Libo

鹖冠子

战国 · 鹖冠子

御製題鶡冠子

道家典籍

まず老子と荘子内篇を読み、列子・文子・淮南子へ進む。道教が「道」をどう修持として書いたかを見るには、陰符経・黄庭・参同契・悟真篇と抱朴子を読む。

御製題鶡冠子

御製題鶡冠子

鈇器原歸厚德將【開卷首義即雲王鈇非一世之器者厚德隆俊也注以王鈇為法制引賈誼言權勢法制人主之斤斧謂專任法制不以厚德將之而欲以持久難哉是其説雖雜刑名未嘗不歸於道德固非若黃老之專務清靜亦不至如申韓之流為慘礉也】雜刑匪獨老和黃朱評陸注同因顯栁謗韓譽兩不妨完帙倖存書著楚失篇卻勝代稱唐【宋陸佃既為之註解復序雲鶡冠子楚人居深山以鶡羽為冠號曰鶡冠子其書雜黃老刑名要其宿時若防亂而無家然竒言奧防亦毎毎而有自博選至武靈王問凡十有九篇而退之讀此雲十有六篇者非全書也朱子評韓文雲漢唐皆以為道家者流公謂其辨施於國家功德豈少而栁子厚作辨則曰得其書而讀之言盡鄙淺所見不同如此朱子雖不置可否然其書具在栁説不免過當朱子又云漢藝文志有鶡冠子一卷而唐志雲三卷謂漢時遺缺至唐而全以今書校之卷雖唐増於漢而篇則宋増於唐茲本既完備無缺佃注亦世所罕見自應重刋以廣流傳】帝常師處王友處【帝者與師處王者與友處亦其博選篇中語】戒合書紳識弗忘

𫓧の器は結局厚德をもって統領しなければならない。【巻を開く第一条にすでに言う:王𫓧(君王の手にある法制の権柄で、賈誼はこれを人主の斧斤に喩えた)は一朝一世の器具ではなく、厚德をもって俊傑を抬舉する。注は王𫓧を法制と解し、賈誼の言を引く:権勢・法制は人主の斧斤である。専ら法制を任じて厚德をもってそれを統領しなければ、持久せんと欲しても難しい。ゆえにその学説は刑名(刑法と名実の考核をもって臣下を御する一套で、後に申不害・韓非がここから出た)を雑えても、ついには道徳に帰り、黄老(黄帝・老子に仮託した治国の術)のように専ら清静を説くでもなく、申韓のように惨刻苛酷に流れるにも至らない】刑名を雑えても、ただ黄老一路ではない。朱熹の評と陸佃の注は、ちょうどこれを顕わし、柳宗元の貶斥と韓愈の稱譽は、二説並存しても妨げない。全本はなお在り、書は楚人の作である。韓愈は數篇缺けていると言ったが、唐代に十六篇と稱したのに比べ、今はかえって全い。【宋の陸佃は既に注を作り、また序を作って言う:鶡冠子は楚人で、深山に居り、鶡鳥の羽をもって冠とし、號して鶡冠子と言う。この書は黄老・刑名を雑え、その歸宿を窮めると、常に散乱して家派がないようだ(底本は「防乱」、四庫本は「散乱」)。しかし奇特の言論・深奧の旨趣も往々にしてある(底本は「奧防」、四庫本は「奧旨」)。《博選》から《武靈王問》まで十九篇あるが、韓愈はこの書を讀んで十六篇と言い、それは全本ではない。朱熹が韓文を評して言う:漢唐はみなこれを道家の流と見たが、韓公はその辨說を國家に施せば功德豈に少なからんやと言い、柳宗元は《辨》を作って、この書を得て讀めば言語は盡く鄙淺だと言った。兩人の所見はかくも異なる。朱熹は可否を置かないが、書はなお在り、柳説は過分を免れない。朱熹はまた言う:《漢志》に《鶡冠子》一卷あり、《唐志》は三卷とし、ある人は漢に缺があって唐に至って全くなったと言う。今本で對すれば、卷數は唐が漢より多く、篇數は宋が唐より多い。この本は既に完備して缺なく、陸佃の注も世に少見だから、自ら重刻すべく、流傳を廣くせんがためである】帝は常に師と處り、王は友と處る。【「帝者與師處、王者與友處」も《博選》篇の言である】この數句は紳帶に書いて、忘れぬよう牢く記すべきである。(御製詩はこの七字で句を起こし、四庫本も同じ。前にもし一聯あれば、今本に見えない)

韓愈讀鶡冠子

韓愈 鶡冠子を讀む

鶡冠子十有六篇其詞雜黃老刑名其博選篇四稽五至之說當矣使其人遇其時援其道而施於國家功德豈少哉學問篇稱賤生於無所用中流失船一壺千金者餘三讀其辭而悲之文字脫繆為之正三十有五字乙者三減者二十有二注十有二字雲

《鶡冠子》は全部で十六篇、文辭に黄老と刑名を雜えている。その《博選》篇の四稽(四種の核驗)・五至(五種の來歸する人)の說は當っている。もしこの人がその時勢に遇い、その道(本書では萬物の本原を指し、また國家に施すべき治理の道をも指す)を國家に施行したなら、功德は豈に少なからんや。《學問》篇に言う:賤とは、用いる所がないからである。船が中流で沈んだとき、一つの瓢は千金に値する。私はこの段を三讀して、これがために悲しんだ。文字の脫誤には、三十五字を改め、勾乙して序を調べる所三處、删去した所二十二處、注を加えたのが十二字、上の如くである。

鶡冠子原序

鶡冠子原序

鶡冠子楚人也居於深山以鶡為冠號曰鶡冠子其道踳駮著書初本黃老而末流迪於刑名傳曰申韓厲名實切事情其極慘礉少恩而原於道德之意蓋學之有如此者也故曰孔墨之後儒分為八墨離為三嗚呼可不慎哉此書雖雜黃老刑名而要其宿時若防亂而無家者然其竒言奧防亦毎毎而有也自博選篇至武靈王問凡十有九篇而退之讀此雲十有六篇者非全書也今其書雖具在然文字脫繆不可考者多矣語曰書三寫魚成魯帝成虎豈虛言哉餘竊閔之故為釋其可知者而其不可考者輒疑焉以俟博洽君子陸佃撰

鶡冠子は楚人で、深山に居り、鶡鳥の羽をもって冠とし、それによって鶡冠子と號した。彼の道は駁雜にして純ならず、著書は初め黄老に本づき、末流は刑名に走った。書傳に言う:申韓は名實を嚴格にし、事情に切近く、極端に至っては惨刻にして恩少なく、また道徳の意に原を推す。學問の流弊は竟にここまで至る(底本「學之」の下は私用區の缺字、四庫本は「弊」)。故曰く:孔墨の後、儒は八派に分かれ、墨は三派に離れた。嗚呼、慎まざるべからざるか。この書は黄老・刑名を雜えても、その歸宿を窮めると、常に散乱して家派がないようだ(底本は「防乱」、四庫本は「散乱」)。しかし奇特の言論・深奧の旨趣も往々にしてある(底本は「奧防」、四庫本は「奧旨」)。《博選》篇から《武靈王問》まで十九篇あるが、韓愈はこの書を讀んで十六篇と言い、全本ではない。今その書は具在するも、文字の脫誤で考えるべからざるものはなお多い。語に曰く:書を三寫すれば魚を魯と成し、帝を虎と成す。豈に虛言ならんや。私は竊かにこれを愍む。故に知れるべきものは釋し、考え得ないものは疑を存し、博洽の君子に俟つ。陸佃撰。

欽定四庫全書子部十

欽定四庫全書 子部十

鶡冠子目録雜家類一【雜學之屬】捲上

鶡冠子目録 雜家類一【雜學の屬】 卷上

博選第一

博選第一

著希第二

着希第二

夜行第三

夜行第三

天則第四

天則第四

環流第五

環流第五

道端第六

道端第六

近迭第七

近迭第七

卷中

卷中

度萬第八

度萬第八

王鈇第九

王鈇第九

泰鴻第十

泰鴻第十

泰録第十一

泰録第十一

卷下

卷下

世兵第十二

世兵第十二

備知第十三

備知第十三

兵政第十四

兵政第十四

學問第十五

學問第十五

世賢第十六

世賢第十六

天權第十七

天權第十七

能天第十八

能天第十八

武靈王第十九

武靈王第十九

【臣】等謹案鶡冠子書漢書藝文志列於道家注曰楚人居深山以鶡為冠劉勰文心雕龍稱鶡冠緜緜亟發深言韓愈集有讀鶡冠子一首稱其博選篇四稽五至之說學問篇一壺千金之語且謂其施於國家功德豈少栁宗元集有鶡冠子辨一首乃詆其言為鄙淺謂其世兵篇多同鵩賦據司馬遷所引賈生二語以決其偽然古人著書徃徃偶用舊文古人引證亦徃徃偶隨所見如谷神不死四語今見老子中而列子乃稱為黃帝書克己復禮一語今在論語中左傳乃謂仲尼稱志有之元者善之長也八句今在文言傳中左傳乃記為穆姜語司馬遷惟稱賈生蓋亦此類未可以單文孤證遽斷其偽惟其書漢志稱一篇隋志始為三卷或漢以來有所附益則未可知耳至其說雖雜刑名而大防本原於道德其文亦博辯宏肆自六朝至唐劉勰最號知文而韓愈最號知道二子稱之宗元乃以為鄙淺過矣此本為宋陸佃注凡十九篇其序謂愈但稱十六篇未睹其全佃北宋人其時古本韓文初出當得其真今本韓文乃亦作十九篇殆後來反據此書以改韓集猶劉禹錫河東集序稱編為三十二通而今本栁集亦反據穆修本改為四十五通也佃注惟陳振孫稍及之通考不著録晁公武讀書志亦但稱有八卷一本前三卷全同墨子後兩卷多引漢以後事公武削去前後五卷得十九篇則似亦未見佃注者殆宋時已罕傳矣乾隆四十二年五月恭校上

【臣】等謹案:《鶡冠子》の書は、《漢書·藝文志》に道家に列し、注に曰く:楚人、深山に居り、鶡鳥の羽をもって冠とす。劉勰《文心雕龍》は鶡冠の綿綿たるを稱し、每每深言を發す。韓愈の集に《鶡冠子を讀む》一首あり、その《博選》篇の四稽五至の說、《學問》篇の「一壺千金」の言を稱許し、かつこれを國家に施行せば功德豈に少なからんやと言う。柳宗元の集に《鶡冠子辨》一首あり、卻ってその言の鄙淺を毀り、《世兵》篇は多く賈誼《鵩賦》に同じと言い、また司馬遷の引く賈生の兩句に據って、それを僞書と判定した。しかし古人の著書は、往々にして偶舊文を沿用し、古人の引證も、往々にして偶自ら見る所に就く。たとえば「谷神不死」の四句は、今《老子》に見えるが、《列子》は黄帝書と稱し、「克己復禮」の一句は今《論語》にあるが、《左傳》は仲尼が「志に之あり」と稱すと言い、「元者善之長也」の八句は今《文言傳》にあるが、《左傳》は穆姜の言と記す。司馬遷がただ賈生を稱すのも、蓋しこの類で、單文孤證をもって僞書と斷ずるべからず。ただこの書《漢志》は一篇と稱し、《隋志》に至って三卷と作る。或いは漢以來附益する所有るか、知るべからず。その學說は刑名を雜えても、大旨は道徳に本原す(底本は「大防本原」、四庫本は「大旨」)。文章も博辨宏肆である。六朝から唐に至り、劉勰は最も文を知ると號し、韓愈は最も道を知ると號す。兩人ともそれを稱許したのに、宗元は鄙淺と為す。過分である。この本は宋の陸佃の注で、合計十九篇。陸佃の序に韓愈は十六篇を稱すのみで全本を見ずと言う。陸佃は北宋人で、當時古本の韓文が剛し出で、眞貌を得るべきである。今の韓文も十九篇と作る。蓋し後人がかえってこの書に據って韓集を改めたのであろう。たとえば劉禹錫の《河東集》序が三十二通に編すと稱するも、今本の柳集はかえって穆修本に據って四十五通に改められた如し。陸佃の注は陳振孫が稍々言及したのみで、《通考》に著録せず。晁公武《讀書志》もただ一種の八卷本ありと言い、前三卷は全く《墨子》に同じく、後兩卷は多く漢以後の事を引き、公武は前後五卷を削って十九篇を得たという。則ち陸佃の注をも見なかったようで、蓋し宋時に既に流傳少なかったのであろう。乾隆四十二年五月恭校上。

總纂官【臣】紀昀【臣】陸錫熊【臣】孫士毅

總纂官【臣】紀昀【臣】陸錫熊【臣】孫士毅

總校官【臣】陸費墀

總校官【臣】陸費墀

欽定四庫全書

欽定四庫全書

鶡冠子捲上

鶡冠子卷上

宋陸佃解

宋 陸佃 解

博選第一

博選第一

王鈇【一作鐡非】非一世之器者厚德隆俊也【王鈇法制也賈子曰權勢法制人主之斤斧夫專任法制不以厚德將之而欲以持久難哉】道凡四稽一曰天二曰地三曰人四曰命權【命者所以令之】人有五至一曰伯己【百於己者】二曰什己【十於己者】三曰若己【與己等也】四曰廝役【事我者也】五曰徒隸【又其下者】所謂天者物理情者也【道無所治有之者以稽於天所以爾也教者地事也治者天事也】所謂地者常弗【一作不】去者也【道無所住有之者以稽於地所以爾也運者天道也處者地道也】所謂人者惡死樂生者也所謂命者靡不在君者也【莫不聽之之謂命】君也者端神明者也【無為而尊】神明者以人為本者也【因人則逸任己則勞】人者以賢聖為本者也賢聖者以博選為本者也【舜發於畎畝傅說舉於版築膠鬲舉於魚鹽管夷吾舉於士孫叔敖舉於海百里奚舉於市然則選士之路豈可不博哉】博選者以五至為本者也故北面而事之則伯己者至【北面事之所謂承之者也】先趨而後息先問而後黙則什己者至【先人而趨後人而息先人而問後人而黙雖亦降己異乎承之者也是以伯己者徃什己者來】人趨己趨則若己者至【人趨己趨與之鴈行者也】憑几據杖指麾而使則廝役者至【坐則憑几立則據杖指麾而使尚為有禮焉】樂嗟苦咄【案樂嗟苦三字原缺今據他本増入】則徒隸之人至矣【人一

王𫓧【一本は「鉄」と作る、誤り】は一朝一世の器具ではなく、厚德をもって俊傑を抬舉しなければならない。【王𫓧はすなわち法制である。賈誼が言う:権勢・法制は人主の斧斤である。専ら法制を任じて厚德をもってそれを統領しなければ、持久せんと欲しても難しい】道には合計四稽がある:一は天、二は地、三は人、四は命権。【命は、令を發するに用いるもの】人には五至がある:一は伯己【自分より百倍強い】、二は什己【自分より十倍強い】、三は若己【自分と相當する】、四は厮役【自分に仕える】、五は徒隸【更に下一等】。いわゆる天は、萬物をして各々その情理を得しめるもの。【道それ自体に治理はない。治理あるは、天をもって核驗するがゆえに、かく言う。教化は地の事、治理は天の事である】いわゆる地は、常に在って離れないもの【「弗」一本は「不」と作る】。【道それ自体に住止はない。住止あるは、地をもって核驗するがゆえに、かく言う。運化は天道、安處は地道である】いわゆる人は、死を惡み生を樂しむもの。いわゆる命は、君に在らざるものなし。【聽從しないことがない、これを命と言う】君は、神明を端正するもの。【無爲にして最も尊し】神明は、人を以て本と爲すもの。【人を因任すれば安逸し、己のみに恃めば勞苦す】人は、賢聖を以て本と爲し、賢聖は、廣く選取するを以て本と爲す。【舜は田畝の中より起こり、傅説は版築の中より舉げられ、膠鬲は魚鹽の中より舉げられ、管夷吾は士の身分より舉げられ、孫叔敖は海邊より舉げられ、百里奚は市井より舉げられた。これを見れば、士を選ぶ路は豈に廣からざるべけんや】博選は五至を以て本と爲す。だから面北して彼を事えれば、伯己の人は來る。【面北して事えるは、彼を承受し、彼を以て師と爲すこと】自ら先に趨き、彼をして後に歇せしめ、自ら先に問い、彼をして後に默せしめれば、什己の人は來る。【自ら人より先に趨走し人より後に休息し、人より先に問い人より後に默する。これも己を降すが、北面して承受するのとは異なる。だから伯己の人は去り、什己の人は來る】人が趨けば己も趨けば、若己の人は來る。【人趨り己も趨るは、彼と幷行すること】几に凭り杖を拄き、指揮して使喚すれば、厮役は來る。【坐して几に凭り、立って杖を拄き、指揮使喚す。なお禮有りと言うべし】喜べば喝斥し、苦しめば怒罵すれば【案:「樂嗟苦」の三字は原本に缺き、今別本に據って補入】、徒隸の人は來る。【「人」は、一】

作者也樂則嗟之苦則咄之不禮甚矣茍非無恥之人豈所甘心哉案注原缺六字】故帝者與師處王者與友處亡主與徒處故德萬【一作百】人者謂之雋【雋者知哲聖人之謂也】德千人者謂之豪【此以獸之豪制名也】德百【一作萬】人者謂之英【此以草之英制名也毛詩傳曰萬人曰英記曰五人曰茂十人曰選百人曰俊千人曰英今此又以萬人曰俊百人曰英蓋莫可考矣人物誌曰獸之特者為雄草之秀者為英韓信是雄張良是英此言近之案考矣之矣一本作合非】德音者所謂聲也未聞音出而響過其聲者也貴者有知富者有財貧者有身【無知也故賤無財也故貧所有者特天地之委形而已總括百骸謂之身眾象備見謂之形】信符不合事舉不成【一本雲舉事不成】不死不生不斷不成【常騎兩可之地豈足以就其斷哉】計功而償權德而言王鈇在此孰能使營

(陸佃のこの注に續けて書く:)「者」と作る。喜べば飲み、苦しめば罵るは、禮無きの甚し。無恥の人でなければ、誰か肯んじて甘んぜん。案:注は原來六字を缺く】だから帝は師と處り、王は友と處り、亡國の主は徒隸と處る。だから德が萬人に蓋う者【一本は「百」】を雋と言う。【雋は、知哲の聖人を指す】德が千人に蓋う者を豪と言う。【これは野獸の中の特出たる豪をもって名を定めた】德が百人に蓋う者【一本は「萬」】を英と言う。【これは草の中の英華をもって名を定めた。《毛詩》傳は萬人を英と曰い、《禮記》は五人を茂、十人を選、百人を俊、千人を英と曰う。ここでは卻って萬人を俊、百人を英と曰う。蓋し考定すべからず。《人物志》に曰く:獸中に特出たるを雄、草中に秀出たるを英と爲す。韓信は雄、張良は英。この言は比較的近し。案:「考矣」の「矣」、一本は「合」と作る、誤り】德音は、いわゆる聲である。いまだ音發して回响が本聲を超えたと聞かない。貴の人は知あり、富の人は財あり、貧の人はただ身有るのみ。【知無きがゆえに賤、財無きがゆえに貧。有るところはただ天地の寄托する形體のみ。百骸を總括して身と言い、衆象を領して顯すを形と言う】信符が對せざれば、事は成さず【一本は「舉事不成」】。死を經ずれば生なく、決斷せざれば成さず。【常に兩可の處に騎る、どうして決斷を成せよう】勞に準じて償い、德に準じて稱すれば、王𫓧ここに在り、誰かこれを惑亂せしめん。

著希第二

着希第二

道有稽【以道為決】德有據【以徳為驗】人主不聞要故耑【一作常】與運堯【一作撓】而無以見也【無以下一有自字】道與德館而無以命也義不當格而無以更也【攘雞紾兄之類是已格正也凡此以不聞要而已然則人主豈可以不知務哉放飯流歠而問無齒決亦無益於事也】若是置之雖安非定也【言幸安也夫抱火厝之積薪之下而寢臥其上雖未及然終亦必運而已矣】端倚有位名號弗去【言其違道逺矣所存者名號而已】故希人者無悖其情希世者無繆其賔【方是之時俯而徇俗仰以阿時者至矣】文禮之野與禽獸同則【羔鴈雖有跪乳行列之儀而以人文格之野心多矣又況無羔鴈之性者奈何同之乎】言語之暴與蠻夷同謂【蠻夷鴃舌者也】夫君子者易親而難狎畏禍而難卻【死義故難卻也】嗜利而不為非【義然後取】時動而不茍作【不得已而後起】體雖安之而弗敢處然後禮生【君子克己復禮蓋充此而已】心雖欲之而弗敢信然後義生【一作立信猶任也君子克己就義蓋充此而已】夫義節慾而治禮反情而辨者也故君子弗徑情而行也夫亂世者以麤智為造意【造意防矣豈麤智之所能知哉】以中險為道【司巇也】以利為情若不相與同惡則不能相親相與同惡則有相憎【小人難近如此】說者言仁則以為誣發於義則以為誇【一作誇】平心而直告之則有弗信【利令智昏不可與明如此】故賢者之於亂世也絶豫而無由通異類而無以告苦乎哉【蓋傷之也】賢人之潛亂世也上有隨君下無直辭君有驕行民多諱言故人乖其誠能士隱其實情心雖不說弗敢不譽【雄美新是已此非可已而不已者也夫雄如此而義不能繩墨者則以有道故也魯人曰栁下惠固可吾固不可孔子善之然則無雄之道浮沉濁世齷齪阿上而欲自比於雄亦已惑矣】事業雖弗善不敢不力【此汝墳之所勉者也雖非殷其雷之義亦其所遇不得不爾也】趨舍雖不合不敢弗從【夫在我者皆彼之所不能易則雖譽所不譽力所不力從所不從亦應世之道也】故觀賢人之於亂世也【一作者】其慎勿【慎勿一作順勿】以為定情也【凡此所為亂群馬耳姑以逺害而已豈真同也哉】

道には核驗あり【道をもって決斷を爲す】、德には憑據あり【德をもって應驗を爲す】。人主が領要を聽かざれば、獨り【「耑」一本は「常」】運勢に隨いて轉撓する【「堯」一本は「撓」】。察見するに用いる物なし【「無以」の下、一本に「自」の字あり】。道と德は旣に館に安んじても、稱する名號なく、義は旣に正ならずとも、更改する法なし。【雞を偸み、兄の臂を捩る類がそうだ。格はすなわち正。凡そこれ、ただ領要を聽かざるがため。このようであれば、人主は豈に當務を知らざるべけんや。飯は旣に滿桌に溢れて湯を流すも、なお咬斷した菜の有無を問うは、事に益なし】かくの如く擱くれば、一時安穩なりと雖も、定局ではない。【僥倖の安を言う。火を積薪の下に堆くして、人その上に寝る。未だ燃え上がらずとも、終に必ず延燒す】端正して位に倚れば、名號は去らない。【道に離るること旣に遠く、留まるは名號のみと言う】だから人に迎合する者は、その人の情に悖逆せず、世に迎合する者は、その賓主を錯らない。【この時に至って、俯首して俗に徇い、仰首して時に阿る者が來る】文禮は郊野に至れば、禽獸と法を同じくす。【羔羊・大雁に跪乳・成行の儀節ありと雖も、人文をもってこれを格せば、野性なお多し。況んや羔雁の性をも有たざるは、何をもってそれと同じくせん】言語が粗暴なれば、蠻夷と叫びを同じくす。【蠻夷は伯勞のごとき解し難き舌なり】君子は親しみ易く狎昵し難く、禍を怕るるも逼退し難し。【義のために死す、故に退き難し】利を貪るも惡事を爲さず【義然後取る】、動くべき時に動き、徒に發作せず【已むを得ず然後起つ】。身はその位に安んずと雖も、敢えて安處せず、然後に禮生ず【君子の克己復禮は、まさにこの一層を滿たす】、心はそのようを欲すと雖も、敢えて放任せず、然後に義生ず【一本は「立」。信は任に猶ごとし。君子の克己就義は、まさにこの一層を滿たす】。義は欲望を節制して治め、禮は情實に返って辨別す。だから君子は情に順って徑直に行わない。亂世の人は粗淺の智を以て「造意」となし【】、內心の險詐を以て道となし【隙を窺うこと】、利を以て情となす。彼此同惡ならざれば、相親しむこと能わず、一旦同惡なれば、また互いに憎惡す【小人近し難し、これなり】。游說する者が一たび仁を講ぜば、欺瞞と爲され、一たび義より發すれば、誇大と爲され【一本は「夸」】、心平かに直說すれば、また信ずる人なし【利は智を昏く令し、彼と講明するべからず、これなり】。だから賢者は亂世に處り、交游を斷絕すれど通ずる路なく、世道と類ならざれど告ぐる由なし。苦しきかな。【これ傷痛なり】賢人は亂世に潛伏し、上に波に隨う君あり、下に直話なし。君に驕行あり、民に諱言多し。だから人は自らの誠を違い、能士は自らの實情を隱し、心雖に喜ばずとも、敢えて讚美せざることなし。【揚雄《劇秦美新》がこれ(底本は「雄」の前に私用區の殘字一つあり、四庫本に無し、文意は揚雄を指す)。これ止むべきも止まざる者ではない。揚雄旣にかくの如し、義は繩墨をもって彼を裁くべからず。彼にまだ道あるが故。魯人の曰く:柳下惠は固よりかくすべし、我本來かくすべからず。孔子この言を稱許す。然らば揚雄の如き道なくして、濁世に浮沉し、齷齪として上に阿諛する者が、なお揚雄に自比せんと欲すは、あまりに糊涂なり】事業善からずと雖も、敢えて力を出さざるなし【これ《汝墳》の勸勉する所。雖《殷其雷》の義ならずとも、遇う所已むを得ざればなり】。趨舍合わずと雖も、敢えて聽從せざるなし【凡そ我が邊に在るは、皆彼方の改め得ざる所。然らば讚美すべからざるを讚美し、力出すべからざるに力を出し、聽從すべからざるを聽從するも、世に應ずる法なり】。だから賢人の亂世に處るを見るに【一本は「也」を「者」に作る】、愼勿【「愼勿」一本は「順勿」】これらを以て彼の定情と爲すことなかれ。【凡そこの爲す所は、馬群を攪亂するに過ぎず、姑く以て禍害を遠ざかるのみ。豈に眞心相同ならんや】

夜行第三

夜行第三

天文也地理也月刑也【隂以刻制】日德也【陽以昭蘇】四時檢也【有明法而不議】度數節也【天地之節蓋有度數存焉】隂陽氣也五行業也【五材也在地成形故曰業】五政道也【五辰也在天成象故曰道】五音調也【聲成文變成方謂之音斯謂之調】五聲故也【五聲因習而異在齊而齊言居晉而晉語斯之謂故】五味事也賞罰約也【賞所以約之使赴功罰所以約之使闢咎】此皆有驗有所以然者隨而不見其後迎而不見其首【其所以然者道也道無首尾而欲從跡其所為譬如捕風逆之無前從之無後此雖顔子恍然不能定也又況賜之流乎】成功遂事莫知其狀【夫孰知之】圖弗能載名弗能舉【夫巧者不能畫則辯者亦不能言矣】強為之說曰芴乎芒乎中有象乎芒乎芴乎中有物乎【芒者似有芴者似無】窅乎冥乎中有精乎致信究情【夫道有情有信非若斷空雖無形而非理也要在致而究之】復反無貎【貌且無之況於形乎】鬼見【一本作鬼不能見】不能為人業【露則不神豈足以建功立事哉故善為人業者防矣妙矣雖鬼不能窺其密也】故聖人貴夜行

天に文あり、地に理あり、月は刑【陰は以て刻削裁制するに用いる】、日は德【陽は以て昭蘇するに用いる】、四時は檢核【明白の法度ありて議論を加えず】、度數は節【天地の節は、元來度數有り】、陰陽は氣、五行は業【五材は地に形を成す、故に業と言う】、五政は道【五辰は天に象を成す、故に道と言う】、五音は調【聲文を成し、方に變ずるを音と言う、これ調と言う】、五聲は故【五聲は習俗に因って同じからず:齊に在れば齊言、晉に居れば晉語、これ故と言う】、五味は事、賞罰は約束【賞は人を約束して功に赴かしめ、罰は人を約束して咎を避けしむるに用いる】。これら皆應驗あり、亦みな然る所以のものあり。それに隨えばその後を見ず、それに迎えばその首を見ず。【然る所以は道なり。道に首尾なし、卻ってその爲す所を追蹤せんと欲すは、風を捕らうが如し。逆らえば前なく、順えば後なし。これ顏回も恍然として定め得ず、況んや子貢の類をや】功を成し事を爲すに、人その形狀を知る者なし【誰か能く知らん】。圖も載せ得ず、名も擧げ得ず【巧なる者も畫き出せず、善辯なる者も言い出せない】。勉めてこれに一說を與う:芴や芒や、中に象ありや。芒や芴や、中に物ありや。【芒は有に似て、芴は無に似たり】。窅や冥や、中に精ありや。信を極處に推し、情を盡頭に窮め【道に情あり信あり、斷滅の空に非ず。形無しと雖も、理無きに非ず。要は推致・窮究に在り】、更に返り來れば、貌をも有たず【貌だになし、況んや形をや】。鬼は見る能くも【一本は「鬼不能見」】、人のために業を立つること能わず。【一たび暴露すれば神ならず、何ぞ功を建て事を立つるに足らん。だから人のために業を立つるに善き者は、微や妙や(底本は「防矣妙矣」、四庫本は「微矣妙矣」)、鬼をもってその密を窺えしめず】。だから聖人は夜行を重んず。

天則第四

天則第四

聖王者有聽微決疑之道【一本聽下缺二字無微字】能屏讒權實逆淫辭【楊墨之屬】絶流語【管蔡之屬】去無用【屠龍之技刻楮之巧雖號髙妙無所用之案用之一作用也】杜絶朋黨之門【持祿養交背公死黨潝潝然患其上訾訾然思不稱乎上豈可開之】嫉妬之人不得著明【常置卑晦】非君子術數之士莫得當前故邪弗能奸禍不能中彼天地之以無極者以守度量而不可濫【此況邪弗能奸禍不能中之義】日不逾辰【日月所防為辰】月宿其【言宿其辰之次也】當名服事【當箕之名服箕之事當鬥之名服鬥之事其他放此】星守弗去【各止分域】望晦朔終始相廵【一作選夫日陟降而成晦朔月虧盈而成望反覆相尋如轉磨引鋸豈有終窮】逾年累歳【年取禾之一熟而歳騎兩稔】用【或作肅】不縵縵【縵縵漫滅之貌】此天之所柄以臨鬥【一作計】者也【言鬥臨制四方運乎四時終古不忒而天道如上所謂更以臨之】中參成位【一本作伍一本作五言參天地而成位乎其中也】四氣為政【政法四時】前張後極【張南方之星也極北方之星也或言張或言極互相挾焉】左角【一作魯】右鉞【一作越角東方之星也鉞西方之星也參伐一曰鈇鉞】九文循理以省官【一作宮】眾小大畢舉【此言簡而不遺也】先無怨讎之患後無毀名敗行之咎故其威上際下交【交元作校】其澤四被而不鬲【東漸西被朔南暨焉沛然莫之能御也】天之不違以不離一【所謂趣物而不兩也】天若離一反還為物【天之所以異乎萬物者抱一而已字觧曰一而大者天也二而小者示也】不創不作與天地合德【常輔萬物之自然而不敢為也天不創而萬物化地不作而萬物育】節璽相信如月應日【日循星而進退月應日以生死信之至也】此聖人之所以宜世也知足以滑正畧足以恬禍此危國之不可安亡國之不可存也【強足以拒敵辯足以飾非此蹠之所以不可救藥也】故天道先貴覆者【天道能覆覆者而已如其自絶雖天不可如何】地道先貴載者【地道能載載者而已如其自棄雖地不可如何】人道先貴事者【栁下季曰子不聽父之詔弟不受兄之教雖令先生之辯將奈之何哉】酒【一或作借】保先貴食者【酒保貨酒者也此申天貴覆者地貴載者人貴事者之況也】待物【原缺二字】也領【或作顧】氣時也【四時各領一方之氣】生殺法也循度以斷天之節也【物不可以終通故循度以間之性命自然之節也】地而守之分民而部之【守或作止此聖人法天之節循度以斷之故地各有守民各有部】寒者得衣飢者得食寃者得理勞者得息聖人之所期也夫裁衣而知擇其工裁國而知索其人此固世之所【一本所下有以字】公哉【一作或譬之製錦而使人學裁者未之有也】同而後可以見天【天道一而不二故自其同者視之夷貉一家也】異而後可以見人【人道二而不一故自其異者視之肝膽楚越也】變而後可以見時【常運而不停】化而後可以見道【庚桑子曰越雞不能伏鵠卵魯雞固能矣趎徃南見老子然則道之等級見矣】臨利而後可以見信臨財而後可以見仁臨難而後可以見勇【繁霜勁風然後可以別草木之真性】臨事而後可以見術數之士九皇之制【春秋緯雲人皇兄弟九人分治天下九皇之號豈縁是歟】主不虛王【王德備矣】臣不虛貴階級【列等之爵無虛授也】尊卑名號【言卑尊其名號也】自君吏民【各君吏民】次者無國【入使治之】歴寵歴録【歴録文章之貎言更歴寵榮華煥如此毛詩傳曰務歴録也】副所以付授【非特受封之臣不虛貴梯級雖無國者亦稱所以付授】與天人參相結連【天人一貫不可觧也】鉤攷之具不備故也【鉤攷督責之術也言惟無督責之術而以道相化故能如是故曰燒之剔之刻之雒之馬之死者十二三矣夫馬之性固真矣然其智至於詭竊者伯樂之罪也雖然九皇之制亦寓言耳夫太上無法而治安有受封之制哉契理之士要其防歸而遺其所寄可也】下之所逜【逜之言幹也】上之可蔽斯其離人情而失天節者也緩則怠急則困見間【一作門】則以竒相御人之情也【恆物之情緩之則怠急之則困故昔賢驅雞之喻戒在疾徐也間巇隙也方其鍵閉雖有竒計安得而抵之哉天節見上故於此具論人情】舉以八極信焉而弗信天之則也【八極八方之極四中四角是也淮南子曰八埏之外有八紘八紘之外有八極夫八極有之而以跡所不至更若誕謾故曰信焉而弗信也雖然以懸寓觀之八方上下無盡也亦無無盡無極也亦無無極故曰天之則也】差繆之間言不可合【孔墨之道同是堯舜同非桀紂而終不可合者其由此也】平不中律【小失聲韻則雖平不中律矣夫千里之失謬於毫釐而歴年之患誤在頃刻是故君子慎其小也】月望而晨月毀於天珠蛤蠃蚌虛於深渚【水岐成渚】上下同離也【言同氣附離而無間雖貍物潛於深渚與月盛衰更如在上也淮南子曰日至而糜鹿觧月死而嬴蚌膲】未令而知其為未使而知其徃上不加務而民自盡此化之期也使而不徃禁而不止上下乖謬者其道不相得也上統【一作紇】下撫者逺眾之慝也隂陽不接者其理無從相及也筭不相當者人不應上也符節亡此曷曾可合也為而無害成而不敗一人唱而萬人和如體之從心此政之期也蓋毋錦【一作緜】槓悉動者其要在一也【蓋無錦槓而撩輻俱動者其要在槓故也是故明主好要以一倡萬以錦韜槓故謂之錦槓爾雅曰素錦韜槓】未見不得其而能除其疾也文武交用而不得事實者法令放而無以梟之謂也【梟斬刑也此言法令不行小人敢為負謾而無忌憚也雖然秦以苛察相髙其徒文具耳而至於土崩更甚乎無法者無惻怛之實故也由是觀之內無至誠惻怛之實欲以一切從事於法則將以考真也適足以起偽將以稽治也適足以招亂】舍此而按之彼者曷曽可得也【南適而北轅矣】冥言易而如言難【言之不怍為之也難】故父不能得之於子而君弗能得之於臣【踐言之行雖在君臣父子之間如此況卑賤乎】已見天之所以信於物矣【無妄天之道也】未見人之所信於物也【不能似言】捐物任勢者天也【萬物盡無因任而已】捐物任勢【捐或作損】故莫能宰而不天【一本作得先之在古者道之理也損物任勢故莫能宰而不天其道如上故莫能宰之而莫不天焉】夫物故曲可改人可使【言茍為物矣無以有已如此以明天之不可轉徙也】法章物而不自許者天之道也【天法種種差別稽之天道豈得已哉姑以應世而已甚不自是也】以為奉教陳忠之臣未足恃也【此其勢必至於有法也】故法者曲制【曲為之制】官備主用也【官各守之以備主用】舉善不以窅窅【不以潛晦舉人之善必著見而後置之】拾過不以冥冥【不以隱匿拾人之過必發露而後廢之拾或作舍】決此【句】法之所貴也若礱磨不用賜物雖詘有不効者矣【言慶賞者勵世磨鈍之器也然而賞不能勸不勝罰不能必不可若砥礪不用之材而責有於無玉帛雖詘有不効者矣】上下有間於是設防知蔽並起【為之鬥斛以量之則並與鬥斛而竊之為之權衡以稱之則並與權衡而竊之】故政在私家而弗能取【政在大夫】重人掉權而弗能止賞加無功而弗能奪法廢不奉而弗能立罰行於非其人而弗能絶者不與其民之故也【與民共之而上下以道相維豈容至此哉屋漏知之在下船漏知之在上】夫使百姓釋已而以上為心者教之所期也八極之舉不能時賛故可壅塞也【所謂無障者四通六闢豈疑八極之舉而不能賛明哉湯之問棘是已】昔者有道之取政非於耳目也【神心恍惚俯仰之間再撫八極之外而裡之前耳不能聞牆之外目不能見故聖人之政恃道而不恃耳目】夫耳之主聽目之主明一葉蔽目不見太山兩豆塞耳不聞雷霆【膚寸之間小物足以障之何足恃哉】道開而否未之聞也【此明道之足恃也夫道開者雲霧不能礙其視雷霆不能亂其聽雖棲在蚊睫而視之若嵩華之阿戰於蝸角而聽之若齊魏之閧夫孰能否之】見遺不掇非人情也【言無是也此申未之聞也之況】信情脩【一作循】生非其天誅逆夫人僇【一本作逆天之人僇】不勝任也【不畏天禍人殃死地隨之而將以脩生此如戴粒之蟻欲以冠山何足以堪其任也】為成求得者事之所期【一作明】也【以為成功則天而得之不得曰有命者無所期焉是道也非事也】為之以民道之要也【民之所未安聖人不強行民之所未厭聖人不強去】唯民知極弗之代【一作伐】也【夫因人而不自任者天也民實知極聖人豈侵越而代之大司徒曰使民興賢出使長之使民興能入使治之】此聖王授【一作受】業所以守制也彼【一作被】教苦故民行薄【未至乎孩而始誰】失之本故爭於末【魚亡江湖而爭於濡沫】人有分於處處有分於地【各有分域】地有分於天【郢有天下案此注疑有脫誤】天有分於時【秦天早寒楚天早熱之類】時有分於數【春乗木數秋乗金數之類】數有分於度【取數多者脩取數少者促】度有分於一【一者度數之原隨所分而赴之譬之物焉一月普見眾水】天居髙而耳卑者此之謂也【天體蓋髙而其耳更卑者精神之運普徧萬物故也】故聖王天時人之地之雅無牧能因【一作用】無功多【一作多功夫文貫三為王蓋取諸此】尊君卑臣非計親也任賢使能非與處也【處故舊也言不以私恩廢天下之公義】水火不相入天之制也【水火以譬恩義蓋古之治天下者方其申至恩也公義不得奪方其申大義也私恩不得幹猶之水火焉相濟而不相入也雖然凡此人道而已若夫天道則又不在此域也故下文雲】明不能照者【所謂離朱索之而不得】道弗能得也規不能包者力弗能挈也【夫天地雖宻移而真體常住非若舟壑夜半負之而去夫孰能挈之】自知慧出【慧出一作惠之】使玉化為環玦者是政反為滑也【璞玉不毀孰為環玦玦半環也禮論曰絶人以玦反絶以環】田不因地形不能成谷【稻宜下地黍宜上地】為化不因民不能成俗嚴疾過也喜怒適也四者已仞非師術也【此言四者或過或適雖殊而逺離大道一也豈足以據師之席哉列子曰仞而有之皆惑也】形嗇【元作薔一本作蓋】而亂益者勢不相牧【一作收】也【形無以牧乎勢勢無以牧乎形故其如此】德與身存亡者未可以取法也【堯舜殂落其骨蓋已朽久矣而至今詠歎不息者豈系其身之存亡哉此萬世之法也】昔宥世者未有離天【或無天字】人而能善與國者也【與或作為善與國所與之國夫天不人不因人不天不成而畸於天人則其身之不能治況與國乎】先王之盛名未有非士之所立者也【引而髙之者天也】過生於上罪死於下濁世之所以為俗也一人乎一人乎命之所極也【此嘆辭也言命至君而極矣今貽厲階如此可不惜哉蓋痛之彌深其辭益緩詩人之義也】

聖王には微細を聴き出し、疑惑を決断する方法がある【一本は「聴」の下に二字が欠け、「微」の字がない】。讒言を屏退し、権衡して核実し、淫辞を遮り【楊朱・墨翟の類】、流言を杜絶し【管叔・蔡叔の類】、無用を除き【屠竜の技・刻楮の巧は、高妙と称してもそれを用いる所がない。案:「用之」一作「用也」】、朋党の門を杜塞し【俸禄で私交を養い、公家を背いて朋党のために死ぬ。潝潝として上を憂い、訾訾として己が上にふさわしくないを怕れる。このような門をどうして開けようか】、嫉妬する者を顕明にさせない【常に彼らを卑晦な所に置く】。君子・術数の士でなければ、そば近くに至ることを得ない。だから邪は奸を作すことができず、禍は中てることができない。天地が無窮たり得るのは、度量を守って滥にできないからである【これは「邪弗能奸、禍不能中」の譬え】。日は辰を越えず【日月の交会する所を辰という(底本は「所防」、四庫本は「所会」)】、月はその𠛱に止まる(底本のこの字は私用区、四庫本は「𠛱」、陸佃は辰次に止まるという)【その辰次に止まるということ】。この名に当たれば、この事に服す【箕の名に当たれば箕の事に服し、斗の名に当たれば斗の事に服す。他もこれに准ずる】。星は守って離れず【各々分域に止まる】。望・晦・朔は終始相巡り(一本は「選」)【日の昇降で晦朔となり、月の亏盈で望となる(底本は「成」の下に私用区の字が一つ多く、四庫本は「成望」)、反復して相尋ね、磨を転がし鋸を引くようで、どこに尽きることがあろうか】。年は一年、歳は一歳と積み重ね【年は禾の一熟を取り、歳は二熟に跨る】、用【或いは「肅」】いても縵縵たらず【縵縵は漫滅の貌】。これは天が手に執り、もって斗を臨制するものである【一本は「計」。斗が四方を臨制し四時を運行して終古差わないということ。そして天道はまた上に述べた通りで、さらにこれをもってそれを臨制する】。中にあって参して位を成す【一本は「伍」、一本は「五」。天地に参してその中に位を成すということ】。四気をもって政とする【政は四時に取法する】。前は張、後は極【張は南方の星、極は北方の星。あるいは張といい、あるいは極という。互いに帯びている】。左は角【一本は「魯」】、右は鉞(一本は「越」)【角は東方の星、鉞は西方の星。参伐はまた𫓧鉞という】。九文は理に循って官を省察し【一本は「宮」】、大小ともに挙げる【これは簡にして遺さないということ】。先に怨仇の患がなく、後に名を毀り行を敗る咎がない。だからその威は上は天に接し、下は地に交わり【「交」もとは「校」】、その沢は四面を覆って隔たらない【東に漸し西に被き、朔南まで至り、沛然として遮ること能わざるものなし】。天が背かないのは、「一」を離れないからである【万物に趣いても二つに分かれないということ】。天がもし一を離れれば、かえって還って物となる【天が万物と異なるのは、ただ一を抱くため。《字解》に曰く:一にして大なるは天、二にして小なるは示】。創めず作らず、天地と徳を合わせる【常に万物の自然(おのずから然ることであって「大自然」ではない)を輔け、妄為を敢えてしない。天は創めずして万物化し、地は作らずして万物育つ】。節と璽は互いに信じ合い、月が日に応じるようである【日は星に循って進退し、月は日に応じて生死す。信の極まるところ】。これが聖人の世に宜しい所以である。知が正を乱るに足り、謀略が禍に安んずるに足る——これは危国が安んじ得ず、亡国が存し得ない所以である【強が敵を拒ぐに足り、弁が非を飾るに足る、これが盗跖の救い難い所以】。だから天道はまず覆うこと能くする者を重んじ【天道は覆われることを肯んずる者のみ覆う。自ら絶てば、天もどうしようもない】、地道はまず載せること能くする者を重んじ【地道は載せられることを肯んずる者のみ載せる。自ら棄てれば、地もどうしようもない】、人道はまず事を為すこと能くする者を重んじる【柳下季に曰く:子が父の詔を聴かず、弟が兄の教を受けなければ、先生の弁才があっても、また彼をどうしようか】。酒保【「酒」一本或いは「借」】はまず食うこと能くする者を重んず【酒保は酒を売る者。これは天は覆うを貴び、地は載せるを貴び、人は事を貴ぶの譬えを申し述べたもの】。物に待ち【もと二字欠く】、気を領するは時なり【四時は各々一方の気を領す】。生殺は法なり(本書の法は、曲これ制し、官各々守りて以て主用に備うる一套のこと)。度に循って決断するは、天の節なり【物はずっと通じ得ない、だから度に循って隔てる。これが性命自然の節】。地を𠛱して之を守り、民を分かちて之を部す(「守」或いは「止」)【これは聖人が天の節に効い、度に循って決断するので、地に各々守があり、民に各々部がある。底本の「地」の上の一字は私用区で、四庫本は「𠛱」、一説に「列」のように読む】。寒き者は衣を得、飢えた者は食を得、冤む者は理を得、労れた者は息を得る——これは聖人の期するところである。衣を裁つに工匠を択ぶことを知り、国を裁つに人材を求めることを知る。これはもともと世の【一本は「所」の下に「以」の字あり】公共するものである(一本は「或」)【錦を織らせて人に学んで裁たせるようなことはない】。同じくして後に天を見ることができる【天道は一にして二なし。だから同の面から見れば、夷貉も一家】。異なって後に人を見ることができる【人道は二にして一ならず。だから異の面から見れば、肝膽も楚越となる】。変じて後に時を見ることができる【常に運行して止まず】。化して後に道を見ることができる【庚桑子に曰く:越鶏は鵠卵を孵すこと能わず、魯鶏はもとより能くす。南栄趎が南に行って老子に見えた、道の等級はこれで見られた】。利に臨んで後に信を見ることができ、財に臨んで後に仁を見ることができ、難に臨んで後に勇を見ることができる【繁霜勁風の後にこそ、草木の真性を分かつことができる】。事に臨んで後に術数の士を見ることができる。九皇の制【《春秋緯》に人皇兄弟九人が天下を分治したという。九皇の名号はこれに縁るのか】は、主は空しく王を為さず【王徳はすでに具わっている】、臣は空しく階級に貴ばず【列等の爵に虚授なし】。尊卑の名号【その名号を或卑或尊にするということ】は、各々君・吏・民を為し【各々君を為し、吏を為し、民を為す】、次一等は国なく【入って之を治めさせる】、寵栄を経歴し、文采歴録し【歴録は文采の貌。更歴寵栄して華焕かくのごとしという。《毛詩》伝に曰く:務は歴録なり】、付授する所に副贰し【封を受けた臣のみならず階梯に空しく貴ばず、国なき者も付授する所に符合する】、天・人と参互に結連す【天人一貫、解き得ない】。鉤考の器具が備わらないゆえに、かくのごとく能くする【鉤考は督責の術。督責の術がないからこそ、道をもって相化し、かくのごとく能くするのだということ。だから曰く:之を焼き、之を剔り、之を刻み、之を烙すれば、馬は死ぬこと十に二三。馬の性はもとより真なり、その智は詭詐窃盗に至る。伯楽の罪である。しかしながら、九皇の制もまた寓言である。太上は法なくして治む、どこに受封の制があろうか。理に契う者はその会帰を要とし(底本は「防帰」、四庫本は「会帰」)、寄託の一層を捨てればよい】。下が衝突する所【「逜」は干犯】には、上は蒙蔽され得る——これが人情を離れ、天節を失うことである。緩ければ怠り、急ければ困み、間隙を見れば【一本は「門」】奇計をもって抵当する——これが人の情である。【恒常の事物の情:緩けば怠り、急けば困む。だから昔賢の鶏を趕く譬えは、疾徐を戒める。間は隙である。鎖閉すべきときにあれば、奇計があっても、どこで抵当しようか。天節は上文に見えた、だからここに人情を詳論する】。八極をもって挙げるに、之を信じてまた之を信ぜず——これが天の則である。【八極は八方の極、四正四角のこと。《淮南子》に曰く:八埏の外に八紘あり、八紘の外に八極あり。八極はある、ただ足跡の及ばないゆえ、いよいよ荒誕のごとし。だから之を信じてまた之を信ぜないという。しかしながら、懸寓から見れば、八方上下に尽きることなく、また「尽きることなし」もなく、極なく、また「極なし」もなし。だからこれを天の則という】。差錯の間に、話は合わない【孔墨の道は、同じく堯舜にして同じく桀紂を非とす、ついに合わず、流弊(底本は私用区の字、四庫本は「弊」)はここから来る】。平らかにして律に中らず【声韻がほんの少し差われば、平らかでも律に中らない。千里の失は毫釐に差わり、歴年の患は頃刻に錯る。だから君子はその小なる一点を慎む】。月は朝に満ち、月は天に毀け欠け、珠蛤・螺蚌も深渚の中に空し【水が岔れて渚を成す】。上下ともに附離す。【同気附離して間隙なしということ。狸物が深渚に潜んでも、月に随って盛衰し、いよいよ上に在るがごとき。《淮南子》に曰く:日至れば糜鹿角解き、月死すれば蠃蚌瘦せる】。まだ令を下さざるに彼の為さんとすることを知り、まだ使わざるに彼の往かんとする所を知る。上が督促を加えずとも、民は自ら心を尽くす——これが化の期である。使うも往かず、禁ずるも止まず、上下乖謬するは、その道の合わないゆえである。上が統べ【一本は「紇」】、下が撫すは、衆を疏遠する奸慝である。陰陽接ぎ得ず、その理あい及ぶことなし。算計対せず、人は上に応ぜず。符節失えば、いつしかまた合せんや。為して害なく、成して敗れず、一人唱えて万人和し、身の心に従うがごとし——これが政の期である。錦杠なくして悉く動く【一本は「綿」】は、要領は「一」にあり【錦杠なくして輻条が一斉に動くは、要領は杠にある。だから明主は要を好み、一をもって万を倡う。錦をもって杠に韬るゆえ、錦杠という。《爾雅》に曰く:素錦は杠に韬る】。その竅(底本のこの字は生僻字、四庫本も欠编码、文意は「処/方」に近い)を得ずして病を除き得る者を見たことがない。文武交替して用いるも事実を得ないは、法令放縦にして断じることなきがゆえである【梟は斬刑。法令行われず、小人敢えて負謾の事を為して忌憚なしということ。しかしながら、秦は苛察をもって相標高とし、流弊(底本は私用区の字、四庫本は「弊」)はただ一紙の空文となり、土崩に落ちて、法なきに勝った。惻怛の実情がなかったからである。これより見れば、内に至誠惻怛の実なくして、一切の手段をもって法に従事せんと欲すれば:もとより真を考えんと欲して、ちょうど偽を起こすに足り、もとより治を考覈せんと欲して、ちょうど乱を招くに足る】。これを棄てて彼に拠れば、いつしか得んや【南に往きて北向の轅を套するがごとし】。暗いに曰うは易く、言に照らして行うは難し【言は出して愧ざるも、行うは難し】。だから父も子から得ること能わず、君も臣から得ること能わず【言を践んで行うは、君臣父子の間においてすらかくのごとし。いわんや卑賤の人においてをや】。すでに天が物に信を取る所以を見た【无妄は天の道】、まだ人が物に信を取る所以を見ず【人は言うがごとく能わず】。物を棄てて勢に任するは、天なり【万物は皆なく、ただ因任するのみ】。物を捐て勢に任せば【「捐」或いは「損」】、だから之を主宰し得る者なくして天に出ざるなし【一本は「得先之在古者、道之理也。損物任勢、故莫能宰而不天」。その道は上のごとし、だから之を主宰し得る者なく、しかも天に出ざるなし】。物はもとより曲げ改造すべく、人は使うべし【一旦物となれば、己なしということ。これをもって天の転徙すべからざるを明らかにす】。法は物を彰明するも自ら是とせざるは、天の道なり【天の法は種種差別あり、天道に之を考えれば、どこが得已ならん。姑く用いて世に応ず、甚だ自ら是とせず】。教を奉じ忠を陳る臣もなお恃むに足らざるとす【この勢は必ず法有るに落ちる】。だから法は曲がこれを制し【一々の処に制を立てる】、官は備えて主用に給す【官各々守りて、以て主用に備う】。善を挙ぐるに隱晦に憑らず【潜晦に憑って人の善を挙げず、必ず顕明なりて然る後に安置す】、過を拾うに冥冥に憑らず【隱匿に憑って人の過を拾わず、必ず敗露なりて然る後に廃す。「拾」或いは「舍」】。これを決断する【句】は、法の重んずる所なり。磨石用いざれば、賞賜の物は委曲すとも効なきものあり【慶賞は世を励まし鈍を磨く器具ということ。しかるに賞は動かざる者を勧め得ず、罰は必ずしも可ならざる者を禁じ得ない。磨石をもって用いざる材に求め、有を無に責求すれば、玉帛は委曲すとも効なきものあり】。上下に間隙あれば、ここに防を設け、知と蔽とともに起こる【之のために斗斛を作って量れば、斗斛を併せて窃み、之のために権衡を作って称えば、権衡を併せて窃む】。だから政は私家に在るも取りて還らず【政は大夫に在り】、権重き者は権柄を掉弄するも止め得ず、賞は功なき者の身に加わるも奪い還らず、法は廃れて奉る者なきも立て得ず、罰は罰すべからざる者の身に加わるも断じ絶えず——皆民と共有せざるがゆえである【民と共有し、上下道をもって相維繫すれば、どうしてこの歩に至らんや。屋漏れは下が知り、船漏れは上が知る】。百姓に己を放下させ、上をもって心と為すは、教の期するところである。八極の挙動に時をもって賛助し得ず、だから壅塞す【所謂无障とは、四通六辟して、どうして八極の挙動に光明を賛助し得ざるを疑わん。湯が棘に問うがこれ】。昔有道の者の政を取るや、耳目に憑らず【神心恍惚、俯仰の間に再び八極の外を撫す。里巷の前は耳聴こえず、墻の外は目見えず。だから聖人の政は、道に恃みて耳目に恃まず】。耳は聴を主どり、目は明を主どる。一葉眼を障えば、泰山を見ず。両豆耳を塞げば、雷霆を聴かず【肤寸の間、小物も障るに足る、何の恃む所あらん】。道開けてまた閉塞すとは、未だ之を聞かざるなり【これは道の恃むに足るを申明す。道開けたる者は、雲霧もその視を礙げず、雷霆もその聴を乱さず。蚊睫に栖るとも、見れば嵩華の山阿のごとく、蝸角に戦うとも、聴けば斉魏の哄閙のごとし。誰か之を閉塞し得ん】。堕ちたる物を見て拾わざるは、人情にあらず【かかる事なしということ。これは「未之聞也」を申す譬え】。情に任せて生を養うは【「修」一本は「循」】、天の誅せざるか、人の戮せざるか【一本は「逆天之人僇」】、是れ任に勝えず【天禍人殃を怕れず、死地が随って来るも、なおこれをもって生を養わんとす。螘が米粒を頂いて山を戴かんと欲するがごとし、どうしてこの任を担い得ん】。為して成を求め、得あるを求むるは、事の期するところなり【一本は「明」】【成功すれば天に帰し、得と不得とは皆命ありと言えば、期する所なし——彼は道なり、事にあらず】。之を為すに民をもってするは、道の要なり【民未だ安んぜざれば、聖人強いて行わず。民未だ厭わざれば、聖人強いて去らず】。ただ民の極を知るにして、彼らに代わるなかれ【一本は「伐」】【人に因任して自ら担当せざるは、天なり。民まことに極を知る、聖人どうして侵越して代わることがあらんや。《大司徒》に曰く:民に賢を挙げさせ、出使して彼らを長せしめ、民に能を挙げさせ、入使して彼らを治めしむ】。これは聖王の業を授け【一本は「受」】、以て制を守るなり。それ【一本は「被」】教太だ苦し、だから民の行薄し【孩提に至らずして「始めて以て誰か為す」】。本を失えば、だから末に争う【魚は江湖を離れ、湿沫の上に争う】。人は処に分あり、処は地に分あり【各々分域あり】、地は天に分あり【郢は天下有り。案:この注は脱誤あるを疑う】、天は時に分あり【秦地の天は早く寒く、楚地の天は早く熱き類】、時は数に分あり【春は木数に乗り、秋は金数に乗る類】、数は度に分あり【数多きを取れば長く、数少なきを取れば短し】、度は一に分あり【一は度数の源、分かつ所に随って之に赴く。月のごとく、一月衆水を普く照らす】。天高く住みて耳低きは、この意なり【天の体は大概高く、その耳はいよいよ低し。精神の運行が万物に普遍するがゆえ】。だから聖王は:之を天し、之を時し、之を人し、之を地す。雅正にして牧養なく、しかも因任し得【一本は「用」】、功なくして多し(一本は「多功」)【「王」の字は天・人・地の三つを貫く、大概ここに取法す】。君を尊び臣を卑しむるは、親疎を計るゆえにあらず。賢を任じ能を使うは、旧交のゆえにあらず【処は故旧。私恩をもって天下の公義を廃せざるということ】。水火あい入らざるは、天の制なり【水火は恩と義とを譬う。古の天下を治むるや:至恩を申るに当たっては、公義奪うこと能わず。大義を申るに当たっては、私恩干ること能わず。水火のごとく、相済すれどもあい入らず。しかしながら、凡そこれらは皆人道なり。天道に至りては、またこの域にあらず。だから下文に曰く】。明の照らし得ざる所【所謂離朱が尋ねて得ざる】は、道もまた得ること能わず。規矩の包み得ざるは、力もまた挙げること能わず【天地は密かに移るとも、真体常住し、舟壑の夜半に人に背負われて去るに似ず。誰か之を挙げ得ん】。己の知慧から出で【「慧出」一本は「恵之」】、玉をして環玦となさしむ——これは政かえって攪乱となる【璞玉毀れざれば、誰か環玦を作らん。玦は半環。《礼論》に曰く:人と交を絶つに玦を用い、絶交を復するに環を用いる】。田は地形に因らざれば、穀を出すこと能わず【稲は低地に宜しく、黍は高地に宜し】。化を施すに民に因らざれば、俗を成すこと能わず。厳急は過なり、喜怒は適なり。四者すでに自ら據有を認めば、師を為す術にあらず【これは四者或は過或は適と雖も同じからざれども、大道を離るるは一なりということ。どうして師の位に坐するに足らん。《列子》に曰く:仞にして之を有するは、皆惑なり】。形吝嗇し【もとは「薔」、一本は「蓋」】て乱かえって増すは、勢の相牧し得ざるなり【一本は「收」】【形は勢を牧するよりなく、勢は形を牧するよりなし、だから流弊(底本は私用区の字、四庫本は「弊」)かくのごとし】。徳が身に随って存亡するは、取法すべからず【堯舜死去して、骨大概朽ちて久し、今に至るまで詠嘆息まず、どうして身の存亡に係わらん。これは万世の法】。昔世を保ちし者は、天【或いは「天」の字なし】・人を離れて能く国家を交結するなし【「与」或いは「為」。与する所の国を善く交結す。天は人に因らざれば因らず、人は天成らざれば成らず。天人に畸れば、自身すら治め得ず、いわんや与する所の国においてをや】。先王の盛名は、士の樹てたるにあらざるなし【彼を高きに引くは天なり】。過は上に生じ、罪は下に死す——これは濁世の習俗と為る所以なり。一人か、一人か、命ここに至りて是れ極なり【これは嘆辞。命は君に至りて極となるということ。今禍端を留むることかくのごとし、痛惜せざるを得んや。痛み深きほど、辞いよいよ緩し、是れ詩人の義】。

環流第五

環流第五

有一而有氣【一者元氣之始】有氣而有意【意者沖氣所生】有意而有圖【可以象矣】有圖而有名【可以言矣】有名而有形有形而有事有事而有約【八者具矣而渾淪未離所謂混沌者也】約決而時生【時生或作時立決之為言判也】時立而物生【混沌開矣於是四時行焉百物生焉】故氣相加而為時約相加而為期期相加而為功功相加而為得失得失相加而為吉凶萬物相加而為勝敗莫不發於氣【氣所以發之】通於道【道所以通之】約於事【知道而已則蕩】正於時【知事而已則差】離【或作雜】於名【離如附離之離】成於法者也法之在此者謂之近其出化彼謂之逺近而【一本無而字】至故謂之神【明之在道者為神神之在器者為明】逺而反故謂之明【老子所謂逝曰逺逺曰反】明者在此其光照【或作昭】彼其事形此其功成彼【詩曰執轡如組蓋言此矣夫為組者緫紕於此成文於彼言其動於近行於逺也孔子曰為此詩者其知政乎執此法以御民豈有不化哉幹旄之忠告至矣】從此化彼者法也生法者我也【非我則無法】成法者彼也【非彼則無所用法】生法者日在而不厭者也【精神之運隨日以新】生成在己謂之聖人【彼我元同盛德之至】惟聖人究道之情唯道之法【非真混沌孰能如此】公政以明斗柄東指天下皆春斗柄南指天下皆夏斗柄西指天下皆秋斗柄北指天下皆冬斗柄運於上事立於下斗柄指一方四塞俱【或作皆】成此道之用法也【古之聖人不下席而天下治顔如渥丹肌膚若氷雪者用此道也而世之枯槁者昧此以為黃帝肌色皯黣而堯舜如臘此墨子之道也】故日月不足以言明四時不足以言功【言其明與功更在四時日月之上】一為之法以成其業故莫不道【民鹹用之】一之法立而萬物皆來屬【以出於一故萬物不能二也】法貴如言【無信不立】言者萬物之宗也是者法之所與親也非者法之所與離也是與法親故強非與法離故亡法不如言故亂其宗故生法者命也生於法者亦命也【莫非命也】命者自然者也【莫能使之然亦莫能使之不然謂之自然】命之所立賢不必得不肖不必失【命曰彭祖之智不出堯舜之上而夀八百顔淵之才不出眾人之下而夀十八仲尼之德不出諸侯之下而困於陳蔡殷紂之行不出三仁之上而居君位蓋言此矣】命者挈己之文【一作父】者也【夫身在草萊而挈之浮榮之上者命也然而俯仰百年恍然如夣是文也非實也】故有一日之命有一年之命有一時之命有終身之命終身之命無時成者也故命無所不在無所不施【或作絶】無所不及【言無適而無有命也】時或後而得之命也既有時有命【時者天之運命者天之令南華曰諱窮久矣而不免命也求通久矣而不得時也】引其聲合之名其得時者成命日調引其聲合之名其失時者精神俱亡命日乖【夫嚬其裡一也而醜人獻之更増其陋】時命者唯聖人而後能決之【南華曰知通之有時知窮之有命臨大難而不懼者聖人之勇也】夫先王之道備然而世有困君【或作居】其失之謂者也【禮義法度應時而變時命不停法亦隨故而昧者膠柱刻舟守先王之腐餘其道雖備而只益困窮此猶枕臥芻狗而更以遭魘豈易怛也哉】故所謂道者無己【無己元作己無】者也【隨之而已】所謂德者能得人者也【亦不失己】道德之法萬物取業【所謂資而不匱者也】無形有分名曰大孰【或作敦不知其誰之子也】故東西南北之道踹【一作端】然其為分等也【南華曰知東西之相反而不可以相無則功分定矣】隂陽不同氣然其為和同也酸鹽甘苦之味相反然其為善均也【南華曰柤梨橘柚其味相反而皆可於口】五色不同採然其為好齊也五聲不同均然其可喜一也【凡此五者以譬先王之道不矜於同而矜於治】故物無非類者動靜無非氣者是故有人將【一本作一人將蓋一人之將案一本無蓋字】得一人氣吉有家將【一家之將】得一家氣吉有國將【將一國者】得一國氣吉【古人有言戰猶博也錢多則氣豪而勝資少則心怯而輸然則將之吉凶在氣兵法曰朝氣銳晝氣惰暮氣歸善用兵者避其銳氣撃其惰歸】其將【一本將字下有失字】兇者反此故同之謂一異之謂道相勝之謂勢吉凶之謂成敗賢【一本賢字上有故字】者萬舉而一失不肖者萬舉而一得其冀【或作共】善一也然則其所以為者不可一也知一之不可一也故貴道【異之謂道】空之謂一【空一作同萬物莫不無】無不備之謂道【萬物莫不有】立之謂氣通之謂類氣之害人者謂之不適味之害人者謂之毒夫社【夫社元作天社或作天杜】不防則不成霧【或作霧氣防之為言猶曰達也此言亡國之社屋之不受天陽故無以成霧蓋大社不屋而壇以受霜露之氣然後霧生焉正言社與霧者社以申立之謂氣之義霧以申通之謂類之義】氣故相利相害也【太公調曰隂陽相照相蓋相治四時相代相生相殺】類故相成相敗也【夏者春之類冬者秋之類他皆放此】積徃生跂【或作政】工【或作王】以為師【跂跛倚也師如師巫之師巫歩多跛故積徃生跂工以為師揚子曰昔者姒氏治水土而巫歩多禹扁鵲盧人也而醫多盧】積毒成藥工以為醫【此言藥之跡起而醫生焉蓋天下之多縁故跡而生故大盜貸仁義以竊國小儒借詩禮而發冡故曰焉知曽史不為桀蹠之嚆矢也】美惡相飾命曰復周物極則反命曰環流【言其周流如環】

「一」があって、それから気がある【「一」は元気の始まり】。気があって、それから意がある【「意」は沖気から生まれる】。意があって、それから図がある【象を取ることができる】。図があって、それから名がある【称説することができる】。名があって、それから形がある。形があって、それから事がある。事があって、それから約がある【一・気・意・図・名・形・事・約の八つがすべて具わって、なお渾淪が分離していないのが、いわゆる混沌】。約が一たび決れ開けば、時が生まれる【「時生」或いは「時立」。「決」は判れ開くことをいう】。時が一たび立ち定まれば、物が生まれる【混沌が開けて、ここに四時運行し、百物生長する】。だから気と気とが加われば時となり、約と約とが加われば期となり、期と期とが加われば功となり、功と功とが加われば得失となり、得失と得失とが加われば吉凶となり、万物と万物とが加われば勝敗となる。気の中から発し出ないものはなく【気はそれを発するためのもの】、道の上で貫き【道はそれを通ずるためのもの】、事の上で要約し【ただ道のみを知れば蕩れる】、時の上で端正し【ただ事のみを知れば差わる】、名の上に附着し【或いは「雑」。「離」は「附離」の離のごとし】、法の上で成就する。法がこちらにあるのを近といい、それが出て行って彼方を化するのを遠という。近にして【一本は「而」の字なし】能く至るゆえに、神という【道に落ちる明は神、器に落ちる神は明】。遠くしてまた能く返るゆえに、明という【老子のいう:逝を遠といい、遠を反という】。明はこちらにあって、その光が彼方に照り【或いは「昭」】、事がこちらで形を成し、功業が彼方で成就する【(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた)《詩・邶風・簡兮》に曰く:「轡を執ること組のごとし」、大概これをいうのであろう。組を編む者は、こちらで糸縷を総めて、彼方で花紋を成す——動くのは近くにあって行き届くのは遠くということ。孔子に曰く:この詩を作った者は、大概為政を知っていたのであろう。この法をもって百姓を御せば、どうして化せられぬ者があろうか。《鄘風・干旄》の忠告は極まっている】。こちらから彼方を化するは、法なり。法を生ずるは我なり【我なくんば法なし】、法を成すは彼なり【彼なくんば法は成らず……たとえば箕子・比干の三仁の上に、かえって君位が坐している——大概これをいうのであろう】。命は、己の「文」を提げるものである【一本は「父」】【身はまだ草莱の中にありながら、浮華栄耀の上に提げられるのが命。しかし俯仰百年、恍然として一場の夢のごとし——これは文であって実ではない】。だから一日の命があり、一年の命があり、一時の命があり、終身の命がある。終身の命は、どの時かによらずして成るものではない。だから命は在る所なくしてなく、施す所なくしてなく【或いは「絶」】、至らざる所なし【どこへ行っても、命のない一処はないということ】。時は時に遅く来ることもあれど、それでも得ることは命なり。時あり命あるからには【時は天の運行、命は天の令。南華(《荘子》)に曰く:窮を忌むこと久しきに、免れざるは命なり。通を求むること久しきに、得ざるは時なり】その声を引出し、その名に合わせて、時を得た者は成就して、命は日々に調順となる。その声を引出し、その名に合わせても、時を失った者は精神とともに亡失して、命は日々に乖離す【眉を顰めて郷里に見せるは同一の事であるが、醜い者がこれを献ずれば、かえってその陋を増す】。時と命とは、聖人にして然る後に能く之を決断する【南華に曰く:通に時あるを知り、窮に命あるを知り、大難に臨んで懼れざるは、聖人の勇なり】。先王の道は備わっている、しかるに世に困窘の君あるは【或いは「居」】——則ち所謂それを失う者である【礼義法度は時に応じて変わり、時命は停まらず、法もまたこれに随って変わる。而も昧る者は瑟の柱に膠着し、船に刻んで記をなし、先王の腐朽した余物を守れば、その道は備わっていても、ただいよいよ困窮するのみ。これは芻狗(祭祀に用いる草の犬、用い終われば棄てる)を枕にして寝て、かえってこれによって魘夢を見るがごとし——どうして容易に驚かざるを得ようか】。だから所謂道とは、己無きなり【「无己」原本は「己无」】【ただ随うのみ】。所謂徳とは、人を得る能くするなり【また己を失わず】。道徳の法は、万物そこより業を取る【則ち所謂資取して匱乏せざる】。形なくして分際あり、名字を大孰と曰う【或いは「敦」。それが誰の子かを知らず(老子の所謂「吾れ誰が子かを知らず」)】。だから東西南北の道は踹然として分かち立ち【一本は「端」】、その分は相等しい【南華に曰く:東西相反じて相い無くすべからざるを知れば、功分定まる】。陰陽の気は同じからず、しかるにその「和」を成すは同じ。酸・鹹・甘・苦の味は相反する、しかるにその「善」を為すは均平なり。五色の采は同じからず、しかるにその「好」を為すは斉一なり。五声の均は同じからず、しかるにその喜ぶべきは一なり【この五つは皆もって先王の道を譬う:同において矜夸せず、治において矜夸す】。だから物は類ならざるなく、動静は気ならざるなし。だから人有りて将を為せば【一本は「一人将」、大概一人の将。案:一本は「盖」の字なし】、一人の気を得れば吉なり。家有りて将を為せば【一家の将】、一家の気を得れば吉なり。国有りて将を為せば【一国を将たる】、一国の気を得れば吉なり【古人の言有り:戦うは賭博のごとし、銭多ければ気豪にして勝ち、資少なければ心怯えて負く。然れば将の吉凶は気に在り。《孫子兵法》に曰く:朝の気は鋭く、昼の気は惰り、暮の気は帰す。善く兵を用うる者は、鋭気を避け、惰帰を撃つ】。その将【一本は「将」の字の下に「失」の字あり】凶なるは、これと反す。だから同を「一」と曰い、異を道と曰い、相い勝るを勢と曰い、吉凶を成敗と曰う。賢き者は【一本は「賢」の字の上に「故」の字あり】万挙して一失あり、不肖の者は万挙して一得あり。彼らの冀望する【或いは「共」】善は同じ、しかるにその以て為す所以の法は斉一すべからず。「一」の斉一すべからざるを知るゆえに、道を重んず【異を道と曰う】。空を「一」と曰う【「空」一本は「同」。万物は无ならざるなし】、具わらざるなきを道と曰う【万物は有ならざるなし】。立を気と曰い、通を類と曰う。気の人を害するを不适と曰い、味の人を害するを毒と曰う。夫社【「夫社」原本は「天社」、或いは「天杜」】は防がざれば霧を成す能わず【或いは「霧気」。「防」は猶「達」のごとしと曰う。これは亡国の社は屋を蓋い、天陽を受けず、ゆえに霧を成す法なしということ。大概大社は屋を蓋わず、ただ壇を築き、もって霜露の気を受け、然る後に霧生ず。特に社と霧とを言うは、社は以て「立を気と曰う」の意を申し、霧は以て「通を類と曰う」の意を申す】。気は以て相利し相害し【太公調(《荘子・則陽》の人)に曰く:陰陽は相照らし、相蓋(害)い、相治め、四時は相代わり、相生じ、相殺す】、類は以て相成り相敗る【夏は春の類、冬は秋の類、他は皆これに准ず】。往を積めば跂を生じ【或いは「政」】、工は以て師と為す【「跂」は跛倚。師は師巫の師のごとし。巫の歩は多く跛なり、ゆえに往を積めば跂を生じ、工は以て師と為す。揚雄に曰く:昔姒氏(夏禹)は水土を治めしが、しかして巫の歩は多く禹に似たり。扁鵲は盧の人にして、医は多く盧より出づ】。毒を積めば薬を成し、工は以て医と為す【これは薬の跡興りて、医ここより生ずということ。大概天下の(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた)多くは旧跡に縁って生ず。ゆえに大盗は仁義を借りて国を窃み、小儒は詩礼を借りて墳を掘る。ゆえに曰く:どうして曽参・史魚が桀・跖の嚆矢(響き鳴る矢、先声)とならざるを知らんや】。美と悪と相い文飾するを復周と曰い、物極まって返るを環流と曰う【その周流して環のごときをいう】。

道端第六

道端第六

天者萬物所以得立也【萬物待是而後存者天也】地者萬物所以得安也【天父道也地母道也】故天定之地處之時發之物受之聖人象之夫寒溫之變非一精之所化也【五精化氣然後寒暑成焉】天下之事非一人之所能獨知也海水廣大非獨仰一川之流也【堯十年九潦而水不為加益湯八年七旱而水不為加損是豈仰一川之鐘哉】是以明主之治世也急於求人弗獨為也【與人共之】與天【一作人】與地【亦與天地共之】建立四維【禮義亷恥謂之四維】以輔國政鉤繩相布【一作希】銜橛相制參偶具備立位乃固經【元作織】氣有常理以天地動逆天時不祥有祟事不任賢無功必敗出究其道入窮其變張軍衞外禍反在內【所謂季孫之憂不在顓臾而在蕭牆之內也】所備甚逺賊在所愛是以先王置士也舉賢用能無阿於世仁人居左【春以生之象仁】忠臣居前【南方著見象忠】義臣居右【秋以成之象義】聖人居後【北方秘密象聖】左法仁則春生殖前法忠則夏功立右法義則秋成熟後法聖則冬閉蔵先王用之髙而不墜安而不亡此萬物之本天地之門戶【本門戶雲者以結左仁右義前忠後聖而春生夏立秋成熟冬閉蔵之義】道德之益也此四大夫【或無夫字】者君之所取於外也君者天也【左右前後共法四時故君象天焉】天不開門戶使下相害也【東不法仁西不法義南不法忠北不法聖則天之門戶塞矣】進賢受上賞則下不相蔽【脩文殿御覧引鶡冠子曰進賢者受上賞則下不蔽善為政者賞之不多而民喜罰之不多而民畏焉此謂進既仕之賢者也】不待事人賢士顯不蔽之功【信雖非事人賢士而進之受賞則任事之臣勸矣故下文雲】則任事之人莫不盡忠【繁露曰一中為忠二之則為患】鄉曲慕義【邦國欣慕斯可知矣】化坐自端【羊肉不慕蟻蟻慕羶也故彼雖慕義而我之化坐自端化坐自端言恭已正南面而已】此其道之所致德之所成也本出一人故謂之天【無二上也】莫不受命不可為名故謂之神【妙萬物而為言也】至神之極見之不忒【一作惑契此道者豈有差哉】匈乖不惑務正一國【災變之至無所怛惑姑以天下大理考正吾國之失而已豈曰天之有某變也以我為有某事而致也哉】一國之刑具在於身【刑于寡妻至於兄弟以御於家邦】以身老【一作考】世【以救於世而老】正以錯國服義行仁以一正業【案正業一作王業】夫仁者君之操也義者君之行也忠者君之政也信者君之教也聖人者君之師傅也君道知人臣術知事故臨貨分財使仁犯患應難使勇受言結辭使辯慮事定計使智理民處平使謙賔奏賛見使禮【賔奏言擯賛見言詔記曰禮有擯詔樂有相歩溫之至也】用民獲眾使賢出封越境適絶國使信制天地御諸侯使聖【因任之道此其大略也甞試論之古之明王無為而用天下也豈特使仁使勇使辯使智使謙使禮使賢使信使聖哉雖天刑人僇之餘尚無棄者也故戚施直鎛籧篨防璆侏儒扶盧防瞍脩聲聾者司火眇者督繩劓者抱關刖者守囿嚚瘖跛躃以實裔土夫如是故上無遺事下無棄才三代之所以安且久者用此道也雖然知所使仁而不知其仁有大小知所使智而不知其智有逺近未可也故曰孟公綽以為趙魏老則優而不可以為滕薛大夫雍也可使南面赤也可使與賔客言也求也百乗之家可使為之宰也由也千乗之國可使治其賦也由是觀之則此書所云亦因任之大凡而已莊子曰因任已明而原省次之因任如此然後可以原省故下文雲案人僇一本作人傪非】夫仁之功善與不爭下不怨上辯士之功釋怨解難智士之功事至而治難至而應忠臣之功正言直行矯拂王過義臣之功存亡繼絶救弱誅暴信臣之功正不易言貞謙之功廢私立公【韓非子曰自營為私背私為公】禮臣之功尊君卑臣賢士之功敵國憚之四境不侵聖人之功定製於冥冥求至欲得言聽行從近親逺附明達四通【由是而上至於冥冥聖人之任也】內有挾度【操以為驗所謂道揆者是也】然後有以【一本無然以二字】量人【無節於內觀物弗之察矣】富者觀其所予足以知仁貴者觀其所舉足以知忠觀其大袢【或作伴或作祥】長不讓少貴不讓賤足以知禮達【或作迭】觀其所不行足以知義受官任治觀其去就足以知智迫之不懼足以知勇口利辭巧足以知辯使之不隱足以知信貧者觀其所不取足以知亷賤者觀其所不為足以知賢測深觀天足以知聖【因任原省之要在於知人而知人在於有以觀之孔子曰視其所以觀其所由察其所安人焉瘦哉故此文具論之】第不失次理不相舛【一本作奸一本作拏】近塞逺閉備元變成【元者備之所以不困成者變之所以不倦】明事知分度數獨行無道之君任用麼麼【麼麼一作幼歴麼細人俊雄之反】動即煩濁有道之君任用俊雄動則明白二者先定素立白參【立白參一本作七一曰藻藻一作慕】明起【白參於下明起於上參垂貎也】氣榮相宰【君臣同體之況言氣不言血言榮不言衛相備也】上合其符下稽其實時君【時君一作時日一作貧意生期待時而發夫賢士之居邑里也合哉而難同而殊知時日】遇人有德【一作隱】君子至門不言而信萬民附親遇人暴驕萬民流離【一本作離流】上下相疑復而如環【一作不環】日夜相撓諫者弗受言者危身無從聞過故大臣偽而不忠是以為人君親其民如子者弗召自來【靈臺之效是矣】故曰有光卒於美名不施而責弗受【或作愛】而求親故曰有殃卒於不祥夫長者之事其君也調而和【一作知】之士於純【一作屯】厚【士如勿士行枚之士】引而化之天下好【或作如】之其道日從故卒必昌夫小人之事其君也務蔽其明塞其聽乗其威以灼熱人【倚上之威作人寒燠】天下惡之其崇日兇故卒必敗禍及族人此君臣之變治亂之分興壞之關梁國家之閱也【閱猶監也】逆順利害由此出生凡可無學而能者唯息與食也故先王傳【或作博】道【先王一作先生】以相効屬也賢君循成法後世久長隋君不從當世滅亡【禹之法猶存而夏不世王者由是故也】

天は、万物が立つ能くする所以である【万物がこれを待って然る後に存し得るものが天】。地は、万物が安く処る能くする所以である【天は父の道、地は母の道】。だから天はそれに時を定め、地はそれに処所を与え、時令はそれを発動させ、物は来て受け、聖人はそれに取法する。寒温の変化は、一種の精の化し成す能くするところではない【五精が化して気を成し、然る後に寒暑が成る】。天下の事は、一人の独り知る能くするところではない。海水は広大なれど、ただ一つの川流に仰ぐにあらず【尭は十年のうち九たび涝れども、水はこれによって増さず。湯は八年のうち七たび旱れども、水はこれによって減らず。これどこに一つの川流の蓄うる所に仰がんや】。だから明主の世を治むるは、人を求むるに急にして、独りでこれを為さず【人とともに之を有す】。天に与し【一本は「人」】地に与し【また天地とともに之を有す】、四維を建てて【礼・義・廉・恥を四維という】国政を輔く。鈎と縄と相い布置し【一本は「希」】、銜と橛と相い制約し、参と偶と皆具わりて、立てた位始めて固し。経【原本は「織」】気に常理あり、天地に按して動く。天時に逆らえば不祥にして禍祟あり。事を為すに賢人を任ぜざれば、功なくして必ず敗る。出でてその道を窮め、入りてその変を窮む。軍隊を張りて外を守衛せば、禍はかえって内に在り【所謂季孫の憂は顓臾に在らずして蕭牆の内に在り(《論語・季氏》)】。防ぐは遠くして、賊は愛する所の人の中に在り。だから先王は士を設け、賢を挙げ能を用い、世俗に迎合せず。仁人は左に居り【春は生発をもって仁に取象す】、忠臣は前に居り【南方は顕著見え、忠に取象す】、義臣は右に居り【秋は成就をもって義に取象す】、聖人は後に居り【北方は隠密にして、聖に取象す】。左は仁に法れば、春は生殖す。前は忠に法れば、夏は功業を成し立つ。右は義に法れば、秋は成熟す。後は聖に法れば、冬は閉蔵す。先王はこれを用いて、高くして墜ちず、安くして亡びず。これは万物の本柢(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた;通行本は「柢」)、天地の門戸であり【「本柢門戸」というは、以て左仁右義・前忠後聖、および春生・夏立・秋成熟・冬閉蔵の意を収結する】、道徳の増益である。この四大夫(仁人・忠臣・義臣・聖人)【或いは「夫」の字なし】は、君が外より取るものである。君は則ち天なり【左右前后ともに四時に取法すゆえ、君は天に取象す】。天は門戸を開きて下をして相い傷害せしめず【東は仁に法らず、西は義に法らず、南は忠に法らず、北は聖に法らざれば、天の門戸は則ち塞がる】。賢を進むる者は上等の賞を受くれば、下は相い遮蔽せず【《修文殿御覧》が《鶡冠子》を引いて曰く:賢を進むる者は上等の賞を受け、下は善を遮蔽せず。政を為す者は、賞多からざるに民喜び、罰多からざるに民畏る。これはすでに仕えた賢者を進用することをいう】。すでに人主に事えたを待たずして、賢士は遮蔽せざる功を顕出し【誠に、すでに人主に事えた賢士ならざるをも、彼らを進用し賞を受けしめれば、職に任じ事を辨ずる臣もまた勧勉を受く。ゆえに下文に曰く】、職に任じ事を辨ずる者は忠を尽くさざるなし【《春秋繁露》に曰く:一心二なきを忠と曰い、二心有れば患と為る】。郷曲は義を慕い【邦国欣慕すれば、このによりて知るべし】、教化は坐して自ら端正す【羊肉は螘を羨まず、螘は羶を羨む。ゆえに彼は義を慕うといえども、我が教化は坐して自ら端正す。「化坐自端」は己を恭くして南面を正しくするのみ(《論語》の舜の無為にして治める語)ということ】。これは道の致す所、徳の成す所なり。本は一人より出づ、ゆえに之を天と曰う【上に第二なし】。命令を受けざる者なく、それに名称を与うべからず、ゆえに之を神と曰う【その万物に神妙なるに就いていう】。神の極に至れば、之を視るに差錯なし【一本は「惑」。この道に契合する者、どうして差錯あらんや】。胸中乖迕するも迷惑せず、一国を端正せんことを務む【災変来たるも、怕るべく惑うべきなし。姑く天下の大理をもって我国の過失を考正するのみ。どうして天に某の変あるがごときは、我に某の事あるゆえに招来せしというを言わんや】。一国の典範は皆己の身に在り【《詩経》に曰く:嫡妻に典範を為し、兄弟に推し、以て家と邦とを治む】。自身をもって世に終老す【一本は「考」】【以てこの世を救い、因りて終老す】。端正し以て国家を措置し、義を服し仁を行い、「一」を以て事業を端正す【案:「正業」一本は「王業」】。仁は君の操持、義は君の行事、忠は君の政、信は君の教、聖人は君の師傅なり。君の道は人を知るに在り、臣の術は事を知るに在り。だから貨物に対し財物を分配するは、仁の者を用い。患難に触犯し危難に応対するは、勇の者を用い。言辞を受け文辞を結撰するは、弁の者を用い。事情を謀慮し計策を確定するは、智の者を用い。人民を治め処置公平ならしむるは、謙の者を用い。賓奏・賛見は、礼を知る者を用い【「賓奏」は擯(賓客を導く儐相)をいい、「賛見」は詔(名を唱えて引見する)をいう。《礼記》に曰く:礼に擯あり詔あり、楽に相あり歩あり、是れ温厚の極まりなり】。人民を使用し群衆を獲得するは、賢の者を用い。封疆を出で辺境を越え絶遠の国に至るは、信を守る者を用い。天地を裁制し諸侯を駕御するは、聖の者を用い【因任(各々の能くする所に按して任用する)の道、これその大略なり。試しに之を論ぜん:古の明王は無為にして天下を用いたり、どうしてただ仁・勇・弁・智・謙・礼・賢・信・聖を使うのみならんや。天刑人戮の余りといえども、なお棄てられざる者有りき。ゆえに戚施(背中の曲がりて仰げざる者)は鎛鐘を持たせ、籧篨(胸の突き出て俯せざる者)は璆玉を蒙らせ(底本は「防」、「防」は「蒙」の讹)、侏儒は戟柄を扶えさせ、蒙瞍(盲の楽師)は音声を修習せしめ(底本は「防」、「防」は「蒙」の讹)、聾の者は火を掌らせ、瞎一目の者は墨線を督察せしめ、鼻を割かれた者は門を守らせ、脚を斫られた者は園囿を守らせ、愚頑・唖・跛脚の者は以て辺遠の地を充実せしむ。このごとくにして、ゆえに上に落下の事なく、下に棄てられたる才なし。三代の安くして久しき所以は、この道を用いしなり。しかしながら、ただ仁を使うべきを知りて仁に大小あるを知らず、ただ智を使うべきを知りて智に遠近あるを知らざれば、なお不可なり。ゆえに曰く:孟公綽は趙魏の家臣と為せば才力余りあり、しかも滕薛の大夫と為ること能わず。冉雍は南面せしむべく、公西赤は賓客と交談せしむべく、冉求は百乗の家に宰と為さしむべく、仲由は千乗の国に軍賦を治めしむべし。これにより見れば、この書の言う所は、ただ因任の大凡のみなり。《荘子》に曰く:因任すでに明らかなれば、原省(原を推し省を察す)則ち其の次に在り。因任此の歩に至りて、然る後に乃ち原省すべし、ゆえに下文に曰く。案:「人僇」一本は「人傪」、非なり】仁の功労は善を為し、与えて争わず、下は上を怨まず。弁士の功労は怨恨を消解し、危難を解く。智士の功労は事至れば能く治め、難至れば能く応ず。忠臣の功労は正言直行し、君の過を矯正す。義臣の功労は亡ぶ所を存じ、絶えたる所を接ぎ、弱小を救助し、残暴を誅討す。信臣の功労は正にして口を改めず。貞謙の功労は私を廃し、公を立つ【韓非に曰く:己のために謀るを私と曰い、私に背くを公と曰う】。礼臣の功労は君を尊ばしめ臣を卑しむ。賢士の功労は敵国彼を忌み惮り、四境侵されず。聖人の功労は冥冥の中に法度を制定し、求むる者来たり要する者得、言えば人聴き、行えば人従い、近きは親しみ遠きは附き、明達四方通暢す【ここより再び上りて冥冥に至るは、聖人の職任】。内に持する法度あり【操持して以て核験に当たる、則ち所謂「道揆」】、然る後に乃ち以て人を衡量する有り【或る本は「然以」の二字なし】【内に節度なくんば、外物を観れば察明らかならず】。富める者はその与える所を視れば、以て仁を知るに足る。貴き者はその挙薦する所を視れば、以て忠を知るに足る。その大祥の上を視るに【或いは「伴」、或いは「祥」】、年長の者年少に譲らず、尊貴の者低賎に譲らざれば、以て礼を知るに足る。通達に【或いは「迭」】その為さざる所を視れば、以て義を知るに足る。官職を受け治理に任ずるに、その去就を視れば、以て智を知るに足る。之を逼迫するも懼れざれば、以て勇を知るに足る。口歯便利・辞令巧妙なれば、以て弁を知るに足る。之を使うも隠瞞せざれば、以て信を知るに足る。貧しき者はその取らざる所を視れば、以て廉を知るに足る。賎しき者はその為さざる所を視れば、以て賢を知るに足る。深遠を測度し天を観察せば、以て聖を知るに足る【因任・原省の要領は人を知るに在り、人を知るは観察の法あるに在り。孔子に曰く:その以て為す所を視、その由る所を観、その安んずる所を察すれば、人またどこに藏れんや(底本は「瘦」、「瘦」は「廋」の讹)。ゆえにこの段はこれらを悉く論じ尽くす】。等第は次序を乱らず、条理は相い錯乱せず【一本は「奸」、一本は「拏」】。近処は堵え、遠処は閉ざし、備と元、変と成【「元」は「備」の困頓せざる所以の者、「成」は「変」の疲倦せざる所以の者】。事を明らかにし分寸を知れば、度数は独り運行す。無道の君は么么を任用し【「么么」一本は「幼历」。「么」は細微の人、俊雄の反対】、一動すれば煩濁す。有道の君は俊雄を任用し、一動すれば明白なり。両者先づ定まりて、素立ち白参し【「立白参」一本は「七」;一説は「藻」に作り、「藻」また「慕」に作る】、光明昇り起こる【白参は下に在り、明は上に起こる。「参」は下垂の貌】。気と栄と相い主宰す【これは君臣同一体の譬え:気を言うて血を言わず、栄(栄養の一路)を言うて衛(衛護の一路)を言わざるは、互いに補足するなり】。上はその符に合し、下はその実を核験す。時君【「時君」一本は「時日」、一本は「貧」。意は:期待を生じ、時到りて然る後に発す。賢士郷邑に居り、合うも同じく難く、また両様なり。是れ時日を知るなり】有德の者に遇えば【一本は「隠」】、君子門前に至り、言わずして人の信を得、万民来たり依附し親しむ。暴虐驕横の者に遇えば、万民流離す【一本は「離流」】。上下相い懐疑し、反復環のごとく【一本は「不環」】、日夜相い攪擾し、進諫するも受けられず、言えば身に害し、過を聞く由なし。ゆえに大臣は偽を為して忠ならず。だから人君たるは、その民を親しむこと子を親しむがごとくせば、召さずして自ら来たる【《詩経》の霊台を築き百姓自ら来たる効験は則ちこれ】。ゆえに曰く:光有りて、終に美名を得る。施与せずして責求し、収納せずして【或いは「愛」】親近を求むれば、ゆえに曰く:殃有りて、終に不祥に落る。長者その君に事えるは、調和して之を和洽し【一本は「知」】、純厚に従事し【一本は「屯」。「士」は「勿士行枚」の「士」のごとく、従事の意】、引導して教化せば、天下之を好み【或いは「如」】、その道日々に人に跟従され、ゆえに終に必ず昌盛す。小人その君に事えるは、専らその明を遮蔽しその聴を堵塞し、その威を借りて人を灼熱し【上の威を倚仗し、人をして忽寒忽熱せしむ】、天下之を悪み、その禍祟日々に凶なり。ゆえに終に必ず敗れ、禍は族人に及ぶ。これは君臣の変、治乱の分、興壊の関梁、国家の閲視なり【「閲」は猶監察のごとし】。逆順利害はここより生ず。凡そ学ばずして能くするは、ただ呼吸と飲食のみ。ゆえに先王は道を伝え【或いは「博」】【「先王」一本は「先生」】、以て相い效法し連属す。賢君は既成の法に遵循せば、後世長久なり。惰君(底本は「隋君」、「隋」は「惰」の讹)は従わざれば、当世即ち滅亡す【禹の法はなお存れども、夏は世々王たる能わざりしは、則ちこのゆえなり】。

近迭第七

近迭第七

龐子問鶡冠子曰聖人之道何先鶡冠子曰先人龐子曰人道何先鶡冠子曰先兵龐子曰何以舍天而先人乎鶡冠子曰天髙而難知有福不可請有禍不可避法天則戾地廣大深厚多利【一作則】而鮮威【天尊而不親地親而不尊】法地則辱時舉錯代更無一法時則貳三者不可以立化樹俗故聖人弗法龐子曰隂陽何若鶡冠子曰神靈威明與天合【神之精明曰靈】勾萌動作與地俱【屈生曰勾】隂陽寒暑與時至三者聖人存則治亡則亂是故先人富則驕貴則嬴兵者百歳不一用然不可一日忘也是故人道先兵龐子曰先兵奈何鶡冠子曰兵者禮義忠信也龐子曰願聞兵義鶡冠子曰失道故敢以賤逆貴不義故敢以小侵大龐子曰用之奈何鶡冠子曰行枉則禁反正則舍是故不殺降人【鷹不擊伏況於人乎】主道所髙莫貴約束得地失信聖王弗據倍言負約各將有故龎子曰弟子聞之曰地大者國實民眾者兵強兵強者先得意於天下今以所見合【一本作舍】所不見蓋殆【一本作系一本作治】不然今大國之兵反詘而辭窮禁不止令不行之故何也【令使為之禁使勿為也】鶡冠子曰欲知來者察徃欲知古者察今擇人而用之者王用人而擇之者亡逆節之所生不肖侵賢命曰凌【下凌上也】百姓不敢言命曰勝【上勝下也】今者所問子慎勿言夫地大國富民眾兵強曰足士有餘力而不能以先得志於天下者其君不賢而行驕溢也【已亢為驕已滿為溢】不賢則不能無為而不可與致焉【孟子曰人有不為也然後可以有為】驕則輕敵輕敵則與所私謀其所不知為【句】使非其任力欲取勝於非其敵不計終身之患樂須臾之說是故國君被過聽之謗醜於天下而謀臣負濫【監】首之責於敵國敵國乃責則卻【或作刦以辭卻之】卻則說者羞其弱【以辭卻之則說而責之者羞其弱矣其勢必至於用兵】萬賤之直不能撓一貴之曲【其在下者又無以回之】國被伸【或作神】創【侵大曰伸】其發則戰【其創之發則戰】戰則是使元元之民徃死邪臣之失莿【音策】也過生於上罪死於下讎既外結諸侯畜其罪則【或作責】危覆社稷世主懾懼寒心孤立不伐【伐或作代下有威字】此人二國之難不解君立不復悔曩【或作晨】郵過謀徙計易濫【一作監】首不足蓋以累重【濫為謀首其過重矣而一人之手豈足以障天下之目哉】滅門殘疾族【滅門周官所謂屋誅】公謝天下以讓敵國不然則戰道不絶國創不息【謂之伸創以此故也】大【或作天】乎哉夫弗知之害【以言弗知之害大矣】悲乎哉其禍之所極【以言其禍可悲也已】此倚貴離道少人自有之咎也【多已少人】是故師未發軔而兵可迭也【近迭名篇蓋取諸此】今大國之君不聞【一作間】先聖之道而易事群臣無明佐之大數而有滑正之碎【或無碎字】智反義而行之逆德以將之兵詘而辭窮令不行禁不止又奚足怪【或作恃】哉龎子曰何若滑正之智鶡冠子曰法度無以嚖【一本作遂】意為摸【嚖讀為嘒彼小星之嘒】聖人按數循法尚有不全是故人不百其法者不能為天下主今無數而自因無法而自備循無上聖之【或作聖人】檢而斷於已明【斷以獨見之明】人事雖備將尚何以復百已之身乎【夫百已者豈獨彼有之蓋人受天地之中以生形體保神而眾妙悉備據今言之其身蓋有千百於已者然而所知才止一二而卒於泯沒無聞者不能復之而已】主知不明以貴【或作責】為道以意為法牽【或作牢或作罕】時誑【一作詎或作拒】世逜下蔽上使事兩乖【兩失之矣】養非長失以靜為擾以安為危百姓家困人怨禍孰大焉若此者北走之日【軍敗曰北】後知命亡【投死之地久矣乃今知之】龎子曰以人事百法奈何鶡冠子曰蒼頡作法【一本法字在書字下蒼頡黃帝之史初見鳥獸蹏迒之跡始造書契】書從甲子【日始於甲辰始於子】成史李官【成史蓋以獄成告於正者李官士師也】蒼頡不道然非蒼頡文墨不起【蒼雖造書不道士史然而文墨之萌由是起矣此百法之端也】縱法之載於圖者其於以喻心達意道之所謂乃才【或作防】居曼【曼作受】之十分一耳【此言使無文墨而欲以其法畫之於圖豈能盡其意之詳哉蓋自後世觀之書以趣便篆不如隸隷不如草則圖之鈍於應務可知矣故曰彌綸天下之事記久明逺著涽涽傳忞忞者莫如書涽涽目所不見忞忞心所不了】故知百法者傑雄也若【或作】隔無形將然未有者知萬人也【此俊徳也非特桀雄而已故其知與人隔此三境而超萬人之上也將然不如無形無形不如未有取譬言之若太易者未有也而太初無形渾淪則將然矣】無萬人之智者智不能棲世學之上龎子曰得奉嚴教受業有間【或作聞】矣退師謀言弟子愈恐

龐子が鶡冠子に問うて曰く:「聖人の道は、まず何を重んずるか?」鶡冠子曰く:「まず人を重んず。」龐子曰く:「人の道は、まず何を重んずるか?」鶡冠子曰く:「まず兵を重んず。」龐子曰く:「なぜ天を放下して人を先に重んずるのか?」鶡冠子曰く:「天は高くして知り難く、福あっても求め来たる能わず、禍あっても避ける能わず。天を效法すれば乖戾する。地は広大深厚にして、利は多く【一本は「則」】威は少なし【天は尊けれども親しからず、地は親しけれども尊からず】。地を效法すれば辱を受く。時の挙措更代は一定なし。時を效法すれば両端一ならず。この三つは皆もって教化を立て風俗を樹るべからず、ゆえに聖人はそれらを效法せず。」龐子曰く:「陰陽はどうか?」鶡冠子曰く:「神霊威明は天と相合い【神の精明を霊と曰う】、勾萌動作は地と相偕え【曲げて生出ずるを勾と曰う】、陰陽寒暑は時に随って来たる。この三つは、聖人在れば治まり、聖人亡ければ乱る。ゆえにまず人を重んず。富めば驕り、貴ければ過盛す。兵は、百年に一度用いるとも限らず、しかも一日も忘るべからず。ゆえに人の道はまず兵を重んず。」龐子曰く:「まず兵を重んずとは、いかん?」鶡冠子曰く:「兵とは、即ち礼・義・忠・信なり。」龐子曰く:「兵の義を聞かんことを願う。」鶡冠子曰く:「道を失うがゆえに、敢えて賎をもって貴に逆らい。義なきがゆえに、敢えて小をもって大を侵す。」龐子曰く:「これを用いるはいかん?」鶡冠子曰く:「歪路を走れば則ち禁止し、正路に帰れば則ち放開す。ゆえに降服する人を殺さず【鷹はすでに伏したるを撃たず、いわんや人においてをや】。主の道の高く見る所は、約束より貴きはなし。地を得て信を失えば、聖王は据守せず。言に背き約に負けば、各々將に事故あらん。」龐子曰く:「弟子聞く:地大なれば国充実し、人多ければ兵強く、兵強ければ先づ天下に志を得と。今見える所をもって【一本は「舍」】見えざる所に合わせば、大概【一本は「系」、一本は「治」】このごとくならず。今大国の兵はかえって挫け言辞窮まり、禁は止む能わず、令は行う能わず、何の故ぞや?」【令は人をして為さしむ、禁は人をして為さしめず】鶡冠子曰く:「將來を知らんと欲せば、以往を察せよ。古代を知らんと欲せば、当今を察せよ。先づ人を択びて後に用いるは、王たるを称す能くし。先づ人を用いて後に択ぶは、滅亡せん。逆節の生ずる所より来る:不肖が賢人を侵凌するを凌と曰う【下が上を凌ぐ】。百姓が敢えて言わざるを勝と曰う【上が下に勝つ】。今問う所、汝千万に言うなかれ。地大・国富・人多・兵強、足ると曰うも、士余力あり、しかも先づ天下に志を得る能わざるは、その君の賢ならざるゆえ、また驕溢を行うがゆえなり【すでに高亢なるを驕と曰い、すでに盈満するを溢と曰う】。不賢なれば無為なる能わず、則ち彼とともに成就すべからず【孟子に曰く:人為さざる所有りて、然る後に為す所有るを得】、驕れば則ち敵を軽んじ、敵を軽んずれば則ちその私愛する所の人とともにその知らざる事を謀る【ここで句を断つ】。使う所の人はその勝任する所にあらず、力はその敵手ならざる敵に勝たんと欲し、終身の患を計らずして、片刻の説法を好む。ゆえに国君は誤聴の謗議を承受し、天下に醜を出し、謀臣は敵国に濫【或いは「監」】首の責を担う。敵国一たび責問すれば退却し【或いは「劫」。言辞をもって之を挡け開く】、一たび退却すれば、進説する人は己の弱を羞じる【言辞をもって挡け開けば、それら進説して責問する人は己の弱を羞じ、その勢必ず用兵に走る】。一万の賎しき直も、一つの貴き曲を扭げ正す能わず【下に在る者はまた之を転じ返す法なし】。国は伸【或いは「神」】創を承受し【侵掠大なれば伸と曰う】、創口一たび発すれば開戦す【その創口発作すれば開戦す】。一たび開戦すれば、則ち元元の民をして邪臣の失莿【注音:「莿」音策】のために死に送らしむ。過は上に生じ、死罪は下に落つ。仇怨すでに外に結び、諸侯その罪を畜積せば、則ち【或いは「責」】社稷を危覆せん。当世の主は懾懼寒心し、孤立して征伐せず【「伐」或いは「代」、下に「威」の字あり】。この人は两国の難を解き得ず、君立てども回復する能わず。従前【或いは「晨」】の過を後悔し、計は迁徙を謀り算は改易す。濫【一本は「監」】首は以て遮蔽するに足らず、牽累重きがゆえなり【濫に謀の首を為せば、その過は重し。一人の手、どうして天下の眼を挡ぐに足らん】、門を滅ぼし族属に残害す【滅門は即ち《周官》の所謂屋誅】、公に天下に謝罪して以て敵国に譲る。然らざれば、戦の路断えず、国の創止まず【伸創と曰うは、則ちこのゆえ】。大【或いは「天」】なるかな、其の知らざるの害【知らざるの害の大なるをいう】!悲しむべきかな、其の禍の走り至る極【其の禍すでに悲しむべき極に至るをいう】!これは貴を倚仗し、道を離れ、人を少なく用い、己に据有するの過なり【己は多く、人は少なし】。ゆえに軍隊未だ轫木を搬かざるに、兵はすでに更迭すべし【篇名を近迭と曰うは、大概ここより取る】。今大国の君は先聖の道を聞かず【一本は「間」】、しかも事を容易に看る。群臣に明佐の大数なく、しかも正道を滑乱する碎【或いは「碎」の字なし】智あり。義に反いて行い、徳に逆らいて兵を将たる。兵挫け辞窮まり、令行われず禁止まらざるは、また何の怪む【或いは「恃」】べきあらん!」龐子曰く:「正を滑らす智はいかなるか?」鶡冠子曰く:「法度は嚖【一本は「遂」】微の意をもって摸索する法なし【「嚖」は「嘒」と読む、即ち《詩経》「嘒彼小星」の嘒】。聖人も数に按し法に循うて、なお全からざるあり。ゆえに人その法を百倍に充実する能わざるは、天下の主と為る能わず。今数なくして自ら因任し、法なくして自ら具備し、上聖の【或いは「聖人」】検押に循わずして、己の已有の明に按して裁断す【独見の明をもって裁断す】。人事すでに備わるも、將に何を以て再び己の身を百倍に充実せんや【その己に百倍するは、どうしてただ他人のみ有らん。人は大概天地の中気を禀受して生まれ、形体は神を保ち、衆妙皆具わる。今に按すれば、その身は大概己に千百倍するも、知る所はわずか一二に止まり、終に泯没して聞えざるは、能く之を回復せざるのみ】。主の知明らかならず、貴【或いは「責」】を以て道と為し、意を以て法と為し、時を牽して【或いは「牢」、或いは「罕」】世を誑かし【一本は「詎」、或いは「拒」】、下に迕逆し上を蒙蔽し、事をして両頭ともに乖離せしむ【両頭ともに失う】。対ならざるを養い、失う所を長し、静を以て擾と為し、安を以て危と為せば、百姓は家ごとに困み人ごとに怨み、禍これより大なる有らんや。かくのごとき人は、北走の日【軍敗れるを北と曰う】、然る後に命すでに亡ぶを知る【死地に投じてすでに久し、今日に至りて始めて知る】。」龐子曰く:「人事を以て法を百倍に充実するは、いかん?」鶡冠子曰く:「蒼頡法を作り【一本は「法」の字「書」の字の下に在り。蒼頡は黄帝の史官、初め鳥獣蹄迒の跡を見て、始めて書契を造る】、書は甲子より排び起こり【日は甲より始まり、辰は子より始まる】、史と李官とを成就せり【成史は、大概獄成を正に報告するを取る。李官は即ち士師】。蒼頡は道を講ぜず、しかるに蒼頡に非ざれば、文墨は起こらず【蒼頡書を造るも、士と史の道を講ぜず。しかるに文墨の萌発はここより起こる。これ即ち百倍にその法を充実するの開端】。たとえ法図に載するも、以て心を喻め意を達する(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた;通行本は「揚」)道の所謂は、わずかに【或いは「防」、ここは「才」に従うべし】その広大【「曼」一作「受」】の十分の一を占むるのみ【これは曰わく:たとえ文墨なくして、その法を図に画かんと欲すとも、どうしてその意の詳を尽くさん。大概後世より見れば、書は便を図るがため、篆は隷に如かず、隷は草に如かず。然れば図の事務に応對する遅鈍は知るべし。ゆえに曰く:天下の事を弥綸し、久しく記し遠く明らかにし、涽涽を顕し忞忞を伝えるは、書に比するものなし。涽涽は目の見えざる、忞忞は心の明白ならざる】。ゆえに百倍にその法を充実するを知るは、杰雄なり。若し【或いは(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた)】無形・將然・未有に隔たるは、則ち万人の知なり【これは俊徳にして、ただ桀雄のみならず。ゆえにその知は人とこの三境に隔たり、万人の上に超る。將然は無形に如かず、無形は未有に如かず。譬を以ていえば:太易のごときは未だ有らず、太初は無形、渾淪は則ち將然】。万人の智なくんば、智は世学の上に栖る能わず。」龐子曰く:「この厳厲の教を奉じ得て、業を受けてすでにしばらくの時あり【或いは「聞」】。退きて師の言を思量すれば、弟子いよいよ恐懼す。」

鶡冠子捲上

鶡冠子巻上

欽定四庫全書

欽定四庫全書

鶡冠子卷中

鶡冠子巻中

宋陸佃解

宋陸佃解

度萬第八

度万第八

龎子問鶡冠子曰聖與神謀【子曰道不同不相為謀】道與人成【子曰茍非其人道不虛行】願聞度神慮成之要奈何鶡冠子曰天者神也地者形也地溼而火生焉【至陽赫赫赫赫出乎地】天燥而水生焉【至隂肅肅肅肅出乎天】法猛刑頗則神溼【刑與法隂也】神溼則天不生水音【案一本音下缺一字又聲上多一故字疑悞】聲倒則形燥【聲與音陽也】形燥則地不生火水火不生則隂陽無以成氣度量無以成制五勝無以成埶【一作執五勝五形之勝】萬物無以成類百業俱絶萬生皆困濟濟混混孰知其故天人同文地人同理【天文地理與人同焉】賢不肖殊能故上聖不可亂也【譬如堯舜共工驩兜欲與為惡則誅之類】下愚不可辨也【譬如桀紂龍逄比干欲與為善則誅之類】隂陽者氣之正也天地者形神【一無神字】之正也聖人者德之正也法令者四時之正也【季春行冬令則寒季秋行夏令則暖】故一義失此萬或亂彼所失甚少所敗甚眾所謂天者非是蒼蒼之氣之謂天也所謂地者非是防防之土之謂地也【防形埒也】所謂天者言其然物而無勝者也【言天者君道也可天下之物而莫之勝也】所謂地者言其均物而不可亂者也【言地者臣道也平天下之物而莫之亂也】音者其謀也【雜比為謀】聲者其事也【佈散為事】音者天之三光也【三光雜比於上】聲者地之五官也【五官佈散於下】形神調則生理脩【形不病燥神不病溼則生理脩矣】夫生生而倍其本則德【或作隱】專己【夫偏養其本至於過理而不及防通之適則自為太多其德失乎物矣豈足語衛生之經哉故曰善飬生者若牧羊然視其後者而鞭之一本元缺一本字或作知或作如案一本元缺以下十三字與正文不相應疑當在下文知無道知字之下而錯悞於此今姑仍之】知無道上亂天文下滅地理【天人同文地人同理於此見矣】中絶人和治漸終始【言其治才漸首末而已失中道也】故聽而無聞視而無見【天下之事壊於冥冥】白晝而闇【日中見鬥之義】有義而失諡【人之所有不能諡之】失諡而惑責人所無必人所不及【逺其途而誅不至也】相史於既而不盡其愛【史使也從省言不盡已之愛而責人之盡】相區於成而不索【或作營】其實【區驅也從省言不竭已之忠而望人之成】虛名相髙精白為黑【沽於虛名而變亂事實黑或為墨墨亦黒也詩曰貍而蒼墨以為明】動靜組轉【與物轉旋如組使之】神絶復逆【復有報乎上也逆有言乎上也言其神色距人於千里之外】經氣不類形離正名【書曰有形有名形也者物此者也名也者命此者也經氣失常故形不麗名】五氣失端四時不成【隂陽並毗四時不至寒暑之和不成】過生於上罪死於下有世將極驅馳索禍【其於禍也若驅車就之】開門逃福【其於福也若開門避之】賢良為笑愚者為國天咎先見菑【或作嗇亦或作】害並雜人孰【案一本作執非】兆生孰知其極【見形而已昧於在理】見日月者不為明聞雷霆者不為聰事至而議【或作義】者不能使變無生【不能消之於未萌】故善度變者觀本本足則盡不足則德必薄兵必老其孰【案一本作執非】能以褊材為襃徳【或作襄隱】博義者哉其文巧武果而奸不止者生於本不足也【言非少文不武之罪】故主有二政臣有二制臣弗用主不能使臣必死主弗能止是以聖王獨見故主官以授長者在內和者在外夫長者之為官也在內則正義在外則固守用法則平法人本無害以端天地令出一【或無一字】原【多門杜矣】散無方化萬物【萬物一本作無物】者令也守一道制萬物者法也法也者守內者也【法者守於分域之內】令也者出制者也【令者所以行法】夫法不敗是【是出於義變而不可常法者所以趣變】令不傷理【主出於理一而不可變令者所以守法】故君子得而尊小人得而謹胥【或作冒】靡得以全神備於心道備於形【備天地之美稱神明之容】人以成則【以成法則】士【或作土】以為繩【以為繩墨】列【或作削】時第氣以授當名故法錯而隂陽調鳳凰者鶉火之禽【或無鶉火之禽枵之獸字】陽之精也【雄曰鳳凰者其雌也鶉火南星之次也】麒麟者枵之獸隂之精也【牝曰麒麟者其牡也枵北星之次也麒似麟而無角】萬民者德之精也德能致之【或作駿】其【或無其字】精畢至龎子曰致之奈何鶡冠子曰天地隂陽取稽於身故布五正以司五明【五正見下五明宜謂名屍氣皇名屍神眀名屍賢聖名屍后王名屍公伯后王一本作後二非】十變九道【未詳聞也】稽從身始五音六律稽從身出【大禹以聲為律以身為度所謂取稽於身者耶】五五二十五以理天下【五五五其音之五也】六六三十六以為歳式【六六六其律之六也一歳之式積旬三十有六】氣由神生道由神成【蛻氣之謂虛蛻虛之謂道而神也者有而非氣也無而非道也非氣而氣以之生非道而道以之成】唯聖人能正其音調其聲故其德上及太清【太清天也】下及泰寧【泰寧地也】中及萬靈膏露降白丹發醴泉出【醴泉其味如醴可以養老】朱草生【朱草可以染絳以別尊卑】眾祥具【傳曰王者統和隂陽休氣充塞符瑞並臻應得而至德至天則斗極明日月光甘露降德至地則嘉禾生蓂莢起秬鬯出德至文表則景星見五緯順軌德至草木則朱草生木連理德至鳥獸則鳳凰翔鸞鳥舞麒麟臻白虎到白雉降白鹿見白烏下德至山陵則景雲出芝實茂陵出異丹阜出萐莆山出器車澤出神鼎德至淵泉則黃龍見醴泉湧河出龍圖洛出書江出大貝海出明珠德至八方則祥風至嘉氣時鐘律調音度施四夷化越裳貢】故萬口雲【一本作萬口去】帝制神化【眾祥備至則外帝內神之道具矣】景星光潤【景星者德星也其狀無常常出於有道之國而月死則見所以助月照民夜績也】文則寢天下之兵武則天下之兵莫能當【一本雲武則天下莫能當無之兵字】逺之近顯乎隱大乎小眾乎少莫不從微始故得之所成不可勝形失之所敗不可勝名【或作勝為名】從是徃【或作生】者子弗能勝問吾亦弗勝言凡問之要欲近知而逺見以一度萬也無慾之君不可與舉【此言何謂也若予所學則人君之患正在多欲此孟子三見齊王而不言曰我先攻其邪心也故曰內實多欲而外施仁義奈何欲效唐虞之治乎南華曰欲順則平氣欲神則靜心欲當則縁於不得已亦與鶡冠異矣昔者有鬼谷著書以為馳説諸侯陽開隂閉必因其好惡憂樂而捭闔之然至於無好者蓋不得而說也若然多欲之君乃從橫之家欲以售術而鶡冠言道末流乃至於此不己卑乎】賢人不用弗能使國利此其要也龎子曰敢問五正鶡冠子曰有神化有官治有教治有因治有事【或作爭】治龎子曰願聞其形鶡冠子曰神化者於未有官治者道於本教治者脩諸已因治者不變俗事治者矯【或作橋】之於末龎子曰願聞其事鶡冠子曰神化者定天地豫【或作象】四時【其體常如此】拔【或作教】隂陽移寒暑【其體變如此傳曰古之真人提挈天地把握隂陽】正流並生萬物無害萬類成【或作鹹】全名屍氣皇【伏羲氏得之以襲氣母蓋近是乎】官治者師隂陽【隂陽王事之本】應將然【神化者於未有故升此一等】地寧天澄眾美歸焉名屍神明教治者置【或作署】四時【春誦夏秋學禮冬讀書之類因時順氣於功易也】事功順道【俯而事功仰以順道】名屍賢聖因治者招【或作拓】賢聖而道心術敬事生和名屍后王事治者招仁聖而道知焉【不能招賢聖而招仁不能道心術而道知聖也者天道也賢也者地道也仁也者人道也】茍精牧神【茍急敕也牧驅制也】分官成章【精神勞矣而不能善徧於是又備官焉】教苦利逺【教雖苦而利逺】法制生焉【萬物擾擾自此起矣】法者使去私就公【法者將以有所去也非以有所取也】同知壹警有同由者也非行私而使人合同者也故至治者弗由而名屍公伯【公如公侯之公伯如霸王之伯】

龐子が鶡冠子に問うて曰く:「聖人は神と相謀り【孔子に曰く:道同じからざれば、相い謀らず】、道は人と相成る【孔子に曰く:もしあの人でなければ、道は虚しく行われない】。度量神・思慮成の要領を聞かんことを願う、どうすればよいか?」鶡冠子曰く:「天は神、地は形なり。地湿れば、火ここより生ず【至陽赫赫盛大にして、赫赫は地より出づ】。天燥れば、水ここより生ず【至陰肅肅厳冷にして、肅肅は天より出づ】。法令猛く刑罰偏斜なれば、神は湿る【刑と法とは陰に属す】。神一たび湿れば、天は水を生ぜず。音【案:一本は「音」の下一字を欠き、また「声」の上に「故」の一字多し、疑いて誤衍ならん】声一たび顛倒せば、形は燥ぐ【声と音とは陽に属す】。形一たび燥げば、地は火を生ぜず。水火生ぜざれば、陰陽は気を成す由なく、度量は制度を成す由なく、五勝は勢を成す由なく【「埶」一本は「執」。五勝は即ち五行の相勝】、万物は類別を成す由なし。百業一斉に断絶し、万生皆困住し、済済混混として、誰かその故を知らん。天は人と同文、地は人と同理【天文・地理は人と相同じき】。賢と不肖とは才能同じからず、ゆえに上聖は攪乱する能わざるなり【たとえば堯舜上に在り、共工・驩兜彼らとともに悪を為さんと欲せば、誅罰せられるの類】、下愚は辨正する能わざるなり【たとえば桀紂上に在り、関龍逄・比干彼らとともに善を為さんと欲するも、また誅罰せられるの類】。陰陽は気の正、天地は形神の正【一本は「神」の字なし】、聖人は徳の正、法令は四時の正【季春にして冬令を行えば寒く、季秋にして夏令を行えば暖かし】。ゆえに一義こちらに失われれば、万種あるいは彼方に乱る。失う所は少なく、敗る所は多し。所謂天とは、彼の蒼蒼たる気をもって天と曰うにあらず。所謂地とは、彼の防防たる土をもって地と曰うにあらず【「防」は即ち形埒、土の辺界輪郭】。所謂天とは、その万物を成就して之に勝つ能くする者なきをいう【天は君道にして、天下万物をしてかくのごとくせしむる能くし、之に勝つ能くする者なしということ】。所謂地とは、その万物を均平して攪乱すべからざるをいう【地は臣道にして、天下万物を平治し、之を攪乱する能くする者なしということ】。音はその謀【錯雑比次するは即ち謀】、声はその事【舗散開展するは即ち事】。音は天上の三光【三光は上に在りて錯雑比次す】、声は地上の五官(地の上に職事を分掌する五種の官守)【五官は下に在りて舗散開展す】。形と神と調均なれば、生理修整す【形は燥に病まず、神は湿に病まず、生理修整す】。生を養うて本根を加倍せば、徳【或いは「隠」】は則ち己に専なり【偏に己の本を養い、理に過ぎて、しかも万物と旁通する適度(底本は「防通」)に及ばざれば、即ち己のために多し。徳は物より失わる。どうしてなお衛生の経を講ずるに足らん。ゆえに曰く:善く生を養う者は羊を牧羊するがごとく、後るるを見れば鞭を一たび抽く。一本は原「一本」の字を欠く;或いは「知」、或いは「如」。案:「一本原缺」以下十三字は正文と対せず、疑いて当に下文「知無道」の「知」の字の下にあるべきは、錯簡誤植してここに至れるなり。今姑く旧のごとし】。一旦知ありて道なければ、上は天文を乱り、下は地理を滅ぼし【天人同文・地人同理は、ここより見るべし】、中は人和を絶ち、治はただ終始の皮に浸る【その治わずかに首尾両端に浸るのみ、すでに中道を失うをいう】。ゆえに聴くとも聴こえず、視るとも見えず【天下の事冥冥の裡に敗壞す】、白昼にして黒暗なり【即ち日中に北斗を見るの意】。義ありて謚号を失えば【人の有する所、しかも之に謚を定むる能わず】、謚を失えば迷惑し、人の無き所を責求し、人の能わざる所を強迫す【路途を引き遠くして、しかも人の至らざるを責罰す】。相い役使して事後に至りても、己の愛を尽くさず【「史」は即ち使、省写なり。己の愛を尽くさずして、しかも他人の尽くすを責求するをいう】。相い駆趕して事成に至りても、彼の実質を求めず【或いは「営」。「区」は即ち駆、省写なり。己の忠を竭くさずして、しかも他人の成すを指望するをいう】。虚名を以て相い抬高し、精白を以て黒と為す【虚名を沽りて事実を変乱す。「黒」或いは「墨」、墨もまた黒なり。《詩》に曰く:底本のこの字は生僻字で転写後に失われた、狸しかるに蒼と為し、墨しかるに明と為す】。動静は織組のごとく転に随い【物とともに転旋す、織組のごとく之を使う】、神気は人を復逆に拒む【「復」は上に向かいて回報し、「逆」は上に向かいて進言す。彼の神色は人を千里之外に拒むをいう】。経気は類を同じくせず、形は正名を離る【《書》に曰く:形有り名有り。形は以てこの物と為す、名は以てこの命と為す。経気常を失うゆえ、形は名に附着せず】。五気は端緒を失い、四時は完成する能わず【陰陽一併に偏盛し、四時来たらず、寒暑の和合は完成する能わず】。過は上に生じ、罪死は下に落つ。あるいは世の道終りに將んとするも、駆馳して禍を覓め【禍に對する、車を趕りて之に湊近するがごとし】、門を開きて福を避く【福に對する、門を開きて之を躲くがごとし】。賢良は人に笑はれ、愚人は国を治む。天の咎徴まず現れ、菑【或いは「嗇」、亦或いは底本のこの字は生僻字で転写後に失われた】害は一斉に夾雑す。人誰か【案:一本は「執」、非なり】徴兆の裡よりその生ずるを看え、誰かその極を知らん【ただ形を見るも、理に昧り】。日月を見るも明と算せず、雷霆を聴くも聡と算せず。事至りて議論する【或いは「義」】は、変故をして発生せしめざる能わず【未だ萌芽せざるに之を消す能わず】。ゆえに善く変動を度量するは本を看る。本充実すれば則ち尽くす能くし、本足らざれば則ち徳は必ず薄く兵は必ず老ゆ。誰か【案:一本は「執」、非なり】褊狭の材を以て褒大の徳【或いは「襄隠」】・広博の義を成就せんや。文辞巧く武事果敢なれど、奸止む能わざるは、本の足らざるに生ず【罪過は文の少なくに在らず、不武に在らずをいう】。ゆえに主に両種の政あり、臣に両種の制あり。臣肯んじて用いざれば、主は使う能わず。臣決心して死せば、主は止む能わず。ゆえに聖王は独り見る能くす。因りて主は官職を授け下す:長者は内に、和者は外に。長者官を為せば、内に在りては正義を持し、外に在りては固守し、法を用いては平法を持す。人の本は害なく、以て天地を端正す。令は同一の源頭より発す【或いは「一」の字なし】【多門なれば則ち堵塞す】。散じて定方向なくして万物を化するは【「万物」一本は「无物」】、令なり。一道を守りて万物を制約するは、法なり。法は内に守る者【法は分域の内に守る】、令は発して出でて制を作す者【令は以て法を行う】。法はこの「是」を敗らず【「是」は義より出づ、変じて以て常と為すべからず。法は以て変動に趨赴す】、令は彼の理を傷らず【主は理より出づ、専一にして変るべからず。令は以て法を守る】。ゆえに君子は之を得れば則ち尊し、小人は之を得れば則ち謹し、胥靡【或いは「冒」】(刑徒)は之を得れば則ち保全する能くす。神は心に具わり、道は形に具わる【天地の美を具備し、神明の容に配するに足る】。人以て則を成就し【以て法則を成就す】、士【或いは「土」】は以て縄と為し【以て縄墨と為す】、時序を排列し【或いは「削」】気を次第して、以てこの名に当たる者に授与す。ゆえに法交錯して陰陽なお調均す。鳳凰は鶉火の禽【或いは「鶉火之禽」「玄枵之獣」等の字なし】、陽の精【雄を鳳と曰い、凰はその雌。鶉火は南方の星次】。麒麟は玄枵の獣(底本の「玄」の字は私用区、通本に按せば「玄」。玄枵は十二次の一、北方に在り)、陰の精【牝を麒と曰い、麟はその牡。玄枵は北方の星次。麒は麟に似て角なし】。万民は徳の精なり。徳能く彼らを招致すれば【或いは「駿」】、それらの【或いは「其」の字なし】精は一斉に到来す。」龐子曰く:「どうして招致するか?」鶡冠子曰く:「天地陰陽は、自身を以て核験と為す。ゆえに五正(神化・官治・教治・因治・事治の五種の治理)を布列して五明を掌管す【五正は下文に在り。五明は当に名号気皇に帰し、名号神明に帰し、名号賢聖に帰し、名号後王に帰し、名号公伯に帰すを指すべし。「後王」一本は「後二」、非なり】。十変九道【この名目は詳しく聞かざる所】、核験は自身より始まる。五音六律、核験は自身より発す【大禹は声を以て律と為し、身を以て度と為す。所謂自身を以て核験と為すは、大概これか】。五五二十五、以て天下を治理す【五五は、音の五を再び五に乗ずる】。六六三十六、以て一歳の法式と為す【六六は、律の六を再び六に乗ずる。一歳の法式、積みて三十六旬と為る】。気は神より生じ、道は神より成る【気を蜕ぎ去るを虚と曰い、虚を蜕ぎ去るを道と曰う。而も神なるものは、有にして気にあらず、無にして道にあらず。気にあらざれども、気は它に頼りて生ず。道にあらざれども、道は它に頼りて成る】。ただ聖人のみ能くその音を正しくしその声を調う。ゆえにその徳は上は太清に及び【太清は即ち天】、下は泰寧に及び【泰寧は即ち地】、中は万霊に及ぶ。膏露降り、白丹発し、醴泉湧き出で【醴泉は味醴酒のごとく、以て老を養うべし】、朱草生じ【朱草は以て絳色を染め、以て尊卑を分かつ】、衆祥皆具わる【古伝記載:王者は陰陽を統和し、休気充塞し、符瑞一斉に来たり、得るべき者至る。徳天に至れば、斗極明亮し、日月光有り、甘露降る。徳地に至れば、嘉禾生じ、蓂莢起り、秬鬯出づ。徳文表に至れば、景星現れ、五緯軌に順う。徳草木に至れば、朱草生じ、木連理す。徳鳥獣に至れば、鳳凰翔け、鸞鳥舞い、麒麟来たり、白虎至り、白雉降り、白鹿見え、白烏下る。徳山陵に至れば、景雲出で、芝実茂く、陵は異丹を出し、阜は萐莆を出し、山は器車を出し、沢は神鼎を出す。徳淵泉に至れば、黄龍現れ、醴泉湧き、河は龍図を出し、洛は亀書を出し(底本のこの字は生僻字、通本は「亀」)、江は大貝を出し、海は明珠を出す。徳八方に至れば、祥風至り、嘉気時なり、鐘律調い、音度施行し、四夷化し、越裳来貢す】。ゆえに万口は帝制神化を称説す【一本は「万口去」】【衆祥備わり至れば、外帝内神の道具わるをいう】。景星は光潤し【景星は徳星、形状一定せず、常に有道の国に現る。月死の時に出で、以て月を助け、百姓の夜に績麻を照らす】。文を用いれば、則ち天下の兵を歇ましめ、武を用いれば、天下の兵敵当する能くする者なし【一本は「武則天下莫能当」、「之兵」の二字なし】。遠きは近に変じ、顕なるは隠に在り、大なるは小に在り、衆なるは少に在り、微より始まらざるなし。ゆえに得れば、成就する所の形数え尽くさず。失えば、敗壞する所の名数え尽くさず【或いは「勝為名」】。ここより再び下りて【或いは「生」】、汝問うも問い尽くさず、我説くも説き尽くさず。凡そ問の要領は、近処に知り遠処に見、一を以て万を度量するに在り。欲望なき君は、之とともに事を挙ぐべからず【この話は何の意ぞや。按ずるに我が学問する所、人君の禍患は正に欲望多きに在り。孟子三たび斉王に見えて言わず、曰く:我まず彼の邪心を攻む。ゆえに曰く:内実多欲にして、外仁義を施行す、どうして唐虞の治を效法せん。南華(《荘子》)に曰く:欲順ならんと欲せば則ち気を平らげ、欲神ならんと欲せば則ち心を静め、欲当ならんと欲せば則ち已むを得ざるに縁る——もまた鶡冠と同じからず。昔鬼谷書を著し、以て諸侯に馳説し、陽開陰閉して、必ず相手の好悪憂楽に順って捭闔す。しかるに偏好なき人に逢えば、説く法なし。もしこのごとくなれば、多欲の君はかえって縦横家の術を售けんと欲する所となり。鶡冠の講道、末流ついにこの歩に至る、すでに低下せざるか】。賢人用いざれば、国家をして利を得しむる能わず。これ即ち要領なり。」龐子曰く:「敢えて五正を問う。」鶡冠子曰く:「神化有り、官治有り、教治有り、因治有り、事【或いは「爭」】治有り。」龐子曰く:「それらの形状を聞かんことを願う。」鶡冠子曰く:「神化は、未だ有らざるに在り。官治は、道は本に在り。教治は、己の身に修むるに在り。因治は、習俗を改変せざるに在り。事治は、末に矯正するに在り【或いは「橋」】。」龐子曰く:「それらの事を聞かんことを願う。」鶡冠子曰く:「神化は、天地を安定し、四時を豫【或いは「象」】備え【その体常にかくのごとし】、陰陽を抜き開き【或いは「教」】、寒暑を移易す【その体変動してかくのごとし。古伝記載:古の真人は天地を提挈し、陰陽を把握す】。正流一併に発生し、万物害なく、万類成【或いは「咸」】全し、名号は気皇に帰す【伏羲氏之を得て以て気母を襲えり、大概これに近からん】。官治は、陰陽を師法し【陰陽は王事の本】、將に然らんとするに応接し【神化は未だ有らざるに在り、ゆえにこの一等より高し】、地安寧・天澄明し、衆美皆ここに帰し、名号は神明に帰す。教治は、四時を設置し【或いは「署」。春誦・夏弦(底本のこの字は生僻字、《礼記・文王世子》に按せば「弦」)・秋学礼・冬読書の類。時に順い気に順えば、功効は則ち易し】、事功は道に順い【俯きて功を為し、仰ぎて道に順う】、名号は賢聖に帰す。因治は、賢聖を招きて【或いは「拓」】心術を以て導き、敬事は和を生じ、名号は後王に帰す。事治は、仁聖を招きて知を以て導く【賢聖を招く能わざれば、ただ仁を招く。心術を導く能わざれば、ただ知を導く。聖は天道、賢は地道、仁は人道】。急ぎて神を牧し【「苟」は急敕、「牧」は駆制】、官職を分設し章程を寫成す【精神すでに労苦するも、しかも普遍妥善する能わず、ゆえにまた官職を備設す】。教は苦しといえども利は遠し【教苦しといえども利遠し】、法制は則ちここより生ず【万物扰扰、ここより始まる】。法は、人をして私を去り公に趨かしむるなり【法は去る所有るを備うる、取る所有るを備うるにあらず】。人をして同知・同一儆戒せしむるは、同じき走るべきの路有るがゆえなり、決して己は私を行いて人をして合同せしむるにあらず。ゆえに至治はこの路を走らず、名号は公伯に帰す【「公」は公侯の公のごとく、「伯」は霸王の伯のごとし】。」

王鈇第九

王鈇第九

龎子問鶡冠子曰泰上成鳩【一作瞗】之道一族用之萬八千歳【傳曰天地初立天皇一曰天靈其治萬八千歳然則成鳩蓋天皇之別號也】有天下兵強世不可奪【天地初立豈容已有兵哉此言亦筌蹄也南華曰寓言十九重言十七】與天地存久絶無倫【無倫細之至也中庸曰毛猶有倫】齊殊異之物【齊鵬鷃之大小等鳬鶴之長短】不足以命其相去之不同也【言其懸絶如此】世莫不言樹俗立化彼獨何道之行以至於此鶡冠子曰彼成鳩氏天【句】故莫能増其髙尊其靈龎子曰何謂天何若而莫能増其髙尊其靈【凡此叩其所以】鶡冠子曰天者誠其日德也日【或無日字】誠出誠入南北有極【冬日至而北夏日至而南】故莫弗以為法則【取中於日徳】天者信其月刑也月信死信生終則有始【朔而後魄生望而後魄死】故莫弗以為政【取正於月刑】天者明星其稽也【明星大星也二十八舍之類】列【或作削】星不亂各以序行故小大莫弗以章【小星不見陵掩案一本無掩字】天者因時其則也四時當名代【或作伐】而不幹【或作於彼謝此代而無侵越】故莫弗以為必然天者一法其【或無其字】同也前後左右古今自如【奈何杞人之憂其崩墜也】故莫弗以為常天誠信明因一【誠誠其日徳信信其月刑明明星其稽因因時其則一一法其同】不為眾父【或作文為眾父父】易一故莫能與爭先【南華曰一而不可不易者道也先或為光】易一非一【一不足以囿之】故不可尊増成鳩得一故莫不仰制焉【所謂侯王得一為天下貞者也】龎子曰願聞其制鶡冠子曰成鳩之制與神明體正神明者下究而上際【沈以窮乎下浮以際乎上】剋嗇萬物而不可厭者也周泊【或作汨或作流】徧照【周泊無外也徧照無裡也】反與天地總故能為天下計【狂而不反豈能與民同吉凶之患哉】明於蚤識逢臼【或作逺白】不惑存亡之祥安危之稽龎子曰願聞其稽鶡冠子曰置下不安【句】上不可以載【或作可以載】累其足【或作是】也其最髙而不植局【或作不可植局】者未之有也【此譬安危之稽言其置下茍危難欲累於上難矣又況又在其上者乎則其所立豈有不局哉累足蹐也植立也局曲也】辨於人情究物【或作萬物】之理稱於天地【稱之為言量也】廢置不殆【或作佁或作冶】審于山川而運動舉錯有檢【蠢迪檢押案押一本作柙】生物無害為之父母無所躪躒仁於取予備於教道【教以為人道以為已】要於言語【直言曰言問難曰語】信於約束己諾不專【反諾為己禮曰與其有諾責也寧有己怨】喜怒不増【喜不過予怒不過奪】其兵不武樹以為俗其化出此龎子曰願聞其人情物理所以嗇萬物與天地總與神明體正之道鶡冠子曰成鳩氏之道未有離天曲日術者天曲者明而易循【或作脩】也日術者要而易行也【天曲若五家為伍五鄉為縣之類日術若家裡用提甸長用旬之類此法起於周之末造而曰成鳩用之是今日適越而昔至也然則此書寓言多矣】龎子曰願聞天曲日術鶡冠子曰其制邑【或作已】理都使矔習者五家為伍伍為之長十伍為裡裡置有司四里為扁【扁當為甸後皆放此】扁為之長十扁為鄉鄉置師五鄉為縣縣有嗇夫治焉十縣為郡有大夫守焉命曰官屬郡大夫退脩【或皆作循】其屬縣嗇夫退脩其鄉鄉師退脩其扁扁長退脩其裡裡有司退脩其伍伍長退脩其家事相斥正居處相察出入相司【司猶伺也】父與父言義子與子言孝【與或作為】長者言善少者言敬旦夕相薰薌以此慈孝【或作力】之務若有所移徙去就家與家相受人與人相付亡人奸物無所穿竄此其人情物理也伍人有勿【或作物一本無伍人有勿四字】故不奉上令有餘不足居處之狀【此言有餘不足居處之狀無故輒違上令當告有司】而不輒以告裡有司謂之亂家其罪伍長以同【同謂同坐五人之罪】裡中有不敬長慈少出等異眾不聽父兄之教有所受聞不悉以告扁長謂之亂裡其罪有司而貳其家【貳猶副也若今從坐】扁不以時循【或作脩】行教誨受聞不悉以告鄉師謂之亂扁其罪扁長而貳其家鄉不以時循行教誨【一二教之曰誨】受聞不悉以告縣嗇夫謂之亂鄉其罪鄉師而貳其家縣嗇夫不以時循行教誨受聞不悉以告郡善者不顯命曰蔽明見惡而隱命曰下比謂之亂縣其誅嗇夫無赦【不言貳其家者罪之尚貳其家則誅可知矣】郡大夫不以循行教誨受聞雖實【或作賔】有所遺脫不悉以告柱國謂之亂郡其誅郡大夫無赦柱國不政使下情不上聞上情不下究謂之絿【或作絯或作繆】政【絿急也】其誅柱國滅門殘疾令尹不宜【或作宣】時合【或作令】地【合地之德】害百姓者謂之亂天下其軫令尹以徇【柱國楚之寵官令尹若相國矣楚懐王使柱國昭陽將兵攻齊陳軫問楚國之法破軍殺將者何以貴之昭陽曰其官為柱國封土執圭軫曰其有貴於此乎曰令尹軫車裂也周官曰轘軫或作斬】此其所以嗇物也天用四時地用五行天子執一以居【一作守】中央參於兩間調以五音正以六律紀以度數宰以刑德從本至末第以甲乙天始於元地始於朔【元以氣言之朔以方言之天運始於元地處始於朔】四時始於歴【王者敬授人時實始於歴】故家裡用防【防零日也公羊傳曰防月者僅逮此月晦日也案防一本作提今本公羊傳亦無提月之文】扁長用旬鄉師用節【驚蟄芒種之類】縣嗇夫用月郡大夫用氣分所至【二分二至之類】柱國用六律裡五日報扁【用防】扁十日報鄉【用旬】鄉十五日報縣【用節】縣三十日報郡【用月】郡四十五日報柱國【用氣】柱國六十日以聞天子【用律】天子七十二日遣使【一本作遣使於郡此用五行分王之數蓋一歳之運五行各王七十二日】勉有功罰不如【句】此所以與天地總下情六十日一上聞上惠七十二日一下究此天曲日術也故不肖者不失其賤而賢者不失其明上享【或作序】其福祿而百事理行畔者不利【天下晏然雖隂有欲畔者無所乗其隙也】故莫能撓其強是以能治滿而不溢【不増之使溢】綰大【或作天】而不芒【不損之使芒芒之為言小也】天子中【或作甲】正使者敢易言尊益區域【或無域字】使利逜下蔽上【使者變言貸襄借譽尊益區宇則其至於逜下蔽上】其刑斬笞無赦諸吏教苦德薄侵暴百姓輒罷毋使汙官亂治不奉令犯法其罪加民【播惡於眾】利而不取利運而不取次【疑取次或作敢次】故四方從之唯恐後至是以運天【運天或作運大】而維張【管子曰四維不張國乃滅亡】地廣而德章天下安樂設年予昌屬各以一時典最上賢不如令尹令尹以聞壹再削職【一本作則織】三則【或作典】不赦治不逾官使史李不誤公市為平生者不喜【非故生之】死者不怨【非故殺之】人得所欲國無變故著賞有功德及三世父【或作名】伏【或作狀】其辜不得創諡【名之曰幽厲雖孝子慈孫不能改也創或為制】事從一二終古不勃彼計為善於鄉不如為善於裡為善於裡不如為善於家是以為善者可得舉為惡者可得誅【或作諭】莫敢道一旦之善皆以終身為期素無失次故化立而世無邪化立俗成少則同儕【或作齊】長則同友遊敖同品祭祀同福死生同愛禍災同憂居處同樂【安居曰處】行作同和吊賀同雜哭泣同哀驩欣足以相助諜【或作謀】足以相止【探遉也諜間諜也】安平相馴軍旅相保夜戰則足以相信晝戰則足以相配【或作醜】入以禁暴出正無道是以其兵能橫行誅伐而莫之敢御故其刑設而不用不爭而權重車甲不陳而天下無敵矣【一本作天下無道適矣】失道則賤敢逆貴不義則小敢侵大成鳩既見上世之嗣失道亡功倍【或作信】本滅德之則故為之不朽【或作株又或作採】之國定位牢【或作罕】祭【或作然不能保其邦家則位不定矣不能保其宗廟則祭不牢矣】使鬼神亶曰【或作日】増規不圓益矩不方【此言法度至足無欠無餘規不可増矩不可益非特使人信之雖質諸鬼神而無疑也蓋聖人之法譬諸身乎増之則贅割之則虧】夫以効末傳之子孫唯此可持【或無唯此可持字】唯此可將【効猶示也讀如効犬効羊之効言以示子孫之末裔立而可持行而可將唯此而已】將者養吉釋【或作澤】者不祥墠以全犧【純謂之犧完謂之牷】正以齋明【齋或作天或作文不莫謂之齋不昧謂之明齊明者蓋祭祀之正也犧牷則以為副而已禮曰去廟為祧去祧為壇去壇為墠今此獨言墠者於墠如此則由壇而上可知也案不莫一本作不革】四時享之祀以家王【子孫祭祀不輟所謂祀以家王】以為神享禮靈之符蔵之宗廟以壐正諸【或作諸侯為之信符蔵之宗廟而又以其壐正之以明後世所當守也】故其後世之保教也全【句】耳目不營用心不分不見異物而遷捐【或作指】私去毒【或作也捐己之私去人之毒】鉤【一本此字上有每字鉤作均】於內哲【或作智足以及之】固於所守【仁足以守之】更始逾新【周而更始文而愈新】上元為紀共承嘉惠相髙不改亶昭穆【湯不先契文武不先不窋魯躋僖公失是矣】具【或作其】招士【疑】先結之後入弗解【先入者定矣故後入之事弗能解也】此知極之至也【極如紀極之極】龎子曰願聞所以不改更始逾新之道鶡冠子曰成鳩所謂得王鈇之傳者也龎子曰何謂王鈇鶡冠子曰王鈇者【案一本無此三字】非一世之器也以死遂生【以殺止殺】從中制外之教也【教或為數】後世【或作世後】成至孫一靈羽【靈或作虛】理【或作理虛羽理或作虛村理】符日循【或作脩】功弗敢【或無敢字】敗【智者雖工弗敢敗也】奉業究制執正守內拙弗敢廢【愚者雖拙弗敢廢也】樓與旱【蘇本作樓與卑疑旱或為早】以新續故四時執効應錮【或作銅】不駿【疑】後得入廟惑【或作或】爽【或作】不嗣【或作副】謂之焚【或作婪生火甚多其和焚矣列子曰焦然肌色奸黯昏然五情爽惑】祖命冐世【冐忝也世如世德之世】禮嗣弗引奉常弗內【弗引弗引於朝弗內弗內於廟奉常禮官也典宗朝之儀有丞景帝更曰太常】靈不食祀【其鬼不得食祀】家王不舉祭天將降咎皇神不享【家王越而祭之則將獲罪於天皇神雖郊不享皇神昊天上帝】此所以不改更始逾新之道也故主無異意【人君爽惑不嗣其罪如上所云則繼其後者據舊鑑新豈敢輒異哉】民心不徙與天合則萬年一範【範如荀子範形之範】則近者親其善逺者慕其德而無已是以其教不厭其用不故能疇合四海以為一家而夷貉萬國皆以時朝服致績【或作續】而莫敢効增【或作増】免【此言夷貉萬國皆以朝服致貢而不敢輒增亦不敢免法言曰被我純績帶我金犀此之謂也】聞者傳譯來歸其義【又其逺者】莫能易其俗移其教【孟子所謂用夏變夷未聞變於夷者也】故其威立而不犯流逺而不廢此素皇內帝【或作耑】之法【帝者天號王者人稱皇者天人之總美大之名謂之素皇內帝則又其至者也蓋至人神矣由是而在下則聖外王之道也由是而在上則素皇內帝之法也】成鳩之所枋以超等【枋柄也】世世不可奪者也功日益月長故能與天地存久此所以與神明體【或作禮】正之術也不待士史【或作女】蒼頡作書故後世莫能雲其咎【士李官也太古無法而治不立十史不造書契而至德同使由之者不能知知之者不能名尚何議其咎也哉傳曰蒼頡作書鬼神夜哭天雨粟方是之時至德衰矣】未聞不與道德究【究下或有謂字】而能以為善者也龎子曰如是古今之道同邪鶡冠子曰古者亦我而使之久眾者亦我而使之眾耳何比異哉彼類善則萬世不忘【類猶聚也】道惡則禍及其身尚【或作有】奚怪焉龎子曰以今之事觀古之道舟車相通衣服同採言語相知畫地守之不能相犯殊君異長不能相使逆言過耳兵甲相李【或作履李如李官之李李者治也】百父母子且【或作其案一本且作旦】未易領【或作頃言父母暨子至百不易領矣】方若所言未有離中國之正也【離附也言以上所云方若疇合四海以為一家之言似違中國之正逺矣】丘第之業【第裡第也】域【或作或】不出著【著土著也】居不連垝【毀牆曰垝】而曰成鳩氏周闔四海為一家夷貉【夷貉或作第卻】萬國莫不來朝其果情【一本情下有可字一本情作成】乎【此言邱裡之間其業之異如此又況四海夷貉之逺乎】鶡冠子曰虎【或作唐】狼殺【或作救】人【或作下】烏蒼從上【烏烏鳥也蒼蒼蠅也】螾蛾【一作蟻】從下聚之六者異類然同時俱至者何也所欲同也由是觀之有人之名則同人之情耳何故不可乎【此言四海之情同以為一家無不可者】天度數之而行在一不少在萬不眾同如林木積如倉粟鬥石以陳昇委無失也【委亦米之數也傳曰少曰委多曰積其數未詳聞也禮雲出入三積】列【或作削】地分民亦尚一也耳【或無耳字】百父【或作交】母子何能增減殊君異長又何出入若能正一萬國同極德至【至下或有制字】四海又奚足闔也龎子曰果必信然隂陽消散三百六十日各反【或作及】其故天地局局【或作】奚足以疑【局局挾貎孟子所謂天之髙也星辰之逺也茍求其故千歳之日至可坐而致也】聖人髙大內揣深淺逺近之理【或作異】使鬼神一失【一失失其奧也此言聖人燭理有以窺之】不復息矣【運而不停】與【或作為】天地相蔽【蔽天地而不恥】至今尚在以鉦面達行【疑】宜乎哉成鳩之萬八千歳也【夫道者天地之母縮而修身伸以治國皆可以長久此廣成子之所以千二百年而成鳩氏之所以萬八千歳也故曰廣成子之謂天矣又曰成鳩氏天故莫能増其髙尊其靈】得此道者何辯誰氏所用之國而天下利耳【用之則是安辯誰何】

龐子が鶡冠子に問うて曰く:「泰上成鳩【一本は「瞗」】の道は、一族これを用いて一万八千年【古伝記載:天地初めて立つとき、天皇一名天霊、その治世一万八千年。然れば成鳩は大概天皇の別号】。天下を据有し、兵強く、当世これを奪う能わず【天地剛く立つとき、どうしてすでに兵あるを容れん。この話もまた筌蹄なり。南華(《荘子》)に曰く:寓言は十分の九を占め、重言は十分の七を占む】、天地とともに存し、久しくして倫比すること絶えてなし【倫なしは、細やかさの極まりなり。《中庸》に曰く:毛もなお倫あり】、それら殊異の物を斉一せんとするも【鵬と鷃の大小を斉一にし、鳧と鶴の長短を等同にする】、以てその相去るの不同を称するに足らず【懸絶この歩に至るをいう】。世に樹俗立化を講ぜざるなきに、彼独り行う所は何の道ぞ、ついにこの歩に至れりや?」鶡冠子曰く:「彼の成鳩氏は即ち天なり【ここで句を断つ】、ゆえに誰もその高を増高し、その霊を増尊する能くする者なし。」龐子曰く:「何を天と曰うか?どうして誰もその高を増高し、その霊を増尊する能くする者なからんや?【凡そこれらは皆所以然を追問す】」鶡冠子曰く:「天は、その日徳を誠とす。日【或いは「日」の字なし】は誠実に出で誠実に入り、南北に極あり【冬至の日は北に往き、夏至の日は南に往く】、ゆえに誰も之を法則と為さざるなし【日徳より中を取る】。天は、その月刑を信とす。月は信実に死し信実に生じ、終われば則ち始まりあり【朔より後に魄生じ、望より後に魄死す】、ゆえに誰も之を政と為さざるなし【月刑より正を取る】。天は、明星をもってその核験と為す【明星は即ち大星、二十八宿の類】。列【或いは「削」】星乱れず、各々次序に按して運行す、ゆえに小大なるも誰も之を以て彰明と為さざるなし【小星は侵陵掩没せられず。案:一本は「掩」の字なし】。天は、時に因りてその則と為す。四時は名に当たりて更代し【或いは「伐」】而も相い干犯せず【或いは「于」。この謝し彼の代わる、侵越なし】、ゆえに誰も之を必然と為さざるなし。天は、一法をもってその同と為す【或いは「其」の字なし】。前后左右・古今皆自ら然るのみ【どうして杞人が天の崩墜せんを憂えんや】、ゆえに誰も之を常と為さざるなし。天の誠・信・明・因・一【「誠」はその日徳を誠とし、「信」はその月刑を信とし、「明」は明星をもって核験とし、「因」は時に因りて則とし、「一」は一法をもって同とす】、衆父を為さず【或いは「文為衆父父」】。変化する一なり、ゆえに誰も之と先を争う能わず【南華(《荘子》)に曰く:一なれども変化せざるべからざるは、道なり。「先」或いは「光」】。変化する一はすでにその固定の一にあらず【一は以て之を圏住するに足らず】、ゆえに再び尊ぶべからず、再び増すべからず。成鳩は一を得、ゆえに誰も仰いで其の制を受けざるなし【所謂侯王一を得て、天下の正と為る】。」龐子曰く:「その制度を聞かんことを願う。」鶡冠子曰く:「成鳩の制度は、神明と体正す。神明は、下に窮究し上に辺際す【沈み下りて下に窮まり、浮き上りて上に際す】、能く万物を嗇養するも饜足すべからず、周泊【或いは「汨」、或いは「流」】遍照し【周泊は外なく、遍照は里なし】、返りて天地と総合す、ゆえに能く天下のために計と為す【狂放して返らざれば、どうして民とともに吉凶の患に当たらん】。早々に識破するに明く、臼に遇うも【或いは「遠白」】迷惑せず、存亡の祥・安危の核験に惑わず。」龐子曰く:「その核験を聞かんことを願う。」鶡冠子曰く:「底下に安置する安からざれば【ここで句を断つ】、上は以て承載すべからず【或いは「可以載」】。其の足を累くれば【或いは「是」】、彼の最高にして立つること局曲せざる【或いは「不可植局」】は、未だ嘗て有らず【これは安危の核験の譬え:底下に安置するもし危うければ、上に累かんと欲するは難しをいう。又いわんやなおその上に在る者あらば、則ちその立つ所どうして局曲ならざらんや。累足は即ち蹐、植は即ち立、局は即ち曲】。人情に辨じ、物【或いは「万物」】の理を窮究し、天地に称量し【「称」は量度をいう】、廃置殆からず【或いは「佁」、或いは「冶」】、山川を審察し、運動挙措に検押あり【蠢動皆検押の裡に在り。案:「押」一本は「柙」】、生物害なく、彼らの父母と為り、践踏欺凌なく、取予は仁より出づ、教と道と皆具わり【教は以て人のためにす、道は以て己のためにす】、要約は言語に在り【直説を言と曰い、問難を語と曰う】、信実は約束に在り、已と諾と皆専擅せず【反す諾は即ち已。《礼記》に曰く:諾の責あるよりは、寧ろ已の怨あるを】、喜怒増添せず【喜は与うるを超えず、怒は奪うを超えず】。その兵は武に恃まず、樹立して俗と為り、その化はここより出出づ。」龐子曰く:「その人情物理・万物を嗇養する所以・天地と総合し・神明と体正するの道を聞かんことを願う。」鶡冠子曰く:「成鳩氏の道は、天曲・日術を離れたるなし。天曲は明白にして遵循し易く【或いは「修」】、日術は簡要にして施行し易し【天曲は、五家伍を為し五郷県を為すの類のごとし。日術は、家は提を用い甸長は旬を用いるの類のごとし。この套の法は周の末造に起これり、しかるに成鳩之を用うという、今日越国に往きて昨日すでに到るに等し。然ればこの書は寓言多し】。」龐子曰く:「天曲・日術を聞かんことを願う。」鶡冠子曰く:「彼は城邑を划定し【或いは「已」】都城を治理し、人々をして熟看習熟せしむるの法は:五家一伍を合成し、伍に伍長を設く。十伍一里を合成し、里に有司を置く(里の一級の主管)。四里一扁を合成し【「扁」は当に「甸」たるべし、後皆これに照らす】、扁に扁長を設く。十扁一郷を合成し、郷に郷師を置く。五郷一県を合成し、県に嗇夫ありて之を治む。十県一郡を合成し、大夫ありて之を守り、官属と称す。郡大夫は退きて其の属する県を修整し【或いは皆「循」】、県嗇夫は退きて其の郷を修整し、郷師は退きて其の扁を修整し、扁長は退きて其の里を修整し、里有司は退きて其の伍を修整し、伍長は退きて其の家を修整す。事は相い指摘改正し、居処は相い察看し、出入は相い伺察す【「司」は猶伺のごとし】。父は父と義を講じ、子は子と孝を講じ【「与」或いは「為」】、長者は善を講じ、少者は敬を講じ、早晚は香気のごとく相い薫染し、以て慈孝【或いは「力」】の事務と為す。もし遷徙去就有れば、家は家と相い接收し、人は人と相い交付し、逃亡の人・奸邪の物は、穿窜すべき地方なし。これ即ち彼の人情物理なり。伍の裡の人に故なくして【或いは「物」。一本は「伍人有勿」の四字なし】上の令を奉行せず、有余不足と居処の情状あるは【有余・不足・居処の情状ありて、故なく動輒上令に違背せば、当に有司に報告すべしをいう】、しかも即時に里有司に報告せざるは、之を乱家と曰い、その罪は伍長一同に坐す【「同」は五人の罪に同坐すをいう】。里中に長を敬せず少を慈しまず、等列を超出し、衆人と両様にして、父兄の教を聴かざる有れば、聞む所有りて悉く扁長に報告せざるは、之を乱里と曰い、その罪は有司に在り、並びに贰は其の家に及ぶ【「贰」は猶副のごとく、今の従坐のごとし。扁は時に按して循【或いは「修」】行教誨せず、聞むも悉く郷師に報告せざるは、之を乱扁と曰い、その罪は扁長に在り、並びに贰は其の家に及ぶ。郷は時に按して循行教誨せず【一に再び、再に三び教うるを誨と曰う】、聞むも悉く県嗇夫に報告せざるは、之を乱郷と曰い、その罪は郷師に在り、並びに贰は其の家に及ぶ。県嗇夫は時に按して循行教誨せず、聞むも悉く郡に報告せざるは:善なる者は顕揚せず、之を蔽明と曰い。悪を見て隠瞞するは、之を下比と曰う——之を乱県と曰い、嗇夫を誅罰して赦免なし【贰及其家と曰わざるは、罪すでに贰及其家に至りて重し、然れば誅は以て知るべし】。郡大夫は時に按して循行教誨せず、聞むも属实なるも【或いは「賓」】、遺脱所有りて、悉く柱国に報告せざるは(この套の層級の中に郡大夫の上・令尹の下に位し、各郡を匯総して天子に奏す)、之を乱郡と曰い、郡大夫を誅罰して赦免なし。柱国は政を行わず、下情をして上に達せず、上情をして下に透せず、之を絿【或いは「絯」、或いは「繆」】政と曰い【「絿」は即ち急】、柱国を誅罰し、門を滅ぼして族属に残及す(底本は「残疾」)。令尹は時令に適せず【或いは「宣」】、地に合わず【或いは「令」。地の徳に合する】、百姓に害及ぶは、之を乱天下と曰い、令尹を車裂して以て衆に示す【柱国は楚国の尊宠の官、令尹は則ち相国のごとし。楚懐王は柱国昭陽をして兵を将たらしめ斉を攻めしむ。陳軫は楚国の法を問う、軍を破り将を殺すは、どうして彼を貴ばんや。昭陽に曰く:彼の官は柱国、土を封じ圭を執る。軫問う:なおこれより貴き者有らんや。曰く:令尹。軫は、即ち車裂。《周官》は轘と曰う。「軫」或いは「斬」】。これ即ち其の万物を嗇養する所以の法なり。天は四時を用い、地は五行を用い、天子は一を執りて、中央に居り【一本は「守」】、両間に参じ、五音を以て調え、六律を以て正しくし、度数を以て紀とし、刑徳を以て宰とし、本より末に至り、甲乙に按して次第を排す。天は元より始まり、地は朔より始まる【元は気に就いていい、朔は方位に就いていう。天運は玄元より始まり、地処は玄朔より始まる(底本の「玄」の字は私用区、通本に按せば「玄」)】、四時は暦より始まる【王者は人時を敬授す、実際は暦より始まる】。ゆえに家は防を用い【「防」は零日。《公羊伝》に曰く:防月は、僅かにこの月の晦日に趕る。案:「防」一本は「提」、今本《公羊伝》にも「提月」の文なし】、扁長は旬を用い、郷師は節を用い【驚蟄・芒種の類】、県嗇夫は月を用い、郡大夫は気分の至る所を用い【二分二至の類】、柱国は六律を用い。里は五日して扁に報告し【防を用い】、扁は十日して郷に報告し【旬を用い】、郷は十五日して県に報告し【節を用い】、県は三十日して郡に報告し【月を用い】、郡は四十五日して柱国に報告し【気を用い】、柱国は六十日して以て天子に上聞し【律を用い】、天子は七十二日して使者を派遣す【一本は「遣使于郡」。これは五行分王の数を用いる:一歳の運行、五行各々七十二日を王たる】、功ある者を勉励し、如らざる者を懲罰す【ここで句を断つ】。これ即ち天地と総合する所以。下情は六十日に一回上聞し、上恵は七十二日に一回下透す。これ即ち天曲・日術なり。ゆえに不肖なるも其の賎を失わず、賢なるも其の明を失わず、上は其の福禄を享け【或いは「序」】、百事皆理順す。叛離せんと欲するは利を得ず【天下安然として、暗裏に叛せんと欲する者有るも、乗ずべきの隙なし】、ゆえに誰も其の強を撓う能わず。此れによって満に治めて溢れず【之を増添して溢れしめず】、大に綰めて【或いは「天」】芒らず【之を減損して芒らしめず。芒は小をいう】、天子中【或いは「甲」】正なり。使者敢えて言辞を改換し区域を尊益するも【或いは「域」の字なし】、利をもって下に干犯し上を蒙蔽せば【使者言辞を改換し、襄を貸し誉を借り、区宇を尊益せば、則ちその弊(底本のこの字は生僻字、通本は「弊」)は干下蔽上に至らん】、その刑は斬笞、赦免なし。諸吏は教苦し徳薄く、百姓を侵暴するは、即ち罷免し、汚官をして治を乱らしめざるべし。令を奉ぜず法を犯すは、その罪は民より重し【悪を衆人に播く】。利有るも利を取らず、運転するも次を取らず【疑:「取次」或いは「敢次」】。ゆえに四方は跟いて来り、ただ後るるを怕る。此れによって天を運して【「運天」或いは「運大」】維張れり【《管子》に曰く:四維張らざれば、国則ち滅亡す】、地広くして徳彰明し、天下安楽なり。年期を設置し昌盛を給与し、属官各々一つの時令に按して等第を考核す。上辺の賢能は令尹に報じ、令尹は再び上聞す。一次・再次にして則ち職を削り【一本は「則織」】、三次にして【或いは「典」】赦免なし。治理は官守を越えず、史・李(獄を治める官)をして失誤せしめず、公市持平す。生くる者は此れによって喜ばず【故に彼を生かすにあらず】、死する者は此れによって怨まず【故に彼を殺すにあらず】。人は要する所を得、国は変故なし。功ある者を明に賞賜して、徳沢は三世に及ぶ。父【或いは「名」】は其の罪を伏し【或いは「状」】、別に謚号を創るを得ず【彼に名を幽・厲と与う、たとい孝子慈孫といえども改むる能わず。「創」或いは「制」】。事は一と二に従い、終古悖乱せず。彼は盤算す:郷里に善を為すは、里中に善を為すに如かず。里中に善を為すは、家裏に善を為すに如かず。ゆえに善を為すは以て挙ぐべく、悪を為すは以て誅すべく【或いは「諭」】。誰も敢えてただ一日の善を講ぜず、皆終身を以て期限と為し、平素等次を失わず。ゆえに化立ちて世に邪なし。化立ち俗成れば:少なれば則ち同儕【或いは「斉」】、長すれば則ち同友、遊敖は同品、祭祀は同福、死生は同愛、禍災は同憂、居処は同楽【安居を処と曰う】、行作は同和、弔賀は同雑、哭泣は同哀。歡欣は以て相い帮助するに足り、偵諜【或いは「謀」】は以て相い制止するに足る【底本のこの字は生僻字、注は探偵と曰う。「諜」は即ち間諜】。安平の時は相い馴習し、軍旅の時は相い保し、夜戦は以て相い信ずるに足り、昼戦は以て相い配合するに足る【或いは「丑」】。内を禁暴し、外を無道を正しくするに用い。ゆえに其の兵は横行誅伐する能くして、誰も敢えて抵御する者なし。此れによって刑立てども用いず、権重を争わずして更重く、車甲陳列せずして天下に敵手なし【一本は「天下无道適矣」】。道を失えば、賎しきは敢えて貴に逆らい。義なければ、小は敢えて大を侵す。成鳩はすでに上世の嗣君の道を失い功を亡び、本に背き【或いは「信」】徳を滅ぼすの則を見たり。ゆえに彼らのために不朽【或いは「株」、又或いは「采」】の国を為し、位を定め祭を牢にし【或いは「然」。其の邦家を保つ能わざれば、位は定まらず。其の宗廟を保つ能わざれば、祭は牢ならず】、鬼神をして信実に言わしむ【或いは「日」】:規を増せば則ち円ならず、矩を益せば則ち方ならずと【法度すでに至足にして、欠くるなく余るなし、規は増すべからず、矩は益すべからずをいう。ただ人をして之を信ぜしむるのみならず、鬼神に質るといえども疑なし。聖人の法は、譬うれば同じく一身子のごときか:之を増せば贅と為り、之を割れば則ち損う】。此を以て末世に示范し子孫に伝うるは、ただ此れ以て持すべく【或いは「唯此可持」の字なし】、ただ此れ以て將すべし【「效」は猶示のごとく、效犬・效羊の效のごとく読む。以て子孫の末裔に示范するをいう。立てば以て持すべく、行えば以て將すべき、ただ此れのみ】。將は吉を養うなり。釈【或いは「沢」】は不祥を去るなり。壇上に全牷を用い【毛色純なるを犠と曰い、体完なるを牷と曰う】、斎明を以て正しくす【「斎」或いは「天」、或いは「文」。昏昧ならざるを斎と曰い、暗昧ならざるを明と曰う。斎明は大概祭祀の正、犠牷はただ副を為すのみ。《礼記》に曰く:廟を離るを祧と曰い、祧を離るを壇と曰い、壇を離るをと曰う。ここにただと曰うは、上にすでにかくのごとし、壇より再び上れば以て知るべし。案:「不莫」一本は「不革」】、四時献享し、祭祀以て家王と為す【子孫祭祀輟まず、所謂祀を以て家王と為す】、以て神として享用し、礼霊の符と為し、宗廟に蔵し、璽を以てこれらを正しくす【或いは「諸侯」。彼らのために信符を為し、宗廟に蔵し、また其の璽を以て之を正しくし、以て後世の守るべき所を標明す】。ゆえに其の後世は教を保つも完整なり【ここで句を断つ】。耳目は営惑せられず、心を用うる分散せず、異物を見て遷改せず、私を捐て【或いは「指」】毒を去り【或いは「也」。己の私を捐て、人の毒を去る】、内裏の哲に鉤り【一本は此の字の上に「毎」の字あり、「鉤」は「均」に作る;或いは底本のこの字は生僻字。智足りて之に達す】、守る所を固守し【仁足りて之を守る】、更始して新に逾え【一周を転じて再び始め、文采有りて新に越ゆ】、上元を以て紀と為し、共に嘉恵を承受し、相高くして改めず、昭穆に信実す【湯は契を先に置かず、文武は不窋を先に置かず。魯国は僖公を升りて閔公の前と為せば、則ち此を失う】。具備して【或いは「其」】士を招き【此の字疑いて讹誤あらん】、先に結交したるは、後に入るの解く能わざるなり【先に入る者すでに定まり、ゆえに後に入るの事は之を解く能わず】。これは極を知るの至る所なり【「極」は紀極の極のごとし】。」龐子曰く:「改めざる所以・更始して新に逾えるの道を聞かんことを願う。」鶡冠子曰く:「成鳩は、即ち所謂王𫓧の伝を得る者なり。」龐子曰く:「何を王𫓧と曰うか?」鶡冠子曰く:「王𫓧【案:一本は此の三字なし】は、一朝一世の器具にあらず。死を以て生を成就す【殺を以て殺を止む】、是れ中より外を制するの教なり【「教」或いは「数」】。後世【或いは「世后」】成就極に至り、子孫一系・霊羽【「霊」或いは「虚」】の条理【或いは「理虚羽理」、或いは「虚村理」】、符信は日に按して遵循し【或いは「修」】、功は敢えて【或いは「敢」の字なし】敗らず【智の者工巧なるも、敢えて之を敗らず】。事業を奉じて制度を窮究し、正を執り内を守れば、拙も敢えて廃せず【愚の者拙なるも、敢えて之を廃せず】。楼(底本のこの字は生僻字、転写後に失われた)と旱とは【蘇本は「楼(底本のこの字は生僻字)与卑」、疑いて「旱」或いは「早」ならん】、新を以て故に接続し、四時は応効を執着し、錮【或いは「銅」】は駿ならず【此の字疑いて讹誤あらん】。後に廟に入るを得るは、惑し爽るに若く【或いは「或」】【或いは底本のこの字は生僻字】承嗣する能わざれば【或いは「副」】、之を焚と曰う【或いは「婪」。火を生ずること多ければ、則ち其の和焚かる。《列子》に曰く:焦然として肌色奸黯し、昏然として五情爽惑す】。祖命世徳に忝けば【「冒」は即ち忝。「世」は世徳の世のごとし】、礼儀上の嗣君は朝に引かれず、奉常は之を廟に納れず【「弗引」は朝に引かざる、「弗内」は廟に納れざる。奉常は礼官、宗廟の儀を掌り、丞有り。景帝改めて太常と称す】。神霊は祭祀を食用せず【其の鬼食祀を得ず】、家王は祭祀を挙行せず、天將に咎を降さんとし、皇神は享用せず【家王礼を越えて祭れば、則ち天に罪を獲る。皇神は郊祭するも享用せず。皇神は昊天上帝】。これ即ち改めざる所以・更始して新に逾えるの道なり。ゆえに主に別意なし【人君爽惑して承嗣する能わざれば、其の罪は上に説くがごとし。然れば其の後に継ぐ人は旧に据りて新を鑑み、どうして動輒両様ならんを敢えてせんや】、民心遷徙せず、天と則を合し、万年一范なり【「范」は荀子「范型」の范のごとし】、近きは其の善を親しみ、遠きは其の徳を慕い、停止なし。此れによって其の教は人をして厭はしめず、其の用は匱えず(底本のこの字は生僻字、通本は「弊」)、ゆえに能く四海を畴合して以て一家と為し、夷貉万国皆時に按して朝服を着けて致績に来たる【或いは「続」】、誰も敢えて増【或いは「増」】や免を效法する者なし【夷貉万国皆朝服を着けて致貢に来たり、敢えて動輒増せず、敢えて免ぜずをいう。《法言》に曰く:我が純績を披き、我が金犀を帯ぶ、即ちこれ】。聞く所は伝訳を経て、来りて其の義に帰向す【また更に遠きそれら】、誰も其の俗を改易し其の教を移易する能わず【孟子の所謂夏を以て夷を変ず、未だかえって夷に変ぜらるるを聞かざる】。ゆえに其の威立てども干犯せられず、流伝遠に至りて廃せられず。これは素皇内帝【或いは「耑」】の法なり【帝は天の名号、王は人の称呼、皇は天人の総・美大の名。素皇内帝と称するは、また其の中の至なり。至人神なり:此れによりて下に在れば、則ち玄聖外王の道(底本の「玄」の字は私用区、通本に按せば「玄」)。此れによりて上に在れば、則ち素皇内帝の法】。成鳩の執る所の柄【「枋」は即ち柄】は以て等を超え、世々奪う能わず。功は一日に比べて多く、一月に比べて長し。ゆえに能く天地とともに存すること久しきを得る。これ即ち神明と体【或いは「礼」】正する所以の術なり。士史【或いは「女」】・蒼頡の造字を待たず、ゆえに後世誰も其の過を指摘する能わず【士は李官。太古は法なくして治め、十史を設立せず、書契を造らず、至徳玄同(底本の「玄」の字は私用区、通本に按せば「玄」)にして、之に由る者は知る能わず、之を知る者は名づくる能わず、なお何の他人の過を議論せんや。古伝記載:蒼頡字を造れば、鬼神夜に哭き、天粟を落とす。正にこの時に当たり、至徳すでに衰う】、未だ道徳と相窮究せざるに能く此れによって善と為るを聞かざるなり【「究」の下或いは「謂」の字あり】。」龐子曰く:「このごとくなれば、古今の道は相同じきか?」鶡冠子曰く:「古もまたこの我にして之を久しからしめ、衆もまたこの我にして之を衆ならしむるのみ、比ぶればどこに両様あらん。彼の類聚の善は則ち万世忘れざらん【「類」は猶聚のごとし】。道悪なれば、禍は則ち彼自身に落つ、なお【或いは「有」】何の怪しむ所あらん。」龐子曰く:「今日の事を以て古代の道を看るに:舟車相通じ、衣服同一文采し、言語相い懂え、地を画して守りて相い侵犯する能わず。殊君異長は、相い使喚する能わず。耳に逆らう話耳を過れば、兵甲相い治理す【或いは「履」。「李」は李官の李のごとく、李は即ち治】。上なる百の父母子女にしても、尚且つ【或いは「其」。案:一本は「且」を「旦」に作る】統領する易からず【或いは「頃」。父母連ねて子女百に至るも、統領する易からずをいう】。さっき言う所は、並びに中国の正を離れず【「離」は附なり。以上言う所、さっき四海を畴合して以て一家と為すの言のごときは、中国の正を離るること遠きに似たりをいう】。丘第【「第」は即ち里第】の産業は、地界【或いは「或」】土著を出でず【「着」は即ち土著】、住むは毁墻を連ねず【毁壊の墻を垝と曰う】、しかるに成鳩氏四海を周合して一家と為し、夷貉【「夷貉」或いは「第却」】万国来朝せざるなしと曰う、これ果して実情【一本は「情」の下に「可」の字あり、一本は「情」を「成」に作る】なりや?【丘里の間の産業の差異すでにこのごとし、又いわんや四海夷貉の遠きにおいてをやをいう】」鶡冠子曰く:「虎【或いは「唐」】狼は人を殺し【或いは「救」】【或いは「下」】、烏鴉蒼蠅は上より来たり【「烏」は烏鴉、「蒼」は蒼蠅】、螾蛾【一本は此の字生僻にして、「□蟻」に作る】は下より聚り来たる。六種は異類なれど、同時に皆至る、何ぞや?要する所相同じきなり。これにより見れば、人の名有れば、則ち人の情同じくするのみ、どうして可ならざらんや【四海の情相同じきをいう、合して一家と為る可ならざるなし】。天は度数に按して運行す:一の上に在りて少と算せず、万の上に在りて衆と算せず、同なるは林木のごとく、積なるは倉裡の粟のごとく、斗石陳列し出でて、升と委と失誤なし【「委」もまた米の数。古伝記載:少を委と曰い、多を積と曰う、其の具体的の数は詳しく聞かざる所。《礼記》に曰く:出入三積】。地を列し【或いは「削」】民を分かつも、なお一なるのみ【或いは「耳」の字なし】。上なる百の父【或いは「交」】母子女にしても、どうして増減あらん。殊君異長は、また何の出入あらん。もし一を正しくする能くせば、万国は同一極し、徳は四海に至り【「至」の下或いは「制」の字あり】、またどうして用いて周合せんことを須ちんや。」龐子曰く:「果して必ずこのごとし。陰陽消散し、三百六十日各々其の故に返り【或いは「及」】、天地局局【或いは底本のこの字は生僻字】、どうしてなお疑うに足らん【局局は狭小の貌。孟子の所謂天あの高さ、星辰あの遠さ、もし其の故を推求せば、千年の日至も坐して算い出だすべし】、聖人高大にして、内に深淺遠近の理を揣度し【或いは「異」】、鬼神をして一失せしむ【「一失」は其の奥を失う。聖人は理を照見し、之を窺見する法有るをいう】、停息せず【運行して停まず】、天地と相い蔽覆し【或いは「為」。天地を蔽覆して以て恥と為さず】、今日に至りてなお在り。鉦面を以て達行す【ここ疑いて讹字あらん、今照録して改めず】、もまた応なるかな、成鳩の一万八千年【道は天地の母なり:縮めて身を修め、伸ばして国を治むれば、皆長久すべし。これ即ち広成子の一千二百年、成鳩氏の一万八千年の所以。ゆえに曰く:広成子は天と称すべし。又曰く:成鳩氏は即ち天なり、ゆえに誰も其の高を増高し其の霊を増尊する能くする者なし】。この道を得る者は、何ぞ必ずしも誰氏かを分辨し、どの国に用いるかを問わんや、天下皆利を得るのみ【之を用いれば則ち是なり、どうしてなお誰か何ぞかを分辨せんことを須ちんや】。」

泰鴻第十

泰鴻第十

泰一者【泰一天皇大帝也】執大同之制【制或作利泰一無所不同故曰執大同之制楚人忘弓未能忘楚孔子曰惜哉其未大也】調泰鴻之氣【泰一含元氣者故曰調泰鴻之氣鴻防元氣也泰鴻元氣之始也】正神明之位者也【南華所謂天尊地卑神明之位】故九皇受傅【受教於傅】以索其然之所生傅謂之得天之解【或作天然之解不與法縛不求法脫】傅謂之得天地之所始【生天生地】傅謂之道得道之常【不妄曰常】傅謂之聖人聖人之道與神明相得故曰道德【德者得此者也】郄始窮初【郄者開也有初然後有始列子曰太易者未見氣也太初者氣之始也太始者形之始也太素者質之始也太一至矣其地蓋處太易太素之間故曰郄始窮初案一本注末多一之字誤】得齊之所出【帝出乎震齊乎巽而太一者郄始窮初得齊之所出故能北辨面南與萬物相見案一本北作比又注末相見下又一字疑衍文】九皇殊制而政莫不効焉故曰泰一【泰一者無適而非一也故九皇殊制而不能二也案一本也下有焉字誤】泰皇問泰一曰天地人事三者孰急【泰皇蓋九皇之長也】泰一曰愛精養神內端者所以希天【內直者與天為徒】天也者神明之所根也醇化四時陶埏無形【埏和土也】刻鏤未萌【木曰刻金曰鏤凡此亦皆自然也夫豈物刻而雕之】離文【或作父】將【或作特】然者也【離華離也天道造始而地事終之故其言如此】地者承天之演備載以寧者也吾將告汝神明之極天地人事三者復一也立置臣義【此將從體起用和同天人之際使之無間故先建立君臣之義】所謂四則【四則即上所云傅謂之得天之解傅謂之得天地之所始傅謂之得道之常傅謂之聖人】散以八風【東方曰明庶風西方曰閶闔風西南曰涼風東北曰融風之類散謂散上四則他皆放此】揆以六合【揆言總之六合之內也】事以四時寫以八極【寫言放之八極之外也】照以三光牧【或作收】以刑德調以五音正以六律分以度數表以五色改以二氣【亭之以溫涼毒之以寒暑】致以南北【南北謂日】齊以晦望【晦望謂月】受以明厯【厯謂日月星辰蓋四則至矣而其道無乎不在在此為此在彼為彼故八風得以散六合得以揆四時得以事八極得以寫三光得以照五音得以調六律得以正刑德得以牧度數得以分五色得以表二氣得以改南北得以致晦望得以齊明厯得以受然則道之所在於彼乎於此乎其亦無所不在乎故曰天地人事三者復一也】日信出信入南北有極度之稽也【此申致以南北之義冬至日在牽牛夏至日在東井其長短有度】月信死信生進退有常數之稽也【此申齊以晦望之義三五而盈三五而闕其損益有數】列星不亂其行代而【或作以】不幹位之稽也【此申受以明歴之義五位二十八舍各有常次】天明三以定一【義見下文】則萬物莫不至矣【或作以】三時生長一時煞刑四時而定天地盡矣【此言方其生長則三不後於一方其投刑則一不後於三以明三極之道莫知其孰急也】夫物之始也傾傾【或作鴻鴻傾傾未正之貎】至其有也録録【未能拔於常流之中故曰録録】至其成形端端王王【端端傾傾之反王王録録之反】勿【或作物】損勿益幼少隨足【各隨其性而足無於事老】以從師俗【仰以從於師俯以從於俗】毋易天生毋散天樸自若則清動之則濁【人心譬如槃水莫動則平不撓則清防風過之則不可以得水形之正矣】神聖踐承翼之位【承翼之位蓋天位也前後曰承左右曰翼也】以與神皇合德【五精之帝謂之神後則神皇蓋昊天也】按圖正端以至無【或作天】極兩治【或作祭】四致【兩治上下察也四致普徧四方也】閒以止【或作上】息【隨縁越感無所不周如上所謂可謂至矣然而動息則靜語息則嘿豈常離此寂然之地哉】歸時離氣以成萬業【離附也取譬言之借如五精之指其道各徧五方而太昊司春少昊司秋者所以歸時離氣以成萬業也】一來一徃視衡低仰【彼來此徃而低仰視車之衡所以同乎人也禮曰國君綏視大夫衡視又曰執天子之器則上衡國君則平衡大夫綏之或曰衡如權衡之衡衡之低仰應物而已何所容其心哉】五官六府分之有道無鉤無繩渾沌不分【曲者不以鉤直者不以繩而渾沌全矣故曰擢六律塞師曠之耳散五采膠離朱之目毀絶鉤繩儷工倕之指而天下人始舍其樸矣】大象不成事無經法精神相薄乃傷百族【此明渾沌之不可判也蓋偽生真死而渾沌判矣則精神相戰百族為之不寧南華曰上倍日月之明下爍山川之神蓋謂是乎】偷氣相【或為祖】時後功可立【盜隂陽之和以載其形而還以相時】先定其利待物自至【不迎】素次以法物至輒合法者天地之正器也用法不正德不成【所謂亂天之經逆物之情天弗成】上聖者與天地接【句】結六【或作交】連而不解者也【六連六合也老子曰善結者無防約而不可解】是故有道南面執政以衛神明左右前後靜侍【或無侍字】中央【此言君無為也而臣亦無為也案一本無也字】開源流洋【洋若今海之有洋也】精防徃來傾傾繩繩【或作鴻鴻防防傾傾側貎繩繩正貎案鴻鴻一本作鴻鶁誤】內持以維外紐以綱【或作經】行以理埶【或作執】紀以終始同一殊職【聨之使同統之使一】立為明官五範【五範五音也義見下文】四時各以類相從昧【或作味】生色【春夏之華髮於冬】音聲相衡【衡平也】東方者萬物立止焉【或作東方生物圖揭立止焉止猶植也】故調以徴南方者萬物華羽焉故調以羽西方者萬物成章焉故調以商北方者萬物録臧焉故調以角【徵屬南方而今此言於東方者蓋言以調東方而已非謂分配東方也下皆放此】中央者太一之位【北極天地之中而其一明者太一之座】百神仰制焉故調以宮道以為先【夫道至矣而更推以為先記曰夫禮必本於太一分而為天地轉而為隂陽】舉載神明華天上【或作華物天上疑此樂章之名蓋若皇華折也】本出黃鐘所始為東方萬物唯隆以木華物天下盡木也使居東方主春以火照物天下盡火也使居南方主夏以金割物天下盡金也使居西方主秋以水沉物天下盡水也使居北方主冬上為大都天下盡土也使居中央守地天下盡人也以天子為正【此言太一司天而分任五方又以天子治之】調其氣【調其五行之氣木蘊金清之類】和其味【和其五行之味水鹹火苦之類】聽其聲【火蕉金殺之類】正其形【木圓土方之類】迭徃觀今【或作令】故業可循【或作修】也【天下一致來不異古徃不異今卻而觀之則其業可循近迭篇曰師未發軔而兵可迭也蓋前卻曰迭案兵可迭也一本無也字】首尾易面【或作白春夏先秋冬後其方各有向焉何可易也】地理離經【天之首尾易向則地理亦失其經】奪愛令亂【奪其所欲而亂蓋天序易於上地理離於下則人其有不亂者乎】上滅天文理不可知【天文滅矣地理安可知也故曰文理相明者也】神明失【或作夫案失一本又作矣】從【或作徒】文【或作父】理者相明者也色味者相度者也藻華者相成者也【對質曰藻對實曰華藻文也藻如草之藻華如木之華】眾者我而眾之故可以一範請也【請如請益之請蓋眾者自我而千萬則其一之亦在我矣請以一範無不可者】順愛之政殊類相【或作未】通【列子曰虎之與人異類而媚養己者順也】逆愛之政同類相亡【傳曰焉知父子不為豺狼】故聖人立天為父建地為母範【或作危】者非務使雲必同知一期【或作明】以使一人也泛錯之天地之間而人人被其和【或作人被其和此言聖人蓋知一期以使一人而惟是心馬汜錯之天地之間而人人被其和也非務使之必同故曰一人之情千萬人之情是也】和也者無形而有味者也【和者道也蓋道無形而有味】同和者仁也【與道同和】相容【或作密】者義也【與道相宻者義也蓋不道則義不能容不義則道不能容】仁義者所樂同【或作自】名【或作召】也能同【或作因】所樂無形內政【此言能同仁義之樂則政法雖有而真空內之蓋所謂真空者無不礙有故也案真空之真一本作貞字】故聖知神方調於無形而物莫不從天受藻華以為神明之根者也【天受道之英華以生神明列子曰清輕者上為天重濁者下為地】地受時【或作得】以為萬物原者也【地者受天之時以產萬物】神聖詳【或作祥】理【或無詳理二字作庠惡深契於理】惡離制命之柄【制命之柄或無離字老子所謂魚不可脫於淵利器不可以示人】斂散華精以慰地責【或作貴】天者也【此言神聖契理而有以制命則虀粉萬物而不為戾雖以慰地責天可也昔者老子上毀五帝通及三皇而西域之學有喝佛罵祖者豈近是乎】調味章色正聲以定天地人事三者畢此矣【其道如上所謂則天地人事豈有出於此乎】

泰一(至高本原の専名)【泰一は即ち天皇大帝】は大同の制度を執って【「制」或いは「利」。泰一には同じからざる所なし、ゆえに大同の制度を執ると曰う。楚人弓を失い、心はなお楚を忘れず。孔子に曰く:惜しいかな、彼は未だ大ならず】、泰鴻の気を調和し【泰一は元気を含む、ゆえに泰鴻の気を調和すと曰う。鴻は即ち元気(底本は「鴻防」、「防」は当に「微」の類と読むべし)。泰鴻は元気の始め】、神明の位を端正す。【南華(即ち《荘子》)の所謂「天尊地卑、神明之位」】ゆえに九皇は傅より教を受け【傅より教を受く】、以て其の然る所以の所生を推求す。傅は、天の解を得たと曰う【或いは「天然之解」。法と纏わらず、また法より脱出せんを求めず】。傅は、天地の始を得たと曰う【天を生じ地を生ず】。傅は、道を得たと曰い、道の常を得た【妄ならざるを常と曰う】。傅は、聖人と曰う。聖人の道は神明と彼此相い得、ゆえに之を道徳と曰う【徳は即ちこの得る所】。其の始を開き其の初を窮め【「郤」は即ち開。初有りて然る後に始有り。《列子》に曰く:太易は、未だ気を見ず。太初は、気の始め。太始は、形の始め。太素は、質の始め。太一極に至りて、その位大概太易と太素の間に処る。ゆえに其の始を開き其の初を窮めと曰う。案:一本は注末に「之」の一字多し、錯なり】、「斉」の出ずる所を得たり【帝は震より出で、巽上に斉き、而も太一は其の始を開き其の初を窮め、斉の出ずる所を得。ゆえに能く北に朝して分辨し、南に面して万物と相見す。案:一本は「北」を「比」に作る。また注末「相見」の下なお一字あり、疑いて衍文ならん】。九皇の制度各々相同じからず、而も政は効ならざるなし、ゆえに之を泰一と曰う【泰一は処として一ならざるなく、ゆえに九皇制度不同なれど、二つに分かつ能わず。案:一本は「也」の下に「焉」の字あり、錯なり】。泰皇は泰一に問うて曰く:「天地・人事、此の三つどれか急なる?」【泰皇は大概九皇の首領】泰一曰く:「精を愛惜し、神を養護し、裏頭を端正するは、以て天を仰慕するなり【裏頭直き者は、天と伴侶を為す】。天は、神明の根なり。醇化四時し、無形を陶冶揉和す【「埏」は即ち土を和らぐ】。未だ萌発せざる時に刻鏤す【木を刻と曰い、金を鏤と曰う。これらも皆自然なり、どうして一件一件刻み一件一件雕らん】、文采華離し【「文」或いは「父」】將に【「將」或いは「特」】然らんとす【「離」は華離。天道は其の始を造り、地事は其の成を終る。ゆえにかく曰う】。地は、天の演衍を承接し、負載を備斉して以て安頓す。我將に神明の極を汝に告げん:天地・人事の三者は、「一」に帰す。先づ君臣の義を建立し【これは体より用を起さんとし、天人の間を和同して間隙なからしめんとす。ゆえに先づ君臣の義を建立す】。所謂四則【四則は即ち上に説く所:傅は天之解を得たと曰い、傅は天地之所始を得たと曰い、傅は道之常を得たと曰い、傅は聖人と曰う】は、八風を以て散じ【東方を明庶風と曰い、西方を閶闔風と曰い、西南を涼風と曰い、東北を融風と曰うの類。「散」は上の四則を散ずをいう、下皆これに仿す】、六合を以て揆度し【「揆」は六合の内に総括すをいう】、事を四時に用い、八極に寫放し【「寫」は八極の外に放つをいう】、三光を以て照し、刑徳を以て牧し【或いは「收」】、五音を以て調え、六律を以て正しくし、度数を以て分かち、五色を以て表し、二気を以て改め【温涼を以て亭育し、寒暑を以て厚成す】、南北を以て致し【南北は日をいう】、晦望を以て斉にし【晦望は月をいう】、明暦を以て受く【暦は日月星辰をいう。四則極に至りて、而も其の道は在る所なし。ここに在ればここの事を為し、かしこに在ればかしこの事を為す。ゆえに八風は散ずを得、六合は揆すを得、四時は事を得、八極は寫を得、三光は照を得、五音は調を得、六律は正を得、刑徳は牧を得、度数は分を得、五色は表を得、二気は改を得、南北は致を得、晦望は斉を得、明暦は受を得。然れば道は彼方に在るか、それとも此方に在るか。它也是無所不在。ゆえに天地・人事三者は「一」に帰すと曰う】。日は誠信に出で誠信に入り、南北に極有るは、度の核験なり【これは「南北を以て致す」を申説す。冬至日は牵牛に在り、夏至日は東井に在り、その長短は度有り】。月は誠信に死し誠信に生じ、進退に常有るは、数の核験なり【これは「晦望を以て斉にす」を申説す。三五にして盈ち、三五にして欠く、その損益は数有り】。列星は其の行を乱らず、替代するも【或いは「以」】干犯せざるは、位の核験なり【これは「明暦を以て受く」を申説す。五位・二十八舍各々常次有り】。天は「三」を顕明して以て「一」を定む【意は下文に見る】、万物至らざるなし【「至」或いは「以」】。三時は生長し、一時は殺刑し、四時定まれば、天地は則ち尽きたり【これは正に生長の時に当たりては「三」は「一」の後に落ちず、正に投刑の時に当たりては「一」は「三」の後に落ちず——以て三極の道を発明す、どれか急なるを知る法なしをいう】。物の初めの時は傾傾として斜めなり【或いは「鴻鴻」。「傾傾」は未だ正ならざるの貌】、其の有る時に至りては録録平常なり【未だ常流より拔出する能わず、ゆえに録録と曰う】、成形に至りては、端端正正・王王特出なり【端端は傾傾の反面、王王は録録の反面】。減らすことなく【或いは「物」】、加うることなく、幼小なるは随うに足る【各々己の性に随うに足る、必ずしも事の上に老成を求めず】、以て師と俗とに跟從す【擡げて師に跟從し、低げて俗に跟從す】。天生を改易することなく、天朴(加工未経の原木、人為の雕琢されざる本真の状態を喻う)を散逸することなかれ。自ら然れば則ち清く、之を攪動すれば則ち濁る【人心は譬えば盤の裡の水のごとし、動かざれば平らぎ、攪かざれば清し。微風(底本は「防風」、「防」は「微」の讹、《荀子・解蔽》は「微風過之」に作る)一たび過れば、則ち水形の正を得る能わず】。神聖は承翼の位を踏み【承翼の位は大概天位。前后を承と曰い、左右を翼と曰う】、以て神皇と徳を合わす【五精の帝を神后と曰う、然れば神皇は大概昊天】。図に按して端正し、無【或いは「天」】極に至るまで。両治し【或いは「祭」】四致す【両治は上下皆察到する、四致は普遍に四方に至る】、止【或いは「上」】息を以て間隔す【機縁に随い感触を越え、処として周らざるなく、上に説くがごとく、到るを算すべし。然るに動は歇れば静し、語は歇れば黙す、どうして常にこの寂然の地を離れんや】。時に帰り気に附し、以て万業を成就す【「離」は即ち附。譬を打てば:五精各々の道の五方に遍くするがごとく、而も太昊は春を管め少昊は秋を管む、即ち以て時に帰り気に附し万業を成就す】。一たび来たり一たび往き、衡の或いは低く或いは仰ぐを看る【彼方来たり此方往き、しかも車衡を低仰して看る、以て人と相同ずる。《礼記》に曰く:国君は垂視し、大夫は平視す。又曰く:天子の器物を執れば則ち上衡し、国君は平衡し、大夫は垂る。或いは衡は権衡の衡のごとし、衡の低仰はただ物に応ずるのみ、心どうして何かを容れ得んや】。五官六府は、分かちて各々道有り。鈎なく、縄なく、渾沌分かたず【曲なるは鈎を用いず、直なるは縄を用いず、渾沌則ち全し。ゆえに曰く:六律を抽き去り師曠の耳を塞ぎ、五采を散じ離朱の眼を膠し、鈎縄を毀絶し工倕の手指を剁かば、天下人ここに始めて己の朴を守るを得】、大象成らず、事に経常の法なく、精神相い逼迫せば、則ち百族を傷る【これは渾沌の剖開すべからざるを発明す。偽生出て真則ち死し、渾沌一たび剖けば、精神則ち相い打仗し、百族此のために安寧を得ず。南華に曰く:上は日月の明を悖り、下は山川の神を爍す——この謂か】。気を偷りて以て時を相し【或いは「祖」】、然る後に功立つべし【陰陽の和を盗取して己の形を托し、回りて再び時を相す】。先づ其の利を定め、物の自ら来たるを待つ【迎えず】。平らかに法に按して次序を排せば、物一たび至れば則ち合す。法は天地の正器なり。法を用いて正ならざれば、玄(幽深測り難き)徳成らず(底本のこの字は私用区に落ち、文意は「玄」。《荘子・在宥》は「玄天弗成」に作る)【所謂天の経を乱り物の情を逆せば、玄天は成る能わず】。上聖は天地と相接し【ここに一句を断つ】、六連を結びて【或いは「交」】解くる能わず【六連は即ち六合。老子に曰く:善く結ぶ者は、縄約なくして解くる能わず(底本は「無防約」、通行《老子》は「無縄約」)】。ゆえに有道の者は南に面して政を執り、以て神明を護衛す。左右前后は静かに中央に侍す【或いは「侍」の字なし】【これは君無為にして臣もまた無為をいう。案:一本は「也」の字なし】。源頭を開通せば、流は洋のごとく闊し【洋は、今の海上の洋のごとし】。精微往来し(底本「精防」、「防」は「微」の讹)、傾傾縄縄たり【或いは「鴻鴻防防」。「傾傾」は側の貌、「縄縄」は正の貌。案:「鴻鴻」一本は「鴻鶁」、非なり】。裏頭は維を以て持し、外頭は綱を以て紐とし【「綱」或いは「経」】、理と勢とに按して行い【「埶」或いは「執」】、終始を以て紀とす。異なる職を同一に聯成し【聯えて之を同ならしめ、統めて之を一ならしむ】、立てて明白の官と為す。五範【五範は即ち五音、意は下文に見る】は四時と、各々類に按して相い從う。昧【或いは「味」】裡の玄は顔色を生出し(底本「玄」の字は私用区に落ち)【春夏の華発は玄冬の裡より出づ】、音声は相い衡平す【「衡」は即ち平】。東方は、万物の立ちて停る所なり【或いは「東方生物圖掲立止焉」。「止」は猶植のごとし】、ゆえに徵を以て調う。南方は、万物の華羽する所なり、ゆえに羽を以て調う。西方は、万物の成章する所なり、ゆえに商を以て調う。北方は、万物の録蔵する所なり、ゆえに角を以て調う【徵本南方に属す、今しかも東方に説くは、以て東方を調うをいうのみ、徵を東方に分配するにあらず。下皆これに仿す】。中央は太一の位なり(上文の泰一と同一)【北極は天地の中、彼の明るきは即ち太一の座位】、百神仰ぎて其の制を受く、ゆえに宮を以て調う。道を推して先と為し【道すでに極に至れるも、なお之を推して先と為す。《礼記》に曰く:礼は必ず太一に本づき、分かれて天地と為り、転じて陰陽と為る】、神明を挙げ載せて、華は天上に揚ぐ(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた、通行本は多く「揚」に作る)【或いは「華物天上」。疑いて楽章の名ならん、大概「皇華」「折揚」の類のごとし】。本は黄鐘より出づ。始まる所は東方にして、万物はただかしこにて隆盛す。木を以て物を華やかにせば、天下尽く木なり、之を東方に住ませて春を主らしむ。火を以て物を照らせば、天下尽く火なり、之を南方に住ませて夏を主らしむ。金を以て物を割れば、天下尽く金なり、之を西方に住ませて秋を主らしむ。水を以て物を沈めば、天下尽く水なり、之を北方に住ませて冬を主らしむ。上は大都市を為れば、天下尽く土なり、之を中央に住ませて地を守らしむ。天下尽く人なり、天子を取りて以て正と為す【これは太一の天を司り、五方を分任し、また天子を以て治理すをいう】。其の気を調え【五行の気を調う、木蘊・金清の類】、其の味を和え【五行の味を和う、水鹹・火苦の類】、其の声を聴き【火焦・金殺の類】、其の形を正しくす【木円・土方の類】。迭に往き今を看る【「今」或いは「令」】、ゆえに業は以て循るべし【或いは「修」】【天下は一個の様なり:来るは古に異ならず、往くは今に異ならず。退きて看れば、彼の業は以て循るべし。《近迭》篇に曰く:師未だ発轫せざるに、兵は以て迭るべし。前和するを迭と曰う。案:「兵可迭也」一本は「也」の字なし】。首尾面を換えれば【或いは「白」。春夏先に在り秋冬後に在り、各方各々朝向有り、どうして換えんや】、地理は則ち経を離る【天の首尾向を換えれば、地理もまた経を失う】。愛する所を奪えば、令は則ち乱る【其の欲する所を奪えば則ち乱る。天序は上に改易し、地理は下に離経す、人どうして乱らざる有らんや】。上は天文を滅ぼせば、理は知るべからず【天文滅ぼせば、地理どうしてなお知る能くせん。ゆえに文と理とは相い発明すと曰う】。神明は從【或いは「徒」】を失う【或いは「夫」。案:「失」一本また「矣」に作る】。文【或いは「父」】理は相い発明し、色味は相い度量し、藻華は相い成就す【質に対して藻と曰い、実に対して華と曰う。藻は文なり。藻は草の藻のごとく、華は木の華のごとし】。衆は、我之を衆と為せるなり、ゆえに以て一個の範を用いて請うべし【「請」は「請益」の請のごとし。衆は我より出でて始めて千万と為る、然れば之を一に帰するもまた我に在り。一個の範を請い用うる、可ならざるなし】。愛を順うの政は、殊類相い【或いは「未」】通ず【《列子》に曰く:虎は人と異類なれど、己を養う人に媚事するは、順のゆえなり】。愛を逆らうの政は、同類相い滅亡す【伝に曰く:どうして父子の豺狼と変らざるを知らんや】。ゆえに聖人は天を立てて父と為し、地を建てて母と為す。範【或いは「危」】は必ずしも人をして完全相同ならしめんと欲せず、ただ一個の期を知りて【或いは「明」】、以て一人を使喚するのみ。之を天地之間に泛泛错落せば、人皆其の和を承受す【或いは「人被其和」。これは聖人ただ一個の期を知りて以て一人を使喚し、しかもこの一顆の心を天地之間に泛泛错落して、人皆其の和を承受すをいう。必ずしも彼らを相同ならしめんとするにあらず。ゆえに曰く:一人の情は、即ち千万人の情】。和は、形なくして味有るなり【和は即ち道。道は形なくして味有り】。之と同和するは仁なり【道と同和す】。之と相容するは【或いは「密」】義なり【道と相密するは義。道に合せざれば、義は容る能わず。義に合せざれば、道は容る能わず】。仁義は、所楽の同【或いは「自」】名なり【或いは「召」】。能く其の所楽に同じて【或いは「因」】、形なくして内に政を執着す【これは能く仁義の楽に同じて、政法有るといえども、以て真空を之に内化すをいう。所謂真空は、「有」を妨ぐ能くする者なし。案:「真空」の「真」、一本は「貞」】。ゆえに聖知神方は無形に調和して、物は跟從せざるなし。天は藻華を受けて、以て神明の根と為す【天は道の英華を受けて神明を生ず。《列子》に曰く:清軽は上りて天と為り、重濁は下りて地と為る】。地は時を受けて【或いは「得」】、以て万物の原と為す【地は天の時を受けて万物を産す】。神聖は理に詳しく会して【或いは「祥」】【或いは「詳理」の二字なく、「庠悪」に作る、理に深く契するの意】、制命の柄を離るるを悪しみ【「制命之柄」或いは「離」の字なし。老子の所謂魚は淵を脱離すべからず、利器は以て人に示すべからず】、華と精とを収斂し散開して、以て地を慰め天を責る【或いは「貴」】【これは神聖理に契するも、また制命の法有るをいう。即ち万物を齏粉するも暴戾と算せず、以て地を慰め天を責るにも使える。昔老子は上りて五帝を毀り、一直に三皇に通じ、西域の学問の中に佛を喝り祖を罵る者有り、どうしてこの近きならざらんや】。味を調え色を章し声を正しくして、以て定む。天地・人事の三者は、ここに至りて則ち尽きたり【其の道は上に説くがごとし、天地・人事どうしてなお此を超出する能くせんや】。

泰録第十一

泰録第十一

入論泰鴻之內出觀神明之外定製泰一之衷【衷之言中也無所出入為定】以為物稽【入而論泰鴻之內出而觀神明之外定而制泰一之衷使物取稽焉】天有九鴻【拾遺記曰望三壺如聚米視八鴻若縈帶説者以為八鴻八方之名鴻鴻大也然則九鴻蓋九方歟】地有九州【此即鄒子所謂九州蓋非禹別者也】泰一之道九皇之傅請成於泰始之末【泰一之道至矣故上篇雲九皇受傅以索其然之所生而今此又言其傅嘗請成於泰始蓋非泰始莫足以知焉其曰末者言順下風而請也】見不【或無不字】詳事於名理之外【此言才見其事之略而已更當要其防歸故下文雲】範無形嘗無味以要名理之所防範者味之正也【範者形也正如覆怨其正之正蓋形受養於味者也】味者氣之父母也【氣不足補之以精精不足補之以味】精【或作清】防者天地之始【或作所治】也【言形言味而又言此者蓋將要名理之所防又當致此三者也】不【或無不字】見形臠而天下歸美焉【臠肉也】名屍神明者大道是【或作正】也夫錯行合意扶義本仁【或作收】積順之所成先聖之所生也行其道者有其名為其事者有其功【此言仁義之治故行其道者有其名為其事者有其功若夫聖人無名神人無功乗於道徳而遊乎萬物之上財豈局於仁義之域哉故下文雲】故天地成於元【或作無】氣萬物乗於天地【元氣太虛也太虛含天地天地含萬物故其言如此】神聖乗【或作秉】於道德【南華所謂無貲無譽一龍一蛇者也】以究其理【或雲萬物乗於聖秉於道德以救其聖神以究天地萬物之理】若上聖皇天者先聖之所倚威立有命也【堯舜三代誥命未嘗不稱天者蓋以倚威立命而已若夫致治之自則豈可以取賴於天哉是在我者也此紂之矯誣上帝而無益於亂故下文雲】故致治之自在己者也招髙者髙招庳者庳【此言治之汙隆顧我所以招之如何未有囿於管晏之卑而可以招堯舜之髙者也】故成形而不變者度也未離已而在彼者狎漚也【如狎漚者心動於內則漚鳥舞而不下此未離已而在彼者也】陳體立節萬世不易天地之位也分物紀【或作他】名文聖明別神聖之齊也【齊如齊量之齊】法天居地去方錯圓【或作督方以智則滯圓而神則通】神聖之鑑也象說名物【擬之者象也議之者說也】成功遂事隱彰不相離【神聖之教不即不離而至妙之所防者更麤至髙之所適者反下隱顯豈相離哉】神聖之教也【天一位地一位聖人參於兩間以齊齊之而以彼鑑此以此教彼則天下之理得矣然後萬物各遂其生故下文雲】故流分而神生【流分謂水也天一生水其於物為精精聚而後神從之】動登而明生【動登謂火也地二生火其於物為神神防而後識從之】明見而形成形成而功存故文者所以分物也理者所以紀【或作地】名也天地者同事而異域者也【天域於上地域於下】無規圓者天之文也無矩方者地之理也天循文以動地循理以作者也二端【或作聖端】者神之法也【神明之法如是而已】神聖之人後【或作命】先天地而尊者也後天地生然知天地之始先天地亡然知天地之終道包之故能知度之【其道圍乎天地之外故知能知之義能度之】尊重焉故能改動【或無動字】之【拔隂陽移寒暑】敏【或作數亦或作案此注原缺一字】明焉故能制斷之精神者物之貴大者也【精神之外皆其緒餘土苴者也】內聖者【或作聖內】精神之原也【外王者皆其緒餘土苴則內聖者精神之原也】莫貴焉故靡不仰制焉制者所以衛精擢神致氣也【精欲嗇神欲養氣欲專故其辭如此擢者秀拔之辭】幽則不洩簡【或作聞】則不煩不煩則精明達【明太用則昬精太用則竭】故能役賢能使神明【無為也故能用天下而有餘】百化隨而變終始從而豫【豫暇豫也】神明者積精微全粹之所成也聖道神方【或作萬】要之極也【要其防歸至於此而極矣】帝制神化治之期也【至矣盡矣不可以有加矣】故師【或無師字】為君而學為臣【教者為君學者為臣】上賢為天子次賢為三公髙為諸侯【髙者以為諸侯】易姓而王不以祖【或作禮】籍為君者欲同一善之安也【堯授舜舜授禹用此道也】彼天地動作於胸中然後事成於外萬物出入焉然後【或作然同】生物無害【聖人心外無法而氣合於神神合於無天地之大萬物之多動作出入反在於胸中則事豈有不成物豈有不利哉】闓闔四時引移隂陽怨沒澂物【疑】天下以為自然【百姓謂我自然是也】此神聖之所以絶眾也【子貢曰仲尼天也不可階而升也】聖原神文有驗而不可見者也【有情有性無為無形】故過人可見絶人未逺也【南華曰南行者至於郢北靣而不見冥山是何也則去之逺矣】神明所以類合者也故神明錮結其紘【紘者取譬於冠而錮結雲者以明無危墮之患也】類類生成用一不窮【或作用不窮一所謂仲尼神明也小以成小大以成大至於山川鳥獸草木裕如也】影則隨形響則【或作明】應聲故形聲者天地之師也【隨而應之故曰師也】四時之功隂陽不能獨為也聖王者不失本末故神明終始焉【輔相導隂陽終始四時之功】卒令八風三光之變經【或作纒】氣不常之故孰不詔請【或作緒】都【或作邵】理焉【都之為言總也讀如都鄙之都此言人保聖人故隂陽失和詔而請之使總理焉雖然大亂之本實始於此此庚桑楚所以不釋於老耼之言故下文雲】故神靈威明上變光【老耼所謂上悖日月之明】疾徐緩急中動氣【老耼所謂中墮四時之施】煞傷毀禍下在地【或作徵下在地老耼所謂下爍山川之精】故天地隂陽之受命取象於神明之効既已見矣【其効如上所謂亦已見矣雖然豈遂可以無聖人之治哉故下文雲】天者氣之所總出也【所謂虹霓也霜露也風雨也積氣之成乎天者也】地者理之必然【或作理然之必】也【無可無不可者天道也地道則取必焉】故聖人者出之於天【其道常出於天】收之於地【不肯出於地也】在天地若隂陽【或無陽字】者杜燥溼以法義與時遷焉【或無焉字若隂者以法義杜燥若陽者以法義杜溼度萬雲神溼則天不生水形燥則地不生火】二者聖人【或無人字】存則治亡則亂者天失其文地失其理也以是【或作文】知先靈【先靈先王之靈】王百神者上德執大道凡此者物之長也及【或作乃】至乎祖籍之世代繼之君身雖不賢然南面稱寡猶不果亡者其能受教乎有道之士者也不然而能守宗廟存國家者未之有也

入りて泰鴻を論じ、出でて神明の外を看て、泰一の衷を定めて法度を制す【「衷」は中をいう。出るなく入るなくして、始めて定と曰う】、以て万物のために核験を為す【入りて泰鴻の裏を論じ、出でて神明の外を看て、定めて泰一の衷を制成し、万物をしてここより核験を取らしむ】。天に九鴻あり【《拾遺記》に曰く:三壺を望めば聚米のごとく、八鴻を視れば縈帯のごとし。講ずる者は八鴻を八方の名と為す。鴻は即ち大。然れば九鴻は大概九方か】、地に九州あり【これは即ち鄒衍の所説の九州にして、禹の分別した所にあらず】。泰一の道・九皇の傅は、泰始の末に之を成就を請う【泰一の道は極に至る、ゆえに上篇に九皇は傅より教を受け、以て其の然る所以の所生を推求すと曰う。今ここにまた彼の傅は曾て泰始に於て成就を請えりと曰う——泰始に非ざれば、足る知なし。「末」と曰うは、下風に順いて請うなり】。詳細ならざる【或いは「不」の字なし】事を見るは、名理の外に在り【これはわずかに事の大略を見るのみ、更に当に其の会帰(底本は「防帰」、「防」は「会」の讹)を要約すべし。ゆえに下文に曰う】。無形を以て範と為し、往きて其の無味を嘗め、以て名理の会する所を要約す。範は、味の正なり【「範」は即ち形。正しく覆(底本は「怨」、ここ疑いて讹字あらん)取りて其の正を取るがごとく——形は味より養を受く】。味は気の父母なり【気足らざれば精を以て補い、精足らざれば味を以て補う】。精【或いは「清」】微なる者(底本「防」、「防」は「微」の讹)は天地の始めなり【或いは「所治」】【形を説き、味を説き、またこれを説くは、名理の会帰を要約し、また当にこの三つを極に推すべし】。見えざる【或いは「不」の字なし】形の臠割は、天下しかも美を之に帰す【臠は即ち肉】。名の尸主・神明の者は、大道即ち是れ【或いは「正」】。錯きて運行し意に合し、義を扶け仁に本づく【或いは「收」】は、積順の成就する所、先聖の生出する所なり。其の道を行う者有りて其の名有り、其の事を為す者有りて其の功有り【これは仁義の治をいう。ゆえに道を行う者は名有り、事を為す者は功有り。至りて聖人無名・神人無功、道徳に乗じて万物の上に遊べば、どうしてなお仁義の圏に局せんや。ゆえに下文に曰う】。ゆえに天地は元【或いは「無」】気に成り、万物は天地に乗ず【元気は即ち太虚。太虚は天地を含み、天地は万物を含む、ゆえにかく曰う】。神聖は道徳に乗じ【或いは「秉」】【南華の所謂訾なく誉なからず、一龍一蛇の】、以て其の理を窮究す【或いは曰く:万物は聖に乗じ、道徳に秉り、以て其の聖神を救い、以て天地万物の理を窮究す】。上聖・皇天に至りては、先聖の倚仗して威を立て命を有する所なり【堯舜三代の誥命は天を称せざるなし、ただ以て威に倚り命を立つるのみ。至りて治を致す来由は、どうして天に仰頼すべからん。それは我が辺に在り。これ即ち紂の上帝を矯誣して乱に毫も益なき所以、ゆえに下文に曰う】。ゆえに治を致す来由は己に在り。高を招けば則ち高し、卑を招けば則ち卑し【これは治の汚隆は、ただ我が以て招く所が何であるかを看るをいう。管仲・晏嬰のごとき卑に局るなくして、しかも堯舜のごとき高を招く可し】。ゆえに形を成して変わらざるは、度なり。未だ己を離れずして彼方に在るは、狎鴎なり【狎鴎する人のごとく、心裏に動けば、鴎鳥は飛舞して下り来らず。これ即ち未だ己を離れずして彼方に在る】。其の体を陳列し其の節を立てて、万世改易せざるは、天地の位なり。物を分かち名を紀して【或いは「他」】、文聖明白に分別するは、神聖の斉なり【「斉」は斉量の斉のごとし】。天を效法し地に安居し、方を去りて円に交錯す【或いは:方を督すれば智を用いて滞り、円にして神なれば則ち通ず】、是れ神聖の鑑なり。之を象り之を説き之を名づけ之を物とし【擬するは象、議するは説】、成を功り事を遂げ、隠と顕と相い離れざるは【神聖の教は即せず離れず。至妙の会する所(底本は「所防」、「防」は「会」の讹)はかえって更に粗く、至高の往く所はかえって下に在り。隠と顕とどうして相い離れんや】、是れ神聖の教なり【天一位、地一位、聖人は両中間に参じ、斉を以て彼らを斉にし、彼方を以て此方を鑑み、此方を以て彼方を教うれば、天下の理得たり。然る後に万物各々其の生を遂ぐ、ゆえに下文に曰う】。ゆえに流分かれて神生ず【流分は水をいう。天一水を生じ、物の上に在りては即ち精。精聚まれば、神始めて随って来る】。動升りて明生ず【動登は火をいう。地二火を生じ、物の上に在りては即ち神。神微(底本「神防」、「防」は「微」の讹)れば、識始めて随って来る】。明は形を見て成り、形成れば功存す。ゆえに文は以て物を分かち、理は以て名を紀する【或いは「地」】なり。天地は同事にして域を同じくせざるなり【天域は上に、地域は下に在り】。規なくして円なるは、天の文。矩なくして方なるは、地の理。天は文に循いて動き、地は理に循いて作す。二端【或いは「聖端」】は神の法なり【神明の法はこのごときに過ぎず】。神聖の人は、天地に後れ【或いは「命」】天地に先だつも、しかも更に尊し。天地に後れて生れて、しかも天地の始を知り。天地に先だって亡びて、しかも天地の終を知る。道之を包む、ゆえに能く知り能く度る【其の道は天地の外に圍う、ゆえに能く知り能く度る】。之を尊重す、ゆえに能く之を改動す【或いは「動」の字なし】【陰陽を抜き寒暑を移す】。敏【或いは「数」、亦或いは「案」。此の注原一字を欠く】明、ゆえに能く之を制断す。精神は物の裡にして貴かつ大なるなり【精神の外は皆其の緒余・土苴】。内聖【或いは「聖内」】は精神の原なり【外王は皆緒余・土苴なり、然れば内聖は即ち精神の原】。之より貴きなく、ゆえに仰ぎて其の制を受けざるなし。制は、以て精を衛り神を擢し気を致するなり【精は嗇すべく、神は養うべく、気は専にすべし、ゆえにかく措辞す。「擢」は秀抜の説】。幽なれば則ち外泄せず、簡【或いは「聞」】なれば則ち煩わず、煩わざれば精明通達す【明用うること太だ過ぎれば昏れ、精用うること太だ過ぎれば竭く】。ゆえに能く賢人を役使し、能く神明を使喚す【無為、ゆえに能く天下を用いて余有り】。百化は随いて変り、終始は随いて豫す【「豫」は即ち暇豫】。神明は精微を積み全粹を成就する所なり。聖道神方【或いは「万」】は、要約の極なり【其の会帰を要約すれば、ここに至りて則ち極】。帝制神化は、治の期限なり【至り尽きて、再び加うべからず】。ゆえに師【或いは「師」の字なし】は君を為し、学は臣を為す【教うるは君を為し、学ぶは臣を為す】。上賢は天子を為し、次賢は三公を為し、高きは諸侯を為す【高きは取りて諸侯と為す】。姓を換えて王を為り、祖籍【或いは「礼」】に依らずして君を為るは、同じき善の安を欲するなり【堯は舜に授け、舜は禹に授く、用いる所は即ちこの道】。天地は胸中に動作して、然る後に事は外に成り。万物はかしこに出入して、然る後に【或いは「然同」】生出する物害なし【聖人は心外に法なく、気は神に合し、神は無に合す。天地あの大きさ、万物あの多さ、動作出入かえって胸中に在り、事どうして成らざらん、物どうして利ならざらん】。四時を開闔し、陰陽を牽引援転し、怨沒澄物せしめ【ここ原注「疑」と標す、文意定め難し】、天下は以て自然と為す【百姓は我自然と曰う、即ちこれ】。これ即ち神聖の衆人を超出する所以なり【子貢に曰く:仲尼は天なり、階に按して升る能わず】。聖の原・神の文は、応験有るも見るべからず【情有り性有り、無為無形】。ゆえに人に過ぐるは見るべく、人を絶するはなお遠からず【南華に曰く:南に往く者郢に至り、北を朝して冥山を見ず、何ぞや。離るること遠きがゆえなり】。神明は以て類合するなり。ゆえに神明は彼の根を纮錮して結ぶ【纮は冠帯を以て比方す。錮結と曰うは、為に危堕の患なきを発明せんとす】。一類一類生成し、「一」を用いて窮まることなし【或いは「用不窮一」。所謂仲尼の神明:小は以て小を成し、大は以て大を成し、山川鳥獣草木に至るまで皆寛裕あり】。影は則ち形に随い、響は則ち【或いは「明」】声に応ず。ゆえに形と声とは天地の師なり【随いて応ず、ゆえに師と曰う】。四時の功は、陰陽独り為す能わず。聖王は本末を丟せず、ゆえに神明はかしこに終始す【輔助し導引して陰陽を、終始して四時の功を】。ついに八風・三光の変に、経【或いは「纏」】気常ならざるの故、誰か詔請せずとも【或いは「緒」】皆【或いは「邵」】来りて理する【「都」は総をいう、都鄙の都のごとく読む。これは人の聖人に依仗するをいう、ゆえに陰陽和を失えば則ち彼を詔請して総理せしむ。しかしながら、大乱の本実にここより始まる、これ即ち庚桑楚の老聃に對する話の放下し得ざる故、ゆえに下文に曰う】。ゆえに神霊威明は、上は光を改変し【老聃の所謂上は日月の明を悖る】、疾徐緩急は、中は気を擾動し【老聃の所謂中は四時の施を堕す】、殺傷毀禍は、下は地に落つ【或いは「征下在地」。老聃の所謂下は山川の精を爍す】。ゆえに天地陰陽の受命・取象は、神明の上に於ける効験すでに見えたり。

鶡冠子卷中

鶡冠子巻中

欽定四庫全書

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鶡冠子卷下

鶡冠子巻下

宋陸佃解

宋陸佃解

世兵第十二

世兵第十二

道有度數故神明可交【或作効】也【易曰始作八卦以通神明之德】物有相勝故水火可用也東西南北故形名可信也【有方矣然後形名著焉】五帝在前三王在後上德已衰矣兵知俱起黃帝百戰【百戰之數未盡聞也蓋與炎帝戰於阪泉之野三與蚩尤戰於涿鹿之野七十二此其大畧也】蚩尤七十二【或雲無二字】堯伐有唐【傳云堯佐帝摯受封於唐二十而登帝位今此雲堯伐有唐未詳聞也伐或作代】禹服【或作伐】有苗天不變其常地不易其則隂陽不亂其氣生死不俛其位三光不改其用神明不徙其法【善用兵者其道如此案用兵一本作用法非】得失不兩張成敗不兩立所謂賢不肖者古今一也君子不惰真【案一本作貞】人不怠【怠然後懈懈然後惰故君子言惰真人言怠禮雲三日不怠三月不懈】無見久貧賤則據簡之伊尹酒保【保傭保也】太公屠牛【傳曰太公少貧賣漿值天涼屠牛賣肉值天熱而肉敗】管子作革【或作草】百里奚官奴【百里奚虞人也虞亡晉主辱之以媵穆姬而飯牛於秦豈此所謂官奴者乎】海內荒亂立為世師莫不天地善謀日月不息乃成四時精習象神【南華曰鐻成見者驚猶鬼神豈謂是乎】孰謂能之【言非不學而能也】素成其用先知其故【所謂始乎故長乎性成乎命】湯能以七十里放桀武王以百里伐紂知一不煩【知一則簡】千方萬曲所雜齊同【防之有元故不能異也】勝道不一【制勝之道夫豈一端而已】知者計全【戰必勝攻必取】明將不倍時而棄利勇士不怯法而滅名欲逾至德之美者其慮不與俗同【徇俗則病傭欲逾至德之美難矣】欲驗九天之髙者行不徑【或作經】請【安可以問塗而至也九天具見鴻烈直經蓋若南方曰朱天北方曰天中央曰鈞天之類】是以忠臣不先其身而後其君寒心孤立懸命將軍野戰則國民罷城守則食人灼骸【或作火體易子而食析骸而炊】計失其國削主困為天下持國計者可以無詳乎固有過計有嘗【或作賞】試【嘗試失之疏遇計失之細事貴取中而已明此所當審也】是以曹沬為魯將與齊三戰而亡地千里使曹子計不顧後刎頸而死則不免為敗軍擒將曹子以為敗軍擒將非勇也國削民滅非智也身死君危非忠也夫死人之事者【案一本無者字】不能續人之夀故退與魯君計桓公合諸侯曹子以一劔之任刦桓公墠位之上顔色不變辭氣不悖三戰之所亡一旦而反天下震動四鄰驚駭名傳後世扶杖於小愧者大功不成故曹子去忿悁之心立終身之功棄細忿之愧立累世之名故曹子為知時魯君為知人劇辛為燕將與趙戰軍敗劇辛自剄燕以失五城自賊以為禍門身死以危其君名實俱滅是謂失此不還人之計也【言其計畫無後之爾案注無字下疑有脫誤】非過材之防也【此言賢者誠重其死雖然曹沬之事適遭管仲不欲愈一小快而以齊信於諸故能成其名也若夫李陵之降欲以報漢而卒族妻母隴西之士用為恥焉則沬之刦致豈可以為常哉矧又霸者之事也至於正徳之人誠信素明則將無與魯地而誅沬矣何足貴乎】夫得道者務無大失凡人者務有小善小善積則【案一本無則字】多惡欲多惡則不積德不積則多難【或雲多惡則多難無則不下五字】多難則濁濁則無知多欲則不博不博則多憂多憂則濁濁則無知欲惡者知之所昏也夫強不能者僇之其言辱【案一本此六字誤作注又一本無之其言辱四字】是劇辛能絶而燕王不知人也昔善戰者舉兵相從陳以五行戰以五音指天之極與神同方類類生成用一不窮明者為法微道是行齊過進退【齊不過也】參之天地出實觸虛【吳奔東南亞夫使備西北蓋知此矣】禽將破軍發如鏃【或作鍭】矢動如雷霆暴疾虛殷若壊牆【殷壊聲也】執急節短【孫子兵法曰其執險其節短】用不縵縵避我所死就吾所生趨吾所時援【或作授】吾所勝故士不折北兵不困窮得此道者驅用市人乗流以逝【或作遊】與道翺翔翺翔授取錮據【或作豫】堅守呼吸鎮【一作推或作損】移【鎮不移也】與時更為一先一後音律相奏【或作奉】一右一左道無不可受數於天定位於地成名於人彼時之至安可復還【或作復還至復反覆也還回還也】安可控搏【控引也搏持也復還言不可御控搏言不可止】天地不倚錯以待能度數相使隂陽相攻死生相攝氣威相滅虛實相因得失浮【或作得失相浮】縣【浮縣言無定也】兵以勢勝【兵法曰如轉圓石於千仞之山者勢也】時不常使蚤晩絀贏反相殖生變化無窮何可勝言水激則旱矢激則逺精神回薄振盪相轉遲速有命【有命一作言息又作止息】必中三五合散消息孰識其時至人遺物【遺物或作不遺】獨【或作動】與道俱縱驅委命與時徃來盛衰死生孰識其期儼然至湛孰知其尤禍乎福之所倚福乎禍之所伏禍與福如糾纆【此言禍福相為表裡埶如索綯纆索也三合曰糾案埶一本作執】渾沌錯紛其狀若一交解形狀孰知其則芴芒無貎【貎或為根】唯聖人而後決其意【或作能決其意】斡流遷徙固無休息【小休曰息】終則有始孰知其極一目之羅不可以得雀【太疏故也】籠中之鳥空窺不出【太密故也】眾人唯唯安定禍福憂喜聚門吉凶同域【慶者在堂吊者在門】失反為得成反為敗吳大兵強夫差以困越棲防稽勾踐霸世達人大觀乃見其可【可或作苛】橢枋一術奚足以遊【橢讀如隋銎之隋枋讀如方銎之方夫天下之事百出要以百變應之而今隋方一術則豈足遊於變通之防哉】徃古來今事孰無郵【郵置郵也行者過之而已故事之過者為郵】舜有不孝堯有不慈文王桎梏管仲拘囚坱軋□垠【□垠或作葬雲】孰得之【此言大鈞播物坱軋無垠皆在爐之內孰得之】至得無私泛泛乎若不繫之舟【任之而已】能者以濟不能者以覆天不可與謀地不可與慮聖人捐物從理與舍眾人域域【域域淺狹之貎】廹於嗜慾小知立趨好惡自懼誇者死權自貴矜容【一本自矜容下雲徇名終身謀奈無列士以下兩句詩曰垂帶悸兮是也】列士徇名貪夫徇財【以身逐物曰徇】至博不給【給或作結統之無要則雖博乃更不給何則至道常約故也】知時何羞【不愧不怍】不肖繋【繋或作敷】俗賢爭於時【知也者爭之器也名也者相軋也】細故□蒯【蒯猶芥也□芥刺鯁也一本□作衣蒯作葪】奚足以疑事成欲得又奚足誇【此言如意與不無足欣戚】千言萬説卒賞謂何【此言理盡於上而彼之繁言雖累千萬猶當賞此】勾踐不官【勾踐嘗臣於吳】二國不定文王不幽【幽於羑理】武王不正【或作武王不執正】管仲不羞辱名不與大賢功不得與三王鉦面備矣【案一本得與二字缺】

道に度数有り、神明の以て交接する所以なり【一本「交」を「效」に作る】【《周易》に曰く:始めて八卦を制作し、以て神明の徳を通達す】。物と物と相い克制し、ゆえに水火以て用いるべし。東西南北有りて、ゆえに形名以て憑信す可し【方位有りて、然る後に形名始めて顕著】。五帝前に在り三王后に在りて、上徳すでに衰え、兵と智と並び興る。黄帝は百戦を打ち【百戦の数は尽く聞かず、大概炎帝と阪泉の野に三戦し、蚩尤と涿鹿の野に七十二戦せり、これ大略なり】、蚩尤七十二【ある本子はこの二字なしと曰う】。堯は有唐を討ち【伝に堯は帝摯を輔佐し唐に封を受け、二十歳にして帝位に登ると曰う。今ここに堯有唐を伐つと曰うは、詳しく聞かず。「伐」或いは「代」】、禹は有苗を帰服せしめたり【或いは「伐」】。天は其の常道を改めず、地は其の法則を改易せず、陰陽は其の気を攪乱せず、生死は其の位に俯せず、三光は其の功用を改変せず、神明は其の法度を遷徙せず【善く兵を用うる者は、其の道かくのごとし。案:「用兵」一本は「用法」、非なり】。得と失とは同時に張大する能わず、成と敗とは同時に成立する能わず。所謂賢と不肖とは古今同じなり。君子惰らず、真人【案:一本は「貞」】怠らず【怠れて然る後に懈り、懈りて然る後に惰る、ゆえに君子は惰を曰い真人は怠を曰う。《礼記》に曰く:三日怠らず、三月懈らず】。人の長久に貧賤なるを見て、これに憑りて彼を軽んずることなかれ。伊尹は酒保を為し【保は即ち傭保】、太公は牛を殺したり【伝に太公は少年貧困して、漿を売れば天涼に逢い、牛を屠り肉を売れば天热に逢いて肉敗れたりと曰う】、管子は皮革の活を為し【或いは「草」】、百里奚は官奴を為したり【百里奚は虞人なり。虞亡び、晋君彼を以て穆姬に陪嫁する媵臣と為して羞辱し、後に秦に於て牛を飼う——どうして即ちここに曰う官奴ならんや】。海内荒乱の時、彼らは当世の師に立てられたり。天地に取法して善く謀を図り、日月運行して息まずして始めて四時を成就し、精熟練習して神明のごときなるに非ざるはなく【《荘子》に曰く:鐻成りて、見る者驚くこと鬼神に遇えるがごとし——どうしてこの謂ならんや】、誰か之を天生にして能くすと謂う【是れ学ばずして会するに非ずをいう】。平素に其の用を成就し、事先に其の原故を知る【即ち所謂故に始まり性に成長し命に完成す】。湯は七十里の地を憑りて桀を放逐する能く、武王は百里の地を憑りて紂を討つ。一を知れば則ち煩瑣せず【一を知れば則ち簡】、千種の方法・万種の曲折も、夾雑する所は皆斉同なり【源頭有るがゆえに、両樣ならざるなり】。勝に取るの道は一条のみならず【制勝の道、どうして一端のみならんや】、知有る者は算計周全す【戦えば必ず勝ち、攻めれば必ず取る】。明将は時勢に違いて利益を丟さず、勇士は法に怯えて名声を毀らず【案:「怯」一本は「法」なし】。至徳の美を超過せんと欲する者は、其の思慮世俗と相同じからず【俗に徇えば則ち平庸に病み、至徳の美を超過せんと欲するは難し】。九天の高を験せんと欲する者は、歩行近【或いは「経」】を抄して請問せず【どうして路を問うて就到らんや。九天は詳しく《淮南子》に見る。直経は大概南方を朱天、北方を玄天(底本「玄」は私用区字)、中央を鈞天の類のごとし】。ゆえに忠臣は己を前に置かず、君を後に置く。心を寒からしめ孤立し、性命は将軍の手に懸かる。野戦すれば則ち国弊え民疲れ(底本「弊」は私用区字)、城を守れば則ち人を食み骨を焼く【或いは「火体」:子を易りて食い、骨を拆きて以て焼く】。計謀一たび失えば、国家削小し人主困窘して天下の笑う所と為る(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた。通行本は「笑」)。国家の大計を持掌する者は、周詳ならざる可けんや。本より算計過ぎたる者有り、また嘗試有り【或いは「賞」】【嘗試は疏に失し、過計は細に失す。事は中を取るを貴ぶのみ。これを明白せば、乃ち所当に審察すべし】。ゆえに曹沫は魯の将を為り、斉と三たび戦いて、土地を丟すること千里。仮に曹子算計して後路を顧みず頸を抹して死せば、則ち敗軍被擒の将と為るを免れず。曹子以てならく:敗軍被擒は勇に非ず、国削め民滅ぶは智に非ず、身死に君危うきは忠に非ずと。他人の事のために死する者【案:一本は「者」の字なし】は、並びて他人の寿命を続ぐ能わず、ゆえに退きて魯君と商量す。桓公は諸侯を会合し、曹子は一把の剣の力を憑りて、壇位の上に於て桓公を劫持し、顔色変わらず辞気乱れず。三戦に丟したる土地は、一日の内に皆帰来す。天下震動し四隣驚駭し、名声後世に伝わる。一根の杖に靠着し小小の愧疚に擱る者は、大功成らず。ゆえに曹子は忿怒計較の心を去りて、終身の功を立て。細忿の愧を丟て、累世の名を立つ。ゆえに曹子は時を知るなり、魯君は人を知るなり。劇辛は燕の将を為り、趙と戦いて軍敗れ、劇辛自ら頸を抹し、燕国これに因りて五座の城を丟す。自ら己を残害し、禍の門口と為して、身死してなお其の君を危裏に陷らしめ、名と実と倶に滅びる——これを「不回頭」なる者の計を失うと謂う【是れ其の計画に後着なきをいう。案:注裏「無」の字の下疑いて脱誤あらん】。また才具有余の者の防范に非ず【これは賢者実に己の死を看重すをいう。しかしながら、曹沫の事は恰好管仲の一小快を占めんと欲せずして、斉国を拿して諸侯に信を取らんと欲するに碰上りたり、ゆえに能く其の名を成せり。至りて李陵の降するは、本以て漢朝に報いんと欲せしも、果たして妻母族を滅ぼされ、隴西の士人はこれを以て恥辱と為す——然れば曹沫のごとき劫持の手段は、どうして以て常法と為すべからん。況んやまた覇者の事なり。至りて正徳の人は、誠信平素より明白ならば、則ち魯国の土地を給せざり、また曹沫を誅殺せん、また何の貴ぶべきか有らん】。道を得たる者は大失なきを務求し、凡人は小善有るを務求す。小善積み多ければ【案:一本は「則」の字なし】、悪欲もまた多し。悪欲多ければ則ち徳を積まず。徳を積まざれば則ち多難なり【ある本子は「多悪則多難」に作り、「則不」以下の五字なし】。多難なれば則ち濁り、濁れば則ち無知なり。欲望多ければ則ち広博せず、広博せざれば則ち多憂し、多憂なれば則ち濁り、濁れば則ち無知なり。欲と悪とは、知の昏乱する所以の物なり。強いて己の能わざるを為せば、則ち戮を受け、其の言もまた辱を受く【案:一本はこの六字を誤りて注と為す。又一本は「之其言辱」の四字なし】——これ即ち劇辛の能く一死にて了断し、而も燕王の人を知らざりしなり。昔善く戦う者は、兵を挙げて相い對し、五行を以て陣を布き、五音を以て戦い、天の極を指向し、神と同一方向す。一類一類生成して、「一」を用いて窮尽せず。明白なる者は之を取りて法と為し、微細の道は即ちかくのごとく以て行わる。進退斉整にして過分ならず【斉は即ち過分ならざるなり】、天地と相い参じ、実処より出でて虚処に碰る【呉軍は東南に奔れど、人をして西北を防備せしむ、大概この一層を解するなり】。将を擒え軍を破り、発するや鏃矢のごとく【或いは「𬭤」】、動作雷霆のごとく、暴疾に虚を搗き(底本「搗」は私用区字)、声は殷然として墻の塌るるがごとし【殷は即ち毀壊の声】。勢急に節短く【《孫子兵法》に曰く:其の勢険に、其の節短し】、以て縵縵に拖せず。我が死する所を避け、我が生くべき所に凑り、我が時を得るの候を趕い、我が勝つ能くする所を援ぐ【或いは「授」】。ゆえに士は折敗北逃せず、兵は困窮せず。この道を得たる者は、駆使する所は市井の人なるも、水流に順いて逝去し【或いは「游」】、道と倶に翱翔す。翱翔して授取し、錮拠して【或いは「豫」】堅守し、一呼一吸の間に鎮め【一は「推」に作る、或いは「損」】或いは移開す【鎮は即ち移らざるなり】、時勢に跟いて更替変化す。一先一後、音律相い奏し【或いは「奉」】。一右一左、道不可なきなし。天より度数を受け、地の上に位置を定め、人に於て名を成す。彼の时至れば、どうしてなお以て復還すべけんや【或いは「復還至」。「復」は反复、「還」は回還】。どうしてなお以て控搏すべけんや【控は即ち引、搏は即ち持。復還は、抵当すべからずをいう。控搏は、止住すべからずをいう】。天地偏倚せず、交錯して能者を待つ。度数は相い役使し、陰陽は相い攻め、死生は相い摂取し、気と威とは相い滅し、虚と実とは相い因ぐ。得と失とは浮き懸かりて【或いは「得失相浮」】【浮懸は、定まるなきをいう】、兵は勢に靠りて勝を取る【兵法に曰く:千仞の山より圓石を滾らして下すがごときは、即ち勢なり】。時は並びて常に役使せられず、早晩の絀贏、かえって相い殖生し。変化無窮にして、どうして説き尽くすべけん。水は激すれば則ち迅猛に、箭は激すれば則ち射ること遠し。精神回薄し、振蕩して相い転ず。遅と速とは命有り【「有命」一作「言息」、又「止息」に作る】、必ず三五に扣中す。合散消息は、誰か其の時を認識せん。至人は外物を遺落し【「遺物」或いは「不遺」】、独り【或いは「動」】道と倶に在り。縦に駆って命を交出去し、時に随いて来たり往く。盛衰死生は、誰か其の期を認識せん。儼然として極深に至る、誰か其の過失を知らん。禍よ、福の倚靠する所。福よ、禍の埋伏する所。禍と福とは糾纏して綯い絞るがごとし【これは禍福互いに表裏と為り、勢は索を搓るがごとし。纏は即ち索。三股合して糾と曰う。案:「埶」一本は「執」】。渾沌錯雑紛乱して、彼の状像は一個のごとし。形を拆きて看れば、誰か其の則を知らん。芴芒は貌なし【「貌」或いは「根」】、ただ聖人ありて然る後に能く其の意を決断す【或いは「能決其意」】。斡転して流遷し、本より休息なし【小休を息と曰う】。終わり有れば則ち始まり有り、誰か其の極を知らん。一個の眼の網は、雀を捉うる能わず【太だ疏のゆえ】。籠裡の鳥は、空しく看るも出去る能わず【太だ密のゆえ】。衆人は唯唯諾諾として、禍福の裡に安定を求む。憂と喜とは一門に聚まり、吉と凶とは同一区域なり【慶賀する者は堂上に在り、弔喪する者は門口に在り】。失はかえって得と成り、成はかえって敗と成る。呉国の兵は大にして強なれど、夫差はかえってこれに因りて困る。越国は会稽に栖めど(底本は「防稽」)、勾践はかえって一世に称覇す。達人は大観して、始めて彼の「可」を見る【「可」或いは「苛」】。椭と枋とはただ一種の办法を守るのみ、どうして以て遊転するに足らん【椭は隋銎の隋のごとく読み、枋は方銎の方のごとく読む。天下の事百出す、総じて以て百変を以て応ずべし。今隋方ただ一術を守れば、どうして変通の方に遊ぶに足らん】。往古来今、どの事か郵過せざる有らん【郵は即ち置郵。歩行の者経過するのみ。ゆえに事の過る処を郵と曰う】。舜に不孝有り、堯有不慈有り、文王は刑具を戴き、管仲は拘囚せられたり。坱軋无垠(底本「无」は缺字符)【缺字は「垠」を加う、或いは「葬云」】、誰か之を錘するを得ん(底本のこの字は生僻字、注裏は「錘」に作る)【これは大鈞の物を播く、坱軋垠なく、皆炉錘の内に在り、誰か之を錘するを得んをいう】。至得は私なく、泛泛乎として拴なき船のごとし【聴任するのみ】。能なる者は之に靠りて渡り、能ならざる者は之に靠りて船翻る。天は之と謀るべからず、地は之と慮るべからず。聖人は外物を丟て、理に順い舍に跟う。衆人は域域たり【域域は浅狭の貌】、嗜欲に逼らる。小知は立定して往前に趕り、己の好悪に嚇かる。夸矜の者は権のために死し、自ら重んじ容を矜持す【一本は「自矜容」の下になお「徇名終身謀奈」等有り、「列士」以下の二句なし。《詩経》に曰く「垂帯悸兮」、即ちこれ】。列士は名のために往きて死し、貪夫は財のために往きて死す【身を拿して物を追うを徇と曰う】。広博極に至りてかえって供給に及ばず【「給」或いは「結」。統領に要領なく、即ち博なるも、かえって更に供給に及ばず。何ぞや。至道は常に約のゆえ】。時を知れば、何の羞づべき有らん【愧らず怍らず】。不肖の者は俗に係り【「係」或いは「敷」】、賢人は時と争う【知は争いの器具、名は相い傾軋する物】。細故袃蒯は(底本「袃」は缺字符)【蒯は猶芥のごとし。袃芥は刺鯁。一本は缺字を「衣」に作り、「蒯」を「葪」に作る】、どうして以て疑惑するに足らん。事成り欲得たれば、またどうして以て夸るに足らん【これは如意と不如意と、皆欣戚するに足らずをいう】。千言万説、到底賞すべきは何ぞや【これは道理すでに尽く上に在り、相手方の彼の繁言は即ち累積千万するも、なおこれを賞すべしをいう】。勾践は曽て臣を称せざれば【勾践は曾て呉に臣服せり】、両国安んずる能わず。文王は曽て幽囚せられざれば【羑里に幽囚す】、武王は能く正ならず【或いは「武王不執正」】。管仲は羞辱を経ざれば、名声は能く大賢と並列せず、功労は能く三王と並列せず【案:一本は「得与」の二字を欠く】。鉦面すでに備斉せり。

備知第十三

備知第十三

天髙而可知地大而可宰萬物安之人情安取伯夷叔齊能無盜而不能使人不意已【橫逆豈可必哉】申徒狄【殷之末世枯槁者也】以為世溷濁不可居故負石自投於河不知水中之亂有逾甚者德之盛山無徑跡澤無橋梁不相徃來舟車不通何者其民猶赤子也【老子曰含德之厚比於赤子男曰赤子女曰嬰兒】有知者不以相欺役也有力者不以相臣主也是以鳥鵲之巢可俯而窺也麋鹿群居可從而系也【鳥鵲性猜瞿麋鹿性驚決故比主言之】至世之衰父子相圖兄弟相疑【夫父子天性也兄弟天倫也恩信素足非自外至故蹍市人之足則辭以脫悞兄則以嫗大親而已矣今德下衰而至於父子相猶兄弟相瘉者豈其性固異於古也哉蓋治之之過也】何者其化薄而出於相以有為也【此言不能相與於無相與相為於無相為故其至此郭象曰夫體天地冥變化者雖手足異任五蔵殊管未嘗相與而百節同和斯相與於無相與也未嘗相為而表裡俱濟斯相為於無相為也若乃役其心志以恤手足運其股肱以營五蔵則相營愈篤而內外愈困矣蓋知此也】故為者敗之治者亂之敗則傰【傰黨也】亂則阿阿則理廢傰則義不立堯傳舜以天下故好義者以為堯智其好利者以為堯愚湯武放弒利其子好義者以為無道【此言何謂也若予所學則唯好義者以為有道】而好利之人以為賢為【或無為字】彼世不傳賢故有放君君好傰阿故有弒主夫放弒之所加亡國之所在吾未見便樂【或作見其便樂】而安處之者也夫處危以妄安循哀以損樂是故國有無服之喪無軍之兵可以先見也是故箕子逃【逃逃禍也非謂逃而去之孔子曰微子去之箕子為之奴】而搏仇牧【宋世家曰南宮萬殺涽公於防澤大夫仇牧聞之以兵造公門萬搏牧牧齒著門死即其事也】商容拘而蹇叔哭【蹇叔秦臣也穆公襲鄭蹇叔哭之】昔之登髙者下人代之防【或作殪防怖也】手足為之汗出【怖故為之汗濡】而上人【或無人字】乃始搏折枝而趨操木【言傍觀者為之驚懼而登髙之人雖危莫知焉乃始搏而折枝趨而操木】止之者僇【止之使勿爾者覆受僇焉凡此以況處危忘安而諌者防辱之義】是故天下寒心而人主孤立今世之處側者皆亂臣也其智足以使主不達其言足以滑政其朋黨足以相甯於利害昔湯用伊尹周用太公秦用百里【百里奚也】楚用申麃【申包胥也】齊用管子此數大夫之所以髙世者皆亡國之忠臣所以死也【此言古之人其才一也或以髙世亦或以死者所遇之君異也案一本髙世下有由字】由是觀之非其智能難與也乃其時命者不可及也【此言伊呂申管之才人非莫及也而箕仇之徒卒以殺辱者無其時命故也】唯無如是【無其時命】時有所至而求【或作袁又或作表有君無臣故雖時有所至而上求焉】時有所至而辭【有臣無君故雖時有所至而下辭焉】命有所至而闔【或作閤闔猶辭也】命有所至而闢【或作闕闢猶求也】賢不必得時也不肖不必失命也是故賢者守時而不肖者守命【守命猶委命也】今世非無舜之行也不知堯之故也非無湯武之事也不知伊尹太公之故也費仲惡來得辛紂之利而不知武王之伐之也比干子胥好忠諫而不知其主之煞之也費仲惡來者可謂知心矣而不知事比干子胥者可謂知事矣而不知心聖人者必兩備而後能究一世

天高くして以て道を知るべく、地大にして以て主宰す可し。万物これに安んじ、人情はどこより取る。伯夷・叔斉は能く自ら盗を為さざれども、人をして己を猜疑せしめざる能わず【横逆はどうして必ず免れんや】。申徒狄【殷朝末世の彼の枯槁する人】は世道溷濁にして住むべからずと以て、ゆえに石を背負いて自ら河に投ず、水の裏面の乱は岸上よりなお甚だしきを知らざるなり。徳盛んの時は、山上に路径の痕迹なく、沢上に橋梁なく、彼此相い往来せず、舟車通ぜず。何ぞや。彼の時の民はなお赤子のごとし【老子に曰く:徳を含むことの厚きは、赤子に比す。男を赤子と曰い、女を嬰児と曰う】。知有る者は以て相い欺役せず、力有る者は以て相い臣主せず。ゆえに鳥鵲の巣は低頭して窺うべく【或いは「巣」】、麋鹿群れ住みて随いて繋ぐべし【鳥鵲は性猜疑驚瞿し、麋鹿は性驚決す、ゆえに取りて比べて説く】。世道衰うるに至りては、父子相い算計し兄弟相い猜疑す【父子は天性、兄弟は天倫、恩信平素より足る、外より来るに非ず。ゆえに市人の脚を踩めば、則ち留神せざりしと謝り、兄を踩めば、ただ「嫗」の一声を以て大親と為すのみ。今徳は下り衰えて、父子相い猶え兄弟相い瘉るに至る、どうして性本より古と両樣ならんや。是れ治理過ぎたるのゆえ】。何ぞや。教化薄く、「有為」を出でて彼此相い対待するよりなり【これは相与に於て無相与し、相為に於て無相為する能わざるをいう、ゆえに弊(底本「弊」は私用区字)この歩に至る。郭象に曰く:天地を体し変化を冥する者は、手足職を同じくせず五臓各々管るといえども、曽て彼此経営せざるに、而も百節同和す——これ即ち相与に於て無相与す。曽て彼此幇助せざるに、而も表裏皆済る——これ即ち相為に於て無相為す。若し心志を役使して手足を体恤し、股肱を運転して五臓を経営せば、則ち相い経営するほど懇切に内外いよいよ困む。大概即ちこれ】。ゆえに「為」する者は之を敗り、「治」むる者は之を乱る。敗れば則ち傰し【傰は即ち結党】、乱れば則ち阿る。阿れば理廃れ、傰すれば義立たず。堯は天下を舜に伝えたり、ゆえに義を好む者は以て堯智と為し、利を好む者は以て堯愚と為す。湯武の放弑は、利は子の身に落ちて、義を好む者は以て無道と為し【これは曰く:何と謂うか。若し我が学問する所に按せば、ただ義を好む者のみ以て有道と為す】、利を好む者は以て賢能と為す【或いは「為」の字なし】。彼の世は位を賢人に伝えず、ゆえに放たるる君有り。君は傰阿を好み、ゆえに弑せらるる主有り。放弑身に加わる所は、即ち亡国の在る所なり。我未だ便楽を図りて【或いは「見其便楽」】なお安処する能くする者を見ず。危裏に処りて却って妄りに安と作し、哀に順いて却って彼の楽を減損す。ゆえに国裡に喪服なきの喪・軍隊なきの兵有るは、以て預め見るべし。ゆえに箕子は逃げ【逃は逃禍なり、逃げて走り去るをいうに非ず。孔子に曰く:微子は去り、箕子は奴隷を為す】、而も仇牧搏せられ【《史記・宋世家》に曰く:南宮万は蒙沢に於て閔公を殺し、大夫仇牧之を聞き、兵を帯びて公門に趕り至る、万は仇牧を搏撃し、仇牧の歯門に着きて死す——即ちこの事】、商容拘えられて、而も蹇叔哭す【蹇叔は秦臣なり。穆公は鄭を襲いて偷す、蹇叔この事を哭す】。昔高きに登る者は、下の人彼のために怖る【或いは「殪」。防は即ち怖】、手脚これに因りて汗を出す【怖る、ゆえに汗湿す】、而も上の人【或いは「人」の字なし】は始めて搏して枝を折り趕りて木を抓む【是れ傍観の人は彼のために驚懼し、高きに登る者は自ら危うきも知らずして、始めて搏して枝を折り趕りて木を操るをいう】。彼を攔住する者はかえって戮を受く【彼を攔えてかくならしめず、自らかえって戮を受く。凡そこれ皆危裏に処りて安を忘れ、進諫する人かえって辱めらるるの意を比方す】。ゆえに天下心寒まり、人主孤立す。今君側に処る者は皆乱臣にして、彼らの智は主をして聴き明白ならざらしむるに足り、彼らの言は政を攪乱するに足り、彼らの朋党は利害の上に相い安寧するに足る。昔湯は伊尹を用い、周は太公を用い、秦は百里【即ち百里奚】を用い、楚は申麃【即ち申包胥】を用い、斉は管子を用いたり。これらの大夫の当世に高出する所以は、正しくも亡国の忠臣の死する所以なり【これは古人の才は一樣にして、或いは当世に高出し、或いはこれに因りて死す、遇う所の君同じからざるをいう。案:一本は「高世」の下に「由」の字有り】。これより之を観れば、彼らの智能の比し難きに非ずして、彼らの時命の他人趕い及ばざるなり【これは伊尹・太公・申包胥・管子の才は、並びて他人の够い着かざるに非ず、箕子・仇牧の類のついに殺され辱めらるるは、彼の時命なきがゆえなりをいう】。ただかくのごとき無きのみ【彼の時命なし】。時至る所有りて求め【或いは「袁」、又或いは「表」。君有りて臣なし、ゆえに時至る所有るといえども、上より来りて求む】、時至る所有りて辞す【臣有りて君なし、ゆえに時至る所有るといえども、下より来りて辞す】。命至る所有りて闔し【或いは「合」。闔は猶辞のごとし】、命至る所有りて辟く【或いは「闕」。辟は猶求のごとし】。賢は必ずしも得ず、是れ時なり。不肖は必ずしも失わず、是れ命なり。ゆえに賢者は時を守り、不肖者は命を守る【命を守るは、猶命を委ぬるがごとし】。今世上舜のごとき行なきに非ず、是れ堯の原故を知らざるなり。湯武のごとき事なきに非ず、是れ伊尹・太公の原故を知らざるなり。費仲・悪来は辛紂の利を得たれども、武王の来りて彼を伐たんを知らず。比干・子胥は忠諫を好めども、彼らの主の彼らを殺さんを知らず。費仲・悪来は心を知ると謂うべきも、事を知らず。比干・子胥は事を知ると謂うべきも、心を知らず。聖人は必ず両樣皆備斉して、然る後に能く一世を窮究す。

兵政第十四

兵政第十四

龎子問鶡冠子曰用兵之法天之地之人之賞以勸戰罰以必眾【或作恐眾】五者已圖然九夷用之而勝不必者其故何也【得其戰矣未得其所以戰也故九夷用之而不必勝語曰以書御者不盡馬之情此之謂也故曰夫子馳亦馳夫子趨亦趨夫子奔逸絶塵而回瞠若乎其後其近是乎】鶡冠子曰物有生【生猶化也】故金木水火未用而相制【此言前期而勝也】子獨不見夫閉關乎立而倚之則婦人揭之【或作易揭之上】僕而措之則不擇性而能舉其中【句】若操其端則雖選士不能絶地闗尚一身而輕重異之者勢使之然也夫以闗言之則物有而勢在矣九夷用之而勝不必者其不達物生者也【此言不達事變物化故輒敗北素問曰物生之謂化物極之謂變】若達物生者五尚一也耳龎子曰以五為一奈何鶡冠子曰天不能以早為晩地不能以髙為下人不能以男為女賞不能勸不勝任【金帛在前不能使尫者負】罰不能必不【或無不字】可【斧鉞在後不能使啞者鳴】龎子曰取功奈何鶡冠子曰天不能使人人不能使天因【或作固】物之然而窮達存焉之二也在權在勢在權故生財有過富在勢故用兵有過勝財之生也力之於地順之於天兵之勝也順之於道合之於人其弗知者以逆為順以患為利以逆為順故其財貧以患為利故其兵禽昔之知時者與道證【或作登】弗知者危神明道之所亡【或作斥】神明之敗何物可以留其創【留猶止也使創不伸曰留】故曰道乎道乎【或作道道乎】與神明相保乎龎子曰何如而相保鶡冠子曰賢生聖【賢上生聖】聖生道道生法法生神【一隂一陽之謂道制而用之謂之法利用出入民鹹用之謂之神】神生明【神下生明】神明者正之末也【偏生闇公生明誠信生神故曰正之末也】末【或無末字】受之本是故相保

龐子は鶡冠子に問うて曰く:「用兵の法:天・地・人、賞は以て人の戦うを勧め、罰は以て衆を強制す【或いは「恐衆」】。五様すでに謀划し尽くしたれども、しかるに九夷これらを用いて必ずしも勝たず、何の故ぞや」【彼の戦を得たれども、未だ戦う所以の彼の物を得ず、ゆえに九夷は用いて必ずしも勝たず。古話に曰く:書に照らして馬を駕する者は、馬の実情を尽くす能わず。説く所は即ちこれ。ゆえに曰く:夫子馳せれば己もまた馳せ、夫子趨れば己もまた趨り、夫子奔逸して塵を絶てば、顔回はしかし直ぐに眼を瞪らして後に落つ。大概これに近きか】鶡冠子曰く:「物に生有り【「生」は猶化のごとし】、ゆえに金木水火未だ用いざるにすでに相い制約す【これは事先に勝てりをいう】。汝曽て関門の門栓を見ずや。竪てて靠れば、婦人も皆能く之を挙げ【或いは「易掲之上」】、倒して平らかに放てば、体力を挑揀せずとも能く其の中段を抬起す【ここに句を断つ】。若し其の一頭を攥住せば、選出せる力士といえども能く之を地面より離れしめず。門栓はなお同一根なれど、軽重相同じからず、是れ勢の之をかくせしむるなり。門栓を就けて言えば、物存在すれば則ち勢もまた在り。九夷がこれらを用いて必ずしも勝たざるは、彼らの物の生に通達せざるがゆえなり【これは事の変化・物の転化に通達せず、ゆえに動けば輒ち敗北すをいう。《素問》に曰く:物生じるを化と曰い、物極に至るを変と曰う】。若し物の生に通達せば、五様はなお一個のみ」。龐子曰く:「五様を一個に合成せんには、当に如何」鶡冠子曰く:「天は早を晩に変ずる能わず、地は高を下に変ずる能わず、人は男を女に変ずる能わず、賞は担当し得ざるを勧動する能わず【金帛前に在るも、瘦弱の人をして背負わしむる能わず】、罰は為し得ざるを強制する能わず【或いは「不」の字なし】【斧鉞後に在るも、瘂者をして声を叫ばしむる能わず】」。龐子曰く:「功を取るに当に如何」鶡冠子曰く:「天は人を役使する能わず、人は天を役使する能わず、物の彼の様子に因任せば【或いは「固」】、窮と達とは即ち其の中に在り。此の両様は、権に在り勢に在り。権に在るがゆえに、財を生じて過分の富有り。勢に在るがゆえに、兵を用いて過分の勝有り。財の生出するは、力を地に用いて天に順うなり。兵の打勝つは、道に順い人に合するなり。彼の知らざる者は、逆を以て順と為し、患を以て利と為す。逆を以て順と為す、ゆえに其の財貧し。患を以て利と為す、ゆえに其の兵擒えらる。昔時を知る者は道と相い証し【或いは「登」】、知らざるは神明を危害す。道の亡失する所【或いは「斥」】、神明敗れ、何の物か以て彼の創を留住せん【「留」は猶止のごとし、創口をして再び伸開せしめざるを留と曰う】。ゆえに曰く:道よ道よ【或いは「道道乎」】、神明と相い保全せん哉」龐子曰く:「如何にせんか能く相い保全せん」鶡冠子曰く:「賢は聖を生出し【賢は上に在りて聖を生出す】、聖は道を生出し、道は法を生出し、法は神を生出す【一陰一陽を道と曰い、裁制して之を用うるを法と曰い、利用出入して民皆之を用うるを神と曰う】、神は明を生出す【神は下に在りて明を生出す】。神明は正の末梢なり【偏れば則ち暗を生じ、公なれば則ち明を生じ、誠信は神を生ず、ゆえに正の末梢と曰う】。末梢【或いは「末」の字なし】は彼の本を承受す、ゆえに相い保全す」。

學問第十五

学問第十五

龎子問鶡冠子曰聖人學問服師也【服事也】亦有終始乎抑其拾【或作拾下同案或作拾拾字疑當作舍】誦記辭闔棺而止乎鶡冠子曰始於初問終於九道若不聞九道之解拾誦記辭闔棺而止以何定乎【此言非獨白紛如也雖至闔棺而止尚不足以定之也故所貴乎問學者豈誦説之云乎在於得書之體得言之解】龎子曰何謂九道鶡冠子曰一曰道德二曰隂陽三曰法令四曰天官五曰神徵六曰伎藝七曰人情八曰械器九曰處兵龎子曰願聞九道之事鶡冠子曰道德者操行所以為素也【素如獻素之素道德操行之本故曰素也】隂陽者分數所以觀氣變也【周官保章氏云以星土以雲物以十有二歳以十有二風占天地之災祥】法令者主道治亂國之命也天官者表儀祥兆下之應也【此言學問之序道德已明而隂陽次之隂陽已明而法令次之三者備矣然後可以言治矣天官冢宰是也百官取揆故曰表儀造始而已故曰祥兆此以靜唱彼以動和故曰下之應也】神徵者風采光景所以序怪也【祭義所謂其氣發揚於上為昭明焄蒿悽愴此百物之精也神之著也】伎藝者如勝同任【或為住】所以出無獨異也【周官六德則異之以智仁聖義忠和六藝則同之以禮樂射御書數】人情者小大愚知賢不肖雄俊豪英相萬也械器者假乗焉【或作馬】世用國備也處兵者威柄所持立不敗【或作取】之地也九道形心謂之有靈【形著見也】後能見變而命之【物至能名或曰竒見異聞為變列子曰大禹行而見之伯益知而名之蓋此類也】因其所為而定之若心無形靈【或作虛】辭【或有傳字】雖搏捆【捆猶叩防也】不知所之彼心為主【或作至】則內將使外內無巧驗【精不足以揆道麤不足以驗物】近則不及逺則不至龎子曰【或有曾聞字】禮樂仁義忠信願聞其合之於數鶡冠子曰所謂禮者不犯者也所謂樂者無菑【或作薔】者也所謂仁者同好者也所謂義者同惡者也所謂忠者久愈親者也所謂信者無二響者也聖人以此六者【或無者字】卦世得失逆順之經【卦猶卜也】夫離道非數不可以【原缺二字】緒端不要元法不可以心體【猶刳也南華曰墮其肢體黜其聰明又曰夫道覆載天地君子不可以不刳心焉】表術【或無表字】裡原【術如術業之術原如原道之原】雖淺不窮中虛外博雖博必虛龎子再拜曰有問戒哉雖毋如是冥【或無冥字】材乃健弗學孰能此天下至道而世主廢之何哉鶡冠子曰不提生於弗器【器故提之】賤生於無所用中河失船一壺千金【壺瓠也佩之可以濟渉南人謂之腰舟】貴賤無常時使物然常知善善昭繆不易一揆至今不知善善故有身死國亡絶祀滅宗細人猶然不能保夀義則自況【此言細人且爾也況於己乎其義當以自況】

龐子は鶡冠子に問うて曰く:「聖人の学問を為し師に服事する【「服」は即ち事奉】にも、また終始有るか。それとも拾取して【或いは「拾」、以下同じ。案:或いは「拾」に作る。「拾」の字疑いて当に「舎」に作るべし】誦読記誦の辞、棺に蓋するに至って始めて停むべきか」鶡冠子曰く:「最初の問より始まり、九道に終結す。若し九道の解説を聞かずして、ただ誦読記誦の辞を拾取し、棺に蓋して始めて停まらば、何を以て裁定せんか」【これはただ紛乱して一団の白糸のごときのみならずをいう。即ち棺に蓋して始めて停むに至るも、なお以て裁定するに足らず。ゆえに問学の看重する所は、どうして誦説ならんや。書の体を得、言の解説を得るに在り】龐子曰く:「何を九道と謂う」鶡冠子曰く:「一は道徳、二は陰陽、三は法令、四は天官、五は神征、六は伎芸、七は人情、八は械器、九は処兵」龐子曰く:「九道の事を聞かんことを願う」鶡冠子曰く:「道徳は、操行の以て底子と為すなり【「素」は素帛を献ずるの素のごとし。道徳は操行の本、ゆえに素と曰う】。陰陽は、分数の以て気の変化を観察するなり【《周官》保章氏に曰く:星土を以てし、雲物を以てし、十二歳を以てし、十二風を以てして天地の災祥を占う】。法令は、主の道・乱国を治むるの命なり。天官は、表儀祥兆・下の応和なり【これは学問の次序をいう:道徳すでに明白なれば、陰陽則ち其の次に在り。陰陽すでに明白なれば、法令則ち其の次に在り。三様具えて、然る後に以て治を談ずべし。天官は即ち冢宰。百官はかしこより法を取る、ゆえに表儀と曰う。ただ開端のみ、ゆえに祥兆と曰う。此方静かに唱え彼方動きて和す、ゆえに下の応和と曰う】。神征は、風采光景・以て怪異を編排するなり【《祭義》の所謂:気発揚して上に昭明と為り、焄蒿凄愴たるは、これ百物の精・神の顕著なり】。伎芸は、勝任するがごとく・同じく担任して【或いは「住」】、以て出でて独り異を立てざるなり【《周官》六徳は即ち智・仁・聖・義・忠・和を以て分別し、六芸は即ち礼・楽・射・御・書・数を以て会同す】。人情は、小大・愚知・賢不肖・雄俊豪英、相差ること万倍なり。械器は、借りて乗用する【或いは「馬」】、世上用い国裡に備わるなり。処兵は、威柄の執持する所・以て不敗【或いは「取」】の地に立つなり。九道心に顕現すれば、有霊と謂う【「形」は即ち顕著にして見るべきなり】、然る後に能く変化を見て之に命名を与え【物来たれば則ち能く命名す。一説に:奇異の見聞を変と曰う。《列子》に曰く:大禹は歩きて見、伯益は知りて之に命名す。大概この類】、其の為す所に因りて之を裁定す。若し心に形なく霊なくんば【或いは「虚」】、辞【或いは「伝」の字有り】は即ち搏撃捆叩するも【「捆」は猶叩撃のごとし】、また往く所を知らず。彼の心主を為せば【或いは「至」】、内は則ち外を駆使せん。内裏に巧妙の応験なくんば【精なるは以て道を揆度するに足らず、粗なるは以て物に応験するに足らず】、近きは够い到らず、遠きは到らざるなり」龐子曰く【或いは「曾聞」の二字有り】:「礼・楽・仁・義・忠・信、それらの如何に数に合するかを聞かんことを願う」鶡冠子曰く:「所謂礼は、触犯せざるなり。所謂楽は、災なき【或いは「薔」】なり。所謂仁は、愛好相同ずるなり。所謂義は、悪しむ相同ずるなり。所謂忠は、久しきほど親しむなり。所謂信は、第二種の回響なきなり。聖人はこの六様を拿りて【或いは「者」の字なし】以て世上の得失逆順の経絡を卜問す【「卦」は猶卜のごとし】。道を離れてまた数に非ざれば、以て端緒を理するべからず【底本ここに原二字を欠く】。元法を約住することなかれ、以て心の本体をすべからず(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた)【この字は猶「刳」のごとく、挖空の意。南華に曰く:肢体を堕し聡明を黜す。又曰く:道は天地を覆蓋承載す、君子は以て心を刳らざるべからず】。外表は術【或いは「表」の字なし】、裏面は原なり【「術」は術業の術のごとく、「原」は原道の原のごとし】、即ち浅くとも窮尽せざるなり。中間空虚にして外面駁雑なれば、即ち博なるも必ず空虚なり」龐子再拝して曰く:「問有り戒有り哉。即ちかくのごとき冥【或いは「冥」の字なし】なるも材質なくして剛健なるは、学ばざれば誰か能く到らん。これ天下の至道なり、当世の主はしかも之を廢す、何ぞや」鶡冠子曰く:「提起せられざるは、器を成さざるを以てなり【器を成す、ゆえに始めて之を提起す】。賤しきは、用場に派せざるを以てなり。船は中流に於て失うとも、一只の葫蘆は千金に値す【壺は即ち瓠、身に佩びて以て河を渡るべし、南方人は之を腰舟と呼ぶ】。貴賤に常規なく、是れ時の物をしてかくせしむるなり。常に善の如何にして善なるかを知れば、昭穆改易せず、一個の法度は今に至るまで。善の如何にして善なるかを知らざれば、ゆえに身死し国亡び祀絶え宗滅ぶ有り。細小の人なおかくのごとく、寿命さえ保つ能わざれば、義に按じて当に取りて己に比況すべし【これは細小の人なおこのごとく、況んや己に於いてをや、彼の義は当に取りて己に比況すべしをいう】」。

世賢第十六

世賢第十六

卓襄王問龎暖曰夫君人者亦有為其國乎【卓當為悼此趙悼襄王也蓋趙孝成王卒子偃立是為悼襄王襄王三年龎暖將攻燕擒其將劇辛】龎暖曰王獨不聞俞跗之為醫乎已成必治鬼神避之楚王臨朝為隨兵故若堯之任人也不用親戚而必使能其治病也不任所愛必使舊醫【語曰老醫少卜蓋老醫更病多矣堯故使之】楚王聞傳暮在身【蓋病也】必待俞跗【俞跗蓋非楚人此亦寓言傳曰上古之時醫有俞跗治病不以湯液體灑鑱石橋引案機毒熨而割皮解肌訣胍結筋搦髓腦浣腸胃練精易形此雖已成所以必治而鬼神避之也】卓襄王曰善龎暖曰王其忘乎昔伊尹醫殷太公醫周武王百里醫秦申麃醫郢【郢荊所都】原季醫晉【國語曰晉文公使原季為卿】范蠡醫越管仲醫齊而五國霸其善一也然道不同數卓襄王曰願聞其數暖曰王獨不聞魏文侯之問扁鵲耶【扁鵲勃海鄚人也姓秦氏名越人】曰子昆弟三人其孰最善為醫扁鵲曰長兄最善中兄次之扁鵲最為下魏文侯曰可得聞耶扁鵲曰長兄於病視神未有形而除之【此神醫也為之於未有周官疾醫之職以五氣五聲五色視其死生兩之以九竅之變參之以九蔵之動夫昧於在神而以五氣五聲五色視其死生更以參兩驗之亦已麤矣然周官言此而已者蓋中材之法也岐跗豈世有哉】故名不出於家【名在門內而已老子曰太上下知有之其次親之譽之】中兄治病其在毫毛【此明醫也治之於末亂所謂造形而悟者也】故名不出於閭【其閭里知之矣】若扁鵲者鑱血脈投毒藥副肌膚間而名出聞於諸侯【其所能愈麤其所聞愈逺】魏文侯曰善使管子行醫術以扁鵲之道桓公幾能成其霸乎【管仲匡救桓公常在其細故能以其君霸蓋桓公實怒少姬南襲蔡管仲因而伐楚責包茅不入貢於周室桓公實北征山戎而管仲因而令燕修召公之政方是之時諸候莫或知焉此其治毫毛者也】凡此者不病病【一本少一病字至於病而治之不亦晩乎疾甚曰病】治之無名【或作治無名】使【或作便】之無形【夫病之形名著矣然後使醫此桓侯之所以免也】至功之成其【或作六】下謂之自然【針艾之功無所欣賴故其昧者謂之自然推之於治此擊壤之民所以不知堯舜之力也】故良醫化之拙醫敗之雖幸不死創伸股維【維牽攣也】卓襄王曰善寡人雖不能無創孰能加秋毫寡人之上哉【庶幾管仲者出焉】

卓襄王は龐暖に問うて曰く:「人の君主を為る者にも、また其の国を治理する办法有るか」【「卓」は当に「悼」たるべし。これ趙悼襄王なり。趙孝成王死して、子偃即位す、即ち悼襄王。襄王三年、龐暖は兵を帯びて燕を攻め、燕将劇辛を擒えたり】龐暖曰く:「大王曽て兪跗の如何に医を為したるかを聞かずや。すでに成りたる病もまた必ず治す、鬼神すら之を避く。楚王は朝に臨み、随国用兵の故を以て(「為随兵故」一説は下に連ねて読み、「所以像堯用人」に作る。一説にこの数句は前人疑いて後増ならんとす)、即ち堯の人を用うるがごとく、親戚を用いずして、必ず能人を用い。其の病を治するや、寵愛する所を任用せずして、必ず老医を用う【俗話に曰く:老医少卜。老医は経歴する病多し、堯の彼らを用うる所以】」。楚王は伝来を聞き、身上暮有りて(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた)【この字は大概病】、必ず兪跗を待つ【兪跗は大概楚人に非ず、これもまた寓言なり。伝に曰く:上古の時、医に兪跗有り、病を治して湯液・醴酒・鑱石・導引・按摩・薬熨を用いずして、しかも皮を割き肌を解き脈を決き筋を結び、髄脳を按り腸胃を洗滌し、精を練り形を換う。これ即ちすでに成りたる病も、ゆえに必ず治す、鬼神すら之を避く】卓襄王曰く:「善し」龐暖曰く:「大王曽て忘れたるか。昔伊尹は殷のために医を為し、太公は周武王のために医を為し、百里奚は秦のために医を為し、申麃は郢のために医を為し【郢は楚の都城】、原季は晋のために医を為し【《国語》に曰く:晋文公は原季をして卿と為さしむ】、范蠡は越のために医を為し、管仲は斉のために医を為す、これらの国はこれに因りて称覇す。彼らの善は一樣なれど、しかるに道相同じからず数もまた同じからず」卓襄王曰く:「彼の数を聞かんことを願う」龐暖曰く:「大王曽て魏文侯の扁鵲に問うたるを聞かずや【扁鵲は渤海の鄚人にして、姓は秦、名は越人】。曰く:『汝の兄弟三人、誰か最も善く医を為す』扁鵲曰く:『長兄最も善し、中兄其の次、扁鵲最も下なり』魏文侯曰く:『聞くべきか』扁鵲曰く:『長兄は病に対して、看る所は神なり、未だ形有らざるにすでに之を除く【これ神医。未だ有らざるの時に為す。《周礼》疾医の職事は、五気・五声・五色を以て死生を看て、九竅の変を以て両相核験し、九蔵の動を以て参験す。すでに神の一層に昧するに、しかも五気五声五色を以て死生を看て、さらに参両を拿りて験すは、もはや粗し。しかるに《周礼》はただこの一層に説き至る、大概是れ中等の人材の法。岐伯・兪跗はどうして世上常に有るの者ならんや】、ゆえに名声家門を出でず【名声はただ門の裡に在るのみ。老子に曰く:太上は、下知有他。其の次は、彼を親しみ彼を誉む】。中兄は病を治して、毫毛の上に在り【これ明医。未だ乱れざるの時に治す。所謂形を見て始めて悟る】、ゆえに名声閭巷を出でず【其の閭里是れを知る】。扁鵲のごときは、針石を以て血脈を刺し、毒薬を投げ、肌膚を剥開し、時を隔てて名声諸侯に伝わる【治する能くする所いよいよ粗く、伝聞する所いよいよ遠し】』。魏文侯曰く:『善し。仮に管子をして扁鵲の道に按して医術を行わしめば、桓公はなお能く其の覇業を成就せんか【管仲は桓公を匡救して、常に微細の処に在り、ゆえに能く其の君をして覇を称さしむ。桓公は実に少姫を恼んで南に蔡を襲い、管仲は則ち勢に就いて楚を伐ち、包茅を責めて周室に進貢せざるを問う。桓公は実に北に山戎を征し、管仲は則ち勢に就いて燕をして召公の政を修めしむ。彼の時諸侯知る者なく、これ即ち毫毛の上に治す]』凡そこれ皆病の病と成るを待たず【一本は「病」の一字少なし。病に至りて治するは、晩からずや。病甚だしきを始めて「病」と曰う】、之を治して名なく【或いは「治無名」】、之をして形なからしむ【或いは「便」】【病の形と名と皆顕著にして始めて医を請う、これ即ち蔡桓侯の免れ得ざりし所以】。功の成るに及びて、下の人は【或いは「六」】これを自然と曰う【針艾の功に欣頼すべきなし、ゆえに昧する者は之を自然と称す。治に推せば、これ即ち撃壌の民の堯舜の力を知らざる所以】。ゆえに良医は之を化除し、拙医は之を敗壊す。即ち幸にして死せざるも、創口開き、大腿牽攣す【「維」は即ち牽攣】」卓襄王曰く:「善し。我創なき能わざるも、誰かまた能く秋毫を我が頭上に加えん【ただ管仲のごとき人の出でんことを願う】」。

天權第十七

天権第十七

挈天地而能【或無能字】遊者【南華所謂旁日月挾宇宙者類此】謂之還【或作環又或作繹】名【常住真際而不逐於名】而不還於名之人【區區外慕逐物喪已常為造化負之而走豈能挈天地而遊哉】明照光照不能照已之明是也【離朱方晝拭皆百歩之外明燭鬚眉而不能近視其睫則逐物不反靈於人者雖明照如月光照如日而不能照己之明何足怪哉】獨化終始隨能序致獨立宇宙無封【無畛域也】謂之皇天地【列子湯問於夏革曰四海之外奚有革曰猶齊州也東行至營人民猶是也問營之東復猶營也西行至豳人民猶是也問豳之西復猶豳也】浮懸天地之明【四時之運轉移日月勢若浮懸】委命相鬲謂之時【且然無間謂之命四時之運委之而已然而木敷金斂火炎水列譬如耳目鼻口皆有所用不能相通】通而鬲謂之道【道故有塞有通】連萬物領天地【天地下有建報重九明五字】合膊【膊一作搏或為宇宙二字】同根命曰宇宙【闔天之謂宇闢宇之謂宙二者相須而立故曰合膊同根】知宇故無不容也【有實而無乎處者宇也知宇故無不容】知宙故無不足也【有乎長而無本者宙也知宙故無不足】知德【德或作隱】故無不安也【知德故所遇於地者不擇而安之】知道故無不聽也【知道故所受於天者不辭而聽之】知物故無不然也【因其所然而然之萬物莫不然也】知一而不知道故未能裡也【不能視已之明故曰未能裡也】昔行不知所如徃而求者則必惑【列子亡羊者曰岐之中又有岐焉吾不知所之是以反也心都子曰大道以多岐喪羊學者以多方喪生】索所不知求之象者則必弗得【象者意之筌蹄夫索所不知求之筌蹄而不知求之言意之表豈足以得其粹哉輪人曰公之所讀是古人之糟粕已尋繹鶡冠子之意蓋將發防解惑使人致一而求道於言意之表故有此言而下文雲】故人者莫不蔽於其所不見鬲於其所不聞塞於其所不開詘於其所不能制於其所不勝世俗之眾籠乎此五也而不通此未見而有形【危機雖未兆見而理已有焉】故曰有無軍之兵有無服之喪人之輕死生之故也人之輕安危之故也【以故是以知之】夫蚊防墜乎千仞之谿【注谷曰谿】乃始翺翔而成其容【容或作客成其翺翔之容髙飛曰翺布翼不動曰翔】牛馬墜焉【一本作馬誤】碎【碎或作缽】而無形由是觀之則大者不便重者創深【此言貴髙之蹶其患大矣老子曰奈何萬乗之主而以身輕天下案蹶一本作】兵者渉死而取生陵危而取安是故言而然道而當【當或作富又一作道奠富言而然然後道而當道猶行也】故一蚋膚不寐至旦半糠入目四方弗治所謂蔽者豈必障於帷隱於帷薄哉【細曰□麤曰薄】周平弗見之謂蔽【昔齊人有欲金者清旦之市攫人之金以為取金之時徒見金不見人蓋嗜慾之亂人心如此豈必四周有物障之也哉】故病視而目弗見疾聽而耳弗聞防【或無防字】故知能與其所聞見俱盡【句】鬲【鬲或作髙】故奠務行事與其任力俱終【句】塞故四發上統【上統或作上紇】而不續【原缺二字】而消亡夫道者必有應而後至【後至一作後合至觀之於易見矣】事者必有德而後成夫德知事之所成成之所得而後曰我能成之成無為【成之於無為】得無來【得之於無來夫德至矣故妙須心解而君不能得之臣子不能獻之父則得之在我而已其來豈有自哉案心解下一本無而字】詳【詳或作脺】察其道何由然哉迷徃以觀今是以知其未能彼【案一本無彼字】立表而望者不惑按法而割者不疑固言有以希之也夫望而無表割無法其惑之屬耶所謂惑者非無日月之明四時之序星辰之行也因乎反茲而【茲而一作慈西】之惑也【所謂惑者反之而已豈必無也哉列子云天地四方水火寒暑無不倒錯者蓋類是也】惑故疾視愈亂惇而易方【疾視即上所謂病視四方故書曰譬彼病目見空中華蓋空本無華由妄見故惇猶篤也易方南華所謂天地四方易位是也蓋疾視至於天地四方易位則其病之篤者也非獨目視昏華而已】兵有符而道有驗【蓋弗迷者然後見之】備必豫具慮必蚤定【否則惑矣】下因地利制以五行左木右金前火後水中土營軍陳士不失其宜五度既正【左木右金前火後水中土是也】無事不舉招搖在上【招搖鬥之柄端主指者】繕者作下【禮雲行前朱雀而後武左青龍而右白虎招搖在上急繕其怒即此是也繕猶繼也蓋兵一鼓作氣再而衰三而竭故善戰者常無其怒使再不至於衰三不至於竭此黃帝之所以百戰而兵不敗也】取法於天四時求【或作生】象【四時求象猶言求象四時也】春用蒼龍夏用赤鳥秋用白虎冬用武天地已得何物不可宰理之所居謂之地神之所形謂之天知天故能一舉而四致並起而獨【或作稅】成鳥乗隨隨蜚垂【或作輭未詳】故昔善討者非以求利【一作求勝】將以明數【一作明勝】昔善戰者非以求勝將以明勝獨不見夫隱者乎【或有及字】設使知之其知之者屈已知之矣若其弗知者雖師而説尚不曉也【隱者韜潛故其難知如此此善戰者所以必至於明勝也】悲乎夫蔽象鬲塞之人未敗而崩未死而禽設兵取國武之美也不動取國文之華【或為歸】也士益武人不益文【二句其實一也變文是以不同】一者【或作甚】寡愛【武事刻慘失之少恩】不可勝論耳者可以聽調聲而不能為調聲目者可以視異形而不能為異形口者可以道神明而不能為神明【凡此以明師匠能與人規矩而不能與人巧也故下文雲】故先王之服師術者呼往【迷者不反呼之使勿徃也】發防【南華曰防夫子之發吾覆則吾無以見天地之大全】釋約解刺【約如繩約之約刺如針刺之刺】達昏開明而且知焉故能説適計險【說止息也適如徃也】歴越逾俗軼倫越等知略之見遺跋眾人【或作久】求【或作未】絶紹逺難之在前者能當之難之在後者能章之【章如彰往察來之章】要領天下而無疏【疏之為言失也】則【或作明】逺乎敵國之制【不為敵人所制】戰勝攻取之道應物而不窮以一宰萬而不總【提要而已如每事而總之焉得力而給諸】類類生之耀【或作翟】名之所在【朝廷耀名之所在也傳曰爭名者於朝爭利者於市】究賢【或作則】能之變極蕭楯之元【元或作無蕭蕭斧也幹謂之楯蕭以戮人楯以衛已知此則知兵矣戎之字從戈從甲蓋兵之道如此而已】謂之無方之傳【究變極無則適乎變通之防矣南華曰今蘄行周於魯是猶推舟於陸也勞而無功彼未知夫無方之傳應物而不窮者也】著乎無封之宇【或作博】制事內不能究其形者【或無者字】用兵外不能充其功【不得於內斯不可成於外矣】彼兵者有天有人有地【天時地利人和】兵極人【盡兵之事則人道得矣】人極【或作蔽】地【人極乃地】地極天【地極乃天】天有勝【天時故有勝】地有維【地利故有維】人有成【人和故有成】故善用兵者慎【子之所慎者戰】以天勝以地維以人成三者【案一本作王者】明白何設不可圖所謂天者非以無驗有勝【天事窈冥無所用質然而不可勝也】非以日勢之長而萬物之所受服者邪【日勢五行休王孤虛之屬】彼天生【或作士】物而不物者其原隂陽也四時生長收藏而不失序者【南華曰春夏先秋冬後神明之序也】其權音也【觸於角章於商之屬】音在乎不可傳者其功英也【其功以非糟粕故不可傳也】故所肄學兵必先天權陳以五行戰以五音左倍宮角右挾商羽【句】徵君為隨【徵在其後】以【或作轉】無素之眾【猶群也韓信曰信非得素拊循士大夫所謂敺市人而戰之也其勢非制死地人自為戰寧尚得而用之乎蓋知此矣】陸【或作陛】溺溺人【陸溺陸沈也蓋以竒用兵其隂謀赤地能興風波】故能徃來竇決【不水能致風波則彼雖如川之流可使之竭也荀子曰厭其源開其竇江湖可竭】獨金而不連【偏任金德隆於殺伐不以四行連而輔之故其如下所云】絶道之紀【或作絶】亂天之文幹音之謂違【或作達】物之情天之不綱【或作細】其咎燥【或作慘】兇【燥兇兇旱也四時之和不成故其咎兇旱老子曰必有凶年蓋言是也】欲無亂逆謹司天英天英【或無下天英二字】各失三軍無實夫不英而實孰有其物【言無是也凡物之生英而不實者有矣未有不英而實者也】常聖博【原缺二字】古今復一日者天地之所待而闔耳【或作耳目此言真聖三萬歳而成純則天地與我為一矣五行不能宰五音不能制雖遺隂陽可也茍為不在此域則豈能廢隂陽之術哉故下文雲】故天權神曲五音術兵逸言曰【天權神曲五音術兵逸言疑若兵法一書之名】章以禍福【禍福上或有斯字】若合符節凡事者生於慮成於務失於驚

天地を提着して能く【或いは「能」の字なし】遊ぶ者は【《荘子》の所謂日月を旁り宇宙を挟むの、この類に倣う】、還【或いは「環」、又或いは「繹」】名と曰い【常に真際の上に住して、名を追逐せず】、しかも名に拖着せられざる者なり【区々として外に羡慕し、外物を追逐して己を丟て、常に造化に背負われて走る、どうして能く天地を提着して遊ばんや】。明は能く照し光は能く照すも、自らの明を照らす能わざるは、即ちこれ【離朱は大白天に眼を擦りて、百歩の外に须眉を照らして明白なれど、しかも己の睫毛を近く看る能わず。然れば外物を追逐して回頭せざる、人よりなお霊なる者は、明照月のごとく光照日のごとしといえども、自らの明を照らす能わず、また何の怪しむべきか有らん】。独り生化終始し、能くする所に随いて序致し、宇宙の裡に独立して封界なし【畛域なし】、之を皇天地と曰う【《列子》に湯は夏革に問う:四海の外にまた何か有る。革曰く:斉州と同じ。東に行きて営に至る、人民はなおこのごとし。営の東を問えば、また営と同じ。西に行きて豳に至る、人民はなおこのごとし。豳の西を問えば、また豳と同じ】。浮懸する天地の明【四時の運行は日月を転移し、勢は浮き懸かるがごとし】。命を交出去して彼此隔つるを、時と曰う【將にかくならんとして間隙なきを、命と曰う。四時の運行は、聴任するのみ。然るに木敷・金斂・火炎・水列、譬えば耳目鼻口各々用有るがごとく、相通ずる能わず】。通じてまた隔つるを、道と曰う【道本より塞有り通有り】。万物を連え天地を領し【「天地」の下ある本子に「建報重九明」の五字有り】、膊を合して【「膊」一作「搏」、或いは「宇宙」の二字】同根するを、宇宙と曰う【上を闔するを宇と曰い、宇を辟くを宙と曰う、二者相い待ちて始めて立つ能く、ゆえに膊を合して同根すと曰う】。宇を知る、ゆえに容れざるなし【実有りて処所なきは、宇なり。宇を知る、ゆえに容れざるなし】。宙を知る、ゆえに足らざるなし【長度有りて本剽(底本のこの字は生僻字、《荘子》は「剽」に作る)なきは、宙なり。宙を知る、ゆえに足らざるなし】。徳を知る【「徳」或いは「隠」】、ゆえに安んぜざるなし【徳を知る、ゆえに遇う所地に在るは、揀択せずして安んず】。道を知る、ゆえに聴かざるなし【道を知る、ゆえに受くる所天よりするは、推辞せずして聴く】。物を知る、ゆえに然らざるなし【其の然る所に順いて之を然とすれば、万物然らざるなし】。ただ「一」を知りて知るを知らず、ゆえになお能く裏に向かず【己の明を看る能わず、ゆえになお能く裏に向かずと曰う】。昔歩行して何れの処に往くかを知らずして強いて求むるは、必ず惑う【《列子》に亡羊の人曰く:岔路の中にまた岔路有り、我どのに往くかを知らず、ゆえに帰来り。心都子曰く:大道は多岔路を以て羊を丟い、学者は多方を以て生を丟う】。知らざる所を搜索してしかも「象」に向かいて求むれば、必ず得る能わず【象は、意の筌蹄なり。知らざる所を搜索して、筌蹄に向かいて求めて、しかも言意の外に向かいて求むるを知らず、どうして彼の粹を得るに足らん。輪人曰く:公の読む所は、すでに古人の糟粕なり。鶡冠子の意を尋繹すれば、大概は蒙を発き惑を解き、人をして専一にして言意の外に向かいて道を求めしめんと欲するなり、ゆえにこの句有りて、而して下文に曰う】。ゆえに人は己の見えざる物に遮蔽せられ、己の聴こえざる物に隔てられ、己の打開する能わざる物に塞がれ、己の能わざる物に屈せられ、己の勝つ能わざる物に制せられざるなし。世俗の衆はこの五様に罩れられて、この一層を通過する能わず:未だ見ざるに、形すでに有り【危機は未だ兆を露わさざるも、理すでに在り】。ゆえに曰く:軍隊なきの兵有り、喪服なきの喪有り。人の死生を軽く看る所以、人の安危を軽く看る所以は、即ちこの原故なり【この原故を以て、ゆえに知る】。蚊・虻は千仞の溪に堕ち【谷に注ぐを溪と曰う】、始めて翱翔して、其の容を成す【「容」或いは「客」。其の翱翔の容を成す。高く飛ぶを翱と曰い、翼を鋪きて動かざるを翔と曰う】。牛馬堕ちれば【一本はただ「馬」に作る、非なり】、碎れて【「碎」或いは「鉢」】形なし。これより之を観れば、大なるは不便にして、重なるは創いよいよ深し【これは貴高の者は一跌すれば、禍患大なりをいう。老子に曰く:どうして万乗の主、しかも身を拿りて天下を軽んずる。案:「蹶」一本は某生僻字(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた)】。兵は、死を趟りて生を取り、危を陵りて安を取るなり。ゆえに話は説き得て対なり、道は行い得て当なり【「当」或いは「富」、又一本は「道奠富」。話説き得て対なりて、然る後に道行い得て当なり。道は、猶行のごとし】。ゆえに一只の蚋の噆(底本のこの字は生僻字、通行本は「噆」)するも皮膚一下なれば、則ち天亮まで睡る能わず。半粒の糠眼に入れば、四方皆治する能わず。所謂蔽は、どうして必ず帷帘(底本のこの字は生僻字)の裡に挡られ、帷薄の裡に蔵られんことを要せんや【細なるを帘と曰い(底本のこの字は残欠)、粗なるを薄と曰う】。四周平らかにして看る能わざるを、即ち蔽と謂う【昔斉人に金を欲する者有り、清早市に至りて他人の金を抢う、以て金を取る時はただ金を見て人を見ずと為す。嗜欲の人心を擾乱するは即ちかくのごとし、どうして必ず四周物有りて挡るを要せんや】。ゆえに眼病じて看れば、目は則ち見えず。聴くこと急過ぎれば、耳は則ち聴こえず。蒙【或いはこの字なし】、ゆえに知能は其の聞見する所と倶に尽きる【ここに句を断つ】。隔【「鬲」或いは「高」】、ゆえに奠務行事は其の任ずる所の力と倶に終わる【ここに句を断つ】。塞、ゆえに四発上統【「上統」或いは「上紇」】するも接ぐ能わず【原二字を欠く】にして消亡す。道は、必ず応有りて然る後に至る【「后至」一作「后合至」。《周易》を看れば則ち見る】。事は、必ず徳有りて然る後に成る。徳は事の成る所以・成るの得る所以を知りて、然る後に始めて「我之を成る能く」と曰う。無為に於て成り【無為の上に成る】、無来に於て得たり【無来の上に得たり。徳極に至る、ゆえに妙は須らく心解すべし。君は臣より得る能わず、子は父に献ずる能わざれば、然れば得はただ我が己に在るのみ、其の来たるはどうして従う所有らんや。案:「心解」の下に一本は「而」の字なし】。詳しく【「詳」或いは「脺」】其の道を察するに、是れどこよりかくなれんや。往古に迷いて今日を看る、ゆえに彼の未だ能わざるを知る。彼の【案:一本は「彼」の字なし】表を立てて望む者は惑わず、法に按して割る者は疑わず、本より是れ有個の希むべき物有りと説く。望むも表なく、割るも法なければ、即ち惑いの類ならずや。所謂惑は、並びて日月の明・四時の序・星辰の行なきに非ず、是れこれに反する【「兹而」一作「慈西」】を以て惑うなり【所謂惑は、反するのみ、どうして必ず無からんや。《列子》に曰く天地四方・水火寒暑は倒錯せざるなし、大概この類】。惑えば、ゆえに急ぎて看るほどいよいよ乱れ、病深きに至りては、方位皆換わる【疾視は、即ち上に曰う病視四方。ゆえに書上に曰く:彼の病眼のごとく、空中に花有りを見る——空裡本より花なく、是れ妄見のゆえ。惇は、猶篤のごとし。易方は、即ち《荘子》の所謂天地四方位を換えたる。疾視天地四方の位を換うるに至るは、即ち病深きなり、ただ眼の花を看るのみにあらず】。兵に符有り、道に験有り【大概迷わざる者然る後に見る能く】。備は必ず預め具え、慮は必ず早く定むべし【否ざれば則ち惑う】。下は地利に因りて、五行を以て制す:左木右金、前火後水、中土。軍を営み士を陳べて、適宜を失わず。五度すでに正しければ【左木右金・前火後水・中土、即ち是れ】、事として挙げられざるなし。招揺は上に在り【招揺は、斗柄の末端・指向を主管する】、繕する者は下に発作す【《礼記》に曰く:行く時は前朱雀・後玄武、左青龍・右白虎、招揺上に在り、急繕其怒——即ちこれ。繕は、猶継のごとし。兵は一鼓作気して、再びて衰え、三にして竭く、ゆえに善く戦う者は常に彼の怒を蓄えて、再びて衰えざらしめ、三にして竭かざらしむ。これ即ち黄帝の百戦にして兵敗れざる所以】。天に取法して、四時に象を求む【或いは「生」】【四時に象を求むは、猶四時に於て象を求むるがごとし】。春は蒼龍を用い、夏は赤鳥を用い、秋は白虎を用い、冬は玄武を用う(底本「玄」は私用区字)。天地すでに得たれば、何の物か主宰すべからざる有らん。理の住する所を地と曰い、神の形する所を天と曰う。天を知る、ゆえに能く一挙にして四面皆到り、一起発動して独り【或いは「税」】成就す。鳥は随随に乗じて(底本のこの字は生僻字で転写後に失われた)飛び、垂れり(底本のこの字は生僻字)【或いは「輭」、未詳】。ゆえに昔善く討つ者は、利を求むるがためならずして、是れ以て数を明らかにせんと欲するなり【一作「求勝」】。昔善く戦う者は、勝を求むるがためならずして、是れ以て勝を明らかにせんと欲するなり【一作「明勝」】。曽て隠者を見ずや【或いは「及」の字有り】。仮に人をして知らしめば、則ち知る者はすでに屈しすでに知れり。至りて知らざるは、即ち師を拝して講ずるも、なお曉らず【隠者は韜潜す、ゆえに知り難きことかくのごとし。これ即ち善く戦う者の必ず「明勝」に至るを要する所以】。悲しきかな。彼の蔽せられ象せられ隔てられ塞がるる者は、未だ敗れざるにすでに崩れ、未だ死せざるにすでに擒えらる。兵を設けて国を取るは、武の美。動かずして国を取るは、文の華なり【或いは「帰」】。士は武を增益し、人は文を增益せず【両句実は一句、説法を換うるがゆえに同じからず】。一者【或いは「甚」】愛少なく【武事刻惨にして、失は恩少なきに在り】、説いて説き尽くす能わず。耳は以て調好せる声を聴くべきも、自ら調好せる声を成す能わず。目は以て不同の形を看るべきも、自ら不同の形を成す能わず。口は以て神明を講ずべきも、自ら神明を成す能わず【凡そこれ皆用いて説く所:師匠は能く人に規矩を与うるも、能く人に巧を与うる能わず。ゆえに下文に曰う】。ゆえに先王は師と為るの術に服習する者を用い:途に迷える者を招呼し【迷いて回頭せざるに、彼を招呼して前に往かしめず】、蒙覆を掲開し【《荘子》に曰く:夫子は我に蒙覆を掲開し給う、否ざれば我天地の大全を見るに由なし】、縄約を解き針刺を抜き【約は、縄約の約のごとし。刺は、針刺の刺のごとし】、昏を打通し明を打開して、而も己自ら知る。ゆえに能く止息し能く前往し【説は、即ち止息。適は、猶往のごとし】、流俗を越え等列を超出す。知略の見識は、衆人を【或いは「久」】後に丟て、遠きを接上ぐるに求む【或いは「未」】。前に難きは能く当住し、後に難きは能く章明す【章は、「彰往察来」の章のごとし】。天下の要領を抓住して疏なく【疏の意は即ち失】、則ち【或いは「明」】敵国の牽制を遠離す【敵に制せられず】。戦勝攻取の道は、物に応じて窮尽せず。「一」を以て万を主宰して、件件総攬に往かず【要領を提起するのみ。若し每件事皆総攬せば、どうして気力供給に及ばん】。一類一類彼の耀【或いは「翟」】名の所在を生出す【朝廷は、耀名の所在。伝に曰く:名を争うは朝に在り、利を争うは市に在り】。賢【或いは「則」】能の変化を窮究し、蕭と楯との元を極尽す【「元」或いは「無」。蕭は即ち蕭斧、干を楯と曰う。蕭は以て人を殺し、楯は以て己を衛る。これを知れば則ち兵を知る。戎のこの字は戈より甲よりす、兵の道はこのごときに過ぎず】、之を無方の伝と曰う【変化を窮究し彼の「無」を極尽すれば、則ち変通の方に入る。《荘子》に曰く:今魯国に於て周の办法を推行せんと求むるは、譬えば陸地の上に於て船を推すがごとく、労して功なし。彼は無方の伝・物に応じて窮尽せざるを知らず】、封界なきの宇に着落す【或いは「博」】。裡面に於て事を制して彼の形を窮究する能わざる者は【或いは「者」の字なし】、外面に於て兵を用いて彼の功を充実する能わず【裏面得ずれば、外面成らず】。彼の兵は、天有り人有り地有り【天時・地利・人和】。兵の極は人なり【兵の事を頭に為せば、人道得たり】。人の極は【或いは「蔽」】地なり【人の極は乃ち地】。地の極は天なり【地の極は乃ち天】。天に勝有り【天時ゆえに勝有り】、地に維有り【地利ゆえに維有り】、人に成有り【人和ゆえに成有り】。ゆえに善く兵を用うる者は謹愼し【孔子の謹愼する所は戦】、天を拿りて勝ち、地を拿りて維とし、人を拿りて成と為す。三者【案:一本は「王者」】明白せば、何の布置か図るべからざる有らん。所謂天は、並びて応験なくして勝有るに非ず【天の事窈冥にして、質以て拿りて用うべきなく、然るに勝つべからず】、どうして並びて日勢の長久・万物の承受し服従する所に因らざらんや【日勢は、五行休王・孤虚の類】。彼の天万物を生育して【或いは「士」】自ら物を成さざるは、其の原は陰陽。四時生長收藏して序を失わざるは【《荘子》に曰く:春夏先に在り、秋冬後に在る、是れ神明の序】、其の権は音なり【角上に触れ商上に章する類】。音は伝うべからざる処に落つるは、其の功は英なり【其の功は糟粕に非ざるがゆえに、伝うべからず】。ゆえに肄習する所の学兵は、必ず先ず天権を前に置く。五行を以て陣を布き、五音を以て戦い、左は倍して宮角を加え、右は商羽を挟む【ここに句を断つ】。徵君は後に在りて随と為す【徵は其の後に在り】、以て素訓練なきの衆を部聚す【或いは「転」】【この字は猶群のごとし。韓信曰く:我は並びて素に士大夫を撫循せるに非ず、所謂市人を駆って戦わしむ。彼の勢は若し人を死地に置かざれば、人自ら戦う、どうしてなお彼らを用いる能くせんや。大概即ちこれ】。陸【或いは「陛」】溺は人を淹没す【陸溺は、即ち陸沈。大概奇を出して兵を用うるは、其の陰謀は地を弄して赤くし、能く風波を興す】、ゆえに能く来往して洞穴を決開す【水に非ざるも能く風波を弄出すれば、則ち相手方は即ち川流のごとくとも、また以て之を乾かすべし。荀子に曰く:其の源を堵し其の竇を開けば、江湖以て竭すべし】。単に金を用いて連えざれば【偏に金徳に任じ殺伐に隆んで、四行を用いずして連えて輔助せず、ゆえに其の弊(底本「弊」は私用区字)は下文の説くがごとし】、道の紀を断絶し【或いは「絶」】、天の文を攪乱し、音を干渉するを法と曰い、物の情に違背す【或いは「達」】。天は之に綱を為さず【或いは「細」】、其の咎は即ち燥【或いは「惨」】凶なり【燥凶は、即ち凶旱。四時の和成らず、ゆえに咎は凶旱。老子に曰く:必ず凶年有り、大概説く所は即ちこれ】。乱逆なからんと欲せば、謹愼して天英を守れ。天英【或いは下の「天英」の二字なし】各々之を失えば、三軍は則ち実なし。英なくして実有るは、どうしてかくのごとき物有らん【是れかくのごときなきをいう。凡そ物の生は、英にして実ならざる有り、英ならずして実有るはなし】。常聖広博【原二字を欠く】古今・一日を重复下去するは、天地の待ちて闔する所の耳なり【或いは「耳目」。これは真聖は三万歳にして純を成せば、天地は則ち我と一個なりをいう。五行宰る能わず、五音制する能わず、即ち陰陽を丟てもまた行くべし。若しなおこの領域に在らざれば、どうして能く陰陽の術を廃せんや。ゆえに下文に曰う】。ゆえに《天権》《神曲》《五音》《術兵》《逸言》に曰く【《天権》《神曲》《五音》《術兵》《逸言》は、疑いて兵法の類の書の名ならん】:禍福を以て章明し【「禍福」の上或いは「斯」の字有り】、符節の相合するがごとし。凡そ事は、慮の上に生じ、務の上に成り、驚の上に失う。

能天第十八

能天第十八

原聖心之作【句】情隱防而後【或作以】起【情如情天地之情言聖人盡天下之情然後應物】散無方而求【或作永】監焉【道中庸故求監焉】軼眇而後無【軼如軼倫之軼言聖人超天下之理然後忘物】抗澂幽而思謹焉【道中庸故思謹焉】截六際而不絞【情隱防而求監軼眇而思謹此道之所以大而不蕩小而不廹也故能截六際而不絞六際六合也絞者廹切之辭截言以此為界蓋六合之外聖人存而不論六合之內聖人論而不議】觀乎孰莫【或作暮孰莫猶無何也】聽乎無罔極乎無系論乎窈冥湛不亂紛故能絶塵埃而立乎太清徃無與俱【獨徃】來無與偕【獨來】希備寡屬【食於茍簡之田故云希備遊於寂寞之鄉故云寡屬】孤而不伴【未嘗設對案一本作設封非】所以無疵【澡雪之至案疵一本作疪】保【或作□】然獨至【保猶安也所謂不行而至者是】傳未有之將然【見於未萌】領無首之即次【和而不召案召一本作唱】度十五而用事【或作度十十耑肝事徃來】量徃來【或作力】而廢興【巳徃者廢方來者興】因動靜而結生【元作笙結猶實也生猶華也】能天地而舉措【能天能地】自然形也不可改也竒耦數也不可增減也成敗兆也非而長也【而女也長如長民之長】故其得道以立者地能立之其得道以僕【或作邳】者地弗能立也其得道以安者地能安之其得道以危者地弗能安也其得道以生者天能生之其得道以死者天弗能生也其得道以【案一本無以字】存者天能存之其得道以亡者天弗能存也彼安危勢也存亡理也何可責於天道鬼神奚與【直而推之曲而任之自安自危自存自亡天道豈容有責而鬼神亦奚與哉】一者【或作曰】德之賢也【未離乎數】聖者賢之愛也【愛猶慕也】道者聖之所吏也【吏猶任也】至之所得也【不離於真謂之至人故道者聖人之所吏至人之所得也案真一作貞】以至【或作聖】圖【或作國】弗能載名弗能舉口不可以致其意貎不可以立其狀若道之象門戸是也【道猶言也】賢不肖愚知由焉出入而弗異也道者開物者也【能使之由而已】非齊物者也【不能序之】故聖道也道非聖也【夫聖人者道之主也故聖道也而道非聖也】道者通物者也聖者序物者也是以有先王之道而無道之先王【此申聖道也道非聖也之義】故聖人者後天地而生而知天地之始先天地而亡而知天地之終力不若天地而知天地之任氣不若隂陽而能為之經不若萬物多而能為之正不若眾美麗而能舉善指過焉不若道德富而能為之崇【易曰崇髙莫大乎富貴髙者貴也崇者富也】不若神明照而能為之主【或作王】不若鬼神潛而能著其靈不若金石固而能燒其勁不若方圓治【或作活】而能陳其形昔之得道以立至今不遷者四時太山是也其得道以危至今不可安者苓【或作芩】巒堙【或作甄】谿【苓如零落之零堙塞也】橐木降風【橐蘀落之蘀降下也】是也其得道以生至今不亡者日月星辰是也其得道以亡至今不可存者苓葉遇霜朝露遭日是也故聖人者取之於勢而弗索於察勢者其專而在已者也察【按一本作蔡非】者其散而之物者也物乎物芬芬份份【離亂之貎】孰不從一齣【皆出於一】至一易【至一而易】故定審於人觀變於物口者所以抒心誠意也或不能俞受【或作愛】究暁【俞之言然受聽受也】其所謂或過其實故行異者相非道異者相戾詖辭者革【或作庠】物者也【詖辭蓋若告子之類告子外義聖人無之故曰革物者也】聖人知其所離淫辭者因物者也【淫辭蓋若墨子之類墨子兼愛聖人有之故曰因物者也】聖人知其所合詐辭者沮物者也【詐猶邪也】聖人知其所飾【又從而為之辭】遁辭者請物者也【夷之曰命之矣】聖人知其所極【極猶窮也】正辭者物者也【不詖不淫不邪不遁謂之正辭】聖人知其所立立者能効【或作郊】其所可知也莫能道其所不及【防妙之防意不能到況於言乎】明諭【或為論】外內後能定人【表裡俱通而後可以印證】一在而不可見道在而不可專切譬於淵其深不測凌凌乎泳澹波而不竭【涵泳溢流莫之能竭】彼雖至人能以練其精神修其耳目整飾其身【或作飾其身體】若【或作與】合符節小大麴制無所遺失逺近邪【或作幹】直無所不及是以徳萬人者謂之俊徳千人者謂之豪徳百人者謂之英故聖者言之凡也【一本凡也下雲而察人聖者之功也此所以虛傳章文顯能未立上下異奏賢不如尊卑之術也合百家為聖人故曰言之凡也凡者統要之辭】

聖人の心の発動を推原し【ここに句を断つ】、情隠微にして然る後に【或いは「以」】起こす【情は、「情天地之情」の情のごとし。是れ聖人は天下の情を尽くして、然る後に物に応ずをいう】。方所なきに向かいて散りて【或いは「永」】監照を求む【道は中庸なり(中を用う、平庸折中に非ず)、ゆえに監照を求む】。玄眇を超越して然る後に無なり【軼は、軼倫の軼のごとし。是れ聖人は天下の理を超出して、然る後に物を忘るをいう】、澄幽を抗して思慮謹愼す【道は中庸なり、ゆえに思慮謹愼す】。六際を截住して絞緊せず【情隠微にして監を求め、玄眇を超越して謹を思う——これ即ち道の大にして蕩ならず、小にして迫ならざる所以、ゆえに能く六際を截住して絞めざるなり。六際は、即ち六合。絞は、迫切の詞。截は、これを拿りて界と為す。大概六合の外は聖人存して論ぜず、六合の内は聖人論じて議せず】。孰莫を看て【或いは「暮」。孰莫は、猶「無何」のごとし】、無罔を聴き、無係に極まり、窈冥に論じ至り、湛静にして乱れず紛れず、ゆえに能く塵埃を絶ち、太清の裡に立つ。往くは之と倶にする者なく【独り往く】、来るは之と一道する者なく【独り来る】、備うる少なく隷属少なく【苟簡の田に飯する、ゆえに備うる少なしと曰う。寂寞の郷に遊ぶ、ゆえに隷属少なしと曰う】、孤にして伴なく【未曾設対。案:一本は「設封」、非なり】、ゆえに疵なし【澡雪極に至る。案:「疵」一本は「疪」】。保【或いは缺字符】然として独り到る【保は、猶安のごとし。所謂行かずして至る、即ちこれ】。未だ有らざる・將にかくならんとするを伝え下ろし【未だ萌芽せざる時に就きて見る】、首なきを領し就近排次す【和して召さず。案:「召」一本は「唱」】。十五を度量して事を用い【或いは「度十十耑肝事往来」】、往来を量りて【或いは「力」】廃興し【すでに往きたるは廃し、將に来らんとするは興す】、動静に因りて結生す【原本は「笙」に作る。結は猶実のごとく、生は猶華のごとし】。能く天能く地して挙措す【能く天し能く地す】。自然の形は、改むべからず。奇耦の数は、増減すべからず。成敗の兆は、汝の往きて之を長するに非ず【「而」は即ち「女」(汝)。長は、長民の長の長のごとし】。ゆえに道を得て立つ者は、地能く之を立て。道を得て仆るるは【或いは「邳」】、地能く之を立てず。道を得て安んずるは、地能く之を安んず。道を得て危うきは、地能く之を安んぜず。道を得て生くるは、天能く之を生ぜしむ。道を得て死するは、天能く之を生ぜしめず。道を得て【案:一本は「以」の字なし】存するは、天能く之を存せしむ。道を得て亡ぶるは、天能く之を存せしめず。彼の安危は勢なり、存亡は理なり、どうして以て天道を責めん、鬼神もまた何ぞ曽て参与せん【直なるは之を推し、曲なるは之に任ず、自ら安んじ自ら危うく、自ら存し自ら亡ぶ、天道どうして責めを容れん、鬼神もまた何ぞ曽て参与せん】。「一」【或いは「曰」】は徳裡の賢なり【未だ数を離れず】。聖は賢の愛慕する所なり【愛は、猶慕のごとし】。道は聖の吏使する所にして【吏は、猶任のごとし】、至人の得到する所なり【真を離れざるを至人と曰う。ゆえに道は聖人の吏使する所、至人の得到する所なり。案:「真」一作「貞」】。至を拿りて【或いは「聖」】図むれば【或いは「国」】、図は能く装載せず、名は能く挙列せず、口は以て其の意を達するに用いるべからず、貌は以て其の状を立つるに用いるべからず。道の象のごときは、門戸即ち是れ【道は、猶言のごとし】。賢と不肖・愚と知とはここより出入するも、しかも両樣なし。道は物を開くなり【能く人をしてここより走らしむるのみ】、物を斉うるに非ず【能く之に次序を排せず】。ゆえに聖は即ち道なれど、道は即ち聖に非ず【聖人は道の主、ゆえに聖は即ち道なれど、道は即ち聖に非ず】。道は物を通ずるなり、聖は物を序するなり。ゆえに先王の道有るも、「道の先王」なし【これは「聖は即ち道、道は即ち聖に非ず」を申説するの意】。ゆえに聖人は天地に後れて生れて、しかも天地の始を知り。天地に先だって亡びて、しかも天地の終を知る。力は天地に如かざるも、しかも天地の担当を知る。気は陰陽に如かざるも、しかも能く之に経を為す。万物のごとく多からざるも、しかも能く之に正を為す。衆物のごとく美麗ならざるも、しかも能く善を挙げ過を指出す。道徳のごとく富ならざるも、しかも能く之に崇を為す【《周易》に曰く:崇高は富貴より大なるなし。高は即ち貴、崇は即ち富】。神明のごとく照らさざるも、しかも能く之に主を為す【或いは「王」】。鬼神のごとく潜まざるも、しかも能く其の霊を顕出す。金石のごとく固ならざるも、しかも能く其の剛勁を焼掉す。方円のごとく治ならざるも【或いは「活」】、しかも能く其の形を陳列す。昔道を得て立ち今に至るまで遷らざるは、四時・泰山即ち是れ。道を得て危うく今に至るまで安んずべからざるは、苓【或いは「芩」】巒・堙【或いは「甄」】溪【苓は零落の零のごとく、堙は即ち塞】・橐木・降風即ち是れ【橐は蘀落の蘀、降は即ち下】。道を得て生じ今に至るまで亡びざるは、日月星辰即ち是れ。道を得て亡び今に至るまで存すべからざるは、苓葉霜に遇い、朝露日に碰上る即ち是れ。ゆえに聖人は勢の上より取りて、察に向かいて索めず。勢は、専にして己の辺に在るなり。察は【按:一本は「蔡」、非なり】、散じて物の上に落つるなり。物よ物よ、芬芬份份【離乱の貌】、どれか「一」より出づるに非ざらん【皆一より出づ】。至一は容易なり【至一は、しかも容易】。ゆえに人の上に於て審を定め、物の上に於て変を観る。口は以て心を抒れ意を説き誠にするなり、ある人は能く俞受せず【或いは「愛」】窮究曉暢せずして【俞の意は然、受は聴受】、却って其の講ずる所を張揚して(底本のこの字は生僻字、通行本は「揚」)、或いは実情を超過す。ゆえに行い同じからざるは相い非難し、道同じからざるは相い乖戾す。詖辞は物を革むるなり【詖辞は大概告子の類。告子は義を外に置く、聖人にこの一層なし、ゆえに物を革むと曰う】、聖人は其の離るる所を知る。淫辞は物に因るなり【淫辞は大概墨子の類。墨子は兼愛す、聖人にこの一層有り、ゆえに物に因ると曰う】、聖人は其の合する所を知る。詐辞は物を沮むなり【詐は、猶邪のごとし】、聖人は其の飾る所を知る【また跟いて之に辞を為す】。遁辞は物を請うなり【夷之曰く:すでに命定せり】、聖人は其の極まる所を知る【極は、猶窮のごとし】。正辞は物を恵するなり(底本のこの字は生僻字、通行本は「恵」)【詖らず淫らず邪せず遁れずを、正辞と曰う】、聖人は其の立つ所を知る。立つ者は能く其の知るべき所を效す【或いは「郊」】、其の够い及ばざる所を講ずる能くする者なし【玄妙の一層は、意さえ到らず、況んや言をや】。明白に外と内とを諭し【或いは「論」】、然る後に能く人を定む【表裏皆通ず、然る後に以て印証すべし】。「一」在れども見えず、道在れども専擅すべからず。切近に淵に譬作すれば、其の深は測り到らず、凌凌乎として淡波に泳ぎて竭きず【涵泳溢流して、之を竭かしむる能くする者なし】。彼は即ち至人なるも、能く以て其の精神を煉り其の耳目を修め其の身を整飾し【或いは「飾其身体」】、符節の相合するがごとく【或いは「与」】、小大曲制遺失なく、遠近邪【或いは「干」】直に够い及ばざるなし。ゆえに徳万人に蓋過するを俊と謂い、徳千人に蓋過するを豪と謂い、徳百人に蓋過するを英と謂う。ゆえに聖は、言の総凡なり【一本「凡也」の下にまた有り:而察人是聖者的功。これ即ち虚伝章文・顕能未立・上下異奏・賢不如尊卑の術の所以。百家を合して聖人と為す、ゆえに言の凡と曰う。凡は、統要の詞】。

武靈王第十九

武霊王第十九

武靈王問龎煥【或作暖】曰【武靈趙武靈也龎煥蓋暖之兄】寡人聞飛語流傳曰百戰而勝非善之善者也不戰而勝善之善者也願聞其解龎煥曰工者貴無與爭【工猶善也】故大上用計謀其次因人事其下戰克用計謀者熒惑敵國之主使變更淫【或作謡】俗【使為淫俗所移】哆恭防恣而無聖人之數愛人而與無功而爵未勞而賞喜則釋罪怒則妄殺法民【或作居】而自慎【或作填刑民而自以為慎】少人而自至【狹人而自以為至】繁無用嗜【或作蓍】龜占【專任卜筮而已】髙義下【或作不】合意內之人所謂因人事者結幣帛用貨財閉近人之復其口【以賂買其近臣使順其口】使其所謂是者盡非也所謂非者盡是也離【或作雖】君之際用忠臣之路【離之言間】所謂戰克者其國已素破兵從而攻之因句踐用此【或作因陽用此無句踐二字】而吳國亡楚用此而陳蔡舉【靈王八年使棄疾滅陳十年使棄疾定蔡因為陳蔡】三家用此而智氏亡【或作殘三家晉韓魏也】韓用此而東分【晉頃公十二年韓宣子與趙魏共分祁氏羊舌氏十縣東分其謂是乎】今世之言兵也皆強大者必勝小弱者必滅是則小國之君無覇王者而萬乗之主無破亡也昔夏廣而湯狹殷大而周小越弱而吳強此所謂不戰【或作能一】而勝善之善者也此隂經之法【隂經黃帝之書也】夜行之道天武之類也今或殭屍百萬流血千里而勝未決也以為功計之每已不若是故聖人昭然獨思【或作得恩】忻然獨喜若夫耳聞金鼓之聲而希功目見旌旗【或作祀祺】之色而希陳手握兵刃之枋而希戰【枋柄也】出進合鬬而希勝是襄主之所破亡也武靈慨然嘆曰存亡在身微乎哉福之所生寡人聞此日月有以自觀昔克徳者不詭命得【案一本無得字】要者其言不眾

武霊王は龐煥に【或いは「暖」】問うて曰く【武霊は即ち趙武霊王。龐煥は大概龐暖の兄】:「我聞く、飛語流伝して曰く:百戦皆勝つも、なお善の裡の最善に非ず。戦わずして勝つは、乃ち善の裡の最善なりと。其の解を聞かんことを願う」龐煥曰く:「工なる者は人の己と争う者なきを貴ぶ【「工」は猶善のごとし】。ゆえに上等は計謀を用い、其の次は人事に藉り、最下は乃ち戦克に靠る。計謀を用うるは、敵国の主を迷惑せしめ、彼をして改換せしめ・習俗に淫せしめ【或いは「謡」】【彼をして淫俗に移らしむ】、恭敬を做りて張大にし、また驕縦度なく(底本「防恣」、通行本は「憍恣」)して、しかも聖人の数なし。人を愛して乱り給し、功なくして爵を封じ、未だ労せざるに賞し、喜べば則ち罪を放ち、怒れば則ち乱り殺す。法律を以て民を治めて【或いは「居」】、しかも自ら以て慎と為す【或いは「塡」。塡刑を以て民を治めて、しかも自ら以て慎と為す】。人を看軽して、しかも自ら以て極に到れりと為す【人を窄く看て、しかも自ら以て到れりと為す】。煩瑣に用なきの事を搞り、亀占を嗜好し【或いは「蓍」】【ただ卜筮に専任するのみ】、義を甚だ高く抬げて、しかも往きて己の心裡に合意する者に俯就す【或いは「不」】。所謂人事に藉るは、上に幣帛を結び貨財を用い、近臣を堵住して、彼らをして彼の嘴を回報せしむ【賄賂を用いて近臣を買通し、彼らをして彼の嘴に順わしむ】、其の是と認むる所を皆非と変え、其の非と認むる所を皆是と変えしむ。君の際会を離間し【或いは「雖」】、忠臣の路を堵塞す【「離」は間を説く】。所謂戦克は、彼の国すでに平素破れて、兵再び跟いて往きて攻むるなり。勾践これを用い【或いは「因陽用此」に作り、「勾践」の二字なし】、呉国則ち亡びたり。楚これを用いて、陳・蔡攻め下さる【楚霊王八年棄疾を遣わして陳を滅ぼし、十年棄疾を遣わして蔡を定む、就中陳・蔡を做成せり】。三家これを用いて、智氏則ち亡ぶ【或いは「残」。三家は晋の韓・魏】。韓これを用いて、則ち東に分かつ【晋頃公十二年、韓宣子は趙・魏と倶に祁氏・羊舌氏の十県を分かつ。「東分」はこれを説くか】。今世に兵を講ずる者は、皆曰く強大は必ず勝ち小弱は必ず滅ぶと——かくのごときならば、則ち小国の君に称覇称王する者なく、万乗の主もまた破亡する者なし。昔夏広く湯狭く、殷大にして周小さく、越弱く呉強し、これ即ち所謂戦わずして【或いは「能一」】勝ち、善の裡の最善なり。これ陰経の法なり【陰経は黄帝の書】、夜行の道・天武の類なり。今ある時は僵尸百万・流血千里にして、勝負未だ決せず。功を拿りて算せば、每每すでにかくのごときに如かず。ゆえに聖人は昭然として独り想い【或いは「得恩」】、忻然として独り喜ぶ。至りて耳は金鼓の声を聞きてしかも功を立てんことを望み、目は旌旗【或いは「祀祺」】の色を見てしかも陣を布かんことを望み、手は兵刃の柄を握りてしかも戦を開かんことを望む【「枋」は即ち柄】、出でて前進し合闘してしかも勝を得んことを望む——これ即ち襄主の破亡する所以の路子なり(交戦を貪恋し、勝負を陣上に寄するがごときの主)」武霊慨然として嘆息して曰く:「存亡は己の身上に在り。微なるかな、福の生ずる所よりの処。我これらを聞きて、日月皆自ら観るの办法有り」昔能く徳を克する者は、命に詭らず。要領を得る者は【案:一本は「得」の字なし】、其の言多からず。

鶡冠子卷下

鶡冠子巻下

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