。曰く、「如何なるか是れ別相」。師又火筯を将て一辺に插す。(法眼別えて曰く、「問は理に当たらず」)。僧有りて一童子を引きて到り、曰く、「此の童子常に人に佛法を問うを愛す、請う、和尚験し看よ」。師便ち茶を点ぜしむ。童子茶を点じて来る。師啜り了りて、盞橐を童子に過す。童子近く前より接す。師却て手を縮めて曰く、「還た道うを得るか」。童子曰く、「問い将れ」(法眼別えて曰く、「和尚更に茶を喫するか否か」)。僧曰く、「此の童子の見解如何」。師は言った、「亦た只だ是れ一两生の持戒の僧」。晋の天福初めに滅を示す。塔は龍冊山に在り。

漳州報恩院懷嶽禪師

漳州報恩院懐岳禅師

泉州人也。僧問。十二時中如何行履。師曰。動即死。曰。不動時如何。師曰。猶是守古塚鬼。問。如何是學人出身處。師曰。有甚麼纏縛汝。曰。爭奈出身不得何。師曰。過在阿誰。問。如何是報恩一靈物。師曰。吃如許多酒糟作麼。曰。還露腳手也無。師曰。這裡是甚麼處所。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。萬裡一片雲。曰。見後如何。師曰。廓落地。問。黑雲陡暗。誰當雨者。師曰。峻處先傾。問。宗乘不卻。如何舉唱。師曰。山不自稱。水無間斷。問。佛未出世時如何。師曰。汝爭得知。問。撥塵見佛時如何。師曰。甚麼年中得見來。問。師子在窟時如何。師曰。師子是甚麼傢俱。曰。師子出窟時如何。師曰。師子在甚麼處。問。如何是目前佛。師曰。快禮拜。臨遷化。上堂。山僧十二年來舉揚宗教。諸人怪我甚麼處。若要聽三經五論。此去開元寺咫尺。言訖告寂。

泉州の人。僧問うた、「十二時中如何にか行履せん」。師は言った、「動けば即ち死す」。曰く、「動かざる時如何」。師は言った、「猶お是れ古塚を守る鬼」。問うた、「如何なるか是れ学人の出身の処」。師は言った、「甚麼の纏縛か你有る」。曰く、「争奈何、身を出ずるを得ず何」。師は言った、「過は阿誰に在る」。問うた、「如何なるか是れ報恩の一霊物」。師は言った、「許多の酒糟を喫して作麼せん」。曰く、「還た脚手を露すか無しや」。師は言った、「此処是れ甚麼の処所」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時如何」。師は言った、「万里一片の雲」。曰く、「見て後如何」。師は言った、「廓落地」。問うた、「黒雲陡暗、誰か雨に当たる者」。師は言った、「峻処先に傾く」。問うた、「宗乗却せず、如何にか挙唱せん」。師は言った、「山自ら称せず、水間断無し」。問うた、「仏未だ世に出でざる時如何」。師は言った、「你争で知ることを得ん」。問うた、「塵を払い仏を見る時如何」。師は言った、「甚麼の年中にか見るを得し来る」。問うた、「師子窟に在る時如何」。師は言った、「師子是れ甚麼の家具」。曰く、「師子窟を出づる時如何」。師は言った、「師子は甚麼の処に在る」。問うた、「如何なるか是れ目前の仏」。師は言った、「快く礼拝せよ」。遷化に臨み、上堂、「山僧十二年来宗教を挙揚す、諸人我が甚麼の処をか怪む。若し三経五論を聴かんと要せば、此を去る開元寺咫尺なり」。言い訖りて寂を告ぐ。

福州安國院弘𤦆明真禪師

福州安国院弘𤦆明真禅師

泉州陳氏子。參雪峰。峰問。甚麼處來。曰。江西來。峰曰。甚麼處見達磨。曰。分明向和尚道。峰曰。道甚麼。曰。甚麼處去來。一日。雪峰見師。忽搊住曰。盡乾坤是箇解脫門。把手拽伊不肯入。曰。和尚怪弘𤦆不得。峰拓開曰。雖然如此。爭奈背後許多師僧何。師舉國師碑文雲。得之於心。猗蘭作旃檀之樹。失之於旨。甘露乃蒺藜之園。問僧曰。一語須具得失兩意。汝作麼生道。僧舉拳曰。不可喚作拳頭也。師不肯。亦舉拳別雲。祇為喚這箇作拳頭。出世囷山。後閩帥命居安國。大闡玄風。僧問。如何是西來意。師曰。是即是。莫錯會。問。如何是第一句。師曰。問。問。問。學人上來。未盡其機。請師盡機。師良久。僧禮拜。師曰。忽到別處。人問。汝作麼生舉。曰。終不敢錯舉。師曰。未出門已見笑具。問。如何是達磨傳底心。師曰。素非後躅。問。不落有無之機。請師全道。師曰。汝試斷看。問。如何是一毛頭事。師拈起袈裟。僧曰。乞師指示。師曰。抱璞不須頻下淚。來朝更獻楚王看。問。寂寂無言時如何。師曰。更進一步。問。凡有言句。皆落因緣方便。不落因緣方便事如何。師曰。桔槔之士頻逢。抱甕之流罕遇。問。向上一路。千聖不傳。未審和尚如何傳。師曰。且留口吃飯著。問。如何是高尚底人。師曰。河濵無洗耳之叟。磻谿絕垂釣之人。問。十二時中。如何救得生死。師曰。執缽不須窺眾樂。履冰何得步參差。問。學人擬問宗乘。師還許也無。師曰。但問。僧擬問。師便喝出。問。目前生死。如何免得。師曰。把將生死來。問。知有底人。為甚麼道不得。師曰。汝爺名甚麼。問。如何是活人劒。師曰。不敢瞎卻汝。曰。如何是殺人刀。師曰。祇這箇是。問。不犯鋒鋩。如何知音。師曰。驢年去。問。苦澁處乞師一言。師曰。可煞沈吟。曰。為甚麼如此。師曰。也須相悉好。問。

泉州の陳氏の子。雪峯に参す。雪峯問うた、「甚麼の処より来る」。曰く、「江西より来る」。雪峯曰く、「甚麼の処にて達磨を見る」。曰く、「分明に和尚に向かい道わん」。雪峯曰く、「甚麼を道う」。曰く、「甚麼の処に去り来る」。一日、雪峯師を見、忽然として搊え住して曰く、「乾坤を尽くすは是れ箇の解脱門、手を把りて伊を拽くも入るを肯んぜず」。曰く、「和尚弘𤦆を怪むを得ず」。雪峯拓き開きて曰く、「此くの如くすと雖も、争奈何、背後に許多の師僧有るを何せん」。師国師の碑文を挙げて曰く、「之を心に得れば、猗蘭旃檀の樹を作す。之を旨に失えば、甘露乃ち蒺藜の園」。僧に問うて曰く、「一語須らく得失両意を具すべし、你作麼生に道う」。僧拳を挙げて曰く、「拳頭と喚ぶべからず」。師肯んぜず、亦た拳を挙げて別えて曰く、「只だ此の箇を拳頭と喚ぶが為」。世に出でて困山。後に閩帥命じて安国に居らしめ、大いに玄風を闡く。僧問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「是れ即ち是れ、会を錯る莫れ」。問うた、「如何なるか是れ第一句」。師は言った、「問」。問うた、「学人上り来り、未だ其の機を尽くさず、請う、老師機を尽くせ」。師良久たり。僧礼拝す。師は言った、「忽ち別の処に到りて、人問わば、你作麼生に挙ぐる」。曰く、「終に敢て挙げ錯らず」。師は言った、「未だ門を出でざるに已に笑具を見る」。問うた、「如何なるか是れ達磨の伝えし心」。師は言った、「素より後躅に非ず」。問うた、「有無に落ちざるの機、請う、老師全く道え」。師は言った、「你試しに断じて看よ」。問うた、「如何なるか是れ一毛頭の事」。師袈裟を拈げ起す。僧曰く、「老師に指示を乞う」。師は言った、「璞を抱きて頻に涙を下すを須いず、来朝更に楚王に献じて看よ」。問うた、「寂寂として言無き時如何」。師は言った、「更に一歩を進め」。問うた、「凡そ言句有るは、皆因缘方便に落つ。因缘方便に落ちざる事如何」。師は言った、「桔槔の士は頻に逢い、抱甕の流は罕に遇う」。問うた、「向上の一路、千聖伝えず。未だ審かならず和尚如何にか伝うる」。師は言った、「且く口を留めて飯を喫し着け」。問うた、「如何なるか是れ高尚の人」。師は言った、「河濱に耳を洗うの叟無く、磻渓に釣を垂るるの人絶ゆ」。問うた、「十二時中、如何にか生死を救い得ん」。師は言った、「鉢を執りて衆楽を窺うを須いず、冰を履みて何ぞ歩み参差せん」。問うた、「学人宗乗を問わんと擬す、老師還た許すか無しや」。師は言った、「但だ問え」。僧問わんと擬す。師便ち喝い出す。問うた、「目前の生死、如何にか免るるを得ん」。師は言った、「生死を把げ将り来れ」。問うた、「有るを知る人、何為にか道うを得ざる」。師は言った、「你が爺は名を甚麼とする」。問うた、「如何なるか是れ活人の剣」。師は言った、「你を瞎け却るを敢てせず」。曰く、「如何なるか是れ殺人の刀」。師は言った、「只だ此の箇是れ」。問うた、「鋒芒を犯さず、如何にか知音せん」。師は言った、「驢年に去れ」。問うた、「苦渋の処、老師に一言を乞う」。師は言った、「可いに煞く沈吟す」。曰く、「何為にか此くの如し」。師は言った、「亦た須らく相悉して好し」。問うた、

常居正位底人。還消得人天供養否。師曰。消不得。曰。為甚麼消不得。師曰。是甚麼心行。曰。甚麼人消得。師曰。著衣吃飯底消得。師舉稜和尚住招慶時。在法堂東角立。謂僧曰。這裡好致一問。僧便問。和尚為何不居正位。稜曰。為汝恁麼來。曰。即今作麼生。稜曰。用汝眼作麼。師舉畢。乃曰。他家恁麼問。別是箇道理。汝今作麼生道。後安國曰。恁麼則大眾一時散去得也。師自代曰。恁麼即大眾一時禮拜。

問うた、「常に正位に居る人、還た人天の供養を消するを得るか否か」。師は言った、「消するを得ず」。曰く、「何為にか消するを得ざる」。師は言った、「是れ甚麼の心行」。曰く、「甚麼の人か消するを得る」。師は言った、「衣を着け飯を喫するの消するを得る」。師稜和尚の招慶に住する時を挙げ、法堂の東角に立ち、僧に対して曰く、「此処に好き一問を致す」。僧便ち問うた、「和尚何為にか正位に居せざる」。稜曰く、「你が是くのごとく来るが為」。曰く、「即今作麼生」。稜曰く、「你が眼を用いて作麼せん」。師挙げ畢りて、便ち言った、「他家是くのごとく問うは、別に是れ箇の道理。你今作麼生に道う」。後に安国曰く、「是くのごとくせば則ち大衆一時に散じ去るを得るなり」。師自ら代えて曰く、「是くのごとくせば即ち大衆一時に礼拝す」。

泉州睡龍山道溥弘教禪師

泉州睡龍山道溥弘教禅師

福唐鄭氏子。初住五峰。上堂。莫道空山無祇待。便歸方丈。僧問。凡有言句。不出大千頂。未審頂外事如何。師曰。凡有言句。不是大千頂。曰。如何是大千頂。師曰。摩醯首羅天。猶是小千界。問。初心後學。近入叢林。方便門中。乞師指示。師敲門枋。僧曰。向上還有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師再敲門枋。

福唐の鄭氏の子。初め五峰に住す。上堂、「空山に祇待無しと道う莫れ」。便ち方丈に帰る。僧問うた、「凡そ言句有るは、大千の頂を出でず。未だ審かならず頂外の事如何」。師は言った、「凡そ言句有るは、是れ大千の頂に非ず」。曰く、「如何なるか是れ大千の頂」。師は言った、「摩醯首羅天も、猶お是れ小千界」。問うた、「初心後学、近く叢林に入る。方便の門中、老師に指示を乞う」。師門枋を敲く。僧曰く、「向上に還た事有るか無しや」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ向上の事」。師再び門枋を敲く。

南嶽金輪可觀禪師

南岳金輪可観禅師

福唐薛氏子。參雪峰。峰曰。近前來。師方近前作禮。峰與一蹋。師忽契悟。師事十二載。復歷叢林。住後。上堂。我在雪峰。遭他一蹋。直至如今眼不開。不知是何境界。僧問。如何是西來意。師曰。不是。大眾夜參後下堂。師召大眾。眾回首。師曰。看月。眾乃看。師曰。月似彎弓。少雨多風。眾無對。問。古人道毗盧有師。法身有主。如何是毗盧師.法身主。師曰。不可床上安床。問。如何是日用事。師拊掌三下。僧曰。學人未領此意。師曰。更待甚麼。問。從上宗乘。如何為人。師曰。我今日未吃茶。曰。請師指示。師曰。過也。問。正則不問。請師傍指。師曰。抱取貓兒去。問僧。甚處來。曰。華光。師便推出。閉卻門。僧無對。問。路逢達道人。不將語默對。未審將何對。師咄曰。出去。問僧。作麼生是覿面事。曰。請師鑒。師曰。恁麼道還當麼。曰。故為即不可。師曰。別是一著。問。如何是靈源一路。師曰。蹋過作麼。雪峰院主有書來招曰。山頭和尚年尊也。長老何不再入嶺一轉。師回書曰。待山頭和尚別有見解。即再入嶺。僧問。如何是雪峰見解。師曰。我也驚。

福唐の薛氏の子。雪峯に参す。雪峯曰く、「近く前に来れ」。師方に近く前より礼を作す、雪峯一踏を与う。師忽ち契悟す。師事すること十二載、復た叢林を歴す。住して後、上堂、「我雪峯に在り、他の一踏に遭い、直ちに如今に至るまで眼開かず、是れ何の境界なるかを知らず」。僧問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「是れに非ず」。大衆夜参の後堂を下る、師大衆を召す。衆首を回す。師は言った、「月を看よ」。衆便ち看る。師は言った、「月は弯弓に似たり、雨少なく風多し」。衆対無し。問うた、「古人道う、毘盧に師有り、法身に主有りと。如何なるか是れ毘盧の師、法身の主」。師は言った、「床上に床を安んずべからず」。問うた、「如何なるか是れ日用の事」。師掌を拊くこと三下。僧曰く、「学人未だ此の意を領せず」。師は言った、「更に甚麼を待つ」。問うた、「従上の宗乗、如何にか人と為す」。師は言った、「我今日未だ茶を喫せず」。曰く、「老師に指示を請う」。師は言った、「過れり」。問うた、「正ならば則ち問わず、老師に傍指を請う」。師は言った、「猫児を抱き取りて去れ」。僧に問うた、「甚処より来る」。曰く、「華光」。師便ち推き出し、門を閉ぢ却す。僧対無し。問うた、「路に達道人に逢い、語黙を将て対せず。未だ審かならず何を将てか対せん」。師咄して曰く、「出で去れ」。僧に問うた、「作麼生なるか是れ覿面の事」。曰く、「老師に鑑ることを請う」。師は言った、「是くのごとく道うて還た当たるか」。曰く、「故に為すは即ち不可なり」。師は言った、「別に是れ一着」。問うた、「如何なるか是れ靈源の一路」。師は言った、「踏み過ぐ作麼せん」。雪峯の院主書有りて招きて曰く、「山頭の和尚年尊し、長老何ぞ再び嶺に入りて一転せざる」。師書を回して曰く、「山頭の和尚別に見解有るを待ちて、即ち再び嶺に入らん」。僧問うた、「如何なるか是れ雪峯の見解」。師は言った、「我も亦た驚く」。

福州大普山玄通禪師

福州大普山玄通禅師

本郡人也。僧問。驪龍頷下珠如何取得。師乃拊掌瞬視。問。方便以前事如何。師便推出。其僧問。如何是祖師西來意。師曰。齩骨頭漢出去。問。撥塵見佛時如何。師曰。脫枷來商量。問。急急相投。請師接。師曰。鈍漢。

本郡の人。僧問うた、「驪龍の頷下の珠如何にか取るを得ん」。師便ち掌を拊き瞬視す。問うた、「方便以前の事如何」。師便ち推き出す。那の僧問うた、「如何なるか是れ祖師の西来意」。師は言った、「骨頭を咬む漢出で去れ」。問うた、「塵を払い仏を見る時如何」。師は言った、「枷を脱し来りて商量せよ」。問うた、「急急に相投ず、師に接を請う」。師は言った、「鈍の漢」。

福州長生山皎然禪師

福州長生山皎然禅師

本郡人。久依雪峰。一日與僧斫樹次。峰曰。斫到心且住。師曰。斫卻著。峰曰。古人以心傳心。汝為甚麼道斫卻。師擲下斧曰。傳。峰打一拄杖而去。僧問雪峰。如何是第一句。峰良久。僧舉似師。師曰。此是第二句。峰再令其僧來問。如何是第一句。師曰。蒼天。蒼天。普請次。雪峰問。古人道。誰知席帽下。元是昔愁人。古人意作麼生。師側戴笠子曰。這箇是甚麼人語。峰問師。持經者能荷擔如來。作麼生是荷擔如來。師乃捧雪峰向禪床上。普請次。雪峰負一束藤。路逢一僧便拋下。僧擬取。峰便蹋倒。歸謂師曰。我今日蹋這僧快。師曰。和尚卻替這僧入涅槃堂始得。峰便休去。雪峰問。光境俱亡。復是何物。師曰。放皎然過有道處。峰曰。放汝過作麼生道。曰。皎然亦放和尚過。峰曰。放汝二十棒。師便禮拜。住後。僧問。古人有言。無明即佛性。煩惱不須除。如何是無明即佛性。師忿然作色。舉拳呵曰。今日打這師僧去也。曰。如何是煩惱不須除。師以手拏頭曰。這師僧得恁麼發人業。問。路逢達道人。不將語默對。未審將甚麼對。師曰。上紙墨堪作甚麼。閩帥署禪主大師。莫知所終。

本郡の人。久しく雪峯に依る。一日僧と樹を斫る次、雪峯曰く、「心に到るまで斫りて且く住せよ」。師は言った、「斫り却せよ」。雪峯曰く、「古人心を以て心を伝う、你何為にか斫り却すと道う」。師斧を擲げ下して曰く、「伝」。雪峯一拄杖を打ちて去る。僧雪峯に問うた、「如何なるか是れ第一句」。雪峯良久たり。僧挙げて師に似す。師は言った、「此れ是れ第二句」。雪峯再び那の僧をして来り問はしめ、「如何なるか是れ第一句」。師は言った、「蒼天、蒼天」。普請の次、雪峯問うた、「古人道う、誰か知らん席帽の下、元是れ昔の愁人と。古人の意作麼生」。師笠子を側に戴きて曰く、「此の箇是れ甚麼の人の語」。雪峯師に問うた、「経を持する者は能く如来を荷担す。作麼生なるか是れ如来を荷担する」。師便ち雪峯を捧げて禅床上に向かわしむ。普請の次、雪峯一束の藤を負い、路に一僧に逢い便ち抛げ下す。僧取らんと擬す、雪峯便ち踏み倒す。帰りて師に対して曰く、「我今日此の僧を踏みて快なり」。師は言った、「和尚却て此の僧に替わりて涅槃堂に入りて始めて得べし」。雪峯便ち休み去る。雪峯問うた、「光境俱に亡びて、復た是れ何物」。師は言った、「皎然を放ち過して道う処有り」。雪峯曰く、「你を放ち過す作麼生に道う」。曰く、「皎然も亦た和尚を放ち過す」。雪峯曰く、「你に二十棒を放つ」。師便ち礼拝す。住して後、僧問うた、「古人に言有り、無明は即ち佛性、煩悩は須らく除かざるべし。如何なるか是れ無明即ち佛性」。師忿然として色を作し、拳を挙げて呵して曰く、「今日此の師僧を打ち去るなり」。曰く、「如何なるか是れ煩悩須らく除かざるべからず」。師手を以て頭を拏えて曰く、「此の師僧は是くのごとく人の業を発するを得たり」。問うた、「路に達道人に逢い、語黙を将て対せず。未だ審かならず甚麼を将てか対せん」。師は言った、「紙墨に上る堪えて作麼せん」。閩帥禅主大師と署す。終わる処を知らず。

信州鵝湖智孚禪師

信州鵝湖智孚禅師

福州人也。僧問。萬法歸一。一歸何所。師曰。非但闍黎一人忙。問。虗空講經。以何為宗。師曰。闍黎不是聽眾。出去。問。五逆之子。還受父約也無。師曰。雖有自裁。未免傷己。問。如何是佛向上人。師曰。情知闍黎不奈何。曰。為甚麼不奈何。師曰。未必小人得見君子。問。在前一句。請師道。師曰。腳跟下探取甚麼。曰。即今見問。師曰。看闍黎變身不得。問。雪峰拋下拄杖。意作麼生。師以香匙拋下地。僧曰。未審此意如何。師曰。不是好種。出去。問。如何是鵝湖第一句。師曰。道甚麼。曰。如何即是。師曰。妨我打睡。問。不問不答時如何。師曰。問人焉知。問。迷子未歸家時如何。師曰。不在途。曰。歸後如何。師曰。正迷在。問。如何是源頭事。師曰。途中覓甚麼。問。如何是一句。師曰。會麼。曰。恁麼莫便是否。師曰。蒼天。蒼天。鏡清問。如何是即今底。師曰。何更即今。清曰。幾就支荷。師曰。語逆言順。師一日不赴堂。侍者來請赴堂。師曰。我今日在莊吃油餈飽。者曰。和尚不曾出入。師曰。你但去問取莊主。者方出門。忽見莊主歸謝和尚到莊吃油餈。

福州の人。僧問うた、「万法一に帰す、一は何の所にか帰する」。師は言った、「非ずんばあらず闍梨一人のみ忙し」。問うた、「虚空経を講ず、何を以て宗と為す」。師は言った、「闍梨是れ聴衆に非ず、出で去れ」。問うた、「五逆の子、還た父の約を受くるか無しや」。師は言った、「自裁有ると雖も、未だ己を傷るを免れず」。問うた、「如何なるか是れ仏向上の人」。師は言った、「情に知る、闍梨奈何せざるを」。曰く、「何為にか奈何せざる」。師は言った、「未だ必ずしも小人君子を見るを得ず」。問うた、「前に在る一句、請う、老師道え」。師は言った、「脚跟の下に探り取る甚麼か」。曰く、「即今問うを見る」。師は言った、「闍梨の身を変ずるを得ざるを看よ」。問うた、「雪峯拄杖を抛げ下す、意作麼生」。師香匙を以て地下に抛す。僧曰く、「未だ審かならず此の意如何」。師は言った、「是れ好き種に非ず、出で去れ」。問うた、「如何なるか是れ鵝湖の第一句」。師は言った、「甚麼を道う」。曰く、「如何にか即是」。師は言った、「我が睡を打つを妨ぐ」。問うた、「問わず答えざる時如何」。師は言った、「人に問わば焉んぞ知らん」。問うた、「迷子未だ家に帰らざる時如何」。師は言った、「途に在らず」。曰く、「帰りて後如何」。師は言った、「正に迷う在り」。問うた、「如何なるか是れ源頭の事」。師は言った、「途中に甚麼を覓める」。問うた、「如何なるか是れ一句」。師は言った、「会するか」。曰く、「是くのごとくせば莫れ便ち是か否か」。師は言った、「蒼天、蒼天」。鏡清問うた、「如何なるか是れ即今の」。師は言った、「何ぞ更に即今」。鏡清曰く、「幾と支荷に就かん」。師は言った、「語逆らい言順う」。師一日堂に赴かず。侍者来りて堂に赴くを請う。師は言った、「我今日荘に在りて油糍を喫して飽けり」。侍者曰く、「和尚曾て出入せず」。師は言った、「你但だ荘主に問い取れ」。侍者方に門を出でんとし、忽ち荘主の帰るを見、和尚の荘に到りて油糍を喫せしを謝す。

杭州西興化度院師鬱悟真禪師

杭州西興化度院師郁悟真禅師

泉州人也。僧問。如何是西來意。師舉拂子。僧曰。不會。師曰。吃茶去。問。如何是一塵。師曰。九世剎那分。曰。如何含得法界。師曰。法界在甚麼處。問。谿谷各異。師何明一。師曰。汝喘作麼。問。學人初機。乞師指示入路。師曰。汝怪化度甚麼處。問。如何是隨色摩尼珠。師曰。青黃赤白。曰。如何是不隨色摩尼珠。師曰。青黃赤白。問。如何是西來意。師曰。是東來西來。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。鳥獸俱迷。曰。見後如何。師曰。山深水冷。問。維摩與文殊對談何事。師曰。唯有門前鏡湖水。清風不改舊時波。

泉州の人。僧問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師拂子を挙ぐ。僧曰く、「会せず」。師は言った、「茶を喫し去れ」。問うた、「如何なるか是れ一塵」。師は言った、「九世刹那の分」。曰く、「如何にか法界を含むを得ん」。師は言った、「法界は甚麼の処に在る」。問うた、「渓谷各々異なり、老師何ぞ一を明かにせん」。師は言った、「你喘みて作麼せん」。問うた、「学人初機、老師に入路を指示することを乞う」。師は言った、「你化度の甚麼の処をか怪む」。問うた、「如何なるか是れ色に随う摩尼珠」。師は言った、「青黄赤白」。曰く、「如何なるか是れ色に随わざる摩尼珠」。師は言った、「青黄赤白」。問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「是れ東来西来」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時如何」。師は言った、「鳥獣俱に迷う」。曰く、「見て後如何」。師は言った、「山深く水冷たし」。問うた、「維摩と文殊と対談するは何の事」。師は言った、「唯だ門前の鏡湖水有り、清風は旧時の波を改めず」。

漳州隆壽紹卿興法禪師

漳州隆寿紹卿興法禅師

泉州陳氏子。因侍雪峰。山行見芋葉動。峰指動葉示之。師曰。紹卿甚生怕怖。峰曰。是汝屋裡底。怕怖甚麼。師於此有省。尋居龍谿。僧問。古人道。摩尼殿有四角。一角常露。如何是常露底角。師舉拂子。問。糧不畜一粒。如何濟得萬人飢。師曰。俠客面前如奪劒。看君不是黠兒郎。問。耳目不致處如何。師曰。汝無此作。曰。恁麼即聞也。師曰。真箇聾漢。

泉州の陳氏の子。雪峯に侍するに因り、山行に芋の葉の動くを見る。雪峯動く葉を指して之に示す。師は言った、「紹卿甚だ怕怖を生ず」。雪峯曰く、「是れ你の屋裏の、怕怖する甚麼か」。師此に於て省有り。尋いで龍渓に居る。僧問うた、「古人道う、摩尼の殿に四角有り、一角常に露ると。如何なるか是れ常に露るの角」。師拂子を挙ぐ。問うた、「糧一粒を畜えず、如何にか万人の飢を済すを得ん」。師は言った、「侠客の面前は剣を奪うがごとく、君を看るに是れ黠児郎に非ず」。問うた、「耳目致さざる処如何」。師は言った、「你此の作無し」。曰く、「是くのごとくせば即ち聞くなり」。師は言った、「真箇の聾漢」。

福州遷宗院行𤦆仁慧禪師

福州遷宗院行𤦆仁慧禅師

泉州王氏子。上堂。我與釋迦同參。汝道參甚麼人。時有僧出禮拜。擬伸問。師曰。錯。便下座。問。如何是西來意。師曰。熊耳不曾藏。問。直下事乞師方便。師曰。不因汝問。我亦不道。問。如何是西來意。師曰。白日無閑人。

泉州の王氏の子。上堂、「我釈迦と参を同じくす。你道え、甚麼の人に参する」。当時僧出でて礼拝し、問を伸ばさんと擬す。師は言った、「错」。便ち座を下る。問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「熊耳曾て蔵せず」。問うた、「直下の事、老師に方便を乞う」。師は言った、「你の問うに因らずんば、我も亦た道わず」。問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「白日に閑人無し」。

福州蓮華永福院從弇超證禪師

福州蓮華永福院従弇超証禅師

僧問。儒門以五常為極則。未審宗門以何為極則。師良久。僧曰。恁麼則學人造次也。師曰。好與拄杖。問。教中道。唯有一乘法。如何是一乘法。師曰。汝道我在這裡作甚麼。曰。恁麼則不知教意也。師曰。雖然如此。卻不孤負汝。問。不向問處領。猶是學人問處。和尚如何。師曰。吃茶去。上堂。長慶道。盡法無民。永福即不然。若不盡法。又爭得民。時有僧曰。請師盡法。師曰。我不要汝納稅。問。諸餘即不問。聊徑處乞師垂慈。師曰。不快禮三拜。問。大眾雲集。請師說法。師曰。聞麼。曰。若更佇思。應難得及。師曰。實即得。問。摩尼殿有四角。一角常露。如何是常露底角。師曰。不可更點。師一日上堂。於座邊立。謂眾曰。二尊不竝化。便歸方丈。

僧問うた、「儒門は五常を以て極則と為す。未だ審かならず宗門は何を以て極則と為す」。師良久たり。僧曰く、「是くのごとくせば則ち学人造次なり」。師は言った、「好き拄杖を与えん」。問うた、「教中に道う、唯だ一乗の法有り。如何なるか是れ一乗の法」。師は言った、「你道え、我此処に在りて甚麼を作す」。曰く、「是くのごとくせば則ち教意を知らざるなり」。師は言った、「此くの如くすと雖も、却て你を孤負せず」。問うた、「問う処に向かい領せず、猶お是れ学人の問う処。和尚は如何」。師は言った、「茶を喫し去れ」。上堂、「長慶道う、法を尽くせば民無しと。永福は即ち然らず。若し法を尽くさずんば、又争で民を得ん」。当時僧曰く、「老師に法を尽くすことを請う」。師は言った、「我你に納税することを要せず」。問うた、「其余は即ち問わず、聊径の処、老師に垂慈を乞う」。師は言った、「快く三拝を礼せずや」。問うた、「大衆雲集す、老師に説法を請う」。師は言った、「聞くか」。曰く、「若し更に佇思せば、応に及ぶこと難きべし」。師は言った、「実なれば即ち得す」。問うた、「摩尼の殿に四角有り、一角常に露る。如何なるか是れ常に露るの角」。師は言った、「更に点ずべからず」。師一日上堂、座辺に立ち、衆に対して曰く、「二尊は並び化せず」。便ち方丈に帰る。

襄州雲葢雙泉院歸本禪師

襄州雲葢双泉院帰本禅師

京兆府人也。初謁雪峰。禮拜次。峰下禪床。跨背而坐。師於此有省。住後。僧問。如何是雙泉。師曰。可惜一雙眉。曰。學人不會。師曰。不曾煩禹力。湍流事不知。問。如何是西來的的意。師乃搊住。其僧變色。師曰。我這裡無這箇。師手指纖長。特異於人。號手相大師。

京兆府の人。初め雪峯を謁え、礼拝の次、雪峯禅床を下り、背を跨いで坐す。師此に於て省有り。住して後、僧問うた、「如何なるか是れ双泉」。師は言った、「惜しいかな一双の眉」。曰く、「学人会せず」。師は言った、「曾て禹の力を煩はさず、湍流の事は知らず」。問うた、「如何なるか是れ西来の的の意」。師便ち搊え住す。那の僧色を変ず。師は言った、「我此処に此の箇無し」。師手指纎長にして、人に異に特す、手相大師と号す。

韶州林泉和尚

韶州林泉和尚

僧問。如何是一塵。師曰。不覺成丘山。

僧が問うた、「如何なるか是れ一塵」。師は言った、「覚えずして丘山を成す」。

洛京南院和尚

洛京南院和尚

僧問。如何是法法不生。師曰。生也。有儒者博覧古今。時呼為張百會。謁師。師問。莫是張百會麼。曰。不敢。師以手於空畫一畫曰。會麼。曰。不會。師曰。一尚不會。甚麼處得百會來。

僧が問うた、「如何なるか是れ法法生ぜざる」。師は言った、「生ずるなり」。儒者有りて古今を博覧し、時に張百會と呼ぶ。師に謁す。師は問うた、「莫れ張百會か」。曰く、「敢へて是れあらず」。師は手を以て空に一画し曰く、「會すか」。曰く、「會せず」。師は言った、「一尚會せず、甚麼の処か百會を得て来らん」。

越州洞巖可休禪師

越州洞巖可休禅師

僧問。如何是洞巖正主。師曰。開著。問。如何是和尚親切為人處。師曰。大海不宿死屍。問。如何是向上一路。師舉衣領示之。問。學人遠來。請師方便。師曰。方便了也。

僧が問うた、「如何なるか是れ洞巖の正主」。師は言った、「開き着く」。問うた、「如何なるか是れ和尚の親切に人と為る処」。師は言った、「大海は死屍を宿さず」。問うた、「如何なるか是れ向上の一路」。師は衣領を擧げて之を示す。問うた、「學人遠く来たる、師に方便を請ふ」。師は言った、「方便せしめ了んぬ」。

定州法海院行周禪師

定州法海院行周禅師

僧問。風恬浪靜時如何。師曰。吹倒南墻。問。如何是道中寶。師曰。不露光。曰。莫便是否。師曰。是即露也。

僧が問うた、「風恬み浪静かなる時如何」。師は言った、「南牆を吹き倒す」。問うた、「如何なるか是れ道中の寶」。師は言った、「光を露さず」。曰く、「莫し便ち是れか」。師は言った、「是れは即ち露なり」。

杭州龍井通禪師

杭州龍井通禅師

僧問。如何是龍井龍。師曰。意氣天然別。神工畫不成。曰。為甚麼畫不成。師曰。出群不帶角。不與類中同。曰。還解行雨也無。師曰。普潤無邊際。處處皆結粒。曰。還有宗門中事也無。師曰。有。曰。如何是宗門中事。師曰。從來無形段。應物不曾虧。

僧が問うた、「如何なるか是れ龍井の龍」。師は言った、「意氣天然に別に、神工畫き成さず」。曰く、「甚麼の故に畫き成さざる」。師は言った、「群を出でて角を帶びず、類中に與せずして同じ」。曰く、「還た雨を行るを解するや無し」。師は言った、「普く潤すに邊際無く、處處に皆粒を結ぶ」。曰く、「還た宗門中の事有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ宗門中の事」。師は言った、「從來形段無く、物に應じて曾て虧かれず」。

杭州龍興宗靖禪師

杭州龍興宗靖禅師

台州人也。初參雪峰。誓充飯頭。勞逾十載。嘗於眾堂中袒一膊釘簾。峰覩而記曰。汝向後住持有千僧。其中無一人衲子也。師悔過回浙。住六通院。錢王命居龍興寺。有眾千餘。唯三學講誦之徒。果如雪峰所誌。僧問。如何是六通奇特之唱。師曰。天下舉將去。問。如何是六通家風。師曰。一條布衲。一斤有餘。問。如何是學人進前一路。師曰。誰敢謾汝。曰。豈無方便。師曰。早是屈抑也。問。如何是和尚家風。師曰。早朝粥。齋時飯。曰。更請和尚道。師曰。老僧困。曰。畢竟作麼生。師大笑而已。

台州人。初め雪峰に參じて飯頭を充つるを誓ひ、労すること十載を逾ゆ。曾て衆堂中に一膊を袒ぎ簾を釘づけたり。雪峰見て記して曰く、「汝向後住持して千僧有らん、其中一人の衲子も無からん」。師悔過して浙に回り、六通院に住す。錢王命じて龍興寺に居らしむ。衆千餘有り、唯だ三學講誦の徒のみ、果して雪峰の志せしが如し。僧が問うた、「如何なるか是れ六通の奇特の唱」。師は言った、「天下に擧げ將て去れ」。問うた、「如何なるか是れ六通の家風」。師は言った、「一條の布衲、一斤に餘り有り」。問うた、「如何なるか是れ學人の進前の一路」。師は言った、「誰か敢へて汝を謾らん」。曰く、「豈に方便無からんや」。師は言った、「早く是れ屈抑なり」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「早朝の粥、齋時の飯」。曰く、「更に請ふ、和尚道え」。師は言った、「老僧困めり」。曰く、「畢竟作麼生」。師大笑するのみ。

福州南禪契璠禪師

福州南禪契璠禅師

上堂。若是名言妙句。諸方總道了也。今日眾中還有超第一義者。致將一問來。若有。即不孤負於人。僧問。如何是第一義。師曰。何不問第一義。曰。見問。師曰。已落第二義也。問。古佛曲調請師和。師曰。我不和汝雜亂底。曰。未審為甚麼人和。師曰。甚麼處去來。

上堂、「若し是れ名言妙句ならば、諸方總て道ひ了れり。今日衆中に還た第一義を超ゆる者有りて、將に一問を致して来らん。若し有らば、即ち人に孤負せじ」。僧が問うた、「如何なるか是れ第一義」。師は言った、「何ぞ第一義を問はざる」。曰く、「見に問ふ」。師は言った、「已に第二義に落つ」。問うた、「古佛の曲調、師に和せしめんことを請ふ」。師は言った、「我は汝の雜亂と和せず」。曰く、「未だ審らかならず、甚麼の人と和する」。師は言った、「甚麼の處より去り来れり」。

越州越山師鼐鑒真禪師

越州越山師鼐鑑眞禅師

初參雪峰而染指。後因閩王請。於清風樓齋。坐久舉目。忽覩日光。豁然頓曉。而有偈曰。清風樓上赴官齋。此日平生眼豁開。方信普通年遠事。不從𦵇嶺帶將來。歸呈雪峰。峰然之。住後。僧問。如何是佛身。師曰。你問阿那箇佛身。曰。釋迦佛身。師曰。舌覆三千界。師臨終示偈曰。眼光隨色盡。耳識逐聲消。還源無別旨。今日與明朝。乃跏趺而逝。

初め雪峰に參じて指を染めたり。後に閩王の請に因りて清風樓に齋す。坐すること久しく目を擧げ、忽ち日光を睹て豁然として頓に曉り、偈有りて曰く、「清風樓上官齋に赴き、此の日平生の眼豁開す。方に信す、普通年の遠き事、蔥嶺より將て來らずと」。歸りて雪峰に呈す。雪峰之を然とす。住して後、僧が問うた、「如何なるか是れ佛身」。師は言った、「汝問ふ、阿那箇の佛身」。曰く、「釋迦佛身」。師は言った、「舌は三千界を覆ふ」。師臨終に偈を示して曰く、「眼光は色に隨ひて盡き、耳識は聲に逐ひて消ゆ。源に還るに別旨無し、今日は明朝と與す」。便ち跏趺して逝く。

泉州福清院玄訥禪師

泉州福淸院玄訥禅師

高麗人也。泉守王公問。如何是宗乘中事。師叱之。僧問。如何是觸目菩提。師曰。闍黎失卻半年糧。曰。為甚麼如此。師曰。祇為圖他一斗米。問。如何是清淨法身。師曰。蝦蟇曲蟮。問。教雲。唯一堅密身。一切塵中現。如何是堅密身。師曰。驢馬貓兒。曰。乞師指示。師曰。驢馬也不會。問。如何是物物上辨明。師展一足示之。

高麗人。泉守王公問うた、「如何なるか是れ宗乘中の事」。師之を叱る。僧が問うた、「如何なるか是れ觸目菩提」。師は言った、「闍黎半年の糧を失卻せり」。曰く、「甚麼の故に如此」。師は言った、「只だ他の一斗の米を圖るが為」。問うた、「如何なるか是れ淸淨法身」。師は言った、「蝦蟆曲蟮」。問うた、「教中に説く、唯一の堅密身、一切の塵中に現ず。如何なるか是れ堅密身」。師は言った、「驢馬貓兒」。曰く、「師に指示を乞ふ」。師は言った、「驢馬も亦會せず」。問うた、「如何なるか是れ物物上の辨明」。師は一足を展げて之を示す。

衢州南臺仁禪師

衢州南臺仁禅師

僧問。如何是南臺境。師曰。不知貴。曰。畢竟如何。師曰。闍黎即今在甚麼處。

僧が問うた、「如何なるか是れ南臺の境」。師は言った、「貴を知らず」。曰く、「畢竟如何」。師は言った、「闍黎即今甚麼の處に在る」。

泉州東禪和尚

泉州東禪和尚

初開堂。僧問。人王迎請。法王出世。如何提唱宗乘。即得不謬於祖風。師曰。還奈得麼。曰。若不下水。焉知有魚。師曰。莫閑言語。問。如何是佛法最親切處。師曰。過也。問。學人末後來。請師最先句。師曰。甚處去來。問。如何是學人己分事。師曰。苦。問。如何是佛法大意。師曰。幸自可憐生。剛要異鄉邑。

初めて堂を開く、僧が問うた、「人王迎へ請ひ、法王出世す。如何に提唱の宗乘、即ち祖風に謬らざるを得ん」。師は言った、「還た奈得するか」。曰く、「若し水に下らずんば、焉んぞ魚有るを知らん」。師は言った、「閑言語を作す莫れ」。問うた、「如何なるか是れ佛法の最も親切なる處」。師は言った、「過なり」。問うた、「學人末後に来たる、師に最先の句を請ふ」。師は言った、「甚處か去り来れり」。問うた、「如何なるか是れ學人の己分の事」。師は言った、「苦なり」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「幸ひに自ら可憐なり、剛く要す異郷邑」。

杭州大錢山從襲禪師

杭州大錢山從襲禅師

雪峰之上足也。自本師印解。洞曉宗要。常曰。擊關南鼓。唱雪峰歌。後入浙中謁錢王。王欽服道化。命居此山而闡法焉。僧問。不因王請。不因眾聚。請師直道西來的的意。師曰。那邊師僧過這邊著。曰。學人不會。乞師再指。師曰。爭得恁麼不識好惡。問。閉門造車。出門合轍。如何是閉門造車。師曰。造車即不問。作麼生是轍。曰。學人不會。乞師指示。師曰。巧匠施工。不露斤斧。

雪峰の上足。本師の印解より宗要を洞曉す。常に説く、「關南の鼓を擊ち、雪峰の歌を唱ふ」と。後に浙中に入り錢王に謁す。錢王道化に欽服し、命じて此の山に居りて法を闡かしむ。僧が問うた、「王の請に因らず、衆集に因らず、師に直に西來の的々の意を道はんことを請ふ」。師は言った、「那邊の師僧、這邊に過ぎ着けり」。曰く、「學人會せず、師に再び指さんことを乞ふ」。師は言った、「争でか如此の好惡を識らざる」。問うた、「門を閉じて車を造り、門を出でて轍に合ふ。如何なるか是れ門を閉じて車を造る」。師は言った、「車を造るは即ち問はず、作麼生か是れ轍」。曰く、「學人會せず、師に指示を乞ふ」。師は言った、「巧匠工を施し、斤斧を露さず」。

福州永泰和尚

福州永泰和尚

僧問。承聞和尚見虎。是否。師作虎聲。僧作打勢。師曰。這死漢。問。如何是天真佛。師乃拊掌曰。不會。不會。

僧が問うた、「承聞く、和尚虎を見たり、是か否か」。師虎聲を作す。僧打勢を作す。師は言った、「這の死漢」。問うた、「如何なるか是れ天眞佛」。師便ち拊掌して曰く、「會せず、會せず」。

池州和龍壽昌院守訥妙空禪師

池州和龍壽昌院守訥妙空禅師

福州林氏子。僧問。未到龍門。如何湊泊。師曰。立命難存。新到參。師問。近離甚處。曰。不離方寸。師曰。不易來。僧亦曰。不易來。師與一掌。問。如何是傳底心。師曰。再三囑汝。莫向人說。問。如何是從上宗乘。師曰。向闍黎口裡著得麼。問。省要處請師一接。師曰。甚是省要。

福州林氏子。僧が問うた、「未だ龍門に至らず、如何に湊泊せん」。師は言った、「命を立つも存し難し」。新到參す。師問うた、「近く離るる甚處ぞ」。曰く、「方寸を離れず」。師は言った、「易からずして來れり」。僧も亦曰く、「易からずして來れり」。師一掌を與ふ。問うた、「如何なるか是れ傳ふるの心」。師は言った、「再三汝に囑す、人に向ひて説く莫れ」。問うた、「如何なるか是れ從上の宗乘」。師は言った、「闍黎の口裏に着け得るか」。問うた、「省要の處、師に一接を請ふ」。師は言った、「甚だ省要なり」。

建州夢筆和尚

建州夢筆和尚

僧問。如何是佛。師曰。不誑汝。曰。莫便是否。師曰。汝誑他。閩王請齋。問。師還將得筆來也無。師曰。不是稽山繡管。慙非月裡兔毫。大王既垂顧問。山僧敢不通呈。又問。如何是法王。師曰。不是夢筆家風。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「汝を誑かず」。曰く、「莫し便ち是れか」。師は言った、「汝他を誑く」。閩王齋を請ひて問うた、「師還た筆を將て来るや無し」。師は言った、「是れ稽山の繡管にあらず、慚ぢて月裏の兔毫に非ず。大王既に顧問を垂れ給ふ、山僧敢へて通呈せざらんや」。又問うた、「如何なるか是れ法王」。師は言った、「是れ夢筆の家風にあらず」。

福州極樂元儼禪師

福州極樂元儼禅師

僧問。如何是極樂家風。師曰。滿目看不盡。問。萬法本無根。未審教學人承當甚麼。師曰。莫寐語。問。久處暗室。未達其源。今日上來。乞師一接。師曰。莫閉眼作夜好。曰。恁麼即優曇華拆。曲為今時。向上宗風。如何垂示。師曰。汝還識也無。曰。恁麼即息疑去也。師曰。莫向大眾前寐語。問。摩騰入漢即不問。達磨來梁時如何。師曰。如今豈謬。曰。恁麼即理出三乘。華開五葉。師曰。說甚麼三乘五葉。出去。

僧が問うた、「如何なるか是れ極樂の家風」。師は言った、「滿目看て盡きず」。問うた、「萬法本來根無し、未だ審らかならず、學人に何をか承當せしむるを教ふる」。師は言った、「寐語する莫れ」。問うた、「久しく暗室に處り、其の源に達せず。今日上來す、師に一接を乞ふ」。師は言った、「眼を閉ぢて夜を作す莫し好し」。曰く、「如此ならば即ち優曇花拆れ、曲に今時の爲。向上の宗風、如何に垂示する」。師は言った、「汝還た識るや無し」。曰く、「如此ならば即ち疑を息めんと去る」。師は言った、「大衆前に向ひて寐語する莫れ」。問うた、「摩騰の漢に入るは即ち問はず、達磨の梁に來たる時如何」。師は言った、「如今豈に謬らん」。曰く、「如此ならば即ち理は三乘に出で、花は五葉を開く」。師は言った、「甚麼の三乘五葉を説く。出でよ」。

福州芙蓉山如體禪師

福州芙蓉山如體禅師

僧問。如何是古人曲調。師良久。曰。聞麼。曰。不聞。師示頌曰。古曲發聲雄。今時韻亦同。若教第一指。祖佛盡迷蹤。

僧が問うた、「如何なるか是れ古人の曲調」。師良久にして曰く、「聞くか」。曰く、「聞かず」。師頌を示して曰く、「古曲聲を發して雄なり、今時の韻も亦同じ。若し第一の指を教ふれば、祖佛盡く蹤を迷はん」。

洛京憩鶴山和尚

洛京憩鶴山和尚

僧問。如何是憩鶴。師以兩手鬪雲。鵓鳩鳩(風穴雲。鶴唳一聲喧宇宙。群鷄莫謂報知時)。問。駿馬不入西秦時如何。師曰。向甚麼處去。

僧が問うた、「如何なるか是れ憩鶴」。師兩手を以て鬪して曰く、「鵓鳩鳩」(風穴曰く、「鶴唳一聲宇宙に喧し、群雞時を報知と謂ふ莫れ」)。問うた、「駿馬西秦に入らざる時如何」。師は言った、「甚麼の處に向ひて去る」。

潭州溈山棲禪師

潭州潙山棲禅師

僧問。正恁麼時如何親近。師曰。汝擬作麼生親近。曰。豈無方便。師曰。開元龍興。大藏小藏。問。如何是速疾神通。師曰。新衣成弊帛。問。如何是黃尋橋。師曰。賺卻多少人。問。不假忉忉。如何是和尚家風。師曰。莫作野幹聲。

僧が問うた、「正に如此の時、如何に親近せん」。師は言った、「汝擬く作麼生親近せんと」。曰く、「豈に方便無からんや」。師は言った、「開元龍興、大藏小藏」。問うた、「如何なるか是れ速疾の神通」。師は言った、「新衣弊帛を成す」。問うた、「如何なるか是れ黃尋橋」。師は言った、「多少の人を賺却せし」。問うた、「忉忉を假らず、如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「野干の聲を作す莫れ」。

吉州潮山延宗禪師

吉州潮山延宗禅師

因資福來謁。師下禪床相接。福問。和尚住此山。得幾年也。師曰。鈍鳥棲蘆。困魚止濼。曰。恁麼則真道人也。師曰。且坐吃茶。問。如何是潮山。師曰。不宿屍。曰。如何是山中人。師曰。石上種紅蓮。問。如何是和尚家風。師曰。切忌犯朝儀。

資福の來謁に因り、師禪床を下りて相接す。資福問うた、「和尚此の山に住し、幾年を得たり」。師は言った、「鈍鳥蘆に棲み、困魚濼に止まる」。曰く、「如此ならば則ち眞の道人なり」。師は言った、「且く坐して茶を喫せ」。問うた、「如何なるか是れ潮山」。師は言った、「屍を宿さず」。曰く、「如何なるか是れ山中の人」。師は言った、「石上に紅蓮を種う」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「切に朝儀を犯すを忌む」。

益州普通山普明禪師

益州普通山普明禅師

僧問。如何是佛性。師曰。汝無佛性。曰。蠢動含靈。皆有佛性。學人為何卻無。師曰。為汝向外求。問。如何是玄玄之珠。師曰。這箇不是。曰。如何是玄玄珠。師曰。失卻也。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛性」。師は言った、「汝佛性無し」。曰く、「蠢動含靈皆佛性有り、學人は何の故にか却て無き」。師は言った、「汝の外に求むるが為」。問うた、「如何なるか是れ玄玄の珠」。師は言った、「這箇は是れあらず」。曰く、「如何なるか是れ玄玄珠」。師は言った、「失卻せしなり」。

隨州雙泉山梁家庵永禪師

隨州雙泉山梁家庵永禅師

僧問。達磨九年面壁。意旨如何。師曰。睡不著。師問護國長老。隨陽一境。是男是女。各伸一問。問問各別。長老將何祇對。國以手空中畵一圓相。師曰。謝長老慈悲。國曰。不敢。師低頭不顧。問。如何得頓息諸緣去。師曰。雪上更加霜。

僧が問うた、「達磨九年面壁の意旨如何」。師は言った、「睡り着かず」。師護國長老に問うた、「隨陽の一境、是れ男是れ女、各々一問を伸ばし、問問各別なり。長老將に何を以てか祇對せん」。護國手を以て空中に一圓相を畫く。師は言った、「長老の慈悲に謝す」。護國曰く、「敢へず」。師低頭して顧みず。問うた、「如何にすれば諸緣を頓に息め去るを得ん」。師は言った、「雪上更に霜を加ふ」。

漳州保福院超悟禪師

漳州保福院超悟禅師

僧問。魚未透龍門時如何。師曰。養性深潭。曰。透出時如何。師曰。才昇霄漢。眾類難追。曰。昇後如何。師曰。垂雲普覆。潤及大千。曰。還有不受潤者也無。師曰。有。曰。如何是不受潤者。師曰。直杌撐大陽。

僧が問うた、「魚未だ龍門を透らざる時如何」。師は言った、「性を深潭に養ふ」。曰く、「透り出づる時如何」。師は言った、「纔かに霄漢に升り、衆類追ふ難し」。曰く、「升りし後如何」。師は言った、「雲を垂れて普く覆ひ、潤び大千に及ぶ」。曰く、「還た潤びを受けざる者有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ潤びを受けざる者」。師は言った、「直杌は太陽を撑す」。

太原孚上座

太原孚上座

初在揚州光孝寺講涅槃經。有禪者阻雪。因往聽講。至三因佛性。三德法身。廣談法身妙理。禪者失笑。師講罷。請禪者吃茶。白曰。某甲素志狹劣。依文解義。適蒙見笑。且望見教。禪者曰。實笑座主不識法身。師曰。如此解說。何處不是。曰。請座主更說一遍。師曰。法身之理。猶若太虗。竪窮三際。橫亙十方。彌綸八極。包括二儀。隨緣赴感。靡不周徧。曰。不道座主說不是。祇是說得法身量邊事。實未識法身在。師曰。既然如是。禪德當為我說。曰。座主還信否。師曰。焉敢不信。曰。若如是。座主輟講旬日。於室內端然靜慮。收心攝念。善惡諸緣。一時放卻。師一依所教。從初夜至五更。聞鼓角聲。忽然契悟。便去扣門。禪者曰。阿誰。師曰。某甲。禪者咄曰。教汝傳持大教。代佛說法。夜來為甚麼醉酒臥街。師曰。禪德自來講經。將生身父母鼻孔扭揑。從今已去。更不敢如是。禪者曰。且去。來日相見。師遂罷講。徧歷諸方。名聞宇內。嘗遊浙中登徑山法會。一日於大佛殿前。有僧問。上座曾到五臺否。師曰。曾到。曰。還見文殊麼。師曰。見。曰。甚麼處見。師曰。徑山佛殿前見。其僧後適閩川。舉似雪峰。峰曰。何不教伊入嶺來。師聞。乃趣裝而邁。初至雪峰廨院憩錫。因分柑子與僧。長慶問。甚麼處將來。師曰。嶺外將來。曰。遠涉不易。擔負得來。師曰。柑子。柑子。次日上山。雪峰聞。乃集眾。師到法堂上。顧視雪峰。便下看知事。明日卻上禮拜曰。某甲昨日觸忤和尚。峰曰。知是般事便休。峰一日見師。乃指日示之。師搖手而出。峰曰。汝不肯我那。師曰。和尚搖頭。某甲擺尾。甚麼處是不肯。峰曰。到處也須諱卻。一日。眾僧晚參。峰在中庭臥。師曰。五州管內。祇有這老和尚較些子。峰便起去。峰嘗問師。見說臨濟有三句。是否。師曰。是。曰。作麼生是第一句。

初め揚州光孝寺に在りて涅槃經を講す。禪者有り雪に阻まり、因りて往きて講を聽く。三因佛性、三德法身に至りて廣く法身の妙理を談ずるに、禪者笑ひを失す。師講を罷めて禪者に茶を喫せしめ、白して曰く、「某甲素より志狹劣にして文に依りて義を解す。適へ笑はるるを蒙る、且く教へを見んことを望む」。禪者曰く、「實に座主の法身を識らざるを笑へり」。師は言った、「如此解説せば、何處か是れあらざる」。曰く、「座主に更に一遍を説かんことを請ふ」。師は言った、「法身の理、猶ほ太虚の若し。豎には三際に窮まり、橫には十方に亘り、八極を彌綸し二儀を包括す。緣に隨ひ感に赴きて周遍せざる靡し」。曰く、「座主の説くの是れあらずと道はず、只だ説き得たるは法身量邊の事、實に未だ法身を識らず」。師は言った、「既然として是の如し、禪德當に我が為に説くべし」。曰く、「座主還た信ずるか否」。師は言った、「焉んぞ敢へて信ぜざらん」。曰く、「若し是の如くんば、座主旬日に講を輟め、室內に端然として靜慮し、心を收め念を攝め、善惡の諸緣を一時に放卻せよ」。師一に教へに依る。初夜より五更に至り、鼓角の聲を聞きて忽然として契悟し、便ち去りて門を扣く。禪者曰く、「阿誰」。師は言った、「某甲」。禪者咄して曰く、「汝に大教を傳持し、佛に代りて法を説かしむるを教ふ。夜來何の故にか醉酒して街に臥せる」。師は言った、「禪德自ら來たり經を講じ、生身の父母の鼻孔を扭捏す。今より已去、更に敢へて是の如くならず」。禪者曰く、「且く去れ。來日相見せん」。師遂に講を罷め、遍く諸方を歷り、名宇內に聞ゆ。嘗て浙中に遊び徑山の法會に登る。一天大佛殿前に於て、僧有り問うた、「上座曾て五臺に到れるか否」。師は言った、「曾て到れり」。曰く、「還た文殊を見たるか」。師は言った、「見たり」。曰く、「甚麼の處に見たる」。師は言った、「徑山佛殿前に見たり」。那の僧後に閩川に適き、雪峰に擧げ似す。雪峰曰く、「何ぞ伊をして嶺に入らしめざる」。師聞き、乃ち裝を趣りて邁ぐ。初め雪峰の廨院に至り錫を憩む。因りて柑子を僧に分かつ。長慶問うた、「甚麼の處より將て來れり」。師は言った、「嶺外より將て來れり」。曰く、「遠く渉り易からず、擔負して得て來れり」。師は言った、「柑子、柑子」。次日山に上る。雪峰聞き、乃ち衆を集む。師法堂上に到り、雪峰を顧視し、便ち下りて知事を看る。明日却って上りて禮拜して曰く、「某甲昨日和尚に觸忤せり」。雪峰曰く、「是の般の事を知れば便ち休せよ」。雪峰一天師を見、乃ち日を指して之を示す。師手を搖ぎて出づ。雪峰曰く、「汝我を肯んぜざる那」。師は言った、「和尚頭を搖ぎ、某甲尾を擺す、甚麼の處か是れ肯んぜざる」。雪峰曰く、「到處も亦須く諱却すべし」。一天衆僧晚參す。雪峰中庭に臥す。師は言った、「五州管內、只だ這の老和尚較些子なり」。雪峰便ち起ち去る。雪峰嘗て師に問うた、「見説く、臨濟に三句有り、是か否か」。師は言った、「是」。曰く、「作麼生か是れ第一句」。

師舉目視之。峰曰。此猶是第二句。如何是第一句。師叉手而退。自此雪峰深器之。室中印解。師資道契。更不他遊。而掌浴焉。一日。玄沙上。問訊雪峰。峰曰。此間有箇老鼠子。今在浴室裡。沙曰。待與和尚勘過。言訖到浴室。遇師打水。沙曰。相看上座。師曰。已相見了。沙曰。甚麼劫中曾相見。師曰。瞌睡作麼。沙卻入方丈。白雪峰曰。已勘破了。峰曰。作麼生勘伊。沙舉前話。峰曰。汝著賊也。鼓山問師。父母未生時。鼻孔在甚麼處。師曰。老兄先道。山曰。如今生也。汝道在甚麼處。師不肯。山卻問。作麼生。師曰。將手中扇子來。山與扇子。再徵前話。師搖扇不對。山罔測。乃敺師一拳。鼓山赴大王請。雪峰門送。回至法堂。乃曰。一隻聖箭直射九重城裡去也。師曰。是伊未在。峰曰。渠是徹底人。師曰。若不信。待某甲去勘過。遂趂至中路。便問。師兄向甚麼處去。山曰。九重城裡去。師曰。忽遇三軍圍繞時如何。山曰。他家自有通霄路。師曰。恁麼則離宮失殿去也。山曰。何處不稱尊。師拂袖便回。峰問。如何。師曰。好隻聖箭。中路折卻了也。遂舉前話。峰乃曰。奴渠語在。師曰。這老凍膿猶有鄉情在。師在庫前立。有僧問。如何是觸目菩提。師踢狗子。作聲走。僧無對。師曰。小狗子不消一踢。保福簽瓜次。師至。福曰。道得與汝瓜吃。師曰。把將來。福度與一片。師接得便去。師不出世。諸方目為太原孚上座。後歸維揚。陳尚書留在宅供養。一日謂尚書曰。來日講一遍大涅槃經。報答尚書。書致齋茶畢。師遂陞座。良久。揮尺一下曰。如是我聞。乃召尚書。書應諾。師曰。一時佛在。便乃脫去。

師目を擧げて之を視る。雪峰曰く、「此れ猶ほ是れ第二句。如何なるか是れ第一句」。師叉手して退く。自此雪峰深く之を器とす。室中に印解し、師資道契り、更に他遊せずして浴を掌る。一天、玄沙上り、雪峰に問訊す。雪峰曰く、「此の間に老鼠子一箇有り、今浴室裏に在り」。玄沙曰く、「將に和尚と勘過せん」。言訖りて浴室に到り、師の水を打つに遇ふ。玄沙曰く、「上座を相看す」。師は言った、「已に相見せり」。玄沙曰く、「甚麼の劫中に曾て相見せし」。師は言った、「瞌睡して作麼」。玄沙却て方丈に入り、雪峰に白して曰く、「已に勘破せり」。雪峰曰く、「作麼生か伊を勘ふ」。玄沙前話を擧ぐ。雪峰曰く、「汝賊に着けり」。鼓山師に問うた、「父母未だ生ぜざる時、鼻孔は甚麼の處に在る」。師は言った、「老兄先ず道え」。鼓山曰く、「如今生ぜり、汝道へ、甚麼の處に在る」。師肯んぜず。鼓山却て問うた、「作麼生」。師は言った、「手中の扇子を將て來れ」。鼓山扇子を與へ、再び前話を徴す。師扇を搖ぎて對へず。鼓山罔測し、乃ち師に一拳を毆る。鼓山大王の請に赴く、雪峰門に送る。回りて法堂に至り、便ち曰く、「一隻の聖箭直に九重城裏に射て去れり」。師は言った、「是れ伊未だ在らず」。雪峰曰く、「渠は是れ徹底の人」。師は言った、「若し信ぜずんば、某甲が去りて勘過せんを待て」。遂に趁りて中路に至り、便ち問うた、「師兄甚麼の處に向ひて去る」。鼓山曰く、「九重城裏に去る」。師は言った、「忽ち三軍の圍繞に遇はば時如何」。鼓山曰く、「他家自ら通霄の路有り」。師は言った、「如此ならば則ち離宮失殿して去るなり」。鼓山曰く、「何處か尊を稱せざらん」。師袖を拂ひて便ち回る。雪峰問うた、「如何」。師は言った、「好き只だ聖箭、中路に折却せしめ了んぬ」。遂に前話を擧ぐ。雪峰便ち曰く、「奴渠語在り」。師は言った、「這の老凍膿猶ほ鄕情有り」。師庫前に立つ。僧有り問うた、「如何なるか是れ觸目菩提」。師狗子を踢れば聲を作して走る。僧對無し。師は言った、「小狗子は一踢を消せず」。保福瓜に籤する次、師至る。保福曰く、「道得れば汝に瓜を與へて喫さしめん」。師は言った、「把り將て來れ」。保福一片を度し與ふ。師接得して便ち去る。師出世せず。諸方目して太原孚上座とす。後に維揚に歸り、陳尚書宅に留めて供養す。一天尚書に對して曰く、「來日一遍の大涅槃經を講じ、尚書に報答せん」。尚書齋茶を致し畢り、師遂に座に升る。良久、尺を一揮して曰く、「如是我聞」。乃ち尚書を召す。尚書應諾す。師は言った、「一時佛在り」。便ち乃ち脫去す。

南嶽般若惟勁寶聞禪師

南岳般若惟勁寶聞禅師

福州人也。師雪峰而友玄沙。深入玄奧。一日問鑑上座。聞汝註楞嚴。是否。鑑曰。不敢。師曰。二文殊作麼生註。曰。請師鑑。師乃揚袂而去。師嘗續寶林傳四卷。紀貞元之後宗門繼踵之源流者。又別著南嶽高僧傳。皆行於世。

福州人。雪峰を師とし玄沙を友として、深く玄奧に入る。一天鑑上座に問うた、「聞く、汝楞嚴を注す、是か否か」。鑑曰く、「敢へず」。師は言った、「二文殊を作麼生か注せん」。曰く、「師に鑑みんことを請ふ」。師乃ち袂を揚げて去る。師嘗て《寶林傳》四卷を續き、貞元已後宗門の繼踵の源流を紀す。又別に《南岳高僧傳》を著はし、皆世に行はる。

感潭資國禪師法嗣

感潭資國禅師法嗣

安州白兆志圓顯教禪師

安州白兆志圓顯教禅師

僧問。諸佛心印甚麼人傳。師曰。達磨大師。曰。達磨爭能傳得。師曰。汝道甚麼人傳得。問。如何是直截一路。師曰。截。問。如何是佛法大意。師曰。苦。問。如何是道。師曰。普。問。如何是學人自己。師曰。失。問。如何是得無山河大地去。師曰。不起見。問。如何是畢缽羅窟迦葉道場中人。師曰。釋迦牟尼佛。問。如何是朱頂王菩薩。師曰。問那箇赤頭漢作麼。

僧が問うた、「諸佛の心印、甚麼人傳ふる」。師は言った、「達磨大師」。曰く、「達磨争で能く傳ふるを得ん」。師は言った、「汝道へ、甚麼人傳ふるを得る」。問うた、「如何なるか是れ直截の一路」。師は言った、「截」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「苦」。問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「普」。問うた、「如何なるか是れ學人の自己」。師は言った、「失」。問うた、「如何にして山河大地無きを得ん」。師は言った、「見を起さず」。問うた、「如何なるか是れ畢鉢羅窟迦葉道場中の人」。師は言った、「釋迦牟尼佛」。問うた、「如何なるか是れ朱頂王菩薩」。師は言った、「那箇の赤頭漢を問ふて作麼」。

五燈會元巻第七

音釋

音釋

謴(古困切)𤞞(餘玉切)譸(竹尤切)嗢(烏汶切)噦(乙劣切)

謴(古困切)𤞞(余玉切)譸(竹尤切)嗢(烏汶切)噦(乙劣切)

五燈會元巻第八

青原下七世

青原下七世

瑞巖彥禪師法嗣

瑞巖彦禅師法嗣

南嶽橫龍和尚

南岳橫龍和尚

初住金輪。僧問。如何是金輪第一句。師曰。鈍漢。問。如何是金輪一隻箭。師曰。過也。問。如何是祖師燈。師曰。八風吹不滅。曰。恁麼則闇冥不生也。師曰。白日沒閑人。

初め金輪に住す。僧が問うた、「如何なるか是れ金輪の第一句」。師は言った、「鈍漢」。問うた、「如何なるか是れ金輪の一隻の箭」。師は言った、「過なり」。問うた、「如何なるか是れ祖師の燈」。師は言った、「八風吹きて滅せず」。曰く、「さようらば暗冥生ぜざるなり」。師は言った、「白日に閑人無し」。

溫州瑞峰院神祿禪師

溫州瑞峰院神祿禅師

福州人也。久為瑞巖侍者。後開山創院。學侶依附。師有偈曰。蕭然獨處意沉吟。誰信無絃發妙音。終日法堂唯靜坐。更無人問本來心。時有朋彥上座問曰。如何是本來心。師召朋彥。彥應諾。師曰。與老僧點茶來。彥於是信入。

福州人。久しく瑞巖の侍者たり。後に山を開き院を創り、學侶依附す。師偈有りて曰く、「蕭然として獨處し意を沈吟す、誰か信ぜん、無絃の妙音を發するを。終日法堂に唯靜坐し、更に人の本來心を問ふ無し」。時に朋彦上座問うて曰く、「如何なるか是れ本來心」。師朋彦を召す。朋彦應諾す。師は言った、「老僧に點茶せし來れ」。朋彦是に於て信入す。

玄泉彥禪師法嗣

玄泉彦禅師法嗣

鄂州黃龍山誨機超慧禪師

鄂州黃龍山誨機超慧禅師

清河張氏子。初參巖頭。問。如何是祖師西來意。頭曰。你還解救餈麼。師曰。解。頭曰。且救餈去。後到玄泉。問。如何是祖師西來意。泉拈起一莖皂角曰。會麼。師曰。不會。泉放下皂角。作洗衣勢。師便禮拜曰。信知佛法無別。泉曰。你見甚麼道理。師曰。某甲曾問巖頭。頭曰。你還解救餈麼。救餈也祇是解粘。和尚提起皂角。亦是解粘。所以道無別。泉呵呵大笑。師遂有省。住後。僧問。不問祖佛邊事。如何是平常之事。師曰。我住山得十五年也。問。如何是和尚家風。師曰。琉璃缽盂無底。問。如何是君王劒。師曰。不傷萬類。曰。佩者如何。師曰。血濺梵天。曰。大好不傷萬類。師便打。問。佛在日為眾生說法。佛滅後有人說法否。師曰。慚愧佛。問。毛吞巨海。芥納須彌。不是學人本分事。如何是學人本分事。師曰。封了合盤市裡揭。問。急切相投。請師通信。師曰。火燒裙帶香。問。如何是大疑底人。師曰。對坐盤中弓落盞。曰。如何是不疑底人。師曰。再坐盤中弓落盞。問。風恬浪靜時如何。師曰。百尺竿頭五兩垂。師將順世。僧問。百年後。缽囊子甚麼人將去。師曰。一任將去。曰。裡面事如何。師曰。線綻方知。曰。甚麼人得。師曰。待海鷰雷聲。即向汝道。言訖而寂。

淸河張氏子。初め巖頭に參じて問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。巖頭は言った、「汝還た救糍を解するか」。師は言った、「解す」。巖頭は言った、「且く救糍せよ」。後に玄泉に到りて問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。玄泉一莖の皂角を拈起して曰く、「會すか」。師は言った、「會せず」。玄泉皂角を放下し、洗衣の勢を作す。師便ち禮拜して曰く、「信に知る、佛法別無し」。玄泉曰く、「汝甚麼の道理か見る」。師は言った、「某甲曾て巖頭に問へり。巖頭曰く、汝還た救糍を解するか。救糍も只だ是れ粘を解くなり。和尚の皂角を提起するも、亦た解粘なり。所以道ふ、別無しと」。玄泉呵呵大笑す。師遂に省有り。住して後、僧が問うた、「祖佛邊の事を問はず、如何なるか是れ平常の事」。師は言った、「我山に住して十五年を得たり」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「琉璃の鉢盂底無し」。問うた、「如何なるか是れ君王の劍」。師は言った、「萬類を傷つけず」。曰く、「佩びる者如何」。師は言った、「血は梵天に溅ぐ」。曰く、「大好きは萬類を傷つけざるなり」。師便ち打つ。問うた、「佛在りし日は衆生の為に法を説き、佛滅して後法を説く人有るや無し」。師は言った、「佛に慚愧す」。問うた、「毛は巨海を吞み、芥は須彌を納るるは、是れ學人の本分事にあらず。如何なるか是れ學人の本分事」。師は言った、「封じ了りて合盤の市里に揭ぐ。問うた、「急切相投、師に通信を請ふ」。師は言った、「火は裙帶を燒き香を放つ」。問うた、「如何なるか是れ大疑の人」。師は言った、「對坐の盤中に弓の盞に落つ」。曰く、「如何なるか是れ不疑の人」。師は言った、「再び坐する盤中に弓の盞に落つ」。問うた、「風恬み浪靜かなる時如何」。師は言った、「百尺の竿頭に五兩垂る」。師將に順世せんとす。僧が問うた、「百年後、鉢囊子は甚麼人將て去る」。師は言った、「一任將て去れ」。曰く、「裏面の事如何」。師は言った、「線綻びて方に知る」。曰く、「甚麼人か得る」。師は言った、「海燕の雷聲を待ち、即ち汝に向ひて道はん」。言訖りて寂す。

洛京栢谷和尚

洛京栢谷和尚

僧問。普滋法雨時如何。師曰。有道傳天位。不汲鳳凰池。問。九旬禁足三月事如何。師曰。不墜蠟人機。

僧が問うた、「普く法雨を滋す時如何」。師は言った、「道有りて天位に傳へ、鳳凰池を汲まず」。問うた、「九旬禁足三月の事如何」。師は言った、「蠟人の機に墜ちず」。

懷州玄泉二世和尚

懷州玄泉二世和尚

僧問。辭窮理盡時如何。師曰。不入理。豈同盡。問。妙有玄珠。如何取得。師曰。不似摩尼絕影豔。碧眼胡人豈能見。曰。有口道不得時如何。師曰。三寸不能齊皷韻。瘂人解唱木人歌。

僧が問うた、「辭窮まり理盡きる時如何」。師は言った、「理に入らず、豈に同盡せん」。問うた、「妙有の玄珠、如何にして取得する」。師は言った、「摩尼の影艷を絕するに似ず、碧眼の胡人豈に能く見ん」。曰く、「口有りて道ひ得ざる時如何」。師は言った、「三寸の鼓韻に齊しからず、啞人木人の歌を解唱す」。

潞府妙勝玄密禪師

潞府妙勝玄密禅師

僧問。四山相逼時如何。師曰。紅日不垂影。暗地莫知音。曰。學人不會。師曰。鶴透群峰。何伸向背。問。雪峰一曲千人唱。月裡挑燈誰最明。師曰。無音和不齊。明暗豈能收。

僧が問うた、「四山相逼ぐ時如何」。師は言った、「紅日影を垂れず、暗地は知音なし」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「鶴群峰を透らば、何をか向背を伸向せん」。問うた、「雪峰一曲千人唱ふ、月裏に燈を挑ぐ、誰か最も明なる」。師は言った、「無音和らぎ齊はず、明暗豈に能く收めん」。

羅山閑禪師法嗣

羅山閑禅師法嗣

婺州明招德謙禪師

婺州明招德謙禅師

受羅山印記。靡滯於一隅。激揚玄旨。諸老宿皆畏其敏揵。後學鮮敢當其鋒者。嘗到招慶。指壁畵問僧。那箇是甚麼神。曰。護法善神。師曰。會昌沙汰時。向甚麼處去來。僧無對。師令僧問演侍者。演曰。汝甚麼劫中遭此難來。僧回舉似師。師曰。直饒演上座。他後聚一千眾。有甚麼用處。僧禮拜。請別語。師曰。甚麼處去也。次到坦長老處。坦曰。夫參學。一人所在亦須到。半人所在亦須到。師便問。一人所在即不問。作麼生是半人所在。坦無對。後令小師問師。師曰。汝欲識半人所在麼。也祇是弄泥團漢。清上座舉仰山插鍬話問師。古人意在叉手處。插鍬處。師召清。清應諾。師曰。還夢見仰山麼。清曰。不要上座下語。祇要商量。師曰。若要商量。堂頭自有一千五百人老師在。又到雙巖。巖請吃茶次。曰。某甲致一問。若道得。便捨院與闍黎住。若道不得。即不捨院。遂舉金剛經云。一切諸佛及諸佛阿耨多羅三藐三菩提法。皆從此經出。且道此經是何人說。師曰。說與不說。拈向這邊著。祇如和尚。決定喚甚麼作此經。巖無對。師又曰。一切賢聖。皆以無為法而有差別。則以無為法為極則。憑何而有差別。祇如差別。是過不是過。若是過。一切賢聖悉皆是過。若不是過。決定喚甚麼作差別。巖亦無語。師曰。噫。雪峰道底。師訪保寧。於中路相遇。便問。兄是道伴中人。乃點鼻頭曰。這箇礙塞我不徹。與我拈卻少時得麼。寧曰。和尚有來多少時。師曰。噫。洎賺我踏破一緉草鞋。便回國泰代曰。非但某甲。諸佛亦不奈何。師曰。因甚麼以己方人。師在婺州智者寺。居第一座。尋常不受淨水。主事嗔曰。上座不識觸淨。為甚麼不受淨水。師跳下床。提起淨瓶曰。這箇是觸是淨。事無語。師乃撲破。自爾道聲遐播。眾請居明招山開法。四來禪者盈於堂室。上堂。全鋒敵勝。罕遇知音。同死同生。

羅山の印記を受け、一隅に靡滯せず。玄旨を激揚し、諸の老宿皆其の敏捷を畏れ、後學其の鋒に當るを敢てする者鮮し。嘗て招慶に到り、壁畫を指して僧に問うた、「那箇は是れ甚麼の神」。曰く、「護法の善神」。師は言った、「會昌沙汰の時、甚麼の處に向ひて去り來れり」。僧對無し。師僧をして演侍者に問はしむ。演曰く、「汝甚麼の劫中にか此の難に遭ひ來れり」。僧回りて師に擧げ似す。師は言った、「直饒演上座、他後一千の衆を聚めても、有らん甚麼の用處」。僧禮拜して別語を請ふ。師は言った、「甚麼の處か去れり」。次いで坦長老の處に到る。坦曰く、「夫れ參學は、一人の所在も亦須く到るべく、半人の所在も亦須く到るべし」。師便ち問うた、「一人の所在は即ち問はず、作麼生か是れ半人の所在」。坦對無し。後に小師をして師に問はしむ。師は言った、「汝半人の所在を識らんと欲するか。也只だ是れ泥團を弄する漢」。淸上座仰山の插鍬の話を擧げて師に問うた、「古人の意は叉手の處に在るか、插鍬の處に在るか」。師淸を召す。淸應諾す。師は言った、「還た仰山を夢見るか」。淸曰く、「上座の語を下すを要せず、只だ商量を要す」。師は言った、「若し商量せんと欲せば、堂頭自ら一千五百人の師在り」。又雙巖に到る。雙巖茶を喫さしめんことを請ふの次、曰く、「某甲一問を致さん。若し道ひ得ば、便ち院を舍てて闍黎に與へて住さしめん。若し道ひ得ざれば、即ち院を舍てず」。遂に《金剛經》を擧げて曰く、「一切諸佛及び諸佛の阿耨多羅三藐三菩提(意は「無上正等正覺」、佛の證する圓滿の正覺)の法、皆此の經より出づ。且く道へ、此の經は是れ何人の説くぞ」。師は言った、「説くと説かざると、拈じて這邊に向ひ着けよ。只だ如し和尚、決定して甚麼をか喚びて此の經と作さん」。雙巖對無し。師又曰く、「一切賢聖、皆以無為法に因りて差別有りと、則ち無為法を以て極則と爲す。何を憑へて差別有る。只だ如し差別、是れ過か、是れ過あらざるか。若し是れ過ならば、一切賢聖悉く皆な是れ過なり。若し是れ過あらずんば、決定して甚麼をか喚びて差別と作さん」。雙巖亦た語無し。師は言った、「噫。雪峰の道ふなり」。師保寧を訪ふ、中路に於て相遇ふ。便ち問うた、「兄は是れ道伴中の人」。乃ち鼻頭を點じて曰く、「這箇は我を礙塞して徹せず、我と拈却して少時得るか」。保寧曰く、「和尚有り來りて多少の時」。師は言った、「噫。洎に我を賺して一緉の草鞋を踏破らしむ」。便ち回る。國泰代えて曰く、「但だ某甲のみならず、諸佛も亦た奈何せんず」。師は言った、「甚麼の故にか己を以て人を方る」。師婺州の智者寺に在りて、第一座に居る。尋常淨水を受けず。主事嗔りて曰く、「上座觸淨を識らず、甚麼の故にか淨水を受けざる」。師牀を跳び下り、淨瓶を提起して曰く、「這箇は是れ觸か是れ淨か」。主事語無し。師乃ち撲破す。自爾道聲遐く播まる。衆請ひて明招山に居り法を開かしむ。四來の禪者堂室に盈つ。上堂、「全鋒敵勝す、罕に知音に遇ふ。同死同生は、

萬中無一。尋言逐句。其數河沙。舉古舉今。滅胡種族。向上一路。啐啄猶乖。儒士相逢。握鞭回首。沙門所見。誠實苦哉。拋卻真金。隨隊撮土。報諸稚子。莫謾波波。解得他玄。猶兼瓦礫。不如一擲。騰過太虗。祇者靈鋒。阿誰敢近。任君來箭。方稱丈夫。擬欲吞聲。不消一攫。僧問。師子未出窟時如何。師曰。俊鷂趂不及。曰。出窟後如何。師曰。萬里正紛紛。曰。欲出不出時如何。師曰。嶮。曰。向去事如何。師曰。劄。問。如何是透法身外一句子。師曰。北斗後翻身。問。十二時中如何趣向。師曰。拋向金剛地上著。問。文殊與維摩對談何事。師曰。葛巾紗帽。已拈向這邊著也。問。如何是和尚家風。師曰。齩得著是好手。問。放鶴出籠和煙去時如何。師曰。爭奈頭上一點何。問。無煙之火。是甚麼人向得。師曰。不惜眉毛底。曰。和尚還向得麼。師曰。汝道我有多少莖眉毛在。新到參。才上法堂。師舉拂子卻擲下。其僧珍重。便下去。師曰。作家。作家。問。全身佩劒時如何。師曰。忽遇正恁麼時又作麼生。僧無對。一日天寒。上堂。眾才集。師曰。風頭稍硬。不是汝安身立命處。且歸暖室商量。便歸方丈。大眾隨至立定。師又曰。才到暖室。便見瞌睡。以拄杖一時趂下。師問國泰。古人道俱胝祇念三行呪。便得名超一切人。作麼生與他拈卻三行呪。便得名超一切人。泰竪起一指。師曰。不因今日。爭識得瓜洲客。師有師叔在廨院不安。附書來問曰。某甲有此大病。如今正受疼痛。一切處安置伊不得。還有人救得麼。師回信曰。頂門上中此金剛箭。透過那邊去也。會下有僧去。住庵一年後卻來。禮拜曰。古人道三日不相見。莫作舊時看。師撥開胸曰。汝道我有幾莖葢膽毛。僧無對。師卻問。汝甚麼時離庵。曰。今朝。師曰。來時折腳鐺子。分付與阿誰。僧又無語。師乃喝出。問。承師有言。

(師引き続き曰く、)萬中無一。言を尋ね句を逐ふ、其の數河沙なり。古を擧げ今を擧げて、胡の種族を滅す。向上の一路、啐啄も猶ほ乖る。儒士相逢へば、鞭を握りて首を回らす。沙門の見る所、誠實に苦しき哉。真金を拋却して、隊に隨ひ土を撮む。諸の稚子に報ゆ、波波を謾る莫れ。他の玄を解し得るも、猶ほ瓦礫を兼ぬ。一擲して太虚を騰過するに如かず。只だ這の靈鋒、阿誰敢へて近づかん。君の來る箭に任せて、方に丈夫と稱す。聲を吞まんと擬せば、一攫を消せず」。僧が問うた、「師子未だ窟を出でざる時如何」。師は言った、「俊鷂趁ふも及ばず」。曰く、「窟を出でし後如何」。師は言った、「萬里正に紛紛」。曰く、「出でんと欲して出でざる時如何」。師は言った、「險」。曰く、「向かひ去る事如何」。師は言った、「札」。問うた、「如何なるか是れ法身外を透る一句子」。師は言った、「北斗後に翻身す」。問うた、「十二時中如何に趣向せん」。師は言った、「金剛地上に拋向して着けよ」。問うた、「文殊與維摩對談するは何事」。師は言った、「葛巾紗帽、已に拈じて這邊に向ひ着けり」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「咬み着くは是れ好手」。問うた、「鶴を放ちて籠を出で煙と和して去る時如何」。師は言った、「争奈、頭上の一點何」。問うた、「無煙の火は、是れ甚麼人向くを得る」。師は言った、「眉毛を惜しまざる的」。曰く、「和尚還た向くを得るか」。師は言った、「汝道へ、我に多少莖の眉毛か在る」。新到參す。纔かに法堂に上る、師拂子を擧げて却って擲げ下ろす。那の僧珍重して便ち下去す。師は言った、「作家、作家」。問うた、「全身劍を佩ぶる時如何」。師は言った、「忽ち正に恁麼なる時に遇はば又作麼生」。僧對無し。一天天寒にして上堂。衆纔かに集る、師は言った、「風頭稍硬し、是れ汝の安身立命の處にあらず。且く暖室に歸りて商量せよ」。便ち方丈に歸る。大衆隨ひ至りて立定す。師又曰く、「纔かに暖室に到れば、便ち瞌睡を見る」。拄杖を以て一時に趁下す。師國泰に問うた、「古人道ふ、俱胝只だ三行の咒を念じて、便ち一切人を超ゆる名を得。作麼生か他に與ひて三行の咒を拈却して、便ち一切人を超ゆる名を得ん」。國泰一指を豎起す。師は言った、「今日に因らずんば、争でか瓜洲の客を識らん」。師に師叔有りて廨院に在りて安からず、書を附して來りて曰く、「某甲此の大病有り、如今正に疼痛を受く、一切處伊を安置するを得ず。還た救ひ得る人有るか無し」。師信を回して曰く、「頂門上に此の金剛箭を中て、透りて那邊に去れり」。會下に僧去りて、庵に住すこと一年の後却って來り、禮拜して曰く、「古人道ふ、三日相見ざれば、舊時の看を作す莫れ」。師胸を撥開きて曰く、「汝道へ、我に幾莖の蓋膽毛か在る」。僧對無し。師却って問うた、「汝甚麼の時庵を離る」。曰く、「今朝」。師は言った、「來る時折脚の鐺子を、分付して阿誰に與へし?」僧又語無し。師乃ち喝出す。問うた、「師に言有るを承る、

我住明招頂。興傳古佛心。如何是明招頂。師曰。換卻眼。曰。如何是古佛心。師曰。汝還氣急麼。問。學人拏雲㸕浪。上來請師展缽。師曰。拶破汝頂。曰。也須仙陀去。師便打。趂出。師有頌示眾曰。明招一拍和人稀。此是真宗上妙機。石火瞥然何處去。朝生之子合應知。臨遷化。上堂告眾。囑付訖。僧問。和尚百年後向甚麼處去。師擡起一足曰。足下看取。中夜問侍者。昔日靈山會上。釋迦如來展開雙足。放百寶光。遂展足曰。吾今放多少。者曰。昔日世尊。今宵和尚。師以手撥眉曰。莫孤負麼。乃說偈曰。驀刀叢裡逞全威。汝等諸人善護持。火裡鐵牛生犢子。臨岐誰解湊吾機。偈畢。端坐而逝。塔院存焉。

(僧引き続き問う、)「我明招頂に住し、興傳す古佛心。如何なるか是れ明招頂」。師は言った、「眼を換却す」。曰く、「如何なるか是れ古佛心」。師は言った、「汝還た氣急なるか」。問うた、「學人雲を拏み浪を攫み、上來して師に鉢を展ばんことを請ふ」。師は言った、「汝の頂を拶破せん」。曰く、「也須く仙陀去べし」。師便ち打ちて趁出す。師頌有りて衆に示して曰く、「明招一拍して和する人稀なり、此れ是真宗の上妙の機。石火瞥然として何處か去る、朝生の子合に應に知るべし」。遷化に臨み、上堂して衆に吿げ、囑付訖る。僧が問うた、「和尚百年後、甚麼の處に向ひて去る」。師一足を擡起して曰く、「足下看取せ」。中夜侍者に問うた、「昔日靈山會上、釋迦如來雙足を展開し、百寶の光を放てり」。遂に足を展べて曰く、「吾今多少を放つ」。侍者曰く、「昔日の世尊、今宵の和尚」。師手を以て眉を撥いて曰く、「孤負せざるか」。乃ち偈を説いて曰く、「刀叢の裏に驀地して全威を逞しうす、汝等諸人善く護持せよ。火裏の鐵牛犢子を生み、岐に臨みて誰か吾が機を湊するを解せん」。偈畢り、端坐して逝く。塔院存り焉。

洪州大寧院隱微覺寂禪師

洪州大寧院隱微覺寂禅師

豫章新淦楊氏子。誕夕有光明貫室。年七歲。依本邑石頭院道堅禪師出家受具。歷參宗匠。至羅山。山導以師子在窟出窟之要。因而省悟。後回江表。會龍泉宰李孟俊請居十善道場。闡揚宗旨。上堂。還有騰空底麼。出來。眾無出者。師說偈曰。騰空正是時。應須眨上眉。從茲出倫去。莫待白頭兒。僧問。如何是十善橋。師曰。險。曰。過者如何。師曰。喪。問。資福和尚遷化向甚麼處去。師曰。草鞋破。問。如何是黃梅一句。師曰。即今作麼生。曰。如何通信。師曰。九江路絕。問。初心後學。如何是學。師曰。頭戴天。曰。畢竟如何。師曰。腳踏地。問。如何是法王劒。師曰。露。曰。還殺人也無。師曰。作麼。問。如何是龍泉劒。師曰。不出匣。曰。便請出匣。師曰。星辰失位。問。國界安寧。為甚麼珠不現。師曰。落在甚麼處。

豫章新淦の楊氏子。誕夕に光明室を貫く有り。年七歳、本邑の石頭院道堅禅師に依りて出家し具を受く。宗匠を歷參し、羅山に至る。羅山師子在窟出窟の要を以て導き、因りて省悟す。後に江表に回る。會して龍泉宰の李孟俊、十善道場に居り宗を闡揚せんことを請ふ。上堂、「還た騰空の者あるか。出でよ」。衆出づる者無し。師偈を説いて曰く、「騰空は正に是れ時、應に須く眉に眨上すべし。茲より倫を出でて去れ、白頭兒を待つ莫れ」。僧が問うた、「如何なるか是れ十善橋」。師は言った、「險」。曰く、「過ぎる者如何」。師は言った、「喪」。問うた、「資福和尚遷化して甚麼の處に向ひて去る」。師は言った、「草鞋破る」。問うた、「如何なるか是れ黃梅の一句」。師は言った、「即今作麼生」。曰く、「如何に通信せん」。師は言った、「九江路絕す」。問うた、「初心後學、如何にか是れ學」。師は言った、「頭戴す天を」。曰く、「畢竟如何」。師は言った、「脚踏む地を」。問うた、「如何なるか是れ法王劍」。師は言った、「露」。曰く、「還た人を殺すや無し」。師は言った、「作麼」。問うた、「如何なるか是れ龍泉劍」。師は言った、「匣を出でず」。曰く、「便ち匣を出でんことを請ふ」。師は言った、「星辰位を失ふ」。問うた、「國界安寧なり、甚麼の故にか珠現ぜざる」。師は言った、「甚麼の處にか落つ」。

衡州華光範禪師

衡州華光范禅師

僧問。靈臺不立。還有出身處也無。師曰。有。曰。如何是出身處。師曰。出。問。如何是西來意。師曰。道。問。如何是佛法大意。師曰。驗。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。自由自在。曰。見後如何。師曰。自由自在。問。如何是佛法中事。師曰。了。

僧が問うた、「靈臺立たず、還た出身の處有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ出身處」。師は言った、「出」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「道」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「驗」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時如何」。師は言った、「自由自在」。曰く、「見し後如何」。師は言った、「自由自在」。問うた、「如何なるか是れ佛法中の事」。師は言った、「了」。

福州羅山紹孜禪師

福州羅山紹孜禅師

上堂。有數僧爭出問話。師曰。但一齊出來問。待老僧一齊與汝答。僧便問。學人一齊問。請師一齊答。師曰。得。問。學人乍入叢林。祖師的的意。請師直指。師曰。好。

上堂。數僧有りて爭ひ出で問話す。師は言った、「但だ一齊に出で來りて問へ、老僧一齊に汝と答へんを待て」。僧便ち問うた、「學人一齊に問はん、師に一齊の答を請ふ」。師は言った、「得」。問うた、「學人乍に叢林に入る、祖師的的の意、師に直指を請ふ」。師は言った、「好」。

西川定慧禪師

西川定慧禅師

初參羅山。山問。甚麼處來。師曰。遠離西蜀。近發開元。卻近前問。即今事作麼生。山揖曰。吃茶去。師擬議。山曰。秋氣稍熱去。師出至法堂。歎曰。我在西蜀峨嵋山腳下拾得一隻蓬蒿箭。擬撥亂天下。今日打羅山寨。弓折箭盡也。休。休。乃下參眾。山來日上堂。師出問。豁開戶牗。當軒者誰。山便喝。師無語。山曰。毛羽未備。且去。師因而摳衣。久承印記。後謁台州勝光。光坐次。師直入身邊。叉手而立。光問。甚處來。師曰。猶待答話在。便出。光拈得拂子。趂至僧堂前。見師乃提起拂子曰。闍黎喚這箇作甚麼。師曰。敢死喘氣。光低頭歸方丈。

初め羅山に參ず。羅山問うた、「甚麼の處か來る」。師は言った、「遠く西蜀を離れ、近く開元を發す」。却って近づき前に問うた、「即今の事作麼生」。羅山揖して曰く、「茶を喫しに去れ」。師擬議す。羅山曰く、「秋氣稍熱し去れ」。師出でて法堂に至り、歎じて曰く、「我西蜀峨眉山の脚下に一隻の蓬蒿の箭を拾得し、擬して天下を撥亂せんとす。今日羅山の寨を打ちて、弓折れ箭盡きたり。休、休」。乃ち下りて衆に參ず。羅山來日上堂す。師出でて問うた、「戶牖を豁開せば、軒に當る者誰」。羅山便ち喝す。師語無し。羅山曰く、「毛羽未だ備はらず、且く去れ」。師因りて衣を抠め、久しく印記を承く。後に台州勝光に謁す。勝光坐する次、師直に身邊に入り、叉手して立つ。勝光問うた、「甚處か來る」。師は言った、「猶ほ答話を待ち在り」。便ち出づ。勝光拂子を拈得し、趁りて僧堂前に至り、師を見て乃ち拂子を提起して曰く、「闍黎這箇を喚びて甚麼と作す」。師は言った、「敢へて死して喘氣す」。勝光頭を低めて方丈に歸る。

建州白雲令弇禪師

建州白雲令弇禅師

上堂。遣往先生門。誰雲對喪主。珍重。僧問。己事未明。以何為驗。師曰。木鏡照素容。曰。驗後如何。師曰。不爭多。問。三臺有請。四眾臨筵。既處當仁。請師一唱。師曰。要唱也不難。曰。便請。師曰。夜靜水寒魚不食。滿船空載月明歸。

上堂、「先生の門に遣往す、誰か喪主に對すると道ふ。珍重」。僧が問うた、「己事未だ明らかならず、以て何をか驗と爲す」。師は言った、「木鏡素容を照らす」。曰く、「驗し後如何」。師は言った、「多く爭はず」。問うた、「三臺請有り、四衆筵に臨む。既に當仁に處り、師に一唱を請ふ」。師は言った、「唱ふるを要するも亦た難からず」。曰く、「便ち請ふ」。師は言った、「夜靜かに水寒く魚食はず、滿船空しく月明を載せて歸る」。

虔州天竺義澄常真禪師

虔州天竺義澄常眞禅師

在羅山數載。後因山示疾。師問。百年後忽有人問。和尚以何指示。山乃放身便倒。師從此契悟。即禮謝。住後。僧問。如何是佛法大意。師曰。寒暑相催。

羅山に在ること數載。後に羅山疾を示すに因り、師問うた、「百年後忽ち人の問はん有らば、和尚何を以てか指示せん」。羅山乃ち身を放ちて便ち倒る。師此れより契悟し、即ち禮謝す。住して後、僧が問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「寒暑相催す」。

吉州清平惟曠真寂禪師

吉州淸平惟曠眞寂禅師

上堂。不動神情。便有輸贏之意。還有麼。出來。時有僧出禮拜。師曰。不是作家。便歸方丈。問。如何是第一句。師曰。要頭將取去。問。如何是活人劒。師曰。會麼。曰。如何是殺人刀。師叱之。問。如何是師子兒。師曰。毛頭排宇宙。

上堂、「神情を動かさず、便ち輸贏の意有り。還たあるか。出でよ」。時に僧出でて禮拜す。師は言った、「是れ作家にあらず」。便ち方丈に歸る。問うた、「如何なるか是れ第一句」。師は言った、「頭を要らば將て取れ」。問うた、「如何なるか是れ活人劍」。師は言った、「會すか」。曰く、「如何なるか是れ殺人刀」。師之を叱る。問うた、「如何なるか是れ師子兒」。師は言った、「毛頭宇宙を排す」。

婺州金柱山義昭禪師

婺州金柱山義昭禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。開門作活計。曰。忽遇賊來。又作麼生。師曰。然。新到參。師揭簾以手作除帽勢。僧擬欲近前。師曰。賺殺人。因事有偈曰。虎頭生角人難措。石火電光須密佈。假饒烈士也應難。懵底那能解回互。

僧が問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「門を開きて活計を作す」。曰く、「忽ち賊來に遇はば又作麼生」。師は言った、「然」。新到參す。師簾を揭げ手を以て帽を除く勢を作す。僧擬して近づき前なんと欲す。師は言った、「賺して人を殺す」。事有りて偈を説いて曰く、「虎頭角を生じ人措く難し、石火電光須く密布すべし。假饒烈士も亦た應に難し、懵董那で能く回互を解せん」。

潭州谷山和尚

潭州谷山和尚

僧問。省要處乞師一言。師便起去。問。𦏪羊掛角時如何。師曰。你向甚麼處覓。曰。掛角後如何。師曰。走。

僧が問うた、「省要の處、師に一言を乞ふ」。師便ち起ち去る。問うた、「羚羊角を挂くる時如何」。師は言った、「汝甚麼の處に向ひてか覓る」。曰く、「角を挂けし後如何」。師は言った、「走れ」。

湘南道吾從盛禪師

湘南道吾從盛禅師

初住龍回。僧問。如何是覿面事。師曰。新羅國去也。問。如何是龍回家風。師曰。縱橫射直。問。窮子投師。乞師拯濟。師曰。莫是屈著汝麼。曰。爭奈窮何。師曰。大有人見。

初め龍回に住す。僧が問うた、「如何なるか是れ觌面の事」。師は言った、「新羅國に去れり」。問うた、「如何なるか是れ龍回の家風」。師は言った、「縱橫射直す」。問うた、「窮子師に投ず、師に拯濟を乞ふ」。師は言った、「莫れ汝を屈し着けりするか」。曰く、「争奈窮何」。師は言った、「大に人有りて見る」。

福州羅山義因禪師

福州羅山義因禅師

上堂良久曰。若是宗師門下客。必不怪於羅山。珍重。僧問。承古有言。自從認得曹谿路。了知生死不相關。曹谿路即不問。如何是羅山路。師展兩手。僧曰。恁麼則一路得通。諸路亦然。師曰。甚麼諸路。僧近前叉手。師曰。靈鶴煙霄外。鈍鳥不離窠。問。教中道。順法身萬象俱寂。隨智用萬象齊生。如何是萬象俱寂。師曰。有甚麼。曰。如何是萬象齊生。師曰。繩床倚子。

上堂、良久して曰く、「若し是れ宗師門下の客ならば、必ず羅山を怪まず。珍重」。僧が問うた、「承る、古に言有り、自從曹溪路を認得し、了知す生死相關せずと。曹溪路は即ち問はず、如何なるか是れ羅山路」。師兩手を展げる。僧曰く、「さようらば一路通じ得れば、諸路亦然り」。師は言った、「甚麼の諸路」。僧近づき前に叉手す。師は言った、「靈鶴は煙霄の外、鈍鳥は窠を離れず」。問うた、「教中に道ふ、法身に順へば萬象俱に寂なり、智用に隨へば萬象齊しく生ず。如何なるか是れ萬象俱寂」。師は言った、「甚麼か有る」。曰く、「如何なるか是れ萬象齊生」。師は言った、「繩牀倚子」。

灌州靈巖和尚

灌州靈巖和尚

僧問。如何是道中寶。師曰。地傾東南。天高西北。曰。學人不會。師曰。落照機前異。師頌石鞏接三平曰。解擘當胸箭。因何祇半人。為從途路曉。所以不全身。

僧が問うた、「如何なるか是れ道中の寶」。師は言った、「地は東南に傾き、天は西北に高し」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「落照機前に異なり」。師石鞏の三平を接するを頌して曰く、「當胸の箭を擘くを解す、因何に只だ半人なる。是れ途路に曉るより、所以全く身せざるなり」。

吉州匡山和尚

吉州匡山和尚

示徒頌曰。匡山路。匡山路。巖崖嶮峻人難措。遊人擬議隔千山。一句分明超佛祖。白牛頌曰。我有古壇真白牛。父子藏來經幾秋。出門直往孤峰頂。回來暫跨虎溪頭。

徒に示す頌曰く、「匡山路、匡山路。巖崖險峻にして人措く難し。游人擬議すれば千山隔たり、一句分明に佛祖を超ゆ」。白牛頌曰く、「我有り古壇の眞白牛、父子藏め來りて幾秋を經る。門を出でて直に孤峰頂に往き、回り來りて暫く虎溪頭を跨ぐ」。

福州興聖重滿禪師

福州興聖重滿禅師

上堂。覿面分付。不待文宣。對眼投機。喚作參玄。上士若能如此。所以宗風不墜。僧問。如何是宗風不墜底句。師曰。老僧不忍。問。昔日靈山會裡。今朝興聖筵中。和尚親傳。如何舉唱。師曰。欠汝一問。

上堂、「觌面分付して文宣を待たず、眼に對して機に投ずるを喚びて參玄と作す。上士若能く如此ならば、所以宗風墜ちず」。僧が問うた、「如何なるか是れ宗風不墜の句」。師は言った、「老僧忍びず」。問うた、「昔日靈山會裏、今朝興聖筵中。和尚親く傳ふ、如何に擧唱せん」。師は言った、「汝の一問を欠く」。

潭州寶應清進禪師

潭州寶應淸進禅師

僧問。如何是實相。師曰。沒卻汝。問。至理無言。如何通信。師曰。千差萬別。曰。得力處乞師指示。師曰。瞌睡漢。

僧が問うた、「如何なるか是れ實相」。師は言った、「汝を沒却す」。問うた、「至理言無し、如何に通信せん」。師は言った、「千差萬別」。曰く、「得力の處、師に指示を乞ふ」。師は言った、「瞌睡漢」。

玄沙備禪師法嗣

玄沙備禅師法嗣

漳州羅漢院桂琛禪師

漳州羅漢院桂琛禅師

常山李氏子。為童兒時。日一素食。出言有異。既冠。親事本府萬歲寺無相大師。披削登戒。學毗尼。一日。為眾陞臺。宣戒本布薩已。乃曰。持戒但律身而已。非真解脫也。依文作解。豈發聖智乎。於是訪南宗。初謁雲居雪峰。參訊勤恪。然猶未有所見。後造玄沙。一言啟發。廓爾無惑。沙問。三界唯心。汝作麼生會。師指倚子曰。和尚喚這箇作甚麼。曰。倚子。師曰。和尚不會三界唯心。曰。我喚這箇作竹木。汝喚作甚麼。師曰。桂琛亦喚作竹木。曰。盡大地覓一箇會佛法底人不可得。師自爾愈加激勵。沙每因誘迪學者。流出諸三昧。皆命師為助發。師雖處眾韜晦。然聲譽甚遠。時漳牧王公建精舍曰地藏。請師開法。因插田次。見僧乃問。從甚處來。曰。南州。師曰。彼中佛法如何。曰。商量浩浩地。師曰。爭如我這裡。栽田博飯吃。曰。爭奈三界何。師曰。喚甚麼作三界。問僧甚處來。曰。南方來。師曰。南方知識。有何言句示徒。曰。彼中道。金屑雖貴。眼裡著不得。師曰。我道須彌在師眼裡。一日。同中塔侍玄沙。沙打中塔一棒曰。就名就體。中塔不對。沙乃問師。作麼生會。師曰。這僧著一棒不知來處。僧報曰。保福已遷化也。師曰。保福遷化。地藏入塔(僧問法眼。古人意旨如何。眼雲。蒼天。蒼天)。後遷羅漢。大闡玄要。上堂。宗門玄妙。為當祇恁麼。也更別有奇特。若別有奇特。汝且舉將來看。若無。去。不可將兩箇字便當卻宗乘也。何者。兩箇字謂宗乘.教乘也。汝才道著宗乘。便是宗乘。道著教乘。便是教乘。禪德。佛法宗乘。元來由汝口裡安立名字。作取說取便是也。斯須向這裡說平說實。說圓說常。禪德。汝喚甚麼作平實。把甚麼作圓常。傍家行腳。理須甄別。莫相埋沒。得些子聲色名字。貯在心頭。道我會解。善能揀辨。汝且會箇甚麼。揀箇甚麼。記持得底是名字。

常山李氏子。童兒と爲る時、日に一たび素食し、言を出せば異有り。既冠して、本府萬歲寺の無相大師に親事し、披削して戒に登り、毗尼を學ぶ。一天、衆の爲に臺に升り、戒本を宣べ布薩已り、便ち曰く、「持戒は但だ身を律するのみ、眞の解脱にあらず。文に依りて解を作さば、豈に聖智を發さんや」。是に於て南宗を訪ふ。初め雲居、雪峰に謁し、參訊勤恪なれど、然も猶ほ見る所有らず。後に玄沙に造る。一言啓發し、廓爾として惑無し。玄沙問うた、「三界唯心、汝作麼生か會する」。師倚子を指して曰く、「和尚這箇を喚びて甚麼と作す」。曰く、「倚子」。師は言った、「和尚三界唯心を會せず」。曰く、「我這箇を喚びて竹木と作す、汝は甚麼と喚び作す」。師は言った、「桂琛も亦た竹木と喚び作す」。曰く、「大地を盡して佛法を會する人一箇を覓るも得る可からず」。師自爾愈々激勵す。玄沙每に學者を誘迪するに因りて、諸の三昧を流出す。皆師をして助發せしむ。師衆に處りて晦を韜すと雖も、然も聲譽甚だ遠し。時に漳牧の王公精舍を建てて地藏と曰ひ、師を請じて法を開かしむ。田を插む次、僧を見て乃ち問うた、「甚處より來る」。曰く、「南州」。師は言った、「彼中の佛法如何」。曰く、「商量浩浩地」。師は言った、「争でか我が這裏の田を栽えて飯を博し喫すに如かん」。曰く、「争奈三界何」。師は言った、「甚麼を喚びて三界と作す」。僧に問うた、「甚處か來る」。曰く、「南方より來れり」。師は言った、「南方の知識、何の言句有りて徒を示す」。曰く、「彼中に道ふ、金屑雖も貴しと、眼裏には着け得ずと」。師は言った、「我道ふ、須彌は師の眼裏に在りと」。一天、中塔と同じく玄沙を侍す。玄沙中塔を一棒打ちて曰く、「名に就き體に就け」。中塔對せず。玄沙乃ち師に問うた、「作麼生か會する」。師は言った、「這の僧一棒を着けて來處を知らず」。僧報じて曰く、「保福已に遷化せり」。師は言った、「保福遷化し、地藏塔に入る」(僧法眼に問うた、「古人の意旨如何」。法眼曰く、「蒼天、蒼天」)。後に羅漢に遷り、大いに玄要を闡く。上堂、「宗門玄妙、當に只だ恁麼と爲すか、也更に別に奇特有るか。若し別に奇特有らば、汝且く擧げ將て來り看よ。若し無くば去れ。兩箇の字を將て便ち宗乘を當却する可からず。何者、兩箇の字は宗乘・教乘を謂ふ。汝纔かに宗乘と道ひ着けば、便ち是れ宗乘。教乘と道ひ着けば、便ち是れ教乘。禪德、佛法宗乘は、元來汝の口裏より名字を安立し、取り作り說取り作る便ち是れなり。斯須這裏に向ひて平實を説き圓常を説く。禪德、汝甚麼を喚びて平實と作し、甚麼を把りて圓常と作す。家に傍りて行脚し、理に須く甄別すべし、相埋沒する莫れ。些子の聲色名字を得て、心頭に貯へ、我解を會し善く揀辨を能くすと道ふ。汝且く箇の甚麼を會し、箇の甚麼を揀べん。記持し得るは是れ名字なり、

揀辨得底是聲色。若不是聲色名字。汝又作麼生記持揀辨。風吹松樹也是聲。蝦蟇老鵶呌也是聲。何不那裡聽取揀擇去。若那裡有箇意度模樣。祇如老師口裡。又有多少意度與上座。莫錯。即今聲色摐摐地。為當相及不相及。若相及。即汝靈性金剛秘密應有壞滅去也。何以如此。為聲貫破汝耳。色穿破汝眼。因緣即塞卻汝。幻妄走殺汝。聲色體爾不可容也。若不相及。又甚麼處得聲色來。會麼。相及不相及。試裁辨看。少間又道。是圓常平實。甚麼人恁麼道。未是黃夷村裡漢解恁麼說。是他古聖。垂些子相助顯發。今時不識好惡。便安圓實。道我別有宗風玄妙。釋迦佛無舌頭。不如汝些子。便恁麼點胸。若論殺盜婬罪。雖重猶輕。尚有歇時。此箇謗般若。瞎卻眾生眼。入阿鼻地獄吞鐵丸莫將為等閑。所以古人道。過在化主。不幹汝事。珍重。僧問。如何是羅漢一句。師曰。我若向汝道。便成兩句也。問。不會底人來。師還接否。師曰。誰是不會者。曰。適來道了也。師曰。莫自屈麼。保福僧到。師問。彼中佛法如何。曰。有時示眾道。塞卻你眼。教你覷不見。塞卻你耳。教你聽不聞。坐卻你意。教你分別不得。師曰。吾問你。不塞你眼。見箇甚麼。不塞你耳。聞箇甚麼。不坐你意。作麼生分別(東禪齊雲。那僧聞了忽然省去。更不他遊。上座如今還會麼。若不會。每日見箇甚麼)。問。以字不成。八字不是。未審是甚麼字。師曰。汝實不會那。曰。學人實不會。師曰。看取下頭註腳。問。如何是沙門正命食。師曰。吃得麼。曰。欲吃此食。作何方便。師曰。塞卻你口。問。如何是羅漢家風。師曰。不向你道。曰。為甚麼不道。師曰。是我家風。問。如何是法王身。師曰。汝今是甚麼身。曰。恁麼即無身也。師曰。苦痛深。上堂才坐。有二僧一時禮拜。師曰。俱錯。問。如何是撲不破底句。師曰。撲。問。

(師引き続き曰く、)「揀辨し得るは是れ聲色。若し是れ聲色名字あらずんば、汝又作麼生か記持揀辨せん。風の松樹を吹くも亦是れ聲、蝦蟆老鴉の叫ぶも亦是れ聲。何ぞ那裏に聽取揀擇せざる。若し那裏に箇の意度模樣有らば、只だ如し師の口裏、又多少の意度有りて上座に與へん。錯る莫れ。即今聲色摐摐地、當に相及ぶと爲すか相及ばずと爲すか。若し相及ばば、即ち汝の靈性金剛祕密應に壞滅して去るべし。何以如此。聲は汝の耳を貫破し、色は汝の眼を穿破し、因緣即ち汝を塞却し、幻妄汝を走殺す。聲色體爾にして容る可からず。若し相及ばずんば、又甚麼の處か聲色を得て來れり。會すか。相及ぶ相及ばず、試みに裁辨して看よ。少間又道ふ是れ圓常平實と。甚麼人さように道ふ。未だ是れ黃夷村裏の漢のさように解するにあらず。是れ他の古聖、些子を垂れて相助け顯發す。今時好惡を識らず、便ち圓實を安じ、我別に宗風玄妙有りと道ふ。釋迦佛舌頭無く、汝に如かず些子なれば、便ちさように胸を點ず。若し殺盜淫の罪を論ずれば、雖も重しと猶ほ輕し、尚ほ歇する時有り。此箇の般若を謗るは、衆生の眼を瞎却し、阿鼻地獄に入りて鐵丸を吞む。將に閑等と爲す莫れ。所以古人道ふ、過は化主に在り、汝の事に干はらずと。珍重」。僧が問うた、「如何なるか是れ羅漢の一句」。師は言った、「我若し汝に向ひて道はば、便ち兩句を成さん」。問うた、「不會の人來らば、師還た接するか否」。師は言った、「誰か是れ不會者」。曰く、「適來道へ了れり」。師は言った、「自ら屈する莫れか」。保福の僧到る。師問うた、「彼中の佛法如何」。曰く、「時に衆に示して道ふ、汝の眼を塞却し、汝を敎へて覷へ見えざらしめ。汝の耳を塞却し、汝を敎へて聞かざらしめ。汝の意を坐却し、汝を敎へて分別するを得ざらしむと」。師は言った、「吾汝に問ふ。汝の眼を塞がずんば、箇の甚麼を見る。汝の耳を塞がずんば、箇の甚麼を聞く。汝の意を坐せずんば、作麼生か分別せん」(東禪齊曰く、「那の僧聞き了りて忽然省去し、更に他遊せず。上座如今還た會するか。若し會せずんば、每日箇の甚麼を見る」)。問うた、「以字成らず、八字是れあらず。未だ審らかならず、是れ甚麼の字」。師は言った、「汝實に會せざるか那」。曰く、「學人實に會せず」。師は言った、「看取せよ下頭の注脚を」。問うた、「如何なるか是れ沙門の正命食」。師は言った、「喫すを得るか」。曰く、「此の食を喫さんと欲せば、何の方便を作さん」。師は言った、「汝の口を塞却す」。問うた、「如何なるか是れ羅漢の家風」。師は言った、「汝に向ひて道はず」。曰く、「甚麼の故にか道はざる」。師は言った、「是れ我が家風」。問うた、「如何なるか是れ法王身」。師は言った、「汝今是れ甚麼の身」。曰く、「さようらば即ち無身なり」。師は言った、「苦痛深し」。上堂纔かに坐す、二僧有りて一時に禮拜す。師は言った、「俱に錯り」。問うた、「如何なるか是れ撲不破の句」。師は言った、「撲」。問うた、

一佛出世普為群生。和尚今日為箇甚麼。師曰。甚麼處遇一佛。曰。恁麼即學人罪過。師曰。謹退。問。如何是諸聖玄旨。師曰。四楞塌地。問。大事未肯時如何。師曰。由汝。問。如何是十方眼。師曰。眨上眉毛著。請保福齋。令人傳語曰。請和尚慈悲降重。福曰。慈悲為阿誰。師曰。和尚恁麼道。渾是不慈悲。翫月次。乃曰。雲動有。雨去有。僧曰。不是雲動是風動。師曰。我道雲亦不動。風亦不動。曰。和尚適來又道雲動。師曰。阿誰罪過。師見僧。舉拂子曰。還會麼。曰。謝和尚慈悲示學人。師曰。見我竪拂子。便道示學人。汝每日見山見水。可不示汝。又見僧來。舉拂子。其僧讚歎禮拜。師曰。見我竪拂子。便禮拜讚歎。那裡掃地竪起掃帚。為甚麼不讚歎。問。承教有言。若見諸相非相。即見如來。如何是非相。師曰。燈籠子。問。如何是出家。師曰。喚甚麼作家。問。僧甚處來。曰。秦州。師曰。將得甚麼物來。曰。不將得物來。師曰。汝為甚麼對眾謾語。其僧無對。師卻問。秦州豈不是出鸚鵡。曰。鸚鵡出在隴西。師曰。也不較多。問。僧甚處來。曰。報恩。師曰。何不且在彼中。曰。僧家不定。師曰。既是僧家。為甚麼不定。僧無對(玄覺代雲。謝和尚顧問)。王太傅上雪峰施眾僧衣。時從弇上座不在。師弟代上名受衣。弇歸。弟曰。某甲為師兄上名了。弇曰。汝道我名甚麼。弟無對。師代雲。師兄得恁麼貪。又曰。甚麼處是貪處。又代雲。兩度上名。(雲居錫雲。甚麼處是弇上座兩度上名處)。師與長慶.保福入州。見牡丹障子。保福曰。好一朵牡丹花。長慶曰。莫眼花。師曰。可惜許一朵花(玄覺雲。三尊宿語還有親疎也無。祇如羅漢恁麼道。落在甚麼處)。問僧。汝在招慶有甚麼異聞底事。試舉看。曰。不敢錯舉。師曰。真實底事作麼生舉。曰。和尚因甚麼如此。師曰。汝話墮也。

問うた、「一佛出世して普く群生の爲。和尚今日は箇の甚麼の爲」。師は言った、「甚麼の處にか一佛に遇ふ」。曰く、「さようらば即ち學人の罪過」。師は言った、「謹んで退け」。問うた、「如何なるか是れ諸聖の玄旨」。師は言った、「四楞塌地」。問うた、「大事未だ肯んぜざる時如何」。師は言った、「汝に由る」。問うた、「如何なるか是れ十方眼」。師は言った、「眉毛に眨上して着け」。保福に齋を請ひ、人をして語を傳へしめて曰く、「和尚に慈悲降重を請ふ」。保福曰く、「慈悲は阿誰と爲る」。師は言った、「和尚さように道へば、渾として是れ不慈悲」。月を翫ぶの次、便ち曰く、「雲動く有り、雨去る有り」。僧曰く、「是れ雲動くにあらず是れ風動くなり」。師は言った、「我道ふ、雲も亦た動かず、風も亦た動かずと」。曰く、「和尚適來又道へり雲動くと」。師は言った、「阿誰の罪過」。師僧を見て、拂子を擧げて曰く、「還た會するか」。曰く、「和尚の慈悲學人に示すを謝す」。師は言った、「我が拂子を豎ぐるを見て、便ち學人に示すと道ふ。汝每日山を見水を見る、可ならず汝に示さざるか」。又僧の來るを見て、拂子を擧ぐ。那の僧讚歎禮拜す。師は言った、「我が拂子を豎ぐるを見て、便ち禮拜讚歎す。那裏に地を掃きて掃帚を豎起する、甚麼の故にか讚歎せざる」。問うた、「承る、教に言有り、若し諸相の非相を見れば、即ち如來を見ん。如何なるか是れ非相」。師は言った、「燈籠子」。問うた、「如何なるか是れ出家」。師は言った、「甚麼を喚びて家と作す」。僧に問うた、「甚處か來る」。曰く、「秦州」。師は言った、「甚麼の物を將て來れる」。曰く、「物を將て來らず」。師は言った、「汝甚麼の故にか衆に對して謾語す」。那の僧對無し。師却って問うた、「秦州豈に鸚鵡を出さざるか」。曰く、「鸚鵡は隴西に出づ」。師は言った、「也較多からず」。僧に問うた、「甚處か來る」。曰く、「報恩」。師は言った、「何ぞ且く彼中に在らざる」。曰く、「僧家は定まらず」。師は言った、「既に僧家なり、甚麼の故にか定まらざる」。僧對無し(玄覺代えて曰く、「和尚の顧問を謝す」)。王太傅雪峰に上りて衆僧に衣を施す。時に從弇上座在らず。師弟名を代えて衣を受く。從弇歸る。弟曰く、「某甲師兄の爲に名を上げ了れり」。從弇曰く、「汝道へ、我が名は甚麼ぞ」。弟對無し。師代えて曰く、「師兄さように貪なるを得たり」。又曰く、「甚麼の處か是れ貪處」。又代えて曰く、「兩度名を上ぐ」(雲居錫曰く、「甚麼の處か是れ弇上座の兩度名を上ぐる處」)。師長慶、保福と州に入り、牡丹障子を見る。保福曰く、「好き一朵の牡丹花」。長慶曰く、「眼花する莫れ」。師は言った、「可惜許なる一朵の花」(玄覺曰く、「三尊宿の語還た親疎有るや無し。只だ如し羅漢さように道へば、甚麼の處にか落つる」)。僧に問うた、「汝招慶に在りて何の異聞の事か有る、試みに擧げて看よ」。曰く、「敢へて錯擧せず」。師は言った、「眞實の事を作麼生か擧げん」。曰く、「和尚因に何をか如此」。師は言った、「汝話墮ちたり」。

眾僧晚參。聞角聲。師曰。羅漢三日一度上堂。王太傅二時相助。問。如何是學人本來心。師曰。是你本來心。問。師居寶座。說法度人。未審度甚麼人。師曰。汝也居寶座。度甚麼人。問。鏡裡看形見不難。如何是鏡。師曰。還見形麼。問。但得本。莫愁末。如何是末。師曰。總有也。師因疾。僧問。和尚尊候較否。師以杖拄地曰。汝道這箇還痛否。曰。和尚問阿誰。師曰。問汝。曰。還痛否。師曰。元來共我作道理。天成三年秋。復屆閩城舊址。遍遊近城梵宇已。乃示寂。茶毗收舍利。建塔於院之西隅。諡真應禪師。

衆僧晚參して角聲を聞く。師は言った、「羅漢は三日に一度上堂し、王太傅は二時相助く」。問うた、「如何なるか是れ學人の本來心」。師は言った、「是れ汝の本來心」。問うた、「師寶座に居り、法を説きて人を度す。未だ審らかならず、甚麼人をか度する」。師は言った、「汝も亦た寶座に居る、甚麼人をか度する」。問うた、「鏡裏に形を看て見るは難からず。如何なるか是れ鏡」。師は言った、「還た形を見るか」。問うた、「但だ本を得ば、末を愁ふ莫れ。如何なるか是れ末」。師は言った、「總に有りなり」。師疾に因り、僧問うた、「和尚の尊候較せるか否」。師杖を以て地を拄きて曰く、「汝道へ、這箇還た痛むか否」。曰く、「和尚阿誰に問ふ」。師は言った、「汝に問ふ」。曰く、「還た痛むか否」。師は言った、「元來我と道理を作す」。天成三年秋、復た閩城の舊址に屆り、遍く近城の梵宇を遊び已り、乃ち寂を示す。茶毗して舍利を收め、院の西隅に塔を建つ。真應禅師と諡す。

杭州天龍寺重機明真禪師

杭州天龍寺重機明眞禅師

台州人也。得法玄沙。復回浙中。錢武肅王請出世開法。上堂。若直舉宗風。獨唱本分事。便同於頑石。若言絕凡聖消息。無大地山河。盡十方世界。都是一隻眼。此乃事不獲已。恁麼道還會麼。若更不會。聽取一頌。盲聾瘖瘂是仙陀。滿眼時人不奈何。祇向目前須體妙。身心萬象與森羅。僧問。如何是璇璣不動。師曰。青山數重。曰。如何是寂爾無垠。師曰。白雲一帶。問。如何是歸根得旨。師曰。兔角生也。曰。如何是隨照失宗。師曰。龜毛落也。問。蓮花未出水時如何。師曰。誰人不知。曰。出水後如何。師曰。馨香目擊。問。朗月輝空時如何。師曰。正是分光景。何消指玉樓。

台州人。玄沙に法を得て、復た浙中に回る。錢武肅王請ひて出世開法せしむ。上堂、「若し直に宗風を擧げ、獨り本分事を唱へば、便ち頑石に同じ。若し凡聖の消息を絕ち、大地山河無しと言へば、十方世界を盡して、都て是れ一隻眼。此乃ち事獲已ならざるなり。さように道へば還た會するか。若し更に會せずんば、一頌を聽取せ。盲聾瘖瘂は是れ仙陀、滿眼の時人奈何す可からず。只だ目前に向ひて須く體妙すべし、身心萬象與森羅なり」。僧が問うた、「如何なるか是れ璇璣不動」。師は言った、「青山數重」。曰く、「如何なるか是れ寂爾無垠」。師は言った、「白雲一帶」。問うた、「如何なるか是れ歸根得旨」。師は言った、「兔角生ずなり」。曰く、「如何なるか是れ隨照失宗」。師は言った、「龜毛落つなり」。問うた、「蓮花未だ水を出でざる時如何」。師は言った、「誰人か知らざる」。曰く、「水を出でし後如何」。師は言った、「馨香目擊す」。問うた、「朗月空に輝く時如何」。師は言った、「正に是れ分光の景、何ぞ消ん玉樓を指するを」。

福州僊宗院契符清法禪師

福州僊宗院契符淸法禅師

開堂日。僧問。師登寶座。合談何事。師曰。剔開耳孔著。曰。古人為甚麼卻道非耳目之所到。師曰。金櫻樹上不生梨。曰。古今不到處。請師道。師曰。汝作麼生問。問。眾手淘金。誰是得者。師曰。舉手隔千里。休功任意看。問。飛岫巖邊華子秀。仙境臺前事若何。師曰。無價大寶光中現。暗客惛惛爭奈何。曰。優曇華拆人皆覩。向上宗乘意若何。師曰。闍黎若問宗乘意。不如靜處薩婆訶。問。如何是閩中諸佛境界。師曰。造化終難測。春風徒自輕。問如何是道中寶。師曰。雲孫淚亦垂。問。諸聖收光歸源後如何。師曰。三聲猿屢斷。萬裡客愁聽。曰。未審今時人。如何湊得古人機。師曰。好心向子道。切忌未生時。

堂を開く日、僧が問うた、「師寶座に登り、合に何事を談ずべし」。師は言った、「耳孔を剔開きて着け」。曰く、「古人甚麼の故にか却って道へる、耳目の到る所に非ずと」。師は言った、「金櫻樹上に梨を生ぜず」。曰く、「古今到らざる處、師に道はんことを請ふ」。師は言った、「汝作麼生か問ふ」。問うた、「衆手金を淘ぐ、誰か是れ得る者」。師は言った、「手を擧げて千里を隔つ、功を休めて任意に看よ」。問うた、「飛岫巖邊の華子の秀、仙境臺前の事若何」。師は言った、「無價の大寶光中に現ず、暗客惛惛として争奈何せん」。曰く、「優曇花拆れて人皆睹る、向上宗乘の意若何」。師は言った、「闍黎若し宗乘の意を問はば、靜處の薩婆訶に如かず」。問うた、「如何なるか是れ閩中の諸佛の境界」。師は言った、「造化終に測り難し、春風徒りに自ら輕し」。問うた、「如何なるか是れ道中の寶」。師は言った、「雲孫の淚も亦た垂る」。問うた、「諸聖光を收め源に歸りし後如何」。師は言った、「三聲の猿屢々斷え、萬里の客愁して聽く」。曰く、「未だ審らかならず、今時の人、如何にして古人の機に湊得せん」。師は言った、「好心子に向ひて道ふ、切に忌む未生時」。

婺州國泰院𤦆禪師

婺州國泰院𤦆禅師

上堂。不離當處。鹹是妙明真心。所以玄沙和尚道。會我最後句。出世少人知。爭似國泰有末頭一句。僧問。如何是國泰末頭一句。師曰。闍黎問太遲生。便歸方丈。問。如何是毗盧。師曰。某甲與老兄是弟子。問。達磨來時即不問。如何是未來時事。師曰。親遇梁王。問。古鏡未磨時如何。師曰。古鏡。曰。磨後如何。師曰。古鏡。

上堂、「當處を離れず、咸く是れ妙明眞心。所以玄沙和尚道ふ、我が最後句を會せば、出世する人知ること少しと。争でか國泰の末頭の一句有るに似ん」。僧が問うた、「如何なるか是れ國泰の末頭の一句」。師は言った、「闍黎の問ふこと太遲生なり」。便ち方丈に歸る。問うた、「如何なるか是れ毗盧」。師は言った、「某甲は老兄與是れ弟子」。問うた、「達磨來る時は即ち問はず、如何なるか是れ未來時の事」。師は言った、「親く梁王に遇ふ」。問うた、「古鏡未だ磨かざる時如何」。師は言った、「古鏡」。曰く、「磨きし後如何」。師は言った、「古鏡」。

福州升山白龍院道希禪師

福州升山白龍院道希禅師

本郡人也。上堂。不要舉足。是誰威光。還會麼。若道自家去處。本自如是。且喜沒交涉。問。如何是西來意。師曰。汝從甚處來。問。如何是佛法大意。師曰。汝早禮三拜。問。不責上來。請師直道。師曰。得。問。如何是正真道。師曰。騎驢覓驢。問。請師答無賓主話。師曰。昔年曾記得。曰。即今如何。師曰。非但耳聾。亦兼眼暗。問。情忘體合時如何。師曰。別更夢見箇甚麼。問。學人擬伸一問。請師裁。師曰。不裁。曰。為甚麼不裁。師曰。須知好手。問。大眾雲集。請師舉揚宗教。師曰。少遇聽者。問。不涉唇鋒。乞師指示。師曰。不涉唇鋒問將來。曰。恁麼即群生有賴。師曰。莫閑言語。問。請和尚生機答話。師曰。把紙筆來錄將去。問。如何是思大口。師曰。出來向你道。曰。學人即今見出。師曰。曾賺幾人來。

本郡人。上堂、「足を擧ぐる莫れ、是れ誰かの威光。還た會するか。若し自家の去處を道へば、本自如是なり、且く喜ぶも沒交涉なり」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「汝甚處より來る」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「汝早く三拜を禮せ」。問うた、「上來を責めず、師に直道を請ふ」。師は言った、「得」。問うた、「如何なるか是れ正眞の道」。師は言った、「驢に騎りて驢を覓る」。問うた、「師に無賓主の話を答へんことを請ふ」。師は言った、「昔年曾て記得せり」。曰く、「即今如何」。師は言った、「但だ耳聾のみならず、亦た眼暗を兼ぬ」。問うた、「情忘れ體合する時如何」。師は言った、「別に更に箇の甚麼を夢見る」。問うた、「學人擬して一問を伸ばんとす、師に裁斷を請ふ」。師は言った、「裁せず」。曰く、「甚麼の故にか裁せざる」。師は言った、「須く好手を知るべし」。問うた、「大衆雲集す、師に宗教を擧揚せんことを請ふ」。師は言った、「聽く者に遇ふこと少し」。問うた、「唇鋒に渉らず、師に指示を乞ふ」。師は言った、「唇鋒に渉らずして問ひ將來れ」。曰く、「さようらば即ち群生賴有らん」。師は言った、「閑言語する莫れ」。問うた、「和尚に生機の答話を請ふ」。師は言った、「紙筆を把り來りて錄し將て去れ」。問うた、「如何なるか是れ大口を思ふ」。師は言った、「出で來りて汝に向ひて道はん」。曰く、「學人即今出づるを見る」。師は言った、「曾て幾人を賺せし」。曰く、「學人即今出づるを見る」。師は言った、「曾て幾人を賺せし來れり」。

福州安國院慧球寂照禪師(亦曰。中塔)

福州安國院慧球寂照禅師(亦た中塔と曰ふ)

泉州莆田人也。玄沙室中。參訊居首。因問。如何是第一月。沙曰。用汝箇月作麼。師從此悟入。梁開平二年。玄沙將示滅。閩帥王氏遣子至。問疾。仍請密示繼踵說法者誰。沙曰。球子得。王默記遺旨。乃問皷山。臥龍法席。孰當其任。皷山舉城下宿德具道眼者十有二人。皆堪出世。王亦默之。至開堂日。官僚與僧侶俱會法筵。王忽問眾曰。誰是球上座。於是眾人指出師。王氏便請陞座。師良久曰。莫嫌寂寞。莫道不堪。未詳涯際。作麼生論量。所以尋常用其音響。聊撥一兩下。助他發機。若論來十方世界。覓一人為伴侶。不可得。僧問。佛法大意。從何方便頓入。師曰。入是方便。問。雲自何山起。風從何㵎生。師曰。盡力施為。不離中塔。上堂。我此間粥飯因緣。為兄弟舉唱。終是不常。欲得省要。卻是山河大地與汝發明。其道既常。亦能究竟。若從文殊門入者。一切無為。土木瓦礫。助汝發機。若從觀音門入者。一切音響。蝦蟇蚯蚓。助汝發機。若從普賢門入者。不動步而到。以此三門方便示汝。如將一隻折箸攪大海水。令彼魚龍知水為命。會麼。若無智眼而審諦之。任汝百般巧妙。不為究竟。問。學人近入叢林。不明己事。乞師指示。師以杖指之曰。會麼。曰。不會。師曰。我恁麼為汝。卻成抑屈人。還知麼。若約當人分上。從來底事。不論初入叢林。及過去諸佛。不曾乏少。如大海水。一切魚龍初生及至老死。所受用水。悉皆平等。問。不謬正宗。請師真實。師曰。汝替我道。曰。或有不辨者作麼生。師曰。待不辨者來。問。諸佛還有師否。師曰。有。曰。如何是諸佛師。師曰。一切人識不得。上堂良久。有僧出禮拜。師曰。莫教髑髏拶損。僧參問。曰。去卻僕從。便請相見。師曰。眨上眉毛看。曰。不與麼時如何。師曰。山北去也。問。從上宗乘事如何。師良久。僧再問。師便喝出。問。

泉州莆田人。玄沙の室中、參訊首に居る。因りて問うた、「如何なるか是れ第一の月」。玄沙は言った、「汝の箇の月を用ひて作麼せん」。師此れより悟入す。梁の開平二年、玄沙將に示滅せんとす。閩帥王氏子を遣はし、疾を問ひ、仍りて密かに繼踵して法を説く者誰なるかを請ふ。玄沙は言った、「球子得」。王默然として遺旨を記し、乃ち鼓山に問うた、「臥龍の法席、孰か其の任に當たらん」。鼓山城下の宿德で道眼を具する者十有二人を擧げ、皆な出世に堪へりとす。王も亦た默せり。開堂の日に至り、官僚與僧侶俱に法筵に會す。王忽ち衆に問うた、「誰か是れ球上座」。是に於て衆人師を指出す。王氏便ち升座を請ふ。師良久して曰く、「寂寞を嫌ふ莫れ、堪へざるを道ふ莫れ。未だ涯際を詳めず、作麼生か論量せん。所以尋常其の音響を用ひて、聊か一兩下を撥して、他が機を發するを助く。若し十方世界を論ずれば、一人を覓て伴侶と爲すも、得る可からず」。僧が問うた、「佛法の大意、何の方便よりか頓に入る」。師は言った、「入るは是れ方便」。問うた、「雲自ら何の山より起こり、風何の澗より生ず」。師は言った、「力を盡して施爲し、中塔を離れず」。上堂、「我が此の間の粥飯の因緣、兄弟の爲に擧唱すと雖も、終には是れ常ならず。省要を得んと欲せば、却って是れ山河大地汝と發明せん。其の道既に常なり、亦た能く究竟せん。若し文殊門より入る者は、一切無爲、土木瓦礫、汝を助けて機を發す。若し觀音門より入る者は、一切音響、蝦蟆「蚯蚓、汝を助けて機を發す。若し普賢門より入る者は、歩を動かさずして到る。此の三門の方便を以て汝に示す。將に一隻の折箸を大海水を攪かしめ、彼の魚龍に水を命と知らしむるが如し。會すか。若し智眼無くして審諦するは、汝百般の巧妙に任すも、究竟と爲さず」。問うた、「學人近く叢林に入り、己事明ならず、師に指示を乞ふ」。師杖を以て之を指して曰く、「會すか」。曰く、「會せず」。師は言った、「我さように汝を爲りて、却って人を抑屈せんと成す。還た知るか。若し當人の分上に約せば、從來の事は、初めて叢林に入るを論ぜず、及び過去の諸佛も、曾て乏少せず。大海水の如く、一切の魚龍初めて生じて老死に及ぶまで、受けて用ふる水、悉く皆な平等なり」。問うた、「正宗を謬らず、師に眞實を請ふ」。師は言った、「汝我に替りて道へ」。曰く、「或る者辨ぜざる有らば作麼生」。師は言った、「辨ぜざる者の來るを待て」。問うた、「諸佛還た師有るか否」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ諸佛の師」。師は言った、「一切人識るを得ず」。上堂、良久。僧有りて出で禮拜す。師は言った、「髑髏を拶損するを敎へる莫れ」。僧參問して曰く、「僕從を去りて、便ち相見せんことを請ふ」。師は言った、「眉毛を眨上して看よ」。曰く、「さようらざる時如何」。師は言った、「山北に去れり」。問うた、「從上宗乘の事如何」。師良久す。僧再び問ふ。師便ち喝出す。問うた、

如何是大庾嶺頭事。師曰。料汝承當不得。曰。重多少。師曰。這般底論劫不奈何。師問了院主。祇如先師道。盡十方世界是真實人體。你還見僧堂麼。了曰。和尚莫眼花。師曰。先師遷化。肉猶煖在。

問うた、「如何なるか是れ大庾嶺頭の事」。師は言った、「汝の承當し得ざるを料る」。曰く、「重さ多少」。師は言った、「這の般は劫を論ずるも奈何せんず」。師了院主に問うた、「只だ如し先師道ふ、十方世界を盡して是れ眞實の人體。汝還た僧堂を見るか」。了曰く、「和尚眼花する莫れ」。師は言った、「先師遷化せど、肉猶ほ暖かに在り」。

衡嶽南臺誠禪師

衡岳南臺誠禅師

僧問。玄沙宗旨。請師舉揚。師曰。甚麼處得此消息。曰。垂接者何。師曰。得人不迷己。問。潭清月現。是何境界。師曰。不干你事。曰。借問又何妨。師曰。覓潭月不可得。問。離地四指。為甚麼卻有魚紋。師曰。有聖量在。曰。此量為甚麼人施。師曰。不為聖人。

僧が問うた、「玄沙の宗旨、師に擧揚を請ふ」。師は言った、「甚麼の處にか此の消息を得る」。曰く、「垂接する者は何」。師は言った、「人を得れば己を迷はず」。問うた、「潭淸く月現ず、是れ何の境界」。師は言った、「汝の事に干はらず」。曰く、「借問すとも又何ぞ妨げん」。師は言った、「潭の月を覓るも得る可からず」。問うた、「地を離るること四指、甚麼の故にか却って魚紋有る」。師は言った、「聖量の在る有り」。曰く、「此の量は甚麼人の爲に施す」。師は言った、「聖人と爲さず」。

福州螺峰沖奧明法禪師

福州螺峰冲奧明法禅師

上堂。人人具足。人人成現。爭怪得山僧。珍重。僧問。諸法寂滅相。不可以言宣。如何是寂滅相。師曰。問答俱備。曰。恁麼則真如法界。無自無他。師曰。特地令人愁。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。德重鬼神欽。曰。見後如何。師曰。通身聖莫測。問。如何是螺峰一句。師曰。苦。問。如何是本來人。師曰。惆悵松蘿境界危。

上堂、「人人具足し、人人成現す。争でか山僧を怪るを得ん。珍重」。僧が問うた、「諸法寂滅相、言を以て宣べる可からず。如何なるか是れ寂滅相」。師は言った、「問答俱に備はる」。曰く、「さようらば則ち眞如法界、自無く他無し」。師は言った、「特地に人を愁へしむ」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時如何」。師は言った、「德重く鬼神欽す��。曰く、「見し後如何」。師は言った、「通身聖は測り難し」。問うた、「如何なるか是れ螺峰の一句」。師は言った、「苦」。問うた、「如何なるか是れ本來人」。師は言った、「惆悵たり松蘿の境界危きを」。

泉州睡龍山和尚

泉州睡龍山和尚

僧問。如何是觸目菩提。師以杖趂之。僧乃走。師曰。住。住。向後遇作家舉看。上堂。舉拄杖曰。三十年住山。得他氣力。時有僧問。和尚得他甚麼氣力。師曰。過谿過嶺。東拄西拄(招慶雲。我不恁麼道。僧問。和尚作麼生道。慶以杖下地拄行)。

僧が問うた、「如何なるか是れ觸目菩提」。師杖を以て之を趁る。僧乃ち走る。師は言った、「住、住。向後作家に遇ひて擧げ看よ」。上堂、拄杖を擧げて曰く、「三十年山に住して、他の氣力を得たり」。時に僧有りて問うた、「和尚他の甚麼の氣力を得たる」。師は言った、「溪を過ぎ嶺を過ぐ、東に拄き西に拄く」(招慶曰く、「我はさように道はず」。僧問うた、「和尚作麼生か道ふ」。招慶杖を以て地に下りて拄きて行く)。

天台山雲峰光緒至德禪師

天臺山雲峰光緒至德禅師

上堂。但以眾生日用而不知。譬如三千大千世界。日月星辰。江河淮濟。一切含靈。從一毛孔入一毛孔。毛孔不小。世界不大。其中眾生。不覺不知。若要易會。上座日用亦復不知。時有僧問。日裡僧䭾像。夜裡像䭾僧。未審此意如何。師曰。闍黎豈不是從茶堂裡來。

上堂、「但だ衆生日用して知らざるを以てす。譬へば三千大千世界、日月星辰、江河淮濟、一切の含靈、一毛孔より一毛孔に入る。毛孔小ならず、世界大ならず。其中の衆生、覺らず知らず。若し易く會せんと要せば、上座の日用も亦た復た知らず」。時に僧有りて問うた、「日裏は僧像を馱し、夜裏は像僧を馱す。未だ審らかならず、此の意如何」。師は言った、「闍黎豈に茶堂裏より來らざるか」。

福州大章山契如庵主

福州大章山契如庵主

本郡人也。素蘊孤操。志探祖道。預玄沙之室。頴悟幽旨。玄沙記曰。子禪已逸格。則他後要一人侍立也無。師自此不務聚徒。不畜童侍。隱於小界山。刳大朽杉若小庵。但容身而已。凡經遊僧至。隨叩而應。無定開示。僧問。生死到來。如何迴避。師曰。符到奉行。曰。恁麼則被生死拘將去也。師曰。阿㖿㖿。問。西天持錫意作麼生。師拈錫杖。卓地振之。僧曰。未審此是甚麼義。師曰。這箇是張家打。僧擬進語。師以錫攛之。僧問雲臺欽和尚。如何是真言欽。曰。南無佛陀耶。師別雲。作麼。作麼。清豁.沖煦二長老嚮師名。未甞會遇。一旦同訪之。值師採粟。豁問。道者。如庵主在何所。師曰。從甚麼處來。曰。山下來。師曰。因甚麼得到這裡。曰。這裡是甚麼處所。師揖曰。那下吃茶去。二公方省是師。遂詣庵所。頗味高論。晤坐於左右。不覺及夜。覩豺虎奔至庵前。自然馴遶。豁因有詩曰。行不等閑行。誰知去住情。一餐猶未飽。萬戶勿聊生。非道應難伏。空拳莫與爭。龍吟雲起處。閑嘯兩三聲。二公尋於大章山創庵。請師居之。兩處孤坐。垂五十二載而卒。

本郡人。素より孤操を蘊め、志は祖道を探る。玄沙の室に預り、幽旨を穎悟す。玄沙記して曰く、「子の禪已に逸格せば、則ち他後一人の侍立するも亦た無からん」。師此れより徒を聚めるを務めず、童侍を畜はず、小界山に隱れ、大き朽杉を刳いて小庵の若く、但だ身を容るるのみ。凡そ經游の僧至れば、叩くに隨ひて應じ、定まれる開示無し。僧が問うた、「生死到來せば、如何に回避せん」。師は言った、「符到れば奉行す」。曰く、「さようらば則ち生死に拘ひ將て去るなり」。師は言った、「阿㖿㖿」。問うた、「西天錫を持する意作麼生」。師錫杖を拈じ、地に卓して之を振る。僧曰く、「未だ審らかならず、此れ是れ甚麼の義」。師は言った、「這箇は是れ張家の打」。僧擬して語を進めんとす、師錫を以て之を攢す。僧雲臺欽和尚に問うた、「如何なるか是れ眞言」。欽曰く、「南無佛陀耶」。師別に曰く、「作麼、作麼」。淸豁、冲煦の二長老師の名に向ひしも、未だ曾て會遇せず。一旦同じく之を訪ふ、値へて師粟を采る。淸豁問うた、「道者、如し庵主何の所にか在る」。師は言った、「甚麼の處より來る」。曰く、「山下より來れり」。師は言った、「因に甚麼をか此處に到り得る」。曰く、「此處は是れ甚麼の處所」。師揖して曰く、「那下に茶を喫しに去れ」。二公方に是れ師なりと省り、遂に庵所に詣り、頗る高論を味はひ、晤坐すること左右に於て、覺えず夜に及ぶ。豺虎の庵前に奔至するを睹るも、自然に馴繞す。淸豁因りて詩有りて曰く、「行は等閑の行にあらず、誰か知らん去住の情。一餐猶ほ未だ飽かず、萬戸は聊生する勿れ。道に非ずんば應に伏し難く、空拳は與ひて争ふ莫れ。龍吟して雲起こる處、閑かに嘯くこと兩三聲」。二公尋いで大章山に庵を創り、師を請じて之に居らしむ。兩處孤坐し、五十二載を垂れて卒す」。

福州蓮華山永興神祿禪師

福州蓮華山永興神祿禅師

閩王請開堂日。未陞座。先於座前立曰。大王大眾聽。已有真正舉揚也。此一會總是得聞。豈有不聞者。若有不聞。彼此相謾去也。方乃登座。僧問。大王請師出世。未委今日一會何似靈山。師曰。徹古傳今。問。如何是和尚家風。師曰。毛頭顯沙界。日月現其中。

閩王開堂を請ふの日、未だ座に升らず、先ず座前に立ちて曰く、「大王大衆聽け、已に眞正の擧揚有り。此の一會總て聞くを得なり。豈に聞かざる者有らんや。若し聞かざる有らば、彼此相謾りて去るなり」。方に乃ち座に登る。僧が問うた、「大王師をして出世せしめんことを請ふ、未だ委ぬ、今日の一會靈山に何似する」。師は言った、「古を徹して今に傳ふ」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「毛頭沙界を顯し、日月其の中に現ず」。

天台國清寺師靜上座

天臺國淸寺師靜上座

始遇玄沙示眾曰。汝諸人但能一生如喪考妣。吾保汝究得徹去。師躡前語。問曰。祇如教中道。不得以所知心測度如來無上知見。又作麼生。沙曰。汝道究得徹底所知心。還測度得及否。師從此信入。後居天台三十餘載不下山。博綜三學。操行孤立。禪寂之餘。常閱龍藏。遐邇欽重。時謂大靜上座。嘗有人問。弟子每當夜坐。心念紛飛。未明攝伏之方。願垂示誨。師曰。如或夜閑安坐。心念紛飛。卻將紛飛之心。以究紛飛之處。究之無處。則紛飛之念何存。反究究心。則能究之心安在。又能照之智本空。所緣之境亦寂。寂而非寂者。葢無能寂之人也。照而非照者。葢無所照之境也。境智俱寂。心慮安然。外不尋枝。內不住定。二途俱泯。一性怡然。此乃還源之要道也。師因覩教中幻義。乃述一偈。問諸學流曰。若道法皆如幻有。造諸過惡應無咎。云何所作業不忘。而藉佛慈興接誘。時有小靜上座答曰。幻人興幻幻輪圍。幻業能招幻所治。不了幻生諸幻苦。覺知如幻幻無為。二靜上座竝終於本山。

始め玄沙の衆に示して曰くを遇ふ、「汝諸人但だ能く一生考妣を喪するが如くせば、吾汝を保して究めて徹去することを得さしめん」。師前の語を蹑りて、問うて曰く、「只だ如し教中に道ふ、所知の心を以て如來の無上知見を測度するを得ずと、又作麼生」。玄沙は言った、「汝道へ、徹底し得る所知の心は、還た測度し及ぶを得るか否」。師此れより信入す。後に天臺に居ること三十餘載、山を下らず。三學を博綜し、操行孤立す。禪寂の餘、常に龍藏を閱す。遐邇欽重し、時に大靜上座と謂ふ。嘗て人の問ふ有り、「弟子每夜坐すること當たり、心念紛飛し、未だ攝伏の方を明めず。願はくは垂れて示誨せん」。師は言った、「如し或る夜閑かに安坐して、心念紛飛せば、却って紛飛の心を將りて、以て紛飛の處を究めよ。之を究めて處無き時は、則ち紛飛の念何をか存せん。反りて究むるの心を究めれば、則ち能く究むるの心安んぞ在らん。又照るの智は本より空なり、縁するの境も亦た寂なり。寂にして寂にあらざる者は、蓋し寂むるの人無きなり。照にして照にあらざる者は、蓋し照るの境無きなり。境智俱に寂み、心慮安然なり。外には枝を尋ねず、内には定に住せず。二途俱に泯み、一性怡然なり。此乃ち還源の要道なり」。師教中の幻の義を睹るに因り、乃ち一偈を述べ、諸の學流に問ひて曰く、「若し法皆幻有と道はば、諸の過惡を造るも應に咎無かるべし。如何に所造の業は忘れずして、佛慈を藉して接誘を興す」。時に小靜上座答えて曰く、「幻人幻を興して幻輪圍す、幻業能く幻の治する所を招く。幻生の諸幻苦を了せずんば、覺知して幻の如く幻無爲なり」。二靜上座竝びに本山に終はる。

長慶稜禪師法嗣

長慶稜禅師法嗣

泉州招慶院道𭅕禪師

泉州招慶院道𭅕禅師

潮州人也。稜和尚始居招慶。師乃入室參侍。遂作桶頭。常與眾僧語話。一日。慶見。乃曰。爾每日口嘮嘮底作麼。師曰。一日不作。一日不食。慶曰。與麼則磨弓錯箭去也。師曰。專待尉遲來。慶曰。尉遲來後如何。師曰。教伊筋骨遍地。眼睛突出。慶便出去。洎慶被召。師繼踵住持。上堂。聲前薦得。孤負平生。句後投機。殊乖道體。為甚麼如此。大眾且道從來合作麼生。又曰。招慶與諸人一時道卻。還委落處麼。時有僧出曰。大眾一時散去。還稱師意也無。師曰。好與二十拄杖。僧禮拜。師曰。雖有盲龜之意。且無曉月之程。曰。如何是曉月之程。師曰。此是盲龜之意。問。如何是沙門行。師曰。非行不行。問。如何是西來意。師曰。蚊子上鐵牛。問。如何是在匣劒。師良久。僧罔措。師曰。也須感荷招慶始得。問。如何是提宗一句。師曰。不得昧著招慶。其僧禮拜起。師又曰。不得昧著招慶。囑汝作麼生是提宗一句。僧無對。問。文殊劒下不承當時如何。師曰。未是好手人。曰。如何是好手人。師曰。是汝話墮也。問。如何是招慶家風。師曰。寧可清貧自樂。不作濁富多憂。問。如何是南泉一線道。師曰。不辭向汝道。恐較中更較去。問。如何是佛法大意。師曰。七顛八倒。問。學人根思遲回。乞師曲運慈悲。開一線道。師曰。這箇是老婆心。曰。悲華剖坼以領尊慈。從上宗乘事如何。師曰。恁麼須得汝親問始得。問。僧甚處去來。曰。劈柴來。師曰。還有劈不破底也無。曰。有。師曰。作麼生是劈不破底。僧無語。師曰。汝若道不得。問我。我與汝道。曰。作麼生是劈不破底。師曰。賺殺人。師拈缽囊問僧。你道直幾錢。僧無對(歸宗柔代雲。留與人增價)。因地動。僧問。還有不動者也無。師曰。有。曰。如何是不動者。師曰。動從東來。卻歸西去。問。法雨普霑。還有不潤處否。師曰。有。

潮州人。稜和尚始め招慶に居る、師乃ち室に入り參侍し、遂に桶頭と爲り、常に衆僧と語話す。一天、招慶見て便ち曰く、「汝每日口を唠々とするは作麼」。師は言った、「一日作さざれば、一日食はず」。招慶曰く、「さようらば則ち弓を磨き箭を錯くに去れり」。師は言った、「專ら尉遲の來るを待つ」。招慶曰く、「尉遲來りし後如何」。師は言った、「伊の筋骨遍地に、眼晴突出せしめん」。招慶便ち出去す。洎に招慶召されし、師繼踵して住持す。上堂、「聲前に薦得するは、平生に孤負す。句後に投機するは、殊に道體に乖る。甚麼の故にか如此。大衆且く道へ、從來作麼生と合するを」。又曰く、「招慶諸人と一時に道却せん。還た落處を委するか」。時に僧有りて出でて曰く、「大衆一時に散去し、還た師の意を稱へるや無し」。師は言った、「好き、二十拄杖を與ふ」。僧禮拜す。師は言った、「盲龜の意有ると雖も、且つ曉月の程無し」。曰く、「如何なるか是れ曉月の程」。師は言った、「此れ是れ盲龜の意」。問うた、「如何なるか是れ沙門の行」。師は言った、「行に非ず行なり」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「蚊が鐵牛に上る」。問うた、「如何なるか是れ匣に在る劍」。師良久す。僧罔措す。師は言った、「也須く招慶に感荷して始めて得べし」。問うた、「如何なるか是れ提宗の一句」。師は言った、「招慶を昧えて得る可からず。那の僧禮拜して起つ。師又曰く、「招慶を昧える可からず。汝に囑す、作麼生か是れ提宗の一句」。僧對無し。問うた、「文殊劍下に承當せざる時如何」。師は言った、「未だ是れ好手の人」。曰く、「如何なるか是れ好手人」。師は言った、「是れ汝の話墮ちなり」。問うた、「如何なるか是れ招慶の家の家風」。師は言った、「寧ろ淸貧自樂せど、濁富多憂を作さず」。問うた、「如何なるか是れ南泉一線の道」。師は言った、「汝に向ひて道ふを辭せず、恐らくは較中に更に較去らん」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「七顚八倒」。問うた、「學人根思遲回す、師に慈悲を曲運して、一線の道を開かんことを乞ふ」。師は言った、「這箇は是れ老婆の心」。曰く、「悲華剖坼して尊慈を領す。從上宗乘の事如何」。師は言った、「さように須く汝親しく問ひて始めて得べし」。僧に問うた、「甚處か去り來れり」。曰く、「柴を劈き來れり」。師は言った、「還た劈不破の有るや無し」。曰く、「有り」。師は言った、「作麼生か是れ劈不破の」。僧語無し。師は言った、「汝若し道ひ得ざらば、我に問へ、我汝と道はん」。曰く、「作麼生か是れ劈不破の」。師は言った、「賺して人を殺す」。師鉢囊を拈じて僧に問うた、「汝道へ、直に幾錢ぞ」。僧對無し(歸宗柔代えて曰く、「人に留めて價を增さしむ」)。地動するに因り、僧問うた、「還た不動の者有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ不動者」。師は言った、「動くは東より來りて、却って西に歸り去る」。問うた、「法雨普く沾す、還た潤はざる處有るか否」。師は言った、「有り」。

曰。如何是不潤處。師曰。水灑不著。問。如何是招慶深深處。師曰。和汝沒卻。問。如何是九重城裡人。師曰。還共汝知聞麼。上堂次。大眾擁法座而立。師曰。這裡無物。諸人苦恁麼相促相拶作麼。擬心早沒交涉。更上門上戶。千里萬裡。今既上來。各著精彩。招慶一時拋與諸人。好麼。乃曰。還接得也無。眾無對。師曰。勞而無功。便陞座。復曰。汝諸人得恁麼鈍。看他古人一兩箇得恁麼快。才見便負將去。也較些子。若有此箇人。非但四事供養。便以琉璃為地。白銀為壁。亦未為貴。帝釋引前。梵王隨後。攪長河為酥酪。變大地作黃金。亦未為足。直得如是。猶更有一級在。還委得麼。珍重。

(僧引き続き問う、)「如何なるか是れ不潤處」。師は言った、「水洒ぎ着かず」。問うた、「如何なるか是れ招慶の深深の處」。師は言った、「汝と沒却せん」。問うた、「如何なるか是れ九重城裏の人」。師は言った、「還た汝と知聞せんか」。上堂の次、大衆法座を擁して立つ。師は言った、「這裏物無し、諸人苦してさように相促相拶するは作麼。心を擬せば早く沒交涉なり。更に門上戸上に上らば、千里萬里なり。今既に上來せり、各々精彩を着けよ。招慶一時に諸人に拋與せん、好きか」。便ち曰く、「還た接し得るや無し」。衆對無し。師は言った、「勞して功無し」。便ち座に升る。又曰く、「汝諸人さように鈍なるを得たり。他の古人一兩箇の人、見れば便ち負ひ將て去る、も較些子なり。若し此箇の人有らば、但だ四事の供養のみならず、便ち琉璃を以て地と爲し、白銀を以て壁と爲すも、亦た未だ貴と爲さず。帝釋前に引き、梵王後に隨ひ、長河を攪きて酥酪と爲し、大地を變じて黃金と作すも、亦た未だ足りと爲さず。直に如是を得るも、猶ほ更に一級在り。還た委り得るか。珍重」。

婺州報恩院寶資曉悟禪師

婺州報恩院寶資曉悟禅師

僧問。學人初心。請師示箇入路。師遂側掌示之曰。還會麼。曰。不會。師曰。獨掌不浪鳴。問。如何是報恩家風。師曰。也知闍黎入眾日淺。問。古人拈槌竪拂。意旨如何。師曰。報恩截舌有分。僧曰。為甚麼如此。師曰。屈著作麼。問。如何是文殊劒。師曰。不知。曰。秖如一劒下活得底人作麼生。師曰。山僧祇管二時齋粥。問。如何是觸目菩提。師曰。背後是甚麼立地。曰。學人不會。乞師再示。師提拄杖曰。汝不會。合吃多少拄杖。問。如何是具大慙愧底人。師曰。開口取。合不得。曰。此人行履如何。師曰。逢茶即茶。逢飯即飯。問。如何是金剛一隻箭。師曰。道甚麼。僧再問。師曰。過新羅國去也。問。波騰鼎沸。起必全真。未審古人意如何。師乃叱之曰。恁麼則非次也。師曰。你話墮也。又曰。我話亦墮。汝作麼生。僧無對。問。去卻賞罰。如何是吹毛劒。師曰。延平屬劒州。曰。恁麼則喪身失命去也。師曰。錢塘江裡潮。

僧が問うた、「學人初心なり、師に入路を示さんことを請ふ」。師便ち掌を側けて之を示して曰く、「還た會するか」。曰く、「會せず」。師は言った、「獨掌浪に鳴らず」。問うた、「如何なるか是れ報恩の家風」。師は言った、「也知る、闍黎衆に入ること日淺しと」。問うた、「古人槌を拈じ拂を豎ぐるの意旨如何」。師は言った、「報恩舌を截る分有り」。僧曰く、「甚麼の故にか如此」。師は言った、「著作を屈して作麼せん」。問うた、「如何なるか是れ文殊劍」。師は言った、「知らず」。曰く、「只だ如し一劍下に活き得たる人は作麼生」。師は言った、「山僧只管す、二時の齋粥を」。問うた、「如何なるか是れ觸目菩提」。師は言った、「背後は是れ甚麼か立地する」。曰く、「學人會せず、師に再び示さんことを乞ふ」。師拄杖を提起して曰く、「汝會せず、合に多少の拄杖を喫すべし」。問うた、「如何なるか是れ大慚愧を具する人」。師は言った、「口を開きて取るも、合に得ず」。曰く、「此の人の行履如何」。師は言った、「茶に逢へば即ち茶、飯に逢へば即ち飯」。問うた、「如何なるか是れ金剛の一隻の箭」。師は言った、「甚麼をか道ふ」。僧再び問ふ。師は言った、「新羅國を過ぎて去れり」。問うた、「波騰鼎沸し、起これば必ず全眞。未だ審らかならず、古人の意如何」。師乃ち之を叱りて曰く、「さようらば則ち非次なり」。師は言った、「汝話墮ちたり」。又曰く、「我が話も亦た墮ち。汝作麼生」。僧對無し。問うた、「賞罰を去りて、如何なるか是れ吹毛劍」。師は言った、「延平は劍州に屬す」。曰く、「さようらば則ち身を喪ひ命を失ふに去れり」。師は言った、「錢塘江裏の潮」。

處州翠峰從欣禪師

處州翠峰從欣禅師

上堂曰。更不展席也。珍重。便歸方丈。卻問侍者。還會麼。曰。不會。師曰。將謂汝到百丈來。

上堂、曰く、「更に席を展べず。珍重」。便ち方丈に歸る。却って侍者に問うた、「還た會するか」。曰く、「會せず」。師は言った、「將に謂へり、汝百丈に到れると」。

襄州鷲嶺明遠禪師

襄州鷲嶺明遠禅師

初參長慶。慶問。汝名甚麼。師曰。明遠。慶曰。那邊事作麼生。師曰。明遠退兩步。慶曰。汝無端退兩步作麼。師無語。慶曰。若不退步。爭知明遠。師乃諭旨。住後。向火次。僧問。無一法當前。應用無虧時如何。師以手卓火。其僧於此有省。

初め長慶に參ず。長慶問うた、「汝名は甚麼ぞ」。師は言った、「明遠」。長慶曰く、「那邊の事作麼生」。師は言った、「明遠兩步を退く」。長慶曰く、「汝無端に兩步を退くは作麼」。師語無し。長慶曰く、「若し退歩せずんば、争でか明遠を知らん」。師乃ち旨を諭す。住して後、火に向ふ次、僧問うた、「一法の當前無く、應用虧無き時如何」。師手を以て火を卓す。那の僧此れに於て省有り。

杭州龍華寺彥球實相得一禪師

杭州龍華寺彦球實相得一禅師

開堂日。謂眾曰。今日既陞法座。又爭解諱得。祇如不諱底事。此眾還有人與作證明麼。若有即出來。相共作箇牓樣。僧問。此座為從天降下。為從地湧出。師曰。是甚麼。曰。此座高廣。如何陞得。師曰。今日幾被汝安頓著。問。靈山一會。迦葉親聞。今日一會。何人得聞。師曰。同我者擊其大節。曰。灼然俊哉。師曰。去搬水漿茶堂裡用去。師復曰。從前佛法付囑國王大臣及有力檀越。今日郡尊及諸官僚特垂相請。不勝荷愧。山僧更有末後一句子。賤賣與諸人。師乃起身立。曰。還有人買麼。若有人買。即出來。若無人買。即賤貨自收去也。久立。珍重。僧問。如何是學人自已。師曰。雪上更加霜。

堂を開く日、衆に對して曰く、「今日既に法座に升り、又争でか諱を解するを得ん。只だ如し不諱の事、此の衆還た人の作りて證明する者有るか無し。若し有らば即ち出で來りて、相共に箇の榜樣を作さん」。僧が問うた、「此の座は是れ天より降下するか、爲には地より涌出するか」。師は言った、「是れ甚麼ぞ」。曰く、「此の座高廣なり、如何にして升り得る」。師は言った、「今日幾ど汝に安頓され着けり」。問うた、「靈山の一會、迦葉親く聞く。今日の一會、何人か聞くを得る」。師は言った、「我と同じき者其の大の大節を擊つ」。曰く、「灼然たり俊なる哉」。師は言った、「水漿を搬びて茶堂裏に用ゐに去れ」。師復た曰く、「從前の佛法は國王大臣及び有力の檀越に付囑す。今日郡尊及び諸の官僚、特に相請を垂れ、荷愧に勝へず。山僧更に末後の一句子有り、諸人に賤賣せん」。師乃ち身を起ち立ちて曰く、「還た買ふ人有るか。若し人の買ふ有らば、即ち出で來れ。若し人の買ふ無くば、即ち賤貨自ら收めて去らん。久立。珍重」。僧が問うた、「如何なるか是れ學人の自己」。師は言った、「雪上更に霜を加ふ」。

杭州保安連禪師

杭州保安連禅師

僧問。如何是保安家風。師曰。問有甚麼難。問。如何是吹毛劒。師曰。豫章鐵柱堅。曰。學人不會。師曰。漳江親到來。問。如何是沙門行。師曰。師僧頭上戴冠子。問。如何是西來意。師曰。死虎足人看。問。一問一答。彼此興來。如何是保安不驚人之句。師曰。汝到別處作麼生舉。

僧が問うた、「如何なるか是れ保安の家風」。師は言った、「問ふに何の難か有る」。問うた、「如何なるか是れ吹毛劍」。師は言った、「豫章の鐵柱堅し」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「漳江親しく到り來れり」。問うた、「如何なるか是れ沙門の行」。師は言った、「師僧頭上に冠子を戴く」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「死虎人の看るを足る」。問うた、「一問一答、彼此興來す。如何なるか是れ保安の人を驚かさざるの句」。師は言った、「汝別處に到りて作て作麼生か擧げん」。

福州報慈院光雲慧覺禪師

福州報慈院光雲慧覺禅師

上堂。瘥病之藥。不假驢駝。若據如今。各自歸堂去。珍重。問僧。近離甚處。曰。臥龍。師曰。在彼多少時。曰。經冬過夏。師曰。龍門無宿客。為甚在彼許多時。曰。師子窟中無異獸。師曰。汝試作師子吼看。曰。若作師子吼。即無和尚。師曰。念汝新到。放汝三十棒。問。承聞超覺有鎻口訣。如何示人。師曰。賴我拄杖不在手。曰。恁麼則深領尊慈也。師曰。待我肯汝即得。閩王問。報慈與神泉相去近遠。師曰。若說近遠。不如親到。師卻問。大王日應千差。是甚麼心。王曰。甚麼處得心來。師曰。豈有無心者。王曰。那邊事作麼生。師曰。請向那邊問。王曰。大師謾別人即得。問。大眾臻湊。請師舉揚。師曰。更有幾人未聞。曰。恁麼則不假上來也。師曰。不上來且從。汝向甚麼處會。曰。若有處所。即孤負和尚去也。師曰。祇恐不辨精麤。問。夫說法者當如法說。此意如何。師曰。有甚麼疑訛。問。古人面壁意旨如何。師便打。問。不假言詮。請師徑直。師曰。何必更待商量。

上堂、「瘥病の藥、驢駝を假らず。若し如今に據れば、各自堂に歸り去れ。珍重」。僧に問うた、「近く離るる甚處ぞ」。曰く、「臥龍」。師は言った、「彼に在りて多少の時」。曰く、「冬を經て夏を過ぐ」。師は言った、「龍門宿客無し、甚麼の故にか彼に許多の時在る」。曰く、「師子窟中に異獸無し」。師は言った、「汝試みに師子吼を作して看よ」。曰く、「若し師子吼を作さば、即ち和尚無し」。師は言った、「汝の新到を念ひて、汝に三十棒を放つ」。問うた、「承聞く、超覺に鎖口の訣有り、如何に人に示す」。師は言った、「我が拄杖手に在らざるを賴む」。曰く、「さようらば則ち尊慈を深く領するなり」。師は言った、「我が汝を肯んずるを待てば即ち得」。閩王問うた、「報慈與神泉相去近遠」。師は言った、「若し近遠を説かば、親到に如かず」。師却って問うた、「大王日に千差に應ず、是れ甚麼の心」。王曰く、「甚麼の處にか心を得る」。師は言った、「豈に無心の者有らん」。王曰く、「那邊の事作麼生」。師は言った、「那邊に向ひて問ふを請ふ」。王曰く、「大師別人を瞞すれば即ち得」。問うた、「大衆臻湊す、師に擧揚を請ふ」。師は言った、「更に幾人か未だ聞かず」。曰く、「さようらば則ち上來を假らざるなり」。師は言った、「上來せざるは且く從へ。汝甚麼の處に向ひてか會する」。曰く、「若し處所有らば、即ち和尚に孤負して去らん」。師は言った、「只だ恐らくは精粗を辨ぜず。問うた、「夫れ説法の者は當に法の如く説くべし。此の意如何」。師は言った、「何の疑訛か有る」。問うた、「古人面壁の意旨如何」。師便ち打つ。問うた、「言詮を假らず、師に徑直を請ふ」。師は言った、「何ぞ必ずしも更に商量を待たん」。

廬山開先寺紹宗圓智禪師

廬山開先寺紹宗圓智禅師

姑蘇人也。江南李主巡幸洪井。入山瞻謁。請上堂。令僧問。如何是開先境。師曰。最好是一條界破青山色。曰。如何是境中人。師曰。拾枯柴。煑布水。國主益加欽重。後終於本山。靈塔存焉。

姑蘇人。江南の李主洪井を巡幸し、山に入りて瞻謁し、上堂を請ひて、僧をして問はしむ、「如何なるか是れ開先の境」。師は言った、「最も好きは是れ一條の界破して青山の色」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「枯柴を拾ひ、布水を煮る」。國主益々欽重を加ふ。後に本山に終はり、靈塔存り焉。

杭州傾心寺法𤦆宗一禪師

杭州傾心寺法𤦆宗一禅師

上堂。良久曰。大眾不待一句語。便歸堂去。還有紹繼宗風分也無。還有人酬得此問麼。若有人酬得。這裡與諸人為怪笑。若酬不得。諸人與這裡為怪笑。珍重。僧問。如何樸實。免有虗頭。師曰。汝問若當。眾人盡鑒。曰。有恁麼來皆不丈夫。秖如不恁麼來。還有紹繼宗風分也無。師曰。出兩頭致一問來。曰。甚麼人辨得。師曰。波斯養兒。問。佛法去處。乞師全示。師曰。汝但全致一問來。曰。為甚麼卻拈此問去。師曰。汝適來問甚麼。曰。若不遇於師。幾成走作。師曰。賊去後關門。問。別傳一句。如何分付。師曰。可惜許。曰。恁麼。則別酬亦不當去也。師曰。也是閑辭。問。如何是不朝天子.不羨王侯底人。師曰。每日三條線。長年一衲衣。曰。未審此人還紹宗風也無。師曰。鵲來頭上語。雲向眼前飛。問。承古有言。不斷煩惱。此意如何。師曰。又是發人業。曰。如何得不發業。師曰。你話墮也。問。請去賞罰。如何是吹毛劒。師曰。如法禮三拜。師後住龍冊寺歸寂。

上堂。良久して曰く、「大衆一句の語を待たずして、便ち堂に歸り去らば、還た宗た宗風を紹繼する分有るや無し。還た此の問を酬ひ得る人有るか。若し人の酬ひ得る有らば、這裏諸人と怪笑を爲さん。若し酬ひ得ざらば、諸人這裏と怪笑を爲さん。珍重」。僧が問うた、「如何に朴實にして、虛頭有るを免れん」。師は言った、「汝の問ふ若し當ならば、衆人盡く鑑す」。曰く、「さように來る者皆な丈夫ならず。只だ如しさように來らざるは、還た宗風を紹繼する分有るや無し」。師は言った、「兩頭を出でて一問を致し來れ」。曰く、「甚麼人か辨じ得る」。師は言った、「波斯兒を養ふ」。問うた、「佛法の去處、師に全く示さんことを乞ふ」。師は言った、「汝但だ全く一問を致し來れ」。曰く、「甚麼の故にか却って此の問を拈じ去る」。師は言った、「汝適來何をか問ひし」。曰く、「若し師に遇はざらば、幾ど走作を成さんとす」。師は言った、「賊去りし後門を關く」。問うた、「別傳の一句、如何に分付せん」。師は言った、「可惜許」。曰く、「さように、則ち別に酬ふるも亦た當ならずして去るなり」。師は言った、「也是れ閑辭」。問うた、「如何なるか是れ天子を朝せず、王侯を羨まざるの人」。師は言った、「每日三條の線、長年一衲衣」。曰く、「未だ審らかならず、此の人還た宗風を紹ぐや無し」。師は言った、「鵲來りて頭上に語り、雲眼前に向ひて飛ぶ」。問うた、「承る、古に言有り、煩惱を斷ぜず。此の意如何」。師は言った、「又是れ人の業を發す。曰く、「如何にして業を發せざるを得ん」。師は言った、「汝話墮ちたり」。問うた、「賞罰を去らんことを請ふ、如何なるか是れ吹毛劍」。師は言った、「法の如く三拜を禮せ」。師後に龍冊寺に住して歸寂す。

福州水陸院洪儼禪師

福州水陸院洪儼禅師

上堂。大眾集定。師下座。捧香鑪巡行大眾前。曰。供養十方諸佛。便歸方丈。僧問。離卻百非兼四句。請師盡力與提綱。師曰。落在甚麼處。曰。恁麼則人天有賴去也。師曰。莫將惡水潑人好。

上堂。大衆集定す、師座を下りて、香爐を捧げて大衆の前を巡行し、曰く、「十方諸佛を供養す」。便ち方丈に歸る。僧が問うた、「百非を離れ兼ね四句、師に力を盡して提綱を與へんことを請ふ」。師は言った、「甚麼の處にか落つる」。曰く、「さようらば則ち人天賴有らん」。師は言った、「惡水を將て人に潑く莫し好し」。

杭州靈隱山廣嚴院鹹澤禪師

杭州靈隱山廣嚴院咸澤禅師

初參保福。福問。汝名甚麼。師曰。鹹澤。福曰。忽遇枯涸者如何。師曰。誰是枯涸者。福曰。我是。師曰。和尚莫謾人好。福曰。卻是汝謾我。師後承長慶印記。住廣嚴道場(今法安院)。僧問。如何是覿面相呈事。師下禪床曰。伏惟尊體。起居萬福。問。不與萬法為侶者是甚麼人。師曰。城中青史樓。雲外高峰塔。問。如何是佛法大意。師曰。幽㵎泉清。高峰月白。問。如何是廣嚴家風。師曰。一塢白雲。三間茆屋。曰。畢竟如何。師曰。既無維那。兼少典座。問。如何是廣嚴家風。師曰。師子石前靈水響。鷄籠山上白猿啼。

初め保福に參ず。保福問うた、「汝名は甚麼ぞ」。師は言った、「咸澤」。保福曰く、「忽ち枯涸の者に遇はば如何」。師は言った、「誰か是れ枯涸者」。保福曰く、「我是れなり」。師は言った、「和尚人を瞞す莫し好し」。保福曰く、「却って是れ汝の我を瞞する」。師後に長慶の印記を承け、廣嚴道場に住す(今の法安院)。僧が問うた、「如何なるか是れ觌面相呈の事」。師禪牀を下りて曰く、「伏して惟るに尊體起居萬福」。問うた、「萬法與侶と爲さざる者は是れ甚麼人」。師は言った、「城中の青史樓、雲外の高峰塔」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「幽澗の泉淸く、高峰の月白し」。問うた、「如何なるか是れ廣嚴の家風」。師は言った、「一塢の白雲、三間の茅屋」。曰く、「畢竟如何」。師は言った、「既に維那無く、兼ねて典座少し」。問うた、「如何なるか是れ廣嚴の家風」。師は言った、「師子石前に靈水響き、雞籠山上に白猿啼く」。

福州報慈院慧朗禪師

福州報慈院慧朗禅師

上堂。從上諸聖。為一大事因緣故出現於世。遞相告報。是汝諸人還會麼。若不會。大不容易。僧問。如何是一大事。師曰。莫錯相告報麼。曰。恁麼則學人不疑也。師曰。爭奈一翳在目。問。三世諸佛盡是傳語人。未審傳甚麼人語。師曰。聽。曰。未審是甚麼語。師曰。你不是鍾期。問。如何是學人眼。師曰。不可更撒沙。

上堂、「從上の諸聖、一大事の因緣を爲りて世に出現し、遞相告報す。是れ汝諸人還た會するか。若し會せずんば、大に容易ならず」。僧が問うた、「如何なるか是れ一大事」。師は言った、「錯りて相告報する莫れか」。曰く、「さようらば則ち學人疑はざるなり」。師は言った、「争奈、一翳目に在るを」。問うた、「三世の諸佛盡く是れ傳語人、未だ審らかならず、甚麼人の語を傳ふる」。師は言った、「聽け」。曰く、「未だ審らかならず、是れ甚麼の語」。師は言った、「汝は是れ鍾期にあらず」。問うた、「如何なるか是れ學人の眼」。師は言った、「更に沙を撒く可からず」。

福州長慶常慧禪師

福州長慶常慧禅師

僧問。王侯請命。法嗣怡山。鎻口之言。請師不謬。師曰。得。曰。恁麼則深領尊慈。師曰。莫鈍置人好。問。不犯宗風。不傷物義。請師滿口道。師曰。今日豈不是開堂。問。燄續雪峰。印傳超覺。不違於物。不負於人。不在當頭。即今何道。師曰。違負即道。曰。恁麼則善副來言。淺深已辨。師曰。也須識好惡。

僧が問うた、「王侯請命し、法嗣怡山に繼ぐ。鎖口の言、師に謬らざらんことを請ふ」。師は言った、「得」。曰く、「さようらば則ち尊慈を深く領す」。師は言った、「人を鈍置する莫し好し」。問うた、「宗風を犯さず、物義を傷つけず、師に滿口に道はんことを請ふ」。師は言った、「今日豈に是れ開堂ならずや」。問うた、「焰は雪峰に續ぎ、印は超覺に傳ふ。物に違はず、人に負かず。當頭に在らず、即今何をか道道ふ」。師は言った、「違負即ち道なり」。曰く、「さようらば則ち來言を善く副へ、淺深已に辨ぜり」。師は言った、「也須く好惡を識るべし」。

福州石佛院靜禪師

福州石佛院靜禅師

上堂。若道素面相呈。猶添脂粉。縱離添過。猶有負𠎝。諸人且作麼生體悉。僧問。學人慾見和尚本來面目。師曰。洞上有言親體取。曰。恁麼則不得見去也。師曰。灼然。客路如天遠。侯門似海深。

上堂、「若し素面を以て相呈すと道へば、猶ほ脂粉を添ふ。縱り添過を離ると雖も、猶ほ負愆有り。諸人且く作麼生か體悉せん」。僧が問うた、「學人和尚の本來面目を見んと欲す」。師は言った、「洞上に言有り、親く體取せよ」。曰く、「さようらば則ち見るを得ざるに去らん」。師は言った、「灼然。客路は天の如く遠く、侯門は海に似て深し」。

福州枕峰觀音院清換禪師

福州枕峰觀音院淸換禅師

上堂。諸禪德。若要論禪說道。舉唱宗風。祇如當人分上。以一毛端上有無量諸佛轉大法輪。於一塵中現寶王剎。佛說。眾生說。山河大地。一時說未甞間斷。如毗沙門王。始終不求外寶。既各有如是家風。阿誰欠少。不可更就別人處分也。僧問。如何是法界性。師曰。汝身中有萬象。曰。如何體得。師曰。虗谷尋聲。更求本末。

上堂、「諸の禪德、若し禪を論じ道を説き、宗風を擧唱せんと要せば、只だ如し當人の分上、一毛端上に無量の諸佛の大法輪を轉ずる有り、一塵中に寶王刹を現ず。佛説き、衆生説き、山河大地、一時に説きて未だ曾て間斷せず。毗沙門王の如く、始終外寶を求めず。既に各々かくの如き家風有り、阿誰か欠少せん。更に別人の處に就いて分せず可し」。僧が問うた、「如何なるか是れ法界性」。師は言った、「汝の身中に萬象有り」。曰く、「如何に體得する」。師は言った、「虛谷に聲を尋ね、更に本末を求む」。

福州東禪契訥禪師

福州東禪契訥禅師

上堂。未曾暫失。全體現前。恁麼道亦是分外。既恁麼道不得。向兄弟前合作麼生道。莫是無道處不受道麼。莫錯會好。僧問。如何是現前三昧。師曰。何必更待道。問。己事未明。乞師指示。師曰。何不禮謝。問。如何是東禪家風。師曰。一人傳虗。萬人傳實。

上堂、「未だ曾て暫しも失はず、全體目前に現ず。さように道ふも亦是れ分外なり。既にさように道ひ得ざれば、兄弟の前に向ひて何を作さばか道はん。莫れ無道の處道を受けざるか。錯りて會する莫し好し」。僧が問うた、「如何なるか是れ現前の三昧」。師は言った、「何ぞ必ずしも更に道ふを待たん」。問うた、「己事未だ明らかならず、師に指示を乞ふ」。師は言った、「何ぞ禮謝せざる」。問うた、「如何なるか是れ東禪の家風」。師は言った、「一人虛を傳へ、萬人實を傳ふ」。

福州長慶院弘辯妙果禪師

福州長慶院弘辯妙果禅師

上堂。於座前側立曰。大眾各歸堂得也未。還會得麼。若也未會。山僧謾諸人去也。遂陞座。僧問。海眾雲臻。請師開方便門。示真實相。師曰。這箇是方便門。曰。恁麼則大眾側聆去也。師曰。空側聆作麼。

上堂。座前に於て側立して曰く、「大衆各々堂に歸り得たりや未だ。還た會し得るか。若し也未だ會せずんば、山僧諸人を瞞して去らん」。遂に座に升る。僧が問うた、「海衆雲臻す、師に方便門を開き、眞實相を示さんことを請ふ」。師は言った、「這箇は是れ方便門」。曰く、「さようらば則ち大衆側聆して去らん」。師は言った、「空しく側聆して作麼せん」。

福州東禪院可隆了空禪師

福州東禪院可隆了空禅師

僧問。如何是道。師曰。正是道。曰。如何是道中人。師曰。分明向汝道。上堂。大好省要。自不仙陀。若是聽響之流。不如歸堂向火。珍重。問。如何是普賢第一句。師曰。落第二句也。

僧が問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「正に是れ道」。曰く、「如何なるか是れ道中の人」。師は言った、「分明に汝に向ひて道ふ」。上堂、「大好き省要なり、自ら仙陀せず。若し是れ聽響の流ならば、堂に歸りて火に向ふに如かず。珍重」。問うた、「如何なるか是れ普賢の第一句」。師は言った、「第二句に落つるなり」。

福州仙宗院守玭禪師

福州仙宗院守玭禅師

久不上堂。大眾入方丈參。師曰。今夜與大眾同請假。未審還給假也無。若未聞給假。即先言者負。珍重。僧問。十二時中常在底人。還消得人天供養也無。師曰。消不得。曰。為甚麼消不得。師曰。為汝常在。曰。祇如常不在底人。還消得也無。師曰。驢年。問。請師答無賓主話。師曰。向無賓主處問將來。

久しく堂に上らず。大衆方丈に入りて參す。師は言った、「今夜大衆と同じく假を請はん。未だ審らかならず、還た假を給するや無し。若し未だ給假を聞かずんば、即ち先づ言ふ者負けん。珍重」。僧が問うた、「十二時中に常在の人、還た人天の供養を消するや無し」。師は言った、「消し得ず」。曰く、「甚麼の故にか消し得ざる」。師は言った、「汝の常在の爲」。曰く、「只だ如し常に不在の人、還た消するや無し」。師は言った、「驢年」。問うた、「師に無賓主の話を答へんことを請ふ」。師は言った、「無賓主の處に向ひて問ひ將來れ」。

撫州永安院懷烈淨悟禪師

撫州永安院懷烈淨悟禅師

上堂顧視左右曰。患謇作麼。便歸方丈。上堂。良久曰。幸自可憐生。又被汙卻也。上堂。大眾。正是著力處。切莫容易。僧問。怡山親聞一句。請師為學人道。師曰。向後莫錯舉似人。

上堂、左右を顧視して曰く、「謇を患へて作麼せん」。便ち方丈に歸る。上堂。良久して曰く、「幸に自ら可憐なる生、又污却されり」。上堂、「大衆、正に是れ著力の處、切に容易する莫れ」。僧が問うた、「怡山親く聞くの一句、師に學人の爲に道はんことを請ふ」。師は言った、「向後人に錯りて擧似する莫れ」。

福州閩山令含禪師

福州閩山令含禅師

上堂。還恩恩滿。賽願願圓。便歸方丈。僧問。既到妙峰頂。誰人為伴侶。師曰。到。曰。甚麼人為伴侶。師曰。吃茶去。問。明明不會。乞師指示。師曰。指示且置。作麼生是你明明底事。曰。學人不會。再乞師指。師曰。八棒十三。

上堂、「恩を還さば恩滿ち、願を賽すれば願圓く」。便ち方丈に歸る。僧が問うた、「既に妙峰頂に到れり、誰人か伴侶と爲さん」。師は言った、「到れり」。曰く、「甚麼人か伴侶と爲さん」。師は言った、「茶を喫して去れ」。問うた、「明明會せず、師に指示を乞ふ」。師は言った、「指示は且く置き。作麼生か是れ汝の明明の事」。曰く、「學人會せず、再び師の指を乞ふ」。師は言った、「八棒十三」。

新羅國龜山和尚

新羅國龜山和尚

有人舉裴相國啟建法會。問僧。看甚麼經。曰。無言童子經。公曰。有幾卷。曰。兩卷。公曰。既是無言。為甚麼卻有兩卷。僧無對。師代曰。若論無言。非唯兩卷。

人の擧ぐる有り、裴相國法會を啓建し、僧に問う、「甚麼の經を看る」。曰く、「無言童子經」。裴公曰く、「幾卷有る」。曰く、「兩卷」。裴公曰く、「既に無言なり、甚麼の故にか却って兩卷有る」。僧對無し。師代えて曰く、「若し無言を論ぜば、唯だ兩卷のみならず」。

吉州資國院道殷禪師

吉州資國院道殷禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。普通八年遭梁怪。直至如今不得雪。問。千山萬山。如何是龍須山。師曰。千山萬山。曰。如何是山中人。師曰。對面千里。問。不落有無。請師道。師曰。汝作麼生問。

僧が問うた、「如何なるか是れ祖師の西來意」。師は言った、「普通八年梁の怪に遭ふて、直に如今に至るまで雪げず」。問うた、「千山萬山、如何なるか是れ龍須山」。師は言った、「千山萬山」。曰く、「如何なるか是れ山中の人」。師は言った、「對面千里」。問うた、「有無に落ちず、師に道ふを請ふ」。師は言った、「汝作麼生か問ふ」。

福州祥光院澄靜禪師

福州祥光院澄靜禅師

僧問。如何是道。師曰。長安路上。曰。向上事如何。師曰。谷聲萬籟起。松老五雲披。問。如何是和尚家風。師曰。門下平章事。宮闈較幾重。

僧が問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「長安の路上」。曰く、「向上の事如何」。師は言った、「谷聲萬籟起こり、松老れて五雲披く」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「門下の平章事、宮闈幾重を較ぶ」。

杭州報慈院從[王*(十/(罩-卓+衣))]禪師

杭州報慈院從𤩹禅師

福州陳氏子。僧問。承古有言。今人看古教。未免心中閙。欲免心中閙。應須看古教。如何是古教。師曰。如是我聞。曰。如何是心中閙。師曰。那畔雀兒聲。

福州陳氏の子。僧が問うた、「承聞く、古に言有り、今人古教を看れば、心中の鬧を免れず。心中の鬧を免れんと欲せば、應に古教を看るを須う。如何なるか是れ古教」。師は言った、「如是我聞」。曰く、「如何なるか是れ心中の鬧」。師は言った、「那畔の雀兒の聲」。

杭州龍華寺契盈廣辯周智禪師

杭州龍華寺契盈廣辯周智禅師

僧問。如何是龍華境。師曰。翠竹搖風。寒松鎻月。曰。如何是境中人。師曰。切莫唐突。問。如何是三世諸佛道場。師曰。莫別瞻禮。曰。恁麼則亙古亙今。師曰。是甚麼年中。

僧が問うた、「如何なるか是れ龍華の境」。師は言った、「翠竹翠竹風を搖り、寒松月を鎖す」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「唐突する莫れ」。問うた、「如何なるか是れ三世諸佛の道場」。師は言った、「別に瞻禮する莫れ」。曰く、「さようらば則ち亘古亘今なり」。師は言った、「是れ甚麼の年中」。

太傅王延彬居士

太傅王延彬居士

一日入招慶佛殿。指缽盂問殿主。這箇是甚麼缽。主曰。藥師缽。公曰。祇聞有降龍缽。主曰。待有龍即降。公曰。忽遇拏雲㸕浪來時作麼生。主曰。他亦不顧。公曰。話墮也(玄沙曰。盡你神力。走向甚麼處去。保福曰。歸依佛.法.僧。百丈恆作覆缽勢。雲門曰。他日生天。莫孤負老僧)。長慶謂太傅曰。雪峰竪拂子示僧。其僧便出去。若據此僧。合喚轉痛與一頓。公曰。是甚麼心行。慶曰。洎合放過。公到招慶煎茶。朗上座與明招把銚。忽翻茶銚。公問。茶爐下是甚麼。朗曰。捧爐神。公曰。既是捧爐神。為甚麼翻卻茶。朗曰。事官千日。失在一朝。公拂袖便出。明招曰。朗上座吃卻招慶飯了。卻向外邊打野榸。朗曰。上座作麼生。招曰。非人得其便。

一日招慶の佛殿に入り、鉢盂を指して殿主に問う、「這箇は是れ甚麼の鉢」。殿主曰く、「藥師の鉢」。太傅曰く、「只だ降龍鉢有るを聞く」。殿主曰く、「龍有らば即ち降す」。太傅曰く、「忽ち拏雲攫浪に遇ふ來らば作麼生」。殿主曰く、「他も亦た顧みず」。太傅曰く、「話墮ちたり」(玄沙曰く、「汝の神力を盡して、走りて甚麼の處に向ひて去らん」。保福曰く、「佛に歸依し、法に歸依し、僧に歸依す」。百丈恒に覆鉢の勢を作す。雲門曰く、「他日天に生ぜば、老僧を孤負する莫れ」)。長慶太傅に謂ふ、「雪峰拂子を豎げて僧に示す、那の僧便ち出去す。若し此の僧に據れば、喚び轉へて痛く一頓を與ふるに合す」。太傅曰く、「是れ甚麼の心行」。長慶曰く、「放過に洎す」。太傅招慶に到りて茶を煎ず、朗上座與明招銚を把る。忽ち茶銚を翻す。太傅問うた、「茶爐の下は是れ甚麼」。朗曰く、「爐を捧げる神」。太傅曰く、「既に爐を捧げる神、甚麼の故にか却って茶を翻す」。朗曰く、「官に事ふること千日、失は一朝に在り」。太傅袖を拂ひて便ち出ず。明招曰く、「朗上座招慶の飯を喫し了へて、却って外邊に向ひて野榸を打つ」。朗曰く、「上座作麼生」。明招曰く、「人に非ずして其の便を得る」。

保福展禪師法嗣

保福展禅師法嗣

潭州延壽寺慧輪禪師

潭州延壽寺慧輪禅師

僧問。寶劒未出匣時如何。師曰。不在外。曰。出匣後如何。師曰。不在內。問。如何是一色。師曰。青黃赤白。曰。大好一色。師曰。將謂無人。也有一箇半箇。

僧が問うた、「寶劍未だ匣を出でざる時如何」。師は言った、「外に在らず」。曰く、「匣を出づる後如何」。師は言った、「内に在らず」。問うた、「如何なるか是れ一色」。師は言った、「青黃赤白」。曰く、「大好き一色」。師は言った、「將に謂へり、人無けんと。一箇半箇有るを得たり」。

漳州保福可儔禪師

漳州保福可儔禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。雲在青天水在瓶。問。如何是吹毛劒。師曰。瞥落也。曰。還用也無。師曰。莫鬼語。

僧が問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「雲は青天に在り、水は瓶に在り」。問うた、「如何なるか是れ吹毛劍」。師は言った、「瞥落したり」。曰く、「還た用ゐるや無し」。師は言った、「鬼語する莫れ」。

舒州海會院如新禪師

舒州海會院如新禅師

上堂。良久曰。禮繁即亂。便下座。僧問。從上宗乘。如何舉唱。師曰。轉見孤獨。曰。親切處乞師一言。師曰。不得雪也聽他。問。如何是迦葉頓領底事。師曰。汝若領得。我即不悋。曰。恁麼則不煩於師去也。師曰。又須著棒。爭得不煩。問。牛頭橫說竪說。猶未知向上關捩子。如何是向上關捩。師曰。賴遇娘生臂短。問。如何是祖師意。師曰。要道何難。曰。便請師道。師曰。將謂靈利。又不仙陀。

上堂。良久して曰く、「禮繁ければ即ち亂る」。便ち座を下る。僧が問うた、「從上の宗乘、如何に擧唱せん」。師は言った、「轉りて孤獨を見る」。曰く、「親切の處、師に一言を乞ふ」。師は言った、「雪げざるも他を聽く」。問うた、「如何なるか是れ迦葉の頓領の事」。師は言った、「汝若し領得せば、我即ち吝ならず」。曰く、「さようらば則ち師を煩はすに須ゐずして去らん」。師は言った、「又棒を着けるを須う、争でか煩はずを得ん」。問うた、「牛頭横説豎説し、猶ほ未だ向上の關捩子を知らず。如何なるか是れ向上の關捩」。師は言った、「頼りて遇へり、娘生の臂短しと」。問うた、「如何なるか是れ祖師意」。師は言った、「道ふを要する何ぞ難けん」。曰く、「便ち師に道はんことを請ふ」。師は言った、「將に謂へり、靈利ならんと。又仙陀せず」。

洪州漳江慧廉禪師

洪州漳江慧廉禅師

僧問。師登寶座。曲為今時。四眾攀瞻。請師接引。師曰。甚麼處屈汝。曰。恁麼則垂慈方便路.直下不孤人也。師曰。也須收取好。問。如何是漳江境。師曰。地藏皺眉。曰。如何是境中人。師曰。普賢斂袂。問。如何是漳江水。師曰。苦。問。如何是漳江第一句。師曰。到別處不得錯舉。

僧が問うた、「師寶座に登り、曲に今時の爲。四衆攀瞻す、師に接引を請ふ」。師は言った、「甚麼の處にか汝を屈する」。曰く、「さようらば則ち慈を垂れし方便の路、直下に人を孤せずして去らん」。師は言った、「也須く收取すれば好し」。問うた、「如何なるか是れ漳江の境」。師は言った、「地藏眉を皺む」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「普賢袂を斂す」���問うた、「如何なるか是れ漳江の水」。師は言った、「苦」。問うた、「如何なるか是れ漳江の第一句」。師は言った、「別處に到りて錯りて擧げるを得ず」。

福州報慈院文欽禪師

福州報慈院文欽禅師

僧問。如何是諸佛境。師曰。雨來雲霧暗。晴乾日月明。問。如何是妙覺明心。師曰。今冬好晚稻。出自秋雨成。問。如何是妙用河沙。師曰。雲生碧岫。雨降青天。問。如何是平常心合道。師曰。吃茶吃飯隨時過。看水看山實暢情。

僧が問うた、「如何なるか是れ諸佛の境」。師は言った、「雨來れば雲霧暗く、晴乾けば日月明なり」。問うた、「如何なるか是れ妙覺の明心」。師は言った、「今冬好き晚稻、秋雨より出でて成る」。問うた、「如何なるか是れ妙用の河沙」。師は言った、「雲碧岫に生じ、雨青天に降る」。問うた、「如何なるか是れ平常心の道に合する」。師は言った、「茶を喫し飯を喫して時に隨ひて過ぎ、水を看て山を看て實に情を暢ぶ」。

泉州萬安院清運資化禪師

泉州萬安院淸運資化禅師

僧問。諸佛出世。震動乾坤。和尚出世。未審如何。師曰。向汝道甚麼。曰。恁麼則不異諸聖去也。師曰。莫亂道。問。如何是萬安家風。師曰。苔羹倉米飯。曰。忽遇上客來。將何祇待。師曰。飯後三巡茶。問。如何是萬安境。師曰。一塔松蘿望海青。

僧が問うた、「諸佛世に出づれば、乾坤を震動す。和尚世に出づ、未だ審らかならず如何」。師は言った、「汝に向ひて甚麼をか道ふ」。曰く、「さようらば則ち諸聖と異ならずして去らん」。師は言った、「亂に道ふ莫れ」。問うた、「如何なるか是れ萬安の家風」。師は言った、「苔羹に倉米の飯」。曰く、「忽ち上客の來るに遇はば、何を將てか祇待せん」。師は言った、「飯の後三巡の茶」。問うた、「如何なるか是れ萬安の境」。師は言った、「一塔の松蘿海の青きを望む」。

漳州報恩院道熈禪師

漳州報恩院道熈禅師

初與保福送書上泉州王太尉。尉問。漳南和尚近日還為人也無。師曰。若道為人。即屈著和尚。若道不為人。又屈著太尉來問。太尉曰。道取一句。尉曰。待鐵牛能齧草。木馬解含煙。師曰。某甲惜口吃飯。尉良久。又問。驢來馬來。師曰。驢馬不同途。尉曰。爭得到這裡。師曰。特謝太尉領話。住後。僧問。明言妙句即不問。請師真實道將來。師曰。不阻來意。

初め保福と書を泉州の王太尉に送る。太尉問うた、「漳南の和尚近日還た人を爲るや無し」。師は言った、「若し人を爲すと道はば、即ち和尚を屈する。若し人を爲らずと道はば、又太尉の來りて問ふを屈す」。太尉曰く、「一句を道へ取れ」。太尉曰く、「鐵牛の能く草を囓み、木馬の烟を解含するを待て」。師は言った、「某甲口を惜しみて飯を喫す」。太尉良久し、又問うた、「驢來るか馬來るか」。師は言った、「驢馬途を同じうせず」。太尉曰く、「争でか這裏に到るを得る」。師は言った、「特に太尉の話を領するを謝す」。住して後、僧が問うた、「明言妙句は即ち問はず、師に眞實を道ひ將來らんことを請ふ」。師は言った、「來意を阻まず」。

泉州鳳凰山從琛洪忍禪師

泉州鳳凰山從琛洪忍禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。門風相似。即無阻矣。汝不是其人。曰。忽遇其人時又如何。師曰。不可預搔待癢。問。學人根思遲回。方便門中乞師傍瞥。師曰。傍瞥。曰。深領師旨。安敢言乎。師曰。太多也。上堂。有僧出禮拜起。退身立。師曰。我不如汝。僧應諾。師曰。無人處放下著。問。如何是學人自己事。師曰。暗算流年事可知。問。如何是鳳凰境。師曰。雪夜觀明月。問。如何是西來意。師曰。作人醜差。曰。為人何在。師曰。莫屈著汝麼。

僧が問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「門風相似ならば、即ち阻む無し。汝是れ其の人にあらず」。曰く、「忽ち其の人に遇ふ時又作麼生」。師は言った、「豫ね搔きて痒を待つ可からず」。問うた、「學人根思遲回す、方便門中師に傍瞥を乞ふ」。師は言った、「傍瞥したり」。曰く、「師旨を深く領す、敢へて言はんや」。師は言った、「太多なり」。上堂。僧有りて出で禮拜して起ち、身を退きて立つ。師は言った、「我汝に如かず」。僧應諾す。師は言った、「人無き處に放下せよ」。問うた、「如何なるか是れ學人の自己の事」。師は言った、「流年の事を暗算すれば知る可し」。問うた、「如何なるか是れ鳳凰の境」。師は言った、「雪夜明月を觀ず」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「人の醜差を作す」。曰く、「人何をか在る」。師は言った、「汝を屈する莫し何ぞ」。

福州永隆院明慧瀛禪師

福州永隆院明慧瀛禅師

上堂。謂言侵早起。更有夜行人。似則似。是即不是。珍重。問。無為無事人為甚麼卻是金鎻難。師曰。為斷麤纖。貴重難留。曰。為甚麼道無為無事人逍遙實快樂。師曰。為閙亂且要斷送。僧參。師曰。不要得許多般數。速道。速道。僧無對。上堂。日出卯。用處不須生善巧。便下座。僧問。如何進向。得達本源。師曰。依而行之。

上堂、「言に謂へり、早く起くを侵すと。更に夜行の人有り。似れば則ち似たり、是れば即ち是れにあらず。珍重」。問うた、「無爲無事の人、甚麼の故にか却って是れ金鎖の難」。師は言った、「粗纎を斷ずるが爲に、貴重留まり難し」。曰く、「甚麼の故にか道ふ、無爲無事の人逍遥實に快樂」。師は言った、「鬧亂の爲に且く斷送を要す」。僧參す。師は言った、「許多の般數を得る莫れ。速やかに道へ、速やかに道へ」。僧對無し。上堂、「日の卯に出づ、用處善巧を生ずるを須ゐず」。便ち座を下る。僧が問うた、「如何に進向して、本源に達するを得ん」。師は言った、「依りて之を行へ」。

洪州清泉山守清禪師

洪州淸泉山守淸禅師

福州人也。僧問。如何是佛。師曰。問。曰。如何是祖。師曰。答。問。和尚見古人得箇甚麼。便住此山。師曰。情知汝不肯。曰。爭知某甲不肯。師曰。鑒貌辨色。問。親切處乞師一言。師曰。莫過於此。問。古人面壁為何事。師曰。屈。曰。恁麼則省心力去也。師曰。何處有恁麼人。問。諸餘即不問。如何是向上事。師曰。消汝三拜。不消汝三拜。

福州人。僧が問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「問ふ」。曰く、「如何なるか是れ祖」。師は言った、「答ふ」。問うた、「和尚古人を見て箇の甚麼を得て、便ち此の山に住する」。師は言った、「情け知る、汝肯んぜざるを」。曰く、「争でか某甲の肯んぜざるを知る」。師は言った、「貌を鑑み色を辨ず」。問うた、「親切の處、師に一言を乞ふ」。師は言った、「此れに過ぐる莫れ」。問うた、「古人面壁は何をか爲る」。師は言った、「屈」。曰く、「さようらば則ち心力を省くに去らん」。師は言った、「何處にかさような人有る」。問うた、「諸餘は即ち問はず、如何なるか是れ向上の事」。師は言った、「汝の三拜を消すも、汝の三拜を消せずも」。

漳州報恩院行崇禪師

漳州報恩院行崇禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。碓搗磨磨。問。曹谿一路。請師舉揚。師曰。莫屈著曹谿麼。曰。恁麼則群生有賴。師曰。也是老鼠吃鹽。問。不涉公私。如何言論。師曰。吃茶去。問。丹霞燒木佛。意作麼生。師曰。時寒燒火向。曰。翠微迎羅漢。意作麼生。師曰。別是一家春。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「碓に搗き磨に磨ぐ」。問うた、「曹溪の一路、師に擧揚を請ふ」。師は言った、「曹溪を屈する莫し何ぞ」。曰く、「さようらば則ち群生賴有らん」。師は言った、「也是れ老鼠の鹽を喫ふ」。問うた、「公私に渉らず、如何に言論せん」。師は言った、「茶を喫して去れ」。問うた、「丹霞の木佛を燒く、意作麼生」。師は言った、「時寒し、火を燒きて向ふ」。曰く、「翠微の羅漢を迎ふる、意作麼生」。師は言った、「別に是れ一家の春」。

潭州嶽麓山和尚

潭州岳麓山和尚

上堂。良久曰。昔日毗盧。今朝嶽麓。珍重。僧問。如何是聲色外句。師曰。猿啼鳥呌。問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。五音六律。問。截舌之句。請師舉揚。師曰。日能熱。月能涼。

上堂。良久して曰く、「昔日の毗盧、今朝の岳麓。珍重」。僧が問うた、「如何なるか是れ聲色外の句」。師は言った、「猿啼き鳥叫ぶ」。問うた、「師は誰かの家の曲を唱へ、宗風は阿誰を嗣ぐ」。師は言った、「五音六律」。問うた、「舌を截るの句、師に擧揚を請ふ」。師は言った、「日は能く熱くし、月は能く凉しくす」。

朗州德山德海禪師

朗州德山德海禅師

僧問。靈山一會。何人得聞。師曰。闍黎得聞。曰。未審靈山說箇甚麼。師曰。即闍黎會。問。如何是該天括地句。師曰。千界搖動。問。從上宗乘以何為驗。師曰。從上且置。即今作麼生。曰。大眾總見。師曰。話墮也。問。如何是祖師西來意。師曰。擘。

僧が問うた、「靈山の一會、何人か聞くを得たる」。師は言った、「闍黎聞くを得たり」。曰く、「未だ審らかならず、靈山箇の甚麼を説く」。師は言った、「即ち闍黎會す」。問うた、「如何なるか是れ天を該め地を括るの句」。師は言った、「千界搖動す」。問うた、「從上宗乘何を以てか驗と爲る」。師は言った、「從上は且く置き。即今作麼生」。曰く、「大衆總て見たり」。師は言った、「話墮ちたり」。問うた、「如何なるか是れ祖師の西來意」。師は言った、「擘」。

泉州後招慶和尚

泉州後招慶和尚

僧問。末後一句。請師商量。師曰。塵中人自老。天際月常明。問。如何是和尚家風。師曰。一缾兼一缽。到處是生涯。問。如何是佛法大意。師曰。擾擾忩忩。晨鷄暮鐘。

僧が問うた、「末後の一句、師に商量を請ふ」。師は言った、「塵中の人自ら老ゆ、天際の月常に明なり」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「一瓶兼ねて一钵、處々に到りて是れ生涯」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「擾擾匆匆、晨鷄に暮鐘」。

鼎州梁山簡禪師

鼎州梁山簡禅師

問。僧甚處來。曰。藥山來。師曰。還將得藥來否。曰。和尚住山也不錯。師便休。

僧に問うた、「甚處か來れり」。曰く、「藥山より來れり」。師は言った、「還た藥を將りて來るか否」。曰く、「和尚山に住するも錯りならず」。師便ち休す。

洪州建山澄禪師

洪州建山澄禅師

僧問。如何是法王劒。師曰。可惜許。曰。如何是人王劒。師曰。塵埋床下履。風動架頭巾。問。一代時教接引今時。未審祖宗如何示人。師曰。一代時教已有人問了也。曰。和尚如何示人。師曰。惆悵庭前紅莧樹。年年生葉不生花。問。故歲已去。新歲到來。還有不受歲者也無。師曰。作麼生。曰。恁麼則不受歲也。師曰。城上已吹新歲角。牕前猶點舊年燈。曰。如何是舊年燈。師曰。臘月三十日。

僧が問うた、「如何なるか是れ法王の劍」。師は言った、「可惜許」。曰く、「如何なるか是れ人王の劍」。師は言った、「塵は牀下の履を埋め、風は架頭の巾を動かす」。問うた、「一代の時教今時を接引す、未だ審らかならず、祖宗如何に人に示す」。師は言った、「一代の時教は已に人の問ふ者有るなり」。曰く、「和尚如何に人に示す」。師は言った、「惆悵たり庭前の紅莧樹、年年葉を生じて花を生ぜず」。問うた、「故歲已に去り、新歲到來す。還た歲を受けざる者有るや無し」。師は言った、「作麼生」。曰く、「さようらば則ち歲を受けざるなり」。師は言った、「城上已に新歲の角を吹き、窗前猶ほ舊年の燈を點ず」。曰く、「如何なるか是れ舊年の燈」。師は言った、「臘月三十日」。

泉州招慶院省僜淨修禪師

泉州招慶院省僜淨修禅師

初參保福。福一日入大殿覩佛像。乃舉手。問師曰。佛恁麼意作麼生。師曰。和尚也是橫身。福曰。一撅我自收取。師曰。和尚非唯橫身。福然之。後住招慶。開堂陞座。良久乃曰。大眾。向後到處遇道伴。作麼生舉似他。若有人舉得。試對眾舉看。若舉得。免孤負上祖。亦免埋沒後來。古人道。通心君子。文外相見。還有這箇人麼。況是曹谿門下子孫。合作麼生理論。合作麼生提唱。僧問。如何得不傷於己。不負於人。師曰。莫屈著汝這問麼。曰。恁麼上來已蒙師指也。師曰。汝又屈著我作麼。問。當鋒一句。請師道。師曰。嗄。僧再問。師曰。瞌睡漢。問。僧近離甚處。曰。報恩。師曰。僧堂大小。曰。和尚試道看。師曰。何不待問。問。學人全身不會。請師指示。師曰。還解笑得麼。乃曰。叢林先達者。不敢相觸忤。若是初心後學。未信直須信取。未省直須省取。不用掠虗。諸人本分去處。未有一時不顯露。未有一物解葢覆得。如今若要知。不用移絲髮地。不用少許工夫。但向博地凡夫位中承當取。豈不省心力。既能省得。便與諸佛齊肩。依而行之。緣此事是箇白淨去處。今日須得白淨身心合他始得。自然合古合今。脫生離死。古人云。識心達本。解無為法。方號沙門。如今諸官大眾。各須體取好。莫全推過師僧分上。佛法平等。上至諸佛。下至一切。共同此事。既然如此。誰有誰無。王事之外。亦須努力。適來說如許多般。葢不得已而已。莫道從上宗門。合恁麼語話。祇如從上宗門。合作麼生。還相悉麼。若有人相悉。山僧今日雪得去也。久立。大眾珍重。示坐禪方便頌曰。四威儀內坐為先。澄濾身心漸坦然。瞥爾有緣隨濁界。當須莫續是天年。修持祇學從功路。至理寧論在那邊。一切時中常管帶。因緣相湊豁通玄。示執坐禪者曰。大道分明絕點塵。何須長坐始相親。遇緣儻解無非是。

初め保福に參ず。保福一日大殿に入りて佛像を睹て、乃ち手を擧げ、師に問ひて曰く、「佛さような意作麼生」。師は言った、「和尚也是れ橫身」。保福曰く、「一撅すれば我自ら收取す」。師は言った、「和尚唯だ橫身のみにあらず」。保福之を然とす。後に招慶に住す。堂を開き座に升る。良久して乃ち曰く、「大衆、向後處に到りて道伴に遇はば、作麼生か他に擧似せん。若し擧げ得る人有らば、試みに衆に對して擧げ看よ。若し擧げ得なば、上祖を孤負するを免れ、亦た後來を埋沒するを免れん。古人道へり、心を通ずる君子、文外に相見ると。還た這箇の人有るか。況んや是れ曹溪門下の子孫、合に作麼生に理論し、合に作麼生に提唱すべき」。僧が問うた、「如何にして己を傷らず、人を負かざるを得ん」。師は言った、「汝の這の問を屈する莫し何ぞ」。曰く、「さようば上來已に師の指を蒙れり」。師は言った、「汝又我を屈して作麼せん」。問うた、「鋒に當たる一句、師に道はんことを請ふ」。師は言った、「嗄」。僧再び問ふ。師は言った、「瞌睡の漢」。僧に問うた、「近く離るる甚處ぞ」。曰く、「報恩」。師は言った、「僧堂大小」。曰く、「和尚試みに道へ看よ」。師は言った、「何ぞ問ふを待たざる」。問うた、「學人全身會せず、師に指示を請ふ」。師は言った、「還た笑ふを解するか」。乃ち曰く、「叢林の先達者は、敢へて相觸忤ふことを得ず。若し是れ初心後學ならば、未信は直に須く信取し、未省は直に須く省取すべし。虛掠するを用ゐず。諸人の本分の去處、未だ一時も顯露せざる有らず、未だ一物も解りて蓋覆し得る有らず。如今若し知らんと要せば、絲髮の地を移すを用ゐず、少許の工夫を用ゐず、但だ博地凡夫の位中に向ひて承當して取れば、豈に心力を省かずや。既に省得すれば、便ち諸佛と肩を齊うす。依りて之を行へ。緣此の事是れ箇の白淨の去處、今日須く白淨の身心を以て他に合して始めて得べし。自然に古に合し今に合し、生を脫し死を離れん。古人曰く、「心を識り本に達し、無爲の法を解して、方に沙門と號す」と。如今諸官大衆、各々體取を須うして好く、全く師僧の分上に推過する莫れ。佛法平等、上は諸佛より、下は一切に至り、共同して此の事に在り。既然如此、誰か有り誰か無し。王事の外、亦た須く努力すべし。適來さような許多を説きしは、蓋し不得已のみなり。從上の宗門、合にさように語話すと道ふ莫れ。只だ如し從上の宗門、合に作麼生。還た相悉するか。若し相悉する人有らば、山僧今日雪げ去れり。久立。大衆珍重」。坐禪の方便を示す頌に曰く、「四威儀の内坐を先と爲し、身心を澄濾し漸く坦然たり。瞥爾縁有りて濁界に隨へば、當に續ぐ莫れ、是れ天年なり。修持は只だ功路に從ふを學び、至理寧ぞ論ぜん、在る那邊を。一切の時中常に管帶すれば、因緣相湊りて豁りて玄に通ず」。坐禪を執る者に示して曰く、「大道分明に點塵を絕ち、何ぞ須からん長坐して始めて相親しむ。縁に遇ひて儻し无非を解せばは、

處憒那能有故新。散誕肯齊支遁侶。逍遙曷與慧休隣。或遊泉石或闤闠。可謂煙霞物外人。

(師引き続き曰く、)「處に愦れて那ぞ能く故新有らん。散誕肯ぞ齊らん支遁の侶、逍遥曷ぞ與らん慧休の鄰。或は泉石に游び或は闤闠に游べば、謂ふ可し、烟霞物外の人」。

福州康山契穩法寶禪師

福州康山契穩法寶禅師

初開堂。僧問。威音王佛已後。次第相承。未審師今一會法嗣何方。師曰。象骨舉手。龍谿點頭。問。圓明湛寂非師意。學人因底卻無明。師曰。辨得也未。曰。恁麼則識性無根去也。師曰。隔靴搔癢。

初め堂を開く。僧が問うた、「威音王佛已後、次第相承す。未だ審らかならず、師今の一會の法嗣何方」。師は言った、「象骨手を擧げ、龍溪頭を點ず」。問うた、「圓明湛寂は師の意に非ず、學人因底か却って無明なる」。師は言った、「辨じ得たりや未だ」。曰く、「さようらば則ち識性無根に去らん」。師は言った、「靴を隔てて痒を掻く」。

泉州西明院琛禪師

泉州西明院琛禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。竹箸瓦碗。曰。忽遇上客來時。如何祇待。師曰。黃虀倉米飯。問。如何是祖師西來意。師曰。問取露柱看。

僧が問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「竹箸に瓦碗」。曰く、「忽ち上客の來る時に遇はば、如何に祇待せん」。師は言った、「黃齏に倉米の飯」。問うた、「如何なるか是れ祖師の西來意」。師は言った、「露柱に問ひ取りて看よ」。

皷山晏國師法嗣

皷山晏國師法嗣

杭州天竺子儀心印水月禪師

杭州天竺子儀心印水月禅師

溫州樂清陳氏子。初遊方謁鼓山。問曰。子儀三千里外遠投法席。今日非時上來。乞師非時答話。山曰。不可鈍置仁者。師曰。省力處如何。山曰。汝何費力。師於此有省。後回浙中。錢忠懿王命開法於羅漢光福二道場。上堂。久立大眾更待甚麼。不辭展拓。卻恐悞於禪德。轉迷歸路。時寒。珍重。僧問。如何是從上來事。師曰。住。曰。如何薦。師曰。可惜龍頭。翻成蛇尾。有僧禮拜起。將問話。師曰。如何且置。僧乃問。祇如興聖之子。還有相親分也無。師曰。祇待局終。不知柯爛。問。如何是維摩默。師曰。謗。曰。文殊因何讚。師曰。同案領過。曰。維摩又如何。師曰。頭上三尺巾。手裡一枝拂。問。如何是諸佛出身處。師曰。大洋海裡一星火。曰。學人不會。師曰。燒盡魚龍。問。丹霞燒木佛。意旨如何。師曰。寒即圍爐向猛火。曰。還有過也無。師曰。熱即竹林溪畔坐。問。如何是法界義宗。師曰。九月九日浙江潮。問。諸餘即不問。如何是光福門下超毗盧越釋迦底人。師曰。諸餘奉納。曰。恁麼則平生慶幸去也。師曰。慶幸事作麼生。僧罔措。師便喝。將下堂。僧問。下堂一句。乞師分付。師曰。擕履已歸西國去。此山空有老猿啼。問。皷山有掣皷奪旗之說。師且如何。師曰。敗將不忍誅。曰。或遇良將又如何。師曰。念子孤魂。賜汝三奠。問。世尊入滅。當歸何所。師曰。鶴林空變色。真歸無所歸。曰。未審必定何之。師曰。朱實殞勁風。繁英落素秋。曰。我師將來復歸何所。師曰。子今欲識吾歸處。東西南北柳成絲。問。如何修行。即得與道相應。師曰。高卷吟中箔。濃煎睡後茶。

溫州樂淸陳氏の子。初め方に游びて皷山を謁ふ。問ひて曰く、「子儀三千里外に遠く法席に投ず。今日非時に上來す、師に非時の答話を乞ふ」。皷山曰く、「仁者を鈍置する可からず」。師は言った、「省力の處如何」。皷山曰く、「汝何ぞ力を費す」。師此れに於て省有り。後に浙中に回り、錢忠懿王命じて羅漢・光福二道場に法を開かしむ。上堂、「久立す大衆更に甚麼を待つ。展拓を辭せざれど、却って恐らくは禪德を誤り、轉りて歸路を迷はん。時寒し。珍重」。僧が問うた、「如何なるか是れ從上來の事」。師は言った、「住」。曰く、「如何に薦する」。師は言った、「可惜、龍頭翻りて蛇尾と成る」。僧有りて禮拜して起ち、將に問話せんとす。師は言った、「且く置け」。僧乃ち問うた、「只だ如し興聖の子、還た相親の分有るや無し」。師は言った、「只だ局の終るを待ちて、柯の爛るるを知らず」。問うた、「如何なるか是れ維摩の默」。師は言った、「謗」。曰く、「文殊因に何をか贊する」。師は言った、「同じく領過す」。曰く、「維摩又作麼生」。師は言った、「頭上三尺の巾、手裏一枝の拂」。問うた、「如何なるか是れ諸佛の出身の處」。師は言った、「大洋海中の一星の火」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「魚龍を燒盡す」。問うた、「丹霞の木佛を燒く、意旨如何」。師は言った、「寒ければ即ち爐を圍りて猛火に向ふ」。曰く、「還た過有るや無し」。師は言った、「熱ければ即ち竹林の溪畔に坐す」。問うた、「如何なるか是れ法界の義宗」。師は言った、「九月九日浙江の潮」。問うた、「諸餘は即ち問はず、如何なるか是れ光福門下の毗盧を超へ釋迦を越ゆる人」。師は言った、「諸餘奉納す」。曰く、「さようらば則ち平生慶幸に去らん」。師は言った、「慶幸の事作麼生」。僧罔措す。師便ち喝す。將に堂を下らんとす。僧問うた、「下堂の一句、師に分付を乞ふ」。師は言った、「履を攜へて已に西國に歸り去り、此の山空しく老猿の啼く有り」。問うた、「皷山に鼓を掣し旗を奪ふの説有り、師且く如何」。師は言った、「敗將忍びて誅せず」。曰く、「或は良將に遇はば又作麼生」。師は言った、「子の孤魂を念ひて、汝に三奠を賜ふ」。問うた、「世尊入滅せば、當に何の所にか歸せん」。師は言った、「鶴林空しく色を變じ、眞に歸るに歸る所無し」。曰く、「未だ審らかならず、必定何に之かん」。師は言った、「朱實勁風に殞れ、繁英素秋に落つ」。曰く、「我が師將來復た何の所に歸らん」。師は言った、「子今吾が歸處を識らんと欲せば、東西南北柳絲を成す」。問うた、「如何に修行して、即ち道と相應するを得ん」。師は言った、「吟中の箔を高く卷き、睡後の茶を濃く煎ず」。

建州白雲智作真寂禪師

建州白雲智作眞寂禅師

永真朱氏子。容若梵僧。禮皷山披剃。一日。皷山上堂。召大眾。眾皆回眸。山披襟示之。眾罔措。唯師朗悟厥旨。入室印證。又參次。山召曰。近前來。師近前。山曰。南泉喚院主意作麼生。師斂手端容。退身而立。山莞然奇之。住後。上堂。還有人向宗乘中致得一問來麼。待山僧向宗乘中答。時有僧出禮拜。師便歸方丈。問。如何是枯木裡龍吟。師曰。火裡蓮生。曰。如何是髑髏裡眼睛。師曰。泥牛入海。問。如何是主中主。師曰。汝還具眼麼。曰。恁麼則學人歸堂去也。師曰。猢猻入布袋。問。如何是延平津。師曰。萬古水溶溶。曰。如何是延平劒。師曰。速須退步。曰。未審津與劒是同是異。師曰。可惜許。次遷奉先。僧問。如何是奉先境。師曰。一任觀看。曰。如何是境中人。師曰。莫無禮。問。如何是奉先家風。師曰。即今在甚麼處。曰。恁麼則大眾有賴也。師曰。幹汝甚麼事。問。如何是為人一句。師曰。不是奉先道不得。

永眞朱氏の子。容は梵僧の若し。皷山を禮して披剃す。一日、皷山上堂し、大衆を召す。衆皆な眸を回らす。皷山襟を披りて之に示す。衆罔措す。唯だ師朗らかに厥の旨を悟り、室に入りて印證す。又參ずる次、皷山召して曰く、「近前せよ」。師近前す。皷山曰く、「南泉の院主を喚ぶ意作麼生」。師手を斂め容を端にして、身を退きて立つ。皷山莞爾として之を奇とす。住して後、上堂、「還た人の宗乘中に向ひて一問を致し來る有るか。山僧宗乘中に向ひて答へんを待たん」。時に僧有りて出で禮拜す。師便ち方丈に歸る。問うた、「如何なるか是れ枯木裏の龍吟」。師は言った、「火裏に蓮生ず」。曰く、「如何なるか是れ髑髏裏の眼睛」。師は言った、「泥牛海に入る」。問うた、「如何なるか是れ主中の主」。師は言った、「汝還た眼を具するか」。曰く、「さようらば則ち學人堂に歸り去らん」。師は言った、「猢猻布袋に入る」。問うた、「如何なるか是れ延平の津」。師は言った、「萬古水溶溶」。曰く、「如何なるか是れ延平の劍」。師は言った、「速に須く退歩すべし」。曰く、「未だ審らかならず、津と劍と是れ同か異か」。師は言った、「可惜許」。次に奉先に遷る。僧が問うた、「如何なるか是れ奉先の境」。師は言った、「一任觀看せよ」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「無禮する莫れ」。問うた、「如何なるか是れ奉先の家風」。師は言った、「即今甚麼の處にか在る」。曰く、「さようらば則ち大衆賴有るなり」。師は言った、「汝の甚麼の事に干る」。問うた、「如何なるか是れ人を爲るの一句」。師は言った、「是れ奉先道ひ得ざるにあらず」。

皷山智嚴了覺禪師

皷山智嚴了覺禅師

上堂。多言復多語。由來反相悞。珍重。僧問。石門之句即不問。請師方便示來機。師曰。問取露柱。問。國王出世三邊靜。法王出世有何恩。師曰。還會麼。曰。幸遇明朝輒伸呈獻。師曰。吐卻著。曰。若不禮拜。幾成無孔鐵鎚。師曰。何異無孔鐵鎚。

上堂、「多く言ひ多く語るに、由來反りて相誤る。珍重」。僧が問うた、「石門の句は即ち問はず、師に方便來機を示さんことを請ふ」。師は言った、「露柱に問へ取れ」。問うた、「國王世に出づれば三邊靜かなり、法王世に出づれば何の恩か有る」。師は言った、「還た會するか」。曰く、「幸に明朝に遇ひて輙く呈獻を伸ぶ」。師は言った、「吐き却き着け」。曰く、「若し禮拜せざらば、幾ど無孔の鐵鎚を成さん」。師は言った、「何ぞ無孔の鐵鎚に異ならん」。

福州龍山智嵩妙虗禪師

福州龍山智嵩妙虗禅師

上堂。幸自分明。須作這箇節目。作麼到這裡便成節目。便成增語。便成塵玷。未有如許多事時作麼生。僧問。古佛化導。今祖重興。人天輻輳於禪庭。至理若為於開示。師曰。亦不敢孤負大眾。曰。恁麼則人天不謬殷勤請。頓使凡心作佛心。師曰。仁者作麼生。曰。退身禮拜。隨眾上下。師曰。我識得汝也。

上堂、「幸に自ら分明なり。須く此の節目を作す。作麼にして這裏に到れば便ち節目を成し、便ち語を增じ、便ち塵玷を成さん。未だ許多の事有らざる時作麼生」。僧が問うた、「古佛の化導、今祖の重興す。人天禪庭に輻輳せば、至理何爲か開示せん」。師は言った、「亦た敢へて大衆を孤負せず」。曰く、「さようらば則ち人天殷勤の請を謬らず、頓に凡心をして佛心を作さしむ」。師は言った、「仁者作麼生」。曰く、「身を退きて禮拜し、衆に隨ひて上下す」。師は言った、「我汝を識り得たり」。

泉州鳳凰山彊禪師

泉州鳳凰山彊禅師

僧問。燈傳皷嶠。道化溫陵。不跨石門。請師通信。師曰。若不是今日。攔胸撞出。曰。恁麼則今日親聞師子吼。他時終作鳳凰兒。師曰。又向這裡塗汙人。問。白浪滔天境。何人住太虗。師曰。靜夜思堯皷。回頭聞舜琴。

僧が問うた、「燈は皷嶠に傳はり、道は溫陵に化す。石門を跨がず、師に通信を請ふ」。師は言った、「若し今日ならずは、胸を攔りて撞出せしめん」。曰く、「さようらば則ち今日親しく師子吼を聞き、他時終に鳳凰兒を作さん」。師は言った、「又這裏に向ひて人を塗污す」。問うた、「白浪滔天の境、何人か太虛に住する」。師は言った、「靜夜堯の鼓を思ひ、頭を回らして舜の琴を聞く」。

福州龍山文義禪師

福州龍山文義禅師

上堂。若舉宗乘。即院寂徑荒。若留委問。更待箇甚麼。還有人委悉麼。出來驗看。若無人委悉。且莫掠虗好。便下座。問。如何是人王。師曰。威風人盡懼。曰。如何是法王。師曰。一句令當行。曰。二王還分不分。師曰。適來道甚麼。

上堂、「若し宗乘を擧げば、即ち院寂れ徑荒る。若し問を委ねば、更に箇の甚麼を待たん。還た人の委悉する有るか。出で來りて驗看せよ。若し人の委悉する無くば、且く掠虚する莫し好し」。便ち座を下る。問うた、「如何なるか是れ人王」。師は言った、「威風人盡く懼る」。曰く、「如何なるか是れ法王」。師は言った、「一句當に行ふを令す」。曰く、「二王還た分かつや分かたずや」。師は言った、「適來甚麼をか道ひし」。

福州皷山智嶽了宗禪師

福州皷山智岳了宗禅師

本郡人也。初遊方至鄂州黃龍。問。久嚮黃龍。及乎到來。祇見赤斑蛇。龍曰。汝祇見赤斑蛇。且不識黃龍。師曰。如何是黃龍。龍曰。滔滔地。師曰。忽遇金翅鳥來又作麼生。龍曰。性命難存。師曰。恁麼則被他吞卻去也。龍曰。謝闍黎供養。師便禮拜。住後。上堂。我若全舉宗乘。汝向甚麼處領會。所以道古今常露。體用無妨。不勞久立。珍重。問。虗空還解作用也無。師拈起拄杖曰。這箇師僧好打。僧無語。

本郡人。初め方に游びて鄂州の黃龍に至る。問うた、「久しく黃龍を向ひ、及ば到來せば、只だ赤斑の蛇を見る」。黃龍曰く、「汝只だ赤斑の蛇を見る、且つ黃龍を識らず」。師は言った、「如何なるか是れ黃龍」。黃龍曰く、「滔滔たる地」。師は言った、「忽ち金翅鳥の來るに遇はば又作麼生」。黃龍曰く、「性命存し難し」。師は言った、「さようらば則ち他に吞卻され去らん」。黃龍曰く、「闍黎の供養を謝す」。師便ち禮拜す。住して後、上堂、「我若し全く宗乘を擧げば、汝何の處に向ひてか領會せん。所以道ふ、古今常に露れ、體用妨げ無しと。久立を勞せず。珍重」。問うた、「虛空還た作用を解するや無し」。師拄杖を拈起して曰く、「這箇の師僧好く打たるべし」。僧語無し。

襄州定慧禪師

襄州定慧禅師

僧問。如何是佛向上事。師曰。無人不驚。曰。學人未委在。師曰。不妨難向。問。不借時機用。如何話祖宗。師曰。闍黎還具慙愧麼。僧便喝。師休去。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛の向上の事」。師は言った、「人の驚かざる無し」。曰く、「學人未だ委らず在り」。師は言った、「妨げず難きに向ふ」。問うた、「時機の用を借らず、如何に祖宗を話さん」。師は言った、「闍黎還た慚愧を具するか」。僧便ち喝す。師休み去る。

福州皷山清諤宗曉禪師

福州皷山淸諤宗曉禅師

僧問。亡僧遷化向甚麼處去也。師曰。時寒不出手。

僧が問うた、「亡僧遷化せば、何の處に向ひてか去らん」。師は言った、「時寒し、手を出さず」。

金陵淨德院沖煦慧悟禪師

金陵淨德院冲煦慧悟禅師

福州和氏子。僧問。如何是大道。師曰。我無小徑。曰。如何是小徑。師曰。我不知大道。

福州和氏の子。僧が問うた、「如何なるか是れ大道」。師は言った、「我小徑無し」。曰く、「如何なるか是れ小徑」。師は言った、「我大道を知らず」。

金陵報恩院清護崇因妙行禪師

金陵報恩院淸護崇因妙行禅師

福州長樂陳氏子。六歲禮皷山。披削於國師。言下發明。開堂日。僧問。諸佛出世。天花亂墜。和尚出世。有何祥瑞。師曰。昨日新雷發。今朝細雨飛。問。如何是諸佛玄旨。師曰。草鞵木履。開寶三年示寂。茶毗收舍利三百餘粒。並靈骨歸於建州鷄足山臥雲院建塔。

福州長樂陳氏の子。六歲にして皷山を禮し、國師に於て披削し、言下に發明す。堂を開く日、僧が問うた、「諸佛世に出づれば、天花亂墜す。和尚世に出づ、何の祥瑞か有る」。師は言った、「昨日新雷發し、今朝細雨飛ぶ」。問うた、「如何なるか是れ諸佛の玄旨」。師は言った、「草鞋に木履」。開寶三年寂を示す。茶毗して舍利三百餘粒を收め、靈骨と倂に建州雞足山臥雲院に歸りて塔を建つ。

龍華照禪師法嗣

龍華照禅師法嗣

台州瑞巖師進禪師

臺州瑞巖師進禅師

僧問。如何是瑞巖境。師曰。重重疊嶂南來遠。北向皇都咫尺間。曰。如何是境中人。師曰。萬裡白雲朝瑞嶽。微微細雨灑簾前。曰。未審如何親近此人。師曰。將謂闍黎親入室。元來猶隔萬重關。

僧が問うた、「如何なるか是れ瑞巖の境」。師は言った、「重重疊嶂南より來ること遠く、北は皇都に向ひて咫尺の間」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「萬里の白雲瑞岳に朝し、微微の細雨簾前に洒ぐ」。曰く、「未だ審らかならず、如何に此の人を親近せん」。師は言った、「將に謂へり、闍黎親しく室に入ると。元來猶ほ萬重の關を隔つ」。

台州六通院志球禪師

臺州六通院志球禅師

僧問。全身佩劒時如何。師曰。落。曰。當者如何。師曰。熏天炙地。問。如何是六通境。師曰。滿目江山一任看。曰。如何是境中人。師曰。古今自去來。曰。離此二途。還有向上事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。雲水千徒與萬徒。問。擁毳玄徒。請師指示。師曰。紅爐不墜鴈門關。曰。如何是紅爐不墜鴈門關。師曰。青霄豈恡眾人攀。曰。還有不知者也無。師曰。有。曰。如何是不知者。師曰。金牓上無名。問。如何是和尚家風。師曰。萬家明月朗。問。如何是第二月。師曰。山河大地。

僧が問うた、「全身劍を佩ぶる時如何」。師は言った、「落つ」。曰く、「當たる者如何」。師は言った、「天を薰め地を炙る」。問うた、「如何なるか是れ六通の境」。師は言った、「滿目の江山一任に看よ」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「古今自ら去來す」。曰く、「此の二途を離れ、還た向上の事有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ向上の事」。師は言った、「雲水千徒と萬徒」。問うた、「毳を擁する玄徒、師に指示を請ふ」。師は言った、「紅爐雁門關に墜ちず」。曰く、「如何なるか是れ紅爐雁門關に墜ちざる」。師は言った、「青霄豈に吝かならん、衆人の攀るを」。曰く、「還た知らざる者有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ知らざる者」。師は言った、「金榜上に名無し」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「萬家の明月朗かなり」。問うた、「如何なるか是れ第二の月」。師は言った、「山河大地」。

杭州雲龍院歸禪師

杭州雲龍院歸禅師

僧問。久戰沙場。為甚麼功名不就。師曰。過在這邊。曰。還有昇進處也無。師曰。冰消瓦解。

僧が問うた、「久しく沙場に戰へど、甚麼の故にか功名就らず」。師は言った、「過は這邊に在り」。曰く、「還た升進の處有るや無し」。師は言った、「氷消し瓦解す」。

杭州功臣院道閑禪師

杭州功臣院道閑禅師

僧問。如何是功臣家風。師曰。俗人東畔立。僧眾在西邊。問。如何是學人自己。師曰。如汝與我。曰。恁麼則無二去也。師曰。十萬八千。

僧が問うた、「如何なるか是れ功臣の家風」。師は言った、「俗人東畔に立ち、僧衆西邊に在り」。問うた、「如何なるか是れ學人の自己」。師は言った、「汝と我とに如し」。曰く、「さようらば則ち二無くして去らん」。師は言った、「十萬八千」。

福州報國院照禪師

福州報國院照禅師

上堂。我若全機。汝向甚麼處摸索。葢為根器不等。便成不具慚愧。還委得麼。如今與諸仁者作箇入底門路。乃敲繩床兩下曰。還見麼。還聞麼。若見便見。若聞便聞。莫向意識裡卜度。卻成妄想顛倒。無有出期。珍重。佛塔被雷霹。有問。祖佛塔廟為甚麼卻被雷霹。師曰。通天作用。曰。既是通天作用。為甚麼卻霹佛。師曰。作用何處見有佛。曰。爭奈狼藉何。師曰。見甚麼。

上堂、「我若し全機ならば、汝何の處に向ひてか摸索せん。蓋し根器等ならざるが爲に、便ち慚愧を具せざると成る。還た委り得るか。如今諸の仁者と入るの門路を作さん」。乃ち繩牀を敲くこと兩下にして曰く、「還た見るか。還た聞くか。若し見れば便ち見、若し聞けば便ち聞け。意識の裏に向ひて卜度する莫れ。却って妄想顛倒を成して、出づる期無からん。珍重」。佛塔雷に霹かる。問ふ有り、「祖佛の塔廟、甚麼の故にか却って雷に霹かれる」。師は言った、「通天の作用」。曰く、「既に通天の作用、甚麼の故にか却って佛を霹く」。師は言った、「作用に何處にか佛の有るを見る」。曰く、「争奈、狼藉何」。師は言った、「甚麼をか見る」。

台州白雲廼禪師

臺州白雲廼禅師

僧問。荊山有玉非為寶。囊裡真金賜一言。師曰。我家本貧。曰。慈悲何在。師曰。空慙道者名。

僧が問うた、「荊山に玉有りも寶と爲さず、囊裏の眞金一言を賜ふ」。師は言った、「我が家本より貧し」。曰く、「慈悲何の處にか在る」。師は言った、「空しく道者の名を慙ず」。

翠巖參禪師法嗣

翠巖參禅師法嗣

杭州龍冊寺子興明悟禪師

杭州龍冊寺子興明悟禅師

僧問。正位中還有人成佛否。師曰。誰是眾生。曰。若恁麼則總成佛去也。師曰。還我正位來。曰。如何是正位。師曰。汝是眾生。問。如何是無價珍。師曰。卞和空抱璞。曰。忽遇楚王。還進也無。師曰。凡聖相繼續。問。古人拈布毛意作麼生。師曰。闍黎舉不全。曰。如何舉得全。師乃拈起袈裟。

僧が問うた、「正位の中還た人の佛を成ずる有るか否」。師は言った、「誰か是れ衆生」。曰く、「若しさようらば則ち總て佛を成じ去らん」。師は言った、「我が正位を還し來れ」。曰く、「如何なるか是れ正位」。師は言った、「汝是れ衆生」。問うた、「如何なるか是れ無價の珍」。師は言った、「卞和空しく璞を抱く」。曰く、「忽ち楚王に遇はば、還た進るや無し」。師は言った、「凡聖相繼續す」。問うた、「古人の布毛を拈ずる意作麼生」。師は言った、「闍黎擧げて全からず」。曰く、「如何に擧げば全からん」。師乃ち袈裟を拈起す。

溫州雲山佛㠗院知默禪師

溫州雲山佛㠗院知默禅師

僧問。如何是佛㠗家風。師曰。送客不離三步內。邀賓祇在草堂前。上堂。山僧如今看見諸上座。恁麼行腳。吃辛吃苦。盤山涉㵎。終不為觀看州縣。參尋名山勝跡。莫非為此一大事。如今且要諸人。於本分參問中通箇消息來。雲山敢與證明。非但雲山證明。乃至禪林佛剎亦與證明。還有麼。若無。不如散去。便下座。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛㠗の家風」。師は言った、「客を送るに三步の内を離れず、賓を邀ふるに只だ草堂の前に在り」。上堂、「山僧如今諸の上座のさように行脚し、辛を喫し苦を喫し、山を盤り澗を渉るを見るも、終に州縣を觀看するが爲にあらず、名山勝跡を參尋するが爲にもあらず、莫非これ此の一大事の爲なり。如今且く諸人を要す、本分の參問中に於て箇の消息を通じ來れ。雲山敢へて證明與せん。非但だ雲山證明せんのみならず、乃至禪林佛刹も亦た證明證明與せん。還た有るか。若し無くば、散去するに如かず」。便ち座を下る。

鏡清怤禪師法嗣

鏡淸怤禅師法嗣

越州清化師訥禪師

越州淸化師訥禅師

僧問。十二時中如何得不疑惑去。師曰。好。曰。恁麼則得遇於師去也。師曰。珍重。僧來禮拜。師曰。子亦善問。吾亦善答。曰。恁麼則大眾久立。師曰。抑逼大眾作甚麼。問。去卻賞罰。如何是吹毛劒。師曰。錢塘江裡好渡船。問。如何是西來意。師曰。可煞新鮮。

僧が問うた、「十二時中如何にして疑惑せずして去らん」。師は言った、「好し」。曰く、「さようらば則ち師に遇ふを得て去らん」。師は言った、「珍重」。僧來りて禮拜す。師は言った、「子も亦た善く問ひ、吾も亦た善く答ふ」。曰く、「さようらば則ち大衆久立せん」。師は言った、「大衆を抑逼して作麼せん」。問うた、「賞罰を去りて、如何なるか是れ吹毛劍」。師は言った、「錢塘江裏の好き渡船」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「可なり新鮮」。

衢州南禪遇緣禪師

衢州南禪遇緣禅師

因有俗士謂之鐵腳。忽騎馬至。僧問。師既是鐵腳。為甚麼卻騎馬。師曰。腰帶不因遮腹痛。幞頭豈是禦天寒。官人問師。和尚恁麼後生。為甚麼卻為尊宿。師曰。千歲祇言朱頂鶴。朝生便是鳳凰兒。上堂。此箇事得恁麼難道。時有僧出曰。請師道。師曰。睦州溪苔。錦軍石耳。問。眾手淘金。誰是得者。師曰。谿畔披砂徒自困。家中有寶速須還。曰。恁麼即始終不從人得去也。師曰。饒君便有擎山力。未免肩頭有擔胝。

因りて俗士有りて之を鐵脚と謂ひ、忽ち馬に騎りて至る。僧が問うた、「師既に鐵脚なり、甚麼の故にか却って馬に騎る」。師は言った、「腰帶は腹痛を遮るに因らず、幞頭豈に是れ天寒を禦がん」。官人師に問うた、「和尚さように後生、甚麼の故にか却って尊宿と爲る」。師は言った、「千歲は只だ朱頂の鶴と言ひ、朝に生れば便ち是れ鳳凰兒」。上堂、「此箇の事さように道ひ難し」。時に僧有りて出でて曰く、「師に道はんことを請ふ」。師は言った、「睦州の溪苔、錦軍の石耳」。問うた、「衆手金を淘す、誰か是れ得る者」。師は言った、「溪畔に砂を披りて徒らに自ら困み、家中有寶は速に須く還るべし」。曰く、「さようらば即ち始終人より得ずして去らん」。師は言った、「君に饒りて便ち山を擎ぐる力有らばも、肩頭に擔胝の有るを免れず」。

福州資福院智遠禪師

福州資福院智遠禅師

福州人也。參鏡清。問。如何是諸佛出身處。清曰。大家要知。師曰。如斯則眾眼難瞞去也。清曰。理能縛豹。師因此發悟玄旨。住後。僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。雪嶺峰前月。鏡湖波裡明。問。諸佛出世。天雨四華。地搖六動。和尚今日有何祥瑞。師曰。一物不生全體露。目前光彩阿誰知。問。如何是直示一句。師曰。是甚麼。師乃曰。還會麼。會去即今便了。不會塵沙算劫。祗據諸賢分上。古佛心源。明露現前。匝天徧地。森羅萬象。自己家風。佛與眾生本無差別。涅槃生死。幻化所為。性地真常。不勞修證。珍重。

福州人。鏡淸に參じて問うた、「如何なるか是れ諸佛の出身の處」。鏡淸曰く、「大家要知せん」。師は言った、「如斯ならば則ち衆眼瞞し難くして去らん」。鏡淸曰く、「理能く豹を縛る」。師因りて玄旨を發悟す。住して後、僧が問うた、「師は誰かの家の曲を唱へ、宗風は阿誰を嗣ぐ」。師は言った、「雪嶺峰前の月、鏡湖波裏に明なり」。問うた、「諸佛世に出づれば、天四華を雨らし、地六動を搖がす。和尚今日何の祥瑞か有る」。師は言った、「一物生ぜずして全體露る、目前の光彩阿誰か知らん」。問うた、「如何なるか是れ直示の一句」。師は言った、「是れ甚麼ぞ」。師乃ち曰く、「還た會するか。會すれば即今便ち了り、會せざれば塵沙劫を算む。只だ諸賢の分上に據れば、古佛の心源、明露現前にして、天に匝し地に遍し。森羅萬象、自己の家風なり。佛と衆生と本より差別無し。涅槃生死、幻化の爲す所なり。性地眞常、修證を勞せず。珍重」。

衢州烏巨山儀晏開明禪師

衢州烏巨山儀晏開明禅師

吳興許氏子。於唐乾符三年將誕之夕。異香滿室。紅光如畫。光啟中隨父鎮信安。強為娶。師不願。遂遊歷諸方。機契鏡清。歸省父母。乃於郭南剏別舍以遂師志。舍旁陳司徒廟有凜禪師像。師往瞻禮。失師所之。後郡守展祀祠下。見師入定於廟後叢竹間。蟻蠹其衣。敗葉沒䏶。或者雲。是許鎮將之子也。自此三昧。或出或入。子湖訥禪師。未知師所造淺深。問曰。子所住定。葢小乘定耳。時方啜茶。師呈起橐曰。是大是小。訥駭然。尋謁栝蒼唐山德嚴禪師。嚴問。汝何姓。曰。姓許。嚴曰。誰許汝。曰。不別。嚴默識之。遂與剃染。甞令摘桃。浹旬不歸。往尋。見師攀桃倚石。泊然在定。嚴鳴指出之。開運中遊江郎巖。覩石龕。謂弟子慧興曰。予入定此中。汝當壘石塞門。勿以吾為念。興如所戒。明年。興意師長。往啟龕視師。素髮被肩。胸臆尚暖。徐自定起。了無異容。復回烏巨。侍郎慎公鎮信安。馥師之道。命義學僧守榮詰其定相。師不與之辯。榮意輕之。時信安人競圖師像而尊事。皆獲舍利。榮因媿服。禮像謝𠎝。亦獲舍利。歎曰。此後不敢以淺解測度矣。錢忠懿王感師見夢。遣使圖像至。適王患目疾。展像作禮。如夢所見。隨雨舍利。目疾頓瘳。因錫號開明。及述偈讚。寶器供具千計。端拱初。太宗皇帝聞師定力。詔本州加禮。津發赴闕。師力辭。僧再至諭旨。特令肩輿。入對便殿。命坐賜茗。諮問禪定。奏對簡盡。深契上旨。丐歸。復詔入對。得請還山。送車塞途。淳化元年示寂。壽一百十五。臘五十七。闍維白光屬天。舍利五色。邦人以骨塑像。至今州郡雨暘。禱之如嚮斯答。

吳興許氏の子。唐の乾符三年將に誕せんとするの夕、異香室に滿ち、紅光畫の如し。光啓中父に隨ひて信安を鎮め、強ひて娶らしむ。師願はず、遂に諸方を遊歷し、機鏡淸に契ふ。歸りて父母を省み、乃ち郭南に別舍を創りて以て師の志を遂ぐ。舍の旁の陳司徒司徒廟に凜禅師の像有り、師往きて瞻禮し、師の之く所を失ふ。後に郡守祠下に祀を展ぶるに、師の廟後の叢竹の間に入定するを見る。蟻其の衣を蠹し、敗葉髀を沒す。或る者曰く、「是れ許鎭將の子なり」。此の三昧より、或は出で或は入る。子湖訥禅師未だ師の造詣の淺深を知らず、問ひて曰く、「子の住する所の定、蓋し小乘の定のみ」。時に方に茶を啜る。師橐を呈起して曰く、「是れ大か小か」。訥駭然とす。尋いで栝蒼唐山の德嚴禅師を謁ふ。德嚴問うた、「汝何の姓ぞ」。曰く、「許と姓す」。德嚴曰く、「誰か汝を許しし」。曰く、「別たず」。德嚴默して之を識り、遂に與へて剃染す。嘗て桃を摘ましめ、浹旬歸らず。往きて尋ね、師の桃を攀じ石に倚りて、泊然として定に在るを見る。德嚴指を鳴らして之を出づ。開運中江郎巖に游び、石龕を睹て、弟子慧興に謂ふ、「我此の中に入定せば、汝當に石を壘ぎて門を塞ぎ、吾を以て念と爲す勿れ」。慧興戒めの所の如くす。明年、慧興師を意ひ、往きて龕を啓きて師を視るに、素髮肩を被ひ、胸臆尚ほ暖かし。徐に定より起き、了に異容無し。復た烏巨に回る。侍郎慎公信安を鎭め、師の道を馥しくし、義學の僧守榮に命じて其の定相を詰はしむ。師之と辯せず。榮意輕し之。時に信安の人競りて師の像を圖りて尊事し、皆な舍利を獲たり。榮因りて愧り服し、像を禮して愆を謝し、亦た舍利を獲たり。歎じて曰く、「此の後敢へて淺解を以て測度せず」。錢忠懿王師の夢に見るを感じ、使を遣はして像を圖りて至らしむ。適ふ王目疾を患へ、像を展べて禮を作せば、夢の見る所の如く、舍利雨に隨ひ、目疾頓に瘳ゆ。因りて開明の號を錫ひ、及び偈贊を述べ、寶器供具千計なり。端拱初め、太宗皇帝師の定力を聞き、本州に詔して禮を加へ、津發して闕に赴かしむ。師力めて辭す。僧再び至りて旨を諭し、特に肩輿を令す。便殿に入り對して、坐を命じ茗を賜ひ、禪定を咨問す。奏對簡盡にして、深く上の旨に契に契ふ。歸るを丐ふ。復た詔して入對せしめ、請を得て山に還る。車を送る者途を塞ぐ。淳化元年寂を示す。壽百十五、腊五十七。闍維の白光天に屬り、舍利五色なり。邦人骨を以て像を塑す。今に至るまで州郡の雨暘、之を禱れば響の答ふるが如し」。

報恩嶽禪師法嗣

報恩岳禅師法嗣

潭州妙濟院師浩傳心禪師

潭州妙濟院師浩傳心禅師

僧問。擬即第二頭。不擬即第三首。如何是第一頭。師曰。牧。問。古人斷臂。當為何事。師曰。我寧可斷臂。問。如何是學人眼。師曰。須知我好心。問。如何是香山劒。師曰。異。曰。還露也無。師曰。不忍見。問。如何是松門第一句。師曰。切不得錯舉。問。如何是妙濟家風。師曰。左右人太多。問。如何是佛法大意。師曰。兩口一無舌。問。如何是香山一露。師曰。滔滔地。曰。到者如何。師曰。息汝平生。問。如何是世尊密語。師曰。阿難亦不知。曰。為甚麼不知。師曰。莫非仙陀。問。如何是香山寶。師曰。碧眼胡人不敢定。曰。露者如何。師曰。龍王捧不起。僧舉聖僧塑像被虎齩。問師。既是聖僧。為甚麼被大蟲齩。師曰。疑殺天下人。問。如何是無慙愧底人。師曰。闍黎合吃棒。

僧が問うた、「擬すれば即ち第二頭、擬せざれば即ち第三首。如何なるか是れ第一頭」。師は言った、「牧」。問うた、「古人臂を斷ぎしは、當に何の事か爲る」。師は言った、「我寧ろ臂を斷がん」。問うた、「如何なるか是れ學人の眼」。師は言った、「須く我が好心を知るべし」。問うた、「如何なるか是れ香山の劍」。師は言った、「異」。曰く、「還た露るや無し」。師は言った、「見るに忍びず」。問うた、「如何なるか是れ松門の第一句」。師は言った、「切に錯りて擧げるを得ず」。問うた、「如何なるか是れ妙濟の家風」。師は言った、「左右の人太多」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「兩口に一舌無し」。問うた、「如何なるか是れ香山の一露」。師は言った、「滔滔たる地」。曰く、「到る者如何」。師は言った、「汝の平生を息む」。問うた、「如何なるか是れ世尊の密語」。師は言った、「阿難も亦た知らず」。曰く、「甚麼の故にか知らざる」。師は言った、「莫非これ仙陀」。問うた、「如何なるか是れ香山の寶」。師は言った、「碧眼の胡人敢へて定めず」。曰く、「露る者如何」。師は言った、「龍王捧げ起つことを得ず」。僧の擧ぐる、聖僧の塑像虎に咬まる、師に問う、「既に聖僧、甚麼の故にか大蟲に咬まるる」。師は言った、「天下の人を殺して疑はしむ」。問うた、「如何なるか是れ慚愧無き人」。師は言った、「闍黎棒を喫すに合す」。

安國𤦆禪師法嗣

安國𤦆禅師法嗣

福州白鹿師貴禪師

福州白鹿師貴禅師

開堂日。僧問。西峽一派。不異馬頭。白鹿千峰。何似鷄足。師曰。大眾驗看。問。如何是白鹿家風。師曰。向汝道甚麼。曰。恁麼則便知時去也。師曰。知時底人合到甚麼田地。曰。不可更口喃喃也。師曰。放過即不可。問。牛頭未見四祖時。百鳥銜花供養。見後為甚麼不來。師曰。曙色未分人盡望。及乎天曉也如常。

堂を開く日、僧が問うた、「西峽の一派、馬頭に異ならず。白鹿の千峰、雞足に何か似たる」。師は言った、「大衆驗看せよ」。問うた、「如何なるか是れ白鹿の家風」。師は言った、「汝に向ひて甚麼をか道ふ」。曰く、「さようらば則ち便ち時を知るに去らん」。師は言った、「時を知る人合に何の田地に到るべし」。曰く、「更に口喃喃たる可からず」。師は言った、「放過せば即ち不可」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時、百鳥花を銜えて供養せり、見し後甚麼の故にか來らざる」。師は言った、「曙色未だ分かれず人盡く望み、及ば天曉けばも亦た常の如し」。

福州羅山義聰禪師

福州羅山義聰禅師

上堂。僧問。如何是出窟師子。師曰。甚麼處不震裂。曰。作何音響。師曰。聾者不聞。問。手指天地。唯我獨尊。為甚麼卻被傍觀者責。師曰。謂言胡鬚赤。曰。秖如傍觀者。有甚麼長處。師曰。路見不平。所以按劒。師乃曰。若有分付處。羅山即不具眼。若無分付處。即勞而無功。所以維摩昔日對文殊。且問如今會也無。久立。珍重。

上堂。僧が問うた、「如何なるか是れ窟を出づる師子」。師は言った、「甚麼の處にか震裂せざる」。曰く、「何の音響をか作す」。師は言った、「聾き者聞かず」。問うた、「手に天地を指し、唯我獨尊と曰ふに、甚麼の故にか却って傍觀者に責めらる」。師は言った、「謂へり、胡須赤しと」。曰く、「只だ如し傍觀の者、甚麼の長處か有る」。師は言った、「路に不平を見る、所以に劍を按ず」。師乃ち曰く、「若し分付の處有らば、羅山即ち眼を具せず。若し分付の處無くば、即ち勞して功無し。所以に維摩昔日文殊に對し、且く問ふ、如今會するや無しと。久立。珍重」。

福州安國院從貴禪師

福州安國院從貴禅師

僧問。禪宮大敞。法侶雲臻。向上一路。請師決擇。師曰。素非時流。上堂。禪之與道。拈向一邊著。佛之與祖。是甚麼破草鞋。恁麼告報。莫屈著諸人麼。若道屈著。即且須行腳。若道不屈著。也須合取口始得。珍重。上堂。直是不遇梁朝。安國也謾人不過。珍重。僧問。請師舉唱宗乘。師曰。今日打禾。明日搬柴。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。香爐對繩床。曰。見後如何。師曰。門扇對露柱。問。如何是和尚家風。師曰。若問家風。即答家風。曰。學人不問家風時作麼生。師曰。胡來漢去。問。諸餘即不問。省要處乞師一言。師曰。還得省要也未。復曰。純陀獻供。珍重。

僧が問うた、「禪宮大きく敞く、法侶雲臻す。向上の一路、師に決擇を請ふ」。師は言った、「素より時流に非ず」。上堂、「禪と道とは、拈じて一邊に向ひて着け。佛と祖とは、是れ甚麼の破草鞋。さように告報せば、諸人を屈する莫し何ぞ。若し屈すると道はば、即ち且く行脚するを須う。若し屈せざると道はば、也須く口を合取して始めて得べし。珍重」。上堂、「直に是れ梁朝に遇はず、安國も人を瞞じて過ぐるを得ず。珍重」。僧が問うた、「師に宗乘を擧唱せんことを請ふ」。師は言った、「今日禾を打ち、明日柴を搬ぶ」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時如何」。師は言った、「香爐繩牀に對す」。曰く、「見し後如何」。師は言った、「門扇露柱に對す」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「若し家風を問はば、即ち家風を答ふ」。曰く、「學人家風を問はざる時作麼生」。師は言った、「胡來し漢去る」。問うた、「諸餘は即ち問はず、省要の處師に一言を乞ふ」。師は言った、「還た省要を得たりや未だ」。復た曰く、「純陀供を獻ず。珍重」。

福州怡山長慶藏用禪師

福州怡山長慶藏用禅師

上堂。眾集。以扇子拋向地上曰。愚人謂金是土。智者作麼生。後生可畏。不可總守愚去也。還有人道得麼。出來道看。時有僧出禮拜。退後而立。師曰。別更作麼生。曰。請和尚明鑑。師曰。千年桃核。問。如何是伽藍。師曰。長溪莆田。曰。如何是伽藍中人。師曰。新羅白水。問。如何是靈泉正主。師曰。南山北山。問。如何是和尚家風。師曰。齋前廚蒸南國飯。午後爐煎北苑茶。問。法身還受苦也無。師曰。地獄豈是天堂。曰。恁麼則受苦去也。師曰。有甚麼罪過。

上堂。衆集まる。扇子を以て地に抛向して曰く、「愚人は金を謂ふ、是れ土と。智者作麼生。後生畏る可し、總て愚を守り去る可からず。還た人の道ひ得る有るか。出で來りて道へ看よ」。時に僧有りて出で禮拜し、退後して立つ。師は言った、「別に更に作麼生」。曰く、「和尚の明鑑を請ふ」。師は言った、「千年の桃核」。問うた、「如何なるか是れ伽藍」。師は言った、「長溪の莆田」。曰く、「如何なるか是れ伽藍中の人」。師は言った、「新羅の白水」。問うた、「如何なるか是れ靈泉の正主」。師は言った、「南山に北山」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「齋前に厨は南國の飯を蒸し、午後に爐は北苑の茶を煎ず」。問うた、「法身還た苦を受くるや無し」。師は言った、「地獄豈に是れ天堂ならん」。曰く、「さようらば則ち苦を受け去らん」。師は言った、「甚麼の罪過か有る」。

福州永隆院彥端禪師

福州永隆院彦端禅師

上堂。大眾雲集。師從座起作舞。謂眾曰。會麼。對曰。不會。師曰。山僧不捨道法而現凡夫事。作麼生不會。問。本自圓成。為甚麼卻分明晦。師曰。汝自撿責看。

上堂。大衆雲集す。師座より起ちて舞を作り、衆に謂ふ、「會すか」。對へて曰く、「會せず」。師は言った、「山僧道法を捨てずして凡夫の事を現ず、作麼生か會せざる」。問うた、「本自圓成す、甚麼の故にか却って分明に晦む」。師は言った、「汝自ら檢責して看よ」。

福州林陽瑞峰院志端禪師

福州林陽瑞峰院志端禅師

本州人也。初參安國。見僧問。如何是萬象之中獨露身。國舉一指。其僧不薦。師於是冥契玄旨。乃入室白曰。適來見那僧問話。志端有箇省處。國曰。汝見甚麼道理。師亦舉一指曰。這箇是甚麼。國然之。師禮謝。住後。上堂。舉拂子曰。曹溪用不盡底。時人喚作頭角生。山僧拈來拂蚊子。薦得乾坤陷落。僧問。如何是西來意。師曰。木馬走似煙。石人趂不及。問。如何是禪。師曰。今年旱去年。曰。如何是道。師曰。冬田半折耗。問。如何是學人自己。師與一踏。僧作接勢。師便與一摑。僧無語。師曰。賺殺人。問。如何是迥絕人煙處佛法。師曰。巔山峭峙碧芬芳。曰。恁麼則一真之理。華野不殊。師曰。不是這箇道理。問。如何是佛法大意。師曰。竹箸一文一雙。有僧夜參。師曰。阿誰。曰。某甲。師曰。泉州砂糖。舶上檳榔。僧良久。師曰。會麼。曰。不會。師曰。你若會即廓清五蘊。吞盡十方。開寶元年八月。遺偈曰。來年二月二。別汝暫相棄。燒灰散四林。免占檀那地。明年正月二十八日。州民競入山瞻禮。師尚無恙。參問如常。至二月一日。州牧牽諸官同至山。詰伺經宵。二日齋罷。上堂辭眾。時圓應長老出問。雲愁露慘。大眾嗚呼。請師一言。未在告別。師垂一足。應曰。法鏡不臨於此土。寶月又照於何方。師曰。非君境界。應曰。恁麼則漚生漚滅還歸水。師去師來是本常。師長噓一聲。下座歸方丈。安坐至亥時。問眾曰。世尊滅度。是何時節。眾曰。二月十五日子時。師曰。吾今日子時前。言訖長往。

本州人。初め安國に參じ、僧の問ふを見る、「如何なるか是れ萬象の中に獨り身を露る」。安國一指を擧ぐ。那の僧薦せず。師是れに於て冥かに玄旨に契ひ、乃ち室に入りて白して曰く、「適來那の僧の問話を見て、志端省る處有り」。安國曰く、「汝甚麼の道理をか見る」。師も亦た一指を擧げて曰く、「這箇は是れ甚麼ぞ」。安國之を然とす。師禮謝す。住して後、上堂。拂子を擧げて曰く、「曹溪の用ひ盡さざる、時人頭角生と喚ぶ。山僧拈じ來りて蚊子を拂ふ、薦得れば乾坤陷落す」。僧が問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「木馬走ること烟に似たり、石人趁るに及ばず」。問うた、「如何なるか是れ禪」。師は言った、「今年旱けば去年」。曰く、「如何なるか是れ道」。師は言った、「冬田半折耗す」。問うた、「如何なるか是れ學人の自己」。師一踏を與ふ。僧接するの勢を作す。師便ち一掴を與ふ。僧語無し。師は言った、「賺して人を殺す」。問うた、「如何なるか是れ人烟を迥絕する處の佛法」。師は言った、「巔山峭峙して碧芬芳なり」。曰く、「さようらば則ち一眞の理、華と野と殊ならず」。師は言った、「是れ此の道理にあらず」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「竹箸一文一雙」。僧有りて夜參す。師は言った、「阿誰」。曰く、「某甲」。師は言った、「泉州の砂糖、舶上の檳榔」。僧良久す。師は言った、「會すか?」曰く、「會せず」。師は言った、「汝若し會せば即ち五藴を廓清し、十方を吞盡せん」。開寶元年八月、偈を遺して曰く、「來年の二月二、汝に別れて暫く相棄てん。灰を燒きて四林に散らば、檀那の地を占するを免れん」。明年正月二十八日、州民競りて山に入り瞻禮す。師尚ほ恙無く、參問常の如し。二月一日に至り、州牧諸官を牽して同じく山に至り、宵を經て詰伺す。二日齋罷み、上堂して衆に辭す。時に圓應長老出でて問うた、「雲愁へ露慘たり、大衆嗚呼す。師に一言を請ふ、未だ告別せず」。師一足を垂る。圓應曰く、「法鏡此の土に臨まず、寶月又何方に照らさん」。師は言った、「君の境界に非ず」。圓應曰く、「さようらば則ち漚生じ漚滅して還た水に歸り、師去り師來るは是れ本常」。師長く一聲を嘘し、座を下りて方丈に歸る。安坐して亥時に至り、衆に問うた、「世尊の滅度は、是れ何の時節」。衆曰く、「二月十五日の子時」。師は言った、「吾今日子時前なり」。言訖りて長く往ぬ」。

福州仙宗院明禪師

福州仙宗院明禅師

上堂曰。幸有如是門風。何不炟赫地紹續取去。若也紹得。不在三界。若出三界。即壞三界。若在三界。即礙三界。不礙不壞。是出三界。是不出三界。恁麼徹去。堪為佛法種子。人天有賴。時有僧問。拏雲不假風雷便。迅浪如何透得身。師曰。何得棄本逐末。

上堂して曰く、「幸に如是の門風有り、何ぞ赫奕として紹續して取りて去らざる。若しも紹得せば、三界に在らず。若し三界を出でば、即ち三界を壞り、若し三界に在れば、即ち三界を礙ぐ。礙せず壞らずして、是れ三界を出づるなり、是れ三界を出でざるなり。さように徹して去れば、佛法の種子と爲るに堪へ、人天賴有らん」。時に僧有りて問うた、「雲を拏むに風雷の便を假らず、迅浪如何にして身を透り得る」。師は言った、「何ぞ本を棄て末を逐へるを得る」。

福州安國院祥禪師

福州安國院祥禅師

上堂。良久失聲曰。大是無端。雖然如此。事不得已。於中若有未覯者。更開方便。還會麼。時有僧問。不涉方便。乞師垂慈。師曰。汝問我答。即是方便。問。應物現形。如水中月。如何是月。師提起拂子。僧曰。古人為甚麼道水月無形。師曰。見甚麼。問。如何是宗乘中事。師曰。淮軍散後。問。如何是和尚家風。師曰。眾眼難謾。

上堂。良久失聲して曰く、「大きに是れ無端なり。然ると雖も如此、事已に已むを得ず。中に於て若し未だ遘はざる者有らば、更に方便を開く。還た會するか」。時に僧有りて問うた、「方便に渉らず、師に慈を垂れんことを乞ふ」。師は言った、「汝問ひ我答ふ、即ち是れ方便」。問うた、「物に應じ形を現ず、水中の月の如し。如何なるか是れ月」。師拂子を提起す。僧曰く、「古人甚麼の故にか道ふ、水月形無し」。師は言った、「甚麼をか見る」。問うた、「如何なるか是れ宗乘中の事」。師は言った、「淮軍散じし後」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「衆眼瞞し難し」。

睡龍溥禪師法嗣

睡龍溥禅師法嗣

漳州保福院清豁禪師

漳州保福院淸豁禅師

福州人也。少而聰敏。禮皷山國師。落髮稟具。後謁大章山如庵主(語具如庵主章)。後參睡龍。龍問曰。豁闍黎見何尊宿來。還悟也未。曰。清豁甞訪大章。得箇信處。龍於是上堂集眾。召曰。豁闍黎出來。對眾燒香說悟處。老僧與汝證明。師出眾。乃拈香曰。香已拈了。悟即不悟。龍大悅而許之。上堂。山僧今與諸人作箇和頭。和者默然。不和者說。良久曰。和與不和。切在如今。山僧帶些子事。珍重。僧問。家貧遭劫時如何。師曰。不能盡底去。曰。為甚麼不能盡底去。師曰。賊是家親。曰。既是家親。為甚麼翻成家賊。師曰。內既無應。外不能為。曰。忽然捉敗時如何。師曰。內外絕消息。曰。捉敗後功歸何所。師曰。賞亦未曾聞。曰。恁麼則勞而無功也。師曰。功即不無。成而不處。曰。既是成功。為甚麼不處。師曰。不見道。太平本是將軍致。不使將軍見大平。問。如何是西來意。師曰。胡人泣。漢人悲。師忽捨眾。欲入山待滅。乃遺偈曰。世人休說路行難。鳥道羊膓咫尺間。珍重薴谿谿畔水。汝歸滄海我歸山。即往貴湖卓庵。未幾謂門人曰。吾滅後將遺骸施諸蟲蟻。勿置墳塔。言訖入湖頭山。坐磐石。儼然長往。門人稟遺命。延留七日。竟無蟲蟻之所侵食。遂就闍維。散於林野。

福州人。少くして聰敏、皷山國師を禮し、髮を落として具を禀す。後に大章山の如庵主を謁ふ(語は如庵主の章に具へり)。後に睡龍に參ず。睡龍問ひて曰く、「豁闍黎何の尊宿をか見て來る、還た悟りたりや未だ」。曰く、「淸豁嘗て大章を訪ね、箇の信處を得たり」。睡龍是れに於て上堂衆を集め、召して曰く、「豁闍黎出で來れ、衆に對して香を燒きて悟りし處を説け、老僧汝と證明せん」。師衆を出で、乃ち香を拈じて曰く、「香已に拈じ了れり、悟は即ち悟らず」。睡龍大いに悅びて之を許す。上堂、「山僧今諸人と箇の和頭を作さん。和する者は默然とし、和せざる者は説け」。良久して曰く、「和と不和と、切に如今に在り。山僧些子の事を帶ぶ。珍重」。僧が問うた、「家貧しく劫に遭ふ時如何」。師は言った、「能く盡底せずして去る」。曰く、「甚麼の故にか能く盡底せずして去る」。師は言った、「賊は是れ家親」。曰く、「既に家親、甚麼の故にか翻りて家賊を成す」。師は言った、「内既に應無ければ、外能く爲さず」。曰く、「忽然として捉へ敗る時如何」。師は言った、「内外消息を絕つ」。曰く、「捉へ敗りし後功は何の所に歸する」。師は言った、「賞も亦た曾て聞かず」。曰く、「さようらば則ち勞して功無し」。師は言った、「功は即ち無からざれど、成して處せず」。曰く、「既に成功、甚麼の故にか處せざる」。師は言った、「見ずや道へるを、太平は本より將軍の致す所、將軍に太平を見せしめずと」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「胡人泣き、漢人悲しむ」。師忽ち衆を捨て、山に入りて滅を待たんと欲し、乃ち偈を遺して曰く、「世人路行の難きを説くを休めよ、鳥道羊腸咫尺の間なり。珍重せよ苧溪溪畔の水、汝は滄海に歸り我は山に歸らん」。即ち貴湖に往きて庵を卓す。未幾くして門人に謂ふ、「吾滅し後遺骸を諸の蟲蟻に施し、墳塔を置く勿れ」。言訖りて湖頭山に入り、磐石に坐し、儼然として長く往ぬ。門人遺命を禀けて、延留すること七日、竟に蟲蟻の侵食する所無し。遂に就きて闍維し、林野に散ず」。

金輪觀禪師法嗣

金輪觀禅師法嗣

南嶽金輪和尚

南岳金輪和尚

僧問。如何是金輪第一句。師曰。鈍漢。問。如何是金輪一隻箭。師曰。過也。曰。臨機一箭。誰是當者。師曰。倒也。

僧が問うた、「如何なるか是れ金輪の第一句」。師は言った、「鈍漢」。問うた、「如何なるか是れ金輪の一隻の箭」。師は言った、「過ぎたり」。曰く、「機に臨む一箭、誰か是れ當たる者」。師は言った、「倒也」。

白兆圓禪師法嗣

白兆圓禅師法嗣

鼎州大龍山智洪弘濟禪師

鼎州大龍山智洪弘濟禅師

僧問。如何是佛。師曰。即汝便是。曰。如何領會。師曰。更嫌缽盂無柄那。問。如何是微妙。師曰。風送水聲來枕畔。月移山影到床前。問。如何是極則處。師曰。懊惱三春月。不及九秋光。問。色身敗壞。如何是堅固法身。師曰。山花開似錦。㵎水湛如藍。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「即ち汝便ち是れ」。曰く、「如何に領會せん」。師は言った、「更に鉢盂の柄無きを嫌ふ那」。問うた、「如何なるか是れ微妙」。師は言った、「風水聲を送りて枕畔に來り、月山影を移して牀前に到る」。問うた、「如何なるか是れ極則の處」。師は言った、「懊惱す三春の月、九秋の光に及ばず」。問うた、「色身敗壞す、如何なるか是れ堅固の法身」。師は言った、「山花開きて錦に似たり、澗水湛然として藍の如し」。

襄州白馬山行靄禪師

襄州白馬山行靄禅師

僧問。如何是清淨法身。師曰。井底蝦蟇吞卻月。問。如何是白馬正眼。師曰。面南看北斗。

僧が問うた、「如何なるか是れ淸淨の法身」。師は言った、「井底の蝦蟆月を吞却す」。問うた、「如何なるか是れ白馬の正眼」。師は言った、「南に面して北斗を看る」。

安州白兆竺乾院懷楚禪師

安州白兆竺乾院懷楚禅師

僧問。如何是句句須行玄路。師曰。㳂路直到湖南。問。如何是師子兒。師曰。德山嗣龍潭。問。如何是和尚為人一句。師曰。與汝素無冤讐。一句元在這裡。曰。未審在甚麼方所。師曰。這鈍漢。

僧が問うた、「如何なるか是れ句句須く玄路を行ずる」。師は言った、「路に沿ひて直に湖南に到る」。問うた、「如何なるか是れ師子兒」。師は言った、「德山龍潭を嗣ぐ」。問うた、「如何なるか是れ和尚の人を爲るの一句」。師は言った、「汝と素より冤仇無し。一句元來這裏に在り」。曰く、「未だ審らかならず、甚麼の方所にか在る」。師は言った、「這の鈍漢」。

蘄州四祖山清皎禪師

蘄州四祖山淸皎禅師

福州王氏子。僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。楷師巖畔祥雲起。寶壽峰前震法雷。臨終遺偈曰。吾年八十八。滿頭垂白髮。顒顒鎮雙峰。明明千江月。黃梅揚祖教。白兆承宗訣。日日告兒孫。勿令有斷絕。

福州王氏の子。僧が問うた、「師は誰かの家の曲を唱へ、宗風は阿誰を嗣ぐ」。師は言った、「楷師の巖畔に祥雲起こり、寶壽の峰前に法雷を震ふ」。臨終に偈を遺して曰く、「吾が年八十八、滿頭白髮を垂る。顒顒として雙峰を鎭め、明明として千江の月。黃梅祖教を揚げ、白兆宗訣を承く。日日兒孫に告ぐ、斷絕有らしむる勿れ」。

蘄州三角山志操禪師

蘄州三角山志操禅師

僧問。教法甚多。宗歸一貫。和尚為甚麼說得許多周由者也。師曰。為你周由者也。曰。請和尚即古即今。師以手敲繩床。

僧が問うた、「教法甚多し、宗は一貫に歸す。和尚甚麼の故にか許多の周由を説く者也」。師は言った、「汝が爲に周由す者也」。曰く、「和尚に即古即今を請ふ」。師手を以て繩牀を敲く。

晉州興教師普禪師

晉州興教師普禅師

僧問。盈龍宮溢海藏真詮即不問。如何是教外別傳底法。師曰。眼裡耳裡鼻裡。曰。祇此便是否。師曰。是甚麼。僧便喝。師亦喝。問。僧近離甚處。曰。下寨。師曰。還逢著賊麼。曰。今日捉下。師曰。放汝三十棒。

僧が問うた、「龍宮に盈ち海藏に溢るるの眞詮は即ち問はず、如何なるか是れ教外別傳の法」。師は言った、「眼裏耳裏鼻裏」。曰く、「只だ此れ便ち是れ否」。師は言った、「是れ甚麼ぞ」。僧便ち喝す。師も亦た喝す。僧に問うた、「近く離るる甚處ぞ」。曰く、「下寨」。師は言った、「還た賊に逢着するか」。曰く、「今日捉へ下す」。師は言った、「汝に三十棒を放つ」。

蘄州三角山真鑑禪師

蘄州三角山眞鑑禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。忽然行正令。便見下堂堦。

僧が問うた、「師は誰かの家の曲を唱へ、宗風は阿誰を嗣ぐ」。師は言った、「忽然として正令を行ぜば、便ち堂階を下るを見ん」。

郢州太陽山行沖禪師

郢州太陽山行冲禅師

僧問。如何是無盡藏。師良久。僧無語。師曰。近前來。僧才近前。師曰。去。

僧が問うた、「如何なるか是れ無盡藏」。師良久す。僧語無し。師は言った、「近前せよ」。僧纔かに近前す。師は言った、「去れ」。

青原下八世

靑原下八世

黃龍機禪師法嗣

黃龍機禅師法嗣

洛京紫葢善沼禪師

洛京紫葢善沼禅師

僧問。死中得活時如何。師曰。抱鎌刮骨熏天地。炮烈棺中求託生。問。才生便死時如何。師曰。賴得覺疾。

僧が問うた、「死中活を得る時如何」。師は言った、「鎌を抱き骨を刮ぎて天地を薰め、棺中に炮烈して托生を求む」。問うた、「纔かに生れて便ち死する時如何」。師は言った、「疾く覺るを賴むるを得たり」。

眉州黃龍繼達禪師

眉州黃龍繼達禅師

僧問。如何是衲。師曰。針去線不回。曰。如何是帔。師曰。橫鋪四世界。竪葢一乾坤。曰。道滿到來時如何。師曰。要羹與羹。要飯與飯。問。黃龍出世.金翅鳥滿空飛時如何。師曰。問汝金翅鳥。還得飽也無。

僧が問うた、「如何なるか是れ衲」。師は言った、「針去りて線回らず」。曰く、「如何なるか是れ帔」。師は言った、「横に四世界を鋪き、豎に一乾坤を蓋ふ」。曰く、「道滿到來する時如何」。師は言った、「羹を要せば羹を與へ、飯を要せば飯を與ふ」。問うた、「黃龍世に出で、金翅鳥空に滿ちて飛ぶ時如何」。師は言った、「汝に問ふ、金翅鳥還た飽を得るや無し」。

棗樹和尚

棗樹和尚

第二世住。問僧。發足甚處。曰。閩中。師曰。俊哉。曰。謝師指示。師曰。屈哉。僧作禮。師曰。我與麼道。落在甚麼處。僧無語。師曰。彼自無瘡。勿傷之也。僧參。師乃問。未到這裡時。在甚處安身立命。僧叉手近前。師亦叉手近前。相竝而立。僧曰。某甲未到此時。和尚與誰竝立。師指背後曰。莫是伊麼。僧無對。師曰。不獨自謾。兼謾老僧。僧作禮。師曰。正是自謾。僧鉏地次。見師來乃不審。師曰。見阿誰了便不審。曰。見師不問訊。禮式不全。問曰。卻是孤負老僧。其僧歸舉似首座曰。和尚近日可畏。座曰。作麼生。僧舉前語。座曰。和尚近日可謂為人切。師聞乃打首座七棒。座曰。某甲恁麼道。未有過在。亂打作麼。師曰。枉吃我多少鹽醬。又打七棒。僧辭。師乃問。若到諸方。有人問你老僧此間法道。作麼生祇對。曰。待問即道。師曰。何處有無口底佛。曰。祇這也還難。師竪拂子曰。還見麼。曰。何處有無眼底佛。師曰。祇這也還難。僧遶禪床一匝而出。師曰。善能祇對。僧便喝。師曰。老僧不識子。曰。用識作麼。師敲禪床三下。

第二世住す。僧に問うた、「發足は甚處ぞ」。曰く、「閩中」。師は言った、「俊なる哉」。曰く、「師の指示を謝す」。師は言った、「屈なる哉」。僧禮を作す。師は言った、「我さように道ふ、甚麼の處にか落着する」。僧語無し。師は言った、「彼自ら瘡無し、之を傷つくる勿れ」。僧參す。師乃ち問うた、「未だ這裏に到らざる時、甚處にか在りて安身立命する」。僧叉手して近前す。師も亦た叉手して近前し、相並びて立つ。僧曰く、「某甲未だ此れに到らざる時、和尚は誰とか並び立ちし」。師背後を指して曰く、「伊に非ずや」。僧對無し。師は言った、「獨り自ら瞞するのみならず、兼ねて老僧を瞞す」。僧禮を作す。師は言った、「正に是れ自瞞」。僧の地を鋤く次、師の來るを見て乃ち不審せず。師は言った、「阿誰を見て了へて便ち不審する」。曰く、「師を見て問訊せず、禮式全からず」。師は言った、「却って是れ老僧を孤負す」。那の僧歸りて首座に擧似して曰く、「和尚近日畏る可し」。首座曰く、「作麼生」。僧前の語を擧ぐ。首座曰く、「和尚近日謂ふ可し、人を爲るに切なりと」。師聞きて乃ち首座に七棒を打つ。首座曰く、「某甲さように道ふ、未だ過有る在らず。亂に打って作麼」。師は言った、「我が多少の鹽醬を枉げて喫せし」。又七棒を打つ。僧辭す。師乃ち問うた、「若し諸方に到らば、人の汝に老僧此の間の法道を問はば、作麼生か祇對せん」。曰く、「問ふを待ちて即ち道はん」。師曰く、「何處にか無口の佛有る」。曰く、「只だ這れも還た難し」。師拂子を豎げて曰く、「還た見るか」。曰く、「何處にか無眼の佛有る」。師は言った、「只だ這れも還た難し」。僧禪牀を繞ること一匝して出づ。師は言った、「善く能く祇對す」。僧便ち喝す。師は言った、「老僧子を識らず」。曰く、「識るを用ゐて作麼せん」。師禪牀を敲くこと三下。

興元府玄都山澄禪師

興元府玄都山澄禅師

僧問。喜得趨方丈。家風事若何。師曰。西風開曉露。明月正當天。曰。如何拯濟。師曰。金鷄樓上一下皷。問。如何是沙門行。師曰。一切不如。

僧が問うた、「方丈に趨るを得て喜ぶ、家風の事若何」。師は言った、「西風曉露を開き、明月正に天に當たる」。曰く、「如何に拯濟せん」。師は言った、「金雞樓上の一下の鼓」。問うた、「如何なるか是れ沙門の行」。師は言った、「一切如かず」。

嘉州黑水和尚

嘉州黑水和尚

初參黃龍。便問。雪覆蘆花時如何。龍曰。猛烈。師曰。不猛烈。龍又曰。猛烈。師又曰。不猛烈。龍便打。師於此有省。即便禮拜。

初め黃龍に參じ、便ち問うた、「雪蘆花を覆ふ時如何」。黃龍曰く、「猛烈」。師は言った、「猛烈ならず」。黃龍又曰く、「猛烈」。師又曰く、「猛烈ならず」。黃龍便ち打つ。師此れに於て省有り、即便ち禮拜す。

鄂州黃龍智顋禪師

鄂州黃龍智顋禅師

僧問。如何是諸佛之本源。師曰。即此一問是何源。曰。恁麼則諸佛無異去也。師曰。延平劒已成龍去。猶有刻舟求底人。

僧が問うた、「如何なるか是れ諸佛の本源」。師は言った、「即ち此の一問是れ何の源ぞ」。曰く、「さようらば則ち諸佛異無くして去らん」。師は言った、「延平の劍已に龍と成りて去れり、猶ほ舟を刻して求むる人有り」。

眉州昌福達禪師

眉州昌福達禅師

僧問。學人來問師則對。不問時師意如何。師曰。謝師兄指示。問。本來則不問。如何是今日事。師曰。師兄這問大好。曰。學人不會時如何。師曰。謾得即得。問。國有寶刀。誰人得見。師曰。師兄遠來不易。曰。此刀作何形狀。師曰。要也道。不要也道。曰。請師道。師曰。難逢難遇。問。石牛水上臥時如何。師曰。異中還有異。妄計不浮沉。曰。便恁麼去時如何。師曰。翅天日落。把土成金。

僧が問うた、「學人來りて問へば師則ち對へ、問はざる時師の意如何」。師は言った、「師兄の指示を謝す」。問うた、「本來則ち問はず、如何なるか是れ今日の事」。師は言った、「師兄の這の問大好なり」。曰く、「學人會せざる時如何」。師は言った、「瞞し得れば即ち得」。問うた、「國に寶刀有り、誰人か見るを得る」。師は言った、「師兄遠くより來ること易し」。曰く、「此の刀何の形狀をか作す」。師は言った、「要とも道ひ、要ならずとも道ふ」。曰く、「師に道はんことを請ふ」。師は言った、「難逢難遇」。問うた、「石牛水に上に臥す時如何」。師は言った、「異中還た異有り、妄計沈浮せず」。曰く、「便ちさように去る時如何」。師は言った、「翅天に日落ち、土を把りて金を成す」。

呂巖真人

呂巖眞人

字洞賓。京川人也。唐末三舉不第。偶於長安酒肄遇鍾離權。授以延命術。自爾人莫之究。甞遊廬山歸宗。書鐘樓壁曰。一日清閑自在身。六神和合報平安。丹田有寶休尋道。對境無心莫問禪。未幾。道經黃龍山。覩紫雲成葢。疑有異人。乃入謁。值龍擊皷陞堂。龍見。意必呂公也。欲誘而進。厲聲曰。座傍有竊法者。呂毅然出。問。一粒粟中藏世界。半升鐺內煑山川。且道此意如何。龍指曰。這守屍鬼。呂曰。爭奈囊有長生不死藥。龍曰。饒經八萬劫。終是落空亡。呂薄訝。飛劒脅之。劒不能入。遂再拜。求指歸。龍詰曰。半升鐺內煑山川即不問。如何是一粒粟中藏世界。呂於言下頓契。作偈曰。棄卻瓢囊摵碎琴。如今不戀汞中金。自從一見黃龍後。始覺從前錯用心。龍囑令加護。後謁潭州智度覺禪師。有曰。餘遊韶郴。東下湘江。今見覺公。觀其禪學精明。性源淳潔。促膝靜坐。收光內照。一衲之外無餘衣。一缽之外無餘食。達生死岸。破煩惱殻。方今佛衣寂寂兮無傳。禪理懸懸兮幾絕。扶而興者。其在吾師乎。聊作一絕奉記。達者推心方濟物。聖賢傳法不離真。請師開說西來意。七祖如今未有人。

字は洞賓。京川人。唐末に三擧して第せず。偶々長安の酒肄に鍾離權に遇ひ、延命の術を授けらる。自爾人の之を究むる莫し。嘗て廬山歸宗に游び、鐘樓の壁に書して曰く、「一日の淸閑自在の身、六神和合して平安を報ず。丹田寶有りて道を尋ねるを休め、境に對して心無くして禪を問ふ莫れ」。未幾くして、道黃龍山を經て、紫雲の蓋を成すを睹て、異人有らんを疑ひ、乃ち入りて謁ふ。値へて黃龍鼓を撃ちて堂に升る。黃龍見て、意に必ず呂公なりとし、誘ひて進まんと欲し、聲を厲まして曰く、「座の傍に法を竊む者有り」。呂毅然として出で、問うて曰く、「一粒の粟中に世界を藏め、半升の鐺内に山川を煮る。且く道へ、此の意如何」。黃龍指して曰く、「這の屍を守る鬼」。呂曰く、「争奈、囊に長生不死の藥有るを」。黃龍曰く、「饒りて八萬劫を經るも、終には是れ空亡に落つ」。呂薄く訝り、劍を飛ばして之を脅す。劍能く入ること能はず、遂に再拜して指歸を求む。黃龍詰りて曰く、「半升の鐺内に山川を煮るは即ち問はず、如何なるか是れ一粒の粟中に世界を藏める」。呂言下に於て頓に契り、偈を作して曰く、「瓢囊を棄却して琴を摵碎し、如今汞中の金を戀せず。自從ひて一たび黃龍を見し後、始めて覺ゆ、從前心を錯用ししと」。黃龍護を加へよと囑す。後に潭州の智度覺禅師を謁ふ。説有り、「我韶郴に游び、東は湘江を下る。今覺公を見て、其の禪學の精明、性源の淳潔を觀る。膝を促かして靜坐し、光を收めて内を照らす。一衲の外餘衣無く、一钵の外餘食無し。生死の岸に達し、煩惱の殼を破る。方今佛衣寂寂として傳へる無く、禪理懸懸として幾ど絕えんとす。扶へて興す者は、其れ吾が師に在らんか。聊か一绝を作して奉記す、達者は心を推して方に物を濟ひ、聖賢法を傳ふるは眞を離れず。師に請ふ、西來の意を開説せよ、七祖如今未だ人有らずと」。

明招謙禪師法嗣

明招謙禅師法嗣

處州報恩契從禪師

處州報恩契從禅師

開堂陞座。乃曰。烈士鋒前。還有俊鷹俊鷂麼。放一箇出來看。良久曰。所以道。烈士鋒前少人陪。雲雷擊皷劒輪開。誰是大雄師子種。滿身鋒刃但出來。時有僧出。師曰。好著精彩。僧擬伸問。師曰。甚麼處去也。僧乃問。師子未出窟時如何。師曰。鋒鋩難擊。曰。出窟後如何。師曰。藏身無路。曰。欲出不出時如何。師曰。命似懸絲。曰。向去事如何。師曰。拶。問。如何是和尚家風。師曰。還奈何麼。問。十二時中如何即是。師曰。金剛頂上看。曰。恁麼則人天有賴。師曰。汝又誑謼人天作麼。

堂を開き座に升り、乃ち曰く、「烈士の鋒前に、還た俊鷹俊鷂有るか。一箇を放して出で來りて看よ」。良久して曰く、「所以に道ふ、烈士鋒前人の陪する少く、雲雷鼓を撃ち劍輪開くと。誰か是れ大雄の師子の種、滿身の鋒刃但だ出で來れ」。時に僧有りて出づ。師は言った、「好く精彩を着けよ」。僧擬して問を伸ばんとす。師は言った、「甚麼の處にか去れり」。僧乃ち問うた、「師子未だ窟を出でざる時如何」。師は言った、「鋒芒撃ち難し」。曰く、「窟を出づる後如何」。師は言った、「身を藏むる路無し」。曰く、「出でんと欲して出でざる時如何」。師は言った、「命絲を懸けたるに似たり」。曰く、「向去の事如何」。師は言った、「拶」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「還た奈何するか」。問うた、「十二時中如何にして即ち是れ」。師は言った、「金剛の頂上に看よ」。曰く、「さようらば則ち人天賴有らん」。師は言った、「汝又人天を誑呼して作麼せん」。

婺州普照瑜禪師

婺州普照瑜禅師

上堂。三十年後。大有人向這裡亡鋒結舌去在。良久曰。還會麼。灼然。若不是真師子兒。爭識得上來之機。時有僧問。師子未出窟時如何。師曰。眾獸徒然。曰。出窟後如何。師曰。狐絕萬裡。曰。欲出不出時如何。師曰。當沖者喪。曰。向去事如何。師曰。決在臨鋒。僧禮拜。師有頌曰。決在臨鋒處。天然師子機。嚬呻出三界。非祖莫能知。

上堂、「三十年の後、大に人の這裏に向ひて鋒を亡び舌を結びて去ること在らん」。良久して曰く、「還た會するか。灼然たり。若し是れ眞の師子兒にあらずんば、争でか上來の機を識り得ん」。時に僧有りて問うた、「師子未だ窟を出でざる時如何」。師は言った、「衆獸徒然」。曰く、「窟を出づる後如何」。師は言った、「狐萬里を絕つ」。曰く、「出でんと欲して出でざる時如何」。師は言った、「衝に當たる者喪ふ」。曰く、「向去の事如何」。師は言った、「鋒に臨むに決す」。僧禮拜す。師頌有りて曰く、「鋒に臨む處に決す、天然の師子の機。嚬呻して三界を出づ、祖に非ざれば能く知る莫し」。

婺州雙溪保初禪師

婺州雙溪保初禅師

上堂。未透徹。不須呈。十方世界廓然明。孤峰頂上通機照。不用看他北斗星。僧問。九夏靈峰劒。請師不露鋒。師曰。未拍金鎻前何不問。曰。千般徒設用。難出髑髏前。師曰。背後礙殺人。

上堂、「未だ透徹せずんば、呈するを須ゐず。十方世界廓然として明なり。孤峰頂上機の照を通ず、他の北斗星を看るを用ゐず」。僧が問うた、「九夏の靈峰の劍、師に鋒を露さざらんことを請ふ」。師は言った、「未だ金鎖を拍する前に何ぞ問はざる」。曰く、「千般徒らに用を設くるも、髑髏の前を出で難し」。師は言った、「背後人を礙殺す」。

處州湧泉究禪師

處州涌泉究禅師

上堂。良久曰。還有虎狼禪客麼。有則放出一箇來。僧才出。師曰。還知喪命處麼。曰。學人諮和尚。師曰。甚麼處去也。曰。師子未出窟時如何。師曰。抖㖃地。曰。出窟後如何。師曰。蓋天蓋地。曰。欲出不出時如何。師曰。一切人辨不得。曰。向去事如何。師曰。俊鷂亦迷蹤。

上堂。良久して曰く、「還た虎狼の禪客有るか。有らば則ち一箇を放して出で來れ」。僧纔かに出づ。師は言った、「還た命を喪ふ處を知るか」。曰く、「學人和尚に咨る」。師は言った、「甚麼の處にか去れり」。曰く、「師子未だ窟を出でざる時如何」。師は言った、「抖㖃たる地」。曰く、「窟を出づる後如何」。師は言った、「天を蓋ひ地を蓋ふ」。曰く、「出でんと欲して出でざる時如何」。師は言った、「一切人辨じ得ず」。曰く、「向去の事如何」。師は言った、「俊鷂も亦た蹤を迷ふ」。

衢州羅漢義禪師

衢州羅漢義禅師

上堂眾集。僧才出。師曰。不是好底。僧禮拜起。問。龍泉寶劒請師揮。師曰。甚麼處去也。曰。恁麼則龍谿南面盡鋒鋩。師曰。收取。問。不落古今請師道。師曰。還怪得麼。曰。猶落古今。師曰。莫錯。

上堂衆集まる。僧纔かに出づ。師は言った、「是れ好きのにあらず」。僧禮拜して起ち、問うた、「龍泉の寶劍師に揮はんことを請ふ」。師は言った、「甚麼の處にか去れり」。曰く、「さようらば則ち龍溪の南面盡く鋒芒なり」。師は言った、「收取せよ」。問うた、「古今に落ちず、師に道ふを請ふ」。師は言った、「還た怪しみ得るか」。曰く、「猶ほ古今に落つ」。師は言った、「錯る莫れ」。

羅漢琛禪師法嗣

羅漢琛禅師法嗣

襄州清谿山洪進禪師

襄州淸溪山洪進禅師

在地藏時居第一座。一日地藏上堂。二僧出禮拜。藏曰。俱錯。二僧無語。下堂請益修山主。修曰。汝自巍巍堂堂。卻禮拜擬問他人。豈不是錯。師聞之不肯。修乃問。未審上座又作麼生。師曰。汝自迷暗。焉可為人。修憤然上方丈請益。藏指廊下曰。典座入庫頭去也。修乃省過。又一日。師問修山主曰。明知生是不生之理。為甚麼為生死之所流。修曰。筍畢竟成竹去。如今作篾使還得麼。師曰。汝向後自悟去在。修曰。某所見祇如此。上座意旨又如何。師指曰。這箇是監院房。那箇是典座房。修即禮謝。住後。僧問。眾盲摸象。各說異端。忽遇明眼人。又作麼生。師曰。汝但舉似諸方。師經行次。眾僧隨從。乃謂眾曰。古人有甚麼言句。大家商量。時有從漪上座出眾擬問次。師曰。這沒毛驢。漪渙然省悟。

地藏に在りし時第一座に居る。一日地藏上堂し、二僧出でて禮拜す。地藏曰く、「俱に錯り」。二僧語無し。堂を下りて修山主に請益す。修曰く、「汝自ら巍巍堂堂たり、却って禮拜して他人に問はんと擬す、豈に錯りにあらずや」。師之を聞きて肯んぜず。修乃ち問うた、「未だ審らかならず、上座又作麼生」。師は言った、「汝自ら迷暗なり、焉んぞ人と爲る可けん」。修憤然として方丈に上りて請益す。地藏廊下を指して曰く、「典座庫頭に入り去れり」。修乃ち過を省む。又一日、師修山主に問ひて曰く、「明かに知る、生は是れ不生の理、甚麼の故にか生死の流る所と爲る」。修曰く、「筍畢竟竹と成りて去る、如今篾を作りて使へば還た得るか」。師は言った、「汝向後自ら悟り去ること在らん」。修曰く、「某の見る所只だ如此のみ。上座の意旨又作麼生」。師指して曰く、「這箇は是れ監院の房、那箇は是れ典座の房」。修即ち禮謝す。住して後、僧が問うた、「衆盲象を摸り、各々異端を説く。忽ち明眼の人に遇はば、又作麼生」。師は言った、「汝但だ諸方に擧似せよ」。師經行の次、衆僧隨從す。乃ち衆に謂ふ、「古人何の言句か有る、大家商量せん」。時に從漪上座衆を出でて問はんと擬する次。師は言った、「這の沒毛の驢」。從漪涣然として省悟す。

昇州清涼院休復悟空禪師

升州淸凉院休復悟空禅師

北海王氏子。幼出家。十九納戒。甞自謂曰。苟尚能詮。則為滯筏。將趣凝寂。復患墮空。既進退莫決。捨二何之。乃參尋宗匠。依地藏。經年不契。直得成病入涅槃堂。一夜藏去看。乃問。復上座安樂麼。師曰。某甲為和尚因緣背。藏指燈籠曰。見麼。師曰。見。藏曰。祇這箇也不背。師於言下有省。後修山主問訊地藏。乃曰。某甲百劫千生。曾與和尚違背。來此者又值和尚不安。藏遂竪起拄杖曰。祇這箇也不背。師忽然契悟。後繼法眼住崇壽。江南國主創清涼道場。延請居之。上堂。古聖才生下。便周行七步。目顧四方。雲天上天下。唯我獨尊。他便有這箇方便奇特。祇如諸上座初生下時。有甚麼奇特。試舉看。若道無。即對面諱卻。若道有。又作麼生通得箇消息。還會麼。上座幸然有奇特事。因甚麼不知去。珍重。僧問。如何是佛。師曰。汝是眾生。曰。還肯也無。師曰。虗施此問。問。如何是西來意。師曰。汝道此土還有麼。問。省要處乞師一言。師曰。珍重。問。如何是道。師曰。本來無一物。何處有塵埃。僧禮拜。師曰。莫錯會。問。如何是一塵入正受。師曰。色即空。曰。如何是諸塵三昧起。師曰。空即色。問。諸餘即不問。如何是悟空一句。師曰。兩句也。問。牛頭未見四祖時。為甚麼百鳥銜華。師曰。未見四祖。曰。見後為甚麼不銜華。師曰。見四祖。問。如何是自己事。師曰。幾處問人來。問。古人得箇甚麼即便休歇去。師曰。汝得箇甚麼。即不休歇去。問。如何是學人出身處。師曰。千般比不得。萬般況不及。曰。請和尚道。師曰。古亦有。今亦有。問。如何是亡僧面前觸目菩提。師曰。問取髑髏後人。問。毒龍奮迅.萬象同然時如何。師曰。你甚麼處得這箇問頭。問。忠座主講甚麼經。曰。法華經。師曰。若有說法華經處。我現寶塔當為證明。大德講甚麼人證明。

北海王氏の子。幼にして家を出で、十九にして戒を納る。嘗て自ら謂ひて曰く、「苟も尚ほ能く詮すれば、則ち筏に滯ると爲す。將に凝寂に趣かんとすれば、復た空に墮つるを患ふ。既に進退決する莫し、二を捨てて何に之かん」。乃ち宗匠を參尋し、地藏に依る。年を經て契はず、直に病を成して涅槃堂に入るを得たり。一夜地藏往きて看る、乃ち問うた、「復上座安樂なるか」。師は言った、「某甲和尚と因縁に背くが爲」。地藏燈籠を指して曰く、「見るか」。師は言った、「見る」。地藏曰く、「只だ這箇も背かず」。師言下に於て省有り。後に修山主地藏に問訊す、乃ち曰く、「某甲百劫千生、曾て和尚と違背せり。此れに來る者又和尚の不安に値ふ」。地藏遂に拄杖を豎起して曰く、「只だ這箇も背かず」。師忽然として契悟す。後に法眼を繼ぎ崇壽に住す。江南の國主淸凉道場を創り、延請して居らしむ。上堂、「古聖纔かに生下せば、便ち七步を周行し、目に四方を顧み、天上天下唯我獨尊と曰ふ。他便ち這箇の方便奇特有り。只だ如し諸の上座初めて生下せし時、甚麼の奇特か有る。試みに擧げ看よ。若し無しと道はば、即ち對面して諱卻せん。若し有りと道はば、又作麼生か箇の消息を通じ得る。還た會するか。上座幸然として奇特の事有り、因に甚麼をか知らずして去る。珍重」。僧が問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「汝是れ衆生」。曰く、「還た肯んずるや無し」。師は言った、「虛しく此の問を施す」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「汝道へ、此の土還た有るか」。問うた、「省要の處師に一言を乞ふ」。師は言った、「珍重」。問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「本來一物無し、何處にか塵埃有らん」。僧禮拜す。師は言った、「錯りて會する莫れ」。問うた、「如何なるか是れ一塵正受に入る」。師は言った、「色即ち是れ空」。曰く、「如何なるか是れ諸塵三昧起こる」。師は言った、「空即ち是れ色」。問うた、「諸餘は即ち問はず、如何なるか是れ悟空の一句」。師は言った、「兩句なり」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時、甚麼の故にか百鳥花を銜ふ」。師は言った、「未だ四祖を見ず」。曰く、「見し後甚麼の故にか花を銜はざる」。師は言った、「四祖を見たり」。問うた、「如何なるか是れ自己の事」。師は言った、「幾處か人に問ひて來れり」。問うた、「古人箇の甚麼を得て便ち休歇し去る」。師は言った、「汝箇の甚麼を得て、即ち休歇せずして去る」。問うた、「如何なるか是れ學人の出身の處」。師は言った、「千般比ぶるを得ず、萬般況ふるに及ばず」。曰く、「和尚に道はんことを請ふ」。師は言った、「古も亦た有り、今も亦た有り」。問うた、「如何なるか是れ亡僧の面前の觸目菩提」。師は言った、「髑髏後の人に問へ取れ」。問うた、「毒龍奮迅し、萬象同然の時如何」。師は言った、「汝甚麼の處にか這箇の問頭を得る」。問うた、「忠座主何の經をか講ずる」。曰く、「法華經」。師「曰く、「若し法華經を説く處有らば、我寶塔を現じて當に證明と爲さん。大德の講ずるに甚麼人か證明する」。

忠無對(法燈代雲。謝和尚證明)。天福八年十月朔日。遣僧命法眼禪師至。囑付訖。又致書辭國主。及三日夜子時入滅。國主令本院至時擊鐘。及期大眾普集。師端坐警眾曰。無棄光影。語絕告寂。時國主聞鐘。登高臺遙禮。深加哀慕。仍致祭.茶毗。收舍利建塔。

忠對無し(法燈代えて曰く、「和尚の證明を謝す」)。天福八年十月の朔日、僧を遣はして法眼禅師を至らしめ、囑付訖り、又書を致して國主に辭す。三日夜の子時に及びて入滅す。國主本院に令して時に至りて鐘を擊たしむ。期に及びて大衆普く集まる。師端坐して衆を警めて曰く、「光影を棄つる無かれ」。語絕えて寂を告ぐ。時に國主鐘を聞き、高臺に登りて遙かに禮し、深く哀慕を加へ、仍りて祭を致し、茶毗し、舍利を收めて塔を建つ。

撫州龍濟紹修禪師

撫州龍濟紹修禅師

初與法眼同參地藏。所得謂已臻極。暨同辭至建陽。途中譚次。眼忽問。古人道萬象之中獨露身。是撥萬象不撥萬象。師曰。不撥。眼曰。說甚麼撥不撥。師懵然不知。卻回地藏。藏問。子去未久。何以卻來。師曰。有事未決。豈憚跋涉山川。藏曰。汝跋涉許多山川。也還不惡。師未喻旨。乃問。古人道萬象之中獨露身。意旨如何。藏曰。汝道古人撥萬象不撥萬象。師曰。不撥。藏曰。兩箇也。師駭然沈思。而卻問。未審古人撥萬象不撥萬象。藏曰。汝喚甚麼作萬象。師方省悟。再辭地藏。覲於法眼。眼語意與地藏開示前後如一。師後居龍濟山。不務聚徒。而學者奔至。上堂。具足凡夫法。凡夫不知。具足聖人法。聖人不會。聖人若會。即是凡夫。凡夫若知。即是聖人。此兩語一理二義。若人辨得。不妨於佛法中有箇入處。若辨不得。莫道不疑好。珍重。僧問。見色便見心。露柱是色。如何是心。師曰。幸然未會。具莫詐明頭。問。如何得出三界。師曰。是三界則一任出。曰。不是三界又如何。師曰。甚麼處不是三界。問。當陽舉唱。誰是委者。師曰。非汝不委。問。如何是萬法主。師曰。把將萬法來。問。承古有言。須彌納芥子。芥子納須彌。如何是須彌。師曰。穿破汝心。曰。如何是芥子。師曰。塞將汝眼。曰。如何納得。師曰。把將須彌與芥子來。曰。前言何在。師曰。前有甚麼言。問。僧甚處來。曰。翠巖。師曰。翠巖有何言句示徒。曰。尋常道。出門逢彌勒。入門見釋迦。師曰。與麼道又爭得。曰。和尚又如何。師曰。出門逢阿誰。入門見甚麼。僧於言下有省。上堂。聲色不到處。病在見聞。言詮不及處。過在唇吻。僧問。離卻聲色。請和尚道。師曰。聲色裡問將來。問。如何是學人心。師曰。阿誰恁麼問。問。劫火洞然。大千俱壞。未審這箇還壞也無。師曰。不壞。曰。為甚麼不壞。師曰。

初め法眼と同じく地藏に參ず。得る所已に極に臻ると謂ふ。暨ち同じく辭して建陽に至り、途中談ずる次、法眼忽ち問うた、「古人の道ふ、萬象の中に獨り身を露る、是れ萬象を撥するか萬象を撥せざるか」。師は言った、「撥せず」。法眼曰く、「甚麼の撥する撥せざるをか説く」。師懵然として知らず、却って地藏に回る。地藏問うた、「子去りて未だ久しからず、何以にか却って來る」。師は言った、「事の未決有り、豈に山川を跋涉するを憚らんや」。地藏曰く、「汝許多の山川を跋涉す、也還た惡からず」。師未だ旨を喻さず、乃ち問うた、「古人の道ふ、萬象の中に獨り身を露る、意旨如何」。地藏曰く、「汝道へ、古人萬象を撥するか萬象を撥せざるか」。師は言った、「撥せず」。地藏曰く、「兩箇なり」。師駭然として沈思し、而るに却って問うた、「未だ審らかならず、古人萬象を撥するか萬象を撥せざるか」。地藏曰く、「汝甚麼を喚んで萬象と作す」。師方に省悟す。再び地藏を辭し、法眼に覲す。法眼の語意地藏の開示と前後一の如し。師後に龍濟山に居り、徒を聚めるを務めずして、學者奔り至る。上堂、「凡夫の法を具足す、凡夫知らず。聖人の法を具足す、聖人會せず。聖人若し會せば、即ち是れ凡夫。凡夫若し知れば、即ち是れ聖人。此の兩語、一理にして二義なり。若し人の辨じ得なば、妨げず佛法中に箇の入處有らん。若し辨じ得ざれば、疑はずと道ふ莫し好し。珍重」。僧が問うた、「色を見れば便ち心を見る。露柱是れ色、如何なるか是れ心」。師は言った、「幸然として未だ會せず、具に詐りて明頭とする莫れ」。問うた、「如何にして三界を出づるを得ん」。師は言った、「是れ三界ならば則ち一任に出でよ」。曰く、「是れ三界にあらずんば又作麼生」。師は言った、「甚麼の處にか是れ三界ならざる」。問うた、「陽に當たりて擧唱す、誰か是れ委くる者」。師は言った、「汝に非ざれば委からず」。問うた、「如何なるか是れ萬法の主」。師は言った、「萬法を把り將り來れ」。問うた、「承聞く、古に言有り、須彌芥子を納れ、芥子須彌を納る。如何なるか是れ須彌」。師は言った、「汝の心を穿破す」。曰く、「如何なるか是れ芥子」。師は言った、「汝の眼を塞ぎ將る」。曰く、「如何に納れ得る」。師は言った、「須彌と芥子を把り將り來れ」。曰く、「前の言何の處にか在る」。師は言った、「前に甚麼の言か有る」。僧に問うた、「甚處か來れり」。曰く、「翠巖」。師は言った、「翠巖に何の言句か有りて徒に示す」。曰く、「尋常道ふ、門を出でれば彌勒に逢ひ、門に入れば釋迦を見ると」。師は言った、「さように道へば又争ひ得る」。曰く、「和尚又作麼生」。師は言った、「門を出でれば阿誰に逢ひ、門に入れば甚麼を見る」。僧言下に於て省有り。上堂、「聲色の到らざる處、病は見聞に在り。言詮の及ばざる處、過は唇吻に在り」。僧が問うた、「聲色を離却せば、和尚に道はんことを請ふ」。師は言った、「聲色の裏に問ひ將來れ」。問うた、「如何なるか是れ學人の心」。師は言った、「阿誰さように問ふ」。問うた、「劫火洞然として、大千俱に壞ゆ。未だ審らかならず、這箇還た壞ゆるや無し」。師は言った、「壞えず」。曰く、「甚麼の故にか壞えざる」。師は言った、「

為同於大千。上堂。卷簾除卻障。閉戶生窒礙。祇這障與礙。古今無人會。會得是障礙。不會不自在。問。巨夜之中。以何為眼。師曰。暗。問。纖毫不隔。為甚麼覷之不見。師曰。作家弄影漢。問。古鏡未磨時如何。師曰。照破天地。曰。磨後如何。師曰。黑漆漆地。問。如何是普眼。師曰。纖毫覷不見。曰。為甚麼覷不見。師曰。為伊眼太大。問。如何是大敗壞底人。師曰。劫壞不曾遷。曰。此人還知有佛法也無。師曰。若知有佛法。渾成顛倒。曰。如何得不顛倒去。師曰。直須知有佛法。曰。如何是佛法。師曰。大敗壞。問。如何是學人常在底心。師曰。還曾問荷玉麼。曰。學人不會。師曰。若不會。夏末了。問取曹山去。師有頌曰。風動心搖樹。雲生性起塵。若明今日事。昧卻本來人。又。欲識解脫道。諸法不相到。眼耳絕見聞。聲色閙浩浩。又。初心未入道。不得閙浩浩。鐘聲裡薦取。皷聲裡顛倒。又。諸佛不出世。四十九年說。祖師不西來。少林有妙訣。又。萬法是心光。諸緣唯性曉。本無迷悟人。祇要今日了。

(師引き続き曰く、)大千と同ずるが爲なり」。上堂、「簾を卷きて障を除却し、戸を閉ぢて窒礙を生ず。只だ這の障と礙と、古今人會する無し。會すれば是れ障礙、會せざれば不自在」。問うた、「巨夜の中、何を以てか眼と爲る」。師は言った、「暗」。問うた、「纎毫隔たらず、甚麼の故にか之を覤れど見えざる」。師は言った、「作家影を弄する漢」。問うた、「古鏡未だ磨かざる時如何」。師は言った、「天地を照破す」。曰く、「磨きし後如何」。師は言った、「黑漆漆たる地」。問うた、「如何なるか是れ普眼」。師は言った、「纎毫覤れど見えず」。曰く、「甚麼の故にか覤れど見えざる」。師は言った、「伊の眼太大なるが爲」。問うた、「如何なるか是れ大敗壞の人」。師は言った、「劫壞せども曾て遷らず」。曰く、「此の人還た佛法の有るを知るや無し」。師は言った、「若し佛法の有るを知れば、渾然と顛倒を成す」。曰く、「如何にして顛倒せずして去らんを得ん」。師は言った、「直に須く佛法の有るを知るべし」。曰く、「如何なるか是れ佛法」。師は言った、「大敗壞」。問うた、「如何なるか是れ學人の常在の心」。師は言った、「還た曾て荷玉に問ふや」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「若し會せざれば、夏末す、曹山に去りて問へ取れ」。師頌有りて曰く、「風動かせば心樹を搖がし、雲生ぜば性塵を起こす。若し今日の事を明めば、本來の人を昧くせん」。又、「解脫の道を識らんと欲せば、諸法相い到らざるを知れ。眼「耳見聞を絕ち、聲色浩浩に鬧なり」。又、「初心未だ道に入らず、浩浩に鬧なるを得ず。鐘聲の裏に薦取し、鼓聲の裏に顛倒せよ」。又、「諸佛世に出でずんば、四十九年の説。祖師西に來らずんば、少林妙訣有り」。又、「萬法是れ心光、諸緣唯だ性の曉。本より迷悟の人無し、只だ今日了せんを要す」。

潞府延慶院傳殷禪師

潞府延慶院傳殷禅師

僧問。見色便見心。燈籠是色。那箇是心。師曰。汝不會古人意。曰。如何是古人意。師曰。燈籠是心。問。若能轉物。即同如來。未審轉甚麼物。師曰。道甚麼。僧擬進語。師曰。這漆桶。

僧が問うた、「色を見れば便ち心を見る。燈籠是れ色、那箇是れ心」。師は言った、「汝古人の意を會せず」。曰く、「如何なるか是れ古人の意」。師は言った、「燈籠是れ心」。問うた、「若し能く物を轉ずれば、即ち如來に同じ。未だ審らかならず、甚麼の物をか轉ずる」。師は言った、「甚麼をか道ふ」。僧擬して語を進めんとす。師は言った、「這の漆桶」。

衡嶽南臺守安禪師

衡岳南臺守安禅師

僧問。人人盡有長安路。如何得到。師曰。即今在甚麼處。問。寂寂無依時如何。師曰。寂寂底聻。因示頌曰。南臺靜坐一鑪香。終日凝然萬慮亡。不是息心除妄想。都緣無事可思量。

僧が問うた、「人人盡く長安の路有り、如何にして到るを得ん」。師は言った、「即今甚麼の處にか在る」。問うた、「寂寂として依る無き時如何」。師は言った、「寂寂たる聻なり」。因りて頌を示して曰く、「南臺靜坐し一爐の香、終日凝然として萬慮亡ぶ。是れ心を息めて妄想を除くにあらず、都て縁有りて事無く思量する可き無し」。

杭州天龍寺清慧秀禪師

杭州天龍寺淸慧秀禅師

上堂。諸上座。多少無事。十二時中在何世界安身立命。且子細點檢看。何不覓箇歇處。因甚麼卻與別人點檢。若恁麼去。早落第二頭也。時有僧問。承師有言。恁麼去早落第二頭。學人總不恁麼上來。如何辯白。師曰。汝卻作家。曰。恁麼則今日得遇於師也。師曰。且莫詐明頭。

上堂、「諸の上座、多少の無事ぞ。十二時中何の世界にか在りて安身立命する。且く仔細に點檢して看よ。何ぞ箇の歇處を覓えざる。因に甚麼をか却って別人に點檢せらる。若しさように去らば、早く第二頭に落ちたり」。時に僧有りて問うた、「承聞く、師の言有り、さように去れば早く第二頭に落つと。學人總てさように上來せず、如何に辯白せん」。師は言った、「汝却って是れ作家」。曰く、「さようらば則ち今日師に遇ふを得たり」。師は言った、「且く詐りて明頭とする莫れ」。

天龍機禪師法嗣

天龍機禅師法嗣

高麗雪嶽令光禪師

高麗雪岳令光禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。分明記取。問。如何是諸法之根源。師曰。謝指示。

僧が問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「分明に記取せよ」。問うた、「如何なるか是れ諸法の根源」。師は言った、「指示を謝す」。

僊宗符禪師法嗣

僊宗符禅師法嗣

福州僊宗洞明真覺禪師

福州僊宗洞明眞覺禅師

僧問。拏雲不假風雷便。濬浪如何透得身。師曰。何得棄本逐末。

僧が問うた、「雲を拏むに風雷の便を假らず、濬浪如何にして身を透り得る」。師は言った、「何ぞ本を棄て末を逐へるを得る」。

泉州福清行欽廣法禪師

泉州福淸行欽廣法禅師

上堂。還有人鑑得麼。若有人鑑得。是甚麼湖裡破草鞵。若也鑑不出。落地作金聲。無事久立。僧問。如何是佛法大意。師曰。諸上座大家道取。問。如何是談真逆俗。師曰。客作漢問甚麼。曰。如何是順俗違真。師曰。吃茶去。問。如何是然燈前。師曰。然燈後。曰。如何是然燈後。師曰。然燈前。曰。如何是正然燈。師曰。吃茶去。問。如何是第二月。師曰。汝問我答。

上堂、「還た人の鑑り得る有るか。若し人の鑑り得る有らば、是れ甚麼の湖裏の破草鞋。若しも鑑り出でざれば、地に落ちて金の聲を作さん。無事久立」。僧が問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「諸の上座大家道へ取れ」。問うた、「如何なるか是れ眞を談じ俗に逆ふ」。師は言った、「客作の漢何をか問ふ」。曰く、「如何なるか是れ俗に順ひて眞に違ふ」。師は言った、「茶を喫して去れ」。問うた、「如何なるか是れ然燈の前」。師は言った、「然燈の後」。曰く、「如何なるか是れ然燈の後」。師は言った、「然燈の前」。曰く、「如何なるか是れ正に然燈」。師は言った、「茶を喫して去れ」。問うた、「如何なるか是れ第二の月」。師は言った、「汝問ひ我答ふ」。

國泰𤦆禪師法嗣

國泰𤦆禅師法嗣

婺州齊雲寶勝禪師

婺州齊雲寶勝禅師

僧問。如何是齊雲水。師曰。龍潭常徹底。擬問即波瀾。曰。莫祇這箇便是麼。師曰。古殿無香煙。誰人辯清濁。曰。未審深深處如何。師曰。闍黎欲識深深處。直須腳下絕雲生。

僧が問うた、「如何なるか是れ齊雲の水」。師は言った、「龍潭常に徹底せど、擬して問へば即ち波瀾」。曰く、「只だ這箇便ち是れか莫し」。師は言った、「古殿香烟無し、誰人か淸濁を辨ずる」。曰く、「未だ審らかならず、深深の處如何」。師は言った、「闍黎深深の處を識らんと欲せば、直に須く脚下雲を絕ちて生ぜしめよ」。

白龍希禪師法嗣

白龍希禅師法嗣

福州廣平玄旨禪師

福州廣平玄旨禅師

上堂。還有人證明麼。若有人證明。亦免孤負上祖。埋沒後來。若是尋言數句。大藏分明。若是祖宗門中。怪及甚麼處。恁麼道亦是傍瞥之辭。僧問。如何是廣平境。師曰。地負名山秀。谿連海水清。曰。如何是境中人。師曰。汝問我答。問。如何是法身體。師曰。廓落虗空絕玷瑕。曰。如何是體中物。師曰。一輪明月散秋江。曰。未審體與物分不分。師曰。適來道甚麼。曰。恁麼則不分也。師曰。穿耳胡僧笑點頭。

上堂、「還た人の證明する有るか。若し人の證明する有らば、亦た上祖を孤負するを免れ、後來を埋沒せず。若し是れ言を尋ね句を數ふれば、大藏分明なり。若し是れ祖宗門中ならば、怪しみ及ぶ甚麼の處ぞ。さように道ふも亦た是れ傍瞥の辭」。僧が問うた、「如何なるか是れ廣平の境」。師は言った、「地名山の秀を負ひ、溪海水の淸きに連なり」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「汝問ひ我答ふ」。問うた、「如何なるか是れ法身の體」。師は言った、「廓落たる虛空玷瑕を絕つ」。曰く、「如何なるか是れ體中の物」。師は言った、「一輪の明月秋江に散ず」。曰く、「未だ審らかならず、體と物と分かつや分かたずや」。師は言った、「適來甚麼をか道ひし」。曰く、「さようらば則ち分かたずなり」。師は言った、「耳を穿ちし胡僧笑ひて頭を點ず」。

福州昇山白龍清慕禪師

福州升山白龍淸慕禅師

僧問。如何是白龍密用一機。師曰。汝每日用甚麼。曰。恁麼則徒勞側聆。師喝曰。出去。問。一切眾生日用而不知。如何是日用底。師曰。別祇對你爭得。問。不責上來。聲前一句請師道。師曰。莫是不辨麼。

僧が問うた、「如何なるか是れ白龍の密用の一機」。師は言った、「汝每日甚麼をか用ゐる」。曰く、「さようらば則ち徒らに側聆す」。師喝して曰く、「出去せ」。問うた、「一切衆生日用して知らず。如何なるか是れ日用する」。師は言った、「別に汝に祇對せば争ひ得る」。問うた、「上來を責めず、聲前の一句師に道はんことを請ふ」。師は言った、「是れ辨ぜざるか莫し」。

福州靈峰志恩禪師

福州靈峰志恩禅師

僧問。如何是吹毛劒。師曰。我進前。汝退後。曰。恁麼則學人喪身命去也。師曰。不打水。魚自驚。問。如何是佛。師曰。更是阿誰。曰。既然如此。為甚麼迷妄有差殊。師曰。但自不亡羊。何須泣岐路。問。如何是靈峰境。師曰。萬疊青山如飣出。兩條綠水若圖成。曰。如何是境中人。師曰。明明密密。密密明明。

僧が問うた、「如何なるか是れ吹毛劍」。師は言った、「我進み前り、汝退き後る」。曰く、「さようらば則ち學人身命を喪ひて去らん」。師は言った、「水を打たず、魚自ら驚く」。問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「更に是れ阿誰」。曰く、「既然如此、甚麼の故にか迷妄差殊有る」。師は言った、「但だ自ら羊を亡さざれば、何ぞ須からん岐路に泣くを」。問うた、「如何なるか是れ靈峰の境」。師は言った、「萬疊の青山飣の出づるが如く、兩條の綠水圖の成るが若し」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「明明密密、密密明明」。

福州東禪玄亮禪師

福州東禪玄亮禅師

僧問。本無迷悟。為甚麼卻有佛有眾生。師曰。話墮也。問。祖祖相傳傳法印。師今繼嗣嗣何人。師曰。特謝證明。曰。恁麼則白龍當時親授記。今日應聖度迷津。師曰。汝莫錯認定盤星。

僧が問うた、「本より迷悟無し、甚麼の故にか却って佛有り衆生有る」。師は言った、「話墮ちたり」。問うた、「祖祖相傳へて法印を傳ふ、師今繼嗣して何人を嗣ぐ」。師は言った、「特に證明を謝す」。曰く、「さようらば則ち白龍當時親しく授記し、今日應に聖に迷津を度すべし」。師は言った、「汝定盤の星を錯りて認むる莫れ」。

漳州報劬院玄應定慧禪師

漳州報劬院玄應定慧禅師

泉州晉江吳氏子。漳州刺史陳文顥創院。請師開法。僧如問。何是第一義。師曰。如何是第一義。曰。學人請益。師何以倒問學人。師曰。汝適來請益甚麼。曰。第一義。師曰。汝謂之倒問邪。問。如何是古佛道場。師曰。今夏堂中。千五百僧。開寶八年將順世。先七日書辭陳公。仍示偈曰。今年六十六。世壽有延促。無生火熾然。有為薪不續。出谷與歸源。一時俱備足。及期誡門人曰。吾滅後不得以喪服哭泣。言訖而寂。

泉州晉江吳氏の子。漳州刺史陳文灝院を創り、師を請じて法を開かしむ。僧如が問うた、「何ぞ是れ第一義」。師は言った、「如何なるか是れ第一義」。曰く、「學人請益す、師何以にか學人に倒問する」。師は言った、「汝適來何をか請益しし」。曰く、「第一義」。師は言った、「汝之を謂ふ倒問なりとや」。問うた、「如何なるか是れ古佛の道場」。師は言った、「今夏の堂中、千五百の僧」。開寶八年將に世を順へんとす。先に七日書して陳公に辭し、仍りて偈を示して曰く、「今年六十六、世壽延促有り。無生火熾然たり、有爲薪續がず。谷を出でて源に歸ると、一時に俱に備足す」。期に及びて門人に誡めて曰く、「吾滅し後喪服を以て哭泣するを得ず」。言訖りて寂す。

招慶匡禪師法嗣

招慶匡禅師法嗣

泉州報恩院宗顯明慧禪師

泉州報恩院宗顯明慧禅師

僧問。昔日靈山一會。迦葉親聞。未審今日誰是聞者。師曰。卻憶七葉巖中尊。問。昔日覺城東際。象王迴旋。五眾鹹臻。今日太守臨筵。如何提接。師曰。眨上眉毛著。曰。恁麼則一機顯處。萬緣喪盡。師曰。何必繁辭。問。如何是西來意。師曰。日裡看鴟毛。問。學人都致一問。請師道。師曰。不是創住這箇師僧也難容。問。離四句。絕百非。請師道。師曰。青紅花滿庭。問。不涉思量處。從上宗乘。請師直道。師良久。僧曰。恁麼則聽響之流。徒勞側耳。師曰。早是粘泥。問。如何是人王。師曰。奉對不敢造次。曰。如何是法王。師曰。莫孤負好。曰。未審人王與法王。對談何事。師曰。非汝所聆。

僧が問うた、「昔日靈山の一會、迦葉親しく聞く。未だ審らかならず、今日誰か是れ聞く者」。師は言った、「却って七葉巖中の尊を憶ふ」。問うた、「昔日覺城の東際、象王回旋し、五衆咸な臻る。今日太守筵に臨む、如何に提接せん」。師は言った、「眉毛を眨上して着け」。曰く、「さようらば則ち一機顯る處、萬緣喪盡せん」。師は言った、「何ぞ必ずしも繁辭を」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「日裏鴟毛を看る」。問うた、「學人皆な一問を致す、師に道はんことを請ふ」。師は言った、「是れ創めて住する這箇の師僧に非ざればも容れ難し」。問うた、「四句を離れ百非を絕ち、師に道はんことを請ふ」。師は言った、「青紅の花庭に滿つ」。問うた、「思量に渉らざる處、從上の宗乘、師に直道を請ふ」。師良久す。僧曰く、「さようらば則ち響を聽くの流、徒らに耳を側む」。師は言った、「早く是れ泥に粘す」。問うた、「如何なるか是れ人王」。師は言った、「奉對敢へて造次せず」。曰く、「如何なるか是れ法王」。師は言った、「孤負する莫し好し」。曰く、「未だ審らかならず、人王と法王と、對談何の事ぞ」。師は言った、「汝の聆く所に非ず」。

金陵龍光院澄忋禪師

金陵龍光院澄忋禅師

廣州人也。新到參。師問。甚處來。曰。江南來。師曰。汝還禮拜渡江船子麼。曰。和尚為甚麼教某禮拜渡江船子。師曰。是汝善知識。

廣州人。新到參す。師問うた、「甚處か來れり」。曰く、「江南より來れり」。師は言った、「汝還た渡江の船子を禮拜するか」。曰く、「和尚甚麼の故にか某に渡江の船子を禮拜せしむる」。師は言った、「是れ汝の善知識」。

永興北院可休禪師

永興北院可休禅師

僧問。如何是西來意。師曰。徧滿天下。曰。莫便是也無。師曰。是即牢收取。問。大作業底人來。師還接否。師曰。不接。曰。為甚麼不接。師曰。幸是好人家男女。

僧が問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「天下に遍滿す」。曰く、「便ち是れか無し莫し」。師は言った、「是れならば即ち牢に收取せよ」。問うた、「大いに業を作す人來れば、師還た接するか否」。師は言った、「接せず」。曰く、「甚麼の故にか接せざる」。師は言った、「幸に是れ好人家の男女」。

郴州太平院清海禪師

郴州太平院淸海禅師

僧問。古人道不從請益得。祖師為甚麼道誰得作佛。師曰。悟了方知。問。從上宗乘次第指授。未審今日如何舉唱。師曰。透出白雲深洞裡。名華異草嶺頭生。

僧が問うた、「古人道ふ、請益より得ずと。祖師甚麼の故にか道ふ、誰か佛を作さんと」。師は言った、「悟りて方に知る」。問うた、「從上宗乘次第に指授す、未だ審らかならず、今日如何に擧唱せん」。師は言った、「白雲深洞の裏を透し出づ、名花異草嶺頭に生ず」。

連州慈雲慧深普廣禪師

連州慈雲慧深普廣禅師

僧問。匿王請佛。既奉法於當時。我後延師。葢興宗於此日。幸施方便。無恡舉揚。師曰。不煩再問。問。如何是大圓鏡。師曰。著。問。如何是向上事。師曰。分明聽取。

僧が問うた、「匿王佛を請ひ、既に當時に法を奉ず。我が後師を延き、蓋し此の日に宗を興す。幸に方便を施し、擧揚を吝かにする無かれ」。師は言った、「再び問ふを煩はず」。問うた、「如何なるか是れ大圓鏡」。師は言った、「着」。問うた、「如何なるか是れ向上の事」。師は言った、「分明に聽取せよ」。

郢州興陽山道欽禪師

郢州興陽山道欽禅師

僧問。如何是興陽境。師曰。松竹乍栽山影綠。水流穿過院庭中。問。如何是佛。師曰。更是甚麼。

僧が問うた、「如何なるか是れ興陽の境」。師は言った、「松竹乍かに栽へて山影綠なり、水流出でて院庭の中を穿る」。問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「更に是れ甚麼ぞ」。

報恩資禪師法嗣

報恩資禅師法嗣

處州福林澄禪師

處州福林澄禅師

僧問。如何是伽藍。師曰。沒幡幀。曰。如何是伽藍中人。師曰。瞻禮有分。問。下堂一句。請師不吝。師曰。閑吟唯憶龐居士。天上人間不可陪。

僧が問うた、「如何なるか是れ伽藍」。師は言った、「幡幀を沒す」。曰く、「如何なるか是れ伽藍中の人」。師は言った、「瞻禮分有り」。問うた、「下堂の一句、師に吝かならざらんことを請ふ」。師は言った、「閑吟して唯だ龐居士を憶ふ、天上人間陪する可からず」。

翠峰欣禪師法嗣

翠峰欣禅師法嗣

處州報恩守真禪師

處州報恩守眞禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。閃爍烏飛急。奔騰兔走頻。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「閃爍として烏飛ぶこと急に、奔騰として兎走ること頻なり」。

鷲嶺遠禪師法嗣

鷲嶺遠禅師法嗣

襄州鷲嶺通禪師

襄州鷲嶺通禅師

僧問。世尊得道。地神報虗空神。和尚得道。未審甚麼人報。師曰。謝汝報來。

僧が問うた、「世尊道を得たれば、地神虛空神に報ず。和尚道を得たれば、未だ審らかならず、甚麼人か報ずる」。師は言った、「汝の報じ來るを謝す」。

龍華球禪師法嗣

龍華球禅師法嗣

杭州仁王院俊禪師

杭州仁王院俊禅師

僧問。古人道向上一路。千聖不傳。如何是不傳底事。師曰。向上問將來。曰。恁麼則上來不當去也。師曰。既知如是。踏步上來作甚麼。

僧が問うた、「古人道ふ、向上の一路、千聖傳へずと。如何なるか是れ傳へざるの事」。師は言った、「向上に向ひて問ひ將來れ」。曰く、「さようらば則ち上來當たらずして去らん」。師は言った、「既に如是を知りて、踏步して上來して作麼せん」。

酒仙遇賢禪師

酒仙遇賢禅師

姑蘇長洲林氏子。母夢吞大珠而孕。生多異祥。貌偉怪。口容雙拳。七歲甞沈大淵。而衣不潤。遂去家。師嘉禾永安可依。三十剃染圓具。往參龍華。發明心印。回居明覺院。唯事飲酒。醉則成歌頌.警道俗。因號酒仙。偈曰。綠水紅桃華。前街後巷走百餘遭。張三也識我。李四也識我。識我不識我。兩箇拳頭那箇大。兩箇之中一箇大。曾把虗空一𭣟破。摩挲令教卻恁麼。拈取須彌枕頭臥。楊子江頭浪最深。行人到此盡沈吟。他時若到無波處。還似有波時用心。金斝又聞泛。玉山還報頹。莫教更漏促。趂取月明回。貴買硃砂畵月。算來枉用工夫。醉臥綠楊陰下。起來強說真如。泥人再三叮囑。莫教失卻衣珠。一六二六。其事已足。一九二九。我要吃酒。長伸兩腳眠一𮄔。起來天地還依舊。門前綠樹無啼鳥。庭下蒼苔有落花。聊與東風論箇事。十分春色屬誰家。秋至山寒水冷。春來柳綠花紅。一點動隨萬變。江村煙雨濛濛。有不有。空不空。笊籬撈取西北風。生在閻浮世界。人情幾多愛惡。祇要吃些酒子。所以倒街臥路。死後卻產娑婆。不願超生淨土。何以故。西方淨土且無酒酤。師於祥符二年上元凌晨。浴罷就室。合拳右舉。左張其口而化。

姑蘇長洲林氏の子。母夢に大珠を吞みて孕む。生れて異祥多し。貌偉怪にして、口雙拳を容る。七歲嘗て大淵に沈みて、衣潤はず、遂に家を去る。嘉禾永安の可依に師事す。三十剃染圓具し、往きて龍華に參じ、心印を發明す。回りて明覺院に居り、唯だ酒を飲むを事とす。醉へば則ち歌頌を成し、道俗を警む。因りて酒仙と號す。偈に曰く、「綠水に紅桃花、前街後巷走ること百餘遭。張三も我を識り、李四も我を識る。我を識る我を識らず、兩箇の拳頭那箇か大ならん。兩箇の中一箇大なり、曾て虛空を把りて一つに𭣟破りき。摩挲して却ってさように教へ、須彌を拈取して枕頭に臥す。楊子江頭浪最も深し、行人此れに到りて盡く沈吟す。他時若し無波の處に到らば、還た有波の時の用心に似たらん。金斝又泛ぶを聞き、玉山還た頹るを報ず。更漏の促さるを教へる莫れ、月明を趁取して回れ。貴く朱砂を買ひて月を畫く、算へて來れば枉げて工夫を用ゐたり。醉臥綠楊の陰の下、起きて強ひて眞如を説く。泥人再三の叮囑、衣珠を失はしむる莫れ。一六二六、其の事已に足る。一九二九、我酒を喫さんと要す。長く兩脚を伸べて一𮄔に眠り、起きて天地還た依舊なり。門前の綠樹啼鳥無く、庭下の蒼苔落花有り。聊か東風と箇の事を論ず、十分の春色誰かの家に屬する。秋至れば山寒く水冷たく、春來れば柳綠く花紅し。一點動きて萬變に隨ふ、江村烟雨蒙蒙たり。有にして有らず、空にして空ならず、笊籬西北の風を撈取す。閻浮世界に生まれて、人情幾多の愛惡。只だ些の酒子を喫せん、所以に街に倒れ路に臥す。死し後却って娑婆に産せん、超生して淨土に願はず。何を以ての故ぞ。西方淨土且つ酒酤無し」。師祥符二年上元の凌晨、浴び罷みて室に就き、拳を合せて右を擧げ、左其の口を張りて化す

延壽輪禪師法嗣

延壽輪禅師法嗣

廬山歸宗道詮禪師

廬山歸宗道詮禅師

吉州劉氏子。僧問。承聞和尚親見延壽來。是否。師曰。山前麥熟也未。問。九峰山中還有佛法也無。師曰。有。曰。如何是九峰山中佛法。師曰。石頭大底大。小底小。尋屬江南國絕。僧徒例試經業。師之眾並習禪觀。乃述一偈。聞於州牧曰。比擬忘言合太虗。免教和氣有親疎。誰知道德全無用。今日為僧貴識書。州牧閱之。與僚佐議曰。旃檀林中。必無雜樹。唯師一院。特奏免試。南康知軍張南金具疏。集道俗迎請。坐歸宗道場。僧問。如何是歸宗境。師曰。千邪不如一直。問。如何是佛。師曰。待得雪消後。自然春到來。問。深山巖谷中。還有佛法也無。師曰。無。曰。佛法徧在一切處。為甚麼卻無。師曰。無人到。問。古人道不是風動.不是幡動時如何。師曰。來日路口有市。問。如何是學人自己。師曰。床窄先臥。粥稀後坐。雍熈二年順寂。塔於牛首庵。

吉州劉氏の子。僧が問うた、「承聞く、和尚親しく延壽を見て來りしと、是れや否」。師は言った、「山前の麥熟せしや未だ」。問うた、「九峰山中還た佛法有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ九峰山中の佛法」。師は言った、「石頭大ききは大なり、小さきは小なり」。尋いで江南の國絕えんに屬し、僧徒例の經業を試する有り。師の衆併せて禅禅觀を習ひ、乃ち一偈を述べ、州牧に聞えて曰く、「比擬して言を忘れて太虛に合し、和氣に親疎を有らしむるを免れん。誰か知らん、道德全く用無きを、今日僧と爲るに書を識るを貴ぶと」。州牧之を閱し、僚佐と議して曰く、「旃檀の林中、必ず雜樹無し。唯だ師の一院、特に奏して試を免れん」。南康の知軍張南金疏を具へ、道俗を集めて迎請し、歸宗の道場に坐す。僧が問うた、「如何なるか是れ歸宗の境」。師は言った、「千邪一直に如かず」。問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「雪の消えし後を得て、自然に春到來せん」。問うた、「深山の巖谷の中、還た佛法有るや無し」。師は言った、「無し」。曰く、「佛法一切の處に遍く在り、甚麼の故にか却って無し」。師は言った、「人到らず」。問うた、「古人道ふ、是れ風動ならず、是れ幡動ならずと、時如何」。師は言った、「來日路口に市有らん」。問うた、「如何なるか是れ學人の自己」。師は言った、「牀窄ければ先に臥し、粥稀ければ後に坐す」。雍熙二年順寂す。牛首庵に塔す。

潭州龍興𥙿禪師

潭州龍興𥙿禅師

僧問。如何是學人自己。師曰。張三李四。曰。比來問自己。為甚麼卻道張三李四。師曰。汝且莫草草。問。諸餘即不問。如何是和尚家風。師曰。家風即且置。阿那箇是汝不問底諸餘。

僧が問うた、「如何なるか是れ學人の自己」。師は言った、「張三李四」。曰く、「比來自己を問ふ、甚麼の故にか却って張三李四と道ふ」。師は言った、「汝且く草草たる莫れ」。問うた、「諸餘は即ち問はず、如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「家風は即ち且く置く。阿那箇か是れ汝の問はざる諸餘」。

保福儔禪師法嗣

保福儔禅師法嗣

漳州隆壽無逸禪師

漳州隆壽無逸禅師

開堂陞座。良久曰。諸上座。若是上根之士。早已掩耳。中下之流。競頭側聽。雖然如此。猶是不得已而言。諸上座。他時後日到處。有人問著今日事。且作麼生舉似他。若也舉得。舌頭鼓論。若也舉不得。如無三寸。且作麼生舉。

堂を開き座に升る。良久して曰く、「諸の上座、若し是れ上根の士ならば、早く已に耳を掩はん。中下の流、頭を競はして側聽す。然ると雖も如此、猶ほ是れ已むを得ずして言ふ。諸の上座、他時後日到る處、人の今日の事を問着せば、且く作麼生か他に擧似せん。若しも擧げ得れば、舌頭鼓論す。若しも擧げ得ざれば、三寸無きが如し。且く作麼生か擧げん」。

大龍洪禪師法嗣

大龍洪禅師法嗣

鼎州大龍山景如禪師

鼎州大龍山景如禅師

僧問。如何是佛法大意。師便喝。僧曰。尊意如何。師曰。會麼。曰。不會。師又喝。問。太陽一顯人皆羨。皷聲絕罷意如何。師曰。季秋凝後好晴天。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師便ち喝す。僧曰く、「尊意如何」。師は言った、「會するか」。曰く、「會せず」。師又喝す。問うた、「太陽一たび顯るれば人皆な羨む、鼓聲絕え罷みし意如何」。師は言った、「季秋の凝後好き晴天」。

鼎州大龍山楚勛禪師

鼎州大龍山楚勛禅師

上堂。良久曰。大眾祇恁麼各自散去。已是重宣此義了也。久立又奚為。然久立有久立底道理。知了。經一小劫如一食頃。不知便見茫然。還知麼。有知者出來。大家相共商量。僧出提坐具。曰。展即徧周沙界。縮即絲髮不存。展即是。不展即是。師曰。你從甚麼處得來。曰。恁麼則展去也。師曰。沒交涉。問。如何是大龍境。師曰。諸方舉似人。曰。如何是境中人。師曰。你為甚麼謾我。問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。阿彌陀佛。問。善法堂中師子吼。未審法嗣嗣何人。師曰。猶自恁麼問。

上堂。良久して曰く、「大衆只ださように各自散じて去れば、已に重ねて此の義を宣へ了へれり。久立して又奚をか爲す。然れども久立に久立の道理有り。知れば、一小劫を經て一食の頃の如し。知らざれば便ち茫然を見る。還た知るか。知る者有らば出で來れ、大家相い共に商量せん」。僧出でて坐具を提げて曰く、「展すれば即ち沙界に遍周し、縮めば即ち絲髮存せず。展する是れか、不展是れか」。師は言った、「汝甚麼の處よりか得て來れり」。曰く、「さようらば則ち展じて去らん」。師は言った、「交涉を沒す」。問うた、「如何なるか是れ大龍の境」。師は言った、「諸方人に擧似す」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「汝甚麼の故にか我を瞞す」。問うた、「亡僧遷化して甚麼の處に向ひて去る」。師は言った、「阿彌陀佛」。問うた、「善法堂中師子吼ゆ、未だ審らかならず、法嗣何人を嗣ぐ」。師は言った、「猶ほ自らさように問ふ」。

興元府普通院從善禪師

興元府普通院從善禅師

僧問。法輪再轉時如何。師曰。助上座喜。曰。合譚何事。師曰。異人掩耳。曰。便恁麼領會時如何。師曰。錯。問。佩劒叩松關時如何。師曰。莫亂作。曰。誰不知有。師曰。出。

僧が問うた、「法輪再び轉ずる時如何」。師は言った、「上座の喜を助く」。曰く、「合に何の事をか談ずる」。師は言った、「異人耳を掩ふ」。曰く、「便ちさように領會する時如何」。師は言った、「錯り」。問うた、「劍を佩びて松關を叩く時如何」。師は言った、「亂に作す莫れ」。曰く、「誰か有るを知らざる」。師は言った、「出でよ」。

白馬靄禪師法嗣

白馬靄禅師法嗣

襄州白馬智倫禪師

襄州白馬智倫禅師

僧問。如何是佛。師曰。真金也須失色。問。如何是和尚出身處。師曰。牛觝墻。曰。學人不會意旨如何。師曰。已成八字。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「眞金も亦た須く色を失ふべし」。問うた、「如何なるか是れ和尚の出身の處」。師は言った、「牛の牆を抵く」。曰く、「學人意旨を會せず如何」。師は言った、「已に八字を成せり」。

白兆楚禪師法嗣

白兆楚禅師法嗣

唐州保壽匡祐禪師

唐州保壽匡祐禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。近前來。僧近前。師曰。會麼。曰。不會。師曰。石火電光。已經塵劫。問。如何是為人底一句。師曰。開口入耳。曰。如何理會。師曰。逢人告人。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「近前せよ」。僧近前す。師は言った、「會するか」。曰く、「會せず」。師は言った、「石火の電光、已に塵劫を經ぬ」。問うた、「如何なるか是れ人を爲るの一句」。師は言った、「口を開けば耳に入る」。曰く、「如何に理會せん」。師は言った、「人に逢へば人に告ぐ」。

青原下九世

靑原下九世

黃龍達禪師法嗣

黃龍達禅師法嗣

眉州黃龍禪師

眉州黃龍禅師

僧問。如何是密室。師曰。斫不開。曰。如何是密室中人。師曰。非男女相。問。國內按劒者是誰。師曰。昌福。曰。忽遇尊貴時如何。師曰。不遺。

僧が問うた、「如何なるか是れ密室」。師は言った、「斫り開く可からず」。曰く、「如何なるか是れ密室中の人」。師は言った、「男女の相に非ず」。問うた、「國内劍を按ずる者は誰ぞ」。師は言った、「昌福」。曰く、「忽ち尊貴に遇はば時如何」。師は言った、「遺さず」。

清谿進禪師法嗣

淸溪進禅師法嗣

相州天平山從漪禪師

相州天平山從漪禅師

僧問。如何得出三界。師曰。將三界來與汝出。問。如何是和尚家風。師曰。顯露地。問。如何是佛。師曰。不指天地。曰。為甚麼不指天地。師曰。唯我獨尊。問。如何是天平。師曰。八凹九凸。問。洞深杳杳清谿水。飲者如何不升墜。師曰。更夢見甚麼。問。大眾雲集。合譚何事。師曰。香煙起處森羅見。

僧が問うた、「如何にして三界を出づるを得ん」。師は言った、「三界を將て來れば、汝に出でを與へん」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「顯露たる地」。問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「天地を指さず」。曰く、「甚麼の故にか天地を指さざる」。師は言った、「唯我獨尊」。問うた、「如何なるか是れ天平」。師は言った、「八凹九凸」。問うた、「洞深杳杳として淸溪の水、飮者如何にして升墜せざる」。師は言った、「更に甚麼をか夢見る」。問うた、「大衆雲集す、合に何の事をか談ずる」。師は言った、「香烟起こる處森羅見ゆ」。

廬山圓通緣德禪師

廬山圓通緣德禅師

臨安黃氏子。事本邑東山勤老宿剃染。徧遊諸方。江南國王於盧山建院。請師開法。上堂。諸上座。明取道眼。好是行腳本分事。道眼若未明。有甚麼用處。祇是移盤吃飯漢。道眼若明。有何障礙。若未明得。強說多端也無用處。無事切須尋究。僧問。如何是四不遷。師曰。地水火風。問。如何是古佛心。師曰。水鳥樹林。曰。學人不會。師曰。會取學人。問。久負沒絃琴。請師彈一曲。師曰。負來多少時也。曰。未審作何音調。師曰。話墮也。珍重。問。如何是佛法大意。師曰。過去燈明佛。本光瑞如是。本朝遣帥問罪江南。後主納土矣。而胡則者據守九江不降。大將軍曹翰部曲渡江入寺。禪者驚走。師淡坐如平日。翰至。不起不揖。翰怒訶曰。長老不聞殺人不眨眼將軍乎。師熟視曰。汝安知有不懼生死和尚邪。翰大奇。增敬而已。曰。禪者何為而散。師曰。擊皷自集。翰遣裨校擊之。禪無至者。翰曰。不至。何也。師曰。公有殺心故爾。師自起擊之。禪者乃集。翰再拜。問決勝之䇿。師曰。非禪者所知也。太平興國二年十月七日。陞堂曰。脫離世緣。乃在今日。囑令門人壘青石為塔。乃曰。他日塔作紅色。吾再至也。言訖而逝。諡道濟禪師。

臨安黃氏の子。本邑東山の勤老宿を事ゑて剃染し、遍く諸方を游ぶ。江南の國王廬山に院を建て、師を請じて法を開かしむ。上堂、「諸の上座、明るく道眼を取れ、好し是れ行脚の本分の事。道眼若し未だ明めば、甚麼の用處か有らん、只是れ盤を移して飯を喫する漢。道眼若し明めば、何の障礙か有らん。若し未だ明るく得ざれば、強ひて多端を説くも亦た用處無し。無事切に須く尋究すべし」。僧が問うた、「如何なるか是れ四不遷」。師は言った、「地水火風」。問うた、「如何なるか是れ古佛心」。師は言った、「水鳥樹林」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「學人を會取せよ」。問うた、「久しく沒弦の琴を負ふ、師に一曲を彈ぜんことを請ふ」。師は言った、「負ひて來ること多少の時なる」。曰く、「未だ審らかならず、何の音調をか作す」。師は言った、「話墮ちたり。珍重」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「過去燈明佛、本光瑞に如是なり」。本朝帥を遣はして江南に罪を問へば、後主土を納めたり。而して胡則と言ふ者九江を據守して降らず。大將軍曹翰の部曲江を渡りて寺に入り、禅者驚き走る。師平日の如く淡坐す。翰至り、起たず揖せず。翰怒りて呵して曰く、「長老人を殺して眼を眨まざる將軍を聞かずや」。師熟視して曰く、「汝安んぞ生死を懼れざる和尚有るを知らんや」。翰大いに奇とし、敬を增すのみ。曰く、「禅者何爲れか散ぜし」。師は言った、「鼓を擊てば自ら集まらん」。翰裨校を遣はして之を擊たしむるも、禅至る者無し。翰曰く、「至らざるは何ぞ」。師は言った、「公殺心有るが故に爾り」。師自ら起ちて之を擊つ、禅者乃ち集まる。翰再拜し、勝を決するの策を問ふ。師は言った、「禅者の知る所に非ず」。太平興國二年十月七日、堂に升りて曰く、「世緣を脱離するは、乃ち今日に在り」。門人に囑して青石を壘りて塔と爲さしめ、乃ち曰く、「他日塔紅色を作さば、吾再び至らん」。言訖りて逝く。道濟禅師と諡す。

清涼復禪師法嗣

淸凉復禅師法嗣

昇州奉先寺慧同淨照禪師

升州奉先寺慧同淨照禅師

魏府張氏子。僧問。教中道。唯一堅密身。一切塵中見。又道。佛身充滿於法界。普見一切群生前。於此二途。請師說。師曰。唯一堅密身。一切塵中見。問。如何是古佛心。師曰。汝擬阿那箇不是。問。如何是常在底人。師曰。更問阿誰。

魏府張氏の子。僧が問うた、「教に道ふ、唯一堅密の身、一切塵中に見ると。又道ふ、佛身法界に充滿し、普く一切群生の前に見ると。此の二途に於て、師に説かんことを請ふ」。師は言った、「唯一堅密の身、一切塵中に見る」。問うた、「如何なるか是れ古佛心」。師は言った、「汝擬して阿那箇か不是とせん」。問うた、「如何なるか是れ常在の人」。師は言った、「更に阿誰に問ふ」。

龍濟修禪師法嗣

龍濟修禅師法嗣

河東廣原禪師

河東廣原禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。聽取一偈。剎剎現形儀。塵塵具覺知。性源常鼓浪。不悟未曾移。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「一偈を聽取せよ、刹刹に形儀を現じ、塵塵に覺知を具ふ。性源常に浪を鼓るも、悟らざれば未曾て移らず」。

南臺安禪師法嗣

南臺安禅師法嗣

襄州鷲嶺善美禪師

襄州鷲嶺善美禅師

僧問。如何是鷲嶺境。師曰。峴山對碧玉。江水往南流。曰。如何是境中人。師曰。有甚麼事。問。百川異流。還歸大海。未審大海有幾滴。師曰。汝還到海也未。曰。到海後如何。師曰。明日來。向汝道。

僧が問うた、「如何なるか是れ鷲嶺の境」。師は言った、「峴山碧玉に對し、江水南に流る」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「甚麼の事か有る」。問うた、「百川異に流るれど、還た大海に歸す。未だ審らかならず、大海に幾滴ぞ」。師は言った、「汝還た海に到れりや未だ」。曰く、「海に到りし後如何」。師は言った、「明日來れ、汝に道はん」。

歸宗詮禪師法嗣

歸宗詮禅師法嗣

瑞州九峰義詮禪師

瑞州九峰義詮禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。有力者負之而趨。

僧が問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。師は言った、「力有る者之を負ひて趨る」。

隆壽逸禪師法嗣

隆壽逸禅師法嗣

隆壽法騫禪師

隆壽法騫禅師

泉州施氏子。漳州刺史陳洪銛請開法。上堂。今日隆壽出世。三世諸佛森羅萬象。同時出世。同時轉法輪。諸人還見麼。僧問。如何是隆壽境。師曰。無汝插足處。曰。如何是境中人。師曰。未識境在。有僧來參。次日請問心要。師曰。昨日相逢序起居。今朝相見事還如。如何卻覓呈心要。心要如何特地疎。

泉州施氏の子。漳州刺史陳洪銛法を開かんことを請ふ。上堂、「今日隆壽世に出づ、三世の諸佛森羅萬象、同時に世に出で、同時に法輪を轉ず。諸人還た見るか」。僧が問うた、「如何なるか是れ隆壽の境」。師は言った、「汝の足を插す處無し��。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「未だ境在るを識らず」。僧有りて來り參す。次日心要を請問す。師は言った、「昨日相逢へて起居を序し、今朝相見へて事還た如し。如何に却って心要を覓めん、心要如何にして特地に疏ならん」。

五燈會元巻第八

五燈會元巻第九

溈仰宗

潙仰宗

南嶽下三世

南岳下三世

百丈海禪師法嗣

百丈海禅師法嗣

潭州溈山靈祐禪師

潭州潙山靈祐禅師

福州長谿趙氏子。年十五出家。依本郡建善寺法常律師。剃髮於杭州龍興寺。究大小乘教。二十三遊江西。參百丈。丈一見。許之入室。遂居參學之首。侍立次。丈問。誰。師曰。某甲。丈曰。汝撥爐中有火否。師撥之曰。無火。丈躬起深撥得少火。舉以示之曰。汝道。無這箇聻。師由是發悟。禮謝陳其所解。丈曰。此乃暫時岐路耳。經云。欲識佛性義。當觀時節因緣。時節既至。如迷忽悟。如忘忽憶。方省己物不從他得。故祖師雲。悟了同未悟。無心亦無法。祇是無虗妄凡聖等心。本來心法元自備足。汝今既爾。善自護持。次日。同百丈入山作務。丈曰。將得火來麼。師曰。將得來。丈曰。在甚處。師乃拈一枝柴吹兩吹。度與百丈。丈曰。如蟲禦木。司馬頭陀自湖南來。謂丈曰。頃在湖南尋得一山。名大溈。是一千五百人善知識所居之處。丈曰。老僧住得否。陀曰。非和尚所居。丈曰。何也。陀曰。和尚是骨人。彼是肉山。設居徒不盈千。丈曰。吾眾中莫有人住得否。陀曰。待歷觀之。時華林覺為第一座。丈令侍者請至。問曰。此人如何。陀請謦欬一聲。行數步。陀曰。不可。丈又令喚師。師時為典座。陀一見乃曰。此正是溈山主人也。丈是夜召師入室。囑曰。吾化緣在此。溈山勝境。汝當居之。嗣續吾宗。廣度後學。而華林聞之曰。某甲忝居上首。典座何得住持。丈曰。若能對眾下得一語出格。當與住持。即指淨瓶問曰。不得喚作淨瓶。汝喚作甚麼。林曰。不可喚作木揬也。丈乃問師。師踢倒淨瓶便出去。丈笑曰。第一座輸卻山子也。師遂住焉。是山峭絕。敻無人煙。猿猱為伍。橡栗充食。經於五七載。絕無來者。師自念言。我本住持。為利益於人。既絕往還。自善何濟。即捨庵而欲他往。行至山口。見虵虎狼豹。交橫在路。師曰。汝等諸獸。不用攔吾行路。吾若於此山有緣。汝等各自散去。

福州長溪趙氏の子。年十五にして家を出で、本郡建善寺の法常律師に依る。杭州龍興寺にて髮を剃り、大小乘の教を究む。二十三江西に游び、百丈に參ず。百丈一見して、之を許して入室せしめ、遂に參學の首に居る。侍立する次、百丈問うた、「誰ぞ」。師は言った、「某甲」。百丈曰く、「汝爐中を撥して火有るか否か」。師之を撥して曰く、「火無し」。百丈躬ら起ちて深く撥して少しの火を得、擧げて以て之を示して曰く、「汝道ふ、這箇無しとや聻」。師是れに由りて悟を發し、禮謝して其の解る所を陳す。百丈曰く、「此乃ち暫時の歧路のみ。經に説く、『佛性の義を識らんと欲せば、當に時節因緣を觀るべし』。時節既に至れば、迷の忽ち悟るが如く、忘の忽ち憶ふが如く、方に己が物他より得ずを省む。故に祖師説く、『悟り了へば未悟に同じ、心無くんば亦た法無し』。只是れ虚妄の凡聖等の心無く、本來心法元より自ら備足せり。汝今既に爾り、善く自ら護持せよ」。次日、百丈と同じく山に入りて作務す。百丈曰く、「火を將て來れりや」。師は言った、「將て來れり」。百丈曰く、「甚處にか在る」。師乃ち一枝の柴を拈じて兩吹し、百丈に度す。百丈曰く、「蟲の木を御するが如し」。司馬頭陀湖南より自り來り、百丈に謂ひて曰く、「頃に湖南に一山を尋得て、名を大潙と曰ふ、是れ一千五百人の善知識の居る所の處なり」。百丈曰く、「老僧住し得るか否」。頭陀曰く、「和尚の居る所に非ず」。百丈曰く、「何ぞ」。頭陀曰く、「和尚是れ骨人、彼是れ肉山。設ひ居れば徒千に盈たず」。百丈曰く、「吾が衆中に人の住し得る有るか莫し」。頭陀曰く、「待ちて歷觀せん」。時に華林覺第一座と爲る。百丈侍者をして請ひ至らしめ、問ひて曰く、「此の人如何」。頭陀謦咳の一聲、行くこと數步を請ふ。頭陀曰く、「不可」。百丈又師を喚はしむ。師時に典座を爲る。頭陀一見して乃ち曰く、「此れ正に潙山の主人なり」。百丈是の夜師を召して室に入れ、囑して曰く、「吾化緣此れに在り。潙山の勝境、汝當に之に居り、吾が宗を嗣續し、廣く後學を度すべし」。而して華林聞きて曰く、「某甲忝くも上首に居る、典座何ぞ住持し得る」。百丈曰く、「若し能く衆に對して出格の一語を下さば、當に住持を與へん」。即ち淨瓶を指して問ひて曰く、「淨瓶と喚ふを得ず、汝何とか喚ふ」。華林曰く、「木揬と喚ぶ可からず」。百丈乃ち師に問ふ。師淨瓶を踢倒して便ち出去す。百丈笑ひて曰く、「第一座山子を輸却せり」。師遂に焉に住す。是の山峭絕にして、敻として人烟無く、猿猱伍と爲し、橡栗食を充つ。五七載を經るも、絕えて來る者無し。師自ら念じて曰く、「我本より住持するは、人に利益するが爲。既に往還を絕てば、自善何の濟ふ所ぞ」。即ち庵を捨てて他に往かんと欲す。行きて山口に至り、蛇虎狼豹の路に交橫するを見る。師は言った、「汝等諸の獸、吾が行路を攔ふを用ゐず。吾若し此の山に緣有らば、汝等各自散じて去れ、

吾若無緣。汝等不用動。吾從路過。一任汝吃。言訖。蟲虎四散而去。師乃回庵。未及一載。安上座(即懶安也)。同數僧從百丈來。輔佐於師。安曰。某與和尚作典座。待僧及五百人。不論時節即不造粥。便放某甲下。自後山下居民。稍稍知之。率眾共營梵宇。連帥李景讓奏號同慶寺。相國裴公休甞諮玄奧。繇是天下禪學輻輳焉。上堂。夫道人之心。質直無偽。無背無面。無詐妄心。一切時中。視聽尋常。更無委曲。亦不閉眼塞耳。但情不附物即得。從上諸聖。祇說濁邊過患。若無如許多惡覺情見想習之事。譬如秋水澄亭。清淨無為。澹濘無礙。喚他作道人。亦名無事人。時有僧問。頓悟之人更有修否。師曰。若真悟得本他自知時。修與不修是兩頭語。如今初心雖從緣得。一念頓悟自理。猶有無始曠劫習氣未能頓淨。須教渠淨除現業流識。即是修也。不可別有法。教渠修行趣向。從聞入理。聞理深妙。心自圓明。不居惑地。縱有百千妙義。抑揚當時。此乃得坐披衣。自解作活計。始得。以要言之。則實際理地。不受一塵。萬行門中。不捨一法。若也單刀直入。則凡聖情盡。體露真常。理事不二。即如如佛。仰山問。如何是祖師西來意。師指燈籠曰。大好燈籠。仰曰。莫祇這便是麼。師曰。這箇是甚麼。仰曰。大好燈籠。師曰。果然不見。一日。師謂眾曰。如許多人。祇得大機。不得大用。仰山舉此語。問山下庵主曰。和尚恁麼道。意旨如何。主曰。更舉看。仰擬再舉。被庵主踏倒。仰歸舉似師。師呵呵大笑。師在法堂坐。庫頭擊木魚。火頭擲卻火抄。拊掌大笑。師曰。眾中也有恁麼人。遂喚來問。你作麼生。火頭曰。某甲不吃粥肚飢。所以歡喜。師乃點頭(後鏡清怤雲。將知溈山眾裡無人。臥龍球雲。將知溈山眾裡有人)。師摘茶次。謂仰山曰。終日摘茶祇聞子聲。不見子形。仰撼茶樹。師曰。

(師引き続き曰く、)吾若し緣無ければ、汝等動くを用ゐず。吾路を過ぎん、一任に汝喫せ」。言訖りて、蟲虎四散して去る。師乃ち庵に回る。未だ一載に及ばず、安上座(即ち懶安なり)數僧と同じく百丈より來り、師を輔佐す。安曰く、「某和尚と典座を作さん。僧及び五百人を待ちて、時節を論ぜずんば即ち粥を造らず、便ち某甲を放下せん」。自後山下の居民、稍々之を知り、衆を率ゐて共に梵宇を營む。連帥李景讓奏して同慶寺と號す。相國裴公休嘗て玄奧を咨る、繇りて是れ天下の禅學輻輳す。上堂、「夫れ道人の心、質直にして僞無く、背無く面無く、詐妄の心無し。一切時中、視聽尋常にして、更に委曲無く、亦た眼を閉ぢ耳を塞がず、但だ情物に附かざれば即ち得。從上諸の聖、只だ濁邊の過患を説く。若し許多の惡覺情見想習の事無からば、譬へば秋水澄亭として、淸淨無爲、澹濘礙無し。他を喚んで道人と作し、亦た名づけて無事人と曰ふ」。時に僧有りて問うた、「頓悟の人更に修有るか否」。師は言った、「若し眞に悟りて本を得ば、他自ら時を知る。修と不修と是れ兩頭の語。如今初心緣に從りて得ると雖も、一念頓悟して自ら理す、猶ほ無始曠劫の習氣未だ能く頓らに淨めざる有り、須く渠をして現業流識を淨除せしむべし、即ち是れ修なり。別に法有る可からず、渠をして修行に趣向せしむる。聞より理に入り、理を聞きて深妙なれば、心自ら圓明して、惑地に居らず。縱ひ百千の妙義有るも、抑揚して當時、此乃ち坐して衣を披くを得て、自ら活計を作すを解りて、始めて得。要を以て之を言へば、則ち實際の理地、一塵を受けず。萬行門中、一法を捨てず。若しも單刀直入せば、則ち凡聖の情盡き、體露れて眞常、理事不二なり、即ち如如の佛の如し」。仰山問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。師燈籠を指して曰く、「大好なる燈籠」。仰山曰く、「只だ這れ便ち是れか莫し」。師は言った、「這箇是れ甚麼ぞ」。仰山曰く、「大好なる燈籠」。師は言った、「果然見えず」。一日、師衆に謂ひて曰く、「許多の人、只だ大機を得て、大用を得ず」。仰山此の語を擧げ、山下の庵主に問ひて曰く、「和尚さように道へるは、意旨如何」。庵主曰く、「更に擧げて看よ」。仰山擬して再び擧げんとすれば、庵主に踏倒せらる。仰山歸りて師に擧似す。師呵呵と大笑す。師法堂に坐す。庫頭木魚を擊ち、火頭火抄を擲却し、掌を拊ちて大笑す。師は言った、「衆中も亦たさような人有り」。遂に喚び來りて問うた、「汝作麼生」。火頭曰く、「某甲粥を喫せず肚飢えたり、所以に歡喜す」。師乃ち頭を點ず。(後に鏡淸怤曰く、「將に知らん、潙山衆裏人無きを」。臥龍球曰く、「將に知らん、潙山衆裏人有るを」)。師茶を摘む次、仰山に謂ひて曰く、「終日茶を摘んで只だ子の聲を聞き、子の形を見ず」。仰山茶樹を撼す。師は言った、

子祇得其用。不得其體。仰曰。未審和尚如何。師良久。仰曰。和尚祇得其體。不得其用。師曰。放子三十棒。仰曰。和尚棒某甲吃。某甲棒教誰吃。師曰。放子三十棒(玄覺雲。且道過在甚麼處)。上堂。僧出曰。請和尚為眾說法。師曰。我為汝得徹困也。僧禮拜(後人舉似雪峰峰曰。古人得恁麼老婆心切。玄沙雲。山頭和尚蹉過古人事也。雪峰聞之。乃問沙曰。甚麼處是老僧蹉過古人事處。沙曰。大小溈山被那僧一問。直得百雜碎。峰乃駭然)。師坐次。仰山入來。師曰。寂子速道。莫入陰界。仰曰。慧寂信亦不立。師曰。子信了不立。不信不立。仰曰。祇是慧寂。更信阿誰。師曰。若恁麼即是定性聲聞。仰曰。慧寂佛亦不立。師問仰山。涅槃經四十卷。多少是佛說。多少是魔說。仰曰。總是魔說。師曰。已後無人奈子何。仰曰。慧寂即一期之事。行履在甚麼處。師曰。祇貴子眼正。不說子行履。仰山蹋衣次。提起問師曰。正恁麼時。和尚作麼生。師曰。正恁麼時。我這裡無作麼生。仰曰。和尚有身而無用。師良久。卻拈起問曰。汝正恁麼時。作麼生。仰曰。正恁麼時。和尚還見伊否。師曰。汝有用而無身。師後忽問仰山。汝春間有話未圓。今試道看。仰曰。正恁麼時。切忌勃訴。師曰。停囚長智。師一日喚院主。主便來。師曰。我喚院主。汝來作甚麼。主無對(曹山代雲。也知和尚不喚某甲)。又令侍者喚第一座。座便至。師曰。我喚第一座。汝來作甚麼。座亦無對(曹山代雲。若令侍者喚。恐不來。法眼雲。適來侍者喚)。師問雲巖。聞汝久在藥山。是否。巖曰。是。師曰。如何是藥山大人相。巖曰。涅槃後有。師曰。如何是涅槃後有。巖曰。水灑不著。巖卻問師。百丈大人相如何。師曰。巍巍堂堂。煒煒煌煌。聲前非聲。色後非色。蚊子上鐵牛。無汝下觜處。師過淨瓶與仰山。山擬接。

(師引き続き曰く、)「子只だ其の用を得て、其の體を得ず」。仰山曰く、「未だ審らかならず、和尚如何」。師良久す。仰山曰く、「和尚只だ其の體を得て、其の用を得ず」。師は言った、「子に三十棒を放つ」。仰山曰く、「和尚の棒某甲喫すれば、某甲の棒誰をして喫はしめん」。師は言った、「子に三十棒を放つ」。(玄覺曰く、「且く道へ、過甚麼の處にか在る」)。上堂。僧出でて曰く、「和尚に衆の爲に法を説かんことを請ふ」。師は言った、「我汝の爲に徹困を得たり」。僧禮拜す。(後人擧げて雪峰に似す、雪峰曰く、「古人さような老婆心切を得たり」。玄沙曰く、「山頭和尚古人事を蹉過せり」。雪峰之を聞き、乃ち玄沙に問ひて曰く、「甚麼の處にか是れ老僧古人事を蹉過せし處」。玄沙曰く、「大小潙山那の僧の一問に被りて、直に百雜碎を得たり」。雪峰乃ち駭然たり)。師坐する次、仰山入り來る。師は言った、「寂子速く道へ、陰界に入る莫れ」。仰山曰く、「慧寂信も亦た立てず」。師は言った、「子信じて立てず、信ぜずして立てず」。仰山曰く、「只是れ慧寂、更に阿誰をか信ぜん」。師は言った、「若しさようらば即ち是れ定性の聲聞」。仰山曰く、「慧寂佛も亦た立てず」。師仰山に問うた、「《涅槃經》四十卷、多少是れ佛説、多少是れ魔説」。仰山曰く、「總て是れ魔説」。師は言った、「已後人の子を奈何する無かるべし」。仰山曰く、「慧寂即ち一期の事、行履何の處にか在る」。師は言った、「只だ子の眼の正なるを貴ぶ、子の行履を説かず」。仰山衣を蹋む次、提起して師に問ひて曰く、「正にさような時、和尚作麼生」。師は言った、「正にさような時、我這裏に作麼生無し」。仰山曰く、「和尚身有りて用無し」。師良久して、却って拈起して問ひて曰く、「汝正にさような時、作麼生」。仰山曰く、「正にさような時、和尚還た伊を見るか否」。師は言った、「汝用有りて身無し」。師後に忽ち仰山に問うた、「汝春の間話未圓有り、今試みに道へて看よ」。仰山曰く、「正にさような時、切に勃訴を忌むべし」。師は言った、「囚を停めて智を長ず」。師一日院主を喚ぶ。院主便ち來る。師は言った、「我院主を喚ぶ、汝來りて作麼する」。院主對無し。(曹山代えて曰く、「も知る、和尚某甲を喚ばざるを」)。又侍者をして第一座を喚ばしむ。第一座便ち至る。師は言った、「我第一座を喚ぶ、汝來りて作麼する」。第一座も亦た對無し。(曹山代えて曰く、「若し侍者をして喚ばしめば、恐らく來らざらん」。法眼曰く、「適來侍者喚べり」)。師雲巖に問うた、「聞く、汝久しく藥山に在りと、是れや否」。雲巖曰く、「是れ」。師は言った、「如何なるか是れ藥山の大人相」。雲巖曰く、「涅槃後に有り」。師は言った、「如何なるか是れ涅槃後有る」。雲巖曰く、「水洒ること着かず」。雲巖却って師に問うた、「百丈の大人相如何」。師は言った、「巍巍堂堂、煒煒煌煌。聲前聲に非ず、色後色に非ず。蚊子鐵牛に上れば、汝の嘴を下す處無し」。師淨瓶を仰山に過す。仰山擬して接せんとすれば、

師卻縮手曰。是甚麼。仰曰。和尚還見箇甚麼。師曰。若恁麼。何用更就吾覓。仰曰。雖然如此。仁義道中與和尚提瓶挈水。亦是本分事。師乃過淨瓶與仰山。師與仰山行次。指栢樹子問曰。前面是甚麼。仰曰。栢樹子。師卻問耘田翁。翁亦曰。栢樹子。師曰。這耘田翁向後亦有五百眾。師問仰山。何處來。仰曰。田中來。師曰。禾好刈也未。仰作刈禾勢。師曰。汝適來作青見。作黃見。作不青不黃見。仰曰。和尚背後是甚麼。師曰。子還見麼。仰拈禾穗曰。和尚何曾問這箇。師曰。此是鵝王擇乳。師問仰山。天寒人寒。仰曰。大家在這裡。師曰。何不直說。仰曰。適來也不曲。和尚如何。師曰。直須隨流。上堂。仲冬嚴寒年年事。晷運推移事若何。仰山進前。叉手而立。師曰。我情知汝答這話不得。香嚴曰。某甲偏答得這話。師躡前問。嚴亦進前。叉手而立。師曰。賴遇寂子不會。師一日見劉鐵磨來。師曰。老牸牛。汝來也。磨曰。來日臺山大會齋。和尚還去麼。師乃放身作臥勢。磨便出去。有僧來禮拜。師作起勢。僧曰。請和尚不用起。師曰。老僧未曾坐。僧曰。某甲未曾禮。師曰。何故無禮。僧無對(同安代雲。和尚不怪)。僧問。如何是道。師曰。無心是道。曰。某甲不會。師曰。會取不會底好。曰。如何是不會底。師曰。祇汝是。不是別人。復曰。今時人但直下體取不會底。正是汝心。正是汝佛。若向外得一知一解。將為禪道。且沒交涉。名運糞入。不名運糞出。汙汝心田。所以道不是道。問。如何是百丈真。師下禪床。叉手立。曰。如何是和尚真。師卻坐。師坐次。仰山從方丈前過。師曰。若是百丈先師見。子須吃痛棒始得。仰曰。即今事作麼生。師曰。合取兩片皮。仰曰。此恩難報。師曰。非子不才。廼老僧年邁。仰曰。今日親見百丈師翁來。師曰。子向甚麼處見。仰曰。不道見祇是無別。

(師引き続き曰く、)師却って手を縮めて曰く、「是れ甚麼ぞ」。仰山曰く、「和尚還た箇の甚麼をか見る」。師は言った、「若しさようらば、何ぞ用ゐて更に吾に就きて覓めん」。仰山曰く、「然ると雖も如此、仁義の道中和尚と瓶を提げ水を挈ぐるも、亦た是れ本分の事」。師乃ち淨瓶を仰山に過す。師仰山と行く次、柏樹子を指して問ひて曰く、「前面是れ甚麼ぞ」。仰山曰く、「柏樹子」。師却って耘田翁に問ふ。翁も亦た曰く、「柏樹子」。師は言った、「這の耘田翁向後も亦た五百衆有らん」。師仰山に問うた、「何處か來れり」。仰山曰く、「田中より來れり」。師は言った、「禾好く刈れりや未だ」。仰山禾を刈るの勢を作す。師は言った、「汝適來青く見たるか、黃く見たるか、青からず黃からざるを見たるか」。仰山曰く、「和尚の背後是れ甚麼ぞ」。師は言った、「子還た見るか」。仰山禾穗を拈じて曰く、「和尚何ぞ曾て這箇を問はん」。師は言った、「此れ是れ鵞王の乳を擇ぶ」。師仰山に問うた、「天寒く人寒し」。仰山曰く、「大家這裏に在り」。師は言った、「何ぞ直に説かざる」。仰山曰く、「適來も曲ならず。和尚如何」。師は言った、「直に須く流に隨ふべし」。上堂、「仲冬の嚴寒年年の事、晷運の推移する事若何」。仰山進み前り、手を叉いで立つ。師は言った、「我情知す、汝此の話に答へるを得ざるを」。香嚴曰く、「某甲偏に此の話に答へ得」。師蹑り前に問ふ。香嚴も亦た進み前り、手を叉いで立つ。師は言った、「賴む寂子會せざりしを」。師一日劉鐵磨の來るを見る。師は言った、「老牸牛、汝來れり」。鐵磨曰く、「來日台山大會齋有り、和尚還た去るか」。師乃ち身を放ちて臥の勢を作す。鐵磨便ち出去す。僧有りて來り禮拜す。師起つの勢を作す。僧曰く、「和尚起つを用ゐざらんことを請ふ」。師は言った、「老僧未曾て坐せず」。僧曰く、「某甲未曾て禮せず」。師は言った、「何の故にか禮無し」。僧對無し。(同安代えて曰く、「和尚怪しまず」)。僧が問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「心無きは是れ道」。曰く、「某甲會せず」。師は言った、「會せざるを會取する好し」。曰く、「如何なるか是れ會せざる」。師は言った、「只だ汝是れなり、是れ別人に非ず」。復た曰く、「今時の人但だ直下して會せざるを體取せば、正に是れ汝の心、正に是れ汝の佛。若し外に向ひて一知一解を得て、將に禅道と爲さば、且く交涉を沒す。糞を運び入ると名と名づけ、糞を運び出づと名づけず。汝の心田を污す。所以に道へる、是れ道に非ずと」。問うた、「如何なるか是れ百丈の眞」。師禪牀を下り、手を叉いで立つ。曰く、「如何なるか是れ和尚の眞」。師却って坐す。師坐する次、仰山方丈の前より過ぐ。師は言った、「若し是れ百丈先師の見なば、子須く痛棒を喫して始めて得」。仰山曰く、「即今の事作麼生」。師は言った、「兩片の皮を合取せよ」。仰山曰く、「此の恩報じ難し」。師は言った、「子の不才に非ず、乃ち老僧年邁ぐ」。仰山曰く、「今日親しく百丈師翁の來るを見たり」。師は言った、「子甚麼の處に向ひて見る」。仰山曰く、「道ふ見たりと、只だ別無し」。

師曰。始終作家。師問仰山。即今事且置。古來事作麼生。仰叉手近前。師曰。猶是即今事。古來事作麼生。仰退後立。師曰。汝屈我。我屈汝。仰便禮拜。仰山香嚴侍立次。師舉手曰。如今恁麼者少。不恁麼者多。嚴從東過西立。仰從西過東立。師曰。這箇因緣。三十年後如金擲地相似。仰曰。亦須是和尚提唱始得。嚴曰。即今亦不少。師曰。合取口。師坐次。仰山入來。師以兩手相交示之。仰作女人拜。師曰。如是。如是。師方丈內坐次。仰山入來。師曰。寂子。近日宗門令嗣作麼生。仰曰。大有人疑著此事。師曰。寂子作麼生。仰曰。慧寂祇管困來閤眼。健即坐禪。所以未曾說著在。師曰。到這田地也難得。仰曰。據慧寂所見。祇如此一句也著不得。師曰。汝為一人也不得。仰曰。自古聖人。盡皆如此。師曰。大有人笑汝恁麼祇對。仰曰。解笑者是慧寂同參。師曰。出頭事作麼生。仰繞禪床一匝。師曰。裂破古今。仰山香嚴侍立次。師曰。過去現在未來。佛佛道同。人人得箇解脫路。仰曰。如何是人人解脫路。師回顧香嚴曰。寂子借問。何不答伊。嚴曰。若道過去未來現在。某甲卻有箇祇對處。師曰。子作麼生祇對。嚴珍重便出。師卻問仰山曰。智閑恁麼祇對。還契寂子也無。仰曰。不契。師曰。子又作麼生。仰亦珍重出去。師呵呵大笑曰。如水乳合。一日。師翹起一足謂仰山曰。我每日得他負載。感伊不徹。仰曰。當時給孤園中。與此無別。師曰。更須道始得。仰曰。寒時與他襪著。也不為分外。師曰。不負當初。子今已徹。仰曰。恁麼更要答話在。師曰。道看。仰曰。誠如是言。師曰。如是。如是。師問仰山。生住異滅。汝作麼生會。仰曰。一念起時不見有生住異滅。師曰。子何得遣法。仰曰。和尚適來問甚麼。師曰。生住異滅。仰曰。卻喚作遣法。師問仰山。妙淨明心。汝作麼生會。仰曰。

師は言った、「始終作家なり」。師仰山に問うた、「即今の事且く置き、古來の事作麼生」。仰山手を叉いで近前す。師は言った、「猶ほ是れ即今の事。古來の事作麼生」。仰山退き後れて立つ。師は言った、「汝我を屈し、我汝を屈す」。仰山便ち禮拜す。仰山、香嚴侍立する次、師手を擧げて曰く、「如今さような者は少く、さようならざる者は多し」。香嚴東より西を過ぎて立ち、仰山西より東を過ぎて立つ。師は言った、「這箇の因緣、三十年後金を地に擲つに相似たらん」。仰山曰く、「亦た須く是れ和尚の提唱あらば始めて得」。香嚴曰く、「即今も亦た少からず」。師は言った、「口を合取せよ」。師坐する次、仰山入り來る。師兩手を以て相交へて之を示す。仰山女人の拜を作す。師は言った、「如是、如是」。師方丈内に坐する次、仰山入り來る。師は言った、「寂子、近日宗門の令嗣作麼生」。仰山曰く、「大に人の此の事を疑着する有り」。師は言った、「寂子作麼生」。仰山曰く、「慧寂只だ困み來れば眼を合せ、健ければ即ち坐禅す、所以に未曾て説いて着けざる在り」。師は言った、「這の田地に到るも亦た得難し」。仰山曰く、「慧寂の見る所に據れば、只だ如此の一句も着るを得ず」。師は言った、「汝一人を爲るも亦た得ず」。仰山曰く、「自ら古聖人、盡く皆な如此なり」。師は言った、「大に人の汝さように祇對するを笑はん有り」。仰山曰く、「笑ふを解する者は是れ慧寂の同參」。師は言った、「出頭の事作麼生」。仰山禪牀を繞ること一匝す。師は言った、「古今を裂破す」。仰山、香嚴侍立する次、師は言った、「過去現在未來、佛佛道同、人人箇の解脫路を得」。仰山曰く、「如何なるか是れ人人の解脫路」。師香嚴を回顧して曰く、「寂子問を借る、何ぞ伊に答へざる」。香嚴曰く、「若し過去未來現在を道はば、某甲却って箇の祇對する處有り」。師は言った、「子作麼生か祇對する」。香嚴珍重して便ち出づ。師却って仰山に問ひて曰く、「智閑さように祇對す、還た寂子と契するや無し」。仰山曰く、「契せず」。師は言った、「子又作麼生」。仰山も亦た珍重して出去す。師呵呵と大笑して曰く、「水乳の合するが如し」。一日、師一足を翹起して仰山に謂ひて曰く、「我每日他の負載を得て、伊を感ずるに徹せず」。仰山曰く、「當時給孤園中、此れと別無し」。師は言った、「更に須く道ふべくして始めて得」。仰山曰く、「寒き時他と襪を着け、も分外と爲さず」。師は言った、「當初を負かず、子今已に徹せり」。仰山曰く、「さようならば更に答話要在り」。師は言った、「道へて看よ」。仰山曰く、「誠に如是の言」。師は言った、「如是、如是」。師仰山に問うた、「生住異滅、汝作麼生か會する」。仰山曰く、「一念起こる時生住異滅を見ず」。師は言った、「子何ぞ法を遣るを得」。仰山曰く、「和尚適來甚麼をか問ひし」。師は言った、「生住異滅」。仰山曰く、「却って法を遣ると喚ぶべし」。師仰山に問うた、「妙淨明心、汝作麼生か會する」。仰山曰く、

山河大地。日月星辰。師曰。汝祇得其事。仰曰。和尚適來問甚麼。師曰。妙淨明心。仰曰。喚作事得麼。師曰。如是。如是。石霜會下有二禪客到。雲。此間無一人會禪。後普請搬柴。仰山見二禪客歇。將一橛柴問曰。還道得麼。俱無對。仰曰。莫道無人會禪好。仰歸舉似師曰。今日二禪客。被慧寂勘破。師曰。甚麼處被子勘破。仰舉前話。師曰。寂子又被吾勘破(雲居錫雲。甚處是溈山勘破仰山處)。師睡次。仰山問訊。師便回面向壁。仰曰。和尚何得如此。師起曰。我適來得一夢。你試為我原看。仰取一盆水。與師洗面。少頃。香嚴亦來問訊。師曰。我適來得一夢。寂子為我原了。汝更與我原看。嚴乃點一椀茶來。師曰。二子見解。過於鶖子。師因泥壁次。李軍容來。具公裳。直至師背後。端笏而立。師回首見。便側泥盤作接泥勢。李便轉笏作進泥勢。師便拋下泥盤。同歸方丈。僧問。不作溈山一頂笠。無由得到莫傜村。如何是溈山一頂笠。師喚曰。近前來。僧近前。師與一踏。上堂。老僧百年後。向山下作一頭水牯牛。左脇下書五字。曰。溈山僧某甲。當恁麼時。喚作溈山僧又是水牯牛。喚作水牯牛又是溈山僧。畢竟喚作甚麼即得。仰山出禮拜而退。雲居膺代曰。師無異號資福寶。曰。當時但作此○相拓呈之。新羅和尚作此[○@牛]相拓呈之。又曰。同道者方知芭蕉徹作此【圖:X80p0187_01.gif】

(仰山引き続き曰く、)「山河大地、日月星辰」。師は言った、「汝只だ其の事を得たり」。仰山曰く、「和尚適來甚麼をか問ひし」。師は言った、「妙淨明心」。仰山曰く、「事と喚べば得るか」。師は言った、「如是、如是」。石霜會下に二の禅客到り、曰く、「此の間一人の禅を會する者無し」。後に普請柴を搬す。仰山二禅客の歇するを見、一橛の柴を將て問ひて曰く、「還た道ふを得るか」。俱に對無し。仰山曰く、「道ふ、人の禅を會する無しと、好し」。仰山歸りて師に擧似して曰く、「今日の二禅客、慧寂に勘破せらる」。師は言った、「甚麼の處にか子に勘破せらるる」。仰山前の話を擧ぐ。師は言った、「寂子又吾に勘破せらる」。(雲居錫曰く、「甚處か是れ潙山仰山を勘破せし處」)。師睡する次、仰山問訊す。師便ち面を回して壁に向ふ。仰山曰く、「和尚何ぞ如此なるを得」。師起ちて曰く、「我適來一夢を得たり、汝試みに我が爲に原へて看よ」。仰山一盆の水を取りて、師に面を洗はしむ。少頃、香嚴も亦た來り問訊す。師は言った、「我適來一夢を得たり、寂子我が爲に原へ了へり、汝更に我と原へて看よ」。香嚴乃ち一碗の茶を點じて來る。師は言った、「二子の見解、鶖子に過ぎたり」。師因りて壁を泥る次、李軍容來り、公裳を具へ、直に師の背後に至り、笏を端とりて立つ。師首を回して見、便ち泥盤を側けて泥を接する勢を作す。李便ち笏を轉じて泥を進める勢を作す。師便ち泥盤を拋下し、同じく方丈に歸る。僧が問うた、「潙山の一頂の笠を作さざれば、莫傜村に到るに由無し。如何なるか是れ潙山の一頂の笠」。師喚んで曰く、「近前せよ」。僧近前す。師一踏を與ふ。上堂、「老僧百年の後、山下に向ひて一頭の水牯牛と作らん。左脅の下に五字を書し、沩山僧某甲と曰はん。當にさような時、潙山僧と喚べば又是れ水牯牛、水牯牛と喚べば又是れ潙山僧、畢竟何とか喚べば即ち得」。仰山出でて禮拜して退く。雲居膺代えて曰く、「師異號無し」。資福寶曰く、「當時但だ此の○相を拓呈せし」。新羅和尚此の[○@牛]相を作して拓呈し、又曰く、「道を同じくする者方に知る」。芭蕉徹此の【图:X80p0187_01.gif】

相拓呈之。又曰。說也說了也。注也注了也。悟取好。乃述偈曰。不是溈山不是牛。一身兩號實難酬。離卻兩頭應須道。如何道得出常流。師敷揚宗教。凡四十餘年。達者不可勝數。大中七年正月九日。盥漱敷坐。怡然而寂。壽八十三。臘六十四。塔於本山。諡大圓禪師。塔曰清淨。

(芭蕉徹引き続き曰く、)相を作して拓呈し、又曰く、「説も亦た説了へ、注も亦た注了へ、悟取せよ好し」。乃ち偈を述べて曰く、「是れ潙山に非ず是れ牛に非ず、一身兩號實に酬へ難し。兩頭を離却せば應に須く道ふべし、如何に道へば常流を出でるを得ん」。師宗教を敷揚する凡そ四十餘年、達する者勝げて數ふる可からず。大中七年正月九日、盥漱して坐を敷き、怡然として寂す。壽八十三、臘六十四。本山に塔す。大圓禅師と諡し、塔を淸淨と曰ふ。

南嶽下四世

南岳下四世

溈山祐禪師法嗣

潙山祐禅師法嗣

袁州仰山慧寂通智禪師

袁州仰山慧寂通智禅師

韶州懷化葉氏子。年九歲。於廣州和安寺投通禪師出家(即不語通)。十四歲。父母取歸。欲與婚媾。師不從。遂斷手二指。跪致父母前。誓求正法。以答劬勞。父母乃許。再詣通處。而得披剃。未登具。即遊方。初謁耽源。已悟玄旨。後參溈山。遂升堂奧。耽源謂師曰。國師當時傳得六代祖師圓相。共九十七箇。授與老僧。乃曰。吾滅後三十年。南方有一沙彌到來。大興此教。次第傳受。無令斷絕。我今付汝。汝當奉持。遂將其本過與師。師接得一覽。便將火燒卻。耽源一日問。前來諸相。甚宜秘惜。師曰。當時看了便燒卻也。源曰。吾此法門無人能會。唯先師及諸祖師.諸大聖人方可委悉。子何得焚之。師曰。慧寂一覧。已知其意。但用得不可執本也。源曰。然雖如此。於子即得。後人信之不及。師曰。和尚若要重錄不難。即重集一本呈上。更無遺失。源曰。然。耽源上堂。師出眾。作此○相以手拓呈了。卻叉手立。源以兩手相交。作拳示之。師進前三步。作女人拜。源點頭。師便禮拜。師浣衲次。耽源曰。正恁麼時作麼生。師曰。正恁麼時向甚麼處見。後參溈山。溈問。汝是有主沙彌。無主沙彌。師曰。有主。曰。主在甚麼處。師從西過東立。溈異之。師問。如何是真佛住處。溈曰。以思無思之妙。返思靈燄之無窮。思盡還源。性相常住。事理不二。真佛如如。師於言下頓悟。自此執侍前後。盤桓十五載。後參巖頭。頭舉起拂子。師展坐具。巖拈拂子置背後。師將坐具搭肩上而出。巖曰。我不肯汝放。祇肯汝收。掃地次。溈問。塵非掃得。空不自生。如何是塵非掃得。師掃地一下。溈曰。如何是空不自生。師指自身又指溈。溈曰。塵非掃得。空不自生。離此二途。又作麼生。師又掃地一下。又指自身並指溈。溈一日指田問師。這丘田那頭高。這頭低。師曰。卻是這頭高。那頭低。溈曰。你若不信。

韶州懷化葉氏の子。年九歲にして、廣州和安寺に於て通禅師に投じて家を出づ(即ち不語通なり)。十四歲にして、父母取りて歸り、婚媾を與へんと欲す。師從はず、遂に手の二指を斷ち、跪きて父母の前に致し、正法を求むるを誓ひて、以て劬勞に答へんとす。父母乃ち許す。再び通の處に詣りて、披剃を得るを得たり。未だ具に登らず、即ち方を游ぶ。初め耽源を謁ふ、已に玄旨を悟る。後に潙山に參じ、遂に堂奧に升る。耽源師に謂ひて曰く、「國師當時傳へ得たる六代祖師の圓相、共に九十七箇、老僧に授與す。乃ち曰く、『吾滅し後三十年、南方に一沙彌到來し、大いに此の教を興さん、次第に傳受して、斷絕せしむる無かれ』。我今汝に付す、汝當に奉持すべし」。遂に其の本を將て師に過す。師接得して一覽し、便ち將て火に燒却す。耽源一日問うた、「前來の諸相、甚だ秘惜に宜し」。師は言った、「當時看了へば便ち燒却せしなり」。耽源曰く、「吾此の法門人能く會する無し、唯だ先師及び諸の祖師、諸の大聖人方に委悉する可し。子何ぞ之を焚くを得」。師は言った、「慧寂一覽、已に其の意を知る。但だ用ゐ得、本を執る可からず」。耽源曰く、「然ると雖も如此、子に於ては即ち得、後人信之及ばず」。師は言った、「和尚若し重ねて錄さんと要せば難しとせず」。即ち重ねて一本を集めて呈上す、更に遺失無し。耽源曰く、「然り」。耽源上堂す。師衆を出で、此の○相を作し手を以て拓呈し了へて、却って手を叉いで立つ。耽源以て兩手相交へ、拳を作して之を示す。師進みて三步、女人の拜を作す。耽源頭を點ず。師便ち禮拜す。師衲を浣ふ次、耽源曰く、「正にさような時作麼生」。師は言った、「正にさような時甚麼の處に向ひて見る」。後に潙山に參ず。潙山問うた、「汝是れ有主の沙彌か、無主の沙彌か」。師は言った、「有主」。曰く、「主甚麼の處にか在る」。師西より東を過ぎて立つ。潙山之を異とす。師問うた、「如何なるか是れ眞佛の住處」。潙山曰く、「以て思無思の妙、返りて靈焰の無窮を思へ。思盡きて源に還り、性相常住す。事理不二、眞佛如如なり」。師言下に於て頓悟す。自此侍を執ること前後、盤桓すること十五載。後に巖頭に參ず。巖頭拂子を擧起す。師坐具を展ぶ。巖頭拂子を拈じて背後に置く。師坐具を將て肩上に搭して出づ。巖頭曰く、「我汝の放を肯んぜず、只だ汝の收を肯んず」。地を掃く次、潙山問うた、「塵掃得に非ず、空自ら生ぜず。如何なるか是れ塵掃得に非ざる」。師地を掃ふこと一下。潙山曰く、「如何なるか是れ空自ら生ぜざる」。師自身を指し又潙山を指す。潙山曰く、「塵掃得に非ず、空自ら生ぜず。此の二途を離れ、又作麼生」。師又地を掃ふこと一下、又自身を指し併せて潙山を指す。潙山一日田を指して師に問うた、「這の丘田那頭高く、這頭低し」。師は言った、「却って是れ這頭高く、那头低し」。潙山曰く、「汝若し信ぜざれば、

向中間立。看兩頭。師曰。不必立中間。亦莫住兩頭。溈曰。若如是。著水看。水能平物。師曰。水亦無定。但高處高平。低處低平。溈便休。有施主送絹與溈山。師問。和尚受施主如是供養。將何報答。溈敲禪床示之。師曰。和尚何得將眾人物作自己用。師在溈山。為直歲。作務歸。溈問。甚麼處去來。師曰。田中來。溈曰。田中多少人。師插鍬叉手。溈曰。今日南山。大有人刈茅。師㧞鍬便行(玄沙雲。我若見。即踏倒鍬子。僧問鏡清。仰山插鍬。意旨如何。清雲。狗銜赦書。諸侯避道。雲。祇如玄沙踏倒。意旨如何。清雲。不奈船何。打破戽斗。雲。南山刈茅。意旨如何。清雲。李靖三兄。久經行陣。雲居錫雲。且道鏡清下此一判。著不著)。師在溈山牧牛。時踢天泰上座問曰。一毛頭師子現即不問。百億毛頭百億師子現。又作麼生。師便騎牛歸。侍立溈山次。舉前話方了。卻見泰來。師曰。便是這箇上座。溈遂問。百億毛頭百億師子現。豈不是上座道。泰曰。是。師曰。正當現時。毛前現。毛後現。泰曰。現時不說前後。溈山大笑。師曰。師子腰折也。便下去。一日。第一座舉起拂子曰。若人作得道理。即與之。師曰。某甲作得道理。還得否。座曰。但作得道理便得。師乃掣將拂子去(雲居錫雲。甚麼處是仰山道理)。一日雨下。天性上座謂師曰。好雨。師曰。好在甚麼處。性無語。師曰。某甲卻道得。性曰。好在甚麼處。師指雨。性又無語。師曰。何得大智而默。師隨溈山遊山。到盤陀石上坐。師侍立次。忽鵶銜一紅柿落在面前。溈拾與師。師接得洗了度與溈。溈曰。子甚處得來。師曰。此是和尚道德所感。溈曰。汝也不得無分。即分半與師(玄沙雲。大小溈山被仰山一坐。至今起不得)。溈山問師。忽有人問汝。汝作麼生祇對。師曰。東寺師叔若在。某甲不致寂寞。溈曰。放汝一箇不祗對罪。

(潙山引き続き曰く、)中間に向ひて立ち、兩頭を看よ」。師は言った、「必ず中間に立つを須ゐず、亦た兩頭に住する莫れ」。潙山曰く、「若し如是ならば、水を着けて看よ。水能く物を平らぐ」。師は言った、「水も亦た定無し、但だ高處高く平らぎ、低處低く平らぐ」。潙山便ち休む。施主有りて絹を潙山に送る。師問うた、「和尚施主の如是の供養を受く、何を將てか報答せん」。潙山禪牀を敲きて之を示す。師は言った、「和尚何ぞ衆人の物を將て自己の用と作すを得」。師潙山に在り、直歲を爲す。作務歸り、潙山問うた、「甚麼の處にか去り來れり」。師は言った、「田中より來れり」。潙山曰く、「田中に多少人ぞ」。師鍬を插し手を叉ぐ。潙山曰く、「今日南山、大に人の茅を刈る有り」。師鍬を拔きて便ち行く。(玄沙曰く、「我若し見なば、即ち鍬子を踏倒せん」。僧鏡淸に問うた、「仰山の鍬を插す、意旨如何」。鏡淸曰く、「狗赦書を銜み、諸侯道を避く」。曰く、「只だ如し玄沙の踏倒する、意旨如何」。鏡淸曰く、「船を奈何す無し、戽斗を打破す」。曰く、「南山の茅を刈る、意旨如何」。鏡淸曰く、「李靖の三兄、久しく行陣を經たり」。雲居錫曰く、「且く道へ、鏡淸此の一判を下す、着けるか着けざるか」)。師潙山に在りて牛を牧す。時に踢天泰上座問ひて曰く、「一毛頭の師子現ずるは即ち問はず、百億毛頭百億師子現ず、又作麼生」。師便ち牛に騎りて歸る。潙山に侍立する次、前話を擧げて方に了へり、却って泰の來るを見る。師は言った、「便ち是れ這箇の上座」。潙山遂に問うた、「百億毛頭百億師子現ずるは、豈に是れ上座の道ふにあらずや」。泰曰く、「是れ」。師は言った、「正に現ずる時に當たり、毛の前に現ずるか、毛の後に現ずるか」。泰曰く、「現ずる時前後を説かず」。潙山大笑す。師は言った、「師子腰折れたり」。便ち下去す。一日、第一座拂子を擧起して曰く、「若し人の道理を作り得なば、即ち之を與へん」。師は言った、「某甲道理を作り得、還た得るか否」。第一座曰く、「但だ道理を作り得ば便ち得」。師乃ち拂子を掣將して去る。(雲居錫曰く、「甚麼の處にか是れ仰山の道理」)。一日雨下り、天性上座師に謂ひて曰く、「好き雨」。師は言った、「好きは甚麼の處にか在る」。天性語無し。師は言った、「某甲却って道ふを得」。天性曰く、「好きは甚麼の處にか在る」。師雨を指す。天性又語無し。師は言った、「何ぞ大智にして默なるを得」。師潙山に隨ひて山に游び、盤陀石に到りて坐す。師侍立する次、忽ち鴉一の紅柿を銜みて面前に落つ。潙山拾ひて師に與ふ。師接得して洗ひて潙山に度す。潙山曰く、「子甚處か得て來れり」。師は言った、「此れ是れ和尚の道德の感ずる所」。潙山曰く、「汝も亦た分無きを得ず」。即ち半を分ちて師に與ふ。(玄沙曰く、「大小潙山仰山の一坐に被りて、今に至りて起つを得ず」)。潙山師に問うた、「忽ち人有りて汝に問はば、汝作麼生か祇對せん」。師は言った、「東寺師叔若在れば、某甲寂寞を致さず」。潙山曰く、「汝に一箇の不祇對の罪を放つ」。

師曰。生之與殺。祇在一言。溈曰。不負汝見。別有人不肯。師曰。阿誰。溈指露柱曰。這箇。師曰。道甚麼。溈曰。道甚麼。師曰。白鼠推遷。銀臺不變。師問溈山。大用現前。請師辨白。溈山下座歸方丈。師隨後入。溈問。子適來問甚麼話。師再舉。溈曰。還記得吾答語否。師曰。記得。溈曰。你試舉看。師便珍重出去。溈曰。錯。師回首。曰。閑師弟若來。莫道某甲無語好。師問東寺曰。借一路過那邊還得否。寺曰。大凡沙門不可祇一路。也別更有麼。師良久。寺卻問。借一路過那邊得否。師曰。大凡沙門不可祇一路。也別更有麼。寺曰。祇有此。師曰。大唐天子決定姓金。師在溈山前坡牧牛次。見一僧上山。不久便下來。師乃問。上座何不且留山中。僧曰。祇為因緣不契。師曰。有何因緣。試舉看。曰。和尚問某名甚麼。某答歸真和尚。曰。歸真何在。某甲無對。師曰。上座卻迴向和尚。道某甲道得也。和尚問作麼生道。但曰眼裡耳裡鼻裡。僧回一如所教。溈曰。脫空謾語漢。此是五百人善知識語。師臥次。夢入彌勒內院。眾堂中諸位皆足。惟第二位空。師遂就座。有一尊者白槌曰。今當第二座說法。師起白槌曰。摩訶衍法。離四句。絕百非。諦聽。諦聽。眾皆散去。及覺舉似溈。溈曰。子已入聖位。師便禮拜。師侍溈行次。忽見前面塵起。溈曰。面前是甚麼。師近前看了。卻作此【圖:X80p0188_01.gif】

師は言った、「生と殺と、只だ一言に在り」。潙山曰く、「汝が見を負かず。別に人の肯んぜざる有り」。師は言った、「阿誰ぞ」。潙山露柱を指して曰く、「這箇」。師は言った、「甚麼をか道ふ」。潙山曰く、「甚麼をか道ふ」。師は言った、「白鼠推遷すれど、銀臺變せず」。師潙山に問うた、「大用現前す、師に辨白せんことを請ふ」。潙山座を下りて方丈に歸る。師後に隨ひて入る。潙山問うた、「子適來何の話をか問ひし」。師再び擧ぐ。潙山曰く、「還た記得するか、吾が答語否」。師は言った、「記得す」。潙山曰く、「汝試みに擧げて看よ」。師便ち珍重して出去す。潙山曰く、「錯り」。師首を回して曰く、「閑師弟若し來らば、某甲語無しと道ふ莫し好し」。師東寺に問うた、「一路を借りて那邊を過ぐれば還た得るか否」。東寺曰く、「大凡の沙門只だ一路なる可からず、也別に更に有るか」。師良久す。東寺却って問うた、「一路を借りて那邊を過ぐれば得るか否」。師は言った、「大凡の沙門只だ一路なる可からず、也別に更に有るか」。東寺曰く、「只だ此れ有り」。師は言った、「大唐天子決定して金と姓す」。師潙山の前坡に在りて牛を牧する次、一僧の山に上り、久しからずして便ち下るを見る。師乃ち問うた、「上座何ぞ且く山中に留まらざる」。僧曰く、「只だ因緣契はざるが爲」。師は言った、「何の因緣か有る、試みに擧げて看よ」。曰く、「和尚某に何と名づくると問はれ、某歸眞と答ふ。和尚曰く、『歸眞何の處に在る』。某甲對無し」。師は言った、「上座却って回りて、和尚に向ひて某甲道ふを得たりと道へ。和尚作麼生か道ふと問はば、但だ眼裏耳裏鼻裏と曰へ」。僧回りて一の教ふるが如し。潙山曰く、「空を脫して謾語する漢。此れ是れ五百人の善知識の語」。師臥する次、夢に彌勒の内院に入る。衆堂中の諸位皆な足る、惟だ第二位空なり。師遂に座に就く。一尊者有りて白槌して曰く、「今當に第二座法を説くべし」。師起ちて白槌して曰く、「摩訶衍の法、四句を離れ、百非を絕つ。諦聽、諦聽」。衆皆な散じて去る。覺めに及びて潙山に擧似す。潙山曰く、「子已に聖位に入れり」。師便ち禮拜す。師潙山に侍し行く次、忽ち前面塵起こるを見る。潙山曰く、「面前是れ甚麼ぞ」。師近前して看了へ、却って此の【图:X80p0188_01.gif】

相。溈點頭。溈山示眾曰。一切眾生皆無佛性。鹽官示眾曰。一切眾生皆有佛性。鹽官有二僧往探問。既到溈山。聞溈山舉揚。莫測其涯。若生輕慢。因一日與師言話次。乃勸曰。師兄須是勤學佛法。不得容易。師乃作此○相。以手拓呈了。卻拋向背後。遂展兩手就二僧索。二僧罔措。師曰。吾兄直須勤學佛法。不得容易。便起去。時二僧卻回鹽官。行三十里。一僧忽然有省。乃曰。當知溈山道。一切眾生皆無佛性。信之不錯。便回溈山。一僧更前行數裡。因過水忽然有省。自歎曰。溈山道。一切眾生皆無佛性。灼然有他恁麼道。亦回溈山。久依法席。溈山同師牧牛次。溈曰。此中還有菩薩也無。師曰。有。溈曰。汝見那箇是。試指出看。師曰。和尚疑那箇不是。試指出看。溈便休。師送果子上溈山。溈接得。問。子甚麼處得來。師曰。家園底。溈曰。堪吃也未。師曰。未敢嘗。先獻和尚。溈曰。是阿誰底。師曰。慧寂底。溈曰。既是子底。因甚麼教我先甞。師曰。和尚甞千甞萬。溈便吃。曰。猶帶酸澀在。師曰。酸澀莫非自知。溈不答。赤幹行者聞鐘聲。乃問。有耳打鐘。無耳打鐘。師曰。汝但問。莫愁我答不得。幹曰。早箇問了也。師喝曰。去。師夏末問訊溈山次。溈曰。子一夏不見上來。在下面作何所務。師曰。某甲在下面。鉏得一片畬。下得一籮種。溈曰。子今夏不虗過。師卻問。未審和尚一夏之中作何所務。溈曰。日中一食。夜後一寢。師曰。和尚今夏亦不虗過。道了乃吐舌。溈曰。寂子何得自傷己命。溈山一日見師來。即以兩手相交過。各撥三下。卻竪一指。師亦以兩手相交過。各撥三下。卻向胸前仰一手覆一手。以目瞻視。溈山休去。溈山餧鵶生飯。回頭見師。曰。今日為伊上堂一上。師曰。某甲隨例得聞。溈曰。聞底事作麼生。師曰。鵶作鵶鳴。鵲作鵲噪。溈曰。爭奈聲色何。師曰。

(師引き続き作す、)相を作す。潙山頭を點ず。潙山衆を示して曰く、「一切衆生皆な佛性無し」。鹽官衆を示して曰く、「一切衆生皆な佛性有り」。鹽官に二僧有りて往きて探問せんとす。既に潙山に到り、潙山の擧揚を聞き、其の涯を測る莫く、若し輕慢を生ぜば。因りて一日師と言話する次、乃ち勸めて曰く、「師兄須く是れ佛法を勤學すべし、容易するを得ず」。師乃ち此の○相を作し、手を以て拓呈し了へて、却って背後に向ひて拋ぎ、遂に兩手を展べて二僧に就きて索む。二僧罔措す。師は言った、「吾が兄直に須く佛法を勤學すべし、容易するを得ず」。便ち起ちて去る。時に二僧却って鹽官に回る。三十里を行き、一僧忽然として省有り、乃ち曰く、「當に知るべし、潙山の道ふ、一切衆生皆な佛性無し、之を信じて錯らず」。便ち潙山に回る。一僧更に前行すること數里、因りて水を過ぎて忽然として省有り、自ら嘆じて曰く、「潙山の道ふ、一切衆生皆な佛性無し、灼然として他のさように道ふ有り」。も亦た潙山に回り、久しく法席に依る。潙山師と同じく牛を牧する次、潙山曰く、「此の中還た菩薩有るや無し」。師は言った、「有り」。潙山曰く、「汝那箇か是れと見る、試みに指出して看よ」。師は言った、「和尚那箇か不是と疑ふ、試みに指出して看よ」。潙山便ち休む。師菓子を潙山に送上す。潙山接得して、問うた、「子甚麼の處か得て來れり」。師は言った、「家園の」。潙山曰く、「喫ふに堪へりや未だ」。師は言った、「未だ敢へて嘗めず、先に和尚に獻ず」。潙山曰く、「是れ阿誰のぞ」。師は言った、「慧寂の」。潙山曰く、「既是れ子の、因に甚麼をか我先に嘗めしむる」。師は言った、「和尚千を嘗め萬を嘗め」。潙山便ち喫して曰く、「猶ほ酸澁を帶びて在り」。師は言った、「酸澁自ら知るに非ずや莫し」。潙山答へず。赤干行者鐘聲を聞き、乃ち問うた、「耳有るが鐘を打つか、耳無きが鐘を打つか」。師は言った、「汝但だ問へ、我が答へ得ざるを愁ふる莫れ」。干曰く、「早箇問ひたり」。師喝して曰く、「去れ」。師夏末に潙山に問訊する次、潙山曰く、「子一夏上來するを見ず、下面に在りて何の所務を作す」。師は言った、「某甲下面に在りて、一片の畲を鋤り、一籮の種を下せり」。潙山曰く、「子今夏虛しく過さず」。師却って問うた、「未だ審らかならず、和尚一夏の中何の所務を作す」。潙山曰く、「日中一食、夜後一寝」。師は言った、「和尚今夏も亦た虛しく過さず」。道ひ了へて乃ち舌を吐く。潙山曰く、「寂子何ぞ自ら己が命を傷つくるを得」。潙山一日師の來るを見、即ち兩手を以て相交へて過ぎ、各々撥すこと三下、却って一指を豎ぐ。師も亦た兩手を以て相交へて過ぎ、各々撥すこと三下、却って胸前に向ひて一手を仰ぎ一手を覆し、目を以て瞻視す。潙山休み去る。潙山鴉に生飯を喂ひ、頭を回して師を見て曰く、「今日伊の爲に上堂一上せん」。師は言った、「某甲例に隨ひて聞くを得」。潙山曰く、「聞きし事作麼生」。師は言った、「鴉は鴉の鳴を作し、鵲は鵲の噪を作す」。潙山曰く、「争奈聲色何」。師は言った、

和尚適來道甚麼。溈曰。我祇道為伊上堂一上。師曰。為甚麼喚作聲色。溈曰。雖然如此。驗過也無妨。師曰。大事因緣又作麼生驗。溈竪起拳。師曰。終是指東畫西。溈曰。子適來問甚麼。師曰。問和尚大事因緣。溈曰。為甚麼喚作指東畫西。師曰。為著聲色故。某甲所以問過。溈曰。竝未曉了此事。師曰。如何得曉了此事。溈曰。寂子聲色。老僧東西。師曰。一月千江。體不分水。溈曰。應須與麼始得。師曰。如金與金。終無異色。豈有異名。溈曰。作麼生是無異名底道理。師曰。瓶.盤.釵.釧.券.盂.盆。溈曰。寂子說禪如師子吼。驚散狐狼野幹之屬。師後開法王莾山。問僧。近離甚處。師。廬山。師曰。曾到五老峰麼。曰。不曾到。師曰。闍黎不曾遊山(雲門雲。此語皆為慈悲之故。有落草之談)。上堂。汝等諸人。各自迴光返照。莫記吾言。汝無始劫來。背明投暗。妄想根深。卒難頓㧞。所以假設方便。奪汝麤識。如將黃葉止啼。有甚麼是處。亦如人將百種貨物。與金寶作一鋪貨賣。祇擬輕重來機。所以道石頭是真金鋪。我這裡是雜貨鋪。有人來覓鼠糞。我亦拈與他。來覓真金。我亦拈與他。時有僧問。鼠糞即不要。請和尚真金。師曰。囓鏃擬開口。驢年亦不會。僧無對。師曰。索喚則有交易。不索喚則無。我若說禪宗。身邊要一人相伴亦無。豈況有五百七百眾邪。我若東說西說。則爭頭向前採拾。如將空拳誑小兒。都無實處。我今分明向汝說聖邊事。且莫將心湊泊。但向自己性海。如實而修。不要三明六通。何以故。此是聖末邊事。如今且要識心達本。但得其本。不愁其末。他時後日。自具去在。若未得本。縱饒將情學他亦不得。汝豈不見溈山和尚雲。凡聖情盡。體露真常。事理不二。即如如佛。問。如何是祖師意。師以手於空。作此[○@佛]相示之。僧無語。師謂第一座曰。不思善。

(師引き続き曰く、)「和尚適來甚麼をか道ひし」。潙山曰く、「我只だ伊の爲に上堂一上と道ふ」。師は言った、「甚麼の故にか聲色と喚ぶ」。潙山曰く、「然ると雖も如此、驗過するも亦た妨げ無し」。師は言った、「大事因緣又作麼生か驗せん」。潙山拳を豎起す。師は言った、「終には是れ東を指し西を畫く」。潙山曰く、「子適來甚麼をか問ひし」。師は言った、「和尚の大事因緣を問へり」。潙山曰く、「甚麼の故にか東を指し西を畫くと喚ぶ」。師は言った、「聲色に着くが故に、某甲所以に問ひ過ぎたり」。潙山曰く、「併せて未だ此の事を曉了せず」。師は言った、「如何にして此の事を曉了せんを得ん」。潙山曰く、「寂子聲色、老僧東西」。師は言った、「一月千江、體水を分たず」。潙山曰く、「應に須くさようらば始めて得」。師は言った、「金と金との如く、終に異色無し、豈に異名有らん」。潙山曰く、「作麼生か是れ無異名の道理」。師は言った、「瓶、盤、釵、釧、券、盂、盆」。潙山曰く、「寂子禅を説くこと師子の吼ゆるが如く、狐狼野干の屬を驚散す」。師後に王莾山に法を開く。僧に問うた、「近く離るる甚處ぞ」。曰く、「廬山」。師は言った、「曾て五老峰に到れりや」。曰く、「曾て到らず」。師は言った、「闍黎曾て山に游ばず」。(雲門曰く、「此の語皆な慈悲の故の爲、落草の談有り」)。上堂、「汝等諸人、各自光を回して返照せよ、吾が言を記する莫れ。汝無始劫來、明を背にして暗に投じ、妄想根深く、卒に頓拔し難し。所以に假に方便を設けて、汝の粗識を奪ふ。黄葉を將て啼を止むるが如く、何の是れ處か有らん。亦た人の百種の貨物を將て、金寶と一鋪に貨賣し、只だ擬して輕重に來機するが如し。所以に道ふ、石頭是れ眞金鋪、我這裏是れ雜貨鋪。人の鼠糞を覓めに來らば、我も亦た拈じて他に與ふ。眞金を覓めに來らば、我も亦た拈じて他に與ふ」。時に僧有りて問うた、「鼠糞は即ち要らず、和尚に眞金を請ふ」。師は言った、「鏃を齧みて口を開かんと擬す、驢年も亦た會せず」。僧對無し。師は言った、「喚を索めば則ち交易有り、喚を索めざれば則ち無し。我若し禅宗を説かば、身邊に一人の相伴するも無くんことを要す、豈に況んや五百七百の衆有らんや。我若し東に説き西に説かば、則ち頭を争ひて向前に采拾す、空拳を將て小兒を誑くが如く、都て實處無し。我今分明に汝に聖邊の事を説く、且く心を將て湊泊する莫れ。但だ自己の性海に向ひて、如實にして修めよ。三明六通を要する莫れ。何を以ての故ぞ。此れ是れ聖末邊の事。如今且く心を識り本に達せんを要す。但だ其の本を得ば、其の末を愁へず。他時後日、自ら具へて去りて在り。若し未だ本を得ざれば、縱饒ひ情を將て他を學ぶも亦た得ず。汝豈に潙山和尚の説くを見ざるや、凡聖情盡き、體露れて眞常、理事不二なれば、即ち如如の佛なり」。問うた、「如何なるか是れ祖師意」。師手を以て空に於て、此の[○@佛]相を作して之を示す。僧語無し。師第一座に謂ひて曰く、「善を思はず、

不思惡。正恁麼時作麼生。座曰。正恁麼時是某甲放身命處。師曰。何不問老僧。座曰。正恁麼時不見有和尚。師曰。扶我教不起。師因歸溈山省覲。溈問。子既稱善知識。爭辨得諸方來者。知有不知有。有師承無師承。是義學是玄學。子試說看。師曰。慧寂有驗處。但見僧來便竪起拂子。問伊諸方還說這箇不說。又曰這箇且置。諸方老宿意作麼生。溈歎曰。此是從上宗門中牙爪。溈問。大地眾生。業識茫茫。無本可據。子作麼生知他有之與無。師曰。慧寂有驗處。時有一僧從面前過。師召曰。闍黎。僧回首。師曰。和尚。這箇便是業識茫茫。無本可據。溈曰。此是師子一滴乳。迸散六斛驢乳。師問僧。甚處來。曰。幽州。師曰。我恰要箇幽州信。米作麼價。曰。某甲來時。無端從市中過。踏折他橋梁。師便休。師見僧來。竪起拂子。僧便喝。師曰。喝即不無。且道老僧過在甚麼處。曰。和尚不合將境示人。師便打。有梵師從空而至。師曰。近離甚處。曰。西天。師曰。幾時離彼。曰。今早。師曰。何太遲生。曰。遊山翫水。師曰。神通遊戲則不無。闍黎佛法須還老僧始得。曰。特來東土禮文殊。卻遇小釋迦。遂出梵書貝多葉。與師作禮。乘空而去。自此號小釋迦。師住東平時。溈山令僧送書並鏡與師。師上堂。提起示眾曰。且道是溈山鏡。東平鏡。若道是東平鏡。又是溈山送來。若道是溈山鏡。又在東平手裡。道得則留取。道不得則撲破去也。眾無語。師遂撲破。便下座。僧參次。便問。和尚還識字否。師曰。隨分。僧以手畫此○相拓呈。師以衣袖拂之。僧又作此○相拓呈。師以兩手作背拋勢。僧以目視之。師低頭。僧遶師一匝。師便打。僧遂出去。師坐次。有僧來作禮。師不顧。其僧乃問。師識字否。師曰。隨分。僧乃右旋一匝。曰。是甚麼字。師於地上書十字酬之。僧又左旋一匝。曰。是甚字。

(師引き続き曰く、)惡を思はず、正にさような時作麼生」。第一座曰く、「正にさような時是れ某甲の身命を放する處」。師は言った、「何ぞ老僧に問はざる」。第一座曰く、「正にさような時和尚有るを見ず」。師は言った、「我を扶けて教へて起たざらしめよ」。師因りて潙山に歸りて省覲す。潙山問うた、「子既に善知識と稱す、争でか諸方來る者の有るを知る不知る、師承有る無師承、是れ義學是れ玄學を辨じ得ん。子試みに説きて看よ」。師は言った、「慧寂驗する處有り。但だ僧の來るを見れば便ち拂子を豎起し、伊に諸方還た這箇を説くや説かざるやと問ひ。又這箇且く置き、諸方の老宿意作麼生と曰ふ」。潙山嘆じて曰く、「此れ是れ從上宗門中の牙爪」。潙山問うた、「大地の衆生、業識茫茫として、據る可き本無し。子作麼生か他の之と無と有るを知る」。師は言った、「慧寂驗する處有り」。時に一僧有りて面前より過ぐ。師召して曰く、「闍黎」。僧首を回す。師は言った、「和尚、這箇便ち是れ業識茫茫として、據る可き本無し」。潙山曰く、「此れ是れ師子の一滴の乳、六斛の驢乳を迸散す」。師僧に問うた、「甚處か來れり」。曰く、「幽州」。師は言った、「我恰に箇の幽州の信を要す。米作麼の價ぞ」。曰く、「某甲來る時、無端に市中より過ぎて、他の橋梁を踏折せり」。師便ち休む。師僧の來るを見、拂子を豎起す。僧便ち喝す。師は言った、「喝は即ち無ならざれど、且く道へ、老僧過何の處にか在る」。曰く、「和尚合に境を將て人に示すべからず」。師便ち打つ。梵師有りて空より至る。師は言った、「近く離るる甚處ぞ」。曰く、「西天」。師は言った、「幾時に彼を離れし」。曰く、「今早」。師は言った、「何ぞ太だ遲生なる」。曰く、「山に游び水に翫ぶ」。師は言った、「神通游戲は則ち無ならざれど、闍黎佛法須く老僧に還りて始めて得」。曰く、「特に東土に來りて文殊を禮せんと、却って小釋迦に遇ふ」。遂に梵書貝多葉を出だし、師に作禮し、空に乘じて去る。自此小釋迦と號す。師東平に住せし時、潙山僧をして書並びに鏡を師に送らしむ。師上堂、提起して衆に示して曰く、「且く道へ、是れ潙山の鏡か、東平の鏡か。若し是れ東平の鏡と道はば、又是れ潙山の送り來れり。若し是れ潙山の鏡と道はば、又在りて東平の手裏。道へ得れば則ち留取せん、道へ得ざれば則ち撲破して去らん」。衆語無し。師遂に撲破し、便ち座を下る。僧參ずる次、便ち問うた、「和尚還た字を識るか否」。師は言った、「分に隨ふ」。僧手を以て此の○相を畫きて拓呈す。師衣袖を以て之を拂ふ。僧又此の○相を作して拓呈す。師兩手を以て背拋の勢を作す。僧目を以て之を視る。師頭を低す。僧師を繞ること一匝す。師便ち打つ。僧遂に出去す。師坐する次、僧有りて來り作禮す。師顧みず。那の僧乃ち問うた、「師字を識るか否」。師は言った、「分に隨ふ」。僧乃ち右旋すること一匝して曰く、「是れ甚麼の字ぞ」。師地に於て十字を書して之に酬ゆ。僧又左旋すること一匝して曰く、「是れ甚の字ぞ」。

師改十字作卍字。僧畫此○相。以兩手拓。如脩羅掌日月勢。曰。是甚麼字。師乃畫此[○@卍]相對之。僧乃作婁至德勢。師曰。如是。如是。此是諸佛之所護念。汝亦如是。吾亦如是。善自護持。其僧禮謝。騰空而去。時有一道者見。經五日後。遂問師。師曰。汝還見否。道者曰。某甲見出門騰空而去。師曰。此是西天羅漢。故來探吾道。道者曰。某雖覩種種三昧。不辨其理。師曰。吾以義為汝解釋。此是八種三昧。是覺海變為義海。體則同然。此義合有因有果。即時異時。總別不離隱身三昧也。師問僧。近離甚處。曰。南方。師舉拄杖曰。彼中老宿還說這箇麼。曰。不說。師曰。既不說這箇。還說那箇否。曰。不說。師召大德。僧應諾。師曰。參堂去。僧便出。師復召曰。大德。僧回首。師曰。近前來。僧近前。師以拄杖頭上點一下。曰。去。劉侍御問。了心之旨。可得聞乎。師曰。若要了心。無心可了。無了之心。是名真了。師一日在法堂上坐。見一僧從外來。便問訊了。向東邊叉手立。以目視師。師乃垂下左足。僧卻過西邊叉手立。師垂下右足。僧向中間叉手立。師收雙足。僧禮拜。師曰。老僧自住此。未曾打著一人。拈拄杖便打。僧便騰空而去。陸希聲相公欲謁師。先作此○相封呈。師開封於相下面書云。不思而知。落第二頭。思而知之。落第三首。遂封回(韋宙相公機語相似。茲不重出)。公見即入山。師乃門迎。公才入門。便問。三門俱開。從何門入。師曰。從信門入。公至法堂。又問。不出魔界。便入佛界時如何。師以拂子倒點三下。公便設禮。又問。和尚還持戒否。師曰。不持戒。曰。還坐禪否。師曰。不坐禪。公良久。師曰。會麼。師。不會。師曰。聽老僧一頌。滔滔不持戒。兀兀不坐禪。釅茶三兩椀。意在钁頭邊。師卻問。承聞相公看經得悟。是否。曰。弟子因看涅槃經有云。

師十字を改めて卍字を作す。僧此の○相を畫き、兩手を以て拓り、修羅の掌日月の勢の如くして曰く、「是れ甚麼の字ぞ」。師乃ち此の[○@卍]を畫きて相い對す。僧乃ち婁至德の勢を作す。師は言った、「如是、如是。此れ是れ諸佛の護念する所。汝も亦た如是、吾も亦た如是。善く自ら護持せよ」。那の僧禮謝して、空を騰りて去る。時に一道者見る有り。五日を經て後、遂に師に問ふ。師は言った、「汝還た見るか否」。道者曰く、「某甲門を出でて空を騰りて去るを見たり」。師は言った、「此れ是れ西天の羅漢、故に來りて吾が道を探る」。道者曰く、「某種種の三昧を睹ると雖も、其の理を辨へず」。師は言った、「吾義を以て汝の爲に解釋せん。此れ是れ八種の三昧、是れ覺海變じて義海と爲る、體則ち同然なり。此の義合に因有り果有り、即時異時、總別隱身三昧を離れずなり」。師僧に問うた、「近く離るる甚處ぞ」。曰く、「南方」。師拄杖を擧げて曰く、「彼中の老宿還た這箇を説くか」。曰く、「説かず」。師は言った、「既に這箇を説かず、還た那箇を説くか否」。曰く、「説かず」。師召して曰く、「大德」。僧應諾す。師は言った、「堂に參じて去れ」。僧便ち出づ。師復た召して曰く、「大德」。僧首を回す。師は言った、「近前せよ」。僧近前す。師拄杖頭を以て點ずること一下して曰く、「去れ」。劉侍御問うた、「心を了するの旨、聞くを得んや」。師は言った、「若し心を了せんと要せば、了す可き心無し。了の無きの心、是れを眞了と名づく」。師一日法堂上に坐して、一僧の外より來り、便ち問訊し了へて、東邊に向ひて手を叉いで立ち、目を以て師を視るを見る。師乃ち左足を垂下す。僧却って西邊を過ぎて手を叉いで立つ。師右足を垂下す。僧中間に向ひて手を叉いで立つ。師雙足を收む。僧禮拜す。師は言った、「老僧自此に住してより、未曾て一人を打着たる無し」。拄杖を拈じて便ち打つ。僧便ち空を騰りて去る。陸希聲相公師を謁せんと欲し、先に此の○相を作して封呈す。師封を開きて相の下面に書寫す、「思はずして知れば、第二頭に落ち。思ひて之を知れば、第三首に落つ」。遂に封じて回す。(韋宙相公機語相似たり、茲に重ねて出さず)。公見れば即ち山に入る。師乃ち門に迎ふ。公纔かに門に入り、便ち問うた、「三門俱に開く、何の門よりか入る」。師は言った、「信門より入る」。公法堂に至り、又問うた、「魔界を出でずして、便ち佛界に入る時如何」。師拂子を以て倒點すること三下す。公便ち禮を設く。又問うた、「和尚還た戒を持するか否」。師は言った、「戒を持せず」。曰く、「還た禅を坐するか否」。師は言った、「禅を坐せず」。公良久す。師は言った、「會するか」。曰く、「會せず」。師は言った、「老僧の一頌を聽け、滔々として戒を持せず、兀兀として禅を坐せず。釅茶三兩碗、意は钁頭邊に在り」。師却って問うた、「承聞く、相公經を看て悟を得しと、是れや否」。曰く、「弟子《涅槃經》を看るに因りて云く有り:

不斷煩惱而入涅槃。得箇安樂處。師竪起拂子。曰。祇如這箇作麼生入。曰。入之一字。也不消得。師曰。入之一字。不為相公。公便起去(法燈雲。上座且道。入之一字為甚麼人。又云。相公且莫煩惱)。龐居士問。久嚮仰山。到來為甚麼卻覆。師竪起拂子。士曰。恰是。師曰。是仰是覆。士乃打露柱。曰。雖然無人。也要露柱證明。師擲拂子。曰。若到諸方。一任舉似。師指雪師子。問眾。有過得此色者麼。眾無對(雲門雲。當時便好與推倒)。師問雙峰。師弟近日見處如何。曰。據某見處。實無一法可當情。師曰。汝解猶在境。曰。某祇如此。師兄又如何。師曰。汝豈不知無一法可當情者。溈山聞曰。寂子一句。疑殺天下人(玄覺雲。經道。實無有法。然燈佛與我授記。他道實無一法可當情。為甚麼道。解猶在境。且道利害在甚麼處)。師臥次。僧問。曰身還解說法也無。師曰。我說不得。別有一人說得。曰。說得底人在甚麼處。師推出枕子。溈山聞曰。寂子用劒刃上事。師閉目坐次。有僧潛來身邊立。師開目。於地上作此[○@水]相。顧視其僧。僧無語。師擕拄杖行次。僧問。和尚手中是甚麼。師便拈向背後。曰。見麼。僧無對。師問一僧。汝會甚麼。曰。會卜。師提起拂子。曰。這箇六十四卦中阿那卦收。僧無對。師自代雲。適來是雷天大壯。如今變為地火明夷。問僧。名甚麼。曰。靈通。師曰。便請入燈籠。曰。早箇入了也(法眼別雲。喚甚麼作燈籠)。問。古人道。見色便見心。禪床是色。請和尚離卻色。指學人心。師曰。那箇是禪床。指出來看。僧無語(玄覺雲。忽然被伊卻指禪床。作麼生對伊。有僧雲。卻請和尚道。玄覺代拊掌三下)。問。如何是毗盧師。師乃叱之。僧曰。如何是和尚師。師曰。莫無禮。師共一僧語。旁有僧曰。語底是文殊。默底是維摩。師曰。

(陸希聲引き続き曰く、)『煩惱を斷たずして涅槃に入る』。箇の安樂の處を得たり」。師拂子を豎起して曰く、「只だ如し這箇作麼生か入る」。曰く、「入の一字、も消するを得ず」。師は言った、「入の一字、相公と爲さず」。公便ち起ちて去る。(法燈曰く、「上座且く道へ、入の一字何の人とか爲る」。又曰く、「相公且く煩惱する莫れ」)。龐居士問うた、「久しく仰山に向ひ、到來して甚麼の故にか却って覆る」。師拂子を豎起す。龐曰く、「恰に是れ」。師は言った、「是れ仰か是れ覆か」。龐乃ち露柱を打ちて曰く、「然ると雖も人無し、も露柱に證明せしめん要す」。師拂子を擲ちて曰く、「若し諸方に到らば、一任に擧似せよ」。師雪師子を指して、衆に問うた、「此の色を過ぎ得る者有るか」。衆對無し。(雲門曰く、「當時便ち好く推倒せんを與へし」)。師雙峰に問うた、「師弟近日の見處如何」。曰く、「某の見處に據れば、實に一法も情に當る無し」。師は言った、「汝解猶ほ境に在り」。曰く、「某只だ如此。師兄又如何」。師は言った、「汝豈に知らざる、一法も情に當る無き者を」。潙山聞きて曰く、「寂子の一句、天下人を疑殺す」。(玄覺曰く、「經に道ふ、實に法有ること無く、然燈佛我と授記すと。他道ふ實に一法も情に當る無しと、甚麼の故にか道ふ解猶ほ境に在りと。且く道へ、利害何の處にか在る」)。師臥する次、僧問うた、「身還た法を説くを解するや無し」。師は言った、「我説くを得ず、別に一人説くを得る有り」。曰く、「説くを得る人甚麼の處にか在る」。師枕子を推出す。潙山聞きて曰く、「寂子劍刃上の事を用ゐる」。師目を閉ぢて坐する次、僧有りて潛かに來りて身邊に立つ。師目を開き、地に於て此の[○@水]相を作し、其の僧を顧視す。僧語無し。師拄杖を携へて行く次、僧問うた、「和尚手中是れ甚麼ぞ」。師便ち背後に向ひて拈じて曰く、「見るか」。僧對無し。師一僧に問うた、「汝何をか會する」。曰く、「卜を會す」。師拂子を提起して曰く、「這箇六十四卦中阿那の卦か收むる」。僧對無し。師自ら代えて曰く、「適來是れ雷天大壯、如今變じて地火明夷と爲る」。僧に問うた、「何とか名づくる」。曰く、「靈通」。師は言った、「便ち燈籠に入らんことを請ふ」。曰く、「早箇入りたり」。(法眼別に曰く、「甚麼を喚んで燈籠と作す」)。問うた、「古人道ふ、色を見れば便ち心を見る。禪牀是れ色、和尚に色を離却して學人の心を指さんことを請ふ」。師は言った、「那箇是れ禪牀、指出して看よ」。僧語無し。(玄覺曰く、「忽然として伊に却って禪牀を指されば、作麼生か伊に對せん」。僧有りて曰く、「却って和尚に道はんことを請ふ」。玄覺代えて掌を拊つこと三下)。問うた、「如何なるか是れ毘盧師」。師乃ち之を叱る。僧曰く、「如何なるか是れ和尚の師」。師は言った、「無禮なる莫れ」。師一僧と共に語る、傍に僧有りて曰く、「語するは是れ文殊、默するは是れ維摩」。師は言った:

不語不默底莫是汝否。僧默然。師曰。何不現神通。曰。不辭現神通。祇恐和尚收作教。師曰。鑒汝來處。未有教外底眼。問。天堂地獄相去幾何。師將拄杖畫地一畫。師住觀音時。出牓雲。看經次不得問事。有僧來問訊。見師看經。旁立而待。師卷卻經。問。會麼。曰。某甲不看經。爭得會。師曰。汝已後會去在。其僧到巖頭。頭問。甚處來。曰。江西觀音來。頭曰。和尚有何言句。僧舉前話。頭曰。這箇老師。我將謂被故紙埋卻。元來猶在。僧思𨜶問。禪宗頓悟。畢竟入門的意如何。師曰。此意極難。若是祖宗門下。上根上智。一聞千悟。得大總持。其有根微智劣。若不安禪靜慮。到這裡總須茫然。曰。除此一路。別更有入處否。師曰。有。曰。如何即是。師曰。汝是甚處人。曰。幽州人。師曰。汝還思彼處否。曰。常思。師曰。能思者是心。所思者是境。彼處樓臺林苑。人馬駢闐。汝反思底還有許多般也無。曰。某甲到這裡。總不見有。師曰。汝解猶在心。信位即得。人位未在。曰。除卻這箇。別更有意也無。師曰。別有。別無即不堪也。曰。到這裡作麼生即是。師曰。據汝所解。祇得一玄。得坐披衣。向後自看。𨜶禮謝之。師接機利物。為宗門標準。再遷東平。將順寂。數僧侍立。師以偈示之曰。一二二三子。平目復仰視。兩口一無舌。即是吾宗旨。至日午。陞座辭眾。復說偈曰。年滿七十七。無常在今日。日輪正當午。兩手攀屈膝。言訖。以兩手抱膝而終。閱明年。南塔湧禪師遷靈骨歸仰山。塔於集雲峰下。諡智通禪師.妙光之塔。

(師引き続き曰く、)「語らず默せざるは汝に非ずや否」。僧默然とす。師は言った、「何ぞ神通を現ぜざる」。曰く、「神通を現ずるを辭せず、只だ恐れくは和尚收めて教と作さんことを」。師は言った、「汝の來處を鑑みれば、未だ教外の眼有らず」。問うた、「天堂地獄相去ること幾何」。師拄杖を將て地に畫くこと一畫す。師觀音に住せし時、榜を出して曰く、「經を看る次事を問ふを得ず」。僧有りて來り問訊し、師の經を看るを見、傍に立ちて待つ。師經を卷却して問うた、「會するか」。曰く、「某甲經を看ず、争でか會せんを得」。師は言った、「汝已後會し去ること在らん」。那の僧巖頭に到る。巖頭問うた、「甚處か來れり」。曰く、「江西觀音より來れり」。巖頭曰く、「和尚何の言句か有る」。僧前の話を擧ぐ。巖頭曰く、「這箇の老師、我將に謂ふ故紙に埋却せられんと、元來猶ほ在り」。僧思𨜶問うた、「禅宗頓悟、畢竟入門の意如何」。師は言った、「此の意極めて難し。若し是れ祖宗門下、上根上智、一聞して千悟し、大總持を得ん。其の根微智劣有れば、若し禅を安じ慮を靜めざれば、這裏に到りて總に須く茫然たるべし」。曰く、「此の一路を除き、別に更に入處有るか否」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ即ち是れ」。師は言った、「汝是れ甚處の人ぞ」。曰く、「幽州人」。師は言った、「汝還た彼處を思ふか否」。曰く、「常に思ふ」。師は言った、「能く思ふ者是れ心、思はるる者是れ境。彼處樓臺林苑、人馬駢闐せり。汝反の思へるに還た許多の般有るや無し」。曰く、「某甲這裏に到りて、總て有るを見ず」。師は言った、「汝解猶ほ心に在り。信位即ち得、人位未だ在らず」。曰く、「這箇を除却し、別に更に意有るや無し」。師は言った、「別有り別無し即ち堪へざるなり」。曰く、「這裏に到りて作麼生か即ち是れ」。師は言った、「汝の解る所に據れば、只だ一玄を得。坐して衣を披くを得、向後自ら看よ」。思𨜶禮謝す。師機に接し物を利すること、宗門の標準と爲る。再び東平に遷る。將に順寂せんとす、數僧侍立す。師偈を以て之を示して曰く、「一二二三の子、目を平げて復た仰視す。兩口一無舌、即ち是れ吾が宗旨」。日午に至り、座に升りて衆に辭し、復た偈を説きて曰く、「年滿ちて七十七、無常今日に在り。日輪正に午に當たり、兩手屈膝を攀ず」。言訖りて、兩手を以て膝を抱きて終はる。明年を閱して、南塔涌禅師靈骨を遷して仰山に歸り、集雲峰の下に塔す。智通禅師、妙光の塔と諡す。

鄧州香嚴智閑禪師

鄧州香嚴智閑禅師

青州人也。厭俗辭親。觀方慕道。在百丈時性識聰敏。參禪不得。洎丈遷化。遂參溈山。山問。我聞汝在百丈先師處。問一答十。問十答百。此是汝聰明靈利。意解識想。生死根本。父母未生時。試道一句看。師被一問。直得茫然。歸寮將平日看過底文字從頭要尋一句酬對。竟不能得。乃自歎曰。畫餅不可充飢。屢乞溈山說破。山曰。我若說似汝。汝已後罵我去。我說底是我底。終不幹汝事。師遂將平昔所看文字燒卻。曰。此生不學佛法也。且作箇長行粥飯僧。免役心神。乃泣辭溈山。直過南陽覩忠國師遺跡。遂憩止焉。一日。芟除草木。偶拋瓦礫。擊竹作聲。忽然省悟。遽歸沐浴焚香。遙禮溈山。讚曰。和尚大慈。恩逾父母。當時若為我說破。何有今日之事。乃有頌曰。一擊忘所知。更不假修持。動容揚古路。不墮悄然機。處處無蹤跡。聲色外威儀。諸方達道者。鹹言上上機。溈山聞得。謂仰山曰。此子徹也。仰曰。此是心機意識。著述得成。待某甲親自勘過。仰後見師。曰。和尚讚歎師弟發明大事。你試說看。師舉前頌。仰曰。此是夙習記持而成。若有正悟。別更說看。師又成頌曰。去年貧未是貧。今年貧始是貧。去年貧。猶有卓錐之地。今年貧。錐也無。仰曰。如來禪許師弟會。祖師禪未夢見在。師復有頌曰。我有一機。瞬目視伊。若人不會。別喚沙彌。仰乃報溈山。曰。且喜閑師弟會祖師禪也(玄覺雲。且道如來禪與祖師禪分不分。長慶稜雲。一時坐卻)。師初開堂。溈山令僧送書並拄杖至。師接得便哭。蒼天。蒼天。僧曰。和尚為甚麼如此。師曰。祇為春行秋令。上堂。道由悟達。不在語言。況是密密堂堂。曾無間隔。不勞心意。暫借回光。日用全功。迷徒自背。僧問。如何是香嚴境。師曰。華木不滋。問。如何是僊陀婆。師敲禪床曰。過這裡來。問。如何是現在學。師以扇子旋轉示之。曰。

青州人。俗を厭ひ親を辭し、方を觀て道を慕ふ。百丈に在る時性識聰敏、禅を參ずるも得ず。洎りて百丈遷化す、遂に潙山に參ず。潙山問うた、「我聞く、汝百丈先師の處に在りて、一を問へば十に答へ、十を問へば百に答ふと。此れ是れ汝の聰明靈利、意解識想、生死の根本。父母未だ生せざる時、試みに一句を道へて看よ」。師一問に被りて、直に茫然を得たり。寮に歸りて平日看過せし文字を將て、頭より一句を尋ねて酬對せんと要すも、竟に能く得ず、乃ち自ら嘆じて曰く、「畫餅充饑す可からず」。屢々潙山に説破を乞ふ。潙山曰く、「我若し汝に説似せば、汝已後我を罵りて去らん。我の説くは是れ我の、終に汝の事に干らず」。師遂に平昔看たる所の文字を將て燒却して曰く、「此生佛法を學ばざるなり。且く箇の長行の粥飯僧と作さん、心神の役を免れん」。乃ち泣きて潙山を辭し、直に南陽を過ぎて忠國師の遺跡を睹て、遂に憩止す。一日、草木を芟除し、偶々瓦礫を拋げ、竹を擊ちて聲を作す、忽然として省悟す。遽に歸りて沐浴し香を焚き、遙かに潙山を禮し、讚じて曰く、「和尚大慈、恩父母に逾ゆ。當時若し我が爲に説破せば、何ぞ今日の事有らん」。乃ち頌有りて曰く、「一擊知る所を忘れ、更に修持を假らず。動容して古路を揚げ、悄然の機に墮ちず。處處蹤跡無し、聲色外威儀なり。諸方の達道者、咸な言ふ上上の機と」。潙山聞得して、仰山に謂ひて曰く、「此の子徹せり」。仰山曰く、「此れ是れ心機意識、著述して成るを得。某甲親しく勘過せんを待て」。仰山後に師を見て曰く、「和尚師弟の大事を發明せしを讚嘆す、汝試みに説きて看よ」。師前の頌を擧ぐ。仰山曰く、「此れ是れ夙習記持して成る。若し正悟有らば、別に更に説きて看よ」。師又頌を成して曰く、「去年の貧未だ是れ貧ならず、今年の貧始めて是れ貧。去年の貧、猶ほ卓錐の地有り。今年の貧、錐も亦た無し」。仰山曰く、「如來の禅は師弟會するを許す、祖師の禅未だ夢にも見ず在り」。師復た頌有りて曰く、「我一機有り、目を瞬きて伊を視る。若し人會せざれば、別に沙彌を喚べ」。仰山乃ち潙山に報じて曰く、「且く喜べ、閑師弟祖師禅を會せりと」。(玄覺曰く、「且く道へ、如來禅と祖師禅と分かつや分かたずや」。長慶稜曰く、「一時に坐却せり」)。師初めて堂を開く、潙山僧をして書並びに拄杖を送り至らしむ。師接得して便ち哭く、「蒼天、蒼天」。僧曰く、「和尚甚麼の故にか如此」。師は言った、「只だ春に秋の令を行ずるが爲」。上堂、「道は悟に由りて達す、言語に在らず。況んや是れ密密堂堂、曾て間隔無し。心意を勞せず、暫く回光を借れ。日用全功、迷徒自ら背く」。僧が問うた、「如何なるか是れ香嚴の境」。師は言った、「花木滋さず」。問うた、「如何なるか是れ仙陀婆」。師禪牀を敲きて曰く、「這裏を過ぎて來れ」。問うた、「如何なるか是れ現在の學」。師扇子を以て旋轉して之を示して曰く、

見麼。僧無語。問。如何是正命食。師以手撮而示之。問。如何是無表戒。師曰。待闍黎作俗即說。問。如何是聲色外相見一句。師曰。如某甲未住香嚴時。且道在甚麼處。曰。恁麼則亦不敢道有所在。師曰。如幻人心心所法。問。如何是直截根源佛所印。師拋下拄杖。散手而去。問。如何是佛法大意。師曰。今年霜降早。蕎麥總不收。問。如何是西來意。師以手入懷作拳。展開與之。僧乃跪膝。以兩手作受勢。師曰。是甚麼。僧無對。問。離四句。絕百非。請和尚道。師曰。獵師前不得說本師戒。上堂。若論此事。如人上樹。口銜樹枝。腳不踏枝。手不攀枝。樹下忽有人問。如何是祖師西來意。不對他。又違他所問。若對他。又喪身失命。當恁麼時作麼生即得。時有虎頭招上座出眾雲。樹上即不問。未上樹時請和尚道。師乃呵呵大笑。師問。僧甚處來。曰。溈山來。師曰。和尚近日有何言句。曰。有僧問。如何是西來意。和尚竪起拂子。師曰。彼中兄弟作麼生會。曰。彼中商量道。即色明心。附物顯理。師曰。會即便會。著甚死急。僧卻問。師意如何。師亦竪起拂子(玄沙雲。祇這香嚴腳跟未點地。雲居錫雲。甚麼處是香嚴腳跟未點地處)。師有偈曰。子啐母啄。子覺母殻。子母俱亡。應緣不錯。同道唱和。妙玄獨腳。師凡示學徒。語多簡直。有偈頌二百餘篇。隨緣對機。不拘聲律。諸方盛行。後諡襲燈禪師。

(師引き続き曰く、)「見るか」。僧語無し。問うた、「如何なるか是れ正命の食」。師手を以て撮りて之を示す。問うた、「如何なるか是れ無表の戒」。師は言った、「闍黎俗を作すを待ちて即ち説かん」。問うた、「如何なるか是れ聲色外相見の一句」。師は言った、「某甲の未だ香嚴に住せざる時の如き、且く道へ何の處にか在る」。曰く、「さようらば則ちも敢へて在所の有るを道はず」。師は言った、「幻人の心心所法の如し」。問うた、「如何なるか是れ直截の根源佛の印する所」。師拄杖を拋下し、手を散じて去る。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「今年霜降早く、蕎麥總て收まらず」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師手を以て懷に入れて拳を作し、展開して之に與ふ。僧乃ち膝を跪き、兩手を以て受の勢を作す。師は言った、「是れ甚麼ぞ」。僧對無し。問うた、「四句を離れ、百非を絕ち、和尚に道はんことを請ふ」。師は言った、「獵師の前本師の戒を説くを得ず」。上堂、「若し此の事を論ぜば、人の樹に上りて、口樹枝を銜み、脚枝を踏まず、手枝を攀ぜざるが如し。樹下忽ち人有りて問ふ、如何なるか是れ祖師西來意。他に對せざれば、又他の問ふ所に違ふ。若し他に對せば、又身を喪ひ命を失ふ。當にさような時作麼生か即ち得」。時に虎頭招上座衆を出でて曰く、「樹上は即ち問はず、未だ樹に上らざる時和尚に道はんことを請ふ」。師乃ち呵呵と大笑す。師僧に問うた、「甚處か來れり」。曰く、「潙山より來れり」。師は言った、「和尚近日何の言句か有る」。曰く、「僧有りて問ふ、如何なるか是れ西來意。和尚拂子を豎起す」。師は言った、「彼中の兄弟作麼生か會する」。曰く、「彼中商量して道ふ、即色に心を明め、物に附して理を顯すと」。師は言った、「會すれば便ち會せ、甚の死急を着けん」。僧却って問うた、「師の意如何」。師も亦た拂子を豎起す。(玄沙曰く、「只だ這の香嚴脚跟未だ地を點ぜず」。雲居錫曰く、「甚麼の處にか是れ香嚴の脚跟未だ地を點ぜざる處」)。師偈有りて曰く、「子啐すれば母啄み、子覺れば母殼す。子母俱に亡び、緣に應じて錯らず。同道唱和して、妙玄獨脚なり」。師凡そ學徒に示す、語多く簡直なり。偈頌二百餘篇有り、緣に隨ひ機に對し、聲律に拘らず、諸方盛行せり。後に襲燈禅師と諡す。

杭州徑山洪諲禪師

杭州徑山洪𬤇禅師

吳興人也。僧問。掩息如灰時如何。師曰。猶是時人功幹。曰。幹後如何。師曰。耕人田不種。曰。畢竟如何。師曰。禾熟不臨場。問。龍門不假風雷勢便透得者如何。師曰。猶是一品二品。曰。此既是階級。向上事如何。師曰。吾不知有汝龍門。問。如霜如雪時如何。師曰。猶是汙染。曰。不汙染時如何。師曰。不同色。許州全明上座先問石霜。一毫穿眾穴時如何。霜曰。直須萬年去。曰。萬年後如何。霜曰。登科任汝登科。㧞萃任汝㧞萃。後問師曰。一毫穿眾穴時如何。師曰。光靴任汝光靴。結果任汝結果。問。如何是長。師曰。千聖不能量。曰。如何是短。師曰。蟭螟眼裡著不滿。其僧不肯。便去舉似石霜。霜曰。祇為太近實頭。僧卻問霜。如何是長。霜曰。不屈曲。曰。如何是短。霜曰。雙陸盤中不喝彩。佛日長老訪師。師問。伏承長老獨化一方。何以薦遊峰頂日。曰。朗月當空掛。冰霜不自寒。師曰。莫是長老家風也無。日曰。峭峙萬重關。於中含寶月。師曰。此猶是文言。作麼生是長老家風。日曰。今日賴遇佛日。卻問隱密全真。時人知有道不得。太省無辜。時人知有道得。於此二途。猶是時人升降處。未審和尚親道自道如何道。師曰。我家道處無可道。日曰。如來路上無私曲。便請玄音和一場。師曰。任汝二輪更互照。碧潭雲外不相關。日曰。為報白頭無限客。此回年少莫歸鄉。師曰。老少同輪無向背。我家玄路勿參差。日曰。一言定天下。四句為誰宣。師曰。汝言有三四。我道其中一也無。師因有偈曰。東西不相顧。南北與誰留。汝言有三四。我道一也無。光化四年九月二十八日。白眾而化。

吳興人。僧が問うた、「息を掩ひて灰の如き時如何」。師は言った、「猶ほ是れ時人の功干」。曰く、「干し後如何」。師は言った、「人の田を耕して種せず」。曰く、「畢竟如何」。師は言った、「禾熟れども場に臨まず」。問うた、「龍門風雷の勢を假らずして便ち透り得る者如何」。師は言った、「猶ほ是れ一品二品」。曰く、「此れ既是れ階級、向上の事如何」。師は言った、「吾汝に龍門有るを知らず」。問うた、「霜の如く雪の如き時如何」。師は言った、「猶ほ是れ污染」。曰く、「污染せざる時如何」。師は言った、「色に同じからず」。許州全明上座先に石霜に問うた、「一毫衆穴を穿つ時如何」。石霜曰く、「直に須く萬年に去るべし」。曰く、「萬年後如何」。石霜曰く、「登科は汝に登科を任せ、拔萃は汝に拔萃を任す」。後に師に問ひて曰く、「一毫衆穴を穿つ時如何」。師は言った、「光靴は汝に光靴を任せ、結果は汝に結果を任す」。問うた、「如何なるか是れ長」。師は言った、「千聖も能く量らず」。曰く、「如何なるか是れ短」。師は言った、「蟭螟の眼裏着けて滿たず」。那の僧肯んぜず、便ち去りて石霜に擧似す。石霜曰く、「只だ實頭に近きが爲」。僧却って石霜に問うた、「如何なるか是れ長」。石霜曰く、「屈曲せず」。曰く、「如何なるか是れ短」。石霜曰く、「雙陸盤中彩を喝せず」。佛日長老師を訪ふ。師問うた、「伏して承る、長老獨り一方を化す、何以に峰頂の日を薦游する」。曰く、「朗月空に當たりて挂り、冰霜自ら寒からず」。師は言った、「是れ長老の家風か無し莫し」。佛日曰く、「峭峙萬重の關、中に於て寶月を含む」。師は言った、「此れ猶ほ是れ文言。作麼生か是れ長老の家風」。佛日曰く、「今日賴む佛日に遇ふを」。却って問うた、「隱密全眞、時人知りて道ふを得ず。太省無辜、時人知りて道ふを得。此の二途に於て、猶ほ是れ時人の昇降の處。未だ審らかならず、和尚親道自道如何に道ふ」。師は言った、「我家の道ふ處道ふ可き無し」。佛日曰く、「如來路上私曲無し、便ち玄音に一場を和せんことを請ふ」。師は言った、「汝に任す二輪更互に照らす、碧潭雲外相關せず」。佛日曰く、「報せんが爲に白頭無限の客、此の回年少鄉に歸る莫れ」。師は言った、「老少同輪にして向背無し、我家の玄路參差する勿れ」。佛日曰く、「一言天下を定む、四句誰が爲に宣ふる」。師は言った、「汝言三四有り、我道ふ其の中一も無し」。師因りて偈有りて曰く、「東西相い顧みず、南北誰とか留まる。汝言三四有り、我道ふ一も無し」。光化四年九月二十八日、衆に白して化す。

滁州定山神英禪師

滁州定山神英禅師

因椑樹省和尚行腳時參問。不落數量。請師道。師提起數珠曰。是落不落。樹曰。圓珠三竅。時人知有。請師圓前話。師便打。樹拂袖便出。師曰。三十年後槌胸大哭去在。樹住後示眾曰。老僧三十年前至定山。被他熱謾一上。不同小小。師見首座洗衣。遂問。作甚麼。座提起衣示之。師曰。洗底是甚衣。座曰。關中使鐵錢。師喚維那。移下座掛搭著。

椑樹省和尚の行脚の時に因りて參問す、「數量に落ちず、師に道はんことを請ふ」。師數珠を提起して曰く、「是れ落ちるか落ちざるか」。椑樹曰く、「圓珠三竅、時人知り有り。師に前の話を圓せしめんことを請ふ」。師便ち打つ。椑樹袖を拂ひて便ち出づ。師は言った、「三十年後胸を槌りて大いに哭きて去ること在らん」。椑樹住し後衆に示して曰く、「老僧三十年前定山に至り、他に熱謾を一上せられ、小小に同じからず」。師首座の衣を洗ふを見、遂に問うた、「何をか作す」。首座衣を提起して之を示す。師は言った、「洗ふ是れ甚の衣ぞ」。首座曰く、「關中鐵錢を使ふ」。師維那を喚んで曰く、「下座に移して挂搭せよ」。

襄州延慶山法端禪師

襄州延慶山法端禅師

僧問。蚯蚓斬為兩段。兩頭俱動。佛性在阿那頭。師展兩手(洞山別雲。問底在阿那頭)。師滅後。諡紹真禪師。

僧が問うた、「蚯蚓斬ちて兩段と爲す、兩頭俱に動く。佛性阿那の頭にか在る」。師兩手を展ぶ。(洞山別に曰く、「問ふは阿那の頭にか在る」)。師滅し後、紹眞禅師と諡す。

益州應天和尚

益州應天和尚

僧問。人人盡有佛性。如何是和尚佛性。師曰。汝喚甚麼作佛性。曰。恁麼則和尚無佛性也。師乃呌。快活。快活。

僧が問うた、「人人盡く佛性有り。如何なるか是れ和尚の佛性」。師は言った、「汝甚麼を喚んで佛性と作す」。曰く、「さようらば則ち和尚佛性無きなり」。師乃ち叫ぶ、「快活、快活」。

福州九峰慈慧禪師

福州九峰慈慧禅師

初在溈山。山上堂曰。汝等諸人。祇得大機。不得大用。師便抽身出去。溈召之。師更不回顧。溈曰。此子堪為法器。一日辭溈山。曰。某甲辭違和尚。千里之外不離左右。溈動容曰。善為。

初め潙山に在り。潙山上堂して曰く、「汝等諸人、只だ大機を得て、大用を得ず」。師便ち身を抽きて出去す。潙山之を召す。師更に回顧せず。潙山曰く、「此の子法器と爲るに堪へ」。一日潙山を辭して曰く、「某甲和尚に辭違す、千里の外も左右を離れず」。潙山容を動かして曰く、「善く爲せ」。

京兆府米和尚(亦謂七師)

京兆府米和尚(も七師と謂ふ)

參學後。歸受業寺。有老宿問。月中斷井索。時人喚作蛇。未審七師見佛喚作甚麼。師曰。若有佛見。即同眾生(法眼別雲。此是甚麼時節問。法燈別雲。喚底不是)。老宿曰。千年桃核。師令僧去問仰山曰。今時還假悟也無。仰曰。悟即不無。爭奈落在第二頭。師深肯之。又令僧問洞山曰。那箇究竟作麼生。洞曰。卻須問他始得。師亦肯之。僧問。自古上賢。還達真正理也無。師曰。達。曰。祇如真正理作麼生達。師曰。當時霍光賣假銀城與單於。契書是甚麼人做。曰。某甲直得杜口無言。師曰。平地教人作保。問。如何是衲衣下事。師曰。醜陋任君嫌。不掛雲霞色。

參學し後、受業寺に歸る。老宿有りて問うた、「月中井索を斷つ、時人喚んで蛇と作す。未だ審らかならず、七師佛を見て何とか喚ぶ」。師は言った、「若し佛見有らば、即ち衆生に同じ」。(法眼別に曰く、「此れ是れ甚麼の時節の問ぞ」。法燈別に曰く、「喚ぶ是れにあらず」)。老宿曰く、「千年の桃核」。師僧をして仰山に問はしめて曰く、「今時還た悟を假るや無し」。仰山曰く、「悟は即ち無ならざれど、争奈第二頭に落つるを」。師深く之を肯んず。又僧をして洞山に問はしめて曰く、「那箇畢竟作麼生」。洞山曰く、「却って須く他に問ひて始めて得」。師も亦た之を肯んず。僧が問うた、「自ら古上賢、還た眞正の理に達するや無し」。師は言った、「達す」。曰く、「只だ如し眞正の理作麼生か達する」。師は言った、「當時霍光假の銀城を單于に賣り、契書是れ甚麼人か作りし」。曰く、「某甲直に杜口无言を得たり」。師は言った、「平地人をして保を作さしむ」。問うた、「如何なるか是れ衲衣下の事」。師は言った、「醜陋君に嫌はるを任す、雲霞の色を挂けず」。

晉州霍山和尚

晉州霍山和尚

因仰山一僧到。自稱集雲峰下四藤條天下大禪佛參。師乃喚維那。打鐘著。大禪佛驟步而去。

仰山の一僧到るに因り、自ら稱して集雲峰下四藤條天下大禅佛參すと。師乃ち維那を喚んで曰く、「鐘を打て」。大禅佛驟步して去る。

元康和尚

元康和尚

因訪石樓。樓才見便收足坐。師曰。得恁麼威儀周足。樓曰。汝適來見箇甚麼。師曰。無端被人領過。樓曰。須是與麼始為真見。師曰。苦哉。賺殺幾人來。樓便起身。師曰。見則見矣。動則不動。樓曰。盡力道不出定也。師拊掌三下。後有僧舉似南泉。泉曰。天下人斷這箇漢是非不得。若斷得。與他同參。

石樓を訪ふに因り。石樓纔かに見て便ち足を收めて坐す。師は言った、「さような威儀周足を得たり」。石樓曰く、「汝適來箇の甚麼をか見し」。師は言った、「無端に人に領過せられ」。石樓曰く、「須く是れさようらば始めて眞見と爲る」。師は言った、「苦なる哉、幾人をか賺殺し來れり」。石樓便ち身を起こす。師は言った、「見れば則ち見れり、動けば則ち動かず」。石樓曰く、「力を盡くして道へども定を出でず」。師掌を拊つこと三下。後に僧有りて南泉に擧似す。南泉曰く、「天下人這の漢の是非を斷ずるを得ず。若し斷じ得ば、他と同參せん」。

蘄州三角山法遇庵主

蘄州三角山法遇庵主

因荒亂。魁師入山。執刃而問。和尚有甚財寶。師曰。僧家之寶。非君所宜。魁曰。是何寶。師震聲一喝。魁不悟。以刃加之。

荒亂に因り、魁師山に入り、刃を執りて問うた、「和尚甚の財寶か有る」。師は言った、「僧家の寶、君の宜しき所に非ず」。魁曰く、「是れ何の寶ぞ」。師聲を震はして一喝す。魁悟らず、刃を以て之に加ふ。

襄州王敬初常侍

襄州王敬初常侍

視事次。米和尚至。公乃舉筆示之。米曰。還判得虗空否。公擲筆入宅。更不復出。米致疑。明日憑鼓山供養主入探其意。米亦隨至。潛在屏蔽間偵伺。供養主才坐。問曰。昨日米和尚有甚麼言句。便不相見。公曰。師子齩人。韓獹逐塊。米聞此語。即省前謬。遽出朗笑曰。我會也。我會也。公曰。會即不無。你試道看。米曰。請常侍舉。公乃竪起一隻筯。米曰。這野狐精。公曰。這漢徹也。問僧。一切眾生還有佛性也無。曰。有。公指壁上畵狗子曰。這箇還有也無。僧無對。公自代曰。看齩著汝。

事を視る次、米和尚至る。公乃ち筆を擧げて之を示す。米曰く、「還た虛空を判じ得るか否」。公筆を擲ちて宅に入り、更に復た出でず。米疑を致す。明日鼓山の供養主を憑りて入りて其の意を探らしむ。米も亦た隨ひ至り、潛かに屏蔽の間に偵伺す。供養主纔かに坐し、問ひて曰く、「昨日米和尚甚麼の言句か有りて、便ち相見せざりし」。公曰く、「師子人を咬み、韓盧塊を逐ふ」。米此の語を聞き、即ち前の謬を省み、遽に出でて朗かに笑ひて曰く、「我會せり、我會せり」。公曰く、「會すれば即ち無ならざれど、汝試みに道へて看よ」。米曰く、「常侍に擧げんことを請ふ」。公乃ち一隻の箸を豎起す。米曰く、「這の野狐精」。公曰く、「這の漢徹せり」。僧に問うた、「一切衆生還た佛性有るや無し」。曰く、「有り」。公壁上の畫きたる狗子を指して曰く、「這箇還た有るや無し」。僧對無し。公自ら代えて曰く、「汝に咬着せんを看よ」。

南嶽下五世

南岳下五世

仰山寂禪師法嗣

仰山寂禅師法嗣

袁州仰山西塔光穆禪師

袁州仰山西塔光穆禅師

僧問。如何是正聞。師曰。不從耳入。曰。作麼生。師曰。還聞麼。問。祖意教意。是同是別。師曰。同別且置。汝道瓶觜裡甚麼物出來入去。問。如何是西來意。師曰。汝無佛性。問。如何是頓。師作圓相示之。曰。如何是漸。師以手空中撥三下。

僧が問うた、「如何なるか是れ正聞」。師は言った、「耳より入らず」。曰く、「作麼生」。師は言った、「還た聞くか」。問うた、「祖意教意、是れ同か是れ別か」。師は言った、「同別且く置け。汝道へ、瓶の嘴裏甚麼の物か出で入りする」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「汝佛性無し」。問うた、「如何なるか是れ頓」。師圓相を作して之を示す。曰く、「如何なるか是れ漸」。師手を以て空中に撥すこと三下。

袁州仰山南塔光湧禪師

袁州仰山南塔光涌禅師

豫章豐城章氏子。母乳之夕。神光照庭。廐馬皆驚。因以光湧名之。少甚俊敏。依仰山剃度。北遊謁臨濟。復歸侍山。山曰。汝來作甚麼。師曰。禮覲和尚。山曰。還見和尚麼。師曰。見。山曰。和尚何似驢。師曰。某甲見和尚亦不似佛。山曰。若不似佛。似箇甚麼。師曰。若有所似。與驢何別。山大驚曰。凡聖兩忘。情盡體露。吾以此驗人。二十年無決了者。子保任之。山每指謂人曰。此子肉身佛也。僧問。文殊是七佛之師。文殊還有師否。師曰。遇緣即有。曰。如何是文殊師。師竪起拂子。僧曰。莫祇這便是麼。師放下拂子。叉手。問。如何是妙用一句。師曰。水到渠成。問。真佛住在何處。師曰。言下無相。也不在別處。

豫章豊城章氏の子。母乳するの夕、神光庭を照らし、廐馬皆な驚く、因りて以て光涌と名づく。少くして甚だ俊敏、仰山に依りて剃度す。北に游びて臨濟を謁ふ、復た歸りて山に侍す。仰山曰く、「汝來りて作麼する」。師は言った、「和尚を禮覲す」。仰山曰く、「還た和尚を見るか」。師は言った、「見る」。仰山曰く、「和尚何ぞ驢に似る」。師は言った、「某甲和尚を見るも亦た佛に似ず」。仰山曰く、「若し佛に似ざれば、箇の甚麼にか似る」。師は言った、「若し似る所有らば、驢と何の別か有らん」。仰山大いに驚きて曰く、「凡聖兩忘して、情盡き體露る。吾此れを以て人を驗す、二十年決了する者無し。子之を保任せよ」。仰山每に指して人に謂ひて曰く、「此の子肉身の佛なり」。僧が問うた、「文殊是れ七佛の師、文殊還た師有るか否」。師は言った、「緣に遇へば即ち有り」。曰く、「如何なるか是れ文殊の師」。師拂子を豎起す。僧曰く、「只だ這れ便ち是れか莫し」。師拂子を放下し、手を叉ぐ。問うた、「如何なるか是れ妙用の一句」。師は言った、「水到れば渠成る」。問うた、「眞佛何の處にか住する」。師は言った、「言下相無く、も別處に在らず」。

晉州霍山景通禪師

晉州霍山景通禅師

初參仰山。山閉目坐。師乃翹起右足曰。如是。如是。西天二十八祖亦如是。中華六祖亦如是。和尚亦如是。景通亦如是。仰山起來。打四藤條。師因此自稱。集雲峰下四藤條天下大禪師(歸宗下。亦名大禪佛有智通)。住後。有行者問。如何是佛法大意。師乃禮拜。者曰。和尚為甚麼禮俗人。師曰。汝不見道尊重弟子。師問僧。甚麼處來。僧提起坐具。師曰。龍頭蛇尾。問。如何是佛。師便打。僧亦打。師曰。汝打我有道理。我打汝無道理。僧無語。師又打趂出。師化緣將畢。先備薪於郊野。徧辭檀信。食訖至薪所。謂弟子曰。日午當來報。至日午。師自執炬登積薪上。以笠置頂後。作圓光相。手執拄杖。作降魔杵勢。立終於紅焰中。

初め仰山に參ず。仰山目を閉ぢて坐す。師乃ち右足を翹起して曰く、「如是、如是。西天二十八祖も亦た如是、中華六祖も亦た如是、和尚も亦た如是、景通も亦た如是」。仰山起ち來り、四藤條を打つ。師是れに因りて自ら稱して集雲峰下四藤條天下大禅師と曰ふ(歸宗の下、も亦た名づけて大禅佛有りて智通と曰ふ)。住し後、行者有りて問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師乃ち禮拜す。行者曰く、「和尚甚麼の故にか俗人に禮する」。師は言った、「汝見ずや道ふ、弟子を尊重すと」。師僧に問うた、「甚麼の處か來れり」。僧坐具を提起す。師は言った、「龍頭蛇尾」。問うた、「如何なるか是れ佛」。師便ち打つ。僧も亦た打つ。師は言った、「汝我を打つに道理有り、我汝を打つに道理無し」。僧語無し。師又打ちて趁出す。師化緣將に畢らんとす、先に郊野に薪を備へ、遍く檀信に辭す。食訖りて薪所に至り、弟子に謂ひて曰く、「日午當に來り報ずべし」。日午に至り、師自ら炬を執りて積薪の上に登り、笠を頂後に置きて、圓光の相を作し、手に拄杖を執り、降魔杵の勢を作して、紅焰の中に立ちて終はる。

杭州無著文喜禪師

杭州無著文喜禅師

嘉禾語溪人也。姓朱氏。七歲。依本邑常樂寺(今崇福也)。國清出家剃染。後習律聽教。屬會昌澄汰。反服韜晦。大中初。例重懺度於鹽官齊峰寺。後謁大慈山性空禪師。空曰。子何不徧參乎。師直往五臺山華嚴寺。至金剛窟禮謁。遇一老翁牽牛而行。邀師入寺。翁呼均提。有童子應聲出迎。翁縱牛。引師陞堂。堂宇皆耀金色。翁踞床指繡墩命坐。翁曰。近自何來。師曰。南方。翁曰。南方佛法如何住持。師曰。末法比丘。少奉戒律。翁曰。多少眾。師曰。或三百。或五百。師卻問。此間佛法如何住持。翁曰。龍蛇混雜。凡聖同居。師曰。多少眾。翁曰。前三三。後三三。翁呼童子致茶。並進酥酪。師納其味。心意豁然。翁拈起玻瓈盞。問曰。南方還有這箇否。師曰。無。翁曰。尋常將甚麼吃茶。師無對。師覩日色稍晚。遂問翁。擬投一宿得否。翁曰。汝有執心在。不得宿。師曰。某甲無執心。翁曰。汝曾受戒否。師曰。受戒久矣。翁曰。汝若無執心。何用受戒。師辭退。翁令童子相送。師問童子。前三三。後三三。是多少。童召。大德。師應諾。童曰。是多少。師復問曰。此為何處。童曰。此金剛窟般若寺也。師悽然。悟彼翁者即文殊也。不可再見。即稽首童子。願乞一言為別。童說偈曰。面上無嗔供養具。口裡無嗔吐妙香。心裡無嗔是珍寶。無垢無染是真常。言訖。均提與寺俱隱。但見五色雲中。文殊乘金毛師子往來。忽有白雲自東方來。覆之不見。時有滄州菩提寺僧修政等至。尚聞山石震吼之聲。師因駐錫五臺。咸通三年至洪州觀音參仰山。頓了心契。令充典座。文殊嘗現於粥鑊上。師以攪粥篦便打。曰。文殊自文殊。文喜自文喜。殊乃說偈曰。苦瓠連根苦。甜瓜徹蔕甜。修行三大劫。卻被老僧嫌。一日。有異僧來求齋食。師減己分饋之。仰山預知。問曰。適來果位人至。汝給食否。師曰。

嘉禾語溪人、姓朱氏。七歲にして、本邑常樂寺(今は崇福なり)の國淸に依りて出家剃染す。後に律を習ひ教を聽く。會昌の澄汰に屬し、服を反して韜晦す。大中の初め、例に重ねて鹽官齊峰寺に懺度す。後に大慈山性空禅師を謁ふ。性空曰く、「子何ぞ遍參せざる」。師直に五臺山華嚴寺に往き、金剛窟に至りて禮謁す、一老翁の牛を牽きて行くに遇ふ、師を邀ねて寺に入れしむ。翁均提を呼ぶ、童子有りて聲に應じて出で迎ふ。翁牛を縱ち、師を引きて堂に升らしむ。堂宇皆な金色を耀かす。翁牀に踞りて繡墩を指して坐を命ず。翁曰く、「近く自ら何より來る」。師は言った、「南方」。翁曰く、「南方の佛法如何に住持する」。師は言った、「末法の比丘、戒律を奉ずること少なし」。翁曰く、「多少の衆ぞ」。師は言った、「或は三百、或は五百」。師却って問うた、「此の間の佛法如何に住持する」。翁曰く、「龍蛇混雜、凡聖同居す」。師は言った、「多少の衆ぞ」。翁曰く、「前三三、後三三」。翁童子を呼びて茶を致し、併せて酥酪を進めしむ。師其の味を納れて、心意豁然たり。翁玻璃盞を拈起して、問ひて曰く、「南方還た這箇有るか否」。師は言った、「無し」。翁曰く、「尋常何を將てか茶を喫する」。師對無し。師日色稍々晚きを睹て、遂に翁に問うた、「一宿に投ぐるを擬す得るか否」。翁曰く、「汝執心有りて在り、宿るを得ず」。師は言った、「某甲執心無し」。翁曰く、「汝曾て戒を受けしや否」。師は言った、「戒を受くること久し」。翁曰く、「汝若し執心無ければ、何ぞ戒を受くるを用ゐん」。師退辭す。翁童子をして相送せしむ。師童子に問うた、「前三三、後三三、是れ多少」。童召して曰く、「大德」。師應諾す。童曰く、「是れ多少」。師復た問ひて曰く、「此れ何の處とか爲る」。童曰く、「此れ金剛窟般若寺なり」。師凄然として、彼の翁は即ち文殊なりと悟る、再び見る可からず。即ち童子に稽首し、一言を乞ひて別れと爲さんと願ふ。童偈を説きて曰く、「面上嗔無きは供養の具、口裏嗔無きは妙香を吐く、心裏嗔無きは是れ珍寶、垢無く染無きは是れ眞常」。言訖りて、均提と寺と俱に隱る。但だ五色の雲中、文殊金毛の師子に乘りて往來するを見る。忽ち白雲有りて東方より自り來り、之を覆ひて見えず。時に滄州菩提寺の僧修政等至り、尚ほ山石の震吼するの聲を聞く。師因りて五臺に錫を駐む。咸通三年洪州觀音に至りて仰山に參じ、頓ちに心契を了し、典座に充てらる。文殊嘗て粥鑊の上に現ず。師攪粥の篦を以て便ち打ちて曰く、「文殊自ら文殊、文喜自ら文喜」。文殊乃ち偈を説きて曰く、「苦瓠根に連なりて苦く、甜瓜蒂に徹して甜し。修行三大劫、却って老僧に嫌はる」。一日、異僧有りて來りて齋食を求む。師己が分を減じて之に饋る。仰山豫め知り、問ひて曰く、「適來果位の人至れり、汝食を給せしか否」。師は言った、

輟己回施。仰曰。汝大利益。後旋浙住龍泉寺。僧問。如何是涅槃相。師曰。香煙盡處驗。問。如何是佛法大意。師曰。喚院主來。這師僧患顛。問。如何是自己。師默然。僧罔措。再問。師曰。青天矇昧。不向月邊飛。錢王奏賜紫衣。署無著禪師。將順寂。於子夜告眾曰。三界心盡。即是涅槃。言訖。跏趺而終。白光照室。竹樹同色。塔於靈隱山之西塢。天福二年宣城帥田頵應杭將許思叛渙。縱兵大掠。發師塔。覩肉身不壞。爪髮俱長。武肅錢王異之。遣裨將邵志重加封瘞。至皇朝嘉定庚辰。遷於淨慈山智覺壽禪師塔左。

(師引き続き曰く、)「己を輟めて回施せり」。仰山曰く、「汝大きに利益す」。後に浙に旋りて龍泉寺に住す。僧が問うた、「如何なるか是れ涅槃の相」。師は言った、「香烟盡きる處に驗せよ」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「院主を喚び來れ、這の師僧顛を患ふ」。問うた、「如何なるか是れ自己」。師默然とす。僧罔措し、再び問ふ。師は言った、「青天蒙昧として、月邊に向ひて飛ばず」。錢王奏して紫衣を賜ひ、無著禅師と署す。將に順寂せんとす、子夜に於て衆に告げて曰く、「三界心盡くれば、即ち是れ涅槃」。言訖りて、跏趺して終はる。白光室を照らし、竹樹同色なり。靈隱山の西の塢に塔す。天福二年宣城の帥田𫖳杭の將許思の叛渙に應じ、兵を縱ちて大いに掠り、師の塔を發く、肉身壞れず、爪髮俱に長しを睹る。武肅錢王之を異とし、裨將邵志を遣はして重ねて封瘗せしむ。皇朝嘉定庚辰に至り、淨慈山智覺壽禅師の塔の左に遷す。

新羅國五觀山順支了悟禪師

新羅國五觀山順支了悟禅師

僧問。如何是西來意。師竪拂子。僧曰。莫這箇便是。師放下拂子。問。以字不成。八字不是。是甚麼字。師作圓相示之。有僧於師前作五花圓相。師畫破作一圓相。

僧が問うた、「如何なるか是れ西來意」。師拂子を豎ぐ。僧曰く、「這箇便ち是れ莫し」。師拂子を放下す。問うた、「以字成らず、八字是れならず。是れ甚麼の字ぞ」。師圓相を作して之を示す。僧有りて師の前に於て五花の圓相を作す。師畫破して一の圓相を作す。

袁州仰山東塔和尚

袁州仰山東塔和尚

僧問。如何是君王劒。師曰。落䌫不採功。曰。用者如何。師曰。不落人手。問。法王與君王相見時如何。師曰。兩掌無私。曰。見後如何。師曰。中間絕像。

僧が問うた、「如何なるか是れ君王の劍」。師は言った、「纜を落として功を采らず」。曰く、「用ゐる者如何」。師は言った、「人手に落ちず」。問うた、「法王と君王と相見る時如何」。師は言った、「兩掌私無し」。曰く、「見し後如何」。師は言った、「中間像を絕つ」。

香嚴閑禪師法嗣

香嚴閑禅師法嗣

吉州止觀和尚

吉州止觀和尚

僧問。如何是毗盧師。師攔胷與一拓。問。如何是頓。師曰。非梁陳。

僧が問うた、「如何なるか是れ毘盧師」。師胸を攔ぎて一拓を與ふ。問うた、「如何なるか是れ頓」。師は言った、「梁陳に非ず」。

壽州紹宗禪師

壽州紹宗禅師

僧問。如何是西來意。師曰。好事不出門。惡事行千里。有官人謂師曰。見說江西不立宗。師曰。遇緣即立。曰。遇緣立箇甚麼。師曰。江西不立宗。

僧が問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「好事門を出でず、惡事千里を行く」。官人有りて師に謂ひて曰く、「見説く、江西宗を立てずと」。師は言った、「緣に遇へば即ち立つ」。曰く、「緣に遇ひて箇の甚麼をか立つる」。師は言った、「江西宗を立てず」。

益州南禪無染禪師

益州南禪無染禅師

僧問。無句之句。師還答也無。師曰。從來祇明恁麼事。曰。畢竟如何。師曰。且問看。

僧が問うた、「無句の句、師還た答ふるや無し」。師は言った、「從來只ださような事を明めるのみ」。曰く、「畢竟如何」。師は言った、「且く問ひて看よ」。

益州長平山和尚

益州長平山和尚

僧問。視瞬不及處如何。師曰。我眨眼也沒工夫。問。如何是祖師意。師曰。西天來。唐土去。

僧が問うた、「視瞬の及ばざる處如何」。師は言った、「我眼を眨むも工夫を沒す」。問うた、「如何なるか是れ祖師意」。師は言った、「西天より來り、唐土に去る」。

益州崇福演教禪師

益州崇福演教禅師

僧問。如何是寬廓之言。師曰。無口得道。問。如何是西來意。師曰。今日明日。

僧が問うた、「如何なるか是れ寬廓の言」。師は言った、「口無くして道を得」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「今日明日」。

安州大安山清幹禪師

安州大安山淸干禅師

僧問。從上諸聖。從何而證。師乃斫額。問。如何是祖師西來意。師曰。羊頭車子推明月。

僧が問うた、「從上の諸聖、何よりか而して證する」。師乃ち額を斫る。問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。師は言った、「羊頭の車子明月を推す」。

終南山豐德寺和尚

終南山豐德寺和尚

僧問。如何是和尚家風。師曰。觸事面牆。問。如何是本來事。師曰。終不更問人。

僧が問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「事に觸れて壁に面す」。問うた、「如何なるか是れ本來の事」。師は言った、「終に更に人に問はず」。

均州武當山佛巖喗禪師

均州武當山佛巖喗禅師

僧問。某甲頃年有疾。又中毒藥。請師醫。師曰。二宜湯一椀。問。如何是佛向上事。曰。螺髻子。曰。如何是佛向下事。師曰。蓮華座。

僧が問うた、「某甲頃年疾有り、又毒藥を中し、師に醫さんことを請ふ」。師は言った、「二宜湯一碗」。問うた、「如何なるか是れ佛向上の事」。曰く、「螺髻子」。問うた、「如何なるか是れ佛向下の事」。師は言った、「蓮華座」。

江州廬山雙谿田道者

江州廬山雙溪田道者

僧問。如何是啐啄之機。師以手作啄勢。問。如何是西來意。師曰。甚麼處得箇問頭來。

僧が問うた、「如何なるか是れ啐啄の機」。師手を以て啄の勢を作す。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「甚麼の處か箇の問頭を得來れり」。

徑山諲禪師法嗣

徑山𬤇禅師法嗣

洪州米嶺和尚

洪州米嶺和尚

常語曰。莫過於此。僧問。未審是甚麼莫過於此。師曰。不出是。僧後問長慶。為甚麼不出是。慶曰。汝擬喚作甚麼。

常に語りて曰く、「此に過ぐる莫し」。僧が問うた、「未だ審らかならず、甚麼の此に過ぐる莫しか」。師は言った、「是を出でず」。僧後に長慶に問うた、「甚麼の故にか是を出でず」。長慶曰く、「你擬して喚んで甚麼と作さん」。

雙峰和尚法嗣

雙峰和尚法嗣

福州雙峰古禪師

福州雙峰古禅師

本業講經。因參先雙峰。峰問。大德甚麼處住。曰。城裡。峰曰。尋常還思老僧否。問。常思和尚。無由禮覲。峰曰。祇這思底便是大德。師從此領旨。即罷講席。侍奉數年。後到石霜。但隨眾而已。更不參請。眾謂古侍者嘗受雙峰印記。往往聞於石霜。霜欲詰其所悟。而未得其便。師因辭去。霜將拂子送出門首。召曰。古侍者。師回首。霜曰。擬著即差。是著即乖。不擬不是。亦莫作箇會。除非知有莫能知之。好去。好去。師應喏喏。即前邁。尋屬雙峰示寂。師乃繼續住持。僧問。和尚當時辭石霜。石霜恁麼道意作麼生。師曰。祇教我不著是非(玄覺雲。且道他會石霜意不會)。

本業經を講ず。因りて先雙峰を參ず。雙峰問うた、「大德甚麼の處にか住する」。曰く、「城裏」。雙峰曰く、「尋常還た老僧を思ふか否」。曰く、「常に和尚を思ふも、禮覲するに由無し」。雙峰曰く、「只だ這の思ふ便ち是れ大德」。師此より旨を領し、即ち講席を罷め、數年を侍奉す。後に石霜に到り、但だ衆に隨ふのみ、更に參請せず。衆謂ふ、古侍者嘗て雙峰の印記を受くと、往往石霜に聞ゆ。石霜其の悟る所を詰めんと欲すも、未だ其の便を得ず。師因りて辭去せんとす。石霜拂子を將て門首まで送り、召して曰く、「古侍者」。師首を回す。石霜曰く、「著せんと擬すれば即ち差し、是が著せば即ち乖る。不擬不是、亦た箇の會を作す莫れ。知有に非ざれば、能く之を知る莫し。好去、好去」。師應諾諾、即ち前邁す。尋いで雙峰の示寂に屬し、師乃ち繼續して住持す。僧が問うた、「和尚當時石霜を辭して、石霜さように道ふ、意作麼生」。師は言った、「只だ我を教へて是非に着せず」。(玄覺曰く、「且く道へ、他會石霜意するや會せざるや」)。

南嶽下六世

南岳下六世

西塔穆禪師法嗣

西塔穆禅師法嗣

吉州資福如寶禪師

吉州資福如寶禅師

僧問。如何是應機之句。師默然。問。如何是玄旨。師曰。汝與我掩卻門。問。魯祖面壁。意作麼生。師曰。沒交涉。問。如何是從上真正眼。師槌𮌎曰。蒼天。蒼天。曰。借問有何妨。師曰。困。問。這箇還受學也無。師曰。未曾钁地栽虗空。問。如何是衲僧急切處。師曰。不過此。問曰。學人未問已前。請師道。師曰。噫。問。如何是一塵入正受。師作入定勢。曰。如何是諸塵三昧起。師曰。汝問阿誰。問。如何是一路涅槃門。師彈指一聲。又展開兩手。曰。如何領會。師曰。不是秋月明。子自橫行八九。問。如何是和尚家風。師曰。飯後三椀茶。師一日拈起蒲團。示眾曰。諸佛菩薩。入理聖人。皆從這裡出。便擲下。擘開胷曰。作麼生。眾無對。問。學人創入叢林。一夏將末。未蒙和尚指教。願垂提拯。師拓開曰。老僧住持已來。未曾瞎卻一人眼。師有時坐良久。周視左右曰。會麼。眾曰。不會。師曰。不會即謾汝去也。師一日將蒲團於頭上。曰。汝諸人恁麼時難共語。眾無對。師將坐。卻曰。猶較些子。

僧が問うた、「如何なるか是れ應機の句」。師默然とす。問うた、「如何なるか是れ玄旨」。師は言った、「你與我門を掩却せよ」。問うた、「魯祖の面壁、意作麼生」。師は言った、「沒交涉」。問うた、「如何なるか是れ從上の眞正眼」。師胸を槌りて曰く、「蒼天、蒼天」。曰く、「借問有何の妨げか」。師は言った、「困」。問うた、「這箇還た學を受くるや無し」。師は言った、「未曾て地を镢りて虛空を栽えず」。問うた、「如何なるか是れ衲僧急切の處」。師は言った、「此を過ぎず」。問うて曰く、「學人未だ問はざる已前、師に道はんことを請ふ」。師は言った、「噫」。問うた、「如何なるか是れ一塵の正受に入る」。師入定の勢を作す。曰く、「如何なるか是れ諸塵の三昧起」。師は言った、「你阿誰をか問ふ」。問うた、「如何なるか是れ一路涅槃門」。師彈指一聲、又兩手を展開す。曰く、「如何に領會せん」。師は言った、「是れ秋月明に非ず、子自ら横行すること八九」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「飯後三碗の茶」。師一日蒲團を拈起して、衆に示して曰く、「諸佛菩薩、入理の聖人、皆な這裏より出づ」。便ち擲下し、胸を擘開して曰く、「作麼生」。衆對無し。問うた、「學人創めて叢林に入り、一夏將に末ならんとす、未だ和尚の指教を蒙らず、願はくは垂れて提拯せんことを」。師拓開して曰く、「老僧住持し已來、未曾て一人の眼を瞎却せず」。師時に坐すること良久、左右を周視して曰く、「會するか」。衆曰く、「會せず」。師は言った、「不會則ち瞞し去る」。師一日蒲團を將て頭上に於きて、曰く、「你諸人さような時語を共にし難し」。衆對無し。師將に坐せんとして、却って曰く、「猶ほ較べて些子」。

南塔湧禪師法嗣

南塔涌禅師法嗣

郢州芭蕉山慧清禪師

郢州芭蕉山慧淸禅師

新羅國人也。上堂。拈拄杖示眾曰。你有拄杖子。我與你拄杖子。你無拄杖子。我奪卻你拄杖子。靠拄杖下座。僧問。如何是芭蕉水。師曰。冬溫夏涼。問。如何是吹毛劒。師曰。進前三步。曰。用者如何。師曰。退後三步。問。如何是和尚為人一句。師曰。祇恐闍黎不問。上堂。會麼。相悉者少。珍重。問。不語有問時如何。師曰。未出三門千里程。問。如何是自己。師曰。望南看北斗。問。光境俱亡。復是何物。師曰。知。曰。知箇甚麼。師曰。建州九郎。上堂。如人行次。忽遇前面萬丈深坑。背後野火來逼。兩畔是荊棘叢林。若也向前。則墮在坑壍。若也退後。則野火燒身。若也轉側。則被荊棘林礙。當與麼時。作麼生免得。若也免得。合有出身之路。若免不得。墮身死漢。問。如何是提婆宗。師曰。赤幡在左。問僧。近離甚處。僧曰。請師試道看。師曰。將謂是舶上商人。元來是當州小客。問。不問二頭三首。請師直指本來面目。師默然正坐。問。賊來須打。客來須看。忽遇客賊俱來時如何。師曰。屋裡有一緉破草鞋。曰。祇如破草鞋。還堪受用也無。師曰。汝若將去。前兇後不吉。問。北斗藏身。意旨如何。師曰。九九八十一。乃曰。會麼。曰。不會。師曰。一二三四五。師謂眾曰。我年二十八。到仰山參見南塔。見上堂曰。汝等諸人。若是箇漢。從孃肚裡出來便作師子吼。好麼。我於言下歇得身心。便住五載。僧問。古佛未出興時如何。師曰。千年茄子根。曰。出興後如何。師曰。金剛努出眼。上堂。良久曰。也大相辱。珍重。問。如何是祖師意。師曰。汝問那箇祖師意。曰。達磨西來意。師曰。獨自棲棲暗渡江。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。知。曰。見後如何。師曰。知。問。甚麼物無兩頭。甚麼物無背面。師曰。我身無兩頭。我語無背面。問。如何是透法身句。師曰。一不得問。

新羅國人。上堂。拄杖を拈じて衆に示して曰く、「你有りて拄杖子、我與你拄杖子。你無くて拄杖子、我奪却你拄杖子」。拄杖に靠れて座を下る。僧が問うた、「如何なるか是れ芭蕉の水」。師は言った、「冬は溫く夏は涼し」。問うた、「如何なるか是れ吹毛の劍」。師は言った、「前三步を進む」。曰く、「用ゐる者如何」。師は言った、「後三步を退く」。問うた、「如何なるか是れ和尚人と爲るの一句」。師は言った、「只だ恐れくは闍黎問はざるを」。上堂、「會するか。相悉する者少なし。珍重」。問うた、「語らずして問有る時如何」。師は言った、「未だ三門を出でず、千里の程」。問うた、「如何なるか是れ自己」。師は言った、「南を望みて北斗を看る」。問うた、「光境俱に亡ぶ、復た是れ何物」。師は言った、「知」。曰く、「知る箇の甚麼ぞ」。師は言った、「建州九郎」。上堂、「如し人行る次、忽ち前面萬丈の深坑に遇ひ、背後野火來りて逼り、兩畔是れ荆棘の叢林。若し也向前せんば、則ち坑壍に墮在せん。若し也退後せんば、則ち野火身を燒かん。若し也轉側せんば、則ち荆棘林に礙せられん。當にさような時、作麼生か免れん。若し也免れば、合に出身の路有るべし。若し免れ得ざれば、身を墮して死の漢」。問うた、「如何なるか是れ提婆宗」。師は言った、「赤幡左に在り」。僧に問うた、「近く離るる甚處ぞ」。僧曰く、「師に試みに道はんことを請ふ」。師は言った、「將に謂ふ是れ舶上の商人、元來是れ當州の小客」。問うた、「二頭三首を問はず、師に直指本來面目せんことを請ふ」。師默然として正坐す。問うた、「賊來れば須く打ち、客來れば須く看るべし。忽ち客賊俱に來るに遇へば時如何」。師は言った、「屋裏に一緉の破草鞋有り」。曰く、「只だ如し破草鞋、還た堪へて受用するや無し」。師は言った、「你若し將て去らば、前は凶にして後は不吉」。問うた、「北斗藏身、意旨如何」。師は言った、「九九八十一」。乃ち曰く、「會するか」。曰く、「會せず」。師は言った、「一二三四五」。師衆に謂ひて曰く、「我年二十八、仰山に到りて南塔を參見す。上堂して説くを見る、『汝等諸人、若し是れ箇の漢ならば、娘肚裏より出來すれば便ち師子吼を作せ、好きか莫きか』。我言下に於て身心を歇め得て、便ち五年を住す」。僧が問うた、「古佛未だ出興せざる時如何」。師は言った、「千年の茄子根」。曰く、「出興し後如何」。師は言った、「金剛努出の眼」。上堂。良久して曰く、「も大いに相辱めたり。珍重」。問うた、「如何なるか是れ祖師意」。師は言った、「你那箇の祖師意をか問ふ」。曰く、「達磨西來意」。師は言った、「獨り栖栖として暗に江を渡る」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時如何」。師は言った、「知」。曰く、「見し後如何」。師は言った、「知」。問うた、「甚麼物か兩頭無く、甚麼物か背面無き」。師は言った、「我身兩頭無し、我語背面無し」。問うた、「如何なるか是れ法身を透るの句」。師は言った、「一には問ふを得ず、

二不得休。曰。學人不會。師曰。第三度來。與汝相見。

(師引き続き曰く、)二には休むを得ず」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「第三度に來れば、你と相見せん」。

越州清化全怤禪師

越州淸化全怤禅師

吳郡崑山人也。初參南塔。塔問。從何而來。師曰。鄂州。塔曰。鄂州使君名甚麼。師曰。化下不敢相觸忤。曰。此地道不畏。師曰。大丈夫何必相試。塔囅(醜忍切)然而笑。遂乃印可。時廬陵安福縣宰建應國禪苑。迎師聚徒。本道上聞。賜名清化。僧問。如何是和尚急切為人處。師曰。朝看東南。暮看西北。曰。不會。師曰。徒誇東陽客。不識西陽珍。問。如何是正法眼。師曰。我卻不知。曰。和尚為甚麼不知。師曰。不可青天白日尿床也。師後還故國。錢氏文穆王特加禮重。晉天福二年丁酉歲。錢氏戍將闢雲峰山建院。亦以清化為名。延師開堂。僧問。如何是佛法大意。師曰。華表柱頭木鶴飛。問。路逢達道人。不將語默對。未審將甚麼對。師曰。眼裡瞳人吹呌子。問。和尚年多少。師曰。始見去年九月九。如今又見秋葉黃。曰。恁麼則無數也。師曰。問取黃葉。曰。畢竟事如何。師曰。六隻骰子滿盆紅。問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。長江無間斷。聚沫任風飄。曰。還受祭祀也無。師曰。祭祀即不無。曰。如何祭祀。師曰。漁歌舉櫂。谷裡聞聲。忠獻王賜紫方袍。師不受。王改以衲衣。仍號純一禪師。師曰。吾非飾讓也。慮後人倣吾而逞欲耳。開運四年秋。示寂。時大風摧震竹木。

吳郡崑山人。初め南塔を參ず。南塔問うた、「何處よりか來れり」。師は言った、「鄂州」。南塔曰く、「鄂州の使君名は甚麼」。師は言った、「化下敢へて相觸忤せず」。曰く、「此地畏れず」。師は言った、「大丈夫何ぞ必ずしも相試せん」。南塔冁(丑忍切)然として笑ひ、遂に乃ち印可す。時に廬陵安福縣宰應國禅苑を建て、師を迎へて徒を聚めしむ。本道上聞し、名を淸化と賜ふ。僧が問うた、「如何なるか是れ和尚急切に人と爲るの處」。師は言った、「朝には東南を看、暮には西北を看る」。曰く、「會せず」。師は言った、「徒らに東陽の客を誇り、西陽の珍を識らず」。問うた、「如何なるか是れ正法眼」。師は言った、「我却って知らず」。曰く、「和尚甚麼の故にか不知」。師は言った、「青天白日尿床する可からず」。師後に故國に還る。錢氏文穆王特に禮重を加ふ。晉天福二年丁酉歲、錢氏戍將辟雲峰山を闢きて院を建て、亦た淸化を以て名と爲し、師を延きて堂を開かしむ。僧が問うた、「如何なるか是れ佛法大意」。師は言った、「華表柱頭木鶴飛ぶ」。問うた、「路に達道人に逢ふ、語默を將て對せず。未だ審らかならず、何を將てか對せん」。師は言った、「眼裏の瞳人叫子を吹く」。問うた、「和尚年多少」。師は言った、「始めて去年の九月九を見、如今又秋葉の黄なるを見る」。曰く、「さようらば則ち無數なり」。師は言った、「黄葉に問取れ」。曰く、「畢竟の事如何」。師は言った、「六隻の骰子盆に滿ちて紅」。問うた、「亡僧遷化して甚麼の處に向ひて去る」。師は言った、「長江間斷無し、聚沫風に任せて飄ふ」。曰く、「還た祭祀を受くるや無し」。師は言った、「祭祀即ち無ならざれど」。曰く、「如何に祭祀せん」。師は言った、「漁歌棹を擧げ、谷裏聲を聞く」。忠獻王紫方袍を賜ふ。師受けず。王改めて衲衣を以てし、仍ほ純一禅師と號す。師は言った、「吾飾讓に非ざるなり。後人の吾を倣ひて欲を逞しくするを慮るのみ」。開運四年秋、示寂す。時に大風竹木を摧震す。

韶州黃連山義初明微禪師

韶州黃連山義初明微禅師

僧問。三乘十二分教即不問。請師開口不答話。師曰。寶華臺上定古今。曰。如何是寶華臺上定古今。師曰。一點墨子。輪流不移。曰。學人全體不會。請師指示。師曰。靈覺雖轉。空華不墜。問。古路無蹤。如何進步。師曰。金烏遶須彌。元與劫同時。曰。恁麼則得達於彼岸也。師曰。黃河三千年一度清。廣主劉氏嚮師道化。請入府內說法。僧問。人王與法王相見時如何。師曰。兩鏡相照。萬象歷然。曰。法王心要。達磨西來。五祖付與曹谿。自此不傳衣缽。未審碧玉階前。將何付囑。師曰。石羊水上行。木馬夜翻駒。曰。恁麼則我王有感。萬國歸朝。師曰。時人盡唱太平歌。問。如何是佛。師曰。𮌎題卍字。背負圓光。問。如何是道。師展兩手示之。僧曰。佛之與道。相去幾何。師曰。如水如波。

僧が問うた、「三乘十二分教は即ち問はず、師に口を開きて話に答へざらんことを請ふ」。師は言った、「寶華臺上古今を定む」。曰く、「如何なるか是れ寶華臺上古今を定む」。師は言った、「一點の墨子、輪流移らず」。曰く、「學人全體會せず、師に指示せんことを請ふ」。師は言った、「靈覺轉ずと雖も、空花墜ちず」。問うた、「古路蹤無し、如何に進歩せん」。師は言った、「金烏須彌を繞り、元劫と時を同じくす」。曰く、「さようらば則ち彼岸に達するを得」。師は言った、「黃河三千年に一度淸し」。廣主劉氏師の道化に向ひ、府内に請じ入れて法を説かしむ。僧が問うた、「人王と法王と相見る時如何」。師は言った、「兩鏡相い照らし、萬象歷然たり」。曰く、「法王の心要、達磨西來、五祖曹溪に付與す。自此衣鉢を傳へず。未だ審らかならず、碧玉の階前、何を將てか付囑せん」。師は言った、「石羊水上行き、木馬夜に駒を翻す」。曰く、「さようらば則ち我が王感有り、萬國朝に歸す」。師は言った、「時人盡く太平の歌を唱ふ」。問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「胸に卍字を題し、背に圓光を負ふ」。問うた、「如何なるか是れ道」。師兩手を展べて之を示す。僧曰く、「佛と道と、相去ること幾何」。師は言った、「水の如く波の如し」。

韶州慧林鴻究妙濟禪師

韶州慧林鴻究妙濟禅師

僧問。千聖常行此路。如何是此路。師曰。果然不見。問。魯祖面壁。意旨如何。師曰。有甚麼雪處。問。如何是急切事。師曰。鈍漢。問。如何是和尚家風。師曰。諸方大例。問。定慧等學。明見佛性。此理如何。師曰。新修梵宇。

僧が問うた、「千聖常に此の路を行く。如何なるか是れ此の路」。師は言った、「果然見えず」。問うた、「魯祖の面壁、意旨如何」。師は言った、「有る甚麼の積もる處ぞ」。問うた、「如何なるか是れ急切の事」。師は言った、「鈍漢」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「諸方の大例」。問うた、「定慧等學、明らかに佛性を見る。此の理如何」。師は言った、「新修の梵宇」。

南嶽下七世

南岳下七世

資福寶禪師法嗣

資福寶禅師法嗣

吉州資福貞邃禪師

吉州資福貞邃禅師

僧問。和尚見古人。得何意旨便歇去。師作此[○@魚]相示之。問。如何是古人歌。師作此○相示之。問。如何是最初一句。師曰。未具世界時。闍黎亦在此。問。百丈卷席。意旨如何。師良久。問。古人道。前三三。後三三。意旨如何。師曰。汝名甚麼。曰。某甲。師曰。吃茶去。上堂。隔江見資福剎竿便回去。腳跟下好與三十棒。況過江來。時有僧才出。師曰。不堪共語。問。如何是古佛心。師曰。山河大地。

僧が問うた、「和尚古人を見て、何の意旨か得て便ち歇み去る」。師此の[○@鱼]相を作して之を示す。問うた、「如何なるか是れ古人の歌」。師此の○相を作して之を示す。問うた、「如何なるか是れ最初の一句」。師は言った、「未だ世界を具へざる時、闍黎も亦た此に在り」。問うた、「百丈の卷席、意旨如何」。師良久す。問うた、「古人道ふ、前三三、後三三、意旨如何」。師は言った、「你名は甚麼」。曰く、「某甲」。師は言った、「茶を喫して去れ」。上堂、「江を隔てて資福の刹竿を見れば便ち回り去れ、脚根下好く三十棒を與ふべし。況んや江を過ぎて來るをや」。時に僧有りて纔かに出づ。師は言った、「堪へて語を共にせず」。問うた、「如何なるか是れ古佛心」。師は言った、「山河大地」。

吉州福壽和尚

吉州福壽和尚

僧問。祖意教意。是同是別。師展手。問。文殊騎師子。普賢騎象王。未審釋迦騎甚麼。師舉手雲。㖿。㖿。

僧が問うた、「祖意教意、是れ同か是れ別か」。師手を展ぶ。問うた、「文殊は師子に騎り、普賢は象王に騎る。未だ審らかならず、釋迦は甚麼にか騎る」。師手を擧げて曰く、「㖿、㖿」。

潭州鹿苑和尚

潭州鹿苑和尚

僧問。餘國作佛。還有異名也無。師作此○相示之。問。如何是鹿苑一路。師曰。吉獠舌頭問將來。問。如何是閉門造車。師曰。南嶽石橋。曰。如何是出門合轍。師曰。拄杖頭鞋。上堂。展手曰。天下老和尚.諸上座命根。總在這裡。有僧出曰。還收得也無。師曰。天台石橋側。曰。某甲不恁麼。師曰。伏惟尚饗。問。如何是世尊不說說。師曰。須彌山倒。曰。如何是迦葉不聞聞。師曰。大海枯竭。

僧が問うた、「餘國佛を作す、還た異名有るや無し」。師此の○相を作して之を示す。問うた、「如何なるか是れ鹿苑の一路」。師は言った、「吉獠の舌頭問將來れ」。問うた、「如何なるか是れ門を閉ぢて車を造る」。師は言った、「南岳の石橋」。曰く、「如何なるか是れ門を出でて轍に合ふ」。師は言った、「拄杖頭の鞋」。上堂。手を展べて曰く、「天下の老和尚、諸上座の命根、總て這裏に在り」。僧有りて出でて曰く、「還た收め得るや無し」。師は言った、「天台の石橋側」。曰く、「某甲さようにせず」。師は言った、「伏惟尚饗」。問うた、「如何なるか是れ世尊不説説」。師は言った、「須彌山倒る」。曰く、「如何なるか是れ迦葉不聞聞」。師は言った、「大海枯竭す」。

芭蕉清禪師法嗣

芭蕉淸禅師法嗣

郢州芭蕉山繼徹禪師

郢州芭蕉山繼徹禅師

初參風穴。穴問。如何是正法眼。師曰。泥彈子。穴異之。次謁先芭蕉。蕉上堂舉仰山道。兩口一無舌。此是吾宗旨。師豁然有省。住後。僧問。如何是林溪境。師曰。有山有水。曰。如何是境中人。師曰。三門前。佛殿後。問。如何是深深處。師曰。石人開石戶。石鎻兩頭搖。上堂。昔日如來於波羅奈國。梵王請轉法輪。如來不已而已。有屈宗風。隨機逗教。遂有三乘名字。流傳於天上人間。至今光揚不墜。若據祖宗門下。天地懸殊。上上根機。頓超不異。作麼生是混融一句。還有人道得麼。若道得。有參學眼。若道不得。天寬地窄。便下座。上堂。眼中無翳。空裡無花。水長船高。泥多佛大。莫將問來。我也無答。會麼。問在答處。答在問處。便下座。問。三乘十二分教即不問。如何是宗門一句。師曰。七縱八橫。曰。如何領會。師曰。泥裡倒。泥裡起。問。如何是祖師西來意。師曰。著體汗衫。問。有一人不捨生死。不證涅槃。師還提擕也無。師曰。不提擕。曰。為甚麼不提擕。師曰。林溪粗識好惡。問。如何是吹毛劒。師曰。透。曰。用者如何。師曰。鈍。問。寂寂無依時如何。師曰。未是衲僧分上事。曰。如何是衲僧分上事。師曰。要行即行。要坐即坐。師有偈曰。芭蕉的旨。不掛唇齒。木童唱和。石人側耳。

初め風穴を參ず。風穴問うた、「如何なるか是れ正法眼」。師は言った、「泥彈子」。風穴之を異とす。次いで先芭蕉を謁ふ。芭蕉上堂して仰山の道ふを擧げて曰く、「兩口一無舌、此れ是れ吾が宗旨」。師豁然として省有り。住し後、僧が問うた、「如何なるか是れ林溪の境」。師は言った、「山有り水有り」。曰く、「如何なるか是れ境中の人」。師は言った、「三門の前、佛殿の後」。問うた、「如何なるか是れ深深の處」。師は言った、「石人石戶を開き、石鎖兩頭を搖す」。上堂、「昔日如來波羅奈國に於て、梵王轉法輪を請ふ。如來不已にして已み、宗風に屈有り。隨機して教を逗き、遂に三乘の名字有り、天上人間に流傳して、今に至りて光揚して墜ちず。若し祖宗門下に據れば、天地懸殊たり。上上の根機、頓超して異ならず。作麼生か是れ混融の一句。還た人道へ得る者有るか。若し道へ得ば、參學の眼有り。若し道へ得ざれば、天寬く地窄し」。便ち座を下る。上堂、「眼中翳無く、空裏花無し。水長ければ船高く、泥多ければ佛大なり。問を將て來る莫れ、我も亦た答無し。會するか。問は答の處に在り、答は問の處に在り」。便ち座を下る。問うた、「三乘十二分教は即ち問はず、如何なるか是れ宗門の一句」。師は言った、「七縱八橫」。曰く、「如何に領會せん」。師は言った、「泥裏に倒れ、泥裏に起つ」。問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。師は言った、「體に着ける汗衫」。問うた、「一人有りて生死を捨てず、涅槃を證せず。師還た提攜するや無し」。師は言った、「提攜せず」。曰く、「甚麼の故にか不提攜」。師は言った、「林溪粗く好惡を識る」。問うた、「如何なるか是れ吹毛の劍」。師は言った、「透」。曰く、「用ゐる者如何」。師は言った、「鈍」。問うた、「寂寂として依る無き時如何」。師は言った、「未だ是れ衲僧分上の事ならず」。曰く、「如何なるか是れ衲僧分上の事」。師は言った、「行かんと要すれば即ち行き、坐さんと要すれば即ち坐す」。師偈有りて曰く、「芭蕉の旨、脣齒に挂けず。木童唱和し、石人耳を側む」。

郢州興陽山清讓禪師

郢州興陽山淸讓禅師

僧問。大通智勝佛。十劫坐道場。佛法不現前。不得成佛道時如何。師曰。其問甚諦當。曰。既是坐道場。為甚麼不得成佛道。師曰。為伊不成佛。

僧が問うた、「大通智勝佛、十劫道場に坐す、佛法現前せず、佛道を成るを得ざる時如何」。師は言った、「其の問甚だ諦當なり」。曰く、「既に是れ道場に坐す、甚麼の故にか佛道を成るを得ず」。師は言った、「伊の佛を成らざるが爲」。

洪州幽谷山法滿禪師

洪州幽谷山法滿禅師

僧問。如何是道。師良久曰。會麼。曰。學人不會。師曰。聽取一偈。話道語下無聲。舉揚奧旨丁寧。禪要如今會取。不須退後消停。

僧が問うた、「如何なるか是れ道」。師良久して曰く、「會するか」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「一偈を聽取れ:話道語下聲無し、擧揚奧旨を叮嚀す。禪要如今會取せよ、退後消停を須ゐず」。

郢州芭蕉山遇禪師

郢州芭蕉山遇禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。是星皆拱北。無水不朝東。曰。爭奈學人未會何。師曰。逢人但恁麼舉。

僧が問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。師は言った、「是れ星皆な北を拱し、水の東に朝せざる無し」。曰く、「争奈學人未會何」。師は言った、「人に逢へば但ださように擧げよ」。

郢州芭蕉山圓禪師

郢州芭蕉山圓禅師

僧問。如何是和尚接人一句。師曰。要頭截取去。曰。豈無方便。師曰。心不負人。面無慚色。上堂。三千大千世界。夜來被老僧都合成一塊。輥向須彌頂上。帝釋大怒。拈得撲成粉碎。諸上座還覺頭痛也無。良久曰。莫不識痛癢好。珍重。

僧が問うた、「如何なるか是れ和尚人に接するの一句」。師は言った、「頭を要めば截取して去れ」。曰く、「豈に方便無からん」。師は言った、「心人を負かず、面に慚色無し」。上堂、「三千大千世界、夜來老僧に都被合成されて一塊と爲り、須彌頂上に輥向せり。帝釋大怒し、拈得して撲して粉碎と成す。諸上座還た頭痛を覺ゆるや無し」。良久して曰く、「痛痒を識らざる莫れ好し。珍重」。

彭州承天院辭確禪師

彭州承天院辭確禅師

僧問。學人有一隻箭。射即是。不射即是。師曰。作麼生是闍黎箭。僧便喝。師曰。這箇是草箭子。曰。如何是和尚箭。師曰。禁忌須屈指。禱祈便扣牙。問。心隨萬境轉。阿那箇是轉萬境底心。師曰。嘉州大像古人鐫。問。眾罪如霜露。慧日能消除時如何。師曰。亭臺深夜雨。樓閣靜時鐘。曰。為甚麼因緣會遇時。果報還自受。師曰。管筆能書。片舌解語。開堂日示眾。正令提綱。猶是揑窠造偽。佛法祗對。特地謾驀上流。問著即參差。答著即交互。大德擬向甚麼處下口。然則如是。事無一向。權柄在手。縱奪臨機。有疑請問。僧問。如何是第一義。師曰。群峰穿海去。滴水下巖來。問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。道頭會尾。舉意知心。

僧が問うた、「學人一隻の箭有り。射れば是れ、射ざれば是れ」。師は言った、「作麼生か是れ闍黎の箭」。僧便ち喝す。師は言った、「這箇是れ草の箭子」。曰く、「如何なるか是れ和尚の箭」。師は言った、「禁忌須く指を屈し、禱祈便ち牙を扣く」。問うた、「心萬境に隨ひて轉ず。阿那箇是れ萬境を轉ずるの心」。師は言った、「嘉州の大像古人の鐫る」。問うた、「衆罪霜露の如く、慧日能く消除する時如何」。師は言った、「亭臺深夜の雨、樓閣靜中の鐘」。曰く、「甚麼の故にか因緣會遇の時、果報還た自ら受くる」。師は言った、「管筆能く書し、片舌語を解す」。開堂の日衆を示して曰く、「正令提綱すれど、猶ほ是れ窠を捏ねて僞を造る。佛法祇對、特に上流を瞞驀す。問に着けば即ち參差し、答に着けば即ち交互す。大德擬して甚麼の處に向ひて口を下さん。然ると雖も如是、事一向無し。權柄手に在り、縱奪機に臨む。疑有らば請ふて問へ」。僧が問うた、「如何なるか是れ第一義」。師は言った、「羣峰海を穿ちて去り、滴水岩より下り來る」。問うた、「師誰が家の曲を唱ふ、宗風阿誰をか嗣ぐ」。師は言った、「道頭會尾、擧意心知る」。

興元府牛頭山精禪師

興元府牛頭山精禅師

僧問。如何是古佛心。師曰。東海浮漚。曰。如何領會。師曰。秤鎚落井。問。不居凡聖是甚麼人。師曰。梁朝傅大士。曰。此理如何。師曰。楚國孟甞君。

僧が問うた、「如何なるか是れ古佛心」。師は言った、「東海の浮漚」。曰く、「如何に領會せん」。師は言った、「秤錘井に落つ」。問うた、「凡聖に居らざるは是れ甚麼人ぞ」。師は言った、「梁朝の傅大士」。曰く、「此の理如何」。師は言った、「楚國の孟嘗君」。

益州覺城院信禪師

益州覺城院信禅師

僧問。如何是出身一路。師曰。三門前。曰。如何領會。師曰。緊峭草鞋。

僧が問うた、「如何なるか是れ出身の一路」。師は言った、「三門前」。曰く、「如何に領會せん」。師は言った、「緊峭の草鞋」。

郢州芭蕉山閑禪師

郢州芭蕉山閑禅師

僧問。十語九不中時如何。師曰。閉門屋裡坐。抱首哭蒼天。

僧が問うた、「十語九中らざる時如何」。師は言った、「門を閉ぢて屋裏に坐し、首を抱きて蒼天に哭く」。

郢州芭蕉山令遵禪師

郢州芭蕉山令遵禅師

僧問。直得無下口處時如何。師曰。便須進一步。曰。向甚麼處下腳。師曰。東山西嶺上。

僧が問うた、「直に下口の處無きを得る時如何」。師は言った、「便ち須く一步を進むべし」。曰く、「甚麼の處に向ひて脚を下さん」。師は言った、「東山西嶺の上」。

慧林究禪師法嗣

慧林究禅師法嗣

韶州靈瑞和尚

韶州靈瑞和尚

俗士問。如何是佛。師喝曰。汝是村裡人。僧問。如何是西來意。師曰。十萬八千里。問。如何是本來心。師曰。坐卻毗廬頂。出沒太虗中。問。如何是教外別傳底事。師曰。兩箇靈龜泥裡鬬。直至如今困未休。曰。不會。師曰。木鷄銜卵走。燕雀乘虎飛。潭中魚不現。石女卻生兒。

俗士問うた、「如何なるか是れ佛」。師喝して曰く、「你是れ村裏の人」。僧が問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「十萬八千里」。問うた、「如何なるか是れ本來心」。師は言った、「毘盧頂に坐却し、太虛中に出没す」。問うた、「如何なるか是れ教外別傳の事」。師は言った、「兩箇の靈龜泥裏に鬪ひ、直至如今困みて未だ休せず」。曰く、「會せず」。師は言った、「木鶏卵を銜みて走り、燕雀虎に乘りて飛ぶ。潭中魚現はれず、石女却って兒を生む」。

南嶽下八世

南岳下八世

報慈韶禪師法嗣

報慈韶禪師法嗣

蘄州三角山志謙禪師

蘄州三角山志謙禪師

僧問。如何是佛。師曰。速禮三拜。僧禮拜。師曰。一撥便轉。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「速やかに三拜を禮せよ」。僧禮拜す。師は言った、「一撥便ち轉ず」。

郢州興陽詞鐸禪師

郢州興陽詞鐸禪師

僧問。佛界與眾生界相去多少。師曰。道不得。曰。真箇那。師曰。有些子。

僧が問うた、「佛界と衆生界と相去ること多少」。師は言った、「道へ得ず」。曰く、「眞箇那」。師は言った、「些子有り」。

五燈會元巻第九

音釋

音釋

頵(於倫切)

𫖳(于倫切)

五燈會元巻第十

法眼宗

法眼宗

青原下八世

青原下八世

羅漢琛禪師法嗣

羅漢琛禅師の法嗣

金陵清涼院文益禪師

金陵清涼院文益禅師

餘杭魯氏子。七歲。依新定智通院全偉禪師落髮。弱齡稟具於越州開元寺。屬律匠希覺師盛化於明州𮠂山育王寺。師往預聽習。究其微旨。復傍探儒典。遊文雅之場。覺師目為我門之遊夏也。師以玄機一發。雜務俱捐。振錫南邁。抵福州。參長慶。不大發明。後同紹修法進三人慾出嶺。過地藏院。阻雪少憩。附爐次。藏問。此行何之。師曰。行腳去。藏曰。作麼生是行腳事。師曰。不知。藏曰。不知最親切。又同三人舉肇論至天地與我同根處。藏曰。山河大地。與上座自己是同是別。師曰。別。藏竪起兩指。師曰。同。藏又竪起兩指。便起去。雪霽辭去。藏門送之。問曰。上座尋常說三界唯心。萬法唯識。乃指庭下片石曰。且道此石在心內。在心外。師曰。在心內。藏曰。行腳人著甚麼來由。安片石在心頭。師窘無以對。即放包依席下求決擇。近一月餘。日呈見解。說道理。藏語之曰。佛法不恁麼。師曰。某甲詞窮理絕也。藏曰。若論佛法。一切見成。師於言下大悟。因議留止。進師等以江表叢林。欲期歷覧。命師同往。至臨川。州牧請住崇壽院。開堂日。中坐茶筵未起時。僧正白師曰。四眾已圍繞和尚法座了也。師曰。眾人卻參真善知識。少頃陞座。僧問。大眾雲集。請師舉唱。師曰。大眾久立。乃曰。眾人既盡在此。山僧不可無言。與大眾舉一古人方便。珍重。便下座。子方上座自長慶來。師舉長慶偈問曰。作麼生是萬象之中獨露身。子方舉拂子。師曰。恁麼會又爭得。曰。和尚尊意如何。師曰。喚甚麼作萬象。曰。古人不撥萬象。師曰。萬象之中獨露身。說甚麼撥不撥。子方豁然悟解。述偈投誠。自是諸方會下。有存知解者翕然而至。始則行行如也。師微以激發。皆漸而服膺。海參之眾。常不減千計。上堂。大眾立久。乃謂之曰。祇恁麼便散去。還有佛法道理也無。試說看。若無。又來這裡作麼。

余杭の魯氏の子。七歳の時、新定の智通院の全偉禅師について剃髪した。弱い年で越州開元寺で具足戒を受けた。ちょうど律の匠の希覚師が明州𮠂山育王寺で盛んに教化していたので、師は赴いて聴講に与り、その微細な旨を究め、さらに傍ら儒典を探り、文雅の場に游んだ。覚師は師を我が門の游夏と見なした。師は玄機が一たび発すると、雑務をすべて捨て、錫杖を振って南へ向かい、福州に至り、長慶に参じたが、あまり発明しなかった。後に紹修・法進と三人で嶺を出ようとして、地蔵院を過ぎ、雪に阻まれてしばらく休んだ。炉に寄った時、地蔵が問うた:「この行はどこへ行くのか。」師は言った:「行脚に行きます。」地蔵が言った:「どうして行脚の事とするか。」師は言った:「知りません。」地蔵が言った:「知らないのが最も親切だ。」また三人と共に《肇論》を天地と我とが同根であるところまで挙げると、地蔵が言った:「山河大地は、上座の自分と同じか別か。」師は言った:「別です。」地蔵は二本の指を立てた。師は言った:「同じです。」地蔵はまた二本の指を立てて、そのまま立ち去った。雪が晴れて辞して去ろうとすると、地蔵は門まで送り、問うて言った:「上座は普段、三界は唯心、万法は唯識と説く。」乃ち庭下の片石を指して言った:「さあ言ってみよ、この石は心の内か、心の外か。」師は言った:「心の内です。」地蔵が言った:「行脚の人がどんな由来で、片石を心頭に安ずるのか。」師は窘められて対える言葉がなく、すぐ行李を置いて席下に依って決択を求めた。およそ一月余り、日々見解を呈し、道理を説いた。地蔵は彼に語って言った:「佛法はそうではない。」師は言った:「某甲は詞が窮まり理が絶えました。」地蔵が言った:「佛法を論ずるなら、一切は現成している。」師は言下に大いに悟った。そこで留まることを議した。進師らは江表の叢林を歴覧しようと期して、師に同行を命じた。臨川に至り、州牧が崇寿院に住するよう請うた。開堂の日、中坐の茶筵がまだ起きない時、僧正が師に白して言った:「四衆がすでに和尚の法座を囲繞しています。」師は言った:「衆人はかえって真の善知識を参じることになる。」しばらくして座に升った。僧が問うた:「大衆が雲のように集まっています。師の挙唱を請います。」師は言った:「大衆は久しく立っている。」乃ち言った:「衆人がすでに皆ここにいる以上、山僧は言葉なしではいられない。大衆のために古人の方便を一つ挙げよう。珍重。」と言って座を下りた。子方上座が長慶から来た。師は長慶の偈を挙げて問うた:「どうして万象の中に独り身を露すとするか。」子方は拂子を挙げた。師は言った:「そのように会してどうして得られようか。」言った:「和尚の尊意はいかに。」師は言った:「何を万象と呼ぶか。」言った:「古人は万象を撥しません。」師は言った:「万象の中に独り身を露す、撥す撥さぬを説いてどうする。」子方は豁然として悟解し、偈を述べて誠を投げた。これより諸方の会下に、知解を存する者が翕然として至った。始めは行行如としていた。師は微かに激发すると、皆漸く服膺した。海のように集まる参学の衆は、常に千を減らなかった。上堂して、大衆が久しく立つと、乃ちこれに謂って言った:「ただこのまま散り去れば、まだ佛法の道理があるかないか。試しに説いてみよ。もし無ければ、またここに来て何をするのか。

若有。大市裡人叢處亦有。何須到這裡。諸人各曾看還源觀.百門義海.華嚴論.涅槃經諸多䇿子。阿那箇教中有這箇時節。若有。試舉看。莫是恁麼經裡有恁麼語。是此時節麼。有甚麼交涉。所以道。微言滯於心首。嘗為緣慮之場。實際居於目前。翻為名相之境。又作麼生得翻去。若也翻去。又作麼生得正去。還會麼。莫祇恁麼念䇿子。有甚麼用處。僧問。如何披露即得與道相應。師曰。汝幾時披露即與道不相應。問。六處不知音時如何。師曰。汝家眷屬一群子。師又曰。作麼生會。莫道恁麼來問。便是不得。汝道六處不知音。眼處不知音。耳處不知音。若也根本是有。爭解無得。古人道。離聲色。著聲色。離名字。著名字。所以無想天修得。經八萬大劫。一朝退墮。諸事儼然。蓋為不知根本真實次地修行三生六十劫。四生一百劫。如是直到三祇果滿。他古人猶道。不如一念緣起無生。超彼三乘權學等見。又道彈指圓成八萬門。剎那滅卻三祇劫。也須體究。若如此用多少氣力。僧問。指即不問。如何是月。何曰。阿那箇是汝不問底指。又僧問。月即不問。如何是指。師曰。月。曰。學人問指。和尚為甚麼對月。師曰。為汝問指。江南國主重師之道。迎住報恩禪院。署淨慧禪師。僧問。洪鐘才擊。大眾雲臻。請師如是。師曰。大眾會。何似汝會。問。如何是古佛家風。師曰。甚麼處看不足。問。十二時中。如何行履。即得與道相應。師曰。取捨之心成巧偽。問。古人傳衣。當記何人。師曰。汝甚麼處見古人傳衣。問。十方賢聖皆入此宗。如何是此宗。師曰。十方賢聖皆入。問。如何是佛向上人。師曰。方便呼為佛。問。如何是學人一卷經。師曰。題目甚分明。問。聲色兩字。甚麼人透得。師卻謂眾曰。諸上座且道。這箇僧還透得也未。若會此僧問處。透聲色也不難。問。求佛知見。何路最徑。師曰。

(師は続けて言った:)もしあれば、大市の人込みの中にもあるはずで、何もここに来る必要はない。諸人はそれぞれ《還源観》《百門義海》《華厳論》《涅槃経》など多くの冊子を見たことがあるはずだ。あのどの教えの中にこの時節があるか。もしあれば、試しに挙げてみよ。こういう経にこういう語があるのが、この時節なのか。何の交涉があるのか。だから言うのだ、微言が心首に滞れば、嘗て縁慮の場となり;実際が目前に居れば、翻って名相の境となる。またどうして翻し去ることができようか。もし翻し去っても、またどうして正しく行くことができようか。まだ会するか。ただそのように冊子を念じて、何の用があるか。」僧が問うた:「どう披露すれば道と相応できるのですか。」師は言った:「あなたはいつ披露しても道と相応しない。」問うた:「六処が音を知らない時はどうですか。」師は言った:「あなたの家の眷属どもが一群れだ。」師はまた言った:「どうして会するか。そのように来て問えば得ないとは言うな。あなたが六処は音を知らないと言うのは、眼処は音を知らず、耳処は音を知らないということだ。もし根本に有るなら、どうして無得を解しよう。古人が言う、声色を離れて声色に著き;名字を離れて名字に著く、と。だから無想天に修して得ても、八万大劫を経て一朝に退堕すれば、諸事は依然としてある。おおよそ根本の真実を知らないためで、次第に修行して三生六十劫、四生一百劫、このように三祇の果満に至るまでである。あの古人もなお言った、一念の縁起無生に如かず、あの三乗権学等の見を超えよ、と。また言う、弹指の間に八万門を円成し、刹那に三祇劫を滅却す、と。これも体究せねばならない。もしこのようにすれば、どれほどの気力を用いることか。」僧が問うた:「指は問いません、どうして月ですか。」師は言った:「あのどれがあなたの問わない指か。」また僧が問うた:「月は問いません、どうして指ですか。」師は言った:「月。」言った:「学人は指を問うのに、和尚はなぜ月を対えるのですか。」師は言った:「あなたが指を問うからだ。」江南の国主は師の道を重んじ、報恩禅院に迎え住せしめ、浄慧禅師と署した。僧が問うた:「洪鐘がようやく撃たれ、大衆が雲のように至りました。師にそのように請います。」師は言った:「大衆の会は、あなたの会にどう似ているか。」問うた:「どうして古仏の家風ですか。」師は言った:「どこに見足りないところがあるか。」問うた:「十二時中、どう行履すれば道と相応できますか。」師は言った:「取舍の心が巧偽を成す。」問うた:「古人が衣を伝えるとは、何人に記したのですか。」師は言った:「あなたはどこで古人が衣を伝えるのを見たか。」問うた:「十方の賢聖が皆この宗に入る。どうしてこの宗ですか。」師は言った:「十方の賢聖が皆入る。」問うた:「どうして仏向上の人ですか。」師は言った:「方便に仏と呼ぶ。」問うた:「どうして学人の一巻の経ですか。」師は言った:「題目は甚だ分明だ。」問うた:「声色の二字、どんな人が透り得ますか。」師はかえって衆に謂って言った:「諸上座はさあ言え、この僧はまだ透り得るか否か。もしこの僧の問処に会すれば、声色を透るのも難しくない。」問うた:「仏の知見を求めるには、どの路が最も径いですか。」師は言った:

無過此。問。瑞草不凋時如何。師曰。謾語。問。大眾雲集。請師頓決疑網。師曰。寮舍內商量。茶堂內商量。問。雲開見日時如何。師曰。謾語真箇。問。如何是沙門所重處。師曰。若有纖毫所重。即不名沙門。問。千百億化身。於中如何是清淨法身。師曰。總是。問。簇簇上來。師意如何。師曰。是眼不是眼。問。全身是義。請師一決。師曰。汝義自破。問。如何是古佛心。師曰。流出慈悲喜捨。問。百年暗室。一燈能破。如何是一燈。師曰。論甚麼百年。問。如何是正真之道。師曰。一願也教汝行。二願也教汝行。問。如何是一真之地。師曰。地則無一真。曰。如何卓立。師曰。轉無交涉。問。如何是古佛。師曰。即今也無嫌疑。問。十二時中如何行履。師曰。步步蹋著。問。古鏡未開。如何顯照。師曰。何必再三。問。如何是諸佛玄旨。師曰。是汝也有。問。承教有言。從無住本立一切法。如何是無住本。師曰。形興未質。名起未名。問。亡僧衣眾人唱。祖師衣甚麼人唱。師曰。汝唱得亡僧甚麼衣。問。蕩子還鄉時如何。師曰。將甚麼奉獻。曰。無有一物。師曰。日給作麼生。師後住清涼。上堂曰。出家人但隨時及節便得。寒即寒。熱即熱。欲知佛性義。當觀時節因緣。古今方便不少。不見石頭和尚因看肇論雲。會萬物為己者。其唯聖人乎。他家便道。聖人無己。靡所不己。有一片言語喚作參同契。末上雲。竺土大僊心。無過此語也。中間也秖隨時說話。上座今欲會萬物為自己去。葢為大地無一法可見。他又囑雲。光陰莫虗度。適來向上座道。但隨時及節便得。若也移時失候。即是虗度光陰。於非色中作色解。上座於非色中作色解。即是移時失候。且道色作非色解。還當不當。上座若恁麼會。便是沒交涉。正是痴狂兩頭走。有甚麼用處。上座但守分隨時過好。珍重。僧問。如何是清涼家風。師曰。

(師は続けて言った:)「これに過ぎるものはない。」問うた:「瑞草が凋まない時はいかに。」師は言った:「漫語。」問うた:「大衆が雲集しています。師の頓断で疑網を決して下さい。」師は言った:「寮舎内で商量し、茶堂内で商量し。」問うた:「雲開けて日を見る時はいかに。」師は言った:「漫語、真箇。」問うた:「どうして沙門の重んずるところですか。」師は言った:「もし繊毫の重んずるところがあれば、すなわち沙門と名づけない。」問うた:「千百億の化身、その中でどうして清浄法身ですか。」師は言った:「すべて是。」問うた:「簇簇として上って来た、師の意はいかに。」師は言った:「是眼、不是眼。」問うた:「全身が義です。師に一決を請います。」師は言った:「あなたの義は自ら破れる。」問うた:「どうして古仏の心ですか。」師は言った:「慈悲喜捨を流出する。」問うた:「百年の暗室、一燈が能く破る。どうして一燈ですか。」師は言った:「何の百年を論ずるか。」問うた:「どうして正真の道ですか。」師は言った:「一願もあなたに行を教え、二願もあなたに行を教える。」問うた:「どうして一真の地ですか。」師は言った:「地はすなわち一真なし。」言った:「どうして卓立しますか。」師は言った:「転じて交涉なし。」問うた:「どうして古仏ですか。」師は言った:「即今も嫌疑なし。」問うた:「十二時中にどう行履しますか。」師は言った:「歩歩に踏んでいる。」問うた:「古鏡未だ開かざる時、どうして顕照しますか。」師は言った:「何ぞ必ずしも再三。」問うた:「どうして諸仏の玄旨ですか。」師は言った:「是れあなたにもある。」問うた:「教に言ありと承る、無住の本より一切法を立てると。どうして無住本ですか。」師は言った:「形は興れど未だ質あらず、名は起れど未だ名あらず。」問うた:「亡僧の衣は衆人が唱える、祖師の衣は何人が唱えますか。」師は言った:「あなたが唱え得る亡僧のどんな衣か。」問うた:「蕩子が還郷する時はいかに。」師は言った:「何を以て奉献するか。」言った:「一物も有りません。」師は言った:「日給はどうする。」師は後に清涼に住した。上堂して言った:「出家の人はただ時及び節に随えばよい。寒ければ即ち寒、熱ければ即ち熱。仏性の義を知らんと欲せば、まさに時節の因縁を観るべし。古今に方便少なからず。石頭和尚が《肇論》を看て言うを見ずや、『万物を會して己と為す者は、其れ唯聖人か』と。あの家は便ち言う、聖人は己無く、己ならざる所なし、と。一片の言語有りて《参同契》と喚ぶ。末の上に言う、『竺土大仙心。』この語に過ぎるものなし。中間もただ時に随って說話するのみ。上座今万物を會して自己と為さんと欲すは、蓋して大地に見るべき一法無きが為なり。彼また嘱して言う、『光陰は虚度するな。』さっき上座に道った、ただ時及び節に随えば便ち得、と。もし時を移し候を失せば、即ちこれ光陰を虚度するなり。非色の中に色の解を作すなり。上座が非色の中に色の解を作すは、即ちこれ時を移し候を失するなり。さあ道え、色を作して非色の解と為すは、なお当たるか当たらぬか。上座もしこのように会せば、便ちこれ没交涉なり。正に是れ痴狂に両頭を走る、何の用か有らん。上座はただ分を守り時に随って過ごせばよい。珍重。」僧が問うた:「どうして清涼の家風ですか。」師は言った:

汝到別處。但道到清涼來。問。如何得諸法無當去。師曰。甚麼法當著上座。曰。爭奈日夕何。師曰。閑言語。問。觀身如幻化。觀內亦復然時如何。師曰。還得恁麼也無。問。要急相應。唯言不二。如何是不二之言。師曰。更添些子得麼。問。如何是法身。師曰。這箇是應身。問。如何是第一義。師曰。我向你道是第二義。師問修山主。毫氂有差。天地懸隔。兄作麼生會。修曰。毫氂有差。天地懸隔。師曰。恁麼會又爭得。修曰。和尚如何。師曰。毫氂有差。天地懸隔。修便禮拜(東禪齊雲。山主恁麼祇對。為甚麼不肯。及乎再請益法眼。亦祇恁麼道便得去。且道疑訛在甚麼處。若看得透。道上座有來由)。師與悟空禪師向火。拈起香匙。問曰。不得喚作香匙。兄喚作甚麼。空曰。香匙。師不肯。空後二十餘日。方明此語。僧參次。師指簾。時有二僧同去捲。師曰。一得一失(東禪齊雲。上座作麼生會。有云為伊不明旨便去捲簾。亦有道指者即會。不指而去者即失。恁麼會還可不可。既不許恁麼會。且問上座阿那箇得。阿那箇失)。雲門問。僧甚處來。曰。江西來。門曰。江西一隊老宿寱語住也未。僧無對。後僧問師。不知雲門意作麼生。師曰。大小雲門被這僧勘破。問。僧甚處來。曰。道場來。師曰。明合暗合。僧無語。師令僧取土添蓮盆。僧取土到。師曰。橋東取。橋西取。曰。橋東取。師曰。是真實。是虗妄。問。僧甚處來。曰。報恩來。師曰。眾僧還安否。曰。安。師曰。吃茶去。問。僧甚處來。曰。泗州禮拜大聖來。師曰。今年大聖出塔否。曰。出。師卻問傍僧曰。汝道伊到泗州不到。師問寶資長老。古人道。山河無隔礙。光明處處透。且作麼生是處處透底光明。資曰。東畔打羅聲(歸宗柔別雲。和尚擬隔礙)。師指竹問僧。還見麼。曰。見。師曰。竹來眼裡。眼到竹邊。曰。

(師は続けて言った:)「あなたは別の所へ行って、ただ清涼から来たと道え。」問うた:「どうして諸法が当たらざるを得ますか。」師は言った:「どんな法が上座に当たるか。」言った:「争奈、日夕はどうする。」師は言った:「閑言語。」問うた:「身を観ずれば幻化の如く、内を観ずるもまた然りという時はいかに。」師は言った:「まだこのようにするを得るか。」問うた:「急にはただ言、不二に相応せんと欲す。どうして不二の言ですか。」師は言った:「さらに些子を添えて得るか。」問うた:「どうして法身ですか。」師は言った:「これは應身。」問うた:「どうして第一義ですか。」師は言った:「あなたに道うのは第二義。」師が修山主に問うた:「毫釐の差あれば天地懸隔す。兄はどう会するか。」修は言った:「毫釐の差あれば天地懸隔す。」師は言った:「そのように会してまた争得せん。」修は言った:「和尚はいかに。」師は言った:「毫釐の差あれば天地懸隔す。」修は便ち礼拜した。(東禅斉が言った:「山主がそのように祇対したのに、なぜ肯んじなかったか。およそ再び法眼に請益するに及んでも、ただこのように道えば得て行った。さあ道え、疑訛はどこにあるか。もし透りて見れば、上座に来由ありと道おう。」)師が悟空禅師と火に向かい、香匙を拈じ起して問うた:「香匙と喚ぶことを得ず、兄は何と喚ぶか。」悟空は言った:「香匙。」師は肯んじなかった。悟空は後二十余日、やっとこの語を明らめた。僧が参じた次、師は簾を指した。時に二僧が同じく行って巻いた。師は言った:「一得一失。」(東禅斉が言った:「上座はどう会するか。ある説は云う、彼が旨を明らめず便ち簾を巻きに行ったため、と。ある説はまた道う、指す者は即ち會、指されずして去る者は即ち失、と。このように会するは可か不可か。すでにこのように会することを許さず、さあ問う上座、あのどれが得で、あのどれが失か。」)雲門が僧に問うた:「どこから来たか。」言った:「江西から来ました。」雲門は言った:「江西の一隊の老宿は囈語に住したか否か。」僧は対えず。後に僧が師に問うた:「雲門の意はどうか知りません。」師は言った:「大小の雲門、この僧に勘破された。」僧に問うた:「どこから来たか。」言った:「道場から来ました。」師は言った:「明合か暗合か。」僧は語なし。師は僧に命じて土を取り蓮盆に添えさせた。僧が土を取って至った。師は言った:「橋の東から取ったか、橋の西から取ったか。」言った:「橋の東から取りました。」師は言った:「是真実か、是虚妄か。」僧に問うた:「どこから来たか。」言った:「報恩から来ました。」師は言った:「衆僧はなお安んずるか。」言った:「安んじています。」師は言った:「茶を喫して行け。」僧に問うた:「どこから来たか。」言った:「泗州へ大聖を礼拜して来ました。」師は言った:「今年大聖は塔を出たか。」言った:「出ました。」師はかえって傍の僧に問うた:「あなたは彼が泗州へ到ったと道うか到らぬと道うか。」師が宝資長老に問うた:「古人が道う、山河に隔礙なく、光明は処処に透く、と。さあどうして処処に透く光明か。」宝資は言った:「東畔に羅を打つ声。」(帰宗柔が別に言った:「和尚は隔礙せんと拟す。」)師は竹を指して僧に問うた:「なお見るか。」言った:「見ます。」師は言った:「竹は眼の裡に来り、眼は竹の辺に到る。」言った:

總不恁麼(法燈別雲。當時但擘眼向師。歸宗柔別雲。和尚祇是不信某甲)。有俗士獻畵障子。師看了。問曰。汝是手巧。心巧。曰。心巧。師曰。那箇是汝心。士無對(歸宗柔代雲。某甲今日卻成容易)。僧問。如何是第二月。師曰。森羅萬象。曰。如何是第一月。師曰。萬象森羅。上堂。盡十方世界。皎皎地無一絲頭。若有一絲頭。即是一絲頭(法燈雲。若有一絲頭。不是一絲頭)。師指凳子曰。識得凳子。周匝有餘(雲門雲。識得凳子。天地懸殊)。僧問。如何是塵劫來事。師曰。盡在於今。師因患腳。僧問訊次。師曰。非人來時不能動。及至人來動不得。且道佛法中下得甚麼語。曰。和尚且喜得較。師不肯。自別雲。和尚今日似減。因開井被沙塞卻泉眼。師曰。泉眼不通被沙礙。道眼不通被甚麼礙。僧無對。師代曰。被眼礙。師見僧搬土次。乃以一塊土放僧擔上。曰。吾助汝。僧曰。謝和尚慈悲。師不肯。一僧別雲。和尚是甚麼心行。師便休去。師謂小兒子曰。因子識得你爺。你爺名甚麼。兒無對(法燈代雲。但將衣袖掩面)。師卻問僧。若是孝順之子。合下得一轉語。且道合下得甚麼語。僧無對。師代曰。他是孝順之子。師問講百法論僧曰。百法是體用雙陳。明門是能所兼舉。座主是能。法座是所。作麼生說兼舉(有老宿代雲。某甲喚作箇法座。歸宗柔雲。不勞和尚如此)。師一日與李王論道罷。同觀牡丹花。王命作偈。師即賦曰。擁毳對芳叢。由來趣不同。髮從今日白。花是去年紅。豔冶隨朝露。馨香逐晚風。何須待零落。然後始知空。王頓悟其意。師頌三界唯心曰。三界唯心。萬法唯識。唯識唯心。眼聲耳色。色不到耳。聲何觸眼。眼色耳聲。萬法成辦。萬法匪緣。豈觀如幻。山河大地。誰堅誰變。頌華嚴六相義曰。華嚴六相義。同中還有異。異若異於同。全非諸佛意。諸佛意總別。

(僧は続けて言った:)「すべてそのようではありません。」(法燈が別に言った:「その時はただ眼を擘いて師に向かえばよい。」帰宗柔が別に言った:「和尚はただ某甲を信じないだけです。」)俗士が画の障子を献った。師が見て、問うて言った:「あなたは手が巧いか、心が巧いか。」言った:「心が巧いです。」師は言った:「あのどれがあなたの心か。」士は対えず。(帰宗柔が代って言った:「某甲は今日かえって容易になりました。」)僧が問うた:「どうして第二の月ですか。」師は言った:「森羅万象。」言った:「どうして第一の月ですか。」師は言った:「万象森羅。」上堂:「十方世界を尽くして、皎皎として一絲頭もなし。もし一絲頭あれば、即ち是一絲頭。」(法燈が言った:「もし一絲頭あれば、一絲頭ではない。」)師は凳子を指して言った:「凳子を識れば、周匝余あり。」(雲門が言った:「凳子を識れば、天地懸殊。」)僧が問うた:「どうして塵劫以来の事ですか。」師は言った:「尽く今に在り。」師は脚を患ったので、僧が問訊した次、師は言った:「人でない者が来る時は動くことができないのに、およそ人が来ると動くことができない。さあ道え、佛法の中にどんな語を下せるか。」言った:「和尚はどうやら快くなられたようです。」師は肯んじず、自ら別に言った:「和尚は今日は衰えたようだ。」井戸を開いたら砂が泉眼を塞いだので。師は言った:「泉眼が通じないのは砂に礙げられたため、道眼が通じないのは何に礙げられたためか。」僧は対えず。師は代って言った:「眼に礙げられたため。」師は僧が土を搬ぶのを見た次、乃ち一塊の土を僧の擔に放って、言った:「吾があなたを助ける。」僧は言った:「和尚の慈悲に謝します。」師は肯んじなかった。一僧が別に言った:「和尚はどんな心行ですか。」師は便ち休んで去った。師が小さい息子に謂って言った:「子によってあなたの父を識る。あなたの父は何という名か。」児は対えず。(法燈が代って言った:「ただ衣袖を将て面を掩え。」)師はかえって僧に問うた:「もし孝順の子なら、下すべき一転語がある。さあ道え、下すべきどんな語か。」僧は対えず。師は代って言った:「彼は孝順の子。」師が百法論を講ずる僧に問うて言った:「百法は体用双陈、明門は能所兼挙。座主は能、法座は所。どうして兼挙と説くか。」(ある老宿が代って言った:「某甲は法座と喚ぶ。」帰宗柔が言った:「和尚がそのようにされる労はありません。」)師はある日、李王と道を論じ終えて、共に牡丹の花を観た。王が偈を作らせた。師は即座に賦して言った:「毳を擁して芳叢に対す、由来の趣は同じからず。髪は今日より白み、花は去年の紅。艶冶は朝露に随い、馨香は晩風に逐う。何ぞ須らく零落を待たん、然る後に始めて空を知らん。」王は頓らくその意を悟った。師が三界唯心を頌して言った:「三界は唯心、万法は唯識。唯識唯心、眼は声、耳は色。色は耳に至らず、声は何ぞ眼に触れん。眼色耳声、万法成弁。万法は縁に匪ず、豈に幻の如く観ぜんや。山河大地、誰か堅く誰か変ずる。」華厳六相の義を頌して言った:「華厳六相の義、同の中に還た異あり。異が同に異なれば、全く諸仏の意に非ず。諸仏の意は総別、

何曾有同異。男子身中入定時。女子身中不留意。不留意。絕名字。萬象明明無理事。師緣被於金陵。三坐大道場。朝夕演旨。時諸方叢林。鹹遵風化。異域有慕其法者。涉遠而至。玄沙正宗。中興於江表。師調機順物。斥滯磨昏。凡舉諸方三昧。或入室呈解。或叩激請益。皆應病與藥。隨根悟入者。不可勝紀。周顯德五年戊午七月十七日示疾。國主親加禮問。閏月五日剃髮澡身。告眾訖。跏趺而逝。顏貌如生。壽七十有四。臘五十四。城下諸寺院。具威儀迎引。公卿李建勳以下。素服奉全身於江寧縣丹陽起塔。諡大法眼禪師。塔曰無相。後李主剏報慈院。命師門人玄覺言導師開法。再諡師大智藏大導師。

(師は続けて言った:)何曽て同異あらん。男子の身中に入定する時、女子の身中に留意せず。留意せざれば、名字を絶し、万象は明明として理事なし。」師は金陵に縁被し、三たび大道場に坐し、朝夕に旨を演んだ。時に諸方の叢林、咸く風化に遵った。異域にその法を慕う者あり、遠きを渉って至った。玄沙の正宗、江表に中興す。師は機を調え物に順い、滞を斥け昏を磨いた。およそ諸方の三昧を挙げ、或いは室に入り解を呈し、或いは叩激して請益するに、皆病に応じて薬を与え、根に随って悟入する者は、勝げて紀すべからず。周の顕徳五年戊午七月十七日に疾を示した。国主は親しく礼問を加えた。閏月五日に剃髪澡身し、衆に告げて訖り、跏趺して逝った。顔貌は生けるが如し。寿七十有四、腊五十四。城下の諸寺院、威儀を具えて迎え引いた。公卿の李建勲以下、素服して全身を江寧県の丹陽に奉って塔を起った。諡は大法眼禅師。塔は无相と曰う。後に李主が報慈院を創め、師の門人の玄覚言導師をして開法せしめ、再び師を諡して大智蔵大導師とした。

青原下九世

青原下九世

清涼益禪師法嗣

清涼益禅師の法嗣

天台山德韶國師

天台山徳韶国師

處州龍泉陳氏子也。母葉氏。夢白光觸體。因而有娠。及誕。尤多奇異。年十五。有梵僧勉令出家。十七依本州龍歸寺受業。十八納戒於信州開元寺。後唐同光中遊方。首詣投子見同禪師。次謁龍牙。乃問。雄雄之尊。為甚麼近之不得。牙曰。如火與火。師曰。忽遇水來又作麼生。牙曰。去。汝不會我語。師又問。天不葢。地不載。此理如何。牙曰。道者合如是。師經十七次問。牙祇如此答。師竟不諭旨。再請垂誨。牙曰。道者。汝已後自會去。師後於通玄峰澡浴次。忽省前話。遂具威儀。焚香遙望龍牙禮拜曰。當時若向我說。今日決定罵也。又問疎山。百匝千重。是何人境界。山曰。左搓芒繩縛鬼子。師曰。不落古今。請師說。曰。不說。師曰。為甚麼不說。曰。箇中不辯有無。師曰。師今善說。山駭之。如是歷參五十四員善知識。皆法緣未契。最後至臨川謁法眼。眼一見深器之。師以徧涉叢林。亦倦於參問。但隨眾而己。一日。法眼上堂。僧問。如何是曹源一滴水。眼曰。是曹源一滴水。僧惘然而退。師於坐側。豁然開悟。平生凝滯。渙若氷釋。遂以所悟聞於法眼。眼曰。汝向後當為國王所師。致祖道光大。吾不如也。自是諸方異唱。古今玄鍵。與之決擇。不留微跡。尋回本道。遊天台。山覩智者顗禪師遺蹤。有若舊居。師復與智者同姓。時謂之後身也。初止白沙。時忠懿王為王子。時刺台州。嚮師之名。延請問道。師謂曰。他日為霸主。無忘佛恩。漢乾祐元年戊申。王嗣國位。遣使迎之。伸弟子之禮。有傳天台智者教羲寂者(即螺谿也)。屢言於師曰。智者之教。年祀浸遠。慮多散落。今新羅國其本甚備。自非和尚慈力。其孰能致之乎。師於是聞於王。王遣使及齎師之書往彼國繕寫。備足而回。迄今盛行於世矣。住後。上堂。古聖方便猶如河沙。祖師道非風幡動。仁者心動。斯乃無上心印法門。

處州龍泉の陳氏の子。母の葉氏は、白光が身に触れる夢を見て、それによって懐妊した。出生に及んで、なおさら多くの奇瑞があった。十五歳の時、ある梵僧が彼に出家を勧めた。十七歳で本州の龍帰寺に依って業を受けた。十八歳で信州開元寺で受戒した。後唐の同光年間に遊方し、まず投子に到り同禅師に見え、続いて龍牙に往って、問うた:「雄雄たる尊、なぜ近づき得ないのか。」龍牙は言った:「火と火との如し。」師は言った:「忽然として水に遇えばまたどうする。」龍牙は言った:「去れ。あなたは私の言葉を会しない。」師はまた問うた:「天は蓋わず、地は載せず、この理はどうか。」龍牙は言った:「道者は合当この如し。」師は十七次問を経ても、龍牙はただこのように答えた。師は到底旨を領会せず。再び垂示の教誨を請うた。龍牙は言った:「道者、あなたは後に自ら行くことになる。」師は後に通玄峰で浴している時、忽然として先前の言葉を省悟し、即ち威儀を具え、香を焚いて遥かに龍牙を望み礼拜して言った:「当時もし私に説いたなら、今日は決定罵っただろう。」また疏山に問うた:「百匝千重とは、何人の境界か。」疏山は言った:「左に芒縄を搓って鬼子を縛る。」師は言った:「古今に落ちず、師に説き給えと請う。」疏山は言った:「説かない。」師は言った:「なぜ説かないのか。」疏山は言った:「箇中に有無を辨ぜず。」師は言った:「師は今よく説く。」疏山は驚駭した。このように歴参すること五十四位の善知識に及んだが、皆法縁未だ契わず。最後に臨川に到り法眼に見えた。法眼は一見して深く彼を器重した。師は叢林を遍渉したので、参問に倦み、ただ衆に随うのみであった。ある日、法眼が上堂した。僧が問うた:「どうして曹源の一滴水か。」法眼は言った:「是れ曹源の一滴水。」僧は惘然として退いた。師は座位の傍らに在り、豁然として開梧し、平生の凝滞は涣として氷の釋くるが如し。即ち悟った所を法眼に告げた。法眼は言った:「あなたは後にまさに国王の師となり、祖道を光大ならしめ、私は及ばない。」これより諸方の異唱・古今の玄鍵は、皆彼と決択して、微跡を留めなかった。まもなく本道に回り、天台に游んだ。山の上で智者𫖮禅師の遺蹤を見て、旧居のようであった。師はまた智者と同姓で、当時は後身と称した。初めに白沙に住した。当時忠懿王はまだ王子で、その時台州を刺して、師の名を向慕し、延いて請いて道を問うた。師は彼に言った:「他日霸主となる時、仏恩を忘れるな。」漢の乾祐元年戊申、王は国位を嗣ぎ、使を遣して迎え、弟子の礼を伸べた。天台の智者の教を伝える羲寂(すなわち螺溪)が、屢々師に言った:「智者の教は、年祀浸遠で、おそらく多く散落しているでしょう。今新羅国の那本は甚だ完備です。もし和尚の慈力でなければ、誰がそれを請来できるでしょう。」師はそこで王に告げた。王は使を遣し、併せて師の書をその国へ繕写せしめ、備足して回った。今に至り世に盛行する。住持して後上堂:「古聖の方便は河沙の如し。祖師が道う、風幡の動に非ず、仁者の心動、と。これ乃ち無上の心印法門。」

我輩是祖師門下客。合作麼生會祖師意。莫道風幡不動。汝心妄動。莫道不撥風幡。就風幡通取。莫道風幡動處是甚麼。有云附物明心。不須認物。有云色即是空。有云非風幡動。應須妙會。如是解會。與祖師意旨有何交涉。既不許如是會。諸上座便合知悉。若於這裡徹底悟去。何法門而不明。百千諸佛方便。一時洞了。更有甚麼疑情。所以古人道。一了千明。一迷萬惑。上座豈是今日會得一則。明日又不會也。莫是有一分向上事難會。有一分下劣凡夫不會。如此見解。設經塵劫。祇自勞神乏思。無有是處。僧問。諸法寂滅相。不可以言宣。和尚如何為人師。曰。汝到諸方。更問一徧。曰。恁麼則絕於言句去也。師曰。夢裡惺惺。問。艣棹俱停。如何得到彼岸。師曰。慶汝平生。問。如何是三種病人。師曰。恰問著。問。如何是古佛心。師曰。此問不弱。問。如何是六相。師曰。即汝是。問。如何是方便。師曰。此問甚當。問。亡僧遷化向甚麼處去也。師曰。終不向汝道。曰。為甚麼不向某甲道。師曰。恐汝不會。問。一華開五葉。結果自然成。如何是一華開五葉。師曰。日出月明。曰。如何是結果自然成。師曰。天地皎然。問。如何是無憂佛。師曰。愁殺人。問。一切山河大地。從何而起。師曰。此問從何而來。問。如何是數起底心。師曰。爭諱得。問。如何是沙門眼。師曰。黑如漆。問。絕消息時如何。師曰。謝指示。問。如何是轉物即同如來。師曰。汝喚甚麼作物。曰。恁麼則同如來也。師曰。莫作野幹鳴。問。那吒太子析肉還母。析骨還父。然後於蓮華上為父母說法。未審如何是太子身。師曰。大家見。上座問曰。恁麼則大千同一真性也。師曰。依俙似曲才堪聽。又被風吹別調中。問。六根俱泯。為甚麼理事不明。師曰。何處不明。曰。恁麼則理事俱如也。師曰。前言何在。上堂。大凡言句。

(師は続けて言った:)「我々は祖師門下の客、合当どのように祖師の意を会すべきか。風幡は動かず、あなたの心が妄に動くと道うな。風幡を撥さず、風幡に就いて通取せよとも道うな。風幡の動くところは何かとも道うな。ある説は物に附して心を明らめ、物を認めるを須いずと言い、ある説は色即ち是空と言い、ある説は風幡の動に非ず、応に妙会すべしと言う。このように解会するは、祖師の意旨と何の交渉があらん。すでにこのように会することを許さざれば、諸位の上座は便ち合当知悉すべし。もしここで徹底して悟り去れば、何の法門か明らかならざらん。百千の諸仏の方便、一時に洞了す、さらに何の疑情かあらん。だから古人が言った、一つ了すれば千が明らか、一つ迷えば万が惑う、と。上座は豈に今日一則を会得し、明日また会せざるや。もしや一分の向上の事は会し難く、一分の下劣凡夫は会せざるか。このような見解は、設い塵劫を経ても、ただ自ら神を労し思を乏しくするのみで、是の処あることなし。」僧が問うた:「諸法は寂滅相、言を以て宣ぶべからず。和尚は如何に人の為めしますか。」師は言った:「あなたは諸方へ到って、さらに一遍問え。」僧は言った:「そうすれば言句に絶えて行きます。」師は言った:「夢裡に惺惺。」問うた:「艪棹俱に停まり、どうして彼岸に到り得ますか。」師は言った:「あなたの平生を慶す。」問うた:「どうして三種の病人ですか。」師は言った:「恰も問うところに着いた。」問うた:「どうして古仏心ですか。」師は言った:「この問は弱くない。」問うた:「どうして六相ですか。」師は言った:「即ちあなた是。」問うた:「どうして方便ですか。」師は言った:「この問は甚だ当たる。」問うた:「亡僧は遷化してどこへ向かって去りましたか。」師は言った:「終にあなたに道わない。」僧は言った:「なぜ某甲に道わないのですか。」師は言った:「あなたが会しないのを恐れる。」問うた:「一華開いて五葉、結果自然成。どうして一華開五葉ですか。」師は言った:「日出で月明。」僧は言った:「どうして結果自然成ですか。」師は言った:「天地皎然。」問うた:「どうして無憂仏ですか。」師は言った:「愁えて人を殺す。」問うた:「一切の山河大地、何処より起こるか。」師は言った:「この問は何処より来たるか。」問うた:「どうして数起する心ですか。」師は言った:「争で諱むことを得んや。」問うた:「どうして沙門眼ですか。」師は言った:「漆の如く黒し。」問うた:「消息を絶する時はいかに。」師は言った:「指示に謝す。」問うた:「どうして物を転ずれば即ち如来と同じですか。」師は言った:「あなたは何を物と喚ぶか。」僧は言った:「そうすれば如来と同じです。」師は言った:「野干の鳴くを作すな。」問うた:「那咤太子が肉を析って母に還し、骨を析って父に還し、然る後蓮華の上で父母の為に法を説いた。未だ審らかならず、どうして太子の身か。」師は言った:「大家が見る。」上座が問うて言った:「そうすれば大千は同一の真性ですね。」師は言った:「依稀として曲に似て才か聴くに堪え、また風に吹かれて別調の中に入る。」問うた:「六根俱に泯ぶ、なぜ理事が明らかならない。」師は言った:「何処か明らかならざる。」僧は言った:「そうすれば理事俱に如しです。」師は言った:「前言は何処に在る。」上堂:「大凡の言句、」

應須絕滲漏始得。時有僧問。如何是絕滲漏底句。師曰。汝口似鼻孔。問。如何是不證一法。師曰。待言語在。曰。如何是證諸法。師曰。醉作麼。乃曰。祇如山僧恁麼對他。諸上座作麼生體會。莫是真實相為麼。莫是正恁麼時無一法可證麼。莫是識伊來處麼。莫是全體顯露麼。莫錯會好。如此見解。喚作依草附木。與佛法天地懸隔。假饒答話揀辨如懸河。祇成得箇顛倒知見。若祇貴答話揀辨。有甚麼難。但恐無益於人。翻成賺悞。如上座從前所學揀辨.問答.記持。說道理極多。為甚麼疑心不息。聞古聖方便。特地不會。祇為多虗少實。上座不如從腳跟下一時覤破。看是甚底道理。有多少法門。與上座作疑求解。始知從前所學底事。祇是生死根源.陰界裡活計。所以古人道。見聞不脫。如水裡月。無事珍重。師有偈曰。通玄峰頂。不是人間。心外無法。滿目青山。法眼聞雲。即此一偈。可起吾宗。師後於般若寺開堂說法十二會。上堂。毛吞巨海。海性無虧。纖芥投鋒。鋒利無動。見與不見。會與不會。唯我知焉。乃有頌曰。暫下高峰已顯揚。般若圜通遍十方。人天浩浩無差別。法界縱橫處處彰。珍重。上堂。僧問。承古有言。若人見般若。即被般若縛。若人不見般若。亦被般若縛。既見般若。為甚麼卻被縛。師曰。你道般若見甚麼。曰。不見般若。為甚麼亦被縛。師曰。你道般若甚麼處不見。乃曰。若見般若。不名般若。不見般若。亦不名般若。且作麼生說見不見。所以古人道。若欠一法。不成法身。若剩一法。不成法身。若有一法。不成法身。若無一法。不成法身。此是般若之真宗也。僧問。乍離凝峰丈室。來坐般若道場。今日家風。請師一句。師曰。虧汝甚麼處。曰。恁麼則雷音震動乾坤界。人人無不盡霑恩。師曰。幸然未會。且莫探頭。僧禮拜。師曰。探頭即不中。諸上座相共證明。令法久住。

(師は続けて言った:)「応に渗漏を絶してこそ得る。」当時に僧が問うた:「どうして渗漏を絶する句ですか。」師は言った:「あなたの口は鼻孔に似る。」問うた:「どうして一法を証せざるか。」師は言った:「言語に待て。」僧は言った:「どうして諸法を証しますか。」師は言った:「醉うてどうする。」そこで言った:「ただ山僧がこのように彼に対する如し、諸位の上座はどうして体会するか。もしや真実の相為か。もしや正にこのような時に証すべき一法無しか。もしや彼の来処を識るか。もしや全体が顕露するか。錯って会するな、この方がよい。このような見解は、依草附木と喚ばれて、佛法と天地懸隔する。假り饶く答話・揀辨が懸河の如くでも、ただ顛倒の知見を成し得るのみ。もしただ答話・揀辨を貴ぶなら、何の難しいことがあらん。ただ人に益なく、翻って賺誤を成すを恐れる。上座が従前に学んだ揀辨・問答・記持は、道理を説くこと極めて多いが、なぜ疑心が息まないのか。古聖の方便を聞いても、特地に会しない。ただ虚が多く実が少ないがためだ。上座は不如り脚跟の下より一時に觑破して、是れ何の道理かを看よ。多少の法門があっても、上座の為に疑を作して解を求めよう。始めて従前に学んだ事が、ただ生死の根源、陰界裡の活計に過ぎないことを知る。だから古人が言った、見聞は脱せず、水裡の月の如し、と。没事。珍重。」師に偈ありて言った:「通玄の峰頂、是れ人間にあらず。心外に法無し、満目の青山。」法眼が聞いて言った:「即ち此一偈、吾が宗を起す可し。」師は後に般若寺に開堂して法を説くこと十二會。上堂:「毛は巨海を吞み、海性に虧なし。纖芥を鋒に投ずれど、鋒利動かず。見ると見ざると、會する會せざると、唯だ我が知るのみ。」そこで頌ありて言った:「暫く高峰を下りて已に顯揚す、般若圓通遍く十方に。人天浩浩として差別無し、法界縱横に處處彰る。」珍重。上堂。僧が問うた:「古の言ありと承る、若し人般若を見れば、即ち般若に縛られん。若し人般若を見ざれば、亦た般若に縛られん。すでに般若を見て、なぜ却って縛られますか。」師は言った:「あなたは般若が何を見ると道うか。」僧は言った:「般若を見ざれば、なぜ亦た縛られますか。」師は言った:「あなたは般若が何の處か見ざると道うか。」そこで言った:「若し般若を見れば、般若と名づけず。般若を見ざれば、亦た般若と名づけず。さあどうして見る見ざるを説かん。だから古人が言った、若し一法を欠かば、法身を成さず。若し一法を剩えば、法身を成さず。若し一法あらば、法身を成さず。若し一法無からば、法身を成さず。是れ般若の真宗。」僧が問うた:「乍らく凝峰の丈室を離れ、來りて般若の道場に坐す。今日の家風、師に一句を請う。」師は言った:「あなたの何の處か虧けた。」僧は言った:「そうすれば雷音が乾坤界に震動し、人人は盡く恩に沾らぬは無し。」師は言った:「幸いに未だ會せず、且く頭を探るな。」僧が礼拜した。師は言った:「頭を探れば即ち中らず。諸位の上座は相共に證明し、法をして久しく住せしめよ、」

國土安寧。珍重。上堂。僧問。承教有言。歸源性無二。方便有多門。如何是歸源性。師曰。你問我答。曰。如何是方便門。師曰。你答我問。曰。如何趣向。師曰。顛倒作麼。問。一身即無量身。無量身即一身。如何是無量身。師曰。一身。曰。恁麼則昔日靈山。今日親覩。師曰。理當即行。乃曰。三世諸佛。一時證明上座。上座且作麼生會。若會時不遷。無絲毫可得移易。何以故。為過去.未來.見在三際是上座。上座且非三際。澤霖大海。滴滴皆滿。一塵空性。法界全收。珍重。上堂。僧問。四眾雲集。人天恭敬。目覩尊顏。願宣般若。師曰。分明記取。曰。師宣妙法。國王萬歲。人民安樂。師曰。誰向你道。曰。法爾如然。師曰。你卻靈利。問。三世諸佛不知有。狸奴白牯卻知有。既是三世諸佛。為甚麼卻不知有。師曰。卻是你知有。曰。狸奴白牯為甚麼卻知有。師曰。你甚麼處見三世諸佛。問。承教有言。眼不見色塵。意不知諸法。如何是眼不見色塵。師曰。卻是耳見。曰。如何是意不知諸法。師曰。眼知。曰。恁麼則見聞路絕。聲色喧然。師曰。誰向汝道。乃曰。夫一切問答。如針鋒相投。無纖毫參差。事無不通。理無不備。良由一切言語。一切三昧。橫竪深淺。隱顯去來。是諸佛實相門。秖據如今一時驗取。珍重。上堂。古者道。如何是禪。三界綿綿。如何是道。十方浩浩。因甚麼道三界綿綿。何處是十方浩浩底道理。要會麼。塞卻眼。塞卻耳。塞卻舌.身.意。無空闕處。無轉動處。上座作麼生會。橫亦不得。竪亦不得。縱亦不得。奪亦不得。無用心處。亦無施設處。若如是會得。始會法門絕揀擇。一切言語絕滲漏。曾有僧問。作麼生是絕滲漏底語。向他道。口似鼻孔。甚好上座如此會。自然不通風去如識得盡。十方世界是金剛眼睛。無事。珍重。上堂。僧問。天下太平。大王長壽。

(師は続けて言った:)「国土安寧。珍重。」上堂。僧が問うた:「教に言ありと承る、帰源の性は二無く、方便に多門ありと。どうして帰源性ですか。」師は言った:「あなたが問えば我が答える。」僧は言った:「どうして方便門ですか。」師は言った:「あなたが答えれば我が問う。」僧は言った:「どうして趣向しますか。」師は言った:「顛倒してどうする。」問うた:「一身即ち無量身、無量身即ち一身。どうして無量身ですか。」師は言った:「一身。」僧は言った:「そうすれば昔日の霊山、今日親しく睹ります。」師は言った:「理は即ち当に行うべし。」そこで言った:「三世の諸仏、一時に上座を證明す。上座はさあどう會するか。若し會する時は遷らず、織毫も得て移易すべきなし。何故なれば、過去・未来・見在の三際が上座で、上座は且つ三際に非ざるが為だ。沢霖は大海に、滴々皆な滿ちる。一塵の空性、法界を全收す。珍重。」上堂。僧が問うた:「四衆雲集し、人天恭敬す。尊顔を目睹り、願わくば般若を宣べ給え。」師は言った:「分明に記取せよ。」僧は言った:「師が妙法を宣べれば、國王萬歳、人民安楽。」師は言った:「誰があなたに道った。」僧は言った:「法爾として然り。」師は言った:「あなたは却って靈利だ。」問うた:「三世の諸仏は有を知らず、狸奴白牯は却って有を知る。すでに三世の諸仏、なぜ却って有を知らないのか。」師は言った:「却ってあなたが有を知る。」僧は言った:「狸奴白牯はなぜ却って有を知るのか。」師は言った:「あなたは何の處で三世の諸仏を見たか。」問うた:「教に言ありと承る、眼は色塵を見ず、意は諸法を知らずと。どうして眼は色塵を見ざるか。」師は言った:「却って耳が見る。」僧は言った:「どうして意は諸法を知らざるか。」師は言った:「眼が知る。」僧は言った:「そうすれば見聞の路は絶えて、声色は喧然とします。」師は言った:「誰があなたに道った。」そこで言った:「およそ一切の問答は、針鋒が相投ずるが如く、織毫の参差なし。事は通せざるなし、理は備わらざるなし。良に一切の言語、一切の三昧、横竪深淺、隱顯去來、是れ諸仏の實相の門。ただ如今に據りて一時に驗取せよ。珍重。」上堂:「古者が道う、如何なるか是れ禅、三界綿綿。如何なるか是れ道、十方浩浩。因何と道う三界綿綿。何處か是れ十方浩浩の道理。會せんと欲するか。眼を塞ぎ、耳を塞ぎ、舌・身・意を塞げ。空闕の處無く、轉動の處無し。上座はどう會するか。横も得ず、竪も得ず、縦も得ず、奪も得ず。用心の處無く、亦た施設の處無し。若し是の如く會得すれば、始めて法門の揀擇を絶し、一切言語の渗漏を絶することを會せん。曾て僧が問うた、どうして渗漏を絶する語か。彼に向って說く、口は鼻孔に似る、と。甚だよし。上座がこの如く會すれば、自然に風を通ぜずして去る。如し識り尽くせば、十方世界は金剛の眼睛。没事。珍重。」上堂。僧が問うた:「天下太平、大王長寿、」

如何是王。師曰。日曉月明。曰。如何領會。師曰。誰是學人。乃曰。天下太平。大王長壽。國土豐樂。無諸患難。此是佛語。古不易今。不遷一言。可以定古定今。會取好。諸上座。又僧問。承古有言。有物先天地。無形本寂寥。如何是有物先天地。師曰。非同非合。曰。如何是無形本寂寥。師曰。誰問先天地。曰。恁麼則境靜林間獨自遊去也。師曰。亂道作麼。乃曰。佛法不是這箇道理。要會麼。言發非聲。色前不物。始會天下太平。大王長壽。久立。珍重。上堂。佛法現成。一切具足。豈不見道圓同太虗。無欠無餘。若如是也。且誰欠誰剩。誰是誰非。誰是會者。誰是不會者。所以道。東去亦是上座。西去亦是上座。南去亦是上座。北去亦是上座。因甚麼得成東西南北。若會得。自然見聞覺知路絕。一切諸法現前。何故如此。為法身無相。觸目皆形。般若無知。對緣而照。一時徹底會取好。諸上座。出家兒合作麼生。此是本有之理。未為分外。識心達本源。故名為沙門。若識心皎皎地。實無絲毫障礙。上座久立。珍重。上堂。僧問。欲入無為海。先乘般若船。如何是般若船。師曰。常無所住。曰。如何是無為海。師曰。且會般若船。問。古德道。登天不借梯。徧地無行路。如何是登天不借梯。師曰。不遺絲髮地。曰。如何是徧地無行路。師曰。適來向你道甚麼。乃曰。百千三昧門。百千神通門。百千妙用門。盡不出得般若海中。何以故。為於無住本建立諸法。所以道。生滅去來。邪正動靜。千變萬化。是諸佛大定門。無過於此。諸上座大家究取。增於佛法壽命。珍重。上堂。僧問。世尊以正法眼付囑摩訶迦葉。祇如迦葉在畢缽羅窟。未審付囑何人。師曰。教我向誰說。曰。恁麼則靈山付囑。不異今日。師曰。你甚麼處見靈山。問。法眼寶印。和尚親傳。未審今日當付何人。師曰。鼕鼕鼓。一頭打。

(僧は続けて問うた:)「どうして王ですか。」師は言った:「日曉け月明。」僧は言った:「どう領會しますか。」師は言った:「誰が學人か。」そこで言った:「天下太平、大王長壽、國土豐樂、諸の患難無し。是れ佛語。古は今を易えず、一言を遷さず、以て古を定め今を定むべし。會取せよ、諸位の上座。」また僧が問うた:「古の言ありと承る、物有りて天地に先んじ、形無くして本より寂寥と。どうして物有りて天地に先んずるか。」師は言った:「同に非ず合に非ず。」僧は言った:「どうして形無くして本より寂寥ですか。」師は言った:「誰が天地に先んずるを問う。」僧は言った:「そうすれば境靜かに林間に獨り遊びて去りました。」師は言った:「亂道してどうする。」そこで言った:「佛法は是の道理に非ず。會せんと欲するか。言は發しても聲に非ず、色の前に物ならず、始めて天下太平、大王長壽を會せん。久立。珍重。」上堂:「佛法は現成、一切具足す。豈に見ずや道う、圓にして太虛に同じ、欠くる無く餘る無しと。若し是の如くならば、且つ誰が欠け誰が剩り、誰が是で誰が非か、誰が會する者で誰が會せざる者か。だから道う、東へ去るも亦是上座、西へ去るも亦是上座、南へ去るも亦是上座、北へ去るも亦是上座。因何として東西南北を成すことを得るか。若し會得せば、自然に見聞覺知の路絶えて、一切の諸法が現前す。何故に此の如くか。法身は相無くして觸目皆な形、般若は知無くして緣に對して照らすが為だ。一時に徹底して會取せよ、諸位の上座。出家兒は合當どうすべきか。此れ本有の理、未だ分外と為さず。心を識り本源に達す、故に名づけて沙門と為す。若し心を識りて皎皎たれば、實に絲毫の障礙無し。上座久立。珍重。」上堂。僧が問うた:「無為の海に入らんと欲すれば、先ず般若の船に乘れ。どうして般若船ですか。」師は言った:「常に住する所無し。」僧は言った:「どうして無為海ですか。」師は言った:「且く般若船を會せよ。」問うた:「古德が道う、天に登るも梯を借らず、遍地に行路無しと。どうして天に登るも梯を借らざるか。」師は言った:「絲髮の地を遺さず。」僧は言った:「どうして遍地に行路無しですか。」師は言った:「さっきあなたに何を道った。」そこで言った:「百千の三昧門、百千の神通門、百千の妙用門、盡く般若海の中を出でず。何以故か。無住の本に於て諸法を建立するが為だ。だから道う、生滅去來、邪正動靜、千變萬化は、是れ諸佛の大定門、此を過ぐる無しと。諸位の上座、大家究取して、佛法の壽命を增ぜよ。珍重。」上堂。僧が問うた:「世尊は正法眼を以て摩訶迦葉に付囑した。ただ迦葉が畢鉢羅窟に在り、未だ審かならず何人に付囑したか。」師は言った:「我をして誰に向って説かしめん。」僧は言った:「そうすれば霊山の付囑、今日に異ならず。」師は言った:「あなたは何の處で霊山を見た。」問うた:「法眼の寶印、和尚が親く傳えた。未だ審かならず今日當に何人に付すべきか。」師は言った:「冬冬の鼓、一頭打てば、」

兩頭鳴。曰。恁麼則千聖同儔。古今不異。師曰。禪河浪靜。尋水迷源。僧清遇問。帝王請命師赴王恩。般若會中。請師舉唱。師曰。分明記取。曰。恁麼則雲臺寶網。同演妙音。師曰。清遇何在。曰。法王法如是。師曰。阿誰證明。乃曰。靈山付囑分明。諸上座一時驗取。若驗得更無別理。祇是如今。譬如太虗。日明雲暗。山河大地。一切有為世界。悉皆明現。乃至無為。亦復如是。世尊付囑。迄至於今。並無絲毫差別。更付阿誰。所以祖師道。心自本來心。本心非有法。有法有本心。非心非本法。此是靈山付囑榜樣。諸上座徹底會取好。莫虗度時光。國王恩難報。諸佛恩難報。父母師長恩難報。十方施主恩難報。況建置如是次第。佛法興隆。若非國王恩力。焉得如此。若要報恩。應須明徹道眼。入般若性海始得。久立。珍重。上堂。僧問。古德道。人空法亦空。二相本來同。師曰。山河大地。曰。學人不會。乞師方便。師曰。甚麼處不是方便。問。名假法假。人空法空。向去諸緣。請師直指。師曰。謝此一問。曰。不覩王居壯。焉知天子尊。師曰。貪觀天上月。失卻手中橈。問。敬中道。心清淨故法界清淨。如何是清淨心。師曰。迦陵頻伽。共命之鳥。曰。與法界是一是二。師曰。你自問別人。乃曰。大道廓然。詎齊今古。無名無相。是法是修。良由法界無邊。心亦無際。無事不彰。無言不顯。如是會得。喚作般若現前。理同真際。一切山河大地。森羅萬象。墻壁瓦礫。並無絲毫可得虧闕。無事久立。珍重。上堂。僧問。承師有言。九天擎玉印。七佛兆前心。如何是印。師曰。不露文。曰。如何是心。師曰。你名安嗣。乃曰。法界性海。如函如葢。如鉤如鎻。如金與金。位位皆齊。無纖毫參差。不相混濫。非一非異。非同非別。若歸實地去。法法皆到底。不是上來問箇如何若何便是。不問時便非。

(師は続けて言った:)「両頭に鳴く。」僧は言った:「そうすれば千聖同儔で、古今異ならず。」師は言った:「禅河の浪は靜か、水を尋ねて源を迷う。」僧の清遇が問うた:「帝王が請命し、師は王恩に赴かれた。般若の會中に、師の舉唱を請います。」師は言った:「分明に記取せよ。」僧は言った:「そうすれば雲臺の寶網、同じく妙音を演じます。」師は言った:「清遇は何處に在る。」僧は言った:「法王の法は是の如し。」師は言った:「阿誰が證明する。」そこで言った:「靈山の付囑は分明、諸位の上座は一時に驗取せよ。若し驗すれば更に別理無し、ただ是れ如今。譬えば太虛の如く、日明かに雲暗く、山河大地、一切の有為世界、悉く皆な明現し、乃至無為も亦た是の如し。世尊の付囑、今に迄って竝びて絲毫の差別なし。更に阿誰に付けん。だから祖師が道う、心は自ら本來の心、本心は有する法に非ず。有法が本心有り、心に非ず本法に非ず。此れ靈山付囑の榜樣。諸位の上座は徹底して會取せよ、時光を虛度するな。國王の恩は報じ難し、諸佛の恩は報じ難し、父母師長の恩は報じ難し、十方施主の恩は報じ難し。況んや建置は是の如き次第、佛法は興隆す。若し國王の恩力に非ざれば、焉んぞ此の如くを得んや。若し恩に報いんと欲せば、應に道眼を明徹し、般若の性海に入ってこそ得ん。久立。珍重。」上堂。僧が問うた:「古德が道う、人空なれば法も亦空、二相は本來同、と。」師は言った:「山河大地。」僧は言った:「學人會せず、師の方便を乞う。」師は言った:「何の處か方便に非ざる。」問うた:「名は假、法は假、人空、法空。向去の諸緣、師の直指を請う。」師は言った:「此の一問に謝す。」僧は言った:「王居の壯を睹ざれば、焉んぞ天子の尊を知らん。」師は言った:「天上の月を觀るに貪りて、手中の橈を失卻す。」問うた:「敬中に道う、心が清淨なるが故に法界清淨なりと。どうして清淨心ですか。」師は言った:「迦陵頻伽、共命の鳥。」僧は言った:「法界と是一か是二か。」師は言った:「あなたは自ら別の人に問え。」そこで言った:「大道は廓然、詎ぞ今古を齊えんや。無名無相、是れ法是れ修。良に法界は邊無く、心も亦た際無し。事として彰かれざる無く、言として顯れざる無し。是の如く會得すれば、喚んで般若現前と作し、理は真際に同じ。一切の山河大地、森羅萬象、牆壁瓦礫、竝びて絲毫も得て虧闕すべきなし。没事。久立。珍重。」上堂。僧が問うた:「師の言ありと承る、九天は玉印を擎げ、七佛は前心を兆すと。どうして印ですか。」師は言った:「文を露さず。」僧は言った:「どうして心ですか。」師は言った:「あなたの名は安嗣。」そこで言った:「法界の性海、函の如く蓋の如く、鈎の如く鎖の如く、金と金との如し。位位皆な齊しく、織毫の参差無く、相混濫せず。一に非ず異に非ず、同に非ず別に非ず。若し實地に歸すれば、法法皆な到底す。上って來て如何若何と問うが便ち是ではなく、問わざる時が便ち非でもない。」

在長連床上坐時是有。不坐時是無。祇如諸方老宿。言教在世。如恆河沙。如來一大藏經。卷卷皆說佛理。句句盡言佛心。因甚麼得不會去。若一向織絡言教。意識解會。饒上座經塵沙劫。亦不能得徹。此喚作顛倒知見。識心活計。竝無得力處。此葢為根腳下不明。若究盡諸佛法源。河沙大藏。一時現前。不欠絲毫。不剩絲毫。諸佛時常出世。時常說法度人。未曾間歇。乃至猿啼鳥呌。草木叢林。常助上座發機。未有一時不為上座。有如是奇特處。可惜許。諸上座大家究取。令法久住世間。增益人天壽命。國王安樂。無事。珍重。上堂。舉古者道。吾有一言。天上人間。若人不會。綠水青山。且作麼生是一言底道理。古人語須是曉達始得。若是將言而名。於言未有箇會處。良由究盡諸法根蔕。始會一言。不是一言半句思量解會喚作一言。若會言語道斷。心行處滅。始到古人境界。亦不是閉目藏睛。暗中無所見。喚作言語道斷。且莫賺會。佛法不是這箇道理。要會麼。假饒經塵沙劫說。亦未曾有半句到諸上座。經塵沙劫不說。亦未曾欠少半句。應須徹底會去始得。若如是斟酌名言。空勞心力。並無用處。與諸上座共相證明。後學初心。速須究取。久立。珍重。上堂。僧問。髑髏常幹世界。鼻孔摩觸家風。如何是髑髏常幹世界。師曰。更待答話在。曰。如何是鼻孔摩觸家風。師曰。時復舉一徧。問。一人執炬自燼其身。一人抱冰橫屍於路。此二人阿誰辨道。師曰。不遺者。曰。不會。乞師指示。師曰。你名敬新。曰。未審還有人證明也無。師曰。有。曰。甚麼人證明。師曰。敬新。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。異境靈蹤。覩者皆羨。曰。見後如何。師曰。適來向你道甚麼。問。古者道。敲打虗空鳴觳觳。石人木人齊應諾。六月降雪落紛紛。此是如來大圓覺。如何是敲打虗空底。師曰。崑崙奴著鐵袴。

(師は続けて言った:)「長連牀の上に坐する時は有り、坐せざる時は無し。ただ諸方の老宿の如き、言教は世に在りて恒河沙の如し。如來の一大藏經、卷々皆な佛理を説き、句句盡く佛心を言う。因何として會し去ることを得ざるか。若し一向に言教を織絡し、意識に解會せば、饒く上座が塵沙劫を經ても、亦た徹することを得能わず。此れ喚んで顛倒知見、識心の活計と作し、竝びて得力の處無し。此れ蓋して根脚の下に明らかならざるが為だ。若し諸佛の法源を究盡せば、河沙の大藏、一時に現前して、絲毫を欠かず、絲毫を剩さず。諸佛は時を當に出世し、時を當に説法度人して、未だ曾て間歇せず。乃至猿の啼き鳥の叫び、草木叢林、常に上座の發機を助け、未だ一時として上座の為ならざる無し。是の如き奇特の處有り。可惜許。諸位の上座、大家究取して、法をして久しく世間に住せしめ、人天の壽命を增益し、國王安樂ならしめよ。没事。珍重。」上堂。古者の道を挙ぐ:「吾に一言有り、天上人間。若し人會せざれば、綠水青山。」「さあどうして一言の道理か。古人の語は須く曉達してこそ得ん。若し是れ言を將て名とせば、言に於て未だ會する處有らず。良に諸法の根蒂を究盡するに由りて、始めて一言を會す。是れ一言半句を思量解會するを一言と喚ぶに非ず。若し言語道斷、心行處滅を會せば、始めて古人の境界に到る。亦た是れ目を閉じ睛を藏め、暗中に見る所無きを、言語道斷と喚ぶに非ず。且く賺會するな。佛法は是の道理に非ず。會せんと欲するか。假饒塵沙劫を經て説くとも、亦た未だ曾て半句を諸位の上座に到らざる無し。塵沙劫を經て説かずとも、亦た未だ曾て半句を欠少する無し。應に徹底して會去してこそ得ん。若し是の如く名言を斟酌せば、空しく心力を勞して、竝びて用處無し。諸位の上座と共に相證明せん。後學初心、速やかに須く究取せよ。久立。珍重。」上堂。僧が問うた:「髑髏は常に世界を幹し、鼻孔は家風を摩觸す。どうして髑髏が常に世界を幹すか。」師は言った:「更に答話を待て。」僧は言った:「どうして鼻孔が家風を摩觸しますか。」師は言った:「時に復た一遍を挙げよ。」問うた:「一人は炬を執りて自ら其の身を燼とし、一人は冰を抱きて屍を路に橫たう。此の二人は阿誰か道を辨ずる。」師は言った:「遺さざる者。」僧は言った:「會せず、師の指示を乞う。」師は言った:「あなたの名は敬新。」僧は言った:「未だ審かならず、還た人の證明有るか無しや。」師は言った:「有り。」僧は言った:「何人が證明しますか。」師は言った:「敬新。」問うた:「牛頭が四祖を見ざる時はいかに。」師は言った:「異境の靈蹤、睹る者皆な羨む。」僧は言った:「見た後はいかに。」師は言った:「さっきあなたに何を道った。」問うた:「古者が道う、虛空を敲打すれば觳觳と鳴り、石人木人齊しく應諾す。六月に雪降り紛紛と落つ、此れ如來の大圓覺と。どうして虛空を敲打するのか。」師は言った:「崑崙奴が鐵袴を著て、」

打一棒行一步。曰。恁麼則石人木人齊應諾也。師曰。你還聞麼。乃曰。諸佛法門。時常如是。譬如大海。千波萬浪。未甞暫住。未甞暫有。未甞暫無。浩浩地光明自在。宗三世於毛端。圓古今於一念。應須徹底明達始得。不是問一則語。記一轉話。巧作道理。風雲水月。四六入對。便當佛法。莫自賺。諸上座究竟無益。若徹底會去。實無可隱藏。無剎不彰。無塵不現。直下凡夫。位齊諸佛。不用纖毫氣力。一時會取好。無事。珍重。師因興教明和尚問曰。飲光持釋迦丈六之衣。在鷄足山候彌勒下生。將丈六之衣披在千尺之身。應量恰好。祇如釋迦身長丈六。彌勒身長千尺。為復是身解短邪。衣解長邪。師曰。汝卻會。明拂袖便出去。師曰。小兒子。山僧若答汝不是。當有因果。汝若不是。吾當見之。明歸七日。吐血。浮光和尚勸曰。汝速去懺悔。明乃至師方丈。悲泣曰。願和尚慈悲。許某懺悔。師曰。如人倒地。因地而起。不曾教汝起倒。明又曰。若許懺悔。某當終身給侍。師為出語曰。佛佛道齊。宛爾高低。釋迦彌勒。如印印泥。開寶四年辛未。華頂西峰忽摧。聲震一山。師曰。吾非久矣。明年六月。大星殞於峰頂。林木變白。師乃示疾於蓮華峰。參問如常。二十八日。集眾言別。跏趺而逝。

(師は続けて言った:)「一棒を打って一歩を行く。」僧は言った:「そうすれば石人木人が齊しく應諾しました。」師は言った:「あなたは還た聞くか。」そこで言った:「諸佛の法門、時に當りて是の如し。譬えば大海の如く、千波萬浪、未だ曾て暫く住せず、未だ曾て暫く有せず、未だ曾て暫く無せず。浩浩として光明自在。三世を毛端に宗とし、古今を一念に圓す。應に徹底して明達してこそ得ん。是れ一則の語を問い、一轉の話を記え、巧みに道理を作して、風雲水月、四六の入對にして、便ち佛法と當るに非ず。自ら賺るな。諸位の上座、究竟して益無し。若し徹底して會去せば、實に隱藏すべき無し。剎として彰かれざる無く、塵として現れざる無し。直下の凡夫、位は諸佛に齊し。織毫の氣力を用いず、一時に會取せよ。没事。珍重。」師は興教の明和尚が問うて言ったが故に:「飲光は釋迦の丈六の衣を持ちて、雞足山に在りて彌勒の下生を候い、丈六の衣を將て千尺の身に披せば、應量恰好なり。ただ釋迦の身長は丈六、彌勒の身長は千尺、為れ身が解して短か、衣が解して長か。」師は言った:「あなたは却って會す。」明は袖を拂いて便ち出去った。師は言った:「小兒子、山僧若しあなたに是でないと答えば、當に因果有るべし。あなた若し是でなければ、吾當に之を見ん。」明は回りて七日、血を吐いた。浮光和尚が勸めて説いた:「あなたは速やかに懺悔しに行け。」明は乃ち師の方丈に至り、悲泣して言った:「願わくば和尚慈悲、某の懺悔を許し給え。」師は言った:「人の倒地するが如く、地に因りて起つ。曾てあなたに起倒を教えず。」明はまた言った:「若し懺悔を許さば、某當に終身給侍せん。」師は彼の為に語を出して言った:「佛佛道齊し、宛爾として高低あり。釋迦彌勒、印の印泥するが如し。」開寶四年辛未、華頂の西峰が忽然として崩摧し、聲は一山に震う。師は言った:「吾は久しからざるなり。」明年六月、大星が峰頂に殞ち、林木は白と變じた。師は就中蓮華峰に疾を示し、參問は常の如し。二十八日、衆を集めて言別し、跏趺して逝った。

金陵清涼泰欽法燈禪師

金陵清涼泰欽法燈禅師

魏府人也。生而知道。辯才無礙。入法眼之室。海眾歸之。僉曰敏匠。初住洪州雙林院。開堂日。指法座曰。此山先代尊宿曾說法來。此座高廣。不才何陞。古昔有言。作禮須彌燈王如來。乃可得坐。且道須彌燈王如來今在何處。大眾要見麼。一時禮拜。便陞座。良久曰。大眾祇如此。也還有會處麼。僧問。如何是雙林境。師曰。畫也畫不成。曰。如何是境中人。師曰。且去。境也未識且討人。又僧問。一佛出世。震動乾坤。和尚出世。震動何方。師曰。甚麼處見震動。曰。爭奈即今何。師曰。今日有甚麼事。有僧出禮拜。師曰。道者。前時謝汝請我。將甚麼與汝好。僧擬問次。師曰。將謂相悉。卻成不委。問。如何是西來密密意。師曰。苦。問。一佛出世。普潤群生。和尚出世。當為何人。師曰。不徒然。曰。恁麼則大眾有賴也。師曰。何必。乃曰。且住得也。久立。尊官及諸大眾。今日相請勤重。此箇殊功。比喻何及。所以道。未了之人聽一言。祇這如今誰動口。便下座。立倚拄杖而告眾曰。還會麼。天龍寂聽而雨華莫作。須菩提幀子畵將去。且恁麼信受奉行。問。新到近離甚處。僧曰。廬山。師拈起香合曰。廬山還有這箇也無。僧無對。師自代雲。尋香來禮拜和尚。問。百骸俱潰散。一物鎮長靈。未審百骸一物。相去多少。師曰。百骸一物。一物百骸。次住上藍護國院。僧問。十方俱擊皷。十處一時聞。如何是聞。師曰。汝從那方來。問。善行菩薩道。不染諸法相。如何是菩薩道。師曰。諸法相。曰。如何得不染去。師曰。染著甚麼處。問。不久開選場。還許學人選也無。師曰。汝是點額人。又曰。汝是甚麼科目。問。如何是演大法義。師曰。我演何似汝演。次住金陵龍光院。上堂。維那白椎雲。法筵龍象眾。當觀第一義。師曰。維那早是第二義。長老即今是第幾義。乃舉衣袖曰。會麼。大眾。

魏府の人。生まれながらに道を知り、辯才は礙無し。法眼の室に入り、海衆は彼に歸し、皆な敏匠と稱した。初め洪州雙林院に住した。開堂の日、法座を指して言った:「此の山の先代の尊宿は曾て法を説き來り。此の座は高廣にして、不才何を以て升らん。古昔に言有り、須彌燈王如來に作禮して、乃ち坐することを得、と。さあ道え、須彌燈王如來は如今何の處に在る。大衆は見んと欲するか。」一時に礼拜して、便ち座に升った。好い時を過ごして言った:「大衆はただ此の如く、還た會する處有るか。」僧が問うた:「どうして雙林の境ですか。」師は言った:「畫いても畫き成さず。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「且く去れ。境も未だ識らずして且つ人を討つ。」また僧が問うた:「一佛出世すれば、乾坤を震動す。和尚出世して、何方を震動しますか。」師は言った:「何の處で震動を見た。」僧は言った:「争奈、即今は如何。」師は言った:「今日は何の事有るか。」僧有りて出でて礼拜した。師は言った:「道者、前時あなたが我を請したを謝す、何を將てあなたに與えて好いか。」僧が正に問わんとする時、師は言った:「相悉すると將謂すれど、却って不委を成す。」問うた:「どうして西來の密密の意ですか。」師は言った:「苦。」問うた:「一佛出世して、普く群生を潤す。和尚出世して、當に何人を為らんか。」師は言った:「徒然ならず。」僧は言った:「そうすれば大衆は頼み有りました。」師は言った:「何必。」そこで言った:「且く住することを得たり。久立。尊官及び諸の大衆、今日相請すこと勤重なり。此の殊功、比喻何れか及ばん。だから道う、未了の人は一言を聽け、只だ此れ如今誰が口を動かす。」便ち座を下りた。立って拄杖に倚りて衆に告げて言った:「還た會するか。天龍は寂聽して華を雨さざれ。須菩提の幀子は畫き將て去る。且く此の如く信受奉行せよ。」問うた:「新到は近く甚の處を離れた。」僧は言った:「廬山。」師は香合を拈じ起して言った:「廬山に還た此の有りや無しや。」僧は對えず。師は自ら代えて言った:「香を尋ねて來りて和尚を礼拜す。」問うた:「百骸俱に潰散す、一物は長靈を鎮す。未だ審かならず百骸一物、相去ること多少。」師は言った:「百骸一物、一物百骸。」接着して上藍護國院に住した。僧が問うた:「十方俱に鼓を擊ち、十處一時に聞く。どうして聞ですか。」師は言った:「あなたは那の方より來る。」問うた:「善く菩薩道を行じて、諸法相に染まざる。どうして菩薩道ですか。」師は言った:「諸法相。」僧は言った:「どうして染まざるを得ますか。」師は言った:「何の處に染着する。」問うた:「不久に選場を開く、還た學人に選を許すか無しや。」師は言った:「あなたは點額の人。」また言った:「あなたは何の科目か。」問うた:「どうして大法義を演ずるか。」師は言った:「我の演ずるはあなたの演ずるに何似せん。」接着して金陵龍光院に住した。上堂。維那が白椎して言った:「法筵の龍象衆、當に第一義を觀るべし。」師は言った:「維那は早く是れ第二義。長老は即今第幾義か。」そこで衣袖を擧起して言った:「會するか。大衆、」

此是手舞足蹈。莫道五百生前曾為樂主來。或有疑情。請垂見示。時有僧問。如何是諸佛正宗。師曰。汝是甚麼宗。曰。如何。師曰。如何即不會。問。上藍一曲師親唱。今日龍光事若何。師曰。汝甚麼時到上藍來。曰。諦當事如何。師曰。不諦當即別處覓。問。如何是佛法大意。師曰。且問小意。卻來與汝大意。師後住清涼大道場。上堂。僧出禮拜次。師曰。這僧最先出。為大眾答國主深恩。僧便問。國主請命。祖席重開。學人上來。請師直指心源。師曰。上來卻下去。問。法眼一燈。分照天下。和尚一燈。分照何人。師曰。法眼甚麼處分照來。師乃曰。某甲本欲居山藏拙。養病過時。奈緣先師有未了底公案。出來與他了卻。時有僧問。如何是先師未了底公案。師便打。曰。祖禰不了。殃及兒孫。曰。過在甚麼處。師曰。過在我殃及你。江南國主為鄭王時。受心法於法眼之室。暨法眼入滅。復甞問師曰。先師有甚麼不了底公案。師曰。見分㭊次。異日。又問曰。承聞長老於先師有異聞底事。師作起身勢。國主曰。且坐。師謂眾曰。先師法席五百眾。今祇有十數人在諸方為導首。你道莫有錯指人路底麼。若錯指。教他入水入火。落坑落壍。然古人又道。我若向刀山。刀山自摧折。我若向鑊湯。鑊湯自消滅。且作麼生商量。言語即熟。及問著便生疎去。何也。祇為隔闊多時。上座但會我甚麼處去不得。有去不得者為眼等諸根.色等諸法。諸法且置。上座開眼見甚麼。所以道。不見一法即如來。方得名為觀自在。珍重。師開寶八年六月示疾。告眾曰。老僧臥疾。強牽拖與汝相見。如今隨處道場。宛然化城。且道作麼生是化城。不見古導師雲。寶所非遙。須且前進。及至城所。又道我所化作。今汝諸人試說箇道理看。是如來禪.祖師禪還定得麼。汝等雖是晚生。須知僥忝我國主。凡所勝地建一道場。所須不闕。

(師は続けて言った:)「是れ手舞い足蹈すること。五百年前に曾て樂主と為り來りと道うな。或いは疑情有らば、請う垂れて見示せ。」當時に僧が問うた:「どうして諸佛の正宗ですか。」師は言った:「あなたは何の宗か。」僧は言った:「如何。」師は言った:「如何と即ち會せず。」問うた:「上藍の一曲は師が親く唱えた。今日の龍光の事は若何。」師は言った:「あなたは何の時か上藍に到った。」僧は言った:「諦當の事は如何。」師は言った:「諦當ならざれば即ち別處に覓め。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「且く小意を問え、却って來りてあなたに大意を與えん。」師は後に清涼の大道場に住した。上堂。僧が出でて礼拜する時、師は言った:「此の僧は最先に出でて、大衆の為に國主の深恩に答えよ。」僧は便ち問うた:「國主が請命し、祖席重ねて開く。學人上りて來る、師に直指心源を請う。」師は言った:「上って來て却って下りて去れ。」問うた:「法眼の一燈、分かちて天下を照らす。和尚の一燈、分かちて何人を照らす。」師は言った:「法眼は何の處か分照し來た。」師はそこで言った:「某甲は本より山に居り拙を藏め、病を養いて時を過ごさんと欲す。奈ん縁か先師に未了の公案有り、出でて來りて彼と了却せん。」當時に僧が問うた:「どうして先師の未了の公案ですか。」師は便ち打ちて、言った:「祖禰了せず、殃は兒孫に及ぶ。」僧は言った:「過は何の處に在る。」師は言った:「過は我があなたに殃を及ぼすに在り。」江南の國主は鄭王と為る時、心法を法眼の室に受けた。およそ法眼の入滅に及んで、また曾て師に問うて言った:「先師に何の未了の公案有るか。」師は言った:「分折を見んとする次。」別の一日、また問うて言った:「長老が先師に於て異聞の事有りと承る。」師は出身の勢を作した。國主は言った:「且く坐れ。」師は衆に對して言った:「先師の法席は五百衆、如今ただ十数人が諸方に在りて導首と為る。あなたが道う、錯りて人の路を指す者有ること莫れか。若し錯指せば、彼を教へて水に入り火に入り、坑に落ち塹に落ちん。然るに古人また道う、我若し刀山に向かば、刀山自ら摧折す。我若し鑊湯に向かば、鑊湯自ら消滅す、と。さあどうして商量せん。言語即ち熟すれど、及び問うと著くれば便ち生疏して去る。何ぞや。只だ隔闊する多時なるが為だ。上座は但だ會せよ、我は何の處か去ることを得ざる。去ることを得ざる者有るは、眼等の諸根、色等の諸法が為だ。諸法は且く置く。上座は眼を開きて何を見る。だから道う、一法を見ざれば即ち如來、方に名づけて觀自在と為すことを得、と。珍重。」師は開寶八年六月に疾を示し、衆に告げて言った:「老僧は疾に臥し、強いて牽拖してあなたがたと相見ん。如今隨處の道場、宛然として化城。さあ道え、どうして化城か。古導師が説くを見ずや、寶所は遥かに非ず、須く且く前進すべし。及び城所に至りて、又た道う我が化作する所と。如今あなたがた試しに道理を説いて看よ。是れ如來禅、祖師禅か還た定め得るか。あなたがたは雖も晚生たりとも、須く我が國主に侥忝するを知るべし。凡そ勝地に一道場を建てれば、所須は闕かざり、」

祇要汝開口。如今不知阿那箇是汝口。爭答効他四恩三有。欲得會麼。但識口必無咎。縱有咎因汝有。我今火風相逼。去住是常道。老僧住持。將逾一紀。每承國主助發。至於檀越。十方道侶。主事小師。皆赤心為我。默而難言。或披麻帶布。此即順俗。我道違真。且道順好違好。然但順我道。即無顛倒。我之遺骸。必於南山大智藏和尚左右乞一墳冢。升沉皎然。不淪化也。努力。珍重。二十四日安坐而終。

(師は続けて言った:)「ただあなたの口を開くを要す。如今あのどれがあなたの口かを知らず。争で彼の四恩三有に答効せん。會せんと欲するか。但だ口を識れば必ず咎無し。縱い咎有るも因ってあなた有り。我今火風相逼う、去住は是れ常道。老僧住持して、將に一紀を逾えんとす。每に國主の助發を承け、檀越、十方の道侶、主事の小師に至るまで、皆な赤心を我に為す、默して言い難し。或いは麻を披き布を帶ぶ、此即ち俗に順う、我が道は真に違す。さあ道え、順うが好いか違うが好いか。然るに但だ我が道に順えば、即ち顛倒無し。我が遺骸は、必ず南山の大智蔵和尚の左右に一の墳塚を乞わん。升沈は皎然として、淪化に淪れず。努力。珍重。」二十四日に安坐して終わった。

杭州靈隱清聳禪師

杭州靈隱清聳禪師

福州人也。初參法眼。眼指雨謂師曰。滴滴落在上座眼裡。師初不喻旨。後因閱華嚴感悟。承眼印可。回止明州四明山卓庵。節度使錢億執事師之禮。忠懿王命於臨安兩處開法。後居靈隱上寺。署了悟禪師。上堂曰。十方諸佛常在汝前。還見麼。若言見。將心見。將眼見。所以道一切法不生。一切法不滅。若能如是解。諸佛常現前。又曰。見色便見心。且喚甚麼作心。山河大地。萬象森羅。青黃赤白。男女等相。是心不是心。若是心。為甚麼卻成物象去。若不是心。又道見色便見心。還會麼。祇為迷此而成顛倒。種種不同。於無同異中強生同異。且如今直下承當。頓豁本心。皎然無一物可作見聞。若離心別求解脫者。古人喚作迷波討源。卒難曉悟。僧問。根塵俱泯。為甚麼事理不明。師曰。事理且從。喚甚麼作俱泯底根塵。問。如何是觀音第一義。師曰。錯。問。無明實性即佛性。如何是佛性。師曰。喚甚麼作無明。問。如何是和尚家風。師曰。亙古亙今。問。不問不答時如何。師曰。寐語作麼。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。青山綠水。曰。見後如何。師曰。綠水青山。師問僧。汝會佛法麼。曰。不會。師曰。汝端的不會。曰。是。師曰。且去。待別時來。其僧珍重。師曰。不是這箇道理。問。如何是摩訶般若。師曰。雪落茫茫。僧無語。師曰。會麼。曰。不會。師示偈曰。摩訶般若。非取非捨。若人不會。風寒雪下。

福州の人。初め法眼に參した。法眼が雨を指して師に對して言った:「滴々は上座の眼裡に落つ。」師は初め旨を領會せず。後に華嚴を閲した因に感悟し、法眼の印可を承けた。回りて明州四明山に止まり庵を卓した。節度使の錢億が侍師の禮を執った。忠懿王が彼に臨安の兩處で法を開かせた。後に靈隱の上寺に居り、了悟禪師と署された。上堂して言った:「十方の諸佛は常にあなたの前に在り。還た見るか。若し見ると言わば、心を將て見るか、眼を將て見るか。だから道う、一切法は生せず、一切法は滅せず。若し能く是の如く解せば、諸佛常に現前す。」また言った:「色を見れば便ち心を見る。さあ何を喚んで心と作す。山河大地、萬象森羅、青黃赤白、男女等の相、是れ心か心に非ずか。若し是心なら、何の故に却って物象を成して去るか。若し心に非ざれば、又た道う色を見れば便ち心を見ると。還た會するか。只だ此に迷うて顛倒を成し、種種同ならず。無同異の中に於て強いて同異を生ず。さあ如今直下に承當し、頓らく本心を豁して、皎然として一物も作して見聞と為す無からしめよ。若し心を離れて別に解脱を求むる者は、古人は喚んで迷波討源と作す、卒に曉悟し難し。」僧が問うた:「根塵俱に泯ぶ、何の故に事理が明らかならざる。」師は言った:「事理は且く從え。何を喚んで俱泯の根塵と作す。」問うた:「どうして觀音の第一義ですか。」師は言った:「錯。」問うた:「無明の實性即ち佛性。どうして佛性ですか。」師は言った:「何を喚んで無明と作す。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「亘古亘今。」問うた:「問わず答えざる時はいかに。」師は言った:「寐語を作してどうする。」問うた:「牛頭が四祖を見ざる時はいかに。」師は言った:「青山綠水。」僧は言った:「見た後はいかに。」師は言った:「綠水青山。」師が僧に問うた:「あなたは佛法を會するか。」僧は言った:「會しません。」師は言った:「あなたは端的に會せざるか。」僧は言った:「是。」師は言った:「且く去れ。別の時を待って來れ。」彼の僧は珍重した。師は言った:「是の道理に非ず。」問うた:「どうして摩訶般若ですか。」師は言った:「雪落ち茫茫。」僧は語無し。師は言った:「會するか。」僧は言った:「會しません。」師は偈を示して言った:「摩訶般若、取るに非ず捨るに非ず。若し人會せざれば、風寒く雪下る。」

廬山歸宗義柔禪師

廬山歸宗義柔禪師

開堂陞座。維那白槌曰。法筵龍象眾。當觀第一義。師曰。若是第一義。且作麼生觀。恁麼道。落在甚麼處。為復是觀。為復不許人觀。先德上座。共相證明。後學初心。莫喚作返問語.倒靠語。有疑請問。僧問。諸佛出世。說法度人。感天動地。和尚出世。有何祥瑞。師曰。人天大眾前寐語作麼。問。優曇華折人皆覩。達本無心事若何。師曰。謾語。曰。恁麼則南能別有深深旨。不是心心人不知。師曰。事須飽叢林。問。昔日金峰。今日歸宗。未審是一是二。師曰。謝汝證明。問。法眼一箭。直射歸宗。歸宗一箭。當射何人。師曰。莫謗我法眼。問。此日知軍親證。法師於何處答深恩。師曰。教我道甚麼即得。乃曰。一問一答。也無了期。佛法也不是恁麼道理。大眾。此日之事。故非本心。實謂祇箇住山寧有意。向來成佛亦無心。蓋緣是知軍請命。寺眾誠心。既到這裡。且說箇甚麼即得。還相悉麼。若信不及。古人便道相逢欲相喚。脈脈不能語。作麼生會。若會。堪報不報之恩。足助無為之化。若也不會。莫道長老開堂祇舉古人語。此之盛事。天高海深。況喻不及。更不敢讚祝皇風。迴向清列。何以故。古人道。吾禱久矣。豈況當今聖明者哉。珍重。僧問。如何是空王廟。師曰。莫少神。曰。如何是廟中人。師曰。適來不謾道。問。靈龜未兆時如何。師曰。是吉是兇。問。未達其源。乞師方便。師曰。達也。曰。達後如何。師曰。終不恁麼問。問僧。看甚麼經。曰。寶積經。師曰。既是沙門。為甚麼看寶積經。僧無語。師代雲。古今用無極。

開堂して座に升る。維那が白槌して言った:「法筵の龍象衆、當に第一義を觀るべし。」師は言った:「若し是れ第一義ならば、且つ作麼生に觀る。此の如く道えば、何の處に落ちる。為れ是れ觀るか、為れ人を許さず觀らしめざるか。先德上座、共に相證明せよ。後學初心、喚んで返問語、倒靠語と作すな。疑有れば請い問え。」僧が問うた:「諸佛出世して、法を説き人を度し、天に感じ地を動かす。和尚出世して、何の祥瑞有るか。」師は言った:「人天大衆の前に寐語を作してどうする。」問うた:「優曇華折るは人皆な睹る。本無心事を達する事は若何。」師は言った:「謾語。」僧は言った:「そうすれば南能は別に深深の旨有りて、是れ心心の人知らざるならざる。」師は言った:「事は須く叢林に飽くべし。」問うた:「昔日の金峰、今日の歸宗。未だ審かならず是一か是二か。」師は言った:「あなたの證明に謝す。」問うた:「法眼の一箭、直に歸宗を射る。歸宗の一箭、當に何人を射るべきか。」師は言った:「我が法眼を謗るな。」問うた:「此の日知軍が親證す。法師は何處に於て深恩に答える。」師は言った:「我をして何を道うか教えて得せよ。」そこで言った:「一問一答も、亦た了期無し。佛法も亦た是の道理に非ず。大衆、此の日の事は、故に本心に非ず。實に謂う、只だ箇の住山寧ろ意有らん、向來佛を成るも亦た心無し。蓋して緣は是れ知軍の請命、寺衆の誠心なり。既に此に到れば、且つ何を説いてか得せん。還た相悉するか。若し信じ及ばざれば、古人は便ち道う相逢い喚ばんと欲すれど、脉脉として語る能わず、と。作麼生に會する。若し會せば、堪えて不報の恩に報い、足りて無為の化を助けん。若しも會せざれば、長老開堂は只だ古人の語を舉ぐと道うな。此の盛事、天高く海深し、況喩して及ばず。更に敢えて皇風を贊祝し、清列に回向せず。何以故。古人説く、吾は禱ること久し、豈に況んや當今の聖明者なるや。珍重。」僧が問うた:「どうして空王の廟ですか。」師は言った:「神を少からしめるな。」僧は言った:「どうして廟中の人ですか。」師は言った:「適來に謾らに道わざりき。」問うた:「靈龜未だ兆せざる時はいかに。」師は言った:「是吉か是凶か。」問うた:「未だ其の源に達せず、師の方便を乞う。」師は言った:「達したり。」僧は言った:「達した後はいかに。」師は言った:「終に此の如く問わず。」僧に問うた:「何の經を看る。」僧は言った:「寶積經。」師は言った:「既に沙門、何の故に寶積經を看る。」僧は語無し。師は代えて言った:「古今用は無極。」

洪州百丈道恆禪師

洪州百丈道恒禪師

參法眼。因請益外道問佛。不問有言。不問無言。敘語未終。眼曰。住。住。汝擬向世尊良久處會那。師從此悟入。住後。上堂。乘此寶乘。直至道場。每日勞諸上座訪及。無可祇延。時寒不用久立。卻請回車。珍重。僧問。如何是學人行腳事。師曰。拗折拄杖得也未。問。古人有言。釋迦與我同參。未審參見何人。師曰。唯有同參方知。曰。未審此人如何親近。師曰。恁麼則你不解參也。問。如何是祖師西來意。師曰。往往問不著。問。還鄉曲子作麼生唱。師曰。設使唱。落汝後。問。如何是百丈境。師曰。何似雲居。問。如何是百丈為人一句。師曰。若到諸方。總須問過。乃曰。實是無事。諸人各各是佛。更有何疑得到這裡。古人道。十方同聚會。箇箇學無為。此是選佛場。心空及第歸。且作麼生是心空。不是那裡閉目冷坐是心空。此正是意識想解。上座要會心空麼。但且識心。便見心空。所以道。過去已過去。未來更莫算。兀然無事坐。何曾有人喚。設有人喚。上座應他好。不應他好。若應他。阿誰喚上座。若不應他。又不患聾也。三世體空。且不是木頭也。所以古人道。心空得見法王。還見法王麼。也祇是老病僧。又莫道渠自伐好。珍重。問。如何是佛。師曰。汝有多少事不問。僧舉。人問玄沙。三乘十二分教即不問。如何是祖師西來意。沙曰。三乘十二分教不要。某甲不會。請師為說。師曰。汝實不會。曰。實不會。師示偈曰。不要三乘要祖宗。三乘不要與君同。君今欲會通宗旨。後夜猿啼在亂峰。上堂。諸上座適來從僧堂裡出來。腳未跨門眼便回去。已是重說偈言了也。更來這裡。不可重重下切腳也。古人云。參他不如自參。所以道森羅萬象。是善財之宗師。業惑塵勞。乃普賢之境界。若恁麼參。得與善財同參。若不肯與麼參。卻歸堂向火。參取勝熱婆羅門。珍重。上堂。眾才集。便曰。

法眼に參した。請益するに因りて外道が佛に問うた:有言を問わず、無言を問わず。語を敘ぶる未だ終わらざるに、法眼が言った:「住、住。あなたは世尊の良久の處に向かって會せんと拟するか。」師は此れより悟入した。住持して以後上堂:「此の寶乘に乘りて、直に道場に至れ。每日諸位の上座の訪及に勞し、延ばすに只だ無し。時寒くして久立を用いず、却って回車を請う。珍重。」僧が問うた:「どうして學人の行脚事ですか。」師は言った:「拄杖を拗折して得たか否。」問うた:「古人に言有り、釋迦は我と同參と。未だ審かならず何人に參見するか。」師は言った:「唯だ同參のみ方知る。」僧は言った:「未だ審かならず此の人は如何に親近する。」師は言った:「そうすればあなたは參を解せず。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「往々にして問い著かず。」問うた:「還鄉の曲子は作麼生に唱える。」師は言った:「設し唱えば、あなたに落後る。」問うた:「どうして百丈の境ですか。」師は言った:「雲居に何似せん。」問うた:「どうして百丈が人に為る一句ですか。」師は言った:「若し諸方に到らば、總に須く問い過ぐべし。」そこで言った:「實に是れ没事。諸人は各々是れ佛、更に何の疑あって此に到るを得ん。古人説く、十方同じく聚會す、箇箇無為を學ぶ。此れ是れ選佛場、心空にして及第歸、と。さあ作麼生が心空か。是れ彼處に目を閉じ冷坐するが心空に非ず。此れ正に是れ意識の想解。上座は心空を會せんと要するか。但だ且く心を識れば、便ち心空を見ん。だから道う、過去は已に過去し、未來は更に算するな。兀然として没事に坐して、何曾て人の喚ぶ有らん。設し人の喚ぶ有らば、上座は彼に應えるが好いか、應えざるが好いか。若し彼に應えば、阿誰か上座を喚ぶ。若し彼に應えざれば、又た聾を患えざるなり。三世は體空なり、且つ木頭に非ず。だから古人説く、心空にして法王を見んことを得、と。還た法王を見るか。也た是れ老病僧。又た彼が自ら伐して好いと道うな。珍重。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「あなたに多少の事有りて問わざる。」僧が擧げた:人が玄沙に問う、「三乘十二分教は即ち問わず。どうして祖師西來の意か。」玄沙が言った、「三乘十二分教は要らず。」某甲は會せず、師に為に説くを請う。師は言った:「あなたは實に會せず。」僧は言った:「實に會しません。」師は偈を示して言った:「三乘を要せずして祖宗を要す、三乘要らずとは君と同じからず。君今宗旨を會通せんと欲せば、後夜猿は亂峰に啼く。」上堂:「諸位の上座は適來僧堂裡より出でて、脚未だ門を跨がざるに眼便ち回りて去る、已に重ねて偈言を説き了る。更に此に來りて、重ねて下切脚を下す可からず。古人説く、他を參ずるは自參に如かず。だから道う森羅萬象は、是れ善財の宗師。業惑塵勞は、乃ち普賢の境界。若し此の如く參ずれば、善財と同參することを得ん。若し此の如く參ずるを肯ぜざれば、却って堂に歸り火に向かい、勝熱婆羅門を參取せよ。珍重。」上堂。衆が纔かに集まれば、便ち言った:

吃茶去。或時眾集。便曰。珍重。或時眾集。便曰。歇。後有頌曰。百丈有三訣。吃茶.珍重.歇。直下便承當。敢保君未徹。師終於本山。

(師は続けて言った:)「茶を喫して去れ。」或る時衆が集まれば、便ち言った:「珍重。」或る時衆が集まれば、便ち言った:「歇。」後に頌有りて言った:「百丈に三訣有り、喫茶、珍重、歇。直下に便ち承當せば、敢えて君が未だ徹せざるを保す。」師は本山に終わった。

杭州永明寺道潛禪師

杭州永明寺道潛禪師

河中府武氏子。初謁法眼。眼問曰。子於參請外。看甚麼經。師曰。華嚴經。眼曰。總別.同異.成壞六相。是何門攝屬。師曰。文在十地品中。據理則世出世間一切法。皆具六相也。眼曰。空還具六相也無。師懵然無對。眼曰。汝問我。我向汝道。師乃問。空還具六相也無。眼曰。空。師於是開悟。踴躍禮謝。眼曰。子作麼生會。師曰。空。眼然之。異日。因四眾士女入院。眼問師曰。律中道。隔壁聞釵釧聲。即名破戒。見覩金銀合雜。朱紫駢闐。是破戒不是破戒。師曰。好箇入路。眼曰。子向後有五百毳徒。為王侯所重在。師尋禮辭。駐錫於衢州古寺。閱大藏經。忠懿王命入府受菩薩戒。署慈化定慧禪師。建大伽藍。號慧日永明。請居之。師欲請塔下羅漢銅像。過新寺供養。王曰。善矣。予昨夜夢十六尊者。乞隨禪師入寺。何昭應之若是。仍於師號加應真二字。師坐永明。常五百眾。上堂。佛法顯然。因甚麼卻不會。諸上座欲會佛法。但問取張三李四。欲會世法。則參取古佛叢林。無事久立。僧問。如何是永明的的意。師曰。今日十五。明朝十六。曰。覧師的的意。師曰。何處覧。問。如何是永明家風。師曰。早被上座答了也。問。三種病人如何接。師曰。汝是聾人。曰。請師方便。師曰。是方便。問。牛頭未見四祖時。為甚麼百鳥銜華。師曰。見東見西。曰。見後為甚麼不銜華。師曰。見南見北。曰。昔日作麼生。師曰。且會今日。問。達磨西來傳箇甚麼。師曰。傳箇𠕋子。曰。恁麼則心外有法去也。師曰。心內無法。問。如何是第二月。師曰。月。問。如何是覿面事。師曰。背後是甚麼。問。文殊仗劒。擬殺何人。師曰。止。止。曰。如何是劒。師曰。眼是。問。諸餘即不問。向上宗乘亦且置。請師不答。師曰。好箇師僧子。曰。恁麼則禮拜去也。師曰。不要三拜。盡汝一生去。眾參次。

河中府の武氏の子。初め法眼に見えた。法眼が問うて言った:「あなたは參請の外に、何の經を看る。」師は言った:「華嚴經。」法眼は言った:「總別、同異、成壞の六相は、是何の門の攝屬か。」師は言った:「文は十地品の中に在り。理に據れば世出世間の一切法、皆な六相を具す。」法眼は言った:「空は還た六相を具するか無しや。」師は懵然として對えず。法眼は言った:「あなたは我に問え、我はあなたに向かって道わん。」師は就て問うた:「空は還た六相を具するか無しや。」法眼は言った:「空。」師は是に於て開悟し、踊躍して禮謝した。法眼は言った:「あなたは作麼生に會する。」師は言った:「空。」法眼は之を然とした。別の一天、四衆の士女が院に入った因に、法眼が師に問うて言った:「律中に道う、隔壁に釵釧の聲を聞けば、即ち名づけて破戒と爲す。金銀合雜、朱紫駢闐を見睹するは、是れ破戒か破戒に非ずか。」師は言った:「好い入路。」法眼は言った:「あなたは以後五百の毳徒有りて、王侯に重んぜられんとす。」師は不久に禮辭して、衢州の古寺に錫を駐め、大藏經を閲した。忠懿王が入府して菩薩戒を受けさせ、慈化定慧禪師と署した。大伽藍を建て、慧日永明と號して、彼に居住を請うた。師は塔下の羅漢銅像を請じて、新寺に過ごして供養せんと欲した。王は言った:「好し。我は昨夜十六尊者を夢見て、禪師に隨って寺に入るを乞うた。何ぞ昭應の此の如くなる。」仍りて師の號の上に應真の二字を加えた。師は永明に坐して、常に五百衆。上堂:「佛法は顯然、因何として會せざる。諸位の上座は佛法を會せんと欲せば、但だ張三李四に問い取れ。世法を會せんと欲せば、則ち古佛の叢林に參取せよ。没事。久立。」僧が問うた:「どうして永明の的の意ですか。」師は言った:「今日十五、明朝十六。」僧は言った:「師の的の意を覽る。」師は言った:「何處で覽る。」問うた:「どうして永明の家風ですか。」師は言った:「早く上座に答えられた。」問うた:「三種の病人は如何に接する。」師は言った:「あなたは聾人。」僧は言った:「師の方便を請う。」師は言った:「是れ方便。」問うた:「牛頭が四祖を見ざる時、何の故に百鳥は華を銜んだ。」師は言った:「東を見西を見。」僧は言った:「見た後は何の故に華を銜まざる。」師は言った:「南を見北を見。」僧は言った:「昔日は作麼生。」師は言った:「且く今日を會せ。」問うた:「達磨が西來して箇の何を傳へた。」師は言った:「箇の𠕋子を傳へた。」僧は言った:「そうすれば心外に法有りて去りました。」師は言った:「心内に法無し。」問うた:「どうして第二月ですか。」師は言った:「月。」問うた:「どうして覿面の事ですか。」師は言った:「背後は何か。」問うた:「文殊が劍を仗って、何人を殺さんと拟す。」師は言った:「止、止。」僧は言った:「どうして劍ですか。」師は言った:「眼是。」問うた:「其の餘は即ち問わず、向上の宗乘も亦た且く置く。師に不答を請う。」師は言った:「好い師僧子。」僧は言った:「そうすれば礼拜して去ります。」師は言った:「三拜を要せず。あなたの一生を盡くして去れ。」衆參の時、

師指香爐曰。汝諸人還見麼。若見。一時禮拜。各自歸堂。僧問。至道無言。借言顯道。如何是顯道之言。師曰。切忌揀擇。曰。如何是不揀擇。師曰。元帥大王。太保令公。問。如何是慧日祥光。師曰。此去報慈不遠。曰。恁麼則親蒙照燭。師曰。且喜沒交涉。

(師は続けて)香爐を指して言った:「あなたがたは還た見るか。若し見れば、一時に礼拜して、各々堂に歸れ。」僧が問うた:「至道は言無し、言を借りて道を顯す。どうして道を顯すの言ですか。」師は言った:「揀擇を切に忌む。」僧は言った:「どうして不揀擇ですか。」師は言った:「元帥大王、太保令公。」問うた:「どうして慧日の祥光ですか。」師は言った:「此より報慈まで遠からず。」僧は言った:「そうすれば親しく照燭を蒙ります。」師は言った:「且く沒交涉を喜べ。」

杭州報恩慧明禪師

杭州報恩慧明禪師

姓蔣氏。幼歲出家。三學精練。志探玄旨。乃南遊於閩越間。歷諸禪會。莫契本心。後至臨川謁法眼。師資道合。尋回鄞水大梅山庵居。吳越部內。禪學者雖盛。而以玄沙正宗置之閫外。師欲整而導之。一日。有新到參。師問。近離甚處。曰。都城。師曰。上座離都城到此山。則都城少上座。此間剩上座。剩則心外有法。少則心法不周。說得道理即住。不會即去。僧無對。僧問。如何是大梅主。師曰。闍黎今日離甚麼處。僧無對。師尋遷天台山白沙卓庵。有朋彥上座博學強記。來訪師敵論宗乘。師曰。言多去道轉遠。今有事借問。祇如從上諸聖及諸先德。還有不悟者也無。彥曰。若是諸聖先德。豈有不悟者哉。師曰。一人發真歸源。十方虗空悉皆消殞。今天台山嶷然。如何得消殞去。彥不知所措。自是。他宗泛學來者皆服膺矣。漢乾祐中。忠懿王延入府中問法。命住資崇院。師盛談玄沙及地藏法眼。宗旨臻極。王因命翠巖令參等諸禪匠及城下名公定其勝負。天龍禪師問曰。一切諸佛及諸佛法。皆從此經出。未審此經從何而出。師曰。道甚麼。天龍擬進語。師曰。過也。資嚴長老問。如何是現前三昧。師曰。還聞麼。嚴曰。某甲不患聾。師曰。果然患聾。師復舉雪峰塔銘問諸老宿。夫從緣有者。始終而成壞。非從緣有者。歷劫而長堅。堅之與壞即且置。雪峰即今在甚麼處(法眼別雲。祇今是成是壞)。宿無對。設有對者。亦不能當其徵詰。時群彥弭伏。王大喜悅。署圓通普照禪師。上堂。諸人還委悉麼。莫道語默動靜.無非佛事好。且莫錯會。僧問。如何是祖師西來意。師曰。汝還見香臺麼。曰。某甲未會。乞師指示。師曰。香臺也不識。問。離卻目前機。如何是西來意。師曰。汝何不問。曰。恁麼則委是去也。師曰。也是虗施。問。如何是佛法大意。師曰。我見燈明佛本光瑞如此。問。如何是學人自己。

蒋氏の姓。幼い歳に出家し、三學精鍊し、志は玄旨を探り、就て南に遊んで閩越の間に歴り、諸の禪會を歴るも、本心に契う莫し。後に臨川に到り法眼に見え、師資道合した。不久に鄞水の大梅山に回り庵居した。吳越の部内に、禪學者は雖も盛んなりといへども、玄沙正宗を以て閫外に置かれた。師は整へて之を導かんと想った。一天、新到が參した。師は問うた:「近く甚の處を離れた。」僧は言った:「都城。」師は言った:「上座は都城を離れて此の山に到る、則ち都城は上座を少なくし、此の間は上座を剩す。剩れば則ち心外に法有り、少なければ心法周ならず。道理を説得ば即ち住せ、會せざれば即ち去れ。」僧は對えず。僧が問うた:「どうして大梅の主ですか。」師は言った:「闍黎は今日何の處を離れた。」僧は對えず。師は不久に天台山白沙に遷り庵を卓した。朋彦上座の博學強記有りて、師を訪ねて敵して宗乘を論じ來る。師は言った:「言多ければ道を去ること轉遠し。今事有りて借問す。只だ從上の諸聖及び諸の先德の如き、還た悟らざる者有るか無しや。」朋彦は言った:「若し是れ諸聖先德ならば、豈に悟らざる者有らんや。」師は言った:「一人發真歸源すれば、十方虛空悉く皆な消殞す。今天台山嶷然として、如何に消殞して去ることを得ん。」朋彦は措く所を知らず。此れより、他宗泛學して來る者は皆な服膺した。漢の乾祐年間、忠懿王が府中に延き入れて法を問ひ、資崇院に住せしめた。師は玄沙及び地藏、法眼を盛んに談じ、宗旨臻極した。王は因って翠岩令參等の諸禪匠及び城下の名公に命じて其の勝負を定めしめた。天龍禪師が問うて言った:「一切の諸佛及び諸佛法、皆な此の經より出づ。未だ審かならず此の經は何より出づる。」師は言った:「何を道う。」天龍が正要して語を進めんとするに、師は言った:「過ぎた。」資嚴長老が問うた:「どうして現前の三昧ですか。」師は言った:「還た聞くか。」資嚴は言った:「某甲は聾を患えず。」師は言った:「果然として聾を患う。」師はまた雪峰の塔銘を舉げて諸の老宿に問うた:「夫れ緣に從って有る者は、始終して成壞す。緣に從って有るに非ざる者は、劫を歷りて長く堅し。堅と壞と即ち且く置く。雪峰は即今何の處に在る。」(法眼が別に言った:「只今是成か是壞か。」)老宿は對えず。設し對する有るも、亦た其の征詰に當る能わず。當時群彦弭伏した。王は大いに喜悦し、圓通普照禪師と署した。上堂:「諸人は還た委悉するか。語默動靜、無非佛事と道って好いとするな。且く錯會するな。」僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「あなたは還た香臺を見るか。」僧は言った:「某甲未だ會せず、師の指示を乞う。」師は言った:「香臺も識らず。」問うた:「目前の機を離却して、どうして西來意ですか。」師は言った:「あなたは何ぞ問わざる。」僧は言った:「そうすれば委しく是れ去りました。」師は言った:「也た是れ虛施。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「我は燈明佛の本光瑞が此の如しと見る。」問うた:「どうして學人の自己ですか。」

師曰。特地伸問是甚麼意。問。如何是西來意。師曰。十萬八千真䟦涉。直下西來不到東。問。如何是第二月。師曰。揑目看花花數朵。見精明樹幾枝枝。

師は言った:「特地に伸問するとは何の意か。」問うた:「どうして西來意ですか。」師は言った:「十萬八千の真の跋涉、直下に西來して東に到らず。」問うた:「どうして第二月ですか。」師は言った:「目を捏ねて花を看れば花數朵、精を明かにして樹を見れば幾枝枝。」

金陵報慈行言玄覺導師

金陵報慈行言玄覺導師

泉州人也。上堂。凡行腳人參善知識。到一叢林。放下瓶缽。可謂行菩薩道能事畢矣。何用更來這裡舉論。真如涅槃。此是非時之說。然古人有言。譬如披沙識寶。沙礫若除。真金自現。便喚作常住世間。具足僧寶。亦如一味之雨。一般之地。生長萬物。大小不同。甘辛有異。不可道地與雨有大小之名也。所以道。方即現方。圓即現圓。何以故。爾法無偏正。隨相應現。喚作對現色身。還見麼。若不見也莫閑坐地。僧問。如何是祖師西來意。師曰。此問不當。問。坐卻是非。如何合得本來人。師曰。汝作麼生坐。師聞鳩子呌。問僧。甚麼聲。曰。鳩子聲。師曰。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。江南國主建報慈院。命師大闡宗猷。海會二千餘眾。別署導師之號。上堂。此日英賢共會。海眾同臻。諒惟佛法之趣。無不備矣。若是英鑒之者。不須待言也。然言之本無。何以默矣。是以森羅萬象。諸佛洪源。顯明則海印光澄。冥昧則情迷自惑。苟非通心上士.逸格高人。則何以於諸塵中發揚妙極。卷舒物象。縱奪森羅。示生非生。應滅非滅。生滅洞已。乃曰真常。言假則影散千途。論真則一空絕跡。豈可以有無生滅而計之者哉。僧問。國王再請。特薦先朝。和尚今日如何舉唱。師曰。汝不是問再唱人。曰。恁麼則天上人間。無過此也。師曰。沒交涉。問。遠遠投師。請垂一接。師曰。卻依舊處去。

泉州の人。上堂:「凡そ行脚の人が善知識に參ずるに、一叢林に到り、瓶鉢を放下せば、菩薩道を行ずる能事は畢わりぬと謂うべし。何を用いて更に此に來りて舉論せん。真如涅槃、此れ是時に非ざるの説。然るに古人に言有り、譬えば沙を披きて寶を識るが如く、沙礫若し除かば、真金自ら現ず、便ち喚んで常住世間、僧寶を具足すと作す。亦た一味の雨、一般の地の如く、萬物を生長し、大小同じからず、甘辛異有り。地と雨とに大小の名有りと道うべからず。だから道う、方なれば即ち方を現じ、圓なれば即ち圓を現ず。何以故。あなたの法は偏正無く、相應に隨って現ず。喚んで對現色身と作す。還た見るか。若し見ざれば、も閑に坐るな。」僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「此の問い當らず。」問うた:「坐すれば却って是非なり、如何にか本來人に合せん。」師は言った:「あなたは作麼生に坐す。」師は鳩子の叫ぶを聞き、僧に問うた:「何の聲か。」僧は言った:「鳩子の聲。」師は言った:「無間業を招かざらんと欲せば、如來正法輪を謗るな。」江南の國主は報慈院を建て、師に命じて大いに宗猷を闡かせ、海會二千餘衆、別に導師の號を署した。上堂:「此の日英賢共に會し、海衆同じく臻る。諒し惟るに佛法の趣、備わらざる無し。若し是れ英鑒の者、言を待つ須らず。然りと雖も言の本無、何を以て默せん。是を以て森羅萬象、諸佛の洪源。顯明なれば海印光澄み、冥昧なれば情迷自惑す。苟も通心の上士、逸格の高人に非ざれば、則ち何を以て諸塵の中に妙極を發揚し、物象を卷舒し、森羅を縱奪せん。生を示すも生に非ず、滅に應ずるも滅に非ず。生滅洞已らば、乃ち眞常と曰う。言假なれば影は千途に散じ、眞を論ずれば一空絕跡す。豈に有無生滅を以て之を計らんや。」僧が問うた:「國王が再請し、特に先朝を薦す。和尚今日如何に舉唱しますか。」師は言った:「あなたは再唱の人を問うに非ず。」僧は言った:「そうすれば天上人間、此に過ぎるは無し。」師は言った:「沒交涉。」問うた:「遥かに師に投じ、一接を垂れんことを請う。」師は言った:「却って舊處に依りて去れ。」

撫州崇壽院契稠禪師

撫州崇壽院契稠禪師

泉州人也。上堂。僧問。四眾諦觀第一義。如何是第一義。師曰。何勞更問。乃曰。大眾欲知佛性義。當觀時節因緣。作麼生是時節因緣。上座如今便散去。且道有也未。若無。因甚麼便散去。若有。作麼生是第一義。上座。第一義現成。何勞更觀。恁麼顯明得佛性常照。一切法常住。若見有法常住。猶未是法之真源。作麼生是法之真源。上座不見古人道。一人發真歸源。十方虗空悉皆消殞。還有一法為意解麼。古人有如是大事因緣。依而行之即是。何勞長老多說。眾中有未知者。便請相示。僧問。法眼之燈。親然汝水。今日王侯請命。如何是法眼之燈。師曰。更請一問。問。古人見不齊處。請師方便。師曰。古人見甚麼處不齊。問。如何是佛。師曰。如何是佛。曰。如何領解。師曰。領解即不是。問。的的西來意。師當第幾人。師曰。年年八月半中秋。問。如何是和尚為人一句。師曰。觀音舉.上藍舉。

泉州の人。上堂。僧が問うた:「四衆が諦觀して第一義。どうして第一義ですか。」師は言った:「何の勞か更に問う。」そこで言った:「大衆が佛性の義を知らんと欲せば、當に時節因緣を觀ずべし。作麼生が時節因緣。上座は如今便ち散去す、且く道え有りや無しや。若し無ければ、因なんとして便ち散去する。若し有れば、作麼生が第一義。上座、第一義は現成す、何の勞か更に觀ずる。此の如く顯明なるを得れば佛性は常に照らし、一切法は常住す。若し法の常住有るを見れば、猶未だ法の真源に非ず。作麼生が法の真源。上座は古人の説くを見ずや、一人發真歸源すれば、十方虛空悉く皆な消殞す、と。還た一法の意解と為す者有るか。古人是の如き大事因緣有り、依って之を行ずれば即ち是れ。何の勞か長老の多く説くを。衆中に未だ知らざる者有れば、便ち請い相示せ。」僧が問うた:「法眼の燈、親く汝水に然す。今日王侯が請命す、どうして法眼の燈ですか。」師は言った:「更に一問を請え。」問うた:「古人の見たる齊わざる處、師の方便を請う。」師は言った:「古人は何の處か齊わざるを見た。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「どうして佛。」僧は言った:「如何に領解せん。」師は言った:「領解すれば即ち是れに非ず。」問うた:「的的の西來意、師は當に第幾人か。」師は言った:「年年八月半中秋。」問うた:「どうして和尚が人に為る一句ですか。」師は言った:「觀音は舉げ、上藍は舉ぐ。」

金陵報恩院法安慧濟禪師

金陵報恩院法安慧濟禪師

太和人也。初住曹山。上堂。知幻即離。不作方便。離幻即覺。亦無漸次。諸上座且作麼生問。不作方便。又無漸次。古人道在甚麼處。若會得。諸佛常現前。若未會。莫向圓覺經裡討。夫佛法亙古亙今。未甞不現前。諸上座。一切時中。鹹承此威光。須具大信根。荷擔得起始得。不見佛讚猛利底人堪為器用。亦不賞他向善.久修淨業者。要似他廣額兇屠。拋下操刀。便證阿羅漢果。直須恁麼始得。所以長者道。如將梵位直授凡庸。僧問。大眾既臨於法會。請師不吝句中玄。師曰。謾得大眾麼。曰。恁麼則全因此問也。師曰。不用得。問。古人有言。一切法以不生為宗。如何是不生宗。師曰。好箇問處。問。佛法中請師方便。師曰。方便了也。問。如何是古佛心。師曰。何待問。江南國主請居報恩。署號攝眾。上堂。謂眾曰。此日奉命令住持當院。為眾演法。適來見維那白槌了。多少好。令教當觀第一義。且作麼生是第一義。若這裡參得多少省要。如今別更說箇甚麼即得。然承恩旨。不可杜默去也。夫禪宗示要。法爾常規。圓明顯露。亙古亙今。至於達磨西來。也祇與諸人證明。亦無法可得與人。祇道直下是。便教立地搆取。古人雖則道立地搆取。如今坐地還搆得也無。有疑請問。僧問。三德奧樞從佛演。一音玄路請師明。師曰。汝道有也未。問。如何是報恩境。師曰。大家見汝問。開寶中。示滅於本院。

太和の人。初め曹山に住した。上堂:「幻を知れば即ち離れ、方便を作さず。幻を離れば即ち覺り、亦た漸次無し。諸位の上座は且く作麼生に問う。方便を作さず、又た漸次無し。古人は何の處に在ると説く。若し會得せば、諸佛常に現前す。若し未だ會せざれば、圓覺經の裏に向かって討るな。夫れ佛法は亘古亘今、未だ曾て現前せざらず。諸位の上座、一切時中、咸く此の威光を承く。須く大信根を具し、荷擔し起ることを得てこそ得ん。佛の猛利なる人を讃めて堪えて器用と為さしめるを見ずや、亦た彼の向善、久しく淨業を修するを賞せず。彼の廣額の凶屠の如く、操刀を抛下すれば便ち阿羅漢果を證すを要す。直に須く此の如くにしてこそ得ん。だから長者が道う、梵位を將て直に凡庸に授くるが如し、と。」僧が問うた:「大衆既に法會に臨めり、師に句中の玄を吝まざるを請う。」師は言った:「大衆を謾ることを得るか。」僧は言った:「そうすれば全く此の問いに因りました。」師は言った:「用いるを得ず。」問うた:「古人に言有り、一切法は不生を以て宗と為す、と。どうして不生宗ですか。」師は言った:「好い問處。」問うた:「佛法中に師の方便を請う。」師は言った:「方便した。」問うた:「どうして古佛心ですか。」師は言った:「何を待ちて問う。」江南の國主が請うて報恩に居らしめ、攝衆の號を署した。上堂、衆に對して言った:「此の日命令を奉じて當院を住持し、衆の為に法を演ぶ。適來維那の白槌せるを見る、多少好し。當に第一義を觀ずべしと教う。且く作麼生が第一義。若し此處に參じ得ば多少省要。如今別に更に箇の何を説いてか得せん。然れど恩旨を承く、杜默して去るべからず。夫れ禪宗の示要、法爾の常規。圓明に顯露して、亘古亘今。達磨の西來に至るも、亦た只だ諸人と證明するのみ、亦た人に與うべき法無し。只だ直下是れと道い、便ち立地に構取せしむ。古人は雖も立地に構取すると道うと雖も、如今坐地して還た構ることを得るか無しや。疑有れば請い問え。」僧が問うた:「三德の奧樞は佛より演ず、一音の玄路は師に明めんことを請う。」師は言った:「あなたは道え有りや無しや。」問うた:「どうして報恩の境ですか。」師は言った:「大家あなたが問うを見る。」開寶年間、本院に於て示滅した。

廬州長安院延規禪師

廬州長安院延規禪師

僧問。如何是庵中主。師曰。汝到諸方。但道從長安來。

僧が問うた:「どうして庵中の主ですか。」師は言った:「あなたは諸方に到りて、但だ長安より來りと道え。」

南康軍雲居山清錫禪師

南康軍雲居山淸錫禪師

泉州人也。僧問。如何是雲居境。師曰。汝喚甚麼作境。曰。如何是境中人。師曰。適來向汝道甚麼。後住泉州西明院。有廖天使入院。見供養法眼和尚真。乃問曰。真前是甚麼果子。師曰。假果子。天使曰。既是假果子。為甚麼將供養真。師曰。也祇要天使識假。僧問。如何是佛。師曰。容顏甚奇妙。

泉州の人。僧が問うた:「どうして雲居の境ですか。」師は言った:「あなたは何を喚んで境と作す。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「適來あなたに何を道った。」後に泉州西明院に住した。廖天使が院に入り、法眼和尚の真を供養するを見て、就て問うて言った:「真の前は何の果子か。」師は言った:「假果子。」天使は言った:「既に假果子、何の故に將て真に供養する。」師は言った:「也た只だ天使に假を識らしめんと欲するのみ。」僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「容顏甚だ奇妙。」

常州正勤院希奉禪師

常州正勤院希奉禪師

蘇州謝氏子。上堂。古聖道。圓同太虗。無欠無餘。又道。一一法.一一宗。眾多法一法宗。又道。起唯法起。滅唯法滅。又道。起時不言我起。滅時不言我滅。據此說話。屈滯久在叢林上座。若是初心。兄弟且須體道。人身難得。正法難聞。莫同等閑。施王衣食。不易消遣。若不明道。箇箇盡須還他。上座要會道麼。珍重。僧問。如何是祖師西來意。師曰。甚麼處得這箇消息。問。如何是諸法空相。師曰。山河大地。問。僧眾雲集。請師舉唱宗乘。師曰。舉來久矣。問。佛法付囑國王大臣。今日正勤將何付囑。師曰。萬歲。萬歲。問。古人有言。山河大地是汝真善知識。如何得山河大地為善知識去。師曰。汝喚甚麼作山河大地。問。如何是合道之言。師曰。汝問我答。問。靈山會上。迦葉親聞。未審今日誰人得聞。師曰。迦葉親聞箇甚麼。問。古佛道場。學人如何得到。師曰。汝今在甚麼處。問。如何是和尚圓通。師敲禪床三下。問。如何是脫卻根塵。師曰。莫妄想。問。人王法王。是一是二。師曰。人王法王。問。如何是諸法寂滅相。師曰。起唯法起。滅唯法滅。問。如何是未曾生底法。師曰。汝爭得知。問。無著見文殊。為甚麼不識。師曰。汝道文殊還識無著麼。問。得意誰家新曲妙。正勤一句請師宣。師曰。道甚麼。曰。豈無方便也。師曰。汝不會我語。

蘇州謝氏の子。上堂:「古聖が道う、圓は太虛に同じく、欠くる無く餘る無し、と。又た道う、一一の法、一一の宗、衆多の法は一法の宗、と。又た道う、起るは唯だ法起り、滅するは唯だ法滅す、と。又た道う、起る時は我が起ると言わず、滅する時は我が滅すと言わず、と。此の說話に據れば、屈滯して久しく叢林の上座に在り。若し是れ初心の兄弟、且く須く道を體すべし。人身は得難く、正法は聞き難し。等閑に同じくするな。施主の衣食は、消遣し易からず。若し道を明かさざれば、箇箇盡く彼に還さんことを須す。上座は道を會せんと要するか。珍重。」僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「何の處か此の消息を得た。」問うた:「どうして諸法の空相ですか。」師は言った:「山河大地。」問うた:「僧衆雲集す、師に宗乘を舉唱せんことを請う。」師は言った:「舉げ來ること久し。」問うた:「佛法は國王大臣に付囑す。今日正勤は何を將て付囑せん。」師は言った:「萬歲、萬歲。」問うた:「古人に言有り、山河大地はあなたの真善知識なり、と。如何にか山河大地を得て善知識と為して去らん。」師は言った:「あなたは何を喚んで山河大地と作す。」問うた:「どうして道に合うの言ですか。」師は言った:「あなたが問い我が答う。」問うた:「靈山の會上、迦葉が親く聞きたり。未だ審かならず今日誰人か聞くことを得る。」師は言った:「迦葉が親く聞きたるは箇の何か。」問うた:「古佛の道場、學人如何にか到ることを得ん。」師は言った:「あなたは今何の處に在る。」問うた:「どうして和尚の圓通ですか。」師は禪牀を三下敲いた。問うた:「どうして根塵を脫卻するか。」師は言った:「妄想するな。」問うた:「人王法王、是一か是二か。」師は言った:「人王法王。」問うた:「どうして諸法の寂滅相ですか。」師は言った:「起るは唯だ法起り、滅するは唯だ法滅す。」問うた:「どうして未曾に生ぜざるの法ですか。」師は言った:「あなたは争でか知らん。」問うた:「無著が文殊を見たれど、何の故に識らざりし。」師は言った:「あなたは道え、文殊は還た無著を識るか。」問うた:「意を得て誰が家の新曲か妙なる。正勤の一句を師に宣べんことを請う。」師は言った:「何を道う。」僧は言った:「豈に方便無からんや。」師は言った:「あなたは我が語を會せず。」

漳州羅漢智依宣法禪師

漳州羅漢智依宣法禪師

上堂。盡十方世界。無一微塵許法。與汝作見聞覺知。還信麼。然雖如此。也須悟始得。莫將為等閑。不見道。單明自己。不悟目前。此人祇具一隻眼。還會麼。僧問。纖塵不立。為甚麼好醜現前。師曰。分明記取。別處問人。問。大眾雲集。誰是得者。師曰。還曾失麼。問。如何是佛。師曰。汝是行腳僧。問。如何是寶壽家風。師曰。一任觀看。曰。恁麼則大眾有賴。師曰。汝作麼生。曰。終不敢謾大眾。師曰。嫌少作麼。問僧。受業在甚麼處。曰。在佛跡。師曰。佛在甚麼處。曰。甚麼處不是。師舉起拳曰。作麼生。曰。和尚收取。師曰。放闍黎七棒。問僧。今夏在甚麼處。僧曰。在無言上座處。師曰。還曾問訊他否。僧曰。也曾問訊。師曰。無言作麼生問得。僧曰。若得無言。甚麼處不問得。師喝曰。恰似問老兄。師與彥端長老吃餅餤。端曰。百種千般。其體不二。師曰。作麼生是不二體。端拈起餅餤。師曰。祇守百種千般。端曰。也是和尚見處。師曰。汝也是羅公詠梳頭樣。師將示滅。乃謂眾曰。今晚四大不和暢。雲騰鳥飛。風動塵起。浩浩地還有人治得麼。若治得。永劫不相識。若治不得。時時常見我。言訖告寂。

上堂:「十方世界を盡くして、一微塵許りの法無し、あなたに與えて見聞覺知と作さん。還た信ずるか。然りと雖も此の如しと雖も、亦た須く悟ってこそ得ん。將に等閑と為すな。道うを見ずや、單に自己を明らかにして、目前を悟らざれば、此の人は只だ一隻眼を具す、と。還た會するか。」僧が問うた:「纖塵立たざれば、何の故に好醜が現前する。」師は言った:「分明に記取せよ。別處に人に問え。」問うた:「大衆雲集す、誰か是れ得者。」師は言った:「還た曾て失せしや。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「あなたは行脚僧。」問うた:「どうして寶壽の家風ですか。」師は言った:「一任して觀看せよ。」僧は言った:「そうすれば大衆に頼み有り。」師は言った:「あなたは作麼生。」僧は言った:「終に敢えて大衆を謾らず。」師は言った:「少なきを嫌うて作麼。」僧に問うた:「受業は何の處に在る。」僧は言った:「佛跡に在り。」師は言った:「佛は何の處に在る。」僧は言った:「何の處か是れに非ざる。」師は拳を擧起して言った:「作麼生。」僧は言った:「和尚は收取せよ。」師は言った:「闍黎に七棒を放つ。」僧に問うた:「今夏は何の處に在りし。」僧は言った:「無言上座の處に在り。」師は言った:「還た曾て彼に問訊せしや否や。」僧は言った:「也た曾て問訊せり。」師は言った:「無言は作麼生に問うことを得た。」僧は言った:「若し無言を得ば、何の處か問うことを得ざる。」師は喝して言った:「恰似して老兄に問うがごとし。」師は彦端長老と餅餤を喫した。彦端が言った:「百種千般、其の體は不二。」師は言った:「作麼生が不二體。」彦端は餅餤を拈起した。師は言った:「只だ百種千般を守る。」彦端は言った:「也た是れ和尚の見處。」師は言った:「あなたも亦た是れ羅公咏の梳頭の樣。」師は將に示滅せんとして、就て衆に對して言った:「今晚四大和暢ならず。雲は騰り鳥は飛び、風動き塵起こる、浩浩たり。還た人の治め得る者有るか。若し治め得ば、永劫に相識らず。若し治め得ざれば、時時常に我を見ん。」言い訖わりて告寂した。

金陵鍾山章義院道欽禪師

金陵鍾山章義院道欽禪師

太原人也。初住盧山棲賢。上堂。道遠乎哉。觸事而真。聖遠乎哉。體之則神。我尋常示汝。何不向衣缽下坐地。直下參取。須要上來。討箇甚麼。既上來。我即事不獲已。便舉古德少許方便。抖擻些子龜毛兔角。解落向汝。諸上座欲得省要。僧堂裡.三門下.寮舍裡參取好。還有會處也未。若有會處。試說看。與上座證明。僧問。如何是棲賢境。師曰。棲賢有甚麼境。問。古人拈椎竪拂。還當宗乘中事也無。師曰。古人道了也。問。學人乍入叢林。乞和尚指示。師曰。一手指天。一手指地。後江南國主請居章義道場。上堂。總來這裡立。作甚麼。善知識如河沙數。常與汝為伴。行住坐臥。不相捨離。但長連床上穩坐地。十方善知識自來參。上座何不信取。作得如許多難易。他古聖嗟見今時人不奈何。乃曰。傷夫。人情之惑久矣。目對真而不覺。此乃嗟汝諸人看卻不知。且道看卻甚麼不知。何不體察古人方便。祇為信之不及。致得如此。諸上座但於佛法中留心。無不得者。無事體道去。便下座。僧問。百年暗室。一燈能破時如何。師曰。莫謾語。問。佛法還受變異也無。師曰。上座是。僧問。大眾雲集。請師舉揚宗旨。師曰。久矣。問。如何是玄旨。師曰。玄有甚麼旨。

太原の人。初め廬山棲賢に住した。上堂:「道は遠きかな哉、事に觸れて真なり。聖は遠きかな哉、之を體すれば神なり。我尋常にあなたに示す、何ぞ衣鉢の下に向かって坐地して、直下に參取せざる。須要上りて來りて、箇の何を討る。既に上りて來れば、我則ち事已むことを得ず、便ち古德の少許の方便を擧げ、些子の龜毛兔角を抖擻して、あなたに向かって解落す。諸位の上座は省要を得んと欲せば、僧堂裡、三門下、寮舍裡に參取するが好し。還た會する處有るか未や。若し會する處有らば、試しに説いて看よ、上座と證明せん。」僧が問うた:「どうして棲賢の境ですか。」師は言った:「棲賢に何の境有る。」問うた:「古人が椎を拈じ拂を竪つるは、還た宗乘中の事に當るか無しや。」師は言った:「古人は説き了りぬ。」問うた:「學人乍ち叢林に入る、和尚の指示を乞う。」師は言った:「一手は天を指し、一手は地を指す。」後に江南の國主が請うて章義道場に居らしめた。上堂:「總に此に來りて立ちて、何を作す。善知識は河沙の數の如く、常にあなたと伴を為す。行住坐臥、相舍離せず。但だ長連牀の上に穩かに坐せば、十方の善知識自ら來りて參ず。上座は何ぞ信取せざる、許多の難易を作して得る。彼の古聖は今時の人の奈何ともすべからざるを嗟見して、便ち説く、傷ましきかな、人情の惑うこと久しき、目は真に對して覺えず、と。此れ乃ちあなたがた諸人が看るも知らざるを嗟歎す。且く道え、看て何を知らざるか。何ぞ古人の方便を體察せざる。只だ之を信ずるに及ばざるが為に、此の如くを致す。諸位の上座は但だ佛法の中に於て心を留めよ、得ざる無し。没事、道を體して去れ。」便ち座を下りた。僧が問うた:「百年の暗室、一燈能く破る時はいかに。」師は言った:「謾語するな。」問うた:「佛法は還た變異を受くるか無しや。」師は言った:「上座是れ。」僧が問うた:「大衆雲集す、師に宗旨を擧揚せんことを請う。」師は言った:「久し。」問うた:「どうして玄旨ですか。」師は言った:「玄に何の旨有る。」

金陵報恩匡逸禪師

金陵報恩匡逸禪師

明州人也。江南國主請居上院。署凝密禪師。上堂。顧視大眾曰。依而行之。即無累矣。還信麼。如太陽赫弈皎然地。更莫思量。思量不及。設爾思量得及。喚作分限智慧。不見先德雲。人無心合道。道無心合人。人道既合。是名無事。人且自何而凡。自何而聖。於此若未會。可謂為迷情所覆。便去離不得。迷時即有窒礙。為對為待。種種不同。忽然惺去。亦無所得。譬如演若達多認影迷頭。豈不擔頭覓頭。然正迷之時。頭且不失。及乎悟去。亦不為得。何以故。人迷謂之失。人悟謂之得。得失在於人。何關於動靜。僧問。諸佛說法。普潤群機。和尚說法。甚麼人得聞。師曰。祇有汝不聞。問。如何是報恩一句。師曰。道不是得麼。問。十二時中思量不到處。如何行履。師曰。汝如今在甚麼處。問。祖嗣西來。如何舉唱。師曰。不違所請。問。如何是一句。師曰。我答爭似汝舉。問。佛為一大事因緣出世。未審和尚出世如何。師曰。恰好。曰。恁麼則大眾有賴。師曰。莫錯會。

明州の人。江南の國主が請うて上院に居らしめ、凝密禪師と署した。上堂、大衆を顧視して言った:「依って之を行ずれば、即ち累無し。還た信ずるか。太陽の赫奕として皎然たるが如く、更に思量するな。思量は及ばず。設し思量し及ぶと雖も、喚んで分限の智慧と作す。先德の説くを見ずや、人は心無くして道に合し、道は心無くして人に合す。人道既に合せば、是れ名づけて没事と爲す、と。人は且く自ずから何れよりか凡となり、自ずから何れよりか聖となる。此に於て若し未だ會せざれば、迷情に覆わると謂うべく、便ち去りて離るるを得ず。迷う時は即ち窒碍有り、對を爲し待を爲し、種種同じからず。忽然として惺め去れば、亦た得る所無し。譬えば演若達多が影を認めて頭に迷うが如し、豈に頭を擔いて頭を覓めざらんや。然るに正に迷う之時、頭は且く失わず。及び悟り去るに、亦た得と爲さず。何以故。人迷えば之を失と謂い、人悟れば之を得と謂う。得失は人に在りて、何の關か動靜に有らん。」僧が問うた:「諸佛の説法は、普く群機を潤す。和尚の説法は、何人か聞くことを得る。」師は言った:「只だあなたのみ聞かず。」問うた:「どうして報恩の一句ですか。」師は言った:「道うて是れ得ざれば已むか。」問うた:「十二時中、思量の到らざる處、如何に行履せん。」師は言った:「あなたは如今何の處に在る。」問うた:「祖嗣西來、如何に擧唱せん。」師は言った:「請う所に違わず。」問うた:「どうして一句ですか。」師は言った:「我が答うるは争でかあなたが擧ぐるに似ん。」問うた:「佛は一大事の因緣の爲に出世す。未だ審かならず和尚の出世は如何。」師は言った:「恰好。」僧は言った:「そうすれば大衆に頼み有り。」師は言った:「錯會するな。」

金陵報慈文遂導師

金陵報慈文遂導師

杭州陸氏子。甞究首楞嚴。甄會真妄緣起。本末精博。於是節科注釋。文句交絡。厥功既就。謁於法眼。述己所業。深符經旨。眼曰。楞嚴豈不是有八還義。師曰。是。曰。明還甚麼。師曰。明還日輪。曰。日還甚麼。師懵然無對。眼誡令禁其所注之文。師自有服膺請益。始忘知解。金陵國主署雷音覺海大導師。上堂。天人群生類。皆承此恩力。威權三界。德被四方。共稟靈光。鹹稱妙義。十方諸佛常頂戴汝。誰敢是非。及乎向這裡。喚作開方便門。對根設教。便有如此如彼。流出無窮。若能依而奉行。有何不可。所以清涼先師道。佛是無事人。且如今覓箇無事人也不可得。僧問。巔山巖崖。還有佛法也無。師曰。汝喚甚麼作巔山巖崖。問。如何是道。師曰。妄想顛倒。乃曰。老僧平生。百無所解。日日一般。雖住此間。隨緣任運。今日諸上座與本無異。珍重。僧問。如何是無異底事。師曰。千差萬別。僧再問。師曰。止。止。不須說。且會取千差萬別。問。如何是和尚家風。師曰。方丈板門扇。問。如何是無相道場。師曰。四郎五郎廟。問。如何是吹毛劒。師曰。簳麵杖。問。如何是正直一路。師曰。遠遠近近。曰。便恁麼去時如何。師曰。咄哉。痴人。此是險路。問。僧從甚麼處來。曰。曹山來。師曰。幾程到此。曰。七程。師曰。行卻許多山林谿㵎。何者是汝自己。曰。總是。師曰。眾生顛倒。認物為己。曰。如何是學人自己。師曰。總是。乃曰。諸上座。各在此經冬過夏。還有人悟自己也無。山僧與汝證明。令汝真見不被邪魔所惑。問。如何是學人自己。師曰。好箇師僧。眼目甚分明。

杭州陸氏の子。曾て首楞嚴を究め、真妄緣起を甄會し、本末精博なり。是に於て科を節して注釋し、文句交絡す。厥の功既に就き、法眼に見え、己が業む所を述ぶるに、深く經旨に符す。法眼が言った:「楞嚴は豈に八還の義有るに非ずや。」師は言った:「是。」法眼は言った:「明は何に還る。」師は言った:「明は日輪に還る。」法眼は言った:「日は何に還る。」師は懵然として對無し。法眼は誡めて其の注する所の文を禁ぜしめた。師は此より服膺して請益し、始めて知解を忘れた。金陵の國主が雷音覺海大導師と署した。上堂:「天人の群生類、皆な此の恩力を承く。威權は三界にわたり、德は四方に被る。共に靈光を稟け、咸く妙義を稱す。十方の諸佛は常にあなたを頂戴す、誰か敢えて是非せん。及び此に向かうに、喚んで方便門を開き、根に對して教を設くと作せば、便ち此の如く彼の如く有りて、流出すること窮り無し。若し能く依って奉り行ぜば、何の不可之有らん。だから淸涼先師が道う、佛は没事人なり、と。且く如今没事人を覓めても、亦た得べからず。」僧が問うた:「巔山岩崖にも、還た佛法有るか無しや。」師は言った:「あなたは何を喚んで巔山岩崖と作す。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「妄想顛倒。」そこで言った:「老僧平生、百も解する所無く、日日一般なり。此の間に住すと雖も、緣に隨い運に任る。今日諸位の上座は本と異る無し。珍重。」僧が問うた:「どうして異無きの事ですか。」師は言った:「千差萬別。」僧は再び問うた。師は言った:「止、止、説く須らず。且く千差萬別を會取せよ。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「方丈の板門扇。」問うた:「どうして無相の道場ですか。」師は言った:「四郎五郎の廟。」問うた:「どうして吹毛劍ですか。」師は言った:「擀麵杖。」問うた:「どうして正直の一路ですか。」師は言った:「遠遠近近。」僧は言った:「便ち此の如く去る時はいかに。」師は言った:「咄哉、痴人。此れ險路。」僧に何の處より來ると問うた。僧は言った:「曹山より來り。」師は言った:「幾程にして此に到った。」僧は言った:「七程。」師は言った:「許多の山林溪澗を行きて、何れか是れあなたの自己。」僧は言った:「總に是れ。」師は言った:「衆生は顛倒して、物を認めて己と為す。」僧は言った:「どうして學人の自己ですか。」師は言った:「總に是れ。」そこで言った:「諸位の上座、各々此に在りて冬を經夏を過ぐ、還た人の自己を悟る者有るか無しや。山僧はあなたと證明して、あなたをして真見して邪魔の惑う所と爲らざらしめん。」問うた:「どうして學人の自己ですか。」師は言った:「好い師僧、眼目甚だ分明。」

漳州羅漢院守仁禪師

漳州羅漢院守仁禪師

泉州人也。上堂。祇據如今。誰欠誰剩。然雖如此。猶是第二義門。上座若明達得去也。且是一是二。更須子細看。僧問。如何是祖師西來的的意。師曰。即今是甚麼意。問。如何是涅槃。師曰。生死。曰。如何是生死。師曰。適來道甚麼。僧眾晚參。師曰。物物本來無處所。一輪明月印心池。便歸方丈。次住報恩。上堂。報恩這裡不曾與人揀話。今日與諸上座揀一兩則話。還願樂麼。諸上座。鶴脛長。鳬脛短。甘草甜。黃蘗苦。恁麼揀辨。還愜雅意麼。諸上座。莫是血脈不通。泥水有隔麼。且莫錯會。珍重。僧問。如何是西來意。師曰。喚甚麼作西來意。曰。恁麼則無西來也。師曰。由汝口頭道。問。如何是報恩家風。師曰。無汝著眼處。問。學人未委稟承。請師方便。師曰。莫相孤負麼。曰。恁麼則有師資之分也。師曰。叢林見多。問。如何是佛法大意。師曰。向汝道甚麼。問。如何是無生之相。師曰。捨身受身。曰。恁麼則生死無過也。師曰。料汝恁麼會。又曰。人人皆備理。一一盡圓常。僧便問。如何是圓常之理。師曰。無事不參差。曰。恁麼則縱橫法界也。師曰。巧道有何難。問。如何是不到三寸。師曰。你問我答。問僧。甚麼處來。曰。福州來。師曰。跋涉如許多山嶺。阿那箇是上座自己。曰。某甲親離福州。師曰。祇恁麼。別更有商量。曰。更作甚麼商量。師曰。汝話墮也。問。不昧緣塵。請師一接。師曰。喚甚麼作緣塵。曰。若不伸問。焉息疑情。師曰。若不是今日。便作官方。

泉州の人。上堂:「只だ如今に據れば、誰が欠け誰が剩る。然りと雖も此の如しと雖も、猶是れ第二義門。上座若し明達して去るを得ば、且つ是一か是二か。更に須く子細に看るべし。」僧が問うた:「どうして祖師西來の的的の意ですか。」師は言った:「即今是何の意か。」問うた:「どうして涅槃ですか。」師は言った:「生死。」僧は言った:「どうして生死ですか。」師は言った:「適來何を道った。」僧衆が晚參した。師は言った:「物物本來處所無し、一輪の明月は心池に印す。」便ち方丈に歸った。接着して報恩に住した。上堂:「報恩は此處に於て曾て人と話を揀ばず。今日諸位の上座と一兩則の話を揀ばん。還た願樂するか。諸位の上座、鶴の脛は長く、鳧の脛は短し。甘草は甘く、黃檗は苦し。此の如く揀辨すれば、還た雅意に愜るか。諸位の上座、是れ血脉通ぜず、泥水隔つ有るに非ずや。且く錯會するな。珍重。」僧が問うた:「どうして西來意ですか。」師は言った:「何を喚んで西來意と作す。」僧は言った:「そうすれば西來無し。」師は言った:「あなたが口頭に道うに由る。」問うた:「どうして報恩の家風ですか。」師は言った:「あなたの着眼する處無し。」問うた:「學人未だ稟承を委ねず、師の方便を請う。」師は言った:「相孤負せざるか。」僧は言った:「そうすれば師資の分有り。」師は言った:「叢林は見ること多し。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「あなたに何を道かん。」問うた:「どうして無生の相ですか。」師は言った:「身を舍て身を受く。」僧は言った:「そうすれば生死に過無し。」師は言った:「料るにあなた此の如く會す。」また言った:「人人皆な理を備え、一一盡く圓常。」僧は便ち問うた:「どうして圓常の理ですか。」師は言った:「没事にして參差せず。」僧は言った:「そうすれば法界に縱橫しました。」師は言った:「巧みに道えば何の難か有らん。」問うた:「どうして三寸に到らざるか。」師は言った:「あなたが問い我が答う。」僧に問うた:「何の處より來る。」僧は言った:「福州より來り。」師は言った:「許多の山嶺を跋涉す、阿那箇か是れ上座の自己。」僧は言った:「某甲親しく福州を離れたり。」師は言った:「只だ此の如く。別に更に商量有り。」僧は言った:「更に何の商量を作さん。」師は言った:「あなたの話は墮ちた。」問うた:「緣塵に昧まず、師の一接を請う。」師は言った:「何を喚んで緣塵と作す。」僧は言った:「若し問いを伸ばさざれば、焉んぞ疑情を息めん。」師は言った:「若し是れ今日に非ざれば、便ち官方を作さん。」

撫州黃山良匡禪師

撫州黃山良匡禪師

吉州人也。僧問。如何是黃山家風。師曰。築著汝鼻孔。問。如何是不遷義。師曰。春夏秋冬。問。如何是一路涅槃門。師曰。汝問宗乘中一句。豈不是。曰。恁麼則不哆哆。師曰。莫哆哆好。問。眾星攢月時如何。師曰。喚甚麼作月。曰。莫祇這箇便是也無。師曰。這箇是甚麼。問。明鏡當臺。森羅為甚麼不現。師曰。那裡當臺。曰。爭奈即今何。師曰。又道不現。

吉州の人。僧が問うた:「どうして黃山の家風ですか。」師は言った:「あなたの鼻孔に築き著く。」問うた:「どうして不遷の義ですか。」師は言った:「春夏秋冬。」問うた:「どうして一路の涅槃門ですか。」師は言った:「あなたが宗乘中の一句を問う、豈に是れに非ずや。」僧は言った:「そうすれば哆哆せず。」師は言った:「哆哆せざるが莫し。」問うた:「衆星が月を攒む時はいかに。」師は言った:「何を喚んで月と作す。」僧は言った:「只だ此箇は便ち是れならざるを莫し。」師は言った:「此箇は何か。」問うた:「明鏡が臺に當るに、森羅何の故に現ぜざる。」師は言った:「那の裏か臺に當る。」僧は言った:「争奈即今は如何。」師は言った:「又た現ぜずと道う。」

金陵報恩院玄則禪師

金陵報恩院玄則禪師

滑州衛南人也。初問青峰。如何是學人自己。峰曰。丙丁童子來求火。後謁法眼。眼問。甚處來。師曰。青峰。眼曰。青峰有何言句。師舉前話。眼曰。上座作麼生會。師曰。丙丁屬火而更求火。如將自己求自己。眼曰。與麼會又爭得。師曰。某甲祇與麼。未審和尚如何。眼曰。你問我。我與你道。師問。如何是學人自己。眼曰。丙丁童子來求火。師於言下頓悟。開堂日。李王與法眼俱在會。僧問。龍吟霧起。虎嘯風生。學人知是出世邊事。到此為甚麼不會。師曰。會取好。僧舉頭看師。又看法眼。乃抽身入眾。法眼與李王當時失色。眼歸方丈。令侍者喚問話僧至。眼曰。上座適來問底話。許你具眼。人天眾前。何不禮拜葢覆卻。眼摵一坐具。其僧三日後吐光而終。僧問。了了見佛性。如何是佛性。師曰。不欲便道。問。如何是金剛大士。師曰。見也未。問。如何是諸聖密密處。師曰。卻須會取自己。曰。如何是和尚密密處。師曰。待汝會始得。上堂。諸上座。盡有常圓之月。各懷無價之珍。所以月在雲中。雖明而不照。智隱惑內。雖真而不通。無事久立。問。如何是不動尊。師曰。飛飛颺颺。問。如何是瞭然一句。師曰。對汝又何難。曰。恁麼道莫便是也無。師曰。不對又何難。曰。深領和尚恁麼道。師曰。汝道我道甚麼。問。亡僧遷化向甚麼處去也。師曰。待汝生即道。曰。賓主歷然。師曰。汝立地見亡僧。問。如何是學人本來心。師曰。汝還曾道著也未。曰。祇如道著。如何體會。師曰。待汝問始得。問。教中道。樹能生果。作玻瓈色。未審此果何人得吃。師曰。樹從何來。曰。學人有分。師曰。去果八萬四千。問。如何是不遷義。師曰。江河競注。日月旋流。問。宗乘中玄要處。請師一言。師曰。汝行腳來多少時也。曰。不曾逢伴侶。師曰。少瞌睡。

滑州衛南の人。初め青峰に問うた:「どうして學人の自己ですか。」青峰が言った:「丙丁童子が來りて火を求む。」後に法眼に見えた。法眼が問うた:「甚の處より來る。」師は言った:「青峰。」法眼は言った:「青峰に何の言句有る。」師は前の話を擧げた。法眼は言った:「上座は作麼生に會する。」師は言った:「丙丁は火に屬すれど更に火を求む、自己を將て自己を求むるが如し。」法眼は言った:「此の如く會して又た争でか得せん。」師は言った:「某甲は只だ此の如し。未だ審かならず和尚は如何。」法眼は言った:「あなたが我に問えば、我はあなたに與えて道わん。」師は問うた:「どうして學人の自己ですか。」法眼は言った:「丙丁童子が來りて火を求む。」師は言下に頓悟した。開堂の那の日、李王と法眼と皆な會に在り。僧が問うた:「龍吟して霧起こり、虎嘯して風生ず。學人は是れ出世の邊の事と知る。此に到りて何の故に會せざる。」師は言った:「會取するが好し。」僧は頭を擡げて師を看、又た法眼を看て、就ち身を抽いて衆に入った。法眼と李王は當時色を失いたり。法眼は方丈に歸り、侍者に令めて問話の僧を喚び來らしめた。法眼が言った:「上座が適來問うたるの話、あなたに眼を具するを許す。人天衆の前に、何ぞ礼拜して蓋覆し却さざる。」法眼は一の坐具を擲てた。那の僧は三日後に光を吐きて終わった。僧が問うた:「了了に佛性を見る。どうして佛性ですか。」師は言った:「便ち道わんと欲せず。」問うた:「どうして金剛の大士ですか。」師は言った:「見たか未や。」問うた:「どうして諸聖の密密の處ですか。」師は言った:「却って須く自己を會取すべし。」僧は言った:「どうして和尚の密密の處ですか。」師は言った:「あなたの會するを待ってこそ得ん。」上堂:「諸位の上座、盡く常圓の月有り、各々無價の珍を懐く。然るに月は雲中に在りて、明なるも照らさず。智は惑内に隱れて、真なるも通ぜず。没事。久立。」問うた:「どうして不動尊ですか。」師は言った:「飛飛揚揚。」問うた:「どうして了然の一句ですか。」師は言った:「あなたに對するに又何の難か有らん。」僧は言った:「此の如く道うは便ち是れに非ずやを莫し。」師は言った:「對せざれば又何の難か有らん。」僧は言った:「深く領う、和尚の此の如く道うを。」師は言った:「あなたは道え我が何を道いし。」問うた:「亡僧は遷化して何の處に向かって去った。」師は言った:「あなたの生ぜんを待ちて即ち道わん。」僧は言った:「賓主歷然。」師は言った:「あなたは立地に亡僧を見よ。」問うた:「どうして學人の本來心ですか。」師は言った:「あなたは還た曾て道い著けたか未や。」僧は言った:「只だ道い著くが如き、如何に體會せん。」師は言った:「あなたの問うを待ってこそ得ん。」問うた:「教中に道う、樹は能く果を生じ、玻璃の色を作す。未だ審かならず此の果は何人か喫することを得る。」師は言った:「樹は何より來る。」僧は言った:「學人に分有り。」師は言った:「果を去ること八萬四千。」問うた:「どうして不遷の義ですか。」師は言った:「江河は競って注ぎ、日月は旋り流る。」問うた:「宗乘中の玄要の處、師の一言を請う。」師は言った:「あなたは行脚し來ること多少の時了れる。」僧は言った:「曾て伴侶に逢わず。」師は言った:「瞌睡少なき。」

金陵淨德院智筠達觀禪師

金陵淨德院智筠達觀禪師

河中府王氏子。初住棲賢。上堂。從上諸聖方便門不少。大抵祇要諸仁者有箇見處。然雖未見。且不參差一絲髮許。諸仁者亦未甞違背一絲髮許。何以故。炟赫地顯露。如今便會取。更不費一毫氣力。還省要麼。設道毗盧有師。法身有主。斯乃抑揚。對機施說。諸仁者作麼生會對底道理。若也會。且莫嫌他佛語。莫重祖師。直下是自己眼明始得。僧問。如何是的的之言。師曰。道甚麼。問。紛然覓不得時如何。師曰。覓箇甚麼不得。問。如何是祖師意。師曰。用祖師意作甚麼。問。今朝呈遠瑞。正意為誰來。師曰。大眾盡見汝恁麼問。江南國主創淨德院。延請居之。署達觀禪師。上堂。夫欲慕道。也須上上根器始得。造次中下。不易承當。何以故。佛法非心意識境界。上座莫恁麼懱猰地。他古人道。沙門眼把定世界。函蓋乾坤。綿綿不漏絲髮。所以諸佛讚歎。讚歎不及比喻。比喻不及道。上座威光赫奕。亙古亙今。幸有如是家風。何不紹續取。為甚麼自生卑劣。枉受辛勤。不能曉悟。祇為如此。所以諸佛出興於世。祇為如此。所以諸佛唱入涅槃。祇為如此。所以祖師特地西來。僧問。諸聖皆入不二法門。如何是不二法門。師曰。但恁麼入。曰。恁麼則今古同然去也。師曰。汝道甚麼處是同。問。如何是佛法大意。師曰。恰問著。曰。恁麼則學人禮拜也。師曰。汝作麼生會。問。如何是佛。師曰。如何不是。乃曰。吾不能投身巖谷。滅跡市鄽。而出入禁庭。以重煩世主。吾之過也。遂屢辭歸故山。國主錫以五峰棲玄蘭若。

河中府王氏の子。初め棲賢に住した。上堂:「上よりの諸聖の方便門少なからず。大抵只だ諸の仁者に箇の見る處有らんことを要す。然りと雖も未だ見ざれども、且つ一絲髮許りも參差せず。諸の仁者も亦た未だ曾て一絲髮許りも違背せず。何以故。炟赫たりて顯露す。如今便ち會取せば、更に一毫の氣力を費やさず。還た省要するか。設し毗盧に師有り、法身に主有りと道うとも、斯れ乃ち抑揚して、機に對して説を施す。諸の仁者は作麼生に會對すべきの道理か。若し也た會せば、且く他の佛語を嫌うな、祖師を重んずるな。直下に是れ自己の眼明にしてこそ得ん。」僧が問うた:「どうして的的の言ですか。」師は言った:「何を道う。」問うた:「紛然として覓め得ざる時はいかに。」師は言った:「箇の何を覓めて得ざる。」問うた:「どうして祖師の意ですか。」師は言った:「祖師の意を用いて何を作さん。」問うた:「今朝遠き瑞を呈す、正意は誰の為に來る。」師は言った:「大衆盡くあなたが此の如く問うを見る。」江南の國主が淨德院を創し、延請して居せしめ、達觀禪師と署した。上堂:「夫れ道を慕わんと欲するに、亦た須く上上の根器にしてこそ得ん。造次の中下、承當し易からず。何以故。佛法は心意識の境界に非ず。上座は此の如く懱猰たるな。他の古人説く、沙門の眼は世界を把定し、乾坤を函蓋し、綿綿として絲髮を漏らさず、と。だから諸佛は讚歎す、讚歎は比喻に及ばず、比喻は及ばず。道う、上座の威光は赫奕として、亘古亘今、と。幸に是の如き家風有り、何ぞ紹續せざる。何の故に自ら卑劣を生じ、辛勤を枉げて受け、曉悟すること能わざる。只だ此の如くなるが爲に、諸佛は世に出興す。只だ此の如くなるが爲に、諸佛は涅槃に唱入す。只だ此の如くなるが爲に、祖師は特地に西來す。」僧が問うた:「諸聖皆な不二法門に入る。どうして不二法門ですか。」師は言った:「但だ此の如く入れ。」僧は言った:「そうすれば今古同然に去りました。」師は言った:「あなたは道え何の處か是れ同。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「恰も問い著く。」僧は言った:「そうすれば學人礼拜しました。」師は言った:「あなたは作麼生に會する。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「如何にか是れに非ざる。」そこで言った:「吾は身を岩谷に投じ、跡を市廛に滅すること能わずして、禁庭に出入して、以て世主を重く煩わす。吾が過なり。」是に於て屢ば故山に歸らんことを辭した。國主は五峰栖玄蘭若を以て賜った。

高麗國道峰山慧炬國師

高麗國道峰山慧炬國師

始發機於法眼之室。本國主思慕。遣使來請。遂回故地。國主受心訣。禮待彌厚。一日請入王府。上堂。師指威鳳樓示眾曰。威鳳樓為諸上座舉揚了也。還會麼。儻若會。且作麼生會。若道不會。威鳳樓作麼生不會。珍重。

初め法眼の室に於て機を發した。本國主が思慕し、使を遣わして請う、就ち故地に回った。國主は心訣を受け、禮待すること愈加厚し。一天、請うて王府に入り上堂せしむ。師は威鳳樓を指して衆に示して言った:「威鳳樓が諸位の上座の爲に擧揚したり。還た會するか。倘若會せば、且く作麼生に會する。若し會せずと道わば、威鳳樓は作麼生に會せざる。珍重。」

杭州真身寶塔寺紹巖禪師

杭州眞身寶塔寺紹岩禪師

雍州劉氏子。吳越王命師開法。署了空大智常照禪師。上堂。山僧素寡知見。本期閑放。念經待死。豈謂今日大王勤重。苦勉山僧。効諸方宿德。施張法筵。然大王致請。也祇圖諸仁者明心。此外別無道理。諸仁者還明心也未。莫不是語言譚笑時。凝然杜默時。參尋知識時。道伴商略時。觀山翫水時。耳目絕對時。是汝心否。如上所解。盡為魔魅所攝。豈曰明心。更有一類人。離身中妄想外。別認徧十方世界。含日月。包太虗。謂是本來真心。斯亦外道所計。非明心也。諸仁者要會麼。心無是者。亦無不是者。汝擬執認。其可得乎。僧問。六合澄清時如何。師曰。大眾誰信汝。師開寶四年七月示疾。謂門弟子曰。諸行無常。即常住相。言訖。跏趺而逝。

雍州劉氏の子。吳越王が師に命じて法を開かせ、了空大智常照禪師と署した。上堂:「山僧は素より知見寡く、本より閑放に期して、經を念じて死を待たんとす。豈に謂わん今日大王の勤重、苦めて山僧を勉め、諸方の宿德に效いて、法筵を施張せしむ。然るに大王の致請するも、亦た只だ諸の仁者の心を明にせんを圖るのみ。此の外別に道理無し。諸の仁者は還た心を明にしたか未や。莫れ是れ言語談笑の時、凝然杜默の時、知識に參尋する時、道伴と商略する時、觀山翫水の時、耳目絕對の時、是れあなたの心か否や。上の如く解するは、盡く魔魅の攝する所と爲る、豈に心を明にしたと曰わんや。更に一類の人有りて、身中の妄想を離るる外に、別に遍十方世界を認め、日月を含み太虛を包む、謂う是れ本來の真心と。斯れ亦た外道の計する所、心を明にするに非ず。諸の仁者は會せんと要するか。心は是る者無く、亦た是らざる者無し。あなたが擬して執認せん、其れ得べからんや。」僧が問うた:「六合澄清する時はいかに。」師は言った:「大衆誰かあなたを信ぜん。」師は開寶四年七月に疾を示し、門弟子に對して言った:「諸行は無常なれど、即ち常住の相。」言い訖わりて、跏趺して逝った。

台州般若寺敬遵通慧禪師

臺州般若寺敬遵通慧禪師

上堂。皎皎炟赫地。亙古互今。也未曾有纖毫間斷相。無時無節。長時拶定上座無通氣處。所以道。山河大地是上座善知識。放光動地。觸處露現。實無絲頭許法可作隔礙。如今因甚麼卻不會。特地生疑去。無事。不用久立。僧問。優曇花拆人皆覩。般若家風賜一言。師曰。不因上座問。不曾舉似人。曰。恁麼則般若雄峰。詎齊今古。師曰。也莫錯會。問。牛頭未見四祖時。為甚麼百鳥銜華。師曰。汝甚麼處見。曰。見後為甚麼不銜華。師曰。且領話好。問。靈山一會。迦葉親聞。未審今日一會。何人得聞。師曰。試舉迦葉聞底看。曰。恁麼則迦葉親聞去也。師曰。亂道作麼。師自述真讚曰。真兮寥廓。郢人圖雘。嶽聳雲空。澄潭月躍。

上堂:「皎皎として炟赫たり、亘古互今、亦た曾て纖毫の間斷相有らず。時無し節無し、長時に上座を拶定して通氣の處無し。だから道う、山河大地は上座の善知識なり。光を放ち地を動かし、處に觸れて露現す。實に絲頭許りの法も隔碍と作すべき無し。如今因なんとして却って會せず、特地に疑を生じて去る。没事。久立を用いず。」僧が問うた:「優曇華折るは人皆な睹る。般若の家風に一言を賜わらん。」師は言った:「上座の問うに因らざれば、曾て人に擧似せず。」僧は言った:「そうすれば般若の雄峰、詎ぞ今古に齊しからん。」師は言った:「也た錯會するな。」問うた:「牛頭が未だ四祖を見ざる時、何の故に百鳥は華を銜んだ。」師は言った:「あなたは何の處で見た。」僧は言った:「見た後は何の故に華を銜まざる。」師は言った:「且く話を領するが好し。」問うた:「靈山の一會、迦葉が親く聞きたり。未だ審かならず今日の一會、何人か聞くことを得る。」師は言った:「試しに迦葉が聞きたるを擧げて看よ。」僧は言った:「そうすれば迦葉が親聞に去りました。」師は言った:「亂道して作麼。」師は自ら眞贊を述べて言った:「眞なるかな寥廓、郢人の圖雘。嶽は雲空に聳え、澄潭に月躍る。」

廬山歸宗䇿真法施禪師

廬山歸宗䇿真法施禪師

曹州魏氏子也。初名慧超。謁法眼。問曰。慧超諮和尚。如何是佛。眼曰。汝是慧超。師從此悟入。住後。上堂。諸上座。見聞覺知。祇可一度。祇如會了。是見聞覺知不是見聞覺知。要會麼。與諸上座說破了也。待汝悟始得。久立。珍重。僧問。如何是佛。師曰。我向汝道即別有也。問。如何是歸宗境。師曰。是汝見甚麼。曰。如何是境中人。師曰。出去。問。國王請命。大啟法筵。不落見聞。請師速道。師曰。閑言語。曰。師意如何。師曰。又亂說。問。承教有言。將此深心奉塵剎。是則名為報佛恩。塵剎即不問。如何是報佛恩。師曰。汝若是。則報佛恩。問。無情說法。大地得聞。師子吼時如何。師曰。汝還聞麼。曰。恁麼則同無情也。師曰。汝不妨會得好。問。古人以不離見聞為宗。未審和尚以何為宗。師曰。此問甚好。曰。猶是三緣四緣。師曰。莫亂道。

曹州魏氏の子。初名慧超。法眼に見えて、問うて言った:「慧超が和尚に咨す、どうして佛ですか。」法眼が言った:「あなたは慧超。」師は此れより悟入した。住持して以後上堂:「諸位の上座、見聞覺知は、只だ一度を可とす。只だ會了するが如き、是れ見聞覺知か、見聞覺知に非ずや。會せんと要するか。諸位の上座と説破す。あなたの悟るを待ってこそ得ん。久立。珍重。」僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「我があなたに向かって道わば即ち別有り。」問うた:「どうして歸宗の境ですか。」師は言った:「是れあなたが何を見る。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「出去れ。」問うた:「國王が請命し、大いに法筵を啓く。見聞に落ちず、師に速かに道わんことを請う。」師は言った:「閑言語。」僧は言った:「師の意は如何。」師は言った:「又た亂説。」問うた:「教に言有りと承る、將に此の深心を以て塵剎に奉らん、是れ則ち名づけて佛恩に報いると爲す、と。塵剎は即ち問わず。どうして佛恩に報いるか。」師は言った:「あなた若し是ならば、則ち佛恩に報いん。」問うた:「無情が説法して、大地が聞くことを得。獅子吼の時はいかに。」師は言った:「あなたは還た聞くか。」僧は言った:「そうすれば無情と同じ。」師は言った:「あなたは妨げず會して好し。」問うた:「古人は見聞を離れざるを以て宗と爲す。未だ審かならず和尚は何を以て宗と爲す。」師は言った:「此の問い甚だ好し。」僧は言った:「猶是れ三緣四緣。」師は言った:「亂道するな。」

洪州同安院紹顯禪師

洪州同安院紹顯禪師

僧問。王恩降旨師親受。熊耳家風乞一言。師曰。已道了也。問。千里投師。請師一接。師曰。好入處。雲蓋山乞瓦造殿。有宮人問。既是雲蓋。何用乞瓦。僧無對。師代曰。罕遇其人。

僧が問うた:「王恩が旨を降し、師が親く受けた。熊耳の家風に一言を乞う。」師は言った:「已に道い了れり。」問うた:「千里師に投ず、師の一接を請う。」師は言った:「好い入處。」雲蓋山で瓦を乞うて殿を造った。宮人有りて問うた:「既に雲蓋、何を用いて瓦を乞う。」僧は對無し。師は代えて言った:「其の人に遇うこと罕し。」

廬山棲賢慧圓禪師

廬山棲賢慧圓禪師

上堂。出得僧堂門。見五老峰。一生參學事畢。何用更到這裡來。雖然如此。也勞上座一轉了也。珍重。僧問。不是風動。不是幡動。未審古人意旨如何。師曰。大眾一時會取。上堂。有僧擬問。師乃指其僧曰。住。住。其僧進步。問。從上宗乘。請師舉唱。師曰。前言不搆。後語難追。曰。未審今日事如何。師曰。不會人言語。問。如何是佛法大意。師曰。好。問。如何是棲賢境。師曰。入得三門便合知。問。如何是祖師西來意。師曰。此土不欠少。

上堂:「僧堂の門を出でば、五老峰を見ん、一生の參學の事畢わる。何を用いて更に此の裏に到來せん。然りと雖も此の如しと雖も、亦た上座の一轉に勞す。珍重。」僧が問うた:「是れ風の動くに非ず、是れ幡の動くに非ず。未だ審かならず古人の意旨は如何。」師は言った:「大衆は一時に會取せよ。」上堂。僧有りて正に問わんとすれば、師は就ち那の僧を指して言った:「住、住。」那の僧は歩を進めて問うた:「上よりの宗乘、師に擧唱せんことを請う。」師は言った:「前言構わず、後語追い難し。」僧は言った:「未だ審かならず今日の事は如何。」師は言った:「人の言語を會せず。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「好。」問うた:「どうして棲賢の境ですか。」師は言った:「三門に入るを得れば便ち知るに合す。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「此の土は欠少せず。」

洪州觀音院從顯禪師

洪州觀音院從顯禪師

泉州人也。上堂。眾集。良久曰。文殊深讚居士。未審居士受讚也無。若受讚。何處有居士邪。若不受讚。文殊不可虗發言也。大眾作麼生會。若會。真箇衲僧。僧問。居士默然。文殊深讚。此意如何。師曰。汝問我答。曰。忽遇恁麼人出頭來。又作麼生。師曰。行到水窮處。坐看雲起時。問。如何是觀音家風。師曰。眼前看取。曰。忽遇作者來。作麼生見待。師曰。貧家祇如此。未必便言歸。問。久負沒絃琴。請師彈一曲。師曰。作麼生聽。其僧側耳。師曰。賺殺人。乃曰。盧行者當時大庾嶺頭謂明上座言。莫思善。莫思惡。還我明上座本來面目來。觀音今日不恁麼道還我明上座來。恁麼道。是曹溪子孫也無。若是曹溪子孫。又爭除卻四字。若不是。又過在甚麼處。試出來商量看。良久曰。此一眾真行腳人也。便下座。太平興國八年九月中。師謂檀那袁長史曰。老僧三兩日間歸鄉去。袁曰。和尚年尊。何更思鄉。師曰。歸鄉圖得好鹽吃。袁不測其言。翌日。師不疾。坐亡。袁建塔於西山。

泉州の人。上堂。衆集まりて、久しく過ぎて言った:「文殊は深く居士を讃めた。未だ審かならず居士は讃を受けたか無しや。若し讃を受けば、何の處に居士有るか。若し讃を受けざれば、文殊は虛しく言を發すべからず。大衆は作麼生に會する。若し會せば、真箇の衲僧。」僧が問うた:「居士默然たり、文殊深く讃む。此の意は如何。」師は言った:「あなたが問い我が答う。」僧は言った:「忽然として此の如き人に遇い出頭せば、又た作麼生。」師は言った:「行きて水窮まる處に到り、坐して雲起る時を看る。」問うた:「どうして觀音の家風ですか。」師は言った:「眼前に看取せよ。」僧は言った:「忽然として作者に遇い來らば、作麼生に見待せん。」師は言った:「貧家は只だ此の如し、未だ必ずしも便ち言歸せず。」問うた:「久しく沒弦の琴を負う、師に一曲を彈かんことを請う。」師は言った:「作麼生に聽く。」那の僧は耳を側けた。師は言った:「賺殺人。」そこで言った:「盧行者が當時大庾嶺頭に於て明上座に謂うて言いし、善を思うな、惡を思うな、還た我が明上座の本來面目を來れ、と。觀音は今日此の如く道わず、還た我が明上座を來れ、と。此の如く道うは、是れ曹溪の子孫か無しや。若し是れ曹溪の子孫ならば、又た争でか四字を除却せん。若し是らずんば、又た過は何の處に在る。試しに出でて來りて商量して看よ。」久しく過ぎて言った:「此の一衆は真の行脚人。」便ち座を下りた。太平興國八年九月中、師は檀那の袁長史に對して言った:「老僧は三兩日の内に鄉に歸りて去らん。」袁は言った:「和尚は年尊し、何ぞ更に鄉を思わん。」師は言った:「鄉に歸りて好い鹽を喫せんを圖る。」袁は其の言を測らず。第二天、師は疾ならず、坐して亡くなった。袁は塔を西山に建てた。

洛京興善棲倫禪師

洛京興善棲倫禪師

僧問。如何是佛。師曰。向汝道甚麼即得。問。如何是西來意。師曰。適來猶記得。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「あなたに何を道いて得せん。」問うた:「どうして西來意ですか。」師は言った:「適來猶お記えたり。」

洪州嚴陽新興院齊禪師

洪州嚴陽新興院齊禪師

僧問。如何得出三界去。師曰。汝還信麼。曰。信則深信。乞和尚慈悲。師曰。祇此信心。亙古亙今。快須究取。何必沉吟。要出三界。三界唯心。師因雪謂眾曰。諸上座還見雪麼。見即有眼。不見無眼。有眼即常。無眼即斷。恁麼會得。佛身充滿。問。學人辭去泐潭。乞和尚示箇入路。師曰。好箇入路。道心堅固。隨眾參請。隨眾作務。要去便去。要住便住。去之與住。更無他故。若到泐潭。不審馬祖。

僧が問うた:「如何にか三界を出でて去らん。」師は言った:「あなたは還た信ずるか。」僧は言った:「信ずれば深く信ず。和尚の慈悲を乞う。」師は言った:「只だ此の信心、亘古亘今。疾く須く究取せよ、何必沈吟せん。三界を出でんと要せば、三界は唯心。」師は雪に因りて衆に對して言った:「諸位の上座は還た雪を見るか。見れば即ち眼有り、見ざれば眼無し。眼有れば即ち常、眼無ければ即ち斷。此の如く會得せば、佛身充滿す。」問うた:「學人は辭して泐潭を去らん、和尚に箇の入路を示さんことを乞う。」師は言った:「好い入路。道心堅固にして、衆に隨って參請し、衆に隨って作務せよ。去らんと要すれば便ち去り、住せんと要すれば便ち住せ。去ると住と、更に他の故無し。若し泐潭に到らば、馬祖に問訊せよ。」

潤州慈雲𭅖達禪師

潤州慈雲𭅖達禪師

僧問。佛以一大事因緣故出現於世。未審和尚出世如何。師曰。恰好。曰。作麼生。師曰。不好。

僧が問うた:「佛は一大事の因緣を以ての故に世に出現す。未だ審かならず和尚の出世は如何。」師は言った:「恰好。」僧は言った:「作麼生。」師は言った:「不好。」

蘇州薦福院紹明禪師

蘇州薦福院紹明禪師

州將錢仁奉請住持。乃問。如何是和尚家風。師曰。一切處看取。

州將の錢仁が奉請して住持せしめ、就て問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「一切の處に看取せよ。」

澤州古賢院謹禪師

澤州古賢院謹禪師

侍立法眼次。眼問一僧曰。自離此間。甚麼處去來。曰。入嶺來。眼曰。不易。曰。虗涉他如許多山水。眼曰。如許多山水也不惡。其僧無語。師於此有省。住後。僧問。如何是佛。師曰。築著你鼻孔。問僧曰。唯一堅密身。一切塵中現。如何是堅密身。僧竪指。師曰。現則現。你作麼生會。僧無語。

法眼に侍立せし時、法眼が一の僧に問うて言った:「此の間を離れてより、何の處に去りて來りし。」僧は言った:「嶺に入りて來り。」法眼は言った:「容易ならず。」僧は言った:「虛しく彼が如許の山水を涉りたり。」法眼は言った:「如許の山水も亦た惡からず。」那の僧は語無し。師は此に於て省有り。住持して以後、僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「あなたの鼻孔に築き著く。」僧に問うて言った:「唯だ一の堅密身、一切の塵中に現ず。どうして堅密身ですか。」僧は指を竪てた。師は言った:「現ずれば現ず。あなたは作麼生に會する。」僧は語無し。

宣州興福院可勳禪師

宣州興福院可勳禪師

建州朱氏子。僧問。如何是興福正主。師曰。闍黎不識。曰。莫祇這便是麼。師曰。縱未歇狂。頭亦何失。問。如何是道。師曰。勤而行之。問。何雲法空。師曰。不空。有偈示眾曰。秋江煙島晴。鷗鷺行行立。不念觀世音。爭知普門入。

建州朱氏の子。僧が問うた:「どうして興福の正主ですか。」師は言った:「闍黎は識らず。」僧は言った:「只だ此れ便ち是れならざるを莫し。」師は言った:「縱い未だ狂を歇めずとも、頭も亦た何の失せん。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「勤めて之を行ぜ。」問うた:「何を云うか法空。」師は言った:「空ならず。」偈有りて衆に示して言った:「秋江の煙島晴れて、鷗鷺行々と立つ。觀世音を念ぜざれば、争でか普門に入るを知らん。」

洪州上藍院守訥禪師

洪州上藍院守訥禪師

上堂。盡令提綱。無人掃地。叢林兄弟。相共證明。晚進之流。有疑請問。僧問。願開甘露門。當觀第一義。不落有無中。請師垂指示。師曰。大眾證明。曰。恁麼則莫相屈去也。師曰。閑言語。問。如何是佛。師曰。更問阿誰。

上堂:「盡く綱を提する令に、地を掃う人無し。叢林の兄弟、相共に證明せよ。晚進の流、疑有れば請い問え。」僧が問うた:「願わくば甘露門を開き、當に第一義を觀ずべし。有無中に落ちず、師に垂れて指示せんことを請う。」師は言った:「大衆が證明す。」僧は言った:「そうすれば相屈するなかれ去りました。」師は言った:「閑言語。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「更に阿誰を問う。」

撫州覆船和尚

撫州覆船和尚

僧問。如何是佛。師曰。不識。問。如何是祖師西來意。師曰。莫謗祖師好。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「識らず。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「祖師を謗るな、好し。」

杭州奉先寺法瓌法明普照禪師

杭州奉先寺法瓌法明普照禪師

僧問。釋迦出世。天雨四華。地搖六動。未審今日有何祥瑞。師曰。大眾盡見。曰。法王法如是。師曰。人王見在。問。法眼寶印。和尚親傳。今日一會。當付何人。師曰。誰人無分。曰。恁麼則雷音普震無邊剎去也。師曰。也須善聽。

僧が問うた:「釋迦が出世するに、天は四華を雨し、地は六動を搖す。未だ審かならず今日何の祥瑞有るか。」師は言った:「大衆盡く見る。」僧は言った:「法王の法是の如し。」師は言った:「人王見在す。」問うた:「法眼の寶印、和尚が親く傳えた。今日の一會、當に何人に付すべきか。」師は言った:「誰人か分無き。」僧は言った:「そうすれば雷音が普く無邊の剎に震って去りました。」師は言った:「也た須く善く聽け。」

廬山化城寺慧朗禪師

廬山化城寺慧朗禪師

江南相國宋齊丘請開堂。師陞座曰。今日令公請山僧為眾。莫非承佛付囑。不忘佛恩。眾中有問話者出來。為令公結緣。僧問。令公親降。大眾雲臻。從上宗乘。請師舉唱。師曰。莫是孤負令公麼。問。師常苦口。為甚麼學人己事不明。師曰。闍黎甚麼處不明。曰。不明處。請師決斷。師曰。適來向汝道甚麼。曰。恁麼則全因今日去也。師曰。退後。禮三拜。

江南の相國宋齊丘が開堂を請うた。師は座に升りて言った:「今日令公が山僧に請うて衆の爲ならしむ、承佛の付囑、佛恩を忘れざるに非ずや。衆中に問話する者有れば出でて來れ、令公の爲に緣を結ばん。」僧が問うた:「令公親く降り、大衆雲臻す。上よりの宗乘、師に擧唱せんことを請う。」師は言った:「是れ令公を孤負するに非ずや。」問うた:「師は常に苦口、何の故に學人の己事が明らかならざる。」師は言った:「闍黎は何の處か明らかならざる。」僧は言った:「明らかならざる處、師に決斷せんことを請う。」師は言った:「適來あなたに向かって何を道いし。」僧は言った:「そうすれば全く今日に因って去りました。」師は言った:「退け後へ。三拜を禮せよ。」

杭州慧日永明寺道鴻通辯禪師

杭州慧日永明寺道鴻通辯禪師

僧問。遠離天台境。來登慧日峰。久聞師子吼。今日請師通。師曰。聞麼。曰。恁麼則昔日崇壽。今日永明也。師曰。幸自靈利。何須亂道。乃曰。大道廓然。古今常爾。真心周徧。如量之智皎然。萬象森羅。鹹真實相。該天括地。亙古亙今。大眾還會麼。還辯白得麼。僧問。國王嘉命。公貴臨筵。未審今日當為何事。師曰。驗取。曰。此意如何。師曰。甚麼處去來。曰。恁麼則成造次也。師曰。休亂道。

僧が問うた:「遠く天臺の境を離れ、來りて慧日峰に登る。久しく獅子吼を聞く、今日師に通ぜんことを請う。」師は言った:「聞くか。」僧は言った:「そうすれば昔日は崇壽、今日は永明です。」師は言った:「幸い自から靈利、何の須か亂道せん。」そこで言った:「大道は廓然として、古今常に爾り。真心は周遍して、如量の智は皎然たり。萬象森羅、咸く真實相。天を該め地を括り、亘古亘今。大衆は還た會するか。還た辯白することを得るか。」僧が問うた:「國王の嘉命、公貴筵に臨む。未だ審かならず今日當に何の事を為さん。」師は言った:「驗取せよ。」僧は言った:「此の意は如何。」師は言った:「何の處に去りて來りし。」僧は言った:「そうすれば造次を成しました。」師は言った:「亂道を休めよ。」

高麗國靈鑒禪師

高麗國靈鑑禪師

僧問。如何是清淨伽藍。師曰。牛欄是。問。如何是佛。師曰。拽出癲漢著。

僧が問うた:「どうして淸淨の伽藍ですか。」師は言った:「牛欄是れ。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「癲漢を拽出し著けよ。」

荊門上泉和尚

荊門上泉和尚

僧問。二龍爭珠。誰是得者。師曰。我得。問。遠遠投師。如何一接。師按杖視之。其僧禮拜。師便喝。問。尺璧無瑕時如何。師曰。我不重。曰。不重後如何。師曰。火裡蝍蟟飛上天。

僧が問うた:「二龍が珠を爭う、誰か是れ得者。」師は言った:「我得す。」問うた:「遥かに師に投ず、如何に一接せん。」師は杖を按じて之を視た。那の僧は礼拜した。師は便ち喝した。問うた:「尺璧瑕無き時はいかに。」師は言った:「我は重んぜず。」僧は言った:「重んぜざる後は如何。」師は言った:「火裡の蝍蟟、天に飛び上がる。」

廬山大林寺僧遁禪師

廬山大林寺僧遁禪師

初住圓通。有僧舉。僧問玄沙。向上宗乘。此間如何言論。沙曰。少人聽。未審玄沙意旨如何。師曰。待汝移卻石耳峰。我即向汝道(歸宗柔別雲。且低聲)。

初め圓通に住した。僧有りて擧げた:僧が玄沙に問う、「向上の宗乘、此の間如何に言論せん。」玄沙が言った、「聽く人少なし。」未だ審かならず玄沙の意旨は如何。師は言った:「あなたが石耳峰を移し却すを待ちて、我即ちあなたに向かって道わん。」(歸宗柔が別に言った:「且く聲を低くせよ。」)

池州仁王院緣勝禪師

池州仁王院緣勝禪師

僧問。農家擊壤時如何。師曰。僧家自有本分事。曰。不問僧家本分事。農家擊壤時如何。師曰。話頭何在。

僧が問うた:「農家が壤を擊つ時はいかに。」師は言った:「僧家に自ら本分の事有り。」僧は言った:「僧家の本分の事を問わず。農家が壤を擊つ時はいかに。」師は言った:「話頭は何に在る。」

青原下十世

靑原下十世

天台韶國師法嗣

天臺韶國師法嗣

杭州慧日永明延壽智覺禪師

杭州慧日永明延壽智覺禪師

餘杭王氏子。總角之歲。歸心佛乘。既冠不茹葷。日唯一食。持法華經。七行俱下。才六旬。悉能誦之。感群羊跪聽。年二十八。為華亭鎮將。屬翠巖參禪師遷止龍冊寺。大闡玄化。時吳越文穆王知師慕道。乃從其志。遂禮翠巖為師。執勞供眾。都忘身宰。衣不繒纊。食無重味。野蔬布襦。以遣朝夕。尋往天台山天柱峰。九旬習定。有烏類斥鷃。巢於衣襵中。暨謁韶國師。一見而深器之。密授玄旨。仍謂師曰。汝與元帥有緣。他日大興佛事。初住雪竇。上堂。雪竇這裡。迅瀑千尋。不停纖粟。奇巖萬仞。無立足處。汝等諸人。向甚麼處進步。僧問。雪竇一徑。如何履踐。師曰。步步寒華結。言言徹底冰。師有偈曰。孤猿呌落中巖月。野客吟殘半夜燈。此境此時誰得意。白雲深處坐禪僧。忠懿王請開山靈隱新寺。明年遷永明大道場。眾盈二千。僧問。如何是永明妙旨。師曰。更添香著。曰。謝師指示。師曰。且喜沒交涉。僧禮拜。師曰。聽取一偈。欲識永明旨。門前一湖水。日照光明生。風來波浪起。問。學人久在永明。為甚麼不會永明家風。師曰。不會處會取。曰。不會處如何會。師曰。牛胎生象子。碧海起紅塵。問。成佛成祖。亦出不得。六道輪回。亦出不得。未審出甚麼處不得。師曰。出汝問處不得。問。教中道。一切諸佛及諸佛法。皆從此經出。如何是此經。師曰。長時轉不停。非義亦非聲。曰。如何受持。師曰。若欲受持者。應須著眼聽。問。如何是大圓鏡。師曰。破砂盆。師居永明十五載。度弟子一千七百人。開寶七年入天台山度戒約萬餘人。常與七眾授菩薩戒。夜施鬼神食。朝放諸生類。不可稱算。六時散華行道。餘力念法華經。計萬三千部。著宗鏡錄一百卷。詩偈賦詠凡千萬言。播於海外。高麗國王覧師言教。遣使齎書。敘弟子之禮。奉金線織成袈裟.紫水精珠.金藻罐等。

餘杭王氏の子。總角の歳に、佛乘に歸心す。既に冠して葷を茹でず、日に唯だ一食。法華經を持し、七行俱に下る。纔かに六旬にして、悉く能く之を誦す。群羊の跪きて聽くに感す。年二十八、華亭の鎭將と爲る。翠岩參禪師が龍册寺に遷止し、大いに玄化を闡くに屬す。當時吳越文穆王は師の道を慕うを知り、就ち其の志に從い、是に於て翠岩を禮して師と爲した。勞を執りて衆に供し、都て身宰を忘る。衣は繒纊せず、食は重味無し。野蔬布襦、以て朝夕を遣す。不久に天臺山天柱峰に往き、九旬定を習った。烏類の斥鷃有りて、衣褶の中に巢う。及び韶國師に見えんに至り、一見して深く彼を器重し、密かに玄旨を授け、仍りて師に對して言った:「あなたは元帥と緣有り、他日大いに佛事を興さん。」初め雪竇に住した。上堂:「雪竇の此處、迅瀑千尋、纖粟を停めず。奇岩萬仞、足を立つる處無し。あなたがた諸人、何の處に向かって歩を進めん。」僧が問うた:「雪竇の一徑、如何に履踐せん。」師は言った:「歩歩寒華結び、言言徹底の冰。」師は偈有りて言った:「孤猿叫び落とす中岩の月、野客吟じ殘す半夜の燈。此の境此の時誰か意を得る、白雲の深處に坐禪の僧。」忠懿王が請うて靈隱の新寺を開山せしめた。明年永明の大道場に遷り、衆二千に盈つ。僧が問うた:「どうして永明の妙旨ですか。」師は言った:「更に香を添え著けよ。」僧は言った:「師の指示に謝す。」師は言った:「且く沒交涉を喜べ。」僧は礼拜した。師は言った:「一偈を聽取せよ。永明の旨を識らんと欲せば、門前の一湖水。日は照りて光明生じ、風は來りて波浪起こる。」問うた:「學人は久しく永明に在る、何の故に永明の家風を會せざる。」師は言った:「會せざる處に會取せよ。」僧は言った:「會せざる處如何に會せん。」師は言った:「牛胎に象子生まれ、碧海に紅塵起こる。」問うた:「佛を成し祖を成すも、亦た出づることを得ず。六道の輪回、亦た出づることを得ず。未だ審かならず何の處か出づることを得ざる。」師は言った:「あなたの問う處を出づることを得ず。」問うた:「教中に道う、一切の諸佛及び諸佛法、皆な此の經より出づ。どうして此の經ですか。」師は言った:「長時に轉じ停まらず、義に非ず亦た聲に非ず。」僧は言った:「如何に受持せん。」師は言った:「若し受持せんと欲する者は、應に須く眼を著けて聽け。」問うた:「どうして大圓鏡ですか。」師は言った:「破れた砂盆。」師は永明に居ること十五載、弟子を度すること一千七百人。開寶七年に天臺山に入りて戒を度すこと約万余人。常に七衆と菩薩戒を授け、夜は鬼神に食を施し、朝は諸の生類を放す、稱算すべからず。六時に華を散じ道を行じ、餘力に法華經を念じ、計萬三千部。宗鏡錄一百卷を著わし、詩偈賦咏凡そ千萬言、海外に播えた。高麗國王が師の言教を覽じ、使を遣わして書を齎し、弟子の禮を敘べ、金線織成の袈裟、紫水精珠、金藻罐等を奉った。

彼國僧三十六人。皆承印記。前後歸本國。各化一方。開寶八年十二月示疾。越二日焚香告眾。跏趺而寂。塔於大慈山。

彼の國の僧三十六人、皆な印記を承け、前後して本國に歸り、各々一方を化した。開寶八年十二月に疾を示した。二日過ぎて香を焚きて衆に告げ、跏趺して寂した。大慈山に塔す。

蘇州長壽院朋彥廣法禪師

蘇州長壽院朋彦廣法禪師

永嘉秦氏子。僧問。如何是玄旨。師曰。四稜塌地。問。如何是絕絲毫底法。師曰。山河大地。曰。恁麼則即相而無相也。師曰。也是狂言。問。如何是徑直之言。師曰。千迃萬曲。曰。恁麼則無不總是也。師曰。是何言歟。問。如何是道。師曰。跋涉不易。

永嘉秦氏の子。僧が問うた:「どうして玄旨ですか。」師は言った:「四稜地に塌す。」問うた:「どうして絲毫を絕するの法ですか。」師は言った:「山河大地。」僧は言った:「そうすれば即相にして無相です。」師は言った:「也た是れ狂言。」問うた:「どうして徑直の言ですか。」師は言った:「千迂萬曲。」僧は言った:「そうすれば總に是れ無しです。」師は言った:「是何の言ぞや。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「跋涉は容易ならず。」

溫州大寧院可弘禪師

溫州大寧院可弘禪師

僧問。如何是正真一路。師曰。七顛八倒。曰。恁麼則法門無別去也。師曰。我知汝錯會去。問。皎皎地無一絲頭時如何。師曰。話頭已墮。曰。乞師指示。師曰。適來亦不虗設。問。向上宗乘。請師舉揚。師曰。汝問太遲生。曰。恁麼則不仙陀去也。師曰。深知汝恁麼去。

僧が問うた:「どうして正真の一路ですか。」師は言った:「七顛八倒。」僧は言った:「そうすれば法門に別無しと去りました。」師は言った:「我は知る、あなたが錯會して去るを。」問うた:「皎皎たりて一絲頭無き時はいかに。」師は言った:「話頭已に墮ちた。」僧は言った:「師の指示を乞う。」師は言った:「適來も亦た虛設せず。」問うた:「向上の宗乘、師に擧揚せんことを請う。」師は言った:「あなたの問いは太遲なるを生じた。」僧は言った:「そうすれば仙陀ならざるに去りました。」師は言った:「深く知る、あなたが此の如く去るを。」

杭州五雲山華嚴院志逢禪師

杭州五雲山華嚴院志逢禪師

餘杭人也。生惡葷血。膚體香潔。幼歲出家。於臨安東山朗瞻院。依年受具。通貫三學。了達性相。甞夢陞須彌山。覩三佛列坐。初釋迦。次彌勒。皆禮其足。唯不識第三尊。但仰視而已。釋尊謂之曰。此是補彌勒處師子月佛。師方作禮。覺後因閱大藏經。乃符所夢。天福中。遊方抵天台雲居。參國師。賓主緣契。頓發玄秘。一日入普賢殿中宴坐。倐有一神人跪膝於前。師問。汝其誰乎。曰。護戒神也。師曰。吾患有宿愆未殄。汝知之乎。曰。師有何罪。唯一小過耳。師曰。何也。曰。凡折缽水。亦施主物。師每傾棄。非所宜也。言訖而隱。師自此洗缽水盡飲之。積久因致脾疾。十載方愈(凡折退飲食。及涕唾便利等。並宜鳴指。默唸呪。發施心而傾棄之)。

餘杭の人。生まれながらに葷血を惡み、膚體は香潔なり。幼歲に出家し、臨安東山朗瞻院に於て、年に依って具を受けた。三學を通貫し、性相を了達す。曾て須彌山に升るを夢み、三佛の列坐を睹た。初めは釋迦、次いで彌勒、皆な其の足を禮した。唯だ第三の尊を識らず、但だ仰視するのみ。釋尊が彼に對して言った:「此れ是れ彌勒を補する處の獅子月佛。」師方に禮を作さんとす。覺めて後、大藏經を閲するに因りて、乃ち夢む所に符した。天福年間、方を遊んで天臺雲居に抵り、國師に參した。賓主緣契し、頓らく玄秘を發した。一天、普賢殿中に入りて宴坐すれば、倏ち神人有りて前に跪膝した。師は問うた:「あなたは其れ誰ぞ。」神は言った:「護戒神。」師は言った:「吾は患う、宿愆の未だ殄せざる有るを、あなたは之を知るか。」神は言った:「師に何の罪有らん。唯だ一の小過のみ。」師は言った:「何ぞや。」神は言った:「凡そ鉢水を折るも、亦た施主の物。師は每に傾棄す、宜しき所に非ず。」言い訖わりて隱れた。師は此れ自ら鉢を洗う水を盡く之を飲んだ。久しく積みて因りて脾疾を致し、十載にして方に愈えた。(凡そ飲食を折退し、及び涕唾便利等、並びに宜しく指を鳴らし、默かに呪を念じ、施の心を發して之を傾棄すべし。)

吳越國王嚮師道風。召賜紫衣。署普覺禪師。命住臨安功臣院。上堂。諸上座捨一知識。參一知識。盡學善財南遊之式樣。且問上座。祇如善財禮辭文殊。擬登妙峰謁德雲比丘。及到彼所。何以德雲卻於別峰相見。夫教意祖意。同一方便。終無別理。彼若明得。此亦昭然。諸上座即今簇著老僧。是相見是不相見。此處是妙峰。是別峰。脫或從此省去。可謂不孤負老僧。亦常見德雲比丘。未甞剎那相捨離。還信得及麼。僧問。叢林舉唱曲為今時。如何是功臣的的意。師曰。見麼。曰。恁麼則大眾鹹欣也。師曰。將謂師子兒。問。佛佛授手。祖祖傳心。未審和尚傳箇甚麼。師曰。汝承當得麼。曰。學人承當不得。還別有人承當得否。師曰。大眾笑汝。問。如何是如來藏。師曰。恰問著。問。如何是諸佛機。師曰。道是得麼。上堂。良久曰。大眾看看。便下座。上堂。古德為法行腳。不憚勤勞。如雪峰三到。投子九上。洞山盤桓往返。尚求箇入路不得。看汝近世參學人。才跨門來。便要老僧接引。指示說禪。且汝欲造玄極之道。豈同等閑。而況此事亦有時節。躁求焉得。汝等要知悟時麼。如今各且下去。堂中靜坐。直待仰家峰點頭。老僧即為汝說。時有僧出。曰。仰家峰點頭也。請師說。師曰。大眾且道。此僧會老僧語。不會老僧語。僧禮拜。師曰。今日偶然失鑒。有人問僧。無為無事人。為甚麼卻有金鎻難。僧無對。師代雲。祇為無為無事。僧問。教中道。文殊忽起佛見法見。被佛威神攝向二鐵圍山。意旨如何。師曰。甚麼處是二鐵圍山。僧無語。師曰。還會麼。如今若有人起佛法之見。吾與烹茶兩甌。且道賞伊罰伊。同教意不同教意。開寶四年。大將凌超於五雲山創院。奉師為終老之所。師每𢹂大扇乞錢。買肉飼虎。虎每迎之。載以還山。雍熈二年示寂。塔於本院。

吳越國王が師の道風を向慕し、召して紫衣を賜り、普覺禪師と署し、命じて臨安功臣院に住せしめた。上堂:「諸位の上座は一の知識を舍て、一の知識に參じ、盡く善財の南遊の式樣を學ぶ。且く上座に問わん、只だ善財が文殊を禮辭し、擬して妙峰に登り德云比丘に謁せんとするが如き、及び彼所に到りて、何を以て德云は却って別峰に於て相見たる。夫れ教意も祖意も、同一の方便、終に別の理無し。彼若し明らかなれば、此も亦た昭然なり。諸位の上座は即今老僧に簇り著く、是れ相見か相見ざるか。此處是れ妙峰か、是れ別峰か。脱らくも此より省去れば、謂うべし老僧を孤負せざると、亦た常に德云比丘を見て、未だ曾て刹那に相舍離せず。還た信じ及ぶか。」僧が問うた:「叢林の擧唱は今時に曲がる。どうして功臣の的的の意ですか。」師は言った:「見るか。」僧は言った:「そうすれば大衆咸く欣びました。」師は言った:「將に謂う獅子兒と。」問うた:「佛佛は手を授け、祖祖は心を傳う。未だ審かならず和尚は箇の何を傳える。」師は言った:「あなたは承當することを得るか。」僧は言った:「學人は承當し得ず。還た別に人の承當し得る者有るか否や。」師は言った:「大衆あなたを笑う。」問うた:「どうして如來藏ですか。」師は言った:「恰も問い著く。」問うた:「どうして諸佛の機ですか。」師は言った:「道うて是れ得か。」上堂。久しく過ぎて言った:「大衆看よ看よ。」便ち座を下りた。上堂:「古德は法の爲に行脚して、勤勞を憚らず。雪峰の三到、投子の九上、洞山の盤桓往返の如き、尚お箇の入路を求めて得ず。あなたを看るに近世の參學人、纔かに門を跨いで來れば、便ち老僧に接引を要し、指示して禪を説かんとす。且くあなたは玄極の道に造らんと欲す、豈に等閑に同じからんや。而るを況んや此の事も亦た時節有り、躁く求めて焉んぞ得ん。あなたがたは悟る時を知らんと要するか。如今各々且く下りて去りて、堂中に靜坐せよ。直に仰家峰の點頭するを待たば、老僧即ちあなたの爲に説かん。」當時僧有りて出でて言った:「仰家峰點頭したり。師に説かんことを請う。」師は言った:「大衆且く道え、此の僧は老僧の語を會するか、會せざるか。」僧は礼拜した。師は言った:「今日は偶然として鑒を失いたり。」人に問う者有りて僧に:「無爲没事の人、何の故に却って金鎖の難有る。」僧は對無し。師は代えて言った:「只だ無爲没事たるが爲。」僧が問うた:「教中に道う、文殊忽ち佛見法見を起こし、佛の威神に攝せられて二の鐵圍山に向かう。意旨如何。」師は言った:「何の處か是れ二の鐵圍山。」僧は語無し。師は言った:「還た會するか。如今若し人の佛法の見を起こす者有らば、吾は與へて茶兩甌を烹ぜん。且く道え、彼を賞するか彼を罰するか、教意に同じきか教意に同じからざるか。」開寶四年、大將凌超が五雲山に於て院を創り、師を奉じて終老の所と爲した。師は每に大扇を𢹂げて錢を乞い、肉を買いて虎に飼った。虎は每に之を迎え、載せて以て山に還った。雍熙二年に示寂した。本院に塔す。

杭州報恩法端慧月禪師

杭州報恩法端慧月禪師

上堂。數夜與諸上座東語西話。猶未盡其源。今日與諸上座大開方便。一時說卻。還願樂也無。久立。珍重。僧問。學人恁麼上來。請師接。師曰。不接。曰。為甚麼不接。師曰。為汝太靈利。

上堂:「數夜に諸位の上座と東語西話すれど、猶未だ其の源を盡さず。今日諸位の上座と大いに方便を開き、一時に説き却せん。還た願樂するか無しや。久立。珍重。」僧が問うた:「學人此の如く上りて來る、師に接せんことを請う。」師は言った:「接せず。」僧は言った:「何の故に接せざる。」師は言った:「あなたの太靈利なるが爲。」

杭州報恩紹安通辯明達禪師

杭州報恩紹安通辯明達禪師

上堂。僧問。大眾側聆。請師不吝。師曰。奇怪。曰。恁麼則今日得遇於師也。師曰。是何言歟。乃曰。一句染神。萬劫不朽。今日為諸人舉一句子。良久曰。分明記取。便下座。上堂。幸有樓臺匝地。常提祖印。不妨諸上座參取。久立。珍重。僧問。如何是和尚家風。師曰。一切處見成。曰。恁麼則亙古亙今也。師曰。莫閑言語。

上堂。僧が問うた:「大衆は耳を側めて聆く、師に吝まざらんことを請う。」師は言った:「奇怪。」僧は言った:「そうすれば今日師に遇うことを得ました。」師は言った:「是何の言ぞや。」そこで言った:「一句が神を染むれば、萬劫朽ちず。今日諸人の爲に一句子を擧げん。」久しく過ぎて言った:「分明に記取せよ。」便ち座を下りた。上堂:「幸に樓臺地に匝く有り、常に祖印を提す。妨げず諸位の上座は參取せよ。久立。珍重。」僧が問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「一切の處に見成す。」僧は言った:「そうすれば亘古亘今です。」師は言った:「閑言語するな。」

福州廣平院守威宗一禪師

福州廣平院守威宗一禪師

本州人也。參天台國師得旨。乃付衣法。時有僧問。大庾嶺頭提不起。如何今日付於師。師提起曰。有人敢道天台得麼。上堂。達磨大師雲。吾法三千年後。不移絲髮。山僧今日不移達磨絲髮。先達之者。共相證明。若未達者。不移絲髮。僧問。洪鐘韻絕。大眾臨筵。祖意西來。請師提唱。師曰。洪鐘韻絕。大眾臨筵。問。古人云。任汝千聖見。我有天真佛。如何是天真佛。師曰。千聖是弟。問。如何是廣平家風。師曰。誰不受用。上堂。不用開經作梵。不用展鈔牒科。還有理論處也無。設有理論處。亦是方便之談。宗乘事合作麼生。問。如何是西來意。師曰。未曾有人答得。曰。請師方便。師曰。何不更問。

本州の人。天臺國師に參して旨を得、就ち衣法を付された。當時僧有りて問うた:「大庾嶺頭に提げ起こすこと能わず、如何に今日師に付する。」師は提げ起して言った:「人の敢えて天臺が得たりと道う者有るか。」上堂:「達磨大師説く、吾が法は三千年の後、絲髮を移さず、と。山僧は今日達磨の絲髮を移さず。先に之を達する者、共に相證明せよ。若し未だ達せざる者は、絲髮を移さず。」僧が問うた:「洪鐘は韻絕え、大衆筵に臨む。祖意西來、師に提唱せんことを請う。」師は言った:「洪鐘は韻絕え、大衆筵に臨む。」問うた:「古人説く、あなたの千聖の見るに任ず、我に天真の佛有り、と。どうして天真佛ですか。」師は言った:「千聖は是れ弟。」問うた:「どうして廣平の家風ですか。」師は言った:「誰か受用せざる。」上堂:「經を開いて梵を作すを用いず、鈔を展げて科を牒すを用いず。還た理論の處有るか無しや。設し理論の處有るも、亦た是れ方便の談。宗乘の事は合に作麼生なるべき。」問うた:「どうして西來意ですか。」師は言った:「未だ曾て人の答うことを得たる無し。」僧は言った:「師の方便を請う。」師は言った:「何ぞ再び問わざる。」

杭州報恩永安禪師

杭州報恩永安禪師

溫州翁氏子。幼依本郡彚徵大師出家。後唐天成中隨本師入國。忠懿王命徵為僧正。師尤不喜俗務。擬潛往閩川投訪禪會。屬路岐艱阻。遂迴天台山結茅。尋遇韶國師開示。頓悟本心。乃辭出山。徵聞於王。王命住越州清泰。次召居上寺。署正覺空慧禪師。上堂。十方諸佛。一時雲集。與諸上座證明。諸上座與佛一時證明。還信麼。切忌卜度。僧問。四眾雲臻。如何舉唱。師曰。若到諸方。切莫錯舉。曰。非但學人。大眾有賴。師曰。禮拜著。問。五乘三藏。委者頗多。祖意西來。乞師指示。師曰。五乘三藏。曰。向上還有事也無。師曰。汝卻靈利。問。如何大作佛事。師曰。嫌甚麼。曰。恁麼則親承摩頂去也。師曰。何處見世尊。問。如何是西來意。師曰。過這邊立。僧才移步。師召曰。會麼。曰。不會。師曰。聽取一偈。汝問西來意。且過這邊立。昨夜三更時。雨打虗空濕。電影忽然明。不似蚰蜒急。開寶七年示疾。告眾言別。時有僧問。昔日如來正法眼。迦葉親傳。未審和尚玄風。百年後如何體會。師曰。汝甚麼處見迦葉來。曰。恁麼則信受奉行。不忘斯旨去向。師曰。佛法不是這箇道理。言訖跏趺而寂。闍維舌根不壞。柔輭如紅蓮華。藏於普賢道場。

溫州翁氏の子。幼年に本郡の彙征大師に依りて出家した。後唐天成中に本師に隨って國に入った。忠懿王が彙征に命じて僧正と爲さしめた。師は尤も俗務を喜ばず、擬して潜かに閩川に往き禪會に投訪せんとす。路岐の艱阻に屬して、就ち天臺山に回りて茅を結んだ。不久に韶國師の開示に遇い、本心を頓悟し、就ち辭して山を出た。彙征が王に聞えた。王は命じて越州淸泰に住せしめ、接着して召して上寺に居らしめ、正覺空慧禪師と署した。上堂:「十方の諸佛、一時に雲集して、諸位の上座と證明せん。諸位の上座も佛と一時に證明す。還た信ずるか。切に卜度を忌む。」僧が問うた:「四衆雲臻す、如何に擧唱せん。」師は言った:「若し諸方に到らば、切に錯擧するな。」僧は言った:「但だ學人のみに非ず、大衆に頼み有り。」師は言った:「礼拜著けよ。」問うた:「五乘三藏、委ねる者頗る多し。祖意西來、師の指示を乞う。」師は言った:「五乘三藏。」僧は言った:「向上に還た事有るか無しや。」師は言った:「あなたは却って靈利。」問うた:「如何にか大いに佛事を作さん。」師は言った:「何を嫌う。」僧は言った:「そうすれば親く摩頂を承けに去りました。」師は言った:「何の處に世尊を見る。」問うた:「どうして西來意ですか。」師は言った:「此の邊に過りて立て。」僧纔かに歩を移せば、師は召して言った:「會するか。」僧は言った:「會せず。」師は言った:「一偈を聽取せよ。あなたは西來意を問う、且く此の邊に過りて立て。昨夜三更の時、雨は虛空を打ちて濕らす。電影忽然として明らめり、蚰蜒の急なるに似ず。」開寶七年に疾を示し、衆に告げて言別した。當時僧有りて問うた:「昔日如來の正法眼、迦葉が親く傳えた。未だ審かならず和尚の玄風、百年の後如何に體會せん。」師は言った:「あなたは何の處に迦葉を見て來りし。」僧は言った:「そうすれば信受奉行して、斯の旨を忘れず向去せん。」師は言った:「佛法は是の道理に非ず。」言い訖わりて跏趺して寂した。阇維して舌根壞れず、柔軟なること紅蓮華の如く、普賢道場に藏した。

廣州光聖院師護禪師

廣州光聖院師護禪師

閩人也。自天台得法。化行嶺表。國主劉氏創大伽藍。請師居焉。署大義禪師。僧問。昔日梵王請佛。今日國主臨筵。祖意西來。如何舉唱。師曰。不要西來。山僧已舉唱了也。曰。豈無方便。師曰。適來豈不是方便。問。學人乍入叢林。西來妙訣。乞師指示。師曰。汝未入叢林。我已示汝了也。曰。如何領會。師曰。不要領會。

閩の人。天臺より法を得て、化は嶺表に行く。國主劉氏が大伽藍を創り、師を請うて居らしめ、大義禪師と署した。僧が問うた:「昔日梵王が佛を請いしに、今日國主筵に臨む。祖意西來、如何に擧唱せん。」師は言った:「西來を要せず。山僧已に擧唱了れり。」僧は言った:「豈に方便無からんや。」師は言った:「適來は豈に是れ方便に非ずや。」問うた:「學人乍ち叢林に入る。西來の妙訣、師の指示を乞う。」師は言った:「あなた未だ叢林に入らざれば、我已にあなたに示し了れり。」僧は言った:「如何に領會せん。」師は言った:「領會するを要せず。」

杭州奉先寺清昱禪師

杭州奉先寺淸昱禪師

永嘉人也。忠懿王召入問道。創奉先居之。署圓通妙覺禪師。僧問。如何是西來意。師曰。高聲舉似大眾。

永嘉の人。忠懿王が召入れて道を問ひ、奉先を創りて居らしめ、圓通妙覺禪師と署した。僧が問うた:「どうして西來意ですか。」師は言った:「高き聲に大衆に擧似せよ。」

台州紫凝普聞寺智勤禪師

臺州紫凝普聞寺智勤禪師

僧問。如何是空手把鉏頭。師曰。但恁麼諦信。曰。如何是步行騎水牛。師曰。汝自何來。有偈示眾曰。今年五十五。腳未蹋寸土。山河是眼睛。大海是我肚。太平興國四年。有旨試僧經業。山門老宿。各寫法名。唯師不閑書札。時通判李憲問。世尊還解書也無。師曰。天下人知。淳化初。不疾。命侍僧開浴。浴訖垂誡徒眾。安坐而逝。塔於本山。三年後。門人遷塔發龕。覩師容儀儼若。髭髮仍長。遂迎入新塔。

僧が問うた:「どうして空手に鋤頭を把るか。」師は言った:「但だ此の如く諦信せよ。」僧は言った:「どうして歩行に水牛に騎るか。」師は言った:「あなたは自ずから何より來る。」偈有りて衆に示して言った:「今年五十五、脚未だ寸土を踏まず。山河は是れ眼睛、大海は是れ我が肚。」太平興國四年、旨有りて僧の經業を試す。山門の老宿、各々法名を寫す。唯だ師のみ書札を閑せず。當時通判の李憲が問うた:「世尊は還た書を解するか無しや。」師は言った:「天下の人知る。」淳化初め、疾ならず、侍僧に命じて浴を開かしめた。浴び訖わりて徒衆に誡を垂れ、安坐して逝った。本山に塔す。三年の後、門人が塔を遷し龕を發き、師の容儀儼若として、髭髮仍りて長なりしを睹、就ち迎え入れて新塔とした。

溫州鴈蕩山願齊禪師

溫州鴈蕩山願齊禪師

錢塘江氏子。上堂。僧問。夜月舒光。為甚麼碧潭無影。師曰。作家弄影漢。其僧從東過西立。師曰。不唯弄影。兼乃怖頭。

錢塘江氏の子。上堂。僧が問うた:「夜月は光を舒る、何の故に碧潭に影無し。」師は言った:「作家の影を弄する漢。」那の僧は東より西に過りて立った。師は言った:「唯だ影を弄するのみならず、兼ねて乃ち頭を怖がらす。」

杭州普門寺希辯禪師

杭州普門寺希辯禪師

蘇州人也。忠懿王命主越州清泰。署慧智。後遷上寺。上堂。山僧素乏知見。復寡聞持。頃雖侍立於國師。不蒙一句開示。以致今日與諸仁者聚會。更無一法可相助發。何況能為諸仁者區別緇素。商量古今。還怪得山僧麼。若有怪者。且道此人具眼不具眼。有賓主義。無賓主義。晚學初機。必須審細。僧問。如何是普門示現神通事。師曰。恁麼則闍黎怪老僧去也。曰。不怪時如何。師曰。汝且下堂裡思惟去。太平興國三年。吳越王入覲。師隨寶塔至。見於滋福殿。賜紫衣。號慧明禪師。端拱中乞還故里。詔從之。賜御製詩。忠懿王施金於常熟本山院。創甎浮圖七級。高二百尺。功既就。至道三年八月示寂。塔於院之西北隅。

蘇州の人。忠懿王が命じて越州淸泰を主らしめ、慧智と署した。後來上寺に遷った。上堂:「山僧は素より知見乏しく、復た聞持寡し。頃るく雖も國師に侍立せりといへども、一句の開示を蒙らず、以て今日諸の仁者と聚會するに至る、更に一法も相助發すべき無し。何を況んや能く諸の仁者の爲に緇素を區別し、古今を商量せんや。還た山僧を怪み得るか。若し怪む者有らば、且く道え、此の人は眼を具するか具せざるか、賓主の義有るか、賓主の義無きか。晚學の初機、必ず須く審細なるべし。」僧が問うた:「どうして普門が神通を示現する事ですか。」師は言った:「此の如くすれば闍黎は老僧を怪みに去る。」僧は言った:「怪まざる時は如何。」師は言った:「あなたは且く堂裡に下りて思惟して去れ。」太平興國三年、吳越王が入覲した。師は寶塔に隨って至り、滋福殿に於て見えた。紫衣を賜わり、慧明禪師と號す。端拱中に故里に還らんことを乞う、詔に從う。御製の詩を賜った。忠懿王が常熟の本山院に金を施し、磚浮圖七級を創り、高さ二百尺。功既に就き、至道三年八月に示寂した。院の西北隅に塔す。

杭州光慶寺遇安禪師

杭州光慶寺遇安禪師

錢塘沈氏子。上堂。僧問。無價寶珠。請師分付。師曰。善能吐露。曰。恁麼則人人具足去也。師曰。珠在甚麼處。僧禮拜。師曰。也是虗言。問。提綱舉領。盡立主賓。如何是主。師曰。深委此問。曰。如何是賓。師曰。適來向汝道甚麼。曰。賓主道合時如何。師曰。其令不行。問。心月孤圓。光吞萬象。如何是吞萬象底光。師曰。大眾總見汝恁麼問。曰。光吞萬象從師道。心月孤圓意若何。師曰。抖擻精神著。曰。鷺倚雪巢猶可辯。光吞萬象事難明。師曰。謹退。問。青山綠水。處處分明。和尚家風。乞垂一句。師曰。盡被汝道了也。曰。未必如斯。請師答話。師曰。不用閑言。又一僧方禮拜。師曰。問答俱備。僧擬問。師乃叱之。上堂。欲識曹溪旨。雲飛前面山。分明真實箇。不用別追攀。僧問。古德有言。井底紅塵生。山頭波浪起。未審此意如何。師曰。若到諸方。但恁麼問。曰。和尚意旨如何。師曰。適來向汝道甚麼。乃曰。古今相承。皆雲塵生井底。浪起山頭。結子空華。生兒石女。且作麼生會。莫是和聲送事。就物呈心。句裡藏鋒。聲前全露麼。莫是有名無體。異唱玄譚麼。上座自會即得。古人意旨即不然。既恁麼會不得。合作麼生會。上座欲得會麼。但看泥牛行處。陽𦦨飜波。木馬嘶時。空華墜影。聖凡如此。道理分明。何須久立。珍重。

錢塘沈氏の子。上堂。僧が問うた:「無價の寶珠、師に分付せんことを請う。」師は言った:「善く吐露を能くす。」僧は言った:「そうすれば人人具足に去りました。」師は言った:「珠は何の處に在る。」僧は礼拜した。師は言った:「也た是れ虛言。」問うた:「綱を提げ領を擧げ、盡く主賓を立つ。どうして主ですか。」師は言った:「深く此の問いに委す。」僧は言った:「どうして賓ですか。」師は言った:「適來あなたに向かって何を道いし。」僧は言った:「賓主道合する時は如何。」師は言った:「其の令行われず。」問うた:「心月孤圓して、光は萬象を吞む。どうして萬象を吞むの光ですか。」師は言った:「大衆總にあなたが此の如く問うを見る。」僧は言った:「光が萬象を吞むは師に從って道う。心月孤圓の意は若何。」師は言った:「精神を抖擻し著けよ。」僧は言った:「鷺は雪巢に倚るも猶お辯すべし。光が萬象を吞むは事明かなり難し。」師は言った:「謹み退け。」問うた:「青山綠水、處處分明。和尚の家風、垂れんことを乞う一句。」師は言った:「盡くあなたに道われた。」僧は言った:「未だ必ずしも斯の如くならず。師に答話せんことを請う。」師は言った:「閑言を用いず。」又一の僧方に礼拜せば、師は言った:「問答俱に備わる。」僧は擬して問わんとす、師は就ち之を叱った。上堂:「曹溪の旨を識らんと欲せば、雲飛んで前面の山。分明なる真實箇、別に追攀するを用いず。」僧が問うた:「古德に言有り、井底に紅塵生じ、山頭に波浪起こる、と。未だ審かならず此の意は如何。」師は言った:「若し諸方に到らば、但だ此の如く問え。」僧は言った:「和尚の意旨は如何。」師は言った:「適來あなたに向かって何を道いし。」そこで言った:「古今相承え、皆な塵は井底に生じ、浪は山頭に起こり、結子は空華、生兒は石女と云う。且く作麼生に會する。莫れ是れ聲に和して事を送り、物に就いて心を呈し、句裡に鋒を藏め、聲の前に全く露するか。莫れ是れ名有りて體無く、唱を異にして玄を譚るか。上座は自ら會すれば即ち得たり。古人の意旨は即ち然らず。既に此の如く會することを得ざれば、合に作麼生に會すべき。上座は會せんと欲するか。但だ泥牛の行く處、陽𦦨の波を翻すを看、木馬の嘶く時、空華の影を墮つを。聖凡此の如く、道理分明。何の須か久立せん。珍重。」

台州般若寺友蟾禪師

臺州般若寺友蟾禪師

錢塘人也。初住雲居普賢。忠懿王署慈悟禪師。選止上寺。眾盈五百。僧問。鼓聲才罷。大眾雲臻。向上宗乘。請師舉唱。師曰。虧汝甚麼。曰。恁麼則人人盡霑恩去也。師曰。莫亂道。

錢塘の人。初め雲居普賢に住した。忠懿王が慈悟禪師と署した。選びて上寺に止め、衆五百に盈つ。僧が問うた:「鼓聲纔かに罷み、大衆雲臻す。向上の宗乘、師に擧唱せんことを請う。」師は言った:「あなたを何か虧く。」僧は言った:「そうすれば人人盡く恩に沾りに去りました。」師は言った:「亂道するな。」

婺州智者寺全肯禪師

婺州智者寺全肯禪師

初參國師。國師問。汝名甚麼。師曰。全肯。國師曰。肯箇甚麼。師於言下有省。乃禮拜。住後。僧問。有人不肯。還甘也無。師曰。若人問我。即向伊道。

初め國師に參した。國師が問うた:「あなたの名は何か。」師は言った:「全肯。」國師は言った:「箇の何を肯する。」師は言下に省有りて、就ち礼拜した。住持して以後、僧が問うた:「人肯せざる有れば、還た甘んずるか無しや。」師は言った:「若し人我に問わば、即ち彼に向かって道わん。」

福州玉泉義隆禪師

福州玉泉義隆禪師

上堂。山河大地。盡在諸人眼睛裡。因甚麼說會與不會。時有僧問。山河大地眼睛裡。師今欲更指歸誰。師曰。祇為上座去處分明。曰。若不上來伸此問。焉知方便不虗施。師曰。依俙似曲才堪聽。又被風吹別調中。

上堂:「山河大地、盡く諸人の眼睛裡に在り。因なんとして會すと會せずと説く。」當時僧有りて問うた:「山河大地は眼睛裡に在り、師今欲する更に誰に指歸せん。」師は言った:「只だ上座の去處分明なるが爲。」僧は言った:「若し上りて來りて此の問いを伸ばさざれば、焉んぞ方便の虛施ならざるを知らん。」師は言った:「依稀として曲に似て纔かに聽くに堪う、又た風に吹かれて別調中に。」

杭州龍冊寺曉榮禪師

杭州龍册寺曉榮禪師

溫州鄧氏子。僧問。祖祖相傳。未審和尚傳阿誰。師曰。汝還識得祖也未。僧慧文問。如何是真實沙門。師曰。汝是慧文。問。如何是般若大神珠。師曰。般若大神珠。分形萬億軀。塵塵彰妙體。剎剎盡毗盧。問。如何是日用事。師曰。一念周沙界。日用萬般通。湛然常寂滅。常展自家風。小參次。僧問。向上事即不問。如何是妙善臺中的的意。師曰。若到諸方。分明舉似。曰。恁麼則雲有出山勢。水無投㵎聲。師乃叱之。

溫州鄧氏の子。僧が問うた:「祖祖相傳し、未だ審かならず和尚は阿阿誰に傳える。」師は言った:「あなたは還た祖を識得したか未や。」僧の慧文が問うた:「どうして真實の沙門ですか。」師は言った:「あなたは慧文。」問うた:「どうして般若の大神珠ですか。」師は言った:「般若の大神珠、形を分かつ萬億の軀。塵塵妙體を彰かす、刹刹盡く毗盧。」問うた:「どうして日用の事ですか。」師は言った:「一念は沙界を周め、日用は萬般通ず。湛然として常に寂滅、常に自家の風を展ぶ。」小參の時、僧が問うた:「向上の事は即ち問わず。どうして妙善臺中の的的の意ですか。」師は言った:「若し諸方に到らば、分明に擧似せよ。」僧は言った:「そうすれば雲に山を出づる勢有りて、水に澗に投ずる聲無し。」師は就ち之を叱った。

杭州功臣慶蕭禪師

杭州功臣慶蕭禪師

僧問。如何是功臣家風。師曰。明暗色空。曰。恁麼則諸法無生去也。師曰。汝喚甚麼作諸法。僧禮拜。師曰。聽取一偈。功臣家風。明暗色空。法法非異。心心自通。恁麼會得。諸佛真宗。

僧が問うた:「どうして功臣の家風ですか。」師は言った:「明暗色空。」僧は言った:「そうすれば諸法無生に去りました。」師は言った:「あなたは何を喚んで諸法と作す。」僧は礼拜した。師は言った:「一偈を聽取せよ。功臣の家風、明暗色空。法法は異に非ず、心心自ら通ず。此の如く會得せば、諸佛の真宗。」

越州稱心敬璡禪師

越州稱心敬琎禪師

僧問。結束囊裝。請師分付。師曰。莫諱卻。曰。甚麼處孤負和尚。師曰。卻是汝孤負我。

僧が問うた:「囊裝を結束す、師に分付せんことを請う。」師は言った:「却すな。」僧は言った:「何の處に和尚を孤負する。」師は言った:「却って是れあなたが我を孤負する。」

福州嚴峰師朮禪師

福州嚴峰師術禪師

開堂陞座。極樂和尚問曰。大眾顒望。請震法雷。師曰。大眾還會麼。還辨得麼。今日不異靈山。乃至諸佛國土。天上人間。總皆如是。亙古亙今。常無變異。作麼生會無變異底道理。若會得。所以道。無邊剎境。自他不隔於毫端。十世古今。始終不離於當念。僧問。靈山一會。迦葉親聞。嚴峰一會。誰是聞者。師曰。問者不弱。問。如何是文殊。師曰。來處甚分明。

開堂して座に升る。極樂和尚が問うて言った:「大衆の顒望に、法雷を震わんことを請う。」師は言った:「大衆は還た會するか。還た辯することを得るか。今日は靈山と異ならず。乃至諸佛の國土、天上人間、總に皆な是の如し。亘古亘今、常に變異無し。作麼生に變異無きの道理を會する。若し會得せば、だから道う、無邊の剎境、自他毫端に隔たらず、十世古今、始終當念を離れず、と。」僧が問うた:「靈山の一會、迦葉が親く聞きたり。嚴峰の一會、誰か是れ聞者。」師は言った:「問う者は弱からず。」問うた:「どうして文殊ですか。」師は言った:「來處甚だ分明。」

潞府華嚴慧達禪師

潞府華嚴慧達禪師

僧問。如何是古佛心。師曰。山河大地。問。如何是華嚴境。師曰。滿目無形影。

僧が問うた:「どうして古佛心ですか。」師は言った:「山河大地。」問うた:「どうして華嚴の境ですか。」師は言った:「滿目に形影無し。」

越州清泰院道圓禪師

越州淸泰院道圓禪師

僧問。亡僧遷化向甚麼處去也。師曰。今日遷化嶺中。上座問。如何是祖師西來意。師曰。不可向汝道庭前栢樹子。

僧が問うた:「亡僧は遷化して何の處に向かって去った。」師は言った:「今日嶺中に遷化す。」上座が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「あなたに向かって庭前の柏樹子と道うべからず。」

杭州九曲觀音院慶祥禪師

杭州九曲觀音院慶祥禪師

餘杭人也。辯才冠眾。多聞強記。時天台門下。推為傑出。僧問。湛湛圓明。請師一決。師曰。十里平湖。一輪秋月。問。險惡道中。以何為津梁。師曰。以此為津梁。曰。如何是此。師曰。築著汝鼻孔。問。無根樹子向甚麼處栽。師曰。汝甚處得來。

餘杭の人。辯才衆に冠り、多聞強記。當時天臺の門下、推して傑出と為した。僧が問うた:「湛湛たる圓明、師の一決を請う。」師は言った:「十里の平湖、一輪の秋月。」問うた:「險惡の道中、何を以て津梁と為す。」師は言った:「此を以て津梁と為す。」僧は言った:「どうして此ですか。」師は言った:「あなたの鼻孔に築き著く。」問うた:「根無き樹子は何の處に向かって栽えん。」師は言った:「あなたは甚の處より得て來りし。」

杭州開化寺行明傳法禪師

杭州開化寺行明傳法禪師

本州於氏子。禮雪竇智覺禪師為師。及智覺遷永明。遂入天台國師之室。蒙授記莂。復歸永明。翊贊廼師。海眾傾仰。忠懿王建六和寺(本朝賜開化額)。延請住持。聚徒說法。僧問。如何是開化門中流出方便。師曰。日日潮音兩度聞。問。如何是無盡燈。師曰。謝闍黎照燭。

本州于氏の子。雪竇智覺禪師を禮して師と爲した。及び智覺が永明に遷るに、就ち天臺國師の室に入り、記莂を授かるを蒙った。復た永明に歸り、乃師を翊贊して、海衆は傾仰した。忠懿王が六和寺を建て(本朝は開化の額を賜わる)、延請して住持せしめ、徒を聚めて法を説かしめた。僧が問うた:「どうして開化の門中に流出の方便ですか。」師は言った:「日日に潮音は兩度聞こゆ。」問うた:「どうして無盡燈ですか。」師は言った:「闍黎の照燭に謝す。」

越州漁浦開善寺義圓禪師

越州漁浦開善寺義圓禪師

僧問。一年去。一年來。方便門中請師開。師曰。分明記取。曰。恁麼則昔時師子吼。今日象王回也。師曰。且喜沒交涉。

僧が問うた:「一年去り、一年來る。方便門中に師に開かんことを請う。」師は言った:「分明に記取せよ。」僧は言った:「そうすれば昔時は獅子吼、今日は象王回りました。」師は言った:「且く沒交涉を喜べ。」

溫州瑞鹿寺上方遇安禪師

溫州瑞鹿寺上方遇安禪師

福州人也。得法於天台。又常閱首楞嚴經。到知見立知。即無明本。知見無見。斯即涅槃。師乃破句讀曰。知見立。知即無明本。知見無。見斯即涅槃。於此有省。有人語師曰。破句了也。師曰。此是我悟處。畢生不易。時謂之安楞嚴。至道元年春。將示寂。有嗣子蘊仁侍立。師乃說偈示之。不是嶺頭𢹂得事。豈從鷄足付將來。自古聖賢皆若此。非吾今日為君裁。付囑已。澡身易衣。安坐。令舁棺至室。良久。自入棺。經三日。門人啟棺。覩師右脇吉祥而臥。四眾哀慟。師乃再起。陞堂說法。訶責垂誡。此度更啟吾棺者。非吾之子。言訖。復入棺長往。

福州の人。天臺に於て法を得た。又た常に首楞嚴經を閲して、「知見は知を立つ、即ち無明の本。知見は見無し、斯れ即ち涅槃」に至る。師は就ち句を破って讀して言った:「知見立てば、知即ち無明の本。知見無ければ、見斯れ即ち涅槃。」此に於て省有り。人に對して師に言う者有り:「句を破りたり。」師は言った:「此れ是れ我が悟る處。畢生易えず。」當時安楞嚴と稱す。至道元年春、將に示寂せんとす、嗣子の蘊仁有りて侍立す。師は就ち偈を説いて之に示して言った:「是れ嶺頭に𢹂げ得る事に非ず、豈に雞足より付して將來せん。自ら古の聖賢皆な此の若し、吾が今日君が爲に裁するに非ず。」付囑已り、身を澡め衣を易え、安坐す。棺を舁して室に至らしめた。久しく過ぎて、自ら棺に入った。三日を經て、門人が棺を啓けば、師の右脇吉祥にして臥すを睹た。四衆哀慟す。師は就ち復た起ち、堂に升りて法を説き、訶責して誡を垂れて言った:「此の度更に吾が棺を啓く者は、吾が子に非ず。」言い訖わりて、復た棺に入りて長く往ぬ。

杭州龍華寺慧居禪師

杭州龍華寺慧居禪師

閩人也。自天台領旨。忠懿王命住上寺。開堂示眾曰。從上宗乘。到這裡如何舉唱。祇如釋迦如來說一代時教。如瓶注水。古德尚雲。猶如夢事寱語一般。且道據甚麼道理便恁麼道。還會麼。大施門開。何曾壅塞。生凡育聖。不漏纖塵。言凡則全凡。舉聖則全聖。凡聖不相待。箇箇獨稱尊。所以道。山河大地。長時說法。長時放光。地水火風。一一如是。時有僧出禮拜。師曰。好箇問頭。如法問著。僧擬進前。師曰。又沒交涉也。問。諸佛出世。放光動地。和尚出世。有何祥瑞。師曰。話頭自破。上堂。龍華這裡。也祇是拈柴擇菜。上來下去。晨朝一粥。齋時一飯。睡後吃茶。但恁麼參取。珍重。問。學人未明自己。如何辨得淺深。師曰。識取自己眼。曰。如何是自己眼。師曰。向汝道甚麼。

閩の人。天臺より旨を領した。忠懿王が命じて上寺に住せしめた。開堂して衆に示して言った:「上よりの宗乘、此の裏に到りて如何に擧唱せん。只だ釋迦如來が一代の時教を説くが如く、瓶に水を注ぐが如し。古德は尚お云う、猶お夢事の囈語の一般の如し、と。且く道え、何の道理に據りて便ち此の如く道う。還た會するか。大施門開きて、何曾て壅塞せん。凡を生じ聖を育て、纖塵を漏らさず。凡を言えば全凡、聖を擧げば全聖。凡聖相待たず、箇箇獨り尊と稱す。だから道う、山河大地は長時に法を説き、長時に光を放つ。地水火風、一一は是の如し、と。」當時僧有りて出でて礼拜した。師は言った:「好い問頭。法の如く問い著けよ。」僧は擬して前に進まんとす。師は言った:「又た沒交涉。」問うた:「諸佛出世して、光を放ち地を動かす。和尚出世して、何の祥瑞有るか。」師は言った:「話頭自ら破す。」上堂:「龍華の此處、也た只だ柴を拈じ菜を擇ぶのみ。上り下り、晨朝は一粥、齋時は一飯、睡後は茶を喫す。但だ此の如く參取せよ。珍重。」問うた:「學人未だ自己を明かさず、如何にか淺深を辨じ得ん。」師は言った:「自己の眼を識取せよ。」僧は言った:「どうして自己の眼ですか。」師は言った:「あなたに向かって何を道う。」

婺州齊雲山遇臻禪師

婺州齊雲山遇臻禪師

越州楊氏子。僧問。如何是無縫塔。師曰。五六尺。其僧禮拜。師曰。塔倒也。問。圓明瞭知。為甚麼不因心念。師曰。圓明瞭知。曰。何異心念。師曰。汝喚甚麼作心念。秋夕閑坐。偶成頌曰。秋庭肅肅風𮨱𮨱。寒星列空蟾魄高。搘頥靜坐神不勞。鳥窠無端吹布毛。

越州楊氏の子。僧が問うた:「どうして無縫塔ですか。」師は言った:「五六尺。」那の僧は礼拜した。師は言った:「塔倒れた。」問うた:「圓明了知して、何の故に心念に因らざる。」師は言った:「圓明了知。」僧は言った:「何の異か心念に。」師は言った:「あなたは何を喚んで心念と作す。」秋の夕べ閑坐して、偶たり頌を成して言った:「秋庭肅肅として風風𮨱𮨱たり、寒星空に列り蟾魄高し。頤を支えて靜坐すれば神勞せず、鳥窠端無く布毛を吹く。」

溫州瑞鹿寺本先禪師

溫州瑞鹿寺本先禪師

本州鄭氏子。參天台國師。導以非風幡動。仁者心動之語。師即悟解。爾後示徒曰。吾初學天台法門。語下便薦。然千日之內。四儀之中。似物礙膺。如讐同所。千日之後。一日之中。物不礙膺。讐不同所。當下安樂。頓覺前咎。乃述頌三首。一.非風幡動仁者心動。曰。非風幡動唯心動。自古相傳直至今。今後水雲人慾曉。祖師真是好知音。二.見色便見心。曰。若是見色便見心。人來問著方難答。更求道理說多般。孤負平生三事衲。三.明自己。曰。曠大劫來祇如是。如是同天亦同地。同地同天作麼形。作麼形兮無不是。師自爾足不歷城邑。手不度財貨。不設臥具。不衣繭絲。日唯一食。終日宴坐。申旦誨誘。踰三十載。其志彌厲。上堂。你諸人還見竹林蘭若.山水院舍人眾麼。若道見。則心外有法。若道不見。爭奈竹林蘭若.山水院舍人眾。現在摐然地。還會恁麼告示麼。若會。不妨靈利。無事莫立。上堂。大凡參學未必學。問話是參學未必學。揀話是參學未必學。代語是參學未必學。別語是參學未必學。捻破經論中奇特言語是參學。未必捻破祖師奇特言語是參學。若於如是等參學。任你七通八達。於佛法中儻無見處。喚作乾慧之徒。豈不聞古德道。聰明不敵生死。乾慧豈免苦輪。諸人若也參學。應須真實參學始得。行時行時參取。立時立時參取。坐時坐時參取。眠時眠時參取。語時語時參取。默時默時參取。一切作務時。一切作務時參取。既向如是等時參。且道參箇甚人。參箇甚麼語。到這裡。須自有箇明白處始得。若不如是。喚作造次之流。則無究了之旨。上堂。幽林鳥呌。碧㵎魚跳。雲片展張。瀑聲嗚咽。你等還知得如是多景象。示你等箇入處麼。若也知得。不妨參取好。上堂。天台教中說文殊.觀音.普賢三門。文殊門者一切色。觀音門者一切聲。普賢門者不動步而到。

本州鄭氏の子。天臺國師に參し、導くに是れ風幡動に非ず、仁者の心動の語を以てす。師は即ち悟解した。此の後徒に示して言った:「吾は初め天臺法門を學ぶ、語の下に便ち薦す。然るに千日の内、四儀の中、物に膺に碍ゆる似たり、仇と所を同じくするが如し。千日の後、一日の中に、物は膺に碍えず、仇は所を同じくせず。當下に安樂して、頓らく前の咎を覺えたり。」就ち頌三首を述べた。一、非風幡動仁者心動、説く:「風幡の動に非ず唯だ心動、自古相傳直に今に至る。今後の水雲の人曉らんと欲せば、祖師真に是れ好い知音。」二、色を見れば便ち心を見る、説く:「若し是れ色を見れば便ち心を見るならば、人來りて問い著けば方に答え難し。更に道理を求めて多般を説かば、平生の三事衲を孤負せん。」三、自己を明らかにす、説く:「曠大劫より來りて只だ是の如し、是の如く天と同じく亦た地と同じ。地と同じく天と同じくして作麼の形、作麼の形か無是れ有らず。」師は自ら爾より足は城邑を歷らず、手は財貨を度らず、臥具を設けず、繭絲を衣せず、日に唯だ一食、終日宴坐して、旦まで誨誘すこと、三十載を逾え、其の志彌々厲し。上堂:「あなたがたは還た竹林蘭若、山水院舍の人衆を見るか。若し見ると道わば、則ち心外に法有り。若し見ずと道わば、争奈竹林蘭若、山水院舍の人衆、現に摐然たるを。還た此の如く告示するを會するか。若し會せば、妨げず靈利。没事立つな。」上堂:「大凡參學は未だ必ずしも學ならず。問話は參學なれど未だ必ずしも學ならず。揀話は參學なれど未だ必ずしも學ならず。代語は參學なれど未だ必ずしも學ならず。別語は參學なれど未だ必ずしも學ならず。經論中の奇特の言語を捻破するは是れ參學。未だ必ずしも祖師の奇特の言語を捻破するは是れ參學ならず。若し是の如き等に參學せば、あなたの七通八達に任ずれども、佛法中に於て倘し見る處無ければ、喚んで乾慧の徒と作す。豈に聞かざらんや、古德が道う、聰明は生死に敵せず、乾慧は豈に苦輪を免れんや、と。諸人若し也た參學せば、應に須く真實に參學してこそ得ん。行く時は行く時に參取し、立つ時は立つ時に參取し、坐す時は坐す時に參取し、眠る時は眠る時に參取し、語る時は語る時に參取し、默する時は默する時に參取し、一切の作務の時は一切の作務の時に參取せよ。既に是の如き等の時に向かって參ず、且く道え箇の甚の人を參ず。箇の何の語を參ず。此の裏に到りて、須く自ら箇の明白の處有ってこそ得ん。若し是の如くならずんば、喚んで造次の流と作す、則ち究了の旨無し。」上堂:「幽林に鳥叫び、碧澗に魚跳る。雲片展張し、瀑聲嗚咽す。あなたがたは還た是の如き多き景象が、あなたがたに箇の入る處を示すを知るか。若し也た知らば、妨げず參取するが好し。」上堂:「天臺の教中に説く、文殊、觀音、普賢の三門。文殊門は一切の色。觀音門は一切の聲。普賢門は歩を動かさずして到ると。」

我道文殊門者不是一切色。觀音門者不是一切聲。普賢門者是箇甚麼。莫道別卻天台教說話。無事且退。上堂。舉僧問長沙。南泉遷化向甚麼處去。沙曰。東家作驢。西家作馬。僧曰。學人不會。沙曰。要騎便騎。要下即下。師曰。若是求出三界修行底人。聞這箇言語。不妨狐疑。不妨驚怕。南泉遷化向甚處去。東家作驢。西家作馬。或有會雲。千變萬化。不出真常。或有會雲。須會異類中行。始會得這箇言語。或有會雲。東家是南泉。西家是南泉。或有會雲。東家郎君子。西家郎君子。或有會雲。東家是甚麼。西家是甚麼。或有會雲。便作驢呌。又作馬嘶。或有會雲。喚甚麼作東家驢。喚甚麼作西家馬。或有會雲。既問遷化。答在問處。或有會雲。作露柱處去也。或有會雲。東家作驢。西家作馬。虧南泉甚處。如是諸家會也。總於佛法有安樂處。南泉遷化向甚處去。東家作驢。西家作馬。學人不會。要騎便騎。要下即下。這箇話不消得多道理而會。若見法界性去。也沒多事。珍重。上堂。鑑中形影。唯憑鑑光顯現。你等諸人所作一切事。且道唯憑箇甚麼顯現。還知得麼。若也知得。於參學中千足萬足。無事。莫立。上堂。你等諸人。夜間眠熟不知一切。既不知一切。且問你等那時有本來性。無本來性。若道那時有本來性。又不知一切。與死無異。若道那時無本來性。睡眠忽省。覺知如故。還會麼。不知一切與死無異。睡眠忽省覺知如故。如是等時。是箇甚麼。若也不會。各體究取。無事.莫立。上堂。諸法所生。唯心所現。如是言語。好箇入底門戶。且問你等諸人。眼見一切色。耳聞一切聲。鼻嗅一切香。舌了一切味。身觸一切耎滑。意分別一切諸法。祇如眼耳鼻舌身意所對之物。為復唯是你等心。為復非是你等心。若道唯是你等心。何不與你等身都作一塊了休。為甚麼所對之物。

(師は続けて言った:)「我が道う、文殊門は一切の色に非ず。觀音門は一切の聲に非ず。普賢門は箇の何か。別に天臺の教説話を却くと道うな。没事且く退け。」上堂。擧ぐ、僧が長沙に問う:「南泉遷化して何の處に向かって去る。」長沙が言った:「東家に驢を作し、西家に馬を作す。」僧は言った:「學人會せず。」長沙は言った:「騎らんと要すれば便ち騎り、下りんと要すれば即ち下れ。」師は言った:「若し是れ三界を出でんと求めて修行するの人、此箇の言語を聞かば、妨げず狐疑し、妨げず驚怕せん。南泉遷化して甚の處に向かって去る。東家に驢を作し、西家に馬を作す。或るに會して言わん、千變萬化も、真常を出でず、と。或るに會して言わん、須く異類中の行を會して、始めて此箇の言語を會得せん、と。或るに會して言わん、東家是れ南泉、西家是れ南泉、と。或るに會して言わん、東家の郎君子、西家の郎君子、と。或るに會して言わん、東家是れ何、西家是れ何、と。或るに會して言わん、便ち驢の叫びを作し、又た馬の嘶を作す、と。或るに會して言わん、何を喚んで東家の驢と作し、何を喚んで西家の馬と作す、と。或るに會して言わん、既に遷化を問う、答えは問う處に在り、と。或るに會して言わん、露柱の處を作して去りぬ、と。或るに會して言わん、東家に驢を作し、西家に馬を作す、南泉の甚の處を虧く、と。是の如き諸家の會、總に佛法に於て安樂の處有り。南泉遷化して甚の處に向かって去る、東家に驢を作し、西家に馬を作す。學人會せず。騎らんと要すれば便ち騎り、下りんと要すれば即ち下れ。此箇の話は多くの道理を消すること要せずして會す。若し法界の性を見て去れば、也た多事無し。珍重。」上堂:「鑑中の形影、唯だ鑑光に憑りて顯現す。あなたがた諸人の作す一切の事、且く道え唯だ箇の何に憑りて顯現する。還た知ることを得るか。若し也た知らば、參學中に於て千足萬足なり。没事。立つな。」上堂:「あなたがた諸人、夜間に眠り熟して一切を知らず。既に一切を知らず、且くあなたがたに問う、那の時本來性有るか、本來性無きか。若し那の時本來性有りと道わば、又た一切を知らず、死と異る無し。若し那の時本來性無しと道わば、睡眠忽ち省まり、覺知故の如し。還た會するか。一切を知らずして死と異る無し、睡眠忽ち省まりて覺知故の如し。是の如き等の時、是れ箇の何か。若しも會せざれば、各々體究取せよ。没事。立つな。」上堂:「諸法の生ずる所、唯心の現ずる所。是の如き言語、好い入るの門戶。且くあなたがた諸人に問う、眼は一切の色を見、耳は一切の聲を聞き、鼻は一切の香を嗅ぎ、舌は一切の味を了し、身は一切の軟滑に觸れ、意は一切の諸法を分別す。只だ眼耳鼻舌身意の對する所の物の如き、爲れ復た唯だ是れあなたがたの心か、爲れ復た是れあなたがたの心に非ずや。若し唯だ是れあなたがたの心と道わば、何ぞあなたがたの身と都て一塊を作して休せざる。何の故に對する所の物は、」

卻在你等眼耳鼻舌身意外。你等若道眼耳鼻舌身意所對之物非是你等心。又爭奈諸法所生。唯心所現。言語留在世間。何人不舉著。你等見這箇說話還會麼。若也不會。大家用心商量教會去。幸在其中。莫令厭學。無事且退。大中祥符元年二月。謂上足如晝曰。可造石龕。中秋望日。吾將順化。晝稟命即成。及期。遠近士庶奔趨瞻仰。是日參問如常。至午坐方丈。手結寶印。謂晝曰。古人云。騎虎頭。打虎尾。中央事。作麼生。晝曰。也祇是如晝。師曰。你問我。晝乃問。騎虎頭。打虎尾。中央事。和尚作麼生。師曰。我也弄不出。言訖奄然。開一目微視而逝。

(師は続けて言った:)「却ってあなたがたの眼耳鼻舌身意の外に在る。あなたがた若し眼耳鼻舌身意の對する所の物は是れあなたがたの心に非ずと道わば、又た争奈、諸法の生ずる所、唯心の現ずる所とするを。言語世間に留まりて、何人か擧著せざる。あなたがたは此箇の說話を見て還た會するか。若しも會せざれば、大家心を用いて商量して會を教うて去れ。幸に其の中に在り、學を厭わしむるな。没事且く退け。」大中祥符元年二月、上足の如晝に對して言った:「石龕を造るべし。中秋の望日、吾將に化に順わんとす。」如晝は命を稟けて即ち成した。期に及び、遠近の士庶は奔趨して瞻仰した。是の日參問は常の如し。午に至りて方丈に坐し、手に寶印を結び、如晝に對して言った:「古人説く、虎頭に騎り、虎尾を打つ。中央の事、作麼生。」如晝は言った:「也た只だ是れ如晝。」師は言った:「あなたは我に問え。」如晝は就ち問うた:「虎頭に騎り、虎尾を打つ。中央の事、和尚は作麼生。」師は言った:「我も亦た弄じ出ださず。」言い訖わりて奄然として、一目を開きて微かに視て逝った。

杭州興教洪壽禪師

杭州興教洪壽禪師

同國師普請次。聞墮薪有省。作偈曰。撲落非他物。縱橫不是塵。山河及大地。全露法王身。

國師と普請する時に同じくして、墮薪を聞きて省有り。偈を作して言った:「撲落は他の物に非ず、縱橫は是れ塵に非ず。山河及び大地、全く法王身を露す。」

蘇州承天永安道原禪師

蘇州承天永安道原禪師

僧問。如何是佛。師曰。咄。這旃陀羅。曰。學人初機。乞師方便。師曰。汝問甚麼。曰。問佛。師曰。咄。這旃陀羅。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「咄、此の旃陀羅。」僧は言った:「學人は初機、師の方便を乞う。」師は言った:「あなたは何を問う。」僧は言った:「佛を問う。」師は言った:「咄、此の旃陀羅。」

清涼欽禪師法嗣

淸涼欽禪師法嗣

洪州雲居道齊禪師

洪州雲居道齊禪師

本州金氏子。徧歷禪會。學心未息。後於上藍院主經藏。法燈一日謂師曰。有人問我西來意。答它曰。不東不西。藏主作麼生會。師對曰。不東不西。燈曰。與麼會又爭得。曰。道齊祇恁麼。未審和尚尊意如何。燈曰。他家自有兒孫在。師於是頓明厥旨。有頌曰。接物利生絕妙。外生終是不肖。他家自有兒孫。將來用得恰好。住後。僧問。如何是佛。師曰。汝是阿誰。問。荊棘林中無出路。請師方便為畬開。師曰。汝擬去甚麼處。曰。幾不到此。師曰。閑言語。問。不免輪回。不求解脫時如何。師曰。還曾問建山麼。曰。學人不會。乞師方便。師曰。放你三十棒。問。如何是三寶。師曰。汝是甚麼寶。曰。如何。師曰。土木瓦礫。師著語要搜玄.拈古代別等。盛行叢林。至道三年丁酉九月。示疾。鐘聲集眾。乃曰。老僧三處住持三十餘年。十方兄弟。相聚話道。主事頭首。勤心贊助。老僧今日火風相逼。特與諸人相見。諸人還見麼。今日若見是末後方便。諸人向甚麼處見。為向四大五陰處見。六入十二處見。這裡若見。可謂雲居山二十年間後學有賴。吾去後。山門大眾分付契瓌開堂住持。凡事勤而行之。各自努力。珍重。大眾才散。師歸西挾而逝。塔於本山。

本州金氏の子。遍く禪會を歷るも、學心未だ息まず。後來上藍院に於て經藏を主った。法燈が一天、師に對して言った:「人我に西來意を問う有りて、彼に答えて言う、東にも西にもあらず、と。藏主は作麼生に會する。」師は對して言った:「東にも西にもあらず。」法燈は言った:「此の如く會して又た争でか得せん。」師は言った:「道齊は只だ此の如し。未だ審かならず和尚の尊意は如何。」法燈は言った:「他家自ら兒孫在り。」師は是に於て頓らく厥の旨を明した。頌有りて言った:「物に接し生を利すること絕妙なり、外に生ずるは終に是れ不肖。他家自ら兒孫有り、將來用いて恰好を得ん。」住持して以後、僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「あなたは是れ阿誰。」問うた:「荆棘林の中に出路無し、師の方便を請うて為に畲開せ。」師は言った:「あなたは擬して何の處に去らんとする。」僧は言った:「幾ど此に到らず。」師は言った:「閑言語。」問うた:「輪回を免れず、解脱を求めざる時はいかに。」師は言った:「還た曾て建山に問うたか。」僧は言った:「學人會せず、師の方便を乞う。」師は言った:「あなたに三十棒を放つ。」問うた:「どうして三寶ですか。」師は言った:「あなたは何の寶か。」僧は言った:「如何。」師は言った:「土木瓦礫。」師は語要搜玄、拈古代別等を著して、叢林に盛行した。至道三年丁酉九月、疾を示した。鐘聲に衆集まれば、就ち言った:「老僧は三處に住持して三十餘年。十方の兄弟、相聚まりて道を話す。主事の頭首、勤心して贊助す。老僧は今日火風相逼う、特に諸人と相見す。諸人は還た見るか。今日若し見れば是れ末後の方便。諸人は何の處に向かって見る。爲に四大五陰の處に向かって見るか、六入十二處に見るか。此の裏若し見れば、謂うべし雲居山二十年の間後學に頼み有らんと。吾去らば後、山門の大衆は契瓌に分付して開堂住持せしめん。凡事勤めて之を行ぜ。各々自ら努力せよ。珍重。」大衆纔かに散ぜば、師は西挾に歸りて逝った。本山に塔す。

靈隱聳禪師法嗣

靈隱聳禪師法嗣

杭州功臣院道慈禪師

杭州功臣院道慈禪師

僧問。師登寶座。大眾鹹臻。便請舉揚宗教。師曰。大眾證明。曰。恁麼則亙古亙今也。師曰。也須領話。

僧が問うた:「師は寶座に登り、大衆咸く臻る。便ち宗教を擧揚せんことを請う。」師は言った:「大衆が證明す。」僧は言った:「そうすれば亘古亘今です。」師は言った:「也た須く話を領け。」

秀州羅漢院願昭禪師

秀州羅漢院願昭禪師

錢塘人也。上堂。山河大地是真善知識。時常說法。時時度人。不妨諸上座參取。僧問。羅漢家風。請師一句。師曰。嘉禾合穗。上國傳芳。曰。此猶是嘉禾家風。如何是羅漢家風。師曰。或到諸方。分明舉似。後住杭州香嚴寺。僧問。不立纖塵。請師直道。師曰。眾人笑汝。曰。如何領會。師曰。還我話頭來。

錢塘の人。上堂:「山河大地は真の善知識。時常に法を説き、時時に人を度す。妨げず諸位の上座は參取せよ。」僧が問うた:「羅漢の家風、師の一句を請う。」師は言った:「嘉禾穗を合し、上國に芳を傳う。」僧は言った:「此れ猶是れ嘉禾の家風。どうして羅漢の家風ですか。」師は言った:「或いは諸方に到らば、分明に擧似せよ。」後來杭州香嚴寺に住した。僧が問うた:「纖塵を立てず、師に直に道わんことを請う。」師は言った:「衆人あなたを笑う。」僧は言った:「如何に領會せん。」師は言った:「我が話頭を還せ。」

處州報恩院師智禪師

處州報恩院師智禪師

僧問。如何是和尚家風。師曰。誰人不見。問。如何是一相三昧。師曰。青黃赤白。曰。一相何在。師曰。汝卻靈利。問。祖祖相傳傳祖印。師今法嗣嗣何人。師曰。靈鷲峰前。月輪皎皎。

僧が問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「誰人か見ざる。」問うた:「どうして一相三昧ですか。」師は言った:「青黃赤白。」僧は言った:「一相何に在る。」師は言った:「あなたは却って靈利。」問うた:「祖祖相傳して祖印を傳う。師今法嗣は何人に嗣ぐ。」師は言った:「靈鷲峰の前、月輪皎皎。」

衢州瀫寧可先禪師

衢州瀫寧可先禪師

僧問。如何是瀫寧家風。師曰。謝指示。問。如何是西來意。師曰。怪老僧甚麼處。曰。學人不會。乞師方便。師曰。適來豈不是問西來意。

僧が問うた:「どうして瀫寧の家風ですか。」師は言った:「指示に謝す。」問うた:「どうして西來意ですか。」師は言った:「老僧を怪むは何の處か。」僧は言った:「學人會せず、師の方便を乞う。」師は言った:「適來は豈に是れ西來意を問うに非ずや。」

杭州光孝院道端禪師

杭州光孝院道端禪師

僧問。如何是佛。師曰。高聲問著。曰。莫即便是也無。師曰。沒交涉。後住靈隱。示滅。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「高き聲に問い著けよ。」僧は言った:「便ち是れならざるを莫し。」師は言った:「沒交涉。」後來靈隱に住して、示滅した。

杭州西山保清院遇寧禪師

杭州西山保淸院遇寧禪師

開堂陞座。有二僧一時禮拜。師曰。二人俱錯。僧擬進語。師便下座。

開堂して座に升る。二の僧有りて一時に礼拜した。師は言った:「二人俱に錯なり。」僧は擬して語を進めんとすれば、師は便ち座を下りた。

福州支提雍熈辯隆禪師

福州支提雍熈辯隆禪師

明州人也。上堂。巍巍實相。畐塞虗空。金剛之體。無有破壞。大眾還見不見。若言見也。且實相之體本非青黃赤白。長短方圓。亦非見聞覺知之法。且作麼生說箇見底道理。若言不見。又道巍巍實相。畐塞虗空。為甚麼不見。僧問。如何是向上一路。師曰。腳下底。曰。恁麼則尋常履踐。師曰。莫錯認。問。如何是堅密身。師曰。倮倮地。曰。恁麼則不密也。師曰。見箇甚麼。

明州の人。上堂:「巍巍たる實相、虛空に畐塞す。金剛の體、破壞有ること無し。大衆は還た見るや見ざるや。若し見たりと言わば、且つ實相の體は本より青黃赤白に非ず、長短方圓に非ず、亦た見聞覺知の法に非ず。且く作作麼生に箇の見るの道理を説く。若し見ずと言わば、又た道う巍巍たる實相、虛空に畐塞す。何の故に見ざる。」僧が問うた:「どうして向上の一路ですか。」師は言った:「脚下の。」僧は言った:「そうすれば尋常に履踐。」師は言った:「錯りて認むるな。」問うた:「どうして堅密身ですか。」師は言った:「裸裸たり。」僧は言った:「そうすれば密ならず。」師は言った:「箇の何を見る。」

杭州瑞龍院希圓禪師

杭州瑞龍院希圓禪師

僧問。如何是和尚家風。師曰。特謝闍黎借問。曰。借問則不無。家風作麼生。師曰。瞌睡漢。

僧が問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「特に闍黎の借問に謝す。」僧は言った:「借問は則ち無くは無し。家風は作麼生。」師は言った:「瞌睡の漢。」

歸宗柔禪師法嗣

歸宗柔禪師法嗣

南康軍羅漢行林祖印禪師

南康軍羅漢行林祖印禪師

僧問。天垂甘露。地湧七珍。是甚麼人分上事。師曰。謝汝相報。曰。恁麼則佛子住此地。即是佛受用去也。師曰。更須子細。上堂才坐。忽有貓兒跳上身。師提起示眾曰。昔日南泉親斬卻。今朝耶舍示玄徒。而今賣與諸禪客。文契分明要也無。良久。拋下貓兒。便下座。

僧が問うた:「天は甘露を垂れ、地は七珍を涌かす。是れ何人の分上の事か。」師は言った:「あなたの相報に謝す。」僧は言った:「そうすれば佛子が此の地に住すれば、即ち是れ佛の受用に去りました。」師は言った:「更に須く子細なるべし。」上堂して纔かに坐せば、忽ち猫兒有りて身に跳び上がった。師は提げ起して衆に示して言った:「昔日南泉は親く斬り却し、今朝耶舍は玄徒に示す。而今は諸の禪客に賣與す、文契分明に要るか無しや。」久しく過ぎて、猫兒を抛下して、便ち座を下りた。

明州天童新禪師

明州天童新禪師

僧問。如何是密作用。師曰。何曾密。問。心徑未通時如何。師曰。甚麼物礙汝。問。求之不得時如何。師曰。用求作麼。曰。如何即是。師曰。何曾失卻。問。如何是天童境。師曰。雲無人種生何極。水有誰教去不回。

僧が問うた:「どうして密の作用ですか。」師は言った:「何曾て密あらん。」問うた:「心徑未だ通通ぜざる時はいかに。」師は言った:「何の物かあなたを碍ぐ。」問うた:「之を求めて得ざる時はいかに。」師は言った:「求を用いて作麼。」僧は言った:「如何にか即是。」師は言った:「何曾て失却せん。」問うた:「どうして天童の境ですか。」師は言った:「雲に人種せる無し、生ずるは何れの極か、水に教ふる誰有らん、去りて回らず。」

杭州功臣覺軻心印禪師

杭州功臣覺軻心印禪師

僧問。祖師不在東西山。未審在甚麼處。師曰。且討。問。如何是天真佛。師曰。爭敢裝點。

僧が問うた:「祖師は東西山に在らず、未だ審かならず何の處に在るか。」師は言った:「且く討れ。」問うた:「どうして天真佛ですか。」師は言った:「争でか敢えて裝點せん。」

明州天童清簡禪師

明州天童淸簡禪師

錢塘張氏子。師為事孤潔。時謂之簡浙客。僧問。如何是祖師西來意。師曰。不欲向汝道。曰。請和尚道。師曰。達磨不可再來也。師晚居雪竇而終。塔於寺之東南隅。

錢塘張氏の子。師は事を為すこと孤潔にして、當時簡浙客と稱す。僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「あなたに向かって道わんと欲せず。」僧は言った:「和尚に道わんことを請う。」師は言った:「達磨は再び來るべからず。」師は晚く雪竇に居りて終わった。寺の東南隅に塔す。

百丈恆禪師法嗣

百丈恒禪師法嗣

廬山棲賢澄湜禪師

廬山棲賢澄湜禪師

僧問。趙州石橋。度驢度馬。三峽石橋。當度何人。師曰。蝦蟇蚯蚓。曰。恁麼則物物盡霑恩。師曰。踏不著。問。仙洞昨朝師罷唱。棲賢今日請師宣。師曰。來日又作麼生。曰。未審如何領會。師曰。箭過新羅。問。如何是佛。師曰。張三李四。問。古人斬蛇意旨如何。師曰。猶未知痛癢。問。此是選佛場。心空及第歸。學人如何得及第歸。師曰。不才謹退。晚參眾集。師曰。早晨不與諸人相見。今晚不可無言。便下座。問。毗目仙人執善財手。見微塵諸佛。祇如未執手時。見箇甚麼。師曰。如今又見箇甚麼。上堂。良久曰。幸好一盤飯。不可糝椒薑。雖然如此。試唼噉看。便下座。

僧が問うた:「趙州の石橋は、驢を度し馬を度す。三峽の石橋は、當に何人を度すべきか。」師は言った:「蝦蟆蚯蚓。」僧は言った:「そうすれば物物盡く恩に沾る。」師は言った:「踏み著かず。」問うた:「仙洞は昨朝師が唱を罷む。棲賢は今日師に宣べんことを請う。」師は言った:「來日は又た作麼生。」僧は言った:「未だ審かならず如何に領會せん。」師は言った:「箭は新羅を過ぐ。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「張三李四。」問うた:「古人が蛇を斬りし意旨は如何。」師は言った:「猶未だ痛痒を知らず。」問うた:「此れ是れ選佛場、心空にして及第歸。學人如何にか及第歸を得ん。」師は言った:「不才、謹み退く。」晚參に衆集まれば、師は言った:「早晨諸人と相見せず、今晚は言無かるべからず。」便ち座を下りた。問うた:「毗目仙人が善財の手を執りて、微塵の諸佛を見る。只だ未だ手を執らざる時は、箇の何を見る。」師は言った:「如今又た箇の何を見る。」上堂。久しく過ぎて言った:「幸い一盤の飯、椒姜を糁すべからず。然りと雖も此の如しと雖も、試しに唼噉して看よ。」便ち座を下りた。

蘇州萬壽德興禪師

蘇州萬壽德興禪師

僧問。如何是佛。師曰。大眾一時瞻仰。問。如何是和尚為人一句。師曰。汝且自為。乃曰。問答俱備。其誰得意。若向他求。還成特地。老僧久處深山。比為藏拙。何期今日入到萬壽門下。可謂藏之不得。既藏不得。分明露現。未審諸人。阿誰先見。如有見處。出來對眾吐露箇消息。良久曰。久立。珍重。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「大衆一時に瞻仰す。」問うた:「どうして和尚が人に為る一句ですか。」師は言った:「あなたは且く自ら為れ。」そこで言った:「問答俱に備わる、其れ誰か意を得る。若し他に向かって求めば、還た特地を成さん。老僧は久しく深山に處り、比して拙を藏せんが為。何期今日萬壽の門下に入り到らんとは、謂うべし之を藏るを得ずと。既に藏るを得ざれば、分明に露現す。未だ審かならず諸人、阿誰か先に見る。如し見る處有らば、出でて來りて衆に對して箇の消息を吐露せよ。」久しく過ぎて言った:「久立。珍重。」

越州雲門雍熈永禪師

越州雲門雍熈永禪師

僧問。師子未出窟時如何。師曰。且莫哮吼。曰。出窟後如何。師曰。退後著。問。如何是古佛徑跡。師曰。誰不履踐。問。如何是學人休心息意處。師曰。拗折拄杖得也未。問。心王出勑時如何。師曰。更宣一徧看。問。如何是決定義。師曰。不可執著。問。如何是佛法大意。師曰。此意不小。

僧が問うた:「獅子未だ窟を出でざる時はいかに。」師は言った:「且く哮吼するな。」僧は言った:「窟を出でた後はいかに。」師は言った:「後へ退け著け。」問うた:「どうして古佛の徑跡ですか。」師は言った:「誰か履踐せざる。」問うた:「どうして學人の心を休め意を息むる處ですか。」師は言った:「拄杖を拗折することを得たか未や。」問うた:「心王が敕を出す時はいかに。」師は言った:「更に一遍を宣して看よ。」問うた:「どうして決定の義ですか。」師は言った:「執著すべからず。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「此の意小ならず。」

永明潛禪師法嗣

永明潛禪師法嗣

杭州千光王寺瓌省禪師

杭州千光王寺瓌省禪師

溫州鄭氏子。幼歲出家。精究律部。聽天台文句。棲心於圓頓止觀。後閱楞嚴。文理宏濬。未能洞曉。一夕誦經既久。就案假寐。夢中見日輪自空而降。開口吞之。自是倐然發悟。差別義門。渙然無滯。後參永明。永明唯印前解。無別指喻。以忠懿王所遺衲衣授之表信。住後。上堂。諸上座。佛法無事。昔之日月。今之日月。昔日風雨。今日風雨。昔日上座。今日上座。舉亦了。說亦了。一切成現好。珍重。開寶五年七月。寶樹浴池。忽現其前。師曰。凡所有相。皆是虗妄。越三日示疾。集眾言別。安坐而逝。闍維收舍利建塔。

溫州鄭氏の子。幼歲に出家し、律部を精究し、天臺の文句を聽き、圓頓の止觀に心を棲めた。後に楞嚴を閲するに、文理宏濬にして、未だ洞曉すること能わず。一夕經を誦する既に久しく、案に就りて假寐す。夢に日輪の自ら空より降るを見て、口を開きて之を吞んだ。自是倏然として悟を發し、差別の義門、渙然として滯り無し。後に永明に參した。永明は唯だ前解を印すのみ、別に指喻無し。忠懿王の遺す所の衲衣を以て之に授けて信を表した。住持して以後上堂:「諸位の上座、佛法は没事。昔の日月、今の日月。昔日の風雨、今日の風雨。昔日の上座、今日の上座。擧ぐるも亦た了り、説くも亦た了り。一切成現して好し。珍重。」開寶五年七月、寶樹と浴池と、忽ち其の前に現ず。師は言った:「凡そ所有の相、皆な是れ虛妄。」三日過ぎて疾を示し、衆を集めて言別し、安坐して逝った。阇維して舍利を收めて塔を建てた。

衢州鎮境志澄禪師

衢州鎮境志澄禪師

僧問。如何是定乾坤底劒。師曰。不漏絲髮。曰。用者如何。師曰。不知。因普請次。僧問。鉏頭損傷蝦蟇蚯蚓。還有罪也無。師曰。阿誰下手。曰。恁麼則無罪過。師曰。因果歷然。

僧が問うた:「どうして乾坤を定むるの劍ですか。」師は言った:「絲髮を漏らさず。」僧は言った:「用うる者は如何。」師は言った:「知らず。」普請する時に因りて、僧が問うた:「鋤頭が蝦蟆蚯蚓を損傷す、還た罪有るか無しや。」師は言った:「阿誰が手を下す。」僧は言った:「そうすれば罪過無し。」師は言った:「因果歷然。」

明州崇福院慶祥禪師

明州崇福院慶祥禪師

上堂。諸禪德。見性周徧。聞性亦然。洞徹十方。無內無外。所以古人道。隨緣無作。動寂常真。如此施為。全真智用。僧問。如何是本來人。師曰。堂堂六尺甚分明。曰。祇如本來人。還依如此相貌也無。師曰。汝喚甚麼作本來人。曰。乞師方便。師曰。教誰方便。

上堂:「諸の禪德、見性は周遍し、聞性も亦た然り。十方を洞徹して、内無く外無し。だから古人説く、緣に隨って作なく、動寂常に真なり、と。此の如く施爲すれば、全真の智用。」僧が問うた:「どうして本來人ですか。」師は言った:「堂堂たる六尺甚だ分明。」僧は言った:「只だ本來人の如き、還た此の如き相貌に依るか無しや。」師は言った:「あなたは何を喚んで本來人と作す。」僧は言った:「師の方便を乞う。」師は言った:「誰を教へて方便せん。」

報恩明禪師法嗣

報恩明禪師法嗣

福州保明院道誠通法禪師

福州保明院道誠通法禪師

上堂。如為一人。眾多亦然。珍重。僧問。圓音普震。三等齊聞。竺土僊心。請師密付。師良久。僧曰。恁麼則意馬已成於寶馬。心牛頓作於白牛去也。師曰。七顛八倒。曰。若然者幾招哂笑。師曰。禮拜了退。問。如何是和尚西來意。師曰。我不曾到西天。曰。如何是學人西來意。師曰。汝在東土多少時。

上堂:「一人の爲にするが如くば、衆多も亦然り。珍重。」僧が問うた:「圓音普く震して、三等齊しく聞く。竺土の仙心、師に密かに付せんことを請う。」師は久しく過ぎた。僧は言った:「そうすれば意馬已に寶馬を成し、心牛頓らく白牛を作して去りました。」師は言った:「七顛八倒。」僧は言った:「若し然らば幾ど哂笑を招かん。」師は言った:「礼拜して退け。」問うた:「どうして和尚の西來意ですか。」師は言った:「我は曾て西天に到らず。」僧は言った:「どうして學人の西來意ですか。」師は言った:「あなたは東土に在りて多少の時か。」

報慈言導師法嗣

報慈言導師法嗣

南康軍雲居義能禪師

南康軍雲居義能禪師

上堂。不用上來。堂中憍陳如上座為諸上座轉第一義法輪。還得麼。若信得及。各自歸堂參取。下座後卻問一僧。祇如山僧適來教上座參取聖僧。聖僧還道箇甚麼。僧曰。特謝和尚再舉。問。如何是佛。師曰。即心是佛。曰。學人不會。乞師方便。師曰。方便呼為佛。迴光返照看。身心是何物。

上堂:「上りて來るを用いず。堂中の憍陳如上座が諸位の上座の爲に第一義法輪を轉す。還た得るか。若し信じ及ばば、各々自ら堂に歸りて參取せよ。」座を下りて後、却って一の僧に問うた:「只だ山僧が適來上座を教へて聖僧を參取せしむるが如き、聖僧は還た箇の何を道う。」僧は言った:「特に和尚の再擧に謝す。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「即心是佛。」僧は言った:「學人會せず、師の方便を乞う。」師は言った:「方便に佛と呼べば、回光返照して看よ。身心は是れ何物。」

崇壽稠禪師法嗣

崇壽稠禪師法嗣

泉州雲臺山令岑禪師

泉州雲臺山令岑禪師

僧問。如何是雲臺境。師曰。前山後山。曰。如何是境中人。師曰。瞌睡漢。

僧が問うた:「どうして雲臺の境ですか。」師は言った:「前山後山。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「瞌睡の漢。」

杭州資國圓進山主

杭州資國圓進山主

僧問。丹霞燒木佛。意旨如何。師曰。招因帶果。問。庭前栢樹子。意旨如何。師曰。碧眼胡僧笑點頭。問。古人道。東家作驢。西家作馬。意旨如何。師曰。相識滿天下。

僧が問うた:「丹霞が木佛を燒きし意旨は如何。」師は言った:「因を招き果を帶ぶ。」問うた:「庭前の柏樹子、意旨は如何。」師は言った:「碧眼の胡僧笑みて頭を點ず。」問うた:「古人説く、東家に驢を作し、西家に馬を作す、と。意旨は如何。」師は言った:「相識は天下に滿つ。」

報恩安禪師法嗣

報恩安禪師法嗣

廬山棲賢道堅禪師

廬山棲賢道堅禪師

有官人問。某甲收金陵。布陣殺人無數。還有罪也無。師曰。老僧祇管看。問。如何是祖師西來意。師曰。洋瀾左蠡。無風浪起。

官人有りて問うた:「某甲は金陵を收め、陣を布いて人を殺すこと無數、還た罪有るか無しや。」師は言った:「老僧は只だ看るを管す。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「洋瀾左蠡、風浪無きに浪起こる。」

廬山歸宗慧誠禪師

廬山歸宗慧誠禪師

楊州人也。開堂日。於法堂前謂眾曰。天人得道。以此為證。恁麼便散去。已是周遮。其如未曉。即為重說。遂陞座。僧問。知郡臨筵。請師演法。師曰。我不及汝。問。如何是佛。師曰。如何不是。問。如何是祖師西來意。師曰。不知。乃曰。問話且住。直饒問到窮劫。問也不著。答到窮劫。答也不及。何以故。祇為諸人各有本分事。圓滿十方。亙古亙今。乃至諸佛也不敢錯悞諸人。便謂之頂族。祇是助發上座。所以道。十方法界諸有情。念念以證善逝果。彼既丈夫我亦爾。何得自輕而退屈。諸上座。不要退屈。信取便休。祖師西來。祇道見性成佛。其餘所說。不及此說。更有箇奇特方便。舉似諸人。良久曰。分明記取。若到諸方。不得錯舉。久立。珍重。僧問。不通風處如何過得。師曰。汝從甚麼處來。僧舉南泉問鄧隱峰曰。銅缾是境。缾中有水。不得動著境。與老僧將水來。峰便拈缾瀉水。未審此意如何。師曰。鄧隱峰甚奇怪。要且亂瀉。

揚州の人。開堂の那の日、法堂の前に於て衆に對して言った:「天人は道を得て、此を以て證と爲す。此の如く便ち散去せば、已に是れ周遮。其の未だ曉らざるが如きは、即ち爲に重ねて説かん。」そこで座に升った。僧が問うた:「知郡が筵に臨む、師に法を演べんことを請う。」師は言った:「我はあなたに及ばず。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「如何にか是れに非ざる。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「知らず。」そこで言った:「問話は且く住せ。直饒劫を窮めるまで問うとも、問いも著かず。劫を窮めるまで答うるとも、答えも及ばず。何以故。只だ諸人が各々本分の事有るが爲、十方に圓滿し、亘古亘今。乃至諸佛も諸人を錯誤すること敢えてせず、便ち之を頂族と謂う。只だ上座を助發するのみ。だから道う、十方法界の諸の有情、念念以て善逝の果を證す。彼既に丈夫なれば我も亦た爾り、何ぞ自ら輕んじて退屈せんや、と。諸位の上座、退屈する要らず。信取せば便ち休まん。祖師西來して、只だ性を見て佛を成すと道う。其の餘の説く所、此の説に及ばず。更に箇の奇特の方便有り、諸人に擧似せん。」久しく過ぎて言った:「分明に記取せよ。若し諸方に到らば、錯擧するを得ず。久立。珍重。」僧が問うた:「風を通通ぜざる處如何にか過ることを得ん。」師は言った:「あなたは何の處より來る。」僧が擧げた、南泉が鄧隱峰に問うて言った:「銅瓶は是れ境。瓶中に水有り。境を動著すること得ざりて、老僧に與えて水を將來せ。」隱峰は便ち瓶を拈じて水を泻げた。未だ審かならず此の意は如何。師は言った:「鄧隱峰は甚だ奇怪、要に且く亂泻せり。」

長安規禪師法嗣

長安規禪師法嗣

廬州長安院辯實禪師

廬州長安院辯實禪師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。少室靈峰住九霄。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「少室の靈峰九霄に住す。」

潭州雲蓋用清禪師

潭州雲蓋用淸禪師

河州趙氏子。僧問。有一人在萬丈井底。如何出得。師曰。且喜得相見。曰。恁麼則穿雲透月去也。師曰。三十三天事。作麼生。僧無對。師曰。謾語作麼。問。如何是雲葢境。師曰。門外三泉井。曰。如何是境中人。師曰。童行仔子。有頌示眾曰。雲葢鎻口訣。擬議皆腦裂。拍手趂虗空。雲露西山月。僧問。如何是鎻口訣。師曰。徧天徧地。曰。恁麼則石人點頭。露柱拍手去也。師曰。一缾淨水一爐香。曰。此猶是井底蝦蟇。師曰。勞煩大眾。師常節飲食。隨眾二時。但展缽而已。或逾年月。亦不調練服餌。無妨作務。有請必開。即便飽食而亡拘執。至道二年四月二日。示疾而逝。

河州趙氏の子。僧が問うた:「一人在りて萬丈の井底に在り、如何にか出づることを得ん。」師は言った:「且く相見ることを得たるを喜べ。」僧は言った:「そうすれば雲を穿ち月を透って去りました。」師は言った:「三十三天の事、作麼生。」僧は對無し。師は言った:「謾語して作麼。」問うた:「どうして雲蓋の境ですか。」師は言った:「門外の三泉井。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「童行の仔子。」頌有りて衆に示して言った:「雲蓋の鎖口訣、擬議する皆な腦裂す。拍手して虛空に趁わせ、雲露は西山の月。」僧が問うた:「どうして鎖口訣ですか。」師は言った:「天を遍め地を遍め。」僧は言った:「そうすれば石人は頭を點じ、露柱は拍手して去りました。」師は言った:「一瓶の淨水一爐の香。」僧は言った:「此れ猶是れ井底の蝦蟆。」師は言った:「大衆に勞煩す。」師は常に飲食を節し、衆に隨って二時に、但だ鉢を展ぶのみ。或いは年月を逾ゆるも、亦た調練服餌せず、作務を妨げず。請有れば必ず開き、即便ち飽食して亡く拘執せず。至道二年四月二日、疾を示して逝った。

雲居錫禪師法嗣

雲居錫禪師法嗣

台州般若從進禪師

臺州般若從進禪師

僧問。古㵎寒泉時如何。師曰。切忌飲著。曰。飲著又如何。師曰。喪卻汝性命。

僧が問うた:「古澗の寒泉の時はいかに。」師は言った:「切に飲み著くを忌む。」僧は言った:「飲み著けば又た如何。」師は言った:「あなたの性命を喪し却す。」

越州清化志超禪師

越州淸化志超禪師

僧問。如何是佛。師曰。汝是甚麼人。曰。莫便是也無。師曰。是即沒交涉。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「あなたは何人か。」僧は言った:「便ち是れならざるを莫し。」師は言った:「是なれば沒交涉。」

青原下十一世

靑原下十一世

長壽彥禪師法嗣

長壽彦禪師法嗣

蘇州長壽法齊禪師

蘇州長壽法齊禪師

婺州人。始講明門。因明二論。尋置遊方。受心印於廣法禪師。節使錢仁奉禮。請繼廣法住持。開堂日。有百法座主問。令公請命。四眾雲臻。向上宗乘。請師舉唱。師曰。百法明門論。曰。畢竟作麼生。師曰。一切法無我。問。城東老母與佛同生。為甚麼卻不見佛。師曰。不見即道。曰。恁麼則見去也。師曰。城東老母與佛同生。

婺州の人。始め明門、因明の二論を講じた。尋ぎて置いて方を遊んで、廣法禪師に心印を受けた。節使の錢仁が禮を奉り、請うて廣法に繼いで住持せしめた。開堂の那の日、百法座主有りて問うた:「令公請命して、四衆雲臻す。向上の宗乘、師に擧唱せんことを請う。」師は言った:「百法明門論。」僧は言った:「畢竟に作麼生。」師は言った:「一切法は我無し。」問うた:「城東の老母は佛と生を同じくせり、何の故に却って佛を見ざる。」師は言った:「見ざれば即ち道う。」僧は言った:「そうすれば見るに去りました。」師は言った:「城東の老母は佛と生を同じくせり。」

雲居齊禪師法嗣

雲居齊禪師法嗣

南康雲居契瓌禪師

南康雲居契瓌禪師

僧問。路逢死蛇莫打殺。無底籃子盛將歸。未審師還受也無。師曰。你甚麼處得來。曰。恁麼則不虗施也。師曰。卻且提取去。問。如何是佛。師曰。讚歎不及。曰。莫祇這箇便是麼。師曰。不令人讚歎。

僧が問うた:「路に死蛇に逢えば打殺すな、底無き籃子に盛り將りて歸れ。未だ審かならず師は還た受けるか無しや。」師は言った:「あなたは何の處より得て來りし。」僧は言った:「そうすれば虛施ならず。」師は言った:「却って且く提げ取りて去れ。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「讚歎は及ばず。」僧は言った:「只だ此箇は便ち是れならざるを莫し。」師は言った:「人をして讚歎せしめず。」

杭州靈隱文勝慈濟禪師

杭州靈隱文勝慈濟禪師

僧問。古鑑未磨時如何。師曰。古鑑。曰。磨後如何。師曰。古鑑。曰。未審分不分。師曰。更照看。問。如何是和尚家風。師曰。莫訝荒疎。曰。忽遇客來作麼生。師曰。吃茶去。

僧が問うた:「古鑑未だ磨かざる時はいかに。」師は言った:「古鑑。」僧は言った:「磨いた後はいかに。」師は言った:「古鑑。」僧は言った:「未だ審かならず分かれるや分かれざるや。」師は言った:「更に照看せよ。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「荒疏を訝しむな。」僧は言った:「忽ち客に遇い來らば作麼生。」師は言った:「茶を喫して去れ。」

明州瑞巖義海禪師

明州瑞岩義海禪師

霅川人也。造雲居法席。居問。甚麼物恁麼來。師於言下大悟。遂有頌曰。雲居甚麼物。問著頭恍惚。直下便承當。猶是生埋沒。出世住報本。僧問。如何是祖師西來意。師曰。若到諸方。但道報本不解答話。問。如何是和尚家風。師曰。無忌諱。曰。忽遇觸忤。又且如何。師曰。不解作客。勞煩主人。問。釋迦掩室於摩竭。淨名杜口於毗耶。未審如何示眾。師曰。汝不欲我開談。曰。未曉師機。師曰。且退。問。如何是無位真人。師曰。這裡無安排你處。

霅川の人。雲居の法席に造る。雲居が問うた:「何物か此の如く來る。」師は言下に大いに悟りて、就ち頌有りて言った:「雲居の何物か、問い著けば頭は恍惚。直下に便ち承當せば、猶是れ生まれて埋没せり。」出世して報本に住した。僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「若し諸方に到らば、但だ報本は答話を解せずと道え。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「忌諱無し。」僧は言った:「忽ち觸忤に遇えば、又た且く如何。」師は言った:「客を作すを解せず、主人に勞煩せしむ。」問うた:「釋迦は摩竭に於て室を掩い、淨名は毗耶に於て口を杜げたり。未だ審かならず如何に衆に示す。」師は言った:「あなたは我に談を開かせんことを欲せず。」僧は言った:「未だ師の機を曉らず。」師は言った:「且く退け。」問うた:「どうして無位の真人ですか。」師は言った:「此の裡にあなたを安排する處無し。」

明州廣慧志全禪師

明州廣慧志全禪師

上堂。僧問。如何是衲僧本分事。師曰。你莫鈍置我。僧禮拜。師曰。卻是大眾鈍置闍黎。便下座。問。賊不打貧兒家時如何。師曰。說向人也不信。僧曰。恁麼則禮拜而退。師曰。得箇甚麼。

上堂。僧が問うた:「どうして衲僧の本分事ですか。」師は言った:「あなたは我を鈍置するな。」僧は礼拜した。師は言った:「却って是れ大衆が闍黎を鈍置する。」便ち座を下りた。問うた:「賊は貧兒の家を打たざる時はいかに。」師は言った:「人に向かって説くも亦た信ぜず。」僧は言った:「そうすれば礼拜して退きます。」師は言った:「箇の何を得た。」

明州大梅保福居煦禪師

明州大梅保福居煦禪師

僧問。古人面壁。意旨如何。師曰。但恁麼會。曰。未審如何領會。師曰。禮拜著。

僧が問うた:「古人の面壁、意旨如何。」師は言った:「但だ此の如く會せ。」僧は言った:「未だ審かならず如何に領會せん。」師は言った:「礼拜著けよ。」

處州南明惟宿禪師

處州南明惟宿禪師

僧問。法法不隱藏。古今常顯露。如何是顯露底法。師曰。見示大眾。曰。恁麼則學人謹退也。師曰。知過必改。

僧が問うた:「法法は隱藏せず、古今常に顯露す。どうして顯露の法ですか。」師は言った:「大衆に示して見よ。」僧は言った:「そうすれば學人謹み退きました。」師は言った:「過を知れば必ず改めよ。」

荊門軍清溪清禪師

荊門軍淸溪淸禪師

僧問。古路坦然。如何履踐。曰。你是行腳僧。

僧が問うた:「古路坦然たり、如何に履踐せん。」師は言った:「あなたは是れ行脚僧。」

支提隆禪師法嗣

支提隆禪師法嗣

杭州靈隱玄本禪師

杭州靈隱玄本禪師

僧問。蚌含未剖時如何。師曰。光從何來。問。臨濟入門便喝。德山入門便棒。此意如何。師曰。天晴不肯去。師見僧看經。乃問。看甚麼經。僧無語。乃示頌曰。看經不識經。徒勞損眼睛。欲得不損眼。分明識取經。

僧が問うた:「蚌含は未だ剖かざる時はいかに。」師は言った:「光は何より來る。」問うた:「臨濟は門に入れば便ち喝し、德山は門に入れば便ち棒とす。此の意は如何。」師は言った:「天晴れば去るを肯ぜず。」師は僧の經を看るを見て、就ち問うた:「何の經を看る。」僧は語無し。就ち頌を示して言った:「經を看るも經を識らず、徒らに眼睛を損す。眼を損せざらんと欲せば、分明に經を識取せよ。」

羅漢林禪師法嗣

羅漢林禪師法嗣

臨江軍慧力院紹珍禪師

臨江軍慧力院紹珍禪師

僧問。金鷄未鳴時如何。師曰。是何時節。曰。鳴後如何。師曰。卻不知時。問。師子未出窟時如何。師曰。在那裡。曰。出窟後如何。師曰。且走。

僧が問うた:「金鷄未だ鳴かざる時はいかに。」師は言った:「是れ何の時節か。」僧は言った:「鳴いた後はいかに。」師は言った:「却って時を知らず。」問うた:「獅子未だ窟を出でざる時はいかに。」師は言った:「那の裡に在り。」僧は言った:「窟を出でた後はいかに。」師は言った:「且く走れ。」

洪州大寧院慶𤧚禪師

洪州大寧院慶𤧚禪師

僧問。道泰不傳天子令。時人盡唱太平歌。未審師今意旨如何。師曰。山僧罪過。問。如何是佛。師曰。須彌山。上堂。生死涅槃。猶如昨夢。且道三世諸佛。釋迦老子有甚麼長處。雖然如是。莫錯會好。拍手一下。便下座。問。承古有言。東山西嶺青。未審意旨如何。師曰。東山西嶺青。雨下卻天晴。更問箇中意。鵓鳩生鷂鷹。

僧が問うた:「道泰にして天子の令を傳えず、時人盡く太平歌を唱う。未だ審かならず師の今の意旨は如何。」師は言った:「山僧罪過。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「須彌山。」上堂:「生死涅槃は、猶お昨夢のごとし。且く道え、三世の諸佛、釋迦老子に何の長處有るか。然りと雖も是の如しと雖も、錯會するな好し。」手を拍つこと一下、便ち座を下りた。問うた:「古に言有りと承る、東山西嶺は青なり、と。未だ審かならず意旨は如何。」師は言った:「東山西嶺は青なり、雨下りて却って天晴る。更に箇中の意を問わば、鵓鳩は鷂鷹を生ず。」

功臣軻禪師法嗣

功臣軻禪師法嗣

蘇州堯峰顥暹禪師

蘇州堯峰顥暹禪師

僧問。學人乍入叢林。乞師一接。師曰。去。問。承教有言。是法平等。無有高下。如何是平等法。師曰。堯峰高。寶華低。曰。恁麼則卻成高下去也。師曰。情知你恁麼會。聞雷聲。示眾曰。還聞雷聲麼。還知起處麼。若知起處。便知身命落處。若也不知。所以古人道。不知天地者。剛道有乾坤。不如吃茶去。問。如何是道。師曰。夕死可矣。問。如何是金剛力士。師曰。這裡用不著。問。亡僧遷化向甚麼處去也。師曰。蒼天。蒼天。乃曰。祇如末後僧問。亡僧遷化向甚麼處去也。山僧向他道。蒼天。蒼天。且道意落在甚麼處。莫是悲傷遷逝。痛憶道人麼。若乃恁麼評論。實謂罔知去處。要知去處麼。更不用久立。歇去。上堂。冬去春來。樓閣門開。若也入得。不用徘徊。諸上座。還向這裡入得也未。若也入得。所以古人道。是處是彌勒。無門無善財。若也入之未得。自是諸上座狂走。更不忉忉。久立珍重。

僧が問うた:「學人乍ち叢林に入る、師の一接を乞う。」師は言った:「去れ。」問うた:「教に言有りと承る、是の法平等にして、高下有ること無し、と。どうして平等法ですか。」師は言った:「堯峰は高く、寶華は低し。」僧は言った:「そうすれば却って高下を成しました。」師は言った:「情に知る、あなたが此の如く會するを。」雷聲を聞きて、衆に示して言った:「還た雷聲を聞くか。還た起こる處を知るか。若し起こる處を知らば、便ち身命の落ちる處を知る。若しも知らざれば、だから古人説く、天地を知らざる者、剛に道う乾坤有りと。茶を喫して去るに如かず、と。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「夕べに死するも可なり。」問うた:「どうして金剛の力士ですか。」師は言った:「此の裡に著き用いる處無し。」問うた:「亡僧は遷化して何の處に向かって去った。」師は言った:「蒼天、蒼天。」そこで言った:「只だ末後の僧が問うが如き、亡僧遷化して何の處に向かって去った、山僧は彼に向かって説く、蒼天、蒼天、と。且く道え、意は何の處に落つる。莫れ是れ遷逝を悲傷し、道人を痛憶するか。若し乃ち此の如く評論せば、實に謂う處去を罔知すと。處去を知らんと要するか。更に久立を用いず。歇して去れ。」上堂:「冬去り春來る、樓閣門開く。若し也た入るを得ば、徘徊するを用いず。諸位の上座、還た此の裡に向かって入ることを得たか未や。若し也た入ることを得ば、だから古人説く、是の處是れ彌勒、門無く善財無し、と。若し也た之に入るを得ざれば、自ずから是れ諸位の上座の狂走。更に忉忉せず。久立。珍重。」

蘇州吳江聖壽志昇禪師

蘇州吳江聖壽志升禪師

上堂。若論佛法。更有甚麼事。所以道古今山河。古今日月。古今人倫。古今城郭。喚作平等法門。絕前後際。諸人還信得及麼。若信得及。依而行之。久立。珍重。

上堂:「若し佛法を論ずれば、更に何の事か有る。だから道う、古今の山河、古今の日月、古今の人倫、古今の城郭、と。喚んで平等の法門、前後際を絶つ、と作す。諸人は還た信じ及ぶか。若し信じ及ばば、依りて之を行ぜ。久立。珍重。」

杭州功臣開化守如禪師

杭州功臣開化守如禪師

上堂。召大眾曰。還知道聖僧同諸人到這裡麼。既勞尊降。焉敢稽留。久立。珍重。

上堂、大衆を召して言った:「還た道聖僧が諸人と此の裏に到るを知るか。既に尊降を勞す、焉んぞ敢えて稽留せん。久立。珍重。」

棲賢湜禪師法嗣

棲賢湜禪師法嗣

杭州南山興教院惟一禪師

杭州南山興教院惟一禪師

僧問。佛未出世時如何。師曰。白雲數重。曰。出世後如何。師曰。青山一朵。問。如何是道。師曰。刺頭入荒草。曰。如何是道中人。師曰。乾屎橛。曰。大耳三藏第三度為甚麼不見國師。師曰。腳跟下看。曰。如何得見。師曰。草鞋跟斷。

僧が問うた:「佛未だ世に出でざる時はいかに。」師は言った:「白雲數重。」僧は言った:「世に出でた後はいかに。」師は言った:「靑山一朵。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「頭を刺して荒草に入る。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「乾屎橛。」僧は言った:「大耳三藏は第三度に何の故に國師を見ざる。」師は言った:「脚跟の下に看よ。」僧は言った:「如何にか見ることを得ん。」師は言った:「草鞋の跟斷れたり。」

安吉州西餘體柔禪師

安吉州西余體柔禪師

上堂。一人把火。自燼其身。一人抱冰。橫屍於路。進前即觸途成滯。退後即噎氣填𮌎。直得上天無路。入地無門。如今已不奈何也。良久曰。待得雪消去。自然春到來。

上堂:「一人は火を把りて、自ら其の身を燼く。一人は冰を抱きて、屍を路に横たう。前に進めば即ち途に觸れて滯を成し、後に退けば即ち氣を噎せて𮌎を塡す。直に天に上るに路無く、地に入るに門無し。如今已に奈何ともし難し。」久しく過ぎて言った:「雪の消え去るを待てば、自然に春來り到る。」

真州定山惟素山主

真州定山惟素山主

僧問。如何是不遷義。師曰。暑往寒來。曰。恁麼則遷去也。師曰。啼得血流無用處。問。達磨心印師已曉。試舉家風對眾看。師曰。門前有箇長松樹。夜半子規來上啼。問。知師洞達諸方旨。臨機不答舊時禪。如何是新奇。師曰。若到諸方。不得錯舉。曰。學人慇懃於座右。莫不祇此是新奇。師曰。折草量天。問。如何是定山境。師曰。清風滿院。曰。忽遇客來。如何祇待。師曰。莫嫌冷淡。乃曰。若論家風與境。不易酬對。多見指定處所。教他不得自在。曾有僧問大隨。如何是和尚家風。隨曰。赤土畵簸箕。又曰。肚上不貼榜。且問諸人作麼生會。更有夾山.雲門.臨濟.風穴皆有此話。播於諸方。各各施設不同。又作麼生會。法無異轍。殊途同歸。若要省力易會。但識取自家桑梓。便能紹得家業。隨處解脫。應用現前。天地同根。萬物一體。喚作衲僧眼睛。綿綿不漏絲髮。苟或於此不明。徒自竛竮辛苦。僧問。如何是佛。師曰。含齒戴髮。曰。恁麼則人人具足。師曰。遠之又遠。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。成家立業。曰。見後如何。師曰。立業成家。問。如何是定山路。師曰。峭。曰。履踐者如何。師曰。嶮。問。無上法王有大陀羅尼。名為圓覺。流出一切清淨真如.菩提涅槃。未審圓覺從甚麼處流出。師曰。山僧頂戴有分。曰。恁麼則信受奉行。師曰。依俙似曲才堪聽。問。十二時中如何得與道相應。師曰。皇天無親。唯德是輔。曰。恁麼則不假修證也。師曰。三生六十劫。

僧が問うた:「どうして不遷の義ですか。」師は言った:「暑往き寒來る。」僧は言った:「そうすれば遷りて去りました。」師は言った:「啼きて血を流すも用無し。」問うた:「達磨の心印は師已に曉れり。試しに家風を擧げて衆に對して看ん。」師は言った:「門前に箇の長松樹有り、夜半に子規來りて上に啼く。」問うた:「師が諸方の旨を洞達するを知る、機に臨みて舊時の禪に答えず。どうして新奇ですか。」師は言った:「若し諸方に到らば、錯擧するを得ず。」僧は言った:「學人は座右に殷勤なり、莫れ只だ此れは新奇ならざるを。」師は言った:「草を折りて天を量る。」問うた:「どうして定山の境ですか。」師は言った:「淸風院に滿つ。」僧は言った:「忽ち客に遇い來らば、如何にか只だ待たん。」師は言った:「冷淡を嫌うな。」そこで言った:「若し家風と境とを論ずれば、酬對し易からず。多く見る、處所を指定して、彼を教へて自在を得ざらしむ。曾て僧有りて大隨に問う、どうして和尚の家風、と。大隨は言った、赤土に簸箕を畫く、と。又た言った、肚上に榜を貼らず、と。且く諸人に問う作麼生に會する。更に夾山、雲門、臨濟、風穴皆な此の話有りて、諸方に播れり、各各設施同じからず、又た作麼生に會する。法は異轍無く、殊途同じく歸す。若し省力易會せんと要せば、但だ自家の桑梓を識取せば、便ち家業を紹ぐことを得ん。處に隨って解脱し、用を應じて現前す。天地は根を同じくし、萬物は一體なり。喚んで衲僧の眼睛と作し、綿綿として絲髮を漏らさず。苟も此に於て明らかならずんば、徒らに自ら伶俜辛苦せん。」僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「齒を含み髮を戴く。」僧は言った:「そうすれば人人具足。」師は言った:「遠きこと又た遠し。」問うた:「牛頭が未だ四祖を見ざる時はいかに。」師は言った:「家を成し業を立つ。」僧は言った:「見た後はいかに。」師は言った:「業を立て家を成す。」問うた:「どうして定山の路ですか。」師は言った:「峭なり。」僧は言った:「履踐する者は如何。」師は言った:「險なり。」問うた:「無上の法王に大陀羅尼有り、名、名づけて圓覺と曰う、一切の淸淨真如、菩提涅槃を流出す。未だ審かならず圓覺は何の處より流出する。」師は言った:「山僧の頂戴に分有り。」僧は言った:「そうすれば信受奉行。」師は言った:「依稀として曲に似て堪えて聽くべし。」問うた:「十二時中に如何にか道と相應することを得ん。」師は言った:「皇天は親無く、唯だ德是れ輔け。」僧は言った:「そうすれば修證を假らず。」師は言った:「三生六十劫。」

淨土素禪師法嗣

淨土素禪師法嗣

杭州淨土院惟正禪師

杭州淨土院惟正禪師

秀州華亭黃氏子。幼從錢塘資聖院本如𨽻業。且將較藝於有司。如使禱觀音像。以求陰相。師謝曰。豈忍獨私於己哉。郡人朱紹安聞而嘉歎。欲啟帑度之。師慨然曰。古之度人。以清機密旨。今反是。去古遠矣。吾墮三寶數。當有其時。已而遇祥符覃恩。得諧素志。獨擁毳袍且弊。同列慢之。師曰。佛乎佛乎。儀相云乎哉。僧乎僧乎。盛服云乎哉。厥後有願輸奉歲時用度。俾繼如之院務。亦復謝曰。聞拓缽乞食。未聞安坐以享。聞歷謁諸祖。未聞廢學自任。況我齒茂氣完。正在筋力為禮。非從事屋廬之秋也。於是提䇿東引。學三觀於天台。復旋徑山。諮單傳之旨於老宿惟素。素董臨安功臣山淨土院。師輔相之。久而繼席焉。然為人高簡。律身精嚴。名卿鉅公。多所推尊。葉內翰清臣牧金陵。迎師語道。一日。葉曰。明日府有燕飲。師固奉律。能為我少留一日。欵清話否。師諾之。翌日。遣使邀師。留一偈而返。曰。昨日曾將今日期。出門倚杖又思惟。為僧祇合居巖谷。國士筵中甚不宜。坐客皆仰其標致。師識慮洗然。不牽世累。雅愛跨黃犢出入。軍持巾缽。悉掛角上。市人爭觀之。師自若也。杭守蔣侍郎甞與師為方外友。每往謁。至郡庭下犢譚笑。終日而去。蔣有詩曰。禪客尋常入舊都。黃牛角上掛缾盂。有時帶雪穿雲去。便好和雲畵作圖。師甞作山中偈曰。橋上山萬層。橋下水千里。唯有白鷺鷥。見我常來此。平生製作三十卷。號錦溪集。又工書。筆法勝絕。秦少游珍藏之。冬不擁爐。以荻花作毬。納足其中。客至共之。夏秋好翫月。盤膝大盆中浮池上。自旋其盆。吟笑達旦。率以為常。九峰韶禪師甞客於院。一夕將臥。師邀之曰。月色如此。勞生擾擾。對之者能幾人。峰唯唯而矣。久之。呼童子使熟炙。峰方饑。意作藥石。頃乃橘皮湯一盃。峰匿笑曰。無乃太清乎。有問曰。師以禪師名。乃不談禪。

秀州華亭黃氏の子。幼年に錢塘資聖院の本如に從い業に隸す。且く將に藝を有司に較せんとす。本如は彼をして觀音像に禱らしめて、以て陰相を求めしむ。師は謝して言った:「豈に獨り己に私するに忍びん哉。」郡人の朱紹安は聞きて嘉歎し、帑を啓きて之を度せんと欲す。師は慨然として言った:「古の人を度すや、淸機の密旨を以てす。今は反って是に非ず、古を去ること遠し。吾は三寶の數に堕ちん、當に其の時有らん。」已にして祥符の覃恩に遇い、素志を諧えるを得た。獨り毳袍を擁するも且つ弊し、同列は之を慢れり。師は言った:「佛よ佛よ、儀相か云う哉。僧よ僧よ、盛服か云う哉。」其の後歲時の用度を輸奉せんと願う者有りて、如の院務を繼がしめんとす。亦た復た謝して言った:「聞く、鉢を托して食を乞うを、未だ安坐して以て享るを聞かず。聞く、諸祖を歷謁するを、未だ學を廢して自ら任ずるを聞かず。況んや我は齒茂く氣完く、正に筋力を禮と爲すに在り、屋廬に從事するの秋に非ず。」そこで策を提げて東に引き、三觀を天臺に學んだ。復た徑山に旋り、老宿の惟素に單傳の旨を咨えた。惟素は臨安功臣山の淨土院を董す。師は之を輔相し、久しくして席を繼いだ。然れど人と爲ること高簡にして、身を律すること精嚴。名卿巨公、推尊する所多し。葉内翰淸臣が金陵を牧するに、師を迎えて道を語る。一天、葉は言った:「明日府に燕飲有り。師は固く律を奉ず、能く我が爲に一日少しく留まり、淸話を款すか否。」師は之に諾した。第二天、使を遣わして師を邀う。一偈を留めて返す、言った:「昨日曾て今日を將に期すと爲し、門を出で杖を倚りて又た思惟す。僧と爲れば只だ岩谷に居るに合す、國士の筵中は甚だ宜しからず、と。」坐客皆な其の標致を仰いだ。師は識慮洗然として、世累に牽かれず。雅く黃犢を跨りて出入することを愛し、軍持・巾・鉢、悉く角上に挂けた。市人争い之を觀るも、師は自若。杭守の蔣侍郎は曾て師と方外の友と爲す。每に往き謁すれば、郡庭に至りて犢を下りて談笑し、終日にして去った。蔣に詩有りて言った:「禪客尋常に舊都に入り、黃牛の角上に瓶盂を挂く。有時に雪を帶びて雲を穿って去れば、便ち好し雲と和して圖を畫かん、と。」師は曾て山中の偈を作して言った:「橋上は山萬層、橋下は水千里。唯だ白鷺鷥有りて、我が常に此に來るを見る。」平生の制作三十卷、號けて錦溪集と曰う。又た書に工く、筆法勝絕。秦少游が之を珍藏した。冬は爐を擁せず、荻花を以て毬を作り、足を其の中に納れ、客至らば之を共にす。夏秋は月を玩ぶを好み、大きな盆に膝を盤りて池の上に浮かべ、自ら其の盆を旋らせ、吟笑して旦に達し、率ねて以て常と爲した。九峰の韶禪師は曾て院に客せり。一夕將に臥せんとして、師は之を邀えて言った:「月色此の如し。勞生は擾擾として、之に對する者能く幾人ぞ。」九峰は唯唯として矣。久之しくして、童子を呼びて熟炙せしめた。九峰方に飢え、意に藥石を作す。頃に乃ち橘皮湯一杯。九峰は匿して笑い言った:「太清なるが無しか。」問う者有りて言った:「師は禪師を以て名とす、乃ち禪を談ぜず、」

何也。師曰。徒費言語。吾懶寧假曲折。但日夜煩萬象為敷演耳。言語有間。而此法無盡。所謂造物無盡藏也。皇祐元年孟夏八日。語眾曰。夫動以對靜。未始有極。吾一動歷年六十有四。今靜矣。然動靜本何有哉。於是泊然而逝。

(人が続けて問うた:)「何の故ぞ。」師は言った:「徒らに言語を費やす。吾は曲折を假るを懶しむに寧り。但だ日夜に萬象を煩して敷演せしむるのみ。言語に間有れど、而して此の法に盡き無し。所謂造物の無盡藏なり。」皇祐元年孟夏八日、衆に語って言った:「夫れ動きて靜に對するは、未だ始めに極有らず。吾一動として年を歷ること六十有四、今靜なり。然れど動靜本より何ぞ有らん。」そこで泊然として逝った。

青原下十二世

靑原下十二世

靈隱勝禪師法嗣

靈隱勝禪師法嗣

杭州靈隱延珊慧明禪師

杭州靈隱延珊慧明禪師

僧問。如何是道。師曰。道遠乎哉。問。如何是正真一路。師曰。絲髮不通。曰。恁麼則依而行之。師曰。莫亂走。上堂。與上座一線道。且作麼生持論佛法。若也水洩不通。便教上座無安身立命處。當此之時。祖佛出頭來。也有二十棒分。恁麼道。山僧還有過也無。不見世尊生下。周行七步。目顧四方。一手指天。一手指地。雲。天上天下。唯吾獨尊。雲門雲。我當初若見。一棒打殺與狗子吃卻。何以如此。貴圖天下太平。且道雲門恁麼說話。有佛法道理也無。雖然如此。雲門祇具一隻眼。久立。珍重。

僧が問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「道遠きかな哉。」問うた:「どうして正真の一路ですか。」師は言った:「絲髮も通通ぜず。」僧は言った:「そうすれば依りて之を行ないます。」師は言った:「亂に走るな。」上堂:「上座に與えて一線の道、且く作麼生に佛法を持論せん。若し也た水泄も通ぜざれば、便ち上座を教へて安身立命の處無からしむ。此の時に當たりて、祖佛頭を出し來りても、也た二十棒の分有り。此の如く道えば、山僧は還た過有るか無しや。見ざらんや世尊が生まれ下りて、周行七歩、目で四方を顧り、一手は天を指し、一手は地を指し、説く、天上天下、唯吾獨尊、と。雲門は言った、我が當初若し見せば、一棒打殺して狗子に與えて喫せしめん、と。何以れの故に此の如し。貴んで天下太平を圖らんが爲。且く道え、雲門が此の如く說話するに、佛法の道理有るか無しや。然りと雖も此の如しと雖も、雲門は只だ一隻の眼を具す。久立。珍重。」

常州薦福院歸則禪師

常州薦福院歸則禪師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。耳畔打鐘聲。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「耳の畔に鐘聲を打つ。」

瑞巖海禪師法嗣

瑞岩海禪師法嗣

明州翠巖嗣元禪師

明州翠岩嗣元禪師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。見錢買賣不曾賖。曰。向上更有事也無。師曰。好不信人直。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「錢を見て賣買して曾て賖さず。」僧は言った:「向上に更に事有るか無しや。」師は言った:「人の直を信ぜざるが好し。」

五燈會元卷第十

五燈會元卷第十一

臨濟宗

臨濟宗

南嶽下四世

南嶽下四世

黃檗運禪師法嗣

黃檗運禪師法嗣

鎮州臨濟義玄禪師

鎭州臨濟義玄禪師

曹州南華邢氏子。幼負出塵之志。及落髮進具。便慕禪宗。初在黃檗會中。行業純一。時睦州為第一座。乃問。上座在此多少時。師曰。三年。州曰。曾參問否。師曰。不曾參問。不知問箇甚麼。州曰。何不問堂頭和尚。如何是佛法的的大意。師便去。問聲未絕。檗便打。師下來。州曰。問話作麼生。師曰。某甲問聲未絕。和尚便打。某甲不會。州曰。但更去問。師又問。檗又打。如是三度問。三度被打。師白州曰。早承激勸問法。累蒙和尚賜棒。自恨障緣。不領深旨。今且辭去。州曰。汝若去。須辭和尚了去。師禮拜退。州先到黃檗處曰。問話上座。雖是後生。卻甚奇特。若來辭。方便接伊。已後為一株大樹。覆蔭天下人去在。師來日辭黃檗。檗曰。不須他去。祇往高安灘頭參大愚。必為汝說。師到大愚。愚曰。甚處來。師曰。黃檗來。愚曰。黃檗有何言句。師曰。某甲三度問佛法的的大意。三度被打。不知某甲有過無過。愚曰。黃檗與麼老婆心切。為汝得徹困。更來這裡問有過無過。師於言下大悟。乃曰。元來黃檗佛法無多子。愚搊住曰。這尿床鬼子。適來道有過無過。如今卻道黃檗佛法無多子。你見箇甚麼道理。速道。速道。師於大愚肋下築三拳。愚拓開曰。汝師黃檗。非幹我事。師辭大愚。卻回黃檗。檗見便問。這漢來來去去。有甚了期。師曰。祇為老婆心切。便人事了。侍立。檗問。甚處去來。師曰。昨蒙和尚慈旨。令參大愚去來。檗曰。大愚有何言句。師舉前話。檗曰。大愚老漢饒舌。待來痛與一頓。師曰。說甚待來。即今便打。隨後便掌。檗曰。這風顛漢來這裡捋虎鬚。師便喝。檗喚侍者曰。引這風顛漢參堂去(溈山舉問仰山。臨濟當時得大愚力。得黃檗力。仰雲。非但騎虎頭。亦解把虎尾)。黃檗一日普請次。師隨後行。檗回頭見師空手。乃問。钁在何處。師曰。有一人將去了也。檗曰。

曹州南華邢氏の子。幼年に出塵の志を負う。及び髮を落して具に進めば、便ち禪宗を慕った。起初黃檗の會中に在り、行業純一。當時睦州第一座を爲し、就ち問うた:「上座は此に在りて多少の時か。」師は言った:「三年。」睦州は言った:「曾て參問せしか。」師は言った:「不曾て參問せず。箇の何を問うを知らず。」睦州は言った:「何ぞ堂頭の和尚に問わざる、どうして佛法の的の大意。」師は便ち去った。問聲未だ絶えざるに、黃檗は便ち打った。師は下り來る。睦州は言った:「問話作麼生。」師は言った:「某甲の問聲未だ絶えざるに、和尚は便ち打つ。某甲會せず。」睦州は言った:「但だ更に去りて問え。」師は又た問う、黃檗は又た打った。是の如く三度問うて、三度打たれた。師は睦州に白して言った:「早く激勸の問法を承けて、累かに和尚の賜棒を蒙る。自ら障緣を恨みて、深旨を領けず。今且く辭し去らん。」睦州は言った:「あなた若し去らば、須く和尚に辭して了りて去れ。」師は礼拜して退いた。睦州は先に黃檗の處に到りて言った:「問話の上座、雖是れ後生なりと雖も、却って甚だ奇特。若し辭しに來らば、方便に彼を接せよ。以後一株の大樹と爲りて、覆蔭天下の人に去らん、と在り。」師は來日黃檗に辭した。黃檗は言った:「他に去るを須いず。只だ高安灘頭に往きて大愚に參せば、必ずあなたが爲に説かん。」師は大愚に到った。大愚は言った:「甚の處より來る。」師は言った:「黃檗より來る。」大愚は言った:「黃檗に何の言句有る。」師は言った:「某甲は三度佛法の的の大意を問うて、三度打たれた。某甲に過有るや無過なるやを知らず。」大愚は言った:「黃檗が此の如く老婆心の切なる、あなたが爲に徹困を得たり。更に此の裏に來りて有過無過を問うとは。」師は言下に大いに悟りて、就ち言った:「元來黃檗の佛法は多子無し。」大愚は搊い住めて言った:「此の尿床の鬼子。適來は有過無過と道い、如今却って黃檗佛法は多子無しと道う。あなたは箇の何の道理を見る。速かに道え、速かに道え。」師は大愚の肋の下に三拳を築いた。大愚は拓き開きて言った:「あなたの師は黃檗、我が事に干らず。」師は大愚に辭し、却って黃檗に回った。黃檗は見て便ち問うた:「此の漢は來來去去して、甚の了期か有る。」師は言った:「只だ老婆心の切なるが爲。」便ち人事して了り、侍立す。黃檗が問うた:「甚の處に去り來る。」師は言った:「昨和尚の慈旨を蒙りて、大愚に參せしめらると去り來る。」黃檗は言った:「大愚に何の言句有る。」師は前話を擧げた。黃檗は言った:「大愚の老漢は舌を饒る。來を待ちて痛く一頓を與えん。」師は言った:「甚の來を待つと説く。即今便ち打て。」後に隨りて便ち掌せした。黃檗は言った:「此の風顛の漢は此の裏に來りて虎の鬚を捋る。」師は便ち喝した。黃檗は侍者を喚びて言った:「此の風顛の漢を引いて堂に參せしめて去れ。」(潙山が擧げて仰山に問うた:「臨濟は當時大愚の力を得たか、黃檗の力を得たか。」仰山は言った:「非但虎頭に騎るにあらず、亦た虎尾を把るを解す。」)黃檗が一日普請する時、師は後に隨って行く。黃檗は頭を回して師の空手を見て、就ち問うた:「钁は何の處に在る。」師は言った:「一人有りて將ちて去りぬ。」黃檗は言った:

近前來共汝商量箇事。師便近前。檗竪起钁曰。祇這箇天下人拈掇不起。師就手掣得。竪起曰。為甚麼卻在某甲手裡。檗曰。今日自有人普請。便回寺(仰山侍溈山次。溈舉此話未了。仰便問。钁在黃檗手裡。為甚麼卻被臨濟奪卻。溈雲。賊是小人。智過君子)。師普請鉏地次。見黃檗來。拄钁而立。檗曰。這漢困那。師曰。钁也未舉。困箇甚麼。檗便打。師接住棒一送送倒。檗呼維那。扶起我來。維那扶起曰。和尚爭容得這風顛漢無禮。檗才起便打維那。師钁地曰。諸方火塟。我這裡活埋(溈山問仰山。黃檗打維那意作麼生。仰雲。正賊走卻。邏贓人吃棒)。師一日在僧堂裡睡。檗入堂見。以拄杖打板頭一下。師舉首見是檗。卻又睡。檗又打板頭一下。卻往上間。見首座坐禪。乃曰。下間後生卻坐禪。汝在這裡妄想作麼。座曰。這老漢作甚麼。檗又打板頭一下。便出去(溈山舉問仰山。祇如黃檗。意作麼生。仰雲。兩彩一賽)。師栽松次。檗曰。深山裡栽許多松作甚麼。師曰。一與山門作境致。二與後人作標牓。道了。將钁頭𡎺地三下。檗曰。雖然如是。子已吃吾三十棒了也。師又𡎺地三下。噓一噓。檗曰。吾宗到汝。大興於世(溈山舉問仰山。黃檗當時祇囑臨濟一人。更有人在。仰雲。有。祇是年代深遠。不欲舉似和尚。溈雲。雖然如是。吾亦要知。汝但舉看。仰雲。一人指南。吳越令行。遇大風即止)。黃檗因入廚下。問飯頭。作甚麼。頭曰。揀眾僧飯米。檗曰。一頓吃多少。頭曰。三石五。檗曰。莫大多麼。頭曰。猶恐少在。檗便打。頭舉似師。師曰。我與汝勘這老漢。才到侍立。檗舉前話。師曰。飯頭不會。請和尚代一轉語。檗曰。汝但舉。師曰。莫太多麼。檗曰。來日更吃一頓。師曰。說甚麼來日。即今便吃。隨後打一掌。檗曰。這風顛漢又來這裡捋虎鬚。師喝一喝。

(黃檗は続けて言った:)「近く前に來りてあなたと箇の事を商量せん。」師は便ち前に近づいた。黃檗は钁を豎起して言った:「只だ此箇を天下人は拈掇し起こすこと能わず。」師は手に就きて掣い得て、豎起して言った:「何の故に却って某甲の手裡に在る。」黃檗は言った:「今日自ら人普請す。」便ち寺に回った。(仰山が潙山に侍する時、潙山が此の話を擧げて未だ了えざるに、仰山が便ち問うた:「钁は黃檗の手裡に在るに、何の故に却って臨濟に奪われし。」潙山は言った:「賊は是れ小人なれど、智は君子に過ぐ。」)師が普請に地を鋤く時、黃檗の來るを見て、钁を拄りて立った。黃檗は言った:「此の漢は困るか。」師は言った:「钁も亦た擧げず、箇の何を困る。」黃檗は便ち打った。師は棒を接住し一送して送り倒した。黃檗は維那を呼んで言った:「我を扶け起こせ。」維那が扶け起こして言った:「和尚は争でか此の風顛の漢の無禮を容れん。」黃檗は纔かに起つや便ち維那を打った。師は地を钁きて言った:「諸方は火葬なれど、我が此の裡は活埋なり。」(潙山が仰山に問うた:「黃檗が維那を打つ意は作麼生。」仰山は言った:「正賊は走り却し、臟を邏る人は棒を喫す。」)師が一日僧堂の裡に在りて睡る。黃檗は堂に入りて見て、拄杖を以て板頭を打つこと一下。師は首を擧げて是れ黃檗と見て、却って又た睡った。黃檗は又た板頭を打つこと一下、却って上間に往き、首座の坐禪を見て、就ち言った:「下間の後生は却って坐禪す、あなたは此の裏に在りて妄想して作麼。」首座は言った:「此の老漢は何を作す。」黃檗は又た板頭を打つこと一下、便ち出でて去った。(潙山が擧げて仰山に問うた:「只だ黃檗の如き、意は作麼生。」仰山は言った:「兩彩は一賽。」)師が松を栽うる時、黃檗は言った:「深山の裏に許多の松を栽えて何を作す。」師は言った:「一には山門に與えて境致を作し、二には後人に與えて標榜を作す。」道い了りて、钁頭を將て地を𡎺ること三下。黃檗は言った:「然りと雖も是の如しと雖も、子已に吾が三十棒を喫したり。」師は又た地を𡎺ること三下、一嘘した。黃檗は言った:「吾が宗あなたに至りて、世に大いに興らん。」(潙山が擧げて仰山に問うた:「黃檗は當時只だ臨濟一人に囑す、更に人在るか。」仰山は言った:「有り。只だ年代深遠、和尚に擧似せんと欲せず。」潙山は言った:「然りと雖も是の如しと雖も、吾も亦た知らんと要す。あなたは但だ擧げて看よ。」仰山は言った:「一人南を指して、吳越は令行せらる。大風に遇えば即ち止まらん。」)黃檗因りて廚下に入りて、飯頭に問うた:「何を作す。」飯頭は言った:「衆僧の飯米を揀す。」黃檗は言った:「一頓に喫すこと多少。」飯頭は言った:「三石五。」黃檗は言った:「太多きを莫しや。」飯頭は言った:「猶お少なきを恐れて在り。」黃檗は便ち打った。飯頭が師に擧似した。師は言った:「我はあなたと此の老漢を勘えん。」纔かに到りて侍立す。黃檗は前話を擧げた。師は言った:「飯頭會せず。和尚に請うて一轉語を代えん。」黃檗は言った:「あなたは但だ擧げよ。」師は言った:「太多きを莫しや。」黃檗は言った:「來日更に一頓を喫さん。」師は言った:「何の來日を説く。即今便ち喫せ。」後に隨りて一掌を打った。黃檗は言った:「此の風顛の漢は又た此の裏に來りて虎の鬚を捋る。」師は喝すること一喝、

便出去(溈山舉問仰山。此二尊宿意作麼生。仰山雲。和尚作麼生。溈山雲。養子方知父慈。仰山雲。不然。溈山雲。子又作麼生。仰山雲。大似勾賊破家)。師半夏上黃檗山。見檗看經。師曰。我將謂是箇人。元來是唵(或作揞)黑豆老和尚。住數日。乃辭。檗曰。汝破夏來。何不終夏去。師曰。某甲暫來禮拜和尚。檗便打趂令去。師行數裡疑此事。卻回終夏。後又辭檗。檗曰。甚處去。師曰。不是河南。便歸河北。檗便打。師約住與一掌。檗大笑。乃喚侍者。將百丈先師禪板几案來。師曰。侍者將火來。檗曰。不然。子但將去。已後坐斷天下人舌頭去在。師到達磨塔頭。塔主問。先禮佛。先禮祖。師曰。祖佛俱不禮。主曰。祖佛與長老有甚冤家。師拂袖便出。師為黃檗馳書至溈山。與仰山語次。仰曰。老兄向後北去。有箇住處。師曰。豈有與麼事。仰曰。但去。已後有一人佐輔汝。此人祇是有頭無尾。有始無終(懸記普化)。師後住鎮州臨濟。學侶雲集。一日。謂普化克符二上座曰。我欲於此建立黃檗宗旨。汝且成褫我。二人珍重下去。三日後。普化卻上來問。和尚三日前說甚麼。師便打。三日後克符上來問。和尚前日打普化作甚麼。師亦打。至晚小參。曰。有時奪人不奪境。有時奪境不奪人。有時人境兩俱奪。有時人境俱不奪(問答語具克符章)。僧問。如何是真佛.真法.真道。乞師開示。師曰。佛者心清淨是。法者心光明是。道者處處無礙淨光是。三即一。皆是空名而無實有。如真正作道人。念念心不間斷。自達磨大師從西土來。祇是覓箇不受人惑底人。後遇二祖。一言便了。始知從前虗用工夫。山僧今日見處。與祖佛不別。若第一句中薦得。堪與祖佛為師。若第二句中薦得。堪與人天為師。若第三句中薦得。自救不了。僧便問。如何是第一句。師曰。三要印開朱點窄。未容擬議主賓分。曰。

(師は続けて)便ち出でて去った。(潙山が擧げて仰山に問うた:「此の二の尊宿の意は作麼生。」仰山は言った:「和尚は作麼生。」潙山は言った:「子を養えば方に父の慈を知る。」仰山は言った:「然らず。」潙山は言った:「子は又た作麼生。」仰山は言った:「大いに似たり賊を勾きて家を破るに。」)師は夏の半ばに黃檗山に上りて、黃檗の經を看るを見た。師は言った:「我は將に是れ個の人と謂りき、元來是れ唵黑豆の老和尚なり。」數日住して、就ち辭した。黃檗は言った:「あなたは夏を破りて來る、何ぞ夏を終りて去らざる。」師は言った:「某甲は暫く來りて和尚を礼拜せり。」黃檗は便ち打ちて趁して去らしめた。師は數里を行きて此の事を疑い、却って回りて夏を終えた。後に又た黃檗に辭した。黃檗は言った:「甚の處に去る。」師は言った:「河南に非ざれば、便ち河北に歸らん。」黃檗は便ち打った。師は約り住めて一掌を與えた。黃檗は大いに笑いて、就ち侍者を喚びて言った:「百丈先師の禪板と几案とを將來せ。」師は言った:「侍者、火を將來せ。」黃檗は言った:「然らず。子は但だ將ちて去れ。以後天下人の舌頭を坐斷して去らん、と在り。」師は達磨の塔頭に到った。塔主が問うた:「先に佛を禮するか、先に祖を禮するか。」師は言った:「祖佛俱に禮せず。」塔主は言った:「祖佛は長老と何の冤家か有る。」師は袖を拂りて便ち出でた。師は黃檗が爲に書を馳せて潙山に至りて、仰山と語るの次。仰山は言った:「老兄は向後北に去らば、箇の住處有り。」師は言った:「豈に此の如き事有らん。」仰山は言った:「但だ去れ。以後一人有りてあなたを佐輔せん。此の人は只だ頭有りて尾無く、始有りて終無し。」(懸記は普化。)師は後來鎭州の臨濟に住して、學侶雲集せり。一日、普化、克符の二上座に對して言った:「我は此に於て黃檗の宗旨を建立せんと欲す。あなたがたは且く我を成褫せよ。」二人は珍重して下り去った。三日後、普化は却って上り來りて問うた:「和尚は三日前に何を説いた。」師は便ち打った。三日後克符が上り來りて問うた:「和尚は前日に普化を打ちて何を作す。」師も亦た打った。晚に至り小參して言った:「有る時は人を奪うも境を奪わず、有る時は境を奪うも人を奪わず、有る時は人境兩も俱に奪い、有る時は人境俱に奪わず。」(問答の語は具さに克符の章に在り。)僧が問うた:「どうして真佛、真法、真道ですか。師に開示を乞う。」師は言った:「佛は心の淸淨是なり。法は心の光明是なり。道は處處礙無き淨光是なり。三は即ち一なり、皆な是れ空名にして實有無し。如し真正に道人を作す者は、念念心間斷せず。自ら達磨大師が西土より來りて、只だ箇の人に惑わされぬの人を覓う。後に二祖に遇い、一言にして便ち了れり、始めて從前虛しく工夫を用いたるを知る。山僧の今日の見る處、祖佛と別れず。若し第一句中に薦得せば、堪えて祖佛に與えて師と爲るべし。若し第二句中に薦得せば、堪えて人天に與えて師と爲るべし。若し第三句中に薦得せば、自ら救うも了わず。」僧は便ち問うた:「どうして第一句ですか。」師は言った:「三要は印を開きて朱點窄く、未だ擬議を容れず主賓分かつ。」僧は言った:

如何是第二句。師曰。妙解豈容無著問。漚和爭負截流機。曰。如何是第三句。師曰。但看棚頭弄傀儡。抽牽全藉裡頭人。乃曰。大凡演唱宗乘。一句中須具三玄門。一玄門須具三要。有權有實。有照有用。汝等諸人作麼生會。師謂僧曰。有時一喝如金剛王寶劒。有時一喝如踞地師子。有時一喝如探竿影草。有時一喝不作一喝用。汝作麼生會。僧擬議。師便喝。示眾。參學之人。大須子細。如賓主相見。便有言論往來。或應物現形。或全體作用。或把機權喜怒。或現半身。或乘師子。或乘象王。如有真正學人便喝。先拈出一箇膠盆子。善知識不辯是境。便上他境上作模作樣。便被學人又喝。前人不肯放下。此是膏肓之病。不堪醫治。喚作賓看主。或是善知識。不拈出物。祇隨學人問處即奪。學人被奪。抵死不肯放。此是主看賓。或有學人應一箇清淨境。出善知識前。知識辯得是境。把得拋向坑裡。學人言。大好善知識。知識即雲。咄哉。不識好惡。學人便禮拜。此喚作主看主。或有學人。披枷帶鎻。出善知識前。知識更與安一重枷鎻。學人歡喜。彼此不辯。喚作賓看賓。大德。山僧所舉。皆是辯魔揀異。知其邪正。師問洛浦。從上來。一人行棒。一人行喝。阿那箇親。曰。總不親。師曰。親處作麼生。浦便喝。師乃打。上堂。有一人論劫在途中。不離家舍。有一人離家舍。不在途中。那箇合受人天供養。師問院主。甚處去來。曰。州中糶黃米來。師曰。糶得盡麼。主曰。糶得盡。師以拄杖畫一畫曰。還糶得這箇麼。主便喝。師便打。典座至。師舉前話。座曰。院主不會和尚意。師曰。你又作麼生。座禮拜。師亦打。上堂。一人在孤峰頂上。無出身路。一人在十字街頭。亦無向背。且道那箇在前。那箇在後。不作維摩詰。不作傅大士。珍重。有一老宿參。便問。禮拜即是。不禮拜即是。師便喝。宿便拜。

(僧が続けて問うた:)「どうして第二句ですか。」師は言った:「妙解豈に無著の問を容れん、沤和は争でか截流の機に負けん。」僧は言った:「どうして第三句ですか。」師は言った:「但だ棚頭の傀儡を弄ぶを看よ、抽牽は全く裏頭の人に藉る。」そこで言った:「大凡宗乘を演唱するは、一句中に須く三玄門を具え、一玄門は須く三要を具す。權有り實有り、照有り用有り。あなたがた諸人は作麼生に會する。」師は僧に對して言った:「有る時は一喝は金剛王の寶劍の如し、有る時は一喝は地に踞る獅子の如し、有る時は一喝は探竿影草の如し、有る時は一喝は一喝の用を作さず。あなたは作麼生に會する。」僧は擬議すれば、師は便ち喝した。衆に示して言った:「參學の人は大いに須く子細なるべし。如し賓主が相見すれば、便ち言論往來有り。或いは物に應じて形を現じ、或いは全體作用し、或いは機權喜怒を把り、或いは半身を現じ、或いは獅子を乘り、或いは象王を乘る。如し真正の學人有りて便ち喝せば、先ず一箇の膠盆子を拈出す。善知識は是れ境と辯せずして、便ち他の境の上に上りて模を作り樣を作す、便ち學人に又た喝されん。前人は肯うて放下せず、此れ是れ膏肓の病、醫治に堪えず。喚んで賓が主を看ると作す。或いは是れ善知識にして、物を拈出せずして、只だ學人の問う處に隨って即ち奪う。學人は奪われて、抵死に肯うて放さず。此れ是れ主が賓を看る。或いは學人有りて一箇の淸淨境を應じて、善知識の前に出ず。知識は是れ境と辯得して、把得して坑の裏に抛向す。學人は言う、大好い善知識、と。知識は即ち言う、咄哉、好惡を識らず、と。學人は便ち礼拜す。此れ喚んで主が主を看ると作す。或いは學人有りて、枷を披き鎖を帶びて、善知識の前に出ず。知識は更に與えて一重の枷鎖を安ず。學人は歡喜して、彼此辯せず。喚んで賓が賓を看ると作す。大德、山僧の擧ぐる所、皆な是れ魔を辯り異を揀りて、其の邪正を知る。」師は洛浦に問うた:「上より來りて、一人は棒を行じ、一人は喝を行ず。阿那箇か親なり。」洛浦は言った:「總て親ならず。」師は言った:「親なる處は作麼生。」洛浦は便ち喝した。師は乃ち打った。上堂:「一人有りて劫を途に論じて、家舍を離れず。一人有りて家舍を離るるも、途に在らず。那箇か合に人天の供養を受くべき。」師は院主に問うた:「甚の處に去り來る。」院主は言った:「州中に黄米を糶り來る。」師は言った:「糶り盡くすを得たか。」院主は言った:「糶り盡くすを得た。」師は拄杖を以て一畫を畫きて言った:「還た此箇を糶ることを得るか。」院主は便ち喝した。師は便ち打った。典座至る。師は前話を擧げた。典座は言った:「院主は和尚の意を會せず。」師は言った:「あなたは又た作麼生。」典座は礼拜した。師も亦た打った。上堂:「一人は孤峰頂上に在りて、出る身の路無し。一人は十字街頭に在りて、亦た向背無し。且く道え、那箇か前に在り、那箇か後に在る。維摩詰を作さず、傅大士を作さず。珍重。」一の老宿有りて參して、便ち問うた:「礼拜する即ち是れか、礼拜せざる即ち是れか。」師は便ち喝した。老宿は便ち拜した。

師曰。好箇草賊。宿曰。賊。賊。便出去。師曰。莫道無事好。時首座侍立。師曰。還有過也無。座曰。有。師曰。賓家有過。主家有過。曰。二俱有過。師曰。過在甚麼處。座便出去。師曰。莫道無事好(南泉聞雲。官馬相踏)。師到京行化。至一家門首。曰。家常添缽。有婆曰。太無厭生。師曰。飯也未曾得。何言大無厭生。婆便閉卻門。師陞堂。有僧出。師便喝。僧亦喝。便禮拜。師便打。趙州遊方到院。在後架洗腳次。師便問。如何是祖師西來意。州曰。恰遇山僧洗腳。師近前作聽勢。州曰。會即便會。啗啄作什麼。師便歸方丈。州曰。三十年行腳。今日錯為人下註腳。問。僧甚處來。曰。定州來。師拈棒。僧擬議。師便打。僧不肯。師曰。已後遇明眼人去在。僧後參三聖。才舉前話。三聖便打。僧擬議。聖又打。師應機多用喝。會下參徒亦學師喝。師曰。汝等總學我喝。我今問汝。有一人從東堂出。一人從西堂出。兩人齊喝一聲。這裡分得賓主麼。汝且作麼生分。若分不得。已後不得學老僧喝。示眾。我有時先照後用。有時先用後照。有時照用同時。有時照用不同時。先照後用有人在。先用後照有法在。照用同時。駈耕夫之牛。奪饑人之食。敲骨取髓。痛下針錐。照用不同時。有問有答。立賓立主。合水和泥。應機接物。若是過量人。向未舉已前。撩起便行。猶較些子。師行腳時到龍光。值上堂。師出問。不展鋒鋩。如何得勝。光據坐。師曰。大善知識。豈無方便。光瞪目曰。嗄。師以手指曰。這老漢今日敗缺也。次到三峰平和尚處。平問。甚處來。師曰。黃檗來。平曰。黃檗有何言句。師曰。金牛昨夜遭塗炭。直至如今不見蹤。平曰。金風吹玉管。那箇是知音。師曰。直透萬重關。不住青霄內。平曰。子這一問太高生。師曰。龍生金鳳子。沖破碧琉璃。平曰。且坐吃茶。又問。近離甚處。

師は言った:「好い箇の草賊。」老宿は言った:「賊、賊。」便ち出でて去った。師は言った:「没事好しと道うを要すな。」當時首座は侍立す。師は言った:「還た過有るか無しや。」首座は言った:「有り。」師は言った:「賓家に過有るか、主家に過有るか。」首座は言った:「二つ俱に過有り。」師は言った:「過は何の處に在る。」首座は便ち出でて去った。師は言った:「没事好しと道うを要すな。」(南泉聞きて言った:「官馬相踏む。」)師は京に到りて化を行じ、一家の門首に至りて、言った:「家常に鉢を添う。」婆有りて言った:「太だ厭わしきを無き生。」師は言った:「飯も亦だ未だ得ず、何の太だ厭わしきを無き生と言う。」婆は便ち門を閉ぢ却した。師は堂に升った。僧有りて出ず、師は便ち喝した。僧も亦た喝して、便ち礼拜した。師は便ち打った。趙州が方を遊んで院に到り、後架に在りて足を洗う時、師は便ち問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」趙州は言った:「恰も山僧が足を洗うに遇う。」師は前に近づきて聽く勢を作した。趙州は言った:「會せば便ち會す、啗啄して何を作す。」師は便ち方丈に歸った。趙州は言った:「三十年行脚して、今日錯りて人の爲に注脚を下せり。」僧に問うた甚の處より來る。僧は言った:「定州より來る。」師は棒を拈じた。僧は擬議すれば、師は便ち打った。僧は肯ぜず。師は言った:「以後明眼の人に遇いて去れ、と在り。」僧は後に三聖に參して、纔かに前話を擧げれば、三聖は便ち打った。僧は擬議すれば、三聖は又た打った。師は機に應ずるに多く喝を用いた。會下の參徒も亦た師の喝を學んだ。師は言った:「あなたがたは總て我が喝を學ぶ。我今あなたに問う。一人は東堂より出で、一人は西堂より出で、兩人齊しく喝すること一聲。此の裏に賓主を分かつことを得るか。あなたは且く作麼生に分かつ。若し分かつことを得ざれば、以後老僧の喝を學ぶを得ず。」衆に示して言った:「我は有る時は先に照して後に用い、有る時は先に用いて後に照し、有る時は照用同時、有る時は照用同時ならず。先に照して後に用うるは人有りて在り。先に用いて後に照するは法有りて在り。照用同時は、耕夫の牛を驅り、飢人の食を奪い、骨を敲きて髓を取り、痛く針錐を下す。照用同時ならざるは、問有り答え有り、賓を立て主を立て、水和泥を合し、機に應じ物に接す。若し是れ過量の人ならば、未だ擧ぐる已前に向かって、撩り起して便ち行く、猶お些子を較ぶ。」師は行脚する時龍光に到り、上堂に値う。師は出でて問うた:「鋒芒を展べず、如何にか勝ることを得ん。」龍光は坐に據る。師は言った:「大善知識、豈に方便無からん。」龍光は目を瞪みて言った:「嗄。」師は手を指して言った:「此の老漢は今日敗缺せり。」接着三峰平和尚の處に到った。平は問うた:「甚の處より來る。」師は言った:「黃檗より來る。」平は言った:「黃檗に何の言句有る。」師は言った:「金牛は昨夜塗炭を遭きて、直に如今に至るまで蹤を見ず。」平は言った:「金風は玉管を吹く、那箇か是れ知音。」師は言った:「直に萬重の關を透りて、靑霄の内に住せず。」平は言った:「子の此の一問は太高生。」師は言った:「龍は金鳳子を生じ、碧琉璃を衝破す。」平は言った:「且く坐して茶を喫せ。」又た問うた:「近く甚の處を離るる。」

師曰。龍光。平曰。龍光近日如何。師便出去。又往鳳林。路逢一婆子。婆問。甚處去。師曰。鳳林去。婆曰。恰值鳳林不在。師曰。甚處去。婆便行。師召婆。婆回首。師便行(一作師曰。誰道不在)。到鳳林。林曰。有事相借問。得麼。師曰。何得剜肉作瘡。林曰。海月澄無影。遊魚獨自迷。師曰。海月既無影。遊魚何得迷。林曰。觀風知浪起。翫水野帆飄。師曰。孤蟾獨耀江山靜。長嘯一聲天地秋。林曰。任張三寸揮天地。一句臨機試道看。師曰。路逢劒客須呈劒。不是詩人不獻詩。林便休。師乃有頌曰。大道絕同。任向西東。石火莫及。電光罔通。(溈山問仰山。石火莫及。電光罔通。從上諸聖。以何為人。仰雲。和尚意作麼生。溈雲。但有言說。都無實義。仰雲。不然。溈雲。子又作麼生。仰雲。官不容針。私通車馬)。麻谷問。十二面觀音。那箇是正面。師下禪床擒住曰。十二面觀音。甚處去也。速道。速道。谷轉身擬坐。師便打。谷接住棒。相捉歸方丈。師問一尼。善來。惡來。尼便喝。師拈棒曰。更道。更道。尼又喝。師便打。師一日拈餬餅示洛浦曰。萬種千般。不離這箇。其理不二。浦曰。如何是不二之理。師再拈起餅示之。浦曰。與麼則萬種千般也。師曰。屙尿見解。浦曰。羅公照鏡。師見僧來。舉起拂子。僧禮拜。師便打。又有僧來。師亦舉拂子。僧不顧。師亦打。又有僧來參。師舉拂子。僧曰。謝和尚指示。師亦打(雲門代雲。祇宜老漢。大覺雲。得即得。猶未見臨濟機在)。麻谷問。大悲千手眼。那箇是正眼。師搊住曰。大悲千手眼。作麼生是正眼。速道。速道。谷拽師下禪床。卻坐。師問訊曰。不審。谷擬議。師便喝。拽谷下禪床。卻坐。谷便出。上堂。僧問。如何是佛法大意。師竪起拂子。僧便喝。師便打。又僧問。如何是佛法大意。師亦竪拂子。僧便喝。師亦喝。

師は言った:「龍光。」平は言った:「龍光は近日如何。」師は便ち出でて去った。又た鳳林に往いた。路に一の婆子に逢う。婆は問うた:「甚の處に去る。」師は言った:「鳳林に去る。」婆は言った:「恰も鳳林は在らずに値う。」師は言った:「甚の處に去る。」婆は便ち行く。師は婆を召した。婆は首を回した。師は便ち行った。(一つに作る、師は言った:「誰か在らずと道う。」)鳳林に到った。鳳林は言った:「事有りて借問を相う、得るか。」師は言った:「何ぞ肉を剜りて瘡を作す。」鳳林は言った:「海月は澄みて影無く、游魚獨り自ら迷う。」師は言った:「海月既に影無し、游魚何ぞ迷うことを得ん。」鳳林は言った:「風を觀て浪の起こるを知り、水を玩んで野帆の飄る。」師は言った:「孤蟾獨り耀わして江山靜かなり、長嘯の一聲天地秋。」鳳林は言った:「三吋を任じて天地を揮う、一句機に臨みて試しに道え看よ。」師は言った:「路に劍客に逢えば須く劍を呈すべし、詩人に非ざれば詩を獻せず。」鳳林は便ち休んだ。師は乃ち頌有りて言った:「大道同を絶ち、西東に任ず。石火及ばず、電光通ぜず。」(潙山が仰山に問うた:「石火及ばず、電光通ぜず。上よりの諸聖、何を以て人に爲す。」仰山は言った:「和尚の意は作麼生。」潙山は言った:「但だ言説有れば、皆な實義無し。」仰山は言った:「然らず。」潙山は言った:「子は又た作麼生。」仰山は言った:「官は針を容れず、私は車馬を通ず。」)麻谷が問うた:「十二面の觀音、那箇か是れ正面。」師は禪床を下りて擒い住めて言った:「十二面の觀音、甚の處に去った。速かに道え、速かに道え。」麻谷は身を轉じて擬して坐せんとすれば、師は便ち打った。麻谷は棒を接住し、相捉えて方丈に歸った。師は一の尼に問うた:「善く來たか、惡く來たか。」尼は便ち喝した。師は棒を拈じて言った:「更に道え、更に道え。」尼は又た喝した。師は便ち打った。師が一日糊餅を拈じて洛浦に示して言った:「萬種千般も、此箇を離れず。其の理は二ならず。」洛浦は言った:「如何にか是れ不二の理。」師は再び餅を拈起して之に示した。洛浦は言った:「そうすれば萬種千般。」師は言った:「屙尿の見解。」洛浦は言った:「羅公は鏡を照す。」師は僧の來るを見て、拂子を擧起した。僧は礼拜した。師は便ち打った。又た僧有りて來る、師も亦た拂子を擧げた。僧は顧みず。師も亦た打った。又た僧有りて參す、師は拂子を擧げた。僧は言った:「和尚の指示に謝す。」師も亦た打った。(雲門が代わりて言った:「只だ老漢に宜し。」大覺は言った:「得れば即ち得、猶未だ臨濟の機を見ざる在り。」)麻谷が問うた:「大悲の千手眼、那箇か是れ正眼。」師は搊い住めて言った:「大悲の千手眼、作麼生にか是れ正眼。速かに道え、速かに道え。」麻谷は師を禪床より拽き下ろして、却って坐した。師は問訊して言った:「問訊。」麻谷は擬議すれば、師は便ち喝した。麻谷を拽きて禪床を下ろして、却って坐した。麻谷は便ち出でた。上堂。僧が問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は拂子を豎起した。僧は便ち喝した。師は便ち打った。又た僧が問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師も亦た拂子を豎げた。僧は便ち喝した。師も亦た喝した。

僧擬議。師便打。乃曰。大眾。夫為法者。不避喪身失命。我於黃檗先師處。三度問佛法的的大意。三度被打。如蒿枝拂相似。如今更思一頓。誰為下手。時有僧出曰。某甲下手。師度與拄杖。僧擬接。師便打。同普化赴施主齋次。師問。毛吞巨海。芥納須彌。為復是神通妙用。為復是法爾如然。化趯倒飯床。師曰。太麤生。曰。這裡是甚麼所在。說麤說細。次日又同赴齋。師復問。今日供養。何似昨日。化又趯倒飯床。師曰。得即得。太麤生。化喝曰。瞎漢。佛法說甚麼麤細。師乃吐舌。師與王常侍到僧堂。王問。這一堂僧還看經麼。師曰。不看經。曰。還習禪麼。師曰。不習禪。曰。既不看經。又不習禪。畢竟作箇甚麼。師曰。總教伊成佛作祖去。曰。金屑雖貴。落眼成翳。師曰。我將謂你是箇俗漢。師上堂次。兩堂首座相見。同時下喝。僧問師。還有賓主也無。師曰。賓主歷然。師召眾曰。要會臨濟賓主句。問取堂中二首座。師後居大名府興化寺東堂。咸通八年丁亥四月十日。將示滅。說傳法偈曰。㳂流不止問如何。真照無邊說似他。離相離名人不稟。吹毛用了急須磨。復謂眾曰。吾滅後。不得滅卻吾正法眼藏。三聖出曰。爭敢滅卻和尚正法眼藏。師曰。已後有人問。你向他道甚麼。聖便喝。師曰。誰知吾正法眼藏。向這瞎驢邊滅卻。言訖。端坐而逝。塔全身於府西北隅。諡慧照禪師。塔曰澄靈。

僧は擬議すれば、師は便ち打った。そこで言った:「大衆、夫れ法と爲る者は、身を喪い命を失うを避けず。我は黃檗先師の處に於て、三度佛法の的の大意を問うて、三度打たるること、蒿枝の拂うに相似たり。如今更に一頓を思う、誰か爲に手を下す。」當時僧有りて出でて言った:「某甲が手を下す。」師は拄杖を度して與えた。僧は擬して接せんとすれば、師は便ち打った。普化と同じく施主の齋に赴く時、師は問うた:「毛は巨海を吞み、芥は須彌を納る。爲れ復た是れ神通の妙用か、爲れ復た是れ法爾の如然か。」普化は飯床を踢倒した。師は言った:「太だ粗生。」普化は言った:「此の裏は是れ何の所在か、粗を説き細を説く。」次日又た同じく齋に赴いた。師は復た問うた:「今日の供養は、何く昨日に似たる。」普化は又た飯床を踢倒した。師は言った:「得れば即ち得、太だ粗生。」普化は喝して言った:「瞎漢。佛法は何の粗細を説く。」師は乃ち舌を吐いた。師は王常侍と僧堂に到った。王は問うた:「此の一堂の僧は還た經を看るか。」師は言った:「經を看ず。」王は言った:「還た禪を習うか。」師は言った:「禪を習わず。」王は言った:「既に經を看ず、又た禪を習わざれば、畢竟に箇の何を作す。」師は言った:「總て彼を教へて佛を成し祖を作して去らしむ。」王は言った:「金屑は貴しと雖も、眼に落ちて翳を成す。」師は言った:「我は將にあなたは是れ個の俗漢と謂えり。」師が上堂する時、兩堂の首座相見えて、同時に下して喝した。僧が師に問うた:「還た賓主有るか無しや。」師は言った:「賓主歷然。」師は衆を召して言った:「臨濟賓主の句を會せんと要せば、堂中の二首座に問い取れ。」師は後來大名府興化寺の東堂に居った。咸通八年丁亥四月十日、將に滅を示さんとす、傳法の偈を説いて言った:「流に沿って止まず、如何を問う、真照邊無きを他に説き似る。相を離れ名を離れて人は稟らず、吹毛用い了りて急に磨くを須う。」復た衆に對して言った:「吾滅せん後、吾が正法眼藏を滅却するを得ず。」三聖出でて言った:「争でか敢えて和尚の正法眼藏を滅却せん。」師は言った:「以後人有りて問わば、あなたは彼に向かって何を説く。」三聖は便ち喝した。師は言った:「誰か知らん吾が正法眼藏、此の瞎驢の邊に向かって滅却せんことを。」言い訖わりて、端坐して逝った。全身を府の西北隅に塔す。諡は慧照禪師。塔は澄靈と曰う。

南嶽下五世

南嶽下五世

臨濟玄禪師法嗣

臨濟玄禪師法嗣

魏府興化存獎禪師

魏府興化存獎禪師

在三聖會裡為首座。常曰。我向南方行腳一遭。拄杖頭不曾撥著一箇會佛法底人。三聖聞得。問曰。你具箇甚麼眼。便恁麼道。師便喝。聖曰。須是你始得。後大覺聞舉。遂曰。作麼生得風吹到大覺門裡來。師後到大覺為院主。一日覺喚院主。我聞你道。向南方行腳。一遭拄杖頭。不曾撥著一箇會佛法底。你憑箇甚麼道理。與麼道。師便喝。覺便打。師又喝。覺又打。師來日從法堂過。覺召院主。我直下疑你昨日這兩喝。師又喝。覺又打。師再喝。覺又打。師曰。某甲於三聖師兄處。學得箇賓主句。總被師兄折倒了也。願與某甲箇安樂法門。覺曰。這瞎漢來這裡納敗缺。脫下衲衣。痛打一頓。師於言下薦得臨濟先師於黃檗處吃棒底道理。師後開堂日。拈香曰。此一炷香本為三聖師兄。三聖於我大孤。本為大覺師兄。大覺於我太賖。不如供養臨濟先師。僧問。多子塔前。共談何事。師曰。一人傳虗。萬人傳實。師有時喚僧。僧應諾。師曰。點即不到。又喚一僧。僧應諾。師曰。到即不點。僧問。四方八面來時如何。師曰。打中間底。僧便禮拜。師曰。昨日赴箇村齋。中途遇一陣卒風暴雨。卻向古廟裡軃避得過。問僧。甚處來。曰。崔禪處來。師曰。將得崔禪喝來否。曰。不將得來。師曰。恁麼則不從崔禪處來。僧便喝。師便打。示眾。我聞前廊下也喝。後架裡也喝。諸子。汝莫盲喝亂喝。直饒喝得興化向虗空裡。卻撲下來一點氣也無。待我蘇息起來。向汝道未在。何故。我未曾向紫羅帳裡撒真珠與汝諸人去在。胡喝亂喝作麼。雲居住三峰庵時。師問。權借一問。以為影草時如何。居無對。師雲。想和尚答這話不得。不如禮拜了退。二十年後。居雲。如今思量。當時不消道箇何必。後遣化主到師處。師問。和尚住三峰庵時。老僧問伊話。對不得。如今道得也未。主舉前話。師雲。雲居二十年祇道得箇何必。

三聖の會裡に在りて首座を爲す。常に言った:「我は南方に行脚一遭して、拄杖頭に曾て箇の佛法を會するの人を撥き著けず。」三聖が聞得て、問うて言った:「あなたは箇の何の眼を具えて、便ち此の如く道う。」師は便ち喝した。三聖は言った:「須く是れあなたにしてこそ得ん。」後來大覺が聞き擧げて、就ち言った:「作麼生にか風吹かれて大覺の門裏に來ることを得た。」師は後來大覺に到りて院主を爲す。一日大覺が院主を喚びて言った:「我はあなたが道うを聞く、南方に行脚一遭して拄杖頭に、曾て箇の佛法を會するを撥き著けず、と。あなたは箇の何の道理に憑りて、此の如く道う。」師は便ち喝した。大覺は便ち打った。師は又た喝した。大覺は又た打った。師は來日法堂を過る。大覺は院主を召して言った:「我は直下にあなたの昨日の此の兩喝を疑う。」師は又た喝した。大覺は又た打った。師は再び喝した。大覺は又た打った。師は言った:「某甲は三聖師兄の處に於て、箇の賓主句を學得するを、總て師兄に折倒せられぬ。願わくは某甲に與えて箇の安樂法門を。」大覺は言った:「此の瞎漢は此の裏に來りて敗缺を納る。衲衣を脫下せよ、痛く一頓を打て。」師は言下に臨濟先師が黃檗の處に於て棒を喫するの道理を薦得した。師は後來開堂の那の日、香を拈じて言った:「此の一炷の香は本より三聖師兄。三聖は我に於て大いに孤なり。本より大覺師兄。大覺は我に於て太だ賖なり。臨濟先師に供養するに如かず。」僧が問うた:「多子塔の前、共に何の事を談ず。」師は言った:「一人は虛を傳え、萬人は實を傳う。」師は時に僧を喚ぶ。僧は應諾す。師は言った:「點すれば即ち到らず。」又た一の僧を喚ぶ。僧は應諾す。師は言った:「到れば即ち點せず。」僧が問うた:「四方八面より來る時はいかに。」師は言った:「中間のを打て。」僧は便ち礼拜した。師は言った:「昨日箇の村齋に赴きて、中途に一陣の卒風暴雨に遇い、却って古廟裏に向かって躲避して過ることを得たり。」僧に問うた:「甚の處より來る。」僧は言った:「崔禪の處より來る。」師は言った:「崔禪の喝を將て來るか否。」僧は言った:「將て來らず。」師は言った:「そうすれば崔禪の處より來らず。」僧は便ち喝した。師は便ち打った。衆に示して言った:「我は聞く、前廊の下にも亦た喝し、後架の裏にも亦た喝す。諸子、あなたがたは盲喝亂喝するな。直饒喝して興化を虛空裏に向かわしめても、却って撲せ下り來りて一點の氣も無からん。我が蘇息して起こるを待ちて、あなたに向かって道うも未だ在らず。何故。我は未曾て紫羅帳の裏に真珠を撒きてあなたがた諸人に與えて去らざるを在り。胡喝亂喝して作麼。」雲居が三峰庵に住する時、師は問うた:「權りに一問を借りて、以て影草を爲す時はいかに。」雲居は對無し。師は言った:「想うに和尚は此の話に答えるを得ず、礼拜して退くに如かず。」二十年の後、雲居は言った:「如今思量すれば、當時箇の何必を道うを消せず。」後來化主を遣わして師の處に到らしむ。師は問うた:「和尚が三峰庵に住する時、老僧は彼に話を問うて、對うるを得ず。如今道うことを得たか未や。」化主は前話を擧げた。師は言った:「雲居は二十年只だ箇の何必を道うのみ、」

興化即不然。爭如道箇不必。師謂克賓維那曰。汝不久為唱導之師。賓曰。不入這保社。師曰。會了不入。不會了不入。曰。總不與麼。師便打。曰。克賓維那法戰不勝。罰錢五貫。設饡飯一堂。次日。師自白椎曰。克賓維那法戰不勝。不得吃飯。即便出院。僧問。國師喚侍者。意作麼生。師曰。一盲引眾盲。師在臨濟為侍者。洛浦來參。濟問。甚處來。浦曰。鑾城來。濟曰。有事相借問。得麼。浦曰。新戒不會。濟曰。打破大唐國。覓箇不會底人也無。參堂去。師隨後。請問曰。適來新到。是成褫他。不成褫他。濟曰。我誰管你成褫不成褫。師曰。和尚祇解將死雀就地彈。不解將一轉語蓋覆卻。濟曰。你又作麼生。師曰。請和尚作新到。濟遂曰。新戒不會。師曰。卻是老僧罪過。濟曰。你語藏鋒。師擬議。濟便打。至晚濟又曰。我今日問新到。是將死雀就地彈。就窠子裡打。及至你出得語。又喝起了向青雲裡打。師曰。草賊大敗。濟便打。師見同參來。才上法堂。師便喝。僧亦喝。師又喝。僧亦喝。師近前拈棒。僧又喝。師曰。你看這瞎漢猶作主在。僧擬議。師直打下法堂。侍者請問。適來那僧有甚觸忤和尚。師曰。他適來也有權。也有實。也有照。也有用。及乎我將手向伊麵前橫兩橫。到這裡卻去不得。似這般瞎漢。不打更待何時。僧禮拜。問。寶劒知師藏已久。今日當場略借看。師曰。不借。曰。為甚麼不借。師曰。不是張華眼。徒窺射鬥光。曰。用者如何。師曰。橫身當宇宙。誰是出頭人。僧便作引頸勢。師曰。嗄。僧曰。喏。便歸眾。後唐莊宗車駕幸河北。回至魏府行宮。詔師問曰。朕收中原。獲得一寶。未曾有人酬價。師曰。請陛下寶看。帝以兩手舒幞頭腳。師曰。君王之寶。誰敢酬價(玄覺徵雲。且道興化肯莊宗。不肯莊宗。若肯莊宗。興化眼在甚麼處。若不肯莊宗。過在甚麼處)。

(師は続けて言った:)「興化は即ち然らず。争でか箇の不必を道うに如かん。」師は克賓維那に對して言った:「あなたは久しからずして唱導の師と爲らん。」克賓は言った:「此の保社に入らず。」師は言った:「會して了りて入らず、會せざりて了りて入らず。」克賓は言った:「總て此の如くあらず。」師は便ち打ちて、言った:「克賓維那は法戰に勝たず、錢五貫を罰し、饡飯一堂を設けよ。」次日、師は自ら椎を白して言った:「克賓維那は法戰に勝たず、飯を喫するを得ず。即便ち院を出づべし。」僧が問うた:「國師が侍者を喚ぶ意は作麼生。」師は言った:「一の盲は衆の盲を引く。」師は臨濟に在りて侍者を爲す。洛浦來りて參す。臨濟が問うた:「甚の處より來る。」洛浦は言った:「鑾城より來る。」臨濟は言った:「事有りて借問を相う、得るか。」洛浦は言った:「新戒會せず。」臨濟は言った:「大唐國を打破しても、箇の會せざるの人を覓えて無し。堂に參して去れ。」師は後に隨りて、請い問うて言った:「適來の新到、是れ彼を成褫するか、成褫せざるか。」臨濟は言った:「我は誰かあなたの成褫成褫せざるを管せん。」師は言った:「和尚は只だ死雀を將て地に就りて彈くを解し、一轉語を將て蓋覆し却るを解せず。」臨濟は言った:「あなたは又た作麼生。」師は言った:「和尚に請うて新到を作せ。」臨濟は就ち言った:「新戒會せず。」師は言った:「却って是れ老僧の罪過。」臨濟は言った:「あなたの語は鋒を藏す。」師は擬議すれば、臨濟は便ち打った。晚に至りて臨濟は又た言った:「我が今日新到に問うたは、死雀を將て地に就りて彈き、窠子の裏に就りて打つ。及びあなたが語を出せば、又た喝起して向かって靑雲裏に打つ。」師は言った:「草賊大敗。」臨濟は便ち打った。師は同參の來るを見て、纔かに法堂に上れば、師は便ち喝した。僧も亦た喝した。師は又た喝した。僧も亦た喝した。師は前に近づきて棒を拈じた。僧は又た喝した。師は言った:「あなたは此の瞎漢が猶お主を作して在るを看よ。」僧は擬議すれば、師は直に法堂を打ち下した。侍者が請い問うた:「適來の那の僧に甚の和尚を觸忤するか有る。」師は言った:「彼は適來も亦た權有り、亦た實有り、亦た照有り、亦た用有り。及ば我が手を將て彼の面前に向かって兩横たれば、此の裏に到りて却って去るを得ず。此の般の瞎漢に似たれば、打たずして更に何の時を待たん。」僧は礼拜した。問うた:「寶劍は師の藏すこと已に久しきを知る、今日當場に略く借りて看ん。」師は言った:「借さず。」僧は言った:「何の故に借さざる。」師は言った:「是れ張華の眼に非ず、徒らに斗に射す光を窺う。」僧は言った:「用うる者は如何。」師は言った:「身を横たえて宇宙に當たる、誰か是れ頭を出づる人。」僧は便ち頸を引く勢を作した。師は言った:「嗄。」僧は言った:「喏。」便ち衆に歸った。後唐莊宗の車駕が河北に幸して、回りて魏府の行宮に至り、師を詔して問うて言った:「朕は中原を收め、一寶を獲得す、未だ曾て人有りて價を酬えず。」師は言った:「陛下に請うて寶を看ん。」帝は兩手を以て幞頭の脚を舒べた。師は言った:「君王の寶、誰か敢えて價を酬えん。」(玄覺が徵して言った:「且く道え、興化は莊宗を肯うか、莊宗を肯えざるか。若し莊宗を肯わば、興化の眼は何の處に在る。若し莊宗を肯えざれば、過は何の處に在る。」)

龍顏大悅。賜紫衣.師號。師皆不受。乃賜馬與師乘騎。馬忽驚。師墜傷足。帝復賜藥救療。師喚院主。與我做箇木柺子。主做了將來。師接得。遶院行。問僧曰。汝等還識老僧麼。曰。爭得不識和尚。師曰。𨁸腳法師。說得行不得。又至法堂。令維那聲鐘集眾。師曰。還識老僧麼。眾無對。師擲下柺子。端然而逝。諡廣濟禪師。

龍顏大いに悦びた。紫衣、師號を賜う。師は皆な受けず。乃ち馬を賜りて師に乘騎せしむ。馬は忽ち驚き、師は墮ちて足を傷つけた。帝は復た藥を賜りて救療す。師は院主を喚びて言った:「我と箇の木の拐子を作れ。」院主は作り了りて將來した。師は接得して、院を繞りて行きた。僧に問うて言った:「あなたがたは還た老僧を識るか。」僧は言った:「争でか和尚を識らざるを得ん。」師は言った:「𨁸脚法師、説くは行うに得ず。」又た法堂に至りて、維那をして鐘を聲かしめて衆を集めしむ。師は言った:「還た老僧を識るか。」衆は對無し。師は拐子を擲下して、端然として逝った。諡は廣濟禪師。

鎮州寶壽沼禪師(第一世)

鎭州寶壽沼禪師(第一世)

僧問。萬境來侵時如何。師曰。莫管他。僧禮拜。師曰。不要動著。動著即打折汝腰。師在方丈坐。因僧問訊次。師曰。百千諸聖。盡不出此方丈內。曰。祇如古人道。大千沙界海中漚。未審此方丈向甚麼處著。師曰。千聖現在。曰。阿誰證明。師便擲下拂子。僧從西過東立。師便打。僧曰。若不久參。焉知端的。師曰。三十年後。此話大行。趙州來。師在禪床背面而坐。州展坐具禮拜。師起入方丈。州收坐具而出。師問僧。甚處來。曰。西山來。師曰。見獼猴麼。曰。見。師曰。作甚麼伎倆。曰。見某甲一箇伎倆也作不得。師便打。胡釘鉸參。師問。汝莫是胡釘鉸麼。曰。不敢。師曰。還釘得虗空麼。曰。請和尚打破。師便打。胡曰。和尚莫錯打某甲。師曰。向後有多口阿師與你點破在。胡後到趙州。舉前話。州曰。汝因甚麼被他打。胡曰。不知過在甚麼處。州曰。祇這一縫尚不奈何。胡於此有省。趙州曰。且釘這一縫。僧問。萬裡無雲時如何。師曰。青天也須吃棒。曰。未審青天有甚麼過。師便打。問。如何是祖師西來意。師曰。面黑眼睛白。西院來參。問。踏倒化城來時如何。師曰。不斬死漢。院曰。斬。師便打。院連道。斬。斬。師又隨聲打。師卻回方丈曰。適來這僧。將赤肉抵他乾棒。有甚死急。

僧が問うた:「萬境が來り侵す時はいかに。」師は言った:「彼を管するな。」僧は礼拜した。師は言った:「動著する要らず。動著すれば即ちあなたの腰を打折る。」師は方丈に在りて坐す。因りて僧が問訊する時、師は言った:「百千の諸聖、盡く此の方丈の内を出でず。」僧は言った:「只だ古人の説くが如き、大千の沙界は海中の漚、と。未だ審かならず此の方丈は何の處に向かって著く。」師は言った:「千聖現在。」僧は言った:「阿誰が證明す。」師は便ち拂子を擲下した。僧は西より東に過りて立った。師は便ち打った。僧は言った:「若し久しく參せざれば、焉んぞ端的を知らん。」師は言った:「三十年の後、此の話大いに行われん。」趙州來る。師は禪床の背面にして坐す。趙州は坐具を展べて礼拜した。師は起ちて方丈に入った。趙州は坐具を收めて出でた。師は僧に問うた:「甚の處より來る。」僧は言った:「西山より來る。」師は言った:「獮猴を見たか。」僧は言った:「見たり。」師は言った:「何の伎倆を作す。」僧は言った:「某甲は一箇の伎倆も作することを得ざるを見たり。」師は便ち打った。胡釘鉸が參す。師は問うた:「あなたは莫れ是れ胡釘鉸か。」僧は言った:「敢えず。」師は言った:「還た虛空を釘するを得るか。」僧は言った:「和尚に請うて打破せ。」師は便ち打った。胡は言った:「和尚は莫し錯りて某甲を打つこと。」師は言った:「向後に多口の阿師有りてあなたと點破して在らん。」胡は後來趙州に到りて、前話を擧げた。趙州は言った:「あなたは何に因りて彼に打たれた。」胡は言った:「過の何の處に在るを知らず。」趙州は言った:「只だ此の一縫は尚お奈何ともせず。」胡は此に於て省有り。趙州は言った:「且く此の一縫を釘せ。」僧が問うた:「萬里雲無き時はいかに。」師は言った:「靑天も也た須く棒を喫すべし。」僧は言った:「未だ審かならず靑天に何の過か有る。」師は便ち打った。問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「面黑く眼睛白し。」西院來りて參し、問うた:「化城を踏倒して來る時はいかに。」師は言った:「死漢を斬らず。」西院は言った:「斬れ。」師は便ち打った。西院は連ねて道う:「斬れ、斬れ。」師は又た聲に隨って打った。師は却って方丈に回りて言った:「適來の此の僧、赤肉を將て彼の乾棒に抵す。甚の死急か有る。」

鎮州三聖院慧然禪師

鎭州三聖院慧然禪師

自臨濟受訣。遍歷叢林。至仰山。山問。汝名甚麼。師曰。慧寂。山曰。慧寂是我名。師曰。我名慧然。山大笑而已。仰山因有官人相訪。山問。官居何位。曰。推官。山竪起拂子曰。還推得這箇麼。官人無對。山令眾下語。皆不契。時師不安。在涅槃堂內將息。山令侍者去請下語。師曰。但道和尚今日有事。山又令侍者問。未審有甚麼事。師曰。再犯不容。到香嚴。嚴問。甚處來。師曰。臨濟。嚴曰。將得臨濟喝來麼。師以坐具驀口打。又到德山。才展坐具。山曰。莫展炊巾。這裡無殘羹餿飯。師曰。縱有也無著處。山便打。師接住棒。推向禪床上。山大笑。師哭蒼天。便下參堂。堂中首座號踢天泰。問。行腳高士。須得本道公驗。作麼生是本道公驗。師曰。道甚麼。座再問。師打一坐具曰。這漆桶前後觸忤多少賢良。座擬人事。師便過第二座人事。又到道吾。吾預知。以緋抹額。持神杖於門下立。師曰。小心祇候。吾應喏。師參堂了。再上人事。吾具威儀。方丈內坐。師才近前。吾曰。有事相借問。得麼。師曰。也是適來野狐精。便出去。住後。上堂。我逢人即出。出則不為人。便下座(興化雲。我逢人則不出。出則便為人)。僧問。如何是祖師西來意。師曰。臭肉來蠅(興化雲。破驢脊上足蒼蠅)。問。僧近離甚處。僧便喝。師亦喝。僧又喝。師又喝。僧曰。行棒即瞎。便喝。師拈棒。僧乃轉身作受棒勢。師曰。下坡不走快便難逢。便棒。僧曰。這賊。便出去師遂拋下棒。次有僧問。適來爭容得這僧。師曰。是伊見先師來。

臨濟より訣を受けて、遍く叢林を歷る。仰山に至る。仰山が問うた:「あなたの名は何か。」師は言った:「慧寂。」仰山は言った:「慧寂は我が名。」師は言った:「我が名は慧然。」仰山は大いに笑うのみ。仰山因りて官人有りて相訪す。仰山は問うた:「官は何の位に居る。」官は言った:「推官。」仰山は拂子を豎起して言った:「還た此箇を推すを得るか。」官人は對無し。仰山は衆をして語を下さしめたが、皆な契せず。當時師は安ならず、涅槃堂の内に在りて將息せり。仰山は侍者をして去りて請うて語を下さしむ。師は言った:「但だ和尚は今日事有りと道え。」仰山は又た侍者をして問わしめた:「未だ審かならず何の事か有る。」師は言った:「再犯は容れず。」香嚴に到る。香嚴が問うた:「甚の處より來る。」師は言った:「臨濟。」香嚴は言った:「臨濟の喝を將て來るか。」師は坐具を以て口を蓦して打った。又た德山に到りて、纔かに坐具を展ぶ。德山は言った:「炊巾を展ぶるな。此の裏に殘羹饅飯無し。」師は言った:「縱い有るも亦た著く處無し。」德山は便ち打った。師は棒を接住し、禪床の上に推向した。德山は大いに笑いた。師は蒼天を哭して、便ち下りて堂に參した。堂中の首座の號は踢天泰、問うた:「行脚の高士は、須く本道の公驗を得べし。作麼生にか是れ本道の公驗。」師は言った:「何を道う。」首座は再び問うた。師は一坐具を打ちて言った:「此の漆桶は前後に多少の賢良を觸忤せる。」首座は擬して人事せんとすれば、師は便ち第二座に過りて人事した。又た道吾に到る。道吾は預め知りて、緋の抹額を以て、神杖を持ちて門下に立つ。師は言った:「小心に只候せよ。」道吾は喏と應えた。師は堂に參し了りて、再び上りて人事す。道吾は威儀を具えて、方丈の内に坐す。師は纔かに前に近づけば。道吾は言った:「事有りて借問を相う、得るか。」師は言った:「也た是れ適來の野狐精。」便ち出でて去った。住持して以後上堂:「我は人に逢えば即ち出づ、出づれば則ち人に爲さず。」便ち座を下りた。(興化は言った:「我は人に逢えば則ち出でず、出づれば則ち便ち人に爲す。」)僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「臭肉に蠅來る。」(興化は言った:「破驢の脊上に蒼蠅足し。」)僧に問うた近く甚の處を離るる。僧は便ち喝した。師も亦た喝した。僧は又た喝した。師は又た喝した。僧は言った:「棒を行ずれば即ち瞎なり。」便ち喝した。師は棒を拈じた。僧は乃ち身を轉じて棒を受くる勢を作した。師は言った:「坡を下るに走らざれば快なり、便ち逢い難し。」便ち棒した。僧は言った:「此の賊。」便ち出でて去った。師は遂に棒を抛下した。接着僧有りて問うた:「適來争でか此の僧を容れ得た。」師は言った:「是れ彼が先師の來るを見る。」

魏府大覺和尚

魏府大覺和尚

參臨濟。濟才見。竪起拂子。師展坐具。濟擲下拂子。師收坐具。參堂去。時僧眾曰。此僧莫是和尚親故。不禮拜又不吃棒。濟聞說。令侍者喚適來新到上來。師隨侍者到方丈。濟曰。大眾道汝來參長老。又不禮拜。又不吃棒。莫是長老親故。師乃珍重下去。師住後。僧問。如何是本來身。師曰。頭枕衡山。腳踏北嶽。問。如何是佛法大意。師曰。良馬不窺鞭。側耳知人意。問。如何是鎮國寶。師曰。穿耳賣不售。問。香草未生時如何。師曰。齅著腦裂。曰。生後如何。師曰。腦裂。問。如何是祖師西來意。師曰。十字街頭。望空啟告。問。如何是大覺。師曰。惡覺。曰。乖極。師便打。問。忽來忽去時如何。師曰。風吹柳絮毛毬走。曰。不來不去時如何。師曰。華嶽三峰頭指天。問。一飽忘百饑時如何。師曰。縱遇臨岐食。隨分納些些。臨終時謂眾曰。我有一隻箭。要付與人。時有一僧出。曰。請和尚箭。師曰。汝喚甚麼作箭。僧喝。師打數下。便歸方丈。卻喚其僧入來。問曰。汝適來會麼。曰。不會。師又打數下。擲卻拄杖。曰。已後遇明眼人。分明舉似。便乃告寂。

臨濟に參す。臨濟は纔かに見て、拂子を豎起した。師は坐具を展べた。臨濟は拂子を擲下した。師は坐具を收めて、堂に參して去った。當時僧衆は言った:「此の僧は莫れ是れ和尚の親故か、礼拜せずして又た棒を喫せず。」臨濟は聞きて、侍者をして適來の新到を喚びて上がらしむ。師は侍者に隨って方丈に到った。臨濟は言った:「大衆はあなたが來りて長老に參すに、又た礼拜せず、又た棒を喫せずと道う。莫れ是れ長老の親故か。」師は乃ち珍重して下り去った。師は住持して以後、僧が問うた:「どうして本來の身ですか。」師は言った:「頭は衡山を枕し、脚は北嶽を踏む。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「良馬は鞭を窺わず、耳を側めて人の意を知る。」問うた:「どうして鎭國の寶ですか。」師は言った:「耳を穿ちて賣るも售れず。」問うた:「香草未だ生ぜざる時はいかに。」師は言った:「嗅ぎ著けば腦裂せん。」僧は言った:「生じた後はいかに。」師は言った:「腦裂。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「十字の街頭、空を望みて啓告す。」問うた:「どうして大覺ですか。」師は言った:「惡覺。」僧は言った:「乖れること極まり。」師は便ち打った。問うた:「忽ち來り忽ち去る時はいかに。」師は言った:「風は柳絮の毛毬を吹きて走らす。」僧は言った:「來らず去らざる時はいかに。」師は言った:「華嶽三峰は頭を指して天。」問うた:「一飽して百の飢を忘る時はいかに。」師は言った:「縱い臨岐の食に遇うとも、分に隨って些々を納れ。」臨終の時衆に對して言った:「我に一隻の箭有り、人に付與せんと要す。」當時一の僧有りて出でて、言った:「和尚の箭を請う。」師は言った:「あなたは何を喚んで箭と作す。」僧は喝した。師は數下を打ちて、便ち方丈に歸った。却って其の僧を喚び入れて、問うて言った:「あなたは適來會せしか。」僧は言った:「會せず。」師は又た數下を打ちて、拄杖を擲却して、言った:「以後明眼の人に遇えば、分明に擧似せよ。」便ち乃ち寂を告げた。

灌谿志閑禪師

灌溪志閑禪師

魏府館陶史氏子。幼從栢巖禪師披剃受具。後見臨濟。濟驀胸搊住。師曰。領。領。濟拓開曰。且放汝一頓。師離臨濟至末山(語見末山章)。師住後。上堂曰。我在臨濟爺爺處得半杓。末山孃孃處得半杓。共成一杓。吃了。直至如今飽不飢。僧問。請師不借借。師曰。滿口道不得。師又曰。大庾嶺頭佛不會。黃梅路上沒眾生。師會下一僧。去參石霜。霜問。甚處來。曰。灌谿來。霜曰。我南山。不如他北山。僧無對。僧回舉似師。師曰。何不道灌谿修涅槃堂了也。問。久嚮灌谿。到來祇見漚麻池。師曰。汝祇見漚麻池。且不見灌谿。曰。如何是灌谿。師曰。劈箭急(後人舉似玄沙。沙雲。更學三十年未會禪)。問。如何是古人骨。師曰。安置不得。曰。為甚麼安置不得。師曰。金烏那教下碧天。問。金鎻斷後如何。師曰。正是法汝處。問。如何是祖師西來意。師曰。缽裡盛飯。饙裡盛羹。曰。學人不會。師曰。飢則食。飽則休。上堂。十方無壁落。四畔亦無門。露裸裸。赤灑灑。無可把。便下座。問。如何是一色。師曰。不隨。曰。一色後如何。師曰。有闍黎承當分也無。問。今日一會。祇敵何人。師曰。不為凡聖。問。一句如何。師曰。不落千聖機。問。如何是洞中水。師曰。不洗人。唐乾寧二年乙卯五月二十九日。問侍者曰。坐死者誰。曰。僧伽。師曰。立死者誰。曰。僧會。師乃行七步。垂手而逝。

魏府館陶史氏の子。幼年に柏岩禪師に從い剃を披き具を受けた。後に臨濟を見る。臨濟は胸を蓦して搊い住めた。師は言った:「領、領。」臨濟は拓き開きて言った:「且くあなたに一頓を放つ。」師は臨濟を離れて末山に至る。(語は末山の章に見えり。)師は住持して以後上堂して言った:「我は臨濟爺爺の處にて半杓を得、末山娘娘の處にて半杓を得、共に一杓を成す。喫して了り、直に如今に至るまで飽きて飢えず。」僧が問うた:「師に借せざるを借さんことを請う。」師は言った:「口滿ちて道うことを得ず。」師は又た言った:「大庾嶺頭の佛は會せず、黃梅路上に衆生無し。」師の會下に一の僧有りて、去りて石霜に參す。石霜が問うた:「甚の處より來る。」僧は言った:「灌溪より來る。」石霜は言った:「我が南山、彼の北山に如かず。」僧は對無し。僧は回りて師に擧似した。師は言った:「何ぞ灌溪は涅槃堂を修め了れりと道わざる。」問うた:「久しく灌溪に向い、到り來れば只だ漚麻池を見る。」師は言った:「あなたは只だ漚麻池を見て、且つ灌溪を見ず。」僧は言った:「どうして灌溪ですか。」師は言った:「箭を劈くが如く急なり。」(後人が玄沙に擧似す。玄沙は言った:「更に三十年を學びて未だ禪を會せず。」)問うた:「どうして古人の骨ですか。」師は言った:「安置するを得ず。」僧は言った:「何の故に安置するを得ざる。」師は言った:「金烏那が教えて碧天を下さん。」問うた:「金鎖斷れた後はいかに。」師は言った:「正に是れあなたに法する處。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「鉢裏は飯を盛り、饙裏は羹を盛る。」僧は言った:「學人會せず。」師は言った:「飢えれば則ち食い、飽ければ則ち休む。」上堂:「十方に壁落無く、四畔にも亦た門無し。露裸裸、赤灑灑として、把る可き無し。」便ち座を下りた。問うた:「どうして一色ですか。」師は言った:「隨わず。」僧は言った:「一色の後はいかに。」師は言った:「闍黎の承當の分有るか無しや。」問うた:「今日の一會は、只だ何人に敵する。」師は言った:「凡聖に爲らず。」問うた:「一句如何。」師は言った:「千聖の機に落ちず。」問うた:「どうして洞中の水ですか。」師は言った:「人を洗わず。」唐乾寧二年乙卯五月二十九日、侍者に問うて言った:「坐して死する者は誰か。」侍者は言った:「僧伽。」師は言った:「立ちて死する者は誰か。」侍者は言った:「僧會。」師は乃ち七步を行き、手を垂れて逝った。

𣵠州紙衣和尚(即克符道者)

𣵠州紙衣和尚(即ち克符道者)

初問臨濟。如何是奪人不奪境。濟曰。煦日發生鋪地錦。嬰兒垂髮白如絲。師曰。如何是奪境不奪人。濟曰。王令已行天下遍。將軍塞外絕煙塵。師曰。如何是人境俱奪。濟曰。並汾絕信。獨處一方。師曰。如何是人境俱不奪。濟曰。王登寶殿。野老謳謌。師於言下領旨。後有頌曰。奪人不奪境。緣自帶誵訛。擬欲求玄旨。思量反責麼。驪珠光燦爛。蟾桂影婆娑。覿面無差互。還應滯網羅。奪境不奪人。尋言何處真。問禪禪是妄。究理理非親。日照寒光澹。山搖翠色新。直饒玄會得。也是眼中塵。人境兩俱奪。從來正令行。不論佛與祖。那說聖凡情。擬犯吹毛劍。還如值木盲。進前求妙會。特地斬精靈。人境俱不奪。思量意不偏。主賓言少異。問答理俱全。踏破澄潭月。穿開碧落天。不能明妙用。淪溺在無緣。僧問。如何是賓中賓。師曰。倚門傍戶猶如醉。出言吐氣不慚惶。曰。如何是賓中主。師曰。口唸彌陀隻拄杖。目瞽瞳人不出頭。曰。如何是主中賓。師曰。高提祖印當機用。利物應知語帶悲。曰。如何是主中主。師曰。橫按鏌鎁全正令。太平寰宇斬痴頑。曰。既是太平寰宇。為甚麼卻斬痴頑。師曰。不許夜行剛把火。直須當道與人看。

起初臨濟に問うた:「どうして人を奪うも境を奪わざるですか。」臨濟は言った:「煦日は生發して地に錦を鋪き、嬰兒は髮を垂れて白きこと絲の如し。」師は言った:「どうして境を奪うも人を奪わざるですか。」臨濟は言った:「王令已に行われて天下遍く、將軍は塞外に煙塵を絶つ。」師は言った:「どうして人境俱に奪うですか。」臨濟は言った:「幷汾は信を絶ち、獨り一方に處す。」師は言った:「どうして人境俱に奪わざるですか。」臨濟は言った:「王は寶殿に登り、野老は謳歌す。」師は言下に旨を領した。後に頌有りて言った:「人を奪うも境を奪わず、縁は自ら誵訛を帶ぶ。擬して玄旨を求めんと欲すれば、思量反って麼を責む。驪珠の光燦爛、蟾桂の影婆娑。觌面に差互無きも、還た應に網羅に滯るべし。境を奪うも人を奪わず、言を尋ぬれば何の處か真。禪を問えば禪は是れ妄、理を究めれば理は親に非ず。日は寒光を澹かに照し、山は搖れて翠色新たなり。直饒玄會し得るも、也た是れ眼中の塵。人境兩も俱に奪う、從來正令行わる。佛と祖とを論せず、那か聖凡の情を説かん。擬して吹毛の劍を犯さば、還た木盲に値うが如し。前に進みて妙會を求むれば、特地に精靈を斬らん。人境俱に奪わず、思量の意偏らず。主賓の言少しく異にして、問答の理俱に全し。澄潭の月を踏破し、碧落の天を穿開す。妙用を明らかにすること能わざれば、淪溺して無緣に在らん。」僧が問うた:「どうして賓中の賓ですか。」師は言った:「門に倚り戸に傍うが如く猶お醉うが如く、言を出だし氣を吐くも慚惶せず。」僧は言った:「どうして賓中の主ですか。」師は言った:「口に彌陀を念じて只だ拄杖、目瞽の瞳人は頭を出ださず。」僧は言った:「どうして主中の賓ですか。」師は言った:「祖印を高提して機に當たるの用、物を利するは應に語の悲を帶ぶを知るべし。」僧は言った:「どうして主中の主ですか。」師は言った:「鏌鋣を横按して正令を全うし、太平の寰宇に癡頑を斬る。」僧は言った:「既に是れ太平の寰宇、何の故に却って癡頑を斬る。」師は言った:「夜行に剛に火を把るを許さず、直に須く道に當たりて人に與えて看よ。」

定州善崔禪師

定州善崔禪師

州將王令公於衙署張座。請師說法。師陞座。拈拄杖曰。出來也打。不出來也打。僧出曰。崔禪聻。師擲下拄杖曰。久立令公。伏惟珍重。僧問。如何是祖師西來意。師曰。定州瓷器似鍾鳴。曰。學人不會意旨如何。師曰。口口分明沒喎斜。

州將の王令公は衙署に座を張りて、師を請じて法を説かしむ。師は座に升りて、拄杖を拈じて言った:「出でて來るも也た打ち、出でて來らざるも也た打つ。」僧出でて言った:「崔禪聻。」師は拄杖を擲下して言った:「令公を久立せしめり。伏して惟れ珍重せん。」僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「定州の瓷器は鐘鳴に似たり。」僧は言った:「學人會せず意旨は如何。」師は言った:「口々分明にして㖞斜無し。」

鎮州萬壽和尚

鎭州萬壽和尚

僧問。如何是迦葉上行衣。師曰。鶴飛千點雪。雲鎻萬重山。問。如何是丈六金身。師曰。袖頭打領。腋下剜襟。曰。學人不會。師曰。不會請人裁。師訪寶壽。壽坐不起。師展坐具。壽下禪床。師卻坐。壽驟入方丈。閉卻門。知事見師坐不起。曰。請和尚庫下吃茶。師乃歸院。翌日。寶壽來復謁。師踞禪床。壽展坐具。師亦下禪床。壽卻坐。師歸方丈閉卻門。壽入侍者寮。取灰圍卻方丈門。便歸去。師遂開門見曰。我不恁麼。他卻恁麼。

僧が問うた:「どうして迦葉の上の行衣ですか。」師は言った:「鶴飛ぶ千點の雪、雲鎖す萬重の山。」問うた:「どうして丈六の金身ですか。」師は言った:「袖頭は領を打ち、腋下は襟を剜る。」僧は言った:「學人會せず。」師は言った:「會せざれば人を請うて裁わしめよ。」師は寶壽を訪う。寶壽は坐して起たず。師は坐具を展べた。寶壽は禪床を下りた。師は却って坐した。寶壽は驟り方丈に入りて、門を閉ぢ却した。知事は師の坐して起たざるを見て、言った:「和尚に請うて庫下にて茶を喫せん。」師は乃ち院に歸った。翌日、寶壽來りて復た謁す。師は禪床に踞す。寶壽は坐具を展べた。師も亦た禪床を下りた。寶壽は却って坐した。師は方丈に歸りて門を閉ぢ却した。寶壽は侍者寮に入りて、灰を取りて方丈の門を圍み却し、便ち歸去った。師は遂に門を開きて見て言った:「我は此の如くせず、彼は却って此の如くす。」

幽州譚空和尚

幽州譚空和尚

鎮州牧有姑為尼。行腳回。欲開堂為人。牧令師勘過。師問曰。見說汝欲開堂為人。是否。尼曰。是。師曰。尼是五障之身。汝作麼生為人。尼曰。龍女八歲。南方無垢世界成等正覺又作麼生。師曰。龍女有十八變。你試一變看。尼曰。設使變得。也祇是箇野狐精。師便打。牧聞舉乃曰。和尚棒折那。僧問。德山棒。臨濟喝。未審那箇最親。師曰。已前在眾裡。老僧也曾商量來。僧便喝。師曰。卻是汝會。僧曰。錯。師便打。上堂。眾集。有僧出曰。擬問不問時如何。師曰。嗄。僧便喝。師曰。㘞。僧又喝。師拈拄杖。僧曰。瞎。師拋下拄杖。曰。今日失利。僧曰。草賊大敗。便歸眾。師以手向空點一點。曰。大眾。還有人辯得麼。若有辯得者。出來對眾道看。師良久。曰。頂門上眼。也鑒不破。便下座。寶壽和尚問。除卻中上二根人來時。師兄作麼生。師曰。汝適來舉早錯也。壽曰。師兄也不得無過。師曰。汝卻與我作師兄。壽側掌曰。這老賊。

鎭州の牧に姑有りて尼と爲る。行脚して回り、堂を開きて人に爲せんと欲す。牧は師をして勘過せしむ。師は問うて言った:「あなたが堂を開きて人に爲せんと欲すと見ゆ、是か否か。」尼は言った:「是。」師は言った:「尼は是れ五障の身。あなたは作麼生に人に爲す。」尼は言った:「龍女は八歲にして、南方無垢世界にて等正覺を成せり、又た作麼生。」師は言った:「龍女は十八變有り。あなたは試しに一變して看よ。」尼は言った:「設し變ずるを得るを使すとも、也た只だ是れ個の野狐精。」師は便ち打った。牧は聞き擧げて就ち言った:「和尚の棒は折れたるか。」僧が問うた:「德山の棒、臨濟の喝。未だ審かならず那箇か最も親なる。」師は言った:「已前衆裏に在りて、老僧も亦た曾て商量せし來る。」僧は便ち喝した。師は言った:「却って是れあなたが會せり。」僧は言った:「錯。」師は便ち打った。上堂。衆集まる。僧有りて出でて言った:「問わんと擬して問わざる時はいかに。」師は言った:「嗄。」僧は便ち喝した。師は言った:「㘞。」僧は又た喝した。師は拄杖を拈じた。僧は言った:「瞎。」師は拄杖を抛下して、言った:「今日失利。」僧は言った:「草賊大敗。」便ち衆に歸った。師は手を以て空に向かって一點を點して、言った:「大衆、還た人辯得する有るか。若し辯得する者有らば、出でて來りて衆に對して道え看よ。」師は久しく過ぎて、言った:「頂門上の眼も、也た鑑み破るを得ず。」便ち座を下りた。寶壽和尚が問うた:「中上の二根の人を除き却して來る時、師兄は作麼生。」師は言った:「あなたは適來擧ぐること早く錯れたり。」寶壽は言った:「師兄も亦た過無くんばあらざるを得ず。」師は言った:「あなたは却って我と師兄を作す。」寶壽は掌を側めて言った:「此の老賊。」

襄州歷村和尚

襄州歷村和尚

僧問。如何是觀其音聲而得解脫。師將火筯敲柴曰。汝還聞麼。曰。聞。師曰。誰不解脫。師煎茶次。僧問。如何是祖師西來意。師舉起茶匙。僧曰。莫祇這便當否。師擲向火中。

僧が問うた:「どうして其の音聲を觀て解脱を得るですか。」師は火筯を將て柴を敲きて言った:「あなたは還た聞くか。」僧は言った:「聞く。」師は言った:「誰か解脱せざる。」師が茶を煎ずる時、僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は茶匙を擧起した。僧は言った:「莫れ只だ此れ便ち當たるか否。」師は火中に擲向した。

滄州米倉和尚

滄州米倉和尚

州牧請師與寶壽入廳供養。令人傳語。請二長老譚論佛法。壽曰。請師兄答話。師便喝。壽曰。某甲話也未問。喝作麼。師曰。猶嫌少在。壽卻與一喝。

州牧は師と寶壽とを請じて廳に入りて供養せしむ。人をして語を傳えしむ:二の長老に請うて佛法を談論せん、と。寶壽は言った:「師兄に請うて話に答えよ。」師は便ち喝した。寶壽は言った:「某甲は話も亦だ問わず、喝して作麼。」師は言った:「猶お少なきを嫌いて在り。」寶壽は却って與えて一喝した。

新羅國智異山和尚

新羅國智異山和尚

一日示眾曰。冬不寒。臘後看。便下座。

一日衆に示して言った:「冬寒からず、臘後に看よ。」便ち座を下りた。

常州善權山徹禪師

常州善權山徹禪師

僧問。祖意.教意。是同是別。師曰。冬寒夏熱。曰。此意如何。師曰。炎天宜散袒。冬後更深藏。

僧が問うた:「祖意、教意は、是れ同か是れ別か。」師は言った:「冬は寒く夏は熱し。」僧は言った:「此の意は如何。」師は言った:「炎天は宜しく袒を散すべく、冬後は更に深藏すべし。」

金沙和尚

金沙和尚

僧問。如何是祖師西來意。師曰。聽。曰。恁麼則大眾側聆。師曰。十萬八千。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「聽。」僧は言った:「そうすれば大衆耳を側めて聆く。」師は言った:「十萬八千。」

齊聳禪師

齊聳禪師

僧問。如何是佛。師曰。老僧並不知。曰。和尚是大善知識。為甚麼不知。師曰。老僧不曾接下機。問。如何是道。師曰。往來無障礙。復曰。忽遇大海。作麼生過。僧擬議。師便打。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「老僧は幷びに知らず。」僧は言った:「和尚は是れ大善知識、何の故に知らざる。」師は言った:「老僧は曾て下の機に接せず。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「往來障礙無し。」又た言った:「忽然に大海に遇えば、作麼生に過る。」僧は擬議すれば、師は便ち打った。

雲山和尚

雲山和尚

有僧從西京來。師問。還將得西京主人書來否。曰。不敢妄通消息。師曰。作家師僧。天然有在。曰。殘羹餿飯誰吃。師曰。獨有闍黎不甘吃。其僧乃作吐勢。師喚侍者曰。扶出這病僧著。僧便出去。師見僧來。便作起勢。僧便出去。師曰。得恁麼靈利。僧便喝曰。作這箇眼目。承嗣臨濟。也太屈哉。師曰。且望闍黎善傳。僧回首。師喝曰。作這箇眼目。錯判諸方名言。隨後便打。

僧有りて西京より來る。師は問うた:「還た西京主人の書を將て來るか否。」僧は言った:「敢えて妄りに消息を通ぜず。」師は言った:「作家の師僧、天然に在る有り。」僧は言った:「殘羹饅飯は誰か喫す。」師は言った:「獨り闍黎有りて喫すことを甘んぜず。」那の僧は乃ち吐く勢を作した。師は侍者を喚びて言った:「此の病僧を扶け出で著けよ。」僧は便ち出でて去った。師は僧の來るを見て、便ち起つ勢を作した。僧は便ち出でて去った。師は言った:「此の如く靈利なるを得たり。」僧は便ち喝して言った:「此箇の眼目を作して、臨濟を承嗣す、也た太だ屈なる哉。」師は言った:「且く闍黎の善く傳えんを望む。」僧は首を回した。師は喝して言った:「此箇の眼目を作して、錯りて諸方の名言を判ず。」後に隨りて便ち打った。

虎谿庵主

虎溪庵主

僧問。庵主在這裡多少年也。師曰。祗見冬凋夏長。年代總不記得。曰。大好不記得。師曰。汝道我在這裡得多少年也。曰。冬凋夏長。聻。師曰。閙市裡虎。僧到相看。師不顧。僧曰。知道庵主有此機鋒。師鳴指一下。僧曰。是何宗旨。師便打。僧曰。知道今日落人便宜。師曰。猶要棒吃在。有僧才入門。師便喝。僧默然。師便打。僧卻喝。師曰。好箇草賊。有僧到。近前曰。不審庵主。師曰。阿誰。僧便喝。師曰。得恁麼無賓主。曰。猶要第二喝在。師便喝。有僧問。和尚何處人事。師曰。隴西人。曰。承聞隴西出鸚鵡。是否。師曰。是。曰。和尚莫不是否。師便作鸚鵡聲。僧曰。好箇鸚鵡。師便打。

僧が問うた:「庵主は此の裏に在りて多少年。」師は言った:「只だ冬の凋み夏の長ずるを見る、年代は總て記えず。」僧は言った:「大いに好し記えざる。」師は言った:「あなたは道え我が此の裏に在ること得多少年と。」僧は言った:「冬凋み夏長ず、聻。」師は言った:「鬧市裏の虎。」僧が到りて相看すれば、師は顧みず。僧は言った:「庵主に此の機鋒有るを知る。」師は指を鳴らすこと一下。僧は言った:「是れ何の宗旨か。」師は便ち打った。僧は言った:「今日は人の便宜に落つるを知る。」師は言った:「猶お棒を喫すること要在り。」僧有りて纔かに門に入れば、師は便ち喝した。僧は默然とす。師は便ち打った。僧は却って喝した。師は言った:「好い箇の草賊。」僧有りて到りて、前に近づきて言った:「庵主に問訊す。」師は言った:「阿誰。」僧は便ち喝した。師は言った:「此の如く賓主無きを得たり。」僧は言った:「猶お第二の喝を要在り。」師は便ち喝した。僧有りて問うた:「和尚は何の處の人か。」師は言った:「隴西の人。」僧は言った:「隴西は鸚鵡を出だすと承る、是か否か。」師は言った:「是。」僧は言った:「和尚は莫れ是れに非ずや。」師は便ち鸚鵡の聲を作した。僧は言った:「好い箇の鸚鵡。」師は便ち打った。

覆盆菴主

覆盆庵主

問僧。甚處來。僧曰。覆盆山下來。師曰。還見菴主麼。僧便喝。師便打。僧曰。作甚麼。師住棒。僧擬議。師又打。一日。有僧從山下哭上。師閉卻門。僧於門上畫一圓相。門外立地。師從菴後出。卻從山下哭上。僧喝曰。猶作這箇去就在。師便換手搥胸曰。可惜先師一場埋沒。僧曰。苦。苦。師曰。菴主被謾。

僧に問うた:「甚の處より來る。」僧は言った:「覆盆山の下より來る。」師は言った:「還た庵主を見るか。」僧は便ち喝した。師は便ち打った。僧は言った:「何を作す。」師は棒を住めた。僧は擬議すれば、師は又た打った。一日、僧有りて山下より哭して上る。師は門を閉ぢ却した。僧は門上に一の圓相を畫きて、門外に地に立つ。師は庵の後より出でて、却って山下より哭して上った。僧は喝して言った:「猶お此箇の去就を作して在り。」師は便ち手を換えて胸を捶りて言った:「惜しむべし先師は一場埋没せり。」僧は言った:「苦、苦。」師は言った:「庵主は謾せられぬ。」

桐峰菴主

桐峰庵主

僧問。和尚這裡忽遇大蟲。作麼生。師便作大蟲吼。僧作怖勢。師大笑。僧曰。這老賊。師曰。爭奈老僧何。有僧到菴前便去。師召闍黎。僧回首便喝。師良久。僧曰。死卻這老漢。師便打。僧無語。師呵呵大笑。有僧入菴便把住師。師呌。殺人。殺人。僧拓開曰。呌喚作甚麼。師曰。誰。僧便喝。師便打。僧出外回首曰。且待。且待。師大笑。有老人入山參。師曰。住在甚處。老人不語。師曰。善能對機。老人地上拈一枝草示師。師便喝。老人禮拜。便歸菴。老人曰。與麼疑殺一切人在。

僧が問うた:「和尚の此の裏に忽然に大蟲に遇えば、作麼生。」師は便ち大蟲の吼を作した。僧は怖る勢を作した。師は大いに笑いた。僧は言った:「此の老賊。」師は言った:「争奈老僧を何。」僧有りて庵の前に到りて便ち去った。師は闍黎を召した。僧は首を回して便ち喝した。師は久しく過ぎた。僧は言った:「此の老漢を死却せよ。」師は便ち打った。僧は語無し。師は呵呵と大いに笑いた。僧有りて庵に入りて便ち師を把住す。師は叫んで言った:「人を殺す、人を殺す。」僧は拓き開きて言った:「叫喚して何を作す。」師は言った:「誰。」僧は便ち喝した。師は便ち打った。僧は外に出でて首を回して言った:「且く待て、且く待て。」師は大いに笑いた。老人有りて山に入りて參す。師は言った:「何の處に住する。」老人は語さず。師は言った:「善く機に對すること能くす。」老人は地上に一枝の草を拈じて師に示した。師は便ち喝した。老人は礼拜して、便ち庵に歸った。老人は言った:「此の如く一切の人を疑殺して在り。」

杉洋菴主

杉洋庵主

有僧到參。師問。阿誰。曰。杉洋菴主。師曰。是我。僧便喝。師作噓聲。僧曰。猶要棒吃在。師便打。僧問。菴主得甚麼道理。便住此山。師曰。也欲通箇來由。又恐遭人點檢。僧曰。又爭免得。師便喝。僧曰。恰是。師便打。僧大笑而出。師曰。今日大敗。

僧有りて到りて參す。師は問うた:「阿誰。」僧は言った:「杉洋庵主。」師は言った:「是れ我。」僧は便ち喝した。師は嘘の聲を作した。僧は言った:「猶お棒を喫すること要在り。」師は便ち打った。僧が問うた:「庵主は何の道理を得て、便ち此の山に住する。」師は言った:「也た箇の來由を通せんと欲す、又た人の點檢に遭わんを恐る。」僧は言った:「又た争でか免れん。」師は便ち喝した。僧は言った:「恰も是れ。」師は便ち打った。僧は大いに笑いて出でた。師は言った:「今日大敗。」

定上座

定上座

初參臨濟。問。如何是佛法大意。濟下禪床擒住。師擬議。濟與一掌。師佇思。傍僧曰。定上座何不禮拜。師方作禮。忽然大悟。後南遊。路逢巖頭.雪峰.欽山三人。巖頭問。上座甚處來。師曰。臨濟來。巖曰。和尚萬福。師曰。和尚已順世也。巖曰。某甲三人特去禮拜。薄福不遇。不知和尚在日有何言句。請上座舉一兩則。師遂舉臨濟上堂曰。赤肉團上。有一無位真人。常在汝等諸人面門出入。未證據者看看。時有僧問。如何是無位真人。濟下禪床搊住曰。道。道。僧擬議。濟拓開曰。無位真人是甚麼乾屎橛。巖頭不覺吐舌。雪峰曰。臨濟大似白拈賊。欽山曰。何不道赤肉團上非無位真人。師便擒住曰。無位真人與非無位真人。相去多少。速道。速道。欽山被擒。直得面黃面青。語之不得。巖頭.雪峰曰。這新戒不識好惡。觸忤上座。且望慈悲。師曰。若不是這兩箇老漢。𡎺殺這尿床鬼子。師在鎮府齋。回到橋上坐次。逢三人座主。一人問。如何是禪河深處。須窮到底。師擒住。擬拋向橋下。二座主近前諫曰。莫怪觸忤上座。且望慈悲。師曰。若不是這兩箇座主。直教他窮到底。

起初臨濟に參し、問うた:「どうして佛法の大意ですか。」臨濟は禪床を下りて擒い住めた。師は擬議す。臨濟は一掌を與えた。師は佇んで思す。傍の僧は言った:「定上座は何ぞ礼拜せざる。」師は方に禮を作さんとして、忽然に大いに悟った。後來南に遊び、路に巖頭、雪峰、欽山の三人に逢う。巖頭が問うた:「上座は甚の處より來る。」師は言った:「臨濟より來る。」巖頭は言った:「和尚は萬福。」師は言った:「和尚は已に世に順いて了れり。」巖頭は言った:「某甲三人は特に去りて礼拜せんとす、薄福にして遇わず。和尚の在日に何の言句か有りしかを知らず、上座に請うて一兩則を擧げん。」師は遂に臨濟の上堂を擧げて言った:「赤肉團の上に、一の無位真人有り、常にあなたがた諸人の面門に出入す。未だ證據せざる者は看よ看よ。」當時僧有りて問うた:「どうして無位真人ですか。」臨濟は禪床を下りて搊い住めて言った:「道え、道え。」僧は擬議す。臨濟は拓き開きて言った:「無位真人は是れ何の乾屎橛。」巖頭は覺えず舌を吐いた。雪峰は言った:「臨濟は大いに白拈の賊に似たり。」欽山は言った:「何ぞ赤肉團の上は無位真人に非ずと道わざる。」師は便ち擒い住めて言った:「無位真人と非無位真人と、相去ること多少。速かに道え、速かに道え。」欽山は擒えられて、直に面黄く面青くして、之を語るを得ず。巖頭、雪峰は言った:「此の新戒は好惡を識らず、上座を觸忤せり。且く慈悲を望む。」師は言った:「此の兩箇の老漢に非ざりせば、此の尿床の鬼子を𡎺殺せん。」師は鎭府の齋に在りて、橋上に回りて坐する時、三人の座主に逢う。一人問うた:「どうして禪河の深處、須く底を窮め盡くすべし。」師は擒い住めて、擬して橋下に抛向せんとす。二座主は前に近づきて諫めて言った:「上座を觸忤するを怪むな。且く慈悲を望む。」師は言った:「此の兩箇の座主に非ざりせば、直に彼をして底を窮め盡くさしめん。」

奯上座

奯上座

離臨濟參德山。山才見。下禪床作抽坐具勢。師曰。這箇且置。或遇心境一如底人來。向伊道箇甚麼。免被諸方檢責。山曰。猶較昔日三步在。別作箇主人公來。師便喝。山默然。師曰。塞卻這老漢咽喉也。拂袖便出(溈山聞舉雲。奯上座雖得便宜。爭奈掩耳偷鈴)。又參百丈。茶罷。丈曰。有事相借問得麼。師曰。幸自非言。何須甌茶。丈曰。與麼則許借問。丈曰。收得安南。又憂塞北。師擘開胷曰。與麼不與麼。丈曰。要且難搆。要且難搆。師曰。知即得。知即得(仰山雲。若有人知得此二人落處。不妨奇特。若辨不得。大似日中迷路)。

臨濟を離れて德山に參す。德山は纔かに見て、禪床を下りて坐具を抽る勢を作した。師は言った:「此箇は且く置く。或いは心境一如の人に遇い來らば、彼に向かって箇の何を道い、諸方に檢責せられんを免れん。」德山は言った:「猶お昔日の三步に較べて在り。別に箇の主人公を作して來れ。」師は便ち喝した。德山は默然とす。師は言った:「此の老漢の咽喉を塞き了れり。」袖を拂りて便ち出でた。(潙山が聞き擧げて言った:「奯上座は便宜を得たりと雖も、争奈耳を掩いて鈴を偷む。」)又た百丈に參す。茶罷みて、百丈は言った:「事有りて借問を相う、得るか。」師は言った:「幸い自ら言に非ず、何ぞ甌茶を須いん。」百丈は言った:「そうすれば借問を許す。」百丈は言った:「安南を收得して、又た塞北を憂う。」師は胸を擘き開きて言った:「此の如く此の如くならず。」百丈は言った:「要に且く構え難し、要に且く構え難し。」師は言った:「知れば即ち得、知れば即ち得。」(仰山は言った:「若し人有りて此の二人の落處を知得せば、妨げず奇特。若し辯得せざれば、大いに似たり日中に路に迷うに。」)

南嶽下六世

南嶽下六世

興化獎禪師法嗣

興化獎禪師法嗣

汝州南院慧顒禪師(亦曰寶應)

汝州南院慧颙禪師(亦た曰く寶應)

上堂。赤肉團上。壁立千仞。僧問。赤肉團上。壁立千仞。豈不是和尚道。師曰。是。僧便掀倒禪床。師曰。這瞎驢亂作。僧擬議。師便打。問。僧近離甚處。曰。長水。師曰。東流西流。曰。總不恁麼。師曰。作麼生。僧珍重。師便打。僧參。師舉拂子。僧曰。今日敗缺。師放下拂子。僧曰。猶有這箇在。師便打。問僧。近離甚處。曰。襄州。師曰。來作甚麼。曰。特來禮拜和尚。師曰。恰遇寶應老不在。僧便喝。師曰。向汝道不在。又喝作甚麼。僧又喝。師便打。僧禮拜。師曰。這棒本是汝打我。我且打汝。要此話大行。瞎漢參堂去。思明和尚未住西院時。到參禮拜了。曰。無可人事。從許州來。收得江西剃刀一柄。獻和尚。師曰。汝從許州來。為甚卻收得江西剃刀。明把師手掐一掐。師曰。侍者收取。明以衣袖拂一拂便行。師曰。阿剌剌。阿剌剌。上堂。諸方祇具啐啄同時眼。不具啐啄同時用。僧便問。如何是啐啄同時用。師曰。作家不啐啄。啐啄同時失。曰。此猶未是某甲問處。師曰。汝問處作麼生。僧曰。失。師便打。其僧不肯。後於雲門會下。聞二僧舉此話。一僧曰。當時南院棒折那。其僧忽契悟。遂奔回省覲。師已圓寂。乃謁風穴。穴一見便問。上座莫是當時問先師啐啄同時話底麼。僧曰。是。師曰。汝當時作麼生會。曰。某甲當時如在燈影裡行相似。穴曰。汝會也。問。古殿重興時如何。師曰。明堂瓦插簷。曰。與麼則莊嚴畢備也。師曰。斬草蛇頭落。問。如何是佛法大意。師曰。無量大病源。曰。請師醫。師曰。世醫拱手。問。匹馬單槍來時如何。師曰。且待我斫棒。問。如何是無相涅槃。師曰。前三點。後三點。曰。無相涅槃。請師證照。師曰。三點前。三點後。問。凡聖同居時如何。師曰。兩箇貓兒一箇獰。問。如何是無縫塔。師曰。八花九裂。曰。如何是塔中人。師曰。頭不梳。

上堂:「赤肉團の上、壁立千仞。」僧が問うた:「赤肉團の上、壁立千仞、豈に是れ和尚の道に非ずや。」師は言った:「是。」僧は便ち禪床を掀倒した。師は言った:「此の瞎驢は亂に作す。」僧は擬議すれば、師は便ち打った。僧に問うた近く甚の處を離るる。僧は言った:「長水。」師は言った:「東流西流。」僧は言った:「總て此の如くあらず。」師は言った:「作麼生。」僧は珍重した。師は便ち打った。僧が參す。師は拂子を擧げた。僧は言った:「今日敗缺。」師は拂子を放下した。僧は言った:「猶お此箇有りて在り。」師は便ち打った。僧に問うた:「近く甚の處を離るる。」僧は言った:「襄州。」師は言った:「來りて何を作す。」僧は言った:「特に來りて和尚を礼拜せんとす。」師は言った:「恰も寶應老は在らずに遇う。」僧は便ち喝した。師は言った:「あなたに向かって在らずと道うに、又た喝して何を作す。」僧は又た喝した。師は便ち打った。僧は礼拜した。師は言った:「此の棒は本より是れあなたが我を打つ、我は且くあなたを打つ。要に此の話を大いに行わしめん。瞎漢は堂に參して去れ。」思明和尚が未だ西院に住せざる時、到りて參じ礼拜して了りて、言った:「人事する可き無し。許州より來る、江西の剃刀一柄を收得して、和尚に獻ず。」師は言った:「あなたは許州より來る、何の故に却って江西の剃刀を收得した。」思明は師の手を把りて一掐した。師は言った:「侍者は收め取れ。」思明は衣袖を以て一拂して便ち行った。師は言った:「阿剌剌、阿剌剌。」上堂:「諸方は只だ啐啄同時の眼を具えて、啐啄同時の用を具えず。」僧は便ち問うた:「どうして啐啄同時の用ですか。」師は言った:「作家は啐啄せず、啐啄同時に失す。」僧は言った:「此れ猶未だ是れ某甲の問う處に非ず。」師は言った:「あなたの問う處は作麼生。」僧は言った:「失。」師は便ち打った。那の僧は肯ぜず。後に雲門の會下に於て、二僧の此の話を擧ぐるを聞いた。一の僧は言った:「當時南院の棒折れたるか。」那の僧は忽ち契悟して、遂に奔り回りて省覲す。師は已に圓寂せり、乃ち風穴に謁す。風穴は一見して便ち問うた:「上座は莫れ當時先師に啐啄同時の話を問うたか。」僧は言った:「是。」風穴は言った:「あなたは當時作麼生に會した。」僧は言った:「某甲は當時燈影の裏に行くに相似たり。」風穴は言った:「あなたは會し了れり。」問うた:「古殿重ねて興る時はいかに。」師は言った:「明堂の瓦は檐に插す。」僧は言った:「そうすれば莊嚴畢備せり。」師は言った:「草を斬れば蛇頭落つ。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「無量の大病源。」僧は言った:「師に醫せんことを請う。」師は言った:「世醫は手を拱く。」問うた:「匹馬單槍に來る時はいかに。」師は言った:「且く我が棒を斫るを待て。」問うた:「どうして無相涅槃ですか。」師は言った:「前に三點、後に三點。」僧は言った:「無相涅槃、師に證照を請う。」師は言った:「三點の前、三點の後。」問うた:「凡聖同じく居する時はいかに。」師は言った:「兩箇の猫兒は一箇の狞。」問うた:「どうして無縫塔ですか。」師は言った:「八花九裂。」僧は言った:「どうして塔中の人ですか。」師は言った:「頭は梳らず、」

面不洗。問。如何是佛。師曰。待有即向你道。曰。與麼則和尚無佛也。師曰。正當好處。曰。如何是好處。師曰。今日是三十日。問園頭。瓠子開花也未。曰。開花已久。師曰。還著子也無。曰。昨日遭霜了也。師曰。大眾吃箇甚麼。僧擬議。師便打。問僧。名甚麼。曰。普參。師曰。忽遇屎橛作麼生。僧便不審。僧便打。問。人逢碧眼時如何。師曰。鬼爭漆桶。問。龍躍江湖時如何。師曰。瞥嗔瞥喜。曰。傾湫倒嶽時如何。師曰。老鵶沒嘴。問。萬裡無雲時如何。師曰。餓虎投崖。問。二王相見時如何。師曰。十字路頭吹尺八。問。如何是薝蔔林。師曰。鬼厭箭。問。如何是金剛不壞身。師曰。老僧在汝腳底。僧便喝。師曰。未在。僧又喝。師便打。問。上上根器人來。師還接也無。師曰。接。曰。便請和尚接。師曰。且喜共你平交。問。祖意教意。是同是別。師曰。王尚書.李僕射。曰。意旨如何。牛頭南。馬頭北。問。如何是祖師西來意。師曰。五男二女。問。擬伸一問。師意如何。師曰。是何公案。僧曰。喏。師曰。放汝三十棒。問。如何是寶應主。師曰。杓大盌小。問僧。近離甚處。曰。龍興。曰。發足莫過葉縣也無。僧便喝。師曰。好好問你。又惡發作麼。曰。喚作惡發即不得。師卻喝。曰。你既惡發。我也惡發。近前來。我也沒量罪過。你也沒量罪過。瞎漢參堂去。問僧。近離甚處。曰。襄州。師曰。是甚麼物恁麼來。曰。和尚試道看。師曰。適來禮拜底。曰。錯。師曰。禮拜底錯箇甚麼。曰。再犯不容。師曰。三十年弄馬騎。今日被驢撲。瞎漢參堂去。問。從上諸聖。向甚麼處去。師曰。不上天堂。則入地獄。曰。和尚又作麼生。師曰。還知寶應老漢落處麼。僧擬議。師打一拂。曰。你還知吃拂子底麼。曰。不會。師曰。正令卻是你行。又打一拂子。

(師は続けて言った:)「面は洗わず。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「有るを待ちて即ちあなたに向かって道わん。」僧は言った:「そうすれば和尚は佛無し。」師は言った:「正に好處に當たる。」僧は言った:「どうして好處ですか。」師は言った:「今日是れ三十日。」園頭に問うた:「瓠子は花を開けりや未や。」園頭は言った:「花を開くこと已に久し。」師は言った:「還た子を著くるか無しや。」園頭は言った:「昨日霜を遭いたり。」師は言った:「大衆は箇の何を喫す。」僧は擬議すれば、師は便ち打った。僧に問うた:「名は何か。」僧は言った:「普參。」師は言った:「忽然に屎橛に遇えば作麼生。」僧は便ち問訊した。僧は便ち打った。問うた:「人が碧眼に逢う時はいかに。」師は言った:「鬼は漆桶を争う。」問うた:「龍が江湖に躍る時はいかに。」師は言った:「瞥めて嗔り瞥めて喜ぶ。」僧は言った:「湫を傾け嶽を倒す時はいかに。」師は言った:「老鴉は嘴を沒す。」問うた:「萬里雲無き時はいかに。」師は言った:「餓虎は崖に投ず。」問うた:「二王相見る時はいかに。」師は言った:「十字路頭に尺八を吹く。」問うた:「どうして薝蔔林ですか。」師は言った:「鬼が箭を厭う。」問うた:「どうして金剛不壞の身ですか。」師は言った:「老僧はあなたの脚底に在り。」僧は便ち喝した。師は言った:「未だ在らず。」僧は又た喝した。師は便ち打った。問うた:「上上の根器の人來れば、師は還た接するか無しや。」師は言った:「接す。」僧は言った:「便ち和尚に接せんことを請う。」師は言った:「且くあなたと共に平交を喜べ。」問うた:「祖意教意は、是れ同か是れ別か。」師は言った:「王尚書、李僕射。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「牛頭は南、馬頭は北。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「五男二女。」問うた:「擬して一問を伸べん、師の意は如何。」師は言った:「是れ何の公案か。」僧は言った:「喏。」師は言った:「あなたに三十棒を放つ。」問うた:「どうして寶應主ですか。」師は言った:「杓は大きく椀は小さし。」僧に問うた:「近く甚の處を離るる。」僧は言った:「龍興。」師は言った:「發足して葉縣を過るを莫れか無しや。」僧は便ち喝した。師は言った:「好くあなたに問うに、又た惡發して作麼。」僧は言った:「惡發と喚べば即ち得ず。」師は却って喝して、言った:「あなた既に惡發せば、我也た惡發す。前に近づけ。我也た無量の罪過、あなたも亦た無量の罪過。瞎漢は堂に參して去れ。」僧に問うた:「近く甚の處を離るる。」僧は言った:「襄州。」師は言った:「是れ何物か此の如く來る。」僧は言った:「和尚試しに道え看よ。」師は言った:「適來の礼拜するの。」僧は言った:「錯。」師は言った:「礼拜するのは箇の何を錯れた。」僧は言った:「再犯は容れず。」師は言った:「三十年馬を弄して騎り、今日驢に撲せられたり。瞎漢は堂に參して去れ。」問うた:「上よりの諸聖、何の處に向かって去る。」師は言った:「天堂に上らざれば、則ち地獄に入る。」僧は言った:「和尚は又た作麼生。」師は言った:「還た寶應の老漢の落處を知るか。」僧は擬議すれば、師は一拂を打ちて、言った:「あなたは還た拂子を喫するのを知るか。」僧は言った:「會せず。」師は言った:「正令は却って是れあなたが行ず。又た一拂子を打った。」

守廓侍者

守廓侍者

問德山曰。從上諸聖。向甚麼處去。山曰。作麼。作麼。師曰。勑點飛龍馬。跛鼈出頭來。山便休去。來日浴出。師過茶與山。山於背上拊一下曰。昨日公案作麼生。師曰。這老漢今日方始瞥地。山又休去。師行腳到襄州華嚴和尚會下。一日。嚴上堂。曰。大眾。今日若是臨濟.德山.高亭.大愚.鳥窠.船子兒孫。不用如何若何。便請單刀直入。華嚴與汝證據。師出。禮拜起。便喝。嚴亦喝。師又喝。嚴亦喝。師禮拜起。曰。大眾。看這老漢一場敗缺。又喝一喝。拍手歸眾。嚴下座歸方丈。時風穴作維那。上去問訊。嚴曰。維那。汝來也。叵耐守廓適來把老僧扭揑一上。待集眾打一頓趂出。穴曰。趂他遲了也。自是和尚言過。他是臨濟下兒孫。本分恁麼。嚴方息怒。穴下來舉似師。師曰。你著甚來由勸這漢。我未問前。早要棒吃。得我話行。如今不打。搭卻我這話也。穴曰。雖然如是。已遍天下也。

德山に問うて言った:「上よりの諸聖、何の處に向かって去る。」德山は言った:「作麼、作麼。」師は言った:「飛龍馬を敕點し、跛鱉は頭を出だす。」德山は便ち休み去った。來日浴より出づ。師は茶を德山に過す。德山は背上に於て一拊して言った:「昨日の公案は作麼生。」師は言った:「此の老漢は今日方に始めて瞥地せり。」德山は又た休み去った。師は行脚して襄州華嚴和尚の會下に到った。一日、華嚴が上堂して、言った:「大衆、今日若し是れ臨濟、德山、高亭、大愚、鳥窠、船子の兒孫ならば、如何若何を用いず、便ち單刀直入を請う。華嚴はあなたと證據せん。」師は出でて、礼拜して起ちて、便ち喝した。華嚴も亦た喝した。師は又た喝した。華嚴も亦た喝した。師は礼拜して起ちて、言った:「大衆、此の老漢が一場の敗缺を看よ。」又た一喝して、手を拍ちて衆に歸った。華嚴は座を下りて方丈に歸った。當時風穴は維那を作し、上り去りて問訊す。華嚴は言った:「維那、あなた來れり。叵耐守廓が適來に老僧を把りて一上に扭捏せり。衆を集めて一頓を打ちて趁出せんを待て。」風穴は言った:「彼を趁うに遲し。自ずから是れ和尚の言の過。彼は是れ臨濟の下の兒孫、本分此の如し。」華嚴方に怒を息めた。風穴は下り來りて師に擧似した。師は言った:「あなたは甚の來由を著けて此の漢を勸む。我未だ問わざる前、早く棒を喫せんことを要す。我が話の行わるるを得たり。如今打たざれば、我が此の話を搭却せん。」風穴は言った:「然りと雖も是の如しと雖も、已に天下に遍し。」

寶壽沼禪師法嗣

寶壽沼禪師法嗣

汝州西院思明禪師

汝州西院思明禪師

僧問。如何是伽藍。師曰。荊棘叢林。曰。如何是伽藍中人。師曰。貛兒貉子。問。如何是不變易底物。師曰。打帛石。問。如何是臨濟一喝。師曰。千鈞之弩。不為鼷鼠而發機。曰。和尚慈悲何在。師便打。從漪上座到法席。旬日。常自曰。莫道會佛法人。覓箇舉話底人也無。師聞而默之。漪異日上法堂次。師召從漪。漪舉首。師曰。錯。漪進三兩步。師又曰。錯。漪近前。師曰。適來兩錯。是上座錯。是思明老漢錯。曰。是從漪錯。師曰。錯。錯。乃曰。上座且在這裡過夏。共汝商量這兩錯。漪不肯。便去。後住相州天平山。每舉前話曰。我行腳時被惡風吹到汝州。有西院長老勘我。連下兩錯。更留我過夏。待共我商量。我不道恁麼時錯。我發足向南方去時。早知錯了也(首山念雲。據天平作恁麼解會。未夢見西院在。何故。話在)。

僧が問うた:「どうして伽藍ですか。」師は言った:「荆棘の叢林。」僧は言った:「どうして伽藍中の人ですか。」師は言った:「獾兒貉子。」問うた:「どうして變易せざるの物ですか。」師は言った:「帛を打つ石。」問うた:「どうして臨濟の一喝ですか。」師は言った:「千鈞の弩、鼷鼠が爲に發機せず。」僧は言った:「和尚の慈悲は何に在る。」師は便ち打った。從漪上座が法席に到りて、旬日、常に自ら言った:「佛法を會する人を道うな、箇の話を擧ぐるの人を覓えても無し。」師は聞きて之を默した。從漪が異日に法堂に上る時、師は從漪を召した。從漪は首を擧げた。師は言った:「錯。」從漪は三兩步進み出た。師は又た言った:「錯。」從漪は前に近づいた。師は言った:「適來の兩錯、是れ上座の錯か、是れ思明老漢の錯か。」從漪は言った:「是れ從漪の錯。」師は言った:「錯、錯。」そこで言った:「上座は且く此の裏に在りて夏を過し、あなたと此の兩錯を商量せん。」從漪は肯ぜず、便ち去った。後に相州天平山に住した。每に前話を擧げて言った:「我が行脚の時惡風に吹かれて汝州に到り、西院の長老有りて我を勘えて、連ねて兩錯を下せり。更に我を留めて夏を過さしめ、我と共に商量せんと待つ。我は此の如く錯なりと道わず。我が發足して南方に向かって去る時、早く錯れたるを知れり。」(首山念は言った:「天平が此の如く解會するに據れば、未だ西院を夢見ざる在り。何故。話在り。」)

寶壽和尚(第二世)

寶壽和尚(第二世)

在先寶壽為供養主。壽問。父母未生前。還我本來面目來。師立至夜深。下語不契。翌日辭去。壽曰。汝何往。師曰。昨日蒙和尚設問。某甲不契。往南方參知識去。壽曰。南方禁夏不禁冬。我此間禁冬不禁夏。汝且作街坊過夏。若是佛法。闤闠之中。浩浩紅塵。常說正法。師不敢違。一日。街頭見兩人交爭。揮一拳曰。你得恁麼無面目。師當下大悟。走見寶壽。未及出語。壽便曰。汝會也。不用說。師便禮拜。壽臨遷化時。囑三聖請師開堂。師開堂日。三聖推出一僧。師便打。聖曰。與麼為人。非但瞎卻這僧眼。瞎卻鎮州一城人眼去在(法眼雲。甚麼處是瞎卻人眼處)。師擲下拄杖。便歸方丈。僧問。不占閫域。請師不謗。師曰。莫。問。種種莊嚴.慇懃奉獻時如何。師曰。莫汙我心田。師將順寂。謂門人曰。汝還知吾行履處否。曰。知和尚長坐不臥。師又召僧近前來。僧近前。師曰。去。非吾眷屬。言訖而化。

先の寶壽に在りて供養主を爲す。寶壽が問うた:「父母未だ生ぜざる前、還た我が本來の面目を將來せよ。」師は立ちて夜深に至る、語を下して契せず。翌日辭し去った。寶壽は言った:「あなたは何に往かん。」師は言った:「昨日和尚の設問を蒙る、某甲契せず、南方に往きて知識に參ぜんと去る。」寶壽は言った:「南方は夏を禁じて冬を禁ぜず。我が此の間は冬を禁じて夏を禁ぜず。あなたは且く街坊を作して夏を過せ。若し是れ佛法ならば、闤闠の中、浩浩たる紅塵、常に正法を説く。」師は敢えて違わず。一日、街頭に兩人の交争するを見て、一拳を揮って言った:「あなたは此の如く面目無きを得たり。」師は當下に大いに悟りて、走りて寶壽を見た。未だ語を出だすに及ばずして、寶壽は便ち言った:「あなたは會し了れり。説くを用いず。」師は便ち礼拜した。寶壽は遷化に臨みて、三聖に囑して師に開堂せしむを請う。師が開堂の那の日、三聖は一の僧を推出した。師は便ち打った。三聖は言った:「此の如く人に爲れば、非但此の僧の眼を瞎するのみならず、鎭州一城の人の眼を瞎し去らん、と在り。」(法眼は言った:「何の處か是れ人の眼を瞎する處。」)師は拄杖を擲下して、便ち方丈に歸った。僧が問うた:「閫域を占めず、師に謗らざるを請う。」師は言った:「莫。」問うた:「種種の莊嚴、殷勤に奉獻する時はいかに。」師は言った:「我が心田を污すな。」師は將に寂に順わんとす、門人に對して言った:「あなたは還た吾が行履の處を知るか否。」門人は言った:「和尚の長坐して臥せざるを知る。」師は又た僧を召して前に近づけ。僧は前に近づいた。師は言った:「去れ。吾が眷屬に非ず。」言い訖わりて化した。

三聖然禪師法嗣

三聖然禪師法嗣

鎮州大悲和尚

鎭州大悲和尚

僧問。除上去下。請師別道。師曰。開口即錯。曰。真是學人師也。師曰。今日向弟子手裡死。問。如何是和尚密作用。師拈棒。僧轉身受棒。師拋下棒曰。不打這死漢。問。如何是諦實之言。師曰。舌拄上顎。曰。為甚麼如此。師便打。問。如何是大悲境。師曰。千眼都來一隻收。曰。如何是境中人。師曰。手忙腳亂。問。不著聖凡。請師答話。師曰。好。僧擬議。師便喝。

僧が問うた:「上去下を除きて、師に別に道わんことを請う。」師は言った:「口を開けば即ち錯なり。」僧は言った:「真に是れ學人の師。」師は言った:「今日弟子の手裏に向かって死せん。」問うた:「どうして和尚の密作用ですか。」師は棒を拈じた。僧は身を轉じて棒を受けた。師は棒を抛下して言った:「此の死漢を打たず。」問うた:「どうして諦實の言ですか。」師は言った:「舌は上腭を拄す。」僧は言った:「何の故に此の如し。」師は便ち打った。問うた:「どうして大悲の境ですか。」師は言った:「千眼は都て來りて一隻に收まる。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「手忙し脚亂る。」問うた:「聖凡を著けず、師に話に答えんことを請う。」師は言った:「好し。」僧は擬議すれば、師は便ち喝した。

淄州水陸和尚

淄州水陸和尚

僧問。如何是學人用心處。師曰。用心即錯。曰。不起一念時如何。師曰。沒用處漢。問。此事如何保任。師曰。切忌。問。如何是最初一句。師便喝。僧禮拜。師以拂子點曰。且放。問。狹路相逢時如何。師便攔胸拓一拓。

僧が問うた:「どうして學人の心を用いる處ですか。」師は言った:「心を用うれば即ち錯なり。」僧は言った:「一念を起こさざる時はいかに。」師は言った:「用う處無き漢。」問うた:「此の事如何に保任せん。」師は言った:「切に忌め。」問うた:「どうして最初の一句ですか。」師は便ち喝した。僧は礼拜した。師は拂子を以て點して言った:「且く放つ。」問うた:「狹路に相逢う時はいかに。」師は便ち胸を攔えて一拓した。

魏府大覺和尚法嗣

魏府大覺和尚法嗣

廬州大覺和尚

廬州大覺和尚

僧問。牛頭未見四祖時。為甚麼鳥獸銜華。師曰。有恁麼畜生無所知。曰。見後為甚麼不銜華。師曰。無恁麼畜生有所知。

僧が問うた:「牛頭が未だ四祖を見ざる時、何の故に鳥獸が華を銜えた。」師は言った:「此の般の畜生有りて知る所無し。」僧は言った:「見た後何の故に華を銜えざる。」師は言った:「此の般の畜生無くして知る所有り。」

廬州澄心院旻德禪師

廬州澄心院旻德禪師

在興化遇示眾曰。若是作家戰將。便請單刀直入。更莫如何若何。師出禮拜起便喝。化亦喝。師又喝。化亦喝。師禮拜歸眾。化曰。適來若是別人。三十棒一棒也較不得。何故。為他旻德會一喝不作一喝用。住後。僧問。如何是澄心。師曰。我不作這活計。曰。未審作麼生。師便喝。僧曰。大好不作這活計。師便打。問。如何是道。師曰。老僧久住澄心院。曰。如何是道中人。師曰。破衲長披經歲年。問。露地不通風時如何。師曰。漆。問。既是澄心。為甚麼出來入去。師曰。鼻孔上著灸。僧禮拜。師便打。

興化に在りて衆に示すに遇うて言った:「若し是れ作家の戰將ならば、便ち單刀直入を請う、更に如何若何するな。」師は出でて礼拜して起ちて便ち喝した。興化も亦た喝した。師は又た喝した。興化も亦た喝した。師は礼拜して衆に歸った。興化は言った:「適來若し是れ別人ならば、三十棒は一棒も亦た較ぶるを得ず。何故。彼が旻德を爲に會せば一喝は一喝の用を作さざるが故。」住持して以後、僧が問うた:「どうして澄心ですか。」師は言った:「我は此の活計を作さず。」僧は言った:「未だ審かならず作麼生。」師は便ち喝した。僧は言った:「大いに好し此の活計を作さざる。」師は便ち打った。問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「老僧は久しく澄心院に住す。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「破衲は長く披きて歲年を經る。」問うた:「露地に風を通通ぜざる時はいかに。」師は言った:「漆。」問うた:「既に是れ澄心、何の故に出で來り入り去る。」師は言った:「鼻孔の上に灸を著く。」僧は礼拜した。師は便ち打った。

荊南府竹園山和尚

荊南府竹園山和尚

僧問。久嚮和尚會禪。是否。師曰。是。僧曰。蒼天。蒼天。師近前。以手掩僧口。曰。低聲。低聲。僧打一掌。便拓開。師曰。山僧招得。僧拂袖出去。師笑曰。早知如是。悔不如是。問。既是竹園。還生筍也無。師曰。千株萬株。曰。恁麼則學人有分也。師曰。汝作麼生。僧擬議。師便打。

僧が問うた:「久しく和尚が禪を會するに向う、是か否か。」師は言った:「是。」僧は言った:「蒼天、蒼天。」師は前に近づきて、手を以て僧の口を掩い、言った:「聲を低く、聲を低く。」僧は一掌を打ちて、便ち拓き開いた。師は言った:「山僧が招得せり。」僧は袖を拂りて出でて去った。師は笑いて言った:「早く是の如くを知らば、悔えず是の如くせざらんに如かず。」問うた:「既に是れ竹園、還た筍を生ずるか無しや。」師は言った:「千株萬株。」僧は言った:「そうすれば學人に分有り。」師は言った:「あなたは作麼生。」僧は擬議すれば、師は便ち打った。

宋州法華院和尚

宋州法華院和尚

僧問。如何是佛。師曰。獨坐五峰前。問。如何是初生月。師曰。不高不低。曰。還許學人瞻敬也無。師曰。三日後看。問。如何是法華家風。師曰。寒時寒殺。熱時熱殺。曰。如何是寒時寒殺。師曰。三三兩兩抱頭行。曰。如何是熱時熱殺。師曰。東西南北見者嗤。問。學人手持白刃。直進化門時如何。師曰。你試用看。僧便喝。師擒住。僧隨手打一掌。師拓開曰。老僧今日失利。僧作舞而出。師曰。賊首頭犯。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「獨り五峰の前に坐す。」問うた:「どうして初生の月ですか。」師は言った:「高からず低からず。」僧は言った:「還た學人の瞻敬を許すか無しや。」師は言った:「三日の後に看よ。」問うた:「どうして法華の家風ですか。」師は言った:「寒き時は寒さに殺し、熱き時は熱さに殺す。」僧は言った:「どうして寒き時寒さに殺すですか。」師は言った:「三三兩兩頭を抱きて行く。」僧は言った:「どうして熱き時熱さに殺すですか。」師は言った:「東西南北は見る者嗤う。」問うた:「學人が手に白刃を持ちて、直に化門に進む時はいかに。」師は言った:「あなたは試しに用いて看よ。」僧は便ち喝した。師は擒い住めた。僧は手に隨りて一掌を打った。師は拓き開きて言った:「老僧は今日失利せり。」僧は舞を作して出でた。師は言った:「賊の首が頭を犯す。」

灌谿閑禪師法嗣

灌溪閑禪師法嗣

池州魯祖山教禪師

池州魯祖山教禪師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。今日不答話。曰。大好不答話。師便打。問。如何是雙林樹。師曰。有相身中無相身。曰。如何是有相身中無相身。師曰。金香爐下鐵崑崙。問。如何是孤峰獨宿底人。師曰。半夜日頭明。日午打三更。問。如何是格外事。師曰。化道緣終後。虗空更那邊。問。進向無門時如何。師曰。太鈍生。曰。不是鈍生。直下進向無門時如何。師曰。靈機未曾論邊際。執法無門在暗中。問。如何是學人著力處。師曰。春來草自青。月上已天明。曰。如何是不著力處。師曰。崩山石頭落。平川燒火行。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「今日は話に答えず。」僧は言った:「大いに好し話に答えざる。」師は便ち打った。問うた:「どうして雙林樹ですか。」師は言った:「相有る身の中に相無き身。」僧は言った:「どうして相有る身の中に相無き身ですか。」師は言った:「金香爐の下に鐵崑崙。」問うた:「どうして孤峰に獨り宿するの人ですか。」師は言った:「半夜に日頭明かり、日午に三更を打つ。」問うた:「どうして格外の事ですか。」師は言った:「化道の緣終わる後、虛空は更に那邊。」問うた:「進向に門無き時はいかに。」師は言った:「太だ鈍生。」僧は言った:「是れ鈍生に非ず。直下に進向に門無き時はいかに。」師は言った:「靈機は未曾て邊際を論ぜず、法を執すれば門無く暗中に在り。」問うた:「どうして學人の力を著ける處ですか。」師は言った:「春來れば草自ら靑く、月上れば已に天明なり。」僧は言った:「どうして力を著けざる處ですか。」師は言った:「山崩れて石頭落ち、平川に火を燒きて行く。」

紙衣和尚法嗣

紙衣和尚法嗣

鎮州談空和尚

鎭州談空和尚

僧問。如何是佛。師曰。麻纏紙裹。問。百了千當時如何。師和聲便打。問。格外之譚。請師舉唱。師曰。隘路不通風。曰。莫秖這便是也無。師乃噓噓。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「麻は纏い紙は裹む。」問うた:「百了千當の時はいかに。」師は聲に和して便ち打った。問うた:「格外の談、師に擧唱せんことを請う。」師は言った:「隘路は風を通通ぜず。」僧は言った:「莫れ只だ此れ便ち是れか無しや。」師は乃ち嘘嘘した。

際上座

際上座

行腳到洛京南禪。時有朱行軍設齋。入僧堂顧視曰。直下是。遂行香。口不住道。至師面前。師便問。直下是箇甚麼。行軍便喝。師曰。行軍幸是會佛法底人。又惡發作甚麼。行軍曰。喚作惡發即不得。師便喝。行軍曰。鉤在不疑之地。師又喝。行軍便休。齋退。令客司。請適來下喝僧來。師至。便共行軍言論。並不顧諸人。僧錄曰。行軍適來爭容得這僧無禮。行軍曰。若是你諸人喝。下官有劒。僧錄曰。某等固是不會。須是他暉長老始得。行軍曰。若是南禪長老。也未夢見在。僧問。如何是佛法的的大意。師曰。龍騰滄海。魚躍深潭。曰。畢竟如何。師曰。夜聞祭鬼鼓。朝聽上灘歌。問。如何是上座家風。師曰。三腳蝦蟇背大象。

行脚して洛京の南禪に到る。當時朱行軍有りて齋を設け、僧堂に入りて顧視して言った:「直下是れ。」遂に香を行じて、口住まずして道う。師の面前に至るに、師は便ち問うた:「直下是れ箇の何か。」行軍は便ち喝した。師は言った:「行軍は幸い是れ佛法を會するの人、又た惡發して何を作す。」行軍は言った:「惡發と喚べば即ち得ず。」師は便ち喝した。行軍は言った:「鈎は不疑の地に在り。」師は又た喝した。行軍は便ち休んだ。齋退りて、客司をして適來の下喝の僧を請じて來らしむ。師至りて、便ち行軍と共に言論し、幷びに諸人を顧みず。僧錄は言った:「行軍は適來争でか此の僧の無禮を容れ得た。」行軍は言った:「若し是れあなたがた諸人の喝ならば、下官に劍有り。」僧錄は言った:「某等は固より是れ會せず。須く是れ暉長老にしてこそ得ん。」行軍は言った:「若し是れ南禪の長老ならば、也た未だ夢見ざる在り。」僧が問うた:「どうして佛法の的の大意ですか。」師は言った:「龍は滄海に騰り、魚は深潭に躍る。」僧は言った:「畢竟に如何。」師は言った:「夜は祭鬼の鼓を聞き、朝は灘に上るの歌を聽く。」問うた:「どうして上座の家風ですか。」師は言った:「三脚の蝦蟆は大象を背負う。」

南嶽下七世

南嶽下七世

南院顒禪師法嗣

南院颙禪師法嗣

汝州風穴延沼禪師

汝州風穴延沼禪師

餘杭劉氏子。幼不茹葷。習儒典。應進士。一舉不遂。乃出家。依本州開元寺智恭披削受具。習天台止觀。年二十五。謁鏡清。清問。近離甚處。師曰。自離東來。清曰。還過小江也無。師曰。大舸獨飄空。小江無可濟。清曰。鏡水秦山。鳥飛不度。子莫道聽途言。師曰。滄溟尚怯艨䑳勢。列漢飛帆渡五湖。清竪拂子曰。爭奈這箇何。師曰。這箇是甚麼。清曰。果然不識。師曰。出沒卷舒。與師同用。清曰。杓卜聽虗聲。熟睡饒讇語。師曰。澤廣藏山。理能伏豹。清曰。捨罪放愆。速須出去。師曰。出去即失。便出。到法堂乃曰。夫行腳人。因緣未盡其善。不可便休去。卻回曰。某甲適來。輒陳小騃。冒瀆尊顏。伏蒙慈悲。未賜罪責。清曰。適來言從東來。豈不是翠巖來。師曰。雪竇親棲寶葢東。清曰。不逐忘羊狂解息。卻來這裡念篇章。師曰。路逢劒客須呈劒。不是詩人莫獻詩。清曰。詩速秘卻。略借劒看。師曰。[旦/(巢-果)]首甑人𢹂劒去。清曰。不獨觸風化。亦自顯顢頇。師曰。若不觸風化。爭明古佛心。清曰。如何是古佛心。師曰。再許允容。師今何有。清曰。東來衲子。菽麥不分。祇聞不已而已。何得抑已而已。師曰。巨浪湧千尋。澄波不離水。清曰。一句截流。萬機寢削。師便禮拜。清曰。衲子俊哉。衲子俊哉。師到華嚴。嚴問。我有牧牛歌。輒請闍黎和。師曰。羯鼓掉鞭牛豹跳。遠村梅樹觜盧都。師參南院。入門不禮拜。院曰。入門須辯主。師曰。端的請師分。院於左膝拍一拍。師便喝。院於右膝拍一拍。師又喝。院曰。左邊一拍且置。右邊一拍作麼生。師曰。瞎。院便拈棒。師曰。莫盲枷瞎棒。奪打和尚。莫言不道。院擲下棒曰。今日被黃面浙子鈍置一場。師曰。和尚大似持缽不得。詐道不飢。院曰。闍黎曾到此間麼。師曰。是何言歟。院曰。老僧好好相借問。師曰。

餘杭劉氏の子。幼年に葷を茹でず、儒典を習い、進士に應じた。一擧して遂げず、就ち出家す。本州開元寺の智恭に依りて削を披き具を受け、天臺の止觀を習った。年二十五、鏡淸を見る。鏡淸が問うた:「近く甚の處を離るる。」師は言った:「自ら東を離れて來る。」鏡淸は言った:「還た小江を過るか無しや。」師は言った:「大舸は獨り空を飘わし、小江は濟る可き無し。」鏡淸は言った:「鏡水秦山、鳥飛んで度らず。子は道聽途言を道うな。」師は言った:「滄溟は尚お艨艟の勢を怯え、列漢に飛帆して五湖を渡る。」鏡淸は拂子を豎起して言った:「争奈此箇を何。」師は言った:「此箇は是れ何か。」鏡淸は言った:「果然識らず。」師は言った:「出沒卷舒、師と用を同じくす。」鏡淸は言った:「杓卜は虛聲を聽き、熟睡は諂語を饒る。」師は言った:「澤廣く山を藏し、理は豹を伏せる能し。」鏡淸は言った:「罪を捨て愆を放つ、速かに須く出でて去れ。」師は言った:「出でて去れば即ち失。」便ち出でた。法堂に到りて就ち言った:「夫れ行脚の人、因緣未だ其の善を盡くさざれば、便ち休み去るべからず。」却って回りて言った:「某甲適來、輙ち小騃を陳し、尊顏を冒瀆せり。伏して慈悲を蒙りて、未だ罪責を賜わらず。」鏡淸は言った:「適來東より來ると言う、豈に是れ翠岩より來るに非ずや。」師は言った:「雪竇は親く寶蓋の東に棲す。」鏡淸は言った:「忘羊の狂解を逐わず息めて、却って此の裏に來りて篇章を念ず。」師は言った:「路に劍客に逢えば須く劍を呈すべし、詩人に非ざれば詩を獻せず。」鏡淸は言った:「詩は速かに祕し却れ。略く劍を借りて看ん。」師は言った:「甑人の首は劍を𢹂げて去る。」鏡淸は言った:「獨り風化を觸るのみならず、亦た自ら顟頇を顯す。」師は言った:「若し風化を觸れざれば、争でか古佛の心を明らかにせん。」鏡淸は言った:「どうして古佛心ですか。」師は言った:「再び允容を許し、師今何く有らん。」鏡淸は言った:「東來の衲子、菽麥を分かたず。只だ已而已らざるを聞くのみ、何ぞ已而已りと抑えんことを得ん。」師は言った:「巨浪は千尋を涌き、澄波は水を離れず。」鏡淸は言った:「一句流を截り、萬機寢削す。」師は便ち礼拜した。鏡淸は言った:「衲子俊なる哉、衲子俊なる哉。」師は華嚴に到った。華嚴が問うた:「我に牧牛歌有り、輙ち闍黎に和せんことを請う。」師は言った:「羯鼓は鞭を掉さしめて牛豹は跳び、遠村の梅樹の嘴は盧都。」師は南院に參して、門に入りて礼拜せず。南院は言った:「門に入れば須く主を辯ずべし。」師は言った:「端的に師に分かつを請う。」南院は左膝に於て一拍した。師は便ち喝した。南院は右膝に於て一拍した。師は又た喝した。南院は言った:「左邊の一拍は且く置く、右邊の一拍は作麼生。」師は言った:「瞎。」南院は便ち棒を拈じた。師は言った:「盲枷瞎棒を莫れ、打を奪う和尚。道わざると言うな。」南院は棒を擲下して言った:「今日黃面の浙子に一場鈍置せられぬ。」師は言った:「和尚は大いに似たり鉢を持して得ず、詐りて飢えずと道うに。」南院は言った:「闍黎は曾て此の間に到るか。」師は言った:「是れ何の言歟。」南院は言った:「老僧は好く借問を相う。」師は言った:

也不得放過。便下。參眾了。卻上堂頭禮謝。院曰。闍黎曾見甚麼人來。師曰。在襄州華嚴與廓侍者同夏。院曰。親見作家來。院問。南方一棒作麼商量。師曰。作奇特商量。師卻問。和尚此間一棒作麼商量。院拈拄杖曰。棒下無生忍。臨機不見師。師於言下大徹玄旨。遂依止六年。四眾請主風穴。又八年。李史君與闔城士庶。再請開堂演法矣。上堂。夫參學眼目臨機。直須大用現前。勿自拘於小節。設使言前薦得。猶是滯殻迷封。縱然句下精通。未免觸途狂見。應是從前依他作解。明昧兩岐。與你一時掃卻。直教箇箇如師子兒。吒呀地哮吼一聲。壁立千仞。誰敢正眼覰著。覰著即瞎卻渠眼。時有僧問。如何是正法眼。師曰。即便𭣟瞎。曰。𭣟瞎後如何。師曰。撈天摸地。師後因本郡兵𭁵作孽。與眾避地於郢州。謁前請主李史君。留於衙內度夏。普設大會。請師上堂。才陞座。乃曰。祖師心印。狀似鐵牛之機。去即印住。住即印破。祇如不去不住。印即是。不印即是。還有人道得麼。時有盧陂長老出。問。學人有鐵牛之機。請師不搭印。師曰。慣釣鯨鯢澄巨浸。卻嗟蛙步𩥇泥沙。陂佇思。師喝曰。長老何不進語。陂擬議。師便打一拂子。曰。還記得話頭麼。試舉看。陂擬開口。師又打一拂子。牧主曰。信知佛法與王法一般。師曰。見甚麼道理。牧主曰。當斷不斷。反招其亂。師便下座。至九月。汝州太師宋侯捨宅為寺。復來郢州。請師歸新寺住持。至周廣順元年。賜額廣慧。師住二十二年。常餘百眾。上堂。僧問。如何是佛。師曰。如何不是佛。曰。未曉玄言。請師直指。師曰。家住海門洲。扶桑最先照。問。朗月當空時如何。師曰。不從天上輥。任向地中埋。問。古曲無音韻。如何和得齊。師曰。木鷄啼子夜。芻狗吠天明。上堂。舉寒山詩曰。梵志死去來。魂識見閻老。讀盡百王書。

(師は続けて言った:)「也た放過するを得ず。」便ち下りた。衆に參じ了りて、却って堂頭に上りて禮謝した。南院は言った:「闍黎は曾て何の人を見て來るか。」師は言った:「襄州の華嚴に在りて廓侍者と夏を同じくせり。」南院は言った:「親く作家を見て來れり。」南院が問うた:「南方の一棒は作麼に商量する。」師は言った:「奇特の商量を作す。」師は却って問うた:「和尚の此の間の一棒は作麼に商量する。」南院は拄杖を拈じて言った:「棒下に生忍無く、機に臨みて師を見ず。」師は言下に大いに玄旨を徹し、遂に依止すること六年。四衆が請うて風穴を主らしむ。又た八年、李史君と闔城の士庶と、再び請うて開堂して法を演べしむ。上堂:「夫れ參學の眼目は機に臨みて、直に須く大用現前すべし、自ら小節に拘わるな。設し言前に薦得するを使すとも、猶是れ殼に滯り封に迷う。縱んば句下に精通するも、未だ途に觸る狂見を免れず。應に是れ從前他に依って解を作す、明昧兩も歧れるは、あなたと一時に掃き却せん。直に箇箇を教へて獅子兒の如く、咤呀として哮吼の一聲、壁立千仞たらしめん。誰か敢えて正眼にて覷り著けん。覷り著けば即ち渠の眼を瞎し去らん。」當時僧有りて問うた:「どうして正法眼ですか。」師は言った:「便ち瞎る。」僧は言った:「瞎りた後はいかに。」師は言った:「天を捞れ地を摸す。」師は後來本郡に兵亂の孽を作るに因りて、衆と地を避けて郢州に於て、前に主を請いた李史君に謁し、衙内に留められて夏を度す。普く大會を設けて、師に上堂を請う。纔かに座に升れば、就ち言った:「祖師の心印、狀は鐵牛の機に似たり。去れば即ち印住し、住すれば即ち印破す。只だ不去不住の如き、印する即ち是れか、印せざる即ち是れか。還た人道うことを得る有るか。」當時盧陂の長老有りて出でて、問うた:「學人に鐵牛の機有り、師に印を搭えざるを請う。」師は言った:「慣れて鯨鯢を釣りて巨浸を澄め、却って蛙步の泥沙を䩙るを嗟く。」盧陂は佇んで思す。師は喝して言った:「長老は何ぞ語を進めざる。」盧陂は擬議す。師は便ち一拂子を打ちて、言った:「還た話頭を記え得るか。試しに擧げて看よ。」盧陂は擬して口を開かんとす。師は又た一拂子を打った。牧主は言った:「信に知る佛法は王法と一般なり。」師は言った:「何の道理を見る。」牧主は言った:「當に斷ずべきに斷ぜざれば、反って其の亂を招く。」師は便ち座を下りた。九月に至りて、汝州太師の宋侯が宅を捨てて寺と爲し、復た郢州に來りて、師を請じて新寺に歸り住持せしめた。周の廣順元年に至りて、額を賜わりて廣慧と曰う。師は住すること二十二年、常に百衆を餘りせり。上堂。僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「如何にか佛に非ざる。」僧は言った:「未だ玄言を曉らず、師に直に指さんことを請う。」師は言った:「家は海門洲に住し、扶桑最も先に照らす。」問うた:「朗月空に當たる時はいかに。」師は言った:「天上より滚らず、任せて地中に向かって埋む。」問うた:「古曲は音韻無し、如何にか和して齊しきを得ん。」師は言った:「木鷄は子夜に啼き、芻狗は天明に吠ゆ。」上堂。擧ぐ、寒山の詩を説いて言った:「梵志死して去り來り、魂識は閻老を見る。百王の書を讀み盡くせども、」

未免受捶栲。一稱南無佛。皆以成佛道。僧問。如何是一稱南無佛。師曰。燈連鳳翅當堂照。月映娥眉𮠁面看。問。如何是佛。師曰。嘶風木馬緣無絆。背角泥牛痛下鞭。問。如何是廣慧劒。師曰。不斬死漢。問。古鏡未磨時如何。師曰。天魔膽裂。曰。磨後如何。師曰。軒轅無道。問。矛盾本成雙翳病。帝網明珠事若何。師曰。為山登九仞。捻土定千鈞。問。幹木奉文侯。知心有幾人。師曰。少年曾決龍虵陣。老倒還聽稚子歌。問。如何是清涼山中主。師曰。一句不遑無著問。迄今猶作野盤僧。問。如何是和尚家風。師曰。鶴有九皋難翥翼。馬無千里謾追風。問。未有之言。請師試道。師曰。入市能長嘯。歸家著短衣。問。夏終今日。師意如何。師曰。不憐鵝護雪。且喜蠟人冰。問。歸鄉無路時如何。師曰。平窺紅爛處。暢殺子平生。問。滿目荒郊翠。瑞草卻滋榮時如何。師曰。新出紅爐金彈子。簉破闍黎鐵麵皮。問。如何是互換之機。師曰。和盲愂愬瞎。問。真性不隨緣。如何得證悟。師曰。豬肉案上滴乳香。問。如何是清淨法身。師曰。金沙灘頭馬郎婦。問。一色難分。請師顯示。師曰。滿爐添炭猶嫌冷。路上行人祇守寒。問。如何是學人立身處。師曰。井底泥牛吼。林間玉兔驚。問。如何是道。師曰。五鳳樓前。曰。如何是道中人。師曰。問取皇城使。問。不傷物義。請師便道。師曰。劈腹開心。猶未性燥。問。未定渾濁。如何得照。師曰。下坡不走。快便難逢。問。如何是衲僧行履處。師曰。頭上吃棒。口裡喃喃。問。靈山話月。曹溪指月。去此二途。請師直指。師曰。無言不當瘂。曰。請師定當。師曰。先度汨羅江。問。任性浮沉時如何。師曰。牽牛不入欄。問。凝然便會時如何。師曰。截耳臥街。問。狼煙永息時如何。師曰。兩腳捎空。問。祖令當行時如何。師曰。點。問。不施寸刃。

(続けて擧ぐ:)「未だ捶栲を受くるを免れず。一たび南无佛と稱すれば、皆以て佛道を成ず。」僧が問うた:「どうして一たび南无佛と稱するですか。」師は言った:「燈は鳳翅を連ねて堂に當たり照らし、月は娥眉を映して面に對して看る。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「風に嘶く木馬は縁に絆無く、角を負う泥牛は痛く鞭を下す。」問うた:「どうして廣慧の劍ですか。」師は言った:「死漢を斬らず。」問うた:「古鏡未だ磨かざる時はいかに。」師は言った:「天魔の膽裂く。」僧は言った:「磨いた後はいかに。」師は言った:「軒轅は道無し。」問うた:「矛盾は本より雙翳の病を成し、帝網の明珠の事は若何。」師は言った:「山を爲して九仞に登り、土を捻じて千鈞を定む。」問うた:「干木は文侯を奉ず、知心は幾人か有る。」師は言った:「少年は曾て龍蛇の陣を決し、老倒は還た稚子の歌を聽く。」問うた:「どうして淸涼山中の主ですか。」師は言った:「一句は遑なく無著の問を問わず、今に至るまで猶お野盤の僧を作す。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「鶴は九皋有りて翼を翥げ難く、馬は千里無くして徒らに風を追う。」問うた:「未だ有らざるの言、師に試しに道わんことを請う。」師は言った:「市に入りて能く長嘯し、家に歸りて短衣を著く。」問うた:「夏終わる今日、師の意は如何。」師は言った:「鵝が雪を護るを憐れまず、且く蠟人の冰を喜ぶ。」問うた:「鄕に歸るに路無き時はいかに。」師は言った:「平かに紅爛の處を窺えば、子の平生を暢わん。」問うた:「目滿ちて荒郊翠く、瑞草却って滋榮する時はいかに。」師は言った:「新たに出づる紅爐の金彈子、闍黎の鐵面皮を簉破す。」問うた:「どうして互換の機ですか。」師は言った:「盲を和し悖愬を瞎す。」問うた:「真性は緣に隨わず、如何にか證悟を得ん。」師は言った:「豬肉の案上に乳香を滴る。」問うた:「どうして淸淨の法身ですか。」師は言った:「金沙灘頭の馬郎婦。」問うた:「一色分かち難し、師に顯示を請う。」師は言った:「爐滿ちて炭を添うるも猶お冷たきを嫌い、路上の行人は只だ寒を守る。」問うた:「どうして學人の立身の處ですか。」師は言った:「井底の泥牛吼え、林間の玉兔驚く。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「五鳳樓の前。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「皇城使に問い取れ。」問うた:「物義を傷つけず、師に便ち道わんことを請う。」師は言った:「腹を劈き心を開くも、猶未だ性燥ならず。」問うた:「未だ渾濁を定めず、如何にか照を得ん。」師は言った:「坡を下るに走らざれば、快便ち逢い難し。」問うた:「どうして衲僧の行履の處ですか。」師は言った:「頭上に棒を喫し、口裏に喃喃す。」問うた:「靈山は月を話し、曹溪は月を指す。此の二途を去りて、師に直に指さんことを請う。」師は言った:「言無きは啞に當たらず。」僧は言った:「師に定當を請う。」師は言った:「先ず汨羅江を度れ。」問うた:「性に任じて浮沈する時はいかに。」師は言った:「牛を牽いて欄に入らず。」問うた:「凝然として便ち會する時はいかに。」師は言った:「耳を截りて街に臥す。」問うた:「狼煙永く息む時はいかに。」師は言った:「兩脚は空を捎す。」問うた:「祖令當に行わるる時はいかに。」師は言った:「點。」問うた:「寸刃を施さず、」

便登九五時如何。師曰。鞭屍屈項。上堂。舉古云。我有一隻箭。曾經久磨煉。射時徧十方。落處無人見。師曰。山僧即不然。我有一隻箭。未甞經磨煉。射不徧十方。要且無人見。僧便問。如何是和尚箭。師作彎弓勢。僧禮拜。師曰。拖出這死漢。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。披席把盌。曰。見後如何。師曰。披席把盌。問。未達其源時如何。師曰。鶴冷移巢易。龍寒出洞難。問。不露鋒鋩句。如何辯主賓。師曰。口銜羊角驃膠粘。問。將身御險時如何。師曰。布露長書寫罪原。問。學人解問誵訛句。請師舉起訝人機。師曰。心裡分明眼睛黑。問。生死到來時如何。師曰。青布裁衫招犬吠。曰。如何得不吠去。師曰。自宜軃避寂無聲。問。如何是真道人。師曰。竹竿頭上禮西方。問。魚隱深潭時如何。師曰。湯盪火燒。問。如何是諸佛行履處。師曰。青松綠竹下。問。如何是大善知識。師曰。殺人不眨眼。曰。既是大善知識。為甚麼殺人不眨眼。師曰。塵埃影裡不拂袖。畵戟門前磨寸金。問。一即六。六即一。一六俱亡時如何。師曰。一箭落雙鵰。曰。意旨如何。師曰。身亡跡謝。問。摘葉尋枝即不問。直截根源事若何。師曰。赴供凌晨去。開塘帶雨歸。問。問問盡是揑怪。請師直指根源。師曰。罕逢穿耳客。多遇刻舟人。問。正當恁麼時如何。師曰。盲龜值木雖優穩。枯木生華物外春。問。寶塔元無縫。金門即日開時如何。師曰。智積佐來空合掌。天王捧出不知音。曰。如何是塔中人。師曰。萎花風掃去。香水雨飄來。問。隨緣不變者。忽遇知音時如何。師曰。披莎側立千峰外。引水澆蔬五老前。問。刻舟求不得。常用事如何。師曰。大勳不立賞。柴扉草自深。問。從上古人。印印相契。如何是相契底眼。師曰。輕囂道者知機變。拈卻招魂拭淚巾。問。九夏賞勞。請師言薦。師曰。

(僧が続けて問うた:)「便ち九五に登る時はいかに。」師は言った:「屍を鞭ち項を屈す。」上堂。古を擧げて説いた:「我に一隻の箭有り、曾て久しく磨煉を經たり。射る時は十方に遍く、落ちる處に人見る無し。」師は言った:「山僧は即ち然らず。我に一隻の箭有り、未だ曾て磨煉を經ず。射てば十方に遍からず、要に且く人見る無し。」僧は便ち問うた:「どうして和尚の箭ですか。」師は弓を彎む勢を作した。僧は礼拜した。師は言った:「此の死漢を拖き出せ。」問うた:「牛頭が未だ四祖を見ざる時はいかに。」師は言った:「席を披き碗を把る。」僧は言った:「見た後はいかに。」師は言った:「席を披き碗を把る。」問うた:「未だ其の源に達せざる時はいかに。」師は言った:「鶴は冷えば巢を移すこと易く、龍は寒ければ洞を出づること難し。」問うた:「鋒芒を露さざる句、如何に主賓を辯ぜん。」師は言った:「口は羊角の驃膠を銜みて粘す。」問うた:「身を將て險を御する時はいかに。」師は言った:「布露して長書を寫して罪原を書く。」問うた:「學人は誵訛の句を問うを解す、師に擧起して人の機を訝しむを請う。」師は言った:「心裏分明にして眼睛黑し。」問うた:「生死到來する時はいかに。」師は言った:「靑布は衫を裁りて犬の吠ゆるを招く。」僧は言った:「如何にか吠えざるを得て去らん。」師は言った:「自ら宜しく躲避して寂として聲無し。」問うた:「どうして真の道人ですか。」師は言った:「竹竿の頭上に西方を禮す。」問うた:「魚が深潭に隱る時はいかに。」師は言った:「湯は蕩々火は燒く。」問うた:「どうして諸佛の行履の處ですか。」師は言った:「靑松綠竹の下。」問うた:「どうして大善知識ですか。」師は言った:「人を殺して眼を眨めず。」僧は言った:「既に是れ大善知識、何の故に人を殺して眼を眨めざる。」師は言った:「塵埃の影裏に袖を拂わず、畫戟の門前に寸金を磨く。」問うた:「一は即ち六、六は即ち一。一六俱に亡びぬ時はいかに。」師は言った:「一箭に雙雕を落とす。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「身亡びて跡謝す。」問うた:「葉を摘み枝を尋ぬるは即ち問わず。直截の根源の事は若何。」師は言った:「供に赴きて凌晨に去り、塘を開きて雨を帶びて歸る。」問うた:「問々盡く是れ怪を捏ぬ。師に直に根源を指さんことを請う。」師は言った:「罕く耳を穿つ客に逢い、多く舟を刻む人に遇う。」問うた:「正に此の如くなる時に當たりてはいかに。」師は言った:「盲龜は木に値えば優穩なれど、枯木に華生じて物外の春。」問うた:「寶塔は元より縫無く、金門即日に開く時はいかに。」師は言った:「智積は佐り來りて空しく合掌し、天王は捧げ出だして知音を知らず。」僧は言った:「どうして塔中の人ですか。」師は言った:「萎花は風掃き去り、香水は雨飄い來る。」問うた:「緣に隨って變わらざる者、忽ち知音に遇う時はいかに。」師は言った:「莎を披きて千峰の外に側立し、水を引きて蔬を澆る五老の前。」問うた:「舟を刻して求めて得ざれば、常用の事は如何。」師は言った:「大勳は賞を立てず、柴扉は草自ら深し。」問うた:「上よりの古人、印印相契す。どうして相契するの眼ですか。」師は言った:「輕囂の道者は機變を知り、招魂を拈却して涙巾を拭う。」問うた:「九夏の賞勞、師に言薦を請う。」師は言った:

出袖拂開龍洞雨。泛杯波湧缽囊華。問。最初自恣。合對何人。師曰。一把香芻拈未暇。六環金錫響遙空。問。西祖傳來。請師端的。師曰。一犬吠虗。千猱啀實。問。王道與佛道。相去幾何。師曰。芻狗吠時天地合。木鷄啼後祖燈輝。問。祖師心印。請師拂拭。師曰。祖月凌空圓聖智。何山松檜不青青。上堂。若立一塵。家國興盛。野老顰蹙。不立一塵。家國喪亡。野老安怙。於此明得。闍黎無分。全是老僧。於此不明。老僧卻是闍黎。闍黎與老僧。亦能悟卻天下人。亦能瞎卻天下人。欲識闍黎麼。右邊一拍曰。這裡是。欲識老僧麼。左邊一拍曰。這裡是。僧問。大眾雲集。請師說法。師曰。赤腳人趂兔。著靴人吃肉。問。不曾博覧空王教。略借玄機試道看。師曰。白玉無瑕。卞和刖足。問。如何是無為之句。師曰。寶燭當軒顯。紅光爍太虗。問。如何是臨機一句。師曰。因風吹火。用力不多。問。素面相呈時如何。師曰。拈卻蓋面帛。問。紫菊半開秋已老。月圓當戶意如何。師曰。月生蓬島人皆見。昨夜遭霜子不知。問。如何是直截一路。師曰。直截是迃曲。問。如何是師子吼。師曰。阿誰要汝野幹鳴。問。如何是諦實之言。師曰。口懸壁上。上堂。若是上上之流。各有證據。略赴箇程眼。中下之機。各須英俊。當處出生。隨處滅盡。如𪹼龜紋。𪹼即成兆。不𪹼成鈍。欲𪹼不𪹼。直下便揑。問。心不能緣。口不能言時如何。師曰。逢人但恁麼舉。問。龍透清潭時如何。師曰。印駿捺尾。問。任性浮沉時如何。師曰。牽牛不入欄。問。有無俱無去處時如何。師曰。三月懶遊花下路。一家愁閉雨中門。問。語默涉離微。如何通不犯。師曰。常憶江南三月裡。鷓鴣啼處百花香。問。百了千當時如何。師曰。不許夜行。投明須到。上堂。三千劒客。恥見莊周。赤眉橫肩。得無謬訛。他時變豹。

(師は続けて言った:)「袖を出して拂い開く龍洞の雨、杯を泛べて波涌く鉢囊の華。」問うた:「最初の自恣、合に何人に對すべきか。」師は言った:「一把の香芻は拈じて暇無く、六環の金錫は遥空に響く。」問うた:「西祖傳來、師に端的を請う。」師は言った:「一犬は虛に吠え、千猱は實に啀む。」問うた:「王道と佛道と、相去ること幾何。」師は言った:「芻狗吠ゆる時は天地合し、木鷄啼きた後は祖燈輝く。」問うた:「祖師の心印、師に拂拭を請う。」師は言った:「祖月は空に凌ぎて聖智を圓め、何の山の松檜か靑靑ならざる。」上堂:「若し一塵を立てば、家國興盛し、野老は顰蹙す。一塵を立てざれば、家國喪亡し、野老は安怙す。此に於て明らかに得れば、闍黎は分無く、全く是れ老僧。此に於て明らかならざれば、老僧は却って是れ闍黎。闍黎と老僧と、亦た能く天下人を悟却し、亦た能く天下人を瞎却す。闍黎を識らんと欲するか。」右邊に一拍して言った:「此の裏是れ。」「老僧を識らんと欲するか。」左邊に一拍して言った:「此の裏是れ。」僧が問うた:「大衆雲集す、師に法を説かんことを請う。」師は言った:「赤脚の人は兔を趁い、靴を著る人は肉を喫す。」問うた:「曾て空王の教を博覽せず。略く玄機を借りて試しに道え看ん。」師は言った:「白玉は瑕無く、卞和は足を刖れり。」問うた:「どうして無爲の句ですか。」師は言った:「寶燭は軒に當たりて顯れ、紅光は太虛に爍く。」問うた:「どうして機に臨むの一句ですか。」師は言った:「風に因りて火を吹く、力を用うること多からず。」問うた:「素面相呈する時はいかに。」師は言った:「面を蓋う帛を拈却せよ。」問うた:「紫菊半ば開きて秋已に老いたり、月圓にして戸に當たる意は如何。」師は言った:「月は蓬島に生じて人皆な見、昨夜霜を遭いて子は知らず。」問うた:「どうして直截の一路ですか。」師は言った:「直截は是れ迂曲。」問うた:「どうして獅子吼ですか。」師は言った:「阿誰があなたの野干鳴を要せん。」問うた:「どうして諦實の言ですか。」師は言った:「口は壁上に懸く。」上堂:「若し是れ上上の流ならば、各々證據有り。略く箇の程眼に赴かん。中下の機は、各々須く英俊すべし。處に當たりて出生し、處に隨って滅盡す。𪹼龜の紋の如く、𪹼れば即ち兆を成し、𪹼せざれば鈍を成す。𪹼せんと欲して𪹼せざれば、直下に便ち捏めよ。」問うた:「心は緣すること能わず、口は言うこと能わざる時はいかに。」師は言った:「人に逢えば但だ此の如く擧げよ。」問うた:「龍が淸潭を透る時はいかに。」師は言った:「駿を印して尾を捺す。」問うた:「性に任じて浮沈する時はいかに。」師は言った:「牛を牽いて欄に入らず。」問うた:「有無俱に去る處無き時はいかに。」師は言った:「三月は懶く花下の路を遊び、一家は愁えて雨中の門を閉づ。」問うた:「語默は離微に涉る、如何にか犯さずして通ぜん。」師は言った:「常に憶う江南の三月裏、鷓鴣啼く處に百花の香。」問うた:「百了千當の時はいかに。」師は言った:「夜行を許さず、明に投して須く到るべし。」上堂:「三千の劍客、莊周を見るを恥とす。赤眉は肩を横たえ、謬訛を得ること無きを得ん。他時に豹に變ずれば、」

後五日看。珍重。問。心印未明時如何。師曰。雖聞酉帥投歸欵。未見牽羊納璧來。問。如何是臨濟下事。師曰。桀犬吠堯。問。如何是齧鏃事。師曰。孟浪借辭論馬角。上堂。大眾集定。師曰。不是無言。各須英鑒。問。大眾雲集。師意如何。師曰。景謝祁寒。骨肉疎冷。問。不修禪定。為甚麼成佛無疑。師曰。金鷄專報曉。漆桶夜生光。問。一念萬年時如何。師曰。拂石仙衣破。問。洪鐘未擊時如何。師曰。充塞大千無不韻。妙含幽致豈能分。曰。擊後如何。師曰。石壁山河無障礙。翳消開後好諮聞。問。古今才分。請師密要。師曰。截卻重舌。問。如何是大人相。師曰。赫赤窮漢。曰。未審將何受用。師曰。擕蘿挈杖。問。如何是賓中主。師曰。入市雙瞳瞽。曰。如何是主中賓。師曰。回鑾兩曜新。曰。如何是賓中賓。師曰。攢眉坐白雲。曰。如何是主中主。師曰。磨礱三尺劒。待斬不平人。問。如何是钁頭邊意。師曰。山前一片青。問。如何是佛。師曰。杖林山下竹筋鞭。

(師は続けて言った:)「後五日に看よ。珍重。」問うた:「心印未だ明らかならざる時はいかに。」師は言った:「酉帥の歸款に投ずるを聞くと雖も、未だ羊を牽き璧を納れて來るを見ず。」問うた:「どうして臨濟の下の事ですか。」師は言った:「桀の犬は堯に吠ゆ。」問うた:「どうして鏃を嚙むの事ですか。」師は言った:「孟浪に辭を借りて馬の角を論ず。」上堂。大衆集まり定まる。師は言った:「是れ言無きに非ず。各々須く英鑑すべし。」問うた:「大衆雲集す、師の意は如何。」師は言った:「景は祁寒に謝して、骨肉疏冷なり。」問うた:「禪定を修めず、何の故に佛を成すに疑無き。」師は言った:「金鷄は專ら曉を報じ、漆桶は夜に光を生ず。」問うた:「一念萬年の時はいかに。」師は言った:「石を拂いて仙衣破る。」問うた:「洪鐘未だ撃たざる時はいかに。」師は言った:「大千に充塞して韻ならざる無し、妙く幽致を含みて豈に分かたんや。」僧は言った:「撃った後はいかに。」師は言った:「石壁の山河は障礙無く、翳消え開けば好く咨聞せん。」問うた:「古今纔かに分かたる、師に密要を請う。」師は言った:「重舌を截却せよ。」問うた:「どうして大人の相ですか。」師は言った:「赫赤の窮漢。」僧は言った:「未だ審かならず何を將て受用せん。」師は言った:「蘿を攜え杖を挈ぐ。」問うた:「どうして賓中の主ですか。」師は言った:「市に入りて雙瞳瞽れり。」僧は言った:「どうして主中の賓ですか。」師は言った:「鑾を回らし兩曜新たなり。」僧は言った:「どうして賓中の賓ですか。」師は言った:「眉を攢めて白雲に坐す。」僧は言った:「どうして主中の主ですか。」師は言った:「三尺の劍を磨砻して、平ならざる人を斬らんを待つ。」問うた:「どうして钁頭の邊の意ですか。」師は言った:「山前は一片靑なり。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「杖林山の下の竹筋の鞭。」

頴橋安禪師(號鐵胡)

潁橋安禪師(號は鐵胡)

與鍾司徒向火次。鍾忽問。三界焚燒時如何出得。師以香匙撥開火。鍾擬議。師曰。司徒。司徒。鍾忽有省。

鍾司徒と火に向かう時、鍾が忽ち問うた:「三界焚燒する時如何にか出ることを得ん。」師は香匙を以て火を撥き開いた。鍾は擬議す。師は言った:「司徒、司徒。」鍾は忽ち省有り。

西院明禪師法嗣

西院明禪師法嗣

郢州興陽歸靜禪師

郢州興陽歸靜禪師

初參西院。便問。擬問不問時如何。院便打。師良久。院曰。若喚作棒。眉鬚墮落。師於言下大悟。住後。僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。少室山前無異路。

起初西院に參して、便ち問うた:「問わんと擬して問わざる時はいかに。」西院は便ち打った。師は久しく過ぎた。西院は言った:「若し棒と喚べば、眉鬚墮落せん。」師は言下に大いに悟った。住持して以後、僧が問うた:「師は誰が家の曲を唱え、宗風は阿誰に嗣ぐ。」師は言った:「少室山の前に異路無し。」

南嶽下八世

南嶽下八世

風穴沼禪師法嗣

風穴沼禪師法嗣

汝州首山省念禪師

汝州首山省念禪師

萊州狄氏子。受業於本郡南禪寺。才具屍羅。徧遊叢席。常密誦法華經。眾目為念法華也。晚於風穴會中充知客。一日侍立次。穴乃垂涕告之曰。不幸臨濟之道。至吾將墜於地矣。師曰。觀此一眾。豈無人邪。穴曰。聰明者多。見性者少。師曰。如某者如何。穴曰。吾雖望子之久。猶恐耽著此經。不能放下。師曰。此亦可事。願聞其要。穴遂上堂。舉世尊以青蓮目顧視大眾。乃曰。正當恁麼時。且道說箇甚麼。若道不說而說。又是埋沒先聖。且道說箇甚麼。師乃拂袖下去。穴擲下拄杖。歸方丈。侍者隨後請益。曰。念法華因甚不祇對和尚。穴曰。念法華會也。次日。師與真圓頭同上。問訊次。穴問真曰。作麼生是世尊不說說。真曰。鵓鳩樹頭鳴。穴曰。汝作許多痴福作麼。何不體究言句。又問師曰。汝作麼生。師曰。動容揚古路。不墮悄然機。穴謂真曰。汝何不看念法華下語。師受風穴印可之後。泯跡韜光。人莫知其所以。因白兆楚和尚至汝州宣化。風穴令師往傳語。才相見。提起坐具。便問。展即是。不展即是。兆曰。自家看取。師便喝。兆曰。我曾親近知識來。未甞輒敢恁麼造次。師曰。草賊大敗。兆曰。來日若見風穴和尚。待一一舉似。師曰。一任一任。不得忘卻。師乃先回。舉似風穴。穴曰。今日又被你收下一員草賊。師曰。好手不張名。兆次日才到。相見便舉前話。穴曰。非但昨日。今日和贓捉敗。師於是名振四方。學者望風而靡。開法首山。為第一世也。入院上堂曰。佛法付與國王大臣。有力檀越。令其佛法不斷絕。燈燈相續。至於今日。大眾且道。續箇甚麼。良久曰。須是迦葉師兄始得。時有僧問。靈山一會。何異今朝。師曰。墮坑落壍。曰。為甚麼如此。師曰。瞎。問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。少室巖前親掌示。曰。便請洪音和一聲。師曰。如今也要大家知。問。

萊州狄氏の子。本郡の南禪寺に於て業を受けた。纔かに尸羅を具えて、遍く叢席を遊んだ。常に法華經を密誦して、衆は目して法華を念ずと爲す。晚く風穴の會中に於て知客を充つ。一日侍立する時、風穴は乃ち涕を垂れて彼に告げて言った:「不幸にして臨濟の道、吾に至りて將に地に墜ちんとす。」師は言った:「此の一衆を觀るに、豈に人無からん。」風穴は言った:「聰明なる者は多く、性を見る者は少し。」師は言った:「某の如き者は如何。」風穴は言った:「吾雖子を望むこと久しけれども、猶恐此の經に耽著して、放下すること能わざらん。」師は言った:「此れ亦た事とすべし。願わくは其の要を聞かん。」風穴は遂に上堂す。擧ぐ、世尊が靑蓮の目を以て大衆を顧視すれば、就ち言った:「正に此の如くなる時に當たりて、且く箇の何を説くと道え。若し説かずして説くと道わば、又た是れ先聖を埋没せん。且く箇の何を説くと道え。」師は乃ち袖を拂りて下り去った。風穴は拄杖を擲下して、方丈に歸った。侍者は後に隨りて益を請うて、言った:「法華を念ずるは因れ甚だ和尚に只對せざる。」風穴は言った:「法華を念ずるは會し了れり。」次日、師は真園頭と同じく上る。問訊する時、風穴は真に問うた:「作麼生が是れ世尊の不説説。」真は言った:「鵓鳩は樹頭に鳴く。」風穴は言った:「あなたは許多の癡福を作して作麼。何ぞ言句を體究せざる。」又た師に問うて言った:「あなたは作麼生。」師は言った:「容を動かして古路を揚げ、悄然の機に墮せず。」風穴は真に對して言った:「あなたは何ぞ法華を念ずるの下語を看ざる。」師は風穴の印可を受けて後、跡を泯し光を韜して、人は其の以る所を知ること莫し。因りて白兆の楚和尚が汝州に至りて宣化すれば、風穴は師をして往きて語を傳えしむ。纔かに相見え、坐具を提起して、便ち問うた:「展ぶれば即ち是れか、展ばざれば即ち是れか。」白兆は言った:「自家に看取せよ。」師は便ち喝した。白兆は言った:「我曾て知識に親近し來りて、未だ曾て輙ち敢えて此の如く造次せざる。」師は言った:「草賊大敗。」白兆は言った:「來日若し風穴和尚を見ば、一々に擧似せんを待て。」師は言った:「一任せ一任せ。忘却するを得ず。」師は乃ち先に回りて、風穴に擧似した。風穴は言った:「今日又たあなたに一員の草賊を收下せられぬ。」師は言った:「好い手は名を張らず。」白兆は次日纔かに到りて、相見えれば便ち前話を擧げた。風穴は言った:「非但昨日、今日は和して臟を捉え敗れたり。」師は是に於て名四方に振い、學者は風を望みて靡れたり。首山に開法して、第一世を爲す。院に入りて上堂して説いた:「佛法は國王大臣、有力の檀越に付與して、其の佛法を斷絶せしめず、燈燈相續いで、今日に至る。大衆且く道え、箇の何を續ぐ。」久しく過ぎて言った:「須く是れ迦葉師兄にしてこそ得ん。」當時僧有りて問うた:「靈山の一會、今朝と何の異か有る。」師は言った:「坑に墮ち塹に落つ。」僧は言った:「何の故に此の如し。」師は言った:「瞎。」問うた:「師は誰が家の曲を唱え、宗風は阿誰に嗣ぐ。」師は言った:「少室の岩前に親く掌を示せり。」僧は言った:「便ち洪音に一聲を和せんことを請う。」師は言った:「如今也た大家に知らしめんことを要す。」問うた:

如何是徑截一路。師曰。或在山間。或在樹下。問。如何是學人親切處。師曰。五九盡日又逢春。曰。畢竟事如何。師曰。冬到寒食一百五。問。如何是和尚家風。師曰。一言截斷千江口。萬仞峰前始得玄。問。如何是首山境。師曰。一任眾人看。曰。如何是境中人。師曰。吃棒得也未。僧禮拜。師曰。吃棒且待別時。問。如何是祖師西來意。師曰。風吹日炙。問。從上諸聖。向甚麼處行履。師曰。牽犂拽杷。問。古人拈槌竪拂。意旨如何。師曰。孤峰無宿客。曰。未審意旨如何。師曰。不是守株人。問。如何是菩提路。師曰。此去襄縣五里。曰。向上事如何。師曰。往來不易。問。諸聖說不到處。請師舉唱。師曰。萬裡神光都一照。誰人敢竝日輪齊。問。臨濟喝。德山棒。未審明甚麼邊事。師曰。汝試道看。僧便喝。師曰。瞎。僧又喝。師曰。這瞎漢祗麼亂喝作麼。僧禮拜。師便打。問。和尚是大善知識。為甚麼卻首山。師曰。不坐孤峰頂。常伴白雲閑。問。四眾圍繞。師說何法。師曰。打草蛇驚。曰。未審作麼生下手。師曰。適來幾合喪身失命。問。二龍爭珠。誰是得者。師曰。得者失。曰。不得者又如何。師曰。珠在甚麼處。問。一切諸佛。皆從此經出。如何是此經。師曰。低聲。低聲。曰。如何受持。師曰。切不得汙染。問。世尊滅後。法付何人。師曰。好箇問頭。無人答得。曰。如何是世尊不說說。師曰。任從滄海變。終不為君通。曰。如何是迦葉不聞聞。師曰。瞶人徒側耳。問。古人道。見色便見心。諸法無形。將何所見。師曰。一家有事百家忙。曰。學人不會。乞師再指。師曰。三日後看取。問。菩薩未成佛時如何。師曰。眾生。曰。成佛後如何。師曰。眾生。眾生。問。路逢達道人。不將語默對。未審將甚麼對。師曰。瞥爾三千界。曰。與麼則目視不勞也。師曰。天恩未遇。後悔難追。

(僧が続けて問うた:)「どうして徑截の一路ですか。」師は言った:「或いは山間に在り、或いは樹下に在り。」問うた:「どうして學人の親切の處ですか。」師は言った:「五九盡きる日又た春に逢う。」僧は言った:「畢竟の事は如何。」師は言った:「冬至れば寒食百五。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「一言に千江の口を截斷し、萬仞の峰前に始めて玄を得る。」問うた:「どうして首山の境ですか。」師は言った:「一任せ、衆人看る。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「棒を喫することを得たか未や。」僧は礼拜した。師は言った:「棒を喫すは且く別の時を待て。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「風吹き日炙る。」問うた:「上よりの諸聖、何の處に向かって行履する。」師は言った:「犁を牽き耙を拽く。」問うた:「古人が槌を拈じ拂を豎げし意旨は如何。」師は言った:「孤峰に宿る客無し。」僧は言った:「未だ審かならず意旨は如何。」師は言った:「是れ株を守る人に非ず。」問うた:「どうして菩提の路ですか。」師は言った:「此去襄縣五里。」僧は言った:「向上の事は如何。」師は言った:「往來易しからず。」問うた:「諸聖の説き到らざる處、師に擧唱を請う。」師は言った:「萬里の神光は都て一照、誰人か敢えて日輪と幷び齊らん。」問うた:「臨濟の喝、德山の棒。未だ審かならず何の邊の事を明らかにす。」師は言った:「あなたは試しに道え看よ。」僧は便ち喝した。師は言った:「瞎。」僧は又た喝した。師は言った:「此の瞎漢は只だ此の如く亂喝して作麼。」僧は礼拜した。師は便ち打った。問うた:「和尚は是れ大善知識、何の故に却って首山。」師は言った:「孤峰頂に坐せず、常に白雲と伴い閑かなり。」問うた:「四衆圍繞す、師は何の法を説く。」師は言った:「草を打てば蛇驚く。」僧は言った:「未だ審かならず作麼生に手を下す。」師は言った:「適來幾合に身を喪い命を失わんとす。」問うた:「二龍珠を争う、誰か是れ得る者。」師は言った:「得る者は失。」僧は言った:「得ざる者は又た如何。」師は言った:「珠は何の處に在る。」問うた:「一切の諸佛、皆な此の經より出づ。どうして此の經ですか。」師は言った:「聲を低く、聲を低く。」僧は言った:「如何に受持せん。」師は言った:「切に污染するを得ず。」問うた:「世尊滅の後、法は何人に付す。」師は言った:「好い問頭、人答えるを得る無し。」僧は言った:「どうして世尊の不説説ですか。」師は言った:「滄海に變じるに任す、終に君の爲に通ぜず。」僧は言った:「どうして迦葉の不聞聞ですか。」師は言った:「聵人は徒らに耳を側む。」問うた:「古人説く、色を見れば便ち心を見る、と。諸法は形無し、何を將て見る所とせん。」師は言った:「一家事有れば百家忙し。」僧は言った:「學人會せず、師に再び指さんことを乞う。」師は言った:「三日の後に看取せ。」問うた:「菩薩未だ佛を成せざる時はいかに。」師は言った:「衆生。」僧は言った:「佛を成した後はいかに。」師は言った:「衆生、衆生。」問うた:「路に達道の人に逢えば、語默を將て對せず。未だ審かならず何を將て對せん。」師は言った:「瞥爾として三千界。」僧は言った:「そうすれば目視は勞せられず。」師は言った:「天恩未だ遇わず、後悔追い難し。」

上堂。第一句薦得。堪與祖佛為師。第二句薦得。堪與人天為師。第三句薦得。自救不了。時有僧問。如何是第一句。師曰。大用不揚眉。棒下須見血。曰。慈悲何在。師曰。送出三門外。問。如何是第二句。師曰。不打恁麼驢漢。曰。將接何人。師曰。如斯爭奈何。問。如何是第三句。師曰。解問無人答。曰。即今祇對者是誰。師曰。莫使外人知。曰。和尚是第幾句薦得。師曰。月落三更穿市過。問。維摩默然。文殊贊善。未審此意如何。師曰。當時聽眾必不如是。曰。既不如是。維摩默然。又且如何。師曰。知恩者少。負恩者多。乃曰。若論此事實。不掛一箇元字腳。便下座。問。如何是古佛心。師曰。鎮州蘿蔔重三斤。問。如何是玄中的。師曰。有言須道卻。曰。此意如何。師曰。無言鬼也瞋。問。如何是衲僧眼。師曰。此問不當。曰。當後如何。師曰。堪作甚麼。問。如何得離眾緣去。師曰。千年一遇。曰。不離時如何。師曰。立在眾人前。問。如何是大安樂底人。師曰。不見有一法。曰。將何為人。師曰。謝闍黎領話。問。如何是常在底人。師曰。亂走作麼。問。如何是首山。師曰。東山高。西山低。曰。如何是山中人。師曰。恰遇棒不在。問。如何是道。師曰。爐中有火無心撥。處處縱橫任意遊。曰。如何是道中人。師曰。坐看煙霞秀。不與白雲齊。問。一毫未發時如何。師曰。路逢穿耳客。曰。發後如何。師曰。不用便遲疑。問。無絃一曲。請師音韻。師良久。曰。還聞麼。曰。不聞。師曰。何不高聲問著。問。學人久處沉迷。請師一接。師曰。老僧無這閑工夫。曰。和尚豈無方便。師曰。要行即行。要坐即坐。問。如何是離凡聖底句。師曰。嵩山安和尚。曰。莫便是和尚極則處否。師曰。南嶽讓禪師。問。學人乍入叢林。乞師指示。師曰。闍黎到此多少時也。曰。已經冬夏。師曰。

上堂:「第一句に薦得すれば、堪えて祖佛と師と爲る。第二句に薦得すれば、堪えて人天と師と爲る。第三句に薦得すれば、自ら救いて了らず。」當時僧有りて問うた:「どうして第一句ですか。」師は言った:「大用は眉を揚げず、棒下に須く血を見べし。」僧は言った:「慈悲は何に在る。」師は言った:「三門の外に送り出す。」問うた:「どうして第二句ですか。」師は言った:「此の如く驢漢を打たず。」僧は言った:「何人を將て接せん。」師は言った:「斯の如し争奈何。」問うた:「どうして第三句ですか。」師は言った:「問うを解して人答える無し。」僧は言った:「即今只對する者は誰か。」師は言った:「外人に知らしむるな。」僧は言った:「和尚は第幾句に薦得する。」師は言った:「月落ち三更市を穿ちて過る。」問うた:「維摩默然、文殊は善を贊す。未だ審かならず此の意は如何。」師は言った:「當時聽衆は必ず是の如くならざらん。」僧は言った:「既に是の如くならざれば、維摩默然、又た且く如何。」師は言った:「恩を知る者は少なく、恩を負く者は多し。」そこで言った:「若し此の事實を論ぜば、一箇の元字脚を挂けず。」便ち座を下りた。問うた:「どうして古佛心ですか。」師は言った:「鎭州の蘿蔔は重さ三斤。」問うた:「どうして玄中の的ですか。」師は言った:「言有れば須く道い却るべし。」僧は言った:「此の意は如何。」師は言った:「言無ければ鬼も亦た嗔る。」問うた:「どうして衲僧の眼ですか。」師は言った:「此の問は當たらず。」僧は言った:「當たりた後は如何。」師は言った:「堪えて何を作さん。」問うた:「如何にか衆緣を離れて去ることを得ん。」師は言った:「千年一遇。」僧は言った:「離れざる時は如何。」師は言った:「衆人の前に立つ。」問うた:「どうして大安樂の人ですか。」師は言った:「一法有るを見ず。」僧は言った:「何を將て人と爲さん。」師は言った:「闍黎の領話に謝す。」問うた:「どうして常在の人ですか。」師は言った:「亂れ走って何を作す。」問うた:「どうして首山ですか。」師は言った:「東山高く、西山低し。」僧は言った:「どうして山中の人ですか。」師は言った:「恰も棒の在らざるに遇う。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「爐中に火有りて心無く撥り、處處縱橫任意に遊ぶ。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「坐して煙霞の秀を看る、白雲と齊らがず。」問うた:「一毫未だ發せざる時はいかに。」師は言った:「路に穿耳の客に逢う。」僧は言った:「發した後はいかに。」師は言った:「遲疑するを用いず。」問うた:「無弦の一曲、師に音韻を請う。」師は久しく過ぎて、言った:「還た聞くか。」僧は言った:「聞かず。」師は言った:「何ぞ高聲に問い著けざる。」問うた:「學人久しく沉迷に處す、師に一接を請う。」師は言った:「老僧に此の閑工夫無し。」僧は言った:「和尚豈に方便無からん。」師は言った:「行かんと要すれば即ち行き、坐さんと要すれば即ち坐す。」問うた:「どうして凡聖を離るるの句ですか。」師は言った:「嵩山安和尚。」僧は言った:「莫れ便ち是れ和尚の極則の處か否。」師は言った:「南嶽讓禪師。」問うた:「學人乍ち叢林に入る、師に指示を乞う。」師は言った:「闍黎此に到りて多少の時了れる。」僧は言った:「已に冬夏を經たり。」師は言った:

莫錯舉似人。問。有一人蕩盡來時。師還接否。師曰。蕩盡即置。那一人是誰。曰。風高月冷。師曰。僧堂內幾人坐臥。僧無對。師曰。賺殺老僧。問。如何是梵音相。師曰。驢鳴狗吠。乃曰。要得親切。第一莫將問來問。還會麼。問在答處。答在問處。汝若將問來問。老僧在汝腳底。汝若擬議。即沒交涉。時有僧出禮拜。師便打。僧便問。掛錫幽巖時如何。師曰。錯。僧曰。錯。師又打。問。如何是佛。師曰。新婦騎驢阿家牽。曰。未審此語甚麼句中收。師曰。三玄收不得。四句豈能該。曰。此意如何。師曰。天長地久。日月齊明。問。曹谿一句。天下人聞。未審和尚一句。甚麼人得聞。師曰。不出三門外。曰。為甚麼不出三門外。師曰。舉似天下人。問。如何是和尚不欺人底眼。師曰。看看冬到來。曰。究竟如何。師曰。即便春風至。問。遠聞和尚無絲可掛。及至到來。為甚麼有山可守。師曰。道甚麼。僧便喝。師亦喝。僧禮拜。師曰。放汝三十棒。次住廣教及寶應。三處法席。海眾常臻。淳化三年十二月四日午時。上堂說偈曰。今年六十七。老病隨緣且遣日。今年記卻來年事。來年記著今朝日。至四年。月日無爽前記。上堂辭眾。仍說偈曰。白銀世界金色身。情與非情共一真。明暗盡時俱不照。日輪午後示全身。言訖。安坐而逝。茶毗收舍利建塔。

(師は続けて言った:)「人に錯りて擧似するな。」問うた:「一の人有りて蕩盡して來る時、師は還た接するか否。」師は言った:「蕩盡すれば即ち置く。那の一人は是れ誰か。」僧は言った:「風高く月冷たし。」師は言った:「僧堂の内は幾人か坐臥する。」僧は對無し。師は言った:「老僧を賺殺せり。」問うた:「どうして梵音の相ですか。」師は言った:「驢鳴き狗吠ゆ。」そこで言った:「親切を得んと要せば、第一に問を將て來りて問うな。還た會するか。問は答の處に在り、答は問の處に在り。あなた若し問を將て來りて問わば、老僧はあなたの脚底に在り。あなた若し擬議せば、即ち交涉無し。」當時僧有りて出でて礼拜す。師は便ち打った。僧は便ち問うた:「錫を幽岩に挂ける時はいかに。」師は言った:「錯。」僧は言った:「錯。」師は又た打った。問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「新婦は驢を騎り阿家は牽く。」僧は言った:「未だ審かならず此の語は何の句中に收まる。」師は言った:「三玄に收めるを得ず、四句豈に該せんや。」僧は言った:「此の意は如何。」師は言った:「天長く地久しく、日月齊しく明るし。」問うた:「曹溪の一句、天下の人聞く。未だ審かならず和尚の一句、何の人か聞くことを得ん。」師は言った:「三門の外に出でず。」僧は言った:「何の故に三門の外に出でざる。」師は言った:「天下の人に擧似せん。」問うた:「どうして和尚の人を欺かざるの眼ですか。」師は言った:「看よ看よ冬來るに到る。」僧は言った:「究竟に如何。」師は言った:「便ち春風至る。」問うた:「遠く和尚の挂くべき絲無きを聞く、至り來るに及びて、何の故に守るべき山有る。」師は言った:「何を道う。」僧は便ち喝した。師は亦た喝した。僧は礼拜した。師は言った:「あなたに三十棒を放つ。」続いて廣教及び寶應に住し、三處の法席、海衆常に臻る。淳化三年十二月四日午時、上堂して偈を説いて言った:「今年六十七、老病緣に隨って且く日を遣る。今年記し却く來年の事、來年記著す今朝の日。」四年に至りて、月日前の記に爽わず。上堂して衆に辭し、仍りて偈を説いて言った:「白銀の世界金色の身、情と非情と共に一真。明暗盡くる時俱に照らさず、日輪午後に全身を示す。」言い訖わりて、安坐して逝きた。茶毗して舍利を收め塔を建つ。

汝州廣慧真禪師

汝州廣慧真禪師

甞在風穴作園頭。穴問曰。會昌沙汰時。護法善神向甚麼處去。師曰。常在闤闠中。要且無人識。穴曰。汝徹也。師禮拜。出世。開堂日。僧問。如何是廣慧境。師曰。小寺前。資慶後。問。如何是和尚家風。師曰。杴𭺗钁子。

曾て風穴に在りて園頭を作した。風穴が問うて言った:「會昌の沙汰の時、法を護る善神は何の處に向かって去る。」師は言った:「常に闤闠の中に在り、要に且く人の識る無し。」風穴は言った:「あなたは徹し了れり。」師は礼拜した。出世す。開堂の那の日、僧が問うた:「どうして廣慧の境ですか。」師は言った:「小寺の前、資慶の後。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「杴𭺗の钁子。」

鳳翔府長興院滿禪師

鳳翔府長興院滿禪師

僧問。如何是古佛道場。師曰。行便踏著。曰。踏著後如何。師曰。冰消瓦解。曰。為甚如此。師曰。城內君子。郭外小兒。問。大用現前時如何。師曰。閙市裡輥。

僧が問うた:「どうして古佛の道場ですか。」師は言った:「行けば便ち踏み著く。」僧は言った:「踏み著けた後はいかに。」師は言った:「冰消瓦解。」僧は言った:「何が故に此の如し。」師は言った:「城内の君子、郭外の小兒。」問うた:「大用現前の時はいかに。」師は言った:「鬧市の裏に滚る。」

潭州靈泉院和尚

潭州靈泉院和尚

僧問。如何是和尚活計。師曰。一物也無。曰。未審日用何物。師便喝。僧禮拜。師便打。問。先師道。金沙灘上馬郎婦。意旨如何。師曰。上東門外人無數。曰。便恁麼會時如何。師曰。天津橋上往來多。

僧が問うた:「どうして和尚の活計ですか。」師は言った:「一物も無し。」僧は言った:「未だ審かならず日用は何物か。」師は便ち喝した。僧は礼拜した。師は便ち打った。問うた:「先師道く、金沙灘上の馬郎婦、と。意旨は如何。」師は言った:「東門上の外に人無數。」僧は言った:「便ち此の如く會する時はいかに。」師は言った:「天津橋上に往來多し。」

南嶽下九世

南嶽下九世

首山念禪師法嗣

首山念禪師法嗣

汾州太子院善昭禪師

汾州太子院善昭禪師

太原俞氏子。剃髮受具。杖䇿遊方。所至少留。隨機叩發。歷參知識七十一員。後到首山。問。百丈卷席。意旨如何。山曰。龍袖拂開全體現。曰。師意如何。山曰。象王行處絕狐蹤。師於言下大悟。拜起而曰。萬古碧潭空界月。再三撈摝始應知。有問者曰。見何道理。便爾自肯。師曰。正是我放身命處。後遊衡湘及襄沔間。每為郡守以名剎力致。前後八請。堅臥不答。洎首山歿。西河道俗遣僧契聰迎請住持。師閉關高枕。聰排闥而入。讓之曰。佛法大事。靖退小節。風穴懼應讖。憂宗旨墜滅。幸而有先師。先師已棄世。汝有力荷擔如來大法者。今何時而欲安眠哉。師矍起。握聰手曰。非公不聞此語。趣辦嚴。吾行矣。住後上堂。謂眾曰。汾陽門下有西河師子。當門踞坐。但有來者。即便齩殺。有何方便。入得汾陽門。見得汾陽人。若見汾陽人者。堪與祖佛為師。不見汾陽人。盡是立地死漢。如今還有人入得麼。快須入取。免得孤負平生。不是龍門客。切忌遭點額。那箇是龍門客。一齊點下。舉起拄杖曰。速退。速退。珍重。上堂。先聖雲。一句語須具三玄門。一玄門須具三要。阿那箇是三玄三要底句。快會取好。各自思量。還得穩當也未。古德已前行腳。聞一箇因緣。未明中間。直下飲食無味。睡臥不安。火急決擇。莫將為小事。所以大覺老人。為一大事因緣出現於世。想計他從上來行腳。不為遊山翫水。看州府奢華。片衣口食。皆為聖心未通。所以驅馳行腳。決擇深奧。傳唱敷揚。博問先知。親近高德。葢為續佛心燈。紹隆祖代。興崇聖種。接引後機。自利利他。不忘先跡。如今還有商量者麼。有即出來。大家商量。僧問。如何是接初機底句。師曰。汝是行腳僧。曰。如何是辯衲僧底句。師曰。西方日出卯。曰。如何是正令行底句。師曰。千里持來呈舊面。曰。如何是立乾坤底句。師曰。

太原俞氏の子。剃髮して具足戒を受けた。拄杖して方を遊び、所到に少なく久しく留まらず、緣に隨って叩問して發明す。歷參して知識七十一員。後に首山に到りて、問うた:「百丈が席を卷くの意旨は如何。」首山は言った:「龍袖拂き開きて全體現る。」師は言った:「師意は如何。」首山は言った:「象王行く處は狐の蹤を絶つ。」師は此の句の下に大いに悟り、拜して起きて言った:「萬古の碧潭は空界の月、再三撈漉して始めて應に知るべし。」人問う有り:「何の道理を見て、便ち此の如く自ら肯く。」師は言った:「正に是れ我が身命を放する處。」後に衡湘及び襄沔一帶を遊び、每に郡守に名刹を以て極力延請せられ、前後八請、堅く臥して答えず。首山の去世するに及びて、西河の道俗は僧契聰を遣りて迎え請うて住持せしむ。師は關を閉ぢて高く枕す。契聰は門を推して入りて、彼を責めて言った:「佛法の大事、靖退は是れ小節。風穴は讖言に應ずるを怕り、宗旨の墜滅を憂う。幸いに先師有り、先師已に世を棄てたり。あなたは是れ力量有りて如來の大法を荷擔する人、如今是れ何の時候、還た安眠を想うか。」師は矍然として起き、契聰の手を握りて言った:「公に非ざれば、此の話を聽くことを得ず。速かに行裝を辦せ、我行かん。」住持して以後上堂して、衆に對して言った:「汾陽門下に西河の獅子有り、門に當たりて踞坐し、但だ來る者有れば、便ち咬殺す。何の方便か有りて、汾陽門に入るを得、汾陽人を見るを得ん。若し汾陽人を見る者は、堪えて祖佛と師と爲る。汾陽人を見ざれば、盡く是れ立地の死漢。如今還た入るを得る人有るか。快く須く入り取るべし、平生を孤負するを免れんが爲に。是れ龍門の客に非ざれば、切に額を點せらるるを忌め。那箇か是れ龍門の客。一齊に點下せん。」拄杖を擧げて言った:「速退、速退。珍重。」上堂:「先聖説く、一句語須く三玄門を具え、一玄門須く三要を具えん、と。阿那箇か是れ三玄三要の句。快く會取し好し。各自思量せよ、還た穩當を得たるか未や。古德は以前行脚して、一箇の因緣を聞きて、未明の中間、直下に飮食味無く、睡臥安からず、火急に決擇して、將て小事と爲すを莫し。所以に大覺老人は、一大事の因緣を爲に於て世に出現す。想い計るに彼は上より來りて行脚するは、山を遊び水を翫ぶを爲に非ず、州府の奢華、片衣口食を看るを爲に非ず、皆な聖心未だ通ぜざるを爲なり。所以に馳驅して行脚し、深奥を決擇し、傳唱して敷揚し、博く先知に問い、高德に親近す、蓋し佛の心燈を續ぎ、祖代を紹隆し、聖種を興崇し、後機を接引し、自利利他して、先迹を忘れざるを爲なり。如今還た商量する有るか。有れば即ち出で來れ、大家商量せん。」僧が問うた:「どうして初機を接するの句ですか。」師は言った:「あなたは是れ行脚の僧。」僧は言った:「どうして衲僧を辯ずるの句ですか。」師は言った:「西方日卯に出づ。」僧は言った:「どうして正令行ずるの句ですか。」師は言った:「千里持ち來りて舊面を呈す。」僧は言った:「どうして乾坤を立つるの句ですか。」師は言った:「

北俱盧洲長粳米。食者無貪亦無瞋。乃曰。將此四轉語驗天下衲僧。才見你出來。驗得了也。問。如何是學人著力處。師曰。嘉州打大像。曰。如何是學人轉身處。師曰。陝府灌鐵牛。曰。如何是學人親切處。師曰。西河弄師子。乃曰。若人會得此三句。已辯三玄。更有三要語在。切須薦取。不是等閑。與大眾頌出。三玄三要事難分。得意忘言道易親。一句明明該萬象。重陽九日菊花新。師為並汾苦寒。乃罷夜參。有異比丘振錫而至。謂師曰。會中有大士六人。奈何不說法。言訖而去。師密記以偈曰。胡僧金錫光。為法到汾陽。六人成大器。勸請為敷揚。上堂。凡一句語須具三玄門。每一玄門須具三要。有照有用。或先照後用。或先用後照。或照用同時。或照用不同時。先照後用。且要共你商量。先用後照。你也須是箇人始得。照用同時。你作麼生當抵。照用不同時。你又作麼生湊泊。僧問。如何是大道之源。師曰。掘地覓天。曰。何得如此。師曰。不識幽玄。問。如何是賓中賓。師曰。合掌菴前問世尊。曰。如何是賓中主。師曰。對面無儔侶。曰。如何是主中賓。師曰。陣雲橫海上。㧞劒攪龍門。曰。如何是主中主。師曰。三頭六臂擎天地。忿怒那吒撲帝鐘。上堂。汾陽有三訣。衲僧難辯別。更擬問如何。拄杖驀頭楔。時有僧問。如何是三訣。師便打。僧禮拜。師曰。為汝一時頌出。第一訣。接引無時節。巧語不能詮。雲綻青天月。第二訣。舒光辯賢哲。問答利生心。拔卻眼中楔。第三訣。西國胡人說。濟水過新羅。北地用鑌鐵。復曰。還有人會麼。會底出來通箇消息。要知遠近。莫祇恁麼記言記語。以當平生。有甚麼利益。不用久立。珍重。僧問。如何是祖師西來意。師曰。青絹扇子足風涼。問。布鼓當軒掛。誰是知音者。師曰。停鉏傾麥飯。臥草不擡頭。問。如何是道場。師曰。下腳不得。問。

(師は続けて言った:)「北俱盧洲の長粳米、食する者は貪も無く亦た瞋無し。」そこで言った:「此の四轉語を將て天下の衲僧に驗す、纔かにあなたの出で來るを見れば、驗し了れり。」問うた:「どうして學人の力を著ける處ですか。」師は言った:「嘉州は大像を打つ。」僧は言った:「どうして學人の身を轉ずる處ですか。」師は言った:「陜府は鐵牛を灌ぐ。」僧は言った:「どうして學人の親切の處ですか。」師は言った:「西河は獅子を弄す。」そこで言った:「若し人此の三句に會得せば、已に三玄を辯じ、更に三要の語在り。切に須く薦取すべし、是れ等閑に非ず。大衆と頌出せん:三玄三要事分かち難し、意を得て言を忘れれば道親しみ易し。一句明明として萬象を該ね、重陽九日菊花新たなり。」師は并汾の苦寒を因りて、就ち夜參を罷めた。異比丘有りて錫を振りて來り、師に對して言った:「會中に大士六人有り、奈何ぞ法を説かざる。」説き畢わりて便ち去った。師は密かに記して、偈を作して言った:「胡僧の金錫光、法の爲に汾陽に到る。六人大器を成し、勸請して敷揚せん。」上堂:「凡そ一句語須く三玄門を具え、每一玄門須く三要を具えん。照有り用有り。或いは先に照し後に用い、或いは先に用い後に照し、或いは照用同時、或いは照用同時ならず。先に照し後に用い、且く要してあなたと商量せん。先に用い後に照し、あなたも亦た須く是れ箇の人才にしてこそ得ん。照用同時、あなたは作麼生に當抵せん。照用同時ならざれば、あなた又た作麼生に湊泊せん。」僧が問うた:「どうして大道の源ですか。」師は言った:「地を掘りて天を覓ゆ。」僧は言った:「何を得て此の如くなる。」師は言った:「幽玄を識らず。」問うた:「どうして賓中の賓ですか。」師は言った:「庵前に合掌して世尊に問う。」僧は言った:「どうして賓中の主ですか。」師は言った:「對面に儔侶無し。」僧は言った:「どうして主中の賓ですか。」師は言った:「陣雲は海上に橫たわり、劍を拔きて龍門を攪す。」僧は言った:「どうして主中の主ですか。」師は言った:「三頭六臂は天地を擎め、忿怒の那咤は帝鐘を撲つ。」上堂:「汾陽に三訣有り、衲僧は辯別し難し。更に擬して如何を問わば、拄杖は驀頭に楔す。」當時僧有りて問うた:「どうして三訣ですか。」師は便ち打った。僧は礼拜した。師は言った:「あなたが爲に一時に頌出せん。第一の訣、接引に時節無し。巧語は詮すること能わず、雲綻びて靑天の月。第二の訣、光を舒べて賢哲を辯ず。問答は利生の心、眼中の楔を拔却す。第三の訣、西國胡人の説。濟水は新羅を過ぎ、北地は鑌鐵を用う。」又た言った:「還た會する人有るか。會するは出でて來りて箇の消息を通ぜよ。遠近を知らんと要せば。莫れ只だ此の如く言を記し語を記して、以て平生に當てん。何の利益か有る。久しく立つを用いず。珍重。」僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「靑絹の扇子は風凉を足す。」問うた:「布鼓は軒に當たりて挂け、誰か是れ知音の者。」師は言った:「鋤を停めて麥飯に傾き、草に臥して頭を擡げず。」問うた:「どうして道場ですか。」師は言った:「脚を下すを得ず。」問うた:「

如何是祖師西來意。師曰。徹骨徹髓。曰。此意如何。師曰。徧天徧地。問。真正修道人。不見世間過。未審不見箇甚麼過。師曰。雪埋夜月深三尺。陸地行舟萬里程。曰。和尚是何心行。師曰。卻是你心行。問。大悲千手眼。如何是正眼。師曰。瞎。曰。恁麼則一條拄杖兩人舁。師曰。三家村裡唱巴歌。曰。恁麼則和尚同在裡頭。師曰。謝汝慇懃。問。如何是和尚家風。師曰。三玄開正道。一句破邪宗。曰。如何是和尚活計。師曰。尋常不掌握。供養五湖僧。曰。未審吃箇甚麼。師曰。天酥陀飯非珍饌。一味良羹飽即休。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。新神更著師婆賽。曰。見後如何。師曰。古廟重遭措大題。上堂。謂眾曰。夫說法者。須具十智同真。若不具十智同真。邪正不辯。緇素不分。不能與人天為眼目。決斷是非。如鳥飛空而折翼。如箭射的而斷弦。弦斷故射的不中。翼折故空不可飛。弦壯翼牢。空的俱徹。作麼生是十智同真。與諸上座點出。一同一質。二同大事。三總同參。四同真志。五同徧普。六同具足。七同得失。八同生殺。九同音吼。十同得入。又曰。與甚麼人同得入。與阿誰同音吼。作麼生是同生殺。甚麼物同得失。阿那箇同具足。是甚麼同徧普。何人同真志。孰能總同參。那箇同大事。何物同一質。有點得出底麼。點得出者不悋慈悲。點不出來。未有參學眼在。切須辯取。要識是非。面目見在。不可久立。珍重。龍德府尹李侯與師有舊。虗承天寺致之。使三反不赴。使者受罰。復至曰。必欲得師俱往。不然有死而已。師笑曰。老病業已不出山。借往當先後之。何必俱邪。使曰。師諾。則先後唯所擇。師令饌設。且俶裝曰。吾先行矣。停箸而化。闍維收舍利起塔。

(僧が続けて問うた:)「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「骨を徹し髓を徹す。」僧は言った:「此の意は如何。」師は言った:「天に遍く地に遍し。」問うた:「眞正の修道の人、世間の過を見ず。未だ審かならず箇の何の過を見ざる。」師は言った:「雪は夜月を埋めて深さ三尺、陸地に舟を行じて萬里程。」僧は言った:「和尚は是れ何の心行か。」師は言った:「却って是れあなたの心行。」問うた:「大悲の千手眼、どうして正眼ですか。」師は言った:「瞎。」僧は言った:「そうすれば一條の拄杖は兩人で抬ぐ。」師は言った:「三家の村裏に巴歌を唱う。」僧は言った:「そうすれば和尚は同じく裏頭に在り。」師は言った:「あなたの殷勤に謝す。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「三玄は正道を開き、一句は邪宗を破る。」僧は言った:「どうして和尚の活計ですか。」師は言った:「尋常は掌握せず、五湖の僧を供養す。」僧は言った:「未だ審かならず箇の何を喫す。」師は言った:「天酥陀飯は珍饌に非ず、一味の良羹は飽けば即ち休む。」問うた:「牛頭が未だ四祖を見ざる時はいかに。」師は言った:「新神更に師婆の賽を著く。」僧は言った:「見た後はいかに。」師は言った:「古廟重ねて措大の題に遭う。」上堂、衆に對して言った:「夫れ法を説く者は、須く十智同眞を具えん。若し十智同眞を具えざれば、邪正辯ぜず、緇素分かれず、人天の爲に眼目と爲して、是非を決斷すること能わず。鳥が空を飛びて翼を折るが如く、箭が的を射て弦絶ゆるが如し。弦絶ゆるが故に射的は中らず、翼折るが故に空は飛ぶべからず。弦壯く翼牢なれば、空的俱に徹す。作麼生が是れ十智同眞。諸上座と點出せん。一は同じく一質、二は同じく大事、三は總て同じく參、四は同じく眞志、五は同じく遍普、六は同じく具足、七は同じく得失、八は同じく生殺、九は同じく音吼、十は同じく得入。」又た言った:「何の人と同じく得入する。阿誰と同じく音吼する。作麼生が是れ同じく生殺する。何物か同じく得失する。阿那箇か同じく具足する。是れ何か同じく遍普する。何人か同じく眞志する。孰か能く總て同じく參する。那箇か同じく大事する。何物か同じく一質する。點じ出だすことを得る有るか。點じ出だすことを得れば慈悲を吝かにせず。點じ出ださざれば、未だ參學の眼在らず。切に須く辯取すべし。是非を識らんと要せば、面目見在す。久しく立つべからず。珍重。」龍德府尹の李侯は師と舊有り、承天寺の席位を虛しくして延請せんと來り、使者往反三次に赴かず。使者は罰を受けて、再び來りて、言った:「一定に師を得て一同に去らんことを要す、然らざれば只だ死あるのみ。」師は笑いて言った:「老病業已に山を出でず。假令去らば、當に先有り後有るべし、何必一齊ならん。」使者は言った:「師許諾せば、則ち先後唯だ擇ぶ所。」師は人をして飯を備えしめ、幷びに行裝を整頓して、言った:「我先に行かん。」箸を放下して就ち化し去った。闍維の後舍利を收めて塔を起てり。

汝州葉縣廣教院歸省禪師

汝州葉縣廣教院歸省禪師

冀州賈氏子。弱冠依易州保壽院出家。受具後遊方。參首山。山一日舉竹篦。問曰。喚作竹篦即觸。不喚作竹篦即背。喚作甚麼。師掣得擲地上曰。是甚麼。山曰。瞎。師於言下。豁然頓悟。開堂。僧問。祖祖相傳傳祖印。師今得法嗣何人。師曰。寰中天子。塞外將軍。曰。汝海一滴蒙師指。向上宗風事若何。師曰。高祖殿前樊噲怒。須知萬裡絕煙塵。問。維摩丈室不以日月為明。和尚丈室以何為明。師曰。眉分八字。曰。未審意旨如何。師曰。雙耳垂肩。問。如何是超師之作。師曰。老僧眉毛長多少。問。如何是塵中獨露身。師曰。塞北千人帳。江南萬斛船。曰。恁麼即非塵也。師曰。學語之流。一札萬行。問。如何是和尚深深處。師曰。貓有歃血之功。虎有起屍之德。曰。莫便是也無。師曰。碓擣東南。磨推西北。問。如何是金剛不壞身。師曰。百雜碎。曰。意旨如何。師曰。終是一堆灰。問。不落諸緣。請師便道。師曰。落。問。如何是清淨法身。師曰。廁坑頭籌子。問。如何是戒定慧。師曰。破傢俱。師一日陞座。僧問。才上法堂來時如何。師拍禪床一下。僧曰。未審此意如何。師曰。無人過價。打與三百。問。忽遇大闡提人來。還相為也無。師曰。法久成弊。曰。慈悲何在。師曰。年老成魔。上堂。宗師血脈。或凡或聖。龍樹馬鳴。天堂地獄。鑊湯爐炭。牛頭獄卒。森羅萬象。日月星辰。他方此土。有情無情。以手畫一畫雲。俱入此宗。此宗門中。亦能殺人。亦能活人。殺人須得殺人刀。活人須得活人句。作麼生是殺人刀.活人句。道得底。出來對眾道看。若道不得。即孤負平生。珍重。問。如何是和尚四無量心。師曰。放火殺人。曰。慈悲何在。師曰。遇明眼人舉似。問。不在內。不在外。不在中間。未審在甚麼處。師曰。南斗六。北斗七。問。如何是毗盧師法身主。師曰。僧排夏臘。

冀州賈氏の子。二十歳に易州保壽院に依りて出家す。具を受けて後方を遊び、首山に參す。首山が一日竹篦を擧げて、問うた:「竹篦と喚べば即ち觸れ、竹篦と喚ばざれば即ち背く。何と喚ぶ。」師は掣き過ぎて地に擲ちて、言った:「是れ何か。」首山は言った:「瞎。」師は此の句の下に豁然と頓悟した。開堂。僧が問うた:「祖祖相傳えて祖印を傳う、師今法を得て何人に嗣ぐ。」師は言った:「寰中の天子、塞外の將軍。」僧は言った:「汝海の一滴は師の指を蒙る、向上の宗風の事は若何。」師は言った:「高祖殿前に樊噲怒る、須く知れ萬里に煙塵を絶つことを。」問うた:「維摩の丈室は日月を以て明と爲さず、和尚の丈室は何を以て明と爲す。」師は言った:「眉は八字を分かつ。」僧は言った:「未だ審かならず意旨は如何。」師は言った:「雙耳は肩に垂る。」問うた:「どうして師を超えた作ですか。」師は言った:「老僧の眉毛は長さ多少。」問うた:「どうして塵中に獨り身を露すですか。」師は言った:「塞北は千人の帳、江南は萬斛の船。」僧は言った:「そうすれば塵に非ず也。」師は言った:「語を學ぶの流、一札萬行。」問うた:「どうして和尚の深深の處ですか。」師は言った:「猫に歃血の功有り、虎に起屍の德有り。」僧は言った:「莫れ便ち是れか無しや。」師は言った:「碓は東南を搗き、磨は西北を推す。」問うた:「どうして金剛不壞の身ですか。」師は言った:「百雜碎。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「終に是れ一堆の灰。」問うた:「諸緣に落ちず、師に便ち道わんことを請う。」師は言った:「落。」問うた:「どうして淸淨の法身ですか。」師は言った:「廁坑の頭籌子。」問うた:「どうして戒定慧ですか。」師は言った:「破家具。」師は一天座に升る。僧が問うた:「纔かに法堂に上りて來る時はいかに。」師は禪床を一拍した。僧は言った:「未だ審かならず此の意は如何。」師は言った:「人價を過す無し、三百を打ち與えん。」問うた:「忽ち大闡提の人に遇えば、還た相爲すか無しや。」師は言った:「法久しくして弊を成す。」僧は言った:「慈悲は何に在る。」師は言った:「年老いて魔を成す。」上堂:「宗師の血脈、或いは凡か或いは聖か、龍樹馬鳴、天堂地獄、鑊湯爐炭、牛頭獄卒、森羅萬象、日月星辰、他方此土、有情無情。」手を以て一畫して言った:「俱に此の宗に入る。此の宗門の中、亦た能く人を殺し、亦た能く人を活かす。人を殺すに須く人を殺す刀を得、人を活かすに須く人を活かす句を得ん。作麼生が是れ人を殺す刀、人を活かす句。道うことを得れば、出でて來りて衆に對して道え看よ。若し道うことを得ざれば、即ち平生を孤負せん。珍重。」問うた:「どうして和尚の四無量心ですか。」師は言った:「火を放ち人を殺す。」僧は言った:「慈悲は何に在る。」師は言った:「明眼の人に遇い擧似せん。」問うた:「内に在らず、外に在らず、中間に在らず、未だ審かならず何の處に在る。」師は言った:「南斗は六、北斗は七。」問うた:「どうして毗盧師法身主ですか。」師は言った:「僧は夏臘を排し、」

俗列耆年。曰。向上更有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。萬裡崖州君自去。臨行惆悵怨他誰。上堂。良久曰。夫行腳禪流。直須著忖。參學須具參學眼。見地須得見地句。方有相親分。始得不被諸境惑。亦不落於惡道。畢竟如何委悉。有時句到意不到。妄緣前塵。分別影事。有時意到句不到。如盲摸象。各說異端。有時意句俱到。打破虗空界。光明照十方。有時意句俱不到。無目之人縱橫走。忽然不覺落深坑。問。如何是古今無異路。師曰。俗人盡褁頭。曰。意旨如何。師曰。闍黎無席帽。問。己事未明。以何為驗。師曰。閙市裡打靜槌。曰。意旨如何。師曰。日午點金燈。問。布鼓當軒擊。誰是知音者。師曰。眼中有澁釘。曰。未審此意如何。師曰。喬翁賽南神。僧請益栢樹子話。師曰。我不辭與汝說。還信麼。曰。和尚重言。爭敢不信。師曰。汝還聞簷頭水滴聲麼。其僧豁然。不覺失聲雲。㖿。師曰。你見箇甚麼道理。僧便以頌對曰。簷頭水滴。分明歷歷。打破乾坤。當下心息。師乃忻然。問僧。日暮投林。朝離何處。曰。新戒不曾學禪。師曰。生身入地獄。下去後。有僧舉到智門寬和尚處。門曰。何不道鎻匙在和尚手裡。師因去將息寮看病僧。僧乃問曰。和尚。四大本空。病從何來。師曰。從闍黎問處來。僧喘氣。又問曰。不問時如何。師曰。撒手臥長空。僧曰。㖿。便脫去。

(師は続けて言った:)「俗は耆年に列す。」僧は言った:「向上に更に事有るか無しや。」師は言った:「有り。」僧は言った:「どうして向上の事ですか。」師は言った:「萬里の崖州は君自ら去れ、行くに臨みて惆悵として他誰を怨まん。」上堂、久しく過ぎて言った:「夫れ行脚の禪流、直に須く忖を著くべし。參學に須く參學の眼を具え、見地に須く見地の句を得て、方に相親の分有りて、才に諸境に惑わされずして、亦た惡道に落ちざるを得ん。畢竟に如何にか委悉せん。時に句到りて意到らず、妄緣は前塵にして、分別の影事。時に意到りて句到らず、盲の象を摸するが如く、各々異端を説く。時に意句俱に到りて、虛空界を打破して、光明十方を照らす。時に意句俱に到らずして、目無き人の縱橫に走りて、忽然に覺えず深坑に落つ。」問うた:「どうして古今に異路無しですか。」師は言った:「俗人盡く頭を裹む。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「闍黎に席帽無し。」問うた:「己事未だ明らかならず、何を以て驗と爲す。」師は言った:「鬧市の裏に靜槌を打つ。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「日午に金燈を點す。」問うた:「布鼓は軒に當たりて擊ち、誰か是れ知音の者。」師は言った:「眼中に澁釘有り。」僧は言った:「未だ審かならず此の意は如何。」師は言った:「喬翁は南神を賽す。」僧は益を請う柏樹子の話。師は言った:「我は辭せずしてあなたに説かん、還た信ずるか。」僧は言った:「和尚の重言、怎んぞ敢えて信て信ぜざる。」師は言った:「あなた還た檐頭の水滴の聲を聞くか。」那の僧は豁然として、覺えず聲を失して言った:「呀。」師は言った:「あなたは箇の何の道理を見る。」僧は便ち頌を以て對答して言った:「檐頭の水滴、分明として歷歷。乾坤を打破して、當下に心息む。」師は是に於て欣然たり。僧に問うた:「日暮に林に投ず、朝何の處を離るる。」僧は言った:「新戒は曾て禪を學ばず。」師は言った:「生身に地獄に入る。」下り去った後、僧有りて擧げて智門寬和尚の處に到る。智門は言った:「何ぞ鑰匙は和尚の手裏に在りと道わざる。」師は因りて將息寮に去りて病僧を看病す。僧は就いて問うた:「和尚、四大は本より空、病は何より來る。」師は言った:「闍黎の問う處より來る。」僧は喘氣して、又た問うた:「問わざる時はいかに。」師は言った:「手を撒きて長空に臥す。」僧は言った:「呀。」便ち脫去した。

潭州神鼎洪諲禪師

潭州神鼎洪諲禪師

襄水扈氏子。自遊方。一衲以度寒暑。甞與數耆宿至襄沔間。一僧舉論宗乘。頗敏捷。會野飯山店中。供辦而僧論說不已。師曰。三界唯心。萬法唯識。唯識唯心。眼聲耳色。是甚麼人語。僧曰。法眼語。師曰。其義如何。曰。唯心故根境不相到。唯識故聲色摐然。師曰。舌味是根境否。曰。是。師以筯筴菜置口中。含胡而語曰。何謂相入邪。坐者駭然。僧不能答。師曰。途路之樂。終未到家。見解入微。不名見道。參須實參。悟須實悟。閻羅大王。不怕多語。僧拱而退。後反長沙。隱于衡嶽三生藏。有湘陰豪貴。來遊福嚴。即師之室。見其氣貌閑靜。一缽掛壁。餘無長物。傾愛之。遂拜跪。請曰。神鼎乃我家植福之地。久乏宗匠。願師俱往。何如。師笑而諾之。即以己馬負師至。十年始成叢席。一朽床為說法座。其甘枯淡無比。又以德臘俱高。諸方尊之。如古趙州。僧問。諸法未聞時如何。師曰。風蕭蕭。雨颯颯。曰。聞後如何。師曰。領話好。問。魚鼓未鳴時如何。師曰。看天看地。曰。鳴後如何。師曰。捧缽上堂。問。古㵎寒泉時如何。師曰。不是衲僧行履處。曰。如何是衲僧行履處。師曰。不見有古㵎寒泉。問。兩手獻尊堂時如何。師曰。是甚麼。問。學人到寶山。空手回時如何。師曰。臘月三十日。問。如何是和尚家風。師曰。飢不擇食。問。如何是和尚為人句。師曰。拈柴擇菜。曰。莫祇這便是也無。師曰。更須子細。問。撥塵見佛時如何。師曰。佛亦是塵。問。如何是道人活計。師曰。山僧自小不曾入學堂。官人指木魚問。這箇是甚麼。師曰。驚回多少瞌睡人。官曰。洎不到此間。師曰。無心打無心。問。如何是清淨法身。師曰。灰頭土面。曰。為甚麼如此。師曰。爭怪得山僧。曰。未審法身向上還有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。毗盧頂上金冠子。問。菩提本無樹。

襄水扈氏の子。方を遊びて自より、一件の衲衣を以て寒暑を度す。曾て幾位の耆宿と襄沔一帶に到り、一の僧が宗乘を擧論して、頗る敏捷なり。正に山店に在りて野飯を喫し、供辦し了れば那の僧は還た論説して已まず。師は言った:「三界は唯心、萬法は唯識。唯識唯心、眼聲耳色。是れ何人の語か。」僧は言った:「法眼の語。」師は言った:「其の義は如何。」僧は言った:「唯心なれば根境相到らず、唯識なれば聲色摐然なり。」師は言った:「舌味は是れ根境か否。」僧は言った:「是。」師は箸を以て菜を夾みて口に放ちて、含糊して言った:「何を謂うか相入邪。」座に在る人皆な駭然たり。僧は答える能わず。師は言った:「途路の樂、終に未だ家に到らず。見解入微、道を見ると名づけず。參は須く實參、悟は須く實悟。閻羅大王は、多語を怕れず。」僧は拱手して退いた。後に長沙に返回して、衡嶽の三生藏に隱る。湘陰の豪貴有りて來りて福嚴を遊び、師の屋裏に到り、其の氣貌閑靜なるを見て、一鉢は壁に挂け、其餘長物無し、心を傾けて愛慕し、就ち跪拜して請うて言った:「神鼎は乃ち我が家植福の地、久しく宗匠を乏しくす。願わくは師一同に去らん、如何。」師は笑いて許諾した。就ち自らの馬を以て師を馱りて彼に到れり。十年にして才に叢席を成す。一張の朽床を説法の座と爲して、枯淡を甘んずること比び無し。又た德行と戒臘と俱に高きを因りて、諸方は彼を尊ぶこと古趙州の如し。僧が問うた:「諸法未だ聞かざる時はいかに。」師は言った:「風蕭蕭、雨颯颯。」僧は言った:「聞いた後はいかに。」師は言った:「領話好し。」問うた:「魚鼓未だ鳴らざる時はいかに。」師は言った:「天を看地を看。」僧は言った:「鳴らした後はいかに。」師は言った:「鉢を捧げて堂に上る。」問うた:「古澗の寒泉の時はいかに。」師は言った:「是れ衲僧の行履の處に非ず。」僧は言った:「どうして衲僧の行履の處ですか。」師は言った:「古澗寒泉有るを見ず。」問うた:「兩手尊堂に獻ずる時はいかに。」師は言った:「是れ何か。」問うた:「學人寶山に到りて、空手にして回る時はいかに。」師は言った:「臘月三十日。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「飢えて食を擇ばず。」問うた:「どうして和尚の人を爲す句ですか。」師は言った:「柴を拈び菜を擇ぶ。」僧は言った:「莫れ只だ此れ便ち是れか無しや。」師は言った:「更に須く仔細なるべし。」問うた:「塵を撥きて佛を見る時はいかに。」師は言った:「佛も亦た是れ塵。」問うた:「どうして道人の活計ですか。」師は言った:「山僧は自ら小にして曾て學堂に入らず。」官人は木魚を指して問うた:「此箇は是れ何か。」師は言った:「多少の瞌睡の人を驚き回す。」官人は言った:「差て此の間に到らざるに點す。」師は言った:「心無くして心無きを打つ。」問うた:「どうして淸淨の法身ですか。」師は言った:「灰頭土面。」僧は言った:「何の故に此の如し。」師は言った:「怎んぞ山僧を怪めんことを得ん。」僧は言った:「未だ審かならず法身向上に還た事有るか無しや。」師は言った:「有り。」僧は言った:「どうして向上の事ですか。」師は言った:「毗盧の頂上の金冠子。」問うた:「菩提は本より樹無し、」

何處得子來。師曰。喚作無。得麼。問。持地菩薩修路等佛。和尚修橋等何人。師曰。近後。問。和尚未見先德時如何。師曰。東行西行。曰。見後如何。師曰。橫擔拄杖。上堂。舉洞山曰。貪瞋痴。太無知。賴我今朝識得伊。行便打。坐便槌。分付心王子細推。無量劫來不解脫。問汝三人知不知。師曰。古人與麼道。神鼎則不然。貪瞋痴。實無知。十二時中任從伊。行即往。坐即隨。分付心王擬何為。無量劫來元解脫。何須更問知不知。

(僧が続けて問うた:)「何の處に子を得て來る。」師は言った:「無しと喚ぶ、得るか。」問うた:「持地菩薩は路を修して佛を待つ、和尚は橋を修して何人を待つ。」師は言った:「後に近づけ。」問うた:「和尚未だ先德を見ざる時はいかに。」師は言った:「東行西行。」僧は言った:「見た後はいかに。」師は言った:「橫に拄杖を担ぐ。」上堂、洞山の話を擧げて言った:「貪瞋癡、太だ知無し。我に今朝識り得たるを賴る。行けば便ち打ち、坐すれば便ち槌る。心王に仔細に推すを分付す。無量劫來解脱せず、汝三人に知るか知らざるかを問う。」師は言った:「古人此の如く道う、神鼎は則ち然らず。貪瞋癡、實に知無し。十二時中は伊に任せ從う。行けば即ち往き、坐すれば即ち隨う。心王に擬する何を爲すを分付す。無量劫來元より解脱、何ぞ更に知るか知らざるかを問わん。」

襄州谷隱山蘊聰慈照禪師

襄州谷隱山蘊聰慈照禪師

初參百丈恆和尚。因結夏。百丈上堂。舉中觀論曰。正覺無名相。隨緣即道場。師便出問。如何是正覺無名相。丈曰。汝還見露柱麼。師曰。如何是隨緣即道場。丈曰。今日結夏。次參首山。問。學人親到寶山。空手回時如何。山曰。家家門前火把子。師於言下大悟。呈偈曰。我今二十七。訪道曾尋覓。今朝喜得逢。要且不相識。後到大陽。玄和尚問。近離甚處。師曰。襄州。陽曰。作麼生是不隔底句。師曰。和尚住持不易。陽曰。且坐吃茶。師便參眾去。侍者問。適來新到。祇對住持不易。和尚為甚麼教坐吃茶。陽曰。我獻他新羅附子。他酬我舶上茴香。你去問。他有語在。侍者請師吃茶。問。適來祇對和尚。道住持不易。意旨如何。師曰。真鍮不博金。住後。僧問。如何是佛。師曰。邛州多出九節杖。曰。謝師指示。師曰。且莫作答佛話會。卻問。來時無物去時空。二路俱迷。如何得不迷去。師曰。秤頭半斤。秤尾八兩。問。如何是古佛心。師曰。踏著秤錘硬似鐵。曰。意旨如何。師曰。明日向汝道。問。青山淥水即不問。急切一句作麼生道。師曰。手過膝。耳垂肩。問。如何是道。師曰。車碾馬踏。曰。如何是道中人。師曰。橫眠竪坐。問。日往月來遷。不覺年衰老。還有不老者麼。師曰。有。曰。如何是不老者。師曰。虯龍筋力高聲呌。晚後精靈轉更多。問。如何是學人深深處。師曰。烏龜水底深藏穴。曰。未審其中事若何。師曰。路上行人莫與知。問。古人索火。意旨如何。師曰。任他滅。曰。滅後如何。師曰。初三十一。因作清涼河堰。僧問。忽遇洪水滔天。還堰得也無。師曰。上拄天。下拄地。曰。劫火洞然。又作麼生。師曰。橫出竪沒。問。深山巖崖中還有佛法也無。師曰。有。曰。如何是深山巖崖中佛法。師曰。奇怪石頭形似虎。火燒松樹勢如龍。問。古人道。見色便見心。露柱是色。

起初百丈恒和尚に參す。結夏の爲に、百丈は上堂して、《中觀論》を擧げて説いた:「正覺は名相無し、緣に隨えば即ち道場。」師は便ち出で來りて問うた:「どうして正覺名相無しですか。」百丈は言った:「あなた還た露柱を見るか。」師は言った:「どうして緣に隨えば即ち道場ですか。」百丈は言った:「今日結夏。」続いて首山に參して、問うた:「學人親く寶山に到りて、空手にして回る時はいかに。」首山は言った:「家家の門前の火把子。」師は此の句の下に大いに悟り、偈を呈して言った:「我今二十七、道を訪ねて曾て尋覓せり。今朝喜び逢い得るを、要に且く相識らざる。」後に大陽に到りて、玄和尚が問うた:「近く甚の處を離るる。」師は言った:「襄州。」大陽は言った:「作麼生が是れ隔てざるの句。」師は言った:「和尚の住持は易しからず。」大陽は言った:「且く坐して茶を喫せ。」師は便ち去りて衆に參した。侍者が問うた:「適來の新到、只對『住持不易』、和尚は何の故に坐して茶を喫せしむる。」大陽は言った:「我は彼に新羅附子を獻じ、彼は我に舶上茴香に酬ゆ。あなた去りて問え、彼に語在り。」侍者は師に茶を請い喫せしめて、問うた:「適來只對和尚、道う住持不易、意旨は如何。」師は言った:「真鍮は金に博さず。」住持して以後、僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「邛州は多く九節杖を出す。」僧は言った:「師の指示に謝す。」師は言った:「且く佛の話の會と答え作すを莫れ。」却って問うた:「來る時物無く去る時空し、二路俱に迷う、如何にか迷わざるを得て去らん。」師は言った:「秤頭は半斤、秤尾は八兩。」問うた:「どうして古佛心ですか。」師は言った:「秤錘を踏めば硬さ鐵に似たり。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「明日あなたに向かって道わん。」問うた:「靑山渌水は即ち問わず、急切の一句は作麼生に道う。」師は言った:「手は膝を過ぎ、耳は肩に垂る。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「車碾き馬踏む。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「橫眠竪坐。」問うた:「日往月來して遷り、覺えず年衰老す。還た老いざる者有るか。」師は言った:「有り。」僧は言った:「どうして老いざる者ですか。」師は言った:「虬龍筋力高聲に叫び、晚後精靈轉もて多し。」問うた:「どうして學人の深深の處ですか。」師は言った:「烏龜は水底に深く穴を藏す。」僧は言った:「未だ審かならず其の中の事は若何。」師は言った:「路上の行人は與に知るを莫れ。」問うた:「古人が火を索めし意旨は如何。」師は言った:「他の滅するに任す。」僧は言った:「滅した後はいかに。」師は言った:「初三十一。」因りて淸涼河堰を作る、僧が問うた:「忽ち洪水滔天に遇えば、還た堰するを得るか無しや。」師は言った:「上は天を拄し、下は地を拄す。」僧は言った:「劫火洞然、又た作麼生。」師は言った:「橫出竪沒。」問うた:「深山の岩崖中に還た佛法有るか無しや。」師は言った:「有り。」僧は言った:「どうして深山の岩崖中の佛法ですか。」師は言った:「奇怪の石頭は形虎に似、火燒の松樹は勢龍の如し。」問うた:「古人説く、色を見れば便ち心を見る、と。露柱は是れ色、

那箇是心。師曰。晝見簸箕星。曰。意旨如何。師曰。柳營節級橫階上。問。如何是道。師曰。善犬帶牌。曰。為甚如此。師曰。令人懼見。上堂。十五日已前諸佛生。十五日已後諸佛滅。十五日已前諸佛生。你不得離我這裡。若離我這裡。我有鉤子鉤你。十五日已後諸佛滅。你不得住我這裡。若住我這裡。我有錐子錐你。且道正當十五日。用鉤即是。用錐即是。遂有偈曰。正當十五日。鉤錐一時息。更擬問如何。回頭日又出。問。如何是無縫塔。師曰。直下看。曰。如何是塔中人。師曰。退後。退後。問。承古有言。祇這如今誰動口。意旨如何。師曰。莫認驢鞍橋作阿爺下頷。張茂崇太保問。摩騰入漢。已涉繁詞。達磨單傳。請師直指。師曰。冬不寒。臘後看。問。若能轉物。即同如來。萬象是物。如何轉得。師曰。吃了飯。無些子意智。問。寸絲不掛。法網無邊。為甚麼卻有迷悟。師曰。兩桶一擔。問。有情有用。無情無用。如何是無情應用。師曰。獨扇門子盡夜開。上堂。春景溫和。春雨普潤。萬物生芽。甚麼處不霑恩。且道承恩力一句。作麼生道。良久曰。春雨一滴滑如油。問。如何是學人自己法身。師曰。每日般柴不易。曰。此是大眾底。如何是學人底。師曰。三生六十劫。問。逐日開單展缽。以何報答施主之恩。師曰。被這一問。和我愁殺。曰。恁麼則謝供養也。師曰。作甚麼人氣力。僧禮拜。師曰。明日更吃一頓。問。古人急水灘頭毛毬子。意旨如何。師曰。雲開月朗。問。急水灘頭連底石。意旨如何。師曰。屋破見青天。曰。破屋見青天。意旨如何。師曰。通上徹下。問。一處火發。任從你救。八方齊發時如何。師曰。快。曰。還求出也無。師曰。若求出。即燒殺你。僧禮拜。師曰。直饒你不求出。也燒殺你。示眾。第一句道得。石裡迸出。第二句道得。挨拶將來。第三句道得。

(僧が続けて問うた:)「那箇か是れ心。」師は言った:「晝に簸箕星を見る。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「柳營は節級を階上に橫たう。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「善犬は牌を帶ぶ。」僧は言った:「何の故に此の如し。」師は言った:「人をして見るを懼れしむ。」上堂:「十五日已前は諸佛生まれ、十五日已後は諸佛滅す。十五日已前は諸佛生まれ、あなたは我が此の裏を離るるを得ず。若し我が此の裏を離るれば、我に鈎子有りてあなたを鈎る。十五日已後は諸佛滅す、あなたは我が此の裏に住するを得ず。若し我が此の裏に住すれば、我に錐子有りてあなたを錐る。且く道え、正に十五日に當たりて、鈎を用いる即ち是れか、錐を用いる即ち是れか。」そこで偈有りて説いた:「正に十五日に當たり、鈎錐一時に息む。更に如何を問わんと擬せば、回頭して日又た出づ。」問うた:「どうして無縫塔ですか。」師は言った:「直下に看よ。」僧は言った:「どうして塔中の人ですか。」師は言った:「退後、退後。」問うた:「古に言有るを承る、只だ此れ如今誰が口を動かす、と。意旨は如何。」師は言った:「驢鞍橋を認めて阿爺の下頷と作すな。」張茂崇太保が問うた:「摩騰は漢に入りて、已に繁詞に渉る。達磨單傳、師に直指を請う。」師は言った:「冬寒からず、臘後に看よ。」問うた:「若し物を轉ずること能わば、即ち如來に同じ。萬象は是れ物、如何にか轉じ得ん。」師は言った:「飯を喫し了りて、些子の意智無し。」問うた:「寸絲挂からず、法網は邊無し、何の故に却って迷悟有る。」師は言った:「兩桶一担。」問うた:「有情は用有り、無情は用無し。どうして無情の應用ですか。」師は言った:「獨扇の門子は夜を盡くして開く。」上堂:「春景は温和、春雨は普く潤す。萬物は芽を生じ、何の處か恩に沾わざらん。且く道え、恩の力を承る一句、作麼生に道う。」久しく過ぎて言った:「春雨一滴は油の如く滑かなり。」問うた:「どうして學人の自己の法身ですか。」師は言った:「每日柴を搬ぶこと易しからず。」僧は言った:「此れ是れ大衆の、どうして學人のですか。」師は言った:「三生六十劫。」問うた:「日を逐うて單を開き鉢を展ぶ、何を以て施主の恩に報答せん。」師は言った:「此の一問に被りて、我と愁殺せり。」僧は言った:「そうすれば供養に謝する也。」師は言った:「何の人氣力を作す。」僧は礼拜した。師は言った:「明日更に一頓を喫せん。」問うた:「古人の急水灘頭の毛毬子、意旨は如何。」師は言った:「雲開きて月朗らかなり。」問うた:「急水灘頭の連底の石、意旨は如何。」師は言った:「屋破れて靑天を見る。」僧は言った:「破屋靑天を見るの意旨は如何。」師は言った:「上を通じ下に徹す。」問うた:「一處に火發すれば、あなたが救うに任す。八方齊しく發する時はいかに。」師は言った:「快。」僧は言った:「還た出を求むるか無しや。」師は言った:「若し出を求めば、即ちあなたを燒き殺さん。」僧は礼拜した。師は言った:「直に饒くあなた出を求めざるも、也たあなたを燒き殺さん。」衆に示す:「第一句に道うことを得れば、石の裏より迸り出づ。第二句に道うことを得れば、挨拶して將來せり。第三句に道うことを得れば、」

自救不了。上堂。五白貓兒爪距獰。養來堂上絕蟲行。分明上樹安身法。切忌遺言許外生。作麼生是許外生底句。莫錯舉。僧入室問。正當與麼時。還有師也無。師曰。燈明連夜照。甚處不分明。曰。畢竟事如何。師曰。來日是寒食。

(師は続けて言った:)「自ら救いて了らず。」上堂:「五白の猫兒は爪距狞く、養い來たりて堂上に蟲の行を絶つ。分明に樹に上りて身を安んずる法、切に遺言に外生を許すを忌め。作麼生が是れ外生を許すの句。錯りて擧ぐるな。」僧は入室して問うた:「正に此の如くなる時に當たりて、還た師有るか無しや。」師は言った:「燈明は夜を連ねて照らし、甚の處か分明ならざる。」僧は言った:「畢竟の事は如何。」師は言った:「來日は是れ寒食。」

汝州廣慧院元璉禪師

汝州廣慧院元璉禪師

泉州陳氏。到首山。山問。近離甚處。師曰。漢上。山竪起拳曰。漢上還有這箇麼。師曰。這箇是甚麼盌鳴聲。山曰。瞎。師曰。恰是。拍一拍便出。他日又問。學人親到寶山。空手回時如何。山曰。家家門前火把子。師當下大悟。雲。某甲不疑天下老和尚舌頭也。山曰。汝會處作麼生。與我說來看。師曰。祇是地上水碙砂也。山曰。汝會也。師便禮拜。住後。僧問。如何是祖師西來意。師曰。竹竿頭上曜紅旗。楊億侍郎問。天上無彌勒。地下無彌勒。未審在甚麼處。師曰。敲甎打瓦。又問。風穴道。金沙灘頭馬郎婦。意旨如何。師曰。更道也不及。僧問。如何是無位真人。師曰。上木下鐵。曰。恁麼則罪歸有處也。師曰。判官擲下筆。僧禮拜。師曰。拖出。問。如何是佛。師曰。兩箇不是多。上堂。臨濟兩堂首座相見。同時下喝。諸人且道還有賓主也無。若道有。祇是箇瞎漢。若道無。亦是箇瞎漢。不有不無。萬裡崖州。若向這裡道得。也好與三十棒。若道不得。亦與三十棒。衲僧家到這裡。作麼生出得山僧圈䙡去。良久曰。苦哉。蝦蟆蚯蚓。𨁝跳上三十三天。撞著須彌山百雜碎。拈拄杖曰。一隊無孔鐵鎚。速退。速退。

泉州の陳氏。首山に到る。首山が問うた:「近く甚の處を離るる。」師は言った:「漢上。」首山は拳頭を豎起して言った:「漢上に還た此箇有るか。」師は言った:「此箇は是れ何の椀鳴の聲か。」首山は言った:「瞎。」師は言った:「恰も是れ。」一拍して便ち出でて去った。他日又た問うた:「學人親く寶山に到りて、空手にして回る時はいかに。」首山は言った:「家家の門前の火把子。」師は當下に大いに悟りて、言った:「某甲は天下の老和尚の舌頭を疑わざる了れり。」首山は言った:「あなたの會する處は作麼生。我と説き看よ。」師は言った:「只だ是れ地上の水碙砂也。」首山は言った:「あなたは會し了れり。」師は便ち礼拜した。住持して以後、僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「竹竿の頭上に紅旗を曜す。」楊億侍郎が問うた:「天上に彌勒無く、地下に彌勒無し、未だ審かならず何の處に在る。」師は言った:「磚を敲き瓦を打つ。」又た問うた:「風穴道く、金沙灘頭の馬郎婦、と。意旨は如何。」師は言った:「更に道うも及ばず。」僧が問うた:「どうして無位真人ですか。」師は言った:「上は木、下は鐵。」僧は言った:「そうすれば罪は處有りて歸する也。」師は言った:「判官は筆を擲ち下す。」僧は礼拜した。師は言った:「拖き出せ。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「兩箇は是れ多からず。」上堂:「臨濟の兩堂の首座が相見えて、同時に喝を下す。諸人且く道え、還た賓主有るか無しや。若し有りと道わば、只だ是れ箇の瞎漢。若し無しと道わば、亦た是れ箇の瞎漢。有らず無らず、萬里の崖州。若し此の裏に向かって道うことを得れば、也た好く三十棒と與えん。若し道うことを得ざれば、亦た三十棒と與えん。衲僧家此に到りて、作麼生に山僧の圈套を出でて去らん。」久しく過ぎて言った:「苦なる哉。蝦蟆蚯蚓、跳躍して三十三天に上り、須彌山に撞き著けて百雜碎。」拄杖を拈じて言った:「一隊の孔無き鐵鎚。速退、速退。」

幷州承天院三交智嵩禪師

幷州承天院三交智嵩禪師

參首山。問。如何是佛法的的大意。山曰。楚王城畔。汝水東流。師於此有省。頓契佛意。乃作三玄偈曰。須用直須用。心意莫定動。三歲師子吼。十方沒狐種。我有真如性。如同幕裡隱。打破六門關。顯出毗盧印。真骨金剛體可誇。六塵一拂永無遮。廓落世界空為體。體上無為真到家。山聞乃請吃茶。問。這三頌是汝作來邪。師曰。是。山曰。或有人教汝現三十二相時如何。師曰。某甲不是野狐精。山曰。惜取眉毛。師曰。和尚落了多少。山以竹篦頭上打。曰。這漢向後亂作去在。住後。上堂。文殊仗劒。五臺橫行。唐明一路。把斷妖訛。三世諸佛。未出教乘。網底遊魚。龍門難渡。垂鉤四海。祇釣獰龍。格外玄談。為求知識。若也舉揚宗旨。須彌直須粉碎。若也說佛說祖。海水便須枯竭。寶劒揮時。毫光萬裡。放汝一路。通方說話。把斷咽喉。諸人甚處出氣。僧問。鈍根樂小法。不自信作佛。作佛後如何。師曰。水裡捉麒麟。曰。與麼則便登高座也。師曰。騎牛上三十三天。問。古人拈推竪拂。意旨如何。師曰。騎驢不著靴。問。如何是奪人不奪境。師曰。家鄉有路無人到。曰。如何是奪境不奪人。師曰。暗傳天子勑。陪行一百程。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。無頭蝦蟇腳指天。曰。如何是人境俱不奪。師曰。晉祠南畔長柳巷。問。古人東山西嶺青。意作麼生。師曰。波斯鼻孔大。曰。與麼則西天迦葉。東土我師。師曰。金剛手板濶。問。大悲千手眼。那箇是正眼。師曰。開化石佛拍手笑。晉祠娘子解謳歌。問。臨濟推倒黃檗。因甚維那吃棒。師曰。正狗不偷油。鷄銜燈盞走。問。如何是截人之機。師曰。要用便用。曰。請和尚用。師曰。拖出這死漢。鄭工部問。百尺竿頭獨打毬。萬丈懸崖絲繫腰時如何。師曰。幽州著腳。廣南廝撲。鄭無語。師曰。勘破這胡漢。鄭曰。二十年江南界裡。

首山に參して、問うた:「どうして佛法の的の大意ですか。」首山は言った:「楚王の城畔、汝水東流す。」師は此に於て省有りて、頓に佛意に契し、就ち三玄の偈を作して説いた:「須く用う直に須く用うべし、心意は定動を莫れ。三歳の獅子吼、十方に狐の種を沒す。我に真如の性有り、幕裏に隱るるに同じ。六門の關を打破して、毗盧の印を顯出す。真骨金剛の體は誇るべく、六塵を一拂して永く遮ること無し。廓落として世界は空を體と爲し、體上は無爲にして真に家に到る。」首山は聽きて、就ち茶を喫せんことを請いて、問うた:「此の三頌は是れあなたが作り來るか。」師は言った:「是。」首山は言った:「或いは人あなたに教えて三十二相を現ぜしむる時はいかに。」師は言った:「某甲は是れ野狐精に非ず。」首山は言った:「眉毛を惜取せ。」師は言った:「和尚は多少を落せり。」首山は竹篦の頭上を打ちて、言った:「此の漢は向後に亂作し去らん在り。」住持して以後上堂:「文殊は劍を仗り、五臺橫行す。唐明の一路、妖訛を把斷す。三世の諸佛、未だ教乘を出でず。網底の游魚、龍門は渡り難し。鉤を四海に垂れて、只だ狞龍を釣る。格外の玄談、知識を求むるを爲す。若し也た宗旨を擧揚せば、須彌直に須く粉碎すべし。若し也た佛を説き祖を説かば、海水便ち須く枯竭すべし。寶劍揮る時、毫光萬里。あなたに一路を放つ、方に通じて話を説け。咽喉を把断せば、諸人は甚の處に氣を出だす。」僧が問うた:「鈍根は小法を樂み、自ら佛を作すを信ぜず。佛を作した後はいかに。」師は言った:「水の裏に麒麟を捉う。」僧は言った:「そうすれば便ち高座に登る也。」師は言った:「牛を騎りて三十三天に上る。」問うた:「古人が椎を拈じ拂を豎げし意旨は如何。」師は言った:「驢に騎りて靴を著けず。」問うた:「どうして人を奪いて境を奪わざるですか。」師は言った:「家鄕に路有りて人到る無し。」僧は言った:「どうして境を奪いて人を奪わざるですか。」師は言った:「暗に天子の敕を傳えて、陪行一百程。」僧は言った:「どうして人境兩俱に奪うですか。」師は言った:「頭無き蝦蟆の脚は天を指す。」僧は言った:「どうして人境俱に奪わざるですか。」師は言った:「晉祠南畔の長柳巷。」問うた:「古人が東山西嶺靑き、意は作麼生。」師は言った:「波斯は鼻孔大なり。」僧は言った:「そうすれば西天の迦葉、東土の我師。」師は言った:「金剛手の板は闊し。」問うた:「大悲の千手眼、那箇か是れ正眼。」師は言った:「開化の石佛は手を拍ちて笑い、晉祠の娘子は謳歌を解す。」問うた:「臨濟が黃檗を推倒せるに因れ甚だ維那が棒を喫する。」師は言った:「正狗は油を偷まず、鷄は燈盞を銜みて走る。」問うた:「どうして人を截する機ですか。」師は言った:「用うべければ便ち用う。」僧は言った:「和尚に用わんことを請う。」師は言った:「此の死漢を拖き出せ。」鄭工部が問うた:「百尺の竿頭に獨り球を打ち、萬丈の懸崖に絲腰に繫ぐ時はいかに。」師は言った:「幽州は脚を著け、廣南は厮撲す。」鄭は語無し。師は言った:「此の胡漢を勘破せり。」鄭は言った:「二十年江南の界裏、」

這回卻見禪師。師曰。瞎老婆吹火。僧問。二邊純莫立。中道不須安。未審意旨如何。師曰。廣南出象牙。曰。不會。請師直指。師曰。番國皮毬八百價。上堂。寒溫冷暖。著衣吃飯。自不欠少。波波地覓箇甚麼。祇是諸人不肯承當。如今還有承當底麼。有則不得孤負山河大地。珍重。問。祖師西來。三藏東去。當明何事。師曰。佛殿部署修。僧堂老僧蓋。僧曰。與麼則全明今日事也。師曰。今日事作麼生。僧便喝。師便打。問。如何是學人用心處。師曰。光剃頭。淨洗缽。曰。如何是學人行履處。師曰。僧堂前。佛殿後。上堂。舉法眼偈曰。見山不是山。見水何曾別。山河與大地。都是一輪月。大小法眼未出涅槃堂。三交即不然。見山河與大地。錐刀各自用。珍重。

(鄭工部が続けて言った:)「此の回却って禪師を見ることを得たり。」師は言った:「瞎老婆は火を吹く。」僧が問うた:「兩邊は純に立てるを莫れ、中道は安んずるを須いず。未だ審かならず意旨は如何。」師は言った:「廣南は象牙を出だす。」僧は言った:「會せず。師に直指を請う。」師は言った:「番國の皮毬は八百價。」上堂:「寒溫冷暖、衣を著け飯を喫し、自ら欠少せず、波波地として箇の何を覓ゆる。只だ是れ諸人が承當を肯ぜず。如今還た承當する有るか。有れば山河大地を孤負するを得ず。珍重。」問うた:「祖師西來、三藏東去、當に何の事を明らかにすべき。」師は言った:「佛殿は部署に修めさせ、僧堂は老僧が蓋う。」僧は言った:「そうすれば全く今日の事を明らかにする也。」師は言った:「今日の事は作麼生。」僧は便ち喝した。師は便ち打った。問うた:「どうして學人の心を用いる處ですか。」師は言った:「光頭を剃り、淨く鉢を洗う。」僧は言った:「どうして學人の行履の處ですか。」師は言った:「僧堂の前、佛殿の後。」上堂、法眼の偈を擧げて説いた:「山を見れば山に非ず、水を見れば何ぞ曾て別あらん。山河と大地と、皆な是れ一輪の月。」「大小法眼は未だ涅槃堂を出でず。三交は即ち然らず。山河と大地とを見れば、錐刀各自用す。珍重。」

忻州鐵佛院智嵩禪師

忻州鐵佛院智嵩禪師

有同參到。師見便問。還記得相識麼。參頭擬議。第二僧打參頭一坐具曰。何不快祇對和尚。師曰。一箭兩垛。師問。僧甚處來。曰。臺山來。師曰。還見龍王麼。曰。和尚試道看。師曰。我若道。即瓦解冰消。僧擬議。師曰。不信道。問。亡僧遷化向甚麼處去也。師曰。下坡不走。快便難逢。

同參有りて到る。師は見て便ち問うた:「還た相識を記え得るか。」參頭は擬議す。第二の僧は參頭に一坐具を打ちて、言った:「何ぞ快く和尚に只對せざる。」師は言った:「一箭兩垛。」師は僧に問うた:「甚の處より來る。」僧は言った:「臺山より來る。」師は言った:「還た龍王を見るか。」僧は言った:「和尚試しに道え看よ。」師は言った:「我若し道わば、即ち瓦解冰消せん。」僧は擬議す。師は言った:「道うを信ぜず。」問うた:「亡僧遷化して何の處に向かって去る也。」師は言った:「坡を下るに走らざれば、快便ち逢い難し。」

汝州首山懷志禪師

汝州首山懷志禪師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。三尺杖子破瓦盆。問。如何是佛。師曰。桶底脫。問。從上諸聖有何言句。師曰。如是我聞。曰。不會。師曰。信受奉行。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「三尺の杖子は瓦盆を破る。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「桶底脱す。」問うた:「上よりの諸聖に何の言句か有る。」師は言った:「是の如く我聞けり。」僧は言った:「會せず。」師は言った:「信受奉行せよ。」

池州仁王院處評禪師

池州仁王院處評禪師

問首山。如何是佛法大意。山便喝。師禮拜。山拈棒。師曰。老和尚沒世界那。山拋下拄杖曰。明眼人難謾。師曰。草賊大敗。

首山に問うた:「どうして佛法の大意ですか。」首山は便ち喝した。師は礼拜した。首山は棒を拈じた。師は言った:「老和尚に世界無き那。」首山は拄杖を抛下して言った:「明眼の人は瞞し難し。」師は言った:「草賊大敗。」

隨州智門迥罕禪師

隨州智門迥罕禪師

為北塔僧使點茶次。師起揖曰。僧使近上坐。使曰。鷂子頭上。爭敢安巢。師曰。棒上不成龍。隨後打一坐具。使茶罷。起曰。適來卻成觸忤和尚。師曰。江南杜禪客。覓甚麼第二盌。

北塔の僧使に爲に茶を點ずる時、師は身を起して揖を作して言った:「僧使近く上に坐せ。」僧使は言った:「鷂子の頭上に、怎んぞ敢えて巢を安んぜん。」師は言った:「棒上に龍を成さず。」後に隨りて一坐具を打った。僧使茶罷みて、身を起して言った:「適來却って和尚を觸忤すを成せり。」師は言った:「江南の杜禪客、何の第二椀を覓ゆる。」

襄州鹿門慧昭山主

襄州鹿門慧昭山主

楊億侍郎問曰。入山不畏虎。當路卻防人時如何。僧曰。君子坦蕩蕩。僧問。如何是鹿門山。師曰。石頭大底大。小底小。曰。如何是山中人。師曰。橫眠竪臥。

楊億侍郎が問うた:「山に入りて虎を畏れず、路に當たりて却って人を防ぐ時はいかに。」僧は言った:「君子は坦蕩蕩。」僧が問うた:「どうして鹿門山ですか。」師は言った:「石頭の大なるは大、小なるは小。」僧は言った:「どうして山中の人ですか。」師は言った:「橫眠竪臥。」

丞相王隨居士

丞相王隨居士

謁首山。得言外之旨。自爾履踐。深明大法。臨終書偈曰。畵堂燈已滅。彈指向誰說。去住本尋常。春風掃殘雪。

首山を謁見して、言外の旨を得たり。此より履踐して、深く大法を明らむ。終わるに臨みて偈を寫して言った:「畫堂の燈已に滅す、指を彈きて誰に向かって説かん。去住は本より尋常、春風は殘雪を掃う。」

五燈會元卷第十一

五燈會元卷第十二

南嶽下十世

南嶽下十世

汾陽昭禪師法嗣

汾陽昭禪師法嗣

潭州石霜楚圓慈明禪師

潭州石霜楚圓慈明禪師

全州李氏子。少為書生。年二十二。依湘山隱靜寺出家。其母有賢行。使之遊方。聞汾陽道望。遂往謁焉。陽顧而默器之。經二年。未許入室。每見必罵詬。或毀詆諸方。及有所訓。皆流俗鄙事。一夕訴曰。自至法席已再夏。不蒙指示。但增世俗塵勞。念歲月飄忽。己事不明。失出家之利。語未卒。陽熟視。罵曰。是惡知識。敢裨販我。怒舉杖逐之。師擬伸救。陽掩師口。乃大悟曰。是知臨濟道出常情。服役七年。辭去。依唐明嵩禪師。嵩謂師曰。楊大年內翰知見高。入道穩實。子不可不見。師乃往見大年。年問曰。對面不相識。千里卻同風。師曰。近奉山門請。年曰。真箇脫空。師曰。前月離唐明。年曰。適來悔相問。師曰。作家。年便喝。師曰。恰是。年復喝。師以手劃一劃。年吐舌曰。真是龍象。師曰。是何言歟。年喚客司。點茶來。元來是屋裡人。師曰。也不消得。茶罷又問。如何是上座為人一句。師曰。切。年曰。與麼。則長裙新婦拖泥走。師曰。誰得似內翰。年曰。作家。作家。師曰。放你二十棒。年拊膝曰。這裡是甚麼所在。師拍掌曰。也不得放過。年大笑。又問。記得唐明當時悟底因緣麼。師曰。唐明問首山。如何是佛法的的大意。山曰。楚王城畔。汝水東流。年曰。祇如此語。意旨如何。師曰。水上掛燈毬。年曰。與麼則孤負古人去也。師曰。內翰疑則別參。年曰。三腳蝦蟇跳上天。師曰。一任𨁝跳。年乃大笑。館於齋中。日夕質疑智證。因聞前言往行。恨見之晚。朝中見駙馬都尉李公遵勗曰。近得一道人。真西河師子。李曰。我以拘文。不能就謁。奈何。年默然。歸語師曰。李公佛法中人。聞道風遠至。有願見之心。政以法不得與侍從過從。師於是邌明謁李公。公閱謁使童子問曰。道得即與上座相見。師曰。今日特來相看。又令童子曰。碑文刊白字。當道種青松。師曰。

全州李氏の子。少き時書生と爲る。二十二歳に湘山隱靜寺に依りて出家す。其の母は賢行有りて、彼をして方を遊ばしむ。汾陽の道望を聞きて、就ち往きて謁見す。汾陽は彼を看て、默して器重す。二年を過し、入室を許さず。每に見れば必ず罵詬し、或いは諸方を毀詆し、及び訓する所有れば、皆な是れ流俗鄙事。一天晚上に陳訴して言った:「法席に到りて自ら已に兩夏を經たり、指示を蒙らず、只だ世俗の塵勞を增すのみ。歲月の飘忽たるを念い、己事明らかならず、出家の利を失えり。」話未だ盡きざるに、汾陽は睛を定めて看て、罵って言った:「是れ惡知識、敢えて我を裨販する哉。」怒りて杖を擧げて來りて趕りんとす。師は正に口を開きて申救せんと欲すれば、汾陽は師の口を掩い住めた。師は是に於て大いに悟りて、言った:「此に始めて臨濟の道は常情を出でるを知れり。」服役すること七年、辭し去りて、唐明の嵩禪師に依る。嵩は師に對して言った:「楊大年內翰は知見高く、道に入ること穩實なり、あなたは見ざる可からず。」師は就ち大年を見に往った。大年が問うた:「對面に相識らず、千里却って風を同じくす。」師は言った:「近く山門の請を奉ず。」大年は言った:「真に箇の脫空。」師は言った:「前月唐明を離れたり。」大年は言った:「適來悔えて相問わん。」師は言った:「作家。」大年は便ち喝した。師は言った:「恰も是れ。」大年は再び喝した。師は手を以て一劃した。大年は舌を吐きて言った:「真に是れ龍象。」師は言った:「是れ何の言歟。」大年は客司を喚びて:「茶を點じ來れ。元來是れ屋裏の人。」師は言った:「也た消し得ず。」茶罷みて又た問うた:「どうして上座の人を爲すの一句ですか。」師は言った:「切。」大年は言った:「そうすれば長裙の新婦は泥を拖りて走る。」師は言った:「誰か內翰に似たるを得ん。」大年は言った:「作家、作家。」師は言った:「あなたに二十棒を放つ。」大年は膝を拍ちて言った:「此の裏は是れ何の所在か。」師は掌を拍ちて言った:「也た放過するを得ず。」大年は大いに笑いた。又た問うた:「唐明當時の悟るの因緣を記え得るか。」師は言った:「唐明が首山に問う、如何なれば佛法の的の大意、と。首山は言った、楚王の城畔、汝水東流す、と。」大年は言った:「只だ此の如くの語、意旨は如何。」師は言った:「水の上に燈毬を挂く。」大年は言った:「そうすれば古人を孤負して去る也。」師は言った:「內翰疑わば則ち別に參せ。」大年は言った:「三脚の蝦蟆は天に跳び上る。」師は言った:「跳躍に一任せ。」大年は是に於て大いに笑いた。齋中に館して、日夕に質疑して智證す。因りて前言往行を聞きて、見るの晚きを恨めり。朝中に駙馬都尉李公遵勗を見て、説いた:「近く一の道人を得たり、真に西河の獅子。」李は言った:「我は文法に拘わるを因りて、就謁する能わず、奈何。」大年は默然とす。回りて師に對して言った:「李公は是れ佛法中の人、道風の遠く至るを聞きて、願見の心有り、正に法侍從と過從するを得ずを以て。」師は是に於て黎明に李公を謁見す。公は名帖を看て、童子をして問わしむ:「道うことを得れば即ち上座と相見せん。」師は言った:「今日特に來りて相看せん。」又た童子をして言わしむ:「碑文は白字を刊じ、道に當たりて靑松を種う。」師は言った:「

不因今日節。餘日定難逢。童又出曰。都尉言。與麼則與上座相見去也。師曰。腳頭腳底。公乃出。坐定問曰。我聞西河有金毛獅子。是否。師曰。甚麼處得者消息。公便喝。師曰。野幹鳴。公又喝。師曰。恰是。公大笑。師辭。公問。如何是上座臨行一句。師曰。好將息。公曰。何異諸方。師曰。都尉又作麼生。公曰。放上座二十棒。師曰。專為流通。公又喝。師曰。瞎。公曰。好去。師應喏喏。自是往來楊李之門。以法為友。久之。辭還河東。年曰。有一語寄與唐明。得麼。師曰。明月照見夜行人。年曰。卻不相當。師曰。更深猶自可。午後更愁人。年曰。開寶寺前金剛。近日因甚麼汗出。師曰。知。年曰。上座臨行。豈無為人底句。師曰。重疊關山路。年曰。與麼則隨上座去也。師噓一聲。年曰。真師子兒。大師子吼。師曰。放去又收來。年曰。適來失腳踏倒。又得家童扶起。師曰。有甚麼了期。年大笑。師還唐明。李公遣兩僧訊師。師於書尾畵雙足。寫來僧名以寄之。公作偈曰。黑毫千里餘。金槨示雙趺。人天渾莫測。珍重赤鬚胡。師以母老。南歸至瑞州。首眾於洞山。時聰禪師居焉。先是。汾陽謂師曰。我徧參雲門兒孫。特以未見聰為恨。故師依止三年。乃遊仰山。楊大年以書抵宜春太守黃宗旦。使請師出世說法。守以南源致師。師不赴。旋特謁守願行。守問其故。對曰。始為讓。今偶欲之耳。守大賢之。住後。上堂。一切諸佛.及諸佛阿耨多羅三藐三菩提法。皆從此經出。乃竪起拄杖曰。這箇是南源拄杖子。阿那箇是經。良久曰。向下文長。付在來日。喝一喝。下座。上堂。良久曰。無為無事人。猶是金鎻難。喝一喝。下座。問。如何是佛。師曰。水出高原。問。如何是南源境。師曰。黃河九曲。水出崑崙。曰。如何是境中人。師曰。隨流人不顧。斫手望扶桑。上堂。雲收霧卷。杲日當空。

(師は続けて言った:)「今日の節に因らざれば、其餘の日子は定めて逢い難し。」童子又た出で來りて言った:「都尉説く、そうすれば上座と相見えんと去る也。」師は言った:「脚頭脚底。」公は是に於て出で來った。坐定まりて問うた:「我聞く西河に金毛の獅子有り、是か否か。」師は言った:「何の處に此の消息を得た。」公は便ち喝した。師は言った:「野干鳴。」公は又た喝した。師は言った:「恰も是れ。」公は大いに笑いた。師は辭して告げんとす。公は問うた:「どうして上座の行くに臨むの一句ですか。」師は言った:「好く將息せよ。」公は言った:「諸方と何の異か。」師は言った:「都尉又た作麼生。」公は言った:「上座に二十棒を放つ。」師は言った:「專ら流通を爲す。」公は又た喝した。師は言った:「瞎。」公は言った:「好く去れ。」師は喏喏と應えた。此より楊、李の門に往來して、法を以て友と爲す。久しきを過し、辭して河東に還らんとす。大年は言った:「一の語有りて唐明に寄與せん、得るか。」師は言った:「明月は夜行の人を照見す。」大年は言った:「却って相當せず。」師は言った:「更に深く猶お自ら可、午後更に人を愁えしむ。」大年は言った:「開寶寺前の金剛、近日何を因りて汗出づる。」師は言った:「知。」大年は言った:「上座行くに臨みて、豈に人を爲すの句無からん。」師は言った:「重疊の關山路。」大年は言った:「そうすれば上座に隨って去る也。」師は嘘の一聲。大年は言った:「真の獅子兒、大きに獅子吼。」師は言った:「放ち去りて又た收め來る。」大年は言った:「適來足を失し踏み倒すを、又た家童に扶け起こされ得たり。」師は言った:「何の了期か有る。」大年は大いに笑いた。師は唐明に回った。李公は兩僧を派して師を問候せしむ。師は書の尾に一雙の脚を畫き、來僧の名字を寫き上げて寄せた。公は偈を作して言った:「黑毫千里餘有り、金椁は雙趺を示す。人天渾として測る莫し、珍重赤須の胡。」師は母親年老いたるを因りて、南に歸り瑞州に到りて、洞山に於て首座を作す。當時聰禪師は彼に住せり。先是れ汾陽が師に對して言った:「我遍く雲門の兒孫を參ず、特に聰を見ざるを以て恨と爲す。」故に師は依止すること三年、纔かに仰山を遊ぶ。楊大年は宜春太守黃宗旦に書を與えて、彼をして師を請じて出世說法せしむ。太守は南源を以て師を延請す、師は赴かず。旋ち特に太守を謁見して、往かんと欲すと願う。太守は故を問う。對答して言った:「起初は是れ推讓、如今偶然に往かんと欲するのみ。」太守は深く彼を以て賢と爲す。住持して以後上堂:「一切の諸佛、及び諸佛の阿耨多羅三藐三菩提の法、皆な此の經より出づ。」そこで拄杖を豎起して言った:「此箇是れ南源の拄杖子。阿那箇か是れ經。」久しく過ぎて言った:「下に向かう文長し、來日に付在せん。」一喝して、座を下りた。上堂、久しく過ぎて言った:「無爲無事の人、猶是れ金鎖の難。」一喝して、座を下りた。問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「水は高原より出づ。」問うた:「どうして南源の境ですか。」師は言った:「黃河九曲、水は崑崙より出づ。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「流に隨う人顧みず、手を斫りて扶桑を望む。」上堂:「雲收め霧卷き、杲日空に當たり、」

不落明暗。如何通信。僧問。山深覓不得時如何。師曰。口能招禍。問。如何是佛法大意。師曰。洞庭湖裡浪滔天。問。東湧西沒時如何。師曰。尋。問。夜靜獨行時如何。師曰。三把茆。問。寶劒未出匣時如何。師曰。響。曰。出匣後如何。師噓一聲。問。閙中取靜時如何。師曰。頭枕布袋。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。堆堆地。曰。見後如何。師曰。堆堆地。問。一得永得時如何。師曰。抱石投河。問。仗鏌鎁劒。擬取師頭時如何。師曰。斬將去。僧擬議。師便打。師住三年。棄去謁神鼎諲禪師。鼎。首山高第。望尊一時。衲子非人類精奇。無敢登其門者。住山三十年。門弟子氣吞諸方。師髮長不剪。弊衣楚音。通謁稱法姪。一眾大笑。鼎遣童子問。長老誰之嗣。師仰視屋曰。親見汾陽來。鼎杖而出。顧見頎然。問曰。汾州有西河師子。是否。師指其後。絕呌曰。屋倒矣。童子返走。鼎回顧相矍鑠。師地坐。脫隻履而視之。鼎老忘所問。又失師所在。師徐起整衣。且行且語曰。見面不如聞名。遂去。鼎遣人追之不可。歎曰。汾州乃有此兒邪。師自是名重叢林。定林沙門本延有道行。雅為士大夫所信敬。鼎見延。稱師知見可興臨濟。會道吾虗席。延白郡。請以師主之。法令整肅。亡軀為法者集焉。上堂。先寶應曰。第一句薦得。堪與祖佛為師。第二句薦得。堪與人天為師。第三句薦得。自救不了。道吾則不然。第一句薦得。和泥合水。第二句薦得。無繩自縛。第三句薦得。四稜著地。所以道。起也海晏河清。行人避路。住也乾坤失色。日月無光。汝輩向甚麼處出氣。如今還有出氣者麼。有即出來。對眾出氣看。如無。道吾為汝出氣去也。乃噓一聲。卓拄杖下座。上堂。道吾打鼓。四大部洲同參。拄杖橫也挑括乾坤大地。缽盂覆也葢卻恆沙世界。且問諸人向甚麼處安身立命。若也知得。

(師は続けて言った:)「明暗に落ちず、如何にか消息を通ぜん。」僧が問うた:「山深く覓むることを得ざる時はいかに。」師は言った:「口は能く禍を招く。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「洞庭湖裏浪滔天。」問うた:「東に涌き西に沒する時はいかに。」師は言った:「尋。」問うた:「夜靜けさに獨り行く時はいかに。」師は言った:「三把の茅。」問うた:「寶劍未だ匣を出でざる時はいかに。」師は言った:「響。」僧は言った:「匣を出でた後はいかに。」師は嘘の一聲。問うた:「鬧中に靜を取る時はいかに。」師は言った:「頭は布袋を枕す。」問うた:「牛頭が未だ四祖を見ざる時はいかに。」師は言った:「堆堆地。」僧は言った:「見た後はいかに。」師は言った:「堆堆地。」問うた:「一得永得の時はいかに。」師は言った:「石を抱きて河に投ず。」問うた:「鏌鋣の劍を仗りて、擬して師の頭を取らん時はいかに。」師は言った:「將を斬り去れ。」僧は擬議すれば、師は便ち打った。師は住すること三年、棄て去りて神鼎の諲禪師を謁す。神鼎は是れ首山の高第、望は一時に尊く、衲子は人中的の精奇に非ざれば、其の門を登る敢てする無し。山に住すこと三十年、門下の弟子は氣諸方を吞む。師は頭髮長くして剪らず、破衣楚音にして、謁を通じて法侄と稱す、一衆大いに笑う。神鼎は童子を派して問わしむ:「長老は誰の嗣か。」師は屋頂を仰視して言った:「親く汾陽を見て來れり。」神鼎は拄杖して出で來り、師の身材の颀長なるを見て、問うた:「汾州に西河の獅子有り、是か否か。」師は其の身後を指して、絶叫して言った:「屋倒れぬ。」童子は身を返して便ち走る。神鼎は頭を回して看るに、神色矍鑠なり。師は地に坐し、一隻の鞋を脫きて看る。神鼎は年老いて、問う所を忘れ、又た師の在る處を見出ださず。師は徐々に起きて衣を整え、行き邊りて言った:「面を見るは名を聞くに如かず。」便ち去った。神鼎は人を派して追わしむるも、追うに及ばず、嘆いて言った:「汾州竟に此の兒有る邪。」師は此より叢林に名重し。定林沙門本延は道行有りて、向來士大夫に信敬せられり。神鼎は本延を見て、師の知見は臨濟を興すべしと稱す。正好道吾席を虛し、本延は郡に稟告して、師を請じて住持せしむことを請う。法令整肅して、軀を忘れて法を爲す者集まり來る。上堂:「先寶應説く、第一句に薦得すれば、堪えて祖佛と師と爲る。第二句に薦得すれば、堪えて人天と師と爲る。第三句に薦得すれば、自ら救いて了らず、と。道吾は則ち然らず。第一句に薦得すれば、泥に和し水に合す。第二句に薦得すれば、繩無く自ら縛る。第三句に薦得すれば、四棱地に著く。所以に道う、起きれば海晏河淸、行人は路を避く。住すれば乾坤色を失い、日月光無し。あなたがた何の處に向かって氣を出だす。如今還た氣を出だす有るか。有れば即ち出で來れ、衆に對して氣を出だし看よ。如なければ、道吾あなたが爲に氣を出だし去る也。」そこで一嘘して、拄杖を卓して座を下りた。上堂:「道吾鼓を打つ、四大部洲同じく參す。拄杖橫なれば乾坤大地を挑括し、鉢盂覆れば恒沙世界を蓋却す。且く諸人に問う、何の處に向かって身を安んじ命を立てん。若し也た知得せば、」

向北俱盧洲吃粥吃飯。若也不知。長連床上吃粥吃飯。次住石霜。當解夏。謂眾曰。昨日作嬰孩。今朝年已老。未明三八九。難踏古皇道。手鑠黃河乾。腳踢須彌倒。浮生夢幻身。人命夕難保。天堂並地獄。皆由心所造。南山北嶺松。北嶺南山草。一雨潤無邊。根苗壯枯槁。五湖參學人。但問虗空討。死脫夏天衫。生披冬月襖。分明無事人。特地生煩惱。喝一喝。下座。上堂。一喝分賓主。照用一時行。要會箇中意。日午打三更。遂喝一喝。曰。且道是賓是主。還有分得者麼。若也分得。朝打三千。暮打八百。若也未能。老僧失利。因同道相訪。上堂。颯颯涼風景。同人訪寂寥。煑茶山上水。燒鼎洞中樵。珍重。問。達磨未來時如何。師曰。長安夜夜家家月。曰。來後如何。師曰。幾處笙歌幾處愁。問。一物不將來時如何。師曰。槐木成林。曰。四山火來時如何。師曰。物逐人興。曰。步步登高時如何。師曰。雲生足下。問。古人封白紙。意旨如何。師曰。家貧路富。問。如何是祖師西來意。師曰。三日風。五日雨。上堂。夫宗師者。奪貧子之衣珠。究達人之見處。若不如是。盡是和泥合水漢。良久曰。路逢劒客須呈劒。不是詩人莫獻詩。喝一喝。上堂。我有一言。絕慮忘緣。巧說不得。祇要心傳。更有一語。無過直舉。且作麼生是直舉一句。良久。以拄杖畫一畫。喝一喝。問。己事未明。以何為驗。師曰。玄沙曾見雪峰來。曰。意旨如何。師曰。一生不出嶺。問。祖意教意。是同是別。師曰。馬有垂韁之報。犬有𩥇草之恩。曰。與麼則不別也。師曰。西天東土。問。如何是學人自己。師曰。打骨出髓。上堂。入水見長人。珍重。上堂。面西行向東。北斗正離宮。道去何曾去。騎牛臥牧童。珍重。上堂。春生夏長即不問。你諸人腳跟下一句作麼生道。良久曰。華光寺主。便下座。上堂。藥多病甚。

(師は続けて言った:)「北俱盧洲に向かって粥を喫し飯を喫せ。若し也た知らざれば、長連床上に粥を喫し飯を喫せ。」続いて石霜に住す。解夏に當たりて、衆に對して言った:「昨日は嬰孩と作し、今朝は年已に老いたり。未だ三八九を明らまず、古皇の道を踏むこと難し。手は黃河を鑠き乾かし、脚は須彌を踢り倒す。浮生は夢幻の身、人命は夕に保ち難し。天堂幷びに地獄、皆な心の造る所に由る。南山北嶺の松、北嶺南山の草。一雨は邊無きを潤し、根苗は枯槁を壯くす。五湖の參學の人、但だ虛空に討ち問え。死して夏衫を脫ぎ、生きて冬月の襖を披く。分明の無事の人、特地に煩惱を生ず。」一喝して、座を下りた。上堂:「一喝は賓主を分かち、照用は一時に行ず。箇中の意を會せんと要せば、日午に三更を打つ。」そこで一喝して、言った:「且く道え是れ賓か是れ主か。還た分けることを得る有るか。若し也た分けることを得れば、朝に三千を打ち、暮に八百を打つ。若し也た未だ能わざれば、老僧は失利せり。」同道の來訪するを因りて、上堂:「颯颯たる涼風の景、同人は寂寥を訪う。茶を煮るは山上の水、鼎を燒くは洞中の樵。珍重。」問うた:「達磨未だ來らざる時はいかに。」師は言った:「長安夜夜家家の月。」僧は言った:「來た後はいかに。」師は言った:「幾處か笙歌幾處か愁う。」問うた:「一物も將來せざる時はいかに。」師は言った:「槐木林を成す。」僧は言った:「四山火來る時はいかに。」師は言った:「物は人に逐いて興る。」僧は言った:「步步高きに登る時はいかに。」師は言った:「雲は足下に生ず。」問うた:「古人が白紙を封ぜし意旨は如何。」師は言った:「家貧しく路富めり。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「三日の風、五日の雨。」上堂:「夫れ宗師の者、貧子の衣珠を奪い、達人の見處を究む。若し是の如くならざれば、盡く是れ泥に和し水に合する漢。」久しく過ぎて言った:「路に劍客に逢えば須く劍を呈すべし、詩人に非ざれば詩を獻ずるな。」一喝す。上堂:「我に一言有り、慮を絶ち緣を忘る。巧く説くを得ず、只だ心傳を要す。更に一語有り、直擧に過ぐる無し。且く作麼生が是れ直擧の一句。」久しく過ぎて、拄杖を以て一畫して、一喝す。問うた:「己事未だ明らかならず、何を以て驗と爲す。」師は言った:「玄沙曾て雪峰を見て來れり。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「一生嶺を出でず。」問うた:「祖意教意は、是れ同か是れ別か。」師は言った:「馬に垂繮の報有り、犬に銜草の恩有り。」僧は言った:「そうすれば別ならざる也。」師は言った:「西天東土。」問うた:「どうして學人の自己ですか。」師は言った:「骨を打ちて髓を出だす。」上堂:「水に入りて長人を見る。珍重。」上堂:「面は西にして東に向かい、北斗正に離宮。道く去りて何ぞ曾て去らん、牛を騎る牧童臥す。珍重。」上堂:「春生じ夏長ずるは即ち問わず。あなたがた諸人の脚跟下の一句は作麼生に道う。」久しく過ぎて言った:「華光寺主。」便ち座を下りた。上堂:「藥多く病甚し、」

網細魚稠。便下座。示眾。以拄杖擊禪床一下雲。大眾還會麼。不見道。一擊忘所知。更不假修持。諸方達道者。鹹言上上機。香嚴恁麼悟去。分明悟得如來禪。祖師禪未夢見在。且道祖師禪有甚長處。若向言中取則。悞賺後人。直饒棒下承當。辜負先聖。萬法本閑。唯人自閙。所以山僧居福嚴。祇見福嚴境界。晏起早眠。有時雲生碧嶂。月落寒潭。音聲鳥飛鳴般若臺前。娑羅花香散祝融峰畔。把瘦笻。坐磐石。與五湖衲子時話玄微。灰頭土面住興化。祇見興化家風。迎來送去。門連城市。車馬駢闐。漁唱瀟湘。猿啼嶽麓。絲竹謌謠。時時入耳。復與四海高人。日談禪道。歲月都忘。且道居深山.住城郭。還有優劣也無。試道看。良久雲。是處是慈氏。無門無善財。問。行腳不逢人時如何。師曰。釣絲絞水。問。尋枝摘葉即不問。如何是直截根源。師曰。楖栗拄杖。曰。意旨如何。師曰。行即肩挑雲水衲。坐來安在掌中擎。問。既是護法善神。為甚麼張弓架箭。師曰。禮防君子。問。如何是佛。師曰。有錢使錢。上堂。祖師心印。一印印空。一印印水。一印印泥。如今還有印不著者麼。試向腳跟下。道將一句來。設你道得倜儻分明。第一不得行過衲僧門下。且道衲僧有甚麼長處。良久曰。人王三寸鐵。徧地是刀鎗。喝一喝。卓拄杖下座。上堂。天已明。鼓已響。聖眾臻。齊合掌。如今還有不合掌者麼。有即尼乾歡喜。無則瞿曇惡發。久立。珍重。問。磨礱三尺劒。去化不平人。師意如何。師曰。好去。僧曰。點。師曰。你看。僧拍手一下。歸眾。師曰。了。上堂。北山南。南山北。日月雙明天地黑。大海江河盡放光。逢著觀音問彌勒。珍重。問。有理難伸時如何。師曰。苦。曰。恁麼則舌拄上顎也。師噓一聲。僧曰。將謂胡鬚赤。師曰。夢見興化腳跟麼。示徒偈曰。黑黑黑。道道道。明明明。得得得。

(師は続けて言った:)「網細かく魚稠なり。」便ち座を下りた。衆に示す、拄杖を以て禪床を一擊して、言った:「大衆還た會するか。道うを見ず、一擊に知る所を忘れ、更に修持を假らず、と。諸方の達道の者、咸く言う上上の機、と。香嚴は此の如く悟り去りて、分明に如來禪を悟得せり、祖師禪は未だ夢見ざる在り。且く道え祖師禪に甚の長處か有る。若し言中に向かって則を取れば、後人を誤賺せん。直に饒く棒下に承當すとも、先聖を辜負せん。萬法本より閑なり、唯だ人自ら鬧す。所以に山僧は福嚴に居りて、只だ福嚴の境界を見る:晏起早眠、時に雲碧嶂に生じ、月寒潭に落ち、音聲鳥飛鳴すること般若臺の前、娑羅花香祝融峰の畔に散じ、瘦笻を把り、磐石に坐して、五湖の衲子と時に玄微を話す。灰頭土面に興化に住して、只だ興化の家風を見る:迎え來り送り去りて、門は城市に連なり、車馬は駢闐し、漁唱は瀟湘、猿啼は岳麓、絲竹の歌謠、時々耳に入り、復た四海の高人と日に禪道を談じて、歲月都て忘る。且く道え深山に居ると、城郭に住すると、還た優劣有るか無しや。試しに道え看よ。」久しく過ぎて言った:「是處是れ慈氏、門無く善財無し。」問うた:「行脚して人に逢わざる時はいかに。」師は言った:「釣絲は水を絞る。」問うた:「枝を尋ね葉を摘むは即ち問わず、どうして直截の根源ですか。」師は言った:「楖栗の拄杖。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「行けば即ち雲水衲を肩挑し、坐して來れば掌中に安く擎げる。」問うた:「既に是れ法を護る善神、何の故に弓を張り箭を架する。」師は言った:「禮は君子を防ぐ。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「錢有れば錢を使う。」上堂:「祖師の心印、一印は空を印し、一印は水を印し、一印は泥を印す。如今還た印すに著かざる有るか。試しに脚跟下に向かって、句を道い將來せよ。設しあなた道うことを得て倜儻分明ならんも、第一に衲僧門下を行過するを得ず。且く道え衲僧に何の長處か有る。」久しく過ぎて言った:「人王の三寸の鐵、遍地是れ刀槍。」一喝して、拄杖を卓して座を下りた。上堂:「天已に明らか、鼓已に響き、聖衆臻り、齊しく合掌す。如今還た合掌せざる有るか。有れば即ち尼乾歡喜し、無ければ瞿曇惡發せん。久しく立つ。珍重。」問うた:「三尺の劍を磨砻して、平ならざる人を化せんとす。師の意は如何。」師は言った:「好く去れ。」僧は言った:「點。」師は言った:「あなた看よ。」僧は手を一拍して、衆に歸った。師は言った:「了。」上堂:「北山南、南山北、日月雙明にして天地黑し。大海江河盡く光を放ち、觀音に逢著して彌勒に問う。珍重。」問うた:「理有りて伸べ難き時はいかに。」師は言った:「苦。」僧は言った:「そうすれば舌上腭を拄する也。」師は嘘の一聲。僧は言った:「將に謂う鬍鬚赤し。」師は言った:「興化の脚跟を夢見るか。」徒に示す偈:「黑黑黑、道道道、明明明、得得得。」

師室中插劒一口。以草鞋一對。水一盆。置在劒邊。每見入室。即曰。看。看。有至劒邊擬議者。師曰。險喪身失命了也。便喝出。師冬日牓僧堂。作此字。【圖:X80p0240_01.gif】

師は室中に劍一口を插し、草鞋一對、水一盆を、劍の邊に置いた。每に人の入室するを見れば、就ち言った:「看よ、看よ。」劍邊に走りて擬議する者有れば、師は言った:「險し、身を喪い命を失う也。」便ち喝きて出づ。師は冬の日僧堂に榜を貼りて、此の字を寫けり。【圖:底本此處圖有り】

幾[(┐@三)*(田/?)][水-?+(曲-曰+口)]。其下注曰。若人識得。不離四威儀中。首座見曰。和尚今日放參。師聞而笑之。寶元戊寅李都尉遣使邀師曰。海內法友。唯師與楊大年耳。大年棄我而先。僕年來頓覺衰落。忍死以一見公。仍以書抵潭帥。敦遣之。師惻然與侍者舟而東下。舟中作偈曰。長江行不盡。帝裡到何時。既得涼風便。休將艣棹施。至京師。與李公會月餘。而李公果歿。臨終畫一圓相。又作偈獻師。世界無依。山河匪礙。大海微塵。須彌納芥。拈起幞頭。解下腰帶。若覓死生。問取皮袋。師曰。如何是本來佛性。公曰。今日熱如昨日。隨聲便問師。臨行一句作麼生。師曰。本來無𦊱礙。隨處任方圓。公曰。晚來睏倦。更不答話。師曰。無佛處作佛。公於是泊然而逝。仁宗皇帝尤留神空宗。聞李公之化。與師問答。加歎久之。師哭之慟。臨壙而別。有旨賜官舟南歸。中途謂侍者曰。我忽得風痺疾。視之口吻已喎斜。侍者以足頓地曰。當柰何。平生呵佛罵祖。今乃爾。師曰。無憂。為汝正之。以手整之如故。曰。而今而後。不鈍置汝。後年正月五日示寂。壽五十四。臘三十二。銘行實於興化。塔全身於石霜(續通鑑則平河東。在太平興國己卯。據佛運統紀。則師入滅於康定庚辰。以壽數逆而推之。則雍熈丁亥師始生。僧寶傳所載。恐失考證)。

底本此處は圖中の兩字、轉錄して後失落す。其の下の小注説く:「若し人識ることを得れば、四威儀の中を離れず。」首座は見て言った:「和尚今日參を放つ。」師は聽きて、笑いた。寶元戊寅、李都尉は使者を派して師を邀請して、言った:「海内の法友、唯だ師と楊大年と有るのみ。大年は我を棄てて先に去れり。僕年來頓に衰落を覺え、死を忍びて一たび公を見ん。」又た潭帥に書して、遣送を敦促す。師は惻然として、侍者と船を乘りて東下す。舟中に偈を作して言った:「長江行き盡くさず、帝里は何の時か到らん。既に涼風の便を得たれば、橹棹を將て施すを休めん。」京師に到りて、李公と相會すること一箇餘月、李公果して去世せり。終わるに臨みて一の圓相を畫き、又た偈を作して師に獻ず:「世界依る無く、山河礙に匪ず。大海は微塵、須彌は芥を納る。幞頭を拈起し、腰帶を解下す。若し死生を覓えば、皮袋に問い取れ。」師は言った:「どうして本來の佛性ですか。」公は言った:「今日の熱は昨日の如し。」聲に隨って便ち師に問うた:「行くに臨むの一句は作麼生。」師は言った:「本來罣礙無く、處に隨いて方圓に任す。」公は言った:「晚來困倦して、更に話に答えず。」師は言った:「佛無き處に佛を作す。」公は是に於て泊然として逝きた。仁宗皇帝は尤も空宗に留意して、李公の遷化及び師との問答を聞きて、嘆賞すること良久し。師は哭くこと甚だ慟く、壙に臨みて別れたり。旨有りて官船を賜りて南に歸らしむ。中途に侍者に對して言った:「我忽ち風痹を得たり。」一たび看れば、口吻已に歪斜なり。侍者は脚を以て地を頓きて、言った:「當に奈何せん。平生佛を呵り祖を罵りしに、如今却って此の如し。」師は言った:「憂無し、あなたが爲に正しく過す。」手を以て整えて故の如し、言った:「今より以後、あなたを鈍置せず。」後に其の年の正月五日に寂を示す。壽五十四、戒臘三十二。行實を興化に銘し、全身を石霜に塔す。(《續通鑑》は河東を平ぐるを太平興國己卯に在りとす。《佛運統紀》に據れば、則ち師は康定庚辰に入滅す。壽數を以て逆推すれば、則ち雍熙丁亥師は纔かに出生せり。《僧寶傳》の載する所、恐らくは考證を失えり。)

滁州琅邪山慧覺廣照禪師

滁州琅邪山慧覺廣照禪師

西洛人也。父為衡陽太守。因疾傾喪。師扶櫬歸洛。過澧陽藥山古剎。宛若夙居。緣此出家。遊方參問。得法汾陽。應緣滁水。與雪竇明覺同時唱道。四方皆謂二甘露門。逮今淮南遺化如在。僧問。如何是佛。師曰。銅頭鐵額。曰。意旨如何。師曰。鳥觜魚腮。上堂。奇哉十方佛。元是眼中花。欲識眼中花。元是十方佛。欲識十方佛。不是眼中花。欲識眼中花。不是十方佛。於此明得。過在十方佛。於此未明。聲聞起舞。獨覺臨粧。珍重。僧問。阿難結集即不問。迦葉微笑事如何。師曰。尅時尅節。曰。自從靈鷲分燈後。直至支那耀古今。師曰。點朱點漆。問。如何是賓中賓。師曰。手𢹂書劒謁明君。曰。如何是賓中主。師曰。捲起簾來無可覩。曰。如何是主中賓。師曰。三更過孟津。曰。如何是主中主。師曰。獨坐鎮寰宇。問。蓮花未出水時如何。師曰。貓兒戴紙帽。曰。出水後如何。師曰。狗子著靴行。問。拈椎竪拂即不問。瞬目揚眉事若何。師曰。趙州曾見南泉來。曰。學人未曉。師曰。今冬多雨雪。貧家爭奈何。上堂。欲知常住身。當觀爛壞體。欲知常住性。當觀拄杖子。拄杖子吞卻須彌。須彌吞卻拄杖子。衲僧到這裡。若也擬議。劒梁落膊輸降款。鐵作胸襟到海隅。擊禪床。下座。上堂。見聞覺知。俱為生死之因。見聞覺知。正是解脫之本。譬如師子反躑。南北東西且無定止。汝等諸人。若也不會。且莫孤負釋迦老子。吽。上堂。山僧今日為諸人說破。明眼衲僧莫去泥裡打坐。珍重。上堂。天高莫測。地厚寧知。白雲片片嶺頭飛。綠水潺潺㵎下急。東湧西沒一句即不問。你生前殺後一句作麼生道。良久曰。時寒吃茶去。上堂。阿呵呵。是甚麼。開口是。合口過。輕舟短棹汎波心。𬕞衣箬笠從他破。咦。上堂。十方諸佛是箇爛木橛。三賢十聖是箇茅溷頭籌子。汝等諸人來到這裡作麼。良久曰。

西洛の人。父は衡陽太守を做したが、病を以て去世せり。師は靈柩を扶けて洛陽に回り、澧陽藥山の古刹に路過し、宛として舊居の如し、因りて出家す。方を遊び參問して、汾陽に法を得、滁水に緣を應じ、雪竇明覺と同時に唱道して、四方は皆な稱して二甘露門と爲す。今に至るまで淮南の遺化は在るが如し。僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「銅頭鐵額。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「鳥嘴魚腮。」上堂:「奇なる哉十方佛、元是れ眼中の花。眼中の花を識らんと欲せば、元是れ十方佛。十方佛を識らんと欲せば、是れ眼中の花に非ず。眼中の花を識らんと欲せば、是れ十方佛に非ず。此に於て明らかに得れば、過は十方佛に在り。此に於て未だ明らかならざれば、聲聞起舞して、獨覺は妝に臨む。珍重。」僧が問うた:「阿難結集は即ち問わず、迦葉微笑の事は如何。」師は言った:「克時克節。」僧は言った:「自より靈鷲燈を分けた後、直に支那に至りて古今を耀かす。」師は言った:「朱を點し漆を點す。」問うた:「どうして賓中の賓ですか。」師は言った:「手に書劍を攜えて明君を謁す。」僧は言った:「どうして賓中の主ですか。」師は言った:「帘を卷起し來れば睹る可き無し。」僧は言った:「どうして主中の賓ですか。」師は言った:「三更孟津を過る。」僧は言った:「どうして主中の主ですか。」師は言った:「獨り坐して寰宇を鎭す。」問うた:「蓮花未だ水を出でざる時はいかに。」師は言った:「猫兒は紙帽を戴く。」僧は言った:「水を出でた後はいかに。」師は言った:「狗子は靴を著けて行く。」問うた:「椎を拈じ拂を豎ぐるは即ち問わず、目を瞬き眉を揚ぐるの事は若何。」師は言った:「趙州曾て南泉を見て來れり。」僧は言った:「學人未だ曉らず。」師は言った:「今冬雨雪多く、貧家争奈何。」上堂:「常住の身を知らんと欲せば、當に爛壞の體を觀るべし。常住の性を知らんと欲せば、當に拄杖子を觀るべし。拄杖子は須彌を吞却し、須彌は拄杖子を吞却す。衲僧此に到りて、若し也た擬議せば、劍梁膊を落として降款を輸し、鐵作の胸襟は海隅に到る。」禪床を擊ちて、座を下りた。上堂:「見聞覺知、俱に生死の因と爲す。見聞覺知、正に解脱の本。譬えば獅子反躑するが如く、南北東西且く定止無し。あなたがた若し也た會せざれば、且く釋迦老子を孤負するな。吽。」上堂:「山僧今日諸人の爲に説き破る。明眼の衲僧は泥裏に打坐し去るな。珍重。」上堂:「天高く測る莫く、地厚く寧んぞ知らん。白雲片片は嶺頭に飛び、綠水潺潺は澗下に急なり。東に涌き西に沒するの一句は即ち問わず。あなた生の前殺の後の一句は作麼生に道う。」久しく過ぎて言った:「時寒く茶を喫し去れ。」上堂:「阿呵呵。是れ何か。口を開けば是れ、口を合せば過。輕舟短棹は波心に泛び、蓑衣箬笠は他の破るに從う。咦。」上堂:「十方の諸佛は是れ箇の爛木橛、三賢十聖は是れ箇の茅廁頭籌子。あなたがた此の裏に來り到りて作麼。」久しく過ぎて言った:「

欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。上堂。剪除狂宼。掃蕩攙搶。猶是功勳邊事。君臣道合。海晏河清。猶是法身邊事。作麼生是衲僧本分事。良久曰。透網金鱗猶滯水。回途石馬出紗籠。上堂。承言須會宗。勿自立規矩。若人下得通方句。我當刎頸而謝之。上堂。拈起拄杖曰。山僧有時一棒作箇漫天網。打俊鷹快鷂。有時一棒作箇布絲網。摝蜆撈蝦。有時一棒作金毛師子。有時一棒作蝦蟇蚯蚓。山僧打你一棒。且作麼生商量。你若緇素得出。不妨拄杖頭上眼。開照四天下。若也未然。從教立在古屏畔。待使丹青入畵圖。上堂。擊水魚頭痛。穿林宿鳥驚。黃昏不擊皷。日午打三更。諸禪德既是日午。為甚卻打三更。良久曰。昨見垂楊綠。今逢落葉黃。上堂。拈起拄杖。更無上上。放下拄杖。是何模樣。髑髏峰後即不問汝諸人。馬鐙裡藏身一句作麼生道。若道不得。拄杖子道去也。卓一下。便歸方丈。上堂。進前即死。退後即亡。不進不退。又落在無事之鄉。何故。長安雖樂。不是久居。上堂。汝等諸人在我這裡過夏。與你點出五般病。一.不得向萬裡無寸草處去。二.不得孤峰獨宿。三.不得張弓架箭。四.不得物外安身。五.不得滯於生殺。何故。一處有滯。自救難為。五處若通。方名導師。汝等諸人若到諸方。遇明眼作者。與我通箇消息。貴得祖風不墜。若是常徒。即便寢息。何故。躶形國裡誇服飾。想君太煞不知時。上堂。山僧因看華嚴金師子章第九由心回轉善成門。又釋曰。如一尺之鏡。納重重之影象。若然者道有也得。道無也得。道非亦得。道是亦得。雖然如是。更須知有掛杖頭上一竅。若也不會。拄杖子穿燈籠。入佛殿。撞著釋迦。磕倒彌勒。露柱拊掌。呵呵大笑。你且道笑箇甚麼。卓拄杖下座。上堂。拈拄杖曰。盤山道向上一路滑。南院道壁立千仞嶮。臨濟道石火電光鈍。

(師は続けて言った:)「無間の業を招かざるを得んと欲せば、如來正法の輪を謗るな。」上堂:「狂寇を剪除し、攙搶を掃蕩す、猶是れ功勳の邊の事。君臣道合して、海晏河淸、猶是れ法身の邊の事。作麼生が是れ衲僧の本分の事。」久しく過ぎて言った:「網を透る金鱗は猶お水に滯り、途を回する石馬は紗籠を出づ。」上堂:「言を承けば須く宗を會すべし、自ら規矩を立てるな。若し人通方の句を下すことを得れば、我當に頸を刎りて之に謝せん。」上堂、拄杖を拈起して言った:「山僧は時に一棒を以て箇の漫天の網を作して、俊鷹快鷂を打つ。時に一棒を以て箇の布絲の網を作して、蜆を捞れ蝦を捞る。時に一棒を以て金毛の獅子を作す。時に一棒を以て蝦蟆蚯蚓を作す。山僧があなたに一棒を打つに、且く作麼生に商量せん。あなた若し緇素し出だすことを得れば、妨げず拄杖頭上に眼開きて、四天下を照らさん。若し也た未然なれば、從教立ちて古屏の畔に在り、丹青を使して畫圖に入れしめんを待て。」上堂:「水を擊つに魚頭痛み、林を穿つに宿鳥驚く。黃昏鼓を擊たず、日午に三更を打つ。諸の禪德は既に是れ日午、為甚に却って三更を打つ。」久しく過ぎて言った:「昨は垂楊の綠を見、今は落葉の黃に逢う。」上堂:「拄杖を拈起すれば、更に上上無し。拄杖を放下すれば、是れ何の模樣か。髑髏峰の後は即ちあなたがたに問わず。馬鐙裏に身を藏するの一句は作麼生に道う。若し道うことを得ざれば、拄杖子道い去る也。」一卓して、便ち方丈に歸った。上堂:「前に進めば即ち死し、後に退けば即ち亡ぶ。進まず退かざれば、又た無事の鄕に落つ。何故。長安樂しと雖も、是れ久居に非ず。」上堂:「あなたがた我が此の裏に在りて夏を過す、あなたに五般の病を點出せん。一、萬里寸草無き處に向かって去るを得ず。二、孤峰に獨り宿するを得ず。三、弓を張り箭を架するを得ず。四、物外に身を安んずるを得ず。五、生殺に滯るを得ず。何故。一處に滯有れば、自ら救うこと爲し難し。五處若し通ぜば、方に導師と名づく。あなたがた若し諸方に到りて、明眼の作者に遇えば、我に箇の消息を通ぜよ、祖風の墜ちざるを貴ぶが爲に。若し是れ常徒なれば、便ち寢息せん。何故。裸形の國裏に服飾を誇る、想うに君太だ時を知らざるなり。」上堂:「山僧は因りて《華嚴》の金獅子章第九の由心回轉善成門を看る。又た釋に説く、一尺の鏡の如く、重重の影象を納る、と。若し然る者、有りと道うも亦た得、無しと道うも亦た得、非と道うも亦た得、是と道うも亦た得。然りと雖も是の如しと雖も、更に須く拄杖頭上の一竅有るを知るべし。若し也た會せざれば、拄杖子は燈籠を穿ち、佛殿に入り、釋迦に撞き著き、彌勒を磕倒し、露柱は掌を拊ちて、呵呵と大いに笑う。あなた且く道え箇の何を笑う。」拄杖を卓して座を下りた。上堂、拄杖を拈じて言った:「盤山は向上一路は滑と道う。南院は壁立千仞は險と道う。臨濟は石火電光は鈍と道う。

琅邪有定乾坤底句。各各高著眼。高著眼。卓拄杖下座。

(師は続けて言った:)「琅邪は乾坤を定むるの句有り。各々高く眼を著け、高く眼を著け。」拄杖を卓して座を下りた。

瑞州大愚山守芝禪師

瑞州大愚山守芝禪師

才陞座。僧問。如何是和尚家風。師曰。一言出口。駟馬難追。問。如何是城裡佛。師曰。十字街頭石幢子。問。不落三寸時如何。師曰。乾三長。坤六短。曰。意旨如何。師曰。切忌地盈虗。問。昔日靈山分半座。二師相見事如何。師曰。記得麼。僧良久。師打禪床一下。曰。多年忘卻也。乃曰。且住。且住。若向言中取則。句裡明機。也似迷頭認影。若也舉唱宗乘。大似一場寐語。雖然如是。官不容針。私通車馬。放一線道。有箇葛藤處。遂敲禪床一下。曰。三世諸佛。盡皆頭痛。且道大眾。還有免得底麼。若一人免得。無有是處。若免不得。海印發光。師乃竪起拂子曰。這箇是印。那箇是光。這箇是光。那箇是印。掣電之機。徒勞佇思。會麼。老僧說夢。且道夢見箇甚麼。南柯十更若不會。聽取一頌。北斗掛須彌。杖頭挑日月。林泉好商量。夏末秋風切。珍重。問。如何是祖師西來意。師曰。天寒日短。問。心法無形。如何雕琢。師曰。一丁兩丁。曰。未曉者如何領會。師曰。透七透八。上堂。一擊響玲瓏。喧轟宇宙通。知音才側耳。項羽過江東。與麼會。恰認得驢鞍橋作阿爺下頷。上堂。大愚相接大雄孫。五湖雲水競頭奔。競頭奔。有何門。擊箭寧知枯木存。枯木存。一年還會兩度春。兩度春。帳裡真珠撒與人。撒與人。思量也是慕西秦。上堂。竪窮三際。橫徧十方。拈起也帝釋心驚。放下也地神膽戰。不拈不放。喚作甚麼。自雲。蝦䗫。上堂。三世諸佛不知有。狸奴白牯卻知有。乃拈起拂子云。狸奴白牯總在這裡放光動地。何謂如此兩段不同。問。如何是佛。師曰。鋸解秤錘。上堂。大眾集定。乃曰。現成公案。也是打揲不辦。便下座。上堂。大洋海底排班立。從頭第二𩯭毛斑。為甚麼不道第一𩯭毛斑。要會麼。金蘂銀絲成玉露。高僧不坐鳳凰臺。上堂眾集。乃曰。為眾竭力。禍出私門。

纔かに座に升る。僧が問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「一言口を出でれば、駟馬追い難し。」問うた:「どうして城裏の佛ですか。」師は言った:「十字街頭の石幢子。」問うた:「三寸に落ちざる時はいかに。」師は言った:「乾は三長、坤は六短。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「切に盈虛を忌め。」問うた:「昔日靈山に半座を分かつ、二師相見るの事は如何。」師は言った:「記え得るか。」僧は久しく過ぎた。師は禪床を一打して、言った:「多年忘却せり。」そこで言った:「且く住せ、且く住せ。若し言中に向かって則を取り、句裏に機を明らむれば、也た頭を迷いて影を認めるに似たり。若し也た宗乘を擧唱せば、大いに似たり一場の寐語。然りと雖も是の如しと雖も、官は鍼を容れず、私は車馬を通ず。一線道を放てば、箇の葛藤の處有り。」そこで禪床を敲き一下して、言った:「三世の諸佛、盡く皆な頭痛す。且く大衆に道え、還た免れるを得る有るか。若し一人免れることを得れば、是の處有ること無し。若し免れ得ざれば、海印發光せん。」師はそこで拂子を豎起して言った:「此箇は是れ印、那箇は是れ光。此箇は是れ光、那箇は是れ印。掣電の機、徒らに佇思を勞す。會するか。老僧は夢を説く。且く道え夢に箇の何を見る。南柯十更に若し會せざれば、一頌を聽取せ。北斗は須彌に挂り、杖頭は日月を挑す。林泉は好く商量し、夏末秋風切なり。珍重。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「天寒く日短し。」問うた:「心法は形無し、如何にか雕琢せん。」師は言った:「一丁兩丁。」僧は言った:「未曉の者は如何に領會せん。」師は言った:「七に透り八に透れ。」上堂:「一擊響玲瓏として、宇宙に喧轟して通ず。知音纔かに耳を側むれば、項羽江東を過す。此の如く會せば、恰も驢鞍橋を認めて阿爺の下頷と作すを得たり。」上堂:「大愚は相接して大雄の孫、五湖の雲水は競りて頭を奔す。競りて頭を奔す、何の門有る。箭を擊ちて寧んぞ枯木の存るを知らん。枯木存れり、一年還た會して兩度の春。兩度の春、帳裏の眞珠は人に撒き與う。撒き與う、思量するも亦た是れ西秦を慕う。」上堂:「竪には三際に窮まり、橫には十方に遍し。拈起するも帝釋心驚し、放下するも地神膽戰す。拈せず放たざれば、何と喚ぶか。」自ら言った:「蝦蟆。」上堂:「三世の諸佛は有るを知らず、狸奴白牯は却って有るを知る。」そこで拂子を拈起して言った:「狸奴白牯總て此の裏に在りて光を放ち地を動かす。何を謂うか此の如く兩段同じからざる。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「鋸で秤錘を解す。」上堂、大衆集まり定まれば、就ち言った:「現成の公案、也た是れ打疊して辦ならず。」便ち座を下りた。上堂:「大洋の海底に班を排して立ち、頭より第二は鬢毛斑なり。何の故に第一の鬢毛斑と道わざる。要に會せんと欲するか。金蕊銀絲玉露を成し、高僧は鳳凰臺に坐せず。」上堂衆集まれば、就ち言った:「衆の爲に力を竭くせば、禍は私門より出づ、」

便下座。上堂。翠巖路嶮𡾟。舉步涉千溪。更有洪源水。滔滔在嶺西。擊禪床。下座。示眾。擎起香合雲。明頭合。暗頭合。道得天下橫行。若道不得且合卻。下座。問。如何是為人一句。師曰。四角六張。曰。意旨如何。師曰。八凹九凸。上堂。沙裡無油事可哀。翠巖嚼飯餧嬰孩。他時好惡知端的。始覺從前滿面埃。擊禪床下座。

(師は続けて言った:)便ち座を下りた。上堂:「翠岩の路は險巇、步を擧げて千溪を涉る。更に洪源の水有り、滔滔として嶺の西に在り。」禪床を擊ちて、座を下りた。衆に示す、香盒を擎起して言った:「明頭合し、暗頭合す。道うことを得れば天下橫行す。若し道うことを得ざれば、且く合し却れ。」座を下りた。問うた:「どうして人を爲すの一句ですか。」師は言った:「四角六張。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「八凹九凸。」上堂:「沙裏油無き事哀れむべし、翠岩は飯を嚼みて嬰孩に餵う。他時好惡は端的を知りて、始めて覺ゆ從前は面埃に滿てり。」禪床を擊ちて座を下りた。

潭州石霜法永禪師

潭州石霜法永禪師

僧問。如何是佛。師曰。臂長衫袖短。問。如何是祖師西來意。師曰。布袴膝頭穿。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「臂は長く衫袖は短し。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「布褲は膝頭に穿れたり。」

舒州法華院全舉禪師

舒州法華院全擧禪師

到公安遠和尚處。安問。作麼生是伽藍。師曰。深山藏獨虎。淺草露群蛇。曰。作麼生是伽藍中人。師曰。青松蓋不得。黃葉豈能遮。曰。道甚麼。師曰。少年翫盡天邊月。潦倒扶桑沒日頭。曰。一句兩句。雲開月露。作麼生。師曰。照破佛祖。到大愚芝和尚處。愚問。古人見桃花意作麼生。師曰。曲不藏直。曰。那箇且從。這箇作麼生。師曰。大街拾得金。四隣爭得知。曰。上座還知麼。師曰。路逢劒客須呈劒。不是詩人不獻詩。曰。作家詩客。師曰。一條紅線兩人牽。曰。玄沙道。諦當甚諦當。敢保老兄未徹在。又作麼生。師曰。海枯終見底。人死不知心。曰。卻是。師曰。樓閣凌雲勢。峰巒疊翠層。到琅邪覺和尚處。邪問。近離甚處。師曰。兩浙。曰。船來陸來。師曰。船來。曰。船在甚處。師曰。步下。曰。不涉程途一句。作麼生道。師以坐具摵一摵曰。杜撰長老。如麻似粟。拂袖而出。邪問侍者。此是甚麼人。者曰。舉上座。邪曰。莫是舉師叔麼。先師教我尋見伊。遂下。旦過問上座。莫是舉師叔麼。莫怪適來相觸忤。師便喝。復問。長老何時到汾陽。邪曰。某時到。師曰。我在浙江早聞你名。元來見解祇如此。何得名播寰宇。邪遂作禮曰。某甲罪過。師到杭州西菴。菴主曾見明招。主舉頌曰。絕頂西峰上。峻機誰敢當。超然凡聖外。瞥起兩重光。師曰。如何是兩重光。主曰。月從東出。日向西沒。師曰。菴主未見明招時如何。主曰。滿盞油難盡。師曰。見後如何。主曰。多心易得乾。住後。僧問。如何是奪人不奪境。師曰。白菊乍開重日暖。百年公子不逢春。曰。如何是奪境不奪人。師曰。大地絕消息。翛然獨任真。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。草荒人變色。凡聖兩齊空。曰。如何是人境俱不奪。師曰。清風與明月。野老笑相親。上堂。釋迦不出世。達磨不西來。佛法徧天下。談玄口不開。

公安遠和尚の處に到る。公安が問うた:「作麼生が是れ伽藍。」師は言った:「深山は獨虎を藏し、淺草は群蛇を露す。」公安は言った:「作麼生が是れ伽藍中の人。」師は言った:「靑松は蓋うことを得ず、黃葉豈に遮ることを得ん。」公安は言った:「何を道う。」師は言った:「少年天邊の月を玩び盡くし、潦倒扶桑に日頭沒す。」公安は言った:「一句兩句、雲開きて月露わる。作麼生。」師は言った:「佛祖を照破す。」大愚芝和尚の處に到る。大愚が問うた:「古人が桃花を見るの意は作麼生。」師は言った:「曲は直を藏めず。」大愚は言った:「那箇は且く從う。此箇は作麼生。」師は言った:「大街に金を拾得して、四鄰争い知る。」大愚は言った:「上座還た知るか。」師は言った:「路に劍客に逢えば須く劍を呈すべし、詩人に非ざれば詩を獻せず。」大愚は言った:「作家の詩客。」師は言った:「一條の紅線は兩人に牽かる。」大愚は言った:「玄沙道く、諦當甚だ諦當、敢えて老兄未だ徹せざる在りと保せん。又た作麼生。」師は言った:「海枯れて終に底を見るも、人死して心を知らず。」大愚は言った:「却って是れ。」師は言った:「樓閣凌雲の勢、峰巒は翠層を疊す。」琅邪覺和尚の處に到る。琅邪が問うた:「近く甚の處を離るる。」師は言った:「兩浙。」琅邪は言った:「船來か陸來か。」師は言った:「船來。」琅邪は言った:「船は甚の處に在る。」師は言った:「步下。」琅邪は言った:「程途を渉らざるの一句、作麼生に道う。」師は坐具を用いて一たび抽打して、言った:「杜撰の長老、麻の如く粟の如し。」袖を拂りて出でて去った。琅邪は侍者に問うた:「此れ是れ何の人か。」侍者は言った:「擧上座。」琅邪は言った:「莫れ擧師叔か。先師我に教えて尋ね見ろとせし。」そこで下りて來りて、旦過に到り上座に問うた:「莫れ擧師叔か。適來相觸忤せるを怪する莫れ。」師は便ち喝して、又た問うた:「長老何の時か汾陽に到る。」琅邪は言った:「某時到れり。」師は言った:「我在りて浙江早くあなたの名を聞く、元來見解只だ此の如く、何を以て名は寰宇に播まるを得る。」琅邪は是に於て禮を作して言った:「某甲罪過。」師は杭州西庵に到る。庵主曾て明招を見えり。庵主は頌を擧げて言った:「絶頂西峰の上、峻機誰か敢えて當たらん。超然凡聖の外、瞥起兩重の光。」師は言った:「どうして兩重の光ですか。」庵主は言った:「月は東より出で、日は西に向かって沒す。」師は言った:「庵主未だ明招を見ざる時はいかに。」庵主は言った:「盞に油滿ちて盡き難し。」師は言った:「見た後はいかに。」庵主は言った:「心多くして乾くことを得易し。」住持して以後、僧が問うた:「どうして人を奪いて境を奪わざるですか。」師は言った:「白菊は乍ち開き重く日暖か、百年の公子は春に逢わず。」僧は言った:「どうして境を奪いて人を奪わざるですか。」師は言った:「大地は消息を絶ち、翛然として獨り眞に任す。」僧は言った:「どうして人境兩俱に奪うですか。」師は言った:「草荒れ人色變え、凡聖兩齊しく空し。」僧は言った:「どうして人境俱に奪わざるですか。」師は言った:「淸風と明月と、野老笑いて相親しむ。」上堂:「釋迦世に出でず、達磨西に來らず。佛法天下に遍し、玄を談ずる口は開かず。」

上堂。鐘鳴鼓響。鵲噪鴉鳴。為你諸人說般若.講涅槃了也。諸人還信得及麼。觀音菩薩向諸人面前作大神通。若信不及。卻往他方救苦利生去也。上堂。開口又成增語。不開口又成剩語。乃曰。金輪天子勑。草店家風別。上堂。三世諸佛。口掛壁上。天下老和尚作麼生措手。你諸人到諸方作麼生舉。山僧恁麼道。也是久日樺來唇。喝一喝。上堂。古者道。我若一向舉揚宗教。法堂裡草深一丈。不可為闍黎鎻卻僧堂門去也。雖然如是。也是烏龜陸地弄塵行。上堂。語漸也返常合道。論頓也不留朕跡。直饒論其頓返其常。也是抑而為之。問。牛頭未見四祖時。為甚麼百鳥銜花獻。師曰。果熟猿兼重。曰。見後為甚麼不銜花。師曰。林疎鳥不過。問。七星光彩天將曉。不犯皇風試道看。師曰。將軍馬蹄紅。曰。錯。師便打。僧禮拜。展坐具始收。師曰。一展一收。法法皆周。擬欲更問。著甚來由。遂問。會麼。僧曰。不會。師便打。

上堂:「鐘鳴り鼓響き、鵲噪き鴉鳴く、あなたがた諸人の爲に般若を説き涅槃を講じ了れり。諸人還た信じ及ぶか。觀音菩薩は諸人の面前に向かって大神通を作す。若し信じ及ばざれば、却って他方に往きて苦を救い生を利し去る也。」上堂:「口を開けば又た增語を成し、口を開かざれば又た剩語を成す。」そこで言った:「金輪天子の敕、草店の家風別なり。」上堂:「三世の諸佛、口は壁の上に挂く。天下の老和尚は作麼生に措手せん。あなたがた諸人諸方に到りて作麼生に擧げん。山僧此の如く道うも、也た是れ久日の樺來唇。」一喝す。上堂:「古人説く、我若し一向に宗教を擧揚せば、法堂裏に草一丈深からん。闍黎が爲に僧堂門を鎖却して去るを得ず。然りと雖も是の如しと雖も、也た是れ烏龜の陸地に塵行を弄ぶ。」上堂:「語漸なるも亦た常に返りて道に合し、頓を論ずるも亦た朕跡を留めず。直に饒く其の頓を論じ其の常に返るも、也た是れ抑えて之を爲す。」問うた:「牛頭が未だ四祖を見ざる時、何の故に百鳥花を銜みて獻ぜる。」師は言った:「果熟れて猿兼ねて重し。」僧は言った:「見た後は何の故に花を銜まざる。」師は言った:「林疎なれば鳥過らず。」問うた:「七星光彩天將に曉らんとす、皇風を犯さず試しに道え看よ。」師は言った:「將軍馬蹄紅なり。」僧は言った:「錯。」師は便ち打った。僧は礼拜し、坐具を展べ纔かに收む。師は言った:「一展一收、法法皆な周なり。擬して更に問わんと欲する、甚の來由を著けん。」そこで問うた:「會するか。」僧は言った:「會せず。」師は便ち打った。

南嶽芭蕉菴大道谷泉禪師

南嶽芭蕉庵大道谷泉禪師

泉州人也。受法汾陽。放蕩湖湘。後省同參慈明禪師。明問。白雲橫谷口。道人何處來。師左右顧視。曰。夜來何處火。燒出古人墳。明曰。未在更道。師作虎聲。明以坐具便摵。師接住。推明置禪床上。明卻作虎聲。師大笑曰。我見七十餘員善知識。今日始遇作家。師因倚遇上座來參(遇後住法昌)。問。菴主在麼。師曰。誰。曰。行腳僧。師曰。作甚麼。曰。禮拜菴主。師曰。恰值菴主不在。曰。你聻。師曰。向道不在。說甚麼你我。拽棒趂出。遇次日再來。師又趂出。遇一日又來。問。菴主在麼。師曰。誰。曰。行腳僧。揭簾便入。師攔胷搊住曰。我這裡狼虎縱橫。尿床鬼子。三回兩度來討甚麼。曰。人言菴主親見汾陽來。師解衣抖擻曰。你道我見汾陽有多少奇特。曰。如何是菴中主。師曰。入門須辯取。曰。莫祇這便是麼。師曰。賺卻幾多人。曰。前言何在。師曰。聽事不真。喚鐘作甕。曰。萬法泯時全體現。君臣合處正中邪去也。師曰。驢漢不會便休。亂統作麼。曰。未審客來將何祇待。師曰。雲門餬餅趙州茶。曰。恁麼則謝師供養去也。師叱曰。我這裡火種也未有。早言謝供養。師因大雪。作偈曰。今朝甚好雪。紛紛如秋月。文殊不出頭。普賢呈醜拙。慈明遷住福嚴。師又往省之。少留而還。作偈寄之曰。相別而今又半年。不知誰共對談禪。一般秀色湘山裡。汝自匡徒我自眠。明覧笑而已。

泉州の人。汾陽に法を受けて、湖湘に放蕩す。後に來りて同參の慈明禪師を省問す。慈明が問うた:「白雲谷口に橫たう、道人は何の處より來る。」師は左右を顧視して、言った:「夜來何の處の火、古人の墳を燒き出だせる。」慈明は言った:「未だ在らず、更に道え。」師は虎の聲を作す。慈明は坐具を用いて就ち抽す。師は接住して、慈明を禪床の上に推し倒す。慈明は却って虎の聲を作す。師は大いに笑いて言った:「我七十餘員の善知識を見れり、今日纔かに作家に遇えり。」師は因りて遇上座(遇後に法昌に住す)の來參するに倚りて、問うた:「庵主在るか。」師は言った:「誰。」遇上座は言った:「行脚の僧。」師は言った:「何を作す。」遇上座は言った:「庵主に礼拜せん。」師は言った:「恰も値いて庵主在らず。」遇上座は言った:「あなたは。」師は言った:「在らずと道い向うに、何のあなた我を説く。」棒を拽きて趕り出だす。遇上座次日再び來る、師は又た趕り出だす。遇上座一天又た來りて、問うた:「庵主在るか。」師は言った:「誰。」遇上座は言った:「行脚の僧。」帘を揭げて便ち入る。師は胸を攔えて揪住し、言った:「我此の裏狼虎縱橫なり。尿床の鬼子、三回兩度來りて何を討つ。」遇上座は言った:「人言う庵主親く汾陽を見て來れりと。」師は衣を解き抖擻して、言った:「あなた道え我汾陽を見るに多少の奇特有る。」遇上座は言った:「どうして庵中の主ですか。」師は言った:「門に入れば須く辯取すべし。」遇上座は言った:「莫れ只だ此れ便ち是れか。」師は言った:「幾多の人を賺却す。」遇上座は言った:「前言何の處に在る。」師は言った:「聽事不真、鐘を喚びて瓮と作す。」遇上座は言った:「萬法泯ぶ時全體現れ、君臣合する處は正中に邪去る也。」師は言った:「驢漢會せずして便ち休せ、亂統は作麼。」遇上座は言った:「未だ審かならず客來たれば何を將て只待せん。」師は言った:「雲門の胡餅に趙州の茶。」遇上座は言った:「そうすれば師の供養に謝して去る也。」師は叱りて言った:「我此の裏火種も未だ有らず、早く供養に謝すと言う。」師は大雪を因りて、偈を作して言った:「今朝甚だ好き雪、紛紛として秋月の如し。文殊は出頭せず、普賢は醜拙を呈す。」慈明遷りて福嚴に住す、師は又去りて省問し、少しく留めて還り、偈を作して彼に寄せて言った:「相別れて而今又た半年、誰と共に禪を對談するを知らず。一般秀色の湘山裏、あなた自ら徒を匡め我自ら眠る。」慈明看りて只だ笑うのみ。

蘄州黃梅龍華寺曉愚禪師

蘄州黃梅龍華寺曉愚禪師

到五祖戒和尚處。祖問曰。不落唇吻一句。作麼生道。師曰。老老大大。話頭也不照顧。祖便喝。師亦喝。祖拈棒。師拍手便出。祖召曰。闍黎且住。話在。師將坐具搭在肩上。更不回首。上堂。摩騰入漢。已涉繁詞。達磨西來。不守己分。山僧今日與麼道。也是為他閑事長無明。

五祖戒和尚の處に到る。五祖が問うた:「唇吻に落ちざるの一句、作麼生に道う。」師は言った:「老老大たり、話頭も照顧せず。」五祖は便ち喝した。師は亦た喝した。五祖は棒を拈じた。師は手を拍ちて便ち出づ。五祖は召して言った:「闍黎且く住せ、話在り。」師は坐具を肩に搭えて、更に首を回らさず。上堂:「摩騰は漢に入りて、已に繁詞に渉る。達磨西に來りて、己の分を守らず。山僧今日此の如く道うも、也た是れ彼の閑事に無明長ずるを爲す。」

安吉州天聖皓泰禪師

安吉州天聖皓泰禪師

到琅邪。邪問。埋兵掉鬬。未是作家。匹馬單鎗。便請相見。師指邪曰。將頭不猛。帶累三軍。邪打師一坐具。師亦打邪一坐具。邪接住曰。適來一坐具。是山僧令行。上座一坐具。落在甚麼處。師曰。伏惟尚饗。邪拓開曰。五更侵早起。更有夜行人。師曰。賊過後張弓。邪曰。且坐吃茶。住後。僧問。如何是佛。師曰。黑漆聖僧。曰。如何是佛法大意。師曰。看墻似土色。

琅邪に到る。琅邪が問うた:「兵を埋め斗を掉して、未だ是れ作家に非ず。匹馬單槍、便ち相見せんことを請う。」師は琅邪を指して言った:「將頭猛ならざれば、三軍に帶累す。」琅邪は師に一坐具を打つ。師は亦た琅邪に一坐具を打つ。琅邪は接住して言った:「適來の一坐具は、是れ山僧の令行。上座の一坐具は、何の處に落ちる。」師は言った:「伏して惟れ尚く饗かんことを。」琅邪は拓き開きて言った:「五更侵早に起きて、更に夜行の人有り。」師は言った:「賊過りて後に弓を張る。」琅邪は言った:「且く坐して茶を喫せ。」住持して以後、僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「黑漆の聖僧。」僧は言った:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「墻を看るに土色に似たり。」

唐州龍潭智圓禪師

唐州龍潭智圓禪師

辭汾陽。陽曰。別無送路。與子一枝拄杖。一條手巾。師曰。手巾和尚受用。拄杖即不消得。陽曰。汝但將去。有用處在。師便収。陽曰。又道不用。師便喝。陽曰。已後不讓臨濟。師曰。正令已行。陽來日送出三門。乃問。汝介山逢尉遲時如何。師曰。一刀兩段。陽曰。彼現那叱。又作麼生。師便拽拄杖。陽喝曰。這回全體分付。住後。僧問。承教有言。是真精進。是名真法。供養如來。如何是真法。師曰。夜聚曉散。問。如何是龍潭劒。師曰。觸不得。曰。用者如何。師曰。白骨連山。問。昔日窮經。今日參禪。此理如何。師曰。兩彩一賽。曰。作麼生領會。師曰。去後不留蹤。曰。如何是佛。師曰。火燒不燃。問。古殿無佛時如何。師曰。三門前合掌。

汾陽を辭す。汾陽は言った:「別に送る路無し、あなたに一枝の拄杖、一條の手巾を與う。」師は言った:「手巾は和尚受用し、拄杖は即ち消し得ず。」汾陽は言った:「あなた但だ將て去れ、用いる處在り。」師は便ち收めた。汾陽は言った:「又た用いずと道う。」師は便ち喝した。汾陽は言った:「後に以て臨濟を讓らず。」師は言った:「正令已に行われり。」汾陽は來日送りて三門を出で、就いて問うた:「あなた介山に尉遲に逢う時はいかに。」師は言った:「一刀兩段。」汾陽は言った:「彼那吒を現ずれば、又た作麼生。」師は便ち拄杖を拽す。汾陽は喝して言った:「此の回は全體分付せん。」住持して以後、僧が問うた:「教有るを承る、是れ真の精進、是れ真法と名づけて、如來を供養す、と。どうして真法ですか。」師は言った:「夜聚まり曉散ず。」問うた:「どうして龍潭の劍ですか。」師は言った:「觸るるを得ず。」僧は言った:「用いる者は如何。」師は言った:「白骨山に連なる。」問うた:「昔日は經を窮め、今日は禪を參ず。此の理は如何。」師は言った:「兩彩一賽。」僧は言った:「作麼生に領會せん。」師は言った:「去りて後蹤を留めず。」僧は言った:「どうして佛ですか。」師は言った:「火燒きて燃えず。」問うた:「古殿佛無き時はいかに。」師は言った:「三門の前に合掌す。」

舒州投子圓修禪師

舒州投子圓修禪師

僧問。達磨未來時如何。師曰。出口入耳。曰。來後如何。師曰。叉手並足。

僧が問うた:「達磨未だ來らざる時はいかに。」師は言った:「口を出でて耳に入る。」僧は言った:「來た後はいかに。」師は言った:「手を叉し足を並ぶ。」

汾州太子院道一禪師

汾州太子院道一禪師

僧問。如何是佛。師曰。賣扇老婆手遮日。問。紅輪未出時如何。師曰。照燭分明。曰。出後如何。師曰。撈天摸地。問。如何是學人親切處。師曰。慈母抱嬰兒。曰。如何是學人轉身處。師曰。街頭巷尾。曰。如何是學人著力處。師曰。千斤擔子兩頭搖。問。古曲無音韻。如何和得齊。師曰。三九二十七。籬頭吹觱栗。曰。宮商角徵非關妙。石人拊掌笑呵呵。師曰。同道方知。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「扇を賣る老婆の手日を遮る。」問うた:「紅輪未だ出でざる時はいかに。」師は言った:「照燭分明。」僧は言った:「出でた後はいかに。」師は言った:「天を捞り地を摸す。」問うた:「どうして學人の親切なる處ですか。」師は言った:「慈母嬰兒を抱く。」僧は言った:「どうして學人の轉身する處ですか。」師は言った:「街頭巷尾。」僧は言った:「どうして學人の力を著ける處ですか。」師は言った:「千斤の擔子兩頭搖れる。」問うた:「古曲音韻無し、如何にか和して齊しきを得ん。」師は言った:「三九二十七、籬頭に觱篥を吹く。」僧は言った:「宮商角徵妙に關らず、石人は掌を拊ちて呵呵と笑う。」師は言った:「同道方に知る。」

葉縣省禪師法嗣

葉縣省禪師法嗣

舒州浮山法遠圓鑒禪師

舒州浮山法遠圓鑑禪師

鄭州人也。投三交嵩和尚出家。幼為沙彌。見僧入室請問趙州庭栢因緣。嵩詰其僧。師傍有省。進具後。謁汾陽.葉縣。皆蒙印可。嘗與達觀頴薛大頭七八輩遊蜀。幾遭橫逆。師以智脫之。眾以師曉吏事。故號遠錄公。開堂拈香曰。汝海枯木上生花。別迎春色。僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。八十翁翁輥繡毬。曰。恁麼則一句迥然開祖胄。三玄戈甲振叢林。師曰。李陵元是漢朝臣。問。如何是佛。師曰。大者如兄。小者如弟。問。如何是祖師西來意。師曰。平地起骨堆。問。祖師門下。壁立千仞。正令當行。十方坐斷。和尚將何表示。師曰。寒貓不捉鼠。曰。莫便是為人處也無。師曰。波斯不繫腰。問。新歲已臨。舊歲何往。師曰。目前無異怪。不用貼鍾馗。曰。畢竟如何。師曰。將謂目前無。僧以手畫曰。爭奈這箇何。師便打。師與王質待制論道。畫一圓相。問曰。一不得匹馬單鎗。二不得衣錦還鄉。鵲不得喜。鴉不得殃。速道。速道王罔措。師曰。勘破了也。上堂。更莫論古話今。祇據目前事與你諸人定奪區分。僧便問。如何是目前事。師曰。鼻孔。曰。如何是向上事。師曰。眼睛。歐陽文忠公聞師奇逸。造其室。未有以異之。與客碁。師坐其旁。文忠遽收局。請因碁說法。師即令撾鼓陞座。曰。若論此事。如兩家著碁相似。何謂也。敵手知音。當機不讓。若是綴五饒三。又通一路始得。有一般底。祇解閉門作活。不會奪角沖關。硬節與虎口齊彰。局破後徒勞綽斡。所以道。肥邊易得。瘦肚難求。思行則往往失粘。心麤而時時頭撞。休誇國手。謾說神仙。贏局輸籌即不問。且道黑白未分時。一著落在甚麼處。良久曰。從來十九路。迷悟幾多人。文忠嘉歎。從容謂同僚曰。脩初疑禪語為虗誕。今日見此老機緣。所得所造。非悟明於心地。安能有此妙旨哉。上堂。天得一以清。地得一以寧。

鄭州の人。三交嵩和尚に投じて出家す。幼くして沙彌と爲り、僧の入室して趙州庭柏の因緣を請問するを見る。嵩は那の僧を詰問し、師は傍に在りて省有り。具に進んで後、汾陽、葉縣を謁し、皆な印可を蒙る。曾て達觀穎、薛大頭七八輩と蜀を遊び、幾ど橫逆に遭わんとす、師は智謀を以て彼らを脫せしむ。衆人は師が吏事を曉るを因りて、故に遠錄公と號す。開堂香を拈じて言った:「汝海枯木の上に花を生じ、別に春色を迎えん。」僧が問うた:「師は誰家の曲を唱え、宗風は阿誰に嗣ぐ。」師は言った:「八十の翁翁は繡毬を滾す。」僧は言った:「そうすれば一句迥然として祖胄を開き、三玄の戈甲は叢林に振う。」師は言った:「李陵元是れ漢朝の臣。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「大なるは兄の如く、小なるは弟の如し。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「平地に骨堆を起こす。」問うた:「祖師門下、壁立千仞。正令當に行われ、十方坐斷す。和尚は何を將て表示せん。」師は言った:「寒猫は鼠を捉えず。」僧は言った:「莫れ便ち是れ人を爲す處か無しや。」師は言った:「波斯は腰を繫がず。」問うた:「新歲已に臨み、舊歲何に往く。」師は言った:「目前に異怪無し、鍾馗を貼るを用いず。」僧は言った:「畢竟に如何。」師は言った:「將に謂う目前無しと。」僧は手を以て畫きて、言った:「爭奈此箇何。」師は便ち打った。師は王質待制と道を論じ、一の圓相を畫きて、問うた:「一、匹馬單槍を得ず。二、錦を衣て鄉に還るを得ず。鵲は喜を得ず、鴉は殃を得ず。速に道え、速に道え。」王は茫然として措く所無し。師は言った:「勘破せり。」上堂:「更に古を論じ今を話すを莫れ、只だ目前の事に據りてあなたがた諸人と定奪區分せん。」僧は便ち問うた:「どうして目前の事ですか。」師は言った:「鼻孔。」僧は言った:「どうして向上の事ですか。」師は言った:「眼睛。」歐陽文忠公は師の奇逸を聞きて、其の室に造るも、未だ以て異とする有らず。客と棋を下す、師は傍に坐す。文忠忽ち局を收めて、棋に就いて法を説かんことを請う。師は即ち鼓を擊ち座に升らしめて、言った:「若し此の事を論ずれば、兩家の棋を著くるに相似たり。何を謂う也。敵手知音、機に當たりて讓らず。若し是れ五を綴り三を饒かば、又た一路を通ずるを得ん。一般の有りて、只だ門を閉じて活を作すを解し、角を奪い關を衝くを會せず。硬節は虎口と齊しく彰れ、局破れて後徒らに綽斡を勞す。所以に道う、肥邊は得易く、瘦肚は求め難し。思行すれば則ち往々粘を失い、心粗くして時々頭撞す。國手を誇るを休め、神仙を説くを謾れ。局を贏ち籌を輸すは即ち問わず。且く道え黑白未だ分かたざる時、一著は何の處に落ちる。」久しく過ぎて言った:「從來十九路、迷悟幾多の人。」文忠は嘉嘆し、從容として同僚に對して言った:「修初め禪語を疑いて虛誕と爲せり。今日此の老の機緣を見るに、得る所造る所は、心地に悟り明らかならずんば、怎んぞ能く此の妙旨有らん哉。」上堂:「天は一を得て以て淸く、地は一を得て以て寧か、」

君王得一以治天下。衲僧得一。禍患臨身。擊禪床。下座。上堂。諸佛出世。建立化門。不離三身智眼。亦如摩醯首羅三目。何故。一隻水洩不通。緇素難辯。一隻大地全開。十方通暢。一隻高低一顧。萬類齊瞻。雖然若是。本分衲僧陌路相逢。別具通天正眼始得。所以道。三世諸佛不知有。狸奴白牯卻知有。且道狸奴白牯知有箇甚麼事。要會麼。深秋簾幙千家雨。落日樓臺一笛風。師暮年休於會聖嚴。敘佛祖奧義。作九帶曰。佛正法眼帶。佛法藏帶。理貫帶。事貫帶。理事縱橫帶。屈曲垂帶。妙葉兼帶。金針雙鎻帶。平懷常實帶。學者既已傳誦。師曰。若據圓極法門。本具十數。今此九帶。已為諸人說了。更有一帶。還見得麼。若也見得親切分明。卻請出來。對眾說看。說得分明。許汝通前九帶圓明道眼。若見不親切。說不相應。唯依吾語而為已解。則名謗法。諸人到此如何。眾無語。師叱之而去。

(師は続けて言った:)「君王は一を得て以て天下を治む。衲僧は一を得れば、禍患身に臨む。」禪床を擊ちて、座を下りた。上堂:「諸佛世に出でて、化門を建立して、三身智眼を離れず、亦た摩醯首羅の三目の如し。何故。一隻は水泄れ通ぜず、緇素辯し難し。一隻は大地全く開き、十方通暢す。一隻は高低を一顧して、萬類齊しく瞻る。然りと雖も是の若しと雖も、本分の衲僧陌路に相逢えば、別に通天の正眼を具えて纔かに得ん。所以に道う、三世の諸佛は有るを知らず、狸奴白牯は却って有るを知る、と。且く道え狸奴白牯は有るを知る箇の何の事か。要に會せんと欲するか。深秋簾幕千家の雨、落日樓臺一笛の風。」師は暮年會聖岩に休みて、佛祖の奧義を敘して、九帶を作り、言った:「佛正法眼帶。佛法藏帶。理貫帶。事貫帶。理事縱橫帶。屈曲垂帶。妙葉兼帶。金針雙鎖帶。平懷常實帶。」學者は既に傳誦すれば、師は言った:「若し圓極の法門に據れば、本より十數を具えり。今此の九帶、已に諸人の爲に説き了れり。更に一帶有り、還た見得るか。若し也た見得ること親切分明なれば、却って出で來りて、衆に對して説き看ることを請う。説きて分明を得れば、あなたに許して前九帶に通じて圓明の道眼を許す。若し見るに親切ならず、説くに相應せず、唯だ吾が語に依りて己解と爲せば、則ち法を謗ると名づく。諸人此に到りて如何。」衆人語無し。師は之を叱りて去った。

汝州寶應院法昭演教禪師

汝州寶應院法昭演教禪師

僧問。一言合道時如何。師曰。七顛八倒。曰。學人禮拜。師曰。教休不肯休。直待雨淋頭。問。大通智勝佛。十劫坐道場。佛法不現前。不得成佛道。為甚麼不得成佛道。師曰。赤腳騎鐵驢。直至海南居。上堂。十二時中。許你一時絕學。即是學佛法。不見阿難多聞第一。卻被迦葉擯出。不得結集。方知聰明博學。記持憶想。向外馳求。與靈覺心轉沒交涉。五蘊殻中透脫不過。順情生喜。違情生怒。蓋覆深厚。自纏自縛。無有解脫。流浪生死。六根為患。眾苦所逼。無自由分。而被妄心於中主宰。大丈夫兒早搆取好。喝一喝。曰。參。上堂。寶應門風險。入者喪全身。作麼生是出身一句。若道不得。三十年後。

僧が問うた:「一言道に合する時はいかに。」師は言った:「七顛八倒。」僧は言った:「學人礼拜す。」師は言った:「休めと教うるも休するを肯ぜず、直に雨の頭を淋るを待つ。」問うた:「大通智勝佛、十劫道場に坐し、佛法現前せず、佛道を成することを得ず。何の故に佛道を成することを得ざる。」師は言った:「赤脚鐵驢に騎りて、直に海南に至り居る。」上堂:「十二時中、あなたに許して一時に學を絶つは、即ち是れ佛法を學ぶ。見ずや阿難多聞第一、却って迦葉に擯出されて、結集するを得ず。方に知る聰明博學、記持憶想して、外に向かって馳求するは、靈覺心と轉もて交涉無し。五蘊殼中透脫過ぎず、情に順えば喜を生じ、情に違えば怒を生じ、蓋覆深厚にして、自ら纏い自ら縛りて、解脱有ること無し。生死を流浪して、六根患と爲り、衆苦の逼る所、自由の分無くして、妄心に被りて中に主宰せらる。大丈夫兒早く構取せ好し。」一喝して、言った:「參。」上堂:「寶應の門風險し、入る者は全身を喪う。作麼生が是れ身を出だすの一句。若し道うことを得ざれば、三十年後。」

唐州大乘山慧果禪師

唐州大乘山慧果禪師

僧問。如何是從上來傳底意。師曰。金盤拓出眾人看。問。撥塵見佛時如何。師曰。撥塵即乖。見佛即錯。曰。總不如是時如何。師曰。錯。問。如何是道。師曰。寬處寬。窄處窄。曰。如何是道中人。師曰。苦處苦。樂處樂。曰。道與道中人相去多少。師曰。十萬八千。問。如何是祖師西來意。師曰。天晴日出。曰。學人不會。師曰。雨下泥生。

僧が問うた:「どうして上より來り傳うの意ですか。」師は言った:「金盤拓き出だして衆人に看せしむ。」問うた:「塵を撥きて佛を見る時はいかに。」師は言った:「塵を撥けば即ち乖れ、佛を見れば即ち錯。」僧は言った:「總て是の如くならざる時はいかに。」師は言った:「錯。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「寬き處は寬く、窄き處は窄し。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「苦しき處は苦しく、樂しき處は樂し。」僧は言った:「道と道中の人と相去ること多少。」師は言った:「十萬八千。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「天晴れて日出づ。」僧は言った:「學人會せず。」師は言った:「雨下りて泥生ず。」

神鼎諲禪師法嗣

神鼎諲禪師法嗣

荊南府開聖寶情山主

荊南府開聖寶情山主

僧問。如何是開聖境。師曰。三烏引路。曰。如何是境中人。師曰。二虎巡山。

僧が問うた:「どうして開聖の境ですか。」師は言った:「三烏路を引く。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「二虎山を巡る。」

天台山妙智寺光雲禪師

天臺山妙智寺光雲禪師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。東籬黃菊。曰。意旨如何。師曰。九日重陽。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「東籬の黃菊。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「九日重陽。」

谷隱聰禪師法嗣

谷隱聰禪師法嗣

潤州金山曇穎達觀禪師

潤州金山曇穎達觀禪師

首謁大陽玄禪師。遂問。洞山特設偏正君臣。意明何事。陽曰。父母未生時事。師曰。如何體會。陽曰。夜半正明。天曉不露。師罔然。遂謁谷隱。舉前話。隱曰。大陽不道不是。祇是口門窄。滿口說未盡。老僧即不然。師問。如何是父母未生時事。隱曰。糞墼子。師曰。如何是夜半正明。天曉不露。隱曰。牡丹花下睡貓兒。師愈疑駭。一日普請。隱問。今日運薪邪。師曰。然。隱曰。雲門問。僧人般柴柴般人。如何會。師無對。隱曰。此事如人學書。點畫可効者工。否者拙。葢未能忘法耳。當筆忘手。手忘心。乃可也。師於是默契。良久曰。如石頭雲。執事元是迷。契理亦非悟。隱曰。汝以為藥語。為病語。師曰。是藥語。隱呵曰。汝以病為藥。又安可哉。師曰。事如函得葢。理如箭直鋒妙。寧有加者。而猶以為病。實未喻旨。隱曰。妙至是。亦祇名理事。祖師意旨。智識所不能到。矧事理能盡乎。故世尊雲。理障礙正見知。事障續諸生死。師恍如夢覺。曰。如何受用。隱曰。語不離窠臼。安能出葢纏。師歎曰。才涉唇吻。便落意思。盡是死門。終非活路。住後。示眾曰。才涉唇吻。便落意思。盡是死門。俱非活路。直饒透脫。猶在沉淪。莫教孤負平生。虗度此世。要得不孤負平生麼。拈拄杖卓一下。曰。須是莫被拄杖瞞始得。看看拄杖子。穿過你諸人髑髏。𨁝跳入你鼻孔裡去也。又卓一下。僧問。經文最初兩字是甚麼字。師曰。以字。曰。有甚麼交涉。師曰。八字。曰。好賺人。師曰。謗此經。故獲罪如是。問。一百二十斤鐵枷。教阿誰擔。師曰。老僧。曰。自作自受。師曰。苦。苦。問。和尚還曾念佛也無。師曰。不曾念佛。曰。為甚麼不念佛。師曰。怕汙人口。上堂。眾集定。首座出禮拜。師曰。好好問著。座低頭。問話次。師曰。今日不答話。便歸方丈。上堂。山僧門庭別。已改諸方轍。

起初大陽玄禪師を謁し、就いて問うた:「洞山特に偏正君臣を設く、意は何の事を明らむ。」大陽は言った:「父母未生時の事。」師は言った:「如何にか體會せん。」大陽は言った:「夜半正明、天曉露われず。」師は惘然とす。そこで谷隱を謁し、前話を擧ぐ。谷隱は言った:「大陽が道いざるは是れに非ず、只だ是れ口門窄く、滿口に説くも未だ盡きざる。老僧は即ち然らず。」師は問うた:「どうして父母未生時の事ですか。」谷隱は言った:「糞墼子。」師は言った:「どうして夜半正明、天曉露われずですか。」谷隱は言った:「牡丹花下に睡る猫兒。」師は愈々疑駭す。一天普請、谷隱が問うた:「今日薪を運ぶか。」師は言った:「是。」谷隱は言った:「雲門が僧に問う、人柴を搬ずるか、柴人を搬ずるか、如何にか會せん。」師は對無し。谷隱は言った:「此の事は人の書を學ぶが如し、點畫は效可きの工、否可きの拙、蓋し未だ法を忘るる能わざるのみ。筆に當たりて手を忘れ、手は心を忘れて、纔かに可なり。」師は是に於て默契せり。久しく過ぎて言った:「石頭説くが如く、事を執るは元是れ迷、理に契くも亦た悟に非ず、と。」谷隱は言った:「あなたは以て藥語と爲すか、病語と爲すか。」師は言った:「是れ藥語。」谷隱は呵斥して言った:「あなた病を以て藥と爲す、又た何を以て可とせん。」師は言った:「事は函得蓋の如く、理は箭直鋒妙の如し、寧んぞ加ふる者有らん、而れども猶お以て病と爲す、實に未だ旨を喻さず。」谷隱は言った:「妙此の地步に到るも、也只だ理事と名づく。祖師の意旨は、智識の到る能う所に非ず、況んや事理は能く盡さんや。所以に世尊説く、理は正知見を障礙し、事障は諸の生死を續く、と。」師は恍として夢覺めの如し、言った:「如何にか受用せん。」谷隱は言った:「語窠臼を離れず、怎んぞ能く蓋纏を出でん。」師は嘆じて言った:「纔かに唇吻に渉れば、便ち意思に落つ。盡く是れ死門、終に活路に非ず。」住持して以後、衆に示して言った:「纔かに唇吻に渉れば、便ち意思に落つ。盡く是れ死門、俱に活路に非ず。直に饒く透脫すとも、猶お沈淪に在り。平生を孤負し、此の世を虛度することを教うるな。平生を孤負せざるを得んと要するか。」拄杖を拈じて一卓して、言った:「須く是れ拄杖に瞞せられざるを得ん。看看拄杖子、あなたがた諸人の髑髏を穿ち、跳躍してあなたの鼻孔裏に入り去る也。」又た一卓す。僧が問うた:「經文最初の兩字は是れ何の字。」師は言った:「以の字。」僧は言った:「何の交涉か有る。」師は言った:「八字。」僧は言った:「好く人を賺す。」師は言った:「此の經を謗る、故に罪を獲ること此の如し。」問うた:「一百二十斤の鐵枷、阿誰に教えて担がしむる。」師は言った:「老僧。」僧は言った:「自作自受。」師は言った:「苦、苦。」問うた:「和尚還た曾て佛を念ずるか無しや。」師は言った:「曾て佛を念ぜず。」僧は言った:「何の故に佛を念ぜざる。」師は言った:「人の口を污すを怕る。」上堂、衆集まり定まりて、首座出でて礼拜す。師は言った:「好く問い著けよ。」首座は頭を低くす。話を問う時、師は言った:「今日話に答えず。」便ち方丈に歸った。上堂:「山僧門庭別なり、已に諸方の轍を改む、」

為文殊㧞出眼裡楔。教普賢休嚼口中鐵。勸人放開髂蛇手。與汝斫卻繫驢橛。駐意擬思量。喝曰。揑揑參。上堂。山僧平生。意好相撲。祇是無人搭對。今日且共首座搭對。捲起袈裟。下座索首座相撲。座才出。師曰。平地上吃交。便歸方丈。上堂。三世諸佛是奴婢。一大藏教是涕唾。良久曰。且道三世諸佛是誰奴婢。乃將拂子畫一畫曰。三世諸佛過這邊。且道一大藏教是誰涕唾。師乃自唾一唾。上堂。秤錘井底忽然浮。老鼠多年變作牛。慧空見了拍手笑。三腳猢猻差異猴。上堂。五千教典。諸佛常談。八萬塵勞。眾生妙用。猶未是金剛眼睛在。如何是金剛眼睛。良久曰。瞎。上堂。大眾集定。有僧才出禮拜。師曰。欲識佛性義。當觀時節因緣。僧便問。如何是時節因緣。師便下座。問。如何是向去底人。師曰。從歸青嶂裡。不出白雲來。曰。如何是卻來底人。師曰。自從遊紫陌。誰肯隱青山。問。如何是奪人不奪境。師曰。家裡已無回日信。路邊空有望鄉牌。曰。如何是奪境不奪人。師曰。滄海盡教枯到底。青山直得碾為塵。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。天地尚空秦日月。山河不見漢君臣。曰。如何是人境俱不奪。師曰。鶯囀千林華滿地。客遊三月草侵天。問。如何是和尚家風。師曰。伸手不見掌。曰。忽遇仙陀客來。又作麼生。師曰。對面千里。問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。臨濟。曰。恁麼則谷隱的子也。師曰。德山。問。如何是長法身。師曰。拄杖六尺。曰。如何是短法身。師曰。筭子三寸。曰。恁麼則法身有二也。師曰。更有方圓在。上堂。諸方鉤又曲。餌又香。奔湊猶如蜂抱王。因聖這裡。鉤又直。餌又無。猶如水底捺葫蘆。舉拄杖作釣魚勢。曰。深水取魚長信命。不曾將酒祭江神。擲拄杖。下座。

(師は続けて言った:)「文殊の爲に眼裏の楔を拔出し、普賢をして口中の鐵を嚼むを休めしむ。人を勸めて髂蛇の手を放ち開き、あなたと繫驢の橛を斫却せん。意を駐めて思量せんと擬す——」喝して言った:「捏捏參。」上堂:「山僧平生、意は相撲を好む、只だ是れ搭對する人無し。今日且く首座と共に搭對せん。」袈裟を卷起し、座を下りて首座と相撲せんと與す。首座纔かに出づれば、師は言った:「平地に交を喫す。」便ち方丈に歸った。上堂:「三世の諸佛は是れ奴婢、一大藏教は是れ涕唾。」久しく過ぎて言った:「且く道え三世の諸佛は是れ誰の奴婢。」就ち拂子を把りて一畫して、言った:「三世の諸佛此邊を過す。且く道え一大藏教は是れ誰の涕唾。」師は是に於て自ら一唾した。上堂:「秤錘井底に忽ち浮び、老鼠多年牛と變作す。慧空見て手を拍ちて笑う、三脚の猢猻は猴に差異り。」上堂:「五千の教典、諸佛の常談。八萬の塵勞、衆生の妙用。猶お未だ是れ金剛の眼睛在らず。如何なれば金剛の眼睛。」久しく過ぎて言った:「瞎。」上堂、大衆集まり定まりて、僧有りて纔かに出でて礼拜す。師は言った:「佛性の義を識らんと欲せば、當に時節因緣を觀るべし。」便ち座を下りた。問うた:「どうして向かって去るの人ですか。」師は言った:「歸りて靑嶂裏に從り、白雲より出でず來らず。」僧は言った:「どうして却って來るの人ですか。」師は言った:「自より紫陌を遊びて、誰か肯んて青山に隱れん。」問うた:「どうして人を奪いて境を奪わざるですか。」師は言った:「家裏已に回日の信無く、路邊空しく望鄕の牌有り。」僧は言った:「どうして境を奪いて人を奪わざるですか。」師は言った:「滄海盡く敎えて底まで枯れ、靑山直に得て塵と爲るまで碾く。」僧は言った:「どうして人境兩俱に奪うですか。」師は言った:「天地尚お秦の日月を空しゅうし、山河漢の君臣を見ず。」僧は言った:「どうして人境俱に奪わざるですか。」師は言った:「鶯囀ずれば千林に花滿地、客遊ぶれば三月に草天を侵す。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「手を伸べて掌を見ず。」僧は言った:「忽ち仙陀客來たらば、又た作麼生。」師は言った:「對面千里。」問うた:「師は誰家の曲を唱え、宗風は阿誰に嗣ぐ。」師は言った:「臨濟。」僧は言った:「そうすれば谷隱の子也。」師は言った:「德山。」問うた:「どうして長き法身ですか。」師は言った:「拄杖六尺。」僧は言った:「どうして短き法身ですか。」師は言った:「算子三寸。」僧は言った:「そうすれば法身に二有る也。」師は言った:「更に方圓在り。」上堂:「諸方は鉤又た曲がり、餌又た香し、奔湊すること猶お蜂の王を抱くが如し。因聖此の裏、鉤又た直く、餌又た無し、猶お水底に葫蘆を捺するが如し。」拄杖を擧げて釣魚の勢を作して、言った:「深水に魚を取りて長く命を信じ、曾て酒を將て江神に祭らず。」拄杖を擲ちて、座を下りた。

蘇州洞庭翠峰慧月禪師

蘇州洞庭翠峰慧月禪師

僧問。一花開五葉。結果自然成時如何。師曰。脫卻籠頭。卸卻角䭾。曰。拶出虗空去。處處盡聞香。師曰。雲愁聞鬼哭。雪壓髑髏吟。問。和尚未見谷隱時一句作麼生道。師曰。步步登山遠。曰。見後如何。師曰。驅驅信馬蹄。

僧が問うた:「一花開きて五葉、果を結びて自然に成する時はいかに。」師は言った:「籠頭を脫却し、角馱を卸却す。」僧は言った:「虛空を拶出して去れば、處處盡く香を聞く。」師は言った:「雲愁えて鬼哭を聞き、雪壓せば髑髏吟ず。」問うた:「和尚未だ谷隱を見ざる時の一句は作麼生に道う。」師は言った:「步步山に登りて遠し。」僧は言った:「見た後はいかに。」師は言った:「驅驅として馬蹄に信を任す。」

明州仗錫山修己禪師

明州仗錫山修己禪師

與浮山遠公遊。嘗卓庵廬山佛手巖。後至四明山心。獨居十餘載。虎豹為隣。嘗曰。羊腸鳥道無人到。寂寞雲中一箇人。爾後道俗聞風而至。遂成禪林。僧問。如何是無縫塔。師曰。四稜著地。曰。如何是塔中人。師曰。高枕無憂。問。如何是祖師西來意。師曰。舶船過海。赤腳回鄉。

浮山遠公と遊ぶ。曾て廬山佛手岩に庵を卓す。後に四明山心に到りて、獨居すること十餘年、虎豹と鄰と爲す。曾て言った:「羊腸鳥道人の到る無し、寂寞として雲中に一箇の人。」此より道俗は風を聞きて至りて、是に於て禪林と成れり。僧が問うた:「どうして無縫塔ですか。」師は言った:「四棱地に著く。」僧は言った:「どうして塔中の人ですか。」師は言った:「高枕して憂無し。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「舶船海を過り、赤脚鄕に回る。」

唐州大乘山德遵禪師

唐州大乘山德遵禪師

問谷隱曰。古人索火。意旨如何。曰。任他滅。師曰。滅後如何。曰。初三十一。師曰。恁麼則好時節也。曰。汝見甚麼道理。師曰。今日一場困。隱便打。師乃有頌曰。索火之機實快哉。藏鋒妙用少人猜。要會我師親的旨。紅爐火盡不添柴。僧問。世界圓融一句。請師道。師曰。團團七尺餘。問。如何是祖師西來意。師曰。鼻大眼深。上堂。上來又不問。下去又不疑。不知是不是。是即也大奇。便下座。

谷隱に問うた:「古人が火を索めし意旨は如何。」谷隱は言った:「他の滅するに任す。」師は言った:「滅した後はいかに。」谷隱は言った:「初三十一。」師は言った:「そうすれば好時節也。」谷隱は言った:「あなた何の道理を見る。」師は言った:「今日一場の困。」谷隱は便ち打った。師は是に於て頌有りて言った:「火を索むの機實に快なる哉、鋒を藏め妙用は人少なく猜す。我師親的の旨を會せんと要せば、紅爐火盡きて柴を添えず。」僧が問うた:「世界圓融の一句、師に道うことを請う。」師は言った:「團團七尺餘。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「鼻大に眼深し。」上堂:「上來して又た問わず、下去して又た疑わず。知らず是か非か、是なれば即ち也た大いに奇なり。」便ち座を下りた。

荊南府竹園法顯禪師

荊南府竹園法顯禪師

僧問。如何是佛。師曰。好手畫不成。問。如何是道。師曰。交橫十字。曰。如何是道中人。師曰。往往不相識。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「好き手も畫き成さず。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「十字に交橫す。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「往往相識らず。」

彭州永福院延照禪師

彭州永福院延照禪師

僧問。如何是彭州境。師曰。人馬合雜。僧以手作拽弓勢。師拈棒。僧擬議。師便打。

僧が問うた:「どうして彭州の境ですか。」師は言った:「人馬合雜す。」僧は手を用いて弓を拽ぐ勢を作す。師は棒を拈じた。僧は擬議すれば、師は便ち打った。

安吉州景清院居素禪師

安吉州景淸院居素禪師

僧問。即此見聞非見聞。為甚麼法身有三種病。二種光。師曰。填凹就缺。問。承和尚有言。寰中天子勑。塞外將軍令。如何是塞外將軍令。師曰。揭。曰。其中事如何。師曰。蹴。曰。莫便是和尚為人處也無。師彈指一下。問。遠遠投師。乞師一接。師曰。新羅人打鼓。曰。如何領會。師曰。舶主未曾逢。問。如何是末上一句。師曰。金剛樹下。曰。如何是末後一句。師曰。拘屍城邊。曰。向上更有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。波旬拊掌呵呵笑。迦葉頭擡不識人。

僧が問うた:「即ち此の見聞見聞に非ず、何の故に法身に三種の病、二種の光有る。」師は言った:「凹を塡め缺に就く。」問うた:「和尚に言有るを承る、寰中の天子敕、塞外の將軍令、と。どうして塞外の將軍令ですか。」師は言った:「揭。」僧は言った:「其の中の事は如何。」師は言った:「蹴。」僧は言った:「莫れ便ち是れ和尚の人を爲す處か無しや。」師は指を一彈した。問うた:「遙々師に投ず、師に一接を乞う。」師は言った:「新羅人鼓を打つ。」僧は言った:「如何に領會せん。」師は言った:「舶主曾て逢わず。」問うた:「どうして末上の一句ですか。」師は言った:「金剛樹の下。」僧は言った:「どうして末後の一句ですか。」師は言った:「拘尸城の邊。」僧は言った:「向上更に事有るか無しや。」師は言った:「有り。」僧は言った:「どうして向上の事ですか。」師は言った:「波旬は掌を拊ちて呵呵と笑い、迦葉は頭を抬げて人を識らず。」

處州仁壽嗣珍禪師

處州仁壽嗣珍禪師

僧問。知師已得禪中旨。當陽一句為誰宣。師曰。土鷄瓦犬。曰。如何領會。師曰。門前不與山童掃。任意松釵滿路岐。上堂。明明無悟。有法即迷。日上無雲。麗天普照。眼中無翳。空本無花。無智人前。不得錯舉。參。

僧が問うた:「師は已に禪中の旨を得たるを知る、當陽の一句は誰が爲に宣べる。」師は言った:「土鷄瓦犬。」僧は言った:「如何に領會せん。」師は言った:「門前は山童に掃かせ與えず、意に任せて松釵路歧に滿ちり。」上堂:「明明として悟無し、法有れば即ち迷う。日の上に雲無く、麗天普く照らす。眼中に翳無く、空本より花無し。智無き人の前、錯りて擧ぐるを得ず。參。」

越州雲門顯欽禪師

越州雲門顯欽禪師

上堂。良久曰。好箇話頭。若到諸方。不得錯舉。便下座。

上堂、久しく過ぎて言った:「好箇の話頭。若し諸方に到れば、錯りて擧ぐるを得ず。」便ち座を下りた。

果州永慶光普禪師

果州永慶光普禪師

初問谷隱。古人道。來日大悲院裡有齋。意旨如何。曰。日出隈陽坐。天寒不舉頭。師入室次。隱曰。適來因緣汝作麼生會。師曰。會則途中受用。不會則世諦流佈。曰。未在更道。師拂袖便出。住後。僧問。如何是佛法大意。師曰。蜀地用鑌鐵。

起初谷隱に問うた:「古人説く、來日大悲院裏に齋有り。意旨は如何。」谷隱は言った:「日出でて隈陽に坐し、天寒くして頭を擧げず。」師は室に入る時、谷隱が言った:「適來の因緣あなた作麼生に會す。」師は言った:「會すれば途中に受用し、會せざれば世諦流布す。」谷隱は言った:「未だ在らず、更に道え。」師は袖を拂りて便ち出づ。住持して以後、僧が問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「蜀地は鑌鐵を用ゆ。」

駙馬都尉李遵勗居士

駙馬都尉李遵勗居士

謁谷隱。問出家事。隱以崔趙公問徑山公案答之。公於言下大悟。作偈曰。學道須是鐵漢。著手心頭便判。直趣無上菩提。一切是非莫管。公一日與堅上座送別。公問。近離上黨。得屆中都。方接麈談。遽回虎錫。指雲犀之翠嶠。訪雪嶺之清流。未審此處彼處。的的事作麼生。座曰。利劒拂開天地靜。霜刀才舉鬥牛寒。公曰。恰直今日耳聵。座曰。一箭落雙鵰。公曰。上座為甚麼著草鞋睡。座以衣袖一拂。公低頭曰。今日可謂降伏也。座曰。普化出僧堂。公臨終時。膈胃躁熱。有尼道堅謂曰。眾生見劫盡。大火所燒時。都尉切宜照管主人公。公曰。大師與我煎一服藥來。堅無語。公曰。這師姑藥也不會煎得。公與慈明問答罷。泊然而終。語見慈明傳中。

谷隱を謁し、出家の事を問う。谷隱は崔趙公が徑山に問うの公案を用いて彼に答う。公は此の句の下に大いに悟り、偈を作して言った:「道を學ぶに須く是れ鐵漢なるべし、手を著けば心頭便ち判ず。直に無上菩提に趣き、一切是非は管する莫れ。」公一天堅上座と別れを道う。公は問うた:「近く上黨を離れて、中都に屆くことを得たり。方に麈談を接し、遽に虎錫を回す。雲犀の翠嶠を指し、雪嶺の淸流を訪う。未だ審かならず此處彼處、的の事は作麼生。」上座は言った:「利劍拂き開きて天地靜か、霜刀纔かに擧げて斗牛寒し。」公は言った:「恰も値いて今日耳聾し。」上座は言った:「一箭雙鵰を落とす。」公は言った:「上座何の故に草鞋を著けて睡る。」上座は衣袖を以て一拂す。公は頭を低くして言った:「今日可なり降伏を謂せん。」上座は言った:「普化僧堂を出づ。」公終わるに臨む時、膈胃燥熱す。尼道堅有りて言った:「衆生劫盡き大火の燒く所を見る時、都尉切に主人公を照管すべし。」公は言った:「大師我が爲に一服の藥を煎じ來れ。」道堅語無し。公は言った:「此の師姑は藥も煎ずるを得ずと會せり。」公は慈明と問答罷みて、泊然として終わる。語は慈明傳中に見ゆ。

英公夏竦居士

英公夏竦居士

字子喬。自契機於谷隱。日與老衲遊。偶上藍溥禪師至。公問。百骸潰散時。那箇是長老自家底。藍曰。前月二十離蘄陽。公休去。藍卻問。百骸潰散時。那箇是相公自家底。公便喝。藍曰。喝則不無。畢竟那箇是相公自家底。公對以偈曰。休認風前第一機。太虗何處著思惟。山僧若要通消息。萬裡無雲月上時。藍曰。也是弄精魂。

字は子喬。自より谷隱に於て機に契りて、日に老衲と交遊す。偶々上藍溥禪師の到るに遇う。公は問うた:「百骸潰散する時、那箇が是れ長老の自家の。」上藍は言った:「前月二十蘄陽を離れたり。」公は休去した。上藍は却って問うた:「百骸潰散する時、那箇が是れ相公の自家の。」公は便ち喝した。上藍は言った:「喝は則ち無しとせず。畢竟那箇が是れ相公の自家の。」公は偈を以て對答して言った:「風前の第一機を認むるを休めよ、太虛何の處か思惟を著けん。山僧若し消息を通ぜんと要せば、萬里雲無く月上る時。」上藍は言った:「也た是れ精魂を弄ぶ。」

廣慧璉禪師法嗣

廣慧璉禪師法嗣

東京華嚴道隆禪師

東京華嚴道隆禪師

初參石門徹和尚。問曰。古者道。但得隨處安閑。自然合他古轍。雖有此語。疑心未歇時如何。門曰。知有乃可隨處安閑。如人在州縣住。或聞或見。千奇百怪。他總將作尋常。不知有而安閑。如人在村落住。有少聲色則驚怪傳說。師於言下有省。門盡授其洞上厥旨。後為廣慧嗣。一日。福嚴承和尚問曰。禪師親見石門。如何卻嗣廣慧。師曰。我見廣慧。渠欲剃髮。使我擎凳子來。慧曰。道者。我有凳子詩聽取。乃曰。放下便平穩。我時便肯伊。因敘在石門處所得。廣慧曰。石門所示。如百味珍羞。祇是飽人不得。師至和初遊京。客景德寺。日縱觀都市。歸常二鼓。一夕不得入。臥於門之下。仁宗皇帝夢至寺門。見龍蟠地。驚覺。中夜遣中使視之。覩師熟睡鼻鼾。撼之驚矍。問名歸奏。帝聞名道隆。乃喜曰。吉徵也。明日召至便殿。問宗旨。師奏對詳允。帝大悅。後以偈句相酬唱。絡繹於道。或入對留宿禁中。禮遇特厚。賜號應制明悟禪師。皇祐間。詔大覺璉禪師於化成殿演法。召師問話。機鋒迅捷。帝大悅。侍衛皆山呼。師即奏疏舉璉自代。禁林待問。秘殿譚禪。乞歸廬山。帝覧表不允。有旨。於曹門外建精舍延師。賜號華嚴禪院。開堂。僧問。如何是道。師曰。高高低低。曰。如何是道中人。師曰。腳瘦草鞋寬。師年八十餘。示寂於盛暑。安坐七日。手足柔和。全身塔於寺之東。

起初石門徹和尚に參す。問うた:「古人説く、但だ隨處安閑を得れば、自然に他の古轍に合す。此の語有りと雖も、疑心未だ歇まざる時はいかに。」石門は言った:「有るを知れば乃ち隨處安閑すべし。人の州縣に住むが如く、或いは聞き或いは見て、千奇百怪も、他は總て尋常と作す。有るを知らずして安閑するは、人の村落に住むが如く、少しく聲色有れば則ち驚き怪しみ傳說す。」師は此の句の下に省有り。石門は盡く彼に洞上の宗旨を授けた。後に廣慧の法嗣と爲る。一天、福嚴承和尚が問うた:「禪師親く石門を見て、如何にか却って廣慧に嗣ぐ。」師は言った:「我廣慧を見るに、他は髮を剃らんと要して、我に凳子を擎げ來れとせしむ。廣慧は言った、道者、我に凳子の詩有りて聽取せ、と。そこで言った、放下すれば便ち平穩なり、と。我は當時便ち彼を肯んぜり。」因りて石門の處に於て得る所を敘述す。廣慧は言った:「石門の示す所は、百味の珍羞の如し、只だ是れ飽く人を得ず。」師は至和初京師を遊び、景德寺に客居して、每日都市を縱觀し、歸りて來れば常に二鼓に至る。一天入ることを得ず、門下に臥す。仁宗皇帝は夢に寺門に到りて、龍の地に蟠るを見て、驚き覺えた。中夜中使を派して看しめれば、師の熟睡して鼻鼾するを見て、彼を撼きて驚き覺まし、名字を問いて回り奏報す。帝は名道隆を聞きて、就ち喜んで言った:「吉徵也。」明日召して便殿に至り、宗旨を問う。師は奏對詳允にして、帝大いに悅びた。後に偈句を以て相酬唱して、道に絡繹たり。或いは入對して禁中に宿留し、禮遇特に厚く、號を賜いて應制明悟禪師と曰す。皇祐年間、詔大覺璉禪師をして化成殿に法を演べしめ、師を召して問話せしむに、機鋒迅捷にして、帝大いに悅び、侍衛皆な山呼す。師は即ち疏を上りて璉を擧げて自ら代えんことを請う。禁林に待問し、祕殿に禪を談じ、廬山に歸らんことを乞う。帝は表を覽りて允さず。旨有りて、曹門外に精舍を建てて師を延請し、號を賜いて華嚴禪院と曰す。開堂。僧が問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「高高低低。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「脚瘦せて草鞋寬し。」師は年八十餘にして盛暑に寂を示し、安坐すること七日、手足柔和にして、全身を寺の東に塔す。

臨江軍慧力慧南禪師

臨江軍慧力慧南禪師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。鐵牛不吃欄邊草。直上須彌頂上眠。曰。恁麼則昔日汝陽親得旨。臨江今日大敷揚。師曰。禮拜了退。問。如何是佛。師曰。頭大尾小。曰。未曉玄言。乞師再指。師曰。眉長三尺二。曰。恁麼則人人皆頂戴。見者盡攢眉。師長噓一聲。僧拍一拍便禮拜。師曰。一任𨁝跳。

僧が問うた:「師は誰家の曲を唱え、宗風は阿誰に嗣ぐ。」師は言った:「鐵牛は欄邊の草を喫せず、直に須彌頂上に上りて眠る。」僧は言った:「そうすれば昔日汝陽に親く旨を得て、臨江今日大いに敷揚す。」師は言った:「礼拜し了りて退け。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「頭大に尾小なり。」僧は言った:「未だ玄言を曉らず、師に再び指さんことを乞う。」師は言った:「眉長さ三尺二。」僧は言った:「そうすれば人人皆な頂戴し、見る者盡く眉を攒む。」師は長く一嘘した。僧は一たび拍ちて便ち礼拜す。師は言った:「跳躍に一任せ。」

汝州廣慧德宣禪師

汝州廣慧德宣禪師

僧問。祖祖相傳傳祖印。師今得法嗣何人。師曰。仲氏吹塤。伯氏吹篪。曰。恁麼則廣慧的子。首山親孫也。師曰。椽塠裡坐地。不打闍黎。

僧が問うた:「祖祖相傳えて祖印を傳う、師今法を得て何人に嗣ぐ。」師は言った:「仲氏は壎を吹き、伯氏は篪を吹く。」僧は言った:「そうすれば廣慧の子、首山の親孫也。」師は言った:「椽堆裏に坐地せば、闍黎を打たず。」

文公楊億居士

文公楊億居士

字大年。幼舉神嬰。及壯負才名而未知有佛。一日過同僚。見讀金剛經。笑且罪之。彼讀自若。公疑之曰。是豈出孔孟之右乎。何侫甚。因閱數板。懵然始少敬信。後會翰林李公維。勉令發問。及由秘書監出守汝州。首謁廣慧。慧接見。公便問。布鼓當軒擊。誰是知音者。慧曰。來風深辯。公曰。恁麼則禪客相逢祇彈指也。慧曰。君子可八。公應喏喏。慧曰。草賊大敗。夜語次。慧曰。秘監曾與甚人道話來。公曰。某曾問雲巖諒監寺。兩箇大蟲相齩時如何。諒曰。一合相。某曰。我祇管看。未審恁麼道還得麼。慧曰。這裡即不然。公曰。請和尚別一轉語。慧以手作拽鼻勢。曰。這畜生更𨁝跳在。公於言下脫然無疑。有偈曰。八角磨盤空裡走。金毛獅子變作狗。擬欲將身北斗藏。應須合掌南辰後。復杼其師承密證。寄李翰林曰。病夫夙以頑憃。獲受獎顧。預聞南宗之旨。久陪上國之遊。動靜諮詢。周旋策發。俾其刳心之有詣。墻面之無慙者。誠出於席間床下矣。矧又故安公大師每垂誘導。自雙林滅影。隻履西歸。中心浩然。罔知所止。仍歲沉痾。神慮迷恍。殆及小間。再辯方位。又得雲門諒公大士見顧蓬蒿。諒之旨趣。正與安公同轍。竝自廬山雲居歸宗而來。皆是法眼之流裔。去年假守茲郡。適會廣慧禪伯。實承嗣南院念。念嗣風穴。穴嗣先南院。南院嗣興化。興化嗣臨濟。臨濟嗣黃檗。黃檗嗣百丈。丈嗣馬祖。祖出讓和尚。讓即曹溪之長嫡也。齋中務簡。退食之暇。或坐邀而至。或命駕從之。請扣無方。蒙滯頓釋。半歲之後。曠然弗疑。如忘忽記。如睡忽覺。平昔礙膺之物。嚗然自落。積劫未明之事。廓爾現前。固亦決擇之洞分。應接之無蹇矣。重念先德。率多參尋。如雪峰九上洞山。三到投子。遂嗣德山。臨濟得法於大愚。終承黃檗。雲巖多蒙道吾訓誘。乃為藥山之子。丹霞親承馬祖印可。

字は大年。幼年神童を擧ぐ。壯に及びて才名を負うも、却って未だ佛有るを知らず。一天同僚の處を過ぎて、其の《金剛經》を讀むを見て、笑い且つ彼を罪責す。其の人は讀むこと自若なり。公疑心に言った:「此れ豈に孔孟の上に在らん乎。何の佞か甚し。」因りて數板を閱し了りて、懵然として、纔かに稍々敬信す。後に翰林李公維と會し、彼を勉勵して發問せしむ。及び秘書監より出でて汝州を守るに、先ず廣慧を謁す。廣慧接見す、公便ち問うた:「布鼓軒に當たりて擊つ、誰か是れ知音の者。」廣慧は言った:「來風深く辯す。」公は言った:「そうすれば禪客相遭えば只だ彈指する也。」廣慧は言った:「君子八を可とす。」公は喏喏と應えた。廣慧は言った:「草賊大敗。」夜談話する時、廣慧が言った:「祕監曾て甚の人と話を道い來る。」公は言った:「某曾て雲岩諒監寺に問う、兩箇の大虫相咬む時は如何、と。諒は言った、一合相、と。某は言った、我只だ管に看る。未だ審かならず此の如く道いて還た得るか。」廣慧は言った:「此の裏即ち然らず。」公は言った:「和尚に別の一轉語を請う。」廣慧は手を用いて鼻を拽ぐ勢を作して、言った:「此の畜生更に跳躍在り。」公は此の句の下に脫然として疑無し。偈有りて言った:「八角の磨盤空裏を走り、金毛の獅子狗と變作す。擬して身を北斗に藏めんと欲せば、應に須く合掌南辰の後。」又た其の師承密證を杼して、李翰林に寄せて言った:「病夫夙に頑憨を以て、獎顧を受くることを獲たり。南宗の旨に預聞し、久しく上國の遊に陪す。動靜に諮詢し、周旋に策發せり。其をして刳心の詣有り、牆面の慙無からしめたる者、誠に席間床下より出づ。況んや又た故安公大師は每に誘導を垂れたり。雙林滅影、隻履西歸より、中心浩然として、止まる所を罔知せり。仍歲沉疴にして、神慮迷恍たり。殆ど稍間に及びて、再び方位を辨す。又た雲門諒公大士の蓬蒿を顧るを得たり。諒の旨趣は、正に安公と轍を同じくし、幷びに廬山雲居、歸宗より來りて、皆な是れ法眼の流裔なり。去年守を假りて此の郡に、適會廣慧禪伯、實に南院念に承嗣す。念は風穴に嗣ぎ、穴は先南院に嗣ぎ、南院は興化に嗣ぎ、興化は臨濟に嗣ぎ、臨濟は黃檗に嗣ぎ、黃檗は百丈に嗣ぎ、百丈は馬祖に嗣ぎ、祖は讓和尚を出だし、讓は即ち曹溪の長嫡なり。齋中務簡にして、退食の暇、或いは坐して邀えて至り、或いは駕を命じて之に從う。請扣方無く、蒙滯頓に釋けり。半歲の後、曠然として疑弗き。忘れて忽ち記えるが如く、睡りて忽ち覺ゆるが如し。平昔膺を礙ぐるの物、爆然として自ら落つ。劫を積みて未だ明らかならざるの事、廓爾として現前す。固より亦た決擇の洞分、應接の蹇無き了れり。重ねて先德を念えば、率ねて多く參尋す。雪峰九たび洞山に上り、三たび投子に到りて、遂に德山に嗣ぐ如し。臨濟は大愚に法を得て、終に黃檗を承く。雲岩多く道吾の訓誘を蒙りて、乃ち藥山の子と爲る。丹霞は親く馬祖の印可を承け、

而終作石頭之裔。在古多有。於理無嫌。病夫今繼紹之緣。實屬於廣慧。而提激之自。良出於鼇峰也。欣幸。欣幸。公問廣慧曰。承和尚有言。一切罪業。皆因財寶所生。勸人疎於財利。況南閻浮提眾生。以財為命。邦國以財聚人。教中有財法二施。何得勸人疎財乎。慧曰。幡竿尖上鐵龍頭。公曰。海壇馬子似驢大。慧曰。楚鷄不是丹山鳳。公曰。佛滅二千歲。比丘少慚愧。公置一百問。請廣慧答。慧一一答回。公問李都尉曰。釋迦六年苦行。成得甚麼事。尉曰。擔折知柴重。公因微恙。問環大師曰。某今日忽違和。大師慈悲。如何醫療。環曰。丁香湯一盌。公便作吐勢。環曰。恩愛成煩惱。環為煎藥次。公呌曰。有賊。環下藥於公前。叉手側立。公瞠目眎之曰。少叢林漢。環拂袖而出。又一日。問曰。某四大將欲離散。大師如何相救。環乃槌𮌎三下。公曰。賴遇作家。環曰。幾年學佛法。俗氣猶未除。公曰。禍不單行。環作噓噓聲。公書偈遺李都尉曰。漚生與漚滅。二法本來齊。欲識真歸處。趙州東院西。尉見遂曰。泰山廟裡賣紙錢。尉即至。公已逝矣。

(楊億が続けて言った:)「而も終に石頭の裔を作す。古に於て多く有り、理に於て嫌無し。病夫今の繼紹の緣、實に廣慧に屬す。而して提激の自る所は、良に鰲峰より出づ。欣幸、欣幸。」公は廣慧に問うた:「和尚に言有るを承る、一切の罪業、皆な財寶の生ずる所に因りて、人を勸めて財利に疏かれんことを、と。況んや南閻浮提の衆生、財を以て命と爲す。邦國は財を以て人を聚む。教中に財法二施有り。何を得て人を勸めて財を疏めん乎。」廣慧は言った:「幡竿尖上の鐵龍頭。」公は言った:「海壇馬子は驢の如く大なり。」廣慧は言った:「楚鷄は是れ丹山の鳳に非ず。」公は言った:「佛滅二千歲、比丘慚愧少なし。」公は一百問を置きて、廣慧に答えんことを請い、廣慧一一に答え回す。公は李都尉に問うた:「釋迦六年苦行して、何の事を成得せる。」都尉は言った:「担折れて柴の重きを知る。」公は微恙を因りて、環大師に問うた:「某今日忽ち違和す。大師慈悲、如何に醫療せん。」環は言った:「丁香湯一椀。」公は便ち吐く勢を作す。環は言った:「恩愛煩惱を成す。」環は彼が爲に藥を煎ずる時、公は叫んで言った:「賊有り。」環は藥を把りて放下して公の前に、手を叉して側立す。公は目を瞠りて彼を看て言った:「叢林の漢少なし。」環は袖を拂りて出でて去った。又た一天、問うた:「某四大將に離散せんと欲す。大師如何にか相救せん。」環は就ち胸を三槌す。公は言った:「作家に遇えるに賴る。」環は言った:「幾年佛法を學びて、俗氣猶お未だ除かず。」公は言った:「禍單行せず。」環は嘘嘘の聲を作す。公は偈を寫して李都尉に留めて言った:「漚生と漚滅と、二法本來齊し。眞の歸處を識らんと欲せば、趙州東院の西。」都尉は見て就ち言った:「泰山廟裏に紙錢を賣る。」都尉は即ち到る、公已に逝去せり。

南嶽下十一世

南嶽下十一世

石霜圓禪師法嗣

石霜圓禪師法嗣

洪州翠巖可真禪師

洪州翠岩可真禪師

福州人也。嘗參慈明。因之金鑾同善侍者坐夏。善乃慈明高第。道吾真.楊岐會皆推伏之。師自負親見慈明。天下無可意者。善與語。知其未徹。笑之。一日山行。舉論鋒發。善拈一片瓦礫。置盤石上。曰。若向這裡下得一轉語。許你親見慈明。師左右視。擬對之。善叱曰。竚思停機。情識未透。何曾夢見。師自愧悚。即還石霜。慈明見來。叱曰。本色行腳人。必知時節。有甚急事。夏未了早已至此。師泣曰。被善兄毒心。終礙塞人。故來見和尚。明遽問。如何是佛法大意。師曰。無雲生嶺上。有月落波心。明嗔目喝曰。頭白齒豁。猶作這箇見解。如何脫離生死。師悚然。求指示。明曰。汝問我。師理前語問之。明震聲曰。無雲生嶺上。有月落波心。師於言下大悟。師爽氣逸出。機辯迅捷。叢林憚之。住翠巖日。僧問。如何是佛。師曰。同坑無異土。問。如何是祖師西來意。師曰。深耕淺種。問。如何是學人轉身處。師曰。一堵墻。百堵調。曰。如何是學人著力處。師曰。千日斫柴一日燒。曰。如何是學人親切處。師曰。渾家送上渡頭船。問。利人一句。請師垂示。師曰。三腳蝦蟇飛上天。曰。前村深雪裡。昨夜一枝開。師曰。饑逢王膳不能餐。問。如何是道。師曰。出門便見。曰。如何是道中人。師曰。擔枷過狀。上堂。先德道。此事如𪹼龜文。𪹼即成兆。不𪹼成鈍。𪹼與不𪹼。直下便揑。上藍即不然。無固無必。虗空走馬。旱地行船。南山起雲。北山下雨。遂拈拄杖曰。拄杖子變作天大將軍。巡歷四天下。有守節不守節。有戒行無戒行。一時奏與天帝釋。乃喝一喝曰。丈夫自有沖天志。莫向如來行處行。卓一下上堂。舉龍牙頌曰。學道如鑽火。逢煙未可休。直待金星現。歸家始到頭。神鼎曰。學道如鑽火。逢煙即便休。莫待金星現。燒腳又燒頭。師曰。若論頓也。龍牙正在半途。若論漸也。

福州の人。曾て慈明に參す。因りて金鑾に到りて善待者と夏を坐す。善は是れ慈明の高第、道吾真、楊岐會皆な彼に推伏す。師は自ら負む親く慈明を見たり、天下に意に可なる無しと。善は彼と話して、其の未だ徹せざるを知りて、彼を笑う。一天山行して、擧論鋒發す。善は一片の瓦礫を拈じて、盤石の上に放きて、言った:「若し此の裏に向かって一轉語を下すことを得れば、あなたに許して親く慈明を見たりせん。」師は左右を看り、正に對せんとす。善は叱りて言った:「佇思機を停む、情識未だ透らず、何ぞ曾て夢見ん。」師は自ら愧悚して、即ち石霜に還った。慈明は其の來るを見て、叱りて言った:「本色の行脚人は、必ず時節を知る。甚の急事有りて、夏未だ了らざるに早く已に此に至る。」師は泣きて言った:「善兄の毒心に被りて、終に人を礙塞す、故に來りて和尚を見る。」慈明は遽に問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「雲無く嶺上に生じ、月有りて波心に落つ。」慈明は目を嗔りて喝して言った:「頭白く齒豁けて、猶お此箇の見解を作す、如何にか生死を脫離せん。」師は悚然として、指示を求めた。慈明は言った:「あなた我に問え。」師は前面の話を再び一遍問うた。慈明は聲を震わして言った:「雲無く嶺上に生じ、月有りて波心に落つ。」師は此の句の下に大いに悟れり。師は爽氣逸出して、機辯迅捷にして、叢林之を憚る。翠岩に住する日、僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「同坑に異土無し。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「深耕淺種。」問うた:「どうして學人の轉身する處ですか。」師は言った:「一堵の墻、百堵調う。」僧は言った:「どうして學人の力を著ける處ですか。」師は言った:「千日柴を斫りて一日燒く。」僧は言った:「どうして學人の親切なる處ですか。」師は言った:「渾家渡頭の船を送り上ぐ。」問うた:「人を利するの一句、師に垂示せんことを請う。」師は言った:「三脚の蝦蟆天に飛び上る。」僧は言った:「前村深雪の裏、昨夜一枝開く。」師は言った:「飢えて王膳に逢うも餐る能わず。」問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「門を出でれば便ち見る。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「枷を担ぎ狀を過す。」上堂:「先德説く、此の事は龜文を鑽るが如し、鑽れば即ち兆を成し、鑽らざれば鈍を成す。鑽ると鑽らざると、直下に便ち捏ねよ。上藍は即ち然らず。固無く必無し。虛空に馬を走らせ、旱地に船を行かしむ。南山雲を起こし、北山雨を下す。」そこで拄杖を拈じて言った:「拄杖子は天大將軍と變作して、四天下を巡歷す。節を守ると節を守らざると有り、戒行有りて戒行無し有り、一時に天帝釋に奏す。」そこで一喝して、言った:「丈夫自ら天に衝るの志有り、如來の行く處に向かって行くな。」一卓す。上堂、龍牙の頌を擧げて言った:「道を學ぶは火を鑽るが如し、煙に逢えば未だ休む可からず。直に金星の現ずるを待ちて、家に歸りて始めて頭に到る。」神鼎は説いた:「道を學ぶは火を鑽るが如し、煙に逢えば即便ち休め。金星の現ずるを待つ莫れ、脚を燒き又た頭を燒かん。」師は言った:「若し頓を論ずれば、龍牙正に半途に在り。若し漸を論ずれば、」

神鼎猶少悟在。於此復且如何。諸仁者。今年多落葉。幾處掃歸家。上堂。臨陣抗敵。不懼生死者。將軍之勇也。入山不懼虎兕者。獵人之勇也。入水不懼蛟龍者。漁人之勇也。作麼生是衲僧之勇。拈拄杖曰。這箇是拄杖子。拈得.把得.動得。三千大千世界。一時搖動。若拈不得。把不得。動不得。文殊自文殊。解脫自解脫。參。上堂。舉。僧問巴陵。如何是道。陵曰。明眼人落井。又問寶應。如何是道。應曰。五鳳樓前。又問首山。如何是道。山曰。腳下深三尺。此三轉語。一句壁立千仞。一句陸地行船。一句賓主交參。諸人莫有揀得者麼。出來道看。如無。且行羅漢慈。破結賊故。行菩薩慈。安眾生故。行如來慈。得如相故。問。如何是佛法大意。師曰。五通賢聖。曰。學人不會。師曰。舌至梵天。師將入滅。示疾甚勞苦。席藁於地。轉側不少休。喆侍者垂泣曰。平生訶佛罵祖。今何為乃爾。師熟視。訶曰。汝亦作此見解邪。即起趺坐。呼侍者燒香。煙起遂示寂。

(師は続けて言った:)「神鼎は猶お悟り少なき在り。此に於て復た且く如何。諸の仁者、今年落葉多く、幾處か掃きて家に歸る。」上堂:「陣に臨み敵に抗して、生死を懼れざる者は、將軍の勇なり。山に入りて虎兕を懼れざる者は、獵人の勇なり。水に入りて蛟龍を懼れざる者は、漁人の勇なり。作麼生が是れ衲僧の勇。」拄杖を拈じて言った:「此箇は是れ拄杖子。拈じ得、把り得、動かし得れば、三千大千世界、一時に搖動す。若し拈ずるを得ず、把るを得ず、動かすを得ざれば、文殊自ら文殊、解脱自ら解脱。參。」上堂、擧げて言った:「僧が巴陵に問う、どうして道、と。巴陵は言った、明眼の人井に落つ。又た寶應に問う、どうして道。寶應は言った、五鳳樓の前。又た首山に問う、どうして道。首山は言った、脚下深さ三尺。」「此の三轉語は、一句は壁立千仞、一句は陸地行船、一句は賓主交參。諸人莫れ揀得する有るか。出で來りて道え看よ。如なければ、且く羅漢の慈を行ず、結賊を破るが故。菩薩の慈を行ず、衆生を安んずるが故。如來の慈を行ず、如相を得るが故。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「五通賢聖。」僧は言った:「學人會せず。」師は言った:「舌梵天に至る。」師は將に滅に入らんとして、疾を示すこと甚だ勞苦にして、藁を地に席きて、轉側少しも休まず。喆侍者垂泣して言った:「平生佛を訶り祖を罵りしに、今何を爲して乃ち爾なる。」師は熟視して、訶りて言った:「あなたも此の見解を作す邪。」即ち起きて趺坐し、侍者を呼びて香を燒かしめ、煙起これば就ち寂を示した。

蔣山贊元覺海禪師

蔣山贊元覺海禪師

婺州義烏人。姓傅氏。乃大士之裔也。夙修種智。隨願示生。父母感祥。閭裡稱異。三歲出家。七歲為僧。十五遊方。遠造石霜。陞於丈室。慈明一見曰。好好著槽廠。師遂作驢鳴。明曰。真法器耳。俾為侍者。二十年中。運水搬柴。不憚寒暑。悉己躬親。求道後出世蘇臺.天峰.龍華.白雲。府帥請居誌公道場。提綱宗要。機鋒迅敏。解行相應。諸方推服。丞相王公安石重師德望。特奏章服師號。公又堅辭鼎席。結廬定林山中。與師蕭散林下。清談終日。贈師頌曰。不與物違真道廣。每尋緣起自禪深。舌根已淨誰能壞。足跡如空我得尋。此亦明世希有事也。僧問。如何是和尚家風。師曰。東壁打西壁。曰。客來如何祇待。師曰。山上樵。井中水。問。如何是諸佛出身處。師曰。驢胎馬腹。問。魯祖面壁。意旨如何。師曰。住持事繁。問。如何是大善知識。師曰。屠牛剝羊。曰。為甚麼如此。師曰。業在其中。上堂。這箇若是。如虎戴角。這箇若不是。喚作甚麼。良久曰。餧驢餧馬。珍重。元祐元年。師乃遷化。丞相王公慟哭於塔。讚師真曰。賢哉人也。行厲而容寂。知言而能默。譽榮弗喜。辱毀弗戚。弗矜弗克。人自稱德。有緇有白。來自南北。弗順弗逆。弗抗弗抑。弗觀汝華。唯食己實。孰其嗣之。我有遺則。

婺州義烏の人、姓は傅、乃ち傅大士の裔なり。夙に種智を修し、願に隨いて生を示す。父母祥を感じ、閭里異と稱す。三歳に出家し、七歳に僧と爲り、十五に方を遊び、遠く石霜に造り、丈室に升る。慈明一見して言った:「好く槽廠に著けよ。」師は是に於て驢鳴を作す。慈明は言った:「真の法器耳。」彼をして侍者と爲さしむ。二十年中、水を運び柴を搬びて、寒暑を憚からず、悉く己が躬に親しむ。道を求めて後出世すること蘇臺、天峰、龍華、白雲。府帥請いて志公道場に居らしむ。宗要を提綱して、機鋒迅敏、解行相應して、諸方推服す。丞相王公安石は師の德望を重んじて、特に章服師號を奏す。公又た堅く鼎席を辭し、定林山中に廬を結び、師と林下に蕭散し、淸談終日す。師に贈る頌:「物に違わざる真の道廣く、每に緣起を尋ねて自ら禪深し。舌根已に淨く誰か能く壞らん、足跡空の如く我得て尋ねん。」此れ亦た世に明らかなる希有の事なり。僧が問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「東壁西壁を打つ。」僧は言った:「客來たれば如何に只待せん。」師は言った:「山上の樵、井中の水。」問うた:「どうして諸佛の身を出だす處ですか。」師は言った:「驢胎馬腹。」問うた:「魯祖面壁、意旨は如何。」師は言った:「住持事繁なり。」問うた:「どうして大善知識ですか。」師は言った:「牛を屠り羊を剥ぐ。」僧は言った:「何の故に此の如し。」師は言った:「業其の中に在り。」上堂:「此箇若し是れなれば、虎の角を戴くが如し。此箇若し是れならざれば、何と喚ぶ。」久しく過ぎて言った:「驢に餵え馬に餵え。珍重。」元祐元年、師は遷化す。丞相王公は塔に於て慟哭して、師の真を贊して言った:「賢なる哉人の。行は厲にして容は寂、言を知りて能く默す。譽榮も喜ばず、辱毀も戚とせず。矜らず克らずして、人自ら德と稱す。緇有り白有りて、南北より來る。順わず逆わず、抗せず抑えず。あなたの華を觀ず、唯だ己の實を食む。孰れか之に嗣ぐ、我に遺則有り。」

瑞州武泉山政禪師

瑞州武泉山政禪師

僧問。如何是佛法大意。師曰。衣成人。水成田。上堂。黃梅席上。海眾千人。付法傳衣。碓坊行者。是則紅日西昇。非則月輪東上。參。

僧が問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「衣は人を成し、水は田を成す。」上堂:「黃梅席上、海衆千人。法を付し衣を傳うるは、碓坊の行者。是なれば紅日西に升り、非なれば月輪東に上る。參。」

南嶽雙峰寺省回禪師

南嶽雙峰寺省回禪師

上堂。南番人汎船。塞北人搖艣。波斯入大唐。須彌山作舞。是甚麼說話。師元豐六年九月十七日淨髮。沐浴辭眾。偈曰。九十二光陰。分明對眾說。遠洞散寒雲。幽牕度殘月。言訖坐逝。茶毗齒頂不壞。上有五色異光。

上堂:「南番の人は船を泛べ、塞北の人は橹を搖る。波斯大唐に入り、須彌山舞を作す。是れ何の説話か。」師は元豐六年九月十七日に髮を淨め、沐浴して衆に辭す。偈に言った:「九十二の光陰、分明に衆に對して説く。遠洞寒雲を散じ、幽窗殘月を度す。」説き了りて坐逝す。荼毗の後齒頂壞れず、上に五色の異光有り。

洪州大寧道寬禪師

洪州大寧道寬禪師

僧問。飲光正見。為甚麼見拈花卻微笑。師曰。忍俊不禁。問。丹霞燒木佛。院主為甚麼眉鬚墮落。師曰。賊不打貧兒家。問。既是一真法界。為甚麼卻有千差萬別。師曰。根深葉茂。僧打圓相曰。還出得這箇也無。師曰。弄巧成拙。問。如何是前三三。後三三。師曰。數九不到九。問。如何是佛法大意。師曰。點茶須是百沸湯。曰。意旨如何。師曰。吃盡莫留滓。有僧造師之室。問。如何是露地白牛。師以火筯插火爐中。曰。會麼。曰。不會。師曰。頭不欠。尾不剩。師在同安日。時有僧問。既是同安。為甚麼卻有病僧化去。師曰。佈施不如還卻債。上堂。少林妙訣。古佛家風。應用隨機。卷舒自在。如拳作掌。開合有時。似水成漚。起滅無定。動靜俱顯。語默全彰。萬用自然。不勞心力。到這裡喚作順水放船。且道逆風舉棹。誰是好手。良久曰。弄潮須是弄潮人。喝一喝曰。珍重。上堂。無念為宗。無住為本。真空為體。妙有為用。所以道。盡大地是真空。徧法界是妙有。且道是甚麼人用得。四時運用。日月長明。法本不遷。道無方所。隨緣自在。逐物昇沈。此土他方。入凡入聖。雖然如是。且道入鄉隨俗一句作麼生道。良久曰。西天梵語。此土唐言。

僧が問うた:「飲光正見、何の故に花を拈ずるを見て却って微笑する。」師は言った:「俊に忍び禁じず。」問うた:「丹霞が木佛を燒く、院主何の故に眉須墮落せる。」師は言った:「賊は貧兒の家を打たず。」問うた:「既に是れ一真法界、何の故に却って千差萬別有る。」師は言った:「根深ければ葉茂し。」僧は圓相を打ちて言った:「還た此箇を出で得るか無しや。」師は言った:「巧を弄して拙を成す。」問うた:「どうして前三三、後三三ですか。」師は言った:「九を數えて九に到らず。」問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「茶を點ずるに須く是れ百沸の湯。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「喫し盡くして滓を留めるな。」僧有りて師の室に造りて、問うた:「どうして露地の白牛ですか。」師は火箸を把りて火爐の中に插して、言った:「會するか。」僧は言った:「會せず。」師は言った:「頭欠けず、尾剩えず。」師は同安に在る日、時に僧問うた:「既に是れ同安、何の故に却って病僧化去する有る。」師は言った:「布施は債を還却するに如かず。」上堂:「少林の妙訣、古佛の家風。應用機に隨い、卷舒自在。拳の如く掌と作し、開合時有り。水の如く漚と成り、起滅定まり無し。動靜俱に顯れ、語默全く彰る。萬用自然、心力を勞せず。此に到りて喚ぶ順水船を放つと作す。且く道え逆風に棹を擧ぐる、誰か是れ好き手。」久しく過ぎて言った:「潮を弄するに須く是れ潮を弄する人。」一喝して、言った:「珍重。」上堂:「無念を宗と爲し、無住を本と爲す。真空を體と爲し、妙有を用と爲す。所以に道う、大地を盡くすは是れ真空、法界に遍しは是れ妙有。且く道え是れ何人の用い得る。四時運用し、日月長明す。法本より遷らず、道方所無し。緣に隨いて自在、物に逐いて升沈す。此土他方、凡に入り聖に入る。然りと雖も是の如しと雖も、且く道え鄕に入りて俗に隨うの一句は作麼生に道う。」久しく過ぎて言った:「西天の梵語、此土の唐言。」

潭州道吾悟真禪師

潭州道吾悟真禪師

上堂。古今日月。依舊山河。若明得去。十方薄伽梵。一路涅槃門。若明不得。謗斯經故。獲罪如是。上堂。師子兒哮吼。龍馬駒𨁝跳。古佛鏡中明。三山孤月皎。遂作舞。下座。上堂。舉。洞山道。五臺山上雲蒸飯。佛殿堦前狗尿天。剎竿頭上煎甚子。三箇猢猻夜簸錢。老僧即不然。三面狸奴腳踏月。兩頭白牯手拏煙。戴冠碧兔立庭栢。脫殻烏龜飛上天。老僧葛藤盡被汝諸人覷破了也。洞山老人。甚是奇特。雖然如是。祇行得三步四步。且不過七跳八跳。且道誵訛在甚麼處。老僧今日不惜眉毛。一時佈施。良久曰。叮嚀損君德。無言真有功。任從滄海變。終不為君通。問。凝然便會時如何。師曰。老鼠尾上帶研槌。問。如何是真如體。師曰。夜叉屈膝眼睛黑。曰。如何是真如用。師曰。金剛杵打鐵山摧。問。如何是常照。師曰。針鋒上須彌。曰。如何是寂照。師曰。眉毛裡海水。曰。如何是本來照。師曰。草鞋裡𨁝跳。僧退。師曰。寂照常照本來照。草鞋底下常𨁝跳。更會針鋒上須彌。眉毛中水常渺渺。問。如何是佛。師曰。洞庭無葢。上堂。山前麥熟。廬陵米價。鎮州蘿蔔。更有一般。良久曰。時挑野菜和根煑。旋斫生柴帶葉燒。上堂。古人道。認著依前還不是。實難會。土宿頷下髭鬚多。波斯眼深鼻孔大。甚奇怪。歘然透過新羅界。問僧。甚處來。曰。堂中來。師曰。聖僧道甚麼。僧近前不審。師曰。東家作驢。西家作馬。曰。過在甚麼處。師曰。萬裡崖州。師不安。僧問。和尚近日尊位如何。師曰。粥飯頭不了事。僧無語。師鳴指一下。上堂。普化明打暗打。布袋橫撒竪撒。石室行者踏碓。因甚忘卻下腳。問。如何是第一玄。師曰。釋尊光射阿難肩。曰。如何是第二玄。師曰。孤輪眾象攢。曰。如何是第三玄。師曰。泣向枯桑淚漣漣。曰。如何是第一要。師曰。最好精麤照。曰。

上堂:「古今の日月、舊の如く山河。若し明らかに得て去れば、十方の薄伽梵、一路の涅槃門。若し明らかに得ざれば、斯の經を謗るが故に、罪を獲ること此の如し。」上堂:「獅子兒哮吼し、龍馬の駒跳躍す。古佛鏡中明らか、三山の孤月皎たり。」そこで舞を作して、座を下りた。上堂、洞山の話を擧げて言った:「五臺山の上雲飯を蒸し、佛殿階前狗天に尿す。刹竿頭上に甚子を煎じ、三箇の猢猻夜錢を簸す。」「老僧は即ち然らず。三面の狸奴脚踏月、兩頭の白牯手煙を拿す。冠を戴く碧兔庭柏に立ち、殼を脫く烏龜天に飛び上る。老僧の葛藤盡くあなたがたに覷破せられたり也。洞山老人、甚だ是れ奇特。然りと雖も是の如しと雖も、只だ三步四步を行じ得て、且つ七跳八跳を過ぎず。且く道え淆訛は何の處に在る。老僧今日眉毛を惜しまず、一時に布施せん。」久しく過ぎて言った:「叮嚀は君の德を損し、無言は真有功なり。滄海の變ずるに任りて從す、終に君の爲に通ぜず。」問うた:「凝然として便ち會する時はいかに。」師は言った:「老鼠尾の上に研槌を帶ぶ。」問うた:「どうして真如の體ですか。」師は言った:「夜叉膝を屈して眼睛黑し。」僧は言った:「どうして真如の用ですか。」師は言った:「金剛杵鐵山を打ちて摧く。」問うた:「どうして常照ですか。」師は言った:「針鋒の上に須彌。」僧は言った:「どうして寂照ですか。」師は言った:「眉毛裏に海水。」僧は言った:「どうして本來照ですか。」師は言った:「草鞋裏に跳躍す。」僧は退いた。師は言った:「寂照常照本來照、草鞋の底下常に跳躍す。更に會す針鋒上の須彌、眉毛中の水常に渺渺。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「洞庭に蓋無し。」上堂:「山前麥熟し、廬陵米價、鎭州蘿蔔。更に一般有り。」久しく過ぎて言った:「時に野菜を挑りて根と和して煮、旋ち生柴を斫りて葉を帶びて燒く。」上堂:「古人説く、認著すれば依前是れに還らず、と。實に會し難し。土宿頷下に髭須多く、波斯は眼深く鼻孔大なり。甚だ奇怪。忽然として新羅界を透過す。」僧に問うた:「甚の處より來る。」僧は言った:「堂中より來る。」師は言った:「聖僧は何を道う。」僧は近づき前りて問訊す。師は言った:「東家は驢と作し、西家は馬と作す。」僧は言った:「過は何の處に在る。」師は言った:「萬里の崖州。」師は不安す。僧が問うた:「和尚近日尊位如何。」師は言った:「粥飯頭事を了せず。」僧は語無し。師は指を一鳴らした。上堂:「普化は明打暗打、布袋は橫撒豎撒。石室行者は碓を踏む、因れ甚だ下脚を忘却する。」問うた:「どうして第一玄ですか。」師は言った:「釋尊光阿難の肩を射る。」僧は言った:「どうして第二玄ですか。」師は言った:「孤輪衆象攒まる。」僧は言った:「どうして第三玄ですか。」師は言った:「枯桑に泣き向かい淚漣漣。」僧は言った:「どうして第一要ですか。」師は言った:「最も好し精粗照。」僧は言った:「

如何是第二要。師曰。閃電乾坤光晃耀。曰。如何是第三要。師曰。路夾青松老。上堂。舉。僧問首山。如何是佛。山曰。新婦騎驢阿家牽。師曰。手提巴鼻腳踏尾。仰面看天聽流水。天明送出路傍邊。夜靜還歸茅屋裡。

(僧が続けて問うた:)「どうして第二要ですか。」師は言った:「閃電乾坤光晃耀す。」僧は言った:「どうして第三要ですか。」師は言った:「路靑松に夾まりて老いたり。」上堂、擧げて言った:「僧が首山に問う、どうして佛、と。首山は言った、新婦驢に騎り阿家牽く。」師は言った:「手は巴鼻を提げ脚は尾を踏み、仰面して天を看て流水を聽く。天明けて路傍邊に送り出だし、夜靜まりて還りて茅屋裏に歸る。」

蔣山保心禪師

蔣山保心禪師

僧問。月未圓時如何。師曰。順數將去。曰。圓後如何。師曰。倒數將來。問。如何是吹毛劒。師曰。黑漆露柱。問。聲色兩字如何透得。師曰。一手吹。一手拍。

僧が問うた:「月未だ圓ならざる時はいかに。」師は言った:「順に數えて將に去らんとす。」僧は言った:「圓なりた後はいかに。」師は言った:「逆に數えて將來れり。」問うた:「どうして吹毛劍ですか。」師は言った:「黑漆の露柱。」問うた:「聲色の兩字は如何にか透得せん。」師は言った:「一手は吹き、一手は拍つ。」

洪州百丈惟政禪師

洪州百丈惟政禪師

上堂。巖頭和尚用三文錢索得箇妻。祇解撈鰕摝蜆。要且不解生男育女。直至如今。門風斷絕。大眾要識奯公妻麼。百丈今日不惜唇吻。與你諸人注破。蓬𩯭荊釵世所稀。布裙猶是嫁時衣。僧問。牛頭未見四祖時。為甚麼百鳥銜花獻。師曰。有錢千里通。曰。見後為甚麼不銜花。師曰。無錢隔壁聾。問。達磨未來時如何。師曰。六六三十六。曰。來後如何。師曰。九九八十一。問。如何是祖師西來意。師曰。木耳樹頭生。問。一切法是佛法。意旨如何。師曰。一重山下一重人。問。上行下斆。未是作家。背楚投吳。方為達士。豈不是和尚語。師曰。是。曰。父財子用也。師曰。汝試用看。僧擬議。師便打。上堂。天台普請。人人知有。南嶽遊山。又作麼生。會則燈籠笑你。不會有眼如盲。

上堂:「岩頭和尚三文の錢を以て箇の妻を索め得たり、只だ蝦を捞り蜆を捞るを解して、要に且く男を生じ女を育つるを解せず。今に至るまで、門風斷絶す。大衆奯公の妻を識らんと要するか。百丈今日唇吻を惜しまず、あなたがた諸人に注破せん。蓬鬢荊釵世の稀なる所、布裙は猶是れ嫁ぐ時の衣。」僧が問うた:「牛頭が未だ四祖を見ざる時、何の故に百鳥花を銜みて獻ぜる。」師は言った:「錢有れば千里通ず。」僧は言った:「見た後は何の故に花を銜まざる。」師は言った:「錢無ければ隔壁聾し。」問うた:「達磨未だ來らざる時はいかに。」師は言った:「六六三十六。」僧は言った:「來た後はいかに。」師は言った:「九九八十一。」問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「木耳は樹頭に生ず。」問うた:「一切の法は是れ佛法、意旨は如何。」師は言った:「一重の山の下に一重の人。」問うた:「上行下效、未だ是れ作家に非ず。楚に背き吴に投じて、方に達士と爲る。豈に是れ和尚の語に非ずや。」師は言った:「是。」僧は言った:「父の財は子の用也。」師は言った:「あなた試しに用い看よ。」僧は擬議すれば、師は便ち打った。上堂:「天臺普請、人人知る有り。南嶽山を遊びて、又た作麼生。會すれば燈籠あなたを笑い、會せざれば眼有りて盲の如し。」

明州香山蘊良禪師

明州香山蘊良禪師

僧問。如何是透法身句。師曰。剎竿頭上舞三臺。曰。如何是接初機句。師曰。上大人。曰。如何是末後句。師曰。雙林樹下。問。如何是學人轉身處。師曰。磨坊裡。上堂。良久。呵呵大笑曰。笑箇甚麼。笑他鴻鵠沖天飛。烏龜水底逐魚兒。三箇老婆六隻嬭。金剛背上爛如泥。阿呵呵。知不知。東村陳大耆。參。

僧が問うた:「どうして法身を透るの句ですか。」師は言った:「刹竿頭上に三臺を舞う。」僧は言った:「どうして初機を接するの句ですか。」師は言った:「上大人。」僧は言った:「どうして末後の句ですか。」師は言った:「雙林樹の下。」問うた:「どうして學人の轉身する處ですか。」師は言った:「磨坊裏。」上堂、久しく過ぎて、呵呵と大いに笑いて言った:「箇の何を笑う。他の鴻鵠天に衝いて飛ぶを笑い、烏龜水底に魚兒を逐う。三箇の老婆は六隻の奶、金剛背上は泥の如く爛れり。阿呵呵。知るか知らざるか。東村の陳大耆。參。」

蘇州南峰惟廣禪師

蘇州南峰惟廣禪師

上堂。一問一答。如鐘含響。似谷應聲。葢為事不獲已。且於建化門中。放一線道。若據衲僧門下。天地懸殊。且道衲僧有甚麼長處。良久曰。盡日覓不得。有時還自來。咄。

上堂:「一問一答、鐘の響を含むが如く、谷の聲に應ずるに似たり。蓋し事獲已ならざるを爲めて、且く建化門中に於て、一線道を放つ。若し衲僧門下に據れば、天地懸殊なり。且く道え衲僧に何の長處か有る。」久しく過ぎて言った:「日を盡くして覓むるも得ず、時有りて還た自ら來る。咄。」

潭州大溈德乾禪師

潭州大潙德乾禪師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。水從山上出。曰。意旨如何。師曰。溪㵎豈能留。乃曰。山花似錦。文殊撞著眼睛。幽鳥綿蠻。觀音塞卻耳際。諸仁者更思量箇甚麼。昨夜三更睡不著。飜身捉得普賢。貶向無生國裡。一覺直至天明。今朝又得與諸人相見說夢。噫。是甚麼說話。卓拄杖。下座。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「水は山上より出づ。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「溪澗豈に留むる能わん。」そこで言った:「山花は錦の如し、文殊は眼睛に撞き著く。幽鳥綿蠻、觀音は耳際を塞却す。諸の仁者更に箇の何を思量する。昨夜三更に睡るを得ず、身を翻して普賢を捉得して、無生の國裏に貶し向う。一覺直に天明に至る。今朝又た諸人と相見えて夢を説くを得たり。噫。是れ何の説話か。」拄杖を卓して、座を下りた。

全州靈山本言禪師

全州靈山本言禪師

僧問。如何是佛。師曰。誰教汝恁麼問。曰。今日起動和尚也。師曰。謝訪及。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「誰があなたに教えて此の如く問わしむ。」僧は言った:「今日和尚を起動せしめたり。」師は言った:「訪及に謝す。」

安吉州廣法院源禪師

安吉州廣法院源禪師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。甎頭瓦片。問。閙中取靜時如何。師曰。冤不可結。問。如何是正法眼。師曰。眉毛下。曰。便與麼會時如何。師曰。瞳兒笑點頭。問。如何是向上事。師曰。日月星辰。曰。如何是向下事。師曰。地獄鑊湯。問。萬裡無雲時如何。師曰。猢猻忍餓。曰。乞師拯濟。師曰。甚麼火色。問。古人拈槌舉拂。意旨如何。師曰。白日無閑人。曰。如何承當。師曰。如風過耳。問。握劒當胸時如何。師曰。老鴉成隊。曰。正是和尚見處。師曰。蛇穿鼻孔。僧拂袖便出。師曰。大眾相逢。問。從上諸聖向甚麼處行履。師曰。十字街頭。曰。與麼則敗缺也。師曰。知你不到這田地。曰。到後如何。師曰。家常茶飯。問。祖意教意。是同是別。師曰。乾薑附子。曰。與麼則不同也。師曰。冰片雪團。上堂。春雨微微。簷頭水滴。聞聲不悟。歸堂面壁。上堂。若論大道。直教杼山無開口處。你諸人試開口看。僧便問。如何是大道。師曰。擔不起。曰。為甚麼擔不起。師曰。大道。上堂。若論此事。切莫道著。道著即頭角生。有僧出曰。頭角生也。師曰。禍事。曰。某甲罪過。師曰。龍頭蛇尾。伏惟珍重。師元豐八年十月十二晚。忽書偈曰。雪𩯭霜髭九九年。半肩毳衲盡諸緣。廓然笑指浮雲散。玉兔流光照大千。擲筆而寂。

僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「磚頭瓦片。」問うた:「鬧中に靜を取る時はいかに。」師は言った:「冤結ぶ可からず。」問うた:「どうして正法眼ですか。」師は言った:「眉毛の下。」僧は言った:「便ち此の如く會する時はいかに。」師は言った:「瞳兒笑いて頭を點ず。」問うた:「どうして向上の事ですか。」師は言った:「日月星辰。」僧は言った:「どうして向下の事ですか。」師は言った:「地獄鑊湯。」問うた:「萬里雲無き時はいかに。」師は言った:「猢猻飢を忍ぶ。」僧は言った:「師に拯濟を乞う。」師は言った:「何の火色か。」問うた:「古人が槌を拈じ拂を擧げし意旨は如何。」師は言った:「白日に閑人無し。」僧は言った:「如何に承當せん。」師は言った:「風の耳を過るが如し。」問うた:「劍を握り胸に當たる時はいかに。」師は言った:「老鴉隊を成す。」僧は言った:「正に是れ和尚の見處。」師は言った:「蛇鼻孔を穿つ。」僧は袖を拂りて便ち出づ。師は言った:「大衆相逢せり。」問うた:「上よりの諸聖は何の處に向かって行履する。」師は言った:「十字街頭。」僧は言った:「そうすれば敗缺也。」師は言った:「あなたの此の田地に到らざるを知れり。」僧は言った:「到りた後はいかに。」師は言った:「家常の茶飯。」問うた:「祖意教意は、是れ同か是れ別か。」師は言った:「乾薑附子。」僧は言った:「そうすれば同じからざる也。」師は言った:「冰片雪團。」上堂:「春雨微微として、檐頭水滴す。聲を聞きて悟らざれば、堂に歸りて壁に面せ。」上堂:「若し大道を論ずれば、直に杼山に教えて口を開く處無からしむ。あなたがた諸人試しに口を開き看よ。」僧は便ち問うた:「どうして大道ですか。」師は言った:「担ぎ起こさず。」僧は言った:「何の故に担ぎ起こさざる。」師は言った:「大道。」上堂:「若し此の事を論ずれば、切に道著するを莫れ。道著すれば即ち頭角生ず。」僧有りて出で來りて言った:「頭角生じたり。」師は言った:「禍事。」僧は言った:「某甲罪過。」師は言った:「龍頭蛇尾。伏して惟れ珍重せん。」師は元豐八年十月十二日の晚、忽然として偈を寫して言った:「雪鬢霜髭九九年、半肩の毳衲諸緣を盡くす。廓然として笑いて浮雲の散ずるを指す、玉兔流光大千を照らす。」筆を擲ちて寂せり。

靈隱德章禪師

靈隱德章禪師

初住大相國寺西經藏院。慶曆八年九月一日。仁宗皇帝詔師於延春閣下齋。宣普照大師問。如何是當機一句。師曰。一言逈出青霄外。萬仞峰前嶮處行。曰。作麼生是嶮處行。師便喝。曰。皇帝面前。何得如此。師曰。也不得放過。明年又宣入內齋。復宣普照問。如何是奪人不奪境。師曰。雷驚細草萌芽發。高山進步莫遲遲。曰。如何是奪境不奪人。師曰。戴角披毛異。來往任縱橫。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。出門天外迥。流光影不真。曰。如何是人境俱不奪。師曰。寒林無宿客。大海聽龍吟。後再宣入化成殿齋。宣守賢問。齋筵大啟。如何報答聖君。師曰。空中求鳥跡。曰。意旨如何。師曰。水內覓魚蹤。師進心珠歌曰。心如意。心如意。任運隨緣不相離。但知莫向外邊求。外邊求。終不是。枉用工夫隱真理。識心珠。光耀日。秘藏深密無形質。拈來掌內眾人驚。二乘精進爭能測。碧眼胡須指出。臨機妙用何曾失。尋常切忌與人看。大地山河動岌岌。師皇祐二年乞歸山林養老。御批杭州靈隱寺住持。賜號明覺。

起初大相國寺西經藏院に住す。慶曆八年九月一日、仁宗皇帝は師を延春閣下に齋せしめ、普照大師を宣して問わしむ:「どうして機に當たるの一句ですか。」師は言った:「一言迥かに靑霄の外に出で、萬仞峰前險處を行く。」普照は言った:「作麼生が是れ險處を行く。」師は便ち喝した。普照は言った:「皇帝面前、何を得て此の如くする。」師は言った:「也た放過するを得ず。」明年又た宣して内齋に入らしめ、再び普照を宣して問わしむ:「どうして人を奪いて境を奪わざるですか。」師は言った:「雷驚き細草萌芽發し、高山步を進む遲遲たる莫れ。」普照は言った:「どうして境を奪いて人を奪わざるですか。」師は言った:「角を戴き毛を披くは異なり、來往縱橫に任す。」普照は言った:「どうして人境兩俱に奪うですか。」師は言った:「門を出でれば天外迥か、流光の影不眞。」普照は言った:「どうして人境俱に奪わざるですか。」師は言った:「寒林に宿客無く、大海龍吟を聽く。」後に再び宣して化成殿の齋に入らしめ、守賢を宣して問わしむ:「齋筵大いに啓く、如何にか聖君に報答せん。」師は言った:「空中に鳥跡を求む。」守賢は言った:「意旨は如何。」師は言った:「水内に魚蹤を覓ゆ。」師は《心珠歌》を進めて言った:「心如意、心如意、運に任り緣に隨いて相離れず。但だ知れ外邊に求むるを莫れ。外邊に求むれば、終に是れならず、枉げて工夫を用いて真理を隱す。心珠を識れば、光耀日なり、祕藏深密にして形質無し。拈じ來れば掌内衆人驚き、二乘精進争い能く測らん。碧眼の鬍鬚指し出だし、機に臨む妙用何ぞ曾て失わん。尋常切に人に看せしむるを忌め、大地山河岌城動く。」師は皇祐二年に山林に歸りて老を養わんことを乞う。御批杭州靈隱寺住持、號を賜う明覺。

琅邪覺禪師法嗣

琅邪覺禪師法嗣

蘇州定慧院超信海印禪師

蘇州定慧院超信海印禪師

僧問。如何是佛法的的大意。師曰。湘源斑竹杖。曰。意旨如何。師曰。枝枝帶淚痕。問。如何是第一句。師曰。那吒忿怒。曰。如何是第二句。師曰。衲僧罔措。曰。如何是第三句。師曰。西天此土。上堂。泥蛇齩石鼈。露柱啾啾呌。須彌打一棒。閻老呵呵笑。參。上堂。若識般若。即被般若縛。若不識般若。亦被般若縛。識與不識。拈放一邊。卻問諸人。如何是般若體。參堂去。上堂。鶯聲闌。蟬聲急。入水烏龜頭不濕。鷺鶿飛入蘆花叢。雪月交輝俱不及。吽。

僧が問うた:「どうして佛法の的の大意ですか。」師は言った:「湘源の斑竹杖。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「枝枝涙痕を帶ぶ。」問うた:「どうして第一句ですか。」師は言った:「那咤忿怒す。」僧は言った:「どうして第二句ですか。」師は言った:「衲僧罔措す。」僧は言った:「どうして第三句ですか。」師は言った:「西天此土。」上堂:「泥蛇は石鼈を咬み、露柱啾啾と叫ぶ。須彌一棒を打てば、閻老呵呵と笑う。參。」上堂:「若し般若を識れば、即ち般若に縛られん。若し般若を識らざれば、亦た般若に縛られん。識ると識らざると、一邊に拈放せ。却って諸人に問う、どうして般若の體。堂に參じ去れ。」上堂:「鶯聲闌れ、蟬聲急なり、水に入る烏龜頭濕れず。鷺鷥蘆花の叢に飛び入りて、雪月交輝すとも俱に及ばず。吽。」

洪州泐潭曉月禪師

洪州泐潭曉月禪師

僧問。修多羅教。如標月指。未審指箇甚麼。師曰。請高著眼。曰。曙色未分人盡望。及乎天曉也尋常。師曰。年衰鬼弄人。

僧が問うた:「修多羅の教は、月を標す指の如し。未だ審かならず箇の何を指す。」師は言った:「高く眼を著けよと請う。」僧は言った:「曙色未だ分かたず人盡く望む、及び乎天曉ければ也た尋常。」師は言った:「年衰えて鬼人を弄ぶ。」

越州姜山方禪師

越州姜山方禪師

僧問。如何是不動尊。師曰。單著布衫穿市過。曰。學人未曉。師曰。騎驢踏破洞庭波。曰。透過三級浪。專聽一聲雷。師曰。伸手不見掌。曰。還許學人進向也無。師曰。踏地告虗空。曰。雷門之下。布鼓難鳴。師曰。八花毬子上。不用繡紅旗。曰。三十年後。此話大行。師便打。問。蓮花未出水時如何。師曰。穿針嫌眼小。曰。出水後如何。師曰。盡日展愁眉。問。如何是一塵入正受。師曰。蛇銜老鼠尾。曰。如何是諸塵三昧起。師曰。鼈齩釣魚竿。曰。恁麼則東西不辯。南北不分去也。師曰。堂前一盌夜明燈。簾外數莖青瘦竹。問。諸佛未出世時如何。師曰。不識酒望子。曰。出世後如何。師曰。釣魚船上贈三椎。問。如何是佛。師曰。留髭表丈夫。問。奔流度刃。疾𦦨過風。未審姜山門下還許藉藉也無。師曰。天寒日短夜更長。曰。錦帳繡鴛鴦。行人難得見。師曰。髑髏裡面氣沖天。僧召和尚。師曰。鷄頭鳳尾。曰。諸方泥裡洗。姜山畫將來。師曰。姜山今日為客。且望闍黎善傳。雖然如是。不得放過。便打。上堂。穿雲不渡水。渡水不穿雲。乾坤把定不把定。虗空放行不放行。橫三竪四。乍離乍合。將長補短。即不問汝諸人。飯是米做一句。要且難道。良久曰。私事不得官酬。上堂。不是道得道不得。諸方盡把為奇特。寒山燒火滿頭灰。笑罵豐幹這老賊。

僧が問うた:「どうして不動尊ですか。」師は言った:「單に布衫を着けて市を過る。」僧は言った:「學人未だ曉らず。」師は言った:「驢に騎りて洞庭の波を踏破す。」僧は言った:「三級の浪を透りて、專ら一聲の雷を聽く。」師は言った:「手を伸べて掌を見ず。」僧は言った:「還た學人に許して向に進むか無しや。」師は言った:「地を踏みて虛空に告ぐ。」僧は言った:「雷門の下、布鼓鳴り難し。」師は言った:「八花毬子の上、紅旗を繡るを用いず。」僧は言った:「三十年後、此の話大行せん。」師は便ち打った。問うた:「蓮花未だ水を出でざる時はいかに。」師は言った:「針を穿して眼の小なるを嫌う。」僧は言った:「水を出でた後はいかに。」師は言った:「日を盡くして愁眉を展る。」問うた:「どうして一塵正受に入るですか。」師は言った:「蛇老鼠の尾を銜む。」僧は言った:「どうして諸塵三昧起きるですか。」師は言った:「鼈釣魚竿を咬む。」僧は言った:「そうすれば東西辯えず、南北分かたず去る也。」師は言った:「堂前の一椀の夜明の燈、簾外の數莖の靑瘦の竹。」問うた:「諸佛未だ世に出でざる時はいかに。」師は言った:「酒望子を識らず。」僧は言った:「世に出でた後はいかに。」師は言った:「釣魚船上に三椎を贈る。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「髭を留めて丈夫を表す。」問うた:「奔流刃を度り、疾焰風を過る。未だ審かならず姜山門下に還た借借を許すか無しや。」師は言った:「天寒く日短く夜更に長し。」僧は言った:「錦帳鴛鴦を繡り、行人難く見るを得ず。」師は言った:「髑髏の裏面氣天に衝く。」僧は和尚を召した。師は言った:「鷄頭鳳尾。」僧は言った:「諸方は泥裏に洗い、姜山は畫き將來せり。」師は言った:「姜山今日客と爲り、且く闍黎の善く傳えんことを望む。然りと雖も是の如しと雖も、放過するを得ず。」便ち打った。上堂:「雲を穿ちて水を渡らず、水を渡りて雲を穿たず。乾坤把定せるか把定せざるか、虛空放行せるか放行せざるか。橫三豎四、乍ち離れ乍ち合す。長を將て短を補するは、即ちあなたがたに問わず。飯は米の做る一句、要に且く道い難し。」久しく過ぎて言った:「私事官酬を得ず。」上堂:「是れ道い得る道い得ざるに非ず、諸方盡く把りて奇特と爲す。寒山火を燒きて滿頭灰、豊干此の老賊を笑罵す。」

福州白鹿山顯端禪師

福州白鹿山顯端禪師

僧問。如何是道。師曰。九州百粵。曰。如何是道中人。師曰。乘肥衣錦。問。如何是大善知識。師曰。持刀按劒。曰。為甚麼如此。師曰。禮防君子。問。如何是異類。師曰。鴉巢生鳳。上堂。摩騰入漢。肉上剜瘡。僧會來吳。眼中添屑。達磨九年面壁。鬼魅之由。二祖立雪求心。飜成不肖。汝等諸人到這裡。如何吐露。若也道得。海上橫行。若道不得。林間獨臥。以拄杖擊禪床一下。問。如何是無相佛。師曰。灘頭石師子。曰。意旨如何。師曰。有心江上住。不怕浪淘沙。問。凝然湛寂時如何。師曰。不是闍黎安身立命處。曰。如何是學人安身立命處。師曰。雲有出山勢。水無投㵎聲。問。如何是教意。師曰。楞伽會上。曰。如何是祖意。師曰。熊耳山前。曰。教意祖意。相去幾何。師曰。寒松連翠竹。秋水對紅蓮。

僧が問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「九州百粵。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「肥に乘り錦を衣る。」問うた:「どうして大善知識ですか。」師は言った:「刀を持し劍を按ず。」僧は言った:「何の故に此の如し。」師は言った:「禮は君子を防ぐ。」問うた:「どうして異類ですか。」師は言った:「鴉巢鳳を生ず。」上堂:「摩騰は漢に入りて、肉の上に瘡を剜く。僧會は吴に來りて、眼中に屑を添う。達磨九年壁に面すは、鬼魅の由。二祖雪に立ちて心を求む、翻って不肖を成す。あなたがた此に到りて、如何にか吐露せん。若し也た道うことを得れば、海上橫行す。若し道うことを得ざれば、林間に獨り臥せん。」拄杖を用いて禪床を一擊す。問うた:「どうして無相の佛ですか。」師は言った:「灘頭の石獅子。」僧は言った:「意旨は如何。」師は言った:「心有りて江上に住せば、浪の沙を淘するを怕れず。」問うた:「凝然湛寂の時はいかに。」師は言った:「是れ闍黎の身を安んじ命を立つる處に非ず。」僧は言った:「どうして學人の身を安んじ命を立つる處ですか。」師は言った:「雲に山を出づるの勢有り、水に澗に投ずるの聲無し。」問うた:「どうして教意ですか。」師は言った:「楞伽會上。」僧は言った:「どうして祖意ですか。」師は言った:「熊耳山の前。」僧は言った:「教意祖意、相去ること幾何。」師は言った:「寒松翠竹に連なり、秋水紅蓮に對す。」

滁州琅邪山智遊禪師

滁州琅邪山智遊禪師

僧問。如何是琅邪境。師曰。松因有限蕭踈老。花為無情取次開。曰。如何是境中人。師曰。髮長僧貌醜。問。如何是和尚為人句。師曰。眼前三尺雪。曰。莫便是也無。師曰。腦後一枝花。

僧が問うた:「どうして琅邪の境ですか。」師は言った:「松は有限を因りて蕭疏に老い、花は無情を爲めて取次に開く。」僧は言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「髮長く僧の貌丑し。」問うた:「どうして和尚の人を爲すの句ですか。」師は言った:「眼前三尺の雪。」僧は言った:「莫れ便ち是れか無しや。」師は言った:「腦後一枝の花。」

泉州涼峰洞淵禪師

泉州凉峰洞淵禪師

僧問。如何是涅槃。師曰。刀斫斧劈。曰。如何是解脫。師曰。衫長袴短。問。諸聖不到處。師還知也無。師曰。老來無力下禪床。問。離四句。絕百非時如何。師曰。柴門草自深。問。狗子還有佛性也無。師曰。松直棘曲。問。如何是佛。師曰。金沙照影。曰。如何是道。師曰。玉女拋梭。曰。佛與道相去幾何。師曰。龜毛長二丈。兔角長八尺。

僧が問うた:「どうして涅槃ですか。」師は言った:「刀斫り斧劈く。」僧は言った:「どうして解脱ですか。」師は言った:「衫長く褲短し。」問うた:「諸聖到らざる處、師還た知るか無しや。」師は言った:「老い來りて力無く禪床を下る。」問うた:「四句を離れ百非を絶する時はいかに。」師は言った:「柴門草自ら深し。」問うた:「狗子還た佛性有るか無しや。」師は言った:「松直く棘曲る。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「金沙影を照らす。」僧は言った:「どうして道ですか。」師は言った:「玉女梭を抛つ。」僧は言った:「佛と道と相去ること幾何。」師は言った:「龜毛長さ二丈、兔角長さ八尺。」

真州真如院方禪師

真州真如院方禪師

參琅邪。唯看栢樹子話。每入室。陳其所見。不容措詞。常被喝出。忽一日大悟。直入方丈曰。我會也。琅邪曰。汝作麼生會。師曰。夜來床薦暖。一覺到天明。琅邪可之。

琅邪に參し、只だ柏樹子の話を看る。每に室に入れば、其の見る所を陳ぶるに、措詞を容れず、常に喝き出ださる。忽然として一天大いに悟りて、直に方丈に入りて言った:「我會し了れり。」琅邪は言った:「あなた作麼生に會す。」師は言った:「夜來床薦暖か、一覺天明に至る。」琅邪之を可とす。

宣州興教院坦禪師

宣州興教院坦禪師

永嘉牛氏子。業打銀。因淬礪瓶器有省。即出家。參琅邪。機語頓契。後依天衣懷禪師。時住興教。擢為第一座。衣受他請。欲聞州乞師繼之。時刁景純學士守宛陵。衣恐刁涉外議。乃於觀音前祝曰。若坦首座道眼明白。堪任住持。願示夢於刁學士。刁夜夢牛在興教法座上。衣凌晨辭州。刁舉所夢。衣大笑。刁問其故。衣曰。坦首座姓牛。又屬牛。刁就座出帖請之。師受請陞座。有雪竇化主省宗出。問。諸佛未出世。人人鼻孔遼天。出世後為甚麼杳無消息。師曰。鷄足峰前風悄然。宗曰。未在更道。師曰。大雪滿長安。宗曰。誰人知此意。令我憶南泉。拂袖歸眾。更不禮拜。師曰。新興教今日失利。便歸方丈。令人請宗至。師曰。適來錯祇對一轉語。人天眾前何不禮拜葢覆卻。宗曰。大丈夫膝下有黃金。爭肯禮拜無眼長老。師曰。我別有語在。宗乃理前語。至未在更道處。師曰。我有三十棒寄你打雪竇。宗乃禮拜。

永嘉牛氏の子。業は銀を打つ。因りて瓶器を淬礪して省有り、即ち出家す。琅邪に參して、機語頓に契す。後に天衣懷禪師に依る。當時興教に住し、擢めて第一座と爲す。天衣は他の請を受けて、聞州に乞うて師を席に繼がしめんと要す。時に刁景純學士は宛陵を守る。天衣は刁が外議に涉るを怕りて、就ち觀音の前に祝して言った:「若し坦首座道眼明白にして、堪えて住持を任ずれば、願わくは刁學士に夢を示さん。」刁夜夢に牛の興教法座上に在るを見る。天衣凌晨州を辭し、刁は夢む所を擧ぐ。天衣大いに笑う。刁故を問う。天衣は言った:「坦首座姓は牛、又た牛に屬す。」刁は就ち座より出でて帖を彼に請う。師は請を受けて座に升る。雪竇化主省宗有りて出でて、問うた:「諸佛未だ世に出でず、人人鼻孔天を遼る。世に出でた後は何の故に杳として消息無し。」師は言った:「鷄足峰前風悄然。」省宗は言った:「未だ在らず、更に道え。」師は言った:「大雪長安に滿つ。」省宗は言った:「誰人か此の意を知る、我をして南泉を憶えしむ。」袖を拂りて衆に歸りて、更に礼拜せず。師は言った:「新興教今日失利せり。」便ち方丈に歸りて、人をして省宗を請い來らしむ。師は言った:「適來錯りて一轉語を只對せしに、人天衆前何ぞ礼拜して蓋覆却せざる。」省宗は言った:「大丈夫膝下に黃金有り、怎んぞ肯んて眼無き長老に礼拜せん。」師は言った:「我別に語在り。」省宗是に於て前語を理して、「未在更道」の處に到る。師は言った:「我三十棒有りてあなたに寄せて雪竇を打たしむ。」省宗是に於て礼拜した。

江州歸宗可宣禪師

江州歸宗可宣禪師

漢州人也。壯為僧。即出峽依琅邪。一語忽投。群疑頓息。琅邪可之。未幾。令分座。淨空居士郭功甫過門問道。與厚。及師領歸宗。時功甫任南昌尉。俄郡守恚師不為禮。捃甚。遂作書寄功甫曰。某世緣尚有六年。奈州主抑逼。當棄餘喘。託生公家。願無見阻。功甫閱書驚喜。且頷之。中夜。其妻夢間見師入其寢。失聲曰。此不是和尚來處。功甫撼而問之。妻詳以告。呼燈取書示之。相笑不已。遂孕。及生。乃名宣老。期年記問如昔。至三歲。白雲端禪師抵其家。始見之。曰。吾姪來也。雲曰。與和尚相別幾年。宣倒指曰。四年矣(蓋與相別一年方死)。雲曰。甚處相別。曰。白蓮莊上。雲曰。以何為驗。曰。爹爹媽媽明日請和尚齋。忽聞推車聲。雲問。門外是甚麼聲。宣以手作推車勢。雲曰。過後如何。曰。平地兩條溝。果六週無疾而逝。

漢州の人。壯年僧と爲りて、即ち峽を出でて琅邪に依る。一語忽ち投じて、群疑頓に息む。琅邪之を可とす。未だ久しからずして、座を分かつを令す。淨空居士郭功甫は門を過りて道を問い、彼と交り厚し。及び師が歸宗を領するに、時に功甫は南昌尉を任ず。俄に郡守怒りて師の爲に禮せざるを構陷すること很甚なり。師は是に於て書を寄せて功甫に言った:「某世緣尚お六年有り、奈ん何州主抑逼せば、其の餘喘息を棄てて、公家に托生せん、願わくは阻むを見る無かれ。」功甫書を閱して驚喜し、幷びに首を頷かす。中夜、其の妻子夢に師の其の寝室に入るを見て、聲を失して言った:「此れ是れ和尚の來る處に非ず。」功甫撼き醒まして彼女に問う。妻子詳細に相告ぐ。燈を呼び書を取りて彼女に看せしむに、相笑いて已まず、是に於て孕有り。及び生まれて、就ち宣老と名づく。一年を滿ちて記問昔の如し。三歲に到りて、白雲端禪師其の家に到りて、一見して就ち言った:「吾が侄來れり。」宣老は言った:「和尚と相別れて幾年。」宣倒れて指して言った:「四年了れり。」(蓋し相別れて一年方に死せり。)白雲は言った:「甚の處に相別れる。」宣は言った:「白蓮莊の上。」白雲は言った:「何を以て驗と爲す。」宣は言った:「爹爹媽媽明日和尚を齋に請う。」忽然として車を推すの聲を聞く。白雲問うた:「門外是れ何の聲か。」宣は手を用いて車を推す勢を作す。白雲は言った:「過りて後は如何。」宣は言った:「平地兩條の溝。」果然六歲を滿ちて疾無くして逝きた。

秀州長水子璿講師

秀州長水子璇講師

郡之嘉興人也。自落髮誦楞嚴不輟。從洪敏法師講至動靜二相。瞭然不生。有省。謂敏曰。敲空擊木(木一作竹)。尚落筌蹄。舉目揚眉。已成擬議。去此二途。方契斯旨。敏拊而證之。然欲探禪源。罔知攸往。聞琅邪道重當世。即趨其席。值上堂次。出問。清淨本然。云何忽生山河大地。琅邪憑陵答曰。清淨本然。云何忽生山河大地。師領悟。禮謝曰。願侍巾瓶。琅邪謂曰。汝宗不振久矣。宜厲志扶持。報佛恩德。勿以殊宗為介也。乃如教。再拜以辭。後住長水。承稟日顧眾曰。道非言象得。禪非擬議知。會意通宗。曾無別致。由是二宗仰之。甞疏楞嚴等經。盛行於世。

本郡嘉興の人。自より髮を落として《楞嚴》を誦して輟めず。洪敏法師の講ずる動靜の二相、了然として生ぜずに從りて、省有り。洪敏に對して言った:「空を敲き木を擊つも、尚お筌蹄に落つ。目を擧げ眉を揚ぐれば、已に擬議を成せり。此の二途を去りて、方に斯の旨に契かん。」洪敏之を撫して證す。然れども禪源を探らんと要するも、往く所を知らず。琅邪の道當世に重きを聞きて、即ち其の席に趨る。正に上堂に値い、出で來りて問うた:「淸淨本然、云何んば忽ち山河大地を生ずる。」琅邪憑陵として答えて言った:「淸淨本然、云何んば忽ち山河大地を生ずる。」師は悟り領して、禮謝して言った:「願わくは巾瓶を侍せん。」琅邪彼に對して言った:「あなたの宗振わざること久し。宜しく志を厲え扶持して、佛の恩德に報いよ、殊宗を以て介と爲すな。」そこで教の如くして、再拜して辭した。後に長水に住す。承禀の日衆を回顧して言った:「道は言象の得るに非ず、禪は擬議の知るに非ず。意を會し宗を通ずれば、曾て別致無し。」此より二宗之を仰ぐ。曾て《楞嚴》等の經に疏して、世に盛行す。

大愚芝禪師法嗣

大愚芝禪師法嗣

南嶽雲峰文悅禪師

南嶽雲峰文悅禪師

南昌徐氏子。初造大愚。聞示眾曰。大家相聚吃莖虀。若喚作一莖虀。入地獄如箭射。便下座。師大駭。夜造方丈。愚問。來何所求。師曰。求心法。愚曰。法輪未轉。食輪先轉。後生趂色力健。何不為眾乞食。我忍飢不暇。何暇為汝說禪乎。師不敢違。未幾。愚移翠巖。師納疏罷。復過翠巖求指示。巖曰。佛法未到爛卻。雪寒宜為眾乞炭。師亦奉命。能事罷復造方丈。巖曰。堂司闕人。今以煩汝。師受之不樂。恨巖不去心地。坐後架。桶箍忽散。自架墮落。師忽然開悟。頓見巖用處。走搭伽棃。上寢堂。巖迎笑曰。維那。且喜太事了畢。師再拜。不及吐一辭而去。服勤八年。後出世翠巖。時首座領眾出迎。問曰。德山宗乘即不問。如何是臨濟大用。師曰。你甚處去來。座擬議。師便掌。座擬對。師喝曰。領眾歸去。自是一眾畏服。僧問。如何是道。師曰。路不拾遺。曰。如何是道中人。師曰。草賊大敗。僧禮拜。師噓一聲。問。萬法歸一。一歸何所。師曰。黃河九曲。曰。如何是第一句。師曰。垂手過膝。曰。如何是第二句。師曰。萬裡崖州。曰。如何是第三句。師曰。糞箕掃帚。問。如何是深山巖崖佛法。師曰。猢猻倒上樹。問。如何是衲衣下事。師曰。皮裡骨。問。不涉廉纖。請師速道。師曰。須彌山。問。如何是清淨法身。師曰。柴場荻草。上堂。語不離窠道。焉能出葢纏。片雲橫谷口。迷卻幾人源。所以道。言無展事。語不投機。承言者喪。滯句者迷。汝等諸人。到這裡憑何話會。良久曰。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。上堂。過去諸佛已滅。未來諸佛未生。正當今日。佛法委在翠巖。放行則隨機利物。把住則瓦解冰消。且道把住好。放行好。良久曰。咄。這野狐精。擊禪床下座。上堂。汝等諸人。與麼上來。大似刺腦入膠盆。與麼下去。也是平地吃交。直饒不來不去。朝打三千。

南昌徐氏の子。起初大愚に到りて、衆に示すを聞く:「大家相聚えて莖齏を喫す。若し一莖齏と喚べば、地獄に入ること箭射るが如し。」便ち座を下りた。師は大いに駭きて、夜方丈に到る。大愚問うた:「來るは何の求む所。」師は言った:「心法を求む。」大愚は言った:「法輪未だ轉ぜず、食輪先に轉ず。後生色力健きに趁りて、何ぞ衆の爲に食を乞わざる。我飢を忍ぶ暇無し、何の暇かあなたが爲に禪を説かん乎。」師は敢えて違わず。未だ久しからずして、大愚翠岩に移る。師は疏を納め罷みて、再び翠岩を過りて指示を求む。翠岩は言った:「佛法未だ爛却するに至らず。雪寒く宜しく衆の爲に炭を乞うべし。」師は亦た命を奉ず。能事罷みて再び方丈に造る。翠岩は言った:「堂司人を缺く、今以てあなたに煩す。」師は受けて樂しまず、翠岩の心地に去らざるを恨む。後架に坐して、桶箍忽然として散じ、架上より墮落す。師は忽然として開悟し、頓に翠岩の用處を見たり。走りて袈裟を搭上し、寢堂に上る。翠岩迎え笑いて言った:「維那、且く大事了畢せるを喜べ。」師は再拜して、一辭を吐くに及ばずして去った。服勤すること八年。後に出世して翠岩に住す。時に首座衆を領いて出で迎えて、問うた:「德山の宗乘は即ち問わず、どうして臨濟の大用ですか。」師は言った:「あなた甚の處に去り來る。」首座擬議すれば、師は便ち掌す。首座擬して對せんとすれば、師は喝して言った:「衆を領いて歸去せ。」此より一衆畏服す。僧が問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「路遺を拾わず。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「草賊大敗。」僧は礼拜した。師は一嘘す。問うた:「萬法一に歸す、一は何の所に歸する。」師は言った:「黃河九曲。」僧は言った:「どうして第一句ですか。」師は言った:「手を垂れて膝を過ぐ。」僧は言った:「どうして第二句ですか。」師は言った:「萬里崖州。」僧は言った:「どうして第三句ですか。」師は言った:「糞箕掃帚。」問うた:「どうして深山岩崖の佛法ですか。」師は言った:「猢猻倒れて樹に上る。」問うた:「どうして衲衣下の事ですか。」師は言った:「皮裏の骨。」問うた:「廉纖に涉らず、師に速やかに道わんことを請う。」師は言った:「須彌山。」問うた:「どうして淸淨法身ですか。」師は言った:「柴場の荻草。」上堂:「語は窠道を離れず、焉んぞ能く蓋纏を出でん。片雲は谷口に橫たう、幾人かの源を迷却す。所以に道う、言は事を展ぶる無く、語は機に投ぜず。言を承くる者は喪い、句に滯る者は迷う。あなたがた此に到りて何に憑りて話會せん。」久しく過ぎて言った:「無間の業を招かざるを得んと欲せば、如來正法の輪を謗るな。」上堂:「過去の諸佛已に滅し、未來の諸佛未だ生ぜず。正に今日に當たりて、佛法翠岩に委ね在り。放行すれば則ち機に隨いて物を利し、把住すれば則ち瓦解冰消す。且く道え把住好むか、放行好むか。」久しく過ぎて言った:「咄。此の野狐精。」禪床を擊ちて座を下りた。上堂:「あなたがた此の如く上來すれば、大いに似たり腦を刺して膠盆に入る。此の如く下去すれば、也た是れ平地に交を喫す。直に饒く來らず去らずとも、朝に三千を打ち、」

暮打八百。上堂。道遠乎哉。觸事而真。聖遠乎哉。體之則神。所以娑婆世界。以音聲為佛事。香積世界。以香飯為佛事。翠巖這裡。祇於出入息內供養承事。過現未來。塵沙諸佛。無一空過者。過現未來。塵沙諸佛。是翠巖侍者。無一不到。如一不到。三十拄杖。諸上座還會麼。將此深心奉塵剎。是則名為報佛恩。上堂。有情之本。依智海以為源。含識之流。總法身而為體。祇為情生智隔。想變體殊。達本情忘。知心體合。諸禪德會麼。古佛與露柱相交。佛殿與燈籠鬬額。若也不會。單重交折。上堂。竿木隨身。逢場作戲。然雖如是。一手不獨拍。眾中莫有作家禪客。本分衲僧。出來共相唱和。有麼。時有僧出。禮拜。師曰。依稀似曲才堪聽。又被風吹別調中。便下座。上堂。天明平旦。萬事成辦。北俱盧洲長粳米飯。下座。上堂。有佛處不得住。無佛處急走過。你等諸人。橫擔拄杖。向甚麼處行腳。良久曰。東勝身洲持缽。西瞿耶尼吃飯。上堂。假使心通無量時。歷劫何曾異今日。且道今日事作麼生。良久曰。烏龜鑽破壁。上堂。見聞覺知無障礙。聲香味觸常三昧。衲僧道。會也。山是山。水是水。飢來吃飯。困來打睡。忽然須彌山𨁝跳入你鼻孔裡。摩竭魚穿你眼睛中。作麼生商量。良久曰。參堂去。上堂。一刀兩段。未稱宗師。就下平高。固非作者。翠巖到這裡。口似匾擔。你等諸人作麼生商量。良久曰。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。上堂。若見諸相非相。即山河大地。竝無過咎。諸上座終日著衣吃飯。未曾齩著一粒米。未曾掛著一縷絲。便能變大地作黃金。攪長河為酥酪。然雖如是。著衣吃飯即不無。衲僧門下汗臭氣也未夢見在。上堂。普賢行。文殊智。補陀巖上清風起。瞎驢趂隊過新羅。吉獠舌頭三千里。上堂。拈起拄杖曰。掌缽盂向香積世界。為甚麼出身無路。挑日月於拄杖頭上。

(師は続けて言った:)「暮に八百を打つ。」上堂:「道遠からん哉、事に觸れて真なり。聖遠からん哉、之を體すれば神なり。所以に娑婆世界は、音聲を以て佛事と爲す。香積世界は、香飯を以て佛事と爲す。翠岩此處に於ては、只だ出入息の内に供養承事して過現未來塵沙の諸佛、一も空しく過ぐる無し。過現未來塵沙の諸佛は、是れ翠岩の侍者、一として到らざる無し。如一として到らざれば、三十拄杖。諸の上座還た會するか。將に此の深心を以て塵刹に奉り、是れ則ち名づけて佛恩に報ずと爲す。」上堂:「有情の本は、智海に依って源と爲す。含識の流は、法身を總めて體と爲す。只だ是れ情生じ智隔ち、想變じ體殊なるが爲。本に達し情を忘じ、心の體合するを知れ。諸の禪德會するか。古佛は露柱と相交り、佛殿は燈籠と額を鬥す。若しも會せざれば、單重交折。」上堂:「竿木身に隨い、場に逢えば戲を作す。然りと雖も是の如しと雖も、一手独り拍たず。衆中に作家の禪客、本分の衲僧の有る莫れや、出で來りて共に相唱和せよ。有るか。」當時僧有りて出で、礼拜した。師は言った:「依稀として曲の纔かに聽くに堪えたるに似たり、又た風に吹かれて別調の中。」便ち座を下りた。上堂:「天明け平旦、萬事成辦す。北俱盧洲長粳米飯。」座を下りた。上堂:「佛有る處は住するを得ず、佛無き處は急ぎ走り過る。あなたがた拄杖を橫たえ担ぎて、何の處に向かって行脚する。」久しく過ぎて言った:「東勝身洲に鉢を持ち、西瞿耶尼に飯を喫す。」上堂:「假使心通ずること無量の時、劫を歷て何ぞ曾て今日に異ならん。且く道え今日の事作麼生。」久しく過ぎて言った:「烏龜壁を鑽破す。」上堂:「見聞覺知障礙無く、聲香味觸常に三昧。衲僧道う、會し了れたり、と。山是れ山、水是れ水、飢來れば飯を喫し、困來れば睡を打つ。忽然として須彌山跳躍してあなたの鼻孔裏に入り、摩竭魚あなたの眼睛中を穿つ、作麼生に商量せん。」久しく過ぎて言った:「堂に參じ去れ。」上堂:「一刀兩段、未だ宗師に稱さず。下に就き高を平ぐ、固より作者に非ず。翠岩此に到りて、口は匾担の似し。あなたがた作麼生に商量せん。」久しく過ぎて言った:「無間の業を招かざるを得んと欲せば、如來正法の輪を謗るな。」上堂:「若し諸相の相に非ざるを見れば、即ち山河大地、竝びに過咎無し。諸の上座終日衣を著け飯を喫し、曾て一粒の米を咬いたらず、曾て一縷の絲を挂けたらず、便能く大地を變じて黃金と作し、長河を攪きて酥酪と爲す。然りと雖も是の如しと雖も、衣を著け飯を喫するは即ち無しとせず、衲僧門下の汗臭氣は未だ夢見ず在り。」上堂:「普賢の行、文殊の智、補陀岩上淸風起こる。瞎驢隊に趁りて新羅を過ぎ、吉獠舌頭三千里。」上堂、拄杖を拈じ起こして言った:「鉢盂を掌にして香積世界に向かう、何の故に身を出づる路無し。日月を拄杖頭上に挑ぎて、」

為甚麼有眼如盲。直得風行草偃。響順聲和。無纖芥可留。猶是交爭底法。作麼生是不交爭底法。卓拄杖下座。上堂。臨濟先鋒。放過一著。德山後令。且在一邊。獨露無私一句作麼生道。良久曰。堪嗟楚下鍾離昧(音抹)。以拂子擊禪床。下座。上堂。教中道。種種取捨。皆是輪回。未出輪回而辯圓覺。彼圓覺性即同流轉。若免輪回。無有是處。你等諸人。到這裡且作麼生辯圓覺。良久曰。荷葉團團團似鏡。菱角尖尖尖似錐。以拂擊禪床。上堂。古人道。山河石壁。不礙眼光。師曰。作麼生是眼。拈拄杖打禪床一下。曰。須彌山百雜碎即不問。你且道娑竭羅龍王年多少。俗士問。如何是佛。師曰。著衣吃飯量家道。曰。恁麼則退身三步。叉手當胷去也。師曰。醉後添杯不如無。小參。舉百丈歲夜示眾曰。你這一隊後生。經律論固是不知。入眾參禪禪又不會。臘月三十日。且作麼生摺合去。師曰。灼然。諸禪德。去聖時遙。人心澹泊。看卻今時叢林。更是不得所在之處。或聚徒三百五百。浩浩地祇以飯食豐濃.寮舍穩便為旺化。中間孜孜為道者無一人。設有十箇五箇。走上走下。半青半黃。會即總道我會。各各自謂握靈蛇之珠。孰肯知非。及乎挨拶鞭逼將來。直是萬中無一。苦哉。苦哉。所謂般若叢林歲歲凋。無明荒草年年長。就中今時後生。才入眾來。便自端然拱手。受他別人供養。到處菜不擇一莖。柴不搬一束。十指不沾水。百事不幹懷。雖則一期快意。爭奈三塗累身。豈不見教中道。寧以熱鐵纏身。不受信心人衣。寧以洋銅灌口。不受信心人食。上座若也是去。直饒變大地作黃金。攪長河為酥酪。供養上座。未為分外。若也未是。至於滴水寸絲。便須披毛戴角。牽犂拽耙。償他始得。不見祖師道。入道不通理。復身還信施。此是決定底事。終不虗也。諸上座。光陰可惜。時不待人。

(師は続けて言った:)「何の故に眼有りて盲の如し。直に風行き草偃し、響順い聲和し、纖芥留む可き無きを得て、猶お是れ交争するの法。作麼生が是れ交争せざるの法。」拄杖を卓して座を下りた。上堂:「臨濟先鋒、一着を放過す。德山後令、且く一邊に在り。独り露れて私無きの一句作麼生に道う。」久しく過ぎて言った:「嗟嗟堪えなり楚下の鐘離昧。」(昧、音は抹。)拂子を用いて禪床を擊ちて、座を下りた。上堂:「教中に道う、種種の取捨、皆な是れ輪回。輪回を出でずして圓覺を辯すれば、彼の圓覺の性即ち流轉に同じ。若し輪回を免れん、是の處有る無し。あなたがた此に到りて且く作麼生に圓覺を辯ぜん。」久しく過ぎて言った:「荷葉團團として團は鏡の如く、菱角尖尖として尖は錐の如し。」拂を用いて禪床を擊つ。上堂:「古人説く、山河石壁、眼光を礙げず、と。」師は言った:「作麼生が是れ眼。」拄杖を拈じて禪床を一打して、言った:「須彌山百雜碎は即ち問わず。あなた且く道え娑竭羅龍王年幾何。」俗士問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「衣を著け飯を喫して家道を量る。」俗士は言った:「そうすれば身を退けて三步、手を叉して胸に當て去る也。」師は言った:「醉いの後盃を添うるは無きに如かず。」小參、百丈が歲夜衆に示すを擧げて言った:「あなた此一隊の後生は、經律論は固より是れ知らず、衆に入り禪を參ずるも禪は又た會せず。臘月三十日、且く作麼生に折合して去らん。」師は言った:「灼然たり。諸の禪德、聖を去る時遙かにして、人心淡泊なり。今時の叢林を看れば、更に是れ所の處在るを得ず。或いは徒を聚むこと三百五百、浩浩地として只だ飲食豐濃、寮舍穩便を以て旺化と爲す。中間に孜孜として道を爲す者は一人無し。設し十箇五箇有りとも、走上走下、半靑半黃。會すれば即ち總て我會せりと道い、各々自ら靈蛇の珠を握ると謂い、孰か肯んて非を知らん。及び乎挨拶鞭逼し將來すれば、直に是れ萬中に一無し。苦しい哉、苦しい哉。所謂般若の叢林歲歲凋み、無明の荒草年年長ず。就中今時の後生、纔かに衆に入り來れば、便ち自ら端然として手を拱して、他の別人の供養を受く。處處に到りて菜は一莖を擇ばず、柴は一束を搬ばず、十指水を沾わず、百事懷に干らず。雖ならば一期の快意、争奈ん三涂の身に累う。豈に見えざらん教中に道う、寧ろ熱鐵を以て身に纏え、信心の人の衣を受くるな。寧ろ洋銅を以て口に灌げ、信心の人の食を受くるな。上座若し也是く去れば、直に饒く大地を變じて黃金と作し、長河を攪きて酥酪と爲し、上座を供養すとも、未だ分外と爲さず。若し也未だ是れならば、滴水寸絲に至りて、便ち須く毛を披き角を戴き、犁を牽き耙を拽きて、他に償いて才だ得るべし。祖師の説くを見ずや、道に入りて理に通ぜざれば、身を復して信施に還す、と。此れ是れ決定の事、終に虛ならざる也。諸の上座、光陰惜しむ可し、時人を待たず、」

莫待一朝眼光落地。緇田無一簣之功。鐵圍陷百刑之痛。莫言不道。珍重。

(師は続けて言った:)「一朝眼光地に落つるを待つ莫れ。緇田に一簣の功無く、鐵圍百刑の痛に陷らん。言うこと勿れ道わざると。珍重。」

蘇州瑞光月禪師

蘇州瑞光月禪師

僧問。俱胝一指。意旨如何。師曰。月落三更穿市過。

僧が問うた:「俱胝一指、意旨は如何。」師は言った:「月落ちて三更市を穿ちて過る。」

瑞州洞山子圓禪師

瑞州洞山子圓禪師

上堂。有僧出拋下坐具。師曰。一釣便上。僧提起坐具。師曰。弄巧成拙。僧曰。自古無生曲。須是遇知音。師曰。波斯入唐土。僧大笑歸眾。

上堂、僧有りて出でて坐具を抛下す。師は言った:「一釣便ち上る。」僧は坐具を提起した。師は言った:「巧を弄して拙を成す。」僧は言った:「自より古より無生の曲、須く是れ知音に遇うべし。」師は言った:「波斯唐土に入る。」僧は大いに笑いて衆に歸った。

石霜永禪師法嗣

石霜永禪師法嗣

南嶽福嚴保宗禪師

南嶽福嚴保宗禪師

上堂。世尊周行七步。舉足全乖。目顧四方。觸途成滯。金襴授去。殃及兒孫。玉偈傳來。掛人唇吻。風幡悟性。未離色塵。缽水投針。全成管見。祖師九年面壁。不見纖毫。盧公六代傳衣。圖他小利。江西一喝。不解慎初。德嶠全施。未知護末。南山鼈鼻。謾指蹤由。北院枯松。徒彰風彩。雲門顧鑒。落二落三。臨濟全提。錯七錯八。若說君臣五位。直如紙馬過江。更推賓主交參。恰似泥人澡洗。獨超象外。且非捉兔走鷹。混跡塵中。未是齩豬之狗。何異趒坑墮壍。正是避溺投罝。如斯之解。正在常途。出格道人。如何話會。豈不見陶潛俗子尚自覩事見機。而今祖室子孫。不可皮下無血。喝一喝。

上堂:「世尊七步を周行すれば、足を擧ぐこと全く乖れ。四方を目顧すれば、途に觸れて滯を成す。金襴授け去れば、殃兒孫に及ぶ。玉偈傳え來れば、人の唇吻に挂かる。風幡性を悟るも、未だ色塵を離れず。鉢水針を投ずるも、全く管見を成す。祖師九年壁に面するも、纖毫を見ず。盧公六代衣を傳うるは、他の小利を圖る。江西一喝は、初を愼むを解せず。德嶠全施は、末を護るを知らず。南山鼈鼻は、蹤由を謾り指す。北院枯松は、徒らに風彩を彰かす。雲門顧鑑は、二に落ち三に落つ。臨濟全提は、七を錯り八を錯る。若し君臣の五位を説かば、直に紙馬の江を渡るが如し。更に賓主交參を推せば、恰似りて泥人の澡洗する。独り象外を超ゆるも、且つ是れ兔を捉え鷹を走らすに非ず。塵中に蹤を混ずるも、未だ是れ豬を咬むの狗に非ず。何ぞ坑に跳び塹に墮つるに異ならん、正に是れ溺を避けて罝に投ず。斯の如くの解は、正に常途に在り。出格の道人、如何にか話會せん。豈に見えざらん陶潛の俗子尚お自ら事を睹て機を見るに、而今祖室の子孫、皮下に血無きを可とせざる也。」一たび喝した。

郢州大陽如漢禪師

郢州大陽如漢禪師

僧問。如何是敲磕底句。師曰。檻外竹搖風。驚起幽人睡。曰。觀音門大啟也。師曰。師子齩人。廼曰。聞聲悟道。失卻觀音眼睛。見色明心。昧了文殊巴鼻。一齣一入。半開半合。泥牛昨夜遊滄海。直至如今不見回。咄。

僧が問うた:「どうして敲磕するの句ですか。」師は言った:「檻外竹風に搖れて、幽人の睡りを驚き起こす。」僧は言った:「觀音門大いに啓く也。」師は言った:「獅子人を咬む。」そこで言った:「聲を聞きて道を悟れば、觀音の眼睛を失却す。色を見て心を明にすれば、文殊の巴鼻を昧す。一出一入、半開半合。泥牛昨夜滄海を遊びて、直に今に至るまで回るを見ず。咄。」

浮山遠禪師法嗣

浮山遠禪師法嗣

東京淨因院道臻淨照禪師

東京淨因院道臻淨照禪師

僧問。如何是佛。師曰。朝裝香。暮換水。問。如何是觀音妙智力。師曰。河南犬吠。河北驢鳴。上堂。拈拄杖曰。楖栗木杖子。善能談佛祖。聾人既得聞。瘂人亦解語。指白石為玉。點黃金為土。便恁麼會去。他家未相許。不相許。莫莽鹵。南街打鼓北街舞。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「朝に香を裝め、暮に水を換う。」問うた:「どうして觀音妙智力ですか。」師は言った:「河南犬吠え、河北驢鳴く。」上堂、拄杖を拈じて言った:「楖栗木の杖子、善く能く佛祖を談ず。聾人既に聞くを得、啞人も亦た語るを解す。白石を指して玉と爲し、黃金を點じて土と爲す。便ち此の如く會して去れば、他家未だ相許さず。相許さざれば、莽鹵する莫れ。南街鼓を打ち北街舞う。」

廬州興化仁嶽禪師

廬州興化仁岳禪師

泉南人也。僧問。如何是佛法大意。師曰。臨濟問黃檗。曰。學人不會。師曰。三回吃棒來。問。如何是和尚家風。師曰。曲彔禪床。曰。客來如何祇待。師曰。拄杖子。問。一大藏教盡是名言。離此名言。如何指示。師曰。癩馬揩枯柳。曰。學人不會。師曰。駱駝好吃鹽。曰。畢竟如何。師曰。鐵鞭指處馬空嘶。

泉南の人。僧が問うた:「どうして佛法の大意ですか。」師は言った:「臨濟黃檗に問う。」僧は言った:「學人會せず。」師は言った:「三回棒を喫し來れり。」問うた:「どうして和尚の家風ですか。」師は言った:「曲錄禪床。」僧は言った:「客來たれば如何に只待せん。」師は言った:「拄杖子。」問うた:「一大藏教盡く是れ名言。此の名言を離れて、如何に指示せん。」師は言った:「癩馬枯柳を揩る。」僧は言った:「學人會せず。」師は言った:「駱駝鹽を喫するを好む。」僧は言った:「畢竟如何。」師は言った:「鐵鞭指す處馬空しく嘶く。」

荊門軍玉泉謂芳禪師

荊門軍玉泉謂芳禪師

僧問。從上諸聖。以何法示人。師拈起拄杖。僧曰。學人不會。師曰。兩手分付。僧擬議。師便打。

僧が問うた:「上よりの諸聖は、何の法を以て人に示す。」師は拄杖を拈じ起こした。僧は言った:「學人會せず。」師は言った:「兩手に分付す。」僧は擬議すれば、師は便ち打った。

宿州定林惠琛禪師

宿州定林惠琛禪師

僧問。如何是道。師曰。祇在目前。僧曰。為甚麼不見。師曰。瞎。

僧が問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「只だ目前に在り。」僧は言った:「何の故に見えざる。」師は言った:「瞎。」

秀州本覺若珠禪師

秀州本覺若珠禪師

僧問。如何是道。師舉起拳。僧曰。學人不會。師曰。拳頭也不識。上堂。說佛說祖。埋沒宗乘。舉古談今。淹留衲子。撥開上路。誰敢當頭。齊立下風。不勞拈出。無星秤子。如何辯得斤兩。若也辯得。須彌祇重半銖。若辯不得。拗折秤衡。向日本國與諸人相見。

僧が問うた:「どうして道ですか。」師は拳を擧げた。僧は言った:「學人會せず。」師は言った:「拳頭も識らず。」上堂:「佛を説き祖を説くは、宗乘を埋没す。古を擧げ今を談ずるは、衲子を淹留す。上の路を撥き開けば、誰か敢えて頭に當たらん。齋して風下に立てば、勞せず拈出せず。星無き秤子、如何にか斤兩を辯得せん。若し也た辯得せば、須彌只だ重さ半銖。若し辯得せざれば、秤衡を拗折して、日本國に向かって諸人と相見えん。」

東京華嚴普孜禪師

東京華嚴普孜禪師

僧問。如何是賓中賓。師曰。客路如天遠。曰。如何是賓中主。師曰。侯門似海深。曰。如何是主中主。師曰。寰中天子勑。曰。如何是主中賓。師曰。塞外將軍令。乃曰。賓中問主。互換機鋒。主中問賓。同生同死。主中辯主。飲氣吞聲。賓中覓賓。白雲萬裡。故句中無意。意在句中。於斯明得。一雙孤鴈撲地高飛。於斯未明。一對鴛鴦池邊獨立。知音禪客。相共證明。影響異流。切須子細。良久曰。若是陶淵明。攢眉便歸去。

僧が問うた:「どうして賓中の賓ですか。」師は言った:「客路天の如く遠し。」僧は言った:「どうして賓中の主ですか。」師は言った:「侯門海に似て深し。」僧は言った:「どうして主中の主ですか。」師は言った:「寰中天子の敕。」僧は言った:「どうして主中の賓ですか。」師は言った:「塞外將軍の令。」そこで言った:「賓中に主に問えば、機鋒を互いに換う。主中に賓に問えば、同じく生じ同じく死す。主中に主を辯ずれば、氣を飮み聲を吞す。賓中に賓を覓むれば、白雲萬里。故に句中に意無く、意句中に在り。斯に於て明らかに得れば、一雙の孤雁地を撲ちて高く飛ぶ。斯に於て未だ明らかならざれば、一對の鴛鴦池邊に独り立つ。知音の禪客、相共に證明せよ。影響の異流、切に須く仔細なるべし。」久しく過ぎて言った:「若し是れ陶淵明ならば、眉を攒めて便ち歸去せん。」

南康軍清隱院惟湜禪師

南康軍淸隱院惟湜禪師

僧問。如何是道。師曰。斜街曲巷。曰。如何是道中人。師曰。百藝百窮。

僧が問うた:「どうして道ですか。」師は言った:「斜街曲巷。」僧は言った:「どうして道中の人ですか。」師は言った:「百藝百窮。」

潭州衡嶽寺奉能禪師

潭州衡岳寺奉能禪師

上堂。宗風才舉。萬裡雲收。法令若行。千峰寒色。須彌頂上。白浪滔天。大海波中。紅塵滿地。應思黃梅昔日。少室當年。不能退己讓人。遂使舂糠答志。斷臂酬心。何似衡嶽這裡。山畬粟米飯。一桶沒鹽羹。苦樂共住。隨高就低。且不是南頭買貴。北頭賣賤。直教文殊稽首。迦葉攢眉。龍樹馬鳴吞聲飲氣。目連鶖子且不能為。為甚如此。諦觀法王法。法王法如是。

上堂:「宗風纔かに擧げれば、萬里雲收まる。法令若し行われれば、千峰寒色す。須彌頂上、白浪滔天。大海波中、紅塵地に滿つ。應に思うべし黃梅昔日、少室當年。己を退け人に讓る能わずして、遂に糠を舂きて志に答え、臂を斷ちて心に酬いしめたり。何ぞ似たらん衡岳此處、山畲粟米飯、一桶塩無き羹。苦しみ樂しみ共に住し、高に隨いて低に就く。且つ是れ南頭に買い貴く、北頭に賣り賤しとせず。直に文殊をして稽首せしめ、迦葉をして眉を攒めしめ、龍樹馬鳴聲を吞み氣を飮み、目連鶖子も且つ爲す能わず。何の故に此の如し。諦かに觀よ法王の法、法王の法是の如し。」

寶應昭禪師法嗣

寶應昭禪師法嗣

滁州琅邪方銳禪師

滁州琅邪方鋭禪師

上堂。造化無生物之心。而物物自成。雨露非潤物之意。而靈苗自榮。所以藥劑不食而病自損。良師不親而心自明。故知妙慧靈光。不從緣得。到這裡方許你進步。琅邪與你別作箇相見。還有麼。若無。不可壓良為賤。

上堂:「造化は竝びに物を生ずるの心無くして、物物自ら成就す。雨露は竝びに物を潤すの意無くして、靈苗自ら榮發す。所以に藥劑は曾て喫せずして病自ら滅し、良師は曾て親しまずして心自ら明なり。故に知る妙慧靈光は、緣より得ず。此に到りて才だあなたに許して步を進めん。琅邪あなたと別に箇の相見を作さん。還た有るか。若し無ければ、良を壓して賤と爲す可からず。」

郢州興陽山希隱禪師

郢州興陽山希隱禪師

僧問。如何是懸崖撒手底句。師曰。明月照幽谷。曰。如何是絕後再蘇底句。師曰。白雲生太虗。曰。恁麼則樵夫出林丘。處處歌春色。師曰。是人道得。上堂。了見不見。見了未了。路上行人。林間宿鳥。月裡塔高十二層。天外星纏五百杪。要會麼。手執夜明符。幾箇知天曉。參。

僧が問うた:「どうして懸崖に手を撒くの句ですか。」師は言った:「明月幽谷を照らす。」言った:「どうして絶後再び甦るの句ですか。」師は言った:「白雲太虛に生ず。」言った:「そうすれば樵夫林丘を出でて、處處春色を歌う。」師は言った:「是れ人道い得る。」上堂:「了に見えて見えず、見えて未だ了せず。路上の行人、林間の宿鳥。月裏塔高さ十二層、天外星五百杪に纏る。會せんと要するか。手に夜明の符を執りて、幾箇か天の曉くるを知る。參。」

石門進禪師法嗣

石門進禪師法嗣

明州瑞巖智才禪師

明州瑞岩智才禪師

僧問。如何是截斷眾流句。師曰。好。曰。如何是隨波逐浪句。師曰。隨。曰。如何是函葢乾坤句。師曰。合。曰。三句蒙師指。如何辯古今。師曰。向後不得錯舉。上堂。天平等故常覆。地平等故常載。日月平等故四時常明。涅槃平等故聖凡不二。人心平等故高低無諍。拈拄杖卓一下。曰。諸禪者。這拄杖子晝夜為諸人說平等法門。還聞麼。若聞去。敢保諸人行腳事畢。若言不聞。亦許諸人頂門眼正。何故。是法平等。無有高下。是名阿耨多羅三藐三菩提。良久。笑曰。向下文長。

僧が問うた:「どうして衆流を截斷する句ですか。」師は言った:「好し。」言った:「どうして波に隨い浪を逐う句ですか。」師は言った:「隨う。」言った:「どうして乾坤を函蓋する句ですか。」師は言った:「合す。」言った:「三句師の指を蒙りて、如何にか古今を辯ぜん。」師は言った:「已後錯りて擧ぐるを得ず。」上堂:「天平等なるが故に常に覆い、地平等なるが故に常に載せ、日月平等なるが故に四時常に明らかにして、涅槃平等なるが故に聖凡二ならず、人心平等なるが故に高低諍無し。」拄杖を拈じて一卓して、言った:「諸の禪者、此の拄杖子は晝夜諸人の爲に平等法門を説く、還た聞くか。若し聞き去れば、敢えて諸人の行脚の事已に畢せんを保す。若し聞こえずと言わば、亦た諸人に許して頂門の眼正しきなり。何の故ぞ。是れ法平等にして、高下有る無し、是れを名づけて阿耨多羅三藐三菩提と爲す。」良く久しくして、笑いて言った:「下に向かう文長し。」

金山頴禪師法嗣

金山穎禪師法嗣

潤州普慈院崇珍禪師

潤州普慈院崇珍禪師

僧問。如何是普慈境。師曰。出門便見鶴林山。曰。如何是境中人。師曰。入門便見珍長老。

僧が問うた:「どうして普慈の境ですか。」師は言った:「門を出でれば便ち鶴林山を見る。」言った:「どうして境中の人ですか。」師は言った:「門に入れば便ち珍長老を見る。」

太平州瑞竹仲和禪師

太平州瑞竹仲和禪師

僧問。得坐披衣人盡委。向上宗乘事若何。師曰。但知冰是水。曰。更有事也無。師曰。休問水成冰。曰。弄潮須是弄潮人。師曰。這僧從浙中來。

僧が問うた:「坐を得て衣を披く人盡く委ねたり、向上宗乘の事若何。」師は言った:「但だ冰は水なるを知れ。」言った:「更に事有るか無しや。」師は言った:「水の冰と成るを問うを休めよ。」言った:「潮を弄するに須く是れ潮を弄する人。」師は言った:「此の僧は浙中より來れり。」

潤州金山懷賢圓通禪師

潤州金山懷賢圓通禪師

僧問。師揚宗旨。得法何人。師拈起拂子。僧曰。鐵甕城頭曾印證。碧溪崖畔祖燈輝。師拂一拂。曰。聽事不真。喚鐘作甕。

僧が問うた:「師は宗旨を揚げ、法を得て何人。」師は拂子を拈じ起こした。僧は言った:「鐵甕城頭曾て印證し、碧溪崖畔祖燈輝く。」師は拂を一拂して、言った:「事を聽くこと眞ならず、鐘を喚びて甕と作す。」

越州石佛寺顯忠祖印禪師

越州石佛寺顯忠祖印禪師

僧問。如何是不動尊。師曰。熱鏊上猢猻。曰。如何是千百億化身。師曰。添香換水。點燈掃地。曰。如何是毗盧師法身主。師曰。繫馬柱。曰。有甚麼交涉。師曰。縛殺這漢。問。會殺佛祖底始是作家。如何是殺佛祖底劒。師曰。不斬死漢。曰。如何是和尚劒。師曰。令不重行。問。如何是相生。師曰。山河大地。曰。如何是想生。師曰。兔子望月。曰。如何是流注生。師曰。無間斷。曰。如何是色空。師曰。五彩屏風。上堂。咄咄咄。海底魚龍盡枯竭。三腳蝦蟇飛上天。脫殻烏龜火中活。上堂。點時不到。皂白未分。到時不點。和泥合水。露柱𨁝跳入燈籠裡。即且從他。汝眉毛因甚麼卻拖在腳跟下。直饒於此明得。也是猢猻戴席帽。於此未明。何異曲[(乏-之+蟲)*善]穿靴。然雖如此。笑我者多。哂我者少。

僧が問うた:「どうして不動尊ですか。」師は言った:「熱鏊上の猢猻。」言った:「どうして千百億の化身ですか。」師は言った:「香を添え水を換え、燈を點じ地を掃く。」言った:「どうして毘盧師法身の主ですか。」師は言った:「馬を繫ぐ柱。」言った:「何の交涉有る。」師は言った:「此の漢を縛殺す。」問うた:「佛祖を殺すを會する始めて是れ作家、どうして佛祖を殺すの劍ですか。」師は言った:「死漢を斬らず。」言った:「どうして和尚の劍ですか。」師は言った:「令重ねて行われず。」問うた:「どうして相生ですか。」師は言った:「山河大地。」言った:「どうして想生ですか。」師は言った:「兔子月を望む。」言った:「どうして流注生ですか。」師は言った:「間斷無し。」言った:「どうして色空ですか。」師は言った:「五彩の屏風。」上堂:「咄咄咄、海底魚龍盡く枯竭す。三脚蝦蟆天に飛び上り、殼を脫く烏龜火中に活す。」上堂:「點ずる時到らず、皁白未だ分かたず。到る時點ぜず、泥と和し水に合す。露柱跳び入りて燈籠裏に入るは、即ち且く他に從え。あなたの眉毛因りて何んとか却って脚跟下に拖る。直に饒く此に於て明らかに得るも、也た是れ猢猻席帽を戴く。此に於て未だ明らかならざれば、何ぞ曲蟮靴を穿つに異ならん。然りと雖も此の如しと雖も、我を笑う者は多く、我を哂う者は少なし。」

杭州淨住院居說真淨禪師

杭州淨住院居說眞淨禪師

參達觀。遂問曰。某甲經論粗明。禪直不信。願師決疑。觀曰。既不信禪。豈可明經。禪是經綱。經是禪網。提綱正網。了禪見經。師曰。為某甲說禪看。觀曰。向下文長。師曰。若恁麼。經與禪乃一體。觀曰。佛及祖非二法。如手搦拳。如拳搦手。師因而有省。乃成偈曰。二十餘年用意猜。幾番曾把此心灰。而今潦倒逢知己。李白元來是秀才。

達觀に參し、遂に問うて言った:「某甲經論粗り明らか、禪は直に信せず。願わくは師疑を決せん。」達觀は言った:「既に禪を信ぜず、豈に經を明らかにすべけん。禪は是れ經の綱、經は是れ禪の網。綱を提げ網を正すれば、禪を了し經を見ん。」師は言った:「某甲の爲に禪を説き看よ。」達觀は言った:「下に向かう文長し。」師は言った:「若し此の如くなれば、經と禪とは乃ち一體。」達觀は言った:「佛及び祖は二法に非ず。手の拳を搦むるが如く、拳の手を搦むるが如し。」師は因りて省有りて、乃ち偈を成して言った:「二十餘年意を用いて猜み、幾番か曾て此の心を灰に把りたり。而今潦倒として知己に逢う、李白元來是れ秀才。」

安吉州西餘山拱辰禪師

安吉州西余山拱辰禪師

上堂。靈雲見華。眼中著翳。玄沙蹙指。體上遭迍。不知且恁麼過時。自然身心安樂。上堂。理因事有。心逐境生。事境俱忘。千山萬水。作麼生得恰好去。良久曰。且莫剜肉成瘡。師有祖源通要三十卷行於世。

上堂:「靈雲花を見て、眼中に翳を著く。玄沙指を蹙れて、體上に迍を遭う。知らずして且く此の如く時を過すれば、自然に身心安樂。」上堂:「理は事に因りて有り、心は境に逐いて生ず。事境俱に忘れれば、千山萬水。作麼生に恰好に得て去らん。」良く久しくして言った:「且く肉を剜きて瘡と成すを莫れ。」師は《祖源通要》三十卷有りて世に行わる。

蘇州崑山般若寺善端禪師

蘇州崑山般若寺善端禪師

僧問。有生有滅。盡是常儀。無生無滅時如何。師曰。崑崙著靴空中立。曰。莫便是為人處也無。師曰。石女簪花火裡眠。曰。大眾證明。師曰。更看泥牛鬬入海。

僧が問うた:「生有り滅有りは、盡く是れ常儀。無生無滅の時はいかに。」師は言った:「崑崙靴を着けて空中に立つ。」言った:「莫れ便ち是れ人を爲す處か無しや。」師は言った:「石女花を簪きて火裏に眠る。」言った:「大衆證明せよ。」師は言った:「更に泥牛の鬪りて海に入るを看よ。」

節使李端願居士

節使李端願居士

兒時在舘舍。常閱禪書。長雖婚宦。然篤志祖道。遂於後圃築室類蘭若。邀達觀處之。朝夕諮參。至忘寢食。觀一日視公曰。非示現力。豈致爾哉。奈無箇所入何。公問曰。天堂地獄。畢竟是有是無。請師明說。觀曰。諸佛向無中說有。眼見空花。太尉就有裡尋無。手摣水月。堪笑眼前見牢獄。不避心外聞天堂。欲生殊不知忻怖在心。善惡成境。太尉但了自心。自然無惑。公曰。心如何了。觀曰。善惡都莫思量。公曰。不思量後。心歸何所。觀曰。且請太尉歸宅。公曰。祇如人死後。心歸何所。觀曰。未知生。焉知死。公曰。生則某已知之。觀曰。生從何來。公罔措。觀起揕其𮌎曰。祇在這裡。更擬思量箇甚麼。公曰。會得也。觀曰。作麼生會。公曰。祇知貪程。不覺蹉路。觀拓開曰。百年一夢。今朝方省。既而說偈曰。三十八歲。懵然無知。及其有知。何異無知。滔滔汴水。隱隱隋堤。師其歸矣。箭浪東馳。

兒時館舍に在りて、常に禪書を閱す。長じて婚宦すと雖も、然れども志を祖道に篤うす。遂に後圃に室を築きて蘭若に類し、達觀を邀えて處せしめ、朝夕咨參して、寢食を忘るるに至る。達觀一日公を視て言った:「示現の力に非ずんば、豈に爾を致さん哉。奈ん何箇の入る所無きを。」公問うて言った:「天堂地獄は、畢竟是れ有か是れ無か。師に明く説かんことを請う。」達觀は言った:「諸佛は無中に向かって有を説き、眼空花を見る。太尉は有裏に就きて無を尋ね、手水月を抓む。堪えて笑う眼前に牢獄を見て避けず、心外に天堂を聞きて生ぜんと欲す。殊に知らず忻怖は心に在り、善惡境を成す。太尉但だ自ら心を了せば、自然に惑無し。」公は言った:「心は如何にか了せん。」達觀は言った:「善惡都て思量する莫れ。」公は言った:「思量せざる後、心何の所に歸する。」達觀は言った:「且く太尉に請うて宅に歸れ。」公は言った:「只だ如し人死して後、心何の所に歸する。」達觀は言った:「未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。」公は言った:「生は則ち某已に之を知れり。」達觀は言った:「生は何より來る。」公罔措す。達觀起きて、其の胸を揕りて言った:「只だ此裏に在り。更に擬して箇の何を思量せん。」公は言った:「會得せり也。」達觀は言った:「作麼生に會す。」公は言った:「只だ程を貪るを知りて、路を蹉めるを覺えず。」達觀拓き開きて言った:「百年一夢、今朝方に省る。」既にして偈を説きて言った:「三十八歲、懵然として知る無し。及び其の知る有りて、何ぞ知る無きに異ならん。滔滔たる汴水、隱隱たる隋堤。師其れ歸れ矣、箭浪東に馳す。」

洞庭月禪師法嗣

洞庭月禪師法嗣

蘇州薦福亮禪師

蘇州薦福亮禪師

僧問。不假言詮。請師示誨。師曰。大眾總見汝恁麼問。曰。莫祇這便是也無。師曰。罕逢穿耳客。

僧が問うた:「言詮を假らず、師に示誨せんことを請う。」師は言った:「大衆總て見るあなたの此の如く問うを。」言った:「莫れ只だ是れ便ち是れか無しや。」師は言った:「罕に耳を穿つ客に逢う。」

仗錫己禪師法嗣

仗錫己禪師法嗣

台州黃巖保軒禪師

台州黃岩保軒禪師

僧問。不欲無言。略憑施設時如何。師曰。知而故犯。僧禮拜。師便打。

僧が問うた:「言無きを欲せず、略しく設施に憑る時はいかに。」師は言った:「知りて故に犯す。」僧は礼拜した。師は便ち打った。

龍華嶽禪師法嗣

龍華岳禪師法嗣

安吉州西餘師子淨端禪師

安吉州西余師子淨端禪師

本郡人也。姓丘氏。始見弄師子。發明心要。往見龍華。蒙印可。遂旋里。合綵為師子皮。時被之。因號端師子。丞相章公慕其道。躬請開法吳山。化風盛播。開堂日。僧官宣疏。至推倒回頭。趯翻不託。七軸之蓮經未誦。一聲之漁父先聞。師止之。遂登座拈香。祝聖罷。引聲吟曰。本是瀟湘一釣客。自西自東自南北。大眾雜然稱善。師顧笑曰。諦觀法王法。法王法如是。便下座。上堂。二月二。禪翁有何謂。春風觸目百花開。公子王孫日日醺醺醉。唯有殿前陳朝檜。不入時人意。禪家流祇這是莫思慮。坦然齋後一甌茶。長連床上伸腳睡。咄。師到華亭。眾請上堂。靈山師子。雲間哮吼。佛法無可商量。不如打箇筋斗。便下座。問。羚羊未掛角時如何。師曰。怕。曰。既是善知識。因何卻怕。師曰。山僧不曾見恁麼差異畜生。

本郡の人、姓は丘氏。始め獅子を弄ぶを見て、心要を發明す。往きて龍華を見て、印可を蒙る。遂に里に旋りて、彩を合して獅子皮と爲し、時に之を被り、因りて端獅子と號す。丞相章公其の道を慕い、躬ら吳山に法を開かんことを請うて、化風盛んに播まる。開堂の日、僧官疏を宣べて、「推倒回頭、趯翻不托。七軸の蓮經未だ誦せず、一聲の漁父先に聞ゆ」に至るに、師は之を止めた。遂に座に登りて香を拈じて、聖を祝し罷みて、聲を引きて吟じて言った:「本是れ瀟湘の一釣客、自西自東自南北。」大衆雜然として善と稱す。師は顧み笑いて言った:「諦かに觀よ法王の法、法王の法是の如し。」便ち座を下りた。上堂:「二月二、禪翁何の謂か有る。春風目に觸れて百花開く、公子王孫日日醺醺として醉う。唯有り殿前陳朝の檜、時人の意に入らず。禪家の流、只だ是れ是れ、思慮する莫れ。坦然として齋後一甌の茶、長連床上に脚を伸べて睡る。」咄。師は華亭に到りて、衆請いて上堂せしむ:「靈山の獅子、雲間に哮吼す。佛法商量すべき無し、筋斗を打つに如かず。」便ち座を下りた。問うた:「羚羊未だ角を挂けざる時はいかに。」師は言った:「怕る。」言った:「既に是れ善知識、因何にか却って怕る。」師は言った:「山僧曾て此の如き差異なる畜生を見ず。」

南嶽下十二世

南嶽下十二世

翠巖真禪師法嗣

翠岩真禪師法嗣

潭州大溈慕喆真如禪師

潭州大潙慕喆眞如禪師

撫州臨川聞氏子。僧問。趙州庭栢意旨如何。師曰。夜來風色緊。孤客已先寒。曰。先師無此語。又作麼生。師曰。行人始知苦。曰。十載走紅塵。今朝獨露身。師曰。雪上加霜。問。如何是城裡佛。師曰。萬人叢裡不插標。曰。如何是村裡佛。師曰。泥豬疥狗。曰。如何是山裡佛。師曰。絕人往還。曰。如何是教外別傳底一句。師曰。翻譯不出。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。寒毛卓豎。曰。見後如何。師曰。額頭汗出。上堂。月生一。天地茫茫誰受屈。月生二。東西南北沒巴鼻。月生三。善財特地向南參。所以道。放行也怛薩舒光。把住也泥沙匿曜。且道放行是。把住是。良久曰。圓伊三點水。萬物自尖新。上堂。古佛道。昔於波羅奈轉四諦法輪。墮坑落壍。今復轉最妙無上大法輪。土上加泥。如今還有不歷階梯.獨超物外者麼。良久曰。出頭天外看。誰是箇中人。上堂。阿剌剌是甚麼。翻思當年破灶墮。杖子忽擊著。方知孤負我。以拄杖擊香臺一下曰。墮。墮。上堂。捫空追響。勞汝精神。夢覺覺非。復有何事。德山老人在汝諸人眉毛眼睫上。諸人還覺麼。若也覺去。夢覺覺非。若也未覺。捫空追響。終無了期。直饒向這裡倜儻分明。猶是梯山入貢。還有獨超物外者麼。良久曰。且莫詐明頭。問。大通智勝佛。十劫坐道場。為甚麼不得成佛道。師曰。苦殺人。上堂。白雲澹濘。水注滄溟。萬法本閑。復有何事。所以道。也有權。也有實。也有照。也有用。諸人到這裡。如何履踐。良久曰。但有路可上。更高人也行。上堂。山僧本無積畜。且得粥足飯足。困來即便打眠。一任東卜西卜。上堂。古者道。一釋迦。二元和。三佛陀。自餘是甚麼椀脫丘。慧光即不然。一釋迦。二元和。三佛陀。總是椀脫丘。諸人還知慧光落處麼。若也知去。許你具鐵眼銅睛。若也不知。莫謂幾經風浪險。扁舟曾向五湖遊。

撫州臨川聞氏の子。僧が問うた:「趙州庭柏意旨は如何。」師は言った:「夜來風色緊く、孤客已に先に寒し。」言った:「先師此の語無し、又た作麼生。」師は言った:「行人始めて苦を知る。」言った:「十載紅塵を走り、今朝独り身を露す。」師は言った:「雪上に霜を加う。」問うた:「どうして城裏の佛ですか。」師は言った:「萬人の叢裏に標を插さず。」言った:「どうして村裏の佛ですか。」師は言った:「泥豬疥狗。」言った:「どうして山裏の佛ですか。」師は言った:「人の往還を絶す。」言った:「どうして教外別傳の一句ですか。」師は言った:「翻譯出ださず。」問うた:「牛頭未だ四祖を見ざる時はいかに。」師は言った:「寒毛卓豎す。」言った:「見た後はいかに。」師は言った:「額頭汗出づ。」上堂:「月一を生ずれば、天地茫茫として誰か屈を受く。月二を生ずれば、東西南北巴鼻無し。月三を生ずれば、善財特に南に參ず。所以に道う、放行するも怛薩光を舒べ、把住するも泥沙曜を匿す。且く道え放行是れか、把住是れか。」良く久しくして言った:「伊を圓めて三點水、萬物自ら尖新。」上堂:「古佛道う、昔波羅奈に於て四諦の法輪を轉ず、坑に墮ち塹に落つ。今復た最妙無上の大法輪を轉ず、土上に泥を加う、と。如今還た階梯を歷ず、独り物外を超ゆる者有るか。」良く久しくして言った:「頭を出だして天外に看れば、誰か是れ箇中の人。」上堂:「阿剌剌是れ何物。翻って思う當年破竈墮を。杖子忽ち擊き著けば、方知る我に孤負せりと。」拄杖を以て香臺を一擊して言った:「墮。墮。」上堂:「空を捫り響を追うは、あなたの精神を勞す。夢覺め覺むるも非ず、復た何の事か有らん。德山老人あなたがた諸人の眉毛眼睫の上に在り、諸人還た覺るか。若し也た覺り去れば、夢覺め覺むるも非ず。若し也未だ覺らざれば、空を捫り響を追うも、終に了期無し。直に饒く此處に向かって倜儻分明なりとも、猶お是れ山を梯して貢を入る。還た独り物外を超ゆる者有るか。」良く久しくして言った:「且く明頭を詐るを莫れ。」問うた:「大通智勝佛、十劫道場に坐して、何の故に佛道を成るを得ざる。」師は言った:「人を殺す苦しみ。」上堂:「白雲澹濘、水滄溟に注ぐ。萬法本より閑、復た何の事か有らん。所以に道う、也た權有り、也た實有り、也た照有り、也た用有り。諸人此に到りて、如何にか履踐せん。」良く久しくして言った:「但だ路有りて上る可くば、更に高き人も行く。」上堂:「山僧本より積畜無く、且く粥足り飯足るを得たり。困來れば便ち眠を打ち、一任せ東卜西卜。」上堂:「古の者道う、一釋迦、二元和、三佛陀、自餘是れ何の碗脫丘か。慧光は即ち然らず。一釋迦、二元和、三佛陀、總て是れ碗脫丘。諸人還た慧光の落處を知るか。若し也た知り去れば、あなたに許して鐵眼銅睛を具す。若しも知らざれば、謂う莫れ幾經風浪險、扁舟曾て五湖に遊ぶ、と。」

上堂。拈起拄杖曰。一塵才起。大地全收。卓一下曰。妙喜世界百雜碎。且道不動如來即今在甚麼處。若人識得。可謂不動步而登妙覺。若也未識。向諸人眉毛眼睫裡涅槃去也。又卓一下。上堂。不用思而知。不用慮而解。廬陵米價高。鎮州蘿蔔大。上堂。拈起拄杖曰。智海拄杖。或作金剛王寶劒。或作踞地師子。或作探竿影草。或不作拄杖用。諸人還相委悉麼。若也委悉去。如龍得水。似虎靠山。出沒卷舒。縱橫應用。如未相委。大似日中逃影。上堂。十方同聚會。箇箇學無為。此是選佛場。心空及第歸。慧光門下直拔超升。不歷科目。諸人既到這裡。風雲布地。牙爪已成。但欠雷聲燒尾。如今為你諸人震忽雷去也。以拄杖擊禪床。下座。師於紹聖二年十月八日。無疾說偈曰。昨夜三更。風雷忽作。雲散長空。前溪月落。良久。別眾趨寂。闍維設利㪷許。大如豆。目睛齒爪不壞。門弟子分塔於京潭。

上堂、拄杖を拈じ起こして言った:「一塵纔かに起これば、大地全く收む。」一卓して言った:「妙喜世界百雜碎。且く道え不動如來即今何の處に在る。若し人之を識得せば、謂う可し步を動かさずして妙覺に登ると。若し也未だ識らざれば、諸人の眉毛眼睫裏に向かって涅槃に去る也。」又た一卓した。上堂:「思を用いずして知り、慮を用いずして解す。廬陵米價高く、鎭州蘿蔔大なり。」上堂、拄杖を拈じ起こして言った:「智海の拄杖、或いは金剛王寶劍と作し、或いは地に踞る獅子と作し、或いは探竿影草と作し、或いは拄杖の用と作さず。諸人還た相委悉するか。若し也た委悉し去れば、龍の水を得るが如く、虎の山に靠るに似たり、出沒卷舒、縱橫應用す。如し未だ相委せざれば、大いに似たり日中に影を逃る。」上堂:「十方同じく聚會し、箇箇無爲を學ぶ。此れ是れ佛を選ぶ場、心空にして及第して歸る。慧光門下直に拔きて超升し、科目を歷ず。諸人既に此に到りて、風雲地に布き、牙爪已に成り、但だ雷聲の尾を燒くを欠く。如今あなたがた諸人の爲に忽雷を震わして去る也。」拄杖を以て禪床を擊ちて、座を下りた。師は紹聖二年十月八日に、疾無く偈を説きて言った:「昨夜三更、風雷忽ち作す。雲散じて長空、前溪月落つ。」良く久しくして、衆に別れて寂に趨いた。闍維舍利斗ばかり、大なること豆の如く、目睛齒爪壞れず。門弟子塔を京、潭に分かつ。

南嶽西林崇奧禪師

南嶽西林崇奧禪師

僧問。一問一答。賓主歷然。不問不答。如何辯別。師曰。坐底坐。立底立。曰。便恁麼會時如何。師曰。舌拄上顎。僧禮拜。師曰。不得諱卻。

僧が問うた:「一問一答、賓主歷然。不問不答、如何にか辨別せん。」師は言った:「坐するは坐り、立つるは立つ。」言った:「便ち此の如く會する時はいかに。」師は言った:「舌上齶に拄う。」僧は礼拜した。師は言った:「諱却するを得ず。」

蔣山元禪師法嗣

蔣山元禪師法嗣

明州雪竇法雅禪師

明州雪竇法雅禪師

僧問。學人不問西來意。乞師方便指迷情。師曰。霹靂過頭猶瞌睡。曰。謝師答話。師曰。再三啟口問何人。曰。爭奈學人未禮拜何。師曰。休鈍置。

僧が問うた:「學人西來の意を問わず、師に方便迷情を指さんことを乞う。」師は言った:「霹靂頭を過りて猶お瞌睡す。」言った:「師の答話に謝す。」師は言った:「再三口を啓きて何人に問う。」言った:「争奈ん學人未だ礼拜せざるを。」師は言った:「鈍置するを休めよ。」

邵州丞熈應悅禪師

邵州丞熈應悅禪師

撫之宜黃戴氏子。上堂。我宗無語句。徒勞尋路布。現成公案已多端。那堪更涉他門戶。覿面當機直下提。何用波吒受辛苦。咄。

撫の宜黃戴氏の子。上堂:「我宗に語句無し、徒らに路布を尋ねるを勞す。現成の公案已に多端、那堪ん更に他の門戶に涉る。覿面機に當たりて直下に提せん、何を用いて波咤辛苦を受けん。」咄。

雙峰迴禪師法嗣

雙峰回禪師法嗣

閬州光國文贊禪師

閬州光國文贊禪師

僧問。不二之法。請師速道。師曰。領。曰。恁麼則人人有分也。師曰。了。曰。錦屏天下少。光國世間稀。師曰。退。

僧が問うた:「不二の法、師に速やかに道わんことを請う。」師は言った:「領。」言った:「そうすれば人人分有る也。」師は言った:「了。」言った:「錦屏天下少なく、光國世間稀なり。」師は言った:「退。」

定慧信禪師法嗣

定慧信禪師法嗣

蘇州穹窿智圓禪師

蘇州穹窿智圓禪師

上堂。福臻不說禪。無事日高眠。有問祖師意。連擉兩三拳。大眾且道。為甚麼如此。不合惱亂山僧睡。

上堂:「福臻禪を説かず、事無く日高く眠る。問有りて祖師意、連ねて兩三拳を搠る。大衆且く道え、何の故に此の如し。山僧の睡りを惱亂せしめざるに合せり。」

雲峰悅禪師法嗣

雲峰悅禪師法嗣

桂州壽寧齊曉禪師

桂州壽寧齊曉禪師

上堂。觸目不會道。猶較些子。運足焉知路。錯下名言。諸仁者。山僧今日將錯就錯。汝等諸人。見有眼。聞有耳。嗅有鼻。味有舌。因甚麼卻不會。良久曰。武帝求仙不得仙。王喬端坐卻昇天。咄。僧問。大眾雲臻。合談何事。師曰。波斯入閙市。曰。恁麼則草偃風行去也。師曰。萬里望鄉關。

上堂:「目に觸れて道を會せざるも、猶お些子を較ぶ。足を運んで焉んぞ路を知らん、錯りて名言を下す。諸の仁者、山僧今日錯を將て錯に就く。あなた等諸人、見るに眼有り、聞くに耳有り、嗅ぐに鼻有り、味わうに舌有りて、因りて何んとか却って會せざる。」良く久しくして言った:「武帝仙を求めて仙を得ず、王喬端座して却って天に昇る。」咄。僧が問うた:「大衆雲の如く臻り、合して何の事を談ずべき。」師は言った:「波斯鬧市に入る。」言った:「そうすれば草偃れ風行きて去る也。」師は言った:「萬里鄕關を望む。」

淨因臻禪師法嗣

淨因臻禪師法嗣

福州長慶惠暹文慧禪師

福州長慶惠暹文慧禪師

僧問。離上生之寶剎。登延聖之道場。如何是不動尊。師曰。孤舟載明月。曰。忽遇艣棹俱停。又作麼生。師曰。漁人偏愛宿蘆花。問。長期進道西天。以蠟人為驗。未審此間以何為驗。師曰。鐵彈子。曰。意旨如何。師曰。大底大。小底小。

僧が問うた:「上生の寶刹を離れて、延聖の道場に登る、どうして不動尊ですか。」師は言った:「孤舟明月を載す。」言った:「忽ち櫓棹俱に停まるに遇えば、又た作麼生。」師は言った:「漁人偏に蘆花に宿るを愛す。」問うた:「長期道を進めて西天、蠟人を以て驗と爲す、未だ審かならず此の間何を以て驗と爲す。」師は言った:「鐵彈子。」言った:「意旨は如何。」師は言った:「大底は大、小底は小。」

福州棲勝繼超禪師

福州栖勝繼超禪師

上堂。拈拄杖。良久曰。三世諸佛。盡在這裡𨁝跳。大眾還會麼。過去諸佛說了。未來諸佛未說。現在諸佛今說。敢問諸人。作麼生是說底事。卓一下曰。蘇嚧蘇嚧。

上堂、拄杖を拈じて、良く久しくして言った:「三世の諸佛、盡く此裏に在りて跳ぶ。大衆還た會するか。過去の諸佛は説き了れり、未來の諸佛は未だ説かず、現在の諸佛は今説く。敢えて諸人に問う、作麼生が是れ説くの事。」一卓して言った:「蘇嚕蘇嚕。」

興化嶽禪師法嗣

興化岳禪師法嗣

潭州興化紹清禪師

潭州興化紹淸禪師

上堂。祖師門下。佛法不存。善法堂前。仁義休說。然雖如是。事無一向。竊聞哀哀父母。生我劬勞。欲報深恩。昊天罔極。髮膚身體。弗敢毀傷。此魯仲尼之孝也。輪轉三界中。恩愛不能捨。棄恩入無為。真實報恩者。故我大覺世尊。雪山苦行。摩竭成道。往忉利天為母說法。此釋迦之孝也。得大解脫。運大神通。手擎金錫。掌拓龍盂。詣地獄門。卓然尋省。見其慈母。悲泣無量。此目連之孝也。作麼生是興化之孝。良久曰。興化今日不上天堂。不入地獄。於善法堂中.燈王座上。為母說法。以報劬勞。且道我母即今在甚麼處。乃曰。我母生前足善緣。無勞問佛定生天。人間上壽古今少。九十春秋減一年。下座。敢煩大眾燒一炷香。以助山僧報孝。既是山僧之母。為甚麼卻煩諸人燒香。不見道。東家人死。西家人助哀。以手搥胷曰。蒼天。蒼天。

上堂:「祖師門下、佛法存せず。善法堂前、仁義休して説くな。然りと雖も是の如しと雖も、事一向無し。竊かに聞く哀哀たる父母、我を生みて劬勞せり。深恩に報いんと欲せば、昊天極まり無し。髮膚身體、敢えて毀傷せず。此れ魯仲尼の孝也。三界中に輪轉して、恩愛舍する能わず。恩を棄てて無爲に入るは、眞實恩に報いる者。故に我が大覺世尊は、雪山苦を行じ、摩竭に道を成り、忉利天に往きて母の爲に法を説く。此れ釋迦の孝也。大解脱を得て、大神通を運び、手に金錫を擎げ、掌に龍盂を拓きて、地獄門に詣りて、卓然として尋省して、其の慈母を見て、悲泣無量なり。此れ目連の孝也。作麼生が是れ興化の孝。」良く久しくして言った:「興化今日天堂に上らず、地獄に入らず、善法堂中、燈王座上に於て、母の爲に法を説きて、以て劬勞に報ゆ。且く道え我が母即今何の處に在る。」乃ち言った:「我が母生前善緣足れり、佛に問うて定めて天に生ずるを勞する莫れ。人間の上壽古今少なし、九十春秋一年を減ず。」座を下りて:「敢えて大衆に煩わして一炷の香を燒かしめ、以て山僧の報孝を助けん。既に是れ山僧の母、何の故に却って諸人に煩わして香を燒かしむ。道うを見ずや、東家の人死せば、西家の人哀を助く、と。」手を以て胸を捶ちて言った:「蒼天。蒼天。」

玉泉芳禪師法嗣

玉泉芳禪師法嗣

臨江軍慧力善周禪師

臨江軍慧力善周禪師

上堂。遼天鶻。萬重雲。祇一突。是甚麼。咄。師元祐元年十二月望日。沐浴淨髮。說偈曰。山僧住瑞筠。未甞形言句。七十三年來。七十三年去。言畢而逝。五日後鬚髮再生。

上堂:「遼天の鶻、萬重の雲、只だ一突。是れ何物。」咄。師は元祐元年十二月望日、沐浴し髮を淨めて、偈を説きて言った:「山僧瑞筠に住し、曾て言句を形わず。七十三年來、七十三年去。」言畢りて逝く。五日後再び發き再び生ず。

南嶽下十三世

南嶽下十三世

大溈喆禪師法嗣

大潙喆禪師法嗣

東京智海普融道平禪師

東京智海普融道平禪師

上堂。山僧不會佛法。為人總沒來由。或時半開半合。或時全放全收。還如萬人叢裡。冷地掉箇石頭。忽然打著一箇。方知觸處周流。上堂。趙州有四門。門門通大道。玉泉有四路。路路透長安。門門通大道。畢竟誰親到。路路透長安。分明進步看。拍膝一下曰。歲晚未歸客。西風門外寒。上堂。舉盤山示眾曰。似地擎山。不知山之孤峻。如石含玉。不知玉之無瑕。古人恁麼說話。大似抱贓呌屈。智海門下。人人慷慨。生擒虎兕。活捉獰龍。眼裡著得須彌山。耳裡著得大海水。遂拈拄杖曰。不是向人誇伎倆。丈夫標致合如斯。卓拄杖。下座。

上堂:「山僧佛法を會せず、人を爲すも總て來由無し。或る時は半開半合、或る時は全放全收。還た萬人の叢裏に、冷地に箇の石頭を掉すが如し。忽然として一箇に打ち著けば、方知る觸處周流すと。」上堂:「趙州に四門有り、門門大道に通ず。玉泉に四路有り、路路長安に透る。門門大道に通ずるも、畢竟誰か親しく到る。路路長安に透るも、分明に步を進めて看よ。」膝を一拍して言った:「歲晚未だ歸らざる客、西風門外寒し。」上堂、盤山が衆に示すを擧げて言った:「地の如く山を擎ぐも、山の孤峻を知らず。石の如く玉を含むも、玉の無瑕を知らず。古人此の如く話すは、大いに似たり贓を抱きて屈を叫ぶ。智海門下、人人慷慨として、虎兕を生擒し、狞龍を活捉す。眼裏に須彌山を著くるを得、耳裏に大海水を著くるを得。」遂に拄杖を拈じて言った:「是れ人に向かって伎倆を誇るに非ず、丈夫標致斯の如きに合すべし。」拄杖を卓して、座を下りた。

洪州泐潭景祥禪師

洪州泐潭景祥禪師

建昌南城傅氏子。僧問。如何是祖師西來意。師曰。十箇指頭八箇丫。問。我手何似佛手。師曰。金鍮難辯。曰。我腳何似驢腳。師曰。黃龍路險。曰。人人有箇生緣。如何是和尚生緣。師曰。把定要津。不通凡聖。中秋上堂。靈山話。曹谿指。放過初生斫額底。未問龍眠老古錐。昨夜三更轉向西。正當恁麼時。有人問如何是月。嚮明暗未分處道得一句。便與古人共出一隻手。如或未然。寶峰不免依模畵樣。應箇時節。乃打一圓相曰。清光萬古復千古。豈止人間一夜看。師室中問僧。達磨西歸。手攜隻履。當時何不兩隻都將去。曰。此土也要留箇消息。師曰。一隻腳在西天。一隻腳在東土。著甚來由。僧無語。問僧。唯一堅密身。一切塵中現。如何是塵中現底身。僧指香爐曰。這箇是香爐。師曰。帶累三世諸佛。生陷地獄。僧罔措。師便打。師不安次。有僧問。和尚近日尊候如何。師曰。土地前燒二陌紙著。師常叉手夜坐。如對大賓。初坐手與趺綴。至五鼓必齊膺。因號祥叉手焉。

建昌南城傅氏の子。僧が問うた:「どうして祖師西來の意ですか。」師は言った:「十箇の指頭は八箇の丫。」問うた:「我が手何ぞ佛の手に似たる。」師は言った:「金鍮辨え難し。」言った:「我が脚何ぞ驢の脚に似たる。」師は言った:「黃龍路險し。」言った:「人人箇の生緣有り、どうして和尚の生緣ですか。」師は言った:「要津を把定して、凡聖に通ぜず。」中秋上堂:「靈山の話、曹溪の指、初生斫額のを放過す。未だ龍眠老古錐を問わず、昨夜三更西に轉向す。正に此の如き時に當たりて、人どうして月と問わば、明暗未だ分かれざる處に向かって一句を道い得れば、便ち古人と共に一隻の手を出ださん。如し或いは未だ然らざれば、寶峰免れず模に依り樣を畫きて、箇の時節に應ぜん。」乃ち一圓相を打ちて言った:「淸光萬古復た千古、豈に止まらん人間一夜に看る。」師は室中僧に問うた:「達磨西に歸る、手に隻履を携う。當時何ぞ兩隻を將て將り去らざる。」言った:「此土も要して箇の消息を留めん。」師は言った:「一隻の脚は西天に在り、一隻の脚は東土に在り、甚の來由を著けん。」僧語無し。僧に問うた:「唯一堅密の身、一切塵中に現ず。どうして塵中に現ずるの身ですか。」僧は香爐を指して言った:「此箇は是れ香爐。」師は言った:「三世の諸佛を帶累して、生ながら地獄に陷れん。」僧罔措す。師は便ち打った。師不安の次、僧有りて問うた:「和尚近日尊候如何。」師は言った:「土地前に二陌の紙を燒き著けよ。」師常に手を叉して夜坐して、大賓に對するが如し。初め坐して手と趺を綴じて、五鼓に至りて必ず膺に齊し、因りて祥叉手と號す。

和州光孝慧蘭禪師

和州光孝慧蘭禪師

不知何許人也。自號碧落道人。甞以觸衣書七佛名。叢林稱為蘭布裩。有擬草菴歌一篇行於世。具載普燈。建炎末逆虜犯淮。執師見酋長。長曰。聞我名否。師曰。我所聞者。唯大宋天子之名。長恚。令左右以鎚擊之。鎚至輒斷壞。長驚異。延麾下敬事之。經旬。師索薪自焚。無敢供者。親拾薪成龕。怡然端坐。煙𦦨一起。流光四騰。虜跪伏灼膚者多。火絕。得五色舍利。併其骨而北歸。所執僧尼。悉得自便。和人至今詠之。

何許の人かを知らず。自ら碧落道人と號す。嘗て觸衣を以て七佛の名を書し、叢林蘭布裩と稱す。《擬草庵歌》一篇有りて世に行われ、具に《普燈》に載す。建炎末、逆虜淮を犯して、師を執えて酋長に見る。酋長は言った:「我が名を聞くか。」師は言った:「我が聞く所は、唯だ大宋天子の名。」酋長怒りて、左右をして鎚を以て之を擊たしむるに、鎚至れば輒ち斷壞す。酋長驚き異とし、麾下に延きて敬事す。旬を經て、師は薪を索めて自ら焚かんとすも、敢えて供する者無し。親しく薪を拾いて龕を成して、怡然として端坐す。煙焰一たび起これば、流光四に騰び、虜の跪伏して膚を灼かるる者多し。火絶えて、五色の舍利を得て、幷びに其の骨と北に歸る。執えられし僧尼、悉く自便を得たり。和の人今に至るまで之を詠す。

潭州東明仁仙禪師

潭州東明仁仙禪師

開堂日。僧問。世尊出世。梵王前引。帝釋後隨。和尚出世。有何祥瑞。師曰。任是百千諸佛。一時趕向水牯欄裡。曰。有何祥瑞。師曰。山僧不曾眼花。

開堂の日、僧が問うた:「世尊世に出でずれば、梵王前に引き、帝釋後に隨う。和尚世に出でずれば、何の祥瑞か有る。」師は言った:「任れ是れ百千の諸佛、一時に水牯の欄裏に向かって赶せん。」言った:「何の祥瑞か有る。」師は言った:「山僧曾て眼花せず。」

泗州普照曉欽明悟禪師

泗州普照曉欽明悟禪師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。東邊更近東。曰。溈山的子.智海親孫也。師曰。卻笑傍人把釣竿。上堂。引手撮空。展轉莫及。翻身擲影。徒自勞形。當面拈來。卻成蹉過。畢竟如何。拍禪床曰。洎合錯商量。

僧が問うた:「師誰家の曲を唱え、宗風阿誰に嗣ぐ。」師は言った:「東邊更に東に近し。」言った:「潙山の的子、智海の親孫也。」師は言った:「却って傍人の釣竿を把るを笑う。」上堂:「手を引きて空を撮む、展轉及ぶ莫れ。身を翻して影を擲つ、徒らに自ら形を勞す。當面拈じ來れば、却って蹉過を成す。畢竟如何。」禪床を拍して言った:「洎ら錯りて商量するに合す。」

廬山東林自遵正覺禪師

廬山東林自遵正覺禪師

上堂。十五日已前放過一著。十五日已後未可商量。正當十五日。試道一句看。良久曰。山色翠穠春雨歇。栢庭香擁木蘭開。

上堂:「十五日已前は一着を放過し、十五日已後は未だ商量すべからず。正に十五日に當たりて、試しに一句を道い看よ。」良く久しくして言った:「山色翠濃として春雨歇み、柏庭香木蘭開くを擁す。」

潭州福嚴寘禪師

潭州福嚴寘禪師

上堂。福嚴山上雲。舒捲任朝昏。忽爾落平地。客來難討門。

上堂:「福嚴山上の雲、舒卷朝昏に任す。忽爾として平地に落ちて、客來たれば門を討らんこと難し。」

潭州東明遷禪師

潭州東明遷禪師

久侍真如。晚居溈山。真如菴忠道者高其風。每叩之。一日閱首楞嚴次。忠問。如我按指。海印發光。佛意如何。師曰。釋迦老子好與二十棒。曰。為甚麼如此。師曰。用按指作麼。曰。汝暫舉心。塵勞先起又作麼生。師曰。亦是海印發光。

久しく眞如に侍して、晚に潙山に居る。眞如庵忠道者其の風を高しとし、每に之を叩く。一日《首楞嚴》を閱する次、忠問うた:「我が指を按ずるが如く、海印發光す、佛意は如何。」師は言った:「釋迦老子好んで二十棒を與うべし。」言った:「何の故に此の如し。」師は言った:「指を按ずるを用いて作麼。」言った:「あなた暫く心を擧ぐれば、塵勞先に起こる、又た作麼生。」師は言った:「亦た是れ海印發光。」

雪竇雅禪師法嗣

雪竇雅禪師法嗣

衢州光孝普印慈覺禪師

衢州光孝普印慈覺禪師

泉州許子氏。室中問僧。父母未生已前。在甚麼處行履。僧擬對。即打出。或曰。達磨在你腳下。僧擬看。亦打出。或曰。道。道。僧擬開口。復打出。

泉州許子氏。室中僧に問うた:「父母未だ生ぜざる已前、何の處に在りて行履する。」僧擬して對せんとすれば、即ち打ち出だす。或いは言った:「達磨あなたの脚下に在り。」僧擬して看んとすれば、亦た打ち出だす。或いは言った:「道。道。」僧擬して口を開かんとすれば、復た打ち出だす。

慶善震禪師法嗣

慶善震禪師法嗣

杭州慶善院普能禪師

杭州慶善院普能禪師

上堂。事不獲已。與諸人葛藤。一切眾生。祇為心塵未脫。情量不除。見色聞聲。隨波逐浪。流轉三界。汩沒四生。致使正見不明。觸途成滯。若也是非齊泯。善惡都忘。坐斷報化佛頭。截卻聖凡途路。到這裡方有少許相應。直饒如是。衲僧分上未為奇特。何故如此。才有是非。紛然失心。咄。上堂。拈拄杖曰。未入山僧手中。萬法宛然。既入山僧手中。復有何事。良久曰。有意氣時添意氣。不風流處也風流。卓拄杖一下。

上堂:「事獲已ならずして、諸人と葛藤す。一切衆生、只だ是れ心塵未だ脫せず、情量除かれざるが爲、色を見聲を聞きて、波に隨い浪を逐い、三界に流轉し、四生に汩沒して、正見明ならず、途に觸れて滯を成さしめたり。若し也是非齊しく泯び、善惡都て忘れて、報化の佛頭を坐斷し、聖凡の途路を截却して、此に到りて方に少許相應する有り。直に饒く是の如しと雖も、衲僧の分上未だ奇特と爲さず。何の故に此の如し。纔かに是非有れば、紛然として心を失す。」咄。上堂、拄杖を拈じて言った:「未だ山僧の手中に入らざれば、萬法宛然。既に山僧の手中に入れば、復た何の事か有らん。」良く久しくして言った:「意氣有る時意氣を添え、風流ならざる處も也た風流。」拄杖を一卓す。

淨土思禪師法嗣

淨土思禪師法嗣

杭州靈鳳山萬壽法詮禪師

杭州靈鳳山萬壽法詮禪師

僧問。如何是佛。師曰。抱樁打拍浮。曰。如何是法。師曰。黃泥彈子。曰。如何是僧。師曰。剃除鬚髮。曰。三寶外。還別有為人處也無。師舉起一指。僧曰。不會。師曰。指在唯觀月。風來不動幡。上堂。德山棒。臨濟喝。盡是無風波帀帀。燈籠𨁝跳過青天。露柱魂驚頭腦裂。雖然如是。大似食鹽加得渴。喝一喝。

僧が問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「樁を抱きて拍浮を打つ。」言った:「どうして法ですか。」師は言った:「黃泥彈子。」言った:「どうして僧ですか。」師は言った:「鬚髮を剃除す。」言った:「三寶の外、還た別に人を爲す處有るか無しや。」師は一指を擧げた。僧は言った:「會せず。」師は言った:「指在りて唯だ月を觀り、風來たれど幡動かず。」上堂:「德山の棒、臨濟の喝、盡く是れ風無しと波匝匝。燈籠靑天を跳び過ぎ、露柱魂驚き頭腦裂く。然りと雖も是の如しと雖も、大いに似たり鹽を食いて渴を加う。」一たび喝した。

杭州慶善守隆禪師

杭州慶善守隆禪師

開堂日。僧問。知師久蘊囊中寶。今日當筵略借看。師曰。多少分明。曰。師子吼時全露現。文殊仗劒又如何。師曰。驚殺老僧。問。千佛出世。各有奇祥。和尚今日。以何為驗。師曰。木人把板雲中拍。曰。意旨如何。師曰。石女拈笙水底吹。上堂。花簇簇。錦簇簇。鹽醬年來事事足。留得南泉打破鍋。分付沙彌煑晨粥。晨粥一任諸人吃。洗缽盂一句作麼生會。多少人疑著。

開堂の日、僧が問うた:「師が久しく囊中の寶を蘊むを知る、今日筵に當たりて略しく看るを借らん。」師は言った:「多少分明。」言った:「獅子吼る時全く露現し、文殊劍を仗りて又た如何。」師は言った:「老僧を驚き殺す。」問うた:「千佛世に出でずれば、各に奇祥有り。和尚今日、何を以て驗と爲す。」師は言った:「木人板を把りて雲中に拍つ。」言った:「意旨は如何。」師は言った:「石女笙を拈じて水底に吹く。」上堂:「花簇簇、錦簇簇、鹽醬年來事事足れり。南泉の鍋を打破し留め得て、沙彌に分付して晨粥を煮さしむ。晨粥一任せ諸人喫せ。鉢盂を洗うの一句作麼生に會せん。多少人疑著す。」

護國月禪師法嗣

護國月禪師法嗣

江陵府護國慧本禪師

江陵府護國慧本禪師

僧問。有物先天地。無形本寂寥。未審是甚麼物。師曰。一鋌墨。曰。恁麼則耀古照今去也。師曰。作麼生是耀古照今底。僧便喝。師便打。上堂。好箇時節。誰肯承當。苟或無人。不如惜取。良久曰。彈雀夜明珠。

僧が問うた:「物有りて天地に先だち、形無く本より寂寥、未だ審かならず是れ何物。」師は言った:「一錠の墨。」言った:「そうすれば古を耀かし今を照らして去る也。」師は言った:「作麼生が是れ古を耀かし今を照らす。」僧便ち喝した。師は便ち打った。上堂:「好箇の時節、誰か肯んて承當せん。苟も或いは人無ければ、惜み取るに如かず。」良く久しくして言った:「雀を彈く夜明の珠。」

南嶽下十四世

南嶽下十四世

智海平禪師法嗣

智海平禪師法嗣

東京淨因蹣菴繼成禪師

東京淨因蹣庵繼成禪師

袁之宜春劉氏子。上堂。拈拄杖曰。清淨本然。云何忽生山河大地。看看富樓那穿過釋迦老子鼻孔。釋迦老子鑽破虗空肚皮。且道山河大地在甚麼處。擲下拄杖。召大眾曰。虗空翻筋斗。向新羅國裡去也。是你諸人。切忌認葉止啼。刻舟尋劒。上堂。茫茫盡是覓佛漢。舉世難尋閑道人。棒喝交馳成藥忌。了亡藥忌未天真。上堂。崑崙奴著鐵袴。打一棒行一步。爭似火中釣鼈。日裡藏冰。陰影問翻魍魎。虗空縛殺麻繩。上堂。狹路相逢且莫疑。電光石火已遲遲。若教直下三心徹。祇在如今一餉時。到這裡。直使問來答去。火迸星飛。互換主賓。照用得失。波翻嶽立。玉轉珠回。衲僧面前了無交涉。豈不見拈花鷲嶺。獨許飲光。問疾毗耶。誰當金粟。那知微笑已成途轍。縱使默然。未免風波。要須格外相逢。始解就中頴契。還會麼。一曲寥寥動今古。洛陽三十六峰西。上堂。舉不顧。即差互。擬思量。何劫悟。大眾。枯桑知天風。是顧不顧。海水知天寒。是思不思。且喚甚麼作悟底道理。兔角杖頭挑法界。龜毛拂子舞三臺。上堂。鼻裡音聲耳裡香。眼中鹹淡舌玄黃。意能覺觸身分別。冰室如春九夏涼。如斯見得。方知男子身中入定時。女子身中從定出。葵花隨日轉。犀紋翫月生。香楓化老人。螟𧕅成蜾[蟲*嬴]。若也不知。苦哉。佛陀耶許你具隻眼。上堂。一念心清淨。佛居魔王殿。一念惡心生。魔王居佛殿。懷禪師曰。但恁麼信去。喚作腳踏實地而行。終無別法。亦無別道理。老僧恁麼舉了。祇恐你諸人見兔放鷹。刻舟求劒。何故。功德天.黑暗女。有智主人。二俱不受。上堂。舉汾陽拈拄杖示眾曰。三世諸佛在這裡。為汝諸人無孔竅。遂走向山僧拄杖裡去。強生節目。師曰。汾陽與麼示徒。大似擔雪填井。傍若無人。山僧今日為汝諸人出氣。拈起拄杖曰。三世諸佛不敢強生節目。卻從山僧拄杖裡走出。

袁の宜春劉氏の子。上堂、拄杖を拈じて言った:「淸淨本然、云何んば忽ち山河大地を生ずる。看看、富樓那釋迦老子の鼻孔を穿ち過ぎ、釋迦老子虛空の肚皮を鑽破す。且く道え山河大地何の處に在る。」拄杖を擲下して、大衆を召して言った:「虛空筋斗を翻して、新羅國裏に向かって去る也。是れあなた諸人、切に葉を認めて啼を止め、舟を刻みて劍を尋ねるを忌めよ。」上堂:「茫茫として盡く是れ佛を覓むる漢、世を擧げて閑道人を尋ね難し。棒喝交馳して藥忌を成し、藥忌を了亡して未だ天真ならず。」上堂:「崑崙奴鐵褲を着けて、一棒を打ちて一步を行く。争か似ん火中に鼈を釣り、日裏に冰を藏する。陰影問うて魍魎を翻し、虛空麻繩を縛殺す。」上堂:「狹路相逢えば且く疑う莫れ、電光石火已に遲遲たり。若し直下に三心徹せしめば、只だ如今一餉の時に在り。此に到りて、直に問い來り答え去り、火迸り星飛び、主賓を互換し、照用の得失、波翻り岳立ち、玉轉じ珠回るを使すとも、衲僧面前には了として交涉無し。豈に見えざらん花を拈ずる鷲嶺は、独り飲光に許し、疾を問う毘耶は、誰か金粟に當たる。那か知らん微笑已に途轍を成せり、縱使默然とも、未だ免れず風波を。要す格の外に相逢えば、始めて就中に穎契を解せん。還た會するか。一曲寥寥として今古を動かす、洛陽三十六峰の西。」上堂:「擧げて顧みざれば、即ち差互す。擬して思量せば、何の劫にか悟らん。大衆、枯桑天風を知るは、是れ顧みるか顧みざるか。海水天寒を知るは、是れ思うか思わざるか。且く何を喚んで悟るの道理と作す。兔角の杖頭法界を挑ぎ、龜毛の拂子三臺を舞う。」上堂:「鼻裏音聲耳裏香、眼中鹹淡舌玄黃。意能く觸を覺り身分别す、冰室春の如く九夏凉し。斯の如く見得れば、方知る男子身中定に入る時、女子身中定より出づ。葵花日に隨いて轉じ、犀紋月を翫んで生ず。香楓老人と化し、螟蛉蜾蠃と成る。若しも知らざれば、苦しい哉。佛陀耶あなたに許して隻眼を具せん。」上堂:「一念心淸淨なれば、佛魔王の殿に居る。一念惡心生ずれば、魔王佛殿に居る。懷禪師説く、但だ此の如く信じ去れば、喚んで脚を踏みて地を實にして行くと作さば、終に別法無く、亦た別道理無し、と。老僧此の如く擧げ了れり、只だ恐らくはあなた諸人兔を見て鷹を放ち、舟を刻みて劍を求めんことを。何の故ぞ。功德天、黑暗女、智有る主人、二つ俱に受けず。」上堂、汾陽が拄杖を拈じて衆に示すを擧げて言った:「三世の諸佛此裏に在りて、あなたがた諸人の爲に孔竅無きに、遂に山僧の拄杖裏に走り向いて、強いて節目を生ず。」師は言った:「汾陽此の如く徒に示すは、大いに似たり雪を担ぎて井を塡め、傍に人無きが若し。山僧今日あなたがた諸人の爲に氣を出ださん。」拄杖を拈じ起こして言った:「三世の諸佛敢えて節目を強生せず、却って山僧の拄杖裏より走り出づ。」

向諸人道。我不敢輕於汝等。汝等皆當作佛。說是語已。翻筋斗向拘屍羅城裡去也。擲下拄杖曰。若到諸方。分明舉似。師同圓悟.法真.慈受並十大法師.禪講千僧。赴太尉陳公良弼府齋。時徽宗皇帝私幸觀之。太師魯國公亦與焉。有善華嚴者。乃賢首宗之義虎也。對眾問諸禪曰。吾佛設教。自小乘至於圓頓。掃除空有。獨證真常。然後萬德莊嚴。方名為佛。常聞禪宗一喝。能轉凡成聖。則與諸經論似相違背。今一喝若能入吾宗五教。是為正說。若不能入。是為邪說。諸禪視師。師曰。如法師所問。不足三大禪師之酬。淨因小長老可以使法師無惑也。師召善。善應諾。師曰。法師所謂愚法小乘教者。乃有義也。大乘始教者。乃空義也。大乘終教者。乃不有不空義也。大乘頓教者。乃即有即空義也。一乘圓教者。乃不有而有。不空而空(或作空而不有。有而不空)。義也。如我一喝。非唯能入五教。至於工巧技藝。諸子百家悉皆能入。師震聲喝一喝。問善曰。聞麼。曰。聞。師曰。汝既聞。此一喝是有。能入小乘教。須臾。又問善曰。聞麼。曰。不聞。師曰。汝既不聞。適來一喝是無。能入始教。遂顧善曰。我初一喝。汝既道有。喝久聲銷。汝復道無。道無則元初實有。道有則而今實無。不有不無。能入終教。我有一喝之時。有非是有。因無故有。無一喝之時。無非是無。因有故無。即有即無。能入頓教。須知我此一喝。不作一喝用。有無不及。情解俱忘。道有之時。纖塵不立。道無之時。橫徧虗空。即此一喝入百千萬億喝。百千萬億喝入此一喝。是故能入圓教。善乃起再拜。師復謂曰。非唯一喝為然。乃至一語一默。一動一靜。從古至今。十方虗空。萬象森羅。六趣四生。三世諸佛。一切聖賢。八萬四千法門。百千三昧無量妙義。契理契機。與天地萬物一體。謂之法身。三界唯心。萬法唯識。四時八節。

諸人に向かって道う:「我敢えて汝等に於て輕んぜず、汝等皆な當に佛と作すべし。」是の語を説き已りて、筋斗を翻して拘尸羅城裏に向かって去る也。拄杖を擲下して言った:「若し諸方に到れば、分明に擧似せよ。」師は圓悟、法眞、慈受と幷びに十大法師、禪講千僧と、太尉陳公良弼の府の齋に赴く。時に徽宗皇帝私かに幸して之を觀る、太師魯國公も亦た與れり。華嚴を善くする者有りて、乃ち賢首宗の義虎なり、衆に對して諸の禪に問うて言った:「吾が佛の教を設くるは、小乘より圓頓に至りて、空有を掃除し、独り眞常を證して、然る後萬德莊嚴、方に名づけて佛と爲す。常に聞く禪宗一喝、能く凡を轉じて聖と成すは、則ち諸の經論と相違背するに似たり。今一喝若し能く吾が宗の五教に入らば、是れを正説と爲す。若し能く入らざれば、是れを邪説と爲す。」諸の禪師を視る。師は言った:「法師の問う所の如く、三大禪師の酬に足らず、淨因小長老は法師をして惑無からしむるを使す可き也。」師は善を召す、善應じて諾す。師は言った:「法師の謂う所の愚法小乘教は、乃ち有義なり。大乘の始教は、乃ち空義なり。大乘の終教は、乃ち不有亦不空の義なり。大乘の頓教は、乃ち即有即空の義なり。一乘の圓教は、乃ち不有而有、不空而空の義なり。我が一喝の如く、非唯だ能く五教に入るのみならず、工巧技藝、諸子百家に至るまで、悉く皆な能く入る。」師は聲を震わして一たび喝し、善に問うて言った:「聞くか。」言った:「聞く。」師は言った:「あなた既に聞く、此の一喝は是れ有、能く小乘教に入る。」須臾にして、又た善に問うて言った:「聞くか。」言った:「聞こえず。」師は言った:「あなた既に聞かず、適來の一喝は是れ無、能く始教に入る。」遂に善を顧みて言った:「我が初めの一喝、あなた既に有と道う。喝久しく聲銷えて、あなた復た無と道う。無と道えば則ち元初實に有り、有と道えば則ち而今實に無し。不有亦無、能く終教に入る。我に一喝の時有りて、有は非是有ならず、無に因りて故有り。一喝の時無くして、無は非是無ならず、有に因りて故無し。即有即無、能く頓教に入る。須く知るべし我が此の一喝は、一喝の用と作さず。有無及ばず、情解俱に忘る。有と道うの時、纖塵立たず。無と道うの時、橫に虛空に遍し。即ち此の一喝は百千萬億の喝に入り、百千萬億の喝は此の一喝に入る。是の故に能く圓教に入る。」善は乃ち起きて再拜す。師は復た謂いて言った:「非唯だ一喝然るのみ。乃至一語一默、一動一靜、古より今に至り、十方虛空、萬象森羅、六趣四生、三世の諸佛、一切の聖賢、八萬四千法門、百千三昧無量妙義、理に契い機に契い、天地萬物と一體なり、之を法身と謂う。三界唯心、萬法唯識。四時八節、」

陰陽一致。謂之法性。是故華嚴經云。法性徧在一切處。有相無相。一聲一色。全在一塵中含四義。事理無邊。周徧無餘。參而不雜。混而不一。於此一喝中。皆悉具足。猶是建化門庭。隨機方便。謂之小歇場。未至寶所。殊不知吾祖師門下。以心傳心。以法印法。不立文字。見性成佛。有千聖不傳底向上一路在。善又問曰。如何是向上一路。師曰。汝且向下會取。善曰。如何是寶所。師曰。非汝境界。善曰。望禪師慈悲。師曰。任從滄海變。終不為君通。善膠口而退。聞者靡不歎仰。皇帝顧謂近臣曰。禪宗玄妙深極如此。淨因才辯亦罕有也。近臣奏曰。此宗師之緒餘也。

(師は続けて言った:)「陰陽一致す、之を法性と謂う。是の故に《華嚴經》に云く、法性一切處に遍在す、と。有相無相、一聲一色、全く一塵中に在りて四義を含む。事理邊無く、周遍して餘無し。參じて雜わらず、混じて一ならず。此の一喝中に於て、皆な悉く具足す。猶お是れ建化門庭、機に隨いて方便にして、之を小歇場と謂い、未だ寶所に至らず。殊に知らず吾が祖師門下は、心を以て心を傳え、法を以て法を印し、文字を立てず、性を見て佛を成る、千聖傳えざる向上の一路在り。」善又た問うて言った:「どうして向上の一路ですか。」師は言った:「あなた且く下に向かって會取せ。」善は言った:「どうして寶所ですか。」師は言った:「あなたの境界に非ず。」善は言った:「禪師の慈悲を望む。」師は言った:「滄海の變ずるに任りて從すとも、終に君の爲に通ぜず。」善口を膠して退いた。聞く者歎仰せざる無し。皇帝顧みて近臣に謂いて言った:「禪宗玄妙深極すること此の如し、淨因の才辯も亦た罕有なり。」近臣奏して言った:「此れ宗師の緒餘也。」

南嶽法輪彥孜禪師

南嶽法輪彥孜禪師

處之龍泉陳氏子。上堂。若是諦當漢。通身無隔礙。舉措絕毫𨤲。把手出紅塵。撥開向上竅。當頭劄定。不犯鋒稜。轉握將來。應用恰好。絲毫不漏。函葢相應。任是諸佛諸祖。覷著寒毛卓竪。會麼。吃茶去。僧問。如何是不涉煙波底句。師曰。皎皎寒松月。飄飄谷口風。曰。萬差俱掃蕩。一句截流機。師曰。點。僧曰。到。師曰。借人面具舞三臺。問。如何是佛。師曰。白額大蟲。曰。祇如洞山道。麻三斤。又作麼生。師曰。毒虵鑽露柱。曰。學人不曉。師曰。踏著始驚人。

處の龍泉陳氏の子。上堂:「若し是れ諦當の漢なれば、通身隔礙無し。擧措毫釐を絶し、手を把りて紅塵を出づ。向上の竅を撥き開き、頭に當たりて札定し、鋒棱を犯さず。轉じ握りて將來すれば、應用恰好なり。絲毫漏らさず、函蓋相應す。任れ是れ諸佛諸祖、覷き著けば寒毛卓豎す。會するか。茶を喫し去れ。」僧が問うた:「どうして煙波に涉らざるの句ですか。」師は言った:「皎皎たる寒松の月、飄飄たる谷口の風。」言った:「萬差俱に掃蕩し、一句流を截る機。」師は言った:「點。」僧は言った:「到。」師は言った:「人の面具を借りて三臺を舞う。」問うた:「どうして佛ですか。」師は言った:「白額大蟲。」言った:「只だ如し洞山の道う麻三斤、又た作麼生。」師は言った:「毒蛇露柱を鑽る。」言った:「學人曉らず。」師は言った:「踏著して始めて人を驚かす。」

衡州開福崇哲禪師

衡州開福崇哲禪師

邵州劉氏子。上堂。妙體堂堂觸處彰。快須回首便承當。今朝對眾全分付。莫道儂家有覆藏。擲拂子。召侍者曰。因甚打下老僧拂子。問。一水吞空遠。三峰峭壁危。猊臺重拂拭。共喜主人歸。未審到家如何施設。師曰。空手捻雙拳。曰。意旨如何。師曰。突出難辯。上堂。山僧有三印。更無增減剩。覿面便相呈。能轉凡成聖。諸人還知麼。若也未知。不免重重註破。一印印空。日月星辰列下風。一印印泥。頭頭物物顯真機。一印印水。捩轉魚龍頭作尾。三印分明體一同。看來非赤又非紅。互換高低如不薦。青山依舊白雲中。

邵州劉氏の子。上堂:「妙體堂堂として觸處彰れ、疾く須く首を回らして便ち承當すべし。今朝衆に對して全く分付す、道う莫れ儂家に覆藏有ると。」拂子を擲ちて、侍者を召して言った:「因りて甚んとか老僧の拂子を打下せる。」問うた:「一水空を呑みて遠く、三峰峭壁危し。猊臺重ねて拂拭し、共に主人の歸るを喜ぶ。未だ審かならず家に到れば如何に設施せん。」師は言った:「空手雙拳を捻る。」言った:「意旨は如何。」師は言った:「突出して辨え難し。」上堂:「山僧に三印有り、更に增減剩え無し。覿面便ち相呈す、能く凡を轉じて聖と成す。諸人還た知るか。若し也未だ知らざれば、免れず重ねて注破せん。一印は空を印し、日月星辰下風に列す。一印は泥を印し、頭頭物物眞機を顯す。一印は水を印し、捩轉して魚龍頭を尾と作す。三印分明にして體一同、看來赤に非ず又た紅に非ず。高低を互換して如し薦らざれば、靑山依舊白雲中。」

泐潭祥禪師法嗣

泐潭祥禪師法嗣

台州鴻福德昇禪師

台州鴻福德升禪師

衡陽人也。上堂。諸人恁麼上來。墮在見聞覺知。恁麼下去。落在動靜施為。若也不去不來。正是鬼窟活計。如何道得出身底句。若也道得。則分付拄杖子。若道不得。依而行之。卓拄杖。下座。

衡陽の人。上堂:「諸人此の如く上來すれば、見聞覺知に墮ち在り。此の如く下去すれば、動靜施爲に落ち在り。若し也去らず來らざれば、正に是れ鬼窟の活計。如何にか身を出づるの句を道い得る。若し也た道い得れば、則ち拄杖子に分付せん。若し道い得ざれば、依りて之を行ぜ。」拄杖を卓して、座を下りた。

建寧府萬壽慧素禪師

建寧府萬壽慧素禪師

上堂。僧問。劫火洞然。大千俱壞。未審這箇還壞也無。大隨曰壞。修山主曰不壞。未審孰是孰非。師曰。一壞一不壞。笑殺觀自在。師子驀齩人。狂狗盡逐塊。復曰。會麼。曰。不會。師曰。漆桶不快。便下座。一日。有僧來作禮。師問。甚處來。曰。和尚合知某來處。師曰。湖南擔屎漢。江西刈禾客。曰。和尚真人天眼目。某在大溈充園頭。東林作藏主。師打三棒。喝出。紹興二十三年六月朔。沐浴趺坐。書偈曰。昨夜風雷忽爾。露柱生出兩指。天明笑倒燈籠。拄杖依前扶起。拂子𨁝跳過流沙。奪轉胡僧一隻履。於是儼然而逝。

上堂、僧が問うた:「劫火洞然として、大千俱に壞れん、未だ審かならず此箇還た壞れるか無しや。大隨曰く壞れ、修山主曰く壞れず、未だ審かならず孰れか是れ孰れか非。」師は言った:「一は壞れ一は壞れず、觀自在を笑い殺す。獅子驀として人を咬み、狂狗盡く塊を逐う。」復た言った:「會するか。」言った:「會せず。」師は言った:「漆桶快からず。」便ち座を下りた。一日、僧有りて來りて禮を作す。師問うた:「甚の處より來る。」言った:「和尚合に某の來處を知るべし。」師は言った:「湖南屎を担ぐ漢、江西禾を刈る客。」言った:「和尚眞人天の眼目。某大潙に在りて園頭を充たし、東林に在りて藏主を作りし。」師は三棒を打ちて、喝き出だした。紹興二十三年六月朔、沐浴し趺坐して、偈を書して言った:「昨夜風雷忽爾として、露柱兩指を生出だす。天明けて燈籠を笑い倒し、拄杖依前扶き起こす。拂子流沙を跳び過ぎ、奪轉して胡僧一隻の履。」そこで儼然として逝いた。

明州香山道淵禪師

明州香山道淵禪師

本郡人。上堂。酒市魚行。頭頭寶所。鵶鳴鵲噪。一一妙音。卓拄杖曰。且道這箇是何佛事。狼籍不少。上堂。香山有箇話頭。彌滿四大神洲。若以佛法批判。還如認馬作牛。諸人既不作佛法批判。畢竟是甚麼道理。擊拂子.無鑐鏁子。不厭動搖。半夜枕頭。要須摸著。下座。

本郡の人。上堂:「酒市魚行、頭頭寶所。鴉鳴鵲噪、一一妙音。」拄杖を卓して言った:「且く道え此箇は是れ何の佛事。狼藉少なからず。」上堂:「香山に箇の話頭有り、四大神洲に彌滿す。若し佛法を以て批判せば、還た馬を認めて牛と作すが如し。諸人既に佛法の批判を作さざれば、畢竟是れ何の道理。」拂子を擊ちて:「鐶無き鎖子、動搖を厭わず。半夜の枕頭、要に須く摸着すべし。」座を下りた。

建寧府開善木菴道瓊首座

建寧府開善木庵道瓊首座

信之上饒人。叢林以耆德尊之。泐潭亦謂其飽參。分座日嘗舉隻履西歸語。謂眾曰。坐脫立亡倒化即不無。要且未有逝而復出遺履者。為復後代兒孫不及祖師。為復祖師剩有這一著子。乃大笑曰。老野狐。紹興庚申冬。信守以超化革律為禪迎為第一祖。師語專使曰。吾初無意人間。欲為山子。正為宗派耳。然恐多不能往受請已。取所藏泐潭繪像與木菴二字。仍書偈囑清泉亨老寄得法弟子慧山曰。口觜不中祥老子。愛向叢林鼓是非。分付雪峰山首座。為吾痛罵莫饒伊。顧專使曰。為我傳語侍郎。行計迫甚。不及修答。聲絕而化。

信の上饒の人。叢林耆德を以て之を尊び、泐潭も亦た其の飽參を謂う。座を分かつ日嘗て隻履西歸の語を擧げて、衆に謂いて言った:「坐脫立亡倒化は即ち無しとせず、要に且く未だ逝きて復た出でて履を遺す者有らず。爲めに復た後代の兒孫祖師に及ばざるか、爲めに復た祖師剩えに此一著子有るか。」乃ち大いに笑いて言った:「老野狐。」紹興庚申の冬、信守超化を以て律を革めて禪と爲さしめ、迎えて第一祖と爲す。師は專使に語して言った:「吾初め人間に意無し、山の子と爲らんと欲するも、正に是れ宗派の爲のみ。然れども多く往く能わざるを恐る。請を受け已りて、藏する所の泐潭繪像と『木庵』の二字を取りて、仍りて偈を書して淸泉亨老に囑し、法を得たる弟子慧山に寄せて言く:『口嘴祥老子に中らず、叢林に向かって是非を鼓するを愛す。雪峰山首座に分付す、吾が爲に痛く罵りて伊を饒す莫れ。』」專使を顧みて言った:「我が爲に侍郎に語を傳えよ、行計迫りて甚だし、答えを修するに及ばず。」聲絶えて化した。

景淳知藏

景淳知藏

梅州人。於化度寺得度。往依泐潭。入室次。潭問。陝府鐵牛重多少。師叉手近前曰。且道重多少。潭曰。尾在黃河北。頭枕黃河南。善財無鼻孔。依舊向南參。師擬議。潭便打。忽頓徹。巾侍有年。竟隱居林壑。甞作偈曰。怕寒懶剃髼鬆髮。愛暖頻添榾柮柴。破衲伽黎撩亂搭。誰能勞力強安排。

梅州の人。化度寺に於て度を得て、往きて泐潭に依る。室に入る次、潭問うた:「陜府の鐵牛重さ多少。」師は手を叉して近づき前りて言った:「且く道え重さ多少。」潭は言った:「尾は黃河の北に在り、頭は黃河の南に枕す。善財鼻孔無し、依舊として南に參ず。」師は擬議すれば、潭は便ち打った。忽ち頓に徹す。巾侍すること年有りて、竟に林壑に隱居す。嘗て偈を作りて言った:「寒を怕れて蓬鬆の髮を剃るに懶く、暖を愛して頻りに榾柮の柴を添う。破衲伽黎撩亂に搭し、誰か能く力を勞して強いて安排せん。」

信州懷玉用宣首座

信州懷玉用宣首座

四明彭氏子。幼為僧。徑趨叢席。侍泐潭於黃檗。一日自臨川持缽歸。值潭晚參。有云。一葉飄空便見秋。法身須透鬧啾啾。師聞領旨。潭為證據。後依大慧。慧亦謂其類己。以是名卿鉅公列剎迎禮。不就。甞有頌大愚答佛語曰鋸解秤鎚。出老杜詩。紅稻啄殘鸚鵡顆。碧梧棲老鳳凰枝。

四明彭氏の子。幼にして僧と爲り、徑に叢席に趨り、泐潭に侍すこと黃檗に於てす。一日臨川より鉢を持して歸る、潭の晚參に値い、云く有り:「一葉空に飄えば便ち秋を見、法身須く鬧啾啾を透すべし。」師は聞きて旨を領し、潭は證據と爲す。後に大慧に依る、慧も亦た其の己に類するを謂う。是を以て名卿鉅公、列刹迎禮すれども、就かず。嘗て頌有りて大愚が佛の語に答えたる曰く鋸解秤錘、老杜の詩を出づ:「紅稻鸚鵡の顆を啄み殘し、碧梧鳳凰の枝に栖れ老ゆ。」

光孝蘭禪師法嗣

光孝蘭禪師法嗣

明州蘆山無相法真禪師

明州蘆山無相法眞禪師

江南李主之裔也。上堂。欲明向上事。須具頂門眼。若具頂門眼。始契出家心。既契出家心。常具頂門眼。要會頂門眼麼。四京人著衣吃飯。兩浙人飽暖自如。通玄峰頂香風清。花發蟠桃三四株。

江南李主の裔なり。上堂:「向上の事を明らかにせんと欲せば、須く頂門の眼を具すべし。若し頂門の眼を具せば、始めて出家の心に契かん。既に出家の心に契けば、常に頂門の眼を具す。頂門の眼を會せんと要するか。四京の人は衣を著け飯を喫し、兩浙の人は飽き暖かく自如なり。通玄峰頂香風淸く、花發く蟠桃三四株。」

南嶽下十五世

南嶽下十五世

淨因成禪師法嗣

淨因成禪師法嗣

台州瑞巖如勝佛燈禪師

台州瑞岩如勝佛燈禪師

上堂。人人領略釋迦。箇箇平欺達磨。及乎問著宗綱。束手盡雲放過。放過即不無。祇如女子出定。趙州洗缽盂。又作麼生話會。鶴有九皋難翥翼。馬無千里謾追風。

上堂:「人人釋迦を領略し、箇箇達磨を平欺す。及び乎宗綱を問い著けば、手を束ねて盡く放過と云う。放過は即ち無しとせず、只だ如し女子の定を出で、趙州の鉢盂を洗う、又た作麼生に話會せん。鶴に九皐有りて翼を翥げ難く、馬に千里無ければ風を追うを謾る。」

無為軍冶父實際道川禪師

無爲軍冶父實際道川禪師

崑山狄氏子。初為縣之弓級。聞東齋謙首座為道俗演法。往從之。習坐不倦。一日因不職遭笞。忽於杖下大悟。遂辭職依謙。謙為改名道川。且曰。汝舊呼狄三。今名道川。川即三耳。汝能竪起脊梁。了辦箇事。其道如川之增。若放倒。則依舊狄三也。師銘於心。建炎初。圓頂遊方。至天封蹣菴。與語鋒投。菴稱善。歸憩東齋。道俗愈敬。有以金剛般若經請問者。師為頌之。今盛行於世。隆興改元。殿撰鄭公喬年漕淮西。適冶父。虗席迎開法。上堂。群陰剝盡一陽生。草木園林盡發萠。唯有衲僧無底缽。依前盛飯又盛羹。上堂。舉。雪峰一日登座。拈拄杖東覷曰。東邊底。又西覷曰。西邊底。諸人還知麼。擲下拄杖曰。向這裡會取。師曰。東邊覷了復西觀。拄杖重重話歲寒。帶雨一枝花落盡。不煩公子倚䦨幹。

崑山狄氏の子。初め縣の弓級と爲る。東齋謙首座が道俗の爲に法を演ぶを聞きて、往きて之に從い、坐を習うこと倦まず。一日職まざるを因りて笞に遭い、忽ち杖下に於て大いに悟りて、遂に職を辭して謙に依る。謙は彼が爲に名を改めて道川と爲し、且つ言った:「あなた舊に狄三と呼ばれ、今道川と名づく。川は即ち三也。あなた能く脊梁を豎起して、箇の事を了辦せば、其の道川の增すが如し。若し放倒すれば、則ち依舊狄三也。」師は心に銘じた。建炎初、圓頂方を遊びて、天封蹣庵に至り、語と鋒投じ合い、庵善と稱す。歸りて東齋に憩い、道俗愈々敬う。《金剛般若經》を以て請問する者有り、師は彼が爲に之を頌して、今に世に盛行す。隆興改元、殿撰鄭公喬年淮西を漕して、適冶父席虛しく、迎えて法を開かしむ。上堂:「群陰剥盡きて一陽生じ、草木園林盡く萌を發す。唯有り衲僧の底無き鉢、依前飯を盛りて又た羹を盛る。」上堂、擧ぐ:雪峰一日座に登りて、拄杖を拈じて東を覷りて言った:「東邊の。」又た西を覷りて言った:「西邊の。諸人還た知るか。」拄杖を擲下して言った:「此裏に向かって會取せ。」師は言った:「東邊を覷り了りて復た西を觀る、拄杖重ねて歲寒を話す。雨を帶びた一枝花落ち盡く、煩わさず公子の闌干に倚るを。」

五燈會元卷第十二

五燈會元巻第十三

曹洞宗

曹洞宗

青原下四世

青原下四世

雲巖晟禪師法嗣

雲巖晟禅師法嗣

瑞州洞山良价悟本禪師

瑞州洞山良价悟本禅師

會稽俞氏子。幼歲從師念般若心經。至無眼耳鼻舌身意處。忽以手捫面。問師曰。某甲有眼耳鼻舌等。何故經言無。其師駭然異之。曰。吾非汝師。即指往五洩山禮默禪師披剃。年二十一。詣嵩山具戒。遊方首詣南泉。值馬祖諱辰修齋。泉問眾曰。來日設馬祖齋。未審馬祖還來否。眾皆無對。師出對曰。待有伴即來。泉曰。此子雖後生。甚堪雕琢。師曰。和尚莫壓良為賤。次參溈山。問曰。頃聞南陽忠國師有無情說法話。某甲未究其微。溈曰。闍黎莫記得麼。師曰。記得。溈曰。汝試舉一徧看。師遂舉。僧問。如何是古佛心。國師曰。墻壁瓦礫是。僧曰。墻壁瓦礫。豈不是無情。國師曰。是。僧曰。還解說法否。國師曰。常說熾然。說無間歇。僧曰。某甲為甚麼不聞。國師曰。汝自不聞。不可妨他聞者也。僧曰。未審甚麼人得聞。國師曰。諸聖得聞。僧曰。和尚還聞否。國師曰。我不聞。僧曰。和尚既不聞。爭知無情解說法。國師曰。賴我不聞。我若聞。即齊於諸聖。汝即不聞我說法也。僧曰。恁麼則眾生無分去也。國師曰。我為眾生說。不為諸聖說。僧曰。眾生聞後如何。國師曰。即非眾生。僧曰。無情說法。據何典教。國師曰。灼然。言不該典。非君子之所談。汝豈不見華嚴經云。剎說.眾生說.三世一切說。師舉了。溈曰。我這裡亦有。祇是罕遇其人。師曰。某甲未明。乞師指示。溈竪起拂子曰。會麼。師曰。不會。請和尚說。溈曰。父母所生口。終不為子說。師曰。還有與師同時慕道者否。溈曰。此去澧陵攸縣。石室相連。有雲巖道人。若能撥草瞻風。必為子之所重。師曰。未審此人如何。溈曰。他曾問老僧學人慾奉師去時如何。老僧對他道。直須絕滲漏始得。他道。還得不違師旨也無。老僧道。第一不得道老僧在這裡。師遂辭溈山。徑造雲巖。舉前因緣了。便問。無情說法。甚麼人得聞。巖曰。

会稽の俞氏の子である。幼い頃、師について《般若心経》を読んでいたが、「無眼耳鼻舌身意」のところに至って、忽ち手で面を撫で、師に問うて言った。「某甲には眼耳鼻舌などがあるのに、なぜ経には無と言うのですか。」その師は驚き怪しんで言った。「吾は汝の師ではない。」すぐに五泄山に指して黙禅師に礼して剃髪させた。二十一歳の時、嵩山に詣でて具足戒を受けた。行脚してまず南泉に詣で、ちょうど馬祖の忌辰に斎を修していた。泉は衆に問うて言った。「来る日に馬祖の斎を設けるが、馬祖はまた来るかどうか。」衆は皆対える者がなかった。師が出て対えて言った。「伴あらば即ち来たらん。」泉は言った。「この子は後生だが、甚だ雕琢に堪える。」師は言った。「和尚、良を圧して賤となすことなかれ。」次いで潙山に参じて問うて言った。「頃に南陽忠国師に無情説法の話があると聞いたが、某甲はいまだその微を究めていない。」潙は言った。「闍黎は記えているか。」師は言った。「記えています。」潙は言った。「試しに一遍挙げてみよ。」師は遂に挙げた。僧が問う。「如何なるか是れ古仏心。」国師は言った。「墙壁瓦礫是れなり。」僧は言った。「墙壁瓦礫は、豈に無情ではないか。」国師は言った。「是なり。」僧は言った。「また説法を解するや否や。」国師は言った。「常に説きて熾然、説きて間歇無し。」僧は言った。「某甲はなぜ聞かないのですか。」国師は言った。「汝自ら聞かぬなり、他の聞く者を妨ぐべからず。」僧は言った。「いずれの人か聞くことを得る。」国師は言った。「諸聖は聞くことを得。」僧は言った。「和尚はまた聞きますか。」国師は言った。「我は聞かず。」僧は言った。「和尚既に聞かず、争でか無情の説法を解することを知らん。」国師は言った。「頼むところは我が聞かざるなり。我若し聞かば、即ち諸聖に斉しく、汝即ち我が説法を聞かざらん。」僧は言った。「恁麼ならば衆生は分無しということか。」国師は言った。「我は衆生の為に説く、諸聖の為には説かず。」僧は言った。「衆生が聞いた後は如何。」国師は言った。「即ち衆生に非ず。」僧は言った。「無情説法は、何の典教に拠るのか。」国師は言った。「灼然なり。言が典に該まざれば、君子の談ずる所に非ず。汝豈に《華厳経》に云く、刹説・衆生説・三世一切説とあるを見ずや。」師が挙げ終えると、潙は言った。「我がここにも亦あるが、ただ其の人に遇うことが稀なだけだ。」師は言った。「某甲はいまだ明らかでない、乞う師の指示を。」潙は拂子を竖起して言った。「会するか。」師は言った。「会しません。請う和尚説いてくだされ。」潙は言った。「父母所生の口は、終に子の為に説かず。」師は言った。「また師と同時に道を慕う者がありますか。」潙は言った。「ここより澧陵攸県に去り、石室相連ね、雲巖道人あり。若し能く草を拨り風を瞻れば、必ず子が重んずる所とならん。」師は言った。「いまだ審らかならず、この人は如何なる人か。」潙は言った。「彼は曾て老僧に問うた。学人が師に奉じて去らんと欲する時は如何、と。老僧は他に対して、直に渗漏を絶して始めて得、と言った。彼は言った、また師旨に違わざることを得ますか、と。老僧は道う、第一に老僧ここに在りと道うことを得ず、と。」師は遂に潙山に辞して、径に雲巖に造った。前の因縁を挙げ了えて、便ち問うた。「無情説法は、何人が聞くことを得ますか。」雲巖は言った。

無情得聞。師曰。和尚聞否。巖曰。我若聞。汝即不聞吾說法也。師曰。某甲為甚麼不聞。巖竪起拂子曰。還聞麼。師曰。不聞。巖曰。我說法汝尚不聞。豈況無情說法乎。師曰。無情說法。該何典教。巖曰。豈不見彌陀經云。水鳥樹林。悉皆念佛念法。師於此有省。乃述偈曰。也大奇。也大奇。無情說法不思議。若將耳聽終難會。眼處聞時方得知。師問雲巖。某甲有餘習未盡。巖曰。汝曾作甚麼來。師曰。聖諦亦不為。巖曰。還歡喜也未。師曰。歡喜則不無。如糞掃堆頭。拾得一顆明珠。師問雲巖。擬欲相見時如何。曰。問取通事舍人。師曰。見問次。曰。向汝道甚麼。師辭雲巖。巖曰。甚麼處去。師曰。雖離和尚。未卜所止。曰。莫湖南去。師曰。無。曰。莫歸鄉去。師曰。無。曰。早晚卻回。師曰。待和尚有住處即來。曰。自此一別。難得相見。師曰。難得不相見。臨行又問。百年後忽有人問。還邈得師真否。如何祇對。巖良久。曰。祇這是。師沈吟。巖曰。價闍黎承當箇事。大須審細。師猶涉疑。後因過水睹影。大悟前旨。有偈曰。切忌從他覓。迢迢與我踈。我今獨自往。處處得逢渠。渠今正是我。我今不是渠。應須恁麼會。方得契如如。他日。因供養雲巖真次。僧問。先師道祇這是。莫便是否。師曰。是。曰。意旨如何。師曰。當時幾錯會先師意。曰。未審先師還知有也無。師曰。若不知有。爭解恁麼道。若知有。爭肯恁麼道(長慶雲。既知有。為甚麼恁麼道。又云。養子方知父慈)。師在泐潭。見初首座。有語曰。也大奇。也大奇。佛界道界不思議。師遂問曰。佛界道界即不問。祇如說佛界道界底是甚麼人。初良久無對。師曰。何不速道。初曰。爭即不得。師曰。道也未曾道。說甚麼爭即不得。初無對。師曰。佛之與道。俱是名言。何不引教。初曰。教道甚麼。師曰。得意忘言。初曰。

(雲巖が続けて言った。)「無情は聞くことを得。」師は言った。「和尚は聞きますか。」雲巖は言った。「我若し聞かば、汝即ち吾が説法を聞かざらん。」師は言った。「某甲はなぜ聞かないのですか。」雲巖は拂子を竖起して言った。「また聞くか。」師は言った。「聞きません。」雲巖は言った。「我が説法を汝なお聞かず、豈に况んや無情の説法をや。」師は言った。「無情説法は、何の典教に該当しますか。」雲巖は言った。「豈に《弥陀経》に云く、水鳥樹林、悉く皆仏を念じ法を念ず、とあるを見ずや。」師はここにおいて省悟あり、乃ち偈を述べて言った。「也大奇、也大奇、無情説法不思議。若し将に耳聴し終に会し難し、眼処に聞く時方に知ることを得ん。」師は雲巖に問うた。「某甲に余習未尽あり。」雲巖は言った。「汝曾て何を作して来た。」師は言った。「聖諦も亦為さず。」雲巖は言った。「また歓喜したか。」師は言った。「歓喜は則ち無しとせず、糞掃堆頭に一顆の明珠を拾得するが如し。」師は雲巖に問うた。「拟い相見んと欲する時は如何。」言った。「通事舎人に問取れ。」師は言った。「今問うています。」言った。「汝に向って何を道おうか。」師は雲巖に辞した。雲巖は言った。「何の処かに行く。」師は言った。「和尚を離るといえども、いまだ止まる所を卜せず。」言った。「湖南に行くな。」師は言った。「無し。」言った。「郷に帰るな。」師は言った。「無し。」言った。「早晚却って回れ。」師は言った。「和尚に住処あらば即ち来たらん。」言った。「此より一別、相見んこと難し。」師は言った。「相見ざること難し。」行くに臨んでまた問うた。「百年の後、忽ち人の問うあらば、また師真を邈め得るか、如何に対せん。」雲巖良久にして言った。「只これ是れ。」師は沈吟した。雲巖は言った。「价闍黎、当個の事を承当するに、大いに審細たるを須いる。」師はなお疑に渉った。後に水を過ぎ影を覩るに因り、大いに前の旨に悟った。偈ありて言った。「切に他に従って覓むることを忌め、迢迢として我と疏し。我今独り往き、処々に渠に逢うことを得。渠今正に是れ我、我今是れ渠に非ず。応に恁麼会し、方に如如に契することを得べし。」他日、雲巖の真を供養するに因り、僧が問うた。「先師の道わく只これ是れ、便ち是か。」師は言った。「是なり。」言った。「意旨如何。」師は言った。「当時、幾んど先師の意を错会せんとした。」言った。「いまだ審らかならず、先師はまた知有するや否や。」師は言った。「若し知有せずんば、争でか恁麼に道うことを解せん。若し知有せば、争でか恁麼に道うことを肯んぜん。」(長慶は言った。「既に知有せば、なぜ恁麼に道う。」また言った。「子を養って方に父の慈を知る。」)師は泐潭に在りて、初首座の語あるを見て言う、「也大奇、也大奇、仏界道界不思議。」師は遂に問うて言った。「仏界道界は即ち問わず、只如く仏界道界を説く底は何人ぞ。」初は良久として対えず。師は言った。「何ぞ速かに道わざる。」初は言った。「争わんとして即ち得ず。」師は言った。「

猶將教意向心頭作病在。師曰。說佛界道界底病大小。初又無對。次日忽遷化。時稱師為問殺首座價。師自唐大中末於新豐山接誘學徒。厥後盛化豫章高安之洞山。權開五位。善接三根。大闡一音。廣弘萬品。橫抽寶劒。剪諸見之稠林。妙葉弘通。截萬端之穿鑿。又得曹山深明的旨。妙唱嘉猷。道合君臣。偏正回互。由是洞上玄風。播於天下。故諸方宗匠。鹹共推尊之曰曹洞宗。師因雲巖諱日營齋。僧問。和尚於雲巖處得何指示。師曰。雖在彼中。不𫎇指示。曰。既不𫎇指示。又用設齋作甚麼。師曰。爭敢違揹他。曰。和尚初見南泉。為甚麼卻與雲巖設齋。師曰。我不重先師道德佛法。祇重他不為我說破。曰。和尚為先師設齋。還肯先師也無。師曰。半肯半不肯。曰。為甚麼不全肯。師曰。若全肯。即孤負先師也。問。欲見和尚本來師。如何得見。師曰。年牙相似。即無阻矣。僧擬進語。師曰。不躡前蹤。別請一問。僧無對(雲居代雲。恁麼則不見和尚本來師也。僧問長慶。如何是年牙相似者。慶雲。古人恁麼道。闍黎又向這裡覓箇甚麼)。問。寒暑到來。如何迴避。師曰。何不向無寒暑處去。曰。如何是無寒暑處。師曰。寒時寒殺闍黎。熱時熱殺闍黎。上堂。還有不報四恩三有者麼。眾無對。又曰。若不體此意。何超始終之患。直須心心不觸物。步步無處所。常無間斷。始得相應。直須努力。莫閑過日。問僧。甚處來。曰。遊山來。師曰。還到頂麼。曰。到。師曰。頂上有人麼。曰。無人。師曰。恁麼則不到頂也。曰。若不到頂。爭知無人。師曰。何不且住。曰。某甲不辭住。西天有人不肯。師曰。我從來疑著這漢。師與泰首座冬節吃果子次。乃問。有一物上拄天。下拄地。黑似漆。常在動用中。動用中收不得。且道過在甚麼處。泰曰。過在動用中(同安顯別雲不知)。師喚侍者。掇退果卓。

(初首座が続けて言った。)「なお教意を将て心頭に向って病となす在り。」師は言った。「仏界道界を説く底の病の大小を言え。」初はまた対えず。次日忽ち遷化した。時に師を称して問殺首座の价と為した。師は唐の大中末より新豊山に於て学徒を接誘し、厥後、豫章高安の洞山に盛んに化した。権りに五位を開き、善く三根を接した。大いに一音を闡き、広く万品を弘めた。横に宝剣を抽ね、諸見の稠林を剪った。妙に弘通に叶い、万端の穿鑿を截った。又曹山の深く明らかなる旨を得て、妙唱嘉猷した。道は君臣に合し、偏正回互した。是れに由りて洞上の玄風、天下に播まった。故に諸方の宗匠、咸く共に推尊して曹洞宗と曰う。師は雲巖の諱日に因りて斎を営んだ。僧が問うた。「和尚は雲巖の処に於て何の指示を得た。」師は言った。「彼の中に在りと雖も、指示を蒙らず。」言った。「既に指示を蒙らず、また斎を設けて何を作す。」師は言った。「争でか敢えて他に違背せん。」言った。「和尚初めて南泉に見えたるに、なぜ却って雲巖に斎を設ける。」師は言った。「我は先師の道德仏法を重んぜず、只他が我が為に説破せざるを重んず。」言った。「和尚は先師の為に斎を設けるに、また先師を肯んずるや否や。」師は言った。「半肯半不肯。」言った。「なぜ全肯せざる。」師は言った。「若し全肯せば、即ち先師を孤負するなり。」問う。「和尚の本来師を見んと欲するに、如何にして見ることを得ん。」師は言った。「年牙相似なれば、即ち阻むこと無し。」僧は語を進めんと拟した。師は言った。「前蹤を蹑まず、別に一問を請え。」僧は対えず。(雲居が代って言った。「恁麼ならば和尚の本来師を見ざるなり。」僧が長慶に問うた。「如何なるか是れ年牙相似の者。」慶は言った。「古人は恁麼に道う、闍黎またここに向って何を覓むる。」)問う。「寒暑到来するに、如何に回避せん。」師は言った。「何ぞ寒暑無き処に向って去らざる。」言った。「如何なるか是れ寒暑無き処。」師は言った。「寒き時は寒さて闍黎を殺し、熱き時は熱さて闍黎を殺す。」上堂して言った。「また四恩三有を報ぜざる者有るか。」衆は対えず。又言った。「若し此の意を体せずんば、何ぞ終始の患を超えん。直に須く心心物に触れず、歩歩処所無く、常に間断無くして、始めて相応することを得べし。直に須く努力して、日を閑かに過ごすこと莫れ。」僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「山を游んで来た。」師は言った。「また頂に到ったか。」言った。「到りました。」師は言った。「頂上に人有るか。」言った。「人无し。」師は言った。「恁麼ならば頂に到らざるなり。」言った。「若し頂に到らず、争でか人無きを知らん。」師は言った。「何ぞ且く住せざる。」言った。「某甲は住するを辞せず、西天に人肯んぜざる有り。」師は言った。「我従来この漢を疑い着けり。」師と泰首座と冬節に果子を喫する次に、乃ち問うた。「一物有り、上は天を拄し、下は地を拄し、黒きこと漆に似て、常に動用の中に在り、動用の中に収め得ず。且らく道え、過は何の処に在る。」泰は言った。「過は動用の中に在り。」(同安顯が別に言った。「知らず。」)師は侍者を喚んで、果卓を掇退せしめた。

問雪峰。從甚處來。曰。天台來。師曰。見智者否。曰。義存吃鐵棒有分。僧問。如何是西來意。師曰。大似駭雞犀。問。蛇吞蝦蟇。救則是。不救則是。師曰。救則雙目不睹。不救則形影不彰。有僧不安。要見師。師遂往。僧曰。和尚何不救取人家男女。師曰。你是甚麼人家男女。曰。某甲是大闡提人家男女。師良久。僧曰。四山相逼時如何。師曰。老僧日前也向人家屋簷下過來。曰。回互不回互。師曰。不回互。曰。教某甲向甚處去。師曰。粟畬裡去。僧噓一聲。曰。珍重。便坐脫。師以拄杖敲頭三下。曰。汝祗解與麼去。不解與麼來。因夜參。不點燈。有僧出問話。退後。師令侍者點燈。乃召適來問話僧出來。其僧近前。師曰。將取三兩粉來。與這箇上座。其僧拂袖而退。自此省發。遂罄捨衣資設齋。得三年後。辭師。師曰。善為。時雪峰侍立。問曰。祗如這僧辭去。幾時卻來。師曰。他祇知一去。不解再來。其僧歸堂。就衣缽下坐化。峰上報師。師曰。雖然如此。猶較老僧三生在。雪峰上問訊。師曰。入門來須有語。不得道早箇入了也。峰曰。某甲無口。師曰。無口且從。還我眼來。峰無語(雲居別前語云。待某甲有口即道。長慶別雲。恁麼則某甲謹退)。雪峰般柴次。乃於師面前拋下一束。師曰。重多少。峰曰。盡大地人提不起。師曰。爭得到這裡。峰無語。問僧。甚處來。曰。三祖塔頭來。師曰。既從祖師處來。又要見老僧作甚麼。曰。祖師即別。學人與和尚不別。師曰。老僧欲見闍黎本來師。還得否。曰。亦須待和尚自出頭來。始得。師曰。老僧適來暫時不在。官人問。有人修行否。師曰。待公作男子即修行。僧問。相逢不拈出。舉意便知有時如何。師乃合掌頂戴。問僧。作甚麼來。曰。孝順和尚來。師曰。世間甚麼物最孝順。僧無對。上堂。有一人在千人萬人中。不背一人。不向一人。

雪峯に問うた。「甚の処より来た。」言った。「天台より来た。」師は言った。「智者に見えたか。」言った。「義存は鉄棒を喫する分有り。」僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「大いに駭鶏犀に似たり。」問う。「蛇が蝦蟆を呑む、救えば是か、救わざれば是か。」師は言った。「救えば則ち双目不睹、救わざれば則ち形影不彰。」僧有りて安からず。師に見えんと要す。師は遂に往いた。僧は言った。「和尚は何ぞ人家の男女を救取せざる。」師は言った。「汝は何人家の男女ぞ。」言った。「某甲は大闡提人家の男女です。」師は良久とした。僧は言った。「四山相逼る時如何。」師は言った。「老僧日前にも人家の屋檐下より過ぎて来た。」言った。「回互か回互せざるか。」師は言った。「回互せず。」言った。「某甲をして甚の処に向って行かしめん。」師は言った。「粟畬の裏に去れ。」僧は嘘の一声を發して言った。「珍重。」便ち坐脱した。師は拄杖を以て頭を三下敲いて言った。「汝只解く恁麼に去る、解せず恁麼に来るを。」夜参に因りて、燈を点ぜず。僧有りて出て話を問い、退き後れた。師は侍者に令めて燈を点ぜしめ、乃ち適来問話の僧を召して出で来らしめた。その僧近づき前る。師は言った。「三両の粉を将て取りて、この上座に与えよ。」その僧は袖を拂って退いた。此より省発し、遂に衣資を罄くして斎を設けた。三年を得て後、師に辞した。師は言った。「善く為せ。」時に雪峯侍立して問うて言った。「只如くこの僧の辞去するは、幾時にか却って来たる。」師は言った。「他只去るを知る、再来を解せず。」その僧は堂に帰り、衣鉢の下に就いて坐化した。峯は上りて師に報じた。師は言った。「此くの如しと雖も、なお老僧に較べて三生有り。」雪峯は上りて問訊した。師は言った。「門に入り来たれば須く語有るべし、早箇に入了と道うことを得ず。」峯は言った。「某甲は口無し。」師は言った。「口無きは且く従え、我に眼を還せ。」峯は語無し(雲居が前の語に別に云う、某甲に口有らんを待ちて即ち道わん、と。長慶が別に言った、「恁麼ならば某甲謹んで退かん。」)雪峯が柴を搬ぶ次、乃ち師の面前に於て一束を抛ち下した。師は言った。「重きこと多少。」峯は言った。「尽大地の人也て提起し得ず。」師は言った。「争でかここに到ることを得た。」峯は語無し。僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「三祖の塔頭より来た。」師は言った。「既に祖師の処より来た、また老僧に見えて何を作さん。」言った。「祖師は即ち別、学人と和尚とは不別。」師は言った。「老僧は闍黎の本来師に見えんと欲す、還って得るか否。」言った。「亦須く和尚自ら頭出するを待ちて、始めて得べし。」師は言った。「老僧は適来暫時在らざりき。」官人が問うた。「人修行する者有るか。」師は言った。「公が男子と作るを待ちて即ち修行せん。」僧が問うた。「相逢して拈出せず、挙意して即ち時を知る有る時如何。」師は乃ち合掌頂戴した。僧に問うた。「何を作して来た。」言った。「和尚に孝順して来た。」師は言った。「

你道此人具何面目。雲居出曰。某甲參堂去。師有時曰。體得佛向上事。方有些子語話分。僧問。如何是語話。師曰。語話時闍黎不聞。曰。和尚還聞否。師曰。不語話時即聞。問。如何是正問正答。師曰。不從口裡道。曰。若有人問。師還答否。師曰。也未曾問。問。如何是從門入者非寶。師曰。便好休。問。和尚出世幾人肯。師曰。並無一人肯。曰。為甚麼並無一人肯。師曰。為他箇箇氣宇如王。師問講維摩經僧曰。不可以智知。不可以識識。喚作甚麼語。曰。讚法身語。師曰。喚作法身。早是讚也。問。時時勤拂拭。為甚麼不得他衣缽。未審甚麼人合得。師曰。不入門者。曰。祇如不入門者。還得也無。師曰。雖然如此。不得不與他。卻又曰。直道本來無一物。猶未合得他衣缽。汝道甚麼人合得。這裡合下得一轉語。且道下得甚麼語。時有一僧。下九十六轉語。並不契。末後一轉。始愜師意。師曰。闍黎何不早恁麼道。別有一僧密聽。祇不聞末後一轉。遂請益其僧。僧不肯說。如是三年相從。終不為舉。一日因疾。其僧曰。某三年請舉前話。不蒙慈悲。善取不得。惡取去。遂持刀白曰。若不為某舉。即殺上座去也。其僧悚然。曰。闍黎且待。我為你舉。乃曰。直饒將來亦無處著。其僧禮謝。有菴主不安。凡見僧便曰。相救。相救。多下語不契。師乃去訪之。主亦曰。相救。師曰。甚麼相救。主曰。莫是藥山之孫。雲巖嫡子麼。師曰。不敢。主合掌曰。大家相送。便遷化。僧問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。火後一莖茆。問。師尋常教學人行鳥道。未審如何是鳥道。師曰。不逢一人。曰。如何行。師曰。直須足下無私去。曰。祇如行鳥道。莫便是本來面目否。師曰。闍黎因甚顛倒。曰。甚麼處是學人顛倒。師曰。若不顛倒。因甚麼卻認奴作郎。曰。如何是本來面目。師曰。不行鳥道。師謂眾曰。

汝は此の人が何の面目を具するか道え。雲居が出て言った。「某甲は堂に参ぜん。」師は時に言った。「仏向上の事を体得して、方に些子の語話の分有り。」僧が問うた。「如何なるか是れ語話。」師は言った。「語話する時は闍黎聞かず。」言った。「和尚はまた聞きますか。」師は言った。「語話せざる時は即ち聞く。」問う。「如何なるか是れ正問正答。」師は言った。「口裏より道わず。」言った。「若し人の問う有らば、師はまた答えますか。」師は言った。「もいまだ曾て問わず。」問う。「如何なるか是れ門より入る者は宝に非ず。」師は言った。「便ち休むるを好しとせん。」問う。「和尚出世して幾人か肯んず。」師は言った。「並べて一人も肯んずる無し。」言った。「なぜ並べて一人も肯んぜざる。」師は言った。「他の箇箇の気宇の王の如きが為なり。」師は維摩経を講ずる僧に問うて言った。「智を以て知るべからず、識を以て識すべからず、何の語と喚ぶ。」言った。「法身を賛ずる語。」師は言った。「法身と喚ぶ、早く是れ賛なり。」問う。「時時に勤めて拂拭す。なぜ彼の衣鉢を得ざる。いまだ審らかならず何人か得るに合する。」師は言った。「門に入らざる者。」言った。「只如く門に入らざる者も、また得るや否や。」師は言った。「此くの如しと雖も、他に与えざるを得ず。」却って言った。「直に本来一物無しと道うも、なお未だ彼の衣鉢を得るに合せず、汝道え何人か得るに合せん。ここに一転語を下すに合す、且らく道え何の語を下す。」時に一僧有りて、九十六の転語を下したが、並べて契せず。末後の一転、始めて師の意に愜えた。師は言った。「闍黎何ぞ早く恁麼に道わざりし。」別に一僧有りて密かに聴いたが、只末後の一転を聞かず。遂にその僧に請益した。僧は肯んぜず。此くの如く三年相従うも、終に挙げず。一日疾に因りて、その僧は言った。「某三年前の話を挙げんことを請うも、慈悲を蒙らず、善く取ること得ず、悪く取り去らん。」遂に刀を持して白して言った。「若し某の為に挙げずんば、即ち上座を殺し去らん。」その僧悚然として言った。「闍黎且く待て、我汝の為に挙げん。」乃ち言った。「直饒将来も亦著くる処無し。」その僧は礼謝した。庵主有りて安からず、凡そ僧を見れば便ち言った、「相救、相救、多く語を下すも契せず。」師は乃ち往いて之を訪ねた。主も亦言った。「相救。」師は言った。「何をか相救す。」主は言った。「薬山の孫、雲巖の嫡子か。」師は言った。「敢えてせず。」主は合掌して言った。「大家相送。」便ち遷化した。僧が問うた。「亡僧遷化して何の処に向って去る。」師は言った。「火後の一茎の茆。」問う。「師は尋常学人に鳥道を行ずるを教う。いまだ審らかならず如何なるか是れ鳥道。」師は言った。「一人に逢わず。」言った。「如何に行ずる。」師は言った。「直に須く足下に私無く去るべし。」言った。「只如く鳥道を行ずるは、便ち本来面目か。」師は言った。「闍黎は因甚に颠倒する。」言った。「何の処か是れ学人の颠倒。」師は言った。「若し颠倒せずんば、因って何ぞ

知有佛向上人。方有語話分。僧問。如何是佛向上人。師曰。非佛(保福別雲。佛非。法眼別雲。方便呼為佛)。師與密師伯過水。乃問。過水事作麼生。伯曰。不濕腳。師曰。老老大大。作這箇語話。伯曰。你又作麼生。師曰。腳不濕。問僧。甚處去來。曰。製鞋來。師曰。自解依他。曰。依他。師曰。他還指教汝也無。曰。允即不違。僧問茱萸。如何是沙門行。萸曰。行則不無。有覺即乖。別有僧舉似師。師曰。他何不道未審是甚麼行。僧遂進此語。萸曰。佛行。佛行。僧回舉似師。師曰。幽州猶似可。最苦是新羅(東禪齊拈雲。此語還有疑訛也無。若有。且道甚麼處不得。若無。他又道最苦是新羅。還點檢得出麼。他道行則不無。有覺即乖。卻令再問是甚麼行。又道佛行。那僧是會了問。不會了問。請斷看)。僧卻問。如何是沙門行。師曰。頭長三尺。頸長二寸。師令侍者持此語問三聖然和尚。聖於侍者手上掐一掐。侍者回。舉似師。師肯之。師見幽上座來。遽起向禪床後立。幽曰。和尚為甚麼迴避學人。師曰。將謂闍黎不見老僧。問。如何是玄中又玄。師曰。如死人舌。師洗缽次。見兩烏爭蝦蟇。有僧便問。這箇因甚麼到恁麼地。師曰。祇為闍黎。問。如何是毗盧師法身主。師曰。禾莖粟榦。問。三身之中。阿那身不墮眾數。師曰。吾常於此切(僧問曹山。先師道吾常於此切。意作麼生。山雲。要頭便斫去。又問雪峰。峰以拄杖劈口打雲。我亦曾到洞山來)。會下有老宿去雲巖回。師問。汝去雲巖作甚麼。宿曰。不會。師代曰。堆堆地。師行腳時。會一官人。曰。三祖信心銘。弟子擬註。師曰。才有是非。紛然失心。作麼生註(法眼代雲。恁麼則弟子不註也)。師看稻次。見朗上座牽牛。師曰。這箇牛須好看。恐傷人苗稼。朗曰。若是好牛。應不傷人苗稼。僧問。如何是青山白雲父。師曰。

仏向上の人有るを知る。方に語話の分有り。僧が問うた。「如何なるか是れ仏向上人。」師は言った。仏に非ず(保福が別に言った、「仏非。」法眼が別に言った、「方便に呼んで仏と為す。」)師と密師伯と水を過ぐる。乃ち問うた。「水を過ぐる事作麼生。」伯は言った。「脚を濡らさず。」師は言った。「老老大の人が、この語話を作す。」伯は言った。「汝また作麼生。」師は言った。「脚濡れず。」僧に問うた。「甚の処に去り来た。」言った。「鞋を制して来た。」師は言った。「自ら解して他に依る。」言った。「他に依る。」師は言った。「他はまた汝を指教するや否や。」言った。「允なれば即ち違わず。」僧が茱萸に問うた。「如何なるか是れ沙門行。」萸は言った。「行は則ち無しとせず、覚有れば即ち乖し。」別に僧有りて挙げて師に似たり。師は言った。「他は何ぞ道わざる、いまだ審らかならず是れ何の行ぞ。僧は遂に此の語を進めた。」萸は言った。「仏行、仏行。僧は回りて挙げて師に似たり。」師は言った。「幽州はなお似たる可し、最も苦しきは新羅なり。」(東禅斉が拈じて言った。「此の語また疑訛有るや無しや、若有らば且らく道え何の処か得ざる、若無ければ他また最苦は新羅と道う、また点検し出だすことを得るか。他は道う、行は則ち無しとせず覚有れば即ち乖し、と、却って再び何の行ぞと問わしめ、また仏行と道う。あの僧は会了したか、請う断じ看よ。」)僧は却って問うた。「如何なるか是れ沙門行。」師は言った。「頭の長さ三尺、頸の長さ二寸。」師は侍者に令めて此の語を持たせて三聖然和尚に問わしめた。聖は侍者の手上に於て一掐した。侍者回りて挙げて師に似たり。師は之を肯んじた。師は幽上座の来たるを見て、遽に起ちて禅床の後に向って立った。幽は言った。「和尚はなぜ学人を回避する。」師は言った。「将に闍黎は老僧を見ずと謂わんとす。」問う。「如何なるか是れ玄中又玄。」師は言った。「死人の舌の如し。」師が鉢を洗う次、両烏の蝦蟆を争うを見た。僧有りて便ち問うた。「この因は何を以て恁麼の地に到る。」師は言った。「只闍黎の為なり。」問う。「如何なるか是れ毘盧師法身主。」師は言った。「禾茎粟干。」問う。「三身の中、阿那の身は衆数に堕せず。」師は言った。「吾は常に此に於て切なり(僧が曹山に問うた、「先師の吾常に此に於て切なりと道うは、意は作麼生。」山云う、頭を要すれば便ち斫去れ、と。また雪峯に問う、峯は拄杖を以て口を劈いて打ちて云う、我も亦曾て洞山に到りて来たり、と)。会下に老宿有りて雲巖に去りて回った。師は問うた。「汝雲巖に去りて何を作した。」宿は言った。「会せず。」師が代って言った。「堆堆地。」師が行脚の時、一官人に会った。言った。「三祖の信心銘、弟子拟い注せんとす。」師は言った。「纔かに是非有れば、紛然として心を失う。作麼生に注せん。」(法眼が代って言った。「恁麼ならば弟子は注せざるなり。」)師が稲を看る次、朗上座の牛を牽くを見て言った。「

不森森者是。曰。如何是白雲青山兒。師曰。不辯東西者是。曰。如何是白雲終日倚。師曰。去離不得。曰。如何是青山總不知。師曰。不顧視者是。問。清河彼岸是甚麼草。師曰。是不萌之草。師作五位君臣頌曰。正中偏。三更初夜月明前。莫怪相逢不相識。隱隱猶懷舊日嫌。偏中正。失曉老婆逢古鏡。分明覿面別無真。休更迷頭猶認影。正中來。無中有路隔塵埃。但能不觸當今諱。也勝前朝斷舌才。兼中至。兩刃交鋒不須避。好手猶如火裡蓮。宛然自有沖天志。兼中到。不落有無誰敢和。人人盡欲出常流。摺合還歸炭裡坐。上堂。向時作麼生。奉時作麼生。功時作麼生。共功時作麼生。功功時作麼生。僧問。如何是向。師曰。吃飯時作麼生。曰。如何是奉。師曰。背時作麼生。曰。如何是功。師曰。放下钁頭時作麼生。曰。如何是共功。師曰。不得色。曰。如何是功功。師曰。不共。乃示頌曰。聖主由來法帝堯。御人以禮曲龍腰。有時閙市頭邊過。到處文明賀聖朝。淨洗濃粧為阿誰。子規聲裡勸人歸。百花落盡啼無盡。更向亂峰深處啼。枯木花開劫外春。倒騎玉象趂麒麟。而今高隱千峰外。月皎風清好日辰。眾生諸佛不相侵。山自高兮水自深。萬別千差明底事。鷓鴣啼處百花新。頭角才生已不堪。擬心求佛好羞慚。迢迢空劫無人識。肯向南詢五十三。師因曹山辭。遂囑曰。吾在雲巖先師處。親印寶鏡三昧。事窮的要。今付於汝。詞曰。如是之法。佛祖密付。汝今得之。宜善保護。銀盌盛雪。明月藏鷺。類之弗齊。混則知處。意不在言。來機亦赴。動成窠臼。差落顧佇。背觸俱非。如大火聚。但形文彩。即屬染汙。夜半正明。天曉不露。為物作則。用㧞諸苦。雖非有為。不是無語。如臨寶鏡。形影相覩。汝不是渠。渠正是汝。如世嬰兒。五相完具。不去不來。不起不住。婆婆和和。有句無句。終不得物。

森森たらざる者是なり。言った。「如何なるか是れ白雲青山の兒。」師は言った。「東西を弁ぜざる者是なり。」言った。「如何なるか是れ白雲終日倚る。」師は言った。「去離することを得ず。」言った。「如何なるか是れ青山総て知らず。」師は言った。「顧視せざる者是なり。」問う。「清河の彼岸は何の草ぞ。」師は言った。「是れ不萌の草なり。」師は五位君臣の頌を作って言った。「正中偏、三更初夜月明前、莫怪相逢不相識、隠隠猶懐舊日嫌。偏中正、失曉老婆逢古鏡、分明覿面別無真、休更迷頭猶認影。正中來、無中有路隔塵埃。但能不触當今諱、也勝前朝斷舌才。兼中至、兩刃交鋒不須避、好手猶如火裏蓮、宛然自有冲天志。兼中到、不落有無誰敢和、人人盡欲出常流、折合還歸炭裏坐。」上堂して言った。「向の時作麼生、奉の時作麼生、功の時作麼生、共功の時作麼生、功功の時作麼生。」僧が問うた。「如何なるか是れ向。」師は言った。「飯を喫する時作麼生。」言った。「如何なるか是れ奉。」師は言った。「背く時作麼生。」言った。「如何なるか是れ功。」師は言った。「镢頭を放下する時作麼生。」言った。「如何なるか是れ共功。」師は言った。「色を得ず。」言った。「如何なるか是れ功功。」師は言った。「共にせず。」乃ち頌を示して言った。「聖主由来法帝堯、御人以礼曲龍腰、有時閙市頭邊過、到處文明賀聖朝。浄洗濃粧為阿誰、子規声裏勧人帰、百花落尽啼無尽、更向乱峰深處啼。枯木花開劫外春、倒騎玉象趂麒麟。而今高隠千峰外、月皎風清好日辰。衆生諸仏不相侵、山自高兮水自深。萬別千差明底事、鷓鴣啼處百花新。頭角纔生已不堪、擬心求仏好羞慙。迢迢空劫無人識、肯向南詢五十三。」師は曹山の辞するに因りて、遂に嘱して言った。「吾は雲巖先師の処に在りて、親しく宝鏡三昧を印受し、事は的要を窮めたり、今汝に付す。」詞に曰く、「如是の法、仏祖密かに付す、汝今之を得たり、宜しく善く保護すべし。銀盌に雪を盛り、明月に鷺を蔵す、類之斉からざる、混ずれば則ち処を知る。意は言に在らず、来機も亦赴く。動すれば窠臼を成し、差落れば顧伫する。背触倶に非ず、大火聚の如し。但文彩を形れば、即ち染污に属す。夜半正明、天暁露われず。物の為に則と作り、用て諸苦を㧞す。有為に非ずと雖も、是れ無語に非ず。宝鏡に臨むが如く、形影相覩る。汝是れ渠に非ず、渠正に是れ汝なり。世の嬰児の如く、五相完具す。不去不来、不起不住、婆婆和和、有句無句。終に物を得ず、

語未正故。重離六爻。偏正回互。疊而為三。變盡成五。如荎(徒結切)草味。如金剛杵。正中妙挾。敲唱雙舉。通宗通塗。挾帶挾路。錯然則吉。不可犯忤。天真而妙。不屬迷悟。因緣時節。寂然昭著。細入無間。大絕方所。毫忽之差。不應律呂。今有頓漸。緣立宗趣。宗趣分矣。即是規矩。宗通趣極。真常流注。外寂中搖。係駒伏鼠。先聖悲之。為法檀度。隨其顛倒。以緇為素。顛倒想滅。肯心自許。要合古轍。請觀前古。佛道垂成。十劫觀樹。如虎之缺。如馬之𮩴(之戍切)。以有下劣。寶幾珍御。以有驚異。貍奴白牯。羿以巧力。射中百步。箭鋒相直。巧力何預。木人方歌。石女起舞。非情識到。寧容思慮。臣奉於君。子順於父。不順非孝。不奉非輔。潛行密用。如愚若魯。但能相續。名主中主。師又曰。末法時代。人多乾慧。若要辯驗真偽。有三種滲漏。一曰見滲漏。機不離位。墮在毒海。二曰情滲漏。滯在向背。見處偏枯。三曰語滲漏。究妙失宗。機昧終始。濁智流轉。於此三種。子宜知之。又綱要偈三首。一.敲唱俱行偈曰。金針雙鎻備。葉路隱全該。寶印當風妙。重重錦縫開。二.金鎻玄路偈曰。交互明中暗。功齊轉覺難。力窮忘進退。金鎻網鞔鞔。三.不墮凡聖(亦名理事不涉)。偈曰。事理俱不涉。回照絕幽微。背風無巧拙。電火爍難追。上堂。道無心合人。人無心合道。欲識箇中意。一老一不老(後僧問曹山。如何是一老。山雲。不扶持。雲。如何是一不老。山雲。枯木。僧又舉似逍遙忠。忠雲。三從六義)。問僧。世間何物最苦。曰。地獄最苦。師曰。不然。在此衣線下。不明大事。是名最苦。師與密師伯行次。指路傍院曰。裡面有人說心說性。伯曰。是誰。師曰。被師伯一問。直得去死十分。伯曰。說心說性底誰。師曰。死中得活。問僧。名甚麼。曰。某甲。師曰。

語未だ正しからざるが故なり。重離六爻、偏正回互、畳んで三と為し、変尽して五と成る。荎(徒結切)草の味の如く、金剛杵の如し。正中妙挟、敲唱双挙、通宗通塗、挟帯挟路。錯然なれば則ち吉、犯忤すべからず。天真にして妙、迷悟に属せず。因縁時節、寂然として昭著。細は無間に入り、大は方所を絶す。毫忽の差、律呂に応ぜず。今頓漸有り、縁りて宗趣を立つ。宗趣分れり、即ち是れ規矩。宗通趣極、真常流注。外寂にして中揺ぐ、駒を繋ぎ鼠を伏す。先聖之を悲しみ、法の檀度と為す。その颠倒に随い、緇を以て素と為す。颠倒の想滅し、肯心自ら許す。要に古轍に合せんことを、請うて前古を観よ。仏道垂れて成らんとし、十劫樹を観る。虎の缺の如く、馬の𮩴(之戍切)の如し。下劣有るを以て、宝几珍御。驚異有るを以て、狸奴白牯。羿は巧力を以て、百歩を射中る。箭鋒相直すれば、巧力何ぞ預からん。木人方に歌い、石女起ちて舞う。情識の到るに非ず、寧んぞ思慮を容れん。臣は君に奉り、子は父に順う。順わざれば孝に非ず、奉らざれば輔に非ず。潜行密用、愚の如く魯の若し。但相続くを能くすれば、主中主と名づく。」師また言った。「末法の時代、人多く干慧、若し真偽を弁験せんと要せば、三種の渗漏有り。一に曰く見渗漏、機位を離れず、毒海に堕在す。二に曰く情渗漏、向背に滞り、見処偏枯す。三に曰く語渗漏、妙を究めて宗を失い、機は終始に昧く、濁智流転す。此の三種に於て、子宜しく之を知るべし。」また綱要の偈三首。一、敲唱倶行の偈に曰く、「金針雙鎖備、葉路隠全該、宝印當風妙、重重錦縫開。」二、金鎖玄路の偈に曰く、「交互明中暗、功斉転覚難、力窮忘進退、金鎖網鞔鞔。」三、不堕凡聖(亦の名は理事不渉)の偈に曰く、「事理倶不渉、回照絶幽微、背風無巧拙、電火爍難追。」上堂して言った。「道は心無くして人に合し、人は心無くして道に合す。箇中の意を識らんと欲せば、一老一不老(後に僧が曹山に問うた、「如何なるか是れ一老。」山云う、扶持せず、と。云う、如何なるか是れ一不老、山云う、枯木、と。僧また挙げて逍遥忠に似たり、忠云う、三従六義。)僧に問うた。「世間何の物ぞ最も苦しき。」言った。「地獄最も苦し。」師は言った。「然らず、この衣線下に在りて、大事を明らめざるは、是れを名づけて最苦と為す。」師と密師伯と行く次、路傍の院を指して言った。「裏面に人心を説き性を説く者有り。」伯は言った。「是れ誰ぞ。」師は言った。師伯の一問を被りて、「直に死して十分に去るを得。」伯は言った。「心を説き性を説く底は誰ぞ。」師は言った。「死中に活を得。」僧に問うた。「名は何と。」言った。「某甲。」師は言った。

阿那箇是闍黎主人公。曰。見祇對次。師曰。苦哉。苦哉。今時人例皆如此。祇認得驢前馬後底。將為自己。佛法平沈。此之是也。賓中主尚未分。如何辯得主中主。僧便問。如何是主中主。師曰。闍黎自道取。曰。某甲道得。即是賓中主(雲居代雲。某甲道得。不是賓中主)。如何是主中主。師曰。恁麼道即易。相續也大難。遂示頌曰。嗟見今時學道流。千千萬萬認門頭。恰似入京朝聖主。祇到潼關便即休。師不安。令沙彌傳語云居。乃囑曰。他或問和尚安樂否。但道雲巖路相次絕也。汝下此語須遠立。恐他打汝。沙彌領旨去。傳語聲未絕。早被雲居打一棒。沙彌無語(同安顯代雲。恁麼則雲巖一枝不墜也。雲居錫雲。上座且道雲巖路絕不絕。崇壽稠雲。古人打此一棒。意作麼生)。師將圓寂。謂眾曰。吾有閑名在世。誰人為吾除得。眾皆無對。時沙彌出曰。請和尚法號。師曰。吾閑名已謝(石霜雲。無人得他肯。雲居雲。若有閑名。非吾先師。曹山雲。從古至今。無人辯得。疎山雲。龍有出水之機。無人辯得)。僧問。和尚違和。還有不病者也無。師曰。有。曰。不病者還看和尚否。師曰。老僧看他有分。曰。未審和尚如何看他。師曰。老僧看時。不見有病。師乃問僧。離此殻漏子。向甚麼處與吾相見。僧無對。師示頌曰。學者恆沙無一悟。過在尋他舌頭路。欲得忘形泯蹤跡。努力殷勤空裡步。乃命剃髮.澡身.披衣。聲鐘辭眾。儼然坐化。時大眾號慟。移晷不止。師忽開目謂眾曰。出家人心不附物。是真修行。勞生惜死。哀悲何益。復令主事辦愚痴齋。眾猶慕戀不已。延七日。食具方備。師亦隨眾齋畢。乃曰。僧家無事。大率臨行之際。勿須喧動。遂歸丈室。端坐長往。當咸通十年三月。壽六十三。臘四十二。諡悟本禪師。塔曰慧覺。

阿那箇は是れ闍黎の主人公。言った。「見る対の次なり。」師は言った。「苦なるかな、苦なるかな、今時の人は例して皆此くの如し、只認むるは驢前馬後の底、将て自らと為す。仏法平沈、此之是れなり。賓中主なお未だ分かれず、如何にか主中主を弁ぜん。」僧は便ち問うた。「如何なるか是れ主中主。」師は言った。「闍黎自ら道取せよ。」言った。「某甲道い得。」即ち是れ賓中主(雲居が代って言った、「某甲道い得、是れ賓中主に非ず。」)如何なるか是れ主中主。師は言った。「恁麼に道うは即ち易し、相続くは大いに難し。」遂に頌を示して言った。「嗟見今時学道流、千千万万認門頭、恰似入京朝圣主、只到潼関便即休。」師安からず、沙弥に令めて語を云居に伝えしめ、乃ち嘱して言った。「他或いは問わん、和尚安楽するか否や、但道え、雲巖路相次いで絶ゆなり、と。汝此の語を下すに須く遠く立つべし、恐らくは他が汝を打たん。」沙弥は旨を領して去り、語を伝うる声未だ絶えざるに、早く雲居の一棒を打たれた。沙弥は語無し(同安顯が代って言った、「恁麼ならば雲巖の一枝墜ちざるなり。」雲居錫云う、「上座且らく道え、雲巖路は絶ゆるか絶えざるか。」崇寿稠云う、「古人の此の一棒を打つの意作麼生。」)師将に円寂せんとして、衆に謂うて言った。「吾に閑名世に在り、誰人か吾の為に除き得。」衆皆対えず。時に沙弥出でて言った。「請う和尚の法号を。」師は言った。「吾が閑名已に謝せり(石霜云う、人の彼の肯を得る無し。雲居云う、若し閑名有らば、吾が先師に非ず。曹山云う、古より今に至る、人の弁じ得る無し。疏山云う、龍に出水の機有り、人の弁じ得る無し。)僧が問うた。「和尚違和せり、また不病の者有るや否や。」師は言った。「有り。」言った。「不病の者はまた和尚を看るか。」師は言った。「老僧が他を看る分有り。」言った。「いまだ審らかならず、和尚如何にか他を看る。」師は言った。「老僧看る時、病有るを見ず。」師は乃ち僧に問うた。「此の殻漏子を離れて、何の処に向ってか吾と相見ん。」僧は対えず。師は頌を示して言った。「学者恒沙無一悟、過在尋他舌头路、欲得忘形泯踪迹、努力殷勤空裏歩。」乃ち剃髪・澡身・披衣を命じ、鐘を声して衆に辞し、儼然として坐化した。時に大衆は号慟し、移晷止まず。師は忽ち目を開きて衆に謂うて言った。「出家人は心物に附せず、是れ真の修行、生に労れ死を惜しみ、哀悲何の益かあらん。」復た主事に令めて愚痴斎を辦せしめ、衆なお慕恋已まず、七日を延べて食具方に備わった。師も亦衆に随いて斎し畢り、乃ち言った。「僧家は事無し、大率臨行の際、喧動すること勿れ。」遂に丈室に帰り、端坐して長往した。咸通十年三月に当たる。寿六十三、臈四十二。諡して悟本禅師、塔を慧覚と曰う。

青原下五世

青原下五世

洞山價禪師法嗣

洞山价禅師法嗣

撫州曹山本寂禪師

撫州曹山本寂禅師

泉州莆田黃氏子。少業儒。年十九。往福州靈石出家。二十五登戒。尋謁洞山。山問。闍黎名甚麼。師曰。本寂。山曰。那箇聻。師曰。不名本寂。山深器之。自此入室。盤桓數載。乃辭去。山遂密授洞上宗旨。復問曰。子向甚麼處去。師曰。不變異處去。山曰。不變異處。豈有去邪。師曰。去亦不變異。遂往曹溪禮祖塔。回吉水。眾嚮師名。乃請開法。師志慕六祖。遂名山為曹。尋值賊亂。乃之宜黃。有信士王若一。捨何王觀請師住持。師更何王為荷玉。由是法席大興。學者雲萃。洞山之宗。至師為盛。師因僧問。五位君臣旨訣。師曰。正位即空界。本來無物。偏位即色界。有萬象形。正中偏者。背理就事。偏中正者。舍事入理。兼帶者冥應眾緣。不墮諸有。非染非淨。非正非偏。故曰虗玄大道無著真宗。從上先德。推此一位。最妙最玄。當詳審辯明。君為正位。臣為偏位。臣向君是偏中正。君視臣是正中偏。君臣道合是兼帶語。僧問。如何是君。師曰。妙德尊寰宇。高明朗太虗。曰。如何是臣。師曰。靈機弘聖道。真智利群生。曰。如何是臣向君。師曰。不墮諸異趣。凝情望聖容。曰。如何是君視臣。師曰。妙容雖不動。光燭本無偏。曰。如何是君臣道合。師曰。混然無內外。和融上下平。師又曰。以君臣偏正言者。不欲犯中。故臣稱君。不敢斥言是也。此吾法宗要。乃作偈曰。學者先須識自宗。莫將真際雜頑空。妙明體盡知傷觸。力在逢緣不借中。出語直教燒不著。潛行須與古人同。無身有事超岐路。無事無身落始終。復作五相。【圖:X80p0264_01.gif】

泉州莆田の黄氏の子。少なくして儒を業とし、十九歳にして福州霊石に往きて出家した。二十五にして戒に登った。尋いで洞山に謁した。山は問うた。「闍黎の名は何と。」師は言った。「本寂。」山は言った。「あれは聻。」師は言った。「本寂と名づけず。」山は深く之を器とした。此より室に入り、盤桓する数載、乃ち辞去した。山は遂に密かに洞上の宗旨を授け、復た問うて言った。「子何の処に向って去る。」師は言った。「変異せざる処に去る。」山は言った。「変異せざる処、豈に去ること有らんや。」師は言った。「去るも亦変異せず。」遂に曹谿に往きて祖塔に礼し、吉水に回った。衆は師の名に向い、乃ち開法を請うた。師は六祖を志慕し、遂に山を名づけて曹と為した。尋いで賊乱に值い、乃ち宜黄に之く。信士王若一有りて、何王観を舎てて師に住持を請うた。師は何王を更めて荷玉と為し、是れに由りて法席大いに興り、学者雲の如く萃まった。洞山の宗、師に至って盛んなり。師は僧の問うに因り、「五位君臣の旨訣。」師は言った。「正位は即ち空界、本来一物無し。偏位は即ち色界、万象の形有り。正中偏とは、理を背けて事に就く。偏中正とは、事を舎てて理に入る。兼帯とは、冥に衆縁に応じて、諸有に堕せず。染に非ず浄に非ず、正に非ず偏に非ず。故に虚玄の大道、無着の真宗と説く。上より先徳、此の一位を推す、最妙最玄、当に詳しく審弁すべし。君は正位と為り、臣は偏位と為る。臣の君に向かうは是れ偏中正、君の臣を視るは是れ正中偏、君臣道合は是れ兼帯の語。」僧が問うた。「如何なるか是れ君。」師は言った。「妙徳は寰宇に尊く、高明は太虚を朗かにす。」言った。「如何なるか是れ臣。」師は言った。「霊機は聖道を弘め、真智は群生に利す。」言った。「如何なるか是れ臣の君に向かう。」師は言った。「諸の異趣に堕せず、情を凝らして聖容を望む。」言った。「如何なるか是れ君の臣を視る。」師は言った。「妙容は動かずと雖も、光燭は本より偏無し。」言った。「如何なるか是れ君臣道合。」師は言った。「混然として内外無く、和融して上下平なり。」師また言った。「君臣偏正を以て言う者は、中を犯さんと欲せざるが故、故に臣は君を称して、敢えて斥言せざる是なり、此れ吾が法宗の要なり。」乃ち偈を作って言った。「学者先に須く自宗を識るべし、莫く将に真際を頑空に雑えんとする、妙明体尽きて傷触を知る、力は逢縁に在りて借中せず、語を出だせば直に教えて焼けず、潜行は須く古人と同じ、身無く事有れば岐路を超え、事無く身無ければ終始に落つ。」復た五相を作り、【図:X80p0264_01.gif】。

偈曰。白衣須拜相。此事不為奇。積代簪纓者。休言落魄時。【圖:X80p0264_02.gif】

偈に曰く、「白衣は須く拜相すべし、此の事奇と為さず、代々簪缨を積む者、落魄の時を言うこと休めよ。【図:X80p0264_02.gif】。」

偈曰。子時當正位。明正在君臣。未離兜率界。烏雞雪上行。◉偈曰。𦦨裡寒冰結。楊花九月飛。泥牛吼水面。木馬逐風嘶。○偈曰。王宮初降日。玉兔不能離。未得無功旨。人天何太遲。●偈曰。渾然藏理事。眹兆卒難明。威音王未曉。彌勒豈惺惺。稠布衲問。披毛帶角是甚麼墮。師曰。是類墮。曰。不斷聲色是甚麼墮。師曰。是隨墮。曰。不受食是甚麼墮。師曰。是尊貴墮。乃曰。食者即是本分事。知有不取。故曰尊貴墮。若執初心。知有自己及聖位。故曰類墮。若初心知有己事。回光之時。擯卻色聲香味觸法。得寧謐即成功勳。後卻不執六塵等事。隨分而昧。任之則礙。所以外道六師。是汝之師。彼師所墮。汝亦隨墮。乃可取食。食者即是正命食也。亦是就六根門頭。見聞覺知。祇是不被他染汙將為墮。且不是同向前均他。本分事尚不取。豈況其餘事邪。師凡言墮。謂混不得.類不齊。凡言初心者。所謂悟了同未悟耳。師作四禁偈曰。莫行心處路。不掛本來衣。何須正恁麼。切忌未生時。僧問。學人通身是病。請師醫。師曰。不醫。曰。為甚麼不醫。師曰。教汝求生不得。求死不得。問。沙門豈不是具大慈悲底人。師曰。是。曰。忽遇六賊來時如何。師曰。亦須具大慈悲。曰。如何具大慈悲。師曰。一劒揮盡。曰。盡後如何。師曰。始得和同。問。五位對賓時如何。師曰。汝即今問那箇位。曰。某甲從偏位中來。請師向正位中接。師曰。不接。曰。為甚麼不接。師曰。恐落偏位中去。師卻問僧。祇如不接是對賓。是不對賓。曰。早是對賓了也。師曰。如是。如是。問。萬法從何而生。師曰。從顛倒生。曰。不顛倒時萬法何在。師曰。在。曰。在甚麼處。師曰。顛倒作麼。問。不萌之草為甚麼能藏香象。師曰。闍黎幸是作家。又是曹山作麼。問。三界擾擾。六趣昏昏。如何辨色。師曰。不辨色。曰。

偈に曰く、「子時当に正位に居り、明は正に君臣に在り、未だ兜率界を離れず、烏鶏雪上を行く。」◉偈に曰く、「𦦨裏に寒冰結び、楊花九月に飛ぶ、泥牛水面に吼え、木馬風を逐い嘶く。」○偈に曰く、「王宮初降の日、玉兔は離れること能わず、未だ无功の旨を得ず、人天何ぞ太だ遅き。」●偈に曰く、「渾然として理事を蔵し、朕兆は卒いに明らめ難し、威音王も未だ暁らず、弥勒豈に惺惺せんや。」稠布衲が問うた。「披毛帶角は是れ何の堕ぞ。」師は言った。「是れ類堕。」言った。「声色を断ぜざるは是れ何の堕ぞ。」師は言った。「是れ随堕。」言った。「食を受けざるは是れ何の堕ぞ。」師は言った。「是れ尊貴堕。」乃ち言った。「食は者即ち本分の事、知有して取らず、故に尊貴堕と説く。若し初心に執して、自己及び聖位有るを知る、故に類堕と説く。若し初心に己事有るを知り、回光の時、色声香味触法を擯却して、寧謐を得るは即ち功勲を成す。後は却って六塵等の事を執せず、分に随いて昧く、之を任せば則ち礙なり。所以に外道六師、是れ汝の師なり、彼の師の堕する所、汝も亦随堕す、乃ち食を取る可きなり。食は者即ち是正命の食なり、亦是れ六根門頭に就きて、見聞覚知するも、只他に染污せられざるを堕と為さんとす。且らく是れ向前に均しく他に同じくせず。本分の事なお取らず、況んや其余の事をや。師は凡そ堕と言うは、混じ得ず・類斉からざるを謂う。凡そ初心と言う者、所謂悟れども未悟と同じなり。」師は四禁の偈を作って言った。「心の処の路を行くこと莫れ、本来の衣を挂けず、何ぞ須いらん正に恁麼、切に未生の時を忌めよ。」僧が問うた。「学人は通身是れ病、請う師医せよ。」師は言った。「医せず。」言った。「なぜ医せざる。」師は言った。「汝を教えて生を求めて得ず、死を求めて得ざらしめん。」問う。「沙門は豈に大慈悲を具する底の人に非ずや。」師は言った。「是なり。」言った。「忽ち六賊の来たるに遇わば如何。」師は言った。「亦須く大慈悲を具すべし。」言った。「如何に大慈悲を具する。」師は言った。「一剣に揮い尽くす。」言った。「尽くした後如何。」師は言った。「始めて和同を得。」問う。「五位賓に対する時如何。」師は言った。「汝即今何の位を問う。」言った。「某甲は偏位の中より来た、請う師正位の中に向って接せよ。」師は言った。「接せず。」言った。「なぜ接せざる。」師は言った。「恐らくは偏位の中に落ちん。」師は却って僧に問うた。「只如く接せざるは是れ対賓か、是れ不対賓か。」言った。「早く是れ対賓了なり。」師は言った。「如是、如是。」問う。「万法は何より生ず。」師は言った。「颠倒より生ず。」言った。「颠倒せざる時は万法何くにか在る。」師は言った。「在り。」言った。「何の処に在る。」師は言った。「颠倒を作麼す。」問う。「不萌の草はなぜ能く香象を蔵する。」師は言った。「闍黎幸いに是れ作家、また曹山を作麼せん。」問う。「

為甚麼不辨色。師曰。若辨色即昬也。師聞鐘聲。乃曰。阿㖿。阿㖿。僧問。和尚作甚麼。師曰。打著我心。僧無對(五祖戒代雲。作賊人心虛)。問。維那甚處來。曰。牽醋槽去來。師曰。或到險處。又作麼生牽。那無對(雲居代雲。正好著力。疎山代雲。切須放卻始得)。問金峰志曰。作甚麼來。曰。蓋屋來。師曰。了也未。曰。這邊則了。師曰。那邊事作麼生。曰。候下工日白和尚。師曰。如是。如是。師一日入僧堂向火。有僧曰。今日好寒。師曰。須知有不寒者。曰。誰是不寒者。師筴火示之。僧曰。莫道無人好。師拋下火。僧曰。某甲到這裡卻不會。師曰。日照寒潭明更明。問。不與萬法為侶者是甚麼人。師曰。汝道洪州城裡如許多人。甚麼處去。問。眉與目還相識也無。師曰。不相識。曰。為甚麼不相識。師曰。為同在一處。曰。恁麼則不分去也。師曰。眉且不是目。曰。如何是目。師曰。端的去。曰。如何是眉。師曰。曹山卻疑。曰。和尚為甚麼卻疑。師曰。若不疑。即端的去也。問。如何是無刃劒。師曰。非淬鍊所成。曰。用者如何。師曰。逢者皆喪。曰。不逢者如何。師曰。亦須頭落。曰。逢者皆喪則固是。不逢者為甚麼頭落。師曰。不見道能盡一切。曰。盡後如何。師曰。方知有此劒。問。於相何真。師曰。即相即真。曰。當何顯示。師竪起拂子。問。幻本何真。師曰。幻本元真(法眼別雲。幻本不真)。曰。當幻何顯。師曰。即幻即顯(法眼別雲。幻即無當)。曰。恁麼則始終不離於幻也。師曰。覓幻相不可得。問。即心即佛即不問。如何是非心非佛。師曰。兔角不用無。牛角不用有。問。如何是常在底人。師曰。恰遇曹山暫出。曰。如何是常不在底人。師曰。難得。僧問。清稅孤貧。乞師賑濟。師召稅闍黎。稅應諾。師曰。清原白家酒三盞。吃了猶道未沾唇(玄覺雲。

なぜ色を弁ぜざる。」師は言った。「若し色を弁ずれば即ち昬なり。」師は鐘声を聞きて、乃ち言った。「阿㖿、阿㖿。」僧が問うた。「和尚は何を作す。」師は言った。「我が心を打てり。」僧は対えず(五祖戒が代って言った、「賊を作す人は心虚し。」)問う。「維那是何処より来た。」言った。「醋槽を牽きて去り来た。」師は言った。「或いは険処に到らば、また作麼生に牽く。」那は対えず(雲居が代って言った、「正に力を着くべし。」疏山が代って言った、「切に須く放却して始めて得べし。」)金峰志に問うて言った。「何を作して来た。」言った。「屋を蓋えて来た。」師は言った。「了えたか。」言った。「こちらは則ち了えり。」師は言った。「かちらの事作麼生。」言った。「下工の日に和尚に白せんを候す。」師は言った。「如是、如是。」師一日僧堂に入りて火に向かう。僧有りて言った。「今日好く寒し。」師は言った。「須く寒からざる者有るを知るべし。」言った。「誰か是れ寒からざる者。」師は火を䇲みて之を示した。僧は言った。「人無しと道うこと莫れ、好し。」師は火を抛ち下した。僧は言った。「某甲ここに到って却って会せず。」師は言った。「日は寒潭を照らして明さらに明し。」問う。「万法と侶と為らざる者は是れ何人ぞ。」師は言った。「汝道え、洪州城裏の如許多の人、何の処にか去る。」問う。「眉と目とはまた相識るや否や。」師は言った。「相識らず。」言った。「なぜ相識らざる。」師は言った。「同じく一処に在るが為なり。」言った。「恁麼ならば分れざること去り。」師は言った。「眉は且らく是れ目に非ず。」言った。「如何なるか是れ目。」師は言った。「端的に去れ。」言った。「如何なるか是れ眉。」師は言った。「曹山却って疑う。」言った。「和尚はなぜ却って疑う。」師は言った。「若し疑わずんば、即ち端的に去るなり。」問う。「如何なるか是れ無刃の剣。」師は言った。「淬錬の成す所に非ず。」言った。「用いる者如何。」師は言った。「逢う者皆喪す。」言った。「逢わざる者如何。」師は言った。「亦須く頭落すべし。」言った。「逢う者皆喪するは則ち固めて是れ、逢わざる者はなぜ頭落す。」師は言った。「能く一切を尽くすと道うを見ずや。」言った。「尽くした後如何。」師は言った。「方に此の剣有るを知る。」問う。「相に於て何ぞ真。」師は言った。「即相即真。」言った。「当に何を顕示せん。」師は拂子を竪起した。問う。「幻本何ぞ真。」師は言った。幻本元より真(法眼が別に言った、「幻本真ならず。」)言った。「幻に当たりて何を顕す。」師は言った。即幻即顕(法眼が別に言った、「幻は即ち当る無し。」)言った。「恁麼ならば始終幻を離れざるなり。」師は言った。「幻相を覓むるに得る可からず。」問う。「即心即仏は即ち問わず、如何なるか是れ非心非仏。」師は言った。「兎角は用いて無しとせず、牛角は用いて有りとせず。」問う。「如何なるか是れ常在の底の人。」師は言った。「恰も曹山の暫く出づるに遇う。」言った。「如何なるか是れ常に在らざる底の人。」師は言った。「得ること難し。」僧が問うた。「清税孤貧にして、乞う師賑済せよ。」師は税闍黎を召した。税は応諾した。師は言った。「清原白家の酒三盞、喫し了ってなお唇に沾らずと道う(玄覚云う。

甚麼處是與他酒吃)。問。擬豈不是類。師曰。直是不擬亦是類。曰。如何是異。師曰。莫不識痛癢好。鏡清問。清虗之理。畢竟無身時如何。師曰。理即如此。事作麼生。曰。如理如事。師曰。謾曹山一人即得。爭奈諸聖眼何。曰。若無諸聖眼。爭鑑得箇不恁麼。師曰。官不容針。私通車馬。雲門問。不改易底人來。師還接否。師曰。曹山無恁麼閑工夫。問。人人盡有弟子在塵中。師還有否。師曰。過手來。其僧過手。師點曰。一二三四五六足。問。魯祖面壁。用表何事。師以手掩耳。問。承古有言。未有一人倒地。不因地而起。如何是倒。師曰。肯即是。曰。如何是起。師曰。起也。問。子歸就父。為甚麼父全不顧。師曰。理合如是。曰。父子之恩何在。師曰。始成父子之恩。曰。如何是父子之恩。師曰。刀斧斫不開。問。靈衣不掛時如何。師曰。曹山孝滿。曰。孝滿後如何。師曰。曹山好顛酒。問。教中道。大海不宿死屍。如何是大海。師曰。包含萬有者。曰。既是包含萬有。為甚麼不宿死屍。師曰。絕氣息者不著。曰。既是包含萬有。為甚麼絕氣息者不著。師曰。萬有非其功。絕氣息者有其德。曰。向上還有事也無。師曰。道有道無即得。爭奈龍王按劒何。問。具何知解。善能問難。師曰。不呈句。曰。問難箇甚麼。師曰。刀斧斫不入。曰。恁麼問難。還有不肯者麼。師曰。有。曰。是誰。師曰。曹山。問。世間甚麼物最貴。師曰。死貓兒頭最貴。曰。為甚麼死貓兒頭最貴。師曰。無人著價。問。無言如何顯。師曰。莫向這裡顯。曰。甚麼處顯。師曰。昨夜床頭失卻三文錢。問。日未出時如何。師曰。曹山也曾恁麼來。曰。出後如何。師曰。猶較曹山半月程。問僧。作甚麼。曰。掃地。師曰。佛前掃。佛後掃。曰。前後一時掃。師曰。與曹山過靸鞋來。僧問。抱璞投師。請師雕琢。師曰。不雕琢。

何の処か是れ他と酒を喫するに与える)。問う。「拟は豈に是れ類に非ずや。」師は言った。「直に是れ拟せざるも亦是れ類なり。」言った。「如何なるか是れ異。」師は言った。「痛痒を識らざること莫れ、好し。」鏡清が問うた。「清虚の理、畢竟身無き時如何。」師は言った。「理は即ち此くの如し、事は作麼生。」言った。「理の如く事の如し。」師は言った。「曹山一人を谩むれば即ち得、争奈諸聖の眼を何。」言った。「若し諸聖の眼無ければ、争でか箇の不恁麼を鑑得せん。」師は言った。「官は針を容れず、私は車馬を通ず。」雲門が問うた。「改易せざる底の人来たらば、師はまた接するや否や。」師は言った。「曹山に恁麼の閑工夫無し。」問う。「人々尽く弟子の塵中に在る有り、師はまた有るや否や。」師は言った。「手を過ごせ。」その僧手を過ごした。師は点じて言った。「一二三四五六足。」問う。「魯祖面壁は、用て何事を表す。」師は手を以て耳を掩えた。問う。「古に言有るを承く、未だ一人の倒地して地に因らずして起る者有らず、如何なるか是れ倒。」師は言った。「肯なれば即ち是れ。」言った。「如何なるか是れ起。」師は言った。「起るなり。」問う。「子帰りて父に就く、なぜ父全く顧みざる。」師は言った。「理合し是くの如し。」言った。「父子の恩何くにか在る。」師は言った。「始めて父子の恩を成す。」言った。「如何なるか是れ父子の恩。」師は言った。「刀斧も斫り開くこと能わず。」問う。「霊衣挂けざる時如何。」師は言った。「曹山孝満。」言った。「孝満の後如何。」師は言った。「曹山は酒を顛るを好む。」問う。「教に道う、大海は死尸を宿さず、如何なるか是れ大海。」師は言った。「万有を包含する者。」言った。「既に万有を包含す、なぜ死尸を宿さざる。」師は言った。「気息を絶する者は着けず。」言った。「既に万有を包含す、なぜ気息を絶する者を着けざる。」師は言った。「万有は其の功に非ず、気息を絶する者は其の徳有り。」言った。「向上にまた事有るや否や。」師は言った。「道有道無は即ち得、争奈龍王の剣を按ずるを何。」問う。「何の知解を具して、善く問難する能し。」師は言った。「句を呈せず。」言った。「何を問難する。」師は言った。「刀斧も斫り入ること能わず。」言った。「恁麼に問難するに、また肯んぜざる者有るか。」師は言った。「有り。」言った。「是れ誰ぞ。」師は言った。「曹山。」問う。「世間何の物ぞ最も貴き。」師は言った。「死猫兒頭最も貴し。」言った。「なぜ死猫兒頭最も貴き。」師は言った。「人の価を着くる無し。」問う。「無言如何に顕さん。」師は言った。「ここに向って顕すこと莫れ。」言った。「何の処に顕す。」師は言った。「昨夜床頭に三文の銭を失却せり。」問う。「日未だ出ざる時如何。」師は言った。「曹山も亦曾て恁麼に来たり。」言った。「出づる後如何。」師は言った。「

曰。為甚麼不雕琢。師曰。須知曹山好手。問。如何是曹山眷屬。師曰。白髮連頭戴。頂上一枝花。問。古德道。盡大地唯有此人。未審是甚麼人。師曰。不可有第二月也。曰。如何是第二月。師曰。也要老兄定當。曰。作麼生是第一月。師曰。險。師問德上座。菩薩在定。聞香象渡河。出甚麼經。曰。出涅槃經。師曰。定前聞。定後聞。曰。和尚流也。師曰。道也太煞道。祇道得一半。曰。和尚如何。師曰。灘下接取。問。學人十二時中。如何保任。師曰。如經蠱毒之鄉。水也不得沾著一滴。問。如何是法身主。師曰。謂秦無人。曰。這箇莫便是否。師曰。斬。問。親何道伴。即得常聞於未聞。師曰。同共一被蓋。曰。此猶是和尚得聞。如何是常聞於未聞。師曰。不同於木石。曰。何者在先。何者在後。師曰。不見道常聞於未聞。問。國內按劒者是誰。師曰。曹山(法燈別雲。汝不是恁麼人)。曰。擬殺何人。師曰。一切總殺。曰。忽逢本生父母又作麼生。師曰。揀甚麼。曰。爭奈自己何。師曰。誰奈我何。曰。何不自殺。師曰。無下手處。問。一牛飲水。五馬不嘶時如何。師曰。曹山解忌口。問。常在生死海中沉沒者。是甚麼人。師曰。第二月。曰。還求出也無。師曰。也求出。祇是無路。曰。未審甚麼人接得伊。師曰。擔鐵枷者。問。雪覆千山。為甚麼孤峰不白。師曰。須知有異中異。曰。如何是異中異。師曰。不墮諸山色。紙衣道者來參。師問。莫是紙衣道者否。者曰。不敢。師曰。如何是紙衣下事。者曰。一裘才掛體。萬法悉皆如。師曰。如何是紙衣下用。者近前應諾。便立脫。師曰。汝祇解恁麼去。何不解恁麼來。者忽開眼。問曰。一靈真性。不假胞胎時如何。師曰。未是妙。者曰。如何是妙。師曰。不借借。者珍重便化。師示頌曰。覺性圓明無相身。莫將知見妄踈親。念異便於玄體昧。

なお曹山に較べて半月の程在り。」僧に問うた。「何を作す。」言った。「地を掃く。」師は言った。「仏前を掃くか、仏後を掃くか。」言った。「前後一時に掃く。」師は言った。「曹山と靸鞋を過ごして来れ。」僧が問うた。「璞を抱いて師に投ず、請う師雕琢せよ。」師は言った。「雕琢せず。」(他続けて言った。)「なぜ雕琢せざる。」師は言った。「須く曹山好手なるを知るべし。」問う。「如何なるか是れ曹山の眷属。」師は言った。「白髪頭を連ねて戴き、頂上に一枝の花。」問う。「古徳道う、尽大地に唯此の人有り、いまだ審らかならず是れ何人ぞ。」師は言った。「第二の月有る可からず。」言った。「如何なるか是れ第二月。」師は言った。「も要す老兄の定当を。」言った。「作麼生なるか是れ第一月。」師は言った。「険。」師は徳上座に問うた。「菩薩在定にして香象の河を渡るを聞く、何の経に出づ。」言った。「涅槃経に出づ。」師は言った。「定前に聞くか、定後に聞くか。」言った。「和尚の流なり。」師は言った。「道うも太だ道う、只道い得るは一半。」言った。「和尚如何。」師は言った。「灘下に接取せよ。」問う。「学人十二時の中、如何に保任せん。」師は言った。「蠱毒の郷を経るが如く、水も一滴を沾着することを得ず。」問う。「如何なるか是れ法身主。」師は言った。「秦に人無しと謂う。」言った。「この箇便ち是か否や。」師は言った。「斬れ。」問う。「何の道伴に親しめば、即ち常に未聞に於て聞くことを得。」師は言った。「同じく共に一被に蓋わる。」言った。「此れなお是れ和尚の聞くことを得、如何なるか是れ常に未聞に於て聞く。」師は言った。「木石に同じからず。」言った。「何者か先に在り、何者か後に在る。」師は言った。「常に未聞に於て聞くと道うを見ずや。」問う。「国内に剣を按ずる者は是れ誰ぞ。」師は言った。曹山(法灯が別に言った、「汝は是れ恁麼の人に非ず。」)言った。「拟い何人を殺さん。」師は言った。「一切総て殺す。」言った。「忽ち本生の父母に逢わばまた作麼生。」師は言った。「何をか揀ぶ。」言った。「争奈自己を何。」師は言った。「誰か我を如何せん。」言った。「何ぞ自殺せざる。」師は言った。「下手の処無し。」問う。「一牛水を飲み、五馬嘶かざる時如何。」師は言った。「曹山は忌口を解す。」問う。「常に生死海中に沈没する者は、是れ何人ぞ。」師は言った。「第二月。」言った。「また出るを求めるや否や。」師は言った。「も出るを求む、只路無し。」言った。「いまだ審らかならず何人か伊を接し得。」師は言った。「鉄枷を担ぐ者。」問う。「雪千山を覆う、なぜ孤峰白からざる。」師は言った。「須く異中の異有るを知るべし。」言った。「如何なるか是れ異中の異。」師は言った。「諸の山色に堕せず。」紙衣道者有りて来たり参じた。師は問うた。「是れ紙衣道者か。」者は言った。「敢えてせず。」師は言った。「如何なるか是れ紙衣下の事。」者は言った。「一裘纔かに体に挂かりて、万法悉く皆如なり。」師は言った。「如何なるか是れ紙衣下の用。」者は近づき前りて応諾し、便ち立脱した。師は言った。「汝只解く恁麼に去る、何ぞ解せざる恁麼に来るを。」者は忽ち眼を開きて問う

心差不與道為鄰。情分萬法沉前境。識鑒多端喪本真。如是句中全曉會。瞭然無事昔時人。問強上座曰。佛真法身。猶若虗空。應物現形。如水中月。作麼生說箇應底道理。曰。如驢覷井。師曰。道則太煞道。祇道得八成。曰。和尚又如何。師曰。如井覷驢。僧舉。藥山問僧。年多少。曰。七十二。山曰。是七十二那。曰。是。山便打。此意如何。師曰。前箭猶似可。後箭射人深。曰。如何免得此棒。師曰。王勑既行。諸𬾃避道。問。如何是佛法大意。師曰。填溝塞壑。問。如何是師子。師曰。眾獸近不得。曰。如何是師子兒。師曰。能吞父母者。曰。既是眾獸近不得。為甚麼卻被兒吞。師曰。豈不見道。子若哮吼。祖父俱盡。曰。盡後如何。師曰。全身歸父。曰。未審祖盡時父歸何所。師曰。所亦盡。曰。前來為甚麼道全身歸父。師曰。譬如王子。能成一國之事。又曰。闍黎。此事不得孤滯。直須枯木上更撒些子華。雲門問。如何是沙門行。師曰。吃常住苗稼者是。曰。便恁麼去時如何。師曰。你還畜得麼。曰。畜得。師曰。你作麼生畜。曰。著衣吃飯有甚麼難。師曰。何不道披毛戴角。門便禮拜。陸亙大夫問南泉。姓甚麼。泉曰。姓王。曰。王還有眷屬也無。泉曰。四臣不昧。曰。王居何位。泉曰。玉殿苔生。後僧舉問師。玉殿苔生。意旨如何。師曰。不居正位。曰。八方來朝時如何。師曰。他不受禮。曰。何用來朝。師曰。違則斬。曰。違是臣分上。未審君意如何。師曰。樞密不得旨。曰。恁麼則爕理之功。全歸臣相也。師曰。你還知君意麼。曰。外方不敢論量。師曰。如是。如是。問。才有是非。紛然失心時如何。師曰。斬。僧問香嚴。如何是道。嚴曰。枯木裡龍吟。曰。如何是道中人。嚴曰。髑髏裡眼睛(玄沙別雲。龍藏枯木)。僧不領。乃問石霜。如何是枯木裡龍吟。霜曰。猶帶喜在。曰。

心差して道と隣と為らず。情分して万法は前境に沈む。識鑑多端にして本真を喪す。是くの如き句中に全く暁会すれば、了然として事無きは昔時の人なり。強上座に問うて言った。「仏の真法身は、虚空の若く、物に応じて形を現じ、水中の月の如し、作麼生に箇の応の道理を説く。」言った。「驢の井を覷るが如し。」師は言った。「道うは則ち太だ道う、只道い得るは八成。」言った。「和尚また如何。」師は言った。「井の驢を覷るが如し。」僧挙げた。薬山が僧に問う、「年多少。」言った、「七十二。」山は言った、「是れ七十二か。」言った、「是なり。」山便ち打つ。此の意如何。師は言った。「前の箭はなお似たる可し、後の箭は人を射ること深し。」言った。「如何にか此の棒を免れん。」師は言った。「王勑既に行われ、諸𬾃道を避く。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「溝を填め壑を塞ぐ。」問う。「如何なるか是れ師子。」師は言った。「衆獣の近づき得ざる。」言った。「如何なるか是れ師子の兒。」師は言った。「能く父母を呑む者。」言った。「既に衆獣の近づき得ざる、なぜ却って兒に呑まる。」師は言った。「豈に道うを見ずや、子若し哮吼すれば祖父倶に尽きん。」言った。「尽きた後如何。」師は言った。「全身父に帰す。」言った。「いまだ審らかならず、祖尽きた時父は何の所に帰する。」師は言った。「所も亦尽きん。」言った。「前来になぜ全身父に帰すと道う。」師は言った。「譬えば王子の能く一国の事を成すが如し。」また言った。「闍黎、此の事は孤滞することを得ず、直に須く枯木の上に更に些子の華を撒くべし。」雲門が問うた。「如何なるか是れ沙門行。」師は言った。「常住の苗稼を喫する者是なり。」言った。「便ち恁麼に去る時如何。」師は言った。「汝また畜し得るか。」言った。「畜し得。」師は言った。「汝作麼生に畜す。」言った。「衣を着て飯を喫するに何の難か有らん。」師は言った。「何ぞ毛を披き角を戴くと道わざる。」門は便ち礼拝した。陸亘大夫が南泉に問う、「姓は何。」泉は言った。言った、「王はまた眷属有るや否や。」泉は言った、「四臣昧えず。」言った、「王は何の位に居る。」泉は言った、「玉殿苔生ず。」後に僧挙げて師に問うた、「玉殿苔生ず、意旨如何。」師は言った。「正位に居らず。」言った。「八方来朝の時如何。」師は言った。「他は礼を受けず。」言った。「何を用いてか朝る。」師は言った。「違えば則ち斬る。」言った。「違は是れ臣分上、いまだ審らかならず君意如何。」師は言った。「枢密旨を得ず。」言った。「恁麼ならば爕理の功、全く臣相に帰す。」師は言った。「汝また君意を知るか。」言った。「外方は敢えて論量せず。」師は言った。「如是、如是。」問う。「纔かに是非有れば、紛然として心を失う時如何。」師は言った。「斬れ。」僧が香巖に問う、「如何なるか是れ道。」巖は言った、「枯木裏の龍吟。」言った、「如何なるか是れ道中の人。」巖は言った、髑髏裏の眼睛(玄沙が別に言った、「龍は枯木に蔵る。」)僧領せず、乃ち石霜に問う、「如何なるか是れ枯木裏の龍吟。」霜は言った。言った。

如何是髑髏裡眼睛。霜曰。猶帶識在。又不領。乃問師。如何是枯木裡龍吟。師曰。血脈不斷。曰。如何是髑髏裡眼睛。師曰。乾不盡。曰。未審還有得聞者麼。師曰。盡大地未有一人不聞。曰。未審枯木裡龍吟是何章句。師曰。不知是何章句。聞者皆喪。遂示偈曰。枯木龍吟真見道。髑髏無識眼初明。喜識盡時消息盡。當人那辨濁中清。問。朗月當空時如何。師曰。猶是堦下漢。曰。請師接上堦。師曰。月落後來相見。師尋常應機。曾無軌轍。於天復辛酉夏夜。問知事曰。今日是幾何日月。曰。六月十五。師曰。曹山平生行腳到處。祇管九十日為一夏。明日辰時行腳去。及時。焚香宴坐而化。閱世六十二。臘三十七。葬全身於山之西阿。諡元證禪師。塔曰福圓。

(僧続けて問うた。)「如何なるか是れ髑髏裏の眼睛。」霜は言った。「なお識を帯ぶ在り。」また領せず。乃ち師に問うた。「如何なるか是れ枯木裏の龍吟。」師は言った。「血脈断えず。」言った。「如何なるか是れ髑髏裏の眼睛。」師は言った。「干し尽くさず。」言った。「いまだ審らかならず、また聞くことを得る者有るか。」師は言った。「尽大地に未だ一人も聞かざる者有らず。」言った。「いまだ審らかならず、枯木裏の龍吟は是れ何の章句ぞ。」師は言った。「是れ何の章句かを知らず、聞く者皆喪す。」遂に偈を示して言った。「枯木龍吟真見道、髑髏無識眼初明、喜識尽時消息尽、当人那辨濁中清。」問う。「朗月空に当たる時如何。」師は言った。「なお是れ階下の漢。」言った。「請う師上階に接せよ。」師は言った。「月落ちて後来りて相見よ。」師は尋常機に応ずるに、曾て軌辙無し。天復辛酉の夏夜に於て、知事に問うて言った。「今日是れ幾何の日月ぞ。」言った。「六月十五。」師は言った。「曹山平生行脚の到る処、只管九十日を以て一夏と為す、明日辰の時に行脚去らん。」時に及びて、香を焚き宴坐して化した。世を閲ること六十二、臈三十七。全身を山の西阿に葬る。諡して元証禅師、塔を福円と曰う。

洪州雲居道膺禪師

洪州雲居道膺禅師

幽州玉田王氏子。童丱出家於範陽延壽寺。二十五成大僧。其師令習聲聞。篇聚非其好。棄之。遊方至翠微問道。會有僧自豫章來。盛稱洞山法席。師遂造焉。山問。甚處來。師曰。翠微來。山曰。翠微有何言句示徒。師曰。翠微供養羅漢。某甲問。供養羅漢。羅漢還來否。微曰。你每日噇箇甚麼。山曰。實有此語否。師曰。有。山曰。不虗參見作家來。山問。汝名甚麼。師曰。道膺。山曰。向上更道。師曰。向上即不名道膺。山曰。與老僧祗對道吾底語一般。師問。如何是祖師意。山曰。闍黎。他後有把茅蓋頭。忽有人問。如何祇對。師曰。道膺罪過。山謂師曰。吾聞思大和尚生倭國作王。是否。師曰。若是思大。佛亦不作。山然之。山問師。甚處去來。師曰。蹋山來。山曰。那箇山堪住。師曰。那箇山不堪住。山曰。恁麼則國內總被闍黎占卻。師曰。不然。山曰。恁麼則子得箇入路。師曰。無路。山曰。若無路。爭得與老僧相見。師曰。若有路。即與和尚隔山(山或作生)去也。山乃曰。此子已後。千人萬人把不住去在。師隨洞山渡水次。山問。水深多少。師曰。不濕。山曰。麤人。師曰。請師道。山曰。不乾。南泉問僧。講甚麼經。曰。彌勒下生經。泉曰。彌勒幾時下生。曰。見在天宮。當來下生。泉曰。天上無彌勒。地下無彌勒。師問洞山。天上無彌勒。地下無彌勒。未審誰與安名。山被問直得禪床震動。乃曰。膺闍黎。吾在雲巖曾問老人。直得火爐震動。今日被子一問。直得通身汗流。師後結庵於三峰。經旬不赴堂。山問。子近日何不赴齋。師曰。每日自有天神送食。山曰。我將謂汝是箇人。猶作這箇見解在。汝晚間來。師晚至。山召。膺庵主。師應諾。山曰。不思善。不思惡。是甚麼。師回庵。寂然宴坐。天神自此竟尋不見。如是三日乃絕。山問師。作甚麼。師曰。合醬。山曰。用多少鹽。

幽州玉田の王氏の子。童丱にして范陽延壽寺に於て出家した。二十五にして大僧と成った。その師は令めて声聞を習わしめたが、篇聚は其の好む所に非ず、之を弃てた。行脚して翠微に至りて道を問う。「僧有りて豫章より来たると会したか。」盛んに洞山の法席を称す。師は遂に焉に造った。山は問うた。「甚の処より来た。」師は言った。「翠微より来た。」山は言った。「翠微に何の言句か徒に示す。」師は言った。「翠微は羅漢を供養す。某甲問う、羅漢を供養すれば羅漢はまた来たるか否や。微は言った、汝每日何を噇する、と。」山は言った。「実に此の語有るか否や。」師は言った。「有り。」山は言った。「虚しく作家に参见せずして来た。」山は問うた。「汝の名は何と。」師は言った。「道膺。」山は言った。「向上更に道え。」師は言った。「向上は即ち道膺と名づけず。」山は言った。「老僧が道吾に対する底の語と一般なり。」師は問うた。「如何なるか是れ祖師意。」山は言った。「闍黎、他後に茅一把に頭を蓋われん。」忽ち人の問う有り、「如何に対せん。」師は言った。「道膺罪過。」山は師に謂うて言った。「吾聞く、思大和尚は倭国に生まれて王と作る、是か否や。」師は言った。「若し是れ思大ならば、仏も亦作らず。」山は之を然とした。山は師に問うた。「甚の処に去り来た。」師は言った。「山を蹋んで来た。」山は言った。「あの山は住するに堪えるか。」師は言った。「あの山も住するに堪えず。」山は言った。「恁麼ならば国内総て闍黎に占却されん。」師は言った。「然らず。」山は言った。「恁麼ならば子箇の入路を得たり。」師は言った。「路無し。」山は言った。「若し路無ければ、争でか老僧と相見ることを得。」師は言った。「若し路有れば、即ち和尚と山を隔てて去るなり(山は或いは生と作る)。」山は乃ち言った。「此の子已後、千人万人も把り住むこと能わざる在り。」師は洞山に随いて水を渡る次、山は問うた。「水深さ多少。」師は言った。「濡れず。」山は言った。「麤人。」師は言った。「請う師道え。」山は言った。「干せず。」南泉が僧に問う、「何の経を講ずる。」言った。泉は言った、「弥勒幾時に下生せん。」言った、「見在天宮、当来下生。」泉は言った、「天上に弥勒無し、地下に弥勒無し。」師は洞山に問うた、「天上に弥勒無し、地下に弥勒無し、いまだ審らかならず誰とか名を安ぜん。」山は問われて直に禅床震動するを得、乃ち言った、「膺闍黎。吾は雲巖に在りて曾て老人に問う、直に火罏の震動を得、と。今日は子の一問を被りて、直に通身汗流するを得。」師は後に三峰に庵を結び、旬を経て堂に赴かず。山は問うた。「子近日何ぞ斎に赴かざる。」師は言った。「每日自ら天神の食を送る有り。」山は言った。「我は将に汝は是れ人なりと謂えり、なお此の見解を作して在り。汝晚間に来れ。」師は晚に至り、山は召す、「膺庵主。」師は応諾した。山は言った。「善を思わず、悪を思わず、是れ何ぞ。」師は庵に回り、寂然として宴坐し、天神此より竟に見ることを得ず、是くの如く三日にして乃ち絶えた。山は師に問うた。「何を作す。」師は言った。「醤を合す。」山は言った。「鹽を用ること多少。」

師曰。旋入。山曰。作何滋味。師曰。得。山問。大闡提人作五逆罪。孝養何在。師曰。始成孝養。自爾洞山許為室中領袖。初止三峰。其化未廣。後開法雲居。四眾臻萃。上堂。舉先師道。地獄未是苦。向此衣線下不明大事。卻是最苦。師曰。汝等既在這箇行流。十分去九。不較多也更著些子精彩。便是上座不屈平生行腳。不孤負叢林。古人道。欲得保任此事。須向高高山頂立。深深海底行。方有些子氣息。汝若大事未辦。且須履踐玄途。上堂。得者不輕微。明者不賤用。識者不諮嗟。解者無厭惡。從天降下則貧窮。從地湧出則富貴。門裡出身易。身裡出門難。動則埋身千丈。不動則當處生苗。一言迥脫。獨拔當時。言語不要多。多則無用處。僧問。如何是從天降下則貧窮。師曰。不貴得。曰。如何是從地湧出則富貴。師曰。無中忽有。劉禹端公問。雨從何來。師曰。從端公問處來。公歡喜讚歎。師卻問公。雨從何來。公無語(有老宿代雲。適來道甚麼。歸宗柔別雲。謝和尚再三)。問。如何是沙門所重。師曰。心識不到處。問。佛與祖還有階級否。師曰。俱在階級。問。如何是西來意。師曰。古路不逢人。問。如何是一法。師曰。如何是萬法。曰。未審如何領會。師曰。一法是你本心。萬法是你本性。且道心與性。是一是二。僧禮拜。師示頌曰。一法諸法宗。萬法一法通。唯心與唯性。不說異兼同。問。如何是口訣。師曰。近前來。僧近前。師擲拂子曰。會麼。曰。不會。師曰。趂雀兒也不會。僧問。有人衣錦繡入來見和尚。後為甚寸絲不掛。師曰。直得瑠璃殿上行。撲倒也須粉碎。問。馬祖出八十四人善知識。未審和尚出多少人。師展手示之。問。如何是向上人行履處。師曰。天下太平。問。遊子歸家時如何。師曰。且喜歸來。曰。將何奉獻。師曰。朝打三千。暮打八百。問。如何是諸佛師。

師は言った。「旋り入れる。」山は言った。「何の滋味を作す。」師は言った。「得。」山は問うた。「大闡提人五逆罪を作す、孝養何くにか在る。」師は言った。「始めて孝養を成す。」自爾洞山は室中の領袖と許した。初め三峰に止まり、其の化未だ広からず。後に雲居に法を開き、四衆臻り萃まった。上堂して言った。「先師の道うを挙ぐ、地獄は未だ是れ苦に非ず、此の衣線下に向って大事を明らめざるは、却って是れ最苦なり。」師は言った。「你們既に此の行流に在り、十分去りて九、較多ざるも更に些子の精彩を着けば、便ち是れ上座平生の行脚に屈せず、叢林を孤負せず。古人道う、此の事を保任せんと欲せば、須く高高の山頂に立ち、深深の海底に行きて、方に些子の気息有るべし、と。你若し大事未だ辦せずんば、且く須く玄途を履践すべし。」上堂して言った。「得る者は輕微せず、明らむ者は賤用せず、識る者は咨嗟せず、解する者は厭悪無し。天より降り下れば則ち貧窮、地より涌き出づれば則ち富貴。門裏身を出だすは易く、身裏門を出づるは難し。動けば則ち身を千丈に埋め、動かざれば則ち当処に苗を生ず。」一言迥く脱し、独り当時に拔けたり。言語は多くすること要らず、多ければ則ち用の処無し。僧が問うた。「如何なるか是れ天より降り下れば則ち貧窮。」師は言った。「得を貴ばず。」言った。「如何なるか是れ地より涌き出づれば則ち富貴。」師は言った。「無中忽ち有り。」劉禹端公が問うた。「雨は何より来たる。」師は言った。「端公の問う処より来た。公歓喜讃嘆す。」師は却って公に問うた、「雨は何より来たる。」公は語無し(老宿有りて代って言った。帰宗柔が別に言った、「和尚に再三を謝す。」)問う。「如何なるか是れ沙門の重んずる所。」師は言った。「心識の到らざる処。」問う。「仏と祖とはまた階級有るや否や。」師は言った。「倶に階級に在り。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「古路人に逢わず。」問う。「如何なるか是れ一法。」師は言った。「如何なるか是れ万法。」言った。「いまだ審らかならず如何に領会せん。」師は言った。「一法は汝の本心、万法は汝の本性。且らく道え、心と性とは一か二か。」僧は礼拝した。師は頌を示して言った。「一法諸法宗、万法一法通、唯心與唯性、不説異兼同。」問う。「如何なるか是れ口訣。」師は言った。「近づき前れ。」僧近づき前った。師は拂子を擲ちて言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「雀兒を趂うことも亦会せず。」僧が問うた。「人锦绣を衣て入り来りて和尚に見ゆ有るに、後に為甚に寸絲挂けざる。」師は言った。「直に瑠璃殿上を行くを得るも、撲倒すれば須く粉砕すべし。」問う。「馬祖は八十四人の善知識を出だす、いまだ審らかならず和尚は幾人を出だす。」師は手を展べて之を示した。問う。「如何なるか是れ向上人の行履の処。」師は言った。「天下太平。」

師喝曰。這田庫兒。僧禮拜。師曰。你作麼生會。僧喝曰。這老和尚。師曰。元來不會。僧作舞出去。師曰。㳂臺盤乞兒。師曾令侍者送袴與一住庵道者。道者曰。自有孃生袴。竟不受。師再令侍者問。孃未生時著箇甚麼。道者無語。後遷化有舍利。持似於師。師曰。直饒得八斛四斗。不如當時下得一轉語好。師在洞山作務。悞剗殺蚯蚓。山曰。這箇聻。師曰。他不死。山曰。二祖往鄴都。又作麼生。師不對。後有僧問。和尚在洞山剗殺蚯蚓因緣。和尚豈不是無語。師曰。當時有語。祇是無人證明。問。山河大地從何而有。師曰。從妄想有。曰。與某甲想出一鋌金得麼。師便休去。僧不肯。師問雪峰。門外雪消也未。曰。一片也無。消箇甚麼。師曰。消也。僧問。一時包裹時如何。師曰。旋風千匝。上堂。如人將三貫錢買箇獵狗。祇解尋得有蹤跡底。忽遇羚羊掛角。莫道蹤跡。氣息也無。僧問。羚羊掛角時如何。師曰。六六三十六。曰。掛角後如何。師曰。六六三十六。僧禮拜。師曰。會麼。曰。不會。師曰。不見道無蹤跡。其僧舉似趙州。州曰。雲居師兄猶在。僧便問。羚羊掛角時如何。州曰。九九八十一。曰。掛角後如何。州曰。九九八十一。曰。得恁麼難會。州曰。有甚麼難會。曰。請和尚指示。州曰。新羅。新羅。又問長慶。羚羊掛角時如何。慶曰。草裡漢。曰。掛後如何。慶曰。亂呌喚。曰。畢竟如何。慶曰。驢事未去。馬事到來。眾僧夜參。侍者持燈來。影在壁上。僧見便問。兩箇相似時如何。師曰。一箇是影。問。學人擬欲歸鄉時如何。師曰。祇這是。新羅僧問。佛陀波利見文殊。為甚卻回去。師曰。祇為不將來。所以卻回去。問。如何是佛。師曰。讚歎不及。曰。莫祇這便是否。師曰。不勞讚歎。問。教中道是人先世罪業。應墮惡道。以今世人輕賤故。此意如何。師曰。動則應墮惡道。

問う。「游子家に帰る時如何。」師は言った。「且く帰来を喜べ。」言った。「何を将て奉献せん。」師は言った。「朝に三千を打ち、暮に八百を打つ。」問う。「如何なるか是れ諸仏の師。」師は喝して言った。「この田庫兒。」僧は礼拝した。師は言った。「汝作麼生に会す。」僧は喝して言った。「この老和尚。」師は言った。「元来会せず。」僧は舞を作して出で去った。師は言った。「㳂台盤の乞兒。」師は曾て侍者に令めて袴を一住庵の道者に送らしめた。道者は言った。「自ら娘生の袴有り。」竟に受けず。師は再び侍者に令めて問わしめた、「娘未だ生ぜざる時箇の何を着た。」道者は語無し。後に遷化して舎利有り、持して師に似たり。師は言った。「直饒八斛四斗を得るも、当時に一転語を下せしに如かず。」師は洞山に在りて作務し、悮りて蚯蚓を刬殺した。山は言った。「この箇聻。」師は言った。「他死せず。」山は言った。「二祖鄴都に往く、また作麼生。」師は対えず。後に僧有りて問うた。「和尚洞山に在りて蚯蚓を刬殺せし因縁、和尚豈に是れ語無し。」師は言った。「当時語有り、只証明する人無かりき。」問う。「山河大地は何より有る。」師は言った。「妄想より有る。」言った。「某甲と一鋌の金を想出づるを得るか。」師は便ち休み去った。僧は肯んぜず。師は雪峯に問うた。「門外の雪消えたか未だ。」言った。「一片も無し、箇の何をか消す。」師は言った。「消えたり。」僧が問うた。「一時に包裹する時如何。」師は言った。「旋風千匝。」上堂して言った。「人の三貫の銭を将て箇の猟狗を買い、只解く踪迹有る底を尋得し、忽ち羚羊挂角に遇うが如し、踪迹を道うこと莫れ、気息も無し。」僧が問うた。「羚羊挂角の時如何。」師は言った。「六六三十六。」言った。「挂角の後如何。」師は言った。「六六三十六。」僧は礼拝した。師は言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「踪迹無しと道うを見ずや。」その僧挙げて趙州に似たり。州は言った。「雲居の師兄はなお在り。」僧は便ち問うた。「羚羊挂角の時如何。」州は言った。「九九八十一。」言った。「挂角の後如何。」州は言った。「九九八十一。」言った。「恁麼に会い難しを得。」州は言った。「何の会い難きか有らん。」言った。「請う和尚指示せよ。」州は言った。「新羅、新羅。」また長慶に問うた、「羚羊挂角の時如何。」慶は言った。言った、「挂後如何。」慶は言った、「乱れに呌喚す。」言った、「畢竟如何。」慶は言った、「驢の事未だ去らず、馬の事到来す。」衆僧夜参し、侍者燈を持して来たり、影は壁上に在り。僧見て便ち問うた。「両箇相似の時如何。」師は言った。「一箇は是れ影。」問う。「学人拟い郷に帰らんと欲する時如何。」師は言った。「只これ是れ。」新羅僧が問うた。「仏陀波利文殊を見て、為甚に却って回去せし。」師は言った。「只将来せざるが為、所以に却って回去せり。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「讃嘆及ばず。」言った。「只これ便ち是か否や。」師は言った。「労れず讃嘆せよ。」問う。「教に道う、是の人先世の罪業は、応に悪道に堕すべし、今世人の軽賤するを以ての故、此の意如何。」師は言った。「動けば則ち応に悪道に堕すべし、

靜則為人輕賤(崇壽稠別雲。心外有法。應墮惡道。守住自己。為人輕賤)。問。香積飯甚麼人得吃。師曰。須知得吃底人入口也須抉出。有僧在房內念經。師隔窓問。闍黎念者是甚麼經。僧曰。維摩經。師曰。不問維摩經。念者是甚麼經。其僧從此得入。上堂。孤迥迥。峭巍巍。僧出問曰。某甲不會。師曰。面前案山子也不會。新羅僧問。是甚麼得恁麼難道。師曰。有甚麼難道。曰。便請和尚道。師曰。新羅。新羅。問。明眼人為甚麼黑如漆。師曰。何怪。荊南節度使成汭入山設供。問曰。世尊有密語。迦葉不覆藏。如何是世尊密語。師召尚書。書應諾。師曰。會麼。書曰。不會。師曰。汝若不會。世尊有密語。汝若會。迦葉不覆藏。僧問。才生為甚麼不知有。師曰。不同生。曰。未生時如何。師曰。不曾滅。曰。未生時在甚麼處。師曰。有處不收。曰。甚麼人不受滅。師曰。是滅不得者。上堂。僧家發言吐氣。須有來由。莫將等閑。這裡是甚麼所在。爭受容易。凡問箇事。也須識些子好惡。若不識尊卑良賤。不知觸犯。信口亂道。也無利益。傍家行腳。到處覓相似語。所以尋常向兄弟道。莫怪不相似。恐同學太多去。第一莫將來。將來不相似。言語也須看前頭。八十老人入場屋。不是小兒嬉。不是因循事。一言參差即千里萬裡。難為取攝。蓋為學處不著力。敲骨打髓。須有來由。言語如鉗如夾。如鉤如鎻。須教相續不斷。始得頭頭上具。物物上明。豈不是得妙底事。一種學大須子細研窮。直須諦當的的無差。到這裡有甚麼䠄跣處。有甚麼擬議處。向去底人常須慘悚戢翼始得。若是知有底人自解護惜。終不取次。十度發言。九度休去。為甚麼如此。恐怕無利益。體得底人。心如臘月扇子。直得口邊醭出。不是強為。任運如此。欲得恁麼事。須是恁麼人。既是恁麼人。不愁恁麼事。恁麼事即難得。上堂。

静かなれば則ち人に軽賤せらる(崇寿稠が別に言った、「心外に法有れば、応に悪道に堕すべし、自己を守住すれば、人に軽賤せらる。」)問う。「香積飯は何人か喫するを得。」師は言った。「須く喫するを得る底の人は口に入るも須く抉出すべしと知るべし。」僧有りて房内に在りて経を念ず。師は窓を隔てて問うた。「闍黎の念ずる者是れ何の経ぞ。」僧は言った。「維摩経。」師は言った。「維摩経を問わず、念ずる者是れ何の経ぞ。」其の僧此より入ることを得。上堂して言った。「孤迥迥、峭巍巍。」僧出でて問うて言った。「某甲会せず。」師は言った。「面前の案山子も亦会せず。」新羅僧が問うた。「是れ何を以て恁麼に道い難しを得。」師は言った。「何の道い難きか有らん。」言った。「便ち請う和尚道え。」師は言った。「新羅、新羅。」問う。「明眼人はなぜ漆の如く黒き。」師は言った。「何をか怪しむ。」荆南節度使成汭山に入りて供を設け、問うて言った。「世尊に密語有り、迦葉覆蔵せず、如何なるか是れ世尊の密語。」師は尚書を召した。書は応諾した。師は言った。「会するか。」書は言った。「会せず。」師は言った。「你若し会せずんば世尊に密語有り、你若し会せば迦葉覆蔵せず。」僧が問うた。「纔かに生ぜり、なぜ有るを知らざる。」師は言った。「生に同じからず。」言った。「未生の時如何。」師は言った。「曾て滅せず。」言った。「未生の時は何の処に在る。」師は言った。「処有りて収めず。」言った。「何人か滅を受けざる。」師は言った。「是れ滅することを得ざる者。」上堂して言った。「僧家の言を發し気を吐くには、須く来由有るべし、将て等閑とすること莫れ。ここは是れ何の所在ぞ、争でか容易を受けん。凡そ箇の事を問うにも、も須く些子の好悪を識るべし。若し尊卑良賤を識らず、触犯を知らず、口を信じて乱れに道えば、も利益無し。家に傍って行脚すれば、到る処相似の語を覓む。所以に尋常兄弟に向って道う、怪しむこと莫れ相似せざるを、恐らくは同学太多く去らんと。第一に将来すること莫れ、将来すれば相似せず。言語も須く前頭を看るべし。八十の老人場屋に入る、是れ小児の嬉に非ず、是れ因循の事に非ず。一言参差すれば即ち千里万里、難くして取摄せん。蓋し学処に力を着けざるが為なり。骨を敲き髄を打つに、須く来由有るべし。言語は鉗の如く夹の如く、鉤の如く鎖の如し。須く相続き断えざらしめて、始めて頭頭上に具え、物物上に明らかならん。豈に是れ妙を得る底の事に非ずや。一种の学は大いに須く子細に研窮し、直に須く諦当たり的々差無くすべし。ここに到りて何の䠄跣の処か有らん、何の拟議の処か有らん。向去の底の人は常に須く慘悚して翼を戢めて始めて得べし。若し是れ知有の底の人は自ら解して護惜し、終に取次せず。十度言を發するに九度休み去る。何を以て此くの如くする、恐らくは利益無からんと。体得する底の人、心は臘月の扇子の如く、直に口辺に醭出づるを得、是れ強いて為すに非ず、運に任せて此くの如し。恁麼の事を得んと欲せば、須く是れ恁麼の人たるべし。既に是れ恁麼の人、恁麼の事を愁えず、恁麼の事は即ち得ること難し。」上堂した。

汝等諸人。直饒學得佛邊事。早是錯用心。不見古人講得天花落。石點頭。亦不幹自己事。自餘是甚麼閑。擬將有限身心向無限中用。如將方木逗圓孔。多少誵訛。若無恁麼事。饒你攢花蔟錦。亦無用處。未離情識在。一切事須向這裡及盡。若有一毫去不盡。即被塵累。豈況更多。差之毫氂。過犯山嶽。不見古人道。學處不玄。盡是流俗。閨閤中物。捨不得俱為滲漏。直須向這裡及取.及去.及來。併盡一切事。始得無過。如人頭頭上了。物物上通。祇喚作了事人。終不喚作尊貴。將知尊貴一路自別。不見道。從門入者非寶。棒上不成龍。知麼。師為南昌鍾王尊之。願為世世師。天復元年秋。示疾。明年正月三日。問侍者曰。今日是幾。曰。初三。師曰。三十年後。但道祇這是。乃告寂。諡弘覺禪師。

你們諸人、直饒仏辺の事を学得るも、早く是れ心を错用せり。古人の講じて天花落ち、石頭点ずるを見ずや、亦自己の事に干らず。自余是れ何の閑ぞ。拟い有限の身心を将て無限の中に向って用いんとす、方木を将て円孔に逗うが如く、多少の誵訛。若し恁麼の事無ければ、饒汝花を攅み錦を蔟るも、亦用の処無し、未だ情識を離れざる在り。一切の事は須くここに向って及尽すべし、若し一毫の去り尽くさざる有れば、即ち塵累せられん、況んや更多きをや。毫犛を差えば、過犯は山岳なり。古人道うを見ずや、学処玄ならざれば、尽く是れ流俗、閨合中の物、舎て得ざれば倶に渗漏と為る。直に須くここに向って及取し・及去し・及来し、並びに一切の事を尽くして、始めて過無きを得。人の頭頭上に了え、物物上に通ずるが如く、只喚んで了事人と作し、終に喚んで尊貴と作さず。将に知るべし、尊貴の一路自ら別なり。道うを見ずや、門より入る者は宝に非ず、棒上に龍を成さず、知るか。師は南昌鍾王の為に之を尊び、願わくは世々の師と為さんとした。天復元年の秋、疾を示した。明年正月三日、侍者に問うて言った。「今日是れ幾ぞ。」言った。「初三。」師は言った。「三十年の後、但道え只これ是れ。」乃ち寂を告げた。諡して弘覚禅師。

撫州踈山匡仁禪師

撫州疏山匡仁禅師

吉州新淦人。投本州元證禪師出家。一日。告其師。往東都。聽習未經歲月。忽曰。尋行數墨。語不如默。捨己求人。假不如真。遂造洞山。值山早參。出問。未有之言。請師示誨。山曰。不諾無人肯。師曰。還可功也無。山曰。你即今還功得麼。師曰。功不得即無諱處。山他日上堂曰。欲知此事。直須如枯木生花。方與他合。師問。一切處不乖時如何。山曰。闍黎。此是功勳邊事。幸有無功之功。子何不問。師曰。無功之功。豈不是那邊人。山曰。大有人笑子恁麼問。師曰。恁麼則迢然去也。山曰。迢然非迢然。非不迢然。師曰。如何是迢然。山曰。喚作那邊人。即不得。師曰。如何是非迢然。山曰。無辨處。山問師。空劫無人家。是甚麼人住處。師曰。不識。山曰。人還有意旨也無。師曰。和尚何不問他。山曰。現問次。師曰。是何意旨。山不對。洎洞山順世。弟子禮終。乃到潭州大溈。值溈示眾。曰。行腳高士。直須向聲色裡睡眠。聲色裡坐臥。始得。師出問。如何是不落聲色句。溈竪起拂子。師曰。此是落聲色句。溈放下拂子。歸方丈。師不契。便辭香嚴。嚴曰。何不且住。師曰。某甲與和尚無緣。嚴曰。有何因緣。試舉看。師遂舉前話。嚴曰。某甲有箇語。師曰。道甚麼。嚴曰。言發非聲。色前不物。師曰。元來此中有人。遂囑香嚴曰。向後有住處。某甲卻來相見。乃去。溈問嚴曰。問聲色話底矮闍黎在麼。嚴曰。已去也。溈曰。曾舉向子麼。嚴曰。某甲亦曾對他來。溈曰。試舉看。嚴舉前語。溈曰。他道甚麼。嚴曰。深肯某甲。溈失笑曰。我將謂這矮子有長處。元來祇在這裡。此子向去。若有箇住處。近山無柴燒。近水無水吃。師聞福州大溈安和尚示眾曰。有句無句。如藤倚樹。師特入嶺到彼。值溈泥壁。便問。承聞和尚道。有句無句。如藤倚樹。是否。溈曰。是。師曰。忽遇樹倒藤枯。

吉州新淦の人。本州の元証禅師に投じて出家した。一日、その師に告げて東都に往き、聴習するに歳月を経ずして、忽ち言った。「行を尋ね墨を数うるは、語は黙に如かず、己を舎てて人を求むるは、假は真に如かず。」遂に洞山に造り、山の早参に值い、出でて問うた。「未だ有らざるの言、請う師示誨せよ。」山は言った。「諾せざれば人肯んずる無し。」師は言った。「また功する可きや否や。」山は言った。「汝即今また功し得るか。」師は言った。「功し得ざれば即ち諱する処無し。」山他日上堂して言った。「此の事を知らんと欲せば、直に須く枯木の花を生ずるが如く、方に他と合せん。」師は問うた。「一切の処乖らざる時如何。」山は言った。「闍黎、此れ是れ功勲辺の事、幸いに无功の功有り、子何ぞ問わざる。」師は言った。「无功の功は、豈に是れ彼辺の人に非ずや。」山は言った。大いに人の子が恁麼に問うを笑う者有り。師は言った。「恁麼ならば迢然として去るなり。」山は言った。「迢然は迢然に非ず、非不迢然。」師は言った。「如何なるか是れ迢然。」山は言った。「彼辺の人と喚ぶは、即ち得ず。」師は言った。「如何なるか是れ非迢然。」山は言った。「弁ずる処無し。」山は師に問うた、「空劫人家無し、是れ何人の住処ぞ。」師は言った。「識らず。」山は言った、「人はまた意旨有るや否や。」師は言った、「和尚何ぞ他に問わざる。」山は言った、「現に問う次。」師は言った、「是れ何の意旨ぞ。」山は対えず。洎に洞山順世し、弟子礼を終え、乃ち潭州大潙に到り、潙の衆に示すに值う。言った、「行脚の高士、直に須く声色裏に向って睡眠し、声色裏に坐卧して、始めて得べし。」師は出でて問うた、「如何なるか是れ声色に落ちざる句。」潙は拂子を竪起した。師は言った、「此れ是れ声色に落ちたる句。」潙は拂子を放下して、方丈に帰った。師は契せず、便ち香巖に辞した。巖は言った、「何ぞ且く住せざる。」師は言った、「某甲は和尚と縁無し。」巖は言った、「何の因縁か有る、試しに挙げ看よ。」師は遂に前の話を挙げた。巖は言った、「某甲に箇の語有り。」師は言った、「何を道う。」巖は言った、「言發は声に非ず、色前物ならず。」師は言った、「元来此の中に人有り。」遂に香巖に嘱して言った、「向後住処有らば、某甲却って来りて相見ん。」乃ち去った。潙は巖に問うて言った、「声色の話を問う底の矮闍黎は在るか。」巖は言った、「已に去り。」潙は言った、「曾て子に向って挙げたか。」巖は言った、「某甲も亦曾て他に対して来たり。」潙は言った、「試しに挙げ看よ。」巖は前の語を挙げた。潙は言った、「他は何と道う。」巖は言った、「深く某甲を肯んず。」潙は笑いを失して言った、「我は将に此の矮子は長処有りと謂えり、元来只ここに在り。此の子向去、若し箇の住処有らば、山に近くとも柴無くて焼かず、水に近くとも水無くて喫せず。」師は福州大潙安和尚の衆に示して道うを聞く、「有句無句、藤の樹に倚るが如し。」師は特に嶺に入りて彼に到り、潙が壁を泥するに值い、便ち問うた、「承く、和尚は道う、有句無句、藤の樹に倚るが如し、是か否や。」潙は言った、「是なり。」師は言った、「忽ち樹倒れ藤枯るるに遇わば、

句歸何處。溈放下泥槃。呵呵大笑。歸方丈。師曰。某甲三千里賣卻布單。特為此事而來。和尚何得相弄。溈喚侍者。取二百錢與這上座去。遂囑曰。向後有獨眼龍為子點破在。溈山次日上堂。師出問。法身之理。理絕玄微。不奪是非之境。猶是法身邊事。如何是法身向上事。溈舉起拂子。師曰。此猶是法身邊事。溈曰。如何是法身向上事。師奪拂子。摺折擲向地上。便歸眾。溈曰。龍蛇易辨。衲子難瞞。後聞婺州明招謙和尚出世(謙眇一目)。徑往禮拜。招問。甚處來。師曰。閩中來。招曰。曾到大溈否。師曰。到。招曰。有何言句。師舉前話。招曰。溈山可謂頭正尾正。祇是不遇知音。師亦不省。復問。忽遇樹倒藤枯。句歸何處。招曰。卻使溈山笑轉新。師於言下大悟。乃曰。溈山元來笑裡有刀。遙望禮拜。悔過。招一日問。虎生七子。那箇無尾巴。師曰。第七箇無尾巴。香嚴出世。師不爽前約。遂往訪之。嚴上堂。僧問。不求諸聖.不重己靈時如何。嚴曰。萬機休罷。千聖不𢹂。師在眾作嘔聲。曰。是何言歟。嚴聞便下座。曰。適對此僧語必有不是。致招師叔如是。未審過在甚麼處。師曰。萬機休罷。猶有物在。千聖不攜。亦從人得。如何無過。嚴曰。卻請師叔道。師曰。若教某甲道。須還師資禮始得。嚴乃禮拜。躡前問。師曰。何不道肯諾不得全。嚴曰。肯又肯箇甚麼。諾又諾於阿誰。師曰。肯即肯他千聖。諾即諾於己靈。嚴曰。師叔恁麼道。向去倒屙三十年在。師到夾山。山上堂。師問。承師有言。目前無法。意在目前。如何是非目前法。山曰。夜月流輝。澄潭無影。師作掀禪床勢。山曰。闍黎作麼生。師曰。目前無法。了不可得。山曰。大眾看取。這一員戰將。師參巖頭。頭見來。乃低頭佯睡。師近前而立。頭不顧。師拍禪床一下。頭回首曰。作甚麼。師曰。和尚且瞌睡。拂袖便行。

句は何の処に帰する。」潙は泥槃を放下して、呵呵と大笑して、方丈に帰った。師は言った。「某甲三千里に布単を売却し、特に此の事の為に来たり、和尚何ぞ相弄するを得。」潙は侍者を喚んで、二百の銭を取りて此の上座に与えて去らしめ。遂に嘱して言った。「向后に独眼龍有りて子の為に点破する在り。」潙山次日上堂した。師は出でて問うた。「法身の理、理は玄微を絶し、是非の境を奪わず、なお是れ法身辺の事、如何なるか是れ法身向上の事。」潙は拂子を挙起した。師は言った。「此れなお是れ法身辺の事。」潙は言った。「如何なるか是れ法身向上の事。」師は拂子を奪い、折折として地に向って擲ち、便ち衆に帰った。潙は言った。「龍蛇は弁じ易く、衲子は瞞し難し。」後に婺州明招謙和尚の出世するを聞き(謙は一目を眇めり)、径に往きて礼拝した。招は問うた。「甚の処より来た。」師は言った。「閩中より来た。」招は言った。「曾て大潙に到ったか。」師は言った。「到り。」招は言った。「何の言句か有る。」師は前の話を挙げた。招は言った。「潙山は頭正尾正と謂う可し、只知音に遇わざるのみ。」師も亦省せず。復た問うた。「忽ち樹倒れ藤枯るるに遇わば、句は何の処に帰する。」招は言った。「却って潙山をして笑い転じて新ならしめん。」師は言下に於て大いに悟った。乃ち言った。「潙山元来笑裏に刀有り。」遥かに望みて礼拝し、悔過した。招一日問うた。「虎七子を生む、あれは尾無き。」師は言った。「第七箇は尾無し。」香巖出世し、師は前約に爽わず、遂に往きて之を訪ねた。巖上堂し、僧が問うた。「諸聖を求めず・己霊を重んぜざる時如何。」巖は言った。「万機休罢、千聖不𢹂。」師は衆中に在りて嘔声を作して言った。「是れ何の言ぞや。」巖聞きて便ち座を下りて言った。「適に此の僧に対する語、必ず是らざる有りて、師叔に此くの如くを致すを招き、いまだ審らかならず過は何の処に在る。」師は言った。「万機休罢は、なお物有る在り。千聖不携も、亦人より得たり、如何にか過無からん。」巖は言った。「却って請う師叔道え。」師は言った。「若し某甲を教えて道わしめば、須く師資の礼を還して始めて得べし。」巖は乃ち礼拝し、前の問に蹑んだ。師は言った。「何ぞ肯諾して全きを得ずと道わざる。」巖は言った。「肯はまた箇の何を肯んず、諾はまた阿誰に諾する。」師は言った。「肯は即ち他の千聖を肯んず、諾は即ち己霊に於て諾す。」巖は言った。「師叔恁麼に道う、向去倒屙すること三十年在り。」師は夾山に到り、山上堂した。師は問うた。「承く、師に言有り、目前に法無し、意は目前に在り、如何なるか是れ非目前の法。」山は言った。「夜月流輝、澄潭影無し。」師は禅床を掀る勢いを作した。山は言った。「闍黎作麼生。」師は言った。「目前に法無し、了えて得る可からず。」山は言った。大衆看取せよ、此の一員の戦将。師は巖頭に参じ、頭は来るを見て、乃ち頭を低れて佯りて睡った。師は近づき前りて立ち、頭は顧みず。師は禅床を一下拍し、頭は首を回らして言った。「何を作す。」師は言った。「

頭呵呵大笑曰。三十年弄馬騎。今日被驢撲。回謁石霜(機語具石霜章)。遂歸故里。出主藍田。信士張覇遷問。和尚有何言句。師示偈曰。吾有一寶琴。寄之在曠野。不是不解彈。未遇知音者。後遷踈山。上堂。病僧咸通年前。會得法身邊事。咸通年後。會得法身向上事。雲門出問。如何是法身邊事。師曰。枯樁。曰。如何是法身向上事。師曰。非枯樁。曰。還許某甲說道理也無。師曰。許。曰。枯樁豈不是明法身邊事。師曰。是。曰。非枯樁豈不是明法身向上事。師曰。是。曰。祇如法身。還該一切也無。師曰。法身周徧。豈得不該。門指淨瓶曰。祇如淨瓶。還該法身麼。師曰。闍黎莫向淨瓶邊覓。門便禮拜。師問鏡清。肯諾不得全。子作麼生會。清曰。全歸肯諾。師曰。不得全又作麼生。清曰。箇中無肯路。師曰。始愜病僧意。問僧。甚處來。曰。雪峰來。師曰。我已前到時。事事不足。如今足也未。曰。如今足也。師曰。粥足飯足。僧無對(雲門代雲。粥足飯足)。有僧為師造壽塔畢。白師。師曰。將多少錢與匠人。曰。一切在和尚。師曰。為將三錢與匠人。為將兩錢與匠人。為將一錢與匠人。若道得。與吾親造塔來。僧無語。後僧舉似大嶺庵閑和尚(即羅山也)。嶺曰。還有人道得麼。僧曰。未有人道得。嶺曰。汝歸與踈山道。若將三錢與匠人。和尚此生決定不得塔。若將兩錢與匠人。和尚與匠人共出一隻手。若將一錢與匠人。累他匠人眉鬚墮落。僧回如教而說。師具威儀望大嶺作禮。歎曰。將謂無人。大嶺有古佛放光。射到此間。雖然如是。也是臘月蓮花。大嶺後聞此語。曰。我恁麼道。早是龜毛長三尺。僧問。如何是諸佛師。師曰。何不問踈山老漢。僧無對。師常握木蛇。有僧問。手中是甚麼。師提起曰。曹家女。問。如何是和尚家風。師曰。尺五頭巾。曰。如何是尺五頭巾。師曰。

頭は呵呵と大笑して言った。「三十年馬騎を弄ぶも、今日驢に撲せらる。」回りて石霜に謁す(機語は石霜の章に具わる)。遂に故里に帰り、出でて藍田を主った。信士張覇遷が問うた。「和尚に何の言句か有る。」師は偈を示して言った。「吾に一宝琴有り、之を寄せて曠野に在り、是れ解して弾かざるに非ず、未だ知音の者に遇わず。」後に疏山に遷った。上堂して言った。「病僧は咸通年前、法身辺の事を会得し、咸通年後、法身向上の事を会得せり。」雲門出でて問うた。「如何なるか是れ法身辺の事。」師は言った。「枯樁。」言った。「如何なるか是れ法身向上の事。」師は言った。「枯樁に非ず。」言った。「また某甲を許して道理を説くや否や。」師は言った。「許す。」言った。「枯樁は豈に法身辺の事を明らむに非ずや。」師は言った。「是なり。」言った。「非枯樁は豈に法身向上の事を明らむに非ずや。」師は言った。「是なり。」言った。「只如く法身は、また一切に該するや否や。」師は言った。「法身は周徧す、豈に該せざるを得んや。」門は浄瓶を指して言った。「只如く浄瓶は、また法身に該するか。」師は言った。「闍黎浄瓶辺に向って覓むること莫れ。」門は便ち礼拝した。師は鏡清に問うた。「肯諾して全きを得ず、子作麼生に会す。」清は言った。「全く肯諾に帰す。」師は言った。「全きを得ざればまた作麼生。」清は言った。「箇中に肯路無し。」師は言った。「始めて病僧の意に愜えたり。」僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。雪峯より来た。師は言った。「我已前到る時、事事足らず、如今足りたか未だ。」言った。「如今足り。」師は言った。「粥足り飯足り。」僧は対えず(雲門が代って言った、「粥足り飯足り。」)僧有りて師の為に寿塔を造り畢り、師に白した。師は言った。「多少の銭を将て匠人に与えん。」言った。「一切は和尚に在り。」師は言った。「三銭を将て匠人に与えんか、両銭を将て匠人に与えんか、一銭を将て匠人に与えんか、若し道い得ば、吾と親しく塔を造りに来れ。」僧は語無し。後に僧挙げて大嶺庵の閑和尚に似たり(即ち羅山なり)。嶺は言った。「また人道い得る者有るか。」僧は言った。「未だ人道い得る者有らず。」嶺は言った。「汝帰りて疏山と道え、若し三銭を将て匠人に与えば、和尚此生決定して塔を得ず。若し両銭を将て匠人に与えば、和尚と匠人と共に一只手を出ださん。若し一銭を将て匠人に与えば、他の匠人の眉鬚堕落せしめん。」僧回りて教の如くして説いた。師は威儀を具えて大嶺を望みて礼を作し、嘆じて言った。「将に人無しと謂えり、大嶺に古仏の放光有りて、此間に射し到る。此くの如しと雖も、亦是れ臘月の蓮花。」大嶺後に此の語を聞きて言った。「我恁麼に道う、早く是れ亀毛長さ三尺。」僧が問うた。「如何なるか是れ諸仏の師。」師は言った。「何ぞ疏山の老汉に問わざる。」僧は対えず。師は常に木蛇を握る。僧有りて問うた。「手中は是れ何ぞ。」師は提起して言った。「曹家の女。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「尺五の頭巾。」言った。「如何なるか是れ尺五の頭巾。」師は言った。

圓中取不得。因鼓山舉威音王佛師。師乃問。作麼生是威音王佛師。山曰。莫無慚愧好。師曰。闍黎恁麼道即得。若約病僧即不然。山曰。作麼生是威音王佛師。師曰。不坐無貴位。問。靈機未運時如何。師曰。夜半放白牛。問。如何是一句。師曰。不道。曰。為甚麼不道。師曰。少時輩。問。久負不逢時如何。師曰。饒你雄信解拈鎗。比逐秦王較百步。曰。正當恁麼時如何。師曰。將軍不上便橋。金牙徒勞拈筈。問。如何是直指。師曰。珠中有水君不信。擬向天邊問太陽。冬至上堂。僧問。如何是冬來意。師曰。京師出大黃。問。和尚百年後向甚麼處去。師曰。背抵芒叢。四腳指天。師臨遷化。有偈示眾曰。我路碧空外。白雲無處閑。世有無根樹。黃葉風送還。偈終而逝。塔於本山。

円中より取ることを得ず。鼓山が威音王仏師を挙ぐるに因り、師は乃ち問うた。「作麼生なるか是れ威音王仏師。」山は言った。「慚愧無きこと莫れ、好し。」師は言った。「闍黎恁麼に道うは即ち得、若し病僧に約すれば即ち然らず。」山は言った。「作麼生なるか是れ威音王仏師。」師は言った。「貴位無きに坐せず。」問う。「霊機未だ運らざる時如何。」師は言った。「夜半に白牛を放つ。」問う。「如何なるか是れ一句。」師は言った。「道わず。」言った。「なぜ道わざる。」師は言った。「少時の輩。」問う。「久しく負いて逢わざる時如何。」師は言った。「饒汝雄信鎗を拈ずるを解するも、秦王に比逐して百歩を較べん。」言った。「正に恁麼なる時如何。」師は言った。「将軍は便橋に上らず、金牙は徒らに筈を拈ず。」問う。「如何なるか是れ直指。」師は言った。「珠中に水有り、君信ぜず、拟い天辺に向って太陽を問わん。」冬至上堂した。僧が問うた。「如何なるか是れ冬来の意。」師は言った。「京師大黄を出だす。」問う。「和尚百年の後、何の処に向って去る。」師は言った。「背は芒叢に抵り、四脚は天を指す。」師は遷化に臨み、偈有りて衆に示して言った。「我路碧空外、白雲無處閑、世有無根樹、黄葉風送還。」偈終りて逝き、本山に塔した。

青林師䖍禪師

青林師虔禅師

初參洞山。山問。近離甚處。師曰。武陵。曰。武陵法道何似此間。師曰。胡地冬抽筍。山曰。別甑炊香飯供養此人。師拂袖便出。山曰。此子向後。走殺天下人在。師在洞山栽松次。有劉翁者求偈。師作偈曰。長長三尺餘。鬱鬱覆青草。不知何代人。得見此松老。劉得偈呈洞山。山謂曰。此是第三代洞山主人。師辭洞山。山曰。子向甚麼處去。師曰。金輪不隱的。徧界絕紅塵。山曰。善自保任。師珍重而出。洞山門送。謂師曰。恁麼去一句作麼生道。師曰。步步踏紅塵。通身無影像。山良久。師曰。老和尚何不速道。山曰。子得恁麼性急。師曰。某甲罪過。便禮辭。師至山南府青銼山住庵。經十年。忽記洞山遺言。乃曰。當利群蒙。豈拘小節邪。遂往隨州。眾請住青林。後遷洞山。凡有新到。先令搬柴三轉。然後參堂。有一僧不肯。問師曰。三轉內即不問。三轉外如何。師曰。鐵輪天子寰中旨。僧無對。師便打。趂出。僧問。昔年病苦。又中毒藥。請師醫。師曰。金錍撥破腦。頂上灌醍醐。曰。恁麼則謝師醫。師便打。上堂。祖師門下。鳥道玄微。功窮皆轉。不究難明。汝等諸人。直須離心意識參。出凡聖路學。方可保任。若不如是。非吾子息。問。久負不逢時如何。師曰。古皇尺一寸。問。請師答話。師曰。脩羅掌於日月。上堂。祖師宗旨。今日施行。法令已彰。復有何事。僧問。正法眼藏。祖祖相傳。未審和尚傳付何人。師曰。靈苗生有地。大悟不存師。問。如何是道。師曰。回頭尋遠㵎。曰。如何是道中人。師曰。擁雪首揚眉。問。千差路別。如何頓曉。師曰。足下背驪珠。空怨長天月。問。學人徑往時如何。師曰。死蛇當大路。勸子莫當頭。曰。當頭者如何。師曰。喪子命根。曰。不當頭者如何。師曰。亦無迴避處。曰。正當恁麼時如何。師曰。失卻也。曰。向甚麼處去。師曰。草深無覓處。

初めて洞山に参じ、山は問うた。「近く甚の処を離れた。」師は言った。「武陵。」言った。「武陵の法道は此間に何似する。」師は言った。「胡地冬に笋を抽く。」山は言った。「別に甑に香飯を炊きて此の人を供養せよ。」師は袖を拂いて便ち出でた。山は言った。「此の子向后、天下の人を走り殺す在り。」師は洞山に在りて松を栽うる次、劉翁と曰う者有りて偈を求めた。師は偈を作って言った。「長長として三尺余、郁郁として青草を覆う、何代の人か知らず、此の松の老いるを見るを得ん。」劉は偈を得て洞山に呈した。山は謂うて言った。「此れ是れ第三代の洞山主人。」師は洞山に辞し、山は言った。「子何の処に向って去る。」師は言った。「金輪は的を隠さず、遍界に紅塵を絶つ。」山は言った。「善く保任せよ。」師は珍重して出で、洞山は門より送りて師に謂うて言った。「恁麼に去る一句を作麼生に道う。」師は言った。「歩歩紅塵を踏み、通身影像無し。」山は良久とした。師は言った。「老和尚何ぞ速かに道わざる。」山は言った。「子は恁麼の性急を得。」師は言った。「某甲罪過。」便ち礼辞した。師は山南府の青剉山に至りて庵に住し、十年を経た。忽ち洞山の遺言を記えて、乃ち言った。「当に群蒙に利すべし、豈に小節に拘らんや。」遂に随州に往き、衆請いて青林に住せしめ、後に洞山に遷った。凡そ新到有れば、先ず柴を搬ばしめて三転し、然る後に堂に参ぜしむ。一僧有りて肯んぜず、師に問うて言った。「三転内は即ち問わず、三転外は如何。」師は言った。「鉄輪天子寰中の旨。」僧は対えず。師は便ち打ち、趂い出だした。僧が問うた。「昔年病苦にして、また毒薬を中る、請う師医せよ。」師は言った。「金錍は脳を拨破し、頂上に醍醐を灌ぐ。」言った。「恁麼ならば師の医を謝す。」師は便ち打った。上堂して言った。「祖師門下、鳥道玄微、功窮まれば皆転じ、究めざれば明らめ難し。你們諸人、直に須く心意識を離れて参じ、凡聖の路を出でて学びて、方に保任する可し。若し是くの如くせずんば、吾が子息に非ず。」問う。「久しく負いて逢わざる時如何。」師は言った。「古皇尺一寸。」問う。「請う師話に答えよ。」師は言った。「修羅は日月に掌す。」上堂して言った。「祖師の宗旨、今日施行し、法令已に彰れたり、復た何の事か有らん。」僧が問うた。「正法眼蔵、祖々相伝す、いまだ審らかならず和尚は何人に伝付する。」師は言った。「霊苗は地有りて生じ、大悟は師を存せず。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「頭を回らして尋ること遠し、問う。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。「雪を擁して首は眉を揚ぐ。」問う。「千差路別、如何に頓曉せん。」師は言った。「足下は驪珠を背し、空しく長天の月を怨ず。」問う。「学人径に往く時如何。」師は言った。「死蛇大路に当たり、子に勧めて頭に当たること莫れ。」言った。「頭に当たる者如何。」師は言った。「子の命根を喪す。」言った。「頭に当たらざる者如何。」師は言った。「亦回避の処無し。」言った。「正に恁麼なる時如何。」師は言った。「失却せり。」言った。「何の処に向って去る。」師は言った。「草深くして覓むる処無し。」

曰。和尚也須隄防始得。師拊掌曰。一等是箇毒氣。

(他続けて言った。)「和尚も須く隄防して始めて得べし。」師は掌を拊して言った。「一等是れ箇の毒気。」

高安白水本仁禪師

高安白水本仁禅師

因設先洞山忌齋。僧問。供養先師。先師還來也無。師曰。更下一分供養著。上堂。老僧尋常不欲向聲前色後。鼓弄人家男女。何故。且聲不是聲。色不是色。僧問。如何是聲不是聲。師曰。喚作色得麼。曰。如何是色不是色。師曰。喚作聲得麼。僧作禮。師曰。且道為汝說。答汝話。若向這裡會得。有箇入處。上堂。眼裡著沙不得。耳裡著水不得。僧問。如何是眼裡著沙不得。師曰。應真無比。曰。如何是耳裡著水不得。師曰。白淨無垢。問。文殊與普賢。萬法悉同源。文殊普賢即不問。如何是同源底法。師曰。卻問取文殊普賢。曰。如何是文殊普賢。師曰。一釣便上。師謂鏡清曰。時寒道者清。曰。不敢。師曰。還有臥單也無。曰。設有。亦無展底工夫。師曰。直饒道者滴水氷生。亦不干他事。曰。滴水氷生。事不相涉。師曰。是。曰。此人意作麼生。師曰。此人不落意。曰。不落意。此人聻。師曰。高山頂上。無可與道者啗啄。長生然和尚問。如何是西來意。師曰。還見庭前杉樧樹否。曰。恁麼則和尚今日。因學人致得是非。師曰。多口座主。然去後。師方知是雪峰禪客。乃曰。盜法之人。終不成器(然住後。眾緣不備。果符師記。因僧問。從上宗乘。如何舉唱。然雲。不可為闍黎一人。荒卻長生山也。玄沙聞雲。然師兄佛法即大行。受記之緣亦就)。僧問。如何是不遷義。師曰。落花隨流水。明月上孤岑。師將順世。焚香白眾曰。香煙絕處是吾涅槃時也。言訖跏趺而坐。息隨煙滅。

先洞山の忌斎を設くるに因り、僧が問うた。「先師を供養すれば、先師はまた来たるや否や。」師は言った。「更に一分を下して供養せよ。」上堂して言った。「老僧尋常声前色後に向って、人家の男女を鼓弄することを欲せず、何故、且く声は声に非ず、色は色に非ず。」僧が問うた。「如何なるか是れ声声に非ず。」師は言った。「色と喚ぶを得るか。」言った。「如何なるか是れ色色に非ず。」師は言った。「声と喚ぶを得るか。」僧は礼を作した。師は言った。且らく道え、汝の為に説き、汝の話に答うるを、若しここに向って会得せば、箇の入処有らん。上堂して言った。「眼裏に沙を着くることを得ず、耳裏に水を着くることを得ず。」僧が問うた。「如何なるか是れ眼裏に沙を着くることを得ず。」師は言った。「応真比ぶる無し。」言った。「如何なるか是れ耳裏に水を着くることを得ず。」師は言った。「白浄垢無し。」問う。「文殊と普賢と、万法悉く同源、文殊普賢は即ち問わず、如何なるか是れ同源の底の法。」師は言った。「却って文殊普賢に問取れ。」言った。「如何なるか是れ文殊普賢。」師は言った。「一釣便ち上る。」師は鏡清に謂うて言った。時に寒き道者清。言った。「敢えてせず。」師は言った。「また卧単有るや否や。」言った。「設い有るも、亦展ぶる底の工夫無し。」師は言った。「直饒道者滴水氷生するも、亦他の事に干らず。」言った。「滴水氷生、事相渉らず。」師は言った。「是なり。」言った。「此の人意作麼生。」師は言った。「此の人意に落ちず。」言った。「意に落ちず、此の人聻。」師は言った。「高山の頂上、道者と啗啄するに与る可き無し。」長生然和尚が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「また庭前の杉榝樹を見るか否。」言った。「恁麼ならば和尚今日、学人に因りて是非を致り得。」師は言った。「多口の座主。」然去りて後、師は方に是れ雪峯の禅客なるを知りて、乃ち言った。「法を盗む之人、終に器を成さず(然住して後、衆縁備わらず、果たして師の記に符す。僧の問うに因り、上よりの宗乗、如何に挙唱せん、然云う、闍黎一人の為に长生山を荒却する可からず、と。玄沙聞きて言った、然師兄の仏法は即ち大いに行われ、受記の縁も亦就く、と。)僧が問うた。「如何なるか是れ不遷義。」師は言った。「落花は流水に随い、明月は孤岑に上る。」師は将に順世せんとして、香を焚きて衆に白して言った。「香烟絶ゆる処は是れ吾が涅槃の時なり。」言讫りて跏趺し、坐して、息は烟に随いて滅した。

洛京白馬遁儒禪師

洛京白馬遁儒禅師

僧問。如何是衲僧本分事。師曰。十道不通風。瘂子傳來信。曰。傳甚麼信。師乃合掌頂戴。問。如何是密室中人。師曰。才生不可得。不貴未生時。曰。是箇甚麼不貴未生時。師曰。是汝阿爺。問。三千里外嚮白馬。及乎到來為甚麼不見。師曰。是汝不見。不幹老僧事。曰。請和尚指示。師曰。指即沒交涉。問。如何是學人本分事。師曰。昨夜三更月正午。問。如何是法身向上事。師曰。井底蝦蟇吞卻月(僧問黃龍。如何是井底蝦蟆吞卻月。龍曰。不奈何。曰。恁麼則吞卻去也。龍曰。一任吞。曰。吞後如何。龍曰。好蝦蟆)。問。如何是學人急切處。師曰。俊鳥猶嫌鈍。瞥然早已遲。問。如何是西來意。師曰。點額猢猻探月波。

僧が問うた。「如何なるか是れ衲僧本分の事。」師は言った。「十道風を通ぜず、痖子は来たりて信を伝う。」言った。「何の信を伝う。」師は乃ち合掌頂戴した。問う。「如何なるか是れ密室中の人。」師は言った。「纔かに生じて得る可からず、未生の時を貴ばず。」言った。「是れ箇の何を貴ばざる未生の時。」師は言った。「是れ汝の阿爺。」問う。「三千里の外白馬に向かい、及びて来たりてなぜ見ざる。」師は言った。「是れ汝の見ざる、老僧の事に干らず。」言った。「請う和尚指示せよ。」師は言った。「指すれば即ち交渉没し。」問う。「如何なるか是れ学人本分の事。」師は言った。「昨夜三更月正午。」問う。「如何なるか是れ法身向上の事。」師は言った。「井底の蝦蟆月を呑却す(僧が黄龍に問う、「如何なるか是れ井底の蝦蟆月を呑却する。」龍は言った。言った、「恁麼ならば呑却し去るなり。」龍は言った、「一任に呑め。」言った、「呑みた後如何。」龍は言った、「好き蝦蟆。」)問う。「如何なるか是れ学人の急切の処。」師は言った。「俊鳥なお鈍きを嫌い、瞥然として已に早く遅し。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「額を点ずる猢猻月波を探る。」

潭州龍牙山居遁證空禪師

潭州龍牙山居遁証空禅師

撫州人也。因參翠微。乃問。學人自到和尚法席一箇餘月。不蒙一法示誨。意在於何。微曰。嫌甚麼。師又問洞山。山曰。爭怪得老僧(法眼別雲。祖師來也。雲居齊雲。此三人尊宿。還有親疎也無。若有。那箇親。若無親疎。眼在甚麼處)。師又問翠微。如何是祖師意。微曰。與我將禪板來。師遂過禪板。微接得便打。師曰。打即任打。要且無祖師意。又問臨濟。如何是祖師意。濟曰。與我將蒲團來。師乃過蒲團。濟接得便打。師曰。打即任打。要且無祖師意。後有僧問。和尚行腳時。問二尊宿祖師意。未審二尊宿明也未。師曰。明即明也。要且無祖師意(東禪齊雲。眾中道。佛法即有。祇是無祖師意。若恁麼會。有何交涉。別作麼生會無祖師意底道理)。師復舉德山頭落底語。因自省過。遂止於洞山。隨眾參請。一日問。如何是祖師西來意。山曰。待洞水逆流。即向汝道。師始悟厥旨。服勤八稔。湖南馬氏請住龍牙。上堂。夫參玄人。須透過祖佛始得。新豐和尚道。祖佛言教似生冤家。始有參學分。若透不得。即被祖佛謾去。僧問。祖佛還有謾人之心也無。師曰。汝道江湖還有礙人之心也無。乃曰。江湖雖無礙人之心。為時人過不得。江湖成礙人去。不得道江湖不礙人。祖佛雖無謾人之心。為時人透不得。祖佛成謾人去。不得道祖佛不謾人。若透得祖佛過。此人過卻祖佛。若也如是。始體得佛祖意。方與向上人同。如未透得。但學佛學祖。則萬劫無有出期。僧曰。如何得不被祖佛謾去。師曰。道者直須自悟去始得。問。十二時中如何著力。師曰。如無手人慾行拳。始得。問。終日區區。如何頓息。師曰。如孝子喪卻父母。始得(東禪齊雲。眾中道如喪父母。何有閑暇。恁麼會還息得人疑情麼。除此外且作麼生會龍牙意)。問。如何是道。師曰。無異人心是。乃曰。若人體得道無異人心。始是道人。

撫州の人なり。翠微に参ずるに因り、乃ち問うた。「学人自ら和尚の法席に到ること一箇余月、一法の示誨を蒙らず、意は何に於てか在る。」微は言った。「何をか嫌う。」師また洞山に問うた。山は言った。「争でか老僧を怪しむことを得。」(法眼が別に言った、「祖師来たり。」雲居斉云う、「此の三人の尊宿、また親疎有るや否や、若有ればあれは親か、若し親疎無ければ、眼は何の処に在る。」)師また翠微に問うた、「如何なるか是れ祖師意。」微は言った、「我に禅板を将て来れ。」師は遂に禅板を過ごした。微は接得して便ち打った。師は言った、「打つは即ち打つに任す、要するに且く祖師意無し。」また臨済に問うた、「如何なるか是れ祖師意。」済は言った。師は乃ち蒲団を過ごした。済は接得して便ち打った。師は言った、「打つは即ち打つに任す、要するに且く祖師意無し。」後に僧有りて問うた、「和尚行脚の時、二尊宿に祖師意を問う、いまだ審らかならず二尊宿は明らめたか未だ。」師は言った、「明は即ち明なり、要するに且く祖師意無し(東禅斉云う、衆中道う、仏法は即ち有り、只是れ祖師意無し。若し恁麼に会せば、何の交渉か有らん。別に作麼生に会す祖師意無き底の道理を。)師は復た徳山頭落の底の語を挙げ、因りて自ら省みて過ぎり、遂に洞山に止まりて衆に随いて参請した。一日問うた、「如何なるか是れ祖師西来意。」山は言った、「洞水逆流するを待ちて、即ち汝に向って道わん。」師は始めて厥の旨に悟り、服勤すること八稔。湖南馬氏請いて龍牙に住せしめた。上堂して言った、「夫れ玄を参ずる人は、須く祖仏を透過して始めて得べし。新豊和尚道う、祖仏の言教は冤家を生ずるに似たり、始めて参学の分有り。若し透り得ずんば、即ち祖仏に谩せられ去らん。」僧が問うた、「祖仏はまた人を谩るの心有るや否や。」師は言った、「汝道え、江湖はまた人を礙るの心有るや否や。」乃ち言った、「江湖は人を礙るの心無しと雖も、時人の過り得ざるが為に、江湖は礙人の去りを成す、江湖は人を礙らずと道うことを得ず。祖仏は人を谩るの心無しと雖も、時人の透り得ざるが為に、祖仏は谩人の去りを成す、祖仏は人を谩らずと道うことを得ず。若し祖仏を透り得れば、此の人は祖仏を過却せり。若しも是くの如くせば、始めて仏祖の意を体得し、方に向上の人と同じ。如く未だ透り得ざれば、但仏を学び祖を学ぶも、則ち万劫に出期有ること無し。」僧は言った、「如何にしてか祖仏に谩せられざるを得。」師は言った、「道者、直に須く自ら悟り去って始めて得べし。」問う、「十二時の中如何に力を着くる。」師は言った、「手無き人の拳を行わんと欲するが如くして、始めて得べし。」問う、「終日区区たり、如何に頓息せん。」師は言った、「孝子の父母を喪却するが如くして、始めて得べし(東禅斉云う、衆中道う如く父母を喪せば、何の閑暇か有らん。恁麼に会してまた人の疑情を息むるを得るか。此を除いて外且く作麼生に会す龍牙の意を。)」問う、「如何なるか是れ道。」師は言った、「人心に異ならざる是れ。」乃ち言った、「若し人道に人心に異ならざるを体得せば、始めて是れ道人。」

若是言說。則沒交涉。道者。汝知行底道人否。十二時中。除卻著衣吃飯。無絲髮異於人心。無誑人心。此箇始是道人。若道我得我會。則沒交涉。大不容易。問。如何是祖師西來意。師曰。待石烏龜解語。即向汝道。曰。石烏龜語也。師曰。向汝道甚麼。問。古人得箇甚麼。便休去。師曰。如賊入空室。問。無邊身菩薩。為甚麼不見如來頂相。師曰。汝道如來還有頂相麼。問。大庾嶺頭提不起時如何。師曰。六祖為甚麼將得去。問。二鼠侵藤時如何。師曰。須有隱身處始得。曰。如何是隱身處。師曰。還見儂家麼。問。維摩掌擎世界。未審維摩向甚麼處立。師曰。道者。汝道維摩掌擎世界。問。知有底人。為甚麼卻有生死。師曰。恰似道者未悟時。問。如何是西來意。師曰。此一問最苦(報慈雲。此一問最好)。問。祖意教意。是同是別。師曰。祖師在後來。問。如何是無事沙門。師曰。若是沙門。不得無事。曰。為甚麼不得無事。師曰。覓一箇也難得。問。蟾蜍無反照之功。玉兔無伴月之意時如何。師曰。道者。堯舜之君猶有化在。問。如何得此身安去。師曰。不被別身謾始得(法眼別雲。誰惱亂汝)。報慈嶼讚師真曰。日出連山。月圓當戶。不是無身。不欲全露。師一日在帳中坐。僧問。不是無身。不欲全露。請師全露。師撥開帳子曰。還見麼。曰。不見。師曰。不將眼來(報慈嶼聞雲。龍牙祇道得一半。法眼別雲。飽叢林)。師將順寂。有大星隕於方丈前。

若し是れ言説ならば、則ち交渉没し。道者、汝は行底の道人を知るか否、十二時の中、衣を着飯を喫するを除却すれば、人心に異なること絲髮無く、人心を誑すこと無し、此の箇始めて是れ道人。若し我得我が会すと道わば、則ち交渉没し、大いに容易ならず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「石烏亀の語を解するを待ちて、即ち汝に向って道わん。」言った。「石烏亀語れたり。」師は言った。「汝に向って何をか道わん。」問う。「古人は箇の何を得て、便ち休み去る。」師は言った。「賊の空室に入るが如し。」問う。「無辺身菩薩は、なぜ如来の頂相を見ざる。」師は言った。「汝道え、如来はまた頂相有るか。」問う。「大庾嶺頭提起し得ざる時如何。」師は言った。「六祖はなぜ将て去ることを得。」問う。「二鼠藤を侵す時如何。」師は言った。「須く隠身の処有って始めて得べし。」言った。「如何なるか是れ隠身の処。」師は言った。「また儂家を見るか。」問う。「維摩は世界を掌擎す、いまだ審らかならず維摩は何の処に向って立つ。」師は言った。「道者、汝道え維摩世界を掌擎す。」問う。「有るを知る底の人は、なぜ却って生死有る。」師は言った。「恰も道者の未悟の時に似たり。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「此の一問最も苦し(報慈言った、「此の一問最も好し。」)」問う。「是れ同か是れ別か。」師は言った。「祖師は後に来たる在り。」問う。「如何なるか是れ無事の沙門。」師は言った。「若し是れ沙門ならば、無事なることを得ず。」言った。「なぜ無事なることを得ざる。」師は言った。「一箇を覓むるも亦得難し。」問う。「蟾蜍に反照の功無く、玉兔に伴月の意無き時如何。」師は言った。「道者、尭舜の君もなお化在り。」問う。「如何にしてか此の身をして安く去らしむるを得。」師は言った。別身に谩せられざるを得て始めて得べし(法眼が別に言った、「誰か汝を悩乱する。」)報慈嶼が師の真を讃して言った、「日出づれば連山、月円かに戸に当たる、是れ無身に非ず、全露せんと欲せず。」師一日帳中に在りて坐す。僧が問うた、「無身に非ず、全露せんと欲せず、請う師全露せよ。」師は帳子を拨开して言った、「また見るか。」言った、「見ず。」師は言った。眼を将て来らず(報慈嶼聞きて言った、「龍牙は只道い得るは一半。」法眼が別に言った、「叢林に飽く。」)師は将に順寂せんとして、大星有りて方丈の前に陨れたり。

京兆華嚴寺休靜禪師

京兆華厳寺休静禅師

在洛浦作維那時。一日白槌普請曰。上間般柴。下間鋤地。第一座問。聖僧作甚麼。師曰。當堂不正坐。不赴兩頭機。師問洞山。學人無箇理路。未免情識運為。山曰。汝還見有理路也無。師曰。見無理路。山曰。甚處得情識來。師曰。學人實問。山曰。恁麼則直須向萬裡無寸草處去。師曰。萬裡無寸草處。還許某甲去也無。山曰。直須恁麼去。師般柴次。洞山把住曰。狹路相逢時如何。師曰。反側。反側。山曰。汝記吾言。向南住有一千人。向北住止三百而已。初住福州東山之華嚴。眾滿一千。未幾。屬後唐莊宗徵入輦下。大闡玄風。其徒果止三百。莊宗問。祖意教意。是同是別。師曰。探盡龍宮藏。眾義不能詮。問。大悟底人為甚麼卻迷。師曰。破鏡不重照。落花難上枝。問。大軍設天王齋求勝。賊軍亦設天王齋求勝。未審天王赴阿誰願。師曰。天垂雨露。不揀榮枯。莊宗請入內齋。見大師大德總看經。唯師與徒眾不看經。帝問。師為甚麼不看經。師曰。道泰不傳天子令。時清休唱太平歌。帝曰。師一人即得。徒眾為甚麼也不看經。師曰。師子窟中無異獸。象王行處絕狐蹤。帝曰。大師大德為甚麼總看經。師曰。水母元無眼。求食須賴鰕。帝曰。既是後生。為甚麼卻稱長老。師曰。三歲國家龍鳳子。百年殿下老朝臣。師後遊河朔。於平陽示滅。茶毗獲舍利。建四浮圖。一晉州。一房州。一終南山逍遙園。一華嚴寺。諡寶智禪師.無為之塔。

洛浦に在りて維那と作る時。一日白槌普請して言った。「上間は柴を搬び、下間は地を鋤く。」第一座が問うた。「聖僧は何を作す。」師は言った。「当堂正坐せず、両頭の機に赴かず。」師は洞山に問うた。「学人に箇の理路無く、未免情識の運為。」山は言った。「汝また理路有るを見るや否や。」師は言った。「理路無きを見る。」山は言った。「甚の処に情識を得て来た。」師は言った。学人実に問う。山は言った。「恁麼ならば直に須く万里寸草無き処に向って去るべし。」師は言った。「万里寸草無き処、また某甲を許して去るや否や。」山は言った。「直に須く恁麼に去るべし。」師が柴を搬ぶ次、洞山は把住して言った。「狭路相逢の時如何。」師は言った。「反側、反側。」山は言った。「汝吾が言を記え、南に向って住すれば一千人有り、北に向って住すれば止だ三百而已。」初め福州東山の華厳に住し、衆は一千に満ちた。未几、後唐莊宗に属して輦下に征入れられ、大いに玄に玄風を闡き、その徒果たして止だ三百なりき。莊宗が問うた。「祖意教意は、是れ同か是れ別か。」師は言った。「龍宮の蔵を探尽くし、衆義は詮すること能わず。」問う。「大悟する底の人はなぜ却って迷う。」師は言った。「破鏡は重ねて照らさず、落花は枝に上り難し。」問う。「大軍天王斎を設けて勝を求め、賊軍も亦天王斎を設けて勝を求む、いまだ審らかならず天王は阿誰の願に赴く。」師は言った。「天は雨露を垂る、栄枯を揀ばず。」莊宗請いて内に入りて斎す。大師大德総て経を看るを見るに、唯師と徒衆とは経を看ず。帝は問うた。「師はなぜ経を看ざる。」師は言った。「道泰れども天子の令を伝えず、時清ければ太平の歌を唱うを休む。」帝は言った。「師一人は即ち得、徒衆はなぜも亦経を看ざる。」師は言った。「師子の窟中に異獣無し、象王の行く処は狐蹤を絶つ。」帝は言った。「大師大德はなぜ総て経を看る。」師は言った。「水母は元より眼無し、食を求めて須く鰕に頼る。」帝は言った。「既に是れ後生、なぜ却って長老と称する。」師は言った。「三歳は国家の龍鳳子、百年は殿下の老朝臣。」師は後に河朔に游び、平陽に於て示滅した。茶毗して舎利を獲、四の浮図を建つ。一は晋州、一は房州、一は終南山逍遥園、一は華厳寺。諡して宝智禅師、無為の塔。

瑞州九峰普滿禪師

瑞州九峰普満禅師

僧問。如何是不遷義。師曰。東生明月。西落金烏。曰。非師不委。師曰。理當則行。僧禮拜。師便打。僧曰。仁義道中。禮拜何咎。師曰。來處不明。須行嚴令。問。眼不到色塵時如何。師指香臺曰。面前是甚麼。曰。請師子細。師曰。不妨遭人檢點。問。人人盡道請益。未審師還拯濟也無。師曰。汝道巨嶽還乏寸土麼。曰。四海參尋。當為何事。師曰。演若迷頭心自狂。曰。還有不狂者也無。師曰。有。曰。如何是不狂者。師曰。突曉途中眼不開。問僧。近離甚處。曰。閩中。師曰。遠涉不易。曰。不難。動步便到。師曰。有不動步者麼。曰。有。師曰。爭得到此間。僧無對。師以拄杖趂下。問。對境心不動時如何。師曰。汝無大人力。曰。如何是大人力。師曰。對境心不動。曰。適來為甚麼道無大人力。師曰。在舍祇言為客易。臨川方覺取魚難。問。如何是道。師曰。見通車馬。曰。如何是道中人。師便打。僧作禮。師便喝。問。十二時中如何合道。師曰。與心合道。曰。畢竟如何。師曰。土上加泥猶自可。離波求水實堪悲。問。如何是不壞身。師曰。正是。曰。學人不會。請師直指。師曰。適來曲多少。問。古人道。真因妄立。從妄顯真。是否。師曰。是。曰。如何是真。師曰。不雜食。曰。如何是妄。師曰。起倒攀緣。曰。去此二途。如何合得圓常。師曰。不敬功德天。誰嫌黑暗女。問。九峰一路。今古鹹知。向上宗乘。請師提唱。師竪起拂子。僧曰。大眾側聆。願垂方便。師曰。清波不覩魚龍現。迅浪風高下底鉤。曰。若不久參。那知今日。師曰。人生無定止。像沒鏡中圓。問。如何是祖師西來意。師曰。更問阿誰。曰。恁麼則學人全體是也。師曰。須彌頂上戴須彌。

僧が問うた。「如何なるか是れ不遷義。」師は言った。「東に明月生じ、西に金烏落つ。」言った。「師に非ざれば委ねず。」師は言った。「理は当なれば即ち行く。」僧は礼拝した。師は便ち打った。僧は言った。「仁義の道中、礼拝は何の咎か有らん。」師は言った。「来処明らかならず、須く厳令を行すべし。」問う。「眼色塵に到らざる時如何。」師は香台を指して言った。「面前は是れ何ぞ。」言った。「請う師子細なれ。」師は言った。「妨げず人の検点に遭うことを。」問う。「人々尽く請益と道う、いまだ審らかならず師はまた拯済するや否や。」師は言った。「汝道え、巨岳はまた寸土を乏しむか。」言った。「四海を参尋す、当に何の事と為すべき。」師は言った。「演若は頭を迷い心自ら狂す。」言った。「また狂せざる者有るや否や。」師は言った。「有り。」言った。「如何なるか是れ不狂の者。」師は言った。「暁に突きて途中眼開かず。」僧に問うた。「近く甚の処を離れた。」言った。「閩中。」師は言った。「遠渉容易ならず。」言った。「難からず、歩を動かせば便ち到る。」師は言った。「歩を動かさざる者有るか。」言った。「有り。」師は言った。「争でか此間に到ることを得。」僧は対えず。師は拄杖を以て趂い下した。問う。「境に対して心動かざる時如何。」師は言った。「汝大人の力無し。」言った。「如何なるか是れ大人の力。」師は言った。「境に対して心動かず。」言った。「適来なぜ大人の力無しと道う。」師は言った。「舎に在れば只客易しと言い、川に臨みて方に魚を取ること難しを覚ゆ。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「車馬に通ずるを見よ。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は便ち打った。僧は礼を作し、師は便ち喝した。問う。「十二時の中如何に道に合せん。」師は言った。「心と道に合す。」言った。「畢竟如何。」師は言った。「土上に泥を加うるはなお自ら可なり、波を離れて水を求むるは実に悲しむに堪えり。」問う。「如何なるか是れ不壊身。」師は言った。「正に是れ。」言った。「学人会せず、請う師直指せよ。」師は言った。「適来曲多少。」問う。「古人道う、真は妄に因りて立ち、妄に従りて真を顕す、是か否や。」師は言った。「是なり。」言った。「如何なるか是れ真。」師は言った。「食を雑えず。」言った。「如何なるか是れ妄。」師は言った。「起倒攀縁。」言った。「此の二途を去りて、如何に円常に合するを得。」師は言った。「功徳天を敬せずば、誰か黒暗女を嫌わん。」問う。「九峰の一路、今古咸く知る、向上の宗乗、請う師提唱せよ。」師は拂子を竪起した。僧は言った。大衆側聆せり、願わくは方便を垂れよ。師は言った。「清波に覩ず魚龍現れ、迅浪風高くして下底の鉤。」言った。「若し久しく参ぜずんば、那でか今日を知らん。」師は言った。「人生定止無し、像は鏡中に没して円かなり。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「更に阿誰に問う。」言った。「恁麼ならば学人全体是れなり。」師は言った。「須弥頂上に須弥を戴く。」

益州北院通禪師

益州北院通禅師

初參夾山。問曰。目前無法。意在目前。不是目前法。非耳目之所到。豈不是和尚語。山曰。是。師乃掀倒禪床。叉手而立。山起來打一拄杖。師便下去(法眼雲。是他掀倒禪床。何不便去。須待他打一棒了去。意在甚麼處)。次參洞山。山上堂曰。坐斷主人公。不落第二見。師出眾曰。須知有一人不合伴。山曰。猶是第二見。師便掀倒禪床。山曰。老兄作麼生。師曰。待某甲舌頭爛。即向和尚道。後辭洞山擬入嶺。山曰。善為。飛猿嶺峻好看。師良久。山召。通闍黎。師應諾。山曰。何不入嶺去。師因有省。更不入嶺。住後。上堂。諸上座有甚麼事。出來論量取。若上上根機。不假如斯。若是中下之流。直須剗削門頭戶底。教索索地。莫教入泥水。第一速須省事。直須無心去。學得千般萬般。祇成知解。與衲僧門下有甚麼交涉。僧問。直須無心學時如何。師曰。不管繫。問。如何是佛。師曰。峭壁本無苔。灑墨圖斑駮。問。二龍爭珠。誰是得者。師曰。得者失。曰。不得者如何。師曰。還我珠來。問。如何是清淨法身。師曰。無點汙。問。轉不得時如何。師曰。功不到。問。如何是大富貴底人。師曰。如輪王寶藏。曰。如何是赤窮底人。師曰。如酒店腰帶。問。水灑不著時如何。師曰。乾剝剝地。問。一槌便成時如何。師曰。不是偶然。問。如何是祖師西來意。師曰。壁上畵枯松。遊蜂競採蘂。滅後諡證真禪師。

初めて夾山を参じた。問うて言った。「目前に法無く、意は目前に在り、目前の法に非ず、耳目の到る所に非ず、豈に是れ和尚の語ではないか。」山は言った。「是なり。」師は乃ち禅床を掀倒し、叉手して立った。山が起きて一の拄杖を打った。師は便ち下りて去った(法眼云う。是れ禅床を掀倒す、何ぞ便ち去らざる、須く他の一棒を打つを待ちて去る、意は何の処にか在る。)次いで洞山を参じた。山が上堂して言った。「主人公を坐断し、第二見に落ちず。」師が衆を出て言った。「須知すべし、一人に伴なわれざる者あり。」山は言った。「猶お是れ第二見。」師は便ち禅床を掀倒した。山は言った。「老兄は作麼生。」師は言った。「某甲が舌の爛れんことを待ちて、即ち和尚に道わん。」後に洞山を辞して嶺に入らんと擬した。山は言った。「善く為せ、飛猿嶺は峻にして好く見よ。」師が良久した。山が召した。「通闍黎。」師が応諾した。山は言った。「何ぞ嶺に入りて去らざる。」師は因りて省あり。更に嶺に入らず。住して後、上堂して言った。「諸上座に何の事か有る、出て来て論量して取れ、若し上上の根機ならば、如斯に仮らず、若し中下の流ならば、直に須く門頭戸底を刬削し、索索地たらしめ、泥水に入らしめず、第一に速やかに須く事を省き、直に須く心無く去るべし。千般万般を学び得ても、只だ知解を成すのみ。衲僧門下に何の交渉かあらん。」僧が問うた。「直に須く心無く学ばん時如何。」師は言った。「関係せず。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「峭壁に本より苔無し、墨を洒りて斑駮を図す。」問う。「二龍が珠を争う、誰か是れ得る者。」師は言った。「得る者は失す。」言った。「得ざる者は如何。」師は言った。「我に珠を還せ。」問う。「如何なるか是れ清浄法身。」師は言った。「点污無し。」問う。「転ぜざる時如何。」師は言った。「功至らず。」問う。「如何なるか是れ大富貴の人。」師は言った。「輪王の宝蔵の如し。」言った。「如何なるか是れ赤窮の人。」師は言った。「酒店の腰帯の如し。」問う。「水の洒ぎ着かざる時如何。」師は言った。「干剥剥地。」問う。「一槌に便ち成ぜん時如何。」師は言った。「是れ偶然に非ず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「壁上に枯松を画き、游蜂が蘂を競り采る。」滅後、諡して証真禅師

洞山道全禪師

洞山道全禅師

問先洞山。如何是出離之要。山曰。闍黎足下煙生。師當下契悟。更不他遊。雲居進語曰。終不敢孤負和尚足下煙生。山曰。步步玄者。即是功到。暨洞山圓寂。眾請踵跡住持。僧問。佛入王宮。豈不是大聖再來。師曰。護明不下生。曰。爭奈六年苦行何。師曰。幻人呈幻事。曰。非幻者如何。師曰。王宮覓不得。問。清淨行者不入涅槃。破戒比丘不入地獄時如何。師曰。度盡無遺影。還他越涅槃。問。極目千里。是甚麼風範。師曰。是闍黎風範。曰。未審和尚風範如何。師曰。不布婆娑眼。

先の洞山に問うた。「如何なるか是れ出離の要。」山は言った。「闍黎の足下に烟生ず。」師は当下に契悟し、更に他に游ばず。雲居が語を進めて言った。「終に敢えて和尚の足下に烟生ずるを孤負せず。」山は言った。「歩歩玄なる者は、即ち是れ功到。」洞山の円寂に暨り、衆が踵跡して住持を請うた。僧が問うた。「仏が王宮に入る、豈に是れ大聖の再来ではないか。」師は言った。「護明は下生せず。」言った。「争奈せん六年苦行を。」師は言った。「幻人が幻事を呈す。」言った。「幻に非ざる者は如何。」師は言った。「王宮に覓むるを得ず。」問う。「清浄の行者は涅槃に入らず、破戒の比丘は地獄に入らざる時如何。」師は言った。「度尽くして影を遺さず、彼に還して涅槃を越えん。」問う。「目を極めて千里、是れ何の風範ぞ。」師は言った。「是れ闍黎の風範。」言った。「未だ審らかならず、和尚の風範は如何。」師は言った。「婆娑の眼を布かず。」

京兆府蜆子和尚

京兆府蜆子和尚

不知何許人也。事蹟頗異。居無定所。自印心於洞山。混俗閩川。不畜道具。不循律儀。冬夏唯披一衲。逐日沿江岸採掇鰕蜆。以充其腹。暮即宿東山白馬廟紙錢中。居民目為蜆子和尚。華嚴靜禪師聞之。欲決真假。先潛入紙錢中。深夜師歸。嚴把住曰。如何是祖師西來意。師遽答曰。神前酒臺盤。嚴放手曰。不虗與我同根生。嚴後赴莊宗詔入長安。師亦先至。每日歌唱自拍。或乃佯狂泥雪。去來俱無蹤跡。厥後不知所終。

何の許の人か知らず。事蹟は頗る異なり。居に定所無し。洞山に於て心を印してより、閩川に俗を混し、道具を畜わず、律儀を循わず。冬夏唯だ一衲を披き、日を逐うて江岸に沿い鰕蜆を采掇し、以て其の腹を充たす。暮は即ち東山白馬廟の紙銭の中に宿す。居民は目して蜆子和尚と為す。華厳静禅師之を聞き、真仮を決せんと欲し、先に潜かに紙銭の中に入れたり。深夜、師、師帰る。厳は把住して言った。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は遽かに答えて言った。「神前の酒台盤。」厳は手を放して言った。「我と同根に生まれたるは虚ならず。」厳は後に莊宗の詔に赴きて長安に入る。師も亦先に至った。每日歌唱し自ら拍す。或いは乃ち狂を佯りて泥雪す。去来共に踪跡無し。厥後、終わる所を知らず。

台州幽棲道幽禪師

台州幽栖道幽禅師

鏡清問。如何是少父。師曰。無標的。曰。無標的以為少父邪。師曰。有甚麼過。曰。祇如少父作麼生。師曰。道者是甚麼心行。問。如何是佛。師曰。汝不信是眾生。曰。學人大信。師曰。若作勝解。即受群邪。問。如何是道。師曰。但有路可上。更高人也行。曰。如何是道中人。師曰。解驅雲裡信。師一日齋時。入堂白槌曰。白大眾。眾舉頭。師曰。且吃飯。師將示滅。僧問。和尚百年後向甚麼處去。師曰。迢然。迢然。言訖坐亡。

鏡清が問うた。「如何なるか是れ少父。」師は言った。「標的無し。」言った。「標的無きを以て少父と為すか。」師は言った。「何の過か有らん。」言った。「只如く少父は作麼生。」師は言った。「道者は何の心行ぞ。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「汝は是れ衆生と信ぜず。」言った。「学人大いに信す。」師は言った。「若し勝解と作さば、即ち群邪を受く。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「但だ上る可き路有れば、更高き人も行く。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。「雲裏の信を駆るを解す。」師が一日齋の時、堂に入りて白槌して言った。「大衆に白す。」衆が頭を挙げた。師は言った。「且く飯を喫せ。」師は将に示滅せんとす。僧が問うた。「和尚百年の後、何の処に向かって去る。」師は言った。「迢然、迢然。」言い訖りて坐亡した。

越州乾峰和尚

越州乾峰和尚

上堂。法身有三種病。二種光。須是一一透得。始解歸家穩坐。須知更有向上一竅在。雲門出。問。庵內人為甚麼不知庵外事。師呵呵大笑。門曰。猶是學人疑處。師曰。子是甚麼心行。門曰。也要和尚相委。師曰。直須與麼始解穩坐。門應喏喏。上堂。舉一不得舉二。放過一著。落在第二。雲門出眾曰。昨日有人從天台來。卻往徑山去。師曰。典座來日不得普請。便下座。問僧。甚處來。曰。天台。師曰。見說石橋作兩段。是否。曰。和尚甚處得這消息來。師曰。將謂華頂峰前客。元是平田莊裡人。問。如何得出三界去。師曰。喚院主來。趂出這僧著。師問。眾僧輪回六趣。具甚麼眼。眾無對。僧問。如何是超佛越祖之談。師曰。老僧問聻。曰。和尚問則且置。師曰。老僧問尚不奈何。說甚麼超佛越祖之談。問。十方薄伽梵。一路涅槃門。未審路頭在甚麼處。師以拄杖畫雲。在這裡(僧後請益雲門。門拈起扇子云。扇子𨁝跳上三十三天。築著帝釋鼻孔。東海鯉魚打一棒。雨似盆傾。會麼)。

上堂して言った。「法身に三種の病有り、二種の光有り、須く是れ一一透得して、始めて家に帰りて穏坐することを解す。須知すべし、更に向上の一竅有るを。」雲門が出て問うた。「庵内の人はなぜ庵外の事を知らざる。」師は呵呵と大笑した。門は言った。「猶お是れ学人の疑う処。」師は言った。「子は何の心行ぞ。」門は言った。「また要す和尚の委ねることを。」師は言った。「直に須く恁麼にして始めて穏坐することを解す。」門は喏喏と応えた。上堂して言った。「一を挙げて二を挙げるを得ず、一著を放過すれば、第二に落ちん。」雲門が衆を出て言った。「昨日、人有りて天台山より来り、却って径山に往く。」師は言った。「典座は来日普請するを得ず。」便ち座を下りた。僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「天台。」師は言った。「石橋が両段を作すと説くを見るや、是か否か。」言った。「和尚は甚の処にこの消息を得て来た。」師は言った。「将に謂う華頂峰前の客、元是れ平田荘裏の人。」問う。「如何にして三界を出でん。」師は言った。「院を呼びて来たれ、この僧を趂出して着け。」師が問うた。「衆僧は六趣に輪廻す、何の眼を具する。」衆は対えず。僧が問うた。「如何なるか是れ超仏越祖の談。」師は言った。「老僧が問う。」言った。「和尚の問うは且く置く。」師は言った。「老僧が問うて尚ほ奈何ともせず、何の超仏越祖の談をか説かん。」問う。「一路涅槃の門、未だ審らかならず路頭は何の処にか在る。」師は拄杖を以て画いて云う。「這裏に在り。」(僧は後に雲門に請益す。門は扇子を拈起して云う。扇子が𨁝跳して三十三天に上り、帝釈の鼻孔に築き着く。東海の鯉魚が一棒を打つ。雨は盆を傾くるが如し。会するか。)

吉州禾山和尚

吉州禾山和尚

僧問。學人慾伸一問。師還答否。師曰。禾山答汝了也。問。如何是西來意。師曰。禾山大頂。問。如何是和尚家風。師曰。滿目青山起白雲。曰。或遇客來。如何祇待。師曰。滿盤無味醍醐果。問。無言童子居何國土。師曰。當軒木馬嘶風切。

僧が問うた。学人は一問を伸ばんと欲す、師は還た答えるや否や。師は言った。「禾山は汝に答え了んぬ。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「禾山の大頂。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「満目は青山に白雲を起こす。」言った。「或いは客の来るに遇わば、如何に只だ待つ。」師は言った。「満盤に味無き醍醐の果。」問う。「無言の童子は何の国土に居る。」師は言った。「軒に当たりて木馬が風に嘶くこと切なり。」

明州天童鹹啟禪師

明州天童咸啓禅師

問伏龍。甚處來。曰。伏龍來。師曰。還伏得龍麼。曰。不曾伏這畜生。師曰。且坐吃茶。簡大德問。學人卓卓上來。請師的的。師曰。我這裡一屙便了。有甚麼卓卓的的。曰。和尚恁麼答話。更買草鞋行腳好。師曰。近前來。簡近前。師曰。祇如老僧恁麼答。過在甚麼處。簡無對。師便打。問。如何是本來無物。師曰。石潤元含玉。鑛異自生金。問。如何是真常流注。師曰。涓滴無移。

伏龍に問うた。「甚の処より来た。」言った。「伏龍より来た。」師は言った。「還た龍を伏するを得たか。」言った。「曾てこの畜生を伏せず。」師は言った。「且く坐して茶を喫せ。」簡大徳が問うた。「学人は卓卓として上り来た、請う師の的的を。」師は言った。「我ここは一屙に便ち了ぢ、何の卓卓的的か有らん。」言った。「和尚が恁麼に答話すれば、更に草鞋を買いて行脚すること好し。」師は言った。「近く前来れ。」簡が近づき前した。師は言った。「只如く老僧が恁麼に答うるに、過は何の処にか在る。」簡は対えず。師は便ち打った。問う。「如何なるか是れ本来無物。」師は言った。「石は潤いて元より玉を含み、鑛は異なりて自ら金を生ず。」問う。「如何なるか是れ真常流注。」師は言った。「涓滴に移る無し。」

潭州寶蓋山和尚

潭州宝蓋山和尚

僧問。一間無漏舍。合是何人居。師曰。無名不掛體。曰。還有位也無。師曰。不處。問。如何是寶蓋。師曰。不從人天得。曰。如何是寶蓋中人。師曰。不與時人知。曰。佛來時如何。師曰。覓他路不得。問。世界壞時。此物何處去。師曰。千聖尋不得。曰。時人如何歸向。師曰。直須似他去。曰。還有的當也無。師曰。不立標則。問。不居正位底人。如何行履。師曰。紅焰叢中駿馬嘶。

僧が問うた。「一間無漏の舎、合には是れ何の人の居るぞ。」師は言った。「名無くして体に挂からず。」言った。「還た位有るや無しや。」師は言った。「処せず。」問う。「如何なるか是れ宝蓋。」師は言った。「人天より得ず。」言った。「如何なるか是れ宝蓋中の人。」師は言った。「時人と知らず。」言った。「仏の来る時如何。」師は言った。「他の路を覓むるを得ず。」問う。「世界壊るる時、此の物は何の処にか去る。」師は言った。「千聖も尋ね得ず。」言った。時人は如何に帰向せん。師は言った。「直に須く他に似て去るべし。」言った。「還た的当有るや無しや。」師は言った。「標則を立てず。」問う。「正位に居らざる人、如何に行履せん。」師は言った。「紅焔叢中に駿馬嘶く。」

澧州欽山文邃禪師

澧州欽山文邃禅師

福州人也。少依杭州大慈山寰中禪師受業。時巖頭.雪峰在眾。覩師吐論。知是法器。相率遊方。二大士各承德山印記。師雖屢激揚。而終然凝滯。一日。問德山曰。天皇也恁麼道。龍潭也恁麼道。未審和尚作麼生道。山曰。汝試舉天皇龍潭道底看。師擬進語。山便打。師被打歸延壽堂。曰。是則是。打我太煞。巖頭曰。汝恁麼道。他後不得道見德山來(法眼別雲。是則是錯打我)。後於洞山言下發解。乃為之嗣。年二十七。止於欽山。對大眾前自省過。舉參洞山時語。山問。甚麼處來。師曰。大慈來。曰。還見大慈麼。師曰。見。曰。色前見。色後見。師曰。非色前後見。洞山默置。師乃曰。離師太早。不盡師意(法眼雲。不盡師意。不易承嗣得他)。僧問。如何是祖師西來意。師曰。梁公曲尺。誌公剪刀。問。一切諸佛及諸佛法。皆從此經出。如何是此經。師曰。常轉。曰。未審經中說甚麼。師曰。有疑請問。問。如何是和尚家風。師曰。錦繡銀香囊。風吹滿路香。巖頭聞。令僧去雲。傳語十八子。好好事潘郎。有僧寫師真呈。師曰。還似我也無。僧無對。師自代曰。眾僧看取。德山侍者來參。才禮拜。師把住曰。還甘欽山與麼也無。者曰。某甲卻悔久住德山。今日無言可對。師乃放手曰。一任祇對。者撥開𮌎曰。且聽某通氣一上。師曰。德山門下即得。這裡一點用不著。者曰。久聞欽山不通人情。師曰。累他德山眼目。參堂去。師與巖頭.雪峰坐次。洞山行茶來。師乃閉眼。洞曰。甚麼處去來。曰。入定來。洞曰。定本無門。從何而入。師入浴院。見僧踏水輪。僧下問訊。師曰。幸自轆轆地轉。何須恁麼。曰。不恁麼又爭得。師曰。若不恁麼。欽山眼堪作甚麼。曰。作麼生是師眼。師以手作撥眉勢。曰。和尚又何得恁麼。師曰。是我恁麼。你便不恁麼。僧無對。師曰。索戰無功。一場氣悶。良久。

福州の人である。少き時杭州大慈山寰中禅師に依りて受業す。時に巌頭・雪峰が衆に在り、師の論を吐くを覩て、是れ法器と知り、相率いて游方した。二大士は各々徳山の印記を承けた。師は屢ば激揚するも、終に凝滞せり。一日、徳山に問うて言った。「天皇も恁麼に道い、龍潭も恁麼に道う、未だ審らかならず和尚は作麼生に道う。」山は言った。「汝試しに天皇龍潭の道う所を挙げて見よ。」師が語を進めんと擬すれば、山は便ち打った。師は打たれて延壽堂に帰りて言った。「是は則ち是なれど、我を打つこと太殺せり。」巌頭は言った。「汝恁麼に道えば、他後に徳山に見ると道うを得ざらん。」(法眼が別に言った。後に洞山の言下に発解して、乃ち之が嗣と為る。)年二十七、欽山に止まり、大衆の前に対して自ら過を省みて、洞山に参ずる時の語を挙げた。山が問うた。「何の処より来た。」師は言った。「大慈より来た。」言った。「還た大慈を見るや。」師は言った。「見たり。」言った。「色前に見るか、色後に見るか。」師は言った。「色の前後に非ざるに見る。」洞山は黙して置いた。師は乃ち言った。「師を離るること太早く、師意を尽くさず。」(法眼云う、師意を尽くさざれば、他を承嗣すること易からず。)僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「梁公の曲尺、志公の剪刀。」問う。「一切の諸仏及び諸仏法は、皆此の経より出ず、如何なるか是れ此の経。」師は言った。「常に転ず。」言った。「未だ審らかならず経中に何を説く。」師は言った。「疑い有らば請いて問え。」問う。「如何なるか是れ和尚の家是れ和尚の家風。」師は言った。「錦繍の銀香嚢、風吹けば路に満ちて香なり。」巌頭が聞きて、僧をして往かしめて云う。「十八子に伝語せん、好く好く潘郎に事えよ。」僧有りて師の真を写して呈した。師は言った。「還た我似たるや無しや。」僧は対えず。師は自ら代えて言った。「衆僧看取せよ。」徳山の侍者が来りて参ず。纔かに礼拝すれば、師は把住して言った。「還た欽山の恁麼を甘んずるや無しや。」者は言った。「某甲は却って久しく徳山に住するを悔ゆ、今日は言無く対えんとす。」師は乃ち手を放して言った。「一任に対えよ。」者は𮌎を撥き開きて言った。「且く某の通気一上を聴け。」師は言った。「徳山門下ならば即ち得、這裏は一点も用いず。」者は言った。「久しく聞く欽山は人情を通ぜずと。」師は言った。「他の徳山の眼目を累せり、参堂に去れ。」師が巌頭・雪峰と坐する次、洞山が茶を行じて来た。師は乃ち眼を閉ぢた。洞は言った。「何の処より来た。」言った。「入定より来た。」洞は言った。「定は本より門無し、何よりか入る。」師が浴院に入りて、僧の水輪を踏むを見た。僧が下りて問訊す。師は言った。「幸いに自ら轆轆地に転ず、何の須か恁麼せん。」言った。「恁麼ならずんば又争でか得ん。」師は言った。「若し恁麼ならずんば、欽山の眼は堪えて何を作す。」言った。「作麼生なるか是れ師の眼。」師は手を以て眉を撥く勢を作した。言った。「和尚は又何ぞ恁麼なるを得。」師は言った。「是れ我が恁麼なれば、汝は便ち恁麼ならず。」僧は対えず。師は言った。「戦いを索めて功無し、一場の気悶なり。」良久して、

乃問曰。會麼。曰。不會。師曰。欽山為汝擔取一半。師與巖頭.雪峰過江西。到一茶店吃茶次。師曰。不會轉身通氣者。不得茶吃。頭曰。若恁麼我定不得茶吃。峰曰。某甲亦然。師曰。這兩箇老漢話頭也不識。頭曰。甚處去也。師曰。布袋裡老鴉雖活如死。頭退後曰。看。看。師曰。奯公且置。存公作麼生。峰以手畵一圓相。師曰。不得不問。頭呵呵曰。太遠生。師曰。有口不得茶吃者多。巨良禪客參。禮拜了便問。一鏃破三關時如何。師曰。放出關中主看。良曰。恁麼則知過必改。師曰。更待何時。良曰。好隻箭。放不著所在。便出去。師曰。且來。闍黎。良回首。師下禪床擒住曰。一鏃破三關即且置。試為欽山發箭看。良擬議。師打七棒曰。且聽箇亂綂漢疑三十年。有僧舉似同安察。安曰。良公雖解發箭。要且未中的。僧便問。未審如何得中的去。安曰。關中主是甚麼人。僧回舉似師。師曰。良公若解恁麼。也免得欽山口。然雖如此。同安不是好心。亦須看始得。僧參。師竪起拳曰。開即成掌。五指參差。如今為拳。必無高下。汝道欽山還通商量也無。僧近前。卻竪起拳。師曰。你恁麼祇是箇無開合漢。曰。未審和尚如何接人。師曰。我若接人。共汝一般去也。曰。特來參師。也須吐露箇消息。師曰。汝若特來。我須吐露。曰。便請。師便打。僧無語。師曰。守株待兔。枉用心神。上堂。橫按拄杖。顧視大眾曰。有麼有麼。如無。欽山唱菩薩蠻去也。囉囉哩哩。便下座。師與道士論義。士立義曰。麤言及細語。皆歸第一義。師曰。道士是佛家奴。士曰。太麤生。師曰。第一義何在。士無語。

乃ち問うて言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「欽山が汝の為に一半を担取せん。」師が巌頭・雪峰と江西を過ぐ。一の茶店に到りて茶を喫する次、師は言った。「轉身して通気することを会せざる者は、茶を喫するを得ず。」頭は言った。「若し恁麼ならば我は定めて茶を喫するを得ず。」峰は言った。「某甲も亦然り。」師は言った。「這箇の両箇の老漢は話頭をも識らず。」頭は言った。「甚の処に去る。」師は言った。「布袋裏の老鴉は活と雖も死の如し。」頭は退後して言った。「看、看。」師は言った。「奯公は且く置く、存公は作麼生。」峰は手を以て一の円相を画いた。師は言った。「問わざるを得ず。」頭は呵呵と言った。「太だ遠きかな。」師は言った。「口有りて茶を喫するを得ざる者多し。」巨良禅客が参ず。礼拝し了って便ち問うた。「一鏃に三関を破る時如何。」師は言った。「関中の主を放出して看よ。」良は言った。「恁麼ならば過を知りて必ず改む。」師は言った。「更に何の時をか待たん。」良は言った。「好し、只だ箭の放ち着く処無きなり。」便ち出でて去った。師は言った。「且く来れ、闍黎。」良が首を回らせた。師は禅床を下りて擒え住して言った。「一鏃に三関を破るは即ち且く置く、試しに欽山の為に箭を発して見よ。」良が擬議した。師は七棒を打ちて言った。「且く箇の乱統の漢の三十年を疑うを聴け。」僧有りて同安察に挙げ似たり。安は言った。「良公は箭を発するを解すと雖も、要且つ未だ的に中らず。」僧は便ち問うた。「未だ審らかならず如何にして的に中るを得て去らん。」安は言った。「関中の主は是れ何の人ぞ。」僧が回りて師に挙げ似たり。師は言った。「良公が若し恁麼を解せば、亦た欽山の口を免れん、然ると雖も如此なり、同安は好心に非ず、亦た須く看るべし。」僧が参ず。師は拳を竪起して言った。「開けば即ち掌と成り、五指は参差す、如今拳と為るは、必ず高下無し、汝道え欽山は還た商量を通ずるや無しや。」僧が近づき前して、却って拳を竪起した。師は言った。「汝恁麼なるは只だ箇の開合無き漢なり。」言った。「未だ審らかならず和尚は如何に人を接す。」師は言った。「我若し人を接せば、汝と一般に去らん。」言った。「特に来りて師を参ず、亦た須く箇の消息を吐露すべし。」師は言った。「汝若し特に来らば、我須く吐露せん。」言った。「便ち請う。」師は便ち打った。僧は語無し。師は言った。「株を守りて兎を待つ、空しく心神を用う。」上堂して言った。「横に拄杖を按じ。」大衆を顧視して言った。「有るか有るか、如し無くんば、欽山は菩薩蛮を唱えて去らん、囉囉哩哩。」便ち座を下りた。師が道士と義を論ず。士は義を立てて言った。「麤言及び細語、皆第一義に帰す。」師は言った。「道士は是れ仏家の奴。」士は言った。「太だ麁きかな。」師は言った。「第一義は何にか在る。」士は語無し。

瑞州九峰通玄禪師

瑞州九峰通玄禅師

郢州程氏子。初參德山。後於洞山言下有省。住後。僧問。自心他心。得相見否。師曰。自己尚不見。他人何可觀。問。罪福之性。如何了達。得無同異。師曰。絺綌不禦寒。

郢州の程氏の子。初めて徳山を参じ、後に洞山の言下に省有り。住して後、僧が問うた。「自心他心、相見るを得るや否や。」師は言った。「自己は尚ほ見ず、他人は何ぞ観る可けん。」問う。「罪福の性、如何に了達して同異無きを得ん。」師は言った。「𫄨綌は寒を御がず。」

青原下六世

青原下六世

曹山寂禪師法嗣

曹山寂禅師法嗣

瑞州洞山道延禪師

瑞州洞山道延禅師

因曹山垂語云。有一人向萬丈崖頭騰身直下。此是甚麼人。眾無對。師出曰。不存。山曰。不存箇甚麼。師曰。始得撲不碎。山深肯之。後有僧問。請和尚密付真心。師曰。欺這裡無人作麼。

曹山が語を垂れて云うに因る。一人有りて万丈の崖頭に身を騰して直下す、此は是れ何の人ぞ。衆は対えず。師が出て言った。「存ぜず。」山は言った。「箇の何を存を存ぜざる。」師は言った。「始めて撲して砕けざるを得。」山は深く之を肯とした。後に僧が問うた。「請う和尚に真心を密付せよ。」師は言った。「這裏に人無きを欺いて作麼せん。」

撫州金峰從志玄明禪師

撫州金峰従志玄明禅師

僧問。如何是金峰正主。師曰。此去鎮縣不遙。闍黎莫造次。曰。何不道取。師曰。口如磉盤。問。千峰萬峰。那箇是金峰。師乃斫額。問。千山無雲。萬裡絕霞時如何。師曰。飛猿嶺那邊何不吐卻。問。如何是西來意。師曰。壁邊有鼠耳。問。如何是和尚家風。師曰。金峰門前無五里牌。新到參。師曰。不用通時暄。第一句道將來。曰。孟春猶寒。伏惟和尚。師曰。猶有這箇在。曰。不可要人點檢去也。師曰。誰。僧指自身。師曰。不妨遭人點檢。拈起枕子。示僧曰。一切人喚作枕子。金峰道不是。僧曰。未審和尚喚作甚麼。師拈起枕子。僧曰。恁麼則依而行之。師曰。你喚作甚麼。僧曰。枕子。師曰。落在金峰窠裡。問。金盃滿酌時如何。師曰。金峰不勝酩酊。僧掃地次。師問。作甚麼。僧竪起苕帚。師曰。猶有這箇在。曰。和尚適來見箇甚麼。師竪起拄杖。僧參。才入方丈。師便打。僧曰。是。是。師又打。僧曰。不是。不是。師作禮拜勢。僧作拓勢。師曰。老僧眼暗。闍黎耳聾。曰。將飯餧魚。還須克己。師曰。施食得長壽報。曰。和尚年多少。師曰。不落數量。曰。長壽者誰。師曰。金峰。曰。果然眼昏。師曰。是。是。問僧。甚處來。僧近前。良久師曰。闍黎參見甚麼人。曰。參甚麼椀。師曰。金峰有過。曰。是。是。師良久。師問僧。甚處來。曰。東國來。師曰。作麼生過得金峰關。曰。公驗分明。師曰。試呈似金峰看。僧展兩手。師曰。金峰關從來無人過得。曰。和尚還過得麼。師曰。波斯吃胡椒。問僧。姓甚麼。曰。姓何。師曰。至竟不脫俗。曰。因師致得。師曰。若恁麼。過在金峰。曰。不敢。師曰。灼然金峰有過。僧問訊次。師把住曰。輒不得向人道。我有一則因緣舉似你。僧作聽勢。師與一掌。僧曰。為甚麼打某甲。師曰。我要這話行。看經次。駢道者來。師擎起經作攬衣勢。

僧が問うた。「如何なるか是れ金峰の正主。」師は言った。「此より鎮県に去ること遥かならず、闍黎は造次すること莫れ。」言った。「何ぞ道い取らざる。」師は言った。「口は磉盤の如し。」問う。「千峰万峰、那箇か是れ金峰。」師は乃ち額を斫った。問う。「千山に雲無く、万里に霞絶ゆる時如何。」師は言った。「飛猿嶺の那辺に何ぞ吐却せざる。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「壁辺に鼠の耳有り。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「金峰の門前に五里牌無し。」新たに到りて参ず。師は言った。「用いず通時の暄、第一の句を道いて将来れ。」言った。「孟春は猶お寒し、伏して惟るに和尚。」師は言った。「猶お這箇の有る在り。」言った。「人の点検に遭うを要せざる可からず。」師は言った。「誰ぞ。」僧が自身を指した。師は言った。「妨げず人の点検に遭うことを。」枕子を拈起して僧に示して言った。「一切の人は枕子と喚ぶ、金峰は是ならざると道う。」僧は言った。「未だ審らかならず和尚は何と喚ぶ。」師は枕子を拈起した。僧は言った。「恁麼ならば依りて之を行わん。」師は言った。「汝は何と喚ぶ。」僧は言った。「枕子。」師は言った。「金峰の窠裏に落つ。」問う。「金杯に満酌する時如何。」師は言った。「金峰は酩酊に勝えず。」僧が地を掃う次。師が問うた。「何を作す。」僧が苕帚を竪起した。師は言った。「猶お這箇の有る在り。」言った。「和尚は適来箇の何を見た。」師は拄杖を竪起した。僧が参ず。纔かに方丈に入れば、師は便ち打った。僧は言った。「是、是。」師は又打った。僧は言った。「不是、不是。」師は礼拝の勢を作した。僧は拓の勢を作した。師は言った。「老僧は眼暗く、闍黎は耳聾し。」言った。「飯を将て魚に餧うは、還た須く己に克つべし。」師は言った。「食を施せば長壽の報を得。」言った。「和尚は年多少。」師は言った。「数量に落ちず。」言った。「長壽の者は誰ぞ。」師は言った。「金峰。」言った。「果然眼昏きかな。」師は言った。「是、是。」僧に問うた。「甚の処より来た。」僧が近づき前した。良久して師は言った。「闍黎は何の人を参見した。」言った。「何の椀を参ず。」師は言った。「金峰に過有り。」言った。「是、是。」師が良久した。師が僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「東国より来た。」師は言った。「作麼生にして金峰関を過ぐるを得。」言った。「公験分明なり。」師は言った。「試しに金峰に呈似して看よ。」僧が両の手を展べた。師は言った。「金峰関は従来人の過ぐるを得る無し。」言った。「和尚は還た過ぐるを得るや。」師は言った。「波斯は胡椒を喫す。」僧に問うた。「姓は何ぞ。」言った。「姓は何。」師は言った。「至竟俗を脱せず。」言った。「師に因りて得。」師は言った。「若し恁麼ならば、過は金峰に在り。」言った。「敢えず。」師は言った。「灼然金峰に過有り。」僧が問うた。輙く人に向かって道うを得ず、我に一則の因縁有りて汝に挙げ似ん。僧が聴の勢を作した。師が一掌を与えた。僧は言った。「なぜ某甲を打つ。」師は言った。「我要すこの話の行われんことを。」経を看る次、駢道者が来た。師は経を擎起して衣を攬る勢を作した。

以目視之。駢提起坐具。以目視師。師曰。一切人道你會禪。駢曰。和尚作麼生。師笑曰。草賊大敗。問。是身無知。如土木瓦石。此意如何。師下禪床。扭僧耳朵。僧負痛作聲。師曰。今日始捉著箇無知漢。僧作禮出去。師召。闍黎。僧回首。師曰。若到堂中。不可舉著。曰。何故。師曰。大有人笑金峰老婆心。上堂。老僧二十年前有老婆心。二十年後無老婆心。僧問。如何是二十年前有老婆心。師曰。問凡答凡。問聖答聖。曰。如何是二十年後無老婆心。師曰。問凡不答凡。問聖不答聖。師見僧來。乃舉手曰。此是大人分上事。你試通箇消息看。曰。某甲不欲瞞和尚。師曰。知孝養人。也還稀有。曰。莫是大人分上事麼。師曰。老僧瞞闍黎。曰。到這裡不易辨白。師曰。灼然灼然。僧禮拜。師曰。發足何處。曰。祇這裡。師曰。不唯自瞞。兼瞞老僧。上堂。我若舉來。又恐遭人唇吻。不舉。又遭人笑怪。於其中間。如何即是。有僧才出。師便歸方丈。至晚。別僧請益曰。和尚今日為甚不答這僧話。師曰。大似失錢遭罪。問僧。你還知金峰一句子麼。曰。知來久矣。師曰。作麼生。僧便喝。師良久。僧曰。金峰一句。今日粉碎。師曰。老僧大曾問人。唯有闍黎門風峭峻。曰。不可須要人點檢。師曰。真鍮不博金。問。如何是非言之言。師曰。不加文彩。問。四海晏清時如何。師曰。猶是堦下漢。上堂。事存函蓋合。理應箭鋒拄。還有人道得麼。如有人道得。金峰分半院與他住。時有僧出作禮。師曰。相見易得好。共住難為人。便下座。僧辭。師問。何處去。曰。不敢妄通消息。師曰。若到諸方。切忌道著金峰為人處。曰。已領尊旨。師曰。忽有人問。你作麼生。僧提起袈裟角。師曰。捷弱於闍黎。

目を以て之を視た。駢が坐具を提起し、目を以て師を視た。師は言った。「一切の人は汝が禅を会すと道う。」駢は言った。「和尚は作麼生。」師は笑って言った。「草賊は大敗せり。」問う。「是の身に知覚無く、土木瓦石の如し、此の意は如何。」師が禅床を下りて僧の耳を扭った。僧が痛みに負えて声を作した。師は言った。「今日始めて箇の知覚無き漢を捉え着いた。」僧が礼を作して出でて去った。師が召した。「闍黎。」僧が首を回らせた。師は言った。「若し堂中に到らば、挙げ着く可からず。」言った。「何の故ぞ。」師は言った。「大いに人有りて金峰の老婆心を笑わん。」上堂して言った。「老僧は二十年前に老婆心有り、二十年後に老婆心無し。」僧が問うた。「如何なるか是れ二十年前の老婆心有る。」師は言った。「凡に問えば凡に答え、聖に問えば聖に答う。」言った。師は言った。「凡に問えども凡に答えず、聖に問えども聖に答えず。」師が僧の来るを見て、乃ち手を挙げて言った。「此は是れ大人分上の事、汝試しに箇の消息を通じて見よ。」言った。「某甲は和尚を瞞さんと欲せず。」師は言った。「孝養の人を知る、亦た還た稀有なり。」言った。「莫ろに是れ大人分上の事か。」師は言った。「老僧は闍黎を瞞す。」言った。「這裏に到りては辨白し易からず。」師は言った。「灼然灼然。」僧が礼拝した。師は言った。「足を発する処は何ぞ。」言った。「只だ這裏。」師は言った。「唯だ自ら瞞するのみならず、兼ねて老僧を瞞す。」上堂して言った。「我若し挙げ来らば、又た恐る人の唇吻に遭うことを、挙げざれば、又た人の笑怪に遭う、其の中間に於て、如何にして即ち是ならん。」僧有りて纔かに出でれば、師は便ち方丈に帰った。晩に至りて、別の僧が請益して言った。「和尚は今日なぜこの僧の話に答えざる。」師は言った。「大いに似たり銭を失いて罪に遭うに。」僧に問うた。「汝還た金峰の一句を知るや。」言った。師は言った。「作麼生。」僧が便ち喝した。師が良久した。僧は言った。「金峰の一句は、今日粉碎せり。」師は言った。「老僧は大いに曾て人に問う、唯だ闍黎の門風の峭峻なるを。」言った。師は言った。「真鍮は金に博えず。」問う。「如何なるか是れ非言の言。」師は言った。「文彩を加えず。」問う。「四海晏清の時如何。」師は言った。「猶お是れ階下の漢。」上堂して言った。「事は函蓋に存し合し、理は応に箭鋒に拄すべし、還た人道うを得る者有るか、如し人道うを得る者有らば、金峰は半院を分かちて与えて住せしめん。」時に僧有りて出でて礼を作した。師は言った。「相見るは易くして好し、共住は人と為り難し。」便ち座を下りた。僧が辞す。師が問うた。「何の処に去る。」言った。「敢えて妄りに消息を通ぜず。」師は言った。「若し諸方に到らば、切に金峰の人と為る処に道い着くこと忌むべし。」言った。「已に尊旨を領す。」師は言った。忽ち人有りて問わば、汝は作麼生。僧が袈裟の角を提起した。師は言った。「捷くこと闍黎に弱し。」

襄州鹿門山處真禪師

襄州鹿門山処真禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。有鹽無醋。曰。忽遇客來。如何祇待。師曰。柴門草戶。謝子遠來。問。如何是道人。師曰。口似鼻孔。問。祖祖相傳。傳甚麼物。師曰。金襴袈裟。問。如何是函中般若。師曰。佛殿挾頭六百卷。問。和尚百年後。向甚麼處去。師曰。山下李家使牛去。曰。還許學人相隨也無。師曰。汝若相隨。莫同頭角。曰。諾。師曰。合到甚麼處。曰。佛眼辨不得。師曰。若不放過。亦是茫茫。問。如何是鹿門高峻處。師曰。汝還曾上主山也無。問。如何是禪。師曰。鸞鳳入雞籠。曰。如何是道。師曰。藕絲牽大象。問。劫火洞然。大千俱壞。未審此箇還壞也無。師曰。臨崖看滸眼。特地一場愁。問。如何是和尚轉身處。師曰。昨夜三更。失卻枕子。問。一句下豁然時如何。師曰。汝是誰家子。上堂。一片凝然光燦爛。擬意追尋卒難見。瞥然撞著豁人情。大事分明總成辦。實快活。無繫絆。萬兩黃金終不換。任他千聖出頭來。總是向渠影中現。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家れ和尚の家風。」師は言った。「塩有りて醋無し。」言った。「忽ち客の来るに遇わば、如何に只だ待つ。」師は言った。「柴門草戸、子の遠来を謝す。」問う。「如何なるか是れ道人。」師は言った。「口は鼻孔の似たり。」問う。「祖祖相伝えて、何の物を伝える。」師は言った。「金襴の袈裟。」問う。「如何なるか是れ函中の般若。」師は言った。「仏殿の頭を挟む六百巻。」問う。「和尚百年の後、何の処に向かって去る。」師は言った。「山下の李家に牛を使いに去る。」言った。「還た学人の相随うを許すや無しや。」師は言った。「汝若し相随わば、頭角を同じうすること莫れ。」言った。「諾。」師は言った。「合に何の処にか到るべき。」言った。「仏眼も辨じ得ず。」師は言った。「若し放過せずんば、亦是れ茫茫なり。」問う。「如何なるか是れ鹿門の高峻の処。」師は言った。「汝還た曾て主山に上るや無しや。」問う。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「鸞鳳が鶏籠に入る。」言った。「如何なるか是れ道。」師は言った。「藕糸が大象を牽く。」問う。「劫火が洞然として大千俱に壊る、未だ審らかならず此箇は還た壊るるや無しや。」師は言った。「崖に臨みて浒眼を看れば、特地に一場の愁なり。」問う。「如何なるか是れ和尚の轉身の処。」師は言った。「昨夜三更に、枕子を失却したり。」問う。「一句の下に豁然たる時如何。」師は言った。「汝は是れ誰が家の子ぞ。」上堂して言った。「一片の凝然として光燦爛たり、意を擬して追尋せども卒に見難し、瞥然として撞き着けば人情を豁き、大事分明に総て成弁す、実に快活、繋絆無し、万両の黄金も終に換えず、他の千聖が頭を出すに任れども、総て是れ渠が影中に現ずるに向かう。」

撫州曹山慧霞了悟禪師

撫州曹山慧霞了悟禅師

僧問。佛未出世時如何。師曰。曹山不如。曰。出世後如何。師曰。不如曹山。問。四山相逼時如何。師曰。曹山在裡許。曰。還求出也無。師曰。在裡許。即求出。僧侍立。師曰。道者可煞熱。曰。是。師曰。祇如熱向甚處迴避。曰。向鑊湯鑪炭裡迴避。師曰。祇如鑊湯鑪炭。又作麼生迴避。曰。眾苦不能到。

僧が問うた。「仏未だ世に出づる時如何。」師は言った。「曹山は如かず。」言った。「世に出でし後如何。」師は言った。「曹山に如かず。」問う。「四山が相逼る時如何。」師は言った。「曹山は裏許に在り。」言った。「還た出づるを求むるや無しや。」師は言った。「裏許に在りて、即ち出づるを求む。」僧が侍立した。師は言った。「道者は可く熱きかな。」言った。「是なり。」師は言った。「只如く熱きは何の処に向かって回避せん。」言った。「鑊湯𬬻炭の裏に向かって回避す。」師は言った。「只如く鑊湯𬬻炭は、又作麼生に回避せん。」言った。「衆苦は到る能わず。」

華州草菴法義禪師

華州草庵法義禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。爛炒浮漚飽滿吃。問。擬心即差。如何進道。師曰。有人常擬。為甚麼不差。曰。此猶是和尚分上事。師曰。紅焰蓮花朵朵開。問。如何是和尚得力處。師曰。如盲似聾。曰。不會。師曰。恰與老僧同參。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「浮漚を爛炒して飽満に喫す。」問う。「心を擬すれば即ち差う、如何に道に進まん。」師は言った。「人有りて常に擬す、なぜ差わざる。」言った。「此は猶お是れ和尚分上の事。」師は言った。「紅焔に蓮花の朵朵開く。」問う。「如何なるか是れ和尚の得力の処。」師は言った。「盲の如く聾の似たり。」言った。「会せず。」師は言った。「恰も老僧と同参せり。」

撫州曹山光慧玄悟禪師

撫州曹山光慧玄悟禅師

上堂。良久曰。雪峰和尚為人。如金翅鳥入海取龍相似。僧出問。未審和尚此間如何。師曰。甚處去來。問。如何是西來的的意。師曰。不禮拜更待何時。問。如何是密傳底心。師良久。僧曰。恁麼則徒勞側耳也。師喚。侍者來。燒香著。問。古人云。如紅鑪上一點雪。意旨如何。師曰。惜取眉毛好。問。如何指示。即得不昧去。師曰。不可雪上更加霜。曰。恁麼則全因和尚去也。師曰。因箇甚麼。問。如何是妙明真性。師曰。款款莫磕損。上堂。良久。僧出曰。為眾竭力。禍出私門。未審放過不放過。師默然。問。古人道。生也不道。死也不道。意旨如何。師良久。僧禮拜。師曰。會麼。曰。不會。師曰。也是廚寒甑足塵。上堂。舉拄杖曰。從上皆留此一路。方便接人。有僧出曰。和尚又是從頭起也。師曰。謝相委悉。問。機關不轉。請師商量。師曰。瘂得我口麼。問。路逢猛虎時如何。師曰。放憨作麼。

上堂して良久して言った。雪峰和尚の人と為るは、金翅鳥が海に入りて龍を取るに相似たり。僧が出て問うた。「未だ審らかならず和尚の此間は如何。」師は言った。「甚の処より来た。」問う。「如何なるか是れ西来の的的の意。」師は言った。「礼拝せずんば更に何の時をか待たん。」問う。「如何なるか是れ密伝の心。」師が良久した。僧は言った。「恁麼ならば徒らに耳を側むるなり。」師が喚んだ。「侍者来れ、香を焼き着けよ。」問う。「古人云う、紅𬬻の上の一点の雪の如し、意旨如何。」師は言った。「眉毛を惜しみ取ること好し。」問う。「如何なる指示を以て、即ち昧わず去るを得。」師は言った。「雪上に更に霜を加う可からず。」言った。「恁麼ならば全く和尚に因りて去らん。」師は言った。「箇の何に因る。」問う。「如何なるか是れ妙明真性。」師は言った。「款款として磕損すること莫れ。」上堂して良久した。僧が出て言った。「衆の為に力を竭くすも、禍は私門より出づ、未だ審らかならず放過すか放過せざるか。」師は黙然とした。問う。「古人道う、生なりとも道わず、死なりとも道わず、意旨如何。」師が良久した。僧が礼拝した。師は言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「亦是れ厨寒しく甑に塵足るなり。」上堂して拄杖を挙げて言った。「上より皆此の一路を留めて、方便として人を接す。」僧有りて出でて言った。「和尚は又是れ頭より起つなり。」師は言った。「相委悉するを謝す。」問う。「機関轉ぜず、請う師商量せん。」師は言った。「我が口を痖せむや。」問う。「路に猛虎に逢う時如何。」師は言った。「憨を放って作麼せん。」

撫州曹山羗慧智炬禪師

撫州曹山羌慧智炬禅師

初問先曹山曰。古人提持那邊人。學人如何體悉。山曰。退步就己。萬不失一。師於言下。頓忘玄解。乃辭去徧參。至三祖。因看經次。僧問。禪僧心不掛元字腳。何得多學。師曰。文字性異。法法體空。迷則句句瘡疣。悟則文文般若。苟無取捨。何害圓伊。後離三祖到瑞州。眾請住龍泉。僧問。如何是文殊。師曰。不可有第二月也。曰。即今事如何。師曰。正是第二月。問。如何是如來語。師曰。猛風可繩縛。問。如何履踐。即得不昧宗風。師曰。須知龍泉好手。曰。請和尚好手。師曰。卻憶鍾子期。問。古人道。若記一句。論劫作野狐精。未審古人意旨如何。師曰。龍泉僧堂未曾鎻。曰。和尚如何。師曰。風吹耳朵。問。如何是一句。師曰。無聞。問。如何是聲前一句。師曰。恰似不道。問。如何是和尚為人一句。師曰。汝是九色鹿。問。抱璞投師時如何。師曰。不是自家珍。曰。如何是自家珍。師曰。不琢不成器。

初めて先の曹山に問うて言った。「古人の提持せる那边の人、学人は如何に体悉せん。」山は言った。「歩を退きて己に就けば、万に一を失わず。」師は言下に於て、頓に玄解を忘れ、乃ち辞して去りて徧参した。三祖に至り、経を看る次、僧が問うた。「禅僧は心に元の字脚を挂けず、何ぞ多学を得。」師は言った。「文字の性は異なり、法法は体空なり、迷えば句句は瘡疣、悟れば文文は般若、苟も取舍無くんば、何の害か有らん円伊に。」後に三祖を離れて瑞州に到り、衆が請うて龍泉に住せしむ。僧が問うた。「如何なるか是れ文殊。」師は言った。「第二月有る可からず。」言った。「即今の事如何。」師は言った。「正に是れ第二月。」問う。「如何なるか是れ如来語。」師は言った。「猛風も縄縛すべし。」問う。「如何に履践すれば、即ち宗風を昧わずんば得。」師は言った。「須知すべし龍泉の好手を。」言った。「請う和尚の好手を。」師は言った。「却って鐘子期を憶う。」問う。「古人道う、若し一句を記せば、劫を論じて野狐精と作る、未だ審らかならず古人の意旨如何。」師は言った。「龍泉の僧堂は未だ曾て鎖せず。」言った。「和尚は如何。」師は言った。「風が耳を吹く。」問う。「如何なるか是れ一句。」師は言った。「聞くこと無し。」問う。「如何なるか是れ声前の一句。」師は言った。「恰似せり道わざるに。」問う。「如何なるか是れ和尚の人と為る一句。」師は言った。「汝は是れ九色鹿。」問う。「璞を抱きて師に投ずる時如何。」師は言った。「是れ自家の珍に非ず。」言った。「如何なるか是れ自家の珍。」師は言った。「琢らざれば器と成らず。」

衡州育王山弘通禪師

衡州育王山弘通禅師

僧問。混沌未分時如何。師曰。混沌。曰。分後如何。師曰。混沌。上堂。釋迦如來四十九年說不到底句。今夜山僧不避羞恥。與諸尊者共譚。良久曰。莫道錯。珍重。僧問。學人有病。請師醫。師曰。將病來。與汝醫。曰。便請。師曰。還老僧藥價錢來。問。曹源一路即不問。衡陽江畔事如何。師曰。紅爐焰上無根草。碧潭深處不逢魚。問。心法雙亡時如何。師曰。三腳蝦蟇背大象。問。如何是西來意。師曰。老僧毛竪。問。如何是佛法大意。師曰。直侍文殊過。即向你道。曰。文殊過也。請和尚道。師便打。問。如何是和尚家風。師曰。渾身不直五文錢。曰。大貧寒生。師曰。古代如是。曰。如何施設。師曰。隨家豐儉。問。如何是急切處。師曰。針眼裡打筋斗。問。如何是本來身。師曰。回光影裡見方親。

僧が問うた。「混沌未だ分かれざる時如何。」師は言った。「混沌。」言った。「分かれし後如何。」師は言った。「混沌。」上堂して言った。「釈迦如来の四十九年に説かず底の句、今夜山僧は羞恥を避けず、諸尊者と共に譚ぜん。」良久して言った。「錯りと道うこと莫れ、珍重。」僧が問うた。「学人に病有り、請う師医せん。」師は言った。「病を将て来れ、汝が為に医せん。」言った。「便ち請う。」師は言った。「老僧に薬の価銭を還せ。」問う。「曹源の一路は即ち問わず、衡陽の江畔の事如何。」師は言った。「紅炉の焔上に根無き草、碧潭の深処に魚に逢わず。」問う。「心法双亡の時如何。」師は言った。「三脚の蝦蟆が大象を背負う。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「老僧の毛竪つ。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「直に文殊の過ぐるを侍し、即ち汝に道わん。」言った。「文殊過ぎたり、請う和尚道え。」師は便ち打った。問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「浑身も五文銭に直せず。」言った。「大いに貧寒なり。」師は言った。「古代是の如し。」言った。「如何に施設せん。」師は言った。「家の豊倹に随う。」問う。「如何なるか是れ急切の処。」師は言った。「針の眼裏に筋斗を打つ。」問う。「如何なるか是れ本来身。」師は言った。「回光の影裏に方に親しむを見る。」

衡州華光範禪師

衡州華光范禅師

僧問。如何是無縫塔。師指僧堂曰。此間僧堂無門戶。問僧。曾到紫陵麼。曰。曾到。師曰。曾到鹿門麼。曰。曾到。師曰。嗣紫陵即是。嗣鹿門即是。曰。即今嗣和尚得麼。師曰。人情不打即不可。便打。問。非隱顯處是和尚。那箇是某甲。師曰。盡乾坤無一不是。曰。此猶是和尚。那箇是某甲。師曰。木人石女笑分明。

僧が問うた。「如何なるか是れ無縫の塔。」師は僧堂を指して言った。「此間の僧堂に門戸無し。」僧に問うた。「曾て紫陵に到るや。」言った。「曾て到れり。」師は言った。「曾て鹿門に到るや。」言った。「曾て到れり。」師は言った。「紫陵を嗣ぐは即ち是、鹿門を嗣ぐは即ち是。」言った。「即今和尚を嗣ぐを得るや。」師は言った。「人情は打たざれば即ち可ならず。」便ち打った。問う。「非隠顕の処は是れ和尚、那箇か是れ某甲。」師は言った。「乾坤を尽くして一も是ならざる無し。」言った。「此は猶お是れ和尚、那箇か是れ某甲。」師は言った。「木人石女の笑み分明なり。」

處州廣利容禪師

処州広利容禅師

初住貞溪。僧參。師舉拂子曰。貞溪老僧還具眼麼。曰。某甲不敢見和尚過。師曰。老僧死在闍黎手裡也。問。如何是和尚家風。師曰。謝闍黎道破。問。西院拍手笑呵呵。意作麼生。師曰。捲上簾子著。問。自己不明。如何得明。師曰。不明。曰。為甚麼不明。師曰。不見道自己事。問。魯祖面壁。意作麼生。師良久曰。還會麼。曰。不會。師曰。魯祖面壁。因郡守受代歸。師出送接話次。守問。和尚遠出山門。將甚麼物來。師曰。無盡之寶呈獻。守無對。後有人進語曰。便請。師曰。大守尊嚴。問。千途路絕。語思不通時如何。師曰。猶是堦下漢。曰。如何是堦上漢。師曰。龍樓不舉手。乃曰。作麼生是尊貴底人。試道看。莫祇向長連床上坐地。見他人不肯。忽被明眼人拶著。便向鐵圍山裡藏身。若到廣利門下。須道得第一句。即開一線道與兄弟商量。時有僧出禮拜。師曰。將謂是異國舶主。元來是此土商人。

初めて貞渓に住す。僧が参ず。師が拂子を挙げて言った。「貞渓の老僧は還た眼を具するか。」言った。「某甲は敢えて和尚の過を見ず。」師は言った。「老僧は闍黎の手裏に死せん。」問う。「如何なるか是れ和尚の家れ和尚の家風。」師は言った。「闍黎の道破を謝す。」問う。「西院が手を拍ちて笑う呵呵、意は作麼生。」師は言った。「簾子を巻き上げて着けよ。」問う。「自己明らかならず、如何に明らかなるを得。」師は言った。「明らかならず。」言った。「なぜ明らかならざる。」師は言った。「道わざるを見ず自己の事を。」問う。「魯祖の面壁、意は作麼生。」師が良久して言った。「還た会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「魯祖の面壁。」郡守が代を受けて帰るに因り、師が出でて送りて話を接ぐ次。守が問うた。「和尚は遠く山門を出づ、何の物を将て来た。」師は言った。「無尽の宝を呈献す。」守は対えず。後に人有りて語を進めて言った。「便ち請う。」師は言った。「大いに守の尊厳なり。」問う。「千途路絶え、語思通通ぜざる時如何。」師は言った。「猶お是れ階下の漢。」言った。「如何なるか是れ階上の漢。」師は言った。「龍楼は手を挙げず。」乃ち言った。「作麼生なるか是れ尊貴の人、試しに道いて見よ、莫れ只だ長連床の上に坐地して、他人の肯ならざるを見、忽ち明眼人に拶着せられて、便ち鉄囲山裏に身を蔵するに向かう、若し広利門下に到らば、須く第一句を道い得べし、即ち一線の道を開きて兄弟と商量せん。」時に僧有りて出でて礼拝した。師は言った。「将に謂う是れ异国の舶主、元是れ此土の商人。」

泉州廬山小谿院行傳禪師

泉州廬山小谿院行伝禅師

青原周氏子。僧問。久嚮廬山石門。為甚麼入不得。師曰。鈍漢。僧曰。忽遇猛利者。還許也無。師曰。吃茶去。

青原の周氏の子。僧が問うた。「久しく廬山の石門に向かう、なぜ入るを得ざる。」師は言った。「鈍漢。」僧は言った。「忽ち猛利の者に遇わば、還た許すや無しや。」師は言った。「茶を喫して去れ。」

益州布水巖和尚

益州布水巌和尚

僧問。如何是西來意。師曰。一回思著一傷心。問。寶劒未磨時如何。師曰。用不得。曰。磨後如何。師曰。觸不得。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「一回思い着けば一回心を傷める。」問う。「宝剣未だ磨がざる時如何。」師は言った。「用いるを得ず。」言った。「磨ぎし後如何。」師は言った。「触るるを得ず。」

蜀川西禪和尚

蜀川西禅和尚

僧問。佛是摩耶降生。未審和尚是誰家子。師曰。水上卓紅旗。問。三十六路。阿那一路最妙。師曰。不出第一手。曰。忽遇出時如何。師曰。脊著地也不難。

僧が問うた。「仏は摩耶の降生なり、未だ審らかならず和尚は是れ誰が家の子ぞ。」師は言った。「水上に紅旗を卓す。」問う。「三十六路、阿那の一路か最も妙。」師は言った。「第一手を出でず。」言った。「忽ち出づるに遇わば如何。」師は言った。「脊が地に着くも亦た難からず。」

韶州華嚴和尚

韶州華厳和尚

僧問。既是華嚴。還將得華來麼。師曰。孤峰頂上千枝秀。一句當機對聖明。僧錄問。法身無相。不可言宣。皇帝詔師。將何接引。師曰。金鐘迥出雲中響。萬裡歸朝賀聖君。問。如何是佛法大意。師曰。驚天動地。曰。還當也無。師曰。靈機永布千家月。祇這如今萬世傳。

僧が問うた。「既に是れ華厳、還た華を将て得るや。」師は言った。「孤峰頂上に千枝秀でん、一句当機にして聖明に対す。」僧録が問うた。「法身は相無く、言を以て宣ぶ可からず。」皇帝が師に詔す、将に何を以て接引せんとす。師は言った。「金鐘は迥かに雲中より出でて響き、万里朝に帰りて聖君を賀す。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「天を驚かし地を動かす。」言った。「還た当たるや無しや。」師は言った。「霊機は永く千家の月を布き、只だ這れ如今万世に伝わる。」

雲居膺禪師法嗣

雲居膺禅師法嗣

洪州鳳棲山同安丕禪師

洪州鳳棲山同安丕禅師

僧問。如何是無縫塔。師曰。吽。吽。曰。如何是塔中人。師曰。今日大有人從建昌來。問。一見便休去時如何。師曰。是也。更來這裡作麼。問。如何是點額魚。師曰。不透波瀾。曰。慚恥時如何。師曰。終不仰面。曰。恁麼則不變其身也。師曰。是也。青雲事作麼生。問。如何是和尚家風。師曰。金鷄抱子歸霄漢。玉兔懷胎入紫微。曰。忽遇客來。將何祇待。師曰。金果朝來猿摘去。玉花晚後鳳銜歸。問。無情還解說法也無。師曰。玉犬夜行。不知天曉。問。路逢達道人。不將語默對。未審將甚麼對。師曰。要踢要拳。問。才有言詮。盡落今時。不落言詮。請師直說。師曰。木人解語非幹舌。石女拋梭豈亂絲。問。依經解義。三世佛冤。離經一字。即同魔說。此理如何。師曰。孤峰迥秀。不掛煙蘿。片月行空。白雲自在。新到參。師問。甚處來。曰。湖南。師曰。還知同安這裡風雲體道。花檻璇璣麼。曰。知。師曰。非公境界。僧便喝。師曰。短販樵人。徒誇書劒。僧擬進語。師曰。劒甲未施。賊身已露。問。佛未出世時如何。師曰。藕絲繫大象。曰。出世後如何。師曰。鐵鎻鎻石牛。問。不傷王道如何。師曰。吃粥吃飯。曰。莫便是不傷王道也無。師曰。遷流左降。問。玉印開時。何人受信。師曰。不是恁麼人。曰。親宮事如何。師曰。道甚麼。問。如何是毗盧師。師曰。闍黎在甚麼處出家。問。如何是觸目菩提。師曰。面前佛殿。問。片玉無瑕。請師不觸。師曰。落汝後。問。玉印開時。何人受信。師曰。不是小小。問。迷頭認影如何止。師曰。告阿誰。曰。如何即是。師曰。從人覓。即轉遠也。曰。不從人覓時如何。師曰。頭在甚麼處。問。如何是同安一隻箭。師曰。腦後看。曰。腦後事如何。師曰。過也。問。亡僧衣眾人唱。祖師衣甚麼人唱。師曰。打。問。將來不相似。不將來時如何。

僧が問うた。「如何なるか是れ無縫の塔。」師は言った。「吽、吽。」言った。「如何なるか是れ塔中の人。」師は言った。「今日大いに人有りて建昌より来た。」問う。「一見して便ち休して去る時如何。」師は言った。「是なり、更に這裏に来りて作麼せん。」問う。「如何なるか是れ点額の魚。」師は言った。「波瀾を透らず。」言った。「慚恥の時如何。」師は言った。「終に面を仰がず。」言った。「恁麼ならば其の身を変えざるなり。」師は言った。「是なり、青雲の事は作麼生。」問う。「如何なるか是れ和尚の家れ和尚の家風。」師は言った。「金鶏が子を抱きて霄漢に帰り、玉兔が胎を懐きて紫微に入る。」言った。「忽ち客の来るに遇わば、将に何を以て只だ待たん。」師は言った。「金果は朝に来りて猿が摘み去り、玉花は晩に後れて鳳が銜えて帰る。」問う。「無情は還た説法を解するや無しや。」師は言った。「玉犬が夜行く、天の暁くことを知らず。」問う。「路に達道の人に逢う、語黙を将て対せず、未だ審らかならず何を将て対せん。」師は言った。「要す踢り要す拳ることを。」問う。「纔かに言詮有れば、尽く今時に落つ、言詮に落ちず、請う師直説せん。」師は言った。「木人が語を解するは舌に干らず、石女が梭を抛くは豈に糸を乱らんや。」問う。「経に依りて義を解すれば、三世の仏の冤、経を離るる一字なれば、即ち魔説に同じ、此の理は如何。」師は言った。「孤峰は迥かに秀でて烟蘿を挂けず、片月は空を行りて白雲自在なり。」新たに到りて参ず。師が問うた。「甚の処より来た。」言った。「湖南。」師は言った。「還た同安の這裏の風雲が道を体し、花檻の璇璣を知るや。」言った。「知りぬ。」師は言った。「公の境界に非ず。」僧が便ち喝した。師は言った。「短販の樵人、徒らに書剣を誇る。」僧が語を進めんと擬すれば、師は言った。「剣甲未だ施さざるに、賊の身已に露れたり。」問う。「仏未だ世に出づる時如何。」師は言った。「藕糸が大象を繋ぐ。」言った。「世に出でし後如何。」師は言った。「鉄鎻が石牛を鎖す。」問う。「王道を傷らざるは如何。」師は言った。「粥を喫し飯を喫す。」言った。「莫れ便ち是れ王道を傷らざるや無しや。」師は言った。「遷流左降なり。」問う。「玉印の開く時、何の人か信を受く。」師は言った。「是れ恁麼の人に非ず。」言った。「宮に親しむ事如何。」師は言った。「何を道う。」問う。「如何なるか是れ毘盧師。」師は言った。「闍黎は何の処にか出家した。」問う。「如何なるか是れ触目の菩提。」師は言った。「面前の仏殿。」問う。「片玉に瑕無し、請う師触れず。」師は言った。「汝の後に落つ。」問う。「玉印の開く時、何の人か信を受く。」師は言った。「是れ小小に非ず。」問う。「頭を迷いて影を認むは如何に止まん。」師は言った。「阿誰に告ぐ。」言った。「如何にして即ち是ならん。」師は言った。「人に従りて覓むれば、即ち転た遠し。」言った。「人に従らず覓めざる時如何。」師は言った。「頭は何の処にか在る。」問う。「如何なるか是れ同安の一隻の箭。」師は言った。「脳後に看よ。」言った。「脳後の事如何。」師は言った。「過ぎたり。」問う。「亡僧の衣は衆人が唱う、祖師の衣は何の人か唱う。」師は言った。「打て。」問う。「将来れば相似ならず、将来らざる時如何。」

師曰。甚麼處著。問。未有這箇時。作麼生行履。師曰。尋常又作麼生。曰。恁麼則不改舊時人也。師曰。作何行履。問。如何是異類中人。師曰。露地藏白牛。溪山籠日月。師看經次。見僧來參。遂以衣袖蓋卻頭。僧近前作弔慰勢。師放下衣袖。提起經曰。會麼。僧卻以衣袖蓋頭。師曰。蒼天。蒼天。

師は言った。「何の処にか着く。」問う。「未だ這箇の有らざる時、作麼生に行履せん。」師は言った。「尋常には又作麼生。」言った。「恁麼ならば旧時の人を改めざるなり。」師は言った。「何の行履を作す。」問う。「如何なるか是れ異類中の人。」師は言った。「露地に白牛を蔵し、谿山に日月を籠む。」師が経を看る次、僧の参ずるに来るを見て、遂に衣袖を以て頭を蓋えた。僧が近づき前して弔慰の勢を作した。師が衣袖を放下し、経を提起して言った。「会するか。」僧が却って衣袖を以て頭を蓋えた。師は言った。「蒼天、蒼天。」

廬山歸宗寺懷惲禪師

廬山帰宗寺懐恽禅師

僧問。無佛無眾生時如何。師曰。甚麼人如此。問。水清魚現時如何。師曰。把一箇來。僧無對(同安代雲。動即失)。問。如何是五老峰。師曰。突兀地。問。截水停輪時如何。師曰。磨不轉。曰。如何是磨不轉。師曰。不停輪。問。如何是塵中弟子。師曰。灰頭土面。(同安代雲。不拂拭)。問。如何是世尊不說說。師曰。正恁麼。曰。如何是迦葉不聞聞。師曰。不附物。問。不佛不眾生時如何。師曰。是甚麼人如此。問。學人不到處。請師說。師曰。汝不到甚麼處來。

僧が問うた。「仏無く衆生無き時如何。」師は言った。「何の人か此の如くする。」問う。「水清ければ魚現るる時如何。」師は言った。「一箇を把って来れ。」僧は対えず(同安が代えて言った。「動けば即ち失す。」)問う。「如何なるか是れ五老峰。」師は言った。「突兀地。」問う。「水を截りて輪を停むる時如何。」師は言った。「磨転ぜず。」言った。「如何なるか是れ磨転ぜず。」師は言った。「輪を停めず。」問う。「如何なるか是れ塵中の弟子。」師は言った。「灰頭土面。」(同安が代えて言った。「拂拭せず。」)問う。「如何なるか是れ世尊の不説の説。」師は言った。「正に恁麼。」言った。「如何なるか是れ迦葉の不聞の聞。」師は言った。「物に附せず。」問う。「仏ならず衆生ならざる時如何。」師は言った。「是れ何の人か此の如くする。」問う。「学人の到らざる処、請う師説け。」師は言った。「汝は何の処より来たらざる。」

池州嵆山章禪師

池州嵇山章禅師

在投子作柴頭。投子同吃茶次。謂師曰。森羅萬象。總在裡許。師潑卻茶曰。森羅萬象。在甚麼處。子曰。可惜一椀茶。師後謁雪峰。峰問。莫是章柴頭麼。師乃作輪椎勢。峰肯之。

投子に在りて柴頭を作す。投子が同じく茶を喫する次、師に謂いて言った。「森羅万象、総て里許に在り。」師が茶を潑却して言った。「森羅万象、何の処にか在る。」子は言った。「惜しむ可し一椀の茶。」師は後に雪峰を謁えた。峰が問うた。「莫ろに是れ章柴頭か。」師は乃ち輪椎の勢を作した。峰は之を肯とした。

南康軍雲居懷嶽禪師

南康軍雲居懐岳禅師

僧問。如何是大圓鏡。師曰。不鑒照。曰。忽遇四方八面來時作麼生。師曰。胡來胡現。漢來漢現。曰。大好不鑒照。師便打。問。如何是一丸療萬病底藥。師曰。汝患甚麼。問。如何是本來瑞草。師曰。好手拈不出。曰。如何是無根樹。師曰。處處著不得。

僧が問うた。「如何なるか是れ大円鏡。」師は言った。「鑑照せず。」言った。「忽ち四方八面の来るに遇わば作麼生。」師は言った。「胡来れば胡現れ、漢来れば漢現る。」言った。「大いに好し鑑照せざるは。」師は便ち打った。問う。「如何なるか是れ一丸に万病を療する薬。」師は言った。「汝は何を患える。」問う。「如何なるか是れ本来の瑞草。」師は言った。「好手も拈げ出でず。」言った。「如何なるか是れ無根の樹。」師は言った。「処処に着くるを得ず。」

杭州佛日本空禪師

杭州仏日本空禅師

初遊天台山。甞曰。如有人奪得我機者。即吾師矣。尋謁雲居。作禮問曰。二龍爭珠。誰是得者。居曰。卸卻業身來。與子相見。師曰。業身已卸。居曰。珠在甚麼處。師無對(同安代雲。回頭即沒交涉)。遂投誠入室。時始年十三。後四年。參夾山。才入門。見維那。那曰。此間不著後生。師曰。某甲不求掛搭。暫來禮謁和尚。維那白夾山。山許相見。師未陞堦。山便問。甚處來。師曰。雲居來。曰。即今在甚麼處。師曰。在夾山頂𩕳上。山曰。老僧行年在坎。五鬼臨身。師擬上堦。山曰。三道寶堦。從何而上。師曰。三道寶堦。曲為今時。向上一路。請師直指。山便揖。師乃上堦禮拜。山問。闍黎與甚麼人同行。師曰。木上座。山曰。何不來相看老僧。師曰。和尚看他有分。山曰。在甚處。師曰。在堂中。山便同師下到堂中。師遂取拄杖擲在山面前。山曰。莫從天台得否。師曰。非五嶽之所生。山曰。莫從須彌得否。師曰。月宮亦不逢。山曰。恁麼則從人得也。師曰。自己尚是冤家。從人得堪作甚麼。山曰。冷灰裡有一粒豆𪹼。乃喚維那。明窻下安排著。師曰。未審明窻還解語也無。山曰。待明窻解語。即向汝道。夾山來日上堂。問。昨日新到在甚麼處。師出應喏。山曰。子未到雲居已前。在甚麼處。師曰。天台國清。山曰。吾聞天台有潺潺之瀑。淥淥之波。謝子遠來。此意如何。師曰。久居巖谷。不掛松蘿。山曰。此猶是春意。秋意作麼生。師良久。山曰。看君祇是撐船漢。終歸不是弄潮人。來日普請。維那令師送茶。師曰。某甲為佛法來。不為送茶來。那曰。奉和尚處分。師曰。和尚尊命即得。乃將茶去作務處。搖茶甌作聲。山回顧。師曰。釅茶三五盌。意在钁頭邊。山曰。瓶有傾茶勢。籃中幾箇甌。師曰。瓶有傾茶勢。籃中無一甌。便行茶。時眾皆舉目。師曰。大眾鶴望。請師一言。

初めて天台山に游ぶ。甞て言った。「如し人有りて我が機を奪い得る者は、即ち吾が師なり。」尋いで雲居を謁え、礼を作して問うて言った。「二龍が珠を争う、誰か是れ得る者。」居は言った。「業身を卸却して来れ、子と相見せん。」師は言った。「業身は已に卸したり。」居は言った。「珠は何の処にか在る。」師は対えず(同安が代えて言った。「頭を回らせば即ち交渉没し。」)遂に誠を投げて室に入った。時に始めて年十三。後四年、夾山を参ず。纔かに門に入りて、維那に見えた。那は言った。「此間は後生を着けず。」師は言った。「某甲は挂搭を求めず、暫く来りて和尚に礼謁せん。」維那が夾山に白すると、山は相見るを許した。師は未だ階を昇らざるに、山は便ち問うた。「甚の処より来た。」師は言った。「雲居より来た。」言った。「即今何の処にか在る。」師は言った。「夾山の頂𩕳の上に在り。」山は言った。「老僧は行年坎に在り、五鬼が身に臨む。」師が階を上らんと擬すれば、山は言った。「三道の宝階、何よりか上る。」師は言った。「三道の宝階は、曲がりて今時の為、向上の一路は、請う師直指せん。」山は便ち揖した。師は乃ち階を上りて礼拝した。山が問うた。「闍黎は何の人と同行する。」師は言った。「木上座。」山は言った。「何ぞ来りて老僧を相看せざる。」師は言った。「和尚は他を看るに分有り。」山は言った。「甚の処に在る。」師は言った。「堂中に在り。」山は便ち師と同じく下りて堂中に到った。師は遂に拄杖を取りて山の面前に擲いた。山は言った。「莫れ天台山より得たか。」師は言った。「五岳の生ぜし所に非ず。」山は言った。「莫れ須弥より得たか。」師は言った。「月宮も亦た逢わず。」山は言った。「恁麼ならば則ち人より得たなり。」師は言った。「自己は尚ほ是れ冤家、人より得て堪えて何を作さん。」山は言った。「冷灰裏に一粒の豆𪹼有り。」乃ち維那を喚び、明窻の下に安排して着けしめた。師は言った。「未だ審らかならず明窻は還た語を解するや無しや。」山は言った。「明窻の語を解するを待ちて、即ち汝に道わん。」夾山の来日の上堂に問うた。「昨日の新到は何の処にか在る。」師が出でて喏と応えた。山は言った。「子は未だ雲居に到らざる已前、何の処にか在りし。」師は言った。「天台国清。」山は言った。「吾聞く天台に潺潺の瀑、渌渌の波有りと、子の遠来を謝す、此の意如何。」師は言った。「久しく巌谷に居りて、松蘿を挂けず。」山は言った。「此は猶お是れ春意、秋意は作麼生。」師が良久した。山は言った。「君を看れば只だ是れ船を撑ぐ漢、終に帰りて是れ潮を弄する人に非ず。」来日の普請に、維那が師に茶を送らしめた。師は言った。「某甲は仏法の為に来た、茶を送る為に来らず。」那は言った。「和尚の処分を奉ず。」師は言った。「和尚の尊命ならば即ち得。」乃ち茶を将て作務の処に去り、茶甌を揺りて声を作す。山が回顧した。師は言った。「酽茶の三五盌、意は镢頭の辺に在り。」山は言った。「瓶に茶を傾くる勢有り、籃中に幾箇かの甌ある。」師は言った。「瓶に茶を傾くる勢有り、籃中に一甌無し。」便ち茶を行じた。時に衆は皆目を挙げた。師は言った。大衆は鶴望せり、請う師一言せん。

山曰。路逢死蛇莫打殺。無底籃子盛將歸。師曰。手執夜明符。幾箇知天曉。山曰。大眾有人也。歸去來。歸去來。遂住普請。歸院眾皆仰嘆。師終於佛日。卵塔存焉。

山は言った。「路に死蛇に逢うも打殺すること莫れ、底無き籃子に盛りて将て帰れ。」師は言った。「手に夜明の符を執る、幾箇か天の暁くを知る。」山は言った。大衆に人有り。帰去来、帰去来。遂に普請に住した。院に帰りて衆は皆仰ぎ嘆じた。師は仏日に終わった。卵塔存り。

蘇州永光院真禪師

蘇州永光院真禅師

上堂。言鋒若差。鄉關萬裡。直須懸崖撒手。自肯承當。絕後再蘇。欺君不得。非常之旨。人焉廋哉。問。道無橫徑。立者皆危。如何得不被橫徑所侵去。師以杖拄僧口。僧曰。此猶是橫徑。師曰。合取口。問。如何是常在底人。師曰。來往不易。問。如何是祖師西來意。師曰。鐵山夜鎻千家月。金烏常照不當門。

上堂して言った。「言鋒若し差えば、郷関は万里、直に須く懸崖に手を放ち、自ら承当を肯ずべし、絶して後に再び蘇え、君を欺くを得ず、非常の旨は、人焉んぞ廋せんや。」問う。「道に横径無し、立つ者は皆危し、如何にして横径の侵す所と為らざるを得て去らん。」師は杖を以て僧の口に拄えた。僧は言った。「此は猶お是れ横径。」師は言った。「口を合取せよ。」問う。「如何なるか是れ常在の人。」師は言った。「来往は易からず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「鉄山は夜に千家の月を鎖し、金烏は常に照りて門に当たらず。」

廬山歸宗澹權禪師

廬山帰宗澹権禅師

僧問。金雞未鳴時如何。師曰。失卻威音王。曰。鳴後如何。師曰。三界平沉。問。盡身供養時如何。師曰。將甚麼來。曰。所有不惜。師曰。供養甚麼人。僧無語。問。學人為佛法來。如何是佛法。師曰。正空閑。曰。便請商量。師曰。周匝有餘。問。人眾雲集。合譚何事。師曰。三三兩兩。問。路逢達道人。不將語默對。未審將甚麼對。師曰。爭能肯得人。僧良久。師曰。會麼。曰。不會。師曰。長安路上廁坑子。問。如何是佛法大意。師曰。三枷五棒。問。通徹底人如何語道。師曰。汝祇今作麼生。曰。任性隨流。師曰。不隨流爭得息。

僧が問うた。「金鶏未だ鳴かざる時如何。」師は言った。「威音王を失却したり。」言った。「鳴きし後如何。」師は言った。「三界平沈す。」問う「身を尽くして供養する時如何。」師は言った。「何を将て来た。」言った。「所有は惜しまず。」師は言った。「何の人をか供養する。」僧は語無し。問う。「学人は仏法の為に来た、如何なるか是れ仏法。」師は言った。「正に空閑なり。」言った。「便ち請う商量せん。」師は言った。「周匝に余有り。」問う。「人衆が雲集す、合に何の事をか譚ずべき。」師は言った。「三三两両。」問う。「路に達道の人に逢う、語黙を将て対せず、未だ審らかならず何を将て対せん。」師は言った。「争でか能く人を肯得せん。」僧が良久した。師は言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「長安路上の厠坑子。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「三枷五棒。」問う。「底を通徹する人は如何に語道せん。」師は言った。「汝は只今作麼生。」言った。「性に任りて流に随う。」師は言った。「流に随わずんば争でか息むことを得。」

蘄州廣濟禪師

蘄州広済禅師

僧問。疋馬單槍時如何。師曰。頭落也。問。如何是方外之譚。師曰。汝道甚麼。問。如何是廣濟水。師曰。飲者絕饑渴。曰。恁麼則學人不虗到也。師曰。情知你受人安排。問。遠遠來投。乞師指示。師曰。有口祇解吃飯。問。溫伯雪與仲尼相見時如何。師曰。此間無恁麼人。問。不識不見。請師道出。師曰。不昧。曰。不昧時作麼生。師曰。汝喚作甚麼。問。如何是奇特事。師曰。焰裡牡丹花。問。如何是無心道人。師曰。丹霞放火燒。

僧が問うた。「疋馬単槍の時如何。」師は言った。「頭落ちたり。」問う。「如何なるか是れ方外の譚。」師は言った。「汝は何を道う。」問う。「如何なるか是れ広済の水。」師は言った。「飲む者は飢渇を絶つ。」言った。「恁麼ならば学人は虚しく到らざるなり。」師は言った。「情に知る汝は人の安排を受くと。」問う。「遠々来り投ず、乞う師指示せん。」師は言った。「口有れば只だ飯を喫するを解す。」問う。「温伯雪と仲尼と相見る時如何。」師は言った。「此間に恁麼の人無し。」問う。「識らず見えず、請う師道出せん。」師は言った。「昧わず。」言った。「昧わざる時作麼生。」師は言った。「汝は何と喚ぶ。」問う。「如何なるか是れ奇特の事。」師は言った。「焔裏の牡丹花。」問う。「如何なるか是れ無心の道人。」師は言った。「丹霞が火を放ちて焼く。」

潭州水西南臺和尚

潭州水西南台和尚

僧問。如何是此間一滴水。師曰。入口即抉出。問。如何是西來意。師曰。靴頭線綻。問。祖祖相傳。未審傳箇甚麼。師曰。不因闍黎問。老僧亦不知。

僧が問うた。「如何なるか是れ此間の一滴の水。」師は言った。「口に入れば即ち抉り出づ。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「靴頭の線が綻ぶ。」問う。「祖祖相伝う、未だ審らかならず箇の何を伝える。」師は言った。闍黎の問うに因らずんば、老僧も亦た知らず。

歙州朱谿謙禪師

歙州朱渓謙禅師

韶國師到。參次聞犬齩靈鼠聲。國師便問。是甚麼聲。師曰。犬齩靈鼠聲。國師曰。既是靈鼠。為甚麼卻被犬齩。師曰。齩殺也。國師曰。好箇犬。師便打。國師曰。莫打。某甲話在。師休去。因造佛殿畢。一僧同看。師曰。此殿著得甚麼佛。曰。著即不無。有人不肯。師曰。我不問那箇人。曰。恁麼。則某甲亦未曾祇對和尚。

韶国師が到った。参ずる次、犬が霊鼠を齩む声を聞いた。国師は便ち問うた。「是れ何の声ぞ。」師は言った。「犬が霊鼠を齩む声。」国師は言った。「既に是れ霊鼠、なぜ却って犬に齩まる。」師は言った。「齩み殺せり。」国師は言った。「好き箇の犬なり。」師は便ち打った。国師は言った。「打つこと莫れ、某甲に話在り。」師は休して去った。仏殿を造り畢りしに因り、一僧と同じく看た。師は言った。「此の殿には何の仏をか着くべき。」言った。「着けば即ち無からざらず、人有りて肯ぜず。」師は言った。「我は那箇の人を問わず。」言った。「恁麼ならば、則ち某甲も亦た未だ曾て和尚に只对せず。」

揚州豐化和尚

揚州豊化和尚

僧問。上無片瓦。下無卓錐時如何。師曰。莫飄露麼。問。不具得失時如何。師曰。道甚麼。

僧が問うた。「上に片瓦無く、下に卓錐無き時如何。」師は言った。「莫れ飄露せんや。」問う。「得失を具せざる時如何。」師は言った。「何を道う。」

南康軍雲居道簡禪師

南康軍雲居道簡禅師

範陽人也。久入先雲居之室。密受真印。而分掌寺務。典司樵㸑。以臘高。堂中為第一座。屬先雲居將順寂。主事請問。誰堪繼嗣。居曰。堂中簡。主事雖承言而意不在師。謂。令揀擇可當說法者。僉曰。第二座可。然且備禮。先請第一座。若謙讓。即堅請第二座。師既密承授記。略不辭免。即自持道具入方丈。攝眾演法。主事等不愜素志。罔循規式。師察其情。乃潛棄去。其夜安樂樹神號泣詰旦。主事大眾奔至麥莊悔過。哀請歸院。眾聞空中連聲唱曰。和尚來也。僧問。如何是和尚家風。師曰。隨處得自在。問。維摩豈不是金粟如來。師曰。是。曰。為甚麼卻在釋迦會下聽法。師曰。他不擔人我。問。橫身蓋覆時如何。師曰。還蓋覆得麼。問。蛇子為甚麼吞卻蛇師。師曰。在裡何傷。問。諸聖道不得處。和尚還道得麼。師曰。汝道甚麼處諸聖道不得。問。路逢猛虎時如何。師曰。千人萬人不逢。為甚麼闍黎偏逢。問。孤峰獨宿時如何。師曰。閑卻七間僧堂不宿。阿誰教汝孤峰獨宿。師後無疾而寂。塔於本山。

范陽の人である。久しく先の雲居の室に入り、密かに真印を受け、而して寺務を分掌し、樵㸑を典司した。臘高きを以て、堂中に第一座と為った。先の雲居の将に順寂せんとするに属し、主事が請いて問うた。「誰か嗣ぐに堪えん。」居は言った。「堂中の簡。」主事は言を承けども意は師に在らず、謂いて、説法に当たる可き者を揀擇せしめんとす。僉は言った。「第二座は可なり、然れど且く礼を備え、先に第一座を請い、若し謙譲せば、即ち第二座を堅く請わん。」師は既に密かに授記を承け、略だ辞免せず、即ち自ら道具を持して方丈に入り、衆を摂して法を演べた。主事等は素志に愜わず、規式を循わず。師は其の情を察し、乃ち潜かに棄て去った。其の夜、安楽の樹神が号泣して旦に詰めた。主事大衆は麦荘に奔り至りて悔過し、哀しく院に帰らんことを請うた。衆は空中に声を連ねて唱えて説くを聞いた。「和尚来たれり。」僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「処に随いて自在を得。」問う。「維摩は豈に是れ金粟如来ではないか。」師は言った。「是なり。」言った。「なぜ却って釈迦会下に在りて法を聴く。」師は言った。「他は人我を担わず。」問う。「身を横えて蓋覆する時如何。」師は言った。「還た蓋覆するを得るか。」問う。「蛇子はなぜ蛇師を吞却す。」師は言った。「裏に在りて何の傷か有らん。」問う。「諸聖の道い得ざる処、和尚は還た道い得るか。」師は言った。「汝道え何の処に諸聖が道い得ざる。」問う。「路に猛虎に逢う時如何。」師は言った。「千人万人も逢わず、なぜ闍黎は偏えに逢う。」問う。「孤峰に独り宿する時如何。」師は言った。「七間の僧堂を閑却して宿せず、阿誰が汝に教えて孤峰に独り宿さしめた。」師は後に疾無くして寂した。塔は本山に在り。

洪州大善慧海禪師

洪州大善慧海禅師

僧問。不坐青山頂時如何。師曰。且道是甚麼人。問。如何是解作客底人。師曰。不占上。問。靈泉忽逢時如何。師曰。從甚麼處來。問。如何道即不違於師。師曰。莫惜口。曰。道後如何。師曰。道甚麼。問。如何道得相親去。師曰。快道。曰。恁麼則不道也。師曰。用口作甚麼。問。如何是西來意。師曰。三界平沉。

僧が問うた。「青山頂に坐せざる時如何。」師は言った。「且く道え是れ何の人ぞ。」問う。「如何なるか是れ客を作すを解する人。」師は言った。「上を占めず。」問う。「霊泉に忽ち逢う時如何。」師は言った。「何の処より来た。」問う。「如何に道えば即ち師に違わざる。」師は言った。「口を惜しむこと莫れ。」言った。「道いし後如何。」師は言った。「何を道う。」問う。「如何に道い得ば相親しみ去らん。」師は言った。「快く道え。」言った。「恁麼ならば則ち道わざるなり。」師は言った。「口を用いて何を作す。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「三界平沈す。」

鼎州德山和尚

鼎州徳山和尚

僧問。路逢達道人。不將語默對。未審將甚麼對。師曰。祇恁麼。僧良久。師曰。汝更問。僧再問。師乃喝出。

僧が問うた。「路に達道の人に逢う、語黙を将て対せず、未だ審らかならず何を将て対せん。」師は言った。「只だ恁麼。」僧が良久した。師は言った。汝更に問え。僧が再び問うた。師は乃ち喝して出でしめた。

南嶽南臺和尚

南岳南台和尚

僧問。直上融峰時如何。師曰。見麼。

僧が問うた。「直に融峰に上る時如何。」師は言った。「見るか。」

南康軍雲居昌禪師

南康軍雲居昌禅師

僧問。相逢不相識時如何。師曰。既相逢為甚麼不相識。問。紅爐猛焰時如何。師曰。裡頭是甚麼。問。不受商量時如何。師曰。來作甚麼。曰。來亦不商量。師曰。空來何益。問。方丈前容身時如何。師曰。汝身大小。

僧が問うた。「相逢いながら相識らざる時如何。」師は言った。「既に相逢う、なぜ相識らざる。」問う。「紅炉猛焔の時如何。」師は言った。「裏頭は是れ何ぞ。」問う。「商量を受けざる時如何。」師は言った。「来りて何を作す。」言った。「来るも亦た商量せず。」師は言った。「空しく来りて何の益か有らん。」問う。「方丈の前に身を容るる時如何。」師は言った。「汝の身の大小如何。」

晉州大梵和尚

晋州大梵和尚

僧問。如何是學人顧望處。師曰。井底架高樓。曰。恁麼則超然去也。師曰。何不擺手。

僧が問うた。「如何なるか是れ学人の顧望の処。」師は言った。「井底に高楼を架す。」言った。「恁麼ならば超然として去らん。」師は言った。「何ぞ手を摆かざる。」

新羅國雲住和尚

新羅国雲住和尚

僧問。諸佛道不得。甚麼人道得。師曰。老僧道得。曰。諸佛道不得。和尚作麼生道。師曰。諸佛是我弟子。曰。請和尚道。師曰。不是對君王。好與二十棒。問。達磨未來時如何。師曰。夜半石牛吼。曰。來後如何。師曰。特地使人愁。問。既是普眼。為甚不見普賢。師曰。祇為貪程太速。

僧が問うた。「諸仏の道い得ざるを、何の人か道い得る。」師は言った。「老僧は道い得。」言った。「諸仏は道い得ず、和尚は作麼生に道う。」師は言った。「諸仏は是れ我が弟子。」言った。「請う和尚道え。」師は言った。「是れ君王に対せず、好くして二十棒を与えん。」問う。「達磨未だ来らざる時如何。」師は言った。「夜半に石牛吼ゆ。」言った。「来りし後如何。」師は言った。「特地に人を愁えしむ。」問う。「既に是れ普眼、なぜ普賢を見ざる。」師は言った。「只だ程を貪ること太だ速なるが為なり。」

阾珏和尚

阾珏和尚

僧問。學人不負師機。還免披毛帶角也無。師曰。闍黎何得對面不相識。曰。恁麼。則吞盡百川水。方明一點心。師曰。雖脫毛衣。猶披鱗甲。曰。好來和尚具大慈悲。師曰。盡力道。也出老僧格不得。

僧が問うた。「学人は師の機を負かず、還た披毛帯角を免るるや無しや。」師は言った。「闍黎は何ぞ対面にして相識らざるを得。」言った。「恁麼ならば、則ち百川の水を吞尽くして、方に一点の心を明らめん。」師は言った。「毛衣を脱すと雖も、猶お鱗甲を披く。」言った。「好し来たれ和尚は大慈悲を具せり。」師は言った。「力を尽くして道うも、亦た老僧の格に出でざるを得ず。」

疎山仁禪師法嗣

疏山仁禅師法嗣

隨州護國院守澄淨果禪師

随州護国院守澄浄果禅師

上堂。諸方老宿。盡在曲彔木床上為人。及有人問著祖師西來意。未曾有一人當頭道著。時有僧問。請和尚當頭道。師曰。河北驢鳴。河南犬吠。問。如何是佛。師咄曰。這驢漢。問。盡大地是一隻眼底人來時如何。師曰。堦下漢。問。諸佛不到處。是甚麼人行履。師曰。聃耳鬅頭。曰。何人通得彼中信。師曰。驢面獸腮。問。隨緣認得時如何。師曰。錯。問。如何是西來意。師曰。一人傳虗。萬人傳實。問。不落幹將手。如何是太阿。師曰。七星光彩耀。六國罷煙塵。問。鶴立枯松時如何。師曰。地下底一場懡㦬。問。會昌沙汰時。護法善神向甚麼處去。師曰。三門前兩箇一場懡。㦬問。滴水滴凍時如何。師曰。日出後一場懡㦬。

上堂して言った。「諸方の老宿は、尽く曲録木床の上に在りて人と為る。及び人有りて問い着く祖師西来意を、未だ曾て一人も頭に当たりて道い着く者有らず。」時に僧が問うた。「請う和尚頭に当たりて道え。」師は言った。「河北に驢鳴り、河南に犬吠ゆ。」問う。「如何なるか是れ仏。」師が咄して言った。「這の驢漢。」問う。「大地を尽くして一隻の眼なる底の人の来る時如何。」師は言った。「階下の漢。」問う。「諸仏の到らざる処、是れ何の人か行履する。」師は言った。「聃耳鬅頭。」言った。「何の人か彼の中の信を通じ得る。」師は言った。「驢面獣腮。」問う。「縁に随いて認得する時如何。」師は言った。「錯れり。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「一人は虚を伝え、万人は実を伝う。」問う。「干将の手に落ちず、如何なるか是れ太阿。」師は言った。「七星光彩耀やかに、六国は烟尘を罷む。」問う。「鶴が枯松に立つ時如何。」師は言った。「地下底の一場の懡㦬。」問う。「会昌の沙汰の時、護法の善神は何の処に向かって去る。」師は言った。「三門前に両箇の一場の懡㦬。」問う。「滴水が凍を滴る時如何。」師は言った。「日出でし後の一場の懡㦬。」

洛京靈泉歸仁禪師

洛京霊泉帰仁禅師

初問疎山。枯木生花。始與他合。是這邊句。是那邊句。山曰。亦是這邊句。師曰。如何是那邊句。山曰。石牛吐出三春霧。靈雀不棲無影林。住後。僧問。如何是靈泉家風。師曰。十日作活九日病。曰。此病如何。師曰。迴避不得。曰。還療得也無。師曰。耆婆稽首。醫王皺眉。問。祖意教意。是同是別。師曰。牛馬同群放。曰。還分不分。師曰。夜半崑崙穿市過。午後烏雞帶雪飛。問。急切相投時如何。師曰。見佛似冤家。問。如何是靈泉竹。師曰。不從栽種得。曰。還變動也無。師曰。三冬瑞雪應難改。九夏凝霜色轉鮮。問。如何是靈泉心印。師曰。不傳不受。曰。或遇交代時如何。師曰。淮南船子看洛陽。問。六國未寧時如何。師曰。作亂者誰。問。如何是祖師西來意。師曰。仰面獨揚眉。回頭自拍手。問。如何是和尚家風。師曰。騎牛戴席帽。過水著靴衫。問。如何是無問而自說。師曰。死人口裡活人舌。曰。未審是何人領會。師曰。無角水牯牛。問。如何是靈泉活計。師曰。東壁打倒西壁。曰。憑箇甚麼過朝夕。師曰。折腰鐺子無煙火。曰。二時將何奉獻。師曰。野老共炊無米飯。溪邊大會不來人。問。如何是靈泉境。師曰。枯樁花爛熳。曰。如何是境中人。師曰。子規啼斷後。花落布堦前。問。如何是沙門行。師曰。恰似箇屠兒。曰。如何行履。師曰。破齋犯戒。曰。究竟作麼生。師曰。因不收。果不入。俗士問。俗人還許會佛法否。師曰。那箇臺無月。誰家樹不春。

初めて疏山に問うた。「枯木に花生ず、始めて他と合す、是れ這辺の句か、是れ那辺の句か。」山は言った。「亦是れ這辺の句。」師は言った。「如何なるか是れ那辺の句。」山は言った。「石牛が三春の霧を吐き出し、霊雀は無影の林に栖まず。」住して後、僧が問うた。「如何なるか是れ霊泉の家風。」師は言った。「十日作活して九日病む。」言った。「此の病如何。」師は言った。「回避するを得ず。」言った。「還た療するを得るや無しや。」師は言った。「耆婆は稽首し、医王は眉を顰む。」問う。「祖意教意、是れ同か是れ別か。」師は言った。「牛馬は群を同じうして放つ。」言った。「還た分かつか分かたざるか。」師は言った。「夜半に崑崙は市を穿ちて過ぎ、午後に烏鶏は雪を帯びて飛ぶ。」問う。「急切に相投する時如何。」師は言った。「仏に見ゆること冤家の似たり。」問う。「如何なるか是れ霊泉の竹。」師は言った。「栽種より得ず。」言った。「還た変動するや無しや。」師は言った。「三冬の瑞雪は応に改め難く、九夏の凝霜は色転じて鮮なり。」問う。「如何なるか是れ霊泉の心印。」師は言った。「伝えず受けず。」言った。「或いは交代の時に遇わば如何。」師は言った。「淮南の船子は洛陽を看る。」問う。「六国未だ寧ならざる時如何。」師は言った。「乱を作す者は誰ぞ。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「面を仰いで独り眉を揚げ、頭を回らして自ら手を拍つ。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「牛に騎りて席帽を戴き、水を過ぎて靴衫を着る。」問う。「如何なるか是れ問わずして自ら説く。」師は言った。「死人の口裏の活人の舌。」言った。「未だ審らかならず是れ何の人か領会する。」師は言った。「角無き水牯牛。」問う。「如何なるか是れ霊泉の活計。」師は言った。「東壁が倒れて西壁を打つ。」言った。「箇の何に憑りて朝夕を過ぐ。」師は言った。「腰を折る铛子に烟火無し。」言った。「二時に何を将て奉献せん。」師は言った。「野老は米飯無きを共に炊き、谿辺の大会は人の来らざるなり。」問う。「如何なるか是れ霊泉の境。」師は言った。「枯桩に花爛熳たり。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「子規が啼き断えし後、花は布いて階前に落つ。」問う。「如何なるか是れ沙門行。」師は言った。「恰似せり箇の屠児に。」言った。「如何に行履せん。」師は言った。「斎を破り戒を犯す。」言った。「究竟は作麼生。」師は言った。「因は収めず、果は入れず。」俗士が問うた。「俗人は還た仏法を会すを許すや否や。」師は言った。「那箇の台か月無く、誰が家の樹か春ならざる。」

瑞州五峰遇禪師

瑞州五峰遇禅師

僧問。佛未出世時如何。師曰。一堆泥土。問。如何是不撥不觸底人。師曰。閉目藏三寸。飜眉蓋眼睛。

僧が問うた。「仏未だ世に出づる時如何。」師は言った。「一堆の泥土。」問う。「如何なるか是れ撥かず触れざる底の人。」師は言った。「目を閉ぢて三寸を蔵し、眉を飜して眼睛を蓋う。」

撫州疎山證禪師

撫州疏山証禅師

初參先疎山得旨。後歷諸方。謁投子。子問。近離甚處。曰。延平。子曰。還將得劒來麼。曰。將得來。子曰。呈似老僧看。師乃指面前地。子便休。至晚問侍者。新到在麼。者曰。當時去也。子曰。三十年弄馬騎。今日被驢撲。住後。僧問。如何是就事學。師曰。著衣吃飯。曰。如何是就理學。師曰。騎牛去穢。曰。如何是向上事。師曰。溥際不收。問。如何是聲色混融句。師曰。不辨消不及。曰。如何是聲色外別行底句。師曰。難逢不可得。問。親切處乞一言。師以拄杖敲之。僧曰。為甚麼不道。師曰。得恁麼不識好惡。

初めて先の疏山を参じて旨を得た。後に諸方を歴て、投子を謁えた。子が問うた。「近く甚の処を離れた。」言った。「延平。」子は言った。「還た剣を将て得て来たか。」言った。「将て得て来た。」子は言った。「老僧に呈似して看よ。」師は乃ち面前の地を指した。子は便ち休んだ。晩に至りて侍者に問うた。「新到は在るか。」者は言った。「当時に去りぬ。」子は言った。「三十年馬を弄して騎り、今日驢に扑たれり。」住して後、僧が問うた。「如何なるか是れ事に就く学。」師は言った。「衣を着て飯を喫す。」言った。「如何なるか是れ理に就く学。」師は言った。「牛に騎りて穢れを去る。」言った。「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「溥際に収めず。」問う。「如何なるか是れ声色混融の句。」師は言った。「辨ぜず及ばず。」言った。「如何なるか是れ声色の外に別行する句。」師は言った。「逢い難く得る可からず。」問う。「親切の処に乞う一言を。」師は拄杖を以て之を敲いた。僧は言った。「なぜ道わざる。」師は言った。「恁麼に好悪を識らざるを得たり。」

洪州百丈明照安禪師

洪州百丈明照安禅師

新羅人也。僧問。一藏圓光。如何是體。師曰。勞汝遠來。曰。莫便是一藏圓光麼。師曰。更吃一椀茶。問。如何是和尚家風。師曰。手巾寸半布。問。萬法歸一。一歸何處。師曰。未有一箇人不問。問。如何是極則處。師曰。空王殿裡登九五。野老門前不立人。問。隨緣認得時如何。師曰。未認得時作麼生。問。如何是毗盧師。師曰。人天收不得。曰。如何是一代時教。師曰。義例分明。

新羅の人である。僧が問うた。「一蔵の円光、如何なるか是れ体。」師は言った。「汝の遠来を労す。」言った。「莫れ便ち是れ一蔵の円光か。」師は言った。「更に一椀の茶を喫せ。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「手巾は寸半の布。」問う。「万法は一に帰し、一は何の処に帰する。」師は言った。未だ一人も問わざる者有らず。問う。「如何なるか是れ極則の処。」師は言った。「空王殿裏に九五に登り、野老の門前に人を立てず。」問う。「縁に随いて認得する時如何。」師は言った。「未だ認得せざる時作麼生。」問う。「如何なるか是れ毘盧師。」師は言った。「人天も収め得ず。」言った。「如何なるか是れ一代の時教。」師は言った。「義例分明なり。」

瑞州黃檗山慧禪師

瑞州黄檗山慧禅師

洛陽人也。少出家。業經論。因增受菩薩戒。而歎曰。大士攝律儀。與吾本受聲聞戒。俱止持作犯也。然於篇聚增減。支本通別。制意且殊。既微細難防。復於攝善中未甞行於少分。況饒益有情乎。且世間泡幻。身命何可留戀哉。由是置講課。欲以身捐於水中。飼鱗甲之類。念已將行。偶二禪者接之款話。說。南方頗多知識。何滯於一隅。師從此回志參尋。屬關津嚴緊。乃謂守吏曰。吾非翫山水。誓求祖道。他日必不忘恩也。吏者察其志。遂不苛留。且謂之曰。師既為法忘身。回時願無吝所聞。師欣謝。直造疎山。時仁和尚坐法堂受參。師先顧視大眾。然後致問曰。剎那便去時如何。山曰。畐塞虗空。汝作麼生去。師曰。畐塞虗空。不如不去。山便休。師下堂參第一座。座曰。適來祇對甚奇特。師曰。此乃率爾。敢望慈悲。開示愚昧。座曰。一剎那間還有擬議否。師於言下頓省。禮謝。住後。僧問。黃檗一路荒來久。今日當陽事若何。師曰。虗空不假金鎚鍊。日月何曾待照人。師示滅。塔於本山。肉身至今如生。

洛陽の人である。少くして出家し、経論を業とした。増して菩薩戒を受くるに因りて嘆じて言った。「大士の摂律儀と、吾が本受けたる声聞戒と、俱に止持作犯なり、然るに篇聚の増減、支本の通別、制意且つ殊なり、既に微細にして防ぎ難く、復た摂善の中に於て曾て少分を行ぜず、況んや饒益有情をや。且つ世間は泡幻なり、身命は何ぞ留恋すべけんや。」是に由りて講課を置き、身を以て水中に捐て、鱗甲の類に飼わんと欲す。念は将に行わんとす。偶々二の禅者が之に接して款話して言った。「南方に頗る知识多し、何ぞ一隅に滞る。」師は此より志を回らして参尋した。関津の厳緊なるに属し、乃ち守吏に謂いて言った。「吾は山水を玩ぶに非ず、誓って祖道を求む、他日必ず恩を忘れざらん。」吏者は其の志を察し、遂に苛く留めず。且つ之に謂いて言った。「師既に法の為に身を忘る、回る時願わくは聞く所を吝かなること無れ。」師は欣んで謝し、直ちに疏山に造った。時に仁和尚が法堂に坐して参を受く。師は先ず大衆を顧視し、然る後に問を致して言った。「刹那に便ち去る時如何。」山は言った。「畐塞して虚空、汝作麼生に去る。」師は言った。「畐塞して虚空、如かず去らざるに。」山は便ち休んだ。師が堂を下りて第一座に参ず。座は言った。「適来の只对は甚だ奇特なり。」師は言った。「此は乃ち率爾なり、敢えて慈悲を望みて愚昧を開示せんことを。」座は言った。「一刹那間に還た擬議有るや否や。」師は言下に於て頓に省み、礼謝した。住して後、僧が問うた。「黄檗の一路は荒れ来ること久し、今日当陽の事如何。」師は言った。「虚空は金鎚の煉に仮らず、日月は何曾て人を照らすを待たん。」師は示滅した。塔は本山に在り。肉身は今に至るまで生くるが如し。

延州伏龍山奉璘禪師

延州伏龍山奉璘禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。橫身臥海。日裡挑燈。問。如何是伏龍境。師曰。山峻水流急。三冬發異華。問。和尚還愛財色也無。師曰。愛。曰。既是善知識。為甚麼卻愛財色。師曰。知恩者少。師問火頭。培火了也未。曰。低聲。師曰。甚麼處得這消息來。曰。不假多言。師曰。省錢易飽。吃了還饑。問。如何是和尚家風。師曰。長虀冷飯。曰。大寂寞生。師曰。僧家合如是。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「身を横えて海に臥し、日裏に灯を挑ぐ。」問う。「如何なるか是れ伏龍の境。」師は言った。「山は峻にして水は流れ急なり、三冬に異華を発す。」問う。「和尚は還た財色を愛するや無しや。」師は言った。「愛す。」言った。「既に是れ善知識、なぜ却って財色を愛する。」師は言った。「恩を知る者少なきなり。」師が火頭に問うた。「火を培うや未だ。」言った。「低く声せよ。」師は言った。「何の処にこの消息を得て来た。」言った。「多言に仮らず。」師は言った。「銭を省けば飽き易し、喫し了りて還た飢ゆ。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「長虀冷飯。」言った。「大いに寂寞なり。」師は言った。「僧家は合に是の如し。」

安州大安山省禪師

安州大安山省禅師

僧問。失路迷人。請師直指。師曰。三門前去。問。舉步臨危。請師指月。師曰。不指月。曰。為甚麼不指月。師曰。臨坑不推人。問。離四句。絕百非。請和尚道。師曰。我王庫內無如是刀。問。重重關鎻。信息不通時如何。師曰。爭得到這裡。曰。到後如何。師曰。彼中事作麼生。問。如何是真中真。師曰。十字路頭泥佛子。問。無為無事人。猶是金鎻難。金鎻牽不住。是甚麼人。師曰。向闍黎道即得。不可荒卻大安山去也。

僧が問うた。「路を失いて迷う人、請う師直指せん。」師は言った。「三門の前に去れ。」問う。「歩を挙げて危きに臨む、請う師に月を指さん。」師は言った。「月を指さず。」言った。「なぜ月を指さざる。」師は言った。「坑に臨みて人を推さず。」問う。「四句を離れ、百非を絶ち、請う和尚道え。」師は言った。「我が王の庫内に是の如き刀無し。」問う。「重重の関鎖、信息通ぜざる時如何。」師は言った。「争でか這裏に到るを得。」言った。「到りし後如何。」師は言った。「彼中の事は作麼生。」問う。「如何なるか是れ真中の真。」師は言った。「十字路頭の泥仏子。」問う。「無為無事の人は、猶お是れ金鎻の難、金鎻は牽き住めざるは、是れ何の人ぞ。」師は言った。「闍黎に向かって道えば即ち得、荒却して大安山に去る可からず。」

洪州百丈超禪師

洪州百丈超禅師

海東人也。僧問。祖意教意。是同是別。師曰。金雞玉兔。聽遶須彌。問。日落西山去。林中事若何。師曰。洞深雲出晚。㵎曲水流遲。問。某甲今日辭去。或有人問和尚說甚麼法。向他道甚麼。師曰。但道大雄山頂上。虎生師子兒。

海東の人である。僧が問うた。「祖意教意、是れ同か是れ別か。」師は言った。「金鶏玉兔、須弥を聴きて遶る。」問う。「日は西山に落ちて去り、林中の事如何。」師は言った。「洞深ければ雲の出づること晩く、㵎曲がれば水の流るること遅し。」問う。「某甲は今日辞去せん、或いは人有りて和尚の何の法を説くか問わば、他に向かって何を道わん。」師は言った。「但だ道え大雄山頂上に、虎が師子の児を生ずと。」

洪州天王院和尚

洪州天王院和尚

僧問。國內按劒者是誰。師曰。天王。問。百骸俱潰散。一物鎮長靈時如何。師曰。不墮無壞爛。問。如何是佛。師曰。錯。問。如何是無相道場。師曰。門外列金剛。

僧が問うた。「国内に剣を按ずる者は誰ぞ。」師は言った。「天王。」問う。「百骸俱に潰散し、一物は鎮長の霊ならん時如何。」師は言った。「堕せず壊爛せず。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「錯れり。」問う。「如何なるか是れ無相の道場。」師は言った。「門外に金剛を列ぬ。」

常州正勤院蘊禪師

常州正勤院薀禅師

魏府韓氏子。幼而出家。老有童顏。僧問。師唱誰家曲。宗風事若何。師曰。迥出簫韶外。六律豈能過。曰。不過底事作麼生。師曰。聲前拍不散。句後覓無蹤。問。如何是正勤一路。師曰。泥深三尺。曰。如何到得。師曰。闍黎從甚麼處來。問。如何是禪。師曰。石上蓮華火裡泉。曰。如何是道。師曰。楞伽峰頂一莖草。曰。禪道相去幾何。師曰。泥人落水木人撈。晉天福中順寂。葬於院側。經二稔。門人發塔。覩全身儼然。髮爪俱長。乃闍維。收舍利真骨重建塔焉。

魏府の韓氏の子。幼にして出家し、老いて童顔有り。僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風の事如何。」師は言った。「迥かに簫韶の外に出でて、六律は豈に過ぎんや。」言った。「過ぎざる底の事作麼生。」師は言った。「声前に拍せども散ぜず、句後に覓むるも蹤無し。」問う。「如何なるか是れ正勤の一路。」師は言った。「泥深きこと三尺。」言った。「如何にして到るを得。」師は言った。「闍黎は何の処より来た。」問う。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「石上の蓮華、火裏の泉。」言った。「如何なるか是れ道。」師は言った。「楞伽の峰頂の一茎の草。」言った。「禅と道とは相去ること幾何ぞ。」師は言った。「泥人が水に落ち、木人が捞う。」晋の天福中に順寂し、院の側に葬る。二稔を経て、門人が塔を発きて、全身の俨然たるを覩、髪爪俱に長し。乃ち闍維し、舎利真骨を収めて重ねて塔を建てたり。

襄州洞山瑞禪師

襄州洞山瑞禅師

僧問。道有又無時如何。師曰。龍頭蛇尾。腰間一劒。問。如何是無生曲。師曰。未問已前。

僧が問うた。「道に又有り又無しの時如何。」師は言った。「龍頭蛇尾、腰間に一剣。」問う。「如何なるか是れ無生の曲。」師は言った。「未だ問わざる已前。」

京兆府三相和尚

京兆府三相和尚

僧問。如何是無縫塔。師曰。覓縫不得。曰。如何是塔中人。師曰。對面不相見。問。如何是西來意。師曰。雪覆孤峰白。殘照露瑕痕。

僧が問うた。「如何なるか是れ無縫の塔。」師は言った。「縫を覓むるを得ず。」言った。「如何なるか是れ塔中の人。」師は言った。「対面に相見えず。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「雪は孤峰に覆い白く、残照は瑕痕を露わす。」

青林虔禪師法嗣

青林虔禅師法嗣

襄州萬銅山廣德延禪師

襄州万銅山広徳延禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。山前人不住。山後人更忙。問。如何是透法身句。師曰。無力登山水。茅戶絕知音。問。如何是佛法大意。師曰。始嗟黃葉落。又見柳條青。問。盡大地是箇死屍。向甚麼處葬。師曰。北邙山下。千丘萬丘。師不安。僧問。和尚患箇甚麼。師曰。無私不墜的。曰。恁麼則已知和尚病源也。師曰。你道老僧患甚麼。曰。和尚忌口好。師便打。問。如何是佛。師曰。畵戟門開見墜仙。僧後問悟空。畵戟門開見墜仙。意旨如何。空曰。直饒親見釋迦來。智者鹹言不是佛。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「山前の人は住せず、山後の人は更に忙し。」問う。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「力無くして山水に登り、茅戸に知音絶えり。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「始めて黄叶の落つるを嗟し、又見る柳条の青きを。」問う。「大地を尽くして箇の死屍なり、何の処に向かって葬らん。」師は言った。「北邙山の下、千丘万丘。」師が不安なり。僧が問うた。「和尚は箇の何を患える。」師は言った。「私無くして墜ちざる的なり。」言った。「恁麼ならば已に和尚の病源を知れたり。」師は言った。「汝道え老僧は何を患える。」言った。「和尚は忌口すること好し。」師は便ち打った。問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「画戟の門開けば墜仙を見る。」僧は後に悟空に問うた。「画戟の門開けば墜仙を見る、意旨如何。」空は言った。「直饒親しく釈迦の来るを見るも、智ある者は咸く是れ仏に非ずと言う。」

襄州石門獻蘊禪師

襄州石門献薀禅師

京兆人也。初問青林。如何用心。得齊於諸聖。林仰面良久曰。會麼。師曰。不會。林曰。去。無子用心處。師禮拜。乃契悟。更不他遊。遂作園頭。一日歸侍立次。林曰。子今日作甚麼來。師曰。種菜來。林曰。徧界是佛身。子向甚處種。師曰。金鉏不動土。靈苗在處生。林欣然。來日入園。喚。蘊闍黎。師應喏。林曰。剩栽無影樹。留與後人看。師曰。若是無影樹。豈受栽邪。林曰。不受栽且止。你曾見他枝葉麼。師曰。不曾見。林曰。既不曾見。爭知不受栽。師曰。祇為不曾見。所以不受栽。林曰。如是。如是。林將順寂。召師。師應諾。林曰。日轉西山後。不須取次安。師曰。雪滿金檀樹。靈枝萬古春。林曰。或有人問你金針線囊事。子道甚麼。師曰。若是毛羽相似者。某甲終不敢造次。初住南嶽蘭若。未幾遷夾山。道由潭州時。楚王馬氏出城延接。便問。如何是祖師西來大道。師曰。好大哥。御駕六龍千古秀。玉街排仗出金門。王大喜。延入天𠕋府。供養數日。方至夾山。開堂。僧問。今日一會。何異靈山。師曰。天垂寶蓋重重異。地湧金蓮葉葉新。曰。未審將何法示人。師曰。無絃琴韻流沙界。清音普應大千機。問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。一曲宮商才品弄。辨寶還他碧眼胡。曰。恁麼則清流分洞下。滿月照青林去也。師曰。多子塔前分的意。至今異世度洪音。問。如何是夾山正主。師曰。好手須知欒布作。韓光虗妄立功勳。問。如何是西來意。師曰。玉璽不離天子手。金箱豈許外人知。問。不落機關。請師便道。師曰。湛月迅機無可比。君今曾問幾人來。曰。即今問和尚。師曰。好大哥。雲綻不須藏九尾。恕君殘壽速歸丘。師以蠻夷作亂。遂離夾山至襄州。創石門寺。再振玄風。上堂。瑠璃殿上光輝。而日日無私。七寶山中晃耀。而頭頭有據。泥牛運步。木馬嘶聲。野老謳歌。

京兆の人である。初めて青林に問うた。「如何に心を用ゐて諸聖に斉しきを得ん。」林が面を仰ぎて良久して言った。「会するか。」師は言った。「会せず。」林は言った。「去れ、子の心を用ゐる処無し。」師が礼拝して乃ち契悟し、更に他に游ばず。遂に園頭を作った。一日帰りて侍立する次、林は言った。「子は今日何を作して来た。」師は言った。「菜を種えて来た。」林は言った。「徧界是れ仏身、子は甚の処に向かって種える。」師は言った。「金鉏は土を動かさず、霊苗は処処に生ず。」林は欣然とし、来日園に入りて喚んだ。「薀闍黎。」師が喏と応えた。林は言った。「剰えに無影の樹を栽えて、後人に与へて看せしめん。」師は言った。「若し是れ無影の樹ならば、豈に栽むるを受けんや。」林は言った。「栽むるを受けざれば且く止め、汝は曾て他の枝葉を見たか。」師は言った。「曾て見ず。」林は言った。「既に曾て見ず、争でか栽むるを受けざるを知る。」師は言った。「只だ曾て見ざるが為、是を以て栽むるを受けず。」林は言った。「是の如し、是の如し。」林が将に順寂せんとす、師を召す。師が応諾した。林は言った。「日は西山の後に転ず、須く取次に安んずること勿れ。」師は言った。「雪は金檀樹に満ち、霊枝は万古の春なり。」林は言った。或いは人有りて汝に金針線嚢の事を問わば、子は何を道う。師は言った。「若し是れ毛羽相似の者ならば、某甲は終に敢えて造次せざらん。」初めて南岳の蘭若に住し、未几にして夾山に遷った。道は潭州に由る時、楚王の馬氏が城を出でて延接し、便ち問うた。「如何なるか是れ祖師西来の大道。」師は言った。「好き大哥、御駕の六龍は千古に秀で、玉街は仗を排して金門を出づ。」王大いに喜び、天𠕋府に延き入れて数日供養し、方に夾山に至りて堂を開いた。僧が問うた。「今日の一會、霊山に何の異ならん。」師は言った。「天は宝蓋を垂れて重重に異なり、地は金蓮を涌して葉葉に新なり。」言った。「未だ審らかならず何の法を将て人に示す。」師は言った。「弦無き琴の韻は沙界に流れ、清音は普く大千の機に応ず。」問う。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「一曲の宮商を纔かに品弄すれば、宝を辨ずるは還た他の碧眼の胡。」言った。「恁麼ならば則ち清流は洞下に分かれ、満月は青林を照らして去るなり。」師は言った。「多子塔の前に分かつ意は、今に至るまで異世に洪音を度す。」問う。「如何なるか是れ夾山の正主。」師は言った。「好手は須知すべし欒布の作るを、韓光は虚妄に功勲を立つ。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「玉璽は天子の手を離れず、金箱は豈に外人に知らしめんや。」問う。「機関に落ちず、請う師に便ち道わん。」師は言った。「湛月の迅機は比ぶ可き無し、君は今曾て幾人に問うた。」言った。「即今和尚に問う。」師は言った。「好き大哥、雲綻きて須く九尾を蔵するに及ばず、君の残寿を恕めて速やかに丘に帰れ。」師は蛮夷の乱を作すを以て、遂に夢山を離れて襄州に至り、石門寺を創め、再び玄風を振った。上堂して言った。「瑠璃殿上の光輝は、日々に私無し、七宝山の中に晃耀して、

樵人舞袖。太陽路上。古曲玄音。林下相逢。更有何事。僧問。月生雲際時如何。師曰。三箇孩兒抱華皷。好大哥。莫來攔我毬門路。問。如何是和尚家風。師曰。常騎駿馬驟高樓。鐵鞭指盡胡人路。問。如何是石門境。師曰。徧界黃金無異色。往來遊子罷追尋。曰。如何是境中人。師曰。無相不居凡聖位。經行鳥道沒蹤由。問。猛虎當軒時如何。師曰。性命不存。曰。恁麼則遭他毒手。師曰。一任齩嚼。問。如何是淨土中人。師曰。披毛遊火聚。戴角混塵泥。問。道界無窮際。通身絕點痕時如何。師曰。渺渺白雲漫雪嶽。轉身玄路莫遲遲。曰。未審轉身路在甚麼處。師曰。石人舉手分明記。萬年枯骨笑時看。問。如如不動時如何。師曰。有甚麼了日。曰。如何即是。師曰。石戶非關鎻。般若寺遭焚。有人問曰。既是般若。為甚麼被火燒。師曰。萬裡一條鐵。師應機多雲好大哥。時稱大哥和尚。

頭頭に拠有り、泥牛は歩を運び、木馬は声を嘶かし、野老は歌を謳い、樵人は袖を舞す。太陽の路上に、古曲の玄音、林下に相逢う、更に何の事か有らん。僧が問うた。「月は雲際に生ずる時如何。」師は言った。「三箇の孩児が華皷を抱く、好き大哥、我が毬門の路を拦うこと来ること莫れ。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「常に駿馬に騎りて高楼を驟らし、鉄鞭は胡人の路を指し尽くす。」問う。「如何なるか是れ石門の境。」師は言った。「徧界の黄金に異色無く、来往の游子は追尋を罷む。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「無相は凡聖の位に居らず、経行は鳥道に蹤由を没す。」問う。「猛虎が軒に当たる時如何。」師は言った。「性命存せず。」言った。「恁麼ならば則ち他の毒手に遭う。」師は言った。「一任に齩嚼せよ。」問う。「如何なるか是れ浄土中の人。」師は言った。「毛を披きて火聚に游び、角を戴きて塵泥に混ず。」問う。「道界は窮際無く、通身は点痕を絶つ時如何。」師は言った。「渺渺たる白雲は雪岳に漫り、身を轉じて玄路に遅々すること莫れ。」言った。「未だ審らかならず轉身の路は何の処にか在る。」師は言った。「石人が手を挙げて分明に記す、万年の枯骨は笑う時に看よ。」問う。「如如不動の時如何。」師は言った。「何の了日か有らん。」言った。「如何にして即ち是ならん。」師は言った。「石戸は関鎖に非ず。」般若寺が焚に遭い、人有りて問うて言った。「既に是れ般若、なぜ火に焼かる。」師は言った。「万里の一条の鉄。」師は機に応ずること多く好き大哥と云う。時に大哥和尚と称す。

韶州龍光諲禪師

韶州龍光𬤇禅師

僧問。人王與法王。相見時如何。師曰。越國君王曾按劒。龍光一句不曾虧。上堂。良久曰。不煩珍重。問。如何是西來意。師曰。胡風一扇。漢地成規。問。撥塵見佛時如何。師拊掌顧視。問。如何是龍光一句。師曰。不空罥索。曰。學人不會。師曰。唵。問。如何是極則為人處。師曰。殷勤囑付後來人。問。賓頭盧一身。為甚麼赴四天下供。師曰。千江同一月。萬戶盡逢春。遂有偈曰。龍光山頂寶月輪。照耀乾坤爍暗雲。尊者不移元一質。千家影現萬家春。

僧が問うた。「人王と法王と相見る時如何。」師は言った。「越国の君王は曾て剣を按じ、龍光の一句は曾て亏かず。」上堂して良久して言った。「煩わず珍重せよ。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「胡風一扇、漢地に規を成す。」問う。「塵を撥きて仏を見る時如何。」師が掌を拊ちて顧視した。問う。「如何なるか是れ龍光の一句。」師は言った。「空ならざる罥索。」言った。「学人会せず。」師は言った。「唵。」問う。「如何なるか是れ極則に人と為る処。」師は言った。「殷勤に後来の人に嘱付す。」問う。「賓頭盧の一身、なぜ四天下の供に赴く。」師は言った。「千江は同一月、万戸は尽く春に逢う。」遂に偈有りて言った。「龍光山頂の宝月輪、照耀して乾坤に暗云を爍かす、尊者は元一の質を移さず、千家に影現れて万家の春。」

郢州芭蕉和尚

郢州芭蕉和尚

僧問。十二時中如何用心。師曰。攏摠一木盆。問。如何是道。師曰。或橫三。或竪五。曰。如何是道中人。師曰。罷舉雲中信。半夜太陽輝。

僧が問うた。「十二時中に如何に心を用ゐる。」師は言った。「攏摠の一木盆。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「或いは横に三、或いは竪に五。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。「雲中の信を挙げるを罷め、半夜に太陽輝く。」

定州石藏慧炬禪師

定州石蔵慧炬禅師

僧問。如何是西來意。師曰。樹帶滄浪色。山橫一抹青。問。如何是伽藍。師曰。祇這是。曰。如何是伽藍中人。師曰。作麼。作麼。曰。忽遇客來。將何祇待。師曰。吃茶去。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「樹は滄浪の色を帯び、山は一抹の青を横える。」問う。「如何なるか是れ伽藍。」師は言った。「只だ這れ。」言った。「如何なるか是れ伽藍中の人。」師は言った。「作麼、作麼。」言った。「忽ち客の来るに遇わば、将に何を以て只だ待たん。」師は言った。「茶を喫して去れ。」

白水仁禪師法嗣

白水仁禅師法嗣

京兆府重雲智暉禪師

京兆府重雲智暉禅師

鹹秦高氏子。總角之歲。好遊佛宇。誓志出家。父母不能止。禮圭峰溫禪師。剃度後謁白水。獨領微言。潛通秘鍵。尋回洛卜於中灘。創溫室院。常施水給藥為事。有比丘患白癩。眾惡之。唯師與之摩洗如常。俄有神光異香。既而訝之。遂失所在。遺瘡痂。馨香酷烈。遂聚而塑觀音像以藏之。師後忽欲歸終南圭峰舊居。一日閑步巖岫間。如常寢處。焂覩摩衲數珠。銅瓶椶笠。觸之即壞。謂侍者曰。此吾前身道具耳。就茲建寺。以酬宿因。當薙草間。有祥雲蔽日。屯於峰頂。久而不散。因目為重雲山。猛獸皆自引去。及塞龍潭以通徑。龍亦他徙。後唐明宗賜額曰長興。學侶臻萃。上堂。僧問。如何是歸根得旨。師曰。早是忘卻。不憶塵生。曰。如何是隨照失宗。師曰。家遭劫賊。問。不憶塵生。如何是進身一路。師曰。足下已生草。前程萬丈坑。問。要路坦然。如何踐履。師曰。我若指汝。則東西南北去也。問。如何是重雲秤。師曰。任將天下勘。問。如何是截鐵之言。師曰。寧死不犯。問。如何是迦葉親聞底事。師曰。重雲記不得。問。如何是重雲境。師曰。四時花蔟蔟。三冬異草青。師闡法四十餘年。節度使王彥超微時常從師遊。欲為沙門。師熟視曰。汝世緣深。當為我家垣墻。王公後果鎮永興。申弟子禮。師將順世。先與王公言別。囑護法門。王公泣曰。師忍棄弟子乎。師笑曰。借千年亦一別耳。及歸。書偈示眾曰。我有一間舍。父母為修蓋。住來八十年。近來覺損壞。早擬移別處。事涉有憎愛。待他摧毀時。彼此無妨礙。乃跏趺而逝。塔於本山。

咸秦の高氏の子。総角の歳、仏宇に游ぶを好み、志を誓いて出家せんとす。父母も止める能わず。圭峰温禅師に礼し、剃度の後白水を謁え、独り微言を領し、潜かに秘鍵を通ず。尋いで洛に回りて中灘に卜し、温室院を創め、常に水を施し薬を給するを事とす。比丘有りて白癩を患え、衆は之を悪む。唯だ師之と摩洗すること常の如し。俄にして神光異香有り。既にして之を訝れば、遂に在所を失い、瘡痂を遺す。馨香酷烈なり。遂に聚めて観音像を塑して之を蔵す。師は後に忽ち終南圭峰の旧居に帰らんと欲す。一日巌岫の間を閑歩して、常の寝処の如し。焂に摩衲の数珠、銅瓶椶笠を覩、触れば即ち壊る。侍者に謂いて言った。「此は是れ吾が前身の道具なり、兹に就いて寺を建て、以て宿因を酬いん。」薙草の間に当たりて、祥雲有りて日を蔽い、峰頂に屯して久しくして散ぜず、因りて目して重雲山と為し、猛獣は皆自ら引き去り、及び龍潭を塞ぎて径を通ずるに、龍も亦た他に徙れたり。後唐明宗は額を賜いて長興と曰う。学侶臻り萃まる。上堂。僧が問うた。「如何なるか是れ根に帰りて旨を得。」師は言った。「早く是れ忘却して、塵生を憶えず。」言った。「如何なるか是れ照に随いて宗を失う。」師は言った。「家は劫賊に遭う。」問う。「塵生を憶えざれば、如何なるか是れ身を進むる一路。」師は言った。「足下は已に草を生じ、前程は万丈の坑。」問う。「要路は坦然なり、如何に践履せん。」師は言った。「我若し汝を指せば、則ち東西南北に去らん。」問う。「如何なるか是れ重雲の秤。」師は言った。「天下を将て勘ずるに任れよ。」問う。「如何なるか是れ鉄を截る言。」師は言った。「寧ろ死すとも犯さず。」問う。「如何なるか是れ迦葉の親しく聞きし底の事。」師は言った。「重雲は記え得ず。」問う。「如何なるか是れ重雲の境。」師は言った。「四時に花蔟蔟、三冬に異草青し。」師は法を闡くこと四十余年、節度使の王彦超は微なる時常に師に従りて游び、沙門と為らんと欲す。師は熟視して言った。「汝は世縁深し、当に我が家の垣墻と為るべし。」王公は後に果たして永興を鎮め、弟子の礼を申した。師は将に順世せんとす、先に王公と言い別れ、法門を護るを嘱す。王公は泣きて言った。「師は弟子を棄つるに忍ぶか。」師は笑って言った。「千年を借るとも亦た一別のみ。」及び帰りて、偈を書して衆に示して言った。「我に一間の舎有り、父母が為に修蓋し、住して来ること八十年、近來壊損を覚ゆ、早く別処に移らんと擬すも、事は憎愛に渉り、他の摧毁の時を待てば、彼此に妨碍無し。」乃ち跏趺して逝く、塔は本山に在り。

杭州瑞龍院幼璋禪師

杭州瑞龍院幼璋禅師

唐相國夏侯孜之猶子也。大中初。伯父司空出鎮廣陵。師方七歲。遊慧照寺。聞誦法華。志求出家。伯父初不允。因師絕飲食。不得已而許之。師慧遠禪師。後遊諸禪會。薯山白水。鹹受心訣。咸通十三年至江陵。騰騰和尚囑之曰。汝往天台尋靜而棲。遇安即止。已而又值憨憨和尚撫而記曰。汝卻後四十年。有巾子山下菩薩。王於江南。當此時吾道昌矣。尋抵天台山。於靜安鄉創福唐院。乃契騰騰之言。又住隱龍院。中和四年。浙東饑疫。師於溫臺明三郡收瘞遺骸。時謂悲增大士。雪峰甞往見之。遺椶櫚拂子而去。天祐三年。錢尚父遣使童建賷衣服香藥。入山致請。至府庭。署志德大師。館於功臣堂。日親問法。師請每年於天台山建金光明道場。諸郡黑白大會。逾月而散(光明大會始於師也)。將辭歸山。王加戀慕。於府城建瑞龍院(文穆王改為寶山院)。延請開法。時禪門興盛。斯則憨憨懸記應矣。上堂。老僧頃年遊歷江外.嶺南.荊湖。但有知識叢林。無不參問來。蓋為今日與諸人聚會。各要知箇去處。然諸方終無異說。祇教當人歇卻狂心。休從他覓。但隨方任真。亦無真可任。隨時受用。亦無時可用。設垂慈苦口。且不可呼晝作夜。更饒善巧。終不能指東為西。脫或能爾。自是神通作怪。非幹我事。若是學語之流。不自省己知非。直欲向空裡採花。波中取月。還著得心力麼。汝今各且退思。忽然肯去。始知瑞龍老漢事不獲已。迂迴太甚。還肯麼。時有僧問。如何是瑞龍境。師曰。道汝不見得麼。曰。如何是境中人。師曰。後生可畏。問。廓然無雲。如何是中秋月。師曰。最好是無雲。曰。恁麼則一輪高掛。萬國同觀去也。師曰。揑目之子難與言。天成二年丁亥四月。乞墳塔於尚父。父命陸仁璋於西關選勝地。建塔創院。改天台隱龍為隱跡。塔畢。師入府庭辭尚父。囑以護法。尅期順寂。尚父悲悼。

唐の相国夏侯孜の猶子である。大中の初、伯父の司空が出でて広陵を鎮む。師は方に七歳、慧照寺に游び、法華を誦するを聞き、志して出家を求む。伯父は初め允さず、師が飲食を絶つに因り、已むを得ずして之を許した。師は慧遠禅師なり。後に諸の禅会に游び、薯山白水、咸く心訣を受けた。咸通十三年に江陵に至り、騰騰和尚が之に嘱して言った。「汝は天台に往きて静かを尋ねて栖め、安に遇えば即ち止まれ。」已にして又た憨憨和尚に值い、撫して記して言った。「汝は却って後四十年に、巾子山下に菩薩有りて江南に王と為らん、此の時に当たりて吾が道昌らんと。」尋いで天台山に抵り、静安郷に於て福唐院を創め、乃ち騰騰の言に契し、又た隠龍院に住した。中和四年、浙東に飢疫有り。師は温台明の三郡に於て遺骸を収瘗した。時に悲増大士と謂う。雪峰は甞て往きて之を見、椶櫚の拂子を遺して去った。天祐三年、銭尚父は使いの童建に衣服香薬を賷らしめて、山に入りて請を致した。府庭に至りて、志徳大師を署し、功臣堂に館す。日に親しく法を問う。師は請うて每年天台山に金光明道場を建てんとす、諸郡の黒白の大会、月を逾えて散ず(光明大会は師に始まる)。将に辞して山に帰らんとす、王は恋慕を加え、府城に瑞龍院を建つ(文穆王は宝山院と改めた)。延き請い去て法を開く。時に禅門興盛なり、斯は則ち憨憨の懸記応えり。上堂して言った。「老僧は頃年江外・嶺南・荆湖を游歴し、但だ知识叢林有れば、参問せざる無きなり、蓋して今日の諸人と聚会するが為なり、各々要す箇の去処を知るを。然るに諸方は終に異説無く、只だ当人に歇却の狂心を教え、他に従りて覓むるを休め、但だ方に随いて真に任るも、亦た任る可き真無く、時に随いて受用するも、亦た用ゐる可き時無し、設し慈を垂れ口を苦しむるも、且つ昼を呼びて夜と作す可からず、更に善巧を饒るも、終に東を指して西と為す能わず。脱ふ或いは能く爾らば、自ら是れ神通の作怪、我が事に干らず。若し是れ学語の流ならば、自ら己を省みて非を知らず、直に空裏に花を采り、波中に月を取らんと欲す、還た心力を着くるを得るか。汝今各々且く退思せよ、忽然として肯んずること去らば、始めて瑞龍の老漢の事は已むを得ざる、迂回の太だ甚しきを知らん、還た肯んずるか。」時に僧が問うた。「如何なるか是れ瑞龍の境。」師は言った。「汝が見るを得ざると道うか。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「後生畏る可し。」問う。「廓然として雲無し、如何なるか是れ中秋の月。」師は言った。「最も好きは是れ雲無き。」言った。「恁麼ならば則ち一輪高く挂かりて、万国同じく観て去らん。」師は言った。「目を揑むの子とは与に言い難し。」天成二年丁亥四月、尚父に墳塔を乞う、父は陸仁璋に命じて西関に勝地を選ばしめ、塔を建て院を創め、天台の隠龍を改めて隠迹と為す。塔畢りて、師は府庭に入りて尚父を辞し、以て法を護るを嘱し、剋期して順寂す。尚父は悲悼し、

遣僧正集在城宿德。迎引入塔。

僧正を遣わして在城の宿徳を集め、迎え引きて塔に入れしめた。

白馬儒禪師法嗣

白馬儒禅師法嗣

興元府青剉山如觀禪師

興元府青剉山如観禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。無底籃子拾生菜。問。如何是青剉境。師曰。三冬華木秀。九夏雪霜飛。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「底無き籃子に生菜を拾う。」問う。「如何なるか是れ青剉の境。」師は言った。「三冬に華木秀で、九夏に雪霜飛ぶ。」

龍牙遁禪師法嗣

龍牙遁禅師法嗣

潭州報慈藏嶼匡化禪師

潭州報慈蔵嶼匡化禅師

僧問。心眼相見時如何。師曰。向汝道甚麼。問。如何是實見處。師曰。絲毫不隔。曰。恁麼則見也。師曰。南泉甚好去處。問。如何是西來意。師曰。昨夜三更送過江。問。臨機便用時如何。師曰。海東有果樹頭心。問。如何是真如佛性。師曰。阿誰無。問。如何是向上一路。師曰。郴連道永。問。和尚年多少。師曰。秋來黃葉落。春到便開花。問僧。甚處來。曰。臥龍來。師曰。在彼多少時。曰。經冬過夏。師曰。龍門無宿客。為甚麼在彼許多時。曰。師子窟中無異獸。師曰。汝試作師子吼看。曰。某甲若作師子吼。即無和尚。師曰。念汝新到。放汝三十棒。問。如何是湖南境。師曰。艛船戰棹。曰。還許學人遊翫也無。師曰。一任闍黎打僜。問。和尚百年後。有人問如何祇對。師曰。分明記取。問。情生智隔。想變體殊。祇如情未生時如何。師曰。隔。曰。情未生時。隔箇甚麼。師曰。這箇梢郎子未遇人在。問。如何是龍牙山。師曰。益陽那邊。曰。如何即是。師曰。不擬。曰。如何是不擬去。師曰。恁麼則不是。問。古人面壁。意旨如何。師良久卻召僧。僧應諾。師曰。你去。別時來。上堂。一句徧大地。一句才問便道。一句問亦不道。僧問。如何是徧大地句。師曰。無空闕。曰。如何是才問便道句。師曰。低聲。低聲。曰。如何是問亦不道句。師曰。便合知時。

僧が問うた。「心眼相見る時如何。」師は言った。「汝に向かって何を道わん。」問う。「如何なるか是れ実見の処。」師は言った。「絲毫も隔てず。」言った。「恁麼ならば則ち見たり。」師は言った。「南泉は甚だ好き去処。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「昨夜三更に送りて江を過ぎたり。」問う。「機に臨みて便ち用ゐる時如何。」師は言った。「海東に果樹の頭心有り。」問う。「如何なるか是れ真如仏性。」師は言った。「阿谁無からん。」問う。「如何なるか是れ向上の一路。」師は言った。「郴は連に道い、永。」問う。「和尚は年多少。」師は言った。「秋来れば黄叶落ち、春到れば便ち花開く。」僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「臥龍より来た。」師は言った。「彼に在ること多少の時ぞ。」言った。「冬を経て夏を過ぐ。」師は言った。「龍門に宿客無し、なぜ彼に許多の時在る。」言った。「師子窟中に異獣無し。」師は言った。「汝試しに師子吼を作して見よ。」言った。「某甲若し師子吼を作せば、即ち和尚無からん。」師は言った。「汝が新到なるを念い、汝に三十棒を放つ。」問う。「如何なるか是れ湖南の境。」師は言った。「艛船の戦棹。」言った。「還た学人の游玩を許すや無しや。」師は言った。「一任に闍黎が打僜せよ。」問う。「和尚百年の後、人有りて問わば如何に只对せん。」師は言った。「分明に記取せよ。」問う。「情生じ智隔たり、想変じて体殊なり、只如く情未だ生ぜざる時如何。」師は言った。「隔てり。」言った。「情未だ生ぜざる時、箇の何を隔てる。」師は言った。「這箇の梢郎子は未だ人に遇わざる在り。」問う。「如何なるか是れ龍牙山。」師は言った。「益陽の那辺。」言った。「如何にして即ち是ならん。」師は言った。「擬せず。」言った。「如何なるか是れ擬せざるに去る。」師は言った。「恁麼ならば則ち是ならず。」問う。「古人の面壁、意旨如何。」師が良久して却って僧を召した。僧が応諾した。師は言った。「汝去れ、別の時に来れ。」上堂して言った。「一句は大地に徧し、一句は纔かに問えば便ち道い、一句は問うも亦た道わず。」僧が問うた。「如何なるか是れ大地に徧する句。」師は言った。「空闕無し。」言った。「如何なるか是れ纔かに問えば便ち道う句。」師は言った。「低く声せよ、低く声せよ。」言った。「如何なるか是れ問うも亦た道わざる句。」師は言った。「便ち合に時を知るべし。」

襄州含珠山審哲禪師

襄州含珠山審哲禅師

僧問。如何是和尚深深處。師曰。寸釘才入木。九牛拽不出。問。如何是正法眼。師曰。門前神樹子。問。如何是佛法大意。師曰。貧兒抱子渡。恩愛競隨流。問僧。有亦不是。無亦不是。不有不無亦不是。汝本來名箇甚麼。曰。學人已具名了。師曰。具名即不無。畢竟名箇甚麼。曰。祇這莫便是否。師曰。且喜沒交涉。曰。如何即是。師曰。親切處更請一問。曰。學人道不得。請和尚道。師曰。別日來與汝道。曰。即今為甚麼不道。師曰。覓箇領話人不可得。又問僧。張王李趙不是汝本來姓。汝本來姓箇甚麼。曰。與和尚同姓。師曰。同姓即且從汝。本來姓箇甚麼。曰。待漢水逆流。卻向和尚道。師曰。即今為甚麼不道。曰。漢水逆流也未。師休去。問。隨緣認得時如何。師曰。是甚麼。問。如何是無位真人。師曰。別安排。又爭得。曰。不安排時如何。師曰。無位真人。問。如何是真經。師曰。阿彌陀。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の深深の処。」師は言った。「寸釘は纔かに木に入れば、九牛も拽き出でず。」問う。「如何なるか是れ正法眼。」師は言った。「門前の神樹子。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「貧児が子を抱きて渡り、恩愛は競りて流に随う。」僧に問うた。「有るも亦た是ならず、無きも亦た是ならず、不有亦不無も亦た是ならず、汝は本来箇の何を名づける。」言った。「学人は已に名を具え了れり。」師は言った。「名を具うるは即ち無からざらず、畢竟箇の何を名づける。」言った。「只だ這れ莫れ便ち是か否か。」師は言った。「且く喜ぶ交渉無きを。」言った。「如何にして即ち是ならん。」師は言った。親切の処に更に一問を請え。言った。「学人は道い得ず、請う和尚道え。」師は言った。「別の日に来りて汝に与えて道わん。」言った。「即今なぜ道わざる。」師は言った。「箇の話を領する人を覓むるも得る可からず。」又た僧に問うた。「張王李趙は汝の本来の姓に非ず、汝は本来箇の何を姓とする。」言った。「和尚と同姓す。」師は言った。「同姓は即ち且く汝に従わん、本来箇の何を姓とする。」言った。「漢水の逆流するを待ちて、却って和尚に向かって道わん。」師は言った。「即今なぜ道わざる。」言った。「漢水は未だ逆流せず。」師は休して去った。問う。「縁に随いて認得する時如何。」師は言った。「是れ何ぞ。」問う。「如何なるか是れ無位の真人。」師は言った。「別に安排すれば、又争でか得ん。」言った。「安排せざる時如何。」師は言った。「無位の真人。」問う。「如何なるか是れ真経。」師は言った。「阿弥陀。」

西川存禪師

西川存禅師

僧問。學人解問誵訛句。請師舉起訝人機。師曰。巢父不牽牛。許由不洗耳。問。具足底人來。師還接否。師便打。

僧が問うた。学人は誵訛の句を問うことを解す、請う師挙げて人の機を訝しまん。師は言った。「巣父は牛を牽かず、許由は耳を洗わず。」問う。「具足の人が来れば、師は還た接するや否や。」師は便ち打った。

華嚴靜禪師法嗣

華厳静禅師法嗣

鳳翔府紫陵匡一定覺禪師

鳳翔府紫陵匡一定覚禅師

初到蟠龍。見僧問。碧潭清似鏡。蟠龍何處安。龍曰。沈沙不見底。浮浪足巑岏。師不肯。龍請師道。師曰。金龍迥透青霄外。潭中豈滯玉輪機。龍肯之。住後。僧問。未作人身已前。作甚麼來。師曰。石牛步步火中行。返顧休銜日中草。問。智識路絕。思議併忘時如何。師曰。停囚長智。養病喪軀。

初めて蟠龍に到る。僧に見えて問うた。「碧潭は清きこと鏡の如し、蟠龍は何の処にか安んずる。」龍は言った。「沙を沈めて底を見ず、浮浪は巑岏たり。」師は肯ぜず、龍は師に道わんことを請う。師は言った。「金龍は迥かに青霄の外に透り、潭中に豈に玉輪の機を滞めんや。」龍は之を肯とした。住して後、僧が問うた。「未だ人身を作さざる已前、何を作して来た。」師は言った。「石牛は歩歩に火中を行き、返り顧いて日の中の草を銜むるを休めよ。」問う。「智識の路絶え、思議并せて忘るる時如何。」師は言った。「囚を停めて長く智め、病を養りて軀を喪う。」

九峰滿禪師法嗣

九峰満禅師法嗣

洪州同安院威禪師

洪州同安院威禅師

僧問。牛頭未見四祖時如何。師曰。路邊神樹子。見者盡擎拳。曰。見後如何。師曰。室內無靈床。渾家不著孝。問。祖意教意。是同是別。師曰。玉兔不曾知曉意。金烏爭肯夜頭明。問。如何是同安一曲。師曰。靈琴不別人間韻。知音豈度伯牙門。曰。未審何人和得。師曰。木馬嘶時從彼聽。石人拊掌阿誰聞。曰。或遇知音時如何。師曰。知音不度耳。達者豈同聞。師一日遊山。大眾隨後。師曰。堦前翠竹。砌下黃花。古人道真如般若。同安即不然。有僧曰。古人也好和尚。師曰。不貪香餌味。可謂碧潭龍。曰。諸方眼目。不怪淵明。師曰。闍黎閉目中秋坐。卻笑月無光。曰。堦前翠竹。砌下黃花。又作麼生。師曰。安南未伏。塞北那降。僧禮拜。師曰。名稱普聞。師問僧。寅晡飲啄。無處藏身。你道有此道理麼。曰。和尚作麼生。師打一拂子。僧曰。撲手徵人。徒誇好手。師曰。握鞭側帽。豈是闍黎。曰。今古之道。何處藏身。師曰。闍黎作麼生。僧珍重。便出。師曰。未在。

僧が問うた。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「路辺の神樹子、見る者は尽く拳を擎ぐ。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「室中に霊床無く、渾家は孝を着けず。」問う。「祖意教意、是れ同か是れ別か。」師は言った。「玉兔は曾て曉意を知らず、金烏は争でか夜頭の明るきを肯んずや。」問う。「如何なるか是れ同安の一曲。」師は言った。「霊琴は人間の韻を別たず、知音は豈に伯牙の門に度さん。」言った。「未だ審らかならず何の人か和するを得。」師は言った。「木馬の嘶く時は彼に従りて聴け、石人の掌を拊つを阿谁か聞かん。」言った。「或いは知音に遇う時如何。」師は言った。「知音は耳を度さず、達する者は豈に聞を同じうせん。」師が一日山に游ぶ。大衆は後に随った。師は言った。「階前の翠竹、砌下の黄花、古人は真如般若と道う、同安は即ち然らず。」僧有りて言った。「古人も亦た好し和尚。」師は言った。「香餌の味を貪らず、謂う可し碧潭の龍と。」言った。「諸方の眼目、淵明を怪しまず。」師は言った。「闍黎は目を閉ぢて中秋に坐し、却って月の光無きを笑う。」言った。「階前の翠竹、砌下の黄花、又作麼生。」師は言った。「安南は未だ伏せず、塞北は那ぞ降さん。」僧が礼拝した。師は言った。「名称普く聞ゆ。」師が僧に問うた。「寅晡に飲啄するに身を蔵する処無し。汝道え此の道理有るか。」言った。「和尚は作麼生。」師が一拂子を打った。僧は言った。「手を扑する征人、徒らに好手を誇る。」師は言った。「鞭を握りて帽を側するは、豈に是れ闍黎ならんや。」言った。「今古の道、何の処に身を蔵する。」師は言った。「闍黎は作麼生。」僧が珍重して便ち出でた。師は言った。「未だ在らず。」

北院通禪師法嗣

北院通禅師法嗣

京兆府香城和尚

京兆府香城和尚

初參北院。問曰。一似兩箇時如何。院曰。一箇賺汝。師乃有省。僧問。三光景色謝照燭事如何。師曰。朝邑峰前卓五彩。曰。不涉文彩事作麼生。師曰。如今特地過江來。問。向上一路。請師舉唱。師曰。釣絲鉤不出。問。牛頭還得四祖意否。師曰。沙書下點落千字。曰。下點後如何。師曰。別將一撮表人天。曰。恁麼則人人有也。師曰。汝又作麼生。問。囊無繫蟻之絲。廚絕聚蠅之糝時如何。師曰。日捨不求。思從妄得。

初めて北院を参ず。問うて言った。「一も似たる両箇の時如何。」院は言った。「一箇は汝を賺す。」師は乃ち省有り。僧が問うた。「三光の景色が照燭を謝する事如何。」師は言った。「朝邑の峰前に五彩を卓す。」言った。「文彩に渉らざる事作麼生。」師は言った。「如今特地に江を過ぎて来た。」問う。「向上の一路、請う師挙唱せん。」師は言った。「釣絲は鉤り出でず。」問う。「牛頭は還た四祖の意を得るや否や。」師は言った。「沙書は下に点を落して千字。」言った。「下に点を落しし後如何。」師は言った。「別に一撮を将て人天を表す。」言った。「恁麼ならば則ち人人有り。」師は言った。「汝は又作麼生。」問う。「嚢に蟻を繋ぐ絲無く、厨に蠅を聚むる糝絶ゆる時如何。」師は言った。「日の舎に求めず、妄より得るを思う。」

五燈會元卷第十三

五燈會元卷第十四

青原下七世

青原下七世

洞山延禪師法嗣

洞山延禅師法嗣

瑞州上藍院慶禪師

瑞州上藍院慶禅師

初遊方。問雪峰。如何是雪峰的的意。峰以杖子敲師頭。師應諾。峰大笑。師後承洞山印解。開法上藍。僧問。如何是上藍無刃劒。師曰。無。曰。為甚麼無。師曰。闍黎。諸方自有。

初めて方に游ぶ。雪峰に問うた。「如何なるか是れ雪峰の的的の意。」峰は杖子を以て師の頭を敲いた。師が喏と応えた。峰は大いに笑った。師は後に洞山の印解を承け、上藍に法を開いた。僧が問うた。「如何なるか是れ上藍の刃無き剣。」師は言った。「無し。」言った。「なぜ無し。」師は言った。「闍黎、諸方自ら有り。」

洪州同安慧敏禪師

洪州同安慧敏禅師

初參洞山。問。諸聖以何為命。山曰。以不間斷。師曰。還有向上事也無。山曰。有。師曰。如何是向上事。山曰。不從間斷。師於言下有省。住後。僧問。請師一句。師曰。好記取。

初めて洞山を参ず。問うた。「諸聖は何を以て命と為す。」山は言った。「間断せざるを以てす。」師は言った。「還た向上の事有るや無しや。」山は言った。「有り。」師は言った。「如何なるか是れ向上の事。」山は言った。「間断より出でず。」師は言下に於て省有り。住して後、僧が問うた。「請う師一句せん。」師は言った。「好く記取せよ。」

金峰志禪師法嗣

金峰志禅師法嗣

廬山天池智隆禪師

廬山天池智隆禅師

在金峰普請般柴次。峰問。般柴人過水否。師曰。有一人。不過水。曰。不過水還般柴否。師曰。雖不般柴。也不得動著他。

金峰に在りて普請に柴を搬る次。峰が問うた。「柴を搬る人は水を過ぐるか。」師は言った。「一人有り、水を過ぎず。」言った。「水を過ぎずんば還た柴を搬るか。」師は言った。「柴を搬らずと雖も、他を動かすを得ず。」

鹿門真禪師法嗣

鹿門真禅師法嗣

襄州谷隱智靜悟空禪師

襄州谷隠智静悟空禅師

僧問。如何是和尚轉身處。師曰。臥單子下。問。如何是道。師曰。鳳林關。曰。學人不會。師曰。直至荊南。問。如何是指歸之路。師曰。莫用伊。曰。還使學人到也無。師曰。甚麼處著得汝。問。靈山一會。何異今時。師曰。不異如今。曰。不異底事作麼生。師曰。如來密旨。迦葉不聞。問。古㵎寒泉。甚麼人得飲。師曰。絕飢渴者。曰。絕飢渴者如何得飲。師曰。東畎東流。西畎西流。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の轉身の処。」師は言った。「臥単の子の下。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「鳳林関。」言った。「学人会せず。」師は言った。「直に荊南に至る。」問う。「如何なるか是れ指帰の路。」師は言った。「伊を用ゐること莫れ。」言った。「還た学人を使して到らしむるや無しや。」師は言った。「何の処に汝を着くるを得。」問う。「霊山の一會、今時に何の異ならん。」師は言った。「如今に異ならず。」言った。「異ならざる底の事作麼生。」師は言った。「如来の密旨は、迦葉聞かず。」問う。「古㵎の寒泉、何の人か飲むを得。」師は言った。「飢渇を絶つ者。」言った。「飢渇を絶つ者は如何にして飲むを得。」師は言った。「東畎は東に流れ、西畎は西に流る。」

益州崇真禪師

益州崇真禅師

僧問。如何是禪。師曰。澄潭釣玉兔。曰。如何是道。師曰。拍手笑清風。問。如何是大人相。師曰。泥揑三官土地堂。

僧が問うた。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「澄潭に玉兔を釣る。」言った。「如何なるか是れ道。」師は言った。「手を拍ちて清風を笑う。」問う。「如何なるか是れ大人の相。」師は言った。「泥揑の三官土地堂。」

襄州鹿門志行譚禪師

襄州鹿門志行譚禅師

僧問。如何是實際理地。師曰。南贍部洲。北鬱單越。曰。恁麼則事同一家也。師曰。隔須彌在。問。遠遠投師。請師一接。師曰。從甚麼處來。曰。江北來。師曰。南堂裡安下。問。如何是清淨法身。師曰。戌亥年生。

僧が問うた。「如何なるか是れ実際の理地。」師は言った。「南は贍部洲、北は鬱単越。」言った。「恁麼ならば則ち事は一家に同じ。」師は言った。「須弥を隔てて在り。」問う。「遠々師に投ず、請う師一接せん。」師は言った。「何の処より来た。言った。「江北より来た。」師は言った。「南堂裏に安下せよ。」問う。「如何なるか是れ清浄の法身。」師は言った。「戌亥年に生ず。」

廬山佛手巖行因禪師

廬山佛手巌行因禅師

鴈門人也。首謁鹿門。師資契會。尋抵廬山。山之北。有巖如五指。下有石窟。可三丈餘。師宴處其中。因號佛手巖和尚。江南李主三召不起。堅請就棲賢。開堂不逾月。潛歸巖室。僧問。如何是對現色身。師竪一指(法眼別雲。還有也未)。後示微疾。謂侍僧曰。日午吾去矣。及期。僧報日午也。師下床。行數步。屹然立化。李主備香薪。茶毗。塔於巖之陰。

雁門の人である。首めに鹿門を謁え、師資契會した。尋いで廬山に抵る。山の北に巌有りて五指の如く、下に石窟有り、三丈余可なり。師は其の中に宴処し、因りて佛手巌和尚と号す。江南の李主が三たび召すも起たず、堅く請いで栖賢に就き、堂を開くこと月を逾えず、潜かに巌室に帰った。僧が問うた。「如何なるか是れ対現の色身。」師が一指を竪た(法眼が別に言った。「還た有るや未だ。」)後に微疾を示して侍僧に謂いて言った。「日午に吾去らん。」期に及びて、僧が日午なりと報ず。師が床を下りて数歩を行き、屹然として立化した。李主は香薪を備えて茶毘し、塔を巌の陰に建つ。

曹山霞禪師法嗣

曹山霞禅師法嗣

嘉州東汀和尚

嘉州東汀和尚

僧問。如何是向去底人。師曰。石女紡麻縷。曰。如何是卻來底人。師曰。扇車關棙斷。問。徧界是佛身。教某甲甚麼處立。師曰。孤峰頂上木人呌。紅焰輝中石馬嘶。

僧が問うた。「如何なるか是れ向去の人。」師は言った。「石女が麻縷を紡ぐ。」言った。「如何なるか是れ却来の人。」師は言った。「扇車の関棙断えり。」問う。「徧界是れ仏身、某甲を教えて何の処に立たしめん。」師は言った。「孤峰頂上に木人呌び、紅焔の輝中に石馬嘶く。」

草菴義禪師法嗣

草庵義禅師法嗣

泉州龜洋慧忠禪師

泉州亀洋慧忠禅師

本州陳氏子。謁草菴。庵問。何方來。師曰。六眸峰。庵曰。還見六眸否。師曰。患非重瞳。庵然之。師尋回故山。屬唐武宗廢教。例民其衣。暨宣宗中興。師曰。古人有言。上昇道士不受籙。成佛沙彌不具戒。祇為白衣。過中不食。不宇而禪。跡不出山者三十年。述三偈以自見曰。雪後始知松栢操。雲收方見濟河分。不因世主教還俗。那辨雞群與鶴群。多年塵事謾騰騰。雖著方袍未是僧。今日修行依善慧。滿頭留髮候然燈。形儀雖變道常存。混俗心源亦不昏。試讀善財巡禮偈。當時豈例作沙門。謂門弟子曰。眾生不能解脫者。情累爾。悟道易。明道難。僧問。如何得明道去。師曰。但脫情見。其道自明矣。夫明之為言。信也。如禁蛇人。信其呪力藥力。以蛇綰弄揣懷袖中無難。未知呪藥等力者怖駭棄去。但諦見自心。情見便破。今千疑萬慮不得用者。未見自心者也。忽索香焚罷。安然而化。全身葬於無了禪師塔之東。後數年。塔忽坼裂。連階丈餘。主僧將發視之。是夜宴寂中見無了曰。不必更發也。今為沈陳二真身。無了姓沈。見馬祖。

本州の陳氏の子。草庵を謁えた。庵が問うた。「何方より来た。」師は言った。「六眸峰。」庵は言った。「還た六眸を見るか。」師は言った。「重瞳に非ざるを患う。」庵は之を然とした。師は尋いで故山に回った。唐の武宗の教を廃するに属し、例に衣を民とした。宣宗の中興に暨りて、師は言った。「古人言有り、上升の道士は籙を受けず、成仏の沙弥は戒を具せず、只だ白衣の為、中を過ぎて食せず、宇せずして禅し、迹は山を出でざること三十年。」三の偈を述べて以て自ら見えて言った。「雪後に始めて松栢の操を知り、雲収まりて方に済河の分を見る、世主の教に因らずんば還俗せんや、那ぞ鶏群と鶴群とを辨ぜん、多年の塵事は谩り騰騰、方袍を着ると雖も未だ是れ僧ならず、今日修行は善慧に依りて、満頭に髪を留めて然灯を候す、形儀は変ると雖も道は常に存り、俗に混ずるも心源は亦た昏ならず。試しに善財の巡礼の偈を読め、当時豈に例に沙門と作さんや。」門弟子に謂いて言った。「衆生の解脱すること能わざるは、情の累なり、道を悟るは易く、道を明らむるは難し。」僧が問うた。「如何にして道を明らむること去らんを得。」師は言った。「但だ情見を脱せば、其の道自ずから明ならん、夫れ明と為すの言は信なり、禁蛇の人の如く、其の呪力薬力を信じて、蛇を以て懐袖の中に綰き弄び揣るに難無し、未だ呪薬等の力を知らざる者は怖駭して棄て去る、但だ自心を諦らかに見れば、情見は便ち破れん。今千疑万慮の用ゐるを得ざるは、未だ自心を見ざる者なり。」忽ち香を索めて焚き罢め、安らかに化した。全身を無了禅師の塔の東に葬る。後数年、塔は忽ち坼裂して階に連なること丈余。主僧が将に発きて之を視んとす。是の夜、宴寂の中に無了を見て言った。「必ず更に発くるを要せず、今為に沈陳二の真身、無了は沈に姓し、馬祖に見えん。」

同安丕禪師法嗣

同安丕禅師法嗣

洪州同安志禪師

洪州同安志禅師

先同安將示寂。上堂曰。多子塔前宗子秀。五老峰前事若何。如是三舉。未有對者。末後師出曰。夜明簾外排班立。萬裡歌謠道太平。安曰。須是這驢漢始得。住後。僧問。二機不到處。如何舉唱。師曰。徧處不逢。玄中不失。問。凡有言句。盡落今時。學人上來。請師直指。師曰。目前不現。句後不迷。曰。向上事如何。師曰。迥然不換。標的即乖。

先の同安が将に示寂せんとし、上堂して言った。「多子塔の前に宗子秀で、五老峰の前の事如何。」是の如く三たび挙ぐれども、未だ対する者有らず。末後に師が出でて言った。「夜明の簾外に班を排して立ち、万里に歌謡して太平を道う。」安は言った。「須く是れ這の驢漢なるを始めて得。」住して後、僧が問うた。「二機の到らざる処、如何に挙唱せん。」師は言った。「徧処に逢わず、玄中に失わず。」問う。「凡そ言句有れば、尽く今時に落つ、学人は上来す、請う師直指せん。」師は言った。「目前に現ぜず、句後に迷わず。」言った。「向上の事如何。」師は言った。「迥然として換えず、標的せば即ち乖く。」

袁州仰山和尚

袁州仰山和尚

僧問。如何是仰山境。師曰。白雲峰下猿啼早。碧嶂巖前虎起遲。僧曰。如何是境中人。師曰。寒來火畔坐。熱向㵎邊行。

僧が問うた。「如何なるか是れ仰山の境。」師は言った。「白雲の峰下に猿の啼くこと早く、碧嶂の巌前に虎の起つこと遅し。」僧は言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「寒くれば火畔に坐し、熱ければ㵎辺に向かって行く。」

歸宗惲禪師法嗣

帰宗恽禅師法嗣

廬山歸宗弘章禪師

廬山帰宗弘章禅師

僧問。學人有疑時如何。師曰。疑來多少時也。問。小船渡大海時如何。師曰。較些子。曰。如何得渡。師曰。不過來。問。枯木生華時如何。師曰。把一朵來。問。混然覓不得時如何。師曰。是甚麼。

僧が問うた。「学人に疑有る時如何。」師は言った。「疑うこと来ること多少の時ぞ。」問う。「小船が大海を渡る時如何。」師は言った。「些子を較ぶ。」言った。「如何にして渡るを得。」師は言った。「過ぎて来ず。」問う。「枯木に華生ずる時如何。」師は言った。「一朵を把って来れ。」問う。「混然として覓め得ざる時如何。」師は言った。「是れ何ぞ。」

嵆山章禪師法嗣

嵇山章師法嗣

隨州雙泉山道虔禪師

随州双泉山道虔禅師

僧問。洪鐘未擊時如何。師曰。絕音響。曰。擊後如何。師曰。絕音響。問。如何是在道底人。師曰。無異念。問。如何是希有底事。師曰。白蓮華向半天開。

僧が問うた。「洪鐘未だ撃たざる時如何。」師は言った。「音响を絶つ。」言った。「撃ちし後如何。」師は言った。「音响を絶つ。」問う。「如何なるか是れ道に在る人。」師は言った。「異念無し。」問う。「如何なるか是れ希有の事。」師は言った。「白蓮華は半ば天に向かって開く。」

雲居嶽禪師法嗣

雲居岳禅師法嗣

楊州豐化院令崇禪師

楊州豊化院令崇禅師

舒州人也。僧問。如何是敵國一著碁。師曰。下將來。問。一棒打破虗空時如何。師曰。把將一片來看。

舒州の人である。僧が問うた。「如何なるか是れ敵国の一着の碁。」師は言った。「下して将て来れ。」問う。「一棒して虚空を打破する時如何。」師は言った。「一片を把りて来りて看よ。」

澧州藥山忠彥禪師

澧州薬山忠彦禅師

僧問。教中道。諸佛放光明。助發實相義。光明即不問。如何是實相義。師曰。會麼。曰。莫便是否。師曰。是甚麼。問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。雲嶺龍昌月。神風洞上泉。

僧が問うた。「教中に道う、諸仏は光明を放ちて、実相の義を助発すと、光明は即ち問わず、如何なるか是れ実相の義。」師は言った。「会するか。」言った。「莫れ便ち是か否か。」師は言った。「是れ何ぞ。」問う。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「雲嶺の龍昌の月、神風の洞上の泉。」

梓州龍泉和尚

梓州龍泉和尚

僧問。如何是祖師西來意。師曰。不在闍黎分上。問。學人慾跳萬丈洪崖時如何。師曰。撲殺。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「闍黎の分上に在らず。」問う。「学人は万丈の洪崖を跳ばんと欲す、時如何。」師は言った。「扑殺。」

護國澄禪師法嗣

護国澄禅師法嗣

隨州護國知遠演化禪師

随州護国知遠演化禅師

僧問。舉子入門時如何。師曰。緣情體物事作麼生。問。乾坤休駐意。宇宙不留心時如何。師曰。總是戰爭收拾得。卻因歌舞破除休。

僧が問うた。「挙子が門に入る時如何。」師は言った。「縁情体物の事は作麼生。」問う。「乾坤は駐意を休め、宇宙は心を留めざる時如何。」師は言った。「総て是れ戦争に収拾し得、却って歌舞に因りて破除して休む。」

隨州智門寺守欽圓照禪師

随州智門寺守欽円照禅師

僧問。兩鏡相照。為甚麼中間無像。師曰。自己亦須隱。曰。鏡破臺亡時如何。師竪起拳。問。如何是和尚家風。師曰。額上不貼牓。問。如何是祖師西來意。師曰。把火燒天徒自疲。

僧が問うた。「両鏡相照るに、なぜ中間に像無し。」師は言った。「自己も亦た隠るるを須いる。」言った。「鏡破れ台亡ぶ時如何。」師が拳を竪た。問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「額上に牓を貼らず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「火を把りて天を焼くは徒らに自ら疲る。」

安州大安山崇教能禪師

安州大安山崇教能禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。打動南山皷。唱起北山歌。問。如何是三冬境。師曰。千山添翠色。萬樹鎻銀華。

僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「南山の皷を打動し、北山の歌を唱起す。」問う。「如何なるか是れ三冬の境。」師は言った。「千山は翠色を添え、万樹は銀華を鎖す。」

頴州薦福院思禪師

潁州薦福院思禅師

僧問。古殿無佛時如何。師曰。梵音何來。曰。不假修證。如何得成。師曰。修證即不成。

僧が問うた。「古殿に仏無き時如何。」師は言った。「梵音は何より来た。」言った。「修証に仮らず、如何にして成ぜんを得。」師は言った。「修証すれば即ち成らず。」

隨州護國志朗圓明禪師

随州護国志朗円明禅師

僧問。如何是萬法之源。師曰。空中收不得。護國豈能該。

僧が問うた。「如何なるか是れ万法の源。」師は言った。「空中に収め得ず、護国は豈に能く該めん。」

靈泉仁禪師法嗣

霊泉仁禅師法嗣

郢州大陽慧堅禪師

郢州大陽慧堅禅師

初在靈泉。入室次。泉問。甚麼處來。師曰。僧堂裡來。泉曰。為甚麼不築著露柱。師於言下有省。住後。僧問。如何是玄旨。師曰。壁上掛錢財。問。如何是法王劒。師曰。腦後看。問。如何是無相道場。師曰。佛殿裡懸幡。問。不借時機用。如何話祖宗。師曰。老鼠齩腰帶。僧請益法身。師示偈曰。扶桑出日頭。黃河輥底流。六六三十六。陝府灌鐵牛。

初めて霊泉に在り、室に入る次。泉が問うた。「何の処より来た。」師は言った。「僧堂裏より来た。」泉は言った。「なぜ露柱に筑着せざる。」師は言下に於て省有り。住して後、僧が問うた。「如何なるか是れ玄旨。」師は言った。「壁上に銭財を挂く。」問う。「如何なるか是れ法王の剣。」師は言った。「脳後に看よ。」問う。「如何なるか是れ無相の道場。」師は言った。「仏殿裏に幡を懸く。」問う。「時機の用を借らず、如何に祖宗を話せん。」師は言った。「老鼠が腰帯を齩む。」僧が法身を請益せんとす、師は偈を示して言った。「扶桑より日頭出で、黄河は底を輥して流る、六六三十六、陜府に鉄牛を灌ぐ。」

五峰遇禪師法嗣

五峰遇禅師法嗣

瑞州五峰紹禪師

瑞州五峰紹禅師

僧問。如何是第一義。師拍禪床雲。若不是仙陀。千里萬裡。問。如何是祖師西來意。師曰。迢迢十萬餘。

僧が問うた。「如何なるか是れ第一義。」師が禅床を拍って云う。「若し是れ仙陀ならざれば、千里万里。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「迢迢たる十万余。」

廣德延禪師法嗣

広徳延禅師法嗣

襄州廣德義禪師

襄州広徳義禅師

謁先廣德。作禮問曰。如何是和尚密密處。德曰。隱身不必須巖谷。闤闠堆堆覩者稀。師曰。恁麼則酌水獻華去也。德曰。忽然雲霧靄。闍黎作麼生。師曰。採汲不虗施。廣德忻然曰。大眾看取第二代廣德。師次踵住持。聚徒開法。僧問。如何是佛。師曰。披蓑倒騎牛。草深不露角。問。如何是祖師西來意。師曰。魚躍無源水。鸎啼枯木花。問。如何是常在底人。師曰。臘月死蛇當大路。觸著傷人不奈何。問。如何是學人相契處。師曰。方木逗圓孔。問。如何是大寂滅海。師曰。閙市走馬。不觸一人。曰。如何是大通智勝佛。師曰。孤輪罷照妙峰頂。汝報巴猿莫斷腸。問。如何是作無間業底人。師曰。猛火然鐺煑佛喋。師因事示偈曰。才到洪山便跺根。四方八面不言論。他家自有眠雲志。蘆管橫吹宇宙喧。問。如何是古佛心。師曰。多年曆日雖無用。犯著應須總滅門。曰。或遇新曆日。又作麼生。師曰。運動修營無滯礙。何勞入市問孫臏。問。時人有病醫王醫。醫王有病甚人醫。師展手曰。與我診候看。曰。不會。師曰。須彌徒作藥。四海謾為湯。問。向上一路。千聖不傳。和尚還傳也無。師曰。鐵丸驀口塞。難得解吞人。問。如何是佛法大意。師曰。雪寒向火。日暖隈陽。問。如何是賓中賓。師曰。蕩子無家計。飄蓬不自知。曰。如何是賓中主。師曰。茅戶掛珠簾。曰。如何是主中賓。師曰。龍樓鋪草坐。曰。如何是主中主。師曰。東宮雖至嫡。不面聖堯顏。問。有一室女。未曾嫁娉。生得一子。姓箇甚麼。師曰。偶然衫子破。閫外沒人縫。問。如何是不落堦級底人。師曰。胎中童子眉如雪。問。如何是不睡底眼。師曰。昨夜三更擘不開。問。諦信底人信箇甚麼。師曰。莫道冰無火。斯須紅焰生。問。如何是密室。師曰。茅茨當大道。歷劫沒人敲。問。如何是異日已前人。師曰。萬年枯木鳥銜來。問。

先の広徳を謁えた。礼を作して問うて言った。「如何なるか是れ和尚の密密の処。」徳は言った。「身を隠すは須らく岩谷を須いず、闛閧の堆堆も覩る者稀なり。」師は言った。「恁麼ならば則ち水を酌み華を献じて去らん。」徳は言った。「忽然として雲霧靄たり、闍黎は作麼生。」師は言った。「采汲は虚しく施さず。」広徳は忻然として言った。大衆は看取せよ第二代の広徳を。師は次いで踵きて住持し、徒を聚めて法を開いた。僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「蓑を披きて倒に牛に騎り、草深くして角を露わさず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「魚は源無き水に躍り、鶯は枯木の花に啼く。」問う。「如何なるか是れ常在の人。」師は言った。「臘月の死蛇は大路に当たり、触れて人を傷るも奈何す可からず。」問う。「如何なるか是れ学人の相契の処。」師は言った。「方木を円孔に逗む。」問う。「如何なるか是れ大寂滅の海。」師は言った。「閙市に馬を走らせ、一人にも触れず。」言った。「如何なるか是れ大通智勝仏。」師は言った。「孤輪は照らすを罢めて妙峰の頂、汝は巴猿に報じて腸を断つこと莫れ。」問う。「如何なるか是れ無間の業を作る人。」師は言った。「猛火が铛を然して仏を煑喋す。」師は事に因りて偈を示して言った。「纔かに洪山に到れば便ち根を跺み、四方八面に言論せず、他家自ら云に眠る志有り、芦管を横吹して宇宙喧なり。」問う。「如何なるか是れ古仏の心。」師は言った。「多年の暦日は用無しと雖も、犯着せば応に須く門を滅すべし。」言った。「或いは新暦日に遇わば、又作麼生。」師は言った。「運動修営に滞礙無し、何ぞ労して市に入りて孫臏を問わん。」問う。時人に病有りて医王が医す、医王に病有りて甚の人か医す。師が手を展べて言った。「我に与えて診候して看よ。」言った。「会せず。」師は言った。「須弥は徒らに薬を作り、四海は谩りに湯と為る。」問う。「向上の一路は千聖伝えず、和尚は還た伝えるや無しや。」師は言った。「鉄丸は口を蓦ぎて塞ぎ、解て吞む人を得難し。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「雪寒ければ火に向かい、日暖ければ陽に隈る。」問う。「如何なるか是れ賓中の賓。」師は言った。「蕩子は家計無く、飄蓬は自ら知らず。」言った。「如何なるか是れ賓中の主。」師は言った。「茅戸に珠簾を挂く。」言った。「如何なるか是れ主中の賓。」師は言った。「龍楼に草を鋪いて坐す。」言った。「如何なるか是れ主中の主。」師は言った。「東宮は嫡に至ると雖も、聖なる堯顔に面せず。」問う。「一の室女有り、未だ曾て嫁娉せず、一子を生み得たり、箇の何を姓とする。」師は言った。「偶然に衫子破れ、閫外に縫う人無し。」問う。「如何なるか是れ階級に落ちざる人。」師は言った。「胎中の童子は眉雪の如し。」問う。「如何なるか是れ睡らざる眼。」師は言った。「昨夜三更に擘きて開かず。」問う。「諦信の人は箇の何を信ず。」師は言った。「氷に火無しと道うこと莫れ、斯須に紅焔生ず。」問う。「如何なるか是れ密室。」師は言った。「茅茨は大道に当たり、劫を歴て敲く人無し。」問う。「如何なるか是れ異日已前の人。」師は言った。「万年の枯木は鳥が銜えて来た。」問う。

懸崖峭峻。還具得失也無。師曰。忻逢良便。好與一推。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。鮓甕乍開蠅𠯗𠯗。曰。見後如何。師曰。底穿蕩盡冷湫湫。

懸崖峭峻なり、還た得失を具するや無しや。師は言った。「良便に忻に逢う、好くして一推せん。」問う。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」は言った。「鲊瓮乍んごと開けば蠅が𠯗𠯗たり。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「底は穿ち尽きて冷湫湫たり。」

襄州廣德周禪師

襄州広徳周禅師

僧問。魚向深潭難避網。龍居淺水卻難尋時如何。師曰。徧體崑崙黑。通身一點霜。問。貧子歸家時如何。師曰。入門不見面。處處故園春。問。命盡祿絕時如何。師曰。死。曰。此人落歸何道。師曰。薰薰彌宇宙。爛壞莫能拈。問。聞話不覺時如何。師曰。徧界沒聾人。誰是知音者。曰。如何是知音者。師曰。斷絃續不得。歷劫響泠泠。問。教中道。阿逸多不斷煩惱。不修禪定。佛記此人成佛無疑。此理如何。師曰。鹽又盡。炭又無。曰。鹽盡炭無時如何。師曰。愁人莫向愁人說。說向愁人愁殺人。問。如何得念念相應去。師曰。驚水魚龍散。曰。念念相應後如何。師曰。海北天南各自行。不勞魚鴈通消息。

僧が問うた。「魚は深潭に向かえば網を避け難く、龍は浅水に居れば却って尋ね難し、時如何。」師は言った。「徧体は崑崙の黒、通身は一点の霜。」問う。「貧子が家に帰る時如何。」師は言った。「門に入りて面を見ず、処処は故園の春。」問う。「命尽き禄絶ゆる時如何。」師は言った。「死す。」言った。「此の人は落帰して何の道ぞ。」師は言った。「薫薫として宇宙に弥り、爛壊して拈ぐこと能わず。」問う。「話を聞きて覚えざる時如何。」師は言った。「徧界に聾人無し、誰か是れ知音の者。」言った。「如何なるか是れ知音の者。」師は言った。「断弦は続ぐを得ず、劫を歴て響き泠泠たり。」問う。「教中に道う、阿逸多は煩悩を断せず、禅定を修せず、仏は此の人の成仏すること疑無しと記す、此の理如何。」師は言った。「塩は又尽き、炭は又無し。」言った。「塩尽き炭無き時如何。」師は言った。愁人は愁人に向かって説くこと莫れ、愁人に向かって説けば人を愁わし殺さん。問う。「如何にして念々相応すること去らんを得。」師は言った。「水を驚かせば魚龍散る。」言った。「念々相応しし後如何。」師は言った。「海北天南は各々自ら行く、魚雁に労して消息を通ぜしめず。」

石門蘊禪師法嗣

石門薀禅師法嗣

襄州石門慧徹禪師

襄州石門慧徹禅師

僧問。金烏出海光天地。與此光陰事若何。師曰。龍出洞兮風雨至。海嶽傾時日月明。問。從上諸聖向甚麼處去也。師曰。露柱掛燈籠。問。如何是和尚家風。師曰。解接無根樹。能挑海底燈。問。如何是祖師西來意。師曰。少林澄九鼎。浪動百花新。問。如何是佛法大意。師曰。三門外松樹子。見生見長。問。三身中那身是正。師曰。報化路頭橫鳥道。石人眼裡不栽花。問。雲光作牛。意旨如何。師曰。陋巷不騎金色馬。回途卻著破襴衫。問。年窮歲盡時如何。師曰。東村王老夜燒錢。問。一毫未發時如何。師曰。后羿不調弓。箭透三江口。問。如何是佛。師曰。樵子度荒郊。騎牛草不露。曰。如何是騎牛草不露。師曰。遮掩不得。問。如何是靈利底物。師曰。古墓毒蛇頭戴角。又曰。維摩不離方丈室。文殊未到卻先知。又曰。垢膩汗衫皂角洗。因令初上座領眾來參。師問。萬仞峰頭石牛吼。穿雲渡水意如何。初無對。師曰。山僧住持事大。參堂去。師後令僧下語。或雲久嚮和尚。或雲訪道尋師明的旨。覺了根源顯異機。師曰。當時初上座若下得這語。不將他作參學人。上堂。一切眾生。本源佛性。譬如朗月當空。祇為浮雲翳障。不得顯現。為明為照。為道為路。為舟為楫。為依為止。一切眾生。本源佛性。亦復如是。時汾陽昭和尚在眾。出問。朗月海雲遮不得。舒光直透水晶宮時如何。師曰。石壁山河非障礙。閻浮界外任昇騰。陽曰。恁麼則千聖共傳無底缽。時人皆唱太平歌。師曰。太平曲子如何唱。陽曰。不墮五音。非關六律。師曰。還有人和得麼。陽曰。請和尚不悋慈悲。師曰。仁者善自保任。

僧が問うた。「金烏は海を出でて天地を光る、此の光陰の事如何。」師は言った。「龍の洞を出づるや風雨至り、海岳の傾く時は日月明なり。」問う。「上より諸聖は何の処に向かって去る。」師は言った。「露柱に灯籠を挂く。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「根無き樹を接ぐを解し、海底の灯を挑ぐ能し。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「少林は九鼎を澄め、浪動けば百花新なり。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「三門外の松樹子、生を見て長を見る。」問う。「三身中、那の身か是れ正。」師は言った。「報化の路頭に鳥道を横え、石人の眼裏に花を栽えず。」問う。「雲光が牛を作す、意旨如何。」師は言った。「陋巷には金色の馬に騎らず、回途に却って破襴衫を着る。」問う。「年窮まり歳尽くる時如何。」師は言った。「東村の王老は夜に銭を焼く。」問う。「一毫未だ発せざる時如何。」師は言った。「后羿は弓を調えず、箭は三江口を透る。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「樵子は荒郊を度り、牛に騎りて草を露わさず。」言った。「如何なるか是れ牛に騎りて草を露わさず。」師は言った。「遮掩するを得ず。」問う。「如何なるか是れ霊利の物。」師は言った。「古墓の毒蛇は頭に角を戴く。」又言った。「維摩は方丈室を離れず、文殊は未だ到らざるに却って先知す。」又言った。「垢膩の汗衫は皂角に洗う。」因りて初上座に衆を領して参に来らしむ。師が問うた。「万仞の峰頭に石牛吼ゆ、雲を穿ち水を渡る意如何。」初は対えず。師は言った。「山僧は住持の事大なり、堂に参して去れ。」師は後に僧に語を下さしむ。或いは云う久しく和尚に向かうと、或いは云う道を訪ね師を尋ねて的旨を明らめ、根源を覚了して異機を顕すと。師は言った。「当時に初上座が若し這の語を下し得ば、他を参学の人と作さざらまし。」上堂して言った。「一切衆生の本源仏性は、譬えば朗月の空に当たるが如し、只だ浮雲の翳障するが為に、顕現を得ず、明と為り照と為り、道と為り路と為り、舟と為り楫と為り、依と為り止と為る、一切衆生の本源仏性も亦た復た是の如し。」時に汾陽昭和尚が衆に在り、出でて問うた。「朗月は海雲も遮るを得ず、光を舒べて直に水晶宮に透る時如何。」師は言った。「石壁山河は障碍に非ず、閻浮界の外に昇騰に任れよ。」陽は言った。「恁麼ならば則ち千聖は共に底無き鉢を伝え、時人は皆太平の歌を唱う。」師は言った。「太平の曲子は如何に唱う。」陽は言った。「五音に堕せず、六律に関せず。」師は言った。「還た和するを得る人有るか。」陽は言った。「請う和尚慈悲を悋むこと無れ。」師は言った。「仁者は善く自ら保任せよ。」

含珠哲禪師法嗣

含珠哲禅師法嗣

洋州龍穴山和尚

洋州龍穴山和尚

僧問。如何是西來意。師曰。騎虎唱巴歌。問。既是善知識。為甚麼卻與土地燒錢。師曰。彼上人者難為醻對。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「虎に騎りて巴歌を唱う。」問う。「既に是れ善知識、なぜ却って土地に銭を焼く。」師は言った。「彼の上人の者は酬対し難し。」

唐州大乘山和尚

唐州大乗山和尚

僧問。枯樹逢春時如何。師曰。世間希有。問。如何是四方八面事。師曰。升子裡𨁝跳。斗子內轉身。

僧が問うた。「枯樹が春に逢う時如何。」師は言った。「世間に希有なり。」問う。「如何なるか是れ四方八面の事。」師は言った。「升子裏に𨁝跳し、斗子内に身を轉ず。」

襄州延慶院歸皢慧廣禪師

襄州延慶院帰皢慧広禅師

僧問。言語道斷時如何。師曰。兩重公案。曰。如何領會。師曰。分明舉似。問。如何是鳳山境。師曰。好生看取。曰。如何是境中人。師曰。識麼。

僧が問うた。「言語道断の時如何。」師は言った。「両重の公案。」言った。「如何に領会せん。」師は言った。「分明に挙似す。」問う。「如何なるか是れ鳳山の境。」師は言った。「好く生に看取せよ。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「識るか。」

襄州含珠山真禪師

襄州含珠山真禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。含珠密意。同道者知。曰。恁麼則不假羽翼。便登霄漢去也。師曰。鈍。問。古鏡未磨時如何。師曰。昧不得。曰。磨後如何。師曰。黑如漆。

僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「含珠の密意は、同道の者知れり。」言った。「恁麼ならば則ち羽翼に仮らずして、便ち霄漢に登りて去らん。」師は言った。「鈍し。」問う。「古鏡未だ磨かざる時如何。」師は言った。「昧ぐるを得ず。」言った。「磨きし後如何。」師は言った。「黒きこと漆の如し。」

紫陵一禪師法嗣

紫陵一禅師法嗣

幷州廣福道隱禪師

并州広福道隠禅師

僧問。如何是指南一路。師曰。妙引靈機事。澄波顯異輪。問。三家同到請。未審赴誰家。師曰。月印千江水。門門盡有僧。

僧が問うた。「如何なるか是れ南を指す一路。」師は言った。「妙に霊機の事を引き、澄波に異輪を顕す。」問う。「三家同じく到りて請う、未だ審らかならず誰が家に赴かん。」師は言った。「月は千江の水に印し、門門は尽く僧有り。」

紫陵微禪師

紫陵微禅師

初到夾山。山問。近離甚處。師曰。向北山。曰。是何宗徒。師曰。昔日老胡師子吼。頂門一裂至如今。住後。僧問。如何是紫陵境。師曰。寂照燈光夜已深。曰。如何是境中人。師曰。猿啼虎嘯。問。寶劒未出匣時如何。師曰。磐陀石上栽松栢。問。如何是大猛烈底人。師曰。石牛步步火中行。返顧休銜日中草。曰。如何是五逆底人。師曰。放火夜燒無相宅。天明戴帽入長安。曰。如何是孝順底人。師曰。步步手提無米飯。斂手堂前不舉頭。問。如何是祖師西來意。師曰。紅爐焰上碧波流。

初めて夾山に到る。山が問うた。「近く甚の処を離れた。」師は言った。「北の山に向かう。」言った。「是れ何の宗徒ぞ。」師は言った。「昔日の老胡は師子吼し、頂門は一裂して今に至る。」住して後、僧が問うた。「如何なるか是れ紫陵の境。」師は言った。「寂照の灯光は夜已に深し。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「猿啼き虎啸く。」問う。「宝剣未だ匣を出でざる時如何。」師は言った。「磐陀石の上に松栢を栽う。」問う。「如何なるか是れ大猛烈の人。」師は言った。「石牛は歩歩に火中を行き、返り顧いて日の中の草を銜むるを休めよ。」言った。「如何なるか是れ五逆の人。」師は言った。「火を放ちて夜に無相の宅を焼き、天明れば帽を戴きて長安に入る。」言った。「如何なるか是れ孝順の人。」師は言った。「歩歩に手に無米の飯を提げ、手を斂めて堂前に頭を挙げず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「紅炉の焔上に碧波流る。」

興元府大浪和尚

興元府大浪和尚

僧問。既是喝河神。為甚麼被水推卻。師曰。隨流始得妙。住岸卻成迷。

僧が問うた。「既に是れ河神を喝す、なぜ水に推却される。」師は言った。「流に随えば始めて妙を得、岸に住すれば却って迷を成す。」

洪州東禪和尚

洪州東禅和尚

僧問。如何是密室。師曰。江水深七尺。曰。如何是密室中人。師曰。此去江南三十步。僧問。如何是新吳劒。師作㧞劒勢。

僧が問うた。「如何なるか是れ密室。」師は言った。「江水は深きこと七尺。」言った。「如何なるか是れ密室中の人。」師は言った。「此より江南を去ること三十歩。」僧が問うた。「如何なるか是れ新呉の剣。」師が剣を㧞ぐ勢を作した。

同安威禪師法嗣

同安威禅師法嗣

陳州石鏡和尚

陳州石鏡和尚

僧問。石鏡未磨。還鑒照否。師曰。前生是因。今生是果。

僧が問うた。「石鏡未だ磨かざれば、還た鑑照するか否か。」師は言った。「前生は是れ因、今生は是れ果。」

青原下八世

青原下八世

谷隱靜禪師法嗣

谷隠静禅師法嗣

襄州谷隱知儼宗教禪師

襄州谷隠知儼宗教禅師

登州人也。僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。白雲南。傘蓋北。問。如何是迦葉親聞底事。師曰。速須吐卻。問。如何是諸佛照不著處。師曰。問這山鬼窟。作麼。曰。照著後如何。師曰。咄精怪。問。千山萬水。如何登陟。師曰。舉步便千里萬裡。曰。不舉步時如何。師曰。亦千里萬裡。

登州の人である。僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「白雲の南、傘蓋の北。」問う。「如何なるか是れ迦葉の親しく聞きし底の事。」師は言った。「速やかに須く吐却すべし。」問う。「如何なるか是れ諸仏の照らし着かざる処。」師は言った。這の山鬼の窟に問う。「作麼。」言った。「照らし着きし後如何。」師は言った。「咄の精怪。」問う。「千山万水、如何に登陟せん。」師は言った。「歩を挙げれば便ち千里万里。」言った。「歩を挙げざる時如何。」師は言った。「亦た千里万里。」

襄州普寧院法顯禪師

襄州普寧院法顕禅師

僧問。曩劫共住。為甚麼不識親疎。師曰。誰。曰。更待某甲道。師曰。將謂不領話。問。千山萬水。如何登陟。師曰。青霄無間路。到者不迷機。

僧が問うた。「曩劫に共に住す、なぜ親疎を識らざる。」師は言った。「誰ぞ。」言った。「更に某甲の道うを待たん。」師は言った。「領話せずと将に謂わんとす。」問う。「千山万水、如何に登陟せん。」師は言った。「青霄に間無き路、到る者は機を迷わず。」

同安志禪師法嗣

同安志禅師法嗣

鼎州梁山緣觀禪師

鼎州梁山縁観禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。益陽水急魚行澀。白鹿松高鳥泊難。問。家賊難防時如何。師曰。識得不為冤。曰。識得後如何。師曰。貶向無生國裡。曰。莫是他安身立命處也無。師曰。死水不藏龍。曰。如何是活水龍。師曰。興波不作浪。曰。忽然傾湫倒嶽時如何。師下座把住曰。莫教濕卻老僧袈裟角。問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。龍生龍子。鳳生鳳兒。問。如何是西來意。師曰。蔥嶺不傳唐土印。胡人謾唱太平歌。問。如何是從上傳來底事。師曰。渡水胡僧無膝袴。背駝梵夾不持經。問。如何是正法眼。師曰。南華裡。曰。為甚在南華裡。師曰。為汝問正法眼。問。如何是學人自己。師曰。寰中天子。塞外將軍。曰。便恁麼去時如何。師曰。朗月懸空。室中暗坐。問。如何是衲衣下事。師曰。密。師與瑞長老坐次。僧問。二尊不並化。為甚兩人居方丈。師曰。一亦非。有偈曰。梁山一曲歌。格外人難和。十載訪知音。未嘗逢一箇。問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。亡僧幾時遷化。曰。爭奈相送何。師曰。紅爐燄上絛絲縷。靉靆雲中不點頭。上堂。垂鈎四海。祇釣獰龍。格外玄機。為尋知己。上堂。垂絲千尺。意在深潭。一句橫空。白雲自異。孤舟獨棹。不犯清波。海上橫行。罕逢明鑒。問。如何是衲衣下事。師曰。眾聖莫顯。師後示偈曰。紅燄藏吾身。何須塔用新。有人相肯重。灰裡邈全真。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「益陽は水急くして魚行渋く、白鹿は松高くして鳥泊り難し。」問う。「家賊防ぎ難き時如何。」師は言った。「識得すれば冤と為らず。」言った。「識得しし後如何。」師は言った。「無生の国裏に貶め向かう。」言った。「莫れ是れ他の安身立命の処や無しや。」師は言った。「死水は龍を蔵せず。」言った。「如何なるか是れ活水の龍。」師は言った。「波を興して浪を作さず。」言った。「忽然として湫を傾け岳を倒す時如何。」師が座を下りて把住して言った。「老僧の袈裟の角を湿し却ることを教えること莫れ。」問う。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「龍は龍子を生み、鳳は鳳児を生む。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「葱嶺は唐土の印を伝えず、胡人は谩りに太平の歌を唱う。」問う。「如何なるか是れ上より伝え来たる底の事。」師は言った。「水を渡る胡僧は膝無き袴、背に梵夾を駄して経を持たず。」問う。「如何なるか是れ正法眼。」師は言った。「南華裏。」言った。「為んに南华裏に在る。」師は言った。「汝が正法眼を問うが為。」問う。「如何なるか是れ学人の自己。」師は言った。「寰中の天子、塞外の将軍。」言った。「便ち恁麼に去る時如何。」師は言った。「朗月は空に懸り、室中に暗く坐す。」問う。「如何なるか是れ衲衣下の事。」師は言った。「密なり。」師が瑞長老と坐する次、僧が問うた。「二尊は并び化せず、為んに両人が方丈に居る。」師は言った。「一も亦た非なり。」偈有りて言った。「梁山の一曲の歌、格外の人は和し難し、十載知音を訪うも、未だ曾て一箇に逢わず。」問う。「亡僧は遷化して何の処に向かって去る。」師は言った。「亡僧は幾時か遷化した。」言った。「争奈せん相送するを何。」師は言った。「紅炉の燄上に絛絲の縷、靉靆の雲中に頭を点てず。」上堂して言った。「鈎を四海に垂れ、只だ獰龍を釣る、格外の玄機は、知己を尋ねんが為なり。」上堂して言った。「絲を千尺に垂れ、意は深潭に在り、一句は空に横え、白雲は自ら異なり、孤舟は独り棹して清波を犯さず、海上に横行すれど明鑑に逢うこと稀なり。」問う。「如何なるか是れ衲衣下の事。」師は言った。「衆聖顕すこと莫れ。」師は後に偈を示して言った。「紅燄は吾が身を蔵し、何ぞ須いん塔の新たを用ゐんや、人有りて相肯重せば、灰裏に邈として全真ならん。」

歸宗章禪師法嗣

帰宗章禅師法嗣

東京普淨院常覺禪師

東京普浄院常覚禅師

陳留李氏子。初訪歸宗。聞法省悟。遂求出家。未幾。歸宗將順寂。召師撫之曰。汝於法有緣。他後濟眾人。莫測其量也。仍以披剃事。囑諸門人。師至唐乾化二年落髮。明年納戒於東林寺甘露壇。尋遊五臺山。還上都。於麗景門外獨居二載。間有北鄰信士張生者。請師供養。張素探玄理。因叩師垂誨。師乃隨宜開誘。張生於言下悟入。設榻留宿。至深夜。與妻竊窺之。見師體徧一榻。頭足俱出。及令婢僕視之。即如常。倍加欽慕。曰。弟子夫婦垂老。今願割宅之前堂。以裨丈室。師欣然受之。至後唐天成三年。遂成大院。賜額曰普淨。師以時機淺昧。難任極旨。苟啟之非器。令彼招謗讟之咎。我寧不務開法。每月三八施浴。僧道萬計。師甞謂諸徒曰。但得慧門無壅。則福何滯哉。一日。給事中陶穀入院。致禮而問曰。經云。離一切相則名諸佛。今目前諸相紛然。如何離得。師曰。給事見箇甚麼。陶欣然仰重。自是王公大人。屢薦章服師號。皆卻而不受。以開寶四年十二月二日示疾。十一日告眾。囑付訖。右脇而化。

陳留の李氏の子。初めて帰宗を訪い、法を聞きて省悟し、遂に出家を求めた。未几にして、帰宗が将に順寂せんとし、師を召して之を撫して言った。「汝は法に縁有り、他後衆人を済すこと、その量を測る莫れ。」仍して披剃の事を、諸の門人に嘱した。師は唐の干化二年に至りて髪を落し、明年东林寺の甘露壇に戒を納めた。尋いで五台山に游び、上都に還りて、麗景門の外に独居すること二載。間に北隣の信士張生有りて、師に供養を請うた。張は素より玄理を探り、因りて師の垂誨を叩いた。師は乃ち宜しきに随いて開誘した。張生は言下に悟入し、榻を設けて留宿せしめた。深夜に至りて、妻と窃かに之を窺えば、師の体は一榻に徧く、頭足俱に出でたり。及び婢僕に視せしむれば、即ち常の如し。倍加して欽慕して言った。「弟子夫婦は垂老なり、今願わくは宅の前堂を割きて、以て丈室を裨けん。」師は欣然として之を受け、後唐天成三年に至りて、遂に大院と成り、額を賜りて普浄と曰う。師は時機の浅昧なるを以て、極旨に任ずること難く、苟も啓くに器に非ざれば、彼をして謗讟の咎を招かしめん、我寧ろ法を開くことを務めず。每月三八に浴を施し、僧道は万計なり。師は甞て諸の徒に謂いて言った。「但だ慧門の壅れ無きを得ば、則ち福は何ぞ滞らんや。」一日、給事中の陶穀が院に入り、礼を致して問うて言った。経に説く、一切の相を離れれば則ち諸仏と名づくと、今目前の諸相は紛然たり、如何にして離れんを得。師は言った。「給事は箇の何を見る。」陶は欣然として仰重し、自は王公大人、屡々章服師号を薦むるも、皆却って受けず。開宝四年十二月二日に疾を示し、十一日に衆に告げ、嘱付し訖りて、右脇にして化した。

護國遠禪師法嗣

護国遠禅師法嗣

懷安軍雲頂德敷禪師

懐安軍雲頂徳敷禅師

初參護國。問曰。直截根源佛所印。摘葉尋枝我不能時如何。國曰。罷攀雲樹三秋果。休弄碧潭孤月輪。師乃頓釋所疑。住後。成都帥請就衙陞座。有樂營將出。禮拜起。回顧下馬臺。曰。一口吸盡西江水即不問。請師吞卻堦前下馬臺。師展兩手唱曰。細抹將來。營將猛省。

初めて護国を参ず。問うて言った。「直截の根源は仏の印す所、葉を摘み枝を尋ぬるは我不能なり、時如何。」国は言った。「雲樹の三秋の果を攀ずるを罢め、碧潭の孤月輪を弄するを休めよ。」師は乃ち頓に疑う所を釈いた。住して後、成都の帥が衙に就いて座を昇らんことを請うた。楽営の将有りて出でて、礼拝して起ち、下馬台を回顧して言った。一口に西江の水を吸尽くすは即ち問わず、請う師階前の下馬台を吞却せん。師が両手を展べて唱えて言った。「細かに抹して将て来れ。」営将は猛省した。

大陽堅禪師法嗣

大陽堅禅師法嗣

襄州石門聰禪師

襄州石門聡禅師

僧問。大陽遷化向甚麼處去。師曰。騎牛不戴帽。正坐不偏行。

僧が問うた。「大陽は遷化して何の処に向かって去る。」師は言った。「牛に騎りて帽を戴かず、正坐して偏行せず。」

潭州北禪契念禪師

潭州北禅契念禅師

僧問。如何是大道之源。師曰。眾流混不得。曰。獨脫事如何。師曰。穿雲透石。問。如何是不墜古今句。師曰。十五十六。日月相逐。

僧が問うた。「如何なるか是れ大道の源。」師は言った。「衆流は混ずるを得ず。」言った。「独脱の事如何。」師は言った。「雲を穿ち石を透る。」問う。「如何なるか是れ古今に墜ちざる句。」師は言った。「十五十六、日月相逐う。」

石門徹禪師法嗣

石門徹禅師法嗣

襄州石門紹遠禪師

襄州石門紹遠禅師

初在石門作田頭。門問。如何是田頭水牯牛。師曰。角轉轟天地。朝陽處處春。他日門又問。水牯牛安樂否。師曰。水草不曾虧。曰。田中事作麼生。師曰。深耕淺種。曰。如法著。師曰。某甲不曾取次。住後。僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。十方無異路。揭覺鳳林前。問。先師已歸鴈塔去。當陽一句請師宣。師曰。脩羅掌內擎日月。夜叉足下蹋泥龍。問。金龍不吐凡間霧。請師舉唱鳳凰機。師曰。白眉不展手。長安路坦平。問。如何是西來意。師曰。布袋盛烏龜。問。如何是石門境。師曰。孤峰對鳳嶺。曰。如何是境中人。師曰。巖中殘雪。處處分輝。問。如何是和尚密作用。師曰。滴瀝非旨趣。千山不露身。問。四方八面來時如何。師曰。赤腳波斯鼻嗅天。問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。灰飛煙滅。白骨連天。師與病僧灸次。僧問。正當與麼時如何。師曰。通玄一脈。大似流星。問。如何是古佛心。師曰。白牛露地臥青谿。問。生死之河。如何過得。師曰。風吹荷葉浮萍草。問。如何是教外別傳一句。師曰。羊頭車子入長安。問。生死浪前如何話道。師曰。毛袋橫身絕飲啄。青谿常臥太陽春。問。如何是道。師曰。山深水冷。曰。如何是道中人。師曰。金槌擊金鼓。問。天陰日不出。光輝何處去。師曰。鐵蛇橫大路。通身黑似煙。問。如何是宗乘中一句。師曰。石火夜燒山。大地齊合掌。問。如何是祖師西來意。師曰。石牛攔古路。木馬驟高樓。

初めて石門に在りて田頭を作す。門が問うた。「如何なるか是れ田頭の水牯牛。」師は言った。「角は転じて天地を轟かし、朝陽は処々の春なり。」他日に門が又問うた。「水牯牛は安楽するか。」師は言った。「水草は曾て亏かず。」言った。「田中の事作麼生。」師は言った。「深く耕し浅く種る。」言った。「法の如く着けよ。」師は言った。「某甲は曾て取次せず。」住して後、僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「十方に異路無し、覚を掲げて鳳林の前。」問う。「先師は已に雁塔に帰して去り、当陽の一句、請う師宣べん。」師は言った。「修羅の掌内に日月を擎げ、夜叉の足下に泥龍を蹋む。」問う。「金龍は凡間の霧を吐かず、請う師鳳凰の機を挙唱せん。」師は言った。「白眉は手を展べず、長安の路は坦平なり。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「布袋に烏亀を盛る。」問う。「如何なるか是れ石門の境。」師は言った。「孤峰は鳳嶺に対す。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「巌中の残雪、処処に輝を分かつ。」問う。「如何なるか是れ和尚の密作用。」師は言った。「滴瀝は旨趣に非ず、千山に身を露わさず。」問う。「四方八面の来る時如何。」師は言った。「赤脚の波斯は鼻で天を嗅ぐ。」問う。「亡僧は遷化して何の処に向かって去る。」師は言った。「灰は飛び烟は滅し、白骨は天に連る。」師が病僧に灸する次、僧が問うた。「正当に恁麼なる時如何。」師は言った。「玄に通ずる一脉、大いに流星に似たり。」問う。「如何なるか是れ古仏の心。」師は言った。「白牛は露地に臥して青谿に在り。」問う。「生死の河は如何に過ぎるを得。」師は言った。「風は荷葉浮萍の草を吹く。」問う。「如何なるか是れ教外別伝の一句。」師は言った。「羊頭の車子は長安に入る。」問う。「生死の浪の前に如何に道を話せん。」師は言った。「毛袋は身を横えて飲啄を絶ち、青谿に常に臥して太陽の春。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「山深く水冷たし。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。「金槌が金鼓を撃つ。」問う。「天陰りて日出でざれば、光輝は何の処にか去る。」師は言った。「鉄蛇は大路に横たわり、通身は黒きこと烟の如し。」問う。「如何なるか是れ宗乗中の一句。」師は言った。「石火は夜に山を焼き、大地は斉しく合掌す。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「石牛は古路を拦い、木馬は高楼を驟らす。」

潭州北禪懷感禪師

潭州北禅懐感禅師

僧問。如何是諸聖為人底句。師曰。紅輪當萬戶。光燭本無心。問。師唱誰家曲。師曰。石戶不留心。洞玄通妙的。問。如何是佛。師曰。尺短寸長。

僧が問うた。「如何なるか是れ諸聖の人と為る句。」師は言った。「紅輪は万戸に当たり、光燭は本より心無し。」問う。「師は誰が家の曲を唱う。」師は言った。「石戸は心を留めず、玄を洞し妙なる的に通ず。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「尺は短く寸は長し。」

鄂州靈竹守珍禪師

鄂州霊竹守珍禅師

僧問。如何是西來意。師曰。錫帶胡天雪。瓶添漢地泉。問。迷悟不入諸境時如何。師曰。境從何來。曰。恁麼則無諸境去也。師曰。龍頭蛇尾漢。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「錫は胡天の雪を帯び、瓶は漢地の泉を添う。」問う。「迷悟が諸境に入らざる時如何。」師は言った。「境は何より来た。」言った。「恁麼ならば則ち諸境無くして去るなり。」師は言った。「龍頭蛇尾の漢。」

舒州四面山津禪師

舒州四面山津禅師

僧問。如何是佛。師曰。王字不著點。曰。學人不會。師曰。點。問。如何是祖師西來意。師曰。山寒水冷。師有掛杖頌曰。四面一條杖。當機驗龍象。頭角稍低昂。電光臨背上。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「王字に点を着けず。」言った。「学人会せず。」師は言った。「点。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「山寒く水冷たし。」師に挂杖の頌有りて言った。「四面の一条の杖、機に当たりて龍象を験す、頭角稍も低昂せば、電光は背上に臨む。」

嘉州承天義懃禪師

嘉州承天義勤禅師

僧問。如何是承天境。師曰。兩江夾卻青盲漢。一帶山藏赤腳蠻。問。如何是諦實之言。師曰。措大巾子黑。

僧が問うた。「如何なるか是れ承天の境。」師は言った。「両江は青盲の漢を夹却し、一带の山は赤脚の蛮を蔵す。」問う。「如何なるか是れ諦実の言。」師は言った。「措大の巾子は黒し。」

鳳翔府青峰義誠禪師

鳳翔府青峰義誠禅師

僧問。三際不生。是何人境界。師曰。白雲連雪嶽。明月混魚鉤。曰。未審向上更有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。靈光爍破瑠璃色。大地明來絕點痕。問。如何是青峰家風。師曰。向火吃甜瓜。

僧が問うた。「三際生ぜず、是れ何の人の境界ぞ。」師は言った。「白雲は雪岳に連なり、明月は魚鈎に混ず。」言った。「未だ審らかならず向上に更に事有るや無しや。」師は言った。「有り。」言った。「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「霊光は瑠璃色を爍破し、大地は明らかに来りて点痕を絶つ。」問う。「如何なるか是れ青峰の家風。」師は言った。「火に向かって甜瓜を喫す。」

襄州廣德山智端禪師

襄州広徳山智端禅師

僧問。牛頭未見四祖時如何。師曰。著衣吃飯。曰。見後如何。師曰。著衣吃飯。問。如何是廣德山。師曰。當陽花易發。背陰雪難消。曰。如何是山中人。師曰。朝霞不出門。暮霞行千里。

僧が問うた。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「衣を着て飯を喫す。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「衣を着て飯を喫す。」問う。「如何なるか是れ広徳山。」師は言った。「陽に当たれば花は発き易く、陰を背けば雪は消え難し。」言った。「如何なるか是れ山中の人。」師は言った。「朝霞有れば門を出でず、暮霞有れば千里を行く。」

筠首座者

筠首座の者

太原人也。自至石門逾三十年。叢林慕之。有僧請吃茶次。問。如何是首座為人一著子。師曰。適來猶記得。曰。即今又如何。師曰。好生點茶來。一日荷鉏入園。僧問。三身中那一身去作務。師拄鉏而立。僧曰。莫便當也無。師𢹂鉏便行。

太原の人である。石門に至りしより三十年を逾ゆ。叢林は之を慕う。僧有りて茶を喫せんことを請う次、問うた。「如何なるか是れ首座の人と為る一着子。」師は言った。「適来は猶お記え得たり。」言った。「即今は又如何。」師は言った。「好く生に茶を点じて来れ。」一日、鉏を荷うて園に入る。僧が問うた。「三身中、那一身か作務に去る。」師が鉏を拄して立った。僧は言った。「莫れ便ち当たるや無しや。」師が鉏を𢹂げて便ち行った。

青原下九世

青原下九世

谷隱儼禪師法嗣

谷隠儼禅師法嗣

襄州谷隱契崇禪師

襄州谷隠契崇禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。番人皮裘胡人著。曰。學人不會此理如何。師曰。聾人側耳瘂人歌。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「番人の皮裘を胡人が着る。」言った。「学人は此の理を会せず如何。」師は言った。「聾人は耳を側け、痖人は歌う。」

梁山觀禪師法嗣

梁山観禅師法嗣

郢州大陽山警玄禪師

郢州大陽山警玄禅師

江夏張氏子。依智通禪師出家。十九為大僧。聽圓覺了義講席。無能及者。遂遊方。初到梁山。問。如何是無相道場。山指觀音。曰。這箇是吳處士畫。師擬進語。山急索曰。這箇是有相底。那箇是無相底。師遂有省。便禮拜。山曰。何不道取一句。師曰。道即不辭。恐上紙筆。山笑曰。此語上碑去在。師獻偈曰。我昔初機學道迷。萬水千山覓見知。明今辨古終難會。直說無心轉更疑。蒙師點出秦時鏡。照見父母未生時。如今覺了何所得。夜放烏雞帶雪飛。山謂洞上之宗可倚。一時聲價籍籍。山歿。辭塔至大陽。謁堅禪師。堅讓席使主之。僧問。如何是大陽境。師曰。羸鶴老猿啼谷韻。瘦松寒竹鎻青煙。曰。如何是境中人。師曰。作麼。作麼。曰。如何是和尚家風。師曰。滿瓶傾不出。大地沒饑人。上堂。嵯峨萬仞。鳥道難通。劒刃輕冰。誰當履踐。宗乘妙句。語路難陳。不二法門。淨名杜口。所以達磨西來。九年面壁。始遇知音。大陽今日。也大無端。珍重。問。如何是透法身句。師曰。大洋海底紅塵起。須彌頂上水橫流。師問僧。甚處來。曰。洪山。師曰。先師在麼。曰。在。師曰。在即不無。請渠出來。我要相見。僧曰。聻。師曰。這箇猶是侍者。僧無對。師曰。吃茶去。上堂。諸禪德須明平常無生句.妙玄無私句.體明無盡句。第一句通一路。第二句無賓主。第三句兼帶去。一句道得師子嚬呻。二句道得師子返擲。三句道得師子踞地。縱也周徧十方。擒也一時坐斷。正當恁麼時。作麼生通得箇消息。若不通得箇消息。來朝更獻楚王看。問。如何是平常無生句。師曰。白雲覆青山。青山頂不露。曰。如何是妙玄無私句。師曰。寶殿無人不侍立。不種梧桐免鳳來。曰。如何是體明無盡句。師曰。手指空時天地轉。回途石馬出紗籠。曰。如何是師子嚬呻。師曰。終無回顧意。爭肯落平常。曰。

江夏の張氏の子。智通禅師に依りて出家し、十九にして大僧と為った。円覚了義の講席を聴くに、及ぶ能う者無し。遂に方に游ぶ。初めて梁山に到り、問うた。「如何なるか是れ無相の道場。」山が観音を指して言った。「這箇は是れ呉処士の画。」師が語を進めんと擬すれば、山が急いで索めて言った。「這箇は是れ有相の、那箇は是れ無相の。」師は遂に省有りて便ち礼拝した。山は言った。「何ぞ一句を道い取らざる。」師は言った。「道うは即ち辞せず、紙筆に上るを恐る。」山は笑って言った。「此の語は碑に上りて去る在り。」師が偈を献じて言った。「我昔初機に道を学びて迷い、万水千山に見知を覓え、今を明らめ古を辨じて終に会し難く、直に無心を説けば転た更に疑う、師の点出す秦時の鏡を蒙りて、父母未だ生ぜざる時を照見す、如今覚了して何の所得か有らん、夜に烏鶏を放ちて雪を帯びて飛ばす。」山は洞上の宗は倚る可しと謂い、一時に声侶籍籍たり。山が歿し、塔を辞して大陽に至り、堅禅師を謁えた。堅は席を譲りて之を主せしめた。僧が問うた。「如何なるか是れ大陽の境。」師は言った。「羸鶴老猿は谷韻に啼き、瘦松寒竹は青烟を鎖す。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「作麼、作麼。」言った。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「満瓶は傾け出でず、大地に飢人無し。」上堂して言った。「嵯峨たる万仞、鳥道通じ難し、剣刃の軽冰、誰か当たりて履践せん、宗乗の妙句は語路に陳べ難く、不二の法門は浄名も口を杜ぐ、是を以て達磨の西来、九年面壁して始めて知音に遇う。大陽の今日も大いに无端なり。珍重せよ。」問う。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「大洋海底に紅塵起ち、須弥頂上に水横流す。」師が僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「洪山。」師は言った。「先師は在るか。」言った。「在り。」師は言った。「在れば即ち無からざらず、請う渠を出でさせよ、我相見んと欲す。」僧は言った。「聻。」師は言った。「這箇は猶お是れ侍者。」僧は対えず。師は言った。「茶を喫して去れ。」上堂して言った。「諸の禅徳は須く平常無生の句、妙玄無私の句、体明無尽の句を明らむべし、第一句は一路に通じ、第二句は賓主無く、第三句は帯して去るを兼ぬ、一句道い得ば師子の嚬呻、二句道い得ば師子の返擲、三句道い得ば師子の地に踞る、縦くるも十方に周徧し、擒えるも一時に坐断す、正当に恁麼なる時、作麼生に箇の消息を通じ得る。若し箇の消息を通じ得ざれば、来朝更に楚王に献じて看せん。」問う。「如何なるか是れ平常無生の句。」師は言った。「白雲は青山を覆い、青山の頂は露われず。」言った。「如何なるか是れ妙玄無私の句。」師は言った。「宝殿に人は侍立せざる無し、梧桐を種えざれば鳳の来るを免る。」言った。「如何なるか是れ体明無尽の句。」師は言った。「手で空を指す時は天地転じ、回途に石馬は紗籠より出づ。」言った。「如何なるか是れ師子の嚬呻。」師は言った。「終に回顧の意無し、争でか平常に落つるを肯んぜん。」言った。

如何是師子返擲。師曰。周旋往返全歸父。繁興大用體無虧。曰。如何是師子踞地。師曰。迥絕去來機。古今無變異。問。如何是大達底人。師曰。虗空類不得。曰。如何是清淨法身。師曰。白牛吐雪彩。黑馬上烏雞。上堂。撒手那邊千聖外。祖堂少室長根芽。鷺倚雪巢猶自可。更看白馬入蘆花。上堂。夜半烏雞抱鵠卵。天明起來生老鸛。鶴毛鷹觜鷺鷥身。卻共烏鵶為侶伴。高入煙霄。低飛柳岸。向晚歸來子細看。依俙恰似雲中鴈。師甞釋曹山三種墮曰。此三語須明得轉位始得。一作水牯牛。是類墮。師曰。是沙門轉身語。是異類中事。若不曉此意。即有所滯。直是要伊一念無私。即有出身之路。二不受食。是尊貴墮。師曰。須知那邊了卻。來這邊行履。若不虗此位。即坐在尊貴。三不斷聲色。是隨墮。師曰。以不明聲色。故隨處墮。須向聲色裡有出身之路。作麼生是聲色外一句。乃曰。聲不自聲。色不自色。故云不斷指掌。當指何掌也。五位頌曰。正中偏。一輪皎潔正當天。宛轉虗玄事不彰。明暗祇在影中圓。偏中正。休觀朗月秦時鏡。隱隱猶如日下燈。明暗混融誰辨影。正中來。脈路玄玄絕迂迴。靜照無私隨處現。如行鳥道入鄽開。偏中至。法法無依即智智。橫身物外兩不傷。妙用玄玄善周備。兼中到。葉路當風無中道。莫守寒巖異草青。坐卻白雲宗不妙。師神觀奇偉。有威重。從兒稚中。日祇一食。自以先德付授之重。足不越限。脇不至席。年八十。嘆無可以繼者。遂作偈並皮履。布直裰。寄浮山遠禪師。使為求法器。偈曰。楊廣山頭草。憑君待價焞。異苗飜茂處。深密固靈根。偈尾雲。得法者潛眾十年。方可闡揚。遠拜而受之。遂贊師像曰。黑狗爛銀蹄。白象崑崙騎。於斯二無礙。木馬火中嘶。師天聖五年七月十九陞座。辭眾示寂。塔於本山。

(僧が接いで問うた。)「如何なるか是れ師子の返擲。」師は言った。「周旋往返して全く父に帰り、繁興の大用も体亏けず。」言った。「如何なるか是れ師子の地に踞る。」師は言った。「迥かに去来の機を絶ち、古今に変異無し。」問う。「如何なるか是れ大達の人。」師は言った。「虚空は類すを得ず。」言った。「如何なるか是れ清浄の法身。」師は言った。「白牛は雪彩を吐き、黒馬は烏鶏に上る。」上堂して言った。「手を放しし那辺は千聖の外、祖堂の少室は根芽を長ず、鷺の雪巢に倚るは猶お自ら可なり、更に看よ白馬の蘆花に入るを。」上堂して言った。「夜半に烏鶏が鵠卵を抱き、天明れて起きて老鸛を生む、鶴の毛鷹の觜に鷺鷥の身、却って烏鵶と共に侶伴と為り、高く烟霄に入り、低く柳岸を飛び、晩に向かって帰り来たりて子細に看れば、依俙として恰似せり雲中の雁に。」師は甞て曹山の三種の堕を釈して言った。「此の三語は須く轉位を明め得て始めて得べし、一に水牯牛を作すは、是れ類堕なり。」師は言った。「是れ沙門の轉身の語、是れ異類中の事、若し此の意を暁らざれば、即ち滞る所有り、直に是れ要す伊の一念に私無ければ、即ち身を出づる路有らん、二に食を受けざるは、是れ尊貴の堕なり。」師は言った。「須知すべし那辺を了却して、這辺に来りて行履するを、若し此の位を虛にせざれば、即ち尊貴に坐せん、三に声色を断ぜざるは、是れ随堕なり。」師は言った。「声色を明らめざるを以て、故に処に随いて堕す、須く声色裏に向かって身を出づる路有るべし、作麼生か是れ声色外の一句。」乃ち言った。「声は自ら声せず、色は自ら色せず、故に指掌を断たずと云う、当に何の掌をか指すべき。」五位の頌に曰く。「正中偏、一輪の皎潔は正に天に当たり、宛転虗玄の事は彰れず、明暗は只だ影中に在りて円なり、偏中正、朗月秦時の鏡を観るを休めよ、隠隠として猶お日下の灯の如し、明暗混融して誰か影を辨ぜん、正中の来、脉路玄玄として迂回を絶つ。静照に私無くして処に随いて現ず、鳥道を行くが如く鄽に入りて開く。偏中至、法法に依無ければ即ち智智なり、身を横えて物外にして両ならず傷らず、妙用玄玄として善く周備す。兼中到、葉路は風に当たりて中道無し、寒巌の異草の青きを守ること莫れ、白雲を坐却すれば宗妙ならず。」師は神観奇偉にして威重有り。児稚の中より、日に只だ一食。自ら先徳の付授の重きを以て、足は限を越えず、脇は席に至らず。年八十、継ぐ可き無きを嘆じ、遂に偈を作り并せて皮履、布直裰を浮山遠禅師に寄せて、為に法器を求めしめた。偈に曰く。「楊広山頭の草、君に凭りて価を待ちて焞け、異苗の飜りて茂る処、深密にして霊根を固くす。」偈の尾に曰く。法を得る者は衆に潜むこと十年にして、方に闡揚すべし。遠は拝して之を受け、遂に師の像を讃じて言った。「黒狗は爛銀の蹄、白象は崑崙に騎る、斯の二に碍無し、木馬は火中に嘶く。」師は天聖五年七月十九に座を昇りて衆を辞し示寂し、塔は本山に在り。

鼎州梁山巖禪師

鼎州梁山巌禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。新羅附子。蜀地當歸。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「新羅の附子、蜀地の当帰。」

澧州藥山利昱禪師

澧州薬山利昱禅師

上堂。山河大地.日月星辰與諸上座同生。三世諸佛與諸上座同參。三藏聖教與諸上座同時。還信得及麼。若也信得及。陝府鐵牛吞卻乾坤。雖然如是。被法身礙卻。轉身不得。須知有出身之路。作麼生是諸上座出身之路。道。道。良久曰。若道不得。永沉苦海。珍重。僧問。格外之談。乞師垂示。師曰。要道也不難。曰。恁麼則萬仞碧潭。許垂一線也。師曰。大眾笑你。

上堂して言った。「山河大地・日月星辰は諸の上座と生を同じくし、三世の諸仏は諸の上座と参を同じくし、三蔵の聖教は諸の上座と時を同じくす、還た信じ及ぶを得るか、若しも信じ及ぶを得ば、陜府の鉄牛は乾坤を吞却せん、然ると雖も是の如し、法身に礙却されて身を轉ずるを得ず、須知すべし身を出づる路有るを。作麼生か是れ諸上座の身を出づる路。道え、道え。」良久して言った。「若し道い得ざれば、永く苦海に沈まん、珍重せよ。」僧が問うた。「格外の談、乞う師垂示せん。」師は言った。「道うは要すも亦た難からず。」言った。「恁麼ならば則ち万仞の碧潭に、一線を垂るるを許さん。」師は言った。大衆は汝を笑わん。

鼎州羅紋得珍山主

鼎州羅紋得珍山主

僧問。親切處乞師指示。師曰。老僧元是廣南人。

僧が問うた。「親切の処に乞う師指示せん。」師は言った。「老僧は元是れ広南の人。」

石門遠禪師法嗣

石門遠禅師法嗣

潭州道吾契詮禪師

潭州道吾契詮禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。鳳嶺無私曲。如今天下傳。曰。如何是道吾境。師曰。溪花含玉露。庭果落金臺。曰。如何是境中人。師曰。擁爐披古衲。曝日枕山根。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。玉上青蠅。曰。見後如何。師曰。紅爐焰裡冰。

僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「鳳嶺の私無き曲、如今天下に伝わる。」言った。「如何なるか是れ道吾の境。」師は言った。「谿花は玉露を含み、庭果は金台に落つ。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「炉を擁して古衲を披き、日を曝して山根に枕す。」問う。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「玉上の青蠅。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「紅炉の焔裏の冰。」

懷安軍雲頂山鑒禪師

懐安軍雲頂山鑑禅師

僧問。雪點紅爐。請師驗的。師曰。王婆煑䭔。曰。爭奈即今何。師曰。猶嫌少在。

僧が問うた。「雪は紅炉を点ず、請う師験のを。」師は言った。「王婆が䭔を煑る。」言った。「争奈せん即今を何。」師は言った。「猶お少きを嫌う在り。」

鄧州廣濟方禪師

鄧州広済方禅師

僧問。如何是佛。師曰。騎牛趂春草。背卻少年爺。問。寶劒未磨時如何。師曰。烏龜啗黑豆。曰。磨後如何。師曰。庭柱掛燈籠。曰。如何是修行。師曰。庭柱傷寒。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「牛に騎りて春草を趂り、少年の爷を背却す。」問う。「宝剣未だ磨かざる時如何。」師は言った。「烏亀が黒豆を啗う。」言った。「磨きし後如何。」師は言った。「庭柱に灯籠を挂く。」言った。「如何なるか是れ修行。」師は言った。「庭柱が傷寒す。」

果州青居山昇禪師

果州青居山升禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。金雞啼石戶。得意逐波清。曰。未審是誰之子。師曰。謝汝就門罵詈。

僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「金鶏が石戸に啼き、意を得て波の清きを逐う。」言った。「未だ審らかならず是れ誰が子ぞ。」師は言った。「汝の門に就いて罵詈するを謝す。」

北禪感禪師法嗣

北禅感禅師法嗣

濠州南禪聰禪師

濠州南禅聡禅師

僧問。如何是西來意。師曰。冬月深林雨。三春平地風。問。如何是大道根源。師曰。雲興當午夜。石虎呌連霄。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「冬月は深林の雨、三春は平地の風。」問う。「如何なるか是れ大道の根源。」師は言った。「雲は午夜に当たりて興り、石虎は呌びて霄に連る。」

青原下十世

青原下十世

大陽玄禪師法嗣

大陽玄禅師法嗣

舒州投子義青禪師

舒州投子義青禅師

青社李氏子。七齡頴異。往妙相寺出家。試經得度。習百法論。未幾歎曰。三祇塗遠。自困何益。乃入洛聽華嚴。義若貫珠。甞讀諸林菩薩偈。至即心自性。猛省曰。法離文字。寧可講乎。即棄遊宗席。時圓鑑禪師居會聖巖。一夕。夢畜青色鷹。為吉徵。屆旦師來。鑑禮延之。令看外道問佛不問有言.不問無言因緣。經三載。一日問曰。汝記得話頭麼。試舉看。師擬對。鑑掩其口。師瞭然開悟。遂禮拜。鑑曰。汝妙悟玄機邪。師曰。設有也須吐卻。時資侍者在旁。曰。青華嚴今日如病得汗。師回顧曰。合取狗口。若更忉忉。我即便嘔。自此復經三年。鑑時出洞下宗旨示之。悉皆妙契。付以大陽頂相皮履直裰。囑曰。代吾續其宗風。無久滯此。善宜護持。遂書偈送曰。須彌立太虗。日月輔而轉。群峰漸倚他。白雲方改變。少林風起叢。曹溪洞簾卷。金鳳宿龍巢。宸苔豈車碾。令依圓通秀禪師。師至彼無所參問。唯嗜睡而已。執事白通曰。堂中有僧日睡。當行規法。通曰。是誰。曰。青上座。通曰。未可。待與按過。通即曳杖入堂。見師正睡。乃擊床呵曰。我這裡無閑飯與上座。吃了打眠。師曰。和尚教某何為。通曰。何不參禪去。師曰。美食不中飽人吃。通曰。爭奈大有人不肯上座。師曰。待肯。堪作甚麼。通曰。上座曾見甚麼人來。師曰。浮山。通曰。怪得恁麼頑賴。遂握手相笑。歸方丈。由是道聲籍甚。初住白雲。次遷投子。上堂。召大眾曰。若論此事。如鸞鳳沖霄。不留其跡。羚羊掛角。那覓乎蹤。金龍不守於寒潭。玉兔豈棲於蟾影。其或主賓若立。須威音世外搖頭。問答言陳。仍玄路旁提為唱。若能如是。猶在半途。更若凝眸。不勞相見。上堂。宗乘若舉。凡聖絕蹤。樓閣門開。別戶相見。設使卷簾悟去。豈免旁觀。春遇桃華。重增眼病。所以古人道。向上一路。千聖不傳。諸仁者。既是不傳。

青社の李氏の子。七齢にして颕異なり。妙相寺に往きて出家し、経に試みて度を得た。百法論を習う。未几にして嘆じて言った。「三祇の途遠く、自ら困む何の益か有らん。」乃ち洛に入りて華て華厳を聴き、義は珠を貫くが若し。甞て諸林の菩薩の偈を読みて、即心自性に至り、猛省して言った。「法は文字を離る、寧ぞ講せんや。」即ち棄てて宗席に游んだ。時に円鑑禅師が会聖巌に居り、一夕に青色の鷹を畜うを夢みて、吉の徴と為す。旦に届りて師来たり、鑑は礼して之を延き、外道が仏に問うて言有りを問わず言無きを問わざる因縁を看せしめ、三年を経たり。一日問うて言った。「汝は話頭を記えたるか、試しに挙げて看よ。」師が対えんと擬すれば、鑑が其の口を掩いた。師は了然として開悟し、遂に礼拝した。鑑は言った。「汝は玄機を妙悟せる邪。」師は言った。「設し有りとも亦た須く吐却すべし。」時に資侍者が傍らに在りて言った。「青華厳は今日病が汗を得たるが如し。」師が回顧して言った。「狗口を合取せよ、若し更に忉忉せば、我は即ち便ち嘔わん。」自より復た三年を経たり。鑑は時に洞下の宗旨を出して之に示せば、悉く皆妙契した。大陽の頂相皮履直裰を付して嘱して言った。「吾に代えて其の宗風を続け、久しく此に滞ること無く、善く宜しく護持すべし。」遂に偈を書して送りて言った。「須弥は太虗に立ち、日月は輔けて転ず、群峰は漸く他に倚り、白雲方に改変す、少林の風は叢に起ち、曹谿の洞は簾を巻く、金鳳は龍巢に宿し、宸苔は豈に車の碾かんや。」円通秀禅師に依らしむ。師は彼に至りて参問する所無く、唯だ睡ることを嗜むのみ。執事が通に白して言った。「堂中に日に睡る僧有り、当に規法を行うべし。」通は言った。「是れ誰ぞ。」言った。「青上座。」通は言った。「未だ可ならず、過を按ずるを待て。」通は即ち杖を曳きて堂に入り、師の正に睡るを見て、乃ち床を撃ちて呵して言った。「我が這裏に閑飯無くして上座に与え、喫して打眠せん。」師は言った。「和尚は某に何を為せと教える。」通は言った。「何ぞ参禅して去らざる。」師は言った。「美食は飽く人の喫に中らず。」通は言った。「争奈せん大いに人有りて上座を肯を肯ぜざるを。」師は言った。「肯ぜんを待てば、堪えて何を作さん。」通は言った。「上座は曾て何の人に見えし。」師は言った。「浮山。」通は言った。「恁麼に頑頼なるを怪むを得たり。」遂に手を握りて相笑い、方丈に帰った。是に由りて道の声籍甚なり。初めて白雲に住し、次いで投子に遷った。上堂して大衆を召して言った。「若し此の事を論ぜば、鸞鳳の霄に冲るが如く、その迹を留めず、羚羊が角を挂けば、那ぞ其の蹤を覓めん、金龍は寒潭を守らず、玉兔は豈に蟾影に栖まんや、其の或いは主賓若し立たば、威音世の外に頭を揺るを須い、問答言を陳ぶれば、仍ほ玄路の傍に提唱と為す、若し能く是の如くせば、猶お半途に在り、更に若し眸を凝らさば、相見るを労せず。」上堂して言った。「宗乗若し挙げば、凡聖蹤を絶ち、楼閣門を開き、別戸に相見る、設し簾を巻きて悟り去るを使すとも、豈に傍観を免れん、春は桃花に遇う、眼病を重ねて増す、是を以て古人道う、向上の一路は、千聖伝えずと。諸の仁者、既に是れ伝えざると、

為甚鐵牛走過新羅國裡。遂喝曰。達者須知暗裡驚。僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。威音前一箭。射透兩重山。曰。如何是相傳底事。師曰。全因淮地月。得照郢陽春。曰。恁麼則入水見長人也。師曰。祇知荊玉異。那辨楚王心。僧禮拜。師以拂子擊之。復曰。更有問話者麼。如無。彼此著便。問。和尚適來拈香。祝延聖壽。且道當今年多少。師曰。月籠丹桂遠。星拱北辰高。曰。南山直聳齊天壽。東海洪波比福源。師曰。雙鳳朝金闕。青松古韻高。曰。聖壽已蒙師指示。治化乾坤事若何。師曰。不如緘口退。卻是報皇恩。上堂。默沉陰界。語落深坑。擬著則天地懸殊。棄之則千生萬劫。洪波浩渺。白浪滔天。鎮海明珠。在誰收掌。良久。卓拄杖曰。百雜碎。上堂。孤村陋店。莫掛瓶盂。祖佛玄關。橫身直過。早是蘇秦觸塞。求路難回。項主臨江。何逃困命。諸禪德到這裡。進則落於天魔。退則沈於鬼趣。不進不退。正在死水中。諸仁者。作麼生得平穩去。良久曰。任從三尺雪。難壓寸靈松。師作五位頌並序。夫長天一色。星月何分。大地無偏。枯榮自異。是以法無異法。何迷悟而可及。心不自心。假言象而提唱。其言也。偏圓正到。兼帶葉通。其法也。不落是非。豈關萬象。幽旨既融於水月。宗源派混於金河。不墜虗凝回途復妙。頌曰。正中偏。星河橫轉月明前。彩氣夜交天未曉。隱裡俱彰暗裡圓。偏中正。夜半天明羞自影。朦朦霧色辨何分。混然不落秦時鏡。正中來。火裡金雞坐鳳臺。玄路倚空通脈上。披雲鳥道出塵埃。兼中至。雪仞籠身不迴避。天然猛將兩不傷。暗裡全施善周備。兼中到。解走之人不觸道。一般拈掇與君殊。不落是非方始妙。師示寂。書偈曰。兩處住持。無可助道。珍重諸人。不須尋討。投筆奄息。闍維多靈異。茲不盡具。獲設利五色。同靈骨塔於寺北三峰庵。

為んに鉄牛が走りて新羅国裏を過ぐ。」遂に喝して言った。「達する者は須知すべし暗裏に驚くを。」僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「威音前の一箭、射透る両重の山。」言った。「如何なるか是れ相伝の事。」師は言った。「全く淮地の月に因りて、郢陽の春を照らすを得。」言った。「恁麼ならば則ち水に入りて長人を見るなり。」師は言った。「只だ荊玉の異なるを知りて、那ぞ楚王の心を辨ぜん。」僧が礼拝した。師は拂子を以て之を撃ち、復た言った。「更に問話する者有るか、如く無からば、彼此に便を着けん。」問う。「和尚は適来香を拈じて、聖寿を祝延した、且く道う当に今年多少と。」師は言った。「月は丹桂を籠めて遠く、星は北辰に拱して高し。」言った。「南山は直に聳えて天の寿に斉しく、東海の洪波は福源に比す。」師は言った。「双鳳は金闕に朝し、青松は古韻高し。」言った。「聖寿は已に師の指示を蒙る、治化乾坤の事如何。」師は言った。「口を緘めて退くに如かず、却って是れ皇恩を報ず。」上堂して言った。「黙は陰界に沈み、語は深坑に落つ、擬せば則ち天地懸殊し、棄てれば則ち千生万劫、洪波浩渺として白浪滔天、鎮海の明珠、誰に在りて收掌せん。」良久して、拄杖を卓して言った。「百雑碎。」上堂して言った。「孤村陋店、瓶盂を挂くること莫れ、祖仏の玄関は、身を横えて直に過ぐ、早く是れ蘇秦の塞に触れて、路を求めて回り難く、項主は江に臨みて、何ぞ困命を逃れん、諸の禅徳は這裏に到りて、進めば則ち天魔に落ち、

郢州興陽清剖禪師

退けば則ち鬼趣に沈む、進まず退かざれば、正に死水中に在り。諸の仁者、作麼生にして平穏に去るを得ん。」良久して言った。「三尺の雪に任れども、寸の霊松を圧し難し。」師が五位の頌を作りて序を并せた。夫れ長天は一色、星月は何ぞ分かれん、大地は偏無く、枯栄は自ら異なり、是を以て法に異法無し、何ぞ迷悟の及ぶ可けん、心は自ら心せず、言象に仮りて提唱す、其の言や、偏に円に正に到り、兼帯葉通す、其の法や、是非に落ちず、豈に万象に関せん、幽旨は既に水月に融け、宗源は派が金河に混ず、虗凝に墜ちずして途を回りて復た妙なり。頌に曰く。「正中偏、星河は横転して月明の前、彩気は夜に交わりて天未だ暁けず、隠裏に俱に彰れて暗裏に円なり、偏中正、夜半の天明は自ら影を羞ず、朦朦たる霧色は何を辨じて分かたん、混然として秦時の鏡に落ちず、正中の来、火裏の金鶏は鳳台に坐す。玄路は空に倚りて脉の上に通じ、雲を披きて鳥道は塵埃を出づ。兼中至、雪仞は身を籠めて回避せず、天然の猛将は両ならず傷らず、暗裏に全く施して善く周備す。兼中到、走るを解する人は道に触れず、一般に拈掇して君と殊なり、是非に落ちずして方に始めて妙なり。」師は示寂し、偈を書して言った。「両処に住持して、道を助ぐる可き無し、諸人を珍重す、尋討するを須いず。」筆を投げて奄息し、闍維に霊異多く、兹に具えず、五色の設利を獲て、霊骨と塔を寺の北の三峰庵に同じくした。

在大陽作園頭。種瓜次。陽問。甜瓜何時得熟。師曰。即今熟爛了也。曰。揀甜底摘來。師曰。與甚麼人吃。曰。不入園者。師曰。未審不入園者還吃也無。曰。汝還識伊麼。師曰。雖然不識。不得不與。陽笑而去。住後。上堂。西來大道。理絕百非。句裡投機。全乖妙旨。不已而已。有屈祖宗。豈況忉忉。有何所益。雖然如是。事無一向。且於唱教門中。通一線道。大家商量。僧問。娑竭出海乾坤震。覿面相呈事若何。師曰。金翅鳥王當宇宙。箇中誰是出頭人。曰。忽遇出頭時又作麼生。師曰。似鶻提鳩君不信。髑髏前驗始知真。曰。恁麼則叉手當𮌎。退身三步也。師曰。須彌座下烏龜子。莫待重遭點額回。問。從上諸聖向甚麼處去。師曰。月照千江靜。孤燈海底明。鄭金部問。和尚甚麼時開堂。師曰。不歷僧祇數。日月未生前。師臥疾次。大陽問。是身如泡幻。泡幻中成辦。若無箇泡幻。大事無由辦。若要大事辦。識取箇泡幻。作麼生。師曰。猶是這邊事。陽曰。那邊事作麼生。師曰。匝地紅輪秀。海底不栽花。陽笑曰。乃爾惺惺邪。師喝曰。將謂我忘卻。竟爾趨寂。

大陽に在りて園頭を作す。瓜を種うる次、陽が問うた。「甜瓜は何時にか熟するを得。」師は言った。「即今熟爛せり。」言った。「甜きを揀んで摘みて来れ。」師は言った。「何の人に与えて喫せしめん。」言った。「園に入らざる者。」師は言った。「未だ審らかならず園に入らざる者は還た喫するや無しや。」言った。「汝は還た伊を識るか。」師は言った。「識らずと雖も、与えざるを得ず。」陽は笑って去った。住して後、上堂して言った。「西来の大道は理に百非を絶ち、句裏に投機するは全く妙旨に乖く、已まざる已み、祖宗を屈する有り、豈に況んや忉忉ならんや、何の益か有る所、然ると雖も是の如し、事は一向無し、且く唱教の門中に於て、一線の道を通じ、大家商量せん。」僧が問うた。「娑竭は海を出でて乾坤震う、覿面に相呈する事如何。」師は言った。「金翅鳥王は宇宙に当たり、箇中は誰か是れ頭を出づる人。」言った。「忽ち頭を出づるに遇わば又作麼生。」師は言った。「鶻が鳩を提げるに似たり、君は信ぜず、髑髏の前に験して始めて真を知らん。」言った。「恁麼ならば則ち手を叉いで𮌎に当たり、身を退けて三歩なり。」師は言った。「須弥座下の烏亀子、重ねて点額の回に遭うを待つこと莫れ。」問う。「上より諸聖は何の処に向かって去る。」師は言った。「月は千江を照らして静かなり、孤灯は海底に明らかなり。」鄭金部が問うた。「和尚は何の時にか堂を開く。」師は言った。「僧祇の数を歴ず、日月未だ生ぜざる前。」師が疾に臥する次、大陽が問うた。「是れ身は泡幻の如く、泡幻中に成弁す、若し箇の泡幻無からば、大事は弁ずる由無し、若し大事を弁ぜんと要せば、箇の泡幻を識取せよ、作麼生。」師は言った。「猶お是れ這辺の事。」陽は言った。「那辺の事作麼生。」師は言った。「地に匝く紅輪秀で、海底に花を栽えず。」陽は笑って言った。「乃ち爾の惺惺なる邪。」師が喝して言った。「我が忘却したと将に謂わんとす。」竟に寂に趨った。

南嶽福嚴審承禪師

南岳福厳審承禅師

侍立大陽次。陽曰。有一人徧身紅爛。臥在荊棘林中。周匝火圍。若親近得此人。大敞鄽開。若親近不得。時中以何為據。師曰。六根不具。七識不全。陽曰。你教伊出來。我要見伊。師曰。適來別無左右祇對和尚。陽曰。官不容針。師便禮拜(師後至華嚴隆和尚處。舉前話。隆曰。冷如毛粟。細如冰雪)。李相公特上山。問。如何是祖師西來意。師指庭前栢樹。公如是三問。師如是三答。公欣然。乃有頌曰。出沒雲閑滿太虗。元來真相一塵無。重重請問西來意。唯指庭前栢一株。

大陽に侍立する次、陽は言った。「一人有りて徧身紅爛し、荊棘林の中に臥し、周匝に火が囲む、若し此の人に親近し得ば、大いに鄽を敞きて開かん、若し親近し得ざれば、時中に何を以て拠と為す。」師は言った。「六根具せず、七識全からず。」陽は言った。「汝は伊を教えて出でさせよ、我要して伊に見えん。」師は言った。「適来は別に左右無く、只だ和尚に対せり。」陽は言った。「官は鍼を容れず。」師は便ち礼拝した(師は後に華厳隆和尚の処に至りて、前の話を挙ぐ、隆は言った。「冷なること毛粟の如く、細なること冰雪の如し」)。李相公が特に山に上りて問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師が庭前の栢樹を指した。公は是の如く三たび問い、師は是の如く三たび答え、公は欣然として、乃ち頌有りて言った。「出没は雲の間にして太虗に満ち、元来の真相は一塵無し、重重に請いて西来意を問えば、唯だ庭前の栢一株を指すのみ。」

惠州羅浮山顯如禪師

恵州羅浮山顕如禅師

初到大陽。陽問。汝是甚處人。曰。益州。陽曰。此去幾裡。曰。五千裡。陽曰。你與麼來。還曾踏著麼。曰。不曾踏著。陽曰。汝解騰空那。曰。不解騰空。陽曰。爭得到這裡。曰。步步不迷方。通身無辨處。陽曰。汝得超方三昧邪。曰。聖心不可得。三昧豈彰名。陽曰。如是。如是。汝應信此即本體全彰。理事不二。善自護持。住後。僧問。如何是羅浮境。師曰。突兀侵天際。巍峩鎮海涯。曰。如何是境中人。師曰。頂上白雲散。足下黑煙生。

初めて大陽に到る。陽が問うた。「汝は是れ甚の処の人ぞ。」言った。「益州。」陽は言った。「此より去ること幾里ぞ。」言った。「五千里。」陽は言った。「汝は恁麼に来たりて、還た曾て踏着したか。」言った。「曾て踏着せず。」陽は言った。「汝は空を騰ぐことを解する那。」言った。「空を騰ぐを解せず。」陽は言った。「争でか這裏に到るを得。」言った。「歩歩に方を迷わず、通身に辨ずる処無し。」陽は言った。「汝は方を超える三昧を得たる邪。」言った。「聖心は得る可からず、三昧は豈に名を彰さん。」陽は言った。「是の如し、是の如し、汝は応に信ずべし此の即ち本体全く彰れ、理事不二なりと、善く自ら護持せよ。」住して後、僧が問うた。「如何なるか是れ羅浮の境。」師は言った。「突兀として天際を侵し、巍峩として海涯を鎮む。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「頂上に白雲散じ、足下に黒烟生ず。」

襄州白馬歸喜禪師

襄州白馬帰喜禅師

初問大陽。學人矇昧。乞指箇入路。陽曰。得。良久。乃召師。師應諾。陽曰。與你箇入路。師於言下有省。住後。僧問。如何是佛法大意。師曰。善犬帶牌。問。如龜藏六時如何。師曰。布袋裡弓箭。問。不著佛求。不著法求。當於何求。師曰。村人跪拜石師子。曰。意旨如何。師曰。社樹下設齋。上堂。急走即蹉過。慢行趂不上。沒量大衲僧無計奈何。有多口饒舌底出來。僧問。一句即不問。如何是半句。師曰。投身擲下。曰。這箇是一句也。師曰。半句也摸不著。問。如何是閴寂之門。師曰。莫閙。莫閙。

初めて大陽に問うた。「学人は蒙昧なり、箇の入路を指すを乞う。」陽は言った。「得。」良久して乃ち師を召した。師が応諾した。陽は言った。「汝に箇の入路を与えん。」師は言下に於て省有り。住して後、僧が問うた。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「善き犬は牌を帯ぶ。」問う。「亀の六を蔵するが如き時如何。」師は言った。「布袋裏の弓箭。」問う。「仏を求めず法を求めず、当に何を求むべき。」師は言った。「村人が石師子に跪拜す。」言った。「意旨如何。」師は言った。「社樹の下に斎を設く。」上堂して言った。「急ぎ走れば即ち蹉過、慢く行けば趂え上がらず、量大無き大衲僧も奈何する計無し、口多く舌を饒る者は出で来れ。」僧が問うた。一句は即ち問わず、如何なるか是れ半句。師は言った。「身を投げて擲下す。」言った。「這箇は是れ一句なり。」師は言った。「半句も亦た摸着せず。」問う。「如何なるか是れ閴寂の門。」師は言った。「閙ぐこと莫れ、閙ぐこと莫れ。」

郢州大陽慧禪師

郢州大陽慧禅師

僧問。漢君七十二陣。大霸寰中。和尚臨筵。不施寸刃。承誰恩力。師曰。杲日當軒際。森羅一樣觀。曰。恁麼則金烏凝秀色。玉兔瑞雲深。師曰。滴瀝無私旨。通方一念玄。問。如何是和尚家風。師曰。麤布直裰重重補。日用鉏頭旋旋揩。曰。向上客來。如何祇待。師曰。要用便用。問。如何是西來意。師曰。日出東方。月落西戶。復示頌曰。朝朝日出東方。夜夜月落西戶。如今大宋宮家。盡是金枝玉樹。

僧が問うた。「漢君は七十二の陣にして寰中に大いに覇す、和尚は筵に臨みて寸刃を施さず、誰の恩力をか承く。」師は言った。「杲日は軒際に当たり、森羅は一样に観る。」言った。「恁麼ならば則ち金烏は秀色を凝らし、玉兔は瑞雲深し。」師は言った。「滴瀝は私無き旨、方に通ずる一念の玄。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「麤布の直裰は重重に補い、日用の鉏頭は旋旋に揩ぐ。」言った。「向上の客来れば、如何に只だ待たん。」師は言った。「要せば便ち用ゐよ。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「日は東方に出で、月は西戸に落つ。」復た頌を示して言った。「朝朝に日は東方に出で、夜夜に月は西戸に落つ、如今大宋の宮家は、尽く是れ金枝の玉樹。」

越州雲門山靈運寶印禪師

越州雲門山霊運宝印禅師

上堂。夜來雲雨散長空。月在森羅萬象中。萬象靈光無內外。當明一句若為通。不見僧問大哥和尚雲。月生雲際時如何。大哥曰。三箇孩兒抱花皷。莫來攔我毬門路。月生雲際。是明甚麼邊事。三箇孩兒抱花皷。擬思即隔。莫來攔我毬門路。須有出身處始得。若無出身處。也似黑牛臥死水。出身一句作麼生道。不勞久立。

上堂して言った。「夜来云雨は長空に散じ、月は森羅万象の中に在り、万象の霊光は内外無し、当に明らかならん一句は若為に通ぜん、僧が大哥和尚に問うを見ざるか、月は雲際に生ずる時如何と、大哥は言った、我が毬門の路を拦うこと来ること莫れ、月は雲際に生ずるは、是れ何の辺の事か明らかならん、三箇の孩児が花皷を抱く、擬思すれば即ち隔たり、我が毬門の路を拦うこと来ること莫れ、須く身を出づる処有りて始めて得べし、若し身を出づる処無からば、も亦た黒牛が死水に臥するに似たり、身を出づる一句は作麼生に道わん。」久立を労せず。

懷安軍雲頂海鵬禪師

懐安軍雲頂海鵬禅師

僧問。如何是大疑底人。師曰。畢缽巖中。面面相覷。曰。如何是不疑底人。師曰。如是我聞。須彌粉碎。問。祖意教意。是同是別。師曰。達磨逢梁武。摩騰遇漢明。

僧が問うた。「如何なるか是れ大いに疑う人。」師は言った。「畢鉢巌中に、面々相覷す。」言った。「如何なるか是れ疑わざる人。」師は言った。「是の如く我聞く、須弥は粉碎す。」問う。「祖意教意、是れ同か是れ別か。」師は言った。「達磨は梁武に逢い、摩騰は漢明に遇う。」

復州乾明機聰禪師

復州乾明機聡禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。此問不虗。問。如何是東禪境。師曰。定水不曾離舊岸。紅塵爭敢入波來。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「此の問は虚からず。」問う。「如何なるか是れ東禅の境。」師は言った。「定水は曾て旧岸を離れず、紅塵は争でか波に入りて来らん。」

梁山巖禪師法嗣

梁山巌禅師法嗣

鼎州梁山善冀禪師

鼎州梁山善冀禅師

僧問。撥塵見佛時如何。師曰。莫眼華。問。和尚幾時成佛。師曰。且莫壓良為賤。曰。為甚麼不肯承當。師曰。好事不如無。師頌魯祖面壁曰。魯祖三昧最省力。才見僧來便面壁。若是知心達道人。不在揚眉便相悉。

僧が問うた。「塵を撥きて仏を見る時如何。」師は言った。「眼を華にすること莫れ。」問う。「和尚は幾時にか仏と成る。」師は言った。「且く良を圧して賤と為すこと莫れ。」言った。「なぜ承当を肯を肯ぜざる。」師は言った。「好事は無きに如かず。」師が魯祖の面壁を頌して言った。「魯祖の三昧は最も力を省く、纔かに僧の来るを見れば便ち面壁す、若し是れ心を知り道に達する人ならば、眉を揚ぐに在らずして便ち相悉せん。」

道吾詮禪師法嗣

道吾詮禅師法嗣

相州天平山契愚禪師

相州天平山契愚禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。杖皷兩頭打。問。如何是祖師西來意。師曰。鎮州蘿蔔。石含茶居士問。法無動搖時如何。師曰。你從潞府來。士曰。一步也不曾驀。師曰。因甚得到這裡。士曰。和尚睡語作麼。師曰。放你三十棒。官人問。無鄰可隔。為甚麼不相見。師曰。怨阿誰。師廊下行次。見僧。以拄杖示之。僧便近前接。師便打。

僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「杖皷の両頭に打つ。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「鎮州の蘿蔔。」石含茶居士が問うた。「法に動揺無き時如何。」師は言った。「汝は潞府より来た。」士は言った。「一步も亦た曾て蓦ぎず。」師は言った。「甚に因りて這裏に到るを得。」士は言った。「和尚は睡りて語を作すか。」師は言った。「汝に三十棒を放つ。」官人が問うた。「隔つ可き隣無し、なぜ相見えざる。」師は言った。「阿谁を怨みん。」師が廊下を行く次、僧を見て、拄杖を以て之に示した。僧が便ち近づき前して接げんとすれば、師は便ち打った。

青原下十一世

青原下十一世

投子青禪師法嗣

投子青禅師法嗣

東京天寧芙蓉道楷禪師

東京天寧芙蓉道楷禅師

沂州崔氏子。自幼學闢穀。隱伊陽山。後遊京師。籍名術臺寺。試法華得度。謁投子於海會。乃問。佛祖言句。如家常茶飯。離此之外。別有為人處也無。子曰。汝道寰中天子敕。還假堯舜禹湯也無。師欲進語。子以拂子摵師口曰。汝發意來。早有三十棒也。師即開悟。再拜便行。子曰。且來。闍黎。師不顧。子曰。汝到不疑之地邪。師即以手掩耳。後作典座。子曰。廚務勾當不易。師曰。不敢。子曰。煑粥邪。蒸飯邪。師曰。人工淘米著火。行者煑粥蒸飯。子曰。汝作甚麼。師曰。和尚慈悲。放他閑去。一日侍投子遊菜園。子度拄杖與師。師接得便隨行。子曰。理合恁麼。師曰。與和尚提鞋挈杖。也不為分外。子曰。有同行在。師曰。那一人不受教。子休去。至晚問師。早來說話未盡。師曰。請和尚舉。子曰。卯生日。戌生月。師即點燈來。子曰。汝上來下去。總不徒然。師曰。在和尚左右。理合如此。子曰。奴兒婢子。誰家屋裡無。師曰。和尚年尊。闕他不可。子曰。得恁麼殷勤。師曰。報恩有分。住後。僧問。胡家曲子不墮五音。韻出青霄。請師吹唱。師曰。木雞啼夜半。鐵鳳呌天明。曰。恁麼則一句曲含千古韻。滿堂雲水盡知音。師曰。無舌童兒能繼和。曰。作家宗師。人天眼目。師曰。禁取兩片皮。問。夜半正明。天曉不露。如何是不露底事。師曰。滿船空載月。漁父宿蘆花。問。如何是曹洞家風。師曰。繩床風雨爛。方丈草來侵。問。如何是直截根源。師曰。足下已生草。舉步落危坡。上堂。晝入祗陀之苑。皓月當天。夜登靈鷲之山。太陽溢目。烏鵶似雪。孤鴈成群。鐵狗吠而凌霄。泥牛鬬而入海。正當恁麼時。十方共聚。彼我何分。古佛場中。祖師門下。大家出一隻手。接待往來知識。諸仁者。且道成得箇甚麼事。良久曰。剩栽無影樹。留與後人看。上堂。才陞此座。已涉塵勞。更乃凝眸。

沂州の崔氏の子。幼より辟谷を学び、伊陽山に隠れた。後に京師に游び、術台寺に名を籍して、法華に試みて度を得た。投子を海会に於て謁え、乃ち問うた。「仏祖の言句は家常の茶飯の如し、此の外に離れて、別に人と為る処有るや無しや。」子は言った。「汝道え寰中の天子の勅は、還た堯舜禹湯に仮るや無しや。」師が語を進めんと欲すれば、子が拂子を以て師の口を摵いて言った。「汝は意を発して来れば、早く三十棒有り。」師は即ち開悟し、再拝して便ち行った。子は言った。「且く来れ、闍黎。」師は顧みず。子は言った。「汝は疑わざるの地に到れる邪。」師は即ち手を以て耳を掩いた。後に典座を作した。子は言った。「厨務の勾当は易からず。」師は言った。「敢えず。」子は言った。「粥を煑る邪、飯を蒸す邪。」師は言った。「人工は米を淘ぎて火に着け、行者は粥を煑り飯を蒸す。」子は言った。「汝は何を作す。」師は言った。「和尚は慈悲して、他を放して閑に去らしめよ。」一日、投子に侍して菜園に游ぶ。子が拄杖を師に度す。師が接げて便ち行に随った。子は言った。「理は合に恁麼。」師は言った。「和尚に与えて鞋を提げ杖を挈ぐるも、亦た分外と為らず。」子は言った。「同行有りて在り。」師は言った。「那一人か教を受けざる。」子は休して去った。晩に至りて師に問うた。「早来の説話は未だ尽きず。」師は言った。「請う和尚挙げよ。」子は言った。「卯は日を生じ、戌は月を生ず。」師は即ち灯を点じて来た。子は言った。「汝は上りて下りて、総て徒然ならず。」師は言った。「和尚の左右に在り、理は合に此の如し。」子は言った。「奴児婢子は、誰が家の屋裏に無からん。」師は言った。「和尚は年尊し、他を闕く可からず。」子は言った。「恁麼に殷勤なるを得たり。」師は言った。「恩を報ずるに分有り。」住して後、僧が問うた。「胡家の曲子は五音に堕せず、韻は青霄より出づ、請う師吹唱せん。」師は言った。「木鶏は夜半に啼き、鉄鳳は天明に呌ぶ。」言った。「恁麼ならば則ち一句は曲に千古の韻を含み、満堂の雲水は尽く知音なり。」師は言った。「舌無き童児も能く和を継ぐ。」言った。「作家の宗師、人天の眼目なり。」師は言った。「両片の皮を禁取せよ。」問う。「夜半正に明らかに、天暁けても露れず、如何なるか是れ露れざる底の事。」師は言った。「満船は空しく月を載せ、漁父は蘆花に宿す。」問う。「如何なるか是れ曹洞の家風。」師は言った。「縄床は風雨に爛れ、方丈は草の来りて侵す。」問う。「如何なるか是れ直截の根源。」師は言った。「足下は已に草を生じ、歩を挙げれば危坡に落つ。」上堂して言った。「昼は只陀の苑に入りて皓月は天に当たり、夜は霊鷲の山に登りて太陽は目に溢る、烏鵶は雪に似て孤雁は群を成し、鉄狗は吠えて霄に凌ぎ、泥牛は鬬して海に入る、正当に恁麼なる時、十方は共に聚り、彼我は何ぞ分かれん、古仏の場中、祖師の門下、大家が一只手を出して、往来の知识を接待せん、諸の仁者、且く道え箇の何の事をか成得せん。」良久して言った。「剰えに無影の樹を栽えて、後人に与えて看せしめん。」上堂して言った。「纔かに此の座を昇れば、已に塵労に渉り、更に乃ち眸を凝らさば、

自彰瑕玷。別傳一句。勾賊破家。不失本宗。狐狸戀窟。所以真如凡聖。皆是夢言。佛及眾生。並為增語。到這裡迴光返照。撒手承當。未免寒蟬抱枯木。泣盡不回頭。上堂。喚作一句。已是埋沒宗風。曲為今時。通途消耗。所以借功明位。用在體處。借位明功。體在用處。若也體用雙明。如門扇兩開。不得向兩扇上著意。不見新豐老子道。峰巒秀異。鶴不停機。靈木迢然。鳳無依倚。直得功成不處。電火難追。擬議之間。長途萬裡。上堂。臘月三十日已前即不問。臘月三十日事作麼生。諸仁者到這裡。佛也為你不得。法也為你不得。祖師也為你不得。天下老和尚也為你不得。山僧也為你不得。閻羅老子也為你不得。直須盡卻今時去。若也盡卻今時。佛也不奈他何。法也不奈他何。祖師也不奈他何。天下老和尚也不奈他何。山僧也不奈他何。閻羅老子也不奈他何。諸人且道。如何是盡卻今時底道理。還會麼。明年更有新條在。惱亂春風卒未休。問。如何是道。師曰。無角泥牛犇夜攔。上堂。鐘皷喧喧報未聞。一聲驚起夢中人。圓常靜應無餘事。誰道觀音別有門。良久曰。還會麼。休問補陀巖上客。鶯聲啼斷海山雲。上堂。拈拄杖曰。這裡薦得。盡是諸佛建立邊事。直饒東湧西沒。卷舒自在。也未夢見七佛已前消息。須知有一人。不從人得。不受教詔。不落階級。若識此人。一生參學事畢。驀召大眾曰。更若凝眸。不勞相見。上堂。良久曰。青山常運步。石女夜生兒。便下座。上堂。假言唱道。落在今時。設使無舌人解語。無腳人能行。要且未能與那一人相應。還會麼。龍吟徒側耳。虎嘯謾沉吟。問。如何是兼帶之語。師曰。妙用全施該世界。木人閑步火中來。曰。如何是和尚家風。師曰。眾人皆見。曰。未審見箇甚麼。師曰。東壁打西壁。大觀初。開封尹李孝壽奏師道行卓冠叢林。宜有褒顯。即賜紫方袍。

自ら瑕玷を彰す、別伝の一句は、賊を勾きて家を破り、本宗を失わざれば、狐狸は窟を恋う、是を以て真如・凡聖は、皆是れ夢の言、仏及び衆生も、并せて是れ増語、這裏に到りて光を回らして照を返し、手を放ちて承当するも、未だ免れず寒蝉の枯木を抱き、泣き尽くして頭を回らさざるを。」上堂して言った。「一句と喚ぶは、已に是れ宗風を埋没し、今時に曲がりて通途消耗す、是を以て功を借りて位を明らむれば、用は体の処に在り、位を借りて功を明らむれば、体は用の処に在り、若しも体用双明ならば、門扇の両開くが如し、両扇の上に向かって意を着くるを得ず、新豊の老子が道うを見ざるか、峰峦秀異にして鶴は機を停めず、霊木迢然として鳳は倚る無しと、直に功成りて処らざるを得ば、電火も追い難く、擬議の間に長途万里なり。」上堂して言った。臘月三十日已前は即ち問わず、臘月三十日の事は作麼生、諸の仁者は這裏に到れば、仏も汝を為に得ず、法も汝を為に得ず、祖師も汝を為に得ず、天下の老和尚も汝を為に得ず、山僧も汝を為に得ず、閻羅老子も汝を為に得ず、直に須く今時を尽却して去るべし、若しも今時を尽却せば、仏も他を奈何すること得ず、法も他を奈何すること得ず、祖師も他を奈何すること得ず、天下の老和尚も他を奈何すること得ず、山僧も他を奈何すること得ず、閻羅老子も他を奈何すること得ず、諸人且く道え、如何なるか是れ今時を尽却する底の道理、還た会するか。明年は更に新条有りて、春風を悩乱して卒に未だ休せず。問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「角無き泥牛は夜に犇りて拦ぐ。」上堂して言った。「鐘皷喧喧として報すれど未だ聞えず、一声は夢中の人を驚き起し、円常静かに応じて余事無し、誰か道う観音に別に門有りと。」良久して言った。「還た会するか、休み問え補陀巌上の客、鶯声は海山の雲を啼き断す。」上堂して、拄杖を拈じて言った。「這裏に薦し得れば、尽く是れ諸仏の建立の辺事、直饒東に涌き西に没して、巻舒自在なるも、未だ七仏已前の消息を夢見ず、須知すべし一人有りて、人より得ず、教詔を受けず、階級に落ちざるを、若し此の人を識れば、一生の参学の事畢れり。」蓦に大衆を召して言った。「更に若し眸を凝らさば、相見るを労せず。」上堂して良久して言った。「青山は常に歩を運び、石女は夜に児を生む。」便ち座を下った。上堂して言った。「言を仮りて道を唱えば、今時に落つ、設し舌無き人が語を解し、脚無き人が行く能うを使すとも、要して且つ未だ那一人に与えて相応する能わず、還た会するか、龍吟は徒らに耳を側け、虎啸は谩りに沈吟す。」問う。「如何なるか是れ兼帯の語。」師は言った。「妙用は全く施して世界を該め、木人は閑に歩して火中より来た。」言った。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「衆人は皆見る。」言った。「未だ審らかならず箇の何を見る。」師は言った。「東壁が西壁を打つ。」大観の初、開封尹の李孝寿が師の道行は叢林に卓冠すと奏し、宜しく褒顕有るべしと、即ち紫方袍を賜り、

號定照禪師。內臣持勑命至。師謝恩竟。乃陳己志。出家時甞有重誓。不為利名。專誠學道。用資九族。苟渝願心。當棄身命。父母以此聽許。今若不守本志。竊冐寵光。則佛法.親盟背矣。於是修表具辭。復降旨京尹堅俾受之。師確守不回。以拒命坐罪。奉旨下棘寺。與從輕。寺吏聞有司。欲徙淄州。有司曰有疾。與免刑。及吏問之。師曰。無疾。曰。何有灸瘢邪。師曰。昔者疾。今日愈。吏令思之。師曰。已悉厚意。但妄非所安。乃恬然就刑而行。從之者如歸市。及抵淄州。僦居。學者愈親。明年冬。勑令自便。庵於芙蓉湖心。道俗川湊。示眾曰。夫出家者為厭塵勞。求脫生死。休心息念。斷絕攀緣。故名出家。豈可以等閑利養。埋沒平生。直須兩頭撒開。中間放下。遇聲遇色。如石上栽花。見利見名。似眼中著屑。況從無始以來。不是不曾經歷。又不是不知次第。不過翻頭作尾。止於如此。何須苦苦貪戀。如今不歇。更待何時。所以先聖教人。祇要盡卻今時。能盡今時。更有何事。若得心中無事。佛祖猶是冤家。一切世事。自然冷淡。方始那邊相應。你不見隱山至死不肯見人。趙州至死不肯告人。匾擔拾橡栗為食。大梅以荷葉為衣。紙衣道者祇披紙。玄泰上座祇著布。石霜置枯木堂與人坐臥。祇要死了你心。投子使人辦米。同煑共䬸。要得省取你事。且從上諸聖。有如此榜樣。若無長處。如何甘得。諸仁者。若也於斯體究。的不虧人。若也不肯承當。向後深恐費力。山僧行業無取。忝主山門。豈可坐費常住。頓忘先聖付囑。今者輒斆古人。為住持體例。與諸人議定。更不下山。不赴齋。不發化主。唯將本院莊課一歲所得。均作三百六十分。日取一分用之。更不隨人添減。可以備飯則作飯。作飯不足則作粥。作粥不足則作米湯。新到相見。茶湯而已。更不煎點。唯置一茶堂。自去取用。務要省緣。

定照禅師と号す。内臣が勅命を持して至る。師が恩を謝し竟りて、乃ち己の志を陳ぶ。出家の時甞て重誓有り、利名を為さず、誠を専らにして道を学び、以て九族を資けんと、苟も願心に渝らば、当に身命を棄つべし、父母は此を以て許し聴かせし、今若し本志を守らざれば、窃かに寵光を冐さば、則ち仏法・親盟に背かん。是に於て表を修めて辞を具え、復た旨を降して京尹に堅く受けしめんとす。師は確守して回らず、命を拒むを以て罪に坐し、旨を奉じて棘寺に下され、軽きに与えられた。寺吏が有司に聞き、淄州に徙さんと欲す。有司は疾有りと言い、刑を免ぜしめた。及び吏が之に問うた。師は言った、「疾無し。」言った、「何ぞ灸瘢有る邪。」師は言った。「昔は疾あり、今日愈えたり。」吏が之を思わしめた。師は言った。「已に厚意を悉くす、但だ妄は安んずる所に非ず。」乃ち恬然として刑に就きて行き、従う者は市に帰るが如し。及び淄州に抵りて僦居す、学者は愈々親しむ。明年の冬、勅して自便せしめ、芙蓉湖の心に庵す。道俗は川の湊むが如し。衆に示して言った。「夫れ出家する者は塵労を厭い、生死を脱れんことを求、心を休め念を息め、攀縁を断絶し、故に出家と名づく、豈に等閑の利養を以て、平生を埋没すべけんや、直に須く両頭に撒き開き、中間に放下し、声に遇い色に遇うも、石上に花を栽うるが如く、利を見名を見るも、眼中に屑を着くるに似たり。況んや無始より以来、経歴せざるに非ず、又た次第を知らざるに非ず、過ぎて頭を飜して尾と為す、此の如きに止まる、何ぞ須いん苦々しく貪恋せんや、如今歇せざれば、更に何の時を待たん。是を以て先聖は人を教えて、只だ要す今時を尽くさんことを、能く今時を尽くせば、更に何の事か有らん、若し心中に事無きを得ば、仏祖は猶お是れ冤家、一切の世事は、自ずから冷淡なり、方に始めて那辺に相応せん。汝は見ずや隠山は死に至るまで人に見ることを肯せず、趙州は死に至るまで人に告ぐることを肯ぜず、匾担は橡栗を拾いて食と為し、大梅は荷葉を以て衣と為し、紙衣の道者は只だ紙を披き、玄泰上座は只だ布を着る、石霜は枯木堂を置きて人と坐臥す、只だ要す汝の心を死するを、投子は人をして米を弁せしめ、同じく煑り共に䬸す、要して汝の事を省取せんことを得、且く上より諸聖は此の如き榜様有り、若し長処無からば、如何にして甘ずるを得ん、諸の仁者、若しも斯に於て体究せば、的人を亏かず、若しも承当を肯ぜざれば、後に向かって深く力を費やすを恐る。山僧は行業取るに足らず、忝くも山門を主す、豈に坐して常住を費やし、先聖の付嘱を頓に忘る可けんや、今者は輒ち古人に敩い、住持の体例と為し、諸人と議定す、更に山を下らず、斎に赴かず、化主を発せず、唯だ本院の荘課の一歳の得る所を将て、均しく三百六十分と作り、日に一分を取りて之を用ゐ、更に人に随いて添減せず、以て飯を備う可ければ則ち飯を作り、飯を作るに足らざれば則ち粥を作り、粥を作るに足らざれば則ち米湯を作る、新到の相見るは、茶湯のみ、更に煎点せず、唯だ一の茶堂を置きて、自ら去りて取用し、務めて縁を省きて、

專一辦道。又況活計具足。風景不疎。華解笑。鳥解啼。木馬長鳴。石牛善走。天外之青山寡色。耳畔之鳴泉無聲。嶺上猿啼。露濕中宵之月。林間鶴唳。風回清曉之松。春風起時。枯木龍吟。秋葉凋而寒林華散。玉堦鋪苔蘚之紋。人面帶煙霞之色。音塵寂爾。消息宛然。一味蕭條。無可趣向。山僧今日向諸人面前。說家門已是不著便。豈可更去陞堂入室。拈槌豎拂。東喝西棒。張眉努目。如癇病發相似。不唯屈沈上座。況亦辜負先聖。你不見達磨西來少室山下。面壁九年。二祖至於立雪斷臂。可謂受盡艱辛。然而達磨不曾措了一詞。二祖不曾問著一句。還喚達磨作不為人。得麼。二祖做不求師。得麼。山僧每至說著古聖做處。便覺無地容身。慚愧後人軟弱。又況百味珍羞。遞相供養。道我四事具足。方可發心。祇恐做手腳不迭。便是隔生隔世去也。時光似箭。深為可惜。雖然如是。更在他人從長相度。山僧也強教你不得。諸仁者還見古人偈麼。山田脫粟飯。野菜淡黃虀。吃則從君吃。不吃任東西。伏惟同道。各自努力。珍重。政和七年冬。賜額曰華嚴禪寺。八年五月十四日。索筆書偈。付侍僧曰。吾年七十六。世緣今已足。生不愛天堂。死不怕地獄。撒手橫身三界外。騰騰任運何拘束。移時乃逝。

一に道を弁ずるを専らにせんを要す。又況んや活計は具足し、風景は疎ならず、華は笑うを解し、鳥は啼くを解し、木馬は長く鳴き、石牛は善く走る、天外の青山は色寡く、耳畔の鳴泉は声無し、嶺上の猿啼は、露は中宵の月を湿し、林間の鶴唳は、風は清暁の松に回る、春風の起つ時は、枯木に龍吟し、秋葉の凋むれば、寒林に華散る、玉階は苔蘚の紋を鋪き、人面は烟霞の色を帯び、音塵寂爾として、消息宛然たり、一味は蕭条として、趣向する可き無し。山僧は今日諸人の面前に向かって、家門を説くは已に便を着けず、豈に更に堂を昇り室に入り、槌を拈じ拂を竪て、東に喝し西に棒し、眉を張り目を努め、癇病の発するに相似る可けんや、唯ならず上座を屈沈し、況んや亦た先聖を辜負せんや。汝は見ずや達磨は西来して少室山の下に、面壁すること九年、二祖は至りて雪に立ち臂を断つ、謂う可し艱辛を受け尽くすと、然れど達磨は曾て一詞を措かず、二祖は曾て一句を問い着かず、還た達磨を喚びて人と為らずと作す、得るか、二祖を師を求めずと做す、得るか。山僧は毎に古聖の做す処を説き着くに至れば、便ち身を容るる地無きを覚ゆ、慚愧する後人の軟弱を、又況んや百味の珍羞を、递相に供養し、我が四事具足せんと道えば、方に発心すべし、只だ恐る手脚を作るに迭まず、便ち是れ生を隔て世を隔つるに去らん、時光は箭に似たり、深く惜しむ可きを為す。然ると雖も是の如し、更に他の人の従長に相度するに在り、山僧も強いて汝を教うるを得ず。諸の仁者は還た古人の偈を見るか。山田は粟を脱ぎて飯し、野菜は淡黄の虀、喫せば則ち君に従りて喫し、喫せざれば東西に任れよ。伏して惟る同道、各々自ら努力し、珍重せよ。政和七年の冬、額を賜りて華厳禅寺と曰う。八年五月十四日、筆を索めて偈を書し、侍僧に付して言った。「吾が年は七十六、世縁は今已に足り、生は天堂を愛せず、死は地獄を怕れず、手を撒きて身を横えて三界の外、騰騰として運に任りて何の拘束か有らん。」時を移して乃ち逝いた。

隨州大洪山報恩禪師

随州大洪山報恩禅師

衛之黎陽劉氏子。世皆碩儒。師未冠舉方略。擢上第。後厭塵境。請於朝。乞謝簪紱為僧。上從其請。遂遊心祖道。至投子未久。即悟心要。子曰。汝再來人也。宜自護持。辭謁諸名宿。皆蒙印可。丞相韓公縝請開法於西京少林。未幾。大洪革律為禪。詔師居之。上堂。五五二十五。案山雷。主山雨。明眼衲僧。莫教錯舉。僧問。九鼎澄波即不問。為祥為瑞事如何。師曰。古今不墜。曰。這箇且拈放一邊。向上還有事也無。師曰。太無厭生。曰。作家宗師。師曰。也不消得。上堂。如斯話會。誰是知音。直饒向一句下。千眼頓開。端的有幾箇是迷逢達磨。諸人要識達磨祖師麼。乃舉手作揑勢。曰。達磨鼻孔在少林手裡。若放開去。也從教此土西天。說黃道黑。欺胡謾漢。若不放過。不消一揑。有人要與祖師作主。便請出來與少林相見。還有麼。良久。曰果然。上堂。拈起拄杖曰。昔日德山臨濟。信手拈來。便能坐斷十方。壁立千仞。直得冰河焰起。枯木花芳。諸人若也善能橫擔竪夯。徧問諸方。苟或不然。少林倒行此令去也。擊禪床一下。僧問。一箭一群即不問。一箭一箇事如何。師曰。中也。曰。還端的也無。師曰。同聲相應。同氣相求。曰。恁麼則石鞏猶在。師曰。非但一箇兩箇。曰。好事不如無。師曰。穿卻了也。問。三玄三要即不問。五位君臣事若何。師曰。非公境界。曰。恁麼則石人拊掌。木女呵呵。師曰。杓卜聽虗聲。熟睡饒譫語。曰。若不上來伸此問。焉能得見少林機。師曰。放過即不可。隨後便打。上堂。橫按拄杖曰。便與麼休去。已落二三。更若忉忉。終成異見。既到這裡。又不可弓折箭盡去也。且衲僧家遠則能照。近則能明。乃拈起拄杖曰。穿卻德山鼻孔。換卻臨濟眼睛。掀翻大海。撥轉虗空。且道三千里外。誰是知音。於斯明得。大似杲日照天。苟或未明。不免雲騰致雨。卓一下。

衛の黎陽の劉氏の子。世は皆碩儒なり。師は未冠にして方略を挙げ、上第に擢ぼれた。後に塵境を厭い、朝に請いて、簪紱を謝して僧と為らんことを乞う。上は其の請に従い、遂に心を祖道に游ばした。投子に至りて未だ久しからず、即ち心要を悟った。子は言った。「汝は再来の人なり、宜しく自ら護持すべし。」諸の名宿を辞謁して、皆印可を蒙った。丞相の韓公縝が西京の少林に於て法を開くを請う。未几にして、大洪は律を革めて禅と為し、詔して師をして之に居らしめた。上堂して言った。「五五二十五、案山は雷し、主山は雨る、明眼の衲僧、錯りて挙ぐるを教えること莫れ。」僧が問うた。九鼎の澄波は即ち問わず、祥と為り瑞と為る事如何。師は言った。「古今に墜ちず。」言った。「這箇は且く放ち置きて一辺に、向上に還た事有るや無しや。」師は言った。「太だ厭生無し。」言った。「作家の宗師。」師は言った。「亦た消するを得ず。」上堂して言った。「斯の如く話会すれば、誰か是れ知音、直饒一句の下に向かって、千眼頓に開くるも、端的に有る幾箇か是れ迷に逢いて達磨せん、諸人は要して達磨祖師を識らんとするか。」乃ち手を挙げて揑勢を作して言った。「達磨の鼻孔は少林の手裏に在り、若し放ち去らば、亦た此の土西天に従りて、黄を説き黒を道い、胡を欺き漢を谩す、若し放過せざれば、一揑を消せず、人有りて祖師に与えて主を作さんと要せば、便ち請いで出で来りて少林と相見せん、還た有るか。」良久して、言った果たして然り。上堂して、拄杖を拈起して言った。「昔日の徳山臨済は、信手に拈げ来たれば、便ち能く十方を坐断し、千仞を壁立し、直に氷河に焔起ち、枯木に花芳かしむるを得、諸人は若しも善く能く横担竪夯して、徧く諸方を問わば、苟も或いは然らざれば、少林は倒して此の令を行きて去らん。」禅床を一撃した。僧が問うた。一箭に一群は即ち問わず、一箭に一箇の事如何。師は言った。「中れり。」言った。「還た端的なるや無しや。」師は言った。「同声相応じ、同気相求む。」言った。「恁麼ならば則ち石鞏は猶お在り。」師は言った。「非だのみ一箇両箇。」言った。「好事は無きに如かず。」師は言った。「穿却せり。」問う。三玄三要は即ち問わず、五位君臣の事如何。師は言った。「公の境界に非ず。」言った。「恁麼ならば則ち石人は拊掌し、木女は呵呵たり。」師は言った。「杓卜は虗声を聴き、熟睡は饒に譫語す。」言った。若し上来して此の問を伸ばさざれば、焉んぞ能く少林の機に見えんを得。師は言った。「放過すれば即ち不可なり、後に随いて便ち打つ。」上堂して、拄杖を横按して言った。「便ち恁麼に休して去れば、已に二三に落ち、更に若し忉忉せば、終に異見を成す、既に這裏に到れば、又た弓折れ箭尽きて去る可からず、且つ衲僧家は遠ければ則ち能く照らし、近ければ則ち能く明らかなり。」乃ち拄杖を拈起して言った。「徳山の鼻孔を穿却し、臨済の眼睛を換却し、大海を掀翻し、虗空を撥轉す、且く道え三千里の外、誰か是れ知音、斯に於て明ることを得ば、大いに杲日の天を照らすに似たり、苟も或未だ明らかならざれば、雲騰して雨を致すを免れず。」一卓した。

問。祖師西來。九年面壁。最後一句。請師舉唱。師曰。面黑眼睛白。師甞設百問。以問學者。其略曰。假使百千劫。所作業不忘。為甚麼一稱南無佛。罪滅河沙劫。又作此○相。曰。森羅萬象。總在其中。具眼禪人。試請甄別。上堂。拈拄杖曰。看。看。大地雪漫漫。春來特地寒。靈峰與少室。料掉不相干。休論佛意祖意。謾謂言端語端。鐵牛放去無蹤跡。明月蘆花君自看。卓拄杖。下座。師素與無盡居士張公商英友善。無盡甞以書問三教大要。曰。清涼疏第三卷。西域邪見。不出四見。此方儒道。亦不出此四見。如莊老計自然為因。能生萬物。即是邪因。易曰。太極生兩儀。太極為因。亦是邪因。若謂一陰一陽之謂道。能生萬物。亦是邪因。若計一為虗無。則是無因。今疑老子自然與西天外道自然不同。何以言之。老子曰。常無欲以觀其妙。常有欲以觀其徼。無欲則常。有徼則已。入其道矣。謂之邪因。豈有說乎。易曰。一陰一陽之謂道。陰陽不測之謂神。神也者。妙萬物而為言。寂然不動。感而遂通天下之故。今乃破陰陽變易之道為邪因。撥去不測之神。豈有說乎。望紙後批示。以斷疑網故也。師答曰。西域外道宗多途。要其會歸。不出有無四見而已。謂有見.無見.亦有亦無見.非有非無見也。蓋不即一心為道。則道非我有。故名外道。不即諸法是心。則法隨見異。故名邪見。如謂之有。有則有無。如謂之無。無則無有。有無則有見競生。無有則無見斯起。若亦有亦無見。非有非無見。亦猶是也。夫不能離諸見。則無以明自心。無以明自心。則不能知正道矣。故經云。言詞所說法。小智妄分別。不能了自心。云何知正道。又曰。有見即為垢。此則未為見。遠離於諸見。如是乃見佛。以此論之。邪正異途。正由見悟殊致故也。故清涼以莊老計道法自然。能生萬物。易謂太極生兩儀。一陰一陽之謂道。

問う。「祖師は西来して九年面壁し、最後の一句、請う師挙唱せん。」師は言った。「面は黒く眼睛は白し。」師は甞て百の問を設けて以て学者を問う、其の略に曰く。仮使し百千劫に作す所の業は忘れず、なぜ一たび南无仏と称すれば、罪は河沙劫を滅する、又た此の○相を作す。言った。「森羅万象は、総て其の中に在り、眼を具する禅人は、試しに請いて甄别せん。」上堂して、拄杖を拈じて言った。「看よ看よ、大地は雪漫漫として、春来れば特地に寒し、霊峰と少室とは、料掉して相干せず、仏意祖意を論ずるを休め、言端語端と謂うを谩れよ、鉄牛は放ち去りて蹤迹無し、明月の蘆花は君自ら看よ。」拄杖を卓して、座を下った。師は素より無尽居士張公商英と友善なり。無尽は甞て書を以て三教の大要を問うて言った。「清涼疏の第三巻に、西域の邪見は、四見を出でず、此方の儒道も、亦た此の四見を出でず、如し荘老が自然を計じて因と為し、能く万物を生ずれば、即ち是れ邪因なり、易は説く太極が両儀を生ず、太極を因と為すも、亦是れ邪因、若し一陰一陽の之れを道と謂うて、能く万物を生ずるも、亦是れ邪因、若し一を虗無と計ずれば、則ち是れ無因なり、今疑う老子の自然は西天外道の自然と同じからざるを、何以て之を言う。老子は説く、常に欲無きを以て其の妙を観、常に欲有るを以て其の徼を観る、欲無ければ則ち常なり、徼有れば則ち已に其道に入る、之を邪因と謂う、豈に説有らんや。易は説く、一陰一陽の之れを道と謂い、

以自然太極為因。一陰一陽為道。能生萬物。則是邪因。計一為虗無。則是無因。甞試論之。夫三界唯心。萬緣一致。心生故法生。心滅故法滅。推而廣之。彌綸萬有而非有。統而會之。究竟寂滅而非無。非無亦非非無。非有亦非非有。四執既亡。百非斯遣。則自然因緣。皆為戲論。虗無真實。俱是假名矣。至若謂太極陰陽。能生萬物。常無常有。斯為眾妙之門。陰陽不測。是謂無方之神。雖聖人設教。示悟多方。然既異一心。寧非四見。何以明之。蓋虗無為道。道則是無。若自然。若太極。若一陰一陽為道。道則是有。常無常有。則是亦無亦有。陰陽不測。則是非有非無。先儒或謂妙萬物謂之神。則非物。物物則亦是無。故西天諸大論師。皆以心外有法為外道。萬法唯心為正宗。蓋以心為宗。則諸見自亡。言雖或異。未足以為異也。心外有法。則諸見競生。言雖或同。未足以為同也。雖然。儒道聖人。固非不知之。乃存而不論耳。良以未即明指一心。為萬法之宗。雖或言之。猶不論也。如西天外道。皆大權菩薩示化之所施為。橫生諸見。曲盡異端。以明佛法是為正道。此其所以為聖人之道。順逆皆宗。非思議之所能知矣。故古人有言。緣昔真宗未至。孔子且以繫心。今知理有所歸。不應猶執權教。然知權之為權。未必知權也。知權之為實。斯知權矣。是亦周孔老莊設教立言之本意。一大事因緣之所成始.所成終也。然則三教一心。同途異轍。究竟道宗。本無言說。非維摩大士。孰能知此意也。

陰陽は測らざる之れを神と謂う、神は是れ者、万物を妙めて言と為す、寂然として動かず、感じて遂に天下の故に通ず、今乃ち陰陽変易の道を破して邪因と為し、不测の神を拨き去る、豈に説有らんや、紙後に批示せんことを望む。」以て疑網を断ずる故なり。師は答えて言った。「西域の外道は宗多き途なり、其の会帰を要すれば、有無の四見を出でずのみ、謂う有見・無見・亦有亦無見・非有非無見なり、蓋し一心に即して道と為さざれば、則ち道は我の有に非ず、故に外道と名名づく、諸法に即して是心と為さざれば、則ち法は見に随いて異なり、故に邪見と名づく。如し之を有と謂えば、有れば則ち無有り、如し之を無と謂えば、無ければ則ち有り、有無有れば則ち有見競うて生じ、無有有れば則ち無見斯に起る、若し亦有亦無見・非有非無見も、亦た猶お是の如し。夫れ諸の見を離るる能わざれば、則ち以て自心を明らむる無く、自心を明らむる無くんば、則ち正道を知る能ず。故に経に説く、言詞の説く所の法は、小智の妄分别、自心を了する能わず、云何ぞ正道を知らんと、又説く、見有れば即ち垢と為る、此は則ち未だ見と為らず、諸の見を遠離して、是の如く乃ち仏を見ると、此を以て之を論ずれば、邪正は途を異にし、正に見悟の殊致に由る故なり。故に清涼は荘老が道法自然を計じ、能く万物を生ずと以てし、易は太極が両儀を生じ、一陰一陽の之れを道と謂うと謂う、

沂州洞山雲禪師

自然太極を以て因と為し、一陰一陽を以て道と為し、能く万物を生ずれば、則ち是れ邪因、一を計じて虗無と為せば、則ち是れ無因。甞て試みに之を論ず。夫れ三界は唯心にして、万縁は一致なり、心生ずれば故に法生じ、心滅すれば故に法滅す、推して之を広めれば、万有に弥纶して有に非ず、統して之を会すれば、究竟寂滅して無に非ず、無に非ずも亦非た無に非ず、有に非ずも亦非た有に非ず、四の執は既に亡び、百の非は斯に遣らる、則ち自然の因縁も、皆是为れ戯論、虗無の真実も、俱に是れ假名なり。至る若し太極陰陽を謂いて、能く万物を生ずと、常無常有は、斯に衆妙の門と為る、陰陽不测は、是れ無方の神と謂う、聖人は教を設けて、悟を示すこと多方なれど、然るに既に一心に異なれば、寧ぞ四見に非ざらん、何以て之を明らむる、蓋し虗無を以て道と為せば、道は則ち是れ無、若し自然・若し太極・若し一陰一陽を以て道と為せば、道は則ち是れ有、常無常有は、則ち是れ亦た有り亦た無し、陰陽不测は、則ち是れ非有非無、先儒は或いは万物を妙むを神と謂う、則ち物に非ず、物物すれば則ち亦是れ無、故に西天の諸の大論師は、皆心外に法有るを以て外道と為し、万法唯心を以て正宗と為す、蓋し心を以て宗と為せば、則ち諸見自ら亡び、言は或いは異なると雖も、未だ足りて異と為さず、心外に法有れば、則ち諸見競うて生じ、言は或いは同じと雖も、未だ足りて同と為さず。然ると雖も、儒道の聖人は、固より知らざるに非ず、乃ち存して論ぜざるのみ、良に以て未だ即ち一心を明指して、万法の宗と為さざるが為、或いは之を言うと雖も、猶お論ぜざるなり、如し西天外道の、皆是れ大権菩薩の示化の施為する所、横に諸見を生じ、曲に異端を尽くして、以て仏法の是れ正道たるを明らむ、此は其の聖人の道と為る所以なり、順逆は皆宗なり、思議の知る能う所に非ず。故に古人言有り、縁に昔は真宗未だ至らず、孔子且つ以て心に繋ぐ、今理に帰する所有るを知れば、応に猶お権教を執る可からず、然れど権の権と為るを知るは、未だ必ずしも権を知らず、権の実と為るを知れば、斯に権を知れり、是れ亦た周孔老荘が教を設け言を立てし本意、一大事因縁の成始し成終する所なり、然らば則ち三教は一心にして、途を同じうして轍を異にし、究竟の道宗は、本より言説無し、維摩大士に非ずんば、孰か能く此の意を知らんや。」

上堂。秋風卷地。夜雨翻空。可中別有清涼。箇裡更無熱惱。是誰活計。到者方知。才落見聞。即居途路。且道到家後如何。任運獨行無伴侶。不居正位不居偏。

上堂して言った。「秋風は地を巻き、夜雨は空を飜す、可中に別に清涼有り、箇裏に更に熱悩無し、是れ誰の活計ぞ、到る者は方に知る、纔かに見聞に落ちれば、即ち途路に居る、且く道え家に到りし後は如何、運に任りて独り行きて伴侶無し。」正位に居らず偏に居らず。

長安福應文禪師

長安福応文禅師

上堂。明明百草頭。明明祖師意。直下便承當。錯認弓為矢。惺惺底築著磕著。懵懂底和泥合水。龜毛拂逼塞虗空。兔角杖撐天拄地。日射珊瑚林。知心能幾幾。擊禪床下座。

上堂して言った。「明々たる百草の頭、明々たる祖師の意、直下に便ち承当し、弓を錯りて矢と認む、惺惺なる者は筑き磕き着き、懵懂なる者は泥を和え水を合し、亀毛の拂は虚空を逼塞し、兎角の杖は天を撑え地を拄す、日は珊瑚の林を射る、心を知るは能く幾幾ぞ。」禅床を撃ちて座を下った。

滁州龍蟠聖壽曇廣禪師

滁州龍蟠聖寿曇広禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。楊廣山頭雲靄靄。月華庵畔栢青青。曰。恁麼則投子嫡嗣。大陽親孫也。師曰。未跨鐵牛。棒如雨點。曰。今日已知端的。師曰。一任敲甎打瓦。

僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「楊広山頭に雲靄々として、月華庵畔に栢青々たり。」言った。「恁麼ならば則ち投子の嫡嗣、大陽の親孫なり。」師は言った。「未だ鉄牛に跨らざれば、棒は雨点の如し。」言った。「今日已に端的を知る。」師は言った。「甎を敲き瓦を打つに一任せよ。」

青原下十二世

青原下十二世

芙蓉楷禪師法嗣

芙蓉楷禅師法嗣

鄧州丹霞子淳禪師

鄧州丹霞子淳禅師

劒州賈氏子。弱冠為僧。徹證於芙蓉之室。上堂。乾坤之內。宇宙之間。中有一寶。秘在形山。肇法師恁麼道。祇解指蹤話跡。且不能拈示於人。丹霞今日擘開宇宙。打破形山。為諸人拈出。具眼者辨取。以拄杖卓一下。曰。還見麼。鷺鶿立雪非同色。明月蘆花不似他。上堂。舉德山示眾曰。我宗無語句。實無一法與人。德山恁麼說話。可謂是祇知入草求人。不覺通身泥水。子細觀來。祇具一隻眼。若是丹霞則不然。我宗有語句。金刀剪不開。深深玄妙旨。玉女夜懷胎。上堂。亭亭日午猶虧半。寂寂三更尚未圓。六戶不曾知暖意。往來常在月明前。上堂。寶月流輝。澄潭布影。水無蘸月之意。月無分照之心。水月兩忘。方可稱斷。所以道。昇天底事直須颺卻。十成底事直須去卻。擲地金聲。不須回顧。若能如是。始解向異類中行。諸人到這裡。還相委悉麼。良久曰。常行不舉人間步。披毛戴角混塵泥。僧問。牛頭未見四祖時如何。師曰。金菊乍開蜂競採。曰。見後如何。師曰。苗枯華謝了無依。宣和己亥春。示寂。塔全身於洪山之南。

剣州の賈氏の子。弱冠にして僧と為り、芙蓉の室に於て彻证した。上堂して言った。「乾坤の内、宇宙の間、中に一宝有りて、形山に秘む、肇法師は恁麼に道うも、只だ踪を指し迹を話すを解して、且つ人に拈示する能わず、丹霞は今日宇宙を擘開し、形山を打破して、諸人の為に拈出せん、眼を具する者は辨取せよ。」拄杖を以て一卓した。言った。「還た見るか、鷺鶿の雪に立つは同じ色に非ず、明月の蘆花は他に似ず。」上堂して、徳山が衆に示したを挙げて言った。「我が宗に語句無く、実に人に与える一法無し、徳山の恁麼に説話するは、謂う可し只だ草に入りて人を求めるを知りて、通身の泥水を覚えざる、子細に観て来れば、只だ一只眼を具す、若し是れ丹霞ならば則ち然らず、我が宗に語句有り、金刀も剪りて開かず、深々たる玄妙の旨、玉女は夜に胎を懐く。」上堂して言った。「亭亭たる日午は猶お半ばを亏き、寂寂たる三更は未だ円かならず、六戸は曾て暖意を知らず、往来は常に月明の前に在り。」上堂して言った。「宝月は輝を流し、澄潭は影を布き、水は月に蘸る意無く、月は分かち照らす心無し、水月両忘せば、方に断と称す可し、是を以て道う、天に昇る事は直に須く飏却すべく、十成の事は直に須く去却すべし、地に擲つ金声、回顧するを須いず、若し能く是の如くせば、始めて異類中に向かって行くを解せん、諸人は這裏に到りて、還た相委悉するか。」良久して言った。「常に行きて人間の歩を挙げず、毛を披き角を戴きて塵泥に混ず。」僧が問うた。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「金菊は乍んごと開きて蜂は競いて采る。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「苗は枯れ華は謝して依る了无し。」宣和己亥の春、示寂し、全身を洪山の南に塔した。

東京淨因枯木法成禪師

東京浄因枯木法成禅師

嘉興崇德人也。上堂。燈籠忽爾笑咍咍。如何露柱亦懷胎。天明生得白頭女。至今遊蕩不歸來。這冤家。好歸來。黃花與翠竹。早晚為誰栽。上堂。知有佛祖向上事。方有說話分。諸禪德且道。那箇是佛祖向上事。有箇人家兒子。六根不具。七識不全。是大闡提無佛種性。逢佛殺佛。逢祖殺祖。天堂收不得。地獄攝無門。大眾還識此人麼。良久曰。對面不仙陀。睡多饒寐語。上堂。歸元性無二。方便有多門。但了歸元性。何愁方便門。諸人要會歸元性麼。露柱將來作木杓。旁人不肯任從伊。要會方便門麼。木杓將來作露拄。撐天拄地也相宜。且道不落方便門一句作麼生道。三十年後莫教錯舉。

嘉興の崇徳の人である。上堂して言った。「灯籠は忽爾として笑うこと咍咍、如何なるか露柱も亦た胎を懐く、天明れば生み得たり白頭の女、至今游荡して帰り来らず、這の冤家、好く帰り来れ、黄花と翠竹とは、早晚に誰が為に栽う。」上堂して言った。「仏祖向上の事有るを知れば、方に説話の分有り、諸の禅徳は且く道え、那箇か是れ仏祖向上の事、箇の人家の児子有りて、六根具せず七識全からず、是れ大闡提にして仏種性無し、仏に逢えば仏を殺し、祖に逢えば祖を殺す、天堂も収め得ず、地獄も摂するに門無し、大衆は還た此の人を識るか。」良久して言った。「対面は仙陀ならず、睡多く饒に寐語す。」上堂して言った。「元に帰る性は二無く、方便に多門有り、但だ元に帰る性を了せば、何ぞ愁えん方便の門、諸人は要して元に帰る性を会せんとするか、露柱を将来して木杓と作さば、旁人は肯せず伊に任れよ、要して方便の門を会せんとするか、木杓を将来して露柱と作さば、天を撑え地を拄ぐも亦た宜しきなり、且く道え方便の門に落ちざる一句は作麼生に道わん、三十年の後は錯りて挙ぐるを教えること莫れ。」

洪州寶峰闡提惟照禪師

洪州宝峰闡提惟照禅師

簡州李氏子。幼超邁而惡俗。一日授書至性相近也。習相遠也。遽曰。凡聖本一體。以習故差別。我知之矣。即趨成都師鹿苑清泰。年十九。剃染登具。泰令聽起信於大慈。師輒歸臥。泰詰之。師曰。既稱正信大乘。豈言說所能了。乃虗心遊方。謁芙蓉於大洪。甞夜坐閣道。適風雪震薄。聞警盜者傳呼過之。隨有所得。辭去。大觀中芙蓉嬰難。師自三吳。欲趨沂水。僕夫迷道。師舉杖擊之。忽大悟。嘆曰。是地非鼇山也邪。比至沂。芙蓉望而喜曰。紹隆吾宗。必子數輩矣。因留躬耕湖上。累年智證成就。出領招提。遷甘露.三祖。宣和壬寅。詔補圓通。棄去。復居泐潭。上堂。古佛道。我初成正覺。親見大地眾生悉皆成正覺。後來又道。深固幽遠。無人能到。㘞沒見識漢。好龍頭蛇尾。便下座。上堂。過去諸佛已入涅槃了也。汝等諸人。不應追念。未來諸佛未出於世。汝等諸人。不要妄想。正當今日。你是何人。參。上堂。伯夷隘。柳下惠不恭。君子不由也。二邊不立。中道不安時作麼生。拈拄杖曰。鴛鴦繡出從君看。不把金針度與人。上堂。太陽門下。妙唱彌高。明月堂前。知音蓋寡。不免舟橫江渚。棹舉清波。唱慶堯年。和清平樂。如斯告報。普請承當。擬議之間。白雲萬裡。上堂。本自不生。今亦無滅。是死不得底樣子。當處出生。隨處滅盡。是活生受底規模。大丈夫漢。直須處生死流。臥荊棘林。俯仰屈伸。隨機施設。能如是也。無量方便。莊嚴三昧。大解脫門。蕩然頓開。其或未然。無量煩惱。一切塵勞。嶽立面前。塞卻古路。上堂。古人道。墮肢體。黜聰明。離形去智。同於大道。正當恁麼時。且道是甚麼人刪詩書。定禮樂。還委悉麼。禮雲禮雲。玉帛云乎哉。樂雲樂雲。鐘皷云乎哉。問。承師有言。雲黯黯處獨秀峰挺出。月朦朦裡泐潭水光生。豈不是寶峰境。師曰。若是寶峰境。

簡州の李氏の子。幼にして超迈して俗を悪う。一日書を授かりて性相近しと習相遠しに至りて、遽に言った。「凡聖は本より一体にして、習を以て差別す、我は之を知れり。」即ち成都に趨りて鹿苑清泰を師とし、年十九にして剃染して具を登る。泰が大慈に於て起信を聴かしむれば、師は輒ち帰りて臥す。泰が之を詰ぜば、師は言った。「既に正信大乗と称す、豈に言説の了する能う所、乃ち心を虗にして方に游び、大洪に於て芙蓉を謁え、甞て夜に閣道に坐して、適に風雪震薄して、盗を警める者の伝呼して之を過ぐを聞きて、得る所に随い、辞して去った。大観中に芙蓉が難を婴れ、師は三呉より沂水に趨らんと欲す。僕夫が道に迷い、師が杖を挙げて之を撃てば、忽ち大いに悟りて嘆じて言った。「是れ鼇山の地に非ずや。」沂に比至すれば、芙蓉は望みて喜びて言った。「吾が宗を紹隆するは、必ず子の数輩ならん。」因りて留めて湖上に躬耕し、年を累ねて智证成就し、出でて招提を領し、甘露・三祖に遷り、宣和壬寅に詔して円通を補したるも、棄てて去り、復た泐潭に居った。上堂して言った。「古仏は道う、我初めて正覚を成ずるに、親しく大地の衆生悉く皆正覚を成ずるを見しと、後に又来りて道う、深固幽遠にして人の到る能う無しと、㘞見識無き漢よ、好し龍頭蛇尾。」便ち座を下った。上堂して言った。「過去の諸仏は已に涅槃に入り了れたり、你ら諸人は追念すべからず、未来の諸仏は未だ世に出でず、你ら諸人は妄想すること要らず、正当の今日に、你は是れ何人ぞ、参せよ。」上堂して言った。「伯夷は隘く、柳下恵は恭ならず、君子は由らざるなり、二辺は立たず、中道も安らぎ無き時は作麼生。」拄杖を拈じて言った。「鴛鴦は繍出でて君に従りて看せ、金鍼を把りて人に度さず。」上堂して言った。「太陽門下は妙唱弥高く、明月堂前は知音蓋し寡し、免れず舟を江渚に横え、棹を清波に挙げ、歌いで堯年を慶し、清平の楽に和す、斯の如く告報して、普して承当を請う。」擬議の間に白雲万里。上堂して言った。「本り生ぜず、今も亦た滅無し、是れ死すること得ざる底の様子、処に当たりて出生し、処に随いて滅尽す、是れ生きて受ける底の規模、大丈夫の漢は、直に須く生死の流に処り、荊棘林に臥し、俯仰屈伸に、機に随いて施設すべし、能く是の如くせば、無量の方便、荘厳の三昧、大解脱の門、荡然として頓に開く、其の或いは未だ然らざれば、無量の煩悩、一切の塵労、面前に岳立して、古路を塞き却れり。」上堂して言った。「古人は道う、肢体を堕し、聡明を黜け、形を離れ智を去りて、大道に同ずと、正当に恁麼なる時、且く道え是れ何の人か詩書を刪し礼楽を定むる、還た委悉するか、礼云々礼云々、玉帛は云乎れなりや、楽云々楽云々、鐘皷は云乎れなりや。」問う。「承く師の言有り、雲黯黯の処に独秀峰挺出し、月朦朦の裏に泐潭の水光生ず、豈に是れ宝峰の境に非ずや。」師は言った。「若し是れ宝峰の境ならば、

憑君子細看。曰。如何是境中人。師曰。看取令行時。曰。祇如承言須會宗。勿自立規矩。如何是和尚宗。師曰。須知雲外千峰上。別有靈松帶露寒。雪下。僧問。祖師西來即不問。時節因緣事若何。師曰。一片兩片三四片。落在眼中猶不薦。建炎二年正月七日。示寂。闍維得設利如珠琲。舌齒不壞。塔於寺之西峰。

君に凭りて子細に看よ。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「令行の時を看取せよ。」言った。「只だ承言に須く宗を会し、自ら規矩を立つること勿れ、如何なるか是れ和尚の宗。」師は言った。「須知すべし雲外の千峰の上に、別に霊松有りて露を帯びて寒し。」雪下に、僧が問うた。祖師西来は即ち問わず、時節因縁の事如何。師は言った。「一片両片三四片、眼中に落つるも猶お薦せず。」建炎二年正月七日、示寂し、闍維して珠琲の如き設利を得、舌歯は壊れず、塔を寺の西峰にした。

襄州石門元易禪師

襄州石門元易禅師

潼川稅氏子。上堂。十方同聚會。箇箇學無為。此是選佛場。心空及第歸。大眾祇如聞見覺知未嘗有間。作麼生說箇心空底道理。莫是見而不見。聞而不聞。為之心空邪。錯。莫是忘機息慮。萬法俱捐。銷能所以入玄宗。泯性相而歸法界。為之心空邪。錯。恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼總不得。未審畢竟作麼生。還會麼。良久曰。若寔無為無不為。天堂地獄長相隨。三尺杖子攪黃河。八臂那吒冷眼窺。無限魚龍盡奔走。捉得循河三腳龜。脫取殻。鐵錐錐。吉凶之兆便分輝。借問東村白頭老。吉凶未兆若何為。休休休。古往今來春復秋。白日騰騰隨分過。更嫌何處不風流。咄。上堂。皓月當空。澄潭無影。紫微轉處夕陽輝。彩鳳歸時天欲曉。碧霄雲外。石筍橫空。綠水波中。泥牛駕浪。懷胎玉兔。曉過西岑。抱子金雞。夜棲東嶺。於斯明得。始知夜明簾外。別是家風。空王殿中。聖凡絕跡。且道作麼生是夜明簾外事。還委悉麼。正值秋風來入戶。一聲砧杵落誰家。僧問。古鏡未磨時如何。師曰。精靈皺眉。曰。磨後如何。師曰。波斯彈指。曰。為甚麼如此。師曰。好事不出門。紹興丁丑七月二十五日。坐寂。火後收設利。塔於學射山。

潼川の税氏の子。上堂して言った。「十方は同じく聚会し、箇箇は無為を学ぶ、此は是れ仏を選ぶ場、心空しくして第に及ばんと帰る。大衆は只だ見聞覚知は未だ曾て間有らず、作作麼生に箇の心空の道理を説かん、莫れ是れ見て見ず、聞いて聞かず、之を心空と為すや、錯なり、莫れ是れ機を忘れ慮を息め、万法俱に捐ね、能所を銷して玄宗に入り、性相を泯して法界に帰するを、之を心空と為すや、錯なり、恁麼にも得ず、恁麼ならざるにも得ず、恁麼に恁麼ならざるも総て得ず、未だ審らかならず畢竟に作麼生、還た会するか。」良久して言った。「若し寔に為なくして為さざる無からば、天堂地獄は長に相随い、三尺の杖子は黄河を搅り、八臂の那咤は冷眼に窺う、無限の魚龍は尽く奔走し、捉え得たり循河の三脚亀、殻を脱げ取りて鉄錐錐す、吉凶の兆は便ち輝を分かつ、借問す東村の白頭の老、吉凶未だ兆せざれば如何に為す、休休休。」古往今来は春復た秋、白日騰騰として分に随いて過ぐ、更に何の処か風流ならざるを嫌わん。咄。上堂して言った。「皓月は空に当たり、澄潭に影無し、紫微の転ずる処に夕陽輝き、彩鳳の帰る時に天暁けんと欲す、碧霄の雲外に石筍空に横たわり、緑水の波中に泥牛は浪を駕り、胎を懐く玉兔は暁に西岑を過ぎ、子を抱く金鶏は夜に東嶺に栖む、斯に於て明ることを得ば、始めて知らん夜明の簾外に別に是れ家風、空王の殿中に聖凡は迹を絶つと、且く道え作麼生か是れ夜明の簾外の事、還た委悉するか、正に秋風の戸に入り来るに値い、一声の砧杵は誰が家に落つる。」僧が問うた。「古鏡未だ磨かざる時如何。」師は言った。「精霊は眉を皺む。」言った。「磨きし後如何。」師は言った。「波斯は指を弾く。」言った。「なぜ此の如し。」師は言った。「好事は門を出でず。」紹興丁丑七月二十五日、坐寂し、火の後に設利を収め、塔を学射山にした。

東京淨因自覺禪師

東京浄因自覚禅師

青州王氏子。幼以儒業見知於司馬溫公。然事高尚。而無意功名。一旦落髮。從芙蓉遊。履踐精密。契悟超絕。出世住大乘。崇寧間詔居淨因。上堂。祖師西來。特唱此事。自是諸人不肯委悉。向外馳求。投赤水以尋珠。詣荊山而覓玉。殊不知從門入者。不是家珍。認影迷頭。豈非大錯。直得宗門提唱。體寂無依。念異不生。古今無間。森羅萬象。觸目家風。鳥道遼空。不妨舉步。金雞報曉。丹鳳翱翔。玉樹花開。枯枝結子。祇有太陽門下。日日三秋。明月堂前。時時九夏。要會麼。無影樹垂寒㵎月。海潮東注鬥移西。

青州の王氏の子。幼にして儒業を以て司馬温公に知られたり。然るに事は高尚にして、功名の意無し。一旦髪を落し、芙蓉に従りて游び、履践精密にして、契悟超絶なり。世に出でて大乗に住し、崇寧の間に詔して浄因に居らしめた。上堂して言った。「祖師は西来して、特に此の事を唱う、自より是れ諸人の委悉を肯肯ぜざる、外に向かって馳求し、赤水に投げて珠を尋ね、荊山に詣りて玉を覓む、殊に知らず門より入る者は、是れ家珍に非ず、影を認めて頭を迷うは、豈に大錯に非ずや。」直に宗門の提唱を得ば、体寂として依る無く、念は異を生ぜず、古今に間無く、森羅万象は、目に触るる家风、鳥道は空に遼く、歩を挙ぐるに妨げず、金鶏は暁を報じ、丹鳳は翱翔し、玉樹は花開き、枯枝は子を結ぶ、只だ太陽門下は日々に三秋、明月堂前は時々に九夏、要して会せんか。無影の樹は寒㵎の月を垂れ、海潮は東に注ぎて斗は西に移る。

西京天寧禧誧禪師

西京天寧禧誧禅師

蔡州宋氏子。初住韶山。次過天寧.丹霞。上堂。韶山近日沒巴鼻。眼裡聞聲鼻甞味。有時一覺到天明。不在床上不落地。大眾且道在甚麼處。諸人於斯下得一轉語。非唯救得韶山。亦乃不孤行腳。其或未然。三級浪高魚化龍。痴人猶戽夜塘水。問。如何是君。師曰。宇宙無雙日。乾坤祇一人。曰。如何是臣。師曰。德分明主化。道契物情機。曰。如何是臣向君。師曰。赤心歸舜日。盡節報堯天。曰。如何是君視臣。師曰。玄眸凝不瞬。妙體鑒旁來。曰。如何是君臣道合。師曰。帳符尊賤隔。潛信往來通。政和五年九月四日。忽召主事。令以楮囊分而為四。眾僧.童行.常住.津送各一。既而復曰。丹霞有箇公案。從來推倒扶起。今朝普示諸人。且道是箇甚底。顧視左右曰。會麼。曰。不會。師曰。偉哉大丈夫。不會末後句。遂就寢。右脇而化。

蔡州の宋氏の子。初めて韶山に住し、次いで天寧・丹霞を過ぐ。上堂して言った。「韶山は近日巴鼻無し、眼裏に声を聞き鼻で味を甞む、或いは時に一たび覚えて天明に至るも、床上に在らず地にも落ちず。」大衆は且く道え何の処にか在る、諸人は斯に於て一転の語を下し得れば、非だのみ韶山を救うを得、亦た乃ち行脚を孤とせず、其の或いは未だ然らざれば三級の浪高くして魚は龍と化り、痴人は猶お夜塘の水を戽う。問う。「如何なるか是れ君。」師は言った。「宇宙に双日無く、乾坤に只だ一人。」言った。「如何なるか是れ臣。」師は言った。「徳は明主の化を分かち、道は物情の機に契う。」言った。「如何なるか是れ臣の君に向かう。」師は言った。「赤心は舜日に帰し、節を尽くして堯天に報ず。」言った。「如何なるか是れ君の臣を視る。」師は言った。「玄眸は凝りて瞬かず、妙体は鉴して旁来す。」言った。「如何なるか是れ君臣の道合。」師は言った。「帳符は尊賤を隔て、潜信は往来通ず。」政和五年九月四日、忽ち主事を召して、楮嚢を以て分かちて四と為さしむ、衆僧・童行・常住・津送に各々一とす。既にして復た言った。「丹霞に箇の公案有り、从来は推倒せども扶起す、今朝は普く諸人に示す、且く道え是れ箇の甚底ぞ。」左右を顧視して言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「偉なるかな大丈夫、末後の句を会せず。」遂に寝に就きて、右脇にして化した。

長安天寧大用齊璉禪師

長安天寧大用斉璉禅師

上堂。清虗之理。佛祖同歸。畢竟無身。聖凡一體。理則如是。滿目森羅事作麼生。纖塵絕際。渠儂有眼。豈在旁窺。官不容針。私通車馬。若到恁麼田地。始可隨機受用。信手拈來。妙應無方。當風玄路。直得金針錦縫。線腳不彰。玉殿寶階。珠簾未卷。正當此時。且道是甚麼人境界。古渡秋風寒颯颯。蘆花紅蓼滿江灣。

上堂して言った。「清虗の理は、仏祖は帰を同じくし、畢竟に身無く、聖凡は一体、理は則ち是の如し、目に満つる森羅の事は作麼生、繊塵は際を絶ち、渠儂に眼有れば、豈に旁窺に在らんや、官は鍼を容れず、私に車馬を通ず、若し恁麼の田地に到れば、始めて機に随いて受用し、信手に拈げ来たれば、応ずること妙にして方無く、風に当たる玄路、直に金鍼錦縫にして、線脚は彰れず、玉殿宝階に、珠簾は未だ巻かず、正当に此の時、且く道え是れ何の人の境界ぞ、古渡の秋風は寒く飒飒として、蘆花紅蓼は江湾に満つ。」

潼川府梅山己禪師

潼川府梅山己禅師

僧問。如何是法身邊事。師曰。枯木糝花不犯春。曰。如何是法身向上事。師曰。石女不粧眉。

僧が問うた。「如何なるか是れ法身辺の事。」師は言った。「枯木は糁花して春を犯さず。」言った。「如何なるか是れ法身向上の事。」師は言った。「石女は眉を粧わず。」

福州普賢善秀禪師

福州普賢善秀禅師

僧問。如何是正中偏。師曰。龍吟初夜後。虎嘯五更前。曰。如何是偏中正。師曰。輕煙籠皓月。薄霧鎻寒巖。曰。如何是正中來。師曰。松瘁何曾老。花開滿未萌。曰。如何是兼中至。師曰。猿啼音莫辨。鶴唳響難明。曰。如何是兼中到。師曰。撥開雲外路。脫去月明前。

僧が問うた。「如何なるか是れ正中偏。」師は言った。「龍吟は初夜の後、虎啸は五更の前。」言った。「如何なるか是れ偏中正。」師は言った。「軽烟は皓月を籠め、薄雾は寒巌を鎖す。」言った。「如何なるか是れ正中の来。」師は言った。「松は瘁えて何ぞ曾て老いん、花は開けど満たるは未だ萌えず。」言った。「如何なるか是れ兼中至。」師は言った。「猿啼は音辨え難く、鶴唳は響明らめ難し。」言った。「如何なるか是れ兼中到。」師は言った。「雲外の路を撥き開き、月明の前を脱げ去る。」

襄州鹿門法燈禪師

襄州鹿門法灯禅師

成都劉氏子。依大慈寶範為僧。俾聽華嚴。得其要。棄謁芙蓉。蓉問曰。如何是空劫已前自己。師於言下。心跡泯然。從容進曰。靈然一句超群象。迥出三乘不假修。蓉撫而印之。開法鹿門。僧問。虗玄不犯。寶鑑光寒時如何。師曰。掘地深埋。問。如何是逍遙物外底人。師曰。徧身紅爛。不可扶持。

成都の劉氏の子。大慈宝范に依りて僧と為り、華厳を聴かしめられて其の要を得た。棄てて芙蓉を謁う。蓉が問うて言った。「如何なるか是れ空劫已前の自己。」師は言下に於て心迹泯然たり。从容として進みて言った。「霊然たる一句は群象を超え、迥かに三乗を出でて修に仮らず。」蓉は撫して之に印し、鹿門に於て法を開いた。僧が問うた。「虗玄は犯さず、宝鉴の光寒き時如何。」師は言った。「地を掘りて深く埋む。」問う。「如何なるか是れ逍遥して物外の人。」師は言った。「徧身紅爛して、扶持する可からず。」

建昌軍資聖南禪師

建昌軍資聖南禅師

聖節上堂。顧視左右曰。諸人還知麼。夜明簾外之主。萬化不渝。瑠璃殿上之尊。四臣不昧。端拱而治。不令而行。壽逾百億須彌。化洽大千沙界。且道正恁麼時。如何行履。野老不知黃屋貴。六街慵聽靜鞭聲。

聖節に上堂して、左右を顧視して言った。「諸人は還た知るか、夜明簾外の主は、万化も渝らず、瑠璃殿上の尊は、四臣も昧れず、端拱して治め、令せずして行い、寿は百億須弥を逾え、化は大千沙界に洽う、且く道え正に恁麼なる時、如何に行履せん、野老は黄屋の貴きを知らず、六街は慵りて静鞭の声を聴く。」

瑞州洞山微禪師

瑞州洞山微禅師

上堂。日暖風和柳眼青。氷消魚躍浪花生。當鋒妙得空王印。半夜崑崙戴雪行。僧問。如何是默默相應底事。師曰。瘂子吃苦瓜。

上堂して言った。「日暖く風和ぎて柳眼青く、氷消えて魚躍り浪花生ず、鋒に当たりて妙に空王の印を得、半夜に崑崙は雪を戴きて行く。」僧が問うた。「如何なるか是れ黙々たる相応の事。」師は言った。「痖子が苦瓜を喫う。」

太傅高世則居士

太傅高世則居士

字仲貽。號無功。初參芙蓉。求指心要。蓉令去其所重。扣己而參。一日忽造微密。呈偈曰。懸崖撒手任縱橫。大地虗空自坦平。照壑輝巖不借月。庵頭別有一簾明。

字は仲貽、号は無功。初めて芙蓉を参じて、心要を指すを求む。蓉が其の重んずる所を去らしめて、己を扣いて参ぜしむ。一日忽ち微密に造りて、偈を呈して言った。「懸崖に手を撒きて縦横に任り、大地虚空は自ら坦平なり、壑を照らし巌に輝けど月を借らず、庵頭に別に一簾の明有り。」

大洪恩禪師法嗣

大洪恩禅師法嗣

隨州大洪守遂禪師

随州大洪守遂禅師

遂寧章氏子。上堂召大眾。一拳拳倒黃鶴樓。一踏踏翻鸚鵡洲。慣向高樓驟玉馬。曾於急水打金毬。然雖恁麼。爭奈有五色絲絛繫手腳。三鑐金鎻鎻咽喉。直饒鎚碎金鎻。割斷絲絛。須知更有一重礙汝在。且道如何是那一重。還會麼。善吉維摩談不到。目連鶖子看如盲。上堂。舉。李刺史問藥山。何姓。山曰。正是時。李罔測。乃問院主。某甲適來問長老何姓。答道正是時。的當是姓甚麼。主曰。祇是姓韓。山聞曰。若六月對他。便道姓熱也。又。巖頭問講僧。見說大德會教。是否。曰。不敢。巖頭舉拳曰。是甚麼教。曰。是權教。頭曰。苦哉。我若展腳問你。不可道是腳教也。師曰。奇怪二老宿有殺人刀。有活人劒。一轉語似石上栽花。一轉語似空中掛劒。當時若無後語。達磨一宗掃土而盡。諸人要見二老宿麼。寧可截舌。不犯國諱。

遂寧の章氏の子。上堂して大衆を召した。一つの拳は黄鶴楼を拳倒し、一つの踏は鸚鵡洲を踏翻す、慣わし高楼に向かいて玉馬を驟らし、曾て急水に於て金毬を打つ、然ると雖も恁麼なり、争奈せん五色の絲絛は手脚を繋ぎ、三鑐の金鎖は咽喉を鎖すを、直饒鍾み砕きて金鎖を、割断して絲絛をも、須知すべし更に一重の碍なして汝在るを、且く道え如何なるか是れ那一重、還た会するか、善吉維摩も談じて到らず、目連鶖子も看ること盲の如し。上堂して、李刺史が薬山に問うて何姓ぞとを挙ぐ、山は言った、李は罔く測らず、乃ち院主に問うた、某甲は適来長老に何姓ぞと問うたに、答えて曰く正に是の時、的当に何をか姓とする、主は言った、只だ是れ姓は韓なり、山は聞きて言った、若し六月に他に対せば、便ち姓は熱なりと道うべし、又、巌頭が講僧に問うた、見説す大徳は教を会すと、是か否か、言った、敢えず、巌頭が拳を挙げて言った、是れ何の教ぞ、言った、是れ権教なり、頭は言った、苦なるかな、我若し脚を展べて汝に問わば、不可なり脚教なりと道うべからずや、師は言った、「奇怪なり二の老宿は人を殺す刀有り、人を活かす剣有り、一転の語は石上に花を栽うるに似て、一転の語は空中に剣を挂くるに似たり、当時に若し後の語無からば、達磨の一宗は土を掃いて尽きん、諸人は要して二の老宿に見えんとするか、寧ろ舌を截れども、国諱を犯さず。」

青原下十三世

青原下十三世

丹霞淳禪師法嗣

丹霞淳禅師法嗣

真州長蘆真歇清了禪師

真州長蘆真歇清了禅師

左綿雍氏子。襁褓入寺見佛。喜動眉睫。鹹異之。年十八。試法華得度。往成都大慈習經論。領大意。出蜀至沔漢。扣丹霞之室。霞問。如何是空劫已前自己。師擬對。霞曰。你閙在。且去。一日登缽盂峰。豁然契悟。徑歸侍立。霞掌曰。將謂你知有。師欣然拜之。翌日。霞上堂曰。日照孤峰翠。月臨溪水寒。祖師玄妙訣。莫向寸心安。便下座。師直前曰。今日陞座。更瞞某不得也。霞曰。你試舉我今日陞座看。師良久。霞曰。將謂你瞥地。師便出。後遊五臺。之京師。浮汴直抵長蘆。謁祖照。一語契投。命為侍者。踰年分座。未幾照稱疾退閑。命師繼席。學者如歸。建炎末。遊四明主補陀。臺之天封。閩之雪峰。詔住育王。徙溫州龍翔。杭之徑山。慈寧皇太后命開山臯寧崇先。上堂。我於先師一掌下。伎倆俱盡。覓箇開口處不可得。如今還有恁麼快活不徹底漢麼。若無。銜鐵負鞍。各自著便。上堂。久默斯要。不務速說。釋迦老子待要款曲賣弄。爭奈未出母胎。已被人覷破。且道覷破箇甚麼。瞞雪峰不得。上堂。上孤峰頂。過獨木橋。驀直恁麼行。猶是時人腳高腳低處。若見得徹。不出戶身徧十方。未入門常在屋裡。其或未然。趂涼般取一轉柴。上堂。道得第一句。不被拄杖子瞞。識得拄杖子。猶是途路中事。作麼生是到地頭一句。上堂。處處覓不得。祇有一處不覓自得。且道是那一處。良久曰。賊身已露。上堂。口邊白醭去。始得入門。通身紅爛去。方知有門裡事。更須知有不出門底。乃曰。喚甚麼作門。僧問。三世諸佛向火焰裡轉大法輪。還端的也無。師大笑曰。我卻疑著。曰。和尚為甚麼卻疑著。師曰。野花香滿路。幽鳥不知春。問。不落風彩。還許轉身也無。師曰。石人行處不同功。曰。向上事作麼生。師曰。妙在一漚前。豈容千聖眼。僧禮拜。師曰。祇恐不恁麼。師一日入廚看煑麵次。

左綿の雍氏の子。襁褓にして寺に入りて仏を見、喜びて眉睫を動かし、咸く之を異とした。年十八にして法華に試みて度を得、成都大慈に往きて経論を習い、大意を領した。蜀を出でて沔漢に至り、丹霞の室を扣いた。霞が問うた。「如何なるか是れ空劫已前の自己。」師が対えんと擬すれば、霞は言った。「汝は閙に在り、且く去れ。」一日、鉢盂峰に登りて、豁然として契悟し、径に帰りて侍立した。霞が掌して言った。「汝は有るを知ると将に謂わんとす。」師は欣然として之を拝した。翌日、霞が上堂して言った。「日は孤峰の翠を照らし、月は谿水の寒きに臨む、祖師の玄妙の訣は、寸心に向かって安んずること莫れ。」便ち座を下った。師が直に前りて言った。「今日の座に昇る、更に某を瞞するを得ず。」霞は言った。「汝試しに我が今日座に昇るを挙げて看よ。」師が良久した。霞は言った。「汝は瞥地すると将に謂わんとす。」師は便ち出でた。後に五台に游び、京師に之き、汴を浮べて直に長蘆に抵り、祖照を謁えた。一語契り投じて、侍者と為すを命ぜられた。年を逾えて座を分かち、未几にして照は疾を称じて退閑し、師をして席を継がしめた。学者は帰るが如し。建炎の末に、四明に游びて補陀を主り、台の天封、閩の雪峰を経て、詔して育王に住し、温州の龍翔に徙し、杭の径山に移り、慈寧皇太后の命に依りて臯寧崇先を開山した。上堂して言った。「我は先師の一掌の下に、伎倆俱に尽きて、箇の口を開く処を覓むるも得る可からず、如今還た恁麼に快活にして彻底せざる漢有るか、若し無からば、鉄を銜え鞍を負いて、各々自ら便に着けよ。」上堂して言った。「久しく黙すは斯に要なり、速く説くを務めず、釈迦老子は待ちて款曲して売弄せんと要すれど、争奈せん未だ母胎を出でざるに、已に人に觑破されき、且く道え箇の何を觑破したる、雪峰を瞞するを得ず。」上堂して言った。「孤峰頂に上りて、独本の橋を過ぎ、蓦直に恁麼に行くは、猶お是れ時人の脚高く脚低くする処、若し見ること彻せば、戸を出でずして身は十方に徧く、未だ門に入らざるに常に屋裏に在り、其の或いは未だ然らざれば、涼を趂りて一転の柴を般取せよ。」上堂して言った。「第一句を道い得れば、拄杖子に瞞されず、拄杖子を識得するは、猶お是れ途路中の事、作麼生か是れ地頭に到る一句。」上堂して言った。「処処に覓むるも得ず、只だ一処の覓めずして自ら得る有り、且く道え是れ那一処ぞ。」良久して言った。「賊の身は已に露れたり。」上堂して言った。「口辺の白醭を去りて、始めて門に入るを得、通身紅爛して去りて、方知らん門裏の事有るを、更に須知すべし門を出でざる底の有るを。」乃ち言った。「何をか喚びて門と作す。」僧が問うた。「三世の諸仏は火焔裏に向かって大法輪を轉ず、還た端的なるや無しや。」師が大いに笑って言った。「我は却って疑う。」言った。「和尚はなぜ却って疑われる。」師は言った。「野花は路に香り満ちて、幽鳥は春を知らず。」問う。「風彩に落ちざれば、還た身を轉ずるを許すや無しや。」師は言った。「石人の行く処は功を同じうせず。」言った。「向上の事作麼生。」師は言った。「妙は一漚の前に在り、豈に千聖の眼を容れん。」僧が礼拝した。師は言った。「只だ恐らくは恁は恁麼ならざらん。」師が一日厨に入りて麺を煑るを看る次、

忽桶底脫。眾皆失聲。曰。可惜許。師曰。桶底脫自合歡喜。因甚麼卻煩惱。僧曰。和尚即得。師曰。灼然。可惜許一桶麵。問僧。你死後燒作灰。撒卻了向甚麼處去。僧便喝。師曰。好一喝。祇是不得飜款。僧又喝。師曰。公案未圓。更喝始得。僧無語。師打曰。這死漢。上堂。苔封古徑。不墮虗凝。霧鎻寒林。肯彰風要。鉤針穩密。孰雲漁父棲巢。祇麼承當。自是平常快活。還有具透關眼底麼。良久曰。直饒聞早便歸去。爭似從來不出門。上堂。乍雨乍晴。乍寒乍熱。山僧底箇。山僧自知。諸人底箇。諸人自說。且道雪峰口除吃飯外。要作甚麼。問僧。瑠璃殿上玉女攛梭。明甚麼邊事。曰。回互不當機。師曰。還有斷續也無。曰。古今不曾間。師曰。正當不曾間時如何。僧珍重。便出。上堂。撼拄杖曰。看。看。三千大千世界。一時搖動。雲門大師即得。雪峰則不然。卓拄杖曰。三千大千世界。向甚麼處去。還會麼。不得重梅雨。秧苗爭見青。上堂。幻化空身即法身。遂作舞雲。見麼見麼。恁麼見得。過橋村酒美。又作舞雲。見麼見麼。恁麼不見。隔岸野花香。上堂。還有不被玄妙汙染底麼。良久曰。這一點傾四海水。已是洗脫不下。僧問。如何是空劫已前自己。師曰。白馬入蘆花。上堂。窮微喪本。體妙失宗。一句截流。淵玄及盡。是以金針密處。不露光鋩。玉線通時。潛舒異彩。雖然如是。猶是交互雙明。且道巧拙不到。作麼生相委。良久曰。雲蘿秀處青陰合。巖樹高低翠鎻深。上堂。轉功就位。是向去底人。玉韞荊山貴。轉位就功是卻來底人。紅爐片雪春。功位俱轉。通身不滯。撒手亡依。石女夜登機。密室無人掃。正恁麼時。絕氣息一句作麼生相委。良久曰。歸根風墮葉。照盡月潭空。師終於臯寧崇先。塔於寺西華桐嵨。諡悟空禪師。

忽ち桶の底脱れ、衆は皆声を失して言った。「惜しむ可し許り。」師は言った。「桶の底脱れるは自ずから歓喜に合す、甚に因りて却って煩悩せん。」僧は言った。「和尚は即ち得なり。」師は言った。「灼然たり、惜しむ可し許り一桶の麺。」僧に問うた。「汝は死して後に焼きて灰と作る、撒き了して何の処に向かって去る。」僧が便ち喝した。師は言った。「好き一喝なり、只だ是れ款を飜すを得ず。」僧が又喝した。師は言った。「公案は未だ円かならず、更に喝して始めて得。」僧は語無し。師が打って言った。「這の死漢。」上堂して言った。「苔は古径を封じて虗凝に堕せず、雾は寒林を鎖して肯んぞ風の要を彰さん、鈎鍼は穏密にして、孰れか云う漁父の栖巢ならん、只く承当すれば、自より是れ平常の快活、還た透関の眼を具する有るか。」良久して言った。「直饒早く聞きて便ち帰り去るも、争でか从来門を出でざるに似ん。」上堂して言った。「乍ち雨乍ち晴、乍ち寒乍ち熱、山僧の底の箇は山僧自ら知り、諸人の底の箇は、諸人自ら説け、且く道え雪峰の口は飯を喫する外、要して何を作さん。」僧に問うた。「瑠璃殿上に玉女が梭を撺るは、何の辺の事をか明らむ。」言った。「回互して機に当たらず。」師は言った。「還た断続有るや無しや。」言った。「古今は曾て間はず。」師は言った。「正当に曾て間あらざる時如何。」僧が珍重して便ち出でた。上堂して、拄杖を撼して言った。「看よ看よ、三千大千世界は、一時に揺動す。」雲門の大師は即ち得なり、雪峰は則ち然らず、拄杖を卓して言った。「三千大千世界は、何の処に向かって去る、還た会するか、重梅雨するを得ずして、秧苗は争うて青きを見る。」上堂して言った。「幻化の空身は即ち法身なり。」遂に舞を作して云う。見るか見るか、恁麼に見得れば、橋を過ぎて村酒美なり、又た舞を作して云う。見るか見るか、恁麼に見えざれば、岸を隔てて野花香なり。上堂して言った。「還た玄妙の污染を被らざる有るか。」良久して言った。「此の一点は四海の水を傾けても、已に是れ洗脱し下ぐる能わず。」僧が問うた。「如何なるか是れ空劫已前の自己。」師は言った。「白馬は蘆花に入る。」上堂して言った。「微を窮めて本を喪い、妙を体して宗を失う、一句は流を截りて、淵玄は尽く及ぶ、是を以て金鍼の密なる処は光鋩を露わさず、玉線の通ずる時は潜かに異彩を舒ぶ、然ると雖も是の如し、猶お是れ交互の双明、且く道え巧拙の到らざるを、作麼生に相委せん。」良久して言った。「雲蘿の秀でる処は青陰合し、巌樹の高低は翠を鎖して深し。」上堂して言った。「功を轉じて位に就くは、是れ向いて去る底の人、玉は荊山に韫めて貴し、位を轉じて功に就くは是れ却りて来る底の人、紅炉は片雪の春、功位俱に轉じて、通身は滞らず、手を撒きて依を亡ぼす、石女は夜に機に登り、密室は人の掃く無し、正に恁麼なる時、気息を絶する一句は作麼生に相委せん。」良久して言った。「根に帰るは風の葉を堕し、照らし尽くすは月の潭の空なり。」師は終に臯寧崇先に於て卒し、塔を寺の西の華桐嵨にした。悟空禅師と諡す。

明州天童宏智正覺禪師

明州天童宏智正覚禅師

隰州李氏子。母夢五臺一僧解環與。環其右臂。乃孕。遂齋戒。及生。右臂特起若環狀。七歲。日誦數千言。祖寂。父宗道。久參佛陀遜禪師。甞指師謂其父曰。此子道韻勝甚。非塵埃中人。苟出家。必為法器。十一得度於淨明本宗。十四具戒。十八遊方。訣其祖曰。若不發明大事。誓不歸矣。及至汝州香山。成枯木一見。深所器重。一日。聞僧誦蓮經。至父母所生眼。悉見三千界。瞥然有省。即詣丈室陳所悟。山指臺上香合曰。裡面是甚麼物。師曰。是甚麼心行。山曰。汝悟處又作麼生。師以手畵一圓相呈之。復拋向後。山曰。弄泥團漢有甚麼限。師曰。錯。山曰。別見人始得。師應喏喏。即造丹霞。霞問。如何是空劫已前自己。師曰。井底蝦蟆吞卻月。三更不借夜明簾。霞曰。未在更道。師擬議。霞打一拂子曰。又道不借。師言下釋然。遂作禮。霞曰。何不道取一句。師曰。某甲今日失錢遭罪。霞曰。未暇打得你。且去。霞領大洪。師掌牋記。後命首眾。得法者已數人。四年過圓通。時真歇初住長蘆。遣僧邀至。眾出迎。見其衣舃穿弊。且易之。真歇俾侍者易以新履。師卻曰。吾為鞋來邪。眾聞心服。懇求說法。居第一座。六年出住泗州普照。次補太平圓通能仁及長蘆。天童屋廬湫隘。師至創闢一新。衲子爭集。上堂。黃閣簾垂。誰傳家信。紫羅帳合。暗撒真珠。正恁麼時視聽有所不到。言詮有所不及。如何通得箇消息去。夢回夜色依俙皢。笑指家風爛熳春。上堂。心不能緣。口不能議。直饒退步荷擔。切忌當頭觸諱。風月寒清古渡頭。夜船撥轉瑠璃地。上堂。空劫有真宗。聲前問己躬。赤窮新活計。清白舊家風。的的三乘外。寥寥一印中。卻來行異類。萬派自朝東。上堂。今日是釋迦老子降誕之辰。長蘆不解說禪。與諸人畵箇樣子。祇如在摩耶胎時作麼生。以拂子畵此○相。曰。祇如以清淨水。

隰州の李氏の子。母が五台の一僧が環を解きて与うを夢み、環を其の右臂にして、乃ち孕み、遂に斎戒す。及び生まれて、右臂は特に起ちて環の状の若し。七歳にして日に数千言を誦す。祖は寂、父は宗道、久しく仏陀遜禅師に参ず。甞て師を指して其の父に謂いて言った。「此の子は道の韻勝きこと甚だし、塵埃中の人に非ず、苟も出家せば、必ず法器と為らん。」十一にして浄明本宗に於て度を得、十四にして戒を具え、十八にして方に游ぶ。其の祖に訣して言った。「若し大事を発明せざれば、誓って帰らざらん。」及び潁州香山に至りて、成枯木に一見して深く器と重された。一日、僧が蓮経を誦するを聞きて、父母の生ずる所の眼は、悉く三千界を見るに至り、瞥然として省有り。即ち丈室に詣りて悟る所を陳ぶ。山が台上の香合を指し言った。「裏面は是れ何の物ぞ。」師は言った。「是れ何の心行ぞ。」山は言った。「汝が悟る処は又作麼生。」師が手を以て一の円相を画きて之に呈し、復た後に抛げた。山は言った。「泥団を弄する漢は何の限有る。」師は言った。「錯なり。」山は言った。「別に人に見えて始めて得。」師が喏喏と応え、即ち丹霞に造った。霞が問うた。「如何なるか是れ空劫已前の自己。」師は言った。「井底の蝦蟆は月を吞却し、三更は夜明の簾を借らず。」霞は言った。「未だ在らず更に道え。」師が擬議すれば、霞が一拂子を打って言った。「又た借らずと道う。」師は言下に释然たり。遂に礼を作す。霞は言った。「何ぞ一句を道い取らざる。」師は言った。「某甲は今日銭を失いて罪に遭う。」霞は言った。「未だ汝を打つに暇あらず、且く去れ。」霞が大洪を領するとき、師は牋記を掌り、後に衆を首と為すを命ぜられ、法を得る者は已に数人有り、四年に円通を過ぐ。時に真歇が初めて長蘆に住し、僧を遣わして邀えて至らしむ。衆は出でて迎えて、其の衣舃の穿弊なるを見て、且く之を易えんとす。真歇は侍者を俾しめて新履を以て之を易えしむ。師が却って言った。「吾は鞋の為に来たる邪。」衆は聞きて心服し、懇りて法を説くを求め、第一座に居らしむ。六年に泗州普照に出住し、次いで太平円通能仁及び長蘆を補し、天童の屋庐は湫隘なり。師は至りて創辟して一新す。衲子は争うて集う。上堂して言った。「黄閣は簾を垂れ、誰か家信を伝う、紫羅の帳合して、暗に真珠を撒く、正に恁麼なる時、視聴は到る所有らず、言詮は及ぶ所有らず、如何にして箇の消息を通じ去る、夢回りて夜色依俙として暁き、笑いで家風の爛熳の春を指す。」上堂して言った。「心は縁る能わず、口は議る能わず、直饒歩を退げて荷担するも、切に忌む頭に当たりて諱に触るるを、風月は寒清なる古渡頭、夜船は瑠璃の地を撥轉す。」上堂して言った。「空劫に真宗有り、声の前に己躬を問う、赤窮は新しき活計、清白は旧き家風、的的として三乗の外、寥寥として一印の中、却りて来りて異類を行えば、万派は自ら東に朝す。」上堂して言った。「今日は是れ釈迦老子の降誕の辰、長蘆は禅を説くを解せず、諸人に与えて箇の様子を画かん、只だ摩耶の胎に在る時は作麼生。」拂子を以て此の○相を画きて言った。「只だ清浄の水を以て、

浴金色身時又作麼生。復畵此[○@水]相。曰。祇如周行七步。目顧四方。指天指地。成道說法。神通變化。智慧辯才。四十九年。三百餘會。說青道黃。指東畵西。入般涅槃時。又作麼生。乃畵此⊕相。復曰。若是具眼衲僧。必也相許。其或未然。一一歷過始得。上堂。僧問。如何是向去底人。師曰。白雲投壑盡。青嶂倚空高。曰。如何是卻來底人。師曰。滿頭白髮離巖谷。半夜穿雲入市𫑮。曰。如何是不來不去底人。師曰。石女喚回三界夢。木人坐斷六門機。乃曰。句裡明宗則易。宗中辨的則難。良久曰。還會麼。凍雞未報家林曉。隱隱行人過雪山。僧問。一絲不著時如何。師曰。合同船子並頭行。曰。其中事作麼生。師曰。快刀快斧斫不入。問。布袋頭開時如何。師曰。一任填溝塞壑。問。清虗之理畢竟無身時如何。師曰。文彩未痕初。消息難傳際。曰。一步密移玄路轉。通身放下劫壺空。師曰。誕生就父時。合體無遺照。曰。理既如是。事作麼生。師曰。歷歷才回分化事。十方機應又何妨。曰。恁麼則塵塵皆現本來身去也。師曰。透一切色。超一切心。曰。如理如事又作麼生。師曰。路逢死虵莫打殺。無底籃子盛將歸。曰。入市能長嘯。歸家著短衫。師曰。木人嶺上歌。石女溪邊舞。上堂。諸禪德。吞盡三世佛底人。為甚麼開口不得。照破四天下底人。為甚麼閤眼不得。許多病痛。與你一時拈卻了也。且作麼生得十成通暢去。還會麼。擘開華嶽連天色。放出黃河到海聲。師住持以來。受無貪而施無厭。歲艱食。竭己有及贍眾之餘。賴全活者數萬。日常過午不食。紹興丁丑九月。謁郡僚及檀度。次謁越帥趙公令詪。與之言別。十月七日還山。翌日辰巳間。沐浴更衣。端坐告眾。顧侍僧索筆作書遺育王大慧禪師。請主後事。仍書偈曰。夢幻空花。六十七年。白鳥煙沒。秋水連天。擲筆而逝。

金色の身を浴する時は又作麼生。」復た此の[○@水]相を画きて言った。「只だ周行七歩し、四方を目顧し、天を指し地を指し、道を成りて法を説き、神通変化し、智慧弁才、四十九年、三百余会に、青を説き黄を道い、東を指し西を画く、般涅槃に入る時、又作麼生。」乃ち此の⊕相を画きて、復た言った。「若し是れ眼を具する衲僧ならば、必ずや相許す、其の或いは未だ然らざれば、一々に歴過して始めて得。」上堂して、僧が問うた。「如何なるか是れ向いて去る底の人。」師は言った。「白雲は壑に投げて尽き、青嶂は空に倚りて高し。」言った。「如何なるか是れ却りて来る底の人。」師は言った。「頭に満つる白髪は巌谷を離れ、半夜に雲を穿ちて市𫑮に入る。」言った。「如何なるか是れ来らず去らざる底の人。」師は言った。「石女は喚びて三界の夢を回し、木人は坐して六門の機を断つ。」乃ち言った。「句裏に宗を明らむるは則ち易く、宗中に的を辨ずるは則ち難し。」良久して言った。「還た会するか、凍鶏は未だ家林の暁を報せず、隠々たる行人は雪山を過ぐ。」僧が問うた。「一絲も着けざる時如何。」師は言った。「合同して船子は頭を并べて行く。」言った。「其の中の事作麼生。」師は言った。「快刀快斧も斫りて入らず。」問う。「布袋の頭開くる時如何。」師は言った。「溝を填め壑を塞ぐに一任せよ。」問う。「清虗の理は畢竟に身無き時如何。」師は言った。「文彩は未だ痕の初、消息は伝え難き際。」言った。「一歩は密かに移りて玄路転じ、通身は放下して劫壺は空なり。」師は言った。「誕生して父に就く時、体を合して遺照無し。」言った。「理は既に是の如し、事は作麼生。」師は言った。「歷々として纔かに分化の事を回らす、十方の機応は又何の妨げか有らん。」言った。「恁麼ならば則ち塵塵は皆本来の身を現じて去るなり。」師は言った。「一切の色を透りて、一切の心を超ゆ。」言った。「理の如く事の如くは又作麼生。」師は言った。「路に死虵に逢えば打殺すこと莫れ、底無き籃子に盛りて将て帰れ。」言った。「市に入りて能く長嘯し、家に帰りて短衫を着る。」師は言った。「木人は嶺上に歌い、石女は谿辺に舞う。」上堂して言った。「諸の禅徳、三世の仏を吞尽くす人は、なぜ口を開くを得ざる、四天下を照破する人は、なぜ眼を合すを得ざる、許多の病痛は、汝に与えて一時に拈却して了れり、且く作麼生にして十成に通暢して去るを得ん、還た会するか、華岳を擘開けば天色に連なり、黄河を放出せば海に到る声なり。」師は住持して以来、受けるに貪無くして施すに厭無し。歳は食に艱み、己の有るを竭くし及び衆を赡する余を以て、頼りて活を全うする者は数万。日に常に午を過ぎて食わず。紹興丁丑九月、郡僚及び檀度を謁え、次いで越の帥趙公令𬣳を謁えて、之と言別した。十月七日に山に還り、翌日辰巳の間に、沐浴して衣を更え、端坐して衆に告げ、侍僧を顧みて筆を索めて書を作りて育王大慧禅師に遺し、後事を主るを請い、仍ほ偈を書して言った。「夢幻の空花、六十七年、白鳥は烟に没し、秋水は天に連る。」筆を擲ちて逝いた。

龕留七日。顏貌如生。奉全軀塔於東谷。諡宏智。塔名妙光。

龕は留まること七日、顔貌は生けるが如し。全躯を奉りて東谷に塔し、宏智と諡し、塔の名は妙光なり。

隨州大洪慧照慶預禪師

随州大洪慧照慶預禅師

上堂。進一步踐他國王水草。退一步踏他祖父田園。不進不退。正在死水中。還有出身之路也無。蕭騷晚籟松釵短。遊漾春風柳線長。上堂。舉船子囑夾山曰。直須藏身處無蹤跡。無蹤跡處莫藏身。吾在藥山三十年。祇明此事。今時人為甚麼卻造次。丹山無彩鳳。寶殿不留冠。有時憨。有時痴。非我途中爭得知。

上堂して言った。「一歩を進めば他国王の水草を践み、一歩を退げば他祖父の田園を踏む、進まず退かざれば、正に死水中に在り、還た身を出づる路有るや無しや、蕭騒たる晩籟は松の釵短く、游漾たる春風は柳の線長し。」上堂して、船子が夾山を嘱するを挙げて言った。「直に須く身を蔵する処は蹤迹無く、蹤迹無き処は身を蔵すること莫れ、吾は薬山に在ること三十年、只だ此の事を明らめり、今時の人はなぜ却って造次せん、丹山に彩鳳無く、宝殿は冠を留めず、或いは時に憨、或いは時に痴、我が途中に非ずんば争でか知らん。」

處州治平湡禪師

処州治平湡禅師

上堂。優遊實際妙明家。轉步移身指落霞。無限白雲猶不見。夜乘明月出蘆花。

上堂して言った。「優游たる実際の妙明の家、歩を轉じ身を移して落霞を指す、無限の白雲は猶お見えず、夜に明月を乗じて蘆花を出づ。」

淨因成禪師法嗣

浄因成禅師法嗣

台州天封子歸禪師

台州天封子帰禅師

上堂。卓拄杖一下。召大眾曰。八萬四千法門。八字打開了也。見得麼。金鳳夜棲無影樹。峰巒才露海雲遮。

上堂して、拄杖を一卓して、大衆を召して言った。「八万四千の法門は、八字に打開き了れり、見得るか、金鳳は夜に無影の樹に栖み、峰峦は纔かに露れども海雲が遮る。」

太平州吉祥法宣禪師

太平州吉祥法宣禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。久旱無甘雨。田中稻穗枯。曰。意旨如何。師曰。今年米價貴。容易莫嫌麤。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「久旱に甘雨無く、田中の稲穂は枯れたり。」言った。「意旨如何。」師は言った。「今年は米価貴し、麤きを嫌うこと莫くして容易なれ。」

台州護國守昌禪師

台州護国守昌禅師

上堂。拈拄杖卓曰。三十六旬之開始。七十二候之起元。萬邦迎和氣之時。東帝布生成之令。直得天垂瑞彩。地擁貞祥。微微細雨洗寒空。淡淡春光籠野色。可謂應時納祐。慶無不宜。盡大地人。皆添一歲。敢問諸人。且道那一人年多少。良久曰。千歲老兒顏似玉。萬年童子鬢如絲。

上堂して、拄杖を拈じて卓して言った。「三十六旬の開始、七十二候の起元、万邦は和気を迎うる時、東帝は生成の令を布く、直に天は瑞彩を垂れ、地は貞祥を擁し、微微たる細雨は寒空を洗い、淡淡たる春光は野色を籠む、謂う可し時に応じて祐を納れ、慶は宜しからざる無しと。」大地の人を尽くし、皆一歳を添う。敢えて諸人に問う、「且く道え那一人か年多少。」良久して言った。「千歳の老児は顔は玉に似て、万年の童子は鬢は絲の如し。」

鄧州丹霞普月禪師

鄧州丹霞普月禅師

上堂。威音已前。誰當辨的。然燈已後。孰是知音。直饒那畔承當。未免打作兩橛。縱向這邊行履。也應未得十全。良由杜口毗耶。已是天機漏洩。任使掩室摩竭。終須縫罅離披。休雲體露真常。直是純清絕點。說甚皮膚脫落。自然獨運孤明。雖然似此新鮮。未稱衲僧意氣。直得五眼齊開。三光洞啟。從此竿頭絲線。自然不犯波瀾。須明轉位回機。方解入鄽垂手。所以道。任使板齒生毛。莫教眼睛顧著。認著則空花繚亂。言之則語路參差。既然如是。敢問諸人。不犯鋒鋩一句作麼生道。良久曰。半夜烏龜眼豁開。萬象曉來都一色。

上堂して言った。「威音已前は、誰か当たりて的を辨ぜん、然灯已後は、孰れか是れ知音、直饒那畔に承当するも、未だ免れず打ちて両橛と作す、縦く這辺に向かって行履するも、亦た応に十全を得ざらん、良に由る杜口なる毘耶は、已に是れ天機漏泄なり、摩竭に室を掩うに任れども、終に須く縫罅離披せん、体は真常を露うと云うを休めよ、直に是れ純清にして点を絶す、甚の皮肤脱落を説かんや、自ずから独り運び孤明なり、然ると雖も此の如く新鮮なるも、未だ衲僧の意気に称えず、直に五眼斉しく開き、三光洞啓するを得ば、此より竿頭の絲線は、自ずから波瀾を犯さず、須く轉位回機を明らめて、方に入鄽垂手を解せん、是を以て道う、板歯に毛を生ずるに任れども、眼睛に顧着するを教えること莫れ、着けを認めれば則ち空花繚乱し、之を言えば則ち語路参差す、既に是の如し、敢えて諸人に問う、鋒鋩を犯さざる一句は作麼生に道わん。」良久して言った。「半夜に烏亀の眼は豁開し、万象は暁来って都て一色なり。」

東京妙慧尼慧光淨智禪師

東京妙慧尼慧光浄智禅師

上堂。舉趙州勘婆話。乃曰。趙州舌頭連天。老婆眉光覆地。分明勘破歸來。無限平人瞌睡。

上堂して、趙州が婆を勘えた話を挙げて、乃ち言った。「趙州の舌頭は天に連なり、老婆の眉光は地を覆う、分明に勘破して帰り来たれば、無限の平人は瞌睡す。」

寶峰照禪師法嗣

宝峰照禅師法嗣

江州圓通青谷真際德止禪師

江州円通青谷真際徳止禅師

金紫徐閎中之季子也。世居歷陽。師雙瞳紺碧。神光射人。十歲未知書。多喜睡。其父目為懵然子。暨成童。強記過人。學文有奇語。弱冠夢異僧授四句偈。已而有以南安巖主像遺之者。即傍所載聰明偈。自是持念不忘。後五年。隨金紫將漕西洛。一夕忽大悟。連作數偈。一曰。不因言句不因人。不因物色不因聲。夜半吹燈方就枕。忽然這裡已天明。每嘯歌自若。眾莫測之。乃力求出家。父弗許。欲以官授之。師曰。某方將脫世網。不著三界。豈復刺頭於利名中邪。請移授從兄玨。遂祝髮受具。未數載名振京師。宣和三年春。徽宗皇帝賜號真際。俾居圓通。上堂。山僧二十年前兩目皆盲。了無所覩。唯是聞人說道。青天之上有大日輪。照三千大千世界。無有不徧之處。籌䇿萬端。終不能見。二十年後。眼光漸開。又值天色連陰。濃雲亂湧。四方觀察。上下推窮。見雲行時。便於行處作計較。見雲住時。便於住處立箇窠臼。正如是間。忽遇著箇多知漢。問道。莫是要見日輪麼。何不向高山頂上去。山僧卻徵他道。那裡是高山頂上。他道。紅塵不到處是。諸仁者。好箇端的消息。還會麼。長連床上佛陀耶。上堂。昨夜黃面瞿曇。將三千大千世界來一口吞盡。如人飲湯水。蹤跡不留。應時消散。當爾時諸大菩薩.聲聞羅漢.及與一切眾生。盡皆不覺不知。唯有文殊普賢瞥然覷見。雖然得見。渺渺茫茫。恰似向大洋海裡頭出頭沒。諸人且道是甚麼消息。若也檢點得破。許他頂門上具一隻眼。示寂闍維。煙氣所及。悉成設利。塔司空山。分窆疊石原。

金紫の徐閎中の季子である。世は歴陽に居る。師は双瞳は紺碧にして、神光は人を射る。十歳にして未だ書を知らず、多く睡を喜ぶ。其の父は目して懵然子と為す。成童に暨りて、強記は人に過ぎ、文を学んで奇語有り。弱冠にして異僧が四句の偈を授くるを夢み、已にして南安巌主の像を以て之に遺る者有り、即ち傍に載する所の聡明の偈なり、自より持念して忘れず。後五年、金紫に随いて西洛に漕を将たり、一夕忽ち大いに悟りて、連ねて数偈を作る、一に曰く。「言句に因らず人に因らず、物色に因らず声に因らず、夜半に灯を吹きて方に枕に就く、忽然として這裏已に天明らむ。」毎に嘯歌自若として、衆は之を測る莫し、乃ち力めて出家を求む、父は許さず、官を以て之に授けんと欲す。師は言った。「某は方に将に世網を脱れ、三界に着かざらんとす、豈に復た利名の中に頭を刺さんや、請う従兄の玨に授け移さん。」遂に髪を祝い具を受け、未だ数載ならずして名は京師に振う。宣和三年の春、徽宗皇帝が号を真際と賜い、円通に居らしめた。上堂して言った。「山僧は二十年前は両目皆盲して、了て覩る所無し、唯だ是れ人の道うを聞く、青天の上に大日輪有りて、三千大千世界を照らして、徧からざる処無しと、筹策万端も終に見る能わず、二十年の後、眼光漸く開く。又た天色の陰に連なり、濃雲の乱れ涌ぐるに値い、四方に観察し、上下に推窮す、雲の行く時を見れば、便ち行く処に於て計校を作し、雲の住する時を見れば、便ち住する処に於て箇の窠臼を立つ、正に是の如き間、忽ち箇の多知の漢に遇い着きて、問うて曰く、莫れ是れ日輪を見んことを要するか、何ぞ高山頂上に向かって去らざる、山僧は却って他に徴して曰く、那里か是れ高山頂上、他は曰く、紅塵の到らざる処是れなり、諸の仁者、好し箇の端的の消息、還た会するか、長連床上の佛陀耶。」上堂して言った。「昨夜の黄面瞿曇は、三千大千世界を将て来りて一口に吞尽くせり、人の湯水を飲むが如く、蹤迹は留めず、時に応じて消散す、当に爾の時、諸の大菩薩・声聞羅漢・及び一切の衆生と、尽く皆覚えず知らず、唯だ文殊普賢有りて瞥然として觑見す、然ると雖も見るを得るも、渺渺茫茫として、恰似せり大洋海の裏頭に於て頭を出でて頭を没す、諸人は且く道え是れ何の消息ぞ、若しも検点し破るを得ば、他の頂門の上に一只眼を具するを許さん。」示寂し闍維す、烟气の及ぶ所は、悉く設利と成る。塔は司空山、分かちて叠石原に窆す。

台州真如道會禪師

台州真如道会禅師

上堂。空劫中事。自肯承當。日用全彰。有何滲漏。正好歸家穩坐。任他雪覆青山。不留元字掛懷。誰顧波飜水面。且道正不立玄.偏不附物一句。如何舉似。機絲不掛梭頭事。文彩縱橫意自殊。

上堂して言った。「空劫中の事は、自ら肯て承当し、日用は全く彰れ、何の渗漏か有らん、正に家に帰りて穏坐するに好く、他の雪が青山を覆うに任れ、元字を懐に挂けずして留めず、誰か顧みん波が水面に飜るを、且く道え正は玄を立てず偏は物に附けざる一句を、如何に挙似せん、機糸は梭頭の事を挂けず、文彩は縦横にして意自ら殊なり。」

興國軍智通大死翁景深禪師

興国軍智通大死翁景深禅師

台州王氏子。自幼不群。年十八。依廣度院德芝披剃。始謁淨慈象禪師。一日聞象曰。思而知。慮而解。皆鬼家活計。興不自遏。遂往寶峰求入室。峰曰。直須斷起滅念。向空劫已前掃除玄路。不涉正偏。盡卻今時。全身放下。放盡還放。方有自由分。師聞頓領厥旨。峰擊鼓告眾曰。深得闡提大死之道。後學宜依之。因號大死翁。建炎改元。開法智通。上堂。來不入門。去不出戶。來去無痕。如何提唱。直得古路苔封。𦏪羊絕跡。蒼梧月鏁。丹鳳不棲。所以道。藏身處沒蹤跡。沒蹤跡處莫藏身。若能如是。去住無依。了無向背。還委悉麼。而今分散如雲鶴。你我相忘觸處玄。僧問。如何是正中偏。師曰。黑麵老婆披白練。曰。如何是偏中正。師曰。白頭翁子著皂衫。曰。如何是正中來。師曰。屎裡飜筋斗。曰。如何是兼中至。師曰。雪刃籠身不自傷。曰。如何是兼中到。師曰。崑崙夜裡行。曰。向上還有事也無。師曰。捉得烏龜喚作鼈。曰。乞師再垂方便。師曰。入山逢虎臥。出谷鬼來牽。曰。何得干戈相待。師曰。三兩綫。一斤麻。紹興初。歸住寶藏巖。以事民其服。壬申二月示微恙。乃曰。世緣盡矣。三月十三。為眾小參。仍說偈曰。不用剃頭。何須澡浴。一堆紅焰。千足萬足。雖然如是。且道向上還有事也無。遂斂目而逝。

台州の王氏の子。幼より群れず。年十八にして、広度院の徳芝に依りて披剃した。始めて浄慈の象禅師を謁え、一日象の説くを聞く。「思して知る、慮して解するは、皆是れ鬼家の活計。」興は自ずから遏えず。遂に宝峰に往きて室に入るを求む。峰は言った。「直に須く起滅の念を断じ、空劫已前に向かって玄路を掃除し、正偏に渉らず、今時を尽却し、全身を放下し、放尽くして還た放てば、方に自由の分有らん。」師は聞きて頓に厥の旨を領した。峰が鼓を撃ちて衆に告げて言った。「深く闡提大死の道を得たり、後学は宜しく之に依るべし。」因りて大死翁と号す。建炎改元に、智通に於て法を開いた。上堂して言った。「来るは門に入らず、去るは戸を出でず、来去に痕無し、如何に提唱せん、直に古路は苔に封ぜられ、𦏪羊迹を絶ち、蒼梧は月に鏁され、丹鳳は栖まざるを得ば、是を以て道う、身を蔵する処は蹤迹を没し、蹤迹を没する処は身を蔵すること莫れと、若し能く是の如くせば、去住は依無く、了て向背無し、還た委悉するか、而今分散すること雲鶴の如く、你我は相忘れて処に触れて玄なり。」僧が問うた。「如何なるか是れ正中偏。」師は言った。「黒面の老婆は白練を披く。」言った。「如何なるか是れ偏中正。」師は言った。「白頭の翁子は皂衫を着る。」言った。「如何なるか是れ正中の来。」師は言った。「屎裏に筋斗を飜す。」言った。「如何なるか是れ兼中至。」師は言った。「雪刃は身を籠めて自ら傷らず。」言った。「如何なるか是れ兼中到。」師は言った。「崑崙は夜裏に行く。」言った。「向上に還た事有るや無しや。」師は言った。「烏亀を捉え得て鼈と喚ぶ。」言った。「乞う師再び方便を垂れん。」師は言った。「山に入れば虎に臥るに逢い、谷を出でれば鬼が来りて牽く。」言った。「何ぞ干戈を以て相待せん。」師は言った。「三両の線、一斤の麻。」紹興の初、帰りて宝藏巌に住し、事を以て民其の服と為し、壬申二月に微恙を示して、乃ち言った。「世縁は尽きたり。」三月十三、衆の為に小参し、仍ほ偈を説いて言った。「頭を剃るを用ゐず、何ぞ須いん澡浴せんや、一堆の紅焔は、千足万足なり、然ると雖も是の如し、且く道え向上に還た事有るや無しや。」遂に目を斂じて逝いた。

衡州華藥智朋禪師

衡州華薬智朋禅師

四明黃氏子。依寶峰有年。無省。因為眾持缽。峰自題其像曰。雨洗淡紅桃蕚嫩。風搖淺碧柳絲輕。白雲影裡怪石露。綠水光中古木清。噫。你是何人。至焦山。枯木成禪師見之。歎曰。今日方知此老親見先師來。師遂請益其贊。成曰。豈不見法眼拈夾山境話。曰我二十年祇作境會。師即契悟(蘿湖野錄雲。成指以問師曰。汝會麼。師曰。不會。成曰。汝記得法燈擬寒山否。師遂誦。至誰人知此意。令我憶南泉。於憶字處。成遽以手掩師口曰。住。住。師豁然有省)。乃曰。元來恁麼地。成曰。汝作麼生會。師曰。春生夏長。秋收冬藏。成曰。直須保任。師應喏。紹興初。出住華藥.婺之天寧。後遷清涼。上堂。海風吹夢。嶺猿啼月。敢問諸人。是何時節。恁麼會得。無影樹下任遨遊。其或未然。三條椽下。直須打徹。後退居明之瑞巖。建康再以清涼挽之。明守亦勉其行。師不從。作偈送使者曰。相煩專使入煙霞。灰冷無湯不點茶。寄語甬東賢太守。難教枯木再生花。未幾而終。

四明の黄氏の子。宝峰に依ること年有りて、省無し。因りて衆の為に鉢を持てば、峰が自ら其の像に題して言った。「雨は淡紅の桃蕚を洗いて嫩く、風は浅碧の柳絲を揺して軽し、白雲の影裏に怪石露われ、緑水の光中に古木清し、噫、汝は是れ何人。」焦山に至りて、枯木成禅師が之を見て、嘆じて言った。「今日方に知る此の老は親しく先師を見て来れりと。」師は遂に其の賛を請益す。成は言った。「豈に見ざらんや法眼が夾山の境の話を拈じて、我は二十年只だ境会を作せりと説くを。」師は即ち契悟す(蘿湖野録に云う。成が指し以て師に問うて曰く、汝は会するか、師は曰く、会せず、成は曰く、汝は法灯が寒山に擬するを記えるか否、師は遂に誦して、誰人か此の意を知る、我をして南泉を憶えしむに至り、憶の字の処に於て、成が遽に手を以て師の口を掩いて曰く、住れ住れ、師は豁然として省有り)、乃ち言った。「元来恁麼の地。」成は言った。「汝は作麼生に会する。」師は言った。「春は生じ夏は長じ、秋は収め冬は蔵す。」成は言った。「直に須く保任すべし。」師は喏を応え、紹興の初、出でて華薬・婺の天寧に住し、後に清涼に遷った。上堂して言った。「海風は夢を吹き、嶺の猿は月に啼く、敢えて諸人に問う、是れ何の時節ぞ、恁麼に会得すれば、無影の樹の下に遨遊に任れよ、其の或いは未だ然らざれば、三条の椽の下に、直に須く打ちて彻すべし。」後に退きて明の瑞巌に居り、建康は再び清涼を以て之を挽き、明の守も亦た其の行を勉む。師は従わず、偈を作りて使者に送りて言った。「相煩らす専使をして烟霞に入らしむ、灰は冷えて湯無く茶を点ぜず、語を寄す甬東の賢太守、枯木をして更に花を生ぜしむること難し。」未几にして終わった。

石門易禪師法嗣

石門易禅師法嗣

吉州青原齊禪師

吉州青原斉禅師

福州陳氏子。二十八辭父兄。從雲蓋智禪師出家。執事首座。座一日秉拂罷。師問曰。某聞首座所說。莫曉其義。伏望慈悲指示。座諄諄誘之。使究無著說這箇法。踰兩日有省。以偈呈曰。說法無如這箇親。十方剎海一微塵。若能於此明真理。大地何曾見一人。座駭然。因語智。得度。徧扣諸方。後至石門。深蒙器可。出住青原僅一紀。示寂日。說偈遺眾曰。昨夜三更過急灘。灘頭雲霧黑漫漫。一條拄杖為知己。擊碎千關與萬關。

福州の陳氏の子。二十八にして父兄を辞し、雲蓋の智禅師に従りて出家し、首座の事を執った。座が一日拂を秉りて罷りて、師が問うて言った。某は首座の説く所を聞くも、其の義を暁せず、伏して望む慈悲の指示を、座は諄諄として之を誘い、無着の此の法を説くを究めしむ、両日を逾えて省有り。偈を以て呈して言った。「法を説くは此の箇の親しきに如く無し、十方の刹海は一微塵、若し能く此に於て真理を明らむれば、大地は何ぞ曾て一人を見ん。」座は駭然として、因りて智に語りて、度を得た。徧く諸方を扣き、後に石門に至りて、深く器可を蒙った。出でて青原に住すること僅かに一紀。示寂の日、偈を説きて衆に遺して言った。「昨夜三更に急灘を過を過ぎ、灘頭の雲雾は黒く漫漫として、一条の拄杖を知己と為し、千関と万関とを撃碎す。」

越州天衣法聰禪師

越州天衣法聡禅師

上堂。幽室寒燈不假挑。虗空明月徹雲霄。要知日用常無間。烈焰光中發異苗。因裝普賢大士。開光明次。師登梯。秉筆顧大眾曰。道得即為下筆。眾無對。師召侍者。與老僧牢扶梯子。遂點之。

上堂して言った。「幽室の寒灯は挑るを仮らず、虚空の明月は云霄に彻す、要して知らん日用は常に間無く、烈焔の光中に異苗を発くと。」因りて普賢大士を装うに、光明を開く次、師が梯に登りて、筆を秉りて大衆を顧みて言った。「道い得れば即ち筆を下さん。」衆は対えず。師が侍者を召して、老僧に与えて牢く梯子を扶けしむ。遂に之を点じた。

遂寧府香山尼佛通禪師

遂寧府香山尼仏通禅師

因誦蓮經有省。往見石門。乃曰。成都吃不得也。遂寧吃不得也。門拈拄杖打出。通忽悟曰。榮者自榮。謝者自謝。秋露春風。好不著便。門拂袖歸方丈。師亦不顧而出。由此道俗景從。得法者眾。

蓮経を誦するに因りて省有り。往きて石門に見え、乃ち言った。「成都も喫するを得ず、遂寧も喫するを得ず。」門が拄杖を拈じて打出せば、通は忽ち悟りて言った「栄える者は自ら栄え、謝る者は自ら謝る、秋露春風は、好く便を着けず。」門は袖を拂いて方丈に帰り、師も亦た顧みずして出でた。此に由りて道俗は景の従うが如く、法を得る者衆し。

淨因覺禪師法嗣

浄因覚禅師法嗣

東京華嚴真懿慧蘭禪師

東京華厳真懿慧蘭禅師

上堂。達磨大師。九年面壁。未開口已前。不妨令人疑著。卻被神光座主一覷。腳手忙亂。便道。吾本來茲土。傳法救迷情。一華開五葉。結果自然成。當時若有箇漢。腦後有照破古今底眼目。手中有截斷虗空底鉗鎚。才見恁麼道。便與驀𮌎搊住。問他道。一華五葉且拈放一邊。作麼生是你傳底法。待伊開口。便與掀倒禪床。直饒達磨全機。也倒退三千里。免見千古之下。負累兒孫。華嚴今日。豈可徒然。非唯重整頹綱。且要為諸人雪屈。遂拈拄杖橫按。召大眾曰。達磨大師向甚處去也。擲拄杖。下座。上堂。拈拄杖曰。靈山會上。喚作拈花。少室峰前。名為得髓。從上古德。祇可傍觀。末代宗師。盡皆拱手。華嚴今日不可逐浪隨波。擬向萬仞峰前點出普天春色。會麼。髑髏無喜識。枯木有龍吟。

上堂して言った。「達磨大師は、九年面壁して、未だ口を開かざる已前は、妨げず人をして疑着せしむ、却って神光座主の一觑に被りて、脚手忙乱し、便ち道う、吾は本来茲の土に、法を伝えて迷情を救わんと、一華は開きて五葉と、果を結んで自ずから成ると、当時に若し箇の漢有りて、脳後に古今を照破する底の眼目有り、手中に虚空を截断する底の鉗錘有りて、纔かに恁麼に道うを見れば、便ち与えて蓦く𮌎に搊住して、他に問うて曰く、一華五葉は且く拈げ放ちて一辺に置きて、作麼生か是れ汝の伝うる底の法、伊の口を開くを待ちて、便ち与えて禅床を掀倒せば、直饒達磨の全機も、亦た倒退すること三千里、千古の下に於て、児孫を負累するを免れん、華厳の今日は、豈に徒然ならん、非だのみ頹綱を重ねて整うる、且く要して諸人の為に屈を雪がん。」遂に拄杖を拈じて横按し、大衆を召して言った。「達磨大師は甚の処に向かって去りし。」拄杖を擲ちて、座を下った。上堂して、拄杖を拈じて言った。「霊山の会上に於ては、花を拈ずと喚び、少室峰の前に於ては、髄を得と名づく、上よりの古徳は、只だ傍観する可く、末代の宗師は、尽く皆拱手す、華厳の今日は浪を逐い波に随う可からず、万仞の峰前に向かって普天の春色を点出せんと擬す、会するか、髑髏は喜ぶ識無く、枯木に龍吟有り。」

天寧誧禪師法嗣

天寧誧禅師法嗣

西京熊耳慈禪師

西京熊耳慈禅師

上堂。般若無知。應緣而照。山僧今日撒屎撒尿。這邊放。那邊屙。東山西嶺笑呵呵。幸然一片清涼地。剛被熊峰染汙他。染汙他。莫啾唧。泥牛木馬盡呵叱。過犯彌天且莫論。再得清明又何日。還會麼。來年更有新條在。惱亂春風卒未休。

上堂して言った。「般若は知無く、縁に応じて照らす、山僧は今日屎を撒き尿を撒く、這辺に放ち、那辺に屙す、東山西嶺は笑うこと呵呵、幸なるかな一片の清涼の地、剛く熊峰に染污せらる、之を染污すとも、啾唧する莫れ、泥牛木馬は尽く呵叱す、過犯は天に弥るも且く論ずる莫れ、再び清明を得るは又何の日ぞ、還た会するか、来年は更に新条有りて、春風を悩乱して卒に未だ休せず。」

大洪遂禪師法嗣

大洪遂禅師法嗣

隨州大洪慶顯禪師

随州大洪慶顕禅師

僧問。須菩提巖中宴坐。帝釋雨華。和尚新據洪峰。有何祥瑞。師曰。鐵牛耕破扶桑國。迸出金烏照海門。曰。未審是何宗旨。師曰。熨斗煎荼銚不同。

僧が問うた。「須菩提は巌中に宴坐して、帝釈は華を雨せり、和尚は新たに洪峰に拠る、何の祥瑞か有らん。」師は言った。「鉄牛は耕し破りて扶桑国を、迸いでて金烏は海門を照らす。」言った。「未だ審らかならず是れ何の宗旨ぞ。」師は言った。「熨斗は荼銚を煎ずるに同じからず。」

大洪智禪師法嗣

大洪智禅師法嗣

越州天章樞禪師

越州天章枢禅師

上堂召大眾曰。春將至。歲已暮。思量古往今來。祇是箇般調度。凝眸昔日家風。下足舊時岐路。勸君休莫莽鹵。眨上眉毛須薦取。東村王老笑呵呵。此道今人棄如土。

上堂して大衆を召して言った。「春は将に至らんとし、歳は已に暮れんとす、思量すれば古往今来は、只だ是れ箇の般の調度、眸を凝らせば昔日の家風、足を下せば旧時の岐路、君に勧む莽卤に莫れ、眉毛を眨ぐには須く薦取すべし、東村の王老は笑うこと呵呵、此の道は今人は土の如くに棄つ。」

青原下十四世

青原下十四世

長蘆了禪師法嗣

長蘆了禅師法嗣

明州天童宗玨禪師

明州天童宗玨禅師

僧問。如何是道。師曰。十字街頭休斫額。上堂。劫前運步。世外橫身。妙契不可以意到。真證不可以言傳。直得虗靜斂氛。白雲向寒巖而斷。靈光破暗。明月隨夜船而來。正恁麼時作麼生履踐。偏正不曾離本位。縱橫那涉語因緣。

僧が問うた。「如何なるか是れ道。」師は言った。「十字街頭に額を斫るを休めよ。」上堂して言った。「劫の前に歩を運び、世の外に身を横え、妙契は意を以て到る可からず、真証は言を以て伝う可からず、直に虗静は氛を斂じ、白雲は寒巌に向かって断ち、霊光は暗を破り、明月は夜船に随いて来たる、正に恁麼なる時は作麼生に履践せん、偏正は曾て本位を離れず、縦横は那ぞ語の因縁に渉らん。」

真州長蘆妙覺慧悟禪師

真州長蘆妙覚慧悟禅師

上堂。盡大地是箇解脫門。把手拽不肯入。雪峰老漢抑逼人作麼。既到這裡。為甚麼鼻孔在別人手裡。良久曰。貪觀天上月。失卻手中橈。僧問。鴈過長空。影沈寒水。鴈無遺蹤之意。水無沈影之心。還端的也無。師曰。蘆花兩岸雪。江水一天秋。曰。便恁麼去時如何。師曰。鴈過長空聻。僧擬議。師曰。靈利衲子。

上堂して言った。「大地を尽くし是れ箇の解脱の門、手を把りて拽くるも入るを肯せず、雪峰の老漢は抑えて人を逼るを作麼、既に這裏に到れば、なぜ鼻孔は別人の手裏に在る。」良久して言った。「天上の月を観るを貪りて、手中の橈を失い却る。」僧が問うた。「雁は長空を過ぎて影は寒水に沈む、雁は蹤を遺す意無く、水は影を沈む心無し、還た端的なるや無しや。」師は言った。「蘆花は両岸の雪、江水は一天の秋。」言った。「便ち恁麼に去る時如何。」師は言った。「雁は長空を過ぐる聻。」僧が擬議せば、師は言った。「霊利なる衲子。」

福州龜山義初禪師

福州亀山義初禅師

上堂。久默斯要。不務速說。釋迦老子寐語作麼。我今為汝保任。斯事終不虗也。大似壓良為賤。既不恁麼。畢竟如何。白雲籠嶽頂。翠色轉崔嵬。

上堂して言った。「久しく黙すは斯に要なり、速く説くを務めず、釈迦老子は寐語を作すか、我は今汝の為に保任せん、斯の事は終に虗ならざるなり、大いに良を圧して賤と為すに似たり、既に恁麼ならざれば、畢竟に如何、白雲は岳頂を籠め、翠色は転じて崔嵬なり。」

建康保寧興譽禪師

建康保寧興誉禅師

上堂。步入道場。影涵宗鑑。粲粲星羅霽夜。英英花吐春時。木人密運化機。絲毫不爽。石女全提空印。文彩未彰。且道不一不異。無去無來。合作麼生體悉。的的縱橫皆妙用。阿儂元不異中來。

上堂して言った。「歩を道場に入れて、影は宗鑑に涵る、粲粲たる星羅の霁夜、英英たる花の春時に吐く、木人は密かに化機を運び、絲毫も爽わず、石女は全く空印を提げ、文彩は未だ彰れず、且く道え一ならず異ならず、去る無く来る無し、合作麼生に体悉せん、的的として縦横は皆妙用、阿儂は元より中より来るに異ならず。」

真州北山法通禪師

真州北山法通禅師

上堂。吞盡三世底。為甚麼開口不得。照破四天下底。為甚麼開眼不得。作麼生得十成通暢去。金針雙鏁備。葉露隱全該。僧問。斷言語。絕思惟處。乞師指示。師曰。滴水不入石。

上堂して言った。「三世を吞尽くす底は、なぜ口を開くを得ざる、四天下を照破する底は、なぜ眼を開くを得ざる、作麼生にして十成に通暢して去るを得ん、金鍼は双鎖を備え、葉露は全該を隱す。」僧が問うた。「言語を断ち、思惟を絶する処に、乞う師指示せん。」師は言った。「滴水は石に入らず。」

天童覺禪師法嗣

天童覚禅師法嗣

明州雪竇聞庵嗣宗禪師

明州雪竇聞庵嗣宗禅師

徽州陳氏子。幼業經圓具。依妙湛慧禪師。詰問次。釋然契悟。慧以麈尾拂付之。後謁宏智。蒙印可。其道愈尊。出住普照.善權.翠巖.雪竇。上堂。人人有箇鼻孔。唯有善權無鼻孔。為甚麼無。二十年前被人掣落了也。人人有兩箇眼睛。唯有善權無眼睛。為甚麼無。被人木槵子換了也。人人有箇髑髏。唯有善權無髑髏。為甚麼無。借人作屎杓了也。遂召大眾曰。鼻孔又無。眼睛又無。髑髏又無。諸人還識善權麼。若也不識。是諸人埋沒善權。其或未然。更聽一頌。㵎底泥牛金貼面。山頭石女著真紅。繫驢橛上生芝草。不是雲靄香爐峰。上堂。翠巖不是不說。祇為無箇時節。今朝快便難逢。一句為君剖決。露柱本是木頭。秤鎚祇是生鐵。諸人若到諸方。莫道山僧饒舌。僧問。蓮花未出水時如何。師曰。沒卻你鼻孔。曰。出水後如何。師曰。穿著你眼睛。曰。如何是正法眼。師曰。烏豆。問。如何是君。師曰。磨礱三尺劒。待斬不平人。曰。如何是臣。師曰。白雲閑不徹。流水太忙生。曰。如何是君臣道合。師曰。雲行雨施。月皎星輝。問。如何是正中偏。師曰。菱花未照前。曰。如何是偏中正。師曰。團圞無少剩。曰。如何是正中來。師曰。徧界絕纖埃。曰。如何是兼中至。師曰。齧鏃功前戲。曰。如何是兼中到。師曰。十道不通耗。問。如何是轉功就位。師曰。撒手無依全體現。扁舟漁父宿蘆花。曰。如何是轉位就功。師曰。半夜嶺頭風月靜。一聲高樹老猿啼。曰。如何是功位齊彰。師曰。出門不踏來時路。滿目飛塵絕點埃。曰。如何是功位俱隱。師曰。泥牛飲盡澄潭月。石馬加鞭不轉頭。師終於本山。塔全身寺之西南隅。

徽州の陳氏の子。幼にして経を業として円具す。妙湛慧禅師に依る。詰問の次、释然として契悟せり。慧が麈尾の拂を以て之に付す。後に宏智を謁えて、印可を蒙る。其の道は愈々尊し。出でて普照・善権・翠巌・雪竇に住す。上堂して言った。「人々に箇の鼻孔有り、唯だ善権のみ鼻孔無し、なぜ無き、二十年前に人に掣め落とされたり、人々に両箇の眼睛有り、唯だ善権のみ眼睛無し、なぜ無き、人に木槵子を以て換えられたり、人々に箇の髑髏有り、唯だ善権のみ髑髏無し、なぜ無き、人に借りて屎杓と作したり。」遂に大衆を召して言った。「鼻孔も又無く、眼睛も又無く、髑髏も又無し、諸人は還た善権を識るか、若しも識らざれば、是れ諸人が善権を埋没する、其の或いは未だ然らざれば、更に一頌を聴け、㵎底の泥牛は金を面に貼り、山頭の石女は真紅を着る、驢を繋ぐ橛の上に芝草生ず、是れ雲靄の香炉峰に非ず。」上堂して、翠巌は説かざるに非らず、只だ箇の時節無きが為なり、今朝の快便は逢い難く、一句を君の為に剖決す、露柱は本より是れ木頭、秤鎚は只だ是れ生鉄、諸人は若し諸方に到らば、山僧が舌を饒ると道うこと莫れ。」僧が問うた。「蓮花未だ水を出でざる時如何。」師は言った。「汝の鼻孔を没し却る。」言った。「水を出でし後如何。」師は言った。「汝の眼睛を穿り着けん。」言った。「如何なるか是れ正法眼。」師は言った。「烏豆。」問う。「如何なるか是れ君。」師は言った。「三尺の剣を磨礲して、平らかならざる人を斬らんと待つ。」言った。「如何なるか是れ臣。」師は言った。「白雲は閑として彻せず、流水は太だ忙しきが如し。」言った。「如何なるか是れ君臣の道合。」師は言った。「雲は行き雨は施し、月は皎として星は輝く。」問う。「如何なるか是れ正中偏。」師は言った。「菱花は未だ照らさざる前。」言った。「如何なるか是れ偏中正。」師は言った。「団圞にして少しの剰え無し。」言った。「如何なるか是れ正中の来。」師は言った。「徧界は繊埃を絶つ。」言った。「如何なるか是れ兼中至。」師は言った。「鏃を嚙むは功前の戯。」言った。「如何なるか是れ兼中到。」師は言った。「十道は耗に通ぜず。」問う。「如何なるか是れ功を轉じて位に就く。」師は言った。「手を撒きて依無く全体現じ、扁舟の漁父は蘆花に宿す。」言った。「如何なるか是れ位を轉じて功に就く。」師は言った。「半夜に嶺頭の風月静かなり、一声は高樹の老猿啼く。」言った。「如何なるか是れ功位斉しく彰る。」師は言った。「門を出でて来し時の路を踏まず、目に満つる飛塵は点埃を絶つ。」言った。「如何なるか是れ功位俱に隱る。」師は言った。「泥牛は澄潭の月を飲尽くし、石馬は鞭を加えども頭を轉ぜず。」師は終に本山に於て卒し、全身を寺の西南隅に塔した。

常州善權法智禪師

常州善権法智禅師

陝府栢氏子。壯於西京聖果寺祝髮。習華嚴。棄謁南陽謹。次參大洪智。踰十年無所證。後於宏智言下豁然。出居善權。次遷金粟。上堂。明月高懸未照前。雪眉人憑玉欄幹。夜深雨過風雷息。客散雲樓酒椀乾。上堂。三界無法。何處求心。驚虵入草。飛鳥出林。雨過山堂秋夜靜。市聲終不到孤岑。

陜府の栢氏の子。壮にして西京の聖果寺に於て髪を祝ぎ、華厳を習う。棄てて南陽の謹を謁え、次いで大洪智に参ず。十年を逾えて証する所無し。後に宏智の言下に豁然たり。出でて善権に居り、次いで金粟に遷る。上堂して言った。「明月は高く懸りて未だ照らさざる前、雪眉の人は玉欄干に凭る、夜は深く雨過ぎて風雷息み、客は散じて雲楼に酒椀干からん。」上堂して言った。「三界に法無し、何の処にか心を求めん、虵を驚かせば草に入り、飛鳥は林を出づ、雨過ぎて山堂の秋夜静かなり、市声は終に孤岑に到らず。」

杭州淨慈自得慧暉禪師

杭州浄慈自得慧暉禅師

會稽張氏子。幼依澄照道凝。染削進具。甫二十。扣真歇於長蘆。微有所證。旋里謁宏智。智舉當明中有暗。不以暗相遇。當暗中有明。不以明相覩。問之。語不契。初夜定。回往聖僧前燒香。而宏智適至。師見之。頓明前話。次日入室。智舉堪嗟去日顏如玉。卻歎回時𩯭似霜。詰之。師曰。其入離。其出微。自爾問答無滯。智許為室中真子。紹興丁巳開法補陀。徙萬壽及吉祥.雪竇。淳熈三年。勑補淨慈。上堂。朔風凜凜掃寒林。葉落歸根露赤心。萬派朝宗船到岸。六窓虗暎芥投針。本成現。莫他尋。性地閑閑耀古今。戶外凍消春色動。四山渾作木龍吟。上堂。釋迦老子。窮理盡性。金口敷宣。一代時教。珠回玉轉。被人喚作拭不淨故紙。達磨祖師。以一乘法直指單傳。面壁九年。不立文字。被人喚作壁觀婆羅門。且道作麼生行履。免被傍人指注去。衲帔蒙頭萬事休。此時山僧都不會。上堂。巢知風。穴知雨。甜者甜兮苦者苦。不須計較作思量。五五從來二十五。萬般施設到平常。此是叢林飽參句。諸人還委悉麼。野老不知堯舜力。鼕鼕打皷祭江神。上堂。谷之神。樞之要。裡許旁參。回途得妙。雲雖動而常閑。月雖晦而彌照。賓主交參。正偏兼到。十洲春盡花凋殘。珊瑚樹林日杲杲。僧問。如何是正中偏。師曰。昨夜三更星滿天。曰。如何是偏中正。師曰。白雲籠嶽頂。終不露崔嵬。曰。如何是正中來。師曰。莫謂鯤鯨無羽翼。今日親從鳥道來。曰。如何是偏中至。師曰。應無跡。用無痕。曰。如何是兼中到。師曰。石人衫子破。大地沒人縫。上堂。皮膚脫落絕方隅。明瞭身心一物無。妙入道寰深靜處。玉人端馭白牛車。妙明田地。達者還稀。識情不到。唯證方知。白雲兒靈靈自照。青山父卓卓常存。機分頂後光。智契劫前眼。所以道新豐路兮峻仍皾。新豐洞兮湛然沃。登者登兮不動搖。

会稽の張氏の子。幼にして澄照道凝に依り、染削して具を進む。甫らかに二十にして、長蘆に於て真歇を扣き、微かに証する所有り。里に旋りて宏智を謁う。智が当に明中に暗有りて、暗を以て相遇せず、当に暗中に明有りて、明を以て相覩せずを挙げて之に問う。語は契らず。初夜に定して、回りて聖僧の前に往きて香を焼く。宏智が適に至りて、師が之を見て、頓に前の話を明らむ。次日室に入る。智が堪え嗟く去日の顔は玉の如し、却って嘆ず回時の𩯭は霜に似たりとを挙げて之を詰ず。師は言った。「其の入るは離にして、其の出づるは微なり。」自より問答に滞無し。智は室中の真子と許す。紹興丁巳に補陀に於て法を開き、万寿及び吉祥・雪竇に徙し、淳熈三年に勅して浄慈を補す。上堂して言った。「朔風凛凛として寒林を掃い、葉は落ちて根に帰りて赤心を露う、万派は宗に朝りて船は岸に到り、六窗は虗暎にして芥は針に投ず、本より成り現ず、他に尋ぬること莫れ、性地は閑閑として古今に耀う、戸外は凍消えて春色動き、四山は渾く木龍の吟と作る。」上堂して言った。「釈迦老子は、理を窮め性を尽くし、金口に敷宣して一代の時教、珠回り玉転じ、人に拭浄ならざる故紙と喚ばれ、達磨祖師は、一乗法を以て直に指し単伝して、面壁九年、文字を立てず、人に壁観の婆羅門と喚ばる、且く道え作麼生に行履して、傍人の指注に被るを免れん、衲帔を頭に蒙せば万事休み、此の時山僧も都て会せず。」上堂して言った。「巣は風を知り、穴は雨を知る、甜きは甜く苦きは苦し、計校して思量を作すを須いず、五五は从来二十五、万般の施設は平常に到る、此は是れ叢林の飽参の句、諸人は還た委悉するか、野老は堯舜の力を知らず、冬冬として皷を打ちて江神を祭る。」上堂して言った。「谷の神、枢の要は、裏許に旁参して、途を回して妙を得る、雲は動くと雖も常に閑なり、月は晦むと雖も弥よ照らす、賓主交参して、正偏兼ねて到る、十洲の春尽きて花凋残すれど、珊瑚樹の林は日に杲杲たり。」僧が問うた。「如何なるか是れ正中偏。」師は言った。「昨夜三更に星は天に満つ。」言った。「如何なるか是れ偏中正。」師は言った。「白雲は岳頂を籠めて、終に崔嵬を露わさず。」言った。「如何なるか是れ正中の来。」師は言った。「鯤鯨に羽翼無しと謂うこと莫れ、今日親しく鳥道に従りて来た。」言った。「如何なるか是れ偏中至。」師は言った。「に迹無く、用に痕無し。」言った。「如何なるか是れ兼中到。」師は言った。「石人の衫子は破れて、大地に縫う人無し。」上堂して言った。「皮肤脱落して方隅を絶ち、身心を明了して一物無し、妙に道寰の深静の処に入りて、玉人は端く白牛車を馭す、妙明の田地は、達する者は還た稀なり、識情は到らず、唯だ証して方に知る、白雲の児は霊霊として自ら照らし、青山の父は卓卓として常に存す。」機は頂後の光を分かち、智は劫前の眼に契う、是を以て道う新豊の路は峻にして仍ほ皾し、新豊の洞は湛然として沃かなり、登る者は登るに動揺せず、

遊者遊兮莫忽速。亭堂雖有到人稀。林泉不長尋常木。諸禪德。向上一著尊貴難明。瑠璃殿上不稱尊。翡翠簾前還合伴。正與麼時。針線貫通。真宗不墜。合作麼生施設。滿頭白髮離巖谷。半夜穿雲入市鄽。上堂。舉傅大士法身頌雲。空手把鋤頭。步行騎水牛。人從橋上過。橋流水不流。雲門大師道。諸人東來西來。南來北來。各各騎一頭水牯牛來。然雖如是。千頭萬頭。祇要識取這一頭。師曰。雲門尋常乾𪹼𪹼地。錐劄不入。到這裡。也解拖泥帶水。諸人祇今要見這一頭麼。天色稍寒。各自歸堂。上堂。舉風幡話。師曰。風幡動處著得箇眼。卻是上座。風幡動處失卻箇眼。即是風幡。其或未然。不是風幡不是心。衲僧徒自強錐針。巖房雨過昏煙淨。臥聽涼風生竹林。七年秋。退歸雪竇。十年仲冬二十九日中夜。沐浴而逝。窆全身於明覺塔右。

游ぶ者は游ぶに忽速なること莫れ、亭堂は有ると雖も到る人稀なり、林泉は尋常の木を長ぜず。諸の禅徳、向上の一着は尊貴にして明らめ難し、瑠璃の殿上には尊と称せず、翡翠の簾前には還た伴に合す、正に恁麼なる時、鍼線は貫通し、真宗は墜ちず、合作麼生に施設せん、頭に満つる白髪は巌谷を離れ、半夜に雲を穿ちて市鄽に入る。」上堂して、傅大士の法身の頌を挙げて言った。「空の手に鋤頭を把り、歩行して水牛に騎る、人は橋の上を従りて過ぎ、橋は流れて水は流れず。雲門大師は道う、諸人は東より来り西より来り、南より来り北より来りて、各々一頭の水牯牛に騎りて来る、然ると雖も是の如し、千頭万头も、只だ要す這の一頭を識取せんを、師は言った、雲門は尋常は干𪹼𪹼の地にして、錐札も入らず、這裏に到れば、亦た泥を拖き水を帯ぶるを解す、諸人は只今這の一頭に見えんと要するか、天色は稍や寒し、各々自ら堂に帰れ。」上堂して、風幡の話を挙げる。師は言った。「風幡の動く処に箇の眼を着け得ば、却って是れ上座、風幡の動く処に箇の眼を失い却れば、即ち是れ風幡、其の或いは未だ然らざれば、風幡に非ず心に非ず、衲僧は徒らに自ずから錐鍼を強いる、巌房は雨過ぎて昏烟浄く、臥して聴く涼風の竹林に生ずるを。」七年の秋、退きて雪竇に帰る。十年仲冬二十九日中夜に、沐浴して逝いた。全身を明覚塔の右に窆す。

明州瑞巖石窻法恭禪師

明州瑞巌石窓法恭禅師

郡之奉化林氏子。於棲真院下髮受具。往延慶講下。一夕。誦法華至父母所生眼。悉見三千界時。聞風刺椶櫚葉聲。忽然有省。棄依天童。始明大旨。凡當世弘法者。悉往諮決。出住能仁光孝瑞巖。上堂。春風楊柳眉。春禽弄百舌。一片祖師心。兩處俱漏洩。不動步還家。習漏頓消滅。暗投玉線芒。曉貫金針穴。深固實幽遠。無人孰辨別。慚愧可憐生。頭頭皆合轍。不念阿彌陀。南無乾屎橛。無智痴人前。第一不得說。上堂。見得徹。用時親。相逢盡是箇中人。望空雨寶休誇富。無地容錐未是貧。踏著秤鎚硬似鐵。八兩元來是半斤。上堂。舉世尊生下指天指地公案。頌曰。五天一隻蓬蒿箭。攪動支那百萬兵。不得雲門行正令。幾乎錯認定盤星。

郡の奉化の林氏の子。栖真院に於て髪を下し具を受け、延慶の講下に往き、一夕に法華を誦して父母の生ずる所の眼は悉く三千界を見るに至る時、風の椶櫚の葉を刺す声を聞きて、忽然として省有り。棄てて天童に依りて、始めて大旨を明らむ。凡そ当世に法を弘むる者には、悉く往きて咨決した。出でて能仁光孝瑞巌に住す。上堂して言った。「春。「春風は楊柳の眉、春禽は百舌を弄す、一片の祖師の心は、両処に俱に漏泄す、歩を動かさずして家に還り、習漏は頓に消滅す、暗に玉線の芒を投げ、暁に金鍼の穴を貫く、深固にして実に幽遠なり、人無き孰れか辨別せん。」慚愧して憐れむ可き生なり、頭頭は皆轍に合す。阿弥陀を念ぜず、南无の干屎橛。智無き痴人の前には、第一に説くを得ず。上堂して言った。「見ること彻すれば用に親しく、相逢うは尽く是れ箇中の人、空に望みて宝を雨らすは富を誇るを休め、錐を容るる地無きは未だ是れ貧ならず、秤鎚を踏着すれば硬きこと鉄の似たり、八両は元来是れ半斤なり。」上堂して、世尊が生れて天を指し地を指した公案を挙げて、頌して言った。「五天の一只の蓬蒿の箭、支那の百万の兵を攪動す、雲門の正令を行ずるを得ざれば、幾ほどに錯りて定盤の星を認めんとす。」

襄州石門清涼法真禪師

襄州石門清涼法真禅師

劒門人也。上堂。柳色含煙。春光迥秀。一峰孤峻。萬卉爭芳。白雲淡濘已無心。滿目青山元不動。漁翁垂釣。一溪寒雪未曾消。野渡無人。萬古碧潭清似鏡。賓中有主。拄杖橫挑日月輪。主中有賓。踏破草鞋赤腳走。直得賓主互顯。殺活自由。理事渾融。正偏不滯。入荒田不揀。信手拈來草。且道如何委悉。塵中雖有隱身術。爭似全身入帝鄉。

剣門の人である。上堂して言った。「柳色は烟を含み、春光は迥かに秀で、一峰は孤峻にして、万卉は芳を争う、白雲は淡泞として已に心無く、目に満つる青山は元より動かず、漁翁は釣を垂れて、一谿の寒雪は未だ曾て消えず、野渡は人無くて、万古の碧潭は清きこと鏡の似たり。」賓中に主有りて、拄杖は横に日月の輪を挑ぐ、主中に賓有りて、草鞋を踏破りて赤脚に走る、直に賓主互に顕れ、殺活は自由、理事は渾融して、正偏は滞らず、荒田に入りて揀わず、信手に拈げ来れば草なり、且く道え如何に委悉せん、塵中は隠身の術有ると雖も、争でか全身で帝郷に入るに似ん。」

明州光孝了堂思徹禪師

明州光孝了堂思彻禅師

上堂。羊頭車子推明月。沒底船兒載曉風。一句頓超情量外。道無南北與西東。所以劫前消息。非口耳之所傳。格外真規。豈思量之能解。須知佛佛祖祖。了無一法為人。子子孫孫。直下全身荷負。既已萬機寢削。自然一糝不留。湛湛之波。碧水冷涵於秋色。靈靈之照。霽天淨洗於氷輪。宛轉旁參。葉通兼帶。夢手推開玉戶。飜身撥動機輪。正令才行。又見一陽萌動。化工密運。俄驚三世變遷。雖則默爾無言。爭奈熾然常說。無遷無變。今朝拈置一邊。有故有新。且道如何話會。諸人還委悉麼。群陰消剝盡。來日是書云。

上堂して言った。「羊頭の車子は明月を推し、底無き船児は暁風を載す、一句は頓に情量の外を超え、道は南北と西東と無し、是を以て劫前の消息は、口耳の伝うる所に非ず、格外の真規は、豈に思量の解する能う所、須知すべし仏々祖々は、了て人と為る一法無し、子々孫々は、直下に全身で荷負す、既に万机は寝削し、自ずから一糁も留めず、湛湛たる波は、碧水は秋色を冷に涵し、霊霊たる照は、霁天は氷輪を浄く洗う、宛転に旁参して、葉は通じ兼帯す、夢の手は玉戸を推開き、身を飜して機輪を撥動す、正令は纔かに行われて、又た一陽の萌動を見る、化工は密かに運びて、俄かに三世の変遷を驚かす、則ち黙尔として言無しと雖も、争奈せん熾然として常に説く、遷る無く変る無しは、今朝拈げて一辺に置き、故有り新有りて、且く道え如何に話会せん、諸人は還た委悉するか、群陰は消剥し尽きて、来日は是れ書雲なり。」

隨州大洪法為禪師

随州大洪法為禅師

天台鮑氏子。上堂。法身無相。不可以音聲求。妙道亡言。豈可以文字會。縱使超佛越祖。猶落階梯。直饒說妙談玄。終掛唇齒。須是功燻不犯。形跡不留。枯木寒巖。更無津潤。幻人木馬。情識皆空。方能垂手入鄽。轉身異類。不見道。無漏國中留不住。卻來煙塢臥寒沙。

天台の鮑氏の子。上堂して言った。「法身は相無くして、音声を以て求む可からず、妙道は言を亡して、豈に文字を以て会する可けん、縦使し仏を超え祖を越ゆるも、猶お階梯に落ち、直饒妙を説き玄を談ずるも、終に唇歯に挂く、須く是れ功に熏じて犯さず、形迹を留めざるべし、枯木寒巌は、更に津潤無し、幻人木馬は、情識皆空し、方に能く手を垂れて鄽に入り、身を轉じて異類に就く、道うを見ざるか、漏無き国中に留まるを得ず、却りて来りて烟塢の寒沙に臥す。」

真州長蘆琳禪師

真州長蘆琳禅師

上堂拈拄杖曰。其宗也離心意識。其旨也超去來今。離心意識。故品萬類不見差殊。超去來今。故盡十方更無滲漏。當頭不犯。徹底無依。悟向朕兆未生已前。用在功勳不犯之處。平常活計。不用躊躕。擬議之間。即沒交涉。

上堂して拄杖を拈じて言った。「其の宗や心を離れ意識を離れ、其の旨や去を超え来を超え今を超ゆ、心を離れ意識を離るれば、故に万類を品して差殊を見ず、去来今を超ゆれば、故に十方を尽くして更に渗漏無し、頭に当たりて犯さず、彻底して依無し、朕兆未だ生ぜざる已前に向かって悟り、功勲犯さざるの処に於て用ゐる、平常の活計は、踌蹰を用ゐず、擬議の間に、即ち交渉を没せん。」

大洪預禪師法嗣

大洪預禅師法嗣

臨江軍慧力悟禪師

臨江軍慧力悟禅師

上堂。一切聲。是佛聲。簷前雨滴響泠泠。一切色。是佛色。覿面相呈諱不得。便恁麼。若為明。碧天雲外月華清。

上堂して言った。「一切の声は、是れ仏の声、檐前の雨滴は響き泠泠、一切の色は、是れ仏の色、覿面に相呈して諱むを得ず、便ち恁麼にして、若為に明らかならん、碧天雲外の月華清し。」

福州雪峰慧深首座

福州雪峰慧深首座

示眾。未得入頭應切切。入頭已得須教徹。雖然得入本無無。莫守無無無間歇。大洪聞之。乃曰。深兄說禪若此。惜福緣不勝耳。一日普說罷。揮偈辭眾。以筆一拍而化。

衆に示す。未だ入頭を得ざれば応に切切たるべく、入頭を已に得ば須く彻を教えん、然ると雖も入るを得るも本より無無なり、無無に間歇無きを守ること莫れ。大洪が之を聞きて、乃ち言った。「深兄の禅を説くこと此の若し、惜しむべし福縁の勝ならざるを。」一日普説罷りて、偈を揮いで衆を辞し、筆を以て一拍して化した。

天封歸禪師法嗣

天封帰禅師法嗣

江州東林通理禪師

江州東林通理禅師

上堂。峰頭駕鐵船。三更日輪杲。心閑不自明。落葉知誰掃。等閑摘箇鄭州梨。放手元是青州棗。

上堂して言った。「峰頭に鉄船を駕りて、三更に日輪杲たり、心は閑にして自ら明らめず、落葉は誰か掃くを知らん、等閑に箇の鄭州の梨を摘めば、手を放てば元是れ青州の棗。」

天衣聰禪師法嗣

天衣聡禅師法嗣

蘇州慧日法安禪師

蘇州慧日法安禅師

本郡人。僧問。如何是和尚為人一句。師曰。狗走抖擻口。曰。意旨如何。師曰。猴愁摟摗頭。

本郡の人。僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の人と為る一句。」師は言った。「狗は走りて口を抖擞す。」言った。「意旨如何。」師は言った。「猴は愁えて頭を摟摗す。」

溫州護國欽禪師

温州護国欽禅師

上堂。有句無句。明來暗去。活捉生擒。捷書露布。如藤倚樹。物以類聚。海外人參。蜀中綿附。樹倒藤枯。切忌名模。句歸何處。囌嚧囌嚧。呵呵大笑。破鏡不照。大地茫茫。一任𨁝跳。

上堂して言った。「句有り句無しは、明に来りて暗に去る、活に捉え生に擒えて、捷書は露布す、藤の樹に倚るが如く、物は類を以て聚まる、海外の人参、蜀中の綿附、樹は倒れ藤は枯れて、切に忌む名を模すを、句は何の処にか帰する、蘇𠰷蘇𠰷、呵呵として大笑す、破鏡は照らさず、大地茫茫として、𨁝跳に一任せよ。」

無為軍吉祥元實禪師

無為軍吉祥元実禅師

高郵人。自到天衣。蚤夜精勤。脇不至席。一日。偶失笑喧眾。衣擯之。中夜宿田裡。覩星月粲然。有省。曉歸趨方丈。衣見乃問。洞山五位君臣。如何話會。師曰。我這裡一位也無。衣令參堂。謂侍僧曰。這漢卻有箇見處。奈不識宗旨何。入室次。衣預令行者五人。分序而立。師至俱召。實上座。師於是密契奧旨。述偈曰。一位才彰五位分。君臣葉處紫雲屯。夜明簾卷無私照。金殿重重顯至尊。衣稱善。後住吉祥。

高郵の人。天衣に至りしより、蚤夜精勤にして、脇は席に至らず。一日、偶々笑いを失して衆を喧しめれば、衣が之を摈した。中夜に田里に宿して、星月の粲然たるを覩て、省有り。暁に帰りて方丈に趨る。衣が見て乃ち問うた。「洞山の五位君臣は、如何に話会せん。」師は言った。「我が這裏には一位も無し。」衣が堂に参せしめて、侍僧に謂いて言った。「這の漢は却って箇の見る処有り、奈んぞ宗旨を識らざるを何。」室に入る次、衣が預め行者五人に分かちて序に立たしむ。師は至りて俱に召す。実上座。師は是に於て奥旨を密契し、偈を述べて言った。「一位は纔かに彰れて五位分かれ、君臣は葉う処に紫雲屯し、夜明の簾は巻かれて私の照無く、金殿は重重にして至尊を顕す。」衣は善と称し、後に吉祥に住した。

舒州投子道宣禪師

舒州投子道宣禅師

久侍天衣。無所契。衣叱之。師忘寢食者月餘。一夕。聞巡更鈴聲。忽猛省曰。住。住。一聲直透青霄路。寒潭月皎有誰知。泥牛觸折珊瑚樹。衣聞。命職藏司。住後。凡有所問。以拂子作搖鈴勢。

久しく天衣に侍すれど、契う所無し。衣が之を叱れば、師は寝食を忘るること月余。一夕に、更を巡る鈴声を聞きて、忽ち猛省して言った。「住れ住れ、一声は直に青霄の路を透り、寒潭は月皎として誰か知らん、泥牛は触りて珊瑚樹を折る。」衣は聞きて、蔵司の職を命じた。住して後、凡そ問有る時は、拂子を以て鈴を揺る勢を作す。

青原下十五世

青原下十五世

天童玨禪師法嗣

天童玨禅師法嗣

明州雪竇智鑒禪師

明州雪竇智鑑禅師

滁州吳氏子。兒時母與洗手瘍。因曰。是甚麼。對曰。我手似佛手。長失恃怙。依真歇於長蘆。大休首眾即器之。後遯象山。百怪不能惑。深夜開悟。求證於延壽。然復見大休。住後。上堂。世尊有密語。迦葉不覆藏。一夜落花雨。滿城流水香。

滁州の呉氏の子。児の時に母が手の瘍を洗い与えて、因りて言った。「是れ何ぞ。」対えて言った。「我が手は仏の手に似たり。」長じて恃怙を失い、長蘆に於て真歇に依り、大休は衆を首と為して即ち之を器とす。後に象山に遯れて、百怪も惑わす能わず、深夜に開悟し、延寿に於て証を求めたるも、然れど復た大休に見えた。住して後、上堂して言った。「世尊に密語有りて、迦葉は覆蔵せず、一夜の落花の雨に、満城は流水香なり。」

善權智禪師法嗣

善権智禅師法嗣

越州超化藻禪師

越州超化藻禅師

開爐上堂。雪滿寒窻。燒盡丹霞木佛。氷交野渡。凍殺陝府鐵牛。直得寒灰發燄。片雪不留。任運縱橫。現成受用。諸禪德要會麼。衲帔蒙頭坐。冷煖了無知。

炉を開く上堂に言った。「雪は寒窻に満ちて、丹霞の木仏を焼尽くし、氷は野渡に交りて、陜府の鉄牛を凍殺す、直に寒灰は燄を発きて、片雪も留めず、運に任りて縦横に、現成の受用、諸の禅徳は要して会せんか、衲帔を頭に蒙りて坐すれば、冷煖は了て知らず。」

雪竇宗禪師法嗣

雪竇宗禅師法嗣

泰州廣福微庵道勤禪師

泰州広福微庵道勤禅師

本郡俞氏子。上堂。舉。僧問同安。如何是和尚家風。同安曰。金雞抱子歸霄漢。玉兔懷胎入紫微。曰。忽遇客來。將何祇待。同安曰。金果早朝猿摘去。玉華晚後鳳銜來。師曰。廣福即不然。有問如何是和尚家風。祇向他道。翠竹叢邊歌欸乃。碧巖深處臥煙蘿。忽遇客來。將何祇待。沒底籃兒盛皓月。無心盌子貯清風。

本郡の兪氏の子。上堂して挙ぐ。僧が同安に問う、如何なるか是れ和尚の家風、同安は言った、金鶏は子を抱きて霄漢に帰り、玉兔は胎を懐きて紫微に入る、言った、忽ち客の来るに遇わば、何を将て只だ待たん、同安は言った、金果は早朝に猿が摘み去り、玉華は晩後に鳳が銜えて来た、師は言った、広福は即ち然らず、問有らば如何なるか是れ和尚の家風と、只だ他に向かって道う、翠竹の叢辺に歌う欸乃、碧巌の深の深處に煙蘿に臥す、忽ち客の来るに遇わば、何を将て只だ待たん、底無き籃児に皓月を盛り、心無き盌子に清風を貯う。

五燈會元卷第十四

五燈會元卷第十五

雲門宗

雲門宗

青原下六世

青原下六世

雪峰存禪師法嗣

雪峰存禅師法嗣

韶州雲門山光奉院文偃禪師

韶州雲門山光奉院文偃禅師

嘉興人也。姓張氏。幼依空王寺志澄律師出家。敏質生知。慧辯天縱。及長。落髮稟具於毗陵壇。侍澄數年。探窮律部。以己事未明。往參睦州。州才見來。便閉卻門。師乃扣門。州曰。誰。師曰。某甲。州曰。作甚麼。師曰。己事未明。乞師指示。州開門一見便閉卻。師如是連三日扣門。至第三日。州開門。師乃拶入。州便擒住曰。道。道。師擬議。州便推出曰。秦時𨍏轢鑽。遂掩門。損師一足。師從此悟入。州指見雪峰。師到雪峰莊。見一僧廼問。上座今日上山去那。僧曰。是。師曰。寄一則因緣。問堂頭和尚。祇是不得道是別人語。僧曰。得。師曰。上座到山中見和尚上堂。眾才集便出。握腕立地曰。這老漢項上鐵枷。何不脫卻。其僧一依師教。雪峰見這僧與麼道。便下座攔胷把住曰。速道。速道。僧無對。峰拓開曰。不是汝語。僧曰。是某甲語。峰曰。侍者將繩棒來。僧曰。不是某語。是莊上一浙中上座教某甲來道。峰曰。大眾去莊上迎取五百人善知識來。師次日上雪峰。峰才見便曰。因甚麼得到與麼地。師乃低頭。從茲契合。溫研積稔。密以宗印授焉。師出嶺。徧謁諸方。核窮殊軌。鋒辯險絕。世所盛聞。後抵靈樹。冥符知聖禪師接首座之說。初。知聖住靈樹二十年。不請首座。常雲。我首座生也。我首座牧牛也。我首座行腳也。一日。令擊鐘三門外接首座。眾出迓。師果至。直請入首座寮。解包(人天眼目見靈樹章)。後廣主命師出世靈樹。開堂日。主親臨曰。弟子請益。師曰。目前無異路(法眼別雲。不可無益於人)。師乃曰。莫道今日謾諸人好。抑不得已向諸人前作一場狼籍。忽遇明眼人。見成一場笑具。如今避不得也。且問你諸人從上來有甚事。欠少甚麼。向你道無事。已是相埋沒也。雖然如是。也須到這田地始得。亦莫趂口快亂問。自己心裡黑漫漫地。明朝後日。大有事在。

嘉興の人である。姓は張氏。幼にして空王寺の志澄律師に依りて出家した。敏質にして生れながらに知り、慧弁は天の縦う所。及び長じて、毘陵の壇に於て髪を落し具を稟く。澄に侍ること数年にして、律部を探り窮めた。己事未だ明らかならざるを以て、睦州に往きて参ず。州は纔かに来るを見て、便ち門を閉じ却れた。師は乃ち門を扣く。州は言った。「誰ぞ。」師は言った。「某甲。」州は言った。「作什么。」師は言った。「己事未だ明らかならず、乞う師の指示を。」州が門を開きて一見して便ち閉じ却れ、師は是の如く三日連ねて門を扣き、第三日に至りて、州が門を開く。師は乃ち拶りて入る。州は便ち擒え住えて言った。「道え、道え。」師が擬議すれば、州は便ち推し出して言った。「秦時の𨍏轢の鑚。」遂に門を掩い、師の一足を損す。師は此に従りて悟入した。州が指して雪峰に見えしむ。師が雪峰の荘に到りて、一僧を見て乃ち問うた。「上座は今日山に上るか。」僧は言った。「是れ。」師は言った。「一則の因縁を寄す、堂頭和尚に問うて曰く、只だ是れ別人の語と道うを得ざらんや。」僧は言った。「得。」師は言った。上座は山中に到りて和尚が上堂するを見て、衆が纔かに集れば便ち出で、腕を握りて立地して曰く、這の老漢の項上の鉄枷を、何ぞ脱却せざる、其の僧は一たび師の教に依る。雪峰が這の僧が恁麼に道うを見て、便ち座を下りて胷を拦えて把住して言った。「速かに道え、速かに道え。」僧は対無し。峰が拓き開きて言った。「是れ汝の語に非ず。」僧は言った。「是れ某甲の語。」峰は言った。侍者は繩棒を将て来れ、僧は言った、「是れ某甲の語に非ず、是れ荘上の一の浙中の上座が某甲を教えて来りて道わしめた。」峰は言った。大衆は荘上に行きて五百人の善知識を迎え取りて来れ。師は次日雪峰に上る。峰は纔かに見て便ち言った。「何に因りて恁麼の地に到るを得た。」師は乃ち頭を低れた。兹に従りて契合し、温研は稔を積みて、密かに宗印を以て之に授けた。師は嶺を出でて、徧く諸方を謁え、殊軌を核窮し、鋒辯は険絶にして、世の盛んに聞く所。後に霊樹に抵り、冥かに知聖禅師が首座を接すの説に符し、初め、知聖は霊樹に住すること二十年、首座を請せず、常に云う、我が首座は生れたり、我が首座は牛を牧う、我が首座は行脚すと、一日に、鐘を撃ちて三門の外に首座を接せしめんと令す。衆は出でて迓えば、師果たして至る。直に請いで首座寮に入らしめて、包を解いた(人天眼目は霊樹の章に見え)。後に広の主が師に命じて霊樹に出世せしむ。堂を開く日、主が親しく臨みて言った。「弟子は益を請う。」師は言った。「目前に異路無し(法眼の別説に曰く、人に益無き可からずと)。」師は乃ち言った。「今日は諸人を谩ると道うこと莫れ、抑も已むを得ず諸人の前に向かって一場の狼籍を作す、忽ち明眼人に遇えば、現成して一場の笑具と為るも、如今は避くるを得ず、且く汝諸人に問う、上より来たりて有るは甚の事ぞ、何をか欠少する、汝に向かって事無しと道うも、已に是れ相埋没なり、然ると雖も是の如し、亦た須く這の田地に到りて始めて得、亦た口の快に趂りて乱りに問うこと莫れ、自己の心裏は黒く漫漫たり、明朝後日は、大いに事有るに在り、

你若根思遲回。且向古人建化門庭東覷西覷。看是箇甚麼道理。你欲得會麼。都緣是你自家無量劫來妄想濃厚。一期聞人說著。便生疑心。問佛問法。問向上向下。求覓解會。轉沒交涉。擬心即差。況復有言有句。莫是不擬心是麼。莫錯會好。更有甚麼事。珍重。上堂。我事不獲已。向你諸人道。直下無事。早是相埋沒了也。更欲踏步向前。尋言逐句。求覓解會。千差萬別。廣設問難。贏得一場口滑。去道轉遠。有甚麼休歇時。此事若在言語上。三乘十二分教豈是無言語。因甚麼更道教外別傳。若從學解機智得。祇如十地聖人。說法如雲如雨。猶被呵責。見性如隔羅縠。以此故知一切有心。天地懸殊。雖然如此。若是得底人。道火不能燒口。終日說事。未甞掛著唇齒。未甞道著一字。終日著衣吃飯。未甞觸著一粒米。掛一縷絲。雖然如此。猶是門庭之說也。須是實得恁麼。始得。若約衲僧門下。句裡呈機。徒勞佇思。直饒一句下承當得。猶是瞌睡漢。時有僧問。如何是一句。師曰。舉。上堂。三乘十二分教。橫說竪說。天下老和尚縱橫十字說。與我拈針鋒許說底道理來。看恁麼道。早是作死馬醫。雖然如此。且有幾箇到此境界。不敢望汝言中有響。句裡藏鋒。瞬目千差。風恬浪靜。伏惟尚饗。僧來參。師乃拈起袈裟曰。汝若道得。落我袈裟圈䙡裡。汝若道不得。又在鬼窟裡坐。作麼生。自代曰。某甲無氣力。師一日打椎曰。妙喜世界百雜碎。拓缽向湖南城裡吃粥飯去來。上堂。諸兄弟盡是諸方參尋知識。決擇生死。到處豈無尊宿垂慈方便之詞。還有透不得底句麼。出來舉看。待老漢與你大家商量。有麼有麼。時有僧出。擬伸問次。師曰。去去西天路。迢迢十萬餘。便下座。舉。世尊初生下。一手指天。一手指地。周行七步。目顧四方。雲。天上天下。唯我獨尊。師曰。我當時若見。一棒打殺與狗子吃卻。

汝若し根思遅回ならば、且く古人の建化門庭に向かって東に觑り西に觑りて、看よ是れ箇の何の道理ぞ、汝は会せんことを欲するか、都て縁るは是れ汝自家が無量劫来、妄想濃厚なるが故に、一期に人の説き着くを聞きて、便ち疑心を生じ、仏を問い法を問い、向上を問い向下を問うて、解会を求覓すれば、轉じて交渉を没し、心を擬すれば即ち差う、況んや復た言有り句有るをや、莫れ是れ心を擬せざれば是れか、錯りて会すること好く莫れ、更に何の事か有らん、珍重せよ。」上堂して言った。「我事は獲已むを得ずして、汝諸人に向かって道う、直下に事無ければ、早く是れ相埋没せり、更に歩を踏みて前に向かい、言を尋ね句を逐いて、解会を求覓せんと欲し、千差万別にして、広く問難を設くるも、贏ち得るは一場の口滑のみ、去れば道は轉じて遠し、何の休歇の時か有らん、此の事は若し言語の上に在らば、三乗十二分教は豈に言語無からん、何に因りて更に教外別伝と道う、若し学解の機智に従りて得ば、只だ十地の聖人の如く、法を説くこと雲の如く雨の如しも、猶お呵責に被りて、性を見ること羅縠を隔つるが如し、此を以て故に知る一切の有心は、天地の懸殊なりと、然ると雖も此の如し、若し是れ得たる底の人は、道う火も口を焼く能わず、終日事を説けども、未だ曾て唇歯に挂着せず、未だ曾て一字を道い着けず、終日衣を着て飯を喫すれども、未だ曾て一粒の米に触れ、一縷の絲を挂けず、然ると雖も此の如し、猶お是れ門庭の説なり、須く是れ実に恁麼を得て、始めて得、若し衲僧門下に約すれば、句裏に機を呈すも、徒らに佇思を労し、直饒一句の下に承当し得るも、猶お是れ瞌睡の漢なり。」時に僧有りて問うた。「如何なるか是れ一句。」師は言った。「挙。」上堂して言った。「三乗十二分教は、横に説き豎に説き、天下の老和尚は縦横十字に説く、我に与えて鍼鋒許りの説く底の道理を拈げて来れ、看よ恁麼に道うは、早く是れ死馬を医するを作す、然ると雖も此の如し、且く幾箇か此の境界に到る、敢えて汝が言中に響有り、句裏に鋒を蔵し、目を瞬かせば千差、風恬かに浪静かなるを望まず、伏して惟れ尚く饗え。」僧が来りて参ず。師は乃ち袈裟を拈起して言った。「汝若し道い得ば、我が袈裟の圈䙌裏に落ち、汝若し道うを得ざれば、又た鬼窟裏に在りて坐せん、作麼生。」自ら代えて言った。「某甲は気力無し。」師が一日椎を打って言った。「妙喜世界は百の雑碎、鉢を拓りて湖南城裏に向かって粥飯を喫いに去り来れ。」上堂して言った。「諸の兄弟は尽く是れ諸方の参尋する知識にして、生死を決擇する、処に到れば豈に尊宿が慈を垂るる方便の詞無からん、還た透るを得ざる底の句有るか、出でて来りて挙げて看よ、老漢を待ちて汝に与えて大家商量せん、有るか有るか。」時に僧有りて出で、問わんと伸ぶるを擬する次、師は言った、「去れ去れ西天の路、迢迢として十万余。」便ち座を下った。挙ぐ、世尊が初めて下り生れて、一の手は天を指し、一の手は地を指し、周行七歩して、目に四方を顧みて云う、天上天下に唯我独尊と、師は言った、「我は当時に若し見ば、一棒打ち殺して狗子に与えて喫却せしめん、

貴圖天下太平。師在文德殿赴齋。有鞠常侍問。靈樹果子熟也未。師曰。甚麼年中得信道生。僧問。如何是西來意。師曰。山河大地。曰。向上更有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。釋迦老子在西天。文殊菩薩居東土。問。如何是雲門山。師曰。庚峰定穴。問。如何是大修行人。師曰。一榼在手。上堂。因聞鐘聲。乃曰。世界與麼廣濶。為甚麼鐘聲披七條。問。一生積惡不知善。一生積善不知惡。此意如何。師曰。燭。問。如何是和尚非時為人一句。師曰。早朝牽犂。晚間拽杷。舉雪峰雲。三世諸佛向火燄上轉大法輪。師曰。火燄為三世諸佛說法。三世諸佛立地聽。上堂。舉一則語。教汝直下承當。早是撒屎著汝頭上也。直饒拈一毫頭。盡大地一時明得。也是剜肉作瘡。雖然如此。汝亦須是實到這箇田地。始得。若未切。不得掠虗。卻須退步向自己根腳下推尋。看是箇甚麼道理。實無絲毫許與汝作解會。與汝作疑惑。況汝等各各當人有一段事。大用現前。更不煩汝一毫頭氣力。便與祖佛無別。自是汝諸人信根淺薄。惡業濃厚。突然起得許多頭角。擔缽囊。千鄉萬裡受屈作麼。且汝諸人有甚麼不足處。大丈夫漢阿誰無分。獨自承當得。猶不著便。不可受人欺謾。取人處分。才見老和尚開口。便好把特石驀口塞。便是屎上青蠅相似。鬬唼將去。三箇五箇。聚頭商量。苦屈兄弟。古德一期。為汝諸人不奈何。所以方便垂一言半句。通汝入路。知是般事拈放一邊。自著些子筋骨。豈不是有少許相親處。快與快與。時不待人。出息不保入息。更有甚麼身心別處閑用。切須在意。珍重。上堂。盡乾坤一時將來著汝眼睫上。你諸人聞恁麼道。不敢望你出來。性燥把老漢打一摑。且緩緩子細看。是有是無。是箇甚麼道理。直饒你向這裡明得。若遇衲僧門下。好槌折腳。若是箇人。聞說道甚麼處。有老宿出世。

貴んで図らん天下太平を。」師が文徳殿に斎に赴く。鞠常侍有りて問うた。「霊樹の果子は熟したるや未だや。」師は言った。「甚の年中にか道の生を信じ得ん。」僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「山河大地。」言った。「向上に更に事有るや無しや。」師は言った。「有り。」言った。「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「釈迦老子は西天に在り、文殊師利は東土に居る。」問う。「如何なるか是れ雲門山。」師は言った。「庚峰は穴を定む。」問う。「如何なるか是れ大修行の人。」師は言った。「一の榼は手に在り。」上堂して、鐘声を聞くに因りて、乃ち言った。「世界は恁麼に広濶なり、なぜ鐘声は七条を披く。」問う。「一生に悪を積みて善を知らず、一生に善を積みて悪を知らず、此の意如何。」師は言った。「燭。」問う。「如何なるか是れ和尚の非時に人と為る一句。」師は言った。「早朝は犂を牽き、晩間は杷を拽く。」雪峰の云うを挙ぐ、三世の諸仏は火燄の上に向かって大法輪を轉ずと、師は言った、「火燄は三世の諸仏の為に法を説き、三世の諸仏は地に立ちて聴く。」上堂して言った。「一則の語を挙げて、汝を教えて直下に承当せしめば、早く是れ屎を撒きて汝の頭上に着けたり、直饒一毫頭を拈ずるも、大地を尽くして一時に明るむを得るも、亦た是れ肉を剜りて瘡を作す、然ると雖も此の如し、汝も亦た須く是れ実に這の田地に到りて、始めて得、若し未だ切ならざれば、虗を掠るを得ず、却って須く歩を退げて自己の根脚の下に向かって推尋し、看よ是れ

便好驀面唾汙我耳目。汝若不是箇手腳。才聞人舉。便承當得。早落第二機也。汝不看他德山和尚才見僧入門。拽杖便趂。睦州和尚才見僧入門來。便雲見成公案。放汝三十棒。自餘之輩。合作麼生。若是一般掠虗漢。食人涎唾。記得一堆一擔骨董。到處馳騁。驢唇馬觜。誇我解問十轉五轉話。饒你從朝問到夜。論劫恁麼。還曾夢見麼。甚麼處是與人著力處。似這般底。有人屈衲僧齋。也道得飯吃。有甚堪共語處。他日閻羅王面前。不取汝口解說。諸兄弟若是得底人。他家依眾遣日。若也未得。切莫容易過時。大須子細。古人大有葛藤相為處。祇如雪峰道。盡大地是汝自己。夾山道。百草頭上薦取老僧。閙市裡識取天子。洛浦雲。一塵才起。大地全收。一毛頭師子全身。總是汝把取翻覆思量。看日久歲深。自然有箇入路。此事無汝替代處。莫非各在當人分上。老和尚出世。祇為汝證明。汝若有少許來由。亦昧汝不得。若實未得方便。撥汝即不可。兄弟一等是踏破草鞋。拋卻師長父母行腳。直須著些子精彩始得。若未有箇入頭處。遇著本色齩豬狗手腳。不惜性命。入泥入水相為。有可齩嚼。眨上眉毛。高掛缽囊。拗折拄杖。十年二十年。辦取徹頭。莫愁不成辦。直是今生不得徹頭。來生亦不失人身。向此門中亦乃省力。不虗孤負平生。亦不孤負師長父母.十方施主。直須在意。莫空遊州獵縣。橫擔拄杖。一千里二千里。走這邊經冬。那邊過夏。好山好水堪取性。多齋供。易得衣缽。苦屈苦屈。圖他一粒米。失卻半年糧。如此行腳。有甚麼利益。信心檀越。把菜粒米。作麼生消得。直須自看。無人替代。時不待人。忽然一日眼光落地。到前頭將甚麼抵擬。莫一似落湯螃蟹。手腳忙亂。無汝掠虗說大話處。莫將等閑空過時光。一失人身。萬劫不復。不是小事。莫據目前。俗人尚道。朝聞道。夕死可矣。況我沙門。

箇の何の道理ぞ、実に絲毫許りも汝に与えて解会を作さず、汝に与えて疑惑を作さず、況んや你ら各々当人に一段の事有りて、大用は面前に現じ、更に汝の一毫頭の気力を煩わさず、便ち祖仏と別無し、自ずから是れ汝諸人の信根浅く薄く、悪業濃厚にして、突然として許多の頭角を起し得て、鉢嚢を担ぎ、千郷万里に屈を受けるを作麼、且く汝諸人は何の不足の処か有る、大丈夫の漢は阿谁か分無き、独り自ら承当し得て、猶お便を着けず、人の欺谩を受け、人の処分を取る可からず、纔かに老和尚が口を開くを見て、便ち好く特石を把りて蓦く口を塞げ、便ち是れ屎上の青蝿に相似たり、鬬唼して将て去る、三箇五箇、頭を聚めて商量す、苦しきかな屈なるかな兄弟、古徳は一期に汝諸人の為に奈何ともし難し、是を以て方便に一言半句を垂れ、汝の入路を通ず、知る是れ般の事を拈げ放ちて一辺に置き、自ら些子の筋骨を着けよ、豈に是れ少許の相親する処有らざらん、快く与え快く与えよ、時は人を待たず、出息は入息を保せず、更に何の身心か別に処の閑用有らん、切に須く意に在らん、珍重せよ。」上堂して言った。「乾坤を尽くして一時に将て来りて汝の眼睫の上に着く、汝諸人は恁麼に道うを聞きて、敢えて汝が出でて来りて、性燥にして老漢を把りて一掴するを望まず、且く緩々として子細に看よ、是れ有るか是れ無きか、是れ箇の何の道理ぞ、直饒汝が這裏に向かって明るむを得るも、若し衲僧門下に遇わば、好く脚を槌り折るべし、若し是れ箇の人ならば、聞き道う甚の処か有りて老宿の出世する、

合履踐箇甚麼事。大須努力。珍重。僧問靈樹。如何是祖師西來意。樹默然。遷化後。門人立行狀碑。欲入此語。問師曰。先師默然處如何上碑。師對曰。師上堂。佛法也太煞有。祇是舌頭短。良久曰。長也。普請般柴次。師遂拈一片拋下曰。一大藏教。祇說這箇。見僧量米次。問。米籮裡有多少達磨眼睛。僧無對。師代曰。斗量不盡。上堂。人人自有光明在。看時不見暗昏昏。作麼生是諸人自己光明。自代曰。廚庫三門。又曰。好事不如無。示眾。古德道。藥病相治。盡大地是藥。那箇是你自己。乃曰。遇賤即貴。僧曰。乞師指示。師拍手一下。拈拄杖曰。接取拄杖子。僧接得。拗作兩橛。師曰。直饒恁麼。也好與三十棒。上堂。一言才舉。千車同轍。該括微塵。猶是化門之說。若是衲僧。合作麼生。若將佛意祖意。這裡商量。曹谿一路平沈。還有人道得麼。道得底出來。僧問。如何是超佛越祖之談。師曰。餬餅。曰。這裡有甚麼交涉。師曰。灼然。有甚麼交涉。乃曰。汝等諸人沒可作了。見人道著祖意。便問超佛越祖之談。汝且喚甚麼作佛。喚甚麼作祖。且說超佛越祖底道理看。問箇出三界。汝把將三界來。看有甚麼見聞覺知隔礙著汝。有甚麼聲塵色法與汝可了。了箇甚麼椀。以那箇為差殊之見。他古聖不奈何。橫身為物。道箇舉體全真。物物覿體不可得。我向汝道。直下有甚麼事。早是相埋沒了也。汝若實未有入頭處。且獨自參詳。除卻著衣吃飯。屙屎送尿。更有甚麼事。無端起得如許多般妄想作甚麼。更有一般底如等閑相似。聚頭學得箇古人話路。識性記持。妄想卜度。道我會佛法了也。祇管說葛藤。取性過時。更嫌不稱意。千鄉萬裡。拋卻父母師長。作這去就。這般打野榸漢。有甚麼死急。行腳去。以拄杖趂下。上堂。故知時運澆漓。代幹像季。近日師僧北去言禮文殊。南去謂遊衡嶽。

便ち好く面を蓦いて我が耳目を唾污すべし、汝若し是れ箇の手脚ならざれば、纔かに人の挙ぐるを聞きて、便ち承当し得ば、早く第二機に落つ、汝は他の徳山和尚が纔かに僧の門に入るを見て、杖を拽いて便ち趂るを看ざるか、睦州和尚は纔かに僧の門に入り来るを見て、便ち云う見成の公案、汝に三十棒を放つ、自余の輩は、合作麼生、若し是れ一般の虗を掠る漢、人の涎唾を食し、一堆一担の骨董を記えて、処処に馳騁し、驢唇馬觜にて、我は問を解すと誇り、劫に論ずるに恁麼なり、還た曾て夢に見るか、甚の処か是れ人に与えて力を著る処、是の般の底の似たる、人の衲僧の斎を屈する有れば、亦た飯を喫い得と道う、甚の堪えて共に語る処か有らん、他日閻羅王の面前に於て、汝が口解説を取らず、諸の兄弟は若し是れ得たる底の人ならば、他家は衆に依りて日を遣り、若しも未だ得ざれば、切に易く時を過ぐること莫れ、大いに須く子細なるべし、古人は大いに葛藤の相為る処有り、只だ雪峰が道うに如く、大地を尽くして是れ汝自己、夾山が道うに如く、百草の頭上に老僧を薦取せよ、

恁麼行腳。名字比丘。徒消信施。苦哉。苦哉。問著黑漆相似。祇管取性過時。設有三箇兩箇狂學多聞。記持話路。到處覓相似語句。印可老宿。輕忽上流。作薄福業。他日閻羅王釘釘之時。莫道無人向你說。若是初心後學。直須擺動精神。莫空記人說處。多虗不如少實。向後祇是自賺。有甚麼事。近前。上堂。眾集。師以拄杖指面前曰。乾坤大地。微塵諸佛總在裡許爭佛法。覓勝負。還有人諫得麼。若無人諫得。待老漢與你諫看。僧曰。請和尚諫。師曰。這野狐精。上堂拈拄杖曰。天親菩薩無端變作一條楖栗杖。乃畫一畫曰。塵沙諸佛盡在這裡葛藤。便下座。上堂。我看汝諸人。二三機中尚不能搆得。空披衲衣何益。汝還會麼。我與汝註破。久後到諸方。若見老宿舉一指。竪一拂子。雲是禪是道。拽拄杖打破頭便行。若不如此。盡落天魔眷屬。壞滅吾宗。汝若實不會。且向葛藤社裡看。我尋常向汝道。微塵剎土中。三世諸佛。西天二十八祖。唐土六祖。盡在拄杖頭上說法。神通變現。聲應十方。一任縱橫。汝還會麼。若不會。且莫掠虗。然雖如此。且諦當實見也未。直饒到此田地。也未夢見衲僧沙彌在。三家村裡。不逢一人。驀拈拄杖畫一畫。曰。總在這裡。又畫一畫曰。總從這裡出去也。珍重。師一日以手入木師子口。呌曰。齩殺我也。相救(歸宗柔代雲。和尚出手太殺)。上堂。聞聲悟道。見色明心。遂舉起手曰。觀世音菩薩。將錢買餬餅。放下手曰。元來祇是饅頭。上堂。乾坤之內。宇宙之間。中有一寶。秘在形山。拈燈籠向佛殿裡。將三門來燈籠上。作麼生。自代曰。逐物意移。又曰。雲起雷興。示眾曰。十五日已前不問汝。十五日已後道將一句來。眾無對。自代曰。日日是好日。上堂。拈拄杖曰。凡夫實謂之有。二乘析謂之無。緣覺謂之幻有。菩薩當體即空。衲僧家見拄杖便喚作拄杖。

閙市裏に天子を識取せよ、洛浦の云う、一塵纔かに起れば、大地は全く収む、一毛頭の師子は全身なり、総て是れ汝が把取して翻覆して思量し、看よ日は久しく歳は深く、自ずから箇の入路有らん、此の事は汝の替代する処無し、莫く非んや各々当人の分上に在る、老和尚の出世は、只だ汝の為に証明す、汝若し少許の来由有らば、亦た汝を昧すること得ず、若し実に未だ方便を得ざれば、汝を撥すれば即ち不可なり、兄弟は一等に是れ草鞋を踏破り、師長父母を抛却して行脚す、直に須く些子の精彩を着けて始めて得、若し未だ箇の入頭の処有らざれば、本色の猪狗を齩る手脚に遇い着きて、性命を惜しまず、泥に入り水に入りて相為り、齩嚼する可有り、眉毛を眨がし、鉢嚢を高く挂け、拄杖を拗折り、十年二十年、彻頭を辦取せん、成辦せざるを愁うること莫れ、直に是れ今生に彻頭を得ざるも、来生も亦た人身を失わず、此の門中に向かっても亦た乃ち力を省く、虗しく平生を孤負せず、亦た師長父母・十方の施主を孤負せず、直に須く意に在るべし、空しく州に游び県を猟ること莫れ、拄杖を横に担ぎ、一千里二千里、這辺を走りて冬を経、那辺に夏を過ぐ、好山好水は性を取るに堪え、斎供多く、衣鉢を得易し、苦しきかな屈なるかな、他の一粒の米を図りて、半年の糧を失い却る、此の如き行脚は、何の利益か有らん、信心の檀越は、菜粒の米を把る、作麼生に消し得ん、直に須く自ら看よ、人の替代する無し、時は人を待たず、忽然として一日眼光地に落ちて、前頭に到りて何を将て抵擬せん、落湯の螃蟹の一似する莫れ、手脚忙乱して、汝が虗を掠りて大話を説く処無し、将て等閑に時光を空しく過ぐること莫れ、一たび人身を失えば、万劫も復たせず、是れ小事に非ず、目前に拠ること莫れ、俗人も尚お道う、朝に道を聞きて、夕べに死すとも可なりと、況んや我れ沙門は、

行但行。坐但坐。不得動著。僧問。如何是佛法大意。師曰。春來草自青。問。新到甚處人。曰。新羅。師曰。將甚麼過海。曰。草賊大敗。師引手曰。為甚麼在我這裡。曰。恰是。師曰。一任𨁝跳。僧無對。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。家家觀世音。曰。見後如何。師曰。火裡蝍蟟吞大蟲。問。如何是雲門一曲。師曰。臘月二十五。曰。唱者如何。師曰。且緩緩。問。如何是雪嶺泥牛吼。師曰。山河走。曰。如何是雲門木馬嘶。師曰。天地黑。問。從上來事。請師提綱。師曰。朝看東南。暮看西北。曰。便恁麼會時如何。師曰。東家點燈。西家暗坐。問。十二時中。如何即得不空過。師曰。向甚麼處著此一問。曰。學人不會。請師舉。師曰。將筆硯來。僧乃取筆硯來。師作一頌曰。舉不顧。即差互。擬思量。何劫悟。問。如何是學人自己。師曰。遊山翫水。曰。如何是和尚自己。師曰。賴遇維那不在。問。一口吞盡時如何。師曰。我在你肚裡。曰。和尚為甚麼在學人肚裡。師曰。還我話頭來。問。如何是道。師曰。去。曰。學人不會。請師道。師曰。闍黎公驗分明。何在重判。問。生死到來。如何排遣。師展手曰。還我生死來。問。父母不聽。不得出家。如何得出家。師曰。淺。曰。學人不會。師曰。深。問。如何是學人自己。師曰。怕我不知。問。萬機喪盡時如何。師曰。與我拈佛殿來。與汝商量。曰。豈關他事。師喝曰。這掠虗漢。問。樹凋葉落時如何。師曰。體露金風。問。如何是佛。師曰。乾屎橛。問。如何是諸佛出身處。師曰。東山水上行。問。古人面壁。意旨如何。師曰。念七。問。如何是祖師西來意。師曰。日裡看山。師問僧。近離甚麼處。曰。南嶽。師曰。我不曾與人葛藤。近前來。僧近前。師曰。去。僧問。如何是和尚家風。師曰。有讀書人來報。問。如何是透法身句。師曰。

合して箇の何の事をか履践せん、大いに須く努力すべし、珍重せよ。」僧が霊樹に問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」樹は黙然とす。遷化の後、門人が行状の碑を立てて、此の語を入れんと欲し、師に問うて言った。「先師の黙然たる処は如何に碑に上ぐべき。」師は対えて言った。師が上堂して言った。「仏法も亦た太だ煞有り、只だ是れ舌頭短し。」良久して言った。「長き也。」普請に柴を搬る次、師は遂に一片を拈じて抛げ下して言った。「一大蔵教は、只だ這の箇を説く。」僧が米を量る次を見て、問うた。「米籮裏に多少の達磨の眼睛有る。」僧は対無し。師が代えて言った。「斗量して尽きず。」上堂して言った。「人々に自ら光明有る在り、看る時は見えず暗昏昏なり、作麼生か是れ諸人の自己の光明。」自ら代えて言った。「厨庫三門。」又た言った。「好事は無きに如かず。」衆に示す。古徳は道う、薬と病とは相治して、大地を尽くして是れ薬、那箇か是れ汝自己、乃ち言った、「賤に遇えば即ち貴し。」僧は言った、「乞う師の指示を。」師は手を拍きて一下し、拄杖を拈じて言った。「拄杖子を接取せよ。」僧が接し得て、拗りて両橛と作す。師は言った。「直饒恁麼なるも、亦た好く三十棒を与えん。」上堂して言った。「一言纔かに挙がれば、千車は轍を同じくし、微塵を該括す、猶お是れ化門の説なり、若し是れ衲僧ならば、合作麼生、若し仏意祖意を将て、這裏に於て商量せば、曹渓の一路は平沈せん、還た人道い得る有るか、道い得る底は出でて来れ。」僧が問うた。「如何なるか是れ仏を超え祖を越ゆるの談。

北斗裡藏身。問。如何是西來意。師曰。久雨不晴。又曰。粥飯氣。問。承古有言。牛頭橫說竪說。猶未知有向上關棙子。如何是向上關棙子。師曰。東山西嶺青。問。如何是端坐念實相。師曰。河裡失錢河裡摝。上堂。函葢乾坤。目機銖兩。不涉世緣。作麼生承當。眾無對。自代曰。一鏃破三關。僧問。如何是雲門劒。師曰。祖。問。如何是玄中的。師曰。𡎺。問。如何是吹毛劒。師曰。骼。又曰。胔。問。如何是正法眼。師曰。普。問。如何是啐啄機。師曰。響。問。如何是雲門一路。師曰。親。問。殺父殺母。向佛前懺悔。殺佛殺祖。向甚麼處懺悔。師曰。露。問。鑿壁偷光時如何。師曰。恰。問。三身中那身說法。師曰。要。問。承古有言。了即業障本來空。未了應須償宿債。未審二祖是了未了。師曰。確。師垂語曰。會佛法如河沙。百草頭上道將一句來。自代雲。俱。僧問。如何是一代時教。師曰。對一說。問。不是目前機。亦非目前事時如何。師曰。倒一說。問。如何是法身向上事。師曰。向上與汝道即不難。作麼生會法身。曰。請和尚鑒。師曰。鑒即且置。作麼生會法身。曰。與麼與麼。師曰。這箇是長連床上學得底。我且問你。法身還解吃飯麼。僧無對。師問嶺中順維那。古人竪起拂子。放下拂子。意旨如何。順曰。拂前見。拂後見。師曰。如是。如是。師後卻舉問僧。汝道當初諾伊。不諾伊。僧無對。師曰。可知禮也。問。僧甚處來。曰。禮塔來。師曰。謔我。曰。實禮塔來。師曰。五戒也不持。師甞舉馬大師道。一切語言是提婆宗。以這箇為主。乃曰。好語。祇是無人問我。時有僧問。如何是提婆宗。師曰。西天九十六種。你是最下種。問僧。近離甚處。曰。西禪。師曰。西禪近日有何言句。僧展兩手。師打一掌。僧曰。某甲話在。師卻展兩手。僧無語。師又打。

師は言った。「糊餅。」言った。「這裏に何の交渉か有る。」師は言った。「灼然たり、何の交渉か有る。」乃ち言った。「你们諸人は作す可きを没したり、人の道い着く祖意を見て、便ち仏を超え祖を越ゆるの談を問う、汝は且く何をか喚びて仏と作す、何をか喚びて祖と作す、且く仏を超え祖を越ゆる底の道理を説いて看よ、箇の三界を出でるを問う、汝は三界を把り将て看よ、何の見聞覚知か汝を隔碍する有る、何の声塵色法か汝と了する可有る、了する箇の何の椀ぞ、那箇を以て差殊の見と為す、他の古聖は奈何ともし難く、身を横えて物と為り、箇の体を挙げて全真と道う、物物は覿体するも得る可からず、我は汝に向かって道う、直下に何の事か有る、早く是れ相埋没せり、汝若し実に未だ入頭の処有らざれば、且く独り参詳せよ、衣を着て飯を喫し、屎を屙し尿を送るを除却して、更に何の事か有る、端無く許多般の妄想を起して作麼生、更に一般の底の等閑に相似たる有り、頭を聚めて箇の古人の話路を学び得て、性を識え記持し、妄想に卜度し、道う我は仏法を会し了れりと、只管葛藤を説きて、性を取りて時を過ぐ、更に意に称わざるを嫌い、千郷万里に、父母師長を抛却して、這の去就を作す、是の般の野榸を打つ漢は、何の死急か有る、行脚せよ。」拄杖を以て趂り下す。上堂して言った。「故に知る時運は澆漓にして、代は像季に干る、近日の師僧は北へ去れば文殊を礼すと言い、南へ去れば衡岳に游ぶと謂う、

師舉臨濟三句語問塔主。祇如塔中和尚得第幾句。主無對。師曰。你問我。主便問。師曰。不快即道。主曰。作麼生是不快即道。師曰。一不成。二不是。問直歲。甚處去來。曰。刈茆來。師曰。刈得幾箇祖師。曰。三百箇。師曰。朝打三千。暮打八百。東家杓柄長。西家杓柄短。又作麼生。歲無語。師便打。僧問。秋初夏末。前程若有人問。作麼生祇對。師曰。大眾退後。曰。未審過在甚麼處。師曰。還我九十日飯錢來。有講僧參。經時乃曰。未到雲門時。恰似初生月。及乎到後。曲彎彎地。師得知乃召問。是你道否。曰。是。師曰。甚好。吾問汝。作麼生是初生月。僧乃斫額作望月勢。師曰。你如此。已後失卻目在。僧經旬日復來。師又問。你還會也未。曰。未會。師曰。你問我。僧便問。如何是初生月。師曰。曲彎彎地。僧罔措。後果然失目。上堂。諸和尚子莫妄想。天是天。地是地。山是山。水是水。僧是僧。俗是俗。良久曰。與我拈案山來。僧便問。學人見山是山.水是水時如何。師曰。三門為甚麼騎佛殿。從這裡過。曰。恁麼則不妄想去也。師曰。還我話頭來。上堂。你若不相當。且覓箇入頭處。微塵諸佛在你舌頭上。三藏聖教在你腳跟底。不如悟去好。還有悟得底麼。出來對眾道看。示眾。盡十方世界。乾坤大地。以拄杖畫雲。百雜碎。三乘十二分教。達磨西來。放過即不可。若不放過。不消一喝。示眾。真空不壞有。真空不異色。僧便問。作麼生是真空。師曰。還聞鐘聲麼。曰。此是鐘聲。師曰。驢年夢見麼。上堂。平地上死人無數。過得荊棘林者是好手。時有僧出。曰。與麼。則堂中第一座有長處也。師曰。蘇嚕蘇嚕。𤦆長老舉菩薩手中赤幡。問師。作麼生。師曰。你是無禮漢。𤦆曰。作麼生無禮。師曰。是你外道奴也作不得。僧問。佛法如水中月。是否。師曰。清波無透路。曰。

恁麼の行脚は、名字の比丘にして、徒らに信施を消す、苦なるかな、苦なるかな、問い着けば黒漆に相似て、只管性を取りて時を過ぐ、設し三箇両箇の狂学多聞有りて、話路を記持し、処処に相似の語句を覓めて、老宿を印可し、上流を軽忽して、薄福の業を作す、他日閻羅王が釘を釘るの時、無人が汝に向かって説くと道うこと莫れ、若し是れ初心後学ならば、直に須く精神を擺動して、空しく人の説く処を記ること莫れ、多虗は少実に如かず、後に向かって只だ是れ自ら赚る、何の事か有らん、近づき前れ。」上堂して、衆が集まれば、師が拄杖を以て面前を指して言った。「乾坤大地、微塵の諸仏は総て裏許に在りて仏法を争い、勝負を覓む、還た人の諫め得る有るか、若し人の諫め得る無からば、老漢を待ちて汝に与えて諫めて看ん。」僧は言った。「請う和尚の諫めを。」師は言った。「這の野狐精。」上堂して拄杖を拈じて言った。「天親菩薩は端無く変じて一条の楖栗杖と作る。」乃ち一画を画きて言った。「塵沙の諸仏は尽く這裏に在りて葛藤す。」便ち座を下った。上堂して言った。「我は汝諸人を看る、二三機の中にも尚お構うを得ず、空しく衲衣を披いて何の益か有らん、汝は還た会するか、我は汝に与えて注破せん、久しき後に諸方に到りて、若し老宿が一指を挙げ、一拂子を豎て、是れ禅是れ道と云うを見ば、拄杖を拽いて頭を打破りて便ち行け、若し此の如くせざれば、尽く天魔の眷属に落ちて、吾が宗を壊滅せん、汝若し実に会せざれば、且く葛藤社裏に向かって看よ、我は尋常に汝に向かって道う、微塵の刹土の中に、三世の諸仏、西天の二十八祖、唐

和尚從何得。師曰。再問復何來。曰。正與麼時如何。師曰。重疊關山路。上堂。拈拄杖曰。拄杖子化為龍。吞卻乾坤了也。山河大地。甚處得來。師有偈曰。不露風骨句。未語先分付。進步口喃喃。知君大罔措。示眾。大用現前。不存軌則。時有僧問。如何是大用現前。師拈起拄杖。高聲唱曰。釋迦老子來也。上堂。要識祖師麼。以拄杖指曰。祖師在你頭上𨁝跳。要識祖師眼睛麼。在你腳跟下。又曰。這箇是祭鬼神茶飯。雖然如此。鬼神也無厭足。示眾。一人因說得悟。一人因喚得悟。一人聞舉便回去。你道便回去意作麼生。復曰。也好與三十棒。上堂。光不透脫。有兩般病。一切處不明。面前有物是一。又透得一切法空。隱隱地似有箇物相似。亦是光不透脫。又法身亦有兩般病。得到法身。為法執不忘。己見猶存。坐在法身邊是一。直饒透得法身去。放過即不可。子細點檢將來。有甚麼氣息。亦是病。問僧。光明寂照遍河沙。豈不是張拙秀才語。曰。是。師曰。話墮也。僧問。如何是法身。師曰。六不收。問。不起一念。還有過也無。師曰。須彌山。問。如何是清淨法身。師曰。花藥欄。曰。便恁麼去時如何。師曰。金毛師子。問。如何是塵塵三昧。師曰。缽裡飯。桶裡水。問。一言道盡時如何。師曰。裂破。問。如何是佛法大意。師曰。面南看北斗。問。一切智通無障礙時如何。師曰。掃地潑水相公來。師到天童。童曰。你還定當得麼。師曰。和尚道甚麼。童曰。不會則目前包裹。師曰。會則目前包裹。師到曹山。見示眾雲。諸方盡把格則。何不與他道卻。令他不疑去。師問。密密處為甚麼不知有。山曰。祇為密密。所以不知有。師曰。此人如何親近。山曰。莫向密密處親近。師曰。不向密密處親近時如何。山曰。始解親近。師應喏喏。師到鵝湖。聞上堂曰。莫道未了底人。長時浮逼逼地。

土の六祖は、尽く拄杖頭上に在りて法を説き、神通変現して、声は十方に応じ、縦横に一任す、汝は還た会するか、若し会せざれば、且く虗を掠ること莫れ、然ると雖も此の如し、且く諦当にして実に見るや未だや、直饒此の田地に到るも、未だ夢に衲僧沙弥を見ず、三家村裏に在りて、一人にも逢わず、蓦く拄杖を拈じて一画を画きて、言った、「総て這裏に在り。」又た一画を画きて言った。「総て這裏に従りて出でて去れり、珍重せよ。」師が一日手を以て木師子の口に入れて、呌びて言った。「我を齩殺す。」相救う(帰宗柔が代えて曰く、和尚の手を出すこと太だ殺すと)。」上堂して言った。「声を聞きて道を悟り、色を見て心を明らむ。」遂に手を挙げて言った。「観世音菩薩は、銭を将て糊餅を買う。」手を放下して言った。「元来只だ是れ饅頭。」上堂して言った。「乾坤の内、宇宙の間、中に一宝有りて、形山に秘む、灯籠を拈じて仏殿裏に向かい、三門を将て灯籠の上に来る、作麼生。」自ら代えて言った。「物を逐いて意移る。」又た言った。「雲起り雷興る。」衆に示して言った。「十五日已前は汝に問わず、十五日已後は一句を道い将て来れ。」衆は対無し。自ら代えて言った。「日々是れ好日。」上堂して、拄杖を拈じて言った。「凡夫は実に之を有りと謂い、二乗は析めて之を無しと謂い、縁覚は之を幻有と謂い、菩薩は当体即ち空なり、衲僧家は拄杖を見れば便ち拄杖と喚び、

設使了得底。明明得知有去處。尚乃浮逼逼地。師下問首座。適來和尚意作麼生。曰。浮逼逼地。師曰。首座久在此住。頭白齒黃。作這箇語話。曰。上座又作麼生。師曰。要道即得。見即便見。若不見。莫亂道。曰。祇如道浮逼逼地。又作麼生。師曰。頭上著枷。腳下著杻。曰。與麼則無佛法也。師曰。此是文殊普賢大人境界。僧舉灌溪上堂。曰。十方無壁落。四面亦無門。淨躶躶。赤灑灑。沒可把。師曰。舉即易。出也大難。曰。上座不肯和尚與麼道那。師曰。你適來與麼舉那。曰。是。師曰。你驢年夢見灌溪。曰。某甲話在。師曰。我問你。十方無壁落。四面亦無門。你道大梵天王與帝釋天商量甚麼事。曰。豈幹他事。師喝曰。逐隊吃飯漢。師到江州。有陳尚書者請齋。才見便問。儒書中即不問。三乘十二分教自有座主。作麼生是衲僧行腳事。師曰。曾問幾人來。書曰。即今問上座。師曰。即今且置。作麼生是教意。書曰。黃卷赤軸。師曰。這箇是文字語言。作麼生是教意。書曰。口欲談而辭喪。心欲緣而慮忘。師曰。口欲談而辭喪。為對有言。心欲緣而慮忘。為對妄想。作麼生是教意。書無語。師曰。見說尚書看法華經。是否。書曰。是。師曰。經中道。一切治生產業。皆與實相不相違背。且道非非想天。有幾人退位。書無語。師曰。尚書且莫草草。三經五論。師僧拋卻。特入叢林。十年二十年。尚不奈何。尚書又爭得會。書禮拜曰。某甲罪過。師唱道。靈樹雲門。凡三十載。機緣語句。備載廣錄。以乾和七年己酉四月十日。順寂。塔全身於方丈。後十七載。示夢阮紹莊曰。與吾寄語秀華宮使特進李托。奏請開塔。遂致奉勑迎請內庭供養。逾月方還。因改寺為大覺。諡大慈雲𭅕真弘明禪師。

行は但だ行き、坐は但だ坐し、動着するを得ず。」僧が問うた。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「春来れば草自ら青し。」問う。「新到は甚の処の人ぞ。」言った。「新羅。」師は言った。「何を将て海を過ぎた。」言った。「草賊は大敗す。」師が手を引きて言った。「なぜ我が這裏に在る。」言った。「恰も是れ。」師は言った。「𨁝跳に一任せよ。」僧は対無し。問う。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「家々の観世音。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「火裏の蝍蟟は大虫を吞む。」問う。「如何なるか是れ雲門の一曲。」師は言った。「臘月二十五。」言った。「唱うる者は如何。」師は言った。「且く緩々たれ。」問う。「如何なるか是れ雪嶺の泥牛の吼。」師は言った。「山河は走る。」言った。「如何なるか是れ雲門の木馬の嘶。」師は言った。「天地は黒し。」問う。「上より来るの事は、請う師の提綱を。」師は言った。「朝に東南を看て、暮に西北を看る。」言った。「便ち恁麼に会する時如何。」師は言った。「東家は灯を点じ、西家は暗く坐す。」問う。「十二時中に、如何にして即ち空しく過ごさざるを得ん。」師は言った。何の処に向かって此の一問を着ける、言った、学人は会せず、請う師の挙げを、師は言った、筆硯を将て来れ、僧が乃ち筆硯を取りて来たれば、師が一の頌を作して言った、「挙げて顧みざれば、即ち差互し、思量を擬すれば、何の劫にか悟らん。」問う、「

青原下七世

如何なるか是れ学人の自己。」師は言った。「山に游び水に翫ぶ。」言った。「如何なるか是れ和尚の自己。」師は言った。「維那の不在に遇うに頼る。」問う。「一口に吞尽くす時如何。」師は言った。「我は汝の肚裏に在り。」言った。「和尚はなぜ学人の肚裏に在る。」師は言った。「我に話頭を還して来れ。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「去れ。」言った。「学人は会せず、請う師の道わんを。」師は言った。「闍黎の公験は分明なり、何ぞ重判に在らん。」問う。「生死の到来するに、如何に排遣せん。」師が手を展べて言った。「我に生死を還して来れ。」問う。「父母聴かざれば、出家するを得ず、如何にして出家するを得ん。」師は言った。「浅し。」言った。「学人は会せず。」師は言った。「深し。」問う。「如何なるか是れ学人の自己。」師は言った。「我が知らざるを怕れよ。」問う。「万機を喪尽くす時如何。」師は言った。「我に与えて仏殿を拈げて来れ、汝に与えて商量せん。」言った。「豈に他の事に関らん。」師が喝して言った。「這の虗を掠る漢。」問う。「樹凋み葉落つる時如何。」師は言った。「体は金風を露う。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「干屎橛。」問う。「如何なるか是れ諸仏の出身の処。」師は言った。「東山は水上に行く。」問う。「古人が面壁せるは、意旨如何。」師は言った。「七を念ず。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った、「

雲門偃禪師法嗣

日裏に山を看る。」師が僧に問うた、「近く何の処をか離れた。」言った。「南岳。」師は言った。「我は曾て人に与えて葛藤せず、近づき前れ。」僧が近づき前れば、師は言った、「去れ。」僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「読書人の来りて報ずる有り。」問う。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。

韶州白雲子祥實性大師

北斗裏に身を蔵す。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「久雨は晴れず。」又た言った。「粥飯の気。」問う。「承く古に言有り、牛頭は横説豎説しても、猶お未だ向上の関棙子有るを知らず、如何なるか是れ向上の関棙子。」師は言った。「東山西嶺は青し。」問う。「如何なるか是れ端坐して実相を念ずる。」師は言った。「河裏に銭を失えば河裏に摝れ。」上堂して言った。「函葢乾坤、目機銖両、世縁に渉らざれば、作麼生に承当せん。」衆は対無し。自ら代えて言った。「一鏃は三関を破る。」僧が問うた。「如何なるか是れ雲門の剣。」師は言った。「祖。」問う。「如何なるか是れ玄中の的。」師は言った。「𡎺。」問う。「如何なるか是れ吹毛の剣。」師は言った。「骼。」又た言った。「胔。」問う。「如何なるか是れ正法眼。」師は言った。「普。」問う。「如何なるか是れ啐啄の機。」師は言った。「響。」問う。「如何なるか是れ雲門の一路。」師は言った。「親。」問う。「父を殺し母を殺して、仏の前に向かって懺悔す、仏を殺し祖を殺して、何の処に向かって懺悔せん。」師は言った。「露。」問う。「壁を鑿りて光を偸む時如何。」師は言った。「恰。」問う。「三身中に那の身か法を説く。」師は言った。「要。」問う。「承く古に言有り、了すれば即ち業障は本来空にして、未だ了せざれば応に須く宿債を償うべし、未だ審らかならず二祖は了せるか未だ了せざるか。」師は言った。「確。」師が語を垂れて言った、「

初住慈光院。廣主召入府說法。時有僧問。覺華才綻。正遇明時。不昧宗風。乞師方便。師曰。我王有令。問。祖意教意。是同是別。師曰。不別。曰。恁麼則同也。師曰。不妨領話。問。諸佛出世。普徧大千。白雲一會。如何舉揚。師曰。賺卻幾人來。曰。恁麼則四眾何依。師曰。沒交涉。問。即心即佛。示誨之辭。不涉前言。如何指教。師曰。東西且置。南北作麼生。問。如何是和尚家風。師曰。石橋那畔有。這邊無。會麼。曰。不會。師曰。且作丁公吟。問。衣到六祖。為甚麼不傳。師曰。海晏河清。問。從上宗乘。如何舉揚。師曰。今日未吃茶。上堂。諸人會麼。但向街頭市尾.屠兒魁劊.地獄鑊湯處會取。若恁麼會得。堪與人天為師。若向衲僧門下。天地懸殊。更有一般底。祇向長連床上作好人去。汝道此兩般人。那箇有長處。無事。珍重。問僧。甚麼處來。曰。雲門來。師曰。裡許有多少水牛。曰。一箇兩箇。師曰。好水牛。問僧。不壞假名而談實相。作麼生。僧指倚子曰。這箇是倚子。師以手撥倚曰。與我將鞋袋來。僧無對。師曰。這虗頭漢(雲門聞。乃雲。須是我祥兄始得)。師將示滅。白眾曰。某甲雖提祖印。未盡其中事。諸仁者且道其中事作麼生。莫是無邊中間內外已否。若如是會。即大地如鋪沙。良久曰。去此即他方相見。言訖而寂。

仏法を会するは河沙の如し、百草の頭上に一句を道い将て来れ。」自ら代えて言った。「俱。」僧が問うた。「如何なるか是れ一代の時教。」師は言った。一に対えて説く。問う、「是れ目前の機に非ず、亦た目前の事に非ざる時如何。」師は言った。倒れて一に説く。問う、「如何なるか是れ法身向上の事。」師は言った、「向上は汝に与えて道えば即ち難からず、作麼生に法身を会せん。」言った、「請う和尚の鑑を。」師は言った、「鑑は即ち且く置け、作麼生に法身を会せん。」言った、「恁麼恁麼。」師は言った、「這の箇は是れ長連床上に学び得たる底、我は且く汝に問う、法身は還た飯を喫うを解するか。」僧は対無し。師が嶺中の順維那に問うた、「古人は拂子を豎起し、拂子を放下す、意旨如何。」順は言った、「拂の前に見え、拂の後に見る。」師は言った、「是の如く是の如く。」師が後に却って挙げて僧に問うた、「汝は道え当初に伊を諾したるか、伊を諾せざるか。」僧は対無し。師は言った、「知る可し礼なり。」問う、「僧は甚の処より来た。」言った、「塔に礼して来た。」師は言った、「我を謔る。」言った、「実に塔に礼して来た。」師は言った、「五戒も持せず。」師は甞て馬大師の道うを挙ぐ、一切の言語は是れ提婆宗、這の箇を以て主と為すと、乃ち言った、「好き語なり、只だ是れ我に問う人無し。」時に僧有りて問うた、如何なるか是れ提婆宗、師は言った、「西天の九十六種に、汝は是れ最下の種。」僧に問うた、「近く

鼎州德山緣密圓明禪師

甚の処をか離れた。」言った。「西禅。」師は言った。「西禅は近日何の言句か有る。」僧が両の手を展べれば、師が一掌を打つ。僧は言った。「某甲は話在り。」師が却って両の手を展べれば、僧は語無し。師が又た打つ。

上堂。僧堂前事。時人知有。佛殿後事作麼生。上堂。我有三句語示汝諸人。一句函葢乾坤。一句截斷眾流。一句隨波逐浪。作麼生辯。若辯得出。有參學分。若辯不出。長安路上輥輥地。僧問。如何是透法身句。師曰。三尺杖子攪黃河。問。百花未發時如何。師曰。黃河渾底流。曰。發後如何。師曰。幡竿頭指天。問。不犯辭鋒時如何。師曰。天台南嶽。曰。便恁麼去時如何。師曰。江西湖南。問。佛未出世時如何。師曰。河裡盡是木頭船。曰。出世後如何。師曰。這頭蹋著那頭掀。上堂。與麼來者。現成公案。不與麼來者。垛生招箭。總不與麼來者。徐六擔板。迅速鋒鋩。猶是鈍漢。萬裡無雲。青天猶在。上堂。但參活句。莫參死句。活句下薦得。永劫無滯。一塵一佛國。一葉一釋迦。是死句。揚眉瞬目。舉指竪拂。是死句。山河大地。更無誵訛。是死句。時有僧問。如何是活句。師曰。波斯仰面看。曰。恁麼則不謬去也。師便打。上堂。舉臨濟示眾曰。恁麼來者。恰似失卻。不恁麼來者。無繩自縛。十二時中。莫亂斟酌。會與不會。都盧是錯。分明與麼道。一任天下人貶剝。師曰。古鏡濶一丈。屋梁長三尺。是汝缽盂鐼子濶多少。上堂。俱胝和尚。凡有扣問。祇竪一指。寒則普天寒。熱則普天熱。僧問。己事未明。如何辯得。師曰。須彌山頂上。曰。便恁麼去時如何。師曰。腳下水淺深。問。達磨未來時如何。師曰。千年松倒掛。曰。來後如何。師曰。金剛努起拳。問。師未出世時如何。師曰。佛殿正南開。曰。出世後如何。師曰。白雲山上起。曰。出與未出。還分不分。師曰。靜處薩婆訶。問。如何是和尚家風。師曰。南山起雲。北山下雨。問。如何是應用之機。師喝。僧曰。祇這箇。為復別有。師便打。問。大用現前。不存軌則時如何。師曰。黑地打破甕。僧退步。師便打。問。

師が臨済の三句の語を挙げて塔主に問うた。「只だ塔中の和尚は第几句を得る。」主は対無し。師は言った。汝は我に問え、主が便ち問えば、師は言った、快からざれば即ち道え、主は言った、作麼生か是れ快からざれば即ち道う、師は言った、「一は成らず、二は是ならず。」直歳に問うた、「甚の処へか去り来た。」言った、「茆を刈り来た。」師は言った、「幾箇の祖師を刈り得た。」言った、「三百箇。」師は言った、「朝に三千を打ち、暮に八百を打つ、東家の杓柄は長く、西家の杓柄は短し、又た作麼生。」歳は語無し。師が便ち打つ。僧が問うた、「秋初夏末に、前程に若し人の問う有らば、作麼生に対せん。」師は言った。大衆は後に退け、言った、未だ審らかならず過は何の処にか在る、師は言った、「我に九十日の飯銭を還して来れ。」講僧の参ずる有り、時を経て乃ち言った、「未だ雲門に到らざる時は、恰似せり初生の月、及び乎到りて後は、曲りて彎彎たり。」師が知り得て乃ち召して問うた、「是れ汝の道うか否。」言った、「是れ。」師は言った、「甚だ好し、吾は汝に問う、作麼生か是れ初生の月。」僧が乃ち額を斫りて月を望む勢を作す。師は言った、「汝が此の如くせば、已後に目を失う在らん。」僧が旬日を経て復た来る。師が又た問うた、「汝は還た会するや未だや。」言った、「未だ会せず。」師は言った、「汝は我に問え。」僧が便ち問う、如何なるか是れ初生の月、師は言った、「曲りて彎彎たり。」僧は罔措して、後に果たして目を失った。

佛未出世時如何。師曰。猢猻繫露柱。曰。出世後如何。師曰。猢猻入布袋。問。文殊與維摩對談何事。師曰。並汝三人。無繩自縛。問。如何是佛。師曰。滿目荒榛。曰。學人不會。師曰。勞而無功。問。盡大地致一問不得時如何。師曰。話墮也。曰。大眾總見。師便打。問。無蹤無跡是甚麼人行履。師曰。偷牛賊。問。羺羊未掛角時如何。師曰。獵屎狗。曰。掛後如何。師曰。獵屎狗。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。秋來黃葉落。曰。見後如何。師曰。春來草自青。

上堂して言った。「諸の和尚子は妄想する莫れ、天は是れ天、地は是れ地、山は是れ山、水は是れ水、僧は是れ僧、俗は是れ俗。」良久して言った。「我に与えて案山を拈げて来れ。」僧が便ち問うた。「学人が山を見れば是れ山、水を見れば是れ水の時如何。」師は言った。「三門はなぜ仏殿に騎りて、這裏に従りて過ぐ。」言った。「恁麼ならば則ち妄想せずして去るなり。」師は言った。「我に話頭を還して来れ。」上堂して言った。「汝若し相当せざれば、且く箇の入頭の処を覓めよ、微塵の諸仏は汝の舌頭の上に在り、三蔵の聖教は汝の脚跟の底に在り、悟りて去るに如かず好し、還た悟り得る底有るか、出でて来りて衆に対して道いて看よ。」衆に示す。十方世界を尽くし、乾坤大地を、拄杖を以て画して云う。百の雑碎、三乗十二分教、達磨の西来は、放過せば即ち不可なり、若し放過せざれば、一喝を消せず。衆に示す。真空は有を壊らず、真空は色に異ならず。僧が便ち問うた。「作麼生か是れ真空。」師は言った。「還た鐘声を聞くか。」言った。「此は是れ鐘声。」師は言った。「驢年に夢に見るか。」上堂して言った。「平地上に死する人は数無し、荊棘林を過ぐるを得る者は是れ好手。」時に僧有りて出でて、言った、「恁麼ならば、則ち堂中の第一座は長処有るなり。」師は言った、「蘇嚕蘇嚕。」𤦆長老が菩薩の手中の赤幡を挙げて、師に問うた、「作麼生。」師は言った、「汝は是れ礼無き漢。」𤦆は言った、「作麼生に礼無き。」師は言った、「是れ汝外道の奴

嶽州巴陵新開院顥鑒禪師

も作るを得ざるなり。」僧が問うた、「仏法は水中の月の如し、是か否か。」師は言った、「清波は透る路無し。」言った。

初到雲門。門曰。雪峰和尚道。開卻門達磨來也。我問你作麼生。師曰。築著和尚鼻孔。門曰。地神惡發。把須彌山一摑𨁝跳上梵天。拶破帝釋鼻孔。你為甚麼向日本國裡藏身。師曰。和尚莫瞞人好。門曰。築著老僧鼻孔。又作麼生。師無語。門曰。將知你祇是學語之流。師住後。更不作法嗣書。祇將三轉語上雲門。僧問。如何是道。師曰。明眼人落井。問。如何是吹毛劒。師曰。珊瑚枝枝撐著月。問。如何是提婆宗。師曰。銀椀裡盛雪。門曰。他後老僧忌日。祇消舉此三轉語。足以報恩。自後忌辰。果如所囑。僧問。祖意教意。是同是別。師曰。鷄寒上樹。鴨寒下水。問。三乘十二分教即不疑。如何是宗門中事。師曰。不是衲僧分上事。曰。如何是衲僧分上事。師曰。貪觀白浪。失卻手橈。問僧。遊山來。為佛法來。曰。清平世界。說甚麼佛法。師曰。好箇無事禪客。曰。早是多事了也。師曰。上座去年在此過夏了。曰。不曾。師曰。與麼。則先來不相識。下去。師將拂子遺僧。僧曰。本來清淨。用拂子作甚麼。師曰。既知清淨。切勿忘卻。(梁山觀別雲。也須排卻)。

和尚は何に従りて得た。」師は言った、「再び問えば復た何処より来る。」言った、「正に恁麼なる時如何。」師は言った、「重畳の関山路。」上堂して、拄杖を拈じて言った、「拄杖子は化して龍と為り、乾坤を吞却して了れり、山河大地は、甚の処より得て来た。」師に偈有りて言った、「風骨の句を露わさず、未だ語らざる先に分付す、歩を進めて口は喃喃、君の大いに罔措するを知る。」衆に示す。大用は面前に現じて、軌則を存せず。時に僧有りて問うた、「如何なるか是れ大用现前。」師が拄杖を拈起して、高く声に唱えて言った、「釈迦老子の来るなり。」上堂して言った、「祖師を識らんと要するか。」拄杖を以て指して言った、「祖師は汝の頭上に在りて𨁝跳す、祖師の眼睛を識らんと要するか、汝の脚跟の下に在り。」又た言った、「這の箇は是れ鬼神を祭る茶飯、然ると雖も此の如し、鬼神も亦た厭足無し。」衆に示す。一人は説くに因りて悟を得、一人は喚ぶに因りて悟を得、一人は挙を聞きて便ち回り去る、汝は道え便ち回り去るは意は作麼生、復た言った、「亦た好く三十棒を与えん。」上堂して言った、「光の透脱せざるは、両般の病有り、一切の処は明らかならずして、面前に物有るは是れ一、又た一切法空を透り得るも、隠隠として箇の物有るに相似たるも、亦た是れ光の透脱せざる、又た法身も亦た両般の病有り、法身に到るを得るも、法執の忘れざるが為に、己見は猶お存し、法身辺に坐するは是れ一、直饒法身を透りて去るを得るも、放過せば即ち不可なり、子細に点検して将て来れば、何の気息か有る、亦た是れ病なり。」僧に問うた、「光明寂照して遍く河沙に及ぶ、

隨州雙泉山師寬明教禪師

豈に是れ張拙秀才の語に非ずや。」言った、「是れ。」師は言った、「話堕ちたり。」僧が問うた、「如何なるか是れ法身。」師は言った、「六は収めず。」問う、「一念を起さざれば、還た過有るや無しや。」師は言った、「須弥山。」問う、「如何なるか是れ清浄法身。」師は言った、「花薬欄。」言った、「便ち恁麼に去る時如何。」師は言った、「金毛の師子。」問う、「如何なるか是れ塵塵三昧。」師は言った、「鉢裏の飯、桶裏の水。」問う、「一言に道い尽くす時如何。」師は言った、「裂破す。」問う、「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った、「南に面して北斗を看る。」問う、「一切智通じて障碍無き時如何。」師は言った、「地を掃き水を潑きて相公来たる。」師が天童に到る。童は言った、「汝は還た定当し得るか。」師は言った、「和尚は何をか道う。」童は言った、「会せざれば則ち目前の包裹。」師は言った、「会すれば則ち目前の包裹。」師が曹山に到り、衆に示すを見て云う、諸方は尽く格則を把る、何ぞ他に与えて道い却して、他をして疑い去らしめざる、師が問うた、「密密の処はなぜ有るを知らざる。」山は言った、「只だ密密なるが為に、是を以て有るを知らず。」師は言った、「此の人は如何に親近せん。」山は言った、「密密の処に向かって親近すること莫れ。」師は言った、「密密の処に向かって親近せざる時如何。」山は言った、「始めて親近を解せん。」師は喏喏と応えた。

上堂。舉拂子曰。這箇接中下之人。時有僧問。上上人來時如何。師曰。打鼓為三軍。問。向上宗乘如何舉唱。師曰。不敢。曰。恁麼則含生有望。師曰。腳下水深淺。問。凡有言句。盡落有無。不落有無時如何。師曰。東弗於逮。曰。這箇猶落有無。師曰。支過雪山西。僧問洞山初和尚。如何是佛。山曰。麻三斤。師聞之。乃曰。向南有竹。向北有木。問。不可以智知。不可以識識時如何。師曰。不入這箇野狐群隊。問。如何是定。師曰。鰕跳不出鬥。曰。如何出得去。師曰。南山起雲。北山下雨。問。北斗裡藏身。意旨如何。師曰。鷄寒上樹。鴨寒下水。問。竪起杖子。意旨如何。師曰。一葉落知天下秋。師遊山回。首座同眾出接。座曰。和尚遊山。巇嶮不易。師提起拄杖曰。全得這箇力。座乃奪卻。師放身便倒。大眾皆進前扶起。師拈拄杖。一時趂散。回顧侍者曰。向道全得這箇力。師一日訪白兆。兆曰。老僧有箇木魚頌。師曰。請舉看。兆曰。伏惟爛木一橛。佛與眾生不別。若以杖子擊著。直得聖凡路絕。師曰。此頌有成褫無成褫。兆曰。無成褫。師曰。佛與眾生不別。聻。侍僧救曰。有成褫。師曰。直得聖凡路絕。聻。當時白兆一眾失色。僧問。新年頭還有佛法也無。師曰。無。曰。日日是好日。年年是好年。為甚卻無。師曰。張公吃酒李公醉。僧曰。老老大大。龍頭蛇尾。師曰。明教今日失利。

師が鵝湖に到りて、上堂の説くを聞く、「未だ了せざる底の人を道うこと莫れ、長時に浮逼逼の地なり。

益州青城香林院澄遠禪師

設使了せる底を得るも、明明として知る去る処有りても、尚お乃ち浮逼逼の地なり。」師が下りて首座に問うた、「適来の和尚の意は作麼生。」言った、「浮逼逼の地。」師は言った、「首座は久しく此に住して、頭は白く歯は黄ばみて、這の箇の語話を作す。」言った、「上座は又た作麼生。」師は言った、「要して道えば即ち得、見れば即ち見る、若し見ざれば、乱りに道うこと莫れ。」言った、「只だ浮逼逼の地と道うが如くは、又た作麼生。」師は言った、「頭上に枷を着け、脚下に杻を着く。」言った、「恁麼ならば則ち仏法無し。」師は言った、「此は是れ文殊普賢の大人の境界。」僧が灌谿の上堂を挙げて、言った、「十方に壁落無く、四面も亦た門無し、浄躶躶として、赤洒洒として、把る可き無し。」師は言った、「挙ぐるは即ち易く、出づるは大いに難し。」言った、「上座は和尚が恁麼に道うを肯せざるか。」師は言った、「汝は適来恁麼に挙げたか。」言った、「是れ。」師は言った、「汝は驢年に灌谿を夢に見る。」言った、「某甲は話在り。」師は言った、「我は汝に問う、十方に壁落無く、四面も亦た門無し、汝は道え大梵天王と帝釈天とは何の事をか商量する。」言った、「豈に他の事に干らん。」師が喝して言った、「隊を逐いて飯を喫う漢。」師が江州に到る。陳尚書有りて斎を請う。纔かに見て便ち問う。儒書中は即ち問わず、三乗十二分教は自ら座主有り、作麼生か是れ衲僧の行脚の事。」師は言った、「曾て幾人にか問うた、

漢州綿竹人。姓上官。在眾日。普請鉏草次。有一僧曰。看。俗家失火。師曰。那裡火。曰。不見那。師曰。不見。曰。這瞎漢。是時一眾皆言遠上座敗闕。後明教寬聞舉。歎曰。須是我遠兄始得。住後。僧問。美味醍醐。為甚麼變成毒藥。師曰。導江紙貴。問。見色便見心時如何。師曰。適來甚麼處去來。曰。心境俱忘時如何。師曰。開眼坐睡。問。北斗裡藏身。意旨如何。師曰。月似彎弓。少雨多風。問。如何是諸佛心。師曰。清則始終清。曰。如何領會。師曰。莫受人謾好。問。如何是祖師西來意。師曰。踏步者誰。問。如何是和尚妙藥。師曰。不離眾味。曰。吃者如何。師曰。唼㗖看。問。如何是室內一盌燈。師曰。三人證龜成鼈。問。如何是衲衣下事。師曰。臘月火燒山。問。大眾雲集。請師施設。師曰。三不待兩。問。如何是學人時中事。師曰。恰恰。問。如何是玄。師曰。今日來。明日去。曰。如何是玄中玄。師曰。長連床上。問。如何是香林一脈泉。師曰。念無間斷。曰。飲者如何。師曰。隨方鬥秤。問。如何是衲僧正眼。師曰。不分別。曰。照用事如何。師曰。行路人失腳。問。萬機俱泯跡。方識本來人時如何。師曰。清機自顯。曰。恁麼則不別人。師曰。方見本來人。問。魚遊陸地時如何。師曰。發言必有後救。曰。卻下碧潭時如何。師曰。頭重尾輕。問。但有言句盡是賓。如何是主。師曰。長安城裡。曰。如何領會。師曰。千家萬戶。問。如何是西來的的意。師曰。坐久成勞。曰。便回轉時如何。師曰。墮落深坑。問。如何是無縫塔。師曰。合掌當胷。曰。如何是塔中人。師曰。露也。問。教法未來時如何。師曰。閻羅天子。曰。來後如何。師曰。大宋國裡。問。一子出家。九族解脫。目連為甚麼母入地獄。師曰。確。問。如何是平常心。師曰。早朝不審。晚後珍重。上堂。

書は言った、即今上座に問う、師は言った、即今は且く置け、作麼生か是れ教意、書は言った、「黄巻赤軸。」師は言った、「這の箇は是れ文字言語、作麼生か是れ教意。」書は言った、「口は談ぜんと欲して辞は喪し、心は縁らんと欲して慮は忘る。」師は言った、「口は談ぜんと欲して辞は喪するは、有言に対するが為、心は縁らんと欲して慮を忘るるは、妄想に対するが為、作麼生か是れ教意。」書は語無し。師は言った、「尚書が法華経を看ると見説す、是か否か。」書は言った、「是れ。」師は言った、「経中に道う、一切の治生産業は、皆実相と相い違背せず、且く道え非非想天に、幾人か退位する。」書は語無し。師は言った、「尚書は且く草草なること莫れ、三経五論を、師僧は抛却して、特に叢林に入り、十年二十年も、尚お奈何ともせず、尚書は又た争でか会せんを得ん。」書は礼拝して言った、「某甲の罪過。」師が道を唱うるに、霊樹・雲門にて、凡そ三十載、機縁の語句は、広録に備え載す、乾和七年己酉四月十日を以て、順寂し、全身を方丈に塔し、後十七載に、夢を阮紹荘に示して言った、「吾に与えて秀華宮使特進李托に寄語して、塔を開くを奏請せしめよ。」遂に勅を奉じて迎え請いで内庭に供養するに致る、月を逾えて方に還る、因りて寺を改めて大覚と為し、大慈雲𭅕真弘明禅師と諡す。

是汝諸人。盡是擔缽囊。向外行腳。還識得性也未。若識得。試出來道看。若識不得。祇是被人熱謾將去。且問汝諸人。是汝參學日久。用心掃地煎茶。遊山翫水。汝且釘釘。喚甚麼作自性。諸人且道。始終不變不異。無高無下。無好無醜。不生不滅。究竟歸於何處。諸人還知得下落所在也未。若於這裡知得所在。是諸佛解脫法門。悟道見性。始終不疑不慮。一任橫行。一切人不奈汝何。出言吐氣。實有來處。如人買田。須是收得元本契書。若不得他元本契書。終是不穩。遮莫經官判狀。亦是不得。其奈不收得元本契書。終是被人奪卻。汝等諸人。參禪學道。亦復如是。還有人收得元本契書麼。試拈出看。汝且喚甚麼作元本契書。諸人試道看。若是靈利底。才聞與麼說著。便知去處。若不知去處。向外邊學得千般巧妙。記持解會。口似傾河。終不究竟。與汝自己天地差殊。且去衣缽下體當尋覓看。若有箇見處。上來這裡道看。老僧與汝證明。若覓不得。且依行隊去。將示寂。辭知府宋公璫曰。老僧行腳去。通判曰。這僧風狂。八十歲行腳去那裡。宋曰。大善知識。去住自由。師謂眾曰。老僧四十年。方打成一片。言訖而逝。塔於本山。

師が衆に謂いて言った、「老僧は四十年にして、方に一片と打ち成る。」言い訖りて逝き、本山に塔した。

襄州洞山守初宗慧禪師

襄州洞山守初宗慧禅師

初參雲門。門問。近離甚處。師曰。查渡。門曰。夏在甚處。師曰。湖南報慈。曰。幾時離彼。師曰。八月二十五。門曰。放汝三頓棒。師至明日。卻上問訊。昨日蒙和尚放三頓棒。不知過在甚麼處。門曰。飯袋子。江西湖南便恁麼去。師於言下大悟。遂曰。他後向無人煙處。不蓄一粒米。不種一莖菜。接待十方往來。盡與伊抽釘㧞楔。拈卻炙脂帽子。脫卻鶻臭布衫。教伊灑灑地。作個無事衲僧。豈不快哉。門曰。你身如椰子大。開得如許大口。師便禮拜。住後上堂。言無展事。語不投機。承言者喪。滯句者迷。還得麼。你衲僧分上。到這裡須具擇法眼始得。祇如洞山恁麼道。也有一場過。且道過在甚麼處。僧問。迢迢一路時如何。師曰。天晴不肯去。直待雨淋頭。曰。諸聖作麼生。師曰。入泥入水。問。心未生時。法在甚麼處。師曰。風吹荷葉動。決定有魚行。問。師登師子座。請師唱道情。師曰。晴乾開水道。無事設曹司。曰。恁麼則謝師指示。師曰。賣鞋老婆腳䟐(郎擊切)趚(七亦切)。問。如何是三寶。師曰。商量不下。問。如何是無縫塔。師曰。十字街頭石師子。問僧。甚處來。曰。汝州。師曰。此去多少。曰。七百里。師曰。踏破幾緉草鞋。曰。三緉。師曰。甚處得錢買。曰。打笠子。師曰。參堂去。僧應喏。問。如何是免得生死底法。師曰。見之不取。思之三年。僧問。離卻心機意識。請師一句。師曰。道士著黃甕裡坐。問。非時親覲。請師一句。師曰。對眾怎生舉。曰。據現定舉。師曰。放汝三十棒。曰。過在甚麼處。師曰。罪不重科。問。如何是佛。師曰。麻三斤。問。蓮華未出水時如何。師曰。楚山頭倒卓。曰。出水後如何。師曰。漢水正東流。問。如何是吹毛劒。師曰。金州客。曰。用者如何。師曰。伏惟尚饗。問。車住牛不住時如何。師曰。用駕車漢作麼。問。

初めて雲門に参ず。門が問うた、「近く甚の処をか離れた。」師は言った、「査渡。」門は言った、「夏は甚の処にか在る。」師は言った、「湖南の報慈。」言った、「幾時に彼を離れた。」師は言った、「八月二十五。」門は言った、「汝に三頓の棒を放つ。」師は明日に至りて、却って上りて問訊す、昨日は和尚が三頓の棒を放つを蒙るも、過は何の処にか在るを知らず、門は言った、「飯袋子よ、江西湖南に便ち恁麼に去れ。」師は言下に於て大いに悟る。遂に言った、「他の後に無人烟の処に向かって、一粒の米を蓄えず、一茎の菜を種えず、十方の往来を接待して、尽く伊に与えて釘を抽き楔を㧞き、炙脂の帽子を拈却し、鶻臭の布衫を脱却して、伊を教えて洒洒として、箇の無事の衲僧と作らん、豈に快ならざらんや。」門は言った、「汝の身は椰子の大なるが如くして、許の如き大口を開く。」師が便ち礼拝した。住して後上堂して言った、「言は事を展ぶる無く、語は機に投ぜず、言を承くる者は喪い、句に滞る者は迷う、還た得るか、汝衲僧の分上に、這裏に到れば須く擇法眼を具して始めて得、只だ洞山が恁麼に道うが如くも、亦た一場の過有り、且く道え過は何の処にか在る。」僧が問うた、「迢迢たる一路の時如何。」師は言った、「天晴れて去るを肯せず、直に雨の頭に淋るを待つ。」言った、「諸聖は作麼生。」師は言った、「泥に入り水に入る。」問う、「心未だ生ぜざる時、法は何の処にか在る。」師は言った、「風は荷葉を吹きて動けば、決定して魚の行く有り。」問う、「師は師子座に登る、請う師の道情を唱えん。」師は言った、「晴乾に水道を開き、無事に曹司を設く。」言った、「恁麼ならば則ち師の指示を謝せん。」師は言った、「鞋を売る老婆は脚䟐趚(郎撃切・七亦切)す。」問う、「如何なるか是れ三宝。」師は言った、「商量して下らず。」問う、「如何なるか是れ無縫の塔。」師は言った、「十字街頭の石師子。」僧に問うた、「甚の処より来た。」言った、「你州。」師は言った、「此より去ること多少。」言った、「七百里。」師は言った、「幾緉の草鞋を踏破った。」言った、「三緉。」師は言った、「甚の処にか銭を得て買う。」言った、「笠子を打つ。」師は言った、「堂に参せよ。」僧が喏を応えた。問う、「如何なるか是れ生死を免るる底の法。」師は言った、「之を見て取らず、之を思うこと三年。」僧が問うた、「心機意識を離却して、請う師の一句を。」師は言った、「道士は黄を着て瓮裏に坐す。」問う、「時に非ずして親覲す、請う師の一句を。」師は言った、「衆に対して怎生に挙げん。」言った、「現定に拠りて挙げよ。」師は言った、「汝に三十棒を放つ。」言った、「過は何の処にか在る。」師は言った、「罪は重ねて科せず。」問う、「如何なるか是れ仏。」師は言った、「麻三斤。」問う、「蓮華未だ水を出でざる時如何。」師は言った、「楚山頭は倒れて卓す。」言った、「水を出でし後如何。」師は言った、「漢水は正に東流す。」問う、「如何なるか是れ吹毛の剣。師は言った、「金州の客。」言った、「用うる者は如何。」師は言った、「伏して惟れ尚く饗え。」問う、「車は住みて牛住まざる時如何。」師は言った、「車を駕る漢を用いて作麼。」問う。

如何是衲僧分上事。師曰。雲裹楚山頭。決定多風雨。問。海竭人亡時如何。師曰。難得。曰。便恁麼去時如何。師曰。雲在青天水在瓶。問。文殊普賢來參時如何。師曰。趂向水牯牛欄裡著。曰。和尚入地獄如箭射。師曰。全憑子力。問。如何是正法眼。師曰。紙撚無油。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。楖栗木拄杖。曰。見後如何。師曰。竇入布衫。問。如何是佛。師曰。灼然諦當。問。萬緣俱息。意旨如何。師曰。甕裡石人賣棗圈。問。如何是洞山劒。師曰。作麼。曰。學人要知。師曰。罪過。問。乾坤休著意。宇宙不留心。學人祇恁麼。師又作麼生。師曰。峴山亭起霧。灘峻不留船。問。大眾雲臻。請師撮其樞要。略舉大綱。師曰。水上浮漚呈五色。海底蝦蟇呌月明。問。正當恁麼時。文殊普賢在甚麼處。師曰。長者八十一。其樹不生耳。曰。意旨如何。師曰。一則不成。二則不是。

如何なるか是れ衲僧分上の事。師は言った、「雲裏の楚山頭は、決定して風雨多し。」問う、「海竭し人亡くなる時如何。」師は言った、「得難し。」言った、「便ち恁麼に去る時如何。」師は言った、「雲は青天に在り水は瓶に在り。」問う、「文殊普賢の来りて参ずる時如何。」師は言った、「水牯牛の欄裏に向かって趂り着けよ。」言った、「和尚の地獄に入ること箭の射るが如し。」師は言った、「全く子の力に凭る。」問う、「如何なるか是れ正法眼。」師は言った、「紙撚に油無し。」問う、「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った、「楖栗木の拄杖。」言った、「見えし後如何。」師は言った、「布衫に竇入る。」問う、「如何なるか是れ仏。」師は言った、「灼然として諦当なり。」問う、「万縁俱に息むは、意旨如何。」師は言った、「瓮裏の石人は棗圏を売る。」問う、「如何なるか是れ洞山の剣。」師は言った、「作麼。」言った、「学人は要して知らん。」師は言った、「罪過。」問う、「乾坤は意を着るを休め、宇宙は心を留めず、学人は只だ恁麼なり、師は又た作麼生。」師は言った、「峴山亭は雾を起し、灘は峻しくして船を留めず。」問う。大衆は雲の臻るが如し、請う師が其の枢要を撮み、略ば大綱を挙げん。師は言った、「水上の浮漚は五色を呈し、海底の蝦蟆は月明に呌ぶ。」問う、「正当に恁麼なる時、文殊普賢は何の処にか在る。」師は言った、「長者は八十一にして、其の樹は耳を生ぜず。」言った、「意旨如何。」師は言った、「一は則ち成らず、二は則ち是ならず。」

洪州泐潭道謙禪師

洪州泐潭道謙禅師

僧問。如何是泐潭家風。師曰。闍黎到來幾日也。問。但有纖毫即是塵。不有時作麼生。師以手掩兩目。問。當陽舉唱。誰是聞是。師曰。老僧不患耳聾。問。悟本無門。如何得入。師曰。阿誰教汝恁麼問。

僧が問うた、「如何なるか是れ泐潭の家風。」師は言った、「闍黎が到り来りて几日なり。」問う、「但だ繊毫有らば即ち是れ塵、有らざる時作麼生。」師が手を以て両の目を掩う。問う、「当陽に挙唱するに、誰か是れ是を聞く。」師は言った、「老僧は耳聾を患えず。」問う、「悟は本より門無し、如何にして入るを得ん。」師は言った。阿谁か汝を教えて恁麼に問わしめた。

金陵奉先深禪師

金陵奉先深禅師

江南主請開堂。才升座。維那白槌曰。法筵龍象眾。當觀第一義。師便曰。果然不識。鈍置殺人。時有僧出。問。如何是第一義。師曰。賴遇適來道了也。曰。如何領會。師曰。速禮三拜。復曰。大眾且道。鈍置落在阿誰分上。師同明和尚在眾時。聞僧問法眼。如何是色。眼竪起拂子。或曰。鷄冠花。或曰。貼肉汗衫。三人特往請益。問曰。承聞和尚有三種色語。是否。眼曰。是。師曰。鷂子過新羅。便歸眾。時李王在座下。不肯。乃白法眼曰。寡人來日致茶筵。請二人重新問話。明日茶罷。備綵一箱。劒一口。謂二師曰。上座若問話得是。奉賞雜綵一箱。若問不是。祇賜一劒。法眼陞座。師復出問。今日奉敕問話。師還許也無。眼曰。許。曰。鷂子過新羅。捧綵便行。大眾一時散去。時法燈作維那。乃鳴鐘集眾。僧堂前勘師。眾集。燈問。承聞二上座久在雲門。有甚奇特因緣。舉一兩則來商量看。師曰。古人道白鷺下田千點雪。黃鸎上樹一枝花。維那作麼生商量。燈擬議。師打一座具便歸眾。師同明和尚到淮河。見人牽網。有魚從網透出。師曰。明兄俊哉。一似箇衲僧相似。明曰。雖然如此。爭如當初不撞入網羅好。師曰。明兄你欠悟在。明至中夜。方省。

江南の主が師を請じて堂を開かしむ。纔かに座に昇れば、維那が槌を白げて言った、「法筵の龍象の衆は、当に第一義を観るべし。」師が便ち言った、「果として識らず、鈍置して人を殺す。」時に僧有りて出でて、問うた、「如何なるか是れ第一義。」師は言った、「適来道い了れりに遇うに頼る。」言った、「如何に領会せん。」師は言った、「速かに三拶せよ。」復た言った。大衆は且く道え、鈍置は阿谁の分上に落つる。師が明和尚と同じく衆に在りし時、僧が法眼に問うを聞く、如何なるか是れ色、眼が拂子を豎起す、或いは言った、鶏冠花、或いは言った、肉に貼る汗衫、三人は特に往きて請益す、問うて言った、承聞す和尚に三種の色の語有り、是か否か、眼は言った、是れ、師は言った、「鷂子は新羅を過ぐ。」便ち衆に帰る。時に李王が座下に在りて、肯せず。乃ち法眼に白して言った、「寡人は来日茶筵を致して、二人に請いて重ねて問話せしめん。」明日茶罷りて、彩一籍と剣一口を備え、二師に謂いて言った、「上座若し問話是を得ば、雑彩一箱を奉賞せん、若し問うこと是ならざれば、只だ一剣を賜わらん。」法眼が座に昇る。師が復た出でて問うた、「今日は勅を奉じて問話す、師は還た許すや無しや。」眼は言った。言った、「鷂子は新羅を過ぐ。」彩を捧げて便ち行く。大衆は一時に散去す。時に法灯が維那を作りて、乃ち鐘を鳴らして衆を集め、僧堂の前に師を勘う。衆が集まれば、灯が問うた、「承聞す、二の上座は久しく雲門に在り、甚の奇特の因縁か有る、一則両則を挙げて来りて商量して看ん。」師は言った、「古人は道う白鷺は田に下れば千点の雪、黄鶯は樹に上れば一枝の花、維那は作麼生に商量せん。」灯が擬議すれば、師が一座具を打ちて便ち衆に帰る。師が明和尚と同じく淮河に到りて、人の網を牽くを見て、魚の網より透り出る有り。師は言った、「明兄は俊なるかな、一たび箇の衲僧に相似たり。」明は言った、「然ると雖も此の如し、争でか当初に網羅に撞入らざりしに如かん。」師は言った、「明兄は汝は悟に欠ける在り。」明は中夜に至りて、方に省たり。

隨州雙泉鬱禪師

随州双泉郁禅師

僧問。如何是第一句。師曰。回頭終不顧。曰。如何是第二句。師曰。未語先分付。曰。如何是第三句。師曰。連根猶帶苦。上堂。初祖不虗傳。二祖不虗受。彼彼大丈夫。因甚麼到恁麼地。便下座。後住舒州海會。僧問。如何是舒州境。師曰。浣水逆流山露骨。曰。如何是境中人。師曰。地有毒蛇沙有蝨。

僧が問うた、「如何なるか是れ第一句。」師は言った、「頭を回らして終に顧みず。」言った、「如何なるか是れ第二句。」師は言った、「未だ語らざる先に分付す。」言った、「如何なるか是れ第三句。」師は言った、「根に連ねて猶お苦を帯ぶ。」上堂して言った、「初祖は虗しく伝えず、二祖は虗しく受けず、彼彼の大丈夫は、何に因りて恁麼の地に到る。」便ち座を下った。後に舒州海会に住す。僧が問うた、「如何なるか是れ舒州の境。」師は言った、「浣水は逆流して山は骨を露う。」言った、「如何なるか是れ境中の人。」師は言った、「地に毒蛇有り沙に虱有り。」

韶州披雲智寂禪師

韶州披雲智寂禅師

僧問。如何是披雲境。師曰。白日沒閑人。問。如何是不遷義。師曰。山高不礙白雲飛。問。以字不成。八字不是。未審是甚麼字。師曰。聽老僧一偈。以字不是八不成。森羅萬象此中明。直饒巧說千般妙。不是謳阿不是經。問。如何是色空。師曰。拾取落花生舊枝。問。如何是一塵。師曰。滿目是青山。問。如何是毗盧藏中有大經卷。師曰。拈不得。曰。為甚拈不得。師曰。特地卻成愁。

僧が問うた、「如何なるか是れ披雲の境。」師は言った、「白日に閑人は没す。」問う、「如何なるか是れ不遷の義。」師は言った、「山は高くとも白雲の飛ぶを碍げず。」問う、「以の字は成らず、八の字も是ならず、未だ審らかならず是れ何の字ぞ。」師は言った、「老僧の一偈を聴け、以の字は是れ八ならず成らず、森羅万象は此中に明らかなり、直饒巧みに千般の妙を説くも、是れ謳阿に非ず是れ経に非ず。」問う、「如何なるか是れ色空。」師は言った、「落花を拾取して旧枝を生ず。」問う、「如何なるか是れ一塵。」師は言った、「目に満つるは是れ青山。」問う、「如何なるか是れ毘盧蔵中に大経巻有る。」師は言った、「拈ぐるを得ず。」言った、「為に甚拈ぐるを得ざる。」師は言った、「特地に却って愁と成る。」

韶州舜峰義韶禪師

韶州舜峰義韶禅師

僧問。正法無言時如何。師曰。言。曰。學人不會。乞師端的。師曰。兩重公案。曰。豈無方便。師曰。無禮難容。問。祖意教意。是同是別。師曰。日出東方月落西。僧正到方丈。曰。方丈得恁麼黑。師曰。老鼠窟。正曰。放貓兒入好。師曰。試放看。正無對。師拊掌笑。師與老宿渡江次。師取錢與渡子。宿曰。囊中若有青銅片。師揖曰。長老莫笑。

僧が問うた、「正法は言無き時如何。」師は言った、「言。」言った、「学人は会せず、乞う師の端的を。」師は言った、「両重の公案。」言った、「豈に方便無からん。」師は言った、「礼無きは容れ難し。」問う、「祖意教意は、是れ同か是れ別か。」師は言った、「日は東方に出でて月は西に落つ。」僧正が方丈に到りて、言った、「方丈は恁麼に黒きを得たり。」師は言った、「老鼠の窟。」正は言った、「猫児を放ち入れよ好し。」師は言った、「試しに放ちて看よ。」正は対無し。師が掌を拊して笑う。師が老宿と江を渡る次、師が銭を取りて渡子に与う。宿は言った、「嚢中に若し青銅片有らば。」師が揖して言った、「長老は笑うこと莫れ。」

南嶽般若寺啟柔禪師

南岳般若寺啓柔禅師

僧問。西天以蠟人為驗。此土如何。師曰。新羅人草鞋。問。如何是千聖同歸底道理。師曰。未達苦空境。無人不歎嗟。上堂。眾聞板聲集。師因示偈曰。妙哉三下板。知識盡來參。既善分時節。吾今不再三。便下座。

僧が問うた、「西天は蜡人を以て験と為す、此の土は如何。」師は言った、「新羅人の草鞋。」問う、「如何なるか是れ千聖同帰の道理。」師は言った、「未だ苦空の境に達せざれば、人の嘆嗟せざる無し。」上堂して、衆は板声を聞きて集まる。師は因りて偈を示して言った、「妙なるかな三下の板、知識は尽く来りて参ず、既に時節を分かつを善くす、吾は今再び三ならず。」便ち座を下った。

潞府妙勝臻禪師

潞府妙勝臻禅師

僧問。金粟如來為甚麼卻降釋迦會裡。師曰。香山南。雪山北。曰。南贍部洲事又作麼生。師曰。黃河水急浪花麤。問。如何是向上一路。師曰。一條濟水貫新羅。

僧が問うた、「金粟如来はなぜ却って釈迦の会裏に降る。」師は言った、「香山の南、雪山の北。」言った、「南贍部洲の事は又た作麼生。」師は言った、「黄河の水は急にして浪花麤し。」問う、「如何なるか是れ向上の一路。」師は言った、「一条の済水は新羅を貫く。」

饒州薦福承古禪師

饒州薦福承古禅師

操行高潔。稟性虗明。參大光敬玄禪師。乃曰。祇是箇草裡漢。遂參福嚴雅和尚。又曰。祇是箇脫灑衲僧。由是終日默然。深究先德洪規。一日覽雲門語。忽然發悟。自此韜藏。不求名聞。棲止雲居弘覺禪師塔所。四方學者奔湊。因稱古塔主也。景祐四年。范公仲淹出守鄱陽。聞師道德。請居薦福。開闡宗風。僧問。大善知識。將何為人。師曰。莫。曰。恁麼則有問有答去也。師曰。莫。問。青青翠竹。盡是真如。鬱鬱黃花。無非般若。如何是般若。師曰。黃泉無老少。曰。春來草自青。師曰。聲名不朽。曰。若然者。碧眼胡僧也皺眉。師曰。退後三步。僧曰。苦。師乃吽吽。問。臨濟舉拂。學人舉拳。是同是別。師曰。訛言亂眾。曰。恁麼則依令而行也。師曰。天涯海角。問。一喝分賓主。照用一時行。此意如何。師曰。乾柴濕茭。僧便喝。師曰。紅燄炎天。上堂。夫出家者為無為法。無為法中無利益。無功德。近來出家人。貪著福慧。與道全乖。若為福慧。須至明心。若要達道。無汝用心處。所以常勸諸人。莫學佛法。但自休心。利根者畫時解脫。鈍根者或三五年。遠不過十年。若不悟去。老僧與你入㧞舌地獄。參。

操行は高潔にして、性を稟くること虗明なり。大光敬玄禅師に参じて、乃ち言った、「只だ是れ箇の草裏の漢。」遂に福巌雅和尚に参じて、又た言った、「只だ是れ箇の脱洒の衲僧。」是に由りて終日黙然として、深く先徳の洪規を究む。一日雲門の語を覧て、忽然として悟を発す。此より自ら韜蔵して、名聞を求めず。雲居弘覚禅師の塔所に栖止す。四方の学者は奔湊す。因りて古塔主と称す。景祐四年、范公仲淹が出でて鄱陽を守り、師の道徳を聞きて、薦福に居るを請い、宗風を開闡す。僧が問うた、「大善知識は、何を将て人と為る。」師は言った、「莫れ。」言った、「恁麼ならば則ち問有り答有りて去るなり。」師は言った、「莫れ。」問う、「青青たる翠竹は、尽く是れ真如、郁郁たる黄花は、般若に非る無し、如何なるか是れ般若。」師は言った、「黄泉は老少無し。」言った、「春来れば草自ら青し。」師は言った、「声名は朽ちず。」言った、「若し然る者は、碧眼の胡僧も亦た眉を皺む。」師は言った。後に三步を退け、僧は言った、「苦。」師は乃ち吽吽たり。問う、「臨済は拂を挙げ、学人は拳を挙ぐ、是れ同か是れ別か。」師は言った、「訛言は衆を乱る。」言った、「恁麼ならば則ち令に依りて行ずるなり。」師は言った、「天涯海角。」問う、「一喝は賓主を分かち、照用は一時に行ず、此の意如何。」師は言った、「干柴湿茭。」僧が便ち喝す。師は言った、「紅燄は天を炎す。」上堂して言った、「夫れ出家の者は無為の法と為り、無為法の中に利益無く、功徳無し、近来の出家人は、福慧に貪着して、道と全く乖う、若し福慧と為さば、須く明心に至るべく、若し道を達せんと要さば、汝の心を用ゐる処無し、是を以て常に諸人に勧む、仏法を学ぶこと莫れ、但だ自ら心を休めよ、利根の者は画時に解脱し、鈍根の者は或いは三年五年、遠くとも十年を過ごさず、若し悟りて去らざれば、老僧は汝に与えて㧞舌地獄に入らん、参せよ。」

金陵清涼智明禪師

金陵清涼智明禅師

江南主請師上堂。小長老問。凡有言句。盡落方便。不落方便。請師速道。師曰。國主在此。不敢無禮。

江南の主が師を請じて上堂せしむ。小長老が問うた、「凡そ言句有らば、尽く方便に落ち、方便に落ちざれば、請う師の速やかに道わんを。」師は言った、「国主は此に在り、敢えて礼無くせず。」

潭州南臺道遵法雲禪師

潭州南台道遵法雲禅師

上堂。從上宗乘。合作麼生提綱。合作麼生言論。佛法兩字當得麼。真如解脫當得麼。雖然如是。細不通風。大通車馬。若約理化門中。一言才啟。震動乾坤。山河大地。海晏河清。三世諸佛。說法現前。於此明得。古佛殿前。同登彼岸。無事。珍重。問。如何是祖師西來意。師曰。下坡不走。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。著衣吃飯。曰。見後如何。師曰。缽盂掛壁上。問。如何是真如含一切。師曰。分明。曰。為甚麼有利鈍。師曰。四天打鼓。樓上擊鐘。問。如何是南臺境。師曰。金剛手指天。問。如何是色空。師曰。道士著真紅。問。十二時中。時時不離時如何。師曰。諦。

上堂して言った、「上よりの宗乗は、合作麼生に提綱せん、合作麼生に言論せん、仏法の両字は当たるを得るか、真如解脱は当たるを得るか、然ると雖も是の如し、細は風を通ぜず、大は車馬を通ず、若し理化門中に約せば、一言纔かに啓けば、乾坤を震動し、山河大地は、海晏河清し、三世の諸仏は、法を説きて现前す、此に於て明るむを得ば、古仏の殿前に、同じく彼岸に登らん、事無し、珍重せよ。」問う、「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った、「下坡は走らず。」問う、「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った、「衣を着て飯を喫す。」言った、「見えし後如何。」師は言った、「鉢盂は壁上に挂く。」問う、「如何なるか是れ真如は一切を含む。」師は言った、「分明なり。」言った、「なぜ利鈍有る。」師は言った、「四天は皷を打ち、楼上は鐘を撃つ。」問う、「如何なるか是れ南台の境。」師は言った、「金剛の手は天を指す。」問う、「如何なるか是れ色空。」師は言った、「道士は真紅を着る。」問う、「十二時中に、時々離れざる時如何。」師は言った、「諦。」

韶州雙峰竟欽禪師

韶州双鋒竟欽禅師

益州人也。開堂日。雲門和尚躬臨證明。僧問。如何是佛法大意。師曰。日出方知天下朗。無油那點佛前燈。問。如何是雙峰境。師曰。夜聽水流庵後竹。晝看雲起面前山。問。如何是和尚為人一句。師曰。因風吹火。上堂。進一步則迷理。退一步則失事。饒你一向兀然去。又同無情。僧問。如何得不同無情去。師曰。動轉施為。曰。如何得不迷理失事去。師曰。進一步。退一步。僧作禮。師曰。向來有人恁麼會。老僧不肯伊。曰。請師直指。師便打出。問。如何是正法眼。師曰。山河大地。問。如何是法王劒。師曰。鉛刀徒逞。不若龍泉。曰。用者如何。師曰。藏鋒猶不許。露刃更何堪。問。賓頭盧應供四天下。還得徧也無。師曰。如月入水。問。如何是用而不雜。師曰。明月堂前垂玉露。水晶殿裡璨真珠。有行者問。某甲遇賊來時。若殺即違佛教。不殺又違王敕。未審師意如何。師曰。官不容針。私通車馬。廣主甞親問法要。錫慧真廣悟號。將示寂。告門人曰。吾不久去世。汝可就山頂預修墳塔。洎工畢。以聞。師曰。後日子時行矣。及期。會雲門爽和尚等七人夜話。侍者報三更也。師索香焚之。合掌而逝。

益州の人である。堂を開く日に、雲門和尚が躬ら臨みて証明した。僧が問うた。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「日出でて方に知る天下の朗らかなるを、油無ければ那でか仏前の灯を点ぜん。」問う。「如何なるか是れ双鋒の境。」師は言った。「夜には水流るる庵後の竹を聴き、昼には雲の起つる面前の山を看る。」問う。「如何なるか是れ和尚の人と為る一句。」師は言った。「風に因りて火を吹く。」上堂して言った。「一歩を進めれば則ち理を迷い、一歩を退げれば則ち事を失う、汝が一向に兀然として去るを饒くも、又た無情に同じ。」僧が問うた。「如何にして無情と同じからざるを得ん。」師は言った。「動轉して施為せよ。」言った。「如何にして理を迷わず事を失わざるを得ん。」師は言った。「一歩を進め、一歩を退げよ。」僧が礼を作せば、師は言った。「向来人の恁麼に会する有るも、老僧は伊を肯せず。」言った。「請う師の直指せんことを。」師が便ち打ちて出だしつ。問う。「如何なるか是れ正法眼。」師は言った。「山河大地。」問う。「如何なるか是れ法王の剣。」師は言った。「鉛刀は徒らに逞しゅうす、竜泉に若かず。」言った。「用うる者は如何。」師は言った。「鋒を蔵めても猶お許さず、刃を露せば更に何ぞ堪えん。」問う。「賓頭盧は四天下に供に応ず、還た徧を得るや無しや。」師は言った。「月の水に入るが如し。」問う。「如何なるか是れ用ゐて雑らざる。」師は言った。「明月の堂前に玉露を垂れ、水晶の殿裏に真珠璨たり。」行者有りて問うた。「某甲は賊の来るに遇わば、若し殺せば即ち仏教に違い、殺さざれば又た

韶州資福詮禪師

韶州資福詮禅師

僧問。不問宗乘。請師心印。師曰。不答這話。曰。為甚麼不答。師曰。不副前言。問。覿面難逢處。如何顧鑒咦。乞師垂半偈。免使後人疑。師曰。鋒前一句超調御。擬問如何歷劫違。曰。恁麼則東山西嶺時人知有。未審資福庭前誰家風月。師曰。且領前話。

僧が問うた。宗乗は問わず、請う師の心印を。師は言った。「這の話に答えず。」言った。「なぜ答えざる。」師は言った。「前の言に副わざれば。」問う。「覿面に逢い難き処に、如何に顧鑑せんや、乞う師の半偈を垂れんことを、後人をして疑わしむるを免れんが為に。」師は言った。「鋒前の一句は調御を超ゆ、如何と問わんと擬すれば劫を歴て違う。」言った。「恁麼ならば則ち東山西嶺は時人の知る有り、未だ審らかならず資福の庭前は誰が家の風月ぞ。」師は言った。「且く前の話を領け。」

廣州黃雲元禪師

広州黄雲元禅師

初開堂日。以手拊繩床曰。諸人還識廣大須彌之座也無。若不識。老僧陞座去也。師便坐。僧問。如何是大漢國境。師曰。歌謠滿路。上堂。古人道。觸目未曾無。臨機何不道。山僧即不然。觸目未曾無。臨機道甚麼。珍重。

初めて堂を開く日に、手を以て繩床を拊して言った。「諸人は還た広大須弥の座を識るや無しや、若し識らざれば、老僧は座に昇りて去らん。」師が便ち坐した。僧が問うた。「如何なるか是れ大漢国の境。」師は言った。「歌謡は路に満つ。」上堂して言った。「古人は道う、目に触れて未だ曾て無し、機に臨みて何ぞ道わざる、山僧は即ち然らず、目に触れて未だ曾て無し、機に臨みて何をか道わん、珍重せよ。」

廣州龍境倫禪師

広州竜境倫禅師

開堂陞座。提起拂子曰。還會麼。若會。頭上更增頭。若不會。斷頭取活。僧問。如何是龍境家風。師曰。豺狼虎豹。問。如何是佛。師曰。勤耕田。曰。學人不會。師曰。早收禾。問僧。甚麼處來。曰。黃雲來。師曰。作麼生是黃雲郎當媚痴抹躂為人一句。僧無對。示眾曰。作麼生是長連床上取性一句。道將來。

堂を開きて座に昇り、拂子を提起して言った。「還た会するか、若し会せば、頭上に更に頭を増し、若し会せざれば、頭を断ちて活を取れ。」僧が問うた。「如何なるか是れ竜境の家風。」師は言った。「豺狼虎豹。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「勤めて田を耕せ。」言った。「学人は会せず。」師は言った。「早く禾を収めよ。」僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「黄雲より来た。」師は言った。「作麼生か是れ黄雲の郎当に媚痴に抹跶して人と為る一句。」僧は対無し。衆に示して言った。「作麼生か是れ長連床上に性を取る一句、道い将て来れ。」

韶州雲門山爽禪師

韶州雲門山爽禅師

上堂。僧問。如何是佛。師曰。聖躬萬歲。問。如何是透法身句。師曰。銀香臺上生蘿蔔。

上堂して、僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「聖躬万歳。」問う。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「銀香台上に蘿蔔を生ず。」

韶州白雲聞禪師

韶州白雲聞禅師

上堂良久。僧出問。白雲一路。全因今日。師曰。不是。不是。曰。和尚又如何。師曰。白雲一路。草深一丈。便下座。問。擬伸一問。師還答否。師曰。皂莢樹頭懸。風吹曲不成。問。受施主供養。將何報答。師曰。作牛作馬。

上堂して良久した。僧が出でて問うた。「白雲の一路は、全く今日に因る。」師は言った。「是ならず、是ならず。」言った。「和尚は又た如何。」師は言った。「白雲の一路は、草の深きこと一丈。」便ち座を下った。問う。一問を伸べんと擬す、師は還た答えるや否や。師は言った。「皂荚の樹頭に懸りて、風吹くとも曲は成らず。」問う。「施主の供養を受け、何を将て報答せん。」師は言った。「牛と作り馬と作る。」

韶州淨法禪想章禪師

韶州浄法禅想章禅師

廣主問。如何是禪。師乃良久。主罔測。因署其號。僧問。日月重明時如何。師曰。日月雖明。不鑒覆盆之下。問。既是金山。為甚麼鑿石。師曰。金山鑿石。問。如何是道。師曰。迢迢十萬餘。

広の主が問うた。「如何なるか是れ禅。」師が乃ち良久せば、主は罔く測らず、因りて其の号を署した。僧が問うた。「日月重ねて明らかなる時如何。」師は言った。「日月は明らかなりと雖も、覆盆の下を鑑りず。」問う。「既に是れ金山なり、なぜ石を鑿つ。」師は言った。「金山は石を鑿つ。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「迢迢として十万余。」

韶州溫門山滿禪師

韶州温門山満禅師

僧問。如何是佛。師曰。胷題卍字。曰。如何是祖。師曰。不遊西土。有人指壁上畫問。既是千尺松。為甚麼卻在屋下。師曰。芥子納須彌作麼生。問。隔墻見角。便知是牛時如何。師便打。問。如何是和尚家風。師曰。汝曾讀書麼。問。太子初生為甚麼不識父母。師曰。迥然尊貴。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「胷に卍字を題す。」言った。「如何なるか是れ祖。」師は言った。「西土に游ばず。」人有りて壁上の画を指して問うた。「既に是れ千尺の松、なぜ却って屋下に在る。」師は言った。「芥子が須弥を納るるは作麼生。」問う。「墻を隔てて角を見れば、便ち牛と知る時如何。」師が便ち打つ。問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「汝は曾て書を読むか。」問う。「太子は初生になぜ父母を識らざる。」師は言った。「迥然として尊貴なり。」

英州大容諲禪師

英州大容𬤇禅師

僧問。如何是大容水。師曰。還我一滴來。問。當來彌勒下生時如何。師曰。慈氏宮中三春草。問。如何是真空。師曰。拈卻拒陽著。曰。如何是妙用。師乃握拳。僧曰。真空妙用。相去幾何。師以手撥之。問。長蛇偃月即不問。匹馬單槍時如何。師曰。麻江橋下。會麼。曰。不會。師曰。聖壽寺前。問。既是大容。為甚麼趂出僧。師曰。大海不容塵。小溪多搕𢶍。問。如何是古佛一路。師指地。僧曰。不問這箇。師曰。去。師與一老宿相期他往。偶因事不去。宿曰。佛無二言。師曰。法無一向。

僧が問うた。「如何なるか是れ大容の水。」師は言った。「我に一滴を還して来れ。」問う。「当来に弥勒の下生する時如何。」師は言った。「慈氏の宮中に三春の草。」問う。「如何なるか是れ真空。」師は言った。「拒陽を拈却して着けよ。」言った。「如何なるか是れ妙用。」師が乃ち拳を握った。僧は言った。「真空と妙用とは、相去ること幾何。」師が手を以て之を撥く。問う。長蛇の月を偃ねるは即ち問わず、匹馬単鎗の時如何。師は言った。「麻江の橋下、会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「聖寿寺の前。」問う。「既に是れ大容、なぜ僧を趂り出づ。」師は言った。「大海は塵を容れず、小谿は搕𢶍多し。」問う。「如何なるか是れ古仏の一路。」師が地を指す。僧は言った。「這の箇は問わず。」師は言った。「去れ。」師が一の老宿と相期して他に往かんとし、偶々事に因りて去らず。宿は言った。「仏に二言無し。」師は言った。「法に一向無し。」

廣州羅山崇禪師

広州羅山崇禅師

僧問。如何是大漢國境。師曰。玉狗吠時天未曉。金鷄啼處五更初。問。丹霞訪居士。女子不𢹂籃時如何。師曰。也要到這裡一轉。問。如何是羅山境。師曰。布水千尋。

僧が問うた。「如何なるか是れ大漢国の境。」師は言った。「玉狗の吠ゆる時は天未だ暁けず、金鶏の啼く処は五更の初。」問う。「丹霞が居士を訪うに、女子が籃を𢹂めざる時如何。」師は言った。「も要す這裏に到りて一転せんことを。」問う。「如何なるか是れ羅山の境。」師は言った。「水を布きて千尋。」

韶州雲門常寶禪師

韶州雲門常宝禅師

上堂。至道無難。唯嫌揀擇。還有揀擇者麼。時有僧問。十方國土中。唯有一乘法。如何是一乘法。師曰。日月分明。曰。學人不會。師曰。清風滿路。

上堂して言った。「至道に難き無し、唯だ揀択を嫌う、還た揀択する者有るか。」時に僧有りて問うた。「十方の国土の中に、唯だ一乗法有り、如何なるか是れ一乗法。」師は言った。「日月は分明なり。」言った。「学人は会せず。」師は言った。「清風は路に満つ。」

郢州林谿竟脫禪師

郢州林谿竟脱禅師

僧問。如何是法身。師曰。四海五湖賓。曰。如何是透法身句。師曰。明眼人笑汝。問。如何是本來人。師曰。風吹滿面塵。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。富貴多賓客。曰。見後如何。師曰。貧窮絕往還。問。如何是佛。師曰。十字路頭。曰。如何是法。師曰。三家村裡。曰。佛之與法。是一是二。師曰。露柱渡三江。猶懷感恨長。問。如何是無縫塔。師曰。復州城。曰。如何是塔中人。師曰。龍興寺。

僧が問うた。「如何なるか是れ法身。」師は言った。「四海五湖の賓。」言った。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「明眼人は汝を笑う。」問う。「如何なるか是れ本来の人。」師は言った。「風吹きて面に塵満つ。」問う。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「富貴は賓客多し。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「貧窮は往還を絶つ。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「十字路頭。」言った。「如何なるか是れ法。」師は言った。「三家村裏。」言った。「仏と法とは、是れ一か是れ二か。」師は言った。「露柱は三江を渡るも、猶お感恨の長きを懐く。」問う。「如何なるか是れ無縫の塔。」師は言った。「復州の城。」言った。「如何なるか是れ塔中の人。」師は言った。「竜興寺。」

韶州廣悟禪師

韶州広悟禅師

僧問。如何是和尚為人一句。師曰。因風吹火。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の人と為る一句。」師は言った。「風に因りて火を吹く。」

廣州華嚴慧禪師

広州華厳慧禅師

僧問。承古有言。妄心無處即菩提。正當妄時。還有菩提也無。師曰。來音已照。曰。不會。師曰。妄心無處即菩提。

僧が問うた。「承く古に言有り、妄心は処無ければ即ち菩提、正に妄の時に当たりて、還た菩提有るや無しや。」師は言った。「来る音は已に照らせり。」言った。「会せず。」師は言った。「妄心は処無ければ即ち菩提。」

韶州長樂山政禪師

韶州長楽山政禅師

僧問。祖師心印。何人提掇。師曰。石人妙手在。曰。學人還有分也無。師曰。木人整不齊。

僧が問うた。「祖師の心印は、何人か提掇する。」師は言った。「石人の妙手在り。」言った。「学人は還た分有るや無しや。」師は言った。「木人は斉しく整えず。」

英州觀音和尚

英州観音和尚

因穿井次。僧問。井深多少。師曰。沒汝鼻孔。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。英州觀音。曰。見後如何。師曰。英州觀音。問。如何是觀音妙智力。師曰。風射破牕鳴。

井を穿つ次に、僧が問うた。「井の深さは多少。」師は言った。「汝の鼻孔を没せん。」問う。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「英州の観音。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「英州の観音。」問う。「如何なるか是れ観音の妙智力。」師は言った。「風は破牕を射て鳴らす。」

韶州林泉和尚

韶州林泉和尚

僧問。如何是林泉主。師曰。巖下白石。曰。如何是林泉家風。師曰。迎賓待客。問。如何是道。師曰。迢迢。曰。便恁麼領會時如何。師曰。久久忘緣者。寧懷去住情。

僧が問うた。「如何なるか是れ林泉の主。」師は言った。「巌下の白石。」言った。「如何なるか是れ林泉の家風。」師は言った。「賓を迎え客を待つ。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「迢迢。」言った。「便ち恁麼に領会する時如何。」師は言った。「久しき久しき縁を忘るる者は、寧んぞ去住の情を懐かんや。」

韶州雲門煦禪師

韶州雲門煦禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。即今是甚麼意。僧曰。恰是。師便喝。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「即今是れ何の意ぞ。」僧は言った。「恰も是れ。」師が便ち喝した。

瑞州黃檗法濟禪師

瑞州黄蘗法済禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。與天下人作牓樣。問。如何是佛。師曰。眉麤眼大。上堂。良久曰。若識得黃檗帳子。平生行腳事畢。珍重。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「天下の人に与えて牓様を作す。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「眉は麤く眼は大なり。」上堂して、良久して言った。「若し黄蘗の帳子を識得せば、平生の行脚の事畢れり、珍重せよ。」

信州康國耀禪師

信州康国耀禅師

僧問。文殊與維摩對談何事。師曰。汝向髑髏後會。始得。曰。古人道。髑髏裡薦取又如何。師曰。汝還薦得麼。曰。恁麼則遠人得遇於師去也。師曰。莫謾語。

僧が問うた。「文殊と維摩と対談するは何の事ぞ。」師は言った。「汝は髑髏の後に向かって会して、始めて得。」言った。「古人は道う、髑髏裏に薦取せば又た如何。」師は言った。「汝は還た薦し得るか。」言った。「恁麼ならば則ち遠人は師に遇うを得て去るなり。」師は言った。「谩語する莫れ。」

潭州谷山豐禪師

潭州谷山豊禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。雪嶺梅花綻。雲洞老僧驚。上堂。駿馬機前異。遊人肘後懸。既參雲外客。試為老僧看。時有僧才出。師便打。曰。何不早出頭來。便下座。

僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「雪嶺は梅花綻び、雲洞の老僧は驚く。」上堂して言った。「駿馬は機の前に異なり、游人は肘の後に懸く、既に雲外の客を参せば、試みに老僧の為に看よ。」時に僧有りて纔かに出でれば、師が便ち打つ。言った。「何ぞ早く頭を出でざりし。」便ち座を下った。

頴州羅漢𭅕果禪師

潁州羅漢𭅕果禅師

僧問。如何是吹毛劒。師曰。了。問。和尚百年後。忽有人問向甚麼處去。如何詶對。師曰。久後遇作家。分明舉似。曰。誰是知音者。師曰。知音者即不恁麼問。問。鑿壁偷光時如何。師曰。錯。曰爭奈苦志專心。師曰。錯。錯。

僧が問うた。「如何なるか是れ吹毛の剣。」師は言った。「了。」問う。「和尚の百年の後に、忽ち人の問う有らば何の処に向かって去る、如何に詶対せん。」師は言った。「久しき後に作家に遇わば、分明に挙似せよ。」言った。「誰か是れ知音の者。」師は言った。知音の者は即ち恁麼に問わず。問う。「壁を鑿りて光を偸む時如何。」師は言った。「錯。」言った。争奈せん苦志専心を。師は言った。「錯、錯。」

鼎州滄谿璘禪師

鼎州滄谿璘禅師

僧問。是法住法位。世間相常住。雲門和尚向甚麼處去也。師曰。見麼。曰。錯。師曰。錯。錯。問。如何是西來意。師曰。不錯。師因事示頌曰。天地之前徑。時人莫彊移。箇中生解會。眉上更安眉。

僧が問うた。「是れ法は法位に住して、世間の相は常住す、雲門和尚は何の処に向かって去りし。」師は言った。「見るか。」言った。「錯。」師は言った。「錯、錯。」問う。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「錯ならず。」師が事に因りて頌を示して言った。「天地の前の径は、時人は強いて移すこと莫れ、箇中に解会を生ぜば、眉上に更に眉を安ず。」

瑞州洞山清稟禪師

瑞州洞山清稟禅師

泉州李氏子。參雲門。門問。今日離甚處。曰。慧林。門舉拄杖曰。慧林大師恁麼去。汝見麼。曰。深領此問。門顧左右微笑而已。師自此入室印悟。金陵主請居光睦。未幾命入澄心堂。集諸方語要。經十稔迎住洞山。開堂日。維那白槌曰。法筵龍象眾。當觀第一義。師曰。好箇消息。祇恐錯會。時有僧問。雲門一曲師親唱。今日新豐事若何。師曰。也要道卻。

泉州の李氏の子。雲門に参ず。門が問うた。「今日は甚の処をか離れた。」言った。「慧林。」門が拄杖を挙げて言った。「慧林大師は恁麼に去れり、汝は見るか。」言った。深く此の問を領す、門が左右を顧みて微笑するのみ。師は此より室に入りて印悟した。金陵の主が請いで光睦に居らしめ、未几にして命じて澄心堂に入らしめ、諸方の語要を集めしむ、十稔を経て迎えて洞山に住せしむ。堂を開く日に、維那が槌を白げて言った、「法筵の龍象の衆は、当に第一義を観るべし。」師は言った、「好し箇の消息、只だ恐らくは錯りて会せん。」時に僧有りて問うた。雲門の一曲は師の親しく唱う、今日の新豊の事如何。師は言った、「も要す道い却せんことを。」

蘄州北禪悟通寂禪師

蘄州北禅悟通寂禅師

上堂。拈拄杖曰。過去.未來.現在三世諸佛微塵菩薩。一時在拄杖頭上轉大法輪。盡向諸人鼻孔裡過。還見麼。若見。與我拈將來。若不見。大似立地死漢。良久曰。風恬浪靜。不如歸堂。問僧。甚處來。曰。黃州。師曰。夏在甚處。曰。資福。師曰。福將何資。曰。兩重公案。師曰。爭奈在北禪手裡。曰。在手裡即收取。師便打。僧不甘。師隨後趂出。問。如何是佛。師曰。對面千里。

上堂して、拄杖を拈じて言った。「過去・未来・現在の三世の諸仏と微塵の菩薩は、一時に拄杖頭上に在りて大法輪を轉じ、尽く諸人の鼻孔裏に向かって過ぐ、還た見るか、若し見れば、我に与えて拈げ将て来れ、若し見ざれば、大いに地に立ちて死せる漢に似たり。」良久して言った。「風恬かに浪静かなれば、堂に帰るに如かず。」僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「黄州。」師は言った。「夏は甚の処にか在る。」言った。「資福。」師は言った。「福は何を将て資る。」言った。「両重の公案。」師は言った。「争奈せん北禅の手裏に在るを。」言った。「手裏に在れば即ち収取せよ。」師が便ち打つ。僧は甘んぜず。師が後に随いて趂り出だしつ。問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「対面は千里。」

廬州南天王永平禪師

廬州南天王永平禅師

僧問。如何是西來意。師曰。不撒沙。問。如何是南天王境。師曰。一任觀看。曰。如何是境中人。師曰。且領前話。問。久戰沙場。為甚麼功名不就。師曰。祇為眠霜臥雪深。曰。恁麼則罷息干戈。束手歸朝去也。師曰。指揮使未到你在。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「沙を撒かず。」問う。「如何なるか是れ南天王の境。」師は言った。「観看に一任せよ。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「且く前の話を領け。」問う。「久しく沙場に戦いて、なぜ功名就らざる。」師は言った。「只だ霜に眠り雪に臥すること深きが為なり。」言った。「恁麼ならば則ち干戈を罷め息め、手を束ねて朝に帰りて去るなり。」師は言った。「指揮使は未だ到らずして汝は在り。」

湖南永安朗禪師

湖南永安朗禅師

僧問。如何是洞陽家風。師曰。入門便見。曰。如何是入門便見。師曰。客是主人相師。問。如何是至極之談。師曰。愛別離苦。

僧が問うた。「如何なるか是れ洞陽の家風。」師は言った。「門に入れば便ち見る。」言った。「如何なるか是れ門に入れば便ち見る。」師は言った。「客は是れ主人に師る相。」問う。「如何なるか是れ至極の談。」師は言った。「愛別離の苦。」

湖南湘潭明照禪師

湖南湘潭明照禅師

僧問。如何是湘潭境。師曰。山連大嶽。水接瀟湘。曰。如何是境中人。師曰。便合知時。問。如何是佛法大意。師曰。百惑謾勞神。

僧が問うた。「如何なるか是れ湘潭の境。」師は言った。「山は大岳に連なり、水は瀟湘に接す。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「便ち時を知るに合す。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「百の惑いは谩りに神を労す。」

西川青城大面山乘禪師

西川青城大面山乗禅師

僧問。如何是相輪峰。師曰。直聳煙嵐際。曰。向上事如何。師曰。入地三尺五。問。如何是佛法大意。師曰。興義門前𭽸鼕鼓。曰。學人不會。師曰。朝打三千。暮打八百。

僧が問うた。「如何なるか是れ相輪峰。」師は言った。「直に烟嵐の際に聳ゆ。」言った。「向上の事如何。」師は言った。「地に入ること三尺五。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「興義門前の𭽸冬の皷。」言った。「学人は会せず。」師は言った。「朝に三千を打ち、暮に八百を打つ。」

興元府普通封禪師

興元府普通封禅師

僧問。今日一會。何似靈山。師曰。震動乾坤。問。如何是普通境。師曰。庭前有竹三冬秀。戶內無燈午夜明。

僧が問うた。「今日の一会は、霊山に何ぞ似たる。」師は言った。「乾坤を震動す。」問う。「如何なるか是れ普通の境。」師は言った。「庭前に竹有りて三冬秀で、戸内に灯無くして午夜明らかなり。」

韶州燈峰淨源真禪師

韶州灯峰浄源真禅師

上堂。古人道。山河大地普真如。大眾若得真如。即隱卻山河大地。若不得。即違古人至言。眾中道得者出來道看。若道不得。不如各自歸堂。珍重。僧問。達磨未來時如何。師曰。三家村裡。兩兩三三。曰。來後如何。師曰。千斜不如一直。問。諸法寂滅相即不問。如何是世間相。師曰。真不掩假。問。如何是和尚為人一句。師曰。不著力。

上堂して言った。「古人は道う、山河大地は普く真如なりと。大衆は若し真如を得ば、即ち山河大地を隠却せん、若し得ざれば、即ち古人の至言に違う、衆中に道い得る者は出でて来りて道いて看よ、若し道うを得ざれば、各々自ら堂に帰るに如かず、珍重せよ。」僧が問うた。「達磨未だ来らざる時如何。」師は言った。「三家村裏に、両两三三。」言った。「来りし後如何。」師は言った。「千の斜めは一直に如かず。」問う。諸法の寂滅の相は即ち問わず、如何なるか是れ世間の相。師は言った。「真は仮を掩わず。」問う。「如何なるか是れ和尚の人と為る一句。」師は言った。「力を著けず。」

韶州大梵圓禪師

韶州大梵円禅師

因見聖僧。乃問僧。此箇聖僧年多少。僧曰。恰共和尚同年。師喝曰。這竭鬥不易道得。

聖僧を見るに因りて、乃ち僧に問うた。「此の箇の聖僧は年多少。」僧は言った。「恰も和尚と同年を和す。」師が喝して言った。「這の竭斗は道い得るに易からず。」

澧州藥山圓光禪師

澧州薬山円光禅師

僧問。藥嶠燈聯。師當第幾。師曰。相逢盡道休官去。林下何曾見一人。問。水陸不涉者。師還接否。師曰。蘇嚕蘇嚕。師問新到。南來北來。曰。北來。師曰。不落言詮。速道。速道。曰。某甲是福建道人。善會鄉談。師曰。參眾去。僧曰。灼然。師曰。更𨁝跳便打。問。如何是祖師西來意。師曰。道甚麼。

僧が問うた。「薬峤は灯連ねり、師は当に第几に当たる。」師は言った。「相逢えば尽く道う官を休して去る、林下に何ぞ曾て一人を見ん。」問う。「水陸に渉らざる者は、師は還た接するや否や。」師は言った。「蘇嚕蘇嚕。」師が新到に問うた。「南より来たか北より来たか。」言った。「北来。」師は言った。「言詮に落ちず、速かに道え、速かに道え。」言った。「某甲は是れ福建の道人にして、善く郷談を会す。」師は言った。「衆に参せよ。」僧は言った。「灼然。」師は言った。「更に𨁝跳せば便ち打つ。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「何をか道う。」

信州鵝湖雲震禪師

信州鵝湖雲震禅師

僧問。如何是佛。師曰。闍黎不是。問僧。近離甚處。曰。兩浙。師曰。還將得吹毛劒來否。僧展兩手。師曰。將謂是箇爛柯仙。元來卻是樗蒲漢。問。如何是鵝湖家風。師曰。客是主人相師。曰。恁麼則謝師周旋去也。師曰。難下陳蕃之榻。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「闍黎は是ならず。」僧に問うた。「近く甚の処をか離れた。」言った。「両浙。」師は言った。「還た吹毛の剣を将て来たるか否。」僧が両の手を展べれば、師は言った。「箇の爛柯の仙と将に謂わんとせしに、元来却って是れ樗蒲の漢。」問う。「如何なるか是れ鵝湖の家風。」師は言った。「客は是れ主人に師る相。」言った。「恁麼ならば則ち師の周旋を謝して去るなり。」師は言った。「陳蕃の榻を下し難し。」

廬山開先清耀禪師

盧山開先清耀禅師

僧問。如何是燈燈不絕。師曰。青楊飜遞植。曰。學人不會。師曰。無根樹下唱虗名。問。披雲一句師親唱。長慶今朝事若何。師曰。家家觀世音。問。如何是披雲境。師曰。一缾淥水安牕下。便當生涯度幾秋。曰。如何是長慶境。師曰。堂裡老僧頭雪白。曰。二境同歸。應當別理。師曰。在處得人疑。問。古㵎寒泉。誰人能到。師曰。乾。曰。恁麼則到也。師曰。深多少。

僧が問うた。「如何なるか是れ灯灯絶えざる。」師は言った。「青楊は飜えて递に植ゆ。」言った。「学人は会せず。」師は言った。「根無き樹の下に虚名を唱う。」問う。「披雲の一句は師の親しく唱う、長慶の今朝の事如何。」師は言った。「家々の観世音。」問う。「如何なるか是れ披雲の境。」師は言った。「一缾の渌水は窓下に安んじ、便ち当に生涯を度ること几秋ぞ。」言った。「如何なるか是れ長慶の境。」師は言った。「堂裏の老僧は頭は雪白。」言った。「二境は帰を同じくす、当に別の理有るべし。」師は言った。「処に在りて人の疑いを得る。」問う。「古㵎の寒泉は、誰人か能く到らん。」師は言った。「干。」言った。「恁麼ならば則ち到れり。」師は言った。「深さは多少。」

襄州奉國清海禪師

襄州奉国清海禅師

僧問。青青翠竹。盡是真如。如何是真如。師曰。點鐵成金客。聞名不見形。曰。恁麼則禮謝去也。師曰。昔時妄想。至今猶存。問。承古有云。見月休觀指。歸家罷問程。如何是家。師曰。試舉話頭看。問。放過即東道西說。不放過怎生道。師曰。二年同一春。

僧が問うた。「青青たる翠竹は、尽く是れ真如、如何なるか是れ真如。」師は言った。「鉄を点じて金と成す客は、名を聞きて形を見ず。」言った。「恁麼ならば則ち礼して謝して去るなり。」師は言った。「昔時の妄想は、至今猶お存す。」問う。「承く古に云う有り、月を見て指を観るを休め、家に帰りて程を問うを罷む、如何なるか是れ家。」師は言った。「試しに話頭を挙げて看よ。」問う。放過せば即ち東に道い西に説く、放過せざれば怎生に道わん。師は言った。「二年は一春を同じくす。」

韶州慈光禪師

韶州慈光禅師

僧問。即心即佛。誘誨之言。不涉前蹤。如何指教。師曰。東西且置。南北事作麼生。曰。恁麼則學人罔測去也。師曰。龍頭蛇尾。

僧が問うた。「即心即仏は、誘誨の言にして、前の蹤に渉らず、如何に指教せん。」師は言った。「東西は且く置き、南北の事は作麼生。」言った。「恁麼ならば則ち学人は罔く測らずして去るなり。」師は言った。「龍頭蛇尾。」

韶州雙峰慧真禪師

韶州双峰慧真禅師

僧問。如何是和尚非時為人一句。師曰。吃棒得也未。僧禮拜。師便打。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の非時に人と為る一句。」師は言った。「棒を喫うを得たるや未だや。」僧が礼拝すれば、師が便ち打つ。

潭州保安師密禪師

潭州保安師密禅師

僧問。輥芥投針時如何。師曰。落在甚麼處(梁山雲。落在汝眼裡)。問。不犯詞鋒時如何。師曰。天台南嶽。曰。便恁麼去時如何。師曰。江西湖南。

僧が問うた。「芥を辊りて針に投ずる時如何。」師は言った。「何の処にか落ちる(梁山の云う、汝の眼裏に落ちたと)。」問う。「詞鋒を犯さざる時如何。」師は言った。「天台南岳。」言った。「便ち恁麼に去る時如何。」師は言った。「江西湖南。」

韶州雲門法球禪師

韶州雲門法球禅師

僧問。如何是西來大道。師曰。當時妄想。至今不絕。問。如何是雲門劒。師曰。長空不匣鋒鋩色。曰。用者又如何。師曰。四海唯清日月明。問。如何是道。師曰。頭上腳下。曰。如何是道中人。師曰。一任東西。問。如何是隨色摩尼珠。師曰。色即不無。作麼生是珠。曰。學人不會。特伸請益。師曰。雲有出山勢。水無投㵎聲。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。香風吹萎花。曰。見後如何。師曰。更雨新好者。

僧が問うた。「如何なるか是れ西来の大道。」師は言った。「当時の妄想は、至今絶えず。」問う。「如何なるか是れ雲門の剣。」師は言った。「長空は鋒鋩の色を匣めず。」言った。「用うる者は又た如何。」師は言った。「四海は唯だ清く日月明らかなり。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「頭上脚下。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。「東西に一任せよ。」問う。「如何なるか是れ色に随う摩尼珠。」師は言った。「色は即ち無きに非ず、作麼生か是れ珠。」言った。「学人は会せず、特に請益を伸べん。」師は言った。「雲は山を出出づる勢有り、水は㵎に投ずる声無し。」問う。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「香風は萎花を吹く。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「更に新好なる者を雨す。」

韶州佛陀山遠禪師

韶州仏陀山遠禅師

僧問。如何是佛。師曰。銅頭鐵額。曰。意旨如何。師曰。簸土颺塵。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「銅頭鉄額。」言った。「意旨如何。」師は言った。「土を簸い塵を飏ぐ。」

連州慈雲山深禪師

連州慈雲山深禅師

僧問。寶鏡當軒時如何。師曰。天地皆失色。問。如何是教外別傳一句。師曰。扣牙恐驚齒。

僧が問うた。「宝鏡は軒に当たる時如何。」師は言った。「天地は皆色を失う。」問う。「如何なるか是れ教外別伝の一句。」師は言った。「牙を扣くは歯を驚かすを恐る。」

廬山化城鑒禪師

盧山化城鑑禅師

僧問。如何是和尚正法眼。師曰。新羅人迷路。上堂。十方薄伽梵。一路涅槃門。諸禪德。且作麼生是涅槃門。莫是山僧這裡聚會少時便為涅槃門麼。莫錯會好。諸禪德總不恁麼會。莫別有商量底麼。山僧這裡早是事不獲已。向諸人恁麼道。已是相鈍置了也。更擬踏步向前。有何所益。諸禪德但自無事。自然安樂。任運天真。隨緣自在。莫用巡他門戶。求覓解會。記憶在心。被他繫縛。不得自在。便被生死之所拘。何時得出頭。可惜光陰倐忽。便是來生。速須努力。時有僧問。生死到來。如何免得。師曰。柴鳴竹𪹼驚人耳。曰。學人不會。請師直指。師曰。家犬聲獰夜不休。問。如何是菩提路。師曰。月照舊房深。問。如何是和尚家風。師曰。不欲說似人。曰。為甚麼卻如此。師曰。家醜不外揚。問。如何是和尚尋常為人底句。師曰。量才補職。曰。恁麼則學人無分也。師曰。心不負人。問。佛法畢竟成得甚麼邊事。師曰。好箇問頭。無人答得。曰。和尚豈無方便。師曰。雲有出山勢。水無投㵎聲。問。如何是向上關棙子。師曰。拔劒攪龍門。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の正法眼。」師は言った。「新羅人は路に迷う。」上堂して言った。「十方の薄伽梵は、一路の涅槃門、諸の禅徳、且く作麼生か是れ涅槃門、莫れ是れ山僧の這裏に聚会少時にして便ち涅槃門と為さんか、錯りて会すること好く莫れ、諸の禅徳は総て恁麼に会せず、莫れ別に商量する底有らんか、山僧の這裏は早く是れ事獲已むを得ずして、諸人に向かって恁麼に道う、已に是れ相鈍置して了れり、更に歩を踏みて前に向かわんと擬すとも、何の益ぞ有らん、諸の禅徳は但だ自ら事無くんば、自ずから安楽にして、運に任りて天真に、縁に随いて自在なれ、他の門戸を巡りて、解会を求覚すること用ゐる莫れ、心に記憶して、他に係縛せられて、自在を得ず、便ち生死の拘う所と為る、何の時にか頭を出でん、惜しむ可し光陰倐忽として、便ち是れ来生、速かに須く努力すべし。」時に僧有りて問うた。「生死の到来するに、如何にして免れん。」師は言った。「柴鳴り竹𪹼は人の耳を驚かす。」言った。「学人は会せず、請う師の直指せんを。」師は言った。「家犬は声に狞れて夜に休まず。」問う。「如何なるか是れ菩提路。」師は言った。「月は旧房の深きを照らす。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「人に似せて説くを欲せず。」言った。「なぜ却って此の如くする。」師は言った。「家醜は外に揚げず。」問う。「如何なるか是れ和尚の尋常に人と為る底の句。」師は言った。「才を量りて職を補す。」言った。「恁麼ならば則ち学人に分無し。」師は言った。「心は人を負かず。」問う。「仏法は畢竟に成じて何の辺の事をか得る。」師は言った、「好し箇の問頭、人の答え得る無し。」好し箇の問頭、人の答え得る無しと言う、師は言った、「雲は山を出づる勢有り、水は㵎に投ずる声無し。」問う、「如何なるか是れ向上の関棙子。」師は言った、「剣を抜きて龍門を攪す。」

廬山護國和尚

盧山護国和尚

上堂曰。有解問話者麼。出來對眾問看。時有僧出禮拜。師曰。來朝更獻楚王看。便歸方丈。上堂。實際理地。不受一塵。佛事門中。不捨一法。又曰。一法若有。毗盧墮在凡夫。萬法若無。普賢失其境界。諸上座。作麼生理論。朝夕恁麼上來。向諸上座說箇甚麼即得。若說三乘十二分教。自有座主律師。若說世諦因緣。又非僧家之所議。若論佛法。從上祖宗。多少佛法。可與評量。總不如是。須知各各當人分上事。作麼生是諸上座分上事。知有底。對眾吐露箇消息。以表平生行腳。參善知識。具爍迦羅目。不被人謾。豈不快哉。還有麼。良久雲。若無人出頭。買賣不當價。徒勞更商量。珍重。僧問。佛未出世時如何。師曰。雲遮海門樹。曰。出世後如何。師曰。擘破鐵圍山。

上堂して言った。「解して問話する者有るか、出でて来りて衆に対して問いて看よ。」時に僧有りて出でて礼拝す。師は言った、「来朝に更に楚王に献じて看よ。」便ち方丈に帰る。上堂して言った、「実際の理地は、一塵を受けず、仏事の門中に、一法を捨てず。」又た言った、「一法若し有らば、毘盧は凡夫に堕在し、万法若し無からば、普賢は其の境界を失う、諸の上座、作麼生に理論せん、朝夕に恁麼に上来りて、諸の上座に向かって箇の何をか説けば即ち得、若し三乗十二分教を説かば、自ら座主律師有り、若し世諦因縁を説かば、又た僧家の議る所に非ず、若し仏法を論ぜば、上よりの祖宗は、多少の仏法か評量する可与き、総て是の如くならず、須知すべし各々当人の分上の事、作麼生か是れ諸上座の分上の事、有るを知る底は、衆に対して箇の消息を吐露して、以て平生の行脚を表せ、善知識を参じて、爍迦羅の目を具して、人に谩られざれば、豈に快ならざらんや、還た有るか。」良久して云う。「若し人の頭を出づる無からば、買売は价に当たらず、徒らに更に商量す、珍重せよ。」僧が問うた。「仏未だ世に出でざる時如何。」師は言った。「雲は海門の樹を遮る。」言った。「世に出でし後如何。」師は言った。「鉄囲山を擘破す。」

廬州天王徽禪師

廬州天王徽禅師

僧問。如何是一大藏教。師曰。高座不曾登。曰。登後如何。師曰。三段不同。今當第一。向下文長。付在來日。東家籬。西家壁。自己分上又作麼生。僧無對。師便打。問。如何是從天降下。師曰。風雨順時。曰。如何是從地湧出。師曰。稻麻竹葦。

僧が問うた。「如何なるか是れ一大蔵教。」師は言った。「高座は曾て登らず。」言った。「登りし後如何。」師は言った。「三段は同じからず、今は当に第一、下へ向かって文長し、来日に付す、東家の籬、西家の壁、自己の分上は又た作麼生。」僧は対無し。師が便ち打つ。問う。「如何なるか是れ天より降り下る。」師は言った。「風雨は時に順う。」言った。「如何なるか是れ地より涌き出づる。」師は言った。「稲麻竹葦。」

廬州慶雲和尚

廬州慶雲和尚

僧問。三乘十二分教即不問。如何是直截根源。師曰。十進九退。曰。如何即是。師曰。何日得休時。問。一言道斷時如何。師曰。未是極則處。曰。如何是極則處。師曰。冬後一陽生。問。諸法實相義。和尚如何說。師曰。口掛東壁上。問。佛令祖令今已委。向上機鋒事若何。師曰。令。曰。學人不曉。如何指示。師曰。收。

僧が問うた。三乗十二分教は即ち問わず、如何なるか是れ根源を直截する。師は言った。「十進九退。」言った、「如何なるか是れ即是。」師は言った、「何の日にか休する時を得ん。」問う、「一言の道断ずる時如何。」師は言った、「未だ是れ極則の処。」言った、「如何なるか是れ極則の処。」師は言った、「冬の後に一陽生ず。」問う、「諸法実相の義を、和尚は如何に説く。」師は言った、「口は東壁上に挂く。」問う、「仏令祖令は今已に委み、向上の機鋒の事如何。」師は言った、「令。」言った、「学人は暁らず、如何に指示せん。」師は言った、「収。」

嶽州永福院朗禪師

岳州永福院朗禅師

問僧。汝是甚處人。曰。荊南人。師曰。還過公安渡也無。曰。過公安渡。師曰。汝何不判公驗。曰。和尚何得特地。師曰。爭奈嶽陽關頭何。僧無語。師便打。

僧に問うた。「汝は是れ甚の処の人ぞ。」言った。「荊南人。」師は言った。「還た公安渡を過ぐるや無しや。」言った。「公安渡を過ぐ。」師は言った。「汝は何ぞ公験を判を判ぜざる。」言った。「和尚は何ぞ特地なるを得。」師は言った。「争奈せん岳陽の関頭を何。」僧は語無し。師が便ち打つ。

郢州芭蕉山弘義禪師

郢州芭蕉山弘義禅師

僧問。如何是最初一句。師曰。舉起分明。曰。如何受持。師曰。蘇嚕悉哩。問。學人非時上來。乞師一接。師曰。汝是甚處人。曰。河北人。師曰。不易過黃河。

僧が問うた。「如何なるか是れ最初の一句。」師は言った。「挙げて分明なり。」言った。「如何に受持せん。」師は言った。「蘇嚕悉哩。」問う。「学人は時に非ずして上来り、乞う師の一接を。」師は言った。「汝は是れ甚の処の人ぞ。」言った。「河北人。」師は言った。「黄河を過ぐるは易からず。」

郢州趙橫山和尚

郢州趙横山和尚

僧問。十二時中如何用心。師曰。長連床上吃粥吃飯。問。如何是諸佛師。師曰。平地看高。

僧が問うた。「十二時中に如何に心を用ゐん。」師は言った。「長連床上に粥を喫い飯を喫す。」問う。「如何なるか是れ諸仏の師。」師は言った。「平地に高きを看る。」

信州西禪欽禪師

信州西禅欽禅師

僧問。如何是函蓋乾坤句。師曰。天上有星皆拱北。曰。如何是截斷眾流句。師曰。大地坦然平。曰。如何是隨波逐浪句。師曰。春生夏長。問。古殿重興時如何。師曰。一回春到一回新。

僧が問うた。「如何なるか是れ乾坤を函葢する句。」師は言った。「天上に星有りて皆北に拱す。」言った。「如何なるか是れ衆流を截断する句。」師は言った。「大地は坦然として平らかなり。」言った。「如何なるか是れ波に随い浪を逐う句。」師は言った。「春は生じ夏は長ず。」問う。「古殿の重ねて興る時如何。」師は言った。「一回の春の到れば一回の新なり。」

廬州南天王海禪師

廬州南天王海禅師

僧問。如何是一體真如。師曰。五郎手裡鐵彈子。問。十度發言九度休時如何。師曰。口邊生荊棘。曰。如何免得此過。師曰。半路好抽身。

僧が問うた。「如何なるか是れ一体の真如。」師は言った。「五郎の手裏の鉄の弾子。」問う。「十度言を発して九度休す時如何。」師は言った。「口辺に荆棘を生ず。」言った。「如何にして此の過を免れん。」師は言った。「半路に抽身するを好しとす。」

掛州覺華普照禪師

桂州覚華普照禅師

僧問。大千世界為甚麼轉身不得。師曰。誰礙闍黎。曰。爭奈轉不得。師曰。無用處。問。聲色二字如何透得。師曰。虗空無變易。日月自紛拏。問。如何是真如涅槃。師曰。秋風聲颯颯。㵎水響潺潺。上堂。總似今日老胡有望。然燈佛不如闍黎。總似今日老胡絕望。闍黎不如然燈佛。於此明得。大地微塵諸佛.西天二十八祖.唐土六祖.天下老宿。一時拈來山僧拄杖頭上轉妙法輪。於此明不得。百千諸佛穿你鼻孔。西天二十八祖透過你髑髏。還知麼。若不知。山僧與你指出。良久曰。山河大地有甚麼過。久立。珍重。

僧が問うた。「大千世界に、なぜ身を轉ずるを得ざる。」師は言った。「誰か闍黎を碍げる。」言った。「争奈せん轉ずるを得ざるを。」師は言った。「用ゐる処無し。」問う。「声色の二字は如何にして透し得る。」師は言った。「虚空に変易無く、日月は自ずから紛拏す。」問う。「如何なるか是れ真如涅槃。」師は言った。「秋風は声颯々たり、㵎水は潺潺と響く。」上堂して言った。「総て今日の老胡に望み有りに似たりとすれば、然灯仏は闍黎に如かず、総て今日の老胡は望み絶えたりとすれば、闍黎は然灯仏に如かず、此に於て明らかなるを得ば、大地の微塵の諸仏・西天の二十八祖・唐土の六祖・天下の老宿は、一時に拈じ来りて山僧の拄杖頭上に妙法輪を轉ず、此に於て明らかなるを得ざれば、百千の諸仏は汝の鼻孔を穿ち、西天の二十八祖は汝の髑髏を透し通る。還た知るか。若し知らざれば、山僧が汝に与えて指し示さん。」良久して言った。「山河大地に何の過か有る、久しく立てり、珍重せよ。」

益州鐵幢覺禪師

益州鉄幢覚禅師

僧問。十二時中如何履踐。師曰。光剃頭。淨洗缽。問。如何是道。師曰。踏著。曰。如何是道中人。師曰。退後三步。問。諸佛出世。當為何事。師曰。截耳臥街。

僧が問うた。「十二時中に如何に履践せん。」師は言った。「光らかに頭を剃り、浄く鉢を洗え。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「踏み著け。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。後ろに三歩を退く。問う。「諸仏は世に出づ、当に何の事をか為すべき。」師は言った。「耳を截りて街に臥す。」

新州延長山和尚(後住龍景山。真身現在)

新州延長山和尚(後に竜景山に住す、真身は現在す)

僧問。如何是和尚家風。師曰。醜拙不可當。曰。客來如何祇待。師曰。瓦盌竹筯。問。從上古聖向甚麼處去。師曰。不在山間。即居樹下。曰。未審成得箇甚麼。師曰。汝還知落處麼。僧無語。師便打。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「醜拙にして当たる可からず。」言った。「客の来たれば如何に只だ待たん。」師は言った。「瓦盌に竹筯。」問う。「上よりの古聖は何の処にか向かって去る。」師は言った。「山間に在らざれば、即ち樹下に居る。」言った。「未だ審らかならず箇の何をか成じ得る。」師は言った。「汝は還た落処を知るか。」僧は語無し。師が便ち打つ。

眉州福化充禪師

眉州福化充禅師

僧問。如何是大人相。師曰。山僧這裡不曾容易對闍黎。曰。如何得相承去。師曰。白雲雖有影。綠竹且無陰。問。天皇也恁麼道。龍潭也恁麼道。未審和尚作麼生道。師曰。汝試道看。曰。比來請益。豈無方便。師曰。將謂是海東舶主。元來是北地番人。問。如何是佛法大意。師曰。十字路頭華表柱。曰。學人不會。乞師再指。師曰。君自行東我向西。

僧が問うた。「如何なるか是れ大人の相。」師は言った。「山僧は這裏にて曾て容易に闍黎に対せず。」言った。「如何にして相承して去るを得ん。」師は言った。「白雲は影有ると雖も、緑竹は且つ陰無し。」問う。「天皇も恁麼に道い、竜潭も恁麼に道う、未だ審らかならず和尚は作麼生に道わん。」師は言った。「汝は試みに道いて看よ。」言った。「比来に請益す、豈に方便無からんや。」師は言った。「海東の舶主と将に謂わんとせしに、元来是れ北地の番人。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「十字路頭の華表の柱。」言った。「学人は会せず、乞う師の再び指せんことを。」師は言った。「君は自ら東に行き我は西に向かう。」

眉州黃龍贊禪師

眉州黄竜賛禅師

僧問。如何是和尚關棙子。師曰。少人踏得著。曰。忽踏得著時如何。師曰。汝試進前看。僧便喝。師便打。問僧。近離甚處。曰。香林。師曰。在彼多少時。曰。六年。師曰。世尊在雪山六年。證無上菩提。汝在香林六年。成得箇甚麼。僧無語。師曰。移廚吃飯漢。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の関棙子。」師は言った。「人の踏み著くること少なし。」言った。「忽ち踏み著くる時如何。」師は言った。「汝は試みに前に進んで看よ。」僧が便ち喝せば、師が便ち打つ。僧に問うた。「近く甚の処をか離れた。」言った。「香林。」師は言った。「彼に在ること多少の時ぞ。」言った。「六年。」師は言った。「世尊は雪山に六年にして、無上菩提を証し、汝は香林に六年にして、箇の何をか成じ得る。」僧は語無し。師は言った。「厨を移して飯を喫う漢。」

衡州大聖院守賢禪師

衡州大聖院守賢禅師

僧問。如何是古佛道場。師曰。五通廟裡沒香爐。問。如何是佛法大意。師曰。南斗七。北斗八。

僧が問うた。「如何なるか是れ古仏の道場。」師は言った。「五通の廟裏に香炉無し。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「南斗は七、北斗は八。」

舒州天柱山和尚

舒州天柱山和尚

上堂曰。莫有作家戰將麼。試出來與山僧相見。時有僧出禮拜。師曰。山僧打退鼓。曰。和尚是甚麼心行。師曰。敗將不戰。問。北斗藏身。意旨如何。師曰。闍黎豈不是荊南人。曰。是。師曰。祇見波瀾起。不測洞庭深。

上堂して言った。「作家の戦将有らんか莫れ、試みに出でて来りて山僧と相見えよ。」時に僧有りて出でて礼拝す。師は言った。「山僧は退皷を打つ。」言った。「和尚は何の心行ぞ。」師は言った。「敗将は戦わず。」問う。「北斗に身を蔵む、意旨如何。」師は言った。「闍黎は豈に是れ荊南人ならざらんや。」言った。「是。」師は言った。「只だ波瀾の起こるを見て、洞庭の深きを測らず。」

韶州雲門山朗上座

韶州雲門山朗上座

自幼肄業講肆。聞僧問雲門。如何是透法身句。門曰。北斗裡藏身。師罔測微旨。遂造雲門。門才見便把住曰。道。道。師擬議。門拓開。乃示頌曰。雲門聳峻白雲低。水急遊魚不敢棲。入戶已知來見解。何勞再舉轢中泥。師因斯大悟。即便禮拜。自此依雲門為上座。僧問。如何是解脫。師曰。穿靴水上行。問。如何是透脫一路。師曰。南贍部州北鬱單越。曰。學人不會。意旨如何。師曰。朝遊羅浮。暮歸檀特。

自ら幼くして講肆に肄業す。僧の雲門に問うを聞く、「如何なるか是れ法身を透る句。」門は言った、「北斗裏に身を蔵む。」師は罔く微旨を測らず、遂に雲門に造る。門が纔かに見れば便ち把住して言った、「道え、道え。」師が議を擬せば、門が拓き開き、乃ち頌を示して言った。雲門は聳峻にして白雲は低し、水急なれば遊魚は棲むを敢てせず、戸に入る已に来解を知る、何ぞ労して再び轢中の泥を挙げん。師は斯に因りて大悟し、即便に礼拝す、此より雲門に依りて上座と為す。僧が問うた。「如何なるか是れ解脱。」師は言った。「靴を穿きて水上を行く。」問う。「如何なるか是れ透脱の一路。」師は言った。「南の贍部州は北の鬱単越。」言った。「学人は会せず、意旨如何。」師は言った。「朝に羅浮を游び、暮に檀特に帰る。」

郢州纂子山菴主

郢州纂子山庵主

僧問。如何是透法身句。師曰。朝看東南。暮看西北。

僧が問うた。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「朝に東南を看、暮に西北を看る。」

青原下八世

青原下八世

白雲祥禪師法嗣

白雲祥禅師法嗣

韶州大歷和尚

韶州大歴和尚

初參白雲。雲舉拳曰。我近來不恁麼也。師領旨禮拜。自此入室。住後。僧問。如何是西來意。師曰。破草鞋。問。如何是無為。師乃擺手。問。施主供養。將何報答。師以手撚髭。曰。有髭即撚。無髭又如何。師曰。非公境界。

初めて白雲に参ず。雲が拳を挙げて言った。「我は近来恁麼ならざるなり。」師は旨を領して礼拝す、此より室に入る。住した後、僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「破れ草鞋。」問う。「如何なるか是れ無為。」師が乃ち手を摆う。問う。「施主の供養は、何を将て報答せん。」師が手を以て髭を撚る。言った。「髭有れば即ち撚る、髭無ければ又た如何。」師は言った。「公の境界に非ず。」

連州寶華和尚

連州宝華和尚

上堂。看天看地。新羅國裡。和南不審。日銷萬兩黃金。雖然如此。猶是少分。又曰。盡十方世界。是箇木羅漢。幡竿頭上道將一句來。又曰。天上龍飛鳳走。山間虎嘯猿啼。拈向鼻孔。道將一句來。問僧。甚處來。曰。大容來。師曰。大容近日作麼生。曰。近來合得一甕醬。師喚沙彌將一椀水來。與這僧照影。因有僧問大容曰。天賜六銖披掛後。將何報答我皇恩。容曰。來披三事衲。歸掛六銖衣。師聞之。乃曰。這老凍齈作恁麼語話。容聞。令人傳語曰。何似奴緣不斷。師曰。比為拋甎。祇圖引玉。師見一僧從法堂堦下過。師乃敲繩床。僧曰。若是這箇。不請拈出。師喜。下地詰之。僧無語。師便打。師有時戴冠子。謂眾曰。若道是俗。且身披袈裟。若道是僧。又頭戴冠子。眾無對。

上堂して言った。「天を看地を看る、新羅国裏に、和南して審かせず、日に万両の黄金を銷す、此の如しと雖も、猶お是れ少分なり。」又た言った。「十方世界を尽くすは、箇の木の羅漢、幡竿頭上に道い将て一句を来れ。」又た言った。「天上は竜飛び鳳走り、山間は虎嘯き猿啼く、鼻孔に拈じ向けて、一句を道い将て来れ。」僧に問うた。「甚の処より来た。」言った。「大容より来た。」師は言った。「大容は近日作麼生。」言った。「近来一瓮の醤を合し得たり。」師が沙弥を喚びて一椀の水を将て来らしめ、這の僧に与えて影を照らさしむ。因りて僧有りて大容に問うて言った、「天は六銖を賜いて披挂せしめし後、何を将て我が皇恩を報答せん。」容は言った、「来りて三事の衲を披き、帰りて六銖の衣を挂く。」師が之を聞き、乃ち言った、「這の老凍齈は恁麼の語話を作す。」容が聞き、人をして語を伝えしめて言った、「何ぞ似ん奴縁の断えざるに。」師は言った、「比に甎を抛つを為して、只だ玉を引かんを図る。」師が一僧の法堂の階下を過ぐるを見て、師が乃ち繩床を敲く。僧は言った、「若し是の箇なれば、拈出を請わず。」師は喜び、地を下りて之を詰めた。僧は語無し。師が便ち打つ。老師は時に冠子を戴き、衆に謂うて言った、「若し俗と道わば、且つ身に袈裟を披き、若し僧と道わば、又た頭に冠子を戴く、衆は対無し。」

韶州月華山月禪師

韶州月華山月禅師

初謁白雲。雲問。業箇甚麼。曰。念孔雀經。雲曰。好箇人家男女。隨鳥雀後走。師聞語驚異。遂依附。久之乃契旨。尋住月華。僧問。如何是月華家風。師曰。若問家風。即答家風。曰。學人問家風。師曰。金銅羅漢。上堂。舉一句語。徧大千界。還有人會得這箇時節麼。試出來道看。要知親切。良久曰。不出頭。是好手。久立。珍重。僧問。如何是祖師西來意。師曰。梁王不識。曰。意旨如何。師曰。隻履西歸。師入京。上堂。有一官人出。禮拜起。低頭良久。師曰。掣電之機。徒勞佇思。有一老宿上法堂。東西顧視曰。好箇法堂。要且無主。師聞。乃召曰。且坐吃茶。宿問曰。玄中最的。猶是龜毛兔角。不向二諦中修。如何密用。師曰。測。宿曰。恁麼則抝折拄杖。割斷草鞋去也。師曰。細而詳之。

初めて白雲に謁す。雲が問うた。「何をか業とする。」言った。「孔雀経を念ず。」雲は言った。「好し箇の人家の男女が、鳥雀の後に随い走る。」師が語を聞きて驚異し、遂に依附す。久之にして乃ち旨に契す。尋いで月華に住す。僧が問うた。「如何なるか是れ月華の家風。」師は言った。「若し家風を問わば、即ち家風を答えよ。」若し家風を問わば、即ち家風を答えよと言う。上堂して言った。「一句の語を挙げて、大千界を徧ませり、還た人の会し得るか這の時節を、試みに出でて道いて看よ、要す親切を知らんことを。」良久して言った。「頭を出でざるは、是れ好手なり、久しく立てり、珍重せよ。」僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「梁王は識らず。」言った。「意旨如何。」師は言った。「隻履は西に帰る。」師が京に入る。上堂して、一の官人有りて出で、礼拝して起ち、頭を低れて良久す。師は言った。「掣電の機は、徒らに佇思す。」一の老宿有りて法堂に上り、東西に顧視して言った、「好し箇の法堂、要すれど且つ主無し。」師が聞き、乃ち召して言った、「且く坐して茶を喫せよ。」宿が問うて言った、「玄中の最的は、猶お是れ亀毛兎角、二諦の中に向かって修せざれば、如何に密用せん。」師は言った、「測。」宿は言った、「恁麼ならば則ち拄杖を抝折し、草鞋を割断して去るなり。」師は言った、「細かにして之を詳ならしめよ。」

南雄州地藏和尚

南雄州地蔵和尚

上堂。僧問。今日供養地藏。地藏還來否。師曰。打開佛殿門。裝香換水。師與大容和尚在白雲開火路。容曰。三道寶堦。何似箇火路。師曰。甚麼處不是。

上堂して、僧が問うた。「今日地蔵を供養す、地蔵は還た来るか否。」師は言った。「仏殿の門を打ち開き、香を装い水を換えよ。」師が大容和尚と白雲に在りて火路を開く。容は言った。「三道の宝階は、箇の火路に何ぞ似たる。」師は言った。「甚の処か是ならざる。」

英州樂淨含𭅕禪師

英州楽浄含𭅕禅師

上堂。良久曰。摩竭提國。親行此令。去卻擔簦。截流相見。僧問。如何是西來意。師曰。側耳無功。問。如何是樂淨家風。師曰。天地養人。問。如何是樂淨境。師曰。有工貪種竹。無暇不栽松。曰。忽遇客來。將何供養。師曰。滿園秋果熟。要者近前甞。問。龍門有意透者如何。師曰。灘下接取。曰。學人不會。師曰。喚行頭來。問。但得本。莫愁末。如何是本。師曰。不要問人。曰。如何是末。師乃竪指。問。如何是樂淨境。師曰。滿月團圓菩薩面。庭前椶樹夜叉頭。僧辭。師問。甚處去。曰。大容去。師曰。大容若問樂淨有何言教。汝作麼生祇對。僧無語。師代雲。但道樂淨近日不肯大容。因普請打籬次。僧問。古人種種開方便門。和尚為甚麼卻攔截。師曰。牢下橛著。

上堂して、良久して言った。「摩竭提国は、親しく此の令を行う、簦を担ぐを去り、流を截りて相見えん。」僧が問うた。「如何なるか是れ西来意。」師は言った。「耳を側むとも功無し。」問う。「如何なるか是れ楽浄の家風。」師は言った。「天地は人を養う。」問う。「如何なるか是れ楽浄の境。」師は言った。「工有りて竹を種ることを貪り、暇無くて松を栽えざること不なり。」言った。「忽ち客の来るに遇わば、何を将て供養せん。」師は言った。「園に満ちて秋果熟す、要する者は前に近づきて甞めよ。」問う。「竜門に意の透る者有らば如何。」師は言った。「灘下に接取せよ。」言った。「学人は会せず。」師は言った。「行頭を喚びて来れ。」問う。「但だ本を得ば、末を愁うる莫れ、如何なるか是れ本。」師は言った。「人に問うこと要せず。」言った。「如何なるか是れ末。」師が乃ち指を竪つ。問う。「如何なるか是れ楽浄の境。」師は言った。「満月の団欒は菩薩の面、庭前の椶樹は夜叉の頭。」僧が辞すれば、師が問うた。「甚の処にか去る。」言った。「大容に去る。」師は言った。「大容が若し問わば楽浄に何の言教有る、汝は作麼生に只だ対せん。」僧は語無し。師が代わりて言った。「但だ道え楽浄は近日大容を肯ぜず、因りて普請に籬を打つ次に在りと。」僧が問うた。「古人は種種に方便の門を開く、和尚はなぜ却って攔截する。」師は言った。「牢く橛を下して著けよ。」

韶州後白雲和尚

韶州後白雲和尚

僧問。古琴絕韻請師彈。師曰。伯牙雖妙手。時人聽者希。曰。恁麼則再遇子期也。師曰。笑發驚絃斷。寧知調不同。問。昔日靈山一會。梵王為主。未審白雲甚麼人為主。師曰。有常侍在。曰。恁麼則法雨霶𩃱。群生有賴。師曰。汝莫這裡賣梔子。

僧が問うた。「古琴の絶韻は請う師の弾かんことを。」師は言った。「伯牙は妙手なりと雖も、時人は聴く者希なり。」言った。「恁麼ならば則ち再び子期に遇うなり。」師は言った。「笑い發して弦を驚かし断たん、寧んぞ知らん調の同じからざるを。」問う。「昔日の霊山の一会は、梵王を主と為せり、未だ審らかならず白雲は何人を主と為す。」師は言った。「常侍有りて在り。」言った。「恁麼ならば則ち法雨霶𩃱として、群生の頼る所有り。」師は言った。「汝は這裏に梔子を売ること莫れ。」

韶州白雲福禪師

韶州白雲福禅師

僧問。如何是佛法的的之意。師曰。直。曰。學人不會。意旨如何。師曰。崖州路上問知音。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏法の的的の意。」師は言った。「直。」言った。「学人は会せず、意旨如何。」師は言った。「崖州の路上に知音を問え。」

德山密禪師法嗣

徳山密禅師法嗣

鼎州文殊應真禪師

鼎州文殊応真禅師

上堂。直鉤釣獰龍。曲鉤釣蝦蟆蚯蚓。還有龍麼。良久曰。勞而無功。僧問。寶劒未出匣時如何。師曰。在甚麼處。曰。出匣後如何。師曰。臂長衫袖短。問。古人拊掌。意旨如何。師曰。家無小使。不成君子。

上堂して言った。「直鉤は狞竜を釣り、曲鉤は蝦蟆蚯蚓を釣る、還た竜有るか。」良久して言った。「労して功無し。」僧が問うた。「宝剣未だ匣を出でざる時如何。」師は言った。「何の処にか在る。」言った。「匣を出でし後如何。」師は言った。「臂は長く衫の袖は短し。」問う。「古人の掌を拊つ、意旨如何。」師は言った。「家に小使無ければ、君子を成らず。」

南嶽南臺勤禪師

南岳南台勤禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。一寸龜毛重七斤。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「一寸の亀毛は重きこと七斤。」

鼎州德山紹晏禪師

鼎州徳山紹晏禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。桃源水遶白雲亭。上堂。一塵才起。大地全收。一毛頭上。師子全身。且道一塵才起。大地全收。須彌山重多少。一毛頭上。師子全身。大海水有幾滴。有人道得。與汝拄杖子。天下橫行。若道不得。須彌山葢卻汝頭。大海水溺卻汝身。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「桃源の水は白雲亭を繞る。」上堂して言った。「一塵纔かに起これば、大地は全く収められ、一毛頭上に、師子の全身、且つ道え一塵纔かに起これば、大地は全く収めらる、須弥山の重さは多少、一毛頭上に、師子の全身、大海の水は几滴有る。人の道い得る有らば、汝に与えて拄杖子を、天下に横行せん、若し道うを得ざれば、須弥山は汝の頭を葢い、大海水は汝の身を溺れん。」

潭州鹿苑文襲禪師

潭州鹿苑文襲禅師

僧問。遠遠投師。請師一接。師曰。五門巷裡無消息。僧良久。師曰。會麼。曰。不會。師曰。長樂坡頭信不通。

僧が問うた。「遠々として師に投じ、請う師の一接を。」師は言った。「五門の巷裏に消息無し。」僧が良久せば、師は言った。「会するか。」言った。「会せず。」師は言った。「長楽坡頭は信通ぜず。」

澧州藥山可瓊禪師

澧州薬山可瓊禅師

上堂。僧出曰。請師答話。師曰。好。曰。還當得也無。師曰。更問。問。巨嶽不曾乏寸土。師今苦口為何人。師曰。延壽也要道過。曰。不伸此問。焉辯我師。師便喝。僧禮拜。師便打。

上堂して、僧が出でて言った。「請う師の答話を。」師は言った。「好し。」言った。「還た当たるを得るや無しや。」師は言った。更に問え。問う。「巨岳は曾て寸土を乏まず、師は今口を苦しめるは何の人の為ぞ。」師は言った。「延寿も要す道い過ぐることを。」言った。此の問を伸べざれば、焉んぞ我が師を弁ぜん。師が便ち喝し、僧が礼拝すれば、師が便ち打つ。

巴陵乾明院普禪師

巴陵乾明院普禅師

僧問。萬行齊修。古人不許。不落功勳。還許也無。師曰。一曰。學人未曉。乞師再指。師曰。二十年後。

僧が問うた。「万行は斉しく修するも、古人は許さず、功勲に落ちざれば、還た許すや無しや。」師は言った。一に説く。言った。「学人は未だ暁らず、乞う師の再び指せんことを。」師は言った。「二十年の後。」

興元府中梁山崇禪師

興元府中梁山崇禅師

僧問。垂絲千尺。意在深潭時如何。師曰。紅鱗掌上躍。

僧が問うた。「糸を垂るること千尺、意は深潭に在る時如何。」師は言った。「紅鱗は掌上に躍る。」

鄂州黃龍志願禪師

鄂州黄竜志願禅師

僧問。迦葉上行衣。何人合得披。師曰。一片燒痕地。春入又逢青。

僧が問うた。「迦葉が行じ上げし衣を、何人か披くに合する。」師は言った。「一片の焼痕の地、春入れば又た青に逢う。」

益州東禪秀禪師

益州東禅秀禅師

僧問。既是善神。為甚麼卻被雷打。師曰。世亂奴欺主。年衰鬼弄人。問。如何是一代時教。師曰。多年故紙。

僧が問うた。「既に是れ善神、なぜ却って雷に打たるる。」師は言った。「世乱れれば奴は主を欺き、年衰えれば鬼は人を弄ぶ。」問う。「如何なるか是れ一代の時教。」師は言った。「多年の故紙。」

鼎州普安道禪師

鼎州普安道禅師

三句頌。函葢乾坤曰。乾坤並萬象。地獄及天堂。物物皆真見。頭頭用不傷。截斷眾流曰。堆山積嶽來。一一盡塵埃。更擬論玄妙。冰消瓦解摧。隨波逐浪曰。辯口利舌問。高低總不虧。還如應病藥。診候在臨時。三句外曰。當人如舉唱。三句豈能該。有問如何事。南嶽與天台。擡薦商量曰。相見不揚眉。君東我亦西。紅霞穿碧落。白日繞須彌。

三句の頌。乾坤を函葢すと説く。「乾坤は万象と并び、地獄は天堂に及ぶ、物物皆真の見、頭頭は用ゐて傷らず。」衆流を截断すと説く。「山を堆み岳を積んで来り、一一尽く塵埃、更に玄妙を論ぜんと擬すれば、氷消え瓦解れ摧く。」波に随い浪を逐うと説く。弁口利舌に問う、「高低は総て虧けず、還た病に応ずる薬の如く、診候は臨時に在り。」三句の外に説く。「当人は挙唱するが如く、三句は豈に該せんや、問う有り如何の事、南岳は天台と、荐を抬りて商量す。」問う有り如何の事、南岳は天台と、荐を抬りて商量して説く、「君は東に我も亦た西、紅霞は碧落を穿ち、白日は須弥を繞る。」

巴陵鑒禪師法嗣

巴陵鑑禅師法嗣

泐潭靈澄散聖

泐潭霊澄散聖

因智門寬禪師問曰。甚處來。師曰。水清月現。門曰。好好借問。師曰。褊衫不染皂。門曰。吃茶去。師有西來意頌曰。因僧問我西來意。我話居山七八年。草履祇栽三箇耳。麻衣曾補兩番肩。東菴每見西菴雪。下㵎長流上㵎泉。半夜白雲消散後。一輪明月到床前。

智門寛禅師の問うを因りて言った。「甚の処より来た。」師は言った。「水清ければ月現ず。」門は言った。好し好し借問す。師は言った。「褊衫は皁に染まず。」門は言った。「茶を喫しに去れ。」師に西来意の頌有りて言った、「僧に因りて我に西来意を問う、我は話す山に居ること七八年、草履は只だ三箇の耳を栽え、麻衣は曾て両番の肩を補う、東庵は毎に西庵の雪を見、下㵎は長に上㵎の泉を流す、半夜に白雲の消散せし後、一輪の明月は床前に到る。」

襄州興化院興順禪師

襄州興化院興順禅師

僧問。如何是和尚深深處。師曰。舉即易。答即難。曰。為甚麼如此。師曰。過去。問。如何是百千妙門。同歸方寸。師曰。水底看夜市。問。如何是向上事。師曰。楚山頭指天。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の深深の処。」師は言った。「挙ぐれば即ち易く、答えれば即ち難し。」言った。「なぜ此の如くする。」師は言った。「過去。」問う。「如何なるか是れ百千の妙門、方寸に同帰する。」師は言った。「水底に夜市を看る。」問う。「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「楚山の頭は天を指す。」

雙泉寬禪師法嗣

双泉寛禅師法嗣

蘄州五祖師戒禪師

蘄州五祖師戒禅師

僧問。如何是佛。師曰。鼻孔長三尺。曰。學人不會。師曰。真不掩偽。曲不藏直。問。如何是道。師曰。點。曰。點後如何。師曰。荊三汴四。問。寶劒未出匣時如何。師曰。看。曰。出匣後如何。師曰。收。問。如何是隨色摩尼珠。師曰。隨。曰。隨後如何。師曰。一箇婆婆兩箇癭。問。得船便渡時如何。師曰。棹在誰人手。僧擬議。師曰。雲有出山勢。水無投㵎聲。上堂。佛病祖病。一時與諸禪德拈向三門外。諸禪德還拈得山僧病也無。若拈得山僧病。不妨見得佛病祖病。珍重。問。如何是祖師西來意。師曰。擔不起。曰。為甚麼擔不起。師曰。祖師西來意。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。高問低對。曰。見後如何。師曰。風蕭蕭。雨颯颯。上堂。僧問。名喧宇宙知師久。雪嶺家風略借看。師曰。未在更道。僧展兩手。師便打。僧禮拜。師竪起拄杖曰。大眾會麼。言不再舉。令不重行。便下座。問僧。近離甚處。曰。東京。師曰。還見天子也無。曰。常年一度出金明池。師曰。有禮可恕。無禮難容。出去。智門問曰。暑往寒來即不問。林下相逢事若何。師曰。五鳳樓前聽玉漏。門曰。爭奈主山高。案山低。師曰。須彌頂上擊金鐘。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「鼻孔は長きこと三尺。」言った。「学人は会せず。」師は言った。「真は偽を掩わず、曲は直を蔵めず。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「点。」言った。「点せし後如何。」師は言った。「荊は三、汴は四。」問う。「宝剣未だ匣を出でざる時如何。」師は言った。「看。」言った。「匣を出でし後如何。」師は言った。「収。」問う。「如何なるか是れ色に随う摩尼珠。」師は言った。「随。」言った。「随いし後如何。」師は言った。「一箇の婆婆に両箇の癭。」問う。「船を得て便ち渡る時如何。」師は言った。「棹は誰の人手にか在る。」僧が議を擬せば、師は言った。「雲は山を出づる勢有り、水は㵎に投ずる声無し。」上堂して言った。「仏の病も祖の病も、一時に諸の禅徳に与えて三門外に拈じ向けん、諸の禅徳は還た山僧の病を拈じ得るや無しや、若し山僧の病を拈じ得ば、妨げずして仏の病と祖の病を見るを得ん、珍重せよ。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「担い起こさず。」言った。「なぜ担い起こさざる。」師は言った。「祖師西来意。」問う。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「高く問えば低く対す。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「風は蕭蕭、雨は颯颯。」上堂して、僧が問うた。「名は宇宙に喧しく師を知ること久し、雪嶺の家風を略ぼ借りて看ん。」師は言った。「未だ在り更に道え。」僧が両の手を展べれば、師が便ち打つ。僧が礼拝すれば、師が拄杖を竪起して言った。大衆は会するか、言は再び挙げず、令は重ねて行わず。便ち座を下った。僧に問うた。「近く甚の処をか離れた。」言った。「東京。」師は言った。「還た天子を見るや無しや。」言った。「常年に一度は金明池に出でまする。」師は言った。「礼有れば恕す可し、礼無ければ容れ難し、出でて去れ。」智門が問うて言った。暑往き寒来るは即ち問わず、林下に相逢う事如何。師は言った。「五鳳楼の前に玉漏を聴く。」門は言った。「争奈せん主山は高く案山は低きを。」師は言った。「須弥の頂上に金鐘を撃つ。」

江陵府福昌院重善禪師

江陵府福昌院重善禅師

僧問。如何是正法眼。師曰。夜觀乾象。曰。學人不會。意旨如何。師曰。日裡看山。問。如何是佛法的的大意。師曰。東方甲乙木。曰。恁麼則粉骨碎身也。師曰。易開終始口。難保歲寒心。問。浩浩塵中。如何辯主。師曰。長安天子。塞外將軍。曰。恁麼則權握在手。師曰。不斬無罪人。問。如何是不遷底法。師曰。死人不坐禪。曰。學人不會。意旨如何。師曰。那伽常在定。問。離卻咽喉唇吻。請師速道。師曰。福昌口門窄。曰。和尚為甚麼口門窄。師曰。還我話來。問。如何是離筌蹄底句。師曰。頭大帽子小。曰。意旨如何。師曰。側腳反穿靴。問。金烏東湧。玉兔西沉時如何。師曰。措大不騎驢。曰。恁麼則謝師指南。師曰。更須子細。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。槵子數珠。曰。見後如何。師曰。鐵磬行者。問。未施武藝。便入戰場時如何。師曰。老僧打退鼓。曰。恁麼則展陣開旗去也。師曰。伏惟尚饗。上堂。盡乾坤大地。微塵諸佛。總在福昌這裡。拈拄杖畫一畫。曰。說佛說法。諸禪德若也會得。出來與汝證據。若也不會。花須連夜發。莫待曉風吹。便下座。

僧が問うた。「如何なるか是れ正法眼。」師は言った。「夜に乾象を観る。」言った。「学人は会せず、意旨如何。」師は言った。「日裏に山を看る。」問う。「如何なるか是れ仏法の的の大意。」師は言った。「東方の甲乙の木。」言った。「恁麼ならば則ち骨を粉がい身を砕くなり。」師は言った。「終始の口を開くは易く、歳寒の心を保つは難し。」問う。「浩浩の塵中に、如何に主を弁ぜん。」師は言った。「長安の天子、塞外の将軍。」言った。「恁麼ならば則ち権を手に握るなり。」師は言った。「罪無き人を斬らず。」問う。「如何なるか是れ遷らざる底の法。」師は言った。「死人は禅を坐せず。」言った。「学人は会せず、意旨如何。」師は言った。「那伽は常に定に在り。」問う。「咽喉唇吻を離れ却て、請う師の速かに道わんことを。」師は言った。「福昌の口門は窄し。」言った。「和尚はなぜ口門の窄き。」師は言った。「我に話を還して来れ。」問う。「如何なるか是れ筌蹄を離るる底の句。」師は言った。「頭は大に帽子は小。」言った。「意旨如何。」師は言った。「脚を側せて靴を反りて穿く。」問う。「金烏は東に涌き、玉兎は西に沈む時如何。」師は言った。「措大は驢に騎らず。」言った。「恁麼ならば則ち師の指南を謝せん。」師は言った。「更に須く子細たるべし。」問う。「牛頭が未だ四祖に見えざる時如何。」師は言った。「槵子の数珠。」言った。「見えし後如何。」師は言った、「鉄磬の行者。」問う、「未だ武芸を施さずして、便ち戦場に入る時如何。」師は言った、「老僧は退皷を打つ。」言った、「恁麼ならば則ち陣を展べ旗を開きて去るなり。」師は言った、「伏して惟れ尚く饗けたまえ。」上堂して言った、「乾坤大地を尽くし、微塵の諸仏は、総て福昌の這裏に在り、拄杖を拈じて一画きて言った、仏を説き法を説く、諸の禅徳は若しも会し得ば、出でて来りて汝に与えて証拠せん、若しも会せざれば、花は須く夜に連ねて発くべく、暁風の吹くを待つこと莫れ。」便ち座を下った。

蘄州四祖志諲禪師

蘄州四祖志𬤇禅師

僧問。如何是透法身句。師曰。多年松樹老𥻘皴。問。葉落歸根時如何。師曰。一歲一枯榮。

僧が問うた。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「多年の松樹は老けて𥻘皴す。」問う。「葉落ちて根に帰る時如何。」師は言った。「一歳に一の枯栄。」

襄州興化奉能禪師

襄州興化奉能禅師

僧問。如何是佛。師曰。髮長僧貌醜。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「髪は長く僧貌は醜し。」

唐州天睦山慧滿禪師

唐州天睦山慧満禅師

僧問。如何是佛。師曰。多年桃核。曰。意旨如何。師曰。打破裡頭人。問。如何是祖師西來意。師曰。三年逢一閏。曰。合談何事。師曰。九日是重陽。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「多年の桃核。」言った。「意旨如何。」師は言った。「裏頭の人を打破す。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「三年に一閏に逢う。」言った。「合して談ずるは何の事ぞ。」師は言った。「九日は是れ重陽。」

鄂州建福智同禪師

鄂州建福智同禅師

僧問。如何是透法身句。師曰。鸚鵡慕西秦。僧禮拜。師曰。聽取一頌。雲門透法身。法身何許人。鴈回沙塞北。鸚鵡慕西秦。

僧が問うた。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「鸚鵡は西秦を慕う。」僧が礼拝すれば、師は言った。「一頌を聴取せよ。雲門は法身を透す、法身は何許の人ぞ、雁は沙塞の北に回り、鸚鵡は西秦を慕う。」

襄州延慶宗本禪師

襄州延慶宗本禅師

僧問。魚未跳龍門時如何。師曰。擺手入長安。曰。跳過後如何。師曰。長安雖樂。

僧が問うた。「魚未だ竜門を跳ばざる時如何。」師は言った。「手を摆りて長安に入る。」言った。「跳び過ぎし後如何。」師は言った。「長安は楽なりと雖も。」

鼎州大龍山炳賢禪師

鼎州大竜山炳賢禅師

僧問。昔日先師語。如何透法身。師曰。萬仞峰前句。不與白雲齊。問。如何是動乾坤句。師曰。透出龍宮飜大海。掌開日月倒須彌。問。如何是出家人。師曰。深。曰。如何是出家法。師曰。苦。

僧が問うた。「昔日の先師の語、如何に法身を透る。」師は言った。「万仞の峰前の句、白雲と斉しからず。」問う。「如何なるか是れ乾坤を動かす句。」師は言った。「竜宮を透り出でて大海を飜し、掌を開きて日月は須弥を倒す。」問う。「如何なるか是れ出家の人。」師は言った。「深。」言った。「如何なるか是れ出家の法。」師は言った。「苦。」

自巖上座

自巌上座

僧問。如何是無縫塔。師曰。甎瓦泥土。曰。如何是塔中人。師曰。含齒戴髮。問。如何是大人相。師曰。不曾作模樣。曰。如何是老人相。師曰。無力把拄杖。問。洞山麻三斤。意旨如何。師曰。八十婆婆不粧梳。

僧が問うた。「如何なるか是れ無縫の塔。」師は言った。「甎瓦泥土。」言った。「如何なるか是れ塔中の人。」師は言った。「歯を含み髪を戴く。」問う。「如何なるか是れ大人の相。」師は言った。「曾て模様を作さず。」言った。「如何なるか是れ老人の相。」師は言った。「力無くて拄杖を把る。」問う。「洞山の麻三斤、意旨如何。」師は言った。「八十の婆婆は粧梳せず。」

香林遠禪師法嗣

香林遠禅師法嗣

隨州智門光祚禪師(先住北塔)

随州智門光祚禅師(先に北塔に住す)

僧問。如何是佛。師曰。踏破草鞋赤腳走。曰。如何是佛向上事。師曰。拄杖頭上挑日月。問。如何是祖師西來意。師曰。眼不見鼻。曰。便恁麼領會時如何。師曰。鼻孔裡呷羹。問。曹谿路上還有俗談也無。師曰。六祖是盧行者。問。一切智智清淨。還有地獄也無。師曰。閻羅王是鬼做。上堂。一法若有。毗盧墮在凡夫。萬法若無。普賢失其境界。正當恁麼時。文殊向甚麼處出頭。若也出頭不得。金毛師子腰折。幸好一盤飯。莫待糝椒薑。上堂。山僧記得。在母胎中有一則語。今日舉似大眾。諸人不得作道理商量。還有人商量得麼。若商量不得。三十年後不得錯舉。問。如何是清淨法身。師曰。滿眼是埃塵。問。古鏡未磨時如何。師曰。也祇是箇銅片。曰。磨後如何。師曰。且收取。問。如何是般若體。師曰。蚌含明月。曰。如何是般若用。師曰。兔子懷胎。問。金剛眼中著得箇甚麼。師曰。一把沙。曰。為甚麼如此。師曰。非公境界。問。如何是無縫塔。師曰。四稜著地。曰。如何是塔中人。師曰。鼻孔三斤秤不起。問。蓮花未出水時如何。師曰。蓮花。曰。出水後如何。師曰。荷葉。上堂。汝等諸人橫擔拄杖。出一叢林。入一叢林。你道叢林有幾種。或有旃檀叢林。旃檀圍繞。或有荊棘叢林。荊棘圍繞。或有荊棘叢林。旃檀圍繞。或有旃檀叢林。荊棘圍繞。祇如四種叢林。是汝諸人在阿那箇叢林裡安身立命。若無安身立命處。虗踏破草鞋。閻羅王徵你草鞋錢有日在。上堂。雪峰輥毬。羅漢書字。歸宗斬蛇。大隨燒畬。且道明甚麼邊事。還有人明得麼。試道看。若明不得。所以道。斬蛇須是斬蛇手。燒畬須是燒畬人。瞥起情塵生妄見。眼裡無筋一世貧。上堂。赫日裡我人。雲霧裡慈悲。霜雪裡假褐。雹子裡藏身。還藏得身麼。若藏不得。卻被雹子打破髑髏。上堂。東家李四婆。西家來乞火。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「草鞋を踏破して赤脚に走る。」言った。「如何なるか是れ仏の向上の事。」師は言った。「拄杖頭上に日月を挑む。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「眼は鼻を見ず。」言った。「便ち恁麼に領会する時如何。」師は言った。「鼻孔裏に羹を呷す。」問う。「曹谿の路上に還た俗談有るや無しや。」師は言った。「六祖は是れ盧行者。」問う。「一切智智は清浄にして、還た地獄有るや無しや。」師は言った。「閻羅王は鬼の作る所。」上堂して言った。「一法若し有らば、毘盧は凡夫に堕在し、万法若し無からば、普賢は其の境界を失う、正に恁麼の時に当たりて、文殊は何の処にか向かって頭を出づ、若しも頭を出づるを得ざれば、金毛の師子は腰折れ、幸に一盤の飯を好し、糁椒姜を待つこと莫れ。」上堂して言った。「山僧の記得するに、母胎中に一則の語有り、今日大衆に挙似す、諸人は道理を作して商量することを得ず、還た人の商量し得るか、若し商量すを得ざれば、三十年の後に錯りて挙げることを得ず。」問う。「如何なるか是れ清浄法身。」師は言った。「眼に満つるは是れ埃塵。」問う。「古鏡未だ磨かざる時如何。」師は言った。「也只だ是れ箇の銅片。」言った。「磨きし後如何。」師は言った。「且く収取せよ。」問う。「如何なるか是れ般若の体。」師は言った。「蚌は明月を含む。」言った。「如何なるか是れ般若の用。」師は言った。「兎子は胎を懐く。」問う。「金剛の眼中に箇の何をか著け得る。」師は言った。「一把の沙。」言った。「なぜ此の如くする。」師は言った。「公の境界に非ず。」問う。「如何なるか是れ無縫の塔。」師は言った。「四棱は地に著く。」言った。「如何なるか是れ塔中の人。」師は言った。「鼻孔は三斤も秤り起こさず。」問う。「蓮華未だ水を出でざる時如何。」師は言った。「蓮華。」言った。「水を出でし後如何。」師は言った。「荷葉。」上堂して言った。「你ら諸人は横に拄杖を担いで、一の叢林を出で、一の叢林に入る、你は道え叢林に几种有る、或は旃檀の叢林にして旃檀の囲繞し、或は荆棘の叢林にして旃檀の囲繞し、或は旃檀の叢林にして荆棘の囲繞し、或は旃檀の叢林にして荆棘の囲繞す、只だ如し四種の叢林、是れ你の諸人は阿那箇の叢林裏に身を安んじ命を立つ、若し身を安んじ命を立つる処無からば、虗しく草鞋を踏破して、閻羅王は你の草鞋の銭を徴する日有らん。」上堂して言った。雪鋒は毬を辊り、羅漢は字を書き、帰宗は蛇を斬り、大随は畬を焼く、且つ道え何の辺の事をか明かす、還た人の明らかに得るか、試みに道いて看よ、若し明らかに得ざれば、是の故に道う、蛇を斬るには須く是れ蛇を斬るの手、畬を焼くには須く是れ畬を焼くの人、瞥然として情塵を起こし妄見を生ぜば、眼裏に筋無ければ一世は貧なり。上堂して言った。「赫日裏に我人、雲霧裏に慈悲、霜雪裏に仮褐、雹子裏に身を蔵む、還た身を蔵し得るか、若し蔵むを得ざれば、却って雹子に髑髏を打破せられん。」上堂して言った。「東家の李四婆は、西家に来りて火を乞う。」

門外立少時。嗔他停滯我。惡發走歸家。虗心屋裡坐。可憐群小兒。終日受饑餓。有眼不點睛。空鏁髑髏破。

門外に立つこと少時、他の停滯するを嗔って我れ、悪を發して走りて家に帰る、虚心して屋裏に坐す、憐む可し群の小児、終日に飢餓を受く、眼有りて睛を点ぜず、空しく髑髏を鏁りて破らん。

灌州羅漢和尚

灌州羅漢和尚

僧問。如何是佛。師曰。牛頭阿旁。曰。如何是法。師曰。劒樹刀山。問。如何是佛法大意。師曰。井中紅燄。日裡浮漚。曰。如何領會。師曰。遙指扶桑日那邊。問。如何是本來心。師曰。蹉過了也。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「牛頭の阿旁。」言った。「如何なるか是れ法。」師は言った。「剣樹刀山。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「井中の紅燄、日裏の浮沤。」言った。「如何に領会せん。」師は言った。「遥かに扶桑の日の那辺を指す。」問う。「如何なるか是れ本来の心。」師は言った。「蹉過して了れり。」

灌州青城香林信禪師

灌州青城香林信禅師

僧問。覿面相呈時如何。師曰。築著孔鼻。

僧が問うた。「覿面に呈する時如何。」師は言った。「孔鼻に筑き著く。」

洞山初禪師法嗣

洞山初禅師法嗣

潭州福嚴良雅禪師

潭州福厳良雅禅師

居洞山第一座。山參次。僧出問。如何是佛。山答曰。麻三斤。參罷。山至寮謂師曰。我今日答這僧話。得麼。曰。恰值某淨髮。山曰。你元來作這去就。拂袖便出。師曰。這老漢將謂我明他這話頭不得。因作偈呈曰。五彩畫牛頭。黃金為點額。春晴二月初。農人皆取則。寒食賀新正。鐵錢三五百。山見。深肯之。住福嚴日。僧問。如何是和尚家風。師曰。入門便見。

洞山の第一座に居る。山が参ずる次に、僧が出でて問うた、「如何なるか是れ仏。」山が答えて言った、「麻三斤。」参じ罷めて、山が寮に至りて師に謂うて言った、「我は今日這の僧の話に答えたるを得たるか。」言った、「恰も某が浄髪するに値う。」山は言った、「你は元来這の去就を作す。」袖を拂いて便ち出づ。師は言った、「這の老汉は我が他の這の話頭を明かすを得ざると将に謂わんとす。」因りて偈を作りて呈して言った、「五彩は牛頭を画き、黄金は額を点じて為す、春晴れる二月初に、農人は皆則を取り、寒食に新正を賀す、鉄銭は三五百。」山が見て、深く之を肯す。福厳に住する日に、僧が問うた、「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った、「門に入れば便ち見る。」

荊南府開福德賢禪師

荊南府開福徳賢禅師

僧問。去離不得時如何。師曰。子承父業。問。如何是衲僧活計。師曰。耳裡種田。上堂。不用思而知。不用慮而解。知解俱泯。合談何事。良久曰。一葉落。天下秋。問。承和尚有言。隔江招手。意旨如何。師曰。被裡張帆。曰。恁麼則南山起雲。北山下雨去也。師曰。踏不著。

僧が問うた。「去離するを得ざる時如何。」師は言った。「子は父の業を承く。」問う。「如何なるか是れ衲僧の活計。」師は言った。「耳裏に田を種る。」上堂して言った。「思を用ゐずして知り、慮を用ゐずして解す、知解は俱に泯ず、合して談ずるは何の事ぞ。」良久して言った。「一葉落ち、天下は秋。」問う。「承く和尚に言有り、江を隔てて手を招く、意旨如何。」師は言った。「被裏に帆を張る。」言った。「恁麼ならば則ち南山は雲を起こし、北山は雨を下して去るなり。」師は言った。「踏み著かず。」

潭州報慈嵩禪師

潭州報慈嵩禅師

僧問。北斗藏身。意旨如何。師曰。百歲老人入漆甕。

僧が問うた。「北斗に身を蔵む、意旨如何。」師は言った。「百歳の老人は漆瓮に入る。」

嶽州乾明睦禪師

岳州乾明睦禅師

問洞山。停機罷賞時如何。山曰。水底弄傀儡。師曰。誰是看翫者。山曰。停機罷賞者。師曰。恁麼則知音不和也。山曰。知音底事作麼生。師曰。大盡三十日。山曰。未在更道。師曰。某甲合吃和尚手中痛棒。山休去。問。昔日靈山記。今朝嗣阿誰。師曰。楚山突兀。漢水東流。曰。恁麼則洞山的嗣也。師曰。聽事不真。喚鐘作甕。

洞山に問うた。「機を停め賞を罷む時如何。」山は言った。「水底に傀儡を弄ぶ。」師は言った。「誰か是れ看玩する者。」山は言った。「機を停め賞を罷む者。」師は言った。「恁麼ならば則ち知音は和せざるなり。」山は言った。「知音の底の事は作麼生。」師は言った。「大尽は三十日。」山は言った。「未だ在り更に道え。」師は言った。「某甲は当に和尚の手中の痛き棒を喫うべし。」山は休して去る。問う。「昔日の霊山の記、今朝は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「楚山は突兀、漢水は東流す。」言った。「恁麼ならば則ち洞山の的嗣なり。」師は言った。「事を聴くこと真ならず、鐘を喚びて瓮と作す。」

鄧州廣濟院同禪師

鄧州広済院同禅師

僧問。萬緣息盡時如何。師曰。三腳蝦蟇飛上天。問。如何是透法身句。師曰。華嶽三峰小。曰。此意如何。師曰。黃河輥底流。

僧が問うた。「万縁の息み尽きる時如何。」師は言った。「三脚の蝦蟆は天に飛び上がる。」問う。「如何なるか是れ法身を透る句。」師は言った。「華岳の三峰は小。」言った。「此の意如何。」師は言った。「黄河は底を辊りて流る。」

韶州東平山洪教禪師

韶州東平山洪教禅師

僧問。如何是向上關。師竪起拂子。僧曰。學人未曉。乞師再指。師曰。非公境界。曰。和尚豈無方便。師曰。再犯不容。

僧が問うた。「如何なるか是れ向上の関。」師が拂子を竪起す。僧は言った。「学人は未だ暁らず、乞う師の再び指せんことを。」師は言った。「公の境界に非ず。」言った。「和尚は豈に方便無からんや。」師は言った。「再び犯せば容れず。」

泐潭謙禪師法嗣

泐潭謙禅師法嗣

䖍州丫山宗盛禪師

虔州丫山宗盛禅師

上堂。鐘聲清。鼓聲響。早晚相聞休妄想。薦得徒勞別問津。莫道山僧無伎倆。咄。

上堂して言った。「鐘声は清く、皷声は響き、早晚は相聞きて妄想すること休め、薦し得れば徒らに労して別に津を問う、莫れ道う山僧に伎倆無しと、咄。」

奉先深禪師法嗣

奉先深禅師法嗣

天台蓮華峰祥菴主

天台蓮華峰祥庵主

僧問。如何是雪嶺泥牛吼。師曰。聽。曰。如何是雲門木馬嘶。師曰。響。示寂曰。拈拄杖示眾曰。古人到這裡。為甚麼不肯住。眾無對。師乃曰。為他途路不得力。復曰。畢竟如何。以杖橫肩曰。楖栗橫擔不顧人。直入千峰萬峰去。言畢而逝。

僧が問うた。「如何なるか是れ雪嶺の泥牛の吼る。」師は言った。「聴け。」言った。「如何なるか是れ雲門の木馬の嘶く。」師は言った。「響。」示寂して言った。拄杖を拈じて衆に示して言った、「古人は這裏に到りて、なぜ住を肯ぜざる。」衆は対無し。師が乃ち言った、「他の途路にして力を得ざるが為なり。」復た言った、「畢竟に如何。」杖を以て肩に横たえて言った、「楖栗は横に担いで人を顧みず、直に千峰万峰に入りて去る。」言い畢りて逝けり。

江州崇聖御禪師

江州崇聖御禅師

僧問。如何是學人受用三昧。師曰。橫擔拄杖。曰。意旨如何。師曰。步步踏實。

僧が問うた。「如何なるか是れ学人の受用の三昧。」師は言った。「拄杖を横に担げ。」言った。「意旨如何。」師は言った。「歩歩に実を踏め。」

雙泉鬱禪師法嗣

双泉郁禅師法嗣

鼎州德山慧遠禪師

鼎州徳山慧遠禅師

開堂示眾曰。無量法門悉已具足。然雖如是。且須委悉。始得其餘方便。昔時聖人互出。乃曰。傳燈。爾後賢者差肩。故云繼祖。是以心心相傳。法法相印。且作麼生傳。作麼生印。舉起拂子曰。此乃人天同證。若如是也遞相證明。其或未曉之徒。請垂下問。僧問。如何是祖師西來意。師曰。鐵門路險。解夏上堂。僧問。九旬禁足今已滿。自恣之儀事若何。師曰。猢猻趂蛺蝶。九步作一歇。曰。意旨如何。師示頌曰。兩箇童兒舁木鼓。左邊打了右邊舞。剎那變現百千般。分明示君君記取。問。亡僧遷化。向甚麼處去。師曰。烏龜鑽破壁。上堂。枕石潄流。任運天真。不見古者道。撥霞掃雪和雲母。掘石移松得茯苓。當恁麼時復何言哉。諸禪德要會麼。聽取一頌。雪霽長空。迥野飛鴻。段雲片片。向西向東。

堂を開きて衆に示して言った。「无量の法門は悉く已に具足せり、然れども此の如しと雖も、且つ須く委悉して、始めて其の余の方便を得、昔時の聖人は互いに出でたり。」乃ち言った。「灯を伝う、爾の後の賢者は肩を差し、故に云う祖を継ぐと、是れ以て心は心に相传い、法は法に相印ず、且つ作麼生に伝え、作麼生に印ぜん。」拂子を挙起して言った、「此乃ち人天の同じく証する所、若し是の如くなれば递相に証明せん、其れ或いは未だ暁らざるの徒は、請う下問を垂れんことを。」僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「鉄門の路は険し。」夏を解いて上堂して、僧が問うた。「九旬の禁足は今已に満ち、自恣の儀の事如何。」師は言った。「猢猻は蛺蝶を趂い、九歩して一歇を作す。」言った。「意旨如何。」師が頌を示して言った、「両箇の童児は木の皷を舁き、左辺は打てば右辺は舞う、刹那に変現する百千般、分明に君に示せば君は記え取れ。」問う。「亡僧の遷化するは、何の処にか向かって去る。」師は言った。「烏亀は壁を鑚り破る。」上堂して言った。「石を枕き流れを潄き、運に任りて天真に、古者の道うを見ずや、霞を撥き雪を掃いて雲母を和し、石を掘り松を移して茯苓を得ん、当に恁麼の時に復た何をか言わん、諸の禅徳は会せんと要するか、一頌を聴取せよ、雪霽れて長空に、迥野に飛鴻す。」段の雲は片片として、西に向かい東に向かう。

襄州含珠山彬禪師

襄州含珠山彬禅師

僧問。如何是正法眼。師曰。瞎。問。如何是和尚關棙子。師竪起拂子。僧便喝。師便打。問。如何是三乘教。師曰。上大人。曰。意旨如何。師曰。化三千。

僧が問うた。「如何なるか是れ正法眼。」師は言った。「瞎。」問う。「如何なるか是れ和尚の関棙子。」師が拂子を竪起せば、僧が便ち喝し、師が便ち打つ。問う。「如何なるか是れ三乗教。」師は言った。「上大人。」言った。「意旨如何。」師は言った。「三千を化す。」

披雲寂禪師法嗣

披雲寂禅師法嗣

廬山開先照禪師

盧山開先照禅師

僧問。向上宗乘。乞師垂示。師曰。白雲斷處見明月。曰。猶是學人疑處。師曰。黃葉落時聞擣衣。問。如何是和尚家風。師曰。一條寒㵎木。得力勝兒孫。曰。用者如何。師曰。百雜碎。上堂。叢林規矩。古佛家風。一參一請。一粥一飯。且道明得箇甚麼。祇如諸人心心不停。念念不住。若能不停處停。念處無念。自合無生之理。與麼說話。笑破他人口。參。

僧が問うた。「向上の宗乗を、乞う師の垂示せんことを。」師は言った。「白雲の断えたる処に明月を見る。」言った。「猶お是れ学人の疑う処。」師は言った。「黄葉の落つる時に衣を擣つを聞く。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「一条の寒㵎の木は、力を得て児孫に勝る。」言った。「用うる者は如何。」師は言った。「百の雑砕。」上堂して言った。「叢林の規矩は、古仏の家風、一参一請、一粥一飯、且つ道え箇の何をか明かし得る、只だ如し諸人は心は停まらず、念は住らず、若し能く停まらざる処に停まり、念の処に念無からば、自ずから生無きの理に合せん、恁麼に説話するは、他の人口を笑い破らん、参。」

金陵天寶和尚

金陵天宝和尚

僧問。白雲抱幽石時如何。師曰。非公境界。問。如何是和尚家風。師曰。列半作三。曰。學人未曉。師曰。鼻孔針筒。

僧が問うた。「白雲が幽石を抱く時如何。」師は言った。「公の境界に非ず。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「半を列ねて三を作す。」言った。「学人は未だ暁らず。」師は言った。「鼻孔は針筒。」

舜峰韶禪師法嗣

舜峰韶禅師法嗣

磁州桃園山㬢朗禪師

磁州桃園山曦朗禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。西來若有意。斬下老僧頭。曰。為甚卻如此。師曰。不見道。為法喪軀。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「西来若し意有らば、老僧の頭を斬り下さん。」言った。「甚んか為に却って此の如くする。」師は言った。「見ずや道う、法の為に躯を喪うと。」

安州法雲智善禪師

安州法雲智善禅師

僧問。如何是古佛道場。師曰。山青水綠。

僧が問うた。「如何なるか是れ古仏の道場。」師は言った。「山青し水緑なり。」

般若柔禪師法嗣

般若柔禅師法嗣

藍田縣真禪師

藍田県真禅師

僧問。如何是大定門。師曰。拈柴擇菜。上堂。成山假就於始簣。脩途託至於初步。上座適來從地爐邊來。還與初步同別。若言同。即不會不遷。若言別。亦不會不遷。上座作麼生會。還會麼。這裡不是那裡。那裡不是這裡。且道是一處兩處。是遷不遷。是來去不是來去。若於此顯明得。便乃古今一如初終。自爾念念無常。心心永滅。所以道觀方知彼去。去者不至方。上座適來恁麼來。卻請恁麼去。參。

僧が問うた。「如何なるか是れ大定の門。」師は言った。「柴を拈り菜を択ぶ。」上堂して言った。「山を成すは始篑に仮りて就り、途を修すは初步に托す、上座は適来に地炉辺より来たれり、還た初步と同じか別か、若し同じと言わば、即ち遷らざるを会せず、若し別と言わば、亦た遷らざるを会せず、上座は作麼生に会せん、還た会するか、這裏は是れ那里ならず、那里は是れ這裏ならず、且つ道え是れ一処か両処か、是れ遷か不遷か、是れ来去か来去に非ざるか、若し此に於て明らかに顕るを得ば、便ち乃ち古今は一如に初終なり、自爾して念念は無常、心心は永滅す、是の故に道う、方を観れば彼の去るを知り、去る者は方に至らず、上座は適来に恁麼に来たれり、却って恁麼に去るを請う、参。」

妙勝臻禪師法嗣

妙勝臻禅師法嗣

西川雪峰欽山主

西川雪鋒欽山主

上堂。昨日一。今日二。不用思量。快須瞥地。不瞥地。蹉過平生沒巴鼻。咄。

上堂して言った。「昨日は一、今日は二、思量すること用ゐず、快く須く瞥地すべし、瞥地せざれば、平生に巴鼻無きを蹉過せん、咄。」

薦福古禪師法嗣

荐福古禅師法嗣

和州淨戒守密禪師

和州浄戒守密禅師

僧問。如何是佛。師曰。稽首。稽首。曰。學人有分也無。師曰。頓首。頓首。僧作舞而出。師曰。似則恰似。是即未是。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「稽首、稽首。」言った。「学人に分有るや無しや。」師は言った。「頓首、頓首。」僧が舞を作りて出づれば、師は言った。「似れば則ち恰も似たり、是なれば即ち未だ是ならず。」

清涼明禪師法嗣

清涼明禅師法嗣

吉州西峰雲豁禪師

吉州西峰雲豁禅師

郡之曾氏子。早扣諸方。晚見清涼。問。佛未出世時如何。涼曰。雲遮海門樹。曰。出世後如何。涼曰。擘破鐵圍山。師於言下大悟。涼印可之。歸住寶龍。雲侶駢集。真宗皇帝遣使召至。訪問宗要。留上苑。經時冥坐不食。上嘉異。賜號圓淨。辭歸。珍錫甚隆。皆不受。以詩寵其行。改寶龍曰祥符。旌師之居也。甞有問易中要旨者。師曰。夫神生於無形。而成於有形。從有以至於無。然後能合乎妙圓正覺之道。故自四十九衍。以至於萬有一千五百二十。以窮天下之理。以盡天下之性。不異吾聖人之教也。示寂日。為眾曰。天不高。地不厚。自是時人覷不透。但看臘月二十五。依舊面南看北斗。瞑然而逝。茶毗獲設利建塔。

郡の曽氏の子。早く諸方を扣き、晩に清涼に見え、問う。「仏未だ世に出でざる時如何。」涼は言った。「雲は海門の樹を遮る。」言った。「世に出でし後如何。」涼は言った。「鉄囲山を擘破す。」師が言下に於て大悟し、涼が之を印可す、帰りて宝竜に住す。雲の侶は駢まり集い、真宗皇帝は使を遣わして召し至らしめ、宗要を訪問し、上苑に留めんとす、時を経て冥く坐して食せず、上が嘉し異み、号を円浄と賜う、辞して帰る。珍しき錫は甚だ隆く、皆受けず、詩を以て其の行きを寵す、宝龍を改めて祥符と為す、師の居を旌すなり。甞に易の中の要旨を問う者有り、師は言った、「夫れ神は無形に生じて、有形に成る、有より以て無に至り、然る後に妙円正覚の道に合する能し、故に四十九の衍より、万有一千五百二十に至るに、以て天下の理を窮め、以て天下の性を尽くす、吾が聖人の教に異ならざるなり。」寂を示す日に、衆の為に言った、「天は高からず、地は厚からず、自ずから是れ時人の覘き透らざるなり、但だ臘月の二十五を看よ、依り旧りて南に面して北斗を看る。」瞑然として逝けり、荼毘して設利を獲て塔を建つ。

青原下九世

青原下九世

文殊真禪師法嗣

文殊真禅師法嗣

瑞州洞山曉聰禪師

瑞州洞山暁聡禅師

遊方時在雲居作燈頭。見僧說泗州大聖近在揚州出現。有設問曰。既是泗州大聖。為甚麼卻向揚州出現。師曰。君子愛財。取之以道。後僧舉似蓮華峰祥庵主。主大驚曰。雲門兒孫猶在。中夜望雲居拜之。住後。僧問。達磨未傳心地印。釋迦未解髻中珠。此時若問西來意。還有西來意也無。師曰。六月雨淋淋。寬其萬姓心。曰。恁麼則雲散家家月。春來處處花。師曰。腳跟下到金剛水際是多少。僧無語。師曰。祖師西來。特唱此事。自是上座不薦。所以從門入者。不是家珍。認影迷頭。豈非大錯。既是祖師西來特唱此事。又何必更對眾忉忉。珍重。問。無根樹子向甚麼處栽。師曰。千年常住一朝。僧問。如何是離聲色句。師曰。南贍部洲。北鬱單越。曰。恁麼則學人知恩不昧也。師曰。四大海深多少。問。古鏡未磨時如何。師曰。此去漢陽不遠。曰。磨後如何。師曰。黃鶴樓前鸚鵡洲。問。如何是佛。師曰。理長即就。上堂。教山僧道甚麼即得。古即是今。今即是古。所以楞嚴經道。松直棘曲。鵠白烏玄。還知得麼。雖然如是。未必是松一向直。棘一向曲。鵠便白。烏便玄。洞山道。這裡也有曲底松。也有直底棘。也有玄底鵠。也有白底烏。久立。上堂。僧問。學人進又不得。退又不得時如何。師曰。抱首哭蒼天。僧無語。師曰。汝還知缽盂鐼子落處麼。汝若知得落處。也從汝問。三十年後。驀然問著也不定。上堂。舉寒山雲。井底生紅塵。高峰起白浪。石女生石兒。龜毛寸寸長。若要學菩提。但看此模樣。良久曰。還知落處也無。若也不知落處。看看菩提入僧堂裡去也。久立。上堂。春寒凝冱。夜來好雪。還見麼。大地雪漫漫。春風依舊寒。說禪說道易。成佛成祖難。珍重。上堂。晨雞報曉靈。粥後便天明。燈籠猶瞌睡。露柱卻惺惺。復曰。惺惺直言惺惺。歷歷直言歷歷。明朝後日。莫認奴作郎。珍重。

方を游ぶ時に雲居に在りて灯頭と作す。僧の泗州の大聖が近く揚州に出現するを説くを見て、設問有りて言った、「既に是れ泗州の大聖、なぜ却って揚州に向かって出現する。」師は言った、「君子は財を愛し、之を取るに道を以てす。」後に僧が蓮華峰の祥庵主に挙似せば、主が大いに驚きて言った、雲門の児孫は猶お在り、中夜に雲居を望みて之を拝す。住した後、僧が問うた、「達磨は未だ心地の印を伝えず、釈迦は未だ髻中の珠を解かず、此の時若し西来意を問わば、還た西来意有るや無しや。」師は言った、「六月の雨は淋淋として、其の万姓の心を寛す。」言った、「恁麼ならば則ち雲は散りて家々の月、春来りて処々の花。」師は言った、「脚跟下から金剛の水際に到るは是れ多少。」僧は語無し。師は言った、「祖師の西来は、特に此の事を唱う、自ずから是れ上座の薦まざれば、門より入る者は、是れ家の珍ならず、影を認めて頭に迷う、豈に大錯ならざらんや、既に是れ祖師の西来は特に此の事を唱う、又た何ぞ必ずしも更に衆に対して忉忉せん、珍重せよ。」問う。「根無き樹子は何の処にか向かって栽えん。」師は言った、「千年の常住は一朝。」僧が問うた、「如何なるか是れ声色を離るる句。」師は言った、「南の贍部洲は、北の鬱単越。」言った、「恁麼ならば則ち学人は恩を知りて昧まざるなり。」師は言った、「四大海の深さは多少。」問う、「古鏡未だ磨かざる時如何。」師は言った、「此より漢陽に去ること遠からず。」言った、「磨きし後如何。」師は言った、「黄鶴楼の前の鸚鵡洲。」問う、「如何なるか是れ仏。」師は言った、「理長ければ即ち就く。」上堂して言った、「山僧をして何をか道えば即ち得、古は即ち是れ今、今は即ち是れ古、是の故に楞厳経は道う、松は直く棘は曲り、鵠は白く烏は玄し、還た知り得るか、是の如しと雖も、未だ必ずしも是れ松の一向に直く、棘の一向に曲がるならず、鵠は便ち白、烏は便ち玄なり、洞山は道う、這裏にも曲がる底の松有り、直き底の棘有り、玄き底の鵠有り、白き底の烏有り、久しく立てり。」上堂して、僧が問うた、「学人は進むも又た得ず、退くも又た得ざる時如何。」師は言った、「首を抱きて蒼天に哭く。」僧は語無し。師は言った、「汝は還た鉢盂の鐼子の落処を知るか、汝若し落処を知り得ば、も汝に従いて問え、三十年の後に、蓦然として問い著かるるも定まらず。」上堂して、寒山を挙げて云う、井底に紅塵を生じ、高峰に白浪を起こし、石女は石児を生み、亀毛は寸寸に長し、若し菩提を学ばんと要せば、但だ此の模様を看よ。良久して言った、「還た落処を知るや無しや、若しも落処を知らざれば、看よ看よ菩提は僧堂裏に入りて去るなり、久しく立てり。」上堂して言った、「春の寒さは凝り冱め、夜来の好き雪、還た見るか、大地は雪漫漫として、春風は依り旧りて寒し、禅を説き道を説くは易く、仏を成り祖を成るは難し、珍重せよ。」上堂して言った、「晨鶏は暁の霊を報じ、粥の後に便ち天明す、灯籠は猶お瞌睡し、露柱は却って惺惺す。」復た言った、「惺惺は直に言う惺惺、歴歴は直に言う歴歴、明朝後日は、奴を認めて郎と作すこと莫れ、珍重せよ。」

因事示眾。天晴葢卻屋。乘乾刈卻禾。早輸王稅了。鼓腹唱巴歌。問。德山入門便棒。猶是起模畫樣。臨濟入門便喝。未免揑目生花。離此二途。未審洞山如何為人。師曰。天晴久無雨。近日有雲騰。曰。他日若有人問洞山宗旨。教學人如何舉似。師曰。園蔬枯槁甚。擔水潑菠稜。師一日不安。上堂辭眾。述法身頌曰。參禪學道莫茫茫。問透法身北斗藏。餘今老倒尫羸甚。見人無力得商量。唯有钁頭知我意。栽松時復上金剛。言訖而寂。塔於金剛嶺。

事に因りて衆に示す。天晴れば屋を葢き、乾きに乗じて禾を刈る、早く王税を輸し了り、腹を鼓して巴歌を唱う。問う。「徳山は門に入れば便ち棒するも、猶お是れ模を起こし様を画く、臨済は門に入れば便ち喝するも、未だ目を揑めて花を生ぜんを免れず、此の二途を離るれば、未だ審らかならず洞山は如何に人と為る。」師は言った、「天晴れて久しく雨無く、近日は雲騰る有り。」言った。他日若し人の問う有らば洞山の宗旨を、学人をして如何に挙似せしめん。師は言った、「園の蔬は枯槁すること甚し、水を担いで菠棱を潑げ。」師が一日安からずして、上堂して衆に辞し、法身の頌を述べて言った、「禅を参じ道を学ぶに茫茫たること莫れ、法身を透るを問えば北斗に蔵む、余は今老倒して尫羸なること甚し、人を見て力無くて商量を得ず、唯有るは鑢頭の我が意を知るのみ、松を栽うる時復た金剛に上る。」言い訖りて寂す、塔を金剛嶺に建つ。

南臺勤禪師法嗣

南台勤禅師法嗣

汝州高陽法廣禪師

汝州高陽法広禅師

僧問。如何是大悲千手眼。師曰。墮坑落壍。

僧が問うた。「如何なるか是れ大悲の千手眼。」師は言った。「坑に堕ち壍に落つ。」

潭州石霜節誠禪師

潭州石霜節誠禅師

僧問。古者道。捲簾當白晝。移榻對青山。如何是捲簾當白晝。師曰。過淨瓶來。曰。如何是移榻對青山。師曰。卻安舊處著。上堂。心外無法。法外無心。隨緣蕩蕩。更莫沉吟。你等諸人。才上堦道。便好回去。更要待第二杓惡水潑。作甚麼。

僧が問うた。「古者は道う、簾を巻きて白昼に当たり、榻を移して青山に対す、如何なるか是れ簾を巻きて白昼に当たる。」師は言った。「浄瓶を過ぎして来れ。」言った。「如何なるか是れ榻を移して青山に対する。」師は言った。「却って旧処に安んじて著けよ。」上堂して言った。「心外に法無く、法外に心無し、縁に随いて蕩蕩として、更に沈吟すること莫れ、你等の諸人は、纔かに階に上りて道わば、便ち回りて去るを好しとす、更に要す第二杓の悪水の潑ぐるを待ちて、何をか作さん。」

德山晏禪師法嗣

徳山晏禅師法嗣

鼎州德山志先禪師

鼎州徳山志先禅師

僧問。見色便見心時如何。師曰。角弓彎似月。寶劒利如霜。曰。如何領會。師曰。金甲似魚鱗。朱旗如火燄。問。遠遠投師。乞師一接。師曰。不接。曰。恁麼則虗伸一問。師曰。少逢穿耳客。多遇刻舟人。問。大通智勝佛。十劫坐道場。為甚麼不得成佛道。師曰。貪觀天上月。失卻掌中珠。問。軍期急速時如何。師曰。十字街頭滿面塵。曰。為甚麼如此。師曰。知而故犯。問。如何是無為之談。師曰。石羊石虎喃喃語。曰。是何言教。師曰。長行書不盡。短偈絕人聞。問。如何是一稱南無佛。師曰。皆以成佛道。

僧が問うた。「色を見れば便ち心を見る時如何。」師は言った。「角弓は弯きて月に似たり、宝剣は利きて霜の如し。」言った。「如何に領会せん。」師は言った。「金甲は魚鱗に似たり、朱旗は火燄の如し。」問う。「遠々として師に投じ、乞う師の一接を。」師は言った。「接せず。」言った。恁麼ならば則ち虗しく一問を伸ぶ。師は言った、「少なし耳を穿つ客に逢い、多し舟を刻む人に遇う。」問う、「大通智勝仏は、十劫に道場に坐す、なぜ仏道を成るを得ざる。」師は言った、「天上の月を観るを貪りて、掌中の珠を失却す。」問う、「軍期の急速なる時如何。」師は言った、「十字の街頭に面に塵満つ。」言った、「なぜ此の如くする。」師は言った、「知りて故に犯す。」問う、「如何なるか是れ無為の談。」師は言った、「石の羊石の虎は喃喃として語る。」言った、「是れ何の言教ぞ。」師は言った、「長行は書き尽くさず、短偈は人の聞くを絶す。」問う、「如何なるか是れ一の南無仏と称する。」師は言った、「皆以て仏道を成す。」

黑水璟禪師法嗣

黒水璟禅師法嗣

峨嵋黑水義欽禪師

峨嵋黒水義欽禅師

上堂。僧出禮拜。師曰。大地百雜碎。便下座。

上堂して、僧が出でて礼拝すれば、師は言った。「大地は百の雑砕。」便ち座を下った。

五祖戒禪師法嗣

五祖戒禅師法嗣

洪州泐潭懷澄禪師

洪州泐潭懐澄禅師

僧問。見者是色。聞者是聲。離此二途。請師別道。師曰。古寺新牌額。問。不與萬法為侶者。是甚麼人。師曰。觀世音菩薩。師一日見僧披衲。師曰。得恁麼好針線。曰。祇要牢固。師曰。打草驚蛇作甚麼。曰。客來須看。師曰。祇有這箇更別有。曰。雲生嶺上。師曰。未在更道。曰。水滴巖間。問。如何是佛法大意。師曰。文殊自文殊。解脫自解脫。

僧が問うた。「見る者是れ色、聞く者是れ声、此の二途を離れて、請う師の別に道わんことを。」師は言った。「古寺の新しい牌額。」問う。「万法に与えて侶と為らざる者は、是れ何の人ぞ。」師は言った。「観世音菩薩。」師が一日僧の衲を披くを見て、師は言った。「得たるか好き針線。」言った。「只だ要す牢固ならんことを。」師は言った。「草を打ちて蛇を驚かして何をか作す。」言った。「客の来たれば須く看るべし。」師は言った。「只だ這の箇有るのみ更に別有るか。」言った。「雲は嶺上に生ず。」師は言った。「未だ在り更に道え。」言った。「水は岩間に滴る。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「文殊は自ずから文殊、解脱は自ずから解脱。」

瑞州洞山自寶禪師

瑞州洞山自宝禅師

上堂。總恁麼風恬浪靜。那裡得來。忽遇洪波浩渺。白浪滔天。當恁麼時。覓箇水手也難得。眾中莫有把拖者麼。眾無對。師曰。賺殺一船人。僧問。如何是佛。師曰。腰長腳短。

上堂して言った。「総て恁麼に風恬かに浪静かなるは、那裏よりか得て来たる、忽ち洪波浩渺にして白浪滔天に遇わば、当に恁麼の時に、箇の水手を覚えんとするも得難し、衆中に把拖する者有らんか莫れ。」衆は対無し。師は言った。「一船の人を賺し殺す。」僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「腰は長く脚は短し。」

復州北塔思廣禪師

復州北塔思広禅師

僧問。如何是衲僧變通之事。師曰。東湧西沒。曰。變通後如何。師曰。地肥茄子嫩。問。如何是和尚家風。師曰。左手書右字。曰。學人不會。師曰。歐頭柳腳。

僧が問うた。「如何なるか是れ衲僧の変通の事。」師は言った。「東に涌き西に没す。」言った。「変通せし後如何。」師は言った。「地は肥えて茄子は嫩し。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「左手に右の字を書く。」言った。「学人は会せず。」師は言った。「欧頭柳脚。」

蘄州四祖端禪師

蘄州四祖端禅師

法身頌曰。燈心刺著石人腳。火急去請周醫博。路逢龐公相借問。六月日頭乾曬卻。

法身の頌に言った。「灯心は石人の脚に刺し著き、火急に去りて周の医博を請う、路に龐公に逢いて相い借問す、六月の日頭は干き曬り却す。」

潭州雲葢志顒禪師

潭州雲葢志顒禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。古寺碑難讀。曰。意旨如何。師曰。讀者盡攢眉。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「古寺の碑は読み難し。」言った。「意旨如何。」師は言った。「読む者は尽く眉を攒む。」

舒州海會通禪師

舒州海会通禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。柿桶葢椶笠。曰。學人不曉。師曰。行時頭頂戴。坐則掛高壁。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「柿桶の葢は椶の笠。」言った。「学人は暁らず。」師は言った。「行く時は頭頂に戴き、坐すれば則ち高き壁に挂く。」

瑞州洞山妙圓禪師

瑞州洞山妙円禅師

僧問。如何是佛。師曰。頭腦相似。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「頭脳は相似たり。」

蘄州義臺子祥禪師

蘄州義台子祥禅師

僧問。如何是義臺境。師曰。路不拾遺。曰。如何是境中人。師曰。桀犬吠堯。

僧が問うた。「如何なるか是れ義台の境。」師は言った。「路は遺を拾わず。」言った。「如何なるか是れ境中の人。」師は言った。「桀の犬は尭に吠ゆ。」

明州天童懷清禪師

明州天童懐清禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。眼裡不著沙。曰。如何領會。師曰。耳裡不著水。曰。恁麼則禮拜也。師曰。東家點燈。西家暗坐。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「眼裏に沙を著けず。」言った。「如何に領会せん。」師は言った。「耳裏に水を著けず。」言った。「恁麼ならば則ち礼拝するなり。」師は言った。「東家は灯を点し、西家は暗く坐す。」

越州寶嚴叔芝禪師

越州宝厳叔芝禅師

僧問。如何是佛。師曰。土身木骨。曰。意旨如何。師曰。五彩金裝。曰。恁麼則頂禮去也。師曰。天台楖栗。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「土身木骨。」言った。「意旨如何。」師は言った。「五彩の金粧。」言った。「恁麼ならば則ち頂礼して去るなり。」師は言った。「天台の楖栗。」

蘄州五祖山秀禪師

蘄州五祖山秀禅師

僧問。無法可說。是名說法。既是無法可說。又將何說。師曰。霜寒地凍。曰。空生不解巖中坐。惹得天花動地來。師曰。日出冰消。僧擬議。師曰。何不進語。僧又無語。師曰。車不橫推。理無曲斷。

僧が問うた。説くべき法無きは、是を説法と名づく、既に是れ説くべき法無し、又た何を将て説かん。師は言った。「霜寒く地凍る。」言った。「空生は岩中に坐すを解せずして、惹きて天花は地を動かして来る。」師は言った。「日出でて氷消ゆ。」僧が議を擬せば、師は言った。「何ぞ語を進めざる。」僧が又た語無ければ、師は言った。「車は横に推さず、理に曲断無し。」

襄州白馬辯禪師

襄州白馬弁禅師

僧問。如何是佛。師曰。水來河漲。曰。如何是法。師曰。風來樹動。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「水来れば河漲る。」言った。「如何なるか是れ法。」師は言った。「風来れば樹動く。」

隨州水南智昱禪師

随州水南智昱禅師

上堂。欲識解脫道。鷄鳴天已曉。趙州庭前栢。打落青州棗。咄。

上堂して言った。「解脱の道を識らんと欲せば、鶏鳴いて天已に暁け、趙州の庭前の栢は、青州の棗を打落とす、咄。」

福昌善禪師法嗣

福昌善禅師法嗣

安吉州上方齊嶽禪師

安吉州上方斉岳禅師

僧問。如何是菩提。師曰。甎頭瓦子。曰。意旨如何。師曰。苦。上堂。旋收黃葉燒青煙。竹榻和衣半夜眠。粥後放參三下鼓。孰能更話祖師禪。便下座。

僧が問うた。「如何なるか是れ菩提。」師は言った。「甎頭瓦子。」言った。「意旨如何。」師は言った。「苦。」上堂して言った。「旋づめて黄葉を収めて青烟を焼き、竹榻に衣を和して半夜に眠る、粥の後に参を放つ三下の皷、孰か能く更に祖師禅を話さん。」便ち座を下った。

明州育王常坦禪師

明州育王常坦禅師

僧問。如何是有中有。師曰。金河峰上。曰。如何是無中無。師曰。般若堂前。上堂。千花競發。百鳥啼春。是向上句。諸佛出世。知識興慈。是向下句。作麼生是不涉二途句。若識得。頂門上出氣。若識不得。土牛耕石田。擊禪床。下座。

僧が問うた。「如何なるか是れ有中の有。」師は言った。「金河峰上。」言った。「如何なるか是れ無中の無。」師は言った。「般若堂前。」上堂して言った。「千の花は競い発き、百の鳥は春を啼く、是れ向上の句、諸仏は世に出で、知識は慈を興す、是れ向下の句、作麼生か是れ二途に渉らざる句、若し識得せば、頂門上に気を出ださん、若し識り得ざれば、土の牛は石田を耕す。」禅床を撃ち、座を下った。

潤州金山瑞新禪師

潤州金山瑞新禅師

僧問。吾有大患。為吾有身。父母未生。未審此身在甚麼處。師曰。曠大劫來無處所。若論生滅盡成非。曰。恁麼則周徧十方心。不在一切處。師曰。泥裡撼樁。上堂。世間所貴者。和氏之璧.隋侯之珠。金山喚作驢屎馬糞。出世間所貴者。真如解脫.菩提涅槃。金山喚作𡱰沸碗鳴。且道恁麼說話。落在甚麼處。故不是取捨心重。信邪倒見。諸人要知麼。猛虎不顧几上肉。洪爐豈鑄囊中錐。

僧が問うた。「吾に大患有るは、吾に身有るが為なり、父母未だ生ぜざるに、未だ審らかならず此の身は何の処にか在る。」師は言った。「曠大劫より来りて処所無し、若し生滅を論ぜば尽く非を成す。」言った。「恁麼ならば則ち十方に周徧する心は、一切の処に在らず。」師は言った。「泥裏に桩を撼す。」上堂して言った。「世間の貴ぶ所の者は、和氏の璧・隋侯の珠、金山は喚びて驢屎馬糞と作す、出世間の貴ぶ所の者は、真如解脱・菩提涅槃、金山は喚びて𡱰沸碗鳴と作す、且つ道え恁麼に説話するは、何の処にか落ちる、故に是れ取捨の心重きに非ず、信邪の倒見なり、諸人は知らんと要するか、猛虎は几上の肉を顧みず、洪炉は豈に嚢中の錐を鋳んや。」

乾明信禪師法嗣

乾明信禅師法嗣

澧州藥山彝肅禪師

澧州薬山彝粛禅師

僧問。佛未出世時如何。師曰。大樹大皮裹。曰。出世後如何。師曰。小樹小皮纏。問。如何是不動尊。師曰。四王擡不起。

僧が問うた。「仏未だ世に出でざる時如何。」師は言った。「大樹は大きな皮に裹まる。」言った。「世に出でし後如何。」師は言った。「小樹は小さな皮に纏わる。」問う。「如何なるか是れ不動尊。」師は言った。「四王も抬き起こさず。」

智門祚禪師法嗣

智門祚禅師法嗣

明州雪竇重顯禪師

明州雪竇重顕禅師

遂寧府李氏子。依普安院仁銑上人出家。受具之後。橫經講席。究理窮玄。詰問鋒馳。機辯無敵。鹹知法器。僉指南遊。首造智門。即伸問曰。不起一念。云何有過。門召師近前。師才近前。門以拂子驀口打。師擬開口。門又打。師豁然開悟。出住翠峰。後遷雪竇。開堂日。於法座前顧視大眾曰。若論本分相見。不必高陞法座。遂以手畫一畫曰。諸人隨山僧手看。無量諸佛國土一時現前。各各子細觀瞻。其或涯際未知。不免拖泥帶水。便陞座。上首白椎罷。有僧方出。師約住曰。如來正法眼藏。委在今日。放行則瓦礫生光。把住則真金失色。權柄在手。殺活臨時。其有作者。共相證據。僧出問。遠離翠峰祖席。已臨雪竇道場。未審是一是二。師曰。馬無千里謾追風。曰。恁麼則雲散家家月。師曰。龍頭蛇尾漢。問。德山臨濟棒喝已彰。和尚如何為人。師曰。放過一著。僧擬議。師便喝。僧曰。未審祇恁麼。別有在。師曰。射虎不真。徒勞沒羽。問。吹大法螺。擊大法鼓。朝宰臨筵。如何即是。師曰。清風來未休。曰。恁麼則得遇於師也。師曰。一言已出。駟馬難追。僧禮拜。師曰。放過一著。乃普觀大眾曰。人天普集。合發明箇甚麼事。焉可互分賓主。馳騁問答。便當宗乘去。廣大門風。威德自在。輝騰今古。把定乾坤。千聖祇言自知。五乘莫能建立。所以聲前悟旨。猶迷顧鑒之端。言下知宗。尚昧識情之表。諸人要知真實相為麼。但以上無攀仰。下絕己躬。自然常光現前。箇箇壁立千仞。還辯明得也無。未辯辯取。未明明取。既辯明得。能截生死流。同據佛祖位。妙圓超悟。正在此時。堪報不報之恩。以助無為之化。問。如何是佛法大意。師曰。祥雲五色。曰。學人不會。師曰。頭上漫漫。問。達磨未來時如何。師曰。猿啼古木。曰。來後如何。師曰。鶴唳青霄。曰。即今事作麼生。師曰。一不成。

遂寧府の李氏の子。普安院の仁銑上人に依りて出家す。具を受けし後に、経を横たえて講席に、理を究め玄を窮め、詰問の鋒は馳せ、機弁に敵無し、咸く法器と知る、僉に南游を指す。首めて智門に造り、即ち問を伸べて言った、「一念を起こさざれば、云何んぞ過有らん。」門が師を召して前に近づかしめ、師が纔かに前に近づけば、門が拂子を以て蓦し口を打ち、師が口を開かんと擬せば、門が又た打ち、師が豁然として悟を開き、出でて翠峰に住し、後に雪竇に遷る。堂を開く日に、法座の前に於て大衆を顧視して言った、「若し本分の相見を論ぜば、必ずしも高く法座に昇るを要せず。」遂に手を以て一画きて言った、「諸人は山僧の手に随いて看よ、无量の諸仏の国土は一時に現前す、各々子細に観瞻せよ、其れ或いは涯際は未だ知らず、拖泥帯水を免れず。」便ち座に昇る、上首が椎を白げ罷めて、僧有りて方に出づ。師が約して住ましめて言った、「如来の正法眼蔵は、今日に委め在り、放ち行けば則ち瓦礫も光を生じ、把住すれば則ち真金も色を失う、権柄は手に在り、殺活は時に臨む、其れ作者有らば、共に相い証拠せん。」僧が出でて問うた、「翠峰の祖席を遠く離れ、已に雪竇の道場に臨む、未だ審らかならず是れ一か是れ二か。」師は言った、「馬に千里無ければ谩りに風を追う。」言った、「恁麼ならば則ち雲は散りて家々の月。」師は言った、「竜頭蛇尾の漢。」問う、「徳山臨済の棒喝は已に彰れたり、和尚は如何に人と為る。」師は言った、「一著を放過す。」僧が議を擬せば、師が便ち喝す。僧は言った、「未だ審らかならず只だ恁麼か、別に在るか。」師は言った、「虎を射るに真ならざれば、徒らに羽を没すを労す。」問う、「大法螺を吹き、大法皷を撃ち、朝宰は筵に臨む、如何にして即ち是ならん。」師は言った、「清風は来りて未だ休まず。」言った、「恁麼ならば則ち師に遇うを得るなり。」師は言った、「一言已に出づれば、駟馬も追い難し。」僧が礼拝すれば、師は言った、「一著を放過す。」乃ち普く大衆を観て言った、「人天は普く集まり、合して箇の何の事をか発明せん、焉んぞ互いに賓主を分ち、問答を馳騁して、便ち宗乗に当たらんや、広大の門風は、威徳自在にして、古今に輝き騰り、乾坤を把定し、千聖は只だ自ら知ると言うのみ、五乗も能く建立する莫し、是の故に声前に旨を悟るも、猶お顧鑑の端に迷い、言下に宗を知るも、尚お識情の表に昧し、諸人は要す真実の相為を知らんとするか、但だ上は攀仰無く、下は己躬を絶たば、自然に常光現前にして、箇箇は壁立千仞なり、還た弁明し得るや無しや、未だ弁ぜずんば弁じ取り、未だ明らかならずんば明らかに取れ、既に弁明し得れば、能く生死の流を截り、同じく仏祖の位に拠り、妙円に超悟するは、正に此の時に在り、堪えて報いざるの恩に報い、以て無為の化を助けん。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った、「祥雲は五色。」言った、「学人は会せず。」師は言った、「頭上は漫漫。」問う、「達磨未だ来らざる時如何。」師は言った、「猿は古木に啼く。」言った、「来りし後如何。」師は言った、「鶴は青霄に唳える。」言った、「即今の事は作麼生。」師は言った、「一は成らず。」

二不是。問。和尚未見智門時如何。師曰。爾鼻孔在我手裡。曰。見後如何。師曰。穿過髑髏。有僧出。禮拜起曰。請師答話。師便棒。僧曰。豈無方便。師曰。罪不重科。復有一僧出。禮拜起曰。請師答話。師曰。兩重公案。曰。請師不答話。師亦棒。問。古人道。北斗裡藏身。意旨如何。師曰。千聞不如一見。曰。此話大行。師曰。老鼠銜鐵。問。古人道。皎皎地絕一絲頭。祇如山河大地。又且如何。師曰。面赤不如語直。曰。學人未曉。師曰。徧問諸方。問。如何是學人自己。師曰。乘槎斫額。曰。莫祇這便是。師曰。浪死虗生。問。如何是緣生義。師曰。金剛鑄鐵券。曰。學人不會。師曰。閙市裡牌。曰。恁麼則行到水窮處。坐看雲起時。師曰。列下。問。四十九年說不盡底。請師說。師曰。爭之不足。曰。謝師答話。師曰。鐵棒自看。問。如何是把定乾坤眼。師曰。拈卻鼻孔。曰。學人不會。師曰。一喜一悲。僧擬議。師曰。苦。問。如何是脫珍御服。著弊垢衣。師曰。垂手不垂手。曰。乞師方便。師曰。左眼挑筋。右眼抉肉。問。龍門爭進舉。那箇是登科。師曰。重遭點額。曰。學人不會。師曰。退水藏鱗。問。寂寂忘言。誰是得者。師曰。卸帽穿雲去。曰。如何領會。師曰。披簑帶雨歸。曰。三十年後。此話大行。師曰。一場酸澁。問。坐斷毗盧底人。師還接否。師曰。殷勤送別瀟湘岸。曰。恁麼則學人罪過也。師曰。天寬地窄太愁人。僧禮拜。師曰。苦屈之詞。不妨難吐。問。生死到來。如何迴避。師曰。定花板上。曰。莫便是他安身立命處也無。師曰。符到奉行。上堂。僧問。如何是吹毛劒。師曰。苦。曰。還許學人用也無。師噓一噓。乃曰。大眾前共相酬唱。也須是箇漢始得。若也未有奔流度刃底眼。不勞拈出。所以道。如大火聚。近著即燎卻面門。亦如按太阿寶劒。

二は是ならず。」問う。「和尚が未だ智門に見えざる時如何。」師は言った。「爾の鼻孔は我が手裏に在り。」言った。「見えし後如何。」師は言った。「髑髏を穿ち過ぐ。」僧有りて出で、礼拝して起ちて言った、「請う師の答話を。」師が便ち棒す。僧は言った、「豈に方便無からんや。」師は言った、「罪は重ねて科せず。」復た一僧有りて出で、礼拝して起ちて言った、「請う師の答話を。」師は言った、「両重の公案。」言った、「請う師の答えざる話を。」師も亦た棒す。問う、「古人は道う、北斗裏に身を蔵む、意旨如何。」師は言った、「千聞は一見に如かず。」言った、「此の話は大行せん。」師は言った、「老鼠は鉄を銜える。」問う、「古人は道う、皎皎地は一糸頭を絶つ、只だ如し山河大地は、又た且つ如何。」師は言った、「面赤きは語直きに如かず。」言った、「学人は未だ暁らず。」師は言った、「諸方に徧く問え。」問う、「如何なるか是れ学人の自己。」師は言った、「槎に乗りて額を斫る。」言った、「只だ這便ち是ならんか莫れ。」師は言った、「浪に死して虗しく生く。」問う、「如何なるか是れ縁生の義。」師は言った、「金剛は鉄券を鋳る。」言った、「学人は会せず。」師は言った、「閙市里の牌。」言った、「恁麼ならば則ち行きて水の窮まる処に到り、坐して雲の起つる時を看る。」師は言った、「下に列ねよ。」問う、「四十九年に説き尽くさざる底を、請う師の説かんことを。」師は言った、「之を争うに足らず。」言った、「師の答話を謝す。」師は言った、「鉄棒は自ら看よ。」問う、「如何なるか是れ乾坤を把定する眼。」師は言った、「鼻孔を拈却せよ。」言った、「学人は会せず。」師は言った、「一喜一悲。」僧が議を擬せば、師は言った、「苦。」問う、「如何なるか是れ珍御の服を脱ぎ、弊垢の衣を著くる。」師は言った、「手を垂るるも手を垂れず。」言った、「乞う師の方便を。」師は言った、「左眼は筋を挑き、右眼は肉を抉る。」問う、「竜門に争い進み挙ぐるは、那箇か是れ科に登る。」師は言った、「重ねて額に点ぜられるに遭う。」言った、「学人は会せず。」師は言った、「水を退きて鱗を蔵む。」問う、「寂寂として言を忘るるは、誰か是れ得る者。」師は言った、「帽を卸して雲を穿ちて去る。」言った、「如何に領会せん。」師は言った、「蓑を披き雨を帯びて帰る。」言った、「三十年の後に、此の話は大行せん。」師は言った、「一場の酸澁。」問う、「毘盧を坐断する底の人は、師は還た接するや否や。」師は言った、「殷勤として瀟湘の岸に別れを送る。」言った、「恁麼ならば則ち学人の罪過なり。」師は言った、「天は寛く地は窄くして太だ人を愁えしむ。」僧が礼拝すれば、師は言った、「苦屈の詞は、妨げずして吐き難し。」問う、「生死の到来するを、如何に回避せん。」師は言った、「定花板上。」言った、「便ち是れ他の身を安んじ命を立つる処や無しや莫れ。」師は言った、「符到れば奉行す。」上堂して、僧が問うた、「如何なるか是れ吹毛の剣。」師は言った、「苦。」言った、「還た学人の用ゐるを許すや無しや。」師が一嘘くして、乃ち言った。大衆の前に共に相い酬唱するは、も須く是れ漢ならば始めて得、若しも未だ奔流に刃を度る底の眼有らざれば、拈出することを労せず、是の故に道う、大火聚の如く、近づき著けば即ち面門を燎かし却す、亦た太阿の宝剣を按ずるが如し。

沖前即喪身失命。乃曰。太阿橫按祖堂寒。千里應須息萬端。莫待冷光輕閃爍。復雲。看看。便下座。上堂。僧問。如何是維摩一默。師曰。寒山訪拾得。曰。恁麼則入不二之門。師噓一噓。復曰。維摩大士去何從。千古令人望莫窮。不二法門休更問。夜來明月上孤峰。上堂。春山疊亂青。春水漾虗碧。寥寥天地間。獨立望何極。便下座。卻顧謂侍者曰。適來有人看方丈麼。者曰。有。師曰。作賊人心虗。上堂。十方無壁落。四面亦無門。古人向甚麼處見客。或若道得接手句。許你天上天下。上堂。田地穩密底。佛祖不敢近。為甚麼擡腳不起。神通遊戲底。鬼神不能測。為甚麼下腳不得。直饒十字縱橫。朝打三千。暮打八百。上堂。大眾這一片田地。分付來多時也。爾諸人。四至界畔猶未識在。若要中心樹子。我也不惜。問。如何是諸佛本源。師曰。千峰寒色。曰。未委向上。更有也無。師曰。雨滴巖花。上堂。僧問。雪覆蘆花時如何。師曰。點。曰。恁麼則為祥為瑞去也。師曰。兩重公案。乃曰。雪覆蘆花欲暮天。謝家人不在漁船。白牛放卻無尋處。空把山童贈鐵鞭。師一日遊山。四顧周覧。謂侍者曰。何日復來於此。侍者哀乞遺偈。師曰。平生唯患語之多矣。翌日。出杖屨衣盂散及徒眾。乃曰。七月七日復相見耳。至期盥沐攝衣。北首而逝。塔全身於寺之西塢。賜明覺大師。

前に冲さば即ち身を喪い命を失う。乃ち言った、「太阿を横に按ずれば祖堂寒し、千里は応に須く万端を息めん、冷光の軽く閃爍するを待つこと莫れ。」復た云う、「看よ看よ。」便ち座を下った。上堂して、僧が問うた、「如何なるか是れ維摩の一黙。」師は言った、「寒山は拾得を訪う。」言った、「恁麼ならば則ち不二の門に入る。」師が一嘘くし、復た言った、「維摩大士は去りて何より従かん、千古に人をして望ましめて窮めること莫れ、不二法門は更に問うこと休め、夜来の明月は孤峰に上る。」上堂して言った、「春山は乱れて青を疊み、春水は虗碧を漾がし、寥寥たる天地の間に、独立して望む何ぞ極まらん。」便ち座を下り、却って侍者を顧みて謂うて言った、「適来に人の方丈を看る有りしか。」者は言った、「有り。」師は言った、「賊を作す人の心は虗し。」上堂して言った、「十方に壁落無く、四面にも亦た門無し、古人は何の処にか向かって客を見る、或いは若し接手の句を道い得ば、汝に許さん天上天下。」上堂して言った、「田地の穏密なる底は、仏祖も敢て近づかず、なぜ脚を抬げて起こさざる、神通遊戯の底は、鬼神も能く測らず、なぜ脚を下すを得ざる、直に十字縦横を饒くしても、朝に三千を打ち暮に八百を打つ。」上堂して言った。大衆は這の一片の田地は、分付して来ること多くの時なり、爾の諸人は、四至の界畔さえ猶お未だ識り在らず、若し中心の樹子を要せば、我も亦た惜しまず。問う、「如何なるか是れ諸仏の本源。」師は言った、「千峰の寒色。」言った、「未だ委せず向上に、更に有るや無しや。」師は言った、「雨は岩の花を滴らす。」上堂して、僧が問うた、「雪が芦花を覆う時如何。」師は言った、「点。」言った、「恁麼ならば則ち祥と為し瑞と為して去るなり。」師は言った、「両重の公案。」乃ち言った、「雪は芦花を覆いて暮れんとする天、謝家の人は漁船に在らず、白牛は放ち却して覚むる処無し、空しく山童を把りて鉄鞭を贈る。」師が一日山に遊び、四顧して周覧し、侍者に謂うて言った、「何の日にか復た此に来らん。」侍者は哀みて遺偈を乞う。師は言った、「平生は唯だ語の多きを患うのみ。」翌日に、杖屨衣盂を出だして徒衆に散じ及ぼし、乃ち言った、「七月七日に復た相見えんのみ。」期に至りて盥沐し衣を摂め、北に首きて逝けり、全身を寺の西塢に塔す、明覚大師を賜う。

襄州延慶山子榮禪師

襄州延慶山子栄禅師

僧問。如何是隨色摩尼珠。師曰。三箇童兒弄花毬。曰。恁麼則終朝盡日也。師曰。頭白齒落。上堂。僧問。靈光隱隱。月照寒牕。善法堂前。請師舉唱。師曰。聽。曰。此猶是這邊事。那邊事作麼生。師曰。腳下毛生。問。如何是佛。師曰。橫身彰十號。入槨示雙趺。曰。將何供養。師曰。合掌當胷。問。如何是祖師西來意。師曰。穿耳胡僧不著鞋。

僧が問うた。「如何なるか是れ色に随う摩尼珠。」師は言った。「三箇の童児は花毬を弄ぶ。」言った。「恁麼ならば則ち終朝尽日なり。」師は言った。「頭は白み歯は落つ。」上堂して、僧が問うた。「霊光は隠隠として、月は寒牕を照らし、善法堂の前に、請う師の挙唱せんことを。」師は言った。「聴け。」言った。「此は猶お是れ這辺の事、那辺の事は作麼生。」師は言った。「脚下に毛生ず。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「身を横たえて十号を彰し、椁に入りて双趺を示す。」言った。「何を将て供養せん。」師は言った。「掌を合せて胷に当たる。」問う。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「耳を穿つ胡僧は鞋を着けず。」

洪州百丈智映寶月禪師

洪州百丈智映宝月禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。窣堵那吒掌上擎。曰。恁麼則北塔的子。韶石兒孫也。師曰。斫額望新羅。

僧が問うた。「師は誰が家の曲を唱う、宗風は阿谁を嗣ぐ。」師は言った。「窣堵は那咤の掌上に擎ぐ。」言った。「恁麼ならば則ち北塔の的子、韶石の児孫なり。」師は言った。「額を斫りて新羅を望む。」

韶州南華寶緣慈濟禪師

韶州南華宝縁慈済禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。青山綠水。曰。未來時還有意也無。師曰。高者高。低者低。

僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「青山緑水。」言った。「未だ来らざる時に還た意有るや無しや。」師は言った。「高き者は高く、低き者は低し。」

黃州護國院壽禪師

黄州護国院寿禅師

僧問。如何是一路涅槃門。師曰。寒松青有千年色。一徑風飄四季香。問。如何是靈山一會。師曰。如來才一顧。迦葉便低眉。

僧が問うた。「如何なるか是れ一路涅槃の門。」師は言った。「寒松は青くして千年の色有り、一径の風は四季の香を飄わす。」問う。「如何なるか是れ霊山の一会。」師は言った。「如来は纔かに一たび顧み、迦葉は便ち眉を低くす。」

瑞州九峰勤禪師

瑞州九峰勤禅師

僧問。方便門中。請師垂示。師曰。佛不奪眾生願。曰。恁麼則謝師方便。師曰。卻須吃棒。上堂。口羅舌沸。千喚萬喚。露柱因甚麼不回頭。良久曰。美食不中飽人吃。便下座。

僧が問うた。「方便門中に、請う師の垂示せんことを。」師は言った。「仏は衆生の願を奪わず。」言った。「恁麼ならば則ち師の方便を謝す。」師は言った。「却って須く棒を喫すべし。」上堂して言った。「口は羅い舌は沸え、千に喚び万に喚ぶに、露柱は甚んの故に頭を回さざる。」良久して言った。「美食は飽く人の喫うに中らず。」便ち座を下った。

潭州雲葢繼鵬禪師

潭州雲葢継鵬禅師

初謁雙泉雅禪師。泉令充侍者。示以芭蕉拄杖話。經久無省發。一日。泉向火次。師侍立。泉忽問。拄杖子話試舉來。與子商量。師擬舉。泉拈火筯便𢷾。師豁然大悟。住後。僧問。如何是佛法大意。師曰。舌頭無骨。問。如何是祖師西來意。師曰。湯瓶火裡煨。問。佛未出世時如何。師曰。天。曰。出世後如何。師曰。地。上堂。高不在絕頂。富不在福嚴。樂不在天堂。苦不在地獄。良久曰。相識滿天下。知心能幾人。

初めて双泉の雅禅師に謁す。泉が侍者に充たしめ、芭蕉の拄杖の話を以て示す。久しきを経て省発無し。一日、泉が火に向かい、師が侍り立てば、泉が忽ち問うた、「拄杖子の話を試みに挙げて来れ、子と商量せん。」師が挙げんと擬せば、泉が火筯を拈りて便ち𢷾す、師が豁然として大悟す。住した後に、僧が問うた、「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った、「舌頭に骨無し。」問う、「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った、「湯瓶は火裏に煨る。」問う、「仏未だ世に出でざる時如何。」師は言った、「天。」言った、「世に出でし後如何。」師は言った、「地。」上堂して言った、「高きは絶頂に在らず、富は福厳に在らず、楽は天堂に在らず、苦は地獄に在らず。」良久して言った、「相識は天下に満ち、心を知るは能く幾人ぞ。」

鄂州黃龍海禪師

鄂州黄竜海禅師

僧問。如何是黃龍家風。師曰。看。曰。忽遇客來。如何祇待。師以拄杖點之。問。如何是最初一句。師曰。掘地討天。

僧が問うた。「如何なるか是れ黄竜の家風。」師は言った。「看よ。」言った。「忽ち客の来るに遇わば、如何に只だ待たん。」師が拄杖を以て之を点ず。問う。「如何なるか是れ最初の一句。」師は言った。「地を掘りて天を討つ。」

鼎州彰法澄泗禪師

鼎州彰法澄泗禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。多少人摸索不著。曰。忽然摸著又作麼生。師曰。堪作甚麼。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「多少の人も摸ね索して著かず。」言った。「忽然として摸り著けば又た作麼生。」師は言った。「何をか作すに堪えん。」

泉州雲臺因禪師

泉州雲台因禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。嗔拳不打笑面。曰。如何施設。師曰。天台則有。南嶽則無。問。如何是佛。師曰。月不破五。曰。意旨如何。師曰。初三十一。問。如何是佛法大意。師曰。今日好曬麥。曰。意旨如何。師曰。問取磨頭。上堂。菩薩子。不在內。不在外。不在中間。且道落在甚麼處。良久曰。南贍部洲。北鬱單越。

僧が問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「嗔拳は笑面を打たず。」言った。「如何に施設せん。」師は言った。「天台は則ち有り、南岳は則ち無し。」問う。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「月は五を破らず。」言った。「意旨如何。」師は言った。「初三十一。」問う。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「今日は麦を曬すに好し。」言った。「意旨如何。」師は言った。「磨頭に問え。」上堂して言った、「菩薩の子は、内に在らず、外に在らず、中間に在らず、且つ道え何の処にか落ちる。」良久して言った、「南の贍部洲、北の鬱単越。」

福嚴雅禪師法嗣

福厳雅禅師法嗣

潭州北禪智賢禪師

潭州北禅智賢禅師

僧問。如何是佛。師曰。匙挑不上。曰。如何是道。師曰。險路架橋。歲夜小參曰。年窮歲盡。無可與諸人分歲。老僧烹一頭露地白牛。炊黍米飯。煑野菜羹。燒榾柮火。大家吃了。唱村田樂。何故。免見倚他門戶傍他墻。剛被時人喚作郎。便下座歸方丈。至夜深。維那入方丈問訊。曰。縣裡有公人到勾和尚。師曰。作甚麼。那曰。道和尚宰牛不納皮角。師遂捋下頭帽。擲在地上。那便拾去。師跳下禪床。攔胸擒住。呌曰。賊。賊。那將帽子覆師頂曰。天寒。且還和尚。師呵呵大笑。那便出去。時法昌為侍者。師顧昌曰。這公案作麼生。昌曰。潭州紙貴。一狀領過。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「匙で挑り上がらず。」言った。「如何なるか是れ道。」師は言った。「険路に橋を架す。」歳夜に小参して言った、「年窮まり歳尽きて、諸人と歳を分かつ可き無し、老僧は一頭の露地の白牛を烹え、黍米の飯を炊き、野菜の羹を煮て、榾柮の火を焼き、大家喫い了りて、村田楽を唱う、何の故ぞ、他の門戸に倚り他の牆に傍うを見るを免れん、剛めて時人に郎と喚ばれんと。」便ち座を下りて方丈に帰る。夜の深まるに至りて、維那が方丈に入りて問訊して言った、「県裏に公人の和尚を勾く有り。」師は言った、「何をか作す。」那は言った、「道いて和尚は牛を宰して皮角を納めずと。」師が遂に頭帽を捋下して、地に擲れば、那が便ち拾い去る。師が禅床を跳下り、胸を攔えて擒らえて、呌びて言った、「賊、賊。」那が帽子を将て師の頂に覆うて言った、「天寒なり、且く和尚に還さん。」師が呵呵として大笑すれば、那が便ち出でて去る。時に法昌が侍者と為れり、師が昌を顧みて言った、「這の公案は作麼生。」昌は言った、「潭州の紙は貴し、一状で領過す。」

南嶽衡嶽寺振禪師

南岳衡岳寺振禅師

山居頌曰。阿呵呵。瘦松寒竹鎻清波。有時獨坐磐陀上。無人共唱太平歌。朝看白雲生洞口。暮觀明月照娑婆。有人問我居山事。三尺杖子攪黃河。

山居の頌に言った。「阿呵呵、痩せたる松寒き竹は清波を鎖し、時には独り磐陀上に坐して、人と太平歌を唱う無し、朝には白雲の洞口より生ずるを看、暮には明月の娑婆を照らすを観る、人に我に山居の事を問われん、三尺の杖子は黄河を搅かす。」

開福賢禪師法嗣

開福賢禅師法嗣

日芳上座

日芳上座

僧問。如何是函葢乾坤句。師竪起拄杖。僧曰。如何是截斷眾流句。師橫按拄杖。僧曰。如何是隨波逐浪句。師擲下拄杖。僧曰。三句外請師道。師便起去。師贊開福真曰。清儀瘦兮。可瞻可仰。仰之非親。妙筆圖兮。可擬可像。像之非真。非親非真。秋月盈輪。有言無味兮的中的。既往如在兮覓焉覓。當機隱顯兮絲髮誵訛。金烏卓午兮迅風霹靂。

僧が問うた。「如何なるか是れ函葢乾坤の句。」師が拄杖を竪起すれば、僧は言った、「如何なるか是れ衆流を截断する句。」師が拄杖を横に按ずれば、僧は言った、「如何なるか是れ波に随い浪を逐う句。」師が拄杖を擲下せば、僧は言った、「三句の外に請う師の道わんことを。」師が便ち起ちて去る。師が開福の真を賛して言った、「清儀痩せたる兮、瞻る可く仰ぐ可し、之を仰ぐも親に非ず、妙筆は図する兮、擬る可く像る可し、之を像るも真に非ず、親に非ざり真に非ず、秋月は輪を盈たし、言有りて味無き兮、的中して的して、既往し在るが如き兮、焉んぞ覚めん覚めん、機に当たりて隠顕する兮、糸髪の誵訛、金烏は午に卓く兮、迅風霹靂。」

報慈嵩禪師法嗣

報慈嵩禅師法嗣

郢州興陽山遜禪師

郢州興陽山遜禅師

僧問。如何是佛。師曰。髮白麵皺。曰。如何是法。師曰。暑往寒來。問。如何是三界外事。師曰。洛陽千里餘。不得舊時書。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「髪は白み面は皺む。」言った。「如何なるか是れ法。」師は言った。「暑は往き寒は来る。」問う。「如何なるか是れ三界外の事。」師は言った。「洛陽は千里余り、旧時の書を得ず。」

德山遠禪師法嗣

徳山遠禅師法嗣

廬山開先善暹禪師

盧山開先善暹禅師

臨江軍人也。操行清苦。徧遊師席。以明悟為志。參德山。見山上堂。顧視大眾曰。師子嚬呻。象王回顧。師忽有省。入室陳所解。山曰。子作麼生會。師回顧曰。後園驢吃草。山然之。後至雪竇。竇與語。喜其超邁。目曰海上橫行暹道者。遂命分座。四方英衲敬畏之。他日竇舉師出世金鵝。師聞。潛書二偈於壁而去。曰。不是無心繼祖燈。道慙未廁嶺南能。三更月下離巖竇。眷眷無言戀碧層。二十餘年四海間。尋師擇友未甞閑。今朝得到無心地。卻被無心趂出山。晚年。眾請滋甚。遂開法開先。以慰道俗之望。開堂日。上首白椎罷。師曰。千聖出來。也祇是稽首讚歎。諸代祖師提挈不起。是故始從迦葉。迄至山僧。二千餘年。月燭慧燈。星排道樹。人天普照。凡聖齊榮。且道承甚麼人恩力。老胡也祇道。明星出現時。我與大地有情同時成道。如是則彼既丈夫。我亦爾。孰為不可。良由諸人不肯承當。自生退屈。所以便推排一人半箇先達出來。𮞏相開發。也祇是與諸人作箇證明。今日人天會上。莫有久遊赤水。夙在荊山。懷袖有珍。頂門有眼。到處踐踏覺場底衲僧麼。卻請為新出世長老作箇證明。還有麼。時有僧出。師曰。象駕崢嶸謾進途。誰信螳螂能拒轍。問。一棒一喝。猶是葛藤。瞬目揚眉。拖泥帶水。如何是直截根源。師曰。速。曰。恁麼則祖師正宗和尚把定。師曰。野渡無人舟自橫。問。如何是露地白牛。師曰。瞎。問。妙峰頂上即不問。半山相見事如何。師曰。把手過江來。曰。高步出長安。師曰。腳下一句作麼生道。僧便喝。師曰。山腰裡走。問。一雨所潤。為甚麼萬木不同。師曰。羊羹雖美。眾口難調。問。年窮歲盡時如何。師曰。依舊孟春猶寒。問。更深夜靜時如何。師曰。老鼠入燈籠。問。瞥瞋瞥喜時如何。師曰。適來菩薩面。如今夜叉頭。上堂。一若是。二即非。東西南北人不知。

臨江軍の人なり。操行は清苦にして、徧く師席に游び、明悟を以て志と為す。徳山に参じ、山の上堂に於て大衆を顧視して言うを見る、「師子は嚬呻し、象王は回顧す。」師が忽ち省有り。室に入りて解する所を陳ぶ。山は言った、「子は作麼生に会せん。」師が回顧して言った、「後園の驢は草を喫う。」山が之を然とせり。後に雪竇に至り、竇が与えて語るに、其の超迈を喜び、目して海上横行の暹道者と為す。遂に座を分かたしむ。四方の英衲は之を敬畏す。他日に竇が師の金鵞に出世するを挙ぐ。師が聞きて、潜かに二偈を壁に書して去る。曰く、「无心に非ず祖灯を継がんと、道は慙じて未だ嶺南の能に厠らず、三更の月下に岩竇を離れ、眷眷として言無く碧層に恋う、二十余年の四海の間に、師を尋ね友を択びて未だ甞めて閑かならず、今朝は无心の地に到るを得たれど、却って无心に山を趂出されり。」晚年に、衆の請い滋い盛んなり。遂に開先に法を開き、以て道俗の望みを慰む。堂を開く日に、上首が椎を白げ罷めて、師は言った、「千聖の出で来るも、也只だ是れ稽首して賛嘆し、諸代の祖師は提挈して起こさず、是の故に始めて迦葉より、山僧に迄るまで、二千余年、月は慧灯を燭らし、星は道樹を排し、人天は普く照らされ、凡聖は斉しく栄う、且つ道え何の人の恩力に承る、老胡も也只だ道う、明星出現の時に、我と大地の有情は同時に道を成ると、是の如くなれば則ち彼は既に丈夫、我も亦た爾り、孰をか不可と為さん、良に諸人の承当を肯ぜずして、自ら退屈を生ずるに由り、是の故に便ち一人半箇の先達を推排し出だして、𮞏相に開発するも、也只だ是れ諸人の為に箇の証明を作す、今日の人天の会上に、久しく赤水に游び、夙に荊山に在り、懐袖に珍有り、頂門に眼有り、到る処の覚場を踏践する底の衲僧有らんか莫れ、却って請う新たに出世せる長老の為に箇の証明を作さんことを、還た有るか。」時に僧有りて出づ。師は言った、「象の駕は崢嶸として谩りに途を進み、誰か信じん螳螂の能く轍を拒むを。」問う、「一棒一喝は、猶お是れ葛藤、目を瞬き眉を揚ぐるは、拖泥帯水、如何なるか是れ直截の根源。」師は言った、「速。」言った、「恁麼ならば則ち祖師の正宗は和尚が把定す。」師は言った、「野渡に人無くして舟は自ずから横たわる。」問う、「如何なるか是れ露地の白牛。」師は言った、「瞎。」問う、「妙峰頂上は即ち問わず、半山に相見える事如何。」師は言った、「手を把りて江を過ぎ来れ。」言った、「高く歩みて長安を出づ。」師は言った、「脚下の一句は作麼生に道わん。」僧が便ち喝せば、師は言った、「山腰裏に走る。」問う、「一雨の潤す所は、なぜ万木は同じからざる。」師は言った、「羊羹は美と雖も、衆口は調え難し。」問う、「年窮まり歳尽くる時如何。」師は言った、「依り旧りて孟春は猶お寒し。」問う、「更けて深夜静かなる時如何。」師は言った、「老鼠は灯籠に入る。」問う、「瞥り瞋り瞥り喜ぶ時如何。」師は言った、「適来は菩薩の面、如今は夜叉の頭。」上堂して言った、「一は若し是ならば、二は即ち非なり、東西南北に人は知らず。」

休話指天並指地。青山白雲徒爾為。以拄杖擊香臺。下座。問。雨雪連天。為甚麼孤峰露頂。師曰。有甚遮掩處。上堂。僧問。如何是祖師西來意。師曰。洛陽城古。曰。學人不會。師曰。少室山高。僧禮拜。師廼曰。佛種從緣起。遂舉拄杖曰。拄杖子是緣。且作麼生說箇起底道理。良久曰。金屑雖貴。落眼成翳。卓拄杖。下座。

指天并びに指地の話を休めよ、青山白雲は徒らに爾り為れり。拄杖を以て香台を撃ち、座を下った。問う、「雨雪は天に連なりて、なぜ孤峰は頂を露わす。」師は言った、「有りて何の遮掩する処ぞ。」上堂して、僧が問うた、「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った、「洛陽城は古し。」言った、「学人は会せず。」師は言った、「少室山は高し。」僧が礼拝すれば、師が乃ち言った、「仏種は縁より起つ。」遂に拄杖を挙げて言った、「拄杖子は是れ縁、且つ作麼生に箇の起つ底の道理を説かん。」良久して言った、「金屑は貴と雖も、眼に落ちて翳を成す。」拄杖を卓して、座を下った。

吉州禾山楚材禪智禪師

吉州禾山楚材禅智禅師

臨江軍人也。僧問。佛令祖令。諸方並行。未審和尚如何。師曰。山僧退後。曰。恁麼則諸方不別也。師曰。伏惟伏惟。問。如何是離凡聖底句。師曰。山河安掌上。曰。恁麼則迥超今古外。師曰。展縮在當人。問。一毫未發時如何。師曰。海晏河清。曰。發後如何。師曰。徧界無知己。問。如何是和尚說法底口。師曰。放一線道。問。抱璞投師。請師雕琢。師曰。不雕琢。曰。為甚麼不雕琢。師曰。弄巧翻成拙。

臨江軍の人なり。僧が問うた、「仏令祖令は、諸方に並び行わる、未だ審らかならず和尚は如何。」師は言った、「山僧は退后す。」言った、「恁麼ならば則ち諸方も別無し。」師は言った、「伏惟伏惟。」問う、「如何なるか是れ凡聖を離るる底の句。」師は言った、「山河は掌上に安んず。」言った、「恁麼ならば則ち迥かに今古の外を超ゆ。」師は言った、「展縮は当人に在り。」問う、「一毫未だ発せざる時如何。」師は言った、「海晏し河清し。」言った、「発しし後如何。」師は言った、「徧界に知己無し。」問う、「如何なるか是れ和尚の説法の底の口。」師は言った、「一線の道を放て。」問う、「璞を抱きて師に投ず、請う師の雕琢せんことを。」師は言った、「雕琢せず。」言った、「なぜ雕琢せざる。」師は言った、「巧を弄して翻って拙を成す。」

秀州資聖院盛勤禪師

秀州資聖院盛勤禅師

僧問。如何是正法眼。師曰。山青水綠。問。四威儀中如何履踐。師曰。鷺鶿立雪。曰。恁麼則聞鐘持缽。日上欄幹。師曰。魚躍千江水。龍騰萬裡雲。曰。畢竟如何。師曰。山中逢猛虎。天上見文星。上堂。多生覺悟非幹衲。一點分明不在燈。拈拄杖曰。拄杖頭上祖師。燈籠腳下彌勒。須彌山腰鼓細即不問你。作麼生是分明一點。你若道得。無邊剎境總在你眉毛上。你若道不得。作麼生過得羅剎橋。良久曰。水流千派月。山鎻一溪雲。卓拄杖。下座。

僧が問うた。「如何なるか是れ正法眼。」師は言った。「山青し水緑なり。」問う。「四威儀中に如何に履践せん。」師は言った。「鷺鶿は雪に立つ。」言った。「恁麼ならば則ち鐘を聞きて鉢を持し、日は欄干に上る。」師は言った、「魚は千江の水を躍り、竜は万里の雲を騰がす。」言った、「畢竟に如何。」師は言った、「山中に猛虎に逢い、天上に文星を見る。」上堂して言った、「多生の覚悟は衲に干らず、一点分明は灯に在らず。」拄杖を拈じて言った、「拄杖頭上の祖師、灯籠脚下の弥勒、須弥山の腰の皷の細きは即ち汝に問わず、作麼生か是れ分明の一点、汝若し道い得ば、无边の刹境は総て汝が眉毛上に在り、汝若し道い得ざれば、作麼生に羅刹橋を過ぎん。」良久して言った、「水は流れて千派の月、山は鎖して一渓の雲。」拄杖を卓し、座を下った。

潭州鹿苑圭禪師

潭州鹿苑圭禅師

桂州人也。僧問。如何是道。師曰。吳頭楚尾。曰。如何是道中人。師曰。騎馬踏鐙。不如步行。問。如何是第一義諦。師曰。胡人讀漢書。上堂。凡有因緣。須曉其宗。若曉其宗。無是無不是。用則波騰海沸。全真體以運行。體則鏡淨水沉。舉隨緣而會寂。且道兜率天宮。幾人行幾人坐。若向這裡辯得緇素。許你諸人東西南北。如雲似鶴。於此不明。踏破草鞋。未有了日在。參。

桂州の人なり。僧が問うた、「如何なるか是れ道。」師は言った、「呉頭楚尾。」言った、「如何なるか是れ道中の人。」師は言った、「馬に騎りて鐙を踏むは、歩行に如かず。」問う、「如何なるか是れ第一義諦。」師は言った、「胡人は漢書を読む。」上堂して言った、「凡そ因縁有らば、須く其の宗を暁るべし、若し其の宗を暁れば、是無く是ならざる無し、用は則ち波は騰ぎ海は沸き、全真の体を以て運行し、体は則ち鏡は浄く水は沈み、挙げて縁に随いて寂に会す、且つ道え兜率の天宮に、幾人か行き幾人か坐す、若し這裏に向かって緇素を弁じ得ば、汝の諸人に許さん東西南北、雲の如く鶴の如し、此に於て明らかならずんば、草鞋を踏破するも、未だ了る日有らん、参。」

青原下十世上

青原下十世(上)

洞山聰禪師法嗣

洞山聡禅師法嗣

南康軍雲居曉舜禪師

南康軍雲居暁舜禅師

瑞州人也。少年麤猛。忽悟浮幻。投師出家。乃修細行。參洞山。一日如武昌行乞。首謁劉公居士家。士高行。為時所敬。意所與奪。莫不從之。師時年少。不知其飽參。頗易之。士曰。老漢有一問。若相契即開疏。如不契即請還山。遂問。古鏡未磨時如何。師曰。黑似漆。士曰。磨後如何。師曰。照天照地。士長揖曰。且請上人還山。拂袖入宅。師懡㦬即還洞山。山問其故。師具言其事。山曰。你問我。我與你道。師理前問。山曰。此去漢陽不遠。師進後語。山曰。黃鶴樓前鸚鵡洲。師於言下大悟。機鋒不可觸。住後。僧問。承師有言。不談玄。不說妙。去此二途如何指示。師曰。蝦蟇趕鷂子。曰。全因此問也。師曰。老鼠弄猢猻。上堂。唯一堅密身。一切塵中現。蝦蟇蚯蚓各有窟穴。烏鵲鳩鴿。亦有窠巢。正當與麼時。為甚麼人說法。良久曰。方以類聚。物以群分。上堂。三峽道無別。朝朝祇麼說。僧繇會寫真。鎮府出鑌鐵。上堂。不長不短。不小不大。此箇道理是誰境界。咄。上堂。聞說佛法兩字。早是汙我耳目。諸人未跨雲居門。腳跟下好與三十棒。雖然如是。也是為眾竭力。上堂舉夾山道。閙市門頭識取天子。百草頭上薦取老僧。雲居即不然。婦搖機軋軋。兒弄口㗻㗻。上堂。諸方有弄蛇頭。撥虎尾。跳大海。劒刃裡藏身。雲居這裡。寒天熱水洗腳。夜間脫韈打睡。早朝旋打行纏。風吹籬倒。喚人夫劈篾縛起。上堂。雲居不會禪。洗腳上床眠。冬瓜直儱侗。瓠子曲彎彎。

瑞州の人なり。少年にして麁猛、忽ち浮幻を悟り、師に投じて出家す、乃ち細行を修す。洞山に参じ、一日武昌に如きて乞を行う。首めて劉公の居士の家に謁す、士の行い高く、時の敬する所、意の与奪する所は、従わざる莫し、師が時に年少にして、其の飽参を知らず、頗る之を易る。士が言った、老漢に一問有り、若し相契らば即ち疏を開き、如も契らずんば即ち請う山に還れ、遂に問う、「古鏡未だ磨かざる時如何。」師は言った、「漆に似たり黒し。」士は言った、「磨きし後如何。」師は言った、「天を照らし地を照らす。」士が長揖して言った、「且く請う上人の山に還らんことを。」袖を払いて宅に入る。師が懡㦬として即ち洞山に還る。山が其の故を問う、師が具さに其の事を言えば、山は言った、「你は我に問え、我は你と道わん。」師が理めて前の問を問えば、山は言った、「此より漢陽に去ること遠からず。」師が後の語を進めば、山は言った、「黄鶴楼の前の鸚鵡洲。」師が言下に於て大悟す、機鋒は触る可からず。住した後に、僧が問うた、「師に言有るを承る、玄を談ぜず、妙を説かず、此の二途を去りて如何に指示せん。」師は言った、「蝦蟆は鷂子を趂う。」言った、「全く此の問に因るなり。」師は言った、「老鼠は猢猻を弄ぶ。」上堂して言った、「唯だ一の堅密の身は、一切の塵中に現ず、蝦蟆蚯蚓は各々窟穴有り、烏鵲鳩鴿にも、亦た窠巣有り、正に恁麼の時に当たりて、なぜ人の為に法を説く。」良久して言った、「方は類を以て聚まり、物は群を以て分かつ。」上堂して言った、「三峡の道に別無し、朝朝に只だ恁麼に説く、僧繇は真を写すを会し、鎮府は鑌鉄を出だす。」上堂して言った、「長からず短からず、小さからず大ならず、此の箇の道理は是れ誰の境界ぞ、咄。」上堂して言った、「仏法の両字を説くを聞けば、早くも是れ我が耳目を汚す、諸人が未だ雲居の門を跨がざれば、脚跟下から三十棒を与えて好し、是の如しと雖も、亦た是れ衆の為に力を竭くすなり。」上堂して夾山の道うを挙ぐ、閙市の門頭に天子を識取し、百草の頭上に老僧を薦取す、雲居は即ち然らず、婦は機を揺りて軋軋、児は口を弄びて㗻㗻。上堂して言った、「諸方に蛇の頭を弄び、虎の尾を撥き、大海に跳び、剣刃裏に身を蔵む有り、雲居は這裏に、寒き天に熱き水で脚を洗い、夜間は韈を脱ぎて睡り打ち、早朝に旋づめて行纏を打ち、風は籬を吹き倒せば、人夫を喚びて篾を劈きて縛り起こす。」上堂して言った、「雲居は禅を会せず、脚を洗いて床に上りて眠る、冬瓜は直に儱侗、瓠子は曲がり弯かなり。」

潭州大溈懷宥禪師

潭州大潙懐宥禅師

僧問。人將語試。金將火試。未審衲僧將甚麼試。師曰。拄杖子。曰。畢竟如何。師曰。退後著。僧應喏。師便打。曰。教休不肯休。直待雨淋頭。

僧が問うた。「人は語を将て試し、金は火を将て試す、未だ審らかならず衲僧は何を将て試す。」師は言った。「拄杖子。」言った。「畢竟に如何。」師は言った、「後に退き著け。」僧が喏に応えば、師が便ち打つ。言った、「教えて休まんも肯んぜず、直に雨の頭に淋るを待つ。」

杭州佛日契嵩禪師

杭州仏日契嵩禅師

藤州鐔津李氏子。七歲出家。十三得度。十九遊方。徧參知識。得法於洞山。師夜則頂戴觀音像而誦其號。必滿十萬乃寢。以為常。自是世間經書章句。不學而能。作原教論十餘萬言。明儒釋之道一貫。以抗宗韓排佛之說。讀之者畏服。後居永安蘭若。著禪門定祖圖.傳法正宗記.輔教編。上進仁宗皇帝。覧之加歎。付。傳法院編次入藏。下詔褒寵。賜號明教。宰相韓琦.大參歐陽脩皆延見而尊禮之。洎東還。熈寧四年六月四日。晨興寫偈曰。後夜月初明。吾今喜獨行。不學大梅老。貪隨鼯鼠聲。至中夜而化。闍維不壞者五。曰頂.曰耳.曰舌.曰童真.曰數珠。其頂骨出舍利。紅白晶潔。道俗合諸不壞。塟於故居永安之左。後住淨慈。北磵居簡嘗著五種不壞贊。師有文集二十卷。目曰鐔津。盛行於世。

藤州鐔津の李氏の子。七歳にして出家し、十三にして度を得、十九にして方を游ぶ。徧く知識に参じ、洞山に於て法を得。師は夜は則ち観音像を頂戴して其の号を誦し、必ず十万に満ちて乃ち寝る、以て常と為す。是より世間の経書章句は、学ばずして能し。原教論を作ること十余万言、儒釈の道は一貫なるを明らめ、以て宗韓排仏の説に抗す、之を読む者は畏服せり。後に永安の蘭若に居り、禅門定祖図・伝法正宗記・輔教編を著わし、上げて仁宗皇帝に進む、之を覧て加えて嘆じ、伝法院に付して編次して蔵に入れしめ、詔を下して褒め寵し、明教の号を賜う、宰相の韓琦・大参の欧陽脩は皆延見して尊礼す。洎りに東に還る。熈寧四年六月四日に、晨に興きて偈を写して言った、「后夜の月は初めて明るく、吾は今独り行くを喜ぶ、大梅の老に学ばず、鼯鼠の声に随うを貪らず。」中夜に至りて化す、闍維に壊れざる者五、頂・耳・舌・童真・数珠、其の頂骨は舍利を出だし、紅白にして晶潔、道俗は諸の壊れざるを合せて、故居の永安の左に葬る。後に浄慈に住す。北磵の居簡は甞て五種不壊の賛を著わす。師は文集二十卷有り、目して鐔津と曰う、世に盛行す。

洪州太守許式

洪州太守許式

參洞山。得正法眼。一日。與泐潭澄上藍溥坐次。潭問。聞郎中道。夜坐連雲石。春栽帶雨松。當時答洞山甚麼話。公曰。今日放衙早。潭曰。聞答泗州大聖在揚州出現底。是否。公曰。別點茶來。潭曰。名不虗傳。公曰。和尚早晚回山。潭曰。今日被上藍覷破。藍便喝。潭曰。須是你始得。公曰。不奈船何。打破戽斗。

洞山に参じて、正法眼を得。一日に、泐潭の澄・上藍の溥と坐する次に、潭が問うた、「聞く郎中の道う、夜坐して雲に連なる石、春栽えて雨を帯びる松と、当時に洞山に答えし何の話ぞ。」公は言った、「今日は衙を放つ早し。」潭は言った、「聞く泗州の大聖が揚州に出現せる底に答えしと、是や否や。」公は言った、「別に茶を点して来れ。」潭は言った、「名は虗伝ならず。」公は言った、「和尚は早晚に山に回らん。」潭は言った、「今日は上藍に觑破されたり。」藍が便ち喝すれば、潭は言った、「須く是れ你ならば始めて得。」公は言った、「船を奈何せん、戽斗を打破す。」

泐潭澄禪師法嗣

泐潭澄禅師法嗣

明州育王山懷璉大覺禪師

明州育王山懐璉大覚禅師

漳州龍溪陳氏子。誕生之夕。夢僧伽降室。因小字泗州。既有異兆。僉知祥應。齠齓出家。丱角圓頂。篤志道學。寢食無廢。一日洗面。潑水於地。微有省發。即慕參尋。遠造泐潭法席。投機印可。師事之十餘年。去遊廬山。掌記於圓通訥禪師所。皇祐中仁廟有詔。住淨因禪院。召對化成殿。問佛法大意。奏對稱旨。賜號大覺禪師。後遣中使問曰。才去竪拂。人立難當。師即以頌回進曰。有節非幹竹。三星偃月宮。一人居日下。弗與眾人同。帝覽大悅。又詔入對便殿。賜羅扇一把。題元寂頌於其上。與師問答詩頌。書以賜之。凡十有七篇。至中和乞歸老山中。乃進頌曰。六載皇都唱祖機。兩曾金殿奉天威。青山隱去欣何得。滿篋唯將御頌歸。帝和頌不允。仍宣諭曰。山即如如體也。將安歸乎。再住京國。且興佛法。師再進頌謝曰。中使宣傳出禁圍。再令臣住此禪扉。青山未許藏千拙。白髮將何補萬幾。霄露恩輝方湛湛。林泉情味苦依依。堯仁況是如天濶。應任孤雲自在飛。既而遣使賜龍腦缽。師謝恩罷。捧缽曰。吾法以壞色衣。以瓦鐵食。此缽非法。遂焚之。中使回奏。上加歎不已。治平中上疏丐歸。仍進頌曰。千簇雲山萬壑流。閑身歸老此峰頭。餘生願祝無疆壽。一炷清香滿石樓。英廟依所乞。賜手詔曰。大覺禪師懷璉受先帝聖眷。累錫宸章。屢貢誠懇。乞歸林下。今從所請。俾遂閑心。凡經過小可菴院。任性住持。或十方禪林。不得抑逼堅請。師既渡江。少留金山西湖。四明郡守以育王虗席迎致。九峰韶公作疏。勸請四明之人。相與出力。建大閣藏所賜詩頌。榜之曰宸奎。翰林蘇公軾知杭時。以書問師曰。承要作宸奎閣碑。謹已撰成。衰朽廢學。不知堪上石否。見參寥說。禪師出京日。英廟賜手詔。其略雲。任性住持者。不知果有否。如有。切請錄示全文。欲添入此一節。師終藏而不出。逮委順後。

漳州竜渓の陳氏の子。誕生の夕に、僧伽の室に降るを夢み、因りて小字を泗州と為す、既に異兆有り、僉に祥応を知る。齠齓にして出家し、丱角にして頂を円くす、志を道学に篤くして、寝食に廃ること無し。一日面を洗いて、水を地に潑ぎ、微かに省発有り、即ち参尋を慕い、遠く泐潭の法席に造る、投機に印可せり、師事すること十余年、去りて盧山に游び、円通の訥禅師の所に記を掌る。皇祐中に仁廟の詔有り、浄因禅院に住し、化成殿に召し対す、仏法の大意を問う、奏対して旨に称い、大覚禅師の号を賜う。後に中使を遣わして問うて曰く、「纔かに拂を竪て去る、人は立ちて当たり難し。」師が即ち頌を以て回進して言った、「節有るは竹に干らず、三星は月を偃せる宮、一人は日下に居りて、衆人と同じからず。」帝が覧て大いに悦び、又た詔して便殿に入対せしめ、羅扇一把を賜い、元寂の頌を其の上に題し、師と問答の詩頌を、書して以て之を賜う、凡そ十有七篇。至和中に山中に帰り老せんことを乞う、乃ち頌を進めて言った、「六載の皇都に祖機を唱え、両曾て金殿に天威を奉ず、青山に隠れ去りて欣ぶこと何をか得ん、満篋に唯だ御頌を将て帰る。」帝が頌を和して允さず、仍ねて宣諭して曰く、「山は即ち如如の体なり、将に安くにか帰らん、再び京国に住して、且つ仏法を興せ。」師が再び頌を進めて謝して言った、「中使は伝え宣べて禁囲を出で、再び臣に此の禅扉に住せしむ、青山は未だ千拙を蔵することを許さず、白髪は将に何を以て万幾を補わん、霄露の恩輝は方に湛湛として、林泉の情味は苦しく依々、尭の仁は況んや天の如く濶ければ、応に孤雲の自在に飛ぶに任すべし。」既にして使を遣わして竜脳の鉢を賜う、師が恩に謝し罷めて、鉢を捧げて言った、「吾が法は壊色の衣を以てし、瓦鉄を以て食す、此の鉢は法に非ず。」遂に之を焚く。中使が回奏すれば、上が嘆ずること加えて已まず。治平中に疏を上げて帰るを丐う、仍ねて頌を進めて言った、「千簇の雲山万壑の流れ、閑身は帰りて此の峰頭に老い、余生は願い祝さん无疆の寿、一炷の清香は石楼に満つ。」英廟が其の乞う所に依り、手詔を賜うて曰く、「大覚禅師懐璉は先帝の聖眷を受け、累ねて宸章を錫わり、屡ば誠懇を貢ぎ、林下に帰らんことを乞う、今は其の請う所に従い、閑心を遂げしめん、凡そ経過の小可の庵院は、性に任せて住持せよ、或いは十方の禅林は、抑逼して堅く請うを得ず。」師が既に江を渡り、少しく金山の西湖に留まり、四明の郡守が育王の虗席を以て迎え致す。九峰の韶公が疏を作りて、四明の人に勧め請い、相与に力を出だして、大閣を建てて賜う所の詩頌を蔵す、之を榜して宸奎と曰う。翰林の蘇公軾が杭を知る時に、書を以て師に問うて曰く、「宸奎閣の碑を作るを承る、謹みて已に撰成せり、衰朽にして学を廢せり、石に上ぐるに堪うるや否やを知らず、参寥を見て曰く、禅師の京を出づる日に、英廟が手詔を賜い、其の略に云う、性に任せて住持する者は、果たして有るや否やを知らず、如し有らば、切に請う全文を録し示さんことを、此の一節を添え入れんと欲す。」師が終に蔵して出ださず、委順に逮ぶるの後に、

獲於篋笥。開堂日。僧問。諸佛出世。利濟群生。猊座師登。將何拯濟。師曰。山高水闊。曰。華發無根樹。魚跳萬仞峰。師曰。新羅國裡。曰。慈舟不棹清波上。劒峽徒勞放木鵝。師曰。脫卻衣裳臥荊棘。曰。人將語試。師曰。慣得其便。僧拊掌。師曰。更𨁝跳。問。聖君御頌親頒賜。和尚將何報此恩。師曰。兩手拓地。曰。恁麼則一人有慶。兆民賴之。師曰。半尋拄杖攪黃河。問。艣棹不停時如何。師曰。清波箭急。曰。恁麼則移舟諳水勢。舉棹別波瀾。師曰。濟水過新羅。曰。古佛位中留不住。夜來依舊宿蘆花。師曰。兒童不識十字街。問。坐斷毗盧頂。不稟釋迦文。猶未是學人行業。如何是學人行業。師曰。斫額望明月。僧以手便拂。師曰。作甚麼。僧茫然。師曰。賺卻一船人。師曰。若論佛法兩字。是加增之辭。廉纖之說。諸人向這裡承當得。盡是二頭三首。譬如金屑雖貴。眼裡著不得。若是本分衲僧。才聞舉著。一擺擺斷。不受纖塵。獨脫自在。最為親的。然後便能在天同天。在人同人。在僧同僧。在俗同俗。在凡同凡。在聖同聖。一切處出沒自在。並拘檢他不得。名邈他不得。何也。為渠能建立一切法故。一切法要且不是渠。渠既無背面。第一不用妄與安排。但知十二時中。平常飲啄。快樂無憂。祇此相期。更無別事。所以古人云。放曠長如痴兀人。他家自有通人愛。上堂。文殊寶劒。得者為尊。乃拈拄杖曰。淨因今日恁麼。直得千聖路絕。雖然如是。猶是矛盾相攻。不犯鋒鋩。如何運用。良久曰。野蒿自發空臨水。江燕初歸不見人。參。上堂。太陽東昇。爍破大千之暗。諸人若向明中立。猶是影響相馳。若向暗中立。也是藏頭露影漢。到這裡作麼生吐露。良久曰。逢人祇可三分語。未可全拋一片心。參。上堂。世法裡面。迷卻多少人。佛法裡面。醉卻多少人。祇如不迷不醉。

篋笥の中に獲たり。堂を開く日に、僧が問うた、「諸仏は世に出でて、群生を利済す、猊座に師が登りて、将に何を以て拯済せん。」師は言った、「山は高く水は濶し。」言った、「華の発つるは根無き樹、魚は万仞の峰を跳ぶ。」師は言った、「新羅国裏。」言った、「慈舟は清波上に棹せず、剣峡は徒らに木鵞を放つ。」師は言った、「衣裳を脱却して荆棘に臥す。」言った、「人は語を将て試す。」師は言った、「慣れて其の便りを得。」僧が掌を拊てば、師は言った、「更に𨁝跳せよ。」問う、「聖君の御頌は親しく頒賜せり、和尚は将に何を以て此の恩に報いん。」師は言った、「両手は地を拓く。」言った、「恁麼ならば則ち一人に慶有り、兆民は之に頼る。」師は言った、「半尋の拄杖は黄河を搅かす。」問う、「艣棹停まらざる時如何。」師は言った、「清波は箭の如く急なり。」言った、「恁麼ならば則ち舟を移して水勢に諳え、棹を挙げて波瀾を別つ。」師は言った、「済水を過ぎて新羅に至る。」言った、「古仏位中に留め住むを得ず、夜来に依り旧りて芦花に宿る。」師は言った、「児童は十字街を識らず。」問う、「毘盧の頂を坐断し、釈迦文に禀らず、猶お未だ是れ学人の行業ならず、如何なるか是れ学人の行業。」師は言った、「額を斫りて明月を望む。」僧が手を以て便ち拂えば、師は言った、「何をか作す。」僧が茫然とせば、師は言った、「一船の人を賺し却す。」師は言った、「若し仏法の両字を論ぜば、是れ加増の辞、廉纎の説、諸人は這裏に向かって承当し得るも、尽く是れ二頭三首、譬えば金屑は貴と雖も、眼裏に著けるを得ず、若し是れ本分の衲僧ならば、纔かに挙着を聞きて、一摆り摆断し、繊塵を受けず、独脱自在にして、最も親的なり、然る後に便ち能く天に在りて天に同じく、人に在りて人に同じく、僧に在りて僧に同じく、俗に在りて俗に同じく、凡に在りて凡に同じく、聖に在りて聖に同じく、一切の処に出没自在にして、併せて他を拘検するを得ず、他を名邈するを得ず、何を以てか、渠が能く一切法を建立するが故、一切法は要だ渠に非ざるなり、渠は既に背面無し、第一に妄りに安排を与えず、但だ十二時中に、平常に飲啄して、快楽にして憂え無きを知れ、只だ此に相期して、更に別事無し、是の故に古人は云う、放旷として長に痴兀人の如く、他家は自ずから通人の愛する所有り。」上堂して言った、「文殊の宝剣は、得る者は尊し。」乃ち拄杖を拈じて言った、「浄因は今日に恁麼にして、直に千聖の路を絶たしめ得、是の如しと雖も、猶お是れ矛盾の相攻、鋒鋩を犯さずんば、如何に運用せん。」良久して言った、「野蒿は自ずから発きて空しく水に臨み、江燕は初めて帰りて人を見ず、参。」上堂して言った、「太陽は東に昇りて、大千の暗を烁破す、諸人は若し明中に向かって立たば、猶お是れ影响の相馳、若し暗中に向かって立たば、亦た是れ頭を蔵し影を露わす漢、這裏に到りて作麼生に吐露せん。」良久して言った、「人に逢うは只可し三分の語、未だ全く一片の心を抛る可からず、参。」上堂して言った、「世法の裏面に、迷い却すこと多少人、仏法の裏面に、酔い却すこと多少人、只だ如し迷わず酔わざるは、

是甚麼人分上事。上堂。言鋒才擊。義海交深。若用徑截一路。各請歸堂。上堂。應物現形。如水中月。遂拈起拄杖曰。這箇不是物。即今現形也。且道月在甚麼處。良久曰。長空有路還須透。潭底無蹤不用尋。擊香臺。下座。上堂。白日東上。白日西落。急如投壺閃寥廓。神龍一舉透無邊。纖鱗猶向泥中躍。靈燄中。休湊泊。三歲孩童髽四角。參。上堂良久。舉起拳頭曰。握拳則五嶽倒卓。展手則五指參差。有時把定佛祖關。有時拓開千聖宅。今日這裡相呈。且道作何使用。拍禪床曰。向下文長。付在來日。

是れ何の人の分上の事ぞ。」上堂して言った、「言鋒纔かに撃たれ、義海交わり深し、若し径截の一路を用ゐんと要せば、各々請う堂に帰れ。」上堂して言った、「物に応じて形を現ず、水中の月の如し。」遂に拄杖を拈起して言った、「這箇は是れ物に非ず、即今に形を現ず、且つ道え月は何の処にか在る。」良久して言った、「長空に路有りて還た須く透るべし、潭底に踪無くて用ゐて尋ねず。」香台を撃ち、座を下った。上堂して言った、「白日は東に上り、白日は西に落つ、急なること投壺の寥廓を閃くが如し、神竜は一挙げて无边を透り、繊鱗は猶お泥中に向かって躍る、霊燄中に、凑泊すること休め、三歳の孩童は髽して四角を為す、参。」上堂して良久して、拳頭を挙起して言った、「拳を握れば則ち五岳は倒卓し、手を展べば則ち五指は参差す、時には佛祖の関を把定し、時には千聖の宅を拓開す、今日に這裏に相呈す、且つ道え何の使用を作す。」禅床を拍して言った、「向下の文は長くして、来日に付さん。」

臨安府靈隱雲知慈覺禪師

臨安府霊隠雲知慈覚禅師

僧問。一佛出世。各坐一華。和尚出世。有何祥瑞。師曰。白雲橫谷口。曰。光前絕後去也。師曰。錯。曰。大眾證明。學人禮謝。師曰。點。問。如何是道。師曰。甚麼道。曰。大道。師曰。欲行千里。一步為初。曰。如何是道中人。師曰。西天駐泊。此地都監。僧禮拜。師乃吽吽。上堂。日月雲霞為天標。山川草木為地標。招賢納士為德標。閑居趣寂為道標。拈拄杖曰。且道這箇是甚麼標。會麼。拈起則有文有彩。放下則糲糲磕磕。直得不拈不放。又作麼生。良久曰。扶過斷橋水。伴歸無月村。卓一下。下座。上堂。秋風起。庭梧墜。衲子紛紛看祥瑞。張三李四賣囂虗。拾得寒山爭賤貴。覿面相逢。更無難易。四衢道中。棚欄瓦市。畐塞虗空。普天帀地。任是臨濟赤肉團上。雪峰南山鼈鼻。玄沙見虎。俱𦙆舉指。一時拈來。當面佈施。更若擬議。千山萬水。復曰。過。

僧が問うた。「一仏は世に出でて、各々一華に坐す、和尚は世に出でて、何の祥瑞か有る。」師は言った。「白雲は谷口に横たわる。」言った。「前に光り後を絶って去るなり。」師は言った。「錯。」言った。「大衆は証明せん、学人は礼謝す。」師は言った。「点。」問う。「如何なるか是れ道。」師は言った。「何の道ぞ。」言った。「大道。」師は言った。「千里を行かんと欲せば、一歩を以て初と為す。」言った。「如何なるか是れ道中の人。」師は言った。「西天に駐泊し、此地に都監す。」僧が礼拝すれば、師が乃ち吽吽とす。上堂して言った、「日月雲霞は天の標と為し、山川草木は地の標と為し、賢を招き士を納るるは徳の標と為し、閑居し趣寂するは道の標と為す。」拄杖を拈じて言った、「且つ道え這箇は是れ何の標ぞ、会するか、拈起すれば則ち文有り彩有り、放下すれば則ち粝粝磕磕、直に拈せず放たざるを得ても、又た作麼生。」良久して言った、「断橋の水を扶けて過ぎ、月無き村に伴い帰る。」一たび卓して、座を下った。上堂して言った、「秋風は起こり、庭梧は墜ち、衲子は紛紛として祥瑞を看る、張三李四は嚣虗を売り、拾得寒山は賎貴を争う、覿面に相逢えば、更に難易無し、四衢の道中に、棚欄瓦市は、虗空を畐塞せり、天を普く地を帀らす、任れ是れ臨済の赤肉団上、雪鋒の南山の鼈鼻、玄沙の虎を見る、俱胝の指を挙ぐるを、一時に拈じ来たりて、当面に布施す、更に若し議を擬さば、千山万水。」復た言った、「過。」

婺州承天惟簡禪師

婺州承天惟簡禅師

僧問。佛與眾生。是一是二。師曰。花開滿樹紅。花落萬枝空。曰。畢竟是一是二。師曰。唯餘一朵在。明日恐隨風。問。如何是吹毛劒。師曰。星多不當月。曰。用者如何。師曰。落。曰。落後如何。師曰。觀世音菩薩。問。如何是和尚家風。師曰。理長即就。曰。如何領會。師曰。繪雉不成鷄。問。開口即失。閉口即喪。未審如何說。師曰。舌頭無骨。僧曰。不會。師曰。對牛彈琴。上堂。夫遮那之境界。眾妙之玄門。知識說之而莫窮。善財酌之而不竭。文殊體之而寂寂。普賢證之以重重。若也隨其法性。如雲收碧漢。本無一物。若也隨其智用。如花開春谷。應用無邊。雖說徧恆沙。乃同遵一道。且問諸人。作麼生是一道。良久曰。白雲斷處見明月。黃葉落時聞擣衣。參。上堂。莫離葢纏。莫求佛祖。去此二途。以何依怙。江淹夢筆。天龍見虎。古老相傳。月不跨五。參。上堂。一刀兩段。埋沒宗風。師子飜身。拖泥帶水。直饒坐斷十方。不通凡聖。腳跟下好。與三十。上堂。拈一放一。妙用縱橫。去解除玄。收凡破聖。若望本分草料。大似磨甎作鏡。衲僧家合作麼生。良久曰。寔。

僧が問うた。「仏と衆生は、是れ一か是れ二か。」師は言った。「花は開きて満樹に紅く、花は落ちて万枝は空し。」言った。「畢竟に是れ一か是れ二か。」師は言った。「唯だ余りに一朶在り、明日は恐らく風に随わん。」問う。「如何なるか是れ吹毛の剣。」師は言った。「星は多くて月に当たらず。」言った。「用ゐる者は如何。」師は言った。「落。」言った。「落ちし後如何。」師は言った。「観世音菩薩。」問う。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「理長ければ即ち就く。」言った。「如何に領会せん。」師は言った。「雉を絵きて鶏と成らず。」問う。「口を開けば即ち失し、口を閉ぢれば即ち喪す、未だ審らかならず如何に説かん。」師は言った。「舌頭に骨無し。」僧は言った。「会せず。」師は言った。「牛に対して琴を弾ず。」上堂して言った、「夫れ遮那の境界は、衆妙の玄門、知識は之を説いて窮めること莫く、善財は之を酌みて竭きず、文殊は之を体して寂寂、普賢は之を証して重重、若しや其の法性に随わば、雲の碧漢に収まるが如く、本より一物無し、若しや其の智用に随わば、花の春谷に開くるが如し、応用は无边にして、説くこと恒沙に徧しと雖も、乃ち同じく一道に遵う、且つ諸人に問う、作麼生か是れ一道。」良久して言った、「白雲の断えたる処に明月を見、黄葉の落つる時に衣を擣つを聞く、参。」上堂して言った、「葢纏を離るること莫れ、仏祖を求むること莫れ、此の二途を去りて、何を以て依怙と為さん、江淹は筆を夢み、天竜は虎を見る、古老に相传えて、月は五を跨がず、参。」上堂して言った、「一刀両段は、宗風を埋没す、師子は身を飜して、泥を拖り水を帯び、直に十方を坐断するを饒くしても、凡聖に通ぜず、脚跟下から好し、三十を与えん。」上堂して言った、「拈ずれば放ち、妙用は縦横にして、除を去り玄を解き、凡を収め聖を破る、若し本分の草料を望まば、大いに似たり甎を磨りて鏡を作す、衲僧の家は合作麼生。」良久して言った、「寔。」

明州九峰鑒韶禪師

明州九峰鑑韶禅師

僧問。承聞和尚是泐潭嫡子。是否。師曰。是。曰。還記得當時得力句否。師曰。記得。曰。請舉看。師曰。左手握拳。右手把筆。上堂。山僧說禪。如蠔蜢吐油。揑著便出。若不揑著。一點也無。何故。祇為不曾看讀古今因緣。及預先排疊勝妙見知等候。陞堂便磨唇捋觜。將粥飯氣燻炙諸人。凡有一問一答。葢不得已。豈獨山僧。看他大通智勝如來。默坐十劫。無開口處。後因諸天.梵天及十六王子再三勸請。方始說之。卻不是秘惜。祇為不敢埋沒諸人。山僧既不埋沒諸人。不得道山僧會陞座。參。

僧が問うた。「和尚は泐潭の嫡子と承聞す、是や否や。」師は言った。「是。」言った。「還た当時の得力の句を記え置くや否や。」師は言った。「記え置く。」言った。「請う挙げて看ん。」師は言った。「左手は拳を握り、右手は筆を把る。」上堂して言った、「山僧が禅を説くは、蚝蜢の油を吐くが如し、揑着すれば便ち出づ、若し揑着せざれば、一点も無し、何の故ぞ、只だ古今の因縁を看読せざるが為、及び預め勝妙の見知を排疊して等候せんが為、堂に昇れば便ち唇を磨き觜を捋い、粥飯の気を将て諸人を熏炙す、凡そ一問一答有るは、葢し已むを得ざるなり、豈に独り山僧ならんや、他の大通智勝如来を看よ、黙然として坐すること十劫にして、口を開く処無し、後に諸天・梵天及び十六王子の再三に勧請するに因りて、方に始めて之を説く、却って是れ秘惜に非ず、只だ諸人を埋没せざるを敢てせざるが為、山僧は既に諸人を埋没せざれば、道うを得ず山僧が会して座に昇ると、参。」

婺州西塔顯殊禪師

婺州西塔顕殊禅師

上堂。黃梅席上數如麻。句裡呈機事可嗟。直是本來無一物。青天白日被雲遮。參。

上堂して言った。「黄梅の席上は麻の如く数え、句裏に機を呈して事は嗟く可し、直に是れ本より一物無きに、青天白日は雲に遮られり、参。」

天台崇善寺用良禪師

天台崇善寺用良禅師

僧問。三門與自己。是同是別。師曰。八兩移來作半斤。曰。恁麼則秋水泛漁舟去也。師曰。東家點燈。西家為甚麼卻覓油。曰。山高月上遲。師曰。道甚麼。曰。莫瞌睡。師曰。入水見長人。

僧が問うた。「三門と自己は、是れ同か是れ別か。」師は言った。「八両を移して来りて半斤を作す。」言った。「恁麼ならば則ち秋水は漁舟を泛べて去るなり。」師は言った。「東家は灯を点し、西家はなぜ却って油を覚む。」言った。「山高く月上ること遅し。」師は言った。「何をか道う。」言った。「瞌睡する莫れ。」師は言った。「水に入りて長人を見る。」

臨江軍慧力有文禪師

臨江軍慧力有文禅師

上堂。建山寂寞。坐倚城郭。無味之談。七零八落。以拄杖敲香臺。下座。

上堂して言った。「建山は寂寞として、坐して城郭に倚り、味無きの談は、七零八落。」拄杖を以て香台を敲き、座を下った。

福州雪峰象敦禪師

福州雪鋒象敦禅師

僧問。如何是佛。師曰。把火照魚行。曰。如何是法。師曰。唐人譯不出。曰。佛法已蒙師指示。未審畢竟事如何。師曰。臘月三十日。

僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「火を把りて魚の行くを照らす。」言った。「如何なるか是れ法。」師は言った。「唐人は訳し出さず。」言った。「仏法は已に師の指示を蒙る、未だ審らかならず畢竟の事は如何。」師は言った。「臘月の三十日。」

南康軍雲居守億禪師

南康軍雲居守億禅師

上堂。馬祖才陞堂。雄峰便卷席。春風一陣來。滿地花狼籍。便下座。

上堂して言った。「馬祖は纔かに堂に昇れば、雄峰は便ち席を巻く、春風は一陣に来たりて、満地の花は狼籍す。」便ち座を下った。

瑞州洞山永孚禪師

瑞州洞山永孚禅師

上堂。棒頭挑日月。木馬夜嘶鳴。拈拄杖曰。雲門大師來也。卓一下。曰。炊沙作飯。看井作袴。參。

上堂して言った。「棒頭に日月を挑み、木馬は夜に嘶鳴す。」拄杖を拈じて言った、「雲門大師の来るなり。」一たび卓して言った、「沙を炊きて飯を作り、井を看て袴を作る、参。」

令滔首座

令滔首座

久參泐潭。潭因問。祖師西來。單傳心印。直指人心。見性成佛。子作麼生會。師曰。某甲不會。潭曰。子未出家時。作箇甚麼。師曰。牧牛。潭曰。作麼生牧。師曰。早朝騎出去。晚後復騎歸。潭曰。子大好不會。師於言下大悟。遂成頌曰。放卻牛繩便出家。剃除鬚髮著袈裟。有人問我西來意。拄杖橫挑囉哩囉。

久しく泐潭に参ず。潭が因りて問うた、「祖師は西来して、心印を単伝し、直指して人の心に、性を見て仏と成る、子は作麼生に会せん。」師は言った、「某甲は会せず。」潭は言った、「子が未だ出家せざる時に、箇の何をか作しける。」師は言った、「牛を牧す。」潭は言った、「作麼生に牧す。」師は言った、「早朝に騎りて出で、晩後に復た騎りて帰る。」潭は言った、「子は大いに好し会せざるを。」師が言下に於て大悟す、遂に頌を成して言った、「牛縄を放ち却して便ち出家し、須髪を剃除して袈裟を著く、人に我に西来意を問われん、拄杖は横に挑みて囉哩囉。」

洞山寶禪師法嗣

洞山宝禅師法嗣

瑞州洞山清辯禪師

瑞州洞山清弁禅師

僧問。百丈得大機。黃檗得大用。未審和尚得箇甚麼。師便喝。僧亦喝。師便打。僧曰。爭奈大眾眼何。便歸眾。師噓兩噓。

僧が問うた。「百丈は大機を得、黄檗は大用を得、未だ審らかならず和尚は箇の何をか得る。」師が便ち喝せば、僧も亦た喝す、師が便ち打つ。僧は言った。「争奈せん大衆の眼を何。」便ち衆に帰れば、師が両嘘くす。

北塔廣禪師法嗣

北塔広禅師法嗣

荊門軍玉泉承皓禪師

荊門軍玉泉承皓禅師

姓王氏。眉州丹稜人也。依大力院出家。登具後遊方。參北塔。發明心要。得大自在三昧。製犢鼻裩。書歷代祖師名字。乃曰。唯有文殊普賢較些子。且書於帶上。故叢林目為皓布裩。元豐間。首眾於襄陽谷隱。有鄉僧亦効之。師見而詬曰。汝具何道理。敢以為戲事耶。嘔血無及耳。尋於鹿門如所言而逝。張無盡奉使京西南路。就謁之。致開法於郢州大陽。時谷隱主者私為之喜。師受請陞座。曰。某在谷隱十年。不曾飲谷隱一滴水。嚼穀隱一粒米。汝若不會。來大陽為汝說破。攜拄杖下座。傲然而去。尋遷玉泉。有示眾曰。一夜雨霶烹。打倒蒲萄棚。知事頭首。行者人力。拄底拄。撐底撐。撐撐拄拄到天明。依舊可憐生。自贊。粥稀後坐。床窄先臥。耳聵愛高聲。眼昏宜字大。冬至示眾曰。晷運推移。布裩赫赤。莫怪不洗。無來換替。僧入室次。狗子在室中。師叱一聲。狗便出去。師曰。狗卻會。你卻不會。師示寂。門人圍繞。師笑曰。吾年八十一。老死舁屍出。兒郎齊著力。一年三百六十日。言畢而逝。

王氏に姓す。眉州丹稜の人なり。大力院に依りて出家し、具に登りし後に方を游ぶ。北塔に参じて、心要を発明し、大自在の三昧を得。犢鼻の裩を制して、歴代の祖師の名字を書す、乃ち言った、「唯だ文殊普賢有りて些子を較ぶ、且く帯上に書す。」故に叢林は目して皓布裩と為す。元豊の間に、襄陽の谷隠に首衆す、郷僧有りて亦た之を効う、師が見て诟りて言った、「你は何の道理を具して、敢えて以て戯事と為すや、血を嘔けども及ばざるのみ。」尋いで鹿門に於て言えるが如くして逝けり、張無尽が京西南路に使を奉ずるに、就きて之に謁し、郢州の大陽に法を開かしむ。時に谷隠の主者は私かに之を喜ぶ。師が請を受けて座に昇りて言った、「某は谷隠に十年にして、曽て谷隠の一滴の水を飲まず、谷隠の一粒の米を嚼まず、你若し会せずんば、来たりて大陽に汝の為に説破せん。」拄杖を携えて座を下り、傲然として去る、尋いで玉泉に遷る。衆に示して言った、「一夜の雨霶と烹えて、蒲萄棚を打倒す、知事頭首、行者人力は、拄ぐ底は拄ぎ、撑る底は撑り、撑撑拄拄して天明に至り、依り旧りて憐れむ可き生。」自賛して言った、「粥は稀くして後に坐す、床は窄くして先に臥す、耳は聵きて高き声を愛し、眼は昏くして字の大ききに宜し。」冬至に衆に示して言った、「晷運は推移し、布裩は赫赤、洗わざるを怪しむこと莫れ、換え替るる有ること来たらず。」僧が室に入る次に、狗子が室中に在り、師が一声を叱れば、狗が便ち出でて去る。師は言った、「狗は却って会す、你は却って会せず。」師が寂を示せば、門人は囲繞す。師が笑うて言った、「吾が年は八十一、老死して尸を舁き出だせ、児郎は斉しく力を著けよ、一年は三百六十日。」言い畢りて逝けり。

四祖瑞禪師法嗣

四祖瑞禅師法嗣

福州廣明常委禪師

福州広明常委禅師

僧問。知師久蘊囊中寶。今日當場略借看。師曰。看。曰。恁麼則謝師指示。師曰。等閑垂一釣。容易上鉤來。

僧が問うた。「師の久しく嚢中の宝を藴むを知れり、今日は当场に略して看るを借らん。」師は言った。「看よ。」言った。「恁麼ならば則ち師の指示を謝す。」師は言った。「等閑に一釣を垂れれば、容易く鈎に上がりて来る。」

雲葢顒禪師法嗣

雲葢顒禅師法嗣

南康軍雲居文慶海印禪師

南康軍雲居文慶海印禅師

僧問。如何是函葢乾坤句。師曰。合。曰。如何是隨波逐浪句。師曰。闊。曰。如何是截斷眾流句。師曰。窄。上堂。道本無為。法非延促。一念萬年。千古在目。月白風恬。山青水綠。法法現前。頭頭具足。祖意教意。非直非曲。要識廬陵米價。會取山前麥熟。以拂子擊禪床。下座。

僧が問うた。「如何なるか是れ函葢乾坤の句。」師は言った。「合。」言った。「如何なるか是れ波に随い浪を逐う句。」師は言った。「濶。」言った。「如何なるか是れ衆流を截断する句。」師は言った。「窄。」上堂して言った、「道は本より無為にして、法は延促に非ず、一念は万年にして、千古は目に在り、月は白く風は恬かに、山は青く水は緑、法法は現前にして、頭頭は具足す、祖意教意は、直ならず曲ならず、要す廬陵の米価を識らんことを、会取せよ山前の麦の熟するを。」拂子を以て禅床を撃ち、座を下った。

上方岳禪師法嗣

上方岳禅師法嗣

越州東山國慶順宗禪師

越州東山国慶順宗禅師

上堂。心生則種種法生。心滅則種種法滅。拈起拄杖曰。此箇是法。那箇是滅底心。若人道得。許你頂門上具眼。其或未然。雲暗不知天早晚。雪深難辯路高低。參。

上堂して言った。「心生ずれば則ち種種の法生じ、心滅すれば則ち種種の法滅す。」拄杖を拈起して言った、「此箇は是れ法、那箇は是れ滅する底の心、若し人に道い得る者有らば、汝に許さん頂門上に眼を具すを、其れ或いは未だ然らずんば、雲暗くして天の早晚を知らず、雪深くして路の高低を弁じ難し、参。」

金山新禪師法嗣

金山新禅師法嗣

安吉州天聖守道禪師

安吉州天聖守道禅師

上堂。日月遶須彌。人間分晝夜。南閻浮提人祇被明暗色空留礙。且道不落明暗一句作麼生道。良久曰。柳色黃金嫩。梨花白雪香。參。上堂。不從一地至一地。寂滅性中寧有位。釋迦稽首問然燈。仁者何名為受記。便下座。

上堂して言った。「日月は須弥を繞りて、人間は昼夜を分かつ、南の閻浮提の人は只だ明暗色空の留礙する所なり、且つ道え明暗に落ちざる一句は作麼生に道わん。」良久して言った、「柳の色は黄金の嫩き、梨の花は白雪の香り、参。」上堂して言った、「一地より一地に至らず、寂滅性中に寧んぞ位有らん、釈迦は稽首して然燈に問う、仁者は何の名ぞや記を受くると。」便ち座を下った。

五燈會元卷第十五

五燈會元 巻第十六

青原下十世下

青原下十世(下)

雪竇顯禪師法嗣

雪竇顯禅師の法嗣

越州天衣義懷禪師

越州天衣義懷禅師

永嘉樂清陳氏子也。世以漁為業。母夢星殞於屋。乃孕。及產。尤多吉祥。兒時坐船尾。父得魚付師貫之。師不忍。乃私投江中。父怒。笞之。師恬然如故。長遊京師。依景德寺為童行。天聖中。試經得度。謁金鑾善葉縣省。皆蒙印可。遂由洛抵龍門。復至都下。欲繼宗風。意有未決。忽遇言法華。拊師背曰。雲門臨濟去。及至姑蘇。禮明覺於翠峰。覺問。汝名甚麼。曰。義懷。覺曰。何不名懷義。曰。當時致得。覺曰。誰為汝立名。曰。受戒來十年矣。覺曰。汝行腳費卻多少草鞋。曰。和尚莫瞞人好。覺曰。我也沒量罪過。汝也沒量罪過。你作麼生。師無語。覺打曰。脫空謾語漢。出去。入室次。覺曰。恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼總不得。師擬議。覺又打出。如是者數四。尋為水頭。因汲水折擔。忽悟。作投機偈曰。一二三四五六七。萬仞峰頭獨足立。驪龍頷下奪明珠。一言勘破維摩詰。覺聞拊幾稱善。後七坐道場。化行海內。嗣法者甚眾。住後。僧問。如何是佛。師曰。布髮掩泥。橫身臥地。曰。意旨如何。師曰。任是波旬也皺眉。曰。恁麼則謝師指示。師曰。西天此土。問。學人上來。請師說法。師曰。林間鳥噪。水底魚行。上堂。須彌頂上。不扣金鐘。畢缽巖中。無人聚會。山僧倒騎佛殿。諸人反著草鞋。朝遊檀特。暮到羅浮。拄杖針筒。自家收取。上堂。衲僧橫說竪說。未知有頂門上眼。時有僧問。如何是頂門上眼。師曰。衣穿瘦骨露。屋破看星眠。上堂。大眾集定。乃曰。上來道箇不審。能銷萬兩黃金。下去道箇珍重。亦銷得四天下供養。若作佛法話會。滴水難消。若作無事商量。眼中著屑。且作麼生即是。良久。曰。還會麼。珍重。上堂。夫為宗師。須是驅耕夫之牛。奪飢人之食。遇賤即貴。遇貴即賤。驅耕夫之牛。令他苗稼豐登。奪飢人之食。令他永絕飢渴。遇賤即貴。

永嘉楽清の陳氏の子である。代々漁業を生業としていた。母が屋に星が落ちる夢を見て、懐妊した。産まれてくると、吉祥の相がことに多かった。幼い頃、船の艫に坐っていたところ、父が獲た魚を師に渡して串に刺させようとしたが、師は忍びず、こっそり江に放った。父が怒って鞭打っても、師は平然として変わらなかった。長じて京師に遊び、景德寺に依って童行となった。天聖年間に試経で得度し、金鑾の善・葉県の省に謁し、いずれも印可を蒙った。そこで洛から龍門に至り、再び都下に到った。宗風を継がんとしたが、意に決しかねるところがあった。忽ち言法華に遇い、師の背を拊って言った、「雲門・臨済に行け」と。姑蘇に至り、翠峰で明覺に礼した。覺が問う、「汝の名は何か」。曰く、「義懐」。覺曰く、「なぜ懷義と名づけない」。曰く、「その時そうなっただけです」。覺曰く、「誰が汝に名を立てた」。曰く、「受戒してから十年になります」。覺曰く、「汝は行脚でどれほど草鞋を費やしたか」。曰く、「和尚、人を瞞さないでください」。覺曰く、「私にも計り知れない罪過があり、汝にも計り知れない罪過がある。汝はどうする」。師は無語だった。覺が打って曰く、「空を脱して謾語する漢、出て行け」。入室の次、覺曰く、「こうでもいけない、こうでなくてもいけない、こうであれこうでなかれ、すべていけない」。師が擬議すると、覺はまた打ち出した。かくのごとく数四度に及んだ。まもなく水頭となったが、水を汲んで担を折ったとき、忽然と悟った。投機の偈を作って曰く、「一二三四五六七、万仞の峰頭に独足立ち、驪龍の頷下に明珠を奪い、一言勘破す維摩詰」。覺が聞いて机を拊して善しと称した。後に七たび道場に坐し、化導は海内に行きわたり、嗣法する者甚だ多かった。住して後、僧が問う、「如何なるか是れ仏」。師曰く、「髪を布き泥を掩い、身を横たえ地に臥す」。曰く、「意旨は如何」。師曰く、「波旬といえども眉を顰める」。曰く、「これならば師の指示に謝します」。師曰く、「西天も此土も」。問う、「学人上來します、師に説法を請います」。師曰く、「林間に鳥噪ぎ、水底に魚行く」。上堂、「須弥の頂上、金鐘を扣かず、畢鉢の岩中、人の聚會なく、山僧は仏殿に倒騎し、諸人は草鞋を反着す。朝に檀特に遊び、暮に羅浮に到る。拄杖・針筒は自家で收取せよ」。上堂、「衲僧は横に説き竪に説くが、未だ頂門上の眼あるを知らず」。時に僧が問う、「如何なるか是れ頂門上の眼」。師曰く、「衣穿ちて瘦骨露れ、屋破れて星を看て眠る」。上堂。大衆が集まり定まると、乃ち曰く、「上來して不審と道えば、万両の黄金を消しうる。下去して珍重と道えば、また四天下の供養を消しうる。若し仏法として話會すれば、滴水も消しがたく、若し無事として商量すれば、眼中に屑を着れる如し。さてどうすれば是れなるか」。良久して曰く、「還た會するか、珍重」。上堂、「そもそも宗師たる者は、耕夫の牛を駆り、飢人の食を奪い、賤に遇えば即ち貴とし、貴に遇えば即ち賤とすべし。耕夫の牛を駆るは、彼の苗稼を豊登ならしめるため。飢人の食を奪うは、彼をして永く飢渇を絶たしめるため。賤に遇えば即ち貴とするのは

握土成金。遇貴即賤。變金成土。老僧亦不驅耕夫之牛。亦不奪飢人之食。何謂。耕夫之牛。我復何用。飢人之食。我復何餐。我也不握土成金。也不變金作土。何也。金是金。土是土。玉是玉。石是石。僧是僧。俗是俗。古今天地。古今日月。古今山河。古今人倫。雖然如此。打破大散關。幾箇迷逢達磨。上堂。鴈過長空。影沉寒水。鴈無遺蹤之意。水無留影之心。若能如是。方解向異類中行。不用續鳧截鶴。夷嶽盈壑。放行也百醜千拙。收來也攣攣拳拳。用之。則敢與八大龍王鬬富。不用。都來不直半分錢。參。上堂。髑髏常幹世界。鼻孔摩觸家風。芭蕉聞雷開。葵花隨日轉。諸仁者。芭蕉聞雷開。還有耳麼。葵花隨日轉。還有眼麼。若也會得。西天即是此土。若也不會。七九六十三。收。上堂。靈源絕朕。普現色身。法離斷常。有無堪示。所以道。塵塵不見佛。剎剎不聞經。要會靈山親授記。晝見日。夜見星。良久。曰。若到諸方。不得錯舉。參。上堂。夜來寒霜凜冽。黃河凍結。陝府鐵牛腰折。盡道女媧煉石補天。爭奈西北一缺。如今欲與他補卻。又恐大地人無出氣處。且留這一竅。與大地人出氣。參。上堂。虗明自照。不勞心力。上士見之。鬼神茶飯。中下得之。狂心頓息。更有一人。切忌道著。上堂。光透日月。明暗不收。智出聖凡。賢愚不歷。所以道。不用低頭。思量難得。良久曰。是甚麼。上堂。青蘿夤緣。直上寒松之頂。白雲淡濘。出沒太虗之中。何似南山起雲。北山下雨。若也會得。甜瓜徹蔕甜。若也不會。苦瓠連根苦。上堂。無邊剎境。自他不隔於毫端。且道妙喜世界。不動如來。說甚麼法。十世古今。始終不離於當念。祇如威音王佛最初一會。度多少人。若是通方作者。試為道看。良久曰。行路難。行路難。萬仞峰頭君自看。上堂。枯桑知天風。海水知天寒。金色頭陀。

土を握って金と成し、貴に遇えば即ち賤とし、金を変えて土と成す。老僧は耕夫の牛を駆らず、飢人の食を奪わず。何を謂うか。耕夫の牛は、我復た何の用かあらん。飢人の食は、我復た何を餐かせん。私も土を握って金と成さず、金を変えて土とも作らず。何となれば、金は金、土は土、玉は玉、石は石、僧は僧、俗は俗。古今の天地、古今の日月、古今の山河、古今の人倫。そのとおりとはいえ、大散關を打破して、幾人か達磨に迷い逢うか。上堂、「雁が長空を過ぎ、影は寒水に沈む。雁に遺蹤の意なく、水に留影の心なし。能くかくのごとくなれば、方に異類の中に行くを解す。鳧を續ぎ鶴を截るを用いず、嶽を夷し壑を盈たさず。放行すれば百醜千拙、收來すれば攣攣拳拳。之を用いれば、敢えて八大龍王と富を鬬わさん。用いざれば、都來半分銭に直せず。参」。上堂、「髑髏常に世界に干わり、鼻孔は家風に摩觸す。芭蕉は雷を聞いて開き、葵花は日に隨って轉ず。諸の仁者、芭蕉が雷を聞いて開くに、還た耳あるか。葵花が日に隨って轉ずるに、還た眼あるか。若し會得せば、西天即ち是れ此土。若し會せざれば、七九六十三。收」。上堂、「靈源朕を絶し、普く色身を現ず。法は斷常を離れ、有無示すべし。所以に道う、塵塵に仏を見ず、刹刹に経を聞かず。靈山の親授記に會せんと要せば、昼は日を見、夜は星を見よ」。良久して曰く、「若し諸方に到らば、錯って挙するなかれ。参」。上堂、「夜來寒霜凛冽、黄河凍結し、陝府の鐵牛は腰折れたり。みな道う、女媧が石を鍊りて天を補うと。争奈いかん、西北一つ缺けたり。如今之を補わんと欲すれど、又大地の人に出氣の處なからんことを恐る。且らく這一竅を留めて、大地の人に氣を出さしめん。参」。上堂、「虚明白らかに照らし、心力を勞せず。上士之を見れば鬼神の茶飯、中下之を得れば狂心頓ちに息む。更に一人あり、切に道著することを忌む」。上堂、「光は日月を透し、明暗收めず。智は聖凡を出で、賢愚歷せず。所以に道う、低頭を用いるなかれ、思量難得なり」。良久して曰く、「是れ什麼ぞ」。上堂、「青蘿夤緣して直に寒松の頂に上り、白雲淡泞として太虚の中に出沒す。何ぞ似ん南山に雲起り、北山に雨降るに。若し會得せば、甜瓜は蔕まで徹して甜く、若し會せざれば、苦瓠は根に連なって苦し」。上堂、「無邊の刹境、自他毫端に隔てず。且く道え、妙喜世界・不動如来は什麼の法を説くか。十世古今、始終當念を離れず。只如く威音王佛の最初の一會、多少人を度したか。若し通方の作者ならば、試みに道えて看よ」。良久して曰く、「行路難、行路難、萬仞の峰頭は君自ら看よ」。上堂、「枯桑は天風を知り、海水は天寒を知る。金色の頭陀

見處不真。鷄足山中。與他看守衣缽。三千大喻。八百小喻。大似泥裡洗土塊。四十九年。三百六十餘會。摩竭提國猶較些子。德山臨濟。雖然丈夫。爭似罽賓國王。一刀兩段。如今若有箇人鼻孔遼天。山僧性命何在。良久曰。太平本是將軍致。不許將軍見太平。喝一喝。下座。僧問。天不能葢。地不能載。未審是甚麼人。師曰。掘地深埋。曰。此人還受安排也無。師曰。土上更加泥。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。長江無六月。曰。見後如何。師曰。一年一度春。室中問僧。無手人能行拳。無舌人解言語。忽然無手人打無舌人。無舌人道箇甚麼。又曰。蜀魄連宵呌。鵽鳭終夜啼。圓通門大啟。何事隔雲泥。晚年以疾居池陽杉山菴。門弟子智才住臨平之佛日。迎歸侍奉。才如蘇城未還。師速其歸。及踵門。師告之曰。時至。吾行矣。才曰。師有何語示徒。乃說偈曰。紅日照扶桑。寒雲封華嶽。三更過鐵圍。拶折驪龍角。才問。卵塔已成。如何是畢竟事。師舉拳示之。遂就寢。推枕而寂。塔全身寺東之原。崇寧中諡振宗禪師。

見處真ならず。鷄足山の中にて、彼の衣鉢を看守せん。三千の大喻、八百の小喻、大いに似たり泥裏に土塊を洗うに。四十九年、三百六十餘會、摩竭提國に猶ほ些子較ばん。德山・臨濟、丈夫とはいえ、争いか似ん罽賓國王、一刀兩段。如今若し個人の鼻孔遼天あらば、山僧の性命何處にかあらん。良久して曰く、「太平は本是れ將軍の致すところ、將軍に太平を見るを許さず」。喝一喝し、下座。僧が問う、「天も葢う能わず、地も載する能わず、未審是れ什麼人ぞ」。師曰く、「地を掘りて深く埋めよ」。曰く、「此人還た安排を受くるや無や」。師曰く、「土の上に更に泥を加えよ」。問う、「牛頭未だ四祖に見ざる時如何」。師曰く、「長江に六月なし」。曰く、「見て後如何」。師曰く、「一年一度の春」。室中に僧に問う、「無手の人能く拳を行じ、無舌の人言語を解す。忽然無手の人無舌の人を打てば、無舌の人個の什麼をか道わん」。又曰く、「蜀魄連宵に呌び、鵽鳭終夜に啼く。圓通の門大いに啓く、何事か雲泥を隔つる」。晚年、疾を以て池陽杉山庵に居す。門弟子の智才、臨平の佛日に住し、歸り奉侍せしめんと迎う。才蘇城に如きて未だ還らず、師其の歸るを速む。門を踵ぐに及び、師之に告げて曰く、「時至れり、吾行かん」。才曰く、「師何か語ありて徒に示さん」。乃ち偈を説いて曰く、「紅日扶桑を照らし、寒雲華嶽を封ず。三更鐵圍を過ぎ、驪龍の角を拶折す」。才問う、「卵塔已に成れり、如何なるか是れ畢竟の事」。師拳を舉げて之に示す。遂に寢に就き、枕を推して寂す。全身を寺東の原に塔す。崇寧中、振宗禅師と諡す

越州稱心省倧禪師

越州稱心省倧禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。行人念路。僧曰。不會。師曰。緊峭草鞋。上堂。佛種從緣起。是故說一乘。拈拄杖曰。拄杖是緣。那箇是佛種。拄杖是一乘法。那箇是緣。這裡參見釋迦老子了。卻買草鞋行腳。不得向衲僧門下過。打折汝腰。且道衲僧據箇甚麼。良久曰。三十年後。莫孤負人。卓拄杖。下座。

僧が問う、「如何なるか是れ祖師西來意」。師曰く、「行人路を念ず」。僧曰く、「會しません」。師曰く、「緊峭の草鞋」。上堂、「佛種は緣より起り、是の故に一乘を説く」。拄杖を拈じて曰く、「拄杖は是れ緣、那個は是れ佛種。拄杖は是れ一乘法、那個は是れ緣。這裏で釋迦老子に參見了りて、卻って草鞋を買い行脚せん。衲僧の門下に向かって過ることを得ず、汝の腰を打折らん。且く道え、衲僧は個の什麼に據るか」。良久して曰く、「三十年後、人を孤負する莫れ」。拄杖を卓し、下座

泉州承天傳宗禪師

泉州承天傳宗禅師

僧問。大用現前。不存軌則時如何。師曰。承天今日高竪降旗。僧便喝。師曰。臨濟兒孫。僧又喝。師便打。問。如何是般若體。師曰。雲籠碧嶠。曰。如何是般若用。師曰。月在清池。

僧が問う、「大用現前、軌則を存せざる時如何」。師曰く、「承天今日高く降旗を竪つ」。僧便ち喝す。師曰く、「臨濟の兒孫」。僧又喝す。師便ち打つ。問う、「如何なるか是れ般若の體」。師曰く、「雲碧嶠を籠める」。曰く、「如何なるか是れ般若の用」。師曰く、「月清池に在り」

處州南明日慎禪師

處州南明日慎禅師

僧問。祖意教意。是同是別。師曰。水天影交碧。曰。畢竟是同是別。師曰。松竹聲相寒。

僧が問う、「祖意・教意は是れ同じきか別なるか」。師曰く、「水天影交り碧なり」。曰く、「畢竟是れ同じきか別なるか」。師曰く、「松竹聲相い寒し」

舒州投子法宗禪師(時稱道者)

舒州投子法宗禅師(時に道者と稱す)

僧問。如何是道者家風。師曰。袈裟裹草鞋。曰。意旨如何。師曰。赤腳下桐城。

僧が問う、「如何なるか是れ道者の家風」。師曰く、「袈裟草鞋を裹む」。曰く、「意旨如何」。師曰く、「赤脚桐城に下る」

天台寶相蘊觀禪師

天台寶相蘊觀禅師

僧問。如何是佛。師曰。堂堂八尺餘。

僧が問う、「如何なるか是れ佛」。師曰く、「堂堂たる八尺餘」

嶽州君山顯昇禪師

岳州君山顯升禅師

上堂。大方無外。含褁十虗。至理不形。圓融三際。高超名相。妙體全彰。迥出古今。真機獨露。握驪珠而鑑物。物物流輝。擲寶劒以揮空。空空絕跡。把定則摩竭掩室。淨名杜詞。放行則拾得搖頭。寒山拊掌。且道是何人境界。拈拄杖卓一下。曰。瞬目揚眉處。憑君子細看。

上堂、「大方外なく、十虚を含裹す。至理形なく、三際に圓融す。高く名相を超え、妙體全く彰れり。迥く古今を出で、真機独り露わる。驪珠を握りて物を鑑れば、物物輝きを流す」。寶劍を擲って以て空を揮えば、空空蹤を絶つ。把定すれば摩竭は室を掩い、淨名は詞を杜ぐ。放行すれば拾得は頭を搖り、寒山は掌を拊つ。且く道え、是れ何人の境界ぞ。拄杖を拈じて一下卓して曰く、「瞬目揚眉の處、君子に憑って子細に看よ」

平江府水月寺惠金典座

平江府水月寺惠金典座

依明覺於雪竇。聞舉須彌山話。默有契。一日欲往訊。遇之殿軒。覺問。汝名甚麼。曰。惠金。覺曰。阿誰惠汝金。曰。容少間去方丈致謝。覺曰。即今聻。曰。這裡容和尚不得。

雪竇にて明覺に依る。須弥山の話の挙げられるを聞きて、默然契あり。一日訊ねんと往かんと欲し、之に殿軒で遇う。覺問う、「汝名什麼」。曰く、「惠金」。覺曰く、「阿誰か汝に金を惠した」。曰く、「少間を容れて方丈に往きて致謝せん」。覺曰く、「即今いかん」。曰く、「這裏は和尚を容れ得ず」

修撰曾會居士

修撰曾會居士

幼與明覺同舍。及冠異途。天禧間。公守池州。一日會於景德寺。公遂引中庸大學。參以楞嚴符宗門語句。質明覺。覺曰。這箇尚不與教乘合。況中庸大學邪。學士要徑捷理會此事。乃彈指一下曰。但恁麼薦取。公於言下領旨。天聖初。公守四明。以書幣迎師補雪竇。既至。公曰。某近與清長老商量趙州勘婆子話。未審端的有勘破處也無。覺曰。清長老道箇甚麼。公曰。又與麼去也。覺曰。清長老且放過一著。學士還知天下衲僧出這婆子圈䙡不得麼。公曰。這裡別有箇道處。趙州若不勘破。婆子一生受屈。覺曰。勘破了也。公大笑。

幼くして明覺と同舍し、冠に及びて途を異にす。天禧の間、公池州を守る。一日景德寺に會す。公遂に中庸・大學を引き、楞嚴を參じて宗門の語句に符し、明覺に質す。覺曰く、「這個尚ほ教乘に合せず、況んや中庸・大學をや。學士この事を徑捷に理會せんと要せば」。乃ち指を一下彈じて曰く、「但だ恁麼に薦取せよ」。公言下に旨を領す。天聖初、公四明を守り、書幣を以て師を迎え雪竇を補さしむ。既に至り、公曰く、「某近く清長老と趙州勘婆子の話を商量す。未審端的に勘破の處あるや無や」。覺曰く、「清長老個の什麼をか道いし」。公曰く、「又恁麼に去るなり」。覺曰く、「清長老且く一着を放過せり。學士還た知るや、天下の衲僧この婆子の圈䙌を出ることを得ざるを」。公曰く、「這裏別に個の道處あり。趙州若し勘破せざれば、婆子一生屈を受けん」。覺曰く、「勘破了れり」。公大笑す

延慶榮禪師法嗣

延慶榮禅師法嗣

廬山圓通居訥祖印禪師

廬山圓通居訥祖印禅師

梓州人。姓蹇氏。生而英特。讀書過目成誦。十一齣家。十七試法華得度。受具後肄業講肆。耆年多下之。會禪者南遊回。力勉其行。於是徧參荊楚間。迄無所得。至襄州洞山。留止十年。因讀華嚴論有省。後遊廬山。道價日起。由歸宗而遷圓通。仁廟聞其名。皇祐初。詔住十方淨因禪院。師稱目疾。不能奉詔。有旨令舉自代。遂舉大覺璉應詔。及引對。問佛法大意稱旨。天下賢師知人也。僧問。祖剎重興時如何。師曰。人在破頭山。曰。一朝權在手。師便打。

梓州の人。姓は蹇氏。生まれながら英特。書を讀んで目を過れば誦を成す。十一に出家し、十七に法華を試して得度。具を受けて後、講肆に肄業し、耆年多く之に下る。禅者の南游より回るに會し、力めて其の行きを勉す。是に於て荆楚の間に徧參すれど、迄として得るところなし。襄州洞山に至り、留止すること十年。華嚴論を讀む因りて省あり。後に廬山に遊び、道價日に起る。歸宗より圓通に遷る。仁廟其の名を聞き、皇祐初、十方淨因禅院に住すべしと詔す。師目疾と稱して詔を奉る能わず。旨ありて自ら代わるを擧げしめ、遂に大覺璉を擧げて詔に應ず。引對に及び、佛法の大意を問うに旨に稱う。「天下の賢師、人を知るか」。僧問う、「祖刹重興の時如何」。師曰く、「人破頭山に在り」。曰く、「一朝權を手に在らば」。師便ち打つ

百丈映禪師法嗣

百丈映禅師法嗣

臨安府慧因懷祥禪師

臨安府慧因懷祥禅師

上堂。南山高。北山低。日出東方夜落西。白牛上樹覓不得。烏鷄入水大家知。且道覓得後又如何。良久曰。堪作甚麼。

上堂、「南山高く北山低し、日は東方に出で夜に西に落つ。白牛樹に上りて覓むること得ず、烏鷄水に入れば大家知る。且く道え、覓め得て後又いかん」。良久して曰く、「堪えて什麼を作さん」

臨安府慧因義寧禪師

臨安府慧因義寧禅師

僧問。佛未出世時如何。師曰。摩耶夫人。曰。出世後如何。師曰。悉達太子。

僧問う、「佛未だ世に出ざる時如何」。師曰く、「摩耶夫人」。曰く、「世に出でて後如何」。師曰く、「悉達太子」

南華緣禪師法嗣

南華緣禅師法嗣

齊州興化延慶禪師

齊州興化延慶禅師

上堂。言前薦得。孤負平生。句後投機。全乖道體。離此二途。祖宗門下又且如何。良久曰。眼裡瞳兒吹木笛。

上堂、「言の前に薦得すれば、平生を孤負す。句の後に投機すれば、全く道體に乖く。此の二途を離れて、祖宗門下は又且く如何」。良久して曰く、「眼裏の瞳兒木笛を吹く」

韶州寶壽行德禪師

韶州寶壽行德禅師

冬日在南華受請。示眾曰。新冬新寶壽。言是舊時言。若會西來意。波斯上舶船。

冬日南華にて請を受く。示衆して曰く、「新冬新寶壽、言は是れ舊時の言。若し西來意に會せば、波斯舶船に上る」

韶州白虎山守昇禪師

韶州白虎山守升禅師

僧問。如何是佛。師曰。有眼無鼻孔。

僧問う、「如何なるか是れ佛」。師曰く、「眼有りて鼻孔無し」

北禪賢禪師法嗣

北禅賢禅師法嗣

潭州興化紹銑禪師

潭州興化紹銑禅師

上堂拈拄杖曰。一大藏教。是拭不淨故紙。超佛越祖之談。是誑𧬵閭閻漢。若論衲僧門下。一點也用不得。作麼生是衲僧門下事。良久曰。多虗不如少實。擊香臺。下座。

上堂、拄杖を拈じて曰く、「一大藏教は是れ拭い淨めざる故紙、超佛越祖の談は是れ閭閻の漢を誑𧬵す。若し衲僧門下に論ぜば、一點も用いることを得ず。作麼生か是れ衲僧門下の事」。良久して曰く、「多虚は少實に如かず」。香台を撃ち、下座

洪州法昌倚遇禪師

洪州法昌倚遇禅師

漳州林氏子。幼棄家。依郡之崇福得度。有大志。自受具遊方。名著叢席。浮山遠和尚嘗指謂人曰。此後學行腳樣子也。參北禪。禪問。近離甚處。師曰。福嚴。禪曰。思大鼻孔長多少。師曰。與和尚當時見底一般。禪曰。汝道我見時長多少。師曰。和尚大似不曾到福嚴。禪曰。學語之流。又問。來時馬大師安樂否。師曰。安樂。禪曰。向汝道甚麼。師曰。教和尚莫亂統。禪曰。念汝新到。不能打得你。師曰。某甲亦放和尚過。茶罷。禪問。鄉裡甚處。師曰。漳州。禪曰。三平在彼作甚處。師曰。說禪說道。禪曰。年多少。師曰。與露柱齊年。禪曰。有露柱且從。無露柱年多少。師曰。無露柱。一年也不少。禪曰。夜半放烏鷄。師留北禪最久。於是師資敲唱。妙出一時。晚至西山。睠雙嶺深𨗉。棲息三年。始應法昌之請。師在雙嶺受請。與英勝二首座相別。曰。三年聚首。無事不知。檢點將來。不無滲漏。以拄杖畫一畫。曰。這箇即且止。宗門事作麼生。英曰。須彌安鼻孔。師曰。恁麼則臨崖看滸眼。特地一場愁。英曰。深沙努眼睛。師曰。爭奈聖凡無異路。方便有多門。英曰。鐵蛇鑽不入。師曰。這般漢有甚共語處。英曰。自緣根力淺。莫怨太陽春。卻畫一畫。曰。宗門事且止。這箇事作麼生。師便掌。英曰。這漳州子。莫無去就。師曰。你這般見解。不打更待何時。又打。英曰。也是老僧招得。上堂。祖師西來。特唱此事。祇要時人知有。如貧子衣珠。不從人得。三世諸佛。祇是弄珠底人。十地菩薩。祇是求珠底人。汝等正是竛竮乞丐。懷寶迷邦。靈利漢才聞舉著。眨上眉毛。便知落處。若更踏步向前。不如䇿杖歸山去。長嘯一聲煙霧深。示眾。我要一箇不會禪底作國師。上堂。汝若退身千尺。我便當處生芽。汝若覿面相呈。我便藏身露影。汝若春池拾礫。我便撒下明珠。直得水灑不著。風吹不入。

漳州林氏の子。幼くして家を棄て、郡の崇福に依りて得度。大志あり。具を受けてより游方し、名は叢席に著る。浮山遠和尚嘗て指して人に謂いて曰く、「此れ後學行脚の樣子なり」。北禅に參ず。禅問う、「近く甚處を離れたる」。師曰く、「福巖」。禅曰く、「思大の鼻孔長さ多少」。師曰く、「和尚當時見たる底と一般」。禅曰く、「汝道え、我見たる時長さ多少」。師曰く、「和尚大いに似たり曾て福巖に到らざるに」。禅曰く、「學語の流なり」。又問う、「來る時馬大師安樂なるか」。師曰く、「安樂」。禅曰く、「汝に向かって什麼をか道いし」。師曰く、「和尚に亂統する莫れと教えし」。禅曰く、「汝の新到を念い、打ち得ず」。師曰く、「某甲亦和尚を放過せん」。茶罷み、禅問う、「鄉里甚處」。師曰く、「漳州」。禅曰く、「三平彼に在りて甚處を作す」。師曰く、「禅を説き道を説く」。禅曰く、「年多少」。師曰く、「露柱と齊年」。禅曰く、「露柱有らば且く從え、露柱無ければ年多少」。師曰く、「露柱無し、一年も少なからず」。禅曰く、「夜半に烏鷄を放つ」。師北禅に留まること最も久し。是に於て師資敲唱、妙は一時に出ず。晚く西山に至り、雙嶺の深𨗉を睠み、栖息すること三年。始めて法昌の請に應ず。師雙嶺にて請を受け、英・勝二首座と相別れ、曰く、「三年聚首、知らざる事なし。檢點し將來すれば、滲漏なきにあらず」。拄杖を以て一畫を畫きて曰く、「這個即ち且く止め、宗門の事作麼生」。英曰く、「須弥鼻孔を安ず」。師曰く、「恁麼ならば崖に臨み滸眼を看る、特地の一場愁」。英曰く、「深沙眼睛を努む」。師曰く、「争奈聖凡異路無く、方便多門有るを」。英曰く、「鐵蛇鑽り入る能わず」。師曰く、「這般の漢、共に語る處有らんか」。英曰く、「自ら緣根力淺し、太陽の春を怨む莫れ」。卻って一畫を畫きて曰く、「宗門の事且く止め、這個の事作麼生」。師便ち掌す。英曰く、「這の漳州子、去就無き莫れ」。師曰く、「汝這般の見解、打たずして更に何時を待たん」。又打つ。英曰く、「亦是れ老僧招き得たり」。上堂、「祖師西來、特に此事を唱う。只要時人の有を知ること。貧子の衣珠の如く、人より得ず。三世の諸佛は只だ弄珠底の人、十地の菩薩は只だ求珠底の人。你們正に竛竮乞丐なり。寶を懐いて邦に迷う。靈利の漢、纔かに擧著を聞けば、眉毛を眨がして便ち落處を知る。若し更に步を踏み向前せば、䇿杖して山に歸るに如かず。長嘯一聲煙霧深し」。示衆、「我要む一個の禅を會せざる底、國師と作らん」。上堂、「你若し身を退けば千尺、我便ち當處に芽を生ず。你若し觌面に相呈せば、我便ち身を藏して影を露わす。你若し春池に礫を拾えば、我便ち明珠を撒下す。直に水の灑ぐこと著かず、風の吹き入ることなからしめん」

如箇無孔鐵鎚相似。且道法昌還有為人處也無。良久曰。利刀割肉瘡猶合。惡語傷人恨不銷。上堂。春山青。春水綠。一覺南柯夢初足。攜笻縱步出松門。是處桃英香馥郁。因思昔日靈雲老。三十年來無處討。如今競愛摘楊花。紅香滿地無人掃。上堂。拈起拄杖曰。我若拈起。你便喚作先照後用。我若放下。你便喚作先用後照。我若擲下。你便喚作照用同時。忽然不拈不放。你向甚麼處卜度。直饒會得倜儻分明。若遇臨濟德山。便須腦門會地。且道伊有甚麼長處。良久曰。曾經大海休誇水。除卻須彌不是山。上堂。夜半烏鷄誰捉去。石女無端遭指注。空王令下急搜求。唯心便作軍中主。雲門長驅。溈山隊伍。列五位槍旗。布三玄戈弩。藥山持刀。青原荷斧。石鞏彎弓。禾山打鼓。陣排雪嶺長蛇。兵屯黃檗飛虎。木馬帶毛烹。泥牛和角煑。賞三軍。犒師旅。打葛藤。分露布。截海颺塵。橫山簸土。擊玄關。除徼路。多少平人受辛苦。無邊剎海競紛紛。三界聖凡無覓處。無覓處。還知否。昨夜雲收天宇寬。依然帶月啼高樹。上堂。閑來祇麼坐。拍手誰賡和。回頭忽見簸箕星。水墨觀音解推磨。拍手一下曰。還會麼。八十翁翁雖皓首。看看不見老人容。上堂。法昌今日開爐。行腳僧無一箇。唯有十八高人。緘口圍爐打坐。不是規矩嚴難。免見諸人話墮。直饒口似秤鎚。未免燈籠勘破。不知道絕功勳。妄自修因證果。喝曰。但能一念回光。定脫一乘羈鎻。黃龍南禪師至。上堂。拏雲攫浪數如麻。點著銅睛眼便花。除卻黃龍頭角外。自餘渾是赤斑蛇。法昌小剎。路遠山遙。景物蕭疎。遊人罕到。敢謂黃龍禪師曲賜光臨。不唯泉石生輝。亦乃人天欣悅。然雲行雨施。自古自今。其奈爐鞴之所。鈍鐵尤多。良醫之門。病者愈甚。瘥病須求靈藥。銷頑必藉金錘。法昌這裡。有幾箇垛根阿師。病者病在膏肓。頑者頑入骨髓。

個の無孔鐵鎚に相似たり。且く道え、法昌還た為人の處有るや無や。良久して曰く、「利刀肉を割れば瘡猶合し、惡語人を傷れば恨み銷えず」。上堂、「春山青く春水綠、一覺南柯の夢初めて足る。笻を攜え縱步松門を出れば、是處桃英香馥郁なり。因りて昔日の靈雲老を思う、三十年來討求する處無し。如今競い愛す楊花を摘むを、紅香地に滿ちて掃く人無し」。上堂。拄杖を拈起して曰く、「我若し拈起すれば、你便ち喚んで先照後用と作さん。我若し放下すれば、你便ち喚んで先用後照と作さん。我若し擲下すれば、你便ち喚んで照用同時と作さん。忽然拈せず放たざれば、汝什麼の處に向かって卜度せん。直饒會得して倜儻分明なるとも、若し臨濟・德山に遇えば、便ち須らく腦門を地に會すべし。且く道え、伊に什麼の長處あるか」。良久して曰く、「曾て大海を經て水を誇る休め、須弥を除却して是れ山非ず」。上堂、「夜半の烏鷄誰が捉え去る、石女端無く指注を遭う。空王令下りて急に搜求す、唯心便ち作りて軍中の主と為る。雲門長驅、潙山隊伍。五位の槍旗を列ね、三玄の戈弩を布く。藥山刀を持ち、青原斧を荷う。石鞏弓を彎め、禾山鼓を打つ。陣は雪嶺の長蛇を排し、兵は黄檗の飛虎を屯す。木馬毛を帶びて烹り、泥牛角尖に和して煑る。三軍を賞し、師旅を犒う。葛藤を打ち、露布を分つ。海を截り塵を飏げ、山を橫ぎ土を簸う。玄關を擊ち、徼路を除く。多少の平人辛苦を受く。無邊の刹海競い紛紛たり、三界聖凡覓むる處無し。覓むる處無し、還た知るか。昨夜雲收まり天宇寬く、依然月を帶びて高樹に啼く」。上堂、「閑來只麼に坐し、拍手誰か赓和せん。回頭忽ち見る簸箕星、水墨觀音推磨を解す」。拍手一下して曰く、「還た會するか。八十翁翁皓首なりといえども、看看老人の容を見ず」。上堂、「法昌今日爐を開く、行脚僧一個も無し。唯有る十八高人、口を緘め爐を圍りて打坐す。規矩嚴難ならざるは、免れ見ん諸人の話墮を。直饒口秤鎚に似るとも、未免燈籠の勘破を。知らず道の功勳を絶するを、妄りに自ら因を修し果を證す」。喝して曰く、「但だ能く一念光を回らば、定めて一乘の羈鎖を脱せん」。黄龍南禅師至り。上堂、「雲を拏み浪を攫む數麻の如く、銅睛を點著すれば眼便ち花と為る。黄龍の頭角を除却すれば、自餘渾て是れ赤斑蛇。法昌小刹、路遠く山遙か、景物蕭疎、游人罕到。敢えて謂う黄龍禅師曲に光臨を賜う、唯ならず泉石の輝きを生ず。亦乃ち人天欣悅なり。然るに雲行雨施、古自今。其奈いかん爐鞴の所、鈍鐵尤も多く、良醫の門、病者愈甚。病を瘥すには須らく靈藥を求め、頑を銷するには必ず金鎚を藉る。法昌這裏、幾個かの垛根阿師あり。病者は病膏肓に在り、頑者は頑骨髓に入る

若非黃龍老漢到來。總是虗生浪死。拈拄杖曰。要會麼。打麵還他州土麥。唱歌須是帝鄉人。僧問。古鏡未磨時如何。師曰。卻須磨取。曰。未審如何下手。師曰。鏡在甚麼處。僧遂作一圓相。師便打曰。這漆桶。碌甎也不識。師與感首座歲夜吃湯次。座曰。昔日北禪分歲。曾烹露地白牛。和尚今夜分歲。有何施設。師曰。臘雪連山白。春風透戶寒。座曰。大眾吃箇甚麼。師曰。莫嫌冷淡無滋味。一飽能消萬劫飢。座曰。未審是甚麼人置辦。師曰。無慚愧漢。來處也不知。英勝二首座到山相訪。英曰。和尚尋常愛點檢諸方。今日因甚麼卻來古廟裡作活計。師曰。打草祇要蛇驚。英曰。莫塗糊人好。師曰。你又刺頭入膠盆作甚麼。英曰。古人道。我見兩個泥牛鬬入海。所以住此山。未審和尚見箇甚麼。師曰。你他時異日。有把茆葢頭。人或問你。作麼生祇對。英曰。山頭不如嶺尾。師曰。你且道。還當得住山事也無。英曰。使钁不及拖犂。師曰。還曾夢見古人麼。英曰。和尚作麼生。師展兩手。英曰。鰕跳不出鬥。師曰。休將三寸燭。擬比太陽輝。英曰。爭奈公案見在。師曰。亂統禪和。如麻似粟。龍圖徐公禧布衣時。與師往來。為法喜之遊。師將化前一日。作偈遺之曰。今年七十七。出行須擇日。昨夜問龜哥。報道明朝吉。徐覽偈聳然。邀靈源清禪師同往。師方坐寢室。以院務誡知事曰。吾住此山二十三年。護惜常住。每自蒞之。今行矣。汝輩著精彩。言畢。舉拄杖曰。且道這箇分付阿誰。徐與靈源皆屏息。遂擲杖投床。枕臂而化。

若し黄龍の老漢到來せざれば、總て虚生浪死なり。拄杖を拈じて曰く、「會せんと要するか。面を打つには還て他州の土麦、歌を唱うには須是れ帝鄉の人」。僧問う、「古鏡未磨の時如何」。師曰く、「卻って須らく磨取すべし」。曰く、「未審如何にして下手する」。師曰く、「鏡什麼の處に在る」。僧遂に一圓相を作す。師便ち打ちて曰く、「這の漆桶、碌甎も識らず」。師感首座と歲夜湯を吃する次、座曰く、「昔日北禅歲を分かち、曾て露地の白牛を烹りき。和尚今夜歲を分かつ、何の施設かあらん」。師曰く、「臘雪山に連なりて白く、春風戶を透りて寒し」。座曰く、「大衆個の什麼をか吃せん」。師曰く、「冷淡にして滋味無きを嫌う莫れ、一飽能く萬劫の飢を消す」。座曰く、「未審是れ什麼人の置辦ぞ」。師曰く、「慚愧無き漢、來處も知らず」。英勝二首座山に到り相訪う。英曰く、「和尚尋常諸方を點檢することを愛し、今日因什麼か卻って古廟裏に來りて活計を作す」。師曰く、「草を打つは只要蛇を驚かさんと」。英曰く、「人を涂糊する莫れ」。師曰く、「汝又頭を刺して膠盆に入るは什麼を作す」。英曰く、「古人道う、我見る兩個の泥牛鬬って海に入る、所以に此山に住す。未審和尚個の什麼を見たる」。師曰く、「汝他時異日、茆を把り頭を葢かば、人或いは汝に問わん、作麼生か只對せん。英……人或いは汝に問わん、作麼生か只對せん」。英曰く……師曰く、「汝且く道え、還た住山の事に當るを得るや無や」。英曰く、「钁を使うは犂を拖るに及ばず」。師曰く、「還た曾て古人を夢見したるか」。英曰く、「和尚作麼生」。師兩手を展ぶ。英曰く、「鰕跳びて斗を出でず」。師曰く、「三寸の燭を將て太陽の輝に擬するを休めよ」。英曰く、「争奈公案見在なるを」。師曰く、「亂統の禅和、麻の如く粟に似たり。龍圖徐公禧、布衣の時、師と往來し、法喜の游と為す」。師將に化せんとする前一日、偈を作りて之に遺して曰く、「今年七十七、出行須らく日を擇べし。昨夜亀哥に問う、報道明朝吉なるか」。徐偈を覽て聳然とし、靈源清禅師を邀えて同往す。師方に寢室に坐す。院務を以て知事に誡めて曰く、「吾此山に住すること二十三年、常住を護惜し、毎に自ら之に莅む。今行かん、你輩精彩を著けよ」。言畢り、拄杖を擧げて曰く、「且く道え、這個阿誰に分付せん」。徐と靈源皆息を屏す。遂に杖を擲ち床に投げ、臂を枕して化す

福州廣因擇要禪師

福州廣因擇要禅師

上堂。王臨寶位。胡漢同風。紐半破三。佛殿倒卓。藏身句即不問。你透出一字作麼生道。拈拄杖曰。春風開竹戶。夜雨滴花心。上堂。古者道。祇恐為僧心不了。為僧心了總輸僧。且如何是諸上座了底心。良久曰。漁翁睡重春潭闊。白鳥不飛舟自橫。僧問。如何是祖師西來意。師曰。長安東。洛陽西。問。如何是佛。師曰。福州橄欖兩頭尖。問。佛未出世時如何。師曰。隈巖傍壑。曰。出世後如何。師曰。前山後山。

上堂、「王寶位に臨み、胡漢同風、紐半破三、佛殿倒卓。藏身の句は即ち問わず、汝一字を透出し作麼生か道わん」。拄杖を拈じて曰く、「春風竹戶を開き、夜雨花心に滴る」。上堂、「古者道う、只恐らくは僧と為る心不了、僧と為る心了れば總て僧に輸す。且く如何なるか是れ諸上座の了底の心」。良久して曰く、「漁翁睡り重く春潭闊し、白鳥飛ばず舟自ら橫なり」。僧問う、「如何なるか是れ祖師西來意」。師曰く、「長安東、洛陽西」。問う、「如何なるか是れ佛」。師曰く、「福州の橄欖兩頭尖なり」。問う、「佛未だ世に出ざる時如何」。師曰く、「巖に隈り壑に傍う」。曰く、「世に出でて後如何」。師曰く、「前山後山」

開先暹禪師法嗣

開先暹禅師法嗣

南康軍雲居山了元佛印禪師

南康軍雲居山了元佛印禅師

饒州浮梁林氏子。誕生之時。祥光上燭。鬚髮爪齒。宛然具體。風骨爽㧞。孩孺異常。發言成章。語合經史。閭裡先生稱曰神童。年將頂角。博覧典墳。卷不再舒。洞明今古。才思俊邁。風韻飄然。志慕空宗。投師出家。試經圓具。感悟夙習。即徧參尋。投機於開先法席。出為宗匠。九坐道場。四眾傾向。名動朝野。神宗賜高麗磨衲金缽。以旌師德。僧問。如何是佛。師曰。木頭雕不就。曰。恁麼則皆是虗妄也。師曰。梵音深遠。令人樂聞。問。如何是諸佛說不到底法。師曰。蟻子解尋腥處走。蒼蠅偏向臭邊飛。曰。學人未曉。請師再指。師曰。九萬裡鵬從海出。一千年鶴遠天歸。問。達磨面壁。意旨如何。師曰。閉口深藏舌。曰。學人未曉。師曰。一言已出。駟馬難追。問。大修行人還入地獄也無。師曰。在裡許。曰。大作業人還上天堂也無。師曰。鰕跳不出鬥。曰。恁麼則鑊湯爐炭吹教滅。劒樹刀山喝使摧。師曰。自作自受。乃曰。適來禪客出眾禮拜。各以無量珍寶佈施大眾。又於面門上放大光明。照耀乾坤。令諸人普得相見。於此明得。可謂十方諸佛各坐其前。常為勞生。演說大法。豈假山僧重重註破。如或未然。不免橫身徇物。乃橫按拄杖曰。萬般草木根苗異。一得春風便放花。上堂。寒。寒。風撼竹聲乾。水凍魚行澀。林疎鳥宿難。早是嚴霜威重。那堪行客衣單。休思紫陌山千朵。且擁紅爐火一攢。放下茱萸空中竹橛。倒卻迦葉門前剎竿。直下更雲不會。算來也太無端。參。師一日與學徒入室次。適東坡居士到面前。師曰。此間無坐榻。居士來此作甚麼。士曰。暫借佛印四大為坐榻。師曰。山僧有一問。居士若道得。即請坐。道不得。即輸腰下玉帶子。士欣然曰。便請。師曰。居士適來道。暫借山僧四大為坐榻。祇如山僧四大本空。五陰非有。居士向甚麼處坐。士不能答。遂留玉帶。

饒州浮梁林氏の子。誕生の時、祥光上に燭し、須髮爪齒宛然として具體なり。風骨爽㧞、孩孺異常。發言章を成し、語は經史に合す。閭里の先生稱して神童と曰う。年將に頂角ならんとして、典墳を博覧し、卷再び舒べず、洞明今古。才思俊邁、風韻飄然。空宗を志慕し、師に投じて出家し、經を試して圓具す。夙習に感悟し、即ち徧く參尋し、開先の法席に投機す。出でて宗匠と為り、九たび道場に坐し、四衆傾向し、名は朝野に動く。神宗高麗の磨衲金鉢を賜い、以て師德を旌す。僧問う、「如何なるか是れ佛」。師曰く、「木頭雕って就かず」。曰く、「恁麼ならば皆是れ虚妄なり」。師曰く、「梵音深遠、人をして聞き樂ましむ」。問う、「如何なるか是れ諸佛説かざる底の法」。師曰く、「蟻子腥處を尋ねて走るを解し、蠅は偏えに臭邊に向かって飛ぶ」。曰く、「學人未だ曉らず、師に再び指すを請う」。師曰く、「九萬里の鵬海より出で、一千年の鶴遠天より歸る」。問う、「達磨の面壁、意旨如何」。師曰く、「口を閉じ深く舌を藏む」。曰く、「學人未だ曉らず」。師曰く、「一言已に出づれば、駟馬も追い難し」。問う、「大修行の人還て地獄に入るや無や」。師曰く、「裏許に在り」。曰く、「大作業の人還て天堂に上るや無や」。師曰く、「鰕跳びて斗を出でず」。曰く、「恁麼ならば鑊湯爐炭吹きて滅せしめ、劍樹刀山喝して摧けん」。師曰く、「自作自受」。乃ち曰く、「適來の禅客衆より出でて禮拜し、各々無量の珍寶を以て大衆に布施し、又面門の上に大光明を放ち、乾坤を照耀して、諸人をして普く相見るを得しむ。此に於て明らかに得れば、謂うべし十方の諸佛各々其の前に坐し、常に勞生の為めに大法を演説すと。豈に山僧の重重に注破を假らんや。如し或いは未然ならば、免れず身を横えて物に徇わん」。乃ち拄杖を横按して曰く、「萬般草木根苗異なり、一たび春風を得れば便ち花を放つ」。上堂、「寒寒、風竹を撼かして聲干からび、水凍りて魚行澀く、林疎にして鳥宿り難し。早く是れ嚴霜威重ければ、那かん堪えん行客の衣單に。紫陌山の千朵を思うを休め、且らく紅爐火一攢を擁せよ。茱萸を放下す空中の竹橛」。迦葉門前の刹竿を倒却す。直下更に不會と云わば、算來亦た太だ無端なり。参。師一日學徒と入室の次、適東坡居士面前に到る。師曰く、「此間坐榻無し、居士此に來りて什麼を作す」。士曰く、「暫く佛印の四大を借りて坐榻と為さん」。師曰く、「山僧一問あり、居士若し道い得ば即ち坐を請い、道い得ざれば即ち腰下の玉帶を輸さん」。士欣然として曰く、「便ち請う」。師曰く、「居士適來道う、暫く山僧の四大を借りて坐榻と為さんと。只如く山僧の四大本より空にして、五陰有に非ず、居士什麼の處に向かって坐せん」。士答える能わず。遂に玉帶を留む

師卻贈以雲山衲衣。士乃作偈曰。百千燈作一燈光。盡是恆沙妙法王。是故東坡不敢惜。借君四大作禪床。病骨難堪玉帶圍。鈍根仍落箭鋒機。會當乞食歌姬院。奪得雲山舊衲衣。此帶閱人如傳舍。流傳到我亦悠哉。錦袍錯落猶相稱。乞與佯狂老萬回。

師は却って雲山の衲衣を贈った。士は乃ち偈を作って曰く、「百千の燈を一燈の光と作せば、盡く是れ恒沙の妙法王。是の故に東坡惜しむに敢えず、君の四大を借りて禅床と作さん。病骨玉帶の圍に堪え難く、鈍根仍お箭鋒の機に落ち、會當に乞食すべし歌姬の院、奪い得ん雲山の舊衲衣。此の帶人を閲すること傳舍の如く、流傳して我に到るも亦た悠哉なり。錦袍錯落として猶ほ相稱す。乞い與えん佯狂の老萬回に」

東京智海本逸正覺禪師

東京智海本逸正覺禅師

僧問。古鏡未磨時如何。師曰。青青河畔草。曰。磨後如何。師曰。鬱鬱園中柳。曰。磨與未磨。是同是別。師曰。同別且置。還我鏡來。僧擬議。師便喝。上堂。開口是。合口是。眼下無妨更著鼻。開口錯。合口錯。眼與鼻孔都拈卻。佛也打。祖也打。真人面前不說假。佛也安。祖也安。衲僧肚皮似海寬。此乃一齣一入。半合半開。是山僧尋常用底。敢問諸禪德。剎竿因甚麼頭指天。力士何故揎起拳。良久曰。參。上堂。拈拄杖曰。這拄杖。在天也與日月並明。在地也與山河同固。在王侯也以代蒲鞭。在百姓也防身禦惡。在衲僧也晝橫肩上。渡水穿雲。夜宿旅亭。撐門拄戶。且道在山僧手裡。用作何為。要會麼。有時放步東湖上。與僧遙指遠山青。擊禪床下座。上堂。憶得老僧年七歲時。於村校書處得一法門。超情離見。絕妙絕玄。爰自染神。逾六十載。今日輒出。普告大眾。若欲傳持。宜當諦聽。遂曰。寒原耕種罷。牽犢負薪歸。此夜一爐火。渾家身上衣。諸禪德。逢人不得錯舉。上堂。古者道。接物利生絕妙。外甥終是不肖。他家自有兒孫。將來應用恰好。諸禪德還會麼。菜園牆倒晴方築。房店籬穿雨過修。院宇漏時隨分整。兒孫大小盡風流。上堂。舉暹和尚道。寒。寒。地爐火暖。閑坐蒲團。說迦葉不是。談達磨無端。此也彼也。必然一般。師召大眾曰。迦葉甚處不是。達磨那裡無端。若檢點得出。彼之二老一場懡㦬。若點檢不出。三十年後。莫道不被人瞞好。上堂。我有這一著。人人口裡嚼。嚼得破者。速須吐卻。嚼不破者。翻成毒藥。乃召諸禪德。作甚麼滋味。試請道看。良久曰。醫王不是無方義。千里蘇香象不回。道士問。如何是道。師曰。龍吟金鼎。虎嘯丹田。曰。如何是道中人。師曰。吐故納新。曰。道與道中人相去多少。師曰。罥鶴顛崖上。沖天昧米民。

僧問う、「古鏡未磨の時如何」。師曰く、「青青たり河畔の草」。曰く、「磨きて後如何」。師曰く、「郁郁たり園中の柳」。曰く、「磨と未磨は是れ同じきか別なるか」。師曰く、「同別は且く置け、我に鏡を還せ」。僧擬議す。師便ち喝す。上堂、「口を開けば是れ、口を合せば是れ、眼下妨げなし更に鼻を著けよ。口を開けば錯り、口を合せば錯り、眼と鼻孔都て拈却せよ。佛も打て、祖も打て、真人の面前に假を説かず。佛も安し、祖も安し、衲僧の肚皮海に似て寬し。此乃ち一出て一入り、半合半開、是れ山僧尋常用いる底なり。敢えて問う諸の禅德、刹竿因什麼か頭天を指す、力士何故に拳を揎り起す」。良久して曰く、「参」。上堂。拄杖を拈じて曰く、「這の拄杖、天に在りても日月と並び明らかに、地に在りても山河と同じく固し。王侯に在りても以て蒲鞭に代え、百姓に在りても身を防ぎ惡を御ぐ。衲僧に在りても昼は肩上に横え、水を渡り雲を穿ち、夜は旅亭に宿り、門を撑え戶を拄く。且く道え、山僧の手裏に在りては用いて何を作為せん。會せんと要するか。時有りて步を東湖の上に放ち、僧と遥かに遠山の青を指す」。禅床を撃ち下座。上堂、「憶うらく老僧年七歲の時、村の校書の處にて一つの法門を得たり。情を超え見を離れ、絶妙絶玄。爰自り神に染むること六十載を逾えたり。今日輒ち出して普く大衆に告ぐ。若し傳持せんと欲せば、宜しく當に諦聽すべし」。遂に曰く、「寒原耕種罷み、犢を牽き薪を負いて歸る。此の夜一爐の火、渾家身上の衣。諸の禅德、人に逢えば錯って舉するなかれ」。上堂、「古者道う、接物利生绝妙にして、外甥終に是れ不肖。他家自から兒孫有り、將來應用恰好なり。諸の禅德還た會するか。菜園の牆倒るれば晴れて方に築き、房店の籬穿てば雨過ぎて修め、院宇漏る時は分に隨いて整え、兒孫大小盡く風流なり」。上堂、「暹和尚の道を舉ぐ、寒寒、地爐火暖か、閑坐蒲團。迦葉の不是を説き、達磨の無端を談ず。此れ也彼れ也、必然一般なり」。師大衆を召して曰く、「迦葉甚處か不是、達磨那裏か無端。若し檢點し出だすことを得ば、彼の二老一場の懡㦬。若し點檢し出ださざれば、三十年後、人に瞞されざる好しと道う莫れ」。上堂、「我に這一著有り、人人口裏に嚼む。嚼み破る者は速やかに須らく吐却し、嚼み破らざる者は翻って毒藥と成る」。乃ち諸の禅德を召す。什麼の滋味を作すか。試みに請いて道いて看よ。良久して曰く、「醫王是れ無方義ならず、千里の蘇香象回らず」。道士問う、「如何なるか是れ道」。師曰く、「龍吟じて金鼎、虎嘯きて丹田」。曰く、「如何なるか是れ道中の人」。師曰く、「故を吐き新を納む」。曰く、「道と道中の人相去ること多少」。師曰く、「罥鶴顛崖の上、天に衝きて米民を昧す」

越州天章元楚寶月禪師

越州天章元楚寶月禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。一年三百六十日。曰。便恁麼會時如何。師曰。迢迢十萬不是遠。上堂。鼓聲錯落。山色崔嵬。本既不有。甚處得來。良久曰。高著眼。

僧問う、「如何なるか是れ佛法の大意」。師曰く、「一年三百六十日」。曰く、「便ち恁麼に會する時如何」。師曰く、「迢迢たる十萬も遠きにあらず」。上堂、「鼓聲錯落、山色崔嵬。本既に有らず、甚處よりか得來す」。良久して曰く、「高く眼を著けよ」

欽上勤禪師法嗣

欽上勤禅師法嗣

鼎州梁山圓應禪師

鼎州梁山圓應禅師

僧問。如何是超佛越祖之談。師曰。吃粥吃飯。

僧問う、「如何なるか是れ超佛越祖の談」。師曰く、「粥を吃し飯を吃す」

青原下十一世

青原下十一世

雲居舜禪師法嗣

雲居舜禅師法嗣

金陵蔣山法泉佛慧禪師

金陵蔣山法泉佛慧禅師

隨州時氏子。僧問。古人說不到處。請師說。師曰。夫子入太廟。曰。學人未曉。師曰。春暖柳條青。問。如何是急切一句。師曰。火燒眉毛。問。祖師面壁。意旨如何。師曰。撐天拄地。曰。便恁麼去時如何。師曰。落七落八。問。二祖立雪齊腰。意旨如何。師曰。三年逢一閏。曰。為甚麼付法傳衣。師曰。村酒足人酤。問。蓮華未出水時如何。師曰。西瞿耶尼。曰。出水後如何。師曰。泗州大聖。問。如何是祖師西來意。師曰。髮長僧貌醜。曰。未審意旨如何。師曰。閉戶怕天寒。問。南禪結夏。為甚麼卻在蔣山解。師曰。眾流逢海盡。曰。恁麼則事同一家。師曰。夢裡到家鄉。上堂。來不來。去不去。腳下須彌山。腦後擎天拄。大藏不能宣。佛眼不能覷。諸禪德。漸老逢春解惜春。昨夜飛花落無數。上堂。畫一圓相。以手拓起曰。諸仁者還見麼。團團離海嶠。漸漸出雲衢。諸人若也未見。莫道南明長老措大相。卻於寶華王座上念中秋月詩。若也見得。此夜一輪滿。清光何處無。上堂。要去不得去。要住不得住。打破大散關。脫卻孃生袴。諸仁者若到臘月三十日。且道用箇甚麼。良久曰。柳絮隨風。自西自東。上堂。古人恁麼。南禪不恁麼。古人不恁麼。南禪卻恁麼。大眾還委悉麼。王婆衫子短。李四帽簷長。聖節。上堂。拈拄杖擊法座一下。曰。以此功德。祝延聖壽。便下座。上堂。時人慾識南禪路。門前有箇長松樹。腳下分明不較多。無奈行人恁麼去。莫恁去。急回顧。樓臺煙鎖鐘鳴處。師因雪下。上堂召大眾曰。還有過得此色者麼。良久曰。文殊笑。普賢嗔。眼裡無筋一世貧。相逢盡道休官去。林下何曾見一人。上堂。快人一言。快馬一鞭。若更眼睛定動。未免紙裹麻纏。腳下是地。頭上是天。不信但看八九月。紛紛黃葉滿山川。師晚奉詔住大相國智海禪寺。問眾曰。赴智海。留蔣山。

隨州時氏の子。僧問う、「古人説かざる處を請いて師説かしめん」。師曰く、「夫子太廟に入る」。曰く、「學人未だ曉らず」。師曰く、「春暖かにして柳條青し」。問う、「如何なるか是れ急切の一句」。師曰く、「眉毛を火燒す」。問う、「祖師の面壁、意旨如何」。師曰く、「天を撑え地を拄く」。曰く、「便ち恁麼に去る時如何」。師曰く、「七に落ち八に落つ」。問う、「二祖の立雪腰に齊し、意旨如何」。師曰く、「三年に一閏に逢う」。曰く、「什麼を以て法を付し衣を傳える」。師曰く、「村酒人の酤ぐに足る」。問う、「蓮華未だ水を出でざる時如何」。師曰く、「西瞿耶尼」。曰く、「水を出でて後如何」。師曰く、「泗州大聖」。問う、「如何なるか是れ祖師西來意」。師曰く、「髮長く僧の貌醜し」。曰く、「未審意旨如何」。師曰く、「戶を閉ぢて天寒を怕る」。問う、「南禅結夏、什麼を以てか卻って蔣山に解く」。師曰く、「衆流海に逢い盡く」。曰く、「恁麼ならば事一家に同じ」。師曰く、「夢裏家鄉に到る」。上堂、「來るにも來らず、去るにも去らず。脚下須弥山、腦後擎天を拄ぐ。大藏宣べる能わず、佛眼觑る能わず。諸の禅德、漸く老いて春に逢い春を惜しむを解す。昨夜飛花落つること無數」。上堂。一圓相を畫き、手を以て拓起して曰く、「諸の仁者還た見るか。團團として海嶠を離れ、漸々として雲衢を出出づ。諸人若し未だ見ざれば、南明長老措大の相と道う莫れ。卻って寶華王座の上に於て中秋月の詩を念ず。若し見得れば、此の夜一輪滿ち、清光何處か無き」。上堂、「去らんと要して去ることを得ず、住せんと要して住することを得ず。大散關を打破し、娘生の袴を脫却せよ。諸の仁者若し臘月三十日に到らば、且く道え個の什麼をか用いる」。良久して曰く、「柳絮風に隨い、自ら西自ら東」。上堂、「古人恁麼なり、南禅恁麼ならず。古人恁麼ならず、南禅卻って恁麼なり。大衆還た委悉するか。王婆の衫子短く、李四の帽簷長し」。聖節。上堂、「拄杖を拈じて法座を一下撃ち」て曰く、「此の功德を以て聖壽を祝延せん」。便ち下座。上堂、「時人南禅の路を識らんと欲せば、門前に個の長松樹在り。脚下分明として較べ多からず。無奈行人恁麼に去るを。恁麼に去る莫れ、急いで回顧せよ。樓臺煙に鎖す鐘鳴る處」。師雪下るに因り、上堂大衆を召して曰く、「還た此の色を過る者あるか」。良久して曰く、「文殊笑い、普賢嗔る。眼裏筋無ければ一世貧し。相逢盡く道う官を休めて去ると、林下何ぞ曾て一人を見んや」。上堂、「快人の一言、快馬の一鞭。若し更に眼睛定動せば、未免紙裹麻纏。脚下是れ地、頭上是れ天。信ぜずんば但だ八九の月を看よ、紛紛たる黄葉山川に滿つ」。師晚く詔を奉じ大相國智海禅寺に住す。衆に問うて曰く、「智海に赴くか、蔣山に留まるか」

去就孰是。眾皆無對。師索筆書偈曰。非佛非心徒擬議。得皮得髓謾商量。臨行珍重諸禪侶。門外千山正夕陽。書畢坐逝。

去就孰れか是れなる。衆皆對無し。師筆を索め偈を書して曰く、「佛に非ず心に非ず徒らに擬議し、皮を得髓を得るも謾りに商量。行くに臨み珍重す諸の禅侶、門外の千山正に夕陽なり」。書し畢りて坐逝す

明州天童澹交禪師

明州天童澹交禅師

僧問。臨雲閣聳。太白峰高。到這裡如何進步。師曰。但尋荒草際。莫問白雲深。曰。未審如何話會。師曰。寒山逢拾得。兩箇一時痴。曰。向上宗乘。又且如何舉唱。師曰。前言不及後語。上堂。也大奇。也大差。十箇指頭八箇罅。由來多少分明。不用鑽龜打瓦。便下座。

僧問う、「臨雲閣聳え、太白峰高し。這裏に到りて如何にして進步せん」。師曰く、「但だ荒草の際を尋ね、白雲の深きを問う莫れ」。曰く、「未審如何にして話會せん」。師曰く、「寒山拾得に逢い、兩個一時に癡なり」。曰く、「向上の宗乘、又且く如何にして擧唱せん」。師曰く、「前言後語に及ばず」。上堂、「也大いに奇なり、也大いに差えり。十個の指頭八個の罅あり。由來多少分明、龜を鑽き瓦を打つを用いず」。便ち下座

建州崇梵餘禪師

建州崇梵余禅師

僧問。臨濟喝少遇知音。德山棒難逢作者。和尚今日作麼生。師曰。山僧被你一問。直得退身三步。脊背汗流。曰。作家宗師。今日遭遇。師曰。一語傷人。千刀攪腹。僧以手畫一畫曰。爭奈這箇何。師曰。草賊大敗。問。恁麼來底人。師還接否。師曰。孤峰無宿客。曰。不恁麼來底人。師還接否。師曰。灘峻不留船。曰。恁麼不恁麼則且置。穿過髑髏一句作麼生。師曰。堪笑亦堪悲。上堂。直須向黑豆未生芽時搆取。良久。召大眾曰。劒去遠矣。

僧問う、「臨濟の喝は知音に遇うこと少なく、德山の棒は作者に逢うこと難し。和尚今日作麼生」。師曰く、「山僧汝の一問に、直に身を退くこと三步、脊背汗流なり」。曰く、「作家の宗師、今日遭遇す」。師曰く、「一語人を傷れば千刀腹を攪す」。僧手を以て一畫を畫きて曰く、「争奈這個を何とせん」。師曰く、「草賊大敗せり」。問う、「恁麼に來る底の人、師還た接するや否や」。師曰く、「孤峰宿客無し」。曰く、「恁麼ならず來る底の人、師還た接するや否や」。師曰く、「灘峻しければ船を留めず」。曰く、「恁麼恁麼ならずは則ち且く置け、髑髏を穿過する一句作麼生」。師曰く、「堪笑亦た堪悲なり」。上堂、「直に須らく黑豆未だ芽を生ぜざる時に向かって搆取すべし」。良久、大衆を召して曰く、「劍去りて遠し」

處州慈雲院修慧圓照禪師

處州慈雲院修慧圓照禅師

上堂。片月浸寒潭。微雲滿空碧。若於達道人。好箇真消息。還有達道人麼。微雲穿過你髑髏。片月觸著你鼻孔。珍重。

上堂、「片月寒潭に浸り、微雲空に滿ちて碧なり。若し達道の人に於ては、好個の真消息なり。還た達道の人あるか。微雲は汝の髑髏を穿過し、片月は汝の鼻孔に觸れ著けり。珍重」

大溈宥禪師法嗣

大潙宥禅師法嗣

廬山歸宗慧通禪師

廬山歸宗慧通禅師

僧問。如何是函葢乾坤句。師曰。日出東方夜落西。曰。如何是截斷眾流句。師曰。鐵山橫在路。曰。如何是隨波逐浪句。師曰。船子下揚州。問。如何是塵塵三昧。師曰。灰飛火亂。問。如何是佛法大意。師曰。黃河水出崑崙觜。問。十二時中如何履踐。師曰。鐵牛步春草。問。隻履西歸。當為何事。師曰。為緣生處樂。不是厭他鄉。曰。如何是當面事。師曰。眼下鼻頭垂。上堂。心隨相起。見自塵生。了見本心。知心無相。即十方剎海。念念圓明。無量法門。心心周匝。夫如是者。何假覺城東際。參見文殊。樓閣門開。方親彌勒。所以道。一切法門無盡海。同會一法道場中。拈起拄杖曰。這箇是一法。那箇是道場。這箇是道場。那箇是一法。良久曰。看。看。拄杖子穿過諸人髑髏。須彌山拶破諸人鼻孔。擊香臺一下。曰。且向這裡會取。上堂。從無入有易。從有入無難。有無俱盡處。且莫自顢頇。舉來看。寒山拾得禮豐幹。

僧問う、「如何なるか是れ函葢乾坤の句」。師曰く、「日は東方に出で夜に西に落つ」。曰く、「如何なるか是れ截斷衆流の句」。師曰く、「鐵山路に橫たわる」。曰く、「如何なるか是れ隨波逐浪の句」。師曰く、「船子揚州に下る」。問う、「如何なるか是れ塵塵三昧」。師曰く、「灰飛び火亂る」。問う、「如何なるか是れ佛法の大意」。師曰く、「黄河の水崑崙の觜より出づ」。問う、「十二時中如何にして履踐せん」。師曰く、「鐵牛春草を步む」。問う、「隻履西歸、當に何の事をか為すべき」。師曰く、「緣の生處に樂しむが為め、他鄉を厭うにあらず」。曰く、「如何なるか是れ當面の事」。師曰く、「眼下鼻頭垂る」。上堂、「心相に隨って起り、見塵より生ず。本心を了見し、心に相無きを知れば、即ち十方の刹海、念念圓明、無量の法門、心心周匝なり。夫れかくのごとき者、何ぞ覺城東際を假らん。文殊に參見し、樓閣の門開けて方に彌勒に親しむ。所以に道う、一切法門無盡の海、同じく會して一法の道場中なり」。拄杖を拈起して曰く、「這個是れ一法、那個是れ道場。這個是れ道場、那個是れ一法」。良久して曰く、「看看、拄杖子諸人の髑髏を穿過し、須弥山諸人の鼻孔を拶破す」。香台を一下撃ちて曰く、「且く這裏に向かって會取せよ」。上堂、「無より有に入るは易く、有より無に入るは難し。有無俱に盡くる處、且く自ら颟顸する莫れ。舉げて看よ、寒山拾得豐干を禮す」

安州大安興教慧憲禪師

安州大安興教慧憲禅師

上堂。我有一條拄杖。尋常將何比況。採來不在南山。亦非崑崙西嶂。拈起滿目光生。放下驪龍縮項。同徒若也借看。卓出人中之上。擊香臺。下座。

上堂、「我に一條の拄杖有り。尋常將た何を以て比況せん。采來南山に在らず、亦た崑崙西嶂にあらず。拈起すれば目光滿ちて生じ、放下すれば驪龍項を縮む。同徒若し借りて看れば、人中の上に卓出せん」。香台を撃ち、下座

育王璉禪師法嗣

育王璉禅師法嗣

臨安府佛日淨慧戒弼禪師

臨安府佛日淨慧戒弼禅師

僧問。如何是毗盧印。師曰。草鞋踏雪。曰。學人不會。師曰。步步成蹤。

僧問う、「如何なるか是れ毘盧の印」。師曰く、「草鞋雪を踏む」。曰く、「學人會せず」。師曰く、「步步蹤を成す」

福州天宮慎徽禪師

福州天宮慎徽禅師

上堂。八萬四千波羅密門。門門長開。三千大千微塵諸佛。佛佛說法。不說有。不說無。不說非有非無。不說亦有亦無。何也。離四句。絕百非。相逢舉目少人知。昨夜霜風漏消息。梅花依舊綴寒枝。

上堂、「八萬四千の波羅密門、門門長開、三千大千微塵の諸佛、佛佛法を説く。有を説かず、無を説かず、非有非無を説かず、亦有亦無を説かず。何となれば、四句を離れ、百非を絶すればなり。相逢い目を擧げるも知る人少なし。昨夜の霜風消息を漏らし、梅花依舊として寒枝に綴る」

靈隱知禪師法嗣

靈隱知禅師法嗣

臨安府靈隱正童圓明禪師

臨安府靈隱正童圓明禅師

僧問。如何是道。師曰。夜行莫踏白。曰。如何是道中人。師曰。黃張三。黑李四。

僧問う、「如何なるか是れ道」。師曰く、「夜行白を踏む莫れ」。曰く、「如何なるか是れ道中の人」。師曰く、「黄の張三、黑の李四」

承天簡禪師法嗣

承天簡禅師法嗣

婺州智者山利元禪師

婺州智者山利元禅師

上堂。拈拄杖曰。大用現前。不存軌則。東方一指。乾坤肅靜。西方一指。瓦解冰消。南方一指。南斗作竄。北方一指。北斗潛藏。上方一指。築著帝釋鼻孔。下方一指。穿過金剛水際。諸人面前一指。成得甚麼邊事。良久。卓一下曰。路上指奔鹿。門前打犬兒。

上堂。拄杖を拈じて曰く、「大用現前、軌則を存せず。東方を一指すれば乾坤肅靜、西方を一指すれば瓦解冰消、南方を一指すれば南斗作竄、北方を一指すれば北斗潛藏。上方を一指すれば帝釋の鼻孔に築著し、下方を一指すれば金剛水際を穿過す。諸人の面前を一指すれば、什麼の邊事をか成得せん」。良久、一下卓して曰く、「路上奔鹿を指し、門前に犬兒を打つ」

九峰韶禪師法嗣

九峰韶禅師法嗣

明州大梅法英祖鏡禪師

明州大梅法英祖鏡禅師

本郡張氏子。棄儒試經得度。肄講延慶。凡義學有困於宿德。輒以詰師。師縱辭辨之。為眾所敬。忽曰。名相迂曲。豈吾所宗哉。乃參九峰。峰見器之。與語若久在叢席。因痛劄之。師領旨。自爾得譽。住後。上堂。三十六旬之始。七十二候之初。末後句則且置。祇如當頭一句。又作麼生道。拈拄杖曰。歲朝把筆。萬事皆吉。急急如律令。大眾。山僧恁麼舉唱。且道還有祖師意也無。良久曰。記得東村黑李四。年年親寫在門前。卓拄杖。下座。宣和初。敕天下僧尼為德士。雖主法聚議。無一言以回上意。師肆筆解老子。詣進。上覧。謂近臣曰。法英道德經解。言簡理詣。於古未有。宜賜入道藏流行。仍就賜冠珮壇誥。不知師意者。往往以其為佞諛。明年秋。詔復天下僧尼。師獨無改志。至紹興初。晨起戴樺皮冠。披鶴氅。執象簡。穿朱履。使擊鼓集眾。陞座召大眾曰。蘭芳春谷菊秋籬。物必榮枯各有時。教毀僧尼專奉道。後平道佞復僧尼。且道僧尼形相作麼生。復取冠示眾曰。吾頂從來似月圓。雖冠其髮不成仙。今朝拋下無遮障。放出神光透碧天。擲之於地。隨易僧服。提鶴氅曰。如來昔日[卯/貝]皮衣。數載慚將鶴氅披。還我丈夫調御服。須知此物不相宜。擲之。舉象簡曰。為嫌禪板太無端。豈料遭他象簡瞞。今日因何忽放下。普天致仕老仙官。擲之。提朱履曰。達磨擕將一隻歸。兒孫從此赤腳走。借他朱履代麻鞋。休道時難事掣肘。化鵬未遇不如鵾。畫虎不成反類狗。擲之。橫拄杖曰。今朝拄杖化為龍。分破華山千萬重。復倚肩曰。珍重佛心真聖主。好將堯德振吾宗。擲下拄杖。斂目而逝。

本郡張氏の子。儒を棄て經を試して得度。延慶にて講を肄え、凡そ義學宿德に困む有れば、輒ち以て師に詰る。師辭を縱めて之を辨し、衆の敬う所と為る。忽ち曰く、「名相迂曲、豈に吾の宗む所ならんや」。乃ち九峰に參ず。峰見て器と為し、語らうに久しく叢席に在るが若く、因りて痛く之を札す。師旨を領し、自爾譽を得たり。住して後、上堂、「三十六旬の始、七十二候の初、末後の句は則ち且く置け。只如く當頭の一句、又作麼生か道わん」。拄杖を拈じて曰く、「歲朝筆を把れば萬事皆吉、急急律令の如し。大衆、山僧恁麼に擧唱す。且く道え、還た祖師の意あるや無や」。良久して曰く、「記得す東村の黑李四、年年親しく門前に寫す」。拄杖を卓し、下座。宣和初、天下の僧尼を德士と為すを敕す。主法聚議するも、一言を以て上の意を回する者無し。師筆を肆めて老子を解し、詣りて進む。上覽して近臣に謂いて曰く、「法英の道德經解、言簡にして理に詣す、古に於て未だ有らず。宜しく賜うべし道藏に入れ流行せしめ、仍お就けて冠珮壇誥を賜え」。師の意を知らざる者、往往之を以て佞諛と為す。明年秋、詔して天下の僧尼を復す。師独り志を改めず。紹興初に至り、晨に起きて樺皮の冠を戴き、鶴氅を披き、象簡を執り、朱履を穿ち、鼓を撃ちて衆を集めしむ。座に升りて大衆を召して曰く、「蘭春谷に芳り菊秋籬に香り、物は必ず榮枯各々時有り。教の僧尼を毀り專ら道を奉ずるを、後に道佞を平げて復た僧尼せり。且く道え、僧尼の形相作麼生」。復た冠を取りて衆に示して曰く、「吾が頂從來月圓に似たり、冠を其の髮にすれども仙を成さず。今朝抛下して遮障無し、神光を放ちて碧天を透す」。之を地に擲ち、隨いで僧服に易えたり。鶴氅を提げて曰く、「如来昔日貊皮衣、數載慚じて將た鶴氅を披けり。我に丈夫調御の服を還せ、須知この物相応わず」。之を擲つ。象簡を舉げて曰く、「禅板太だ無端を嫌うが為め、豈に料らん他の象簡に瞞されるを。今日因何にして忽ち放下す、普天致仕の老仙官」。之を擲つ。朱履を提げて曰く、「達磨將た一隻を擕えて歸り、兒孫此より赤脚に走る。他の朱履を借りて麻鞋に代え、時難き事の掣肘と道うを休めよ。化鵬未だ遇わずんば鶤に如かず、畫虎成らずんば反って狗に類せん」。之を擲つ。拄杖を横えて曰く、「今朝拄杖化して龍と為り、華山を分破す千萬重」。復た肩に倚りて曰く、「珍重せよ佛心の真聖主、好く將た堯の德を以て吾が宗を振わん」。拄杖を擲下し、目を斂めて逝す

玉泉皓禪師法嗣

玉泉皓禅師法嗣

郢州林溪興教文慶禪師

郢州林溪興教文慶禅師

上堂。六六三十六。東方甲乙木。嘉州大像出關來。陝府鐵牛入西蜀。參。

上堂、「六六三十六、東方甲乙木。嘉州の大像關を出でて來り、陝府の鐵牛西蜀に入る。参」

夾山遵禪師法嗣

夾山遵禅師法嗣

江陵福昌信禪師

江陵福昌信禅師

僧問。一花開五葉。如何是第一葉。師提起坐具。僧曰。雲生片片。雨點霏霏。師曰。不痛不知傷。僧曰。這箇猶是風生雨意。如何是第一葉。師將坐具𢷾一𢷾。僧拍掌。師曰。一任𨁝跳。問。如何是佛。師曰。東家兒郎。西家織女。僧曰。學人不會。師曰。擲筆拋梭。上堂召大眾。眾舉頭。師曰。南山風色緊。便下座。說。

僧問う、「一花五葉を開く、如何なるか是れ第一の葉」。師坐具を提起す。僧曰く、「雲生じて片片、雨點霏霏たり」。師曰く、「痛まずんば傷を知らず」。僧曰く、「這個猶ほ是れ風生じ雨意なり。如何なるか是れ第一の葉」。師坐具を將て一𢷾す。僧掌を拍す。師曰く、「𨁝跳するを一任せよ」。問う、「如何なるか是れ佛」。師曰く、「東家の兒郎、西家の織女」。僧曰く、「學人會せず」。師曰く、「筆を擲げ梭を抛つ」。上堂大衆を召し、衆頭を擧ぐ。師曰く、「南山風色緊なり」。便ち下座

天衣懷禪師法嗣

天衣懷禅師法嗣

東京慧林宗本圓照禪師

東京慧林宗本圓照禅師

常州無錫管氏子。體貌厖碩。所事淳厚。年十九。依姑蘇承天永安道昇禪師出家。巾侍十載。剃度受具。又三年。禮辭遊方。至池陽謁振宗。宗舉。天親從彌勒內宮而下。無著問雲。人間四百年。彼天為一晝夜。彌勒於一時中。成就五百億天子。證無生法忍。未審說甚麼法。天親曰。祇說這箇法。如何是這箇法。師久而開悟。一日。室中問師。即心即佛時如何。曰。殺人放火有甚麼難。於是名播寰宇。漕使李公復圭命師開法瑞光。法席日盛。武林守陳公襄以承天興教二剎命師擇居。蘇人擁道遮留。又以淨慈堅請。移文諭道俗曰。借師三年。為此邦植福。不敢久占。道俗始從。元豐五年。神宗皇帝下詔。闢相國寺六十四院為八禪二律。召師為慧林第一祖。既至。上遣使問勞。閱三日。傳旨就寺之三門為士民演法。翌日。召對延和殿。問道賜坐。師即跏趺。帝問。卿受業何寺。奏曰。蘇州承天永安。帝大悅。賜茶。師即舉盞長吸。又蕩而撼之。帝曰。禪宗方興。宜善開導。師奏曰。陛下知有此道。如日照臨。臣豈敢自怠。即辭退。帝目送之。謂左右曰。真福慧僧也。後帝登遐。命入福寧殿說法。以老乞歸林下。得旨任便雲遊。州郡不得抑令住持。擊鼓辭眾。說偈曰。本是無家客。那堪任意遊。順風加艣棹。船子下揚州。既出都城。王公貴人送者車騎相屬。師臨別誨之曰。歲月不可把玩。老病不與人期。唯勤修勿怠。是真相為。聞者莫不感涕。晚居靈巖。其嗣法傳道者。不可勝紀。僧問。如何是祖師西來意。師曰。韓信臨朝。曰。中下之流。如何領會。師曰。伏屍萬裡。曰。早知今日事。悔不慎當初。師曰。三皇塚上草離離。問。上是天。下是地。未審中間是甚麼物。師曰。山河大地。曰。恁麼則謝師答話。師曰。大地山河。曰。和尚何得瞞人。師曰。卻是老僧罪過。上元日。僧問。千燈互照。絲竹交音。

常州無錫管氏の子。體貌厖碩、所事淳厚。年十九、姑蘇承天永安道升禅師に依りて出家。巾侍十載、剃度受具。又三年、禮辭して游方す。池陽に至り振宗に謁す。宗擧ぐ、天親彌勒の内宮より下り、無着問うて曰く、「人間四百年は、彼の天の一晝夜。彌勒一時の中に於て、五百億の天子を成就し、無生法忍を證せしむ。未審什麼の法をか説きし」。天親曰く、「只だ這個の法を説く。如何なるか是れ這個の法」。師久しくして開悟す。一日、室中に師に問う、「即心即佛の時如何」。曰く、「人を殺し火を放つ、什麼の難しきか有らん」。是に於て名寰宇に播れる。漕使李公復圭師を命じて瑞光に法を開かしむ。法席日に盛んなり。武林守陳公襄承天・興教の二刹を以て師に居を擇ばしむ。蘇人道を擁して遮留す。又淨慈の堅請を以て、文を移して道俗に諭して曰く、「師を借ること三年、此の邦の為めに福を植えん、敢えて久しく占めず」。道俗始めて從う。元豐五年、神宗皇帝詔を下し、相國寺六十四院を辟きて八禅二律と為し、師を召して慧林第一祖と為す。既に至り、上使を遣わして勞を問わしめ、「三日を閲し」て旨を傳え、寺の三門に就きて士民の為めに法を演べしむ。翌日、延和殿に召對し、道を問いて坐を賜う。師即ち跏趺す。帝問う、「卿受業せしは何の寺ぞ」。奏して曰く、「蘇州承天永安」。帝大いに悅び茶を賜う。師即ち盞を擧げて長く吸い、又盪して之を撼す。帝曰く、「禅宗方に興らんとす、宜しく善く開導すべし」。師奏して曰く、「陛下此の道有りを知ること日照臨の如し、臣豈に敢えて自ら怠らん」。即ち退を辭す。帝目を以て之を送り、左右に謂いて曰く、「真の福慧の僧なり」。後に帝登遐し、命じて福寧殿に入りて法を説かしむ。老を以て林下に歸るを乞い、旨を得て便りに任せて雲遊し、州郡抑えて住持せしむるを得ず。鼓を撃ちて衆に辭し、偈を説いて曰く、「本是れ家無き客、那かん堪えん任意の游。順風艣棹を加え、船子揚州に下る」。既に都城を出づれば、王公貴人送る者車騎相屬す。師別れに臨み之を誨えて曰く、「歲月把玩すべからず、老病人と期せず。唯だ勤修し怠る勿かれ、是れ真相為るなり」。聞く者感涕せざる莫し。晚く靈巖に居す。其の法を嗣ぎ道を傳うる者、紀すべからざるほど多し。僧問う、「如何なるか是れ祖師西來意」。師曰く、「韓信朝に臨む」。曰く、「中下の流、如何にして領會せん」。師曰く、「屍を伏す萬里」。曰く、「早く今日の事を知らば、當初を慎まざるを悔いん」。師曰く、「三皇の冢上草離離たり」。問う、「上是れ天、下是れ地。未審中間是れ什麼の物ぞ」。師曰く、「山河大地」。曰く、「恁麼ならば師の答話に謝す」。師曰く、「大地山河」。曰く、「和尚何ぞ人を瞞するを得ん」。師曰く、「卻って是れ老僧の罪過」。上元の日、僧問う、「千燈互いに照らし、絲竹音を交う。正に恁麼なる時佛法什麼の處に在る」

正恁麼時佛法在甚麼處。師曰。謝佈施。曰。莫便是和尚為人處也無。師曰。大似不齋來。上堂。於一毫端現寶王剎。坐微塵裡轉大法輪。拈起拄杖曰。這箇是塵。作麼生說箇轉法輪底道理。山僧今日不惜眉毛。與汝諸人說破。拈起也。海水騰波。須彌岌峇。放下也。四海晏清。乾坤肅靜。敢問諸人。且道拈起即是。放下即是。當斷不斷。兩重公案。擊禪床。下座。上堂。看。看。爍爍瑞光照大千界。百億微塵國土。百億大海水。百億須彌山。百億日月。百億四天下。乃至微塵剎土。皆於光中。一時發現。諸仁者還見麼。若也見得。許汝親在瑞光。若也不見。莫道瑞光不照好。參。上堂。頭圓像天。足方似地。古貌稜層。丈夫意氣。趯倒須彌。踏翻海水。帝釋與龍王無著身處。乃拈拄杖曰。卻來拄杖上回避。咄。任汝神通變化。究竟須歸這裡。以拄杖卓一下。師全身塔於蘇之靈巖。

師曰く、「布施に謝す」。曰く、「便ち是れ和尚為人の處にあらずや無や」。師曰く、「大いに似たり齋して來らざるに」。上堂、「一毫端に於て寶王刹を現じ、微塵裏に坐して大法輪を轉ず」。拄杖を拈起して曰く、「這個是れ塵、作麼生か個の法輪を轉ずる底の道理を説かん。山僧今日眉毛を惜しまず、與爾諸人に説破せん。拈起すれば海水波を騰げ須弥岌峇とし、放下すれば四海晏清にして乾坤肅靜なり。敢えて諸人に問う、且く道え拈起即ち是れか、放下即ち是れか。當に斷ずべきに斷ぜず、兩重の公案」。禅床を撃ち、下座。上堂、「看看、爍爍たる瑞光大千界を照らす。百億微塵の國土、百億大海の水、百億須弥山、百億日月、百億四天下、乃至微塵刹土、皆光中に於て一時に發現す。諸の仁者還た見るか。若し見得れば、汝親しく瑞光に在るを許さん。若し見ざれば、瑞光照らす好しと道う莫れ。参」。上堂、「頭圓く天に象り、足方く地に似たり。古貌棱層、丈夫の意氣。須弥を趯倒し、海水を踏翻し、帝釋と龍王と著身の處無し」。乃ち拄杖を拈じて曰く、「卻って拄杖の上に來りて回避す。咄、汝の神通變化に任すとも、究竟須らく這裏に歸すべし」。拄杖を以て一下卓す。師の全身蘇の靈巖に塔す

東京法雲寺法秀圓通禪師

東京法雲寺法秀圓通禅師

秦州隴城辛氏子。母夢老僧託宿。覺而有娠。先是。麥積山老僧與應乾寺魯和尚者善。嘗欲從魯遊方。魯老之。既去。緒語曰。他日當尋我竹鋪坡前。鐵場嶺下。魯後聞其所俄有兒生。即往觀焉。兒為一笑。三歲願隨魯歸。遂從魯姓。十九試經圓具。勵志講肆。習圓覺.華嚴。妙入精義。因聞無為軍鐵佛寺懷禪師法席之盛。徑往參謁。懷問曰。座主講甚麼經。師曰。華嚴。曰。華嚴以何為宗。師曰。法界為宗。曰。法界以何為宗。師曰。以心為宗。曰。心以何為宗。師無對。懷曰。毫𨤲有差。天地懸隔。汝當自看。必有發明。後聞僧舉。白兆參報慈。情未生時如何。慈曰。隔。師忽大悟。直詣方丈。陳其所證。懷曰。汝真法器。吾宗異日在汝行矣。初住龍舒四面。後詔居長蘆法雲為鼻祖。神宗皇帝上仙。宣就神御前說法。賜圓通。號。僧問。不離生死而得涅槃。不出魔界而入佛界。此理如何。師曰。赤土茶牛嬭。曰。謝師答話。師曰。你話頭道甚麼。僧擬議。師便喝。問。陽春二三月。萬物盡生芽。未審道芽還增長也無。師曰。自家看取。曰。莫便是指示處麼。師曰。芭蕉高多少。曰。野火燒不盡。春風吹又生。師曰。這箇是白公底。你底作麼生。曰。且待別時。師曰。看你道不出。上堂。看風使帆。正是隨波逐浪。截斷眾流。未免依前滲漏。量才補職。寧越短長。買帽相頭。難得恰好。直饒上不見天。下不見地。東西不辯。南北不分。有甚麼用處。任是純鋼打就。生鐵鑄成。也須額頭汗出。總不恁麼。如何商量。良久曰。赤心片片誰知得。笑殺黃梅石女兒。上堂。山僧不會巧說。大都應箇時節。相喚吃椀茶湯。亦無祖師妙訣。禪人若也未相諳。踏著秤鎚硬似鐵。上堂。秋雲秋水。青山滿目。這裡明得。千足萬足。其或未然。道士倒騎牛。參。上堂。寒雨細。朔風高。吹沙走石。㧞木鳴條。諸人盡知有。

秦州隴城辛氏の子。母老僧の宿を托するを夢み、覺めて娠有り。是れより先、麥積山の老僧應干寺の魯和尚と善し。嘗て魯に從い游方せんと欲す。魯老いの之。既に去り、緒語して曰く、「他日當に我を尋ねん竹鋪坡の前、鐵場嶺の下」。魯後に其の所有りて俄に兒生まるるを聞き、即ち往きて之を觀る。兒一たび笑み、三歲にして魯に隨い歸らんを願う。遂に魯の姓に從う。十九にて經を試して圓具。志を勵まし講肆に習い、圓覺・華嚴を學び、妙に精義に入る。因りて無為軍鐵佛寺懷禅師法席の盛んなるを聞き、徑に往きて參謁す。懷問うて曰く、「座主什麼の經をか講ず」。師曰く、「華嚴」。曰く、「華嚴何を以て宗と為す」。師曰く、「法界を以て宗と為す」。曰く、「法界何を以て宗と為す」。師曰く、「心を以て宗と為す」。曰く、「心何を以て宗と為す」。師對無し。懷曰く、「毫𨤲差有れば天地懸隔す。汝當に自ら看よ、必ず發明有らん」。後に僧の擧ぐるを聞く、白兆報慈に參じ、情未だ生生ぜざる時如何。慈曰く、「隔」。師忽ち大悟し、直に方丈に詣り、其の證する所を陳す。懷曰く、「汝真の法器なり、吾が宗異日汝行に在らん」。初め龍舒四面に住し、後に詔して長蘆法雲に居り鼻祖と為る。神宗皇帝上仙し、神御の前に就きて法を説くを宣し、圓通の号を賜う。僧問う、「生死を離れずして涅槃を得、魔界を出でずして佛界に入る、此の理如何」。師曰く、「赤土に茶牛嬭を畫く」。曰く、「師の答話に謝す」。師曰く、「汝の話頭什麼をか道う」。僧擬議す。師便ち喝す。問う、「陽春二三の月、萬物盡く芽を生ず。未審道の芽還た增長するや無や」。師曰く、「自家で看取せよ」。曰く、「便ち是れ指示の處にあらざるか」。師曰く、「芭蕉高さ多少」。曰く、「野火燒けども盡きず、春風吹けば又生ず」。師曰く、「這個是れ白公の底、汝の底作麼生」。曰く、「且く別時を待たん」。師曰く、「汝の道出ださざるを看る」。上堂、「風を看て帆を使うは、正に是れ波に隨い浪を逐う。衆流を截斷すれども、未免依前の滲漏。才を量りて職を補うも、寧ろ短長を越えんや。帽を買いて頭を相うも、恰好を得難し。直饒上天を見ず、下地を見ず、東西辨えず、南北分たずとも、什麼の用處か有らん。純鋼打就すとも、生鐵鑄成すとも、也須額頭に汗出づべし。總て恁麼ならずんば、如何にして商量せん」。良久して曰く、「赤心片片たるも誰か知得せん、笑殺す黄梅の石女兒」。上堂、「山僧巧説を會せず、大都時節に應じ、相喚びて椀茶湯を吃するのみ。亦た祖師の妙訣無し。禅人若し未だ相諳らざれば、秤鎚を踏めば鐵に硬し」。上堂、「秋雲秋水、青山目に滿つ。這裏明らかに得れば、千足萬足なり。其れ或いは未然ならば、道士牛に倒騎す。参」。上堂、「寒雨細かに、朔風高し。沙を吹き石を走らせ、木を㧞き條を鳴らす。諸人盡く有を知る

且道風作何色。若識得去。許你具眼。若也不識。莫怪相瞞。參。上堂。少林九年冷坐。卻被神光覷破。如今玉石難分。祇得麻纏紙裹。還會麼。笑我者多。哂我者少。上堂。納僧家高揖釋迦。不拜彌勒。未為分外。祇如半偈亡軀。一句投火。又圖箇甚麼。良久曰。彼彼住山人。何須更說破。師示疾。謂眾曰。老僧六處住持。有煩知事.首座.大眾。今來四大不堅。火風將散。各宜以道自安。無違吾囑。遂曰。來時無物去時空。南北東西事一同。六處住持無所補。師良久。監寺惠當進曰。和尚何不道末後句。師曰。珍重。珍重。言訖而逝。

且く道え、風は何の色を作す。若し識り得て去れば、汝の眼を具するを許さん。若しも識らずんば、瞞するを怪する莫れ。参。上堂、「少林九年の冷坐、卻って神光に觑破せられ、如今玉石分かち難く、只だ麻纏紙裹するを得たり。還た會するか、我を笑う者多く、我を哂う者少なし」。上堂、「衲僧家は釋迦を高揖し彌勒を拜せず、未だ分外と為さず。只如く半偈に軀を亡ぼし、一句に火に投ずるは、又個の什麼をか圖る」。良久して曰く、「彼彼の住山人、何ぞ須いらん更に説破を」。師疾を示し、衆に謂いて曰く、「老僧六處住持、知事・首座・大衆を煩わしめたり。今來四大堅からず、火風將に散ぜんとす。各々宜しく道を以て自ら安んじ、吾が囑に違うこと無かれ」。遂に曰く、「來る時物無く去る時空し、南北東西事一同。六處住持補する所無し」。師良久す。監寺惠當進みて曰く、「和尚何ぞ末後の句を道わざる」。師曰く、「珍重、珍重」。言訖わりて逝す

東京相國慧林院若沖覺海禪師

東京相國慧林院若冲覺海禅師

江寧府鍾氏子。上堂。碧落靜無雲。秋空明有月。長江瑩如練。清風來不歇。林下道人幽。相看情共悅。諸仁者。適來道箇清風明月。猶是建化門中事。作麼生是道人分上事。良久曰。閑來石上觀流水。欲洗禪衣未有塵。上堂。無邊義海。鹹歸顧盻之中。萬象形容。盡入照臨之內。你諸人築著磕著。因甚麼卻不知。良久曰。莫怪山僧太多事。光陰如箭急相催。珍重。

江寧府鍾氏の子。上堂、「碧落靜かにして雲無く、秋空明らかにして月有り。長江瑩として練の如く、清風來りて歇まず。林下の道人幽かに、相看て情共に悅ぶ。諸の仁者、適來清風明月と道えども、猶ほ是れ建化門中の事。作麼生か是れ道人分上の事」。良久して曰く、「閑來石上に流水を觀て、禅衣を洗わんと欲するも未だ塵無し」。上堂、「無邊の義海、咸く顧盻の中に歸し、萬象の形容、盡く照臨の内に入る。你諸人築著磕著し、因什麼か卻って知らず」。良久して曰く、「山僧の事多きを怪する莫れ、光陰箭の如く急に相催む。珍重」

真州長蘆應夫廣照禪師

真州長蘆應夫廣照禅師

滁州蔣氏子。僧問。古者道。如來禪即許老兄會。祖師禪未夢見在。未審如來禪與祖師禪是同是別。師曰。一箭過新羅。僧擬議。師便喝。問。識得衣中寶時如何。師曰。你試拈出看。僧展一手。師曰。不用指東畫西。寶在甚麼處。曰。爭奈學人用得。師曰。你試用看。僧拂坐具一下。師曰。眾人笑你。上堂。召眾曰。江山遶檻。宛如水墨屏風。殿閣凌空。麗若神仙洞府。森羅萬象。海印交參。一道神光。更無遮障。諸人還會麼。良久曰。寥寥天地間。獨立望何極。參。上堂。顧大眾曰。這箇為甚麼擁不聚。撥不散。風吹不入。水灑不著。火燒不得。刀斫不斷。是箇甚麼。眾中莫有釘觜鐵舌底衲僧。試為山僧定當看。還有麼。良久曰。若無。山僧今日失利。久立。

滁州蔣氏の子。僧問う、「古者道う、如来禅は即ち老兄の會するを許すも、祖師禅は未だ夢見ず在り。未審如来禅と祖師禅は是れ同じきか別なるか」。師曰く、「一箭新羅を過ぐ」。僧擬議す。師便ち喝す。問う、「衣中の寶を識り得る時如何」。師曰く、「汝試みに拈出して看よ」。僧一手を展ぶ。師曰く、「東を指し西を畫くを用いず、寶什麼の處に在る」。曰く、「争奈學人用い得るを」。師曰く、「汝試みに用いて看よ」。僧坐具を一下拂う。師曰く、「衆人汝を笑う」。上堂。衆を召して曰く、「江山檻を繞り、宛如水墨の屏風の如く、殿閣空を凌ぎ、麗かなること神仙の洞府の若し。森羅萬象、海印交參し、一道の神光更に遮障無し。諸人還た會するか」。良久して曰く、「寥寥たる天地間、獨立して望む何れの極ぞ。参」。上堂。大衆を顧みて曰く、「這個什麼を以てか擁して聚まらず、撥して散ぜず、風吹き入らず、水灑ぎ著かず、火燒くこと得ず、刀斫ち斷えざる。是れ個の什麼ぞ。衆中釘觜鐵舌底の衲僧有る莫れ、試みに山僧の為めに定當して看よ。還た有るか」。良久して曰く、「若し無ければ、山僧今日失利なり。久立」

臨安府佛日智才禪師

臨安府佛日智才禅師

台州人。僧問。如何是道。師曰。水冷生氷。曰。如何是道中人。師曰。春雪易消。曰。如何談論。師鳴指一下。問。東西密相付。為甚麼眾人皆知。師曰。春無三日晴。曰。特伸請益。師曰。拖泥帶水。曰。學人到這裡卻不會。師曰。賊身已露。上堂。城裡喧繁。空山寂靜。然雖如此。動靜一如。死生不二。四時輪轉。物理湛然。夏不去而秋自來。風不涼而人自爽。今也古也。不改絲毫。誰少誰多。身無二用。諸禪德。既身無二用。為甚麼龍女現十八變。君不見弄潮須是弄潮人。珍重。上堂。風雨蕭騷。塞汝耳根。落葉交加。塞汝眼根。香臭叢雜。塞汝鼻根。冷熱甘甜。塞汝舌根。衣綿溫冷。塞汝身根。顛倒妄想。塞汝意根。諸禪德。直饒汝翻得轉。也是平地骨堆。參。上堂。嚴風刮地。大野清寒。萬裡草離衰。千山樹黯黲。蒼鷹得勢。俊鶻橫飛。頗稱衲僧。缽囊高掛。獨步遐方。似猛將出荒郊。臨機須扣敵。今日還有麼。良久曰。匣中寶劒。袖裡金鎚。幸遇太平。掛向壁上。參。上堂。諸禪德還知麼。山僧生身父母一時喪了。直是無依倚處。以手搥𮌎曰。蒼天。蒼天。復顧大眾。良久曰。你等諸人。也是鐵打心肝。便下座。上堂。舉栢樹子話。師曰。趙州庭栢。說與禪客。黑漆屏風。松欏亮隔。僧問。如何是無為。師曰。山前雪半消。曰。請師方便。師曰。水聲轉嗚咽。

台州の人。僧問う、「如何なるか是れ道」。師曰く、「水冷えて氷を生ず」。曰く、「如何なるか是れ道中の人」。師曰く、「春雪消え易し」。曰く、「如何にして談論せん」。師指を一下鳴らす。問う、「東西密かに相付す、什麼を以てか衆人皆な知る」。師曰く、「春に三日の晴無し」。曰く、「特に請益を伸べん」。師曰く、「泥を拖り水を帶びる」。曰く、「學人這裏に到りて卻って會せず」。師曰く、「賊身已に露われたり」。上堂、「城裏喧繁、空山寂靜。然りといえども此の如し、動靜一如、死生不二。四時輪轉し、物理湛然。夏去らずして秋自ら來り、風涼しからずして人自ら爽やか。今也古也、絲毫を改めず。誰か少なく誰か多き。身に二用無し。諸の禅德、既に身に二用無し、什麼を以てか龍女十八變を現ず。君見ずや、潮を弄するは須是れ潮を弄する人。珍重」。上堂、「風雨蕭騷として汝の耳根を塞ぎ、落葉交加して汝の眼根を塞ぎ、香臭叢雜して汝の鼻根を塞ぎ、冷熱甘甜して汝の舌根を塞ぎ、衣綿溫冷して汝の身根を塞ぎ、顛倒妄想して汝の意根を塞ぐ。諸の禅德、直饒汝翻り得て轉ずとも、亦是れ平地の骨堆。参」。上堂、「嚴風地を刮り、大野清寒。萬里草離衰え、千山樹黯黪たり。蒼鷹勢を得、俊鶻橫飛す。頗る衲僧に稱し、鉢囊高く挂け、獨步遐方、猛將の荒郊を出づるに似たり。機に臨みて須らく敵を扣くべし。今日還た有るか」。良久して曰く、「匣中の寶劍、袖裏の金鎚、幸いに太平に遇い、壁の上に挂けん。参」。上堂、「諸の禅德還た知るか。山僧の生身の父母一時に喪れり、直に是れ依倚する處無し」。手を以て𮌎を搥ちて曰く、「蒼天、蒼天」。復た大衆を顧み、良久して曰く、「你等諸人も亦是れ鐵打の心肝なり」。便ち下座。上堂。「栢樹子の話を舉ぐ」。師曰く、「趙州の庭栢、禅客に説く。黑漆の屏風、松椤の亮隔」。僧問う、「如何なるか是れ無為」。師曰く、「山前雪半ば消ゆ」。曰く、「師の方便を請う」。師曰く、「水聲轉じて嗚咽す」

北京天缽寺重元文慧禪師

北京天鉢寺重元文慧禅師

青州千乘孫氏子。母夢於佛前吞一金果。後乃誕師。相儀殊特。迥異群童。十七出家。冠歲圓具。初遊講肆。頗達宗教。甞晏坐古室。忽聞空中有告師。學上乘者。無滯於此。驚駭出視。杳無人跡。翌日客至。出寒山集。師一覧之。即慕參玄。至天衣法席。遇眾請益。豁然大悟。衣印可曰。此吾家千里駒也。出世後。僧問。如何是禪。師曰。入籠入檻。僧拊掌。師曰。跳得出是好手。僧擬議。師曰。了。問。如何是透法身句。師曰。上是天。下是地。上堂。冬不受寒。夏不受熱。身上衣。口中食。應時應節。既非天然自然。盡是人人膏血。諸禪德。山僧恁麼說話。為是世法。為是佛法。若也擇得分明。萬兩黃金亦消得。喝一喝。上堂。福勝一片地。行也任你行。住也任你住。步步踏著。始知落處。若未然者。直須退步。腳下看取。咄。上堂。古今天地。萬象森然。歲歲秋收冬藏。人人道我總會。還端的也無。直饒端的。比他鷄足峰前。是甚麼閑事。良久曰。今朝十月初旬。天寒不得普請。參。師四易名藍。緇白仰重。示寂正盛暑中。清風透室。異香馥郁。茶毗。煙燄到處。獲舍利五色。太師文公彥博。以上賜白琉璃瓶貯之。藉以錦褥。躬塟於塔。居士何震所獲額骨齒牙舍利。別剏浮圖。

青州千乘孫氏の子。母佛前に於て金の果を吞むを夢み、後に乃ち師を誕す。相儀殊特、迥く群童に異なり。十七に出家し、冠歲に圓具す。初め講肆に遊び、頗る宗教に達す。嘗て古室に晏坐し、忽ち聞く空中に師に告ぐる有り、「上乘を學ぶ者は、此れに滯ること無かれ」。驚駭して出で視れば、杳として人蹟無し。翌日客至り、寒山集を出づ。師一たび之を覽て、即ち參玄を慕う。天衣の法席に至り、衆の請益に遇い、豁然として大悟す。衣印可して曰く、「此れ吾が家の千里駒なり」。出世して後、僧問う、「如何なるか是れ禅」。師曰く、「籠に入り檻に入る」。僧掌を拊す。師曰く、「跳び出るを得ば是れ好手」。僧擬議す。師曰く、「了」。問う、「如何なるか是れ法身を透る句」。師曰く、「上是れ天、下是れ地」。上堂、「冬寒を受けず、夏熱を受けず。身上の衣、口中の食、時に應じ節に應ず。既に天然自然にあらず、盡く是れ人人の膏血。諸の禅德、山僧恁麼に説話するは、是れ世法の為めか、是れ佛法の為めか。若し擇し分明なるを得ば、萬両の黄金も亦た消し得べし」。喝一喝。上堂、「福勝の一片地、行くも任す汝行き、住するも任す汝住す。步步踏著し、始めて落處を知る。若し未然なる者、直に須らく退步して脚下に看取すべし。咄」。上堂、「古今の天地、萬象森然。歲歲秋收冬藏、人人我總て會すと道う。還た端的なるや無や。直饒端的なるとも、他の鷄足峰の前に比ぶれば、是れ什麼の閑事ぞ」。良久して曰く、「今朝十月の初旬、天寒にして普請すること得ず。参」。師四たび名藍を易え、緇白仰重す。寂を示すに正に盛暑の中、清風室を透し、異香馥郁たり。茶毗し、烟燄到る處、舍利五色を獲たり。太師文公彦博、上の賜う所の白琉璃瓶を以て之を貯え、錦褥を借り、躬ら塔に塟る。居士何震の獲たる額骨・齒牙の舍利、別に浮圖を剏く

台州瑞巖子鴻禪師

台州瑞巖子鴻禅師

本郡吳氏子。僧問。如何是道。師曰。開眼覷不見。問。法爾不爾。如何指南。師曰。話墮也。曰。乞師指示。師呵呵大笑。上堂。一不守。二不向。上下四維無等量。大洋海裡汎鐵船。須彌頂上翻鯨浪。臨濟縮卻舌頭。德山閣卻拄杖。千古萬古獨巍巍。留與人間作榜樣。

本郡吳氏の子。僧問う、「如何なるか是れ道」。師曰く、「眼を開きて觑るも見えず」。問う、「法爾爾ならず、如何にして指南せん」。師曰く、「話墮したり」。曰く、「師の指示を乞う」。師呵呵と大笑す。上堂、「一には守らず、二には向かわず。上下四維等量無し。大洋海裏に鐵船を泛べ、須弥頂上に鯨浪を翻す。臨濟舌頭を縮卻し、德山拄杖を閣却す。千古萬古獨り巍巍として、人間に留め與えて榜樣と作さん」

廬山棲賢智遷禪師

廬山棲賢智遷禅師

僧問。一問一答。盡是建化門庭。未審向上更有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。雲從龍。風從虎。曰。恁麼則龍得水時添意氣。虎逢山則長威獰。師曰。興雲致雨又作麼生。僧便喝。師曰。莫更有在。僧擬議。師咄曰。念話杜家。問。如何是本來心。師曰。拆東籬。補西壁。曰。恁麼則今日齋宴。師曰。退後著。上堂。聞佛法二字。早是汙我耳目。諸人未跨法堂門。腳跟下好與三十棒。雖然如是。山僧今日也是為眾竭力。珍重。上堂。是甚麼物。得恁頑頑嚚嚚。𥈅𥈅睍睍。拊掌呵呵大笑曰。今朝巴鼻。直是黃面瞿曇通身是口。也分疎不下。久立。

僧問う、「一問一答、盡く是れ建化の門庭。未審向上更に事有るや無や」。師曰く、「有」。曰く、「如何なるか是れ向上の事」。師曰く、「雲龍に從い、風虎に從う」。曰く、「恁麼ならば龍水を得る時意氣を添え、虎山に逢えば則ち威獰を長ず」。師曰く、「雲を興し雨を致すは又作麼生」。僧便ち喝す。師曰く、「更に有ること莫れ」。僧擬議す。師咄して曰く、「話を念ずる杜家」。問う、「如何なるか是れ本來心」。師曰く、「東籬を拆きて西壁を補う」。曰く、「恁麼ならば今日の齋宴」。師曰く、「後に退きて著け」。上堂、「佛法の二字を聞くは、早く是れ我が耳目を污す。諸人未だ法堂の門を跨がざれば、脚跟の下に好く三十棒。然りといえども是の如し、山僧今日亦是れ衆の為めに力を竭くす。珍重」。上堂、「是れ什麼の物ぞ、恁に頑頑嚚嚚、𥈅𥈅𪾢𪾢たるを得ん」。掌を拊し呵呵と大笑して曰く、「今朝の巴鼻、直に是れ黄面瞿曇通身是れ口なりとも、分疎し下す能わず。久立」

越州淨眾梵言首座

越州淨衆梵言首座

示眾。南陽國師道說法有所得。斯則野幹鳴。說法無所得。是名師子吼。師曰。國師恁麼道。大似掩耳偷鈴。何故。說有說無。盡是野幹鳴。諸人要識師子吼麼。咄。

示衆。南陽國師道う、法を説きて得る所有れば、斯れ則ち野干の鳴。法を説きて得る所無ければ、是れを獅子吼と名づく。師曰く、「國師恁麼に道うは、大いに似たり耳を掩うて鈴を偸むに。何故。有を説き無を説く、盡く是れ野干の鳴。諸人獅子吼を識らんと要するか。咄」

舒州山谷三祖沖會圓智禪師

舒州山谷三祖冲會圓智禅師

臨安府人也。初開堂日。僧問。如何是第一義諦。師曰。百雜碎。曰。恁麼則褒禪一會。不異靈山。師曰。將糞箕掃帚來。問。師登寶座。壁立千仞。正令當行。十方坐斷。未審將何為人。師曰。千鈞之弩。曰。大眾承恩。師曰。量才補職。問。理雖頓悟。事假漸除。除即不問。如何是頓悟底道理。師曰。言中有響。曰。便恁麼又且如何。師曰。金毛師子。問。生也猶如著衫。死也還同脫袴。未審意旨如何。師曰。譬如閑。曰。為甚麼如此。師曰。因行不妨掉臂。問。如何是天堂。師曰。太遠在。曰。如何是地獄。師曰。放你不得。曰。天堂地獄。相去多少。師曰。七零八落。問。白雲綻處。樓閣門開。善財為甚麼從外而入。師曰。開眼即瞎。曰。未審落在甚麼處。師曰。填溝塞壑。問。如何是不動尊。師曰。寸步千里。

臨安府の人なり。初めて堂を開く日、僧問う、「如何なるか是れ第一義諦」。師曰く、「百雜碎」。曰く、「恁麼ならば褒禅の一會、靈山に異ならず」。師曰く、「糞箕と箒を將來せよ」。問う、「師寶座に登り、壁立千仞。正令當に行い、十方坐斷す。未審將た何を以て人と為さん」。師曰く、「千鈞の弩」。曰く、「大衆恩を承く」。師曰く、「才を量りて職を補う」。問う、「理は頓悟するも、事は漸を假って除く。除くは即ち問わず、如何なるか是れ頓悟底の道理」。師曰く、「言の中に響有り」。曰く、「便ち恁麼ならば又且く如何」。師曰く、「金毛の獅子」。問う、「生も猶ほ衫を著くるが如く、死も還た袴を脫ぐに同じ。未審意旨如何」。師曰く、「譬如閑なり」。曰く、「什麼を以て此の如くする」。師曰く、「行に因りて妨げず臂を掉る」。問う、「如何なるか是れ天堂」。師曰く、「太だ遠きに在り」。曰く、「如何なるか是れ地獄」。師曰く、「汝を放すること得ず」。曰く、「天堂地獄、相去ること多少」。師曰く、「七零八落」。問う、「白雲の綻ぶる處、樓閣の門開く。善財什麼を以てか外より入る」。師曰く、「眼を開けば即ち瞎なり」。曰く、「未審什麼の處に落つる」。師曰く、「溝を塡め壑を塞ぐ」。問う、「如何なるか是れ不動尊」。師曰く、「寸步千里」

泉州資壽院捷禪師

泉州資壽院捷禅師

僧問。如何是佛法大意。師曰。鐵牛生石卵。曰。如何是接人句。師曰。三門前合掌。曰。如何是大用句。師曰。腦門著地。曰。如何是無事句。師曰。橫眠大道。曰。如何是奇特句。師曰。的。

僧問う、「如何なるか是れ佛法の大意」。師曰く、「鐵牛石卵を生ず」。曰く、「如何なるか是れ接人の句」。師曰く、「三門の前に合掌す」。曰く、「如何なるか是れ大用の句」。師曰く、「腦門地に著く」。曰く、「如何なるか是れ無事の句」。師曰く、「大道に橫たわり眠る」。曰く、「如何なるか是れ奇特の句」。師曰く、「的」

洪州觀音啟禪師

洪州觀音啓禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。松長栢短。曰。意旨如何。師曰。葉落歸根。

僧問う、「如何なるか是れ祖師西來意」。師曰く、「松長く栢短し」。曰く、「意旨如何」。師曰く、「葉落ちて根に歸す」

越州天章元善禪師

越州天章元善禅師

僧問。大無外。小無內。既無內外。畢竟是甚麼物。師曰。開口見膽。曰。學人未曉。師曰。苦中苦。曰。為眾竭力。禍出私門。師打曰。教休不肯休。須待雨淋頭。問。如何是最初句。師曰。末後問將來。曰。為甚如此。師曰。先行不到。曰。入水見長人也。師曰。秦皇擊缶。上堂。君問西來意。馬師踏水潦。若認一毛頭。何曾知起倒。劫火才洞然。愚夫覓乾草。寧知明眼人。為君長懊惱。

僧問う、「大は外無く小は内無し。既に内外無ければ、畢竟是れ什麼の物ぞ」。師曰く、「口を開けば膽を見ん」。曰く、「學人未だ曉らず」。師曰く、「苦中の苦」。曰く、「衆の為めに力を竭くすも、禍は私門より出づ」。師打ちて曰く、「休めと教えども肯んじて休まず、須らく雨の頭を淋るを待たん」。問う、「如何なるか是れ最初の句」。師曰く、「末後に問い將來せよ」。曰く、「甚を以て此の如くする」。師曰く、「先行到らず」。曰く、「水に入りて長人を見ん」。師曰く、「秦皇缶を擊つ」。上堂、「君問う西來意、馬師水潦を踏む。若し一毛頭を認めば、何ぞ曾て起倒を知らん。劫火纔かに洞然とし、愚夫乾草を覓む。寧ろ知らん明眼の人、君の為めに長く懊惱す」

真州長蘆體明圓鑑禪師

真州長蘆體明圓鑑禅師

上堂。顧視左邊曰。師子之狀。豈免嚬呻。顧右邊曰。象王之儀。寧忘回顧。取此逃彼。上士奚堪。識變知機。野狐窠窟。到這裡須知有凡聖不歷處。古今不到處。且道是甚麼人行履。良久曰。丈夫自有沖天志。莫向如來行處來。

上堂。左邊を顧視して曰く、「獅子の狀、豈に嚬呻を免れんや」。右邊を顧みて曰く、「象王の儀、寧ろ回顧を忘れんや。此を取り彼を逃れんは、上士奚ぞ堪えん。變を識り機を知るも、野狐の窠窟。這裏に到りて須らく凡聖歷せざる處、古今到らざる處有るを知るべし。且く道え、是れ什麼人の行履ぞ」。良久して曰く、「丈夫自ら天に衝く志有り、如来行處に向かって來る莫れ」

汀州開元智孜禪師

汀州開元智孜禅師

上堂。衲僧家向針眼裡藏身稍寬。大海中走馬甚窄。將軍不上便橋。勇士徒勞掛甲。晝行三千。夜行八百即不問。不動步一句作麼生道。若也道得。觀音.勢至.文殊.普賢祇在目前。若道不得。直須撩起布裙。緊峭草鞋。參。上堂。寒空落落。大地漫漫。雲生洞口。水出高原。若也把定。則十方世界恍然。若也放行。則東西南北坦然。茫茫宇宙人無數。一箇箇鼻孔遼天。且問諸人把定即是。放行即是。還有人斷得麼。若無人斷得。三門外有兩箇大漢。一箇張眉握劒。一箇努目揮拳。參。

上堂、「衲僧家針眼裏に向かって身を藏むれば稍寬く、大海中で馬を走らせば甚だ窄し。將軍便橋に上らず、勇士徒らに甲を挂く。昼行三千、夜行八百は即ち問わず。步を動かさざる一句作麼生か道わん。若し道い得ば、觀音・勢至・文殊・普賢只だ目前に在り。若し道い得ざれば、直に須らく布裙を撩起し、緊峭の草鞋して参すべし」。上堂、「寒空落落、大地漫漫。雲洞口に生じ、水高原より出づ。若し把定すれば則ち十方世界恍然とし、若し放行すれば則ち東西南北坦然たり。茫茫たる宇宙人無數、一個一個の鼻孔遼天。且く諸人に問う、把定即ち是れか、放行即ち是れか。還た斷じ得る人有るか。若し人斷じ得る無ければ、三門の外に兩個の大漢有り。一個は眉を張り劍を握り、一個は目を努め拳を揮う。参」

平江府澄照慧慈禪師

平江府澄照慧慈禅師

僧問。瞭然無所得。為甚麼天高地闊。師曰。窄。上堂。若論此事。眨上眉毛。早是蹉過。那堪進步向前。更要山僧說破。而今說破了也。還會麼。昨日雨。今日晴。

僧問う、「了然として得る所無し、什麼を以てか天高く地闊き」。師曰く、「窄」。上堂、「若し此の事を論ぜば、眉毛を眨ぐ上に、早く是れ蹉過す。那かん堪えん步を進め向前し、更に山僧に説破せしめんを要す。而今説破了れり。還た會するか。昨日雨、今日晴」

臨安府法雨慧源禪師

臨安府法雨慧源禅師

僧曰。如何是最初一句。師曰。梁王不識。曰。如何是末後一句。師曰。達磨渡江。

僧曰く、「如何なるか是れ最初の一句」。師曰く、「梁王識らず」。曰く、「如何なるか是れ末後の一句」。師曰く、「達磨江を渡る」

秀州崇德智澄禪師

秀州崇德智澄禅師

上堂。覿面相呈。更無餘事。若也如此。豈不俊哉。山僧蓋不得已曲為諸人。若向衲僧面前。一點也著不得。諸禪德。且道衲僧面前說箇甚麼即得。良久曰。深秋簾幕千家雨。落日樓臺一笛風。

上堂、「觌面に相呈すれば更に餘事無し。若し此の如くならば、豈に俊ならずや。山僧蓋し已むことを得ずして曲がりて諸人の為めす。若し衲僧の面前に向かわば、一點も著けることを得ず。諸の禅德、且く道え、衲僧の面前に個の什麼を説けば即ち得べき」。良久して曰く、「深秋帘幕千家の雨、落日樓臺一笛の風」

泉州棲隱有評禪師

泉州棲隱有評禅師

僧問。如何是平常道。師曰。和尚合掌。道士擎拳。問。十二時中如何趣向。師曰。著衣吃飯。曰。別還有事也無。師曰。有。曰。如何即是。師曰。齋餘更請一甌茶。

僧問う、「如何なるか是れ平常の道」。師曰く、「和尚合掌し、道士拳を擎ぐ」。問う、「十二時中如何にして趣向せん」。師曰く、「衣を著け飯を吃す」。曰く、「別に還た事有るや無や」。師曰く、「有」。曰く、「如何にして即ち是れ」。師曰く、「齋餘更に一甌の茶を請え」

平江府定慧雲禪師

平江府定慧雲禅師

僧問。如何是為人一句。師曰。見之不取。曰。學人未曉。師曰。思之千里。

僧問う、「如何なるか是れ人と為る一句」。師曰く、「之を見て取らず」。曰く、「學人未だ曉らず」。師曰く、「之を思うこと千里」

建寧府乾符大同院旺禪師

建寧府乾符大同院旺禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。入市烏龜。曰。意旨如何。師曰。得縮頭時且縮頭。

僧問う、「如何なるか是れ祖師西來意」。師曰く、「市に入る烏龜」。曰く、「意旨如何」。師曰く、「頭を縮むべき時を得れば且く頭を縮めよ」

無為軍鐵佛因禪師

無為軍鐵佛因禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。一尋寒本自為隣。三事秋雲更誰識。曰。和尚家風蒙指示。為人消息又如何。師曰。新月有圓夜。人心無滿時。

僧問う、「如何なるか是れ和尚の家風」。師曰く、「一尋の寒本自ら隣と為り、三事の秋雲更に誰か識る」。曰く、「和尚の家風指示を蒙る、人と為る消息は又いかん」。師曰く、「新月に圓なる夜有り、人心に滿つる時無し」

安吉州報本法存禪師

安吉州報本法存禅師

錢塘陸氏子。僧問。無味之談。塞斷人口。作麼生是塞斷人口底句。師便打。僧曰。恁麼則一句流通。天人聳耳。師曰。祇恐不是玉。是玉也大奇。曰。專為流通。師曰。一任亂道。在天衣受請。上堂曰。吳江聖壽見召住持。進退不遑。且隨緣分。此皆堂頭和尚。提耳訓育。終始獎諭。若據今日。正令當行。便好一棒打殺。那堪更容立在座前。雖然如是。養子方見父慈。

錢塘陸氏の子。僧問う、「味無きの談、人口を塞斷す。作麼生か是れ人口を塞斷する底の句」。師便ち打つ。僧曰く、「恁麼ならば一句流通して天人耳を聳めん」。師曰く、「只だ恐らくは是れ玉にあらず、是れ玉ならば也大いに奇なり」。曰く、「專ら流通の為め」。師曰く、「亂道を一任せよ」。天衣に在りて請を受け、上堂して曰く、「吳江聖壽召して住持せんとす。進退遑あらず、且く緣分に隨わん。此れ皆堂頭和尚、耳を提げて訓育し、終始獎諭せし由なり。若し今日に據れば、正令當に行い、便ち好く一棒打殺せん。那かん堪えん更に座前に立たしめんを。然りといえども是の如し、子を養いて方に父の慈を見ん」

和州開聖院棲禪師

和州開聖院棲禅師

開堂垂語曰。選佛場開人天普會。莫有久歷覺場。罷參禪客。出來相見。時有僧出。師曰。作家。作家。僧曰。莫著忙。師曰。元來不是作家。僧提起坐具。曰。看。看。摩竭陀國。親行此令。師曰。祇今作麼生。僧禮拜。師曰。龍頭蛇尾。問。東西不辯。南北不分。學人上來。乞師一接。師曰。不接。曰。為甚麼不接。師曰。為你東西不辯。南北不分。曰。將謂胡鬚赤。更有赤鬚胡。師曰。蘇嚧蘇嚧。問。如何是道。師曰。放汝三十棒。曰。為甚麼如此。師曰。殺人可恕。無禮難容。上堂。拈拄杖曰。大眾。急著眼看須彌山。畫一畫百雜碎。南贍部洲打一棒。東傾西側。不免且收在開聖手中。教伊出氣不得。卓一下。

堂を開き語を垂れて曰く、「選佛場開けて人天普會す。久しく覺場を歷り、參禅を罷むる客有る莫れ、出で來りて相見ん」。時に僧出づ。師曰く、「作家、作家」。僧曰く、「忙するに著く莫れ」。師曰く、「元來是れ作家にあらず」。僧坐具を提起して曰く、「看看、摩竭陀國、親く此の令を行ず」。師曰く、「只今作麼生」。僧禮拜す。師曰く、「龍頭蛇尾」。問う、「東西辨えず南北分たず、學人上來して師の一接を乞う」。師曰く、「接せず」。曰く、「什麼を以て接せざる」。師曰く、「汝の東西辨えず南北分たざるが為め」。曰く、「將に謂う鬍鬚赤し、更に赤須の胡有り」。師曰く、「蘇𠰷蘇𠰷」。問う、「如何なるか是れ道」。師曰く、「汝に三十棒を放つ」。曰く、「什麼を以て此の如くする」。師曰く、「人を殺すは恕し得べく、禮無きは容れ難し」。上堂。拄杖を拈じて曰く、「大衆、急いで眼を著けて須弥山を看よ。一畫を畫けば百雜碎。南贍部洲に一棒を打てば東傾き西側く。免れず且く開聖の手中に收めて、伊をして氣を出すことを得せしめず」。卓一下

福州衡山惟禮禪師

福州衡山惟禮禅師

上堂。若論此事。直下難明。三賢罔測。十聖不知。到這裡須高提祖令。橫按鏌鎁。佛尚不存。纖塵何立。直教須彌粉碎。大海焦枯。放一線道與諸人商量。且道商量箇甚麼。良久曰。鹽貴米賤。

上堂、「若し此の事を論ぜば、直下明らかにし難し。三賢罔く測れず、十聖知らず。這裏に到りて須らく高く祖令を提げ、横に鏌鎁を按ずべし。佛尚ほ存せず、纖塵何ぞ立たん。直に須弥をして粉碎せしめ、大海をして焦枯せしめん。一線の道を放して諸人と商量せん。且く道え、個の什麼をか商量せん」。良久して曰く、「鹽貴く米賤し」

臨安府北山顯明善孜禪師

臨安府北山顯明善孜禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。九年空面壁。懡㦬又西歸。曰。為甚麼如此。師曰。美食不中飽人餐。問。如何是無情說法。師曰。燈籠掛露柱。曰。甚麼人得聞。師曰。牆壁有耳。

僧問う、「如何なるか是れ祖師西來意」。師曰く、「九年空しく壁に面し、懡㦬として又西歸す」。曰く、「什麼を以て此の如くする」。師曰く、「美食は飽く人の餐に中らず」。問う、「如何なるか是れ無情の説法」。師曰く、「燈籠露柱に挂く」。曰く、「什麼人か聞くことを得ん」。師曰く、「牆壁に耳有り」

明州啟霞惠安禪師

明州啓霞惠安禅師

僧問。諸佛出世。葢為群生。和尚出世。當為何人。師曰。不為闍黎。曰。恁麼。則潭深波浪靜。學廣語聲低。師曰。棒上不成龍。

僧問う、「諸佛の出世は、蓋し群生の為めなり。和尚の出世は、當に何人をか為すべき」。師曰く、「闍黎の為めならず」。曰く、「恁麼ならば潭深く波浪靜か、學廣く語聲低し」。師曰く、「棒の上に龍を成さず」

越州雲門靈侃禪師

越州雲門靈侃禅師

僧問。十二時中。如何用心。師曰。佛殿裡燒香。曰。學人不會。師曰。三門頭合掌。上堂。塵勞未破。觸境千差。心鑑圓明。絲毫不立。靈光皎皎。獨露現前。今古兩忘。聖凡路絕。到這裡始能卷舒自在。應用無虧。出沒往還。人間天上。大眾。雖然如是。忽被人把住。問你道拄杖子向甚麼處著。又如何祇對。還有人道得麼。出來道看。眾無對。乃拍禪床。下座。

僧問う、「十二時中、如何にして心を用いるべき」。師曰く、「佛殿裏に香を燒く」。曰く、「學人會せず」。師曰く、「三門頭に合掌す」。上堂、「塵勞未だ破らざれば、境に觸れて千差。心鑑圓明、絲毫も立たず。靈光皎皎として、獨り現前に露わる。今古兩忘し、聖凡路絶す。這裏に到りて始めて能く卷舒自在、應用虧けなし。出沒往還、人間天上。大衆、然りといえども是の如し。忽ち人に把住せられ、汝に問うて道わん、拄杖子什麼の處に向かって著くべき、又如何にして只對せん。還た道い得る人有るか。出で來りて道いて看よ」。衆對無し。乃ち禅床を拍し、下座

天台太平元坦禪師

天台太平元坦禅師

上堂。是法無宗。隨緣建立。聲色動靜。不昧見聞。舉用千差。如鐘待扣。於此薦得。且隨時著衣吃飯。若是德山臨濟。更須打草鞋行腳。參。

上堂、「是の法宗無く、緣に隨って建立す。聲色動靜、見聞を昧くせず。用を擧ぐれば千差、鐘の扣かれるを待つが如し。此に於て薦得せば、且く時に隨い衣を著け飯を吃せ。若し是れ德山・臨濟ならば、更に須らく草鞋を打ちて行脚すべし。参」

臨安府佛日文祖禪師

臨安府佛日文祖禅師

僧問。峭峻之機。請師垂示。師曰。十字街頭八字立。曰。祇如大洋海底行船。須彌山上走馬。又作麼生。師曰。烏龜向火。曰。恁麼則能騎虎頭。善把虎尾。師以拄杖點一下。曰。禮拜著。

僧問う、「峭峻の機、師の垂示を請う」。師曰く、「十字街頭に八字立つ」。曰く、「只如く大洋海底に船を行じ、須弥山上に馬を走らすは又作麼生」。師曰く、「烏龜火に向かう」。曰く、「恁麼ならば能く虎頭に騎り、善く虎尾を把る」。師拄杖を以て一下點じて曰く、「禮拜せよ」

沂州望仙山宗禪師

沂州望仙山宗禅師

僧問。四時八節即不問。平常一句事如何。師曰。禾山打鼓。曰。莫是學人著力處也無。師曰。歸宗拽石。僧無語。師曰。真箇衲僧。上堂。南臺烏藥。北海天麻。新羅附子。辰錦硃砂。良久曰。大眾會麼。久立。上堂。你等諸人。還肯放下麼。若不放下。且擔取去。便下座。

僧問う、「四時八節は我先に問わず、平常の那一句は該に如何に説くべき」。師曰く、「禾山鼓を打つ」。僧曰く、「莫れや非ずや、即ち是れ學人の著力すべき處か」。師曰く、「歸宗石を拽く」。僧對すべき話無し。師曰く、「真に是れ衲僧なり」。上堂して曰く、「南台の烏藥、北海の天麻、新羅の附子、辰錦の朱砂」。沈黙許久して曰く、「大衆會するか」。又曰く、「久立」。再上堂して曰く、「你們這些の人、還た放下するを肯ずや。若し放下せざれば、擔いて去ればよい」。便ち下座

瑞州五峰淨覺院用機禪師

瑞州五峰淨覺院用機禅師

僧問。如何是道。師曰。十字街頭踏不著。曰。便恁麼去時如何。師曰。且緩緩。上堂。清平過水。投子賣油。一年三百六十日。不須頻向數中求。以拂擊禪床。下座。

僧問う、「如何なるか是れ道」。師曰く、「十字街頭踏み著かず」。僧曰く、「就中恁麼に去る時如何」。師曰く、「且く慢慢と來れ」。上堂して曰く、「清平水を過ぎ、投子油を賣る。一年三百六十日、必ずしも老いて數目裏に向かって求むる要なし」。拂子を用いて禅床を擊ち、下座

無為軍佛足處祥禪師

無為軍佛足處祥禅師

僧問。如何是般若體。師曰。琉璃殿裡隱寒燈。曰。何如是般若用。師曰。活卓卓地。問。一色無變異。喚作露地白牛。還端的也無。師曰。頭角生也。曰。頭角未生時如何。師曰。不要犯人苗稼。

僧問う、「如何なるか是れ般若の體」。師曰く、「瑠璃殿裏に寒燈を隱す」。僧曰く、「如何なるか是れ般若の用」。師曰く、「活卓卓地なり」。問う、「一色變異無きを露地の白牛と稱す、還た真に是の如くするか」。師曰く、「頭角生じたり」。僧曰く、「頭角未だ生生ぜざる時如何」。師曰く、「人の苗稼を犯す要なし」(底本「何如是般若用」と作る、何如は如何の譌)

平江府明因慧贇禪師

平江府明因慧贇禅師

上堂。橫按拄杖曰。若恁麼去。直得天無二日。國無二王。釋迦老子。飲氣吞聲。一大藏教。如蟲蝕木。設使鑽仰不及。正是無孔鐵鎚。假饒信手拈來。也是殘羹餿飯。一時吐卻。方有少分相應。更乃墮在空亡。依舊是鬼家活計。要會麼。雨後始知山色翠。事難方見丈夫心。卓拄杖。下座。

上堂、拄杖を横按して曰く、「若し恁麼に去れば、直に天に二日無く國に二王無からしめ、釋迦老子も只だ氣を飲み聲を吞むを得たり。一大藏教は蟲の木を蛀むに似たり。假令鑽仰し上らずとも、正に是れ孔無き鐵鎚。假令信手に拈來すとも、亦是れ殘羹餿飯。一齊に吐掉して、纔かに少分相應あり。若し更に空亡裏に墮せば、依舊是れ鬼家の活計。會せんと要するか。雨後始めて山色の翠を知り、事難き始めて丈夫の心を見ん」。拄杖を地に卓し、下座

興化軍西臺其辯禪師

興化軍西台其辯禅師

上堂。舉臨濟無位真人語。乃召大眾曰。臨濟老漢。尋常一條脊梁硬似鐵。及乎到這裡。大似日中迷路。眼見空花。直饒道無位真人是乾屎橛。正是泥龜曳尾。其僧祇知季夏極熱。不知仲冬嚴寒。若據當時。合著得甚麼語。塞斷天下人舌頭。西臺祇恁麼休去。又乃眼不見為淨。不免出一隻手。狼籍去也。臨濟一擔。西臺一堆。一擔一堆。分付阿誰。從教撒向諸方去。笑殺當年老古錐。

上堂、臨濟の「無位真人」那句を擧げ、大衆を召して曰く、「臨濟老漢平常一條の脊梁鐵に硬し。這裏に到るを待ちて、倒いて似たり大白天に路を迷い眼裏に空花を見るに。假令無位真人是れ乾屎橛と説くとも、正に是れ泥龜の尾巴を拖るなり。那の僧只だ季夏極熱を知りて、仲冬嚴寒を知らず。若し當時に據れば、該に一句の什麼の話を下して、能く天下人の舌頭を塞斷せんか。西台只だ恁麼に休み去らば、又成りて眼見ざれば淨なりと為さん。免れ得ず一隻の手を伸出し、狼藉の一場。臨濟の一擔、西台の一堆、一擔一堆、阿誰に分付せん。且く教えて諸方に撒き向かわしめ、當年の老古錐を笑殺せん」

禮部楊傑居士

禮部楊杰居士

字次公。號無為。歷參諸名宿。晚從天衣遊。衣每引老龐機語。令研究深造。後奉祠泰山。一日鷄一鳴。睹日如盤湧。忽大悟。乃別有男不婚.有女不嫁之偈曰。男大須婚。女長須嫁。討甚閑工夫。更說無生話。書以寄衣。衣稱善。後會芙蓉楷禪師。公曰。與師相別幾年。蓉曰。七年。公曰。學道來。參禪來。蓉曰。不打這鼓笛。公曰。恁麼則空遊山水。百無所能也。蓉曰。別來未久。善能高鑒。公大笑。公有辭世偈曰。無一可戀。無一可捨。太虗空中。之乎者也。將錯就錯。西方極樂。

字は次公、號は無為。先後して許多の著名な禅宿に參訪し、晚年天衣に從い游學す。天衣常に龐居士の機語を以て之をして深く研究せしむ。後に泰山に祠を奉ず。一日鷄纔かに鳴き、太陽の盤の如く湧出するを見て、忽然大悟し、便ち別に一首を作り、以て「有男不婚、有女不嫁」の那首と別れ、曰く、「男大なれば須らく婚し、女長ずれば須らく嫁すべし。甚の閑工夫を討りて、更に無生の話を説かん」。寫りて天衣に寄えば、天衣好しと稱す。後に芙蓉楷禅師に遇う。公曰く、「師と分別れて幾年ぞ」。芙蓉曰く、「七年」。公曰く、「是れ道を學び來るか、禅を參じ來るか」。芙蓉曰く、「這の鼓笛を打たず」。公曰く、「恁麼に説き來れば、只だ空しく山水に遊び、百の能する所無きのみ」。芙蓉曰く、「別來還だ久しからず、倒いて甚だ高明に鑑裁する能う」。公大笑す。其の辭世の偈に曰く、「一も戀うべき無く、一も捨つべき無し。太虚の空中、之乎者也。錯を將て錯に就けば、西方極樂」

稱心倧禪師法嗣

稱心倧禅師法嗣

彭州慧日堯禪師

彭州慧日堯禅師

僧問。古者道。我有一句。待無舌人解語。卻向汝道。未審意旨如何。師曰。無影樹下好商量。僧禮拜。師曰。瓦解冰消。

僧問う、「古人説く、我に一句あり、舌無き人の話を會するを待ちて、再び汝に向かって説かん。意旨如何なるを知らず」。師曰く、「無影樹の下に好く商量せん」。僧禮拜す。師曰く、「瓦解冰消」

報本蘭禪師法嗣

報本蘭禅師法嗣

福州中際可遵禪師

福州中際可遵禅師

上堂。咄咄咄。井底啾啾是何物。直饒三千大千。也祇是箇鬼窟。咄。上堂。昨夜四更起來。呵呵大笑不歇。幸然好一覺睡。霜鐘撞作兩橛。上堂。禾山普化忽顛狂。打鼓搖鈴戲一場。劫火洞然宜煑茗。嵐風大作好乘涼。四蛇同篋看他弄。二鼠侵藤不自量。滄海月明何處去。廣寒宮殿白銀床。咄。上堂。八萬四千深法門。門門有路超乾坤。如何箇箇踏不著。祇為蜈蚣太多腳。不唯多腳亦多口。釘觜鐵舌徒增醜。拈椎竪拂泥洗泥。揚眉瞬目籠中雞。要知佛祖不到處。門掩落花春鳥啼。

上堂して曰く、「咄咄咄、井底に啾啾たるは是れ何の物ぞ。假令三千大千世界も、也只是れ個の鬼窟。咄」。又上堂して曰く、「昨夜四更に起きて、呵呵大笑して住まず。本來好く睡得るに、霜鐘卻って撞いて兩橛と成れり」。又上堂して曰く、「禾山・普化忽然として顛狂し、鼓を打ち鈴を搖りて一場の戲を作す。劫火燒遍すれば正好茶を煑え、嵐風大作すれば正好涼を乘ず。四條の蛇同じく一隻の箱子裏に在り、且く他の怎麼に耍るを看ん。兩隻の鼠藤を啃う、自ら量力せず。滄海月明清かなり何の處に向かって去る、廣寒宮殿是れ白銀の床。咄」。又上堂して曰く、「八萬四千の深法門、門門乾坤を超ゆる路有り。什麼を以てか個個踏み著かざる。只だ蜈蚣の脚多きが為め。不但だ脚多し、嘴も亦た多し。釘嘴鐵舌徒らに醜を添ゆ。椎を拈じ拂を竪つるは是れ泥上に泥を洗い、眉を揚げ目を瞬かするは是れ籠中の鷄。要し知るべし佛祖の到らざる所、門落花を掩い、春鳥啼きて在り」

邢州開元法明上座

邢州開元法明上座

依報本未久。深得法忍。後歸裡事落魄。多嗜酒呼盧。每大醉唱柳詞數闋。日以為常。鄉民侮之。召齋則拒。召飲則從。如是者十餘年。鹹指曰醉和尚。一日謂寺眾曰。吾明旦當行。汝等無他往。眾竊笑之。翌晨。攝衣就座。大呼曰。吾去矣。聽吾一偈。眾聞奔視。師乃曰。平生醉裡顛蹶。醉裡卻有分別。今宵酒醒何處。楊柳岸曉風殘月。言訖寂然。撼之已委蛻矣。

報本に依止すること久しからざるに、便ち深く法忍を得たり。後に鄉里に歸り、行為落魄、酒と賭博とを愛す。每每大醉すれば幾闋の柳詞を唱い、天天此の如し。鄉民之を瞧不起して、請うて齋に赴かしめれば拒絶し、請うて酒を飲ましめれば即ち去る。此の如く十餘年、人皆な之を呼んで醉和尚と曰う。一日寺裏の衆人に對して曰く、「我明天早晨即ち去らんとす、你們別處に到ること莫れ」。衆人暗に之を笑う。第二天早晨、彼衣服を整理し坐し、大喊して曰く、「我去了れり、我が一首の偈を聽け」。衆人聞きて趕りて來り看るに、師便ち曰く、「平生醉裏に顛蹶し、醉裏卻って分別有り。今宵酒醒めて何處、楊柳岸の曉風殘月」(末句柳永の《雨霖鈴》成句を用う)。説き畢りて寂然動かず、之を搖すれば已に蜕去せり

稱心明禪師法嗣

稱心明禅師法嗣

洪州上藍院光寂禪師

洪州上藍院光寂禅師

上堂。橫按拄杖。召大眾曰。還識上藍老漢麼。眼似木𣔻。口如匾擔。無問精粗。不知鹹淡。與麼住持。百千過犯。諸禪德。還有為山僧懺悔底麼。良久曰。氣急殺人。卓拄杖。下座。

上堂、拄杖を横按し、大衆を召して曰く、「還た上藍の老漢を認めるか。眼睛は木橛子の如く、嘴は扁担の如し。精粗を問わず、鹹淡を知らず。恁麼に住持して、百千の過犯有り。諸の禅德、還た山僧に替わりて懺悔する者有るか」。沈黙許久して曰く、「氣急に人を殺す」。拄杖を地に卓し、下座

廣因要禪師法嗣

廣因要禅師法嗣

福州妙峰如璨禪師

福州妙峰如璨禅師

上堂。今朝是如來降生之節。天下緇流。莫不以香湯灌沐。共報洪恩。為甚麼教中卻道。如來者無所從來。既是無所從來。不知降生底是誰。試請道看。若道得。其恩自報。若道不得。明年四月八。還是驀頭澆。

上堂して曰く、「今日は如来降生の日、天下の出家人香湯を用いて洗浴せざる莫く、共に深恩に報いる。什麼を以てか教中に卻って説く、如来者從來する所無しと。既に從來する所無ければ、知らず降生するは又是れ誰ぞ。試みに説いて看よ。若し説き得れば、這の恩自然報い得たり。若し説き得ざれば、明年四月八日、還た是れ當頭の一澆」

雲居元禪師法嗣

雲居元禅師法嗣

臨安府百丈慶善院淨悟禪師

臨安府百丈慶善院淨悟禅師

僧問。如何是佛。師曰。問誰。曰。特問和尚。師曰。鷂子過新羅。上堂。說則搖唇。行則動腳。直饒不說不行時。錯。錯。拍禪床下座。

僧問う、「如何なるか是れ佛」。師曰く、「誰に問う」。僧曰く、「特に地を設けて和尚に問う」。師曰く、「鷂子新羅を過ぐ」。上堂して曰く、「説けば則ち唇を搖り、行けば則ち脚を動かす。假令説かず行かざる時——錯、錯」。禅床を拍し、下座

常州善權慧泰禪師

常州善權慧泰禅師

上堂。諸佛出世。廣演三乘。達磨西來。密傳大事。上根之者。言下頓超。中下之流。須當漸次。發明心地。或一言唱道。或三句敷揚。或善巧應機。遂成多義。撮其樞要。總是空花。一句窮源。沉埋祖道。敢問諸人。作麼生是依時及節底句。良久曰。微雲淡河漢。疎雨滴梧桐。參。

上堂して曰く、「諸佛出世して廣く三乘を演べ、達磨西來して密かに大事を傳う。上根の人は言下に頓超し、中下の人は須らく漸次を得べし。心地を發明するに、或いは一句の話を用いて道を唱い、或いは三句を用いて敷揚し、或いは善巧に機に應じて、便ち許多の義を成す。其の樞要を撮れば總て是れ空花、一句源を窮むれば反って祖道を埋沒す。敢えて諸人に問う、什麼か是れ時に依り節に及ぶ那一句」。沈黙許久して曰く、「微雲河漢に淡く、疎雨梧桐に滴る」(孟浩然の句)。「参」

饒州崇福德基禪師

饒州崇福德基禅師

上堂。若於這裡會得。便能入一佛國。坐一道場。水鳥樹林。共談斯要。樓臺殿閣。同演真乘。續千聖不盡之燈。照八面無私之燄。所以道。在天同天。在人同人。還有知音者麼。良久曰。水底金烏天上日。眼中瞳子面前人。

上堂、若し這裏に會得せば、便ち能く一佛國に入り、一道場に坐せん。水鳥樹林も共に這の要旨を談じ、樓臺殿閣も同じく真乘を演べん。上千聖不盡の燈を續ぎ、八面無私の焰を照開せん。所以に説く、天に在りては天に同じく、人に在りては人に同じと。還た知音有るか。沈黙良久して曰く、水底の金烏天上の日、眼中の瞳子面前の人

婺州寶林懷吉真覺禪師

婺州寶林懷吉真覺禅師

上堂。善慧遺風五百年。雲黃山色祇依然。而今祖令重行也。一句流通徧大千。大眾且道。是甚麼句。莫是函葢乾坤.截斷眾流.隨波逐浪底麼。吽。有甚交涉。自從有佛祖已來。未曾動著。今日不可漏洩真機去也。顧視大眾曰。若到諸方。不得錯舉。

上堂、善慧の遺風五百年、雲黄の山色只だ依然。而今祖令重新に施行し、一句流通して大千に遍し。大衆且く道え、是れ什麼の句ぞ。莫れや非ずや函蓋乾坤、截斷衆流、隨波逐浪なるか。吽。什麼の交涉か有らん。自から佛祖有りて以來、未曾に動著せず。今日真機を泄漏し去るべからず。大衆を環顧して曰く、若し諸方に到らば、錯って擧するなかれ

洪州資福宗誘禪師

洪州資福宗誘禅師

上堂。龍泉今日與諸人說些葛藤。良久曰。枝蔓上更生枝蔓。

上堂、龍泉今日諸位に些の葛藤を説かん。沈黙良久して曰く、枝蔓の上に更に枝蔓を生ず

智海逸禪師法嗣

智海逸禅師法嗣

瑞州黃檗志因禪師

瑞州黄檗志因禅師

僧問。如何是得力句。師曰。腳。曰。學人不會。師曰。一步進一步。上堂。四十九年說。恩潤禽魚。十萬途程來。警悟人天。這二老漢。各人好與三十棒。何故。一箇說長說短。一箇胡言漢語。雖然如是。且放過一著。

僧問う、如何なるか是れ得力の句。師曰く、脚。曰く、學人會せず。師曰く、一步進めば又一步。上堂、四十九年の説、恩禽魚に潤う。十萬の途程來り、人天を警悟す。這の兩老漢、各人好く與えて三十棒。什麼を以て。一個は長を説き短を説き、一個は胡言漢語。然りといえども此の如し、且く一着を放過せん

福州大中德隆海印禪師

福州大中德隆海印禅師

上堂。法無異法。道無別道。時時逢見釋迦。處處撞著達磨。放步即交肩。開口即齩破。不齩破。大小大。上堂。夫欲智拔。先須定動。卓拄杖曰。唵囌嚧.㗭唎娑婆訶。歸堂吃茶。上堂。觸境無滯底。為甚麼擡頭不起。田地穩密底。為甚麼下腳不得。譬如天王賜與華屋。雖獲大宅。要因門入。乃曰。門聻。樊噲踏開真主出。巨靈擡手錦鱗噴。參。上堂。平旦寅曉何人。處處彌陀佛。家家觀世音。月裡麒麟看北斗。向陽椑子一邊青。

上堂、法に異法無く、道に別道無し。時時釋迦に逢見し、處處達磨に撞著す。步を放てば即ち肩を交え、口を開けば即ち咬破す。咬破せざれば、大小大。上堂、若し智拔せんと要せば、先に須らく定動すべし。拄杖を卓して曰く、唵蘇嚕、悉利娑婆訶。堂に歸りて茶を吃せ。上堂、境に觸れて滯無きは、什麼を以てか頭を擡げて起たざる。田地穩密なるは、什麼を以てか脚を下すことを得ざる。譬如天王の華屋を賜與するが如し、雖も大宅を獲るも、要に門に因りて入るべし。便ち曰く、門は。樊噲踏開して真主出づ、巨靈手を擡げて錦鱗噴く。参。上堂、平旦寅の曉何人ぞ。處處彌陀佛、家家觀世音。月裏の麒麟北斗を看、陽に向かう椑子一邊青なり

簽判劉經臣居士

簽判劉經臣居士

字興朝。少以逸才登仕版。於佛法未之信。年三十二。會東林照覺總禪師與語。啟廸之。乃敬服。因醉心祖道。既而抵京師。謁慧林沖禪師。於僧問雪竇。如何是諸佛本源。答曰。千峰寒色。語下有省。歲餘官雒幕。就參韶山杲禪師。將去任。辭韶山。山囑曰。公如此用心。何愁不悟。爾後或有非常境界。無量歡喜。宜急收拾。若收拾得去。便成法器。若收拾不得。則有不寧之疾。成失心之患矣。未幾復至京師。趨智海依正覺逸禪師。請問因緣。海曰。古人道。平常心是道。你十二時中放光動地。不自覺知。向外馳求。轉疎轉遠。公益疑不解。一夕入室。海舉傳燈所載香至國王問波羅提尊者何者是佛。尊者曰見性是佛之語問之。公不能對。疑甚。遂歸就寢。熟睡至五鼓。覺來方追念間。見種種異相。表裡通徹。六根震動。天地迴旋。如雲開月現。喜不自勝。忽憶韶山臨別所囑之言。姑抑之。逗明趨智海。悉以所得告。海為證據。且曰。更須用得始得。公曰。莫要踐履否。海厲聲曰。這箇是甚麼事。卻說踐履。公默契。乃作發明心地頌八首。及著明道諭儒篇以警世。詞曰。明道在乎見性。餘之所悟者。見性而已。孟子曰。口之於味也。目之於色也。耳之於聲也。鼻之於臭也。四肢之於安佚也。性也。楊子曰。視聽言貌思。性所有也。有見於此。則能明乎道矣。當知道不遠人。人之於道。猶魚之於水。未甞須臾離也。唯其迷己逐物。故終身由之而不知。佛曰大覺。儒曰先覺。葢覺此耳。昔人有言曰。今古應無墜。分明在目前。又曰。大道祇在目前。要且目前難睹。欲識大道真體。不離聲色言語。又曰。夜夜抱佛眠。朝朝還共起。起倒鎮相隨。語默同居止。欲識佛去處。祇這語聲是。此佛者之語道為最親者。立則見其參於前也。在輿則見其倚於衡也。瞻之在前也。忽焉在後也。取之左右逢其原也。

字は興朝。少時俊逸の才を憑りて仕途に登り、佛法を信ぜず。三十二歳の年、東林照覺總禅師に遇い、與に談じて啟發開導を受け、これにて敬服し、遂に祖道に醉心す。隨って京師に到り、慧林沖禅師を謁見す。僧の雪竇に「如何なるか是れ諸佛の本源」と問い、雪竇が「千峰の寒色」と答えし那句の下に省り有り。一年餘りを過ごし、洛陽幕府に在官し、近く韶山杲禅師に參ず。將に任を離れんとして韶山に辭す。山囑して曰く、公此の如く用心せば、悟らざるを愁う何ぞ。以後或いは非常の境界、無量の歡喜有らば、當に速やかに收拾すべし。若し收拾し得れば便ち法器と成り、若し收拾し得ざれば、不寧の疾有りて失心の患と成らん。程なく又京師に到り、智海に赴き、正覺逸禅師に依止して因緣を請問す。海曰く、古人説く、平常心是れ道と。汝十二時中に光を放ち地を動かして、自ら卻って覺知せず、向外に馳求して、求むれば求むるほど疎遠なりと。公愈々疑惑解けず。一天晚上に室に入り、海《傳燈錄》に載する所の香至國王が波羅提尊者に「何者か是れ佛」と問い、尊者が「見性是れ佛」と説きし話を擧げて之を問う。公對えず、疑い甚だ深く、便ち歸りて就寝す。熟睡して五更に、覺めて正に追念する間、種種の異相を見る。表裏通徹し、六根震動し、天地回旋し、雲開けて月現るるが如く、喜び自ら勝えず。忽然韶山の臨別に囑しし話を想起し、姑く按捺す。天明亮するを待ちて智海に奔赴し、所得を悉く彼に告ぐ。海之が為に證據し、且つ曰く、更に須らく用い得てこそ可なり。公曰く、踐履を要せんか。海厲聲に曰く、這個は什麼の事ぞ、卻って踐履を説くと。公默契し、於是發明心地の頌八首を作り、又《明道諭儒篇》を著して世を警す。文詞に曰く、道を明らかにするは性を見るに在り。我が悟る所、不過见性なり。孟子曰く、口の味に於ける、目の色に於ける、耳の聲に於ける、鼻の臭に於ける、四肢の安佚に於けるは、性なり。揚子曰く、視聽言貌思は、性の所有なり。此に見る有らば、能く道に明らかならん。當に知るべし、道は人に遠からず。人の道に於けるは、猶ほ魚の水に於けるが如く、未曾だ片時も相離れず。只だ己に迷いて物を逐うが故に、終身之に由りて知らず。佛は大覺と稱し、儒は先覺と稱す、皆な這個を覺るのみ。昔人話有りて曰く、今古應に墜ち無く、分明に目前に在り。又曰く、大道只だ目前に在り、要なれども目前睹み難し。大道の真體を識らんと欲せば、聲色言語を離れず。又曰く、夜夜佛を抱いて眠り、朝朝還た共に起きる。起倒鎮ねに相随い、語默同居し止まる。佛の去處を識らんと欲せば、只だ這の語聲是れなり。是れ佛家の道を語る最も親切なるなり。立てば則ち其の前に參ずるを見、輿に在れば則ち其の衡に倚るを見、之を瞻れば前に在り、忽焉として後に在り、之を取れば左右其の原に逢う

此儒者之語道最邇者。奈何此道唯可心傳。不立文字。故世尊拈花而妙心傳於迦葉。達磨面壁而宗旨付於神光。六葉既敷。千花競秀。分宗列派。各有門庭。故或瞬目揚眉。擎拳舉指。或行棒行喝。竪拂拈槌。或持叉張弓。輥毬舞笏。或拽石般土。打鼓吹毛。或一默一言。一籲一笑。乃至種種方便。皆是親切為人。然祇為太親。故人多罔措。瞥然見者。不隔絲毫。其或沉吟。迢迢萬裡。欲明道者。宜無忽焉。祖祖相傳。至今不絕。真得吾儒所謂忿而不發。開而弗違者矣。餘之有得。實在此門。反思吾儒。自有其道。良哉孔子之言。默而識之。一以貫之。故目擊而道存。指掌而意喻。凡若此者。皆合宗門之妙旨。得教外之真機。然而孔子之道。傳之子思。子思傳之孟子。孟子既沒。不得其傳。而所以傳於世者。特文字耳。故餘之學。必求自得而後已。幸餘一夕開悟。凡目之所見。耳之所聞。心之所思。口之所談。手足之所運動。無非妙者。得之既久。日益見前。每以與人。人不能受。然後知其妙道果不可以文字傳也。嗚呼。是道也。有其人則傳。無其人則絕。餘既得之矣。誰其似之乎。終餘之身而有其人邪。無其人邪。所不可得而知也。故為記頌歌語。以流播其事。而又著此篇。以諭吾徒雲。

(劉經臣接續いて曰く、)是れ儒家の道を語る最も切近なるなり。此の道只だ心傳すべく、文字を立てざるを如何せん。世尊の花を拈じて妙心迦葉に傳え、達磨の壁に面して宗旨神光に付しし所以なり。六葉既に敷き開き、千花競い秀で出で、宗を分け派を列ね、各々門庭有り。或いは目を瞬かせ眉を揚げ、拳を擎げ指を擧げ、或いは棒を行じ喝を行い、拂を竪て槌を拈じ、或いは叉を持ち弓を張り、球を滾し笏を舞い、或いは石を拽き土を搬び、鼓を打ち毛を吹き、或いは一默一言、一吁一笑。乃至種種の方便、皆な親切に人を為す。然るに只だ太だ親なるが因に、人多く茫然として措く所無し。瞥然として見著する者は、絲毫も隔たらず、其れ或いは沈吟せば、便ち迢迢として萬里。道を明らかにせんと欲する者、忽視すべからず。祖祖相傳え、今に至りて絶えず、真に我が儒の所謂、忿りて發せず、開きて違わざるを得たり。我の得有る、實に此の門に在り。反思すれば我が儒、自ら其の道有り。良いかな孔子の言、默して之を識り、一を以て之を貫く。目撃して道存し、指掌して意喻ゆる所以なり。凡そ此の如きは、皆な宗門の妙旨に合し、教外の真機を得たり。然るに孔子の道、子思に傳え、子思孟子に傳う。孟子既に沒して其の傳を得ず、而も世に傳わる所以の者、不過文字のみ。我が學問、必ず自得を求めて後已む所以なり。幸いに我一夕開悟し、凡そ目の見る所、耳の聞く所、心の思う所、口の談ずる所、手足の運動する所、妙ならざる無し。得ること既に久しく、日々に益々現前す。每每將て來りて人に與うるに、人受くる能わず、然る後この妙道果して文字を以て傳うべからざるを知る。嗚呼。是の道、其の人有らば則ち傳わり、其の人無くば則ち絶ゆ。我既に之を得たり、誰か能く我の如くならん。我が身を終わりて、而も其の人有らんか、其の人無からんか。知るべからざる所なり。記・頌・歌・語を作りて其の事を流播し、又此の篇を著して我が同道に曉諭す

青原下十二世

青原の下十二世

蔣山泉禪師法嗣

蔣山泉禅師法嗣

清獻公趙抃居士

淸獻公趙抃居士

字悅道。年四十餘。擯去聲色。繫心宗教。會佛慧來居衢之南禪。公日親之。慧未甞容措一詞。後典青州。政事之餘。多宴坐。忽大雷震驚。即契悟作偈曰。默坐公堂虗隱幾。心源不動湛如水。一聲霹靂頂門開。喚起從前自家底。慧聞笑曰。趙悅道撞彩耳。富鄭公初於宗門。未有所趣。公勉之書曰。伏惟執事。富貴如是之極。道德如是之盛。福壽康寧如是之備。退休閑逸如是之高。其所未甚留意者。如來一大事因緣而已。能專誠求所證悟。則他日為門下賀也。公年七十有二。以太子少保致仕而歸。親舊里民。遇之如故。作高齋以自適。題偈見意曰。腰佩黃金已退藏。箇中消息也尋常。世人慾識高齋老。祇是柯村趙四郎。復曰。切忌錯認。臨薨遺佛慧書曰。非師平日警誨。至此必不得力矣。慧悼以偈曰。仕也邦為瑞。歸歟世作程。人間金粟去。天上玉樓成。慧劒無纖缺。冰壺徹底清。春風瀫水路。孤月照雲明。

字は悅道。四十餘歳にして聲色を擯去し、心を宗教に係く。正に佛慧の衢州南禪に住するに逢い、公日々に之に親近すれども、慧曾て一詞を措くを容れず。後に青州を典守し、政事の餘、多く宴坐す。忽然大雷震驚し、即刻契悟し、偈を作りて曰く、默坐公堂に几を虛隱し、心源動かず湛として水の如し。一聲の霹靂頂門開き、喚起す從前の自家底を。慧聞きて笑いて曰く、趙悅道彩に撞うたのみと。富鄭公初め宗門に未だ趣く所有らず、公書をして彼を勉勵して曰く、伏して惟れば執事、富貴斯くの如く之の極、道德斯くの如く之の盛、福壽康寧斯くの如く之の備、退休閑逸斯くの如く之の高し。其の未だ甚だ留意せざる所は、只だ如來の一大事因緣のみ。若し能く專誠所の證悟を求めば、則ち他日門下の為に賀せん。公七十二歳、太子少保を以て致仕して歸る。親舊里民、彼を待ること故の如し。高齋を築きて以て自適し、偈を題して意を見んと曰く、黃金を腰佩し已に退藏し、個中の消息も亦尋常。世人高齋の老を識らんと欲せば、只だ是れ柯村の趙四郎。又曰く、切に錯認すること忌む。臨終佛慧に遺書して曰く、師の平日の警誨に非ずば、此に到りて必ず得力を得ざらん。慧偈を作りて彼を悼みて曰く、仕するや邦の瑞と為り、歸るや世の程と作る。人間に金粟去り、天上に玉樓成る。慧劍に纖缺無く、冰壺徹底清し。春風瀫水の路、孤月照らして雲明かり

慧林本禪師法嗣

慧林本禅師法嗣

東京法雲善本大通禪師

東京法雲善本大通禅師

族董氏。漢仲舒之裔也。大父琪。父溫。皆官於潁。遂為潁人。母無子。禱白衣大士。乃得師。及長。博極群書。然清修無仕宦意。嘉祐八年。與弟善思往京師地藏院。選經得度。習毗尼。東遊至姑蘇。禮圓照於瑞光。照特顧之。於是契旨。經五稔。益躋微奧。照令依圓通秀。師去又盡其要。元豐七年。渡淮。留太守巖。久之出住雙林。遷淨慈。尋被旨徙法雲。僧問。寶塔元無縫。如何指示人。師曰。煙霞生背面。星月遶簷楹。曰。如何是塔中人。師曰。竟日不知清世事。長年占斷白雲鄉。曰。向上更有事也無。師曰。太無厭生。問。若論此事。譬如兩家著碁。學人上來。請師一著。師曰。早見輸了也。僧曰。錯。師曰。是。僧曰。進前無路也。師卓拄杖一下。曰。爭奈這箇何。僧曰。祇如黑白未分時。又作麼生。師曰。且饒一著。問。百尺竿頭。如何進步。師曰。險。曰。便恁麼去又作麼生。師曰。百雜碎。問。九夏賞勞即不問。從今向去事如何。師曰。光剃頭。淨洗缽。曰。謝師指示。師曰。滴水難消。上堂。上不見天。下不見地。畐塞虗空。無處迴避。為君明破即不中。且向南山看鼈鼻。擲拄杖下座。

族姓董氏、漢朝董仲舒の後裔なり。祖父琪、父温、皆な潁州に在官し、於是潁人と成る。母子無く、白衣大士に祈禱して、纔かに老師を得たり。長ずるに及び、群書に博極すれども、淸修して仕宦の意無し。嘉祐八年、弟善思と京師地藏院に往き、經を選びて得度し、毘尼(戒律)を修習す。東游して姑蘇に到り、瑞光に於て圓照を禮すに、照特別に彼を看顧し、於是旨を契る。五年を經て、愈々微奧に躋り入る。照彼をして圓通秀に依らしむ。老師去りて後、又盡く其の要を得たり。元豐七年、淮を渡り、太守巖に留まる。久しくして後、出でて雙林を住持し、淨慈に遷り、程なく旨を奉じて法雲に徙す。僧問う、寶塔元より縫無し、如何にして人に指示せん。師曰く、烟霞背面に生じ、星月檐楹を繞る。曰く、如何なるか是れ塔中の人。師曰く、竟日清世の事を知らず、長年白雲の鄕を占斷す。曰く、向上更に事有るや無しや。師曰く、太だ厭き無く生ず。問う、若し此の事を論ぜば、譬えば兩家の碁を下すが如し。學人上來りて、師の一著を下さんを請う。師曰く、早く輸きたるを見たり。僧曰く、錯。師曰く、是。僧曰く、進前に路無し。師拄杖を卓して一下、曰く、怎んぞ這個を奈何せん。僧曰く、只だ如く黑白未だ分かれざる時、又作麼生。師曰く、且く一著を饒す。問う、百尺の竿頭、如何にして進歩せん。師曰く、險。曰く、便ち恁麼に去れば、又作麼生。師曰く、百雜碎。問う、九夏の賞勞は即ち問わず、今より向かい去る事如何。師曰く、頭を光剃し、鉢を淨洗せよ。曰く、師の指示に謝す。師曰く、滴水難く消す。上堂、上に天を見ず、下に地を見ず、虛空を逼塞し(底本「畐塞」と作る)、回避する處無し。君が為に點破すれば就中せず、且く南山に向かって鱉の鼻を看よ。拄杖を擲ちて下座

鎮江府金山善寧法印禪師

鎮江府金山善寧法印禅師

僧問。天皇也恁麼道。龍潭也恁麼道。未審和尚作麼生道。師曰。手握白玉鞭。驪珠盡擊碎。曰。退身有分。師曰。知過必改。上堂。顧視大眾曰。古人道。在眼曰見。在耳曰聞。在鼻嗅香。在舌談論。在身覺觸。在意攀緣。雖然如是。祇見錐頭利。不見鑿頭方。若是金山即不然。有眼覰不見。有耳聽不聞。有鼻不知香。有舌不談論。有身不覺觸。有意絕攀緣。一念相應。六根解脫。敢問諸禪德。且道與前來是同是別。莫有具眼底衲僧。出來通箇消息。若無。復為諸人重重注破。放開則私通車馬。揑聚則毫末不存。若是鮑戰作家。一任是非貶剝。

僧問う、天皇も恁麼に道い、龍潭も恁麼に道う、未だ審かに和尚作麼生に道うを知らず。師曰く、手に白玉の鞭を握り、驪珠盡く擊碎す。曰く、身を退くるに分有り。師曰く、過を知りて必ず改む。上堂、大衆を環顧して曰く、古人説く、眼に在りては見と曰い、耳に在りては聞と曰い、鼻に在りては香を嗅ぎ、舌に在りては談論し、身に在りては觸を覺え、意に在りては攀緣すと。然りといえども此の如し、只だ錐頭の利を見て、鑿頭の方を見ず。若し是れ金山ならば即ち然らず、眼有りて觑れども見えず、耳有りて聽けども聞こえず、鼻有りて香を知らず、舌有りて談論せず、身有りて觸を覺えず、意有りて攀緣を絶つ。一念相應して、六根解脫す。敢えて諸の禅德に問う、且く道え、前來と同じくするか別なるか。具眼の衲僧有りて、出で來りて個の消息を通ずる可きか。若し無くば、再び諸人の為に重重に注破せん。放開すれば則ち私に車馬を通じ、捏聚すれば則ち毫末も存せず。若し是れ飽戰の作家(底本「鮑戰」と作る)ならば、一任せよ是非に貶剥を

壽州資壽院圓澄巖禪師

壽州資壽院圓澄巖禅師

僧問。大藏經中還有奇特事也無。師曰。祇恐汝不信。曰。如何即是。師曰。黑底是墨。黃底是紙。曰。謝師答話。師曰。領取鉤頭意。莫認定盤星。上堂。雲生谷口。月滿長川。樵父斫深雲。漁翁釣沙島。到這裡。便是吳道子張僧繇。無你下手處。良久曰。歸堂問取聖僧。參。上堂。乾坤肅靜。海晏河清。風不鳴條。雨不破塊。春生夏長。秋收冬藏。這箇是世間法。作麼生是佛法。良久曰。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。

僧問う、大藏經の中に還た奇特の事有るや無しや。師曰く、只だ恐らくは汝信ぜざらん。曰く、如何にすれば即ち是れ。師曰く、黑きは是れ墨、黃なるは是れ紙。曰く、師の答話に謝す。師曰く、鉤頭の意を領取し、定盤の星を認定する莫れ。上堂、雲谷口に生じ、月長川に滿つ。樵父深雲を斫り、漁翁沙島に釣る。這裏に到れば、便ち是れ吳道子・張僧繇と雖も、汝の下手する處無し。沈黙許久して曰く、堂に歸りて聖僧に問取せ。参。上堂、乾坤肅靜、海晏河淸。風條を鳴らさず、雨塊を破らず。春生じ夏長ち、秋收まり冬藏る。這個は是れ世間法。作麼生か是れ佛法。沈黙許久して曰く、不招無間業を得んと欲せば、如來正法輪を謗る莫れ

秀州本覺寺守一法真禪師

秀州本覺寺守一法真禅師

江陰沈氏子。僧問。如何是句中玄。師曰。崑崙騎象藕絲牽。曰。如何是體中玄。師曰。影浸寒潭月在天。曰。如何是玄中玄。師曰。長連床上帶刀眠。曰。向上還有事也無。師曰。放下著。上堂。舉拂子曰。三世諸佛。六代祖師。總在這裡。還見麼。見汝不相當。又為說法雲。無二無二分。無別無斷故。還聞麼。汝又不惺惺。一時卻往上方香積世界去也。𢷾拂子曰。退後退後。突著你眼睛。上堂。折半列三。人人道得。去一拈七。亦要商量。正當今日。雲門道底不要別。作麼生露得箇消息。良久曰。日月易流。

江陰沈氏の子。僧問う、如何なるか是れ句中の玄。師曰く、崑崙象に騎り藕絲牽く。曰く、如何なるか是れ體中の玄。師曰く、影寒潭に浸り月天に在り。曰く、如何なるか是れ玄中の玄。師曰く、長連床の上刀を帶びて眠る。曰く、向上還た事有るや無しや。師曰く、放下著。上堂、拂子を擧げて曰く、三世の諸佛、六代の祖師、總て這裏に在り。還た見るか。汝の不相當を見て、又為に説法して道う、無二二分無く、無別無斷の故と。還た聞くか。汝又惺惺せず。一時に卻って上方香積世界に往きぬ。拂子を擲ちて曰く、(此の字手に從う、句意當に「擲」とすべし。)退後せよ退後せよ、汝の眼睛に突き著く。上堂、半を折り三を列ぬるは、人人道い得、一を去り七を拈ずるも、亦た商量を要す。正に當る今日、雲門の道わる所別に説く要なし。作麼生か個の消息を露し得ん。沈黙許久して曰く、日月流れ易し

舒州投子修顒證悟禪師

舒州投子修顒證悟禅師

僧問。是法平等。無有高下。為甚麼趙州三等接人。師曰。入水見長人。曰。爭奈學人未會。師曰。喚不回頭爭奈何。上堂。楞伽峰頂。誰能措足。少室巖前。水洩不通。正當恁麼時。黃頭老子張得口。碧眼胡僧開得眼。雖然如是。事無一向。先聖幸有第二義門。足可共諸人東說西說。所以道春生夏長。秋落冬枯。四時遷改。輪轉長途。愚者心生彼此。達者一味無殊。良久曰。陝府鐵牛吞大像。嘉州佛向藕𮈔藏。上堂。巍巍少室。永鎮群峰。有時雲中捧出。有時霧罩無蹤。有時突在目前。有口道不得。被人喚作壁觀胡僧。諸仁者作麼生免得此過。休。休。不如且持課。良久曰。一元和。二佛陀。三釋迦。自餘是甚椀躂丘。參。

僧問う、是の法平等にして高下無し、什麼を以てか趙州三等に人を接する。師曰く、水に入りて長人を見る。曰く、怎んぞ學人未だ會せざるを奈何せん。師曰く、喚びて回頭せざれば争奈何せん。上堂、楞伽の峰頂、誰か能く足を措かん。少室の巖前、水泄通ぜず。正に當る恁麼の時、黃頭の老子口を張り得、碧眼の胡僧眼を開き得。然りといえども此の如し、事一向無し。先聖幸いに第二義門有り、足りて諸人と東説西説すべし。所以に説く、春生じ夏長ち、秋落ち冬枯れ、四時遷改し、長途に輪轉す。愚者は心に彼此を生じ、達者は一味殊無し。沈黙許久して曰く、陝府の鐵牛大像を吞み、嘉州の佛藕絲に向かって藏る。(「絲」の字、底本生僻字と作る、文意に據りて讀む。)上堂、巍巍たる少室、永く群峰を鎮む。或る時は雲中に捧出し、或る時は霧罩して蹤無し。或る時は目前に突きて、口有りて道い得ず、人に喚ばれて壁觀胡僧と作さる。諸の仁者作麼生か此の過を免れん。休、休。如かず且く課を持て。沈黙許久して曰く、一は元和、二は佛陀、三は釋迦、其の餘は什麼の碗躂丘ぞ。参

福州地藏守恩禪師

福州地藏守恩禅師

本州丘氏子。僧問。如何是佛。師曰。晝眠無益。曰。意旨如何。師曰。早起甚長。問。如何是西來祖意。師曰。風吹滿面塵。上堂。竪起拳曰。或時為拳。復開曰。或時為掌。若遇衲僧有功者賞。遂放下曰。直是土曠人稀。相逢者少。上堂。雨後鳩鳴。山前麥熟。何處牧童兒。騎牛笑相逐。更把短笛橫吹。風前一曲兩曲。參。上堂。山僧今日略通一線。不用狐疑。麥中有麵。上堂。拈拄杖擊禪床一下。曰。有智若聞。則能信解。無智疑悔。則為永失。三十年後。不得道山僧今日上堂。祇念法華經。參。上堂。衲僧現前三昧。釋迦老子不會。住世四十九年。說得天花亂墜。爭似飢餐渴飲。展腳堂中打睡。上堂。諸人知處。山僧盡知。山僧知處。諸人不知。今日不免佈施諸人。良久曰。頭上是天。腳下是地。參。

本州丘氏の子。僧問う、如何なるか是れ佛。師曰く、晝眠益無し。曰く、意旨如何。師曰く、早起甚だ長し。問う、如何なるか是れ西來の祖意。師曰く、風吹きて面に塵滿つ。上堂、拳を竪起して曰く、或る時は拳と為る。又張開して曰く、或る時は掌と為る。若し衲僧に遇わば、功有る者は賞せん。於是放下して曰く、直に是れ土曠く人稀にして、相逢う者少なし。上堂、雨後鳩鳴き、山前麥熟す。何處の牧童兒ぞ、牛に騎りて笑い相逐う。更に短笛を把りて橫吹し、風前に一曲兩曲。参。上堂、山僧今日略かに一線を通ず、狐疑を用いる莫れ、麥の中に面有り。上堂、拄杖を拈じて禅床を一下擊ちて曰く、智有りて若し聞かば、則ち能く信解し、智無く疑悔せば、則ち永失と為らん。三十年の後、山僧今日上堂して只だ《法華經》を念ずと説くこと得る莫れ。参。上堂、衲僧現前の三昧、釋迦老子會せず。世に住すること四十九年、説き得て天花亂墜す。怎んぞ比せん、飢えて餐い渇いて飮み、脚を伸べて堂中に睡り打つに。上堂、諸人の知る處、山僧盡く知り、山僧の知る處、諸人知らず。今日免れず諸人に布施せん。沈黙許久して曰く、頭上は是れ天、脚下は是れ地。参

衢州靈曜寺𮗿(音辯)良佛慈禪師

衢州靈曜寺辯良佛慈禅師(底本此の字生僻、原注音「辯」、今注に據りて讀む)

饒州吳氏子。清獻趙公命開法於越州福果.衢州超化.海會.靈曜四剎。僧問。三變禪林。四回出世。於和尚分上。成得甚麼邊事。師曰。缽盂口向天。曰。三十年來關棙子。而今流落五湖傳。師曰。那箇是山僧關棙子。曰。一言超影象。不墜古人風。師曰。惜取眉毛。上堂。不知時分之延促。不知日月之大小。灰頭土面。且與麼過。山僧每遇月朔。特地鬬釘家風。抑揚問答。一場笑具。雖然如是。因風撒土。借水獻花。有箇葛藤露布。與諸人共相解摘看。驀拈拄杖擊香臺。曰。參堂去。

饒州吳氏の子。淸獻趙公彼を命じて法を開かしめ、歷住するに越州福果、衢州超化、海會、靈曜の四刹。僧問う、禅林三變し、出世四回す、和尚の分上に於て、什麼の邊事を成し得たる。師曰く、鉢盂の口天に向かう。曰く、三十年來の關棙子、而今流落して五湖に傳う。師曰く、那個か是れ山僧の關棙子。曰く、一言影象を超え、古人の風に墜ちず。師曰く、眉毛を惜取せよ。上堂、時分の延促を知らず、日月の大小を知らず、灰頭土面して(底本此の字「灰」の僻寫と作る)、且く恁麼に過ぐ。山僧每に月朔に遇えば、特に地を設けて家風に斗釘し、抑揚問答して一場の笑具と為す。然りといえども此の如し、風に因りて土を撒き、水を借りて花を獻ず、個の葛藤露布有りて、諸人と共に相い解摘して看ん。忽然拄杖を拈じて香台を擊ちて曰く、堂に参じて去れ

明州香山延泳正覺禪師

明州香山延泳正覺禅師

上堂。心隨境現。境逐心生。心境兩忘。是箇甚麼。拈起拄杖曰。且道這箇甚處得來。若道是拄杖。瞎卻汝眼。若道不是拄杖。眼在甚麼處。是與不是。一時拈卻。且騎拄杖出三門去也。遂曳杖下座。

上堂、心は境に隨って現じ、境は心に逐って生ず。心境兩忘なるは、是れ個の什麼ぞ。拄杖を拈起して曰く、且く道え、這個は甚の處より得來る。若し是れ拄杖と道わば、汝の眼を瞎し、若し是れ拄杖に非ずと道わば、眼什麼の處に在る。是と與不是と、一時に拈却し、且く拄杖に騎りて三門を出でん。於是杖を曳きて下座

安吉州道場慧印禪師

安吉州道場慧印禅師

上堂。韶石渡頭。舟橫野水。汾陽浪裡。棹撥孤煙。雲月無私。谿山豈異。一言合轍。千里同風。敢問諸人。作麼生是同風底句。良久曰。八千子弟今何在。萬裡山河屬帝家。

上堂、韶石の渡頭、舟野水に橫たわり、汾陽の浪裏、棹孤烟を撥く。雲月私無く、溪山豈に異ならん。一言轍に合せば、千里風を同じくす。敢えて諸人に問う、作麼生か是れ同風の句。沈黙許久して曰く、八千の子弟今何の處に在る、萬里の山河帝家に屬す

臨安府西湖妙慧文義禪師

臨安府西湖妙慧文義禅師

上堂。會麼。已被熱謾了也。今早起來。無言可說。下床著鞋。後架洗面。堂內展缽吃粥。粥後打睡。睡起吃茶。見客相喚。齋時吃飯。日日相似。有甚麼過。然雖如是。更有一般令我笑。金剛倒地一堆泥。拍禪床。下座。

上堂、會するか。已被熱謾了也。今早來起きて、説くべき言無し。床を下りて鞋を著け、後架に面を洗い、堂內に鉢を展べて粥を吃し、粥後睡を打ち、睡起きて茶を吃し、客に見えて相喚し、齋時飯を吃す。日日相似たり、什麼の過か有らん。然りといえども此の如し、更に一般我をして笑わしむる有り、金剛倒地して一堆の泥。禅床を拍し、下座

處州靈泉山宗一禪師

處州靈泉山宗一禅師

上堂。美玉藏頑石。蓮華出淤泥。須知煩惱處。悟得即菩提。咄。

上堂、美玉は頑石に藏れ、蓮花は淤泥より出づ。須らく知るべし煩惱の處、悟得すれば即ち菩提。咄

泗州普照寺處輝真寂禪師

泗州普照寺處輝真寂禅師

滁州趙氏子。開堂日。僧問。世尊出世。地湧金蓮。和尚出世。有何祥瑞。師曰。掃卻門前雪。

滁州趙氏の子。開堂の日、僧問う、世尊出世して地に金蓮涌く。和尚出世して、何の祥瑞か有る。師曰く、門前の雪を掃却す

常州南禪寧禪師

常州南禪寧禅師

僧問。廬陵米價作麼生詶。師曰。欵出囚口。

僧問う、廬陵の米價は作麼生に酬う。師曰く、款は囚の口より出づ

越州石佛曉通禪師

越州石佛曉通禅師

上堂。冷似秋潭月。無心合太虗。山高流水急。何處駐遊魚。僧問。如何是頓教。師曰。月落寒潭。曰。如何是漸教。師曰。雲生碧漢。曰。不漸不頓時如何。師曰。八十老婆不言嫁。

上堂、冷やかなること秋潭の月の如く、心無くして太虚に合す。山高く流水急にして、何處にか游魚を駐めん。僧問う、如何なるか是れ頓教。師曰く、月寒潭に落つ。曰く、如何なるか是れ漸教。師曰く、雲碧漢に生ず。曰く、漸ならず頓ならざる時如何。師曰く、八十の老婆嫁を言わず

法雲秀禪師法嗣

法雲秀禅師法嗣

東京法雲惟白佛國禪師

東京法雲惟白佛國禅師

上堂。離婁有意。白浪徒以滔天。罔象無心。明珠忽然在掌。以手打一圓相。召大眾曰。還見麼。良久曰。看即有分。上堂。拈拄杖示眾曰。山僧住持七十餘日。未曾拈動這箇。而今不免現些小神通。供養諸人。遂卓拄杖。下座。上堂。過去已過去。未來且莫算。正當現在事。今朝正月半。明月正團圓。打鼓普請看。大眾看即不無。畢竟喚甚麼作月。休於天上覓。莫向水中尋。師有續燈錄三十卷。入藏。

上堂、離婁意有れば、白浪徒らに以て滔天し、罔象心無ければ、明珠忽然として掌に在り。手を用いて一つの圓相を打ち、大衆を召して曰く、還た見るか。沈黙許久して曰く、看れば即ち分有り。上堂、拄杖を拈じて衆に示して曰く、山僧住持すること七十餘日、未曾だ這個を拈動せず。而今不免些小の神通を現じて、諸人に供養せん。於是拄杖を卓し、下座。上堂、過去已に過ぎ、未來且く算うる莫れ。正に當る現在の事、今朝正月半ばなり。明月正に團圓にして、鼓を打ち普く請いて看ん。大衆、看れば即ち無からずとも、畢竟什麼を喚びて月と作さん。天上に於て覓うる莫く、水中に向かって尋ぬる莫れ。老師《續燈錄》三十卷有りて、藏に入る

建康府保寧子英禪師

建康府保寧子英禅師

錢塘人也。上堂。拈拄杖曰。日月不能竝明。河海不能競深。須彌不能同高。乾坤不能同固。聖凡智慧不及。且道這箇有甚麼長處。良久曰。節目分明。生來條直。冰雪敲開片片分。白雲點破承伊力。擊禪床。下座。

錢塘の人なり。上堂、拄杖を拈じて曰く、日月並び明らかなる能わず、河海競い深くなる能わず、須彌同じく高き能わず、乾坤同じく固き能わず。聖凡智慧及ばず。且く道え、這個に什麼の長處か有る。沈黙許久して曰く、節目分明、生來條直なり。冰雪敲き開きて片片分かれ、白雲點破して其の力に承く。禅床を擊ち、下座

溫州僊巖景純禪師

溫州僊巖景純禅師

僧問。德山棒。臨濟喝。和尚如何作用。師曰。老僧今日困。僧便喝。師曰。卻是你惺惺。

僧問う、德山の棒、臨濟の喝、和尚如何に作用する。師曰く、老僧今日困れり。僧便ち喝す。師曰く、卻って是れ汝惺惺せり

寧國府廣教守訥禪師(圓照上足。時稱訥叔)

寧國府廣敎守訥禅師(圓照の上足、時に訥叔と稱す)

僧問。如何是古今常存底句。師曰。鐵牛橫海岸。曰。如何是衲僧正眼。師曰。針劄不入。

僧問う、如何なるか是れ古今常存の句。師曰く、鐵牛海岸に橫たわる。曰く、如何なるか是れ衲僧の正眼。師曰く、鍼の扎り入るも受けず

興元府慈濟聰禪師

興元府慈濟聰禅師

僧問。如何是道。師曰。此去長安三十七程。曰。如何是道中人。師曰。撞頭磕額。問。不是風動。不是幡動。未審是甚麼動。師曰。低聲。低聲。問。如何是隨色摩尼珠。師曰。青青翠竹。鬱鬱黃花。曰。如何是正色。師曰。退後。退後。問。釋迦已滅。彌勒未生。未審誰為導首。師曰。鐵牛也須汗出。曰。莫便是為人處也無。師曰。細看前話。問。如何是超佛越祖之談。師曰。陝府鐵牛。上堂。三乘教典。不是真詮。直指本心。未為極則。若是通心上士。脫灑高流。出來相見。乃顧視大眾曰。休。上堂。終日孜孜相為。恰似牽牛上壁。大眾。何故如此貪生逐日區區去。喚不回頭爭奈何。上堂。一即一。二即二。把定要津。何處出氣。拈拄杖曰。彼自無瘡。勿傷之也。卓一下。下座。

僧問う、如何なるか是れ道。師曰く、此より長安に去ること三十七程。曰く、如何なるか是れ道中の人。師曰く、頭に撞え額に磕す。問う、風の動くに非ず、幡の動くに非ず、未だ審かに是れ什麼の動くを知らず。師曰く、低聲、低聲。問う、如何なるか是れ色に隨う摩尼珠。師曰く、青青たる翠竹、郁郁たる黃花。曰く、如何なるか是れ正色。師曰く、退後せよ、退後せよ。問う、釋迦已に滅し、彌勒未だ生まれず、未だ審かに誰か為に導首と為るを知らず。師曰く、鐵牛も亦た須らく汗出すべし。曰く、莫れや便ち是れ人を為す處なるや無しや。師曰く、細に前話を看よ。問う、如何なるか是れ佛を超え祖を越ゆるの談。師曰く、陝府の鐵牛。上堂、三乘の教典、是れ真詮に非ず、本心を直指す、未だ極則と為らず。若し是れ通心の上士、脫灑の高流ならば、出で來りて相見せよ。於是大衆を環顧して曰く、休。上堂、終日孜孜として相為す、恰似牛を牽きて壁に上るが如し。大衆、什麼を以てか此の如く生を貪り、日々に區區として去り、喚びて回頭せざれば争奈何せん。上堂、一は即ち一、二は即ち二。要津を把定して、何處に氣を出ださん。拄杖を拈じて曰く、彼自ら瘡無し、之を傷る勿れ。一下卓し、下座

安州白兆山通慧珪禪師

安州白兆山通慧珪禅師

上堂。幸逢嘉會。須採異聞。既遇寶山。莫令空手。不可他時後日。門扇後.壁角頭。自說大話也。窮天地。亙古今。即是當人一箇自性。於是中間。更無他物。諸人每日行時行著。臥時臥著。坐時坐著。祇對語言時滿口道著。以至揚眉瞬目。嗔喜愛憎。寂默遊戲。未始間斷。因甚麼不肯承當。自家歇去。良由無量劫來。愛欲情重。生死路長。背覺合塵。自生疑惑。譬如空中飛鳥。不知空是家鄉。水裡遊魚。忘卻水為性命。何得自抑。卻問傍人。大似捧飯稱飢。臨河呌渴。諸人要得休去麼。各請立地定著精神。一念回光。豁然自照。何異空中紅日。獨運無私。盤裡明珠。不撥自轉。然雖如是。祇為初機。向上機關。未曾踏著。且道作麼生是向上機關。良久曰。仰面看天不見天。

上堂、幸いに嘉會に逢い、須らく異聞を採るべし。既に寶山に遇う、空手ならしむる莫れ。他時後日、門扇の後、壁角の頭に於て、自ら大話を説くべからず。天地を窮め古今に亘るは、即ち是れ當人の一個の自性。於是の中間、更に他物無し。諸人每日行く時行き著き、臥す時臥し著き、坐する時坐し著き、只だ對語言する時滿口に道い著き、以至眉を揚げ目を瞬かし、瞋喜愛憎、寂默游戲、未曾だ間斷せず。什麼を以てか承當を肯ぜず、自家歇し去る。只だ因みに無量劫來、愛欲の情重く、生死の路長く、覺に背き塵に合して、自ら疑惑を生ず。譬えば空中の飛鳥、空は是れ家鄕と知らず、水裏の游魚、水を性命と忘却すが如し。何ぞ自己を壓抑して、卻って傍人に問うを得ん。大いに似たり飯を捧げて飢と稱し、河に臨みて渴と叫ぶに。諸人休し去るを得んと要するか。各々請いて立地に精神を定著し、一念光を回らして、豁然として自照せよ。空中の紅日、獨り運りて私無く、盤裏の明珠、撥せずして自ら轉ずるに何ぞ異ならん。然りといえども此の如し、只だ初機の為め。向上の機關、未曾だ踏著せず。且く道え、作麼生か是れ向上の機關。沈黙許久して曰く、面を仰ぎて天を看れども天を見ず

廬州長安淨名法因禪師

廬州長安淨名法因禅師

上堂。天上月圓。人間月半。七八是數。事卻難算。隱顯不辨即且置。黑白未分一句作麼生道。良久曰。相逢秋色裡。共話月明中。上堂。祖師妙訣。別無可說。直饒釘觜鐵舌。未免弄巧成拙。淨名已把天機洩。

上堂、天上月圓、人間月半ば。七八は是れ數なれど、事卻って算い難し。隱顯辨えざれば即ち且く置くとして、黑白未だ分かれざる一句は作麼生に道う。沈黙許久して曰く、相逢う秋色の裏、共に話す月明の中。上堂、祖師の妙訣、別に説く可き無し。直饒釘嘴鐵舌なるも、未だ免れず巧を弄して拙と成す。淨名已に天機を把り泄らしぬ

浮槎山福嚴守初禪師

浮槎山福嚴守初禅師

僧問。如何是受用三昧。師曰。拈匙放筯。問。如何是正直一路。師曰。踏不著。曰。踏著後如何。師曰。四方八面。乃曰。若論此事。放行則曹谿路上月白風清。把定則少室峰前雲收霧卷。如斯語論。已涉多途。但由一念相應。方信不從人得。大眾且道。從甚麼處得。良久曰。水流元在海。月落不離天。上堂。即性之相。一亙晴空。即相之性。千波競起。若徹來源。清流無阻。所以舉一念而塵沙法門頓顯。拈一毫而無邊剎境齊彰。且道文殊普賢在甚麼處。下坡不走。快便難逢。便下座。

僧問う、如何なるか是れ受用の三昧。師曰く、匙を拈じ箸を放す。問う、如何なるか是れ正直の一路。師曰く、踏み著かず。曰く、踏み著きて後如何。師曰く、四方八面。便ち曰く、若し此の事を論ぜば、放行すれば則ち曹溪の路上月白く風淸く、把定すれば則ち少室の峰前雲收り霧卷く。此の如く談論するは、已に多途に渉る。但だ一念相應に由って、方に人より得ずと信す。大衆且く道え、什麼の處より得る。沈黙許久して曰く、水の流れは元より海に在り、月の落つるも天を離れず。上堂、即性の相、一に晴空に亘り、即相の性、千波競い起る。若し來源に徹せば、淸流阻る無し。所以に一念を擧げて塵沙の法門頓に顯れ、一毫を拈じて無邊の刹境齊しく彰る。且く道え、文殊・普賢は什麼の處に在る。坡を下りて走らざれば、快便も逢い難し。便ち下座

鼎州德山仁繪禪師

鼎州德山仁繪禅師

僧問。如何是不動尊。師曰。來千去萬。曰。恁麼則腳跟不點地也。師曰。卻是汝會。上堂。至道無難。唯嫌揀擇。但莫憎愛。洞然明白。山僧即不然。至道最難。須是揀擇。若無憎愛。爭見明白。

僧問う、如何なるか是れ不動尊。師曰く、來る千去る萬。曰く、恁麼ならば脚跟地に點かず。師曰く、卻って是れ汝會せり。上堂、至道難き無く、唯だ揀擇を嫌う。但だ憎愛する莫ければ、洞然として明白なり。山僧即ち然らず、至道最も難く、須らく是れ揀擇すべし。若し憎愛無くば、争で明白を見ん

澧州聖壽香積用旻禪師

澧州聖壽香積用旻禅師

上堂。木馬沖開千騎路。鐵牛透過萬重關。木馬鐵牛即今在甚麼處。良久曰。驚起暮天沙上鴈。海門斜去兩三行。

上堂、木馬衝き開く千騎の路、鐵牛透り過ぐ萬重の關。木馬・鐵牛即ち今什麼の處に在る。沈黙許久して曰く、驚起す暮天沙上の雁、海門斜めに去る兩三行

瑞州瑞相子來禪師

瑞州瑞相子來禅師

上堂。顧視眾曰。夫為宗匠。隨處提綱。應機問答。殺活臨時。心眼精明。那容妖怪。若也棒頭取證。喝下承當。埋沒宗風。恥他先作。轉身一路。不在遲疑。一息不來。還同死漢。大眾。直饒到這田地。猶是句語埋藏。未有逶脫一路。敢問諸人。作麼生是透脫一路。還有人道得麼。若無。山僧不免與諸人說破。良久曰。玉離荊岫寒光動。劒出豐城紫氣橫。

上堂、衆を環顧して曰く、夫れ宗匠と為るは、處に隨って綱を提げ、機に應じて問答し、殺活は臨時に在り。心眼精明にして、哪んぞ妖怪を容れん。若しも棒頭に證を取り、喝下に承當せば、宗風を埋沒し、他の先を作すを恥ぢる。身を轉ずる一路、遲疑に在らず。一息來らざれば、還た死漢に同じ。大衆、直饒此の田地に到るも、猶ほ是れ句語埋蔵して、未だ透脱の一路有らず(底本「逶脱」と作る、當に「透脱」とすべし)。敢えて諸人に問う、作麼生か是れ透脱の一路。還た人道い得る有るか。若し無くば、山僧不免諸人と與に説破せん。沈黙許久して曰く、玉荊岫を離れて寒光動き、劍豐城より出でて紫氣横たわる

廬州真空從一禪師

廬州真空從一禅師

上堂。心鏡明鑑無礙。遂拈起拄杖曰。喚這箇作拄杖。即是礙。不喚作拄杖。亦是礙。離此之外。畢竟如何。要會麼。礙不礙。誰為對。大地山河。廓然粉碎。

上堂、心鏡明らかにして、鑑無礙なり。於是拄杖を拈起して曰く、這個を喚びて拄杖と作さば、即ち是れ礙、喚びて拄杖と作さざるも、亦是れ礙。此を離るるの外、畢竟如何。會せんと要するか。礙不礙、誰か對と為る。大地山河、廓然として粉碎す

襄州鳳凰山乾明廣禪師

襄州鳳凰山干明廣禅師

上堂。日頭東畔出。月向西邊沒。來去急如梭。催人成白骨。山僧有一法。堪為保命術。生死不相干。打破精魂窟。咄。咄。是何物。不是眾生。不是佛。參。

上堂、日頭東の畔より出で、月西邊に向かって沒す。來去急なること梭の如く、人を催して白骨と成らしむ。山僧一法有り、堪えて命を保つの術と為す。生死相干せず、精魂の窟を打破せん。咄、咄、是れ何の物ぞ。是れ衆生に非ず、是れ佛に非ず。参

慧林沖禪師法嗣

慧林沖禅師法嗣

東京永興華嚴寺智明佛慧禪師

東京永興華嚴寺智明佛慧禅師

常州史氏子。上堂。若論此事。在天則列萬象而齊現。在地則運四時而發生。在人則出沒卷舒。六根互用。且道在山僧拄杖頭上。又作麼生。良久。卓一下曰。高也著。低也著。

常州史氏の子。上堂、若し此の事を論ぜば、天に在れば萬象を列ねて齊しく現じ、地に在れば四時を運らして發生し、人に在れば出沒卷舒し、六根互いに用う。且く道え、山僧の拄杖の頭上に在れば、又作麼生。沈黙許久して一下卓し、曰く、高きも著き、低きも著き

鎮州永泰智航禪師

鎮州永泰智航禅師

上堂。散為氣者。乃道之漓。適於變者。為法之弊。靈機不昧。亙古亙今。大用現前。何得何失。雖然如是。忽遇無孔鐵槌。作麼生話會。拈拄杖曰。穿過了也。上堂。龍騰碧漢。變化無方。鳳翥青霄。誰知蹤跡。可行則行。不出百千三昧。可止則止。寧忘萬象森羅。所以道取不得。捨不得。不可得中祇麼得。且道得箇甚麼。良久曰。莫妄想。

上堂、氣に散ずるの的は、乃ち道の漓、變に適くは、法の弊と為す。靈機昧われず、古に亘り今に亘る。大用現前して、何の得失か有らん。然りといえども此の如し、忽ち無孔の鐵鎚に遇えば、作麼生に話會せん。拄杖を拈じて曰く、穿り過ぎたり。上堂、龍碧漢に騰り、變化方無く、鳳青霄に翥り、誰か蹤跡を知らん。行ずべければ則ち行じ、百千の三昧を出でず、止むべければ則ち止み、寧ぞ萬象の森羅を忘れん。所以に説く、取るに得ず、捨つるに得ず、得べからざるの中に只恁に得たりと。且く道え、個の什麼を得たる。沈黙許久して曰く、妄想する莫れ

江陰軍壽聖子邦圓覺禪師

江陰軍壽聖子邦圓覺禅師

僧問。祖意教意拈放一邊。如何得速成佛去。師曰。有成終不是。是佛亦非真。僧擬議。師叱曰。話頭道甚麼。

僧問う、祖意・教意拈び放して一邊に著くれば、如何にして速やかに佛を成して去るを得ん。師曰く、成す有れば終に是に非ず、是れ佛なりとも亦非眞ならず。僧擬議す。師叱りて曰く、話頭に什麼を道う

長蘆夫禪師法嗣

長蘆夫禅師法嗣

明州雪竇道榮覺印禪師

明州雪竇道榮覺印禅師

郡之陳氏子。僧問。寒山逢拾得時如何。師曰。揚眉飛閃電。曰。更有何事。師曰。開口放毫光。曰。如何是向上一路。師曰。七六八。

郡中陳氏の子。僧問う、寒山拾得に逢う時如何。師曰く、眉を揚げて閃電を飛ばす。曰く、更に何の事か有る。師曰く、口を開きて毫光を放つ。曰く、如何なるか是れ向上の一路。師曰く、七六八

真州長蘆宗賾慈覺禪師

真州長蘆宗賾慈覺禅師

洛州孫氏子。僧問。達磨面壁。此理如何。師良久。僧禮拜。師曰。今日被這僧一問。直得口瘂。上堂。冬去寒食。一百單五。活人路上。死人無數。頭鑽荊棘林。將謂眾生苦。拜掃事如何。骨堆上添土。唯有出家人。不踏無生路。大眾且道。向甚麼處去。還會麼。南天台。北五臺。參。上堂。新羅別無妙訣。當言不避截舌。但能心口相應。一生受用不徹。且道如何是心口相應底句。良久曰。焦甎打著連底凍。參。問。六門未息時如何。師曰。鼻孔裡燒香。曰。學人不會。師曰。耳朵裡打鼓。問。如何是無功之功。師曰。泥牛不運步。天下沒荒田。曰。恁麼則功不浪施也。師曰。雖然廣大神通。未免遭他痛棒。上堂。金屑雖貴。落眼成翳。金屑既除。眼在甚麼處。若如此者。未出荊棘林中。棒頭取證。喝下承當。正在金峰窠裡。上堂。樓外紫金山色秀。門前甘露水聲寒。古槐陰下清風裡。試為諸人再指看。拈拄杖曰。還見麼。擊香卓曰。還聞麼。靠卻拄杖曰。眼耳若通隨處足。水聲山色自悠悠。

洛州孫氏の子。僧問う、達磨面壁、此の理如何。師沈黙許久す。僧禮拜す。師曰く、今日這の僧の一問に被りて、直に口啞を得たり。上堂、冬去りて寒食、一百單五。活人の路上、死人無數。頭荊棘の林に鑽りて、將に衆生苦と謂わんとす。拜掃の事如何。骨堆の上に土を添う。唯だ出家人有りて、無生の路を踏まず。大衆且く道え、什麼の處に向かって去る。還た會するか。南の天台、北の五台。参。上堂、新羅別に妙訣無し、當言舌を截るを避けず。但だ心口相應する能くば、一生受用徹せず。且く道え、如何なるか是れ心口相應の句。沈黙許久して曰く、焦げ磚打ち著けり連底の凍。参。問う、六門未だ息まざる時如何。師曰く、鼻孔の裏に香を燒く。曰く、學人會せず。師曰く、耳の裏に鼓を打つ。問う、如何なるか是れ功無きの功。師曰く、泥牛步を運ばず、天下荒田無し。曰く、恁麼ならば功浪りに施さず。師曰く、然りといえども廣大の神通、未だ免れず他の痛棒に遭う。上堂、金屑貴しといえども、眼に落ちて翳と成る。金屑既に除かば、眼什麼の處に在る。若し此の如くならば、未だ荊棘の林の中を出でず。棒頭に證を取り、喝下に承當するは、正に金峰の窠裏に在り。上堂、樓外紫金の山色秀で、門前甘露の水聲寒し。古槐の陰の下淸風の裏、試みに諸人の為に再び指して看ん。拄杖を拈じて曰く、還た見るか。香台を擊ちて曰く、還た聞くか。拄杖を靠却して曰く、眼耳若し通ぜば處に隨って足らん、水聲山色自ら悠悠なり

平江府慧日智覺廣燈禪師

平江府慧日智覺廣燈禅師

本郡梅氏子。上堂。良久曰。休休休。徒悠悠。釣竿長在手。魚冷不吞鉤。喝一喝。下座。

本郡梅氏の子。上堂、沈黙許久して曰く、休休休、徒らに悠悠たり。釣竿長く手に在れども、魚冷やかにして鈎を吞まず。一喝し、下座

佛日才禪師法嗣

佛日才禅師法嗣

澧州夾山靈泉自齡禪師

澧州夾山靈泉自齡禅師

常州周氏子。僧問。金鷄啄破琉璃殻。玉兔挨開碧海門。此是人間光影。如何是祖師機。師曰。針劄不入。曰。祇如朕兆未生已前。作麼生道。師舉起拂子。僧曰。如何領會。師曰。斫額望扶桑。問。混沌未分時如何。師曰。春風𩖼𩖼。曰。分後如何。師曰。春日遲遲。曰。向上更有事也無。師曰。一年三百六十日。上堂。良久顧大眾曰。月裡走金烏。誰雲一物無。趙州東壁上。掛箇大葫蘆。參。上堂。良久打一圓相曰。大眾。五千餘卷詮不盡。三世諸佛讚不及。令人卻憶賣油翁。狼忙走下繩床立。參。上堂。便乃忘機守默。已被金粟占先。擬欲展演詞鋒。落在瞿曇之後。離此二途。作麼生是衲僧透脫一路。良久曰。好笑南泉提起處。刈茆鎌子曲彎彎。參。

常州周氏の子。僧問う、金鷄啄み破る瑠璃の殼、玉兔挨り開く碧海の門。此は是れ人間の光影、如何なるか是れ祖師の機。師曰く、鍼の扎り入るも受けず。曰く、只だ如く朕兆未だ生ぜざる已前、作麼生に道う。師拂子を擧起す。僧曰く、如何に領會せん。師曰く、額を斫りて扶桑を望む。問う、混沌未だ分かれざる時如何。師曰く、春風習習。(二の字風に從う、文意に據りて「習習習」と讀む。)曰く、分かれて後如何。師曰く、春日遲遲。曰く、向上更に事有るや無しや。師曰く、一年三百六十日。上堂、沈黙許久し、大衆を環顧して曰く、月裏に金烏走り、誰か一物無しと説かん。趙州の東壁上、大きな葫蘆を掛く。参。上堂、沈黙許久し、一つの圓相を打ちて曰く、大衆、五千餘卷詮じ盡くせず、三世の諸佛讚め及ばず。人をして卻って賣油の翁を憶念せしめ、狼忙として繩床を走下りて立つ。参。上堂、便ち乃ち機を忘れ默を守れば、已被金粟の占先、擬して詞鋒を展演せんと欲せば、瞿曇の後に落つ。此の二途を離れて、作麼生か是れ衲僧透脱の一路。沈黙許久して曰く、笑うべし南泉の提起する處、茆を刈る鎌子曲彎彎なり。参

天缽元禪師法嗣

天鉢元禅師法嗣

衛州元豐院清滿禪師

衛州元豐院淸滿禅師

滄州田氏子。僧問。如何是佛。師曰。天寒地冷。曰。如何是道。師曰。不道。曰。為甚麼不道。師曰。道是閑名字。上堂。無異思惟。諦聽諦聽。昨日寒。今日寒。抖擻精神著力看。著力看。看來看去轉顢頇。要得不顢頇。看。參。上堂。堪作梁底作梁。堪作柱底作柱靈利衲僧便知落處。驀拈拄杖曰。還知這箇堪作甚麼。打香臺一下。曰。莫道無用處。復打一下曰。參。上堂。看看。堂裡木師伯。被聖僧打一摑。走去見維那。被維那打兩摑。露柱呵呵笑。打著這師伯元豐路見不平。與你雪正。拈拄杖曰。來來。然是聖僧也須吃棒。擊香臺下座。歲旦上堂。憶昔山居絕糧。有頌舉似大眾。飢飡松栢葉。渴飲㵎中泉。看罷青青竹。和衣自在眠。大眾。更有山懷為君說。今年年是去年年。上堂。此劒刃上事。須劒刃上漢始得。有般名利之徒。為人天師。懸羊頭賣狗肉。壞後進初機。滅先聖洪範。你等諸人聞恁麼事。豈不寒心。由是疑悞眾生。墮無間獄。苦哉。苦哉。取一期快意。受萬劫餘殃。有甚麼死急。來為釋子。喝曰。聵人徒側耳。便下座。上堂。喝一喝曰。不是道。不是禪。每逢三五夜。皓月十分圓。參。師凡見僧。乃曰。佛法世法。眼病空花。有僧曰。翳消花滅時如何。師曰。將謂汝靈利。

滄州田氏の子。僧問う、如何なるか是れ佛。師曰く、天寒く地冷たし。曰く、如何なるか是れ道。師曰く、道わず。曰く、什麼を以てか道わざる。師曰く、道は是れ閑の名字。上堂、異なる思惟無かれ、諦聽せよ諦聽せよ。昨日寒く、今日寒し。精神を抖擻して著力して看よ。著力して看よ、看看來去轉して顢頇。顢頇ならざるを得んと要せば、看。参。上堂、梁と作るに堪うるは梁と作り、柱と作るに堪うるは柱と作る。靈利の衲僧便ち落處を知らん。忽然拄杖を拈じて曰く、還た知るか這個は什麼と作るに堪うる。香台を一下打ちて曰く、用處無しと道う莫れ。又一下打ちて曰く、参。上堂、看看。堂裏の木師伯、聖僧に一掴を打たれ、走りて維那を見るに、維那に兩掴を打たる。露柱呵呵と笑い、這の師伯を打ち著く。元豐路に不平を見て、汝の為に雪正せん。拄杖を拈じて曰く、來い來い。縱ひ是れ聖僧なりとも、亦た須らく棒を喫すべし。香台を擊ちて下座。歲旦に上堂、昔の山居に糧を絶ちしを憶い、頌有りて大衆に擧似す。飢えて松柏の葉を餐い、渇いて澗中の泉を飮む。青青たる竹を看罷りて、衣を和して自在に眠る。大衆、更に山懷有りて君が為に説かん、今年の年は是れ去年の年。上堂、此の劍刃上の事、須らく劍刃上の漢にして始めて得べし。有般の名利の徒、人天の師と為りて、羊頭を懸けて狗肉を賣り、後進の初機を壞り、先聖の洪の洪範を滅す。你們諸人恁麼の事を聞きて、豈に心寒からざらん。此に由りて衆生を疑誤して、無間獄に墮さしむ。苦しき哉、苦しき哉。一期の快意を取りて、萬劫の餘殃を受く。什麼の死急か有りて、來りて釋子と為る。喝して曰く、聾き人徒らに耳を側む。便ち下座。上堂、一喝して曰く、是れ道に非ず、是れ禅に非ず。每に三五の夜に逢えば、皓月十分圓なり。参。老師凡そ僧を見れば、便ち曰く、佛法世法、眼病に空花。有僧曰く、翳消え花滅する時如何。師曰く、將に汝靈利と謂わんとす

青州定慧院法本禪師

青州定慧院法本禅師

僧問。古人到這裡。為甚麼拱手歸降。師曰。理合如是。曰。畢竟如何。師曰。夜眠日走。

僧問う、古人這裏に到りて、什麼を以てか拱手して歸降する。師曰く、理合して是の如し。曰く、畢竟如何。師曰く、夜は眠り日は走る

西京善勝真悟禪師

西京善勝真悟禅師

上堂。揚聲止響。不知聲是響根。弄影逃形。不知形為影本。以法問法。不知法本非法。以心傳心。不知心本無心。心本無心。知心如幻。了法非法。知法如夢。心法不實。莫謾追求。夢幻空花。何勞把捉。到這裡。三世諸佛.一大藏教.祖師言句.天下老和尚路布葛藤盡使不著。何故。太平本是將軍致。不許將軍見太平。

上堂、聲を揚げて響を止むるは、聲は是れ響の根と知らず、影を弄して形を逃ぐるは、形は是れ影の本と知らず。法を以て法に問うは、法本より法に非ずと知らず、心を以て心に傳うるは、心本より心無しと知らず。心本より心無ければ、心の幻の如きを知り、法の法に非ざるを了れば、法の夢の如きを知る。心法實ならず、謾りに追求する莫れ。夢幻空花、何ぞ把捉を勞せん。這裏に到れば、三世の諸佛、一大藏教、祖師の言句、天下の老和尚の露布葛藤、盡く使うに著かず。什麼を以て。太平本來是れ將軍之を致す、將軍をして太平を見るを許さず

瑞巖鴻禪師法嗣

瑞巖鴻禅師法嗣

明州育王曇振真戒禪師

明州育王曇振真戒禅師

上堂。今日布袋頭開。還有買賣者麼。時有僧出曰。有。師曰。不作貴。不作賤。作麼生酬價。僧無語。師曰。老僧失利。

上堂、今日布袋の頭開きぬ、還た買賣する者有るか。當時僧有りて出で來りて曰く、有り。師曰く、貴く作らず、賤しく作らず、作麼生に價を酬う。僧語無し。師曰く、老僧利を失えり

棲賢遷禪師法嗣

棲賢遷禅師法嗣

舒州王屋山崇福燈禪師

舒州王屋山崇福燈禅師

上堂。天不能葢。地不能載。一室無私。何處不在。大眾。直饒恁麼會去。也是鬼弄精魂。怎生說箇常在底道理。良久曰。金風昨夜起。徧地是黃花。

上堂、天も蓋う能わず、地も載する能わず。一室私無くして、何の處にか在らざらん。大衆、直饒恁麼に會し去るも、亦是れ鬼の精魂を弄す。怎麼生に個の常在の道理を説かん。沈黙許久して曰く、金風昨夜里起き、遍地是れ黃花

淨眾言首座法嗣

淨衆言首座法嗣

西京招提惟湛廣燈禪師

西京招提惟湛廣燈禅師

嘉禾人也。僧問。如何是和尚家風。師曰。秋風黃葉亂。遠岫白雲歸。曰。專為流通也。師曰。即今作麼生舉。僧便喝。師便打。上堂。偏不偏。正不正。那事從來難比並。滿天風雨骨毛寒。何須更入那伽定。卓拄杖下座。上堂。六塵不惡。還同正覺。馬上誰家白麵郎。穿花折柳垂巾角。夜來一醉明月樓。呼盧輪卻黃金宅。臂鷹走犬歸不歸。娥眉皓齒嗔無力。此心能有幾人知。黃頭碧眼非相識。囉囉哩。拍手一下。下座。

嘉禾の人なり。僧問う、如何なるか是れ和尚の家風。師曰く、秋風黃葉亂れ、遠岫白雲歸る。曰く、專ら流通の為め。師曰く、即ち今作麼生に擧ぐ。僧便ち喝す。師便ち打つ。上堂、偏ならず偏ならず、正ならず正ならず、那の事從來比并し難し。滿天の風雨骨毛寒し、何の須らく更に那伽定に入らん。拄杖を卓し下座。上堂、六塵惡からず、還た正覺に同じ。馬上は誰が家の白面の郎ぞ、花を穿り柳を折りて巾の角を垂る。夜來一醉明月の樓、盧を呼んで黃金の宅を輪却す。鷹を臂け犬を走らす歸るか歸らざるか、娥眉皓齒瞋るも力無し。此の心能く幾人の知るや、黃頭碧眼是れ相識に非ず。囉囉哩。手を一拍し、下座

青原下十三世

青原の下十三世

法雲本禪師法嗣

法雲本禅師法嗣

臨安府淨慈楚明寶印禪師

臨安府淨慈楚明寶印禅師

百粵張氏。上堂。祖師心印。非長非短。非方非圓。非內非外。亦非中間。且問大眾。決定是何形貌。拈拄杖曰。還見麼。古篆不成文。飛帛難同體。從本自分明。何須重特地。擊禪床下座。上堂。出門見山水。入門見佛殿。靈光觸處通。諸人何不薦。若不薦。淨慈今日不著便。上堂。祖師道。吾本來茲土。傳法救迷情。一花開五葉。結果自然成。淨慈當時若見恁麼道。用黑漆拄杖子一棒打殺。埋向無陰陽地上。令他出氣不得。何故。尀耐他瞞我唐土人。眾中莫有為祖師出氣底麼。出來。和你一時埋卻。上堂。若論此事。如散鋪寶貝。亂堆金玉。昧己者自甘窮困。有眼底信手拈來。所以道閻浮有大寶。見少得還稀。若人將獻我。成佛一餉時。乃拈拄杖曰。如今一時呈似。普請大眾高著眼。擲拄杖。下座。

百粵張氏。上堂、祖師の心印、長に非ず短に非ず、方に非ず圓に非ず、內に非ず外に非ず、亦非中間ならず。且く大衆に問う、決定して是れ何の形貌ぞ。拄杖を拈じて曰く、還た見るか。古篆文を成さず、飛帛同體に難し。本より自ら分明なり、何の須らく重ねて特地せん。禅床を擊ち下座。上堂、門を出でて山水を見、門を入りて佛殿を見る。靈光觸れる處通ず、諸人什麼を以てか薦せざる。若し薦せざれば、淨慈今日便に著かず。上堂、祖師説く、我本來茲の土に、法を傳えて迷情を救う。一花開きて五葉、果結ぶ自ら成る。淨慈當時若し恁麼に道うを見れば、黑漆の拄杖子を用いて一棒に打殺し、無陰陽の地上に埋め向かい、彼をして氣を出だすを得ざらしめん。什麼を以て。叵ね他の我が唐土の人を瞞す。衆中祖師の為に氣を出だすべき者有る可きか。出で來い、汝と與に一時に埋却せん。上堂、若し此の事を論ぜば、寶貝を散鋪し、金玉を亂堆するが如し。己を昧くするは自ら窮困に甘んじ、眼有るは信手に拈來す。所以に説く、閻浮に大寶有り、見る少く還す稀なり。若し人將て我に獻ぜば、佛を成る一晌の時。於是拄杖を拈じて曰く、如今一時に呈似す、普く大衆に高く眼を著くことを請う。拄杖を擲ち、下座

真州長蘆道和祖照禪師

真州長蘆道和祖照禅師

興化潘氏子。僧問。無遮聖會。還有不到者麼。師曰。有。曰。誰是不到者。師曰。金剛腳下鐵崑崙。問。不許夜行。投明須到。意旨如何。師曰。羊頭車子推明月。曰。便恁麼去時如何。師曰。鐵門路嶮。問。一槌兩當時如何。師曰。踏藕得魚歸。問。教外別傳。未審傳箇甚麼。師曰。鐵彈子。問。百城遊罷時如何。師曰。前頭更有趙州關。上堂。一二三四五六。碧眼胡僧數不足。泥牛入海過新羅。木馬追風到天竺。天竺茫茫何處尋。補陀巖上問觀音。普賢拍手呵呵笑。歸去來兮秋水深。

興化潘氏の子。僧問う、無遮の聖會、還た到らざる有るか。師曰く、有り。曰く、誰か是れ到らざる。師曰く、金剛の脚下の鐵崑崙。問う、夜行を許さず、明に投げて須らく到る、意旨如何。師曰く、羊頭の車子明月を推す。曰く、便ち恁麼に去る時如何。師曰く、鐵門の路險し。問う、一槌兩當の時如何。師曰く、藕を踏んで魚を得て歸る。問う、教外の別傳、未だ審かに個の什麼を傳えるを知らず。師曰く、鐵彈子。問う、百城游び罷む時如何。師曰く、前頭更に趙州關有り。上堂、一二三四五六。碧眼の胡僧數え足らず。泥牛海に入りて新羅を過ぐ。木馬風を追うて天竺に到る。天竺茫茫として何の處にか尋ねん、補陀の巖上に向かって觀音に問う。普賢手を拍ちて呵呵と笑う、歸去來せん秋水深し

福州雪峰思慧妙湛禪師

福州雪峰思慧妙湛禅師

錢塘俞氏子。僧問。古殿無燈時如何。師曰。東壁打西壁。曰。恁麼則撞著露柱也。師曰。未敢相許。上堂。一法若通。萬緣方透。拈拄杖曰。這裡悟了。提起拄杖。海上橫行。若到雲居山頭。為我傳語雪峰和尚。咄。上堂。布大教網。摝人天魚。護聖不似老胡。拖泥帶水。祇是見兔放鷹。遇獐發箭。乃高聲召眾曰。中。上堂。昔日藥山早晚不參。動經旬月。一日。大眾才集。藥山便歸方丈。諸禪德。彼時佛法早自淡薄。論來猶較些子。如今每日鳴皷陞堂。忉忉怛怛地。問者口似紡車。答者舌如霹靂。總似今日。靈山慧命。殆若懸絲。少室家風。危如纍卵。又安得箇慨然有志。扶竪宗乘底衲子出來。喝散大眾。非唯耳邊靜辦。當使正法久住。豈不偉哉。如或棒上不成龍。山僧倒行此令。以拄杖一時趂散。上堂。眼睫橫亙十方。眉毛上透青天。下徹黃泉。且道鼻孔在甚麼處。良久曰。劄。上堂。妙高山頂。雲海茫茫。少室巖前。雪霜凜凜。齊腰獨立。徒自苦疲。七日不逢。一場懡㦬。別峰相見。落在半途。隻履西歸。遠之遠矣。卓拄杖。下座。上堂。大道祇在目前。要且目前難睹。欲識大道真體。今朝三月十五。不勞久立。建炎改元。上堂。天地之大德曰生。聖人之大寶曰位。今上皇帝踐登寶位。萬國歸仁。草木禽魚。鹹被其德。此猶是聖主應世邊事。王宮降誕已前一句。天下人摸索不著。上堂。一切法無差。雲門胡餅趙州茶。黃鶴樓中吹玉笛。江城五月落梅花。慚愧太原孚上座。五更聞鼓角。天曉弄琵琶。喝一喝。上堂。南詢諸友。踏破草鞋。絕學無為。坐消日月。凡情易脫。聖解難忘。但有纖毫。皆成滲漏。可中為道。似地擎山。應物現形。如驢覰井。縱無計較。途轍已成。若論相應。轉沒交涉。勉諸仁者。莫錯用心。各自歸堂。更求何事。

錢塘兪氏の子。僧問う、古殿に燈無き時如何。師曰く、東壁西壁を打つ。曰く、恁麼ならば露柱に撞著せり。師曰く、未だ敢えて相許さず。上堂、一法若し通ぜば、萬緣方に透る。拄杖を拈じて曰く、這裏に悟り了れば、拄杖を提起して海上に橫行す。若し雲居の山頭に到らば、我が為に語を傳えて雪峰和尚に。咄。上堂、大教の網を布きて、人天の魚を撈む。聖を護るは老胡に似ず、泥を拖び水を帶ぶ。只だ是れ兎を見て鷹を放ち、獐に遇えば箭を發つ。於是高聲に衆を召して曰く、中れ。上堂、昔日藥山早晚參せず、動もすれば旬月を經る。一日、大衆纔かに集まるに、藥山便ち方丈に歸る。諸の禅德、彼の時佛法已に淡薄にして、論じ來れば猶ほ些子を較べたり。如今每日鼓を鳴らして堂に升り、叨叨怛怛として、問うは口紡車に似て、答うは舌霹靂の如し。總て今日に象るに、靈山の慧命、殆ど絲を懸くるが若く、少室の家風、危うきこと卵を累ぬるが如し。又怎んぞ個の慨然として志有り、宗乘を扶竪するの衲子を得て、出で來りて大衆を喝散さしめん。唯だ耳邊靜辦なるのみならず、當に正法をして久しく住せしむべし、豈に偉ならざらん。如く或いは棒上に龍を成さずば、山僧倒して此の令を行ぜん。拄杖を以て一時に趁散す。上堂、眼睫十方に橫亘し、眉毛上に青天を透り、下に黃泉に徹す。且く道え、鼻孔は什麼の處に在る。沈黙許久して曰く、札。上堂、妙高の山頂、雲海茫茫、少室の巖前、雪霜凛凛。腰に齊く獨り立つも、徒らに自ら苦疲す。七日逢わざれば、一場の懡㦬。別峰に相見るは、半途に落つ。隻履西に歸るは、遠きや遠し。拄杖を卓し、下座。上堂、大道只だ目前に在り、要なれども目前睹み難し。大道の真體を識らんと欲せば、今朝三月十五。勞して久立せず。建炎改元。上堂、天地の大德は生と曰い、聖人の大寶は位と曰う。今上皇帝寶位に踐登し、萬國仁に歸す。草木禽魚、咸く其の德を被る。這は還た是れ聖主應世の邊事。王宮降誕已前の一句、天下人摸して索れども著かず。上堂、一切法差無し、雲門の胡餅趙州の茶。黃鶴樓中に玉笛を吹き、江城五月に梅花落つ。慚愧や太原の孚上座、五更に鼓角を聞き、天曉に琵琶を弄す。一喝す。上堂、南に諸友を詢えて、草鞋を踏破り、學を絶い為を無くして、坐して日月を消す。凡情脱れ易く、聖解忘れ難し。但だ纖毫有れば、皆な滲漏と成る。中に道と為すべきは、地の山を擎ぐるに似たり。物に應じて形を現ずるは、驢の井を觑るが如し。縱ひ計較無くとも、途轍已に成れり。若し相應を論ぜば、轉て交涉無し。諸の仁者を勉む、用心を錯る莫れ。各自堂に歸りて、更に何の事をか求めん

婺州寶林果昌寶覺禪師

婺州寶林果昌寶覺禅師

安州時氏子。師與提刑楊次公入山同遊山次。楊拈起大士飯石。問。既是飯石。為甚麼齩不破。師曰。祇為太硬。楊曰。猶涉繁詞。師曰。未審提刑作麼生。楊曰。硬。師曰。也是第二月。楊為寫七佛殿額。乃問。七佛重出世時如何。師曰。一回相見一回新。上堂。一即一。二即二。齅著直是無香氣。驀拈拄杖卓一下。曰。識得山僧楖栗條。莫向南山尋鼈鼻。

安州時氏の子。老師提刑楊次公と山に入りて同じく游ぶ。楊大士の飯石を拈起して問う、既に是れ飯石、什麼を以てか咬み破れざる。師曰く、只だ太だ硬きが為め。楊曰く、猶ほ繁詞に渉る。師曰く、未だ審かに提刑作麼生を知らず。楊曰く、硬。師曰く、亦是れ第二月。楊彼の為に七佛殿の額を寫す、於是問う、七佛重ねて世に出づる時如何。師曰く、一回相見えば一回新なり。上堂、一は即ち一、二は即ち二、嗅げば直に是れ香氣無し。忽然拄杖を拈じて一下卓し、曰く、山僧の楖栗條を識得せば、南山に向かって鱉の鼻を尋ぬる莫れ

鄭州資福法明寶月禪師

鄭州資福法明寶月禅師

上堂。資福別無所補。五日一參擊鼓。何曾說妙談玄。祇是麤言直語。甘草自來甜。黃連依舊苦。忽若鼻孔遼天。逢人切忌錯舉。參。上堂。若論此事。譬如伐樹得根。灸病得穴。若也得根。豈在千枝徧斫。若也得穴。不假六分全燒。以拄杖卓一下。曰。這箇是根。那箇是穴。擲下拄杖曰。這箇是穴。又喚甚麼作根。咄。是何言歟。

上堂、資福別に補う所無し、五日一参して鼓を擊つ。何ぞ曾て妙を説き玄を談ぜん、只だ是れ粗言直語。甘草自來甜く、黄連依舊苦し。忽ち若し鼻孔遼天ならば、人に逢い切に錯擧を忌む。参。上堂、若し此の事を論ぜば、譬えば樹を伐りて根を得、病を灸して穴を得るが如し。若しも根を得ば、豈に千枝遍く斫るに在らん。若しも穴を得ば、假りて六分全く燒くに藉らず。拄杖を以て一下卓して曰く、這個は是れ根、那个は是れ穴。拄杖を擲下して曰く、這個は是れ穴、又什麼を喚びて根と作さん。咄。是れ何の言ぞや

潭州雲峰志璿祖燈禪師

潭州雲峰志璇祖燈禅師

南粵陳氏子。土堂。休去歇去。一念萬年去。寒灰枯木去。古廟香爐去。一條白練去。大眾。古人見處。如日暉空。不著二邊。豈墮陰界。堪嗟後代兒孫。多作一色邊會。山僧即不然。不休去。不歇去。業識茫茫去。七顛八倒去。十字街頭閙浩浩地。聲色裡坐臥去。三家村裡。盈衢塞路。荊棘裡遊戲去。刀山劒樹。劈腹剜心。鑊湯爐炭。皮穿骨爛去。如斯舉唱。大似三歲孩兒輥繡毬。上堂。一切聲是佛聲。塗毒鼓透入耳朵裡。一切色是佛色。鐵蒺藜穿過眼睛中。好事不如無。便下座。上堂。盡乾坤大地。是箇熱鐵圓。汝等諸人向甚麼處下口。良久曰。吞不進。吐不出。上堂。瘦竹長松滴翠香。流風疏月度炎涼。不知誰住原西寺。每日鐘聲送夕陽。上堂。聲色頭上睡眠。虎狼群裡安禪。荊棘林內翻身。雪刃叢中遊戲。竹影掃堦塵不動。月穿潭底水無痕。上堂。不是風動。不是幡動。衲僧失卻鼻孔。是風動。是幡動。分明是箇漆桶。兩段不同。眼暗耳聾。㵎水如藍碧。山花似火紅。上堂。僧問。如何是西來意。師曰。築著額頭磕著鼻。曰。意旨如何。師曰。驢駝馬載。曰。向上還有事也無。師曰。朝到西天。暮歸唐土。曰。謝師答話。師曰。大乘砑郎當。僧退。師乃曰。僧問西來意。築著額頭磕著鼻。意旨又如何。驢駝並馬載。朝到西天暮歸唐。大乘恰似砑郎當。何故。沒量大人。被語脈裡轉卻。遂拊掌大笑。下座。僧問。丹霞燒木佛。院主為甚麼眉鬚墮落。師曰。一人傳虗。萬人傳實。曰。恁麼則不落也。師曰。兩重公案。曰。學人未曉。特伸請益。師曰。筠袁虔吉。頭上插筆。問。德山入門便棒。意旨如何。師曰。束杖理民。曰。臨濟入門便喝。又作麼生。師曰。不言而化。曰。未審和尚如何為人。師曰。一刀兩段。問。無縫鐵門。請師一啟。師曰。進前三步。曰。向上無關。請師一閉。師曰。

南粵陳氏の子。上堂、(底本「土堂」と作る、當に「上堂」とすべし。)休し去れ歇し去れ、一念萬年に去れ、寒灰枯木に去れ(底本「灰」僻寫と作る)、古廟の香爐に去れ、一條の白練に去れ。大衆、古人の見處、日の空を輝くが如く、二邊に著かず、豈に陰界に墮ちん。嗟くべし後代の兒孫、多く一色邊の會を作す。山僧即ち然らず、休さず去らず、歇せず去らず、業識茫茫に去り、七顛八倒に去り、十字街頭に鬧浩浩として聲色の裏に坐臥し去り、三家村裏に衢に盈ち路に塞がり、荊棘の裏に游戲し去り、刀山劍樹腹を劈き心を剜り、鑊湯爐炭皮穿り骨爛れ去る。斯の如く擧唱するは、大いに似たり三歳の孩兒の繡毬を滾すに。上堂、一切の聲は是れ佛聲、塗毒の鼓耳の裏に透り入る。一切の色は是れ佛色、鐵蒺藜眼睛の中を穿り過ぐ。好き事は無きに如かず。便ち下座。上堂、乾坤大地を盡くすは、是れ個の熱鐵の丸。你們諸人什麼の處に向かって口を下さん。沈黙許久して曰く、吞み進めず、吐き出ださず。上堂、瘦竹長松翠香を滴らし、流風疎月炎涼を度る。知らず誰か原西の寺に住む、每日の鐘聲夕陽を送る。上堂、聲色の頭上に睡眠し、虎狼の群裏に禅を安んじ、荊棘の林內に身を翻し、雪刃の叢中に游戲す。竹影階を掃うて塵動かず、月潭底を穿れども水に痕無し。上堂、風の動くに非ず、幡の動くに非ず、衲僧鼻孔を失却す。風の動くなり、幡の動くなり、分明に是れ個の漆桶。兩段同じからず、眼暗く耳聾し。澗水藍の如く碧く、山花火の如く紅し。上堂、僧問う、如何なるか是れ西來意。師曰く、額頭に筑き著き鼻に磕き著く。曰く、意旨如何。師曰く、驢が馱き馬が載す。曰く、向上還た事有るや無しや。師曰く、朝に西天に到り、暮に唐土に歸る。曰く、師の答話に謝す。師曰く、大乘砑郎當なり。僧退く。師於是曰く、僧西來意を問う、額頭に筑き著き鼻に磕き著く。意旨又如何、驢馱き並びに馬載す。朝に西天に到り暮に唐に歸る、大乘恰似砑郎當なり。什麼を以て。量無き大人、語脈の裏に轉却せらるるに由る。於是掌を拊して大笑し、下座。僧問う、丹霞木佛を燒くに、院主什麼を以てか眉須堕落する。師曰く、一人虛を傳え、萬人實を傳う。曰く、恁麼ならば落ちず。師曰く、兩重の公案。曰く、學人未だ曉らず、特に請益を伸べん。師曰く、筠袁虔吉、頭上に筆を插す。問う、德山門を入れば便ち棒、意旨如何。師曰く、杖を束ねて民を理す。曰く、臨濟門を入れば便ち喝、又作麼生。師曰く、言わずして化す。曰く、未だ審かに和尚如何に人を為すを知らず。師曰く、一刀兩段。問う、縫無き鐵門、師の一啟を請う。師曰く、前三步進め。曰く、向上關無し、師の一閉を請う。師曰く

退後一尋。曰。不開不閉。又作麼生。師曰。吽吽。便打。

(師接續いて曰く、)一尋退後せよ。曰く、開かず閉ざさざれば、又作麼生。師曰く、吽吽。便ち打つ

東京慧林常悟禪師

東京慧林常悟禅師

僧問。若不傳法度眾生。舉世無由報恩者。未審傳箇甚麼法。師曰。開宗明義章第一。問。達磨未來時如何。師曰。省得草鞋錢。曰。來後如何。師曰。重疊關山路。

僧問う、若し法を傳えて衆生を度せざれば、世を擧げて恩に報ゆる由無し、未だ審かに個の什麼の法を傳えるを知らず。師曰く、開宗明義章第一。問う、達磨未だ來らざる時如何。師曰く、草鞋の錢を省得す。曰く、來りて後如何。師曰く、關山路を重疊す

安吉州道場有規禪師

安吉州道場有規禅師

婺州姜氏子。上堂。拈拄杖曰。還見麼。窮諸玄辯。若一毫置於太虗。竭世樞機。似一滴投於巨壑。德山老人雖則焚其疏鈔。也是賊過後張弓。且道文彩未彰以前。又作麼生理論。三千劒客今何在。獨許莊周致太平。上堂。種田博飯。地藏家風。客來吃茶。趙州禮度。且道護聖門下。別有甚麼長處。良久曰。尋常不放山泉出。屋底清池冷照人。化士出問。促裝已辦。乞師一言。師曰。好看前路事。莫比在家時。曰。恁麼則三家村裡。十字街頭。等箇人去也。師曰。照顧打失布袋。

婺州姜氏の子。上堂、拄杖を拈じて曰く、還た見るか。諸の玄辯を窮むるも、一毫を太虚に置くが若く、世の樞機を竭くすも、一滴を巨壑に投ずるに似たり。德山老人疏鈔を焚きしと雖も、亦是れ賊過ぎて後に弓を張る。且く道え、文彩未だ彰らざる以前、又作麼生に理論せん。三千の劍客今何の處に在る、獨り莊周を許して太平を致さん。上堂、田を種えて飯を博するは、地藏の家風、客來れば茶を吃さしむるは、趙州の禮度。且く道え、護聖の門下、別に什麼の長處か有る。沈黙許久して曰く、尋常山泉を放ち出ださず、屋底の淸池冷やかに人を照らす。化士出でて問う、裝を促して已に辦えり、師の一言を乞う。師曰く、前路の事を好看せよ、在家の時に比する莫れ。曰く、恁麼ならば三家村裏、十字街頭に、個の人を等して去る。師曰く、布袋を打失するを照顧せよ

越州延慶可復禪師

越州延慶可復禅師

上堂。胡來胡現。漢來漢現。忽然胡漢俱來時。如何祗準。良久曰。落霞與孤鶩齊飛。秋水共長天一色。參。上堂。驀拈拄杖橫按膝上。曰。苦痛深。苦痛深。碧潭千萬丈。那箇是知音。卓一下。下座。

上堂、胡來れば胡現じ、漢來れば漢現ず。忽然胡漢俱に來る時、如何に祗準せん。沈黙許久して曰く、落霞孤鶩と齊しく飛び、秋水長天と共に一色。参。上堂、忽然拄杖を拈じて膝上に橫按して曰く、苦痛深し、苦痛深し。碧潭千萬丈、那個か是れ知音。一下卓し、下座

安吉州道場慧顏禪師

安吉州道場慧顏禅師

上堂。世尊按指。海印發光。拈拄杖曰。莫妄想。便下座。

上堂、世尊指を按じ、海印光を發す。拄杖を拈じて曰く、妄想する莫れ。便ち下座

溫州雙峰普寂宗達佛海禪師

溫州雙峰普寂宗達佛海禅師

僧問。如何是永嘉境。師曰。華葢峰。曰。如何是境中人。師曰。一宿覺。上堂眾集定。喝一喝曰。冤有頭。債有主。珍重。

僧問う、如何なるか是れ永嘉の境。師曰く、華蓋峰。曰く、如何なるか是れ境中の人。師曰く、一宿覺。上堂衆集まり定まりて、一喝して曰く、冤に頭有り、債に主有り。珍重

越州五峰子琪禪師

越州五峰子琪禅師

僧問。學人上來。乞師垂示。師曰。花開千朵。秀曰。學人不會。師曰。雨後萬山青。曰。謝指示。師曰。你作麼生會。僧便喝。師曰。未在。僧又喝。師曰。一喝兩喝後作麼生。曰。也知和尚有此機要。師曰。適來道甚麼。僧無語。師便喝。

僧問う、學人上來りて、師の垂示を乞う。師曰く、花開きて千朵秀でたり。曰く、學人會せず。師曰く、雨後萬山青し。曰く、指示に謝す。師曰く、汝作麼生に會する。僧便ち喝す。師曰く、未だ在らず。僧又喝す。師曰く、一喝兩喝の後作麼生。曰く、亦た知る和尚此の機要有りと。師曰く、適來什麼を道えたる。僧語無し。師便ち喝す

西京韶山雲門道信禪師

西京韶山雲門道信禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。千年古墓蛇。今日頭生角。曰。莫便是和尚家風也無。師曰。卜度則喪身失命。問。如何是學人自己。師曰。無人識者。曰。如何得脫灑去。師曰。你問我答。

僧問う、如何なるか是れ祖師西來の意。師曰く、千年の古墓の蛇、今日頭に角生ず。曰く、莫れや便ち是れ和尚の家風なるや無しや。師曰く、卜度すれば則ち身を喪い命を失う。問う、如何なるか是れ學人の自己。師曰く、識る者無し。曰く、如何にして脫灑に去るを得ん。師曰く、汝問い我答う

臨安府上天竺從諫慈辯講師

臨安府上天竺從諫慈辯講師

處之松陽人也。具大知見。聲播講席。於止觀深有所契。每與禪衲遊。甞以道力扣大通。通一日作書寄之。師發緘。睹黑白二圓相。乃悟。答偈曰。黑相白相。擔枷過狀。了不了兮。無風起浪。若問究竟事如何。洞庭山在太湖上。

處州松陽の人なり。大知見を具え、聲講席に播れ、止觀に於て深く契う所有り。每に禅衲と交游し、曾て道力を以て大通を扣問す。通一日書を作りて彼に寄す。老師緘封を拆き開き、黑白兩個の圓相を看見し、於是悟る。偈を答えて曰く、黑相白相、枷を擔いで狀を過ぐ。了り了らざる兮、風無くして浪を起こす。若し究竟の事如何と問わば、洞庭山太湖の上に在り

金山寧禪師法嗣

金山寧禅師法嗣

婺州普濟子淳圓濟禪師

婺州普濟子淳圓濟禅師

僧問。摩尼珠人不識。如來藏裡親收得。如何是珠。師曰。不撥自轉。曰。如何是藏。師曰。一撥便轉。曰。轉後如何。師曰。把不住。上堂。雨過山青。雲開月白。帶雪寒松。搖風庭栢。山僧恁麼說話。還有祖師意也無。其或未然。良久曰。看。看。

僧問う、摩尼の珠人識らず、如來藏の裏親しく收め得たり。如何なるか是れ珠。師曰く、撥せずして自ら轉ず。曰く、如何なるか是れ藏。師曰く、一撥すれば便ち轉ず。曰く、轉じて後如何。師曰く、把り住まず。上堂、雨過ぎて山青く、雲開けて月白し。雪を帶びて寒松、風に搖れる庭柏。山僧恁麼に説話す、還た祖師の意有るや無しや。其れ或いは未然ならん。沈黙許久して曰く、看、看

吉州禾山用安禪師

吉州禾山用安禅師

僧問。蓮華未出水時如何。師曰。魚挨鼈倚。曰。出水後如何。師曰。水仙頭上戴。好手絕躋攀。曰。出與未出時如何。師曰。應是乾坤措。不教容易看。

僧問う、蓮花未だ水を出でざる時如何。師曰く、魚挨り鱉倚る。曰く、水を出でて後如何。師曰く、水仙頭上に戴き、好手躋攀を絶つ。曰く、出づると未だ出でざるの時如何。師曰く、應に是れ乾坤の措、容易く看しむを敎えず

本覺一禪師法嗣

本覺一禅師法嗣

福州越峰粹珪妙覺禪師

福州越峰粹珪妙覺禅師

本郡林氏子。僧問。如何是祖師西來意。師曰。瘦田損種。曰。未審如何領會。師曰。刈禾鎌子曲如鉤。問。機關不到時如何。師曰。抱甕灌園。曰。此猶是機關邊事。師曰。須要雨淋頭。

本郡林氏の子。僧問う、如何なるか是れ祖師西來の意。師曰く、瘦田種を損ず。曰く、未だ審かに如何に領會するを知らず。師曰く、禾を刈る鎌子曲りて鈎の如し。問う、機關到らざる時如何。師曰く、甕を抱きて園を灌ぐ。曰く、此は猶ほ是れ機關邊の事。師曰く、須らく雨頭に淋るを要す

台州天台如庵主

台州天台如庵主

久依法真。因看雲門東山水上行語。發明己見。歸隱故山。猿鹿為伍。郡守聞其風。遣使逼令住持。師作偈曰。三十年來住此山。郡符何事到林間。休將瑣瑣塵寰事。換我一生閑又閑。遂焚其廬。竟不知所止。

久しく法真に依る。雲門の「東山水の上行く」の語を看るに因りて、己見を發明し、故山に歸隱し、猿鹿と伍を為す。郡守其の風を聞き、使を遣して逼めて住持せしめんとす。老師偈を作りて曰く、三十年來此の山に住し、郡符何の事か林間に到る。瑣瑣たる塵寰の事を將て、我が一生閑また閑を換る莫れ。於是其の廬を焚き、竟に止まる所を知らず

平江府西竺寺尼法海禪師

平江府西竺寺尼法海禅師

寶文呂嘉之姑也。首參法雲秀和尚。後領旨於法真言下。諸名儒屢挽應世。堅不從。殂日說偈曰。霜天雲霧結。山月冷涵輝。夜接故鄉信。曉行人不知。屆明坐脫。

寶文呂嘉の姑なり。先に法雲秀和尚に參じ、後に法真の言下に旨を領す。諸の名儒屢次彼女を挽きて世に應ぜしめんとすれども、堅く從わず。去世の日偈を説いて曰く、霜天雲霧結び、山月冷やかに輝を涵す。夜に故鄕の信を接ぎ、曉に行く人知らず。天亮に到りて坐脱す

投子顒禪師法嗣

投子顒禅師法嗣

壽州資壽灌禪師

壽州資壽灌禅師

上堂。良久曰。便恁麼散去。已是葛藤。更若喃喃。有何所益。以拂子擊禪床。下座。

上堂、沈黙許久して曰く、便ち恁麼に散去れば、已に是れ葛藤。更に若し喃喃ならば、何の益する所か有らん。拂子を以て禅床を擊ち、下座

西京白馬崇壽江禪師

西京白馬崇壽江禅師

僧問。知師久蘊囊中寶。今日開堂略借看。師曰。不借。曰。為甚麼不借。師曰。賣金須是買金人。

僧問う、師久しく囊中の寶を蘊ねるを知る、今日開堂略かに借り看ん。師曰く、借さず。曰く、什麼を以てか借さざる。師曰く、金を賣るは須らく是れ金を買う人

鄧州香嚴智月海印禪師

鄧州香嚴智月海印禅師

僧問。法雷已震。選佛場開。不昧宗乘。請師直指。師曰。三月三日時。千花萬花拆。曰。普天匝地承恩力。覺苑仙葩一夜開。師曰。切忌隨他去。乃曰。判府吏部。此日命山僧開堂祝聖。紹續祖燈。祇如祖燈作麼生續。不見古者道。六街鐘鼓響鼕鼕。即處鋪金世界中。池長芰荷庭長栢。更將何法演真宗。恁麼說話。也是事不獲已。有旁不肯底出來。把山僧拽下禪床。痛打一頓。許伊是箇本分衲僧。若未有這箇作家手腳。切不得草草匆匆。勘得腳跟下不實。頭沒去處。卻須倒吃香嚴手中钁柄。莫言不道。上堂。吾家寶藏不慳惜。覿面相呈人罕識。輝今耀古體圓時。照地照天光赫赤。荊山美玉奚為貴。合浦明珠比不得。借問誰人敢酬價。波斯鼻孔長三尺。咄。

僧問う、法雷已に震い、選佛の場開く。宗乘を昧くせず、師の直指を請う。師曰く、三月三日の時、千花萬花拆く。曰く、普天匝地恩力に承り、覺苑の仙葩一夜に開く。師曰く、切に他に隨い去るを忌む。便ち曰く、判府吏部、此の日山僧を命じて開堂し聖を祝し、祖燈を紹續せしむ。只だ如く祖燈は作作麼生に續ぐ。古人の説くを見ずや、六街の鐘鼓響き冬冬、即處金を鋪く世界の中。池に芰荷長ち庭に柏長ち、更に何の法を將て真宗を演べん。恁麼に説話するも、亦是れ事已むを獲ず。傍に肯ぜざる有れば出で來りて、山僧を把りて禅床より拽き下ろし、痛く一頓に打てば、伊は是れ本分の衲僧と許さん。若し未だ這個の作家手脚有らざれば、切に草草匆匆たるを得ず。勘えて脚跟の下實ならざれば、頭の沒し去る處有りて、卻って須らく香嚴の手中の鐝柄を倒喫すべし。道わずと言う莫れ。上堂、吾が家の寶藏慳惜せず、觌面に相呈して人罕く識る。今を輝かし古を耀かす體圓なる時、地を照らし天を照らして光赫赤たり。荊山の美玉奚ぞ貴しと為さん、合浦の明珠比ぶるを得ず。借問す誰人敢えて價を酬う、波斯の鼻孔長さ三尺。咄

丞相富弼居士

丞相富弼居士

字彥國。由清獻公警勵之後。不捨晝夜。力進此道。聞顒禪師主投子。法席冠淮甸。往質所疑。會顒為眾登座。見其顧視如象王迴旋。公微有得。因執弟子禮。趨函丈。命侍者請為入室。顒見即曰。相公已入來。富弼猶在外。公聞汗流浹背。即大悟。尋以偈寄圓照本曰。一見顒公悟入深。夤緣傳得老師心。東南謾說江山遠。目對靈光與妙音。後奏署顒師號。顒上堂謝語。有曰。彼一期之悞我。亦將錯而就錯。公作偈贊曰。萬木千花欲向榮。臥龍猶未出滄溟。彤雲彩霧呈嘉瑞。依舊南山一色青。

字は彥國。淸獻公の警勵の後より、晝夜を捨てず、力めて此の道に進む。顒禅師の投子を主どり、法席淮甸に冠たるを聞き、往きて疑う所を質す。正に顒の衆の為に座に登るに逢い、其の顧視すること象王の回旋するが如きを見て、公微かに得る所有り、因りて弟子の禮を執り、函丈に趨近り、侍者を命じて入室を請わしむ。顒見て即ち曰く、相公已に入り來れり、富弼猶ほ外に在り。公聞きて汗背に浹し、即ち大悟す。程なく偈を以て圓照本に寄せて曰く、一見顒公悟入深く、夤縁傳え得たり老師の心。東南謾りに江山遠しと説くも、目靈光と妙音に對す。後に奏請して顒の師號を署さしむ。顒上堂の謝語に、話有りて曰く、彼の一期の我を誤りし、亦た將て錯に就いて錯と為さん。公偈を作りて讚じて曰く、萬木千花榮えんと欲し、臥龍猶ほ未だ滄溟を出でず。彤雲彩霧嘉瑞を呈し、依舊南山一色青なり

甘露宣禪師法嗣

甘露宣禅師法嗣

平江府妙湛寺尼文照禪師

平江府妙湛寺尼文照禅師

溫陵人。上堂。靈源不動。妙體何依。歷歷孤明。是誰光彩。若道真如實際。大似好肉剜瘡。更作祖意商量。正是迷頭認影。老胡四十九年說夢即且止。僧堂裡憍陳如上座為你諸人舉覺底。還記得麼。良久曰。惜取眉毛好。

溫陵の人。上堂、靈源動かず、妙體何に依る。歴歴孤明、是れ誰の光彩ぞ。若し真如實際と道わば、大いに似たり好肉に瘡を剜るに。更に祖意の商量を作さば、正に是れ頭に迷いて影を認む。老胡四十九年夢を説きしは即ち且く止め。僧堂裏の憍陳如上座が汝の諸人の為に覺を擧げし、還た記得するか。沈黙許久して曰く、眉毛を惜取せよ好し

瑞巖居禪師法嗣

瑞巖居禅師法嗣

台州萬年處幽禪師

台州萬年處幽禅師

上堂。先聖行不到處。凡流恰到。凡流既到。先聖莫知。到與不到。知與不知。總置一壁。祇如僧問乾峰。十方薄伽梵。一路涅槃門。未審路頭在甚麼處。峰以拄杖畫一畫曰。在這裡。且道此老與他先聖凡流。相去幾何。南山虎齩石羊兒。須向其中識生死。

上堂、先聖の行きて到らざる處、凡流恰も到り、凡流既に到れば、先聖知る莫れ。到ると到らざる、知ると知らざると、總て一邊に放ち著く。只だ如く僧乾峰に問う、十方の薄伽梵、一路の涅槃門、未だ審かに路頭什麼の處に在るを知らず。峰拄杖を以て一畫を畫して曰く、這裏に在り。且く道え、此の老と他の先聖・凡流、相去ること幾何ぞ。南山の虎石の羊兒を咬む、須らく其の中に向かって生死を識るべし

廣靈祖禪師法嗣

廣靈祖禅師法嗣

處州縉雲仙巖懷義禪師

處州縉雲仙巖懷義禅師

僧問。如何是佛。師曰。自屈作麼。曰。如何是道。師曰。你道了。曰。向上更有事也無。師曰。無。曰。恁麼則小出大遇也。師曰。祇恐不恁麼。曰。也是。師曰。卻恁麼去也。

僧問う、如何なるか是れ佛。師曰く、自ら屈し作麼。曰く、如何なるか是れ道。師曰く、汝道えり。曰く、向上更に事有るや無しや。師曰く、無し。曰く、恁麼ならば小出でて大いに遇えり。師曰く、只だ恐らくは恁麼ならず。曰く、亦是れなり。師曰く、卻って恁麼に去れ

淨因嶽禪師法嗣

淨因岳禅師法嗣

福州鼓山體淳禪鑒禪師

福州鼓山體淳禅鑑禅師

上堂。由基弓矢。不射田蛙。任氏絲綸。要投溟渤。發則穿楊破的。得則脩鯨巨鰲。隻箭既入重城。長竿豈釣淺水。而今莫有吞鉤齧鏃底麼。若無。山僧捲起絲綸。抝折弓箭去也。擲拄杖。下座。

上堂、由基の弓矢、田蛙を射ず、任氏の絲綸、溟渤に投げんと要す。發すれば則ち楊を穿り的を破り、得れば則ち修鯨巨鰲。隻箭既に重城に入りて、長竿豈に淺水を釣らん。而今吞鉤嚙鏃する有るべきか。若し無くば、山僧絲綸を卷起し、弓箭を拗折して去らん。拄杖を擲ち、下座

乾明覺禪師法嗣

干明覺禅師法嗣

嶽州平江長慶應圓禪師

岳州平江長慶應圓禅師

上堂。寒氣將殘春日到。無索泥牛皆𨁝跳。築著崑崙鼻孔頭。觸倒須彌成糞掃。牧童兒。鞭棄了。懶吹無孔笛。拍手呵呵笑。歸去來兮歸去來。煙霞深處和衣倒。良久曰。切忌睡著。

上堂、寒氣殘る將盡きんとする春の日到り、索無き泥牛皆な蹦跳す。(此の字足に從う、句意當に蹦跳とすべし。)崑崙の鼻孔頭に筑き著き、須弥を觸倒して糞掃と成す。牧童兒、鞭棄て了り、懶く吹かず無孔の笛、手を拍ちて呵呵と笑う。歸去來せん歸去來、烟霞の深處に衣を和して倒る。沈黙許久して曰く、切に睡著を忌む

長蘆信禪師法嗣

長蘆信禅師法嗣

東京慧林懷深慈受禪師

東京慧林懷深慈受禅師

壽春府夏氏子。生而祥光現舍。文殊堅禪師遙見。疑火也。詰旦。知師始生。往訪之。師見堅輒笑。母許出家。十四割愛冠祝髮。後四年。訪道方外。依淨照於嘉禾資聖。照舉良遂見麻谷因緣。問曰。如何是良遂知處。師即洞明。出住資福。屨滿戶外。蔣山佛鑑懃禪師行化至。茶退。師引巡寮。至千人街坊。鑑問。既是千人街坊。為甚麼祇有一人。師曰。多虗不如少實。鑑曰。恁麼那。師赧然。偶朝廷以資福為神霄宮。因棄往蔣山。留西庵陳請益。鑑曰。資福知是般事便休。師曰。某實未穩。望和尚不外。鑑舉倩女離魂話。反覆窮之。大豁疑礙。呈偈曰。祇是舊時行履處。等閑舉著便誵訛。夜來一陣狂風起。吹落桃花知幾多。鑑拊幾曰。這底豈不是活祖師意。未幾。被旨住焦山。僧問。如何是佛。師曰。面黃不是真金貼。曰。如何是佛向上事。師曰。一箭一蓮華。僧作禮。師彈指三下。問。知有道不得時如何。師曰。瘂子吃蜜。曰。道得不知有時如何。師曰。鸚鵡喚人。僧禮拜。師叱曰。這傳語漢。問。甚麼人不被無常吞。師曰。祇恐他無下口處。曰。恁麼則一念通玄箭。三尸鬼失姧也。師曰。汝有一念。定被他吞了。曰。無一念時如何。師曰。捉著闍黎。上堂。古者道。忍忍。三世如來從此盡。饒饒。萬禍千殃從此消。默默。無上菩提從此得。師曰。會得此三種語了。好箇不快活漢。山僧祇是得人一牛。還人一馬。潑水相唾。插觜廝罵。卓拄杖曰。平出。平出。上堂。雲自何山起。風從甚㵎生。好箇入頭處。官路少人行。上堂。不是境。亦非心。喚作佛時也陸沈。箇中本自無階級。切忌無階級處尋。總不尋。過猶深。打破雲門飯袋子。方知赤土是黃金。咄。

壽春府夏氏の子。生ずる時祥光舍に現ず。文殊堅禅師遙かに見て、火と疑う。次日一早、老師始めて生るるを知り、往きて之を訪う。老師堅を見れば即ち笑う。母彼の出家を許す。十四歳にして愛を割き髮を落とす。後四年、方外に道を訪い、嘉禾資聖に於て淨照に依る。照良遂の麻谷を見るの因緣を擧げて問う、如何なるか是れ良遂の知る處。師即ち洞明す。出でて資福を住し、門外鞋履滿つ。蔣山佛鑑勤禅師行化して到來す。茶退きて、師彼を引きて寮を巡る。千人の街坊に到りて、鑑問う、既に千人の街坊、什麼を以てか只だ一人有る。師曰く、多く虛なるは少く實なるに如かず。鑑曰く、恁麼那。師赧然す。偶朝廷資福を以て神霄宮と為す、因りて棄てて蔣山に往く。西庵に留まりて、述べて請益す。鑑曰く、資福是の般の事を知れば便ち休せよ。師曰く、某實に未だ穩ならず、和尚外ならざるを望む。鑑倩女離魂の話を擧げ、反覆して之を窮めて、大いに疑礙を豁す。偈を呈して曰く、只だ是れ舊時行履の處、等閑に擧著すれば便ち淆訛す。夜來一陣の狂風起きて、吹落す桃花幾多なるを知るや。鑑几を拊して曰く、這の底豈に是れ活祖師意ならずや。程なく旨を奉じて焦山に住す。僧問う、如何なるか是れ佛。師曰く、面黃きは是れ真金貼るに非ず。曰く、如何なるか是れ佛向上の事。師曰く、一箭一蓮花。僧禮を作す。師指を三下彈く。問う、道有りて得ざる時如何と知る。師曰く、啞子蜜を喫す。曰く、道い得て知る時如何。師曰く、鸚鵡人を喚ぶ。僧禮拜す。師叱りて曰く、這の傳語漢。問う、什麼人無常に吞まれざる。師曰く、只だ恐らくは他口を下す處無からん。曰く、恁麼ならば一念玄に通ずる箭、三尸の鬼奸を失う。師曰く、汝一念有らば、定めて他に吞了されん。曰く、一念無き時如何。師曰く、闍黎を捉え著く。上堂、古人説く、忍忍、三世の如來此より盡く、饒饒、萬禍千殃此より消ゆ、默默、無上菩提此より得たりと。師曰く、此の三種の語を會得して了れば、好個の不快活漢。山僧只だ是れ人一牛を得て、人に一馬を還す。水を潑きて相唾し、嘴を插みて厮罵す。拄杖を卓して曰く、平出、平出。上堂、雲自り何の山より起こり、風甚の澗より生ずる。好個の入頭の處、官路人の行くこと少なし。上堂、是れ境に非ず、亦是れ心に非ず、喚びて佛の時と作さば也く陸沈す。個中本より階級無し、切に階級無き處に尋ぬるを忌む。總て尋ねず、過猶ほ深し。雲門の飯袋子を打破して、方に知る赤土是れ黄金と。咄

平江府萬壽如璝證悟禪師

平江府萬壽如璝證悟禅師

建寧魏氏。開堂日。僧問。如何是蘇臺境。師曰。山橫師子。秀。水接太湖清。曰。如何是境中人。師曰。衣冠皇宋後。禮樂大周前。師凡見僧。必問。近日如何。僧擬對。即拊其背曰。不可思議。將示寂。眾集。復曰。不可思議。乃合掌而終。

建寧魏氏。開堂の日、僧問う、如何なるか是れ蘇台の境。師曰く、山師子に橫たわり秀で、水太湖に接し淸し。曰く、如何なるか是れ境中の人。師曰く、衣冠皇宋の後、禮樂大周の前。老師凡そ僧を見れば、必ず問う、近日如何。僧對えんと擬すれば、即ち其の背を拊して曰く、不可思議。寂を示さんと將にして、衆集まり、又曰く、不可思議。於是掌を合わせて終わる

越州天衣如哲禪師

越州天衣如哲禅師

族裡未詳。自退席寓平江之萬壽。飲啖無擇。人多侮之。有以瑞巖喚主人公話問者。師答以偈曰。瑞巖長喚主人公。突出須彌最上峰。大地掀翻無覓處。笙歌一曲畵樓中。一日曰。吾行矣。令拂拭所乘筍輿。乃書偈告眾曰。道在用處。用在死處。時人祇管貪歡樂。不肯學無為。敘平昔參問。勉眾進修已。忽竪起拳曰。諸人且道。這箇落在甚麼處。眾無對。師揮案一下曰。一齊分付與秋風。遂入輿。端坐而逝。

族里未だ詳ならず。席を退きて後平江の萬壽に寓す。飮啖擇ばず、人多く之を侮る。瑞岩の主人公を喚ぶの話を以て問う者有り、師偈を以て答えて曰く、瑞岩長く主人公を喚び、突出せる須弥最上の峰。大地掀翻して覓る處無し、笙歌一曲畫樓の中。一日曰く、吾行かんとす。人に乘る所の筍輿を拂拭せしめ、於是偈を書して衆に告げて曰く、道は用の處に在り、用は死の處に在り。時人只管歡樂を貪りて、無為を學ぶを肯ぜず。平昔の參問を敘述し、衆を勉めて進修せしめ已りて、忽然拳を竪起して曰く、諸人且く道え、這個は什麼の處に落つる。衆對無し。師案を一下揮して曰く、一齊に秋風に分付與せん。於是輿に入りて、端坐して逝く

婺州智者法銓禪師

婺州智者法銓禅師

上堂。要扣玄關。須是有節操。極慷慨。斬得釘。截得鐵。硬剝剝地漢始得。若是隈刀避箭。碌碌之徒看即有分。以拂子擊禪床。下座。

上堂、玄關を扣かんと要せば、須らく是れ節操有り、極めて慷慨にして、釘を斬り得、鐵を截り得、硬く剥剥たる漢にして始めて得べし。若し是れ刀に隈り箭を避くる、碌碌の徒ならば、看れば即ち分有り。拂子を以て禅床を擊ち、下座

臨安府徑山智訥妙空禪師

臨安府徑山智訥妙空禅師

僧問。牛頭未見四祖時如何。師曰。坐久成勞。曰。見後如何。師曰。不妨我東行西行。

僧問う、牛頭未だ四祖に見えざる時如何。師曰く、坐すこと久しくして勞と成る。曰く、見えて後如何。師曰く、我が東行し西行するに妨げず

金山慧禪師法嗣

金山慧禅師法嗣

常州報恩覺然寶月禪師

常州報恩覺然寶月禅師

越州鄭氏子。上堂。學者無事空言。須求妙悟。去妙悟而事空言。其猶逐臭耳。然雖如是。罕逢穿耳客。多遇刻舟人。一日謂眾曰。世緣易染。道業難辦。汝等勉之。語卒而逝。

越州鄭氏の子。上堂、學者事無く空言するは、須らく妙悟を求むべし。妙悟を去りて空言を事とするは、其れ猶ほ臭を逐うのみ。然りといえども此の如し、罕く穿耳の客に逢い、多く刻舟の人に遇う。一日衆に對して曰く、世緣染み易く、道業辦え難し。你們之を勉めよ。語畢りて逝く

法雲白禪師法嗣

法雲白禅師法嗣

婺州智者紹先禪師

婺州智者紹先禅師

潭州人也。上堂。根塵同源。縛脫無二。不動絲毫。十方遊戲。子湖犬子雖獰。爭似南山氅鼻。遂高聲曰。大眾看腳下。上堂。團不聚。撥不散。日曬不乾。水浸不爛。等閑掛在太虗中。一任傍人冷眼看。

潭州の人なり。上堂、根塵同源、縛脱無二。絲毫動かずして、十方に游戲す。子湖の犬子狞なりと雖も、怎んぞ比せん南山の鱉鼻に。(底本「氅鼻」と作る、當に「鱉鼻」とすべし。)於是高聲に曰く、大衆脚下を看よ。上堂、團めば聚まらず、撥せば散ぜず。日に曬せども乾かず、水に浸せども爛れず。等閑に太虚の中に掛けて、傍人の冷眼に一任す

沂州馬鞍山福聖院仲易禪師

沂州馬鞍山福聖院仲易禅師

上堂。一二三四五。陞堂擊法鼓。簇簇齊上來。一一面相睹。秋色滿虗庭。秋風動寰宇。更問祖師禪。雪峰到投子。咄。

上堂、一二三四五、堂に升りて法鼓を擊つ。簇簇として齊しく上來り、一一面相睹す。秋色虚庭に滿ち、秋風寰宇を動かす。更に祖師禅を問わば、雪峰投子に到る。咄

東京慧林慧海月印禪師

東京慧林慧海月印禅師

僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。黃金地上玉樓臺。曰。如何是祖師西來意。師曰。三月洛陽人戴花。上堂。黃金地上。具眼者未肯安居。荊棘林中。本分底留伊不得。祇如去此二途。作麼生是衲僧行履處。良久曰。舉頭煙靄裡。依約見家山。上堂。顧視大眾。拍禪床一下。曰。聊表不空。便下座。

僧問う、師唱うは誰が家の曲ぞ、宗風は阿谁に嗣ぐ。師曰く、黃金の地上玉樓台。曰く、如何なるか是れ祖師西來の意。師曰く、三月洛陽人花を戴く。上堂、黃金の地上、具眼の者は未だ安居を肯ぜず、荊棘の林の中、本分の底は伊を留むるを得ず。只だ如く此の二途を去るに、作麼生か是れ衲僧行履の處。沈黙許久して曰く、頭を擧ぐれば烟靄の裏、依約として家山を見る。上堂、大衆を環顧し、禅床を一拍して曰く、聊か空ならざるを表す。便ち下座

楊州建隆原禪師

楊州建隆原禅師

姑蘇夏氏子。上堂。拈拄杖曰。買帽相頭。依模畵樣。從他野老自顰眉。誌公不是閑和尚。卓拄杖。下座。

姑蘇夏氏の子。上堂、拄杖を拈じて曰く、帽を買い頭を相するは、模に依りて樣を畫く。他の野老自ら眉を顰めるに從い、志公は是れ閑の和尚に非ず。拄杖を卓し、下座

保寧英禪師法嗣

保寧英禅師法嗣

臨安府廣福院惟尚禪師

臨安府廣福院惟尚禅師

初參覺印。問曰。南泉斬貓兒。意旨如何。印曰。須是南泉始得。印以前語詰之。師不能對。至僧堂。忽大悟曰。古人道。從今日去。更不疑天下老和尚舌頭。信有之矣。述偈呈印。曰。須是南泉第一機。不知不覺驀頭錐。覿面若無青白眼。還如𮭗𮭗守空池。舉未絕。印竪拳曰。正當恁麼時作麼生。師掀倒禪床。印遂喝。師曰。賊過後張弓。便出。住廣福日。室中問僧。提起來作麼生會。又曰。且道是箇甚麼。要人提起。

初め覺印に參じて問う、南泉猫兒を斬る、意旨如何。印曰く、須らく是れ南泉にして始めて得べし。印前の語を以て之を詰るに、師對えず。僧堂に到りて、忽然大悟して曰く、古人説く、今日より去りて、更に天下の老和尚の舌頭を疑わず、信に之れ有り。偈を述べて印に呈して曰く、須らく是れ南泉第一の機、知らず覺えず驀頭の錐。觌面若し青白眼無くば、還た如し某の鳥空池を守るに。(二の字の字鳥に從う、未だ確指する能わず。)擧げ未だ絶えざるに、印拳を竪てて曰く、正に當る恁麼の時作麼生。師禅床を掀倒す。印於是喝す。師曰く、賊過ぎて後に弓を張る。便ち出づ。廣福に住する日、室中に於て僧に問う、提起し來れば作麼生に會する。又曰く、且く道え、是れ個の什麼ぞ、人をして提起せしむるを要する

明州雪竇法寧禪師

明州雪竇法寧禅師

衢州杜氏子。上堂。百川異流。以海為極。森羅萬象。以空為極。四聖六凡。以佛為極。明眼衲子。以拄杖子為極。且道拄杖子以何為極。有人道得。山僧兩手分付。儻或未然。不如閑倚禪床畔。留與兒孫指路頭。

衢州杜氏の子。上堂、百川異流するも、海を以て極と為し、森羅萬象、空を以て極と為し、四聖六凡、佛を以て極と為し、明眼の衲子、拄杖子を以て極と為す。且く道え、拄杖子は何を以て極と為す。人道い得る有れば、山僧兩手に分付せん。倘若未だ然らざれば、如かず閑に禅床の畔に倚りて、兒孫に留め與えて路頭を指さしめん

開先珣禪師法嗣

開先珣禅師法嗣

廬州延昌熈詠禪師

廬州延昌熈咏禅師

僧問。少林面壁。意旨如何。師曰。慚惶殺人。

僧問う、少林面壁、意旨如何。師曰く、慚惶人を殺す

廬州開先宗禪師

廬州開先宗禅師

上堂。一不做。二不休。棙轉鼻孔。捺下雲頭。禾山解打鹽官鼓。僧繇不寫戴嵩牛。廬陵米。投子油。雪峰依舊輥雙毬。夜來風送衡陽信。寒鴈一聲霜月幽。

上堂、一為さず、二休まず。鼻孔を捩轉し、雲頭を捺下す。禾山解けて鹽官の鼓を打ち、僧繇寫さず戴嵩の牛。廬陵の米、投子の油、雪峰依舊雙毬を滾す。夜來風衡陽の信を送り、寒雁一聲霜月幽なり

甘露顒禪師法嗣

甘露顒禅師法嗣

楊州光孝元禪師

楊州光孝元禅師

僧問。如何是和尚家風。師曰。七顛八倒。曰。忽遇客來。如何祇待。師曰。生鐵蒺藜劈口𡎺。

僧問う、如何なるか是れ和尚の家風。師曰く、七顛八倒。曰く、忽ち客來るに遇えば、如何に祇待せん。師曰く、生の鐵蒺藜口を劈きて塞ぐ。(此の字土に從う、句意當に「塞」とすべし。)

雪竇榮禪師法嗣

雪竇榮禅師法嗣

福州雪峰大智禪師

福州雪峰大智禅師

僧問。如何是祖師西來意。師銜拂柄示之。僧曰。此是香嚴底。和尚又作麼生。師便喝。僧大笑。師叱曰。這野狐精。

僧問う、如何なるか是れ祖師西來意。師拂柄を銜えて之に示す。僧曰く、此は是れ香嚴の底、和尚又作麼生。師便ち喝す。僧大笑す。師叱りて曰く、這の野狐精

元豐滿禪師法嗣

元豐滿禅師法嗣

福州雪峰宗演圓覺禪師

福州雪峰宗演圓覺禅師

恩州人也。僧問。不慕諸聖.不重己靈時如何。師曰。欵出囚口。曰。便恁麼會去時如何。師曰。換手槌胸。問。如何是大善知識心。師曰。十字街頭片瓦子。辭眾日。僧問。如何是臨岐一句。師曰。有馬騎馬。無馬步行。曰。途中事作麼生。師曰。賤避貴。上堂。遣迷求悟。不知迷是悟之鉗鎚。愛聖憎凡。不知凡是聖之鑪鞴。祇如聖凡雙泯.迷悟俱忘一句作麼生道。半夜彩霞籠玉像。天明峰頂五雲遮。

恩州の人なり。僧問う、諸聖を慕わず、己が靈を重んぜざる時如何。師曰く、款は囚の口より出づ。曰く、便ち恁麼に會し去る時如何。師曰く、手を換えて胸を槌る。問う、如何なるか是れ大善知識の心。師曰く、十字街頭の片瓦子。衆を辭する日、僧問う、如何なるか是れ岐路に臨む一句。師曰く、馬有れば馬に騎り、馬無ければ步行せよ。曰く、途中の事作麼生。師曰く、賤は貴を避く。上堂、迷いを遣りて悟を求むるも、迷いは是れ悟の鉗鎚と知らず。聖を愛し凡を憎むも、凡は是れ聖の爐鞴と知らず。只だ如く聖凡雙く泯び、迷悟俱に忘るる一句は作麼生に道う。半夜彩霞玉像を籠め、天明峰の頂五雲遮る

衛州王大夫

衛州王大夫

遺其名。以喪偶猒世相。遂參元豐。於言下知歸。豐一日謂曰。子乃今之陸亙也。公便掩耳。既而回壇山之陽。縛茅自處者三載。偶歌曰。壇山裡。日何長。青松嶺。白雲鄉。吟鳥啼猿作道場。散髮采薇歌又笑。從教人道野夫狂。

名字傳え失せたり。配偶を喪いて世相を厭い、因りて元豐に參じ、言下に歸る所を知る。豐一日彼に對して曰く、汝は乃ち今の陸亘なり。公便ち耳を掩う。隨後壇山の陽に回りて、茅を縛りて自處すること三年。偶歌い曰く、壇山の裏、日何ぞ長き。青松の嶺、白雲の鄕。鳥を吟じ猿の啼くを道場と作す。髮を散じ薇を采りて歌い又笑う、人に從いて道わしむ野夫の狂と

育王振禪師法嗣

育王振禅師法嗣

明州嶽林真禪師

明州岳林真禅師

上堂。古人道。初秋夏末。合有責情三十棒。嶽林則不然。靈山會上。世尊拈華。迦葉微笑。正當恁麼時。好與三十棒。何故。如此太平時節。強起干戈。教人吹大法螺。擊大法鼓。舉步則金蓮𨇾蹀。端居則寶座巍峩。梵王引之於前。香花繚繞。帝釋隨之於後。龍象駢羅。致令後代兒孫。遞相倣斆。三三兩兩。皆言出格風標。劫劫波波。未肯歸家隱坐。鼓唇搖舌。宛如鐘磬笙竽。奮臂點胸。何啻稻麻竹葦。更逞遊山翫水。撥草瞻風。人前說得石點頭。天上飛來花撲地。也好與三十棒。且道坐夏賞勞。如何酬獎。良久曰。萬寶功成何厚薄。千鈞價重自低昂。

上堂、古人説く、初秋夏末、責情の三十棒を合すべしと。岳林即ち然らず。靈山の會上、世尊花を拈じ、迦葉微笑せり。正に當る恁麼の時、好く三十棒を與うべし。什麼を以て此の如くする。太平の時節、強いて干戈を起こす。人をして大法螺を吹き、大法鼓を擊たしむ。步を擧げれば則ち金蓮蹀躞し(此の字足に從う、當に「蹀」と讀むべし)、端居すれば則ち寶座巍峨たり。梵王之を前に引き、香花繚繞し、帝釋之に後に隨い、龍象駢羅す。致して後代の兒孫をして、遞に相仿傚せしむ。三三兩兩、皆な出格の風標を言い、劫劫波波、未だ家に歸り隱坐するを肯ぜず。唇を鼓し舌を搖り、宛然として鐘磬笙竽、臂を奮い胸を點じ、何ぞ啻に稻麻竹葦。更に山を游び水を翫び、草を撥り風を瞻ることを逞しうす。人前に説き得れば石も頭を點き、天上より飛來る花地に撲す。亦た好く三十棒を與うべし。且く道え、夏に坐して賞勞するに、如何に酬獎せん。沈黙許久して曰く、萬寶功成るに何の厚薄か有らん、千鈞價重くして自ら低昂す

招提湛禪師法嗣

招提湛禅師法嗣

秀州華亭觀音和尚

秀州華亭觀音和尚

僧問。如何是佛。師曰。半夜烏龜火裡行。曰。意作麼生。師曰。虗空無背面。僧禮拜。師便打。

僧問う、如何なるか是れ佛。師曰く、半夜烏龜火の裏を行く。曰く、意作麼生。師曰く、虚空に背面無し。僧禮拜す。師便ち打つ

青原下十四世

青原の下十四世

淨慈明禪師法嗣

淨慈明禅師法嗣

臨安府淨慈象禪師

臨安府淨慈象禅師

越州山陰人也。上堂。古者道。一翳在眼。空花亂墜。拈拄杖曰。淨慈拈起拄杖。豈不是一翳在眼。百千諸佛總在拄杖頭。現丈六紫磨金色之身。乘其國土。遊歷十方。說一切法。度一切眾。豈不是空花亂墜。即今莫有向拄杖未拈已前坐斷得麼。出來與淨慈相見。如無。切忌向空本無花.眼本無翳處著倒。乃擲拄杖。下座。

越州山陰の人なり。上堂、古人説く、一の翳眼に在れば、空花亂墜す。拄杖を拈じて曰く、淨慈拄杖を拈起す、豈に是れ一の翳眼に在らずや。百千の諸佛總て拄杖の頭に、丈六紫磨金色の身を現じ、其の國土に乘り、十方を游歷し、一切法を説き、一切衆を度す、豈に是れ空花亂墜ならずや。即ち今拄杖未だ拈ぜざる已前に向かって坐斷し得る有るべきか。出で來りて淨慈と相見せよ。無くば、切に空本より花無く、眼本より翳無き處に向かって著倒するを忌む。於是拄杖を擲ち、下座

福州雪峰隆禪師

福州雪峰隆禅師

上堂。一不成。二不是。口吃飯。鼻出氣。休雲北斗藏身。說甚南山鼈鼻。家財運出任交關。勸君莫競錐頭利。

上堂、一成らず、二是らず。口飯を喫し、鼻氣を出だす。北斗身を藏ると説くを休め、什麼の南山鱉鼻をか説かん。家財運り出づれば任りて交關し、君に勸めて錐頭の利を競う莫れ

長蘆和禪師法嗣

長蘆和禅師法嗣

鎮江府甘露達珠禪師

鎮江府甘露達珠禅師

福州人。上堂。聖賢不分。古今惟一。可謂火就燥。水流濕。鑿井而飲。耕田而食。大眾。東村王老去不歸。紛紛黃葉空狼籍。

福州の人。上堂、聖賢分かれず、古今惟一。謂うべし火は燥に就き、水は濕に流る。井を鑿りて飮み、田を耕して食う。大衆、東村の王老去りて歸らず、紛紛たる黃葉空しく狼藉す

臨安府靈隱惠淳圓智禪師

臨安府靈隱惠淳圓智禅師

上堂。吾心似秋月。碧潭清皎潔。乃喝曰。寒山子話墮了也。諸禪德。皎潔無塵。豈中秋之月可比。虗明絕待。非照世之珠可倫。獨露乾坤。光吞萬象。普天匝地。耀古騰今。且道是箇甚麼。良久曰。此夜一輪滿。清光何處無。

上堂、吾が心秋月に似たり、碧潭淸く皎潔なり。於是喝して曰く、寒山子話に墮ちたり。諸の禅德、皎潔にして塵無きは、豈に中秋の月の比ぶべき、虚明絶待なるは、世を照らす珠の倫ぶべきに非ず。獨り乾坤を露わし、光萬象を吞む。普天匝地、古を耀かし今に騰る。且く道え、是れ個の什麼ぞ。沈黙許久して曰く、此の夜一輪滿ちて、淸光何の處か無からん

雪峰慧禪師法嗣

雪峰慧禅師法嗣

臨安府淨慈月堂道昌佛行禪師

臨安府淨慈月堂道昌佛行禅師

湖州寶溪吳氏。僧問。大用現前。不存軌則時如何。師曰。張家兄弟太無良。曰。恁麼則一切處皆是去也。師曰。莫唐突人好。問。心生則法生。心滅則法滅。祇如心法雙忘時。生滅在甚麼處。師曰。左手得來右手用。問。如何是從上宗門中事。師曰。一畆地。曰。便恁麼會時如何。師曰。埋沒不少。問。如何是諸佛本源。師曰。屋頭問路。曰。向上還有事也無。師曰。月下拋甎。上堂。未透祖師關。千難與萬難。既透祖師關。千難與萬難。未透時難即且置。既透了因甚麼卻難。放下笊籬雖得價。動他杓柄也無端。上堂。與我相似。共你無緣。打翻藥銚。傾出爐煙。還丹一粒分明在。流落人間是幾年。咄。上堂。鴈過長空。影沉寒水。鴈無遺蹤之意。水無留影之心。若能如是。正好買草鞋行腳。所以道動則影現。覺則冰生。不動不覺。正在死水裡。薦福老人出頭不得即且置。育王今日又作麼生。向道莫行山下路。果聞猿呌斷腸聲。歲旦。上堂。舉拂子曰。歲朝把筆。萬事皆吉。忽有箇漢出來道。和尚。這箇是三家村裡保正書門底。為甚麼將來華王座上當作宗乘。祇向他道。牛進千頭。馬入百疋。

湖州寶溪の吳氏。僧問う、大用現前、軌則を存せざる時如何。師曰く、張家の兄弟太だ良無し。曰く、恁麼ならば一切の處皆な是れ去なり。師曰く、人を唐突する莫れ好し。問う、心生ずれば則ち法生じ、心滅すれば則ち法滅す。只だ如く心法雙く忘るる時、生滅は什麼の處に在る。師曰く、左手得て來りて右手用う。問う、如何なるか是れ上より來る宗門中の事。師曰く、一畝の地。曰く、便ち恁麼に會する時如何。師曰く、埋沒少なからず。問う、如何なるか是れ諸佛の本源。師曰く、屋頭に路を問う。曰く、向上還た事有るや無しや。師曰く、月下に磚を抛つ。上堂、未だ祖師の關を透らざれば、千難與萬難。既に祖師の關を透れば、千難與萬難。未だ透らざる時難きは即ち且く置くとして、既に透了せば什麼を以てか卻って難し。笊籬を放下すれば價を得ると雖も、他の杓柄を動かすも亦た端無し。上堂、我と相似たり、汝と共に緣無し。藥銚を打翻し、爐烟を傾き出づ。還丹の一粒分明に在り、人間に流落するは是れ幾年ぞ。咄。上堂、雁長空を過ぎ、影寒水に沈む。雁蹤を遺すの意無く、水影を留むるの心無し。若し能く是の如くなれば、正好草鞋を買いて行脚せん。所以に説く、動けば則ち影現じ、覺れば則ち冰生ず。動かず覺えざれば、正に死水の裏に在り。薦福老人頭を出だすを得ずは即ち且く置くとして、育王今日又作麼生。道えて曰く山下の路を行く莫れ、果して猿の叫ぶ斷腸の聲を聞く。歲旦に上堂、拂子を擧げて曰く、歲朝筆を把れば、萬事皆な吉。忽ち個の漢有りて出で來りて曰く、和尚、這個は是れ三家裏の保正書門の底、什麼を以てか將て來りて華王の座上に宗乘と當て作さん。只だ他に向かって説け、牛進む千頭、馬入る百匹

臨安府徑山照堂了一禪師

臨安府徑山照堂了一禅師

明州人。上堂。參玄之士。觸境遇緣。不能直下透脫者。葢為業識深重。情妄膠固。六門未息。一處不通。絕點純清。含生難到。直須入林不動草。入水不動波。始可順生死流。入人間世。諸人要會麼。以拄杖畫曰。祇向這裡薦取。

明州の人。上堂、玄を參ずる之士、境に觸れ緣に遇いて、能く直下に透脱せざるは、只だ因みに業識深重にして、情妄膠固せるが故なり。六門未だ息まず、一處通ぜず。點を絶ち純淸なるは、生を含む難き所到なり。直に須らく林に入りて草を動かさず、水に入りて波を動かさざれば、始めて生死の流れに順い、人間世に入るべし。諸人會せんと要するか。拄杖を以て畫して曰く、只だ這裏に向かって薦取せよ

鎮江府金山了心禪師

鎮江府金山了心禅師

上堂。佛之一字孰雲無。木馬泥牛滿道途。倚遍欄幹春色晚。海風吹斷碧珊瑚。還有同聲相應。同氣相求者麼。百鳥不來樓閣閉。祇聞夜雨滴芭蕉。

上堂、佛の一字誰か説かん無しと、木馬泥牛道途に滿つ。遍く欄干に倚れば春色晚く、海風碧珊瑚を吹斷す。還た同聲相應じ、同氣相求むる有るか。百鳥來らず樓閣閉ぢ、只だ聞く夜雨芭蕉に滴るを

香嚴月禪師法嗣

香嚴月禅師法嗣

鄧州香嚴倚松如璧禪師

鄧州香嚴倚松如璧禅師

撫州饒氏子。上堂。變化密移何太急。剎那念念一呼吸。八萬四千方便門。且道何門不可入。入不入。曉來雨打芭蕉濕。殷勤更問箇中人。門外堂堂相對立。聞啄木鳥鳴。說偈曰。剝剝剝。裡面有蟲外面啄。多少茫茫瞌睡人。頂後一錐猶未覺。若不覺。更聽山僧剝剝剝。

撫州饒氏の子。上堂、變化密かに移ること何ぞ太だ急なる、刹那念念一呼吸。八萬四千の方便門、且く道え何の門か入るべからざる。入るか入らざるか、曉來雨芭蕉を打ちて濕らす。殷勤に更に個中の人に問う、門外堂堂として相對立す。啄木鳥の鳴くを聞きて、偈を説いて曰く、剥剥剥、裏面に蟲有りて外面啄む。多少の茫茫たる瞌睡の人、頂後の一錐猶ほ未だ覺えず。若し覺えざれば、更に山僧の剥剥剥を聽け

慧林深禪師法嗣

慧林深禅師法嗣

臨安府靈隱寂室慧光禪師

臨安府靈隱寂室慧光禅師

錢塘夏侯氏。僧問。飛來山色示清淨法身。合㵎溪聲演廣長舌相。正當恁麼時。如何是雲門一曲。師曰。芭蕉葉上三更雨。曰。一句全提超佛祖。滿筵朱紫盡知音。師曰。逢人不得錯舉。上堂。不用求真。何須息見。倒騎牛兮入佛殿。羗笛一聲天地空。不知誰識瞿曇面。

錢塘夏侯氏。僧問う、飛來の山色淸淨の法身を示し、合澗の溪聲廣長の舌相を演ぶ。正に當る恁麼の時、如何なるか是れ雲門の一曲。師曰く、芭蕉の葉上三更の雨。曰く、一句全く提して佛祖を超え、滿筵の朱紫盡く知音。師曰く、人に逢い錯擧することを得ず。上堂、真を求むるを用いず、何の須らく見を息めん。牛に倒騎し兮佛殿に入る。羌笛一聲天地空しく、知らず誰か瞿曇の面を識る

台州國清愚谷妙印禪師

台州國淸愚谷妙印禅師

上堂。滿口道得底。為甚麼不知有。十分知有底。為甚麼滿口道不得。且道誵訛在甚麼處。若也知得。許你照用同時。明闇俱了。其或未然。道得道不得。知有不知有。南山石大蟲。解作師子吼。

上堂、滿口道い得るは、什麼を以てか有るを知らざる。十分に有るを知るは、什麼を以てか滿口道い得ざる。且く道え、淆訛は什麼の處に在る。若しも知り得れば、汝を許さん照用同時、明暗俱に了と。其れ或いは未然ならば、道い得道い得ず、有るを知り有るを知らず。南山の石大蟲、解けて師子吼を作す

台州國清垂慈普紹禪師

台州國淸垂慈普紹禅師

上堂。靈雲悟桃花。玄沙傍不肯。多少痴禪和。擔雪去填井。今春花又開。此意誰能領。端的少人知。花落春風靜。

上堂、靈雲桃花に悟り、玄沙傍に肯ぜず。多少の痴禅和、雪を擔いで去りて井を填む。今年の春花又開く、此の意誰か能く領かん。端的に知る人少なし、花落ちて春風靜かなり

泉州九座慧邃禪師

泉州九座慧邃禅師

上堂。九座今日向孤峰絕頂駕一隻鐵船。截斷天下人要津。教他揮篙動棹不得。有箇錦標子。且道在甚麼人手裡。拈拄杖曰。看。看。向道是龍剛不信。等閑奪得始驚人。

上堂、九座今日孤峰の絶頂に向かって一隻の鐵船を駕り、天下人の要津を截斷し、彼をして篙を揮い棹を動かすを得ざらしむ。個の錦標子有り、且く道え什麼人の手裏に在る。拄杖を拈じて曰く、看、看。道えて曰く是れ龍なりとも剛く信ぜず、等閑に奪得して始めて人を驚かす

報恩然禪師法嗣

報恩然禅師法嗣

秀州資聖元祖禪師

秀州資聖元祖禅師

僧問。紫金蓮捧千輪足。白玉毫輝萬德身。如何是佛。師曰。拖槍帶甲。曰。貫花千偈雖殊品。標月還歸理一如。如何是法。師曰。元豐條。紹興令。曰。林下雅為方外客。人間堪作火中蓮。如何是僧。師曰。披席把椀。

僧問う、紫金の蓮千輪の足を捧げ、白玉の毫萬德の身を輝かす。如何なるか是れ佛。師曰く、槍を拖り甲を帶ぶ。曰く、花を貫く千偈殊の品なりと雖も、月を標するは還た理一如に歸す。如何なるか是れ法。師曰く、元豐の條、紹興の令。曰く、林下に雅かに方外の客と為り、人間に堪えて火中の蓮と作る。如何なるか是れ僧。師曰く、席を披き碗を把る

慧林海禪師法嗣

慧林海禅師法嗣

廬山萬杉壽堅禪師

廬山萬杉壽堅禅師

相州人。歲旦。上堂。有一人不拜歲。不迎新。寒暑不能侵其體。聖凡不能混其跡。從來鼻孔遼天。誰管多年曆日。大眾且道。此人即今在甚麼處。卓拄杖曰。咄咄咄。沒處去。

相州の人。歲旦に上堂、一人有りて歲を拜せず、新を迎えず。寒暑其の體を侵す能わず、聖凡其の跡を混ずる能わず。從來鼻孔遼天にして、誰か多年の歷日を管せん。大衆且く道え、此の人即ち今什麼の處に在る。拄杖を卓して曰く、咄咄咄、沒し去る處無し

開先宗禪師法嗣

開先宗禅師法嗣

瑞州黃檗惟初禪師

瑞州黄檗惟初禅師

常州蔡氏子。上堂。我見宗大哥。平生槁默危坐。所謂朽木形骸。未甞口角譊譊。將佛祖言教以當門庭。祇要當人歇得十成。自然不向這殻漏子上著倒。有僧問。既不向這殻漏子上著倒。未審如何保任。師曰。無你用心處。曰。和尚豈無方便。師曰。𨫼餅既無汁。壓沙那有油。

常州蔡氏の子。上堂、我宗大哥を見るに、平生槁默して危坐し、所謂朽木の形骸、未曾だ口角饒饒として、佛祖の言教を將て門庭に當てず。只だ當人歇して十成を得んを要すれば、自然に這の殼漏子の上に向かって著倒せず。僧有りて問う、既に這の殼漏子の上に向かって著倒せざれば、未だ審かに如何に保任するを知らず。師曰く、汝の用心する處無し。曰く、和尚豈に方便無からんや。師曰く、餅既に汁無し(此の字金に從う、當に「餅」の僻寫とすべし)、沙を壓して哪か油有らん

潭州嶽麓海禪師

潭州岳麓海禅師

僧問。進前三步時如何。師曰。撞頭磕額。曰。退後三步時如何。師曰。墮坑落壍。曰。不進不退時如何。師曰。立地死漢。

僧問う、前三步進む時如何。師曰く、頭に撞え額に磕す。曰く、後三步退く時如何。師曰く、坑に墮ち壍に落つ。曰く、進まず退かざる時如何。師曰く、地に立つ死漢

雪峰演禪師法嗣

雪峰演禅師法嗣

福州西禪慧舜禪師

福州西禅慧舜禅師

真定府人。上堂。五日一參。三八普說。千說萬說。橫說竪說。忽有箇漢出來道。說即不無。爭奈三門頭兩箇不肯。山僧即向他道。瞎漢若不得他兩箇。西禪大似不遇知音。

真定府の人。上堂、五日一参、三八に普説す。千説萬説、橫説竪説す。忽ち個の漢有りて出で來りて曰く、説けば即ち無からず、怎んぞ三門頭の兩個の肯ぜざるを奈何せん。山僧即ち他に向かって説け、瞎漢、若し他の兩個を得ざれば、西禅大いに似たり知音に遇わざるに

青原下十五世

青原の下十五世

雪竇明禪師法嗣

雪竇明禅師法嗣

密州𡺸山寧禪師

密州某山寧禅師(底本「山」の上の一字生僻字と為す、未だ確指する能わず)

上堂。有時孤峰頂上嘯月眠雲。有時大洋海中翻波走浪。有時十字街頭七穿八穴。諸人還相委悉麼。樟樹花開盛。芭蕉葉最多。

上堂、或る時は孤峰の頂上に月に嘯き雲に眠り、或る時は大洋の海中に波を翻し浪を走らし、或る時は十字街頭に七穿八穴す。諸人還た相い委悉するか。樟樹花開きて盛んに、芭蕉の葉最も多し

淨慈昌禪師法嗣

淨慈昌禅師法嗣

臨安府五雲悟禪師

臨安府五雲悟禅師

苕溪人也。上堂。月堂老漢道。行不見行。是箇甚麼。坐不見坐。是箇甚麼。著衣時不見著衣。是箇甚麼。吃飯時不見吃飯。是箇甚麼。山僧雖與他同床打睡。要且各自做夢。何故。行見行。坐見坐。著衣時見著衣。吃飯時見吃飯。無有不見底道理。亦無箇是甚麼。諸人且道。老漢底是。五雲底是。拈拄杖卓一下。曰。桃紅李白薔薇紫。問著春風總不知。

苕溪の人なり。上堂、月堂の老漢説く、行くに行くを見ず、是れ個の什麼ぞ。坐するに坐を見ず、是れ個の什麼ぞ。衣を著くる時衣を著くるを見ず、是れ個の什麼ぞ。飯を吃する時飯を吃するを見ず、是れ個の什麼ぞ。山僧他と同じく床に睡り打つと雖も、要なれども各々夢を做す。什麼を以て。行くに行くを見、坐するに坐を見、衣を著くる時衣を著くるを見、飯を吃する時飯を吃するを見。見ざるの道理有ること無く、亦た個の是れ什麼ぞとする無し。諸人且く道え、老漢の底是れか、五雲の底是れか。拄杖を拈じて一下卓して曰く、桃紅く李白き薔薇紫なり、春風に問著くれば總て知らず

靈隱光禪師法嗣

靈隱光禅師法嗣

臨安府中竺痴禪元妙禪師

臨安府中竺痴禅元妙禅師

婺州王氏。僧問。如何是截斷眾流句。師曰。佛祖開口無分。曰。如何是函蓋乾坤句。師曰。匝地普天。曰。如何是隨波逐浪句。師曰。有時入荒草。有時上孤峰。上堂。黃昏雞報曉。半夜日頭明。驚起雪師子。瞠開紅眼睛。上堂。去年梅。今歲柳。顏色馨香。喝一喝。良久曰。若不得這一喝。幾乎道著依舊。且道道著後如何。眼睛突出。

婺州王氏。僧問う、如何なるか是れ衆流を截斷するの句。師曰く、佛祖口を開くに分無し。曰く、如何なるか是れ乾坤を函蓋するの句。師曰く、地に匝く天に普し。曰く、如何なるか是れ波に隨い浪を逐うの句。師曰く、或る時は荒草に入り、或る時は孤峰に上る。上堂、黃昏に鷄曉を報じ、半夜に日頭明るし。雪の師子を驚起せしめ、紅の眼睛を瞠開く。上堂、去年の梅、今歲の柳、顏色馨香なり。一喝す。沈黙許久して曰く、若し此の一喝を得ざれば、幾ほどに道著きて依舊せん。且く道え、道著きて後如何。眼睛突出せん

圓覺曇禪師法嗣

圓覺曇禅師法嗣

撫州靈巖圓日禪師

撫州靈巖圓日禅師

上堂。悟無不悟。得無不得。九年面壁空勞力。三腳驢兒跳上天。泥牛入海無蹤跡。為甚如此。九九八十一。

上堂、悟りて悟る無く、得て得る無し。九年壁に面して空しく勞力す。三脚の驢兒跳んで天に上り、泥牛海に入りて蹤跡無し。什麼を以て此の如くする。九九八十一

嶽麓海禪師法嗣

岳麓海禅師法嗣

荊門軍玉泉思達禪師

荆門軍玉泉思達禅師

僧問。如何是一印印空。師曰。萬象收歸古鑑中。曰。如何是一印印水。師曰。秋蟾影落千江裡。曰。如何是一印印泥。師曰。細觀文彩未生時。

僧問う、如何なるか是れ一印の空に印する。師曰く、萬象收め歸めて古鑑の中。曰く、如何なるか是れ一印の水に印する。師曰く、秋蟾の影千江の裏に落つ。曰く、如何なるか是れ一印の泥に印する。師曰く、細に觀よ文彩未だ生ぜざる時を

青原下十六世

青原の下十六世

中竺妙禪師法嗣

中竺妙禅師法嗣

溫州光孝巳菴深禪師

溫州光孝巳庵深禅師

本郡人也。上堂曰。龍生龍鳳生鳳。老鼠養兒㳂屋棟。達磨大師不會禪。歷魏遊梁乾打閧。上堂。一九二九。相逢不出手。三九二十七。籬頭吹觱栗。翻憶小釋迦。雙手抱屈膝。知不知。實不實。摩訶般若波羅蜜。上堂。維摩默然。普賢廣說。歷代聖人互呈醜拙。君不見。落花三月子規啼。一聲聲是一點血。上堂。風蕭蕭。葉飄飄。雲片片。水茫茫。江干獨立向誰說。天外飛鴻三兩行。

本郡の人なり。上堂曰く、龍は龍を生み、鳳は鳳を生じ、老鼠兒を養いて屋棟に沿う。達磨大師禅を會せず、魏を歷り梁に游びて干く哄を打つ。上堂、一九二九、相逢えば手を出ださず。三九二十七、籬頭に觱栗を吹く。翻えりて小釋迦を憶う、雙手膝を抱きて屈す。知るか知らざるか、實なるか實ならざるか、摩訶般若波羅蜜。上堂、維摩默然、普賢廣説す。歷代の聖人互いに醜拙を呈す。汝見ずや、落花三月子規啼く、一聲々は是れ一點の血。上堂、風蕭蕭、葉飄飄。雲片片、水茫茫。江干に獨り立ちて誰に向かって説かん、天外の飛鴻兩三行

五燈會元 巻第十六

五燈會元 巻第十七

臨濟宗

臨濟宗

南嶽下十一世

南岳の下十一世

石霜圓禪師法嗣

石霜圓禅師法嗣

隆興府黃龍慧南禪師

隆興府黃龍慧南禅師

信州章氏子。依泐潭澄禪師。分座接物。名振諸方。偶同雲峰悅禪師遊西山。夜話雲門法道。峰曰。澄公雖是雲門之後。法道異矣。師詰其所以異。峰曰。雲門如九轉丹砂。點鐵成金。澄公藥汞銀徒可翫。入煅則流去。師怒。以枕投之。明日。峰謝過。又曰。雲門氣宇如王。甘死語下乎。澄公有法授人。死語也。死語。其能活人乎。即背去。師挽之曰。若如是。則誰可汝意。峰曰。石霜圓手段出諸方。子宜見之。不可後也。師默計之曰。悅師翠巖。使我見石霜。於悅何有哉。即造石霜。中途聞慈明不事事。忽叢林。遂登衡嶽。乃謁福嚴賢。賢命掌書記。俄賢卒。郡守以慈明補之。既至。目其貶剝諸方。件件數為邪解。師為之氣索。遂造其室。明曰。書記領徒遊方。借使有疑。可坐而商略。師哀懇愈切。明曰。公學雲門禪。必善其旨。如雲放洞山三頓棒。是有吃棒分.無吃棒分。師曰。有吃棒分。明色莊曰。從朝至暮。鵲噪鴉鳴。皆應吃棒。明即端坐。受師炷香作禮。明復問。趙州道。臺山婆子。我為汝勘破了也。且那裡是他勘破婆子處。師汗下不能加答。次日又詣。明詬罵不已。師曰。罵豈慈悲法施耶。明曰。你作罵會那。師於言下大悟。作頌曰。傑出叢林是趙州。老婆勘破沒來由。而今四海清如鏡。行人莫與路為讎。呈慈明。明頷之。後開法同安。初受請日。泐潭遣僧來審。師提唱之語。有曰。智海無性。因覺妄而成凡。覺妄元虗。即凡心而見佛。便爾休去。將謂同安無摺合。隨汝顛倒所欲。南斗七。北斗八。僧歸。舉似澄。澄不懌。自是泐潭舊好絕矣。問。儂家自有同風事。如何是同風事。師良久。僧曰。恁麼則起動和尚去也。師曰。靈利人難得。僧禮拜。示眾曰。江南之地。春寒秋熱。近日已來。滴水滴凍。僧問。滴水滴凍時如何。師曰。未是衲僧分上事。曰。如何是衲僧分上事。師曰。滴水滴凍。

信州章氏の子。泐潭澄禅師に依りて、座を分かちて物を接し、名諸方に振る。偶雲峰悅禅師と同じく西山に游びて、夜に雲門の法道を話す。峰曰く、澄公雲門の後なりと雖も、法道異なり。師其の異なる所以を詰る。峰曰く、雲門は九轉の丹砂の如く、鐵を點じて金と成す。澄公は藥汞の銀、徒らに翫ぶべく、煅に入れば流れ去る。師怒りて、枕を以て之に投ぐ。明日、峰過ちを謝す。又曰く、雲門氣宇王の如し、甘んじて死語の下に在らんか。澄公人に授くる法有り、死語なり。死語、其れ能く人を活かさんか。即ち背きて去る。師彼を挽き住めて曰く、若し是の如くなれば、則ち誰か汝の意に可ならん。峰曰く、石霜圓の手段諸方より出づ、汝宜しく之に見ゆべし、後るべからず。師默かに計いて曰く、悅翠巖に師し、我をして石霜に見えしむ、悅に於て何の有らん。即ち往きて石霜を造る。中途にして慈明の事を事とせず、叢林に荒忽たるを聞き、於是衡岳に登り、乃ち福嚴賢を謁す。賢書記を掌らしむ。程なく賢卒し、郡守慈明を以て之に補す。既に至りて、其の諸方を貶剥するを看れば、件々邪解と數えて、師之が為に氣索し、於是其の室に造る。明曰く、書記徒を領して方に游ぶ、借いて疑有らば、坐して商略すべし。師哀懇愈々切なり。明曰く、公雲門禅を學ぶ、必ず其の旨を善くせん。如く説く洞山の三頓棒を放つは、是れ棒を喫する分有るか、棒を喫する分無きか。師曰く、棒を喫する分有り。明神色莊重にして曰く、朝より暮に至るまで、鵲噪き鴉鳴く、皆な應に棒を喫すべし。明即ち端坐して、師の炷香作禮を受く。明又問う、趙州説く、台山の婆子、我汝の為に勘破し了れり。且く哪らか是れ他の婆子を勘破せる處。師汗下して加答する能わず。次日又詣づれば、明詬罵已まず。師曰く、罵るは豈に慈悲の法施ならんや。明曰く、汝罵と會する那。師言下に於て大悟す。頌を作りて曰く、叢林に傑出するは是れ趙州、老婆勘破すれど來由無し。而今四海淸くして鏡の如く、行路の人路を仇と與うる莫れ。慈明に呈すれば、明之を頷く。後に同安に法を開く。初めて請を受くる日、泐潭僧を遣して師の提唱の語を審め來らしむ。話有りて曰く、智海性無し、妄を覺るに因りて凡と成る。妄を覺る元より虚なり、即ち凡心にして佛を見る。便ち爾く休し去れば、將に同安折合無しと謂わんとして、汝の顛倒する所の欲に隨え。南斗七、北斗八。僧歸りて、澄に擧似す。澄悅ばず。此より泐潭の舊好絶えたり。問う、儂家自ら同風の事有り、如何なるか是れ同風の事。師沈黙許久す。僧曰く、恁麼ならば和尚を起動して去らん。師曰く、靈利の人得難し。僧禮拜す。衆に示して曰く、江南の地、春寒く秋熱し。近日已來、水滴りて凍る。僧問う、水滴りて凍る時如何。師曰く、未だ是れ衲僧分上の事ならず。曰く、如何なるか是れ衲僧分上の事。師曰く、水滴りて凍る

問。牛頭未見四祖時。為甚麼百鳥䘖華獻。師曰。釘根桑樹。闊角水牛。曰。見後為甚麼不䘖華。師曰。裩無襠。袴無口。問。無為無事人。猶是金鎻難。未審過在甚麼處。師曰。一字入公門。九牛車不出。曰。學人未曉。乞師方便。師曰。大庾嶺頭。笑卻成哭。問。一不去。二不住。請師道。師曰。高祖殿前樊噲怒。曰。恁麼則今日得遇和尚也。師曰。仰面看天不見天。問。德山棒。臨濟喝。直至如今。少人拈掇。請師拈掇。師曰。千鈞之弩。不為鼷鼠而發機。曰。作家宗師。今朝有在。師便喝。僧禮拜。師曰。五湖衲子。一錫禪人。未到同安。不妨疑著。上堂。橫吞巨海。倒卓須彌。衲僧面前。也是尋常茶飯。行腳人須是荊棘林內。坐大道場。向和泥合水處。認取本來面目。且作麼生見得。遂拈拄杖曰。直饒見得。未免山僧拄杖。上堂。聖凡情盡。體露真常。拈起拂子。曰。拂子𨁝跳上三十三天。搊脫帝釋鼻孔。驢唇先生拊掌大笑道。盡十方世界覓箇識好惡底人。萬中無一。擊禪床。下座。上堂。說妙談玄。乃太平之姦賊。行棒行喝。為亂世之英雄。英雄姦賊。棒喝玄妙。皆為長物。黃檗門下總用不著。且道黃檗門下尋常用箇甚麼。喝一喝。上堂。撞鐘鐘鳴。擊皷皷響。大眾殷勤問訊。同安端然合掌。這箇是世法。那箇是佛法。咄。上堂。有一人朝看華嚴。暮觀般若。晝夜精勤。無有暫暇。有一人不參禪。不論義。把箇破蓆日裡睡。於是二人同到黃龍。一人有為。一人無為。安下那一箇即是。良久曰。功德天。黑暗女。有智主人。二俱不受。上堂。心王不妄動。六國一時通。罷拈三尺劍。休弄一張弓。擊禪床。下座。上堂。道遠乎哉。觸事而真。聖遠乎哉。體之即神。乃拈拄杖曰。道之與聖。總在歸宗拄杖頭上。汝等諸人。何不識取。若也識得。十方剎土。不行而至。百千三昧。無作而成。

問う、牛頭未だ四祖に見えざる時、什麼を以てか百鳥花を銜えて獻ずる。師曰く、釘根は桑の樹、濶角は水の牛。曰く、見えて後什麼を以てか花を銜えざる。師曰く、裩襠無く、褲口無し。問う、無為無事の人、猶ほ是れ金金鎖の難。未だ審かに過什麼の處に在るを知らず。師曰く、一字公門に入れば、九牛車出ださず。曰く、學人未だ曉らず、師の方便を乞う。師曰く、大庾の嶺頭、笑うて卻って哭と成る。問う、一去らず、二住まらず、師の道うを請う。師曰く、高祖の殿前樊噲怒る。曰く、恁麼ならば今日和尚に遇うを得たり。師曰く、面を仰ぎて天を看れども天を見ず。問う、德山の棒、臨濟の喝、直に如今に至りて、拈掇する人少なし。師の拈掇を請う。師曰く、千鈞の弩、鼷鼠の為に機を發せず。曰く、作家の宗師、今朝在り。師便ち喝す。僧禮拜す。師曰く、五湖の衲子、一錫の禅人、未だ同安に到らざれば、疑著するに妨げず。上堂、巨海を橫吞し、須弥を倒卓す。衲僧の面前、亦是れ尋常の茶飯。行脚の人須らく是れ荊棘の林內、大道場に坐せん。和泥合水の處に向かって、本來の面目を認取せん。且く作麼生に見得せん。於是拄杖を拈じて曰く、直饒見得すとも、未だ山僧の拄杖を免れず。上堂、聖凡の情盡き、體真常を露わす。拂子を拈起して曰く、拂子蹦跳して三十三天に上り、帝釋の鼻孔を搊脱す。驢唇の先生掌を拊して大笑して道う、十方世界を盡くして個の好惡を識る人を覓るに、萬中一無し。禅床を擊ち、下座。上堂、妙を説き玄を談ずるは、乃ち太平の奸賊、棒を行じ喝を行ずるは、亂世の英雄と為る。英雄奸賊、棒喝玄妙、皆な長物と為る。黃檗の門下總て用いて著かず。且く道え、黃檗の門下尋常個の什麼を用いる。一喝す。上堂、鐘を撞けば鐘鳴り、鼓を擊てば鼓響く。大衆殷勤に問訊し、同安端然として合掌す。這個は是れ世法、那个は是れ佛法。咄。上堂、一人有りて朝に華嚴を看、暮に般若を觀て、晝夜精勤して暫の暇無し。一人有りて禅を參ぜず、義を論ぜず、個の破席を把りて日裏に睡る。於是二人同じく黃龍に到る。一人有為、一人無為。安く下すは哪一個か即ち是れ。沈黙許久して曰く、功德の天、黑暗の女。智有る主人、二俱に受けず。上堂、心王妄動せざれば、六國一時に通ず。三尺の劍を拈するを罷め、一張の弓を弄するを休む。禅床を擊ち、下座。上堂、道遠しや哉、事に觸れて真なり。聖遠しや哉、之を體すれば即ち神なり。於是拄杖を拈じて曰く、道と聖と、總て歸宗の拄杖の頭上に在り。你們諸人、何ぞ識取せざる。若しも識得せば、十方の刹土、行かずして至り、百千の三昧、作せずして成る

若也未識。有寒暑兮促君壽。有鬼神兮妬君福。上堂。半夜捉烏雞。驚起梵王睡。毗嵐風忽起。吹倒須彌山。官路無人行。私酒多人吃。當此之時。臨濟德山開得口。張得眼。有棒有喝用不得。汝等諸人各自尋取祖業契書。莫認驢鞍橋作阿爺下頷。上堂。舉大珠和尚道。身口意清淨。是名佛出世。身口意不淨。是名佛滅度。也好箇消息。古人一期方便。與你諸人計箇入路。既得箇入路。又須得箇出路。登山須到頂。入海須到底。登山不到頂。不知宇宙之寬廣。入海不到底。不知滄溟之淺深。既知寬廣。又知淺深。一踏踏飜四大海。一摑摑倒須彌山。撒手到家人不識。鵲噪鴉鳴柏樹間。上堂。千般說。萬般喻。祇要教君早回去。去何處。良久雲。夜來風起滿庭香。吹落桃華三五樹。因化主歸。上堂。世間有五種不易。一化者不易。二施者不易。三變生為熟者不易。四端坐吃者不易。更有一種不易是甚麼人。良久雲。聻。便下座(時翠巖真為首座。藏主問雲。適來和尚道。第五種不易。是甚麼人。真曰。腦後見腮。莫與往來)。上堂。拈拄杖曰。橫拈倒用。撥開彌勒眼睛。明去暗來。敲落祖師鼻孔。當是時也。目連鶖子飲氣吞聲。臨濟德山呵呵大笑。且道笑箇甚麼。咄。師室中常問僧曰。人人盡有生緣。上座生緣在何處。正當問答交鋒。卻復伸手曰。我手何似佛手。又問。諸方參請。宗師所得。卻復垂腳曰。我腳何似驢腳。三十餘年。示此三問。學者莫有契其旨。脫有酬者。師未甞可否。叢林目之為黃龍三關。師自頌曰。生緣有語人皆識。水母何曾離得鰕。但見日頭東畔上。誰能更吃趙州茶。我手佛手兼舉。禪人直下薦取。不動干戈道出。當處超佛越祖。我腳驢腳竝行。步步踏著無生。會得雲收日卷。方知此道縱橫。總頌曰。生緣斷處伸驢腳。驢腳伸時佛手開。為報五湖參學者。三關一一透將來。

(師接續いて曰く、)若しも未だ識らざれば、寒暑有りて兮君の壽を促し、鬼神有りて兮君の福を妒む。上堂、半夜に烏鷄を捉え、梵王の睡りを驚起す。毘嵐の風忽ち起こり、須弥山を吹倒す。官路人の行く無く、私酒人の喫する多し。此の時に當りて、臨濟・德山口を開き得、眼を張り得るも、棒有り喝有れども用いるを得ず。你們諸人各自祖業の契書を尋取せよ、驢鞍の橋を認めて阿爺の下頷と作す莫れ。上堂、大珠和尚の説くを擧ぐ、身口意淸淨なるは、是を佛出世と名づく。身口意不淨なるは、是を佛滅度と名づく。亦た好個の消息。古人一期の方便、汝の諸人に個の入路を計う。既に個の入路を得たり、又須らく個の出路を得べし。山に登れば須らく頂に到り、海に入れば須らく底に到るべし。山に登りて頂に到らざれば、宇宙の寬廣を知らず、海に入りて底に到らざれば、滄溟の淺深を知らず。既に寬廣を知り、又淺深を知れば、一踏四大海を踏翻し、一掴須弥山を掴倒す。手を撒きて家に到れば人識らず、鵲噪き鴉鳴く柏樹の間。上堂、千般に説き、萬般に喻うも、只だ君をして早く回去らしめんと要す。何の處に去る。沈黙許久して曰く、夜來風起きて庭に香滿ち、吹落す桃花三五樹。化主歸り来るに因る。上堂、世間に五種の不易有り。一に化する者不易、二に施する者不易、三に生を熟に變ずる者不易、四に端坐して喫する者不易。更に一種の不易有りて是れ什麼人ぞ。沈黙許久して曰く、呢。便ち下座。(當時翠巖真首座と為す。藏主問う、適來和尚の説く、第五種の不易、是れ什麼人ぞ。真曰く、腦後腮を見るは、與に往來する莫れ。)上堂、拄杖を拈じて曰く、橫に拈じ倒に用いて、撥き開く彌勒の眼睛、明去り暗來りて、敲き落とす祖師の鼻孔。是の時に當りて、目連・鶖子氣を飮み聲を吞み、臨濟・德山呵呵として大笑す。且く道え、個の什麼を笑う。咄。老師室中に常に僧に問う、人人盡く生緣有り、上座生緣は何の處に在る。正に當る問答の交鋒、卻って又手を伸べて曰く、我が手何ぞ佛手に似たる。又諸方の參請、宗師の所得を問いて、卻って又脚を垂れて曰く、我が脚何ぞ驢脚に似たる。三十餘年、此の三問を示して、學者其の旨を契える未有り。便ち酬對する有るも、師亦た未曾だ可否せず。叢林之を稱して黃龍の三關と為す。師自ら頌して曰く、生緣語有りて人皆な識る、水母何ぞ曾て蝦を離れ得ん。但だ見る日頭東の畔に上る、誰か能く更に趙州の茶を喫せん。我が手佛手兼ねて擧ぐ、禅人直下に薦取せよ。干戈を動かさずして道出づ、處に當りて佛を超え祖を越ゆ。我が脚驢脚並び行う、步步無生を踏著す。會得すれば雲收り日卷けて、方に知る此の道縱橫たりと。總頌して曰く、生緣斷ずる處驢脚を伸べ、驢脚伸ぶる時佛手開く。五湖の參學者に報いん為めに、三關一一將來に透せ

熈寧己酉三月十六日。四祖演長老通嗣法書。上堂。山僧才輕德薄。豈堪人師。蓋不昧本心。不欺諸聖。未免生死。今免生死。未出輪迴。今出輪迴。未得解脫。今得解脫。未得自在。今得自在。所以大覺世尊於然燈佛所無一法可得。六祖夜半於黃梅又傳箇甚麼。乃說偈曰。得不得。傳不傳。歸根得旨復何言。憶得首山曾漏洩。新婦騎驢阿家牽。翌日午時。端坐示寂。闍維得五色舍利。塔於前山。諡普覺禪師。

熙寧己酉三月十六日、四祖演長老嗣法の書を通ず。上堂、山僧才輕く德薄く、豈に堪えん人の師と為るに。只だ因みに本心を昧くせず、諸聖を欺かず。未だ生死を免れざるも、今生死を免れ、未だ輪回を出でざるも、今輪回を出で、未だ解脫を得ざるも、今解脫を得、未だ自在を得ざるも、今自在を得たり。所以に大覺世尊然燈佛の所に於て一法も得べき無し。六祖夜半に黄梅に於て又個の什麼を傳えたる。於是偈を説いて曰く、得るか得ざるか、傳えるか傳えざるか、根に歸り旨を得れば復た何をか言わん。憶い得たり首山曾て漏泄せし、新婦驢に騎りて阿家牽く。翌日午時、端坐して寂を示す。闍維(火葬)して五色の舍利を得、前山に塔す。諡して普覺禅師と曰う

南嶽下十二世

南岳の下十二世

黃龍南禪師法嗣

黃龍南禅師法嗣

隆興府黃龍祖心寶覺禪師

隆興府黃龍祖心寶覺禅師

南雄鄔氏子。參雲峰悅禪師。三年無所得。辭去。悅曰。必往依黃檗南禪師。師至黃檗。四年不大發明。又辭。再上雲峰。會悅謝世。就止石霜。因閱傳燈。至僧問多福。如何是多福一叢竹。福曰。一莖兩莖斜。曰。不會。福曰。三莖四莖曲。師於此開悟。徹見二師用處。徑回黃檗。方展坐具。檗曰。子已入吾室矣。師踴躍曰。大事本來如是。和尚何得教人看話。百計搜尋。檗曰。若不教你如此究尋。到無心處自見自肯。即吾埋沒汝也。住後。僧問。達磨九年面壁。意旨如何。師曰。身貧無被蓋。曰。莫孤負他先聖也無。師曰。闍黎見處又作麼生。僧畫一圓相。師曰。燕雀不離窠。僧禮拜。師曰。更深猶自可。午後始愁人。問。未登此座時如何。師曰。一事全無。曰。登後如何。師曰。仰面觀天不見天。上堂。愚人除境不忘心。智者忘心不除境。不知心境本如如。觸目遇緣無障礙。遂舉拂子曰。看。拂子走過西天。卻來新羅國裡。知我者謂我拖泥帶水。不知我者嬴得一場怪誕。上堂。大凡窮生死根源。直須明取自家一片田地。教伊去處分明。然後臨機應用。不失其宜。祗如鋒芒未兆已前。都無是箇非箇。瞥爾𪹼動。便有五行金土相生相剋。胡來漢現。四姓雜居。各任方隅。是非鋒起。致使玄黃不辨。水乳不分。疾在膏肓。難為救療。若不當陽曉示。窮子無以知歸。欲得大用現前。便可頓忘諸見。諸見既盡。昏霧不生。大智洞然。更非他物。珍重。上堂。擊禪床曰。一塵才舉。大地全收。諸人耳在一聲中。一聲徧在諸人耳。若是摩霄俊鶻。便合乘時。止濼困魚。徒勞激浪。上堂。不與萬法為侶。即是無諍三昧。便恁麼去。爭奈絃急則聲促。若能向紫羅帳裡撒真珠。未必善因而招惡果。上堂。有句無句。如藤倚樹。且任諸人點頭。及乎樹倒藤枯。上無沖天之計。下無入地之謀。靈利漢這裡著得一隻眼。

南雄鄔氏の子。雲峰悅禅師に參じ、三年所得無く、辭して去る。悅曰く、必ず往きて黃檗南禅師に依れ。師黃檗に至り、四年大いに發明せず、又辭す。再び雲峰に上るに、正に悅の世を謝するに逢い、就いて石霜に止まる。《傳燈》を閱するに因り、僧の多福に問う、如何なるか是れ多福の一叢の竹。福曰く、一莖兩莖斜めなり。曰く、會せず。福曰く、三莖四莖曲がれり。師此に於て開悟し、二師の用用處を徹見す。徑りに黃檗に回る。方に坐具を展ぶるに、檗曰く、汝已に吾が室に入れり。師踊躍して曰く、大事本來是の如し、和尚何ぞ人をして話を看せしめ、百計搜尋せしむるを得ん。檗曰く、若し汝を敎えて此の如く究尋せしめざれば、無心の處に到りて自見自肯せん、即ち吾汝を埋沒せん。住して後、僧問う、達磨九年壁に面す、意旨如何。師曰く、身貧しく被蓋無し。曰く、莫れや他の先聖に辜負する無しや。師曰く、闍黎の見處又作麼生。僧一個の圓相を畫く。師曰く、燕雀窠を離れず。僧禮拜す。師曰く、更に深ければ猶ほ自ら可なり、午後始めて人を愁えしむ。問う、未だ此の座に登らざる時如何。師曰く、一事全く無し。曰く、登りて後如何。師曰く、面を仰ぎて天を觀れども天を見ず。上堂、愚人は境を除きて心を忘れず、智者は心を忘れて境を除かず。知らず心境本より如如なるを、目に觸れ緣に遇いて障礙無し。於是拂子を擧げて曰く、看。拂子西天を走り過ぎて、卻って來りて新羅の國裏。我を知る者は我を謂う泥を拖び水を帶ぶと、我を知らざる者は贏得す一場の怪誕。上堂、大凡生死の根源を窮むるに、直に須らく自家一片の田地を明取して、伊をして去處分明ならしめ、然る後機に臨みて應用して、其の宜しきを失わざるべし。只だ如く鋒芒未だ兆さざる已前、都て是れ個に非ず個に非ず。瞥爾として纔かに動けば(此の字火に從う、文意に據りて讀む)、便ち五行金土相生相克有り、胡來り漢現じ、四姓雜居し、各々方隅に任じ、是非鋒起り、致して玄黄辨えず、水乳分かれざらしむ。疾膏肓に在りて、救療し難し。若し當陽に曉示せざれば、窮子以て歸る所を知る無し。大用現前を得んと欲せば、便ち諸見を頓忘すべし。諸見既に盡くれば、昏霧生ぜず。大智洞然として、更に他物に非ず。珍重。上堂、禅床を擊ちて曰く、一塵纔かに擧がれば、大地全く收む。諸人の耳一聲の中に在り、一聲遍く諸人の耳に在り。若し是れ霄を摩する俊鶻ならば、便ち合して時に乘ずべし、泺に止まる困魚は、徒らに浪を激す。上堂、萬法と侶と為らざれば、即ち是れ無諍の三昧。便ち恁麼に去れば、怎んぞ弦急なれば則ち聲促なるを奈何せん。若し能く紫羅の帳裏に向かって真珠を撒かば、未だ必ずしも善因に因りて惡果を招かず。上堂、句有り句無きは、藤の樹に倚るが如し。且く諸人の點頭に任せよ。及んで樹倒れ藤枯れ、上に天を衝くの計無く、下に地に入るの謀無し。靈利の漢這裏に一隻の眼を著く

便見七縱八橫。舉拂子曰。看太陽溢目。萬裡不掛片雲。若是覆盆之下。又爭怪得老僧。上堂。若也單明自己。不悟目前。此人有眼無足。若悟目前。不明自己。此人有足無眼。據此二人。十二時中常有一物。蘊在𮌎中。物既在𮌎。不安之相。常在目前。既在目前。觸途成滯。作麼生得平穩去。祖不言乎。執之失度。必入邪路。放之自然。體無去住。上堂。良工未出。玉石不分。巧冶無人。金沙混雜。還有無師自悟底麼。出來辨別看。乃舉拂子曰。且道是金是沙。良久曰。見之不取。思之千里。上堂。有時開門待知識。知識不來過。有時把手上高山。高山人不顧。或作敗軍之將。向闍黎手裡拱手歸降。或為忿怒那吒。敲骨打髓。正當恁麼時。還有同聲相應.同氣相求底麼。有則向百尺竿頭。進取一步。如無。少室峰前。一場笑具。上堂。心同虗空界。示等虗空法。證得虗空時。無是無非法。便恁麼休去。停橈把纜。且向灣裡泊船。若據衲僧門下。天地懸隔。且道衲僧門下。有甚長處。楖栗橫擔不顧人。直入千峰萬峰去。上堂。一不向。二不開。飜思南嶽與天台。堪笑白雲無定止。被風吹去又吹來。上堂。不是風動。不是幡動。明眼漢謾他一點也不得。仁者心動且緩緩。你向甚處見祖師。乃擲下拂子。曰。看。上堂。過去諸佛已滅。未來諸佛未生。正當現在。佛法委付黃龍。放行則恍恍惚惚。其中有物。把住則杳杳冥冥。其中有精。且道放行即是。把住即是。竿頭絲線從君弄。不犯清波意自殊。上堂。虎頭生角人難措。石火電光須密佈。假饒烈士也應難。懵底那能善回互。手擎日月。背負須彌。擲向他方。其中眾生不覺不知。其中眾生騎驢入諸人眼裡。諸人亦不覺不知。會麼。將此身心奉塵剎。是則名為報佛恩。上堂。一漚未發。古帆未徵。風信不來。無人舉櫂。正當恁麼時。水脈如何辨的。

(師接續いて曰く、)便ち見る七縱八橫。拂子を擧げて曰く、看、太陽目に溢れ、萬里片雲を掛けず。若し是れ盆を覆うの下、又怎んぞ老僧を怪むを得ん。上堂、若しも單に自己を明らかにして目前を悟らざれば、此の人眼有りて足無し。若し目前を悟りて自己を明らかにせざれば、此の人足有りて眼無し。此の二人に據れば、十二時中常に一物有り、胸中に蘊ねり。(此の字肉に從う、當に「胸」とすべし。)物既に胸に在れば、安ならざる相常に目前に在り。既に目前に在れば、途に觸れて滯りと成る。作麼生に平穩に去るを得ん。祖是れ説かざらずや、之を執れば度を失い、必ず邪路に入り、之を放てば自然、體に去住無し。上堂、良工未だ出でざれば、玉石分かれず、巧冶人無ければ、金沙混雜す。還た師無くして自悟する有るか。出で來りて辨別して看よ。於是拂子を擧げて曰く、且く道え、是れ金か是れ沙か。沈黙許久して曰く、之を見て取らざれば、之を思うこと千里。上堂、或る時は門を開きて知識を待てど、知識來らざるの過、或る時は手を把りて高山に上れど、高山人の顧みざる。或いは敗軍の將と作りて、闍黎の手裏に向かって拱手歸降し、或いは忿怒の那咤と為りて、骨を敲き髓を打つ。正に當る恁麼の時、還た同聲相應じ同氣相求むる有るか。有れば則ち百尺の竿頭に向かって一步を進取せよ、無くば、少室の峰前一場の笑具。上堂、心虚空界に同じく、示す虚空法に等し。虚空を證得する時、是の法有らず是の法無し。便ち恁麼に休し去れば、橈を停め纜を把りて、且く灣裏に向かって船を泊めよ。若し衲僧の門下に據れば、天地懸隔す。且く道え、衲僧の門下に甚の長處か有る。楖栗橫に擔いで人を顧みず、直に入る千峰萬峰に去る。上堂、一向かわず、二開かず、翻えって思う南岳と天台と。笑うべし白雲定止無く、風に吹かれて去り又吹かれて來る。上堂、風の動くに非ず、幡の動くに非ず。明眼の漢は他一點を瞞すを得ず。仁者の心動くは且く緩緩、汝甚の處に向かって祖師を見る。於是拂子を擲下して曰く、看。上堂、過去の諸佛已に滅し、未來の諸佛未だ生まれず。正に現在に當りて、佛法黃龍に委付す。放行すれば則ち恍恍惚惚として、其の中に物有り、把住すれば則ち杳杳冥冥として、其の中に精有り。且く道え、放行即是か、把住即是か。竿頭の絲線君に從い弄せん、淸波を犯さずして意自ら殊なり。上堂、虎の頭に角生じて人措き難く、石火の電光須らく密布すべし。假饒烈士なりとも應に難し、懵の底哪んぞ能く回互を善くせん。手に日月を擎げ、背に須弥を負いて、他方に擲向す、其の中の衆生覺えず知らず。其の中の衆生驢に騎りて諸人の眼裏に入る、諸人亦た覺えず知らず。會するか。此の身心を將て塵刹に奉ずるは、是を則ち佛恩に報ゆると名づく。上堂、一漚未だ發せず、古帆未だ征せず。風信來らざれば、人の棹を擧ぐる無し。正に當る恁麼の時、水脈如何に辨える

君不見雲門老。垂手處。落落清波無透路。又不見華亭叟。洩天機。夜深空載月明歸。莫怪相逢不相識。從教萬古漫漫黑。上堂。馬祖陞堂。百丈卷席。後人不善來風。盡道不留眹跡。殊不知桃華浪裡正好張帆。七里灘頭更堪垂釣。如今必有辯浮沉.識深淺底漢。試出來定當水脈看。如無。且將漁父笛。閑向海邊吹。上堂。風瀟瀟兮木葉飛。鴻鴈不來音信稀。還鄉一曲無人吹。令餘拍手空遲疑。上堂。鏡像或謂有。攬之不盈手。鏡像或謂無。分明如儼圖。所以取不得。捨不得。不可得中祇麼得。還會麼。不作維摩詰。又似傅大士。上堂。夫玄道者。不可以設功得。聖智者。不可以有心知。真諦者。不可以存我會。至功者。不可以營事為。古人一期應病與藥則不可。若是丈夫漢。出則經濟天下。不出則卷而懷之。爾若一向聲和響順。我則排斥諸方。爾若示現酒肆婬坊。我則孤峰獨宿。且道甚處是黃龍為人眼。師室中常舉拳。問僧曰。喚作拳頭則觸。不喚作拳頭則背。喚作甚麼。將入滅。命門人黃太史廷堅主後事。茶毗日。隣峰為秉炬。火不續。黃顧師之得法上首死心新禪師曰。此老師有待於吾兄也。新以喪拒。黃強之。新執炬召眾曰。不是餘殃累及我。彌天罪過不容誅。而今兩腳捎空去。不作牛兮定作驢。以火炬打一圓相曰。祇向這裡雪屈。擲炬。應手而爇。靈骨窆於普覺塔之東。諡寶覺禪師。

(師接續いて曰く、)汝見ずや雲門の老、手を垂るる處、落落たる淸波透る路無し。又見ずや華亭の叟、天機を泄らし、夜深くして空しく月明を載せて歸る。怪しむ莫れ相逢えども相い識らざるを、從教えん萬古漫漫として黑きを。上堂、馬祖堂に升れば、百丈席を卷く。後人來風を善くせず、盡く道う朕の跡を留めずと。殊に知らず桃花の浪裏正好帆を張るべく、七里の灘頭更に堪えて釣を垂るべし。如今必ず浮沈を辨え淺深を識る漢有らば、試みに出で來りて當に水脈を看るべし。無くば、且く漁父の笛を將て、閑に海邊に向かって吹かん。上堂、風蕭蕭として兮木の葉飛び、鴻雁來らずして音信稀なり。還鄕の一曲人の吹く無く、我をして手を拍ちて空しく遲疑せしむ。上堂、鏡像或いは有と謂い、之を攬むれども手に盈たず、鏡像或いは無と謂い、分明として嚴圖の如し。所以に取るに得ず、捨つるに得ず、得べからざるの中に只恁に得たり。還た會するか。維摩詰と作らず、又傅大士に似たり。上堂、夫れ玄道なる者は、功を設けて得べからず、聖智なる者は、心有りて知るべからず、真諦なる者は、我會を存するべからず、至功なる者は、事を營み為と為すべからず。古人一期病に應じて藥を與うるは則ち可なり。若し是れ丈夫の漢ならば、出でれば天下を經濟し、出でざれば卷きて之を懐う。汝若し一向に聲和し響順わば、我則ち諸方を排斥し、汝若し酒肆淫坊を示現せば、我則ち孤峰獨り宿す。且く道え、甚の處か是れ黃龍人を為すの眼。老師室中に常に拳を擧げ、僧に問う、喚びて拳頭と作さば則ち觸れ、喚びて拳頭と作さざれば則ち背く。喚びて什麼と作さん。滅に入らんと將にして、門人黃太史庭堅を命じて後事を主持せしむ。荼毗の日、鄰峰炬を秉ると為すも、火續がず。黃老師の得法の上首死心新禅師を顧みて曰く、此の老師吾が兄に待つ所有り。新喪を以て拒ぐ。黃強め之を。新炬を執りて衆に召して曰く、是れ餘殃我に累及せず、彌天の罪過誅を容れず。而今兩脚空に捎りて去り、牛と作さずんば定めて驢と作らん。火炬を以て一個の圓相を打ちて曰く、只だ這裏に向かって屈を雪げ。炬を擲てば、手に應じて燃ゆ。靈骨普覺の塔の東に葬る。諡して寶覺禅師と曰う

江州東林興龍寺常總照覺禪師

江州東林興龍寺常總照覺禅師

延平施氏子。久依黃龍。密授大法決旨。出住泐潭。次遷東林。皆符讖記。僧問。乾坤之內。宇宙之間。中有一寶。秘在形山。如何是寶。師曰。白月現。黑月隱。曰。非但聞名。今日親見。師曰。且道寶在甚麼處。曰。古殿戶開光燦爛。白蓮池畔社中人。師曰。別寶還他碧眼胡。又僧出眾。提起坐具曰。請師答話。師曰。放下著。僧又作展勢。師曰。收。曰。昔年尋劍客。今朝遇作家。師曰。這裡是甚麼所在。僧便喝。師曰。喝老僧那。僧又喝。師曰。放過又爭得。便打。上堂。乾坤大地。常演圓音。日月星辰。每談實相。飜憶先黃龍道。秋雨淋漓。連宵徹曙。點點無私。不落別處。復雲。滴穿汝眼睛。浸爛汝鼻孔。東林則不然。終歸大海作波濤。擊禪床。下座。上堂。老盧不識字。頓明佛意。佛意離文墨故。白兆不識書。圓悟宗乘。宗乘非言詮故。如此老婆心。分明入泥水。今時人猶尚抱橋柱澡洗。把䌫放船。良久曰。爭怪得老僧。

延平施氏の子。久しく黃龍に依りて、密かに大法の決旨を授かる。出でて泐潭を住し、次いで東林に遷る、皆な識記に符す。僧問う、乾坤の內、宇宙の間、中に一寶有り、形山に秘め在り。如何なるか是れ寶。師曰く、白月現じ、黑月隱る。曰く、但だ名を聞くのみならず、今日親しく見たり。師曰く、且く道え、寶は什麼の處に在る。曰く、古殿戸開けて光燦爛、白蓮の池畔社中の人。師曰く、別の寶は他の碧眼の胡に還せ。又僧有りて衆を出でて、坐具を提起して曰く、師の答話を請う。師曰く、放下著。僧又勢を展ぶ。師曰く、收。曰く、昔年劍客を尋ぬる、今朝作家に遇う。師曰く、這裏は是れ什麼の所在ぞ。僧便ち喝す。師曰く、老僧を喝する那。僧又喝す。師曰く、放過すれば又怎んぞ得ん。便ち打つ。上堂、乾坤大地、常に圓音を演べ、日月星辰、每に實相を談ず。翻えりて先黃龍の説くを憶う、秋雨淋漓として、宵を連ね曙に徹し、點點私無く、別處に落ちず。又曰く、滴りて汝の眼睛を穿り、浸りて汝の鼻孔を爛れしむ。東林即ち然らず、終に大海に歸して波濤と作らん。禅床を擊ち、下座。上堂、老盧字を識らずして、頓に佛意を明らむ、佛意文墨を離るるが故なり。白兆書を識らずして、圓に宗乘を悟る、宗乘言詮に非ざるが故なり。此の如くの老婆心、分明に泥水に入る。今時の人猶ほ尚ほ橋柱を抱きて澡洗し、纜を把りて船を放す。沈黙許久して曰く、怎んぞ老僧を怪むを得ん

隆興府寶峰克文雲庵真淨禪師

隆興府寶峰克文雲庵真淨禅師

陝府鄭氏子。坐夏大溈。聞僧舉。僧問雲門。佛法如水中月。是否。門曰。清波無透路。師乃領解。往見黃龍不契。卻曰。我有好處。這老漢不識我。遂往香城見順和尚。順問。甚處來。師曰。黃龍來。曰。黃龍近日有何言句。師曰。黃龍近日。州府委請黃檗長老。龍垂語云。鐘樓上念讚。床腳下種菜。有人下得語契。便往住持。勝上座雲。猛虎當路坐。龍遂令去住黃檗。順不覺雲。勝首座祇下得一轉語。便得黃檗住。佛法未夢見在。師於言下大悟。方知黃龍用處。遂回見黃龍。龍問。甚處來。師曰。特來禮拜和尚。龍曰。恰值老僧不在。師曰。向甚麼處去。龍曰。天台普請。南嶽遊山。師曰。恁麼則學人得自在去也。龍曰。腳下鞋甚處得來。師曰。廬山七百五十文唱來。龍曰。何曾得自在。師指鞋曰。何甞不自在。龍駭之。開堂日。拈香祝聖。問答罷。乃曰。問話且止。祇知問佛問法。殊不知佛法來處。且道從甚麼處來。垂一足曰。昔日黃龍親行此令。十方諸佛。無敢違者。諸代祖師。一切聖賢。無敢越者。無量法門。一切妙義。天下老和尚舌頭始終一印。無敢異者。無異則且置。印在甚麼處。還見麼。若見。非僧非俗。無偏無黨。一一分付。若不見。而我自收。遂收足喝一喝曰。兵隨印轉。將逐符行。佛手驢腳生緣老。好痛與三十棒。而今會中莫有不甘者麼。若有。不妨奇特。若無。新長老謾你諸人去也。故我大覺世尊。昔於摩竭陀國。十二月八日。明星現時。豁然悟道。大地有情。一時成佛。今有釋子沙門某於東震旦國。大宋筠陽城中。六月十三日。赫日現時。又悟箇甚麼。以拂子畫曰。我不敢輕於汝等。汝等皆當作佛。僧問。如何是佛。師呵呵大笑。僧曰。何哂之有。師曰。笑你隨語生解。曰。偶然失利。師喝曰。不得禮拜。僧便歸眾。師復笑曰。隨語生解。問。江西佛手驢腳接人。

陝府鄭氏の子。大潙に在りて夏に坐し、僧の擧ぐるを聞く、僧雲門に問う、佛法水中の月の如し、是か否か。門曰く、淸波透る路無し。師此に於て領解す。往きて黃龍に見ゆるに契わず、卻って曰く、我に好處有りて、這の老漢我を識らず。於是往きて香城に順和尚に見ゆ。順問う、甚の處より來る。師曰く、黃龍より來る。曰く、黃龍近日何の言句か有る。師曰く、黃龍近日、州府黃檗長老を委請す。龍語を垂れて曰く、鐘樓の上に讚を念じ、床脚の下に菜を種う。人語を下して契う有れば、便ち往きて住持せしむ。勝上座曰く、猛虎路に當りて坐す。龍於是去りて黄檗に住せしむ。順覺えず曰く、勝首座只だ一轉の語を下して、便ち黃檗に住するを得る、佛法未だ夢に見る處に在らず。師言下に於て大悟し、方に知る黃龍の用處を。於是回りて黃龍に見ゆ。龍問う、甚の處より來る。師曰く、特に來りて和尚を禮拜す。龍曰く、恰も老僧の在らざるに值う。師曰く、什麼の處に向かって去る。龍曰く、天台普請し、南岳山に游ぶ。師曰く、恁麼ならば學人自在を得て去らん。龍曰く、脚下の鞋甚の處より得來る。師曰く、廬山七百五十文を以て買い來る。龍曰く、何ぞ曾て自在を得ん。師鞋を指して曰く、何ぞ嘗て自在ならざらん。龍之を駭く。開堂の日、香を拈じて聖を祝す。問答罷みて、便ち曰く、問話且く止め。只だ知る佛を問い法を問う、殊に知らず佛法の來る處を。且く道え、什麼の處より來る。一足を垂れて曰く、昔日黃龍親しく此の令を行ず。十方の諸佛、敢えて違う者無く、諸代の祖師、一切の聖賢、敢えて越ゆる者無く、無量の法門、一切の妙義、天下の老和尚の舌頭始終一印、敢えて異なる者無し。異無ければ則ち且く置くとして、印は什麼の處に在る。還た見るか。若し見れば、僧に非ず俗に非ず、偏なく黨なく、一一分付せん。若し見ざれば、而れ我自ら收めん。於是足を收め、一喝して曰く、兵印に隨って轉じ、將符に逐い行く。佛手驢脚生緣老、好く痛く三十棒を與えよ。而今會中甘ぜざる者有るべきか。若し有れば、奇特なるに妨げず。若し無くば、新長老汝の諸人を瞞して去らん。故に我が大覺世尊、昔摩竭陀國に於て、十二月八日、明星現ずる時、豁然として道を悟り、大地の有情、一時に佛と成る。今釋子の沙門某有りて、東の震旦國大宋筠陽城中に於て、六月十三日、赫日現ずる時、又個の什麼を悟る。拂子を以て畫して曰く、我敢えて汝等を輕んぜず、汝等皆な當に佛と作るべし。僧問う、如何なるか是れ佛。師呵呵として大笑す。僧曰く、何の哂う所有る。師曰く、汝の語に隨って解を生ずるを笑う。曰く、偶然利を失う。師喝して曰く、禮拜するを得ず。僧便ち衆に歸る。師又笑い曰く、語に隨って解を生ず。問う、江西の佛手驢脚人を接す

和尚如何接人。師曰。鯰魚上竹竿。曰。全因今日。師曰。烏龜入水。問。新豐吟雲門曲。舉世知音能和續。大眾臨筵。願清耳目。師以右手拍禪床。僧曰。木人拊掌。石女揚眉。師以左手拍禪床。僧曰。猶是學人疑處。師曰。何不腳跟下薦取。僧以坐具一拂。師曰。爭奈腳跟下何。問。遠遠馳符命。禪師俯應機。祖令當行也。方便指群迷。師曰。深。曰。深意如何。師曰。淺。曰。教學人如何領會。師曰。點。問。馬祖下尊宿。一箇箇阿漉漉地。唯有歸宗老較些子。黃龍下兒孫。一箇箇硬剝剝地。祇有真淨老師較些子。學人恁麼還扶得也無。師曰。打疊面前搕𢶍。卻曰。若不同床睡。焉知被底穿。師不答。僧曰。這箇為上上根人。忽遇中下之流。如何指接。師亦不答。僧曰。非但和尚懡㦬。學人亦乃一場敗缺。師曰。三十年後悟去在。問。承古有言。眾生日用而不知。未審不知箇甚麼。師曰。道。曰。忽然知後如何。師曰。十萬八千。僧提起坐具。曰。爭奈這箇何。師便喝。上堂。天地與我同根。萬物與我一體。腳頭腳尾。橫三竪四。北俱盧洲火發。燒著帝釋眉毛。東海龍王忍痛不禁。轟一箇霹靂。直得傾湫倒嶽。雲黯長空。十字街頭瘳鬍子。醉中驚覺起來。拊掌呵呵大笑曰。筠陽城中。近來少賊。乃拈拄杖曰。賊。賊。上堂。道泰不傳天子令。行人盡唱太平歌。五九四十五。莫有人從懷州來麼。若有。不得忘卻臨江軍豆豉。上堂。世尊拈華。迦葉微笑。拈拄杖曰。洞山拈起拄杖子。你諸人合作麼生。擊香卓。下座。上堂。裩無襠。袴無口。頭上青灰三五斗。趙州老漢少賣弄。然則國清才子貴。家富小兒驕。其奈禾黍不陽艶。競栽桃李春。飜令力耕者。半作賣華人。上堂。佛法兩字。直是難得。人有底不信自己佛事。唯憑少許古人影響。相似般若所知境界。定相法門。動即背覺合塵。黏將去。

(僧接續いて問う、)和尚如何に人を接する。師曰く、鮎魚竹竿に上る。曰く、全く今日に因る。師曰く、烏龜水に入る。問う、新豐の吟、雲門の曲、世を擧げて知音和續する能し。大衆筵に臨み、願わくは耳目を淸くせん。師右手を以て禅床を拍す。僧曰く、木人掌を拊し、石女眉を揚ぐ。師左手を以て禅床を拍す。僧曰く、猶ほ是れ學人の疑處。師曰く、何ぞ脚跟の下に薦取せざる。僧坐具を以て一拂す。師曰く、怎んぞ脚跟の下を奈何せん。問う、遠々符命を馳せ、禅師機に俯應す。祖令當に行ずべし、方便に群迷を指す。師曰く、深。曰く、深の意如何。師曰く、淺。曰く、學人をして如何に領會せしめん。師曰く、點。問う、馬祖の下の尊宿、一個個阿漉漉地なり、唯だ歸宗の老較えて些子有り。黃龍の下の兒孫、一個個硬剥剥地なり、只だ真淨の老師較えて些子有り。學人恁麼に還た扶し得るや無しや。師曰く、面前の搕𢶍を打疊せよ。又曰く、若し床に同じく睡らざれば、焉んぞ被底の穿るを知らん。師答えず。僧曰く、這個は上々の根人を上と為す。忽ち中下の流に遇えば、如何に指接せん。師亦た答えず。僧曰く、但だ和尚の懡㦬なるのみならず、學人亦た乃ち一場の敗缺。師曰く、三十年の後悟り去るに在り。問う、古の言に承る、衆生日用して知らず。未だ審かに個の什麼を知らざるを知らず。師曰く、道。曰く、忽然知りて後如何。師曰く、十萬八千。僧坐具を提起して曰く、怎んぞ這個を奈何せん。師便ち喝す。上堂、天地我と同根、萬物我と一體。脚頭脚尾、橫三竪四。北俱盧洲に火發し、帝釋の眉毛を燒著す。東海の龍王忍痛禁じえず、一個の霹靂を轟かし、直に湫を傾け岳を倒し、雲長空を黯ぜしむるを得たり。十字街頭の瘳胡子、醉の中に驚覺起きて、掌を拊して呵呵として大笑して曰く、筠陽城中、近來賊少なし。於是拄杖を拈じて曰く、賊、賊。上堂、道泰にして天子の令を傳えず、行人盡く太平の歌を唱う。五九四十五。人懷州より來る有るべきか。若し有れば、臨江軍の豆豉を忘却するを得ず。上堂、世尊花を拈じ、迦葉微笑せり。拄杖を拈じて曰く、洞山拄杖子を拈起す、你の諸人合作麼生せん。香台を擊ち、下座。上堂、裩襠無く、褲口無し、頭上に青灰三五斗。(「灰」底本僻寫と作る。)趙州の老漢賣弄少なし。然る則ち國淸の才子貴く、家富む小兒驕り。其れ奈んぞ禾黍陽艶ならざる、競い桃李を栽う春。翻えって力耕する者をして、半ば賣花の人と作さしむ。上堂、佛法の兩字、直に是れ得難し。人有りて底に自ら佛事を信ぜず、唯だ少許の古人の影響に憑り、般若の知る所の境界、定相の法門に相似たり。動けば即ち覺に背き塵に合し、黏ぎ將て去る

脫不得。或學者來。如印印泥。𮞏相印授。不唯自誤。亦乃誤他。洞山門下。無佛法與人。祇有一口劍。凡是來者。一一斬斷。使伊性命不存。見聞俱泯。卻向父母未生前與伊相見。見伊才向前便為斬斷。然則剛刀雖利。不斬無罪之人。莫有無罪底麼。也好與三十拄杖。上堂。洞山門下。要行便行。要坐便坐。缽盂裡屙屎。淨瓶裡吐唾。執法修行。如牛拽磨。上堂。洞山門下。有時和泥合水。有時壁立千仞。你諸方擬向和泥合水處見洞山。洞山且不在和泥合水處。擬向壁立千仞處見洞山。洞山且不在壁立千仞處。擬向一切處見洞山。洞山且不在一切處。你擬不要見洞山。鼻索又在洞山手裡。擬瞌睡也把鼻索一掣。祇見眼孔定動。又不相識也。不要你識洞山。但識得自己也得。上堂。汾陽莫妄想。俱胝竪指頭。古今佛法事。到此一時休。休休。卻憶趙州勘婆子。不風流處也風流。拈拄杖曰。為眾竭力。上堂。頭陁石被苺苔裡。擲筆峰遭薜茘纏。羅漢院裡。一年度三箇行者。歸宗寺裡參退吃茶。上堂。師子不食鵰殘。快鷹不打死兔。放出臨濟大龍。抽卻雲門一顧。拈起拄杖曰。雲行雨施。三草二木。師崇寧改元。十月旦示疾。望乃愈。出道具散諸徒。翌日中夜。沐浴更衣趺坐。眾請說法。示偈及遺誡宗門大略。言卒而逝。火葬。𦦨成五色。白光上騰。煙所至處。皆設利。分骨塔於泐潭.新豐。

(師接續いて曰く、)脱するを得ず。或いは學者來れば、印の泥に印するが如く、遞に相い印授す。唯だ自ら誤るのみならず、亦た乃ち他を誤る。洞山の門下、佛法人に與える無し、只だ一口の劍有り。凡そ是れ來る者、一一斬斷して、伊をして性命存せず、見聞俱に泯びしむ。卻って父母未だ生ぜざる前に向かって伊と相見ん。伊を見る纔かに前に向かえば、便ち為に斬斷す。然る則ち剛刀利なりと雖も、罪無きの人を斬らず。罪無き有るべきか。亦た好く三十の拄杖を與えよ。上堂、洞山の門下、行かんと要すれば便ち行き、坐さんと要すれば便ち坐す。鉢盂の裏に屎を屙り、淨瓶の裏に唾を吐く。法を執りて修行するは、牛の磨を拽くが如し。上堂、洞山の門下、或る時は和泥合水、或る時は壁立千仞。你の諸方和泥合水の處に向かって洞山を見んと擬すれども、洞山且く和泥合水の處に在らず、壁立千仞の處に向かって洞山を見んと擬すれども、洞山且く壁立千仞の處に在らず、一切の處に向かって洞山を見んと擬すれども、洞山且く一切の處に在らず。你洞山を見ずんと擬せば、鼻索又洞山の手裏に在り。擬すれば瞌睡するも鼻索を一掣して、只だ見る眼孔定動して、又相い識らざるを。汝をして洞山を識らしむ要なし、但だ自己を識得すれば亦た得たり。上堂、汾陽妄想する莫れ、俱胝指頭を竪てたり。古今の佛法の事、此に到りて一時に休す。休休。卻って憶う趙州の婆子を勘ぐるを、風流ならざる處も亦た風流。拄杖を拈じて曰く、衆の為に力を竭く。上堂、頭陀の石苺苔に裹まれ、擲筆の峰薜荔に纏わる。羅漢の院裏、一年に三個の行者を度し、歸宗の寺裏、參退して茶を喫す。上堂。崇寧改元、十月旦に疾を示し、望日乃ち愈ゆ。道具を出だして諸徒に散ず。翌日中夜、沐浴し衣を更え趺坐す。衆法を説くを請う、偈及び宗門を遺誡する大略を示す。言卒わりて逝く。火葬すれば、焰五色と成り、白光上に騰る。烟の至る處、皆な舍利と成る。骨を分かちて泐潭、新豐に塔す

南康軍雲居真如院元祐禪師

南康軍雲居真如院元祐禅師

信州王氏子。僧問。如何是道林的旨。師曰。劄。曰。隨流認得性。無喜亦無憂。師曰。汝皮袋重多少。曰。高著眼看。師曰。自領出去。問。如何是祖師西來意。師曰。胡天雪壓玉麒麟。問。如龜藏六時如何。師曰。文彩已彰。曰。爭奈處處無蹤跡。師曰。一任拖泥帶水。曰。便與麼去時如何。師曰。果然。上堂。過去諸如來。更不再勘。現在諸菩薩。放過即不可。未來修學人。謾他一點不得。所以教中道。若人慾了知。三世一切佛。應觀法界性。一切惟心造。雖然如是。雲居門下。正是金屑落眼。上堂。凡見聖見。春雲掣電。真說妄說。空華水月。飜憶長髭見石頭。解道紅罏一點雪。擊禪床。下座。上堂。龜毛為箭。兔角為弓。那吒忿怒。射破虗空。虗空撲落。傾湫倒嶽。牆壁瓦礫放光明。歸依如來大圓覺。擊禪床。下座。上堂。月色和雲白。松聲帶露寒。好箇真消息。憑君子細看。黃龍先師和身放倒。還有人扶得起麼。祖禰不了。殃及兒孫。擊禪床。下座。上堂。一切聲是佛聲。以拂子擊禪床曰。梵音深遠。令人樂聞。又曰。一切色是佛色。乃拈起拂子曰。今佛放光明。助發實相義。已到之者。頂戴奉行。未到之者。應如是知。應如是信。擊禪床下座。今諸方三塔。師始創也。

信州王氏の子。僧問う、如何なるか是れ道林の旨。師曰く、札。曰く、流れに隨って性を認得すれば、喜ぶ無く亦た憂う無し。師曰く、汝の皮袋重さ多少。曰く、眼を高くして看よ。師曰く、自ら領して出でて去れ。問う、如何なるか是れ祖師西來の意。師曰く、胡の天雪玉の麒麟を壓す。問う、龜の六を藏るが如き時如何。師曰く、文彩已に彰れり。曰く、怎んぞ處處蹤跡無きを奈何せん。師曰く、泥を拖び水を帶ぶに一任す。曰く、便ち恁麼に去る時如何。師曰く、果然。上堂、過去の諸の如來、更に再び勘えず、現在の諸の菩薩、放過せば即ち可ならず、未來の修學人、他一點を瞞すを得ず。所以に教の中に説く、若し人了知せんと欲せば、三世一切の佛、法界の性を觀ずべし、一切唯心の造る所と。然りといえども此の如し、雲居の門下、正に是れ金屑眼に落つ。上堂、凡見聖見、春雲電を掣く、真説妄説、空華水月。翻えりて長髭石頭に見えしを憶う、解けて道う紅爐の一點の雪。禅床を擊ち、下座。上堂、龜毛を以て箭と為し、兔角を以て弓と為す。那咤忿怒して、虚空を射破る。虚空撲落して、湫を傾け岳を倒す。墻壁瓦礫光明を放ち、如來の大圓覺に歸依す。禅床を擊ち、下座。上堂、月色雲を和して白く、松聲露を帶びて寒し。好個の真の消息、君に憑りて仔細に看せん。黃龍の先師身を和して放倒す、還た人扶け起こし得る有るか。祖禰了えざれば、殃兒孫に及ぶ。禅床を擊ち、下座。上堂、一切の聲は是れ佛聲。拂子を以て禅床を擊ちて曰く、梵音深遠にして、人をして樂聞せしむ。又曰く、一切の色は是れ佛色。於是拂子を拈起して曰く、今佛光明を放ちて、實相の義を助發す。已に之に到る者は、頂戴して奉行し、未だ之に到らざる者は、應に是の如く知るべく、應に是の如く信ずべし。禅床を擊ち下座。今諸方の三塔、老師の始めて創めしなり

潭州大溈懷秀禪師

潭州大潙懷秀禅師

信州應氏子。僧問。昔日溈山水牯牛。自從放去絕蹤由。今朝幸遇師登座。未審時人何處求。師曰。不得犯人苗稼。曰。恁麼則頭角已分明。師曰。空把山童贈鐵鞭。

信州應氏の子。僧問う、昔日潙山の水牯牛、放ち去りてより蹤由を絶てり。今朝幸いに師の座に登るに遇う、未だ審かに時人何の處か求めんを知らず。師曰く、人の苗稼を犯すを得ず。曰く、恁麼ならば頭角已に分明なり。師曰く、空しく山童に鐵鞭を贈る

瑞州黃檗惟勝真覺禪師

瑞州黄檗惟勝真覺禅師

潼川羅氏子。居講聚時。偶以扇勒窻櫺有聲。忽憶教中道。十方俱擊皷。十處一時聞。因大悟。白本講。講令參問。師徑往黃龍。後因瑞州太守委龍遴選黃檗主人。龍集眾垂語曰。鐘樓上念讚。床腳下種菜。若人道得。乃往住持。師出答曰。猛虎當路坐。龍大悅。遂令師往。由是諸方宗仰之。上堂。臨濟喝。德山棒。留與禪人作模範。歸宗磨。雪峰毬。此箇門庭接上流。若是黃檗即不然。也無喝。也無棒。亦不推磨。亦不輥毬。前面是案山。背後是主山。塞卻你眼睛。拶破你面門。於此見得。得不退轉地。盡未來際。不向他求。若見不得。醍醐上味。飜成毒藥。上堂。寂兮寥兮。蟾蜍皎皎下空谷。寬兮廓兮。曦光赫赫流四海。曹谿路上。勦絕人行。多子塔前。駢闐如市。直饒這裡薦得倜儻。分明未是衲僧活計。大丈夫漢。須是向黑暗獄中敲枷打鎖。餓鬼隊裡放火奪漿。推倒慈氏樓。拆卻空王殿。靈苗瑞草和根拔。滿地從教荊棘生。

潼川羅氏の子。講聚に居る時、偶扇を以て窓櫺に勒れて聲有り、忽然として想起す教の中に説く、十方俱に鼓を擊ち、十處一時に聞く。因りて大悟す。本講に白すれば、講參問せしむ。師徑りに黃龍に往く。後に瑞州の太守龍をして黃檗の主人を遴選せしむに委ねたり。龍衆を集めて語を垂れて曰く、鐘樓の上に讚を念じ、床脚の下に菜を種う。若し人道い得れば、乃ち往きて住持せしむ。師出でて答え曰く、猛虎路に當りて坐す。龍大いに悅び、於是師をして往かしむ。此に由りて諸方宗として仰ぐ。上堂、臨濟の喝、德山の棒、留めて禅人に與えて模範と作さん。歸宗の磨、雪峰の球、此の個門庭上流を接す。若し是れ黃檗なれば即ち然らず、喝も無し、棒も無し、亦た磨を推さず、亦た球を滾らさず。前面は是れ案山、背後は是れ主山。汝の眼睛を塞卻し、汝の面門を拶破す。此に於て見得すれば、不退轉の地を得て、未來際を盡くして、他に向かって求めず。若し見得せざれば、醍醐の上味、翻えって毒藥と成る。上堂、寂として兮寥として、蟾蜍皎皎として空谷を下る。寬として兮廓として、曦光赫赫として四海を流る。曹溪の路上、人行を剿絶し、多子の塔前、駢阗として市の如し。直饒這裏に倜儻分明を薦得すとも、未だ是れ衲僧の活計ならず。大丈夫の漢、須らく是れ黑暗の獄中に向かって枷を敲き鎖を打ち、餓鬼の隊裏に火を放ち漿を奪わん。慈氏の樓を推倒し、空王の殿を拆卻す。靈苗瑞草根を和して拔き、地に滿ちて荊棘の生ずるを教えん

隆興府祐聖法𡨢禪師

隆興府祐聖法某禅師(底本此の字生僻、未だ確指する能わず)

潮陽鄭氏子。晚見黃龍。深蒙印可。上堂。此事如醫家驗病方。且雜毒滿腹。未易攻治。必瞑眩之藥。而後可瘳。就令徇意投之。適足狂惑。增其沈痼。求其已病。不亦左乎。法堂前草深。於心無增。

潮陽鄭氏の子。晚く黃龍に見え、深く印可を蒙る。上堂、此の事は醫家の病を驗する方の如し。且く雜毒腹に滿ちて、未だ攻治し易からず、必ず瞑眩の藥にして、而して後瘳ゆべし。就いて意を徇いて之を投ぜしめば、適ち狂惑を足し、其の沉痼を增さん。其の已に病むを求むるは、亦た左ならずや。法堂の前草深くして、心に增す無し

蘄州開元子琦禪師

蕲州開元子琦禅師

泉州許氏子。依開元智訥。試經得度。精楞嚴.圓覺.棄謁翠巖真禪師。問佛法大意。真唾地曰。這一滴落在甚麼處。師捫膺曰。學人今日脾疼。真解顏。辭參積翠。歲餘盡得其道。乘間侍翠。商搉古今。適大雪。翠指曰。斯可以一致苕帚否。師曰。不能。然則天霽日出。雲物解駮。豈復有哉。知有底人。於一切言句如破竹。雖百節當迎刃而解。詎容聲於擬議乎。一日。翠遣僧逆問。老和尚三關語如何。師厲聲曰。你理會久遠時事作麼。翠聞益奇之。於是名著叢席。翠歿。四祖演禪師命分座。室中垂語曰。一人有口。道不得姓字為誰。後傳至東林。總禪師歎曰。琦首座如鐵山萬仞。卒難逗他語脈。未幾以開元為禪林。請師為第一世。上堂。虗空無內外。事理有短長。順則成菩提。逆則成煩惱。燈籠常瞌睡。露柱亦懊惱。大道在目前。更於何處討。以拂子擊禪床。上堂。四面亦無門。十方無壁落。頭髼鬆。耳卓朔。箇箇男兒大丈夫。何得無繩而自縛。且道透脫一句作麼生道。良久曰。踏破草鞋赤腳走。僧問。須彌納芥子即不問。微塵裡轉大法輪時如何。師曰。一步進一步。曰。恁麼則朝到西天。暮歸唐土。師曰。作客不如歸家。曰。久嚮道風。請師相見。師曰。雲月是同。谿山各異。

泉州許氏の子。開元智訥に依りて、經を試みて度を得たり。《楞嚴》《圓覺》に精し、棄て去りて翠巖真禅師を謁え、佛法の大意を問う。真地に唾して曰く、這の一滴什麼の處に落つる。師膺を捫して曰く、學人今日脾疼す。真顏を解く。辭して積翠に參ず、一年餘りにして盡く其の道を得たり。間に乘じて翠に侍し、古今を商榷す。適ち大雪にして、翠指して曰く、這れ以て苕帚を一致すること可ならんか。師曰く、能わず。然る則ち天霽れて日出で、雲物解散すれば、豈に復た有らんや。有るを知る底の人は、一切の言句に於て竹を破るが如く、百節に當るも刃に迎えて解けるに雖も、豈に聲を擬議に容れん乎。一日、翠僧を遣わして逆に問わしむ、老和尚の三關の語如何。師聲を厲くして曰く、你久遠の時の事を理會して作麼。翠聞きて益々之を奇とす。於是叢席に名著る。翠殁すれば、四祖演禅師座を分かつを命ず。室中に語を垂れて曰く、一人口有りて、姓字の誰と為るを道うことを得ず。後に東林に傳わりて、總禅師歎じて曰く、琦首座は鐵山萬仞の如く、卒に他の語脈を逗き難し。程なく開元を以て禅林と為し、師を請じて第一世と為す。上堂、虚空に內外無く、事理に短長有り。順えば則ち菩提と成り、逆えば則ち煩惱と成る。燈籠常に瞌睡し、露柱亦た懊惱す。大道目前に在り、更に何の處にか討たん。拂子を以て禅床を擊つ。上堂、四面も亦た門無く、十方壁落無し。頭は蓬鬆、耳は卓朔。個個男兒の大丈夫、何ぞ繩無くして自ら縛るを得ん。且く道え、透脱の一句作麼生に道う。沈黙許久して曰く、草鞋を踏破して赤脚に走る。僧問う、須弥芥子を納るるは即ち問わず、微塵の裏に大法輪を轉ずる時如何。師曰く、一步進めば一步。曰く、恁麼ならば朝に西天に到りて、暮に唐土に歸る。師曰く、客と作るは家に歸るに如かず。曰く、久しく道風に向かい、師の相見んを請う。師曰く、雲月は是れ同じく、溪山各々異なり

袁州仰山行偉禪師

袁州仰山行偉禅師

河朔人也。東京大佛寺受具。聽習圓覺。微有所疑。挈囊遊方。專扣祖意。至南禪師法席。六遷星序。一日扣請。尋被喝出。足擬跨門。頓省玄旨。出世仰山。道風大著。上堂。大眾會麼。古今事掩不得。日用事藏不得。既藏掩不得。則日用現前。且問諸人。現前事作麼生。參。上堂。大眾見麼。開眼則普觀十方。閤眼則包含萬有。不開不合。是何模樣。還見模樣麼。久參高德。舉處便曉。後進初機。識取模樣。莫祇管貪睡。睡時眼見箇甚麼。若道不見。與死人何別。直饒丹青處士。筆頭上畫出青山綠水.夾竹桃華。祇是相似模樣。設使石匠錐頭。鑽出群羊走獸。也祇是相似模樣。若是真模樣。任是處士石匠。無你下手處。諸人要見。須是著眼始得。良久曰。廣則一線道。狹則一寸半。以拂子擊禪床。上堂。皷聲才動。大眾雲臻。諸人上觀。山僧下覰。上觀觀箇甚麼。下覷覷箇甚麼。良久曰。對面不相識。上堂。道不在聲色而不離聲色。凡一語一默。一動一靜。隱顯縱橫。無非佛事。日用現前。古今凝然。理何差互。師自題其像曰。吾真難邈。斑斑駮駮。擬欲安排。下筆便錯。示寂。闍維獲五色舍利骨石。栓索勾連。塔於寺之東。

河朔の人なり。東京大佛寺にて具を受け、《圓覺》を聽習し、微かに疑う所有り。囊を挈げて方に游びて、專ら祖意を扣す。南禅師の法席に至りて、六たび星序を遷ず。一日扣請するに、尋いで喝出せらる。足門を跨がんと擬して、頓に玄旨を省る。世に出でて仰山に居り、道風大いに著る。上堂、大衆會するか。古今の事は掩うを得ず、日用の事は藏るを得ず。既に藏掩するを得ざれば、則ち日用現前なり。且く諸人に問う、現前の事作麼生。參。上堂、大衆見るか。眼を開けば則ち普く十方を觀て、眼を合せば則ち萬有を包含す。開かず合さざるは、是れ何の模樣ぞ。還た模樣を見るか。久參の高德は、擧る處便ち曉り、後進の初機は、模樣を識取せよ、只だ睡を貪るを管すること莫れ。睡る時眼に個の什麼を見る。若し見ざると道わば、死人と何の別か有らん。直饒丹青の處士、筆頭の上に青い山綠の水、夾竹桃の花を畫き出すとも、只だ是れ相似の模樣。設し石匠錐頭に群羊走獸を鑽り出すと雖も、亦た只だ是れ相似の模樣。若し是れ真の模樣ならば、處士石匠に任すとも、汝の下手する處無し。諸人見んと要せば、須らく是れ眼を著けて始めて得べし。沈黙許久して曰く、廣ければ則ち一線の道、狹ければ則ち一寸半。拂子を以て禅床を擊つ。上堂、鼓聲纔かに動けば、大衆雲の臻るが如し。諸人上に觀て、山僧下に覗う。上に觀ては個の什麼を觀る。下に覗いては個の什麼を覗う。沈黙許久して曰く、面に對して相い識らず。上堂、道聲色に在らずと雖も聲色を離れず。凡そ一語一默、一動一靜、隱顯縱橫、佛事に非ざる無し。日用現前して、古今凝然として、理何の差互か有らん。老師自ら其の像に題して曰く、吾が真邈め難し、斑斑駁駁。安排せんと擬すれば、筆を下して便ち錯り。寂を示し、闍維して五色の舍利骨石を獲て、栓索勾連せり。寺の東に塔す

南嶽福嚴慈感禪師

南岳福嚴慈感禅師

潼川杜氏子。上堂。古佛心。祇如今。若不會。苦沈吟。秋雨微微。秋風颯颯。乍此乍彼。若為酧答。沙岸蘆華。青黃交雜。禪者何依。良久曰。劄。

潼川杜氏の子。上堂、古佛の心、只だ今の如し。若し會せざれば、苦しく沈吟せん。秋雨微微、秋風颯颯。乍ち此く乍ち彼く、若んが為に酬答せん。沙岸の蘆花、青黄交雜す。禅者何に依る。沈黙許久して曰く、札

潭州雲蓋守智禪師

潭州雲蓋守智禅師

劍州陳氏子。遊方至豫章大寧。時法昌遇禪師韜藏西山。師聞其飽參。即之昌。問曰。汝何所來。師曰。大寧。又問。三門夜來倒。汝知麼。師愕然。曰。不知。昌曰。吳中石佛。大有人不曾得見。師惘然。即展拜。昌使謁翠巖真禪師。雖久之無省。且不捨寸陰。及謁黃龍於積翠。始盡所疑。後首眾石霜。遂開法道吾。徙雲蓋。僧問。有一無絃琴。不是世間木。今朝負上來。請師彈一曲。師拊膝一下。僧曰。金風颯颯和清韻。請師方便再垂音。師曰。陝府出鐵牛。上堂。緊峭離水靴。踏破湖湘月。手把鐵蒺蔾。打破龍虎穴。飜身倒上樹。始見無生滅。卻笑老瞿曇。彈指超彌勒。上堂。昨日高山看釣魚。步行騎馬失卻驢。有人拾得駱駝去。重賞千金一也無。若向這裡薦得。不著還草鞋錢。上堂。舉趙州問。僧向甚麼處去。曰。摘茶去。州曰。閑。師曰。道著不著。何處摸索。背後龍鱗。面前驢腳。飜身筋斗。孤雲野鶴。阿呵呵。示眾。不離當處常湛然。覓即知君不可見。雖然先聖恁麼道。且作箇模子搭卻。若也出不得。祇抱得古人底。若也出得。方有少分相應。雲蓋則不然。騎駿馬。繞須彌。過山尋蟻跡。能有幾人知。師居院之東堂。政和辛卯。死心謝事黃龍。由湖南入山奉覲。日已夕矣。侍僧通謁。師曳履。且行且語曰。將燭來。看其面目何似生。而致名喧宇宙。死心亦絕叫。把近前來。我要照是真師叔。是假師叔。師即當𮌎敺一拳。死心曰。卻是真箇。遂作禮。賓主相得歡甚。及死心復領黃龍。至政和甲午示寂時。師住開福得訃。上堂。法門不幸法幢摧。五蘊山中化作灰。昨夜泥牛通一線。黃龍從此入輪迴。

劍州陳氏の子。方に游びて豫章の大寧に至る。當時法昌遇禅師西山に韜藏せり。師其の參に飽きたるを聞き、即ち往きて見ゆ。昌問う、汝何の所より來る。師曰く、大寧。又問う、三門夜來倒れたり、你知るか。師愕然として曰く、知らず。昌曰く、吳中の石佛、大いに人未曾だ見るを得ざる有り。師惘然として、即ち拜を展ぶ。昌彼をして翠巖真禅師を謁えしむ。久しきと雖も省る無く、且つ寸陰を舍てず。及び積翠に於て黃龍を謁えて、始めて疑う所を盡くす。後に石霜に首衆し、於是道吾に法を開き、雲蓋に徙る。僧問う、一の無弦の琴有り、是れ世間の木に非ず。今朝負いて上り來りて、師の一曲を彈くを請う。師膝を拊つ一下。僧曰く、金風颯颯として淸韻に和し、師の方便再び音を垂れんを請う。師曰く、陝府鐵牛を出だす。上堂、緊峭水を離るるの靴、踏破す湖湘の月。手に鐵蒺藜を把りて、打破す龍虎の穴。身を翻して倒に樹に上りて、始めて見る生滅無きを。卻って笑う老瞿曇、彈指して彌勒を超ゆ。上堂、昨日高山釣魚を看て、步行馬に騎りて驢を失却す。人拾得して骆驼を去らしむる有り、千金を重賞すとも一も無し。若し這裏に向かって薦得せば、草鞋の錢を還すに著かず。上堂、趙州の僧に問うて何の處に向かって去ると擧ぐ。曰く、茶を摘みに去る。州曰く、閑。師曰く、道著くも著かずも、何の處にか摸摸索せん。背後の龍鱗、面前の驢脚。身を翻す筋斗、孤雲野鶴。阿呵呵。衆に示す、當處を離れずして常に湛然、覓れば即ち君の見るべからざるを知らん。然りと雖も先聖恁麼に道う、且く個の模子を作りて搭卻せん。若しも出づるを得ざれば、只だ古人の底を抱得するのみ。若しも出づるを得れば、方に少分の相應有らん。雲蓋則ち然らず、駿馬に騎りて、須弥を繞り、山を過ぎて蟻の跡を尋ぬ、能く知る人幾人ぞ。老師院の東堂に居る。政和辛卯、死心黃龍に事を謝し、湖南より山に入りて覲を奉ずるに、日已に夕なり。侍僧謁を通ず。師履を曳き、且く行き且く曰く、燭を將て來れ、其の面目何の似たる生ぞを看て、名を宇宙に喧からしむるを致せしを。死心も亦た叫び絶える、近づけて前に來れ、我照らして是れ真の師叔か、是れ假の師叔かを要す。師即ち胸に當りて一拳を殴る。死心曰く、卻って是れ真個。於是禮を作す。賓主相い得て歡び甚だし。及び死心復た黃龍を領し、政和甲午に寂を示す時に至りて、師開福を住して、訃を得て上堂、法門不幸にも法幢摧え、五蘊の山中灰と化せり。昨夜泥牛一線を通じ、黃龍此より輪回に入らん

福州玄沙合文明慧禪師

福州玄沙合文明慧禅師

僧問。如何是道。師曰。私通車馬。僧進一步。師曰。官不容針。

僧問う、如何なるか是れ道。師曰く、私に車馬を通ず。僧一歩進む。師曰く、官針を容れず

楊州建隆院昭慶禪師

楊州建隆院昭慶禅師

上堂。始見新歲倐忽。早是二月初一。天氣和融。擬舉箇時節因緣與諸人商量。卻被帝釋梵王在門外柳眼中努出頭來。先說偈言。褭褭颺輕絮。且逐風來去。相次走綿毬。休言道我絮。當時撞著阿脩羅。把住雲。任你絮。忽逢西風吹渭水。落葉滿長安一句作麼生道。於是帝釋縮頭入柳眼中。良久曰。參。

上堂、始めて見る新歲倏忽にして、早く是れ二月初一。天氣和融にして、個の時節の因緣を擧げて諸人と商量せんと擬すれども、卻って帝釋梵王門外の柳眼に在りて頭を努り出だして、先に偈言を説く、裊裊として輕絮を揚げ、且く風に逐い來去す。相い次いで綿球を走らす、道うを休めよ我を絮と。當時阿修羅に撞著きて、把住して曰く、你を絮と任す。忽ち逢う西風渭水を吹き、落葉長安に滿つる一句を作麼生に道う。於是帝釋頭を縮めて柳眼に入る。沈黙許久して曰く、參

安吉州報本慧元禪師

安吉州報本慧元禅師

潮州倪氏子。十九為大僧。徧歷叢席。於黃龍三關語下悟入。住後。僧問。諸佛不出世。達磨不西來。正當恁麼時。未審來不來。師曰。撞著你鼻孔。上堂。白雲消散。紅日東昇。仰面看天。低頭覷地。東西南北。一任觀光。達磨眼睛。斗量不盡。演若何曾認影。善財不往南方。衲僧鼻孔遼天。到此一時穿卻。僧出禮拜。曰。學人有一問。和尚還答否。師曰。昨日答汝了也。曰。今日作麼生。師曰。明日來。上堂。僧問。諸佛所說法。種種皆方便。是否。師曰。是。曰。為甚麼諸法寂滅相。不可以言宣。師曰。且莫錯會。僧以坐具一畫。師喝曰。諸法寂滅相。不可以言宣。今之學者。方見道不可以言宣。便擬絕慮忘緣。杜塞視聽。如斯見解。未有自在分。諸人要會寂滅相麼。出門不見一纖毫。滿目白雲與青嶂。師坐而不臥。餘三十年。示寂。塔全身於峴山。

潮州倪氏の子。十九にして僧と為り、遍く叢席を歷り、黃龍の三關語の下に悟り入る。住して後、僧問う、諸佛世に出でず、達磨西に來らず。正に當る恁麼の時、未だ審かに來るや來らざるを知らず。師曰く、你の鼻孔に撞著く。上堂、白雲消散し、紅日東に升る。面を仰ぎて天を看、頭を低れて地を覗う。東西南北、觀光に一任す。達磨の眼睛、斗量し盡くさず。演若何ぞ曾て影を認めん、善財南方に往かず。衲僧の鼻孔遼天にして、此に到りて一時に穿却す。僧出でて禮拜して曰く、學人一問有り、和尚還た答うる否。師曰く、昨日汝に答え了れり。曰く、今日作麼生。師曰く、明日來れ。上堂、僧問う、諸佛の説く所の法、種種皆な方便。是か否か。師曰く、是。曰く、什麼を以てか諸法の寂滅相、言を以て宣べるべからざる。師曰く、且く錯會する莫れ。僧坐具を以て一畫す。師喝して曰く、諸法の寂滅相、言を以て宣べるべからず。今の學者、方に道の言を以て宣べるべからざるを見て、便ち慮を絶ち緣を忘れ、視聽を杜塞せんと擬す。斯の如きの見解、未だ自在の分有らず。諸人寂滅相を會せんと要するか。門を出でて一纖毫を見ず、目に滿つるは白雲と青嶂。老師坐して臥せざること三十餘年。寂を示し、全身を峴山に塔す

吉州仁山隆慶院慶閑禪師

吉州仁山隆慶院慶閑禅師

福州卓氏子。母夢胡僧授以明珠。吞之而娠。及生。白光照室。幼不近酒胾。年十一棄俗。十七得度。二十徧參。後謁黃龍於黃檗。龍問。甚處來。師曰。百丈。曰。幾時離彼。師曰。正月十三。龍曰。腳跟好痛與三十棒。師曰。非但三十棒。龍喝曰。許多時行腳。無點氣息。師曰。百千諸佛。亦乃如是。曰。汝與麼來。何曾有纖毫到諸佛境界。師曰。諸佛未必到慶閑境界。龍問。如何是汝生緣處。師曰。早晨吃白粥。如今又覺饑。問。我手何似佛手。師曰。月下弄琵琶。問。我腳何似驢腳。師曰。鷺鷥立雪非同色。龍嗟諮而視曰。汝剃除鬚髮。當為何事。師曰。祇要無事。曰。與麼則數聲清罄是非外。一箇閑人天地間也。師曰。是何言歟。曰。靈利衲子。師曰。也不消得。龍曰。此間有辯上座者。汝著精彩。師曰。他有甚長處。曰。他拊汝背一下又如何。師曰。作甚麼。曰。他展兩手。師曰。甚處學這虗頭來。龍大笑。師卻展兩手。龍喝之。又問。𢤱𢤱鬆鬆。兩人共一椀作麼生會。師曰。百雜碎。曰。盡大地是箇須彌山。撮來掌中。汝又作麼生會。師曰。兩重公案。曰。這裡從汝胡言漢語。若到同安。如何過得(時英邵武在同安作首座。師欲往見之)。師曰。渠也須到這箇田地始得。曰。忽被渠指火罏曰。這箇是黑漆火罏。那箇是黑漆香卓。甚處是不到處。師曰。慶閑面前。且從恁麼說話。若是別人。笑和尚去。龍拍一拍。師便喝。明日同看僧堂。曰。好僧堂。師曰。極好工夫。曰。好在甚處。師曰。一梁拄一柱。曰。此未是好處。師曰。和尚又作麼生。龍以手指曰。這柱得與麼圓。那枋得與麼匾。師曰。人天大善知識。須是和尚始得。即趨去。明日侍立。龍問。得坐披衣。向後如何施設。師曰。遇方即方。遇圓即圓。曰。汝與麼說話。猶帶唇齒在。師曰。慶閑即與麼。和尚作麼生。曰。近前來。

福州卓氏の子。母胡僧の明珠を授くるを夢み、之を吞みて娠す。及び生まれて、白光室を照らす。幼にして酒肉を近づけず。年十一にして俗を棄て、十七にして度を得、二十にして遍く參ず。後に黃檗に於て黃龍を謁えたり。龍問う、甚の處より來る。師曰く、百丈。曰く、幾時彼を離るる。師曰く、正月十三。龍曰く、脚很好く痛く三十棒を與えよ。師曰く、但だ三十棒のみならず。龍喝して曰く、許多の時行脚して、點の氣息無し。師曰く、百千の諸佛、亦た乃ち是の如し。曰く、你恁麼に來りて、何ぞ曾て纖毫諸佛の境界に到らん。師曰く、諸佛未だ必ずしも慶閑の境界に到らず。龍問う、如何なるか是れ你の生緣の處。師曰く、早晨白粥を喫して、如今又飢えるを覺ゆ。問う、我が手何ぞ佛手に似たる。師曰く、月下に琵琶を弄す。問う、我が脚何ぞ驢脚に似たる。師曰く、鷺鷥雪に立つも同じ色に非ず。龍嗟咨して視て曰く、你鬚髮を剃除して、當に何の事を為さん。師曰く、只だ事無きを要す。曰く、恁麼ならば數聲の淸磬是非の外、一個の閑人天地の間なるか。師曰く、是れ何の言歟。曰く、靈利の衲子。師曰く、亦た消するに足らず。龍曰く、此の間に辯上座と為る者有り、你精彩を著けよ。師曰く、他に甚の長處か有る。曰く、他你の背を拊する一下に又如何。師曰く、什麼を作す。曰く、他兩手を展ぶ。師曰く、甚の處にか這の虚頭を學び來る。龍大笑す。師卻って兩手を展ぶ。龍之を喝す。又問う、𢤱𢤱松松、兩人一碗を共にするを作麼生に會せん。(二の字心に從う、未だ確指する能わず、句は松松散散を謂う。)師曰く、百雜碎。曰く、大地を盡くして個の須弥山と為し、撮め來りて掌の中、你又作麼生に會せん。師曰く、兩重の公案。曰く、這裏は你の胡言漢語に從うも、若し同安に到らば、如何に過るを得ん。(當時英邵武同安に在りて首座と作る、師往きて之に見えんと欲す。)師曰く、渠も亦た須らく此の田地に到りて始めて得べし。曰く、忽ち渠に指されて火爐を曰わん、這個は是れ黑漆の火爐、那个は是れ黑漆の香台。甚の處か是れ到らざる處。師曰く、慶閑の面前、且く恁麼に説話すに從う。若し是れ別人ならば、和尚を笑い去らん。龍一拍を拍す。師便ち喝す。明日同じく僧堂を看る。曰く、好き僧堂。師曰く、極めて好き工夫。曰く、好きは甚の處に在る。師曰く、一の梁一の柱を拄す。曰く、此れ未だ是れ好き處ならず。師曰く、和尚又作麼生。龍手を以て指して曰く、這の柱恁麼に圓なるを得、那の枋恁麼に扁なるを得。師曰く、人天の大善知識、須らく是れ和尚始めて得べし。即ち趨り去る。明日侍立す。龍問う、坐を得て衣を披く、向後如何に設施せん。師曰く、方に遇えば即ち方に、圓に遇えば即ち圓に。曰く、你恁麼に説話するも、猶ほ唇齒を帶びて在り。師曰く、慶閑即ち恁麼、和尚作麼生。曰く、近づき前に來れ

為汝說。師拊掌曰。三十年用底。今朝捉敗。龍大笑曰。一等是精靈。師拂袖而去。由是學者爭歸之。廬陵太守張公鑒請居隆慶。僧問。鋪席新開。不可放過。師曰。記取話頭。曰。請師高著眼。師曰。蹉過了也。室中垂問曰。祖師心印。篆作何文。諸佛本源。深之多少。又曰。十二時中。上來下去。開單展缽。此是五蘊敗壞之身。那箇是清淨法身。又曰。不用指東畫西。實地上道將一句來。又曰。十二時中。著衣吃飯。承甚麼人恩力。又曰。魚行水濁。鳥飛毛落。亮座主一入西山。為甚麼杳無消息。師居隆慶未朞年。鍾陵太守王公韶請居龍泉。不逾年以病求去。廬陵道俗。舟載而歸。居隆慶之東堂。事之益篤。元豐四年三月七日。將示寂。遺偈曰。露質浮世。奄質浮滅。五十三歲。六七八月。南嶽天台。松風㵎雪。珍重知音。紅罏優缽。泊然坐逝。俾畫工就寫其真。首忽自舉。次日仍平視。闍維日。雲起風作。飛瓦折木。煙氣所至。東西南北四十里。凡草木沙礫之間。皆得舍利如金色。計其所獲幾數斛。閱世五十五。坐夏三十六。初。蘇子由欲為作記。而疑其事。方臥痁。夢有呵者曰。閑師事何疑哉。疑即病矣。子由夢中作數百言。其銘略曰。稽首三界尊。閑師不止此。愍世狹劣故。聊示其小者。子由其知言哉。

(黃龍接續いて曰く、)汝の為に説かん。師掌を拊して曰く、三十年用いる底、今朝捉敗せり。龍大笑して曰く、一等是れ精靈。師袖を拂って去る。是に由りて學者爭いて之に歸す。廬陵の太守張公鑒居を隆慶に請う。僧問う、席を鋪き新たに開く、放過すべからず。師曰く、話頭を記取せよ。曰く、師の高く眼を著けんを請う。師曰く、蹉過し了れり。室中に問を垂れて曰く、祖師の心印、篆して何の文と作さん。諸佛の本源、深きこと多少。又曰く、十二時中、上り來り下り去り、單を開き鉢を展ぶ。此れ是れ五蘊の敗壞する身、哪個か是れ淸淨の法身。又曰く、東を指し西を畫くを用いず、實地の上に句を將て道い來れ。又曰く、十二時中、衣を著き飯を喫す、什麼人の恩力を承る。又曰く、魚行けば水濁り、鳥飛べば毛落つ。亮座主一たび西山に入りて、什麼を以てか杳として消息無き。老師隆慶に居ること未だ一年に滿たず、鐘陵の太守王公韶居を龍泉に請う。年を逾えずして病を以て去るを求む。廬陵の道俗、舟に載せて歸り、隆慶の東堂に居る、之に事うる益々篤し。元豐四年三月七日、將に寂を示さんとして、偈を遺して曰く、露の質浮世に、奄の質浮滅す。五十三歲、六七八月。南岳天台、松風澗雪。珍重知音、紅爐優鉢。泊然として坐逝す。畫工をして就きて其の真を寫さしむれば、頭忽然として自ら擧起し、次日仍ほ平視す。闍維の日、雲起こり風作り、瓦を飛ばし木を折る。烟氣の至る所、東西南北四十里。凡そ草木沙礫の間、皆な金色の如き舍利を得たり。其の獲る所を計れば幾數斛。世を閱ること五十五、夏に坐すること三十六。初め、蘇子由記を作らんと欲して、其の事を疑う。方に瘧に臥すに、呵する者有りて夢に曰く、閑師の事何の疑うか有らん。疑うは即ち病矣。子由夢の中に數百言を作る。其の銘略して曰く、稽首す三界の尊。閑師止まらず此れ。世の狹劣なるを愍む故に、聊か其の小なるを示す。子由其れ言を知るかな

舒州三祖山法宗禪師

舒州三祖山法宗禅師

僧問。如何是佛。師曰。吃鹽添得渴。問。如何是道。師曰。十里雙牌。五里單堠。曰。如何是道中人。師曰。少避長。賤避貴。問。如何是善知識所為底心。師曰。十字街頭一片甎。曰。如何是十字街頭一片甎。師曰。不知。曰。既不知。卻恁麼說。師曰。無人踏著。上堂。五五二十五。時人盡解數。倒拈第二籌。茫茫者無據。為甚麼無據。愛他一縷。失卻一端。上堂。明晃晃。活鱍鱍。十方世界一毫末。拋向面前知不知。莫向意根上拈掇。拍一拍。上堂。架梯可以攀高。雖升而不能達河漢。鑄鍬可以掘鑿。雖利而不能到風輪。其器者費功。其謀者益妄。不如歸家坐。免使走塵壤。大眾。那箇是塵壤祖佛禪道。

僧問う、如何なるか是れ佛。師曰く、鹽を喫して渴を添うるを得。問う、如何なるか是れ道。師曰く、十里に雙牌、五里に單堠。曰く、如何なるか是れ道中の人。師曰く、少は長を避け、賤は貴を避く。問う、如何なるか是れ善知識の為す所の心。師曰く、十字街頭の一片の磚。曰く、如何なるか是れ十字街頭の一片の磚。師曰く、知らず。曰く、既に知らずして、卻って恁麼に説く。師曰く、人の踏著する無し。上堂、五五二十五、時人盡く數を解す。第二の籌を倒拈すれば、茫茫たる者據る無し。什麼を以て據る無き。他の一縷を愛して、一の端を失却す。上堂、明晃晃、活溌溌。十方世界一毫の末。面前に抛向して知るか知らずか、意根の上に向かって拈掇する莫れ。一拍を拍す。上堂、梯を架すれば以て高きを攀すべし、升ると雖も河漢に達すること能わず、鍬を鑄れば以て掘鑿すべし、利なると雖も風輪に到ること能わず。其の器なる者は功を費やし、其の謀なる者は益々妄なり。家に歸りて坐するに如かず、塵壤を走るを免れしめん。大衆、哪個か是れ塵壤。祖佛禅道

隆興府泐潭洪英禪師

隆興府泐潭洪英禅師

邵武陳氏子。幼頴邁。一目五行。長棄儒得度。訪道曹山。依雅禪師。久之。辭登雲居。睠其勝絕。殆終於此山。因閱華嚴十明論。乃證宗要。即詣黃檗南禪師席。檗與語達旦。曰。荷擔大法。盡在爾躬厚自愛。所至議論奪席。晚遊西山。與勝首座棲雙嶺。後開法石門。久之遷泐潭。僧問。逢場作戲時如何。師曰。紅罏𪹼出鐵烏龜。曰。當軒布皷師親擊。百尺竿頭事若何。師曰。山僧不作這活計。僧擬議。師曰。不唧𠺕漢。又僧禮拜起。便垂下袈裟角。曰。脫衣卸甲時如何。師曰。喜得狼煙息。弓弰壁上懸。僧卻攬上袈裟。曰。重整衣甲時如何。師曰。不到烏江畔。知君未肯休。僧便喝。師曰。驚殺我。僧拍一拍。師曰。也是死中得活。僧禮拜。師曰。將謂是收燕破趙之才。元來是販私鹽賊。問。臨濟栽松即不問。百丈開田事若何。師曰。深著鉏頭。曰。古人猶在。師曰。更添鉏頭。僧禮拜。師扣禪床一下。乃曰。問也無窮。答也無盡。問答去來。於道轉遠。何故。況為此事。直饒棒頭薦得。不是丈夫。喝下承當。未為達士。那堪更向言中取則。句裡馳求。語路尖新。機鋒捷疾。如斯見解。盡是埋沒宗旨。玷汙先賢。於吾祖道。何曾夢見。祇如我佛如來。臨般涅槃。乃雲吾有正法眼藏。囑摩訶迦。付囑摩訶大迦葉。迦葉遂付阿難。暨商那和修優波毱多。諸祖相繼。至於達磨西來。直指人心。見性成佛。不立文字語言。豈不是先聖方便之道。自是當人不信。卻自迷頭認影。奔逐狂途。致使竛竮流浪生死。諸禪德。若能一念迴光返照到自己腳跟下。褫剝究竟將來。可謂洞門豁開。樓閣重重。十方普現。海會齊彰。便乃凡聖賢愚。山河大地。以海印三昧。一印印定。更無纖毫透漏。山僧如是舉唱。若是眾中有本色衲僧聞之。實謂掩耳而回。笑破他口。大眾且道。本色衲僧門下一句作麼生道。良久曰。

邵武陳氏の子。幼き時穎邁にして、一目五行を下す。長じて儒を棄てて度を得、曹山に道を訪い、雅禅師に依る。久之しくして、辭して雲居に登り、其の勝絶を眷みて、殆ど此の山に終老せんと欲す。《華嚴十明論》を閱するに因りて、乃ち宗要を證す。即ち黃檗南禅師の席に詣る。檗語と旦に達し、曰く、大法を荷擔するは、盡く爾が躬に在り、厚く自ら愛せよ。至る所の議論席を奪う。晚く西山に游びて、勝首座と雙嶺に栖む。後に石門に法を開き、久之しく泐潭に遷る。僧問う、場に逢いて戲を作す時如何。師曰く、紅爐鐵の烏龜を煅出す。(「煅」底本火に從う、文意に據りて讀む。)曰く、軒に當りて鼓を布き師親く擊つ、百尺竿頭の事若何。師曰く、山僧這の活計を作さず。僧擬議す。師曰く、唧溜せぬ漢。又僧有りて禮拜起きて、便ち袈裟の角を垂下し、曰く、衣を脱ぎ甲を卸く時如何。師曰く、喜び得たり狼烟息み、弓弰壁に懸かる。僧卻って袈裟を攬上し、曰く、衣甲を重整する時如何。師曰く、烏江の畔に到らざれば、君の未だ休せんを肯ぜざるを知らん。僧便ち喝す。師曰く、我を驚殺す。僧一拍を拍す。師曰く、亦是れ死中活を得たり。僧禮拜す。師曰く、將に燕を收め趙を破るの才と謂えり、元來是れ私鹽を販るの賊。問う、臨濟の松を栽うるは即ち問わず、百丈田を開くの事若何。師曰く、鋤頭を深く著けよ。曰く、古人猶ほ在り。師曰く、更に鋤頭を添えよ。僧禮拜す。師禅床を一下扣きて、便ち曰く、問うも亦た窮まり無く、答うるも亦た盡き無し。問答去來、道に於て轉た遠し。什麼を以て。況んや此の事を為さば、直饒棒頭に薦得すとも、是れ丈夫に非ず、喝下に承當すとも、未だ達士と為らず。哪か堪えん更に言の中に向かって則を取り、句の裏に馳求し、語路尖新、機鋒捷疾せん。斯の如きの見解、盡く是れ宗旨を埋沒し、先賢を玷污す。吾が祖道に於て、何ぞ曾て夢に見ん。只だ我が佛如來の如く、般涅槃に臨みて、乃ち説く吾に正法眼藏有りて、摩訶大迦葉に付囑す。迦葉遂に阿難に付し、商那和修、優波毱多に暨ぶ。諸祖相い繼ぎ、達磨西來するに至りて、直に人心を指し、性を見て佛と成り、文字語言を立てず。豈に是れ先聖の方便の道ならずや。是より當人信ぜずして、卻って自ら頭を迷い影を認め、狂途に奔逐し、致して伶俜として生死に流浪せしむ。諸の禅德、若し能く一念光を回らし返り照らして、自己の脚跟の下に到り、褫剥して究竟將來すれば、謂うべし洞門豁として開き、樓閣重々、十方普く現じ、海會齊しく彰ると。便ち乃ち凡聖賢愚、山河大地、海印の三昧を以て、一印印定して、更に纖毫の透漏無し。山僧是の如く擧唱す、若し是れ衆中に本色の衲僧之を聞かば、實に謂う耳を掩うて回り、他の口を笑破せん。大衆且く道え、本色衲僧門下の一句作麼生に道う。沈黙許久して曰く、

天際雪埋千尺石。洞門凍折數株松。上堂。釋迦老子。當時一手指天。一手指地。雲天上天下。唯我獨尊。釋迦老子。旁若無人。當時若遇箇明眼衲僧。直教他上天無路。入地無門。然雖如是。也須是銅沙鑼裡滿盛油始得。上堂。顧視大眾曰。青山重疊疊。綠水響潺潺。遂拈拄杖曰。未到懸崖處。擡頭子細看。卓一下。上堂。寶峰高士罕曾到。巖前雪壓枯松倒。嶺前嶺後野猨啼。一條古路清風掃。禪德。雖然如是。且道山僧拄杖長多少。遂拈起曰。長者隨長使。短者隨短用。卓一下。上堂。顧視大眾曰。石門𡾟嶮鐵關牢。舉目重重萬仞高。無角鐵牛沖得破。毗盧海內作波濤。且道不涉波濤一句作麼生道。良久曰。一句不遑無著問。迄今猶作野盤僧。師因知事紛爭。止之不可。乃謂眾曰。領眾不肅。正坐無德。吾有愧黃龍。敘行腳始末曰。吾滅後火化。以骨石藏普同塔。明生死不離清眾也。言卒而逝。

(師接續いて曰く、)天際雪千尺の石を埋め、洞門凍りて數株の松を折る。上堂、釋迦老子、當時一の手天を指し、一の手地を指して、説く天上天下、唯だ我獨り尊しと。釋迦老子、傍ら人若き無し。當時若し個の明眼の衲僧に遇わば、直に他をして天に上るに路無く、地に入るに門無からしめん。然りと雖も此の如し、亦た須らく是れ銅沙鑼の裏に滿ちて油を盛りて始めて得べし。上堂、大衆を環顧して曰く、青山重疊疊、綠水潺々と響く。於是拄杖を拈じて曰く、未だ懸崖の處に到らざれば、頭を擧げて仔細に看よ。一下卓す。上堂、寶峰の高士罕だ曾て到らず、巖前に雪枯松を壓して倒る。嶺の前嶺の後に野猿啼く、一條の古路淸風掃う。禅德、然りと雖も此の如し、且く道え山僧の拄杖長さ多少。於是拈起して曰く、長き者は長く隨い使い、短き者は短く隨い用う。一下卓す。上堂、大衆を環顧して曰く、石門巉險にして鐵關牢なり、(「巉」底本山に從う、文意に據りて讀む。)目を擧ぐれば重重萬仞高し。角無き鐵牛衝き破るを得れば、毘盧の海內波濤と作る。且く道え、波濤を渉らざる一句作麼生に道う。沈黙許久して曰く、一句問を著くるに遑あらず、今に迨るまで猶ほ野盤の僧と作る。老師知事の紛爭するに因りて、之を止むる可ならざれば、便ち衆に對して曰く、衆を領して肅ならず、正に坐すは德無し。吾黃龍に愧あり。行脚の始末を敘述して曰く、吾滅して後火葬し、骨石を以て普同の塔に藏めて、生死清衆を離れざるを明らめん。言卒わりて逝く

金陵保寧寺圓璣禪師

金陵保寧寺圓璣禅師

福州林氏子。僧問。生死到來。如何迴避。師曰。堂中瞌睡。寮裡抽解。曰。便恁麼時如何。師曰。須知有轉身一路。曰。如何是轉身一路。師曰。傾出你腦髓。拽脫你鼻孔。曰。便從今日無疑去也。師曰。作麼生會。曰。但知行好事。不用問前程。師曰。須是恁麼。上堂。道源不遠。性海非遙。但向己求。莫從他覓。古人與麼說話。大似認奴作郎。指鹿為馬。若是翠巖即不然。也不向己求。亦不從他覓。何故。雙眉本來自橫。鼻孔本來自直。直饒說得天華亂墜。頑石點頭。算來多虗不如少實。且道如何是少實底事。良久曰。冬瓜直儱侗。瓠子曲彎彎。上堂。春雨微微。百事皆宜。禾苗發秀。蔬菜得時。阿難如合掌。迦葉亦攢眉。直饒靈山會上。拈華微笑。算來猶涉離微。爭似三家村裡。老翁深耕淺種。各知其時。有事當面便說。誰管瞬目揚眉。更有一般奇特事。末後一著更須知。擊拂子下座。上堂。廣尋文義。鏡裡求形。息念觀空。水中捉月。單傳心印。特地多端。德山臨濟枉用工夫。石鞏子湖飜成特地。若是保寧總不恁麼。但自隨緣飲啄。一切尋常。深遯白雲。甘為無學之者。敢問諸人。保寧畢竟將何報答四恩三有。良久曰。愁人莫向愁人說。說向愁人愁殺人。師示寂。闍維。有終不壞者二。糝以五色舍利。塔於雨華臺之左。

福州林氏の子。僧問う、生死到來せば、如何に回避せん。師曰く、堂中に瞌睡し、寮裏に抽解す。曰く、便ち恁麼の時如何。師曰く、須らく知れ身を轉ずる一路有るを。曰く、如何なるか是れ身を轉ずる一路。師曰く、你の腦髓を傾出し、你の鼻孔を拽脱せん。曰く、便ち今日より疑い無く去らん。師曰く、作麼生に會せん。曰く、但だ知る好事を行うのみ、前程を問うを用いず。師曰く、須らく是れ恁麼。上堂、道源遠からず、性海遥かに非ず。但だ己に向かって求め、他に從い覓る莫れ。古人恁麼に説話す、大いに似たり奴を認めて郎と作し、鹿を指して馬と為すに。若し是れ翠巖なれば即ち然らず、亦た己に向かって求めず、亦た他に從い覓えず。什麼を以て。雙眉本より自ら橫に來り、鼻孔本より自ら直なり。直饒説き得る天の花亂墜し、頑石頭を點くとも、算來すれば多くの虚は少しの實に如かず。且く道え如何なるか是れ少しの實の底の事。沈黙許久して曰く、冬瓜直に儱侗、瓠子曲彎彎。上堂、春雨微微、百事皆な宜し。禾苗秀を發し、蔬菜時を得たり。阿難如く合掌し、迦葉亦た眉を攢む。直饒靈山の會上、花を拈じ微笑すとも、算來すれば猶ほ離微を渉る。怎んぞ比せん三家の村裏、老翁深く耕し淺く種え、各々其の時を知る。事有れば面に當りて便ち説く、誰か瞬目揚眉を管せん。更に一般の奇特の事有り、末後の一著更に須らく知るべし。拂子を擊ち下座。上堂、廣く文義を尋ぬれば、鏡の裏に形を求む。念を息めて空を觀ずれば、水の中に月を捉う。單に心印を傳うるは、特に地に多端。德山臨濟枉しく工夫を用い、石鞏子湖翻えって特に地と成る。若し是れ保寧總て恁麼せず。但だ自ら緣に隨って飮啄し、一切尋常なり。深く白雲に遁れて、甘んじて無學の者と為る。敢えて諸人に問う、保寧畢竟將に何を以て四恩三有に報答せん。沈黙許久して曰く、愁人は愁人に向かって説く莫れ、愁人に向かって説けば愁殺せん。老師寂を示し、闍維す。終に壞れざる者二有り、五色の舍利を以て糁す。雨花台の左に塔す

南安軍雪峰道圓禪師

南安軍雪峰道圓禅師

南雄人也。依積翠日。宴坐下板。時二僧論野狐話。一雲。不昧因果。也未脫得野狐身。一雲。不落因果。又何曾墮野狐來。師聞之悚然。因詣積翠庵。渡㵎猛省。述偈曰。不落不昧。僧俗本無忌諱。丈夫氣宇如王。爭受囊藏被蓋。一條楖栗任縱橫。野狐跳入金毛隊。翠見為助喜。住後上堂。舉風幡話。頌曰。不是風兮不是幡。白雲依舊覆青山。年來老大渾無力。偷得忙中些子閑。

南雄の人なり。積翠に依る日、宴坐して板を下す。當時二僧野狐の話を論ず。一曰く、因果を昧くせざれども、未だ野狐の身を脱するを得ず。一曰く、因果に落ちざれば、又何ぞ曾て野狐に墮ち來らん。師之を聞きて悚然たり。因りて積翠の庵に詣り、澗を渡りて猛省す。偈を述べて曰く、落ちず昧くせず、僧俗本より忌諱無し。丈夫氣宇王の如し、争いか囊藏被蓋を受けん。一條の楖栗縱橫に任せ、野狐金毛の隊に跳入る。翠見て、他の為に喜を助く。住して後上堂、風幡の話を擧げ、頌して曰く、是れ風に非ず兮是れ幡に非ず、白雲依舊として青山を覆う。年來老大渾て力無く、忙中の些子の閑を偷得す

蘄州四祖山法演禪師

蕲州四祖山法演禅師

桂州人也。僧問。如何是心相。師曰。山河大地。曰。如何是心體。師曰。汝喚甚麼作山河大地。上堂。葉辭柯。秋已暮。參玄人。須警悟。莫謂來年更有春。等閑蹉了巖前路。且道作麼生是巖前路。良久曰。嶮。上堂。主山吞卻案山。尋常言論。拄杖子普該塵剎。未足為奇。光境兩亡。復是何物。良久曰。劫火洞然毫末盡。青山依舊白雲中。上堂。佛祖之道。壁立千仞。擬議馳求。還同點額。識不能識。智不能知。古聖到這裡。垂一言半句。要你諸人有箇入處。所以道。低頭不見地。仰面不見天。欲識白牛處。但看髑髏前。如今頭上是屋。腳下是地。面前是佛殿。且道白牛在甚麼處。乃召大眾。眾舉頭。師叱之。

桂州の人なり。僧問う、如何なるか是れ心相。師曰く、山河大地。曰く、如何なるか是れ心體。師曰く、你什麼を喚びて山河大地と作す。上堂、葉柯を辭す、秋已に暮る。玄を參ずる人、須らく警悟すべし。謂う莫れ來年更に春有らんと、等閑に巖前の路を蹉了す。且く道え作麼生なるか是れ巖前の路。沈黙許久して曰く、險。上堂、主山案山を吞卻すは、尋常の言論。拄杖子塵刹を普該すとも、未だ足らず以て奇と為すに。光境兩く亡ぶるは、復た是れ何の物ぞ。沈黙許久して曰く、劫火洞然として毫末盡く、青山依舊として白雲の中。上堂、佛祖の道、壁立千仞。擬議馳求せば、還た額を點ずるに同じ。識は識る能わず、智は知る能わず。古聖這裏に到りて、一言半句を垂れて、你の諸人に個の入る處有らんを要す。所以に説く、頭を低れて地を見ず、面を仰ぎて天を見ず。白牛の處を識らんと欲せば、但だ看よ髑髏の前を。如今頭上は是れ屋、脚下は是れ地、面前は是れ佛殿。且く道え白牛什麼の處に在る。於是大衆を召す。衆頭を擧ぐ。師之を叱る

南康軍清隱潛庵清源禪師

南康軍淸隱潛庵淸源禅師

豫章鄧氏子。上堂。寒風激水成冰。杲日照冰成水。冰水本自無情。各各應時而至。世間萬物皆然。不用強生擬議。上堂。先師初事棲賢諟泐潭澄歷二十年。宗門奇奧。經論玄要。莫不貫穿。及因雲峰指見慈明。則一字無用。遂設三關語以驗學者。而學者如葉公畫龍。龍現即怖。

豫章鄧氏の子。上堂、寒風水を激して冰と成し、杲日冰を照らして水と成す。冰水本より自ら情無し、各々時に應じて至る。世間の萬物皆な然り、強いて擬議を生ずるを用いず。上堂、先師初め栖賢𬤊、泐潭澄に事え、歷ること二十年。宗門の奇奥、經論の玄要、貫穿せざる無し。及び雲峰に因りて慈明に見ゆるを指されれば、則ち一字の用無し。於是三關の語を設けて以て學者を驗すれども、學者は葉公の龍を畫くが如く、龍現ずれば即ち怖る

安州興國院契雅禪師

安州興國院契雅禅師

僧問。請師不於語默裡答話。師以拄杖卓一下。僧曰。和尚莫草草怱怱。師曰。西天斬頭截臂。僧禮拜。師曰。墮也。墮也。上堂。心如朗月連天靜。遂打一圓相曰。寒山子聻。性似寒潭徹底清。是何境界。良久曰。無價夜光人不識。識得又堪作甚麼。凡夫虗度幾千春。乃呵呵大笑曰。爭如獨坐明窻下。華落華開自有時。下座。

僧問う、師の語默の裏に於て答話せざるを請う。師拄杖を以て一下卓す。僧曰く、和尚草草匆匆する莫れ。師曰く、西天頭を斬り臂を截る。僧禮拜す。師曰く、墮ちたり墮ちたり。上堂、心朗月の如く天に連なりて靜かなり。於是一個の圓相を打ちて曰く、寒山子呢。性寒潭に似て徹底淸し。是れ何の境界ぞ。沈黙許久して曰く、價無き夜光人識らず。識得すれば又堪えて什麼と作さん。凡夫虚しく幾千の春を度す。於是呵呵として大笑して曰く、争いか如かん獨り明窓の下に坐して、花落ち花開きて自ら時有るに。下座

齊州靈巖山重確正覺禪師

齊州靈巖山重確正覺禅師

上堂。祖師心印。狀似鐵牛之機。針挑不出。匙挑不上。過在阿誰。綠雖千種草。香祇一株蘭。上堂。不方不圓。不上不下。驢鳴狗吠。十方無價。拍禪床。下座。

上堂、祖師の心印、狀は鐵牛の機に似たり。針挑いて出ださず、匙挑いて上がらず。過は阿谁に在る。綠は千種の草なりと雖も、香は只だ一株の蘭。上堂、方ならず圓ならず、上ならず下ならず。驢鳴き狗吠えて、十方價無し。禅床を拍し、下座

䖍州廉泉院曇秀禪師

䖍州廉泉院曇秀禅師

僧問。滿口道不得時如何。師曰。話墮也。問。不與萬法為侶時如何。師曰。自家肚皮自家畫。問。如何是學人轉身處。師曰。掃地澆華。曰。如何是學人親切處。師曰。高枕枕頭。曰。總不恁麼時如何。師曰。鶯啼嶺上。華發巖前。問。如何是衲僧口。師曰。殺人不用刀。

僧問う、滿口道い得ざる時如何。師曰く、話墮ちたり。問う、萬法と侶と為らざる時如何。師曰く、自家の肚皮自家畫く。問う、如何なるか是れ學人の身を轉ずる處。師曰く、地を掃き花を澆る。曰く、如何なるか是れ學人の親切の處。師曰く、枕を高くして枕す。曰く、總て恁麼ならざる時如何。師曰く、鶯嶺上に啼き、花巖前に發く。問う、如何なるか是れ衲僧の口。師曰く、人を殺すに刀を用いず

南嶽高臺寺宣明佛印禪師

南岳高台寺宣明佛印禅師

僧問。正法眼藏。涅槃妙心。便請拈出。師直上覷。僧曰。恁麼則人天有賴。師曰。金屑雖貴。

僧問う、正法眼藏、涅槃の妙心、便ち拈出するを請う。師直上に覗う。僧曰く、恁麼ならば人天賴る所有り。師曰く、金屑貴しと雖も

蘄州三角山慧澤禪師

蕲州三角山慧澤禅師

僧問。師登寶座。大眾側聆。師卓拄杖一下。僧曰。答即便答。又卓箇甚麼。師曰。百雜碎。

僧問う、師寶座に登り、大衆側ら聆く。師拄杖を一下卓す。僧曰く、答えれば即ち答えよ、又個の什麼を卓する。師曰く、百雜碎

南嶽法輪文昱禪師

南岳法輪文昱禅師

上堂。以拄杖卓一卓。喝一喝曰。雪上加霜。眼中添屑。若也不會。北鬱單越。

上堂、拄杖を以て一卓し、一喝して曰く、雪の上に霜を加え、眼の中に屑を添ゆ。若しも會せざれば、北郁單越

信州靈鷲慧覺禪師

信州靈鷲慧覺禅師

上堂。大眾。百千三昧.無量妙義。盡在諸人腳跟下。各請自家回互取。會麼。回互不回互。認取歸家路。智慧為橋梁。柔和作依怙。居安則慮危。在樂須知苦。君不見。龐居士。黃金拋卻如糞土。父子團圞頭。共說無生語。無生語。仍記取。九夏雪華飛。三冬汗如雨。

上堂、大衆、百千の三昧、無量の妙義、盡く諸人の脚跟の下に在り。各々自家に請いて回互に取れ。會するか。回互か回互ならざるか、歸家の路を認取せよ。智慧を橋梁と為し、柔和依怙と作す。安きに居れば則ち危きを慮り、樂しみに在れば須らく苦しみを知るべし。你見ずや、龐居士、黄金抛却すること糞土の如し。父子團圝の頭、共に無生の語を説く。無生の語、仍ほ記取せよ。九夏雪花飛び、三冬汗雨の如し

黃檗積翠永庵主

黃檗積翠永庵主

示眾。山僧住庵來。無禪可說。無法可傳。亦無羞珍異寶。祇收得續火柴頭一箇。留與後人。令他煙燄不絕。火光長明。遂擲下拂子。時有僧就地拈起。吹一吹。師便喝曰。誰知續火柴頭。從這漢邊煙消火滅去。乃拂袖歸庵。僧吐舌而去。

衆に示す、山僧庵を住してより、説くべき禅無く、傳うべき法無く、亦た羞ましき珍異の寶も無し。只だ收め得たり續火の柴頭一個を、後人に留め與えて、彼をして烟焰絶えず、火光長に明らからしめん。於是拂子を擲下す。當時僧有りて地に就きて拈起し、一吹きす。師便ち喝して曰く、誰か知らん續火の柴頭、這の漢の邊より烟消え火滅して去るを。於是袖を拂いて庵に歸る。僧舌を吐いて去る

廬山歸宗志芝庵主

廬山歸宗志芝庵主

臨江人也。壯為苾蒭。依黃龍於歸宗。遂領深旨。有偈曰。未到應須到。到了令人笑。眉毛本無用。無渠底波俏。未幾。龍引退。芝陸沈於眾。一日普請罷。書偈曰。茶芽蔍蔌初離焙。筍角狼忙又吐泥。山舍一年春事辦。得閑誰管板頭低。由是衲子親之。師不懌。結茆絕頂。作偈曰。千峰頂上一間屋。老僧半間雲半間。昨夜雲隨風雨去。到頭不似老僧閑。

臨江の人なり。壯年比丘と為り、歸宗に於て黃龍に依りて、於是深旨を領す。偈有りて曰く、未だ到らざれば應に須らく到るべく、到りては人をして笑わしむ。眉毛本より用無く、渠底の波俏無し。程なく、龍引退して、芝衆に陸沈す。一日普請罷みて、偈を書して曰く、茶芽蔌蔌として初めて焙を離れ、笋角狼忙として又泥を吐く。山舍一年春事辦じ、閑を得て誰か板頭の低きを管せん。是に由りて衲子之に親しむ。師悅ばず、茅を絶頂に結びて、偈を作りて曰く、千峰の頂上一間の屋、老僧半間雲半間。昨夜雲風雨に隨って去り、到頭老僧の閑に似ず

南嶽下十三世上

南岳の下十三世上

黃龍心禪師法嗣

黃龍心禅師法嗣

隆興府黃龍死心悟新禪師

隆興府黃龍死心悟新禅師

韶州黃氏子。生有紫肉幕左肩。右袒如僧伽棃狀。壯依佛陀院德修。祝髮進具後。遊方至黃龍。謁晦堂。堂竪拳問曰。喚作拳頭則觸。不喚作拳頭則背。汝喚作甚麼。師罔措。經二年。方領解。然尚談辯。無所抵捂。堂患之。偶與語至其銳。堂遽曰。住。住。說食豈能飽人。師窘。乃曰。某到此弓折箭盡。望和尚慈悲。指箇安樂處。堂曰。一塵飛而翳天。一芥墮而覆地。安樂處政忌上座許多骨董。直須死卻無量劫來全心乃可耳。師趨出。一日。聞知事捶行者。而迅雷忽震。即大悟。趨見晦堂。忘納其屨。即自譽曰。天下人總是參得底禪。某是悟得底。堂笑曰。選佛得甲科。何可當也。因號死心叟。僧問。如何是黃龍接人句。師曰。開口要罵人。曰。罵底是接人句。驗人一句又作麼生。師曰。但識取罵人。問。弓箭在手。智刃當鋒。龍虎陣圓。請師相見。師曰。敗將不斬。曰。恁麼。則銅柱近標脩水側。鐵關高鏁鳳凰峰。師曰。不到烏江未肯休。曰。若然者。七擒七縱。正令全提。師曰。棺木裡瞠眼。僧禮拜。師曰。苦。苦。問。承師有言。老僧今夏向黃龍潭內。下三百六十箇釣筒。未曾遇著箇錦鱗紅尾。為復是鉤頭不妙。為復是香餌難尋。師曰。雨過竹風清。雲開山嶽露。曰。恁麼。則已得真人好消息。人間天上更無疑。師曰。是鉤頭不妙。是香餌難尋。曰。出身猶可易。脫體道應難。師曰。亂統禪和。如麻似粟。上堂。深固幽遠。無人能到。釋迦老子到不到。若到。因甚麼無人。若不到。誰道幽遠。上堂。祖師心印。狀似鐵牛之機。去即印住。住即印破。祇如不去不住。印即是。不印即是。金果早朝猿摘去。玉華晚後鳳銜歸。上堂。行腳高人解開布袋。放下缽囊。去卻藥忌。一人所在須到。半人所在須到。無人所在也須親到。上堂。拗折拄杖。將甚麼登山渡水。拈卻缽盂匙箸。將甚麼吃粥吃飯。

韶州黃氏の子。生れて紫肉の幕左肩有り、右袒して僧伽梨の狀の如し。壯にして佛陀院德修に依り、髮を祝ぎ具を進めて後、方に游びて黃龍に至り、晦堂を謁えたり。堂拳を竪てて問う、喚びて拳頭と作さば則ち觸れ、喚びて拳頭と作さざれば則ち背く。你喚びて什麼と作す。師罔措たり。二年を經て、方に領解す。然るに尚ほ辯を談じ、抵捂する所無し。堂之を患う。偶語と其の銳に至りて、堂遽かに曰く、住住、食を説いて豈に能く人を飽かせん。師窘めて、便ち曰く、某此に到りて弓折れ箭盡き、望む和尚の慈悲、個の安樂の處を指さん。堂曰く、一の塵飛んで天を翳し、一の芥墮ちて地を覆う。安樂の處正に上座の許多の骨董を忌む。直に須らく無量劫より來の全心を死卻して乃ち可なり。師趨り出づ。一日、知事の行者を捶くを聞きて、迅雷忽ち震う、即ち大悟す。趨りて晦堂に見ゆ、其の履を納るるを忘る。即ち自ら譽して曰く、天下人總て是れ參得の底の禅、某は是れ悟得の底。堂笑い曰く、佛を選ぶに甲科を得たり、何の當たるべきも有らん。因りて號して死心叟と曰う。僧問う、如何なるか是れ黃龍人を接するの句。師曰く、口を開けば人を罵らんと要す。曰く、罵る底は是れ人を接するの句、人を驗する一句は又作麼生。師曰く、但だ識取せよ人を罵るを。問う、弓箭手に在り、智刃鋒に當る。龍虎の陣圓く、師の相見んを請う。師曰く、敗將斬らず。曰く、恁麼なれば、則ち銅柱修水の側に近く標して、鐵關高く鳳凰の峰を鎖す。師曰く、烏江に到らざれば未だ休せんを肯ぜず。曰く、若し然る者は、七擒七縱、正令全提す。師曰く、棺木の裏に眼を瞠く。僧禮拜す。師曰く、苦苦。問う、師の言有るを承る、老僧今の夏黃龍の潭内に向かい、三百六十個の釣筒を下し、未曾だ個の錦鱗紅尾に遇著かず。是れ復た鉤頭妙ならざるか、是れ復た香餌尋ね難きか。師曰く、雨過ぎて竹の風淸く、雲開きて山岳露わる。曰く、恁麼なれば、則ち已に真人の好き消息を得、人間天上更に疑い無し。師曰く、是れ鉤頭妙ならず、是れ香餌尋ね難し。曰く、身を出だすは猶ほ易し、體を脱して道うるは應に難し。師曰く、亂統の禅和、麻の如く粟に似たり。上堂、深固幽遠にして、人の到る能くする無し。釋迦老子到るか到らざるか。若し到れば、什麼に因りて人無き。若し到らざれば、誰か幽遠と道わん。上堂、祖師の心印、狀は鐵牛の機に似たり。去れば即ち印住し、住まれば即ち印破す。只だ如く去らず住まらざれば、印するは即ち是れか、印せざるは即ち是れか。金果早朝猿摘んで去り、玉華晚の後鳳銜えて歸る。上堂、行脚の高人布袋を解き開き、鉢囊を放下し、藥忌を去却す。一人の所在須らく到り、半人の所在須らく到り、人無き所在も亦た須らく親しく到るべし。上堂、拄杖を拗折せば、何を將てか山に登り水を渡らん。鉢盂匙箸を拈却せば、何を將てか粥を喫し飯を喫さん

不如向十字街頭東卜西卜。忽然卜著。是你諸人有彩。若卜不著。也怪雲巖不得。上堂。文殊騎師子。普賢騎象王。釋迦老子足躡紅蓮。且道黃龍騎箇甚麼。良久曰。近來年老。一步是一步。上堂。清珠下於濁水。濁水不得不清。念佛投於亂心。亂心不得不佛。佛既不亂。濁水自清。濁水既清。功歸何所。良久曰。幾度黑風飜大海。未曾聞道釣舟傾。上堂。有時破二作三。有時會三歸一。有時三一混同。有時不落數量。且道甚麼處是黃龍為人處。良久曰。珍重。僧問。如何是四大毒蛇。師曰。地水火風。曰。如何是地水火風。師曰。四大毒蛇。曰。學人未曉。乞師方便。師曰。一大既爾。四大亦同。室中問僧。月晦之陰。以五色彩著於瞑中。令百千萬人夜視其色。寧有辯其青黃赤白者麼。僧無語。師代曰。箇箇是盲人。師因王正言問。甞聞三緣和合而生。又聞即死即生。何故有奪胎而生者。某甚疑之。師曰。如正言作漕使。隨所住處即居其位。還疑否。王曰。不疑。師曰。復何疑也。王於言下領解。師臨寂。示偈曰。說時七顛八倒。默時落二落三。為報五湖禪客。心王自在休參。茶毗設利五色。後有過其區所者。獲之尤甚。塔於晦堂丈室之北。

(師接續いて曰く、)十字街頭に向かって東に卜し西に卜するに如かず。忽然卜著けば、是れ你の諸人彩有り。若し卜著かざれば、亦た雲巖を怪むを得ず。上堂、文殊師子に騎り、普賢象王に騎り、釋迦老子足紅蓮を蹑る。且く道え、黃龍個の什麼に騎る。沈黙許久して曰く、近來年老く、一歩は是れ一歩。上堂、淸珠濁水に下せば、濁水清からざるを得ず。佛を念じて亂心に投ぜば、亂心佛ならざるを得ず。佛既に亂れず、濁水自ら清し。濁水既に清ければ、功何の所に歸する。沈黙許久して曰く、幾度か黑風大海を翻せども、未曾だ聞かず釣舟の傾くを。上堂、或る時は二を破りて三と作し、或る時は三に會して一に歸し、或る時は三一混同し、或る時は數量に落ちず。且く道え什麼の處か是れ黃龍人を為るの處。沈黙許久して曰く、珍重。僧問う、如何なるか是れ四大の毒蛇。師曰く、地水火風。曰く、如何なるか是れ地水火風。師曰く、四大の毒蛇。曰く、學人未だ曉らず、師の方便を乞う。師曰く、一大既に爾なり、四大も亦た同じ。室中に僧に問う、月晦の陰、五色彩を以て瞑の中に著けて、百千萬人をして夜に其の色を視せしむるに、寧に其の青黄赤白を辨うる者有らんか。僧語無し。師代りて曰く、個個是れ盲人。老師王正言の問うに因る、嘗て聞く三緣和合して生ず、又聞く即死即生、何故に胎を奪りて生ずる者有る。某甚だ之を疑う。師曰く、正言漕使と作るが如く、住する所に隨い即ち其の位に居る、還た疑う否。王曰く、疑わず。師曰く、復た何をか疑わん。王言下に於て領解す。老師寂に臨みて、偈を示して曰く、説く時は七顛八倒し、默す時は二に落ち三に落つ。五湖の禅客に報いん為めに、心王自在にして參ずるを休めよ。荼毗して舍利五色。後に其の區所を過る者有りて、之を獲ること尤も甚し。晦堂の丈室の北に塔す

隆興府黃龍靈源惟清禪師

隆興府黃龍靈源惟淸禅師

本州陳氏子。印心於晦堂。每謂人曰。今之學者未脫生死。病在甚麼處。病在偷心未死耳。然非其罪。為師者之罪也。如漢高帝紿韓信而殺之。信雖死。其心果死乎。古之學者。言下脫生死。效在甚麼處。在偷心已死。然非學者自能爾。實為師者鉗鎚妙密也。如梁武帝御大殿見侯景。不動聲氣而景之心已枯竭無餘矣。諸方所說非不美麗。要之如趙昌畫華。華雖逼真而非真華也。上堂。皷聲才動。大眾雲臻。無限天機。一時漏洩。不孤正眼。便合歸堂。更待繁詞。沈埋宗旨。縱謂釋迦不出世。四十九年說。達磨不西來。少林有妙訣。修山主也似萬里望鄉關。又道。若人識祖佛。當處便超越。直饒恁麼悟入親切去。更有轉身一路。勘過了打。以拂子擊禪床。下座。上堂。江月照。松風吹。永夜清宵更是誰。霧露雲霞遮不得。箇中猶道不如歸。復何歸。荷葉團團團似鏡。菱角尖尖尖似錐。上堂。三世諸佛。不知有恩無重報。狸奴白牯。卻知有功不浪施。明大用。曉全機。絕蹤跡。不思議。歸去好。無人知。沖開碧落松千尺。截斷紅塵水一溪。上堂。至道無難。唯嫌揀擇。但莫憎愛。洞然明白。祖師恁麼說話。瞎卻天下人眼。識是非.別緇素底衲僧。到這裡如何辨明。未能行到水窮處。難解坐看雲起時。

本州陳氏の子。晦堂に於て心を印す。每に人に對して曰く、今の學者未だ生死を脱せず、病は什麼の處に在る。病は偷心未だ死せざるに在るのみ。然れども其の罪に非ず、師と為る者の罪なり。漢の高帝韓信を紿して之を殺せしが如く、信死すと雖も、其の心果して死せり乎。古の學者、言下に生死を脱す、效は什麼の處に在る。偷心已に死するに在り。然れども學者自ら能く爾なりに非ず、實に師と為る者の鉗鎚妙密なりと為す。梁の武帝大殿に御して侯景に見え、聲氣を動かさずして景の心已に枯竭して餘無きが如し。諸方の説く所美麗ならざるに非ざれども、之を要すれば趙昌の花を畫くが如く、花は真に逼ると雖も真の花に非ず。上堂、鼓聲纔かに動けば、大衆雲の臻るが如し。無限の天機、一時に漏泄す。正眼を孤せざれば、便ち堂に歸るに合す。更に繁詞を待たば、宗旨を沉埋せん。縱い謂う釋迦世に出でず、四十九年に説き、達磨西に來らず、少林に妙訣有り。修山主も亦た萬里に鄉關を望むに似たり。又曰く、若し人祖佛を識れば、處に當りて便ち超越す。直饒恁麼に悟入して親切に去るとも、更に身を轉ずる一路有り。勘過して打つ。拂子を以て禅床を擊ち、下座。上堂、江月照らし、松風吹く、永夜淸宵更に是れ誰ぞ。霧露雲霞遮るを得ず、個中猶ほ道う歸るに如かずと。復た何に歸る。荷葉團團として鏡に似て團く、菱角尖尖として錐に似て尖し。上堂、三世の諸佛、恩有ることを知らずして重ねて報いず、狸奴白牯、卻って功有りて浪りに施さざるを知る。大用を明らめ、全機を曉る。蹤跡を絶ち、思議すべからず。歸去するは好し、人知る無し。碧落を衝開きて松千尺、紅塵を截斷して水一溪。上堂、至道難き無し、唯だ揀擇を嫌う。但だ憎愛する莫れ、洞然明白なり。祖師恁麼に説話す、天下人の眼を瞎卻す。是非を識り緇素を別ぐる衲僧、這裏に到りて如何に辨明せん。未だ能く水の窮まる處に行き到らず、坐して雲の起こる時を看るを解し難し

隆興府泐潭草堂善清禪師

隆興府泐潭草堂善淸禅師

南雄州何氏子。初謁大溈喆禪師。無所得。後謁黃龍。龍示以風幡話。久而不契。一日。龍問。風幡話。子作麼生會。師曰。逈無入處。乞師方便。龍曰。子見貓兒捕鼠乎。目睛不瞬。四足踞地。諸根順向。首尾一直。擬無不中。子誠能如是。心無異緣。六根自靜。默然而究。萬無失一也。師從是屏去閑緣。歲餘豁然契悟。以偈告龍曰。隨隨隨。昔昔昔。隨隨隨後無人識。夜來明月上高峰。元來祇是這箇賊。龍頷之。復告之曰。得道非難。弘道為難。弘道猶在己。說法為人難。既明之後。在力行之。大凡宗師說法。一句中具三玄。一玄中具三要。子入處真實。得坐披衣。向後自看。自然七通八達去。師復依止七年。乃辭。徧訪叢林。後出世黃龍。終於泐潭。僧問。牛頭未見四祖時如何。師曰。京三卞四。曰。見後如何。師曰。灰頭土面。曰。畢竟如何。師曰。一場懡㦬。開堂。上堂舉浮山遠和尚雲。欲得英俊麼。仍須四事俱備。方顯宗師蹊徑。何謂也。一者祖師巴鼻。二具金剛眼睛。三有師子爪牙。四得衲僧殺活拄杖。得此四事。方可縱橫變態。任運卷舒。高聳人天。壁立千仞。儻不如是。守死善道者。敗軍之兆。何故。棒打石人。貴論實事。是以到這裡。得不脩江耿耿。大野雲凝。綠竹含煙。青山鎻翠。風雲一致。水月齊觀。一句該通。已彰殘朽。師曰。黃龍今日出世。時當末季。佛法澆漓。不用祖師巴鼻。不用金剛眼睛。不用師子爪牙。不用殺活拄杖。祇有一枝拂子以為蹊徑。亦能縱橫變態。任運卷舒。亦能高聳人天。壁立千仞。有時逢強即弱。有時遇貴即賤。拈起則群魔屏跡。佛祖潛蹤。放下則合水和泥。聖凡同轍。且道拈起好。放下好。竿頭絲線從君弄。不犯清波意自殊。上堂。色心不異。彼我無差。竪起拂子曰。若喚作拂子。入地獄如箭。不喚作拂子。有眼如盲。直饒透脫兩頭。

南雄州何氏の子。初め大潙喆禅師を謁え、所得無し。後に黃龍を謁う。龍風幡の話を以て示すに、久しくして契わず。一日、龍問う、風幡の話、你作麼生に會する。師曰く、迥かに入る處無し、師の方便を乞う。龍曰く、你猫兒の鼠を捕えるを見るか。目睛瞬かず、四の足地に踞り、諸根順い向き、首尾一直にして、擬して中らざる無し。你誠に能く是の如くなれば、心に異なる緣無く、六根自ら靜なり、默然として究めれば、萬に一を失う無し。師此より閑緣を屏去し、一年餘りにして豁然として契悟す。偈を以て龍に告げて曰く、隨隨隨、昔昔昔。隨隨隨して後人の識る無し。夜來明月高峰に上る、元來只だ是れ這個の賊。龍之を頷く。又他に告げて曰く、道を得るは難きに非ず、道を弘むるを難しと為す。道を弘むるは猶ほ己に在り、法を説くは人を為して難し。既に明らかの後、之を力行するに在り。大凡宗師法を説くは、一句の中に三玄を具え、一玄の中に三要を具う。你の入る處真實なり、坐を得て衣を披き、向後自ら看れば、自然に七通八達して去らん。師又依止すること七年、乃ち辭して、遍く叢林を訪う。後に世に出でて黃龍に居り、泐潭に終わる。僧問う、牛頭未だ四祖に見えざる時如何。師曰く、京三卞四。曰く、見えて後如何。師曰く、灰頭土面。曰く、畢竟如何。師曰く、一場の懡㦬。堂を開く。上堂に浮山遠和尚の説くを擧ぐ、英俊を得んと欲せば、仍ほ須らく四事俱に備えて、方に宗師の蹊径を顯さん。何を謂う。一には祖師の巴鼻、二には金剛の眼睛を具え、三には師子の爪牙有り、四には衲僧の殺活の拄杖を得。此の四事を得て、方に縱橫變態し、運に任せて卷舒し、人天に高く聳え、壁立千仞たるべし。倘し是の如くならざれば、死して善道を守るは、敗軍の兆。什麼を以て。棒石人を打てば、實事を論ずるを貴ぶ。是以ここに到りて、修江耿耿、大野雲凝るを得。綠竹烟を含み、青山翠を鎖す。風雲一致し、水月齊しく觀ず。一句該通して、已に殘朽を彰す。師曰く、黃龍今日世に出づ、時末季に當りて、佛法澆漓せり。祖師の巴鼻を用いず、金剛の眼睛を用いず、師子の爪牙を用いず、殺活の拄杖を用いず。只だ一枝の拂子有りて以て蹊径と為し、亦た能く縱橫變態し、運に任せて卷舒し、亦た能く人天に高く聳え、壁立千仞たるべし。或る時は強に逢えば即ち弱く、或る時は貴に遇えば即ち賤し。拈起すれば則ち群魔跡を屏ぎ、佛祖蹤を潜め、放下すれば則ち水を合し泥を和し、聖凡同じ轍。且く道え、拈起するを好むか、放下するを好むか。竿頭の絲線君に從い弄せん、淸波を犯さずして意自ら殊なり。上堂、色心異ならず、彼我差い無し。拂子を竪起して曰く、若し喚びて拂子と作さば、地獄に入ること箭の如く、喚びて拂子と作さざれば、眼有れども盲の如し。直饒兩頭を透脱すとも

也是黑牛臥死水。

(師接續いて曰く、)亦是れ黑牛死水に臥す

吉州青原惟信禪師

吉州青原惟信禅師

上堂。老僧三十年前未參禪時。見山是山。見水是水。及至後來。親見知識。有箇入處。見山不是山。見水不是水。而今得箇休歇處。依前見山祇是山。見水祇是水。大眾。這三般見解。是同是別。有人緇素得出。許汝親見老僧。

上堂、老僧三十年前未だ禅を參參ぜざる時、山を見れば是れ山、水を見れば是れ水。及び後來、親しく知識に見えて、個の入る處有り、山を見れば是れ山に非ず、水を見れば是れ水に非ず。而今個の休歇の處を得て、前に依りて山を見れば只だ是れ山、水を見れば只だ是れ水。大衆、此の三般の見解、是れ同じきか是れ別なるか。人緇素し出だす有れば、汝を許さん親しく老僧に見えしと

澧州夾山靈泉院曉純禪師

澧州夾山靈泉院曉純禅師

甞以木刻作一獸。師子頭。牛足馬身。每陞堂時。持出示眾曰。喚作師子。又是馬身。喚作馬身。又是牛足。且道畢竟喚作甚麼。令僧下語。莫有契者。師示頌曰。軒昂師子首。牛足馬身材。三道如能入。玄門疊疊開。上堂。有箇漢自從曠大劫。無住亦無依。上無片瓦蓋頭。下無寸土立足。且道十二時中。在甚處安身立命。若也知得。朝到西天。暮歸東土。

曾て木を以て一の獸を刻作し、師子の頭、牛の足馬の身。每に堂に升る時、持して出でて衆に示して曰く、喚びて師子と作さば、又是れ馬の身、喚びて馬身と作さば、又是れ牛の足。且く道え畢竟喚びて什麼と作す。僧に語を下せしむれども、契える未有り。師頌を示して曰く、軒昂たる師子の首、牛の足馬の身の材。三の道能く入らば、玄門疊々開かん。上堂、個の漢有りて曠大劫より自ら、住する無く亦た依る無し。上に片瓦頭を蓋う無く、下に寸土足を立つる無し。且く道え十二時中、甚の處にか身を安め命を立つ。若しも知り得れば、朝に西天に到り、暮に東土に歸らん

漢州三聖繼昌禪師

漢州三聖繼昌禅師

彭州黎氏子。上堂。木佛不度火。甘露臺前逢達磨。惆悵洛陽人未來。面壁九年空冷坐。金佛不度爐。坐歎勞生走道途。不向華山圖上看。豈知潘閬倒騎驢。泥佛不度水。一道靈光照天地。堪羨玄沙老古錐。不要南山要鼈鼻。上堂。舉趙州訪二庵主。師曰。五陵公子爭誇富。百衲高僧不厭貧。近來世俗多顛倒。祇重衣衫不重人。

彭州黎氏の子。上堂、木の佛火を度らず、甘露の台前に達磨に逢う。惆悵す洛陽の人未だ來らず、壁に面して九年空しく冷坐す。金の佛爐を度らず、坐して歎ず勞生道途を走る。華山の圖上に向かって看ざれば、豈に知らん潘閬の倒に驢に騎るを。泥の佛水を度らず、一道の靈光天地を照らす。羨むべし玄沙の老古錐、南山を要せずして鱉鼻を要す。上堂、趙州の二の庵主を訪うを擧ぐ。師曰く、五陵の公子富を誇り爭え、百衲の高僧貧を厭わず。近來世俗多く顛倒し、只だ衣衫を重んじて人を重んぜず

隆興府雙嶺化禪師

隆興府雙嶺化禅師

上堂。翠竹黃華非外境。白雲明月露全真。頭頭盡是吾家物。信手拈來不是塵。遂舉拂子曰。會麼。認著依前還不是。擊禪床下座。

上堂、翠竹黃花外境に非ず、白雲明月全真を露わす。頭頭盡く是れ吾が家の物、手に信じて拈來すれば是れ塵に非ず。於是拂子を擧げて曰く、會するか。認著けば前に依りて還た是れに非ず。禅床を擊ち下座

泗州龜山水陸院曉津禪師

泗州龜山水陸院曉津禅師

僧問。如何是賓中賓。師曰。巢父飲牛。曰。如何是賓中主。師曰。許由洗耳。曰。如何是主中賓。師便喝。曰。如何是主中主。師曰。禮拜了。退。上堂。田地穩密。過犯彌天。灼然擡腳。不起神通遊戲。無瘡自傷。特地下腳不得。且道過在甚麼處。具參學眼底出來。共相理論。要見本分家山。不支岐路。莫祇管自家點頭。蹉過歲月。他時異日。頂上一椎。莫言不道。

僧問う、如何なるか是れ賓中の賓。師曰く、巢父牛を飮む。曰く、如何なるか是れ賓中の主。師曰く、許由耳を洗う。曰く、如何なるか是れ主中の賓。師便ち喝す。曰く、如何なるか是れ主中の主。師曰く、禮拜了りて、退け。上堂、田地穩密にして、過犯天に彌ん。灼然として脚を擡ぐも、神通の游戲を起こさず。瘡無くして自ら傷つけば、特に下脚するを得ず。且く道え過什麼の處に在る。參學の眼を具する底は出で來りて、共に相い理論せよ。本分の家山を見んと要せば、歧路を支える莫れ。只だ自家の點頭を管する莫れ、歲月を蹉過せん。他の時異の日、頂上の一椎、道わざらんと莫言せ

漳州保福本權禪師

漳州保福本權禅師

臨漳人也。性質直而勇於道。乃於晦堂舉拳處徹證根源。機辯捷出。黃山谷初有所入。問晦堂。此中誰可與語。堂曰。漳州權。師方督役開田。山谷同晦堂往。致問曰。直歲還知露柱生兒麼。師曰。是男是女。黃擬議。師揮之。堂謂曰。不得無禮。師曰。這木頭。不打更待何時。黃大笑。上堂。舉寒山偈曰。吾心似秋月。碧潭清皎潔。無物堪比倫。教我如何說。老僧即不然。吾心似燈籠。點火內外紅。有物堪比倫。來朝日出東。傳者以為笑。死心和尚見之。歎曰。權兄提唱若此。誠不負先師所付囑也。

臨漳の人なり。性質直にして道に勇め、乃ち晦堂の拳を擧ぐる處に於て根源を徹證し、機辯捷く出づ。黃山谷初めて入る所有りて、晦堂に問う、此の中誰か與に語るべき。堂曰く、漳州の權。師方に役を督して田を開く。山谷晦堂と同じく往きて、致して問い曰く、直歲還た知るか露柱兒を生むを。師曰く、是れ男か是れ女か。黃擬議す。師之を揮う。堂他に對して曰く、禮無きを得ず。師曰く、這の木頭、打たずんば更に何の時をか待たん。黃大笑す。上堂、寒山の偈を擧げて曰く、吾が心秋月に似たり、碧潭淸く皎潔なり。物の倫を比ぶべき無く、我をして如何に説かしめん。老僧即ち然らず、吾が心燈籠に似たり、火を點して內外紅なり。物の倫を比ぶべき有り、來朝日出でて東なり。傳うる者以て笑と為す。死心和尚之を見て、歎じて曰く、權兄の提唱此の若し、誠に先師の付囑する所に負かず

潭州南嶽雙峰景齊禪師

潭州南岳雙峰景齊禅師

上堂。拈拄杖曰。橫拈倒用。諸方虎步龍行。打狗撐門。雙峰掉在無事甲裡。因風吹火。別是一家。以拄杖靠肩。顧視大眾曰。喚作無事得麼。良久曰。刀尺高懸著眼看。誌公不是閑和尚。卓拄杖一下。

上堂、拄杖を拈じて曰く、橫に拈じ倒に用いれば、諸方虎步龍行す。狗を打ち門を撑げば、雙峰沒事の甲裏に掉す。風に因りて火を吹けば、別に是れ一家。拄杖を以て肩に靠え、大衆を環顧して曰く、喚びて沒事と作すを得るか。沈黙許久して曰く、刀尺高く懸けて眼を著けて看よ、志公是れ閑の和尚に非ず。拄杖を一下卓す

溫州護國寄堂景新禪師

溫州護國寄堂景新禅師

郡之陳氏子。上堂。三界無法。何處求心。欲知護國當陽句。且看門前竹一林。

郡中陳氏の子。上堂、三界法無し、何の處にか心を求めん。護國當陽の句を知らんと欲せば、且く看よ門前の竹一林を

鄂州黃龍智明禪師

鄂州黃龍智明禅師

一日上堂。眾才集。師乃曰。不可更開眼說夢去也。便下座。上堂。南北一訣。斬釘截鐵。切忌思量。飜成途轍。師同胡巡檢到公安二聖。胡問。達磨對梁武帝雲。廓然無聖。公安為甚麼卻有二聖。師曰。一點水墨。兩處成龍。

一日上堂、衆纔かに集まれば、師便ち曰く、更に眼を開きて夢を説くべからず。便ち下座。上堂、南北一訣、釘を斬り鐵を截る。切に思量するを忌め、翻えって途轍と成る。老師胡巡檢と同じく公安の二聖に到る。胡問う、達磨梁の武帝に對して説く、廓然として聖無しと。公安什麼を以てか卻って二聖有る。師曰く、一點の水墨、兩、兩處に龍と成る

潭州道吾仲圓禪師

潭州道吾仲圓禅師

上堂。不是心。不是佛。不是物。古人恁麼道。譬如管中窺豹。但見一斑。設或入林不動草。入水不動波。亦如騎馬向冰凌上行。若是射鵰手。何不向虵頭上揩癢。具正眼者試辨看。良久曰。鴛鴦繡出自金針。

上堂、是れ心に非ず、是れ佛に非ず、是れ物に非ず。古人恁麼に道う、譬えば管の中より豹を窺い、但だ一斑を見るが如し。設し或いは林に入りて草を動かさず、水に入りて波を動かさずとも、亦た馬に騎りて冰凌の上を行くが如し。若し是れ鵰を射る手ならば、何ぞ蛇頭の上に向かって痒きを揩せざる。正眼を具する者試みに辨えて看よ。沈黙許久して曰く、鴛鴦の繡は金針より出づ

太史山谷居士黃庭堅

太史山谷居士黃庭堅

字魯直。以般若夙習。雖膴仕澹如也。出入宗門。未有所向。好作艷詞。甞謁圓通秀禪師。秀呵曰。大丈夫翰墨之妙。甘施於此乎。秀方戒李伯時畫馬事。公誚之曰。無乃復置我於馬腹中邪。秀曰。汝以艶語動天下人婬心。不止馬腹中。正恐生泥犂耳。公悚然悔謝。由是絕筆。惟孳孳於道。著發願文。痛戒酒色。但朝粥午飰而已。往依晦堂。乞指徑捷處。堂曰。祇如仲尼道。二三子以我為隱乎。吾無隱乎爾者。太史居常如何理論。公擬對。堂曰。不是。不是。公迷悶不已。一日侍堂山行次。時巖桂盛放。堂曰。聞木樨華香麼。公曰。聞。堂曰。吾無隱乎爾。公釋然。即拜之。曰。和尚得恁麼老婆心切。堂笑曰。祇要公到家耳。久之。謁雲巖死心新禪師。隨眾入室。心見。張目問曰。新長老死學士死。燒作兩堆灰。向甚麼處相見。公無語。心約出曰。晦堂處參得底。使未著在。後左官黔南。道力愈勝。於無思念中頓明死心所問。報以書曰。往年甞蒙苦苦提撕。長如醉夢。依俙在光影中。蓋疑情不盡。命根不斷。故望崖而退耳。謫官在黔南道中。晝臥覺來。忽爾尋思。被天下老和尚謾了多少。惟有死心道人不肯。乃是第一相為也。不勝萬幸。後作晦堂塔銘曰。某夙承記莂。堪任大法。道眼未圓。而來瞻窣堵。實深宗仰之歎。乃勒堅珉。敬頌遺美。公復設蘋蘩之供。祭之以文。弔之以偈曰。海風吹落楞伽山。四海禪徒著眼看。一把柳絲收不得。和煙搭在玉欄幹。

字は魯直。般若の夙習を以て、高位に居ると雖も淡如たり。宗門に出入りして、未だ向う所有らず。艷詞を作るを好む。曾て圓通秀禅師を謁えたり。秀呵して曰く、大丈夫翰墨の妙、甘んじて此に施すか。秀方に李伯時の馬を畫く事を戒む。公之を誚りて曰く、無しや乃ち復た我を馬腹の中に置かん耶。秀曰く、你艷語を以て天下人の淫心を動かす、馬腹の中に止まらず、正に泥犁に生ずるを恐る。公悚然として悔い謝し、此に由りて筆を絶ち、惟だ道に孳孳たり。發願文を著し、痛く酒色を戒め、但だ朝の粥午の飯のみ。往きて晦堂に依りて、徑捷の處を指すを乞う。堂曰く、只だ如く仲尼の説く、二三子我を以て隱すと為すか、吾爾に隱す無き者。太史平常に居りて如何に理論する。公對えんと擬す。堂曰く、是れに非ず是れに非ず。公迷悶已まず。一日堂の山行に侍す、當時巖桂盛んに放つ。堂曰く、木樨の花香を聞くか。公曰く、聞く。堂曰く、吾爾に隱す無し。公釋然として、即ち拜して曰く、和尚恁麼の老婆心切なるを得たり。堂笑い曰く、只だ公の家に到るを要するのみ。久之しく、雲巖の死心新禅師を謁え、衆に隨って室に入る。心見て、目を張りて問う、新長老死し、學士死し、燒いて兩堆の灰と作る、何の處に向かって相見せん。公語無し。心約めて出でて曰く、晦堂の處參得の底、未だ着に在らずと使う。後に官を黔南に貶められて、道力愈々勝れたり。思慮無きの中に於て頓に死心の問う所を明らむ。書を以て報い曰く、往年曾て苦苦提撕するを蒙り、長く醉夢の如く、依稀として光影の中に在り。蓋し疑情盡きず、命根斷えざれば、故に崖を望みて退くのみ。官を謫されて黔南の道中に在り、晝臥し覺め來りて、忽爾として思い尋ぬる、天下の老和尚に瞞されしこと多少。惟だ死心道人肯ぜず、乃是れ第一の相い為すなり。萬幸に勝えず。後に晦堂の塔銘を作りて曰く、某夙に記莂を承けて、大法を任ずるに堪えたり。道眼未だ圓ならずして、來りて窣堵を瞻む、實に深く宗仰の歎。乃ち堅珉を勒して、敬みて遺美を頌す。公又苹蘩の供を設け、文を以て之を祭り、偈を以て之を吊いて曰く、海風楞伽山を吹落し、四海の禅徒眼を著けて看る。一把の柳絲收むるを得ず、烟を和して玉の欄干に搭す

觀文王韶居士

觀文王韶居士

字子淳。出刺洪州。乃延晦堂問道。默有所契。因述投機頌曰。晝曾忘食夜忘眠。捧得驪珠欲上天。卻向自身都放下。四稜塌地恰團圓。呈堂。堂深肯之。

字は子淳。出でて洪州を刺す、於是晦堂を延いて道を問うに、默かに契う所有り。因りて投機の頌を述べて曰く、晝は曾て食を忘れ夜は眠を忘れて、驪珠を捧得して天に上らんと欲す。卻って自身に向かって都て放下し、四稜地に塌れて恰も團圓す。堂に呈すれば、堂深く之を肯とす

秘書吳恂居士

祕書吳恂居士

字德夫。居晦堂。入室次。堂謂曰。平生學解。記憶多聞即不問。你父母未生已前。道將一句來。公擬議。堂以拂子擊之。即領深旨。連呈三偈。其後曰。咄。這多知俗漢。齩盡古今公案。忽於狼藉堆頭。拾得𧏙蜋糞彈。明明不直分文。萬兩黃金不換。等閑拈出示人。祇為走盤難看。咦。堂答曰。水中得火世還稀。看著令人特地疑。自古不存師弟子。如今卻許老胡知。

字は德夫。晦堂に居る。室に入る時、堂他に對して曰く、平生の學解、多聞を記憶するは即ち問わず。你父母未だ生ぜざる已前、句を將て道い來れ。公擬議す。堂拂子を以て之を擊てば、即ち深旨を領す。連ねて三の偈を呈す。其の後曰く、咄。這の多知の俗漢、古今の公案を咬盡す。忽ち狼藉の堆頭に於て、蜣螂の糞彈を拾得す。明明分の文を直せず、萬兩の黄金換えず。等閑に拈じて人に示す、只だ盤を走る看難きが為め。咦。堂答えて曰く、水の中に火を得るは世に還た稀なり、看著して人をして特に疑わしむ。自古師弟子を存せず、如今卻って老胡の知るを許す

東林總禪師法嗣

東林總禅師法嗣

隆興府泐潭應乾禪師

隆興府泐潭應干禅師

袁州彭氏子。上堂。靈光洞耀。逈脫根塵。體露真常。不拘文字。心性無染。本自圓成。但離妄緣。即如如佛。古人恁麼道。殊不知是箇坑穽。貼肉汗衫脫不去。過不得。直須如師子兒壁立千仞。方能勦絕去。然雖如是。也是布袋裡老鵶。拍禪床。下座。

袁州彭氏の子。上堂、靈光洞耀として、迥かに根塵を脱す。體真常を露わして、文字に拘わらず。心性染する無く、本より自ら圓成す。但だ妄緣を離れば、即ち如如の佛。古人恁麼に道う、殊に知らず是れ個の坑阱なるを。肉に貼る汗衫脱ぎ去るを得ず、過るを得ず。直に須らく師子兒の壁立千仞の如くして、方能く剿絶して去らん。然りと雖も此の如し、亦是れ布袋の裏の老鴉。禅床を拍し、下座

廬山開先行瑛廣鑑禪師

廬山開先行瑛廣鑑禅師

桂州毛氏子。僧問。如何是道。師曰。良田萬頃。曰。學人不會。師曰。春不耕。秋無望。問。如何是祖師西來意。師曰。君山點破洞庭湖。曰。意旨如何。師曰。白浪四邊繞。紅塵何處來。上堂。談玄說妙。譬如畫餅充饑。入聖超凡。大似飛蛾赴火。一向無事。敗種焦芽。更若馳求。水中捉月。以拂子一拂雲。適來許多見解拂卻了也。作麼生是諸人透脫一句。良久曰。鐵牛不吃欄邊草。直向須彌頂上眠。以拂子擊禪床。上堂。彎石鞏弓。架興化箭。運那羅延力。定爍迦羅眼。不射大雄虎。不射藥山鹿。不射雲巖師子。不射象骨獼猴。且道射箇甚麼。良久曰。放過一著。上堂。登山須到頂。入海須到底。學道須到佛祖道不得處。若不如是。盡是依草附木底精靈。吃野狐涕唾底鬼子。華嚴恁麼道。譬如良藥。然則苦口。且要治疾。阿㖿㖿。

桂州毛氏の子。僧問う、如何なるか是れ道。師曰く、良田萬頃。曰く、學人會せず。師曰く、春耕さざれば、秋望み無し。問う、如何なるか是れ祖師西來の意。師曰く、君山洞庭湖を點破す。曰く、意旨如何。師曰く、白浪四四邊に繞り、紅塵何の處より來る。上堂、玄を談じ妙を説くは、譬えば餅を畫きて饑を充たすが如し。聖に入り凡を超ゆるは、大いに似たり飛蛾の火に赴くに。一向に事無ければ、種を敗り芽を焦がす。更に若し馳求せば、水の中に月を捉う。拂子を以て一拂して曰く、適來の許多の見解拂卻し了れり。作麼生なるか是れ諸人の透脱の一句。沈黙許久して曰く、鐵牛欄邊の草を喫さず、直に須弥の頂上に向かって眠る。拂子を以て禅床を擊つ。上堂、石鞏の弓を彎め、興化の箭を架す。那羅延の力を運らし、爍迦羅の眼を定む。大雄の虎を射ず、藥山の鹿を射ず、雲巖の師子を射ず、象骨の獼猴を射ず。且く道え個の什麼を射ん。沈黙許久して曰く、一著を放過す。上堂、山に登れば須らく頂に到り、海に入れば須らく底に到るべし。道を學ばば須らく佛祖道い得ざる處に到るべし。若し是の如くならざれば、盡く是れ草に依り木に附く底の精靈、野狐の涕唾を喫する底の鬼子。華嚴恁麼に道う、譬えば良藥の如し。然る則ち口に苦し、且く疾を治せんと要す。阿呀呀

廬山圓通可遷法鏡禪師

廬山圓通可遷法鏡禅師

嚴州陳氏子。僧問。如何是佛法大意。師曰。寸釘牛力。曰。學人不會。師曰。參取不會底。

嚴州陳氏の子。僧問う、如何なるか是れ佛法の大意。師曰く、寸釘牛の力。曰く、學人會せず。師曰く、會せざる底を參取せよ

紹興府象田梵卿禪師

紹興府象田梵卿禅師

嘉興人。姓錢氏。僧問。大悲菩薩用許多手眼作甚麼。師曰。富嫌千口少。曰。畢竟如何是正眼。師曰。從來共住不知名。問。寒風乍起。衲子開爐。忽憶丹霞燒木佛。因何院主墮眉鬚。師曰。張公吃酒李公醉。曰。為復是逢強即弱。為復是妙用神通。師曰。堂中聖僧。卻諳此事。僧問。象田有屠龍之劒。欲借一觀時如何。師橫按拄杖。僧便喝。師擲下拄杖。僧無語。師曰。這死蝦蟇。上堂。春已暮。落華紛紛下紅雨。南北行人歸不歸。千林萬林鳴杜宇。我無家兮何處歸。十方剎土奚相依。老夫有箇真消息。昨夜三更月在池。上堂。佛法到此。命若懸絲。異目超宗。亦難承紹。竪起拂子曰。賴有這箇。堪作流通。於此覷得。便見三世諸佛。向燈籠露柱裡轉大法輪。六趣眾生。於鐵圍山得聞法要。聲非聲見。色非色隨。異類四生。各得解脫。如斯舉唱。非但埋沒宗風。亦乃平沈自己。且道如何得不犯令去。拍禪床。下座。

嘉興の人、姓は錢氏。僧問う、大悲菩薩許多の手眼を用いて什麼を作す。師曰く、富めば千口の少なきを嫌う。曰く、畢竟如何なるか是れ正眼。師曰く、從來共に住すれども名を知らず。問う、寒風乍ち起こり、衲子爐を開く。忽ち憶う丹霞の木佛を燒くを、何に因りて院主眉鬚を墮す。師曰く、張公酒を喫して李公醉う。曰く、是れ復た強に逢えば即ち弱くなるか、是れ復た妙用の神通か。師曰く、堂中の聖僧、卻って此の事に諳えり。僧問う、象田龍を屠るの劍有り、一觀を借らんと欲する時如何。師横に拄杖を按ず。僧便ち喝す。師拄杖を擲下す。僧語無し。師曰く、這の死蝦蟆。上堂、春已に暮る、落花紛紛として紅雨を下す。南北の行人歸るか歸らざるか、千林萬林杜宇鳴く。我家無し兮何の處にか歸らん、十方の刹土奚の依り所か有らん。老夫個の真の消息有り、昨夜三更月池に在り。上堂、佛法此に到りて、命絲を懸くるが若し。目を異にして宗を超ゆるも、亦た承紹し難し。拂子を竪起して曰く、此の個有るに賴りて、流通と作るに堪えん。此に於て覗得せば、便ち見る三世の諸佛、燈籠露柱の裏に向かって大法輪を轉じ、六趣の衆生、鐵圍山に於て法要を聞くを得るを。聲聲に非ざるを見、色色に非ざるに隨う。異類の四生、各々解脫を得たり。斯の如く擧唱すれば、但だ宗風を埋没するのみならず、亦た乃ち自己を平沈す。且く道え如何に令を犯さずして去るを得ん。禅床を拍し、下座

東京褒親旌德院有瑞佛海禪師

東京褒親旌德院有瑞佛海禅師

興化軍陳氏子。初參黃龍南禪師。龍問。汝為人事來。為佛法來。師曰。為佛法來。龍曰。若為佛法來。即今便分付。遂打一拂子。師曰。和尚也不得惱亂人。龍即器之。後依照覺。深悟玄奧。上堂。有佛世界。以一塵一毛而作佛事。令見一法者而具足一切法。故權為架閣。有佛化內以忘言寂默為大佛事。使其學者離一切相。即名諸佛。故好與三下火抄。有佛土中以黃華翠竹而為佛事。令覩相者見色即空。故且付與彌勒。有佛寶剎以法空為座而示佛事。裨其行人不著佛求。故勘破了勾下。有佛道場以四事供養而成佛事。使知足者斷異念。故可與下載。有佛妙域以一切語言三昧作其佛事。令隨機入者不捨動靜。故為渠裝載大眾。且道於中還有優劣也無。良久曰。到者須知是作家。參。

興化軍陳氏の子。初め黃龍南禅師に參ず。龍問う、你人事の為に來るか、佛法の為に來るか。師曰く、佛法の為に來る。龍曰く、若し佛法の為に來れば、即ち今便ち分付せん。於是一拂子を打つ。師曰く、和尚も亦た人を惱亂するを得ず。龍即ち之を器とす。後に照覺に依りて、深く玄奧を悟る。上堂、佛世界有りて、一塵一毛を以て佛事を作し、一法を見る者をして一切法を具足せしむ、故に權に架閣と為す。佛の化内に有りて、言を忘れ寂默なるを以て大佛事と為し、其の學者をして一切の相を離れ、即ち諸佛と名づけしむ、故に好く三下に火抄を與う。佛土の中有りて、黃花翠竹を以て佛事と為し、相を睹る者をして色を見れば即ち空ならしむ、故に且く彌勒に付與す。佛の寶刹有りて、法空を以て座と為して佛事を示し、其の行人を裨って佛を求めて著けざらしむ、故に勘破了りて勾下す。佛の道場有りて、四事の供養を以て佛事を成じ、足るを知る者をして異念を斷ぜしむ、故に與に下載すべし。佛の妙域有りて、一切語言の三昧を以て其の佛事を作し、機に隨い入る者をして動靜を舍てざらしむ、故に渠の為に裝載す。大衆、且く道え、中に於て還た優劣有るや無しや。沈黙許久して曰く、到る者須らく知れ是れ作家なるを。參

臨江軍慧力院可昌禪師

臨江軍慧力院可昌禅師

僧問。佛力法力即不問。如何是慧力。師曰。踏倒人我山。扶起菩提樹。曰。菩提本無樹。向甚麼處下手。師曰。無下手處。正好著力。曰。今日得聞於未聞。師曰。莫把真金喚作鍮。上堂。佛法根源。非正信妙智不能悟入。祖師關鍵。非大悲重願何以開通。具信智則權實雙行。如金在鑛。全悲願則善惡可辨。似月離雲。大眾。祇如父母未生時。許多譬喻向甚麼處吐露。良久曰。十語九中。不如一默。

僧問う、佛力法力は即ち問わず、如何なるか是れ慧力。師曰く、人我の山を踏倒し、菩提の樹を扶起す。曰く、菩提本より樹無し、何の處に向かって下手せん。師曰く、下手の處無し、正好力を著くべし。曰く、今日未だ聞かざるに於て聞くを得たり。師曰く、真金を把りて鍮と喚ぶ莫れ。上堂、佛法の根源、正信妙智に非ざれば悟入する能わず。祖師の關鍵、大悲重願に非ざれば何を以て開通せん。信智を具えば則ち權實雙く行い、金の礦に在るが如し。悲願を全うすれば則ち善惡辨うべく、月の雲を離るるに似たり。大衆、只だ如く父母未だ生ぜざる時、許多の譬喻何の處に向かって吐露せん。沈黙許久して曰く、十語九中も、一默に如かず

黃州柏子山棲真院德嵩禪師

黃州柏子山栖真院德嵩禅師

上堂。天地一指。絕諍競之心。萬物一馬。無是非之論。由是魔羅潛跡。佛祖興隆。寒山拊掌欣欣。拾得呵呵大笑。大眾。二古聖笑箇甚麼。良久。呵呵大笑曰。曇華一朵再逢春。

上堂、天地一の指、諍競の心を絶つ。萬物一の馬、是非の論無し。是に由りて魔羅跡を潜め、佛祖隆興す。寒山掌を拊して欣欣たり、拾得呵呵として大笑す。大衆、二の古聖個の什麼を笑う。沈黙許久して、呵呵として大笑して曰く、曇花一朶再び春に逢う

廬山萬杉院紹慈禪師

廬山萬杉院紹慈禅師

桂州趙氏子。參照覺。問曰。世尊付金襴外。別傳何物。覺舉拂子。師曰。畢竟作麼生。覺以拂子驀口打。師擬開口。覺又打。師於是有省。遂奪拂子。便禮拜。覺曰。汝見何道理。便禮拜。師曰。拂子屬某甲了也。覺曰。三十年老將。今日被小卒折倒。自此玄風大振。推為東林上首。上堂。先行不到。若須彌立乎巨川。末後太過。猶猛士發乎狂矢。或高或下。未有準繩。以是還非。遭人點檢。且道如何得相應去。良久曰。紅爐燄裡重添火。炟赫金剛眼自開。咄。上堂。我祖別行最上機。縱橫生殺絕猜疑。雖然塞斷群狐路。返擲須還師子兒。眾中還有金毛炟赫.牙爪生獰者麼。試出哮吼一聲看。良久曰。直饒有。也不免玉溪寨主撩鉤搭索。參。

桂州趙氏の子。照覺に參じて、問う、世尊金襕を付する外、別に何の物を傳えたる。覺拂子を擧ぐ。師曰く、畢竟作麼生。覺拂子を以て口に蓦って打つ。師口を開かんと擬すれば、覺又打つ。師此に於て省る所有りて、遂に拂子を奪い、便ち禮拜す。覺曰く、你何の道理を見て、便ち禮拜する。師曰く、拂子某甲に屬し了れり。覺曰く、三十年の老將、今日小卒に折倒せらる。此より玄風大いに振い、東林の上首と推さる。上堂、先行到らざれば、須弥の巨川に立つが若し。末後太だ過ぐれば、猶ほ猛士の狂矢を發するが如し。或いは高く或いは下く、未だ準繩有らず。是を以て非と為せば、人の點檢に遭う。且く道え如何に相應して去るを得ん。沈黙許久して曰く、紅爐の焰裏重ねて火を添え、炟赫の金剛眼自ら開く。咄。上堂、我が祖別に行う最上の機、縱橫生殺猜疑を絶つ。然りと雖も群狐の路を塞斷すとも、返擲するに須らく還た師子兒なるべし。衆中還た金毛炟赫、牙爪生狞なる者有るか。試みに出でて哮吼一聲して看よ。沈黙許久して曰く、直饒有るとも、亦た玉溪の寨主の鉤を撩り索を搭るを免れず。參

南嶽衡嶽寺道辯禪師

南岳衡岳寺道辯禅師

僧問。拈槌舉拂即且置。和尚如何為人。師曰。客來須接。曰。便是為人處也。師曰。麤茶澹飯。僧禮拜。師曰。須知滋味始得。

僧問う、槌を拈じ拂を擧ぐるは即ち且く置く、和尚如何に人を為す。師曰く、客來れば須らく接すべし。曰く、便ち是れ人を為すの處なり。師曰く、粗茶淡飯。僧禮拜す。師曰く、須らく滋味を知りて始めて得べし

吉州禾山甘露志傳禪師

吉州禾山甘露志傳禅師

僧問。一等沒絃琴。請師彈一曲。師曰。山僧耳聾。曰。學人請益。師曰。去。曰。慈悲何在。師曰。自有諸方眼。

僧問う、一等の沒弦の琴、師の一曲を彈くを請う。師曰く、山僧耳聾し。曰く、學人益を請う。師曰く、去れ。曰く、慈悲何の處に在る。師曰く、自ら諸方の眼有り

東京褒親旌德寺諭禪師

東京褒親旌德寺諭禅師

上堂。新羅打皷。大宋上堂。庭前柏子問話。燈籠露柱著忙。香臺拄杖起作舞。臥病維摩猶在床。這老漢我也識得。你病休訝郎當。咄。

上堂、新羅鼓を打ち、大宋堂に上る。庭前の柏子話を問い、燈籠露柱忙を著く。香台拄杖起きて舞を作し、病に臥す維摩猶ほ床に在り。這の老漢我も亦た你を識得す。病み休みて郎當を訝る莫れ。咄

隆興府西山龍泉𭐱禪師

隆興府西山龍泉某禅師(底本此の字生僻、未だ確指する能わず)

上堂眾集。師乃曰。祇恁麼便散去。不妨要妙。雖然如是。早是無風起浪。釘橛空中。豈況牽枝引蔓。說妙譚玄。正是金屑眼中翳。衣珠法上塵。且道拂塵出屑。是甚麼人。卓拄杖。下座。

上堂衆集まれば、師便ち曰く、只だ恁麼に便ち散し去れば、要妙に妨げず。然りと雖も此の如し、早く是れ風無くして浪を起こし、橛を空中に釘す。豈に況んや枝を牽き蔓を引き、妙を説き玄を談ずるは、正に是れ金屑の眼中の翳、衣珠の法上の塵。且く道え、塵を拂い屑を出だすは、是れ什麼人ぞ。拄杖を卓し、下座

南康軍兜率志恩禪師

南康軍兜率志恩禅師

上堂。落落魄魄。居村居郭。莽莽鹵鹵。何今何古。不重己靈。休話佛祖。搊定釋迦鼻孔。揭卻觀音耳朵。任他雪嶺輥毬。休管禾山打皷。若是本色衲僧。終不守株待兔。參。

上堂、落落魄魄、村に居り郭に居る。莽莽鹵鹵、何ぞ今何ぞ古。己が靈を重んぜず、佛祖を話うを休めよ。釋迦の鼻孔を搊定め、觀音の耳を揭却す。他の雪嶺に球を滾すに任せ、禾山の鼓を打つを管する休め。若し是れ本色の衲僧ならば、終に株を守りて兎を待たず。參

福州興福院康源禪師

福州興福院康源禅師

上堂。山僧有一訣。尋常不漏洩。今日不囊藏。分明為君說。良久曰。寒時寒。熱時熱。

上堂、山僧一の訣有りて、尋常泄漏せず。今日囊藏せず、分明に君の為に説かん。沈黙許久して曰く、寒き時は寒く、熱き時は熱し

慧圓上座

慧圓上座

開封酸棗幹氏子。世業農。少依邑之建福寺德光為師。性椎魯。然勤渠祖道。堅坐不臥。居數歲得度。出遊廬山。至東林。每以己事請問。朋輩見其貌陋。舉止乖疎。皆戲侮之。一日。行殿庭中。忽足顛而僕。瞭然開悟。作偈俾行者書於壁曰。這一交。這一交。萬兩黃金也合消。頭上笠。腰下包。清風明月杖頭挑。即日離東林。眾傳至照覺。覺大喜。曰。衲子參究若此。善不可加。令人跡其所往。竟無知者(大慧武庫謂證悟顒語。非也)。

開封酸棗干氏の子。世々農を業とす。少にして邑の建福寺德光に依りて師と為す。性椎魯なれども、然れども祖道に勤渠として、堅く坐して臥せず。數歲を居りて度を得、出でて廬山に游び、東林に至る。每に己が事を以て請問す。朋輩其の貌の陋く、擧止の乖疎なるを見て、皆な之を戲侮す。一日、殿庭の中を行きて、忽然として足顛きて仆る、了然として開悟す。偈を作りて行者をして壁に書せしめて曰く、這の一交、這の一交。萬兩の黄金も亦た消すに合す。頭上の笠、腰下の包。淸風明月杖頭に挑ぐ。即日東林を離る。衆照覺に傳う。覺大いに喜びて曰く、衲子の參究此の若し、善加うべからず。人をして其の往く所を跡せしむれども、竟に知る者無し。(《大慧武庫》是れ證悟顒の語と謂う、非なり。)

內翰東坡居士蘇軾

內翰東坡居士蘇軾

字子瞻。因宿東林。與照覺論無情話。有省。黎明獻偈曰。溪聲便是廣長舌。山色豈非清淨身。夜來八萬四千偈。他日如何舉似人。未幾抵荊南。聞玉泉皓禪師機鋒不可觸。公擬抑之。即微服求見。泉問。尊官高姓。公曰。姓秤。乃秤天下長老底秤。泉喝曰。且道這一喝重多少。公無對。於是尊禮之。後過金山。有寫公照容者。公戲題曰。心似已灰之木。身如不繫之舟。問汝平生功業。黃州.惠州.瓊州。

字は子瞻。東林に宿するに因りて、照覺と無情の話を論じて、省る所有り。黎明偈を獻じて曰く、溪聲便是ち廣長の舌、山色豈に淸淨の身に非ざらん。夜來八萬四千の偈、他日如何に人に擧似せん。程なく荆南に抵り、玉泉皓禅師の機鋒觸るべからざるを聞く。公之を抑えんと擬し、即ち微服して見るを求む。泉問う、尊官の高姓は。公曰く、姓は秤、乃ち天下の長老を秤る底の秤。泉喝して曰く、且く道え、這の一喝重さ多少。公對えず。於是之を尊禮す。後に金山を過ぎ、公の照容を寫す者有り。公戲れに題して曰く、心は已に灰せる木に似て、身は繫がざるの舟の如し。汝の平生の功業を問えば、黃州、惠州、瓊州

寶峰文禪師法嗣

寶峰文禅師法嗣

隆興府兜率從悅禪師

隆興府兜率從悅禅師

贛州熊氏子。初首眾於道吾。領數衲謁雲蓋智和尚。智與語。未數句盡知所蘊。乃笑曰。觀首座氣質不凡。奈何出言吐氣如醉人邪。師面熱汗下。曰。願和尚不吝慈悲。智復與語。錐劄之。師茫然。遂求入室。智曰。曾見法昌遇和尚否。師曰。曾看他語錄。自了可也。不願見之。智曰。曾見洞山文和尚否。師曰。關西子沒頭腦。拖一條布裙。作尿臭氣。有甚長處。智曰。你但向尿臭氣處參取。師依教。即謁洞山。深領奧旨。復謁智。智曰。見關西子後大事如何。師曰。若不得和尚指示。洎乎蹉過一生。遂禮謝。師復謁真淨。後出世鹿苑。有清素者。久參慈明。寓居一室。未始與人交。師因食蜜漬茘枝。偶素過門。師呼曰。此老人鄉果也。可同食之。素曰。自先師亡後。不得此食久矣。師曰。先師為誰。素曰。慈明也。某忝執侍十三年耳。師乃疑駭。曰。十三年堪忍執侍之役。非得其道而何。遂饋以餘果。稍稍親之。素問。師所見者何人。曰。洞山文。素曰。文見何人。師曰。黃龍南。素曰。南匾頭見先師不久。法道大振如此。師益疑駭。遂袖香詣素作禮。素起避之。曰。吾以福薄。先師授記。不許為人。師益恭。素乃曰。憐子之誠。違先師之記。子平生所得。試語我。師具通所見。素曰。可以入佛而不能入魔。師曰。何謂也。素曰。豈不見古人道。末後一句。始到牢關。如是累月。素乃印可。仍戒之曰。文示子者。皆正知正見。然子離文太早。不能盡其妙。吾今為子點破。使子受用得大自在。他日切勿嗣吾也。師後嗣真淨。僧問。提兵統將。須憑帝主虎符。領眾匡徒。密佩祖師心印。如何是祖師心印。師曰。滿口道不得。曰。祇這箇別更有。師曰。莫將支遯鶴。喚作右軍鵞。問。如何是兜率境。師曰。一水桵藍色。千峰削玉青。曰。如何是境中人。師曰。七凹八凸無人見。百手千頭祇自知。上堂。

贛州熊氏の子。初め道吾に於て衆を首とし、數衲を領して雲蓋智和尚を謁う。智語と為し、未だ數句ならずして盡く蘊う所を知り、於是笑い曰く、首座の氣質凡ならざるを觀るに、奈何ぞ言を出だし氣を吐くこと醉人の如き邪。師面熱く汗下りて、曰く、願わくは和尚慈悲を吝かにする莫れ。智又之と語い、之を錐札す。師茫然として、於是室に入るを求む。智曰く、曾て法昌遇和尚に見えし否。師曰く、曾て其の語錄を看たり、自ら了して可なり、之に見えんを願わず。智曰く、曾て洞山文和尚に見えし否。師曰く、關西子頭腦無く、一條の布裙を拖りて、尿の臭氣を作す、甚の長處か有らん。智曰く、你但だ尿の臭氣の處に向かって參取せよ。師敎に依りて、即ち洞山を謁え、深く奧旨を領す。又智を謁う。智曰く、關西子に見えて後大事如何。師曰く、若し和尚の指示を得ざれば、幾ほどに一生を蹉過せんとす。於是禮謝す。師又真淨を謁う。後に世に出でて鹿苑に居る。淸素と云う者有りて、久しく慈明に參じ、一室に寓居し、未だ嘗て人と交わらず。師蜜漬けの荔枝を食するに因りて、偶素門を過る。師呼びて曰く、此れ老人の鄉の果なり、與に同じく之を食すべし。素曰く、先師亡びて後、此の食を得ざること久し。師曰く、先師誰と為る。素曰く、慈明なり。某忝く執侍すること十三年のみ。師於是疑駭して曰く、十三年堪えて執侍の役を忍ぶ、其の道を得るに非ずして何ぞ。於是餘果を以て饋り、稍々之に親しむ。素師の見る所の者何の人ぞと問う。曰く、洞山文。素曰く、文何の人に見えたる。師曰く、黃龍南。素曰く、南匾頭先師に見えて久しからず、法道大いに振うこと此の如し。師益々疑駭し、於是香を袖にして素に詣り禮を作す。素起きて之を避け、曰く、吾福薄きを以て、先師記を授けて、人を為るを許さず。師益々恭し。素便ち曰く、子の誠を憐み、先師の記に違う。你平生の所得、試みに我に語れ。師具に見る所を通ず。素曰く、佛に入るべくして魔に入る能わず。師曰く、何を謂う。素曰く、豈に見ずや古人の説く、末後の一句、始めて牢關に到ると。是の如く月を累ねて、素乃ち印可す。仍ほ之を戒めて曰く、文の你に示せし者は、皆な正知正見なり。然れども你文を離るること太早し、其の妙を盡くす能わず。吾今你の為に點破して、你をして受用得て大自在ならしめん。他日切に吾を嗣ぐ勿れ。師後に真淨を嗣ぐ。僧問う、兵を提げ將を統べるには、須らく帝主の虎符に憑るべし。衆を領し徒を匡するには、密かに祖師の心印を佩ぶ。如何なるか是れ祖師の心印。師曰く、滿口道うことを得ず。曰く、只だ這個の外別に更有る。師曰く、支遁の鶴を將て、右軍の鵝と喚ぶ莫れ。問う、如何なるか是れ兜率の境。師曰く、一水藍色を挼し、千峰玉を削る青さ。曰く、如何なるか是れ境中の人。師曰く、七凹八凸人の見る無く、百手千頭只だ自ら知る。上堂、

耳目一何清。端居幽谷裡。秋風入古松。秋月生寒水。衲僧於此更求真。兩箇猢猻垂四尾。喝一喝。上堂。兜率都無辨別。卻喚烏龜作鼈。不能說妙談真。祇解搖唇鼓舌。遂令天下衲僧。覷見眼中滴血。莫有飜瞋作喜.笑傲煙霞者麼。良久曰。笛中一曲昇平樂。算得生平未解愁。上堂。始見新春。又逢初夏。四時若箭。兩曜如梭。不覺紅顏飜成白首。直須努力。別著精神。耕取自己田園。莫犯他人苗稼。既然如是。牽犂拽杷。須是雪山白牛始得。且道鼻孔在甚麼處。良久曰。叱。叱。上堂。常居物外度清時。牛上橫將竹笛吹。一曲自幽山自綠。此情不與白雲知。慶快諸禪德。飜思范蠡謾泛滄波。因念陳摶空眠太華。何曾夢見。浪得高名。實未神遊。閑漂野跡。既然如此。具眼衲僧。莫道龍安非他是己好。上堂。無法亦無心。無心復何捨。要真盡屬真。要假全歸假。平地上行船。虗空裡走馬。九年面壁人。有口還如瘂。參。上堂。夜夜抱佛眠。朝朝還共起。起坐鎮相隨。語默同居止。欲識佛去處。祇這語聲是。諸禪德。大小傅大士。祇會抱橋柱澡洗。把䌫放船。印板上打將來。模子裡脫將去。豈知道本色衲僧。塞除佛祖窟。打破玄妙門。跳出斷常坑。不依清淨界。都無一物。獨奮雙拳。海上橫行。建家立國。有一般漢。也要向百尺竿頭凝然端坐。洎乎飜身之際。捨命不得。豈不見雲門大師道。知是般事。拈放一邊。直須擺動精神。著些筋骨。向混沌未剖已前薦得。猶是鈍漢。那堪更於他人舌頭上。𠯗啖滋味。終無了日。諸禪客。要會麼。剔起眉毛有甚難。分明不見一毫端。風吹碧落浮雲盡。月上青山玉一團。喝一喝。下座。一日。漕使無盡居士張公商英按部過分寧。請五院長老就雲巖說法。師最後登座。橫拄杖曰。適來諸善知識。橫拈竪放。直立斜拋。換步移身。藏頭露角。既於學士面前各納敗闕。

(師接續いて曰く、)耳目一何ぞ淸く、端居して幽谷の裏。秋風古松に入り、秋月寒水に生ず。衲僧此に於て更に真を求めば、兩個の猢猻四尾を垂る。一喝す。上堂、兜率都て辨別無く、卻って烏龜を喚びて鱉と作す。妙を説き真を談ずる能わず、只だ唇を搖り舌を鼓するを解す。遂に天下の衲僧をして、眼の中の血を滴るを覗見せしむ。可なるか翻えって嗔を喜と作し、烟霞に笑傲する者有るか。沈黙許久して曰く、笛の中の一曲昇平の樂、生平未だ愁を解せざるを算得す。上堂、始めて新春を見、又初夏に逢う。四時箭の若く、兩曜梭の如し。覺えず紅顏翻えって白首と成る。直に須らく努力し、別に精神を著くべし。自己の田園を耕取し、他人の苗稼を犯す莫れ。既に是の如く然れば、犁を牽き耙を拽するに、須らく是れ雪山の白牛始めて得べし。且く道え、鼻孔什麼の處に在る。沈黙許久して曰く、叱、叱。上堂、常に物外に居りて淸時を度す、牛の上に橫に竹笛を吹く。一曲自ら幽にして山自ら綠なり、此の情白雲と知らせず。慶快す諸の禅德。翻えって思う范蠡謾りに滄波を泛べ、因りて念う陳摶空しく太華に眠る。何ぞ曾て夢に見ん。浪りに高名を得て、實に未だ神游せず、閑に漂いて野迹す。既に此の如く然れば、眼を具する衲僧、道う莫れ龍安他に非ず己を好しと。上堂、法無く亦た心無し、心無ければ復た何をか舍てん。真を要すれば盡く真に屬し、假を要すれば全く假に歸す。平地の上に船を行い、虚空の裏に馬を走らす。九年壁に面する人、口有れども還た唖の如し。參。上堂、夜夜佛を抱きて眠り、朝朝還た共に起つ。起坐鎮かに相い隨い、語默同じく居止す。佛の去る處を識らんと欲せば、只だ這の語聲是れなり。諸の禅德、大小傅大士、只だ橋柱を抱きて澡洗し、纜を把りて船を放つを會す。印板の上に打ち將來り、模子の裏に脱將て去る。豈に知らん本色の衲僧、佛祖の窟を塞除し、玄妙の門を打破し、斷常の坑を跳出し、淸淨の界に依らず。都て一物無く、獨り雙拳を奮い、海上に橫行し、家を建て國を立つ。一般の漢有りて、亦た百尺の竿頭に向かって凝然として端坐せんと要す。及び身を翻すの際に至りて、命を舍てるを得ず。豈に見ずや雲門大師の説く、是般の事を知らば、拈放して一邊にせよ。直に須らく精神を擺動し、些の筋骨を著くべし。混沌未だ剖かざる已前に向かって薦得するも、猶ほ是れ鈍漢。哪か堪えん更に他人の舌頭の上に滋味を咂啖して、終に了る日無きを。諸の禅客、會せんと要するか。眉毛を剔起するに甚の難きか有らん、分明に見ず一毫の端。風碧落を吹きて浮雲盡き、月青山に上りて玉一團。一喝して、下座。一日、漕使無盡居士張公商英分寧を按部し、五院の長老を請じて雲巖に就きて法を説かしむ。師最後に座に登り、拄杖を橫にして曰く、適來の諸の善知識、橫に拈じ竪に放ち、直立斜抛し、步を換え身を移し、頭を藏し角を露わす。既に學士の面前に於て各々敗闕を納る

未免吃兜率手中痛棒。到這裡不由甘與不甘。何故。見事不平爭忍得。衲僧正令自當行。卓拄杖。下座。室中設三語以驗學者。一曰撥草擔風。祇圖見性。即今上人性在甚麼處。二曰識得自性。方脫生死。眼光落地時作麼生脫。三曰脫得生死。便知去處。四大分離。向甚麼處去。元祐六年冬。浴訖集眾。說偈曰。四十有八。聖凡盡殺。不是英雄。龍安路滑。奄然而化。其徒遵師遺誡。慾火葬捐骨江中。得法弟子無盡居士張公遣使持祭。且曰。老師於祖宗門下有大道力。不可使來者無所起敬。俾塔於龍安之乳峰。諡真寂禪師。

(師接續いて曰く、)未だ兜率手中の痛棒を喫するを免れず。這裏に到りて甘く與と甘まざるとに由らず。什麼を以て。事の平ならざるを見て争いか忍ぶを得ん、衲僧の正令自ら當に行ずべし。拄杖を卓し、下座。室中三の語を設けて以て學者を驗す。一に曰く、草を撥き風を擔ぐは、只だ性を見んを圖る。即ち今上人の性は什麼の處に在る。二に曰く、自性を識得して、方に生死を脱す。眼光地に落つる時作麼生に脱せん。三に曰く、生死を脱得せば、便ち去る處を知らん。四大分離して、何の處に向かって去る。元祐六年冬、浴び訖りて衆を集め、偈を説く、四十有八、聖凡盡く殺す。是れ英雄に非ず、龍安の路滑し。奄然として化す。其の徒師の遺誡を遵い、火葬して骨を江中に捐てんと欲す。得法の弟子無盡居士張公使を遣して祭を持せしめ、并且に曰く、老師祖宗の門下に大道力有り、來る者に起敬する所無からしむべからず。龍安の乳峰に塔せしむ。諡して真寂禅師と曰う

東京法雲佛照杲禪師

東京法雲佛照杲禅師

自妙年遊方。謁圓通璣禪師。入室次。璣舉。僧問投子。大死底人卻活時如何。子曰。不許夜行。投明須到。意作麼生。師曰。恩大難酬。璣大喜。遂命首眾。至晚。為眾秉拂。機遲而訥。眾笑之。師有𧹞色。次日於僧堂點茶。因觸茶瓢墜地。見瓢跳。乃得應機三昧。後依真淨。因讀祖偈曰。心同虗空界。示等虗空法。證得虗空時。無是無非法。豁然大悟。每謂人曰。我於紹聖三年十一月二十一日。悟得方寸禪。出住歸宗。詔居淨因。僧問。達磨西來傳箇甚麼。師曰。周.秦.漢.魏。問。昔日僧問雲門。如何是透法身句。門曰。北斗裡藏身。意旨如何。師曰。赤心片片。曰。若是學人即不然。師曰。汝又作麼生。曰。昨夜擡頭看北斗。依稀卻似點糖糕。師曰。但念水草。餘無所知。上堂。西來祖意。教外別傳。非大根器。不能證入。其證入者。不被文字語言所轉。聲色是非所迷。亦無雲門臨濟之殊。趙州德山之異。所以唱道須明。有語中無語。無語中有語。若向這裡薦得。可謂終日著衣。未甞掛一縷絲。終日吃飯。未嘗齩一粒米。直是呵佛罵祖。有甚麼過。雖然如是。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。喝一喝。下座。上堂。拈拄杖曰。歸宗會斬蛇。禾山解打皷。萬象與森羅。皆從這裡去。擲下拄杖曰。歸堂吃茶。師以力參深到。語不入時。每示眾。常舉。老僧熈寧八年。文帳在鳳翔府。供申當年崩了華山四十里。壓倒八十村人家。汝輩後生。茄子瓠子。幾時知得。或問曰。寶華王座上。因甚麼一向世諦。師曰。痴人佛性。豈有二種邪。

妙年より方に游びて、圓通璣禅師を謁う。室に入る時、璣擧ぐ、僧投子に問う、大いに死せる底の人卻って活する時如何。子曰く、夜行を許さず、明に投げて須らく到るべし。意作麼生。師曰く、恩大いに酬い難し。璣大いに喜び、於是衆を首とせしむ。晚に至りて、衆の為に拂を秉る。機遲くして訥なれば、衆之を笑う。師赧然の色有り。次日僧堂に於て茶を點ずるに、因りて茶瓢地に墮ちるに觸れ、瓢の跳るを見て、乃ち應機の三昧を得たり。後に真淨に依る。祖偈を讀するに因りて曰く、心虚空界に同じく、示す虚空法に等し。虚空を證得する時、是の法無く是の法に非ざる無し。豁然として大悟す。每に人に對して曰く、我紹聖三年十一月二十一日に、方寸の禅を悟得せり。出でて歸宗を住し、詔して淨因に居らしむ。僧問う、達磨西に來りて個の什麼を傳えたる。師曰く、周、秦、漢、魏。問う、昔日僧雲門に問う、如何なるか是れ法身を透るの句。門曰く、北斗の裏に身を藏る。意旨如何。師曰く、赤心片片。曰く、若し是れ學人なれば即ち然らず。師曰く、你又作麼生。曰く、昨夜頭を擡げて北斗を看れば、依稀として卻って點糖糕に似たり。師曰く、但だ水草を念え、其の餘知る所無し。上堂、西來の祖意、教外別に傳う。大根器に非ざれば、證入する能わず。其の證入する者は、文字語言に轉ぜられず、聲色是非に迷わされず。亦た雲門臨濟の殊無く、趙州德山の異無し。所以に道を唱うるに須らく明らむべし、語有る中に語無く、語無き中に語有り。若し這裏に向かって薦得せば、謂うべし終日衣を著くも、未曾だ一縷の絲を掛けず、終日飯を喫すも、未曾だ一粒の米を咬まず。直に是れ佛を呵り祖を罵るも、什麼の過か有らん。然りと雖も此の如し、無間の業を招かざらんと欲せば、如來の正法輪を謗る莫れ。一喝して、下座。上堂、拄杖を拈じて曰く、歸宗蛇を斬るを會し、禾山鼓を打つを解す。萬象と森羅と、皆な這裏より去る。拄杖を擲下して曰く、堂に歸りて茶を喫せ。老師力參深到を以て、語時に入らず。每に衆に示し、常に擧ぐ、老僧熙寧八年、文帳鳳翔府に在り。供申して當年華山崩れて四十里、八十の村の人家を壓倒す。你們後生、茄子瓠子、幾時か知り得ん。或いは問う、寶華王の座上、什麼を以てか一向に世諦。師曰く、痴人、佛性豈に二種有らん邪

隆興府泐潭湛堂文準禪師

隆興府泐潭湛堂文準禅師

興元府梁氏子。初謁真淨。淨問。近離甚處。師曰。大仰。淨曰。夏在甚處。師曰。大溈。淨曰。甚處人。師曰。興元府。淨展手曰。我手何似佛手。師罔措。淨曰。適來祇對。一一靈明。一一天真。及乎道箇我手何似佛手。便成窒礙。且道病在甚處。師曰。某甲不會。淨曰。一切見成。更教誰會。師當下釋然。服勤十載。所往必隨。紹聖三年。真淨移石門。眾益盛。凡衲僧扣問。但瞑目危坐。無所示見。來學則往治蔬圃。率以為常。師謂同行恭上座曰。老漢無意於法道乎。一日。舉杖決渠。水濺衣。忽大悟。淨詬曰。此乃敢爾藞苴邪。自此跡愈晦而名益著。顯謨李公景直守豫章。請開法雲巖。未幾。移居泐潭。僧問。教意即且置。未審如何是祖意。師曰。煙村三月裡。別是一家春。問。寒食因悲郭外春。墅田無處不傷神。林間壘壘添新塚。半是去年來哭人。這事且拈放一邊。如何是道。師曰。蒼天。蒼天。曰。學人特伸請問。師曰。十字街頭吹尺八。村酸冷酒兩三巡。問。一法若有。毗盧墮在凡夫。萬法若無。普賢失其境界。去此二途。請師一決。師曰。太黃甘草。曰。此猶是學人疑處。師曰。放待冷來看。問。向上一路。千聖不傳。未審如何是向上一路。師曰。行到水窮處。坐看雲起時。曰。為甚不傳。師曰。家家有路透長安。曰。祇如衲僧門下。畢竟作麼生。師曰。放你三十棒。上堂曰。五九四十五。聖人作而萬物覩。秦時𨍏轢鑽頭尖。漢祖殿前樊噲怒。曾聞黃鶴樓。崔顥題詩在上頭。晴川歷歷漢陽戍。芳草萋萋鸚鵡洲。可知禮也。君子務本。本立而道生。道生一。一生二。二生三。三生萬物。驀拈拄杖。起身雲。大眾寶峰何似孔夫子。良久曰。酒逢知己飲。詩向會人吟。卓拄杖。下座。上堂。劄。久雨不晴。直得五老峰頭黑雲靉靆。洞庭湖裡白浪滔天。雲門大師忍俊不禁。向佛殿裡燒香。

興元府梁氏の子。初め真淨を謁う。淨問う、近く何の處を離るる。師曰く、大仰。淨曰く、夏は甚の處に在る。師曰く、大潙。淨曰く、甚の處の人。師曰く、興元府。淨手を展べて曰く、我が手何ぞ佛手に似たる。師罔措たり。淨曰く、適來の只だ對するは、一一靈明、一一天真。及んで個の我が手何ぞ佛手に似たるを道うや、便ち窒礙と成る。且く道え病は甚の處に在る。師曰く、某甲會せず。淨曰く、一切見成す、更に誰を敎えて會せしめん。師當下に釋然たり。勤に服すること十載、往く所必ず隨う。紹聖三年、真淨石門に移るに、衆益々盛ん。凡そ衲僧の扣問に、但だ目を瞑りて危坐し、示見する所無し。學び來れば則ち往きて蔬圃を治め、率ねて常と為す。師同行の恭上座に對して曰く、老漢法道に意無きか。一日、杖を擧げて渠を決めば、水衣に濺ぎ、忽ち大悟す。淨詬りて曰く、此乃ち敢えて爾く藞苴なる邪。此より跡愈々晦みて名益々著る。顯謨李公景直豫章を守りて、雲巖に法を開くを請う。程なく、泐潭に移居す。僧問う、教意即ち且く置く、未だ審かに如何なるか是れ祖意。師曰く、烟村三月の裏、別に是れ一家の春。問う、寒食因りて郭外の春を悲しみ、墅田處として神を傷まざる無し。林の間壘壘として新冢を添え、半ば是れ去年來りて人を哭せし。這の事且く拈放して一邊にせよ、如何なるか是れ道。師曰く、蒼天、蒼天。曰く、學人特に請問を伸ぶ。師曰く、十字街頭に尺八を吹き、村酸冷酒兩三巡。問う、一法若し有れば、毘盧凡夫に墮在し、萬法若し無ければ、普賢其の境界を失う。此の二途を去りて、師の一決を請う。師曰く、太黃甘草。曰く、此れ猶ほ是れ學人の疑處。師曰く、放ちて冷めて來りて看るを待て。問う、向上の一路、千聖傳えず。未だ審かに如何なるか是れ向上の一路。師曰く、行きて水の窮まる處に到り、坐して雲の起こる時を看る。曰く、什麼を以て傳えざる。師曰く、家ごとに長安を透る路有り。曰く、只だ如く衲僧の門下、畢竟作麼生。師曰く、你を放ちて三十棒。上堂曰く、五九四十五。聖人作して萬物睹る。秦の時䡶轢鑽頭の尖、漢祖の殿前樊噲怒る。曾て聞く黃鶴樓、崔顥詩を題して上頭に在り。晴川歷歷たり漢陽の戍、芳草萋萋たり鸚鵡の洲。禮を知るべきかな。君子本を務む、本立ちて道生ず。道一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は萬物を生ず。忽然拄杖を拈じ、身を起こして曰く、大衆寶峰何ぞ孔夫子に似たる。沈黙許久して曰く、酒知己に逢いて飮み、詩會人に向かって吟ず。拄杖を卓し、下座。上堂、札。久雨晴れず。直に五老の峰頭黑雲靉靆し、洞庭の湖裏白浪天に滔たるを得たり。雲門大師俊を忍ぶに禁じえず、佛殿の裏に向かって香を燒く

三門頭合掌。禱祝呪願。願黃梅石女生兒。子母團圓。少室無角鐵牛。常甘水草。喝一喝。有甚麼交涉。顧眾曰。不因楊得意。爭見馬相如。上堂。混元未判。一氣岑寂。不聞有天地玄黃。宇宙洪荒。日月盈昃。秋收冬藏。正當恁麼時。也好箇時節。尀耐雪峰老漢。卻向虗空裡釘橛。輥三箇木毬。直至後人搆占不上。便見溈山水牯牛。一向膽大心麤。長沙大蟲。到處齩人家豬狗。雖然無禮難容。而今放過一著。孝經序雲。朕聞上古。其風樸略。山前華堯民解元。且喜尊候安樂。參。上堂。今朝臘月十。夜來天落雪。群峰極目高低白。綠竹青松難辨別。必是來年蠶麥熟。張公李公皆忻悅。皆忻悅。鼓腹謳歌笑不徹。把得雲簫繚亂吹。依稀有如楊柳枝。又不覺手之舞之。足之蹈之。左之右之。喝曰。禪客相逢祇彈指。此心能有幾人知。上堂。太陽門下。日日三秋。明月堂前。時時九夏。洞山和尚。祇解夜半捉烏雞。殊不知驚起隣家睡。寶峰相席打令。告諸禪德。也好冷處著把火。咄。上堂。古人道。不看經。不念佛。看經念佛是何物。自從識得轉經人。舉拂子曰。龍藏聖賢都一拂。以拂子拂一拂。曰。諸禪德。正當恁麼時。且道雲巖土地向甚麼處安身立命。擲下拂子。以兩手握拳叩齒曰。萬靈千聖。千聖萬靈。上堂。僧問。教中道。若有一人。發真歸源。十方虗空。悉皆消殞。未審此理如何。師遂展掌。點指曰。子丑寅卯。辰巳午未。一羅二土。三水四金。五太陽.六太陰.七計都。今日計都星入巨蟹宮。寶峰不打這皷笛。便下座。上堂。大道縱橫。觸事現成。雲開日出。水綠山青。拈拄杖。卓一下。曰。雲門大師來也。說道。觀音菩薩將錢買胡餅。放下手元來卻是饅頭。大眾。雲門祇見錐頭利。不見鑿頭方。寶峰即不然。擲下拄杖曰。勿於中路事空王。䇿杖須還達本鄉。昨日有人從淮南來。不得福建信。

(師接續いて曰く、)三門頭に合掌し、禱祝し咒願す。願わくは黃梅の石女兒を生ましめ、子母團圓せん。少室の角無き鐵牛、常に水草を甘んぜん。一喝す。什麼の交涉か有らん。衆を環顧して曰く、楊得意に因らざれば、争いか馬相如を見ん。上堂、混元未だ判れざれば、一氣岑寂たり。聞かず天地玄黄、宇宙洪荒、日月盈昃、秋收冬藏有るを。正に當る恁麼の時、亦た好個の時節。叵耐す雪峰の老漢、卻って虚空の裏に向かって橛を釘り、三個の木球を滾す。直に後人構占し上がらざるに至りて、便ち見る潙山の水牯牛、一向に膽大にして心粗なり。長沙の大蟲、處に到りて人家の猪狗を咬む。然りと雖も禮無く容れ難し、而今一著を放過す。《孝經》序曰く、朕聞く上古、其の風朴略なり。山前の華堯民解元、且く喜ばん尊候安樂なるを。參。上堂、今朝臘月十、夜來天雪を落とす。群峰目を極めて高低白く、綠竹青松辨別し難し。必ず是れ來年蠶麥熟れ、張公李公皆な忻悅せん。皆な忻悅して、腹を鼓して謳歌し笑い徹せず。雲簫を把得して繚亂に吹き、依稀として楊柳の枝の如き有り。又覺えず手之を舞い、足之を蹈み、之に左にし之に右にす。喝して曰く、禅客相逢えば只だ彈指す、此の心能く知る人幾人ぞ。上堂、太陽の門下、日日三秋。明月の堂前、時時九夏。洞山和尚、只だ半夜に烏鷄を捉うるを解して、殊に知らず鄰家の睡りを驚起すを。寶峰席に相い令を打ち、諸の禅德に告ぐ、亦た好く冷き處に火を把り著くべし。咄。上堂、古人説く、經を看ず、佛を念ぜず。經を看て佛を念ずるは是れ何の物ぞ。自ら轉經の人を識得してより。拂子を擧げて曰く、龍藏の聖賢都て一拂。拂子を以て一拂して曰く、諸の禅德、正に當る恁麼の時、且く道え雲巖の土地何の處に向かって身を安め命を立つ。拂子を擲下し、兩手を以て拳を握り齒を叩きて曰く、萬靈千聖、千聖萬靈。上堂、僧問う、教の中に説く、若し一人眞を發して源に歸る者有れば、十方の虚空悉く皆な消殞す。未だ審かに此の理如何。師於是掌を展べ、指を點じて曰く、子丑寅卯、辰巳午未。一羅二土、三水四金、五太陽、六太陰、七計都。今日計都星巨蟹宮に入る。寶峰這の鼓笛を打たず。便ち下座。上堂、大道縱橫、事に觸れて現成す。雲開き日出で、水綠に山青し。拄杖を拈じ、一下卓して曰く、雲門大師來れり。説き道う、觀音菩薩錢を將て胡餅を買い、手を放下すれば元來卻って是れ饅頭。大衆、雲門只だ錐頭の利を見て、鑿頭の方を見ず。寶峰即ち然らず。拄杖を擲下して曰く、中路に於て空王に事うる勿れ、杖を策すれば須らく還た本鄕に達すべし。昨日人淮南より來る有り、福建の信を得ず

卻道嘉州大像。吞卻陝府鐵牛。喝一喝。曰。是甚說話。笑倒雲居土地。上堂。祖師關捩子。幽隱少人知。不是悟心者。如何舉似伊。喝一喝。曰。是何言歟。若一向恁麼。達磨一宗掃土而盡。所以大覺世尊。初悟此事。便開方便門。示真實相。普令南北東西。四維上下。郭大李二。鄧四張三。同明斯事。雲巖今日不免傚古去也。擊拂子曰。方便門開也。作麼生是真實相。良久雲。十八十九。痴人夜走。示眾。拈拄杖曰。衲僧家竿木隨身。逢場作戲。倒把橫拈。自有意思。所以昔日藥山和尚問雲巖曰。聞汝解弄師子。是否。巖曰。是。山曰。弄得幾出。巖曰。弄得六出。山曰。老僧亦解弄。巖曰。和尚弄得幾出。山曰。老僧祇弄得一齣。巖曰。一即六。六即一。山便休。大眾。藥山雲巖鈍置殺人。兩子父弄一箇師子。也弄不出。若是準上座。祇消得自弄。拽得來拈頭作尾。拈尾作頭。轉兩箇金睛。攫幾鉤鐵爪。吼一聲直令百里內猛獸潛蹤。滿空裡飛禽亂墜。準上座未弄師子。請大眾高著眼。先做一箇定場。擲下拄杖曰。箇中消息子。能有幾人知。師自浙回泐潭。謁深禪師。尋命分座。聞有悟侍者。見所擲㸑餘有省。詣方丈通所悟。深喝出。因喪志。自經於延壽堂廁後。出沒無時。眾憚之。師聞。半夜特往登溷。方脫衣。悟即提淨水至。師曰。待我脫衣。脫罷悟復到。未幾。悟供籌子。師滌淨已。召接淨桶去。悟才接。師執其手問曰。汝是悟侍者那。悟曰。諾。師曰。是當時在知客寮。見掉火柴頭。有箇悟處底麼。參禪學道。祇要知箇本命元辰下落處。汝剗地作此去就。汝在藏殿。移首座鞋。豈不是汝當時悟得底。又在知客寮移他枕子。豈不是汝當時悟得底。汝每夜在此提水度籌。豈不是汝當時悟得底。因甚麼不知下落。卻在這裡惱亂大眾。師猛推之。索然如倒壘甓。由是無復見者。政和五年夏。師臥病。

(師接續いて曰く、)卻って道う嘉州の大像、陝府の鐵牛を吞卻すと。一喝して曰く、是れ甚の説話ぞ。雲居の土地を笑倒さしむ。上堂、祖師の關捩子、幽隱にして知る人少なし。是れ心を悟る者に非ずんば、如何に伊に擧似せん。一喝して曰く、是れ何の言歟。若し一向に恁麼ならば、達磨一宗土を掃いて盡くさん。所以に大覺世尊、初めて此の事を悟りて、便ち方便の門を開き、真實の相を示す。普く南北東西、四維上下、郭大李二、鄧四張三をして、同じく斯の事を明らめしむ。雲巖今日免れず古に效いて去らん。拂子を擊ちて曰く、方便門開けたり。作麼生なるか是れ真實の相。沈黙許久して曰く、十八十九、痴人夜走る。衆に示し、拄杖を拈じて曰く、衲僧家竿木身に隨い、場に逢い戲を作す。倒に把り橫に拈ぐるに、自ら意思有り。所以に昔日藥山和尚雲巖に問う、你師子を弄ぶを解すと聞く、是か否か。巖曰く、是。山曰く、幾出を弄得る。巖曰く、六出を弄得る。山曰く、老僧亦た弄ぶを解す。巖曰く、和尚幾出を弄得る。山曰く、老僧只だ一出を弄得るのみ。巖曰く、一即ち六、六即ち一。山便ち休む。大衆、藥山雲巖人を鈍置して殺す。兩個の子父一個の師子を弄ぶるも、亦た弄び出だす能わず。若し是れ準上座ならば、只だ自ら弄ぶを消すべし。拽得來りて頭を拈じて尾と作し、尾を拈じて頭と作す。兩個の金睛を轉じ、幾鉤の鐵爪を攫む。一聲吼えば直に百里内の猛獸蹤を潜め、滿空裏の飛禽亂墜せしむ。準上座未だ師子を弄ばず、大衆の高く眼を著くるを請う。先に一個の定場を作す。拄杖を擲下して曰く、個中の消息子、能く知る人幾人ぞ。老師浙より泐潭に回りて、深禅師を謁う。尋いで座を分かつを命ぜらる。悟侍者有るを聞き、擲る所の竈餘を見て省る所有りて、方丈に詣りて悟る所を通ず。深喝出す。因りて志を喪い、延壽堂の廁後に自ら經す。出沒時無し、衆之を憚る。師聞き、半夜特に往きて溷に登る。方に衣を脱げば、悟即ち淨水を提げて至る。師曰く、我が衣を脱ぐを待て。脱ぎ罷みて悟復た到る。未幾、悟籌子を供す。師淨に滌み已りて、召して淨桶を接し去らしむ。悟纔かに接ぐれば、師其の手を執りて問う、你是れ悟侍者那。悟曰く、諾。師曰く、是れ當時知客の寮に在りて、火の柴頭を掉るを見て、個の悟る處有る底か。禅を參じ道を學ぶは、只だ個の本命元辰の下落の處を知るを要す。你平白此の去就を作す。你在りて藏殿に、首座の鞋を移せしは、豈に是れ你當時悟得の底ならずや。又在りて知客の寮に他の枕子を移せしは、豈に是れ你當時悟得の底ならずや。你夜ごと此に在りて水を提げ籌を度すは、豈に是れ你當時悟得の底ならずや。什麼に因りて下落を知らずして、卻って這裏に在りて大衆を惱亂する。師猛く之を推せば、索然として壘甓の倒るるが如し。此に由りて復た見る者無し。政和五年夏、師病に臥す

進藥者令忌毒物。師不從。有問其故。師曰。病有自性乎。曰。病無自性。師曰。既無自性。則毒物寧有心哉。以空納空。吾未甞顛倒。汝輩一何昏迷。十月二十日。更衣說偈而化。闍維得設利。晶圓光潔。睛齒數珠不壞。塔於南山之陽。

藥を進る者毒物を忌めしむ。師從わず。其の故を問う者有り。師曰く、病に自性有るか。曰く、病に自性無し。師曰く、既に自性無ければ、則ち毒物寧に心有らん哉。空を以て空に納る、吾未だ嘗て顛倒せず。你們一何ぞ昏迷なる。十月二十日、衣を更え偈を説いて化す。闍維して舍利を得、晶圓光潔なり。睛齒數珠壞れず。南山の陽に塔す

廬山慧日文雅禪師

廬山慧日文雅禅師

受請日。僧問。向上宗乘。乞師不吝。師曰。拄杖正開封。曰。小出大遇也。師曰。放過即不可。便打。

請を受くる日、僧問う、向上の宗乘、師の吝かならざるを乞う。師曰く、拄杖正に開封す。曰く、小さく出でて大いに遇うなり。師曰く、放過せば即ち可ならず。便ち打つ

瑞州洞山梵言禪師

瑞州洞山梵言禅師

太平州人也。上堂。有二僧齊出。一僧禮拜。一僧便問。得用便用時如何。師曰。伊蘭作旃檀之樹。曰。有意氣時添意氣。不風流處也風流。師曰。甘露乃蒺蔾之園。上堂。吾心似秋月。碧潭清皎潔。無物堪比倫。教我如何說。寒山子勞而無功。更有箇拾得。道不識這箇意。修行徒苦辛。恁麼說話。自救不了。尋常拈糞箕。把掃帚。掣風掣顛。猶較些子。直饒是文殊普賢再出。若到洞山門下。一時分付與直歲。燒火底燒火。掃地底掃地。前廊後架。切忌攙匙亂箸。豐幹老人更不饒舌。參退。吃茶。上堂。一生二。二生三。遏捺不住。廓周沙界。德雲直上妙峰。善財卻入樓閣。新婦騎驢阿家牽。山青水綠。桃華紅。李華白。一塵一佛土。一葉一釋迦。乃合掌曰。不審諸佛子。今晨改旦。季春極暄。起居輕利。安樂行否。少間專到上寮問訊。不勞久立。上堂。臘月二十日。一年將欲盡。萬裡未歸人。大眾。總是他鄉之客。還有返本還源者麼。擊拂子曰。門前殘雪日輪消。室內紅塵遣誰掃。

太平州の人なり。上堂。二僧有りて齊しく出づ。一の僧禮拜し、一の僧便ち問う、用を得て便ち用いる時如何。師曰く、伊蘭旃檀の樹と作る。曰く、意氣有る時意氣を添え、風流ならざる處も亦た風流。師曰く、甘露乃ち蒺藜の園。上堂、吾が心秋月に似たり、碧潭淸く皎潔なり。物の倫を比ぶべき無く、我をして如何に説かしめん。寒山子勞して功無し。更に個の拾得有りて、道う此の意を識らず、修行徒らに苦辛なりと。恁麼に説話すれば、自ら救いて了せず。尋常糞箕を拈じ、帚を把り、風を掣り顛を掣る、猶ほ較えて些子有り。直饒是れ文殊普賢再び出づるとも、若し洞山の門下に到らば、一時に直歲に分付す。火を燒く底は火を燒き、地を掃く底は地を掃く。前の廊後の架、切に匙を攙し箸を亂すを忌む。豐干老人更に舌を饒えらず。參退して、茶を喫す。上堂、一は二を生じ、二は三を生ず。遏捺し住むる能わず、廓として沙界を周す。德雲直に妙峰に上り、善財卻って樓閣に入る。新婦驢に騎りて阿家牽く。山青く水綠なり。桃花紅く、李花白し。一塵一佛土、一葉一釋迦。於是合掌して曰く、審かに諸の佛子。今の晨旦を改め、季春極めて暄し。起居輕利にして、安樂に行うか否。少間專ら上寮に到りて問訊す。久しく立つを勞せず。上堂、臘月二十日、一年將に盡きんと欲す、萬里未だ歸らざる人。大衆、總て是れ他鄉の客。還た本に返り源に還る者有るか。拂子を擊ちて曰く、門前の殘雪日輪消ゆ、室內の紅塵誰をか遣って掃わしむ

德安府文殊宣能禪師

德安府文殊宣能禅師

僧問。如何是祖師燈。師曰。四生無不照。一點任君看。上堂。石鞏箭。秘魔叉。直下會得。眼裡空華。堪悲堪笑少林客。暗𢹂隻履度流沙。

僧問う、如何なるか是れ祖師の燈。師曰く、四生照らさざる無し、一點君に任せて看よ。上堂、石鞏の箭、祕魔の叉。直下に會得すれば、眼裏の空花。悲むべし笑むべし少林の客、暗に隻履を携えて流沙を度り過ぐ。(「𢹂」の字左に提手、當に「携」と讀み作すべし。)

桂州壽寧善資禪師

桂州壽寧善資禅師

上堂。若論此事。如鵶啄鐵牛。無下口處。無用心處。更向言中問覓。句下尋思。縱饒卜度將來。飜成戲論邊事。殊不知本來具足。直下分明。佛及眾生。纖毫不立。尋常向諸人道。凡夫具足聖人法。凡夫不知。聖人具足凡夫法。聖人不會。聖人若會。即同凡夫。凡夫若知。即是聖人。然則凡聖一致。名相互陳。不識本源。迷其真覺。所以逐境生心。狥情附物。苟能一念情忘。自然真常體露。良久曰。便請薦取。上堂。諸方五日一參。壽寧日日陞座。莫怪重說偈言。過在西來達磨。上士處處逢渠。後學時時蹉過。且道蹉過一著。落在甚麼處。舉起拂子曰。一片月生海。幾家人上樓。

上堂、若し此の事を論ぜば、鴉の鐵牛を啄むが如く、口を下す處無く、心を用いる處無し。更に言の中に向かって問覓し、句の下に尋思すれば、縱饒卜度して將來すとも、翻えって戲論の邊の事と成る。殊に知らず本來具足し、直下に分明、佛及び衆生、纖毫立たざるを。尋常諸人に向かって説く、凡夫聖人の法を具足すれども凡夫知らず、聖人凡夫の法を具足すれども聖人會せず。聖人若し會せば、即ち凡夫に同じく、凡夫若し知れば、即ち是れ聖人。然る則ち凡聖一致して、名相互いに陳す。本源を識らずして、其の真覺を迷う、所以に境を逐いて心を生じ、情を徇いて物に附す。苟も能く一念情を忘れば、自然に真常體露す。沈黙許久して曰く、便ち薦取せんを請う。上堂、諸方五日一參す、壽寧日日座に升る。怪しむ莫れ重ねて偈言を説くを、過西來の達磨に在り。上士處處渠に逢い、後學時時蹉過す。且く道え、蹉過の一著、什麼の處に落つる。拂子を擧起して曰く、一片の月海に生じ、幾家の人樓に上る

南嶽祝融上封慧和禪師

南岳祝融上封慧和禅師

上堂。未陞此座已前。盡大地人成佛已畢。更有何法可說。更有何生可利。況菩提煩惱。本自寂然。生死涅槃。猶如昨夢。門庭施設。誑謼小兒。方便門開。羅紋結角。於衲僧面前。皆成幻惑。且道衲僧有甚麼長處。拈起拄杖曰。孤根自有擎天勢。不比尋常曲彔枝。卓拄杖。下座。

上堂、未だ此の座に升らざる已前、大地を盡くす人佛と成り已り畢んぬ。更に何の法か説くべく、更に何の生か利すべき。況んや菩提煩惱、本より自ら寂然、生死涅槃、猶ほ昨夢の如きを。門庭の設施は、小兒を誑吓し、方便門開くは、羅紋角を結ぶ。衲僧の面前に於て、皆な幻惑と成る。且く道え、衲僧什麼の長處か有る。拄杖を拈起して曰く、孤根自ら天を擎ぐるの勢有り、尋常の曲錄の枝に比せず。拄杖を卓し、下座

瑞州五峰淨覺本禪師

瑞州五峰淨覺本禅師

僧問。同聲相應時如何。師曰。鵓鳩樹上啼。曰。同氣相求時如何。師曰。猛虎巖前嘯。問。一進一退時如何。師曰。腳在肚下。曰。如何是不動尊。師曰。行住坐臥。上堂。僧問。寶座既陞。願聞舉唱。師曰。雪裡梅華火裡開。曰。莫便是為人處也無。師曰。井底紅塵已漲天。上堂。恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼總不得。諸人作麼生會。直下會得。不妨奇特。更或針錐。西天此土。上堂。五峰家風。南北西東。要用便用。以橛釘空。咄。

僧問う、同聲相應ずる時如何。師曰く、鵓鳩樹の上に啼く。曰く、同氣相求むる時如何。師曰く、猛虎巖前に嘯く。問う、一進一退の時如何。師曰く、脚肚の下に在り。曰く、如何なるか是れ不動の尊。師曰く、行住坐臥。上堂。僧問う、寶座既に升れり、願わくは擧唱を聞かん。師曰く、雪の裏の梅花火の裏に開く。曰く、莫れや便ち是れ人を為るの處や無しや。師曰く、井底の紅塵已に天に漲る。上堂、恁麼にしても得ず、恁麼ならざるも亦た得ず、恁麼恁麼ならざるも總て得ず。諸人作麼生に會せん。直下に會得せば、奇特なるに妨げず、更に或いは針錐せば、西天此の土。上堂、五峰の家風、南北西東。用いんと要すれば便ち用う、橛を以て空に釘す。咄

永州太平安禪師

永州太平安禅師

上堂。有利無利。莫離行市。鎮州蘿蔔極貴。廬陵米價甚賤。爭似大平這裡。時豐道泰。商賈駢闐。白米四文一升。蘿蔔一文一束。不用北頭買賤。西頭賣貴。自然物及四生。自然利資王化。又怎生說箇佛法道理。良久雲。勸君不用鐫頑石。路上行人口似碑。

上堂、利有り利無きとも、行市を離るる莫れ。鎮州の蘿蔔極めて貴く、廬陵の米價甚だ賤し。争いか似ん太平這裏(底本「大平」と作る、當に寺名「太平」とすべし)、時豐かに道泰く、商賈駢阗す。白米四文一升、蘿蔔一文一束。北頭に賤く買い、西頭に貴く賣るを用いず、自然に物四生に及び、自然に利王化を資す。又怎生に個の佛法の道理を説かん。沈黙許久して曰く、君を勸む頑石を鐫るを用いる莫れ、路上の行人の口碑に似たり

潭州報慈進英禪師

潭州報慈進英禅師

僧問。遠涉長途即不問。到家一句事如何。師曰。雪滿長空。曰。此猶是時人知有。轉身一路。又作麼生。師便喝。上堂。報慈有一公案。諸方未曾結斷。幸遇改旦拈出。各請高著眼看。遂趯下一隻鞋。曰。還知這箇消息也無。達磨西歸時。提𢹂在身畔。上堂。與麼上來。猛虎出林。與麼下去。驚虵入草。不上不下。日輪杲杲。喝一喝。曰。瀟湘江水碧溶溶。出門便是長安道。上堂。擲下拄杖。卻召大眾曰。拄杖吞卻祖師了也。教甚麼人說禪。還有人救得也無。喝一喝。上堂。驀拈拄杖曰。三世一切佛。同入這窠窟。衲僧喚作遼天鶻。卓拄杖一下。

僧問う、遠く長途を渉るは即ち問わず、家に到る一句の事如何。師曰く、雪長空に滿つ。曰く、此れ猶ほ是れ時人知る所有り。身を轉ずる一路、又作麼生。師便ち喝す。上堂、報慈に一の公案有りて、諸方未曾だ結斷せず。幸いに旦を改めて拈出すに遇う、各々高く眼を著けて看るを請う。於是一隻の鞋を踢下して曰く、還た知るか此の消息有るや無しや。達磨西に歸る時、身畔に提携して在り。(「𢹂」の字左に提手、當に「携」と讀み作すべし。)上堂、與麼に上がり來れば、猛虎林を出づ、與麼に下がり去れば、驚蛇草に入る。上がらず下がらざれば、日輪杲杲たり。一喝して曰く、瀟湘の江水碧溶溶、門を出づれば便ち是れ長安の道。上堂、拄杖を擲下し、卻って大衆を召して曰く、拄杖祖師を吞卻し了れり、什麼の人を敎えて禅を説かしめん。還た人救い得る者有るや無しや。一喝す。上堂、蓦っから拄杖を拈じて曰く、三世一切の佛、同じく這の窠窟に入る。衲僧喚びて遼天の鶻と作す。拄杖を一下卓す

瑞州洞山至乾禪師

瑞州洞山至乾禅師

上堂。洞山不會談禪。不會說道。祇是饑來吃飰。困來打睡。你諸人必然別有長處。試出來盡力道一句看。有麼。有麼。良久曰。睦州道底。

上堂、洞山は禅を談ずるを會せず、道を説くを會せず、只だ是れ饑え來れば飯を喫し、困れ來れば睡を打つ。你の諸人必ず然り別に長處有らば、試みに出で來りて力を盡くして一句を道いて看よ。有るか有るか。沈黙許久して曰く、睦州道いし底

平江府寶華普鑑佛慈禪師

平江府寶華普鑑佛慈禅師

本郡周氏子。幼不茹葷。依景德寺清智下髮。十七遊方。初謁覺印英禪師。不契。遂扣真淨之室。淨舉石霜䖍侍者話問之。釋然契悟。作偈曰。枯木無華幾度秋。斷雲猶掛樹梢頭。自從鬪折泥牛角。直至如今水逆流。淨肯之。命侍巾缽。晚狥眾開法寶華。次移高峰。上堂。參禪別無奇特。祇要當人命根斷。疑情脫。千眼頓開。如大洋海底輥一輪赫日。上昇天門照破四天之下。萬別千差。一時明瞭。便能握金剛王寶劍。七縱八橫。受用自在。豈不快哉。其或見諦不真。影像彷彿。尋言逐句。受人指呼。驢年得快活去。不如屏淨塵緣。竪起脊梁骨。著些精彩。究教七穿八穴。百了千當。向水邊林下長養聖胎。亦不枉受人天供養。然雖如是。臥雲門下。有箇鐵門限。更須猛著氣力。跳過始得。擬議之間。墮坑落壍。以拂子擊禪床。下座。上堂。月圓。伏惟三世諸佛。狸奴白牯。各各起居萬福。時中淡薄。無可相延。切希寬抱。老水牯牛近日亦自多病多惱。不甘水草。遇著暖日和風。當下和身便倒。教渠拽杷牽犂。直是搖頭擺腦。可憐萬頃良田。一時變為荒草。

本郡周氏の子。幼にして葷を茹でず、景德寺淸智の下に依りて髮を下す。十七にして方に游び、初め覺印英禅師を謁え、契わず、遂に真淨の室を扣す。淨石霜虔侍者の話を擧げて之を問う(「䖍」當に「虔」とすべし)、釋然として契悟し、偈を作りて曰く、枯木花無くして幾度か秋、斷雲猶ほ樹梢の頭に掛かる。自ら泥牛の角を斗折してより、直に如今に至るまで水逆流す。淨之を肯とし、巾鉢に侍するを命ず。晚く衆を徇いて寶華に法を開き、次いで高峰に移る。上堂、禅を參ずるに別に奇特無し、只だ當人命根斷え、疑情脱れ、千の眼頓に開けて、大洋の海底に一輪の赫日を滾らし、天門に上升して、四天の下を照破して、萬別千差一時に明了ならんを要す。便ち能く金剛王の寶劍を握りて、七縱八橫、自在に受用す、豈に快ならずや。其れ或いは見諦真ならざれば、影像仿佛として、言を尋ね句を逐い、人の指呼を受け、驢の年に快活を得て去らん。屏淨して塵緣を淨め、脊梁の骨を竪起し、些の精彩を著けて、究めて七穿八穴、百了千當を敎え、水邊林下に向かって聖胎を長養するに如かず、亦た枉げず人天の供養を受くるを。然りと雖も是の如し、臥雲の門下に個の鐵門限有りて、更に須らく猛く氣力を著けて、跳び過ぎて始めて得べし。擬議の間、坑に墮ち壍に落つ。拂子を以て禅床を擊ち、下座。上堂、月圓。伏して惟るに三世の諸佛、狸奴白牯、各々起居萬福あらんことを。時中淡薄にして、相い延くべき無し、切に寬抱せんを希う。老水牯牛近日亦た自ら病多く惱多く、水草を甘んぜず、暖日和風に遇著けば、當下身を和して便ち倒る。彼を敎えて杷を拽き犁を牽かしめば、直に是れ頭を搖ぎ腦を擺す。憐むべし萬頃の良田、一時に變じて荒草と為る

瑞州九峰希廣禪師

瑞州九峰希廣禅師

遊方日謁雲蓋智和尚。乃問。興化打克賓。意旨如何。智下禪床。展兩手吐舌示之。師打一坐具。智曰。此是風力所轉。又問石霜琳禪師。琳曰。你意作麼生。師亦打一坐具。琳曰。好一坐具。祇是不知落處。又問真淨。淨曰。你意作麼生。師復打一坐具。淨曰。他打你也打。師於言下大悟。淨因有頌曰。丈夫當斷不自斷。興化為人徹底漢。已後從教眼自開。棒了罰錢趂出院。後住九峰。衲子宗仰。

方に游ぶ日雲蓋智和尚を謁えて、乃ち問う、興化の克賓を打つは、意旨如何。智禅床を下りて、兩手を展べ舌を吐きて之に示す。師一の坐具を打つ。智曰く、此れ是れ風力の轉ずる所。又石霜琳禅師に問う。琳曰く、你意作麼生。師亦た一の坐具を打つ。琳曰く、好き一坐具、只だ是れ落處を知らず。又真淨に問う。淨曰く、你意作麼生。師復た一の坐具を打つ。淨曰く、他你を打てば你も亦た打つ。師言下に於て大悟す。淨因りて頌有りて曰く、丈夫當に斷ずべくして自ら斷ぜず、興化人を為す徹底の漢。已後教に從い眼自ら開け、棒了り罰錢して院を趁出す。後に九峰を住して、衲子宗として仰ぐ

瑞州黃檗道全禪師

瑞州黄檗道全禅師

上堂。以拂子擊禪床曰。一槌打透無盡藏。一切珍寶吾皆有。拈來普濟貧乏人。免使波吒路邊走。遂喝曰。誰是貧乏者。

上堂、拂子を以て禅床を擊ちて曰く、一槌打ち透して無盡の藏、一切の珍寶吾皆な有り。拈來して普く貧乏の人を濟い、彼をして波咤して路邊を走らしむるを免れしめん。於是喝して曰く、誰か是れ貧乏の者

瑞州清涼慧洪覺範禪師

瑞州淸涼慧洪覺範禅師

郡之彭氏子。年十四。父母俱亡。乃依三峰靘禪師為童子。日記數千言。覽群書殆盡。靘器之。十九。試經於東京天王寺。得度。從宣秘講成實唯識論。逾四年。棄謁真淨於歸宗。淨遷石門。師隨至。淨患其深聞之獘。每舉玄沙未徹之語。發其疑。凡有所對。淨曰。你又說道理耶。一日頓脫所疑。述偈曰。靈雲一見不再見。紅白枝枝不著華。尀耐釣魚船上客。卻來平地摝魚鰕。淨見為助喜。命掌記。未久。去謁諸老。皆蒙賞音。由是名振叢林。顯謨朱公彥請開法撫州北景德。後住清涼。示眾。舉首楞嚴如來語阿難曰。汝應齅此爐中栴檀。此香若復然於一銖。室羅筏城四十里內同時聞氣。於意云何。此香為復生栴檀木。生於汝鼻。為生於空。阿難。若復此香生於汝鼻。稱鼻所生。當從鼻出。鼻非栴檀。云何鼻中有栴檀氣。稱汝聞香。當於鼻入。鼻中出香。說聞非義。若生於空。空性常恆。香應常在。何藉爐中爇此枯木。若生於木。則此香質。因爇成煙。若鼻得聞。合蒙煙氣。其煙騰空。未及遙遠。四十里內。云何已聞。是故。當知香鼻與聞。俱無處所。即齅與香。二處虗妄。本非因緣。非自然性。師曰。入此鼻觀。親證無生。又大智度論。問曰。聞者云何。聞用耳根聞邪。用耳識聞邪。用意識聞邪。若耳根聞。耳根無覺識知。故不能聞。若耳識聞。耳識一念。故不能分別。不應聞。若意識聞。意識亦不能聞。何以故。先五識識五塵。然後意識識意識。不能識現在五塵。唯識過去未來五塵。若意識能識現在五塵者。盲聾人亦應識聲也。何以故。意識不破故。師曰。究此聞塵。則合本妙。既證無生。又合本妙。畢竟是何境界。良久曰。白猿已叫千巖晚。碧縷初橫萬字鑪。住景德日。僧問。南有景德。北有景德。德即不問。如何是景。師曰。頸在頂上。崇寧二年。會無盡居士張公於峽之善溪。

郡の彭氏の子。年十四、父母俱に亡び、乃ち三峰靘禅師に依りて童子と為り、日に數千言を記し、群書を覽て殆ど盡くし、靘之を器とす。十九、東京天王寺に於て經を試みて、度を得たり。宣祕に從いて《成實》《唯識論》を講ずること、四年を逾えて、歸宗に於て真淨を謁えんと棄て去る。淨石門に遷れば、師隨い至る。淨其の深聞の弊を患う(底本「獘」と作る、當に「弊」とすべし)、每に玄沙未だ徹せざるの語を擧げて、其の疑を發す。凡そ對する所有れば、淨曰く、你又道理を説く耶。一日頓に疑う所を脱し、偈を述べて曰く、靈雲一見再び見ず、紅白枝々花を著けず。叵耐す釣魚の船上の客、卻って來りて平地に魚蝦を摝す。淨見て為に喜を助け、記を掌らしむ。未だ久しからずして、去りて諸老を謁うるに、皆な賞音を蒙り、是に由りて名叢林に振る。顯謨朱公彥撫州北の景德に法を開くを請い、後に淸涼を住す。衆に示し、《首楞嚴》如來阿難に説くを擧ぐ、你應に此の爐中の旃檀を嗅ぐべし。此の香若し復た一銖に燃せば、室羅筏城四十里内同時に氣を聞かん。意に於て云何、此の香為れ復た旃檀の木に生ずるか、你の鼻に生ずるか、為れ空に生ずるか。阿難、若し復た此の香你の鼻に生ずれば、鼻の生ずる所と稱して、當に鼻より出づべし。鼻旃檀に非ず、云何んぞ鼻の中に旃檀の氣有らん。你の香を聞くと稱せば、當に鼻に於て入るべし。鼻の中香を出だすは、聞と説くは義に非ず。若し空に生ずれば、空性常恒なり、香應に常に在るべし、何を藉りて爐中此の枯木を爇かん。若し木に生ずれば、則ち此の香質、爇するに因りて烟と成る。若し鼻聞を得れば、合して烟氣を蒙るべし。其の烟騰空して、未だ遙遠に及ばざるに、四十里内、云何んぞ已に聞く。是の故に當に知るべし、香・鼻・與聞、俱に處所無し。即ち嗅と香と、二處虛妄にして、本より因緣に非ず、自然の性に非ず。師曰く、此の鼻觀に入りて、親しく無生を證す。又《大智度論》問いて曰く、聞く者云何。聞くは耳根を用いて聞く邪、耳識を用いて聞く邪、意識を用いて聞く邪。若し耳根聞けば、耳根覺識知無し、故に聞く能わず。若し耳識聞けば、耳識一念なり、故に分別する能わず、聞くに應らず。若し意識聞けば、意識も亦た聞く能わず。何を以てか故。先に五識五塵を識して、然る後意識識す。意識現在の五塵を識する能わず、唯だ過去未來の五塵を識す。若し意識現在の五塵を識する能くば、盲聾の人も亦た聲を識すべし。何を以てか故。意識破せざるが故なり。師曰く、此の聞塵を究めれば、則ち本妙に合す。既に無生を證し、又本妙に合すれば、畢竟是れ何の境界ぞ。沈黙許久して曰く、白猿已に叫ぶ千巖の晚、碧縷初めて橫わる萬字の爐。景德を住する日、僧問う、南に景德有り、北に景德有り。德は即ち問わず、如何なるか是れ景。師曰く、頸頂の上に在り。崇寧二年、無盡居士張公を峽の善溪に於て會す

張甞自謂得龍安悅禪師末後句。叢林畏與語。因夜話及之。曰。可惜雲庵不知此事。師問所以。張曰。商英頃自金陵酒官移知豫章。過歸宗見之。欲為點破。方敘悅末後句未卒。此老大怒。罵曰。此吐血禿丁.脫空妄語。不得信。既見其盛怒。更不欲敘之。師笑曰。相公但識龍安口傳末後句。而真藥現前不能辨也。張大驚。起執師手曰。老師真有此意耶。曰。疑則別參。乃取家藏雲庵頂相。展拜贊之。書以授師。其詞曰。雲庵綱宗。能用能照。天皷希聲。不落凡調。冷麵嚴眸。神光獨耀。孰傳其真。覿面為肖。前悅後洪。如融如肇。大慧處眾日。甞親依之。每歎其妙悟辯慧。建炎二年五月。示寂於同安。大尉郭公天民奏賜寶覺圓明之號。

(下文接續いて、)張嘗て自ら謂う龍安悅禅師の末後の句を得たりと、叢林之と語るを畏れたり。因りて夜話之に及びて、曰く、惜しむべし雲庵此の事を知らず。師其の所以を問う。張曰く、商英頃金陵の酒官より豫章を知るに移りて、歸宗を過ぎて之に見ゆ、為に點破せんと欲す。方に悅の末後の句を敘して未だ卒わらざるに、此の老大怒りて、罵りて曰く、此れ血を吐くの秃丁、空を脱して妄語す、信ずるを得ず。既に其の盛怒を見て、更に之を敘せんと欲せず。師笑い曰く、相公但だ龍安の口傳の末後の句を識るに過ぎず、而れ真藥現前にして辨うる能わず。張大いに驚き、起きて師の手を執りて曰く、老師真に此の意有る耶。曰く、疑わば別に參ぜよ。乃ち家藏の雲庵の頂相を取りて、拜を展べて之を贊し、書して師に授く。其の詞曰く、雲庵の綱宗、能く用い能く照らす。天鼓希聲にして、凡調に落ちず。冷面嚴眸、神光獨り耀く。孰か其の真を傳えん、面に觌いて肖と為す。前の悅後の洪、融の如く肇の如し。大慧衆に處する日、嘗て親しく之に依り、每に其の悟辯慧の妙を歎ず。建炎二年五月、同安に於て寂を示す。太尉郭公天民(底本「大」と作る、當に官名「太尉」とすべし)奏して寶覺圓明の號を賜わらしむ

衢州超化靜禪師

衢州超化靜禅師

上堂。聲前認得。已涉廉纖。句下承當。猶為鈍漢。電光石火。尚在遲疑。點著不來。橫屍萬裡。良久雲。有甚用處。咄。

上堂、聲の前に認得すれば、已に廉纖を渉れ、句の下に承當すれば、猶ほ鈍漢と為る。電光石火、尚ほ遲疑に在り、點著き來らざれば、屍を萬里に横たう。沈黙許久して曰く、甚の用處か有らん。咄

南嶽石頭懷志庵主

南岳石頭懷志庵主

婺州吳氏子。年十四。師智慧院寶偁。二十二試所習。落髮。肆講十二年。宿學敬慕。甞欲會通諸宗。正一代時教。有禪者問曰。杜順乃賢首宗祖師也。談法身則曰。懷州牛吃禾。益州馬腹脹。此偈合歸天台何義耶。師無對。即出遊方。晚至洞山。謁真淨。問。古人一喝不作一喝用。意旨如何。淨叱之。師趨出。淨笑呼曰。浙子齋後遊山好。師忽領悟。久之辭去。淨曰。子所造雖逸格。惜緣不勝耳。因識其意。自爾諸方。力命出世。師卻之。庵居二十年。不與世接。士夫踵門。略不顧。有偈曰。萬機休罷付痴憨。蹤跡時容野鹿參。不脫麻衣拳作枕。幾生夢在綠蘿庵。或問。住山多年。有何旨趣。師曰。山中住。獨掩柴門無別趣。三箇柴頭品字煨。不用援毫文彩露。崇寧改元冬。曳杖造龍安。人莫之留。明年六月晦。問侍僧曰。早暮。曰。已夕矣。遂笑曰。夢境相逢。我睡已覺。汝但莫負叢林。即是報佛恩德。言訖。示寂於最樂堂。茶毗收骨。塔於乳峰之下。

婺州吳氏の子。年十四、智慧院寶偁を師とす。二十二にして習う所を試み、髮を落とす。講を肆にすること十二年、宿學敬慕す。嘗て諸宗を會通し、一代の時教を正さんと欲す。禅者の問い有りて曰く、杜順は乃ち賢首宗の祖師なり。法身を談ずれば則ち説く、懷州の牛禾を喫して、益州の馬腹脹すと。此の偈合して天臺に歸するは何の義ぞ耶。師對えず、即ち出でて方に游ぶ。晚く洞山に至りて、真淨を謁えて問う、古人一喝一喝の用を作さざるは、意旨如何。淨之を叱る。師趨り出づ。淨笑いて呼びて曰く、浙子齋の後に山に游べば好し。師忽ち領悟す。久之しくして辭して去る。淨曰く、子の造る所は逸格なりと雖も、惜しむべし緣勝からざるのみ。因りて其の意を識る。自れ爾く諸方力めて世に出づるを命ずれども、師之を卻く。庵に居ること二十年、世と接せず。士夫門を踵むも、略して顧みず。偈有りて曰く、萬機休罷して痴憨に付し、蹤跡時に容れて野鹿の參す。麻衣を脱がずして拳を枕と作し、幾生か夢在る綠蘿の庵。或いは問う、山に住する多年、何の旨趣か有る。師曰く、山の中に住して、獨り柴門を掩いて別の趣無し。三個の柴頭品字に煨きて、毫を援けて文彩露わすを用いず。崇寧改元の冬、杖を曳きて龍安を造るに、人之を留むる莫し。明年六月晦、侍僧に問いて曰く、早暮か。曰く、已に夕なり。於是笑い曰く、夢境の相逢、我睡り已に覺めたり。你但だ叢林に負く莫れ、即ち是れ佛の恩德に報ゆる。言訖りて、最樂堂に於て寂を示す。茶毗して骨を收め、乳峰の下に塔す

𭤇州雙溪印首座

婺州雙溪印首座(「𭤇」の字未だ確識する能わず、諸本此の條「婺」州と作る、今從う。)

自見真淨。徹證宗猷。歸遯雙溪。一日。偶書云。折腳鐺兒謾自煨。飯餘長是坐堆堆。一從近日生涯拙。百鳥御華去不來。又以觸衣碎甚。作偈曰。不掛寸絲方免寒。何須特地裊長竿。而今落落零零也。七佛之名甚處安。

自ら真淨に見えて、宗猷を徹證し、歸りて雙溪に遁る。一日、偶書して曰く、脚を折れる鐺兒謾りに自ら煨く、飯の餘は長く是れ堆々に坐す。一たび近日生涯拙なるに從いて、百の鳥花を銜えて去りて來らず。(底本「御華」と作る、當に「銜花」とすべし。)又以て衣の碎け甚しきに觸れて、偈を作りて曰く、寸絲を掛けずして方に寒きを免る、何の須らく特に地に長竿を裊ぐ。而今落落零零なり、七佛の名甚の處にか安んぜん

五燈會元 巻第十七

五燈會元 巻第十八

南嶽下十三世下

南岳の下第十三世下

雲居祐禪師法嗣

雲居祐禅師法嗣

廬山羅漢院系南禪師

廬山羅漢院系南禅師

汀州張氏子。上堂。禪不禪。道不道。三寸舌頭胡亂掃。昨夜日輪飄桂華。今朝月窟生芝草。阿呵呵。萬兩黃金無處討。一向絕思量。諸法不相到。師臨示寂。陞座告眾曰。羅漢今日。倒騎鐵馬。逆上須彌。踏破虗空。不留眹跡。乃歸方丈。跏趺而逝。

汀州張氏の子。上堂、禅か禅ならざるか、道か道ならざるか、三寸の舌頭胡亂に掃く。昨夜日輪桂花を飄かし、今朝月窟芝草を生ず。阿呵呵、萬兩の黄金討る處無し。一向に思量を絶せば、諸法相い到らず。師寂を示すに臨みて、座に升りて衆に告げて曰く、羅漢今日、鐵馬に倒騎して、逆らに須弥に上り、虚空を踏破して、朕の跡を留めず。乃ち方丈に歸りて、跏趺して逝く

潭州慈雲彥隆禪師

潭州慈雲彥隆禅師

上堂。舉玄沙示眾曰。盡大地都來是一顆明珠。時有僧問。既是一顆明珠。學人為甚不識。沙曰。全體是珠。更教誰識。曰。雖然全體是。爭奈學人不識。沙曰。問取你眼。師曰。諸禪德。這箇公案。喚作嚼飯餧小兒。把手更與杖。還會麼。若未會。須是扣己而參。直要真實。不得信口掠虗。徒自虗生浪死。

上堂、玄沙の衆に示すを擧げて曰く、大地を盡くして來りて是れ一顆の明珠。時に僧問う、既に是れ一顆の明珠、學人什麼を為て識らざる。沙曰く、全體是れ珠、更に誰を敎えて識らしめん。曰く、然りと雖も全體是れなり、争奈ん學人識らざるを。沙曰く、你の眼に問取せよ。師曰く、諸の禅德、這個の公案、喚びて飯を嚼みて小兒に喂え、手を把りて更に杖を與うと作す。還た會するか。若し未だ會せざれば、須らく是れ己を扣いて參じ、直に真實を要して、口に信じて虚を掠め、徒らに自ら虚しく生まれ浪りに死するを得ず

郢州子陵山自瑜禪師

郢州子陵山自瑜禅師

僧問。如何是古佛心。師曰。赤腳䟕泥冷似冰。曰。未審意旨如何。師曰。休要拖泥帶水。問。泗洲大聖為甚麼楊州出現。師曰。業在其中。曰。意旨如何。師曰。降尊就卑。曰。謝和尚答話。師曰。賊是小人。智過君子。

僧問う、如何なるか是れ古佛の心。師曰く、赤脚に泥を踏めば冰に似て冷たし。(「䟕」の字足に從う、當に「踏」と讀み作すべし。)曰く、未だ審かに意旨如何。師曰く、泥を拖び水を帶ぶを要する休め。問う、泗洲の大聖什麼を以てか楊州に出現する。(底本「杨」と作る、地名當に「揚」とすべし。)師曰く、業其の中に在り。曰く、意旨如何。師曰く、尊を降りて卑に就く。曰く、和尚の答話に謝す。師曰く、賊は是れ小人、智は君子に過ぐ

隆興府東山景福省悅禪師

隆興府東山景福省悅禅師

上堂。十二時中。跛跛挈挈。且與麼過。大眾。利害在甚麼處。良久曰。聽諸方斷看。擊禪床。下座。

上堂、十二時中、跛跛挈挈、且く與麼に過ぐ。大衆、利害は什麼の處に在る。沈黙許久して曰く、諸方の斷するを聽け。禅床を擊ち、下座

亳州白藻清儼禪師

亳州白藻淸儼禅師

信州人。僧問。楊廣失橐駞。到處無人見。未審是甚麼人得見。師以拂子約曰。退後退後。妨他別人所問。曰。畢竟落在甚麼處。師曰。可煞不識好惡。便打。

信州の人。僧問う、楊廣橐駝を失いて、處に到りて人の見る無し。未だ審かに是れ什麼人見るを得たるを知らず。師拂子を以て攔って曰く、退け退け、他の別人の問う所を妨ぐ。曰く、畢竟什麼の處に落つる。師曰く、可煞好惡を識らず。便ち打つ

台州寶相元禪師

台州寶相元禅師

僧問。一切諸佛及諸佛阿耨多羅三藐三菩提。皆從此經出。如何是此經。師曰。長時誦不停。非義亦非聲。曰。如何受持。師曰。若欲受持者。應須用眼聽。

僧問う、一切の諸佛及び諸佛の阿耨多羅三藐三菩提、皆な此の經より出づ。如何なるか是れ此の經。師曰く、長時誦して停まらず、義に非ず亦た聲に非ず。曰く、如何に受持せん。師曰く、若し受持せんと欲せば、應に須らく眼を以て聽くべし

信州永豐慧日庵主

信州永豐慧日庵主

本郡丘氏子。丱歲出家。於明心寺得度。自機契雲居。熟遊湘漢。暨歸永豐。或處巖谷。或居鄽市。令鄉民稱丘師伯。凡有所問。以莫曉答之。忽語邑人曰。吾明日行腳去。汝等可來相送。於是賮路者畢集。師笑不已。眾問其故。即書偈曰。丘師伯莫嘵。寂寂明皎皎。日午打三更。誰人打得了。投筆而逝。

本郡丘氏の子。丱歲に家を出で、明心寺に於て度を得たり。自ら雲居に機契し、湘漢に熟游す。暨ちて永豐に歸りて、或いは巖谷に處り、或いは廛市に居る、鄉民をして丘師伯と稱せしむ。凡そ問う所有れば、莫曉を以て之に答う。忽ち邑人に語りて曰く、吾明日行脚し去らん、汝等來りて相い送るべし。於是路を贐する者畢集す。師笑いて已まず。衆其の故を問えば、即ち偈を書して曰く、丘師伯莫曉、寂寂として皎皎を明るむ。日の午三更を打つ、誰人か打ち了るを得ん。筆を投げて逝く

泉州南峰永程禪師

泉州南峰永程禅師

示眾。始自雞峰續𦦨。少室流芳。大布慈雲。宏開慧日。教分三藏。直指一心。或全提而棒喝齊施。或縱奪而賓主互設。或金剛按劍。或師子飜身。或照用雷奔。或機鋒電掣。無非剪除邪妄。開廓玄微。直下明宗。到真實地。諸仁者。到此方許一線道。與你商量。苟或未然。盡是依師作解。無有是處。

衆に示す、始め鷄峰より焰を續ぎ(「𦦨」當に「焰」と讀み作すべし)、少室芳を流し、大いに慈雲を布き、宏く慧日を開く。教三藏に分かれて、直に一心を指す。或いは全提して棒喝齊しく施し、或いは縱奪して賓主互いに設け、或いは金剛劍を按じ、或いは師子身を翻し、或いは照用雷に奔り、或いは機鋒電を掣く、邪妄を剪除し、玄微を開廓せざる無し、直下に宗を明らめ、真實の地に到れ。諸の仁者、此に到りて方に一線の道を許して、你と與に商量せん。苟も或いは未然ならば、盡く是れ師に依りて解を作す、是の處有ること無し

大溈秀禪師法嗣

大潙秀禅師法嗣

潭州大溈祖瑃禪師

潭州大潙祖瑃禅師

福州吳氏子。僧問。如何是溈山家風。師曰。竹有上下節。松無今古青。曰。未審其中飲噉何物。師曰。饑餐相公玉粒飯。渴點神運倉前茶。上堂。道無定亂。法離見知。言句相投。都無定義。自古龍門無宿客。至今鳥道絕行蹤。欲會箇中端的意。火裡蝍蟟吞大蟲。咄。上堂。雨下堦頭濕。晴乾水不流。鳥巢滄海底。魚躍石山頭。眾中大有商量。前頭兩句是平實語。後頭兩句是格外談。若如是會。祇見石磊磊。不見玉落落。若見玉落落。方知道寬廓。咦。

福州吳氏の子。僧問う、如何なるか是れ潙山の家風。師曰く、竹に上下の節有り、松に今古の青無し。曰く、未だ審かに其の中何の物を飮啖するを知らず。師曰く、饑えて餐る相公の玉粒の飯、渴して點ず神運の倉前の茶。上堂、道に定亂無く、法知見を離る。言句相い投ずとも、都て定義無し。自古龍門に宿客無く、至今鳥道行蹤を絶つ。個中の端的の意を會せんと欲せば、火の裏の蝍蟟大蟲を吞まん。咄。上堂、雨階頭を下して濕らし、晴れて乾けども水は流れず。鳥滄海の底に巢くい、魚石山の頭に躍る。衆中大いに商量有り、前頭の兩句は是れ平實の語、後頭の兩句は是れ格外の談。若し是の如く會せば、只だ見る石磊磊、玉落落を見ず。若し玉落落を見れば、方に知る道の寬廓なるを。咦

南嶽福嚴文演禪師

南岳福嚴文演禅師

僧問。如何是佛。師當面便唾。

僧問う、如何なるか是れ佛。師面に當りて便ち唾す

南嶽南臺允恭禪師

南岳南台允恭禅師

開堂日。上堂。稀逢難遇。正在此時。何謂釋迦已滅。彌勒未生。拈拂子曰。正當今日。佛法盡在這箇拂子頭上。放行把住。一切臨時。放行也。風行草偃。瓦礫生光。拾得寒山。點頭拊掌。把住也。水洩不通。精金失色。德山臨濟。飲氣吞聲。當恁麼時。放行即是。把住即是。良久曰。後五日看。

堂を開く日、上堂、稀に逢い遇うこと難く、正に此の時に在り。何を謂う、釋迦已に滅し、彌勒未だ生まれず。拂子を拈じて曰く、正に當る今日、佛法盡く這個の拂子の頭上に在り。放行するか把住するか、一切時に臨む。放行や、風行いて草偃み、瓦礫光を生じ、拾得寒山、頭を點き掌を拊す。把住や、水泄れて通ぜず、精金色を失い、德山臨濟、氣を飮み聲を吞む。恁麼の時に當りて、放行即是か、把住即是か。沈黙許久して曰く、後の五日に看よ

黃檗勝禪師法嗣

黄檗勝禅師法嗣

成都府昭覺純白紹覺禪師

成都府昭覺純白紹覺禅師

上堂。寒便向火。熱即搖扇。饑時吃飯。困來打眠。所以趙州庭前柏。香嚴嶺後松。栽來無別用。祇要引清風。且道畢竟事作麼生。甲子乙丑海中金。丙寅丁卯罏中火。

上堂、寒ければ便ち火に向かい、熱ければ即ち扇を搖ぎ、饑えし時は飯を喫し、困れ來れば眠を打つ。所以に趙州の庭前の柏、香嚴の嶺後の松、栽え來りて別の用無し、只だ淸風を引かんを要す。且く道え畢竟の事作麼生。甲子乙丑海中の金、丙寅丁卯爐中の火

開元琦禪師法嗣

開元琦禅師法嗣

饒州薦福道英禪師

饒州薦福道英禅師

僧問。佛未出世時如何。師曰。瑠璃缾貯華。曰。出世後如何。師曰。瑪瑙缽盛果。曰。未審和尚今日是同是別。師曰。趯倒缾。拽倒缽。上堂。據道而論。語也不得。默也不得。直饒語默兩忘。亦沒交涉。何故。句中無路。意在句中。無意無不意。非計較之所及。若是劈頭點一點頂門。豁然眼開者。於此卻有疾速分。若低頭向意根下尋思。卒摸索不著。是知萬法無根。欲窮者錯。一源絕跡。欲返者迷。看他古佛光明.先德風彩。一一從無欲無依中發現。或時孤峻峭㧞。竟不可搆。或時含融混會。了無所睹。終不樁定一處。亦不擊係兩頭。無是無不是。無非無不非。得亦無所得。失亦無所失。不曾隔越纖毫。不曾移易絲髮。明明古路。不屬玄微。覿面擎來。瞥然便過。不居正位。豈落邪途。不蹈大方。那趨小徑。騰騰兀兀。何住何為。回首不逢。觸目無對。一念普觀。廓然空寂。此之宗要。千聖不傳。直下了知。當處超越。是知赤灑灑處。恁麼即易。明歷歷處。恁麼還難。不用沾黏點染。直須剝脫屏除。若是本分。手腳放去。無收不來底。一一放光現瑞。一一削跡絕蹤。機上了不停。語中無可露。徹底攪不渾。通身撲不碎。且道畢竟是箇甚麼。得恁麼靈通。得恁麼奇特。得恁麼堅確。諸仁者。休要識渠面孔。不用安渠名字。亦莫覓渠所在。何故。渠無所在。渠無名字。渠無面孔。才起一念追求如微塵許。便隔十生五生。更擬管帶思惟。益見紛紛叢雜。不如長時放教。自由自在。要發便發。要住便住。即天然非天然。即如如非如如。即湛寂非湛寂。即敗壞非敗壞。無生戀。無死畏。無佛求。無魔怖。不與菩提會。不與煩惱俱。不受一法。不嫌一法。無在無不在。非離非不離。若能如是。見得釋迦自釋迦。達磨自達磨。幹我甚麼椀。恁麼說話。衲僧門下。推勘將來。布裙芒靸。不免撩他些些泥水。

僧問う、佛未だ世に出ざる時如何。師曰く、瑠璃瓶花を貯る。曰く、世に出でて後如何。師曰く、瑪瑙鉢果を盛る。曰く、未だ審かに和尚今日是れ同か別か。師曰く、瓶を踢倒し、鉢を拽倒す。上堂、道に據りて論ずれば、語も亦た得ず、默も亦た得ず。直饒語默兩つながら忘るとも、亦た交涉無し。何の故ぞ。句中に路無く、意句中に在り。意無く意無らざるに非ず、計較の及ぶ所に非ず。若し是れ劈頭に頂門の一點を點じ、豁然として眼開く者は、此に於て卻って疾速の分有り。若し頭を低れて意根の下に向かって尋思すれば、卒に摸索し著かず。是に知る萬法根無し、窮めんと欲する者錯なり、一源跡を絶ち、返らんと欲する者迷うを。他の古佛の光明、先德の風彩、一一欲無く依無き中より發現するを看よ。或る時は孤峻峭拔して、竟に搆うべからず、或る時は含融混會して、了んぬるに睹る所無し。終に一處に桩定せず、亦た兩頭に擊繫せず。是無く亦是ならざる無し、非無く亦非ならざる無し。得るも亦た得る所無く、失うも亦た失う所無し。未曾だ纖毫を隔越せず、未曾だ絲髮を移易せず。明々たる古路、玄微に屬せず。面に觌いて擎來りて、瞥然として便ち過ぎる。正位に居らず、豈に邪途に落ちん。大方を蹈まず、那ぞ小徑に趨らん。騰騰兀兀、何に住し何をか為す。回首して逢わず、目に觸れて對無し。一念普く觀れば、廓然として空寂なり。此の宗要、千聖傳えず。直下に了知し、當處に超越す。是に知る赤洒洒の處、恁麼に即ち易く、明歷歷の處、恁麼に還た難きを。沾黏點染を用いず、直に須らく剝脱し屏除すべし。若し是れ本分の手脚放ち去って、收め來らざる底は、一一光を放ち瑞を現じ、一一跡を削り蹤を絶つ。機の上了りて停まらず、語の中露るべき無し。徹底に攪いても渾らず、通身撲っても碎けず。且く道え畢竟是れ個の什麼ぞ、恁麼の靈通を得、恁麼の奇特を得、恁麼の堅確を得たる。諸の仁者、休要れ渠の面孔を識り、渠の名字を安くを用いず、亦た渠の所在を覓る莫れ。何の故ぞ。渠所在無く、渠名字無く、渠面孔無し。纔かに一念の追求微塵許を起こせば、便ち十生五生を隔つ。更に擬し管帶し思惟すれば、益々紛紛叢雜を見る。長時放して自由自在に敎するに如かず、發せんと要せば便ち發し、住せんと要せば便ち住す。即ち天然にして天然に非ず、即ち如如にして如如に非ず、即ち湛寂にして湛寂に非ず、即ち敗壞にして敗壞に非ず。生の戀無く、死の畏無く、佛の求無く、魔の怖無く、菩提と會せず、煩惱と俱にせず、一法を受けず、一法を嫌わず、在にして在らざる無し、離に非ず離れざるに非ず。若し能く是の如くば、見ることを得ん釋迦自ら釋迦、達磨自ら達磨、我が什麼の碗を干わん。恁麼に説話するも、衲僧の門下勘を推して將來れば、布裙芒靸、免れず他の些些の泥水を撩る

豈況汝等諸人。更道這箇是平實語句。這箇是差別門庭。這箇是關棙巴鼻。這箇是道眼根塵。𮞏相教習。如七家村裡傳口令相似。有甚交涉。無事珍重。

(師接續いて曰く、)豈に況んや汝等の諸人、更に道う這個は是れ平實の語句、這個は是れ差別の門庭、這個は是れ關捩の巴鼻、這個は是れ道眼の根塵と、遞相いに教習し(「𮞏」の字字辵に從う、當に「遞」と讀み作すべし)、七家村の裏口令を傳えるに相似たり、甚の交涉か有らん。事無く珍らかなれ

泉州尊勝有朋講師

泉州尊勝有朋講師

本郡蔣氏子。丱歲試經。中選下髮。多歷教肆。甞疏楞嚴.維摩等經。學者宗之。每疑祖師直指之道。故多與禪衲遊。一日。謁開元。跡未及閫。心忽領悟。元出遂問。座主來作甚麼。師曰。不敢貴耳賤目。元曰。老老大大。何必如是。師曰。自是者不長。元曰。朝看華嚴。夜讀般若則不問。如何是當今一句。師曰。日輪正當午。元曰。閑言語更道來。師曰。平生仗忠信。今日任風波。然雖如是。祇如和尚恁麼道有甚交涉。須要新戒草鞋穿。元曰。這裡且放你過。忽遇達磨問。你作麼生道。師便喝。元曰。這座主。今日見老僧氣沖牛鬥。師曰。再犯不容。元拊掌大笑。

本郡蔣氏の子。丱歲經を試みて、中選して髮を下し、多く教肆を歷る。嘗て《楞嚴》《維摩》等の經を疏し、學者之を宗とす。每に祖師直指の道を疑い、故に多く禅衲と游ぶ。一日、開元を謁うるに、跡未だ閫に及ばざるに、心忽ち領悟す。元出でて、於是問う、座主來りて什麼を作す。師曰く、敢えて耳を貴び目を賤しむに非ず。元曰く、老老大々たり、何必是の如し。師曰く、自ら是とする者長ぜず。元曰く、朝に華嚴を看て夜に般若を讀むは則ち問わず、如何なるか是れ當今の一句。師曰く、日輪正に午に當る。元曰く、閑言語更に道い來れ。師曰く、平生忠信に仗り、今日風波に任す。然りと雖も是の如し、只だ如く和尚恁麼に道うに甚の交涉か有らん、須らく要る新戒草鞋穿けよ。元曰く、這裏且く你を放ちて過らしむ。忽ち達磨に遇い問わば、你作麼生に道わん。師便ち喝す。元曰く、這の座主、今日老僧に見ゆ氣牛斗を冲く。師曰く、再び犯せば容れず。元掌を拊して大笑す

仰山偉禪師法嗣

仰山偉禅師法嗣

潭州龍王山善隨禪師

潭州龍王山善隨禅師

僧問。如何是龍王境。師曰。水晶宮殿。曰。如何是龍王如意寶珠。師曰。頂上髻中。僧禮拜。師曰。莫道不如意好。

僧問う、如何なるか是れ龍王の境。師曰く、水晶の宮殿。曰く、如何なるか是れ龍王の如意寶珠。師曰く、頂の上の髻の中。僧禮拜す。師曰く、道う莫れ如意ならざるを好しと

瑞州黃檗山祗園永泰禪師

瑞州黄檗山祇園永泰禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。鐵鑄就。僧擬議。師曰。會麼。僧禮拜。師曰。何不早如此。

僧問う、如何なるか是れ祖師西來の意。師曰く、鐵鑄就せり。僧擬議す。師曰く、會するか。僧禮拜す。師曰く、何ぞ早く此の如くせざる

廬山慧日明禪師

廬山慧日明禅師

上堂。不用求心。唯須息見。三祖大師。雖然迴避金鉤。殊不知已吞紅線。慧日又且不然。不用求真並息見。倒騎牛兮入佛殿。牧笛一聲天地寬。稽首瞿曇。真箇黃面。

上堂、心を求むるを用いず、唯だ須らく見を息むべし。三祖大師然りと雖も金鉤を回避せども、殊に知らず已に紅線を吞むを。慧日又且く然らず、真を求め見を息むるを用いず、倒騎して牛の上佛殿に入る。牧笛一聲天地寬し、瞿曇に稽首す、真個是れ黃面

福嚴感禪師法嗣

福嚴感禅師法嗣

慶元府育王法達寶鑑禪師

慶元府育王法達寶鑑禅師

饒州餘氏子。僧問。不落階級處請師道。師曰。蠟人向火。曰。畢竟如何。師曰。薄處先穿。

饒州余氏の子(余姓と為す)。僧問う、階級に落ちざる處師の道うを請う。師曰く、蠟人火に向かう。曰く、畢竟如何。師曰く、薄き處先ず穿つ

雲蓋智禪師法嗣

雲蓋智禅師法嗣

安吉州道場法如禪師

安吉州道場法如禅師

衢州徐氏子。參雲蓋。悟汾陽十智同真話。尋常多說十智同真。故叢林號為如十同也。水庵圓極皆依之。圓極甞贊之曰。生鐵麵皮難湊泊。等閑舉步動乾坤。戲拈十智同真話。不負黃龍嫡骨孫。上堂。知見立知。即無明本。知見無見。斯即涅槃。無漏真淨。云何是中。更容他物。釋迦老子和身放倒。後代兒孫如何接續。要會麼。通玄不是人間世。滿目青山何處尋。

衢州徐氏の子。雲蓋に參じて、汾陽十智同真の話を悟る。尋常多く十智同真を説く、故に叢林號けて如十同と為す。水庵、圓極皆な之に依る。圓極嘗て之を贊して曰く、生鐵の面皮湊泊し難く、等閑步を擧げて乾坤を動かす。戲れに十智同真の話を拈じて、黃龍の嫡骨の孫に負かず。上堂、知見知を立つれば、即ち無明の本なり、知見見無ければ、斯れ即ち涅槃なり。漏無き真淨、云何んぞ是の中更に他の物を容れん。釋迦老子身を和して放倒す、後代の兒孫如何に接續せん。會せんと要するか。通玄是れ人間の世に非ず、滿目の青山何の處にか尋ねん

福州寶壽最樂禪師

福州寶壽最樂禅師

古田人也。上堂。諸佛不真實。說法度群生。菩薩有智慧。見性不分明。白雲無心意。灑為世間雨。大地不含情。能長諸草木。若也會得。猶存知解。若也不會。墮在無記。去此二途。如何即是。海闊難藏月。山深分外寒。

古田の人なり。上堂、諸佛真實ならざれば、法を説いて群生を度す。菩薩智慧有れども、性を見て分明ならず。白雲心意無くして、洒ぎて世間の雨と為る。大地情を含まずして、能く諸の草木を長ず。若しも會得すれば、猶ほ知解を存し、若しも會せざれば、無記に墮つ。此の二途を去りて、如何なれば即ち是れ。海闊くして月を藏し難く、山深くして分外に寒し

紹興府石佛慧明解空禪師

紹興府石佛慧明解空禅師

僧問。如何是寶相境。師曰。三生鑿成。曰。如何是境中人。師曰。一佛二菩薩。

僧問う、如何なるか是れ寶相の境。師曰く、三生鑿り成りたり。曰く、如何なるか是れ境中の人。師曰く、一佛二菩薩

玄沙文禪師法嗣

玄沙文禅師法嗣

福州廣慧達杲禪師

福州廣慧達杲禅師

上堂。佛為無心悟。心因有佛迷。佛心清淨處。雲外野猿啼。

上堂、佛為れ心無くして悟り、心佛有るに因りて迷う。佛心淸淨の處、雲の外野猿啼く

建隆慶禪師法嗣

建隆慶禅師法嗣

平江府泗洲用元禪師

平江府泗洲用元禅師

一日問建隆曰。臨濟在黃檗。三回問佛法大意。三回被打。意旨如何。語猶未了。被打一拂子。師頓領宗旨。開堂日。僧問。四眾雲臻。請師說法。師曰。有眼無耳朵。六月火邊坐。曰。一句截流。萬機頓息。師曰。聽事不真。喚鐘作甕。問。朝參暮請。成得甚麼邊事。師曰。祇要你歇去。曰。早知燈是火。飯熟已多時。師曰。你鼻孔因甚麼著拄杖子穿卻。曰。拗曲作直又爭得。師曰。且教出氣。上堂。一二三四五。火裡蝍蟟吞卻虎。六七八九十。水底泥牛波上立。一日一夜雨霖霖。無孔鐵鎚灑不入。灑不入。著底急。百川洶湧須彌岌。八臂那吒撞出來。稽首讚歎道難及。咦。上堂。橫按拄杖。顧視大眾曰。今日平地上吃交。便下座。

一日建隆に問いて曰く、臨濟黄檗に在りて、三回佛法の大意を問い、三回打たるるは、意旨如何。語猶ほ未だ了せざるに、一拂子を打たる。師頓に宗旨を領す。堂を開く日、僧問う、四衆雲の臻る、師の法を説くを請う。師曰く、眼有りて耳朵無く、六月火の邊に坐す。曰く、一句流を截り、萬機頓に息む。師曰く、事を聽るに真ならず、鐘を喚びて瓮と作す。問う、朝に參じ暮に請う、成じて什麼の邊の事ぞ。師曰く、只だ要る你歇して去れ。曰く、早く知る燈は是れ火、飯熟して已に多時。師曰く、你鼻孔什麼に因りて拄杖子に穿たれ却る。曰く、曲を拗じて直と作すに又争い得ん。師曰く、且く氣を出づるを敎えよ。上堂、一二三四五、火の裏の蝍蟟虎を吞卻す。六七八九十、水底の泥牛波の上に立つ。一日一夜雨霖霖、孔無き鐵鎚洒ぎ入らず。洒ぎ入らず、底に著いて急なり。百川洶湧して須弥岌たり。八臂の那咤撞き出で來りて、稽首讚歎して道い難及なりと曰う。咦。上堂、拄杖を橫に按じ、大衆を環顧して曰く、今日平地の上に交を喫す。便ち下座

報本元禪師法嗣

報本元禅師法嗣

平江府承天永安元正傳燈禪師

平江府承天永安元正傳燈禅師

鄆州鄭氏子。上堂。天人群生𩔗。皆承此恩力。大眾。有一人道我不承佛恩力。不居三界。不屬五行。祖師不敢定當。先佛不敢安名。你且道是箇甚麼人。良久曰。倚石巖前燒鐵缽。就松枝上掛銅缾。

鄆州鄭氏の子。上堂、天人の群生類(「𩔗」當に「類」と讀み作すべし)、皆な此の恩力を承く。大衆、一人有道う我佛の恩力を承けず、三界に居らず、五行に屬せず、祖師敢えて當を定めず、先佛敢えて名を安けず。你且く道え是れ個の什麼人ぞ。沈黙許久して曰く、石巖の前に倚りて鐵鉢を燒き、松枝の上に就きて銅瓶を掛く

隆慶閑禪師法嗣

隆慶閑禅師法嗣

潭州安化啟寧聞一禪師

潭州安化啟寧聞一禅師

上堂。拈華微笑虗勞力。立雪齊腰枉用功。爭似老盧無用處。卻傳衣缽振真風。大眾。且道那箇是老盧傳底衣缽。莫是大庾嶺頭提不起底麼。且莫錯認定盤星。以拂子擊禪床。下座。

上堂、花を拈じ微笑して虚しく力を勞し、雪に立ちて腰を齊らして枉げて功を用う。争いか似ん老盧の用いる處無くして、卻って衣鉢を傳えて真風を振るうを。大衆、且く道え哪個か是れ老盧の傳う底の衣鉢。莫れや大庾嶺頭に提起し得ざる底か。且く錯りて盤の星を認定する莫れ。拂子を以て禅床を擊ち、下座

三祖宗禪師法嗣

三祖宗禅師法嗣

寧國府光孝惟爽禪師

寧國府光孝惟爽禅師

上堂。今朝六月旦。一年已過半。奉報參玄人。識取孃生面。孃生面。薦不薦。鷺鷥飛入碧波中。抖擻一團銀繡線。

上堂、今朝六月の旦、一年已に半ばを過ぎたり。奉報す玄を參ずる人、娘生の面を識取せよ。娘生の面、薦するか薦せざるか。鷺鷥碧波の中に飛び入りて、抖擻して一團の銀の繡線

泐潭英禪師法嗣

泐潭英禅師法嗣

南嶽法輪齊添禪師

南岳法輪齊添禅師

僧問。學人上來。乞師指示。師曰。汝適來聞皷聲麼。曰。聞。師曰。還我話頭來。僧禮拜。師曰。令人疑著。上堂。喝一喝曰。師子哮吼。又喝一喝曰。象王嚬呻。又喝一喝曰。狂狗趂塊。又喝一喝曰。鰕跳不出鬥。乃曰。此四喝。有一喝堪與祖佛為師。明眼衲僧試請揀看。若揀不出。大似日中迷路。上堂。良久曰。性靜情逸。乃喝一喝曰。心動神疲。遂顧左右曰。守真志滿。拈拄杖曰。逐物意移。驀召大眾曰。見怪不怪。其怪自壞。靠拄杖。便下座。

僧問う、學人上がり來りて、師の指示を乞う。師曰く、你適來鼓聲を聞きしか。曰く、聞きたり。師曰く、我に話頭を還せ。僧禮拜す。師曰く、人をして疑い著けしむ。上堂、一喝して曰く、師子哮吼す。又一喝して曰く、象王嚬呻す。又一喝して曰く、狂狗塊を趁う。又一喝して曰く、蝦跳びて斗を出でず。於是曰く、此の四喝、一喝有りて堪えて祖佛と師と為るを與す。明眼の衲僧試みに揀んで看るを請う。若し揀び出ださざれば、大いに日の中に路を迷うに似たり。上堂、沈黙許久して曰く、性靜かにして情逸や。於是一喝して曰く、心動きて神疲る。於是左右を環顧して曰く、真を守りて志滿つ。拄杖を拈じて曰く、物を逐いて意移る。蓦っから大衆を召して曰く、怪を見て怪しまざれば、其の怪自ら壞る。拄杖に靠りて、便ち下座

泉州慧明雲禪師

泉州慧明雲禅師

僧問。般若海中。如何為人。師曰。雲開銀漢逈。曰。畢竟如何。師曰。棒頭見血。問。毗婆尸佛早留心。直至如今不得妙。意旨如何。師曰。醜拙不堪當。

僧問う、般若の海の中、如何に人を為す。師曰く、雲開きて銀漢迥なり。曰く、畢竟如何。師曰く、棒頭血を見る。問う、毘婆尸佛早く心を留めて、直に如今に至るまで妙を得ざるは、意旨如何。師曰く、醜拙にして堪えて當らず

保寧璣禪師法嗣

保寧璣禅師法嗣

慶元府育王無竭淨曇禪師

慶元府育王無竭淨曇禅師

嘉禾人也。晚歸錢塘之法慧。一日上堂。本自深山臥白雲。偶然來此寄閑身。莫來問我禪兼道。我是吃飯屙屎人。紹興丙寅夏。辭朝貴歸付院事。四眾擁眎。揮扇久之。書偈曰。這漢從來沒縫罅。五十六年成話覇。今朝死去見閻王。劍樹刀山得人怕。遂打一圓相。曰。嗄。一任諸方。鑽龜打瓦。收足而化。火後設利如霰。門人持骨。歸阿育王山建塔。

嘉禾の人なり。晚く錢塘の法慧に歸す。一日上堂、本より深山白雲に臥し、偶然此に來りて閑身を寄す。來りて我に問う莫れ禅兼道、我是れ飯を喫し糞を屙る人。紹興丙寅の夏、朝貴に辭し、歸りて院事を付す。四衆擁れて視る、扇を揮ること久之しくして、偈を書して曰く、這の漢從來縫罅無く、五十六年話霸を成ず。今朝死して閻王を見て、劍樹刀山人の怕るを得たり。於是一圓相を打ちて曰く、嗄。一任す諸方、龜を鑽き瓦を打たん。足を收めて化す。火の後設利霰の如し。門人骨を持ちて、歸りて阿育王山に塔を建つ

台州真如戒香禪師

台州真如戒香禅師

興化林氏子。上堂。孟冬改旦曉天寒。葉落歸根露遠山。不是見聞生滅法。當頭莫作見聞看。

興化林氏の子。上堂、孟冬旦を改めて曉天寒し、葉落ちて根に歸りて遠山を露わす。是れ見聞生滅の法に非ず、頭に當りて見聞の看と作す莫れ

五祖常禪師法嗣

五祖常禅師法嗣

蘄州南烏崖壽聖楚清禪師

蘄州南烏崖壽聖楚淸禅師

僧問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。靈峰水急。曰。恁麼則不生也。師曰。蒼天。蒼天。

僧問う、亡僧遷化して何の處に向かって去る。師曰く、靈峰水急なり。曰く、恁麼なれば即ち生ぜざるなり。師曰く、蒼天、蒼天

黃龍肅禪師法嗣

黃龍肅禅師法嗣

瑞州百丈維古禪師

瑞州百丈維古禅師

上堂。大眾集定。拈拄杖示眾曰。多虗不如少實。卓一下。便起。

上堂、大衆集まり定まれば、拄杖を拈じて衆に示して曰く、多く虚しくするは少く實に如かず。一下卓して、便ち起つ

嘉定府月珠祖鑑禪師

嘉定府月珠祖鑑禅師

僧請筆師語要。師曰。達磨西來。單傳心印。曹谿六祖。不識一字。今日諸方出世。語句如山。重增繩索。乃拍禪床曰。於斯薦得。猶是鈍根。若也未然。白雲深處從君臥。切忌寒猿中夜啼。

僧師の語要を筆するを請う。師曰く、達磨西に來りて、單に心印を傳う。曹溪の六祖、一字を識らず。今日諸方世に出でて、語句山の如し、重ねて繩索を増す。於是禅床を拍して曰く、斯れに於て薦得するも、猶ほ是れ鈍根。若しも未然ならば、白雲の深き處君に從いて臥さん、切に寒猿中夜に啼くを忌む

石霜琳禪師法嗣

石霜琳禅師法嗣

鼎州德山靜照庵什庵主

鼎州德山靜照庵什庵主

僧問。如何是庵中主。師曰。從來不相許。僧擬議。師曰。會即便會本來底。不得安名著字。僧擬開口。師便打出。師室中常以拂子示眾曰。喚作拂子。依前不是。不喚作拂子。特地不識。汝喚作甚麼。因僧請益。師頌答之曰。我有一柄拂子。用處別無調度。有時掛在松枝。任他頭垂角露。

僧問う、如何なるか是れ庵中の主。師曰く、從來相い許さず。僧擬議す。師曰く、會すれば便ち本來の底を會せよ、名を安け字を著くるを得ず。僧口を開かんと擬すれば、師便ち打ち出だす。師室中常に拂子を以て衆に示して曰く、喚びて拂子と作せば、前に依りて是れならず、喚びて拂子と作さざれば、特に地に識らず。你喚びて什麼と作す。因りて僧益を請えば、師頌して之に答えて曰く、我一柄の拂子有りて、用處別に調度無し。或る時は松枝に掛けて、他の頭垂れ角露わすに任す

華光恭禪師法嗣

華光恭禅師法嗣

郴州萬壽念禪師

郴州萬壽念禅師

僧問。龍華勝會。肇啟茲晨。未審彌勒世尊現居何處。師曰。豬肉案頭。曰。既是彌勒世尊。為甚麼卻在豬肉案頭。師曰。不是弄潮人。休入洪波裡。曰。畢竟事又且如何。師曰。番人不繫腰。歲旦。上堂。往復無際。動靜一源。含有德以還空。越無私而逈出。昔日日。今日日。照無兩明。昔日風。今日風。鼓無兩動。昔日雨。今日雨。澤無兩潤。於其中間覓去來相而不可得。何故。自他心起。起處無蹤。自我心忘。忘無滅跡。大眾。若向這裡會去。與天地而同根。共萬物為一體。若也未明。山僧為你重重頌出。元正一。古佛家風從此出。不勞向上用工夫。歷劫何曾異今日。元正二。寂寥冷淡無滋味。趙州相喚吃茶來。剔起眉毛須瞥地。元正三。上來稽首各和南。若問香山山裡事。靈源一派碧如藍。遂喝一喝。下座。

僧問う、「龍華の勝會、此の晨に肇め啓く、未だ審かに彌勒世尊現に何の處に居る」。老師曰く、「猪肉の案頭」。曰く、「既に是れ彌勒世尊、什麼を以てか卻って猪肉の案頭に在る」。老師曰く、「是れ潮を弄ぶ人に非ずれば、洪波の裏に入る休め」。曰く、「畢竟の事又且く如何」。老師曰く、「番人腰を繫げず、歲旦」。上堂、「往復際無く、動靜一源、德を含みて以て空に還り、私無きを越えて迥く出づ、昔日の日、今日の日、照らして兩の明無し、昔日の風、今日の風、鼓して兩の動無し」。昔日の雨。今日の雨。澤に兩の潤無し。其の中間に於て去來の相を覓むれども得る可からず。何の故ぞ。他の心より起きれば、起く處蹤無し。我が心より忘るれば、忘に滅迹無し。大衆、若し這裏に向かって會して去らば、天地と與に根を同じくし、萬物と共に體を一とせん。若し也未だ明らかならざれば、山僧你の為に重ねて頌して出ださん。元正一。古佛の家風此より出づ。勞せず向上に工夫を用いよ。歷劫何ぞ曾て今日に異ならん。元正二。寂寥冷淡滋味無し。趙州相い喚びて茶を喫しに來る。眉毛を剔起して須らく瞥地すべし。元正三。上がり來りて稽首して各々和南す。若し香山山裏の事を問わば、靈源一派碧藍の如し。遂に一喝して、下座

上藍順禪師法嗣

上藍順禅師法嗣

參政蘇轍居士

參政蘇轍居士

字子由。元豐三年以睢陽從事。左遷瑞州搉筦之任。是時。洪州上藍順禪師與其父文安先生有契。因往訪焉。相得歡甚。公諮以心法。順示搐鼻因緣。已而有省。作偈呈曰。中年聞道覺前非。邂逅相逢老順師。搐鼻徑參真面目。掉頭不受別鉗鎚。枯藤破衲公何事。白酒青鹽我是誰。慚愧東軒殘月上。一杯甘露滑如飴。

字は子由。元豐三年睢陽の從事を以て。瑞州の搉筦の任に左遷す。是の時。洪州上藍順禅師其の父文安先生と契有り。因りて往きて之を訪う。相い得て歡び甚だし。公心法を以て咨す。順搐鼻の因緣を示す。已にして省る所有り。偈を作りて呈して曰く、「中年道を聞きて前非を覺ゆ、邂逅相逢う老順師、鼻を搐りて徑に真面目を參じ、頭を掉して別の鉗鎚を受けず、枯藤破衲公何事、白酒靑鹽我是れ誰、慚愧す東軒の殘月の上、一杯の甘露滑らかにして飴の如し」

南嶽下十四世

南岳の下十四世

黃龍新禪師法嗣

黃龍新禅師法嗣

吉州禾山超宗慧方禪師

吉州禾山超宗慧方禅師

上堂舉拂子曰。看。看。祇這箇。在臨濟.則照用齊行。在雲門則理事俱備。在曹洞則偏正葉通。在溈山則暗機圓合。在法眼則何止唯心。然五家宗派。門庭施設則不無。直饒辯得倜儻分明去。猶是光影邊事。若要抵敵生死。則霄壤有隔。且超越生死一句作麼生道。良久曰。洎合錯下注腳。

上堂拂子を擧げて曰く、「看よ、看よ、只だ這個、臨濟に在りては則ち照用齊しく行い、雲門に在りては則ち理事俱に備わり、曹洞に在りては則ち偏正葉通し、潙山に在りては則ち暗機圓合し、法眼に在りては則ち何ぞ止まらん唯心、然るに五家の宗派、門庭の施設は則ち無からず」。直饒辨え得て倜儻分明に去るとも。猶ほ是れ光影の邊の事。若し生死に抵敵せんと要せば。則ち霄壤隔り有り。且く生死を超越する一句作麼生に道わん。良久して曰く、「洎んで錯りて注脚を下すに合す」

臨安府崇覺空禪師

臨安府崇覺空禅師

姑孰人也。上堂。十方無壁落。四面亦無門。淨躶躶。赤灑灑。沒可把。遂舉拂子曰。灌溪老漢向十字街頭。逞風流。賣惺惺。道我解穿真珠。解玉版。濄亂絲。捲筒絹。婬坊酒肆。瓦合輿臺。虎穴魔宮。那吒忿怒。遇文王興禮樂。逢桀紂逞干戈。今日被崇覺覷見。一場懡㦬。師頌野狐話曰。含血噀人。先汙其口。百丈野狐。失頭狂走。驀地喚回。打箇筋斗。

姑孰の人なり。上堂、「十方壁落無く、四面亦た門無し、淨躶躶、赤洒洒、把る可き無し」。遂に拂子を擧げて曰く、「灌溪の老漢十字街頭に向かって、風流を逞しゅうし、惺惺を賣り、道う我眞珠を穿つを解し、玉版を解し、亂絲を㳡り、筒絹を卷り、婬坊酒肆、瓦合輿台、虎穴魔宮」。那咤忿怒し。文王に遇いて禮樂を興し。桀紂に逢いて干戈を逞す。今日崇覺に覗見せられて、一場懡㦬。老師野狐の話を頌して曰く、「血を含みて人に噀けば、先ず其の口を汚す、百丈の野狐、頭を失いて狂走す、蓦地に喚び回して、筋斗を打つ」

潭州上封祖秀禪師

潭州上封祖秀禅師

常德府何氏子。上堂。枯木巖前夜放華。鐵牛依舊臥煙沙。儂家鞭影重拈出。擊拂子曰。一念迴心便到家。遂喝一喝。下座。

常德府何氏の子。上堂、「枯木の巖前夜華を放ち、鐵牛依舊として烟沙に臥す、儂家の鞭影重ねて拈出す」。拂子を擊ちて曰く、「一念心を回せば便ち家に到る」。遂に一喝して。下座

嘉定府九頂寂惺惠泉禪師

嘉定府九頂寂惺惠泉禅師

僧問。心迷法華轉。心悟轉法華。未審意旨如何。師曰。風暖鳥聲碎。日高華影重。上堂。昔日雲門有三句。謂函蓋乾坤句。截斷眾流句。隨波逐浪句。九頂今日亦有三句。所謂饑來吃飯句。寒即向火句。困來打睡句。若以佛法而論。則九頂望雲門。直立下風。若以世諦而論。則雲門望九頂。直立下風。二語相違。且如何是九頂為人處。

僧問う、「心迷えば法華轉じ、心悟れば法華を轉ず、未だ審かに意旨如何」。老師曰く、「風暖かにして鳥聲碎け、日高くして華影重し」。上堂、「昔日雲門三句有り、謂う函蓋乾坤の句、衆流を截斷するの句、波に隨い浪を逐うの句、九頂今日亦た三句有り、所謂饑え來りて飯を喫するの句、寒ければ即ち火に向かうの句、困れ來れば睡を打つの句、若し佛法を以て論ぜば、則ち九頂雲門を望む。直立して下風。若し世諦を以て論ぜば。則ち雲門九頂を望む。直立して下風。二語相い違う。且く如何なるか是れ九頂人を為すの處

嘉興府華亭性空妙普庵主

嘉興府華亭性空妙普庵主

漢州人。久依死心獲證。乃抵秀水。追船子遺風。結茅青龍之野。吹鐵笛以自娛。多賦詠。得之者必珍藏。其山居曰。心法雙忘猶隔妄。色塵不二尚餘塵。百鳥不來春又過。不知誰是住庵人。又警眾曰。學道猶如守禁城。晝防六賊夜惺惺。中軍主將能行令。不動干戈治太平。又曰。不耕而食不蠶衣。物外清閑適聖時。未透祖師關棙子。也須存意著便宜。又曰。十二時中莫住工。窮來窮去到無窮。直須洞徹無窮底。踏倒須彌第一峰。建炎初。徐明叛。道經烏鎮。肆殺戮。民多逃亡。師獨荷䇿而往。賊見其偉異。疑必詭伏者。問其來。師曰。吾禪者。欲抵密印寺。賊怒。欲斬之。師曰。大丈夫要頭便斫取。奚以怒為。吾死必矣。願得一飯以為送終。賊奉肉食。師如常齋出生畢。乃曰。孰當為我文之以祭。賊笑而不答。師索筆大書曰。嗚呼。惟靈勞我以生。則大塊之過。沒我以壽。則陰陽之失。乏我以貧。則五行不正。困我以命。則時日不吉。籲哉。至哉。賴有出塵之道。悟我之性。與其妙心。則其妙心。孰與為隣。上同諸佛之真化。下合凡夫之無明。纖塵不動。本自圓成。妙矣哉。妙矣哉。日月未足以為明。乾坤未足以為大。磊磊落落。無罣無礙。六十餘年。和光混俗。四十二臘。逍遙自在。逢人則喜。見佛不拜。笑矣乎。笑矣乎。可惜少年郎。風流太光彩。坦然歸去付春風。體似虗空終不壞。尚饗。遂舉箸飫䬸。賊徒大笑。食罷。復曰。劫數既遭離亂。我是快活烈漢。如今正好乘時。便請一刀兩段。乃大呼。斬。斬。賊方駭異。稽首謝過令衛而出。烏鎮之廬舍免焚。實師之惠也。道俗聞之愈敬。有僧睹師見佛不拜歌。逆問曰。既見佛。為甚麼不拜。師掌之。曰。會麼。雲。不會。師又掌曰。家無二主。紹興庚申冬。造大盆。穴而塞之。修書寄雪竇持禪師曰。吾將水葬矣。壬戌歲。持至。見其尚存。

漢州の人。久しく死心に依りて證を獲たり。乃ち秀水に抵りて。船子の遺風を追う。靑龍の野に茅を結び。鐵笛を吹きて以て自ら娛しむ。多く賦詠す。之を得る者は必ず珍藏す。其の山居に曰く、「心法雙く忘れて猶ほ妄を隔て、色塵不二にして尚ほ塵を餘す、百の鳥來らずして春又過ぐ、知らず誰か是れ庵に住む人」。又衆を警めて曰く、「道を學ぶは猶ほ禁城を守るが如し、晝は六賊を防ぎ夜は惺惺たり、中軍の主將能く令を行えば、干戈を動かさずして太平を治む」。又曰く、「耕さずして食い蠶せずして衣う、物外の淸閑聖時に適う、未だ祖師の關棙子を透らざれば、亦た須らく意を存して便宜を著くべし」。又曰く、「十二時中工に住する莫れ、窮め來り窮め去りて無窮に到れ、直に須らく無窮の底を洞徹し、須彌第一の峰を踏倒すべし」。建炎初め、徐明叛き、道烏鎮を經て、殺戮を肆にし、民多く逃亡す、老師獨り䇿を荷うて往く。賊其の偉異を見て。疑う必ず詭伏の者と。其の來るを問う。老師曰く、「吾禅者なり、密印寺に抵らんと欲す」。賊怒りて、之を斬らんと欲す。老師曰く、「大丈夫頭を要すれば便ち斫り取れ、奚を以て怒りを為さん。吾死すること必なり、願わくは一の飯を得て以て終を送らん」。賊肉食を奉る、老師常の齋の如く、出生し畢る。乃ち曰く、「孰か當に我の為に文して以て祭るべき」。賊笑いて答えず。老師筆を索めて大書して曰く、「嗚呼、惟れ靈我を勞すること生を以てせば、則ち大塊の過、我を沒すること壽を以てせば、則ち陰陽の失、我を乏しむること貧を以てせば、則ち五行正しからず、我を困ましむること命を以てせば、則ち時日吉ならず、吁なり」。至れり。塵を出づるの道有るを賴む。我が性を悟る。其の妙心と與すれば。則ち其の妙心。孰か與に隣を為さん。上は諸佛の真化に同じく。下は凡夫の無明に合す。纖塵動かず。本より自ら圓成す。妙なり哉。妙なり哉。日月未だ明と為すに足らず。乾坤未だ大と為すに足らず。磊磊落落。罣る無く礙る無し。六十餘年。光和して俗に混ず。四十二腊。逍遙自在。人に逢えば則ち喜び。佛を見て拜せず。笑える哉。笑える哉。惜しむ可し少年の郎。風流太だ光彩なり。坦然として歸り去りて春風に付す。體虚空に似て終に壞れず。尚饗。遂に箸を擧げて饫䬸す。賊徒大笑す。食罷みて。復た曰く、「劫數既に離亂に遭えり、我是れ快活の烈漢。如今正好時に乘ず、便ち一刀兩段を請う」。乃ち大呼して曰く、「斬れ!斬れ!」賊方に駭異し、稽首して過を謝し、衛して出でしむ。烏鎮の廬舍焚を免る。實に師の惠なり。道俗之を聞きて愈々敬う。僧有りて老師の佛を見て拜せざるの歌を睹て。逆らに問いて曰く、「既に佛を見たり、什麼を以て拜せざる」。老師之を掌して曰く、「會するか」。僧曰く、「會せず」。老師又掌して曰く、「家に二の主無し」。紹興庚申の冬、大盆を造り、穴けて之を塞ぎ、書を修めて雪竇持禅師に寄せて曰く、「吾將に水葬せんとす」。壬戌の歲、持至りて、其の尚ほ存するを見る

作偈嘲之曰。咄哉老性空。剛要餧魚鼈。去不索性去。祇管向人說。師閱偈。笑曰。待兄來證明耳。令徧告四眾。眾集。師為說法要。仍說偈曰。坐脫立亡。不若水葬。一省柴燒。二省開壙。撒手便行。不妨快暢。誰是知音。船子和尚。高風難繼百千年。一曲漁歌少人唱。遂盤坐盆中。順潮而下。眾皆隨至海濵。望欲斷目。師取塞。戽水而回。眾擁觀水無所入。復乘流而往。唱曰。船子當年返故鄉。沒蹤跡處妙難量。真風徧寄知音者。鐵笛橫吹作散場。其笛聲嗚咽。頃於蒼茫間。見以笛擲空而沒。眾號慕。圖像事之。後三日。於沙上趺坐如生。道俗爭往迎歸。留五日。闍維。設利大如菽者莫計。二鶴徘徊空中。火盡始去。眾奉設利靈骨。建塔於青龍。

偈を作りて之を嘲って曰く、「咄哉老性空、剛く魚鼈を餧わんと要す、去らば索性に去れ、只管人に向かって説くを」。老師偈を閱して、笑い曰く、「兄の來りて證明するを待つのみ」。遍く四衆に告げしむ。衆集まれば、老師為に法要を説き、仍ほ偈を説いて曰く、「坐脱立亡も、水葬に如かず。一に柴燒を省き、二に圹を開くを省く。手を撒いて便ち行けば、妨げず快暢なり。誰か是れ知音、船子和尚。高風繼ぎ難し百千年、一曲の漁歌唱う人少なし」。遂に盆の中に盤坐し、潮に順いて下る。衆皆な隨いて海濱に至りて、望んで目を斷たんと欲す。老師塞を取りて、水を戽りて回る。衆擁れて觀るに、水入る所無し。復た流に乘りて往きて、唱えて曰く、「船子當年故鄉に返る、蹤跡を沒する處妙量り難し。真風遍く知音の者に寄す、鐵笛橫に吹きて散場と作す」。其の笛聲嗚咽として、頃く蒼茫の間に於て、笛を以て空に擲て沒するを見る。衆號慕し、像を圖して之に事う。後三日、沙の上に於て趺坐して生けるが如し。道俗争いて往きて迎え歸り、五日留む。闍維して、設利菽の如く大なる者計る莫し。二の鶴空中に徘徊し、火盡きて始めて去る。衆設利靈骨を奉りて、靑龍に塔を建つ

嚴州鍾山道隆首座

嚴州鐘山道隆首座

桐廬董氏子。於鍾山寺得度。自遊方所至。耆衲皆推重。晚抵黃龍。死心延為座元。心順世。遂歸隱鍾山。慕陳尊宿高世之風。掩關不事事。日鬻數籰自適。人無識者。手常穿一襪。凡有禪者至。提以示之曰。老僧這襪。著三十年了也。有寺僧戲問。如何是無諍三昧。師便掌。

桐廬董氏の子。鐘山寺に於て度を得たり。自ら方に游び至る所。耆衲皆な推重す。晚く黃龍に抵る。死心延きて座元と為す。心世に順えば、遂に歸りて鐘山に隱る。陳尊宿の世を高うるの風を慕い。關を掩いて事とせず。日に數籰を鬻ぎて自ら適う。人識る者無し。手常に一の襪を穿つ。凡そ禅者至れば有り。提げて以て之に示して曰く、「老僧這の襪、著ること三十年了れり」。寺僧の戲れに問う有り、「如何なるか是れ無諍の三昧」。老師便ち掌す

楊州齊謐首座

楊州齊謐首座

本郡人也。死心稱為飽參。諸儒屢以名山致之。不可。後示化於潭之谷山。異跡頗眾。門人甞繪其像。請贊。為書曰。箇漢灰頭土面。尋常不欲露現。而今寫出人前。大似虗空著箭。怨怨。可惜人間三尺絹。

本郡の人なり。死心飽參と稱す。諸の儒屢々名山を以て之を致せども。可ならず。後に潭の谷山に於て化を示す。異迹頗る衆し。門人嘗て其の像を繪して。贊を請う。為に書して曰く、「個の漢灰頭土面、尋常露現せんを欲せず、而今寫出して人の前に、大いに虚空に箭を著くるに似たり、怨怨、惜しむ可し人間の三尺の絹」

空室道人智通者

空室道人智通なる者

龍圖範珣女也。幼聰慧。長歸丞相蘇頌之孫悌。未幾厭世相。還家求祝髮。父難之。遂清修。因看法界觀。頓有省。連作二偈見意。一曰。浩浩塵中體一如。縱橫交互印毗盧。全波是水波非水。全水成波水自殊。次曰。物我元無異。森羅鏡像同。明明超主伴。了了徹真空。一體含多法。交參帝網中。重重無盡處。動靜悉圓通。後父母俱亡。兄涓領分寧尉。通偕行。聞死心名重。往謁之。心見知其所得。便問。常啼菩薩賣卻心肝。教誰學般若。通曰。你若無心我也休。又問。一雨所滋。根苗有異。無陰陽地上生箇甚麼。通曰。一華五葉。復問。十二時中向甚麼處安身立命。通曰。和尚惜取眉毛好。心打曰。這婦女亂作次第。通禮拜。心然之。於是道聲籍甚。政和間居金陵。甞設浴於保寧。揭榜於門曰。一物也無。洗箇甚麼。纖塵若有。起自何來。道取一句子玄。乃可大家入浴。古靈祇解揩背。開士何曾明心。欲證離垢地時。須是通身汗出。盡道水能洗垢。焉知水亦是塵。直饒水垢頓除。到此亦須洗卻。後為尼。名惟久。掛錫姑蘇之西竺。緇白日夕師問。得其道者頗眾。俄示疾書偈。趺坐而終。有明心錄行於世。

龍圖范珣の女なり。幼にして聰慧。長じて丞相蘇頌の孫悌に歸す。未幾世相を厭い。家に還りて髮を祝ぐを求む。父之を難しとす。遂に淸修す。因りて法界觀を看て。頓に省る所有り。連ねて二偈を作りて意を見す。一に曰く、「浩浩たる塵中體一如、縱橫交互して毘盧を印す、全波是れ水なれど波水に非ず、全水波を成せども水自ら殊なり」。次に曰く、「物我元より異無く、森羅鏡像同じ、明々として主伴を超え、了了として真空を徹す、一體多法を含み、交參して帝網の中、重重無盡の處、動靜悉く圓通」。後に父母俱に亡び、兄涓分寧の尉を領す。通偕に行く。死心名重きを聞きて。往きて之を謁う。心見て其の得る所を知り。便ち問う、「常啼菩薩心肝を賣却して、誰を敎えて般若を學ばしむ」。通曰く、「你若し心無くば我も亦た休まん」。又問う、「一雨の滋す所、根苗異有り、陰陽無き地上個の什麼を生ず」。通曰く、「一華五葉」。復た問う、「十二時中何の處に向かって身を安め命を立つ」。通曰く、「和尚眉毛を惜取して好し」。心打ちて曰く、「這の婦女亂りに次第を作す」。通禮拜し、心之を然とす。於是道の聲籍甚たり。政和の間金陵に居り、嘗て保寧に於て浴を設く。榜を門に揭げて曰く、「一物も無し、個の什麼を洗う、纖塵若し有れば、自ら何より來る、道取せよ一句子玄、乃ち大家浴に入る可し、古靈只だ背を揩るを解し、開士何ぞ曾て心を明らめん、離垢の地を證せんと欲する時は、須らく是れ通身汗出すべし」。盡く道う水能く垢を洗うと。焉んぞ知らん水も亦た是れ塵なるを。直饒水垢頓に除くとも。此に到りて亦た須らく洗却すべし。後に尼と為る。名は惟久。姑蘇の西竺に錫を掛く。緇白日夕老師に問う。其の道を得る者頗る衆し。俄に疾を示して偈を書し、趺坐して終る。《明心錄》有りて世に行わる

黃龍清禪師法嗣

黃龍淸禅師法嗣

潭州上封佛心才禪師

潭州上封佛心才禅師

福州姚氏子。幼得度受具。遊方至大中。依海印隆禪師。見老宿達道者看經。至一毛頭師子。百億毛頭一時現。師指問曰。一毛頭師子作麼生得百億毛頭一時現。達曰。汝乍入叢林。豈可便理會許事。師因疑之。遂發心領淨頭職。一夕汛掃次。印適夜參。至則遇結座。擲拄杖曰。了即毛端吞巨海。始知大地一微塵。師豁然有省。及出閩。造豫章黃龍山。與死心機不契。乃參靈源。凡入室。出必揮淚。自訟曰。此事我見得甚分明。祇是臨機吐不出。若為柰何。靈源知師勤篤。告以須是大徹。方得自在也。未幾。竊觀鄰案僧讀曹洞廣錄。至藥山採薪歸。有僧問。甚麼處來。山曰。討柴來。僧指腰下刀曰。鳴剝剝。是箇甚麼。山㧞刀作斫勢。師忽欣然。摑鄰案僧一掌。揭簾趨出。沖口說偈曰。徹。徹。大海乾枯。虗空迸裂。四方八面絕遮攔。萬象森羅齊漏洩。後分座於真乘。應上封之命。屢遷名剎。住乾元日。開堂示眾曰。百千三昧門。無量福德藏。放行也。如開武庫。錯落交輝。把住也。似雪覆蘆華。通身莫辨。使見之者撩起便行。聞之者單刀直入。箇箇具頂門正眼。人人懸肘後靈符。掃佛祖見知。作叢林殃害。憶得寶壽開堂日。三聖推出一僧。寶壽便打。三聖雲。與麼為人。瞎卻鎮州一城人眼去在。且如乾元今日開堂。或有僧出來。山僧亦打。不唯此話大行。且要開卻福州一城人眼去。何也。劒為不平離寶匣。藥因救病出金缾。上堂。達磨未來東土已前。人人懷媚水之珠。箇箇抱荊山之璞。可謂壁立千仞。及乎二祖禮卻三拜之後。一一南詢諸友。北禮文殊。好不丈夫。或有一箇半箇。不求諸聖。不重己靈。匹馬單鎗。投虗置刃。不妨慶快平生。如今有麼。自是不歸歸便得。五湖煙景有誰爭。上堂。宗乘提唱。妙絕名言。一句該通。乾坤函蓋。直似首羅正眼。竪亞面門。又如圓[○/(○*○)]三點。

福州姚氏の子。幼にして度を得て具を受く。方に游びて大中に至る。海印隆禅師に依る。老宿達道者の經を看るを見る。一毛頭の師子に至る。百億の毛頭一時に現ず。老師指して問いて曰く、「一毛頭の師子作麼生に百億の毛頭一時に現ずるを得る」。達曰く、「汝乍に叢林に入る、豈に可ならん便ち許の事を理會せん」。老師因りて之を疑う。遂に心を發して淨頭の職を領す。一夕汛掃の次。印適づま夜參す。至れば則ち結座に遇う。拄杖を擲て曰く、「了れば則ち毛端巨海を吞み、始めて知る大地是れ一の微塵」。老師豁然として省る所有り、及び閩を出でて、豫章の黃龍山を造りて、死心と機契わず、乃ち靈源に參じ、凡そ室に入れば、出でて必ず涙を揮う。自ら訟して曰く、「此の事我見る所甚だ分明なり、只だ是れ機に臨みて吐き出ださず、若し為ん奈何せん、靈源師の勤篤なるを知り、以て須らく是れ大徹して、方に自在を得るを告ぐ、未幾、竊かに鄰案の僧曹洞の廣錄を讀むを觀て、藥山薪を采りて歸るに至る」。僧の問う有り、「什麼の處より來る」。山曰く、「柴を討りて來る」。僧腰の下の刀を指して曰く、「鳴剥剥、是れ個の什麼ぞ、山刀を㧞きて斫るの勢を作す」。老師忽ち欣然たり。鄰案の僧を掴みて一掌す。簾を揭げて趨り出づ。口を冲きて偈を説いて曰く、「徹、徹、大海枯乾し、虚空迸裂し、四方八面遮攔を絶ち、萬象森羅齊しく漏泄す」。後に真乘に於て座を分かち、上封の命に應え、屢々名刹に遷り、乾元を住する日。堂を開きて衆に示して曰く、「百千の三昧門、無量の福德藏、放行するや、武庫を開くが如く、錯落として交輝し、把住するや、雪の蘆華を覆うに似て、通身辨うる莫し、見る者をして撩起して便ち行かしめ、聞く者をして單刀直入せしむ」。個個頂門の正眼を具え。人人肘の後の靈符を懸く。佛祖の見知を掃い。叢林の殃害と作す。憶い得たり寶壽の堂を開く日。三聖一僧を推出す。寶壽便ち打つ。三聖云う。恁麼に人を為す。鎮州一城の人の眼を瞎却して去らんと在り。且く如く乾元今日堂を開く。或いは僧出で來らば。山僧亦た打たん。唯だ此の話大いに行わるるのみならず。且く要る福州一城の人の眼を開却して去らん。何ぞ。劍不平の為に寶匣を離れ。藥病を救うに因りて金缾を出づ。上堂、「達磨未だ東土に來らざる已前、人人媚水の珠を懷き、個個荆山の璞を抱く、謂うべし壁立千仞、及んで二祖禮して三拜を却けて之後、一一南に諸友を詢え、北に文殊を禮す、好かずや丈夫、或いは一個半個有りて、諸聖を求めず」。己が靈を重んぜず。匹馬單鎗。虚に投じ刃を置く。妨げず慶快して平生す。如今有るか。自ら是れ歸らず歸れば便ち得たり。五湖の烟景争う者誰か有らん。上堂、「宗乘の提唱、妙名言を絶し、一句該通して、乾坤函蓋す、直に首羅の正眼に似て、面門に竪亜し、又圓の如し[○/(○*○)]三點」

橫該法界。乃卓拄杖曰。向這一點下明得。出身猶可易。脫體道應難。又卓拄杖曰。向第二點下明得。縱橫三界外。隱顯十方身。又卓拄杖曰。向第三點下明得。魚龍鎻戶。佛祖潛蹤。不然。放過一著。隨分有春色。一枝三四華。上堂。一法有形該動植。百川湍激競朝宗。昭琴不鼓雲天淡。想像毗耶老病翁。維摩病則上封病。上封病則拄杖子病。拄杖子病。則森羅萬象病。森羅萬象病。則凡之與聖病。諸人還覺病本起處麼。若也覺去。情與無情同一體。處處皆同真法界。其或未然。甜瓜徹蔕甜。苦瓠連根苦。

法界を橫該す。乃ち拄杖を卓して曰く、「這の一點の下に向かって明得すれば、身を出だす猶ほ易し、體を脱し道う應に難し」。又拄杖を卓して曰く、「第二點の下に向かって明得すれば、縱橫三界の外、隱顯十方の身」。又拄杖を卓して曰く、「第三點の下に向かって明得すれば、魚龍戶を鎻し、佛祖蹤を潜む、然らざれば、一著を放過して、分に隨いて春色有り、一枝三四の華」。上堂、「一法形有りて動植を該し、百川湍激して朝宗を競う、昭琴鼓せずして雲天淡く、想像す毘耶の老病翁、維摩病めば則ち上封病み、上封病めば則ち拄杖子病み、拄杖子病めば、則ち森羅萬象病み、森羅萬象病めば、則ち凡と聖と與に病む」。諸人還た覺えるか病本の起く處を。若しも覺えて去らば。情と無情と同じ一體。處處皆な真法界に同じ。其れ或いは未然ならば。甜瓜蔕を徹して甜く。苦瓠根に連ねて苦し

隆興府黃龍德逢通照禪師

隆興府黃龍德逢通照禅師

郡之靖安胡氏子。生有龐眉。年十七。從上藍晉禪師落髮。往依靈源。即明深旨。上堂。舉夾山境話。師曰。法眼徒有此語。殊不知夾山老漢被這僧輕輕拶著。直得腳前腳後。設使不作境話會。未免猶在半途。

郡の靖安胡氏の子。生れて龐眉有り。年十七。上藍晉禅師に從いて髮を落とす。往きて靈源に依る。即ち深旨を明らむ。上堂、「夾山の境の話を擧ぐ」。老師曰く、「法眼徒らに此の語有り、殊に知らず夾山の老漢這の僧に輕々と拶せられて、直に脚前脚後を得たるを、設使境の話を會と作さずとも、未免猶ほ半途に在らん」

潭州法輪應端禪師

潭州法輪應端禅師

南昌徐氏子。少依化度善月。圓顱登具。謁真淨文禪師。機不諧。至雲居。會靈源分座。為眾激昂。師扣其旨。然以妙入諸經自負。源甞痛劄之。師乃援馬祖百丈機語。及華嚴宗旨為表。源笑曰。馬祖百丈固錯矣。而華嚴宗旨與箇事喜沒交涉。師憤然欲他往。因請辭。及揭簾。忽大悟。汗流浹背。源見乃曰。是子識好惡矣。馬祖.百丈.文殊.普賢幾被汝帶累。由此譽望四馳。名士夫爭挽應世。皆不就。政和末。太師張公司成以百丈堅命開法。師不得已。始從。上堂。舉大隋劫火洞然話。遂曰。六合傾飜劈面來。暫披麻縷混塵埃。因風吹火渾閑事。引得遊人不肯回。壞不壞。隨不隨。徒將聞見強針錐。太湖三萬六千頃。月在波心說向誰。僧問。如何是賓中賓。師曰。芒鞋竹杖走紅塵。曰。如何是賓中主。師曰。十字街頭逢上祖。曰。如何是主中賓。師曰。御馬金鞭混四民。曰。如何是主中主。師曰。金門誰敢擡眸覷。曰。賓主已蒙師指示。向上宗乘又若何。師曰。昨夜霜風刮地寒。老猿嶺上啼殘月。

南昌徐氏の子。少にして化度善月に依る。圓顱具に登る。真淨文禅師を謁う。機諧らず。雲居に至る。會す靈源座を分かつ。衆の為に激昂す。老師其の旨を扣く。然れども妙を以て諸經に入るを自負す。源嘗て痛く之を札す。老師乃ち馬祖百丈の機語を援け。及び華嚴の宗旨を以て表と為す。源笑い曰く、「馬祖百丈固より錯れり、而れ華嚴の宗旨個の事と喜ばず交涉無し」。老師憤然として他に往かんと欲し、因りて辭を請い、及び簾を揭げて、忽ち大悟、汗流れて背を浹す。源見て乃ち曰く、「是の子好惡を識り矣、馬祖.百丈.文殊.普賢幾ほどに汝に帶累せられん、此に由りて譽望四に馳せ、名士夫争いて世に應ぜんを挽ぐも、皆な就かず」。政和の末、太師張公司成百丈を以て堅く法を開くを命ず、老師已むを得ず、始めて從う。上堂、「大隋の劫火洞然の話を擧ぐ」。遂に曰く、「六合傾飜して面を劈いて來り、暫く麻縷を披きて塵埃に混ず、風に因りて火を吹くは渾て閑の事、引きて游人肯じて回らず、壞るか壞れざるか、隨うか隨わざるか、徒らに聞見を將て強いて針錐す、太湖三萬六千頃、月波の心に在りて誰に向かって説かん」。僧問う、「如何なるか是れ賓中の賓」。老師曰く、「芒鞋竹杖紅塵を走る」。曰く、「如何なるか是れ賓中の主」。老師曰く、「十字街頭上祖に逢う」。曰く、「如何なるか是れ主中の賓」。老師曰く、「御馬金鞭四民に混ず」。曰く、「如何なるか是れ主中の主」。老師曰く、「金門誰か敢えて眸を擡げて覗わん」。曰く、「賓主已に老師の指示を蒙る、向上の宗乘又若何」。老師曰く、「昨夜霜風地を刮りて寒し、老猿嶺の上殘月に啼く」

東京天寧長靈守卓禪師

東京天寧長靈守卓禅師

泉州莊氏子。上堂曰。三千劍客。獨許莊周。為甚麼跳不出。良醫之門多病人。因甚麼不消一劄。已透關者。更請辯看。上堂。譬如眼根。不自見眼。性自平等。無平等者。便恁麼去。無孔鐵鎚。聊且安置。直得入林不動草。入水不動波。也是一期方便。若也籬內竹抽籬外筍。㵎東華發㵎西紅。更待勘過了。打。僧問。丹霞燒木佛。院主為甚麼眉鬚墮落。師曰。貓兒會上樹。曰。早知如是。終不如是。師曰。惜取眉毛。問。如何是衲衣下事。師曰。天旱為民愁。問。佛未出世時如何。師曰。絕毫絕𨤲。曰出世後如何。師曰。填溝塞壑。曰。出與未出。相去幾何。師曰。人平不語。水平不流。上堂。平高就下。勾賊破家。截鐵斬釘。狐狸戀窟。總不恁麼。合作麼生。所以道。萬仞崖頭親撒手。須是其人。祇如香積國中持缽一句。作麼生道。良久曰。切忌風吹別調中。上堂。釋迦掩室。過犯彌天。毗耶杜詞。自救不了。如何如何。口門太小。宣和五年十二月二十七日。奄然示寂。闍維日。皇帝遣中使賜香。持金盤求設利。爇香罷。盤中鏗然。視之五色者數顆。大如豆。使者持還。上見大悅。

泉州莊氏の子。上堂曰く、「三千の劍客、獨り莊周を許す、什麼を以てか跳び出づる能わず、良醫の門病人多し、因りて什麼を以てか一札を消せざる、已に關を透る者、更に辨えて看るを請う」。上堂、「譬えば眼根、自ら眼を見ず、性自ら平等にして、平等なる者無し、便ち恁麼に去れば、孔無き鐵鎚、聊か且く安置す、直に林に入りて草を動かさず、水に入りて波を動かさざるを得るも、亦た是れ一期の方便」。若しも籬の内の竹籬の外の筍を抽ぜば。㵎の東華發き㵎の西紅なり。更に勘過を待ちて。打つ。僧問う、「丹霞木佛を燒く、院主什麼を以てか眉鬚墮落せし」。老師曰く、「猫兒會して樹に上る」。曰く、「早く知らば是の如く、終に是の如くならず」。老師曰く、「眉毛を惜取せよ」。問う、「如何なるか是れ衲衣の下の事」。老師曰く、「天旱みて民の為に愁う」。問う、「佛未だ世に出ざる時如何」。老師曰く、「毫を絶ち𨤲を絶つ、世に出でて後如何と説く」。老師曰く、「溝を填め壑を塞ぐ」。曰く、「出と未出と、相去ること幾何ぞ」。老師曰く、「人平かなれば語らず、水平らかなれば流れず」。上堂、「平を高くし下に就き、賊を勾して家を破り、鐵を截り釘を斬り、狐狸窟を戀い、總て恁麼ならず、合作麼生せん、所以に道う、萬仞の崖頭親しく手を撒く、須らく是れ其人なれ、只だ如く香積國の中鉢を持する一句」。作麼生に道わん。良久して曰く、「切に風別調の中に吹くを忌めよ」。上堂、「釋迦室を掩い、過犯天に彌んぬ、毘耶詞を杜い、自ら救いて了せず、如何如何、口門太だ小さし」。宣和五年十二月二十七日、奄然として寂を示し、闍維の日、皇帝中使を遣して香を賜わしむ。金盤を持して設利を求む。香を爇き罷む。盤中鏗然たり。之を視れば五色なる者數顆。大きさ豆の如し。使者持ちて還る。上見て大いに悅ぶ

信州博山無隱子經禪師

信州博山無隱子經禅師

歲旦。上堂。和氣生枯枿。寒雲散遠郊。木人占吉兆。夜半露龜爻。諸禪德。龜爻露處。文彩已彰。便見一年十二月。月月如然。一日十二時。時時相似。到這裡直似黃金之黃。白玉之白。自從曠大劫來。未甞異色。還見麼。其或未然。且狥張三通節序。從教李四鬢蒼浪。

歲旦。上堂、「和氣枯枿に生じ、寒雲遠郊に散ず、木人吉兆を占い、夜半龜爻を露わす、諸の禅德、龜爻露わす處、文彩已に彰れ、便ち見る一年十二月、月月然るが如し」。一日十二時。時時相似たり。這裏に到りて直に黄金の黄、白玉の白に似たり。自ら曠大劫より來りて。未甞異色せず。還た見るか。其れ或いは未然ならば。且く張三に狥いて節序を通じ。教に從い李四鬢蒼浪ならしめよ

隆興府百丈以棲禪師

隆興府百丈以栖禅師

興化人也。上堂。摩騰入漢。達磨來梁。途轍既成。後代兒孫開眼迷路。若是箇惺惺底。終不向空裡採華。波中捉月。謾勞心力。畢竟何為。山僧今日已是平地起骨堆。諸人行時。各自著精彩看。

興化の人なり。上堂、「摩騰漢に入り、達磨梁に來る、途轍既に成りて、後代の兒孫眼を開きて路に迷う、若し是れ個の惺惺の底ならば、終に空の裏に華を采らず、波の中に月を捉えず、謾りに心力を勞せず、畢竟何をか為す、山僧今日已に是れ平地に骨堆を起こす」。諸人行く時。各々自ら精彩を著けて看よ

邵州光孝曇清禪師

邵州光孝曇淸禅師

上堂。殺父殺母。佛前懺悔。殺佛殺祖。不消懺悔。為甚麼不消懺悔。且得冤家解脫。

上堂、「父を殺し母を殺せば、佛前懺悔し、佛を殺し祖を殺せば、懺悔を消せず、什麼を以て懺悔を消せざる、且く冤家解脱を得ん」

溫州光孝德週禪師

溫州光孝德周禅師

信州璩氏子。於景德尊勝院染削。問道有年。後至黃龍。聞舉少林面壁。頓悟。述二偈以呈。龍許之。自爾名流江淛。上堂曰。舉體露堂堂。十方無𦊱礙。千聖不能傳。萬靈成頂戴。擬欲共商量。開口百雜碎。祇如未開口已前。作麼生。咄。上堂。回互不回互。覷見沒可覩。透出祖師關。踏斷人天路。阿呵呵。悟不悟。落華流水知何處。

信州璩氏の子。景德尊勝院に於て染削す。道を問うこと年有り。後に黃龍に至る。少林の壁に面すを擧ぐるを聞きて。頓悟す。二偈を述べて以て呈す。龍之を許す。自れ爾く名流江淛に流る。上堂曰く、「擧體露堂堂、十方𦊱礙無し、千聖傳うる能わず、萬靈頂戴を成す、擬して共に商量せんと欲すれば、口を開けば百雜碎、只だ如く未だ口を開かざる已前、作麼生、咄」。上堂、「回互回互ならず、覗見して睹る可き無し、透り出でて祖師の關、踏斷して人天の路、阿呵呵、悟るか悟らざるか、落華流れ水何の處にか在るを知らん」

寺丞戴道純居士

寺丞戴道純居士

字孚中。諮扣靈源。一日有省。乃呈偈曰。杳冥源底全機處。一片心華露印紋。知是幾生曾供養。時時微笑動香雲。

字は孚中。靈源を咨扣す。一日省る所有り。乃ち偈を呈して曰く、「杳冥たる源底全機の處、一片の心華印紋を露わす、知る是れ幾生か曾て供養せしを」。時々微笑して香雲を動かす

泐潭清禪師法嗣

泐潭淸禅師法嗣

隆興府黃龍山堂道震禪師

隆興府黃龍山堂道震禅師

金陵趙氏子。少依覺印英禪師為童子。英移居泗之普照。適淑妃擇度童行。師得圓具。久之。辭謁丹霞淳禪師。一日。與論洞上宗旨。師呈偈曰。白雲深覆古寒巖。異草靈華彩鳳銜。夜半天明日當午。騎牛背面著靴衫。淳器之。師自以為礙。棄依草堂。一見契合。日取藏經讀之。一夕。聞晚參皷。步出經堂。舉頭見月。遂大悟。亟趨方丈。堂望見。即為印可。初住曹山。次遷廣壽黃龍。上堂曰。舉箇古人因緣問闍棃。闍棃不得作古會。若作古會。失卻當面眼。舉箇即今因緣問闍棃。闍棃不得作今會。若作今會。障卻闍棃本來眼。假饒不失不障。非古非今。猶是藥病相治止啼之說。祇如透脫一句。闍黎還道得也無。若道不得。直待羅漢峰深談實相。即向汝道。上堂。少林冷坐。門人各說異端。大似眾盲摸象。神光禮三拜。依位而立。達磨雲。汝得吾髓。這黑麵婆羅門。腳跟也未點地在。上堂。石人問枯樁。何時汝發華。枯樁怒石人。何得口吧吧。石人呵呵笑。枯樁吐異葩。紅霞輝玉象。白玉碾金沙。借問通玄士。何人不到家。

金陵趙氏の子。少にして覺印英禅師に依りて童子と為る。英泗の普照に移居す。適づま淑妃童行を度るを擇ぶ。老師圓具を得たり。久之しくして。辭して丹霞淳禅師を謁う。一日。之と洞上の宗旨を論ず。老師偈を呈して曰く、「白雲深く古寒巖を覆い、異草靈華彩鳳銜え、夜半に天明けて日午に當る、牛に騎りて面を背にし靴衫を著く、淳之を器とす」。老師自ら以て礙なりと為す。棄てて草堂に依る。一見契合す。日に藏經を取りて之を讀む。一夕。晚參の皷を聞きて。步み經堂を出づ。頭を擧げて月を見る。遂に大悟す。亟かに方丈に趨る。堂望み見て。即ち印可を為す。初め曹山を住し、次いで廣壽黃龍に遷る。上堂曰く、「擧げて個の古人の因緣を以て闍棃に問う、闍棃古を會と作すを得ず、若し古を會と作せば、當面の眼を失却せん、擧げて即ち今の因緣を以て闍棃に問う、闍棃今を會と作すを得ず、若し今を會と作せば、闍棃の本來眼を障却せん、假饒失わず障えず、古に非ず今に非ず」。猶ほ是れ藥病相い治め啼を止むるの説、「只だ如く透脱の一句、闍黎還た道い得るや無しや、若し道い得ざれば、直に羅漢峰の深く實相を談ずるを待ちて、即ち汝に向かって道わん」。上堂、「少林冷たく坐して、門人各々異端を説く、大いに衆盲の象を摸するに似たり、神光三拜を禮して、位に依りて立つ、達磨云う、汝我が髓を得たり、這の黑面の婆羅門、脚跟も亦た未だ地に點けず在り」。上堂、「石人枯桩に問う、何れの時か汝華を發さん、枯桩石人に怒る、何ぞ口吧吧たるを得る、石人呵呵と笑い、枯桩異葩を吐く、紅霞玉象に輝き、白玉金沙を碾く、借問す通玄の士、何人か家に到らざる」

台州萬年雪巢法一禪師

台州萬年雪巢法一禅師

太師襄陽郡王李公遵勉之玄孫也。世居開封祥符縣。母夢一老僧至而產。年十七。試上庠。從祖仕淮南。欲官之。不就。將棄家事長蘆慈覺賾禪師。祖弗許。母曰。此必宿世沙門。願勿奪其志。未幾。慈覺沒。大觀改元。禮靈巖通照願禪師。祝髮登具。依願十年。迷悶不能入。謁圓悟於蔣山。悟曰。此法器也。悟奉詔徙京師天寧。師侍行。靖康末。謁草堂於疎山。一語之及。大法頓明。紹興七年。泉守寶文劉公彥修請居延福。後四遷巨剎。上堂。拈拄杖曰。拄杖子有時作出水蛟龍。萬裡雲煙不斷。有時作踞地師子。百年妖怪潛蹤。有時心法兩忘。照體獨立。有時照用同時。主賓互用。以拄杖畫曰。延福門下。總用不著。且道延福尋常用箇甚麼。卓拄杖。喝一喝。下座。上堂。仰面不見天。低頭不見地。古劒髑髏前。大海波濤沸。退長蘆。歸天台萬年觀音院。忽示微疾。書偈曰。今年七十五。歸作庵中主。珍重觀世音。泥虵吞石虎。入龕趺坐而逝。

太師襄陽郡王李公遵勉の玄孫なり。世々開封祥符縣に居る。母一の老僧至るを夢みて產す。年十七。上庠を試む。從祖淮南に仕う。之を官せんと欲す。就かず。將に家を棄てて長蘆慈覺賾禅師に事えんとす。祖許さず。母曰く、「此れ必ず宿世の沙門、願わくは其の志を奪う勿れ」。未幾、慈覺沒す。大觀改元、靈巖通照願禅師に禮し、髮を祝ぎて具に登り、願に依ること十年、迷悶して入る能わず、蔣山に於て圓悟を謁う。悟曰く、「此れ法器なり」。悟詔を奉じて京師の天寧に徙り。老師侍して行く、靖康の末、疏山に於て草堂を謁え、一語之に及びて、大法頓に明らむ、紹興七年、泉守寶文劉公彥修延福に居らんを請い、後に四たび巨刹に遷る。上堂。拄杖を拈じて曰く、「拄杖子或る時は作す水を出づる蛟龍、萬里の雲烟斷えず、或る時は作す地に踞る師子、百年の妖怪蹤を潜め、或る時は心法兩つながら忘れて、照體獨り立ち、或る時は照用時を同じくして、主賓互いに用い」。拄杖を以て畫いて曰く、「延福の門下、總て用着せず、且く道え延福尋常個の什麼を用いる、拄杖を卓し、一喝して、下座」。上堂、「面を仰いで天を見ず、頭を低れて地を見ず。古劍髑髏の前、大海の波濤沸く」。長蘆を退きて、天臺萬年觀音院に歸る。忽ち微疾を示し、偈を書して曰く、「今年七十五、歸りて庵中の主と作る。珍重す觀世音、泥蛇石虎を吞む」。龕に入りて趺坐して逝く

福州雪峰東山慧空禪師

福州雪峰東山慧空禅師

本郡陳氏子。十四圓頂。即遊諸方。徧謁諸老。晚契悟於草堂。紹興癸酉。開法雪峰。受請日。上堂曰。俊快底點著便行。痴鈍底推輓不動。便行則人人歡喜。不動則箇箇生嫌。山僧而今轉此痴鈍為俊快去也。彈指一下。曰。從前推輓不出而今出。從前有院不住而今住。從前嫌佛不做而今做。從前嫌法不說而今說。出不出.住不住即且置。敢問諸人做底是甚麼佛。空王佛耶。然燈佛耶。釋迦佛耶。彌勒佛耶。說底又是甚麼法。根本法耶。無生法耶。世間法耶。出世間法耶。眾中莫有道得底麼。若道得。山僧出世事畢。如或未然。逢人不得錯舉。喝一喝。下座。上堂。舉雲門示眾雲。祇這箇帶累殺人。師曰。雲門尋常氣宇如王。作恁麼說話。大似貧恨一身多。山僧即不然。祇這箇快活殺人。何故。大雨方歸屋裡坐。業風吹又遶山行。然雖如是。也是乞兒見小利。且不傷物義一句作麼生道。上堂。一拳拳倒黃鶴樓。一趯趯飜鸚鵡洲。有意氣時添意氣。不風流處也風流。俊哉俊哉。快活快活。一似十七八歲狀元相似。誰管你天。誰管你地。心王不妄動。六國一時通。罷拈三尺劍。休弄一張弓。自在自在。快活快活。恰似七八十老人作宰相相似。風以時。雨以時。五穀植。萬民安。竪起拄杖曰。大眾。這兩箇並山僧拄杖子。共作得一箇。衲僧到雪峰門下。但知隨例餐䭔子。也得三文買草鞋。喝一喝。卓拄杖。下座。僧問。和尚未見草堂時如何。師曰。江南有。曰。見後如何。師曰。江北無。

本郡陳氏の子。十四にして頂を圓す。即ち諸方に游ぶ。徧く諸老を謁う。晚く草堂に於て契悟す。紹興癸酉。雪峰に法を開く。請を受くる日。上堂曰く、「俊快の底點著き便ち行き、痴鈍の底挽いても推しても動かず、便ち行けば則ち人人歡喜し、動かざれば則ち個個嫌を生ず、山僧而今此の痴鈍を轉じて俊快と為して去らん、彈指一下」。曰く、「從前推しても挽いても出でざるも而今出づ、從前院有りて住せざるも而今住す、從前佛を嫌うて作さざるも而今作す」。從前法を嫌うて説かざるも而今説く、「出づる出でざる.住する住せざる即ち且く置く、敢えて諸人に問う作る底は是れ什麼の佛ぞ、空王佛耶、然燈佛耶、釋迦佛耶、彌勒佛耶、説く底は又是れ什麼の法ぞ、根本法耶、無生法耶、世間法耶」。出世間法耶。衆中莫れや道い得る底有るか。若し道い得れば。山僧出世の事畢れり。如く或いは未然ならば。人に逢いて錯りて擧ぐるを得ず。一喝して。下座。上堂、「擧ぐ雲門衆に示して云う、只だ這個帶累して人を殺す」。老師曰く。雲門尋常氣宇王の如し。恁麼の説話を作す。大いに貧にして一身の多きを恨むに似たり。山僧即ち然らず。只だ這個快活して人を殺す。何の故ぞ。大雨方に歸りて屋の裏に坐し、業風吹きて又山を繞って行く。然りと雖も是の如し。亦た是れ乞兒小利を見る。且く物義を傷えざる一句作麼生に道わん。上堂、「一拳拳倒れ黃鶴樓、一趯趯飜す鸚鵡洲、意氣有る時意氣を添え、風流ならざる處も亦た風流、俊なり哉俊なり哉、快活快活、一たび十七八歲の狀元に相似たり、誰か你の天を管し、誰か你の地を管せん、心王妄りに動かず」。六國一時に通ず。三尺の劍を拈ぐを罷め。一張の弓を弄ぶを休む。自在自在。快活快活。恰似す七八十の老人宰相を作すに相似たり。風時を以てし。雨時を以てす。五穀植わり。萬民安し。拄杖を竪起して曰く、「大衆、這の兩個山僧の拄杖子と與に、共に作り得る一個を、衲僧雪峰の門下に到らば、但だ知る例に隨いて䭔子を餐り、亦た三文を得て草鞋を買うを、一喝して、拄杖を卓し、下座」。僧問う、「和尚未だ草堂に見えざる時如何」。老師曰く、「江南に有り」。曰く、「見えて後如何」。老師曰く、「江北に無し」

慶元府育王野堂普崇禪師

慶元府育王野堂普崇禅師

本郡人也。示眾。舉。巴陵和尚道。不是風動。不是幡動。不是風幡。又向甚麼處著。有人為祖師出氣。出來與巴陵相見。雪竇和尚道。風動幡動。既是風幡。又向甚麼處著。有人為巴陵出氣。出來與雪竇相見。師曰。非風非幡無處著。是幡是風無著處。遼天俊鶻悉迷蹤。踞地金毛還失措。阿呵呵。悟不悟。令人轉憶謝三郎。一絲獨釣寒江雨。

本郡の人なり。衆に示す。擧ぐ。巴陵和尚道う。是れ風動に非ず。是れ幡動に非ず。是れ風幡に非ず。又什麼の處に向かって著けん。人の祖師の為に氣を出だす有りて、出で來りて巴陵と相見せん。雪竇和尚道う。風動き幡動く。既に是れ風幡。又什麼の處に向かって著けん。人の巴陵の為に氣を出だす有りて、出で來りて雪竇と相見せん。老師曰く、「風に非ず幡に非ず著く處無く、幡是れ風是れ著く處無し、遼天の俊鶻悉く蹤を迷い、地に踞る金毛還た措を失う、阿呵呵、悟るか悟らざるか、人をして轉た謝三郎を憶わしむ、一絲獨り寒江の雨を釣る」

青原信禪師法嗣

青原信禅師法嗣

潭州梁山懽禪師

潭州梁山懽禅師

僧問。大眾雲臻。請師開示。師曰。天靜不知雲去處。地寒留得雪多時。曰。學人未曉玄言。乞師再垂方便。師曰。一重山後一重人。

僧問う、「大衆雲の臻る、老師の開示を請う」。老師曰く、「天靜かにして雲の去る處を知らず、地寒くして雪の多き時を留む」。曰く、「學人未だ玄言を曉えず、師の再び方便を垂れんを乞う」。老師曰く、「一重の山の後一重の人」

成都府正法希明禪師

成都府正法希明禅師

漢州人也。解制。上堂。林葉紛紛落。乾坤報早秋。分明西祖意。何用更馳求。若恁麼會得。始信佛祖之道。本自平夷。大解脫門。元無關鑰。彌綸宇宙。偪塞虗空。量不可窮。智不能測。若也未明此旨。不達其源。任是百劫燻功。千生鍊行。徒自疲苦。了無交涉。若深明此旨。洞達其源。乃知動靜施為。經行坐臥。頭頭合道。念念朝宗。祖不云乎。迷生寂亂。悟無好惡。得失是非。一時放卻。如是則誰迷誰悟。誰是誰非。自是諸人。獨生異見。觀大觀小。執有執無。己靈獨耀。不肯承當。心月孤圓。自生違背。何異家中捨父。衣內忘珠。致使菩提路上。荊棘成林。解脫空中。迷雲蔽日。山僧今日。幸值眾僧自恣。化主還山。諸上善人得得光訪。不可緘默。隨分葛藤。曲為今時。少開方便。也須是諸人著眼。各自諦觀。若更擬議尋思。白雲萬裡。遂拈拄杖曰。於斯明得。靈山一會。儼在目前。其或未然。更待來晨分付。

漢州の人なり。制を解す。上堂、「林の葉紛紛として落ち、乾坤早秋を報ず、分明に西祖の意、何を用いか更に馳求せん、若し恁麼に會得せば、始めて信ぜん佛祖の道、本より自ら平夷、大解脱の門、元より關鑰無く、宇宙を彌綸し」。虚空を偪塞す。量窮む可からず。智測る能わず。若し也未だ此の旨を明らめず。其の源を達せざれば。任れ是れ百劫功を熏じ。千生行を煉るも。徒らに自ら疲苦し。了んぬるに交涉無し。若し深く此の旨を明らめ。洞り其の源を達せば。乃ち知る動靜施為。經行坐臥。頭頭道に合し。念念宗に朝ぜん。祖云わずや。迷えば寂亂を生じ。悟れば好惡無し。得失是非。一時に放却せよと。是の如くなれば則ち誰か迷い誰か悟る。誰か是れ誰か非ざる。自ら是れ諸人。獨り異見を生ず。大を觀じ小を觀じ。有を執り無を執る。己が靈獨り耀くも。承當を肯ぜず。心月孤に圓なるも。自ら違背を生ず。何ぞ異ならん家の中に父を舍て。衣の内に珠を忘るるに。致して菩提の路上に。荆棘林を成し。解脱の空中に。迷雲日を蔽わしめん。山僧今日。幸いに衆僧の自恣に値い。化主山に還る。諸の上善人得得として光光訪す。緘默すべからず。分に隨いて葛藤す。曲りて今時の為に。少しく方便を開く。亦た須らく是れ諸人眼を著け。各々自ら諦觀すべし。若し更に擬議尋思せば。白雲萬里ならん。遂に拄杖を拈じて曰く、「斯れに於て明得せば、靈山の一會、儼として目の前に在り、其れ或いは未然ならば、更に來晨に分付せんを待て」

祖庵主

祖庵主

見青原之後。縛屋衡嶽間。三十餘年。人無知者。偶遣興作偈曰。小鍋煑菜上蒸飰。菜熟飰香人正饑。一補饑瘡了無事。明朝依樣畫貓兒。由是衲子披榛扣之。無盡張公力挽其開法。不從。竟終於此山。

青原に見えて之後。衡岳の間に屋を縛す。三十餘年。人知る者無し。偶興を遣して偈を作りて曰く、「小鍋菜を煑りて飰を蒸さしめ上げ、菜熟れ飰香して人正に饑ゆ、一たび饑瘡を補えば了んぬるに事無し、明朝依様に猫兒を畫かん」。是に由りて衲子榛を披きて之を扣き、無盡張公力めて其の法を開かんを挽ぐも、從わず、竟に此の山に終す

夾山純禪師法嗣

夾山純禅師法嗣

澧州欽山乾明普初禪師

澧州欽山乾明普初禅師

上堂。良久曰。舉揚宗旨。上祝皇基。伏願祥雲與景星俱現。醴泉與甘露雙呈。君乃堯舜之君。俗乃成康之俗。使林下野夫。不覺成太平曲。且作麼生是太平曲。無為而為。神而化之。灑德雨以霶霈。鼓仁風而雍熈。民如野鹿。上如標枝。十八子。知不知。哩哩囉。邏囉哩。拍一拍。下座。

上堂。良久して曰く、「宗旨を擧揚し、上に皇基を祝す、伏して願わくは祥雲と景星と俱に現れ、醴泉と甘露と雙き呈し、君乃ち堯舜の君、俗乃ち成康の俗、林下の野夫をして、覺えず太平の曲を成さしめよ、且く作麼生なるか是れ太平の曲、為無くして為る」。神として之を化す。德雨を洒ぎて以て霶霈たり。仁風を鼓して以て雍熈たり。民野鹿の如く。上標枝の如し。十八子。知るか知らざるか。哩哩囉。邏囉哩。一拍して。下座

泐潭乾禪師法嗣

泐潭乾禅師法嗣

楚州勝因戲魚鹹靜禪師

楚州勝因戲魚鹹靜禅師

本郡高氏子。上堂。遊徧天下。當知寸步不曾移。歷盡門庭。家家灶底少煙不得。所以肩笻峭履。乘興而行。掣釣沉絲。任性而住。不為故鄉田地好。因緣熟處便為家。今日信手拈來。從前幾曾計較。不離舊時科段。一回舉著一回新。明眼底。瞥地便回。未悟者。識取面目。且道如何是本來面目。良久曰。前臺華發後臺見。上界鐘聲下界聞。以拂子擊禪床。下座。上堂。舉。世尊在摩竭陀國為眾說法。是時將欲白夏。乃謂阿難曰。諸大弟子。人天四眾。我常說法。不生敬仰。我今入因沙臼室中。坐夏九旬。忽有人來問法之時。汝代為我說。一切法不生。一切法不滅。言訖掩室而坐。師召眾曰。釋迦老子初成佛道之時。大都事不獲已。才方成箇保社。便生退倦之心。勝因當時若見。將釘釘卻室門。教他一生無出身之路。免得後代兒孫𮞏相倣斆。不見道。若不傳法度眾生。是不名為報恩者。擊拂子。下座。後晦處漣漪之天寧。示微疾。書偈曰。弄罷影戲。七十一載。更問如何。回來別賽。置筆而逝。

本郡高氏の子。上堂、「天下を游び徧くして、當に知るべし寸步も曾て移らざるを、門庭を歷盡して、家ごとに竈底少くとも烟無くして得ず、所以に笻を肩にして峭履し、興に乘じて行き、釣を掣り絲を沉めて、性に任せて住す、故鄉の田地の好きを為るに非ず、因緣熟する處便ち家と為る」。今日手に信じて拈來す。從前幾ど曾て計較せん。舊時の科段を離れず。一回擧著すれば一回新たり。明眼の底。瞥地して便ち回る。未だ悟らざる者。面目を識取せよ。且く道え如何なるか是れ本來の面目。良久して曰く、「前臺の華發きて後臺に見ゆ、上界の鐘聲下界に聞ゆ、拂子を以て禅床を擊ち、下座」。上堂、「擧ぐ、世尊摩竭陀國に在りて衆の為に法を説く、是の時將に夏を白せんと欲す」。乃ち阿難に謂いて曰く、「諸の大弟子、人天の四衆、我常に法を説くも、敬仰を生ぜず、我今因沙臼の室中に入りて、夏に坐すること九旬、忽ち人法を問いに來るの時有らば」。汝代わりて我の為に説け、「一切法生ぜず、一切法滅せず、言訖りて室を掩いて坐す」。老師衆を召して曰く、「釋迦老子初めて佛道を成ずるの時、大都事獲已ならず、纔かに方に個の保社を成せば、便ち退倦の心を生ず、勝因當時若し見れば、釘を將て室門を釘却して、彼を敎えて一生身を出だすの路無からしめ、免れしめん後代の兒孫𮞏相い倣敩し、道うを見ざらん、若し法を傳えて衆生を度せざれば」。是れ報恩の者と名づけざらん。拂子を擊ち。下座。後に漣漪の天寧に晦に處る。微疾を示し。偈を書して曰く、「影戲を弄び罷みて、七十一載、更に問う如何、回り來りて別に賽せん、筆を置いて逝く」

潭州龍牙宗密禪師

潭州龍牙宗密禅師

豫章人。僧問。如何是佛。師曰。莫寐語。問。如何是一切法。師曰。早落第二。上堂。大眾集。師曰。已是團圞。不勞雕琢。歸堂吃茶。上堂。休把庭華類此身。庭華落後更逢春。此身一往知何處。三界茫茫愁殺人。

豫章の人。僧問う、「如何なるか是れ佛」。老師曰く、「寐語する莫れ」。問う、「如何なるか是れ一切法」。老師曰く、「早く第二に落つ」。上堂、「大衆集まる」。老師曰く、「已に是れ團圞、雕琢を勞せず、堂に歸りて茶を喫せ」。上堂、「庭華を把りて此の身に類する休め、庭華落ちて後更に春に逢わん、此の身一往して何の處にか在るを知らん、三界茫茫として人を愁殺す」

福州東禪祖鑑從密禪師

福州東禅祖鑑從密禅師

汀州人也。上堂。開口不是禪。合口不是道。踏步擬進前。全身落荒草。

汀州の人なり。上堂、「口を開けば是れ禅に非ず、口を合せば是れ道に非ず、步を踏みて進前せんと擬すれば、全身荒草に落つ」

慶元府天童普交禪師

慶元府天童普交禅師

郡之萬齡畢氏子。幼穎悟。未冠得度。往南屏聽臺教。因為檀越修懺摩。有問曰。公之所懺罪。為自懺耶。為他懺耶。若自懺罪。罪性何來。若懺他罪。他罪非汝。烏能懺之。師不能對。遂改服遊方。造泐潭。足才踵門。潭即呵之。師擬問。潭即曳杖逐之。一日。忽呼師至丈室曰。我有古人公案。要與你商量。師擬進語。潭遂喝。師豁然領悟。乃大笑。潭下繩床。執師手曰。汝會佛法耶。師便喝。復拓開。潭大笑。於是名聞四馳。學者宗仰。後歸桑梓。留天童。掩關卻掃者八年。寺偶虗席。郡僚命師開法。恐其遯。預遣吏候於道。故不得辭。受請日。上堂曰。咄哉。黃面老。佛法付王臣。林下無情客。官差逼殺人。莫有知心底。為我免得麼。若無。不免將錯就錯。便下座。師凡見僧來。必叱曰。楖栗未擔時。為汝說了也。且道說箇甚麼。招手洗缽。拈扇張弓。趙州柏樹子。靈雲見桃華。且擲放一邊。山僧無恁麼閑唇吻與汝打葛藤。何不休歇去。拈拄杖逐之。宣和六年三月二十日。沐浴。陞堂說偈。脫然示寂。偈曰。寶杖敲空觸處春。箇中消息特彌綸。昨宵風動寒巖冷。驚起泥牛耕白雲。壽七十七。臘五十八。

郡の萬齡畢氏の子。幼にして穎悟。未だ冠せずして度を得たり。南屏に往きて臺教を聽く。因りて檀越の為に懺摩を修す。問い有りて曰く、「公の懺する所の罪は、為れ自ら懺する耶、為れ他を懺する耶、若し自ら罪を懺せば、罪性何より來る、若し他の罪を懺せば、他の罪は汝に非ず、烏んぞ能く之を懺せん」。老師對うる能わず。遂に服を改めて方に游ぶ。泐潭を造る。足纔かに門を踵めば、潭即ち之を呵す。老師問わんと擬す。潭即ち杖を曳きて之を逐う。一日。忽ち老師を丈室に呼びて曰く、「我古人の公案有り、你と與に商量せんと要す」。老師語を進めんと擬すれば、潭遂に喝し、老師豁然として領悟し、乃ち大笑す、潭繩床を下りて。師の手を執りて曰く、「汝佛法を會する耶」。老師便ち喝す。復た拓開す。潭大笑す。於是名聞四に馳せ。學者宗として仰ぐ。後に桑梓に歸りて。天童に留る。關を掩いて掃を卻くること八年。寺偶席を虗にす。郡僚老師に法を開かんを命ず。其の遯るを恐れて、豫め吏を遣して道に候せしむ。故に辭するを得ず。請を受くる日。上堂曰く、「咄哉、黃面の老、佛法王臣に付す、林下の無情の客、官の差して人を逼殺す、莫れや心底を知る者、我の為に免れ得るか、若し無ければ、免れず錯を將て錯に就かん」。便ち下座。老師凡そ僧來るを見れば。必ず叱して曰く、「楖栗未だ擔がざる時、汝の為に説き了れり、且く道え個の什麼を説く、手を招き鉢を洗い、扇を拈じ弓を張り、趙州の柏樹子、靈雲の桃華を見る、且く擲放して一邊にせよ、山僧恁麼の閑唇吻無くして汝と葛藤を打たん、何ぞ休歇して去らざる」。拄杖を拈じて之を逐う。宣和六年三月二十日。沐浴し。堂に升りて偈を説く。脱然として寂を示す。偈に曰く、「寶杖空を敲きて處に觸れて春、個中の消息特に彌綸たり、昨宵風動きて寒巖冷やかに、泥牛を驚起して白雲を耕す、壽七十七、腊五十八」

江州圓通道旻圓機禪師

江州圓通道旻圓機禅師

世稱古佛。興化蔡氏子。母夢吞摩尼寶珠。有孕。生五歲。足不履。口不言。母抱遊西明寺。見佛像遽履地。合爪稱南無佛。仍作禮。人大異之。及宦學大梁。依景德寺德祥出家。試經得度。徧往參激。皆染指。親溈山喆禪師最久。晚慕泐潭。往謁。潭見默器之。師陳歷參所得。不蒙印可。潭舉世尊拈華。迦葉微笑語以問。復不契。後侍潭行次。潭以拄杖架肩長噓。曰。會麼。師擬對。潭便打。有頃。復拈草示之曰。是甚麼。師亦擬對。潭遂喝。於是頓明大法。作拈華勢。乃曰。這回瞞旻上座不得也。潭挽曰。更道。更道。師曰。南山起雲。北山下雨。即禮拜。潭首肯。後開法灌溪。次居圓通。以符道濟禪師之記。學者嚮臻。朝廷聞其道會。宰臣復為之請。錫以命服。與圓機號。上堂。諸佛出世。無法與人。祇是抽釘拔楔。除疑斷惑。學道之士。不可自謾。若有一疑如芥子許。是汝真善知識。喝一喝曰。是甚麼。切莫刺腦入膠盆。

世々古佛と稱す。興化蔡氏の子。母摩尼寶珠を吞むを夢みて。孕有り。生れて五歲。足履まず。口言わず。母抱きて西明寺に游び。佛像を見て遽かに地に履み。爪を合せて南无佛を稱し。仍ほ禮を作す。人大いに之を異とす。及び大梁に宦學して。景德寺德祥に依りて家を出を出づ。經を試みて度を得たり。徧く往きて參激す。皆な指を染む。親しく潙山喆禅師に最も久し。晚く泐潭を慕い。往きて謁う。潭見て默かに之を器とす。老師歷參の所得を陳ずも。印可を蒙らず。潭世尊の華を拈じ。迦葉微笑する語を擧げて以て問う、「復た契わず、後に潭の行次に侍し、潭拄杖を以て肩に架け長く嘘す」。曰く、「會するか、老師對えんと擬すれば、潭便ち打ち、有頃」。復た草を拈じて之に示して曰く、「是れ什麼ぞ」。老師亦た對えんと擬す。潭遂に喝す。於是頓に大法を明らむ。華を拈ずるの勢を作し。乃ち曰く、「這の回旻上座を瞞るを得ず」。潭挽いて曰く、「更に道え、更に道え」。老師曰く、「南山雲を起こし、北山雨を下す、即ち禮拜す、潭首肯す」。後に灌溪に法を開き、次いで圓通に居り、道濟禅師の記に符し、學者向かって臻る、朝廷其の道會を聞き、宰臣復た之を為に請う。命服を錫し。圓機の號を與う。上堂、「諸佛世に出でて、人に與する法無し、只だ是れ釘を抽き楔を拔き、疑を除き惑を斷ず、道を學ぶの士、自ら謾るべからず、若し一の疑芥子許有れば、是れ汝の真の善知識なり」。一喝して曰く、「是れ什麼ぞ、切に腦を刺して膠盆に入る莫れ」

慶元府二靈知和庵主

慶元府二靈知和庵主

蘇臺玉峰張氏子。兒時甞習坐垂堂。堂傾。父母意其必死。師瞑目自若。因使出家。年滿得度。趨謁泐潭。潭見乃問。作甚麼。師擬對。潭便打。復喝曰。你喚甚麼作禪。師驀領旨。即曰。禪。無後無先。波澄大海。月印青天。又問。如何是道。師曰。道。紅塵浩浩。不用安排。本無欠少。潭然之。次謁衡嶽辯禪師。辯尤器重。元符間抵雪竇之中峰棲雲兩庵。逾二十年。甞有偈曰。竹筧二三升野水。松窻七五片閑雲。道人活計祇如此。留與人間作見聞。有志於道者。多往見之。僧至禮拜。師曰。近離甚處。曰。天童。師曰。太白峰高多少。僧以手斫額。作望勢。師曰。猶有這箇在。曰。卻請庵主道。師卻作斫額勢。僧擬議。師便打。師初偕天童交禪師問道。盟曰。他日吾二人。宜踞孤峰絕頂。目視霄漢。為世外之人。不可作今時籍名官府。屈節下氣於人者。後交爽盟至。則師竟不接。正言陳公以計誘師出山。住二靈。三十年間。居無長物。唯二虎侍其右。一日威於人。以偈遣之。宣和七年四月十二日。趺坐而逝。正言陳公狀師行實。及示疾異跡甚詳。仍塑其像。二虎侍之。至今存焉。

蘇臺玉峰張氏の子。兒の時嘗て坐を堂に垂るに習う。堂傾ぐ。父母其の必ず死せんと意す。老師目を瞑りて自若たり。因りて家を出でしむ。年滿ちて度を得たり。趨りて泐潭を謁う。潭見て乃ち問う、「什麼を作す、老師對えんと擬すれば、潭便ち打つ」。復た喝して曰く、「你喚びて什麼を禅と作す、老師蓦っから旨を領す」。即ち曰く、「禅、後無く先無し、波大海に澄み、月靑天に印す」。又問う、「如何なるか是れ道」。老師曰く、「道、紅塵浩浩として、安排を用いず、本より欠少無し、潭之を然とす、次いで衡岳辯禅師を謁う、辯尤も器重し、元符の間雪竇の中峰栖雲の兩庵に抵りて、二十年を逾ゆ」。嘗て偈有りて曰く、「竹筧二三升の野水、松窻七五片の閑雲、道人の活計只だ此の如し、人間に留めて見聞と作さん、道に志有る者は、多く往きて之に見ゆ、僧至りて禮拜す」。老師曰く、「近く甚の處を離るる」。曰く、「天童」。老師曰く、「太白峰高さ多少、僧手を以て額を斫り、望の勢を作す」。老師曰く、「猶ほ這個在り」。曰く、「卻って庵主の道うを請う」。老師卻って額を斫るの勢を作す。僧擬議す。老師便ち打つ。老師初め天童交禅師と偕に道を問う。盟して曰く、「他日吾の二人、宜しく孤峰の絶頂に踞り、目霄漢を視て、世外の人と為るべし、今時の籍を官府に名して、節を屈げ氣を人に下るを作すべからず」。後に交盟を爽して至れば、則ち師竟に接せず、正言陳公計を以て老師を誘いて山を出で、二靈を住せしむ。三十年間。居長物無し。唯だ二の虎其の右に侍す。一日人に威りて。偈を以て之を遣る。宣和七年四月十二日。趺坐して逝く。正言陳公師の行實を狀し。及び疾と異迹を示すこと甚だ詳し。仍ほ其の像を塑す。二の虎之に侍す。今に至るまで存焉

開先瑛禪師法嗣

開先瑛禅師法嗣

紹興府慈氏瑞仙禪師

紹興府慈氏瑞仙禅師

本郡人。年二十去家。以試經披削。習毗尼。因覩戒性如虗空。持者為迷倒。師謂。戒者。束身之法也。何自縛乎。遂探臺教。又閱諸法不自生。亦不從他生。不共不無因。是故說無生。疑曰。又不自他。不共不無因。生畢竟從何而生。即省曰。因緣所生。空假三觀。抑揚性海。心佛眾生。名異體同。十境十乘。轉識成智。不思議境。智照方明。非言詮所及。棄謁諸方。後至投子。廣鑑問。鄉裡甚處。師曰。兩淛東越。鑑曰。東越事作麼生。師曰。秦望峰高。鑑湖水闊。鑑曰。秦望峰與你自己是同是別。師曰。西天梵語。此土唐言。鑑曰。此猶是叢林祇對。畢竟是同是別。師便喝。鑑便打。師曰。恩大難酬。便禮拜。後歸裡。開法慈氏。室中甞問僧。三箇橐駝兩隻腳。日行萬裡趂不著。而今收在玉泉山。不許時人亂斟酌。諸人向甚麼處與仙上座相見。

本郡の人。年二十家を去る。經を試みて披削す。毘尼を習う。因りて戒性虚空の如く、持する者は是れ迷倒なるを覩る。老師謂う。戒は。身を束ぬるの法なり。何ぞ自ら縛らん。遂に臺教を探る。又閱する諸法自ら生ぜず。亦た他より生ぜず。共せず因無からざらず。是の故に無生と説くを。疑いて曰く、「又自他せず、共せず因無からざらず、生畢竟何より生ずる」。即ち省りて曰く、「因緣の生ずる所、空假の三觀、抑揚して性海、心佛衆生、名異なりて體同じ、十境十乘、識を轉じて智と成し、不思議の境、智照して方に明らむ、言詮の及ぶ所に非ず」。棄てて諸方を謁う。後に投子に至る。廣鑑問う、「鄉里甚の處」。老師曰く、「兩淛の東越」。鑑曰く、「東越の事作麼生」。老師曰く、「秦望峰高く、鑑湖水闊し」。鑑曰く、「秦望峰と你自己と是れ同か別か」。老師曰く、「西天の梵語、此の土の唐言」。鑑曰く、「此れ猶ほ是れ叢林の只だ對、畢竟是れ同か別か」。老師便ち喝す。鑑便ち打つ。老師曰く、「恩大いに酬い難し、便ち禮拜す」。後に里に歸り、慈氏に法を開く、室中嘗て僧に問う、三個の橐駝兩隻の脚、日行萬里趂ぎ著かず、而今玉泉山に收めて、時人の亂りに斟酌するを許さず、諸人何の處に向かって仙上座と相見せん

潭州大溈海評禪師

潭州大潙海評禅師

上堂曰。燈籠上作舞。露柱裡藏身。深沙神惡發。崑崙奴生嗔。喝一喝曰。一句合頭語。萬劫墮迷津。

上堂曰く、「燈籠の上に舞を作し、露柱の裏に身を藏る、深沙神惡く發し、崑崙奴嗔を生ず」。一喝して曰く、「一句合頭の語、萬劫迷津に墮つ」

圓通僊禪師法嗣

圓通僊禅師法嗣

溫州淨光了威佛日禪師

溫州淨光了威佛日禅師

僧問。如何是祖師西來意。師曰。一宿二宿程。千山萬山月。曰。意旨如何。師曰。朝看東南。暮看西北。曰。向上更有事也無。師曰。人心難滿。谿壑易填。問。時節因緣即不問。惠超佛話事如何。師曰。波斯彎弓面轉黑。曰。意旨如何。師曰。穿過髑髏笑未休。曰。學人好好借問。師曰。黃泉無邸店。今夜宿誰家。

僧問う、「如何なるか是れ祖師西來の意」。老師曰く、「一宿二宿の程、千山萬山の月」。曰く、「意旨如何」。老師曰く、「朝に東南を看て、暮に西北を看る」。曰く、「向上更に事有るや無しや」。老師曰く、「人心滿ち難く、溪壑填め易し」。問う。時節の因緣は即ち問わず、惠超佛の話の事如何」。老師曰く、「波斯弓を彎めて面轉じて黑し」。曰く、「意旨如何」。老師曰く、「髑髏を穿り過ぎて笑い未だ休せず」。曰く。學人好く借問せん。老師曰く、「黃泉邸店無し、今夜誰の家に宿せん」

象田卿禪師法嗣

象田卿禅師法嗣

慶元府雪竇持禪師

慶元府雪竇持禅師

郡之盧氏子。僧問。中秋不見月時如何。師曰。更待夜深看。曰。忽若黑雲未散。又且如何。師曰。爭怪得老僧。上堂。悟心容易息心難。息得心源到處閑。鬥轉星移天欲曉。白雲依舊覆青山。

郡の盧氏の子。僧問う、「中秋月を見ざる時如何」。老師曰く、「更に夜の深きを待ちて看よ」。曰く、「忽ち若し黑雲未だ散散ぜざれば、又且く如何」。老師曰く、「争いか老僧を怪むを得ん」。上堂、「心を悟るは易く心を息むは難し、心源を息め得れば處處閑なり、斗轉じ星移りて天曉けんと欲す、白雲依舊として靑山を覆う」

紹興府石佛益禪師

紹興府石佛益禅師

上堂。一葉落。天下秋。一塵起。大地收。一法透。萬法周。且道透那一法。遂喝曰。切忌錯認驢鞍橋作阿爺下頷。便下座。

上堂、「一の葉落ちて、天下秋なり、一の塵起きて、大地收む、一の法透りて、萬法周る、且く道え那の一法を透る」。遂に喝して曰く、「切に錯りて驢鞍の橋を認めて阿爺の下頷と作すを忌めよ」。便ち下座

褒親瑞禪師法嗣

褒親瑞禅師法嗣

安州應城壽寧道完禪師

安州應城壽寧道完禅師

僧問。雲從龍。風從虎。未審和尚從箇甚麼。師曰。一字空中畫。曰。得恁麼奇特。師曰。千手大悲提不起。問。十方國土中。唯有一乘法。如何是一乘法。師曰。斗量不盡。曰。恁麼則動容揚古路。不墮悄然機。師曰。作麼生是悄然機。僧舉頭看。師舉起拂子。僧喝一喝。師曰。大好悄然。上堂。古人見此月。今人見此月。此月鎮常存。古今人還別。若人心似月。碧潭光皎潔。決定是心源。此說更無說。咄。上堂。諸禪德。三冬告盡。臘月將臨。三十夜作麼生祇準。良久。曰。衣穿瘦骨露。屋破看星眠。

僧問う、「雲龍に從い、風虎に從う、未だ審かに和尚個の什麼に從う」。老師曰く、「一の字空中に畫く」。曰く、「恁麼の奇特を得たり」。老師曰く、「千手の大悲提起し得ず」。問う、「十方の國土の中、唯だ一乘の法有り、如何なるか是れ一乘の法」。老師曰く、「斗量し盡くさず」。曰く、「恁麼なれば則ち容を動かし古路を揚げ、悄然の機に墮ちず」。老師曰く、「作麼生なるか是れ悄然の機、僧頭を擧げて看る、老師拂子を擧起す、僧一喝す」。老師曰く、「大好き悄然」。上堂、「古人此の月を見たり、今人此の月を見る、此の月鎮かに常存して、古今の人還た別なり、若し人心月に似れば、碧潭光皎潔にして、決定して是れ心源」。此の説更に説無し、「咄」。上堂、「諸の禅德、三冬告げ盡き、臘月將に臨まんとす、三十夜作麼生に只だ準えん、良久」。曰く、「衣穿れて瘦骨露れ、屋破れて星を看て眠る」

兜率悅禪師法嗣

兜率悅禅師法嗣

撫州疎山了常禪師

撫州疏山了常禅師

僧問。如何是疎山為人底句。師曰。懷中玉尺未輕擲。袖裡金鎚劈面來。上堂。等閑放下。佛手掩不住。特地收來。大地絕纖埃。向君道。莫疑猜。處處頭頭見善財。鎚下分明如得旨。無限勞生眼自開。

僧問う、「如何なるか是れ疏山人を為る底の句」。老師曰く、「懷中の玉尺未だ輕く擲たず、袖裏の金鎚面を劈いて來る」。上堂、「等閑に放下すれば、佛の手掩い住む能わず、特に地に收來すれば、大地纖埃を絶つ、君に向かって道う、疑猜する莫れ、處處頭頭善財を見る、鎚の下分明として旨を得れば、無限の勞生眼自ら開く」

隆興府兜率慧照禪師

隆興府兜率慧照禅師

南安郭氏子。上堂。龍安山下。道路縱橫。兜率宮中。樓閣重疊。雖非天上。不是人間。到者安心。全忘諸念。善行者不移雙足。善入者不動雙扉。自能笑傲煙蘿。誰管坐消歲月。既然如是。且道向上還有事也無。良久曰。莫教推落巖前石。打破下方遮日雲。上堂。舉拂子曰。端午龍安亦鼓橈。青山雲裡得逍遙。饑餐渴飲無窮樂。誰愛爭先奪錦標。卻向乾地上划船。高山頭起浪。明椎玉皷。暗展鐵旗。一盞菖蒲茶。數箇沙糖粽。且移取北鬱單越。來與南閻浮提鬬額看。擊禪床。下座。上堂。兜率都無伎倆。也斆諸方榜樣。五日一度陞堂。起動許多龍象。禪道佛法又無。到此將何供養。須知達磨西來。分付一條拄杖。乃拈起曰。所以道。你有拄杖子。我與你拄杖子。你無拄杖子。我奪你拄杖子。且道那箇是賓句。那箇是主句。若斷得去。即途中受用。若斷不得。且世諦流佈。乃拋下拄杖。

南安郭氏の子。上堂、「龍安の山下、道路縱橫、兜率の宮中、樓閣重疊、天上に非ざると雖も、人間に非ず、到る者心を安んじ、諸の念を全く忘る、善く行ずる者は雙足を移さず、善く入る者は雙扉を動かさず」。自ら能く烟蘿に笑傲す。誰か歲月を坐して消するを管せん。既に是の如く然れば。且く道え向上還た事有るや無しや。良久して曰く、「巖前の石を推し落とすを敎える莫れ、下方の日を遮る雲を打破せん」。上堂。拂子を擧げて曰く、「端午龍安も亦た橈を鼓し、靑山雲の裏逍遙を得たり、饑えて餐り渴して飮む無窮の樂、誰か先を争い錦標を奪うを愛さん、卻って乾きたる地上に向かって船を划き、高山の頭浪を起こし、明かに玉皷を椎し、暗に鐵旗を展べ、一盞の菖蒲茶、數個の沙糖粽」。且く北の鬱單越を移取して。來りて南の閻浮提と額を鬥わして看よ。禅床を擊ち。下座。上堂、「兜率都て伎倆無く、亦た諸方の榜樣に敩ぶ、五日一度堂に升り、許多の龍象を起動す、禅道佛法又無し、此に到りて將に何を以て供養せん、須らく知れ達磨西に來りて、一條の拄杖を分付したるを」。乃ち拈起して曰く、「所以に道う、你拄杖子有れば、我你に拄杖子を與え、你拄杖子無ければ、我你の拄杖子を奪う、且く道え哪個か是れ賓の句、哪個か是れ主の句、若し斷じ得て去れば、即ち途中に受用し、若し斷じ得ざれば」。且く世諦流布せん。乃ち拄杖を抛下す

丞相張商英居士

丞相張商英居士

字天覺。號無盡。年十九。應舉入京。道由向氏家。向預夢神人報曰。明日接相公。凌晨公至。向異之。勞問勤腆。乃曰。秀才未娶。當以女奉灑掃。公謙辭再三。向曰。此行若不了當。吾亦不爽前約。後果及第。乃娶之。初任主簿。因入僧寺。見藏經梵夾。金字齊整。乃怫然曰。吾孔聖之書。不如胡人之教人所仰重。夜坐書院中。研墨吮筆。憑紙長吟。中夜不眠。向氏呼曰。官人。夜深何不睡去。公以前意白之。正此著無佛論。向應聲曰。既是無佛。何論之有。當須著有佛論始得。公疑其言。遂已之。後訪一同列。見佛龕前經卷。乃問曰。此何書也。同列曰。維摩詰所說經。公信手開卷。閱到此病非地大。亦不離地大處。歎曰。胡人之語。亦能爾耶。問。此經幾卷。曰。三卷。乃借歸閱次。向氏問。看何書。公曰。維摩詰所說經。向曰。可熟讀此經。然後著無佛論。公悚然異其言。由是深信佛乘。留心祖道。元祐六年。為江西漕。首謁東林照覺總禪師。覺詰其所見處。與己符合。乃印可。覺曰。吾有得法弟子住玉谿。乃慈古鏡也。亦可與語。公復因按部過分寧。諸禪迓之。公到。先致敬玉谿慈。次及諸山。最後問兜率悅禪師。悅為人短小。公曾見龔德莊說其聰明可人。乃曰。聞公善文章。悅大笑曰。運使失卻一隻眼了也。從悅。臨濟九世孫。對運使論文章。政如運使對從悅論禪也。公不然其語。乃強屈指曰。是九世也。問。玉谿去此多少。曰。三十里。曰。兜率聻。曰。五里。公是夜乃至兜率。悅先一夜夢日輪昇天。被悅以手摶取。乃說與首座曰。日輪運轉之義。聞張運使非久過此。吾當深錐痛劄。若肯回頭。則吾門幸事。座曰。今之士大夫。受人取奉慣。恐其惡發。別生事也。悅曰。正使煩惱。祇退得我院。也別無事。公與悅語次。稱賞東林。悅未肯其說。公乃題寺後擬瀑軒詩。其略曰。

字は天覺。號は無盡。年十九。擧に應じて京に入る。道向氏の家に由る。向豫め神人の報じて説くを夢む、「明日相公を接せん、凌晨公至りて、向之を異として、勞問勤腆なり」。乃ち曰く、「秀才未だ娶らず、當に女を以て洒掃を奉ずべし、公謙辭すること再三」。向曰く、「此の行若し了當せずば、吾も亦た前約を爽げず、後に果して第に及びて、乃ち之を娶る、初め主簿を任じ、因りて僧寺に入り、藏經の梵夾、金字齊整なるを見る」。乃ち怫然として曰く、「吾が孔聖の書、胡人の教の人の仰重する所に如かず、夜書院の中に坐し、墨を研ぎ筆を吮め、紙に憑りて長吟し、中夜眠らず」。向氏呼びて曰く、「官人、夜已に深し何ぞ睡り去らざる、公前の意を以て之に白す、正に此れ無佛論を著かさんとす」。向聲に應じて曰く、「既に是れ佛無し、何の論之か有らん、當に須らく有佛論を著けて始めて得べし、公其の言を疑う」。遂に之を已む。後に一同列を訪う。佛龕の前の經卷を見る。乃ち問いて曰く、「此れ何の書ぞ」。同列曰く、「維摩詰の説く所の經、公信手に卷を開き、閱して此の病地大に非ず、亦た地大を離れざる處に至る」。歎じて曰く、「胡人の語、亦た能く爾くする耶」。問う、「此の經幾卷ぞ」。曰く、「三卷、乃ち借りて歸り閱するの次」。向氏問う、「何の書を看る」。公曰く、「維摩詰の説く所の經」。向曰く、「此の經を熟讀し、然る後無佛論を著けば可なり、公悚然として其の言を異とす」。是に由りて深く佛乘を信じ、祖道に心を留む、元祐六年、江西の漕と為り、首めに東林照覺總禅師を謁う、覺其の見る處を詰め、己と符合す。乃ち印可す。覺曰く、「吾得法の弟子玉溪に住する有り、乃ち慈の古鏡なり、亦た與に語るべし、公復た按部に因りて分寧を過ぎ、諸の禅之を迓ぐ、公到りて、先に玉溪慈に致敬し、次いで諸山に及び、最後に兜率悅禅師を問う、悅人と為りて短小なり」。公曾て龔德莊に其の聰明人を可なりとするを見て説くを聞く。乃ち曰く、「公の文章を善くするを聞く」。悅大笑して曰く、「運使一隻の眼を失却し了れり、從悅、臨濟の九世の孫、運使に對して文章を論ずるは、政に運使の從悅に對して禅を論ずるが如し、公其の語を然とせず」。乃ち強いて指を屈して曰く、「是れ九世なり」。問う、「玉溪此を去ること多少」。曰く、「三十里」。曰く、「兜率聻」。曰く、「五里、公是の夜乃ち兜率に至る、悅先の一夜日輪天に升るを夢みて、悅手を以て摶取せらる」。乃ち説きて首座に與えて曰く、「日輪運轉の義、張運使久しからずして此を過ると聞く、吾當に深く錐し痛く札すべし、若し肯じて頭を回せば、則ち吾が門の幸事」。座曰く、「今の士大夫、人の取奉を受くるに慣れ、其の惡く發して、別に事を生ぜんを恐る」。悅曰く、「正しく煩惱せしめば、只だ我が院を退くるを得るのみ、亦た別に事無し、公悅と語るの次、東林を稱賞す」。悅未だ其の説を肯とせず、「公乃ち寺の後の擬瀑軒の詩を題す」。其の略に曰く

不向廬山尋落處。象王鼻孔謾遼天。意譏其不肯東林也。公與悅語至更深。論及宗門事。悅曰。東林既印可運使。運使於佛祖言教有少疑否。公曰。有。悅曰。疑何等語。公曰。疑香嚴獨腳頌.德山拓缽話。悅曰。既於此有疑。其餘安得無耶。祇如巖頭言末後句。是有耶是無耶。公曰。有。悅大笑。便歸方丈。閉卻門。公一夜睡不穩。至五更下床。觸飜溺器。乃大徹。猛省前話。遂有頌曰。皷寂鐘沉拓缽回。巖頭一拶語如雷。果然祇得三年活。莫是遭他授記來。遂扣方丈門。曰。某已捉得賊了。悅曰。贓在甚處。公無語。悅曰。都運且去。來日相見。翌日。公遂舉前頌。悅乃謂曰。參禪祇為命根不斷。依語生解。如是之說。公已深悟。然至極微細處。使人不覺不知。墮在區宇。乃作頌證之曰。等閑行處。步步皆如。雖居聲色。寧滯有無。一心靡異。萬法非殊。休分體用。莫擇精麤。臨機不礙。應物無拘。是非情盡。凡聖皆除。誰得誰失。何親何疎。拈頭作尾。指實為虗。飜身魔界。轉腳邪塗。了無逆順。不犯工夫。公邀悅至建昌。途中一一伺察。有十頌敘其事。悅亦有十頌酬之。時元祐八年八月也。公一日謂大慧曰。餘閱雪竇拈古。至百丈再參馬祖因緣。曰大冶精金。應無變色。投卷歎曰。審如是。豈得有臨濟今日耶。遂作一頌曰。馬師一喝大雄峰。深入髑髏三日聾。黃檗聞之驚吐舌。江西從此立宗風。後平禪師致書云。去夏讀臨濟宗派。乃知居士得大機大用。且求頌本。餘作頌寄之曰。吐舌耳聾師已曉。搥𮌎祇得哭蒼天。盤山會裡飜筋斗。到此方知普化顛。諸方往往以餘聰明博記。少知餘者。師自江西法窟來。必辨優劣。試為老夫言之。大慧曰。居士見處。與真淨死心合。公曰。何謂也。大慧舉真淨頌曰。客情步步隨人轉。有大威光不能現。突然一喝雙耳聾。那吒眼開黃檗面。死心拈曰。

廬山に向かって落處を尋ねず。象王の鼻孔謾りに遼天なり。意其の東林を肯ぜざるを譏るなり。公悅と語ること更に深きに至る。宗門の事に論及ぶ。悅曰く、「東林既に運使を印可せり、運使佛祖の言教に少しの疑有るや否」。公曰く、「有り」。悅曰く、「何等の語を疑う」。公曰く、「香嚴の獨脚の頌.德山の鉢を拓くの話を疑う」。悅曰く、「既に此に於て疑有れば、其の餘安んぞ無きを得ん、只だ如く巖頭の末後の句を言うは、是れ有る耶是れ無き耶」。公曰く、「有り」。悅大笑して、便ち方丈に歸り、門を閉却す。公一夜睡り穩かならず、五更に至りて床を下りて、溺器に觸れて翻し、乃ち大徹して、猛く前の話を省る。遂に頌有りて曰く、「皷寂まり鐘沉んで鉢を拓して回り、巖頭の一拶語雷の如し、果然たり只だ三年の活を得て、莫れ是れ他の授記を遭いて來るか」。遂に方丈の門を扣きて。曰く、「某已に賊を捉得し了れり」。悅曰く、「贓は甚の處に在る、公語無し」。悅曰く、「都運且く去れ、來日相見せん、翌日、公遂に前の頌を擧ぐ」。悅乃ち謂いて曰く、「禅を參ずるは只だ命根斷えざるを為し、語に依りて解を生ず」。是の如くの説、「公已に深く悟る、然れども至極微細の處、人をして覺えず知らずして、區宇に墮在せしむ」。乃ち頌を作りて之を證して曰く、「等閑の行く處、步々皆な如し、聲色に居ると雖も、寧に有無に滯らん、一心靡れ異なく、萬法殊に非ず、體用を分つ休め、精麤を擇ぶ莫れ、機に臨みて礙なく、物に應じて拘わり無し」。是非情盡き。凡聖皆な除かる。誰か得し誰か失える。何ぞ親なり何ぞ疎なり。頭を拈じて尾と作し。實を指して虚と為す。身を飜して魔界。脚を轉じて邪涂。了んぬるに逆順無し。工夫を犯さず。公悅を邀えて建昌に至る。途中一一伺察す。十頌有りて其の事を敘す。悅も亦た十頌有りて之に酬ゆ。時に元祐八年八月なり。公一日大慧に謂いて曰く、「余雪竇の拈古を閱し、百丈の再び馬祖に參ずる因緣に至りて、大冶の精金は、應に色を變ずること無かるべしと説く」。卷を投げて歎じて曰く、「審らかに是の如くならば、豈に臨濟の今日有るを得ん耶」。遂に一頌を作りて曰く、「馬師の一喝大雄の峰、深く髑髏に入りて三日聾す、黃檗之を聞きて驚き舌を吐く、江西此より宗風を立つ、後に平禅師書を致して云う、去夏臨濟の宗派を讀みて、乃ち知る居士大機大用を得たるを、且く頌本を求む」。余頌を作りて之に寄せて曰く、「舌を吐き耳聾せしは師已に曉り、𮌎を搥きて只だ蒼天を哭するを得たり、盤山の會裏筋斗を飜して、此に到りて方に知る普化の顛たるを、諸方往往余の聰明博記を以て、余を知る者少なし」。老師自ら江西の法窟より來る。必ず優劣を辨ず。試みに老夫の為に之を言え。大慧曰く、「居士の見る處、真淨死心と合す」。公曰く、「何を謂う」。大慧真淨の頌を擧げて曰く、「客情步々人に隨いて轉じ、大なる威光有れども現ずる能わず、突然として一喝雙耳聾け、那咤眼を開きて黃檗の面」。死心拈じて曰く

雲巖要問雪竇。既是大冶精金。應無變色。為甚麼卻三日耳聾。諸人要知麼。從前汗馬無人識。祇要重論蓋代功。公拊幾曰。不因公語。爭見真淨死心用處。若非二大老。難顯雪竇馬師爾。公於宣和四年十一月黎明。口占遺表。命子弟書之。俄取枕擲門窻上。聲如雷震。眾視之。已薨矣。公有頌古行於世。茲不復錄。

雲巖要して雪竇に問う。既に是れ大冶の精金。應に色を變ずること無かるべし。什麼を以てか卻って三日耳聾す。諸人要して知るか。從前汗馬人の識る無し。只だ要る重ねて蓋代の功を論ぜんと。公几を拊して曰く、「公の語に因らざれば、争いか真淨死心の用處を見ん、若し二の大老に非ざれば、雪竇馬師を顯し難し爾、公於」。宣和四年十一月黎明、口に遺表を占め、子弟をして之を書せしむ、俄に枕を取りて門窻の上に擲てば、聲雷の震うが如し、衆之を視れば。已に薨じ矣。公頌古有りて世に行わる。茲に復た錄せず

法雲杲禪師法嗣

法雲杲禅師法嗣

隨州洞山辯禪師

隨州洞山辯禅師

上堂。不是心。不是佛。不是物。鑽天鷂子遼天鶻。不度火。不度水。不度罏。離弦箭發沒回途。直饒會得十分去。笑倒西來碧眼胡。

上堂、「是れ心に非ず、是れ佛に非ず、是れ物に非ず、天を鑽る鷂子遼天の鶻、火を度らず、水を度らず、罏を度らず、弦を離るる箭發して回途無し、直饒十分に會して去るとも、西來の碧眼胡を笑倒さしめん」

東京慧海儀禪師

東京慧海儀禅師

上堂。無相如來示現身。破魔兵眾絕纖塵。七星斜暎風生處。四海還歸舊主人。諸仁者。大迦葉靈山會上。見佛拈華。投機微笑。須菩提聞佛說法。深解義趣。涕淚悲泣。且道笑者是。哭者是。不見道。萬派橫流總向東。超然八面自玲瓏。萬人膽破沙場上。一箭雙雕落碧空。上堂。舉。溈山坐次。仰山問。和尚百年後。有人問先師法道。如何祇對。溈曰。一粥一飰。仰曰。前面有人不肯。又作麼生。溈曰。作家師僧。仰便禮拜。溈曰。逢人不得錯舉。師曰。自古及今。多少人下語道。嚴而不威。恭而無禮。橫按拄杖。竪起拳頭。若祇恁麼。卻如何知得他父子相契處。山僧今日也要諸人共知。莫分彼我。彼我無殊。困魚止濼。病鳥棲蘆。逡巡不進泥中履。爭得先生一卷書。

上堂、「相無き如來身を示現し、魔の兵衆を破りて纖塵を絶つ、七星斜めに暎じて風生ずる處、四海還た舊主人に歸す、諸の仁者、大迦葉靈山の會上に於て、佛の華を拈ずるを見て、投機して微笑し、須菩提佛の法を説くを聞きて、深く義趣を解す」。涕淚悲泣す。且く道え笑う者是か。哭く者は是か。道うを見ず。萬派横流して總て東に向かう。超然として八面自ら玲瓏たり。萬人膽を破ること沙場の上。一箭雙雕碧空に落とす。上堂、「擧ぐ、潙山坐するの次」。仰山問う、「和尚百年の後、人先師の法道を問う者有れば、如何に只だ對せん」。潙曰く、「一粥一飰」。仰曰く、「前面人肯ぜざる有れば、又作麼生」。潙曰く、「作家の師僧、仰便ち禮拜す」。潙曰く、「人に逢いて錯りて擧ぐるを得ず」。老師曰く、「自古今に及んで、多少人語を下して道う、嚴にして威無く、恭にして禮無し、拄杖を橫に按じ、拳頭を竪起す、若し只だ恁麼ならば、卻って如何に他の父子相い契する處を知り得ん、山僧今日も亦た諸人をして共に知らしめんと要す、彼我を分つ莫れ」。彼我殊無し。困魚濼を止め。病鳥蘆に栖む。逡巡進まず泥の中の履。争い得ん先生の一卷の書

西蜀鑾法師

西蜀鑾法師

通大小乘。佛照謝事。居景德。師問照曰。禪家言多不根。何也。照曰。汝習何經論。曰。諸經粗知。頗通百法。照曰。祇如昨日雨。今日晴。是甚麼法中收。師懵然。照舉癢和子擊曰。莫道禪家所言不根好。師憤曰。昨日雨。今日晴。畢竟是甚麼法中收。照曰。第二十四時分。不相應法中收。師恍悟。即禮謝。後歸蜀居講會。以直道示徒。不泥名相。而眾多引去。遂說偈罷講曰。眾賣華兮獨賣松。青青顏色不如紅。算來終不與時合。歸去來兮翠靄中。由是隱居二十年。道俗追慕。復命演法。笑答偈曰。遯跡隱高峰。高峰又不容。不如歸錦裡。依舊賣青松。眾列拜悔過。兩川講者爭依之。

大小乘に通ず。佛照事を謝し。景德に居る。老師照に問いて曰く、「禅家の言多く根せず、何ぞ」。照曰く、「汝何の經論を習う」。曰く、「諸の經粗く知り、頗る百法に通ず」。照曰く、「只だ如く昨日の雨、今日の晴れは、是れ什麼の法の中に收むる、老師懵然たり」。照癢和子を擧げて擊ちて曰く、「道う莫れ禅家の言う所根せざるを好しと」。老師憤じて曰く、「昨日の雨、今日の晴れ、畢竟是れ什麼の法の中に收むる」。照曰く、「第二十四の時分、不相應の法の中に收む、老師恍として悟り、即ち禮謝し、後に蜀に歸りて講會に居り、直道を以て徒に示し、名相に泥まず、而れ衆多く引き去る」。遂に偈を説きて講を罷めて曰く、「衆花を賣る兮獨り松を賣る、青青たる顏色紅に如かず、算ね來れば終に時と合せず、歸去來兮翠靄の中」。是に由りて隱居すること二十年、道俗追慕し、復た法を演ぶるを命ず。笑い答えて偈に曰く、「迹を遯れて高峰に隱る、高峰又容れず、錦里に歸るに如かず、依舊として青松を賣らん、衆列拜して過を悔い、兩川の講する者争いて之に依る」

泐潭準禪師法嗣

泐潭準禅師法嗣

隆興府雲嚴典牛天遊禪師

隆興府雲嚴典牛天游禅師

成都鄭氏子。初試郡庠。復往梓州試。二處皆與貢籍。師不敢承。竄名出關。適會山谷道人西還。因見其風骨不凡。議論超卓。乃同舟而下。竟往廬山。投師剃髮。不改舊名。首參死心不契。遂依湛堂於泐潭。一日。潭普說曰。諸人苦苦就準上座覓佛法。遂拊膝曰。會麼。雪上加霜。又拊膝曰。若也不會。豈不見乾峰示眾曰。舉一不得舉二。放過一著。落在第二。師聞脫然穎悟。出世雲蓋。次遷雲巖。甞和忠道者牧牛頌曰。兩角指天。四足踏地。拽斷鼻繩。牧甚屎屁。張無盡見之。甚擊節。後退雲巖。過廬山棲賢。主翁意不欲納。乃曰。老老大大。正是質庫中典牛也。師聞之。述一偈而去。曰。質庫何曾解典牛。祇緣價重實難酬。想君本領無多子。畢竟難禁這一頭。因庵於武寧。扁曰典牛。終身不出。塗毒見之。已九十三矣。上堂。卓拄杖曰。久雨不晴。劄。金烏飛在鐘樓角。又卓一下曰。猶在㲉。復卓曰。一任衲僧名邈。上堂。馬祖一喝。百丈蹉過。臨濟小廝兒。向糞掃堆頭拾得一隻破草鞋。胡喝亂喝。師震聲喝曰。喚作胡喝亂喝。得麼。上堂。象骨輥毬能已盡。玄沙斫牌伎亦窮。還知麼。火星入袴口。事出急家門。上堂。三百五百。銅頭鐵額。木笛橫吹。誰來接拍。時有僧出。師曰。也是賊過後張弓。上堂。寶峰有一訣。對眾分明說。昨夜三更前。烏龜吞卻鱉。至節。上堂。晷運推移。日南長至。布裩不洗。無來換替。大小玉泉。無風浪起。雲巖路見不平。直下一鎚粉碎。遂高聲曰。看腳下。上堂。舉梁山曰。南來者與你三十棒。北來者與你三十棒。然雖與麼。未當宗乘。後來琅瑘和尚道。梁山好一片真金。將作頑鐵賣卻。琅瑘則不然。南來者與你三十棒。北來者與你三十棒。從教天下貶剝。師拈曰。一人能舒不能卷。一人能卷不能舒。雲巖門下。一任南來北來。且恁麼過。驀然洗面摸著鼻頭。

成都鄭氏の子。初め郡庠を試み。復た梓州に往きて試みる。二處皆な貢籍に與る。老師敢えて承けず。名を竄めて關を出づ。適づま山谷道人の西に還るに會う。因りて其の風骨凡ならず。議論超卓なるを見る。乃ち舟を同じくして下る。竟に往きて廬山に至る。師に投じて髮を剃る。舊名を改めず。首めに死心に參じて契わず。遂に泐潭に於て湛堂に依る。一日。潭普く説く、「諸人苦苦として準上座に就きて佛法を覓う」。遂に膝を拊して曰く、「會するか、雪の上に霜を加う」。又膝を拊して曰く、「若しも會せざれば」。豈に見ずや乾峰の衆に示して曰く、「一を擧げて二を擧ぐるを得ず、一著を放過して、第二に落つ」。老師聞きて脱然として穎悟す。世に出でて雲蓋。次いで雲巖に遷る。嘗て忠道者の牧牛頌に和して曰く、「兩の角天を指し、四の足地を踏む、鼻繩を拽斷して、甚の屎屁を牧せん」。張無盡之を見て、甚だ節を擊つ。後に雲巖を退きて、廬山栖賢を過ぎ、主翁意納れんと欲せず。乃ち曰く、「老老大々たり、正に是れ質庫の中の典牛なり」。老師之を聞きて。一偈を述べて去る。曰く、「質庫何ぞ曾て牛を典することを解せん、只だ緣りて價重く實に酬い難し。君の本領多子無しと想う、畢竟此の一頭を禁じ難し」。因りて武寧に庵し、匾して典牛と曰い、終身出でず。塗毒之を見るに、已に九十三なり。上堂。拄杖を卓して曰く、「久雨晴れず、札、金烏鐘樓の角に飛び在り」。又一下卓して曰く、「猶ほ㲉に在り」。復た卓して曰く、「一任す衲僧名邈せん」。上堂、「馬祖の一喝、百丈蹉過す、臨濟の小厮兒、糞掃の堆頭に向かって一隻の破草鞋を拾得し、胡喝亂喝す」。老師聲を震わせて喝して曰く、「喚びて胡喝亂喝と作す、得るか」。上堂、「象骨の毬を辊す能已に盡き、玄沙の牌を斫る伎亦た窮まる、還た知るか、火星袴の口に入りて、事急家の門より出づ」。上堂、「三百五百、銅頭鐵額、木笛橫に吹きて、誰か來りて拍を接ぐ」。時に僧出づる有り。老師曰く、「亦た是れ賊過ぎて後に弓を張る」。上堂、「寶峰一の訣有り」。衆に對して分明に説く、「昨夜三更の前、烏龜鱉を吞卻す、節に至る」。上堂、「晷運推して移り、日南に長至す、布裩洗わずして、來りて換替する無し、大小の玉泉、風無くして浪起こり、雲巖路不平を見て、直下に一鎚粉碎す」。遂に高聲に曰く、「脚下を看よ」。上堂。梁山の説くを擧ぐ、「南より來る者は你に三十棒を與え、北より來る者は你に三十棒を與う、然りと雖も恁麼、未だ宗乘に當らず、後來琅瑘和尚道う、梁山好き一片の真金を將て頑鐵と作して賣却す、琅瑘則ち然らず、南より來る者は你に三十棒を與え、北より來る者は你に三十棒を與う」。教に從い天下貶剥せん。老師拈じて曰く、「一人能く舒ね能く卷かず、一人能く卷じ能く舒ねず、雲巖の門下、一任す南來北來して、且く恁麼に過ぎん、蓦然として面を洗いて鼻頭を摸するに着かん」

卻來與你三十。上堂。日可冷。月可熱。眾魔不能壞真說。作麼生是真說。初三十一。中九下七。若信不及。雲巖與汝道破。萬人齊指處。一鴈落寒空。病起。上堂。舉馬大師日面佛.月面佛。後來東山演和尚頌曰。丫鬟女子畫蛾眉。鸞鏡臺前語似痴。自說玉顏難比竝。卻來架上著羅衣。師曰。東山老翁滿口讚歎則故是。點檢將來。未免有鄉情在。雲巖又且不然。打殺黃鶯兒。莫教枝上啼。幾回驚妾夢。不得到遼西。

卻って來りて你に三十を與えん。上堂、「日冷ゆべく、月熱すべし」。衆魔真説を壞る能わず。作麼生なるか是れ真説、「初は三十一、中は九下は七、若し信及ばざれば、雲巖汝と道破せん、萬人齊しく指す處、一の鴈寒空に落つ、病起」。上堂、「馬大師の日面佛.月面佛を擧ぐ」。後來東山演和尚頌して曰く、「丫鬟の女子蛾眉を畫き、鸞鏡の臺前語痴に似たり、自ら説く玉顏比竝し難し、卻って來りて架の上に羅衣を著く」。老師曰く、「東山の老翁滿口に讚歎するは則ち故是れなり、點檢して將來れば、未免鄉情在る有り、雲巖又且く然らず、黃鶯兒を打殺して、枝の上に啼かしむるを敎えず、幾回か妾の夢を驚かして、遼西に到るを得ざらん」

潭州三角智堯禪師

潭州三角智堯禅師

上堂。揑土定千鈞。秤頭不立蠅。箇中些子事。走殺嶺南能。還有薦得底麼。直饒薦得。也是第二月。

上堂、「土を揑めて千鈞を定め、秤頭蠅を立てず、個中の些子の事、嶺南の能を走殺す、還た薦得する底有るか、直饒薦得するも、亦た是れ第二の月」

慧日雅禪師法嗣

慧日雅禅師法嗣

隆興府九僊法清祖鑑禪師

隆興府九僊法淸祖鑑禅師

嚴陵人也。甞於池之天寧。以伽棃覆頂而坐。侍郎曾公開問曰。上座僊鄉甚處。曰。嚴州。曰。與此間是同是別。師拽伽棃下地。揖曰。官人曾到嚴州否。曾罔措。師曰。待官人到嚴州時。卻向官人道。住後。上堂曰。萬柳千華暖日開。一華端有一如來。妙談不二虗空藏。動著微言徧九垓。笑咍咍。且道笑箇甚麼。笑覺苑腳跟不點地。上堂。舉睦州示眾曰。汝等諸人未得箇入頭處。須得箇入頭處。既得箇入頭處。不得忘卻。老僧明明向汝道。尚自不會。何況蓋覆將來。師曰。睦州恁麼道。意在甚麼處。其或未然。聽覺苑下箇註腳。張僧見王伴。王伴叫張僧。昨夜放牛處。嶺上及前村。溪西水不飲。溪東草不吞。教覺苑如何即得。會麼。不免與麼去。遂以兩手按空。下座。僧問。如何是奪人不奪境。師曰。惺惺寂寂。曰。如何是奪境不奪人。師曰。寂寂惺惺。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。惺惺惺惺。曰。如何是人境俱不奪。師曰。寂寂寂寂。曰。學人今日買鐵得金去也。師曰。甚麼處得這話頭來。

嚴陵の人なり。嘗て池の天寧に於て。伽棃を以て頂を覆いて坐す。侍郎曾公問いて曰く、「上座の僊鄉甚の處」。曰く、「嚴州」。曰く、「此の間と是れ同か別か、老師伽棃を拽きて地に下す」。揖して曰く、「官人曾て嚴州に到りし否、曾罔措たり」。老師曰く、「官人嚴州に到る時を待ちて、卻って官人に向かって道わん」。住して後。上堂曰く、「萬の柳千の華暖日に開け、一華端に一の如來有り、妙談不二虚空藏、微言を動かせば遍く九垓、笑咍咍、且く道え個の什麼を笑う、覺苑の脚跟地に點けざるを笑う」。上堂。睦州の衆に示すを擧げて曰く、「汝等の諸人未だ個の入頭の處を得ず、須らく個の入頭の處を得べし、既に個の入頭の處を得たれば、忘却するを得ず、老僧明々として汝に向かって道うも、尚ほ自ら會せず、何を況んや蓋覆して將來せんを」。老師曰く、「睦州恁麼に道う、意什麼の處に在る、其れ或いは未然ならば、覺苑の個の注脚を下すを聽け、張僧王伴を見、王伴張僧を叫ぶ、昨夜牛を放つ處、嶺上及び前村、溪の西の水飮まず、溪の東の草吞まず」。覺苑を敎えて如何なれば即ち得ん。會するか。免れず恁麼に去らん。遂に兩手を以て空を按ず。下座。僧問う、「如何なるか是れ人を奪いて境を奪わざる」。老師曰く、「惺惺寂寂」。曰く、「如何なるか是れ境を奪いて人を奪わざる」。老師曰く、「寂寂惺惺」。曰く、「如何なるか是れ人境兩つながら奪う」。老師曰く、「惺惺惺惺」。曰く、「如何なるか是れ人境俱に奪わざる」。老師曰く、「寂寂寂寂」。曰く、「學人今日鐵を買いて金を得て去るなり」。老師曰く、「什麼の處に這の話頭を得たる」

平江府覺海法因庵主

平江府覺海法因庵主

郡之嵎山朱氏子。年二十四。披緇服進具。遊方至東林謁慧日。日舉靈雲悟道機語問之。師擬對。日曰。不是。不是。師忽有所契。占偈曰。巖上桃華開。華從何處來。靈雲才一見。回首舞三臺。日曰。子所見雖已入微。然更著鞭。當明大法。師承教。居廬阜三十年。不與世接。叢林尊之。建炎中盜起江左。順流東歸。邑人結庵命居。緇白繼踵問道。甞謂眾曰。汝等飽持定力。無憂晨炊而事幹求也。晚年放浪自若。稱五鬆散人。

郡の嵎山朱氏の子。年二十四。緇服を披きて具に進む。方に游びて東林に至りて慧日を謁う。日靈雲悟道の機語を擧げて之を問う。老師對えんと擬す。日曰く、「是れならず、是れならず」。老師忽ち契する所有り。偈を占めて曰く、「巖の上桃華開け、華何の處より來る、靈雲纔かに一見して、回首して三臺を舞う」。日曰く、「子の見る所雖も已に微に入る、然れども更に鞭を著けば、當に大法を明らめん」。老師教を承けて、廬阜に居ること三十年、世と接せず、叢林之を尊ぶ。建炎中盜江左に起こりて、流に順い東に歸る。邑人庵を結びて居らんを命ず。緇白踵を繼ぎて道を問う。嘗て衆に謂いて曰く、「汝等飽くまで定力を持て、晨炊を憂えずして干求に事うるなかれ」。晚年放浪自若として、五松散人と稱す

龍牙言禪師法嗣

龍牙言禅師法嗣

瑞州洞山擇言禪師

瑞州洞山擇言禅師

僧問。如何是十身調御。投子下禪床立。未審意旨如何。師曰。腳跟下七穿八穴。

僧問う、「如何なるか是れ十身の調御、投子禅床を下りて立つ、未だ審かに意旨如何」。老師曰く、「脚跟の下七穿八穴」

文殊能禪師法嗣

文殊能禅師法嗣

常德府德山瓊禪師

常德府德山瓊禅師

受請日上堂。曰。作家撈籠不肯住。呼喚不回頭。為甚麼從東過西。自代曰。後五日看。

請を受くる日上堂。曰く、「作家の撈籠肯じて住せず、呼喚して頭を回さず、什麼を以てか東より西に過る」。自ら代えて曰く、「後の五日に看よ」

智海青禪師法嗣

智海青禅師法嗣

蘄州四祖仲宣禪師

蘄州四祖仲宣禅師

上堂。諸佛出世。為一大事因緣。祖師西來。直指人心是佛。凡聖本來不二。迷悟豈有殊途。非涅槃之可欣。非死生之可厭。但能一言了悟。不起坐而即證無生。一念回光。不舉步而徧周沙界。如斯要徑。引曰宗門。山僧既到這裡。不可徒然。乃舉拂子曰。看看。山河大地。日月星辰。若凡若聖。是人是物。盡在拂子頭上一毛端裡出入遊戲。諸人還見麼。設或便向這裡見得倜儻分明。更須知有向上一路。試問諸人。作麼生是向上一路。良久曰。六月長天降大雪。三冬嶺上火雲飛。

上堂、「諸佛世に出づるは、一大事の因緣を為り、祖師西に來るは、直に人心是れ佛を指す、凡聖本來不二にして、迷悟豈に殊途有らん、涅槃の欣ぶ可きに非ず、死生の厭う可きに非ず、但だ能く一言了悟して、坐を起たずして即ち無生を證せん」。一念光を回らせば。步を擧げずして徧く沙界を周す。斯の如き要徑。引きて宗門を説く。山僧既に這裏に到る。徒然なるべからず。乃ち拂子を擧げて曰く、「看よ看よ、山河大地、日月星辰、凡なる若く聖なる、人是れ物是れ、盡く拂子頭上の一毛端の裏に在りて出入遊戲す、諸人還た見るか、設し或いは便ち這裏に向かって見得て倜儻分明ならば、更に須らく知るべし向上の一路有るを、試みに諸人に問う」。作麼生なるか是れ向上の一路。良久して曰く、「六月の長天大雪を降り、三冬の嶺上火雲飛ぶ」

泉州乾峰圓慧禪師

泉州乾峰圓慧禅師

上堂。達磨正宗。衲僧巴鼻。堪嗟迷者成群。開眼瞌睡。頭上是天。腳下是地。耳朵聞聲。鼻孔出氣。敢問雲堂之徒。時中甚處安置。還見麼。可憐雙林傅大士。卻言祇這語聲是。咄。

上堂、「達磨の正宗、衲僧の巴鼻、嗟くべし迷える者群を成して、眼を開きて瞌睡す、頭の上是れ天、脚の下是れ地、耳朵聲を聞き、鼻孔氣を出す、敢えて問う雲堂の徒」。時中甚の處に安置する。還た見るか。憐む可し雙林の傅大士。卻って言う只だ這の語聲是れと。咄

大溈瑃禪師法嗣

大潙瑃禅師法嗣

眉州中巖慧目蘊能禪師

眉州中巖慧目蘊能禅師

本郡呂氏子。年二十二。於村落一富室為校書。偶遊山寺。見禪𠕋。閱之似有得。即裂冠圓具。一缽遊方。首參寶勝澄甫禪師。所趣頗異。至荊湖。謁永安喜.真如喆.德山繪。造詣益高。迨抵大溈。溈問。上座桑梓何處。師曰。西川。曰。我聞西川有普賢菩薩示現。是否。師曰。今日得瞻慈相。曰。白象何在。師曰。爪牙已具。曰。還會轉身麼。師提坐具。繞禪床一帀。溈曰。不是這箇道理。師趨出。一日。溈為眾入室。問僧。黃巢過後。還有人收得劒麼。僧竪起拳。溈曰。菜刀子。僧曰。爭奈受用不盡。溈喝出。次問師。黃巢過後。還有人收得劒麼。師亦竪起拳。溈曰。也祇是菜刀子。師曰。殺得人即休。遂近前。攔胷築之。溈曰。三十年弄馬騎。今日被驢子撲。後還蜀。庵於舊址。應四眾之請。出住報恩。上堂。龍濟道。萬法是心光。諸緣唯性曉。本無迷悟人。祇要今日了。師曰。既無迷悟。了箇甚麼。咄。上堂。舉。雪峰一日普請搬柴。中路見一僧。遂擲下一段柴。曰。一大藏教。祇說這箇。後來真如喆道。一大藏教。不說這箇。據此二尊宿說話。是同是別。山僧則不然。竪起拂子曰。提起則如是我聞。放下則信受奉行。室中問崇真氈頭。如何是你空劫已前父母。真領悟曰。和尚且低聲。遂獻投機頌曰。萬年倉裡曾饑饉。大海中住儘長渴。當初尋時尋不見。如今避時避不得。師為印可。一日與黃提刑奕棊次。黃問。數局之中。無一局同。千著萬著則故是。如何是那一著。師提起棊子示之。黃佇思。師曰。不見道。從前十九路。迷殺幾多人。師住持三十餘載。凡說法不許錄其語。臨終書偈。趺坐而化。闍維時㬥風忽起。煙所至處。皆雨設利。道俗斸其地。皆得之。心舌不壞。塔於本山。

本郡呂氏の子。年二十二。村落の一の富室に於て書を校す。偶山寺に游び。禅の箇を見る。之を閱して得る有るに似たり。即ち冠を裂きて圓具す。一鉢方に游ぶ。首めに寶勝澄甫禅師に參ず。趣く所頗る異なり。荆湖に至りて。永安喜.真如喆.德山繪を謁う。造詣益々高し。迨びて大潙に抵る。潙問う、「上座の桑梓何の處」。老師曰く、「西川」。曰く、「我聞く西川に普賢菩薩の示現有りと、是か否か」。老師曰く、「今日慈相を瞻るを得たり」。曰く、「白象何の處に在る」。老師曰く、「爪牙已に具わる」。曰く、「還た身を轉ずるを會するか、老師坐具を提げて、禅床を繞ること一帀」。潙曰く、「是れ這個の道理に非ず、老師趨り出づ」。一日。潙衆の為に室に入る。僧に問う。黃巢過ぎて後。還た人劍を收得する者有るか。僧拳を竪起す。潙曰く、「菜刀子」。僧曰く、「争奈ん受用し盡くさざるを、潙喝出す」。次いで老師に問う、黃巢過ぎて後、還た人劍を收得する者有るか。老師亦た拳を竪起す。潙曰く、「亦た只だ是れ菜刀子」。老師曰く、「人を殺し得れば即ち休め」。遂に近づき前より。胷を攔えて之を築く。潙曰く、「三十年馬を弄びて騎る、今日驢子に撲たれたり」。後に蜀に還りて、舊址に庵し、四衆の請に應えて、出でて報恩を住す。上堂、「龍濟道う、萬法是れ心光、諸緣唯だ性曉、本より迷悟の人無し、只だ要る今日了せんを」。老師曰く、「既に迷悟無し、個の什麼を了せん、咄」。上堂、「擧ぐ」。雪峰一日普請して柴を搬す。中路一僧を見る。遂に一段の柴を擲下して。曰く、「一大藏教、只だ這個を説く、後來真如喆道う、一大藏教、這個を説かず、此に據れば二の尊宿の説話、是れ同か別か、山僧則ち然らず」。拂子を竪起して曰く、「提起すれば則ち是の如く我聞き、放下すれば則ち信受奉行せん、室中崇真の氈頭に問う、如何なるか是れ你の空劫已前の父母」。真領悟して曰く、「和尚且く聲を低くせよ」。遂に投機の頌を獻じて曰く、「萬年の倉裏曾て饑饉せし、大海の中に住して盡く長く渴き、當初尋ねし時尋ねて見えず、如今避くる時避くるを得ず」。老師為に印可す。一日黃提刑と棋を奕くの次。黃問う、「數局の中、一局同じき無し、千著萬著則ち故是れなり、如何なるか是れ那の一著、老師棋子を提起して之に示す、黃佇思す」。老師曰く、「見ずや道う、從前十九路、幾多の人を迷殺すを」。老師住持すること三十餘載。凡そ法を説くに其の語を錄するを許さず。終るに臨みて偈を書し。趺坐して化す。闍維の時暴風忽ち起こり。烟の至る處。皆な設利を雨らす。道俗其の地を斸る。皆な之を得たり。心舌壞れず。本山に塔す

懷安軍雲頂寶覺宗印禪師

懷安軍雲頂寶覺宗印禅師

上堂。古者道。識得凳子。周帀有餘。又道。識得凳子。天地懸殊。山僧總不恁麼。識得凳子是甚麼閑傢俱。一日普說罷。師曰。諸子未要散去。更聽一頌。乃曰。四十九年。一場熱閧。八十七春。老漢獨弄。誰少誰多。一般作夢。歸去來兮。梅梢雪重。言訖下座。倚杖而逝。

上堂、「古の者道う、凳子を識得せば、周帀餘有り、又道う、凳子を識得せば、天地懸殊なり、山僧總て恁麼ならず、凳子を識得するとは是れ什麼の閑家具ぞ」。一日普く説き罷みて。老師曰く、「諸子未だ散じ去るを要せず、更に一頌を聽け」。乃ち曰く、「四十九年、一場の熱閧、八十七春、老漢獨り弄ぶ、誰か少なく誰か多き、一般に夢を作る、歸去來兮、梅の梢雪重し、言訖りて下座し、杖に倚りて逝く」

昭覺白禪師法嗣

昭覺白禅師法嗣

成都府信相宗顯正覺禪師

成都府信相宗顯正覺禅師

潼川王氏子。少為進士。有聲。甞晝掬溪水為戲。至夜思之。遂見水泠然盈室欲汲之不可。而塵境自空。曰。吾世網裂矣。往依昭覺得度。具滿分戒。後隨眾諮參。覺一日問師。高高峰頂立。深深海底行。汝作麼生會。師於言下頓悟。曰。釘殺腳跟也。覺拈起拂子曰。這箇又作麼生。師一笑而出。服勤七祀。南遊至京師。歷淮淛。晚見五祖演和尚於海會。出問。未知關棙子。難過趙州橋。趙州橋即不問。如何是關棙子。祖曰。汝且在門外立。師進步。一踏而退。祖曰。許多時茶飯。元來也有人知滋味。明日入室。祖雲。你便是昨日問話底僧否。我固知你見處。祇是未過得白雲關在。師珍重。便出。時圓悟為侍者。師以白雲關意扣之。悟曰。你但直下會取。師笑曰。我不是不會。祇是未諳。待見這老漢。共伊理會一上。明日。祖往舒城。師與悟繼往。適會於興化。祖問師。記得曾在郡裡相見來。師曰。全火祗候。祖顧悟曰。這漢饒舌。自是機緣相契。遊廬阜回。師以高高峰頂立深深海底行所得之語告五祖。祖曰。吾甞以此事詰先師。先師雲。我曾問遠和尚。遠曰。貓有飲血之功。虎有起屍之德。非素達本源。不能到也。師給侍之久。祖鍾愛之。後辭西歸。為小參。復以頌送曰。離鄉四十餘年。一時忘卻蜀語。禪人回到成都。切須記取魯語。時覺尚無恙。師再侍之。名聲藹著。遂出住長松。遷保福信相。僧問。三世諸佛。六代祖師。總出這圈䙡不得。如何是這圈。䙡師曰。井欄唇。上堂。舉。仰山問中邑。如何是佛性義。邑曰。我與你說箇譬喻。汝便會也。譬如一室有六窻。內有一獼猴。外有獼猴從東邊喚狌狌。獼猴即應。如是六窻。俱喚俱應。仰乃禮拜。適蒙和尚指示。某有箇疑處。邑曰。你有甚麼疑。仰曰。祇如內獼猴睡時。外獼猴欲與相見。又作麼生。邑下禪床。執仰山手曰。狌狌與你相見了。師曰。

潼川王氏の子。少にして進士と為る。聲有り。嘗て晝に溪水を掬びて戲れと為す。夜に至りて之を思う。遂に水泠然として室に盈ちて之を汲まんと欲するも可ならず。而して塵境自ら空し。曰く、「吾世網裂けたり、往きて昭覺に依りて度を得、具滿して分戒す」。後に衆に隨いて咨參す、覺一日老師に問う、高高峰の頂に立ち、深深海の底を行く、汝作麼生に會せん。老師言の下に於て頓悟す。曰く、「脚跟を釘殺すなり」。覺拂子を拈起して曰く、「這個又作麼生」。老師一笑して出づ。勤に服すること七祀、南に游びて京師に至り、淮浙を歷る、晚く海會に於て五祖演和尚に見ゆ。出でて問う、「未だ關棙子を知らず、趙州橋を過り難し。趙州橋は即ち問わず、如何なるか是れ關棙子」。祖曰く、「汝且く門の外に立て、老師步を進めて、一踏して退く」。祖曰く、「許多の時の茶飯、元來も亦た人滋味を知る者有り」。明日室に入る、祖云う、你便ち是れ昨日話を問いし底の僧か否、我固より知る你の見る處、只だ是れ未だ白雲關を過ぎざる在り、老師珍重して。便ち出づ。時に圓悟侍者と為る。老師白雲關の意を以て之を扣く。悟曰く、「你但だ直下に會取せよ」。老師笑い曰く、「我是れ會せざるに非ず、只だ是れ未だ諳ならず、這の老漢に見えんを待ちて、伊と共に理會一上せん、明日、祖舒城に往く」。老師悟と繼ぎて往く。適づま興化に於て會す。祖老師に問う。記得するか曾て郡裏に於て相見えし來るを。老師曰く、「全火只だ候う」。祖悟を顧みて曰く、「這の漢舌を饒えるなり、自ら是れ機緣相い契し、廬阜に游びて回る」。老師高高峰の頂に立ち深深海の底を行くの所得の語を以て五祖に告ぐ。祖曰く、「吾嘗て此の事を以て先師を詰む、先師云う、我曾て遠和尚に問うと」。遠曰く、「猫は血を飮むの功有り、虎は尸を起こすの德有り、素より本源を達せざれば、到る能わざるなり」。老師給侍すること久しく、祖之を鍾愛す、後に辭して西に歸る、小參を為す。復た頌を以て送りて曰く、「鄉を離るること四十餘年、一時に蜀語を忘却せり、禅人成都に回到れば、切に須らく魯語を記取すべし」。時に覺尚ほ恙無し。老師再び之に侍す。名聲藹として著る。遂に出でて長松を住す。保福信相に遷る。僧問う、「三世の諸佛、六代の祖師、總て這の圈䙌を出づるを得ず、如何なるか是れ這の圈䙌」。老師曰く、「井欄の唇」。上堂、「擧ぐ、仰山中邑に問う、如何なるか是れ佛性の義」。邑曰く、「我你と個の譬喻を説かば、汝便ち會せよ、譬えば一室に六の窻有りて、內に一の獼猴有り、外に獼猴の東邊より狌狌を喚ぶ有れば、獼猴即ち應ず、是の如く六の窻、俱に喚びて俱に應ず、仰乃ち禮拜し、適づま和尚の指示を蒙る」。某個の疑處有り。邑曰く、「你什麼の疑有る」。仰曰く、「只だ如く內の獼猴睡る時、外の獼猴之と相見えんと欲すれば、又作麼生、邑禅床を下る」。仰山の手を執りて曰く、「狌狌你と相見え了れり」。老師曰く

諸人要見二老麼。我也與你說箇譬喻。中邑大似箇金師。仰山將一塊金來。使金師酬價。金師亦盡價相酬。臨成交易。賣金底更與貼秤。金師雖然闇喜。心中未免偷疑。何故。若非細作。定是賊贓。便下座。

諸人要して二老を見んか。我も亦た你と個の譬喻を説かん。中邑大いに個の金師に似たり。仰山一塊の金を將て來りて。金師をして價を酬いしむ。金師亦た價を盡くして相い酬ゆ。成の交易に臨みて。金を賣る底更に秤を貼すること與す。金師然りと雖も暗に喜ぶも。心中未免偷に疑う。何の故ぞ。若し細作に非ざれば。定めて是れ賊贓ならん。便ち下座

道林一禪師法嗣

道林一禅師法嗣

潭州大溈大圓智禪師

潭州大潙大圓智禅師

四明人也。上堂。舉南泉道。三世諸佛不知有。狸奴白牯卻知有。師曰。三世諸佛既不知有。狸奴白牯又何曾夢見。灼然。須知向上有知有底人始得。且作麼生是知有底人。吃官酒。臥官街。當處死。當處埋。沙場無限英靈漢。堆山積嶽露屍骸。

四明の人なり。上堂、「南泉の道うを擧ぐ、三世の諸佛有るを知らず、狸奴白牯卻って有るを知る」。老師曰く、「三世の諸佛既に有るを知らず、狸奴白牯又なんぞ曾て夢に見ん、灼然として、須らく知るべし向上に有るを知る底の人有るを始めて得ん、且く作麼生なるか是れ有るを知る底の人、官酒を喫し、官街に臥し、處に當りて死し、處に當りて埋まる、沙場無限の英靈の漢」。山を堆り嶽を積みて尸骸を露わす

南嶽下十五世

南嶽下十五世

上封秀禪師法嗣

上封秀禅師法嗣

文定公胡安國草菴居士

文定公胡安國草庵居士

字康侯。久依上封。得言外之旨。崇寧中過藥山。有禪人舉南泉斬貓話問公。公以偈答曰。手握乾坤殺活機。縱橫施設在臨時。玉堂兔馬非龍象。大用堂堂總不知。又寄上封。有曰。祝融峰似杜城天。萬古江山在目前。須信死心元不死。夜來秋月又同圓。

字は康侯。久しく上封に依る。言外の旨を得たり。崇寧中藥山を過ぐ。禅人南泉の猫を斬るの話を擧げて公に問う有り。公偈を以て答えて曰く、「手に乾坤殺活の機を握り、縱橫の施設臨時に在り、玉堂の兔馬は龍象に非ず、大用堂堂として總て知らず、又上封に寄す」。説有りて曰く、「祝融峰杜城の天に似て、萬古の江山目の前に在り、須らく信ずべし死心元より死せず、夜に來りて秋月又同じく圓なるを」

上封才禪師法嗣

上封才禅師法嗣

福州普賢元素禪師

福州普賢元素禅師

建寧人也。上堂。兵隨印轉。三千里外絕煙塵。將逐符行。二六時中淨躶躶。不用鐵旗鐵皷。自然草偃風行。何須七縱七擒。直得無思不服。所謂大丈夫秉慧劒。般若鋒兮金剛𦦨。非但能摧外道心。早曾落卻天魔膽。正恁麼時。且道主將是甚麼人。喝一喝。上堂。南泉道。我十八上便解作活計。囊無繫蟻之絲。廚乏聚蠅之糝。趙州道。我十八上便解破家散宅。南頭買賤。北頭賣貴。點檢將來。好與三十棒。且放過一著。何故。曾為宕子偏憐客。自愛貪杯惜醉人。上堂。未開口時先分付。擬思量處隔千山。莫言佛法無多子。未透玄關也大難。祇如玄關作麼生透。喝一喝。

建寧の人なり。上堂、「兵印に隨いて轉じ、三千里の外煙塵を絶つ、將符に逐て行き、二六の時中淨躶躶たり、鐵旗鐵皷を用いずして、自ら然に草偃ぎ風行く、何ぞ須いん七縱七擒、直に思なくして服せざる無しを得しめん、所謂大丈夫慧劒を秉り、般若の鋒兮金剛の𦦨なり」。非だ能く外道の心を摧くのみならず。早く曾て天魔の膽を落却せり。正しく恁麼の時。且く道え主將は是れ什麼の人ぞ。一喝す。上堂、「南泉道う、我十八の上便ち活計を作すを解し、囊に蟻を繫ぐの絲無く、厨に蠅を聚むるの糝乏し、趙州道う、我十八の上便ち家を破り宅を散ずるを解し、南頭に賤を買い、北頭に貴を賣る、點檢して將來れば、好し三十棒を與えん」。且く一著を放過せん。何の故ぞ。曾て宕子と為りて偏に客を憐れみ。自ら杯を貪るを愛して醉人を惜しむ。上堂、「未だ口を開かざる時先に分付し、擬して思量する處千の山を隔つ、言う莫れ佛法多子無しと、未だ玄關を透らざるも亦た大いに難し、只だ如く玄關作麼生に透らん、一喝す」

福州皷山山堂僧洵禪師

福州皷山山堂僧洵禅師

本郡阮氏子。上堂。黃檗手中六十棒。不會佛法的的大意。卻較些子。大愚肋下築三拳。便道黃檗佛法無多子。鈍置殺人。須知有一人。大棒驀頭打。他不回頭。老拳劈面搥。他亦不顧。且道是誰。上堂。朔風掃地卷黃葉。門外千峰凜寒色。夜半烏龜帶雪飛。石女谿邊皺兩眉。卓拄杖雲。大家在這裡。且道天寒人寒。喝一喝雲。歸堂去。

本郡阮氏の子。上堂、「黃檗の手中の六十棒、佛法の的の大意を會せざれば、卻って些子を較ぶ、大愚の肋下に三拳を築きて、便ち道う黃檗の佛法多子無しと、鈍置して人を殺す、須らく知れ一の人有りて、大棒蓦っから頭を打たれても、他頭を回さず、老拳面を劈いて搥かれても」。他亦た顧みず。且く道え是れ誰ぞ。上堂、「朔風地を掃いて黃葉を卷き、門の外千峰凛として寒色、夜半烏龜雪を帶びて飛び、石女溪の邊兩眉を皺める、拄杖を卓して云う、大家這裏に在り、且く道え天寒なるか人寒なるか、一喝して云う、堂に歸りて去れ」

福州皷山別峰祖珍禪師

福州皷山別峰祖珍禅師

興化林氏子。僧問。趙州遶禪床一帀。轉藏已竟。此理如何。師曰。畫龍看頭。畫虵看尾。曰。婆子道。比來請轉全藏。為甚麼祇轉得半藏。此意又且如何。師曰。人無遠慮。必有近憂。曰。未審甚麼處是轉半藏處。師曰。不是知音者。徒勞話歲寒。上堂。尋牛須訪跡。學道貴無心。跡在牛還在。無心道易尋。竪起拂子曰。這箇是跡。牛在甚麼處。直饒見得頭角分明。鼻孔也在法石手裡。上堂。向上一路。千聖不傳。卓拄杖曰。恁麼會得。十萬八千。畢竟如何。桃紅李白薔薇紫。問著春風總不知。示眾雲。大道祗在目前。要且目前難覩。欲識大道真體。不離聲色言語。卓拄杖雲。這箇是聲。竪起拄杖雲。這箇是色。喚甚麼作大道真體。直饒向這裡見得。也是鄭州出曹門。示眾。若論此事。如人吃飯。飽則便休。若也不飽。必有思食之心。若也過飽。又有傷心之患。到這裡。作麼生得恰好去。良久雲。且歸巖下宿。同看月明時。

興化林氏の子。僧問う、「趙州禅床を繞ること一帀、藏を轉ずること已に竟えり、此の理如何」。老師曰く、「龍を畫きて頭を看、虵を畫きて尾を看よ」。曰く、「婆子道う、比來全藏を轉ぜんを請いしに、什麼を以てか只だ半藏を轉じ得たる、此の意又且く如何」。老師曰く、「人遠慮無ければ、必ず近憂有り」。曰く、「未だ審かに什麼の處か是れ半藏を轉ずる處」。老師曰く、「是れ知音の者に非ざれば、徒らに歲寒を話すを勞す」。上堂、「牛を尋ねんには須らく迹を訪うべし、道を學ぶには心無きを貴ぶ、迹在れば牛還た在り、心無ければ道尋ね易し」。拂子を竪起して曰く、「這個は是れ迹、牛は什麼の處に在る、直饒頭角分明なるを見るとも、鼻孔も亦た法石の手裏に在り」。上堂、「向上の一路、千聖傳えず」。拄杖を卓して曰く、「恁麼に會得せば、十萬八千、畢竟如何、桃紅李白薔薇紫、春風に問えども總て知らず、衆に示して云う、大道只だ目前に在り、要す且く目前覩難し、大道の真體を識らんと欲せば、聲色言語を離れず」。拄杖を卓して云う。這個は是れ聲。拄杖を竪起して云う。這個は是れ色。喚びて什麼を大道の真體と作す。直饒這裏に向かって見得するも。亦た是れ鄭州曹門を出づ。衆に示す。若し此の事を論ぜば。人の飯を喫うが如し。飽けば則ち便ち休め。若しも飽けざれば。必ず食を思うの心有り。若しも過飽せば。又心を傷えるの患有り。這裏に到りて。作麼生に恰好を得て去らん。良久して云う。且く巖の下に歸り宿して、同じく月明の時を看ん

黃龍逢禪師法嗣

黃龍逢禅師法嗣

饒州薦福常庵擇崇禪師

饒州薦福常庵擇崇禅師

寧國府人也。上堂。舉。僧問古德。生死到來。如何免得。德曰。柴鳴竹爆驚人耳。僧曰。不會。德曰。家犬聲獰夜不休。師曰。諸人要會麼。柴鳴竹爆驚人耳。大洋海底紅塵起。家犬聲獰夜不休。陸地行船三萬裡。堅牢地神笑呵呵。須彌山王眼覷鼻。把手東行卻向西。南山聲應北山裡。千手大悲開眼看。無量慈悲是誰底。良久曰。頭長腳短。少喜多瞋。上堂。問侍者曰。還記得昨日因緣麼。曰。記不得。復顧大眾曰。還記得麼。眾無對。竪起拂子曰。還記得麼。良久曰。也忘卻了也。三處不成。一亦非有。諸人不會方言。露柱且莫開口。以拂子擊禪床。下座。

寧國府の人なり。上堂。「擧ぐ」。僧古德に問う。生死到來せば。如何にか免れん。德曰く、「柴鳴り竹爆きて人の耳を驚かす」。僧曰く、「會せず」。德曰く、「家犬聲狞として夜休せず」。老師曰く、「諸人要して會せんか、柴鳴り竹爆きて人の耳を驚かせば、大洋の海底紅塵起き、家犬聲狞として夜休せざれば、陸地船を行くこと三萬里、堅牢の地神呵呵と笑い、須彌の山王眼鼻を觑り、手を把りて東に行き卻って西に向かい、南山の聲北山の裏に應じ、千手の大悲眼を開きて看る」。無量の慈悲是れ誰の底ぞ。良久して曰く、「頭長く脚短く、喜び少なく瞋り多し」。上堂。侍者に問いて曰く、「還た記得するか昨日の因緣を」。曰く、「記得せず」。復た大衆を顧みて曰く、「還た記得するか、衆對えず」。拂子を竪起して曰く、「還た記得するか」。良久して曰く、「亦た忘却し了れり、三處成らずして、一も亦た有に非ず、諸人方言を會せず、露柱且く口を開く莫れ、拂子を以て禅床を擊ち、下座」

天寧卓禪師法嗣

天寧卓禅師法嗣

慶元府育王無示介諶禪師

慶元府育王無示介諶禅師

溫州張氏子。謝知事。上堂。尺頭有寸。鑑者猶稀。秤尾無星。且莫錯認。若欲定古今輕重。較佛祖短長。但請於中著一隻眼。果能一尺還他十寸。八兩元是半斤。自然內外和平。家國無事。山僧今日。已是兩手分付。汝等諸人還肯信受奉行也無。尺量刀剪徧世間。誌公不是閑和尚。上堂。文殊智。普賢行。多年曆日。德山棒。臨濟喝。亂世英雄。汝等諸人穿僧堂。入佛殿。還知嶮過鐵圍關麼。忽然踏著釋迦頂。𩕳磕著聖僧額頭。不免一場禍事。上堂。我若說有。你為有礙。我若說無。你為無礙。我若橫說。你又跨不過。我若竪說。你又跳不出。若欲叢林平帖。大家無事。不如推倒育王。且道育王如何推得倒去。召大眾曰。著力。著力。復曰。苦哉。苦哉。育王被人推倒了也。還有路見不平。㧞劍相為底麼。若無。山僧不免自倒自起。擊拂子。下座。師性剛毅。涖眾有古法。時以諶鐵面稱之。

溫州張氏の子。知事を謝す。上堂、「尺の頭寸有りて、鑑る者猶ほ稀なり、秤の尾星無くして、且く錯りて認むる莫れ、若し古今の輕重を定め、佛祖の短長を較べんと欲せば、但だ請う中に一隻の眼を著けよ、果たして能く一尺を以て他の十寸に還し、八兩元より是れ半斤なれば、自ら然に內外和平」。家國事無し。山僧今日。已に是れ兩手に分付す。汝等の諸人還た肯じて信受奉行するや無しや。尺量刀剪徧く世間。志公是れ閑和尚に非ず。上堂、「文殊の智、普賢の行、多年の歷日、德山の棒、臨濟の喝、亂世の英雄、汝等の諸人僧堂を穿り、佛殿に入るに、還た知るか鐵圍關よりも嶮なるを、忽然として釋迦の頂を踏み」。𩕳として聖僧の額頭に磕き着かば。免れざらん一場の禍事。上堂、「我若し有と説かば、你有を礙と為し、我若し無と説かば、你無を礙と為す」。我若し橫に説かば、「你又跨ぎ過ぐる能わず」。我若し竪に説かば、「你又跳び出づる能わず、若し叢林平帖にして、大家事無からんと欲せば、育王を推倒するに如かず、且く道え育王如何に推せば倒れ得て去らん」。大衆を召して曰く、「力を著けよ、力を著けよ」。復た曰く、「苦なり哉、苦なり哉、育王人に推し倒され了れり、還た路不平を見て、劍を㧞きて相い為る底有るか、若し無ければ、山僧免れず自ら倒れ自ら起たん、拂子を擊ち、下座」。老師性剛毅にして。衆を涖むに古の法有り。時に諶鐵面と以て之を稱す

安吉州道場普明慧琳禪師

安吉州道場普明慧琳禅師

福州人。上堂。有漏笊籬。無漏木杓。庭白牡丹。檻紅芍藥。因思九年面壁人。到頭不識這一著。且道作麼生是這一著。以拄杖擊禪床下座。上堂。一即多。多即一。毗盧頂上明如日。也無一。也無多。現成公案沒誵譌。拈起舊來氈拍板。明時共唱太平歌。

福州の人。上堂、「漏有る笊籬、漏無き木杓、庭に白き牡丹、檻に紅き芍藥、因りて思う九年壁に面する人、頭に到りて這の一著を識らざるを、且く道え作麼生なるか是れ這の一著、拄杖を以て禅床を擊ちて下座」。上堂、「一即ち多、多即ち一、毘盧の頂上明かなること日の如し、一も無く、多も無く、現成の公案誵譌無し、舊來の氈の拍板を拈起して、明時に共に太平の歌を唱わん」

安吉州道場無傳居慧禪師

安吉州道場無傳居慧禅師

本郡吳氏子。上堂。鍾馗醉裡唱涼州。小妹門前祇點頭。巡海夜叉相見後。大家拍手上高樓。大眾若會得去。鏁卻天下人舌頭。若會不得。將謂老僧別有奇特。上堂。百尺竿頭弄影戲。不唯瞞你又瞞天。自笑平生歧路上。投老歸來沒一錢。上堂。舉臨濟示眾曰。一人在高高峰頂。無出身之路。一人在十字街頭。亦無向背。且道那箇在前。那箇在後。師曰。更有一人不在高高峰頂。亦不在十字街頭。臨濟老漢因甚不知。便下座。

本郡吳氏の子。上堂、「鍾馗醉の裏涼州を唱え、小妹門の前只だ頭を點く、海を巡る夜叉相見えて後、大家手を拍ちて高樓に上る、大衆若し會得して去れば、天下人の舌頭を鏁却せん、若し會得せざれば、將に謂わん老僧別に奇特有るを」。上堂、「百尺の竿頭影戲を弄ぶ、唯だ你を瞞るのみならず又天を瞞る、自ら笑う平生歧路の上、老に投じて歸り來りて一錢無し」。上堂。臨濟の衆に示すを擧げて曰く、「一人高高峰の頂に在りて、身を出だすの路無く、一人十字の街頭に在りて、亦た向背無し、且く道え哪個か前に在り、哪個か後に在る」。老師曰く、「更に一の人高高峰の頂に在らずして、亦た十字の街頭に在らず、臨濟の老漢因りて甚だ知らざる」。便ち下座

臨安府顯寧松堂圓智禪師

臨安府顯寧松堂圓智禅師

上堂。蘆華白。蓼華紅。溪邊脩竹碧煙籠。閑雲抱幽石。玉露滴巖叢。昨夜烏龜變作鼈。今朝水牯悟圓通。咄。

上堂、「蘆の華白く、蓼の華紅し、溪邊の修竹碧烟に籠められ、閑雲幽石を抱き、玉露巖叢に滴る、昨夜烏龜變じて鼈と作り、今朝水牯圓通を悟る、咄」

安吉州烏回唯庵良範禪師

安吉州烏回唯庵良範禅師

上堂。塵劫已前事。堂堂無背面。動靜莫能該。舒捲快如電。莫道凡不知。佛也覷不見。決定在何處。合取這兩片。薦不薦。更為諸人通一線。良久曰。天下太平。皇風永扇。上堂。舉。僧問趙州。至道無難。唯嫌揀擇。是時人窠窟否。州曰。曾有人問。老僧直得五年分疎不下。師召眾曰。趙州具頂門眼。向擊石火裡分緇素。閃電光中明縱奪。為甚麼卻五年分疎不下。還委悉麼。易分雪裡粉。難辨墨中煤。

上堂、「塵劫已前の事、堂堂として背面無し、動靜能く該む莫れ、舒卷快なること電の如し、道う莫れ凡は知らざると、佛も亦た觑り見えず、決定して何の處に在る、合して取るべし這の兩片を、薦するや薦せざるや、更に諸人の為に一線を通ぜん」。良久して曰く、「天下太平、皇風永く扇がん」。上堂。「擧ぐ」。僧趙州に問う。至道難きこと無し。唯だ揀擇を嫌う。是れ時人の窠窟か否か。州曰く。曾て人の問う有り、「老僧直に五年分疎し下さざるを得たり」。老師衆を召して曰く、「趙州頂門の眼を具えて、石を擊つ火の裏に向かって緇素を分ち、電の光の中に於て縱奪を明らむ、什麼を以てか卻って五年分疎し下さず、還た委悉するか、分ち易し雪裏の粉、辨え難し墨の中の煤」

溫州本寂靈光文觀禪師

溫州本寂靈光文觀禅師

本郡葉氏子。上堂。過去諸如來。斯門已成就。好事不如無。現在諸菩薩。今各入圓明。好事不如無。未來修學人。當依如是住。好事不如無。還知麼。除卻華山陳處士。何人不帶是非行。參。

本郡葉氏の子。上堂、「過去の諸の如來、斯の門已に成就す、好事無きに如かず、現在の諸の菩薩、今各々圓明に入る、好事無きに如かず、未來の修學人、當に是の如く依りて住すべし、好事無きに如かず、還た知るか」。華山の陳處士を除却するより。何人か是非を帶びて行かざる。參

黃龍震禪師法嗣

黃龍震禅師法嗣

常德府德山無諍慧初禪師

常德府德山無諍慧初禅師

靜江府人也。上堂。顧視大眾曰。見麼。在天成象。在地成形。在日月為晦為朔。在四時為寒為暑。鼓之以雷霆。潤之以風雨。且道在衲僧分上。又作麼生。一趯趯飜四大海。一拳拳倒須彌山。佛祖位中留不住。又吹漁笛汨羅灣。上堂。九月二十五。聚頭相共舉。瞎卻正法眼。拈卻雲門普。德山不會說禪。贏得村歌社舞。阿呵呵。邏囉哩。遂作舞。下座。

靜江府の人なり。上堂。大衆を顧視して曰く、「見るか、天に在りて象を成し、地に在りて形を成し、日月に在りて晦と為り朔と為り、四時に在りて寒と為り暑と為り、之を鼓するに雷霆を以てし、之を潤すに風雨を以てす、且く道え衲僧の分上に在りて、又作麼生、一趯趯飜す四大の海」。一拳拳倒す須彌山。佛祖の位中留まるを得ず。又漁笛を吹く汨羅の灣。上堂、「九月二十五、頭を聚めて相い共に擧ぐ、正法眼を瞎却し、雲門の普を拈却す、德山禅を説くを會せず、贏得たり村歌社舞、阿呵呵、邏囉哩」。遂に舞を作し。下座

萬年一禪師法嗣

萬年一禅師法嗣

嘉興府報恩法常首座

嘉興府報恩法常首座

開封人也。丞相薛居正之裔。宣和七年。依長沙益陽華嚴元軾下髮。徧依叢林。於首楞嚴經。深入義海。自湖湘至萬年謁雪巢。機契。命掌牋翰。後首眾報恩。室中唯一矮榻。餘無長物。庚子九月中。語寺僧曰。一月後不復留此。十月二十一往方丈。謁飯。將曉。書漁父詞於室門。就榻收足而逝。詞曰。此事楞嚴甞露布。梅華雪月交光處。一笑寥寥空萬古。風甌語。迥然銀漢橫天宇。蝶夢南華方栩栩。斑斑誰跨豐幹虎。而今忘卻來時路。江山暮。天涯目送鴻飛去。

開封の人なり。丞相薛居正の裔。宣和七年。長沙益陽の華嚴元軾に依りて髮を下す。徧く叢林に依る。首楞嚴經に於て。深く義海に入る。湖湘より萬年に至りて雪巢を謁う。機契す。牋翰を掌るを命ぜらる。後に報恩に首衆す。室中唯だ一の矮榻のみ。餘に長物無し。庚子九月の中。寺僧に語りて曰く、「一月の後復た此に留まらず、十月二十一方丈に往き、飯を謁え、將に曉けんとして、漁父の詞を室門に書し、榻に就きて足を收めて逝く」。詞に曰く、「此の事楞嚴嘗て露布せり、梅華雪月光を交うる處、一笑寥寥として萬古を空しくし、風甌の語、迥然として銀漢天宇に橫たわる、蝶夢南華方に栩栩として、斑斑として誰か豐干の虎に跨る、而今來りし時の路を忘却せり、江山暮れ、天涯目鴻の飛び去るを送る」

嶽山祖庵主法嗣

嶽山祖庵主法嗣

廬山延慶叔禪師

廬山延慶叔禅師

僧問。多子塔前。共談何事。師曰。一回相見一回老。能得幾時為弟兄。僧禮拜師曰。唐興今日失利。

僧問う、「多子の塔の前、共に何の事を談ず」。老師曰く、「一回相見えば一回老い、幾時をか得て弟兄と為らん」。僧禮拜す老師曰く、「唐興今日失利せり」

勝因靜禪師法嗣

勝因靜禅師法嗣

漣水軍萬壽夢庵普信禪師

漣水軍萬壽夢庵普信禅師

上堂。殘雪既消盡。春風日漸多。若將時節會。佛法又如何。且道時節因緣與佛法道理。是同是別。良久曰。無影樹栽人不見。開華結果自馨香。

上堂、「殘雪既に消盡して、春風日に漸く多し、若し時節を將て會せば、佛法又如何、且く道え時節の因緣と佛法の道理と、是れ同か別か」。良久して曰く、「影無き樹栽えて人見えず、華を開き果を結んで自ら馨香なり」

平江府慧日默庵興道禪師

平江府慧日默庵興道禅師

上堂。同雲欲雪未雪。愛日似暉不暉。寒雀啾啾閙籬落。朔風冽冽舞簾帷。要會韶陽親切句。今朝覿面為提撕。卓拄杖。下座。

上堂、「同雲雪を降らんと欲して未だ雪らず、愛日暉に似て暉ならず、寒雀啾啾として籬落を閙し、朔風冽冽として簾帷を舞わす、要して韶陽の親切の句を會せんとせば、今朝覿面に為に提撕せん、拄杖を卓し、下座」

廣德軍光孝果慜禪師

廣德軍光孝果慜禅師

常德桃源人也。上堂。舉南泉斬貓兒話。乃曰。南泉提起下刀誅。六臂脩羅救得無。設使兩堂俱道得。也應流血滿街衢。

常德桃源の人なり。上堂。「南泉の猫兒を斬るの話を擧ぐ」。乃ち曰く、「南泉提起して刀を下して誅す、六臂の修羅救い得る無し、設し兩堂俱に道い得せしめも、應に血を流して街衢に滿たん」

雪峰需禪師法嗣

雪峰需禅師法嗣

福州雪峰毬堂慧忠禪師

福州雪峰毬堂慧忠禅師

上堂。終日忙忙。那事無妨。作麼生是那事。良久曰。心不負人。面無慚色。

上堂、「終日忙忙として、那の事妨げ無し、作麼生なるか是れ那の事」。良久して曰く、「心人に負かず、面慚色無し」

天童交禪師法嗣

天童交禅師法嗣

慶元府蓬萊圓禪師

慶元府蓬萊圓禅師

住山三十年。足不越閫。道俗尊仰之。師有偈曰。新縫紙被烘來煖。一覺安眠到五更。聞得上方鐘皷動。又添一日在浮生。

山を住すること三十年。足阃を越えず。道俗之を尊仰す。老師偈有りて曰く、「新たに縫える紙被烘ね來りて煖く、一覺安く眠りて五更に到る、上方の鐘皷の動くを聞き得て、又一日を浮生に添う」

圓通旻禪師法嗣

圓通旻禅師法嗣

江州廬山圓通守慧沖真密印通慧禪師

江州廬山圓通守慧沖真密印通慧禅師

上堂。但知今日復明日。不覺前秋與後秋。平步坦然歸故里。卻乘好月過滄洲。咦。不是苦心人不知。

上堂、「但だ知る今日復た明日、覺えず前秋と後秋と、平步坦然として故裏に歸り、卻って好月に乘じて滄洲を過ぐ、咦、是れ苦心の人知らざるに非ず」

隆興府黃龍道觀禪師

隆興府黃龍道觀禅師

上堂曰。古人道。眼色耳聲。萬法成辦。你諸人為甚麼從朝至暮。諸法不相到。遂喝一喝。曰。牽牛入你鼻孔。禍不入慎家之門。

上堂曰く、「古人道う、眼色耳聲、萬法成辦す、你の諸人什麼を以てか朝より暮に至るまで、諸法相い到らざる」。遂に一喝して。曰く、「牛を牽きて你の鼻孔に入れ、禍慎家の門に入らず」

左丞範沖居士

左丞范沖居士

字致虗。由翰苑守豫章。過圓通謁旻禪師。茶罷曰。某行將老矣。墮在金紫行中。去此事稍遠。通呼內翰。公應喏。通曰。何遠之有。公躍然曰。乞師再垂指誨。通曰。此去洪都有四程。公佇思。通曰。見即便見。擬思即差。公乃豁然有省。

字は致虗。翰苑より豫章を守る。圓通に過りて旻禅師を謁う。茶罷みて曰く、「某行く將に老いんとす、金紫の行の中に墮して、此の事を去ること稍く遠し、通內翰と呼びて、公應喏す」。通曰く、「何の遠き之か有らん」。公躍然として曰く、「師の再び指誨を垂れんを乞う」。通曰く、「此を去りて洪都四程有り、公佇思す」。通曰く、「見れば便ち見え、擬し思えば即ち差し、公乃ち豁然として省る所有り」

樞密吳居厚居士

樞密吳居厚居士

擁節歸鍾陵。謁圓通旻禪師。曰。某頃赴省試。過此。過趙州關。因問前住訥老。透關底事如何。訥曰。且去做官。今不覺五十餘年。旻曰。曾明得透關底事麼。公曰。八次經過。常存此念。然未甚脫灑在。旻度扇與之。曰。請使扇。公即揮扇。旻曰。有甚不脫灑處。公忽有省曰。便請末後句。旻乃揮扇兩下。公曰。親切。親切。旻曰。吉獠舌頭三千里。

節を擁して鍾陵に歸る。圓通旻禅師を謁う。曰く、「某頃り省試に赴きて、此を過ぎ、趙州關を過る、因りて前住訥老に問う、關を透る底の事如何」。訥曰く、「且く官を做して去れ、今覺えず五十餘年」。旻曰く、「曾て關を透る底の事を明得せしか」。公曰く、「八次經過して、常に此の念を存す、然れども未だ甚だ脱洒ならず在り、旻扇を度して之に與う」。曰く、「扇を使えと請う、公即ち扇を揮う」。旻曰く、「甚だ脱洒ならざる處有り」。公忽ち省る所有りて曰く、「便ち末後の句を請う、旻乃ち扇を揮うこと兩下」。公曰く、「親切、親切」。旻曰く、「吉獠の舌頭三千里」

諫議彭汝霖居士

諫議彭汝霖居士

手寫觀音經施圓通。通拈起曰。這箇是觀音經。那箇是諫議經。公曰。此是某親寫。通曰。寫底是字。那箇是經。公笑曰。卻了不得也。通曰。即現宰官身而為說法。公曰。人人有分。通曰。莫謗經好。公曰。如何即是。通舉經示之。公拊掌大笑曰。嗄。通曰。又道了不得。公禮拜。

手に觀音經を寫して圓通に施す。通拈起して曰く、這個は是れ觀音經。那個は是れ諫議經。公曰く、此れ是れ某の親寫。通曰く、寫す底は是れ字。那個は是れ經。公笑い曰く、卻って了得せざるなり。通曰く、即ち宰官の身を現じて為に法を説く。公曰く、人人分有り。通曰く、經を謗る莫れ好し。公曰く、如何にか即ち是れ。通經を擧げて之に示す。公掌を拊きて大笑して曰く、嗄。通曰く、又道い了れり了得せずと。公禮拜す

中丞盧航居士

中丞盧航居士

與圓通擁爐次。公問。諸家因緣。不勞拈出。直截一句。請師指示。通厲聲指曰。看火。公急撥衣。忽大悟。謝曰。灼然。佛法無多子。通喝曰。放下著。公應喏喏。

圓通と爐を擁するの次。公問う。諸家の因緣。拈出を勞せず。直截の一句。師の指示を請う。通聲を厲めて指して曰く、火を看よ。公急に衣を撥きて。忽ち大悟す。謝して曰く、灼然たり。佛法多子無し。通喝して曰く、放下著せよ。公喏喏と應ず

左司都貺居士

左司都贶居士

問圓通曰。是法非思量分別之所能解。當如何湊泊。通曰。全身入火聚。公曰。畢竟如何曉會。通曰。驀直去。公沈吟。通曰。可更吃茶麼。公曰。不必。通曰。何不恁麼會。公契旨。曰。元來太近。通曰。十萬八千。公占偈曰。不可思議。是大火聚。便恁麼去。不離當處。通曰。咦。猶有這箇在。公曰。乞師再垂指示。通曰。便恁麼去。鐺是鐵鑄。公頓首謝之。

圓通に問いて曰く、是の法思量分別の能く解する所に非ず。當に如何にか湊泊せん。通曰く、全身火聚に入れ。公曰く、畢竟如何にか曉會せん。通曰く、蓦直に去れ。公沈吟す。通曰く、可なりや更に茶を喫せん。公曰く、必ならず。通曰く、何ぞ恁麼に會せざる。公旨に契えり。曰く、元來太だ近し。通曰く、十萬八千。公偈を占めて曰く、不可思議。是れ大火聚。便ち恁麼に去れば。當處を離れず。通曰く、咦。猶ほ這個在り。公曰く、師の再び指示を垂れんを乞う。通曰く、便ち恁麼に去れ。鐺は是れ鐵鑄。公頓首して之を謝す

明招慧禪師法嗣

明招慧禅師法嗣

楊州石塔宣秘禮禪師

楊州石塔宣秘禮禅師

僧問。山河大地。與自己是同是別。師曰。長亭涼夜月。多為客鋪舒。曰。謝師答話。師曰。網大難為鳥。綸稠始得魚。僧作舞歸眾。師曰。長江為硯墨。頻寫斷交書。上堂。舉百丈野狐話。乃曰。不是飜濤手。徒誇跨海鯨。由基方撚鏃。枝上眾猿驚。上堂。至座前。師搊一僧上法座。僧慞惶欲走。師遂指座曰。這棚子。若牽一頭驢上去。他亦須就上屙在。汝諸人因甚麼卻不肯。以拄杖一時趕散。顧侍者曰。嶮。

僧問う、山河大地。自己と是れ同か別か。師曰く、長亭涼夜の月。多く客の為に鋪舒す。曰く、師の答話を謝す。師曰く、網大きければ鳥を為し難し。綸稠なれば始めて魚を得。僧舞を作して衆に歸る。師曰く、長江を硯墨と為して。頻りに斷交の書を寫す。上堂、百丈の野狐の話を擧ぐ。乃ち曰く、是れ濤を飜す手に非ざれば、徒らに海を跨ぐ鯨を誇る、由基方に鏃を撚れば、枝の上衆猿驚く。上堂、座の前に至りて。師一の僧を搊りて法座に上げる。僧慞惶して走らんと欲す。師遂に座を指して曰く、這の棚子。若し一頭の驢を牽きて上げても、他も亦た須らく就上屙して在らん。汝の諸人因りて什麼か卻って肯ぜざる。拄杖を以て一時に趕散す。侍者を顧みて曰く、崄

浮山真禪師法嗣

浮山真禅師法嗣

峨嵋靈巖徽禪師

峨嵋靈巖徽禅師

僧問。文殊是七佛之師。未審誰是文殊之師。師曰。金沙灘頭馬郎婦。

僧問う、文殊は是れ七佛の師。未だ審かに誰か是れ文殊の師。師曰く、金沙灘頭の馬郎婦

祥符立禪師法嗣

祥符立禅師法嗣

湖南報慈淳禪師

湖南報慈淳禅師

上堂曰。青眸一瞬。金色知歸。授手而來。如王寶劍。而今開張門戶。各說異端。可謂古路坦而荊棘生。法眼正而還自翳。孤負先聖。埋沒己靈。且道不埋沒不孤負正法眼藏如何吐露。還有吐露得底麼。出來吐露看。如無。擔取詩書歸舊隱。野華啼鳥一般春(聯燈作烏回範語)。

上堂曰く、青眸一瞬して。金色歸るを知る。手を授けて來り。王の寶劍の如し。而今門戶を開張して。各々異端を説く。謂う可し古の路坦えきて荆棘生じ。法眼正しくて還た自ら翳れり。先聖を孤負し。己靈を埋没す。且く道え埋没せず孤負せざる正法眼藏如何にか吐露せん。還た吐露し得る底有るか。出で來りて吐露して看よ。如く無ければ。詩書を擔て取りて舊隱に歸り、野華啼鳥一般の春(聯燈烏回範の語と作す)

雲巖遊禪師法嗣

雲巖游禅師法嗣

臨安府徑山塗毒智䇿禪師

臨安府徑山塗毒智䇿禅師

天台陳氏子。幼依護國僧楚光落髮。十九造國清。謁寂室光。灑然有省。次謁大圓於明之萬壽。圓問曰。甚處來。師曰。天台來。曰。見智者大師麼。師曰。即今亦不少。曰。因甚在汝腳跟下。師曰。當面蹉過。圓曰。上人不耘而秀。不扶而直。一日辭去。圓送之門。拊師背曰。寶所在近。此城非實。不頷之。往豫章謁典牛。道由雲居。風雪塞路。坐閱四十二日。午初。版聲鏗然。豁爾大悟。及造門。典牛獨指師曰。甚處見神見鬼來。師曰。雲居聞版聲來。牛曰。是甚麼。師曰。打破虗空。全無柄靶。牛曰。向上事未在。師曰。東家暗坐。西家廝罵。牛曰。嶄然超出佛祖。他日起家。一麟足矣。住後。上堂。舉。教中道。若以色見我。以音聲求我。是人行邪道。不能見如來。雖然恁麼。正是捕得老鼠。打破油甕。懷禪師道。你眼在甚麼處。雖則識破釋迦老子。爭奈拈䭔䑛指。若是塗毒即不然。色見聲求也不妨。百華影裡繡鴛鴦。自從識得金針後。一任風吹滿袖香。師將示寂。陞座別眾。囑門人以文祭之。師危坐傾聽。至尚饗。為之一笑。越兩日。沐浴更衣。集眾說偈曰。四大既分飛。煙雲任意歸。秋天霜夜月。萬裡轉光輝。俄頃。泊然而逝。塔全身於東岡之麓。

天臺陳氏の子。幼にして護國僧楚光に依りて髮を落す。十九國淸を造り。寂室光を謁う。洒然として省る所有り。次いで明の萬壽に於て大圓を謁う。圓問う、甚の處より來る。師曰く、天臺より來る。曰く、智者大師を見たるか。師曰く、即今も亦た少なからず。曰く、因りて甚だ汝の脚跟の下に在る。師曰く、當面蹉過せり。圓曰く、上人耘らずして秀で、扶けずして直し。一日辭して去る。圓之を門に送りて。師の背を拊して曰く、寶所近き在り。此の城實に非ず。之を頷かず。往きて豫章に至りて典牛を謁う。道雲居に由る。風雪路を塞ぐ。坐して閱ること四十二日。午の初め。版の聲铿然たり。豁爾として大悟す。及び門を造る。典牛獨り師を指して曰く、甚の處に神を見鬼を見て來る。師曰く、雲居に版の聲を聞きて來る。牛曰く、是れ什麼ぞ。師曰く、虚空を打破して、全く柄靶無し。牛曰く、向上の事未だ在らず。師曰く、東家暗く坐し、西家厮罵す。牛曰く、崭然として佛祖を超出す、他日起家せんには、一麟足れり。住して後。上堂、擧ぐ。教の中に道う、若し色を以て我を見、音聲を以て我を求めば、是の人邪道を行じて、如來を見る能わず。然りと雖も恁麼、正に是れ老鼠を捕得して、油瓮を打破す。懷禅師道う。你の眼は什麼の處に在る。雖も則ち釋迦老子を識破すと、争奈ん䭔を拈じて指を䑛するを。若し是れ塗毒ならば即ち然らず。色に見て聲に求むるも亦た妨げず。百華の影裏鴛鴦を繡う。自ら金針を識得して後。一任す風吹きて袖に滿ち香なり。師將に寂を示さんとす。座に升りて衆に別る。門人をして文を以て之を祭らしむるを囑す。師危坐して傾聽す。尚饗に至りて。之為に一笑す。兩日を越えて。沐浴更衣し。衆を集めて偈を説いて曰く、四大既に分れ飛ぶ。雲烟意に任せて歸る。秋天霜夜の月。萬里轉じて光輝なり。俄頃。泊然として逝く。全身を東岡の麓に塔す

信相顯禪師法嗣

信相顯禅師法嗣

成都府金繩文禪師

成都府金繩文禅師

僧問如何是大道之源。師曰黃河九曲。曰。如何是不犯之令。師曰鐵蛇鑽不入。僧擬議。師便打。

僧問う如何なるか是れ大道の源。師曰く黃河九の曲。曰く、如何なるか是れ犯さざるの令。師曰く鐵蛇鑽り入らず。僧擬議す。師便ち打つ

南嶽下十六世

南嶽下十六世

育王諶禪師法嗣

育王諶禅師法嗣

台州萬年心聞曇賁禪師

台州萬年心聞曇賁禅師

永嘉人。住江心。病起上堂。維摩病說盡道理。龍翔病咳嗽不已。咳嗽不已。說盡道理。說盡道理。咳嗽不已。汝等諸人還識得其中意旨也未。本是長江湊風冷。卻教露柱患頭風。上堂。一見便見。八角磨盤空裡轉。一得永得。辰錦硃砂如墨黑。秋風吹渭水。已落雲門三句裡。落葉滿長安。幾箇而今被眼瞞。竪拂子曰。瞞得瞞不得。總在萬年手裡。還見麼。華頂月籠招手石。斷橋水落捨身巖。僧問。百丈卷席。意旨如何。師曰。賊過後張弓。四明太守以雪竇命師主之。師辭以偈曰。閙籃方喜得抽頭。退皷而今打未休。莫把乳峰千丈雪。重來換我一雙眸。

永嘉の人。江心を住す。病起きて上堂、維摩病みて道理を説き盡くす。龍翔病みて咳嗽已まず。咳嗽已まず。道理を説き盡くす。道理を説き盡くす。咳嗽已まず。汝等の諸人還た其の中の意旨を識得するや未だや。本より是れ長江風冷を湊む。卻って露柱を敎えて頭風を患えしむ。上堂、一見便ち見る。八角の磨盤空裏に轉ず。一得永く得。辰錦硃砂墨の黑きが如し。秋風渭水を吹く。已に雲門の三句の裏に落つ。落葉長安に滿つ。幾個か而今眼に瞞えらる。拂子を竪起して曰く、瞞う得る瞞う得ざる。總て萬年の手裏に在り。還た見るか。華頂の月招手の石を籠め。斷橋の水落ちて舍身の巖。僧問う、百丈席を卷く。意旨如何。師曰く、賊過ぎて後に弓を張る。四明の太守雪竇を以て師をして之を主らしめんを命ず。師偈を以て辭して曰く、閙籃方に喜ぶ頭を抽け得たるを、退皷而今打ちて未だ休まず、乳峰の千丈の雪を把る莫れ。重ねて來りて我の一雙の眸に換えん

慶元府天童慈航了樸禪師

慶元府天童慈航了朴禅師

福州人。上堂。酷暑如焚不易禁。炎炎赫赫欲流金。夜明簾外無人到。靈木迢然轉綠陰。上堂。久雨不晴。半睡半醒。可謂天地合其德。日月合其明。四時合其序。鬼神合其吉凶。遂喝曰。住。住。內卦已成。更求外象。卓拄杖曰。適來擲得雷天大壯。如今變作地火明夷。上堂。牛皮鞔露柱。露柱啾啾叫。燈籠佯不知。虗明還自照。殿脊老蚩吻。聞得呵呵笑。三門側耳聽。就上打之遶。譬如十日菊。開徹阿誰要。阿呵呵。未必秋香一夜衰。熨斗煎茶不同銚。室中問僧。賊來須打。客來須看。祇如三更夜半。人面似賊。賊面似人。作麼生辨。上堂。觀音巖玲玲瓏瓏。太白石丁丁東東。西園菜蟥。似不堪食。東谷華發。卻無賴紅。且道是祖意教意。途中受用。世諦流佈。若辨不出。雪峰覆卻飯桶。若辨得出。甘贄禮拜蒸籠。參。上堂。德山入門便棒。臨濟入門便喝。臨濟喝處。德山棒頭耳聾。德山棒時。臨濟喝下眼瞎。雖然一搦一擡。就中全生全殺。遂喝一喝。卓拄杖一下雲。敢問諸人是生是殺。良久雲。君子可八。

福州の人。上堂、酷暑焚くが如くして禁え易からず。炎炎赫赫として金を流さんと欲す。夜明の簾外人到らず。靈木迢然として綠陰を轉ず。上堂、久雨晴れず。半睡半醒。謂う可し天地其の德を合し。日月其の明を合し。四時其の序を合し。鬼神其の吉凶を合す。遂に喝して曰く、住せよ住せよ。內卦已に成れり。更に外象を求めん。拄杖を卓して曰く、適來雷天大壯を擲得して、如今變じて地火明夷と作る。上堂、牛皮露柱を鞔ぎて。露柱啾啾として叫ぶ。燈籠佯りて知らずして。虛明還た自ら照らす。殿の脊の老蚩吻。聞き得て呵呵と笑う。三門耳を側けて聽き。就上之を繞りて打つ。譬えば十日の菊の。開徹きて阿誰か要せん。阿呵呵。未だ必ずしも秋香一夜衰えず。熨斗茶を煎ずること銚と同じからず。室中僧に問う。賊來れば須らく打つべし。客來れば須らく看るべし。只だ如く三更夜半。人の面賊に似て。賊の面人に似たらば。作麼生に辨ぜん。上堂、觀音巖玲玲瓏瓏。太白の石丁丁東東。西園の菜蟥。食に堪えざるに似たり。東谷の華發く。卻って紅に賴る無し。且く道え是れ祖意か教意か。途中受用。世諦流布。若し辨じ出づること無ければ。雪峰覆却せん飯桶を。若し辨じ出づれば。甘贄禮拜せん蒸籠を。參。上堂、德山門に入れば便ち棒。臨濟門に入れば便ち喝。臨濟の喝する處。德山の棒頭耳聾す。德山の棒の時。臨濟の喝下眼瞎す。然りと雖も一搦一抬。中就て全く生き全く殺す。遂に一喝して。拄杖を卓すこと一下して云う。敢えて問う諸人是れ生か是れ殺か。良久して云う。君子八たり可なり

南劍州西巖宗回禪師

南劍州西巖宗回禅師

婺州人也。久依無示。深得法忍。因寺僧以茶禁聞有司。吏捕知事。師謂眾曰。此事不直之。則罪坐於我。若自直。彼復得罪。不忍為也。令擊皷陞座。說偈曰。縣吏追呼不暫停。爭如長往事分明。從前有箇無生曲。且喜今朝調已成。言訖而逝。

婺州の人なり。久しく無示に依る。深く法忍を得たり。因りて寺僧茶禁を以て有司に聞ゆ。吏知事を捕う。師衆に謂いて曰く、此の事之を直さざれば。則ち罪我に坐せん。若し自ら直せば。彼復た罪を得ん。忍びて為さざるなり。皷を擊ちて座に升らしむ。偈を説きて曰く、縣吏の追呼暫く停まらず。争いか長往の事分明に如かん。從前個の無生の曲有り。且く喜ぶ今朝調已に成るを。言訖りて逝く

高麗國坦然國師

高麗國坦然國師

少嗣王位。欽鄉宗乘。因海商方景仁抵四明錄無示語歸。師閱之啟悟。即棄位圓顱。作書以語要及四威儀偈。令景仁呈無示。示答曰。佛祖出興於世。無一法與人。實使其自信.自悟.自證.自到。具大知見。如所見而說。如所說而行。山河大地.草木叢林相與證明。其來久矣。後復通嗣法。其書略曰。生死海廣。劫殫同通。得遇本分宗師。以三要印子。驗定其法。實謂盲龜值浮木孔耳。

少にして王位を嗣ぎ。鄕に宗乘を欽す。因りて海商方景仁四明に抵りて無示の語を錄して歸る。師之を閱して啓悟す。即ち位を棄てて顱を圓す。書を作りて語要及び四威儀の偈を以て。景仁をして無示に呈せしむ。示答えて曰く、佛祖世に出興するに。人に與する法無し。實に其の自信.自悟.自證.自到せしめ。大なる知見を具えて。見る所の如くして説き。説く所の如くして行ず。山河大地.草木叢林相い與に證明す。其の來るや久し。後に復た法を嗣ぐを通ず。其の書略して曰く、生死の海廣く。劫殫きて同じく通ず。本分の宗師に遇い得て。三要の印子を以て。其の法を驗定す。實に謂う盲龜浮木の孔に値う耳

臨安府龍華無住本禪師

臨安府龍華無住本禅師

廣德人也。上堂。舉。雲門大師拈起胡餅曰。我祇供養兩淛人。不供養向北人。眾無語。門自代曰。天寒日短。兩人共一椀。師曰。韶陽老漢。言中有響。痛處著錐。檢點將來。飜成毒藥。諸人要會麼。半在河南半河北。一片虗凝似墨黑。冷地思量愁殺人。叵耐雲門這老賊。賊。賊。下座。更不巡堂。

廣德の人なり。上堂、擧ぐ。雲門大師胡餅を拈起して曰く、我只だ兩淛の人を供養して。北に向かう人を供養せず。衆語無し。門自ら代えて曰く、天寒く日短し。兩人共に一椀。師曰く、韶陽の老漢。言の中響有り。痛む處錐を著く。檢點して將來れば。飜て毒藥と成る。諸人要して會せんか。半ば河南に在り半ば河北に在りて。一片虛凝として墨の黑きに似たり。冷地に思量して人を愁殺す。叵耐せん雲門這の老老賊。賊。賊。下座。更に堂を巡らず

道場琳禪師法嗣

道場琳禅師法嗣

臨江軍東山吉禪師

臨江軍東山吉禅師

因李朝請與甥薌林居士向公子諲謁之。遂問。家賊惱人時如何。師曰。誰是家賊。李竪起拳。師曰。賊身已露。李曰。莫茶糊人好。師曰。贓證見在。李無語。師示以偈曰。家賊惱人孰奈何。千聖回機祇為他。徧界徧空無影跡。無依無住絕籠羅。賊。賊。猛將雄兵收不得。疑殺天下老禪和。笑倒閙市古彌勒。休。休。不用將心向外求。回頭瞥爾賊身露。和贓捉獲世無儔。世無儔。真可仰。從茲不復誇伎倆。怗怗安家樂業時。萬象森羅齊拊掌。

因りて李朝請甥の芗林居士向公子𬤇と與に之を謁う。遂に問う。家の賊人を惱ます時如何。師曰く、誰か是れ家の賊。李拳を竪起す。師曰く、賊の身已に露る。李曰く、茶を以て人を糊する莫れ好し。師曰く、贓證現在す。李語無し。師偈を以て示して曰く、家の賊人を惱ませば孰れか奈何せん、千聖機を回らすは只だ他を為り、界に遍く空に遍くして影迹無く、依る無く住する無くして籠羅を絶つ。賊。賊。猛將雄兵收め得ず。天下の老禅和を疑殺す。閙市の古彌勒を笑倒さす。休。休。心を將て外に求むるを用いず。頭を回して瞥爾として賊の身露る。贓を和えて捉獲すれば世に儔無し。世に儔無し。真に仰ぐ可し。茲に從りて復た伎倆を誇らず。怗怗として家を安んじ業を樂しむの時。萬象森羅齊しく掌を拊く

道場慧禪師法嗣

道場慧禅師法嗣

臨安府靈隱懶庵道樞禪師

臨安府靈隱懶庵道樞禅師

吳興四安徐氏子。初住何山。次移華藏。隆興初。詔居靈隱。孝宗皇帝召至內殿。問禪道之要。師答以此事在陛下堂堂日用應機處。本無知見起滅之棼.聖凡迷悟之別。第護正念。則與道相應。情卻物。則業不能繫。盡去沉掉之病。自忘問答之意。矧今補處。見在佛般若光明中。何事不成見耶。上為之首肯數四。師示眾曰。仙人張果老。騎驢穿市過。但聞蹄撥剌。誰知是紙做。後退居明教永安蘭若。逍遙自適。有偈題於壁曰。雪裡梅華春信息。池中月色夜精神。年來可是無佳趣。莫把家風舉似人。淳熙丙申八月。示微疾。書偈而逝。塔於永安。

吳興四安徐氏の子。初め何山を住し、次いで華藏に移る。隆興の初。詔して靈隱に居らしむ。孝宗皇帝內殿に召す。禅道の要を問う。師之に答えて此の事陛下の堂堂たる日用機に應ずる處に在り。本より知見起滅の棼.聖凡迷悟の別を知らず、第に正念を護れば。則ち道と相い應ず。情物を卻ければ。則ち業能く繫ぐ能わず。沉掉の病を盡く去りて。自ら問答の意を忘る。矧なんや今補處。佛の般若の光明の中に現在して、何事か成ずるを見ざらん耶。上之が為に首肯すること數四。師衆に示す、仙人の張果老。驢に騎りて市を穿ちて過ぐ。但だ聞く蹄の撥剌たるを。誰か知る是れ紙の做れるを。後に明教永安蘭若に退居す。逍遙自適す。偈有りて壁に題して曰く、雪裏の梅華春の信息。池中の月色夜の精神。年來是れ可なり佳趣無し。家風を把りて人に擧似する莫れ。淳熙丙申八月。微疾を示し。偈を書して逝く。永安に塔す

光孝慜禪師法嗣

光孝慜禅師法嗣

廣德軍光孝悟初首座

廣德軍光孝悟初首座

分座日示眾。舉風幡話。至仁者心動處。乃曰。祖師恁麼道。賺殺一船人。今時衲僧。也不可恁麼會。既不恁麼會。畢竟作麼生。良久曰。六月好合醬。切忌著鹽多。

座を分く日衆に示す。風幡の話を擧ぐ。仁者心動くの處に至りて。乃ち曰く、祖師恁麼に道いて。一船の人を賺殺す。今時の衲僧。も亦た恁麼に會すべからず。既に恁麼に會せざれば。畢竟作麼生。良久して曰く、六月好く醬を合す。切に鹽を著け多きを忌めよ

南嶽下十七世

南嶽下十七世

萬年賁禪師法嗣

萬年賁禅師法嗣

溫州龍鳴在庵賢禪師

溫州龍鳴在庵賢禅師

上堂。舉。崇壽示眾曰。識得凳子。周帀有餘。雲門道。識得凳子。天地懸殊。師曰。崇壽老漢。坐殺天下人。雲門大師。走殺天下人。龍鳴則不然。識得凳子。四腳著地。要坐便坐。要起便起。上堂。舉趙州勘婆話頌曰。冰雪佳人貌最奇。常將玉笛向人吹。曲中無限華心動。獨許東君第一枝。

上堂、擧ぐ。崇壽衆に示す、凳子を識得せば。周帀餘有り。雲門道う、凳子を識得せば。天地懸殊なり。師曰く、崇壽の老漢。天下人を坐殺す。雲門大師。天下人を走殺す。龍鳴則ち然らず。凳子を識得せば。四の脚地に著く。坐せんと要すれば便ち坐し、起たんと要すれば便ち起つ。上堂、趙州の婆を勘するの話の頌を擧げて曰く、冰雪の佳人貌最も奇なり。常に玉笛を將て人に向かって吹く。曲の中無限の華心動く。獨り東君第一の枝を許す

潭州大溈咦庵鑑禪師

潭州大潙咦庵鑑禅師

會稽人也。上堂。木落霜空。天寒水冷。釋迦老子。無處藏身。拆東籬。補西壁。撞著不空見菩薩。請示念佛三昧。也甚奇怪。卻向道。金色光明雲。參退吃茶去。上堂。老胡開一條路。甚生徑直。祇雲。歇即菩提。性淨明心。不從人得。後人不得其門。一向奔馳南北。往復東西。極歲窮年。無箇歇處。諸人還歇得麼。休。休。上堂。舉。晦堂和尚一日問僧。甚處來。曰。南雄州。堂曰。出來作甚麼。曰。尋訪尊宿。堂曰。不如歸鄉好。曰。未審和尚令某歸鄉。意旨如何。堂曰。鄉裡三錢買一片魚鮓。如手掌大。師曰。寧可碎身如微塵。終不瞎箇師僧眼。晦堂較些子。有般漢便道。熟處難忘。有甚共語處。上堂。舉罽賓國王問師子尊者蘊空公案。師頌曰。尊者何曾得蘊空。罽賓徒自斬春風。桃華雨後已零落。染得一溪流水紅。

會稽の人なり。上堂、木落ちて霜空す。天寒く水冷たし。釋迦老子。身を藏るる處無し。東籬を拆きて。西壁を補う。撞き著いて不空見菩薩に、念の佛三昧を指示せんを請う。亦た甚だ奇怪なり。卻って道うに向かって、金色の光明雲。參退して茶を喫して去れ。上堂、老胡一條の路を開きて、甚だ生じて徑直なり。只だ云う、歇すれば即ち菩提。性淨めて心明らかにして、人より得ず。後人其の門を得ずして、一向に南北に奔馳し。東西に往復す。歲を極め年を窮めても。個の歇する處無し。諸人還た歇し得るか。休め。休め。上堂、擧ぐ。晦堂和尚一日僧に問う、甚の處より來る。曰く、南雄州。堂曰く、出で來りて什麼を作す。曰く、尊宿を尋訪す。堂曰く、鄉に歸るに如かず好し。曰く、未だ審かに和尚某を鄉に歸らしむるの、意旨如何。堂曰く、鄉里三の錢を以て一片の魚鮓を買う。手掌の大の如し。師曰く、寧ろ身を碎きて微塵の如くなるとも、終に個の師僧の眼を瞎さざらん。晦堂些子を較ぶ。般の漢便ち道う有り、熟する處忘れ難し。甚の共に語る處有らん。上堂、擧ぐ、罽賓國の王師子尊者の空を蘊むの公案を問う。師頌して曰く、尊者何ぞ曾て空を蘊むを得ん、罽賓徒らに自ら春風を斬る。桃華雨の後已に零落して。一溪の流水の紅を染め得たり

五燈會元 巻第十八

五燈會元巻第十九

南嶽下十一世

南嶽下十一世

石霜圓禪師法嗣

石霜圓禅師法嗣

袁州楊歧方會禪師

袁州楊岐方会禅師

郡之宜春冷氏子。少警敏。及冠。不事筆硯。繫名徵商。課最坐不職。乃宵遯入瑞州九峰。恍若舊遊。眷不忍去。遂落髮。每閱經。心融神會。能折節扣參老宿。慈明自南源徙道吾石霜。師皆佐之。總院事。依之雖久。然未有省發。每諮參。明曰。庫司事繁。且去。他日又問。明曰。監寺異時兒孫徧天下在。何用忙為。一日。明適出。雨忽作。師偵之小徑。既見。遂搊住曰。這老漢今日須與我說。不說打你去。明曰。監寺知是般事便休。語未卒。師大悟。即拜於泥途。問曰。狹路相逢時如何。明曰。你且軃避。我要去那裡去。師歸。來日。具威儀。詣方丈禮謝。明呵曰。未在。自是明每山行。師輒瞰其出。雖晚必擊皷集眾。明遽還。怒曰。少叢林暮而陞座。何從得此規繩。師曰。汾陽晚參也。何謂非規繩乎。一日。明上堂。師出問。幽鳥語喃喃。辭雲入亂峰時如何。明曰。我行荒草裡。汝又入深村。師曰。官不容針。更借一問。明便喝。師曰。好喝。明又喝。師亦喝。明連喝兩喝。師禮拜。明曰。此事是箇人方能擔荷。師拂袖便行。明移興化。師辭歸九峰。後道俗迎居楊歧。次遷雲蓋。受請日。拈法衣示眾曰。會麼。若也不會。今日無端走入水牯牛隊裡去也。還知麼。筠陽九岫。萍實楊歧。遂陞座。時有僧出。師曰。漁翁未擲釣。躍鱗沖浪來。僧便喝。師曰。不信道。僧拊掌歸眾。師曰。消得龍王多少風。問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。有馬騎馬。無馬步行。曰。少年長老。足有機籌。師曰。念汝年老。放汝三十棒。問。如何是佛。師曰。三腳驢子弄蹄行。曰。莫祇這便是麼。師曰。湖南長老。乃曰。更有問話者麼。試出來相見。楊歧今日性命。在汝諸人手裡。一任橫拖倒拽。為甚麼如此。大丈夫兒。須是當眾決擇。莫背地裡似水底按葫蘆相似。當眾引驗。莫便面赤。有麼。有麼。出來決擇看。

郡の宜春の冷氏の子である。幼くして警敏だった。冠に及んでも筆硯の事に就かず、名を征商に籍して、税課の最に坐して職を称えなかった。そこで夜逃げして瑞州九峰に入った。恍として旧遊の地のようで、眷々として去るに忍びず、ついに落髪した。経を閲するたびに心融神会し、節を折って老宿に扣参することができた。慈明が南源から道吾・石霜に移った時、師は皆これを輔佐し、院事を総べた。依って久しかったが、いまだ省発がなかった。参じるたびに、明は言った。「庫司の事が繁い。しばらく去れ。」他日また問うと、明は言った。「監寺は異時に児孫が天下に遍くあらん。何を忙しゅうする。」ある日、明がちょうど出て、雨が忽ち降った。師は小径でそれをうかがい、見えるや、すぐに掴んで言った。「この老漢、今日は私に説かねばならぬ。説かなければ打ち据えるぞ。」明は言った。「監寺、こういう事を知れば即ち休め。」語が終わらぬうちに、師は大悟し、すなわち泥途に拜した。問うて言った。「狭路に相逢えば如何。」明は言った。「お前はしばらく避けよ。私はあの所へ行く。」師は帰った。来日、威儀を具えて方丈に詣り礼謝した。明は呵して言った。「まだいない。」これより明が山行するたびに、師はその出をうかがい、遅くなっても必ず皷を撃って衆を集めた。明は遽かに還り、怒って言った。「小叢林が暮れて陞座とは、どこからこんな規繩を得たのか。」師は言った。「汾陽の晩参です。なぜ規繩でないと言うのですか。」ある日、明が上堂すると、師が出て問うた。「幽鳥が語り喃喃として、雲を辞して乱峰に入る時は如何。」明は言った。「我は荒草の裏を行く。汝また深村に入る。」師は言った。「官は針を容れず。更に一問を借らん。」明はすぐに喝した。師は言った。「好い喝。」明はまた喝し、師も喝した。明は連ねて二喝した。師は礼拜した。明は言った。「この事は是れ個人なれば方に担荷し得る。」師は袂を払ってすぐに行った。明は兴化に移り、師は辞して九峰に帰った。後に道俗が迎えて楊岐に居せしめ、次いで雲蓋に遷った。請を受ける日、法衣を拈じて衆に示した。「会するか。若し会せざれば、今日無端に水牯牛の隊裏に走り入ることになったぞ。還って知るか。筠陽の九岫、萍実の楊岐。」すなわち陞座した。時に僧が出た。師は言った。「漁翁いまだ釣を擲たず、鱗を躍らせて浪を衝いて来る。」僧はすぐに喝した。師は言った。「信ぜぬか。」僧は掌を拊して衆に帰った。師は言った。「竜王の多少の風を消得するか。」問うた。「師は谁家の曲を唱うのか。宗風は阿谁に嗣ぐのか。」師は言った。「馬あれば馬に騎り、馬なければ歩行す。」言った。「少年の長老、足るに機籌を以てす。」師は言った。「汝の年老いたるを念って、汝に三十棒を放つ。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「三脚の驢子が蹄を弄して行く。」言った。「ただこれでよいのか。」師は言った。「湖南の長老。」すなわち言った。「更に問話する者があるか。試しに出て来て相見せよ。楊岐の今日の性命は、汝ら諸人の手裏にある。一任に横拖倒拽せよ。何故かくの如くするか。大丈夫児、須らく衆に当って決択すべし。背地裏に水底に葫蘆を按ずるが如くしてはならぬ。衆に当って引験せよ。面赤するな。あるか、あるか。出て来て決択して見よ。」

如無。楊歧今日失利。師便下座。九峰勤和尚把住雲。今日喜得箇同參。師曰。作麼生是同參底事。勤曰。九峰牽犂。楊歧拽耙。師曰。正恁麼時。楊歧在前。九峰在前。勤擬議。師拓開曰。將謂同參。元來不是。僧問。人法具遣。未是衲僧極則。佛祖雙亡。猶是學人疑處。未審和尚如何為人。師曰。你祇要勘破新長老。曰。恁麼則旋斫生柴帶葉燒。師曰。七九六十三。問。古人面壁。意旨如何。師曰。西天人不會唐言。上堂。霧鎻長空。風生大野。百草樹木。作大師子吼。演說摩訶大般若。三世諸佛在你諸人腳跟下轉大法輪。若也會得。功不浪施。若也不會。莫道楊歧山勢險。前頭更有最高峰。上堂。舉古人一轉公案。佈施大眾。良久曰。口祇堪吃飯。上堂。踏著秤錘硬似鐵。瘂子得夢向誰說。須彌頂上浪滔天。大洋海裡遭火爇。參。上堂。楊歧一要。千聖同妙。佈施大眾。拍禪床一下雲。果然失照。參。上堂。楊歧一句。急著眼覷。長連床上。拈匙把筯。上堂。拈拄杖雲。一即一切。一切即一。畫一畫雲。山河大地。天下老和尚百雜碎。作麼生是諸人鼻孔。良久雲。劒為不平離寶匣。藥因救病出金瓶。喝一喝。卓一下。上堂。楊岐無旨的。種田愽飯吃。說夢老瞿曇。何處覔蹤跡。喝一喝。拍禪床一下。上堂。薄福住楊岐。年來氣力衰。寒風凋敗葉。猶喜故人歸。囉囉哩。拈上死柴頭。且向無煙火。上堂。楊岐乍住屋壁疎。滿床盡佈雪真珠。縮卻項。更嗟吁。良久曰。翻憶古人樹下居。上堂。雲蓋是事不如。說禪似吞栗蒲。若向此處會得。佛法天地懸殊。上堂。擲下拄杖曰。釋迦老子著跌。偷笑雲蓋亂說。雖然世界坦平。也是將勤補拙。上堂。釋迦老子初生時。周行七步。目顧四方。一手指天。一手指地。今時衲僧。盡皆打模畫樣。便道天上天下。唯我獨尊。雲蓋不惜性命。亦為諸人打箇樣子。遂曰。

「もし無ければ、楊岐は今日失利した。」師はすぐに座を下りた。九峰の勤和尚が把り住まえて言った。「今日喜んで同参を得た。」師は言った。「如何なるか同参底の事。」勤は言った。「九峰は犂を牽き、楊岐は耙を拽く。」師は言った。「正に恁麼なる時、楊岐が前か、九峰が前か。」勤は議を擬した。師は拓き開いて言った。「同参かと将谓したが、元来是れではなかった。」僧が問うた。「人法倶に遣るも、いまだ衲僧の極則ではない。佛祖双亡も、なお学人の疑処である。いまだ審らかならず、和尚は如何にか人の為にする。」師は言った。「お前はただ要して新長老を勘破せよ。」言った。「恁麼なれば、旋く生柴を斫りて葉を帯びて焼く。」師は言った。「七九六十三。」問うた。「古人の面壁の意旨は如何。」師は言った。「西天の人は唐言を会せず。」上堂。「霧は長空を鎖し、風は大野に生ず。百草樹木、大きに師子吼を作して、摩訶大般若を演説す。三世の諸仏は汝ら諸人の脚跟下に大法輪を転ず。若し会得すれば、功は浪りに施されず。若し会せざれば、楊岐の山勢は険しいと言うな。前頭に更に最高峰あり。」上堂。「古人の一転公案を挙げて大衆に布施す。」良久して言った。「口はただ堪えて飯を喫うのみ。」上堂。「秤錘を踏んで鉄の如く硬し。痖子が夢を得て誰に説かん。須弥頂上に浪滔天し、大洋海里に火爇に遭う。参。」上堂。「楊岐の一要、千聖同妙なり。大衆に布施す。」禅床を一拍して言った。「果然、照を失ったか。参。」上堂。「楊岐の一句、急いで着眼せよ。長連床上、匙を拈じ筯を把る。」上堂。拄杖を拈じて言った。「一即ち一切、一切即ち一。」一画して言った。「山河大地、天下の老和尚の百雑砕。如何なるか是れ諸人の鼻孔。」良久して言った。「剣は不平の為に宝匣を離れ、薬は病を救うが為に金瓶を出づ。」一喝して卓一下した。上堂。「楊岐に旨的なし。田を種えて飯を愽し喫う。老瞿曇の夢を説く。どこで踪跡を覔めん。」一喝して禅床を一拍した。上堂。「薄福ながら楊岐に住し、年来気力衰えた。寒風は敗葉を凋らすも、なお故人の帰るを喜ぶ。囉囉哩。死柴頭を拈じ上げて、且く無煙の火に向わん。」上堂。「楊岐に乍ら住して屋壁疎し。満床に尽く雪の真珠を布く。項を縮めて更に嗟吁す。」良久して言った。「翻って憶う、古人の樹下に居りしを。」上堂。「雲蓋は事ことに如かず。禅を説くこと栗蒲を呑むが似し。若し此の処に向って会得すれば、佛法は天地の懸殊なり。」上堂。拄杖を擲ち下して言った。「釈迦老子が跌に着き、窃かに雲蓋の乱説を笑う。然りといえども世界坦平なりと雖も、これも勤を将て拙を補うなり。」上堂。「釈迦老子初生の時、七歩を周行し、目で四方を顧り、一手は天を指し一手は地を指した。今時の衲僧は皆な打模画様して、すなわち言う、天上天下唯我独尊と。雲蓋は性命を惜しまず、もって諸人の為に様子を打たん。」すなわち言った。

陽氣發時無硬地。示眾。一切智通無障礙。拈起拄杖曰。拄杖子向汝諸人面前逞神通去也。擲下曰。直得乾坤震裂。山嶽搖動。會麼。不見道。一切智智清淨。拍禪床曰。三十年後。明眼人前。莫道楊歧龍頭虵尾。僧問。撥雲見日時如何。師曰。東方來者東方坐。問。天得一以清。地得一以寧。衲僧得一。堪作甚麼。師曰。缽盂口向天。慈明忌辰設齋。眾才集。師於真前。以兩手揑拳安頭上。以坐具畫一畫。打一圓相。便燒香。退身三步。作女人拜。首座曰。休捏怪。師曰。首座作麼生。座曰。和尚休捏怪。師曰。兔子吃牛嬭。第二座近前。打一圓相。便燒香。亦退身二步。作女人拜。師近前作聽勢。座擬議。師打一掌曰。這漆桶也亂做。龍興孜和尚遷化。僧至下遺書。師問。世尊入滅。槨示雙趺。和尚歸真。有何相示。僧無語。師槌胷曰。蒼天。蒼天。室中問僧。栗棘蓬你作麼生吞。金剛圈你作麼生透。一日。三人新到。師問。三人同行。必有一智。提起坐具曰。參頭上座。喚這箇作甚麼。曰。坐具。師曰。真箇那。曰。是。師復曰。喚作甚麼。曰。坐具。師顧視左右曰。參頭卻具眼。問第二人。欲行千里。一步為初。如何是最初一句。曰。到和尚這裡。爭敢出手。師以手畫一畫。僧曰。了。師展兩手。僧擬議。師曰。了。問第三人。近離甚處。曰。南源。師曰。楊歧今日被上座勘破。且坐吃茶。問僧。敗葉堆雲。朝離何處。曰。觀音。師曰。觀音腳跟下一句作麼生道。曰。適來相見了也。師曰。相見底事作麼生。僧無對。師曰。第二上座代參頭道看。亦無對。師曰。彼此相鈍置。示眾雲。春風如刀。春雨如膏。律令正行。萬物情動。你道腳踏實地一句。作麼生道出來。向東湧西沒處道看。直饒道得。也是梁山頌子。示眾雲。身心清淨。諸境清淨。諸境清淨。身心清淨。還知楊歧老人落處麼。

(師が続けて言った。)「陽気が発する時、硬地無し。」衆に示した。「一切智通に障碍無し。」拄杖を拈起して言った。「拄杖子は汝ら諸人の面前に向って神通を逞しうするぞ。」擲ち下して言った。「直ちに乾坤をして震裂せしめ、山岳をして揺動せしむ。会するか。道えずんばあらざれ、一切智智清浄。」禅床を拍して言った。「三十年後、明眼人の前で、楊岐は竜頭虵尾と言うな。」僧が問うた。「雲を撥いて日を見る時は如何。」師は言った。「東方より来る者は東方に坐す。」問うた。「天は一を得て以て清く、地は一を得て以て寧なり。衲僧が一を得れば、堪えて何を作すべき。」師は言った。「鉢盂の口は天に向う。」慈明の忌辰に斎を設けた。衆が才だ集まると、師は真の前に於て、両手で拳を揑ねて頭上に安じ、坐具を以て一画して一円相を打ち、すなわち香を焼き、身を退くこと三歩して女人拜を作した。首座が言った。「怪を揑ねるな。」師は言った。「首座は如何。」座は言った。「和尚も怪を揑ねるな。」師は言った。「兎子が牛嬭を喫う。」第二座が近づき前に来て、一円相を打ち、すなわち香を焼き、亦た身を退くこと二歩して女人拜を作した。師は近づき前に行って聴く勢いを作した。座は議を擬した。師は一掌を打って言った。「この漆桶が乱作するぞ。」竜興の孜和尚が遷化し、僧が至って遺書を下した。師が問うた。「世尊が入滅するに、椁に双趺を示した。和尚が真に帰るに、何か相を示すか。」僧は語無し。師は胷を槌て言った。「蒼天、蒼天。」室中で僧に問うた。「栗棘蓬をお前は如何にか呑む。金剛圏をお前は如何にか透る。」ある日、三人が新到した。師が問うた。「三人同行すれば必ず一智あり。」坐具を提起して言った。「参頭上座、これを何と喚ぶ。」言った。「坐具。」師は言った。「真箇か。」言った。「是れ。」師は復た言った。「何と喚ぶ。」言った。「坐具。」師は左右を顧視して言った。「参頭は却って眼を具えたな。」第二人に問うた。「千里を行かんと欲するに、一步を初めとす。如何なるか是れ最初の一句。」言った。「和尚のここに到って、争でか敢えて手を出さん。」師は手を以て一画した。僧は言った。「了。」師は両手を展べた。僧は議を擬した。師は言った。「了。」第三人に問うた。「近く何の処を離れた。」言った。「南源。」師は言った。「楊岐は今日、上座に勘破された。且く坐して茶を喫せ。」僧に問うた。「敗葉が雲を堆くす。朝に何の処を離れた。」言った。「観音。」師は言った。「観音の脚跟下の一句を如何にか道う。」言った。「適来相見えました。」師は言った。「相見底の事は如何。」僧は対無し。師は言った。「第二上座、参頭に代って道って見よ。」亦た対無し。師は言った。「彼此相鈍置した。」衆に示した。「春風は刀の如く、春雨は膏の如し。律令正しく行われ、万物情動す。お前が脚踏实地の一句を道うと言うなら、如何にか道い出さん。東に涌き西に没する処に向って道って見よ。直饒道い得たりと雖も、これも梁山の頌子なり。」衆に示した。「身心清浄なれば諸境清浄、諸境清浄なれば身心清浄。還って楊岐老人の落処を知るか。」

河裡失錢河裡摝。示眾雲。景色乍晴。物情舒泰。舉步也千身彌勒。動用也隨處釋迦。文殊普賢總在這裡。眾中有不受人謾底。便道楊歧和麩糶麫。然雖如是。布袋裡盛錐子。示眾雲。雪。雪。處處光輝明皎潔。黃河凍鎻絕纖流。赫日光中須迸裂。須迸裂。那吒頂上吃蒺藜。金剛腳下流出血。皇祐改元。示寂。塔於雲蓋。

「河裏に銭を失えば河ば河裏に摝れ。」衆に示した。「景色乍ち晴れ、物情舒泰す。挙歩するも千身の弥勒、動用するも随処の釈迦。文殊・普賢は総てここにあり。衆中に人に謾されぬ底あれば、すなわち道わん、楊岐は麸を和して麵を粜くと。然りと雖も是くの如し、布袋裏に錐子を盛る。」衆に示した。「雪、雪。処処に光輝明皎潔。黄河は凍鎖して纖流を絶ち、赫日の光中に須らく迸裂すべし。須らく迸裂すべし。那咤の頂上に蒺藜を喫らい、金剛の脚下に血を流し出さん。」皇祐に改元して示寂した。雲蓋に塔した。

南嶽下十二世

南嶽下十二世

楊歧會禪師法嗣

楊岐会禅師法嗣

舒州白雲守端禪師

舒州白雲守端禅師

衡陽葛氏子。幼事翰墨。冠依茶陵鬱禪師披削。往參楊歧。歧一日忽問。受業師為誰。師曰。茶陵鬱和尚。歧曰。吾聞伊過橋遭攧有省。作偈甚奇。能記否。師誦曰。我有明珠一顆。久被塵勞關鎻。今朝塵盡光生。照破山河萬朵。歧笑而趨起。師愕然。通夕不寐。黎明。諮詢之。適歲暮。歧曰。汝見昨日打敺儺者麼。曰。見。歧曰。汝一籌不及渠。師復駭曰。意旨如何。歧曰。渠愛人笑。汝怕人笑。師大悟。巾侍久之。辭遊廬阜。圓通訥禪師舉住承天。聲名籍甚。又遜居圓通。次徙法華龍門.興化海會。所至眾如雲集。僧問。如何是佛。師曰。鑊湯無冷處。曰。如何是佛法大意。師曰。水底按葫蘆。曰。如何是祖師西來意。師曰。烏飛兔走。問。不求諸聖。不重己靈。未是衲僧分上事。如何是衲僧分上事。師曰。死水不藏龍。曰。便恁麼去時如何。師曰。賺殺你。到棲賢。上堂。承天自開堂後。便安排些葛藤來山南東葛西葛。卻為在歸宗開先萬杉打疊了也。今日到三峽會裡。大似臨嫁醫癭。卒著手腳不辨。幸望大眾不怪。伏惟珍重。上堂。鳥有雙翼。飛無遠近。道出一隅。行無前後。你衲僧家。尋常拈匙放箸。盡道知有。及至上嶺時。為甚麼卻氣急。不見道。人無遠慮。必有近憂。上堂。乾坤之內。宇宙之間。中有一寶。秘在形山。大眾。眼在鼻上。腳在肚下。且道寶在甚麼處。良久雲。人面不知何處去。桃華依舊笑春風。上堂。古者道。將此深心奉塵剎。是則名為報佛恩。圓通則不然。時挑野菜和根煑。旋斫生柴帶葉燒。上堂。江月照。松風吹。到這裡還有漏網者麼。良久曰。皇天無親。上堂。入林不動草。入水不動波。入鳥不亂行。大眾。這箇是把纜放船底手腳。且道衲僧家合作麼生。以手拍禪床曰。掀飜海嶽求知己。撥亂乾坤見太平。上堂。忌口自然諸病減。多情未免有時勞。貧居動便成違順。

衡陽の葛氏の子である。幼くして翰墨に事え、冠して茶陵の郁禅師に依って披削した。往いて楊岐に参じた。岐がある日忽ち問うた。「受業の師は誰か。」師は言った。「茶陵の郁和尚です。」岐は言った。「私は聞いた、彼が橋を渡って攧れて省があったと。作った偈が甚だ奇だという。記えているか。」師は誦して言った。「我に明珠一顆あり、久しく塵労に関鎖せられたり。今朝塵尽きて光生じ、山河万朵を照破す。」岐は笑って小走りに起きた。師は愕然として、通夕寐ず、黎明に咨問した。ちょうど歳暮で、岐は言った。「お前は昨日の儺を打ち敺った者を見たか。」言った。「見ました。」岐は言った。「お前は一籌も彼に及ばぬ。」師は復た駭いて言った。「意旨は如何。」岐は言った。「彼は人の笑うを愛し、お前は人の笑うを怕れる。」師は大悟した。巾侍すること久しく、辞して廬阜に遊んだ。圓通の訥禅師が挙げて承天に住せしめ、声名は籍甚として、また遜って圓通に居り、次いで法華・龍門、興化・海会に徙り、至る所、衆は雲の集まるが如しだった。僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「鑊湯に冷たい処無し。」言った。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「水底に葫蘆を按ず。」言った。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「烏飛び兎走る。」問うた。「諸聖を求めず、己が霊を重んぜざるは、いまだ衲僧分上の事ではない。如何なるか是れ衲僧分上の事。」師は言った。「死水に竜を蔵せず。」言った。「すなわち恁麼に去る時は如何。」師は言った。「お前を騙し殺すぞ。」栖賢に到った。上堂。「承天は開堂して後、便ち些かの葛藤を安排して山南に来り、東葛西葛したが、却って歸宗・開先・万杉で打疊し了えた。今日三峡の会裏に到り、大いに嫁を臨んで癭を医するに似て、卒に手脚を着けて辨じ難し。幸いに大衆の怪しまぬを望む。伏して惟るに珍重あれ。」上堂。「鳥に双翼ありて飛ぶに遠近無く、道は一隅を出して行くに前後無し。お前ら衲僧家、尋常に匙を拈じ箸を放つとき、尽く道う、知る有りと。嶺に上るに及んで、なにゆえ却って気急するか。道えずんばあらざれ、人遠慮無ければ必ず近憂あり。」上堂。「乾坤の内、宇宙の間に一宝ありて、形山に秘す。大衆、眼は鼻の上にあり、脚は肚の下にあり。且く道え、宝は何の処に在るか。」良久して言った。「人面は何の処かに去ったか知らず、桃華は旧に依って春風に笑う。」上堂。「古の者は道う、此の深心を将て塵刹に奉るは、是れ則ち名づけて仏恩を報ずと為すと。圓通は然らず。時に野菜を挑んで根と和して煑、旋く生柴を斫りて葉を帯びて焼く。」上堂。「江月照り、松風吹く。ここに到って、なお漏網する者あるか。」良久して言った。「皇天に親無し。」上堂。「林に入って草を動かさず、水に入って波を動かさず、鳥に入って行を乱らさず。大衆、これは是れ纜を把って船を放つ底の手脚である。且く道え、衲僧家は合して如何にすべき。」手を以て禅床を拍して言った。「海岳を掀飜して知己を求め、乾坤を撥乱して太平を見ん。」上堂。「口を忌むれば自然に諸病減じ、情多ければ未だ免れず時に労あり。貧居は動けば便ち違順を成す。

落得清閑一味高。雖然如是。莫謂無心雲是道。無心猶隔一重關。示眾雲。泥佛不度水。木佛不度火。金佛不度罏。真佛內裡坐。大眾。趙州老子十二劑骨頭。八萬四千毛孔。一時拋向諸人懷裡了也。圓通今日路見不平。為古人出氣。以手拍禪床雲。須知海嶽歸明主。未信乾坤陷吉人。示眾雲。佛身充滿於法界。普現一切群生前。隨緣赴感靡不周。而常處此菩提座。大眾。作麼生說箇隨緣赴感底道理。祇於一彈指間。盡大地含生根機。一時應得周足。而未甞動著一毫頭。便且喚作隨緣赴感。而常處此座。祇如山僧。此者受法華請。相次與大眾相別去。宿松縣裡開堂了。方歸院去。且道還離此座也無。若道離。則世諦流佈。若道不離。作麼生見得箇不離底事。莫是無邊剎境。自他不隔於毫端。十世古今。始終不離於當念麼。又莫是一切無心。一時自徧麼。若恁麼。正是掉棒打月。到這裡直須悟始得。悟後更須遇人始得。你道既悟了便休。又何必更須遇人。若悟了遇人底。當垂手方便之時。著著自有出身之路。不瞎卻學者眼。若祇悟得乾蘿蔔頭底。不唯瞎卻學者眼。兼自已動。便先自犯鋒傷手。你看我楊歧先師問慈明師翁道。幽鳥語喃喃。辭雲入亂峰時如何。答雲。我行荒草裡。汝又入深村。進雲。官不容針。更借一問。師翁便喝。進雲好喝。師翁又喝。先師亦喝。師翁乃連喝兩喝。先師遂禮拜。大眾須知。悟了遇人者。向十字街頭與人相逢。卻在千峰頂上握手。向千峰頂上相逢。卻在十字街頭握手。所以山僧甞有頌雲。他人住處我不住。他人行處我不行。不是為人難共聚。大都緇素要分明。山僧此者臨行。解開布袋頭。一時撒在諸人面前了也。有眼者莫錯怪好。珍重。開堂示眾雲。昔日靈山會上。世尊拈華。迦葉微笑。世尊道。吾有正法眼藏。分付摩訶大迦葉。次第流傳。無令斷絕。至於今日。大眾。

「落ちて清閑の一味高しを得たり。然りと雖も是くの如し、無心を謂うて道と為すなかれ。無心もなお一重の関を隔つ。」衆に示した。「泥仏は水を度らず、木仏は火を度らず、金仏は罏を度らず。真仏は内裏に坐す。大衆、趙州老子の十二両の骨頭、八万四千の毛孔を、一時に諸人の懐裏に拋げ向けたぞ。圓通は今日、路に不平を見て、古人の為に気を吐く。」手を以て禅床を拍して言った。「須らく知るべし、海岳は明主に帰し、未だ信ぜず、乾坤が吉人を陥れるを。」衆に示した。「仏身は法界に充満し、普く一切群生の前に現じ、縁に随い感に赴いて周らざるなきも、而も常に此の菩提座に処す。大衆、如何にか随縁赴感底の道理を説く。ただ一彈指の間に於て、大地の含生根機を尽くして、一時に応じて周足し、而も未だ甞て一毫頭も動着せず。便ち且くこれを随縁赴感と喚び、而も常に此の座に処す。只だ山僧の如き、此の者法華の請を受けて、相い次いで大衆と相別れて去り、宿松県裏で開堂し了えて、方に院に帰る。且く道え、還って此の座を離れたか否か。若し離れたと道えば、則ち世諦の流布なり。若し離れぬと道えば、如何にか箇の不離底の事を見得る。無辺の刹境にして自他が毫端に隔たらず、十世古今にして始終が当念を離れぬか。又た一切無心にして一時に自ら遍しか。若し恁麼ならば、正に是れ棒を掉って月を打つなり。ここに到って直ちに須らく悟って始めて得べし。悟りて後は更に須らく人に遇って始めて得べし。お前が道う、既に悟り了れば便ち休めと、なにゆえ更に須らく人に遇うべき。若し悟り了えて人に遇う底ならば、垂手方便の時に当り、着着自ら出身の路ありて、学者の眼を瞎し却さず。若し只だ乾萝卜頭底を悟り得たるは、唯だ学者の眼を瞎し却すのみならず、兼ねて自ら動けば、便ち先ず自ら鋒に犯り手を傷つく。お前ら見よ、我が楊岐先師が慈明師翁に問うて道えり、幽鳥が語り喃喃として、雲を辞して乱峰に入る時は如何と。答えて云う、我は荒草の裏を行く、汝また深村に入ると。進んで云う、官は針を容れず、更に一問を借らんと。師翁は便ち喝した。進んで云う、好い喝と。師翁はまた喝し、先師も喝した。師翁は乃ち連ねて二喝し、先師は遂に礼拜した。大衆、須らく知るべし。悟り了えて人に遇う者は、十字街頭に向って人と相逢えば、却って千峰頂上で握手し、千峰頂上に向って相逢えば、却って十字街頭で握手す。それ故に山僧は甞て頌して云う、他人の住処に我は住せず、他人の行処に我は行かず。人と為に共聚し難きに非ず、大都は緇素の分明なるを要すと。山僧此の者、行に臨んで布袋の頭を解き開き、一時に諸人の面前に撒き了えたぞ。眼ある者は錯怪するなかれ。珍重。」開堂して衆に示した。「昔日、靈山会上にて世尊が華を拈ずれば、迦葉微笑したり。世尊は道わく、吾に正法眼藏あり、摩訶大迦葉に分付して、次第に流傳して、断絶せしめることなかれと。今日に至るまで。大衆。

若是正法眼藏。釋迦老子自無分。將箇甚麼分付。將箇甚麼流傳。何謂如此。況諸人分上。各各自有正法眼藏。每日起來。是是非非。分南分北。種種施為。盡是正法眼藏之光影。此眼開時。乾坤大地。日月星辰。森羅萬象。祇在面前。不見有毫𨤲之相。此眼未開時。盡在諸人眼睛裡。今日已開者。不在此限。有未開者。山僧不惜手。為諸人開此正法眼藏看。乃舉手。竪兩指曰。看。看。若見得去。事同一家。若也未然。山僧不免重說偈言。諸人法眼藏。千聖莫能當。為君通一緜。光輝滿大唐。須彌走入海。六月降嚴霜。法華雖恁道。無句得商量。大眾。既滿口道了。為甚麼卻無句得商量。喝一喝曰。分身兩處看。上堂。釋迦老子有四弘誓願雲。眾生無邊誓願度。煩惱無盡誓願斷。法門無量誓願學。佛道無上誓願成。法華亦有四弘誓願。饑來要吃飯。寒到即添衣。困時伸腳睡。熱處愛風吹。上堂。古人留下一言半句。未透時撞著鐵壁相似。忽然一日覷得透後。方知自己便是鐵壁。如今作麼生透。復曰。鐵壁。鐵壁。上堂。若端的得一回汗出。便向一莖草上現瓊樓玉殿。若未端的得一回汗出。縱有瓊樓玉殿。卻被一莖草蓋卻。作麼生得汗出去。自有一雙窮相手。不曾容易舞三臺。上堂。安居之首。禁足為名。禁足之意。意在進道而護生。衲僧家更有何生而可護。何道而可進。唾一唾。唾破釋迦老子面門。踏一步。踏斷釋迦老子背脊骨。猶是隨群逐隊漢。未是本分衲僧。良久曰。無限風流慵賣弄。免教人指好郎君。上堂。絲毫有趣皆能進。畢竟無歸若可當。逐日退身行興盡。忽然得見本爺孃。作麼生是本爺孃。乃雲。萬福。便下座。示眾雲。如我按指。海印發光。拈起拄杖雲。山河大地。水鳥樹林。情與無情。今日盡向法華拄杖頭上作大師子吼。演說摩訶大般若。且道天台南嶽說箇甚麼法門。南嶽說。

「若し是れ正法眼藏ならば、釈迦老子自ら分無し。箇の什麼を将て分付し、箇の什麼を将て流傳せん。何を謂うてかくの如くするか。況んや諸人の分上、各各自ら正法眼藏有り。每日起きて、是是非非、南を分かち北を分かち、種種の施為は尽く是れ正法眼藏の光影なり。此の眼開く時は、乾坤大地、日月星辰、森羅万象、只だ面前に在りて、毫𨤲の相有るを見ず。此の眼未だ開けざる時は、尽く諸人の眼睛裏に在り。今日已に開けたる者は此の限りに在らず。未だ開けざる者有らば、山僧は手を惜しまず、諸人の為に此の正法眼藏を開いて見せん。」乃ち手を挙げ、両指を竪てて言った。「看よ、看よ。若し見得て去れば、事は一家に同じ。若し未だ然らざれば、山僧は免れず重ねて偈言を説かん。諸人の法眼藏、千聖も能く当たらず。君の為に一緜を通ず。光輝は大唐に満つ。須弥は海に走入り、六月に厳霜降る。法華は恁麼に道うと雖も、句無きを得て商量す。大衆、既に満口に道い了えたのに、なにゆえ却って句無きを得て商量するか。」一喝して言った。「身を分けて両処に看よ。」上堂。「釈迦老子に四弘誓願ありて云う、衆生無辺にして誓願して度し、煩悩無尽にして誓願して断ち、法門無量にして誓願して学び、仏道無上にして誓願して成らんと。法華にも亦た四弘誓願あり。飢え来れば飯を喫わんと要し、寒き到れば即ち衣を添え、困れる時は脚を伸べて睡り、熱き処は風吹くを愛す。」上堂。「古人が留下した一言半句は、未だ透らざる時は鉄壁に撞着するに相似り。忽然として一日觑き透る後、方に知る、自己は便ち是れ鉄壁なりと。如今如何にか透る。」復た言った。「鉄壁、鉄壁。」上堂。「若し端的に一回の汗出を得れば、便ち一茎の草上に瓊楼玉殿を現ず。若し未だ端的に一回の汗出を得ざれば、縦い瓊楼玉殿あるも、却って一茎の草に蓋われ却す。如何にか汗を出して去るを得る。自ら一双の窮相手あり、甞て容易に三台を舞わず。」上堂。「安居の首は禁足を名と為す。禁足の意は、意は道を進めて生を護るに在り。衲僧家は更に何の生か護るべく、何の道か進むべき。唾を一唾して、釈迦老子の面門を唾破し、一歩を踏んで、釈迦老子の背脊骨を踏断せば、なお是れ群に随い隊を逐う漢にして、未だ是れ本分の衲僧に非ず。」良久して言った。「無限の風流も賣弄するに慵し、人の好郎君を指すを教えんを免れん。」上堂。「絲毫も趣有れば皆な能く進み、畢竟に歸無くば若くんば当たらん。日を逐うて身を退き行興尽き、忽然として本爺孃を見得たり。如何なるか是れ本爺孃。」乃ち云う、「万福。」便ち座を下りた。衆に示した。「我が指を按ずるが如く、海印光を発す。」拄杖を拈起して云う、「山河大地、水鳥樹林、情と無情、今日尽く法華の拄杖頭上に向って大師子吼を作し、摩訶大般若を演説す。且く道え、天台・南嶽は箇の什麼の法門を説く。南嶽は説く。」

洞上五位修行。君臣父子各得其宜。莫守寒巖異草青。坐卻白雲宗不妙。天台說。臨濟下。三玄三要四料揀。一喝分賓主。照用一時行。要會箇中意。日午打三更。廬山出來道。你兩箇正在葛藤窠裡。不見道。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。大眾據此三箇漢見解。若上衲僧秤子上稱。一箇重八兩。一箇重半斤。一箇不直半分錢。且道那箇不直半分錢。良久雲。但願春風齊著力。一時吹入我門來。卓拄杖。下座。熈寧五年遷化。壽四十八。

「洞上五位の修行、君臣父子各々其の宜しきを得る。寒巌の異草の青きを守る莫れ、白云の宗を坐却せば不妙なり。天台は説く、臨済下は、三玄三要四料簡、一喝に賓主を分かち、照用一時に行わる。箇中の意を会せんと要せば、日午に三更を打て。廬山出て来て道う、お前ら両箇は正に葛藤窠裏に在り。道えずんばあらざれ、無間業を招かざるを得んと欲せば、如来の正法輪を謗る莫れと。大衆、此の三箇の漢の見解に拠れば、若し衲僧の秤子に上げて称えば、一箇は八両を重しとし、一箇は半斤を重しとし、一箇は半分銭にも直さず。且く道え、那箇が半分銭に直さぬか。」良久して云う、「但だ願わくば春風斉しく力を著けて、一時に我が門に吹き入れ。」拄杖を卓して座を下りた。熈寧五年に遷化した。寿四十八。

金陵保寧仁勇禪師

金陵保寧仁勇禅師

四明竺氏子。容止淵秀。齠為大僧。通天台教。更衣謁雪竇明覺禪師。覺意其可任大法。誚之曰。央庠座主。師憤悱下山。望雪竇拜曰。我此生行腳參禪。道不過雪竇。誓不歸鄉。即往泐潭。踰紀疑情未泮。聞楊岐移雲蓋。能鈴鍵學者。直造其室。一語未及。頓明心印。岐歿。從同參白雲端禪師遊。研極玄奧。後出世兩住保寧而終。僧問。如何是佛。師曰。近火先焦。曰。如何是道。師曰。泥裡有刺。曰。如何是道中人。師曰。切忌踏著。問。先德道。寒風凋敗葉。猶喜故人歸。未審誰是故人。師曰。楊岐和尚遷化久矣。曰。正當恁麼時。更有甚麼人為知音。師曰。無眼村翁暗點頭。問。如何是佛。師曰。自屎不覺臭。問。如何是保寧境。師曰。主山頭倒卓。曰。如何是境中人。師曰。鼻孔無半邊。問。如何是塵中自在底人。師曰。因行不妨掉臂。問。如何是佛。師曰。鐵鎚無孔。曰。如何是佛法大意。師曰。鑊湯無冷處。問。靈山指月。曹谿話月。未審保寧門下如何。師曰。嗄。曰。有華當面貼。師便喝。問。摘葉尋枝即不問。如何是直截根源。師曰。蚊子上鐵牛。曰。直截根源人已曉。中下之流如何指示。師曰。石人脊背汗通流。上堂。山僧二十餘年。挑囊負缽。向寰海之內。參善知識十數餘人。自家並無箇見處。有若頑石相似。參底尊宿。亦無長處可相利益。自此一生。作箇百無所解底人。幸自可憐生。忽然被業風吹到江寧府。無端被人上當。推向十字路頭。住箇破院。作粥飯主人。接待南北。事不獲已。隨分有鹽有醋。粥足飯足。且恁過時。若是佛法。不曾夢見。上堂。侍者燒香罷。師指侍者曰。侍者已為諸人說法了也。上堂。看看。山僧入拔舌地獄去也。以手拽舌雲。阿㖿阿㖿。上堂。相罵無好言。相打無好拳。大眾。直須恁麼。始得一句句切害。一拳拳著實。忽然打著箇無面目漢。

四明の竺氏の子である。容止は淵秀で、齔齔として大僧と為り、天台の教に通じた。衣を更えて雪竇の明覚禅師に謁した。覚は其の大法に任ずべしと意して、誚って之に言った。「央庠の座主め。」師は憤悱して山を下り、雪竇を望み拜して言った。「我此の生、行脚参禅して、道は雪竇を過ぎずとあらば、誓って郷に帰らじ。」即ち泐潭に往き、紀を逾えても疑情未だ泮けず。楊岐が雲蓋に移り、能く学者を鈴鍵すると聞き、直ちに其の室に造った。一語も及ばずして、頓に心印を明めた。岐が歿すると、同参の白雲端禅師に従って遊び、玄奥を研ぎ極めた。後に出世して両たび保寧に住して終わった。僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「火に近ければ先ず焦る。」言った。「如何なるか是れ道。」師は言った。「泥裏に刺あり。」言った。「如何なるか是れ道中人。」師は言った。「切に踏着することを忌め。」問うた。「先徳は道う、寒風は敗葉を凋らすも、なお故人の帰るを喜ぶと。いまだ審らかならず、誰か是れ故人。」師は言った。「楊岐和尚は遷化して久しい。」言った。「正に恁麼なる時に当り、更に什麼の人か知音と為る。」師は言った。「眼無き村翁、暗に頭を点ず。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「自ら屎して臭きを覚えず。」問うた。「如何なるか是れ保寧の境。」師は言った。「主山頭倒卓す。」言った。「如何なるか是れ境中人。」師は言った。「鼻孔に半辺無し。」問うた。「如何なるか是れ塵中自在底の人。」師は言った。「行に因って臂を掉って妨げず。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「鉄鎚に孔無し。」言った。「如何なるか是れ佛法の大意。」師は言った。「鑊湯に冷たい処無し。」問うた。「靈山は月を指し、曹谿は月を話す。いまだ審らかならず、保寧門下は如何。」師は言った。「嗄。」言った。「華有りて当面に貼す。」師は便ち喝した。問うた。「葉を摘み枝を尋ぬるは即ち問わず、如何なるか是れ直截根源。」師は言った。「蚊子が鉄牛に上る。」言った。「直截根源は人已に暁る。中下の流は如何にか指示する。」師は言った。「石人の脊背に汗通流す。」上堂。「山僧二十余年、囊を挑み鉢を負い、寰海の内に向い、善知識十数余人に参じたが、自家は倂せて箇の見処無く、頑石に相似たり。参じたる尊宿も、亦た長処無くして相利益すべきなし。此より一生、箇の百する所解無き底の人と作さん。幸いに自ら可憐なり。忽然として業風に吹かれて江寧府に到り、無端に人の上当せられ、十字路頭に推されて箇の破院に住し、粥飯の主人と作り、南北を接待す。事獲已せず、分に随って塩有り醋有り、粥足り飯足りて、且く恁麼に時を過す。佛法に若ては、甞て夢にも見ず。」上堂。侍者が香を焼き罷むと、師は侍者を指して言った。「侍者は已に諸人の為に法を説き了えたぞ。」上堂。「看看、山僧は抜舌地獄に入り去るぞ。」手を以て舌を拽って云う、「阿㖿阿㖿。」上堂。「相罵るに好言無く、相打つに好拳無し。大衆、直ちに須らく恁麼にして、始めて句句切害し、拳拳着実なるを得べし。忽然として箇の無面目の漢に打着すれば、

也不妨暢快殺人。上堂。滿口是舌。都不能說。碧眼胡僧。當門齒缺。上堂。秋風涼。松韻長。未歸客。思故鄉。且道誰是未歸客。何處是故鄉。良久曰。長連床上。有粥有飯。上堂。天上無彌勒。地下無彌勒打破太虗空。如何尋不得。垂下一足曰。大眾向甚麼處去也。上堂。若說佛法供養大眾。未免眉鬚墮落。若說世法供養大眾。入地獄如箭射。去此二途。且道保寧今日當說甚麼。三寸舌頭無用處。一雙空手不成拳。上堂。古人底今人用。今人底古人為。古今無背面。今古幾人知。㖿鳴咿。一九與二九。相逢不出手。上堂。有手腳。無背面。明眼人。看不見。天左旋。地右轉。拍膝曰。西風一陣來。落葉兩三片。上堂。風鳴條。雨破塊。曉來枕上鶯聲碎。蝦䗫蚯蚓一時鳴。妙德空生都不會。都不會。三箇成群。四箇作隊。窈窈窕窕。飃飄颻颻。向南北東西。折得棃華李華。一佩兩佩。上堂。智不到處。切忌道著。道著則頭角生。大眾頭角生了也。是牛是馬。上堂。無漏真淨。云何是中更容他物。喝一喝。曰。好人不肯做。須要屎裡臥。上堂。夜靜月明。水清魚現。金鉤一擲。何處尋蹤。提起拄杖曰。歷細歷細。示眾雲。有箇漢。怪復醜。眼直鼻藍鑱。面南看北斗。解使日午金烏啼。夜半鐵牛吼。天地旋。山河走。羽族毛群。失其所守。直得文殊普賢出此沒彼。七縱八橫。千生萬受。驀然逢著箇黃面瞿曇。不惜眉毛。再三與伊摩頂授記。雲善哉善哉。大作佛事。希有希有。於是乎自家懡懡㦬㦬。慞慞惶惶。藏頭縮手。召雲。大眾。此話大行。何必更待三十年後。示眾雲。大方無外。大圓無內。無內無外。聖凡普會。瓦礫生光。須彌粉碎。無量法門。百千三昧。拈起拄杖雲。總在這裡。會麼。蘇嚕蘇嚕。㗭哩㗭哩娑訶。示眾雲。釋迦老子四十九年說法。不曾道著一字。優波毱多丈室盈籌。不曾度得一人。

「も妨げず暢快に人を殺さん。」上堂。「満口是れ舌にして、皆な能く説かず。碧眼の胡僧、当門に歯缺けたり。」上堂。「秋風涼しく、松韻長し。未だ帰らぬ客、故郷を思う。且く道え、誰か是れ未だ帰らぬ客、何の処か是れ故郷。」良久して言った。「長連床上に粥有り飯有り。」上堂。「天上に弥勒無く、地下に弥勒無し。太虚空を打破す、如何にか尋ね得ざる。」一足を垂れ下して言った。「大衆、何の処に向ってか去る。」上堂。「若し佛法を説いて大衆を供養せば、未だ免れず眉鬚堕落せん。若し世法を説いて大衆を供養せば、地獄に入ること箭の射るが如し。此の二途を去って、且く道え、保寧は今日当に什麼を説くべき。三寸の舌頭に用うる処無く、一双の空手は拳を成さず。」上堂。「古人底は今人が用い、今人底は古人が為す。古今に背面無きを、今古幾人か知る。㖿鳴咿。一九と二九、相逢えば手を出さず。」上堂。「手脚有りて背面無し。明眼の人も見ることを得ず。天は左旋し、地は右転す。」膝を拍して言った。「西風一陣来たりて、落葉両三片。」上堂。「風は条を鳴らし、雨は塊を破る。暁来、枕上に鶯声砕け、蝦蟆・蚯蚓一時に鳴く。妙徳・空生も皆な会せず。皆な会せず、三箇群を成し、四箇隊を作し。窈窈窕窕、飃飄飖飖。南北東西に向って、棃華・李華を折り得て、一佩両佩。」上堂。「智の到らざる処、切に道着を忌め。道着すれば則ち頭角生ず。大衆、頭角生了えたり。是れ牛か是れ馬か。」上堂。「無漏真浄、云何んぞ是の中に更に他物を容れん。」一喝して言った。「好人は肯んじて作らず、須らく屎裏に臥すべし。」上堂。「夜静かに月明らか、水清くして魚現る。金鉤一擲して、何の処に踪を尋ぬる。」拄杖を提起して言った。「歴細歴細。」衆に示した。「箇の漢有り、怪にしてまた醜し。眼直に鼻は藍を镵り、南に面して北斗を看る。解して日午に金烏啼らせ、夜半に鉄牛吼えしむ。天地旋り、山河走る。羽族毛群、其の守る所を失う。直ちに文殊・普賢をして此に出で彼に沒せしめ、七縦八横、千生万受せしむ。驀然として箇の黄面瞿曇に逢着すれば、眉毛を惜しまず、再三に伊と摩頂授記して、云う善哉善哉、大いに仏事を作す、希有希有と。是に於て自家懡㦬㦬、慞慞惶惶として、頭を蔵み手を縮む。」召して云う、「大衆、此の話大行せん、何必ぞ更に三十年後を待たん。」衆に示した。「大方に外無く、大円に内無し。内無く外無ければ、聖凡普く会し、瓦礫光を生じ、須弥粉碎す。無量の法門、百千の三昧。」拄杖を拈起して云う、「総てここに在り。会すか。蘇嚕蘇嚕、㗭哩㗭哩娑婆訶。」衆に示した。「釈迦老子は四十九年法を説いて、甞て一字も道着せず。優波毱多は丈室に筹を盈たして、甞て一人も度し得ず。

達磨不居少室。六祖不住曹谿。誰是後昆。誰為先覺。既然如是。彼自無瘡。勿傷之也。拍膝。顧眾雲。且喜得天下太平。示眾雲。真相無形。示形現相。千怪萬狀。自此而彰。喜則滿面光生。怒則雙眉陡竪。非凡非聖。或是或非。人不可量。天莫能測。直下搆得。未稱丈夫。喚不回頭。且莫錯怪。

「達磨は少室に居らず、六祖は曹谿に住せず。誰か是れ後昆、誰か是れ先覚。既然として是くの如し、彼は自ら瘡無し。之を傷つける勿れ。」膝を拍ち、衆を顧みて云う、「且く天下太平を得たるを喜べ。」衆に示した。「真相は形無く、形を示して相を現ず。千怪万状、此より彰る。喜べば則ち満面に光生じ、怒れば則ち双眉陡竪す。凡に非ず聖に非ず、或是れ或は非。人は量るべからず、天も能く測らず。直下に搆え得るも、未だ丈夫と称せず。喚びても頭回らず、且く錯怪する莫れ。」

潭州石霜守孫禪師

潭州石霜守孫禅師

僧問。生也不道。死也不道。為甚麼不道。師曰。一言已出。曰。從東過西。又作麼生。師曰。駟馬難追。曰。學人總不與麼。師曰。易開終始口。難保歲寒心。

僧が問うた。「生に於ても道わず、死に於ても道わぬ。なにゆえ道わぬか。」師は言った。「一言已に出ず。」言った。「東より西に過ぐるは、また如何。」師は言った。「駟馬も追い難し。」言った。「学人は総て与麼せず。」師は言った。「終始の口を開くは易く、歳寒の心を保つは難し。」

比部孫居士

比部孫居士

因楊岐會禪師來謁。值視斷次。公曰。某為王事所牽。何由免離。岐指曰。委悉得麼。公曰。望師點破。岐曰。此是比部弘願深廣。利濟群生。公曰。未審如何。岐示以偈曰。應現宰官身。廣弘悲願深。為人重指處。棒下血淋淋。公於此有省。

楊岐の会禅師が来謁した時、ちょうど視断の次に当った。公は言った。「某は王事に牵かれて、何によりてか離れ免れん。」岐は指して言った。「委悉し得たか。」公は言った。「師の点破を望む。」岐は言った。「これ是比部の弘願が深広にして、群生を利済するなり。」公は言った。「いまだ審らかならず如何。」岐は偈を示して言った。「応に宰官の身を現じ、悲願の深きを広く弘めん。人の為に重ねて指す処、棒下に血淋淋。」公は此に於て省有り。

南嶽下十三世

南嶽下十三世

白雲端禪師法嗣

白雲端禅師法嗣

蘄州五祖法演禪師

蘄州五祖法演禅師

綿州鄧氏子。三十五始棄家。祝髮受具。往成都。習唯識.百法論。因聞菩薩入見道時。智與理冥。境與神會。不分能證所證。西天外道甞難比丘曰。既不分能證所證。卻以何為證。無能對者。外道貶之。令不鳴鐘皷。反披袈裟。三藏奘法師至彼。救此義曰。如人飲水。冷暖自知。乃通其難。師曰。冷暖則可知矣。作麼生是自知底事。遂質本講曰。不知自知之理如何。講莫疏其問。但誘曰。汝欲明此。當往南方。扣傳佛心宗者。師即負笈出關。所見尊宿。無不以此諮決所疑。終不破。洎謁圓照本禪師。古今因緣會盡。唯不會。僧問興化。四方八面來時如何。化雲。打中間底。僧作禮。化雲。我昨日赴箇村齋。中途遇一陣卒風暴雨。卻向古廟裡避得過。請益本。本雲。此是臨濟下因緣。須是問他家兒孫始得。師遂謁浮山遠禪師。請益前話。遠雲。我有箇譬喻。說似你。你一似箇三家村裡賣柴漢子。把箇匾擔向十字街頭。立地問人。中書堂今日商量甚麼事。師默計雲。若如此大故未在。遠一日語師曰。吾老矣。恐虗度子光陰。可往依白雲。此老雖後生。吾未識面。但見其頌臨濟三頓棒話。有過人處。必能了子大事。師潸然禮辭。至白雲。遂舉僧問南泉摩尼珠話。請問。雲叱之。師領悟。獻投機偈曰。山前一片閑田地。叉手叮嚀問祖翁。幾度賣來還自買。為憐松竹引清風。雲特印可。令掌磨事。未幾。雲至。語師曰。有數禪客自廬山來。皆有悟入處。教伊說。亦說得有來由。舉因緣。問伊亦明得。教伊下語亦下得。祇是未在。師於是大疑。私自計曰。既悟了。說亦說得。明亦明得。如何卻未在。遂參究累日。忽然省悟。從前寶惜。一時放下。走見白雲。雲為手舞足蹈。師亦一笑而已。師後曰。吾因茲出一身白汗。便明得下載清清風。一日示眾曰。古人道。如鏡鑄像。像成後鏡在甚麼處。眾下語不契。舉以問師。

綿州の鄧氏の子である。三十五にして始めて家を棄て、祝髪して具を受け、成都に往き、唯識・百法の論を習った。因って聞く、菩薩の見道に入る時、智は理と冥し、境は神と会し、能証・所証を分かたずと。西天の外道が甞て比丘に難じて言った。「既に能証・所証を分かたざれば、却って何を以て証と為す。」対え得る者無し。外道は之を貶め、鐘皷を鳴らさしめず、袈裟を反披せしめた。三藏の奘法師が彼に至り、此の義を救って言った。「人の水を飲むが如く、冷暖は自ら知る。」乃ち其の難を通じた。師は言った。「冷暖は則ち知るべしと雖も、如何なるか是れ自知底の事。」遂に本講に質して言った。「自知の理は如何なるか知らず。」講は其の問に疏えず、但だ誘って言った。「汝此れを明らめんと欲せば、当に南方に往き、仏心宗を伝うる者に扣へ。」師は即ち笈を負うて関を出た。見る所の尊宿、此を以て疑いを咨決せざる無きも、終に破れず。圓照の本禅師に謁するに洎りて、古今の因縁を会し尽くすも、唯だ会せざるは、僧が興化に問う、四方八面より来る時は如何と。化は云う、中間底を打てと。僧は礼を作す。化は云う、我昨日箇の村斎に赴きて、中途に一陣の卒風暴雨に遇い、却って古廟裏に向って避け得て過ぎたりと。本に請益す。本は云う、「此れは臨済下の因縁なり。須らく是れ他家の児孫に問うて始めて得べし。」師は遂に浮山の遠禅師に謁し、前話を請益した。遠は云う、「我に箇の譬喻あり。お前に説似せん。お前は一に箇の三家村裏の柴を売る漢子に似て、箇の匾担を把って十字街頭に向い、立地して人に問う、中書堂は今日何事を商量するかと。」師は黙して計えり、「若し是くの如くなれば大故に未だ在らず。」遠は一日師に語って言った。「吾老いたり。恐るらく子の光陰を虚度せん。往いて白雲に依るべし。此の老は後生と雖も、吾未だ面を識らざれど、但だ其の臨済三頓棒の話を頌するを見るに、人に過ぐる処有り。必ず能く子の大事を了せん。」師は潸然として礼辞し、白雲に至った。遂に僧の南泉に摩尼珠の話を問うを挙げて請問した。雲は之を叱った。師は領悟し、投機の偈を献じて言った。「山前一片の閑田地、叉手して叮嚀に祖翁に問う。幾度か売り来たって還って自ら買う、松竹を憐れんで清風を引くが為に。」雲は特に印可し、磨事を掌らしめた。未幾にして、雲至りて師に語った。「禅客数人廬山より来る。皆な悟入の処有り。伊を教えて説かしむれば、亦た説き得て来由有り。因縁を挙げて伊に問えば亦た明るめ得。伊を教えて語を下さしむれば亦た下し得。只だ是れ未だ在らず。」師是に於て大いに疑い、私に計えり、「既に悟り了え、説きても説き得、明るめても明るめ得、如何にか却って未だ在らざる。」遂に参究すること累日にして、忽然として省悟す。従前宝惜せしを、一時に放下し、走りて白雲に見えた。雲は為に手舞足蹈したり。師も亦た一笑のみ。師は後に言った。「吾因って茲に一身の白汗を出し、便ち下載の清清の風を明めたり。」一日衆に示した。「古人道う、鏡に像を鋳るが如し。像成りて後、鏡は什麼の処に在るか。」衆の下語は契わず。挙げて以て師に問う。

師近前問訊曰。也不較多。雲笑曰。須是道者始得。乃命分座。開示方來。初住四面。遷白雲。晚居東山。僧問。𢹂笻領眾。祖令當行。坐斷要津。師意如何。師曰。秋風吹渭水。落葉滿長安。曰。四面無門山嶽秀。今朝且得主人歸。師曰。你道路頭在甚麼處。曰。為甚麼對面不相識。師曰。且喜到來。問。祖意教意。是同是別。師曰。人貧智短。馬瘦毛長。問。如何是白雲為人親切處。師曰。棙轉鼻孔。曰。便恁麼去時如何。師曰。不知痛癢。漢問。達磨面壁。意旨如何。師曰。計較未成。曰。二祖立雪時如何。師曰。將錯就錯。曰。祇如斷臂安心。又作麼生。師曰。煬帝開汴河。問。百尺竿頭。如何進步。師曰。快走始得。問。如何是臨濟下事。師曰。五逆聞雷。曰。如何是雲門下事。師曰。紅旗閃爍。曰。如何是曹洞下事。師曰。馳書不到家。曰。如何是溈仰下事。師曰。斷碑橫古路。僧禮拜。師曰。何不問法眼下事。曰。留與和尚。師曰。巡人犯夜。問。如何是白雲一滴水。師曰。打碓打磨。曰。飲者如何。師曰。教你無著面處。問。天下人舌頭。盡被白雲坐斷。白雲舌頭。甚麼人坐斷。師曰。東村王大翁。師乃曰。適來思量得一則因緣。而今早忘了也。卻是拄杖子記得。乃拈拄杖曰。拄杖子也忘了。遂卓一下。曰。同坑無異土。咄。上堂。幸然無一事。行腳要參禪。卻被禪相惱。不透祖師關。如何是祖師關。把火入牛欄。上堂。恁麼恁麼。鰕跳不出鬥。不恁麼不恁麼。弄巧成拙。輭似鐵。硬如泥。金剛眼睛十二兩。衲僧手裡秤頭低。有價數。沒商量。無鼻孔底將甚麼聞香。上堂。難難幾何般。易易沒巴鼻。好好催人老。默默從此得。過這四重關了。泗州人見大聖。參。上堂。若要七縱八橫。見老和尚打皷陞堂。七十三。八十四。將拄杖驀曰便築。然雖如是。拈卻門前下馬臺。剪卻五色索。

師は近づき前って問訊して言った。「較多くもあらず。」雲は笑って言った。「須らく是れ道者なれば始めて得べし。」乃ち分座を命じ、方来を開示せしむ。初め四面に住し、白雲に遷り、晩に東山に居た。僧が問うた。「笻を𢹂て衆を領し、祖令当に行わる。要津を坐断す。師の意は如何。」師は言った。「秋風渭水を吹き、落葉長安に満つ。」言った。「四面門無き山岳秀にして、今朝且く主人の帰るを得たり。」師は言った。「お前が路頭は什麼の処に在ると道う。」言った。「なにゆえ対面に相识らぬ。」師は言った。「且く到来したるを喜べ。」問うた。「祖意と教意、是れ同か是れ別か。」師は言った。「人は貧すれば智短く、馬は瘦せれば毛長し。」問うた。「如何なるか是れ白雲の人の為に親切なる処。」師は言った。「鼻孔を棙転す。」言った。「便ち恁麼に去る時は如何。」師は言った。「痛痒を知らず。」漢が問うた。「達磨の面壁の意旨は如何。」師は言った。「計較未だ成らず。」言った。「二祖の立雪の時は如何。」師は言った。「錯を将て錯に就く。」言った。「只だ如し、臂を断ちて心を安んずるは、また如何。」師は言った。「煬帝が汴河を開く。」問うた。「百尺の竿頭、如何にか進歩する。」師は言った。「快走して始めて得べし。」問うた。「如何なるか是れ臨済下の事。」師は言った。「五逆の雷を聞く。」言った。「如何なるか是れ雲門下の事。」師は言った。「紅旗閃爍す。」言った。「如何なるか是れ曹洞下の事。」師は言った。「馳書家に到らず。」言った。「如何なるか是れ潙仰下の事。」師は言った。「断碑古路に横たわる。」僧は礼拜した。師は言った。「何ぞ法眼下の事を問わざる。」言った。「和尚に留め置きます。」師は言った。「巡人が夜を犯す。」問うた。「如何なるか是れ白雲の一滴水。」師は言った。「碓を打ち磨を打つ。」」言った。「飲む者は如何。」師は言った。「お前に面を着くる処無からしめん。」問うた。「天下の人の舌頭は尽く白雲に坐断せらる。白雲の舌頭は什麼の人か坐断する。」師は言った。「東村の王大翁。」師は乃ち言った。「適来一則の因縁を思量し得たりと雖も、而今早く忘れ了えたり。却って是れ拄杖子が記えたり。」乃ち拄杖を拈じて言った。「拄杖子も亦た忘れ了えたり。」遂に卓一下して言った。「坑を同じうして異土無し。咄。」上堂。「幸いに一事無く、行脚せんと要して禅を参ず。却って禅に相悩せられて、祖師関を透らず。如何なるか是れ祖師関。火を把って牛欄に入れ。」上堂。「恁麼恁麼、鰕は斗を跳出さず。不恁麼不恁麼、巧を弄して拙を成す。輭くは鉄の似く、硬きは泥の如し。金剛の眼睛十二両、衲僧の手裏の秤頭低し。価数有りて、商量無し。鼻孔無き底は什麼を将て香を聞く。」上堂。「難難幾何般、易易巴鼻没し。好好人を催して老いしめ、默默此より得たり。此の四重の関を過ぎ了えば、泗州の人は大聖を見ん。参。」上堂。「若し七縦八横せんと要せば、老和尚の皷を打ち堂を陞ぐるを見よ。七十三、八十四。拄杖を将て驀地に説かば便ち筑す。然りと雖も是くの如し、門前の下馬台を拈却し、五色の索を剪却せ。」

方始得安樂。僧問。承師有言。山前一片閑田地。祇如威音王已前。未審甚麼人為主。師曰。問取寫契書人。曰。和尚為甚倩人來答。師曰。祇為你教別人問。曰。與和尚平出去也。師曰。大遠在。問。如何是佛。師曰。口是禍門。又曰。肥從口入。問。一代時教是箇切腳。未審切那箇字。師曰。缽囉娘。曰。學人祇問一字。為甚麼卻答許多。師曰。七字八字。問。如何是和尚家風。師曰。鐵旗鐵皷。曰。祗有這箇。為復別有。師曰。採石渡頭看。曰。忽遇客來。將何祇待。師曰。龍肝鳳髓。且待別時。曰。客是主。人相師。師曰。謝供養。問。如何是先照後用。師曰。王言如絲。曰。如何是先用後照。師曰。其出如綸。曰。如何是照用同時。師曰。舉起軒轅鑑。蚩尤頓失威。曰。如何是照用不同時。師曰。金將火試。問。佛未出世時如何。師曰。大憨不如小憨。曰。出世後如何。師曰。小憨不如大憨。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。頭上戴纍垂。曰。見後如何。師曰。青布遮前。曰。未見時為甚麼百鳥銜華獻。師曰。富與貴是人之所欲。曰。見後為甚麼不銜華獻。師曰。貧與賤是人之所惡。問。如何是佛。師曰。露𮌎跣足。曰。如何是法。師曰。大赦不放。曰。如何是僧。師曰。釣魚船上謝三郎。問。四面無門山嶽秀。箇中時節若為分。曰。東君知子細。徧地發萌芽。曰。春去秋來。事宛然也。師曰。才方搓彈子。便要揑金剛。上堂。古人道。我若向你道。即禿卻我舌。若不向你道。即瘂卻我口。且道還有為人處也無。四面有時擬為你吞卻。祇被當門齒礙。擬為你吐卻。又為咽喉小。且道還有為人處也無。乃曰。四面自來柳下惠。上堂。結夏無可供養。作一家燕。管顧諸人。遂擡手曰。囉邏招。囉邏搖。囉邏送。莫怪空疎。伏惟珍重。上堂。白雲不會說禪。三門開向兩邊。有人動著關捩。

「方に始めて安楽を得ん。」僧が問うた。「師の言有るを承く、山前一片の閑田地と。只だ如し、威音王已前、いまだ審らかならず、什麼の人か主と為る。」師は言った。「契書を写す人に問取せ。」言った。「和尚はなにゆえ人を倩けて答えしむ。」師は言った。「只だお前が他人を教えて問わしむるが為なり。」言った。「和尚と平らに出で去るなり。」師は言った。「大いに遠し。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「口は是れ禍門。」又た言った。「肥は口より入る。」問うた。「一代の時教は是れ箇の切脚なり。いまだ審らかならず、那箇の字を切るか。」師は言った。「鉢囉娘。」言った。「学人は只だ一字を問う。なにゆえ却って許多を答うる。」師は言った。「七字八字。」問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「鉄旗鉄皷。」言った。「只だ此の箇有るのみか、為復た別に有るか。」師は言った。「采石の渡頭に看よ。」言った。「忽ち若し客の来るに遇わば、何を将てか只待せん。」師は言った。「竜肝鳳髓。且く別時を待て。」言った。「客は是れ主、人は師に相す。」師は言った。「供養に謝す。」問うた。「如何なるか是れ先照後用。」師は言った。「王言は絲の如し。」言った。「如何なるか是れ先用後照。」師は言った。「其の出ずるは綸の如し。」言った。「如何なるか是れ照用同時。」師は言った。「軒轅の鑑を挙げれば、蚩尤頓に威を失う。」言った。「如何なるか是れ照用不同時。」師は言った。「金は火を将て試る。」問うた。「仏未だ世に出ざる時は如何。」師は言った。「大憨は小憨に如かず。」言った。「世に出でて後は如何。」師は言った。「小憨は大憨に如かず。」問うた。「牛頭未だ四祖を見ざる時は如何。」師は言った。「頭上に累垂を戴く。」言った。「見て後は如何。」師は言った。「青布前を遮る。」言った。「未だ見ざる時、なにゆえ百鳥は華を銜えて献ず。」師は言った。「富と貴は是れ人の欲する所。」言った。「見て後、なにゆえ華を銜えて献えて献ぜざる。」師は言った。「貧と賤は是れ人の悪む所。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「跣足を露𮌎す。」言った。「如何なるか是れ法。」師は言った。「大赦も放さず。」言った。「如何なるか是れ僧。」師は言った。「釣魚船上の謝三郎。」問うた。「四面門無き山岳秀、箇中の時節若くんば分かたん。」言った。「東君は子細を知り、地に遍く萌芽を発す。」言った。「春去り秋来たる、事宛然なり。」師は言った。「才だ方に彈子を搓れば、便ち金剛を揑ねんと要す。」上堂。「古人道う、我若し汝に向って道わば、即ち我が舌を秃却し、若し汝に向って道わざれば、即ち我が口を痖却す。且く道え、還って人の為にする処有るや無しや。四面は時に擬してお前の為に呑却せんとするも、只だ当門の歯に碍げられ、擬してお前の為に吐却せんとするも、又た咽喉の小なるが為なり。且く道え、還って人の為にする処有るや無しや。」乃ち言った。「四面は自来の柳下恵。」上堂。「結夏に供養すべき無し。一家の燕を作し、諸人を管顧せん。」遂に手を抬げて言った。「囉邏招、囉邏摇、囉邏送。空疎なるを怪する莫れ。伏して惟るに珍重あれ。」上堂。「白雲は禅を説くを会せず。三門は両辺に向って開けり。人の関捩を動着する有らば、

兩片東扇西扇。上堂。一向恁麼去。路絕人稀。一向恁麼來。孤負先聖。去此二途。祖佛不能近。設使與白雲同生同死。亦未稱平生。何也。鳳凰不是凡間物。不得梧桐誓不棲。上堂。千峰列翠。岸柳垂金。樵父謳歌。漁人鼓舞。笙簧聒地。鳥語呢喃。紅粉佳人。風流公子。一一為汝諸人發上上機。開正法眼。若向這裡薦得。金色頭陀無容身處。若也不會。吃粥吃飯。許你七穿八穴。上堂。此箇物。上拄天。下拄地。皖口作眼。皖山作鼻。太平退身三步。放你諸人出氣。上堂。狗子還有佛性也無。也勝貓兒十萬倍。上堂。太平淈𣸩漢。事事盡經徧。如是三十年。也有人讚歎。且道讚歎箇甚麼。好箇淈𣸩漢。上堂。汝等諸人。見老和尚鼓動唇吻。竪起拂子。便作勝解。及乎山禽聚集。牛動尾巴。卻將作等閑。殊不知簷聲不斷前旬雨。電影還連後夜雷。謝監收。上堂。人之性命事。第一須是○。欲得成此○。先須防於○。若是真○人○。○上堂。有佛處不得住。換卻你心肝五臟。無佛處急走過。鴈過留聲。三千里外逢人。不得錯舉。出門便錯。恁麼則不去也。種粟卻生豆。摘楊華。摘楊華。不覺日又夜。爭教人少年。上堂。悟了同未悟。歸家尋舊路。一字是一字。一句是一句。自小不脫空。兩歲學移步。湛水生蓮華。一年生一度。僧問。如何是奪人不奪境。師曰。秋風吹渭水。落葉滿長安。曰。如何是奪境不奪人。師曰。路上逢人半是僧。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。高空有月千門照。大道無人獨自行。曰。如何是人境俱不奪。師曰。少婦棹孤舟。歌聲逐水流。小參。舉。德山雲。今夜不答話。問話者三十棒。眾中舉者甚多。會者不少。且道向甚處見德山。有不顧性命者。試出來道看。若無。山僧為大眾與德山老人相見去也。待德山道。今夜不答話。問話者三十棒。但向伊道。某甲話也不問。棒也不吃。

「両片の東扇西扇ならん。」上堂。「一向に恁麼に去れば、路絶えて人稀なり。一向に恁麼に来れば、先聖を孤負す。此の二途を去れば、祖佛も近づく能わず。設使白雲と生を同じく死を同じくすと雖も、亦た未だ平生を称せず。何を以てか。鳳凰は凡間の物に非ず、梧桐を得ざれば誓って棲まず。」上堂。「千峰翠を列ね、岸柳金を垂る。樵父は謳歌し、漁人は鼓舞す。笙簧地に聒え、鳥語呢喃す。紅粉の佳人、風流の公子、一一として汝ら諸人の為に上上機を発し、正法眼を開く。若し此の裏に向って薦得すれば、金色の頭陀も身を容るる処無し。若しも会せざれば、粥を喫い飯を喫いて、お前に七穿八穴を許さん。」上堂。「此の箇の物、上は天を拄え、下は地を拄え、皖口を以て眼と作し、皖山を以て鼻と作す。太平は身を退くこと三歩して、お前ら諸人をして気を出さしめん。」上堂。「狗子還って仏性有るや無しや。猫児に勝ること十万倍なり。」上堂。「太平の淈𣸩漢、事事尽く経遍す。是くの如く三十年、人の讃嘆する有り。且く道え、讃嘆して箇の什麼を。好個の淈𣸩漢を。」上堂。「汝等諸人、老和尚が唇吻を鼓動し、拂子を竪起するを見れば、便ち勝解を作す。山禽聚集し、牛が尾巴を動かすに及んでは、却って将て等閑と作す。殊に知らず、簷声は前旬の雨を断たず、電影は還って後夜の雷に連なる。」謝監収。上堂。「人の性命の事、第一に須らく是れ○。此の○を成らんと欲せば、先ず須らく○を防ぐべし。若し是れ真の○人ならば○。」上堂。「仏有る処は住するを得ず、お前の心肝五臓を換却す。仏無き処は急いで走り過ぐれ、鴈過ぎて声を留む。三千里外に人に逢えば、錯って挙ぐるを得ず。門を出れば便ち錯り。恁麼なれば去らざらんか。粟を種いて却って豆を生ず。楊華を摘み、楊華を摘み、覚えず日また夜。争でか人をして少年ならしめん。」上堂。「悟り了えるも未悟に同じ、家に帰って旧路を尋ぬ。一字は是れ一字、一句は是れ一句。小より空を脱せず、両歳にして歩を移すを学ぶ。湛水に蓮華を生じ、一年に一度を生ず。」僧が問うた。「如何なるか是れ人を奪い境を奪わざる。」師は言った。「秋風渭水を吹き、落葉長安に満つ。」言った。「如何なるか是れ境を奪い人を奪わざる。」師は言った。「路上に人に逢う、半ば是れ僧。」言った。「如何なるか是れ人境両倶奪。」師は言った。「高空に月有りて千門を照らし、大道に人無くして独り行く。」言った。「如何なるか是れ人境倶に奪わざる。」師は言った。「少婦孤舟を棹して、歌声水の流れに逐う。」小参。挙す。徳山云う、「今夜は話に答えず。話を問う者は三十棒。」衆中に挙ぐる者甚だ多く、会する者少なからず。且く道え、什麼の処に向って徳山を見ん。性命を顧みざる者有らば、試しに出て来て道って看よ。若し無ければ、山僧は大衆の為に徳山老人と相見えに去らん。徳山の道うを待ちて、「今夜は話に答えず。話を問う者は三十棒。」但だ伊に向って道え、「某甲は話も問わず、棒も喫わずと。」

你道還契他德山老人麼。到這裡。須是箇漢始得。況某甲十有餘年。海上參尋。見數人尊宿。自為了當。及到浮山會裡。直是開口不得。後到白雲門下。齩破一箇鐵酸豏。直得百味具足。且道豏子一句作麼生道。乃曰。華發鷄冠媚早秋。誰人能染紫絲頭。有時風動頻相倚。似向堦前鬪不休。上堂。山僧昨日入城。見一棚傀儡。不免近前看。或見端嚴奇特。或見醜陋不堪。動轉行坐。青黃赤白。一一見了。子細看時。元來青布幔裡有人。山僧忍俊不禁。乃問。長史高姓。他道。老和尚看便了。問甚麼姓。大眾。山僧被他一問。直得無言可對。無理可伸。還有人為山僧道得麼。昨日那裡落節。今日這裡拔本。上堂。說佛說法。拈槌竪拂。白雲萬裡。德山入門便棒。臨濟入門便喝。白雲萬裡。然後恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼。總不得。也則白雲萬裡。忽有箇漢出來道。長老你恁麼道。也則白雲萬裡。這箇說話。喚作矮子看戲。隨人上下。三十年後。一場好笑。且道笑箇甚麼。笑白雲萬裡。示眾雲。祖師道。吾本來茲土。傳法救迷情。一華開五葉。結果自然成。達磨大師信腳來。信口道。後代兒孫。多成計較。要會開華結果處麼。鄭州棃。青州棗。萬物無過出處好。示眾雲。真如凡聖。皆是夢言。佛及眾生。竝為增語。或有人出來道。盤山老聻。但向伊道。不因紫陌華開早。爭得黃鸎下柳條。若更問道。五祖老聻。自雲。諾。惺惺著。示眾雲。十方諸佛。六代祖師。天下善知識。皆同這箇舌頭。若識得這箇舌頭。始解大脫空。便道山河大地是佛。草木叢林是佛。若也未識得這箇舌頭。祇成小脫空。自謾去。明朝後日。大有事在。五祖恁麼說話。還有實頭處也無。自雲。有。如何是實頭處。歸堂吃茶去。示眾雲。每日起來。拄卻臨濟棒。吹雲門曲。應趙州拍。擔仰山鍬。驅溈山牛。耕白雲田。七八年來。

「お前が道う、還って他の徳山老人に契うか。ここに到って、須らく是れ箇の漢なれば始めて得べし。況んや某甲十余年、海上に参尋して、数人の尊宿を見たり。自ら了当と為したり。浮山の会裏に到るに及んでは、直ちに是れ口を開くを得ず。後に白雲の門下に到り、一箇の鉄酸豏を齩破して、直ちに百味具足を得たり。且く道え、豏子の一句を如何にか道う。」乃ち言った。「華髮鶏冠早秋に媚び、誰人か紫絲頭を染め得ん。時に風動いて頻りに相倚し、堦前に向って鬪って休まざるに似たり。」上堂。「山僧昨日城に入りて、一棚の傀儡を見たり。免れず近づき前って看る。或いは端厳奇特を見、或いは醜陋不堪を見るも、動転行坐、青黄赤白、一一見了えたり。子細に看る時、元来青布幔裏に人有り。山僧、俊を忍ぶに禁じ得ず、乃ち問うた。「長史の高姓は。」他は道う、「老和尚は看れば便ち了えり。什麼の姓を問う。」大衆、山僧は他の一問に被りて、直ちに言に対すべき無く、理に伸ぶべき無し。還って人の為に山僧が道い得る者有るか。昨日は彼の所に節を落とし、今日は此の所に本を抜く。」上堂。「仏を説き法を説き、槌を拈じ拂を竪つ。白雲万里。徳山は門に入れば便ち棒、臨済は門に入れば便ち喝。白雲万里。然る後恁麼も得ず、不恁麼も得ず、恁麼不恁麼も総て得ず。也則ち白雲万里。忽ち箇の漢有りて出て来て道わく、長老お前が恁麼に道うも、也則ち白雲万里と。此の説話は喚んで矮子の戯を看ると作さん。人に随って上下す。三十年後、一場の好笑。且く道え、箇の什麼を笑う。白雲万里を笑うなり。」衆に示した。「祖師道う、吾本来茲の土に、法を伝えて迷情を救わんと。一華開きて五葉、結果自然成りと。達磨大師は脚を信うて来り、口を信うて道う。後代の児孫、多く計較と成る。要して開華結果の処を会せんか。鄭州の棃、青州の棗。万物も出処の好きに過ぐる無し。」衆に示した。「真如・凡聖、皆な是れ夢の言。仏及び衆生、竝びて増語と為る。

漸成家活。更告諸公。每人出一隻手。相共扶助。唱村田樂。麤羹淡飯。且恁麼過。何也。但願今年蠶麥熟。羅睺羅兒與一文。示眾。舉。德山和尚因僧問。從上諸聖。以何法示人。山雲。我宗無語句。亦無一法與人。雪峰從此有省。後有僧問雪峰雲。和尚見德山。得箇甚麼便休去。峰雲。我當時空手去.空手歸。白雲今日說向透未過者。有箇人從東京來。問伊甚處來。他卻道蘇州來。問伊蘇州事如何。伊道。一切尋常。雖然如是。謾白雲不過。何故。祇為語音各別。畢竟如何。蘇州菱。邵伯藕。示眾。佛祖生冤家。悟道染泥土。無為無事人。聲色如聾瞽。且道如何即是。恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼總不得。忽有箇出來道。恁麼也得。不恁麼也得。恁麼不恁麼總得。祇向伊道。我也知你向鬼窟裡作活計。小參。舉。陸亙大夫問南泉。弟子家中有一片石。也曾坐。也曾臥。擬鐫作佛。得麼。雲。得。陸曰。莫不得麼。雲。不得。大眾。夫為善知識。須明決擇。為甚麼他人道得也道得。他人道不得也道不得。還知南泉落處麼。白雲不惜眉毛。與汝注破。得又是誰道來。不得又是誰道來。汝若更不會。老僧今夜為汝作箇樣子。乃舉手雲。將三界二十八天作箇佛頭。金輪水際作箇佛腳。四大洲作箇佛身。雖然作此佛兒子了。汝諸人又卻在那裡安身立命。大眾還會也未。老僧作第二箇樣子去也。將東弗於逮作一箇佛。南贍部洲作一箇佛。西瞿耶尼作一箇佛。北鬱單越作一箇佛。草木叢林是佛。蠢動含靈是佛。既恁麼。又喚甚麼作眾生。還會也未。不如東弗於逮還他東弗於逮。南贍部洲還他南贍部洲。西瞿耶尼還他西瞿耶尼。北鬱單越還他北鬱單越。草木叢林還他草木叢林。蠢動含靈還他蠢動含靈。所以道。是法住法位。世間相常住。既恁麼。汝又喚甚麼作佛。還會麼。忽有箇漢出來道。白雲休寐語。

「漸く家活を成したり。更に諸公に告ぐ、每人手を一只出して、相い共に扶助して、村田楽を唱え、麤羹淡飯にして、且く恁麼に過さん。何を以てか。但だ願わくば今年蚕麦熟して、羅睺羅児に一文を与えん。」衆に示す。挙す。徳山和尚、因って僧の問う、「従上の諸聖、何の法を以て人に示す。」山は云う、「我が宗に語句無く、亦た一法も人に与える無し。」雪峯は此より省有り。後に僧が雪峯に問うて云う、「和尚は徳山に見えて、箇の什麼を得て便ち休み去ったか。」峯は云う、「我当時手を空しうして去り、手を空しうして帰った。」白雲は今日、透き未だ過だ過ぎざる者に向って説かん。箇の人の東京より来る有り。伊に問う、什麼の処より来たると。他は却って道う、蘇州より来たと。伊に問う、蘇州の事は如何と。伊は道う、一切尋常と。然りと雖も是くの如し、白雲を謾ること過ぎず。何故。只だ語音各別なるが為なり。畢竟如何。蘇州の菱、邵伯の藕。」衆に示した。「佛祖は寃家を生じ、道を悟るは泥土を染む。無為無事の人、声色に於て聾瞽の如し。且く道え、如何にすれば即ち是れ。恁麼も得ず、不恁麼も得ず、恁麼不恁麼も総て得ず。忽ち箇の有りて出て来て道わく、恁麼も得たり、不恁麼も得たり、恁麼不恁麼も総て得たりと。只だ伊に向って道え、我も亦た知る、お前が鬼窟裏に向って活計を作すと。」小参。挙す。陸亘大夫が南泉に問う、「弟子の家中に一片の石有り。も坐すこと有り、も臥すこと有り。擬して佛と作り鎸わんと欲す。得べきか。」云う、「得。」陸は言った。「得ざる莫れか。」云う、「不得。」大衆、夫れ善知識と為るは、須らく決択を明らめよ。なにゆえ他人は得と道えば亦た得、他人は不得と道えば亦た不得。還って南泉の落処を知るか。白雲は眉毛を惜しまず、汝に与って注破せん。得とは又是れ誰か道い来たる、不得とは又是れ誰か道い来たる。汝若し更に会せざれば、老僧は今夜、汝の為に箇の様子を作さん。」乃ち手を挙げて云う、「三界二十八天を将て箇の佛頭と作し、金輪水際を箇の佛脚と作し、四大洲を箇の佛身と作さん。然りと雖も此の佛児子を作し了えりと雖も、汝ら諸人は又た却って彼の処に在りて安身立命せん。大衆還って会するや未だ。」老僧は第二箇の様子を作し去らん。東弗于逮を将て一箇の佛と作し、南贍部洲を将て一箇の佛と作し、西瞿耶尼を将て一箇の佛と作し、北郁単越を将て一箇の佛と作し、草木叢林は是れ佛、蠢動含霊は是れ佛。既に恁麼ならば、又た什麼を喚んで衆生と作す。還って会するや未だ。東弗于逮を他の東弗于逮に還し、南贍部洲を他の南贍部洲に還し、西瞿耶尼を他の西瞿耶尼に還し、北郁単越を他の北郁単越に還し、草木叢林を他の草木叢林に還し、蠢動含霊を他の蠢動含霊に還すに如かず。それ道う、是の法は法位に住し、世間相は常住すと。既に恁麼ならば、汝は又た什麼を喚んで佛と作す。還って会するか。忽ち箇の漢有りて出て来て道わく、白雲は寐語を休めよと。

大眾記取這一轉。三佛侍師於一亭上夜話。及歸燈已滅。師於暗中曰。各人下一轉語。佛鑑曰。彩鳳舞丹霄。佛眼曰。鐵虵橫古路。佛果曰。看腳下。師曰。滅吾宗者。乃克勤爾。崇寧三年六月二十五日。上堂。辭眾曰。趙州和尚有末後句。你作麼生會。試出來道看。若會得去。不妨自在快活。如或未然。這好事作麼說。良久曰。說即說了。也祇是諸人不知。要會麼。富嫌千口少。貧恨一身多。珍重。時山門有土木之役。躬往督之。且曰。汝等勉力。吾不復來矣。歸丈室淨髮澡身。迄旦吉祥而化。是夕山摧石隕。四十里內巖谷震吼。闍維設利如雨。塔於東山之南。

「大衆、此の一転を記取せよ。」三佛が師に侍って一亭上で夜話し、帰るに及んで灯は已に滅えたり。師は暗中に於て言った。「各人、一転語を下せ。」佛鑑は言った。「彩鳳、丹霄を舞う。」佛眼は言った。「鉄虵、古路に横たわる。」佛果は言った。「脚下を看よ。」師は言った。「吾が宗を滅するは、乃ち克勤なり。」崇寧三年六月二十五日、上堂して衆を辞して言った。「趙州和尚に末後の句有り。お前は如何にか会す。試しに出て来て道って看よ。若し会得て去れば、妨げず自在快活せん。如くんば或いは未然ならば、此の好事を如何にか説く。」良久して言った。「説けば即ち説き了えたり。も是れ只だ諸人の知らざるなり。要して会せんか。富めるは千口の少なきを嫌い、貧しきは一身の多きを恨む。珍重。」時に山門に土木の役有り、躬ら往きて之を督し、且つ言った。「汝等勉力せよ。吾復た来たらず。」丈室に帰りて髪を浄め身を澡い、旦に迄って吉祥にして化したり。是の夕、山摧れ石隕りて、四十里内の巌谷は震吼せり。闍維の設利は雨の如し。東山の南に塔す。

潭州雲蓋山智本禪師

潭州雲蓋山智本禅師

瑞州郭氏子。開堂日。僧問。諸佛出世。天雨四華。和尚出世。有何祥瑞。師曰。千聞不如一見。曰。見後如何。師曰。瞎。問。如何是清淨法身。師曰。家無小使。不成君子。問。將心覓心。如何覓得。師曰。波斯學漢語。問。如何是學人出身處。師曰。雪峰元是嶺南人。問。素面相呈時如何。師曰。一場醜拙。問。人人盡有一面古鏡。如何是學人古鏡。師曰。打破來。向你道。曰。打破了也。師曰。胡地冬抽筍。問。古人道。說取行不得底。行取說不得底。未審行不得底作麼生說。師曰。口在腳下。曰。說不得底。作麼生行。師曰。踏著舌頭。問。知師久蘊囊中寶。今日當場略借看。師曰。適來恰被人借去。上堂。去者鼻孔遼天。來者腳踏實地。且道祖師意向甚麼處著。良久曰。長恨春歸無覓處。不知流入此中來。上堂。高臺巴鼻。開口便是。若也便是。有甚巴鼻。月冷風高。水清山翠。上堂。以楔出楔。有甚休歇。欲得休歇。以楔出楔。喝一喝。上堂。高聲喚侍者。侍者應諾。師曰。大眾集也未。侍者曰。大眾已集。師曰。那一箇為甚麼不來赴參。侍者無語。師曰。到即不點。上堂。滿口道不出。句句甚分明。滿目覷不見。山山疊亂青。皷聲猶不會。何況是鐘鳴。喝一喝。上堂。祖翁卓卓犖犖。兒孫齷齷齪齪。有處藏頭。沒處露角。借問衲僧。如何摸索。上堂。橫按拄杖曰。牙如刀劍面如鐵。眼放電光光不歇。手把蒺棃一萬斤。等閑敲落天邊月。卓一下。僧問。如何是齩人師子。師曰。五老峰前。曰。這箇豈會齩人。師曰。今日拾得性命。上堂。頭戴須彌山。腳踏四大海。呼吸起風雷。動用生五彩。若能識得渠。一任歲月改。且道誰人識得渠。喝一喝。雲。田庫奴。

瑞州の郭氏の子である。開堂の日、僧が問うた。「諸佛の世に出づるに、天は四華を雨らす。和尚の世に出づるに、何の祥瑞か有る。」師は言った。「千聞は一見に如かず。」言った。「見て後は如何。」師は言った。「瞎。」問うた。「如何なるか是れ清浄法身。」師は言った。「家に小使無ければ君子を成さず。」問うた。「心を将て心を覔めば、如何にか覔め得る。」師は言った。「波斯が漢語を学ぶ。」問うた。「如何なるか是れ学人の出身処。」師は言った。「雪峯は元是れ嶺南の人。」問うた。「素面相呈の時は如何。」師は言った。「一場の醜拙。」問うた。「人人尽く一面の古鏡有り。如何なるか是れ学人の古鏡。」師は言った。「打破して来れ。お前に向って道わん。」言った。「打破し了えたり。」師は言った。「胡地の冬に笋を抽く。」問うた。「古人道う、説き取るは行い得ざる底、行い取るは説き得ざる底と。いまだ審らかならず、行い得ざる底を如何にか説く。」師は言った。「口は脚下に在り。」言った。「説き得ざる底を如何にか行う。」師は言った。「舌頭を踏着す。」問うた。「師の久しく嚢中の宝を藴むを知る。今日場に当って略して借り看ん。」師は言った。「適来恰も人に借られて去った。」上堂。「去る者は鼻孔遼天、来る者は脚を地に踏実す。且く道え、祖師の意は什麼の処に向って着くる。」良久して言った。「長く恨む、春帰るも覔むる処無きを、知らず此の中に流入り来たれりを。」上堂。「高台の巴鼻、口を開けば便ち是れ。若しも便ち是れならば、甚の巴鼻有らん。月冷く風高し、水清く山翠なり。」上堂。「楔を以て楔を出す。甚の休歇有らん。休歇せんと欲せば、楔を以て楔を出せ。」一喝した。上堂。高声に侍者を喚べば、侍者応諾す。師は言った。「大衆集まれるや未だ。」侍者は言った。「大衆已に集まり。」師は言った。「那一箇はなにゆえ参に赴き来たらぬ。」侍者語無し。師は言った。「到れば即ち点らず。」上堂。「満口道い出さざるも、句句甚だ分明。満目觑て見えざるも、山山重ねて乱青。皷声なお会せず、何を況んや是れ鐘鳴。」一喝した。上堂。「祖翁は卓卓犖犖、児孫は龌龌龊龊。

滁州琅邪永起禪師

「処有りて頭を蔵み、処無きに角を露わす。借り問う衲僧、如何にか摸索する。」上堂。拄杖を横按して言った。「牙は刀剣の如く面は鉄の如し。眼は電光を放ちて光歇まず。手に蒺棃一万斤を把り、等閑に天辺の月を敲落す。」卓一下した。僧が問うた。「如何なるか是れ人を齩む師子。」師は言った。「五老峰前。」言った。「此の豈に人を齩むを会せん。」師は言った。「今日性命を拾得したり。」上堂。「頭に須弥山を戴き、脚に四大海を踏み、呼吸は風雷を起し、動用は五彩を生ず。若し能く渠を識得すれば、一任に歳月改まる。且く道え、誰人か渠を識得する。」一喝して云う、「田庫奴。」

襄陽人也。僧問。庵內人為甚麼不見庵外事。師曰。東家點燈。西家暗坐。曰。如何是庵內事。師曰。眼在甚麼處。曰。三門頭合掌。師曰。有甚交涉。乃曰。五更殘月落。天曉白雲飛。分明目前事。不是目前機。既是目前事。為甚麼不是目前機。良久曰。此去西天路。迢迢十萬餘。上堂。良久拊掌一下。曰。阿呵呵。阿呵呵。還會麼。法法本來法。遂拈拄杖曰。這箇是山僧拄杖。那箇是本來法。還定當得麼。卓一下。

襄陽の人である。僧が問うた。「庵内の人はなにゆえ庵外の事を見ざる。」師は言った。「東家に灯を点じ、西家に暗坐す。」言った。「如何なるか是れ庵内の事。」師は言った。「眼は什麼の処に在る。」言った。「三門頭に合掌す。」師は言った。「甚の交渉有らん。」乃ち言った。「五更に残月落ち、天暁に白雲飛ぶ。分明に目前の事にして、是れ目前の機に非ず。既に是れ目前の事、なにゆえ是れ目前の機に非ざる。」良久して言った。「此より西天の路、迢迢として十万余。」上堂。良久して掌を拊ち一下して言った。「阿呵呵、阿呵呵。還って会するか。法法本来法。」遂に拄杖を拈じて言った。「此の是れ山僧の拄杖、那の是れ本来法。還って定当し得るか。」卓一下した。

英州保福殊禪師

英州保福殊禅師

僧問。諸佛未出世時如何。師曰。山河大地。曰。出世後如何。師曰。大地山河。曰。恁麼則一般也。師曰。敲甎打瓦。問。如何是和尚家風。師曰。椀大椀小。曰。客來將何祇待。師曰。一杓兩杓。曰。未飽者。作麼生。師曰。少吃少吃。問。如何是大道。師曰。閙市裡。曰。如何是道中人。師曰。一任人看。問。如何是禪。師曰。秋風臨古渡。落日不堪聞。曰。不問這箇禪。師曰。你問那箇禪。曰。祖師禪。師曰。南華塔外松陰裡。飲露吟風又更多。問。如何是真正路。師曰。出門看堠子。乃曰。釋迦何處滅俱屍。彌勒幾曾在兜率。西覓普賢好慚愧。北討文殊生受屈。坐壓毗盧額汗流。行築觀音鼻血出。回頭摸著箇匾擔。卻道好箇木牙笏。喝一喝。下座。

僧が問うた。「諸佛未だ世に出ざる時は如何。」師は言った。「山河大地。」言った。「世に出でて後は如何。」師は言った。「大地山河。」言った。「恁麼なれば則ち一般なるか。」師は言った。「甎を敲き瓦を打つ。」問うた。「如何なるか是れ和尚の家風。」師は言った。「椀大きく椀小さし。」言った。「客来れば何を将てか只待せん。」師は言った。「一杓両杓。」言った。「未だ飽かざる者は如何にせん。」師は言った。「少なく喫え少なく喫え。」問うた。「如何なるか是れ大道。」師は言った。「閙市裏。」言った。「如何なるか是れ道中人。」師は言った。「一任に人の看る。」問うた。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「秋風古渡に臨み、落日堪えて聞くに忍びず。」言った。「此の禅を問わず。」師は言った。「お前は那の禅を問う。」言った。「祖師禅。」師は言った。「南華塔外の松陰裏、露を飲み風を吟じて又た更に多し。」問うた。「如何なるか是れ真正の路。」師は言った。「門を出でて堠子を看よ。」乃ち言った。「釈迦は何の処にか俱尸を滅せし、弥勒は幾曾て兜率に在りし。西に普賢を覔めて好く慚愧し、北に文殊を討って生じて屈を受く。坐して毘盧を圧して額汗流れ、行して観音を筑して鼻血出づ。回頭して箇の匾担を摸着し、却って道う、好個の木牙笏と。」一喝して座を下りた。

袁州崇勝院珙禪師

袁州崇勝院珙禅師

上堂。舉石鞏張弓架箭接機公案。頌曰。三十年來握箭弓。三平才到擘開𮌎。半箇聖人終不得。大顛弦外幾時逢。

上堂。石巩が弓を張り箭を架けて機に接したる公案を挙げて、頌して言った。「三十年来箭弓を握り、三平才だ到れば擘開す。半箇の聖人終に得ざるも、大顛弦外幾時か逢わん。」

提刑郭祥正

提刑郭祥正

字功甫。號淨空居士。志樂泉石。不羨紛華。因謁白雲。雲上堂曰。夜來枕上作得箇山頌。謝功甫大儒。廬山二十年之舊。今日遠訪白雲之勤。當須舉與大眾。請已後分明舉似諸方。此頌豈唯謝功甫大儒。直要與天下有鼻孔衲僧脫卻著肉汗衫。莫言不道。乃曰。上大人。丘乙己。化三千。七十士。爾小生。八九子。佳作仁。可知禮也。公切疑。後聞小兒誦之。忽有省。以書報雲。雲以偈答曰。藏身不用縮頭。斂跡何須收腳。金烏半夜遼天。玉兔趕他不著。元祐中往衢之南禪。謁泉萬卷。請陞座。公趨前拈香曰。海邊枯木。入手成香。爇向爐中。橫穿香積如來鼻孔。作此大事。須是對眾白過始得。雲居老人有箇無縫布衫。分付南禪。禪師著得不長不短。進前則諸佛讓位。退步則海水澄波。今日嚬呻。六種震動。遂召曰。大眾。還委悉麼。有意氣時添意氣。不風流處也風流。泉曰。𮞏相鈍置。公曰。因誰致得。崇寧初。到五祖。命祖陞座。公趨前拈香曰。此一瓣香。爇向爐中。供養我堂頭法兄禪師。伏願於方廣座上。擘開面門。放出先師形相。與他諸人描邈。何以如此。白雲巖畔舊相逢。往日今朝事不同。夜靜水寒魚不食。一爐香散白蓮峰。祖遂雲。曩謨薩怛哆缽囉野。恁麼恁麼。幾度白雲谿上望黃梅。華向雪中開。不恁麼不恁麼。嫰柳垂金線。且要應時來。不見龐居士問馬大師雲。不與萬法為侶者。是甚麼人。大師雲。待汝一口吸盡西江水。即向汝道。大眾。一口吸盡西江水。萬丈深潭窮到底。掠彴不是趙州橋。明月清風安可比。後又到保寧。亦請陞座。公拈香曰。法皷既鳴。寶香初爇。楊岐頂𩕳門。請師重著楔。保寧卓拄杖一下。曰。著楔已竟。大眾證明。又卓一下。便下座。又到雲居。請佛。印陞座。公拈香曰。覺地相逢一何早。鶻臭布衫今脫了。要識雲居一句玄。珍重後園驢吃草。召大眾曰。

字は功甫、号は浄空居士。志は泉石を楽しみ、紛華を羨まず。因って白雲に謁す。雲は上堂して言った。「夜来、枕上に於て箇の山頌を作り得たり。功甫大儒に謝す、廬山二十年の旧、今日遠く白雲の勤を訪う。当に須らく挙げて大衆に与え、請う已後分明に諸方に挙似せよ。此の頌は豈に唯だ功甫大儒に謝するのみならん、直ちに天下の鼻孔有る衲僧をして、肉に着くる汗衫を脱却せしめんと要す。道わずと言う莫れ。」乃ち言った。「上大人、丘乙己。化三千、七十士。爾小生、八九子。佳作仁、礼を知るべきなり。」公は切に疑い、後に小児の之を誦するを聞き、忽ち省有り。書を以て雲に報じるに、雲は偈を以て答えて言った。「身を蔵むるに頭を縮むるを用いず、跡を斂するに何ぞ脚を収むるを須いん。金烏は半夜に遼天し、玉兔は他を趕って着かず。」元祐中に衢の南禅に往き、泉万卷に謁し、陞座を請う。公は趨り前りて香を拈じて言った。「海辺の枯木、手に入りて香を成す。爇きて炉中に向い、香積如来の鼻孔を横穿す。此の大事を作すに、須らく是れ衆に対って白して始めて得べし。雲居老人に箇の無縫布衫有りて、南禅に分付せり。禅師着れば長からず短からず、前に進めば則ち諸佛位を譲り、歩を退けば則ち海水澄波す。今日嚬呻して、六種震動す。」遂に召して言った。「大衆、還って委悉するか。意気有る時は意気を添え、風流ならざる処も亦た風流なり。」泉は言った。「相鈍置したり。」公は言った。「誰に因ってか致したる。」崇寧初、五祖に到り、祖に陞座を命ず。公は趨り前りて香を拈じて言った。「此の一瓣の香、爇きて炉中に向い、我が堂頭の法兄禅師を供養せん。伏して願わくば方広の座上に於て、面門を擘開し、先師の形相を放出して、他の諸人と為に描邈せん。何を以てかくの如くするか。白雲巌畔に旧く相逢い、往日今朝事同じからず。夜静かに水寒くして魚食わず、一炉の香散じて白蓮峰に。」祖は遂に云う、「曩謨薩怛哆鉢囉野。恁麼恁麼、幾度か白雲渓上より黄梅を望み、華は雪中に向って開く。不恁麼不恁麼、嫰柳金線を垂れ、且く時に応じて来らんと要す。道えずんばあらざれ、龐居士が馬大師に問うて言う、万法と侣を為さざる者は什麼の人かと。大師は言う、汝の一口に西江水を吸い尽くすを待ち、即ち汝に向って道わんと。大衆、一口に西江水を吸い尽くせば、万丈の深潭底に窮まる。掠彴は是れ趙州橋に非ず、明月清風安んぞ比せん。」後に又た保寧に到り、亦た陞座を請う。公は香を拈じて言った。「法皷既に鳴り、宝香初めて爇く。楊岐頂𩕳門、師の重ねて楔を着くるを請う。」保寧は拄杖を卓し一下して言った。「楔を着くる已に竟えり。大衆証明せよ。」又た卓一下して、便ち座を下りた。又た雲居に到り、佛に請うて、印陞座す。公は香を拈じて言った。「覚地に相逢うこと一に何ぞ早き、鶻臭の布衫今脱了えり。雲居の一句の玄を識らんと要せば、珍重して後園に驢の草を喫うを。」大衆を召して言った。

此一瓣香。熏天炙地去也。印曰。今日不著便。被這漢當面塗糊。便打。乃曰。謝公千里來相訪。共話東山竹徑深。借與一龍騎出洞。若逢天旱便為霖。擲拄杖下座。公拜起。印曰。收得龍麼。公曰。已在這裡。印曰。作麼生騎。公擺手作舞便行。印拊掌曰。祇有這漢。猶較些子。

(師が続けて言った。)「此の一瓣の香、天を薫り地を炙って去らん。」印は言った。「今日は便を着けず、此の漢に当面して塗糊せられたり。」便ち打った。乃ち言った。「公の千里来たりて相訪うを謝し、共に東山竹径の深きを話す。一竜を借して騎りて洞を出づ、若し天旱に逢わば便ち霖と為れ。」拄杖を擲ちて座を下りた。公は拜して起きた。印は言った。「竜を収得したか。」公は言った。「已にここに在り。」印は言った。「如何にか騎る。」公は手を擺して舞を作し便ち行った。印は掌を拊して言った。「只だ此の漢、なお些子を較ぶるなり。」

保寧勇禪師法嗣

保寧勇禅師法嗣

郢州月掌山壽聖智淵禪師

郢州月掌山寿聖智淵禅師

僧問。祖意西來即不問。如何是一色。師曰。目前無闍黎。此間無老僧。曰。既不如是。如何曉會。師曰。領取鉤頭意。莫認定盤星。乃曰。凡有問答。一似擊石迸火。流出無盡法財。三草二木。普霑其潤。放行也。雲生谷口。霧罩長空。把定也。碧眼胡僧。亦須罔措。壽聖如斯舉唱。猶是化門。要且未有衲僧巴鼻。敢問諸人。作麼生是衲僧巴鼻。良久曰。布針開兩眼。君向那頭看。

僧が問うた。「祖意西来は即ち問わず。如何なるか是れ一色。」師は言った。「目前に闍黎無く、此間に老僧無し。」言った。「既に是くの如くならざれば、如何にか暁会する。」師は言った。「鉤頭の意を領取せよ。定盤星を認る莫れ。」乃ち言った。「凡そ問答有るは、一に石を撃って火を迸がすが似て、無尽の法財を流出し、三草二木普く其の潤いを沾う。放行すれば、雲は谷口に生じ、霧は長空を罩う。把定すれば、碧眼の胡僧も亦た須らく罔措すべし。寿聖は斯くの如く挙唱するも、なお是れ化門にして、要するに且く未だ衲僧の巴鼻有らず。敢えて諸人に問う、如何なるか是れ衲僧の巴鼻。」良久して言った。「針を布いて両眼を開く。君は那頭に向って看よ。」

安吉州烏鎮壽聖院楚文禪師

安吉州烏鎮寿聖院楚文禅師

上堂。拈拄杖曰。華藏木楖栗。等閑亂拈出。不是不惜手。山家無固必。點山山動搖。攪水水波溢。忽然把定時。事事執法律。要橫不得橫。要屈不得屈。驀召大眾曰。莫謂棒頭有眼明如日。上面光生盡是漆。隨聲敲一下。上堂。一叉一劄。著骨連皮。一搦一擡。粘手綴腳。電光石火。頭垂尾垂。劈箭追風。半生半死。撞著磕著。討甚眉毛。明頭暗頭。是何眼目。總不恁麼。正在半途。設使全機。未至涯岸。直饒淨躶躶。赤灑灑。沒可把。尚有廉纖。山僧恁麼道。且道口好作甚麼。良久曰。嘻。留取吃飯。

上堂。拄杖を拈じて言った。「華蔵の木楖栗、等閑に乱れて拈出す。惜しみ手ならざるに非ず、山家に固必無きなり。山を点ぜば山動揺し、水を攪かば水波溢る。忽然として把定の時は、事事に法律を執す。横を要して横を得ず、屈を要して屈を得ず。」驀地に大衆を召して言った。「棒頭に眼有りて日の如く明けしと謂う莫れ。上に光生じて尽く是れ漆なり。」声に随いて一下を敲いた。上堂。「一叉一札、骨に着き皮に連なり。一搦一抬、手に粘り脚に綴る。電光石火、頭垂れ尾垂る。箭を劈き風を追い、半生半死。撞き着き磕き着き、甚の眉毛を討らん。明頭暗頭、是れ何の眼目ぞ。総て恁麼ならざれば、正に半途に在り。設使全機も、未だ涯岸に至らず。直饒浄躶躶、赤洒洒として、把るべき没しと雖も、なお廉纖有り。山僧恁麼に道う。且く道え、口は好く什麼を作す。」良久して言った。「嘻。留めて飯を喫わん。」

信州靈鷲山寶積宗映禪師

信州霊鷲山宝積宗映禅師

開堂日。乃橫按拄杖曰。大眾。到這裡無親無疎。自然不孤。無內無外。縱橫自在。自在不孤。清淨毗盧。釋迦舉令。彌勒分疎。觀根逗教。更相回互。看取寶積拄杖子。黑漆光生。兩頭相副。阿呵呵。是何言歟。良久曰。世事但將公道斷。人心難與月輪齊。卓一下。下座。

開堂の日、乃ち拄杖を横按して言った。「大衆、ここに到って親無く疏無し。自然に孤ならず。内無く外無くして、縦横自在。自在にして孤ならざれば、清浄の毘盧。釈迦は令を挙げ、弥勒は疏を分かつ。根を観て教に逗し、更に相い回互す。宝積の拄杖子を看取せよ。黒漆光を生じ、両頭相い副う。阿呵呵、是れ何の言歟。」良久して言った。「世事は但だ公道を将て断ずべし、人心は月輪と斉しきを与え難し。」卓一下して座を下りた。

隆興府景福日餘禪師

隆興府景福日余禅師

僧問。如何是道。師曰。天共白雲曉。水和明月流。曰。如何是道中人。師曰。先行不到。末後太過。又僧出眾畫一圓相。師以手畫一畫。僧作舞歸眾。師曰。家有白澤之圖。必無如是妖怪。乃拈拄杖曰。無量諸佛向此轉大法輪。今古祖師向此演大法義。若信得及。法法本自圓成。念念悉皆具足。若信不及。山僧今日。因行不妨掉臂。更為重說偈言。卓一下。下座。

僧が問うた。「如何なるか是れ道。」師は言った。「天は白雲と共に暁き、水は明月と和して流る。」言った。「如何なるか是れ道中人。」師は言った。「先行も到らず、末後も太過ぎ。」又た僧が衆を出でて一円相を画けば、師は手を以て一画した。僧は舞を作して衆に帰った。師は言った。「家に白沢の図有れば、必ず是くの如き妖怪無し。」乃ち拄杖を拈じて言った。「無量の諸佛、此に向って大法輪を転じ、今古の祖師、此に向って大法義を演ぶ。若し信じ得て及ばば、法法本自圓成、念念悉く皆な具足。若し信じ及ばざれば、山僧は今日、行に因って妨げず臂を掉って、更に重ねて偈言を説かん。」卓一下して座を下りた。

安吉州上方日益禪師

安吉州上方日益禅師

開堂日。上首白槌罷。師曰。白槌前觀一又不成。白槌後觀二又不是。到這裡任是鐵眼銅睛。也須百雜碎。莫有不避危亡底衲僧。試出來看。時有兩僧齊出。師曰。一箭落雙鵰。僧曰。某甲話猶未問。何得著忙。師曰。莫是新羅僧麼。僧擬議。師曰。撞露柱漢。便打。問。如何是未出世邊事。師曰。井底蝦蟇吞卻月。曰。如何是出世邊事。師曰。鷺鷥踏折枯蘆枝。曰。去此二途。如何是和尚為人處。師曰。十成好箇金剛鑽。攤向街頭賣與誰。問。如何是多年水牯牛。師曰。齒疎眼暗。問。閙市相逢事若何。師曰。東行買賤。西行賣貴。曰。忽若不作貴不作賤。又作麼生。師曰。鎮州蘿蔔。問。一切含靈具有佛性。既有佛性。為甚麼卻撞入驢胎馬腹。師曰。知而故犯。曰。未審向甚麼處懺悔。師打曰。且作死馬醫。問。覿面相呈時如何。師曰。左眼半斤。右眼八兩。僧提起坐具。曰。這裡聻。師曰。不勞拈出。乃左右顧視曰。黃面老周行七步。腳根下正好一錐。碧眼胡兀坐九年。頂門上可惜一劄。當時若有箇為眾竭力底衲僧。下得這毒手。也免得拈花微笑。空破面顏。立雪齊腰。翻成轍跡。自此將錯就錯。相簍打簍。遂有五葉芬芳。千燈續燄。向曲彔木上唱二作三。於楖栗杖頭指南為北。直得進前退後。有問法問心之徒。倚門傍牆。有覓佛覓祖底漢。庭前指栢。便喚作祖意西來。日裡看山。更錯認學人自己。殊不知此一大事。本自靈明。盡未來際。未甞間斷。不假修證。豈在思惟。雖鶖子有所不知。非滿慈之所能辯。不見馬祖一喝。百丈三日耳聾。寶壽令行。鎮州一城眼瞎。大機大用。如迅雷不可停。一唱一提。似斷崖不可履。正當恁麼時。三世諸佛。祇可傍觀。六代祖師。證明有分。大眾且道。今日還有證明底麼。良久曰。劄。上堂。拾得搬柴。寒山燒火。唯有豐幹。巖中冷坐。且道豐幹有甚麼長處。

開堂の日、上首が白槌を罷むと、師は言った。「白槌前に一を観れば亦た成らず、白槌後に二を観れば亦是れでは無し。ここに到って、任れ是れ鉄眼銅睛なりと雖も、亦た須らく百雑砕すべし。危亡を避けざる底の衲僧有るに莫れや、試しに出て来て看よ。」時に両僧斉しく出た。師は言った。「一箭に双鵰を落とす。」僧は言った。「某甲は話いまだ問わず。何ぞ忙を着けん。」師は言った。「新羅の僧に莫れや。」僧は議を擬した。師は言った。「露柱に撞く漢。」便ち打った。問うた。「如何なるか是れ未だ世に出ざる辺の事。」師は言った。「井底の蝦蟇が月を呑却す。」言った。「如何なるか是れ世に出でたる辺の事。」師は言った。「鷺鷥が枯芦の枝を踏折る。」言った。「此の二途を去って、如何なるか是れ和尚の人の為にする処。」師は言った。「十成の好個の金剛鑽、街頭に攤げて誰に売らん。」問うた。「如何なるか是れ多年の水牯牛。」師は言った。「歯疏しく眼暗し。」問うた。「閙市に相逢う事は若何。」師は言った。「東行して賤を買い、西行して貴を売る。」言った。「忽ち若し貴を作さず賤を作さざれば、又た如何。」師は言った。「鎮州の萝卜。」問うた。「一切含霊具く仏性有り。既に仏性有れば、なにゆえ却って驢胎馬腹に撞入る。」師は言った。「知りて故に犯す。」言った。「いまだ審らかならず、什麼の処に向って懺悔する。」師は打って言った。「且く死馬を医と作せ。」問うた。「覿面相呈の時は如何。」師は言った。「左眼は半斤、右眼は八両。」僧は坐具を提起して言った。「ここに聻。」師は言った。「拈出するを労せず。」乃ち左右を顧視して言った。「黄面の老が七歩を周行せしに、脚根下に正に一錐を好く。碧眼の胡が九年を兀坐せしに、頂門上に一札を惜し。当時若し箇の衆の為に力を竭く底の衲僧有りて、此の毒手を下さば、拈華微笑に空しく面顔を破らしめず、立雪斉腰に翻って轍跡と成らしめざるを免れたるを。此より錯を将て錯に就き、相い篓い打ち篓いして、遂に五葉の芬芳、千灯の続燄有り。曲録の木上に向って二を唱えて三と作し、楖栗の杖頭に於て南を指して北と為す。直ちに進前退後して、法を問い心を問うの徒を得、「門に倚り牆に傍うて、仏を覔め祖を覔むる底の漢有り。庭前に栢を指して便ち祖意西来と喚び、日裏に山を看て更に学人自己を錯認す。殊に知らず、此の一大事は本自霊明にして、未来際を尽くしても、未だ甞て間断せず。修証を仮らず、豈に思惟に在らん。鶖子と雖も知る所有らず、満慈の能く辯ずる所に非ず。道えずんばあらざれ、馬祖の一喝、百丈は三日耳聾し、宝寿の令行、鎮州は一城眼瞎す。大機大用は迅雷の停まるべからざるが如く、一唱一提は断崖の履むべからざるに似たり。正に恁麼なる時に当りて、三世の諸佛も只だ傍観すべく、六代の祖師は証明の分有り。大衆且く道え、今日還って証明底有るか。」良久して言った。「札。」上堂。「拾得は柴を搬び、寒山は火を焼く。唯有る豊干、巌中に冷坐す。且く道え、豊干に什麼の長処有る。

良久曰。家無小使。不成君子。

良久して言った。「家に小使無ければ君子を成さず。」

南嶽下十四世

南嶽下十四世

五祖演禪師法嗣

五祖演禅師法嗣

成都府昭覺寺克勤佛果禪師

成都府昭覚寺克勤佛果禅師

彭州駱氏子。世宗儒。師兒時日記千言。偶遊妙寂寺。見佛書。三復悵然。如獲舊物。曰。予殆過去沙門也。即去家。依自省祝髮。從文照通講說。又從敏行授楞嚴。俄得病。瀕死。歎曰。諸佛涅槃正路不在文句中。吾欲以聲求色見。宜其無以死也。遂棄去。至真覺勝禪師之席。勝方創臂出血。指示師曰。此曹谿一滴也。師矍然。良久曰。道固如是乎。即徙步出蜀。首謁玉泉皓。次依金鑾信.大溈喆.黃龍心.東林度。僉指為法器。而晦堂稱他日臨濟一派屬子矣。最後見五祖。盡其機用。祖皆不諾。乃謂祖強移換人。出不遜語。忿然而去。祖曰。待你著一頓熱病打時。方思量我在。師到金山。染傷寒困極。以平日見處試之。無得力者。追繹五祖之言。乃自誓曰。我病稍間。即歸五祖。病痊尋歸。祖一見而喜。令即參堂。便入侍者寮。方半月。會部使者解印還蜀。詣祖問道。祖曰。提刑少年。曾讀小艶詩否。有兩句頗相近。頻呼小玉元無事。祇要檀郎認得聲。提刑應喏喏。祖曰。且子細。師適歸侍立次。問曰。聞和尚舉小艶詩。提刑會否。祖曰。他祇認得聲。師曰。祇要檀郎認得聲。他既認得聲。為甚麼卻不是。祖曰。如何是祖師西來意。庭前栢樹子。聻。師忽有省。遽出。見鷄飛上欄幹。鼓翅而鳴。復自謂曰。此豈不是聲。遂袖香入室。通所得。呈偈曰。金鴨香銷錦繡幃。笙歌叢裡醉扶歸。少年一段風流事。祇許佳人獨自知。祖曰。佛祖大事。非小根劣器所能造詣。吾助汝喜。祖徧謂山中耆舊曰。我侍者參得禪也。由此。所至推為上首。崇寧中還裡省親。四眾迓拜。成都帥翰林郭公知章請開法六祖。更昭覺。政和間謝事。復出峽南遊。時張無盡寓荊南。以道學自居。少見推許。師艤舟謁之。劇談華嚴旨要。曰。華嚴現量境界。理事全真。初無假法。所以即一而萬。了萬為一。一復一。萬復萬。浩然莫窮。

彭州の駱氏の子である。世は儒を宗とす。師は児時に日に千言を記え、偶ら妙寂寺に遊び、仏書を見て、三复して悵然として、旧物を獲るが如し。言った。「予は殆ど過去の沙門なり。」即ち家を去り、自省に依って祝髪し、文照に従って講説に通じ、又た敏行に従って楞厳を授かる。俄に病みて死に瀕し、嘆いて言った。「諸仏の涅槃正路は文句の中に在らず。吾声を以て色見を求めんと欲するは、其の死を無かるべきなり。」遂に棄て去り、真覚の勝禅師の席に至った。勝は方に臂を創って血を出して、師に指示して言った。「此れは曹谿の一滴なり。」師は矍然として、良久して言った。「道は固より是くの如くか。」即ち歩を徙して蜀を出で、首め玉泉の皓に謁し、次いで金鑾の信、大潙の喆、黄竜の心、東林の度に依った。僉に法器と指され、而して晦堂は他日臨済の一派は子に属せんと称した。最後に五祖に見えて、其の機用を尽くすも、祖は皆な諾わず。乃ち祖の強いて人を移換すと謂い、不遜の語を出でて忿然として去った。祖は言った。「お前が一頓の熱病に打たれる時を待てば、方に我を思量せん。」師は金山に到り、傷寒に染まりて困極めり。平日の見処を以て之を試るるも、力を得る者無し。五祖の言を追繹して、乃ち自ら誓って言った。「我病稍や間けば、即ち五祖に帰らん。」病痊えて尋いで帰る。祖は一見して喜び、即ち参堂せしめ、便ち侍者寮に入れた。方るに半月にして、会た部使者が印を解きて蜀に還り、祖に詣りて道を問う。祖は言った。「提刑は少年にして、甞て小艶の詩を読みし否。两句有りて頗る相近し。頻りに小玉を呼ぶは元無事、只だ檀郎の声を認め得んと要す。」提刑は喏々と応えた。祖は言った。「且く子細に。」師は適に帰りて侍立の次に在り、問うた。「和尚が小艶の詩を挙げたるを聞く。提刑は会せし否。」祖は言った。「他は只だ声を認むるのみ。」師は言った。「只だ檀郎の声を認め得んと要す。他既に声を認むれば、なにゆえ却って是れに非ざる。」祖は言った。「如何なるか是れ祖師西来意。庭前の栢樹子。聻。」師は忽ち省有り。遽に出でて、鶏が欄干に飛び上がり、翅を鼓って鳴くを見、復た自ら謂うて言った。「此れ豈に是れ声ならざらんや。」遂に香を袖にして室に入り、得る所を通じ、偈を呈して言った。「金鴨香は錦繡の帏に銷え、笙歌の叢裏に酔って帰るを扶く。少年一段の風流事、只だ佳人独り知るを許す。」祖は言った。「佛祖の大事は、小根劣器の能く造詣する所に非ず。吾は汝の喜を助く。」祖は遍く山中の耆旧に謂うて言った。「我が侍者は禅を参得したり。」此より、至る所、上首と推せらる。崇寧中に里に還りて親を省む。四衆迓え拜す。成都帥翰林の郭公知章は六祖に開法を請い、昭覚を更む。政和間に事を謝し、復た峡を出でて南遊した。時に張無尽は荊南に寓り、道学を以て自ら居とし、少の推許を見る。師は舟を舣えて之に謁し、華厳の旨要を劇談した。言った。「華厳の現量境界は、理事全真にして、初めに仮法無し。それ故に即一にして万、了じて万を一と為す。一復た一、万復た万、浩然として窮まる莫し。

心佛眾生。三無差別。卷舒自在。無礙圓融。此雖極則。終是無風帀帀之波。公於是不覺促榻。師遂問曰。到此與祖師西來意。為同為別。公曰。同矣。師曰。且得沒交涉。公色為之慍。師曰。不見雲門道。山河大地。無絲毫過患。猶是轉句。直得不見一色。始是半提。更須知有向上全提時節。彼德山.臨濟。豈非全提乎。公乃首肯。翌日復舉事法界.理法界.至理事無礙法界。師又問。此可說禪乎。公曰。正好說禪也。師笑曰。不然。正是法界量裡在。蓋法界量未滅。若到事事無礙法界。法界量滅。始好說禪。如何是佛。乾屎橛。如何是佛。麻三斤。是故真淨偈曰。事事無礙。如意自在。手把豬頭。口誦淨戒。趂出婬坊。未還酒債。十字街頭。解開布袋。公曰。美哉之論。豈易得聞乎。於是以師禮留居碧巖。復徙道林。樞密鄧公子常奏賜紫服師號。詔住金陵蔣山。學者無地以容。勑補天寧萬壽。上召見。褒寵甚渥。建炎初。又遷金山。適駕幸維揚。入對。賜圓悟禪師。改雲居。久之。復領昭覺。僧問。雲門道。須彌山。意旨如何。師曰。推不向前。約不退後。曰。未審還有過也無。師曰。坐卻舌頭。問。法不孤起。仗境方生。提坐具曰。這箇是境。那箇是法。師曰。卻被闍黎奪卻鎗。問。古人道。楖栗橫擔不顧人。直入千峰萬峰去。未審那裡是他住處。師曰。騰虵纏足。路布繞身。曰。朝看雲片片。暮聽水潺潺。師曰。卻須截斷始得。曰。此回不是夢。真箇到廬山。師曰。高著眼。問。猿抱子歸青嶂後。鳥銜華落碧巖前。此是和尚舊時安身立命處。如何是道林境。師曰。寺門高開洞庭野。殿腳插入赤沙湖。曰。如何是境中人。師曰。僧寶人人滄海珠。曰。此是杜工部底。作麼生是和尚底。師曰。且莫亂道。曰。如何是奪人不奪境。師曰。山僧有眼不曾見。曰。如何是奪境不奪人。師曰。闍黎問得自然親。

「心仏衆生、三に差別無し。巻舒自在、无碍円融なり。此れ極則と雖も、終には是れ風無きの帀帀の波なり。」公是に於て覚えず榻を促したり。師は遂に問うた。「此に到るは祖師西来意と、同を為すか別を為すか。」公は言った。「同なり。」師は言った。「且く交渉無きを得たり。」公の色之が為に愠れたり。師は言った。「雲門の道うを見ずや、山河大地、絲毫の過患無しと。なお是れ転句にして、直ちに一色を見ざるを得て、始めて是れ半提なり。更に須らく向上全提の時節有るを知れ。彼の徳山・臨済は、豈に全提に非ずや。」公は乃ち首肯した。翌日復た事法界・理法界・乃至理事無碍法界を挙ぐ。師は又た問うた。「此れ禅を説くべきか。」公は言った。「正に禅を説くを好し。」師は笑って言った。「然らず。正に是れ法界の量裏に在り。蓋し法界の量は未だ滅せず。若し事事無碍法界に到らば、法界の量滅して、始めて禅を説くを好し。如何なるか是れ仏。乾屎橛。如何なるか是れ仏。麻三斤。是の故に真浄の偈は言う、事事无碍、如意自在。手に猪頭を把り、口に浄戒を誦す。淫坊を趂出でて、酒債未だ還さず。十字街頭、布袋を解開すと。」公は言った。「美しきかな之の論。豈に易く聞くを得んや。」是に於て師礼を以て碧巌に留居し、復た道林に徙した。枢密の鄧公子常は奏して紫服・師号を賜わらしむ。詔して金陵の蒋山に住せしむ。学者は地を容るる無し。勑して天寧万寿を補す。上は召見して褒寵すること甚だ渥し。建炎初、又た金山に遷り、適に駕は維揚に幸す。入対して圓悟禅師を賜わり、雲居に改む。久しくして、復た昭覚を領す。僧が問うた。「雲門道う、須弥山と。意旨は如何。」師は言った。「推せんも前に向かず、約せんも後に退かず。」言った。「いまだ審らかならず、還って過有るや無しや。」師は言った。「舌頭を坐却す。」問うた。「法は孤起せず、境を仗りて方に生ず。」坐具を提げて言った。「此の是れ境、那の是れ法。」師は言った。「却って闍黎に鎗を奪却せられたり。」問うた。「古人道う、楖栗を横担して人を顧みず、直に千峰万峰に入り去ると。いまだ審らかならず、彼の住処は那里ぞ。」師は言った。「騰虵は足を纏い、路布は身を繞る。」言った。「朝に雲の片片を看、暮に水の潺潺を聴く。」師は言った。「却って須らく截断して始めて得べし。」言った。「此の回は是れ夢に非ず。真箇に廬山に到る。」師は言った。「眼を高く着けよ。」問うた。「猿は子を抱いて青嶂の後に帰り、鳥は華を銜えて碧巌の前に落とす。此れは和尚の旧时の安身立命の処なり。如何なるか是れ道林の境。」師は言った。「寺門高く開けて洞庭の野、殿脚は挿入って赤沙湖。」言った。「如何なるか是れ境中人。」師は言った。「僧宝は人人滄海の珠。」言った。「此れは杜工部底なり。如何なるか是れ和尚底。」師は言った。「且く乱道する莫れ。」言った。「如何なるか是れ人を奪い境を奪わざる。」師は言った。「山僧に眼有りて甞て見ず。」言った。「如何なるか是れ境を奪い人を奪ざる。」師は言った。「闍黎の問い得るは自然に親なり。」

曰。如何是人境俱奪。師曰。收。曰。如何是人境俱不奪。師曰。放。問。有句無句。如藤倚樹。如何得透脫。師曰。倚天長劍逼人寒。曰。祇如樹倒藤枯。溈山為甚麼呵呵大笑。師曰。愛他底。著他底。曰。忽被學人掀倒禪床。拗折拄杖。又作箇甚麼伎倆。師曰。也是賊過後張弓。問。明歷歷。露堂堂。因甚麼乾坤收不得。師曰。金剛手裡八稜棒。曰。忽然一喚便回。還當得活也無。師曰。鶖子目連無奈何。曰。不落照。不落用。如何商量。師曰。放下雲頭。曰。忽遇其中人時如何。師曰。騎佛殿。出山門。曰。萬象不來渠獨語。教誰招手上高峰。師曰。錯下名言。上堂。通身是眼見不及。通身是耳聞不徹。通身是口說不著。通身是心鑒不出。直饒盡大地明得。無絲毫透漏。猶在半途。據令全提。且道如何展演。域中日月縱橫掛。一亙晴空萬古春。上堂。山頭鼓浪。井底揚塵。眼聽似震雷霆。耳觀如張錦繡。三百六十骨節。一一現無邊妙身。八萬四千毛端。頭頭彰寶王剎海。不是神通妙用。亦非法爾如然。苟能千眼頓開。直是十方坐斷。且超然獨脫一句。作麼生道。試玉須經火。求珠不離泥。上堂。本來無形段。那復有唇觜。特地廣稱揚。替他說道理。且道他是阿誰。上堂。十五日已前。千牛拽不回。十五日已後。俊鶻趂不及。正當十五日。天平地平。同明同暗。大千沙界不出當處。可以含吐十虗。進一步。超越不可說香水海。退一步。坐斷千里萬裡白雲。不進不退。莫道闍黎。老僧也無開口處。舉拂子曰。正當恁麼時如何。有時拈在千峰上。劃斷秋雲不放高。上堂。十方同聚會。本來身不昧。箇箇學無為。頂上用鉗鎚。此是選佛場。深廣莫能量。心空及第歸。利劍不如錐。龐居士舌拄梵天。口包四海。有時將一莖草作丈六金身。有時將丈六金身作一莖草。甚是奇特。雖然如此。要且不曾動著向上關。

言った。「如何なるか是れ人境倶に奪う。」師は言った。「収。」言った。「如何なるか是れ人境倶に奪わざる。」師は言った。「放。」問うた。「有句無句、藤が樹に倚るが如し。如何にか透脱を得ん。」師は言った。「倚天の長剣、人に迫りて寒し。」言った。「只だ如く樹倒れ藤枯れて、潙山は何の故ぞや呵々大笑する。」師は言った。「他の底を愛し、他の底を著けよ。」言った。「忽ち学人に禅床を掀倒せられ、拄杖を拗折せられて、又た箇の什麼の伎倆を作さん。」師は言った。「亦是れ賊の過ぎたる後に弓を張るなり。」問うた。「明として歴々、露として堂堂。因りて什麼が乾坤収むるを得ざる。」師は言った。「金剛の手裏の八稜棒。」言った。「忽然として一喚すれば便ち回るも、還って活に当たるや無しや。」師は言った。「鶖子・目連も無奈何なり。」言った。「照に落ちず、用に落ちず、如何にか商量せん。」師は言った。「雲頭を放下せよ。」言った。「忽ち其の中の人に遇う時は如何。」師は言った。「仏殿に騎り、山門を出づ。」言った。「万象来らずして渠独り語る、誰を教えて手上げて高峰せん。」師は言った。「名言を錯下す。」上堂。「通身是れ眼にして見て及ばず。通身是れ耳にして聞いて徹せず。通身是れ口にして説いて著らず。通身是れ心にして鑑みて出さず。直饒大地を尽くして明なるを得と雖も、絲毫の透漏無く、なお半途に在り。令を拠えて全提す。且く道え如何にか展演する。域中の日月縦横に挂かり、一亘の晴空万古の春。」上堂。「山頭は浪を鼓し、井底は塵を揚ぐ。眼の聴くは雷霆を震うに似て、耳の観るは錦繍を張るが如し。三百六十の骨節、一一に無辺の妙身を現じ、八万四千の毛端、頭頭に宝王刹海を彰す。是れ神通妙用に非ず、亦是れ法爾如然に非ず。苟も能く千眼頓開せば、直に是れ十方を坐断す。且く超然独脱の一句、作麼生にか道わん。玉を試さば須らく火を経べし、珠を求むれば泥を離れず。」上堂。「本来形段無く、那か復た唇觜有らん。特地に広く称揚し、他の為に道理を説く。且く道え他は是れ阿誰ぞ。」上堂。「十五日已前、千牛も拽して回らず。十五日已後、俊鶻も趂って及ばず。正に十五日に当りて、天平れ地平れ、同じく明らかに同じく暗し。大千の沙界、当処を出でず、以て十虗を含吐すべし。一歩進めば、超越して不可説の香水海。一歩退けば、坐断す千里万里の白雲。進まず退かざれば、道う莫れ闍黎、老僧も亦た開口の処無し。」拂子を挙げて言った。「正に恁麼の時に如何。或る時は千峰の上に拈じて、秋雲を劃断して高く放さず。」上堂。「十方同じく聚会し、本来身昧えず。箇箇無為を学び、頂上に鉗鎚を用う。此れ是れ選仏場、深広量る莫し。心空にして及第に帰る。利剣は錐に如かず。龐居士は舌は梵天に拄え、口は四海を包む。或る時は一茎の草を将て丈六の金身と作し、或る時は丈六の金身を将て一茎の草と作す。甚だ奇特なり。然りと雖も此の如し、要するに且く甞て向上の関に動着せず。」

且如何是向上關。鑄印築高壇。上堂。有句無句。超宗越格。如藤倚樹。銀山鐵壁。及至樹倒藤枯。多少人失卻鼻孔。直饒收拾得來。已是千里萬裡。祇如未有恁麼消息時如何。還透得麼。風暖鳥聲碎。日高華影重。上堂。第一句薦得。祖師乞命。第二句薦得。人天膽落。第三句薦得。虎口橫身。不是循途守轍。亦非革轍移途。透得則六臂三頭。未透亦人間天上。且三句外一句作麼生道。生涯祇在絲綸上。明月扁舟泛五湖。示眾雲。一言截斷。千聖消聲。一劒當頭。橫屍萬裡。所以道。有時句到意不到。有時意到句不到。句能剗意。意能剗句。意句交馳。衲僧巴鼻。若能恁麼轉去。青天也須吃棒。且道憑箇甚麼。可憐無限弄潮人。畢竟還落潮中死。示眾雲。萬仞崖頭撒手。要須其人。千鈞之弩發機。豈為鼷鼠。雲門睦州。當面蹉過。德山臨濟。誑謼閭閻。自餘立境立機。作窠作窟。故是滅胡種族。且獨脫一句作麼生道。萬緣遷變渾閑事。五月山房冷似冰。紹興五年八月己酉。示微恙。趺坐書偈遺眾。投筆而逝。茶毗舌齒不壞。設利五色無數。塔於昭覺寺之側。諡真覺禪師。

且く如何なるか是れ向上の関。印を鋳て高壇を築く。上堂。「有句無句、宗を超え格を越ゆ。藤が樹に倚るが如く、銀山鉄壁。及び樹倒れ藤枯るるに至りて、多少人鼻孔を失却する。直饒収拾して来るを得と雖も、已に是れ千里万里。只だ如く未だ恁麼の消息有らざる時は如何。還って透るを得るか。風暖かにして鳥声碎け、日高くして華影重し。」上堂。「第一句に薦得すれば、祖師は命を乞う。第二句に薦得すれば、人天は胆落とす。第三句に薦得すれば、虎口に身を横たう。是れ途に循い轍を守るに非ず、亦た轍を革め途を移すに非ず。透るを得れば六臂三頭、未だ透らざるも亦た人間天上。且く三句の外の一句、作麼生にか道わん。生涯は只だ絲綸の上に在り、明月の扁舟五湖に泛ぶ。」示衆。「一言截断し、千聖声を消す。一剣頭に当り、横尸万里。所以に道う、或る時は句到りて意到らず、或る時は意到りて句到らず。句は能く意を刬し、意は能く句を刬す。意句交馳し、衲僧の巴鼻。若し能く恁麼に転去せば、青天も須らく棒を喫すべし。且く道え箇の什麼に憑る。憐れむべし無限の潮を弄ぶ人、畢竟に還って潮中に落ちて死せん。」示衆。「万仞の崖頭に手を撒くは、要するに須らく其の人。千鈞の弩が機を発すは、豈に鼷鼠の為にや。雲門・睦州、当面に蹉過し、徳山・臨済、閭閻を誑謼す。自余は境を立て機を立て、窠を作り窟を作し、故は是れ胡の種族を滅す。且く独脱の一句、作麼生にか道わん。万縁遷変は渾て閑事、五月の山房冷やかなり氷の如し。」紹興五年八月己酉、微恙を示し、趺坐して偈を書して衆に遺し、筆を投げて逝った。荼毘して舌歯壊れず。設利は五色にして数無し。塔は昭覚寺の側に在り。諡して真覚禅師。

舒州太平慧懃佛鑑禪師

且く如何なるか是れ向上の関。印を鋳て高壇を築く。上堂。「有句無句、宗を超え格を越ゆ。藤が樹に倚るが如く、銀山鉄壁。及び樹倒れ藤枯るるに至りて、多少人鼻孔を失却する。直饒収拾して来るを得と雖も、已に是れ千里万里。只だ如く未だ恁麼の消息有らざる時は如何。還って透るを得るか。風暖かにして鳥声碎け、日高くして華影重し。」上堂。「第一句に薦得すれば、祖師は命を乞う。第二句に薦得すれば、人天は胆落とす。第三句に薦得すれば、虎口に身を横たう。是れ途に循い轍を守るに非ず、亦た轍を革め途を移すに非ず。透るを得れば六臂三頭、未だ透らざるも亦た人間天上。且く三句の外の一句、作麼生にか道わん。生涯は只だ絲綸の上に在り、明月の扁舟五湖に泛ぶ。」示衆。「一言截断し、千聖声を消す。一剣頭に当り、横尸万里。所以に道う、或る時は句到りて意到らず、或る時は意到りて句到らず。句は能く意を刬し、意は能く句を刬す。意句交馳し、衲僧の巴鼻。若し能く恁麼に転去せば、青天も須らく棒を喫すべし。且く道え箇の什麼に憑る。憐れむべし無限の潮を弄ぶ人、畢竟に還って潮中に落ちて死せん。」示衆。「万仞の崖頭に手を撒くは、要するに須らく其の人。千鈞の弩が機を発すは、豈に鼷鼠の為にや。雲門・睦州、当面に蹉過し、徳山・臨済、閭閻を誑謼す。自余は境を立て機を立て、窠を作り窟を作し、故は是れ胡の種族を滅す。且く独脱の一句、作麼生にか道わん。万縁遷変は渾て閑事、五月の山房冷やかなり氷の如し。」紹興五年八月己酉、微恙を示し、趺坐して偈を書して衆に遺し、筆を投げて逝った。荼毘して舌歯壊れず。設利は五色にして数無し。塔は昭覚寺の側に在り。諡して真覚禅師。

本郡汪氏子。丱歲師廣教圓深。試所習得度。每以唯此一事實。餘二則非真。味之有省。乃徧參名宿。往來五祖之門有年。恚祖不為印據。與圓悟相繼而去。及悟歸五祖。方丈徹證。而師忽至。意欲他邁。悟勉令掛搭。且曰。某與兄相別始月餘。比舊相見時如何。師曰。我所疑者。此也。遂參堂。一日。聞祖舉。僧問趙州。如何是和尚家風。州曰。老僧耳聾。高聲問將來。僧再問。州曰。你問我家風。我卻識你家風了也。師即大豁所疑。曰。乞和尚指示極則。祖曰。森羅及萬象。一法之所印。師展拜。祖令主翰墨。後同圓悟語話次。舉東寺問仰山。鎮海明珠因緣。至無理可伸處。圓悟徵曰。既雲收得。逮索此珠。又道無言可對。無理可伸。師不能加答。明日謂悟曰。東寺祇索一顆珠。仰山當下傾出一栲栳。悟深肯之。乃告之曰。老兄更宜親近老和尚去。師一日造方丈。未及語。被祖詬罵。懡㦬而退。歸寮閉門打睡。恨祖不已。悟已密知。即往扣門。師曰。誰。悟曰。我。師即開門。悟問。你見老和尚如何。師曰。我本不去。被你賺累我。遭這老漢詬罵。悟呵呵大笑曰。你記得前日下底語麼。師曰。是甚麼語。悟曰。你又道東寺祇索一顆。仰山傾出一栲栳。師當下釋然。悟遂領師同上方丈。祖才見。遽曰。懃兄。且喜大事了畢。明年。命師為第一座。會大平靈源赴黃龍。其席既虗。源薦師於舒守孫鼎臣。遂命補處。五祖付法衣。師受而捧以示眾曰。昔釋迦文佛。以丈六金襴袈裟。披千尺彌勒佛身。佛身不長。袈裟不短。會麼。即此樣。無他樣。自是法道大播。政和初。詔住東都智海。五年乞歸。得旨居蔣山。樞密鄧公子常奏賜徽號椹服。僧問。如何是祖師西來意。師曰。吃醋知酸。吃鹽知鹹。曰。弓折箭盡時如何。師曰。一場懡㦬。問。不與萬法為侶者是甚麼人。師曰。拶破露柱。曰。歸鄉無路時如何。

舒州太平慧懃仏鑑禅師

師曰。王程有限。曰。前三三。後三三。又作麼生。師曰。六六三十六。問。承聞和尚親見五祖。是否。師曰。鐵牛齧碎黃金草。曰。恁麼則親見五祖也。師曰。我與你有甚冤讎。曰。祇如達磨見武帝意旨如何。師曰。胡言易辯。漢語難明。曰。為甚棲棲暗渡江。師曰。因風借便。問。如何是主中賓。師曰。進前退後愁殺人。曰。如何是賓中主。師曰。真實之言成妄語。曰。如何是賓中賓。師曰。夫子遊行厄在陳。曰。如何是主中主。師曰。終日同行非伴侶。曰。賓主已蒙師指示。向上宗乘事若何。師曰。大斧斫了手摩挲。問。即心即佛即不問。非心非佛事如何。師曰。昨日有僧問。老僧不對。曰。未審與即心即佛相去多少。師曰。近則千里萬裡。遠則不隔絲毫。曰。忽被學人截斷兩頭。歸家穩坐。又作麼生。師曰。你家在甚麼處。曰。大千沙界內。一箇自由身。師曰。未到家在。更道。曰。學人到這裡。直得東西不辨。南北不分去也。師曰。未為分外。上堂。至道無難。唯嫌揀擇。桃華紅。李華白。誰道融融只一色。燕子語。黃鸎鳴。誰道關關祇一聲。不透祖師關捩子。空認山河作眼睛。上堂。日日日西沉。日日日東上。若欲學菩提。擲下拄杖曰。但看此模樣。五祖周祥。上堂。去年今日時。紅爐片雪飛。今日去年時。曹娥讀夜碑。末後一句子。佛眼莫能窺。白蓮峰頂上。紅日繞須彌。鳥啄珊瑚樹。鯨吞離水犀。太平家業在。千古襲楊岐。上堂。橫拄杖曰。先照後用。竪起曰。先用後照。倒轉曰。照用同時。卓一下曰。照用不同時。汝等諸人。被拄杖一口吞盡了也。自是你不覺。若向這裡道得轉身句。免見一場氣悶。其或未然。老僧今日失利。上堂。金烏急。玉兔速。急急流光七月十。無窮遊子不歸家。縱歸祇在門前立。門前立。把手牽伊不肯入。萬裡看看寸草無。殘華落地無人拾。無人拾。

本郡の汪氏の子である。丱歳に広教の円深に師事し、所習を試して度を得た。毎に唯だ此一つの実、余二は即ち真に非ずを味わいて省有り。乃ち遍く名宿に参じ、五祖の門に往来する事年有り。祖の印拠を為さざるを恚り、円悟と相い継いで去った。及び悟が五祖に帰りて方丈に於て徹証す、而して師は忽ち至りて、意は他に迈せんと欲す。悟は勉めて掛搭せしめ、且つ言った。「某は兄と相い別れて始めて月余なり。旧に比べて相見る時は如何。」師は言った。「我が疑う所は此れなり。」遂に参堂した。一日、祖が挙げるを聞く。僧が趙州に問う、如何なるか是れ和尚の家風と。州は言った、老僧は耳聾し、高声に問い将れ。僧再び問う。州は言った、お前が我が家風を問うも、我は却ってお前の家風を識り了りぬと。師は即ち大いに所疑を豁き、言った。「乞う和尚指示の極則を。」祖は言った。「森羅及び万象、一法の印まれる所。」師は展拜した。祖は翰墨を主らしめた。後に円悟と同じく語話する次に、東寺が仰山に問う、鎮海明珠の因縁を挙げ、無理可伸の処に至りて、円悟は征して言った。「既に収得と云うも、逮に此の珠を索め、又た言う無言可対・無理可伸と。」師は加答する能わず。明日、悟に謂うて言った。「東寺は只だ一顆の珠を索め、仰山は当下に一栲栳を傾出す。」悟は深く之を肯んじ、乃ち之に告げて言った。「老兄更に宜しく老和尚に親近して去るべし。」師は一日方丈に造り、語るに及ばずして、祖に詬罵せられ、懡㦬して退いた。寮に帰りて門を閉じて打睡す。祖を恨む事已まず。悟は已に密かに知り、即ち往いて門を叩いた。師は言った。「誰ぞ。」悟は言った。「我。」師は即ち門を開けた。悟は問うた。「お前は老和尚を見て如何。」師は言った。「我は本より去らず。お前に賺されて我を累せられ、此の老汉に詬罵せられたり。」悟は呵々大笑して言った。「お前は前日に下した底の語を記えて居るか。」師は言った。「是れ什麼の語ぞ。」悟は言った。「お前又た道う、東寺は只だ一顆を索め、仰山は一栲栳を傾出すと。」師は当下に釈然とした。悟は遂に師を領して同じく方丈に上がった。祖は纔かに見て、遽に言った。「懃兄、且く喜ぶべし大

一回雨過一回濕。上堂。世尊有密語。迦葉不覆藏。乃曰。你尋常說黃道黑。評品古今。豈不是密語。你尋常折旋俯仰。拈匙把箸。祇揖萬福。是覆藏不覆藏。忽然瞥地去。也不可知。要會麼。世尊有密語。冬到寒食一百五。迦葉不覆藏。水洩不通已露贓。靈利衲僧如會得。一重雪上一重霜。上堂。十五日已前事。錦上鋪華。十五日已後事。如海一漚發。正當十五日。大似一尺鏡照千里之像。雖則真空絕跡。其奈海印發光。任他露柱開華。說甚佛面百醜。何故。到頭霜夜月。任運落前溪。上堂。舉。僧問趙州。如何是不遷義。州以手作流水勢。其僧有省。又僧問法眼。不取於相。如如不動。如何是不取於相。見於如如不動。眼曰。日出東方夜落西。其僧亦有省。若也於此見得。方知道旋嵐偃嶽。本來常靜。江河競注。元自不流。其或未然。不免更為饒舌。天左旋。地右轉。古往今來經幾徧。金烏飛。玉兔走。才方出海門。又落青山後。江河波渺渺。淮濟浪悠悠。直入滄溟晝夜流。遂高聲曰。諸禪德。還見如如不動麼。師室中以木骰子六隻。面面皆書麼字。僧才入。師擲曰。會麼。僧擬不擬。師即打出。七年九月八日。上堂。祖師心印。狀似鐵牛之機。去即印住。住即印破。直饒不去不住。亦未是衲僧行履處。且作麼生是衲僧行履處。待十月前後。為諸人注破。至後月八日。沐浴更衣。端坐。手寫數書別故舊。停筆而化。闍維收靈骨設利。塔於本山。

「事了畢せり。」明年、師を命じて第一座と為す。会た大平の霊源が黄竜に赴く。其の席既に虗ければ、源は師を舒守の孫鼎臣に薦め、遂に補処を命ぜられた。五祖は法衣を付した。師は受けて捧げて以て衆に示して言った。「昔、釈迦文仏は丈六の金襴袈裟を以て、千尺の弥勒仏身に披せたり。仏身は長からず、袈裟は短からず。会するか。即ち此の様、他の様無し。」自ら是れ法道大いに播れた。政和初、詔して東都の智海に住せしむ。五年に帰るを乞い、旨を得て蒋山に居た。枢密の鄧公子常は奏して徽号・椹服を賜わらしむ。僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「醋を喫すれば酸を知り、塩を喫すれば鹹を知る。」言った。「弓折れ箭尽きる時は如何。」師は言った。「一場の懡㦬。」問うた。「万法と侶を為さざる者は是れ什麼人ぞ。」師は言った。「露柱を拶破す。」言った。「郷に帰るに路無き時は如何。」

舒州龍門清遠佛眼禪師

師は言った。「王程に限り有り。」言った。「前三三、後三三、又た作麼生。」師は言った。「六六三十六。」問うた。「承くらくは和尚親しく五祖を見たまう、是れ否か。」師は言った。「鉄牛は黄金の草を啮碎す。」言った。「恁麼なれば則ち親しく五祖を見たり。」師は言った。「我はお前と什麼の冤讐有らん。」言った。「只だ如く達磨が武帝を見たる意旨は如何。」師は言った。「胡言は辯じ易く、漢語は明かり難し。」言った。「為んぞ栖棲として暗に江を渡る。」師は言った。「風に因りて便を借る。」問うた。「如何なるか是れ主中の賓。」師は言った。「進みて前に退いて後に、人を殺すを愁う。」言った。「如何なるか是れ賓中の主。」師は言った。「真実の言は妄語と成る。」言った。「如何なるか是れ賓中の賓。」師は言った。「夫子は游行して陳に厄す。」言った。「如何なるか是れ主中の主。」師は言った。「終日同行するも伴侣に非ず。」言った。「賓主已に師の指示を蒙む。向上宗乗の事は若何。」師は言った。「大斧斫了して手に摩挲す。」問うた。「即心即仏は即ち問わず。非心非仏の事は如何。」師は言った。「昨日僧有りて問う、老僧対せず。」言った。「いまだ審らかならず、即心即仏と相去る事多少。」師は言った。「近ければ千里万里、遠ければ絲毫を隔てず。」言った。「忽ち学人に両頭を截断せられ、家に帰りて穏坐せんは、又た作麼生。」師は言った。「お前の家は什麼の処に在る。」言った。「大千の沙界の内、一個の自由身。」師は言った。「未だ家に到らずして在り。更に道え。」言った。「学人此に到りて、直に東西辨わず、南北分かたざるを得て去らんとす。」師は言った。「未だ分外の為らず。」上堂。「至道難き無し、唯だ揀択を嫌う。桃華紅に、李華白し。誰か道う融融として只だ一色。燕子語らい、黄鴬鳴く。誰か道う関関として只だ一声。祖師の関捩子を透らざれば、空しく山河を認めて眼睛と作す。」上堂。「日々日は西に沈み、日々日は東に上がる。若し菩提を学ばんと欲せば、」拄杖を擲ちて言った。「但だ此の模様を看よ。五祖周祥なり。」上堂。「去年今日の時、紅炉に片雪飛ぶ。今日去年の時、曹娥夜碑を読む。末後の一句子、仏眼も窺う能わず。白蓮峰頂上、紅日須弥を繞る。鳥は珊瑚樹を啄み、鯨は水を離るる犀を呑む。太平の家業在り、千古に楊岐を襲ぐ。」上堂。拄杖を横たえて言った。「先に照して後に用う。」竖起して言った。「先に用いて後に照す。」倒転して言った。「照用同時。」一卓して言った。「照用同時ならず。汝等諸人、拄杖の一口に呑尽され了れり。自ら是れお前が覚えざるなり。若し此に向って転身の句を道い得ば、一場の気悶を見るを免れん。其れ或いは未然ならば、老僧今日失利せん。」上堂。「金烏急ぎ、玉兔速し。急々たる流光七月十。無窮の游子家に帰らず、縦い帰るも只だ門前に立つ。門前に立つ、手を把りて伊を牽けど入らんと肯んぜず。万里看る看る寸草無く、残華地に落ちて人拾う無し。人拾う無し。」

臨邛李氏子。嚴正寡言。十四圓具。依毗尼。究其說。因讀法華經。至是法非思量分別之所能解。持以問講師。講師莫能答。師嘆曰。義學名相。非所以了生死大事。遂卷衣南遊。造舒州太平演禪師法席。因丐於廬州。偶雨足跌仆地。煩懣間。聞二人交相惡罵。諫者曰。你猶自煩惱在。師於言下有省。及歸。凡有所問。演即曰。我不如你。你自會得好。或曰。我不會。我不如你。師愈疑。遂諮決於元禮首座。禮乃以手引師之耳。繞圍爐數帀。且行且語曰。你自會得好。師曰。有冀開發。乃爾相戲耶。禮曰。你他後悟去。方知今日曲折耳。太平將遷海會。師慨然曰。吾持缽方歸。復參隨往一荒院。安能究決己事耶。遂作偈告辭。之蔣山坐夏。邂逅靈源禪師。日益厚善。從容言話間。師曰。比見都下一尊宿語句。似有緣。靈源曰。演公天下第一等宗師。何故捨而事遠遊。所謂有緣者。蓋知解之師與公初心相應耳。師從所勉。徑趨海會。後命典謁。適寒夜孤坐。撥爐見火一豆許。恍然自喜曰。深深撥。有些子。平生事。只如此。遽起閱几上傳燈錄。至破灶墮因緣。忽大悟。作偈曰。刀刀林鳥啼。披衣終夜坐。撥火悟平生。窮神歸破墮。事皎人自迷。曲淡誰能和。念之永不忘。門開少人過。圓悟因詣其寮。舉青林般土話驗之。且謂。古今無人出得。你如何會。師曰。也有甚難。悟曰。祇如他道。鐵輪天子寰中旨意作麼生。師曰。我道帝釋宮中放赦書。悟退語人曰。且喜遠兄便有活人句也。自是隱居四面大中庵。屬天下一新崇寧萬壽寺。舒守王公渙之命師開法。次補龍門。道望尤振。後遷和之褒禪。樞密鄧公洵武奏賜師號紫衣。上堂。臺山路上。過客全稀。破灶堂前。感恩無地。雪埋庭栢。冰鎻偃谿。雖在南方火爐頭。不入他家韲甕裡。看看臘月三十日。便是孟春猶寒。你等諸人。各須努力向前。切忌自生退屈。

一回雨過ぎて一回湿る。上堂。「世尊に密語有り、迦葉覆蔵せず。」乃ち言った。「お前尋常に黄を道い黒を道い、古今を評品す。豈に是れ密語ならざらん。お前尋常に折旋俯仰し、匙を拈じ箸を把り、只だ万福を揖す。是れ覆蔵するか覆蔵せざるか。忽然として瞥地して去るも、亦た知るべからず。要して会せんか。世尊に密語有り、冬到りて寒食一百五。迦葉覆蔵せず、水泄不通にして已に露賊す。霊利の衲僧如く会得せば、一重の雪上に一重の霜。」上堂。「十五日已前の事、錦上に華を鋪く。十五日已後の事、海の一漚が発するが如し。正に十五日に当りて、大いに似たり一尺の鏡が千里の像を照すに。真空中跡を絶つと雖も、其れ奈んせん海印の光を発するを。他に任せて露柱華を開き、什麼を説かん仏面百醜。何の故ぞ。頭到る霜夜の月、運に任せて前谿に落つ。」上堂。挙ぐ。僧が趙州に問う、如何なるか是れ不遷の義と。州は手を以て流水の勢を作す。其の僧省有り。又た僧が法眼に問う、相に取らず、如如不动、如何なるか是れ相に取らざる、如如不动を見ると。眼は言った、日は東方に出でて夜は西に落つ。其の僧亦た省有り。若し此に於て見得せば、方に知らん旋嵐岳を偃すも本来常に静か、江河竟注すも元自ら流れず。其れ或いは未然ならば、免れず更に饒舌を為さん。天は左旋し、地は右転す。古往今来幾遍を経る。金烏飛び、玉兔走る。纔かに海門を出づれば、又た青山の後に落つ。江河の波渺渺、淮済の浪悠悠。直ちに滄溟に入りて昼夜流る。」遂に高声に言った。「諸禅徳、還って如如不动を見るか。」師は室中に木の骰子六只を置き、面面皆な幺字を書す。僧纔かに入れば、師は擲ちて言った。「会するか。」僧は擬せず擬せず。師は即ち打出した。七年九月八日、上堂。「祖師の心印、状は鉄牛の機に似たり。去れば即ち印住し、住すれば即ち印破す。直饒去らず住せざるも、亦た未だ是れ衲僧の行履の処に非ず。且く作麼生

上堂。卓拄杖曰。圓明瞭知。不由心念。抵死要道。墮坑落壍。畢竟如何。乃倚拄杖。下座。上堂。泡幻同無礙。如何不了悟。眼裡瞳人吹呌子。達法在其中。非今亦非古。六隻骰子滿盆紅。大眾。時人為甚麼坐地看楊州。缽盂著柄新飜樣。牛上騎牛笑殺人。上堂。趙州不見南泉。山僧不識五祖。甜瓜徹蔕甜。苦瓠連根苦。上堂。一葉落。天下春。無路尋思笑殺人。下是天。上是地。此言不入時流意。南作北。東作西。動而止。喜而悲。虵頭蠍尾一試之。猛虎口裡活雀兒。是何言。歸堂去。上堂。千說萬說。不如親面一見。縱不說亦自分明。王子寶刀喻。眾盲摸象喻。禪學中隔江招手事。望州亭相見事。迥絕無人處事。深山巖崖處事。此皆親面而見之。不在說也。上堂。蘇武牧羊。辱而不屈。李陵望漢。樂以忘歸。是在外國。在本國佛諸弟子中。有者雙足越坑。有者聆箏起舞。有者身埋糞壤。有者呵罵河神。是習氣。是妙用。至於擎叉打地。竪拂敲床。睦州一向閉門。魯祖終年面壁。是為人。是不為人。信知一切凡夫。埋沒寶藏。殊不丈夫。諸人何不擺柁張帆。拋江過岸。休更釘樁搖艣。何日到家。既作曹谿人。又是家裡漢。還見家裡事麼。僧問。劫火洞然。大千俱壞。未審這箇壞不壞。師曰。黑漆桶裡黃金色。問。道遠乎哉。觸事而真。如何是道。師曰。頂上八尺五。曰。此理如何。師曰。方圓七八寸。問。劫火威音前。別是一壺天。御樓前射獵。不是刈茆田。提起坐具曰。這箇喚作甚麼。師曰。正是刈茆田。僧便喝。師曰。猶作主在。問僧。孤燈獨照時如何。僧無對。師代曰。露柱證明。師聞開靜板聲。乃曰。據款結案。師甞題語於龍門延壽壁間曰。佛許有病者當療治。容有將息所也。禪林凡有數名。或曰涅槃。見法身常住。了法不生也。或曰省行。知此違緣。皆從行苦也。或曰延壽。欲得慧命。

「是れ衲僧の行履の処。十月の前後を待ちて、諸人の為に注破せん。」後月八日に至り、沐浴して衣を更え、端坐して、手ずから数書を写して故旧に別れ、筆を停めて化した。闍維して霊骨・設利を収め、塔は本山に在り。

扶持色身也。其實使人了生死處也。多見少覺。微恙便入此堂。不強支吾。便有補益。及乎久病。思念鄉閭。不善退思。滅除苦本。先聖雲。病者眾生之良藥。若善服食。無不瘥者也。宣和初。以病辭歸蔣山之東堂。二年書云前一日。飯食訖趺坐。謂其徒曰。諸方老宿。臨終必留偈辭世。世可辭耶。且將安往。乃合掌。怡然趨寂。門人函骨歸龍門。塔於靈光臺側。

舒州竜門清遠仏眼禅師

潭州開福道寧禪師

臨邛の李氏の子である。厳正寡黙なり。十四にして円具し、毘尼に依りて其の説を究めた。法華経を読むに因りて、是の法は思量分別の能く解する所に非ずに至り、持ちて以て講師に問う。講師は答うる能わず。師は嘆じて言った。「義学の名相は、以て生死の大事を了する所以に非ず。」遂に衣を巻きて南遊し、舒州太平の演禅師の法席に造った。廬州に於て丐るに因りて、偶ら雨に足跌んで地に仆れたり。煩懣の間に、二人の交々に悪罵するを聞き、諫める者は言った、お前はなお自ら煩悩在りと。師は言下に省有り。及び帰りて、凡そ問う所有れば、演は即ち言った。「我はお前に如かず。お前自ら会すれば好し。」或いは言った。「我は会せず。我はお前に如かず。」師は愈よ疑い、遂に元礼首座に咨決した。礼は乃ち手を以て師の耳を引き、囲炉を繞る事数帀。且つ行き且つ語って言った。「お前自ら会すれば好し。」師は言った。「開発を冀う有り。乃ち爾に相い戲れるか。」礼は言った。「お前他後悟り去らば、方に今日の曲折を知らん耳。」太平は将に海会に遷らんとす。師は慨然として言った。「吾は鉢を持して方に帰り、復た参じ随いて往いて一荒院に、安んぞ能く己事を究決せんや。」遂に偈を作りて告辞し、蒋山に之きて夏を坐した。邂逅して霊源禅師に遇い、日益に厚善たり。従容の言話の間に、師は言った。「比に都下の一尊宿の語句を見るに、似て縁有り。」霊源は言った。「演公は天下第一等の宗師なり。何の故ぞ舎てて遠遊に事えん。所謂縁有る者は、蓋し知解の師公の初心と相い応ずる耳。」師は所勉に従い、径に海会に趨った。後に典謁を命ぜらる。適に寒夜孤坐し、炉を撥いて火一豆許を見て、恍然として自ら喜んで言った。「深深く撥けば、些子有り。平生の事、只だ此くの如し。」遽に起きて几上の伝灯録を閲し、破竈堕の因縁に至りて、忽ち大悟した。偈を作りて言った。「刀刀林の鳥啼き、衣を披きて終夜坐す。火を撥いて平生を悟り、窮神破堕に帰す。事は皎々として人自ら迷い、曲は淡くして誰か能和す。念ずれば永く忘れず、門開けて人過ぐる少し。」円悟は因りて其の寮に詣り、青林の般土話を挙げて之を験した。

歙溪汪氏子。壯為道人。於崇果寺執浴。一日將濯足。偶誦金剛經。至於此章句能生信心。以此為實。遂忘所知。忽垂足沸湯中。發明己見。後祝髮蔣山。依雪竇老良禪師。踰一年。徧歷叢林。參諸名宿。晚至白蓮。聞五祖小參。舉忠國師古佛淨瓶.趙州狗子無佛性話。頓徹法源。大觀中。潭帥席公震請住開福。衲子景從。浴佛。上堂。未離兜率。已降王宮。未出母胎。度人已畢。諸禪德。日日日從東畔出。朝朝鷄向五更啼。雖然不是桃華洞。春至桃華亦滿溪。又道。毗藍園內。右脇降生。七步周行。四方目顧。天上天下。唯我獨尊。大似貪觀天上月。失卻手中珠。還知落處麼。若知落處。方為孝子順孫。苟或未然。不免重下註腳。良久曰。天生伎倆能奇怪。末上輸他弄一場。示眾雲。秋日耀長空。秋江浸虗碧。傷嗟門外人。處處尋彌勒。驀路忽擡頭。相逢不相識。諸禪德。既是相逢。為甚麼卻不相識。剪盡霜前竹。臨溪不化龍。上堂。徧界不曾藏。通身無影像。相逢莫訝太愚痴。曠劫至今無伎倆。無伎倆。少人知。大抵還他肌骨好。何須臨鏡𦘕蛾眉。上堂。摩竭正令。未免崎嶇。少室垂慈。早傷風骨。腰囊挈錫。孤負平生。煉行灰心。遞相鈍置。爭似春雨晴。春山青。白雲三片四片。黃鳥一聲兩聲。千眼大悲看不足。王維雖巧畫難成。直饒便恁麼。猶自涉途程。且不涉途程一句作麼生道。人從汴州來。不得東京信。僧問。蓮華未出水時如何。師曰。人天合掌。曰。出水後如何。師曰。不礙往來看。問。如何是句到意不到。師曰。瑞草本無根。信手拈來用。曰。如何是意到句不到。師曰。領取鈎頭意。莫認定盤星。曰。如何是意句俱到。師曰。大悲不展手。通身是眼睛。曰。如何是意句俱不到。師曰。君向瀟湘我向秦。政和三年十一月四日。淨髮沐浴。次日齋罷小參。勉眾行道。辭語誠切。

且つ謂う、古今に人出づる者無し。お前如何にか会する。師は言った。「も有りて甚だ難し。」悟は言った。「只だ如く他の道う、鉄輪天子寰中の旨意は作麼生。」師は言った。「我は道う帝釈宮中に赦書を放すと。」悟は退きて人に語って言った。「且く喜ぶべし遠兄便ち活人の句有るを。」自ら是れ四面大中庵に隠居した。属して天下一新崇寧万寿寺。舒守の王公渙之は師を命じて開法せしめ、次いで竜門を補した。道望尤も振る。後に和の褒禅に遷った。枢密の鄧公洵武は奏して師号・紫衣を賜わらしむ。上堂。「台山の路上、過客全く稀なり。破竈の堂前、恩に感ずる地無し。雪は庭栢を埋め、氷は偃谿を鎖す。南方火炉頭に在ると雖も、他家の韲瓮裏に入らず。看る看る臘月三十日、便ち是れ孟春なお寒し。お前等諸人、各々須らく努力して前に向かい、切に自ら退屈を生ずるを忌むべし。」王維は巧みと雖も画いて成り難し。直饒便ち恁麼でも、なお自ら途程を渉る。且く途程を渉らざる一句、作麼生にか道わん。人は汴州より来り、東京の信を得ず。」僧が問うた。「蓮華未だ水を出でざる時は如何。」師は言った。「人天合掌す。」言った。「水を出でたる後は如何。」師は言った。「往来を看るに碍げず。」問うた。「如何なるか是れ句到りて意到らざる。」師は言った。「瑞草は本より根無く、信手に拈じ来りて用う。」言った。「如何なるか是れ意到りて句到らざる。」師は言った。「鉤頭の意を領取せよ、定盤星を認定する莫れ。」言った。「如何なるか是れ意句倶に到る。」師は言った。「大悲は手を展べず、通身是れ眼睛。」言った。「如何なるか是れ意句倶に到らざる。」師は言った。「君は瀟湘に向い我は秦に向かう。」政和三年十一月四日、髪を浄め沐浴した。次日斎を罷めて小参し、衆を勉めて行道せしむ。辞語誠に切なり。

期初七示寂。至日酉時。跏趺而逝。闍維獲設利五色。歸藏於塔。

初七に寂を示すを期した。日の酉時に至り、跏趺して逝った。闍維して設利五色を獲た。蔵を帰して塔に納めた。

彭州大隨南堂元靜禪師(後名道興)

彭州大随南堂元静禅師(後に名は道興)

閬之玉山大儒趙公約仲之子也。十歲病甚。母禱之。感異夢。捨令出家。師成都大慈寶生院宗裔。元祐三年。通經得度。留講聚有年。而南下首參永安恩禪師。於臨濟三頓棒話發明。次依諸名宿。無有當意者。聞五祖機峻。欲抑之。遂謁祖。祖乃曰。我此間不比諸方。凡於室中。不要汝進前退後。竪指擎拳。繞禪床作女人拜。提起坐具。千般伎倆。祇要你一言下諦當。便是汝見處。師茫然退。參三載。一日入室罷。祖謂曰。子所下語。已得十分。試更與我說看。師即剖而陳之。祖曰。說亦說得十分。更與我斷看。師隨所問而判之。祖曰。好即好。祇是未曾得老僧說話在。齋後可來祖師塔所。與汝一一按過始得。及至彼。祖便以即心即佛。非心非佛。睦州擔板漢。南泉斬貓兒。趙州狗子無佛性.有佛性。之語編闢之。其所對了無凝滯。至子胡狗話。祖遽轉面曰。不是。師曰。不是卻如何。祖曰。此不是。則和前面皆不是。師曰。望和尚慈悲指示。祖曰。看他道。子胡有一狗。上取人頭。中取人腰。下取人腳。入門者好看。才見僧入門。便道。看狗。向子胡道看狗處下一轉語。教子胡結舌。老僧鈐口。便是你了當處。次日入室。師默啟其說。祖笑曰。不道你不是千了百當底人。此語祇似先師下底語。師曰。某何人。得似端和尚。祖曰。不然。老僧雖承嗣他。謂他語拙。蓋祇用遠錄公手段接人故也。如老僧共遠錄公。便與百丈.黃檗.南泉.趙州輩把手共行。才見語拙即不堪。師以為不然。乃曳杖渡江。適大水泛漲。因留。四祖儕輩挽其歸。又二年。祖方許可。甞商略古今次。執師手曰。得汝說須是吾舉。得汝舉須是吾說。而今而後。佛祖秘要。諸方關鍵。無逃子掌握矣。遂創南堂以居之。於是名冠寰海。成都帥席公旦請開法嘉祐。未幾徙昭覺。遷能仁及大隨。上堂。君王了了。將帥惺惺。一回得勝。六國平寧。

閬の玉山の大儒趙公約仲の子である。十歳にして病甚しく、母は之を祷り、異夢を感じ、舎てて出家せしめた。師は成都大慈宝生院の宗裔なり。元祐三年、経に通じて度を得、講聚に留まる事年有り。而して南下して首め永安の恩禅師に参じ、臨済三頓棒の話に於て発明した。次いで諸の名宿に依るも、意に当たる者無し。五祖の機峻なるを聞きて、之を抑えんと欲し、遂に祖に謁した。祖は乃ち言った。「我此の間は諸方に比せず。凡そ室中に於ては、お前の進前退後、指を竖て拳を擎げ、禅床を繞りて女人の拜を作し、坐具を提起する、千般の伎倆を要せず。只だお前が一言の下に諦当なれば、便ち是れお前の見処なり。」師は茫然として退き、参ずる事三載。一日室に入るを罷め、祖は謂うて言った。「子が下した所の語、已に十分を得たり。試しに更に我と説いて看よ。」師は即ち剖して之を陳べた。祖は言った。「説くも亦た十分を説き得たり。更に我と断じて看よ。」師は問わるる所に随いて之を判じた。祖は言った。「好しは即ち好し。只だ是れ未だ甞て老僧の説話を得ざるに在り。斎後に来たる可し祖師塔所に、お前と一一に按過して始めて得せん。」及び彼に至りて、祖は便ち即心即仏・非心非仏・睦州担板漢・南泉斬猫児・趙州狗子無仏性・有仏性の語を以て之を編辟した。其の対う所は了として凝滞無し。子胡狗の話に至りて、祖は遽に面を転じて言った。「是れに非ず。」師は言った。「是れに非ずんば却って如何。」祖は言った。「此れ是れに非ずんば、則ち和して前面皆な是れに非ず。」師は言った。「望むらくは和尚慈悲指示せん。」祖は言った。「他の道うを看よ。子胡に一狗有り。上は人の頭を取り、中は人の腰を取り、下は人の脚を取る。門に入る者は好く看よ。纔かに僧が門に入るを見れば、便ち道う、狗を看よと。子胡の看狗と道う処に一転語を下して、子胡に舌を結ばしめ、老僧に口を鈐せしむれば、便ち是れお前の了当の処なり。」次日室に入りて、師は黙して其の説を啓した。祖は笑って言った。「お前が是れ千了百当底の人に非ずとは道わず。此の語は只だ先師の下した底の語に似たり。」師は言った。「某何人ぞ、端を似るを得ん「和尚。祖は言った。「然らず。老僧は他を承嗣すと雖も、他を謂う語拙なりと。蓋し只だ遠録公の手段を用いて人を接する故なり。老僧が遠録公と共にせば如く、便ち百丈・黄檗・南泉・趙州輩と手を把りて共に行かん。纔かに語拙を見れば即ち堪えず。」師は以て然らざりと為し、乃ち杖を曳きて江を渡り、適に大水泛漲し、因りて留まった。四祖の儕輩は其の帰を挽いた。又た二年、祖方に許可した。甞て古今を商略する次に、師の手を執りて言った。「お前の説くを得れば須らく是れ吾が挙げ、お前の挙ぐるを得れば須らく是れ吾が説く。而今より而後、仏祖の秘要・諸方の関鍵、子の掌握を逃れん。」遂に南堂を創りて以て之に居らしめた。是に於て名は寰海に冠たり。成都帥の席公旦は嘉祐に開法を請い、未几昭覚に徙し、能仁及び大随に遷った。上堂。「君王子了、将帥惺惺。一回得勝し、六国平寧なり。」

上堂。舉。臨濟參黃檗之語。白雲端和尚頌雲。一拳拳倒黃鶴樓。一趯趯飜鸚鵡洲。有意氣時添意氣。不風流處也風流。師曰。大隨即不然。行年七十老躘踵。眼目精明耳不聾。忽地有人欺負我。一拳打倒過關東。上堂。問答已。乃曰。有祖已來。時人錯會。祇將言句以為禪道。殊不知道本無體。因體而得名。道本無名。因名而立號。祇如適來上座。才恁麼出來。便恁麼歸眾。且道具眼不具眼。若道具眼。才恁麼出來。眼在甚麼處。若道不具眼。爭合便恁麼去。諸仁者。於此見得倜儻分明。則知二祖禮拜。依位而立。真得其髓。祇這些子是三世諸佛命根。六代祖師命脈。天下老和尚安身立命處。雖然如是。須是親到始得。上堂。自己田園任運耕。祖宗基業力須爭。悟須千聖頭邊坐。用向三塗底下行。僧問。祖師心印。請師直指。師曰。你聞熱麼。曰。聞。師曰。且不聞寒。曰。和尚還聞熱否。師曰。不聞。曰。為甚麼不聞。師搖扇曰。為我有這箇。問。如何是奪人不奪境。師曰。活捉魔王鼻孔穿。曰。如何是奪境不奪人。師曰。中心樹子屬吾曹。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。一釣三山連六鼇。曰。如何是人境俱不奪。師曰。白日騎牛穿市過。問。蓮華未出水時如何。師曰。好。曰。出水後如何。師曰。好。曰。如何是蓮華。師曰。好。僧禮拜。師曰。與他三箇好。萬事一時休。問。藏天下於天下即不問。乃舉拳曰。祇如這箇作麼生藏。師曰。有甚麼難。曰。且作麼生藏。師曰。衫袖裡。曰。未審如何是紀綱佛法底人。師曰。不可是鬼。曰。忽遇殺佛殺祖底來。又作麼生支遣。師曰。老僧有眼不曾見。問。學人乍入叢林。乞師指示。師曰。吃粥吃飯。莫教放在腦後。曰。終日吃時未甞吃。師曰。負心衲子。不識好惡。問。劫火洞然。大千俱壞。未審這箇壞也無。師曰。阿誰教你恁麼問。僧進前。鞠躬曰。

上堂。挙ぐ。臨済が黄檗に参ずるの語。白雲端和尚の頌に云く、一拳に黄鶴楼を拳倒し、一趯に鸚鵡洲を趯飜す。意気有る時は意気を添え、風流ならざる処も亦た風流と。師は言った。「大随は即ち然らず。行年七十老躘踵、眼目精明にして耳聾せず。忽地に人有りて我を欺負せば、一拳に打倒して関東を過ぎん。」上堂。問答已って、乃ち言った。「祖有りて已来、時人錯会す。只だ言句を将て以て禅道と為す。殊に知らず道は本より体無く、体に因りて名を得る。道は本より名無く、名に因りて号を立つ。只だ如く適来の上座、纔かに恁麼出来して、便ち恁麼衆に帰る。且く道え眼を具するか眼を具せざるか。若し眼を具すると道えば、纔かに恁麼出来するに眼は什麼の処に在る。若し眼を具せずと道えば、争い合わん便ち恁麼に去るを。諸の仁者、此に於て見得せば倜儻分明、則ち知らん二祖礼拝して位に依りて立つ、真に其の髄を得るを。只だ此の些子は是れ三世諸仏の命根、六代祖師の命脉、天下の老和尚の安身立命の処なり。然りと雖も是の如し、須らく是れ親到して始めて得べし。」上堂。「自己の田園は運に任せて耕し、祖宗の基業は力を尽くして争え。悟るは須らく千聖の頭辺に坐し、用は三塗の底下に向かって行け。」僧が問うた。「祖師の心印、師の直指を請う。」師は言った。「お前は熱を聞くか。」言った。「聞く。」師は言った。「且く寒を聞かず。」言った。「和尚は還って熱を聞くか否。」師は言った。「聞かず。」言った。「何の故ぞや聞かざる。」師は扇を摇って言った。「我が此の箇有るが為。」問うた。「如何なるか是れ人を奪い境を奪わざる。」師は言った。「魔王を活捉して鼻孔を穿つ。」言った。「如何なるか是れ境を奪い人を奪わざる。」師は言った。「中心の樹子は吾曹に属す。」言った。「如何なるか是れ人境両倶に奪う。」師は言った。「一釣に三山連ねて六鼇。」言った。「如何なるか是れ人境倶に奪わざる。」師は言った。「白日に牛に騎りて市を穿ちて過ぐ。」問うた。「蓮華未だ水を出でざる時は如何。」師は言った。「好し。」言った。「水を出でたる後は如何。」師は言った。「好し。」言った。「如何なるか是れ「蓮華。師は言った。「好し。」僧礼拝した。師は言った。「他に三個の好しを与えよ、万事一時に休す。」問うた。「天下を天下に蔵すは即ち問わず。」乃ち拳を挙げて言った。「只だ如く此の箇は作麼生にか蔵せん。」師は言った。「什麼の難有らん。」言った。「且く作麼生にか蔵せん。」師は言った。「衫の袖裏。」言った。「いまだ審らかならず、如何なるか是れ仏法を紀綱する底の人。」師は言った。「是れ鬼たるべからず。」言った。「忽ち仏を殺し祖を殺す底の来るに遇えば、又た作麼生にか支遣せん。」師は言った。「老僧に眼有りて甞て見ず。」問うた。「学人乍に叢林に入る。師の指示を乞う。」師は言った。「粥を喫し飯を喫せ。教えて脳後に放らしむる莫れ。」言った。「終日喫する時は未だ甞て喫せず。」師は言った。「負心の衲子、好好悪を識らず。」問うた。「劫火洞然として大千倶に壊る。いまだ審らかならず、此の箇は壊るや無しや。」師は言った。「阿誰がお前に教えて恁麼に問わしむる。」僧進みて前に、鞠躬して言った。

不審。師曰。是壞不壞。僧無語。問。如何是山裡禪。師曰。庭前嫩竹先生筍。㵎下枯松長老枝。曰。如何是市裡禪。師曰。六街鐘皷韻𭽸𭽸。即處鋪金世界中。曰。如何是村裡禪。師曰。賊盜消亡蠶麥熟。謳歌鼓舞樂昇平。問。如何是諸佛出身處。師曰。問得甚當。曰。便恁麼去時如何。師曰。答得更奇。問。因山見水。見水忘山。山水俱忘。理歸何所。師曰。山僧坐卻舌頭。天地黯黑。有一老宿垂語云。十字街頭起一間茅廝。祇是不許人屙。僧舉以扣師。師曰。是你先屙了。更教甚麼人屙。宿聞。焚香遙望大隨。再拜謝之。紹興乙卯秋七月。大雨雪。山中有異象。師曰。吾期至矣。十七日別郡守以次。越三日示少恙於天彭。二十四夜謂侍僧曰。天曉無月時如何。僧無對。師曰。倒教我與汝下火始得。翌日還堋口廨院。留遺誡。蛻然示寂。門弟子奉全身歸。煙霧四合。猿鳥悲鳴。茶毗異香徧野。舌本如故。設利五色者不可計。瘞於定光塔之西。後住天童.天目.文禮作師畫像贊。可補行實之缺。因併錄此贊曰。東山一會人。唯他不唧𠺕。別處著閑房。叢林難講究。邡水潭虵出驚人。鈍鐵鍋雞啼白晝。雜劇打來。全火祇候。晚歲放疎慵。卻與俗和同。勤巴子使人勘驗。擲香貼便顯家風。定光無佛。枉費羅籠。臨行搖鐸向虗空。那知喪盡白雲宗。

(師は接して言った。)不審。師は言った。「是れ壊るか壊らざるか。」僧語無し。問うた。「如何なるか是れ山裏の禅。」師は言った。「庭前の嫩竹は先に笋を生じ、㵎下の枯松は老いて枝を長ず。」言った。「如何なるか是れ市裏の禅。」師は言った。「六街の鐘皷韻𭽸𭽸として、即処に金を鋪く世界中。」言った。「如何なるか是れ村裏の禅。」師は言った。「賊盗消亡して蚕麦熟し、謳歌鼓舞して升平を楽しむ。」問うた。「如何なるか是れ諸仏の出身の処。」師は言った。「問うこと甚だ当なり。」言った。「便ち恁麼に去る時は如何。」師は言った。「答うること更に奇なり。」問うた。「山に因りて水を見、水を見て山を忘る。山水倶に忘るれば、理は何の所に帰する。」師は言った。「山僧は舌頭を坐却す、天地黯黑なり。」一老宿有りて語を垂れて言った、十字街頭に一間の茅厮を起つ。只だ是れ人に屙らしめず。僧挙げて以て師に扣いた。師は言った。「是れお前先に屙り了れり。更に什麼の人を教えて屙らしめん。」宿聞きて、香を焚きて遥かに大随を望み、再拝して之を謝した。紹興乙卯秋七月、大いに雨雪す。山中に異象有り。師は言った。「吾が期至れり。」十七日に郡守以降に別れ、三日を越えて少恙を天彭に示す。二十四の夜、侍僧に謂うて言った。「天曉に月無き時は如何。」僧対無し。師は言った。「倒れて我とお前が下火を教えて始めて得せん。」翌日堋口の廨院に還り、遺誡を留めて、蜕然として寂を示した。門弟子は全身を奉じて帰る。煙霧四合し、猿鳥悲鳴す。茶毘して異香遍野に満ち、舌本は故の如く、設利五色の者は計るべからず。定光塔の西に瘞めた。後に天童・天目に住する文礼は師の画像賛を作り、行実の缺を補うべし。因りて并びて此の賛を録して言った。「東山一会の人、唯だ他不唧𠺕。別処に閑房を著け、叢林は講究し難し。邡水の潭虵出でて人を驚かし、鈍鉄の鍋鶏白昼に啼く。雑劇打ち来りて、全火只だ候を時う。晩歳に疏慵を放ち、却って俗と和同す。勤巴子は人をして勘験せしめ、香貼を擲てば便ち家風を顕す。定光仏無し、羅を費やすも枉げたり籠。行に臨みて鐸を摇りて虗空に向かう、那か知らん白雲宗を喪尽せしを。

漢州無為宗泰禪師

漢州無為宗泰禅師

涪城人。自出關。徧遊叢社。至五祖告香日。祖舉趙州洗缽盂話俾參。洎入室。舉此話問師。你道趙州向伊道甚麼。這僧便悟去。師曰。洗缽盂去。聻。祖曰。你祇知路上事。不知路上滋味。師曰。既知路上事。路上有甚滋味。祖曰。你不知耶。又問。你曾遊淛否。師曰。未也。祖曰。你未悟在。師自此凡五年。不能對。祖一日陞堂。顧眾曰。八十翁翁輥繡毬。便下座。師欣然出眾曰。和尚試輥一輥看。祖以手作打仗皷勢。操蜀音唱綿州巴歌曰。豆子山。打瓦皷。楊平山。撒白雨。白雨下。取龍女。織得絹。二丈五。一半屬羅江。一半屬玄武。師聞大悟。掩祖口曰。祇消唱到這裡。祖大笑而歸。師後還蜀。四眾請開法無為。遷正法。上堂。此一大事因緣。自從世尊拈華。迦葉微笑。世尊曰。吾有正法眼藏。分付摩訶大迦葉。以後燈燈相續。祖祖相傳。迄至於今。綿綿不墜。直得徧地生華。故號涅槃妙心。亦曰本心。亦曰本性。亦曰本來面目。亦曰第一義諦。亦曰爍迦羅眼。亦曰摩訶大般若。在男曰男。在女曰女。汝等諸人。但自悟去。這般盡是閑言語。遂拈起拂子曰。會了喚作禪。未悟果然難。難難。目前隔箇須彌山。悟了易。易易。信口道來無不是。僧問。如何是佛。師曰。阿誰教你恁麼問。僧擬議。師曰。了。

涪城の人である。関を出でて自ら、遍く叢社を遊ぶ。五祖の告香の日に至り、祖は趙州洗鉢盂の話を挙げて俾めて参せしめた。洎り室に入りて、此の話を挙げて師に問う、お前道え趙州は伊に向って什麼を道いたる。此の僧便ち悟り去った。師は言った。「鉢盂を洗いに去る。聻。」祖は言った。「お前只だ路上の事を知る、路上の滋味を知らず。」師は言った。「既に路上の事を知れば、路上に甚の滋味有らん。」祖は言った。「お前知らざるか。」又た問うた。「お前甞て淛に遊びしか。」師は言った。「未だなり。」祖は言った。「お前未だ悟らずして在り。」師自ら此より凡そ五年、対する能わず。祖一日堂に升り、衆を顧みて言った。「八十の翁翁繍毬を辊す。」便ち座を下りた。師は欣然として衆を出でて言った。「和尚試しに一辊して看よ。」祖は手を以て打仗皷の勢を作り、蜀音を操りて綿州の巴歌を唱えて言った。「豆子山、瓦皷を打つ。楊平山、白雨を撒く。白雨下りて、竜女を取る。絹を織りて、二丈五。一半は羅江に属し、一半は玄武に属す。」師は聞きて大悟し、祖の口を掩って言った。「只だ此の処に到りて唱うを消すべし。」祖は大笑して帰った。師後に蜀に還り、四衆は無為に開法を請い、正法に遷った。上堂。「此の一大事因縁、世尊の華を拈ずるより自り、迦葉微笑す。世尊は言った、吾に正法眼蔵有り、摩訶大迦葉に分付すと。已後灯灯相い続ぎ、祖祖相い伝う。今に迄りて、綿々として墜ちず。直に遍地に華を生ずるを得、故に涅槃妙心と号し、亦た本心と説き、亦た本性と説き、亦た本来面目と説き、亦た第一義諦と説き、亦た爍迦羅眼と説き、亦た摩訶大般若と説く。男に在りては男と説き、女に在りては女と説く。汝等諸人、但だ自ら悟り去れ。此の般は尽く是れ閑言語なり。」遂に拂子を拈起して言った。「会了すれば禅と喚び、未だ悟らざれば果然として難し。難難、目前に箇の須弥山を隔つ。悟り了れば易し。易易、口に信じて道来れば是れならざる無し。」僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「阿誰がお前に教えて恁麼に問わしむる。」僧議を擬した。師は言った。「了。」

蘄州五祖表自禪師

蘄州五祖表自禅師

懷安人也。初依祖最久。未有省。時圓悟為座元。師往請益。悟曰。兄有疑處試語我。師遂舉。德山小參。不答話。問話者三十棒。悟曰。禮拜著。我作得你師。舉話尚不會。師作禮竟。悟令再舉前話。師曰。德山小參。不答話。悟掩其口曰。但恁麼看。師出。揚聲曰。屈。屈。豈有公案祇教人看一句底道理。有僧謂師曰。兄不可如此說。首座須有方便。因靜坐體究。及旬頓釋所疑。詣悟禮謝。悟曰。兄始知吾不汝欺。又詣方丈。祖迎笑。自爾日深玄奧。祖將歸寂。遺言郡守。守命嗣其席。衲子四至不可遏。師榜侍者門曰。東山有三句。若人道得。即掛搭。衲子皆披靡。一日。有僧𢹂坐具。徑造丈室。謂師曰。某甲道不得。祇要掛搭。師大喜。呼維那於明窻下安排。上堂。世尊拈華。迦葉微笑時。人祇知拈華微笑。要且不識世尊。僧問。如何是祖師西來意。師曰。荊棘林中舞柘枝。曰。如何是佛。師曰。新生孩子擲金盆。

懐安の人である。初め祖に依ること最も久しく、未だ省有らず。時に円悟は座元と為り、師は往いて益を請うた。悟は言った。「兄に疑う処有れば試しに我に語れ。」師は遂に挙げた。徳山小参、話に答えず、話を問う者は三十棒。悟は言った。「礼拝せよ。我はお前の師を作るを得るも、話を挙げてなお会せず。」師は礼を作し竟り、悟は再び前の話を挙げしめた。師は言った。「徳山小参、話に答えず。」悟は其の口を掩って言った。「但だ恁麼に看よ。」師出でて、声を揚げて言った。「屈屈。豈に公案有りて只だ人をして一句の道理を看しむる底の。」有僧師に謂うて言った。「兄は此くの如く説くべからず。首座は須らく方便有るべし。」因りて静坐して体究し、旬に及びて頓に所疑を釈いた。悟に詣りて礼謝した。悟は言った。「兄始めて吾がお前を欺かざるを知れ。」又た方丈に詣る。祖迎えて笑い、自ら爾より日に玄奥を深めた。祖将に寂に帰らんとし、言を郡守に遺す。守は其の席を嗣がしめ、衲子四至して遏ぐべからず。師は侍者の門に榜して言った。「東山に三句有り。若し人道い得ば、即ち掛搭せよ。」衲子皆な披靡した。一日、僧有りて坐具を𢹂え、径に丈室に造りて師に謂うて言った。「某甲道うことを得ず。只だ掛搭せんと要す。」師は大いに喜び、維那を呼びて明窻の下に安排せしめた。上堂。「世尊華を拈じ、迦葉微笑する時、人は只だ華を拈じ微笑するを知る。要するに且く世尊を識らず。」僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来意。」師は言った。「荊棘林中に柘枝を舞う。」言った。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「新生の孩子金盆に擲る。」

蘄州龍華道初禪師

蘄州竜華道初禅師

梓之馬氏子。為祖侍者有年。住龍華日。上堂曰。雞見便鬬。犬見便齩。殿上鴟吻。終日相對。為甚麼卻不瞋。便下座。師機辯峻捷。門人罔知造詣。一日謂眾曰。昨日離城市。白雲空往還。松風清耳目。端的勝人間。召眾曰。此是先師末後句。有頃。脫然而逝。

梓の馬氏の子である。祖の侍者と為ること年有り。竜華に住する日、上堂して言った。「鶏は見れば便ち鬬い、犬は見れば便ち齩む。殿上の鴟吻、終日相い対す。何の故ぞや却って瞋らざる。」便ち座を下りた。師は機辯峻捷にして、門人は造詣を知る罔し。一日衆に謂うて言った。「昨日城市を離れ、白雲空しく往還す。松風耳目を清くす。端的に人間に勝れり。」衆を召して言った。「此れは先師の末後句なり。」有頃にして、脱然として逝った。

嘉州九頂清素禪師

嘉州九頂清素禅師

本郡郭氏子。於乾明寺剃染。徧扣禪扄。晚謁五祖。聞舉首山答西來意語。倐然契悟。述偈曰。顛倒顛。顛倒顛。新婦騎驢阿家牽。便恁麼。太無端。回頭不覺布衫穿。祖見。乃問。百丈野狐話。又作麼生。師曰。來說是非者。便是是非人。祖大悅。久之辭歸。住清溪。次遷九頂。太守呂公來瞻大像。問曰。既是大像。因甚麼肩負兩楹。師曰。船上無散工。至閣下。覩觀音像又問。彌勒化境。觀音何來。師曰。家富小兒嬌。守乃禮敬。勤老宿至。師問。舞劍當咽時如何。曰。伏惟尚饗。師詬曰。老賊死去。你問我。勤理前語問之。師叉手揖曰。拽破。紹興乙卯四月二十四日。得微疾。書偈遺眾曰。木人備舟。鐵人備馬。丙丁童子穩穩登。喝散白雲歸去也。竟爾趨寂。

本郡の郭氏の子である。乾明寺に於て剃染し、遍く禅扄を扣いた。晩に五祖に謁し、首山が西来意に答うる語を挙ぐるを聞きて、倐然として契悟した。偈を述べて言った。「顛倒顛、顛倒顛、新婦は驢に騎り阿家牽く。便ち恁麼、太だ无端なり。頭を回らして覚えず布衫穿つ。」祖見て、乃ち問うた。百丈野狐の話、又た作麼生。師は言った。「来りて是非を説く者は、便ち是れ是非の人。」祖は大いに悦んだ。久之して辞して帰り、清谿に住した。次いで九頂に遷った。太守の呂公来りて大像を瞻る。問うた、既に是れ大像、因りて什麼が両楹を肩負する。師は言った。「船上に散工無し。」閣下に至り、観音像を覩て又た問うた、弥勒の化境、観音は何れより来る。師は言った。「家富めば小児嬌なり。」守は乃ち礼敬した。勤老宿至り、師は問うた。剣を舞いて咽に当たる時は如何。言った、伏して惟れ尚く饗けよ。師は詬って言った。「老賊死に去れ。お前は我に問う。」勤は前の語を理して之を問うた。師は叉手して揖して言った。「拽破。」紹興乙卯四月二十四日、微疾を得て、偈を書して衆に遺して言った。「木人は舟を備え、鉄人は馬を備う。丙丁の童子穏々として登り、白雲を喝散して帰り去るなり。」竟に爾にして寂に趨った。

元禮首座

元礼首座

閩人也。受業焦山。初參演和尚於白雲。凡入室。必謂曰。衲僧家。明取緇素好。師疑之不已。一日演陞堂。舉首山新婦騎驢阿家牽語。乃曰。諸人要會麼。莫問新婦阿家。免煩路上波吒。遇飯即飯。遇茶即茶。同門出入。宿世冤家。師於言下豁如。且曰。今日緇素明矣。二年。演遷席祖山。命分座。不就。演歸寂。即他往。崇寧間。再到五祖。僧問。五祖遷化向甚麼處去。師曰。有眼無耳朵。六月火邊坐。曰。意旨如何。師曰。家貧猶自可。路貧愁殺人。或問。金剛經云。一切善法。如何是法。師曰。上是天。下是地。中間坐底坐。立底立。喚甚麼作善法。僧無對。師便打。後終於四明之瑞巖。

閩の人である。焦山に於て業を受く。初め白雲に於て演和尚に参じ、凡そ室に入れば、必ず謂うて言った。「衲僧家、緇素の好きを明取せよ。」師は之を疑う事已まず。一日演が堂に升り、首山の新婦驢に騎り阿家牽くの語を挙げ、乃ち言った。「諸人要して会せんか。新婦・阿家を問う莫れ、路上の波咤を煩わすを免れん。飯に遇えば即ち飯し、茶に遇えば即ち茶す。同門出入して、宿世の冤家。」師は言下に豁如とし、且つ言った。「今日緇素明らかなり。」二年、演は席を祖山に遷し、分座を命ずも、就かず。演寂に帰すれば、即ち他に往いた。崇寧の間、再び五祖に到る。僧が問うた。「五祖遷化して什麼の処に向って去る。」師は言った。「眼有りて耳朶無し。六月に火辺に坐す。」言った。「意旨は如何。」師は言った。「家貧しきはなお自ら可なり。路貧しきは人を殺すを愁う。」或いは問うた。金剛経に云う、一切善法。如何なるか是れ法。師は言った。「上は是れ天、下は是れ地、中間坐する底は坐し、立つ底は立つ。什麼を喚んで善法と作さん。」僧対無し。師便ち打った。後に四明の瑞巌に終わった。

普融知藏

普融知蔵

福州人也。至五祖。入室次。祖舉倩女離魂話問之。有契。呈偈曰。二女合為一媳婦。機輪截斷難回互。從來往返絕蹤由。行人莫問來時路。凡有鄉僧來謁。則發閩音誦俚語曰。書頭教娘勤作息。書尾教娘莫瞌睡。且道中間說箇甚麼。僧擬對。師即推出。

福州の人である。五祖に至り、室に入る次、祖は倩女離魂の話を挙げて之に問うた。契有りて、偈を呈して言った。「二女合して一の媳妇と為り、機輪截断して回互し難し。従来往返蹤由を絶ち、行人は来る時の路を問う莫れ。」凡そ郷僧の来りて謁する有れば、則ち閩音を発して俚語を誦して言った。「書頭は娘に勤めて作息せよと教え、書尾は娘に瞌睡する莫れと教う。且く道え中間は箇の什麼を説く。」僧対を擬すれば、師は即ち推出した。

法閦上座

法閦上座

久依五祖。未有所入。一日造室。祖問。不與萬法為侶者是甚麼人。曰。法閦即不然。祖以手指曰。住。住。法閦即不然。作麼生。師於是啟悟。後至東林宣密度禪師席下。見其得平實之旨。一日拈華繞度禪床一帀。背手插香爐中。曰。和尚且道。意作麼生。度屢下語。皆不契。踰兩月。遂問師。令試說之。師曰。某祇將華插香爐中。和尚自疑有甚麼事來。

久しく五祖に依るも、未だ入る所有らず。一日室に造り、祖問うた。万法と侶を為さざる者は是れ什麼人ぞ。言った、法閦は即ち然らず。祖は指を以て言った。「住住。法閦は即ち然らずと、作麼生。」師是に於て啓悟した。後に東林の宣密度禅師の席下に至り、其の平実の旨を得るを見た。一日華を拈じて度の禅床を一帀繞り、手を背けて香炉中に挿して、言った。「和尚且く道え、意は作麼生。」度屢々語を下すも、皆な契せず。両月を逾えて、遂に師に問いて、試しに之を説かしめた。師は言った。「某は只だ華を将て香炉中に挿し、和尚自ら什麼の事有る来るを疑えるのみ。」

雲蓋本禪師法嗣

雲蓋本禅師法嗣

潭州南嶽承天院自賢禪師

潭州南岳承天院自賢禅師

僧問。大眾已集。仰聽雷音。猊座既登。請師剖露。師曰。剎竿頭上飜筋斗。曰。恁麼則嶽麓山前祥霧起。祝融峰下瑞雲生。師曰。紫羅帳裡璨真珠。上堂。拈拄杖曰。不是心。不是佛。不是物。擊禪床一下曰。與君打破精靈窟。簸土揚塵無處尋。千山萬山空突兀。復擊一下曰。歸堂去參。上堂。一身高隱惟南嶽。自笑孤雲未是閑。松下水邊端坐者。也應隨例說居山。咄。上堂。五更殘月落。天曉白雲飛。分明目前事。不是目前機。既是目前事。為甚麼不是目前機。良久曰。欲言言不及。林下卻商量。

僧が問うた。「大衆已に集まり、仰いで雷音を聴かん。猊座既に登られ、師の剖露を請う。」師は言った。「刹竿頭上に筋斗を飜す。」言った。「恁麼なれば則ち岳麓山前に祥霧起こり、祝融峰下に瑞雲生ず。」師は言った。「紫羅帳裏に真珠を璨かす。」上堂。拄杖を拈じて言った。「是れ心に非ず、是れ仏に非ず、是れ物に非ず。」禅床を一下撃して言った。「君と精霊の窟を打破せん。土を簸き塵を揚げて尋ぬる処無し。千山万山空しく突兀たり。」復た一下撃して言った。「堂に帰りて参ぜよ。」上堂。「一身に高きを隠すは惟だ南岳、自ら笑う孤雲未だ是れ閑ならざるを。松下の水辺に端坐する者、亦た応に例に随いて居山を説くべし。咄。」上堂。「五更残月落ち、天曉に白雲飛ぶ。分明たり目前の事、是れ目前の機に非ず。既に是れ目前の事、何の故ぞや是れ目前の機に非ざる。」良久して言った。「言わんと欲すれど言及ばず、林下に却って商量せん。」

琅邪起禪師法嗣

琅邪起禅師法嗣

俞道婆

俞道婆

金陵人也。市油餈為業。常隨眾參問琅邪。邪以臨濟無位真人話示之。一日。聞丐者唱蓮華樂雲。不因柳毅傳書信。何緣得到洞庭湖。忽大悟。以餈盤投地。夫傍睨曰。你顛邪。婆掌曰。非汝境界。往見琅邪。邪望之。知其造詣。問。那箇是無位真人。婆應聲曰。有一無位人。六臂三頭努力瞋。一擘華山分兩路。萬年流水不知春。由是聲名藹著。凡有僧至。則曰。兒。兒。僧擬議。即掩門。佛燈珣禪師往勘之。婆見如前所問。珣曰。爺在甚麼處。婆轉身拜露柱。珣即踏倒曰。將謂有多少奇特。便出。婆蹶起曰。兒兒來。惜你則箇。珣竟不顧。安首座至。婆問。甚處來。安曰。德山。婆曰。德山泰乃老婆兒子。安曰。婆是甚人兒子。婆曰。被上座一問。直得立地放尿。婆甞頌馬祖不安因緣曰。日面月面。虗空閃電。雖然截斷天下衲僧舌頭。分明祇道得一半。

金陵の人である。油糍を市るを業と為す。常に衆に随いて琅邪に参問した。邪は臨済の無位真人の話を以て之に示した。一日、丐者の蓮華楽を唱うるを聞いて云う、柳毅が書信を伝ふるに因らざれば、何の縁か洞庭湖に到るを得んと。忽ち大悟して、糍盤を以て地に投げた。夫傍らに睨めて言った。「お前は顛きたり。」婆は掌して言った。「汝の境界に非ず。」往いて琅邪を見た。邪之を望みて、其の造詣を知り、問うた。「那の箇は是れ無位真人。」婆は声に応じて言った。「一の無位人有り。六臂三頭にして努力瞋る。一擘に華山を分かちて両路と為す。万年の流水春を知らず。」是に由りて声名藹著たり。凡そ僧の至る有れば、則ち言った。「児々。」僧議を擬せば、即ち門を掩う。仏灯の珣禅師往きて之を勘えた。婆は見て前の所問の如く。珣は言った。「爺は什麼の処に在る。」婆は身を転じて露柱に拜した。珣は即ち踏倒して言った。「将に多少の奇特有らんと謂いしに。」便ち出でた。婆は蹶然として起きて言った。「児児来れ。お前を惜しむ則個。」珣は竟に顧みず。安首座至り、婆は問うた。「甚の処より来る。」安は言った。「徳山。」婆は言った。「徳山の泰は乃ち老婆の儿子なり。」安は言った。「婆は是れ甚人の儿子ぞ。」婆は言った。「上座の一問に被りて、直に立ちて尿を放るを得たり。」婆甞て馬祖不安の因縁を頌して言った。「日面月面、虗空に閃電す。然りと雖も天下の衲僧の舌頭を截断す、分明に只だ一半を道い得たり。」

南嶽下十五世上

南嶽下十五世上

昭覺勤禪師法嗣

昭覚勤禅師法嗣

臨安府徑山宗杲大慧普覺禪師

臨安府径山宗杲大慧普覚禅師

宣城奚氏子。夙有英氣。年十二入鄉校。一日因與同窻戲。以硯投之。悞中先生帽。償金而歸。曰。大丈夫讀世間書。曷若究出世法。即詣東山慧雲院事慧齊。年十七。薙髮具毗尼。偶閱古雲門錄。恍若舊習。往依廣教珵禪師。棄遊四方。從曹洞諸老宿。既得其說。去登寶峰。謁湛堂準禪師。堂一見異之。俾侍巾裓。指以入道捷徑。師橫機無所讓。堂訶曰。汝曾未悟。病在意識領解。則為所知障。堂疾革。囑師曰。吾去後。當見川勤。必能盡子機用(勤即圓悟)。堂卒。師趨謁無盡居士。求堂塔銘。無盡門庭高。少許可。與師一言相契。下榻延之。名師庵曰妙喜。洎後再謁。且囑令見圓悟。師至天寧。一日聞悟陞堂。舉。僧問雲門。如何是諸佛出身處。門曰。東山水上行。若是天寧即不然。忽有人問。如何是諸佛出身處。只向他道。燻風自南來。殿閣生微涼。師於言下。忽然前後際斷。雖然動相不生。卻坐在淨躶躶處。悟謂曰。也不易。你得到這田地。可惜死了不能得活。不疑言句。是為大病。不見道。懸崖撒手。自肯承當。絕後再蘇。欺君不得。須信有這箇道理。遂令居擇木堂。為不𨤲務侍者。日同士大夫入室(擇木乃朝士止息處)。悟每舉有句無句。如藤倚樹問之。師才開口。悟便曰。不是。不是。經半載。遂問悟曰。聞和尚當時在五祖曾問這話。不知五祖道甚麼。悟笑而不答。師曰。和尚當時須對眾問。如今說亦何妨。悟不得已。謂曰。我問有句無句。如藤倚樹。意旨如何。祖曰。描也描不成。畫也畫不就。又問樹倒藤枯時如何。祖曰。相隨來也。師當下釋然。曰。我會也。悟遂舉數因緣詰之。師酧對無滯。悟曰。始知吾不汝欺。遂著臨濟正宗記付之。俾掌記室。未幾。令分座。室中握竹篦以驗學者。叢林浩然歸重。名振京師。右丞相呂公舜徒奏賜紫衣.佛日之號。會女真之變。

宣城の奚氏の子である。夙に英気有り。年十二にして郷校に入り、一日同窓と戯れるに因りて、硯を以て之に投げ、悮って先生の帽に中たり。金を償いて帰り、言った。「大丈夫は世間の書を読むも、曷ぞ出世の法を究めんに若かん。」即ち東山の慧雲院に詣りて慧斉に事えた。年十七、薙髪して毘尼を具す。偶ら古の雲門録を閲し、恍として旧習の若し。往いて広教の珵禅師に依り、棄てて四方に游び、曹洞の諸老宿に従った。既に其の説を得て、去りて宝峰に登り、湛堂の准禅師に謁した。堂は一見して之を異とし、巾裓を侍らしめ、入道の捷径を指して以て之を示した。師は機を横たえて譲る所無し。堂は訶して言った。「汝は甞未だ悟らず。病は意識の領解に在り。則ち所知障を為す。」堂の疾革まり、師に嘱して言った。「吾去らば後、当に川勤を見るべし。必ず能く子の機用を尽くさん(勤は即ち円悟)。」堂卒す。師は趨りて無尽居士に謁し、堂の塔銘を求めた。無尽の門庭は高く、許可を少うす。師と一言相い契り、榻を下して之を延いた。師の庵を名づけて妙喜と曰う。洎りて再び謁し、且つ円悟を見るを令め嘱した。師は天寧に至り、一日悟の堂に升るを聞き、挙ぐ。僧が雲門に問う、如何なるか是れ諸仏の出身の処と。門は言った、東山水上行。若し是れ天寧ならば即ち然らず。忽ち人の問う有らん、如何なるか是れ諸仏の出身の処。只だ他に向って道え、薫風南より来たり、殿閣微涼を生ずと。師は言下に於て、忽然として前後の際断えた。然りと雖も動相は生ぜざれども、却って浄躶躶の処に坐す。悟は謂うて言った。「も易からざるなり。お前此の田地に到るを得たり。惜しむべし死して能く活を得ず。言句を疑わざるは、是れ大病を為す。見ずや道う、懸崖に手を撒き、自ら肯んじて承当す。絶したる後に再び蘇る、君を欺くを得ず。須らく此の道理有るを信ぜよ。」遂に擇木堂に居らしめ、不𨤲務の侍者と為し、日に士大夫と同じく室に入らしめた(擇木は乃ち朝士の止息の処)。悟は毎に有句無句・藤が樹に倚るが如しを挙げて之に問う。師纔かに口を開けば、悟は便ち言った。「不是。不是。」半載を経て、遂に

其酋欲取禪僧十數人。師在選得免。趨吳虎丘度夏。因閱華嚴至菩薩登第七地。證無生法忍。洞曉向所請問湛堂殃崛摩羅持缽至產婦家因緣。時圓悟詔住雲居。師往省覲。至山次日。即請為第一座。時會中多龍象。以圜悟久虗座元。俟師之來。頗有不平之心。及冬至。秉拂昭覺元禪師出眾問雲。眉間掛劒時如何。師曰。血濺梵天。圜悟於座下。以手約雲。住。住。問得極好。答得更奇。元乃歸眾。叢林由是改觀。圜悟歸蜀。師於雲居山後古雲門舊址。創庵以居。學者雲集。久之入閩。結茅於長樂洋嶼。從之得法者。十有三人。又徙小溪雲門庵。後應張丞相魏公浚徑山之命。開堂日。僧問。人天普集。選佛場開。祖令當行。如何舉唱。師雲。鈍鳥逆風飛。曰。徧界且無尋覓處。分明一點座中圓。師曰。人間無水不朝東。復有僧競出。師約住雲。假使大地盡末為塵。一一塵有一一口。一一口具無礙廣長舌相。一一舌相出無量差別音聲。一一音聲發無量差別言詞。一一言詞有無量差別妙義。如上塵數。衲僧各各具如是口。如是舌。如是音聲。如是言詞。如是妙義。同時致百千問難。問問各別。不消長老咳𠻳一聲。一時答了。乘時於其中間。作無量無邊廣大佛事。一一佛事周徧法界。所謂一毛現神變。一切佛同說經於無量劫。不得其邊際。便恁麼去閙熱門庭即得。正眼觀來。正是業識茫茫。無本可據。祖師門下一點也用不著。況復勾章棘句。展弄詞鋒。非唯埋沒從上宗乘。亦乃笑破衲僧鼻孔。所以道。毫𨤲繫念。三塗業因。瞥爾情生。萬劫覊鎻。聖名凡號。盡是虗聲。殊相劣形。皆為幻色。汝欲求之。得無累乎。及其厭之。又成大患。看他先聖恁麼告報。如國家兵器。豈得已而用之。本分事上。亦無這箇消息。山僧今日。如斯舉唱。大似無夢說夢。好肉剜瘡。檢點將來。合吃拄杖。只今莫有下得毒手者麼。

悟に問うて言った。「和尚が当時五祖に在りて甞て此の話を問いしを聞く。五祖は什麼を道いしを知らず。」悟は笑って答えず。師は言った。「和尚当時は須らく衆に対して問いしなり。如今説くも亦た何の妨げん。」悟は已むを得ず、謂うて言った。「我は問う、有句無句、藤が樹に倚るが如し、意旨如何。祖は言った、描くも描き成らず、画くも画き就かず。又た問う、樹倒れ藤枯るる時は如何。祖は言った、相い随いて来たれり。師は当下に釈然として、言った。「我會せり。」悟は遂に数の因縁を挙げて之を詰る。師は酧対滞り無し。悟は言った。「始めて知る吾が汝を欺かざるを。」遂に臨済正宗記を著して之に付し、記室を掌らしめた。未几、分座を令す。室中に竹篦を握りて以て学者を験す。叢林浩然として重んじ帰し、名は京師に振る。右丞相の呂公舜徒は奏して紫衣・仏日の号を賜わらしむ。会た女真の変。

若有。堪報不報之恩。共助無為之化。如無。倒行此令去也。驀拈拄杖雲。橫按鏌鎁全正令。太平寰宇斬痴頑。卓拄杖。喝一喝。便下座。道法之盛。冠於一時。眾二千餘。皆諸方俊乂。侍郎張公九成。亦從之遊。灑然契悟。一日。因議及朝政。與師連禍。紹興辛酉五月。毀衣牒。屏居衡陽。乃裒先德機語。間與拈提。離為三帙。目曰正法眼藏。凡十年。移居梅陽。又五年。高宗皇帝特恩放還。明年春。復僧伽棃。四方虗席以邀。率不就。後奉朝命。居育王。逾年有旨。改徑山。道俗歆慕如初。孝宗皇帝為普安郡王時。遣內都監入山謁師。師作偈為獻。及在建邸。復遣內知客詣山。供五百應真。請師說法。祝延聖壽。親書妙喜庵三字。並製贊寵寄之。上堂。欲識佛性義。當觀時節因緣。時節若至。其理自彰。舉起拂子曰。還見麼。擊禪床曰。還聞麼。聞見分明。是箇甚麼。若向這裡提得去。皇恩佛恩一時報足。其或未然。徑山打葛藤去也。復舉起拂子曰。看。看。無量壽世尊在徑山拂子頭上放大光明照。不可說。不可說。又不可說。佛剎微塵數世界中。轉大法輪。作無量無邊廣大佛事。其中若凡若聖。若正若邪。若草若木。有情無情。遇斯光者。皆獲無上正等菩提。所以諸佛於此得之。具一切種智。諸大菩薩於此得之。成就諸波羅蜜。闢支獨覺於此得之。出無佛世。現神通光明。諸聲聞眾洎夜來迎請五百阿羅漢。於此得之。得八解脫。具六神通。天人於此得之。增長十善。脩羅於此得之。除其憍慢。地獄於此得之。頓超十地。餓鬼傍生及四生九類一切有情。於此得之。隨其根性。各得受用。無量壽世尊放大光明。作諸佛事已竟。然後以四大海水灌彌勒世尊頂。與授阿耨多羅三藐三菩提記。當於補處作大佛事。無量壽世尊有如是神通。有如是自在。有如是威神。到這裡還有知恩報恩者麼。若有。

其の酋は禅僧十数人を取らんと欲す。師は選中に在りて免れた。呉の虎丘に趨りて夏を度す。華厳を閲して菩薩の第七地に登り、無生法忍を証するに至り、向の湛堂に請問せし殃崛摩羅が鉢を持して産婦の家に至る因縁を洞暁した。時に円悟は詔して雲居に住す。師は往きて省覲し、山に至る次日、即ち第一座に請ぜられた。時に会中に竜象多く、圜悟の久しく座元を虗しくするを以て、師の来を俟ち、頗る不平の心有り。及び冬至、拂を秉げて昭覚の元禅師衆を出でて問うて云く、眉間に剣を挂くる時は如何。師は言った。「血は梵天を溅ぐ。」圜悟座下に於て、手を以て約して云く、「住住。問うこと極めて好し、答うること更に奇なり。」元は乃ち衆に帰った。叢林是に由りて観を改む。圜悟蜀に帰る。師は雲居山の後、古の雲門旧址に庵を創りて以て居た。学者雲集す。久之して閩に入り、長楽洋嶼に茅を結ぶ。之に従い法を得る者、十に三人。又た小谿の雲門庵に徙した。後に張丞相魏公浚の径山の命に応えた。開堂の日、僧問うた。「人天普く集まり、選仏場開く。祖令行わるべきに当り、如何にか挙唱する。」師は言った。「鈍鳥風に逆いて飛ぶ。」言った。「遍界且つ尋覓の処無し、分明に一点座中に円かなり。」師は言った。「人間水無くして東に朝せざる有らず。」復た僧有りて競い出ず。師は約住して云く。「假使大地尽く末して塵と為り、一一の塵に一一の口有り、一一の口は无碍の広長舌相を具え、一一の舌相は無量の差別音声を出し、一一の音声は無量の差別言詞を発し、一一の言詞に無量の差別妙義有り。上の如き塵数、衲僧各々具く是の如き口・是の如き舌・是の如き音声・是の如き言詞・是の如き妙義を、同時に致す百千の問難、問問各別なり。長老の咳𠻳一声を消せず、一時に答え了り。時に乗じて其の中間に於て、無量無辺広大の仏事を作す。一一の仏事は法界に周遍す。所謂一毛に神変を現じ、一切仏同じく経を説くこと無量の劫。邊際を得ること能わず。便ち恁麼に去れば閙熱の門庭即ち得。正眼を以て観るに来れば、正に是れ業識茫茫、本無く据るべし。祖師の門下は一点も用いるに足らず。況んや復た章を勾め句を棘り、詞鋒を展弄するを。唯だ従上の宗乗を埋没するのみならず、亦た乃ち衲僧の鼻孔を笑破せん。所以に道う、毫𨤲の繋念、三塗の業因。瞥爾として情生ずれば、万劫の覊鎖。聖名凡号、尽く是れ虗声。殊相劣形、皆な幻色と為る。汝之を求めんと欲すれば、累無きを得んか。及び其れ之を厭う、又た大患と成る。他の先聖が恁麼に告報するを看よ。国家の兵器の如く、豈に已むを得ずして之を用う。本分の事上も、亦た此の消息無し。山僧今日、斯くの如く挙唱す。大いに似たり夢無きに夢を説き、好肉に瘡を剜るに。検点して将来すれば、合に拄杖を喫すべし。只今下毒手を得る者有るに莫れや。

出來與徑山相見。為汝證明。如無。聽取一頌。十方法界至人口。法界所有即其舌。祗憑此口與舌頭。祝吾君壽無間歇。億萬斯年注福源。如海滉漾永不竭。師子窟內產狻猊。鸑鷟定出丹山穴。為瑞為祥徧九垓。草木昆蟲盡歡悅。稽首不可思議事。喻若眾星拱明月。故今宣暢妙伽陀。第一義中真實說。上堂。祖師道。一心不生。萬法無咎。無咎無法。不生不心。能隨境滅。境逐能沈。境由能境。能由境能。大小祖師。卻作座主見解。徑山即不然。眼不自見。刀不自割。吃飯濟饑。飲水定渴。臨濟德山特地迷。枉費精神施棒喝。除卻棒。拈卻喝。孟八郎漢。如何止遏。上堂。拈拄杖卓一下。喝一喝曰。德山棒。臨濟喝。今日為君重拈掇。天何高。地何闊。休向糞掃堆上更添搕𢶍。換卻骨。洗卻腸。徑山退身三步。許你諸人商量。且道作麼生商量。擲下拄杖。喝一喝曰。紅粉易成端正女。無錢難作好兒郎。上堂。正月十四十五。雙徑椎鑼打皷。要識祖意西來。看取村歌社舞。上堂。久雨不曾晴。豁開天地清。祖師門下事。何用更施呈。上堂。舉圓通秀禪師示眾曰。少林九年冷坐。剛被神光覷破。如今玉石難分。祇得麻纏紙裹。這一箇。那一箇。更一箇。若是明眼人。何須重說破。徑山今日不免狗尾續貂。也有些子。老胡九年話墮。可惜當時放過。致令默照之徒。鬼窟長年打坐。這一箇。那一箇。更一箇。雖然苦口叮嚀。卻似樹頭風過。結夏。上堂。文殊三處安居。誌公不是閑和尚。迦葉欲行正令。未免眼前見鬼。且道徑山門下。今日事作麼生。下座後。大家觸禮三拜。上堂。僧問。有麼有麼。庵主竪起拳頭。還端的也無。師便下座。歸方丈。上堂。水底泥牛嚼生鐵。憍梵缽提咬著舌。海神怒把珊瑚鞭。須彌燈王痛不徹。上堂。才方八月中秋。又是九月十五。卓拄杖曰。唯有這箇不遷。擲拄杖曰。

出て来て径山と相見えよ。汝が為に証明せん。如し無からば、一頌を聴取せよ。十方の法界人の口に至り、法界の所有即ち其の舌。只だ此の口と舌头とに凭りて、吾が君の寿を祝して間歇無し。億万斯年福源を注ぐ。海の滉漾として永く竭きざるが如し。師子窟内に狻猊を産み、𬸚𬸦は定めて丹山の穴より出づ。瑞と為り祥と為りて九垓に遍し。草木昆虫尽く歓悦す。稽首する不可思議の事。喻えるに衆星の明月を拱するが若し。故に今妙伽陀を宣暢す。第一義中真実の説。上堂。「祖師道う、一心生ぜず、万法咎無し。咎無く法無し、生ぜず心無し。能は境に随いて滅し、境は能に逐いて沈む。境は能に由りて境、能は境に由りて能。大小の祖師、却って座主の見解を作す。径山は即ち然らず。眼は自ら見ず、刀は自ら割かず。飯を喫して飢を済い、水を飲みて渇を定む。臨済・徳山特地に迷い、枉げて精神を費やして棒喝を施す。棒を除却し、喝を拈却す。孟八郎漢、如何にか止遏せん。」上堂。拄杖を拈じ一卓し、一喝して言った。「徳山の棒、臨済の喝。今日君の為に重ねて拈掇す。天何ぞ高く、地何ぞ闊き。休れ糞掃堆上に更に搕𢶍を添うるを。骨を換却し、腸を洗却す。径山身を退くる事三歩。お前等諸人に商量を許す。且く道え作麼生にか商量せん。」拄杖を擲ち下し、一喝して言った。「紅粉は易く端正の女を成すも、銭無ければ好児郎を作り難し。」上堂。「正月十四十五、双径は鑼を椎き皷を打つ。要して祖意西来を識らば、村歌社舞を看取せよ。」上堂。「久雨甞て晴れず、豁きて天地清し。祖師門下の事、何ぞ用いん更に施呈するを。」上堂。円通秀禅師の示衆を挙ぐ。「少林九年冷坐、剛し神光に觑破せられ。如今玉石分かち難し。只だ麻を纏いて紙に裹むを得るのみ。此の一個、那の一個、更に一個。若し是れ明眼の人、何ぞ須いん重ねて説破せん。」径山今日不免して狗尾貂に続く。も些子有り、老胡九年の「話堕。惜しむべし当時放過せり。令しむるを致し黙照の徒、鬼窟に長年打坐せしを。此の一個、那の一個、更に一個。然りと雖も苦口に叮嚀すれど、却って似たり樹頭の風過ぐるに。」結夏。上堂。「文殊三処に安居し、志公は是れ閑和尚に非ず。迦葉正令を行ぜんと欲すれど、未だ眼前に鬼を見るを免れず。且く道え径山門下、今日の事は作麼生。」座を下りたる後、大家触礼三拜す。上堂。「僧問う、有るか有るか。庵主拳頭を竖起す。還って端的なるや無しや。」師便ち座を下り、方丈に帰った。上堂。「水底の泥牛生鉄を嚼み、憍梵鉢提は舌を咬着す。海神怒りて珊瑚の鞭を把り、須弥灯王は痛み徹せず。」上堂。「纔かに方に八月中秋、又た是れ九月十五。」拄杖を卓して言った。「唯だ此の箇有りて遷らず。」拄杖を擲ちて言った。

一眾耳聞目覩。圓悟禪師忌。師拈香曰。這箇尊慈。平昔強項。氣壓諸方。逞過頭底顢頇。用格外底儱侗。自言我以木槵子換天下人眼睛。殊不知被不孝之子將斷貫索穿卻鼻孔。索頭既在徑山手裡。要教伊生也由徑山。要教伊死也由徑山。且道以何為驗。遂燒香曰。以此為驗。僧問。達磨西來。將何傳授。師曰。不可總作野狐精見解。曰。如何是麤入細。師曰。香水海裡一毛孔。曰。如何是細入麤。師曰。一毛孔裡香水海。問。古鏡未磨時如何。師曰。火不待日而熱。曰。磨後如何。師曰。風不待月而涼。曰。磨與未磨時如何。師曰。交。問。不與萬法為侶者。是甚麼人。待汝一口吸盡西江水。即向汝道。意作麼生。師曰。釘釘膠黏。問。一法若有。毗盧墮在凡夫。萬法若無。普賢失其境界。去此二途。請師速道。師曰。脫殻烏龜飛上天。問。高揖釋迦。不拜彌勒時如何。師曰。夢裡惺惺。問。大修行底人。還落因果也無。前百丈曰。不落因果。為甚麼墮野狐身。師曰。逢人但恁麼舉。曰。祇如後百丈道。不昧因果。為甚麼脫野狐身。師曰。逢人但恁麼舉。曰。或有人問徑山。大修行底人。還落因果也無。未審和尚向他道甚麼。師曰。向你道。逢人但恁麼舉。問。明頭來時如何。師曰。頭大尾顛纖。曰。暗頭來時如何。師曰。野馬嘶風蹄撥剌。曰。明日大悲院裡有齋。又作麼生。師曰。雪峰道底。問。過去心不可得。現在心不可得。未來心不可得時如何。師曰。親言出親口。曰。未審如何受持。師曰。但恁麼受持。決不相賺。問。我宗無語句。實無一法與人時如何。師曰。五味饡秤鎚。問。心佛俱忘時如何。師曰。賣扇老婆手遮日。問。教中道。塵塵說。剎剎說。無間歇。未審以何為舌。師拍禪床右角一下。僧曰。世尊不說說。迦葉不聞聞也。師拍禪床左角一下。僧曰。也知今日。令不虗行。師曰。

(師は接して言った。)「一衆耳に聞き目に覩る。」円悟禅師の忌。師は香を拈じて言った。「此の尊慈、平昔強項にして、気は諸方を圧す。頭過ぎる底の颟顸を逞くし、格外の儱侗を用う。自ら言う我は木槵子を以て天下人の眼睛を換うと。殊に知らず不孝の子に断貫索を将て鼻孔を穿却せられ。索頭既に径山の手裏に在り。伊を教えて生ぜしめんとすれば径山に由り、伊を教えて死せしめんとすれば径山に由る。且く道え何を以て験と為す。」遂に香を焼いて言った。「此を以て験と為す。」僧が問うた。「達磨西来、何を将て伝授する。」師は言った。「総て野狐精の見解を作す可からず。」言った。「如何なるか是れ麤より細に入る。」師は言った。「香水海裏の一毛孔。」言った。「如何なるか是れ細より麤に入る。」師は言った。「一毛孔裏の香水海。」問うた。「古鏡未だ磨かざる時は如何。」師は言った。「火は日を待たずして熱し。」言った。「磨きたる後は如何。」師は言った。「風は月を待たずして涼し。」言った。「磨くと未磨との時は如何。」師は言った。「交。」問うた。「万法と侶を為さざる者は是れ什麼人ぞ。汝の一口に西江の水を吸尽するを待ち、即ち汝に向って道わん。意は作麼生。」師は言った。「釘釘し膠黏せり。」問うた。「一法若し有れば、毘盧は凡夫に堕ち在り。万法若し無ければ、普賢は其の境界を失う。此の二途を去り、師の速道を請う。」師は言った。「殻を脱ぐる烏亀天に飛ぶ。」問うた。「高く釈迦を揖し、弥勒に拜せざる時は如何。」師は言った。「夢裏の惺惺。」問うた。「大修行底の人、還って因果に落つるや無しや。前の百丈説く、因果に落ちず、何の故ぞや野狐身に堕つる。」師は言った。「人に逢えば但だ恁麼に挙げよ。」言った。「只だ如く後の百丈道う、因果を昧えず、何の故ぞや野狐身を脱する。」師は言った。「人に逢えば但だ恁麼に挙げよ。」言った。「或いは人径山に問わん、大修行底の人、還って因果に落つるや無しや。いまだ審らかならず和尚は他に向って什麼を道わん。」師は言った。「お前に向って道う、人に逢えば但だ恁麼に挙げよ。」問うた。「明頭来たる時は如何。」師は言った。「頭大にして尾顛纎。」言った「暗頭来たる時は如何。」師は言った。「野馬風に嘶き蹄撥剌す。」言った。「明日大悲院裏に斎有り、又た作麼生。」師は言った。「雪峰道底。」問うた。「過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得の時は如何。」師は言った。「親言親口より出づ。」言った。「いまだ審らかならず如何にか受持する。」師は言った。「但だ恁麼に受持せよ。決して相い賺さず。」問うた。「我が宗は語句無し、実に一法を人に与うる無き時は如何。」師は言った。「五味の饡は秤鎚なり。」問うた。「心仏倶に忘るる時は如何。」師は言った。「扇を売る老婆手に日を遮る。」問うた。「教中道う、塵塵説き刹刹説く、間歇無し。いまだ審らかならず何を以て舌と為す。」師は禅床の右角を一拍した。僧は言った。「世尊は説くを説かず、迦葉は聞くを聞かざるなり。」師は禅床の左角を一拍した。僧は言った。「も知る今日、令虗行せざるを。」師は言った。

識甚好惡。師室中問僧。不是心。不是佛。不是物。你作麼生會。僧曰。領。師曰。領你屋裡七代先靈。僧便喝。師曰。適來領。而今喝。幹他不是心。不是佛。不是物甚麼事。僧無語。師打出。僧請益夾山境。話聲未絕。師便喝。僧茫然。師曰。你問甚麼。僧擬舉。師連打。喝出。師才見僧入。便曰。不是。出去。僧便出。師曰。沒量大人。被語脈裡轉卻。次一僧入。師亦曰。不是。出去。僧卻近前。師曰。向你道不是。更近前覓箇甚麼。便打出。復一僧入曰。適來兩僧不會和尚意。師低頭噓一聲。僧罔措。師打曰。卻是你會老僧意。問僧。我前日有一問在你處。你先前日答我了也。即今因甚麼瞌睡。僧曰。如是。如是。師曰。道甚麼。僧曰。不是。不是。師連打兩棒。曰。一棒打你如是。一棒打你不是。舉竹篦問僧曰。喚作竹篦則觸。不喚作竹篦則背。不得下語。不得無語。速道。速道。僧曰。請和尚放下竹篦。即與和尚道。師放下竹篦。僧拂袖便出。師曰。侍者認取這僧著。又舉問僧。僧曰。甕裡怕走卻鼈那。師下禪床擒住。曰。此是誰語。速道。僧曰。實不敢謾昧老師。此是竹庵和尚教某恁麼道。師連打數棒。曰。分明舉似諸方。師年邁求解。辛巳春。得旨退居明月堂。隆興改元。一夕星殞於寺西。流光赫然。尋示微恙。八月九日。學徒問安。師勉以弘道。徐曰。吾翌日始行。至五皷。親書遺奏。又貽書辭紫巖居士。侍僧了賢請偈。復大書曰。生也祇恁麼。死也祇恁麼。有偈與無偈。是甚麼熱大。擲筆委然而逝。平明有虵尺許。腰首白色。伏於龍王井欄。如義服者。乃龍王示現也。四眾哀號。皇帝聞而歎惜。上製師真贊曰。生滅不滅。常住不住。圓覺空明。隨物現處。丞相以次。致祭者沓來。門弟子塔全身於明月堂之側。壽七十有五。夏五十有八。詔以明月堂為妙喜庵。諡曰普覺。塔名寶光。

(師は接して言った。)「甚の好悪を識る。」師は室中に於て僧に問うた。「是れ心に非ず、是れ仏に非ず、是れ物に非ず。お前作麼生にか会する。」僧は言った。「領。」師は言った。「お前の屋裏の七代先霊を領く。」僧は便ち喝した。師は言った。「適来は領し、而今は喝す。他の是れ心に非ず・是れ仏に非ず・是れ物に非ずの什麼事を干す。」僧語無し。師は打出した。僧は夾山の境を請益す。話声未だ絶えざるに、師便ち喝した。僧茫然たり。師は言った。「お前什麼を問う。」僧挙げんと擬した。師連ねて打ち、喝して出だした。師纔かに僧の入るを見て、便ち言った。「不是。出去。」僧便ち出でた。師は言った。「没量の大人、語脉裏に転却せられたり。」次の一僧入る。師も亦た言った。「不是。出去。」僧却って近づき前す。師は言った。「お前に向って不是と道う。更に前に近づきて箇の什麼を覔むる。」便ち打出した。復た一僧入りて言った。「適来の両僧は和尚の意を会せず。」師は頭を低めて一声を嘘した。僧罔措たり。師は打って言った。「却って是れお前が老僧の意を会する。」僧に問うた。「我前日に一問有りてお前の処に在り。お前先に前日我に答え了れり。即今因りて什麼が瞌睡する。」僧は言った。「如是。如是。」師は言った。「什麼を道う。」僧は言った。「不是。不是。」師連ねて二棒を打ち、言った。「一棒はお前の如是を打ち、一棒はお前の不是を打つ。」竹篦を挙げて僧に問うて言った。「竹篦と喚べば則ち触れ、竹篦と喚ばざれば則ち背く。語を下すを得ず、語無きを得ず。速道。速道。」僧は言った。「請うらくは和尚竹篦を放下せよ。即ち和尚と道わん。」師は竹篦を放下した。僧は袖を拂いて便ち出でた。師は言った。「侍者此の僧を認取せよ。」又た挙げて僧に問うた。僧は言った。「瓮裏鼈を走却せんを怕るな。」師は禅床を下りて擒え住めて、言った。「此れ是れ誰の語ぞ。速道。」僧は言った。「実に敢えて老師を谩昧せず。此れ是れ竹庵和尚が某に恁麼に道えと教えたる。」師連ねて数棒を打ち、言った。「分明に諸方に挙似せん。」師年邁にして解を求む。辛巳春、旨を得て明月堂に退居す。隆興改元。一夕星は「寺西に殞ち、流光赫然たり。尋いで微恙を示す。八月九日、学徒安を問う。師は弘道を以て之を勉む。徐に説いた。「吾翌日始めて行く。」五皷に至り、親ら遺奏を書し、又た書を貽して紫巌居士に辞す。侍僧了賢偈を請う。復た大書して言った。「生なりとも只だ恁麼、死なりとも只だ恁麼。偈有ると偈無きと、是れ什麼の熱大ぞ。」筆を擲て委然として逝った。平明に蛇有りて尺許、腰首白色、龍王の井欄に伏す。義服する者の如し。乃ち是れ龍王の示現なり。四衆哀号す。皇帝聞きて嘆惜す。上は師の真賛を制して言った。「生滅は滅せず、常住は住せず。円覚空明、物に随いて現ずる処。」丞相以降、祭を致す者沓来す。門弟子は全身を明月堂の側に塔す。寿七十有五、夏五十有八。詔して明月堂を以て妙喜庵と為し、諡して普覚と曰い、塔を名づけて宝光とす。

淳熈初。賜其全錄八十卷。隨大藏流行。

淳熈初、其の全録八十巻を賜り、大蔵に随いて流行した。

平江府虎丘紹隆禪師

平江府虎丘紹隆禅師

和之含山人也。九歲謝親。居佛慧院。踰六年。得度受具。又五年。荷包謁長蘆信禪師。得其大略。有傳圓悟語至者。師讀之。嘆曰。想酢生液。雖未澆腸沃胃。要且使人慶快。第恨未聆謦欬耳。遂由寶峰依湛堂。客黃龍叩死心禪師。次謁圓悟。一日入室。悟問曰。見見之時。見非是見。見猶離見。見不能及。舉拳曰。還見麼。師曰。見。悟曰。頭上安頭。師聞脫然契證。悟叱曰。見箇甚麼。師曰。竹密不妨流水過。悟肯之。尋俾掌藏教。有問悟曰。隆藏主柔易若此。何能為哉。悟曰。瞌睡虎耳。後歸邑。住城西開聖。建炎之擾。乃結廬銅峰之下。郡守李公光延居彰教。次徙虎丘。道大顯著。因追繹白雲端和尚立祖堂故事。乃曰。為人之後。不能躬行遺訓。於義安乎。遂圖其像。以奉安之。上堂曰。凡有展托。盡落今時。不展不託。墮坑落壍。直饒風吹不入。水灑不著。檢點將來。自救不了。豈不見道。直似寒潭月影。靜夜鐘聲。隨扣擊以無虧。觸波瀾而不散。猶是生死岸頭事。拈拄杖。劃一劃雲。劃斷古人多年葛藤。點頭石不覺拊掌大笑。且道笑箇甚麼。腦後見腮。莫與往來。上堂。目前無法。萬象森然。意在目前。突出難辨。不是目前法。觸處逢渠。非耳目之所到。不離見聞覺知。雖然如是。也須踏著他向上關捩子始得。所以道。羅籠不肯住。呼喚不回頭。佛祖不安排。至今無處所。如是則不勞斂念。樓閣門開。寸步不移。百城俱到。驀拈拄杖。劃一劃雲。路逢死虵莫打殺。無底籃子盛將歸。上堂曰。百鳥不來春又喧。憑欄溢目水連天。無心還似今宵月。照見三千與大千。上堂。摩竭陀國。親行此令。拈拄杖。卓一下曰。大盡三十日。小盡二十九。僧問。為國開堂一句作麼生道。師曰。一願皇帝萬壽。二願重臣千秋。曰。祇如生佛未興時。一著落在甚麼處。師曰。吾常於此切。曰。官不容針。

和の含山の人である。九歳にして親を謝し、仏慧院に居た。六年を逾えて、度を得て具を受け、又た五年、荷包して長芦の信禅師に謁し、其の大略を得た。円悟の語を伝えて至る者有り。師之を読み、嘆じて言った。「酢を想えば液を生ず。未だ腸を潤し胃を沃らさざると雖も、要するに且く人をして慶快ならしむ。第に恨むらくは未だ謦欬を聆かざるのみ。」遂に宝峰に由りて湛堂に依り、黄竜に客して死心禅師を叩き、次いで円悟に謁した。一日室に入りて、悟は問うた。「見見の時、見は是れ見に非ず。見はなお見を離れ、見は及ぶ能わず。」拳を挙げて言った。「還って見るか。」師は言った。「見る。」悟は言った。「頭上に頭を安ず。」師は聞きて脱然として契証した。悟は叱って言った。「箇の什麼を見る。」師は言った。「竹密なりと雖も流水の過るを妨げず。」悟は之を肯んじた。尋いで蔵教を掌らしめた。悟に問うて言う者有り、「隆蔵主は柔易此くの若し。何をか能く為さん。」悟は言った。「瞌睡の虎のみ。」後に邑に帰り、城西の開聖に住した。建炎の擾に、乃ち銅峰の下に廬を結ぶ。郡守の李公光は彰教に延居し、次いで虎丘に徙した。道大いに顕著たり。因りて白雲端和尚が祖堂を立てし故事を追繹し、乃ち言った。「人の後と為りて、遺訓を躬行する能わずは、義に於て安からんや。」遂に其の像を図り、以て奉安した。上堂して言った。「凡そ展托有れば、尽く今時に落つ。展ぜず托せざれば、坑に堕ち壍に落つ。直饒風吹きて入らず、水灑きて着かずと雖も、検点して将来すれば、自ら救い了らず。豈に見ずや道う、直に寒潭の月影、静夜の鐘声の似たるを。扣撃に随いて以て亏けず、波瀾に触れて而も散ぜず。なお是れ生死岸頭の事。」拄杖を拈じ、一划して云く。「古人多年の葛藤を划断す。点头の石覚えず掌を拊して大笑す。且く道え箇の什麼を笑う。脳後に腮を見るは、往来を与えする莫れ。」上堂。「目前法無し、万象森然たり。意目前に在りて、突出して辨い難し。是れ目前の法に非ず、処に触れて渠に逢う。耳目の到る所に非ずと雖も、見聞覚知を離れず。然りと雖も是の如し、も須らく他の向上の関捩子を踏着して始めて得べし。所以に道う、羅籠肯んじて住せず、呼喚頭を回らさず。仏祖安掛せず、今に至るまで処所無し。是くの如くなれば則ち念を斂むるを労せず、楼閣門開く。寸歩移らず、百城倶に到る。」驀地に拄杖を拈じ、一划して云く。「路に死虵に逢うて打殺す莫れ。底無き籃子に盛り将て帰れ。」上堂して言った。「百鳥来らずして春又喧し。欄に凭りて目を溢れれば水天に連なる。无心は還って今宵の月に似たり、照見す三千と大千と。」上堂。「摩竭陀国、親しく此の令を行う。」拄杖を拈じ、一卓して言った。「大尽は三十日、小尽は二十九。」僧が問うた。「国の為に堂を開く一句、作麼生にか道わん。」師は言った。「一に願わくは皇帝万寿、二に願わくは重臣千秋。」言った。「只だ如く生仏未だ興らざる時、一着は什麼の処に落ち在る。」師は言った。「吾は常に此に於て切なり。」言った。「官は針を容れず。」

更借一問時如何。師曰。踞虎頭。收虎尾。曰。中間事作麼生。師曰。草繩自縛漢。曰。毗婆尸佛早留心。直至如今不得妙。師曰。幾行巖下路。少見白頭人。問。九旬禁足。意旨如何。師曰。理長即就。曰。祇如六根不具底人。還禁得也無。師曰。穿過鼻孔。曰。學人今日。小出大遇。師曰。降將不斬。曰。恁麼則和尚放某甲逐便也。師曰。停囚長智。問。雪峰道。盡大地撮來如粟米粒大。拋向面前漆桶。不會打皷。普請看。未審此意如何。師曰。一畝之地。三虵九鼠。曰。乞師再垂指示。師曰。海口難宣。問。如何是大道真源。師曰。和泥合水。曰。便恁麼去時如何。師曰。截斷草鞋跟。問。如何是佛法大意。師曰。虵頭生角。問。古人到這裡。因甚麼不肯住。師曰。老僧也恁麼。曰。忽然一刀兩段時如何。師曰。平地神仙。問。萬機休罷。千聖不𢹂時如何。師曰。未足觀光。曰。還有奇特事也無。師曰。獨坐大雄峰。紹興丙辰。示微疾而逝。塔全軀於寺之西南隅。

更に一問を借る時は如何。」師は言った。「虎頭に踞し、虎尾を収む。」言った。「中間の事は作麼生。」師は言った。「草縄に自ら縛る漢。」言った。「毘婆尸仏早く心を留め、直ちに如今妙を得ず。」師は言った。「幾行か巌下の路、白頭の人を見ること少し。」問うた。「九旬禁足、意旨は如何。」師は言った。「理長ければ即ち就く。」言った。「只だ如く六根具わらざる底の人、還って禁ずるを得るや無しや。」師は言った。「鼻孔を穿ち過ぐ。」言った。「学人今日、小出して大いに遇う。」師は言った。「降将は斬らず。」言った。「恁麼なれば則ち和尚は某甲を放して便りに逐わしむるか。」師は言った。「囚を停めて智を長ず。」問うた。「雪峰道う、大地を尽くして撮み来れば粟米の粒の如く大きさ、面前に抛ち向けば漆桶、会せずして皷を打つ。普請して看よ。いまだ審らかならず此の意は如何。」師は言った。「一畝の地、三虵九鼠。」言った。「師に再び指示を垂れんことを乞う。」師は言った。「海口は宣べ難し。」問うた。「如何なるか是れ大道の真源。」師は言った。「泥に和し水に合す。」言った。「便ち恁麼に去る時は如何。」師は言った。「草鞋の跟を截断す。」問うた。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「虵頭に角を生ず。」問うた。「古人此に到りて、因りて什麼が住するを肯んぜざる。」師は言った。「老僧も恁麼なり。」言った。「忽然として一刀両段の時は如何。」師は言った。「平地の神仙。」問うた。「万机休み罷み、千聖𢹂えざる時は如何。」師は言った。「未だ観光に足らず。」言った。「還って奇特の事有るや無しや。」師は言った。「独り大雄峰に坐す。」紹興丙辰、微疾を示して逝った。全躯を寺の西南隅に塔す。

慶元府育王山佛智端裕禪師

慶元府育王山仏智端裕禅師

吳越王之裔也。六世祖守會稽。因家焉。師生而岐嶷。眉目淵秀。十四驅烏於大善寺。十八得度受具。往依淨慈一禪師。未幾。偶聞僧擊露柱。曰。你何不說禪。師忽微省。去謁龍門遠.甘露卓.泐潭祥。皆以頴邁見推。晚見圓悟於鍾阜。一日悟問。誰知正法眼藏向這瞎驢邊滅卻。即今是滅不滅。曰。請和尚合取口好。悟曰。此猶未出常情。師擬對。悟擊之。師頓去所滯。侍悟居天寧。命掌記室。尋分座。道聲藹著。京西憲請開法丹霞。次遷虎丘。徑山謝事。徇平江道俗之請。庵於西華。閱數稔。勑居建康保寧。後移蘇城萬壽及閩中玄沙.壽山西禪。復被旨補靈隱。慈寧皇太后幸韋王第。召師演法。賜金襴袈裟。乞歸西華舊隱。紹興戊辰秋。赴育王之命。上堂曰。德山入門便棒。多向皮袋裡埋蹤。臨濟入門便喝。總在聲塵中出沒。若是英靈衲子。直須足下風生。超越古今途轍。拈拄杖。卓一下。喝一喝曰。祇這箇何似生。若喚作棒喝。瞌睡未惺。不喚作棒喝。未識德山臨濟。畢竟如何。復卓一下曰。總不得動著。上堂。盡大地是沙門眼。徧十方是自己光。為甚麼東弗於逮打皷。西瞿耶尼不聞。南贍部洲點燈。北鬱單越暗坐。直饒向箇裡道得十全。猶是光影裡活計。撼拂子曰。百雜碎了也。作麼生是出身一路。擲下拂子曰。參。上堂。動則影現。覺則冰生。直饒不動不覺。猶是秦時𨍏轢鑽。到這裡。便須千差密照。萬戶俱開。毫端撥轉機輪。命脈不沈毒海。有時覺如湛水。有時動若星飛。有時動覺俱忘。有時照用自在。且道正恁麼時。是動是覺。是照是用。還有區分得出底麼。鐵牛橫古路。觸著骨毛寒。上堂曰。行時絕行跡。說時無說蹤。行說若到。則垛生招箭。行說未明。則神鋒劃斷。就使說無滲漏。行不迷方。猶滯殻漏在。若是大鵬金翅。奮迅百千由旬。十影神駒。馳驟四方八極。不取次啗啄。

呉越王の裔である。六世祖は会稽を守り、因りて家を焉にす。師生まれて岐嶷にして、眉目淵秀なり。十四にして大善寺に烏を駆り、十八にして度を得て具を受けた。往いて浄慈の一禅師に依り、未几、偶ら僧が露柱を撃ちて、言う、お前何ぞ禅を説かざると聞き、師忽ち微省す。去りて竜門の遠・甘露の卓・泐潭の祥に謁し、皆な頴迈を以て推せられた。晩に鍾阜に於て円悟に見えた。一日悟問うた。「誰か知る正法眼蔵が此の瞎驢の辺に向って滅却せんことを。即今是れ滅するか滅せざるか。」言った。「請うらくは和尚口を合取せよ好し。」悟は言った。「此れなお常情を出でず。」師対を擬した。悟は之を撃った。師は頓に所滞を去った。悟に侍して天寧に居り、記室を掌るを命ぜられ、尋いで分座す。道声藹著たり。京西の憲は丹霞に開法を請い、次いで虎丘に遷った。径山事を謝し、平江道俗の請いに徇りて、西華に庵した。数稔を閲り、勅して建康の保寧に居た。後に蘇城の万寿及び閩中の玄沙・寿山の西禅に移り、復た旨を被りて霊隠を補した。慈寧皇太后は韋王の第に幸し、師を召して法を演ばしめ、金襴袈裟を賜わった。西華の旧隠に帰るを乞う。紹興戊辰秋、育王の命に赴いた。上堂して言った。「徳山門に入れば便ち棒、多く皮袋裏に蹤を埋む。臨済門に入れば便ち喝、総て声塵中に出没す。若し是れ英霊の衲子ならば、直に須らく足下風を生じ、古今の途轍を超越すべし。」拄杖を拈じ、一卓し一喝して言った。「只だ此の箇は何ぞ生に似たる。若し棒喝と喚べば、瞌睡未だ惺めず。棒喝と喚ばざれば、未だ徳山・臨済を識らず。畢竟に如何。」復た一卓して言った。「総て動着するを得ず。」上堂。「大地を尽くすは是れ沙門の眼、十方を遍くするは是れ自己の光。何の故ぞや東の弗于逮は皷を打ち、西の瞿耶尼は聞かず、南の贍部洲は灯を点じ、北の鬱単越は暗坐する。直饒箇の裏に向って十全を道い得と雖も、なお是れ光影裏の活計。」拂子を撼して言った。「百雑砕了れり。作麼生にか是れ出身の一路。」拂子を擲ち下して言った。「参。」上堂。「動けば則ち影現じ、覚れば則ち氷生ず。直饒動かず覚えざるも、なお是れ秦時の𨍏轢鑽なり。此に到りて、便ち須らく千差密照し、万户倶に開く。毫端に機輪を撥転し、命脉毒海に沈まず。或る時は覚は湛水の如く、或る時は動は星の飛ぶが若し。或る時は動覚倶に忘れ、或る時は照用自在。且く道え正に恁麼の時、是れ動か是れ覚か、是れ照か是れ用か。還って区々分かれて出づる底有るか。鉄牛古路に横たわり、触れ着けば骨毛寒し。」上堂して言った。「行ずれば行跡を絶ち、説けば説蹤無し。行説若し到らば、則ち垛生じて箭を招く。行説未だ明らかならざれば、則ち神鋒划断す。就使い説きて渗漏無く、行きて方に迷わざるも、なお殻漏に滞まって在り。若し是れ大鵬金翅ならば、奮迅して百千の由旬、十影の神駒、四方八極に馳驟し、取次に啗啄せず。

不隨處埋身。且總不依倚。還有履踐分也無。剎剎塵塵是要津。上堂曰。易填巨壑。難滿漏巵。若有操持。了無難易。拈卻大地。寬綽有餘。放出纖毫。礙塞無路。忽若不拈不放。向甚麼處履踐。同誠共休慼。飲水亦須肥。僧問。如何是賓中賓。師曰。你是田庫奴。曰。如何是賓中主。師曰。相逢猶莽鹵。曰。如何是主中賓。師曰。劒氣爍愁雲。曰。如何是主中主。師曰。敲骨打髓。師蒞眾。色必凜然。寢食不背眾。唱道無倦。紹興庚午十月初。示微疾。至十八日。首座法全請遺訓。師曰。盡此心意。以道相資。語絕而逝。火後目睛齒舌不壞。其地發光終夕。得設利者無計。踰月不絕。黃冠羅肇常。平日問道於師。適外歸。獨無所獲。道念勤切。方與客食。咀噍間若有物。吐哺則設利也。大如菽。色若琥珀。好事者持去。遂再拜於闍維所。聞香匳有聲。亟開。所獲如前而差紅潤。門人奉遺骨。分塔於鄮峰西華。諡大悟禪師。

「処に随って身を埋めず。且つ総て依倚せず。還って履践の分有るや無しや。刹刹塵塵は是れ要津。」上堂して言った。「易く巨壑を填め、漏巵を満たし難し。若し操持有れば、了として難易無し。大地を拈却すれば、寛綽余り有り。纎毫を放出せば、碍塞して路無し。忽ち若し拈せず放たざれば、什麼の処に向って履践する。誠を同じくし休戚を共にすれば、水を飲むも亦た須らく肥ゆべし。」僧が問うた。「如何なるか是れ賓中の賓。」師は言った。「お前は是れ田庫の奴。」言った。「如何なるか是れ賓中の主。」師は言った。「相逢いてなお莽鹵なり。」言った。「如何なるか是れ主中の賓。」師は言った。「剣気は愁雲を爍かす。」言った。「如何なるか是れ主中の主。」師は言った。「骨を敲き髄を打つ。」師衆に莅むに、色必ず凛然として、寝食衆に背かず、道を唱えて倦まず。紹興庚午十月初、微疾を示した。十八日に至り、首座法全は遺訓を請う。師は言った。「此の心意を尽くし、道を以て相い資けよ。」語絶えて逝った。火後に目睛・歯舌壊れず。其の地光を発して終夕す。設利を得る者計無し。月を逾えて絶えず。黄冠の羅肇常、平日道を師に問い、適に外より帰りて、独り獲る所無し。道念勤切にして、方に客と食し、咀噍の間に物有る若し。哺を吐けば則ち設利なり。大きさ菽の如く、色琥珀の若し。好事の者持ち去り、遂に闍維の所に再拝す。香匳声有るを聞き、亟に開く。獲る所は前の如くして差い紅潤たり。門人遺骨を奉じ、鄮峰・西華に分塔す。諡して大悟禅師。

潭州大溈佛性法泰禪師

潭州大潙仏性法泰禅師

漢州李氏子。僧問。理隨事變。該萬有而一片虗凝。事逐理融。等千差而鹹歸實際。如何是理法界。師曰。山河大地。曰。如何是事法界。師曰。萬象森羅。曰。如何是理事無礙法界。師曰。東西南北。曰。如何是事事無礙法界。師曰。上下四維。上堂。推真真無有相。窮妄妄無有形。真妄兩無所有。廓然露出眼睛。眼睛既露。見箇甚麼。曉日爍開巖畔雪。朔風吹綻臘梅華。上堂。寶劒拈來便用。豈有遲疑。眉毛剔起便行。更無回互。一切處騰今煥古。一切處截斷羅籠。不犯鋒鋩。亦非顧鑑。獨超物外則且置。萬機喪盡時如何。八月秋。何處熱。上堂。涅槃無異路。方便有多門。拈起拄杖曰。看。看。山僧拄杖子。一口吸盡西江水。東海鯉魚𨁝跳上三十三天。帝釋忿怒。把須彌山一摑粉碎。堅牢地神合掌讚歎曰。諦觀法王法。法王法如是。以拄杖擊禪床。下座。上堂。達得人空法空。未稱祖佛家風。體得全用全照。亦非衲僧要妙。直須打破牢關。識取向上一竅。如何是向上一竅。春寒料峭。凍殺年少。上堂。今朝正月已半。是處燈火繚亂。滿城羅綺駢闐。交互往來遊翫。文殊走入閙籃中。普賢端坐高樓看。且道觀音在甚麼處。震天椎畫皷。聒地奏笙歌。上堂。渺渺邈邈。十方該括。坦坦蕩蕩。絕形絕相。目欲眎而睛枯。口欲談而詞喪。文殊普賢全無伎倆。臨濟德山不妨提唱。龜吞陝府鐵牛。虵齩嘉州大像。嚇得東海鯉魚。直至如今肚脹。嘻。上堂。火雲燒田苗。泉源絕流注。娑竭大龍王。不知在何處。以拄杖擊禪床曰。在這裡。看。看。南山起雲。北山下雨。老僧更為震雷聲。助發威光令遠布。乃高聲曰。閧弄閧弄。上堂。開口有時非。開口有時是。麤言及細語。皆歸第一義。釋迦老子碗鳴聲。達磨西來屎臭氣。唯有山前水牯牛。身放毫光照天地。上堂。得念失念。無非解脫。是甚麼語話。成法破法。

漢州の李氏の子である。僧が問うた。「理は変に随いて、万有を該じて一片に虗凝し。事は理に逐いて融け、千差を等しうして咸く実際に帰す。如何なるか是れ理法界。」師は言った。「山河大地。」言った。「如何なるか是れ事法界。」師は言った。「万象森羅。」言った。「如何なるか是れ理事無碍法界。」師は言った。「東西南北。」言った。「如何なるか是れ事事無碍法界。」師は言った。「上下四維。」上堂。「真を推せば真に相有る無く、妄を窮めれば妄に形有る無し。真妄両なら有る所無く、廓然として眼睛を露出す。眼睛既に露れて、箇の什麼を見る。曉日は巌畔の雪を爍き開き、朔風は腊梅の華を吹き綻す。」上堂。「宝剣拈じ来れば便ち用う、豈に遅疑有らん。眉毛剔き起こせば便ち行く、更に回互無し。一切の処に今を騰げ古を煥かし、一切の処に羅籠を截断す。鋒鋩を犯さず、亦た顧鑑に非ず。独り物外を超ゆれば則ち且く置く。万機喪尽する時は如何。八月の秋、何れの処か熱き。」上堂。「涅槃に異路無し、方便に多門有り。」拄杖を拈起して言った。「看看。山僧の拄杖子、一口に西江の水を吸尽す。東海の鯉魚𨁝み跳びて三十三天に上がる。帝釈忿怒して、須弥山を一掴みに粉砕す。堅牢地神合掌して讃嘆して言った。諦に観る法王の法、法王の法是くの如しと。」拄杖を以て禅床を撃ち、座を下りた。上堂。「人空法空に達するも、未だ祖仏の家風を称せず。全用全照を体るも、亦た衲僧の要妙に非ず。直に須らく牢関を打破し、向上の一竅を識取すべし。如何なるか是れ向上の一竅。春寒料峭として、年少を凍殺す。」上堂。「今朝正月已に半ば、是の処灯火繚乱たり。満城羅綺駢阗として、交互往来游玩す。文殊は閙籃中に走り入り、普賢は高楼に端坐して看る。且く道え観音は什麼の処に在る。天を震いて画皷を椎き、地を聒かして笙歌を奏す。」上堂。「渺渺邈邈、十方を該括す。坦坦蕩蕩、形を絶ち相を絶つ。目は眎んと欲して睛枯れ「、口は談ぜんと欲して詞喪す。文殊・普賢全く伎倆無く、臨済・徳山妨げず提唱す。亀は陝府の鉄牛を呑み、虵は嘉州の大像を齩む。東海の鯉魚を吓得せしむ、直ちに如今に至るまで肚脹せり。嘻。」上堂。「火雲田苗を焼き、泉源流注を絶つ。娑竭大竜王、在る処を知らず。」拄杖を以て禅床を撃して言った。「此の裏に在り。看看。南山雲を起こし、北山雨を下す。老僧更に雷声を震い、威光を助発して遠布せしむ。」乃ち高声に言った。「閧弄閧弄。」上堂。「口を開けば時には非、口を開けば時には是。麤言及び細語、皆な第一義に帰す。釈迦老子の碗鳴の声、達磨西来の屎臭の気。唯だ有る山前の水牯牛、身は毫光を放ちて天地を照らす。」上堂。「念を得念を失う、解脱に非ざる無し。是れ什麼の語話ぞ。法を成じ法を破る。

皆名涅槃。料掉沒交涉。智慧愚痴。通為般若。顢頇佛性。菩薩外道。所成就法。皆是菩提。猶較些子。然雖如是。也是楊廣失駱駝。上堂。欲識佛去處。祇這語聲是。咄。傅大士不識好惡。以昭昭靈靈教壞人家男女。被誌公和尚一喝曰。大士莫作是說。別更道看。大士復說偈曰。空手把鉏頭。步行騎水牛。人從橋上過。橋流水不流。誌公呵呵大笑曰。前頭猶似可。末後更愁人。上堂。憶昔遊方日。獲得二種物。一是金剛鎚。一是千聖骨。持行宇宙中。氣岸高突兀。如是三十年。用之為準則。而今年老矣。一物知何物。擲下金剛鎚。擊碎千聖骨。拋向四衢道。不能更惜得。任意過浮生。指南將作北。呼龜以為鼈。喚豆以為粟。從他明眼人。笑我無繩墨。

「皆な涅槃と名づく。料掉すれど交渉無し。智慧・愚痴、通じて般若と為す。颟顸の仏性、菩薩・外道の成就する所の法、皆な是れ菩提。なお些子を較ぶ。然りと雖も是の如し、亦是れ楊広が駱駝を失う。」上堂。「仏の去る処を識らんと欲せば、只だ此の語声是れ。咄。傅大士は好悪を識らず、昭昭霊霊を以て人家の男女を教え壊る。志公和尚の一喝に被りて言う、大士説を作す此くの如く莫れ。別に更に道いて看よと。大士復た偈を説いて言った。空手に鉏頭を把り、歩行して水牛に騎る。人は橋上より過ぎ、橋流れて水流れず。志公呵々大笑して言った。前頭はなお似たり可なり、末後は更に人を愁えしむ。」上堂。「昔游方の日を憶えば、二種の物を獲得せり。一は是れ金剛鎚、一は是れ千聖の骨。持ちて宇宙中に行き、気岸高く突兀たり。是くの如く三十年、之を用いて準則と為す。而今年老いたり。一物は何物を知らん。金剛鎚を擲ち下し、千聖の骨を撃砕し、四衢の道に抛ち向けて、更に惜しむを得ず。意のままに浮生を過ごし、南を指して将に北と作さんとし、亀を呼んで以て鼈と為し、豆を喚んで以て粟と為す。他の明眼の人、我が縄墨無きを笑うに従え。」

台州護國此庵景元禪師

台州護国此庵景元禅師

永嘉楠溪張氏子。年十八。依靈山希拱。圓具後習臺教三禩。棄謁圓悟於鍾阜。因僧讀死心小參語云。既迷須得箇悟。既悟須識悟中迷。迷中悟。迷悟雙忘。卻從無迷悟處建立一切法。師聞而疑。即趨佛殿。以手托開門扉。豁然大徹。繼而執侍。機辯逸發。圓悟目為聱頭元侍者。遂自題肖像。付之曰。生平只說聱頭禪。撞著聱頭如鐵壁。脫卻羅籠截腳跟。大地撮來墨漆黑。晚年轉復沒刀刀。奮金剛椎碎窠窟。他時要識圓悟面。一為渠儂併拈出。圓悟歸蜀。師還淛東。鏟彩埋光。不求聞達。括蒼守耿公延禧。甞問道於圓悟。因閱其語錄。至題肖像。得師為人。乃致開法南明山。遣使物色。至臺之報恩。獲於眾寮。迫其受命。方丈古公乃靈源高弟。聞其提唱。亦深駭異。僧問。三聖道。我逢人即出。出則不為人。意旨如何。師曰。八十翁翁嚼生鐵。曰。興化道。我逢人則不出。出即便為人。又作麼生。師曰。須彌頂上浪飜空。問。天不能蓋。地不能載。是甚麼物。師曰。無孔鐵鎚。曰。天人群生。類皆承此恩力也。師曰。莫妄想。問。三世諸佛說不盡底句。請師速道。師曰。眨上眉毛。問。昔年三平道場重興。是日圓悟高提祖印。始自師傳。如何是臨濟宗。師曰。殺人活人不眨眼。曰。目前抽顧鑑。領略者還稀。如何是雲門宗。師曰。頂門三眼耀乾坤。曰。未舉先知。未言先見。如何是溈仰宗。師曰。推不向前。約不退後。曰。三界唯心。萬法唯識。如何是法眼宗。師曰。箭鋒相直不相饒。曰。建化何妨行鳥道。回途復妙顯家風。如何是曹洞宗。師曰。手執夜明符。幾箇知天曉。曰。向上還有路也無。師曰。有。曰。如何是向上路。師曰。黑漫漫地。僧便喝。師曰。貪他一粒粟。失卻半年糧。上堂。威音王已前。這一隊漢錯七錯八。威音王已後。這一隊漢落二落三。而今這一隊漢。坐立儼然。且道是錯七錯八。

永嘉楠谿の張氏の子である。年十八、霊山の希拱に依り、円具の後台教を習うこと三禩。棄てて鍾阜に於て円悟に謁した。僧が死心の小参語を読むに因りて云く、既に迷えば須らく箇の悟を得べし、既に悟れば須らく悟中の迷を識るべし。迷中の悟、迷悟双忘して、却って従る無迷悟の処に一切法を建立す。師聞きて疑い、即ち仏殿に趨り、手を以て門扉を托開して、豁然大徹す。継いで執侍し、機辯逸発す。円悟は目して聱頭元侍者と為し、遂に自ら肖像を題して、之に付して言った。「生平只だ聱頭の禅を説く。聱頭に撞着すれば鉄壁の如し。羅籠を脱却して脚根を截る。大地撮み来れば墨漆黑なり。晩年転た復た刀刀を没す。金剛椎を奮いて窠窟を碎く。他時要して円悟の面を識らば、一に渠儂を為て并びて拈出せん。」円悟蜀に帰る。師は淛東に還り、彩を鏟ぎ光を埋め、聞達を求めず。括蒼守の耿公延禧、甞て道を円悟に問う。其の語録を閲するに因りて、肖像を題するに至り、師の為人を得、乃ち南明山に開法を致す。使を遣わして物色せしめ、台の報恩に至り、衆寮に獲た。其の受命を迫る。方丈の古公は乃ち霊源の高弟にして、其の提唱を聞き、亦た深く駭異す。僧が問うた。「三聖道う、我は人に逢えば即ち出づ、出づれば則ち人を為らず。意旨は如何。」師は言った。「八十の翁翁生鉄を嚼む。」言った。「興化道う、我は人に逢えば則ち出でず、出づれば便ち人を為る。又た作麼生。」師は言った。「須弥頂上に浪虚空を飜す。」問うた。「天蓋う能わず、地載する能わず、是れ什麼の物ぞ。」師は言った。「孔無き鉄鎚。」言った。「天人の群生、類皆な此の恩力を承くるなり。」師は言った。「妄想する莫れ。」問うた。「三世諸仏説き尽くさざる底の句、師の速道を請う。」師は言った。「眉毛上に眨め。」問うた。「昔年三平道場重興の日、円悟高く祖印を提し、始めて師伝より自る。如何なるか是れ臨済宗。」師は言った。「人を殺し人を活かすも眼を眨めず。」言った。「目前に顧鑑を抽し、領略する者は還って稀なり。如何なるか是れ雲門宗。師は言った。「頂門の三眼は乾坤を耀かす。」言った。「未だ挙げざる先に知り、未だ言わざる先に見る。如何なるか是れ潙仰宗。」師は言った。「推せんも前に向かず、約せんも後に退かず。」言った。「三界は唯心、万法は唯識。如何なるか是れ法眼宗。」師は言った。「箭鋒相い直かして相い饒さず。」言った。「建化何ぞ妨げん鳥道を行くを。回途復た妙に家風を顕す。如何なるか是れ曹洞宗。」師は言った。「手に夜明の符を執る、幾個か天曉を知る。」言った。「向上に還って路有るや無しや。」師は言った。「有り。」言った。「如何なるか是れ向上の路。」師は言った。「黒漫漫たる地。」僧便ち喝した。師は言った。「他の一粒の粟を貪りて、半年の糧を失却す。」上堂。「威音王已前、此の一隊の漢は錯七錯八。威音王已後、此の一隊の漢は落二落三。而今此の一隊の漢、坐立儼然たり。且く道え是れ錯七錯八か。

落二落三。還定當得出麼。舉拂子曰。吽吽。浴佛。上堂。這釋迦老子初生下來。便作箇笑具。一手指天。一手指地。雲。天上天下。唯我獨尊。後來雲門大師道。我當時若見。一棒打殺與狗子吃卻。貴圖天下太平。尚有人不肯放過。卻道讚祖須是雲門始得。且道那裡是讚他處。莫是一棒打殺處。是麼。且喜沒交涉。今日南明乍此住持。祇得放過。若不放過。盡大地人並皆乞命始得。如今事不獲已。且同大眾向佛殿上。每人與他一杓。何故。豈不見道。乍可違條。不可越例。以拂子擊禪床。下座。上堂。野幹鳴。師子吼。張得眼。開得口。動南星。蹉北斗。大眾還知落處麼。金剛堦下蹲。神龜火裡走。師退居西山。耿龍學請就淨光陞座。靈峰古禪師舉白雲見楊歧.歧令舉茶陵悟道頌公案。請師批判。師乃曰。諸禪德。楊歧大笑。眼觀東南。意在西北。白雲悟去。聽事不真。喚鐘作甕。檢點將來。和楊歧老漢。都在架子上將錯就錯。若是南明即不然。我有明珠一顆。切忌當頭蹉過。雖然覿面相呈。也須一鎚打破。舉拂子曰。還會麼。棊逢敵手難藏行。詩到重吟始見功。師示疾。請西堂應庵華禪師為座元。付囑院事。示訓如常。俄握拳而逝。茶毗得五色舍利。齒舌右拳無少損。塔於寺東劉阮洞前。壽五十三。

落二落三か。還って定当して出づるを得るか。」拂子を挙げて言った。「吽吽。」浴仏。上堂。「此の釈迦老子は初め生まれ下る時、便ち箇の笑具を作す。一手に天を指し、一手に地を指して、云く、天上天下唯我独尊。後に雲門大師道う、我当時若し見れば、一棒打殺して狗子に与えて喫却せん。貴しとするは天下太平を図るを。なお人放過を肯んぜざる者有り。却って道う祖を讃するは須らく是れ雲門始めて得べしと。且く道え那里が是れ他を讃ずる処。莫れや是れ一棒打殺の処、是れか。且く喜ぶべし交渉無きを。今日南明乍か此く住持す。只だ放過するを得るのみ。若し放過せざれば、大地の人を尽くして并びて皆な命を乞わしめて始めて得べし。如今事已まず獲ず。且つ大衆と同じく仏殿上に向かって、每人に他一杓を与えん。何の故ぞ。豈に見ずや道う、乍か可なり条に違うも、例を越ゆべからずと。」拂子を以て禅床を撃ち、座を下りた。上堂。「野干鳴き、師子吼えり。眼を張り得、口を開き得。南星を動かし、北斗を蹉ぐ。大衆還って落処を知るか。金剛の堦下に蹲り、神亀は火裏を走る。」師は西山に退居した。耿龍学は就きて浄光に於て座に升るを請う。霊峰古禅師は白雲が楊岐に見え、岐が茶陵の悟道頌の公案を挙げしむるを挙げ、師の批判を請うた。師は乃ち言った。「諸禅徳、楊岐大笑す、眼は東南を観、意は西北に在り。白雲悟り去るも、事を聴くこと真ならず、鐘を喚びて瓮と作す。検点して将来すれば、楊岐の老汉と和して、皆な架子上に在りて錯を将て錯に就く。若し是れ南明ならば即ち然らず。我に明珠一顆有り、切に頭を当りて蹉過するを忌む。然りと雖も覿面相呈す、も須らく一鎚に打破すべし。」拂子を挙げて言った。「還って会するか。棋は敵手に逢えば行を蔵し難く、詩は重ねて吟ずるに至りて始めて功を見る。」師は疾を示し、西堂の応庵華禅師を請じて座元と為し、院事を付嘱し、訓を示すこと常の如し。俄かに拳を握りて逝った。茶毘して五色の舍利を得た。歯・舌・右拳少も損ぜず。塔は寺東の劉阮洞前に在り。寿五十三。

福州玄沙僧昭禪師

福州玄沙僧昭禅師

上堂。天上無彌勒。地下無彌勒。且道彌勒在甚麼處。良久曰。夜行莫踏白。不是水便是石。

上堂。「天上に弥勒無し、地下に弥勒無し。且く道え弥勒は什麼の処に在る。」良久して言った。「夜行して白を踏む莫れ。水に非ざれば便ち石なり。」

平江府南峰雲辯禪師

平江府南峰雲辯禅師

本郡人。依閩之瑞峰章得度。旋里謁穹窿圓。忽有得。遂通所見。圓曰。子雖得入。未至當也。切宜著鞭。乃辭扣諸席。後參圓悟。值入室。才踵門。悟曰。看腳下。師打露柱一下。悟曰。何不著實道取一句。師曰。師若搖頭。弟子擺尾。悟曰。你試擺尾看。師飜筋斗而出。悟大笑。由是知名。住後。僧問。如何是奪人不奪境。師曰。覇主到烏江。曰。如何是奪境不奪人。師曰。築壇拜將。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。萬裡山河獲太平。曰。如何是人境俱不奪。師曰。龍吟霧起。虎嘯風生。曰。向上還有事也無。師曰。當面蹉過。曰。真箇作家。師曰。白日鬼迷人。一日入城。與道俗行至十郎巷。有問。巷在這裡。十郎在甚處。師奮臂曰。隨我來。

本郡の人である。閩の瑞峰の章に依りて度を得た。里に旋りて穹窿の円に謁し、忽ち得有り、遂に見る所を通ぜた。円は言った。「子入るを得たりと雖も、未だ当に至らず。切に宜しく鞭を着くべし。」乃ち辞して諸の席を扣いた。後に円悟に参じ、室に入るに値い、纔かに門を踵めば、悟は言った。「脚下を看よ。」師は露柱を一下した。悟は言った。「何ぞ実に一句を道取せざる。」師は言った。「師若し頭を摇れば、弟子尾を摆さん。」悟は言った。「お前試しに尾を摆して看よ。」師は筋斗を飜して出でた。悟は大笑した。是に由りて知名たり。住して後、僧が問うた。「如何なるか是れ人を奪い境を奪わざる。」師は言った。「覇主烏江に到る。」言った。「如何なるか是れ境を奪い人を奪わざる。」師は言った。「壇を築きて将を拜す。」言った。「如何なるか是れ人境両倶に奪う。」師は言った。「万里の山河太平を獲たり。」言った。「如何なるか是れ人境倶に奪わざる。」師は言った。「竜吟い霧起こり、虎啸い風生ず。」言った。「向上に還って事有るや無しや。」師は言った。「当面蹉過す。」言った。「真箇の作家。」師は言った。「白日に鬼は人を迷わす。」一日城に入り、道俗と行きて十郎巷に至る。問う者有り、「巷は此の裏に在り。十郎は甚の処に在る。」師は臂を奮って言った。「我に随いて来れ。」

臨安府靈隱慧遠佛海禪師

臨安府霊隠慧遠仏海禅師

眉山彭氏子。年十三。從藥師院宗辯為僧。詣大慈聽習。棄依靈巖徽禪師。微有省。會圓悟復領昭覺。師即之。聞悟普說。舉龐居士問馬祖不與萬法為侶因緣。師忽頓悟。僕於眾。眾掖之。師乃曰。吾夢覺矣。至夜小參。師出問曰。淨躶躶空無一物。赤骨力貧無一錢。戶破家亡。乞師賑濟。悟曰。七珍八寶一時拏。師曰。禍不入謹家之門。悟曰。機不離位。墮在毒海。師隨聲便喝。悟以拄杖擊禪床雲。吃得棒也未。師又喝。悟連喝兩喝。師便禮拜。自此機鋒峻發。無所抵捂。圓悟順寂。師即東下。屢遷名剎。由虎丘奉詔住皐亭崇先。復被旨補靈隱。孝廟召對。賜佛海禪師。上堂。新歲有來由。烹茶上酒樓。一雙為兩腳。半箇有三頭。突出神難辨。相逢鬼見愁。倒吹無孔笛。促拍舞涼州。咄。上堂。好是仲春漸暖。那堪寒食清明。萬疊雲山聳翠。一天風月良隣。在處華紅柳綠。湖天浪穩風平。山禽枝上語諄諄。再三𤨏𤨏碎碎。囑付叮叮嚀嚀。你且道。他叮嚀囑付箇甚麼。卓拄杖曰。記取明年今日。依舊寒食清明。上堂。舉。僧問睦州。以一重去一重即不問。不以一重去一重時如何。州曰。昨日栽茄子。今朝種冬瓜。師曰。問者善問不解答。答者善答不解問。山僧今日。向饑鷹爪下奪肉。猛虎口裡橫身。為你諸人說箇樣子。登壇道士羽衣輕。呪力雖窮法轉新。拇指破開天地闇。虵頭攧落鬼神驚。僧問。十二時中。教學人如何用心。師曰。蘸雪吃冬瓜。問。浩浩塵中如何辨主。師曰。木杓頭邊鐮切菜。曰。莫便是和尚為人處也無。師曰。研槌撩䬪飥。問。即心即佛時如何。師曰。頂分丫角。曰。非心非佛時如何。師曰。耳墜金鐶。曰。不是心。不是佛。不是物。又作麼生。師曰。禿頂修羅舞柘枝。問。東山水上行。意旨如何。師曰。初三十一。不用擇日。問。文殊是七佛之師。為甚麼出女子定不得。師曰。

眉山の彭氏の子である。年十三、薬師院の宗辯に従い僧と為り、大慈に詣りて聴習した。棄てて霊巌の徽禅師に依り、微かに省有り。会た円悟復た昭覚を領す。師は即ち之きた。悟の普説を聞き、龐居士が馬祖に問う万法と侶を為さざるの因縁を挙ぐ。師忽ち頓悟し、衆に仆れたり。衆之を掖えた。師は乃ち言った。「吾夢覚めたり。」夜小参に至り、師出でて問うた。「浄躶躶として空に一物無く、赤骨力として貧に一銭無し。戸破り家亡く。師の賑済を乞う。」悟は言った。「七珍八宝一時に拏す。」師は言った。「禍は謹家の門に入らず。」悟は言った。「機は位を離れず、毒海に堕ち在り。」師声に随いて便ち喝した。悟は拄杖を以て禅床を撃して云く。「棒を喫り得たりや未だ。」師又た喝した。悟連ねて両喝した。師便ち礼拝した。自ら此より機鋒峻発し、抵捂する所無し。円悟寂に順う。師は即ち東下し、屡々名刹に遷った。虎丘に由りて詔を奉じて皐亭の崇先に住し、復た旨を被りて霊隠を補した。孝廟は召対し、仏海禅師を賜わった。上堂。「新歳に来由有り、茶を烹じて酒楼上る。一双は両脚と為り、半個は三頭有り。突出して神も辨え難く、相逢えば鬼も愁いを見る。孔無き笛を倒吹し、拍を促して涼州を舞う。咄。」上堂。「好し是れ仲春漸く暖か、那か堪えん寒食清明。万疊の雲山翠を聳し、一天の風月良隣たり。処に在って華紅に柳緑、湖天は浪穏かに風平らか。山禽枝上に語りて諄諄、再三に𤨏𤨏碎碎。嘱付して叮叮寧寧。お前且く道え、他は叮嚀に箇の什麼を嘱付する。」拄杖を卓して言った。「記取せよ明年今日、依前として寒食清明。」上堂。挙ぐ。僧が睦州に問う、一重を以て一重を去れば即ち問わず、一重を以て一重を去らざる時は如何。州は言った、昨日茄子を栽え、今朝冬瓜を種う。師は言った。「問う者は善く問えど答を解せず、答う者は善く答えど問を解せず。山僧今日、飢鷹の爪下より肉を奪い、猛虎の口裏に身を横たえて、お前等諸人の為に箇の様子を説かん。「壇に登る道士羽衣軽く、呪力窮まると雖も法転じて新し。拇指は天地の暗を破開し、虵頭は鬼神を攧落して驚かす。」僧が問うた。「十二時中、学人に如何にか心を用いしめん。」師は言った。「雪に冬瓜を蘸して喫す。」問うた。「浩浩の塵中に如何にか主を辨ぜん。」師は言った。「木杓頭辺に鎌は菜を切る。」言った。「莫れや便ち是れ和尚が人を為る処。」師は言った。「槌を研研ぎ䬪饦を撩る。」問うた。「即心即仏の時は如何。」師は言った。「頂は丫角を分かつ。」言った。「非心非仏の時は如何。」師は言った。「耳は金镮を墜とす。」言った。「是れ心に非ず、是れ仏に非ず、是れ物に非ず、又た作麼生。」師は言った。「秃頂の修羅柘枝を舞う。」問うた。「東山水上行、意旨は如何。」師は言った。「初一三十一、日を択ぶを用いず。」問うた。「文殊は是れ七仏の師、何の故ぞや女子の定を出るを得ざる。」師は言った。

擔頭不掛針。問。昔有一秀才。作無鬼論。論成有一鬼叱曰。爭奈我何。意作麼生。師以手斫額曰。何似生。曰。祇如五祖以手作鵓鳩觜。曰。谷呱呱。又且如何。師曰。自領出去。問。庵內人為甚麼不知庵外事。師曰。拄杖橫挑鐵蒺䔧。問。不與萬法為侶者。是甚麼人。師曰。腳踏轆轤。一日鳴皷陞堂。師潛坐帳中。侍僧尋之。師忽撥開帳曰。祇在這裡。因甚麼不見。僧無對。師曰。大斧斫三門。問僧。一大藏教是惡口。如何是本身盧舍那。僧曰。天台普請。南嶽遊山。師別曰。阿耨達池深四十丈。闊四十丈。乙未秋。示眾曰。淳熙二年閏季秋九月旦。閙處莫出頭。冷地著眼看。明暗不相干。彼此分一半。一種作貴人。教誰賣柴炭。向你道。不可毀。不可讚。體若虗空沒涯岸。相喚相呼歸去來。上元定是正月半。都下喧傳而疑之。明年。忽感微疾。果以上元揮偈。安坐而化。偈曰。拗折秤鎚。掀飜露布。突出機先。鵶飛不度。留七日。顏色不異。塔全身於寺之烏峰。

(師は接して言った。)「担頭に針を挂けず。」問うた。「昔、一秀才有りて無鬼論を作す。論成りて一鬼叱って言う有り、争奈すれど我を如何せんと。意作麼生。」師は手を以て額を斫りて言った。「何れにか似たらん。」言った。「只だ如く五祖が手を以て鵓鳩の觜を作して言う、谷呱呱と。又た且く如何。」師は言った。「自ら領し出でよ。」問うた。「庵内の人何の故ぞ庵外の事を知らざる。」師は言った。「拄杖横に鉄蒺䔧を挑む。」問うた。「万法と侶を為さざる者は是れ什麼の人ぞ。」師は言った。「脚は轆轤を踏む。」一日皷を鳴して堂に升った。師は潜に帳中に坐す。侍僧之を尋ぬ。師は忽ち帳を撥開して言った。「只だ此の裏に在り。因りて什麼が見えざる。」僧対無し。師は言った。「大斧は三門を斫る。」僧に問うた。「一大蔵教は是れ悪口。如何なるか是れ本身の盧舎那。」僧は言った。「天台普請、南岳の游山。」師別に言った。「阿耨達池は深さ四十丈、濶さ四十丈。」乙未の秋、衆に示して言った。「淳熈二年、閏季秋九月の旦。閙処に頭を出ずる莫れ。冷地に眼を着けて看よ。明暗相い干からず、彼此分かてて一半づつ。一種の貴人と作さんと、誰か柴炭を売らしむる。お前に道う、毀る可からず、讃ずる可からず。体は虗空の若くして涯岸無し。相い喚び相い呼びて帰り去りて来らば、上元定めて是れ正月半。」都下喧伝して之を疑う。明年、忽ち微疾を感じ、果たして上元に偈を揮って、安坐して化した。偈に言った。「秤鎚を拗折し、露布を掀飜す。突出する機先、鵶の飛ぶも度らず。」七日留めて、顔色異ならず。全身を寺の烏峰に塔す。

台州鴻福子文禪師

台州鴻福子文禅師

上堂。不昧不落作麼會。會得依前墮野狐。一夜涼風生畫角。滿船明月泛江湖。

上堂。「昧えず落ちずを作麼に会せん。会得すれば依前として野狐に堕つ。一夜涼風画角に生じ、満船の明月江湖に泛ぶ。」

成都府正法建禪師

成都府正法建禅師

上堂。兔馬有角。牛羊無角。絕毫絕氂。如山如嶽。針鋒上師子飜身。藕竅中大鵬展翼。等閑突過北俱盧。日月星辰一時黑。

上堂。「兎馬は角有り、牛羊は角無し。毫を絶ち牦を絶ち、山の如く岳の如し。針鋒の上に師子は身を飜し、藕竅の中に大鵬は翼を展す。等閒に北倶盧を突き過ぎれば、日月星辰一時に黒なり。」

建康府華藏密印安民禪師

建康府華蔵密印安民禅師

嘉定府朱氏子。初講楞嚴於成都。為義學所歸。時圓悟居昭覺。師與勝禪師為友。因造焉。聞悟小參。舉國師三喚侍者因緣。趙州拈雲。如人暗中書字。字雖不成。文彩已彰。那裡是文彩已彰處。師心疑之。告香入室。悟問。座主講何經。師曰。楞嚴。悟曰。楞嚴有七處徵心。八還辨見。畢竟心在甚麼處。師多呈藝解。悟皆不肯。師復請益。悟令一切處作文彩已彰會。偶僧請益十玄談。方舉。問君心印作何顏。悟厲聲曰。文彩已彰。師聞而有省。遂求印證。悟示以本色鉗鎚。師則罔措。一日白悟曰。和尚休舉話。待某說看。悟諾。師曰。尋常拈槌竪拂。豈不是經中道。一切世界諸所有相。皆即菩提妙明真心。悟笑曰。你元來在這裡作活計。師又曰。下喝敲床時。豈不是返聞聞自性。性成無上道。悟曰。你豈不見經中道。妙性圓明。離諸名相。師於言下釋然。悟出蜀。居夾山。師罷講侍行。悟為眾夜參。舉古帆未掛因緣。師聞未領。遂求決。悟曰。你問我。師舉前話。悟曰。庭前柏樹子。師即洞明。謂悟曰。古人道。如一滴投於巨壑。殊不知大海投於一滴。悟笑曰。柰這漢何。未幾。令分座。悟說偈曰。休誇四分罷楞嚴。按下雲頭徹底參。莫學亮公親馬祖。還如德嶠訪龍潭。七年往返遊昭覺。三載翱翔上碧巖。今日煩充第一座。百華叢裡現優曇。後謁佛鑑於蔣山。鑑問。佛果有不曾亂為人說底句。曾與你說麼。師曰。合取狗口。鑑震聲曰。不是這箇道理。師曰。無人奪你鹽茶袋。叫作甚麼。鑑曰。佛果若不為你說。我為你說。師曰。和尚疑時。退院別參去。鑑呵呵大笑。師未幾。開法保寧。遷華藏。旋里領中峰。上堂。眾賣華兮獨賣松。青青顏色不如紅。算來終不與時合。歸去來兮翠藹中。可笑古人恁麼道。大似逃峰赴壑。避溺投火。爭如隨分。到尺八五分钁頭邊。討一箇半箇。雖然如是。保寧半箇也不要。

嘉定府の朱氏の子である。初め成都に於て楞厳を講じ、義学の帰す所と為った。時に円悟は昭覚に居る。師は勝禅師と友と為り、因りて彼を造った。悟の小参を聞く、国師の侍者を三喚する因縁を挙げ、趙州拈じて云く、人が暗中に字を書くが如し、字は成らずと雖も文彩已に彰らかなり、那里が是れ文彩已彰の処ぞと。師之心に疑う。告香して室に入った。悟は問うた。「座主は何の経を講ずる。」師は言った。「楞厳。」悟は言った。「楞厳に七処の心を征し、八還の見を辨ずる有り。畢竟に心は什麼の処に在る。」師多く芸解を呈す。悟は皆な肯んぜず。師復た益を請うた。悟は一切の処に文彩已彰と会せしむ。偶ら僧が十玄談の益を請い、方に挙ぐるに、問う、君の心印は何の顔を作す。悟は声を厲めて言った。「文彩已彰。」師聞きて省有り。遂に印証を求めた。悟は本色の鉗鎚を以て示した。師は則ち罔措す。一日悟に白して言った。「和尚は話を挙ぐるを休めよ。某が説いて看む。」悟は諾とす。師は言った。「尋常に槌を拈じ拂を竪てる、豈に是れ経中に道う、一切世界諸所有の相、皆な即ち菩提妙明の真心。」悟は笑って言った。「お前は元より此の裏に在りて活計を作す。」師又た言った。「喝を下し床を敲く時、豈に是れ聞を返して自性を聞き、性は無上道を成ずる。」悟は言った。「お前豈に見ずや経中に道う、妙性円明、諸の名相を離る。」師言下に於て釈然とした。悟は蜀を出で、夾山に居る。師は講を罷めて侍行した。悟は衆の為に夜参し、古帆未挂の因縁を挙ぐ。師は聞きて未だ領せず。遂に決を求めた。悟は言った。「お前我に問え。」師は前話を挙げた。悟は言った。「庭前の柏樹子。」師は即ち洞明す。悟に謂いて言った。「古人道う、一滴の巨壑に投ずるが如し。殊に知らず大海の一滴に投ずるを。」悟は笑って言った。「此の漢を奈んせん。」未几、分座を命ぜられた。悟は偈を説いて言った。「四分を誇るを休め楞厳を罷め、雲頭を按下し徹底して参せよ。亮公の馬祖を親しむを学ぶ莫れ、還って徳峤の竜潭を訪ふが如し。七年往返して昭覚を游り、三載翺翔して碧巌に上る。今日第一座を煩充す。百華の叢裏に優曇を現ず。」後に蒋山に於て仏鑑に謁した。鑑は問うた。「仏果に曽て乱りに人の為に説かざる底の句有り、曽てお前に説くや。」師は言った。「狗口を合取せよ。」鑑は声を震して言った。「是れ此の道理に非ず。」師は言った。「人はお前の塩茶袋を奪わず、什麼と作す。」鑑は言った。「仏果若しお前の為に説かざれば、我がお前の為に説かん。」師は言った。「和尚疑う時は、院を退きて別に参去れ。」鑑は呵々大笑した。師未几にして、保寧に開法した。華蔵に遷り、里に旋りて中峰を領す。上堂。「衆は華を売るに独り松を売る。青青の顔色は紅の如からず。算えば終に時と合せず。帰去来せん翠藹の中に。笑う可し古人の恁麼道えるを。大いに似たり峰を逃れて壑に赴き、溺を避けて火に投ずるに。争うか如し分に随うに。尺八五分の镢頭辺に到りて、一個半個を討え。然りと雖も是の如し、保寧は半個も要らず。

何故。富嫌千口少。貧恨一身多。冬至。上堂。舉玉泉皓和尚雲。雪雪片片不別。下到臘月。再從來年正月二月三月四月五月六月七月八月九月十月。依前不歇。凍殺餓殺。免教胡說亂說。師曰。不是罵人。亦非贊歎。高出臨濟德山。不似雲居羅漢。且道玉泉意作麼生。良久曰。但得雪消去。自然春到來。師後示寂於本山。闍維設利頗賸。細民穴地尺許。皆得之。尤光明瑩潔。心舌亦不壞。

「何の故ぞ。富は千口の少きを嫌い、貧は一身の多きを恨む。」冬至。上堂。挙ぐ、玉泉皓和尚が云く、雪雪片片と別れず、腊月に下りて、再来年の正月二月三月四月五月六月七月八月九月十月より、依前として歇まず。凍殺し餓殺し、胡説乱説を教うるを免れん。師は言った。「是れ罵るに非ず、亦た讃嘆に非ず。高く臨済・徳山を出で、雲居・羅漢に似ず。且く道え玉泉の意は作麼生。」良久して言った。「但だ雪の消去るを得れば、自然に春到来す。」師後に本山に於て示寂した。闍維して設利頗る賸えり。細民地を尺許り穴れば、皆な之を得たり。尤も光明瑩潔たり。心・舌も亦た壊れず。

成都府昭覺徹庵道元禪師

成都府昭覚徹庵道元禅師

綿州鄧氏子。幼於降寂寺圓具。東遊謁大別道禪師。因看廓然無聖之語。忽爾失笑曰。達磨元來在這裡。道譽之。往參佛鑑.佛眼。蒙賞識。依圓悟於金山。以所見告。悟弗之許。悟被詔往雲居。師從之。雖有信入。終以鯁胷之物未去為疑。會悟問參徒。生死到來時如何。僧曰。香臺子笑和尚。次問師。汝作麼生。師曰。草賊大敗。悟曰。有人問你時如何。師擬答。悟憑陵曰。草賊大敗。師即徹證。圓悟以拳擊之。師拊掌大笑。悟曰。汝見甚麼便如此。師曰。毒拳未報。永劫不忘。悟歸昭覺。命首眾。悟將順世。以師繼席焉。

綿州の鄧氏の子である。幼にして降寂寺に於て円具す。東游して大別の道禅師に謁す。因りて廓然無聖の語を看て、忽爾として笑を失して言った。「達磨は元より此の裏に在り。」道は之を誉めた。往きて仏鑑・仏眼に参じ、賞識を蒙る。金山に於て円悟に依り、見る所を以て告げた。悟は之を許さず。悟は詔を被りて雲居に往く。師之に従う。信入り有りと雖も、終に鯖胷の物未だ去らざるを以て疑と為す。会た悟参徒に問う、「生死到来する時は如何。」僧は言った。「香台子は和尚を笑う。」次いで師に問うた。「お前作麼生。」師は言った。「草賊大敗。」悟は言った。「人お前に問う時は如何。」師は答を擬した。悟は憑陵して言った。「草賊大敗。」師は即ち徹証した。円悟は拳を以て之を撃った。師は掌を拊して大笑した。悟は言った。「お前什麼を見て便ち此くの如くする。」師は言った。「毒拳未だ報わず、永劫忘れず。」悟は昭覚に帰り、衆を首めしめた。悟は将に世を順わんとし、師を以て席を継がしめた。

臨安府中天竺[仁-二+幻]堂中仁禪師

臨安府中天竺幻堂中仁禅師

洛陽人也。少依東京奉先院出家。宣和初。賜牒於慶基殿。落髮進具後。往來三藏譯經所。諦窮經論。特於宗門未之信。時圓悟居天寧。凌晨謁之。悟方為眾入室。師見敬服。奮然造前。悟曰。依經解義。三世佛冤。離經一字。即同魔說。速道。速道。師擬對。悟劈口擊之。因墜一齒。即大悟。留天寧。由是師資契合。請問無間。後開法大覺。遷中天竺。次徙靈峰。上堂。九十春光已過半。養華天氣正融和。海棠枝上鶯聲好。道與時流見得麼。然雖如是。且透聲透色一句作麼生道。金勒馬嘶芳草地。玉樓人醉杏華天。上堂。舉狗子無佛性話。乃曰。二八佳人刺繡遲。紫荊華下囀黃鸝。可憐無限傷春意。盡在停針不語時。淳熙甲午四月八日。孝宗皇帝詔入。賜座說法。帝舉不與萬法為侶因緣。俾拈提。師拈罷。頌曰。秤鎚搦出油。閑言長語休。腰纏十萬貫。騎鶴上楊州。癸亥中陞堂。告眾而逝。

洛陽の人である。少にして東京奉先院に依りて出家す。宣和初、慶基殿に於て牒を賜わった。落髪進具の後、往々三蔵の訳経所に来し、経論を諦かに窮めた。特に宗門に於て之を信ぜず。時に円悟は天寧に居る。凌晨に之に謁した。悟は方に衆の為に室に入る。師は見て敬服し、奮然として前に造った。悟は言った。「経に依りて義を解せば、三世仏の冤。経を離るる一字も、即ち魔説に同じ。速に道え、速に道え。」師は対を擬した。悟は口を劈きて之を撃った。因りて一歯を墜す。即ち大悟した。天寧に留まる。是に由りて師資契合し、請問して間無し。後に大覚に開法した。中天竺に遷り、次いで霊峰に徙した。上堂。「九十の春光已に半ばを過ぎ、華を養う天気正に融和す。海棠枝上に鶯声好し。道は時流見得するか。然りと雖も是の如し、且つ声を透り色を透る一句は作麼生にか道わん。金勒の馬は芳草地に嘶き、玉楼の人は杏華天に酔う。」上堂。挙ぐ、狗子無仏性の話。乃ち言った。「二八の佳人刺繍遅く、紫母華の下に黄鸝は囀る。あわれむべし無限の春を傷む意、尽く停針語らざる時に在り。」淳熈甲午四月八日、孝宗皇帝は詔入れ、座を賜りて法を説かしめた。帝は万法と侶を為さざるの因縁を挙げ、拈提せしめた。師拈じ罷めて頌して言った。「秤鎚は油を搦み出す、閑言長語は休め。腰に十万貫を纏い、鶴に騎りて楊州に上る。」癸亥中、堂に升り、衆に告げて逝った。

眉州象耳山袁覺禪師

眉州象耳山袁覚禅師

郡之袁氏子。出家傳燈。試經得度。本名圓覺。郡守填祠牒。誤作袁字。疑師慊然。戲謂之曰。一字名可乎。師笑曰。一字已多。郡守異之。既受具出蜀。徧謁有道尊宿。後往大溈。依佛性。頃之。入室陳所見。性曰。汝忒煞遠在。然知其為法器。俾充侍者。掌賓客。師每侍性。性必舉法華開示悟入四字。令下語。又曰。直待我竪點頭時。汝方是也。偶不職。被斥。制中無依。寓俗士家。一日誦法華至亦復不知。何者是火。何者為舍。乃豁然。制罷歸省。性見首肯之。圓悟再得旨住雲居。師至彼。以所得白悟。悟呵雲。本是淨地。屙屎作麼。師所疑頓釋。紹興丁巳。眉之象耳虗席。郡守謂此道場久為蟊螣囊槖。非名流勝士。莫能起廢。諸禪舉師應聘。甞語客曰。東坡雲。我持此石歸。袖中有東海。山谷雲。惠崇煙雨蘆鴈。坐我瀟湘洞庭。欲喚扁舟歸去。傍人謂是丹青。此禪髓也。又曰。我敲床竪拂時。釋迦老子.孔夫子都齊立在下風。有舉此語似佛海遠禪師。遠曰。此覺老語也。我此間即不恁麼。

郡の袁氏の子である。伝燈に出家し、経を試て度を得た。本名は円覚。郡守は祠牒を填し、誤って袁字と作した。師が慊たらんかと疑い、戯れて之に謂いて言った。「一字名に可ならんか。」師は笑って言った。「一字已に多し。」郡守之を異とした。既に具を受けて蜀を出で、遍く有道の尊宿に謁した。後に大潙に往きて仏性に依った。頃之、室に入りて見る所を陳す。性は言った。「お前は忒く遠く在り。」然るに其の法器たるを知り、侍者を充たせ、賓客を掌らしめた。師毎に性に侍し、性は必ず法華の開示悟入の四字を挙げて語を下さしむ。又た言った。「直に我が竪に頭を点く時を待たば、お前方に是れなり。」偶ら職なく、斥けられ、制中依る無く、俗士の家に寓す。一日法華を誦して亦た復た知らず、何者が是れ火、何者が為れ舎に至りて、乃ち豁然とした。制罷めて帰省す。性は見て之を首肯した。円悟再び旨を得て雲居に住す。師彼に至り、得る所を以て悟に白した。悟は呵して云く、「本より是れ浄地、屎を屙して作麼せん。」師の疑う所頓に釈れた。紹興丁巳、眉の象耳席を虗くす。郡守は此の道場久しく蟊螣の囊槖と為り、名流勝士に非ざれば、廃を起すこと能わざるのみと謂う。諸の禅は師を挙げて聘に応ぜしめた。甞て客に語って言った。「東坡云く、我が此の石を持ちて帰れば、袖中に東海有り。山谷云く、恵崇の烟雨蘆鴈、我を瀟湘洞庭に坐しむ。扁舟を喚んで帰去らんと欲するに、傍人謂う是れ丹青と。此れ禅の髓なり。」又た言った。「我が床を敲き拂を竪てる時は、釈迦老子・孔夫子都斉しく立ちて下風に在り。」此の語を挙げて仏海遠禅師に似す者有り。遠は言った。「此れ覚老の語なり。我が此の間は即ち恁麼にあらず。」

眉州中巖華嚴祖覺禪師

眉州中巌華厳祖覚禅師

嘉州楊氏子。幼聰慧。書史過目成誦。著書排釋氏。惡境忽現。悔過出家。依慧目能禪師。未幾。疽發膝上。五年醫莫愈。因書華嚴合論畢。夜感異夢。旦即捨杖步趨。一日。誦至現相品曰。佛身無有生。而能示出生。法性如虗空。諸佛於中住。無住亦無去。處處皆見佛。遂悟華嚴宗旨。洎登僧籍。府帥請講於千部堂。詞辯宏放。眾所歎服。適南堂靜禪師過門。謂師曰。觀公講說。獨步西南。惜未解離文字相耳。儻問道方外。即今之周金剛也。師欣然罷講。南遊依圓悟於鍾阜。一日入室。悟舉。羅山道。有言時。踞虎頭。收虎尾。第一句下明宗旨。無言時。覿露機鋒。如同電拂。作麼生會。師莫能對。夙夜參究。忽然有省。作偈呈悟曰。家住孤峰頂。長年半掩門。自嗟身已老。活計付兒孫。悟見許可。次日入室。悟又問。昨日公案作麼生。師擬對。悟便喝曰。佛法不是這箇道理。師復留五年。愈更迷悶。後於廬山棲賢閱浮山遠禪師削執論雲。若道悟有親疎。豈有旃檀林中卻生臭草。豁然契悟。作偈寄圓悟曰。出林依舊入蓬蒿。天網恢恢不可逃。誰信業緣無避處。歸來不怕語聲高。悟大喜。持以示眾曰。覺華嚴徹矣。住後。僧問。最初威音王。末後婁至佛。未審參見甚麼人。師曰。家住大梁城。更問長安路。曰。只如德山擔疏鈔行腳。意在甚麼處。師曰。拶破你眼睛。曰。與和尚悟華嚴宗旨相去幾何。師曰。同途不同轍。曰。昔日德山。今朝和尚。師曰。夕陽西去水東流。上堂。舉石霜和尚遷化。眾請首座繼踵住持。䖍侍者所問公案。師曰。宗師行處。如火消冰。透過是非關。全機亡得喪。盡道首座滯在一色。侍者知見超師。可謂體妙失宗。全迷向背。殊不知首座如鷺鷥立雪。品類不齊。侍者似鳳翥丹霄。不縈金網。一人高高山頂立。一人深深海底行。各自隨方而來。同會九重城裡。而今要識此二人麼。

嘉州の楊氏の子である。幼にして聡慧、書史目を過ぎれば即成誦す。書を著して釈氏を排した。悪境忽ち現れ、過を悔いて出家す。慧目能禅師に依った。未几、疽が膝上に発し、五年医い愈えず。因りて華厳合論を書し畢れり。夜異夢を感じ、旦に即ち杖を舎てて歩趨した。一日誦して現相品に至りて言う、仏身は生有る無く、而能く出生を示す、法性は虗空の如く、諸仏中に住す、住無く亦た去る無し、処処皆な仏を見る。遂に華厳宗旨を悟った。洎か僧籍に登り、府帥は千部堂に於て講せしむるを請う。詞辯宏放にして衆之を嘆服す。適あ南堂の静禅師が門を過ぎ、師に謂いて言った。「公の講説を観るに、西南に独歩す。惜しむらくは未だ文字相を離るるを解せざるのみ。儻し道を方外に問わば、即ち今の周金剛なり。」師は欣然として講を罷めた。南游して鍾阜に於て円悟に依った。一日室に入り、悟は挙げて言った、羅山道う、言有る時は虎頭に踞し虎尾を収む、第一句下に宗旨を明かす、言無き時は覿露する機鋒、電拂するが如く同じ、作麼生にか会せん。師対える能わず。夙夜参究し、忽然として省有り。偈を作して悟に呈して言った。「家は孤峰の頂に住し、長年門を半掩す。自ら嗟へり身已に老いたるを、活計は児孫に付す。」悟見て許可した。次日室に入り、悟又た問うた。「昨日の公案作麼生。」師は対を擬した。悟は便ち喝して言った。「仏法は是れ此の道理に非ず。」師復た五年留まり、愈更に迷悶す。後に廬山栖賢に於て浮山遠禅師の削執論を閲すに云く、若し道わば悟に親疎有り、豈に旃檀林中に却って臭草を生ぜん。豁然として契悟した。偈を作して円悟に寄せて言った。「林を出でて依前として蓬蒿に入り、天網恢恢として逃るる可からず。誰か信ぜん業縁に避くる処無きを。帰り来れば語声の高きを怕れず。」悟大いに喜び、持して以て衆に示して言った。「覚は華厳を徹せり。」住して後、僧が問うた。「最初の威音王、末後の楼至仏。いまだ審らかならず什麼の人にか参見したる。」師は言った。「家は大梁城に住し、更に長安の路を問う。」言った。「只だ如く徳山の疏鈔を担いで行脚す、意は什麼の処に在る。」師は言った。「お前の眼睛を拶破す。」言った。「和尚の華厳宗旨を悟ると相去ること幾何ぞ。」師は言った。「途は同じく轍は同じからず。」言った。「昔日の徳山、今朝の和尚。」師は言った。「夕陽西に去り水は東に流る。」上堂。挙ぐ、石霜和尚遷化し、衆は首座の踵を継ぎ住持せんことを請う、虔侍者の問う所の公案。師は言った。「宗师の行く処は、火の氷を消すが如し。是非の関を透過し、全機は得喪を亡ぶ。尽く道う首座は一色に滞まる、侍者は知見師を超ゆ、体妙して宗を失し、全く向背に迷うと謂う可し。殊に知らず首座は鷺鷥の雪に立つが如く、品類斉しからず、侍者は鳳の丹霄を翥くに似て、金網に縈らず。一人は高き山頂に立ち、一人は深き海底に行く。各自々方に随いて来り、同じく九重城裏に会す。而今要するに此の二人を識らんか。

竪起拂子曰。龍臥碧潭風凜凜。垂下拂子曰。鶴歸霄漢背摩天。僧問。如何是一喝如金剛王寶劍。師曰。血濺梵天。曰。如何是一喝如踞地師子。師曰。驚殺野狐狸。曰。如何是一喝如探竿影草。師曰。驗得你骨出。曰。如何是一喝不作一喝用。師曰。直須識取把針人。莫道鴛鴦好毛羽。

拂子を竪起して言った。「竜は碧潭に臥す風凛々。垂れ下げて拂子して言った。鶴は霄漢に帰り背は天を摩す。」僧が問うた。「如何なるか是れ一喝金剛王宝剣の如し。」師は言った。「血は梵天を濺ぐ。」言った。「如何なるか是れ一喝地に踞る師子の如し。」師は言った。「野狐狸を驚殺す。」言った。「如何なるか是れ一喝探竿影草の如し。」師は言った。「お前の骨を驗得する。」言った。「如何なるか是れ一喝一喝の用を作さざる。」師は言った。「直に須らく針を把る人を識取すべし。鴛鴦の毛羽好しと道う莫れ。」

潭州福嚴文演禪師

潭州福厳文演禅師

成都府楊氏子。僧問。如何是定林正主。師曰。坐斷天下人舌頭。曰。未審如何親近。師曰。覷著則瞎。上堂。當陽坐斷。凡聖跡絕。隨手放開。天回地轉。直得日月交互。虎嘯龍吟。頭頭物物。耳聞目眎。安立諦上是甚麼。還委悉麼。阿斯吒。咄。

成都府の楊氏の子である。僧が問うた。「如何なるか是れ定林の正主。」師は言った。「天下人の舌頭を坐断す。」言った。「いまだ審らかならず如何にか親近せん。」師は言った。「覷著けば則ち瞎す。」上堂。「当陽に坐断すれば、凡聖の跡絶え。手に随いて放開すれば、天回り地転ず。直ちに日月交々互いし、虎は啸き竜は吟ずるを得る。頭頭物物、耳聞目眎し、諦上に安立するは是れ什麼ぞ。還って委悉するか。阿斯咤。咄。」

平江府西山明因曇玩禪師

平江府西山明因曇玩禅師

溫州黃氏子。徧參叢席。宣和庚子。回抵鍾阜。適朝廷改僧為德士。師與同志數人。入頭陀巖食松自處。久之。圓悟被旨居是山。親至巖所。令去鬚髮。及悟詔補京師天寧。與師俱往。命掌香水海。未幾。因舉枹擊皷。頓明大法。凡有所問。皆對曰。莫理會。故流輩鹹以莫理會稱之。住後。上堂。汝有一對眼。我也有一對眼。汝若瞞還自瞞。汝若成佛作祖。老僧無汝底分。汝若做驢做馬。老僧救汝不得。眾檀越入山。請上堂。說偈曰。我無長處名虗出。謝汝殷勤特地來。明因無法堪分付。謾把山門為汝開。

温州の黄氏の子である。遍く叢席に参ず。宣和庚子、回りて鍾阜に抵った。適あ朝廷は僧を改めて徳士と為す。師は同志の数人と頭陀巌に入りて松を食して自処す。久之。円悟は旨を被りて此の山に居る。親しく巌所に至り、鬚髪を去らしめた。悟は詔して京师天寧を補すに及び、師と倶に往き、香水海を掌らしめた。未几、枹を挙げて皷を撃つに因りて、頓に大法を明す。凡そ問う所有れば、皆な対えて言った。「理会する莫れ。」故に流輩咸く莫理会を以て之を称す。住して後、上堂。「お前は一対の眼有り、我も亦た一対の眼有り。お前若し瞞らば還って自ら瞞しむ。お前若し仏を成り祖を作さば、老僧はお前の底分無し。お前若し驢を作し馬を作さば、老僧はお前を救うを得ず。」衆の檀越は山に入り、請うて上堂。偈を説いて言った。「我に長処無く名は虗出し、お前に謝す殷勤に特に地に来るを。明因に法無く堪えて分付す、謾に山門を把りてお前の為に開かん。」

平江府虎丘雪庭元淨禪師

平江府虎丘雪庭元浄禅師

雙溪人也。上堂。知有底人。過萬年如同一日。不知有者。過一日如同萬年。不見死心和尚道。山僧行腳三十餘年。以九十日為一夏。增一日也不得。減一日也不得。取不得。捨不得。不可得中祇麼得。翠雲見處又且不然。山僧行腳三十來年。誰管他一日九十日。也無得。也無不得。處處當來見彌勒。且道彌勒在甚麼處。金風吹渭水。落葉滿長安。上堂。說得須是見得。見得又須說得。見得說不得。落在陰界。見解偏枯。說得見不得。落在時機。墮在毒海。若是翠雲門下。直饒說得見得。好與三十棒。說不得見不得。也好與三十棒。翠雲恁麼道。也好與三十棒。遂高聲召大眾曰。嶮。上堂。日日日東出。日日日西沒。是時人知有。自古自今。如麻似粟。忽然捩轉話頭。亦不從東出。亦不從西沒。且道從甚處出沒。若是透關底人。聞恁麼道。定知五里牌在郭門外。若是透不過者。往往道半山熱瞞人。僧問。如何是到家一句。師曰。坐觀成敗。問。不與萬法為侶者是甚麼人。師曰。遠親不如近隣。曰。待汝一口吸盡西江水。即向汝道。又作麼生。師曰。近隣不如遠親。問。亡僧遷化向甚麼處去。師曰。糞堆頭。曰。意旨如何。師曰。築著磕著。

双谿の人である。上堂。「有を知る底の人は、万年を過ぎるも一日に同じく、有を知らざる者は、一日を過ぎるも万年に同じ。見ずや死心和尚道う、山僧行脚三十余年、九十日を以て一夏と為す、一日を増すも得ず、一日を減ずるも得ず、取る得ず、舎て得ず、得る可からざる中に只么に得、と。翠雲の見処は又た且つ然らず。山僧行脚三十来年、誰か他の一日九十日を管せん。得るも無く、得ざるも無し。処処当来に弥勒に見ゆ。且く道え弥勒は什麼の処に在る。金風は渭水を吹き、落葉は長安に満つ。」上堂。「説得するは須らく見得すべし、見得するは又た須らく説得すべし。見得して説得せざれば、陰界に落ち、見解偏枯す。説得して見得せざれば、時機に落ち、毒海に堕つ。若し是れ翠雲門下ならば、直饒説得見得すとも、好く三十棒を与えん。説得せず見得せずとも、も好く三十棒を与えん。翠雲恁麼に道うも、も好く三十棒を与えん。」遂に声を高うして大衆を召して言った。「嶮。」上堂。「日々日東に出で、日々日西に没す。是れ時人の有を知る。古自今、麻の如く粟に似たり。忽然として話頭を捩転せば、亦た東より出ず、亦た西より没せず。且く道え甚の処より出没する。若し是れ関を透る底の人ならば、恁麼に道うを聞かば、定めて五里牌の郭門外に在るを知らん。若し是れ透過せざる者ならば、往々にして道う半山熱瞞人と。」僧が問うた。「如何なるか是れ到家の一句。」師は言った。「坐して成敗を観る。」問うた。「万法と侶を為さざる者は是れ什麼の人。」師は言った。「遠親は近隣に如かず。」言った。「お前の一口に西江水を吸尽するを待ちて、即ちお前に向って道わん。又た作麼生。」師は言った。「近隣は遠親に如かず。」問うた。「亡僧遷化して什麼の処に向って去る。」師は言った。「糞堆頭。」言った。「意旨如何。」師は言った。「築着し磕着す。」

衢州天寧訥堂梵思禪師

衢州天寧訥堂梵思禅師

蘇臺朱氏子。上堂。趯飜生死海。踏倒涅槃岸。世上無活人。黃泉無死漢。遂拈拄杖曰。訥堂今日拄杖子有分付處。也還有承當得者麼。試出來擔荷看。有麼有麼。良久。擲拄杖。下座。上堂。知有底。也吃粥吃飯。不知有底。也吃粥吃飯。如何直下驗得他有之與無。是之與非。邪之與正。若驗不出。參學事大遠在。喝一喝。下座。上堂。山僧是楊歧四世孫。這老漢有箇三腳驢子弄蹄行公案。雖人人舉得。祇是不知落處。山僧不惜眉毛。為諸人下箇註腳。乃曰。八角磨盤空裡走。

蘇台の朱氏の子である。上堂。「生死海を趯飜し、涅槃岸を踏倒す。世上に活人無く、黄泉に死漢無し。」遂に拄杖を拈じて言った。「訥堂今日拄杖子に分付の処有り。も還って承当し得る者有るか。試しに出でて来りて担荷して看よ。有るか有るか。」良久。拄杖を擲ち、座を下りた。上堂。「有を知る底もも粥を喫い飯を喫う。有を知らざる底もも粥を喫い飯を喫う。如何にか直下に他の有之と無之、是之と非之、邪之と正之を驗得せん。若し驗出せざれば、参学の事大いに遠く在り。」一喝し、座を下りた。上堂。「山僧は是れ楊岐四世の孫。此の老汉に三脚驢子弄蹄行の公案有り。人々挙得すと雖も、只だ是れ落処を知らざるのみ。山僧眉毛を惜しまず、諸人の為に箇の注脚を下さん。」乃ち言った。「八角の磨盤空裏を走る。」

嶽州君山佛照覺禪師

岳州君山仏照覚禅師

上堂。舉。古者道。仰之彌高。鑽之彌堅。瞻之在前。忽焉在後。諸人還識得麼。若也不識。為你註破。仰之彌高。不隔絲毫。要津把斷。佛祖難逃。鑽之彌堅。真體自然。鳥啼華笑。在碧巖前。瞻之在前。非正非偏。十方坐斷。威鎮大千。忽焉在後。一場漏逗。堪笑雲門。藏身北斗。咄。

上堂。挙ぐ、古者道う、仰げば弥い高し、鑚れば弥い堅し、瞻れば前に在り、忽焉として後に在り。諸人還って識得するか。若しも識らざれば、お前の為に注破せん。「仰げば弥い高し、毫忽を隔てず。要津を把断し、仏祖逃れ難し。鑚れば弥い堅し、真体自然。鳥は啼き華は笑う、碧巌の前に在り。瞻れば前に在り、正に非ず偏に非ず。十方を坐断し、威は大千を鎮む。忽焉として後に在り、一場の漏逗。堪えて笑う可し雲門、身を北斗に蔵す。咄。」

平江府寶華顯禪師

平江府宝華顕禅師

本郡人也。上堂曰。吃粥了也。頭上安頭。洗缽盂去。為虵畫足。更問如何。自納敗闕。良久。高聲召大眾。眾舉首。師曰。歸堂吃茶。上堂。禪莫參。道休學。歇意忘機常廓落。現成公案早周遮。祇箇無心已穿鑿。直饒坐斷未生前。難透山僧錯錯錯。

本郡の人である。上堂して言った。「粥を喫い了れたり。頭上に頭を安ず。鉢盂を洗いに去る。虵の為に足を画く。更に如何と問わば、自ら敗闕を納む。」良久。声を高うして大衆を召す。衆首を挙ぐ。師は言った。「堂に帰りて茶を喫せ。」上堂。「禅は参ずる莫れ、道は学ぶを休めよ。意を歇め機を忘れて常に廓落たり。現成の公案早く周遮せり。只個の无心已に穿鑿せり。直饒未生の前に坐断すとも、山僧の錯錯錯を透ること難し。」

紹興府東山覺禪師

紹興府東山覚禅師

後住因聖。上堂。三通皷罷。諸人各各上來。擬待理會祖師西來意。還知劒去久矣麼。設使直下悟去。也是斬頭覓活。東山事不獲已。且向第二頭鞠拶看。以手拍禪床。下座。上堂。花爛熳。景暄研。休說壺中別有天。百草頭邊如薦得。東高三丈。西闊八寸。上堂。舉。昔廣額屠兒。一日至佛所。颺下屠刀。曰。我是千佛一數。世尊曰。如是如是。今時叢林。將謂廣額過去是一佛。權現屠兒。如此見廣額。且喜沒交涉。又曰。廣額正是箇殺人不眨眼底漢。颺下屠刀。立地成佛。且喜沒交涉。又道。廣額颺下屠刀。曰我道千佛一數。涉一佛多少分明。且喜沒交涉。要識廣額麼。夾路桃華風雨後。馬蹄何處避殘紅。

後に因聖に住した。上堂。「三通の皷罷め、諸人各々上来す。理会して祖師西来の意を擬す。還って剣の去ること久しきを知るか。設使い直下に悟り去るとも、も是れ頭を斬りて活を覓む。東山の事已むを獲ず。且つ第二頭に向って鞠拶して看よ。」手を以て禅床を拍し、座を下りた。上堂。「華爛漫として、景暄妍たり。壺中に別の天有りと説くを休めよ。百草頭辺に如く薦得せば、東は高三丈、西は濶さ八寸。」上堂。挙ぐ、昔の広額の屠児、一日仏所に至り、屠刀を飏げ下し、言う、我は是れ千仏の一数と。世尊言う、如是如是。今時の叢林、将に謂う広額は過去は一仏、権に屠児を現ず、此くの如く広額を見るは、且つ喜ぶ没交渉。又た説く、広額は正に箇の人を殺して眼を眨めざる底の漢、屠刀を飏げ下し、立地に仏を成ず、且つ喜ぶ没交渉。又た道う、広額は屠刀を飏げ下し、我が道う千仏の一数、一仏に渉ること多少分明なり、且つ喜ぶ没交渉。広額を識らんと要するか。路を夾む桃華風雨の後、馬蹄何れの処か残紅を避けん。

台州天封覺禪師

台州天封覚禅師

上堂。無生國裡。未是安居。萬仞崖頭。豈容駐足。且望空撒手。直下飜身一句作麼生道。人逢好事精神爽。入火真金色轉鮮。

上堂。「無生国裏は未だ是れ安居に非ず、万仞の崖頭は豈に足を驻めるを容れん。且つ空に向って手を撒き、直下に身を飜す一句は作麼生にか道わん。人は好事に逢えば精神爽やかに、火に入れば真金の色転じて鮮やかなり。」

成都府昭覺道祖首座

成都府昭覚道祖首座

初見圓悟。於即心是佛語下發明。久之。悟命分座。一日為眾入室。餘二十許人。師忽問曰。生死到來。如何迴避。僧無對。師擲下拂子。奄然而逝。眾皆愕眙。亟以聞悟。悟至。召曰。祖首座。師張目眎之。悟曰。抖擻精神透關去。師點頭。竟爾趨寂。

初め円悟に見え、即心是仏の語下に於て発明した。久之。悟は分座を命じた。一日衆の為に室に入ること、余り二十許人。師は忽ち問うた。「生死到来す、如何にか回避せん。」僧対無し。師は拂子を擲ち下し、奄然として逝った。衆皆な愕眙す。亟に以て悟に聞えた。悟至り、召して言った。「祖首座。」師は目を張りて之を眎た。悟は言った。「精神を抖擞して関を透り去れ。」師は頭を点し、竟爾として寂に趨った。

南康軍雲居宗振首座

南康軍雲居宗振首座

丹丘人也。依圜悟於雲居。一日。仰瞻鐘閣。倐然契證。有詰之者。座酧以三偈。其後曰。我有一機。直下示伊。青天霹靂。電卷星馳。德山臨濟。棒喝徒施。不傳之妙。於汝何虧。悟見大悅。竟以節操自高。道望愈重。甞書壁曰。住在千峰最上層。年將耳順任騰騰。免教名字掛人齒。甘作今朝百拙僧。

丹丘の人である。雲居に於て圜悟に依った。一日、鐘閣を仰瞻して、倐然として契証した。之を詰る者有り。座は三偈を以て酧えた。其の後に言う、「我に一機有り、直下に伊に示す。青天の霹靂、電は巻き星は馳す。徳山・臨済、棒喝徒に施す。伝えざるの妙、お前に於て何の亏らむ。」悟見て大いに悦ぶ。竟に節操を以て自ら高しとし、道望愈々重し。甞て壁に書して言った。「千峰の最上層に住す、年将に耳順なるを騰騰に任す。名字の人の歯に挂からるを免れんと教う。甘んじて今朝の百拙の僧と作さん。」

樞密徐俯

枢密徐俯

字師川。號東湖居士。每侍先龍圖謁法昌及靈源。語論終日。公聞之。藐如也。及法昌歸寂在笑談間。公異之。始篤信此道。後丁父憂。念無以報罔極。命靈源歸孝址說法。源登座。問答已。乃曰。諸仁者。祇如龍圖平日讀萬卷書。如水傳器。涓滴不遺。且道尋常著在甚麼處。而今捨識之後。這著萬卷書底。又卻向甚麼處著。公聞。灑然有得。遂曰。吾無憾矣。源下座。問曰。學士適來見箇甚麼。便恁麼道。公曰。若有所見。則鈍置和尚去也。源曰。恁麼則老僧不如。公曰。和尚是何心行。源大笑。靖康初。為尚書外郎。與朝士同志者掛缽於天寧寺之擇木堂。力參圓悟。悟亦喜其見地超邁。一日至書記寮。指悟項相曰。這老漢腳跟猶未點地在。悟䫌面曰。甕裡何曾走卻鼈。公曰。且喜老漢腳跟點地。悟曰。莫謗他好。公休去。

字は師川。号は東湖居士。毎に先の竜図に侍して法昌及び霊源に謁し、語論すること終日す。公之を聞きて、藐如たり。及び法昌の寂に帰するは笑談の間に在り。公之を異とし、始めて此の道を篤信す。後に父の憂に丁ん。罔極を報ゆる無きを念い、霊源を孝址に帰して法を説かしむ。源座に登り、問答已りて、乃ち言った。「諸の仁者、只だ如く竜図の平日万卷の書を読む、水の器に伝うるが如く涓滴遺さず。且く道え尋常何れの処に着くる。而今識を舎つるの後、此の万卷の書を着る底、又た却って什麼の処に向って着く。」公聞きて、洒然として得有り。遂に言った。「吾憾み無し。」源座を下りて問うた。「学士適来箇の什麼を見て、便ち恁麼に道う。」公は言った。「若し見る所有らば、則ち和尚を鈍置し去るなり。」源は言った。「恁麼なれば則ち老僧如かず。」公は言った。「和尚は是れ何の心行ぞ。」源大笑した。靖康初、尚書外郎と為り、朝士の同志の者と天寧寺の択木堂に鉢を挂け、力めて円悟に参じた。悟も亦た其の見地の超邁を喜ぶ。一日書記寮に至り、悟の項相を指して言った。「此の老汉は脚根なお未だ地を点ぜず。」悟は䫌面して言った。「瓮裏何曽か鼈を走却したる。」公は言った。「且つ喜ぶべし老汉脚根地を点ずるを。」悟は言った。「他を謗ること莫れ好し。」公休み去った。

郡王趙令衿

郡王趙令衿

字表之。號超然居士。任南康。政成事簡。多與禪衲遊。公堂間為摩詰丈室。適圓悟居甌阜。公欣然就其鑪錘。悟不少假。公固請。悟曰。此事要得相應。直須是死一回始得。公默契。甞自疏之。其略曰。家貧遭劫。誰知盡底不存。空屋無人。幾度賊來亦打。悟見。囑令加護。紹興庚申冬。公與汪內翰藻.李參政邴.曾侍郎開詣徑山。謁大慧。慧聞至。乃令擊皷入室。公欣然袖香趨之。慧曰。趙州洗缽盂話。居士作麼生會。公曰。討甚麼碗。拂袖便出。慧起搊住曰。古人向這裡悟去。你因甚麼卻不悟。公擬對。慧𢮁之曰。討甚麼碗。公曰。還這老漢始得。

字は表之。号は超然居士。南康に任じ、政成りて事簡なり。多く禅衲と游ぶ。公堂の間に摩詰丈室を為す。適あ円悟甌阜に居る。公欣然として其の𬬻锤に就く。悟少しも仮せず。公固く請う。悟は言った。「此の事要して相応するを得ば、直に須らく一死回して始めて得べし。」公黙契す。甞て自ら之を疏す。其の略に言う、「家貧しくして劫に遭う、誰か知らん尽底存せざるを。空屋に人無し、幾度か賊来りて亦た打つ。」悟見て、加護せしむるを嘱す。紹興庚申の冬、公は汪内翰藻・李参政邴・曽侍郎開と径山に詣り、大慧に謁す。慧は至るを聞き、乃ち皷を撃ちて室に入らしめた。公欣然として香を袖して之に趨る。慧は言った。「趙州の鉢盂を洗うの話、居士作麼生にか会せん。」公は言った。「什麼の碗を討ぞ。」袖を拂いて便ち出でた。慧起ちて之を搊住して言った。「古人は此の裏に向って悟り去る。お前因りて什麼が却って悟らざる。」公対を擬した。慧は之を𢮁きて言った。「什麼の碗を討ぞ。」公は言った。「此の老汉を還して始めて得べし。」

侍郎李彌遜

侍郎李弥遜

號普現居士。少時讀書。五行俱下。年十八。中鄉舉。登第京師。旋歷華要。至二十八歲。為中書舍人。常入圓悟室。一日早朝回。至天津橋馬躍。忽有省。通身汗流。直造天寧。適悟出門。遙見便喚曰。居士且喜大事了畢。公厲聲曰。和尚眼華作甚麼。悟便喝。公亦喝。於是機鋒迅捷。凡與悟問答。當機不讓。公後遷吏部。乞祠祿歸閩連江。築庵自娛。忽一日示微恙。遽索湯。沐浴畢。遂趺坐。作偈曰。謾說從來牧護。今日分明呈露。虗空拶倒須彌。說甚向上一路。擲筆而逝。

号は普現居士。少時書を読みて五行倶に下る。年十八、郷挙に中り、京师に登第す。旋りて華要を歴る。二十八歳に至り、中書舎人と為る。常に円悟の室に入った。一日早朝より回り、天津橋に至りて馬躍る。忽ち省有り、通身汗流る。直ちに天寧に造った。適あ悟門を出で、遥かに見て便ち喚んで言った。「居士且つ喜ぶべし大事了畢せり。」公声を厲めて言った。「和尚の眼花は什麼を作す。」悟便ち喝した。公も亦た喝した。是に於て機鋒迅捷し。凡そ悟と問答するに、機に当りて譲らず。公後に吏部に遷り、祠禄を乞うて閩の連江に帰り、庵を築きて自ら娯しむ。忽一日微恙を示し、遽かに湯を索め、沐浴畢りて、遂に趺坐し、偈を作して言った。「謾に説く従来の牧護、今日分明に呈露す。虗空は須弥を拶倒す、什麼か説かん向上の一路を。」筆を擲ちて逝った。

覺庵道人祖氏

覚庵道人祖氏

建寧遊察院之姪女也。幼志不出適。留心祖道。於圓悟示眾語下。瞭然明白。悟曰。更須颺卻所見。始得自由。祖答偈曰。露柱抽橫骨。虗空弄爪牙。直饒玄會得。猶是眼中沙。

建寧游察院の姪女である。幼にして志して出適せず、心を祖道に留めた。円悟の示衆の語下に於て、了然として明白たり。悟は言った。「更に須らく見る所を飏却して始めて自由を得べし。」祖は偈を答えて言った。「露柱は横骨を抽き、虗空は爪牙を弄す。直饒玄く会得すとも、なお是れ眼中の沙。」

令人本明

令人本明

號明室。自機契圓悟。徧參名宿。皆蒙印可。紹興庚申二月望。親書三偈寄呈草堂清。微露謝世之意。至旬末。別親裡而終。草堂䟦其偈。後為刊行。大慧亦甞垂語發揚。偈曰。不識煩惱是菩提。若隨煩惱是愚痴。起滅之時須要會。鷂過新羅人不知。不識煩惱是菩提。淨華生淤泥。人來問我若何為。吃粥吃飯了洗缽盂。莫管他。莫管他。終日痴憨弄海沙。要識本來真面目。便是祖師一木叉。道不得底叉下死。道得底也叉下死。畢竟如何。不許夜行。投明須到。

号は明室。自ら機円悟に契い、遍く名宿に参じ、皆な印可を蒙った。紹興庚申二月の望、親しく三偈を書して草堂清に寄呈し、微かに世を謝するの意を露わす。旬末に至り、親里に別れて終った。草堂は其の偈を䟦し、後に刊行す。大慧も亦た甞て語を垂れて発揚した。偈に言った。「煩悩の是れ菩提を識らず、煩悩に随えば是れ愚痴なり。起滅の時須らく会すべし、鷂は新羅を過ぎて人知らず。煩悩の是れ菩提を識らず、浄華は淤泥に生ず。人来りて我に問う若何か為らん。粥を喫い飯を喫い了りて鉢盂を洗う。他を管する莫れ、他を管する莫れ。終日痴憨として海沙を弄す。本来の真面目を識らんと要せば、便ち是れ祖師の一叉なり。道うを得ざる底は叉下に死し、道うを得る底もも叉下に死す。畢竟に如何。夜行するを許さず、明に投げて須らく到るべし。」

成都府範縣君者

成都府范県君

嫠居歲久。常坐而不臥。聞圓悟住昭覺。往禮拜。請示入道因緣。悟令看不是心。不是佛。不是物。是箇甚麼。久無所契。範泣告悟曰。和尚有何方便。令某易會。悟曰。卻有箇方便。遂令祇看是箇甚麼。後有省曰。元來恁麼地近那。

嫠居すること歳久し。常に坐して臥せず。円悟の昭覚に住するを聞き、往きて礼拝し、入道の因縁を示さんことを請うた。悟は看せしめた、是れ心に非ず、是れ仏に非ず、是れ物に非ず、是れ箇の什麼ぞ。久しく契う所無し。范は泣きて悟に告げて言った。「和尚に何の方便か有る、某をして易く会せしめよ。」悟は言った。「却って箇の方便有り。」遂に只看せしめた、是れ箇の什麼ぞ。後に省有りて言った。「元来恁麼地に近きなり。」

太平懃禪師法嗣

太平懃禅師法嗣

常德府文殊心道禪師

常徳府文殊心道禅師

眉州徐氏子。年三十得度。詣成都習唯識。自以為至。同舍詰之曰。三界唯心。萬法唯識。今目前萬象摐然。心識安在。師茫然不知對。遂出關。周流江淮。既抵舒之太平。聞佛鑑禪師夜參。舉趙州栢樹子話。至覺鐵觜雲。先師無此語。莫謗先師好。因大疑。提撕既久。一夕豁然。即趨丈室。擬敘所悟。鑑見來便閉門。師曰。和尚莫謾某甲。鑑雲。十方無壁落。何不入門來。師以拳擉破窻紙。鑑即開門搊住雲。道。道。師以兩手捧鑑頭。作口啐而出。遂呈偈曰。趙州有箇栢樹話。禪客相傳徧天下。多是摘葉與尋枝。不能直向根源會。覺公說道無此語。正是惡言當面罵。禪人若具通方眼。好向此中辨真假。鑑深然之。每對客稱賞。後命分座。襄守請開法天寧。未幾擢大別文殊。上堂曰。師子嚬呻。象王哮吼。雲門北斗裡藏身。白雲因何喚作手。三世諸佛不能知。狸奴白牯卻知有。且道。作麼生是他知有底事。雨打棃華峽蝶飛。風吹柳絮毛毬走。上堂。拈拄杖直上指曰。恁麼時。刺破憍屍迦腳跟。卓一下曰。恁麼時。卓碎閻羅王頂骨。乃指東畔曰。恁麼時。穿過東海鯉魚眼睛。指西畔曰。恁麼時。塞卻西王母鼻孔。且道總不恁麼時如何。今年雨水多。各宜頻曬㫰。宣和改元。下詔改僧為德士。上堂。祖意西來事。今朝特地新。昔為比丘相。今作老君形。鶴氅披銀褐。頭包蕉葉巾。林泉無事客。兩度受君恩。所以道。欲識佛性義。當觀時節因緣。且道即今是甚麼時節。毗盧遮那。頂戴寶冠。為顯真中有俗。文殊老叟。身披鶴氅。且要俯順時宜。一人既爾。眾人亦然。大家成立叢林。喜得群僊聚會。共酌迷僊酎。同唱步虗詞。或看靈寶度人經。或說長生不死藥。琴彈月下。指端發太古之音。棊布軒前。妙著出神機之外。進一步便到大羅天上。退一步卻入九幽城中。祇如不進不退一句。又作麼生道。直饒羽化三清路。

眉州の徐氏の子である。年三十にして度を得た。成都に詣りて唯識を習い、自ら以て至れりと為す。同舎之に詰めて言った。「三界は唯心、万法は唯識。今目前に万象摐然として、心識安くんぞ在る。」師茫然として対えるを知らず。遂に関を出で、周流して江淮す。既に舒の太平に抵り、仏鑑禅師の夜参を聞き、趙州の栢樹子の話を挙ぐ。覚鉄觜の云うに至りて、先師は此の語無し、先師を謗ること莫れ好し。因りて大いに疑う。提撕すること既に久しく、一夕豁然とした。即ち丈室に趨り、悟る所を叙べんと擬す。鑑来るを見て便ち門を閉ぢた。師は言った。「和尚は某甲を谩る莫れ。」鑑云く、「十方に壁落無し、何ぞ門に入り来らざる。」師は拳を以て窻紙を擉破した。鑑即ち門を開きて搊住して云く、「道え、道え。」師は両手を以て鑑頭を捧げ、口を啐して作り出でた。遂に偈を呈して言った。「趙州に箇の栢樹の話有り、禅客伝えて遍く天下す。多く是れ葉を摘み枝を尋ぬ、直に根源に向って会する能わず。覚公の道う無此の語、正に是れ悪言当面の罵り。禅人若し通方の眼を具さば、好く此の中に向って真假を辨ぜよ。」鑑深く之を然とし、毎に客に対して称賞した。後に分座を命ぜられた。襄守は天寧に開法を請う。未几、大別の文殊に擢められた。上堂して言った。「師子嚬呻し、象王哮吼す。雲門北斗裏に身を蔵す。白雲因りて何ぞ手と喚ばれる。三世諸仏知る能わず、狸奴・白牯却って有を知る。且く道え作麼生にか是れ他の有を知る底の事。雨は棃華を打ち峡蝶飛び、風は柳絮を吹き毛毬走る。」上堂。拄杖を拈じ直ちに上を指して言った。「恁麼の時は、憍尸迦の脚根を刺破す。」一下卓して言った。「恁麼の時は、閻羅王の頂骨を卓碎す。」乃ち東畔を指して言った。「恁麼の時は、東海鯉魚の眼睛を穿ち過ぐ。」西畔を指して言った。「恁麼の時は、西王母の鼻孔を塞却す。」且く道え総て恁麼ならざる時は如何。今年雨水多し、各に宜しく頻りに曬㫰すべし。宣和元を改む、詔を下して僧を改めて徳士と為す。上堂。「祖意西来の事、今朝特に地新なり。昔は比丘の相と為り、今は老君の形と作す。鶴氅は銀褐を披き、頭は蕉葉の巾を包む。林泉の無事の客、両度君恩を受く。所以に道う、仏性の義を識らんと欲せば、当に時節因縁を観ずべし。且く道え即今是れ什麼の時節ぞ。毘盧遮那、頂に宝冠を戴く、真中に俗有るを顕さんが為なり。文殊の老叟、身に鶴氅を披く、且つ要して時宜に俯順せんとす。一人既に爾り、衆人亦然り。大家叢林を成立し、群僊の聚会を喜び得、共に迷僊酎を酌み、同じく歩虗詞を唱う。或いは霊宝度人経を看、或いは長生不死の薬を説く。琴は月下に弾き、指端太古の音を発す。棋は軒前に布き、妙着は神機の外に出づ。一歩進めば便ち大羅天上に到り、一歩退けば却って九幽城中に入る。只だ如く進まず退かざるの一句、又た作麼生にか道わん。直饒羽化の三清路を

終是輪迴一幻身。二年九月。復僧。上堂。不掛田衣著羽衣。老君形相頗相宜。一年半內閑思想。大底興衰各有時。我佛如來預讖法之有難。教中明載。無不委知。較量年代。正在於茲。魔得其便。惑亂正宗。僧改俗形。佛更名字。妄生邪解。刪削經文。鐃鈸停音。缽盂添足。多般矯詐。欺罔聖君。賴我皇帝陛下。聖德聖明。不忘付囑。不廢其教。特賜宸章。頒行天下。仍許僧尼。重新披削。實謂寒灰再焰。枯木重榮。不離俗形而作僧形。不出魔界而入佛界。重鳴法皷。再整頹綱。迷僊酎變為甘露瓊漿。步虗詞飜作還鄉曲子。放下銀木簡。拈起尼師壇。昨朝稽首擎拳。今日和南不審。祇改舊時相。不改舊時人。敢問大眾。舊時人是一箇。是兩箇。良久曰。秋風也解嫌狼籍。吹盡當年道教灰。建炎三年春。示眾。舉臨濟入滅囑三聖因緣。師曰。正法眼藏瞎驢滅。臨濟何曾有是說。今古時人皆妄傳。不信但看後三月。至閏三月。賊鍾相叛。其徒欲舉師南奔者。師曰。學道所以了生死。何避之有。賊至。師曰。速見殺。以快汝心。賊即舉槊殘之。血皆白乳。賊駭。引席覆之而去。

「終に是れ輪廻の一幻身。」二年九月、僧に復した。上堂。「田衣を挂けずして羽衣を着る、老君の形相頗る相宜たり。一年半の内、閑思想すれば、大底興衰各々時有り。我仏如来は預め法の難有るを谶したり、教中明らかに載せ、委知せざる無し。年代を較量すれば、正に茲に在り。魔其の便を得て、正宗を惑乱す。僧は俗形に改め、仏は名字を更へ、妄りに邪解を生じ、経文を删削し、鐃鈸は音を停め、鉢盂は足を添う。多般の矯詐、聖君を欺罔す。我が皇帝陛下に頼る、聖徳聖明、付嘱を忘れず、其の教を廃せず。特に宸章を賜り、天下に頒行し、仍りて僧尼を許し、重ねて披削す。実に謂う寒灰再び焔え、枯木重ねて栄ゆと。俗形を離れずして僧形と作り、魔界を出でずして仏界に入る。重ねて法皷を鳴らし、再び頽綱を整う。迷僊酎変じて甘露瓊漿と為り、歩虗詞飜って還郷の曲子と作る。銀木の簡を放下し、尼師壇を拈起す。昨朝は稽首擎拳し、今日は和南不審す。只だ旧時の相を改む、旧時の人を改めず。敢て大衆に問う、旧時の人は是れ一個か、是れ両個か。」良久して言った。「秋風も亦た狼籍を嫌うを解し、当年の道教の灰を吹き尽くす。」建炎三年の春、衆に示す。挙ぐ、臨済滅に入りて三聖に嘱するの因縁。師は言った。「正法眼蔵瞎驢滅す。臨済何ぞ曽て是の説有らん。今古時人皆な妄りに伝う。信ぜざれば但だ後の三月を看よ。」閏三月に至り、賊の鍾相叛す。其の徒師を挙げて南に奔らんと欲する者有り。師は言った。「道を学ぶは以て生死を了る所以なり。何ぞ之れ避くる有らん。」賊至る。師は言った。「速かに殺を見えて、以てお前の心を快くせよ。」賊即ち槊を挙げて之を残した。血皆な白乳なり。賊駭き、席を引いて之を覆いて去った。

韶州南華知昺禪師

韶州南華知昺禅師

蜀之永康人也。上堂。此事最希奇。不礙當頭說。東鄰田舍翁。隨例得一橛。非唯貫聲色。亦乃應時節。若問是何宗。八字不著人。擊禪床。下座。上堂。日日說。時時舉。似地擎山爭幾許。隴西鸚鵡得人憐。大都祇為能言語。休思惟。帶伴侶。智者聊聞猛提取。更有一般也大奇。貓兒偏解捉老鼠。上堂。以拄杖向空中攪曰。攪長河為酥酪。鰕蟹猶自眼搭眵。卓一下曰。變大地作黃金。窮漢依前赤骨力。為復自家無分。為復不肯承當。可中有箇漢荷負得行。多少人失錢遭罪。再卓一下曰。還會麼。寶山到也須開眼。勿使忙忙空手回。上堂。春光爛熳華爭發。子規啼落西山月。僑梵缽提長吐舌。底事分明向誰說。嗄。上堂。迷不自迷。對悟立迷。悟不自悟。因迷說悟。所以悟為迷之體。迷為悟之用。迷悟兩無從。箇中無別共。無別共。撥不動。祖師不將來。鼻孔千斤重。

蜀の永康の人である。上堂。「此の事最も希奇なり。当头に説くを碍げず。東隣の田舎の翁、例に随いて一橛を得たり。唯だ声色を貫くに非ず、亦た乃ち時節に応ず。若し是れ何の宗ぞと問わば、八字は人に着かず。」禅床を撃ち、座を下りた。上堂。「日々説き、時時挙げて、地の山を擎ぐに似たるも争うこと幾許ぞ。隴西の鸚鵡は人の憐れみを得、大都只だ是れ言語を能くするが為のみ。思惟するを休め、伴侶を帯びよ。智者聊か聞かば猛く取り挙げよ。更に一般も亦た大いに奇なり、猫児は偏りに老鼠を捉るを解す。」上堂。拄杖を以て空中に向って攪して言った。「長河を攪めて酥酪と為すに、鰕蟹なお自ら眼搭眵たり。」一下卓して言った。「大地を変えて黄金と作すに、窮漢依前として赤骨力たり。為れか自家に分無き、為れか承当せざるを肯んぜざる。可中に箇の漢荷負して行くを得る者有らば、多少の人錢を失い罪に遭わん。」再び卓して一下し言った。「還って会するか。宝山に到りても須らく眼を開くべし。忙忙として空手に帰ることを使う莫れ。」上堂。「春光爛熳として華争いて発す。子規啼きて西山の月を落とす。僑梵鉢提長く舌を吐く。底事は分明に誰にか説かん。嗄。」上堂。「迷は自ら迷わず、悟に対して迷を立つ。悟は自ら悟らず、迷に因りて悟を説く。所以に悟は迷の体と為り、迷は悟の用と為す。迷悟両なら無くして従り、箇の中に別の共無し。別の共無し、撥ねて動かず。祖師は将来らず、鼻孔は千斤の重し。」

潭州龍牙智才禪師

潭州竜牙智才禅師

舒州施氏子。早服勤於佛鑑法席。而局務不辭難。名已聞於叢林。及遊方迫暮。至黃龍。適死心在三門。問其所從來。既稱名。則知為舒州太平才莊主矣。翌日入室。死心問曰。會得最初句。便會末後句。會得末後句。便會最初句。最初末後。拈放一邊。百丈野狐話作麼生會。師曰。入戶已知來見解。何須更舉轢中泥。心曰。新長老死在上座手裡也。師曰。語言雖有異。至理且無差。心曰。如何是無差底事。師曰。不扣黃龍角。焉知頷下珠。心便打。初住嶽麓。開堂日。僧問。德山棒。臨濟喝。今日請師為拈掇。師曰。蘇嚕蘇嚕。曰。蘇嚕蘇嚕。還有西來意也無。師曰。蘇嚕蘇嚕。由是叢林呼為才蘇嚕。後遷龍牙。因欽宗皇帝登位。眾官請上堂。祝聖已。就座。拈拄杖卓一下曰。朝奉疏中道。本來奧境。諸佛妙場。適來拄杖子已為諸人說了也。於斯悟去。理無不顯。事無不周。如或未然。不免別通箇消息。舜日重明四海清。滿天和氣樂昇平。延祥拄杖生歡喜。擲地山呼萬歲聲。擲拄杖。下座。上堂。彈指一下曰。彈指圓成八萬門。剎那滅卻三祇劫。若也見得行得。健即經行困即歇。若也不會。兩箇鸕鷀扛箇鼈。上堂。舉死心和尚小參曰。若論此事。如人家有三子。第一子聰明智慧。孝養父母。接待往來。主掌家業。第二子兇頑狡猾。貪婬嗜酒。倒街臥巷。破壞家業。第三子盲聾瘖瘂。菽麥不分。是事不能。祇會吃飯。三人中黃龍要選一人用。更有四句。死中有活。活中有死。死中常死。活中常活。將此四句。驗天下衲僧。師曰。喚甚麼作四句。三人姓甚名誰。若也識得。與黃龍把手並行。更無纖毫間隔。如或未然。不免借水獻華去也。三人共體用非用。四句同音空不空。欲識三人並四句。金烏初出一團紅。師居龍牙十三載。以清苦蒞眾。衲子敬畏。大帥席公震遷住雲溪。經四稔。紹興戊午八月望。

舒州の施氏の子である。早く服勤して仏鑑の法席に在り、局務難を辞さず、名已に叢林に聞えた。及び游方して暮に迫り、黄竜に至る。適あ死心は三門に在り。其の従来する所を問う。既に名を称すれば、則ち知る舒州太平の才荘主と為るを。翌日室に入り、死心問うた。「最初句を会得せば、便ち末後句を会せん。末後句を会得せば、便ち最初句を会せん。最初末後、拈して一辺に放て。百丈の野狐の話は作麼生にか会せん。」師は言った。「戸に入る已に来见解を知る。何ぞ須らく更に轢中の泥を挙げん。」心は言った。「新しい長老は上座の手裏に死したり。」師は言った。「言語は異有りと雖も、至理は且つ差無し。」心は言った。「如何なるか是れ差無き底の事。」師は言った。「黄竜の角を扣かざれば、焉んぞ知らん頷下の珠を。」心便ち打った。初め岳麓に住す。堂を開く日、僧が問うた。「徳山の棒、臨済の喝、今日師の拈掇を為らんことを請う。」師は言った。「蘇嚕蘇嚕。」言った。「蘇嚕蘇嚕。還って西来の意有るや無しや。」師は言った。「蘇嚕蘇嚕。」是に由りて叢林は才蘇嚕と呼ぶ。後に竜牙に遷った。因りて欽宗皇帝位に登る。衆官は上堂を請い、聖を祝し已りて、座に就いた。拄杖を拈じて卓一下して言った。「朝奉の疏中に道う、本来の奥境、諸仏の妙場。適来拄杖子已に諸人の為に説了せり。斯に於て悟り去れば、理顕わさざる無く、事周らざる無し。如或いは未だ然らずんば、免れず別に箇の消息を通ぜん。舜日重ねて明らかに四海清く、満天の和気升平を楽しむ。延祥の拄杖歓喜を生じ、地を擲つ山呼して万歳の声。」拄杖を擲ち、座を下りた。上堂。「指を弾じて一下し言った。「指を弾ずれば円成する八万門、刹那に三祇劫を滅却す。若しも見得し行得せば、健なれば則ち経行し困なれば則ち歇む。若し也会せざれば、両個の鸕鶿は箇の鼈を扛ぐ。」上堂。挙ぐ、死心和尚が小参に言う、若し此の事を論ぜば、人家に三子有るが如し。第一の子は聡明智慧、父母を孝養し、往来を接待し、家業を主掌す。第二の子は凶頑狡猾、婬を貪り酒を嗜み、街に倒れ巷に臥し、家業を破壊す。第三の子は盲聾瘖唖、菽麦分かたず、是の事能わず、唯だ飯を喫うを会す。三人の中、黄竜は一人を選びて用いんと要す。更に四句有り。死中に活有り、活中に死有り、死中に常に死す、活中に常に活す。此の四句を将て、天下の衲僧を驗せん。師は言った。「什麼を喚んで四句と作す。三人姓は甚に名は誰ぞ。若しも識得せば、黄竜と手を把りて并行し、更に纎毫の間隔無し。如或いは未だ然らずんば、免れず水を借りて華を献ずるに去らん。三人共に体用は用に非ず、四句同じく音空は空ならず。三人并びに四句を識らんと欲せば、金烏初めて出づる一団の紅。」師竜牙に居ること十三載、清苦を以て衆に莅む。衲子敬畏す。大帥の席公震は雲谿に遷住せしむ。四稔を経る。紹興戊午八月の望、

俄集眾付寺事。仍書偈曰。戊午中秋之日。出家住持事畢。臨行自己尚無。有甚虗空可覓。其垂訓如常。二十三日。再集眾。示問曰。涅槃生死。盡是空華。佛及眾生。並為增語。汝等諸人。合作麼生。眾皆下語不契。師喝曰。苦。苦。復曰。白雲湧地。明月當天。言訖囅然而逝。火浴獲設利五色。併靈骨塔於寺之西北隅。

俄かに衆を集めて寺事を付し、仍りて偈を書して言った。「戊午中秋の日、出家住持の事畢れり。行き臨みて自己なお無し、甚だしきか虗空の覓る可き有り。其の垂訓すること常の如し。」二十三日、再び衆を集め、問うを示して言った。「涅槃・生死、尽く是れ空華。仏及び衆生、并びに為れ增語。お前等諸人、合して作麼生せん。」衆皆な語を下すも契わず。師は喝して言った。「苦、苦。」復た言った。「白雲地を涌き、明月天に当る。」言き訖りて冁然として逝った。火浴して五色の設利を獲、并びに霊骨を寺の西北隅に塔す。

明州蓬萊卿禪師

明州蓬莱卿禅師

上堂。有句無句。如藤倚樹。且任諸方點頭。及乎樹倒藤枯。上無沖天之計。下無入地之謀。靈利漢這裡著得一隻眼。便見七縱八橫。舉拂子曰。看。看。一曲兩曲無人會。雨過夜塘秋水深。上堂。杜䳌聲裡春光暮。滿地落華留不住。瑠璃殿上絕行蹤。誰人解插無根樹。舉拄杖曰。這箇是無根底。且道解開華也無。良久曰。祇因連夜雨。又過一年春。上堂。舉法眼道。識得凳子。周帀有餘。雲門道。識得凳子。天地懸殊。師曰。此二老人。一人向高高山頂立。一人向深深海底行。然雖如是。一不是。二不成。落華流水裡啼鸎。閑亭雨歇夜將半。片月還從海底生。

上堂。「有句・無句、藤の樹に倚るが如し。且つ諸方の点头に任す。及んで樹倒れ藤枯るる、上は天を沖つの計無く、下は地に入るの謀無し。霊利の漢此の裏に於て一隻の眼を著得せば、便ち七縦八横を見る。」拂子を挙げて言った。「看、看。一曲両曲人の会する無し。雨過ぎて夜塘秋水深し。」上堂。「杜䳌の声裏春光暮れ、満地の落華留め住まず。瑠璃殿上に行蹤を絶ち、誰人か解して根無き樹を插さん。拄杖を挙げて言った。「此の箇は是れ根無き底。且く道え華を解開するも無しや。」良久して言った。「只だ是れ連夜の雨に因りて、又た一年の春を過ぐ。」上堂。挙ぐ、法眼道う、凳子を識得せば、周帀余り有り。雲門道う、凳子を識得せば、天地懸殊なり。師は言った。「此の二老人、一人は高き山頂に向って立ち、一人は深き海底に向って行く。然りと雖も是の如し、一は是れに非ず、二は成らず。落華流水裏に鸎啼き、閑亭の雨歇みて夜将に半ばなり。片月還って海底より生ず。」

安吉州何山佛燈守珣禪師

安吉州何山仏灯守珣禅師

郡之施氏子。參廣鑑瑛禪師。不契。遂造太平。隨眾諮請。邈無所入。乃封其衾曰。此生若不徹去。誓不展此。於是晝坐宵立。如喪考妣。逾七七日。忽佛鑑上堂曰。森羅及萬象。一法之所印。師聞頓悟。往見鑑。鑑曰。可惜一顆明珠。被這風顛漢拾得。乃詰之曰。靈雲道。自從一見桃華後。直至如今更不疑。如何是他不疑處。師曰。莫道靈雲不疑。只今覓箇疑處了不可得。鑑曰。玄沙道。諦當甚諦當。敢保老兄未徹在。那裡是他未徹處。師曰。深知和尚老婆心切。鑑然之。師拜起。呈偈曰。終日看天不舉頭。桃華爛熳始擡眸。饒君更有遮天網。透得牢關即便休。鑑屬令護持。是夕。厲聲謂眾曰。這回珣上座穩睡去也。圓悟聞得。疑其未然。乃曰。我須勘過始得。遂令人召至。因與遊山。偶到一水潭。悟推師入水。遽問曰。牛頭未見四祖時如何。師曰。潭深魚聚。悟曰。見後如何。師曰。樹高招風。悟曰。見與未見時如何。師曰。伸腳在縮腳裡。悟大稱之。鑑移蔣山。命分座說法。出住廬陵之禾山。退藏故里。道俗迎居天聖。後徙何山及天寧。上堂。𨍏轢鑽住山斧。佛祖出頭未輕與。縱使醍醐滿世間。你無寶器如何取。阿呵呵。神山打羅。道吾作舞。甜瓜徹蔕甜。苦瓠連根苦。上堂。舉婆子燒庵話。師曰。大凡扶宗立教。須是其人。你看他婆子。雖是箇女人。宛有丈夫作略。二十年簁油費醬。固是可知。一日向百尺竿頭做箇失落。直得用盡平生腕頭氣力。自非箇俗漢知機。洎乎巧盡拙出。然雖如是。諸人要會麼。雪後始知松柏操。事難方見丈夫心。上堂。如來禪。祖師道。切忌將心外邊討。從門所得即非珍。特地埋藏衣裡寶。禪家流。須及早。撥動祖師關棙。抖擻多年布襖。是非毀譽付之空。竪闊橫長渾恰好。君不見寒山老。終日嬉嬉。長年把掃。人問其中事若何。入荒田不揀。信手拈來草。參。僧問。

郡の施氏の子である。広鑑瑛禅師に参ずるも契わず。遂に太平に造り、衆に随って咨請す。邈として入る所無し。乃ち其の衾を封じて言った。「此の生若し徹り去らざれば、誓って此を展ぜず。」是に於て昼は坐し宵は立ち、考妣を喪うが如し。七七を逾えて、忽ち仏鑑上堂して言う、森羅及び万象、一法の印する所。師聞きて頓悟し、往きて鑑に見えた。鑑は言った。「惜しいかな一顆の明珠、此の風顛の漢に拾得せらる。」乃ち之を詰めて言った。「霊雲道う、自ら一たび桃華を見し後、直ちに如今に至るまで更に疑わず、如何なるか是れ他の疑わざる処。」師は言った。「道う莫れ霊雲疑わずと。只今箇の疑う処を覓るも了として得る可からず。」鑑は言った。「玄沙道う、諦当すること甚だ諦当なり、敢て老兄の未だ徹らざる在りを保せん、那里が是れ他の未だ徹らざる処。」師は言った。「深く知る和尚の老婆心切なるを。」鑑之を然とした。師は拝して起ち、偈を呈して言った。「終日天を看て頭を挙げず、桃華爛熳にして始めて眸を抬げる。君に饒う更に天を遮る網有らんとも、牢関を透得せば便ち休まん。」鑑は護持せしむるを属す。是の夕、声を厲めて衆に謂いて言った。「此の回珣上座は穏やかに睡り去るなり。」円悟聞きて、其の未だ然らざるを疑い、乃ち言った。「我須らく勘過して始めて得べし。」遂に人をして召し至らしめ、因りて与えに山を游ぶ。偶ら一水潭に到り、悟師を推して水に入れ、遽かに問うた。「牛頭未だ四祖を見ざる時は如何。」師は言った。「潭深くして魚聚まる。」悟は言った。「見たる後は如何。」師は言った。「樹高くして風を招く。」悟は言った。「見ると見ざるの時は如何。」師は言った。「脚を伸ぶるは縮脚の裏に在り。」悟大いに之を称した。鑑蒋山に移り、分座を命じて法を説かしめた。出でて廬陵の禾山に住し、故里に退蔵す。道俗迎えて天聖に居らしめ、後に何山及び天寧に徙した。上堂。「𨍏轹鑽は住山の斧、仏祖頭を出づるも未だ軽く与らず。縦使い醍醐世間に満つとも、お前宝器無ければ如何にか取らん。阿呵呵。神山は羅を打ち、道吾は舞を作す。甜瓜は蔕を徹して甜く、苦瓠は根を連ねて苦し。」上堂。挙ぐ、婆子庵を焼くの話。師は言った。「大凡そ宗を扶け教を立てるは、須らく是れ其の人ならん。お前他の婆子を看よ、箇の女人なりと雖も、宛として丈夫の作略有り。二十年簁油醤を費す、固より是れ知る可し。一日百尺の竿頭に向って箇の失落を作し、直ちに平生の腕頭の気力を用い尽くすを得る。自ら箇の俗漢の機を知るに非ざれば、洎して巧尽きて拙出づるに及ぶ。然りと雖も是の如し、諸人要して会せんか。雪後に始めて松柏の操を知り、事難しくして方に丈夫の心を見る。」上堂。「如来禅、祖師道、切に忌む心の外辺に討を将すを。門より得る所は即ち珍に非ず、特地に衣裏の宝を埋藏す。禅家の流、須らく及び早く、祖師の関棙を撥動し、多年の布襖を抖擞す。是非毀誉を之に付して空とし、竪に濶し横に長く渾として恰好なり。君見ずや寒山の老、終日嬉嬉として、長年箒を把る。人其の中の事若何と問えば、荒田に入りて揀わず、信手拈来すれば草なり。参。」僧が問うた。

如何是賓中賓。師曰。客路如天遠。侯門似海深。曰。如何是賓中主。師曰。長因送客處。憶得別家時。曰。如何是主中賓。師曰。相逢不必問前程。曰。如何是主中主。師曰。一朝權祖令。誰是出頭人。曰。賓主已蒙師指示。向上宗乘事若何。師曰。向上問將來。曰。如何是向上事。師曰。大海若知足。百川應倒流。僧禮拜。師曰。珣上座三十年學得底。師嘗謂眾曰。兄弟如有省悟處。不拘時節。請來露箇消息。雪夜。有僧扣方丈門。師起秉燭。震威喝曰。雪深夜半。求決疑情。因甚麼威儀不具。僧顧眎衣裓。師逐出院。每曰。先師祇年五十九。吾年五十六矣。來日無多。紹興甲寅。解制退天寧之席。謂雙槐居士鄭績曰。十月八日是佛鑑忌。則吾時至矣。乞還鄣南。十月四日。鄭公遣弟僧道如訊之。師曰。汝來正其時也。先一日不著便。後一日蹉過了。吾雖與佛鑑同條生。終不同條死。明早可為我尋一隻小船子來。如曰。要長者。要高者。師曰。高五尺許。越三日。鷄鳴。端坐如平時。侍者請遺偈。師曰。不曾作得。言訖而逝。闍維舌根不壞。郡人陳師顏以寶函藏其家。門弟子奉靈骨。塔於普應院之側。

(師は接して言った。)「如何なるか是れ賓中の賓。」師は言った。「客路は天の如く遠く、侯門は海に似て深し。」言った。「如何なるか是れ賓中の主。」師は言った。「長く客を送る処に因りて、家を別れし時を憶得す。」言った。「如何なるか是れ主中の賓。」師は言った。「相逢うは必ずしも前程を問わず。」言った。「如何なるか是れ主中の主。」師は言った。「一朝権祖の令を握れば、誰か是れ頭を出ずる人。」言った。「賓主已に師の指示を蒙る、向上の宗乗の事若何。」師は言った。「向上に問い将れ。」言った。「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「大海若し足を知らば、百川応に倒流すべし。」僧礼拝す。師は言った。「珣上座が三十年学び得たる底なり。」師甞て衆に謂いて言った。「兄弟如し省悟の処有らば、時節を拘わらず、請い来りて箇の消息を露わせ。」雪夜、僧の方丈門を扣く者有り。師起ちて燭を秉り、威を震して喝して言った。「雪深く夜将に半ば、疑情を決することを求めて、因りて什麼が威儀具わらざる。」僧衣裓を顧眎す。師は院を逐い出でた。毎に言った。「先師は只だ年五十九、吾が年五十六なり。来日多しと無し。」紹興甲寅、制を解いて天寧の席を退き、双槐居士鄭績に謂いて言った。「十月八日は是れ仏鑑の忌、則ち吾が时至れり。」鄣南に還らんことを乞う。十月四日、鄭公弟の僧道如を遣わして之を訊なわしむ。師は言った。「お前来る正に其の時なり。前の一日は便に着かず、後の一日は蹉過す。吾は仏鑑と条を同じくして生じ、終に条を同じくして死せず。明早我が為に一隻の小船子を尋ね来る可し。」如は言った。「要するは長き者か、要するは高き者か。」師は言った。「高さ五尺許り。」三日を越え、鶏鳴く、端坐して平時の如し。侍者遺偈を請う。師は言った。「曽て作り得ず。」言き訖りて逝った。闍維して舌根壊れず。郡人の陳師顔は宝函を以て其の家に蔵す。門弟子は霊骨を奉じ、普応院の側に塔す。

隆興府泐潭擇明禪師

隆興府泐潭択明禅師

上堂。舉趙州訪茱萸探水因緣。師曰。趙老雲收山嶽露。茱萸雨過竹風清。誰家別舘池塘裡。一對鴛鴦畫不成。又舉德山托缽話。師曰。從來家富小兒嬌。偏向江頭弄畫橈。引得老爺把不住。又來船上助歌謠。上堂。永嘉道。一月普現一切水。一切水月一月攝。竪起拂子云。看。看。千江競注。萬派爭流。若也素善行舟。便諳水脈。可以優遊性海。笑傲煙波。其或未然。且歸林下坐。更待月明時。

上堂。挙ぐ、趙州の茱萸を訪い水を探るの因縁。師は言った。「趙老雲収まりて山岳露われ、茱萸雨過ぎて竹風清し。誰が家の別館の池塘裏、一対の鴛鴦画き成らず。」又た挙ぐ、徳山の鉢を托するの話。師は言った。「従来家富んで小児嬌れり、偏りに江頭に向って画橈を弄す。老爺を引きて把住せざらしむ、又来りて船上に歌謡を助く。」上堂。「永嘉道う、一月普く一切の水に現ず、一切の水月は一月に摂す。」拂子を竪てて云く、「看、看。千江競い注ぎ、万派争いて流る。若しも素より舟を行ずるを善くせば、便ち水脈を諳え、優游として性海を游び、煙波に笑傲する可し。其の或いは未だ然らずんば、且つ林下に帰りて坐し、更に月明の時を待て。」

台州寶藏本禪師

台州宝蔵本禅師

上堂。清明已過十餘日。華雨闌珊方寸深。春色惱人眠不得。黃鸝飛過綠楊陰。遂大笑。下座。

上堂。「清明已过ぎて十余日、華雨闌珊として方寸深し。春色人を悩まして眠るを得ず、黄鸝は緑楊の陰を飛び過ぐ。」遂に大笑し、座を下りた。

吉州大中祥符清海禪師

吉州大中祥符清海禅師

初見佛鑑。鑑問。三世諸佛。一口吞盡。何處更有眾生可教化。此理如何。師擬進語。鑑喝之。師忽領旨。述偈曰。實際從來不受塵。箇中無舊亦無新。青山況是吾家物。不用尋家別問津。鑑曰。放下著。師禮拜而出。

初め仏鑑に見えた。鑑は問うた。「三世諸仏、一口に呑尽す、何れの処か更に教化する可き衆生有らん。此の理如何。」師は語を進めんと擬した。鑑之を喝した。師忽ち旨を領し、偈を述べて言った。「実際従来塵を受けず、箇の中に旧無く亦た新無し。青山況んや是れ吾が家の物、家を尋ねずして別に津を問うを用いず。」鑑は言った。「放下著せよ。」師礼拝して出でた。

漳州淨眾佛真了燦禪師

漳州浄衆仏真了燦禅師

泉南羅氏子。上堂。重陽九日菊華新。一句明明亙古今。楊廣橐駝無覓處。夜來足跡在松陰。

泉南の羅氏の子である。上堂。「重陽九日菊華新たなり、一句明明として古今に亘る。楊広の橐駝は覓る処無く、夜来足跡は松陰に在り。」

隆興府谷山海禪師

隆興府谷山海禅師

上堂。一舉不再說。已落二三。相見不揚眉。飜成造作。設使動絃別曲。告往知來。見鞭影便行。望剎竿回去。腳跟下好與三十棒。那堪更向這裡。撮摩石火。收捉電光。工夫枉用渾閑事。笑倒西來碧眼胡。卓拄杖。下座。

上堂。「一挙げて再び説かざれば、已に二三に落つ。相見いえど眉を揚げざれば、飜って造作と成る。設使い弦を動かし曲を別にし、往を告げて来を知り、鞭影を見て便ち行き、刹竿を望いて回り去るも、脚根下に好く三十棒を与えん。那か堪えん更に此の裏に向かって、石火を撮摩し、電光を収捉せん。工夫枉げて用うるは渾として閑事なり、笑倒する西来の碧眼の胡。」拄杖を卓し、座を下りた。

五燈會元巻第十九

五燈會元巻第二十

南嶽下十五世下

南嶽下十五世下

龍門遠禪師法嗣

竜門遠禅師法嗣

溫州龍翔竹庵士珪禪師

温州竜翔竹庵士珪禅師

成都史氏子。初依大慈宗雅。心醉楞嚴。逾五秋。南遊謁諸尊宿。始登龍門。即以平時所得白佛眼。眼曰。汝解心已極。但欠著力開眼耳。遂俾職堂司。一日侍立次。問雲。絕對待時如何。眼曰。如汝僧堂中白椎相似。師罔措。眼至晚抵堂司。師理前話。眼曰。閑言語。師於言下大悟。政和末。出世和之天寧。屢遷名剎。紹興間奉詔。開山鴈蕩能仁。時真歇居江心。聞師至。恐緣法未熟。特過江迎歸方丈。大展九拜。以誘溫人。由是翕然歸敬。未視篆。其徒懼行規法。深夜放火。鞠為瓦礫之墟。師竟就樹縛屋。陞座示眾雲。愛閑不打皷山皷。投老來看鴈蕩山。[彳*桀]閣危樓渾不見。谿邊茆屋兩三間。還有共相出手者麼。喝一喝。下座。聽法檀施。併力營建。未幾復成寶坊。次補江心。上堂曰。萬年一念。一念萬年。和衣泥裡輥。洗腳上床眠。歷劫來事。祇在如今。大海波濤湧。小人方寸深。拈起拄杖曰。汝等諸人。未得箇入頭。須得箇入頭。既得箇入頭。須有出身一路始得。大眾。且作麼生是出身一路。良久曰。雪壓難摧㵎底松。風吹不動天邊月。卓拄杖。下座。上堂。萬機不到。眼見色。耳聞聲。一句當堂。頭戴天。腳踏地。你諸人祇知今日是五月初一。殊不知金烏半夜忙忙去。玉兔天明上海東。以拂子擊禪床。下座。上堂。明明無悟。有法即迷。諸人向這裡立不得。諸人向這裡住不得。若立則危。若住則瞎。直須意不停玄。句不停意。用不停機。此三者既明。一切處不須管帶。自然現前。不須照顧。自然明白。雖然如是。更須知有向上事。久雨不晴。咄。上堂。一葉落。天下秋。欲窮千里目。更上一層樓。一塵起。大地收。嘉州打大像。陝府灌鐵牛。明眼漢合作麼生。良久曰。久旱簷頭句。橋流水不流。卓拄杖。下座。上堂。見見之時。見非是見。見猶離見。見不能及。落華有意隨流水。

成都の史氏の子である。初め大慈の宗雅に依り、心は楞厳に酔う。五秋を逾え、南游して諸の尊宿に謁す。始めて竜門に登り、即ち平時の得る所を以て仏眼に白した。眼は言った。「お前は心を解する已に極まれり。但だ力を着けて眼を開くを欠くのみ。」遂に堂司に職せしめた。一日侍立して次に、問うて云く、「待を絶する時は如何。」眼は言った。「お前が僧堂中に椎を白するに似たり。」師罔措す。眼晚に至りて堂司に抵る。師は前話を理した。眼は言った。「閑言語。」師言下に於て大悟した。政和末、和の天寧に出世す。屡々名刹に遷った。紹興間、詔を奉じて鴈蕩能仁を開山した。時に真歇は江心に居り、師の至るを聞き、縁法未だ熟せざらんことを恐れ、特に江を過ぎて迎えて方丈に帰し、大いに九拜を展べて、以て温の人を誘う。是に由りて翕然として敬に帰す。未だ篆を視ざるに、其の徒は行規法を懼れ、深夜に火を放ち、瓦礫の墟と鞠れたり。師竟に樹に就き屋を縛り、座に升りて衆に示して言った。「閑を愛して皷山の皷を打たず、老を投じて鴈蕩山を看る。[彳*桀]閣の危楼渾として見えず、谿辺の茆屋両三間。還って共に相い手を出ずる者有るか。」一喝し、座を下りた。法を聴く檀施、并びに力を合わせて営建し、未几に復た宝坊を成した。次いで江心を補す。上堂して言った。「万年は一念、一念は万年。衣を和して泥裏に䡐し、脚を洗いて床上に眠る。劫を歴るる来の事、只だ如今に在り。大海波濤涌き、小人方寸深し。」拄杖を拈起して言った。「お前等諸人、未だ箇の入頭を得ず、須らく箇の入頭を得べし。既に箇の入頭を得れば、須らく出身の一路有りて始めて得べし。大衆、且つ作麼生にか是れ出身の一路。」良久して言った。「雪は圧すと雖も㵎底の松を摧き難く、風は吹くと雖も天辺の月を動かさず。」拄杖を卓し、座を下りた。上堂。「万機到らずして、眼は色を見、耳は声を聞く。一句堂に当り、頭は天を戴き、脚は地を踏む。お前諸人は只だ今日の是れ五月初一を知るのみ、殊に知らず金烏は半夜忙忙として去り、玉兔は天明に海東に上る。」拂子を以て禅床を撃ち、座を下りた。上堂。「明白に悟無し。法有れば即ち迷う。諸人此の裏に向って立つを得ず、諸人此の裏に向って住するを得ず。若し立たば則ち危し、若し住せば則ち瞎す。直に須らく意は玄に停まらず、句は意に停まらず、用は機に停まらず。此の三者既に明らかなれば、一切の処に管帶せざるを須とせず、自然に現前し、照顧せざるを須とせず、自然に明白す。然りと雖も是の如し、更に須らく向上の事有るを知るべし。久雨晴れず。咄。」上堂。「一葉落ちて天下秋。千里の目を窮めんと欲せば、更に一层の楼に上れ。一塵起こりて大地収まる。嘉州は大像を打ち、陝府は鉄牛を灌ぐ。明眼の漢合して作麼生せん。」良久して言った。「久旱の檐頭の句、橋は流れ水は流れず。」拄杖を卓し、座を下りた。上堂。「見見の時、見は是れ見に非ず。見はなお見を離れ、見は及ぶ能わず。落華は意有りて流水に随う。

流水無情戀落華。諸可還者。自然非汝。不汝還者。非汝而誰。長恨春歸無覓處。不知轉入此中來。喝一喝曰。三十年後。莫道能仁教壞人家男女。上堂。僧問。如何是祖師西來意。師曰。東家點燈。西家暗坐。曰。未審意旨如何。師曰。馬便搭鞍。驢便推磨。僧禮拜。師曰。靈利衲僧。祇消一箇。遂曰。馬搭鞍。驢推磨。靈利衲僧。祇消一箇。縱使東家明點燈。未必西家暗中坐。西來意旨問如何。多口阿師自招禍。僧問。如何是第一義。師曰。你問底是第二義。問。狗子還有佛性也無。趙州道無。意旨如何。師曰。一度著虵齩。怕見斷井索。問。鷰子深談實相。善說法要。此理如何。師曰。不及鴈銜蘆。問。如何是佛。師曰。華陽洞口石烏龜。問。魯祖面壁。意旨如何。師曰。金木水火土。羅睺計都星。問。有句無句。如藤倚樹時如何。師曰。作賊人心虗。曰。國師三喚侍者。又作麼生。師曰。打皷弄猢猻。皷破猢猻走。丙寅七月十八日。召法屬.長老.宗範付後事。次日沐浴。聲鐘集眾。就座。泊然而逝。茶毗日。送者均獲設利。奉靈骨塔於皷山。

「流水は情無くして落華に恋う。諸の還る可き者は、自然に汝に非ず。汝に還らざる者は、汝に非ずして誰ぞ。長く恨む春帰りて覓る処無きを、知らず転じて此の中に入り来る。」一喝して言った。「三十年の後、道う莫れ能仁が人家の男女を教え壊ると。」上堂。僧が問うた。「如何なるか是れ祖師西来の意。」師は言った。「東家は灯を点じ、西家は暗坐す。」言った。「いまだ審らかならず意旨如何。」師は言った。「馬は便ち鞍を搭し、驢は便ち磨を推す。」僧礼拝す。師は言った。「霊利の衲僧、只だ消す一個。」遂に言った。「馬は鞍を搭し、驢は磨を推す。霊利の衲僧、只だ消す一個。縦使い東家明らかに灯を点ずとも、未だ必ずしも西家暗中に坐せず。西来の意旨如何と問えば、多口の阿師自ら禍を招く。」僧が問うた。「如何なるか是れ第一義。」師は言った。「お前の問う底は是れ第二義。」問うた。「狗子に還って仏性有るや無しや。趙州道う無。意旨如何。」師は言った。「一度虵に齩まれて、断井の索を見るを怕れず。」問うた。「鷰子深く実相を談じ、善く法要を説く。此の理如何。」師は言った。「鴈の蘆を銜むに及ばず。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「華陽洞口の石烏亀。」問うた。「魯祖面壁す、意旨如何。」師は言った。「金木水火土、羅睺計都星。」問うた。「有句無句、藤の樹に倚るが如き時は如何。」師は言った。「賊を作す人の心虗し。」言った。「国師の侍者を三喚する、又た作麼生。」師は言った。「皷を打ちて猢猻を弄す、皷破れて猢猻走る。」丙寅七月十八日、法属・長老・宗范を召して後事を付す。次日沐浴し、鐘を声し衆を集め、座に就きて、泊然として逝った。茶毘の日、送る者均しく設利を獲た。霊骨を奉じて皷山に塔す。

南康軍雲居高庵善悟禪師

南康軍雲居高庵善悟禅師

洋州李氏子。年十一去家。業經得度。有夙慧。聞沖禪師舉武帝問達磨因緣。如獲舊物。遽曰。我既廓然。何聖之有。沖異其語。勉之南詢。蒙授記於龍門。一日。有僧被虵傷足。佛眼問曰。既是龍門。為甚麼卻被虵齩。師即應曰。果然現大人相。眼益器之。後傳此語到昭覺。圓悟雲。龍門有此僧耶。東山法道未寂寥爾。住後。上堂。少林面壁。懷藏東土西天。歐阜陞堂。充塞四維上下。致使山巍巍而砥掌平。水昏昏而常自清。華非豔而結空果。風不搖而片葉零。人無法而得諮問。佛無心而更可成。野蔬淡飯延時日。任運隨緣道自靈。畢竟如何。日午打三更。

洋州の李氏の子である。年十一にして家を去り、経を業して度を得た。夙慧有り。沖禅師が武帝の達磨に問うの因縁を挙ぐるを聞き、旧物を獲るが如し。遽かに言った。「我既に廓然たり、何の聖か之れ有らん。」沖其の語を異とし、之を勉めて南に詢えしむ。竜門に於て授記を蒙った。一日、僧の虵に足を傷られし者有り。仏眼問うた。「既に是れ竜門、什麼が為にか却って虵に齩まる。」師即ち応えて言った。「果然として大人相を現ず。」眼益々之を器とした。後に此の語を伝えて昭覚に到る。円悟云く、「竜門に此の僧有るや。東山法道未だ寂寥ならず。」住して後、上堂。「少林壁を面して、蔵を懐きて東土西天。甌阜堂に升りて、四维上下に充塞す。致して山巍巍として砥掌平らかに、水昏昏として常に自ら清く、華艶に非ずして空果を結び、風揺れずして片葉零れん。人法無くして咨問を得、仏心無くして更に成る可し。野蔬淡飯時日を延し、運に任り縁に随いて道自ら霊なり。畢竟に如何。日午に三更を打つ。」

遂寧府西禪文璉禪師

遂寧府西禅文璉禅師

郡之張氏子。上堂。一向恁麼去。直得凡聖路絕。水洩不通。鐵虵鑽不入。鐵鎚打不破。至於千里萬裡。鳥飛不度。一向恁麼來。未免灰頭土面。帶水拖泥。唱九作十。指鹿為馬。非唯孤負先聖。亦乃埋沒己靈。敢問大眾。且道恁麼去底是。恁麼來底是。芍藥華開菩薩面。椶櫚葉散夜叉頭。上堂。諸方浩浩談玄。每日撞鐘打皷。西禪無法可說。勘破燈籠露柱。門前不置下馬臺。免被傍人來借路。若借路。須照顧。腳下若參差。邯鄲學唐步。上堂。心生種種法生。森羅萬像縱橫。信手拈來便用。日輪午後三更。心滅種種法滅。四句百非路絕。直饒達磨出頭。也是眼中著屑。心生心滅是誰。木人𢹂手同歸。歸到故鄉田地。猶遭頂上一鎚。上堂。正月孟春猶寒。直下言端語端。拈起衲僧鼻孔。穿開祖佛心肝。知有者。達磨不來東土。二祖不往西天。不知有者。誰知當面蹉過。迢迢十萬八千。山僧為你重說偈言。大眾。莫教孤負。孟春猶寒。僧問。師子未出窟時如何。師曰。爪牙已露。曰。出窟後如何。師曰。龍頭虵尾。曰。出與未出時如何。師曰。正好吃棒。問。以一重去一重即不問。不以一重去一重時如何。師曰。闍黎有許多工夫。

郡の張氏の子である。上堂。「一向に恁麼に去れば、直ちに凡聖の路絶え、水泄れて通ぜず、鉄虵は鑚み入らず、鉄鎚は打ちて破れず、千里万里に至りて、鳥飛びて度らず。一向に恁麼に来れば、未だ免れず灰頭土面、水を帯び泥を拖び、九を唱えて十と作し、鹿を指して馬と為す。唯だ先聖を孤負するに非ず、亦た乃ち己霊を埋没す。敢て大衆に問う、且く道え恁麼に去る底は是れか、恁麼に来る底は是れか。芍薬華は開けて菩薩の面、椶櫚の葉は散じて夜叉の頭。」上堂。「諸方浩浩として玄を談じ、每日鐘を撞き皷を打つ。西禅は説く可き法無し、勘破する灯籠・露柱。門前に下馬台を置かず、傍人の路を借るに被るを免れん。若し路を借らば、須らく照顧すべし。脚下若し参差せば、邯鄲は唐歩を学ぶ。」上堂。「心生れば種種の法生じ、森羅万像縦横す。信手拈来して便ち用う、日輪午後三更なり。心滅すれば種種の法滅し、四句百非の路絶ゆ。直饒達磨頭を出ずるとも、も是れ眼中に屑を着けるなり。心生・心滅は是れ誰ぞ。木人は𢹂手して同じく帰す。帰りて故郷の田地に到れども、なお頂上の一鎚に遭う。」上堂。「正月孟春なお寒し。直下に言端・語端。衲僧の鼻孔を拈起し、祖仏の心肝を穿開す。有を知る者は、達磨東土に来らず、二祖西天に往かず。有を知らざる者は、誰か知らん当面蹉過するを、迢迢十万八千。山僧お前の為に重ねて偈言を説かん。大衆、孤負せしむる莫れ。孟春なお寒し。」僧が問うた。「師子未だ窟を出でざる時は如何。」師は言った。「爪牙已に露わる。」言った。「窟を出でたる後は如何。」師は言った。「竜頭虵尾。」言った。「出づると未だ出でざるの時は如何。」師は言った。「正に好く棒を喫う。」問うた。「一重を以て一重を去れば即ち問わず、一重を以て一重を去らざる時は如何。」師は言った。「闍黎は許多の工夫有り。」

隆興府黃龍牧庵法忠禪師

隆興府黄竜牧庵法忠禅師

四明姚氏子。十九試經得度。習臺教。悟一心三觀之旨。未能泯跡。徧參名宿。至龍門觀水磨旋轉。發明心要。乃述偈曰。轉大法輪。目前包裹。更問如何。水推石磨。呈佛眼。眼曰。其中事作麼生。師曰。㵎下水長流。眼曰。我有末後一句。待分付汝。師即掩耳而去。後至廬山。於同安枯樹中。絕食清坐。宣和間湘潭大旱。禱而不應。師躍入龍淵。呼曰。業畜。當雨一尺。雨隨至。居南嶽。每跨虎出遊。儒釋望塵而拜。住後。上堂。張公吃酒李公醉。子細思量不思議。李公醉醒問張公。恰使張公無好氣。無好氣。不如歸家且打睡。上堂。今朝正月半。有事為君斷。切忌兩眼睛。被他燈火換。上堂。我有一句子。不借諸聖口。不動自己舌。非聲氣呼吸。非情識分別。假使淨名杜口於毗耶。釋迦掩室於摩竭。大似掩耳偷鈴。未免天機漏洩。直饒德山入門便棒。臨濟入門便喝。若向牧庵門下檢點將來。祇得一橛。千種言。萬般說。祇要教君自家歇。一任大地虗空。七凹八凸。僧問。如何是佛。師曰。莫向外邊覓。曰。如何是心。師曰。莫向外邊尋。曰。如何是道。師曰。莫向外邊討。曰。如何是禪。師曰。莫向外邊傳。曰。畢竟如何。師曰。靜處薩婆訶。問。大眾臨筵。請師舉唱。師竪起拂子。僧曰。乞師再垂方便。師擊禪床一下。後示寂。塔於香原洞。

四明の姚氏の子である。十九にして経を試て度を得た。台教を習い、一心三観の旨を悟る。未だ跡を泯する能わず。遍く名宿に参じ、竜門に至りて水磨の旋転するを観て、心要を発明す。乃ち偈を述べて言った。「大法輪を転ず、目前に包裹す。更に如何と問わば、水は石磨を推す。」仏眼に呈す。眼は言った。「其の中の事作麼生。」師は言った。「㵎下の水長く流る。」眼は言った。「我に末後の一句有り、お前に分付せんを待つ。」師即ち耳を掩うて去った。後に廬山に至り、同安の枯樹中に於て、食を絶ちて清坐す。宣和間、湘潭大いに旱し。祷るも応えず。師は竜淵に躍入りて、呼んで言った。「業畜、当に雨一尺。」雨随いて至った。南岳に居り、毎に虎を跨いで出游す。儒釈塵を望みて拝す。住して後、上堂。「張公は酒を喫して李公酔う。子細に思量すれば不思議なり。李公酔い醒めて張公に問えば、恰も張公をして好気無からしむ。好気無し。家に帰りて且つ睡り打たんに如かず。」上堂。「今朝正月半ば。事有りて君の為に断ず。切に忌む両眼の睛を他の灯火に換えられんことを。」上堂。「我に一句子有り、諸聖の口を借らず、自己の舌を動かさず、声気の呼吸に非ず、情識の分別に非ず。仮使い浄名毘耶に於て口を杜ぎ、釈迦摩竭に於て室を掩うとも、大いに似たり耳を掩うて鈴を偸むに、未だ免れず天機漏泄す。直饒徳山門に入れば便ち棒、臨済門に入れば便ち喝なりとも、若し牧庵門下に向って検点して将来せば、只だ一橛を得るのみ。千種の言、万般の説、只だ要するは君自家に歇むを教えんとす。一任する大地虗空、七凹八凸。」僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「外辺に向って覓る莫れ。」言った。「如何なるか是れ心。」師は言った。「外辺に向って尋ぬる莫れ。」言った。「如何なるか是れ道。」師は言った。「外辺に向って討る莫れ。」言った。「如何なるか是れ禅。」師は言った。「外辺に向って伝うる莫れ。」言った。「畢竟に如何。」師は言った。「静かなる処薩婆訶。」問うた。「大衆筵に臨む、師の挙唱を請う。」師拂子を竪てた。僧は言った。「師の再び方便を垂れんことを乞う。」師は禅床を撃ちて一下。後に示寂し、香原洞に塔す。

衢州烏巨雪堂道行禪師

衢州烏巨雪堂道行禅師

處州葉氏子。依泗州普照英禪師得度。去參佛眼。一日。聞舉玄沙築著腳指話。遂大悟。住後。上堂。會即便會。玉本無瑕。若言不會。碓觜生華。試問九年面壁。何如大會拈華。南明恁麼商確。也是順風撒沙。參。上堂。雲籠嶽頂。百鳥無聲。月隱寒潭。龍珠自耀。正當恁麼時。直得石梁忽然大悟。石洞頓爾心休。虗空開口作證。溪北石僧點頭。諸人總在這裡瞌睡。笑殺陝府鐵牛。上堂。佛說三乘十二分。頓漸偏圓。痴人面前。不得說夢。祖師西來。直指人心。見性成佛。痴人面前。不得說夢。臨濟三玄。雲門三句。洞山五位。痴人面前。不得說夢。南明恁麼道。還免得遭人檢責也無。所以古人道。石人機似汝。也解唱巴歌。汝若似石人。雪曲也應和。還有和雪曲底麼。若有。喚來與老僧洗腳。上堂。通身是口。說得一半。通身是眼。用得一橛。用不到處說有餘。說不到處用無盡。所以道。當用無說。當說無用。用說同時。用說不同時。諸人若也擬議。西峰在你腳底。到國清。眾請上堂。句亦剗。意亦剗。絕毫絕𣯛處。如山如嶽。句亦到。意亦到。如山如嶽處。絕毫絕𣯛。忽若拶通一線。意句俱到俱不到。俱剗俱不剗。直得三句外絕牢籠。六句外無標的。正當恁麼時。一句作麼生道。傾蓋同途不同轍。相將𢹂手上高臺。上堂。舉。趙州示眾雲。老僧除卻二時齋粥。是雜用心處。師曰。今朝六月旦。行者擊皷。長老陞堂。你諸人總來這裡雜用心。上堂。舉。僧問雲門。如何是驚人句。門曰。響。師曰。雲門答這僧話。不得便休。卻皷粥飯氣。以當平生。上堂。黃梅雨。麥秋寒。恁麼會。太無端。時節因緣佛性義。大都須是髑髏乾。示眾。舉。璣和尚問僧。禪以何為義。眾下語皆不契理。僧請益璣。璣代雲。以謗為義。師曰。三世諸佛是謗。西天二十八祖是謗。唐土六祖是謗。天下老和尚是謗。

処州の葉氏の子である。泗州普照英禅師に依りて度を得た。去りて仏眼に参ず。一日、玄沙の脚指を築着するの話を挙ぐるを聞き、遂に大悟した。住して後、上堂。「会すれば便ち会す、玉は本より瑕無し。若し会せずと言わば、碓觜に華を生ず。試しに問う九年の面壁、何れにか如かん大会の拈華に。南明恁麼に商確す、も是れ順風に沙を撒くなり。参。」上堂。「雲は岳頂を籠め、百鳥声無し。月は寒潭に隠れ、竜珠自ら耀やく。正に恁麼の時に当りて、直ちに石梁は忽然として大悟し、石洞は頓爾として心休むを得る。虗空は口を開きて証を作り、谿北の石僧は頭を点く。諸人総て此の裏に在りて瞌睡す、陝府の鉄牛を笑殺す。」上堂。「仏は三乗十二分を説く、頓漸偏円。痴人の面前、夢を説くを得ず。祖師西来、直に人の心を指して、性を見て仏と成る。痴人の面前、夢を説くを得ず。臨済の三玄、雲門の三句、洞山の五位。痴人の面前、夢を説くを得ず。南明恁麼に道う、還って人の検責に遭うを免れ得るや無しや。所以に古人道う、石人の機はお前に似たり、も巴歌を唱うを解す。お前若し石人に似たらば、雪曲も亦た応に和すべし。還って雪曲に和する底有るか。若し有らば、喚び来りて老僧に脚を洗わしめよ。」上堂。「通身是れ口なり、説き得るは一半。通身是れ眼なり、用い得るは一橛。用の到らざる処は説に余り有り、説の到らざる処は用に尽きる無し。所以に道う、当に用うべし説無く、当に説くべし用無し。用説同時、用説同時ならず。諸人若しも擬議せば、西峰はお前の脚底に在り。」国清に到り、衆は上堂を請う。句も亦た剗し、意も亦た剗し。毫を絶ち𣯛を絶つ処、山の如く岳の如し。句も亦た到り、意も亦た到る。山の如く岳の如き処、毫を絶ち𣯛を絶つ。忽ち若し一線を拶通せば、意句倶に到り倶に到らず、倶に剗し倶に剗せず。直ちに三句の外に牢籠を絶ち、六句の外に標的無きを得る。正に恁麼の時に当りて、一句作麼生にか道わん。蓋を傾けて途は同じく轍は同じからず、相い将って𢹂手して高台に上る。上堂。挙ぐ、趙州衆に示す、老僧二時の斎粥を除却すれば、是れ雑用心の処。師は言った。「今朝六月の旦、行者皷を撃ち、長老堂に升る。お前諸人は総て此の裏に来りて雑用心す。」上堂。挙ぐ、僧が雲門に問う、如何なるか是れ人を驚かす句。門は言った、響。師は言った。「雲門此の僧の話に答う、便ち休むを得ず、却って粥飯の気を皷して、以て平生に当つ。」上堂。「黄梅の雨、麦秋の寒。恁麼に会せば、太だ端無し。時節因縁仏性の義、大都須らく是れ髑髏乾なり。」衆に示す。挙ぐ、璣和尚が僧に問う、禅は何を以て義と為す。衆語を下すも皆な理に契わず。僧璣に益を請う。璣代わって云く、謗を以て義と為す。師は言った。「三世諸仏は是れ謗、西天二十八祖は是れ謗、唐土六祖は是れ謗、天下の老和尚は是れ謗。

諸人是謗。山僧是謗。於中還有不謗者也無。談玄說妙河沙數。爭似雙峰謗得親。師示疾。門弟子教授汪公喬年至。省候。師以後事委之。示以偈曰。識則識自本心。見則見自本性。識得本心本性。正是宗門大病。註曰。爛泥中有刺。莫道不疑好。黎明沐浴更服。加趺而逝。闍維五色設利。煙所至處纍然。齒舌不壞。塔於寺之西。

諸人は是れ謗、山僧は是れ謗。此の中に還って謗せざる者有るや無しや。玄を談じ妙を説くこと河沙の数、争うか似たらん双峰の謗するや親しきに。師疾を示し、門弟子の教授汪公喬年至り、省候す。師は後事を之に委ね、偈を以て示して言った。「識れば則ち自ら本心を識り、見れば則ち自ら本性を見る。本心・本性を識得するは、正に是れ宗門の大病。」注して言った、「爛泥中に刺有り、疑わずと道う莫れ好し。」黎明沐浴して服を更え、趺を加えて逝った。闍維して五色の設利、烟の至る所累然たり。歯・舌壊れず。寺の西に塔す。

撫州白楊法順禪師

撫州白楊法順禅師

綿州文氏子。依止佛眼。聞普說。舉。傅大士心王銘雲。水中鹽味。色裡膠青。決定是有。不見其形。師於言下有省。後觀寶藏迅轉。頓明大法。趨丈室作禮。呈偈曰。頂有異峰雲冉冉。源無別派水泠泠。遊山未到山窮處。終被青山礙眼睛。眼笑而可之。住後。上堂。好事堆堆疊疊來。不須造作與安排。落林黃葉水推去。橫谷白雲風捲回。寒鴈一聲情念斷。霜鐘才動我山摧。白楊更有過人處。盡夜寒爐撥死灰。忽有箇衲僧出來道。長老少賣弄。得恁麼窮乞相。山僧祇向他道。卻被你道著。上堂。我手何似佛手。天上南星北斗。我腳何似驢腳。往事都來忘卻。人人盡有生緣。箇箇足方頂圓。大愚灘頭立處。孤月影射深灣。會不得。見還難。一曲漁歌過遠灘。示眾。染緣易就。道業難成。不了目前。萬緣差別。祇見境風浩浩。凋殘功德之林。心火炎炎。燒盡菩提之樹。道念若同情念。成佛多時。為眾一似為己。彼此事辦。不見他非我是。自然上敬下恭。佛法時時現前。煩惱塵塵解脫。上堂。鷄啼曉月。狗吠枯樁。只可默會。難入思量。看不見處。動地放光。說不到處。天地玄黃。撫城尺六狀紙。元來出在清江。大眾。分明話出人難見。昨夜三更月到窻。上堂。風吹茆茨屋脊漏。雨打闍黎眼睛濕。恁麼分明卻不知。卻來這裡低頭立(時紹燈上座聞之。有省。後住婺之廣教)。因病示眾。久病未甞推木枕。人來多是問如何。山僧據問隨緣對。窻外黃鸝口更多。只如七尺之軀甚處受病。眾中具眼者。試為山僧指出病源。眾下語。皆不契。師自拊掌一下。作嘔吐聲。又云。好箇木枕子。師律身清苦。出入唯杖笠獨行。後示寂。闍維收舍利。目睛齒舌數珠。同靈骨塔於寺西。

綿州の文氏の子である。依止して仏眼に仕え、普説を聞く。挙ぐ、傅大士の心王銘に云く、水中の塩味、色裏の膠青。決定して是れ有れども、其の形を見ず。師言下に於て省有り。後に宝蔵の迅転するを観て、頓に大法を明す。丈室に趨りて礼を作し、偈を呈して言った。「頂に異峰有り雲冉冉、源に別派無し水泠泠。山を游びて山の窮処に至らざれば、終に青山に眼睛を碍げられん。」眼笑いて之を可とした。住して後、上堂。「好事堆堆として叠叠来る、造作与えに安排するを須とせず。林に落つる黄葉は水推して去り、谷を横ぎる白雲は風巻きて回る。寒鴈一声にして情念断え、霜鐘纔かに動けば我が山摧く。白楊は更に人を過ぐる処有り、尽夜寒炉に死灰を撥く。忽ち箇の衲僧出で来りて道う有らん、長老少々売弄す、恁麼の窮乞相を得る。山僧只だ他に向って道わん、却ってお前に道著せらる。」上堂。「我が手は何ぞ似たる仏手に、天上の南星・北斗。我が脚は何ぞ似たる驢脚に、往事都来忘却せり。人人尽く生縁有り、箇箇足方く頂円なり。大愚の灘頭の立つ処、孤月の影は深湾に射す。会せずば、見るも還って難し。一曲の漁歌遠灘を過ぐ。」衆に示す。「縁を染むるは易く就き、道業は成り難し。目前を了せざれば、万縁差別す。只だ見る境風浩浩として、功徳の林を凋残し、心火炎炎として、菩提の樹を焼尽す。道念若し情念に同じからば、仏と成ること多き時なり。衆の為ること一に己が為るに似たれば、彼此事弁す。他の非我が是を見ざれば、自然に上敬い下恭う。仏法時時に現前し、煩悩塵塵解脱す。」上堂。「鶏は暁月に啼き、狗は枯桩に吠ゆ。只だ黙会す可し、思量に入り難し。看て見えざる処、地を動かして光を放つ。説きて到らざる処、天地玄黄。撫城の尺六の状紙、元来清江に出づ。大衆、分明に話出づれど人見る難し、昨夜三・更に月は窻に到る。」上堂。「風は茆茨を吹き屋脊漏れ、雨は闍黎を打ち眼睛湿る。恁麼に分明なれど知らず、却って此の裏に来りて頭を低うして立つ。(時に紹灯上座之を聞きて省有り、後に婺の広教に住す。)病に因りて衆に示す。「久き病み未だ甞て木枕を推さず、人来る多く是れ如何と問う。山僧問うに拠りて縁に随いて対う、窻外の黄鸝口更に多し。只だ如く七尺の躯、甚の処か病みを受くる。衆中に眼を具する者、試しに山僧の為に病源を指出せよ。」衆語を下す、皆な契わず。師自ら掌を拊して一下し、嘔吐の声を作し、又た云く、「好個の木枕子。」師身を律すること清苦にして、出入には唯だ杖笠独り行く。後に示寂し、闍維して舍利を収む。目睛・歯舌・数珠、霊骨と同じく寺の西に塔す。

南康軍雲居法如禪師

南康軍雲居法如禅師

丹丘胡氏子。依護國瑞禪師。祝髮登具。徧參淛右諸宗匠。晚至龍門。以平日所證白佛眼。眼曰。此皆學解。非究竟事。欲了生死。當求妙悟。師駭然諦信。一日。命主香積。以道業未辦。固辭。眼勉曰。姑就職其中。大有人為汝說法。未幾。晨興開廚門。望見聖僧。契所未證。即白佛眼。眼曰。這裡還見聖僧麼。師詣前問訊。叉手而立。眼曰。向汝道大有人為汝說法。住後。上堂。一法若有。毗盧墮在凡夫。萬法若無。普賢失其境界。向這裡有無俱遣。得失兩亡。直得十方諸佛不見。諸人且道。十二時中向甚麼處安身立命。披蓑側立千峰外。引水澆蔬五老前。上堂。乾坤之內。宇宙之間。中有一寶。秘在形山。雲居又且不然。乾坤之內。宇宙之間。中有一寶。擲下拄杖雲。大眾也須識取。

丹丘の胡氏の子である。護国の瑞禅師に依り、髪を祝して具に登る。遍く淛右の諸宗匠に参じ、晩に竜門に至る。平日の証する所を以て仏眼に白す。眼は言った。「此れ皆な学解、究竟の事に非ず。生死を了せんと欲せば、当に妙悟を求むべし。」師駭然として諦かに信ず。一日、香積を主るを命ぜらる。道業未だ弁ぜざるを以て固く辞す。眼勉めて言った。「姑く其の中に職に就け。大いに人のお前の為に法を説く有らん。」未几、晨に興りて厨門を開き、聖僧を望見して、未だ証せざる所を契う。即ち仏眼に白す。眼は言った。「此の裏に還って聖僧を見るか。」師は前に詣りて問訊し、叉手して立つ。眼は言った。「お前に向って道う、大いに人のお前の為に法を説く有り。」住して後、上堂。「一法若し有れば、毘盧凡夫に堕在し、万法若し無ければ、普賢其の境界を失う。此の裏に向って有無倶に遣り、得失両らに亡ぶ。直ちに十方諸仏見えざるを得る。諸人且く道え、十二時中什麼の処に向って安身立命する。蓑を披きて側らに千峰の外に立ち、水を引きて蔬を澆ぐ五老の前。」上堂。「乾坤の内、宇宙の間、中に一宝有り、形山に秘め在り。雲居又た且つ然らず。乾坤の内、宇宙の間、中に一宝有り。」拄杖を擲ち下して云く、「大衆も須らく識取すべし。」

南康軍歸宗真牧正賢禪師

南康軍帰宗真牧正賢禅師

潼川陳氏子。世為名儒。幼從三聖海澄為苾蒭。具滿分戒。遊成都。依大慈秀公習經論。凡典籍過目成誦。義亦頓曉。秀稱為經藏子。出蜀謁諸尊宿。後扣佛眼。一日入室。眼舉殷勤抱得旃檀樹。語聲未絕。師頓悟。眼曰。經藏子漏逗了也。自是與師商確淵奧。亹亹無盡。眼稱善。因手書真牧二字授之。紹興己巳。歸宗虗席。郡侯以禮請。堅臥不應。寶文李公懋甞問道於師。同屬官強之。乃就。上堂。且第一句如何道。汝等若向世界未成時.父母未生時.佛未出世時.祖師未西來時道得。已是第二句。且第一句如何道。直饒你十成道得。未免左之右之。卓拄杖。下座。上堂。良久召大眾曰。作麼生。若也擬議。賢上座謾你諸人去也。打地和尚。瞋他秘魔巖主擎箇叉兒。胡說亂道。遂將一摑成虀粉。散在十方世界。還知麼。舉拂子曰。而今卻在拂子頭上。說一切智智清淨無二。無二分無別無斷故。還聞麼。閻老子知得。乃曰。賢上座。你若相當去。不妨奇特。或不相當。總在我手裡。祇向他道。閻老子你也退步。摸索鼻孔看。擊禪床。下座。僧問。久默斯要。已洩真機。學人上來。請師開示。師曰。耳朵在甚麼處。曰。一句分明該萬象。師曰。分明底事作麼生。曰。臺星照臨。枯木回春。師曰。換卻你眼睛。

潼川の陳氏の子である。世は名儒と為る。幼にして三聖の海澄に従いて苾蒭と為り、具は分戒を満つ。成都に游び、大慈の秀公に依りて経論を習う。凡そ典籍目を過ぎれば成誦し、義も亦た頓に暁る。秀は称して経蔵子と為す。蜀を出でて諸の尊宿に謁す。後に仏眼を扣いた。一日室に入り、眼挙げて、殷勤に旃檀樹を抱得す、語声未だ絶えざるに、師頓悟した。眼は言った。「経蔵子漏逗了れり。」自ら是れ師と淵奥を商確し、亹亹として尽きず。眼は善を称し、因りて手ずから真牧の二字を書して之に授く。紹興己巳、帰宗席を虗くす。郡侯礼を以て請う。堅く臥して応ぜず。宝文の李公懋は甞て道を師に問い、属官同じく之を強う。乃ち就いた。上堂。「且く第一句は如何にか道わん。お前等若し世界未だ成らざる時・父母未だ生ぜざる時・仏未だ世に出でざる時・祖師未だ西来せざる時に道得せば、已に是れ第二句。且く第一句は如何にか道わん。直饒お前十成に道得すとも、未だ免れず之を左にし之を右にす。」拄杖を卓し、座を下りた。上堂。良久して大衆を召して言った。「作麼生。若しも擬議せば、賢上座はお前諸人を谩り去るなり。地を打つ和尚、他の秘魔巌主が箇の叉児を擎ぐるを瞋りて、胡説乱道す。遂に一掴を将て虀粉と成し、十方世界に散ぜん。還って知るか。」拂子を挙げて言った。「而今却って拂子頭上に在りて、一切智清浄無二無二分無別無断の故と説くを説く。還って聞くか。閻老子知得せり。乃ち言った。「賢上座、お前若し相当に去らば、妨げず奇特なり。或いは相当せざれば、総て我が手裏に在り。只だ他に向って道わん、閻老子お前も亦た歩を退きて、鼻孔を摸索して看よ。」禅床を撃ち、座を下りた。僧が問うた。「久しく斯の要を黙す、已に真機を泄す。学人上来す、師の開示を請う。」師は言った。「耳朵は什麼の処に在る。」言った。「一句分明に万象を該す。」師は言った。「分明の底事は作麼生。」言った。「台星照臨し、枯木春に回る。」師は言った。「お前の眼睛を換却す。」

安吉州道場正堂明辯禪師

安吉州道場正堂明辯禅師

本郡俞氏子。幼事報本蘊禪師。圓顱受具後。謁諸名宿。至西京少林。聞僧舉佛眼以古詩發明罽賓王斬師子尊者話。曰。楊子江頭楊柳春。楊華愁殺渡江人。一聲羗笛離亭晚。君向瀟湘我向秦。師默有所契。即趨龍門。求入室。佛眼問。從上祖師方冊因緣。許你會得。忽舉拳曰。這箇因何喚作拳。師擬對。眼築其口曰。不得作道理。於是頓去知見。住後。上堂。猛虎口邊拾得。毒虵頭上安排。更不釘樁搖艣。回頭別有生涯。婆子被我勘破了。大悲院裡有村齋。上堂。淨五眼。湧金春色晚。得五力。吹落碧桃華。唯證乃知難可測。卓拄杖曰。一片何人得。流經十萬家。上堂。三祖道。但莫憎愛。洞然明白。當時老僧若見。便與一摑。且道是憎邪是愛邪。近來經界稍嚴。不許詭名挾佃。解夏。上堂。十五日已前不得去。少林隻履無藏處。十五日已後不得住。桂子天香和雨露。正當十五日。又且如何。阿呵呵。風流不在著衣多。上堂。舉。僧問投子。大死底人卻活時如何。子曰。不許夜行。投明須到。師曰。我疑千年蒼玉精。化為一片秋水骨。海神欲護護不得。一旦鰲頭忽擎出。上堂。華開隴上。柳綻堤邊。黃鸎調叔夜之琴。芳草入謝公之句。何必聞聲悟道。見色明心。非唯水上覓漚。已是眼中著屑。擘開胸曰。汝等當觀吾紫磨金色之身。今日則有。明日則無。大似無風起浪。全不知羞。且道今日事作麼生。好箇迷逢達磨。不知誰解承當。僧問。如何是佛。師乃鳴指三下。問。語默涉離微。如何通不犯。師曰。橫身三界外。獨脫萬機前。曰。祇如風穴道。長憶江南三月裡。鷓鴣啼處百華香。又作麼生。師曰。說這箇不唧𠺕漢作麼。曰。嫰竹搖金風細細。百華鋪地日遲遲。師曰。你向甚麼處見風穴。曰。眼裡耳裡絕瀟灑。師曰。料掉無交涉。問。蓮華未出水時如何。師曰。未過冬至莫道寒。曰。出水後如何。

本郡の兪氏の子である。幼にして報本の蕰禅師に事え、円顱受具の後、諸の名宿に謁す。西京少林に至り、僧の挙ぐる仏眼が古詩を以て罽賓王の師子尊者を斬るの話を発明せしを聞く、説く、楊子江頭楊柳の春、楊華愁い殺す渡江の人、一声の羗笛離亭の晩、君は瀟湘に向い我は秦に向かう。師黙然として契う所有り。即ち竜門に趨り、室に入らんことを求む。仏眼問うた、「従上祖師の方册の因縁、お前を会得するを許す。忽ち拳を挙げて言った、「此の箇は因りて何ぞ拳と喚ばれる。」師対を擬した。眼其の口を築きて言った。「道理を作すを得ず。」是に於て頓に知見を去った。住して後、上堂。「猛虎の口辺に拾得し、毒虵の頭上に安排す。更に桩を釘り艣を揺せず、頭を回らせば別に生涯有り。婆子は我に勘破せられたり、大非院裏に村斎有り。」上堂。「五眼を浄うすれば、金を涌かす春色晩なり。五力を得れば、碧桃の華を吹落す。唯だ証して乃ち知る、測り難し。」拄杖を卓して言った。「一片何人か得る、流れ経ること十万家。」上堂。「三祖道う、但だ憎愛する莫れ、洞然として明白なり。当時老僧若し見れば、便ち一掴を与えん。且く道え是れ憎なるか是れ愛なるか。近来経界稍く厳にして、詭名挟佃を許さず。」解夏。上堂。「十五日已前は去るを得ず、少林の只履蔵むる処無し。十五日已後は住するを得ず、桂子天香に雨露を和す。正に十五日に当りて、又た且く如何。阿呵呵。風流は衣を着ること多きに在らず。」上堂。挙ぐ、僧が投子に問う、大死の底の人却って活する時は如何。子は言った、夜行するを許さず、明に投じて須らく到るべし。師は言った。「我疑う千年の蒼玉精、化して一片の秋水の骨と為る。海神護らんと欲するも護るを得ず、一旦鰲頭忽ち擎出す。」上堂。「華は隴上に開け、柳は堤辺に綻ぶ。黄鶯は叔夜の琴を調え、芳草は謝公の句に入る。何ぞ必ずしも声を聞きて道を悟り、色を見て心を明らかにせん。唯だ水上に漚を覓るに非ず、已に是れ眼中に屑を着けるなり。」胸を擘開して言った。「お前等当に吾が紫磨金色の身を観ずべし。今日は則ち有り、明日は則ち無し。大いに似たり風無くして浪を起こすに、全く羞を知らず。且く道え今日の事作麼生。好個の達磨に迷逢す、誰か承当を解するを知らん。」僧が問うた。「如何なるか是れ仏。」師乃ち指を鳴らすこと三下。問うた。「語黙は離微に渉る、如何にか通じて犯さざらん。」師は言った。「身を三界の外に横たえ、独り万機の前を脱す。」言った。「只だ如く風穴道う、長く憶う江南三月裏、鷓鴣啼く処百華香、又た作麼生。」師は言った。「此の不唧𠺕の漢を説いて作麼せん。」言った。「嫰竹は金風細々に揺れ、百華は地を鋪き日遅々たり。」師は言った。「お前は什麼の処に向って風穴を見る。」言った。「眼裏耳裏に瀟洒を絶つ。」師は言った。「料掉して交渉無し。」問うた。「蓮華未だ水を出でざる時は如何。」師は言った。「冬至を過ぎずば寒しと道う莫れ。」言った。「水を出でたる後は如何。

師曰。未過夏至莫道熱。曰。出與未出時如何。師曰。三十年後。不要錯舉。問。如何是佛。師曰。無柴猛燒火。曰。如何是法。師曰。貧做富裝裹。曰。如何是僧。師曰。賣扇老婆手遮日。曰。如何是和尚栗棘蓬。師曰。不答此話。曰。為甚麼不答。師大笑曰。吞不進。吐不出。問。如何是一喝如金剛王寶劍。師曰。古墓毒虵頭戴角。曰。如何是一喝如踞地師子。師曰。虗空笑點頭。曰。如何是一喝如探竿影草。師曰。石人拍手笑呵呵。曰。如何是一喝不作一喝用。師曰。布袋裡豬頭。曰。四喝已蒙師指示。向上還有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。鋸解秤鎚。隨聲便喝。佛眼忌拈香。龍門和尚闡提潦倒。不信佛法。滅除禪道。拶破毗盧向上關。貓兒洗面自道好。一炷沈香爐上然。換手槌𮌎空懊惱。遂搖手曰。休懊惱。以坐具搭肩上。作女人拜。曰。莫怪下房媳婦觸忤大人好。室中垂問曰。貓兒為甚麼愛捉老鼠。又曰。板鳴因甚麼狗吠。師家風嚴冷。初機多憚之。因贊達磨曰。昇元閣前懡㦬。洛陽峰畔乖張。皮髓傳成話霸。隻履無處埋藏。不是一番寒徹骨。爭得梅華撲鼻香。雪堂行一見。大稱賞曰。先師猶有此人在。只消此贊。可以坐斷天下人舌頭。由是衲子奔湊。臨終登座。拈拄杖於左邊。卓一下曰。三十二相無此相。於右邊卓一下曰。八十種好無此好。僧繇一筆畫成。誌公露出草藁。又卓一下。顧大眾曰。莫懊惱。直下承當休更討。下座歸方丈。儼然趺坐而逝。火後收靈骨設利。藏所建之塔曰僊人山。

師は言った。「夏至を過ぎずば熱しと道う莫れ。」言った。「出づると未だ出でざるの時は如何。」師は言った。「三十年の後、錯りて挙ぐるを要せず。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「柴無くして猛く火を焼く。」言った。「如何なるか是れ法。」師は言った。「貧は富を装裹す。」言った。「如何なるか是れ僧。」師は言った。「扇を売る老婆手は日を遮る。」言った。「如何なるか是れ和尚の栗棘蓬。」師は言った。「此の話に答えず。」言った。「什麼が為に答えざる。」師大笑して言った。「呑み入れず、吐き出さず。」問うた。「如何なるか是れ一喝金剛王宝剣の如し。」師は言った。「古墓の毒虵頭に角を戴く。」言った。「如何なるか是れ一喝地に踞る師子の如し。」師は言った。「虗空笑って頭を点く。」言った。「如何なるか是れ一喝探竿影草の如し。」師は言った。「石人手を拍して笑うこと呵呵。」言った。「如何なるか是れ一喝一喝の用を作さざる。」師は言った。「布袋裏の猪頭。」言った。「四喝已に師の指示を蒙る、向上に還って事有るや無しや。」師は言った。「有り。」言った。「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「秤鎚を鋸解す。」声に随いて便ち喝した。仏眼の忌に香を拈ず、言った。「竜門和尚は闡提潦倒し、仏法を信ぜず、禅道を滅除す。毘盧向上の関を拶破し、猫児は面を洗いて自ら好しと道う。一炷の沈香炉上に然り、手を換え𮌎を槌うも空しく懊悩す。」遂に手を摇って言った。「懊悩するを休めよ。」坐具を以て肩上に搭し、女人の拜を作して言った。「怪む莫れ下房の媳婦が大人に触忤するを好し。」室中に垂問す、「猫兒は什麼が為に老鼠を捉るを愛する。」又た言った、「板鳴るに因りて什麼が狗吠ゆる。」師の家風厳冷にして、初機多く之を憚る。因りて達磨を賛して言った。「升元閣前に懡㦬し、洛陽峰畔に乖張す。皮髄伝わりて話霸と成り、只履蔵埋する処無し。是れ一番の寒さ骨を徹するに非ざれば、争うか得ん梅華の鼻を撲つの香。」雪堂行一たび見て、大いに称賞して言った。「先師なお此の人有り。只だ消す此の賛、以て天下人の舌頭を坐断す可し。」是に由りて衲子奔凑す。終に臨みて座に登り、拄杖を拈じて左辺に於て、一下卓して言った。「三十二相に此の相無し。」右辺に於て一下卓して言った。「八十種好に此の好無し。僧繇の一笔画きて成り、志公草藁を露出す。」又た一下卓し、大衆を顧みて言った。「懊悩する莫れ。直下に承当して更に討るを休めよ。」座を下りて方丈に帰り、儼然として趺坐して逝った。火後に霊骨・設利を収め、建つる所の塔に蔵し、僊人山と曰う。

潭州方廣深禪師

潭州方広深禅師

僧問。一法若有。毗盧墮在凡夫。萬法若無。普賢失其境界。未審意旨如何。師曰。富嫌千口少。貧恨一身多。

僧が問うた。「一法若し有れば毘盧凡夫に堕在し、万法若し無ければ普賢其の境界を失う。いまだ審らかならず意旨如何。」師は言った。「富は千口の少きを嫌い、貧は一身の多きを恨む。」

世奇首座者

世奇首座

成都人也。徧依師席。晚造龍門。一日燕坐。瞌睡間群蛙忽鳴。誤聽為淨髮版響。亟趨往。有曉之者曰。蛙鳴非版也。師恍然。詣方丈剖露。佛眼曰。豈不見羅睺羅。師遽止曰。和尚不必舉。待去自看。未幾有省。乃占偈曰。夢中聞版響。覺後蝦蟇啼。蝦蟇與版響。山嶽一時齊。由是益加參究。洞臻玄奧。眼命分座。師固辭。曰。此非細事也。如金針刺眼。毫髮若差。睛則破矣。願生生居學地。而自煅煉。眼因以偈美之曰。有道只因頻退步。謙和元自慣回光。不知已在青雲上。猶更將身入眾藏。暮年。學者力請。不容辭。後因說偈曰。諸法空故我心空。我心空故諸法同。諸法我心無別體。祇在而今一念中。且道是那一念。眾罔措。師喝一喝而終。

成都の人である。遍く師席に依り、晩に竜門に造る。一日燕坐して、居睡の間に群蛙忽ち鳴く。誤って浄髪の版の響きと聴く。亟く趨り往く。これを暁る者が言う、蛙鳴は版に非ずと。師恍然として方丈に詣り剖露す。仏眼は言った。「羅睺羅を見ざるか。」師遽かに止めて言った。「和尚は挙げるに及ばず、去りて自ら看よ。」未几省有り。乃ち偈を占して言った。「夢中に版の響きを聞き、覚えし後に虾蟇啼く。虾蟇と版の響き、山岳一時に斉し。」是に由りて益々参究を加え、洞く玄奥に臻る。眼分座を命ず。師固く辞して言った。「此れ細事に非ざるなり。金針の眼を刺すが如く、毫髪若し差えば睛は則ち破れん。願わくは生生学地に居りて自ら鍛錬せん。」眼因りて偈を以て之を美して言った。「道有るは只だ頻りに歩を退くに因り、謙和は元来自ら回光に慣む。知らず已に青雲の上に在りと、猶ほ更に身を将って衆蔵に入る。」暮年に学者力めて請い、辞するを容れず。後に因りて偈を説いて言った。「諸法空なるが故に我が心空なり、我が心空なるが故に諸法同じ。諸法と我が心と別体無く、只だ而今の一念の中に在り。且く道え是れ那の一念ぞ。」衆措く罔し。師は一喝して終わった。

溫州淨居尼慧溫禪師

温州浄居尼慧温禅師

上堂。舉。法眼示眾曰。三通皷罷。簇簇上來。佛法人事。一時周畢。師曰。山僧道。三通皷罷。簇簇上來。拄杖不在。苕帚柄聊與三十。

上堂。挙ぐ、法眼衆に示す、「三通の皷罷みて、簇簇として上来す。仏法人事、一時に周畢す。」師は言った。「山僧は道う、三通の皷罷みて、簇簇として上来す。拄杖在らざれば、苕帚の柄を以て聊か三十を与えん。」

給事馮楫濟川居士

給事馮楫済川居士

自壯扣諸名宿。最後居龍門。從佛眼遠禪師。再歲。一日同遠經行法堂。偶童子趨庭。吟曰。萬象之中獨露身。遠拊公背曰。好。聻。公於是契入。紹興丁巳。除給事。會大慧禪師就明慶開堂。慧下座。公挽之曰。和尚每言於士大夫前曰。此生決不作這蟲豸。今日因甚卻納敗缺。慧曰。盡大地是箇杲上座。你向甚處見他。公擬對。慧便掌。公曰。是我招得。越月。特丐祠坐夏徑山。榜其室曰不動軒。一日。慧陞座。舉。藥山問石頭曰。三乘十二分教。某甲粗知。承聞南方直指人心。見性成佛。實未明瞭。伏望慈悲示誨。頭曰。恁麼也不得。不恁麼也不得。恁麼不恁麼總不得。你作麼生。山罔措。頭曰。子緣不在此。可往江西見馬大師去。山至馬祖處。亦如前問。祖曰。有時教伊揚眉瞬目。有時不教伊揚眉瞬目。有時教伊揚眉瞬目者是。有時教伊揚眉瞬目者不是。山大悟。慧拈罷。公隨至方丈曰。適來和尚所舉底因緣。某理會得了。慧曰。你如何會。公曰。恁麼也不得囌嚧娑婆訶。不恁麼也不得㗭唎娑婆訶。恁麼不恁麼。總不得囌嚧㗭唎娑婆訶。慧印之以偈曰。梵語唐言打成一塊。咄哉俗人。得此三昧。公後知卭州。所至宴晦無倦。甞自詠曰。公事之餘喜坐禪。少曾將脇到床眠。雖然現出宰官相。長老之名四海傳。至二十三年秋。乞休致。預報親知。期以十月三日報終。至日。令後廳置高座。見客如平時。至辰巳間。降堦望闕肅拜。請漕使攝卭事。著僧衣履。踞高座。囑諸官吏及道俗。各宜向道。扶持教門。建立法幢。遂拈拄杖按膝。蛻然而化。漕使請曰。安撫去住如此自由。何不留一頌以表罕聞。公張目。索筆書曰。初三十一。中九下七。老人言盡。龜哥眼赤。竟爾長往。建炎後名山巨剎。教藏多不存。公累以己俸印施。凡一百二十八藏。用祝君壽。以康兆民。門人蒲大聘甞誌其事。有語錄.頌古行於世。

壮いより諸の名宿を扣き、最後に竜門に居り仏眼遠禅師に従うこと再歳。一日遠と同じく法堂を経行し、偶さま童子庭を趨り、吟じて言う、万象の中独り身を露すと。遠公の背を拊して言った。「好いぞ、聻。」公是に於て契入した。紹興丁巳、給事を除す。会う大慧禅師の明慶に就きて堂を開くに。慧座を下り、公之を挽いて言った。「和尚毎に士大夫の前に於て言う、此生決して此の虫豸と作らじと。今日因甚か却って敗缺を納る。」慧は言った。「大地を尽くすは箇の杲上座なり、お前什麼の処に向ってか彼を見る。」公対を擬す。慧便ち掌す。公は言った。「是れ我が招き得たり。」月を越え、特に祠を丐り径山に坐夏す。其の室に榜して不動軒と曰う。一日慧座に升り、挙ぐ、薬山が石頭に問うて曰く、三乗十二分教は某甲粗か知る、承く聞く南方は直に人の心を指し、性を見て仏と成ると、実に未だ明了せず、伏して慈悲の示誨を望むと。頭は言った、「恁麼しても得ず、恁麼せざるも得ず、恁麼不恁麼総て得ず、お前作麼生。」山措く罔し。頭は言った、「子の縁は此に在らず、江西に往きて馬大師に見えよ。」山馬祖の処に至り、亦た前の如く問う。祖は言った、「時には伊を教えて眉を揚げ目を瞬かしめ、時には伊を教えて眉を揚げ目を瞬かしめず。時には伊を教えて眉を揚げ目を瞬かしむる者是れ、時には伊を教えて眉を揚げ目を瞬かしむる者不是れ。」山大悟した。慧拈じ罷る。公随って方丈に至りて言った。「適来和尚の挙げし所の因縁、某理会し得たり。」慧は言った。「お前如何にか会する。」公は言った。「恁麼しても得ず蘇𠰷娑婆訶、恁麼せざるも得ず㗭唎娑婆訶、恁麼不恁麼総て得ず蘇𠰷㗭唎娑婆訶。」慧之を印可して偈に言った。「梵語唐言一塊に打成す、咄なる哉俗人、此の三昧を得り。」公後に邛州を知り、所至に宴晦して倦まず。甞て自ら詠じて言った。「公事の余に坐禅を喜び、少かり曾て脇を将て床に眠らず。現に宰官の相を出すと雖も、長老の名は四海に伝わる。」二十三年秋に至り、休致を乞い、預め親知に報じ、期すらく十月三日に報終せんと。日に至り、後庁に高座を置かせ、客に見ゆること平時の如し。辰巳の間に至り、堦を降りて闕を望み粛拝し、漕使を請うて邛事を摂せしめ、僧衣履を着け、高座に踞り、諸の官吏及び道俗に嘱す、各々宜しく道に向い教門を扶持し法幢を建立すべしと。遂に拄杖を拈じ膝に按じ、蜕然として化した。漕使請うて言った、「安撫の去住此くの如く自由なる、何ぞ一頌を留めて以て罕聞を表さざる。」公目を張り、筆を索め書して言った。「初は三十一、中は九下は七、老人言尽き、亀哥眼赤し。」竟に爾り長往した。建炎後、名山巨刹の教蔵多く存せず。公累々己の俸を以て印施す、凡そ一百二十八蔵、用いて君寿を祝し以て兆民を康くす。門人の蒲大聘甞て其の事を志す。語録・頌古世に行わる。

開福寧禪師法嗣

開福寧禅師の法嗣

潭州大溈月庵善果禪師

潭州大沩月庵善果禅師

信州餘氏子。上堂。奚仲造車一百輻。拈卻兩頭除卻軸。以拄杖打一圓相曰。且莫錯認定盤星。卓一卓。下座。謝供頭。上堂。解猛虎頷下金鈴。驚群動眾。取蒼龍穴裡明珠。光天照地。山僧今日到此。讚歎不及。汝等諸人。合作麼生。竪起拂子曰。眨上眉毛。速須薦取。擲拂子。下座。上堂。心生法亦生。心滅法亦滅。心法兩俱忘。烏龜喚作鼈。諸禪德。道得也未。若道得。道林與你拄杖子。其或未然。歸堂吃茶去。僧問。達磨九年面壁時如何。師曰。魚行水濁。曰。二祖禮三拜。為甚麼卻得其髓。師曰。地肥茄子大。曰。祇如一華開五葉。結果自然成。明甚麼邊事。師曰。賊以贓為驗。曰。有時乘好月。不覺過滄洲。師曰。闍黎無分。問。有句無句。如藤倚樹時如何。師曰。驗盡當行家。曰。樹倒藤枯。句歸何處。又作麼生。師曰。風吹日炙。曰。溈山呵呵大笑。聻。師曰。波斯讀梵字。曰。道吾推倒泥裡。溈山不管。此意又且如何。師曰。有理不在高聲。曰。羅山道。道吾是撮馬糞漢。又作麼生。師曰。多口阿師。曰。今日足見老師七通八達。師曰。仰面哭蒼天。僧禮拜。師曰。過。問。蓮華未出水時如何。師曰。乾坤無異色。曰。出水後如何。師曰。徧界有清香。

信州の余氏の子である。上堂。「奚仲車を造ること百輻、両頭を拈却し軸を除却す。」拄杖を以て一円相を打ちて言った。「且く錯りて定盤の星を認む莫れ。」卓一卓、座を下りた。供頭を謝す。上堂。「猛虎の頷下の金鈴を解き、群を驚かし衆を動かす。蒼竜の穴裏の明珠を取り、光天に地を照らす。山僧今日此に到り、讃嘆及ばず。お前等諸人、合して作麼生せん。」拂子を竪起して言った。「眉毛の上を眨ぎ、速やかに須らく薦取すべし。」拂子を擲ち、座を下りた。上堂。「心生じれば法も亦た生じ、心滅すれば法も亦た滅す。心法両ら倶に忘れば、烏亀を呼んで鼈と作す。諸の禅徳、道得せりや未だ。若し道得せば、道林お前に拄杖子を与えん。其れ或いは未然ならば、堂に帰りて茶を喫せよ。」僧が問うた。「達磨九年面壁の時は如何。」師は言った。「魚行けば水濁る。」言った。「二祖三拝を礼して、什麼が為に却って其の髄を得る。」師は言った。「地肥えて茄子大なり。」言った。「只だ一華開けて五葉、結果自然に成るが如き、什麼の辺事か明らかにする。」師は言った。「賊は贓を以て験と為す。」言った。「時に好月に乗じて、覚えず滄州を過ぐ。」師は言った。「闍黎分無し。」問うた。「有句無句、藤の樹に倚るが如き時は如何。」師は言った。「当行家を験尽す。」言った。「樹倒れ藤枯る、句は何の処にか帰する。又た作麼生。」師は言った。「風吹き日炙る。」言った。「潙山呵呵大笑す、聻。」師は言った。「波斯梵字を読む。」言った。「道吾泥裏に推し倒し、潙山管せず、此の意又た且く如何。」師は言った。「理有るは高声に在らず。」言った。「羅山道う、道吾是れ馬糞を撮む漢、又た作麼生。」師は言った。「多口の阿師。」言った。「今日足らく見る老师の七通八達を。」師は言った。「面を仰ぎて蒼天を哭す。」僧が礼拝した。師は言った。「過ぎり。」問うた。「蓮華未だ水を出でざる時は如何。」師は言った。「乾坤に異色無し。」言った。「水を出でたる後は如何。」師は言った。「遍界に清香有り。」

大隨靜禪師法嗣

大随静禅師の法嗣

台州釣魚臺石頭自回禪師

台州釣魚台石頭自回禅師

本郡人也。世為石工。雖不識字。志慕空宗。每求人口授法華。能誦之。棄家投大隨。供掃灑。寺中令取崖石。師手不釋鎚鑿。而誦經不輟口。隨見而語曰。今日硿磕。明日硿磕。死生到來。作甚摺合。師愕然。釋其器。設禮。願聞究竟法。因隨至方丈。隨令且罷誦經。看趙州勘婆因緣。師念念不去心。久之。因鑿石。石稍堅。盡力一鎚。瞥見火光。忽然省徹。走至方丈。禮拜呈頌曰。用盡工夫。渾無巴鼻。火光迸散。元在這裡。隨忻然曰。子徹也。復獻趙州勘婆頌曰。三軍不動旗閃爍。老婆正是魔王腳。趙州無柄鐵掃帚。掃蕩煙塵空索索。隨可之。遂授以僧服。人以其為石工。故有回石頭之稱也。上堂。參禪學道。大似井底叫渴相似。殊不知塞耳塞眼。迴避不及。且如十二時中。行住坐臥。動轉施為。是甚麼人使作。眼見耳聞。何處不是路頭。若識得路頭。便是大解脫路。方知老漢與你證明。山河大地與你證明。所以道。十方薄伽梵。一路涅槃門。諸仁者。大凡有一物當途。要見一物之根源。一物無處。要見一物之根源。見得根源。源無所源。所源既非。何處不圓。諸禪德。你看老漢有甚麼勝你處。諸人有甚麼不如老漢處。還會麼。太湖三萬六千頃。月在波心說向誰。

本郡の人である。世は石工と為る。字を識らずと雖も、志して空宗を慕う。毎に人に求めて法華を口授し、能く之を誦す。家を棄てて大随に投じ、掃洒を供す。寺中に崖石を取らしむ。師手に鎚鑿を釈さずして、誦経口に輟めず。随見て語うて言った。「今日硿磕、明日硿磕、死生到来せば、作甚折合せん。」師愕然として其の器を釈し、礼を設け、究竟の法を聞かんことを願う。因りて随に従いて方丈に至る。随且く誦経を罷め、趙州の勘婆因縁を看よと令す。師念念心を去らず。久之し、石を鑿つに因り、石稍く堅し、力を尽くして一鎚す。瞥然として火光を見、忽然として省徹す。方丈に走り至り、礼拝して頌を呈して言った。「工夫を用い尽くすも、渾て巴鼻無し。火光迸散す、元来是れ此の裏に在り。」随忻然として言った。「子徹したり。」復た趙州勘婆の頌を献ず。「三軍動かず旗閃爍し、老婆正に是れ魔王の脚。趙州柄無き鉄掃帚、煙塵を掃蕩して空しく索索たり。」随之を可とす。遂に僧服を以て授く。人其の石工と為るを以て、故に回石頭の称有り。上堂。「参禅学道は、大いに似たり井底に渇を叫ぶに。殊に知らず耳を塞ぎ眼を塞げば、回避及ばざるを。且く十二時中の如く、行住坐卧・動転施為は、是れ什麼人の使作ぞ。眼見耳聞、何れの処か路頭に非ざる。若し路頭を識得せば、便ち是れ大解脱の路。方に知る老汉お前と証明し、山河大地お前と証明す。所以に道う、十方の薄伽梵、一路の涅槃の門と。諸の仁者、大凡そ一物途に当れば、一物の根源を見るを要し、一物処無ければ、一物の根源を見るを要す。根源を見得れば、源源とする所無し、所源既に非ず、何れの処か円ならざる。諸の禅徳、お前等看よ、老汉に什麼かお前に勝る処有る。諸人に什麼か老汉に如かざる処有る。還って会するか。太湖三万六千頃、月は波心に在りて誰に向ってか説く。」

潼川府護聖愚丘居靜禪師

潼川府護聖愚丘居静禅師

成都楊氏子。年十四。禮白馬安慧為師。聞南堂道望。遂往依焉。堂舉香嚴枯木裡龍吟話。往返酧詰。師於言下大悟。一日。堂問曰。莫守寒巖異草青。坐卻白雲宗不妙。汝作麼生。師曰。直須揮劒。若不揮劒。漁父棲巢。堂矍然曰。這小廝兒。師珍重便行。出住東巖。上堂。月生一。東巖乍住增愁寂。紅塵世路有多端。米麫倉儲無顆粒。崖為伴。泉為匹。颯颯清風來入室。山王土地暗中忙。雲版鐘魚偷淚滴。世人莫道守空巖。亦有東籬打西壁。甞謂眾曰。參學至要。不出先南堂道。最初句及末後句。透得過者。一生事畢。儻或未然。更與你分作十門。各各印證自心。還得穩當也未。一.須信有教外別傳。二.須知有教外別傳。三.須會無情說法與有情說法無二。四.須見性如觀掌中之物。了了分明。一一田地穩密。五.須具擇法眼。六.須行鳥道玄路。七.須文武兼濟。八.須摧邪顯正。九.須大機大用。十.須向異類中行。凡欲紹隆法種。須盡此綱要。方坐得這曲彔床子。受得天下人禮拜。敢與佛祖為師。若不到恁麼田地。祇一向虗頭。他時異日。閻老子未放你在。間有學者各門頌出。呈師。師以頌示曰。十門綱要掌中施。機會來時自有為。作者不須排位次。大都首末是根基。

成都の楊氏の子である。年十四にして、白馬の安慧を礼して師と為す。南堂の道望を聞き、遂に往きて依る。堂香厳の枯木裏の竜吟の話を挙ぐ。往返酧詰す。師言下に於て大悟した。一日堂問うた、「寒岩を守る莫れ異草青々として、坐して白云宗の妙ならざるを却る。お前作麼生。」師は言った。「直に須らく剣を揮うべし。若し剣を揮わざれば、漁父巣に栖む。」堂矍然として言った。「此の小厮児。」師珍重して便ち行く。出でて東岩に住す。上堂。「月生一、東岩乍ち住して愁寂を増す。紅塵の世路多端有り、米面倉儲に顆粒無し。崖を伴と為し、泉を匹と為す。颯颯たる清風室に入り来たる。山王土地暗中に忙しく、云版鐘魚涙を倫んで滴らす。世人空岩を守ると道う莫れ、亦た東籬有りて西壁を打つ。」甞て衆に謂うて言った。「参学の至要は、先南堂の道に出でず、最初の句及び末後の句に在り。透過せば一生の事畢わる。儻し或いは未然ならば、更にお前の為に分ちて十門と作し、各々自心を印証す。還って穏当を得るや未だ。一、須らく教外別伝有るを信ずべし。二、須らく教外別伝有るを知るべし。三、須らく無情の説法と有情の説法と二無きを会すべし。四、須らく性を見ること掌中の物を観るが如く、了了分明にして一々田地穏密なるべし。五、須らく擇法の眼を具すべし。六、須らく鳥道玄路を行ずべし。七、須らく文武兼済すべし。八、須らく邪を摧き正を顕すべし。九、須らく大機大用すべし。十、須らく異類の中に向って行ずべし。凡そ法種を紹隆せんと欲せば、須らく此の綱要を尽くし、方に此の曲彔床子に坐し、天下人の礼拝を受け、敢えて仏祖と師と為るを得べし。若し恁麼の田地に至らざれば、只だ一向の虚頭なり、他時異日、閻老子未だお前を放さざるなり。」間に学者の各門に頌出し、師に呈する有り。師頌を以て示して言った。「十門の綱要掌中に施し、機会来れば自ら為有り。作者は位次を排するを須いず、大都首末是れ根基なり。」

簡州南巖勝禪師

簡州南岩勝禅師

上堂召大眾曰。護生須是殺。殺盡始安居。會得箇中意。分明在半途。且道到家一句又作麼生。釋迦彌勒沒量大。看來猶祇是他奴。僧問。放行五位即不問。把定三關事若何。師曰。橫按鏌鎁全正令。曰。把定三關蒙指示。放行五位事如何。師曰。太平寰宇斬痴頑。曰。恁麼則南巖門下。土曠人稀。師曰。靈利衲僧。祇消一點。曰。自古自今。同生同死時如何。師曰。家賊難防。曰。今日學人小出大遇去也。師便打。曰。須是老僧打你始得。僧禮拜。師曰。切忌詐明頭。

上堂、大衆を召して言った。「護生は須らく是れ殺すべし、殺尽して始めて安居す。箇中の意を会得せば、分明として半途に在り。且く道え到家の一句又た作麼生。釈迦弥勒も量無き大、看るに猶ほ只だ是れ他の奴なり。」僧が問うた。「放行の五位は則ち問わず、把定の三関の事は若何。」師は言った。「横に鏌鎁を按じて正令を全うす。」言った。「把定の三関は指示を蒙る、放行の五位の事は如何。」師は言った。「太平の寰宇痴頑を斬る。」言った。「恁麼ならば則ち南岩の門下、土旷にして人稀なり。」師は言った。「霊利の衲僧、只だ一点を消す。」言った。「自ら古今、生を同じく死を同じくする時は如何。」師は言った。「家賊防ぎ難し。」言った。「今日学人小出大遇し去るなり。」師便ち打つ。言った。「須らく是れ老僧お前を打たば始めて得。」僧が礼拝した。師は言った。「切に詐明頭を忌む。」

常德府梁山廓庵師遠禪師

常徳府梁山廓庵師遠禅師

合川魯氏子。上堂。舉楊岐三腳驢子話。乃召大眾曰。揚其湯者。莫若撲其火。壅其流者。莫若杜其源。此乃智人之明鑒。佛法之至論。正在斯焉。這因緣。如今叢林中提唱者甚多。商量者不少。有般底。祇道宗師家無固必。凡有所問。隨口便答。似則也似。是即未是。若恁麼。祇作箇乾無事會。不見楊岐用處。乃至祖師。千差萬別。方便門庭。如何消遣。又有般底。祇向佛邊會。卻與自己沒交涉。古人道。凡有言句。須是一一消歸自己。又作麼生。又有般底。一向祇作自己會。棄卻古人用處。唯知道明自己事。古人方便卻如何消遣。既消遣不下。卻似抱橋柱澡洗。要且放手不得。此亦是一病。又有般底。卻去腳多少處會。若恁麼會。此病最難醫也。所以他語有巧妙處。參學人卒難摸索。才擬心則差了也。前輩謂之楊岐宗旨。須是他屋裡人。到恁麼田地。方堪傳授。若不然者。則守死善道之謂也。這公案直須還他透頂徹底漢。方能了得。此非止禪和子會不得。而今天下叢林中。出世為人底。亦少有會得者。若要會去。直須向威音那畔。空劫已前。輕輕覷著。提起便行。捺著便轉。卻向萬仞峰前進一步。可以籠罩古今。坐斷天下人舌頭。如今還有恁麼者麼。有則出來道看。如無。更聽一頌。三腳驢子弄蹄行。直透威音萬丈坑。雲在嶺頭閑不徹。水流㵎下太忙生。湖南長老誰解會。行人更在青山外。上堂。天得一以清。地得一以寧。君王得一以治天下。這箇說話。是家常茶飯。須知衲僧家。別有奇特處始得。且道衲僧門下有甚奇特處。天得一。鬥牛女虗危室壁。地得一。萬象森羅及瓦礫。君王得一。上下四維無等匹。且道衲僧得一時如何。要見客從何處來。閑持經卷倚松立。浴佛上堂。舉藥山浴佛公案。拈雲。這僧問處。依稀越國。髣髴楊州。藥山答來。眼似流星。機如掣電。點檢將來。二俱不了。

合川の魯氏の子である。上堂。楊岐の三脚の驢子の話を挙げて、乃ち大衆を召して言った。「其の湯を揚ぐるは、其の火を払うに若かず、其の流を壅ぐるは、其の源を杜ぐるに若かず。此れ乃ち智人の明鑑・仏法の至論、正に斯に在り。此の因縁、如今叢林中に提唱する者甚く多く、商量する者少なからず。般の底有りて、只だ道う宗師家固必無しと、凡そ問い有れば口に随いて便ち答うと。似るは則ち也だ似る、是れは即ち未だ是れならず。若し恁麼ならば、只だ箇の乾無事会と作さんのみ、楊岐の用処を見ず。乃至祖師、千差万別の方便門庭、如何にか消遣せん。又た般の底有りて、只だ仏辺に向って会し、却って自己と交渉無し。古人道う、凡そ言句有らば、須らく是れ一々自己に消帰すべしと、又た作麼生。又た般の底有りて、一向只だ自己会と作し、古人の用処を棄却し、唯だ己の事を道明するを知る、古人の方便は却って如何にか消遣せん。既に消遣し下さざれば、却って橋柱を抱きて澡洗するに似たり、要して且く手を放すを得ず。此れ亦た是れ一病なり。又た般の底有りて、却って脚の多少の処に去りて会す。若し恁麼会せば、此の病最も医し難し。所以に他の語巧妙の処有れば、参学人卒に摸索し難し、才だ心を擬せば則ち差う。前輩之を楊岐の宗旨と謂う。須らく是れ他の屋裏の人、恁麼の田地に到りて、方に堪えて伝授せん。若し然らざる者は、則ち善道を守り死するの謂なり。此の公案直に須らく他の透頂徹底の漢に還し、方に能く了得せん。此れ禅和子会するを得ざるに止まらず、而今天下叢林中の出世为人の底も、亦た会得する者少なし。若し会せんことを要せば、直に須らく威音の那畔・空劫已前に向って、軽く覷着し、提起すれば便ち行き、捺着すれば便ち転じ、却って万仞の峰前に一歩を進め、以て古今を籠罩し、天下人の舌頭を坐断すべし。如今還って恁麼の者有るか。有らば出で来て道え看よ。無くば、更に一頌を聴け。三脚の驢子蹄を弄して行き、直に威音の万丈の坑を透る。雲は嶺頭に在りて閑にして徹せず、水は澗下に流れて太だ忙し。湖南の長老誰か会を解す、行人更に青山の外に在り。」上堂。「天一を得て以て清く、地一を得て以て寧し、君王一を得て以て天下を治む。此の説話は是れ家常の茶飯なり。須らく知れ衲僧家別に奇特の処有るを始めて得。且く道え衲僧の門下に什麼の奇特の処か有る。天一を得れば、斗牛女虚危室壁。地一を得れば、万象森羅及び瓦礫。君王一を得れば、上下四維等匹無し。且く道え衲僧一を得る時は如何。客の何の処よりか来たるを見んと要し、閑に経巻を持して松に倚りて立つ。」浴仏上堂。薬山浴仏の公案を挙げ、拈じて云く、「此の僧の問処は、依稀として越国・髣髴として楊州。薬山の答え来るは、眼は流星に似て機は掣電の如し。点検して将来すれば、二倶に了せず。」

若是山僧即不然。當是時。才見他問。只浴得這箇。且不浴得那箇。但轉木杓柄與伊。待他擬議之間。攔面便潑。假饒這僧有大神通。具大智慧。也無施展處。敢問大眾。這箇即且置。喚甚麼作那箇。下座。佛殿燒香。為你說破。師有十牛圖並頌行於世。

「若し是れ山僧ならば則ち然らず。是れ其の時に当り、才だ彼の問うを見れば、只だ此の箇を浴するも、且く彼の箇を浴せず、但だ木杓の柄を転じて伊に与え、彼の擬議の間を待ち、面を拦えて便ち潑がん。仮饒此の僧大神通有り、大智慧を具すとも、亦た施展の処無からん。敢えて大衆に問う、此の箇は即ち且く置く、什麼をか彼の箇と喚ぶ。」座を下り、仏殿に香を焼き、お前の為に説破せん。師に十牛図并びに頌有りて世に行わる。

嘉州能仁默堂紹悟禪師

嘉州能仁黙堂紹悟禅師

結夏上堂。最初一步。十方世界現全身。末後一言。一微塵中深鎻斷。有時提起。如倚天長劒。光耀乾坤。有時放下。似紅爐點雪。虗含萬象。得到恁麼田地。天魔外道。拱手歸降。三世諸佛。一時稽首。便可以大圓覺為我伽藍。於一毫端現寶王剎。如是則朝往西天。暮歸東土。亦是禁足。百華叢裡坐。婬坊酒肆行。亦是禁足。雖然如是。不曾動著這裡一步。恁麼則九旬無虗棄之功。百劫有今時之用。堪報不報之恩。以助無為之化。此即是涅槃妙心。金剛王寶劒。敢問大眾。作麼生得到這田地去。如人上山。各自努力。上堂。舉趙州訪二庵主公案。頌曰。一重山盡一重山。坐斷孤峰子細看。霧捲雲收山嶽靜。楚天空闊一輪寒。

結夏上堂。「最初の一歩、十方世界全身を現す。末後の一言、一微塵の中に深く鎖断す。時に提起すれば、倚天の長剣の如く、光は乾坤を耀かす。時に放下すれば、紅炉の点雪に似て、虚に万象を含む。恁麼の田地に到得せば、天魔外道も拱手して帰降し、三世の諸仏も一時に稽首す。便ち以て大円覚を我が伽藍と為し、一毫端に於て宝王刹を現ずべし。是の如くなれば則ち朝に西天に往き暮に東土に帰るも、亦た是れ禁足なり。百華の叢裏に坐し、婬坊酒肆に行くも、亦た是れ禁足なり。是の如しと雖も、曾て此の処の一歩を動着せず。恁麼なれば則ち九旬に虚棄の功無く、百劫に今時の用有り。堪えて報ずべからざるの恩に報い、以て無為の化を助く。此れ即ち是れ涅槃の妙心・金剛王の宝剣なり。敢えて大衆に問う、作麼生にして此の田地に到得せんや。人の山に上るが如く、各々自ら努力せよ。」上堂。趙州の二庵主を訪うの公案を挙げ、頌に曰く、「一重の山尽き一重の山、孤峰を坐断し仔細に看る。霧巻き雲収め山岳静か、楚天の空闊に一輪寒し。」

彭州土溪智陀子言庵主

彭州土渓智陀子言庵主

綿州人也。初至大隨。聞舉石頭和尚示眾偈。倐然領旨。歸隱土溪。懸崖絕壑間有石若蹲異獸。師鑿以為室。中發異泉。無涸溢。四眾訝之。居三十年。化風盛播。室成日。作偈曰。一擊石庵全。縱橫得自然。清涼無暑氣。涓潔有甘泉。寬廓含沙界。寂寥絕眾緣。箇中無限意。風月一床眠。

綿州の人である。初め大随に至り、石頭和尚の衆に示す偈を挙ぐるを聞き、倐然として旨を領す。帰りて土りて土渓に隠る。懸崖絶壑の間に石の蹲る異獣の若き有り。師鑿ちて以て室と為す。中に異泉を発し、涸溢無し。四衆之を訝る。居ること三十年、化風盛んに播まる。室成る日、偈を作して言った。「一撃して石庵全うし、縦横に自然を得たり。清涼にして暑気無く、涓潔にして甘泉有り。寛廓として沙界を含み、寂寥として衆縁を絶つ。箇中無限の意、風月一床の眠り。」

劍門南修道者

剣門南修の道者

淳厚之士也。自大隨一語契投。服勤不怠。歸謁崇化贇禪師。坐次。贇以宗門三印問之。南曰。印空印泥印水。平地寒濤競起。假饒去就十分。也是靈龜曳尾。

淳厚の士である。大随の一语契投してより、服勤怠らず。帰りて崇化贇禅師に謁す。坐次に、贇宗門の三印を以て之に問う。南は言った。「印空・印泥・印水、平地に寒涛競い起る。仮饒去就十分なるも、亦是れ霊亀の尾を曳くなり。」

莫將尚書

莫将尚書

字少虗。家世豫章分寧。因官西蜀。謁南堂靜禪師諮決心要。堂使其向好處提撕。適如廁。俄聞穢氣。急以手掩鼻。遂有省。即呈以偈曰。從來姿韻愛風流。幾笑時人向外求。萬別千差無覓處。得來元在鼻尖頭。南堂答曰。一法才通法法周。縱橫妙用更何求。青虵出匣魔軍伏。碧眼胡僧笑點頭。

字は少虚。家世は豫章分寧。官に因りて西蜀に在り。南堂静禅師に謁して心要を咨決す。堂其をして好の処に向って提撕せしむ。適に如厠して、俄かに穢気を聞き、急に手を以て鼻を掩う。遂に省有り。即ち偈を呈して言った。「従来姿韻風流を愛し、几たび笑う時人の外に求むるを。万別千差も覓る処無く、得るは元来鼻尖頭に在り。」南堂答えて言った。「一法才だ通ずれば法法周く、縦横の妙用更に何をか求めん。青虵匣を出でて魔軍伏し、碧眼の胡僧笑って頭を点く。」

龍圖王蕭居士

竜図王蕭居士

字觀復。留昭覺日。聞開靜板聲。有省。問南堂曰。某有箇見處。才被人問。卻開口不得。未審過在甚處。堂曰。過在有箇見處。堂卻問。朝斾幾時到任。公曰。去年八月四日。堂曰。自按察幾時離衙。公曰。前月二十。堂曰。為甚麼道開口不得。公乃契悟。

字は観復。昭覚に留まる日、開静の板声を聞き、省有り。南堂に問うて言った。「某に箇の見処有り、才だ人に問われて、却って口を開くを得ず。未だ審らかならず過は什麼の処に在る。」堂は言った。「過は箇の見処有るに在り。」堂却って問う。「朝斾几時か任に到る。」公は言った。「去年八月四日。」堂は言った。「按察自ら几時か衙を離る。」公は言った。「前月の二十。」堂は言った。「什麼が為に道う口を開くを得ずと。」公乃ち契悟した。

五祖自禪師法嗣

五祖自禅師の法嗣

蘄州龍華高禪師

蘄州竜華高禅師

上堂。象王行。師子住。赤腳崑崙眉卓竪。寒山拾得笑呵呵。指點門前老松樹。且道他指點箇甚麼。忽然風吹倒時。好一堆柴。

上堂。「象王行き、師子住す、赤脚の崑崙眉卓竪す。寒山・拾得笑って呵呵、門前の老松樹を指点す。且く道え彼の指点するは箇の什麼ぞ。忽然風吹き倒れる時は、好一の柴を堆む。」

南嶽下十六世

南嶽下十六世

徑山杲禪師法嗣

径山杲禅師の法嗣

泉州教忠晦庵彌光禪師

泉州教忠晦庵弥光禅師

閩之李氏子。兒時寡言笑。聞梵唄則喜。十五。依幽巖文慧禪師圓頂。猶喜閱群書。一日曰。既剃髮染衣。當期悟徹。豈醉於俗典邪。遂出嶺。謁圓悟禪師於雲居。次參黃檗祥高庵悟。機語皆契。以淮楚盜起。歸謁佛心。會大慧寓廣。因往從之。慧謂曰。汝在佛心處所得者。試舉一二看。師舉佛心上堂拈普化公案曰。佛心即不然。總不恁麼來時。如何劈脊便打。從教徧界分身。慧曰。汝意如何。師曰。某不肯他後頭下箇註腳。慧曰。此正是以病為法。師毅然無信可意。慧曰。汝但揣摩看。師竟以為不然。經旬。因記海印信禪師拈曰。雷聲浩大。雨點全無。始無滯。趨告慧。慧以舉道者見琅邪並玄沙未徹語詰之。師對已。慧笑曰。雖進得一步。祇是不著所在。如人斫樹。根下一刀。則命根斷矣。汝向枝上斫。其能斷命根乎。今諸方浩浩說禪者。見處總如此。何益於事。其楊岐正傳。三四人而已。師慍而去。翌日。慧問。汝還疑否。師曰。無可疑者。慧曰。祇如古人相見。未開口時已知虗實。或聞其語。便識淺深。此理如何。師悚然汗下。莫知所詣。慧令究有句無句。慧過雲門庵。師侍行。一日問曰。某到這裡。不能得徹。病在甚處。慧曰。汝病最癖。世醫拱手。何也。別人死了活不得。汝今活了未曾死。要到大安樂田地。須是死一回始得。師疑情愈深。後入室。慧問。吃粥了也。洗缽盂了也。去卻藥忌。道將一句來。師曰。裂破。慧震威喝曰。你又說禪也。師即大悟。慧撾皷告眾曰。龜毛拈得笑咍咍。一擊萬重關鏁開。慶快平生在今日。孰雲千堂賺吾來。師亦以頌呈之曰。一拶當機怒雷吼。驚起須彌藏北斗。洪波浩渺浪滔天。拈得鼻孔失卻口。住後。上堂。有句無句。如藤倚樹。放憨作麼。及乎樹倒藤枯。句歸何處。情知汝等諸人。卒討頭鼻不著。為甚如此。祇為分明極。飜令所得遲。上堂。夢幻空華。

閩の李氏の子である。児の時言笑寡く、梵唄を聞けば則ち喜ぶ。十五にして、幽岩の文慧禅師に依りて円頂す。猶ほ群書を閲するを喜ぶ。一日言った、「既に髪を剃り衣を染めたり、当に悟徹を期すべし、豈に俗典に醉わんや。」遂に嶺を出でて、云居に於て円悟禅師に謁す。次いで黄檗祥・高庵悟に参じ、機語皆な契う。淮楚の盗起こるを以て、帰りて仏心に謁す。会う大慧広に寓す、因りて往きて之に従う。慧謂うて言った、「お前の仏心の処に在りて得る所の者、試しに一二を挙げて看よ。」師仏心上堂の普化公案を拈ずるを挙げて言った、「仏心は即ち然らず、総て恁麼せずして来る時は、如何にか脊を劈きて便ち打つ、遍界の分身を教うに従え。」慧は言った、「お前の意如何。」師は言った、「某肯んぜず彼が後頭に箇の注脚を下すを。」慧は言った、「此れ正に是れ病を以て法と為す。」師毅然として信ず可き意無し。慧は言った、「お前但だ揣摩して看よ。」師竟に以て然らずと為す。旬を経て、海印信禅師の拈説を記うに因り、「雷声浩大にして雨点全く無し。」始めて滞無し。慧に趨り告ぐ。慧道者の琅邪に見え及び玄沙未徹の語を挙げて以て之を詰す。師対え已る。慧笑って言った、「一歩を進むを得たりと雖も、只だ是れ所在に着かず。人の樹を斫るが如く、根の下に一刀すれば則ち命根断えん。お前枝上に向って斫る、其れ能く命根を断たんや。今諸方の浩浩として禅を説く者、見処総て此の如し、何の益か事に有らん。其の楊岐の正伝は、三四人のみ。」師愠りて去る。翌日慧問う、「お前還って疑うや否や。」師は言った、「疑う可き者無し。」慧は言った、「只だ古人の相見るが如く、未だ口を開かざる時已に虚実を知り、或いは其の語を聞いて便ち浅深を識る。此の理如何。」師悚然として汗下し、知ること詣する所を莫し。慧有句無句を究めしむ。慧云門庵を過ぐ。師侍行す。一日問う、「某此に到りて、能く徹するを得ず、病は什麼の処に在る。」慧は言った、「お前の病最も癖なり、世の医拱手す。何ぞや、別人死すれば活するを得ず、お前今活すれど未だ曾て死せず。大安楽の田地に到らんと要せば。「須らく是れ一たび死して始めて得。」師疑情愈々深し。後に室に入り、慧問う、「粥を喫し了りや、鉢盂を洗い了りや。薬忌を去却して、一句を道い将来せよ。」師は言った、「裂破。」慧威を震いて喝して言った、「お前又た禅を説く也。」師即ち大悟した。慧皷を撾して衆に告げて言った、「亀毛拈得して笑うこと咍咍、一撃して万重の関鎖開く。慶快平生今日に在り、孰か云わん千堂吾を賺して来らしむと。」師亦た頌を以て之に呈して言った、「一拶機に当りて怒雷吼え、須弥を驚起し北斗を蔵す。洪波浩渺として浪天を滔り、鼻孔を拈得して口を失却す。」住して後、上堂。「有句無句は、藤の樹に倚るが如し。放憨して作麼せん。及び乎樹倒れ藤枯るるや、句は何の処にか帰する。情け知るお前等諸人、卒に頭鼻を討うて着かず。什麼が為に此の如く、只だ分明極まるが為に、飜って所得を令すこと遅し。」上堂。「夢幻の空華は。

何勞把捉。得失是非。一時放卻。擲拂子曰。山僧今日已是放下了也。汝等諸人。又作麼生。復曰。侍者收取拂子。僧問。文殊為甚麼出女子定不得。師曰。山僧今日困。曰。罔明為甚麼卻出得。師曰。令人疑著。曰。恁麼則擘開華嶽千峰秀。放出黃河一派清。師曰。一任卜度。

「何ぞ把捉を労せん。得失是非、一時に放却す。」拂子を擲ちて言った。「山僧今日已に是れ放下し了れり、お前等諸人又た作麼生。」復た言った。「侍者は拂子を收取せよ。」僧が問うた。「文殊什麼が為に女子の定を出るを得ざる。」師は言った。「山僧今日困れり。」言った。「罔明什麼が為に却って出るを得る。」師は言った。「人を疑着せしむ。」言った。「恁麼ならば則ち華岳の千峰の秀を擘開し、黄河の一派の清を放出す。」師は言った。「一任の卜度。」

江州東林卍庵道顏禪師

江州東林卍庵道顔禅師

潼川人。族鮮於氏。久參圓悟。微有省發。洎悟還蜀。囑依妙喜。仍以書致喜曰。顏用彩繪已畢。但欠點眼耳。他日嗣其後。未可量也。喜居雲門及洋嶼。師皆在焉。朝夕質疑。方大悟。住後。上堂。一葉落。天下秋。一塵起。大地收。鳥窠吹布毛。便有人悟去。今時學者。為甚麼卻不識自己。良久曰。莫錯怪人好。上堂。欲識諸佛心。但向眾生心行中識取。欲識常住不凋性。但向萬物遷變處會取。還識得麼。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。上堂。諸人知處。良遂總知。良遂知處。諸人不知。作麼生是良遂知處。乃曰。鸕鷀語鶴。上堂。仲冬嚴寒。三界無安。富者快樂。貧者饑寒。不識玄旨。錯認定盤。何也。牛頭安尾上。北斗面南看。上堂。一滴滴水。一滴滴凍。天寒人寒。風動幡動。雲門扇子。𨁝跳上三十三天。築著帝釋鼻孔。東海鯉魚。打一棒雨似盆傾。不出諸人十二時中尋常受用。上堂雲。圓通門戶。八字打開。若是從門入得。不堪共語。須是入得無門之門。方可坐登堂奧。所以道。過去諸如來。斯門已成就。現在諸菩薩。今各入圓明。未來參學人。當依如是法。從上諸聖。幸有如此廣大門風。不能繼紹。甘自鄙棄。穿窬墻壁。好不丈夫。敢問大眾。無門之門作麼生入。良久雲。非唯觀世音。我亦從中證。上堂。元宵已過。化主出門。六群比丘。各從其類。此眾無復枝葉。純有貞實。如是增上慢人。退亦佳矣。麒麟不為瑞。鸑鷟不為榮。麥秀兩岐。禾登九穗。總不消得。但願官中無事。林下棲禪。水牯牛飽臥斜陽。擔板漢清貧長樂。粥足飯足。俯仰隨時。箸籠不亂攙匙。老鼠不咬甑箄。山家活計。淡薄長情。不敬功德天。誰嫌黑暗女。有智主人。二俱不受。良久曰。君子愛財。取之以道。上堂。去年寒食後。今年寒食前。日日是好日。不是正中偏。上堂。客舍久留連。家鄉夕照邊。

潼川の人、族は鮮于氏。久しく円悟に参じ、微かに省発有り。洎り悟蜀に還るに及び、妙喜に依るを嘱し、仍ほ書を以て喜に致して言う、「顔彩絵を用いて已に畢り、但だ眼を点ずるを欠くのみ。他日其の後を嗣がば、未だ量る可からず。」喜云門及び洋嶼に居り、師皆な焉に在り。朝夕質疑して、方に大悟した。住して後、上堂。「一葉落ちて天下秋、一塵起きて大地収む。鳥窠の布毛を吹くに、便ち人の悟り去る有り。今時の学者、什麼が為に却って自己を識らざる。」良久して言った。「錯りて人を怪する莫きを好し。」上堂。「諸仏の心を識らんと欲せば、但だ衆生の心行の中に向って識取せよ。常住不凋の性を識らんと欲せば、但だ万物の遷変の処に向って会取せよ。還って識得するか。欲して無間の業を招かざるを得んには、如来の正法輪を謗る莫れ。」上堂。「諸人の知処は、良遂総て知る。良遂の知処は、諸人知らず。作麼生か是れ良遂の知処。」乃ち言った。「鸕鶿は鶴に語る。」上堂。「仲冬厳寒、三界安無し。富者は快楽、貧者は飢寒。玄旨を識らず、錯りて定盤を認む。何ぞや、牛頭を尾上に安じ、北斗面に南を看る。」上堂。「一滴滴の水、一滴滴の凍。天寒人寒、風動幡動。云門の扇子、𨁝跳して三十三天に上り、帝釈の鼻孔を築く。東海の鯉魚、一棒を打てば雨の盆を傾くるが如し。諸人の十二時中の尋常受用に出でず。」上堂。「円通の門戸、八字に打開す。若し是れ門より入るを得れば、共に語るに堪えず。須らく是れ無門の門に入るを得て、方に可なり堂奥に坐登せん。所以に道う、過去の諸如来は斯の門已に成就し、現在の諸菩薩は今各々円明に入り、未来の参学人は当に是の如き法に依るべし。従上の諸聖、幸いに此の如く広大の門風有り、能く継紹せず、甘えて自ら鄙棄し、窬を穿ち墙壁を踰ゆ、好しとせず丈夫なり。敢えて大衆に問う、無門の門は作麼生にか入る。」良久して云く、「唯だ観世音に非ず、我も亦た中より証す。」上堂。「元宵已に過ぎ、化主門を出づ。六群の比丘、各々其の類に従う。此の衆復た枝葉無く、純に貞実有り。是の如き増上慢人、退くも亦た佳なり。麒麟は瑞と為らず、𬸚𬸦は栄と為らず。麦秀ぶ両岐、禾登る九穂、総て消するを得ず。但だ願わくは官中事無く、林下に禅を栖め、水牯牛は斜斜陽に飽き臥し、担板漢は清貧長楽す。粥足り飯足り、俯仰時に随い、箸籠は匙を乱り搀えず、老鼠は甑箄を咬まず。山家の活計、淡薄にして長情。功徳天を敬せず、誰か嫌わん黒暗の女。智有る主人は、二倶に受けず。」良久して言った。「君子財を愛し、之を取るに道を以てす。」上堂。「去年の寒食の後、今年の寒食の前、日々是れ好日にして、是れ正中の偏に非ず。」上堂。「客舎に久しく留連し、家郷は夕照の辺。

簷懸三月雨。水沒兩湖蓮。鑊漏燒燈盞。柴生滿灶煙。已忘南北念。入望盡平川。上堂。旃檀林。無雜樹。鬱密深沉師子住。所以旃檀叢林。旃檀圍繞。荊棘叢林。荊棘圍繞。一人為主。兩人為伴。成就萬億國土。士農工商。若夜叉。若羅剎。見行魔業。優哉遊哉。聊以卒歲。僧問。香嚴上樹話。意旨如何。師曰。描不成。畫不就。曰。李陵雖好手。爭奈陷番何。師曰。甚麼處去來。問。如何是佛。師曰。汝是元固。僧近前曰。喏。喏。師曰。裩無襠。袴無口。問。如何是佛。師曰。誌公和尚。曰。學人問佛。何故答誌公和尚。師曰。誌公不是閑和尚。曰。如何是法。師曰。黃絹幼婦。外孫韲臼。曰。是甚麼章句。師曰。絕妙好辭。曰。如何是僧。師曰。釣魚船上謝三郎。曰。何不直說。師曰。玄沙和尚。曰。三寶已蒙師指示。向上宗乘事若何。師曰。王喬詐仙得仙。僧呵呵大笑。師乃叩齒。

(師は接して言った。)「檐に三月の雨を懸け、水は両湖の蓮を没す。鑊漏れて灯盞を焼き、柴生えて竈に煙満つ。已に南北の念を忘れ、望みに入るは尽く平川。」上堂。「旃檀の林、雑樹無く、郁密深沉として師子住す。所以に旃檀の叢林は旃檀囲繞し、荊棘の叢林は荊棘囲繞す。一人主と為り、両人伴と為りて、万億の国土を成就す。士農工商、若しくは夜叉、若しくは羅刹、見て魔業を行ず。優哉游哉、聊か以て歳を卒う。」僧が問うた。「香厳上樹の話、意旨如何。」師は言った。「描き成さず、画き就かず。」言った。「李陵好手と雖も、争奈か番に陥るを何せん。」師は言った。「什麼の処に去り来たる。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「お前是れ元固。」僧近づき前にして言った、「喏喏。」師は言った。「裩に襠無く、袴に口無し。」問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「志公和尚。」言った。「学人仏を問う、何ぞ故に志公和尚と答う。」師は言った。「志公は閑和尚に非ず。」言った。「如何なるか是れ法。」師は言った。「黄絹・幼婦・外孫・韲臼。」言った。「是れ什麼の章句ぞ。」師は言った。「絶妙の好辞。」言った。「如何なるか是れ僧。」師は言った。「釣魚船上の謝三郎。」言った。「何ぞ直に説かざる。」師は言った。「玄沙和尚。」言った。「三宝已に師の指示を蒙る、向上の宗乗の事は若何。」師は言った。「王喬仙を詐りて仙を得たり。」僧呵呵大笑す。師乃ち歯を叩く。

福州西禪懶庵鼎需禪師

福州西禅懶庵鼎需禅師

本郡林氏子。幼舉進士有聲。年二十五。因讀遺教經。忽曰。幾為儒冠誤。欲去家。母難之。以親迎在期。師乃絕之曰。夭桃紅杏。一時分付春風。翠竹黃華。此去永為道伴。竟依保壽樂禪師為比丘。一錫湖湘。徧參名宿。法無異味。歸裡結庵。於羗峰絕頂。不下山者三年。佛心才禪師挽出。首眾於大乘。甞問學者即心即佛因緣。時妙喜庵於洋嶼。師之友彌光與師書云。庵主手段。與諸方別。可來少欵。如何。師不答。光以計邀師飯。師往赴之。會妙喜為諸徒入室。師隨喜焉。妙喜舉。僧問馬祖。如何是佛。祖雲。即心是佛。作麼生。師下語。妙喜詬之曰。你見解如此。敢妄為人師耶。鳴皷普說。訐其平生珍重得力處。排為邪解。師淚交頤。不敢仰視。默計曰。我之所得。既為所排。西來不傳之旨。豈止此耶。遂歸心弟子之列。一日。喜問曰。內不放出。外不放入。正恁麼時如何。師擬開口。喜拈竹篦。劈脊連打三下。師於此大悟。厲聲曰。和尚已多了也。喜又打一下。師禮拜。喜笑雲。今日方知吾不汝欺也。遂印以偈雲。頂門竪亞摩醯眼。肘後斜懸奪命符。瞎卻眼。卸卻符。趙州東壁掛葫蘆。於是聲名喧動叢林。住後。上堂曰。句中意。意中句。須彌聳於巨川。句剗意。意剗句。烈士發乎狂矢。任待牙如劍樹。口似血盆。徒逞詞鋒。虗張意氣。所以淨名杜口。早涉繁詞。摩竭掩關。已揚家醜。自餘瓦棺老漢.巖頭大師。向羗峰頂上。拏風鼓浪。翫弄神變。腳跟下好與三十。且道過在甚麼處。良久雲。機關不是韓光作。莫把𮌎襟當等閑。至節。上堂雲。二十五日已前。群陰消伏。泥龍閉戶。二十五日已後。一陽來復。鐵樹開華。正當二十五日。塵中醉客。騎驢騎馬。前街後街。𮞏相慶賀。物外閑人。衲帔蒙頭。圍爐打坐。風蕭蕭。雨蕭蕭。冷湫湫。誰管你張先生。李道士。胡達磨。上堂。懶翁懶中懶。

本郡の林氏の子である。幼にして進士を挙げ声有り。年二十五、遺教経を読むに因り、忽ち言った、「几たび儒冠の誤りと為る、家を去らんと欲す。」母之を難しとし、親迎期に在るを以てす。師乃ち絶して言った、「夭桃紅杏、一時に春風に分付し、翠竹黄華、此の去永く道伴と為らん。」竟に保寿楽禅師に依りて比丘と為る。一錫湖湘に遍く名宿に参ず。法に異味無し。里に帰り庵を結び、羗峰の絶頂に在り、山を下らざること三年。仏心才禅師挽き出して、大乗に於て衆を首とす。甞て学者に即心即仏の因縁を問う。時に妙喜洋嶼に庵す。師の友弥光師に書して云く、「庵主の手段は諸方と別なり、来りて少しく欵留すべし、如何。」師答えず。光計を以て師に飯を邀う。師往きて之に赴く。会う妙喜諸徒の為に室入り、師随喜す。妙喜挙ぐ、「僧馬祖に問う、如何なるか是れ仏。祖云く、即心是れ仏。作麼生。」師語を下す。妙喜之を詬りて言った、「お前見解此の如し、敢えて妄りに人の師と為らんや。」皷を鳴らして普説し、其の平生珍重得力の処を訐し、排して邪解と為す。師涙頤に交わり、敢えて仰視せず。黙かに計って言った、「我が所得、既に排せらるる所と為す。西来不伝の旨、豈に此に止まらんや。」遂に心を弟子の列に帰す。一日喜問う、「内に放出せず、外に放入せず、正に恁麼の時は如何。」師口を開かんと擬す。喜竹篦を拈じ、脊を劈きて連ねて三下を打つ。師此に於て大悟し、厲の声にして言った、「和尚已に多し也。」喜又た一下を打つ。師礼拝す。喜笑って云く、「今日方に知る吾お前を欺かざるを。」遂に偈を以て印し云く、「頂門に竪ちて摩醯の眼を亜え、肘後に斜めに奪命の符を懸く。眼を瞎し符を卸せば、趙州東壁に葫蘆を掛く。」是に於て声名叢林に喧動す。住して後、上堂、言うて、「句中の意、意中の句、須弥巨川に聳ゆ。句意を刬し、意句を刬す。烈士は狂矢を発す。牙は剣樹の如く、口は血盆に似たるを任待すとも、徒らに詞鋒を逞うし、虚に意気を張る。所以に浄名口を杜ぐも早く繁詞に渉り、摩竭関を掩うも已に家醜を揚ぐ。自余の瓦棺老汉・岩頭大師、羗峰の頂上に向って、風を拏し浪を鼓し、神変を玩弄す。脚根下に好く三十を与えん。且く道え過は什麼の処に在る。」良久して云く、「機関は是れ韓光の作に非ず、𮌎襟を把って等閑と為る莫れ。」至節に至り、上堂。「二十五日已前、群陰消伏し、泥竜戸を閉ず。二十五日已後、一陽来復し、鉄樹華を開く。正に二十五日に当りて、塵中の醉客は驢に騎り馬に騎り、前街後街、𮞏相慶賀す。物外の閑人は、衲帔頭に蒙り、炉を囲みて打坐す。風蕭蕭、雨蕭蕭、冷湫湫。誰かお前を管せん張先生・李道士・胡達磨。」上堂。「懶翁は懶中の懶。

是懶懶說禪。亦不重自己。亦不重先賢。又誰管你地。又誰管你天。物外翛然無箇事。日上三竿猶更眠。上堂。舉。僧問趙州。如何是古人言。州雲。諦聽諦聽。師曰。諦聽即不無。切忌喚鐘作甕。室中問僧。萬法歸一。一歸何處。曰。新羅國裡。師曰。我在青州作一領布衫。重七斤。聻。曰。今日親見趙州。師曰。前頭見。後頭見。僧乃作斫額勢。師曰。上座甚處人。曰。江西。師曰。因甚麼卻來這裡納敗缺。僧擬議。師便打。

(師は接して言った。)「是れ懶懶として禅を説く。亦た自己を重んぜず、亦た先賢を重んぜず。又た誰かお前の地を管し、又た誰かお前の天を管せん。物外翛然として箇の事無く、日三竿に上りて猶ほ更に眠る。」上堂。挙ぐ、「僧趙州に問う、如何なるか是れ古人の言。州云く、諦聴諦聴。」師は言った。「諦聴は則ち無からず、切に鐘を喚びて甕と作すを忌む。」室中に僧に問う、「万法一に帰し、一は何の処にか帰する。」言った、「新羅国裏。」師は言った、「我は青州に在りて一領の布衫を作る、重さ七斤、聻。」言った、「今日親しく趙州を見る。」師は言った、「前頭に見るか、後頭に見るか。」僧乃ち額を斫るの勢を作す。師は言った、「上座は什麼の処の人ぞ。」言った、「江西。」師は言った、「什麼が因ってか却って此に来りて敗缺を納る。」僧擬議す。師便ち打つ。

福州東禪蒙庵思嶽禪師

福州東禅蒙庵思岳禅師

上堂。蛾羊蟻子說一切法。墻壁瓦礫現無邊身。見處既精明。聞中必透脫。所以雪峰和尚凡見僧來。輥出三箇木毬。如弄雜劇相似。玄沙便作斫牌勢。卑末謾道將來。普賢今日謗古人。千佛出世。不通懺悔。這裡有人謗普賢。定入㧞舌地獄。且道謗與不謗者是誰。心不負人。面無慚色。上堂。達磨來時。此土皆知梵語。及乎去後。西天悉會唐言。若論直指人心。見性成佛。大似羚羊掛角。獵犬尋蹤。一意乖疎。萬言無用。可謂來時他笑我。不知去後我笑他。唐言梵語親分付。自古齋僧怕夜茶。上堂。臘月初。歲雲徂。黃河凍已合。深處有嘉魚。活鱍鱍。跳不脫。又不能相煦以濕。相濡以沫。慚愧菩薩摩訶薩。春風幾時來。解此黃河凍。令魚化作龍。直透桃華浪。會即便會。痴人面前且莫說夢。上堂。僧問。如何是初日分。以恆河沙等身佈施。師曰。從苗辨地。因語識人。曰。如何是中日分。復以恆河沙等身佈施。師曰。築著磕著。曰。如何是後日分。亦以恆河沙等身佈施。師曰。向下文長。付在來日。復曰。一轉語如天普蓋。似地普擎。一轉語。舌頭不出口。一轉語。且喜沒交涉。要會麼。慚愧。世尊面赤。不如語直。大小嶽上座。口似磉盤。今日為這問話僧講經。不覺和註腳一時說破。便下座。上堂。啞卻我口。直須要道。塞卻你耳。切忌蹉過。昨日有人從天台來。卻道泗洲大聖在洪州打坐。十字街頭賣行貨。是甚麼。斷跟草鞋。尖簷席帽。

上堂。「蛾羊蚁子は一切法を説き、墙壁瓦礫は無辺の身を現す。見処既に精明ならば、聞中必ず透脱せん。所以に雪峰和尚凡そ僧の来るを見れば、三箇の木毬を輥り出す、雑劇を弄するに相似たり。玄沙便ち牌を斫るの勢を作す。卑末谩り道う将来す、普賢今日古人を謗る、千仏出世しても、通じて懴悔せず。此の裏に人普賢を謗れば、定めて㧞舌地獄に入らん。且く道え謗ると謗らざるの者は是れ誰ぞ。心人に負かざれば、面に慚色無し。」上堂。「達磨の来たる時、此の土皆な梵語を知り、及び乎去りし後、西天悉く唐言を会す。若し直指人心・見性成仏を論ぜば、大いに似たり羚羊の角を掛け、猟犬の蹤を尋ぬるに。一意乖疏なれば、万言も用無し。謂う可し、来たる時は他我を笑い、知らず去りし後は我他を笑うと。唐言梵語親しく分付す、自古斎僧は夜茶を怕る。」上堂。「臘月の初、歳云いて徂く。黄河の凍已に合し、深処に嘉魚有り。活鱍鱍として跳ねるも脱せず、又た能く相煦らうに湿を以てし、相濡らうに沫を以てせず。慚愧するかな菩薩摩訶薩、春風几時か来たりて此の黄河の凍を解き、魚をして化して竜と作らしめ、直に桃花の浪を透らん。会すれば便ち会す、痴人の面前且く夢を説く莫れ。」上堂。「僧問う、如何なるか是れ初日の分、恒河沙の身を以て布施すと。師は言った。『苗に従いて地を弁じ、語に因りて人を識る。』言った、如何なるか是れ中日の分、復た恒河沙の身を以て布施すと。師は言った。『築着し磕着す。』言った、如何なるか是れ後日の分、亦た恒河沙の身を以て布施すと。師は言った。『下文長し、来日に付す。』復た言った。『一転の語は天の普く蓋うが如く、地の普く擎ぐるに似たり。一転の語は舌頭口を出でず。一転の語は且らく喜ぶ交渉無し。会せんと要するか。慚愧せよ。世尊の面赤は語直に如かず。大小の岳上座は口は磉盤に似たり。今日此の問話の僧の為に経を講じ、覚えず注脚を和し一時に説破す。』便ち座を下りた。」上堂。「我が口を啞し、直に須らく道うべし。お前の耳を塞ぎ、切に蹉過を忌む。昨日人の天台より来る有り、却って道う泗洲の大聖洪州に在りて打坐し、十字街頭に行貨を売ると。是れ什麼ぞ、跟を断てる草鞋・檐尖れる席帽。」

福州西禪此庵守淨禪師

福州西禅此庵守浄禅師

上堂。談玄說妙。撒屎撒尿。行棒行喝。將鹽止渴。立主立賓。華擘宗乘。設或總不恁麼。又是鬼窟裡坐。到這裡。山僧已是打退皷。且道諸人。尋常心憤憤。口悱悱。合作麼生。莫將閑學解。埋沒祖師心。上堂。若也單明自己。不悟目前。此人有眼無足。若也祇悟目前。不明自己。此人有足無眼。直得眼足相資。如車二輪。如鳥二翼。正好勘過了打。上堂。九夏炎炎大熱。木人汗流不輟。夜來一雨便涼。莫道山僧不說。以拂子擊禪床。下座。上堂。若欲正提綱。直須大地荒。欲來沖雪刃。未免露鋒鋩。當恁麼時。釋迦老子出頭不得即不問。你諸人祇如馬鐙裡藏身。又作麼生話會。上堂。道是常道。心是常心。汝等諸人。聞山僧恁麼道。便道我會也。大盡三十日。小盡二十九。頭上是天。腳下是地。耳裡聞聲。鼻裡出氣。忽若四大海水在汝頭上。毒虵穿你眼睛。蝦蟆入你鼻孔。又作麼生。上堂。文殊普賢談理事。臨濟德山行棒喝。東禪一覺到天明。偏愛風從涼處發。咄。上堂。善鬬者不顧其首。善戰者必獲其功。其功既獲。坐致太平。太平既致。高枕無憂。罷拈三尺劍。休弄一張弓。歸馬於華山之陽。放牛於桃林之野。風以時而雨以時。漁父歌而樵人舞。雖然如是。堯舜之君。猶有化在。爭似乾坤收不得。堯舜不知名。渾家不管興亡事。偏愛和雲占洞庭。上堂。閉卻口。時時說。截卻舌。無間歇。無間歇。最奇絕。最奇絕。眼中屑。既是奇絕。為甚麼卻成眼中屑。了了了時無可了。玄玄玄處亦須呵。上堂。祖佛頂𩕳上。有潑天大路。未透生死關。如何敢進步。不進步。大千沒遮護。一句絕言詮。那吒擎鐵柱。開堂。拈香罷。就座。南堂和尚白槌曰。法筵龍象眾。當觀第一義。師隨聲便喝曰。此是第幾義。久參先德。已辨來端。後學有疑。不妨請問。僧問。阿難問迦葉。世尊傳金襴外。別傳何物。

上堂。「玄を談じ妙を説くは、屎を撒き尿を撒く。棒を行じ喝を行ずるは、塩を将て渇きを止む。主を立て賓を立つるは、宗乗を華擘す。設け或いは総て恁麼せずは、又た是れ鬼窟裏に坐す。此に到りて、山僧已に是れ退皷を打つ。且く道え諸人尋常心は憤憤、口は悱悱、合して作麼生せん。閑学解を将ちて祖師の心を埋没す莫れ。」上堂。「若し也だ単に自己を明らかにして目前を悟らざれば、此の人眼有りて足無し。若し也だ只だ目前を悟りて自己を明らかにせざれば、此の人足有りて眼無し。直に眼足相資するを得て、車の二輪・鳥の二翼の如く、正に勘了して打つを好し。」上堂。「九夏炎炎の大熱、木人汗流れて輟まず。夜来一雨便ち涼し、山僧説かざりしと道う莫れ。」拂子を以て禅床を撃ち、座を下りた。上堂。「若し正しく綱を提せんと欲せば、直に須らく大地荒れるべし。来りて雪刃を衝かんと欲せば、未だ免れず鋒鋩を露す。是れ恁麼の時に当りて、釈迦老子頭を出すを得ずは則ち問わず、お前諸人只だ馬鐙裏に身を蔵するが如く、又た作麼生にか話会せん。」上堂。「道是れ常道、心是れ常心。お前等諸人、山僧の恁麼道うを聞きて、便ち道う我会せりと。大尽は三十日、小尽は二十九。頭上は是れ天、脚下は是れ地、耳裏に声を聞き、鼻裏に気を出す。忽ち若し四大海の水お前の頭上に在り、毒虵お前の眼睛を穿ち、虾蟆お前の鼻孔に入らば、又た作麼生。」上堂。「文殊普賢は理事を談じ、臨済徳山は棒喝を行ず。東禅は一覚して天明に至る、偏ねに愛む風の涼処より発するを。咄。」上堂。「善く鬬う者は其の首を顧みず、善く戦う者は必ず其の功を獲る。其の功既に獲れば、坐して太平を致す。太平既に致れば、枕を高うして憂え無し。三尺の剣を拈じ罷め、一張の弓を弄するを休め、馬を華山の陽に帰し、牛を桃林の野に放つ。風時を以てし雨時を以てし、漁父歌い樵人舞う。是の如しと雖も、堯舜の君猶ほ化有り、争いか似ん乾坤の収め得ざるに、堯舜名を知らず。

迦葉喚阿難。阿難應諾。未審此意如何。師曰。切忌動著。曰。祇如迦葉道倒卻門前剎竿著。又作麼生。師曰。石牛橫古路。曰。祇如和尚於佛日處。還有這箇消息也無。師曰。無這箇消息。曰。爭奈定光金地遙招手。智者江陵暗點頭。師曰。莫將庭際柏。輕比路傍蒿。僧禮拜。師乃曰。定光金地遙招手。智者江陵暗點頭。已是白雲千萬裡。那堪於此未知休。設或於此便休去。一場狼籍不少。還有檢點得出者麼。如無。山僧今日失利。僧問。佛佛授手。祖祖相傳。未審傳箇甚麼。師曰。速禮三拜。問。不施寸刃。請師相見。師曰。逢強即弱。曰。何得埋兵掉鬬。師曰。祇為闍黎寸刃不施。曰。未審向上還有事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。敗將不斬。問。古佛堂前。甚麼人先到。師曰。無眼村翁。曰。未審如何趣向。師曰。楖栗橫擔。

(師は接して言った。)「渾家は興亡の事を管せず、偏ねに愛む雲と占して洞庭を占むを。」上堂。「口を閉却して時時説き、舌を截却して間歇無し。間歇無し、最も奇絶。最も奇絶、眼中の屑。既に是れ奇絶、什麼が為に却って眼中の屑と成る。了了了する時了う可き無く、玄玄玄する処も亦た須らく呵すべし。」上堂。「祖仏の頂𩕳上に、天を潑する大路有り。未だ生死の関を透らず、如何ぞ敢えて歩を進めん。歩を進めざれば、大千護る遮無し。一言言詮を絶せば、那咤鉄柱を擎ぐ。」堂を開く。香を拈じ罷りて座に就く。南堂和尚槌を白して言った。「法筵の竜象の衆、当に第一義を観ずべし。」師声に随いて便ち喝して言った。「此れ第几の義ぞ。久しく先徳に参し、已に来端を弁ず。後学疑有らば、妨げず請問せよ。」僧が問うた。「阿難迦葉に問う、世尊金襴を伝うる外、別に伝うるは何物ぞ。

建寧府開善道謙禪師

(師は接して言った。)「迦葉阿難を喚び、阿難応諾す。未だ審らかならず此の意如何。」師は言った。「切に動着を忌む。」言った。「只だ迦葉の道う門前の刹竿を倒し却れと、又た作麼生。」師は言った。「石牛古路を横たう。」言った。「只だ和尚の仏日の処に於て、還って此の消息有るや無しや。」師は言った。「此の消息無し。」言った。「争奈か定光金地遥かに手を招き、智者江陵暗に頭を点くを。」師は言った。「庭際の柏を将ちて、軽く路傍の蒿に比す莫れ。」僧が礼拝した。師乃ち言った。「定光金地遥かに手を招き、智者江陵暗に頭を点く。已に是れ白云千万里、那んぞ堪えん此に於て未だ休せざるを。設け或いは此に於て便ち休し去らば、一場の狼籍少なからず。還って点検し出すを得る者有るか。無くば、山僧今日失利せり。」僧が問うた。「仏仏授手し、祖祖相伝う、未だ審らかならず箇の什麼をか伝う。」師は言った。「速やかに三拝を礼せよ。」問うた。「寸刃を施さず、師の相見を請う。」師は言った。「強に逢えば即ち弱し。」言った。「何ぞ兵を埋め闘を掉すを得る。」師は言った。「只だ闍黎寸刃を施さざるが為に。」言った。「未だ審らかならず向上に還って事有るや無しや。」師は言った。「有り。」言った。「如何なるか是れ向上の事。」師は言った。「敗将は斬らず。」問うた。「古仏堂前、什麼人か先に到る。」師は言った。「眼無き村翁。」言った。「未だ審らかならず如何にか趣向せん。」師は言った。「楖栗を横担す。」

本郡人。初之京師依圓悟。無所省發。後隨妙喜庵居泉南。及喜領徑山。師亦侍行。未幾。令師往長沙通紫巖居士張公書。師自謂。我參禪二十年。無入頭處。更作此行。決定荒廢。意欲無行。友人宗元者叱曰。不可在路便參禪不得也。去。吾與汝俱往。師不得已而行。在路泣語元曰。我一生參禪。殊無得力處。今又途路奔波。如何得相應去。元告之曰。你但將諸方參得底。悟得底。圓悟妙喜為你說得底。都不要理會。途中可替底事。我盡替你。只有五件事替你不得。你須自家支當。師曰。五件者何事。願聞其要。元曰。著衣吃飯。屙屎放尿。䭾箇死屍路上行。師於言下領旨。不覺手舞足蹈。元曰。你此回方可通書。宜前進。吾先歸矣。元即回徑山。師半載方返。妙喜一見而喜曰。建州子。你這回別也。住後。上堂。竺土大僊心。東西密相付。如何是密付底心。良久雲。八月秋。何處熱。上堂。壁立千仞。三世諸佛。措足無門。是則是。太殺不近人情。放一線道。十方剎海。放光動地。是則是。爭奈和泥合水。須知通一線道處壁立千仞。壁立千仞處通一線道。橫拈倒用。正按傍提。電激雷奔。崖頹石裂。是則是。猶落化門到這裡。壁立千仞也沒交涉。通一線道也沒交涉。不近人情。和泥合水。總沒交涉。只這沒交涉。也則沒交涉。是則是。又無佛法道理。若也出得這四路頭。管取乾坤獨步。且獨步一句作麼生道。莫怪從前多意氣。他家曾踏上頭關。上堂。去年也有箇六月十五。今年也有箇六月十五。去年六月十五。少卻今年六月十五。今年六月十五。多卻去年六月十五。多處不用減。少處不用添。既不用添。又不用減。則多處多用。少處少用。乃喝一喝曰。是多是少。良久曰。箇中消息子。能有幾人知。上堂。洞山麻三斤。將去無星秤子上定過。每一斤恰有一十六兩。二百錢重。更不少一氂。

本郡の人である。初め京師に之きて円悟に依るも、省発する所無し。後に妙喜に随いて泉南に庵居し、及び喜径山を領するに、師も亦た侍行す。未几、師をして長沙に往きて紫岩居士張公に書を通ぜしむ。師自ら謂う、「我参禅すること二十年、入頭の処無し。更に此の行を作さば、決定して荒廃せん。」意は行かざらんと欲す。友人の宗元なる者叱って言った、「可ならず路に在りて便ち参禅するを得ざる也。去れ、吾お前と倶に往かん。」師已むを得ずして行く。路に在りて泣きて元に語って言った、「我一生参禅するも、殊に得力の処無し。今又た途路奔波す、如何にか応じ去るを得ん。」元之を告げて言った、「お前但だ諸方に参得する底・悟得する底・円悟妙喜のお前の為に説得する底を将て、都不要して理会せよ。途中替う可きの事は、我尽くお前に替わらん。只だ五件の事はお前に替わるを得ず、お前須らく自家に支当せよ。」師は言った、「五件は何事ぞ、其の要を聞かんことを願う。」元は言った、「衣を着け飯を喫い、屎を屙り尿を放ち、箇の死尸を䭾りて路上に行く。」師言下に於て旨を領し、覚えず手舞い足蹈す。元は言った、「お前此の回方に可なり書を通せん。宜しく前進せよ、吾先に帰らん。」元即ち径山に回る。師半載にして方に返る。妙喜一見して喜びて言った、「建州子、お前此の回別なり。」住して後、上堂。「竺土の大僊の心、東西密かに相付す。如何なるか是れ密付の底の心。」良久して云く、「八月の秋、何れの処か熱き。」上堂。「壁立千仞、三世の諸仏足を措くに門無し。是れ則ち是れ、太だ人情に近からざるを殺す。一線の道を放てば、十方刹海光を放ち地を動かす。是れ則ち是れ、争奈か泥に和し水に合す。須らく知れ一線の道を通ずるの処は壁立千仞、壁立千仞の処は一線の道を通ず。横に拈じ倒に用い、正に按じ傍に提ぐ。電激雷奔、崖頽れ石裂す。是れ則ち是れ、猶ほ化門に落ちて此に到る。壁立千仞も交渉無く、一線の道を通ずるも交渉無く、人情に近からず・泥に和し水に合すも、総て交渉無し。只だ此の交渉無しも亦た交渉無し。是れ則ち是れ、又た仏法の道理無し。若し也だ此の四路頭を出で得れば、管取して乾坤独歩せん。且く独歩の一句は作麼生にか道わん。怪む莫れ従前意気多きを、他家曾て上頭の関を踏上するを。」上堂。「去年も亦た箇の六月十五有り、今年も亦た箇の六月十五有り。去年の六月十五は、今年の六月十五を少却し、今年の六月十五は、去年の六月十五を多却す。多処は減ずるを用いず、少処は添えるを用いず。既に添えるを用いず、又た減ずるを用いざれば、則ち多処は多用し、少処は少用す。」乃ち一喝して言った、「是れ多か是れ少か。」良久して言った。「箇中の消息子、能く几人有りて知らん。」上堂。「洞山の麻三斤、星無き秤子上に将りて定め過ぎば、毎斤恰も一十六両・二百銭の重さ有り、更に一牦も少なからず。

正與趙州殿裡底一般。祇不合被大愚鋸解秤鎚。卻教人理會不得。如今若要理會得。但問取雲門乾屎橛。上堂。有句無句。如藤倚樹。撞倒燈籠。打破露柱。佛殿奔忙。僧堂回顧。子細看來。是甚傢俱。咄。祇堪打老鼠。上堂。諸人從僧堂裡恁麼上來。少間。從法堂頭恁麼下去。並不曾差了一步。因甚麼卻不會。良久曰。祇為分明極。飜令所得遲。

「正に趙州殿裏の底と一般、只だ合わず大愚に秤鎚を鋸解せられ、却って人をして理会せしめ得ず。如今若し理会せんと要せば、但だ云門の乾屎橛に問取せよ。」上堂。「有句無句、藤の樹に倚るが如し。灯籠を撞倒し、露柱を打破す。仏殿奔忙し、僧堂回顧す。仔細に看れば、是れ什麼の家具ぞ。咄。只だ老鼠を打つに堪う。」上堂。「諸人僧堂裏より恁麼して上来す。少間、法堂頭より恁麼して下去す。並びに曾て一歩を差えず。什麼が因ってか却って会せざる。」良久して言った。「只だ分明極まるが為に、飜って所得を令すこと遅し。」

慶元府育王佛照德光禪師

慶元府育王仏照徳光禅師

臨江軍彭氏子。志學之年。依本郡東山光化寺吉禪師落髮。一日入室。吉問。不是心。不是佛。不是物。是甚麼。師罔措。遂致疑。通夕不寐。次日。詣方丈請益。昨日蒙和尚垂問。既不是心。又不是佛。又不是物。畢竟是甚麼。望和尚慈悲指示。吉震威一喝曰。這沙彌。更要我與你下注腳在。拈棒劈脊打出。師於是有省。後謁月庵杲.應庵華.百丈震。終不自肯。適大慧領育王。四海英材鱗集。師亦與焉。大慧室中問師。喚作竹篦則觸。不喚作竹篦則背。不得下語。不得無語。師擬對。慧便棒。師豁然大悟。從前所得。瓦解冰消。初住臺之光孝。僧問。浩浩塵中。如何辨主。師曰。中峰頂上塔心尖。上堂。臨濟三遭痛棒。大愚言下知歸。興化於大覺棒頭。明得黃檗意旨。若作棒會。入地獄如箭射。若不作棒會。入地獄如箭射。眾中商量。盡道赤心片片。恩大難酧。總是識情卜度。未出陰界。且如臨濟悟去。是得黃檗力。是得大愚力。若也見得。許你頂門眼正。肘後符靈。其或未然。鴻福更為諸人通箇消息。丈夫氣宇沖牛鬥。一踏鴻門兩扇開。上堂。七手八腳。三頭兩面。耳聽不聞。眼覷不見。苦樂逆順。打成一片。且道是甚麼。路逢死虵莫打殺。無底籃子盛將歸。上堂。聞聲悟道。落二落三。見色明心。錯七錯八。生機一路。猶在半途。且道透金剛圈.吞栗棘蓬底是甚麼人。披蓑側立千峰外。引水澆蔬五老前。師住靈隱日。孝宗皇帝甞詔問道。留宿內觀堂。奏對機緣。備於本錄。後示寂。塔全身於鄮峰東庵。

臨江軍の彭氏の子である。志学の年、本郡東山光化寺の吉祥師に依りて髪を落とす。一日室に入り、吉問う、「心に非ず、仏に非ず、物に非ず、是れ什麼ぞ。」師措く罔し。遂に疑を致し、夕を通じて寐ず。次日、方丈に詣りて益を請う、「昨日和尚の垂問を蒙る、既に心に非ず、又た仏に非ず、又た物に非ず、畢竟是れ什麼ぞ。和尚の慈悲指示を望む。」吉威を震いて一喝して言った、「此の沙弥、更に我がお前に注脚を下し与えんを要す。」棒を拈じ脊を劈きて打出す。師是に於て省有り。後に月庵杲・応庵華・百丈震に謁す。終に自ら肯んぜず。適に大慧育王を領し、四海の英材鱗集す。師亦た焉に与る。大慧室中に師に問う、「竹篦と喚べば則ち触れ、竹篦と喚ばざれば則ち背く。語を下すを得ず、語無きを得ず。」師対を擬す。慧便ち棒す。師豁然として大悟し、従前の所得、瓦解氷消す。初め台の光孝に住す。僧が問うた。「浩浩の塵中、如何にか主を弁ずる。」師は言った。「中峰頂上の塔心の尖。」上堂。「臨済三度痛棒を遭い、大愚の言下に帰するを知り、興化は大覚の棒頭に於て、黄檗の意旨を明かに得たり。若し棒会と作さば、地獄に入ること箭の射るが如し。若し棒会と作さざれば、地獄に入ること箭の射るが如し。衆中に商量し、尽く道う赤心片片、恩大いに報い難しと。総て是れ識情の卜度、未だ陰界を出でず。且く臨済悟り去るが如く、是れ黄檗の力を得るか、是れ大愚の力を得るか。若し也だ見得せば、お前の頂門の眼正しく、肘後の符霊なるを許さん。其れ或いは未然ならば、鴻福更に諸人の為に箇の消息を通ぜん。丈夫の気宇牛斗に沖り、一踏して鴻門両扇開く。」上堂。「七手八脚、三頭両面。耳は聴くも聞えず、眼は覷るも見えず。苦楽逆順、打一して片を成す。且く道え是れ什麼ぞ。路に死虵に逢うも打殺す莫れ、底無き籃子に盛りて将ち帰れ。」上堂。「声を聞きて道を悟るは、二に落ち三に落つ。色を見て心を明らかにするは、七を錯り八を錯る。「生機の一路は、猶ほ半途に在り。且く道え金剛の圈を透り栗棘蓬を呑むの底は是れ什麼人ぞ。蓑を披きて側らに千峰の外に立ち、水を引きて蔬を澆ぐ五老の前。」師の霊隠に住する日、孝宗皇帝甞て詔して道を問う、内観堂に宿を留む。奏対の機縁、本録に備わる。後に示寂し、全身を鄮峰の東庵に塔す。

常州華藏遯庵宗演禪師

常州華蔵遯庵宗演禅師

福州鄭氏子。上堂。拈起拄杖曰。識得這箇。一生參學事畢。古人恁麼道。華藏則不然。識得這箇。更須買草鞋行腳。何也。到江吳地盡。隔岸越山多。臘旦。上堂。一九與二九。相逢不出手。世間出世間。無剩亦無少。遂出手曰。華藏不惜性命。為諸人出手去也。劈面三拳。攔腮一掌。靈利衲僧。自知痛癢。且轉身一句作麼生道。巡堂吃茶去。上堂。舉。南泉和尚道。我十八上便解作活計。趙州和尚道。我十八上便解破家散宅。師雲。南泉趙州也是徐六擔板。祇見一邊。華藏也無活計可作。亦無家宅可破。逢人突出老拳。要伊直下便到。且道到後如何。三十六峰觀不足。卻來平地倒騎驢。

福州の鄭氏の子である。上堂。拄杖を拈起して言った。「此の箇を識得せば、一生の参学事畢わる。古人恁麼道う。華蔵は則ち然らず、此の箇を識得すとも、更に須らく草鞋を買いて行脚すべし。何ぞや、江呉に到れば地尽き、岸を隔てて越山多し。」臘旦に、上堂。「一九と二九、相逢えて手を出さず。世間出世間、剰も無く少も無し。」遂に手を出して言った。「華蔵は性命を惜しまず、諸人の為に手を出し去るなり。面を劈く三拳、腮を拦う一掌。霊利の衲僧は自ら痛痒を知る。且く道え身を転ずる一句は作麼生にか道わん。堂を巡りて茶を喫し去れ。」上堂。挙ぐ、「南泉和尚道う、我十八の上に便ち活計を作すを解す。趙州和尚道う、我十八の上に便ち家を破り宅を散ずるを解す。」師は言った。「南泉趙州も亦是れ徐六の板を担ぐ、只だ一辺を見る。華蔵も作す可き活計無く、亦た破る可き家宅無し。人に逢えば老拳を突出し、伊を直下に便ち到らしめんと要す。且く道え到りし後は如何。三十六峰観るに足らず、却って来りて平地に驢に倒騎す。」

慶元府天童無用淨全禪師

慶元府天童無用浄全禅師

越州翁氏子。上堂。學佛止言真不立。參禪多與道相違。忘機忘境急回首。無地無錐轉步歸。佛不是。心亦非。覿體承當絕所依。萬古碧潭空界月。再三撈摝始應知。上堂。良久召眾曰。還知麼。復曰。敗缺不少。上堂。舉。長沙示眾曰。百尺竿頭坐底人。雖然得入未為真。百尺竿頭須進步。十方世界現全身。大慧先師道。要見長沙麼。更進一步。保寧則不然。要見長沙麼。更退一步。畢竟如何。換骨洗腸重整頓。通身是眼更須參。師到靈隱。請上堂。靈山正派。達者猶迷。明來暗來。誰當辨的。雙收雙放。孰辨端倪。直饒千聖出來。也祇結舌有分。何故。人歸大國方為貴。水到瀟湘始是清。復曰。適來松源和尚舉竹篦話。令天童納敗缺。諸人要知麼。聽取一頌。黑漆竹篦握起。迅雷不及掩耳。德山臨濟茫然。懵底如何插觜。大慧甞舉靈雲悟桃華問師。師曰。靈雲一見兩眉橫。引得漁翁良計生。白浪起時拋一釣。任教魚鼈競頭爭。師自贊曰。匙挑不上箇村夫。文墨𮌎中一點無。曾把虗空揣出骨。惡聲嬴得滿江湖。後示寂。塔於本山。

越州の翁氏の子である。上堂。「学仏は只だ言う真立たずと、参禅は多く道と相違す。機を忘れ境を忘れ急いで首を回せ、地無く錐無くて歩を転じて帰れ。仏是れならず、心も亦た非ず、覿体承当して依る所を絶つ。万古の碧潭空界の月、再三撈摝して始めて応に知るべし。」上堂。良久して衆を召して言った。「還って知るか。」復た言った。「敗缺少なからず。」上堂。挙ぐ、長沙衆に示す、「百尺竿頭に坐する底の人、入るを得たりと雖も未だ真と為らず。百尺竿頭は須らく歩を進むべし、十方世界全身を現ず。」大慧先師道う、「長沙を見んと要するか、更に一歩を進めよ。」保寧は則ち然らず、「長沙を見んと要するか、更に一歩を退けよ。」畢竟如何。骨を換え腸を洗い重ねて整頓し、通身是れ眼にして更に須らく参すべし。師霊隠に到り、上堂を請う。「霊山の正派、達者も猶ほ迷う。明来暗来、誰か当に辨的せん。双収双放、孰れか端倪を辨ぜん。直饒千聖出で来るとも、也只だ舌を結ぶの分有り。何ぞ故に、人大国に帰して方に貴と為り、水瀟湘に到りて始めて是れ清し。」復た言った。「適来松源和尚竹篦の話を挙げ、天童に敗缺を納れしむ。諸人要して知るか、一頌を聴取せよ。黒漆の竹篦握り起して、迅雷耳を掩うに及ばず。徳山臨済茫然として、懵底如何ぞ觜を插さん。」大慧甞て霊雲悟桃花の話を挙げて師に問う。師は言った。「霊雲一見して両眉横なり、漁翁を引きて良計を生せしむ。白浪起る時一釣を抛ち、任しむ魚鼈の頭を競うて争うを。」師自ら賛して言った。「匙挑げず箇の村夫、文墨𮌎中一点無し。曾て虚空を把して骨を揣出し、悪声嬴得して江湖に満つ。」後に示寂し、本山に塔す。

大溈法寶禪師

大沩法寶禅師

福州人也。上堂。喚作竹篦則觸。不喚作竹篦則背。直須師子咬人。莫學韓獹逐塊。阿呵呵。會不會。金剛腳下鐵崑崙。捉得明州憨布袋。上堂。千般言。萬種喻。祇要教君早回去。夜來一片黑雲生。莫教錯卻山前路。咄。

福州の人である。上堂。「竹篦と喚べば則ち触れ、竹篦と喚ばざれば則ち背く。直に須らく師子の人を咬む、韓獹の塊を逐うを学ぶ莫れ。阿呵呵、会するや会せざるや。金剛脚下の鉄崑崙、明州の憨布袋を捉得す。」上堂。「千般の言、万種の喩、只だ君を教えて早く帰り去らしめんと要す。夜来一片の黒雲生じ、錯りて山前の路を却るを教え莫れ。咄。」

福州玉泉曇懿禪師

福州玉泉曇懿禅師

久依圓悟。自謂不疑。紹興初。出住興化祥雲。法席頗盛。大慧入閩。知其所見未諦。致書令來。師遲遲。慧小參。且痛斥。仍榜告四眾。師不得已。破夏謁之。慧鞫其所證。既而曰。汝恁麼見解。敢嗣圓悟老人邪。師退院親之。一日入室。慧問。我要箇不會禪底做國師。師曰。我做得國師去也。慧喝出。居無何。語之曰。香嚴悟處不在擊竹邊。俱胝得處不在指頭上。師乃頓明。後住玉泉。為慧拈香。繼省慧於小溪。慧陞座。舉。雲門一日拈拄杖示眾曰。凡夫實謂之有。二乘析謂之無。緣覺謂之幻有。菩薩當體即空。衲僧見拄杖子但喚作拄杖子。行但行。坐但坐。總不得動著。慧曰。我不似雲門老人。將虗空剜窟竉。驀拈拄杖曰。拄杖子不屬有。不屬無。不屬幻。不屬空。卓一下曰。凡夫.二乘.緣覺.菩薩。盡向這裡。各隨根性。悉得受用。唯於衲僧分上。為害為冤。要行不得行。要坐不得坐。進一步。則被拄杖子迷卻路頭。退一步。則被拄杖子穿卻鼻孔。即今莫有不甘底麼。試出來與拄杖子相見。如無。來年更有新條在。惱亂春風卒未休。正恁麼時合作麼生。下座。煩玉泉為眾拈出。師登座。敘謝畢。遂舉前話。曰。適來堂頭和尚恁麼批判。大似困魚止濼。病鳥棲蘆。若是玉泉則不然。拈拄杖曰。拄杖子能有.能無.能幻.能空。凡夫.二乘.緣覺.菩薩。卓一下曰。向這裡百雜碎。唯於衲僧分上。如龍得水。似虎靠山。要行便行。要坐便坐。進一步則乾坤震動。退一步則草偃風行。且道不進不退一句作麼生道。良久曰。閑持經卷倚松立。笑問客從何處來。

久しく円悟に依り、自ら謂う疑わず。紹興初め、出でて興化の祥雲に住す。法席頗る盛ん。大慧閩に入り、其の見諦ならざるを知り、書を致して来らしむ。師遅遅たり。慧小参して、且く痛斥し、仍ほ榜して四衆に告ぐ。師已むを得ず、夏を破りて之に謁す。慧其の証を鞫す。既にして言った、「お前恁麼の見解、敢えて円悟老人を嗣がんや。」師院を退きて之に親しむ。一日室に入り、慧問う、「我箇の禅を会せざる底を国師と作さんと要す。」師は言った、「我国師と作りて得去るなり。」慧喝いて出す。居ること无何、之に語うて言った、「香厳の悟処は竹を撃つの辺に在らず、倶胝の得処は指頭の上に在らず。」師乃ち頓明した。後に玉泉に住し、慧の為に香を拈ず。慧を小溪に於て省するに継ぎ、慧座に升り、挙ぐ、「云門一日拄杖を拈じて衆に示す、凡夫は実に之を有りと謂い、二乗は析めて之を無しと謂い、縁覚は之を幻有と謂い、菩薩は当体即ち空なり。衲僧は拄杖子を見れば但だ拄杖子と喚び、行けば但だ行き、坐れば但だ坐す、総て動着するを得ず。」慧は言った、「我は云門老人に似ず、虚空を将て窟竉を剜る。」驀然に拄杖を拈じて言った、「拄杖子は有に属せず、無に属せず、幻に属せず、空に属せず。」一下を卓して言った、「凡夫・二乗・縁覚・菩薩、尽く此の裏に向って、各々根性に随いて悉く受用を得る。唯だ衲僧の分上に於ては、害と為し冤と為す。行かんと要して行くを得ず、坐さんと要して坐するを得ず。一歩を進めば、則ち拄杖子に路頭を迷却せられ、一歩を退けば、則ち拄杖子に鼻孔を穿却せらる。即今不甘の底有るや無しや、試しに出で来て拄杖子と相見せよ。無くば、来年更に新条有りて、春風を悩乱して卒に未だ休せず。正に恁麼の時は合して作麼生せん。」座を下り、玉泉に煩わして衆の為に拈出せしむ。師座に登り、謝を叙し畢りて、遂に前の話を挙げて言った、「適来の堂頭和尚の恁麼の批判は、大いに似たり困魚の泺に止まり、病鳥の蘆に栖むに。若し是れ玉泉ならば則ち然らず。」拄杖を拈じて言った、「拄杖子は能有り、能無有り、「能幻有り、能空有り。凡夫・二乗・縁覚・菩薩。」一下を卓して言った。「此の裏に向って百雑碎す。唯だ衲僧の分上に於ては、竜の水を得るが如く、虎の山に靠るに似たり。行かんと要すれば便ち行き、坐さんと要すれば便ち坐す。一歩を進めば則ち乾坤震動し、一歩を退けば則ち草偃び風行く。且く道え進まず退かずの一句は作麼生にか道わん。」良久して言った。「閑に経巻を持して松に倚りて立ち、笑って問う客は何の処よりか来たると。」

饒州薦福悟本禪師

饒州薦福悟本禅師

江州人也。自江西雲門參侍妙喜。至泉南小谿。於時英俊畢集。受印可者多矣。師私謂其棄已。且欲發去。妙喜知而語之曰。汝但專意參究。如有所得。不待開口。吾已識也。既而有聞師入室者。故謂師曰。本侍者參禪許多年。逐日只道得箇不會。師詬之曰。這小鬼你未生時。我已三度霍山廟裡退牙了。好教你知。由是益銳志。以狗子無佛性話。舉無字而提撕。一夕將三皷。倚殿柱昏寐間。不覺無字出口吻。忽爾頓悟。後三日。妙喜歸自郡城。師趨丈室。足才越閫。未及吐詞。妙喜曰。本鬍子這回方是徹頭也。住後。上堂。高揖釋迦.不拜彌勒者。與三十拄杖。何故。為他祇會步步登高。不會從空放下。東家牽犂.西家拽耙者。與三十拄杖。何故。為他祇會從空放下。不會步步登高。山僧恁麼道。還有過也無。眾中莫有點檢得出者麼。若點檢得出。須彌南畔。把手共行。若點檢不出。布袋裡老鵶。雖活如死。上堂。釋迦掩室於摩竭。淨名杜口於毗耶。須菩提唱無說而顯道。釋梵絕眎聽而雨華。大眾。這一隊不唧𠺕漢。無端將祖父田園私地結契。各據四至界分。方圓長短。一時花擘了也。致令後代兒孫。千載之下。上無片瓦蓋頭。下無卓錐之地。博山當時若見。十字路頭掘箇無底深坑。喚來一時埋卻。免見𮞏相鈍置。何謂如此。不見道。家肥生孝子。國霸有謀臣。上堂。乾闥婆王曾奏樂。山河大地皆作舞。爭如跛腳老雲門。解道臘月二十五。博山今日有條攀條。無條攀例。也要應箇時節。驀拈拄杖。橫按膝上。作撫琴勢雲。還有聞絃賞音者麼。良久雲。直饒便作鳳凰鳴。畢竟有誰知指法。卓一下。下座。

江州の人である。江西云門自り妙喜に参侍し、泉南小溪に至る。于時英俊畢く集まり、印可を受くる者多し。師私に其の己を棄つるを謂い、且く発ち去らんと欲す。妙喜知りて之に語うて言った、「お前但だ専ら意を参究せよ、得る所有らば、口を開くを待たず、吾已に識る。」既にして師の室に入るを聞く者有り、故に師に謂うて言った、「本侍者参禅すること許多年、日を逐いて只だ箇の不会を道得す。」師之を詬りて言った、「此の小鬼、お前未だ生まれざる時、我已に三度霍山廟裏に牙を退けり、好くお前を教えて知らしめん。」是に由りて益々志を鋭くし、狗子無仏性の話を以て、無字を挙げて提撕す。一夕三皷を将にす、殿柱に倚りて昏寐の間、覚えず無字口吻を出で、忽爾として頓悟した。後三日、妙喜郡城自り帰る。師丈室に趨り、足才だ閫を越えて、未だ詞を吐くに及ばず、妙喜は言った、「本胡子此の回方に是れ徹頭なり。」住して後、上堂。「高く釈迦を揖して弥勒を拝せざる者、三十の拄杖を与えん。何ぞ故に、彼が只だ歩歩高きに登るを会して、空より放下するを会せざるが為に。東家に犁を牽き西家に耙を拽く者、三十の拄杖を与えん。何ぞ故に、彼が只だ空より放下するを会して、歩歩高きに登るを会せざるが為に。山僧恁麼道えば、還って過有るや無しや。衆中に点検し出すを得る者有るや莫しや。若し点検し出すを得れば、須弥の南畔に、手を把りて共に行かん。若し点検し出さざれば、布袋裏の老鵶、活すと雖も死するが如し。」上堂。「釈迦摩竭に於て室を掩い、浄名毘耶に於て口を杜ぐ。須菩提は説無きを唱えて道を顕し、釈梵は眎聴を絶して華を雨らす。大衆、此の一隊の不唧𠺕の漢、端無く祖父の田園を私地に結契し、各々四至の界分・方円の長短に拠り、一時に花擘し了れり。后代の児孫をして千載の下、上に蓋頭の片瓦無く、下に錐を卓するの地無からしむ。博山当時若し見れば、十字路頭に箇の無底の深坑を掘り、喚び来りて一時に埋め却らん、𮞏相鈍置するを見るを免れん。何ぞ此の如くなるを謂う、見ざるか道う、家肥えて孝子を生じ、国覇して謀臣有りと。」上堂。「乾闥婆王曾て楽を奏し、山河大地皆な舞を作す。争いか如かん跛脚の老云門、解く道う臘月二十五と。博山今日条有れば条を攀じ、条無ければ例を攀ず、也要して箇の時節に応ぜん。驀然に拄杖を拈じ、膝上に横按し、琴を撫ずるの勢を作して云く、還って弦を聞き音を賞する者有るか。良久して云く、直饒便ち鳳凰の鳴くを作すとも、畢竟に誰か指法を知らん。一下を卓し、座を下りた。」

慶元府育王大圓遵璞禪師

慶元府育王大円遵璞禅師

福州人。幼同玉泉懿問道圓悟。數載後還裡。佐懿於莆中祥雲。紹興甲寅。大慧居洋嶼。師往訊之。入室次。慧問三聖興化出不出.為人不為人話。你道這兩箇老漢。還有出身處也無。師於慧膝上打一拳。慧曰。祇你這一拳。為三聖出氣。為興化出氣。速道。速道。師擬議。慧便打。復謂曰。你第一不得忘了這一棒。後因慧室中問僧曰。德山見僧入門便棒。臨濟見僧入門便喝。雪峰見僧入門便道是甚麼。睦州見僧便道現成公案。放你三十棒。你道這四箇老漢。還有為人處也無。僧曰。有。慧曰。劄。僧擬議。慧便喝。師聞遽領微旨。大慧欣然許之。

福州の人である。幼にして玉泉懿と同じく円悟に道を問う。数載の後里に還り、莆中の祥雲に於て懿を佐く。紹興甲寅、大慧洋嶼に居り、師往きて之を訊ねる。室に入る次に、慧三聖・興化の出づるか出でざるか・人と為るか人と為らざるかの話を問うて言う、「お前道え此の両箇の老汉、還って出身の処有るや無しや。」師慧の膝上に一拳を打つ。慧は言った、「只だお前此の一拳、三聖の為に気を出すか、興化の為に気を出すか。速やかに道え、速やかに道え。」師擬議す。慧便ち打つ。復た謂う、「お前第一に此の一棒を忘るるを得ず。」後に因りて慧室中に僧に問うて言った、「徳山は僧の門に入るを見れば便ち棒し、臨済は僧の門に入るを見れば便ち喝し、雪峰は僧の門に入るを見れば便ち道う是れ什麼ぞ、睦州は僧を見れば便ち道う現成の公案、お前を放して三十棒と。お前道え此の四箇の老汉、還って人と為るの処有るや無しや。」僧は言った、「有り。」慧は言った、「札。」僧擬議す。慧便ち喝す。師聞きて遽かに微旨を領し、大慧欣然として之を許す。

溫州鴈山能仁枯木祖元禪師

温州雁山能仁枯木祖元禅師

七閩林氏子。初謁雪峰預。次依佛心才。皆已機契。及依大慧於雲門庵。夜坐次。睹僧剔燈。始徹證。有偈曰。剔起燈來是火。歷劫無明照破。歸堂撞見聖僧。幾乎當面蹉過。不蹉過是甚麼。十五年前奇特。依前祇是這箇。慧以偈贈之曰。萬仞崖頭解放身。起來依舊卻惺惺。饑餐渴飲渾無事。那論昔人非昔人。紹興乙巳春。出住能仁。上堂。有佛處不得住。踏著秤鎚硬似鐵。無佛處急走過。腳下草深三尺。三千里外。逢人不得錯舉。北斗掛須彌。恁麼則不去也。棒頭挑日月。摘楊華。摘楊華。眼裡瞳人著繡鞋。卓拄杖。下座。上堂。鴈山枯木實頭禪。不在尖新語句邊。背手忽然摸得著。長鯨吞月浪滔天。

七閩の林氏の子である。初め雪峰預に謁し、次いで仏心才に依る。皆な已に機契す。及び云門庵に於て大慧に依る。夜坐の次、僧の灯を剔ぐを睹て、始めて徹証す。偈有りて言った、「灯を剔起するは是れ火、劫を歴る無明を照破す。堂に帰りて聖僧に撞見し、几乎当面蹉過せんとす。蹉過せざるは是れ什麼ぞ、十五年前の奇特、依前として只だ是れ此の箇。」慧偈を以て之に贈って言った、「万仞の崖頭身を解放し、起き来りて依旧として却って惺惺。飢えて餐い渇いて飲むも渾て事無く、那んぞ論わん昔人の昔人に非ざるを。」紹興乙巳の春、出でて能仁に住す。上堂。「仏有る処は住するを得ず、秤鎚を踏着すれば硬さ鉄に似たり。無仏の処は急いで走り過ぎよ、脚下の草は深さ三尺。三千里の外、人に逢うも錯りて挙ぐるを得ず。北斗須弥に掛く。恁麼ならば則ち去らず也。棒頭に日月を挑げ、楊華を摘む、楊華を摘む。眼裏の瞳人繍鞋を着く。」拄杖を卓し、座を下りた。上堂。「雁山枯木実頭の禅、尖新の語句の辺に在らず。手を背ねて忽然摸得すれば、長鯨月を呑みて浪天を滔る。」

真州靈巖東庵了性禪師

真州霊岩東庵了性禅師

上堂。勘破了也。放過一著。是衲僧破草鞋。現修羅相。作女人拜。是野狐精魅。打箇圓相。虗空裡下一點。是小兒伎倆。攔腮贈掌。拂袖便行。正是業識茫茫。無本可據。直饒向黑豆未生已前。一時坐斷。未有吃靈巖拄杖分。敢問大眾。且道為人節文在甚麼處。還相委悉麼。自從春色來嵩少。三十六峰青至今。上堂。一葦江頭楊柳春。波心不見昔時人。雪庭要識安心土。鼻孔依然搭上唇。竪起拂子曰。祖師來也。還見麼。若也見得。即今薦取。其或未然。此去西天路。迢迢十萬餘。僧問。人天交接。如何開示。師曰。金剛手裡八稜棒。曰。忽被學人橫穿凡聖。擊透玄關時。又作麼生。師曰。海門橫鐵柱。問。如何是獨露身。師曰。牡丹華下睡貓兒。

上堂。「勘破し了れり、一着を放過す。是れ衲僧の破草鞋、修羅の相を現じ女人の拝を作す。是れ野狐の精魅、箇の円相を打ち虚空裏に一点を下す。是れ小児の伎倆、腮を拦えて掌を贈り、袖を拂えて便ち行く。正に是れ業識茫茫、据る可き本無し。直饒黒豆未だ生ぜざる已前に向って、一時に坐断すとも、未だ霊岩の拄杖を喫らうの分有らず。敢えて大衆に問う、且く道え人と為るの節文は什麼の処に在る。還って相委悉するか。自ら春色嵩少に来り、三十六峰今に至るまで青し。」上堂。「一葦の江頭楊柳の春、波心に昔時の人を見ず。雪庭要して安ずるの土を識れ、鼻孔依然として上唇に搭す。」拂子を竪起して言った。「祖師来たり、還って見るか。若し也だ見得せば、即今に薦取せよ。其れ或いは未然ならば、此の去西天の路、迢迢として十万余。」僧が問うた。「人天交接し、如何にか開示せん。」師は言った。「金剛手裏の八稜の棒。」言った。「忽ち学人に凡聖を横に穿たれ、玄関を撃透されし時は、又た作麼生。」師は言った。「海門の鉄柱を横たう。」問うた。「如何なるか是れ独露の身。」師は言った。「牡丹華下に睡る猫児。」

建康府蔣山一庵善直禪師

建康府蔣山一庵善直禅師

德安雲夢人。初參妙喜於回鴈峰下。一日。喜問之曰。上座甚處人。師曰。安州人。喜曰。我聞你安州人會廝撲。是否。師便作相撲勢。喜曰。湖南人吃魚。因甚湖北人著鯁。師打筋斗而出。喜曰。誰知冷灰裡。有粒豆𪹼出。住保寧。上堂。諸佛不曾出世。人人鼻孔遼天。祖師不曾西來。箇箇壁立千仞。高揖釋迦。不拜彌勒。理合如斯。坐斷千聖路頭。獨步大千沙界。不為分外。若向諸佛出世處會得。祖師西來處承當。自救不了。一生受屈。莫有大丈夫承當大丈夫事者麼。出來與保寧爭交。其或未然。不如拽破好。便下座。一日。留守陣丞相俊卿會諸山茶話次。舉有句無句。如藤倚樹公案。令諸山批判。皆以奇語取奉。師最後曰。張打油。李打油。不打渾身只打頭。陳大喜。

徳安の云夢の人である。初め回雁峰下に於て妙喜に参ず。一日喜之に問うて言った、「上座は什麼の処の人ぞ。」師は言った、「安州の人。」喜は言った、「我聞くお前安州の人は厮扑を会すと、是れ否や。」師便ち相扑の勢を作す。喜は言った、「湖南の人魚を喫うに、因甚か湖北の人鯁を着く。」師筋斗を打ちて出づ。喜は言った、「誰か知らん冷灰裏に粒の豆の𪹼出する有るを。」保寧に住す。上堂。「諸仏曾て世に出でず、人々鼻孔天に遼う。祖師曾て西来せず、箇箇壁立千仞。高く釈迦を揖して弥勒を拝せず、理は合して斯の如し。千聖の路頭を坐断し、独り大千の沙界を歩む、分外と為らず。若し諸仏出世の処に向って会得し、祖師西来の処に承当せば、自ら救うに了らず、一生屈を受けん。大丈夫有りて大丈夫の事を承当する者有るか、出で来て保寧と交を争え。其れ或いは未然ならば、破を拽くに如かず。」便ち座を下りた。一日、留守の陳丞相俊卿諸山の茶話の次を会す。有句無句・藤の樹に倚るが如しの公案を挙げて、諸山に批判せしむ。皆な奇語を以て奉を取る。師最後に言った、「張打油・李打油、渾身を打たずして只だ頭を打つ。」陳大いに喜ぶ。

劒州萬壽自護禪師

剣州万寿自護禅師

上堂。古者道。若人識得心。大地無寸土。萬壽即不然。若人識得心。未是究竟處。且那裡是究竟處。拈拄杖卓一下。曰。甜瓜徹蔕甜。苦瓠連根苦。

上堂。「古の者道う、若し人心を識れば、大地に寸土無しと。万寿は即ち然らず、若し人心を識るも、未だ是れ究竟の処に非ず。且く那の処か是れ究竟の処。」拄杖を拈じて一下を卓し、言った。「甜瓜は蔕を徹して甜く、苦瓠は根を連ねて苦し。」

潭州大溈了庵景暈禪師

潭州大沩了庵景暈禅師

上堂。雲門一曲。臘月二十五。瑞雪飄空。積滿江山塢。峻嶺寒梅華正吐。手把須彌槌。笑打虗空皷。驚起憍梵缽提。冷汗透身如雨。忿怒阿脩羅王。握拳當𮌎問雲。畢竟是何宗旨。咄。少室峰前。亦曾錯舉。

上堂。「雲門の一曲、臈月二十五。瑞雪は空に飘きて、江山の塢に積み満つ。峻嶺の寒梅華正に吐く。且く道え雲門の一曲は作麼生にか唱うや。拊掌、笑うの声。曲は白雪に在らずして、知音の士は自ら分明なり。萬象は亘古も露骨地なり、何ぞ人に向って説くを得ん。慈観婆子婆なり。東禅の老婆、曾て夜夢みる底も、是の如しと雖も。僧問う、「如何なるか是れ龍歩の放蹄ぞ。」師は言った、「鵬の背なり。」問う、「如何なるか是れ麒麟の独歩ぞ。」師は言った、「蚯蚓に勤る莫れ。」問う、「如何なるか是れ少林の妙訣ぞ。」師は言った、「収めて皮肉を徹せよ。」問う、「如何なるか是れ將軍の鉄柱ぞ。」師は言った、「天下を横走する有。」問う、「如何なるか是れ劍々の揮空ぞ。」師は言った、「須らく別に一著子有るべき。」問う、「如何なるか是れ佛の勁力ぞ。」師は言った、「獅子の吼え。」問う、「如何なるか是れ華光の遍界ぞ。」師は言った、「聚亭の月の如し。」問う、「未だ審らかならず此の変通旨意如何。」師は言った、「阿誰か先陀婆を喚するぞ。」乃ち云く、「今日一衆の道の処は便ち漢地に落つべき。竺土二種の起閣は、怒阿修羅王が拳を握りて𩕳に当りて問うに云く、畢竟是れ何の宗旨ぞと。咄、少室の峰前、亦た曾て錯挙す。

臨安府靈隱誰庵了演禪師

臨安府霊隠誰庵了演禅師

上堂。面門拶破。天地懸殊。打透牢關。白雲萬裡。饒伊兩頭坐斷。別有轉身。三生六十劫。也未夢見在。喝一喝。下座。

上堂。「面門拶破せば、天地懸殊。牢関を打透せば、白云万里。伊に饒らく両頭坐断するも、別に身を転ずる有り。三生六十劫も、未だ夢に見ず。」一喝して、座を下りた。

泰州光孝寺致遠禪師

泰州光孝寺致遠禅師

上堂。舉女子出定話。乃曰。從來打皷弄琵琶。須是相逢兩會家。佩玉鳴鸞歌舞罷。門前依舊夕陽斜。

上堂。女子出定の話を挙げて、乃ち言った。「従来皷を打ち琵琶を弄す、須らく是れ両の会家に相逢え。佩玉鳴鸞の歌舞罷みて、門前依旧として夕陽斜なり。」

福州雪峰崇聖普慈蘊聞禪師

福州雪峰崇聖普慈蘊聞禅師

洪州沈氏子。示眾雲。旃檀叢林。旃檀圍繞。師子叢林。師子圍繞。虎狼叢林。虎狼圍繞。荊棘叢林。荊棘圍繞。大眾。四種叢林。合向那一種叢林安居好。若也明得。九十日內。管取箇箇成佛作祖。其或未然。般若叢林歲歲凋。無明荒草年年長。

洪州の沈氏の子である。衆に示す。「旃檀の叢林は旃檀囲繞し、師子の叢林は師子囲繞し、虎狼の叢林は虎狼囲繞し、荊棘の叢林は荊棘囲繞す。大衆、四種の叢林、合して那の一種の叢林に向って安居するを好む。若し也だ明らかに得れば、九十日の内、管取して箇箇成仏作祖せん。其れ或いは未然ならば、般若の叢林歳々凋み、無明の荒草年年長ず。」

處州連雲道能禪師

処州連雲道能禅師

漢州人。姓何氏。僧問。鏡清六刮。意旨如何。師曰。穿卻你鼻孔。曰。學人有鼻孔即穿。無鼻孔又穿箇甚麼。師曰。抱贓叫屈。曰。如何是就毛刮塵。師曰。筠袁䖍吉。頭上插筆。曰。如何是就皮刮毛。師曰。石城虔化。說話廝罵。曰。如何是就肉刮皮。師曰。嘉眉果閬。懷裡有狀。曰。如何是就骨刮肉。師曰。漳泉福建。頭匾如扇。曰。如何是就髓刮骨。師曰。洋瀾左蠡。無風浪起。曰。髓又如何刮。師曰。十八十九。痴人夜走。曰。六刮已蒙師指示。一言直截意如何。師曰。結舌有分。

漢州の人、姓は何氏。僧が問うた。「鏡清の六刮、意旨如何。」師は言った。「お前の鼻孔を穿却す。」言った。「学人鼻孔有れば則ち穿つ、鼻孔無きは又た箇の什麼をか穿つ。」師は言った。「贓を抱きて屈を叫ぶ。」言った。「如何なるか是れ毛に就きて塵を刮る。」師は言った。「筠袁虔吉、頭上に筆を插す。」言った。「如何なるか是れ皮に就きて毛を刮る。」師は言った。「石城虔化、話を説きて厮罵す。」言った。「如何なるか是れ肉に就きて皮を刮る。」師は言った。「嘉眉果閬、懐裏に状有り。」言った。「如何なるか是れ骨に就きて肉を刮る。」師は言った。「漳泉福建、頭は扁けて扇の如し。」言った。「如何なるか是れ髄に就きて骨を刮る。」師は言った。「洋瀾左蠡、風無くして浪起る。」言った。「髄は又た如何にか刮る。」師は言った。「十八十九、痴人夜走す。」言った。「六刮已に師の指示を蒙る、一言直截の意は如何。」師は言った。「舌を結ぶの分有り。」

臨安府靈隱最庵道印禪師

臨安府霊隠最庵道印禅師

漢州人。上堂。大雄山下虎。南山鼈鼻虵。等閑撞著。抱賞歸家。若也不惜好手。便與拔出重牙。有麼有麼。上堂。五五二十五。擊碎虗空皷。大地不容針。十方無寸土。春生夏長復何雲。甜者甜兮苦者苦。中秋。上堂。舉馬大師與西堂百丈南泉翫月公案。師雲。馬大師垂絲千尺。意在深潭。西堂振𩮻。百丈擺尾。雖則沖波激浪。未免上他鉤線。南泉自謂躍過禹門。誰知依前落在巨網。即今莫有絕羅籠.出窠臼底麼。也好出來露箇消息。貴知華藏門下。不致寂寥。其或未然。此夜一輪滿。清光何處無。

漢州の人である。上堂。「大雄山下の虎、南山の鼈鼻の虵、等閑に撞着すれば、賞を抱きて家に帰る。若し也だ好手を惜しまざれば、便ち与に重ねての牙を拔出せん。有るか有るか。」上堂。「五五二十五、虚空の皷を撃碎す。大地針を容れず、十方寸土無し。春生じ夏長じて復た何をか云わん、甜き者は甜く苦き者は苦し。」中秋に、上堂。馬大師と西堂・百丈・南泉の月を翫ぶの公案を挙げて、師は言った。「馬大師は千尺の絲を垂る、意は深潭に在り。西堂は𩮻を振り、百丈は尾を摆す。則ち波を沖り浪を激すと雖も、未だ免れず他の鈎線に上る。南泉自ら謂う禹門を躍過すと、誰か知らん依前として巨網に落つるを。即今絶羅籠・窠臼を出づるの底有るや無しや。也だ好く出で来て箇の消息を露せよ、貴く知れ華蔵門下寂寥を致さざるを。其れ或いは未然ならば、此の夜の一輪満ちて、清光は何れの処か無からん。」

建寧府竹原宗元庵主

建寧府竹原宗元庵主

本郡連氏子。久依大慧。分座西禪。丞相張公浚帥三山。以數院迎之。不就。歸舊裡。結茆號眾妙園。宿衲士夫。交請開法。示眾曰。若究此事。如失卻鏁匙相似。祇管尋來尋去。忽然撞著。噁。在這裡。開箇鏁了。便見自家庫藏。一切受用。無不具足。不假他求。別有甚麼事。示眾曰。諸方為人抽釘㧞楔。解黏去縛。我這裡為人添釘著楔。加繩加縛了。送向深潭裡。待他自去理會。示眾曰。主法之人。氣吞宇宙。為大法王。若是釋迦老子.達磨大師出來。也教伊叉手。向我背後立地。直得寒毛卓竪。亦未為分外。一日。舉。世尊生下。一手指天。一手指地。雲。天上天下。唯我獨尊。師乃曰。見怪不怪。其怪自壞。垂語云。這一些子。恰如撞著殺人漢相似。你若不殺了他。他便殺了你。

本郡の連氏の子である。久しく大慧に依り、西禅に分座す。丞相張公浚三山を帥い、数院を以て之を迎う。就かず。旧里に帰り、茆を結びて衆妙園と号す。宿衲士夫、交々開法を請う。衆に示す。「若し此の事を究めば、鎖匙を失却するに相似たり。只だ管に尋ね来り尋ね去り、忽然撞着せば、悪、此の裏に在り。箇の鎖を開き了れば、便ち自家の庫蔵を見、一切の受用具足せざる無し。他に求めを仮らず、別に什麼の事か有る。」衆に示す。「諸方人と為りて釘を抽き楔を㧞き、黏を解き縛を去る。我此の裏人と為りて釘を添え楔を着け、繩を加え縛を加え了りて、深潭裏に送りて、他の自ら理会し去るを待つ。」衆に示す。「主法の人は、気宇宙を呑みて大法と為す。若し是れ釈迦老子・達磨大師出で来るも、也だ伊を教えて叉手して我が背後に向って地に立たしむ。直に寒毛卓竪するを得ても、亦た未だ分外と為らず。」一日挙ぐ、「世尊生まれ下りて、一手は天を指し、一手は地を指し、云く、天上天下唯我独尊。」師乃ち言った。「怪を見て怪しまざれば、其の怪自ら壞る。」垂語に、「此の一些子は、恰も殺人の漢に撞着するに相似たり。お前若し他を殺さざれば、他便ちお前を殺さん。」

近禮侍者

近礼侍者

三山人。久侍大慧。甞默究竹篦話。無所入。一日。入室罷。求指示。慧曰。你是福州人。我說箇喻向你。如將名品茘枝。和皮殻一時剝了。以手送在你口裡。祇是你不解吞。師不覺失笑曰。和尚。吞卻即禍事。慧後問師曰。前日吞了底茘枝。祇是你不知滋味。師曰。若知滋味。轉見禍事。

三山の人である。久しく大慧に侍す。甞て黙かに竹篦の話を究むるも、入る所無し。一日室に入り罷みて、指示を求む。慧は言った、「お前是れ福州の人、我箇の喩をお前に向って説かん。名品の茘枝を将て、皮殻を和して一時に剥き了り、手を以てお前の口裏に送るが如し。只だ是れお前呑むを解せざるなり。」師覚えず笑いを失して言った、「和尚、呑み却れば則ち禍事なり。」慧後に師に問うて言った、「前日の呑了の底の茘枝、只だ是れお前滋味を知らざるなり。」師は言った、「若し滋味を知らば、転た見ん禍事を。」

溫州淨居尼妙道禪師

温州浄居尼妙道禅師

延平尚書黃公裳之女。開堂日。乃曰。問話且止。直饒有傾湫之辯.倒嶽之機。衲僧門下一點用不著。且佛未出世時。一事全無。我祖西來。便有許多建立。列剎相望。星分派列。以至今日。累及兒孫。遂使山僧於人天大眾前無風起浪。向第二義門通箇消息。語默該不盡底。彌亙大方。言詮說不及處。徧周沙界。通身是眼。覿面當機。電卷星馳。如何湊泊。有時一喝。生殺全威。有時一喝。佛祖莫辨。有時一喝。八面受敵。有時一喝。自救不了。且道那一喝是生殺全威。那一喝是佛祖莫辨。那一喝是八面受敵。那一喝是自救不了。若向這裡薦得。堪報不報之恩。脫或未然。山僧無夢說夢去也。拈起拂子曰。還見麼。若見。被見刺所障。擊禪床曰。還聞麼。若聞。被聲塵所惑。直饒離見絕聞。正是二乘小果。跳出一步。蓋色騎聲。全放全收。主賓互換。所以道。欲知佛性義。當觀時節因緣。敢問諸人。即今是甚麼時節。蕩蕩仁風扶聖化。熈熈和氣助昇平。擲拂子。下座。尼問。如何是佛。師曰。非佛。曰。如何是佛法大意。師曰。骨底骨董。問。言無展事。語不投機時如何。師曰。未屙已前。墮坑落壍。

延平の尚書黄公裳の女である。堂を開くの日、乃ち言った。「問話は且く止めよ。直饒湫を傾くるの弁・岳を倒すの機有るとも、衲僧門下は一点も用いる処無し。且く仏未だ世に出でざる時は、一事全く無し。我が祖西来して、便ち許多の建立有り。刹を列ねて相望み、星分派列し、以て今日に至り、児孫を累せしめ、遂に山僧をして人天大衆の前に於て風無くして浪を起こし、第二義門に向って箇の消息を通ぜしむ。語黙の該め尽くさざる底は、大方に弥亘し、言詮の説き及ばざる処は、沙界に遍周す。通身是れ眼、覿面機に当る。電巻星馳、如何にか湊泊せん。時に一喝、生殺威を全うす。時に一喝、仏祖弁ぜざる莫れ。時に一喝、八面敵を受く。時に一喝、自ら救うに了らず。且く道え那の一喝か是れ生殺威を全うする、那の一喝か是れ仏祖弁ぜざる莫れ、那の一喝か是れ八面敵を受くる、那の一喝か是れ自ら救うに了らざる。若し此の裏に向って薦得せば、堪えて報ずべからざるの恩に報いん。脱が或いは未然ならば、山僧夢無き夢を説き去るなり。」拂子を拈起して言った。「還って見るか。若し見れば、見刺に障ぜらる。」禅床を撃ちて言った。「還って聞くか。若し聞かば、声塵に惑わさる。直饒見を離れ聞を絶すとも、正に是れ二乗の小果。一歩を跳出し、色を蓋い声に騎り、全く放し全く収め、主賓互いに換る。所以に道う、仏性の義を知らんと欲せば、当に時節因縁を観ずべしと。敢えて諸人に問う、即今是れ什麼の時節ぞ。蕩蕩たる仁風聖化を扶け、熈熈たる和気昇平を助く。」拂子を擲ち、座を下りた。尼が問うた。「如何なるか是れ仏。」師は言った。「仏に非ず。」言った。「如何なるか是れ仏法の大意。」師は言った。「骨底の骨董。」問うた。「言事を展ぶる無く、語機に投ぜざる時は如何。」師は言った。「未だ屙らざる已前、坑に堕ち壍に落つ。」

平江府資壽尼無著妙總禪師

平江府資寿尼無着妙総禅師

丞相蘇公頌之孫女也。年三十許。厭世浮休。脫去緣飾。諮參諸老。已入正信。作夏徑山。大慧陞堂。舉藥山初參石頭。後見馬祖因緣。師聞豁然省悟。慧下座。不動居士馮公檝隨至方丈。曰。某理會得和尚適來所舉公案。慧曰。居士如何。曰。恁麼也不得囌嚧娑婆訶。不恁麼也不得㗭哩娑婆訶。恁麼不恁麼。總不得囌嚧㗭哩娑婆訶。慧舉似師。師曰。曾見郭象註莊子。識者曰。卻是莊子註郭象。慧見其語異。復舉巖頭婆子話問之。師答偈曰。一葉扁舟泛渺茫。呈橈舞棹別宮商。雲山海月都拋卻。贏得莊周蝶夢長。慧休去。馮公疑其所悟不根。後過無錫。招至舟中。問曰。婆生七子。六箇不遇知音。祇這一箇。也不消得。便棄水中。大慧老師言。道人理會得。且如何會。師曰。已上供通。並是詣實。馮公大驚。慧掛牌次。師入室。慧問。古人不出方丈。為甚麼卻去莊上吃油餈。師曰。和尚放妙總過。妙總方敢通箇消息。慧曰。我放你過。你試道看。師曰。妙總亦放和尚過。慧曰。爭奈油餈何。師喝一喝而出。於是聲聞四方。隆興改元。舍人張公孝祥來守是郡。以資壽挽開法。入院。上堂。宗乘一唱。三藏絕詮。祖令當行。十方坐斷。二乘聞之怖走。十地到此猶疑。若是俊流。未言而諭。設使用移星換鬥底手段。施攙旗奪皷底機關。猶是空拳。豈有實義。向上一路。千聖不傳。學者勞形。如猿捉影。靈山付囑。俯狥時機。演唱三乘。各隨根器。始於鹿野苑轉四諦法輪。度百千萬眾。山僧今日。與此界他方。乃佛乃祖。山河大地。草木叢林。現前四眾。各轉大法輪。交光相羅。如寶絲網。若一草一木。不轉法輪。則不得名為轉大法輪。所以道。於一毫端現寶王剎。坐微塵裡轉大法輪。乘時於其中間。作無量無邊廣大佛事。周徧法界。一為無量。無量為一。小中現大。大中現小。不動步遊彌勒樓閣。

丞相蘇公頌の孫女である。年三十許り、世の浮休を厭い、縁飾を脱去し、諸老に咨参し、已に正信に入る。径山に夏を作す。大慧堂に升り、薬山初め石頭に参じ、後に馬祖に見ゆるの因縁を挙ぐ。師聞きて豁然として省悟した。慧座を下り、不動居士の馮公檝随って方丈に至りて言った、「某理会し得たり和尚の適来挙げし所の公案。」慧は言った、「居士如何。」言った、「恁麼しても得ず蘇𠰷娑婆訶、恁麼せざるも得ず㗭唎娑婆訶、恁麼不恁麼総て得ず蘇𠰷㗭唎娑婆訶。」慧挙げて師に似す。師は言った、「曾て見る郭象の荘子に注するを、識者は言う、却って是れ荘子の郭象に注せりと。」慧其の語の異なるを見て、復た岩頭婆子の話を挙げて之に問う。師偈を答えて言った、「一葉の扁舟渺茫を泛べ、橈を呈し棹を舞して別に宮商。雲山海月都て抛却し、嬴得す荘周の蝶夢の長きを。」慧休み去る。馮公其の悟の根無きを疑う。後に無錫を過ぎ、舟中に招き至りて、問う、「婆七子を生み、六箇知音に遇わず、只だ此の一箇も、亦た消するを得ず、便ち水中に棄つ。大慧老師言う、道人理会し得たりと。且く如何にか会する。」師は言った、「已上の供通、並びに是れ詣実。」馮公大いに驚く。慧牌を掛くる次、師室に入り、慧問う、「古人は方丈を出でず、什麼が為に却って荘上に去りて油糍を喫う。」師は言った、「和尚は妙総を放し過ぎん。妙総方に敢えて箇の消息を通ぜん。」慧は言った、「我お前を放し過ぐ、お前試しに道え看よ。」師は言った、「妙総も亦た和尚を放し過ぐ。」慧は言った、「争奈か油糍を何せん。」師一喝して出づ。是に於て声四方に聞ゆ。隆興改元、舎人の張公孝祥来りて是の郡を守り、資寿を以て開法を挽く。院に入り、上堂。「宗乗一唱せば、三蔵詮を絶つ。祖令行に当れば、十方坐断す。二乗之を聞きて怖れ走り、十地此に到りて猶ほ疑う。若し是れ俊流ならば、未だ言わざるに喩る。設け使い移星換斗の底の手段を用い、搀旗奪皷の底の機関を施すとも、猶ほ是れ空拳、豈に実義有らん。向上の一路は、千聖伝えず、学者形を労して、猿の影を捉うが如し。霊山の付嘱は、時機に俯狥し、三乗を演唱して、各々根器に随う。鹿野苑に始めて四諦の法輪を転じ、百千万の衆を度す。山僧今日、此の界他方の、乃ち仏乃ち祖、山河大地、草木叢林、現前の四衆と、各々大法輪を転じ、光を交ねて相羅り、宝の絲網の如し。若し一草一木法輪を転を転ぜざれば、則ち名を得ず大法輪を転ずと。所以に道う、一毫端に於て宝王刹を現じ、微塵裏に坐して大法輪を転ずと。時に乗じて其の中間に於て、無量無辺広大の仏事を作す。法界に周遍し、一を无量と為し、无量を一と為し、小中に大を現じ、大中に小を現ず。歩を動かさずして弥勒の楼閣に游び、

不返聞入觀音普門。情與無情。性相平等。不是神通妙用。亦非法爾如然。於此倜儻分明。皇恩佛恩。一時報足。且道如何是報恩一句。天高群象正。海闊百川朝。上堂。舉。雲門示眾雲。十五日已前則不問。十五日已後。道將一句來。自代雲。日日是好日。師曰。日日是好日。佛法世法盡周畢。不須特地覓幽玄。祇管缽盂兩度濕。上堂。黃面老人。橫說竪說。權說實說。法說喻說。建法幢。立宗旨。與後人作榜樣。為甚麼卻道始從鹿野苑。終至跋提河。於是二中間。未甞說一字。點檢將來。大似抱贓叫屈。山僧今日人事忙冗。且放過一著。便下座。尼問。如何是奪人不奪境。師曰。野華開滿路。徧地是清香。曰。如何是奪境不奪人。師曰。茫茫宇宙人無數。幾箇男兒是丈夫。曰。如何是人境俱不奪。師曰。處處綠楊堪繫馬。家家門首透長安。曰。如何是人境兩俱奪。師曰。雪覆蘆華。舟橫斷岸。曰。人境已蒙師指示。向上宗乘事若何。師便打。

(師は接して言った。)「聞を返さずして観音の普門に入る。情と无情、性相平等なり。是れ神通の妙用に非ず、亦た法爾如然に非ず。此に於て倜儻分明なれば、皇恩仏恩、一時に報足す。且く道え如何なるか是れ恩を報ずるの一句。天は高く群象正しく、海は闊く百川朝す。」上堂。挙ぐ、云門衆に示す、「十五日已前は則ち問わず、十五日已後、一句を道い将来せよ。」自ら代して云く、「日々是れ好日。」師は言った。「日々是れ好日、仏法世法尽く周畢す。須せず特地に幽玄を覓る、只だ管に鉢盂両度湿れ。」上堂。「黄面の老人、横に説き竪に説き、権に説き実に説き、法に説き喩に説き、法幢を建て宗旨を立て、後人の為に榜様と作す。什麼が為に却って道う、始め鹿野苑自り、終り跋提河に至り、是の二中間に於て、未だ曾て一字を説かずと。点検して将来すれば、大いに似たり贓を抱きて屈を叫ぶに。山僧今日人事忙冗なり、且く一着を放過せん。」便ち座を下りた。尼が問うた。「如何なるか是れ人を奪いて境を奪わざる。」師は言った。「野華開けて路に満ち、遍地是れ清香。」言った。「如何なるか是れ境を奪いて人を奪わざる。」師は言った。「茫茫の宇宙人無数、几箇の男児か是れ丈夫。」言った。「如何なるか是れ人境倶に奪わざる。」師は言った。「処処の緑楊堪えて馬を繫ぎ、家家の門首長安に透る。」言った。「如何なるか是れ人境両倶に奪う。」師は言った。「雪芦華を覆い、舟断岸に横たわる。」言った。「人境已に師の指示を蒙る、向上の宗乗の事は若何。」師便ち打つ。

侍郎無垢居士張九成

侍郎無垢居士張九成

未第時。因客談楊文公.呂微仲諸名儒。所造精妙。皆由禪學而至也。於是心慕之。聞寶印楚明禪師道傳大通。居淨慈。即之。請問入道之要。明曰。此事唯念念不捨。久久純熟。時節到來。自然證入。復舉趙州栢樹子話。令時時提撕。公久之無省。辭謁善權清禪師。公問。此事人人有分。箇箇圓成。是否。清曰。然。公曰。為甚麼某無箇入處。清於袖中出數珠。示之曰。此是誰底。公俛仰無對。清復袖之曰。是汝底。則拈取去。才涉思惟。即不是汝底。公悚然。未幾。留蘇氏館。一夕如廁。以栢樹子話究之。聞蛙鳴。釋然契入。有偈曰。春天月夜一聲蛙。撞破乾坤共一家。正恁麼時誰會得。嶺頭腳痛有玄沙。屆明。謁法印一禪師。機語頗契。適私忌。就明靜庵供雲水主僧惟尚禪師。才見乃展手。公便喝。尚批公頰。公趨前。尚曰。張學錄何得謗大般若。公曰。某見處祇如此。和尚又作麼生。尚舉馬祖陞堂。百丈卷席話詰之。敘語未終。公推倒卓子。尚大呼。張學錄殺人。公躍起。問傍僧曰。汝又作麼生。僧罔措。公毆之。顧尚曰。祖禰不了。殃及兒孫。尚大笑。公獻偈曰。卷席因緣也大奇。諸方聞舉盡攢眉。臺盤趯倒人星散。直漢從來不受欺。尚答曰。從來高價不饒伊。百戰場中奮兩眉。奪角沖關君會也。叢林誰敢更相欺。紹興癸丑。魁多士。復謁尚於東庵。尚曰。浮山圓鑑雲。饒你入得汾陽室。始到浮山門。亦未見老僧在。公作麼生。公叱侍僧曰。何不祇對。僧罔措。公打僧一掌曰。蝦蟆窟裡。果沒蛟龍。丁巳秋。大慧禪師董徑山。學者仰如星斗。公閱其語要。歎曰。是知宗門有人。持以語尚。恨未一見。及為禮部侍郎。偶參政劉公請慧說法於天竺。公三往不值。暨慧報謁。公見但寒暄而已。慧亦默識之。尋奉祠還裡。至徑山。與馮給事諸公議格物。慧曰。公祇知有格物。而不知有物格。公茫然。

未だ第せざる時、客の楊文公・呂微仲の諸の名儒を談ずるに因り、造る所精妙にして、皆な禅学に由りて至るなりと。是に於て心之を慕う。宝印楚明禅師の道は大通を伝うと聞き、浄慈に居り、即ち之く。入道の要を請問す。明は言った、「此の事は唯だ念念舎さざれ、久しく純熟して、時節到来せば、自然に証入せん。」復た趙州の柏樹子の話を挙げて、時時提撕せしむ。公久しきも省無し。辞して善権清禅師に謁す。公問う、「此の事は人々分有り、箇箇円成す、是れ否や。」清は言った、「然り。」公は言った、「什麼が為に某に箇の入処無き。」清袖中に於て数珠を出し、之に示して言った、「此れ誰の底ぞ。」公俯仰対無し。清復た之を袖にして言った、「是れお前の底ならば、則ち拈取して去れ。才だ思惟に渉れば、即ち是れお前の底に非ず。」公悚然たり。未几、蘇氏の館に留まる。一夕如厠し、柏樹子の話を以て之を究む。蛙の鳴くを聞き、釈然として契入した。偈有りて言った、「春天月夜一声の蛙、乾坤を撞破して一家を共にす。正に恁麼の時誰か会得せん、嶺頭脚痛は玄沙有り。」明に届き、法印一禅師に謁す。機語頗る契う。適に私忌に、明静庵に就きて云水の主僧惟尚禅師を供す。才だ見れば乃ち手を展ぶ。公便ち喝す。尚公の頬を批つ。公前に趨る。尚は言った、「張学録何ぞ大般若を謗るを得る。」公は言った、「某の見処只だ此の如し、和尚又た作麼生。」尚馬祖升堂・百丈巻席の話を挙げて之を詰す。叙語未だ終らざるに、公卓子を推倒す。尚大いに呼ぶ、「張学録人を殺す。」公躍起し、傍の僧に問うて言った、「お前又た作麼生。」僧措く罔し。公之を殴り、尚を顧みて言った、「祖禰了せざれば、殃は児孫に及ぶ。」尚大笑す。公偈を献じて言った、「巻席の因縁も也大いに奇なり、諸方挙ぐるを聞きて尽く眉を攒む。台盤趯倒して人星散し、直漢従来欺くを受けず。」尚答えて言った、「従来高価は伊を饒さず、百戦の場中両眉を奮う。角を奪い関を衝くは君会したり、叢林誰か敢えて更に相欺かん。」紹興癸丑、多士を魁す。復た東庵に於て尚に謁す。尚は言った、「浮山の円鑑云く、饒お前汾陽の室に入るを得て、始めて浮山門に到るも、亦た未だ老僧を見ざるなり。公作麼生。」公侍僧を叱って言った、「何ぞ只だ対せざる。」僧措く罔し。公僧を一掌して言った、「虾蟆の窟裏、果して蛟竜無し。」丁巳の秋、大慧禅師径山を董す。学者之を仰ぐこと星斗の如し。公其の語要を閲して、歎じて言った、「是れ知る宗門に人有るを。」持して以て尚に語り、未だ一見せざるを恨む。及び礼部侍郎と為り、偶さま参政の劉公慧を請うて天竺に於て法を説く。公三たび往きて値わず。暨ち慧報謁するに、公見るも但だ寒暄のみ。慧も亦た黙かに之を識す。尋いで祠を奉じて里に還り、径山に至り、馮給事の諸公と格物を議す。慧は言った、「公は只だ知る格物有るを、而も知らず物格有るを。」公茫然たり。

慧大笑。公曰。師能開諭乎。慧曰。不見小說載唐人有與安祿山謀叛者。其人先為閬守。有畫像在焉。明皇幸蜀。見之怒。令侍臣以劒擊其像首。時閬守居陝西。首忽墮地。公聞頓領深旨。題不動軒壁曰。子韶格物。妙喜物格。欲識一貫。兩箇五百。慧始許可。後守邵陽。丁父難。過徑山飯僧。秉鈞者意慧議及朝政。遂竄慧於衡陽。令公居家守服。服除。安置南安。丙子春。蒙恩北還。道次新淦而慧適至。與聯舟劇談宗要。未甞語往事。於氏心傳錄曰。憲自嶺下侍舅氏歸新淦。因會大慧。舅氏令拜之。憲曰。素不拜僧。舅氏曰。汝姑扣之。憲知其甞執卷。遂舉子思中庸天命之謂性。率性之謂道。修道之謂教三句。以問。慧曰。凡人既不知本命元辰下落處。又要牽好人入火坑。如何聖賢於打頭一著不鑿破。憲曰。吾師能為聖賢鑿破否。慧曰。天命之謂性。便是清淨法身。率性之謂道。便是圓滿報身。修道之謂教。便是千百億化身。憲得以告。舅氏曰。子拜何辭。繼鎮永嘉。丁丑秋丐祠。枉道訪慧於育王。越明年。慧得旨復領徑山。謁公於慶善院。曰。某每於夢中必誦語孟。何如。慧舉圓覺曰。由寂靜故。十方世界諸如來心。於中顯現。如鏡中像。公曰。非老師莫聞此論也。其頌黃龍三關曰。我手何似佛手。天下衲僧無口。縱饒撩起便行。也是鬼窟裡走(諱不得)。我腳何似驢腳。又被黐膠粘著。飜身直上兜率天。已是遭他老鼠藥(吐不出)。人人有箇生緣處。鐵圍山下幾千年。三災直到四禪天。這驢猶自在旁邊(煞得工夫)。公設心六度。不為子孫計。因取華嚴善知識。日供其二回食。以飯緇流。又甞供十六大天。而諸位茶杯悉變為乳。書偈曰。稽首十方佛法僧。稽首一切護法天。我今供養三寶天。如海一滴牛一毛。有何妙術能感格。試借意識為汝說。我心與佛天無異。一塵才起大地隔。儻或塵銷覺圓淨。

(師は接して言った。)「慧大笑す。公は言った、「師能く開諭するや。」慧は言った、「見ざるか小説に載す、唐人の安禄山と叛を謀る者有り、其の人先に閬守と為る、画像有りて焉に在り。明皇蜀に幸して、之を見て怒り、侍臣に令して剣を以て其の像の首を撃たしむ。時に閬守陜西に居り、首忽ち地に堕つ。」公聞きて頓に深旨を領す。不動軒の壁に題して言った、「子韶は格物、妙喜は物格、一貫を識らんと欲せば、両箇の五百。」慧始めて許可す。後に邵陽を守り、父の難に丁り、径山を過ぎて僧に飯す。鈞を秉る者意して慧の朝政に議及ぶを、遂に慧を衡陽に竄し、公をして家に居り服を守らしむ。服除きて、南安に安置す。丙子の春、恩を蒙りて北還す。道新淦に次ぎて慧適に至り、与に舟を聯ねて宗要を劇談し、未だ曾て往事を語らず。于氏心伝録に言う、「憲嶺下自り舅氏に侍いて新淦に帰り、因りて大慧に会す。舅氏之を拝せしむ。憲は言った、素より僧を拝せずと。舅氏は言った、お前姑く之を扣けと。憲其の曾て巻を執るを知り、遂に子思の中庸の『天命是れ性と謂う、性に率うは是れ道と謂う、道を修めるは是れ教と謂う』の三句を挙げて以て問う。慧は言った、凡人既に本命元辰の下落の処を知らず、又た要す好人を牽きて火坑に入る、如何にか聖賢は打頭の一着を鑿破せざる。憲は言った、吾が師能く聖賢の為に鑿破するや否や。慧は言った、天命是れ性と謂うは、便ち是れ清浄の法身、性に率うは是れ道と謂うは、便ち是れ円満の報身、道を修めるは是れ教と謂うは、便ち是れ千百億の化身。憲得て以て告ぐ。舅氏は言った、子の拝は何の辞か有らん。」継いで永嘉を鎮し、丁丑の秋祠を丐り、枉げて道を育王に於て慧を訪う。明年を越え、慧旨を得て復た径山を領し、公を慶善院に於て謁して言った、「某毎に夢中に於て必ず語孟を誦す、何如。」慧円覚を挙げて言った、「寂静なるに由るが故に、十方世界の諸の如来の心、中に於て顕現す、鏡中の像の如し。」公は言った、「老師に非ざれば此の論を聞くを得ざるなり。」其の黄竜三関を頌して言った、「我が手何をか仏手に似る、天下の衲僧口無し。縦饒撩起して便ち行くも、亦是れ鬼窟裏の走(諱むを得ず)。我が脚何をか驢脚に似る、又た黐膠に粘着せらる。身を飜して直に兜率天に上るも、已に是れ他の老鼠薬に遭う(吐くを得ず)。人々に箇の生縁の処有り、鉄囲山下几千年。三災直に四禅天に至る、此の驢猶ほ自在りて辺に在り(工夫を煞す)。」公心を六度に設け、子孫の為に計らず。因りて華厳の善知識を取り、日に其の二回食を供し、以て緇流に飯す。又た甞て十六大天を供して、而して諸位の茶杯悉く変じて乳と為る。偈を書して言った、「稽首す十方の仏法僧、稽首す一切の護法の天。我今三宝の天を供養す、海の一滴・牛の一毛の如し。何の妙術か有りて能く感格せん、試しに意識を借りてお前の為に説かん。我が心は仏天と異る無く、一塵才だ起これば大地隔たる。儻し或いは塵銷えて覚円浄ならば。

是故佛天來降臨。我欲供佛佛即現。我欲供天天亦現。佛子若或生狐疑。試問此乳何處來。狐疑即塵塵即疑。終與佛天不相似。我今為汝掃狐疑。如湯沃雪火銷冰。汝今微有疑與惑。鷂子便到新羅國。

(彼は接して言った。)「是の故に仏天来たりて降臨す。我仏を供せんと欲すれば仏即ち現じ、我天を供せんと欲すれば天も亦た現ず。仏子若し或いは狐疑を生ぜば、試しに問え此の乳は何れの処よりか来たると。狐疑は即ち塵にして塵は即ち疑、終に仏天と相似ならず。我今お前の為に狐疑を掃う、湯の雪を沃ぐ・火の氷を銷くが如し。お前今微かに疑と惑有らば、鷂子便ち新羅国に到らん。」

參政李邴居士

参政李邴居士

字漢老。醉心祖道有年。聞大慧排默照為邪禪。疑怒相半。及見慧示眾。舉趙州庭栢。垂語曰。庭前栢樹子。今日重新舉。打破趙州關。特地尋言語。敢問大眾。既是打破趙州關。為甚麼卻特地尋言語。良久曰。當初祇道茆長短。燒了方知地不平。公領悟。謂慧曰。無老師後語。幾蹉過。後以書諮決曰。某近扣籌室。承擊發蒙滯。忽有省入。顧惟根識暗鈍。平生學解。盡落情見。一取一捨。如衣壞絮行草棘中。適自纏繞。今一笑頓釋所疑。欣幸可量。非大宗匠委曲垂慈。何以致此。自到城中。著衣吃飯。抱子弄孫。色色仍舊。既無拘執之情。亦不作奇特之想。其餘夙習舊障。亦稍輕微。臨行叮嚀之語。不敢忘也。重念始得入門。而大法未明。應機接物。觸事未能無礙。更望有以提誨。使卒有所至。庶無玷於法席矣。又書曰。某比蒙誨答。備悉深旨。某自驗者三。一.事無逆順。隨緣即應。不留𮌎中。二.宿習濃厚。不加排遣。自爾輕微。三.古人公案。舊所茫然。時復瞥地。此非自昧者。前書大法未明之語。蓋恐得少為足。當擴而充之。豈別求勝解耶。淨勝現流。理則不無。敢不銘佩。

字は漢老。祖道に醉心すること年有り。大慧の黙照を排して邪禅と為すを聞き、疑怒相半びす。及び慧の衆に示すを見、趙州庭栢を挙げ、垂語に言う、「庭前の柏樹子、今日重ねて挙ぐ。趙州の関を打破し、特地に言語を尋ぬ。敢えて大衆に問う、既に是れ趙州の関を打破す、什麼が為に却って特地に言語を尋ぬる。」良久して言った、「当初只だ道う茆の長短、焼き了て方に知る地の平ならざるを。」公領悟し、慧に謂うて言った、「老師の後語無からば、几たび蹉過せん。」後に書を以て咨決して言った、「某近く籌室を扣き、擊蒙滞を承けて、忽ち省入有り。顧みて惟う根識暗鈍にして、平生の学解、尽く情見に落つ。一取一舎、衣の坏絮に草棘の中を行くが如く、適に自ら纏繞す。今一笑頓に所疑を釈し、欣幸量る可し。大宗匠の委曲に慈を垂るるに非ざれば、何以て此を致さん。自ら城中に到り、衣を着け飯を喫い、子を抱き孫を弄す。色色依旧として、既に拘執の情無く、亦た奇特の想を作さず。其の余の夙習旧障も、亦た稍く軽微なり。行に臨みての叮嚀の語、敢えて忘れず。重ねて念う始めて門に入るを得て、而して大法未だ明らかならず、機に応じ物に接し、事に触れて未だ能く無礙ならず。更に望む有りて以て提誨し、卒に至る所有らしめんことを、庶幾くは法席に玷無からん。」又た書して言った、「某比に誨答を蒙り、深旨を備わり悉す。某自ら験する者三。一、事逆順無く、縁に随いて即ち応じ、𮌎中に留めず。二、宿習濃厚なりと雖も、排遣を加えず、自ら爾り軽微す。三、古人の公案、旧来茫然とする所、時に復た瞥地す。此れ自ら昧する者に非ず。前書の大法未明の語は、蓋し恐る少を得て足と為すを、当に拡りて之を充つべし、豈に別に勝解を求めんや。浄勝の流を現ずるは、理は則ち無からず、敢えて銘佩せざらんや。」

寶學劉彥脩居士

宝学劉彦修居士

字子羽。出知永嘉。問道於大慧禪師。慧曰。僧問趙州。狗子還有佛性也無。趙州道。無。但恁麼看。公後乃於栢樹子上發明。有頌曰。趙州栢樹太無端。境上追尋也太難。處處綠楊堪繫馬。家家門底透長安。

字は子羽。出でて永嘉を知る。大慧禅師に道を問う。慧は言った、「僧趙州に問う、狗子還って仏性有るや無しや。趙州道う、無。但だ恁麼看よ。」公後に乃ち柏樹子上に於て発明す。頌有りて言った、「趙州の柏樹太だ端無し、境上に追尋する也太だ難し。処処の緑楊堪えて馬を繫ぎ、家家の門底長安に透る。」

提刑吳偉明居士

提刑呉偉明居士

字元昭。久參真歇了禪師。得自受用三昧。為極致。後訪大慧於洋嶼庵。隨眾入室。慧舉狗子無佛性話問之。公擬答。慧以竹篦便打。公無對。遂留諮參。一日慧謂曰。不須呈伎倆。直須啐地折.嚗地斷。方敵得生死。若祇呈伎倆。有甚了期。即辭去。道次延平。倐然契悟。連書數頌寄慧。皆室中所問者。有曰。不是心。不是佛。不是物。通身一具金鎻骨。趙州親見老南泉。解道鎮州出蘿蔔。慧即說偈證之曰。通身一具金鎻骨。堪與人天為軌則。要識臨濟小廝兒。便是當年白拈賊。

字は元昭。久しく真歇了禅師に参じ、自受用三昧を得て、極致と為す。後に洋嶼庵に於て大慧を訪う。衆に随いて室に入る。慧狗子無仏性の話を挙げて之に問う。公答えんと擬す。慧竹篦を以て便ち打つ。公対無し。遂に留まりて咨参す。一日慧謂う、「須せず伎倆を呈する、直に須らく啐地に折れ嚗地に断えて、方に生死に敵せん。若し只だ伎倆を呈せば、什麼の了期か有らん。」即ち辞し去る。道延平に次ぎ、倐然として契悟す。連ねて数頌を書して慧に寄す、皆な室中の問う所の者なり。言う有り、「心に非ず、仏に非ず、物に非ず、通身一具の金鎖骨。趙州親しく老南泉に見え、解く道う鎮州蘿蔔を出づと。」慧即ち偈を説いて之を証して言った、「通身一具の金鎖骨、堪えて人天と軌則と為す。要して識れ臨済の小厮児、便ち是れ当年の白拈の賊。」

門司黃彥節居士

門司黄彦節居士

字節夫。號妙德。於大慧一喝下。疑情頓脫。慧以衣付之。甞舉首山竹篦話。至葉縣。近前奪得拗折。擲向堦下曰。是甚麼。山曰。瞎。公曰。妙德到這裡。百色無能。但記得曾作蠟梅絕句曰。擬嚼枝頭蠟。驚香卻肖蘭。前村深雪裡。莫作嶺梅看。

字は節夫、号は妙徳。大慧の一喝下に於て、疑情頓に脱す。慧衣を以て之に付す。甞て首山竹篦の話を挙げ、葉県に至りて近づき前にして奪得して拗折し、堦下に向って擲ちて言う、是れ什麼ぞ。山は言う、瞎。公は言った、「妙徳此に到りて、百色能無し。但だ記う曾て蠟梅の絶句を作るを、説く、枝頭の蠟を嚼まんと擬す、驚く香は却って蘭に肖る。前村の深雪裏、嶺梅と作して看る莫れ。」

秦國夫人計氏法真

秦国夫人計氏法真

自寡處屏去紛華。常蔬食。習有為法。因大慧遣謙禪者致問其子魏公。公留。謙以祖道誘之。真一日問謙曰。徑山和尚尋常如何為人。謙曰。和尚祇教人看狗子無佛性及竹篦子話。祇是不得下語。不得思量。不得向舉起處會。不得向開口處承當。狗子還有佛性也無。無。祇恁麼教人看。真遂諦信。於是夜坐。力究前話。忽爾洞然無滯。謙辭歸。真親書入道槩略。作數偈呈慧。其後曰。逐日看經文。如逢舊識人。莫言頻有礙。一舉一回新。

寡処してより紛華を屏去し、常に蔬食し、有為の法を習う。因りて大慧謙禅者を遣わして其の子魏公に問を致せしむ。公留む。謙祖道を以て之を誘う。真一日謙に問うて言った、「径山和尚は尋常如何にか人と為る。」謙は言った、「和尚は只だ人を教えて狗子無仏性及び竹篦子の話を看せしむ。只だ是れ語を下すを得ず、思量するを得ず、挙起の処に向って会するを得ず、口を開くの処に向って承当するを得ず。狗子還って仏性有るや無しや、無。只だ恁麼人を教えて看せしむ。」真遂に諦信す。是に於て夜坐して、力めて前の話を究む。忽爾として洞然として滞無し。謙辞して帰る。真親しく入道の概略を書し、数偈を作りて慧に呈す。其の後に言った、「日を逐いて経文を看れば、旧識の人に逢うが如し。頻りに碍有りと言う莫れ、一挙一回新し。」

虎丘隆禪師法嗣

虎丘隆禅師の法嗣

明州天童應庵曇華禪師

明州天童応庵曇華禅師

蘄州江氏子。生而奇傑。年十七。於東禪去髮。首依水南遂禪師。染指法味。因徧歷江湖。與諸老激揚。無不契者。至雲居禮圓悟禪師。悟一見痛與提䇿。及入蜀。指見彰教。教移虎丘。師侍行。未半載。頓明大事。去謁此庵。分座連雲。開法妙嚴。後遷諸巨剎。住歸宗日。大慧在梅陽。有僧傳師垂示語句。慧見之。極口稱歎。後以偈寄曰。坐斷金輪第一峰。千妖百怪盡潛蹤。年來又得真消息。報道楊岐正脈通。其歸重如此。上堂。九年面壁。壞卻東土兒孫。隻履西歸。鈍置黃面老子。以拄杖畫一畫曰。石牛攔古路。一馬生三寅。上堂。德章老瞎禿。從來沒滋味。拈得口。失卻鼻。三更二點唱巴歌。無端驚起梵王睡。喝一喝。曰。我行荒草裡。汝又入深村。上堂。臨濟在黃檗處三度吃棒底意旨。你諸人還覷得透也未。直饒一咬便斷。也未是大丈夫漢。三世諸佛。口掛壁上。天下老和尚。將甚麼吃飯。上堂。十五日已前。水長船高。十五日已後。泥多佛大。正當十五日。東海鯉魚。打一棒雨似盆傾。直得三千大千世界。一切眾生。悉皆歡喜。謂言打這一棒。不妨應時應節報恩。不覺通身踴躍。遂作詩一首。舉似大眾。蜻蜓許是好蜻蜓。飛來飛去不曾停。被我捉來摘卻兩邊翼。恰似一枚大鐵釘。上堂。若作一句商量。吃粥飯阿誰不會。不作一句商量。屎坑裡蟲子笑殺闍黎。拈拄杖曰。拄杖子罪犯彌天。貶向二鐵圍山。且道薦福還有過也無。卓拄杖曰。遲一刻。上堂。明不見暗。暗不見明。明暗雙忘。無異流俗阿師。野幹鳴。師子吼。師子吼。野幹鳴。三家村裡臭猢猻。價增十倍。驪龍頷下明月珠。分文不直。若作衲僧巴鼻。甚處得來。三十年後。換手搥胷。未是苦在。上堂。飯籮邊.漆桶裡。相唾饒你潑水。相罵饒你接觜。黃河三千年一度清。蟠桃五百年一次開華。鶴勒那咬定牙關。朱頂王呵呵大笑。

蘄州の江氏の子である。生まれて奇傑。年十七、東禅に於て髪を去る。首に水南遂禅師に依り、法味に指を染む。因りて遍く江湖を歴り、諸老と激揚す。契わざる無し。云居に至りて円悟禅師に礼す。悟一見して痛く提䇿を与う。及び蜀に入り、彰教に見ゆるを指す。教虎丘に移る。師侍行す。未だ半載ならずして、頓に大事を明らかにす。去りて此庵に謁す。連雲に分座し、妙厳に法を開く。後に諸の巨刹に遷る。帰宗に住する日、大慧梅陽に在り。僧の師の垂示の語句を伝うる有り。慧之を見、口を極めて称歎す。後に偈を以て寄せて言った、「金輪の第一峰を坐断し、千妖百怪尽く蹤を潜む。年来又た真の消息を得たり、報道す楊岐の正脉通ずと。」其の帰重する此の如し。上堂。「九年の面壁、東土の児孫を壊却し、只履の西帰、黄面老子を鈍置す。」拄杖を以て一画を画きて言った。「石牛古路を拦え、一馬三寅を生ず。」上堂。「徳章の老瞎禿、従来滋味無し。口を拈得して鼻を失却す。三更二点に巴歌を唱い、端無く梵王の睡を驚起す。」一喝して言った。「我荒草裏に行き、お前又た深村に入る。」上堂。「臨済の黄檗の処に在りて三度棒を喫らう底の意旨、お前諸人還って覷透するを得るや未だ。直饒一咬して便ち断えるとも、未だ是れ大丈夫の漢に非ず。三世の諸仏、口を壁上に掛け、天下の老和尚、什麼を将てか飯を喫わん。」上堂。「十五日已前、水長じ船高し。十五日已後、泥多く仏大なり。正に十五日に当りて、東海の鯉魚、一棒を打てば雨の盆を傾くるが如し。直に三千大千世界の一切衆生をして悉く皆な歡喜せしめて、謂い言う此の一棒を打つは、妨げず時節に応じて恩を報ずと、覚えず通身踊躍す。遂に詩一首を作りて、大衆に挙似す。蜻蜓許れ是れ好蜻蜓、飛び来り飛び去りて曾て停まらず。我に捉え来られて両辺の翼を摘却せらる、恰似す一枚の大鉄釘。」上堂。「若し一句の商量と作さば、粥飯を喫うは阿誰か会せざる。一句の商量と作さざれば、屎坑裏の虫子阇黎を笑殺す。」拄杖を拈じて言った。「拄杖子の罪は天に犯ぶ、二鉄囲山に向って貶す。且く道え薦福還って過有るや無しや。」拄杖を卓して言った。「一刻遅し。」上堂。「明は暗を見ず、暗は明を見ず、明暗双忘すれば、流俗の阿師に異なる無し。野干鳴き、師子吼え、師子吼え、野干鳴く。三家村裏の臭猢狲は、価十倍を増し、驪竜の頷下の明月の珠は、分文も直さず。若し衲僧の巴鼻と作さば、什麼の処よりか得来る。三十年の後、手を換えて𮌎を搥かば、未だ是れ苦に在らず。」上堂。「飯籮の辺・漆桶裏、相唾すればお前に饒らく水を潑き、相罵ればお前に饒らく觜を接ぐ。黄河は三千年に一度清く、蟠桃は五百年に一次華を開く。鶴勒那は牙関を咬定し、朱頂王は呵呵大笑す。

歸宗五十年前有一則公案。今日舉似諸人。且道是甚麼公案。王節級。失卻帖。上堂。三十二相。八十種好。從朝至暮。啾啾唧唧。說黃道黑。不知那裡是二時。上堂。吃粥吃飯。不覺嚼破舌頭。血濺梵天。四天之下。霈然有餘。玉皇大帝發。追東海龍王。向金輪峰頂鞫勘。頃刻之間。追汝諸人作證見也。且各請依實供通。切忌迴避。儻若不實。喪汝性命。上堂。趙州吃茶。我也怕他。若非債主。便是冤家。倚牆靠壁成群隊。不知誰解辨龍虵。上堂。五百力士揭石義。萬仞崖頭撒手行。十方世界一團鐵。虗空背上白毛生。直饒拈卻膱脂帽子。脫卻鶻臭布衫。向報恩門下。正好吃棒。何故。半夜起來屈膝坐。毛頭星現衲僧前。上堂。三世諸佛。眼裡無筋。六代祖師。皮下無血。明果咬定牙關𨁝跳。也出他圈䙡不得。何故。南泉斬貓兒。上堂雲。參禪人切忌錯用心。悟明見性是錯用心。成佛作祖是錯用心。看經講教是錯用心。行住坐臥是錯用心。吃粥吃飯是錯用心。屙屎送尿是錯用心。一動一靜。一往一來。是錯用心。更有一處錯用心。歸宗不敢與諸人說破。何故。一字入公門。九牛車不出。上堂雲。良工未出。玉石不分。巧冶無人。金沙混雜。縱使無師自悟。向天童門下。正好朝打三千。暮打八百。驀拈拄杖雲。喚作拄杖。玉石不分。不喚作拄杖。金沙混雜。其間一箇半箇。善別端由。管取平步丹霄。苟或未然。卓拄杖雲。急著眼看。僧問。婆子問巖頭。呈橈舞棹則不問。且道婆手中兒子甚處得來。巖頭扣船舷三下。意旨如何。師曰。燋磚打著連底凍。曰。當時若問和尚。如何對他。師曰。一棒打殺。曰。這老和尚大似買帽相頭。師曰。你向甚處見巖頭。曰。劄。師曰。杜撰禪和。曰。婆生七子。六箇不遇知音。祗這一箇也不消得。擲向水中。又且如何。師曰。少賣弄。曰。巖頭當時不覺吐舌。意作麼生。

(師は接して言った。)「帰宗五十年前に一則の公案有り、今日諸人に挙似す。且く道え是れ什麼の公案ぞ。王節級、帖を失却す。」上堂。「三十二相・八十種好、朝自り暮に至るまで、啾啾唧唧として、黄を説き黒を道い、何れの処か是れ二時を知らざる。」上堂。「粥を喫い飯を喫うも、覚えず舌頭を嚼破す。血梵天に濺ぎ、四天の下、霈然として余有り。玉皇大帝発して、東海の竜王を追し、金輪峰頂に向って鞫勘す。頃刻の間、お前諸人を追して証見を作さん。且く各々請う依実に供通せよ、切に回避を忌む。儻し若し実ならざれば、お前の性命を喪わん。」上堂。「趙州茶を喫う、我も亦た他を怕る。若し債主に非ざれば、便ち是れ冤家。墻に倚り壁に靠りて群隊を成し、誰か竜虵を弁ずるを解すを知らず。」上堂。「五百力士の石を揭ぐの義、万仞の崖頭手を撒いて行く。十方世界一団の鉄、虚空の背上白毛生ず。直饒膱脂の帽子を拈却し、鶻臭の布衫を脱却すとも、報恩の門下に向って、正に棒を喫らうを好し。何ぞ故に、半夜起き来りて膝を屈して坐すれば、毛頭の星衲僧の前に現ず。」上堂。「三世の諸仏、眼裏に筋無し。六代の祖師、皮下に血無し。明果牙関を咬定し𨁝跳すれども、也だ他の圈䙌を出でるを得ず。何ぞ故に、南泉猫児を斬る。」上堂。「参禅人切に心を錯用するを忌む。悟明見性は是れ心を錯用す、成仏作祖は是れ心を錯用す、経を看り教を講ずるは是れ心を錯用す、行住坐卧は是れ心を錯用す、粥を喫い飯を喫うは是れ心を錯用す、屎を屙り尿を送るは是れ心を錯用す。一動一静・一往一来は、是れ心を錯用す。更に一処の心を錯用する有り、帰宗敢えて諸人と説破せず。何ぞ故に、一字公門に入れば、九牛車して出でず。」上堂。「良工未だ出でざれば、玉石分れず。巧冶人無ければ、金沙混雑す。縦使い師無くして自ら悟るも、天童の門下に向って、正に朝に三千を打たれ暮に八百を打たるるを好し。驀然に拄杖を拈じて云く、「拄杖と喚べば、玉石分れず。拄杖と喚ばざれば、金沙混雑す。其の間の一箇半箇、善く端由を別せば、管取して歩を平らに丹霄せん。苟も或いは未然ならば。」拄杖を卓して云く。「急いで眼を着けて看よ。」僧が問うた。「婆子岩頭に問う、橈を呈し棹を舞すは則ち問わず、且く道え婆が手中の児子は什麼の処よりか得来る。岩頭船舷を三下扣く、意旨如何。」師は言った。「燋塼は連底の凍を打着す。」言った。「当時若し和尚に問わば、如何にか彼に対せん。」師は言った。「一棒打殺せん。」言った。「此の老和尚大いに似たり帽を買いて頭を相すに。」師は言った。「お前什麼の処に向って岩頭を見る。」言った。「札。」師は言った。「杜撰の禅和。」言った。「婆七子を生み、六箇知音に遇わず、祗だ此の一箇も亦た消するを得ず、水中に向って擲つ。又た且く如何。」師は言った。「売弄する少なし。」言った。「岩頭当時覚えず舌を吐きて、意は作麼生。

師曰。樂則同歡。曰。僧問雲門。如何是清淨法身。雲門曰。華藥欄。此意如何。師曰。深沙努眼睛。問。祇這是埋沒自己。祇這不是孤負先聖。去此二途。和泥合水處。請師道。師曰。玉箸撐虎口。曰。一言金石談來重。萬事鴻毛脫去輕。師曰。莫謾老僧好。問。人皆畏炎熱。我愛夏日長。燻風自南來。殿閣生微涼時如何。師曰。倒戈卸甲。虎丘忌日。拈香曰。平生沒興。撞著這無意智老和尚。做盡伎倆。湊泊不得。從此卸卻干戈。隨分著衣吃飯。二十年來坐曲彔木。懸羊頭賣狗肉。知他有甚憑據。雖然。一年一度燒香日。千古令人恨轉深。師於室中能鍛鍊耆艾。故世稱大慧與師居處為二甘露門。甞誡徒曰。衲僧家著草鞋住院。何啻如蚖虵戀窟乎。隆興改元。六月十三日。奄然而化。塔全身於本山。

(師は接して言った。)師は言った。「楽しければ則ち同歡す。」言った。「僧云門に問う、如何なるか是れ清浄の法身。云門は言う、華薬欄。此の意如何。」師は言った。「深沙眼睛を努めたり。」問うた。「只だ此れは自己を埋没す、只だ此れざるは先聖を孤負す、此の二途を去れ。泥に和し水に合する処、師の道うを請う。」師は言った。「玉箸虎口を撑ぐ。」言った。「一言金石は談じ来りて重く、万事鴻毛は脱し去りて軽し。」師は言った。「谩りて老僧を谩る莫きを好し。」問うた。「人皆な炎熱を畏る、我は愛む夏日の長きを、薫風南自り来り、殿閣微涼を生ずる時は如何。」師は言った。「戈を倒し甲を卸す。」虎丘の忌日に、香を拈じて言った。「平生興無く、此の意智無き老和尚に撞着し、伎倆を作し尽くせども、湊泊するを得ず。此に従りて干戈を卸却し、分に随いて衣を着け飯を喫う。二十年の来曲彔の木に坐して、羊頭を懸けて狗肉を売る。他に知らしめん什麼の憑据か有ると。然りと雖も、一年一度の香を焼くの日、千古人をして恨を転じて深からしむ。」師室中に於て能く耆艾を鍛錬す。故に世大慧と師と居処を二甘露門と称す。甞て徒に誡めて言った、「衲僧家は草鞋を着けて院に住す、何ぞ啻に蚖虵の窟を恋うが如きのみ。」隆興改元、六月十三日、奄然として化した。全身を本山に塔す。

育王裕禪師法嗣

育王裕禅師の法嗣

福州清涼坦禪師

福州清涼坦禅師

有僧舉大慧竹篦話請益。師示以偈曰。徑山有箇竹篦。直下別無道理。佛殿廚庫三門。穿過衲僧眼耳。其僧言下有省。

僧の大慧の竹篦の話を挙げて益を請う有り。師偈を以て示して言った。「径山に箇の竹篦有り、直下別に道理無し。仏殿厨庫三門、衲僧の眼耳を穿過す。」其の僧言下に省有り。

臨安府淨慈水庵師一禪師

臨安府浄慈水庵師一禅師

婺州馬氏子。十六披削。首參雪峰慧照禪師。照舉藏身無跡話問之。師數日方明。呈偈曰。藏身無跡更無藏。脫體無依便廝當。古鏡不勞還自照。淡煙和霧濕秋光。照質之曰。畢竟那裡是藏身無跡處。師曰。嗄。照曰。無蹤跡處因甚麼莫藏身。師曰。石虎吞卻木羊兒。照深肯之。住後。上堂。舉。圓悟師翁道。參禪參到無參處。參到無參始徹頭。水庵則不然。參禪參到無參處。參到無參未徹頭。若也欲窮千里目。直須更上一層樓。上堂。凍雲欲雪未雪。普賢象駕崢嶸。嶺梅半合半開。少室風光漏洩。便恁麼去猶是半提。作麼生是全提底事。無智人前莫說。打你頭破額裂。上堂。舉。法眼示眾曰。盡十方世界明皎皎地。若有一絲頭。即是一絲頭。師竪起拂子曰。還見麼。穿過髑髏猶未覺。法燈雲。盡十方世界自然明皎皎地。若有一絲頭。不是一絲頭。師曰。夜來月色十分好。今日秋山無限清。上堂。寂然不動。感而遂通古人恁麼說話。大似預搔待癢。若教渠踏著衲僧關捩。管取別有生涯。喝一喝。卓拄杖下座。

婺州の馬氏の子である。十六にして披削す。首に雪峰慧照禅師に参ず。照蔵身無跡の話を挙げて之に問う。師数日にして方に明らかにす。偈を呈して言った、「蔵身跡無く更に蔵する無し、脱体依無くて便ち厮当す。古鏡労せずして還って自ら照し、淡煙和して霧秋光を湿らす。」照之を質して言った、「畢竟那の処か是れ蔵身無跡の処。」師は言った、「嗄。」照は言った、「蹤跡無きの処に因甚か蔵身する莫れ。」師は言った、「石虎木羊児を呑却す。」照深く之を肯す。住して後、上堂。挙ぐ、「円悟師翁道う、参禅は無参の処に参りて、無参に参りて始めて徹頭す。水庵は則ち然らず、参禅は無参の処に参りて、無参に参りて未だ徹頭せず。若し也だ千里の目を窮めんと欲せば、直に須らく更に一層の楼に上るべし。」上堂。「凍雲雪せんと欲して未だ雪せず、普賢の象駕峥嵘たり。嶺梅半ば合し半ば開き、少室の風光漏洩す。便ち恁麼して去らば猶ほ是れ半提、作麼生か是れ全提の底の事。智無き人の前には説く莫れ、お前の頭を打ちて破額を裂かん。」上堂。挙ぐ、「法眼衆に示す、十方世界を尽くして明皎皎地にして、若し一絲頭有らば、即ち是れ一絲頭。」師拂子を竪起して言った。「還って見るか、髑髏を穿過して猶ほ未だ覚えず。法灯云く、十方世界を尽くして自然に明皎皎地にして、若し一絲頭有らば、是れ一絲頭に非ず。」師は言った。「夜来月色十分に好し、今日秋山無限に清し。」上堂。「寂然として動かず、感じて遂に通ず、古人恁麼話を説くも、大いに似たり預め掻きて痒を待つに。若し渠を教えて衲僧の関捩を踏着せしめば、管取して別に生涯有らん。」一喝し、拄杖を卓し、座を下りた。

安吉州道場無庵法全禪師

安吉州道場無庵法全禅師

姑蘇陳氏子。東齋川和尚為落髮。師久依佛智。每入室。智以狗子無佛性話問之。師罔對。一日。聞僧舉五祖頌雲趙州露刃劒。忽大悟。有偈曰。皷吹轟轟袒半肩。龍樓香噴益州船。有時赤腳弄明月。踏破五湖波底天。住後。上堂。欲得現前。莫存順逆。卓拄杖雲。三祖大師變作馬面夜叉。向東弗於逮.西瞿耶尼.南贍部洲.北鬱單越。卻來山僧手裡。首身元來只是一條黑漆拄杖。還見麼。直饒見得。入地獄如箭射。卓拄杖。下座。上堂。拈拄杖曰。汝等諸人。箇箇頂天立地。肩橫楖栗。到處行腳。勘驗諸方。更來這裡覓箇甚麼。才輕輕拶著。便言天台普請。南嶽遊山。我且問你。還曾收得大食國裡寶刀麼。卓拄杖曰。切忌口衘羊角。僧問。牛頭未見四祖時如何。師曰。天下無貧人。曰。見後如何。師曰。四海無富漢。乾道己丑七月二十五日。將入寂。眾求偈。師瞪目下視。眾請益堅。遂書無無二字。棄筆而逝。火後設利五色。塔於金斗峰。

姑蘇の陳氏の子である。東斎の川和尚髪を落とさしむ。師久しく仏智に依り、毎に室に入れば、智狗子無仏性の話を以て之に問う。師対え罔し。一日、僧の五祖の頌を挙ぐるを聞きて云く、趙州刃を露すの剣。忽ち大悟す。偈有りて言った、「皷吹轟轟として半肩を袒し、竜楼香は益州の船に噴く。時に赤脚にして明月を弄し、五湖の波底の天を踏破す。」住して後、上堂。「現前を得んと欲せば、順逆を存する莫れ。」拄杖を卓して云く、「三祖大師は変じて馬面の夜叉と作し、東の弗于逮・西の瞿耶尼・南の贍部洲・北の鬱単越に向い、却って来りて山僧の手裏に在りて、身を首う。元来只だ是れ一条の黒漆の拄杖。還って見るか、直饒見得すとも、地獄に入ること箭の射るが如し。」拄杖を卓し、座を下りた。上堂。拄杖を拈じて言った。「お前等諸人、箇箇天を頂き地に立ち、肩に楖栗を横たえ、処処に行脚して、諸方を勘験す。更に此に来りて箇の什麼をか覓る。才だ軽く拶着せば、便ち言う天台に普請し南岳に游山すと。我且くお前に問う、還って曾て大食国裏の宝刀を収得するや。」拄杖を卓して言った。「切に口に羊角を銜むを忌む。」僧が問うた。「牛頭未だ四祖に見えざる時は如何。」師は言った。「天下に貧人無し。」言った。「見えし後は如何。」師は言った。「四海に富漢無し。」乾道己丑七月二十五日、寂に入らんと将にす。衆偈を求む。師目を瞠りて下を視る。衆請うこと益々堅し。遂に無無の二字を書し、筆を棄てて逝った。火後に設利五色、金斗峰に塔す。

泉州延福寒巖慧升禪師

泉州延福寒岩慧升禅師

建寧人也。上堂。喝一喝曰。盡十方世界。會十世古今。都盧在裡許。畐畐塞塞了也。若乃放開一針鋒許。則大海西流。巨嶽倒卓。黿鼉魚龍。鰕蟹蚯蚓。盡向平地上湧出波瀾。游泳鼓舞。然雖如是。更須向百尺竿頭自進一步。則步步踏轉無盡藏輪。方知道鼻孔搭在上唇。眉毛不在眼下。還相委悉麼。復喝一喝曰。切忌轉喉觸諱。

建寧の人である。上堂。一喝して言った。「十方世界を尽くし、十世古今を会して、都盧裏許に在りて、畐畐塞塞し了れり。若し乃ち放ち開きて一針鋒許りならば、則ち大海西流し、巨岳倒卓し、鼋鼉魚竜、鰕蟹蚯蚓、尽く平地上に向って波瀾を湧出して、游泳鼓舞す。然りと雖も是の如し、更に須らく百尺竿頭に向って自ら一歩を進めて、則ち歩歩尽き無き蔵輪を踏転して、方に知る鼻孔は上唇に搭し、眉毛は眼下に在らざるを。還って相委悉するか。」復た一喝して言った。「切に喉を転じて諱に触るるを忌む。」

大溈泰禪師法嗣

大沩泰禅師の法嗣

潭州慧通清旦禪師

潭州慧通清旦禅師

蓬州嚴氏子。初出關至德山。值泰上堂。舉。趙州曰。臺山婆子已為汝勘破了也。且道意在甚麼處。良久曰。就地撮將黃葉去。入山推出白雲來。師聞釋然。翌日入室。山問。前百丈不落因果。因甚麼墮野狐。後百丈不昧因果。因甚麼脫野狐。師曰。好與一坑埋卻。住後。上堂。說佛說祖。正如好肉剜瘡。舉古舉今。猶若殘羹餿飯。一聞便悟。已落第二頭。一舉便行。早是不著便。須知箇事。如天普蓋。似地普擎。師子遊行。不求伴侶。壯士展臂。不借他力。佛祖拈掇不起。衲僧願見無門。迷悟雙忘。聖凡路絕。且道從上諸聖以何法示人。喝一喝曰。莫妄想。佛性和尚忌日。上堂。三腳驢子弄蹄行。步步相隨不相到。樹頭驚起雙雙魚。拈來一老一不老。為憐松竹引清風。其奈出門便是草。因喚檀郎識得渠。大機大用都推倒。燒香勘證見根源。糞埽堆頭拾得寶。叢林浩浩謾商量。勸君莫謗先師好。

蓬州の厳氏の子である。初め関を出でて徳山に至り、泰の上堂に値い、趙州の説を挙ぐ、「台山の婆子は已に汝の為に勘破し了れり。且く道え意は什麼の処に在る。」良久して言った、「地に就きて黄葉を撮み将り去り、山に入りて白云を推し出し来たる。」師聞きて釈然たり。翌日室に入る。山問う、「前の百丈は因果に落ちざれば、因甚か野狐に堕つる。後の百丈は因果を昧まずすれば、因甚か野狐を脱する。」師は言った、「好く一坑に埋め却れ。」住して後、上堂。「仏を説き祖を説くは、正に是れ好肉に瘡を剜る。古を挙げ今を挙ぐるは、猶ほ若し残羹の馊飯。聞いて便ち悟るは、已に第二頭に落つ。挙げて便ち行ずるは、早く是れ便に着かず。須らく知れ箇の事は、天の普く蓋うが如く、地の普く擎ぐるに似たり。師子游行して伴侶を求めず、壮士臂を展べて他力を借らず。仏祖も拈掇し起さず、衲僧も見るを願うに門無し。迷悟双忘し、聖凡路絶す。且く道え従上の諸聖は何の法を以てか人に示す。」一喝して言った。「妄想する莫れ。」仏性和尚の忌日に、上堂。「三脚の驢子蹄を弄して行き、歩歩相随いて相到らず。樹頭に双ならびの魚を驚起し、拈じ来りて一老一不老。松竹を憐れみて清風を引く、其の奈いかんせん門を出でれば便ち是れ草。因りて檀郎を喚びて渠を識得せしめば、大機大用都て推倒す。香を焼きて根源を勘証見し、糞掃堆頭に宝を拾得す。叢林浩浩として谩り商量す、君を勧めて先師を謗る莫きを好しと。」

澧州靈巖仲安禪師

澧州霊岩仲安禅師

幼為比丘。壯遊講肆。後謁圓悟於蔣山。時佛性為座元。師扣之。即領旨。逮性住德山。遣師至鍾阜通嗣書。圓悟問曰。千里馳來。不辱宗風。公案現成。如何通信。師曰。覿面相呈。更無回互。曰。此是德山底。那箇是上座底。師曰。豈有第二人。曰。背後底。聻。師投書。悟笑曰。作家禪客。天然有在。師曰。付與蔣山。次至僧堂前。師捧書問訊首座。座曰。玄沙白紙。此自何來。師曰。久默斯要。不務速說。今日拜呈。幸希一覧。座便喝。師曰。作家首座。座又喝。師以書便打。座擬議。師曰。未明三八九。不免自沈吟。師以書復打一下。曰。接時。圓悟與佛眼見。悟曰。打我首座死了也。佛眼曰。官馬廝踢。有甚憑據。師曰。說甚官馬廝踢。正是龍象蹴踏。悟喚師至。曰。我五百人首座。你為甚麼打他。曰。和尚也須吃一頓始得。悟顧佛眼吐舌。眼曰。未在。卻顧師。問曰。空手把鉏頭。步行騎水牛。人從橋上過。橋流水不流。意作麼生。師鞠躬曰。所供並是詣實。眼笑曰。元來是屋裡人。又往見五祖自和尚。通法眷書。祖曰。書裡說箇甚麼。師曰。文彩已彰。曰。畢竟說箇甚麼。師曰。當陽揮寶劒。曰。近前來。這裡不識幾箇字。師曰。莫詐敗。祖顧侍者曰。是那裡僧。曰。此上座向曾在和尚會下去。祖曰。怪得恁麼滑頭。師曰。被和尚鈍置來。祖乃將書於香爐上燻。曰。南無三曼多沒陀南。師近前。彈指而已。祖便開書。回德山日。佛果佛眼皆有偈送之。未幾。靈巖虗席。衲子投牒。乞師住持。遂師法焉。上堂。參禪不究淵源。觸途盡為留礙。所以守其靜默。澄寂虗閑。墮在毒海。以弱勝強。自是非他。立人我量。見處偏枯。遂致優劣不分。照不構用。用不離窠。此乃學處不玄。盡為流俗。到這裡。須知有殺中透脫。活處藏機。佛不可知。祖莫能測。所以古人道。有時先照後用。

幼にして比丘と為り、壮にして講肆に游ぶ。後に蔣山に於て円悟に謁す。時に仏性座元と為り、師之を扣けば、即ち旨を領す。逮い性徳山に住するに及び、師を遣わして鐘阜に至らせ嗣書を通ぜしむ。円悟問うて言った、「千里馳せ来たりて、宗風を辱しめず。公案現成す、如何にか通信せん。」師は言った、「覿面相呈して、更に回互無し。」問う、「此れ是れ徳山の底、那の箇か是れ上座の底。」師は言った、「豈に第二人有らんや。」問う、「背後の底は聻。」師書を投ず。悟笑って言った、「作家の禅客、天然有りて在り。」師は言った、「蔣山に付与す。」次いで僧堂前に至り、師書を捧げて首座に問訊す。座は言った、「玄沙の白紙、此れ自ら何より来る。」師は言った、「久しく斯の要を黙し、速説を務めず。今日拝呈す、幸いに一覧を希う。」座便ち喝す。師は言った、「作家の首座。」座又た喝す。師書を以て便ち打つ。座擬議す。師は言った、「未だ三八九を明らかにせざれば、免れず自ら沈吟す。」師書を以て復た一下を打ちて言った、「時に接す。」円悟仏眼と見る。悟は言った、「我が首座を打ちて死なしめたり。」仏眼は言った、「官馬の斯踢、什麼の憑据か有る。」師は言った、「什麼をか官馬の斯踢を説く、正に是れ竜象の蹴踏。」悟師を喚び至らせて言った、「我が五百人の首座を、お前什麼が為にか彼を打つ。」言った、「和尚も須らく一頓を喫らわば始めて得。」悟仏眼を顧みて舌を吐く。眼は言った、「未だ在り。」却って師を顧みて、問うて言った、「手を空しくして鋤頭を把り、歩行して水牛に騎る。人橋上を過ぎ、橋流れて水流れず。意は作麼生。」師鞠躬して言った、「供する所並びに是れ詣実。」眼笑って言った、「元来是れ屋裏の人。」又た往きて五祖自和尚に見え、法眷の書を通ず。祖は言った、「書裏に箇の什麼をか説く。」師は言った、「文彩已に彰れり。」問う、「畢竟箇の什麼をか説く。」師は言った、「陽に当りて宝剣を揮う。」言った、「前に近づき来れ。此の裏几箇の字を識らず。」師は言った、「敗を詐る莫れ。」祖侍者を顧みて言った、「是れ那の裏の僧ぞ。」言った、「此の上座向に曾て和尚の会下に在りしなり。」祖は言った、

且要共你商量。有時先用後照。你須是箇漢始得。有時照用同時。你又作麼生抵當。有時照用不同時。你又向甚麼處湊泊。還知麼。穿楊箭與驚人句。不是臨時學得來。

(師は接して言った。)「恁麼の滑頭なるを怪むを得たり。」師は言った、「和尚に鈍置せられ来たり。」祖乃ち書を将て香炉上に於て熏して言った、「南無三曼多没陀南。」師前に近づき、指を弾ずるのみ。祖便ち書を開く。徳山に回る日、仏果・仏眼皆な偈有りて之を送る。未几、霊岩席を虚くし、衲子牒を投げて、師の住持を乞う。遂に法を師とす。上堂。「参禅に淵源を究めざれば、途に触れて尽く留碍と為る。所以に其の静黙を守り、澄寂虚閑なれば、毒海に堕つ。弱を以て強に勝ち、自ら是とし他を非とし、人我の量を立つ。見処偏枯にして、遂に優劣分たざるを致す。照は用を構えず、用は窠を離れず。此れ乃ち学処玄ならず、尽く流俗と為る。此に到りて、須らく知れ殺中の透脱・活処の蔵機有るを。仏も知る可からず、祖も測る能わず。所以に古人道う、時に先に照して後に用い、

成都府正法灝禪師

(師は接して言った。)「且く要すお前と商量せん。時に先に用いて後に照す、お前須らく是れ箇の漢ならば始めて得。時に照用同時ならば、お前又た作麼生にか抵当せん。時に照用同時ならざれば、お前又た什麼の処に向って湊泊せん。還って知るか、楊を穿つ箭と人を驚かす句とは、臨時に学び得来るに非ず。」

上堂。舉永嘉到曹谿因緣。乃曰。要識永嘉麼。掀飜海嶽求知己。要識祖師麼。撥動乾坤建太平。二老不知何處去。卓拄杖曰。宗風千古播嘉聲。

成都府正法灝禅師

成都府昭覺辯禪師

上堂。永嘉の曹渓に到るの因縁を挙げて、乃ち言った。「永嘉を識らんと要するか、海岳を掀飜して知己を求む。祖師を識らんと要するか、乾坤を撥動して太平を建つ。二老は何れの処にか去ると知らず。」拄杖を卓して言った。「宗風千古に嘉声を播く。」

上堂。毫𨤲有差。天地懸隔。隔江人唱鷓鴣詞。錯認胡笳十八拍。要會麼。欲得現前。莫存順逆。五湖煙浪有誰爭。自是不歸歸便得。

成都府昭覚辯禅師

護國元禪師法嗣

上堂。「毫𨤲差有れば、天地懸隔す。江を隔てて人鷓鴣の詞を唱えば、錯りて胡笳の十八拍を認む。会せんと要するか。現前を得んと欲せば、順逆を存する莫れ。五湖の煙浪誰か有りて争わん、自ら是れ帰らずして帰れば便ち得。」

台州國清簡堂行機禪師

護国元禅師の法嗣

本郡人。姓楊氏。風姿挺異。才壓儒林。年二十五。棄妻孥。學出世法。晚見此庵。密有契證。出應莞山。刀耕火種。單丁者一十七年。甞有偈雲。地爐無火客囊空。雪似楊華落歲窮。拾得斷麻穿壞衲。不知身在寂寥中。每謂人曰。某猶未穩在。豈以住山樂吾事邪。一日偶看斫樹倒地。忽然大悟。平昔礙膺之物。泮然冰釋。未幾。有江州圓通之命。乃曰。吾道將行。即欣然曳杖而去。登座說法雲。圓通不開生藥鋪。單單只賣死貓頭。不知那箇無思算。吃著通身冷汗流。上堂。單明自已。樂是苦因。趣向宗乘。地獄劫住。五日一參。三八普說。自揚家醜。更若問理問事。問心問性。克由叵耐。若是英靈漢。窺藩不入。據鼎不甞。便於未有生佛已前轉得身。卻於今時大官路上捷行闊步。終不向老鼠窟.草窠裡頭出頭沒。若也根性陋劣。要去有滋味處咬嚼。遇著義學阿師。遞相錮鏴。直饒說得雲興雨現。也是蝦蟇化龍。下梢依舊。吃泥吃土。堪作甚麼。上堂。仲秋八月旦。庭戶入新涼。不露風骨句。愁人知夜長。上堂。無隔宿恩。可參臨濟禪。有肯諾意。難續楊岐派。窮廝煎。餓廝炒。大海祇將折箸攪。你死我活。猛火然鐺煑佛喋。恁麼作用。方可撐門拄戶。更說聲和響順。形直影端。驢年也未夢見。僧問。三聖問雪峰。透網金鱗。未審以何為食。峰雲。待汝出網來。即向汝道。意旨如何。師曰。同途不同轍。曰。三聖道。一千五百人善知識。話頭也不識。峰雲。老僧住持事繁。又作麼生。師曰。前箭猶輕後箭深。曰。祇如雪竇道。可惜放過。好與三十棒。這棒一棒也較不得。直是罕遇作家。意又作麼生。師曰。陣敗說兵書。曰。這棒是三聖合吃。雪峰合吃。師以拂子擊禪床曰。這裡薦取。示眾雲。衲僧拄杖子。不用則已。用則如鴆鳥落水。魚鼈皆死。正按傍提。風颯颯地。獨步大方。殺活在我。所以道。

台州国清簡堂行機禅師

千人排門。不如一人拔關。若一人拔關。千人萬人得到安樂田地。還知麼。鴛鴦繡出從君看。不把金針度與人。示眾雲。觀色即空成大智。故不住生死。觀空即色成大悲。故不證涅槃。生死不住。涅槃不證。漢地不收。秦地不管。且道在甚麼處安身立命。莫是昭昭於心目之間。而相不可覩。晃晃於色塵之內。而理不可分麼。莫是起坐鎮相隨。語默同居止麼。若恁麼。總是髑髏前敲磕。須知過量人自有過量用。且作麼生是過量用。北斗藏身雖有語。出群消息少人知。

本郡の人、姓は楊。風姿挺異にして、才は儒林を圧す。年二十五、妻孥を棄て、出世の法を学ぶ。晩に此庵を見え、密かに契証有り。出でて莞山に応じ、刀耕火種して、単丁なること一十七年。甞て偈有り、「地炉に火無く客囊空し、雪は楊華に似て歳窮まるに落つ。断麻を拾得して坏衲を穿ち、知らず身の寂寥の中に在るを。」毎に人に謂うて言った、「某猶ほ未だ穏ならざるなり、豈に山に住するを吾が事と楽まんや。」一天偶さま樹を斫り地に倒るを看て、忽然大悟し、平昔膺に碍するの物、泮然として氷釈す。未几、江州円通の命有りて、乃ち言った、「吾が道将に行かんとす。」即ち欣然として杖を曳きて去る。座に登りて法を説く、「円通は生薬舗を開かず、単単只だ死猫頭を売る。知らず那の箇の思算無きが、喫着して通身冷汗流る。」上堂。「単に自己を明らかにするは、楽しみは是れ苦の因。宗乗に趣向するは、地獄に劫住す。五日一参・三八の普説は、自ら家醜を揚ぐ。更に若し理を問い事を問い、心を問い性を問わば、克由叵耐なり。若し是れ英霊の漢ならば、藩を窺えども入らず、鼎に拠れども嘗めず、便ち未だ生仏有らざる已前に身を転じ得て、却って今時の大官の路上に捷行闊歩し、終に老鼠窟・草窠裏頭に向って出で没せず。若し也だ根性陋劣にして、滋味有るの処に去りて咬嚼せんと要せば、義学の阿師に遇着し、銅鏴を相い递ぐ。直饒説き得ること雲興り雨現ずとも、亦是れ虾蟆の化竜、下梢依旧として泥を喫い土を喫う、堪えて作さん什麼を。」上堂。「仲秋八月の旦、庭戸新涼に入る。風骨の句を露さず、愁人是れ知る夜の長きを。」上堂。「宿恩を隔てずは、臨済の禅を参ず可し。肯諾の意有らば、楊岐の派を続ぎ難し。窮厮は煎じ餓厮は炒り、大海は只だ箸を折りて攪く。お前死我が活せん、猛火鐺を燃して仏を煮喋す。恁麼の作用、方に可なり門を撑ぎ戸を拄ぐ。更に和の声に順い形直ければ影端しと説けば、驢年も未だ夢に見ず。」僧が問うた。「三聖雪峰に問う、網を透るの金鱗、未だ審らかならず何を以てか食と為す。峰は言う、お前網を出で来るを待ちて、即ちお前に向って道わん。意旨如何。」師は言った。「途を同じくして轍を同じくせず。」問うた。「三聖道う、一千五百人の善知識、話頭も識らず。峰は言う、老僧住持事煩し。又た作麼生。」師は言った。「前の箭猶ほ軽く、後の箭深し。」問うた。「只だ雪竇の道う、惜しむ可し放過す、好く三十棒を与えよ、此の棒は一棒も校べるを得ず、直に是れ作家に遇うを得難し、意又た作麼生。」師は言った。「陣敗れて兵書を説く。」問うた。「此の棒は三聖合して喫らうべきか、雪峰合して喫らうべきか。」師拂子を以て禅床を撃ちて言った。「此の裏に薦取せよ。」衆に示す。「衲僧の拄杖子、用いざれば則ち已む、用いれば則ち鴆鳥の水に落つるが如く、魚鼈皆な死す。正に按じ傍に提げ、風颯颯として地に。独り大方を歩み、殺活は我に在り。所以に道う、「千人門を排すは、一人関を㧞くに如かず。若し一人関を㧞かば、千人万人安楽の田地に到るを得ん。還って知るか、鴛鴦繍い出でて君に看るに従えども、金針を把りて人に度さず。」衆に示す。「色を観じて即ち空と為れば大智を成り、故に生死に住せず。空を観じて即ち色と為れば大悲を成り、故に涅槃を証せず。生死に住せず、涅槃を証せず、漢地収めず、秦地管せず。且く道え什麼の処に在りて身を安んじ命を立てん。莫しや是れ昭昭として心目の間に在りて、而して相睹う可からず、晃晃として色塵の内に在りて、而して理分る可からざるか。莫しや是れ起坐鎮い相随い、語默同居止するか。若し恁麼ならば、総て是れ髑髏の前の敲磕なり。須らく知れ過量の人自ら過量の用有るを。且く作麼生か是れ過量の用。北斗に身を蔵すと雖も語有り、群を出づるの消息知る人少なし。」

鎮江府焦山或庵師體禪師

鎮江府焦山或庵師体禅師

台州羅氏子。上堂。舉臨濟示眾四喝公案。乃召眾曰。這箇公案。天下老宿拈掇甚多。第恐皆未盡善。焦山不免四稜著地。與諸人分明註解一徧。如何是踞地師子。咄。如何是金剛王寶劒。咄。如何是探竿影草。咄。如何是一喝不作一喝用。咄。若也未會。拄杖子與焦山吐露看。卓一下曰。笑裡有刀。又卓一下曰。毒虵無眼。又卓一下曰。忍俊不禁。又卓一下曰。出門是路。更有一機。舉話長老也理會不得。上堂。年年浴佛在今朝。目擊迦維路不遙。果是當時曾示現。宜乎惡水驀頭澆。上堂。熱月須搖扇。寒來旋著衣。若言空過日。大似不知時。上堂。道生一。無角鐵牛眠少室。一生二。祖父開田說大義。二生三。梁間紫燕語呢喃。三生萬物。男兒活計離窠窟。多處添。少處減。大蟲怕吃生人膽。有若無。實若虗。爭掩驪龍明月珠。是則是。祇如焦山坐斷諸方舌頭一句。作麼生道。肚無偏僻病。不怕冷油韲。拍禪床。下座。僧問。如何是即心即佛。師曰。鼎州出獰爭神。曰。如何是非心非佛。師曰。閩蜀同風。曰。如何是不是心.不是佛.不是物。師曰。窮坑難滿。問。起滅不停時如何。師曰。謝供養。問。我有沒絃琴。久居在曠野。不是不會彈。未遇知音者。知音既遇。未審如何品弄。師曰。鐘作鐘鳴。皷作皷響。曰。雲門放洞山三頓棒。意旨如何。師曰。和身倒。和身攂。曰。飯袋子。江西湖南便恁麼去。又作麼生。師曰。淚出痛腸。曰。真金須是紅爐煅。白玉還他妙手磨。師曰。添一點。也難為。室中常舉苕帚柄。問學者曰。依俙苕帚柄。髣髴赤斑虵。眾皆下語不契。有僧請益。師示以頌曰。依俙苕帚柄。髣髴赤斑虵。棒下無生忍。臨機不識爺。淳熈己亥八月朔示微疾。染翰別郡守曾公。逮夜半。書偈辭眾曰。鐵樹開華。雄雞生卵。七十二年。搖籃繩斷。擲筆示寂。

台州の羅氏の子である。上堂。臨済衆に示す四喝の公案を挙げて、乃ち大衆を召して言った。「此の公案、天下の老宿拈掇する者甚く多し、第に恐る皆な未だ善を尽くさざるを。焦山免れず四稜地に着きて、諸人と分明に注解一遍せん。如何なるか是れ地に踞る師子。咄。如何なるか是れ金剛王の宝剣。咄。如何なるか是れ探竿影草。咄。如何なるか是れ一喝一喝の用を作さざる。咄。若し也だ未だ会せざれば、拄杖子焦山と吐露して看よ。」一下を卓して言った、「笑裏に刀有り。」又た一下を卓して言った、「毒虵眼無し。」又た一下を卓して言った、「忍俊禁じず。」又た一下を卓して言った、「門を出でれば是れ路。」更に一機有り、話を挙ぐる長老も亦た理会するを得ず。」上堂。「年年の浴仏今朝に在り、目撃して迦維の路遥ならず。果して是れ当時曾て示現せば、宜しいかな悪水を蓦頭に潑ぐを。」上堂。「熱月は須らく扇を揺るべし、寒来れば旋に衣を着く。若し空しく日を過ぐと言わば、大いに似たり時を知らざるに。」上堂。「道は一を生ず、角無き鉄牛少室に眠る。一は二を生ず、祖父田を開きて大義を説く。二は三を生ず、梁間の紫燕語呢喃。三は万物を生ず、男児の活計窠窟を離る。多処は添え、少処は減ず、大虫生人の胆を喫うを怕る。有は無の若く、実は虚の若く、争いか驪竜の明月の珠を掩わん。是れ則ち是れ、只だ焦山諸方の舌頭を坐断する一句が如く、作麼生にか道わん。肚に偏僻の病無ければ、冷油の齑を怕れず。」禅床を拍ち、座を下りた。僧が問うた。「如何なるか是れ即心即仏。」師は言った。「鼎州は獰争神を出づ。」問うた。「如何なるか是れ非心非仏。」師は言った。「閩蜀同風。」問うた。「如何なるか是れ心に非ず・仏に非ず・物に非ず。」師は言った。「窮坑満ち難し。」問うた。「起滅停まらざる時は如何。」師は言った。「供養を謝す。」問うた。「我に没弦の琴有り、久しく曠野に居る。会せざるに非ず弾くを、未だ知音者に遇わず。知音既に遇う、未だ審らかならず如何にか品弄せん。」師は言った。「鐘は鐘の鳴を作し、皷は皷の響を作す。」問うた。「云門の洞山に三頓の棒を放つ、意旨如何。」師は言った。「身を和して倒れ、身を和して攂る。」問うた。「飯袋子、江西湖南便ち恁麼して去らば、又た作麼生。」師は言った。「涙痛腸を出づ。」言った。「真金は須らく是れ紅炉の煅、白玉は還って他の妙手の磨。」師は言った。「一点を添うるも、難為なり。」室中に常に箒帚の柄を挙げて、学者に問うて言った、「依稀として箒帚の柄、髣髴として赤斑の蛇。」衆皆な語を下すも契わず。僧の益を請う有り、師頌を以て示す、「依稀として箒帚の柄、髣髴として赤斑の蛇。棒下生忍無く、機に臨みて爺を識らず。」淳熙己亥八月朔、微疾を示し、翰を染めて郡守曽公に別る。逮い夜半に及び、偈を書して衆に辞す、「鉄樹華を開き、雄鶏卵を生む。七十二年、揺籃の繩断つ。」筆を擲ちて示寂した。

常州華藏湛堂智深禪師

常州華蔵湛堂智深禅師

武林人也。佛涅槃日。上堂。兜率降生。雙林示滅。掘地討天。虗空釘橛。四十九年。播土揚塵。三百餘會。納盡敗缺。盡力布網張羅。未免喚龜作鼈。末後拘屍城畔。槨示雙趺。旁人冷眼。看來大似弄巧成拙。卓拄杖曰。若無這箇道理。千古之下。誰把口說。且道是甚麼道理。痴人面前切忌漏洩。

武林の人である。仏涅槃の日、上堂。「兜率に降誕し、双林に示滅す。地を掘りて天を討い、虚空に橛を釘す。四十九年、土を播き塵を揚ぐ。三百余会、敗缺を納め尽くす。力を尽くして網を布き羅を張るも、未だ免れず亀を喚びて鼈と作す。末後拘尸城の畔、椁に双趺を示す。旁人冷眼に看れば、大いに似たり巧を弄して拙と成るに。」拄杖を卓して言った。「若し此の道理無からば、千古の下、誰か口を把りて説かん。且く道え是れ什麼の道理ぞ。痴人の面前切に泄漏を忌む。」

參政錢端禮居士

参政銭端礼居士

字處和。號松窻。從此庵發明己事。後於宗門旨趣一一極之。淳熈丙申冬。簡堂歸住平田。遂與往來。丁酉秋微恙。修書召堂及國清瑞巖主僧。有訣別之語。堂與二禪詣榻次。公起趺坐。言笑移時。即書曰。浮世虗幻。本無去來。四大五蘊。必歸終盡。雖佛祖具大威德力。亦不能免。這一著子。天下老和尚.一切善知識還有跳得過者無。蓋為地水火風。因緣和合。暫時湊泊。不可錯認為己有。大丈夫磊磊落落。當用處把定。立處皆真。順風使帆。上下水皆可。因齋慶贊。去留自在。此是上來諸聖。開大解脫。一路涅槃門。本來清淨空寂境界。無為之大道也。今吾如是。豈不快哉。塵勞外緣。一時掃盡。荷諸山垂顧。鹹願證明。伏惟珍重。置筆顧簡堂曰。某坐去好。臥去好。堂曰。相公去便了。理會甚坐與臥耶。公笑曰。法兄當為祖道自愛。遂斂目而逝。

字は処和、号は松窗。此庵に従りて己事を発明し、後に宗門の旨趣を一々極む。淳熙丙申の冬、簡堂帰りて平田に住す。遂に与に往来す。丁酉の秋微恙し、書を修めて堂及び国清・瑞岩の主僧を召す。訣別の語有り。堂二禅と榻に詣る次、公起きて趺坐し、言笑すること時を移す。即ち書して言った、「浮世は虚幻、本と去来無し。四大五蘊、必ず終尽に帰す。仏祖大威徳の力を具すと雖も、亦た能く免れず。此の一着子は、天下の老和尚・一切の善知識に還って跳過するを得る者無るや無しや。蓋し地水火風・因縁和合の、暫時の湊泊を為れば、錯りて己の有と認む可からず。大丈夫磊磊落落として、当に用処に把定し、立処皆な真なるべし。風に順いて帆を使えば、上下水皆な可なり。斎に因りて慶賛し、去留自在なり。此れ是れ上来の諸聖の大解脱・一路涅槃の門を開く、本来清浄空寂の境界・無為の大道なり。今吾是の如し、豈に快ならずや。塵労の外縁、一時に掃尽す。諸山の垂顧を荷い、咸く願わくは証明せん。伏して惟れ珍重せん。」筆を置きて簡堂を顧みて言った、「某坐して去るを好むか、臥して去るを好むか。」堂は言った、「相公去れば便ち了り、什麼をか坐と臥を理会せん。」公笑って言った、「法兄当に祖道の為に自ら愛すべし。」遂に目を斂めて逝った。

靈隱遠禪師法嗣

霊隠遠禅師の法嗣

慶元府東山全庵齊己禪師

慶元府東山全庵斉己禅師

卭州謝氏子。上堂。舉。修山主偈曰。是柱不見柱。非柱不見柱。是非已去了。是非裡薦取。召大眾曰。薦得是。移華兼蝶至。薦得非。擔泉帶月歸。是也好。鄭州棃勝青州棗。非也好。象山路入蓬萊島。是亦沒交涉。踏著秤錘硬似鐵。非亦沒交涉。金剛寶劒當頭截。阿呵呵。會也麼。知事少時煩惱少。識人多處是非多。蓮社會道友。請上堂。漸漸雞皮鶴髮。父少而子老。看看行步躘蹱。疑殺木上座。直饒金玉滿堂。照顧白拈賊。豈免衰殘老病。正好著精彩。任汝千般快樂。渠儂合自由。無常終是到來。歸堂吃茶去。唯有徑路修行。依舊打之遶。但念阿彌陀佛。念得不濟事。復曰。噁。這條活路。已被善導和尚直截指出了。也是你諸人。朝夕在徑路中往來。因甚麼當面蹉過阿彌陀佛。這裡薦得。便可除迷倒障。㧞猶豫箭。截疑惑網。斷痴愛河。伐心稠林。浣心垢濁。正心諂曲。絕心生死。然後轉入那邊。擡起腳。向佛祖履踐不到處進一步。開卻口。向佛祖言詮不到處說一句。喚回善導和尚。別求徑路修行。其或準前。捨父逃走。流落他鄉。撞東磕西。苦哉。阿彌陀佛。

邛州の謝氏の子である。上堂。修山主の偈を挙ぐ、「是れ柱柱を見ず、柱に非ずして柱を見ず。是非已に去り了り、是非裏に薦取せよ。」大衆を召して言った。「薦得する是れならば、華を移し蝶を兼ねて至る。薦得する非ならば、泉を担い月を帯びて帰る。是れも好し、鄭州の梨青州の棗に勝る。非も亦た好し、象山の路蓬莱島に入る。是れも交渉無し、秤鎚を踏着すれば硬さ鉄に似たり。非も亦た交渉無し、金剛の宝剣頭に当りて截る。阿呵呵、会する也麽。事を知る少き時は煩悩少なく、人を識る多き処は是非多し。」蓮社の会道友上堂を請う。「漸々鶏皮鶴髪、父少くして子老ゆ。看んかん歩を躘蹱にして、木上座を疑殺す。直饒金玉堂に満つとも、白拈の賊を照顧す。豈に免れん衰残老病、正に精彩を着くを好し。お前に任する千般の快楽、渠儂合して自由。无常終に是れ到来し、堂に帰りて茶を喫し去れ。唯だ径路の修行有り、依旧として之を打ちて繞る。但だ阿弥陀仏を念ずれども、念じて事を済まず。」復た言った。「悪、此の条の活路、已に善導和尚に直截に指出せられたり。也だ是れお前諸人、朝夕径路の中に往来す、因甚か当面阿弥陀仏を蹉過する。此の裏に薦得せば、便ち可なり迷倒の障を除き、猶予の箭を㧞き、疑惑の網を截り、痴愛の河を断ち、心の稠林を伐り、心の垢濁を浣い、心の諂曲を正し、心の生死を絶たん。然後辺に転じ入り、脚を抬起して、仏祖の履践せざる処に向って一歩を進め、口を開却して、仏祖の言詮せざる処に向って一句を説け。善導和尚を喚回し、別に径路の修行を求めよ。其れ或いは前に准じて、父を舎て逃走し、他郷に流落し、東に撞き西に磕かば、苦しい哉阿弥陀仏。」

撫州疎山歸雲如本禪師

撫州疏山帰雲如本禅師

臺城人也。上堂。久雨不晴。戊在丙丁。通身泥水。露出眼睛。且道是甚麼眼睛。卓拄杖曰。林間泥滑滑。時叫兩三聲。

台城の人である。上堂。「久雨晴れず、戊は丙丁に在り。通身泥水にして、眼睛を露出す。且く道え是れ什麼の眼睛ぞ。」拄杖を卓して言った。「林間に泥滑滑、時に两三声を叫ぶ。」

覺阿上人

覚阿上人

日本國藤氏子也。十四得度受具。習大小乘有聲。二十九。屬商者自中都回。言禪宗之盛。阿奮然拉法弟金慶航海而來。袖香拜靈隱佛海禪師。海問其來。阿輒書而對。復書曰。我國無禪宗。唯講五宗經論。國主無姓氏。號金輪王。以嘉應改元。捨位出家。名行真。年四十四。王子七歲。令受位。今已五載。度僧無進納。而講義高者賜之。某等仰服聖朝遠公禪師之名。特詣丈室禮拜。願傳心印。以度迷津。且如心佛及眾生。是三無差別。離相離言。假言顯之。禪師如何開示。海曰。眾生虗妄見。見佛見世界。阿書曰。無明因何而有。海便打。阿即命海陞座決疑。明年秋。辭遊金陵。抵長蘆江岸。聞皷聲忽大悟。始知佛海垂手旨趣。旋靈隱。述五偈敘所見。辭海東歸。偈曰。航海來探教外傳。要離知見脫蹄筌。諸方參徧草鞋破。水在澄潭月在天(其一)。掃盡葛藤與知見。信手拈來全體現。腦後圓光徹大虗。千機萬機一時轉(其二)。妙處如何說向人。倒地便起自分明。驀然踏著故田地。倒裹幞頭孤路行(其三)。求真滅妄元非妙。即妄明真都是錯。堪笑靈山老古錐。當陽拋下破木杓(其四)。竪拳下喝少賣弄。說是說非入泥水。截斷千差休指注。一聲歸笛囉囉哩(其五)。海稱善。書偈贈行。歸本國。住叡山寺。洎通嗣法書。海已入寂矣。

日本国の藤氏の子である。十四にして得度受具し、大小乗を習い声有り。二十九にして、商者の中都自り回るに属し、禅宗の盛んを言う。阿奮然として法弟金慶を拉して航海して来り、香を袖して霊隠の仏海禅師を拝す。海其の来たるを問う。阿輒ち書して対う。復た書して言った、「我国禅宗無く、唯だ五宗の経論を講ず。国主姓氏無く、金輪王と号し、嘉応を以て元を改め、位を舎てて家を出で、名は行真、年四十四。王子七歳にして受位せしめ、今已に五載。僧を度るに進納無く、而も講義高き者に賜う。某等聖朝遠公禅師の名を仰ぎ服い、特に丈室に詣りて礼拝し、願わくは心印を伝え、以て迷津を度せん。且く心・仏・及び衆生の、是れ三差別無きが如く、相を離れ言を離れて、言を仮りて之を顕す。禅師如何にか開示せん。」海は言った、「衆生の虚妄見は、仏を見世界を見る。」阿書して言った、「無明因何に依りて有る。」海便ち打つ。阿即ち海をして座に升り疑を決せしむ。明年の秋、辞して金陵に游び、長蘆の江岸に抵り、皷声を聞きて忽ち大悟し、始めて仏海の垂手の旨趣を知る。霊隠に旋り、五偈を述べて見る所を叙し、海に辞して帰り東す。偈に曰く、「航海して教外の伝を探り、要して知見を離れ蹄筌を脱す。諸方参遍して草鞋破る、水は澄潭に在り月は天に在り。(其一)葛藤と知見を掃い尽くし、信手拈来して全体現ず。脳後の円光大虚を徹し、千機万機一時に転ず。(其二)妙処如何にか人に向って説かん、倒れて便ち起きて自ら分明。驀然として故田地を踏着し、幞頭を倒裹にして孤路を行く。(其三)真を求め妄を滅すは元來妙に非ず、妄に即いて真を明るは都て是れ錯。笑う可し霊山の老古錐、陽に当りて破木杓を抛却す。(其四)拳を竪て喝を下すも少しく売弄、是を説き非を説きて泥水に入る。千差を截断して指注を休めよ、一声の帰笛囉囉哩。(其五)」海善しと称し、偈を書して行を贈る。本国に帰り、叡山寺に住す。洎り「嗣法の書を通ぜば、海已に寂に入り了れり。」

內翰曾開居士

内翰曽開居士

字天遊。久參圓悟。暨往來大慧之門有日矣。紹興辛未。佛海補三衢光孝。公與超然居士趙公訪之。問曰。如何是善知識。海曰。燈籠露柱。貓兒狗子。公曰。為甚麼贊即歡喜。毀即煩惱。海曰。侍郎曾見善知識否。公曰。某三十年參問。何言不見。海曰。向歡喜處見。煩惱處見。公擬議。海震聲便喝。公擬對。海曰。開口底不是。公罔然。海召曰。侍郎向甚麼處去也。公猛省。遂點頭。說偈曰。咄哉瞎驢。叢林妖孽。震地一聲。天機漏洩。有人更問意如何。拈起拂子劈口截。海曰。也祇得一橛。

字は天游。久しく円悟に参じ、暨ち大慧の門に往来すること日有り。紹興辛未、仏海三衢の光孝を補す。公超然居士趙公と之を訪い、問うて言った、「如何なるか是れ善知識。」海は言った、「灯籠露柱・猫児狗子。」公は言った、「什麼が為に賛すれば即ち歡喜し、毀れば即ち煩悩する。」海は言った、「侍郎曾て善知識を見るや否や。」公は言った、「某三十年参問す、何ぞ見ざると言わん。」海は言った、「歓喜の処に向って見るか、煩悩の処に向って見るか。」公擬議す。海声を震いて便ち喝す。公対を擬す。海は言った、「口を開く底は是れならず。」公罔然たり。海召して言った、「侍郎什麼の処に向って去るなり。」公猛省し、遂に頭を点いて、偈を説いた、「咄なる哉瞎驢、叢林の妖孽。地を震うの一声、天機漏洩す。人有りて更に意如何を問わば、拂子を拈起して口を劈きて截らん。」海は言った、「也だ只だ一橛を得。」

知府葛郯居士

知府葛郯居士

字謙問。號信齋。少擢上第。玩意禪悅。首謁無庵全禪師。求指南。庵令究即心即佛。久無所契。請曰。師有何方便。使其得入。庵曰。居士太無厭生。已而佛海來居劒池。公因從遊。乃舉無庵所示之語。請為眾普說。海發揮之曰。即心即佛眉拖地。非心非佛雙眼橫。蝴蝶夢中家萬裡。子規枝上月三更。留旬日而後返。一日。舉不是心。不是佛。不是物。豁然頓明。頌曰。非心非佛亦非物。五鳳樓前山突兀。艶陽影裡倒飜身。野狐跳入金毛窟。無庵肯之。即遣書頌呈佛海。海報曰。此事非紙筆可既。居士能過我。當有所聞矣。遂復至虎丘。海迎之曰。居士見處。止可入佛境界。入魔境界。猶未得在。公加禮不已。海正容曰。何不道金毛跳入野狐窟。公乃痛領。甞問諸禪曰。夫婦二人相打。通兒子作證。且道證父即是。證母即是。或庵體禪師著語曰。小出大遇。淳熈六年。守臨川。八年感疾。一夕忽索筆書偈曰。大洋海裡打皷。須彌山上聞鐘。業鏡忽然撲破。飜身透出虗空。召僚屬示之曰。生之與死。如晝與夜。無足怪者。若以道論。安得生死。若作生死會。則去道遠矣。語畢。端坐而化。

字は謙問、号は信斎。少くして上第を擢れ、禅悦を玩意す。首に無庵全禅師に謁し、指南を求む。庵即心即仏を究めしむも、久しく契う所無し。請うて言った、「師に何の方便か有りて、其をして入るを得しむ。」庵は言った、「居士太だ厭生無し。」已にして仏海来りて剣池に居る。公因りて游に従い、乃ち無庵の示す所の語を挙げて、衆の為に普説を請う。海之を発揮して言った、「即心即仏は眉地に拖れ、非心非仏は双眼横なり。蝴蝶の夢中、家は万里、子規の枝上、月は三更。」旬日を留めて後に返る。一天、心に非ず・仏に非ず・物に非ずを挙げて、豁然として頓明す。頌に、「非心非仏も亦た物に非ず、五鳳楼前に山突兀。艶陽の影裏身を倒飜し、野狐は金毛の窟に跳入る。」無庵之を肯す。即ち書頌を遣わして仏海に呈す。海报じて言った、「此の事は紙筆を以て既に可からず。居士能く我に過ぎば、当に聞く所有らん。」遂に復た虎丘に至る。海之を迎えて言った、「居士の見処は、只だ可なり仏境界に入る。魔境界に入るは、猶ほ未だ得しなり。」公礼を加えて已まず。海容を正して言った、「何ぞ道わざる金毛野狐窟に跳入ると。」公乃ち痛領す。甞て諸禅に問うて言った、「夫婦二人相打ち、児子を通じて証を作す。且く道え父を証するは則ち是れか、母を証するは則ち是れか。」或庵体禅師着語して言った、「小出大遇。」淳熙六年、臨川を守る。八年疾を感ず。一夕忽ち筆を索め偈を書す、「大洋海裏に皷を打ち、須弥山上に鐘を聞く。業鏡忽然として扑破し、身を飜して虚空を透出す。」僚属を召して之に示して言った、「生と死とは、昼と夜の如し、怪むに足る者無し。若し道を以て論ぜば、安んぞ生死を得ん。若し生死会と作さば、則ち道を去ること遠し。」語畢りて、端坐して化した。

華藏民禪師法嗣

華蔵民禅師の法嗣

臨安府徑山別峰寶印禪師

臨安府径山別峰宝印禅師

嘉州李氏子。自幼通六經。而厭俗務。乃從德山清素得度具戒。後聽華嚴.起信。既盡其說。棄依密印於中峰。一日。印舉。僧問巖頭。起滅不停時如何。巖叱曰。是誰起滅。師啟悟。即首肯。會圓悟歸昭覺。印遣師往省。因隨眾入室。悟問。從上諸聖。以何接人。師竪拳。悟曰。此是老僧用底。作麼生是從上諸聖用底。師以拳揮之。悟亦舉拳相交。大笑而止。後至徑山謁大慧。慧問。甚處來。師曰。西川。慧曰。未出劒門關。與汝三十棒了也。師曰。不合起動和尚。慧忻然。掃室延之。慧南遷。師乃西還。連主數剎。後再出峽。住保寧.金山.雪竇.徑山。開堂陞座。曰。世尊初成正覺於鹿野苑中。轉四諦法輪。憍陳如比丘最初悟道。後來真淨禪師初住洞山。拈雲。今日新豐洞裡。祇轉箇拄杖子。遂拈拄杖著左邊。雲。還有最初悟道者麼。若無。丈夫自有沖天志。莫向如來行處行。遂喝一喝。下座。若是印上座則不然。今日向鳳凰山裡。初無工夫轉四諦法輪。亦無氣力轉拄杖子。祇教諸人行須緩步。語要低聲。何故。欲得不招無間業。莫謗如來正法輪。上堂。三世諸佛。以一句演百千萬億句。收百千萬億句祇在一句。祖師門下。半句也無。祇恁麼。合吃多少痛棒。諸仁者。且諸佛是。祖師是。若道佛是祖不是。祖是佛不是。取捨未忘。若道佛祖一時是。佛祖一時不是。顢頇不少。且截斷葛藤一句作麼生道。大蟲褁紙帽。好笑又驚人。復舉。僧問巖頭。浩浩塵中。如何辨主。頭雲。銅沙鑼裡滿盛油。師曰。大小巖頭打失鼻孔。忽有人問保寧。浩浩塵中如何辨主。祇對他道。天寒不及卸帽。上堂。六月初一。燒空赤日。十字街頭。雪深一尺。掃除不暇。迴避不及。凍得東村廖鬍子。半夜著靴水上立。上堂。將心除妄妄難除。即妄明心道轉迂。桶底趯穿無忌諱。等閑一步一芙蕖。師至徑山。彌浹。

嘉州の李氏の子である。幼自り六経に通じ、而して俗務を厭う。乃ち徳山清素に従いて得度具戒す。後に『華厳』『起信』を聴き、既に其の説を尽くして、中峰に於て密印に依る。一天、印僧の岩頭に問うを挙ぐ、「起滅停まらざる時は如何。」岩叱して言う、「是れ誰が起滅ぞ。」師啓悟し、即ち首肯す。会う円悟昭覚に帰る。印師を遣わして往きて省せしむ。因りて衆に随いて室に入る。悟問う、「従上の諸聖、何を以てか人に接する。」師拳を竪つ。悟は言った、「此れ是れ老僧の用る底。作麼生か是れ従上の諸聖の用る底。」師拳を以て之を揮う。悟も亦た拳を挙げて相交え、大笑して止む。後に径山に至りて大慧に謁す。慧問う、「什麼の処より来たる。」師は言った、「西川。」慧は言った、「未だ剣門関を出でずして、お前に三十棒了れり。」師は言った、「合せず和尚を起動す。」慧忻然として、室を掃きて之を延く。慧南遷し、師乃ち西還し、連ねて数刹を主す。後に再び峽を出で、保寧・金山・雪竇・径山に住す。堂を開き座に升りて言った、「世尊初め正覚を成りて鹿野苑の中に於て、四諦の法輪を転じ、憍陳如比丘最初に道を悟る。後に真浄禅師初めて洞山に住し、拈じて言う、今日新豊洞裏、只だ箇の拄杖子を転ずと。遂に拄杖を拈じて左辺に着けて言う、還って最初に道を悟る者有るか。無くば、丈夫自ら天に沖るの志有り、如来の行処に向って行く莫れと。遂に一喝して座を下りた。若し是れ印上座ならば則ち然らず。今日鳳凰山裏に向って、初めて工夫無く四諦の法輪を転ぜず、亦た気力無く拄杖子を転ぜず、只だ諸人を教えて行くに須らく歩を緩め、語るに要して声を低からしむ。何ぞ故に、欲して無間の業を招かざるを得んには、如来の正法輪を謗る莫れ。」上堂。「三世の諸仏、一句を以て百千万億句を演じ、百千万億句を収むるも只だ一句に在り。祖師門下は、半句も無し。只だ恁麼なれば、合して多少の痛棒を喫らうべき。諸の仁者、且く諸仏是れ、祖師是れ。若し仏是れ祖不是れと道えば、取捨未だ忘れず。若し祖是れ仏不是れと道えば、「取舍未だ忘れず。若し仏祖一時に是れと道えば、仏祖一時に不是れと道うに、颟頇少なからず。且く葛藤を截断する一句は作麼生にか道わん。大虫紙帽を裹えて、笑う可しにして又た人を驚かす。」復た僧の岩頭に問うを挙ぐ、「浩浩の塵中、如何にか主を弁ずる。」頭は言う、「銅沙鑼裏に油を満盛す。」師は言った、「大小の岩頭鼻孔を打失す。忽ち人の保寧に問う有らば、浩浩の塵中如何にか主を弁ずる、只だ彼に対して言わん、天寒帽を卸くに及ばず。」上堂。「六月初一、空を焼くの赤日、十字街頭、雪深さ一尺。掃除暇無く、回避及ばず。凍え得たり東村の廖胡子、半夜に靴を着けて水上に立つ。」上堂。「心を将ちて妄を除かば妄除き難く、妄に即きて心を明らかにすれば道転た迂なり。桶底趯穿して忌諱無し、等閑一歩一芙蕖。」師径山に至り、弥いで浃む。

孝宗皇帝召對選德殿稱旨。入對曰。賜肩輿於東華門內。十年二月。上注圓覺經。遣使馳賜。命作序。師年邁。益厭住持。十五年冬。奏乞庵居。得請。紹熈元年十一月往見交承智䇿禪師。與之言別。䇿問行日。師曰。水到渠成。歸。索紙書十二月初七夜鷄鳴時九字。如期而化。奉蛻質返寺之法堂。留七日。顏色明潤。髮長頂溫。越七日。葬於庵之西岡。諡慈辯禪師。塔曰智光。

(師は接して言った。)「孝宗皇帝選徳殿に召対して旨に称え、入対して东华門内に肩興を賜う。十年二月、上『円覚経』に注し、使を遣わして馳せ賜い、序を作らしむ。師年邁ぎて、益々住持を厭う。十五年冬、庵居を奏乞して請うを得。紹熙元年十一月往きて交承の智䇿禅師に見え、与に言別す。䇿行日を問う。師は言った、「水到れば渠成る。」帰りて、紙を索め十二月初七夜の鶏鳴の時の九字を書す。期の如くして化した。蜕質を奉じて寺の法堂に返り、留まること七日、顔色明潤にして、髪長く頂温なり。七日を越えて、庵の西岡に葬る。慈辯禅師と諡し、塔を智光と曰う。」

昭覺元禪師法嗣

昭覚元禅師の法嗣

鳳棲慧觀禪師

鳳栖慧観禅師

上堂。前村落葉盡。深院桂華殘。此夜初冬節。從茲特地寒。所以道。欲識佛性義。當觀時節因緣。時節若至。其理自彰。喝一喝。恁麼說話。成人者少。敗人者多。

上堂。「前村の落葉尽き、深院の桂華残る。此の夜初冬の節、茲に従りて特地寒し。所以に道う、仏性の義を識らんと欲せば、当に時節因縁を観ずべし、時節若し至れば、其の理自ら彰れると。」一喝して言った、「恁麼話を説くは、人と成る者少なく、人を敗る者多し。」

文殊道禪師法嗣

文殊道禅師の法嗣

潭州楚安慧方禪師

潭州楚安慧方禅師

本郡許氏子。參道禪師於大別。未幾改寺為神霄宮。附商舟過湘南。舟中聞岸人操鄉音。厲聲雲。叫那。由是有省。即說偈曰。沔水江心喚一聲。此時方得契平生。多年相別重相見。千聖同歸一路行。住後。上堂。臨老方稱住持。全無些子玄機。開口十字九乖。問東便乃答西。如斯出世。討甚玄微。有時拈三放兩。有時就令而施。雖然如是。同道方知。且道知底事作麼生。直須打飜鼻孔始得。上堂。達磨祖師在腳底。踏不著兮提不起。子細當頭放下看。病在當時誰手裡。張公會看脈。李公會使藥。兩箇競頭醫。一時用不著。藥不相投。錯錯。吃茶去。

本郡の許氏の子である。大別に於て道禅師に参ず。未几寺を改めて神霄宮と為す。商舟に附して湘南を過ぐ。舟中に岸人の郷音を操るを聞き、厲の声にして言う、「那を叫ぶ。」由るに因りて省有り。即ち偈を説いた、「沔水の江心一声を喚び、此の時方に平生を契るを得。多年相別れて重ねて相見、千聖同じく一路に帰行す。」住して後、上堂。「老に臨みて方に住持と称し、全く些子の玄機無し。口を開けば十字九乖れ、東を問えば便ち乃ち西に答う。斯の如く世に出でて、什麼の玄微をか討らん。時に三を拈じて兩を放ち、時に令に就きて施す。是の如しと雖も、同道方に知る。且く道え知る底の事は作麼生。直に須らく鼻孔を打翻して始めて得。」上堂。「達磨祖師は脚底に在り、踏不着して提起せず。仔細に頭に当りて放下して看れば、病は当時誰の手裏に在る。張公は脉を看るを会し、李公は薬を使うを会す。両箇頭を競うて医すも、一時に用いるに着かず。薬相投ぜず、錯錯。茶を喫し去れ。」

常德府文殊思業禪師

常徳府文殊思業禅師

世為屠宰。一日戮豬次。忽洞徹心源。即棄業為比丘。述偈曰。昨日夜叉心。今朝菩薩面。菩薩與夜叉。不隔一條線。往見文殊。殊曰。你正殺豬時見箇甚麼。便乃剃頭行腳。師遂作鼓刀勢。殊喝曰。這屠兒參堂去。師便下參堂。住文殊日。上堂舉趙州勘婆話。乃曰。勘破婆子。面青眼黑。趙州老漢。瞞我不得。

世代屠宰を作す。一天猪を戮る時、忽然として心源を洞徹し、就きて業を棄てて比丘と作る。偈を述べ、「昨日は夜叉の心、今朝は菩薩の面。菩薩と夜叉とは一条の線を隔てず。」文殊に見えんと往く。殊は言った、「お前正に猪を殺す時、箇の什麼をか見て、便ち乃ち頭を剃りて行脚する。」師是に於て皷刀の勢を作す。殊喝して言った、「此の屠児堂に参し去れ。」師便ち堂を下りて参す。文殊に住する日、上堂、趙州勘婆の話を挙げて、便ち言った。「婆子を勘破す、面青く眼眼黒し。趙州の老汉は、我を瞞するを得ず。」

何山珣禪師法嗣

何山珣禅師の法嗣

婺州義烏稠巖了贇禪師

婺州義烏稠岩了贇禅師

上堂。舉趙州狗子無佛性話。乃曰。趙州狗子無佛性。萬疊青山藏古鏡。赤腳波斯入大唐。八臂那吒行正令。咄。

上堂。趙州狗子無仏性の話を挙げて、便ち言った。「趙州の狗子仏性無し、万叠の青山古鏡を蔵む。赤脚の波斯大唐に入り、八臂の那咤正令を行ず。咄。」

待制潘良貴居士

待制潘良貴居士

字義榮。年四十。迴心祖闈。所至掛缽。隨眾參扣。後依佛燈。久之不契。因訴曰。某祇欲死去時如何。燈曰。好箇封皮。且留著使用。而今不了不當。後去忽被他換卻封皮。卒無整理處。公又以南泉斬貓兒話問曰。某看此甚久。終未透徹。告和尚慈悲。燈曰。你祇管理會別人家貓兒。不知走卻自家狗子。公於言下如醉醒。燈復曰。不易。公進此一步。更須知有向上事始得。如今士大夫說禪說道。祇依著義理便快活。大率似將錢買油餈。吃了便不饑。其餘便道是瞞他。亦可笑也。公唯唯。

字は義栄。年四十、心を祖闈に回す。到る所鉢を掛けて、衆に随いて参扣す。後に来りて仏灯に依るも、久しくして契わず。因りて訴えて言った、「某は只だ死去する時如何と欲するのみ。」灯は言った、「好箇の封皮、且く留めて使用すべし。而今了ず不当であれば、後来忽ち他に封皮を換却せられ、卒に整理の処無からん。」公又た南泉猫児を斬るの話を用いて問う、「某此れを看ること甚だ久しいも、終に未だ透徹せず。和尚に慈悲を告ぐ。」灯は言った、「お前只だ理めて别人家の猫児を理会し、自ら家の狗子を走却するを知らず。」公言下に於て、酔いの醒むるが如し。灯又た言った、「易ならず。公此の一步を進む。更に須らく向上の事有るを知らんことを始めて得。如今の士大夫は禅を説き道を説くも、只だ義理に依着して便ち快活す。大率に将に銭を以て油餈を買い、喫して便ち飢えざるに似たり。其の余は便ち道う是れ他を瞞ずと、亦た笑う可き也。」公唯唯たり。

泐潭明禪師法嗣

泐潭明禅師の法嗣

漢州無為隨庵守緣禪師

漢州無為随庵守縁禅師

本郡人。姓史氏。年十三病目。去依棲禪慧目能禪師。圓具。出峽至寶峰。值峰上堂。舉永嘉曰。一月普現一切水。一切水月一月攝。師聞釋然領悟。住後。上堂曰。以一統萬。一月普現一切水。會萬歸一。一切水月一月攝。展則彌綸法界。收來毫髮不存。雖然收展殊途。此事本無異致。但能於根本上著得一隻眼去。方見三世諸佛.歷代祖師。盡從此中示現。三藏十二部.一切脩多羅。盡從此中流出。天地日月。萬象森羅。盡從此中建立。三界九地。七趣四生。盡從此中出沒。百千法門。無量妙義。乃至世間工巧諸伎藝。盡現行此事。所以世尊拈華。迦葉便乃微笑。達磨面壁。二祖於是安心。桃華盛開。靈雲疑情盡淨。擊竹作響。香嚴頓忘所知。以至盤山於肉案頭悟道。彌勒向魚市裡接人。誠謂造次顛沛必於是。經行坐臥在其中。既有如是奇特。更有如是光輝。既有如是廣大。又有如是周徧。你輩諸人。因甚麼卻有迷有悟。要知麼。幸無偏照處。剛有不明時。

本郡の人、姓は史氏。年十三にして目を病み、栖禅の慧目能禅師に依りて去る。円具し、峽を出でて宝峰に到る。正に峰の上堂に逢う、永嘉を挙げて言う、「一月普く一切の水に現ず。一切の水月は一月に摂す。」師聞えて、釈然として領悟す。住して後、上堂に言った、「一を以て万を統べれば、一月普く一切の水に現ず。万を会して一に帰せば、一切の水月は一月に摂す。展ぶれば則ち法界に弥綸し、収め来れば毫髪も存ぜず。収展殊途と雖も、此の事は本より異致無し。但だ能く根本上に於て一只眼を着けば、方に三世の諸仏・歴代の祖師、尽く此の中に於て示現するを見ん。三蔵十二部・一切の修多羅、尽く此の中に於て流出す。天地日月・万象森羅、尽く此の中に於て建立す。三界九地・七趣四生、尽く此の中に於て出没す。百千の法門・無量の妙義、乃至世間の工巧の諸伎芸、尽く現行する此の事なり。所以に世尊花を拈じ、迦葉便ち乃ち微笑し、達磨壁に面し、二祖是に於て心を安んず。桃花は盛んに開きて、霊雲の疑情尽浄し、竹を撃てば響を作し、香厳頓ちに所知を忘る。以至るに盤山は肉の案頭に於て道を悟り、弥勒は魚市に向って人に接す。誠に謂う造次顛沛も必ず是に於てあり、経行坐臥も其の中に在ると。既に是の如き奇特有り、更に是の如き光輝有り。既に是の如き広大有り、又た是の如き周遍有り。お前等諸人は、因ってか却って迷有り悟有るや。知らんと要するか、幸いに偏照の処無く、剛し有る不明の時。」

龍翔珪禪師法嗣

龍翔珪禅師の法嗣

南康軍雲居頑庵德昇禪師

南康軍雲居頑庵徳升禅師

漢州何氏子。二十得度。習講久之。棄謁文殊道禪師。問佛法省要。殊示偈曰。契丹打破波斯寨。奪得寶珠村裡賣。十字街頭窮乞兒。腰間掛箇風流裝。師擬對。殊曰。莫錯。師退參三年。方得旨趣。往見佛性。機不投。入閩至皷山禮覲。便問。國師不跨石門句。意旨如何。竹庵應聲喝曰。閑言語。師即領悟。住後。僧問。應真不借三界高超即不問。如何是無位真人。師曰。聞時富貴。見後貧窮。曰。擡頭須掩耳。側掌便飜身。師曰。無位真人在甚麼處。曰。老大宗師。話頭也不識。師曰。放你三十棒。

漢州の何氏の子である。二十にして得度し、講を習うこと甚だ久し。棄て去りて文殊の道禅師を謁え、仏法の省要を問う。殊偈を示して言う、「契丹打破して波斯の寨、宝珠を奪得して村裏に売る。十字街頭の窮乞児、腰間に箇の風流の装を掛く。」師対を擬す。殊は言った、「錯る莫れ。」師退きて参ること三年、方に旨趣を得。往きて仏性に見ゆるも、機投ぜず。閩に入りて皷山に到りて礼覲し、便ち問う、「国師石門に跨がらざるの句、意旨如何。」竹庵声に応じて喝して言った、「閑言語。」師即ち領悟す。住して後、僧問う、「応真借らざる・三界高超するは即ち問わず。如何なるか是れ無位の真人ぞ。」師は言った、「聞く時は富貴、見る後は貧窮。」言った、「頭を抬げば須らく耳を掩い、掌を側むれば便ち身を飜す。」師は言った、「無位の真人は什麼の処に在る。」言った、「老大の宗師も、話頭を識らず。」師は言った、「お前に三十棒を放つ。」

通州狼山蘿庵慧溫禪師

通州狼山蘿庵慧温禅師

福州人。姓鄭氏。徧參諸老。晚依竹庵於東林。未幾。庵謝事。復謁高庵悟.南華昺.草堂清。皆蒙賞識。會竹庵徙閩之乾元。師歸省次。庵問。情生智隔。想變體殊。不用停囚長智。道將一句來。師乃釋然。述偈曰。拶出通身是口。何妨罵雨訶風。昨夜前村猛虎。咬殺南山大蟲。庵首肯。住後。上堂。釋迦老子。四十九年。坐籌帷幄。彌勒大士。九十一劫。帶水拖泥。凡情聖量。不能剗除。理照覺知。猶存露布。佛意祖意。如將魚目作明珠。大乘小乘。似認橘皮為猛火。諸人須是豁開𮌎襟寶藏。運出自己家珍。向十字街頭普施貧乏。眾中忽有箇靈利漢出來道。美食不中飽人吃。山僧只向他道。幽州猶自可。最苦是新羅。

福州の人、姓は鄭氏。遍く諸老に参ず。晩く竹庵に東林に於て依る。久しからずして、庵事を謝す。又た高庵悟・南華昺・草堂清を謁え、都て賞識を蒙る。正に竹庵閩の乾元に徙るに逢う。師帰省の時、庵問う、「情生じ智隔ち、想変じて体殊なり。用ゐず停囚長智せず、道う将に一句を来たれ。」師是に於て釈然たり。偈を述べて言った、「通身は口を拶出す、何ぞ妨げん雨を罵り風を呵るを。昨夜前村の猛虎、南山の大虫を咬殺せり。」庵首肯す。住して後、上堂。「釈迦の老子は四十九年、帷幄に坐して筹を運らし、弥勒の大士は九十一劫、水を帯び泥を拖す。凡情聖量は、鏟除する能わず。理照覚知は、猶ほ露布を存す。仏意祖意は、魚目を将りて明珠と作すが如く、大乗小乗は、橘皮を認めて猛火と為すに似たり。諸人は須らく胸襟の宝藏を豁開し、自己家珍を運出し、十字街頭に向って貧乏に普施すべし。衆中に忽ち箇の霊利の漢有りて出でて言わば、美食は飽きる人の喫に中らずと。山僧は只だ彼に向って言わん、幽州は猶ほ自ずから可なり、最も苦しきは新羅なりと。」

雲居悟禪師法嗣

雲居悟禅師の法嗣

婺州雙林德用禪師

婺州双林徳用禅師

本郡戴氏子。上堂。拈槌竪拂。祖師門下。將黃葉以止啼。說妙談玄。衲僧面前。望梅林而止渴。際山今日去卻之乎者也。更不指東畫西。向三世諸佛命脈中。六代祖師骨髓裡。盡情傾倒。為諸人說破。良久曰。啼得血流無用處。不如緘口過殘春。

本郡の戴氏の子である。上堂。「槌を拈き拂を竪つのは、祖師門下、黄葉を以て啼きを止むるなり。妙を説き玄を談ずるは、衲僧面前、梅林に望みて渇を止むるなり。際山は今日之乎者也を去却し、更に東を指し西を画らず。三世の諸仏の命脈の中に於て、六代祖師の骨髓の裏に於て、尽く情を傾倒し、諸人の為に説破せん。」過了良久して言った、「血を啼き流して用無くば、口を緘して残春を過すに如かず。」

台州萬年無著道閑禪師

台州万年無着道閑禅師

本郡洪氏子。上堂。全機敵勝。猶在半途。啐啄同時。白雲萬裡。才生眹兆。已落二三。不露鋒鋩。成何道理。且道從上來事合作麼生。誣人之罪。以罪加之。上堂。舉乾峰示眾雲。舉一不得舉二。放過一著。落在第二。雲門出眾雲。昨日有人從天台來。卻往徑山去。峰曰。典座來日不得普請。師曰。相見不須瞋。君窮我亦貧。謂言侵早起。更有夜行人。

本郡の洪氏の子である。上堂。「全機敵に勝つも、猶ほ半途に在り。啐啄同時も、白雲は万里。纔かに朕兆を生じ、已に二三に落つ。鋒鋩を露さざれば、成す何の道理ぞ。且く道え従上の事は合作麼生ぞ。人を誣るの罪、罪を以て之を加う。」上堂、乾峰の衆に示すを挙げて言う、「一を挙げて二を挙ぐるを得ず。一着を放過すれば、第二に落在す。」雲門衆を出でて言う、「昨日人の天台より来る有りて、却って径山に往く。」峰は言う、「典座は来日普請を得ず。」師は言った、「相見るに瞋るを須いず。君窮まり我も亦た貧し。言うに侵早の起き、更に夜行の人有り。」

福州中際善能禪師

福州中際善能禅師

嚴陵人。往來龍門雲居有年。未有所證。一日。普請擇菜次。高庵忽以貓兒擲師懷中。師擬議。庵攔胷踏倒。於是大事洞明。上堂。萬古長空。一朝風月。不可以一朝風月昧卻萬古長空。不可以萬古長空不明一朝風月。且如何是一朝風月。人皆畏炎熱。我愛夏日長。燻風自南來。殿閣生微涼。會與不會。切忌承當。

厳陵の人である。龍門・雲居に往来すること年有り、未だ証する所有らず。一天、普請して菜を択ぶ時、高庵忽然として猫児を把りて師の懐裏に擲つ。師擬議す。庵胸を攔えて踏倒す。是に於て大事洞明す。上堂。「万古の長空、一朝の風月。一朝の風月を以て万古の長空を昧却する可からず、万古の長空を以て一朝の風月を明ならざる可からず。且く如何なるか是れ一朝の風月ぞ。人は皆炎熱を畏るるも、我は夏日の長きを愛す。薫風南より来たり、殿閣微涼を生ず。会すと会せざると、切に承当することを忌む。」

南康軍雲居普雲自圓禪師

南康軍雲居普雲自円禅師

綿州雍氏子。年十九。試經得度。留教苑五祀。出關南下。歷扣諸大尊宿。始詣龍門。一日。於廊廡間覩繪胡人。有省。夜白高庵。庵舉法眼偈曰。頭戴貂鼠帽。腰懸羊角錐。語不令人會。須得人譯之。復筴火示之曰。我為汝譯了也。於是大法明瞭。呈偈曰。外國言音不可窮。起雲亭下一時通。口門廣大無邊際。吞盡楊岐栗棘蓬。庵遣師依佛眼。眼謂曰。吾道東矣。上堂。舉。僧問雲門。如何是透法身句。門曰。北斗裡藏身。師曰。南北東西萬萬千。乾坤上下兩無邊。相逢相見呵呵笑。屈指擡頭月半天。

綿州の雍氏の子である。年十九、経を試みて得度す。教苑に留まること五年。関を出でて南下し、歴らかに諸の大尊宿を扣く。始めて龍門に詣る。一天、廊廡の間に在りて胡人を絵くを睹りて、省有り。夜に高庵に告げる。庵法眼の偈を挙げて言う、「頭は貂鼠の帽を戴き、腰は羊角の錐を懸く。語は人を会せしめず、須らく人の之を訳するを得べし。」又た火を䇲じて彼に看せしめて言う、「我お前の為に訳し了えり。」是に於て大法明了す。偈を呈して言った、「外国の言音は窮める可からず、雲亭の下に起きて一時に通ず。口門は広大にして辺際無く、楊岐の栗棘蓬を呑み尽くす。」庵師を遣わして仏眼に依らしむ。眼は言った、「吾が道は東へ行く。」上堂、挙ぐ、「僧雲門に問う、如何なるか是れ法身を透すの句ぞ。門は言う、北斗裏に身を蔵す。」師は言った、「南北東西万万千、乾坤上下両辺無し。相逢い相見て呵々笑い、指を屈して頭を抬ぐれば月は半天。」

烏巨行禪師法嗣

烏巨行禅師の法嗣

饒州薦福退庵休禪師

饒州薦福退庵休禅師

上堂。風動邪。幡動邪。風鳴邪。鈴鳴邪。非風鈴鳴。非風幡動。此土與西天。一隊黑漆桶。誑惑世間人。看看滅胡種。山僧不奈何。趂後也打閧。瓠子曲彎彎。冬瓜直儱侗。上堂。結夏時左眼半斤。解夏時右眼八兩。謾雲九十日安居。嬴得一肚皮妄想。直饒七穴八穿。未免山僧拄杖。雖然如是。千鈞之弩。不為鼷鼠而發機。上堂。先師尋常用腦後一鎚。卸卻學者胷中許多屈曲。當年克賓維那。曾中興化此毒。往往天下叢林。喚作超宗異目。非唯孤負興化。亦乃克賓受辱。若是臨濟兒孫。終不依草附木。資福喜見同參。今日傾腸倒腹。遂卓拄杖。喝一喝曰。還知先師落處麼。伎死禪和。如麻似粟。上堂。言發非聲。是箇甚麼。色前不物。莫亂針錐。透過禹門。風波更險。咄。

上堂。「風の動くか、幡の動くか、風の鳴るか、鈴の鳴るか、風の鈴鳴に非ず、風の幡動に非ず。此の土と西天とは、一隊の黒漆桶、世間の人を誑惑し、看看として胡種を滅せん。山僧奈何ともするなく、後に趁うて哄を打たん。瓠子は曲弯弯、冬瓜は直儱侗。」上堂。「夏を結ぶ時は左眼は半斤、夏を解く時は右眼は八両。漫りに九十日の安居と云うも、嬴得する一肚皮の妄想。直饒七穴八穿するも、未だ免れず山僧の拄杖。如是と雖も、千鈞の弩は、鼷鼠の為に発機せず。」上堂。「言発は声に非ず、是れ箇の什麼ぞ。色前は物に非ず、針錐を乱る莫れ。禹門を透過すれば、風波更に険し。咄。」

信州龜峰晦庵慧光禪師

信州亀峰晦庵慧光禅師

建寧人。上堂。數日暑氣如焚。一箇渾身無處安著。思量得也是煩惱人。這箇未是煩惱。更有己躬下事不明。便是煩惱。所以達磨大師煩惱。要為諸人吞卻。又被咽喉小。要為諸人吐卻。又被牙齒礙。取不得。捨不得。煩惱九年。若不得二祖不惜性命。往往轉身無路。煩惱教死。所謂祖禰不了。殃及兒孫。後來蓮華峰庵主到這裡。煩惱不肯住。南嶽思大到這裡。煩惱不肯下山。更有臨濟德山。用盡自己查棃。煩惱缽盂無柄。龜峰今日為他閑事長無明。為你諸人從頭點破。卓拄杖一下。曰。一人腦後露腮。一人當門無齒。更有數人鼻孔沒半邊。不勞再勘。你諸人休向這裡立地瞌睡。殊不知家中飯籮鍋子一時失卻了也。你若不信。但歸家檢點看。

建寧の人である。上堂。「数日暑気焚くが如し、一箇の渾身は安く着く処無し。思量するを得るも亦た是れ煩悩の人、此の箇は未だ是れ煩悩ならず。更に己躬下の事明ならざる有れば、便ち是れ煩悩。所以に達磨大師は煩悩す、諸人の為に呑却せんと要すれど、又た咽喉小さきを被る。諸人の為に吐却せんと要すれど、又た歯牙に碍げらる。取るを得ず、捨つるを得ず、煩悩九年。若し二祖の性命を惜しまざるを得ざらば、往往として身を転ずるに路無し。煩悩して死を教う。所謂祖祢了らざれば、殃は児孫に及ぶ。後来の蓮華峰の庵主此に到るは、煩悩住せんことを肯ぜず。南岳思大此に到るは、煩悩山を下るを肯ぜず。更に臨済・徳山有りて、自己の查梨を用い尽くし、煩悩鉢盂に柄無し。亀峰は今日彼の閑事の為に長に無明を起す、お前諸人の為に頭より点破せん。」拄杖を卓して一下し、言った、「一人は脳後に腮を露し、一人は当門歯無く、更に数人は鼻孔辺を没せず。再び勘するを労せず。お前諸人は此の裏に向って立地して瞌睡するを休めよ。殊に知らず家の中の飯籮鍋子は一時に失却し了えりと。お前若し信ぜざれば、但だ家に帰りて検点して看よ。」

真州長蘆且庵守仁禪師

真州長蘆且庵守仁禅師

越之上虞人。依雪堂於烏巨。聞普說曰。今之兄弟做工夫。正如習射。先安其足。後習其法。後雖無心。以久習故。箭發皆中。喝一喝雲。只今箭發也。看。看。師不覺倒身作避箭勢。忽大悟。上堂。百千三昧。無量妙門。今日且庵不惜窮性命。祇做一句子說與諸人。乃卓拄杖。下座。嘗頌臺山婆話雲。開箇燈心皂角鋪。日求升合度朝昏。只因風雨連綿久。本利一空愁倚門。

越の上虞の人である。雪堂に烏巨に於て依る。普説を聞えて言う、「今の兄弟の工夫を作るは、正に射を習うが如し。先ず其の足を安じ、後に其の法を習う。後に心無しと雖も、久習の故を以て、箭発は皆中る。」一喝して言う、「只今箭を発す也、看よ看よ。」師覚えず身を倒して箭を避くるの勢を作し、忽然として大悟す。上堂。「百千の三昧・無量の妙門、今日且庵は性命を窮めて惜しまず、只だ一句子を作して諸人に説き与えん。」是に於て拄杖を卓し、座を下る。曾て台山の婆の話を頌して言った、「灯心皁角の鋪を開き、日に升合を求めて朝昏を度る。只だ因りて風雨連綿として久しく、本利一空として愁えて門に倚る。」

白楊順禪師法嗣

白楊順禅師の法嗣

吉州青原如禪師

吉州青原如禅師

僧問。達磨未來時如何。師曰。生鐵鑄崑崙。曰。來後如何。師曰。五彩畫門神。

僧問う、「達磨未だ来たらざる時は如何。」師は言った、「生鉄の崑崙を鋳る。」問う、「来たりて後は如何。」師は言った、「五彩の門神を画く。」

雲居如禪師法嗣

雲居如禅師の法嗣

太平州隱靜圓極彥岑禪師

太平州隠静円極彦岑禅師

臺城人也。上堂。韓信打關。未免傷鋒犯手。張良燒棧。大似曳尾靈龜。既然席捲三秦。要且未能囊弓褁革。煙塵自靜。我國晏然。四海九州。盡歸皇化。自然牛閑馬放。風以時。雨以時。五穀熟。萬民安。大家齊唱村田樂。月落參橫夜向闌。上堂。今朝八月初五。好事分明為舉。嶺頭漠漠秋雲。樹底鳴鳩喚雨。昨夜東海鯉魚。吞卻南山猛虎。雖然有照有用。畢竟無賓無主。唯有文殊普賢。住。住。我識得你。上堂。舉正堂辯和尚室中問學者。蚯蚓為甚麼化為百合。師曰。客舍幷州已十霜。歸心日夜憶鹹陽。無端更度桑乾水。卻望幷州是故鄉。

台城の人である。上堂。「韓信関を打つ、未だ鋒を傷い手を犯すを免れず。張良の桟を焼くは、大いに尾を曳く霊亀に似たり。既に三秦を席巻す、要して且く未だ弓を嚢め革を裹むるを得ず。煙塵自ら静まり、我国晏然たり。四海九州、尽く皇化に帰す。自然牛は閑かに馬は放ち、風は時を以て、雨は時を以て、五穀熟れ、万民安く、大家斉しく村田の楽を唱う、月落ち参横はぐ夜は闌に向う。」上堂。「今朝は八月初五、好事は分明に挙ぐ。嶺頭漠漠たる秋雲、樹底鳴鳩は雨を喚ぶ。昨夜東海の鯉魚、南山の猛虎を呑却す。照有用る有りと雖も、畢竟賓主無し。唯だ文殊普賢有るのみ。住せ住せ、我お前を識り得たり。」上堂、正堂の辯和尚の室中学者に問うを挙ぐ、「蚯蚓何が為にか百合と化する。」師は言った、「客舎并州は已に十霜、帰心日夜咸陽を憶う。端無く更に桑干水を度り、却って并州を望めば是れ故郷。」

鄂州報恩成禪師

鄂州報恩成禅師

上堂。秋雨乍寒。汝等諸人。青州布衫成就也未。良久。喝曰。雲溪今日。冷處著一把火。便下座。

上堂。「秋雨乍ち寒し。お前等諸人、青州の布衫成就せりや未だや。」過了良久して喝して言った、「雲溪今日、冷たき処に一把の火を着く。」便ち座を下る。

道場辯禪師法嗣

道場辯禅師の法嗣

平江府覺報清禪師

平江府覚報清禅師

上堂。舉。僧問雲門。如何是諸佛出身處。門曰。東山水上行。師曰。諸佛出身處。東山水上行。石壓筍斜出。岸懸華倒生。

上堂、挙ぐ、「僧雲門に問う、如何なるか是れ諸仏の出身の処ぞ。門は言う、東山水上行。」師は言った、「諸仏の出身の処、東山水上行。石に圧されて筍は斜めに出で、岸は懸りて花は倒れに生ず。」

安吉州何山然首座

安吉州何山然首座

姑蘇人。侍正堂之久。入室次。堂問。貓兒為甚麼偏愛捉老鼠。曰。物見主。眼卓竪。堂欣然。因命分座。

姑蘇の人である。正堂に侍ること甚だ久し。室に入る時、堂問う、「猫児何が為に偏ねに老鼠を捉えるを愛する。」答う、「物は主を見て眼卓竪す。」堂欣然として、因りて座を分かつを命ず。

黃龍忠禪師法嗣

黄龍忠禅師の法嗣

成都府信相戒修禪師

成都府信相戒修禅師

上堂。舉馬祖不安公案。乃曰。兩輪舉處煙塵起。電急星馳擬何止。目前不礙往來機。正令全施無表裡。丈夫意氣自沖天。我是我兮你是你。

上堂、馬祖不安の公案を挙げて、便ち言った、「両輪挙がる処、煙塵起る。電急星馳して拟すること何に止まらん。目前に往来の機を碍げず、正令全施して表裏無し。丈夫意気自ら天に沖ち、我是れ我なり、お前是れお前なり。」

西禪璉禪師法嗣

西禅璉禅師の法嗣

遂寧府西禪第二代希秀禪師

遂寧府西禅第二代希秀禅師

上堂曰。秋光將半。暑氣漸消。鴻鴈橫空。點破碧天似水。猿猱掛樹。撼飜玉露如珠。直饒對此明機。未免認龜作鼈。且道應時應節一句作麼生道。野色併來三島月。溪光分破五湖秋。

上堂に言った、「秋光将に半ば、暑気漸く消ゆ。鴻雁空を横ぎり、碧天を点破して水の如し。猿猱樹に掛り、玉露を撼飜して珠の如し。直饒此に対して機を明にすとも、未だ免れず亀を認めて鼈と作す。且く道え時に応じ節に応ずる一句は作麼生にか道わん。野色併せ来る三島の月、溪光分破す五湖の秋。」

淨居尼溫禪師法嗣

浄居尼温禅師の法嗣

溫州淨居尼無相法燈禪師

温州浄居尼無相法灯禅師

上堂。拈拄杖卓曰。觀音出。普賢入。文殊水上穿靴立。擡頭鷂子過新羅。石火電光追不及。咄。

上堂、拄杖を拈じて卓して言った、「観音出で、普賢入る。文殊は水上に靴を穿ちて立つ。頭を抬げれば鹞子新羅を過ぎ、石火电光も追い及ばず。咄。」

大溈果禪師法嗣

大沩果禅師の法嗣

荊門軍玉泉窮谷宗璉禪師

荊門軍玉泉窮谷宗璉禅師

合州董氏子。開堂日。問答已。乃曰。衲僧向人天眾前一問一答。一擒一縱。一卷一舒。一挨一拶。須是具金剛睛眼始得。若是念話之流。君向西秦。我之東魯。於宗門中殊無所益。這一段事。不在有言。不在無言。不礙有言。不礙無言。古人垂一言半句。正如國家兵器。不得已而用之。橫說竪說。祇要控人入處。其實不在言句上。今時人不能一徑徹證根源。祇以語言文字而為至道。一句來。一句去。喚作禪道。喚作向上向下。謂之菩提涅槃。謂之祖師巴鼻。正似鄭州出曹門。從上宗師會中。往往真箇以行腳為事底。才有疑處。便對眾決擇。祇一句下見諦明白。造佛祖直指不傳之宗。與諸有情盡未來際。同得同證。猶未是泊頭處。豈是空開唇皮。胡言漢語來。所以南院示眾雲。諸方祇具啐啄同時眼。不具啐啄同時用。時有僧問。如何是啐啄同時用。院曰。作家不啐啄。啐啄同時失。僧曰。猶是學人問處。院曰。如何是你問處。僧曰。失。院便打。其僧不契。後至雲門會中。因二僧舉此話。一僧曰。當時南院棒折那。其僧忽悟。即回南院。院已遷化。時風穴作維那。問曰。你是問先師啐啄同時話底僧那。僧曰。是。穴曰。你當時如何。曰。我當時如在燈影裡行。穴曰。你會也。師乃召大眾曰。暗穿玉線。密度金針。如水入水。似金博金。敢問大眾。啐啄同時是親切處。因甚卻失。若也會得。堪報不報之恩。共助無為之化。便可橫身宇宙。獨步大方。若跳不出。依前祇在架子下。上堂。拈拄杖曰。破無明暗。截生死流。度三有城。泛無為海。須是識這箇始得。乃召大眾曰。喚作拄杖則觸。不喚作拄杖則背。若也識得。荊棘林中撒手。是非海裡橫身。脫或未然。普賢乘白象。土宿跨泥牛。參。上堂。一切數句非數句。與吾靈覺何交涉。師曰。永嘉恁麼道。大似含元殿上更覓長安。殊不知有水皆含月。無山不帶雲。

合州の董氏の子である。堂を開く日、問答已りて、便ち言った、「衲僧人天衆の前に向って一問一答、一擒一縦、一卷一舒、一挨一拶す、須らく金剛の睛眼を具して始めて得。若し是れ念話の流ならば、君は西秦に之き、我は東魯に之かん、宗門の中に於て殊に益する所無し。此の一段の事は、有言に在らず、無言に在らず、有言を碍げず、無言を碍げず。古人一言半句を垂るるは、正に国家の兵器の如く、已むを得ずして之を用る。横に説き竪に説くも、只だ要として人を控して入処に入らしむ。其の実は言句の上に在らず。今時の人は一径に根源を徹証する能わず、只だ言語文字を以て至道と為す。一句来り一句去るを、禅道と喚び、向上向下と喚び、之を菩提涅槃と謂い、之を祖師の巴鼻と謂う。正に鄭州曹門を出づるに似たり。従上の宗師の会中には、往往真箇に行脚を以て事と為す底あり。纔かに疑うの処有れば、便ち衆に対して決択し、只だ一句の下に於て諦を見る明白なり、仏祖直指不伝の宗を造り、諸の有情と尽未来際、同じく得て同じく証すとも、猶ほ未だ是れ泊頭の処ならず。豈是れ空しく唇皮を開き、胡言漢語し来らんや。所以に南院衆に示して言う、「諸方は只だ啐啄同時の眼を具し、啐啄同時の用を具せず。」当時僧の問う有り、「如何なるか是れ啐啄同時の用ぞ。」院は言う、「作家は啐啄せず、啐啄同時に失す。」僧は言う、「猶ほ是れ学人の問う処。」院は言う、「如何なるか是れお前の問う処ぞ。」僧は言う、「失。」院便ち打つ。那の僧契わず。後来到りて雲門の会中に在り、因りて二の僧此の話を挙ぐ。一の僧は言う、「当時南院は棒折れざりし那。」那の僧忽ち悟り、即ち南院に回る。院已に遷化す。当時風穴維那を作り、問う、「お前は是れ先師に啐啄同時の話を問う底の僧か。」僧は言う、「是れ。」穴は言う、「お前当時如何。」言う、「我当時は灯影裏に行くが如く在り。」穴は言う、「お前会せり。」師是に於て大衆を召して言った、「玉線を暗穿し、金針を密度す。水の水に入るが如く、金の金を博するに似たり。敢えて大衆に問う、啐啄同時は是れ親切の処、因ってか却って失すや。若しも会得せば、報いざるの恩を報ずるに堪え、無為の化を共に助けん。便可なり身を宇宙に横え、大方を独歩せん。若し跳出する能わざれば、依前として只だ架子の下に在らん。」上堂、拄杖を拈じて言った、「無明の暗を破り、生死の流を截り、三有の城を度り、無為の海に泛かぶ、須らく此の箇を識りて始めて得。」是に於て大衆を召して言った、「拄杖と喚べば則ち触れ、拄杖と喚ばざれば則ち背く。若しも識得せば、荊棘の林中に手を撒き、是非の海裏に身を横えん。脱いで或は未だ然らざれば、普賢は白象に乗り、土宿は泥牛に跨る。参。」上堂。「一切の数句は数句に非ず、吾が霊覚と何の交渉かあらん。」師は言った、「永嘉恁麼に道うは、大いに含元殿上に更に長安を覓るに似たり。殊に知らず水有れば皆月を含み、山無しと雖も雲を帯びざる無しと。」

雖然如是。三十年後趙婆酤醋。上堂。宗乘一唱殊途絕。萬別千差俱泯滅。通身是口難分雪。金剛腦後三斤鐵。好大哥。僧問。保壽開堂。三聖推出一僧。保壽便打。意旨如何。師曰。利動君子。曰。為復棒頭有眼。為復見機而作。師曰。獼猴繫露柱。曰。祇如三聖道。你恁麼為人。瞎卻鎮州一城人眼。又作麼生。師曰。錦上鋪華又一重。問。行腳逢人時如何。師曰。一不成。二不是。曰。行腳不逢人時如何。師曰。虎咬大蟲。曰。祇如慈明道。釣絲絞水。意作麼生。師曰。水浸鋼石卵。問。三聖道。我逢人即出。出則不為人。意旨如何。師曰。兵行詭道。曰。興化道。我逢人則不出。出則便為人。又作麼生。師曰。綿裹秤鎚。問。不落因果。為甚麼墮野狐身。師曰。廬山五老峰。曰。不昧因果。為甚麼脫野狐身。師曰。南嶽三生藏。曰。祇如不落不昧。未審是同是別。師曰。倚天長劒逼人寒。問。初生孩子還具六識也無。趙州道。急水上打毬子。意旨如何。師曰。兩手扶犂水過膝。曰。祇如僧又問投子急水上打毬子。意旨如何。曰。念念不停流。又作麼生。師曰。水晶甕裡浸波斯。問。楊岐道。三腳驢子弄蹄行。意旨如何。師曰。過蓬州了。便到巴州。

(師は接して言った。)「如是と雖も、三十年後、趙婆は酢を酤ぐ。」上堂。「宗乗一唱して殊途絶え、万別千差俱に泯滅す。通身是れ口にして分雪し難し、金剛脳後三斤の鉄。好大哥。」僧問う、「保寿堂を開く、三聖一の僧を推出す、保寿便ち打つ。意旨如何。」師は言った、「利は君子を動かす。」問う、「為復た棒頭眼有るや、為復た機を見て作すや。」師は言った、「獼猴露柱に繋ぐ。」問う、「只だ如し三聖の道う、お前恁麼に人と為れば、鎮州一城の人眼を瞎却せん、又た作麼生。」師は言った、「錦上に花を鋪いて又一重。」問う、「行脚人に逢う時は如何。」師は言った、「一成らず、二不是なり。」問う、「行脚人に逢わざる時は如何。」師は言った、「虎は大虫を咬む。」問う、「只だ如し慈明の道う、釣絲水を絞る、意は作麼生。」師は言った、「水は鋼石の卵を浸す。」問う、「三聖の道う、我人に逢えば即ち出で、出でれば則ち人と為らず、意旨如何。」師は言った、「兵は詭道を行ず。」問う、「興化の道う、我人に逢えば則ち出でず、出でれば則ち便ち人と為る、又た作麼生。」師は言った、「秤鎚を綿に裹む。」問う、「因果に落ちざれば、何が為に野狐の身に堕つる。」師は言った、「廬山の五老峰。」問う、「因果を昧まざれば、何が為に野狐の身を脱す。」師は言った、「南岳の三生蔵。」問う、「只だ如し不落不昧は、未だ審らかならず是れ同か是れ別か。」師は言った、「倚天の長剣、人に逼りて寒し。」問う、「初生の孩子は還って六識を具するや無しや。趙州の道う、急水に上りて毬子を打つ、意旨如何。」師は言った、「両手は犁を扶けて水膝を過ぎる。」問う、「只だ如し僧又た投子に問う、急水に上りて毬子を打つ、意旨如何と。言う、念念流れて停まらず。又た作麼生。」師は言った、「水晶の瓮裏に波斯を浸す。」問う、「楊岐の道う、三脚の驢子は蹄を弄して行く、意旨如何。」師は言った、「蓬州を過ぎて、便ち巴州に到る。」

潭州大溈行禪師

潭州大沩行禅師

上堂橫拄杖曰。你等諸人。若向這裡會去。如紀信登九龍之輦。不向這裡會去。似項羽失千里烏騅。饒你總不恁麼。落在無事甲裡。若向這裡撥得一路。轉得身。吐得氣。山僧與你拄杖子。遂靠拄杖。下座。上堂。不是心。不是佛。不是物。且道是箇甚麼。不在內。不在外。不在中間。畢竟在甚麼處。苦。苦。有口說不得。無家何處歸。

上堂、拄杖を横えて言った、「お前等諸人、若し此の裏に向って会去れば、紀信の九龍の輦に登るが如く、此の裏に向って会せざれば、項羽の千里の烏騅を失うに似たり。饒お前総て恁麼ならずとも、無事の甲裏に落ちん。若し此の裏に向って一路を撥け、身を転じ、気を吐くを得ば、山僧お前に拄杖子を与えん。」是に於て拄杖に靠れ、座を下る。上堂。「是れ心に非ず、是れ仏に非ず、是れ物に非ず。且く道え是れ箇の什麼ぞ。内に在らず、外に在らず、中間に在らず。畢竟什麼の処に在る。苦し苦し。口有りて説くを得ず、家無くして何れの処にか帰らん。」

潭州道林淵禪師

潭州道林淵禅師

僧問。鐘未鳴。皷未響。拓缽向甚麼處去。德山便低頭歸方丈。意旨如何。師曰。奔電迸火。曰。巖頭道。這老漢未會末後句在。又作麼生。師曰。相隨來也。曰。巖頭密啟其意。未審那裡是他密啟處。師曰。萬年松在祝融峰。曰。雖然如是。祇得三年。三年後果遷化。還端的也無。師曰。嚤呢噠啝吽㗶吒。臨示寂。上堂拈拄杖示眾曰。離卻色聲言語。道將一句來。眾無對。師曰。動靜聲色外。時人不肯對。世間出世間。畢竟使誰會。言訖。倚杖而逝。

僧問う、「鐘未だ鳴らず、皷未だ響かざるに、鉢を拓きて什麼の処に向って去る、徳山便ち頭を低れて方丈に帰る、意旨如何。」師は言った、「奔電迸火。」問う、「岩頭の道う、此の老汉は未だ末後の句を会せず在り、又た作麼生。」師は言った、「相随い来たり。」問う、「岩頭密かに其の意を啓す、未だ審らかならず何れの裏か是れ他の密啓の処ぞ。」師は言った、「万年の松は祝融の峰に在り。」問う、「如是と雖も、只だ三年を得るのみ、三年後果して遷化す、還って端的なるや無しや。」師は言った、「嚤呢啲啝吽㗶咤。」示寂に臨み、上堂、拄杖を拈じて衆に示して言った、「色声言語を離却し、道う将に一句を来たれ。」衆対無し。師は言った、「動静声色の外、時人肯んず対せず。世間出世間、畢竟誰をして会せしめん。」言訖りて、杖に倚りて逝く。

隨州大洪老衲祖證禪師

随州大洪老衲祖証禅師

潭州潘氏子。上堂。萬象之中獨露身。如何說箇獨露底道理。竪起拂子曰。到江吳地盡。隔岸越山多。僧問。雲門問僧。光明寂照徧河沙。豈不是張拙秀才語。僧雲是。門雲。話墮也。未審那裡是這僧話墮處。師曰。鯰魚上竹竿。問。離卻言句。請師直指。師竪拂子。僧曰。還有向上事也無。師曰。有。曰。如何是向上事。師曰。速禮三拜。

潭州の潘氏の子である。上堂。「万象の中に独り露の身、如何にか説く箇の独露の道理。」拂子を竪起して言った、「江に到りて呉地尽き、岸を隔てて越山多し。」僧問う、「雲門僧に問う、光明寂照河沙に遍し、豈是れ張拙秀才の語ならずや。僧是れと言う。門は言う、話堕す也。未だ審らかならず何れの裏か是れ此の僧の話堕の処ぞ。」師は言った、「鮎魚竹竿に上る。」問う、「言句を離却し、師に直指を請う。」師拂子を竪つ。僧は言った、「還って向上の事有るや無しや。」師は言った、「有り。」問う、「如何なるか是れ向上の事ぞ。」師は言った、「速やかに三拜を礼せよ。」

隆興府泐潭山堂德淳禪師

隆興府泐潭山堂徳淳禅師

上堂。俱胝一指頭。一毛㧞九牛。華嶽連天碧。黃河徹底流。截卻指急回眸。青箬笠前無限事。綠蓑衣底一時休。

上堂。「倶胝の一指頭、一毛九牛を抜く。華岳は天に連ねて碧、黄河は底を徹して流る。指を截却して急に眸を回す。青箬笠の前に無限の事、緑蓑衣の底に一時に休す。」

常州宜興保安復庵可封禪師

常州宜興保安復庵可封禅師

福州林氏子。上堂。天寬地大。風清月白。此是海宇清平底時節。衲僧家等閑問著。十箇有五雙知有。祇如夜半華嚴池吞卻楊子江。開明橋撞倒平山塔。是汝諸人還知麼。若也知去。試向非非想天道將一句來。其或未知。擲下拂子曰。須是山僧拂子始得。

福州の林氏の子である。上堂。「天は寛く地は大きく、風は清く月は白し。此れ是れ海宇清平の底の時節。衲僧家は等閑に問着すれば、十箇に五双は有るを知る。只だ如し夜半に華厳池は揚子江を呑却し、開明橋は平山塔を撞倒す。是れお前諸人還って知るや。若しも知り去れば、試みに非非想天に向って道う将に一句を来たれ。其れ或いは未だ知らざれば。」拂子を擲ち下して言った、「須らく是れ山僧の拂子始めて得。」

隆興府石亭野庵祖璿禪師

隆興府石亭野庵祖璇禅師

上堂曰。吃粥了也未。趙州無忌諱。更令洗缽盂。太煞沒巴鼻。悟去由來不丈夫。這僧那免受塗糊。有指示。無指示。韶石四楞渾塌地。入地獄。如箭射。雲岫清風生大廈。相逢𢹂手上高山。作者應須辨真假。真假分。若為論。午夜寒蟾出海門。

上堂に言った、「粥を喫し了れりや未だや。趙州は忌諱無く、更に鉢盂を洗わしむ。太だ巴鼻無し。悟り去る由来は丈夫に非ず。此の僧は那か免れん塗糊を受くるを。指示有り、指示無し。韶石は四楞渾として地に塌れる。地獄に入る、箭の射るが如し。雲岫の清風、大厦に生ず。相逢い手を携えて高山に上る。作者は応に須らく真假を弁ずべし。真假分かつ、若が為に論ぜん。午夜寒蟾海門を出づ。」

潭州石霜宗鑒禪師

潭州石霜宗鑑禅師

上堂曰。送舊年。迎新歲。動用不離光影內。澄輝湛湛夜堂寒。借問諸人會不會。若也會。增瑕纇。若不會。依前昧。與君指箇截流機。白雲更在青山外。

上堂に言った、「旧年を送り、新歳を迎う。動用は光影の内を離れず。澄輝湛湛として夜堂寒し。借問す諸人会すや会せざるや。若しも会せば、瑕纇を増さん。若し会せざれば、依前として昧なり。君に与に箇の截流の機を指さん。白雲更に青山の外に在り。」

石頭回禪師法嗣

石頭回禅師の法嗣

南康軍雲居蓬庵德會禪師

南康軍雲居蓬庵徳会禅師

重慶府何氏子。上堂。舉。教中道。若見諸相非相。即見如來。作麼生是非相底道理。佯走詐羞偷眼覷。竹門斜掩半枝華。

重慶府の何氏の子である。上堂、挙ぐ、「教中に道う、若し諸相非相を見れば、即ち如来を見ん。作麼生か是れ非相の底の道理ぞ。」師は言った、「佯走して詐羞し、眼を偷みて覷る。竹門斜めに掩れ、半枝の花。」

南嶽下十七世

南岳下十七世

教忠光禪師法嗣

教忠光禅師の法嗣

泉州法石中庵慧空禪師

泉州法石中庵慧空禅師

贛州蔡氏子。春日上堂。拈拄杖卓一下曰。先打春牛頭。又卓一下曰。後打春牛尾。驚起虗空入藕絲裡。釋迦無路潛蹤。彌勒急走千里。文殊卻知落處。拊掌大笑歡喜。且道歡喜箇甚麼。春風昨夜入門來。便見千華生碓觜。上堂。千家樓閣。一霎秋風。祇知襟袖涼生。不覺園林落葉。於斯薦得。觸處全真。其或未然。且作寒溫相見。上堂。舉金剛經云。佛告須菩提。爾所國土中。所有眾生若干種心。如來悉知。何以故。如來說。諸心皆為非心。是名為心。要會麼。春風得意馬蹄疾。一日看盡長安華。僧問。先佛垂範。禁足安居。未審是何宗旨。曰。瑠璃缽內拓須彌。僧便喝。師便打。

贛州の蔡氏の子である。春の日上堂、拄杖を拈じて卓一下して言った、「先ず春牛の頭を打つ。」又た卓一下して言った、「後に春牛の尾を打つ。虚空を驚き起して藕絲の裏に入る。釈迦は踪を潜めるに路無く、弥勒急ぎ千里を走る。文殊は却って落処を知り、掌を拊して大笑して歓喜す。且く道え箇の什麼をか歓喜するぞ。春風昨夜門に入りて来たり、便ち千花の碓嘴に生ずるを見る。」上堂。「千家の楼閣、一霎の秋風。只だ襟袖涼を生ずるを知り、覚えず園林の落葉を覚らず。斯に於て薦得せば、触れる処全真なり。其れ或いは未だ然らざれば、且く寒温を作して相見せん。」上堂、『金剛経』を挙げて言う、「仏須菩提に告ぐ、お前の国土の中に於て、所有の衆生の若干種の心、如来悉く知る。何が為にぞ。如来は説く、諸の心は皆心に非ざるを以て、是れを心と名づく。」要して会せんとすれば、春風得意馬蹄疾く、一日看尽す長安の花。僧問う、「先仏の垂範、足を禁じて安居す、未だ審らかならず是れ何の宗旨ぞ。」言った、「瑠璃の鉢内に須弥を拓く。」僧便ち喝す。師便ち打つ。

臨安府淨慈混源曇密禪師

臨安府浄慈混源曇密禅師

天台盧氏子。依資福道榮出家。十六圓具。習臺教。棄參大慧於徑山。謁雪巢一此庵元。入閩。留東.西禪。無省發。之泉南。教忠俾悅眾。解職歸前資。偶舉香嚴擊竹因緣。豁然契悟。述偈呈忠。忠舉玄沙未徹語詰之。無滯。忠曰。子方可見妙喜。即辭往梅陽。服勤四載。住後。上堂。諸佛出世。打劫殺人。祖師西來。吹風放火。古今善知識。佛口虵心。天下衲僧。自投籠檻。莫有天然氣槩。特達丈夫。為宗門出一隻手。主張佛法者麼。良久曰。設有。也須斬為三段。上堂。德山小參不答話。千古叢林成話霸。問話者三十棒。慣能說訶說夯。時有僧出。的能破的。德山便打風流儒雅。某甲話也未問。頭上著枷。腳下著匣。你是那裡人。一回相見一傷神。新羅人把手笑欣欣。未跨船舷。好與三十棒。依前相廝誑。混源今日恁麼批判責情。好與三十棒。且道是賞是罰。具參學眼者試辨看。上堂。舉雲門問僧光明寂照徧河沙因緣。師曰。平地摝魚鰕。遼天射飛鶚。跛腳老雲門。千錯與萬錯。後示寂。塔於本山。

天台の盧氏の子である。資福の道栄に依りて出家す。十六にして円具す。台教を習う。棄て去りて、径山に在りて大慧に参じ、雪巣一・此庵元を謁う。閩に入り、東禅・西禅に留まる。省発無し。泉南に到る。教忠彼をして衆を悦ばしめ、職を解きて前資に帰す。偶々香厳竹を撃つの因縁を挙げて、豁然として契悟す。偈を述べて忠に呈す。忠玄沙未だ徹せざるの語を照らして詰問すれど、滞り無し。忠は言った、「お前方に可なり妙喜を見るべし。」即ち辞して梅陽に往き、服勤すること四年。住して後、上堂。「諸仏世に出でては劫を打ち人を殺し、祖師西に来たりては風を吹き火を放つ。古今の善知識は、仏口蛇心。天下の衲僧は、自ら籠檻に投ず。莫しや天然の気概・特達の丈夫有りて、宗門の為に一只手を出で、仏法を主張するのや。」過了良久して言った、「設い有らばも、亦た須らく三段に斬らん。」上堂。「徳山の小参答話せず、千古叢林は話の覇を成す。話を問う者は三十棒、慣い能く訶を説き夯を説く。当時僧の出づる有りて、的に能く破する。徳山便ち打つは風流儒雅。某甲話も未だ問わず、頭上に枷を着け、脚下に匣を着く。お前は何れの裏の人ぞ。一回相見れば一たび神を傷む。新羅の人手を把りて笑えば欣欣たり。未だ船舷に跨がらずして、好く三十棒を与えん。依前として相い厮え誑る。混源今日恁麼に批判して情を責め、好く三十棒を与えん。且く道え是れ賞か是れ罰か。参学の眼を具する者は試みに弁じて看よ。」上堂、雲門僧に問う光明寂照河沙に遍しの因縁を挙ぐ。師は言った、「平地に魚蝦を摝り、遼天に飛鶚を射る。跛脚の老雲門、千錯に与に万錯。」後来示寂し、塔は本山に在り。

東林顏禪師法嗣

東林顔禅師の法嗣

荊南府公安遯庵祖珠禪師

荊南府公安遁庵祖珠禅師

南平人。上堂。不是心。不是佛。不是物。瀝盡野狐涎。趯飜山鬼窟。平田淺草裡。露出焦尾大蟲。太虗寥廓中。放出遼天俊鶻。阿呵呵。露風骨。等閑拈出眾人前。畢竟分明是何物。咄咄。上堂。玉露垂青草。金風動白蘋。一聲寒鴈叫。喚起未惺人。

南平の人である。上堂。「是れ心に非ず、是れ仏に非ず、是れ物に非ず。野狐の涎を瀝尽し、山鬼の窟を趯飜す。平田浅草の裏に、焦尾の大虫を露出す。太虚寥廓の中に、遼天の俊鶻を放出す。阿呵々、風骨を露す。等閑に拈出して衆人の前、畢竟分明に是れ何物ぞ。咄々。」上堂。「玉露青草に垂れ、金風白苹を動かす。一声寒雁叫びて、未だ惺れざる人を喚起す。」

汀州報恩法演禪師

汀州報恩法演禅師

果州人。上堂。舉俱胝竪指因緣。師曰。佳人睡起懶梳頭。把得金釵插便休。大抵還他肌骨好。不塗紅粉也風流。

果州の人である。上堂、倶胝指を竪つの因縁を挙ぐ。師は言った、「佳人睡り起きて懶く頭を梳る、金釵を把得して挿し便ち休む。大抵他に還す肌骨の好き、紅粉を塗らずとも也だ風流なり。」

臨安府淨慈肯堂彥充禪師

臨安府浄慈肯堂彦充禅師

於潛盛氏子。幼依明空院義堪為師。首參大愚宏智.正堂大圓。後聞東林謂眾曰。我此間別無玄妙。祇有木札羹。鐵釘飯。任汝咬嚼。師竊喜之。直造謁。陳所見解。林曰。據汝見處。正坐在鑑覺中。師疑不已。將從前所得底一時颺下。一日。聞僧舉南泉道。時人見此一株華。如夢相似。默有所覺。曰。打草祇要虵驚。次日入室。林問。那裡是巖頭密啟其意處。師曰。今日捉敗這老賊。林曰。達磨大師性命在汝手裡。師擬開口。驀被攔胷一拳。忽大悟。直得汗流浹背。點首自謂曰。臨濟道。黃檗佛法無多子。豈虗語邪。遂呈頌曰。為人須為徹。殺人須見血。德山與巖頭。萬裡一條鐵。林然之。住後。上堂。世尊不說說。迦葉不聞聞。卓拄杖曰。水流黃葉來何處。牛帶寒鴉過遠村。上堂。舉雪峰示眾雲。盡大地是箇解脫門。因甚把手拽不入。師曰。大小雪峰話作兩橛。既盡大地是箇解脫門。用拽作麼。上堂。一向與麼去。法堂前草深一丈。一向與麼來。腳下泥深三尺。且道如何即是。三年逢一閏。鷄向五更啼。上堂。舉卍庵先師道。坐佛床。斫佛腳。不敬東家孔夫子。卻向他鄉習禮樂。師曰。入泥入水即不無。先師爭奈寒蟬抱枯木。泣盡不回頭。卓拄杖曰。灼然。有不回頭底。淨慈向升子裡禮汝三拜。上堂。三世諸佛。無中說有。䕞𦿆拾華針。六代祖師。有裡尋無。猿猴探水月。去此二途。如何話會。儂家不管興亡事。盡日和雲占洞庭。元庵受智者請。引座曰。南山有箇老魔王。烱烱雙眸放電光。口似血盆呵佛祖。牙如劍樹罵諸方。幾度業風吹不動。吹得動。雲黃山畔與嵩頭陀.傅大士。一火破落戶。依舊孟八郎。賺他無限痴男女。開眼堂堂入鑊湯。忽有箇衲僧出來道。既是善知識。為甚賺人入鑊湯。只向他道。非公境界。後示寂。塔於寺之南庵。

于潜の盛氏の子である。幼年に明空院の義堪に依りて師と為す。先ず大愚・宏智・正堂・大円に参ず。後に来りて聞けるは東林衆人に対して説いて言う、「我此の裏別に玄妙無し、只だ木札の羹・鉄釘の飯有り、お前に任せて咬嚼す。」師私かに喜び、径に去りて拝謁し、自己の見解を陳述す。林は言った、「お前の見処に拠れば、正に鑒覚の中に坐す。」師疑う已まず、従前所得のを一時に揚下す。一天、僧の挙ぐる南泉の話を聞く、「時人此の一株の花を見る、夢の相似なり。」黙かに覚る所有りて言った、「草を打つは只だ要として蛇を驚かす。」次日室に入る。林問う、「何れの処か是れ岩頭の密かに其の意を啓するの処ぞ。」師は言った、「今日此の老賊を捉敗す。」林は言った、「達磨大師の性命はお前の手裏に在り。」師剛し口を開かんと要するに、蓦然として胸を攔えて一拳せられ、忽然として大悟し、直に汗流れ背に浹するを得たり。頭を点いて自ら言った、「臨済の道う、黄檗の仏法多子無し、豈是れ虚語ならんや。」是に於て頌を呈す、「人と為るに須らく徹と為すべし、人を殺すに須らく血を見るべし。徳山与に岩頭とは、万里一条の鉄。」林然許す。住して後、上堂。「世尊は説かずして説き、迦葉は聞かずして聞く。」拄杖を卓して言った、「水は黄葉を流して来たるは何れの処ぞ、牛は寒鴉を帯びて遠村を過ぐ。」上堂、雪峰の衆に示すを挙げて言う、「尽大地は是れ箇の解脱門、因ってか手を把りて拽り入らざる。」師は言った、「大小の雪峰は話を両橛に作す。既に尽大地是れ箇の解脱門、拽るを用いて什麼と作さん。」上堂。「一向に与麼に去れば、法堂前に草は深きこと一丈。一向に与麼に来れば、脚下に泥は深きこと三尺。且く道え如何なるか即ち是れぞ。三年に一閏に逢い、鶏は五更に向って啼く。」上堂、卍庵の先師の道うを挙ぐ、「仏床に坐して仏脚を斫り、東家の孔夫子を敬せず、却って他郷に向って礼楽を習う。」師は言った、「泥に入り水に入るは即ち無からず。先師は争奈か寒蝉の枯木を抱き、泣き尽くして頭を回さざるを。」拄杖を卓して言った、「灼然として頭を回さざる底有り。浄慈升子の裏に向ってお前に三拜を礼せん。」上堂。「三世の諸仏、無の中に有を説き、莨菪は花針を拾う。六代の祖師、有の裏に無を尋ね、猿猴は水月を探る。此の二途を去りて、如何にか話会せん。儂家は興亡の事を管せず、尽日雲と与に洞庭を占む。」元庵智者の請を受け、座を引きて言った、「南山に箇の老魔王有り、炯炯たる双眸は電光を放つ。口は血盆に似て仏祖を呵り、牙は剣樹の如くして諸方を罵る。幾度も業風吹きて動かざるも、吹き動かせば、雲黄の山畔に嵩頭陀・傅大士与に、一火の破落户、依旧として孟八郎。彼を賺して無限の痴男女、眼を開き堂堂として鑊湯に入る。忽ち箇の衲僧有りて出でて言わば、既に是れ善知識、何が為に人を賺して鑊湯に入ると。只だ彼に向って言わん、公の境界に非ずと。」後来示寂し、塔は寺の南庵に在り。

婺州智者元庵真慈禪師

婺州智者元庵真慈禅師

潼川人。姓李氏。初依成都正法出家。具戒後遊講肆。聽講圓覺。至四大各離。今者妄身當在何處。畢竟無體。實同幻化。因而有省。作頌曰。一顆明珠。在我這裡。撥著動著。放光動地。以呈諸講師。無能曉之者。歸以呈其師。遂舉狗子無佛性話詰之。師曰。雖百千萬億公案。不出此頌也。其師以為不遜。乃叱出。師因南遊。至廬山圓通掛塔。時卍庵為西堂。為眾入室。舉。僧問雲門。撥塵見佛時如何。門雲。佛亦是塵。師隨聲便喝。以手指𮌎曰。佛亦是塵。師復頌曰。撥塵見佛。佛亦是塵。問了答了。直下飜身。勸君更盡一杯酒。西出陽關無故人。又頌塵塵三昧曰。缽裡飯。桶裡水。別寶崑崙坐潭底。一塵塵上走須彌。明眼波斯笑彈指。笑彈指。珊瑚枝上清風起。卍庵深肯之。

潼川の人、姓は李氏。初め成都の正法に依りて出家す。戒を具えて後に講肆に游び、『円覚』を聴講し、「四大各離れ、今者の妄身は当に何れの処にか在らん、畢竟体無く、実に幻化に同じ」に到りて、因りて省有り。頌を作して言った、「一顆の明珠、我が此の裏に在り。撥きて動き着けば、光を放ちて地を動かす。」諸の講師に呈するも、能く暁了する者無し。帰りて老師に呈す。老師便ち狗子仏性無きの話を挙げて詰問す。師は言った、「百千万億の公案と雖も、此の頌を出でず。」老師不遜と為し、便ち叱出す。師因りて南に游び、廬山の円通に到りて塔を掛ぐ。当時卍庵は西堂を為り、衆人の為に室に入る。挙ぐ、「僧雲門に問う、塵を撥りて仏を見る時は如何。門は言う、仏も亦た是れ塵。」師声に随いて便ち喝す。手を以て胸を指して言った、「仏も亦た是れ塵。」師又た頌して言った、「塵を撥りて仏を見れば、仏も亦た是れ塵。問い了わり答え了われば、直下に身を飜す。君に勧む更に尽くせ一杯の酒、西に陽関を出づれば故人無し。」又た塵塵三昧を頌して言った、「鉢裏の飯、桶裏の水。別に崑崙を宝して潭底に坐す。一尘の塵上に須弥を走らしむ。明眼の波斯は笑って指を弾く。笑って指を弾けば、珊瑚枝上に清風起る。」卍庵深く肯可す。

西禪需禪師法嗣

西禅需禅師の法嗣

福州皷山木庵安永禪師

福州皷山木庵安永禅師

閩縣吳氏子。弱冠為僧。未幾謁懶庵於雲門。一日入室。庵曰。不問有言。不問無言。世尊良久。不得向世尊良久處會。隨後便喝。倐然契悟。作禮曰。不因今日問。爭喪目前機。庵許之。住後。上堂。要明箇事。須是具擊石火.閃電光底手段。方能嶮峻巖頭全身放捨。白雲深處得大安居。如其覷地覓金針。直下腦門須迸裂。到這裡假饒見機而變。不犯鋒鋩。全身獨脫。猶涉泥水。祇如本分全提一句。又作麼生道。擊拂子曰。淬出七星光燦爛。解拈天下任橫行。上堂。舉睦州示眾雲。諸人未得箇入處。須得箇入處。既得箇入處。不得忘卻老僧。師曰。恁麼說話。面皮厚多少。木庵則不然。諸人未得箇入處。須得箇入處。既得箇入處。直須颺下入處始得。上堂。拈拄杖曰。臨濟小廝兒。未曾當頭道著。今日全身放憨。也要諸人知有。擲拄杖。下座。僧問。須彌頂上飜身倒卓時如何。師曰。未曾見毛頭星現。曰。恁麼則傾湫倒嶽去也。師曰。莫亂做。僧便喝。師曰。雷聲浩大。雨點全無。

閩県の呉氏の子である。弱冠にして僧と為る。久しからずして懶庵を雲門に謁う。一天室に入る。庵は言った、「有言を問わず、無言を問わず。世尊良久す。世尊良久の処に向って会するを得ず。」随いて便ち喝す。師倏然として契悟し、礼を作して言った、「今日の問に因らざれば、争いでか目前の機を喪せん。」庵許可す。住して後、上堂。「此の件の事を明にせんと要せば、須らく石を撃てば火・電を閃かす光の底の手段を具し、方に能く険峻の岩頭に於て全身を放舎し、白雲の深処に於て大安居を得べし。其れ如し地を覷りて金針を覓めば、直下に脳門須らく迸裂すべし。此に到れば、仮饒機を見て変じ、鋒鋩を犯さず、全身独り脱するも、猶ほ泥水に渉る。只だ如し本分の全提の一句は、又た作麼生にか道わん。」拂子を撃ちて言った、「淬出せば七星の光燦爛、拈じ解けば天下に任せて横行せん。」上堂、睦州の衆に示すを挙げて言う、「諸人未だ箇の入処を得ざれば、須らく箇の入処を得べし。既に箇の入処を得たれば、老僧を忘却するを得ず。」師は言った、「恁麼に説話するは、面皮の厚さ幾多ぞ。木庵は則ち然らず。諸人未だ箇の入処を得ざれば、須らく箇の入処を得べし。既に箇の入処を得たれば、直に須らく入処を揚下して始めて得。」上堂、拄杖を拈じて言った、「臨済の小厮児、未だ曾て当頭に道着せず。今日全身を放憨し、也だ要して諸人に有るを知らしむ。」拄杖を擲ちて座を下る。僧問う、「須弥頂上に身を飜して倒卓する時は如何。」師は言った、「未だ曾て毛頭星の現ずるを見ず。」言った、「恁麼ならば則ち湫を傾け岳を倒して去る也。」師は言った、「乱りに作す莫れ。」僧便ち喝す。師は言った、「雷声は浩大にして、雨点は全く無し。」

溫州龍翔栢堂南雅禪師

温州龍翔柏堂南雅禅師

上堂曰。瑞峰頂上。棲鳳亭邊。一杯淡粥相依。百衲蒙頭打坐。二祖禮三拜。依位而立。已是周遮。達磨老臊胡。分盡髓皮。一場狼籍。其餘之輩。何足道哉。栢堂恁麼道。還免諸方檢責也無。拍繩床雲。洎合停囚長智。上堂曰。大機貴直截。大用貴頓發。縱有嚙鏃機。一鎚須打殺。何故。我王庫內無如是刀。上堂曰。紫蕨伸拳筍破梢。楊華飛盡綠陰交。分明西祖單傳句。黃鸝留鳴燕語巢。這裡見得諦。信得及。若約諸方決定。明窻下安排。龍翔門下直是一槌槌殺。何故。不是與人難共住。大都緇素要分明。

上堂に言った、「瑞峰の頂上、栖鳳の亭辺。一杯の淡粥相依し、百衲頭を蒙りて打坐す。二祖は礼三拜して位に依りて立つ、已に是れ周遮なり。達磨の老臊胡、髄皮を分尽して、一場狼藉たり。其の余の輩は、何ぞ道わんに足らん。柏堂恁麼に道う、還って諸方の検責を免るや無しや。」繩床を拍して言った、「洎りて合に停囚長智すべし。」上堂に言った、「大機は直截を貴び、大用は頓発を貴ぶ。縦い鏃を齧むの機有らばも、一鎚に須らく打殺すべし。何が為にぞ、我が王庫内に是の如き刀無し。」上堂に言った、「紫蕨は拳を伸べて筍は梢を破る。楊花飛び尽くして緑陰交わる。分明なる西祖単伝の句、黄鹂は鳴を留めて燕は巢に語る。此の裏に諦を見得て、信じ及ばん。若し約すれば諸方の決定は、明窗の下に安棑す。龍翔門下は直に是れ一槌に槌殺す。何が為にぞ、是れ人と難く共に住らざるに非ず、大都緇素要して分明ならんと欲す。」

福州天王志清禪師

福州天王志清禅師

上堂。竪起拂子云。只這箇天不能蓋。地不能載。徧界徧空。成團成塊。到這裡三世諸佛向甚麼處摸索。六代祖師向甚麼處提持。天下衲僧向甚麼處名邈。除非自得自證。便乃敲唱雙行。雖然如是。未是衲僧行履處。作麼生是衲僧行履處。是非海裡橫身入。豺虎叢中縱步行。

上堂、拂子を竪起して言った、「只だ此の箇は天も盖う能わず、地も載する能わず、遍界遍空にして、団を成し塊を成す。此に到りて三世の諸仏は什麼の処に向って摸索せん、六代の祖師は什麼の処に向って提持せん、天下の衲僧は什麼の処に向って名邈せん。非ざれば自ら得自ら証せば、便ち乃ち敲唱双行せん。如是と雖も、未だ是れ衲僧の行履の処ならず。作麼生か是れ衲僧の行履の処ぞ。是非の海裏に身を横えて入り、豺虎の叢中に歩を縦す。」

南劒州劒門安分庵主

南剣州剣門安分庵主

少與木庵同隷業安國。後依懶庵。未有深證。辭謁徑山大慧。行次江干。仰瞻宮闕。聞街司喝侍郎來。釋然大悟。作偈曰。幾年箇事掛胷懷。問盡諸方眼不開。肝膽此時俱裂破。一聲江上侍郎來。遂徑回西禪。懶庵迎之。付以伽棃。自爾不規所寓。後庵居劒門。化被嶺表。學者從之。所作偈頌。走手而成。凡千餘首。盛行於世。示眾。這一片田地。汝等諸人。且道天地未分已前在甚麼處。直下徹去。已是鈍置分上座不少了也。更若擬議思量。何啻白雲萬裡。驀拈拄杖。打散大眾。示眾。上至諸佛。下及眾生。性命總在山僧手裡。檢點將來。有沒量罪過。還有檢點得出者麼。卓拄杖一下曰。冤有頭。債有主。遂左右顧視曰。自出洞來無敵手。得饒人處且饒人。示眾。十五日已前。天上有星皆拱北。十五日已後。人間無水不朝東。已前已後總拈卻。到處鄉談各不同。乃屈指曰。一二三四五。六七八九十。十一十二十三十四。諸兄弟今日是幾。良久曰。本店買賣。分文不賖。

少き時木庵与に倶に安国に在りて業に隶す。後に来りて懶庵に依るも、未だ深証有らず。辞別して径山の大慧を謁えんと去る。江辺に走り到りて、宮闕を仰瞻し、街司の喝す「侍郎来たる」を聞きて、釈然として大悟す。偈を作して言った、「几年の箇事胸懐に掛く、諸方を問尽すも眼開かず。肝胆此の時倶に裂破す、一声江上侍郎来たる。」是に於て径に西禅に回る。懶庵迎接し、伽梨を把りて彼に付与す。此れより寓る所を規せず。後来剣門に庵居し、教化は嶺表に遍及し、学者之に跟従す。作る所の偈頌は、手を走らせて成り、凡そ千余首、世に盛行す。衆に示す、「此の一片の田地は、お前等諸人、且く道え天地未だ分れざる已前は什麼の処に在る。直下に徹し去れば、已に是れ鈍置分上座少なからざる了れり。更に若し拟議思量せば、何ぞ啻んや白雲万里。」蓦然に拄杖を拈じて、大衆を打散す。衆に示す、「上は諸仏に至り、下は衆生に及ぶ、性命は総て山僧の手裏に在り。検点して将来れば、没量の罪過有り。還って検点し出するを得る者有るか。」拄杖を卓して一下して言った、「冤には頭有り、債には主有り。」是に於て左右顧視して言った、「自ら洞を出でて来りて敵手無し、人を饒るを得る処は且く人を饒れ。」衆に示す、「十五日已前は、天上星有りて皆北に拱し、十五日已後は、人間水無しと雖も東に朝ぜざる無し。已前已後総て拈却して、到る処郷談各同じからず。」是に於て指を屈して言った、「一二三四五、六七八九十、十一十二十三十四。諸の兄弟、今日は是れ几ぞ。」過了良久して言った、「本店の売買は、分文も賖さず。」

東禪嶽禪師法嗣

東禅岳禅師の法嗣

福州皷山宗逮禪師

福州皷山宗逮禅師

上堂。世尊道。應如是知。如是見。如是信解。不生法相。遂喝曰。玉本無瑕卻有瑕。

上堂。「世尊の道う、応に是の如く知り、是の如く見、是の如く信解して、法相を生ぜず。」是に於て喝して言った、「玉は本より瑕無しと雖も却って瑕有り。」

西禪淨禪師法嗣

西禅浄禅師の法嗣

福州乾元宗頴禪師

福州乾元宗穎禅師

上堂。卓拄杖曰。性燥漢祇在一槌。靠拄杖曰。靈利人不勞再舉。而今莫有靈利底麼。良久曰。比擬張麟。兔亦不遇。

上堂、拄杖を卓して言った、「性燥の漢は只だ一槌に在り。」拄杖に靠れて言った、「霊利の人は再挙を労せず。而今莫しや霊利の底有るか。」過了良久して言った、「張麟に比拟するも、兎も亦た遇わず。」

開善謙禪師法嗣

開善謙禅師の法嗣

建寧府仙州山吳十三道人

建寧府仙州山呉十三道人

每以己事扣諸禪。及開善歸。結茆於其左。遂往給侍。紹興庚申三月八日夜。適然啟悟。占偈呈善曰。元來無縫罅。觸著便光輝。既是千金寶。何須彈雀兒。善答曰。啐地折時真慶快。死生凡聖盡平沉。僊州山下呵呵笑。不負相期宿昔心。

毎に己事を以て諸禅を扣問す。開善帰り来るを等ちて、其の左辺に茅を結び、便ち去りて侍給す。紹興庚申三月八日の夜、適然として啓悟す。偈を占して善に呈す、「元来縫罅無し、触れ着けば便ち光輝す。既に是れ千金の宝、何ぞ須いん雀児を弾くを。」善答う、「啐地折るる時は真に慶快、死生凡聖尽く平沈す。仙州山下呵呵笑い、相期する宿昔の心を負かず。」

天童華禪師法嗣

天童華禅師の法嗣

慶元府天童密庵鹹傑禪師

慶元府天童密庵咸杰禅師

福州鄭氏子。母夢廬山老僧入舍而生。自幼頴悟。出家為僧。不憚遊行。徧參知識。後謁應庵於衢之明果。庵孤硬難入。屢遭呵。一日。庵問。如何是正法眼。師遽答曰。破沙盆。庵頷之。未幾。辭回省親。庵送以偈曰。大徹投機句。當陽廓頂門。相從今四載。徵詰洞無痕。雖未付缽袋。氣宇吞乾坤。卻把正法眼。喚作破沙盆。此行將省覲。切忌便跺跟。吾有末後句。待歸要汝遵。出世衢之烏巨。次遷祥符.蔣山.華藏。未幾詔住徑山.靈隱。晚居太白。僧問。虗空銷殞時如何。師曰。罪不重科。上堂。牛頭橫說竪說。不知有向上關棙子。有般漆桶輩。東西不辨。南北不分。便問如何是向上關棙子。何異開眼尿床。華藏有一轉語。不在向上向下。千手大悲摸索不著。雨寒無處曬㫰。今日普請。佈施大眾。良久曰。達磨大師。無當門齒。上堂。世尊不說說。拗曲作直。迦葉不聞聞。望空啟告。馬祖即心即佛。懸羊頭賣狗肉。趙州勘庵主。貴買賤賣。分文不直。祇如文殊是七佛之師。因甚出女子定不得。河天月暈魚分子。槲葉風微鹿養茸。上堂。卓拄杖曰。迷時祇迷這箇。復卓一下曰。悟時祇悟這箇。迷悟雙忘。糞埽堆頭重添搕𢶍。莫有向東湧西沒全機獨脫處道得一句底麼。若道不得。華藏自道去也。擲拄杖曰。三十年後。上堂。舉金峰和尚示眾雲。老僧二十年前。有老婆心。二十年後。無老婆心。時有僧問。如何是和尚二十年前有老婆心。峰雲。問凡答凡。問聖答聖。曰。如何是二十年後無老婆心。峰雲。問凡不答凡。問聖不答聖。師曰。烏巨當時若見。但冷笑兩聲。這老漢忽若瞥地。自然不墮聖凡窠臼。上堂。舉婆子燒庵話。師曰。這箇公案。叢林中少有拈提者。傑上座裂破面皮。不免納敗一上。也要諸方檢點。乃召大眾曰。這婆子洞房深穩。水洩不通。偏收枯木上糝華。寒巖中發燄。箇僧孤身迥迥。

福州の鄭氏の子である。母は廬山の老僧の舎に入るを夢みて生む。自ら幼にして頴悟、出家して僧と為る。游行を憚からず、遍く知識に参ず。後来衢州の明果に於て応庵を謁う。庵は孤硬にして入り難く、屡々呵責を遭う。一天、庵問う、「如何なるか是れ正法眼ぞ。」師立ち所に答う、「破沙盆。」庵頭を点く。久しからずして、辞して帰りて親を省す。庵偈を以て送る、「大徹の投機の句、当陽は頂門を廓かにす。相従今四載、征詰は洞として痕無し。未だ鉢袋を付せずと雖も、気宇は乾坤を呑む。却って正法眼を把りて、破沙盆と喚ぶ。此の行は将に省覲せん、切に跺跟することを忌めよ。吾に末後の句有り、帰るを待ってお前に遵わんことを要す。」出世は衢州の烏巨に在り。後来祥符・蒋山・華蔵に遷る。久しからずして径山・霊隠に住すを詔す。晩く太白に居る。僧問う、「虚空の銷殞する時は如何。」師は言った、「罪は科を重ねず。」上堂。「牛頭は横に説き竪に説くも、向上の関棙子有るを知らず。有般の漆桶の輩は、東西を弁ぜず南北を分かたずして、便ち問う如何なるか是れ向上の関棙子ぞと、開眼して尿床するに異ならんや。華蔵に一転の語有り、向上向下に在らず、千手の大悲も摸索し着かず。雨寒に晒す処無し。今日普請して、大衆に布施せん。」過了良久して言った、「達磨大師は、当門の歯無し。」上堂。「世尊は説かずして説くは、曲を拗じて直と作し、迦葉は聞かずして聞くは、空を望みて啓告す。馬祖の即心即仏は、羊頭を懸けて狗肉を売り、趙州の庵主を勘するは、貴く買い賎しく売りて、分文も直ならず。只だ如し文殊は是れ七仏の師、因ってか女子の定を出づるを得ざる。河天は月暈に魚分子、槲葉は風微に鹿茸を養う。」上堂、拄杖を卓して言った、「迷う時は只だ此の箇を迷い、」又た卓一下して言った、「悟る時は只だ此の箇を悟る。迷悟双忘すれば、糞掃の堆頭に重ねて搕圾を添う。莫しや東に涌き西に没し、全機独脱の処に向って一句を道い得る底有るか。若し道い得ざれば、華蔵自ら道い去らん。」拄杖を擲ちて言った、「三十年後。」上堂、金峰和尚の衆に示すを挙げて言う、「老僧二十年前は老婆心有り、二十年後は老婆心無し。」当時僧の問う有り、「如何なるか是れ和尚の二十年前老婆心有るぞ。」峰は言う、「凡に問えば凡に答え、聖に問えば聖に答う。」問う、「如何なるか是れ二十年後老婆心無きぞ。」峰は言う、「凡に問えば凡に答えず、聖に問えば聖に答えず。」師は言った、「烏巨は当時若し見れば、但だ冷笑して両声せん。此の老汉忽ち若し瞥地すれば、自然聖凡の窠臼に堕ちざらん。」上堂、婆子庵を焼くの話を挙ぐ。師は言った、「此の箇の公案は、叢林の中少なき拈提する。杰上座は面皮を裂破し、免れず敗を納る一上、也だ要して諸方に検点せらん。」是に於て大衆を召して言った、「此の婆子は洞房深穏にして、水も泄らず通ぜず、偏ねに枯木の上に花を糁り、寒岩の中に焔を発すを収む。箇の僧孤身迥迥にして、

慣入洪波。等閑坐斷潑天潮。到底身無涓滴水。子細檢點將來。敲枷打鎻則不無二人。若是佛法未夢見在。烏巨與麼提持。畢竟意歸何處。良久曰。一把柳絲收不得。和煙搭在玉欄幹。上堂。動絃別曲。葉落知秋。舉一明三。目機銖兩。如王秉劒。殺活臨時。猶是無風帀帀之波。向上一路。千聖把手共行。合入泥犂地獄。正當與麼時。合作麼生。江南兩淛。春寒秋熱。上堂。盡乾坤大地。喚作一句子。擔枷帶鎻。不喚作一句子。業識茫茫。兩頭俱透脫。淨倮。倮赤灑灑。沒可把。達磨一宗。掃土而盡。所以雲門大師道。盡乾坤大地。無纖毫過患。猶是轉句。不見一法。始是半提。更須知有全提底時節。大小雲門。劒去久矣。方乃刻舟。後示寂。塔於寺之中峰。

(師は接して言った。)「慣れて洪波に入り、等閑に潑天の潮を坐断す。底に到りて身に涓滴の水無し。仔細に検点して将来れば、枷を敲き鎖を打つは則ち二人無からず。若し是れ仏法ならば、未だ夢に見ざる在り。烏巨与麼に提持す、畢竟意は何れの処に帰せん。」過了良久して言った、「一把の柳絲収むるを得ず、煙と和して玉欄干に搭す。」上堂。「弦を動かして曲を別し、葉落ちて秋を知る。一を挙げて三を明にし、目機は銖両。王の剣を秉るが如く、殺活は時に臨む。猶ほ是れ無風匝匝の波。向上の一路は、千聖手を把りて共に行くも、合に泥犁地獄に入るべし。正に与麼の時に当りて、合作麼生ぞ。江南両浙、春は寒く秋は熱し。」上堂。「乾坤大地を尽くして、一句子と喚べば、枷を担い鎖を帯び、一句子と喚ばざれば、業識茫茫たり。両頭倶に透脱して、浄裸裸・赤洒洒として把る可き無し。達磨の一宗は、土を掃いて尽くさん。所以に雲門大師の道う、尽乾坤大地に繊毫の過患無くとも、猶ほ是れ転句、一法を見ずして始めて是れ半提、更に須らく全提の底の時節有るを知らんと。大小の雲門、剣去ること久し、方に乃ち舟を刻す。」後来示寂し、塔は寺の中峰に在り。

南書記者

南書記者

福州人。久依應庵。於趙州狗子無佛性話。豁然契悟。有偈曰。狗子無佛性。羅睺星入命。不是打殺人。被人打殺定。庵見。喜其脫略。紹興末終於歸宗。

福州の人である。久しく応庵に依る。趙州の狗子仏性無きの話の上に於て、豁然として契悟す。偈有り、「狗子仏性無し、羅睺星は命に入る。是れ人を打殺するに非ず、人に打殺せらるるは定なり。」庵見て、其の脱略を喜ぶ。紹興の末に帰宗に終す。

侍郎李浩居士

侍郎李浩居士

字德遠。號正信。幼閱首楞嚴經。如遊舊國。志而不忘。持橐後。造明果。投誠入室。應庵揕其𮌎曰。侍郎死後。向甚麼處去。公駭然汗下。庵喝出。公退參。不旬日竟躋堂奧。以偈寄同參嚴康朝曰。門有孫臏鋪。家存甘贄妻。夜眠還早起。誰悟復誰迷。庵見稱善。有鬻胭脂者。亦久參應庵。頗自負。公贈之偈曰。不塗紅粉自風流。往往禪徒到此休。透過古今圈䙡後。卻來這裡吃拳頭。

字は徳遠、号は正信。幼年に『首楞厳経』を閲し、旧国に游ぶが如くして志して忘れず。橐を持して後、明果を造訪し、誠を投げて室に入る。応庵其の胸口を揕して言った、「侍郎死して後、什麼の処に向って去る。」公駭然として汗下る。庵喝出す。公退きて参じ、十天に到らずして竟に堂奥に躋る。偈を用いて同参の厳康朝に寄す、「門には孫臏の鋪有り、家には甘贄の妻存す。夜眠りて還って早く起き、誰か悟り復た誰か迷う。」庵見て善しと称す。胭脂を売る者有りて、亦た久しく応庵に参じ、頗る自負す。公彼に偈を贈る、「紅粉を塗らずして自ずから風流、往々禅徒此に到りて休す。古今の圏繢を透過して後、却って此の裏に来りて拳頭を喫う。」

道場全禪師法嗣

道場全禅師の法嗣

常州華藏伊庵有權禪師

常州華蔵伊庵有権禅師

臨安昌化祁氏子。年十四得度。十八歲。禮佛智裕禪師於靈隱。時無庵為第一座。室中以從無住本。建一切法問之。師久而有省。答曰。暗裡穿針。耳中出氣。庵可之。遂密付心印。嘗夜坐達旦。行粥者至。忘展缽。鄰僧以手觸之。師感悟。為偈曰。黑漆崑崙把釣竿。古帆高掛下驚湍。蘆華影裡弄明月。引得盲龜上釣船。佛智嘗問。心包太虗。量廓沙界時如何。師曰。大海不宿死屍。智撫其座曰。此子他日當據此座。呵佛罵祖去在。師自是埋藏頭角。益自韜晦。遊歷湖湘江淛幾十年。依應庵於歸宗。參大慧於徑山。無庵住道場。招師分座說法。於是聲名隱然。住後。上堂。今朝結卻布袋口。明眼衲僧莫亂走。心行滅處解飜身。噴嚏也成師子吼。栴檀林。任馳驟。剔起眉毛頂上生。剜肉成瘡露家醜。上堂。禪禪。無黨無偏。迷時千里隔。悟在口皮邊。所以僧問石霜。如何是禪。霜雲㼾甎。又僧問睦州。如何是禪。州雲。猛火著油煎。又僧問首山。如何是禪。山雲。猢猻上樹尾連顛。大眾。道無橫徑。立處孤危。此三大老。行聲前活路。用劫外靈機。若以衲僧正眼檢點將來。不無優劣。一人如張良入陣。一人如項羽用兵。一人如孔明料敵。若人辨白得。可與佛祖齊肩。雖然如是。忽有箇衲僧出來道。長老話作兩橛也。適來道。道無橫徑。無黨無偏。而今又卻分許多優劣。且作麼生祇對。還委悉麼。把手上山齊著力。咽喉出氣自家知。淳熈庚子秋。示微疾。留偈。趺坐而逝。茶毗齒舌不壞。獲五色舍利無數。瘞於橫山之塔。分骨歸葬萬年山寺。

臨安昌化の祁氏の子である。年十四にして得度す。十八歳にして、霊隠に於て仏智裕禅師に礼す。当時無庵は第一座を為り、室中に「従無住本、建一切法」を以て彼に問う。師久しくして省有り、答う、「暗裏に針を穿ち、耳中に気を出す。」庵之を可として、是に於て心印を密付す。曾て夜坐して亮に至る。粥を行う者到るも、鉢を展ぶるを忘る。隣僧手を以て彼に触るるを、師感喩して偈を作す、「黒漆の崑崙は釣竿を把り、古帆は高く掛けて驚湍を下る。蘆花の影裏に明月を弄して、盲亀を引きて釣船に上る。」仏智曾て問う、「心は太虚を包み、量は沙界を廓む時は如何。」師は言った、「大海は死尸を宿さず。」智其の座を撫して言った、「此の子他日当に此の座に拠りて、仏を呵り祖を罵り去る在らん。」師此れより頭角を蔵埋し、益々自ら韜晦す。湖湘江浙に游歴すること几十年。帰宗に於て応庵に依り、径山に於て大慧に参ず。無庵道場に住して、師を招きて座を分かちて法を説かしむ。是に於て声名隠然たり。住して後、上堂。「今朝布袋の口を結却し、明眼の衲僧は乱りに走る莫れ。心行滅する処に身を飜じ解けば、噴嚏もも師子の吼と成る。栴檀林、馳驟に任す。眉毛を剔起して頂上に生じ、肉を剜りて瘡を成して家醜を露す。」上堂。「禅禅、党無く偏無し。迷う時は千里隔ち、悟るは口皮の辺に在り。所以に僧石霜に問う、如何なるか是れ禅ぞ、霜は言う碌磚。又た僧睦州に問う、如何なるか是れ禅ぞ、州は言う、猛火に油を着けて煎る。又た僧首山に問う、如何なるか是れ禅ぞ、山は言う、猢猻は樹に上りて尾は顛に連なる。大衆、道に横径無く、立処孤危なり。此の三大老は、声前の活路を行じ、劫外の霊機を用る。若し衲僧の正眼を以て検点して将来れば、優劣無からざる無し。一人は張良の陣に入るが如く、一人は項羽の兵を用るが如く、一人は孔明の敵を料るが如し。若し人弁白するを得ば、与に仏祖と肩を斉しくせん。如是と雖も、忽ち箇の衲僧有りて出でて言わば、長老は話を両橛に作す也、適来の道う、道に横径無く党偏無し、而今又た却って許多の優劣を分かつと、且く作麼生にか只だ対せん。還って委悉するか。手を把りて山に上りて斉しく力を著け、咽喉より気を出づるは自ら家知れり。」淳熙庚子の秋、微疾を示す。偈を留めて、趺坐して逝く。茶毗に歯舌壊れず、五色の舎利を獲ること無数。横山の塔に瘞め、骨を分かちて万年山寺に帰葬す。

雙林用禪師法嗣

双林用禅師の法嗣

婺州三峰印禪師

婺州三峰印禅師

上堂舉野狐話曰。不落不昧。誣人之罪。不昧不落。無繩自縛。可憐柳絮隨春風。有時自西還自東。

上堂、野狐の話を挙げて言った、「不落不昧は、人を誣るの罪。不昧不落は、縄無くして自ら縛る。憐れむ可し柳絮は春風に随い、或る時は自ら西なり還って自ら東なり。」

大溈行禪師法嗣

大沩行禅師の法嗣

常德府德山子涓禪師

常徳府徳山子涓禅師

潼川人也。上堂。見見之時。見非是見。見猶離見。見不能及。遂喝曰。鯨吞海水盡。露出珊瑚枝。眾中忽有箇衲僧出來道。長老休寐語。卻許伊具一隻眼。上堂。橫按拄杖曰。一二三四五六七。七六五四三二一。循環逆順數將來。數到未來無盡日。因七見一。因一亡七。踏破太虗空。鐵牛也汗出。絕氣息。無蹤跡。擲拄杖曰。更須放下這箇。始是參學事畢。上堂。拈拄杖曰。有時奪人不奪境。拄杖子七縱八橫。有時奪境不奪人。山僧七顛八倒。有時人境兩俱奪。拄杖子與山僧削跡吞聲。有時人境俱不奪。卓拄杖曰。伴我行千里。𢹂君過萬山。忽然撞著臨濟大師時如何。喝曰。未明心地印。難透祖師關。

潼川の人である。上堂。「見見の時、見は是れ見に非ず。見は猶ほ見を離れ、見は能く及ばず。」是に於て喝して言った、「鯨は海水を呑み尽くし、珊瑚の枝を露出す。」衆中に忽ち箇の衲僧有りて出でて言わば、長老寐語を休めよと、却って彼に具一只眼を許す。」上堂、拄杖を横按して言った、「一二三四五六七、七六五四三二一。循環逆順に数えて将来れば、数えて未来尽きざる日に到らん。七に因りて一を見、一に因りて七を亡す。太虚の空を踏破し、鉄牛もも汗を出で、気息を絶ち、踪跡無し。」拄杖を擲ちて言った、「更に須らく此の箇を放下して、始めて是れ参学の事畢わらん。」上堂、拄杖を拈じて言った、「或る時は人を奪って境を奪わず、拄杖子は七縦八横。或る時は境を奪って人を奪わず、山僧は七顛八倒。或る時は人境両く倶に奪えば、拄杖子与に山僧は跡を削り声を呑む。或る時は人境倶に奪わず。」拄杖を卓して言った、「我を伴い千里を行き、君を携えて万山を過ぐ。忽然として臨済大師に撞着する時は如何。」喝して言った、「未だ心地の印を明らめざれば、難く祖師の関を透せん。」

五燈會元巻第二十(終)

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