六壬兵占
《六壬兵占》は全部で二巻。四庫に収録された底本は翰林院編修・励守謙の家蔵本である。この書には編纂者の姓名が記されていない。全体の編成は、《六…
大六壬典籍
まず起課と三伝を発する機械的な流れを確実にしてから、課体と神煞に入る。起課を飛ばして断語だけ読んでも、書中の例を自分で再現できない。
欽定四庫全書・兵占
四庫全書総目提要
《六壬兵占》二卷,編修勵守謙家藏本。不著編輯者名氏。凡《六壬百鍊金》《六壬軍帳賦》《金鳳歌》《行軍占異》為一卷,其兵占自《時事休咎》至《凱旋聞詔》共五十篇為一卷。
《六壬兵占》は全部で二巻。四庫に収録された底本は翰林院編修・励守謙の家蔵本である。この書には編纂者の姓名が記されていない。全体の編成は、《六壬百錬金》《六壬軍帳賦》《金鳳歌》《行軍占異》の四種を上巻とし、下巻は軍中占断の条目共を収め、第一篇《時事休咎》から第五十篇《凱旋聞詔》まで、都合五十篇に及ぶ。
六壬非為用兵而作,而五行生剋制化與夫王相死生之用,理可相通,故兵家亦多取為占驗。《唐志》有李靖《玉帳經》一卷,李筌《六壬大玉帳歌》十卷,彭門《玉帳歌》三卷,其餘若胡萬頃《軍鑑式》之類,不可勝數。
「六壬」という術数は、もともと用兵・戦闘のために創設されたものではない。しかしその依拠する五行の相生・相克・相制・相化、および「旺」「相」「死」「生」という気数消長の推法は、兵家の強弱の権衡・進退の判断という考え方とまさに互いに貫通するもので、歴代の兵家も多くは六壬を取って軍情を占験した。《唐書・芸文志》には李靖《玉帳経》一巻、李筌《六壬大玉帳歌》十巻、彭門《玉帳歌》三巻が著録され、そのほか胡万頃《軍鑑式》の類の書は数えきれないほど多い。
然流傳既久,大抵出自術士偽託,非其本真。《新唐書·李靖傳》贊謂:世言靖精風角、鳥占、雲祲、孤虛之術,故善用兵,是不然,特以臨機果,料敵明,根於忠智而已。可謂知言。
しかしこれらの書は流伝が久しく、おおむね術士が名人の名を借りて偽造したもので、本来の真本ではない。《新唐書・李靖伝》の賛語に言う:世の人は皆、李靖が「風角」(風を聴いて占候する)、「鳥占」(鳥の情を観て占験する)、「雲祲」(雲気の妖祥を望む)、「孤虚」(日辰の空缺方位を推す)といった術法に精通していたので用兵に善かったと言うが、実はそうではなく、彼はただ臨機に決断が果敢で敵情の料度が明らかだったのであり、根本は忠誠と智慧にある。これは識見ある言というべきである。
為將者苟能如靖之決策制勝,即一切游都、天目、玉帳軍占之說俱可存而不論,矧其出自後來之傅會者乎?是書為明人所刊,所採諸家亦多未備。《兵占》末條稱:太歲與太陰旺生大將年命,主後宮有暗助之力。其說尤為鄙謬矣。
将たる者、もし真に李靖のように決断して勝を制することができるなら、すべての「遊都」(賊の来去を察する凶神)、「天目」(賊の蔵身を察する神位)、「玉帳」軍占の類の説は、みな棚に上げて論じなくてよい。ましてこれらの説は多くが後人の牽強附会に出るのであるから。此の書は明代の人の刊刻で、採録した各家の著述にも欠漏が多い。《兵占》の最後の条にはなんと、「太歳」と「太陰」が旺気に居て主将の行年・本命を生扶すれば、後宮の嬪妃が暗に力を貸して助けるとある。この種の説はいっそう鄙陋で荒謬である。
《兵吉百錬金》目録
十干寄宮歌、貴人歌、十干寄居圖、卦體、發用吉凶、出軍擇日、出軍忌日、出軍擇時、聞驚應敵、野宿安營、行軍擇道、察賊所在、抽軍避寇、渡關覘賊、占賊來否、占賊去否、突圍出處、占今日戰否、占定勝否、敵使虛實、劫糧覓水、奸匿、行險、訪密、劫掠、渡河、斗柄所指、六壬軍帳賦、金鳳歌、金鳳戰干歌、論盜賊方路、行軍占異。
上巻に収める篇目は順に次の通り:十干がそれぞれどの宮に寄居するかを説く口訣、天乙貴人の所在を推す歌訣、十干寄宮を方位図に画いたもの、九種の「課体」の義例を辨じる条、初伝の乗ずる天将を見て吉凶を定める条、出兵の吉日を選び・出兵の忌日を開列し・出兵の吉時を取る三門、警報を聞いた後にどう敵に応じるか、野外に営を営むときの宜忌、行軍時にどう路を択ぶか、敵軍の蔵れる処をどう見出すか、敵が強いときにどう軍を抽いて鋒を避けるか、どう境を越えて敵情を窺うか、敵軍が来るか来ないか・去ったか去らないかの判断、包囲されたときどの方から突出するか、今日交戦するか否か、勝敗は誰に帰するか、敵の使者の言葉の真假を辨ずる法、糧草を劫取し水源を尋ねる法、および奸細を察し・険を行き・機密を探聴し・劫掠し・河を渡り・斗柄の指す処を見る諸門。その後に《六壬軍帳賦》《金鳳歌》《金鳳戦干歌》《論盗賊方路》《行軍占異》の五種を収める。
六壬大全巻五·兵占:時事休咎第一、築臺選將第二、練兵防禦第三、敵國動靜第四、出師擇吉第五、出兵擇門第六、行擇吉道第七、水陸吉凶第八、野宿安營第九、大將居方第十、貯營糧草第十一、潛伏士卒第十二、察賊所在第十三、探賊消息第十四、游都察賊第十五、來兵何勢第十六、賊兵多寡第十七、賊勢強弱第十八、兵將勇怯第十九、軍心順逆第二十、核審刑害第二十一、今日戰否第二十二、決定戰守第二十三、主客勝負第二十四、課體分主客勝負時。
下巻すなわち《六壬大全》第五巻の兵占部分は、前の二十四篇の次序は次の通り:第一篇は現在の時局の吉凶を占い、第二篇は壇台を築いて主将を拝選し、第三篇は兵を練り防を布き、第四篇は敵国の動静を窺測し、第五篇は出師前に吉日を択び、第六篇は出兵時に吉門を択び、第七篇は行軍に吉利の道路を択び、第八篇は水路と陸路のいずれを辨ずるか、第九篇は野外の宿営、第十篇は主将の坐鎮すべき方、第十一篇は糧草を囤え置く方位、第十二篇は士卒を潜伏せしめ伏を設く、第十三篇は敵軍の所在を察知し、第十四篇は敵軍の消息を探聴し、第十五篇は「遊都」で敵情を察験し、第十六篇は来犯の敵がいかなる兵勢かを推し、第十七篇は敵兵の多少を推し、第十八篇は敵勢の強弱を推し、第十九篇は我方将士の勇怯を推し、第二十篇は軍心の順逆を推し、第二十一篇は刑害の凶神を核査し、第二十二篇は今日戦うか否かを問い、第二十三篇は戦うべきか守るべきかを決定し、第二十四篇は主客の勝負を定める。その後また一篇を附し、専ら課体を以て主客勝負を分つことを講ずる。
兩軍對陣第二十五、急出從神第二十六、占賊去留第二十七、分兵追襲第二十八、伏兵前後第二十九、渡關覘賊第三十、迷路求通第三十一、中途防截第三十二、覓水求糧第三十三、潛兵劫掠第三十四、攻城拔邑第三十五、遣使入敵第三十六、差委的否第三十七、敵使誠偽第三十八、敵約往否第三十九、將心不寧第四十、行軍見異第四十一、附行軍見異諸占:物類分宮、軍中見龍、軍中見蛇、軍中見牛、軍中見馬、占鳥、占蟲類、占獸類、占軍器、占城營屋宇、占北斗。
続く諸篇は:第二十五篇は両軍対陣の時にいかに計を用いるか、第二十六篇は倉卒の間に救兵を急発するにどの神将に随うべきか、第二十七篇は敵軍が去るか留まるかを占い、第二十八篇は兵を分かちて敗敵を追襲し、第二十九篇は伏兵が前に埋められているか後ろかを推し、第三十篇は関を渡って敵情を窺い、第三十一篇は迷路した時にいかに通を求めるか、第三十二篇は半途で截撃を防ぎ、第三十三篇は水を尋ね糧を取り、第三十四篇は兵を潜めて劫掠し、第三十五篇は城を攻め邑を抜き、第三十六篇は使者を遣して敵境に入らせ、第三十七篇は差委する人が用に合うか否か、第三十八篇は敵の使者の誠偽を辨じ、第三十九篇は敵が相約し盟を会すに赴くべきか否か、第四十篇は主将の心神不寧の占法、第四十一篇は行軍途中で異象に遇う占法。その後また行軍見異の各類の占辞を附し、十二宮に物類を配する分・軍中で龍を見る・蛇を見る・牛を見る・馬を見る、および飛鳥を占い・虫類を占い・獣類を占い・軍器を占い・城池営房屋宇を占い・北斗の気色を占う諸条に分かれる。
途人善惡第四十二、孤軍被圍第四十三、突圍出處第四十四、抽軍避寇第四十五、渡江過泥第四十六、水戰觀風第四十七、附風雨雜占、邊夷犯界第四十八、蕩平群寇第四十九、凱旋聞詔第五十。
末後の諸篇は:第四十二篇は路上に遇う行人の善悪を辨じ、第四十三篇は孤軍が包囲された時に傷損を受けるか否か、第四十四篇は突囲にどの方から出るべきか、第四十五篇は敵が強い時に軍を抽いて寇を避け、第四十六篇は江を渡り泥濘の地を過ぐる、第四十七篇は水戦の時に風向を観測する、その後に風雨雑占の一節を附し、第四十八篇は辺地の夷狄の疆界侵犯、第四十九篇は群がる寇盗の蕩平、第五十篇は勝を得て朝に還り封賞の詔命を聴く。
《兵吉百鍊金》目錄:十干寄宮歌、貴人歌、十干寄居圖、卦體、發用吉凶、出軍擇日、出軍忌日、出軍擇時、聞驚應敵、宿野安營、行擇吉道、察賊所在、途中察賊、疑賊前居、抽軍避寇、渡關見賊、占賊來否、占賊去否、突圍出處、占今日占否、占定勝否、敵使虛實、劫糧覓水、奸匿、行險、訪密、渡河、斗柄所指、交月將法。目錄終。
以下は《兵吉百錬金》目録の別の伝本で、列挙する条目は前の一つとやや出入りがある:十干がどの宮に寄居するかの歌訣、貴人歌、十干寄居図、卦体、発用吉凶、出軍択日、出軍忌日、出軍択時、聞驚応敵、野外に宿して営を安んずる、行軍に吉道を択取、敵軍の所在を察知、途中で敵を察し、敵軍がすぐ前方にいると疑う、軍を抽いて寇を避け、関を渡って敵を見る、敵が来るか否かを占い、敵が去るか否かを占い、突囲の出処、今日戦うか否かを占い、勝敗を占い、敵使の虚実を辨じ、糧を劫して水を覓め、奸細を察し、険を行き、機密を探聴し、河を渡り、斗柄の指す処、および月将を交換する方法。目録はここで終わる。
十干寄宮歌
甲課寅兮乙課辰,丙戊課己不須論。丁己課未庚申上,辛戌壬亥是其真。癸課原來丑宮坐,分明不用四正神。
六壬課を起こすにはまず十干がそれぞれどの地支の宮位に寄居するかを知らねばならない:甲の日は寅宮に寄り、乙の日は辰宮に寄る。丙の日と戊の日は同じ一宮に寄り、すなわち巳宮で、別に分けて言うまでもない。丁の日と己の日はともに未宮に寄り、庚の日は申宮に寄る。辛の日は戌宮に寄り、壬の日は亥宮に寄る、これが真の訣である。癸の日はもとより丑宮に坐す。ここから見れば、十干の寄宮はただ四孟(寅申巳亥)と四季(辰戌丑未)の八つの宮位を用い、明白に子・午・卯・酉の「四正」の神を用いない。
貴人歌
甲戊庚牛羊丑未,乙己鼠猴鄉子申,丙丁豬雞位亥酉,壬癸蛇兔藏巳卯,六壬逢馬虎午寅,貴人得此方。
「天乙貴人」の所在を推す口訣は:甲の日・戊の日・庚の日は、貴人は牛と羊にあり、すなわち丑と未。乙の日・己の日は、貴人は鼠と猴の郷位にあり、すなわち子と申。丙の日・丁の日は、貴人は猪と鶏の位次にあり、すなわち亥と酉。壬の日・癸の日は、貴人は蛇と兎に蔵れ、すなわち巳と卯。末句は通行本では「六辛に馬虎に逢う」で、辛の日の貴人は馬と虎にあり、すなわち午と寅を指す。各干はそれぞれ二位の貴人を持ち、日の出後は陽貴を用い、日の入後は陰貴を用いる。貴人がこれらの方位を得れば、それが吉方である。
十干寄居図
丙戊 丁己 巳 午 未 申 庚 乙 辰 酉 卯 戌 辛 寅 丑 子 亥 甲 癸 壬
これは十干の寄宮を十二地支の方位盤上に画いた図である。地支は固定の次序で排布され、天干はそれぞれ寄る宮の傍に注される:巳宮の外に「丙戊」と注し、未宮の外に「丁己」、申宮の外に「庚」、戌宮の外に「辛」、亥宮の外に「壬」、丑宮の外に「癸」、寅宮の外に「甲」、辰宮の外に「乙」と注す。午・酉・子・卯の四正の位には天干を寄せない。図を見れば分かる通り、何日かに遇えば、その日の天干を寄る宮に落とし、これを以て「日上神」の起算の処とし、四課三伝はみなここから推し開く。
卦体
用兵先卦體,宜知九課情。元首利客事皆實(凡一上克下為用,卦名元首,主臣忠子孝,問事皆實。此時行軍,利客不利主)。重審利主後舉亨(凡一下克上為用,卦名重審,下凌於上,事多不順。此時行軍,利主不利客)。
六壬で兵を占う第一歩は、まず「課体」を見ること、すなわち四課三伝の結ぶ格局で、必ず九種の課体それぞれの情性を明らかにせねばならない。第一種を「元首」という:四課の中にただ一課だけ上神が下神を克する場合、その課の上神を取って発用として初伝とし、課名を「元首」という。臣の忠・子の孝を象徴し、上下に序があり、問う事はみな実情である。軍中でこの課に遇えば、「客」となるに利あり、すなわち我方が先に進攻を発するに利し、「主」となって後に応戦するには利せず。第二種を「重審」という:四課の中にただ一課だけ下神が上神を克する場合、それを取って発用とし、課名を「重審」という。下に在る者が上に在る者を凌犯するを象徴し、事はおおむね順ならず。軍中でこの課に遇えば、「主」となって後に接戦するに利し、「客」となって先んじて出撃するには利せず。
知一賊近宜和好(凡比用者,卦名知一。比者,近也。占賊、占人皆在近邑。此時出軍,進退狐疑,事當和允)。涉害憂疑機要明(凡涉害為用,卦名卦害。謖察其微也,作事稽留,憂患難解。此時出軍,當審而機動)。
第三種を「知一」という:四課の中に二課以上が同じく克する場合、日干と陰陽の同じ一課を取って発用とし、これを「比用」という。課名を「知一」という。「比」は近い意で、だから敵を占い人を占うに、相手はみな近くの城邑の内にいる。軍中でこの課に遇えば、進退の間に猶疑して定まらず、事は和を講じ允諾するに宜しく、硬く拶り合うに宜しからず。第四種を「渉害」という:幾課か俱に克して比して取るべき処なき場合、各神が地盤を経歴して受ける克傷の深浅を数え、害を受けること最も深き一課を取って発用とし、課名を「渉害」という。これは人に幽微で見難き処を細察せしめるもので、事は延引して憂患は化解し難い。軍中でこの課に遇えば、当に審慎に観察し、時機を見極めてから動くべし。
蒿矢宜主彈宜客,彼此無功禍亦輕(凡神遙剋日,卦名蒿矢;日遙克神,卦名彈射,比無所中,凡事皆輕。此時出兵,雖凶無畏。我欲攻彼,亦不能中。大抵蒿矢利主,彈射利客)。虎視關隔蛇潛伏(凡昴星為用,卦名虎視,剛日主動,柔日主伏。此時出兵,剛日防忌關梁,柔日利於隱伏。若攻討,彼亦潛伏)。
第五種は「遥克」:四課の上下いずれも相克せざる場合、位を隔てて相克する一神を取って発用とす。上神が遥かに日干を克する者は課名を「蒿矢」といい、日干が遥かに上神を克する者は課名を「弾射」という。この二種はみな矢を遠く射て中たらぬに似て、凡事みな軽し。軍中でこの課に遇えば、凶象あれども畏るるに足らず。ただし我方が相手を攻めんと欲すれば、同じく要害に中たらず。おおむね「蒿矢」は主を為して守るに利し、「弾射」は客を為して攻めるに利す。第六種は「昴星」:四課の上下に克もなく遥克もなければ、酉宮から神を取って発用とす。陽の日を「虎視」課といい動を主り、陰の日を「冬蛇掩目」課といい伏を主る。軍中でこの課に遇えば、陽日の出兵は関卡・橋梁の阻隔を防ぎ、陰の日は隠蔽埋伏に利す。もし我が往いて攻討すれば、敵人も同じく蔵れて我と照面せざらん。
任行信止各安兵(凡天地伏吟,諸神各歸其位。剛日欲行中止,柔日伏藏不起。此時出兵,關梁阻塞,賊不出境。合者將離,居者將移,各安其境之象)。由來反吟多反覆(凡天地反吟,諸神各易其位,禍福從外來,子逆臣奸之象。此時出兵,事多反覆,尤宜審忌)。
第七種は「伏吟」:天盤と地盤が完全に相合し、十二神は各々本位に帰して動かず。陽の日の伏吟は、走らんと欲して半途に停まる。陰の日の伏吟は、伏蔵して起き上がれぬ。軍中でこの課に遇えば、関隘・橋梁は堵塞して通ぜず、敵人もまた境を越えて来らず。もとより聚合せるは将に分かれんとし、もとより安居せるは将に遷移せんとし、つねに各々本境を守り兵を動かさぬ象なり。第八種は「返吟」:天盤と地盤と處處に相冲し、十二神は各々対宮に換り、禍福はみな外より来る。子の忤逆・臣下の姦邪の象なり。軍中でこの課に遇えば、事は反復无常で、なかんずく忌諱を仔細に審察して軽挙すべからず。
八專奸邪敵必爭(凡八專為用,陰陽共處,主客不分,此時出兵,遇敵必戰,要持正為吉)。別責借途宜外助(凡別責為用,借徑而行,倚伏別物,此時出兵,要有外助方可,否則敗怯)。諸般大體最須明。乙合龍常為用吉(天乙、六合、青龍、太常發用為吉,更兼旺相必成功)。課體最要旺相。
第九種は「八専」:この類の課は干支が位を同じくし、陰陽が一処に擠し、主と客と分かち難し。軍中でこの課に遇えば、敵人に遇うや否や必ず戦わざるを得ず、務めて正道を持守して乃ち吉。第十種は「別責」:四課全からず、ただ他神の径を借りて行かざるを得ず、處處に別のものに倚靠せざるを得ず。軍中でこの課に遇えば、必ず外来の援助あって乃ち動兵可、さもなければ怯え敗退せん。以上の各課体の大関節は、最も須らく明らかにすべし。このほかまた初伝の乗ずる天将を見るべし:「天乙」「六合」「青竜」「太常」四将の発用は最も吉利で、若し更に当令の旺気・相気を加えば、出兵は必ず成功す。要するに、課体を見るに最も緊要なるは旺相の気の有無なり。
発用吉凶
偶聞驚報,即以月將加時起成四課,看發用吉凶,便知勝負,或戰或守,在為將者秘之而已。
軍中で偶然警報を聞けば、即ち当月の「月将」を占問の時辰に加えて天盤を転じ、四課三伝を起こし成し、初伝発用の吉凶を見れば、勝敗は預知でき、戦うべきか守るべきかも随いて決定す。この一揃いの推法は、将を為す者自ら心中に明白にして秘して宣せざればそれでよし。
用起天乙,將軍大捷,開地千里,敵人畏伏。用起螣蛇,兵卒驚駭;上下相剋,士卒死傷。用起朱雀,士卒驚恐,妄作口舌。用起六合,將兵大勝,得子女玉帛。用起勾陳,士卒戰死,車折馬傷。用起青龍,將軍大勝,得敵人邦國府庫。
初伝の乗ずる天将が異なれば、軍情もまた各々異なり。発用が「天乙貴人」に乗れば、将軍は大いに勝ち全勝を獲、疆土千里を開拓し、敵人は畏服す。発用が「螣蛇」に乗れば、士兵は驚駭を受け、若しこの課が上下相克せば、なお士卒の死傷を主る。発用が「朱雀」に乗れば、士卒は惊慌恐懼して、妄りに口舌の争端を生ず。発用が「六合」に乗れば、将士は大勝し、人口と財帛を擄獲すべし。発用が「勾陳」に乗れば、士卒は戦死し、車輌は折損し馬匹は傷亡す。発用が「青竜」に乗れば、主将は大勝し、敵国の城邦と府庫の財物を奪取すべし。
用起天后,將不戰自敗。用起太陰,士卒怯弱。用起玄武,軍兵逃亡,戰鬥不利。用起太常,將軍大勝。用起白虎,士卒死亡。用起天空,為敵欺詐,士卒不利。
発用が「天后」に乗れば、主将は交戦せぬまま自ら潰敗す。発用が「太陰」に乗れば、士卒は胆怯軟弱なり。発用が「玄武」に乗れば、軍士は逃亡し、戦闘は利あらず。発用が「太常」に乗れば、主将は大勝す。発用が「白虎」に乗れば、士卒は死亡す。発用が「天空」に乗れば、敵人に欺騙詐取され、士卒に利あらず。
以上更看所乘之神,若吉將者,但相生為吉,凶將不利。若神將相剋,來禍,是謂內戰,不暇害我也。即前乙合龍常為用吉也。
以上の十二将は、なおそれが乗ずる那一位の天神と合わせ看るべし。若し吉将なれば、将と神と相生せば即ち吉。若し凶将なれば、不利。仮に天将と乗ずる神と彼此相克すれば、凶禍はそれら自身の身に落ち、これを「内戦」という。それ自身顧みるに暇なく、また顧みて我を害するに及ばず。これ即ち前に言う所の「天乙・六合・青竜・太常の発用を吉と為す」の道理なり。
出軍択日
其法,天罡加月建,亥、子、申、柘、寅五神所臨之日為吉,定執危成閉五日是也。丑戌二神所臨者非也。《經》云:“建破平守俱不用。”今丑戌所臨乃破、收也。
出兵の吉日を択ぶ方法は:「天罡」(辰)を当月の月建の上に加えて天盤を転じ、亥・子・申・酉・寅の五つの神が地盤のいずれの日に落ちるかを見れば、その日は吉日、すなわち建除十二値の定・執・危・成・閉の五日である。丑・戌の両神の落つる日は用いるべからず。《経》に曰く:「建日・破日・平日・収日はみな用いるべからず。」今丑・戌の落つるは正に破日と収日なれば、避くるを要す。
擇日天罡加月建,看其神覆用其軍(視十二神所臨之處斷休咎)。歲對登明神后下(以亥子下為歲對),歲前頭下酉兼申(以申酉下為歲前)。河魁臨處為天府,餘神相逢不利人(餘神者即卯辰巳午未五神,所臨處俱凶)。天倉大吉加堪用(大吉下為天倉),日辰在七神所臨之下並宜。
日を択ぶにはなお天罡を月建に加える盤を用い、諸神がいずれの地支の上に覆うかを見、これにより軍隊を調度し、すなわち十二神の臨む処により吉凶を断ず。「登明」(亥)と「神后」(子)の覆う下は、「歳対」の位。「伝送」(申)と「従魁」(酉)の覆う下は、「歳前」の位。「河魁」(戌)の臨む処を「天府」という。其余の諸神の臨むは人に利あらず。ここに言う其余の諸神は、太冲(卯)・天罡(辰)・太乙(巳)・勝光(午)・小吉(未)の五神を指し、それらの臨む処はみな凶なり。「大吉」(丑)の覆う下を「天倉」といい、また堪えて用うべし。凡そ本日の日干・日支が上述の七神の臨む下に落ちる者は、みな出兵に宜し。
出軍忌日
乙巳丙辰丁巳日,癸亥宜令莫出軍。建寅逢六卯當七,累數加之是惡神(天乙絕氣日,正月初六、二月七、三月八、四月九,數至十二月是十七日,每月內忌之)。
乙巳・丙辰・丁巳の三つの日、および癸亥日は、みな当に下令して出兵を許さざるべし。寅を建つる月は初六に逢い、卯月は初七に逢い、此の後月を逐うて次いで上へ一日ずつ累加し、その日即ち悪神の当値する日なり。ここに言うは「天乙絶気日」:正月は初六を忌み、二月は初七を忌み、三月は初八を忌み、四月は初九を忌み、かくの如く一路数えて十二月は十七日なり。毎月の内いずれもこの一日を避くるを要す。
每月四朝並十九,二十八行皆有逆。更有往亡須若避,不忌前途傷害人(六窮日,每月忌初四、十九、二十八;往亡日,正寅、二巳、三申、四亥、五卯、六午、七酉、八子、九辰、十未、十一戌、十二丑)。
毎月の初四・十九・二十八の三日は出行すれば皆逆に遇い、また忌避を要す。このほかまた「往亡日」あり、必ず躲け避くべし。若し忌諱せざれば、前面の路途の上に人の傷害を受くることあらん。言う所の「六窮日」は、毎月初四・十九・二十八を忌む。「往亡日」の排法は:正月は寅の日に在り、二月は巳の日、三月は申の日、四月は亥の日、五月は卯の日、六月は午の日、七月は酉の日、八月は子の日、九月は辰の日、十月は未の日、十一月は戌の日、十二月は丑の日なり。
莫犯章光四絕日(章光日,孟月乙丑,仲月丙寅、季月甲子,即歸忌煞也。四絕日,春庚午、庚申、乙亥,夏壬戌、丙寅、丁亥,秋甲辰、乙丑、辛亥,冬丙午、壬辰、癸亥,亦名四窮)。無用空亡五帝辰(空亡者,截路是也。五帝日者,即五帝死葬日,甲戌、壬戌、己卯、乙卯、戊午、壬午、辛酉、丁巳、壬子是也。忌辰者,乙巳、丙辰、丁巳、癸亥日是也)。
「章光日」と「四絶日」を犯す勿れ。章光日の排法は:孟月(正・四・七・十月)は乙丑、仲月(二・五・八・十一月)は丙寅、季月(三・六・九・十二月)は甲子、即ち「帰忌煞」なり。四絶日の排法は:春季は庚午・庚申・乙亥、夏季は壬戌・丙寅・丁亥、秋季は甲辰・乙丑・辛亥、冬季は丙午・壬辰・癸亥、この数日はまた「四窮」とも称す。また「空亡」と「五帝辰」もまた用いるべからず。空亡即ち「截路空亡」。五帝日即ち五帝の死葬の日で、甲戌・壬戌・己卯・乙卯・戊午・壬午・辛酉・丁巳・壬子の数日なり。言う所の忌辰は、乙巳・丙辰・丁巳・癸亥の四日なり。
出軍択時
興兵須要選時辰,唯有神藏煞沒真(孟月甲丙庚壬取,仲月辰巽及乾坤,季月乙丁與辛癸,即此擇時煞不論。謂四煞沒於四絕也)。
兵を興すには必ず好き時辰を挑選し、その中「神蔵煞没」の時のみが真の吉時なり。取法は:孟月は甲・丙・庚・壬の四つの時干の値する時を用い、仲月は辰位と巽・乾・坤の三維の時を用い、季月は乙・丁・辛・癸の四つの時干の時を用い。この法子に按じて時を択べば、凶煞はもはや論ずるに及ばず。言う所の神蔵煞没は、四方の凶煞がみな四維絶地の中に隠没して、再び害を為さざるをいう。
何謂神藏最為利,貴人須要登天門(貴人臨地盤亥宮,則螣蛇落水,朱雀破頭,勾陳入獄,天空被剝,白虎燒身,玄武折足,是六神藏於六合,最為吉也)。
何をか「神蔵」と為して最も有利とするか。即ち「天乙貴人」を天門に登らしめるを要す。貴人が地盤の亥宮に臨むを、「貴人天門に登る」と称す。この時十二天将は各々勢を失う:「螣蛇」は水の中に落ち、「朱雀」は頭を破られ、「勾陳」は牢狱に関入れられ、「天空」は剥奪を遭い、「白虎」は火に身を焼かれ、「玄武」は脚を折られる。この六位の凶将はみな六合の中に蔵伏して悪を為すこと能わざれば、最も吉利と為す所以なり。
螣蛇出穴緣非吉,白虎登山是凶橫。截路拔刀凶可畏,飛揚反戾總難容。暗金伏斷為凶曜,截路空亡也莫逢。都將月將加時看,更得吉神最為功(暗金伏斷煞,在《禽遁書·雷霆書》內)。
反対に、「螣蛇」が洞穴を出れば吉象にあらず、「白虎」が高山に登れば凶横の兆なり。「截路」「拔刀」の二煞はその凶畏るべし、「飛揚」「反戻」の二煞もまたいつも容れ難し。「暗金」「伏断」は凶星で、「截路空亡」も同じく撞上するべからず。要するにみな当月の月将を占時に加えて天盤を転じて看るを要し、若し更に吉神の当値に遇えば、乃ち最も功效あるを算す。暗金煞と伏断煞の詳細の排法は、《禽遁書・雷霆書》に載す。
聞驚応敵
聞驚之日切須記,兵朝即在本日存。時日果何擇?即用其子孫(如甲乙日聞驚,宜用丙丁巳午時,出兵大勝。緣甲乙木事,畏金為賊,故用火制之,是用驚日之子孫是也)。若用克我者,其軍必主奔(如甲乙日聞驚,用庚申辛酉時出兵,必主敗亡,是用賊我也)。
警報を聞く其の日は、務めて牢く記憶すべし。用兵の根基はこの日の上に落つ。然らば時辰は畢竟いかに選ぶか。即ち聞驚の日の「子孫」を取る、すなわち日干の生ずる那一行なり。例えば甲の日・乙の日に警報を聞けば、甲乙は木に属し、木は火を生ずれば、当に丙・丁の両時干あるいは巳・午の両時辰を用いて出兵し、必ず大勝を獲ん。原因は甲乙の木に属するが、怕る所は金の来りてそれを克するなり。金即ち木の賊寇なれば、故に火を用いて金を制するを要す。これ正に聞驚の日の子孫を取りて用いるなり。若し反対に我を克する那一行を用いれば、軍隊は必ず潰奔せん。例えば甲乙の日に聞驚して、却って庚申・辛酉の時に出兵せば、金は正に木を克し、必ず敗亡せん。これ即ち賊寇を請きて己に対せしむるなり。
野宿安営
日晚行疲欲建營,支干逢墓不安寧(注曰:日辰上有辰戌丑未加之,是為逢墓,當夜有賊兵至,宜防之。若當季之墓神,如春未、夏戌、秋丑、冬辰是也,逢此或空營設伏以待之,或別尋吉地以遷之。卯辰巳等宜防賊,兵書說此是三刑)。
天色已に晚にして行軍疲乏し営を紮らんと欲する時、若し日干・日支の上神が「墓神」に遇えば、営中は安寧を得ず。注文に曰く:日干・日支の上に辰・戌・丑・未の加臨あるを、「墓に逢う」と曰う。当日の夜裡に敵兵の来りて営を劫することがあらん、当に預め防を設くべし。若し碰上がるが正に当季の墓神――春季は未、夏季は戌、秋季は丑、冬季は辰――ならば、この種の情形に遇えば、あるいは索性営寨を空けて埋伏を設けて敵人を待ち、あるいは別に一塊の吉地を尋ねて営を遷す。このほか卯・辰・巳の三神の加臨もまた敵を防ぐを要す。兵書の上にこの三支は互いに「三刑」を為すと曰うなり。
若見魁罡為恐怖(注曰:辰為天罡,戌為河魁,二神臨日辰,當夜有驚怖)。將兼龍虎虛遭驚(注曰:辰為龍,寅為虎,二神加日辰,主夜遭虛驚。螣蛇、白虎亦是龍虎,加日辰亦防賊至)。大吉臨干宜急去(注曰:丑為龍虎,若加臨本日干,不宜安營,急宜移之)。不逢斯將即堪寧(注曰:不逢三刑、五墓、白虎、魁罡,及丑不臨干,安營大吉,旦暮安寧也)。
若し「魁」「罡」の二神を見れば、営中に恐怖の事あらん。注文に曰く:辰は「天罡」、戌は「河魁」。この両神が日干日支の上に臨めば、当夜必ず驚恐あらん。若し天将がまた兼ねて龍・虎を見れば、則ち一場の虚驚を遭わん。注文に曰く:辰は龍に属し、寅は虎に属す。この両神が日干日支に加臨すれば、夜裡に虚驚あるを主る。「螣蛇」「白虎」の二将もまた龍虎の類に属し、日干日支に加臨すれば、同じく敵兵の到来を防ぐを要す。若し「大吉」(丑)が日干に臨めば、当に急いで離れるべし。注文に曰く:丑はまた龍虎の神と称し、一旦本日の日干に加臨すれば、此に営を安んずるに宜からず、急いで遷移を要す。反対に、若し上述の幾位の凶神に遇わざれば、即ち安穩に住すること可なり。注文に曰く:三刑・五墓・白虎・魁罡に遇わず、丑もまた日干に臨まざれば、営を安んずれば大吉、早朝より晩まで平安無事なり。
行軍択道
遇寇途中擇路行,勝光為武休北征(注曰:凡行兵擇路,先看玄武所乘之神。如勝光火玄武乘之,不可向北方水鄉用兵,謂火畏水故也)。見木為之忌申酉(玄武乘寅卯,不可西征,謂木畏金克也),庚辛南征不宜兵(玄武乘金神不宜南征,金累火克也)。水不宜向土,土不宜向木地。玄武畏方為危地(玄武所畏之方為受危之地,不可征進)。
途中で敵に遇い路を挑んで走らば、若し「玄武」が乗ずるが「勝光」(午火)なれば、北に向かって進兵する勿れ。注文に曰く:凡そ行軍に路を択ば、先ず玄武の乗ずるがいずれの神かを看る。仮に玄武の乗ずるが火に属する勝光なれば、即ち北方の水に属する地方に向かって兵を用うべからず、火は水を怕るが故なり。若し玄武の乗ずるが木神なれば、申・酉の方を忌諱するを要す:玄武が寅・卯に乗れば、西に向かって征伐すべからず、木は金の来りて克するを怕るが故なり。若し玄武の乗ずるが庚・辛の金神なれば、則ち南に向かって兵を用いるに宜からず、金は屡々火の克を受くるが故なり。同理に、玄武が水神に乗れば土方に向かうに宜からず、土神に乗れば木方に向かうに宜からず。要するに、玄武の畏懼する其の方向即ち危険の地なり、進兵すべからず。
又《出軍擇道》云:“視日辰行年上神能制玄武,攻賊不敢敵。”軍帥須得會其情(當審五行之情狀)。軍行擇路實多途,更以陰陽作歲模(亥卯未、巳酉丑為陰歲,申子辰、寅午戌為陽歲也)。陽歲大吉來加上(陽年以丑加陽歲君),陰歲還將小吉鋪(陰歲以未加陰歲君,俱順行)。丙壬之下為人道(丙屬巳,壬屬亥,天罡巳亥所臨之下為人道),甲庚之下是天居(即天盤寅申下是天道也,宜往之)。
《出軍択道》にまた曰く:日干・日支と主将行年の上の神を看るに、若し能く玄武を制伏すれば、則ち往きて敵を攻むれば敵人は敢えて抵当せず。兵を帯びる統帥は必ずここ裡頭の道理を領会せねばならず、即ち五行生克の情状を審明にするを要す。行軍に路を択ぶ門径は実に多し。また年の陰陽によりて別に一格を立つる可し:亥卯未・巳酉丑の年は陰年、申子辰・寅午戌の年は陽年。陽年は即ち「大吉」(丑)を太歳の上に加え、陰年は則ち「小吉」(未)を太歳の上に加え、みな順時針方向に按じて排布す。天盤を転じ出せば、丙と壬の落つる下即ち「人道」――丙は巳に寄り、壬は亥に寄る、天盤巳・亥の臨む処即ち人道なり。甲と庚の落つる下即ち「天道」――即ち天盤寅・申の下、此より行軍するに宜し。
察賊所在
聞賊未知賊所在,加時春乙夏居丁(乙干寄辰官,丁干寄未宮),秋辛冬癸名天目(辛干寄戌宮、癸干寄丑官),賊當在下伏其形(聞賊以月將加時,視天目所加之方,賊在其下。天目者,春辰、夏末、秋戌、冬丑是也。春占占尋辰,餘仿此)。
敵軍有りと聞きて敵人が何処にいるか知らざれば、即ち月将を占時に加えて天盤を転じ出し、更に「天目」を尋ねよ:春天は乙を用い、夏天は丁を用う、乙干は辰宮に寄り、丁干は未宮に寄るが故なり。秋天は辛を用い、冬天は癸を用う、辛干は戌宮に寄り、癸干は丑宮に寄るが故なり。この四つの宮位を「天目」と曰う。敵人即ち天目の指す方位の下に潜伏す。注文に曰く:敵情を聞くに、月将を占時に加え、天目が加臨するがいずれの方かを看れば、敵人即ち其の方の下に在り。天目即ち春辰・夏未・秋戌・冬丑なり。春天に占問すれば即ち辰の落処を尋ね、其余の三季はこれに照らして類推す。
途中前後疑逢寇,大吉所臨知賊程(丑為大吉,月將加時,大吉臨處即知賊駐向)。臨於子午太沖下(丑臨子午,賊在卯下),若加辰戌伏登明(丑加辰戌,賊在亥下)。寅申定是居參宿(參者,申中宿也。丑加寅申,賊在傳送下),丑未必應藏軫星(大吉加丑未,賊在巳下,軫者,巳中宿也)。卯酉河魁下潛伏(大吉加卯酉,賊在戍下),巳亥還在大吉停(丑加巳亥,賊在丑下)。
行軍途中に前後に敵有りと疑心すれば、即ち「大吉」(丑)の臨む処を用いて敵軍の行止を判断す。丑即ち大吉なり。月将を時に加えて天盤を転じ出せば、大吉がいずれの宮に落つるを見て、即ち敵人の駐屯する去向を知る。若し丑が子あるいは午の上に臨めば、敵人即ち「太冲」(卯)の下に在り。若し丑が辰あるいは戌の上に加われば、敵人即ち「登明」(亥)の下に伏す。若し丑が寅あるいは申の上に加われば、敵人は必ず参宿の位に在り、参宿は申に属す、即ち「伝送」(申)の下に在り。若し丑が丑あるいは未の上に加われば、敵人即ち軫星の位に蔵れ、軫宿は巳に属す、即ち巳の下に在り。若し丑が卯あるいは酉の上に加われば、敵人は「河魁」(戌)の下に潜伏す。若し丑が巳あるいは亥の上に加われば、敵人はなおもとより丑の下に停まる。
帶刑旺相難沖擊(在處或刑日辰,或旺相不可攻擊),設法抽軍別路行(既不可擊,當卜吉路而行也)。賊近我軍推前後(出兵臨敵,不知賊在前後,或陰有諜間,不可不占也),加時占測用防奸(以月將加時,方知敵奸,便於進退也)。
敵人の在る処が若し刑を帯びまた旺相に値すれば、即ち難く冲击し難し。注文に曰く:敵人の居する処が若し我方の日干日支を刑克し、あるいは正当に旺相の気に当たれば、みな硬攻すべからず。この時即ち設法して隊伍を抽き回し、別に一路を択びて行くを要す。既に強攻する能わざれば、即ち一条の吉路を占出して走るべし。敵人が我軍に逼近する時は、彼が我の前か我の後かを推算するを要す。出兵し敵に臨み、敵人の前後を知らず、あるいはまた暗中に間諜の潜伏すれば、これら皆占せざるを得ず。月将を占時に加えて推測するは、正に姦細を防備するが為なり――先ず敵人の姦謀を知りてこそ、進退は乃ち安排し好し。
巳申子卯臨支後(巳申子卯四神,內有一神臨支辰者,賊在我後,當反營以待之),立在干頭已去前(上四神有一神加在干上,賊在前,去當備前。不臨支干,前後無賊)。干若居支寇當道(日干加辰上,主賊正當要路也),支若居干隨我軒(辰加日干,主賊隨我後來,急宜回營以待之)。
巳・申・子・卯の四つの神は、ただ一つ日支の上に臨めば、敵人即ち我軍の後ろに在り、当に営寨の朝向を掉げて彼を待つべし。若しこの四神の中の一つ日干の上に加われば、敵人即ち我軍の前に在り、前行するに預め戒備を要す。この四神が一つも日干日支に臨まざれば、則ち前後とも敵人なし。若し日干が日支の上に加われば、敵人が正に我軍の必経の要道の上に拦截するを主る。若し日支が日干の上に加われば、敵人が我軍の車駕の後に跟いて追い来るを主る、当に急いで営に回りて防備を要す。
恐寇埋伏軍要程(若欲行程,恐有伏兵,以月將加時占之),支干上訣最靈通(干支手上一訣,鬼神通其靈應)。巳申子卯支干伏(四神有一神加臨支干者,是為鬼神通其吉凶),敵寇奸邪布伏兵(即知敵寇有伏兵,宜謹防之。四字不臨,無伏兵)。
敵人が我軍の必経之路の上に埋伏するを担心ば、ただ臨出発時に月将を占時に加えて課を起こして占えば、答案即ち日干日支の上に在り。この一訣は最も霊験なり。掌上に干支を推排するこの一訣、その応験は鬼神と通ずるが如し。巳・申・子・卯の四神の中の一つ日干あるいは日支に加臨すれば、便ち鬼神が汝に吉凶を告げるなり:敵寇の心に姦邪を懐き、已に伏兵を布き畢れりと説明し、当に謹慎に防備すべし。この四字が一つも干支に臨まざれば、埋伏なし。
旺相帶刑逢必戰(旺者,春占得卯,夏占得巳,秋占得申,冬占得子;相者,春火,夏土,秋水,冬木,季金是也;刑者,子卯刑之類。逢旺帶刑,必戰),休囚空亡不敢徵(休者,春水,夏木,秋土,冬金,四季火;囚者,春金,夏水,秋水,冬土,四季木是也;空亡者,甲子旬戌亥空,餘仿此。若逢此,我不敢戰,宜固守)。
この四神が若しまた旺相の気に当たり、また刑を帯びれば、遇上すれば必ず開戦を要す。言う所の「旺」は、春天は卯を占得し、夏天は巳を占得し、秋天は申を占得し、冬天は子を占得す。言う所の「相」は、春天は火、夏天は土、秋天は水、冬天は木、四季月は金。言う所の「刑」は、即ち子が卯を刑するの類。既に旺気に逢いまた刑を帯びれば、必ず一戦あらん。反対に、若し休囚の地に落ちあるいは空亡に落ちれば、敵人は敢えて来犯せず、我もまた出征に宜からず。言う所の「休」は、春天は水、夏天は木、秋天は土、冬天は金、四季月は火。言う所の「囚」は、春天は金、夏天は水、秋天は水、冬天は土、四季月は木。言う所の「空亡」は、甲子旬中は戌・亥が空、其余の各旬はこれに照らして類推す。若しこれらに遇上すれば、我方は敢えて軽戦せず、当に堅く守るべし。
干傷前伏支傷後(支上神克干並干上神,干受傷,伏兵在我前;干上神克支並支上神,為支傷,賊在我後),支干俱損莫沖驚(若干上神克干,支上神克支,謂支干俱損,前後俱有伏兵,固守吉,戰則凶)。
日干が傷を受ければ、伏兵即ち我の前に在り。日支が傷を受ければ、伏兵即ち我の後に在り。日支の上神が日干を克し、并且また日干の上神を克する者は、日干の受傷なり、伏兵は我軍の前方に埋まる。日干の上神が日支を克し、并且日支の上神を克する者は、日支の受傷なり、敵人は我軍の後方に埋まる。若し日干の上神が日干を克し、日支の上神がまた日支を克すれば、これを「支干倶損」と称す。前後とも伏兵あらん。この時堅く守れば則ち吉、出戦すれば則ち凶、貿然と冲击すべからず。
抽軍避寇
賊勢憑凌我未強(注曰:若途中逢賊,他強我弱),抽軍迴避看天罡(以月將加時,看天罡落在何字上,以避其強猛)。繫孟直須從右隱(辰為天罡,如加寅申巳亥之孟神,從右道隱而避之,吉),仲季回軍向左藏(子卯午酉為四仲,辰戌丑未為四季,天罡加此八神之一位者,向左藏之無咎)。
敵勢凶猛にして人に逼り、我方がなお強ならざれば、即ち軍を撤いて回避すべし。方法は「天罡」(辰)を看るなり。注文に曰く:若し途中で敵人に遇上し、彼が強く我が弱ければ、即ち月将を占時に加え、天罡の落つるがいずれの字かを看て、これにより敵人の鋒芒を避くる。天罡が若し寅・申・巳・亥の四つの孟神の上に落ちれば、即ち右辺の路より隠避し、吉。天罡が若し子・卯・午・酉の四仲あるいは辰・戌・丑・未の四季のこの八神の一に落ちれば、即ち左辺に向かって隠蔽撤退し、過錯あらざらん。
從魁小吉太沖地(酉為從魁,未為小吉,卯為太沖。此三神者,為天之三門,再為除定開危,是天門地戶庇護),天上加臨逃難方(以月將加時,看天盤卯酉未三字落在何方,向之可以避難也。如遇旺方,不可駐,春不宜東,餘仿此)。
「従魁」(酉)・「小吉」(未)・「太冲」(卯)のこの三処は、身を脱すること可なる地なり。酉は従魁と曰い、未は小吉と曰い、卯は太冲と曰う。この三位の神は合わせて「天之三門」と称す。若し更に建除十二値の中の除・定・開・危の四日に遇上せば、那即ち天門地戸が一同に庇護するなり。天盤上のこの三神の加臨する方は、正に難を逃れて往く可き方向なり:月将を占時に加え、天盤の卯・酉・未の三个字が地盤のいずれの方に落つるかを看て、彼処に向かって走れば即ち難を避くる可し。若し其の方が恰も当令の旺方なれば、即ち停駐すべからず――春天は東に往くに宜からず、其余の三季はこれに照らして類推す。
渡関覘賊
見賊行程渡彼間(兩國相戰,不知彼情虛實,差人越渡,間以覘之),行年歲月日沖難忌(去人行年並太歲、月建、日、時沖破之方,不可去。將軍與去人行年相沖亦同。訣曰:“凶不凶,視破沖”也)。
敵軍の行止を探知せんと欲せば、即ち人を遣して境を越えて相手の境内に至らしめるを要す。両国交戦し、相手の虚実を摸清せざれば、便ち人を差して関を渡り潜入せしめ、其中より軍情を窺探す。この時最も緊要なるは、冲を犯さざるを得ざるなり:差遣する人の行年、および太歳・月建・日辰・時辰の冲破するそれらの方位は、みな往く能わず。主将の行年と差遣する人の行年と相冲すれば、同じく遣わす可からず。口訣に曰く:「凶か凶ならざるかは、破と冲を看るのみ。」
支干上將休囚惡(如春三月差人,日辰上見水神將,謂之休;見金神,謂之囚。逢此不可往,主凶),旺相相生去即安(若秋三月,辰上見金神將,謂之旺;見水神將,謂之相。逢見旺相,渡關即安矣)。
日干日支の上の神将が若し休囚の地に落ちれば好からず。例えば春季の三ヶ月に人を遣わすに、日干日支の上に水神・水将を見れば、水は春天に於て「休」なり。金神を見れば、金は春天に於て「囚」なり。この両種に遇上すれば、即ち人を遣して前往せしむべからず、凶を主る。反対に、上神が旺相にして日辰と相生せば、往けば平安なり。例えば秋季の三ヶ月に、日支の上に金神・金将を見れば、金は秋天に於て正に「旺」なり。水神を見れば、水は秋天に於て「相」為す。旺相の気に遇上すれば、関を渡りて敵を探れば便ち安然無事なり。
占賊来否
賊欲相凌切要知,游都作限用占之。游都甲己當在丑(注曰:甲己二日丑為游都,以月將加時尋丑,餘仿此),乙庚在子丙辛箕(乙庚二日子為游都,丙辛二日寅為游都,箕者是寅中宿也)。丁壬居巳言非謬(丁壬二日巳為游都),戊癸向申更莫疑(戊癸二日申為游都)。
敵人が来て相犯せんとするは、これ最も須らく先に明らかにする事、即ち「遊都」という神を取って界限として占う。遊都は日干に随いて定まる:甲の日・己の日は丑を以て遊都と為す。注文に曰く:甲己の両日は丑を遊都と為し、月将を占時に加えた後に丑の落処を尋ね、其余の各日はこれに照らして類推す。乙の日・庚の日は子を以て遊都と為す。丙の日・辛の日は寅を以て遊都と為す、歌訣の中の「箕」即ち寅なり、箕宿が寅に属するが故なり。丁の日・壬の日は巳を以て遊都と為す、この話は錯なし。戊の日・癸の日は申を以て遊都と為す、更に疑うに及ばず。
游都伏日今將到(假如甲午日占,以月將加時,如丑加本日甲,謂游都伏日,主賊今日來。如丑加午支亦然),前支一日在明期(如游都加支前一神,賊明日來也)。二三依次須防禦(如游都加支前二神,第二日賊來;加支前三神,第三日來也),若臨前四不侵圍(游都臨前四辰,主賊過去不來也)。
遊都が若し本日の干支の上に壓すれば、敵人は今日に至らん。例えば甲午の日に占問し、月将を占時に加えて天盤を転じ出せば、若し丑が本日の日干・甲の寄る寅宮の上に落ちれば、これを「遊都日に伏す」と称し、敵人が当日に来るを主る。丑が日支の午の上に落つるも同じなり。若し遊都が日支の前の一位の神の上に加われば、敵人は明日に来る。前の両位に加われば、第二天に来る。前三位に加われば、第三天に来る。みな次いで戒備するを要す。若し遊都が日支の前の第四位の辰に落ちれば、敵人は已に過ぎ去り、来て囲攻せぬを主る。
游都旺相支干畏(假如春三月丙辛日占,寅為游都,是旺;丁壬日占,巳為游都,為相。加本日干支,占賊勢甚強,是為畏也,宜避之則吉),賊勢憑凌難守持(游都旺相,主賊必來;勾陳克游都,賊亦敗,不然主難守禦,宜急避之方可也)。
遊都が若し旺相の気を得てまた日干日支に加臨すれば、那は我方の怕るべき所なり。例えば春季三月に丙の日・辛の日を占えば、寅を遊都と為し、寅木は春天に於て正に旺なり。丁の日・壬の日を占えば、巳を遊都と為し、巳火は春天に於て相を為す。かかる遊都が更に本日の干支の上に加われば、敵勢の極めて強きを説明し、正に可畏の象、避くるを以て吉と為す。遊都が旺相なれば、敵人の必ず来るを主る。この時若し「勾陳」の遊都を克住する有れば、敵人はなおも敗るるを要し、さもなければ難く守御し難く、必ず急ぎ避走して乃ち可なり。
游都和處喜降卒(游都落處上下相生,必有降卒),畏下難侵大戰時(游都臨所畏之方,主彼、父子不相親,中外不相信,賊不敢侵,我應大戰,我勝彼負。若以游都臨受制之方為彼勝,則謬矣)。
遊都の落処が若し上下相生すれば、那は和好の象、喜ばしきは敵兵の前来して投降する有らん。若し遊都がそれが畏懼し・克制される方位の上に落ちれば、敵人は敢えて侵犯せず:これは相手の内部に父子相親しからず・朝廷と辺将と互いに信任せざるを主り、この時我方は正に大いに出戦すべく、我勝ち彼敗つ。遊都が受制の方に臨むを相手の取勝と解する人あれば、即ち説錯なり。
居在東南災稍重(若游都屬木火加東方猛烈兮堅城壘,居西兮速備關津,為得相氣也),臨之西北禍當微(游都臨西北,其賊遲疑未進,可息兵勞士。若臨北方賊歸本家,宜安息)。
遊都が東方あるいは南方に落ちれば、兵災はやや重きなり。若し遊都が木・火に属してまた東方に加われば、来勢は猛烈にして、必ず城壘を加固すべし。若し西方に落ちれば、則ち急ぎ関津渡口を防守するを要す、それが彼処に於て相気を得るが故なり。遊都が西北に落ちれば、禍患は軽微にして、敵人は遲疑して進まず、我方は兵を息め・士卒を犒勞すること可なり。若し遊都が北方に落ちれば、敵人は已に本国に退回するを主り、安心して休整すること可なり。
不見游都視天乙(如游都離日辰遠,謂之不見游都,當視天乙貴人加日辰否),臨日還如都將推(如天乙加日辰,賊亦來;不臨不來也)。子辰巳未加今日(子為神后,辰為天罡,巳為太乙,未為小吉,如加今日支干),賊到猖狂疾似飛(主賊來疾而去速也,或半路而回)。
若し課中に遊都を尋ねて得ざれば、即ち改めて「天乙貴人」を看る。遊都が日干日支より遠く離るるを、「遊都を見ず」と称す。この時は天乙貴人が日干日支に加臨する有るかを看るべし。天乙が日辰に加臨すれば、なお遊都の法子に按じて推す:貴人が日辰に臨めば、敵人もまた来る。臨まざれば、来らず。このほか子(神后)・辰(天罡)・巳(太乙)・未(小吉)のこの四神が本日の干支の上に加われば、敵人の来勢が猖狂迅疾して飛ぶが如きを主る――ただし来るも速くして去るも速く、甚だしきは半路上に就て折れ返る。
占賊去否
傳聞賊去問疑奸(報聞賊去,恐奸媒作誘,不可不占),專尋斗罡繫處占看(注曰:斗者,天罡也。月將加時,天罡落在十二辰何字上)。加孟未行加仲發(天罡加孟賊尚在,加仲已發主路行),加季如今向遠山(若天罡加季神,賊己遠去矣)。
伝聞に敵人は已に撤走せりと聞くも、なお其中に奸詐有るかを占うを要す。敵人が走り去りぬと報ずる人あれど、ただ怕るは姦細の故に風を放ちて我軍を誘引せんとするに在るが故に、占せざる可からず。占法は専ら「斗罡」の落処を尋ぬ:注文に曰く、斗即ち天罡(辰)なり。月将を占時に加えて天盤を転じ出し、天罡の落つるが十二地支のいずれの字かを看る。天罡が寅申巳亥の四孟に落ちれば、敵人はなお走り去らず。子午卯酉の四仲に落ちれば、敵人は已に身を動して路上に在り。辰戌丑未の四季に落ちれば、敵人は如今遠く深山に走り、去ること甚だ遠し。
大吉臨干將出界(一法,視大吉臨干,主賊出界,不論天罡。又一法,大吉臨干,賊出界),未到猶自在吾關(如大吉不臨干,不過干,猶在我關住也)。
別に一法あり「大吉」(丑)を看る:大吉が日干の上に臨めば、敵人は已に辺界を出づるを主る。この一法はただ大吉の干に臨むを看て、天罡の何処に落つるかを管せず。伝本あるに曰く大吉が日干を過ぎて乃ち出界と算す。若し大吉が日干に臨まず・また日干を越えずは、那敵人はなお我方の関塞の内に留まりて走らず。
突囲出処
或被兵圍不須忙(若陡然遇賊圍,不必驚忙,東走西奔,亂撞取害,當凝神以占之),加時出路望天罡(太公曰:“行兵千里,斗到必通。”斗者,天罡也,以月將加時,尋天罡下一宮而可出。若天罡方無路出,可尋三宮時,三宮時者,是亥子丑也)。
万一敵兵に囲まれれば、慌てるに及ばず。突然敵の囲困に遭えば、驚惶して措を失う勿れ、東奔西竄して乱撞すれば、那はただ自ら其の害を取るのみ、当に心神を定めて課を起こして占うべし。占法は月将を占時に加え、「天罡」の指向するを看て、那即ち突囲の出路なり。太公に曰く:「兵を行うこと千里、斗柄の到る必定に通達す。」斗即ち天罡(辰)なり。月将を占時に加え、天罡の下の那一宮を尋ねて得れば、彼処より即ち突出する能し。若し天罡の指す方位に実に路なく出る可からざれば、即ち更に「三宮時」を尋ぬ。三宮時とは亥・子・丑の三神を指す。
若值絳宮申酉地(以月將加時,若亥臨子午卯酉為絳宮,軍宜向天上申酉下出),明堂時往太沖方(子臨子午卯酉,為明堂,宜向天盤卯方出)。玉堂宜出天魁下(如遇丑臨子午卯酉,為玉堂,宜向戌字下出),利若鋒芒人極張(謂軍履險危之地,忽逢豪強之賊,勢雄不可當,向天罡可出,此為人極張也)。
若し「絳宮」の時に碰上せば、即ち申・酉の地に向かって突く:月将を占時に加え、亥が子・午・卯・酉の四仲の上に臨めば、便ち絳宮時なり、軍隊は天盤申・酉の臨む下に向かって冲出すべし。若し「明堂」の時なれば、即ち太冲の方に向かって走る:子が四仲に臨めば、便ち明堂時なり、天盤卯の在る方位に向かって突出するに宜し。若し「玉堂」の時なれば、「天魁」(戌)の下より出ずるに宜し:丑が四仲に臨めば、便ち玉堂時なり、戌字の下に向かって冲出するに宜し。かく突囲すれば、鋒芒鋭利にして向かう処靡かざるなり。これは軍隊の身の険境に處し、忽然強悍の敵人に遇い、勢い凶猛にして當たる能わざれば、即ち天罡の指す方向に向かって冲くを説く、これを「人極張」と曰うなり。
日辰上將相生吉(注曰:傷不傷,視陰陽。若被兵圍,日辰上將神相生者吉),相剋如今有損傷(若日辰上將神戰克,又制日辰,必損傷,用兵者宜審之)。
突囲する時はまた日干日支の上の天将を看るを要す:上下相生すれば即ち吉。注文に曰く:傷損を受くるか否かは、四課の陰神陽神を看るを要す。囲まるる時、日干日支の上の神と将と相生すれば、即ち吉象なり。若し日干日支の上の神将が互相戦克し、而且また返って日干日支を制克すれば、那必ず損傷あらん、兵を帯びる人は仔細に審察するを要す。
占今日戦否
兩軍相守已經時(謂兩軍相持,安營極久,今朝憂戰),始占之(以月將加時,戰不戰占之,則吉凶可知矣)。勾陳剋日刑沖斗(如勾陳乘神剋日辰,又逢刑沖日辰,主戰。刑者,如甲子日勾陳乘卯是也),不克無刑各護持(《經》曰:“斗不斗,勾陳輳;殺不殺,相刑壓。”勾陳有刑則戰,否則不戰)。
両軍は已に対峙して好一陣、これは双方が営を安んじ相持すること久しきを説く。今日の早朝に開戦せんとするを憂う、是より課を起こして来りて占う。占法は月将を占時に加え、専ら今日戦うか否かを問えば、吉凶は便ち知る可し。断法は「勾陳」を看る:勾陳の乗ずる神が日干日支を克し、また日干日支を刑冲すれば、今日必ず戦うを主る。言う所の刑は、例えば甲子の日に勾陳が卯に乗り、卯が子と相刑するが如きなり。若し勾陳が既に克せず・また刑なければ、則ち両家は各自営壘を守護して、交戦せざらん。《経》に曰く:「打つか否かは、勾陳の湊るか否かを看る。殺すか否かは、相刑して壓制する有るかを看る。」勾陳が刑を帯びれば即ち戦う、さもなければ即ち戦わず。
大吉小吉支干上(丑為大吉,未為小吉,二神有一神臨支干),兩軍俱解固疆圍(主兩軍俱解不戰也)。斗罡加孟須堅守(天罡加孟,宜堅守營壘),加仲相傷彼此疲(天罡加仲不利出軍,急宜謹備)。臨季出軍攻擊好(若天罡加季,宜出兵急攻,主大得勝回),得勝名之是順機(是用兵取勝之順機也)。
丑(大吉)・未(小吉)のこの両神は、ただ一つが日干あるいは日支の上に臨めば、両軍は皆手を罷め、各自疆界を固守して再び交戦せず。天罡の落処もまた看るを要す:天罡が寅申巳亥の四孟に加われば、営壘を堅守して出でざるに宜し。天罡が子午卯酉の四仲に加われば、出兵は不利にして、双方互いに傷損有らん、当に戒備を加緊すべし。天罡が辰戌丑未の四季に加われば、正に出兵して急攻するに宜しく、大勝して帰るを主る。能くかく取勝せば、即ち取勝の時機に順応せりと称す。
六害來加年命上(六害者,寅巳、卯辰、丑午、子未、酉戌、申亥是也。若主將行年本命上見六害,再與凶神並者,當日時必敗),此時攻戰自遭刑(遇此刑害,必遭刑傷,為將者不可不審也)。白虎若並凶更甚,日辰還忌切須明(日辰上亦不可逢六害白虎也,慎之慎之!《經》曰:“敗不敗,視六害”)。
「六害」が主将の行年・本命の上に加われば、この一日は打つ能わず。六害とは寅と巳・卯と辰・丑と午・子と未・酉と戌・申と亥のこの六組の相害を指す。若し主将の行年・本命の上に六害を見、また凶神と一処に并なれば、当天当時に必定に敗北せん。この時出戦せば、自己は即ち刑傷に撞上せん、将を為す人は審察せざる能わず。若し更に「白虎」が六害と并臨すれば、那更に凶なり。日干日支の上も同じく六害と白虎を見るを忌み、務めて明白にせねばならず、千万に謹慎す。《経》に曰く:「敗るるか否かは、六害を看る。」
戰雄用起春寅勝,夏巳秋申冬亥升(注曰:雄者,乃春寅、夏巳、秋申、冬亥是也。其法專主分主客,雄臨日干客勝,雄臨支辰主勝)。對沖為雌值凶惡(注曰:雌者,春申、夏亥,秋寅,冬巳是也。雌臨干客敗,雌臨支主敗)。此術標題《龍首》經(昔黃帝得此,乘龍昇天之日,傳於三子,明授龍前,故名曰《龍首經》)。
「戦雄」という神の発用は最も能く取勝す:春天は寅に在り、夏天は巳に在り、秋天は申に在り、冬天は亥に在り。注文に曰く:言う所の「雄」は、即ち春寅・夏巳・秋申・冬亥なり。この一法は専ら主客を分かつに用う――戦雄が日干の上に臨めば、客方勝つ。日支の上に臨めば、主方勝つ。戦雄と相冲するを「戦雌」と曰い、それに値えば即ち凶なり:春天は申、夏天は亥、秋天は寅、冬天は巳。戦雌が日干に臨めば、客方敗つ。日支に臨めば、主方敗つ。この一揃いの術法は《龍首経》に出づ。昔黄帝は此の術を得て、龍に乗りて天に升る其の日に三箇の兒子に伝え、龍の前に当りて明白に授受せり、故に書名を《龍首経》と曰うなり。
占定勝否
兩軍交戰誰當勝,主客後先看日辰。先起為客後為主(其法,以日辰分主客,以先起兵為客,後起兵為主),上將明之不陷軍(為將者先明主客,方知勝負)。
両軍交戦して畢竟誰が能く勝ちを取るかは、日干日支を以て主客先後を分かつを要す。占法は日干日支を以て主客を分かつ:先に兵を出づる一方を「客」と為し、後に兵を出づる一方を「主」と為す。主将を為す者は先ず主客を分かち清めてこそ、乃ち勝負を知り、又軍隊を断送するに至らざるを得ん。
干害支兼上克下(干克支利客,宜先起兵,用得上克下亦然,利客),反宜做主人(干克支上,上克下,利客。支克干,下賊上,是反宜做主人,宜後起兵勝)。
日干が日支を克し、又兼ねて四課中に上神が下神を克する者は、客を為すに利し、当に先んじて出兵すべし。発用の取るが上克下の一課なれば、同じく客に利す。反対に、日支が日干を克し・下神が上神を克する者は、即ち主を為すべく、後発して人を制して乃ち取勝する能し。
本將行年宜制虎(主將本命行年克白虎吉,若白虎克主將年命者凶),不然須見克勾陳(如白虎不相剋制,卻宜主將年命克勾陳。如本將年命辰木,勾陳乘土,是克勾陳,餘仿此)。
主将の行年は最も能く「白虎」を制住するを好む:主将の本命・行年の上の神が白虎を克するを吉と為す。反対に白虎が主将の年命を克すれば、即ち凶なり。若し白虎と克制の関係なければ、那即ち「勾陳」を克する能るか否かを看るを要す:主将の年命の上の神が勾陳を克するも好し。例えば主将の年命の上に辰を見て木に属し、勾陳の乗ずるが土神なれば、木は土を克す、即ち年命が勾陳を克するなり。其余はこれに照らして類推す。
勾陳利克賊方神(勾陳克賊方上神,卻能取勝也),賊方之上勾陳立(假若賊在午地而上加勾陳是也)。天乙遙能制下神(若天乙貴神屬水,為遙克賊方之午地,而上加勾陳也)。遇此名為天滅寇,佑我行師得大名(遇此課是上天欲我威賊,佑助我用兵,發大功,顯著於當時,揚於後世也)。
勾陳は最も能く敵方の所在の那一方の上神を克住するを好み、かくすれば便能く取勝す。例えば敵人が午地に在り、午の上に正に勾陳を加えれば、即ち「賊方之上に勾陳立つ」なり。若し「天乙貴人」がまた位を隔てて遥かに其の下の神を克す――例えば天乙の乗ずるが水神にして、位を隔てて遥かに敵方の所在の午火を克し、而して午の上にまた勾陳を加えれば――かかる課に遇上するを、「天滅寇」と称し、是れ上天が我の手を借りて敵人を威服し、保佑して我用兵して大功を建て、当世に顕赫・名を後世に揚げしめんとするなり。
敵使虚実
傳報通用。敵有使來看日辰,日上為客辰主人。日干上神克辰土(若日上神克辰上神,其言虛謬不可聞),若是辰上克干上,彼必畏我言詞真(其言是實可信)。
この一門は敵方の伝書・通报する情形も并せて適用す。敵人の遣わす使者を看るに日干日支を見よ:日干の上を「客」と為して敵方を代表し、日支の上を「主」と為して我方を代表す。若し日干の上神が日支の上神を克すれば、則ち使者の説く所は虚偽荒謬にして、聴信すべからず。若し日支の上神が返って日干の上神を克すれば、相手の我方を畏懼するを説明し、使者の話は真実にして信ずる可し。
朱空太陰日辰上(朱空陰乘日上神,主彼詐;乘辰上神主我詐),彼此欺詐機已深(彼以詐來,我以詐應,其機已深,用兵者宜審也)。
若し「朱雀」「天空」「太陰」のこの三将が日干日支の上に落ちれば:日干の上神に乗ずるは、相手が我を詐るを主る。日支の上神に乗ずるは、我方もまた彼を詐るを主る。これ即ち彼此ともに詐を使う、機心は已に甚だ深し――相手が詐術を以て来れば、我方もまた詐術を以て応付す。兵を用いる人は此に対して明白に看るを要す。
敵派使者來我方,或敵有書報送來,取月將加時占之。日干為客為敵,日支為主為我。若日干上神剋日支上神,敵使所言皆虛詐,不可信;若日支上神剋日干上神,為敵畏我,其使所言為實,可信。日辰上乘朱雀、天空、太陰,主敵我雙方皆欺詐。
敵人の遣わす使者が我方に来る、あるいは敵方の送る書信・通报は、皆月将を占時に加えて課を起こして判断す。課中は日干を客と為して敵方を代表し、日支を主と為して我方を代表す。若し日干の上神が日支の上神を克すれば、敵使の説くは全是虚偽詐偽の辞にして、信ずる能わず。若し日支の上神が日干の上神を克すれば、那是敵人が我方を畏懼し、其の使者の話は実情にして、採信する可し。若し日干日支の上に朱雀・天空・太陰のこの三将に乗ずれば、則ち敵我両辺が互いに相欺瞞するを主る。
劫糧覓水
我軍欲劫糧,大小吉下方尋(大吉小吉下得糧)。軍意欲求水,小吉太沖訪(小吉太沖為井泉之神,此二神下覓水則得)。
我軍の糧草を劫取せんと欲するは、即ち天盤「大吉」(丑)と「小吉」(未)の臨む下に至りて尋ぬべく、この両神の下に於て必ず糧食を得るを要す。軍中に水源を尋ねたいは、即ち「小吉」(未)と「太冲」(卯)を訪ぬべし:未の中に井宿あり、卯は天河と為し、この両位は井泉を主管する神なり、それらの下に於て水を尋ねれば即ち尋ね得べし。
奸匿
月將加時向奸求,神后之下萬人伏(奸者,神后是也。其下可伏萬人)。千人須藏河龍下(河龍者,太沖是也),百人陰精是良圖(陰精者,從魁是也,其下可伏百人)。
月将を占時に加えて天盤を転じ出し、以て蔵匿し伏を設くる方位を尋ぬ。「神后」(子)の下は一万人を埋伏する可し、言う所の奸匿の神即ち神后なり。一千人を蔵らんと欲すれば、即ち「河龍」の下に蔵るべく、河龍即ち「太冲」(卯)なり。一百人を蔵らんと欲すれば、「陰精」は好き去処、陰精即ち「従魁」(酉)なり、其の下は兵百人を伏す可し。
行険
三河九江天道通(太沖為三河,從魁為九江),欲行間諜切要明。除定危開二神加(二神有一神加四位者),出入敵營任縱橫(出入其下,無人知者)。又曰卯酉為天二門,覆地四戶(除定危開之門),出奇制勝,萬夫難當,神鬼佑護。
「三河」と「九江」は天道通行の処なり:太冲(卯)を三河と曰い、従魁(酉)を九江と曰う。間諜を遣して敵境に潜入せしめんと欲すれば、務めて先ずこの両処を明白にせよ。若しこの両神の一が建除十二値の除・定・危・開の四日の位の上に加臨すれば、間諜は敵営に出入して縦横自如、それらの下より進出せば、人の察覚する能くする者なし。又曰く:卯・酉は天上の両扇の門、地の下の除・定・危・開の四戸の上に覆わり、これによりて奇を出して勝を制すれば、万人もまた阻当し難く、なお神鬼の護佑有らん。
訪密
欲得賊消息,天耳下聽之(天耳者,大小吉是也)。要訪機密事,地耳不須疑(地耳者,太沖從魁是也。二神下密聽之即得)。
敵方の消息を探聴せんと欲すれば、即ち「天耳」の下に至りて聴くべく、天耳即ち「大吉」(丑)と「小吉」(未)なり。機密の事情を打听せんと欲すれば、那即ち「地耳」の下に至るべし、遲疑するに及ばず:地耳即ち「太冲」(卯)と「従魁」(酉)なり、この両神の臨む下に於て悄悄と探聴すれば、即ち実情を得るを要す。
劫掠
攻城通用。若入他境為客兵,劫掠須詳三傳情。初中旺相我軍勝(初中傳主我軍),末傳有氣彼定贏(如攻城亦看初中為我,末傳為彼,以旺相休囚分之)。
この一門は城を攻むる時も同じく適用す。若し敵境に入りて客兵を為して、劫掠せんと欲すれば、必ず三伝の情形を細看するを要す:初伝・中伝は我軍を代表し、末伝は敵方を代表す。初伝・中伝が旺相の気を得れば、我軍即ち勝つ。末伝に気有れば、相手即ち赢つ。城を攻むるもこれに照らして看よ、初伝・中伝は我に属し、末伝は彼に属す。旺・相・休・囚を用いて強弱を分辨す。
渡河
天有三河壬子癸,地有三河卯酉辰。月將加時看三河,一河臨井必覆舟。又曰:太沖、天罡加日辰主風雨,神后加太歲主舟沉,神后加季急渡則吉。
天上に「三河」有り、即ち壬・子・癸なり。地下にも三処の井泉有り、即ち卯・酉・辰なり。月将を占時に加えて天盤を転じ出した後にこの三河を看よ:ただ一条の天河が地下の井位の上に壓すれば、行船は必定に翻覆す。又曰く:「太冲」(卯)・「天罡」(辰)が日干日支に加臨すれば、風雨有るを主る。「神后」(子)が太歳の上に加われば、船只の沈没を主る。神后が辰戌丑未の四季の上に加わりて土に制されれば、急ぎ河を渡れば返って吉利なり。
斗柄所指
天罡指巳天地開(以月將加時尋天罡,指巳為天地初開),出軍行師任徘徊(用兵大勝,開地千里)。指午坐帳宜彈琴(天罡指午為天地縱橫,不可出軍,坐帳彈琴則吉),指未小通亦可裁(天罡加未為天地小通,出軍亦吉)。
月将を占時に加えて天罡(辰)の落つる処を尋ね出し、これによりて出兵の宜忌を断ず。天罡が巳を指すは、「天地初開」の時、出兵行師は従容に進退する可く、用兵して大勝し、疆土千里を開拓す。天罡が午を指すは、「天地縦横」の時、出兵すべからず、主将は帳中に安坐して琴を弾じて自娯すれば返って吉利なり。天罡が未を指すは、「天地小通」の時、また斟酌して出兵すること可く、出兵するもまた吉なり。
加申迫爭君須忌(天罡指申為天地迫爭之時,用兵者須忌之),指酉人馬受驚駭(天罡指酉,天地閉塞,車傷馬死,戰必大凶)。返來戌土主乖隔(天罡指戌,出軍主士卒乖傷也),加亥天阱不稱懷(天罡指亥為天阱,用軍主損傷驚怕)。
天罡が申に加わるは、「天地迫争」の時、兵を用いる人は必ず忌諱するを要す。天罡が酉を指すは、天地閉塞にして、車輌は損壊し・馬匹は死亡し・人馬は驚を受け、交戦すれば必定に大凶なり。天罡が戌に回るは、士卒の乖離して傷を受け・彼此隔閡するを主る。天罡が亥に加わるは、那是「天阱」にして、用兵すれば損傷有るを主り、人心は驚懼して、称心如意する能わず。
指子半路魂魄散(當此之時,出軍迷惑,行者半路魂魄不安),指丑途宿待明來(天罡指丑為天地小通,出軍三十里可止,待來晨任意而行,必獲大勝)。臨寅有喜戰獲勝(天罡指寅,行者有喜,戰必大捷),到卯閉塞宜藏埋(天罡指卯,天地閉塞,宜藏匿避之,凡事不宜)。復臨辰地關梁塞(天罡臨本位為關梁閉塞,只可安營下寨,不可妄動),掌上兵機仔細詳。
天罡が子を指すは、この時出兵すれば方向を迷失し、行軍する人は半路に走到すれば心神不寧・魂魄不安なり。天罡が丑を指すは、「天地小通」にして、出兵して三十里を走れば即ち停下して宿営し、第二天早晨に至りて随に意のままに前行せば、必ず大勝を獲ん。天罡が寅に臨めば、行軍の人に喜事有りて、交戦すれば必ず大捷を獲ん。天罡が卯に到れば、天地閉塞にして、当に蔵匿躲避すべく、諸事みな相宜あらず。天罡がまた本位の辰に回るは、那是関隘橋梁の堵塞の象、ただ営を安んじ寨を下す可く、軽挙妄動する能わず。この一揃いの用兵の機要は、皆掌上に推排す、務めて仔細に体察するを要す。
六壬軍帳賦
上將臨戎,傳式論攻。測將神之動靜,觀主客之雌雄。上將行年克勾處者勝。干為客,為先動。支為主,為後動。
主将が親しく戦陣に臨まば、即ち三伝と式盤を憑りて攻守を議論し、天将と天神の動静を測度し、主客双方の強弱を観察す。断法は:主将の行年の上の神が、若し能く「勾陳」の臨む処を克住すれば、即ち取勝す。日干は「客」を代表し、是先に手を動かす一方なり。日支は「主」を代表し、是後に応戦する一方なり。
吳坎臨奇,秦宮加偶。歲剛柔之運轉,月支干以研窮。吳為丑地,秦為未地。《黃帝初占》云:凡陽年以大吉加歲支,陰年以小吉加歲支,看四課三傳,及占卜十二邦國,各得吉凶神將所主之事。
国事・軍情を占うに、陽年は即ち「呉」の宮の神を奇位に加え、陰年は即ち「秦」の宮の神を偶位に加え、太歳の剛柔に随いて輪転し、更に月建の干支を以て細節を窮究す。呉は丑地を指し、秦は未地を指す。《黄帝初占》に曰く:凡そ陽年は、即ち「大吉」(丑)を太歳の地支の上に加え、陰年は、即ち「小吉」(未)を太歳の地支の上に加え、然る後に四課三伝を看て、以て十二の邦国を占卜し、各々得る所の吉凶神将に按じて、各国の主する事を断出す。
假令己丑歲,是為陰年,以小吉加丑,是反吟四柔,用井欄射法。初傳巳上登明為用,將得六合。中傳丑上見小吉,將得天后。末傳未上見大吉,將得青龍。此等卦,繫暮占。卯上見從魁為螣蛇,卯為宋分,主口舌事。酉上見太沖為白虎,酉為趙分,是年二月,趙分有災。餘仿此。又如丁卯年,小吉加卯,大吉臨酉,酉乃趙分,上見墓神臨之,主自作亂。其十二邦國分野,皆以所臨神將定其吉凶。
例を挙げて言えば:己丑年は陰年なり、即ち小吉(未)を丑の上に加え、転じ出るは天地相冲の「返吟」課にして、四課は全て柔の日に属し、「井欄射」の取伝法を用うるを要す。初伝は巳上の「登明」(亥)を取りて発用とし、乗ずる天将は「六合」なり。中伝は丑上に「小吉」(未)を見、乗ずる天将は「天后」なり。末伝は未上に「大吉」(丑)を見、乗ずる天将は「青竜」なり。この一類の課は夜裡に占得するなり。更に看るに卯上に「従魁」(酉)を見て「螣蛇」に乗ず、卯は宋国の分野、口舌・是非の事有るを主る。酉上に「太冲」(卯)を見て「白虎」に乗ず、酉は趙国の分野、則ちこの一年の二月に、趙地に災禍有らん。其余の各宮はこれに照らして類推す。又如丁卯年に、小吉を卯の上に加えれば、「大吉」(丑)即ち酉上に臨み、酉は趙の分野、上面にまた墓神の臨壓を見れば、趙地の自ら内乱するを主る。十二邦国の分野は、皆臨む所の神と将に按じて各自の吉凶を断定す。
亦舉合神,加月支於南北。合神者,甲與己合、乙與庚合、丙與辛合、丁與壬合、戊與癸合是也。加月支者,以歲合加月支,遁五子元也。假令甲申年,正月丙寅,歲合在己,己遁在巳,以巳加月建,占十二邦國神將吉凶成敗也。
別に一法あり、即ち「合神」を取りて、月建の地支の上に加えて盤を転ず。言う所の合神は、即ち甲と己と合し・乙と庚と合し・丙と辛と合し・丁と壬と合し・戊と癸と合す。言う所の月支に加ゆるは、太歳の合神を月建の上に加え、「五子元遁」を用いて天干を定出す。例を挙げて言えば、甲申年の正月の月建は丙寅なり、甲は己と合すれば、太歳の合神は己に在り、己の寄る宮は巳に在れば、即ち巳を月建の寅の上に加えて盤を転じ、これによりて十二邦国の神将吉凶と成敗を占う。
復推日宿,立用神之東西。日宿即月將。
接着更に「日宿」を推し、これによりて用神の東に在るか西に在るかを立定す。言う所の日宿は、即ち当月の月将、すなわち太陽の躔る星次なり。
敵有使來,正時占決。支神制干,即為真說。若辰上神制日上神,其言可信,客畏主也。反此有奸心,不可信也。一本云,時上神剋日上神,亦主多詐。
敵方に使者の到來有れば、即ち当下の正時を用いて課を起こして判断す。日支の上の神が能く日干の上の神を制すれば、使者の説く所は便ち真話なり。日支の上神が日干の上神を制するは、客方が主方を畏懼するを説明し、其の話は信ずる可し。反対に若し日干の上神が日支の上神を制すれば、即ち相手の奸心を懐く、聴信すべからず。別に一箇の伝本あり、曰く:占時の上の神が日干の上神を克すれば、また相手の詐多きを主る。
將朱空而言有欺詐,用角陰而行推奸譎。日上神見朱雀、天空,來情有變,虛詞欺詐也。角者,天罡也。陰者,太陰也。二神將用起年命者,所言不可信,謂太陰蔽翳,天罡凶神也。
天将が若し「朱雀」「天空」なれば、来使の話の中に欺詐有らん。発用が若し「角」と「陰」なれば、即ち相手の行事の奸猾詭譎を推断するを要す。日干の上神が朱雀・天空に乗ずれば、来意の変有るを説明し、全是虚詞にして哄騙す。「角」は「天罡」(辰)を指し、「陰」は「太陰」を指す。この両位の神将が若し主将の行年・本命の上より発用すれば、来使の話は信ずる能わず、太陰は遮蔽隠匿を主り、天罡は本より凶神なればなり。
下生上位,知詭詐以休行。干葉於支,謂陰謀之罷結。日上神與辰上神相生,則兩軍無礙,陰謀必止。
下位が上位を生ずれば、詭詐の謀は施行せざるを知る可し。日干と日支と相協調すれば、暗中の陰謀は已に罷手せりを説明す。日干の上神と日支の上神と彼此相生すれば、両軍の間に芥蒂なく、陰謀は自然に停止す。
寅申巳亥,天耳四時。年上見者,來使潛機。春寅,夏巳,秋申,冬亥,乃天耳也。天耳臨日辰、命年者,來使必有奸謀,其言不可信也。
寅・申・巳・亥の四神は、四季に按じて輪値し、即ち「天耳」なり。それが行年の上に出現すれば、来使は即ち心機を蔵す。春天は寅を以て天耳と為し、夏天は巳を以てし、秋天は申を以てし、冬天は亥を以てす。天耳が日干日支あるいは主将の本命行年の上に臨めば、来使は必ず奸謀を懐き、其の話は信ずる能わず。
後乙曹沖,在日辰而詐約;貪狼奸賊,臨支干以虛欺。後即神后,乙即太乙,曹即功曹,沖即太沖,此四神也。申子為貪狼,辰未為奸邪,亥卯為陰賊,此為六賊,天神也。
「神后」「太乙」「功曹」「太冲」の四神が日干日支の上に落ちれば、敵人の約会は即ち詐局なり。「貪狼」「奸邪」「陰賊」の六神が干支の上に臨めば、相手の話は即ち虚偽欺騙なり。后即ち神后(子)、乙即ち太乙(巳)、曹即ち功曹(寅)、冲即ち太冲(卯)、これ四神なり。申と子は貪狼と曰い、辰と未は奸邪と曰い、亥と卯は陰賊と曰い、この六箇は合わせて「六賊」と称し、皆天神の名なり。
如占敵人相約呼召可往否,若日辰見子、寅、卯、辰、巳、未、申、亥加臨,切不可往,其言虛欺也。若四神不宜往約,六賊不宜聽信賊言。以上四神、六賊,或並見六處,乘惡將,乃主詐耳。不然,十二支已去八字矣,豈止四字為實乎?
例えば敵人の来りて相約し・来りて招呼するを占えば、去るか去らざるか:若し日干日支の上に子・寅・卯・辰・巳・未・申・亥の加臨を見れば、千万に往く可からず、相手の話は虚偽欺騙なり。彼の四神に遇上すれば、約に赴くに宜からず。彼の六賊に遇上すれば、敵人の言語を聴信するに宜からず。ただし注意すべきは、上述の四神と六賊は、須らく同時に并せて日・辰・年・命・三伝・正時のこの六処に見え、また凶悪の天将に乗じて、乃ち真に詐を主る。さもなければ十二地支の中に已に八箇の字を去れり、豈にただ四箇の字を剩してのみ実話と算さんや。
外國人來,歲神克乙而禍生。若外國人來投拜者,正時占,太歲上神克天乙者,主人賊不可信。
外邦人の前来せば、若し太歳の上神が「天乙」を克すれば、禍患即ち発生せん。仮に外邦人の来りて投誠し拜謁する有れば、当下の正時を用いて課を起こし、太歳の上の神が天乙貴人の乗ずる神を克すれば、則ちこの人は賊意を懐き、軽信すべからず。
他邦異情,陰神賊日以愁之。日辰之陰神自勝其干支或干支上神者,主不利也。
別国に異心を懐く有れば、即ち陰神の日辰を克して憂愁を生ずるを看る。日干日支の陰神が返って干支本身に勝ち・あるいは干支の上神に勝つ者は、事の不利を主る。
發使諸方,年路支干,切忌魁罡,次憂伏反。發使諸方,正時占,日辰及使人行年、去路方位之上,忌見天魁、天罡,更忌伏吟、反吟,皆不利也。
各方に使者を派遣するに、使者の行年・往く所の道路および日干日支を看るを要し、最も「河魁」「天罡」を見るを忌み、其次は伏吟・返吟に遇上するを怕る。使者を各方に遣わすに、正時を用いて課を起こし、日干日支・使者の行年・走る所の路線の方位の上は、皆天魁(戌)・天罡(辰)を見るを忌み、更に課体の伏吟あるいは返吟なるを忌む。これら皆利あらず。
門傷年處,道行殃而凶將災深;年制門時,滯病歸而吉神禍淺。正時占,若所去國門上神來傷行人年上神,行必有殃,吉將災淺、凶將災深。若行人行年上神傷門上神,主滯病而歸。
出でる所の門が行年を傷つければ、路上に災殃有り。若し更に凶将に乗ずれば、災禍は更に深し。行年が返って門上の神を制すれば、那就是病を帯びて滞留して帰る。若し吉神に乗ずれば、禍患は即ち浅し。正時を用いて課を起こし、若し往かんとする其の国門方位の上の神が来りて行人の行年の上の神を傷克すれば、此行は必ず禍殃有らん:吉将に乗ずれば則ち災は軽く、凶将に乗ずれば則ち災は重し。若し是れ行人の行年の上の神が門上の神を傷克すれば、那即ち彼が病に因りて滞留し、最後に病を帯びて回るを主る。
初宜參觜,三傳終而吉將堪憑。參、觜二宿在申,故以申稱參觜也。發使之時得傳送為初傳,大吉也。如三傳終得見傳送,與吉將並即吉,與凶將並即凶。夫初傳得見傳送,亦須吉將併為吉也。
初伝は最も「参」「觜」を取るを好み、三伝が末了に至りて吉将有れば、また以て倚仗する可し。参宿・觜宿はみな申に在れば、故に参觜を以て申を代指す。使者を派遣する時に若し「伝送」(申)を取得して初伝と為せば、大吉なり。若し三伝が末伝に至りて乃ち伝送を見れば、那即ちそれが吉将と并なるか凶将と并なるかを看るを要す:吉将と并なれば則ち吉、凶将と并なれば則ち凶。たとい初伝に就て伝送を見ると雖も、必ず吉将と同并して乃ち吉と算す。
日忌歲傷,顧干神以到時預選。日發之時,忌干勿為歲所克,以克則凶也。若到彼之日,又不可令克初發之日。假令庚辛日發行,不宜丙、丁日到,為傷元發之日,主凶也;宜壬、庚日到則吉。所以到時預先選擇,取相生為吉。
出発の日は太歳に傷付けらるるを忌む。故に日干を照顧し、到達の日をも連ねて預め挑好す。出発の其の一日は、日干が太歳に克せらるるを忌み、克せられれば即ち凶なり。相手に到達の其の一日も、また出発の其の一日の日干を克する可からず。例えば庚の日・辛の日に出発すれば、即ち丙の日・丁の日に到達するに宜からず、火は金を克して、当初出発の日を傷付くれば、凶を主る。壬の日あるいは庚の日に到達するに宜しくして乃ち吉なり。故に到達の期は預め択定して、彼此相生するを取りて吉と為すを要す。
忽聞賊起,天罡之前即知來去。以月將加正時,視天罡所臨之處也。天罡加孟,賊不來,是虛說;加季賊來急;加仲,則未來,或半路遲疑未進。
忽然敵軍の起兵を聞くは、ただ天罡の指す所を看れば、立刻に彼の来るか否かを知らん。月将を正時に加えて盤を転じ、「天罡」(辰)の落つるが何の位置かを看よ:天罡が寅申巳亥の四孟に加われば、敵人は来らず、其の消息は假話なり。辰戌丑未の四季に加われば、敵人の来ること甚だ急なり。子午卯酉の四仲に加われば、敵人はなお未だ来らず、あるいは半路に走到して遲疑し前進せざるなり。
欲知行止,圓精視處必見心田。欲知賊之去處行藏,當視天目之下,有賊在也。春辰、夏未、秋戌、冬丑,以月將加時,便知賊所在處。國精,天目也。
敵人の行止を知らんと欲すれば、ただ「円精」の所在を看れば、心の裡は即ち明白なり。敵人が何処に往くか・何処に蔵るるかを知らんと欲すれば、即ち「天目」の下を看よ、敵人は即ち彼処に在り。天目は春辰・夏未・秋戌・冬丑なり。月将を占時に加えて盤を転ぜば、便ち敵人の所在の処を知る。賦文の説く所の「円精」は、即ち天目なり。
井未角辰貴人覆支干而賊兵益急。井宿在未,角宿在辰。貴人者天乙也。凡辰、未臨日辰,賊必至。若辰、未不臨日辰,賊不來。若辰加季,天乙又臨日辰,賊必至;天乙臨日辰,而辰加孟,賊去虛言來也。
井宿は未に在り、角宿は辰に在り。若しこの両神が連なりて天乙貴人と一斉に日干日支の上に壓せば、敵兵の来ること更に急なり。井宿は未に属し、角宿は辰に属し、貴人即ち天乙なり。凡そ辰・未が日干日支に臨めば、敵人は必定に到来し、辰・未が日干日支に臨まざれば、敵人は来らず。若し辰が四季の位に加わり、天乙がまた日干日支に臨めば、敵人は一定して至らん。若し天乙が日干日支に臨みて、而して辰が却って四孟の位に加われば、那是敵人は已に走り去れり、彼の来らんとするを説くは假話なり。
玄白制日入熒惑而城壘宜堅。玄白即玄武、白虎也。聞兵至時,玄武、白虎所乘神剋日,賊強,宜急備之。若我掠他人、襲敵人,必遂所願也。
「玄武」「白虎」が日干を制し、また太白の熒惑に入るに逢えば、城壘は即ち加固すべし。玄白即ち玄武と白虎なり。敵兵の来到を聞く時に課を起こし、玄武・白虎の乗ずる神が日干を克すれば、敵人の強盛を説明し、当に急ぎ防備すべし。反対に、若し是れ我方が往きて他人を劫掠し・敵軍を偷襲せんと欲すれば、この種の課に遇上して返って一定して如願せん。
太白,謂庚辛也。熒惑,謂丙、丁也。聞賊忽來之時,若天上之庚、辛臨地盤丙、丁之上,賊必來;若天上之丙、丁加地盤庚、辛之上,賊不來也。假令甲子旬中以寅、卯為丙、丁,以午、未為庚、辛。若天盤午、未臨地盤寅卯之上,賊必來,宜堅守城壘。若寅、卯臨午、未之上,是熒惑壓住太白金星,賊不來。金氣遇火不敢動故也。
「太白」は庚・辛を指し、「熒惑」は丙・丁を指す。忽然敵人の来犯を聞く時に課を起こし、若し天盤上の庚・辛が地盤の丙・丁の上に落ちれば、敵人は必定に来らん。若し天盤の丙・丁が地盤の庚・辛の上に加われば、敵人は来らず。例を挙げて言えば、甲子旬中に遁干を用い、寅・卯の上に遁じて丙・丁を得、午・未の上に遁じて庚・辛を得す。若し天盤の午・未が地盤の寅・卯の上に臨めば、那是太白が熒惑を壓す、敵人は必ず来らん、当に城壘を堅守すべし。若し寅・卯が午・未の上に臨めば、那是熒惑が太白金星を壓住せり、敵人は来らざらん、金気は火に遇えば敢えて妄動せざるが故なり。
復察游都,支干傷急;戴虎並蛇,師徒敗績。此下論游都之吉凶。臨辰覆日,立見賊來與蛇、虎相併,主軍有敗亡之禍。臨辰克辰,尤凶,尤準。
更に「遊都」を察す:それが日干日支を傷つければ、敵情は即ち緊急なり。若し遊都がまた「白虎」を戴き・「螣蛇」を并せば、我方軍隊は即ち敗績せん。以下の幾節は皆遊都の吉凶を論ず。遊都が日支に臨み・日干を覆えば、立刻に敵人の到来を見ん。更に螣蛇・白虎と一処に并なれば、軍中に敗亡の禍有るを主る。遊都が日支に臨みてまた日支を克する者は、なかんずく凶にして、またなかんずく応験なり。
都將囚死,日辰不克以無憂;或加干支,上下相制而來疾。游都若到囚死之地,不克日辰,亦無驚也。若臨日辰,上下相剋,賊即來,急疾。凡游都無剋日者,止有克辰耳。
遊都が若し囚死の地に落ち、また日干日支を克せざれば、即ち憂う可きなし。若しそれが干支の上に加わり而且上下が互相克制すれば、敵人の来ること即ち甚だ急なり。遊都が囚死無気の地に落到し、日干日支を克しに往かざれば、即ち驚擾有る能わず。若しそれが日干日支の上に臨み、上下がまた相克すれば、敵人は立刻に到り、来勢は急促なり。おおよそ遊都は直接日干を克すること甚だ少なく、多くはただ日支を克するのみなり。
孟仲季神定虛真,總領於天罡。游都加孟賊不來,加季賊必來,加仲遲疑。天罡加孟主憂畏,加仲兩相傷,加季主戰。
敵情の虚実真假は、全て四孟・四仲・四季のいずれの類の神に落つるかを看るに在り、而して総の統領はなお「天罡」に在り。遊都が四孟に加われば、敵人は来らず。四季に加われば、敵人は必ず来る。四仲に加われば、敵人は遲疑して決せず。天罡が四孟に加われば、我方の憂懼を主る。四仲に加われば、両下ともに損傷を受くるを主る。四季に加われば、開戦せんとするを主る。
耳目神居探消息,皆從於地室。大吉丑、小吉未為天目,太沖卯從魁酉為天耳。天耳即地室也。聞賊不的,即使遊騎向天耳下聽之,必得賊人行止消息。欲聽密事,亦於天耳下察之,必得。
消息を探聴するは「天耳」「天目」の両組の神を靠むを要し、而して皆「地室」より下手す。大吉(丑)・小吉(未)は天目、太冲(卯)・従魁(酉)は天耳、天耳即ち言う所の地室なり。聞く所の敵情が確切ならざれば、即ち遊動の騎兵を派して天耳の臨む下に至りて打探せしめば、必定に敵人の行止の消息を得る可し。機密の事を探聴せんと欲すれば、また天耳の下に於て察訪せば、一定して手を獲せん。
不臨支干,憂合貴人;好鄉不戰,畏處交兵。游都不臨支干,而與天乙並者,賊亦來。游都所臨相生,此好鄉不戰。若寅為游都,加申酉之上,是寅木所畏之鄉,當此之時,父子不相親,中外不相念,戰鬥必也。凡游都與天乙,在日辰前一辰,則一日至;二辰,則二日至;隔四辰則不至也。游都所臨下辰剋日亦忌。
遊都が日干日支に臨まずと雖も、それが貴人と并臨するを擔心するを要す。それが相生の好き地方に落つれば即ち開戦せず、それが畏懼する所に落つれば返って交兵せん。遊都は干支に臨まずと雖も、但し天乙貴人と一処に并なれば、敵人はなおも来る。遊都の臨む処が上下相生すれば、これ即ち「好郷」にして、双方は交戦せざらん。仮に寅を遊都として、却って申・酉の上に加われば、寅木は正に金の克を怕る、これ即ちその畏るる郷なり。この時相手は父子相親しからず・朝廷と辺将と互いに顧念せず、必定して一戦を打たん。凡そ遊都と天乙と日支の前の一位に落つるは、一日の内に至る。前の両位なれば、両日して至る。相隔ること四位なれば、即ち来らず。遊都の臨む地盤の支が若し日干を克すれば、また忌む所なり。
若在東方猛烈兮,宜堅城壘;或當南面威強兮,速備關津。聞賊至時,正時占,游都臨東方,其賊勢猛;若臨南方,其勢亦不可當也。經云:“卯辰巳等宜防賊,兵書云此是三刑。”
遊都が若し東方に落つれば、敵勢は猛烈にして、当に城壘を加固すべし。若し南面に当たれば、敵勢は威強にして、急ぎ関隘渡口を防守するを要す。敵人の来到を聞く時に正時を用いて課を起こし、遊都が東方に臨めば、敵勢は凶猛なり。南方に臨めば、其の勢いもまた鋭くして當たる可からず。経の上に曰く:「卯・辰・巳の三位は敵を防ぐを要す、兵書はこの三支を正に三刑と講ず」と。
在西疑遲,可行恩而犒將;臨北事退,可宴樂而棲遲。游都臨西方,其賊遲疑未進,可行賞犒之事。若在北方,主賊退,可宴樂無虞也。又看旺相死休囚。
遊都が西方に在れば、敵人は遲疑して進まず、我方は恩を施し将を犒賞すること可なり。遊都が北方に臨めば、敵事は已に退き、宴飲して楽を作し・従容に休息すること可なり。遊都が西方に臨めば、敵人は猶疑して敢えて進兵せず、正に賞賜犒勞の事を辦ずるを得たり。若し北方に在れば、敵人の退走を主り、安心して宴楽し、後顧の憂なし。このほかまた遊都が当時旺か相か、それとも死・休・囚かを合わせ看るを要す。
天罡天陽,月建地陽,動偶天陰天魁,靜陰地陰玄見玄武。《玉帳經》云:“天罡為天陽,月建為地陽,天魁為天陰,玄武為地陰。”常法,他處以太歲為地陰。
「天罡」(辰)は天陽、月建は地陽、之と相偶して動く「天魁」(戌)は天陰、静にして陰に属する「玄武」は地陰なり。《玉帳経》に曰く:「天罡は天陽を為し、月建は地陽を為し、天魁は天陰を為し、玄武は地陰を為す。」通常の法則に按じれば、別処にもまた太歳を以て地陰と作すあり。
若交相覆,君臣驚悖於奸謀;或曰重臨,水火提防於事變。若天陽天陰互相交復,主君臣不相和協。占國兵察地陰,若陰覆陽者,臣欲害君,子欲害父,婦欲害夫也。若陽覆陰時,君欲害臣,父欲害子,夫欲害妻也。若值重陽重陰,皆凶。重陽時火驚,重陰時水驚,若聞有賊,亦急備之。
この四神が若し互相に壓覆すれば、君臣の間に奸謀に因りて驚乱せん。若し同類が重畳して相臨めば、即ち水火の類の事変を提防するを要す。天陽と天陰が互相交覆すれば、君臣の和睦能わざるを主る。国事・兵事を占うに地陰を察看するを要す:陰が陽の上に覆えば、是れ臣の君を害し・子の父を害し・妻の夫を害せんとする。陽が陰の上に覆えば、是れ君の臣を害し・父の子を害し・夫の妻を害せんとする。若し重陽あるいは重陰に碰上せば、皆凶なり:重陽の時は火警を防ぎ、重陰の時は水患を防ぐ。若しこの時また敵の来犯有りと聞かば、また急ぎ戒備するを要す。
功曹加甲,陽居日以無憂;旬首承箕,陰在干而逢戰。常以功曹加六甲首,聞賊占,日干上見陽神者賊不來,陰神臨日干者賊必至也。謂寅為箕者,以箕宿在寅也。
「功曹」(寅)が甲に加われば、日干の上に陽神を得て即ち憂なし。旬首が箕宿を承ければ、日干の上に陰神を得て即ち交戦せん。通常の做法は功曹を六甲の旬首に加えて盤を転じ、敵情を聞いて課を起こす:日干の上に陽神を見れば、敵人は来らず。陰神の日干に臨むを見れば、敵人は必ず至る。ここに寅を「箕」と作すは、箕宿が寅に属するに因るなり。
大吉反伏,太乙追尋;若臨子午,太沖可任。《玉帳經》云:“大吉為天耳,若反吟、伏吟時占,賊在天盤太乙之下,若臨子午之位,賊在太沖之下。”
返吟・伏吟の課を占得すれば、即ち「大吉」を用いて「太乙」を追尋す。若し大吉が子・午の位に臨めば、即ち「太冲」の下に至りて尋ぬべし。《玉帳経》に曰く:「大吉は天耳なり。若し是れ返吟・伏吟の時に課を起こせば、敵人は即ち天盤太乙(巳)の下に在り。若し大吉が子・午の位に臨めば、敵人は即ち太冲(卯)の下に在り。」
巳亥見牛,於星紀而排陣;辰戌遇鬥爭,向營室以加心。斗牛二宿在丑,故名丑為斗牛也。星紀亦丑也。若巳亥上見丑,賊在星紀之下。若辰戌上見丑,賊在天盤亥下伏也。
巳・亥の上に「牛」を見れば、敵人は即ち星紀の下に陣を列ねる。辰・戌の上に「斗」に遇えば、即ち営室の位に向かって用心して防備するを要す。斗宿・牛宿はみな丑に在れば、故に丑を斗牛と作し、星紀もまた丑の別名なり。若し巳・亥の上に丑を見れば、敵人は即ち星紀(丑)の下に在り。若し辰・戌の上に丑を見れば、敵人は即ち天盤亥の下に伏す。
卯酉逢聽,可掩襲於太簇;寅申斗耳,當備戰於實沉。太簇,酉之別名。實沈,申之別名。若大吉加卯、酉之上,賊在天盤酉下伏也。若大吉加寅、申之上,賊在天盤申下伏也。
卯・酉の上に動静を聴得すれば、即ち太簇の位に到りて掩襲する可し。寅・申の上に斗耳の応有れば、即ち実沈の位に於て戦備すべし。太簇は酉の別名、実沈は申の別名なり。若し「大吉」(丑)が卯・酉の上に加われば、敵人は天盤酉の下に伏す。若し大吉が寅・申の上に加われば、敵人は天盤申の下に伏す。
神后登明,正時可曉。干見賊多,支逢寇少。聞賊加正時。若亥、子二神臨日,賊多;臨辰,賊少。又游都臨日賊多,臨辰寇少。
「神后」(子)と「登明」(亥)は、正時を用いて課を起こせば即ち敵兵の多少を明白にす:日干の上に臨めば敵人は多く、日支の上に臨めば敵人は少し。敵情を聞けば即ち月将を正時に加えて課を起こす:若し亥・子の二神が日干に臨めば、敵兵は众多。日支に臨めば、敵兵は稀少。遊都もまた同じく、日干に臨めば則ち敵は多く、日支に臨めば則ち敵は少し。
辰加剋日,奇兵應防於陣後。支臨日克干,賊在我後。又云:支其克干,賊必襲後,宜速備之。
日支が日干に加臨してまた来りてそれを克すれば、即ち敵人の奇兵が我軍の陣後を抄襲するを防ぐを要す。日支が日干の上に臨みて日干を克すれば、敵人は即ち我の後ろに在り。ある説は日支が日干を克すれば、敵人は必定に我の後方を偷襲す、当に急ぎ防備するを要すと為す。
日覆於辰,銳卒急當於前擾。干加支,賊在我前,又云,干克支,賊當道伏截,宜急備之。又云,天罡辰、太乙巳、大沖卯、神后子四神臨日,賊兵在前;臨辰,賊兵在後。
日干が日支の上に覆えば、敵人の精鋭は即ち前面に於て急攻侵擾せん。日干が日支の上に加われば、敵人は我の前方に在り。ある説は日干が日支を克すれば、敵人は必経之路の上に埋伏して截撃す、当に急ぎ防備するを要すと為す。また一説あり:天罡(辰)・太乙(巳)・太冲(卯)・神后(子)のこの四神が日干の上に臨めば、敵兵は我の前方に在り。日支の上に臨めば、敵兵は我の後方に在り。
雀蛇臨日,白勾制而血光。朱雀、螣蛇臨日,必主驚悸也。白虎、勾陳臨日,必傷兵士。
「朱雀」「螣蛇」が日干に臨み、更に「白虎」「勾陳」に壓制されれば、即ち血光の災有らん。朱雀・螣蛇が日干に臨めば、必定に驚恐・心悸を主る。白虎・勾陳が日干に臨めば、必定に兵士を傷損するを要す。
虛子軫巳二神,蛇鼠會而賊矯。虛宿在子,軫宿在巳,若二神臨日辰而又剋日辰者,其賊急強,未可攻也。我據險依隘,從太歲備之。
虚宿は子に属し、軫宿は巳に属す。この両神は一処に会せん、蛇鼠の相聚まるが如く、敵人は即ち驍勇凶悍なり。虚宿は子に在り、軫宿は巳に在り。若しこの両神が日干日支に臨みてまた日干日支を克すれば、敵人の来勢の急・力量の強きを説明し、暫時攻打すべからず、我方は当に険要の関隘に憑拠し、太歳の方位に依りて設防するを要す。
太乙巳罡辰沖,遇必爭先。夜防賊至,兵備宜專。太沖、天罡、太乙三神齊見,謂之三刑。聞賊來占,值巳、辰、卯臨日辰上者,不問克不克,賊必先至。若臨日,則夜有劫營掩襲之患。
太乙(巳)・天罡(辰)・太冲(卯)の三神が一斉に出現すれば、遇上すれば必定に人の先んじて手を動かす有り、夜裡に敵人の来襲を防ぐを要し、戒備は務めて専一なれ。太冲・天罡・太乙の三神が同時に出現すれば、即ち「三刑」と曰う。敵人の来犯を聞きて課を起こすに、凡そ巳・辰・卯が日干日支の上に臨めば、克するか否かを論ぜず、敵人は一定に先ず至る。若し日干の上に臨めば、夜裡に即ち営を劫し襲う患有らん。
甲乙聞憂,丙子可除亂寇;庚辛知事,壬癸定破烽煙。假令甲、乙日忽聞賊,或見賊,宜丙、丁、巳、午時,擇吉門而出,必勝;庚、辛日,宜用壬、子、癸、亥時,則吉也。
甲の日・乙の日に憂警を聞けば、丙・丁の時を用いれば便ち乱寇を除掉する可し。庚の日・辛の日に軍情を得知すれば、壬・癸の時を用いれば必ず烽煙の中に敵を破る能し。例えば甲の日・乙の日に忽然敵有りと聞く・あるいは敵軍を望見すれば、即ち丙時・丁時・巳時・午時に於て、一箇の吉門を選んで出兵せば、必定に取勝せん。庚の日・辛の日は、則ち壬時・子時・癸時・亥時を用いるに宜しく、かくの如くして乃ち吉なり。
土木東青,金火南輪兮於夏;甲庚西罹,丙壬北敗兮冬天。此言用兵日與方向。不可太旺與太屈。假如春三月甲乙日,向東方,則太旺,而出兵必課災眚。又如春三月土死,以戊巳日向東行,則受制太過,出兵必遭屈辱。舉此例,五行類推。
土の日・木の日は東方の青位に、金の日・火の日は夏天に南方に向かい、甲の日・庚の日は西に往けば禍患を遭罹し、丙の日・壬の日は冬天に北に向かえば即ち敗績せん。これは用兵の日と所向の方位の配合を講ず:既に太旺なるべからず、また太く屈抑を受くるべからず。例えば春季三月の甲の日・乙の日に更に東方に往けば、木気は太旺にして、出兵すれば必ず災禍を生ぜん。又如春季に土は死地に處し、戊の日・己の日を用いて東に往き行けば、土は木の制を受くること太過して、出兵すれば必ず屈辱を遭わん。挙げてこの両例を以て准と為し、五行の其余の各類はこれに照らして推演す。
貴人舉兵,開地千里;螣蛇出軍,眾心憂畏。太常粗吉,知軍旅之營安;六合尤宜,獲金實之美麗。青龍大勝,得府庫與圖書;朱雀多詞,慮軍戎之見恥。太陰中怯,玄武失物以憂深;天后無威,白虎自敗而禍死。勾陳則戰士折傷,天空乃君臣被毀。
発用が「天乙貴人」に乗じて兵を挙げれば、千里の地を開拓する可し。「螣蛇」に乗じて軍を出せば、全軍の人心は憂懼す。「太常」に乗ずるはおおよそ吉にして、軍営の安穩を知る可し。「六合」に乗ずるはなかんずく相宜にして、金帛珍寶を獲取する能し。「青竜」に乗ずれば大勝して、敵方の府庫と図籍を得る可し。「朱雀」に乗ずれば口舌多く、軍中の耻辱を蒙るを顧慮するを要す。「太陰」に乗ずれば中途に怯戦し、「玄武」に乗ずれば財物を丟失して憂慮深重なり。「天后」に乗ずれば全く威勢なく、「白虎」に乗ずれば自ら敗亡を取りて禍は性命に及ばん。「勾陳」に乗ずれば則ち戦士は折損傷亡し、「天空」に乗ずれば便ち君臣は人の詆毀を受くるなり。
此言發用初傳之將所主之吉凶也。用起天乙,出軍,敵人千里畏服。用起螣蛇,主驚駭潰亡之兆。用起太常,主營固而卒安。用起六合,主獲金帛子女之大利,占邦國亦然。用起青龍,必得邦郡圖書、府庫之物,出軍大利。用起朱雀,被蔑毀辱,立見災殃。起太陰,出軍士卒怯弱。起玄武,主軍馬潰失奔潰之禍。起天后,出軍不戰自敗。發用白虎,出軍疾疫喪亡。起勾陳,主敗亡,軍折馬傷。起天空,主出軍被敵欺誆凌辱之事。
この一段は初伝発用の乗ずる天将が各々何の吉凶を主るかを講ず。発用が天乙に乗ずれば、出兵の後敵人は千里の外皆畏服す。発用が螣蛇に乗ずれば、驚駭して潰散敗亡の兆を主る。発用が太常に乗ずれば、営壘の穩固・士卒の安寧を主る。発用が六合に乗ずれば、金帛人口を獲得の大利を主り、国事を占うもまた是の如し。発用が青竜に乗ずれば、必ず敵方の州郡の図籍と府庫財物を得、出兵は大いに利有り。発用が朱雀に乗ずれば、人に軽蔑・詆毀・羞辱せられ、立刻に災殃を見ん。発用が太陰に乗ずれば、出兵の後士卒は胆怯軟弱なり。発用が玄武に乗ずれば、軍馬の失散潰逃の禍を主る。発用が天后に乗ずれば、出兵して戦わず自敗す。発用が白虎に乗ずれば、出兵の後疫病と死亡有らん。発用が勾陳に乗ずれば、敗亡を主り、軍士は折損し馬匹は傷亡す。発用が天空に乗ずれば、出兵して敵人に欺騙諼哄せられ・凌辱を受くるを主る。
空亡失眾,傳逢不利。初傳雖吉,中未見空亡者,出師不利。
三伝の中に空亡に逢えば、即ち部衆を喪失し、事に於て不利なり。たとい初伝は吉なると雖も、ただ中伝・末伝に空亡を見れば、出師はなおも不利なり。
天罡加巳,行者獲全;縱橫建午,坐帳調琴。此下七節言天罡所指之吉凶也。天罡指巳,為天地所初開時,出軍開地千里,大勝也。加午為縱橫,坐帳不出,宜安樂而備兵也。
天罡が巳に加われば、出行の人は保全する可し。天罡が午に値えて「縦横」の局を成せば、主将は即ち帳中に坐して琴を弾じ、出兵するに及ばず。以下の七節は皆天罡の指す吉凶を講ず。天罡が巳を指すは、天地初開の時にして、出兵すれば千里の疆土を開拓し、大いに全勝を獲ん。天罡が午に加わるは「縦横」の時、帳に坐して出でざるに宜しく、安然と休整し・兵器を整備す。
指未必通,謂聲名之著顯;向申地迫,言災禍以彌深。加未,天道小吉時,可以出軍也。加申,天地小爭時,又為地迫時,不可出軍,避之則吉。
天罡が未を指せば必定に通達し、声名の顕揚を主る。指向して申なれば則ち「地迫」にして、災禍はますます深からん。天罡が未に加わるは、天道小吉の時にして、出兵する可し。天罡が申に加わるは、天地小争の時にして、また地迫の時と称す、出兵すべからず、躲开して乃ち吉なり。
直酉西方,地閉而車折馬死;返來戌上,人乖而將殞兵沉。加酉為天地關格時,不可出師,必有隔絕、人馬鬥傷之患。加戌為天地反吟時,不可出軍,乃君臣相隔、父子相違、夫婦相別、奴婢背主之時,主士卒凶傷禍敗也。
天罡が正しく西方の酉を對すれば、地気は閉塞し、車輌は折損し・馬匹は死亡す。戌の上に回れば、人心は乖離し、主将は殞命し・士卒は沈淪す。天罡が酉に加わるは天地関格の時にして、出師すべからず、必ず道路の隔絶・人馬の斗傷の患有らん。天罡が戌に加わるは天地返吟の時にして、また出兵すべからず。那是君臣相隔・父子相違・夫妻分離・奴婢が主に背く時にして、士卒の凶傷・事の敗れ禍の生ずるを主る。
亥上見之,天窄而傷人驚怖;子邊見也,地逼而半路難居。加亥為天窄時,加子為地逼時,俱不宜出軍,主半路恍惚不安。
天罡が亥の上に出現するは、「天窄」にして、人を傷つけ・人を驚懼せしむ。子の辺に出現するは、「地逼」にして、半路に走到すれば駐留し難し。天罡が亥に加わるを天窄の時と曰い、子に加わるを地逼の時と曰い、みな出兵に宜からず、行軍の半路上に精神恍惚・心神不安を主る。
丑向途通,三十里宿;來晨任意,神功潛助。每臨寅上,龍見天乙以情通;若到卯中,天地塞閉而氣換。加丑為天地小通時,出軍三十里,來晨任意前行。指寅為天地獨通時,遇天乙尤吉。加卯為天地閉塞不通時,宜藏避。
天罡が丑に向かえば則ち道路は通達し、出兵して三十里を行けば即ち宿営し、第二天早晨に便ち随に意のままに前行すれば、暗中に神力の相助有らん。天罡が毎に寅の上に臨めば、龍の天乙を見るが如く、情意相通ず。若し卯の中に到れば、天地閉塞して気数変換す。天罡が丑に加わるは天地小通の時にして、出兵して三十里を走り、次晨に随に意のままに前進す。天罡が寅を指すは天地独通の時にして、若しまた天乙貴人に遇えば更に吉なり。天罡が卯に加わるは天地閉塞不通の時にして、蔵匿躲避するに宜し。
伏吟辰地,關梁閉塞以難通。若守城營,客將憂疑而自縮。指辰為天地伏吟時,亦為天地閉塞,利以守己。若堅城守營,賊將自遁,不可出軍遠行也。
天罡が本位の辰地に回るは、伏吟にして、関隘橋梁は堵塞して通じ難し。この時若し城営を堅守すれば、来犯の客将は自ら憂疑して退縮せん。天罡が辰を指すは天地伏吟の時にして、また天地閉塞に属し、自守に利す。ただ城池を堅固にし・営壘を守住せば、敵将は自己に就て遁走せん、切に出兵遠行すべからず。
猝逢賊將,方處占求;強兵神后,步卒牽牛。此下四節,以來方而占賊也。見賊加正時,看方上之神。神后,子也。若方上見子,賊從其下來者,賊將先來,必為輕騎。方上見大吉,賊從其下來者,其將堅強也。
倉卒の間に敵将に碰上せば、即ち彼の來る所の方位に按じて課を起こして断を求む:其の方に「神后」を見れば、来るは強悍の兵。見るに「大吉」(丑)なれば、来るは牛を牽き重を負う歩卒。以下の四節は、皆敵人の来る方位に按じて敵を占う。敵人を望見すれば即ち月将を正時に加えて課を起こし、其の方の上が何の神かを看よ。神后即ち子なり。若し其の方の上に子を見れば、敵人は子の下より過り来る、敵将は必ず先んじて趕到し、必定是軽装の騎兵。若し其の方の上に大吉を見れば、敵人は丑の下より過り来る、其の主将は必定に堅強なり。
猛見功曹寅,車騎長槍於兔腹卯;急旗角亢辰,衛兵變陣於龍頭巳。賊從功曹下來,其將猛,其士健。兔即卯也,賊從太沖下來,其兵精,器械且利。角亢,辰也,天罡也,賊從其下來,必有伏兵急速也。太乙名龍頭,即巳也,賊從其下來,其兵善能進退,變化陣形,故名衛兵,它謹速之。
「功曹」(寅)より来るを見れば敵将は凶猛、「兔腹」(卯)より来るを見れば是れ車騎長槍の兵、「角亢」(辰)より来るを見れば旗幟は急促、「龍頭」(巳)より来るを見れば是れ変陣に善き衛兵。敵人が功曹の下より来れば、主将は凶猛・士卒は強健。兔即ち卯、敵人が太冲の下より来れば、其の兵は精鋭・器械は鋒利。角宿・亢宿はみな辰に在り、辰即ち天罡、敵人が其の下より来れば、必ず伏兵あり而且行動は迅急。太乙はまた龍頭と名づく、即ち巳、敵人が其の下より来れば、其の部隊は進退・変化陣形に善し、故に衛兵と曰う、それに對付するは格外に謹慎迅速を要す。
馬隊勝光,大將秦宮未而坐用。驍從傳送申,明天趙次酉以箕籌。賊從勝光下來,其將武勇,或軍士眾,當以奇兵以待之。賊小吉下來,其兵勝而強。賊從傳送下來,其賊勇銳。酉為趙分,賊從其下來,其賊能知天道,有謀略。
「勝光」(午)より来るは馬隊、「秦宮」(未)より来るは大将の坐鎮有り、「伝送」(申)より来るは驍勇、趙分(酉)より来るは天時を懂り・籌劃を会す。敵人が勝光の下より来れば、主将は勇武、あるいは兵員は众多、当に奇兵を用いて彼に對付すべし。敵人が小吉(未)の下より来れば、兵力は占優にして而且強悍。敵人が伝送の下より来れば、其の衆は勇猛精鋭。酉は趙国の分野、敵人が其の下より来れば、能く天道を通暁し、甚だ謀略有り。
天魁戌猛壯而難擊。登明亥突急而莫留。賊從戌下來,其賊將士猛壯精銳,不可輕擊也。賊從亥下來,多有突急銳兵或奇伏之卒也。
「天魁」(戌)より来るは猛壮にして、攻撃し難し。「登明」(亥)より来るは突襲急驟にして、停留すべからず。敵人が戌の下より過り来れば、将士は猛壮精鋭にして、軽々しく迎撃すべからず。敵人が亥の下より来れば、多くは突撃の鋭卒を帯び、あるいは別に奇兵の埋伏有らん。
象色天機,金來火應。兵戈相入,勾陳是刑。賊從申上來,我以赤旗、銳陣應之。四方皆仿此。勾陳臨日,兩軍合陣以爭雄;井斗來臨,彼此收戈而息怒。假令申酉為勾陳,臨甲日之上,為刑,金克甲,必戰。加仲神在門,兩傷;加季神在外,必有大戰。若大、小吉臨甲日,兵自兩解而不戰。井,小吉;斗,大吉也。
旗幟の顏色は五行に按じて象を取るを要し、敵方の来るが金なれば、我方は即ち火を以て相應ず。兵戈の交接するか否か、關鍵は「勾陳」が刑を帯ぶ有るかを看る。敵人が申(金)の上より来れば、我は即ち紅旗・火形の尖鋭なる陣勢を用いて彼に應ず、四方の配色は皆これに照らして類推す。勾陳が日干に臨めば、両軍は即ち陣を合わせて雄を争わん。井・斗の二宿が日干に臨めば、双方は返って兵を収め怒りを息めん。例えば申・酉が勾陳に乗じて甲の日の上に臨めば、刑を構成し、金はまた甲木を克す、必定に開戦せん。若し四仲の神に加われば、那是「在門」にして、双方ともに受傷す。四季の神に加われば、那是「在外」にして、必ず大戦有らん。若し「大吉」(丑)「小吉」(未)が甲の日に臨めば、両軍は自ら解散して戦わざらん。井宿は未に属し即ち小吉、斗宿は丑に属し即ち大吉。
年逢六害,凶神必並於外傷。若主將本命、行年上見六害,更與凶將並,主凶敗。或剋日,大凶。
行年の上に「六害」に遇い、また凶神と并臨すれば、外来の傷損は免れ難し。若し主将の本命・行年の上に六害を見、更に凶将と一処に并なれば、凶险敗亡を主る。若しこれらの神がまた日干を克すれば、那是大凶なり。
日值孤雄,吉將堪逢於陣擊。孤者,太歲、月建後二辰是也。虛者,孤之對沖也。如正月子孤、午虛之類。用兵皆當背孤擊虛。雄者,春寅、夏巳、秋申、冬亥,用兵皆當背雄擊雌,雌者,雄之沖也。若孤神與戰雄臨將之行年、本命、辰之上者,必得大勝。
日干の上に「孤」と「雄」に値え、また吉将に逢えば、即ち陣を列ねて出撃する可し。言う所の「孤」は、太歳・月建より後に数うて第二位の地支。「虚」は孤の对冲の位。例えば正月は寅を建てば、子を孤と為し・午を虚と為す。用兵は皆当に孤を背け・虚に向かって打つべし。言う所の「雄」は、春天は寅、夏天は巳、秋天は申、冬天は亥。用兵は皆当に雄を背け・雌に向かって打つべし、雌即ち雄の对冲なり。若し孤神と戦雄が主将の行年・本命あるいは日支の上に臨めば、必ず大勝を獲ん。
官軍欲勝,勾制玄都。勾陳若制玄武、游都者,出軍必勝。主將年上神克白虎、玄武所乘神亦勝。若三傳中將得六合、青龍、太陰、太禽,及在將軍年命上更乘旺氣者,必大勝。又玄武陷死囚之地,亦勝。若玄武臨日辰,遙克時上勾陳,必敗。天乙、勾陳所乘神克游都者勝。
官軍が取勝せんと欲せば、即ち「勾陳」に「玄武」と「遊都」を制せしむるを要す。勾陳が若し能く玄武・遊都を制伏すれば、出兵すれば必ず勝つ。主将行年の上の神が白虎・玄武の乗ずる神を克するも、同じく取勝す。若し三伝の中に六合・青竜・太陰・太禽の幾位の天将を得て、また主将の行年本命の上に落ちて且つ旺気に乗ずれば、必ず大勝を獲ん。このほか玄武が死囚の地に陥れば、また我が勝つを主る。反対に、若し玄武が日干日支に臨み、位を隔てて遥かに占時の上の勾陳を克すれば、那就必敗なり。天乙・勾陳の乗ずる神が能く遊都を克する者は、我方勝つ。
損支主敗,傷干客輸。正時占,干上神遙克支上神,或干克支,及上克下,皆為主敗。若支上神克干上神,或支克干,或下克上,皆為主勝。
日支が損を受くれば、主方敗つ。日干が傷を受くれば、客方輸す。正時を用いて課を起こす:日干の上神が遥かに日支の上神を克し、あるいは日干が日支を克し、あるいは四課中に上神が下神を克す、これら皆主方の敗れを主る。反対に、日支の上神が日干の上神を克し、あるいは日支が日干を克し、あるいは下神が上神を克す、これら皆主方の勝ちを主る。
欲掠他鄉,戊己須逢于吉將。欲潛兵劫掠,視天盤、地盤二處戊、己位,逢吉將,出掠有功。假令甲子旬中以辰、巳為戊、己,上下皆為吉將,必然大獲。
別処に到りて劫掠せんと想えば、戊・己の位は必ず吉将に逢うを要す。兵を潜めて劫掠せんと欲せば、即ち天盤と地盤の両処の戊・己の所在の位置を看よ。若し吉将に乗ずれば、出でて劫掠せば必ず斬獲有らん。例えば甲子旬中に遁干すれば、辰の上に遁じて戊を得・巳の上に遁じて己を得、天盤地盤のこの両処の上下は皆吉将なり、必定に大いに収獲有らん。
前三後二,私門禁戶以相扶。前三,六合也。後二,太陰也。若卯、酉乘之謂之私門。禁戶有四,除、定、危、開是也,得太常、青龍、太陰、六合乘之,出兵深入,如蹈無入之境。入水不溺,入兵不傷,天佑之福也。
貴人の前三位と後二位は、「私門」なり。建除十二値の中の四禁戸は、之と互相扶助す。貴人の前三位は「六合」、後二位は「太陰」。若し卯・酉がこの両将に乗ずれば、即ち「私門」と曰う。禁戸は四箇有り、即ち除・定・危・開の四日の位。若しこの四位の上に更に太常・青竜・太陰・六合の来りて乗ずるを得れば、出兵して敵境に深入するに、如同無人之地に走り入るが如く、水に下りて淹溺せず・兵に遇いて受傷せず、這是上天の護佑の福分なり。
三路迷心、時下罡隨於孟仲;兩歧惑應,日辰左右以規謀。路逢三叉之道,欲知何道吉,正時占。天罡加孟,左道通;加季,右道通;加仲,中道通。此下出軍大捷,所求必遂。若逢兩歧路,日干吉者,左道通;支吉者,右道通也。
三条の岔路が人をして主意を拿え難からしめば、即ち占時の下に天罡の落つるが孟位か仲位かを看よ。两条の岔路が人を疑惑せしめば、即ち日干日支を用いて左右を分かちて謀劃す。路上に三岔道に遇い、いずれの路が吉かを知らんと欲せば、即ち正時を用いて課を起こす:天罡が四孟に加われば、左路は通ず。四季に加われば、右路は通ず。四仲に加われば、中路は通ず。これに按じて走れば、出兵して必ず大捷を獲、求むる所は皆如願せん。若し两条の岔路に遇上せば、日干が吉なれば即ち左路を走り、日支が吉なれば即ち右路を走れ。
欲渡河江,支傷莫人。卯辰及酉,井泉須知。壬亥子兼癸丑,天河覆井以沉波。更忌罡沖,太歲遭虛而禍急。欲渡江河,正時占,支傷則水路不宜行也。卯、辰、酉為地之三井,壬、子、癸為天之三河。正時占,天河加臨地之井者,主有覆溺之危,不可渡也。若見太沖、天罡加支干,必有風濤之惡。神后加太歲之上,主行船有沒溺之災。
江河を渡らんと欲するに、日支が傷を受くれば即ち水に下る勿れ。卯・辰・酉の三処は地上の井泉、必ず知るを要す。壬・亥・子に連なりて癸・丑は、天上の河漢なり。天河が地井を壓覆すれば、即ち船を翻し沈没せん。更に天罡・太冲を忌諱し、「太歳遭虚」は禍の来ること急なり。江河を渡らんと欲すれば、正時を用いて課を起こし、日支が傷を受くれば、水路即ち走るに宜からず。卯・辰・酉は地の三井、壬・子・癸は天の三河。正時に課を起こした後、天河が地井の上に加臨すれば、翻船溺水の危有るを主り、渡る可からず。若し太冲(卯)・天罡(辰)が日干日支の上に加わるを見れば、必ず風浪の険有らん。「神后」(子)が太歳の上に加われば、行船に沈没の災有るを主る。
洿池之地,天罡指處以堪行;支吉干傷,水面通船而立事。日為陸地,干吉利陸進。如有洿下聚水之處,亦取天罡下去通於道也,加孟勿前行,加仲勿中行,加季勿後行。支為水道,支吉利水路。
低窪積水の地方は、天罡の指す処より走れば即ち通行する能し。日支が吉にして日干が傷を受くれば、即ち水路を走りて船を行きて事を辦ずべし。日干は陸地を代表し、日干が吉利なれば即ち陸路より進兵するに宜し。若し低窪積水の処に碰上せば、また天罡の下の方向を取りて走れ、彼処は必ず道路通ず:天罡が四孟に加われば即ち前面を走る勿れ、四仲に加われば即ち中間を走る勿れ、四季に加われば即ち後面を走る勿れ。日支は水道を代表し、日支が吉なれば即ち水路を走るに利す。
凡丙子、丁丑、癸未、癸丑為觸水龍日,不宜涉水,戊寅、己卯日亦凶。凡卯為船車,臨支為船,臨干為車,在旺相之鄉,車船無損,在囚死之鄉,車船破壞。若臨渡船漏,看天罡,加孟前有補處,加仲中間有補處,加季船尾有補處。行車同。
凡そ丙子・丁丑・癸未・癸丑のこの数日を「触水龍日」と曰い、水を渉るに宜からず。戊寅・己卯の両日もまた凶なり。卯は船と車を代表す:卯が日支に臨めば即ち船と作して看、日干に臨めば即ち車と作して看。それが旺相の地に落つれば、車船は損せず。囚死の地に落つれば、車船即ち破損せん。若し河を渡る時に船が水漏れすれば、即ち天罡を看よ:天罡が四孟に加われば、破処は船頭に在り。四仲に加われば、破処は船中に在り。四季に加われば、破処は船尾に在り。車を修するもこの一法に照らして推せ。
昏蒙失路,執式天盤。參申行意曉,天角辰堪緣。道經山林野澤,蒙雨霧暗,迷失道路,執式特盤投於地,取天罡下之五十步當得好道。傳送之下,亦主自然開悟。參宿在申,故曰參行也。天角,天罡也。去必有路。
昏暗にして路に迷えば、即ち式盤を手持して天盤を看よ:「参」(申)は能く行走の方向を指明し、「天角」(辰)もまた以て依循する可し。行軍して山林荒沢を経過し、蒙蒙たる細雨・霧気昏暗に遇いて道路を迷失せば、即ち式盤の天盤を地に投げて定位し、天罡の下に向かって五十步を走れば、必ず好き路を尋ね得ん。「伝送」(申)の下に走到すれば、また自然に豁然として開朗せん。参宿は申に在れば、故に「参行」と曰う。天角即ち天罡なり。かくの如く走れば、往けば一定して路有らん。
軍士酣臥,趨井未房卯之清泉。軍士進行歇臥,正時上,求水路,以小吉有井宿,並太沖又有房宿,其下可以求水井或河,不出二百步之外。
軍士が安歇休息せんと欲すれば、即ち井宿の所在の未位・房宿の所在の卯位に到りて清泉を尋ぬべし。行軍中途に歇息し就寝するに、当下の正時を用いて課を起こして水源を尋ぬ:未は「小吉」と為り、其中に井宿を含む。卯は「太冲」と為り、其中に房宿を含む。この両位の下に於て水井あるいは河流を尋ねれば、二百步の外を出でざれば必定に尋ね到らん。
欲劫軍糧,向吳秦之大獲。欲劫糧,出吳分大吉、秦分小吉之下,糧必得。
敵軍の糧草を劫奪せんと想えば、即ち呉・秦の両処の分野に向かえば、必ず大いに獲有らん。糧を劫さんと欲すれば、即ち呉分野の属する「大吉」(丑)と秦分野の属する「小吉」(未)の下より出兵せば、糧草は一定して手に到らん。
大吉紫房,神后華蓋,能藏萬物,即行無害。大吉為紫房,神后為華蓋,凡有急事欲避藏者,往大吉、神后之下,人不能以掩來也。
「大吉」(丑)は紫房、「神后」(子)は華蓋星の位、この両処は能く万物を蔵るを得、彼処より行動すれば害有らざらん。大吉は紫房と曰い、神后は華蓋と曰う。凡そ急事の躲避蔵身せんとする有れば、即ち大吉・神后の臨む下に到れば、別人は掩襲するに従由なし。
太沖千騎,從魁可遁於百人;斗鬼參回,天駟潛之而莫奈。卯下可藏千騎。酉為後女之神,可藏百人。凡伏兵避惡,乃可從丑上去,向未,回申上立定,正向卯上潛避,則追不得也。丑有斗宿,未有井鬼,申有參,故謂丑未申為斗、鬼、參。一云,賊卒至,宜往房星下避之。房星,太沖也,亦名天駟。假令房星在午,宜出正南造之。
「太冲」(卯)の下は千騎を蔵る可し、「従魁」(酉)の下は以て百人を隠遁する可し。斗・鬼・参の三宿に沿いて繞行し、最後に「天駟」の下に潜伏せば、敵人は即ち我を奈何するを得ず。卯の下は千騎を蔵る可し。酉は后女の神、百人を蔵る可し。凡そ埋伏あるいは凶険を躲避せんとするは、即ち丑位より出発し、未位に向かって走り、更に折り回りて申位に站定し、然る後に正しく卯位に向かって潜蔵せば、追兵は即ち我を尋ね着かざらん。丑の中に斗宿あり、未の中に井宿・鬼宿あり、申の中に参宿あり、故に丑・未・申を斗・鬼・参と称す。別に一説あり:敵人が突然殺到せば、房星の下に往きて躲避するに宜し。房星即ち太冲(卯)、また天駟と曰う。例えば房星が午位に落つれば、即ち正南方に向かって往くべし。
青常陰合,大梁酉大火卯以同居;除定危開,主將其方而喜在。大梁,從魁也。大火,太沖也。此二神為私門。除、定、危、開為地四禁戶。以二私門加禁戶,又與龍、常、合、陰並,宜出其下大吉。
「青竜」「太常」「太陰」「六合」の四吉将が、「大梁」(酉)「大火」(卯)と同じく一宮に處す。更に除・定・危・開の四位に逢えば、主将が彼の方に駐在すれば即ち喜有り。大梁即ち従魁(酉)、大火即ち太冲(卯)、この両位は「私門」なり。除・定・危・開は地上の四禁戸。両箇の私門を禁戸の上に加え、また青竜・太常・六合・太陰と并臨せば、それらの下より出兵すれば大吉なり。
急賊方所,初傳五行。水為北房,火作南兵。忽問賊,正時占,視初傳五行,即可知何賊。亥、子為北虜,巳、午為南蠻。
急ぎ敵人が何方より来るかを知らんと欲すれば、即ち初伝の五行を看よ:水に属するは北方より来り、火に属するは南方より来る。忽然敵情を問わんと欲すれば、正時を用いて課を起こし、初伝が何の五行に属するかを看れば、即ちいずれの一路の敵人かを知る:亥・子は水に属し、是れ北方の敵。巳・午は火に属し、是れ南方の敵。
復見土神,有虜急從於四季;初當本位,其謀必見於東渡。初傳辰、戌、丑、未,賊必四季之人。初傳寅、卯,必東方之人。
若しまた土神を見れば、那是四季の位より急々と来る敵寇なり。初伝が若し正に本位に当たれば、敵人の圖謀は必ず東方より出づ。初伝が辰・戌・丑・未なれば、敵人は必ず四季の方位即ち四隅の地の人。初伝が寅・卯なれば、必ず東方の人。
地恐埋軍,參申軫巳虛子房卯而速備;象宜休車,蛇支獸干以尋驚。軍行次城隘之處,恐有伏兵,正時占,申、巳、子、卯臨日,則夜必有伏兵也。四神又旺相,與殺並者,大凶,無兵亦有猛獸。若不與凶並,日能制之者,兵不敢動。若蛇、虎克日辰者,有卒驚,宜察而備之。
地面の下に伏兵の埋まるを担心ば、即ち参(申)・軫(巳)・虚(子)・房(卯)の四宿を看よ、之を見れば急ぎ戒備するを要す。若し螣蛇の日支に臨み・白虎の日干に臨むを見れば、即ち車を停めて驚変を尋査すべし。軍隊が城池険隘の処に走到し、伏兵有らんを怕れば、正時を用いて課を起こす:申・巳・子・卯が日干に臨めば、夜裡に必ず伏兵有らん。この四神が若しまた旺相に当たり、更に凶煞と并臨せば、大凶にして、たとい伏兵なくともまた猛獣有らん。若し凶煞と并臨せず、而して日干がまた能くそれらを克制すれば、敵兵は敢えて動かざらん。若し「螣蛇」「白虎」が日干日支を克すれば、突発の驚擾有らん、当に查明して且つ防備を加うべし。
斗季損支,邀截我後;干傷前伏,陰陽左右。正時占,天罡加季有伏兵。支傷干吉,伏兵在後;干傷支吉,伏兵在前。天罡加陽,伏兵在左,加陰在右。
天罡が四季に加わりて日支が損を受くれば、敵人は我軍の後路を拦截せんとす。日干が傷を受くれば則ち伏兵は前に在り。至於左右は、即ち天罡の落つるが陽支か陰支かを看よ。正時を用いて課を起こす:天罡が四季に加われば、伏兵有り。日支が傷を受けて日干が吉なれば、伏兵は後に在り。日干が傷を受けて日支が吉なれば、伏兵は前に在り。天罡が陽支に落つれば、伏兵は左に在り。陰支に落つれば、伏兵は右に在り。
帶刑並傷,旺相而猛將來爭;無殺空刑,將弱而庸夫退驟。正時占伏兵,日辰上子、卯、申、巳並刑殺,兼有旺相氣,必有伏兵欲來掩襲,宜備之。若子、卯、申、巳並刑殺陷落空亡、無氣者,伏兵不敢起,且自潛消矣。
これらの神が刑を帯びまた相傷し、且つ旺相の気に当たれば、即ち猛将の前来して鋒を争う有らん。若し凶煞なく・刑がまた空に落つれば、来るは不過弱将庸夫にして、すぐに退走せん。正時を用いて伏兵を占う:日干日支の上に子・卯・申・巳が刑煞と并せて着き、また兼ねて旺相の気なれば、必ず伏兵の来りて掩襲する有らん、当に防備すべし。若し子・卯・申・巳が刑煞と連なりて共に空亡に陷入し・毫も気力なければ、伏兵は敢えて発動せず、自然に消散せん。
三刑五墓,日辰遇而夜防;蛇虎魁罡,支干遭而宿俟。正時占,日辰上見三刑、五墓,將當移營,不然大凶。若辰、戌與白虎、螣蛇臨支干者,皆有伏兵,夤夜來擾營也。
日干日支が三刑・五墓に遇上すれば、夜裡に即ち防備するを要す。干支が螣蛇・白虎・河魁・天罡に遭遇すれば、即ち整夜守候するを得なり。正時を用いて課を起こし、日干日支の上に三刑・五墓を見れば、主将は当に営寨を遷移すべし、さもなければ大凶なり。若し辰・戌が白虎・螣蛇と連なりて日干日支の上に臨めば、皆伏兵有るを主り、深夜に来りて営壘を騒擾せん。
立營心動,青常兮信使將來。下營未定心動者,正時占,日辰上見青龍、太常必有使來。
営を紮る時に心裡忽然と一動し、若し「青竜」「太常」を見れば、是れ信使の将に至らんとする有り。営寨がなお安定せずして心神忽ち動けば、即ち正時を用いて課を起こす:日干日支の上に青竜・太常を見れば、必定に使者の来る有らん。
郊野目瞤,雷卯水子兮淫霖欲就。郊野目瞤者,正時占,見卯、子臨日辰者,有暴雨至,宜置高營防之。若魁罡加臨,必有將至。
郊野の中に於て眼皮が跳動すれば、若し雷に属する卯と水に属する子を見れば、那是連綿たる大雨の将に来らんとするなり。郊野の中に眼皮が跳動すれば、即ち正時を用いて課を起こす:卯・子の日干日支に臨むを見れば、暴雨の到る有り、当に営寨を高き処に紮りて防備すべし。若し「河魁」「天罡」の加臨すれば、必定に将領の到来有らん。
忽被圍繞,日辰陰陽。經云:“傷不傷,視陰陽。”正時,四課日辰之陰陽不備,則主之。交鋒見損,和好無傷。若支干被傷,有爭角之禍。
忽然敵軍に包囲されれば、即ち日干日支の陰神陽神を看よ。経の上に曰く:「傷か傷ならざるかは、陰陽を看る。」正時を用いて課を起こし、四課中に日干日支の陰神陽神が斉備せざれば、即ち困を受くるを主る。若し交鋒すれば即ち損傷有り、和を講ずれば便ち傷なからん。日干日支が若し克傷せられれば、即ち争闘の禍有らん。
凡欲突圍,隨斗罡而可擊;後占出路,從勾制而取強。兵圍欲出,視天罡下,出必通。黃帝云:“兵圍千里,斗道必通。”又云:“出路直向勾陳所制之鄉,方可出。”假令寅、卯為勾陳,利出四季方。又云,當從開星下去,吉。春房卯,夏張午,秋婁戌,冬壁亥。
凡そ突囲せんと欲すれば、即ち天罡の指す所に随いて冲殺せよ。随いて後に更に出路を占い、勾陳の克制する方向に向かって強を取りて突出せよ。囲まれて出でんと欲すれば、即ち天罡の下を看て、彼処より冲せば必ず通ず。黄帝に曰く:「兵に囲まれ千里、斗柄の指す道は必ず通ず。」又曰く:「出路は要ず一直に勾陳の制する方位に向かって走れ、乃ち出で得るなり。」例えば寅・卯が勾陳に乗り、木は土を克すれば、即ち辰戌丑未の四季の方より出づるに利す。なお一説あり:当に「開星」の下より走るべし、吉。開星は春天は房(卯)に在り、夏天は張(午)に在り、秋天は婁(戌)に在り、冬天は壁(亥)に在り。
審察其情,用神傳出於天乙;欲知其義,吾軍可動於龍驤。正時占,初傳在天乙後,傳出天乙前者,可向天罡,出而必利也。
其中の情形を審察せんと欲すれば、即ち用神と三伝とが天乙貴人の処より伝出するか否かを看よ。其中の道理を明白にせんと欲すれば、我軍は便ち神龍の騰躍するが如く出動する可し。正時を用いて課を起こし、初伝が天乙の後に落ちて、而して天乙の前に伝われば、即ち天罡の指す方向に向かって冲出する可く、必然に利有らん。
潛起掠敵,須壯玄神。若乘四季,忌甲乙以東征;曹沖二神,慮庚辛而西問。玄武旺相,能制支干,賊兵必強;若欲掠他,潛伏正時。視玄武之乘神旺相剋日辰者,必捷。假令玄武乘土神,忌甲、乙日發兵,行東方大凶;乘木神,忌庚、辛日西行,餘仿此。
潜行して敵人を劫掠せんと欲すれば、必ず「玄武」を強壮ならしむるを要す。玄武が若し四季の土神に乗ずれば、即ち甲乙の日に東に向かって出征するを忌む。若し「功曹」(寅)「太冲」(卯)の二木神に乗ずれば、即ち庚辛の日に西に向かって行動するを顧慮するを要す。玄武が旺相にして能く日干日支を制すれば、敵兵の強悍を説明す。若し是れ我方が往きて相手を劫掠せんと欲すれば、即ち正時に課を起こして潜伏して事を行え:玄武の乗ずる神が旺相にしてまた日干日支を克するを看れば、必ず成功を獲ん。例えば玄武が土神に乗ずれば、即ち甲の日・乙の日に兵を発するを忌み、東に往けば大凶。玄武が木神に乗ずれば、即ち庚の日・辛の日に西に往くを忌む、其余はこれに照らして類推せよ。
龍頭莫犯,嫌支干以休囚;背腹宜攻,要日辰之旺相。凡攻城,莫攻城之龍頭,必主損將;宜攻城之背腹,必獲捷矣。若日旺相,外氣強,可以攻城;日囚死,內氣強,不可攻擊。陽城,龍頭在亥,尾在巳,腹在魁,背在艮;陰城,龍頭在巳,足在亥,腹在艮,背在魁。一雲背腹在坤艮也。
城を攻むるに「龍頭」を碰る勿れ、怕るは日干日支の休囚に落つるなり。宜しく其の背と腹を攻むべし、但し日干日支が旺相の気を得るを要す。凡そ城を攻むるに、城の龍頭を攻むる勿れ、攻めば必定に主将を折損せん。当に城の背腹を攻むべく、必ず勝捷を獲ん。若し日干が旺相なれば、外来の気の強盛を説明し、城を攻むる可し。日干が囚死なれば、城内の気の強盛を説明し、攻撃すべからず。陽城の龍頭は亥に在り、尾は巳に在り、腹は魁(戌)に在り、背は艮(寅)に在り。陰城の龍頭は巳に在り、足は亥に在り、腹は艮に在り、背は魁に在り。もう一説は背と腹と坤・艮の両維に分かつ。
神法式之昭昭,知軍情之蕩蕩。明視法式,必須清靜心神,研審災祥,惟在精誠感應,苟其禍福之不爽,何憂戰守之無功也耶?
式盤の法は昭然として明白なり、軍情の曲折もまた一覽の餘にあらん。こ一套の法式を看清さんと欲すれば、必ず先ず心神を清靜にして、細細に災祥の徴兆を研究し、關鍵は全て精誠の至り・感じて遂に通ずるに在り。倘若禍福を皆分毫も差なく推断せば、又何ぞ必ず戦と守の成效なきを憂えんや。
金鳳歌
貴為我將干為卒,將位二神是賊兵。我克地時我必勝,他來克我彼還贏。游都賊將兵居處,沖處魯都遊賊攻。方克貴神防細作,貴刑方處急宜沖。將刑地分賊須動,方克將神虜寨寧。貴若克干多便益,干來克貴叛離興。
この一歌の取象は:「貴神」は我方の主将を代表し、遁出の天干は我方の士卒を代表し、将位の上の両箇の神は敵兵を代表す。我方が地盤の神を克住すれば、我は即ち必勝。相手が返って我を克すれば、彼は即ち赢を得ん。「遊都」は敵将の屯兵の処を指出し、遊都と相冲する「魯都」は則ち敵人の遊動兵力の攻撃する所なり。地盤の方が貴神を克すれば、敵人の細作を提防するを要す。貴神が地盤の方を刑すれば、即ち急ぎ出兵して冲击すべし。天将が臨む所の地分を刑すれば、敵人は必定に移動す。地方が天将の神を克すれば、敵人の営寨は返って安穩なり。貴神が若し遁干を克すれば、我方は便宜を多得ん。遁干が返って貴神を克すれば、軍中に叛離の事有らん。
此貴神即游動上來天將是也,不是天乙貴人。干者,游都落地盤上之遁干也。如丁酉日酉將午時,丁日游都在巳,酉加午,巳落寅上,巳上乘六合,干寅上見壬。此起貴人法,只用地臨晝貴,故寅是六合,為我之將與游都。
ここに言う「貴神」は、遊都の所在の処の上面に乗ずる那位の天将を指し、並不是天乙貴人なり。言う所の「干」は、遊都が地盤の那一宮の上に落到して遁出する天干なり。例を挙げて言えば:丁酉の日、酉将を用いて午時に加えて盤を起こす。丁の日の遊都は巳に在り、酉を午の上に加えて順に布せば、巳は即ち地盤の寅の上に落つ。巳の上に乗ずる天将は「六合」、寅の上に遁出する天干は壬なり。ここに貴人を起こすはただ地盤の臨む所の昼貴を用い、故に寅の上は六合、それは既に我方の主将にして、また遊都と同じく一宮に處す。
巳並地盤寅相生,是我之將不制賊,兩相和解。遁干見壬,本為我之士卒,卻克游都之巳火,定主我之士卒能勝也。方與貴相生,占細作無。將與地分不刑,占賊不動。干生貴,占士卒愛戴其主將。亥為魯都在申上,賊有遊兵在於申地,餘仿此。
接続して断ず:巳と地盤の寅木と相生すれば、我方の主将は並不に敵人を克制せず、双方は両相和解するを説明す。遁出の壬水は本来我方の士卒を代表し、それが却って遊都の巳火を克住すれば、那即ち我方の士卒が能く取勝すと断定す。地盤の方と貴神と相生すれば、細作を占えば、是れ細作なし。天将と臨む所の地分と相刑せざれば、敵情を占えば、是れ敵人動かず。遁干が貴神を生ずれば、軍心を占えば、是れ士卒が主将を愛戴す。巳と相冲する亥即ち「魯都」にして、それが申の上に落つれば、敵人に遊動の部隊が申地に在るを説明す。其余の各例はこれに照らして類推せよ。
金鳳戦干歌
占賊之法妙難窮,起成課法自靈通。要知賊寇藏人馬,游都魯都兩干稱。方為賊居將為寇,貴神為我主人兵。干是我軍為裡數,更知賊數百和零。休又言我財為我利,干若受克利須傾。四課之中將克將,不須勞力用辛勤。若更行兵能用計,寇兵一掃蕩胡塵。
敵を占う方法は奥妙無窮にして、ただ課式を起こし成せば自然に霊験通達す。敵寇が人馬を何処に蔵すかを知らんと欲すれば、即ち「遊都」「魯都」とそれらの遁ずる両箇の天干を看よ。地盤の方は敵人の居する所を代表し、天将は来寇を代表し、貴神は我方主人の兵馬を代表す。遁干は我軍を代表し、以て里程を推算し、なお敵兵の確数を推出し、零頭までも知る能し。至於「休」の这一層は、財が我の利を為すを説き、遁干が若し克を受くれば、我の利益は即ち傾覆せん。四課の中に若し天将が天将を克せば、即ち費力して苦戦するに及ばず。若し行軍が更に計を用いるを懂得せば、敵兵は一掃して空しく、胡塵は尽く蕩うなり。
應課還將若來克貴,我當謹衛莫強徵。方來克貴主細作,必有奸謀誘我軍。貴神下克地方位,將軍攻戰莫消停。將若刑方賊移動,晚間逃走似飛星。方若克將敗守寨,故然不動亦難通。
應課の天将が若し来りて貴神を克せば、我方は即ち謹慎に守衛して、強いて出征する勿れ。地盤の方が貴神を克すれば、敵人が細作を派したるを主り、必定に奸謀を用いて我軍を誘引せん。貴神が下に向かって地盤方位を克住すれば、主将は便ち攻戦して停まらざる可し。天将が若し臨む所の方を刑すれば、敵人は一定要して移動し、夜裡に逃ぐること流星の如く速し。地盤の方が若し天将を克すれば、我方は敗退してただ寨を守り、たとい兵を按して動かずとも局面を打通し難し。
干克將兮興人馬,速速前行賊可平。將若刑干賊必勝,我當防衛不宜興。方來克干賊堅固,干若刑方我得贏。神若克干軍易使,干反克貴下不聽。貴神為我干為使,將位二神為賊兵。我克他時宜戰鬥,他來克我不須行。地方名屬游都將,魯都對位賊遊兵。有人精學游都法,何用六韜三略文?
遁干が天将を克すれば、即ち人馬を整頓し、迅速に前進し、敵人は平定する可し。天将が若し遁干を刑すれば、敵人は必勝、我方は当に防守し、兵を発するに宜からず。地盤の方が来りて遁干を克すれば、敵人の営壘は堅固なり。遁干が若し地盤の方を刑すれば、我方は能く赢ん。貴神が若し遁干を克すれば、軍令は推行し易し。遁干が返って貴神を克すれば、部下は即ち號令を聽かざらん。要するに貴神は我方を代表し、遁干は使者を代表し、将位の上の両神は敵兵を代表す:我が彼を克する時は交戦に宜しく、彼が来りて我を克せば即ち出動するに及ばず。地盤の方は遊都の乗ずる将に歸属し、之と相對する魯都は則ち敵人の遊動の兵なり。若し人のこの一揃いの遊都の法を學精せば、何ぞ必ず更に《六韜》《三略》の那些の兵書を讀まんや。
論盜賊方路
甲寅乙卯丙巳宮,丁午戊辰己戌同。庚申辛酉壬亥上,癸子十干定吉凶。天地相合為去路,暗藏人馬捉賊兵。若人會得魯遊法,擒寇如同在掌中。
敵寇の去向を推す天干の配位は:甲は寅に配し、乙は卯に配し、丙は巳に配し、丁は午に配し、戊は辰に配し、己は戌に配し、庚は申に配し、辛は酉に配し、壬は亥に配し、癸は子に配し、この十干を用いて吉凶を定む。天盤の神と地盤の支と相合する処は、即ち敵人の逃走する路なり。これに據りて暗中に人馬を埋伏せば、便ち敵兵を捉える可し。若し能く「魯都」「遊都」のこの一揃いの法門を領會せば、敵寇を擒拿するは自己の掌中に在るが如く易し。
假令十一月丑將戊辰日寅時,占賊人去方。丑加寅順數,至巳上見辰。論此賊人在東南巳地方上去。何以知之?曰:以天地相合,正是賊人所去之方。餘仿此。
例を挙げて言えば:十一月に丑将を用い、戊辰の日・寅時に敵人がいずれの方向に向かって逃走するかを占う。丑を寅の上に加えて順に一周を数え、地盤の巳位に数え至れば、上面に見る所は辰なり。これに據りて敵人は東南方の巳地に向かって往けりと断定す。何を憑りて知るや。回答は:戊は辰に配し、辰と巳とここに正に天盤と地盤の相合を構成し、相合の処即ち敵人の往く所の方位なり。其余の情形はこれに照らして類推せよ。
假令八月辰將已亥日巳時,占賊人去方。以月將加辰,數至亥上見戌,占此賊人在西北亥方向去也。何以知之?曰:“戊己原加辰戌間”,故詳論四課之中皆與天地相合。如此占之,萬無一失。餘仿此。
更に一例を挙ぐ:八月に辰将を用い、己亥の日・巳時に敵人がいずれの方向に向かって逃走するかを占う。月将を加えて盤を転じ、地盤の亥位に数え至れば、上面に見る所は戌なり。これに據りて敵人は西北の亥方に向かって往けりと断定す。何を憑りて知るや。回答は:口訣に「戊己は原より辰戌の間に加わる」と講じ、己は正に戌に配すれば、故に四課の中の天盤地盤の相合する処を細看するを要す。この法子に照らして占えば、万に一つの失もなく、其余の情形はこれに照らして類推せよ。
行軍占異
凡行軍偶遇變,主將心驚者,必占。不異、不疑則不占。其法:以月將加正時,視天上類神所臨何神,以所臨地分之神與日干較其生克,以定吉凶。更以天將計之,則休咎見之矣。
凡そ行軍途中に偶然異変に遇上し、主将の心裡に驚を發する者は、一定要して占う。若し並不に反常と覺えず・心中もまた疑惑せざれば、即ち占うに及ばず。占法は:月将を用いて正時に加えて天盤を転じ出し、天上の其の異事を代表する「類神」がいずれの神の上に落つるかを看て、更に其の臨む所の地盤の神を拿りて日干と生克を比較し、これに據りて吉凶を定む。このほかまた其の乗ずる天将を合并して計算するを要し、吉凶は即ち顕現せん。
天變共之類神,日卯也,月酉也,風寅也,瘴氣申也,雷電巳也。
天象の變異は各々類神有り:太陽の類神は卯、月亮の類神は酉、風の類神は寅、瘴氣の類神は申、雷電の類神は巳なり。占う時は即ちこれらの類神を取りて推せ。
六壬大全卷四終
欽定四庫全書
六壬大全巻五・兵占
時事休咎第一
太歲過建已往事,未過月建在歲前。正值建辰事當歲,神吉則吉凶吝言。魁罡若加太歲上,所主反覆心不安。建,月建也。太歲若過月建前,則事當屬已往,如建在寅,太歲移過卯地。若未過月建,則為未來事,如建在子,太歲尚在亥也。正值月建,事在當歲。若所乘之神吉則事吉,凶則事凶。戌為天魁,辰為天罡,若二神加於太歲之上,主心反覆不安。
當前の時局の吉凶を占うに、先ず太歳と月建の先後を看よ:太歳が月建を越え過ぎれば、問う所の事は已に過ぎ去ったに属す。太歳がなお月建を越え過ぎざれば、事情は即ち太歳の前に在りて・なお未だ到来せず。太歳が正に月建の位に落つれば、事情は即ち本年に應ず。更に其の乗ずる神の吉を看れば、事情は即ち吉。其の乗ずる神が凶なれば、事情は即ち凶、凶の時は言語の間にもまた避忌有るを要す。若し「河魁」「天罡」が太歳の上に加われば、主する所は反復不定・心神不安なり。ここに言う「建」は月建を指す。太歳が若し月建の前に行き至れば、事情は即ち過去に属す、例えば月建が寅に在りて太歳が已に卯地に移るが如し。若し太歳がなお月建を過ぎざれば、即ち未來の事、例えば月建が子に在りて太歳がなお亥に在るが如し。太歳が正に月建に当たれば、事は当年に應ず。戌は天魁、辰は天罡、この両神が太歳の上に加われば、心緒の反復不安を主る。
大殺金神災禍深,支干不逢分野尋。德合旺相仍豐稔,若見刑沖慎刀兵。金神,正月在酉,二月在巳,三月在丑,周而復始。金、殺相遇,災必深,若不見支干上,亦當以所落分野定吉凶;不併,遇亦無害。所到之宮逢德合旺相,歲獲豐稔。若見刑沖,即有刀兵動其上。
「大殺」と「金神」とが同處すれば、災禍は即ち深重なり。それらが若し日干日支の上に落ちざれば、即ち十二分野の中に至りて其の應ずるがいずれの國かを尋ぬべし。落つる所の宮が若し德・合に逢い而且旺相なれば、其の一年はなお豐收なり。若し刑・沖を見れば、即ち刀兵の災を當心するを要す。金神の排法は:正月は酉に在り、二月は巳に在り、三月は丑に在り、此の後は周而復始す。金神が大殺と相遇すれば、災禍は必ず重し。若し日干日支の上に出現せざるとも、また其の落つる所の分野に按じて吉凶を定むを要す。二者が若し并臨せざれば、たとい遇上すともまた妨害なし。それらの到る所の宮が若し德合旺相に逢えば、其の一年は五穀豐登す。若し刑沖を見れば、其の一方は即ち刀兵の興動有らん。
分野:子齊分、青州,丑吳分、揚州,巳楚分、荊州,午周分、豳州,未秦分、雍州,申晉分、益州,酉趙分、冀州,戌魯分、徐州,亥衛分、幷州。
十二地支の配する分野は:子は齊國に属し、青州に對應す。丑は呉國に属し、揚州に對應す。巳は楚國に属し、荊州に對應す。午は周室に属し、豳州に對應す。未は秦國に属し、雍州に對應す。申は晉國に属し、益州に對應す。酉は趙國に属し、冀州に對應す。戌は魯國に属し、徐州に對應す。亥は衛國に属し、并州に對應す。國事・兵事を占うに、即ち凶神がいずれの支に落つるかに按じて、いずれの一方に災有るかを断ず。
筑台選將第二
選將征伐驗將星,三合中字是將軍。假如申子辰為將,旺相休囚看否能。貴德乘常生歲月,武穆曹彬再復生。若乘羊白傷干歲,董卓阿瞞的是真。禍患要知何日克,休囚旺相決年分。
壇を筑き將を拜し・出征の主帥を挑選するに、「將星」を驗すを要す:三合局の中間の其の字即ち將軍なり。例えば申子辰の三合水局、中間の子即ち將星なり。更に其の旺相に當るか休囚なるかを看て、これに據りて此人の能く勝任するか否かを断ず。將星が若し日貴・日德に乗じ、また「太常」に乗じて太歳を生じ・月建を生ずれば、那便是岳武穆・曹彬の一流の良將の再世なり。若し「羊刃」「白虎」に乗じて日干を傷克し・太歳を傷克すれば、那就真に董卓・曹操の一類の人物なり。至於禍患の應ずるがいずれの日に發作するかは、即ち將星の休囚旺相に按じて年月を決定す。
此論將星,專以三合中字。如今日甲申,則子為大將。旺相則為能將,休囚則否。更有日貴日德,乘太歲生歲及日干,是赤心報國,如曹彬岳飛之輩。若乘羊刃白虎傷干及歲,是挾君奸國之臣,如董操之流,不可用也。如此等之人用他,必是有禍患也。以發用之旺相休囚定年月,以“甲己子午九、乙庚丑未八、丙辛寅申七、丁壬卯酉六、戊癸辰戌五、巳亥獨居四”之數加減言之。
この一段は將星を講じ、專ら三合局の中神を取る。例えば今日は甲申の日、申子辰は三合すれば、則ち子即ち大將なり。子が若し旺相の氣に當れば、便ち能耐有る將領なり。若し休囚に落つれば、即ち不行なり。若し將星の上に更に日貴・日德に乗り、并且太歳に乗じて太歳を生じ・日干を生ずれば、那就是一片の赤心にて國に報いる人、曹彬・岳飛の如きなり。若し羊刃・白虎に乗じて日干と太歳を傷克すれば、那就是君主を挾持し・國家を禍亂する奸臣、董卓・曹操の如き人、用いる能わず。こんな人を用いれば、必定に禍患を招來せん。至於應期は、即ち發用の旺相休囚に按じて年月を定め、「甲己子午九・乙庚丑未八・丙辛寅申七・丁壬卯酉六・戊癸辰戌五・巳亥獨居四」のこの一揃いの數目を用いて加減推算す。
右將星之法,成書雖是如此,甚不解其故,則何不以逐月之月將為將星,或用登明為將亦可。不然,太歲為天子,當以歲破為將,取閫外專權、遙對天子之象。又不然,於十二貴神中取勾陳為將,蓋勾陳有擒王捕盜之能,選將者擇之可也。
以上のこの一揃いの將星の取法は、舊書は雖もかくの如く寫れども、其中の道理は卻って索解し難し。旣に然れば、何ぞ乾脆と逐月の月將を用いて將星と當て、あるいは「登明」(亥)を用いて將星と當てるも可ならん。更に然らざれば、太歳は天子を象徴すれば、即ち歲破を拿りて將星と當てるべく、取る所は大將が外に在りて權を專らにし・遥かに天子と相對する意象なり。又然らざれば、即ち十二貴神の裡に「勾陳」を取りて將星と當てよ、勾陳は敵王を擒拿し・盜寇を捕捉する本事有ればなり、將を選ぶ人は妨げずこの幾種の取法の裡より一種を挑んで用いよ。
又看將品,當責用神:用金或金局,則知將有權謀,好殺,好更革。用木或木局,則知將仁慈,以恩待下。用水或水局,則知將聰慧,柔中有剛;若將得玄合主將好色。用火或火局,則知將剛烈性多燥。用土或土局,則知將敦厚,不輕舉動。或以將星所乘決之亦可。支干上神相生比和,主將卒一心;相剋刑害,將卒二志。
更に主將の品性を看るに、即ち用神に責成して斷ずるを要す:發用が金に屬しあるいは金局を成せば、此の將が權謀に富有り・殺伐を好み・舊制を變更するを喜ぶを知る可し。發用が木に屬しあるいは木局を成せば、此の將が仁厚慈愛にして・恩義を以て部下に對するを知る可し。發用が水に屬しあるいは水局を成せば、此の將が聰明機敏・柔中に剛を帶ぶを知る可し。若し天將が「玄武」與「六合」を得れば、則ち此の將の好色を主る。發用が火に屬しあるいは火局を成せば、此の將が性情剛烈にして多く急躁なるを知る可し。發用が土に屬しあるいは土局を成せば、此の將が敦厚穩重にして・輕擧妄動せざるを知る可し。あるいは將星の乗ずる天將を拿りて判斷するも、また可なり。このほか、日干日支の上の神が若し相生しあるいは比和すれば、主將と士卒と同心を主る。若し相克・相刑・相害すれば、將と卒と即ち離心して兩意ならん。
練兵防禦第三
練兵征討有何名,討叛伐逆及夷人。日為主將支為卒,相生訓練有奇能。練兵之意,無非為討叛、伐逆及御夷虜而已。是以日干為將,日支為士卒。若上下相生比和,主士卒就練,將有奇能。若干上乘白虎、病符,主將多病;支上乘之則士卒多病。餘以例推之。
兵を練り戰に備うるは畢竟何の為か。無非は叛賊を討伐し・逆黨を征討し・および外族を抵禦するなり。故に課を占うに日干を以て主將を代表し、日支を以て士卒を代表す。若し上下相生しあるいは比和すれば、士卒の訓練有素・主將もまた過人の才能有るを主る。若し日干の上に「白虎」あるいは「病符」に乗ずれば、主將の多病を主る。これ両者が日支の上に乗ずれば、即ち士卒の多病なり。其余の情形はこれに照らして類推せよ。
裂土相攻分主客,上國征夷察德刑。德勝刑時中華捷,刑反克德邊夷興。日克辰神將制外,辰剋日上外侵城。中國之內自相攻擊,則以先起者為主,後起者為客。若往征夷狄,則分德刑,德為中國,刑為外夷。德勝刑,捷在中國;刑勝德,外夷返強。日上神克辰上神,主將制外;辰上神制日上神,外勝主將。日辰上互相剋賊,勝敗互乘。
境内に割據して互攻すれば、即ち主客を分かつ。上國が外族を征討すれば、即ち「德」與「刑」を察せよ。德が刑に勝れば、捷報は中原に歸す。刑が返って德を克せば、邊地の外族は即ち強盛なり。日干の上神が日支の上神を克すれば、主將は能く外敵を制服す。日支の上神が日干の上神を克すれば、外敵は即ち來りて城を侵さん。中原の境内が自ら相攻伐するに、先に手を動かすを主と為し、後に手を動かすを客と為す。若し是れ兵を出して夷狄を征討すれば、即ち德刑を改用して分かつを要す:德は中國を代表し、刑は外夷を代表す。德が刑に勝てば、勝利は中國の一方に在り。刑が德に勝てば、外夷は返って強橫なり。日干の上神が日支の上神を克するは、主將が外敵を制服するなり。日支の上神が日干の上神を制するは、外敵が主將に勝てるなり。若し日干日支の上下が互相克賊すれば、那就勝敗交替して・各々得失有らん。
辰陰制日宜堅守,日陰克辰宜進兵。勾陳助日扶中國,助辰謹守慎揚旌。太歲作勾乘吉馬,御駕親征四海寧。日尊辰卑,今辰陰返制日,是彼勢勝而我勢弱,宜堅壁待之。若日陰克辰,是我勢強而彼勢衰,宜急進兵攻之。
日支の陰神が日干を制住すれば、即ち堅く守るべし。日干の陰神が日支を克すれば、即ち兵を進むべし。「勾陳」が日干を幫扶するは、中原を扶助するなり。日支を幫扶すれば、即ち営壘を謹守して、輕々しく旗幟を張揚して出戰すべからず。太歳の上に勾陳を作しまた吉將と驛馬に乗ずれば、那是天子の御駕親征・四海安寧の兆なり。日干を尊と為し日支を卑と為す、如今日支の陰神が返って日干を制克するを説明すれば、對方の勢強くして我方の勢弱なり、當に堅壁して固守し・時機を等待すべし。若し是れ日干の陰神が日支を克すれば、我方の勢強くして對方の衰弱を説明す、當に急ぎ兵を進めて攻打すべし。
勾陳將星也,助日是生日也,主中國勝;助辰生辰也,宜謹守。勿揚旌:旌,軍中旗也。太歲勾陳又乘吉將、驛馬,主御駕親征之兆。
勾陳即ち將星なり。それが日干を幫扶するは、日干を生ずるを指し、中原の取勝を主る。それが日支を幫扶するは、日支を生ずるを指し、那就當に謹慎に守御すべし。言う所の「勿揚旌」、旌即ち軍中の旗幟、意は旗を張りて出戰する勿れなり。若し太歳の上に勾陳に乗り、また吉將と驛馬に乗ずれば、那是天子の親自出征の徵兆なり。
敵國動靜第四
欲知敵國有動靜,先以年課審玄機。陽年大吉加歲干,陰年小吉加歲支。貴人陰陽分二至,課傳凶吉可預知。十二國中知災異,法貫諸門莫執泥。歲計合神加月建,陰陽課法一同推。凶神凶將所臨地,此國必然兵犯之。
敵國に動靜有るか否かを知らんと欲すれば、先ず「年課」を用いて其中の玄機を審察せよ:陽年は即ち「大吉」(丑)を太歳の天干の上に加え、陰年は即ち「小吉」(未)を太歳の地支の上に加えよ。貴人は陽貴・陰貴に分かち、冬至・夏至の兩至を界と為して取用し、課体と三伝の吉凶は即ち預知する可し。この一課を用いて十二の邦國の災異を推すに、其の法門は各家を貫通し、必ずしも一説を死守せず。若し年に按じて推算せば、即ち太歳の合神を月建の上に加え、陰陽兩課の推法は完全に一樣なり。凶神凶將の臨む其の一塊の地は、其の國家は必定に兵禍の來犯有らん。
十二國中知災異法:上起十二國,即地臨十二宮之分野,看是何星煞落何宮分,以驗災異。又以歲合加月建,立成四課三傳,貴人俱從月起,以觀何月起兵,並敵國何種災異也。火主旱,水主澇,金主兵,木主風主飢,土主病。主事神煞細定之。
十二邦國の災異を推す方法は:先ず盤上に十二國を排定し、即ち地盤十二宮の各々の配する分野、更に看る是れいずれの星煞がいずれの宮の分野に落つるか、これに據りて災異を驗斷す。別の一法は太歳の合神を月建の上に加え、四課三伝を立成し、貴人は一律に月建より起こし、以ていずれの月に兵を起こすか・および敵國にいずれの類の災異が發生するかを觀察す。五行の主する所は各々同じからず:火は旱災を主り、水は水澇を主り、金は兵禍を主り、木は風災と饑荒を主り、土は疾疫を主る。至於具體の應驗は、なお主事の神煞に按じて細細に判定するを要す。
出師擇吉第五
擇吉天罡加月建,看其神覆用其軍。歲對登明神后下,歲前沖覆酉兼申。河魁臨處為天府,歲後仍須仰見寅。天倉大吉加堪用,餘外相逢不利人。
出師の吉日を擇ぶ法子は「天罡」(辰)を月建の上に加えて盤を転じ、諸神がいずれの位置に覆うかを看て、これに據りて軍隊を調度す。「登明」(亥)「神后」(子)の覆う所の下は、「歲對」なり。申・酉の覆う所の下は、「歲前」なり。「河魁」(戌)の臨む處は、「天府」なり。なお頭を擡げて寅の臨む處を看れば、那是「歲後」なり。「大吉」(丑)の加わる處は「天倉」にして、また堪えて用うべし。これ幾處を除くの外、其余の諸神の臨むは即ち皆人に利あらず。
天罡加月建,申酉臨處是歲前,即定、執二日也;戌臨處是天府,即破日;亥子臨處是歲對,即危、成二日也;丑臨處是天倉,即收日也。寅臨處是歲後,即開日也。此雖前人所擬,但建破魁罡,犯之大凶,須參合用之。《集聖曆》云:“天倉者,大吉加歲神后下。建星,正月起寅,順行十二辰。”
天罡を月建の上に加えた後:申・酉の臨む處を「歲前」と曰い、即ち建除十二値の裡の定日と執日。戌の臨む處を「天府」と曰い、即ち破日。亥・子の臨む處を「歲對」と曰い、即ち危日と成日。丑の臨む處を「天倉」と曰い、即ち收日。寅の臨む處を「歲後」と曰い、即ち開日。この一揃いの配法は雖も前人の擬せる所なれど、但し建日・破日および河魁・天罡の本身は、犯せば皆大凶、必ず參酌して合看して後用いるを要す。《集聖暦》に曰く:「言う所の天倉は、大吉が太歳神の後の位置に加わるなり。建星の排法は、正月は寅より起こり、順行して十二辰を経る。」
乙戊己辛壬五日,四仲相加九丑神。將軍此日休出馬,只恐難逃血染塵。乙巳丙辰丁巳日,癸亥不祥勿陳兵。建寅逢六卯當七,累數加之絕氣神。更有往亡須避忌,不忌前途傷害人。莫犯章光四絕日,勿用空亡五帝辰。
乙・戊・己・辛・壬のこの五箇の日干は、若し子午卯酉の四仲の支に配すれば、即ち「九丑」の日を構成す。將軍はこの種の日子に於て出馬すべからず、ただ怕るは血に沙場を染めるを免れ難きなり。乙巳・丙辰・丁巳の三日および癸亥日は皆不吉利にして、これらの日子に於て兵を陳ねて出戰する勿れ。月建が寅に在る正月は初六を忌み、卯月は初七を忌み、此の後月を逐うて累加して一日、その便是「絶氣」の神の當値する日なり。このほかまた「往亡日」有りて必ず避忌するを要し、避諱せざれば、前面の路途の上に人の傷害を受くること有らん。又「章光」「四絶」の兩種の凶日を觸犯する勿れ、更に空亡の日と「五帝辰」を用いる勿れ。
六旬忌日,出《六壬心鏡》,正月六日、二月七日、三月八日、四月九日、五月十日、六月十一、七月十二、八月十三、九月十四、十月十五、十一月十六、十二月十七,俱不宜出軍。往亡,正寅、二巳、三申、四亥、五卯、六午、七酉、八子、九辰、十未、十一戌、十二丑。
言う所の「六旬忌日」は、《六壬心鏡》に出づ、月を逐うて遞增して一日:正月は初六を忌み、二月は初七を忌み、三月は初八を忌み、四月は初九を忌み、五月は初十を忌み、六月は十一を忌み、七月は十二を忌み、八月は十三を忌み、九月は十四を忌み、十月は十五を忌み、十一月は十六を忌み、十二月は十七を忌み、これらの日子は皆出兵に宜からず。「往亡日」の排法は則ち:正月は寅日に在り、二月は巳日、三月は申日、四月は亥日、五月は卯日、六月は午日、七月は酉日、八月は子日、九月は辰日、十月は未日、十一月は戌日、十二月は丑日。
章光煞,孟月乙丑,仲月丙寅,季月甲子。春庚午、庚申、乙亥,夏壬戌、丙寅、丁亥,秋甲辰、乙丑、辛亥,冬丙午、壬辰、癸亥,以上四絕日,亦名四窮日。一說,四絕日,四立前一日是。
「章光煞」の排法は:孟月は乙丑日、仲月は丙寅日、季月は甲子日。「四絶日」は則ち季節に按じて排す:春季は庚午・庚申・乙亥、夏季は壬戌・丙寅・丁亥、秋季は甲辰・乙丑・辛亥、冬季は丙午・壬辰・癸亥、この幾日はまた「四窮日」と稱す。別に一種の説あり、四絶日即ち立春・立夏・立秋・立冬のこの四立の各自の前一日なり。
空者,旬中空亡也。五帝日,正卯、二午、三酉、四子,周而復始。《克應經》云:“凡占空亡發用,不宜出軍,主士卒走散,空壁而歸。”
歌訣の裡の「空」は、旬中の空亡を指す。「五帝日」の排法は:正月は卯に在り、二月は午、三月は酉、四月は子、此の後周而復始す。《克應經》に曰く:「凡そ空亡を占得して發用せば、皆出兵に宜からず、士卒の走散逃亡・営壘の空空として退り回るを主る。」
擇歲月日時法,忌沖太歲、金神。若為主,侯太白金星,東方見之月;若為客,候太白金星,西方見之月。其月出軍,仍避沖旺方。
年・月・日・時を擇取する通法は:太歳を沖犯するを忌み、また金神を沖犯するを忌む。若し我方が「主」なれば、即ち太白金星が東方に出現する其の月を待て。若し我方が「客」なれば、即ち太白金星が西方に出現する其の月を待て。其の月に出兵すれば、なおもとより太歳と相沖する方位と當令の旺方を避開するを要す。
出軍凶日:天火狼藉日,正月在子順行四仲。日月蝕日凶。八龍、七鳥、九虎、十蛇日凶,春甲子乙亥為八龍,夏丙子丁亥為七馬,秋庚子辛亥為九虎,冬壬子癸亥為十蛇。歸忌日凶,正丑、二寅、三子、四丑周而復始。建日損將。
以下に出兵の各種の凶日を開列す。「天火狼藉日」は、正月は子より起こり、此の後子午卯酉の四仲の位に沿って輪排す。日食・月食の日は凶。「八龍」「七鳥」「九虎」「十蛇」の四種の日子もまた凶なり:春季の甲子・乙亥を八龍と曰い、夏季の丙子・丁亥を七馬と曰い、秋季の庚子・辛亥を九虎と曰い、冬季の壬子・癸亥を十蛇と曰う。「歸忌日」は凶、正月は丑に在り、二月は寅、三月は子、四月はまた丑に回り、かくの如く周而復始す。建日に出兵すれば主將を折損せん。
天罡天魁凶。天罡,正月巳、二月午、三月未、四月申、五月酉、六月戌、七月亥、八月子、九月丑、十月寅、十一月卯、十二月辰;對沖為天魁。平、收日凶,天罡即平,天魁即收。兵禁日凶,正月起寅逆行六陽。大敗日,與咸池同,不宜出軍,正月起卯逆行四仲。
「天罡」の日と「天魁」の日は皆凶。天罡の月排法は:正月は巳に在り、二月は午、三月は未、四月は申、五月は酉、六月は戌、七月は亥、八月は子、九月は丑、十月は寅、十一月は卯、十二月は辰。之と相沖する其の一支即ち天魁。平日・收日もまた凶、天罡の値する所即ち平日、天魁の値する所即ち收日。「兵禁日」は凶、正月は寅より起こり、六箇の陽支に沿って逆行す。「大敗日」は「咸池」と位を同じくし、出兵に宜からず、正月は卯より起こり、四仲の位に沿って逆行す。
四離,春分、秋分、夏至、冬至前一日為離日,若占時日躔臨於四離之辰,名曰天寇,大凶。月厭,正月起戌,逆行十二辰,凶。受死日,正戌,二辰,三亥,四巳,五子,六午,七丑、八未、九寅、十申、十一卯、十二酉。
言う所の「四離」は、春分・秋分・夏至・冬至のこの四箇の節氣の各自の前一日なり。若し占時に太陽の躔る位置が正に四離の辰の上に落つれば、即ち「天寇」と曰い、大凶なり。「月厭」は、正月は戌より起こり、逆行して十二辰を経て、之に値えば凶なり。「受死日」の排法は:正月は戌に在り、二月は辰、三月は亥、四月は巳、五月は子、六月は午、七月は丑、八月は未、九月は寅、十月は申、十一月は卯、十二月は酉。
龍虎日凶,正巳、二亥、三午、四子、五未、六丑、七申、八寅、九酉、十卯、十一戌、十二辰。罪至日凶,正午、二子、三未、四丑、五申、六寅、七酉、八卯、九戌、十辰、十一亥、十二巳。飛廉大煞日凶,正戌、二巳、三午、四未、五申、六酉、七辰、八亥、九子、十丑、十一寅、十二卯。
「龍虎日」は凶、その排法は:正月は巳に在り、二月は亥、三月は午、四月は子、五月は未、六月は丑、七月は申、八月は寅、九月は酉、十月は卯、十一月は戌、十二月は辰。「罪至日」は凶、排法は:正月は午に在り、二月は子、三月は未、四月は丑、五月は申、六月は寅、七月は酉、八月は卯、九月は戌、十月は辰、十一月は亥、十二月は巳。「飛廉大煞日」は凶、排法は:正月は戌に在り、二月は巳、三月は午、四月は未、五月は申、六月は酉、七月は辰、八月は亥、九月は子、十月は丑、十一月は寅、十二月は卯。
五不歸日,正月己卯、戊辰、己酉,二月辛巳、丙戌、辛亥,三月壬子、己卯、丙申、己酉,四月已卯、丙辰、壬辰、辛酉,五月壬辰、辛巳、丙申、庚申、辛亥,六月已卯、辛巳、丙申、庚申、已酉、辛亥,七月壬子、己卯、壬辰、辛酉、丙戌,八月丙辰、壬辰、辛巳、丙申、庚辰、己酉、辛酉、辛亥,九月丁亥,十月庚戌、丙辰、辛巳、丙戍,十一月壬子、己卯、丙辰、己酉、辛酉、丙戌,十二月丙辰、庚辰、丁巳、辛巳、丙戌、丁亥。
「五不歸日」は出兵して往きて回らざるの忌日、月に按じて開列して下の如し。正月は己卯・戊辰・己酉を忌み、二月は辛巳・丙戌・辛亥を忌み、三月は壬子・己卯・丙申・己酉を忌み、四月は己卯・丙辰・壬辰・辛酉を忌み、五月は壬辰・辛巳・丙申・庚申・辛亥を忌み、六月は己卯・辛巳・丙申・庚申・己酉・辛亥を忌み、七月は壬子・己卯・壬辰・辛酉・丙戌を忌み、八月は丙辰・壬辰・辛巳・丙申・庚辰・己酉・辛酉・辛亥を忌み、九月はただ丁亥を忌み、十月は庚戌・丙辰・辛巳・丙戌を忌み、十一月は壬子・己卯・丙辰・己酉・辛酉・丙戌を忌み、十二月は丙辰・庚辰・丁巳・辛巳・丙戌・丁亥を忌む。
六不成日,一雲大敗日,正寅,二午,三戌,四巳,五酉,六丑,七申,八子,九辰,十亥,十一卯,十二未。八絕日:正月庚辰,二月丁巳、丙戌、庚戌、辛亥,三月辛巳,四月丙辰、庚辰、庚戌,五月丙辰、庚辰、辛巳、庚戌、丁亥,六月辛巳、丁亥,七月庚辰、庚戌,八月丙辰、庚辰、丁巳、辛巳、丙戌、丁亥,九月丁亥,十月庚戌、丙辰、辛巳、丙戌、庚戌,十一月丙辰、庚辰、辛巳、丙戌、丙戌、庚戌、丁亥,十二月辛巳。
「六不成日」は、人あるいは之を大敗日と曰い、月に按じて排して:正月は寅に在り、二月は午、三月は戌、四月は巳、五月は酉、六月は丑、七月は申、八月は子、九月は辰、十月は亥、十一月は卯、十二月は未。「八絶日」は月に按じて開列して下の如し:正月はただ庚辰のみ。二月は丁巳・丙戌・庚戌・辛亥。三月はただ辛巳のみ。四月は丙辰・庚辰・庚戌。五月は丙辰・庚辰・辛巳・庚戌・丁亥。六月は辛巳・丁亥。七月は庚辰・庚戌。八月は丙辰・庚辰・丁巳・辛巳・丙戌・丁亥。九月はただ丁亥のみ。十月は庚戌・丙辰・辛巳・丙戌。十一月は丙辰・庚辰・辛巳・丙戌・庚戌・丁亥。十二月はただ辛巳のみ。
六窮日,每月初四、十九、二十八日是。行痕,即建日。了戾,即破日。
「六窮日」は、即ち每月の初四・十九・二十八のこの三天なり。別に兩箇の別名有りて認清するを要す:言う所の「行痕」は、指す所は建日。言う所の「了戻」は、指す所は破日なり。
出兵擇門第六
出陣吉門宜善擇,子孫為我報仇時。更兼命門相生吉,一鼓擒王只在茲。出師以聞驚日為母,宜以子孫時,出子孫門擊之,大勝。
出陣の走る所の吉門は好好に挑選し、「子孫」の那一行の時辰と方位を取れば、即ち我方の為に替わりて讎に報ゆるに等し。若し出ずる所の門の上神が更に主將本命の上の神と相生すれば、更に吉、一鼓作氣して敵王を擒拿するは此の擧に在り。出師は警報を聞いた其の日を以て「母」と為し、其の生ずる所の子孫の時に於て、子孫の屬する門より出兵して打ち往くに宜しく、必ず大勝を獲ん。
假如甲乙聞賊寇境,取火命人舉紅旗,或巳午時,從南門出兵,乃是子孫為報仇,火為木之子也。忌金命人、申酉時、出西門,俱不利。餘仿此。若所出之門上神與大將命上神相生,更吉。
例を擧げて言えば:甲の日・乙の日に敵人が入境したと聞けば、甲乙は木に屬し、木は火を生ずれば、即ち火命の人を派して紅旗を擧げ、あるいは巳時・午時に於て、南門より出兵すれば、これ即ち子孫を用いて我に替わりて讎を報ずるなり、火は木の生ずる子なればなり。反對に金命の人を忌み用い・申時酉時を忌み・西門より出兵するを忌むべし、金は木を克し、皆不利なり。其余の各干はこれに照らして類推せよ。このほか、若し出ずる所の門の上の神が主將本命の上の神と相生すれば、那就更に吉なり。
行擇吉道第七
行擇吉道看玄神,玄神受克最堪嗔。月將加時罡指處,前行通利自安平。凡行兵,看玄武受克之方,不可往。假如玄武乘巳午,則亥子方不可往。惟斗罡所指之地大吉。如甲子日巳將午時,罡指東南巳地,宜行。
行軍に路を擇ぶは「玄武」を看るを要し、玄武が克を受くる其の一方は最も嫌忌するを要す。月將を占時に加えて盤を轉じ、天罡の指す處は、前に向かって走れば通利平安なり。凡そ行軍は、先ず玄武の克を受くる方位を看よ、彼處は往く可からず。例えば玄武が巳・午の火に乘ずれば、火は水を怕る、則ち亥・子のこれら水に屬する方位は即ち往く可からず。ただ斗罡の指す地方のみ大吉なり。例えば甲子の日に巳將を用いて午時に加えれば、天罡は東南の巳地を指向す、即ち彼處より行軍するに宜し。
軍行擇路豈多途?更以陰陽作歲模。陽年大吉加干上,陰歲還將小吉鋪。丙壬之下為人道,甲庚之下是天居。其法又論歲之陰陽擇吉,陽歲以大吉加太歲,陰年以小吉加太歲,尋天上丙壬甲庚之下為行兵之路,吉。假如甲午年以大吉加子,向未戌辰丑方,合甲庚丙壬之方。癸卯年以小吉加卯,向未辰戌丑方,合甲庚丙壬之方。蓋甲課在寅,庚課在申,丙課在巳,壬課在亥,寅申巳亥所臨之方是也。餘俱不利。
行軍に路を擇ぶは豈にただ一条の門徑ならんや。還可按じて年の陰陽によりて別に一格を立つ:陽年は「大吉」(丑)を太歲の干の上に加え、陰年は「小吉」(未)を太歲の上に鋪す。天盤を轉じ出せば、丙・壬の下は「人道」、甲・庚の下は「天道」なり。この一法は太歲の陰陽に按じて吉を擇ぶ:陽年は大吉を太歲に加え、陰年は小吉を太歲に加え、然る後に天盤上の丙・壬・甲・庚の落つる下を尋ねて、以て行軍の路と為し、吉なり。例えば甲午年は、大吉を子の上に加えて盤を轉ぜば、即ち未・戌・辰・丑の幾箇の方位に向かって走り、正に甲庚丙壬の位に合す。癸卯年は、小吉を卯の上に加え、また未・辰・戌・丑の幾方に向かって走り、同じく甲庚丙壬の位に合す。甲の寄宮は寅に在り、庚の寄宮は申に在り、丙の寄宮は巳に在り、壬の寄宮は亥に在り、指す所は即ち寅申巳亥の臨む方なればなり。これ以外の方位は皆不利なり。
水陸吉凶第八
出行日吉陸宜之,支吉宜舟水路施。干忌卯辰卯忌子,尤防支上克干時。日,日干也。支,支辰也。日吉,日上見吉神吉將也。支吉,是辰上見吉神吉將也。日為陸路,辰為水路。日吉宜陸,辰吉宜水。若支吉干有傷,只宜水,不宜陸。《兵將賦》云:“支吉干傷,水面通船而地陰是也。”
出行の時日干が吉なれば即ち陸路を走るに宜しく、日支が吉なれば即ち船に坐りて水路を走るに宜し。日干の上は卯・辰を見るを忌み、地盤卯の上は子を見るを忌み、なかんずく日支の上神が日干を克する情形を防ぐを要す。ここに言う「日」は日干を指し、「支」は日支を指す。「日吉」は日干の上に吉神吉將を見るをいい、「支吉」は日支の上に吉神吉將を見るをいう。日干は陸路を代表し、日支は水路を代表す:日干が吉なれば即ち陸路を走り、日支が吉なれば即ち水路を走れ。若し日支が吉にして日干が傷を受くれば、那即ちただ水路を走るに宜しく、陸路を走るに宜からず。《兵將賦》に曰く:「日支吉にして日干傷を受くれば、即ち水面より船を行ぜよ、這正是地陰の象なり。」
卯太沖,辰天罡,干忌卯辰,謂干上忌見太沖、天罡也。子神后也,卯忌子,謂地盤卯上忌見神后;蓋有舟揖,故忌水神在上覆之。《兵帳賦》云:“日忌罡沖”是也。又云:“欲渡江河,支傷莫入。”故支上莫克支。
卯即ち「太冲」、辰即ち「天罡」。言う所の日干が卯辰を忌むは、日干の上に太冲・天罡の兩神を見るを忌むを説くなり。子即ち「神后」、言う所の卯が子を忌むは、地盤の卯位の上に神后の壓臨を見るを忌むを説くなり、卯は舟楫を代表すれば、故に水神の其の上に覆うを怕るなり。《兵帳賦》に「日は罡冲を忌む」と曰う、講ずる所は正にこのなり。それがまた曰く「江河を渡らんと欲すれば、日支が傷を受くれば即ち水に下る勿れ」、故に日支の上の神は日支を克すべからず。
畏河臨井子加歲,亥季宜舟孟神稽。己卯戊寅二日惡,水龍三日避休趨。壬癸子為三河,卯酉辰為三井,三河有一河加井,不可渡。歲,太歲也。神后忌加太歲之上。《兵帳賦》曰:“天河加井以沉波,太歲遭虛而禍起。”假令亥臨酉,為河覆井,防有沉溺之災。亥即壬也,不看課傳。四季,辰戌丑未,亥加四季,被土制之,則水路吉,故宜舟。若途聞有以羊酒犒軍者,若白虎乘魁罡加日,主有強人當路。
最も怕るは天河が地井の上に壓し、また「神后」(子)が太歲の上に加わるを怕る。亥が四季の位に加われば即ち船を行くに宜しく、四孟に加われば即ち一停するを要す。己卯・戊寅の兩日は好からず、「觸水龍」の三天は更に躲开するを要す。壬・癸・子は天上の三河、卯・酉・辰は地上の三井、三河の中ただ一条が井の上に加われば、即ち水を渡る可からず。「歲」は太歲を指し、神后は太歲の上に加わるを忌む。《兵帳賦》に曰く:「天河が井に加われば即ち船を沈め浪を翻し、太歲が虚に遭えば禍事便ち起こらん。」例えば亥が酉の上に臨めば、即ち河が井を覆う、沉溺の災を防ぐを要す。ここに亥即ち壬水、ただ天地盤を看て、課傳を看ず。四季は辰・戌・丑・未を指し、亥が四季の上に加わりて土に制せられれば、水路は返って吉、故に船を行くに宜し。若し途中に人の羊酒を以て軍を犒せんとすると聞かば、而して「白虎」がまた河魁・天罡に乘じて日干に加臨すれば、那は路上に強人の道を攔む有るを主る。
野宿安營第九
野宿行疲欲建營,干支怕墓及三刑(卯辰巳兵家所忌)。將逢龍虎多生恐,神遇魁罡定有驚。若還大吉臨干上,急往他圖莫遽停。安營之際,干支乘墓,主士卒不寧。墓神,春未、夏戌、秋丑、冬辰。
野外に宿營し、行軍疲乏して寨を紮る時、最も怕るは日干日支の上に墓神と三刑を見る、卯・辰・巳の三支は正に兵家の忌む所なり。天將が若し龍・虎に遇えば、多く恐懼を生ぜん。天神が若し河魁・天罡に遇えば、一定有して驚擾有らん。倘若「大吉」(丑)が日干の上に臨到せば、即ち急ぎ別に打算を作し、停留する勿れ。営を安んずる時、日干日支に墓神に乘れば、士卒の安寧を得ざるを主る。墓神は春季の未・夏季の戌・秋季の丑・冬季の辰なり。
兵家以卯辰巳為三刑,若臨日辰上,主本夜有賊兵至劫營,宜防之。外又有五行三刑。如子日忌卯,卯日忌子;丑日戌,戌日未,未日丑;寅日巳,巳日申,申日寅;辰午酉亥自見。此等亦並忌之。兵書云:“五刑五墓,日辰逢而夜防賊至。”
兵家は卯・辰・巳を看て三刑と作し、若しそれらが日干日支の上に臨めば、當天夜裡に敵兵の來りて営を劫する有るを主り、當に防備すべし。このほかまた五行の三刑有り:子の日は卯を忌み、卯の日は子を忌む。丑の日は戌を忌み、戌の日は未を忌み、未の日は丑を忌む。寅の日は巳を忌み、巳の日は申を忌み、申の日は寅を忌む。辰・午・酉・亥は則ち自刑、各々本支を見れば即ち是れなり。これらもまた一幷に忌むを要す。兵書に曰く:「五刑・五墓は、日干日支の上に一たび遇えば、夜裡に即ち敵兵の來襲を防ぐを要す。」
戌為魁,辰為罡,二辰名為天羅地網,支干逢主士卒恐怖。更天將得蛇虎,重遽驚惶,本夜必有軍至,逢劫煞其害尤甚。故兵書云:“若但魁罡為恐怖,將兼蛇虎禍尤深。”此之謂也。大吉丑也。若支干上見丑字加臨,最凶,安營必被賊劫,急往尋善地可也。若非丑字,無妨。故《兵帳鉤玄》云:“不臨斯將盡堪停。”斯,將指大吉也;初傳亦忌之。
戌は河魁、辰は天罡、この兩支は合わせて「天羅地網」と稱し、日干日支の上に遇えば、士卒の恐懼不安を主る。若し天將がまた螣蛇・白虎なれば、那就驚惶は加倍し、當夜に必ず敵軍の到来有らん。更に劫煞に逢上せば、害處は更に大なり。故に兵書に曰く:「單は魁罡なれば够く人を恐怖せしめ、天將が更に兼ねて螣蛇白虎なれば、禍患は就更に深し。」講ずる所は正にこのなり。「大吉」即ち丑なり。若し日干日支の上に丑字の加臨を見れば、最も凶、営を紮れば必定に敵人の來りて劫する有らん、當に急ぎ別に好き地方を尋ぬべし。若し丑字ならざれば、即ち妨礙なし。故に《兵帳鉤玄》に曰く:「この一將に臨まざれば、即ち皆停駐する可し。」ここに言う「斯將」は指す所は大吉なり。初傳の上に之を見るも、同じく忌むを要す。
大將居方第十
主帥宜居貴旺臨,亭亭豹尾大將軍。登明卯酉青常後,除定開危與世明。太歲直居並月建,又宜歲後太陰神。玉前絳後明中利,百戰都能奏凱音。貴,天乙貴人也。旺臨,謂天乙臨地盤旺地。假令六月辛酉日陽貴在午,臨巳是為旺地,主將宜立巳地,向西北安營,中敵大勝。
主帥は當に天乙貴人の旺に臨む地に駐り、あるいは「亭亭」「豹尾」「大將軍」の幾箇の神位の上に駐るべし。また「登明」(亥)・卯・酉を取るも可、あるいは青龍・太常・貴人の後二位を取るも可。更に除・定・開・危の四位を加え、これらは皆世の公認する吉方なり。太歲と月建の値する位・太歲の後の太陰の位もまた居るに宜し。至於玉堂の前・絳宮の後・明堂の中は、皆利有り、これに據りて百戰して皆凱を奏する能し。ここに言う「貴」は天乙貴人、「旺臨」は天乙が地盤の旺地に臨むを説くなり。例えば六月辛酉の日、陽貴は午に在り、午が巳位に臨むは正に旺地、主將は即ち巳地に立ち、西北に向かって営を安んじ、敵を迎えて大勝すべし。
月將加時,神后落處為亭亭。豹尾者,申子辰年在戌,巳酉丑年在未,寅午戌年在辰,亥卯未年在丑。其沖名黃幡。大將軍,三年一移,孟歲以午、仲歲以未、季歲以申加太歲天罡不是也。捷法:寅卯辰年在子,巳午未年在卯,申酉戌年在午,亥子丑年在酉。
月將を占時に加えて盤を轉じ、「神后」(子)の落つる處即ち「亭亭」の位なり。「豹尾」の排法は:申子辰年は戌に在り、巳酉丑年は未に在り、寅午戌年は辰に在り、亥卯未年は丑に在り。豹尾と相沖する其の一位を「黃幡」と曰う。「大將軍」は三年に一度位を移し、舊法は孟年は午を用い・仲年は未を用い・季年は申を用いて太歲の上に加えて取る、天罡を用いて加ゆるは不對なり。簡捷の算法は:寅卯辰年は子に在り、巳午未年は卯に在り、申酉戌年は午に在り、亥子丑年は酉に在り。
以上三神俱宜大將居之,又以天上亥為大將軍,卯為左將軍,酉為右將軍,子為後將軍,五將各因時移居其位。如月將加時,天盤亥子臨酉上,正西安營吉,亥臨卯上,正東安營吉。但以亥所臨之方為主,不拘子午卯酉十二方也。如有事,大將居亥下,前後左右分兵總之,大勝。此法出《兵機總要》。
上面のこの三箇の神位は、主將は皆駐紮する可し。別に一法あり:天盤の亥を以て大將軍と為し、卯を左將軍と為し、酉を右將軍と為し、子を後將軍と為し、この幾位の將は各々時辰に随いて本位に移居す。例えば月將を占時に加え、天盤の亥・子が酉の上に臨到せば、即ち正西に営を安んじて吉と為す。亥が卯の上に臨到せば、即ち正東に営を安んじて吉と為す。要するに亥の臨む所の方位を以て主と為し、必ずしも子午卯酉などの十二箇の固定方位に拘泥せず。一旦事有れば、主將は亥の下に居り、前後左右に兵を分かちて拱衛せば、必ず大勝を獲ん。此法は《兵機總要》に出づ。
太陰,天乙後二位是也。月建前一日為除,四日為定,七日為危,十日為開日,為天上除定開危之方。《兵帳賦》云:“青常六合,大梁大火以同居;除定開危,主將其位而喜在。”大梁,酉也。大火,卯也。太陰在太歲後二位也。
言う所の「太陰」は、即ち天乙貴人の後の第二位なり。月建より前に数うて第一天は除日、第四天は定日、第七天は危日、第十天は開日、この四日の對應する位置即ち天盤上の除・定・開・危の方なり。《兵帳賦》に曰く:「青龍・太常・六合と大梁・大火とが同じく一宮に處す。更に除・定・開・危の四位に逢えば、主將が彼處に駐在すれば即ち喜有り。」大梁は酉、大火は卯なり。太陰もまた太歲の後の第二位を取る可し。
《玉帳經》云:“入敵境下營,宜擇善地;上將宜太歲、太陰、大將軍、月建、豹尾、九天之上。”九天者,春寅、夏巳、秋申、冬亥,即戰雄是也。如大將在亥,春臨寅,夏臨巳,秋臨申,冬臨亥。在九天之上,臨雄位可以取勝者。其位分不便,則有背雄向雌之法,安營於戰雄天盤上神也。此為大將而言,若別將,取月支上神方向安營。
《玉帳經》に曰く:「敵境に入りて営を紮らば、好き地方を挑選するを要す。主將は當に太歲・太陰・大將軍・月建・豹尾・九天の幾箇の神位の上に駐るべし。」言う所の「九天」は、春寅・夏巳・秋申・冬亥、即ち「戰雄」なり。例えば大將軍が亥に在れば、春天は寅に臨み、夏天は巳に臨み、秋天は申に臨み、冬天は亥に臨み、九天の上に駐り・雄位に臨めば、即ち能く取勝す。若し其の位置の地形が不便なれば、また「雄を背けて雌に向かう」の辦法有り、即ち営を戰雄の在る天盤上の神の處に安んずべし。これは主將に就て言う。若し別部の將領なれば、即ち月支の上神の指す方向を取りて営を安んずべし。
以上十七神臨處,主將俱宜居之,是在擇者。若《運珠經》之所謂“繹宮利中,明堂利前,玉堂利後。”闕疑以俟高明。
以上一共に十七箇の神の臨む處は、主將は皆駐紮する可し、具體にいずれの一處を取るかは、即ち方を擇ぶ人の斟酌を看れ。至於《運珠經》の説く所の「絳宮は中に居るに利し、明堂は前に居るに利し、玉堂は後に居るに利す」、其の説の來歷は明らかならず、姑く疑を存じ、高明の人の判斷を留待す。
貯營糧草第十一
行兵糧草最居先,月將加時方上看。堆積秦吳為美地,天盤丑未細詳端。兵行而糧食隨之,故大將居方既定,即料理糧草之處。法以天盤丑未下為吉,蓋丑為斗,未為井,糧草居此,永無耗渙之患。秦即未,吳即丑。又必玄武賊盜不臨之地為吉(盜神,正月在卯順行四仲。賊神,春卯、夏午、秋酉、冬子。劫殺,正月在亥,逆行四孟。天盜,春巳夏午秋酉冬子)。
行軍して戰を打つに、糧草は頭等の大事、月將を用いて占時に加えて天盤を轉じ出し、方位を看て以て定むるを要す。堆放するに秦・吳の兩處の分野は即ち好き地方、天盤の丑・未の兩位は細細に推詳するを要す。軍隊が一たび動けば、糧食即ち跟うて上らざるを得ず、故に主將の駐地が一たび定まれば、緊接して糧草の存放の處を安排するを要す。取法は天盤丑・未の臨む下を以て吉と為す、丑の中に斗宿あり・未の中に井宿あり、糧草をここに放れば、永遠に損耗散失の患有る能わざればなり。秦即ち未、吳即ち丑なり。このほかまた必ず玄武と各種の盜賊の神の臨まざる地方を選んで乃ち吉なり。これらの盜賊の神は:「盜神」は正月は卯に在り、四仲の位に順いて輪排す。「賊神」は春は卯・夏は午・秋は酉・冬は子に在り。「劫殺」は正月は亥に在り、四孟の位に逆りて輪排す。「天盜」は春は巳・夏は午・秋は酉・冬は子に在り。
潛伏士卒第十二
設伏如逢子丑神,可藏萬卒沒人尋。卯千酉百宜先備,歇息潛形望丙壬。太歲太陰與月建,又宜潛向大將軍。四神之下藏兵吉,主將亭亭候賊音。糧草既定,又當安歇士卒。天上神后、大吉之下,可藏萬人。太沖之下可藏千人。從魁之下可藏百人。
埋伏を設くるに若し子・丑の兩神に遇上せば、萬名の士卒を蔵り下さる可くして人の察覺する者なし。卯の下は千人を蔵る可く、酉の下は百人を蔵る可し、皆預め安排するを要す。休息して形を蔵さんと欲すれば、即ち丙・壬の兩位を望め。このほか太歲・太陰・月建、および大將軍の位も、また皆潛蔵する可し。この四神の下に兵を蔵るを吉と為し、主將は則ち「亭亭」の位に駐して敵情を等候す。糧草の安排が定まれば、接續して士卒に歇息の處を安排するを要す:天盤「神后」(子)と「大吉」(丑)の下は、一萬人を蔵る可し。「太冲」(卯)の下は千人を蔵る可し。「從魁」(酉)の下は百人を蔵る可し。
又法:凡欲伏兵及避害者,月將加時,可從天上大吉方出,至小吉方而止。轉向傳送上立定,又轉向太沖上處潛伏,敵雖強,莫奈我何。此亦踏罡步斗之意。丙即天盤之巳,壬即天盤之亥,不用遁干。欲安歇潛形,可從天上巳亥下去。《兵帳賦》云:“丙壬憩臥。”是也。
別に一法あり:凡そ兵馬を埋伏しあるいは危害を躲避せんと欲する者は、月將を占時に加えて盤を轉じ、天盤「大吉」(丑)の方より出發し、「小吉」(未)の方に走到して停住し、更に轉じて「傳送」(申)の上に站定し、然る後に轉向して「太冲」(卯)の處に潛伏せば、かくの如くすれば、敵人は再び強しと雖も我を奈何する能わざらん。これ即ち道家の罡を踏み斗を步むの意なり。歌訣の裡の「丙」は天盤の巳を指し、「壬」は天盤の亥を指し、遁干を用いて推せず。安歇して形を蔵さんと欲すれば、即ち天盤巳・亥の臨む下より過ぎよ。《兵帳賦》に「丙壬に憩臥す」と曰う、講ずる所は正にこのなり。
又太歲、太陰、月建、大將軍四神臨方藏兵,大吉,主將則宜居亭亭之下者,神后落處是也。
このほか、太歲・太陰・月建・大將軍のこの四神の臨む方位に兵を蔵るも、また大吉なり。主將本人は則ち當に「亭亭」の下に駐すべし、言う所の亭亭は、即ち「神后」(子)の天盤上の落處なり。
察賊所在第十三
要知賊藏在何處,天目加臨識地分。伏吟兵近反吟遠,若識來方發用評。凡欲知賊何處,當以天目所臨之方定之。天目,春辰、夏未、秋戌、冬丑。假令二月占,戌將加巳,天目在辰加亥,其賊在西北方也。
敵人が何人が何處に蔵るるかを知らんと欲すれば、即ち「天目」の加臨するがいずれの宮かを看よ、これに據りて其の屬する地分を認出す。伏吟課を占得せば、敵兵は近處に在り。返吟課を占得せば、敵兵は遠處に在り。若し敵人がいずれの方向より來るかを知らんと欲すれば、即ち初傳發用を評斷せよ。凡そ敵人の何處に在るかを知らんと欲すれば、皆當に天目の臨む方を用いて以て定むべし。天目は春辰・夏未・秋戌・冬丑なり。例えば二月に課を起こし、戌將を用いて巳時の上に加えれば、天目の辰は便ち亥位に加わり、則ち敵人は即ち西北方に在り。
《玄黃歌》以伏吟課近兵,反吟課兵遠。第觀《兵機總要》云:“天魁加天為陰,反覆反吟也,占賊主立至。”則知反吟兵遠非當云也,“反吟兵近伏吟遠”為是。蓋伏吟者,十二宮各歸本家,兵常未動。反吟則神已離位,互相沖擊,非遠而伏。
《玄黃歌》は伏吟伏吟課を敵兵の近に在りと斷じ・返吟課を敵兵の遠に在りと斷ず。但し《兵機總要》を看るに曰く:「天魁が天上に加わるを陰と為し、反復して相沖すれば即ち返吟、敵を占えば敵人の立刻に到るを主る。」ここから見れば「返吟は兵遠を主る」の説法は不妥、當に「返吟は兵近・伏吟は兵遠」に作るを是とす。伏吟は十二宮が各々本位に歸する、兵馬は通常なお未だ動かざればなり。返吟は則ち諸神は已に位を離れ、彼此對沖す、正に逼近にして遠伏にあらざるなり。
賊之來方,則初傳定之,如初傳見火從南來,見金從西來,見水從北來,見木從東來。《兵帳賦》云:“欲知賊方位,當看初傳五行,火作南兵,土神乃從於四季。初傳木位,其謀必於東瞑。”此法雖出古人,尚欠通順,不若以游都等神臨處定之為是。
敵人の來る方向は、初傳を用いて以て定む:初傳が火に屬すれば、南方より來る。金に屬すれば、西方より來る。水に屬すれば、北方より來る。木に屬すれば、東方より來る。《兵帳賦》に曰く:「敵人の方位を知らんと欲すれば、即ち初傳の五行を看よ:火に屬すれば南方の兵、土に屬すれば則ち四季の隅より來り、初傳が木位に落つれば、圖謀は必ず東方より出づ。」この法子は雖も古人に出づれど、卻ってなお順暢ならず、遊都などの神の臨む處を用いて判定するに如かず更に妥當なり。
途中前後疑逢賊,大吉加臨定識真。丑到坎離賊卯下,如臨辰戌伏登明。寅申定是居參宿,丑未應知匿軫星。卯酉從魁須隱伏,若臨巳亥丑中尋。他行旺相來沖擊,設法抽軍別路行。
行軍途中に前後に敵有りと懷疑すれば、「大吉」(丑)の加臨する處を用いて即ち認準する能し。丑が坎(子)・離(午)の位に落到すれば、敵人は卯の下に在り。丑が辰・戌に臨めば、敵人は「登明」(亥)の下に伏す。丑が寅・申に臨めば、敵人は一定に參宿の屬する申位に在り。丑が丑・未に臨めば、即ち敵人の軫星の屬する巳位に蔵るるを知る。丑が卯・酉に臨めば、敵人は「從魁」(酉)の下に隱伏す。丑が巳・亥に臨めば、即ち丑の中に到りて尋ぬべし。若し敵人が正に旺相の氣に當りて來りて衝撃せば、即ち設法して隊伍を抽き走り、別に別路を擇びて行軍するを要す。
《神樞經》云:“欲知賊方,以大吉推之。”《兵帳賦》並諸書俱視二吉,似太繁瑣,只看五字為捷:丑加子午賊卯下(子午,坎離之卦也),臨辰戌在或亥下(登明亥也),臨寅申賊在申(參,申中宿也),臨丑未賊在巳下(軫,巳中宿也),臨卯酉賊在酉下(從魁,酉也),臨巳亥賊在丑下。若賊之所在是當季旺相方來沖擊我,其鋒不可擋,最宜避之。假令夏占,丙寅日伏吟,大吉臨丑,賊居旺地,宜擇吉地避之,餘仿此。
《神樞經》に曰く:「敵人の方位を知らんと欲すれば、大吉を用いて推せ。」《兵帳賦》と其他の各書は皆兼ねて大吉・小吉の兩神を看る、似乎ただ繁瑣なり、其の實ただ五箇の字を看るを最も便捷と為す:丑が子・午に加われば、敵人は卯の下に在り、子午即ち坎離の兩卦の位なり。丑が辰・戌に臨めば、敵人は亥の下に在り、登明即ち亥なり。丑が寅・申に臨めば、敵人は申に在り、參宿は申に屬す。丑が丑・未に臨めば、敵人は巳の下に在り、軫宿は巳に屬す。丑が卯・酉に臨めば、敵人は酉の下に在り、從魁即ち酉なり。丑が巳・亥に臨めば、敵人は丑の下に在り。倘若敵人の所在の處が正に本季の旺相の方に當りて來りて我を衝撃せば、其の鋒芒は擋る能わず、最も避くるを好し。例えば夏天に課を起こし、丙寅の日に伏吟を得、大吉が丑の上に臨めば、丑土は夏に於て相を為し・旺地に居す、即ち別に吉地を擇びて躲避すべし、其余の情形はこれに照らして類推せよ。
探賊消息第十四
探賊消息從耳目,丑未之神天耳明,卯酉二神為地目,相探四處最為真。即之賊之所在,欲從旁察其端的,則以丑未所臨方下探之(以丑未為天耳故也);探訪密事,須於卯酉神臨方下探之(以卯酉為地目故也)。
敵人の消息を探聽するは「耳」「目」の兩組の神を靠むを要す:丑・未の兩神は天耳、最も能く聽き明白す。卯・酉の兩神は地目。こ四處に到りて打探せば、得る所の消息は最も真實なり。旣に敵人の所在を知り、また傍より確切の情形を察明せんと欲すれば、即ち丑・未の臨む方位の下に到りて探せ、丑未は天耳なればなり。機密の事を打聽せんと欲すれば、必ず卯・酉の臨む方位の下に到りて探るを要す、卯酉は地目なればなり。
外太陰下不可探,白虎、閉口下不可探,蓋太陰為陰私蔽匿之神,白虎為傳凶截路之殺,閉口則無有與我言者(旬尾加旬首為閉口)。
このほか三處は探りに往く能わず:太陰の下は探る可からず、白虎の下は探る可からず、「閉口」の下もまた探る可からず。太陰は陰私遮蔽隱匿を主る神なればなり、白虎は凶訊を傳播し・路を攔み截撃する凶煞なればなり、而して閉口に遇上せば、即ち人の肯んじて我に口を開きて說話する者なし。言う所の閉口は、旬尾を旬首の上に加うるなり。
遊都察賊第十五
欲識賊來切要推,游都作限用占之。游都加日今將到,前之一位在明期,二三依次須防禦,若臨前四不侵圍。既得賊之消息,當決其來與不來、有害無害,以預備之。游都臨孟虛信,臨仲半途,臨季速來。天罡加孟仲季,亦如此類推之。若游都臨本支干上,賊本日到。臨前一辰,賊後一日到。臨前二辰,賊後二日到。臨前三辰,賊後三日到。臨第四辰,賊不來也。
敵人が來るか否かを知らんと欲すれば、務めて推算して、即ち「遊都」を取りて界限と作して占うを要す。遊都が日干の上に加われば、敵人は今天到らん。前の一位に加われば、明天到らん。前の二位・前三位に加われば、即ち次いで防備せよ。若し前面の第四位に臨めば、敵人は來りて圍攻せざらん。旣に敵人の消息を得れば、即ち彼が來るか來らざるか・有害か無害かを判定して、好く預め準備す。遊都が四孟に臨めば、消息は假なり。四仲に臨めば、敵人は半路に走到す。四季に臨めば、敵人はすぐに到らん。天罡が孟・仲・季に加わるも、またこの法子に照らして類推せよ。若し遊都が本日の干支の上に臨めば、敵人は當天に到る。前一辰に臨めば、第二天に到る。前二辰に臨めば、第三天に到る。前三辰に臨めば、第四天に到る。前の第四辰に臨めば、敵人は即ち來らず。
都神旺相支干畏,賊勢憑陵難守禦。游都和處喜降卒,畏下難侵大戰時。居在東南災稍重,臨於西北禍當微。不見游都視天乙,臨處還同都將推。子辰巳未加今日,盜賊猖狂疾走似飛。
遊都が旺相の氣を得て加臨し日干日支すれば、正に我方の畏るる所、敵勢は凶猛にして守御し難し。遊都が相生の和順の處に落つれば、喜ばしきは敵兵の來りて降る有らん。其の畏懼し・下神に克制せらるる處に落つれば、敵人は敢えて來侵せず、正に大戰一場すべし。遊都が東南に居れば、兵災は稍や重し。西北に臨めば、禍患は即ち輕し。課中に若し遊都を見ざれば、即ち改めて天乙貴人を看よ、其の臨む處はなお遊都の法子に照らして推斷せよ。若し子・辰・巳・未が本日の干支の上に加われば、敵人の來勢の猖狂・疾走すること飛ぶが如きを主る。
游都加支干旺相而又克干者,主賊勢憑陵,難以克守。若囚死不克,便無凶。《兵帳賦》云:“游都囚死,日辰不克以無凶,以干上下相制而來。”即此意也。若游都囚死,支干無剋制者,賊或不來,有剋制者亦來(假如春丙辰日亥將丑時,順數至辰,見寅為游都,加臨日辰;寅屬木正旺,又克辰土,正所謂“都神旺相支干畏”也。乙酉日丑將巳時,順數至辰見子為游都,子屬水冬旺,加在辰上被克為休地,主賊不來,安妥無虞。都將囚死又無剋制,主賊至,復自遁,如丁丑日子時辰將,巳為游都,加臨丑上,火土相生,游都既囚死又無剋制,故復自遁也)。
遊都が日干日支の上に加わり、旣に旺相の氣に當り・また來りて日干を克する者は、敵勢の凶猛にして人に逼り・固守し難きを主る。若しそれが囚死の地に落ちてまた來りて克せざれば、即ち凶險なし。《兵帳賦》に曰く:「遊都が囚死の地に落ち、日干日支を克せざれば即ち凶險なし。若し干支の上に加わりて上下互相克制せば、敵人は即ち來らん。」講ずる所は正にこの意思なり。若し遊都が囚死にして干支の間にまた克制なければ、敵人は或いは來らざらん。但し克制有る限り、敵人はなおも來らん。試みに三例を擧ぐ:春季丙辰の日、亥將を用いて丑時に加え、順に數うて辰の上に寅を見て遊都と為し、正に日支の上に加臨す。寅は木に屬し、春天に旺に當り、また辰土を克す、這即ち「都神旺相し支干畏る」なり。乙酉の日に丑將を用いて巳時に加え、順に數うて辰の上に子を見て遊都と為す。子は水に屬し、旺は冬天に在り、如今辰の上に加わりてまた土に克され、休地に落つ、敵人の來らず・安然無事を主る。至於遊都が囚死にして克制なくは、敵人は雖も來るもまた自ら退走するを主る:如く丁丑の日・子時に辰將を用い、巳を遊都と為し、丑の上に加臨し、火土相生し、遊都は旣に囚死にしてまた克制なし、故に敵人は來りてまた自己に遁走す。
又游都休囚加旺相地,賊攻城池;若得勾陳剋制游都者,賊兵必敗,不剋制亦不敗(假如二月甲子日子時戌針,以戌加子,順數至卯見丑為游都土死木旺,是游都以死加旺地,主賊攻城池,幸而太沖乘勾陳克游都之土,賊所以敗)。
別に一種の情形は遊都が本身休囚にして、卻って旺相の地に加われば、敵人の要して城池を攻打するを主る。この時若し「勾陳」の遊都を克制する有れば、敵兵は必ず敗れ、若し克制なくは敵人もまた未必敗れず。例を擧げて言えば:二月甲子の日・子時に戌將を用い、戌を子の上に加えて順に數う、卯位に到りて丑を見て遊都と為す。丑土は春天に於て死地に處し、而して卯木は正に旺なり、這即ち遊都が死氣を以て旺地に加わる、敵人の來りて城池を攻むるを主る。幸いに卯の上の「太冲」が勾陳に乘じ、木は遊都の土を克す、故に敵人は終歸敗退せん。
上下相生為喜,游都加臨上下相生,主有降卒。若游都加支干,為下所克,便是畏下,宜戰鬥。《兵帳賦》云:“好鄉不戰,畏則交鋒。”是也(如丙辛二日以寅為游都,臨亥子地,水木相生喜也,主不戰而降。若游都被下神剋制可戰,戰必賊敗,故曰“難侵”、“畏下”,是賊難來侵我也)。
遊都の上下相生は可喜の象なり:其の加臨する處が上下相生すれば、敵兵の來りて投降する有るを主る。若し遊都が日干日支の上に加わりて下の神に克住せられれば、那就是「下を畏る」、正に出戰するに宜し。《兵帳賦》に「好鄕に落つれば即ち戰わず、畏るる所に落つれば即ち交鋒す」と曰う、講ずる所は正にこのなり。例を擧げて言えば:丙の日・辛の日は寅を以て遊都と為し、寅が亥・子の地に臨めば、水は木を生ず、正に相生の可喜の象、敵人の戰わずして降るを主る。若し遊都が下神に克制せられれば、即ち打つ可く、打てば敵人は必ず敗れん、故に「侵し難し」「下を畏る」と曰う、意思是敵人の難く以て我を侵犯するを來さざるなり。
又月將加時,干支上與課傳不見游都,謂離日遠也。則視天乙臨處,一如游都之法,若天乙又離日遠,主賊已往他境不來。又月將加時,干支上見子、辰、巳、未臨日辰,主賊到自回。
更に一種の情形有り:月將を占時に加えて盤を轉じた後、日干日支の上および四課三傳の中に皆遊都を見ず、這即ち「日を離るること遠し」と曰う。この時即ち改めて天乙貴人の臨む處を看て、斷法は完全に遊都の法子に照らす。若し天乙もまた日干日支を離るること甚だ遠ければ、敵人の已に別の境地に往き・不會再來を主る。別に、月將を占時に加えた後、日干日支の上に子・辰・巳・未の臨壓を見れば、敵人は雖も來れども、また自ら退回せんを主る。
疾如飛,言疾走如飛也。“居在東南災稍重,臨於西北禍當輕。”此二句不知所謂,蓋出自《兵機總要》,故存之。
歌訣の裡の説く「疾如飛」は、即ち敵人の跑るること飛ぶが如く快きを形容す。至於「東南に居れば災稍や重し、西北に臨めば禍當に輕し」の這兩句は、其の依據する所を知らず、大概は《兵機總要》の裡より抄來せるなり、故に姑くここに保留す。
來兵何勢第十六
欲知敵至是何兵,來處乘神作準衡。子乃輕驃丑步隊,寅為猛健卯車營。旌旗掩映推辰是,騎馬飛奔自午鳴。機械巳多蛇作陣,干戈未妙有羊擎。申善鬥爭酉畫計,戌軍武勇亥雄英。
來犯するはいずれの類の軍隊かを知らんと欲すれば、即ち敵人の來處の乘ずる神を取りて準繩と為せ。子に乘ずるは輕裝の驃騎、丑に乘ずるは步兵の隊伍。寅に乘ずるは凶猛強健、卯に乘ずるは多くは車陣。旌旗の天を遮り日を蔽う者は、推知して辰なり。馬を策して飛奔して來る者は、午より出づ。巳に乘ずるは器械衆多にして・能く蛇形の陣を擺す。未に乘ずるは兵器精妙にして、また羊角形の擎擧の勢有り。申に乘ずるは爭鬥に善く、酉に乘ずるは謀劃に善く、戌に乘ずるは軍士武勇にして、亥に乘ずるは將領英雄なり。
欲知敵勢形狀,則以來處乘神決之,如來處乘子,則為輕驃之兵;乘丑,則為步隊;乘寅猛健;乘卯車營,謂營中多車也,卯又為天駟,若驛馬天馬乘之,則又主馬壯多,則卯又為船;辰龍也,來則旌旗蔽空;午馬也,來則騎馬飛奔;巳主兵多機械,能作蛇陣,以巳蛇也;未主器械精妙,又羊擎,未屬羊也;申善爭鬥,在途間;酉善畫計,在門中;戌為天魁,主武勇;亥為將首,主英雄。
敵軍の形貌氣勢を知らんと欲すれば、即ち其の來處の乘ずる神を用いて判斷せよ。來處が子に乘ずれば、是れ輕裝驃騎。丑に乘ずれば、是れ步兵隊伍。寅に乘ずれば、凶猛強健を主る。卯に乘ずれば、是れ車營、即ち營中の車輛多し、卯はまた「天駟」と曰い、若し驛馬・天馬の其の上に乘ずる有れば、還に馬匹の壯健にして多きを主る、このほか卯もまた以て船と作して看る可し。辰は龍に屬し、來る時は旌旗が空を蔽う。午は馬に屬し、來る時は馬を策して飛奔す。巳は兵器機械の衆多を主り、能く蛇形の陣を布く、巳は蛇に屬すればなり。未は器械の精良を主り、また羊角擎擧の象有り、未は羊に屬すればなり。申は爭鬥に善く、多くは途中に於て交鋒す。酉は籌劃に善く、多くは門戶の内に於て計を用う。戌は「河魁」、武勇を主る。亥は將領の首、英雄豪傑を主る。
賊兵多寡第十七
占賊多寡有三般,或視游都或視干,或視地盤正時上,法亂相宗斷課難。都將近日只論都,都將遠日只論干。有時干上乘空者,正時加減不虛傳。
敵兵の多少を占うに三種の法子有り:あるいは遊都を看、あるいは日干を看、あるいは地盤上の正時を看る。三法は互相に糾纏し、課を判起するに返って爲難なり。其の實取捨は甚だ簡單なり:遊都が日干日支に靠近せば、即ちただ遊都を論ず。遊都が離るること遠ければ、即ちただ日干を論ず。萬一日干の上に空亡に乘ずれば、那就正時を用いて加減推算し、這一訣は確かに虚ならず。
察賊多寡,有視游都者,有視干者,有視地盤正時者。雖以決斷,不如都近日則以都將上下盤定之。都將離日遠,則以日干上下盤定之;至於干上逢空,則以正時上下盤定之。其言加減者,謂看五行旺相休囚加減論也,如旺則進,相則倍,休言本數,死因減半。數甲己子午九,乙庚丑未八,丙辛寅申七,丁壬卯酉六,戊癸辰戌五,巳亥五之數。
敵兵の多少を察するに、人あるいは遊都を看、人あるいは日干を看、人あるいは地盤の正時を看る。雖も皆判斷する能くするも、然るにこの如く取るに如かず:遊都が日干に靠近せば、即ち遊都の天地盤上下の數を用いて以て定む。遊都が日干を離るること遠ければ、即ち日干の上下盤の數を用いて以て定む。至於日干の上が空亡に落つれば、即ち正時の上下盤の數を用いて以て定む。言う所の「加減」は、五行の旺相休囚に按じて數目を增減す:旺に當れば即ち上に一等を進め、相氣を得れば即ち加倍し、休に處すれば即ち本數を用い、死地に落つれば即ち一半を減ず。各支の先天數は:甲己與子午は九、乙庚與丑未は八、丙辛與寅申は七、丁壬與卯酉は六、戊癸與辰戌は五、巳亥は五なり。
《玄黃一秤金》專以游都決之,歌云:“戰賊多寡如何定,須看游都一決之。旺相休因分增減,先天上下合乘除。再兼亥子支干位,支上雖微干有餘。”假如春占,游都在寅,丑八數,寅七數,七八五十六,此先天數也。但在上無氣,減半言之,若五十六則作則二十八也。如旺則為五萬六千,相則為五千六百,本數五百六十,或只五十六。又亥子加干上,賊數寡也。後二法的。
《玄黃一秤金》は專ら遊都を用いて以て斷ず、その歌訣に曰く:「敵兵の多少を定めんと欲すれば、須らく遊都の一決を看るべし。旺相休囚に按じて增減を分かち、先天數を上下に相乘相除し。更に兼ねて亥・子の日支に落つるか日干に落つるかを看よ、日支に落つれば雖も少なく、日干に落つれば即ち餘有り。」例を擧げて言えば:春天に課を起こし、遊都が寅に在り、寅の臨む所の丑は八數、寅は七數、七八相乘じて五十六を得、這即ち先天の數なり。但しそれが上に於て氣なければ、即ち減半して説くを要し、五十六は便ち二十八と作す。若し旺に當れば、即ち五萬六千と作す。相氣を得れば、五千六百と作す。本數即ち五百六十、あるいはただ五十六を算すのみ。このほか亥・子が日干の上に加われば、敵兵の數目は即ち少し。後面の這兩種の法子は最も準確なり。
賊勢强弱第十八
游都旺剋日辰強,無克休囚弱不揚。蛇虎同臨主猛烈,都方互制定柔剛。乘凶更值空亡地,人馬雖多不是強。多寡,賊數也;強弱,賊勢也。不知強弱,何以禦敵?然亦不離游都決之,如都將乘旺剋日辰,主賊勢強大;不克日辰而又休囚,則賊勢弱而氣不揚矣。蛇虎乘都又日辰,將師士卒懼猛。若都方上下刑剋相乘,主賊半柔半剛。若雖乘蛇虎凶將而值空,則人馬雖多,亦終不足為強也。
遊都が旺に當りまた日干日支を克せば、敵勢は即ち強し。克せず而且休囚なれば、敵勢は即ち弱し、氣燄は張らず。若し「螣蛇」「白虎」が一同に臨壓せば、敵人は猛烈なり。遊都と臨む所の方と互相克制せば、即ち其の柔か剛かを分辨するを要す。若し凶將に乘じてまた空亡の地に落つれば、敵人はたとい再び人馬多しと雖も、また算して強を爲すに足らず。言う所の多寡は、敵兵の數目。言う所の强弱は、敵人の氣勢。强弱を知らざれば、何を憑りて敵を御せんや。斷法はなおもとより遊都を離れず:遊都が旺氣に乘じて日干日支を克すれば、敵勢の強大を主る。日干日支を克せず而且休囚に落つれば、則ち敵勢は即ち弱く・氣燄は揚がらず。螣蛇・白虎が旣に遊都に乘じまた日干日支に乘ずれば、敵方の將帥士卒は皆凶猛にして懼る可し。若し遊都と臨む所の方と上下相刑相克すれば、敵人の半柔半剛を主る。若し雖も螣蛇・白虎のこれら凶將に乘ずるも、卻ってまた空亡に落つれば、則ち人馬雖も多く、終究に以て強を爲すに足らず。
兵將勇怯第十九
兵將勇怯如何斷,成敗相推論亦同。貴六陰常龍與並,若還旺相定收功。勾雀虎空蛇後,懦將難當彼敵鋒。賊之強弱多寡既較,而我將之勇怯、軍心之順逆獨不可預定乎?於是有兵將勇怯之占。
我方の兵を統べる將は勇か怯か、怎麼樣に判斷するか。連帶して事情の成敗を推斷するも、道理は亦一樣なり。若し發用が「天乙」「六合」「太陰」「太常」「青龍」の幾位の吉將を得て并臨し、更に旺相の氣に逢えば、一定能く功を建てん。若し發用が「勾陳」「朱雀」「白虎」「天空」「螣蛇」「天后」なれば、那就是懦弱の將、敵人の鋒芒を抵擋する能わず。旣に已に敵人の强弱多寡を比較し畢れば、豈に我方將領の勇怯・軍心の順逆は預先に判定する能わざらんや。是に於て即ちこ一門の「兵將勇怯」の占有らん。
兵將,統兵之將也,非兵、將並論之語。大都以初傳為主,如初傳是天乙,主開地千里;青龍、太常、六合俱為得勝;惟太陰恐中止而不前,無敗;此五將又乘旺相,定主收功,此強將也。若發用是螣蛇多驚怖,玄武多遺失,天后無威且多內惑,勾陳將士折傷,朱雀大將被讒毀,天空被賊誘又失眾,白虎殺傷喪亡。旺相猶可,休囚必敗,此懦將,何以當彼之鋒哉?功之成敗,亦同此論之,故曰“成敗相推論亦同”,此出《軍帳》、《鉤玄》諸書。
ここに言う「兵將」は、兵馬を統領する將領を指し、並不是士兵と將領とを并列して説くなり。斷法は大抵初傳を以て主と爲す:初傳が「天乙」なれば、千里の疆土を開拓するを主る。「青龍」「太常」「六合」は皆勝を得るを主る。ただ「太陰」は恐怕中途に停頓して前進せず、但し亦至るは敗にあらず。これ五位の天將が若しまた旺相の氣に乘ずれば、一定能く功を建て、這就是強將なり。若し發用が「螣蛇」なれば、多く驚懼恐怖す。「玄武」なれば、多く財物を遺失す。「天后」なれば、將領は威信なく而且内部は多く迷惑す。「勾陳」なれば、將士は折損傷亡す。「朱雀」なれば、主將は人に讒言詆毀せらる。「天空」なれば、敵人に引誘せられまた部衆を失す。「白虎」なれば、殺傷死亡す。這些の將が若し旺相に乘ずれば還に勉强にして可なり、休囚に落つれば必敗無疑なり、這就是懦將、怎麼樣に敵人の鋒芒を擋ぐを得んや。功業の成敗も、またこの法子に照らして推せ、故に「成敗相推すれば論も亦同じ」と曰うなり。這一段は《軍帳賦》《兵帳鉤玄》などの書に出づ。
軍心順逆第二十
兩敵相持要出軍,君臣向背也須明。天罡天陽月建地,河魁天陰太歲平。陽覆陰兮下逆上,陰覆陽兮逆子臣。重陽憂火重陰水,旺相休囚要細分。
兩軍對峙して出兵せんとすれば、君臣の間の向背もまた弄明白にせざる可からず。「天罡」(辰)は天陽、月建は地陽、「河魁」(戌)は天陰、太歲は地陰、四者は相配す。陽が陰の上に覆えば、是在下の者が在上に忤逆す。陰が陽の上に覆えば、是れ兒子・臣下の逆心を起こせるなり。重陽は火患を憂え、重陰は水災を防ぎ、その間また細分して旺相と休囚とを看るを要す。
天罡為天陽,月建為地陽;河魁為天陰,太歲為地陰。若天罡月建或一神臨於河魁或太歲之上為陽覆陰,主君欲害臣,父欲害子,夫欲害妻;若河魁太歲或一神臨於天罡或月建之上,為陰覆陽,主臣欲害君,子欲害父,妻欲害夫。若天罡之加月建,或月建加天罡,為陽覆陽,謂之重陽,主有火驚。若河魁臨太歲,或太歲臨河魁,為陰覆陰,謂之重陰,主有水災。更著旺相休囚,旺相者吉,休囚者凶。
天罡は天陽、月建は地陽、河魁は天陰、太歲は地陰。若し天罡あるいは月建の両者の一が河魁あるいは太歲の上に臨到せば、即ち「陽覆陰」にして、君主の臣子を害し・父親の兒子を害し・丈夫の妻子を害せんとするを主る。若し河魁あるいは太歲の両者の一が天罡あるいは月建の上に臨到せば、即ち「陰覆陽」にして、臣子の君主を害し・兒子の父親を害し・妻子の丈夫を害せんとするを主る。若し天罡が月建に加わり、あるいは月建が天罡に加われば、是れ陽の陽を壓する、「重陽」と曰い、火警有るを主る。若し河魁が太歲に臨み、あるいは太み、あるいは太歲が河魁に臨めば、是れ陰の陰を壓する、「重陰」と曰い、水災有るを主る。このほかまた合わせて旺相休囚を看るを要す:旺相の氣を得れば則ち吉、休囚に落つれば則ち凶。
核審刑害第二十一
卜戰將軍年命占,三刑六害戰難堪。更逢白虎尤當忌,若值干支俱精嚴。三刑六害大凶之神,若值將軍年命上,難以出戰,況又白虎加之乎?加年命已不可,況日干與支乎?凡值此者宜戒之慎之!若年命旺相,刑害休囚,支干上有救,尤可出征。
交戰を占うに、主將の行年本命を看るを要す:一旦三刑・六害を見れば、こ一仗は打ち難し。再び「白虎」に逢えば、なかんずく忌諱するを要す。若し日干日支の上にも見れば、那就更に嚴く戒備するを要す。三刑・六害は皆大凶の神にして、若し主將の行年本命の上に値せば、出戰し難し、いはんや更に白虎を加ふるをや。行年本命の上に加わるすら已に不可なり、いはんや日干日支の上に加わるをや。凡そこの種の情形に遇へば、務めて警戒謹愼す。但し若し行年本命が旺相の氣に當りて、刑害の神が休囚に落ち、日干日支の上にまた救神有れば、那就なおも出征する可し。
今日戰否第二十二
兩軍相守已經時,今辰憂戰始占之。勾陳剋日刑並克,不克無利各護持。大小吉居支干上,兩軍俱解固疆圍。
兩軍は已に相持すること少からざる時有りて、今日早朝に憂えて開戰せんとす、こに課を起こして占ふ。斷法は「勾陳」を看よ:勾陳が日干を克し、また刑を帶びて并せ克すれば、今日は必ず戰ふ。克せざればまた刑なきは、雙方は共に利を圖る無く、各々営壘を守護す。若し「大吉」(丑)「小吉」(未)が日干日支の上に落つれば、兩軍は皆兵を罷め、各々疆界を固守せん。
經云:“戰不戰,視勾陳。”勾陳與臨方上下相刑相剋必戰,相生和解,各守疆圍。若勾陳乘神或地盤刑剋害日辰,更凶(假令戊子返吟,勾陳乘酉臨卯地,卯刑子,是勾陳刑支也;卯又克戊土,是勾之地盤剋日也。丙辰日伏吟,晝將勾陳臨卯,卯克辰,又辰卯相害,是為勾陳刑害也。幾值此等,戰必大凶,不可輕出。《兵機總要》並諸書只言克刑日有,並不及地盤,恐失略,故錄之耳)。
經の上に曰く:「打つか打たざるかは、勾陳を看よ。」勾陳と其の臨む所の地盤の方とが上下相刑相克せば、必定に開戰す。上下相生せば、將に和を講じて、各々疆界を守らん。若し勾陳の乘ずる神あるいは其の落つる所の地盤が日干日支を刑克し・損害せば、那就更に凶なり。両例を擧ぐ:戊子の日に返吟課を得、勾陳が酉に乘じて卯地に臨めば、卯は子を刑す、這是勾陳の日支を刑するなり。卯木はまた戊土を克す、這是勾陳の地盤の日干を克するなり。丙辰の日に伏吟課を得、晝貴に將を起こし、勾陳が卯の上に臨めば、卯木は辰土を克し、辰と卯とはまた相害す、這就是勾陳の刑を帶び害を帶ぶるなり。凡そこの幾種に遇へば、交戰すれば必定に大凶、輕々しく出兵すべからず。《兵機總要》と其他の各書はただ日を克し・日を刑するに至るのみ、地盤には提到せず、恐怕疎略有らん、故にここに補錄す。
若大吉、小吉居支干之上,兩家俱不欲戰。《軍帳賦》云:“兩兵相加,勾陳是的。勾陳制日,兩家合戰以爭雄;井斗來臨,彼此收戈而息怒。”也。
若し「大吉」(丑)・「小吉」(未)が日干日支の上に落つれば、両家は皆打たんと欲せざらん。《軍帳賦》に曰く:「兩軍對壘して交鋒するか否かは、勾陳が最も準なり。勾陳が日干を制住せば、両家は即ち陣を合わせて雄を爭はん。井宿・斗宿が一たび來臨せば、雙方便ち兵器を收め・怒氣を平息せん。」講ずる所は正にこの道理なり。
決定戰守第二十三
承命興師鎮玉關,未知戰守孰為先。斗罡加孟宜堅守,加仲相傷彼此殘。攻他得勝須臨季,識此安邊反掌間。
命を奉じて出師して邊關を鎭守す、なお未だ先ず戰すべきか先ず守るべきかを知らず。斷法は「斗罡」を看よ:天罡が四孟に加われば、堅く守るに宜し。四仲に加われば、雙方は互相に損傷し・彼此殘破す。對方を攻打して取勝せんと欲すれば、必ず天罡の四季に加わるを要す。この一訣を明白にせば、邊疆を安定するは掌を翻すが如く容易なり。
陳兵關塞,未知戰守孰吉,即以天罡所加定之。若加孟宜堅守,如強戰,兩家俱凶。《靈轄經》云“斗加孟神,在內宜守。加仲在門,戰必兩傷。加季在外,出兵大捷。”此利為客者也(假令丁丑日返吟,大吉臨日,小吉臨辰,主兩軍和解,天罡臨戌是季,宜出兵大勝)。《金匱》“對敵當視天罡,加孟可休士卒,加仲兩傷,加季大勝也。”
關塞に兵を陳ねて、戰と守と孰れか吉なるかを知らざれば、即ち天罡の加ふる所の位を用いて以て定む。天罡が四孟に加われば、堅く守るに宜し。若し勉强に出戰せば、両家は皆凶なり。《靈轄經》に曰く:「斗罡が孟神に加わるは、是在內にして、守るに宜し。仲神に加わるは、是在門にして、戰へば兩傷す。季神に加わるは、是在外にして、出兵すれば大捷せん。」これは客方を作りて進攻するに就て言ふなり。例を擧げて言へば:丁丑の日に返吟課を得、「大吉」が日干に臨み、「小吉」が日支に臨めば、兩軍の和解を主る。而して天罡が戌に臨めば、戌は四季に屬す、那就出兵するに宜しく、大勝を主る。《金匱經》もまた曰く:「敵に對して當に天罡を看るべし:四孟に加われば士卒を休息せしむ可く、四仲に加われば兩下皆傷を受け、四季に加われば則ち大勝せん。」
主客勝負第二十四
勝負支干主客分,辰刑日上主贏賓。干克支上利為客,日上乘凶利主人。不戰則已,占則主客勝負未有不先定者。干在上,為外為客;支在下,為內為主。假如利為客,我多張旗幟,鼓角高鳴而先行。如不利為客,則宜掩旗靜鼓以為之,使彼先動,我後應之。此變動之道也,為主亦然。
勝負は日干日支より主客を分かつ:日支が日干の上神を刑すれば、主方は客方に赢つ。日干が日支の上神を克すれば、客を作るに利す。日干の上に凶將に乘ずれば、則ち主を作るに利す。打たざれば則ち已、一たび打ち起こせば、主客の勝負は先ず定まらざるはなし。日干は上に在り、外を爲し客を爲す。日支は下に在り、內を爲し主を爲す。假令客を作るに利するを占得せば、我方は旗幟を多く張り・鼓角を齊しく鳴らし、搶先して出擊す。若し客を作るに利せざれば、當に旗幟を收め・鼓聲を響かせず、對方に先んじて動かしめ、我方は後發して相應ず。これ隨機應變の道理、主を作る一方も同じなり。
太平之世,出師征討不庭,以先動者為主,所征者為客。若陳兵原野,與敵對壘,以先動者為客,後應者為主,此真秘法也,然卒不能以支干為定。辰上辰剋日上神,或辰剋日亦是;日上神克辰上神,或日克辰上神亦是(如甲午日丑加午,此害氣臨辰,客勝)。《兵帳賦》云:“損支主敗,傷干客輸。”
太平の世に、朝廷が師を出して朝覲せざる諸侯を征討すれば、即ち先に兵を動かす一方を主と爲し、征討せらるる一方を客と爲す。若し是れ原野に兵を陳ね・敵と對壘すれば、那就先に手を動かすを客と爲し・後に應戰するを主と爲す、こ乃ち真の祕法、可見終竟に死板に日干日支を拿りて以て定むる能わず。日支の上神が日干の上神を克し、あるいは日支が直接日干を克すれば、皆日干の傷を受くると算す。日干の上神が日支の上神を克し、あるいは日干が日支の上神を克すれば、皆日支の損を受くると算す。例えば甲午の日に丑を午に加ふれば、害氣は日支の上に臨む、即ち客方の勝ちなり。《兵帳賦》に曰く:「日支が損を受くれば、主方敗つ。日干が傷を受くれば、客方輸す。」
又以日陽為客大將,日陰為客參將,辰陽為主大將,辰陰為主參將,觀其生克以定勝負。范蠡曰:“重審,下賊上,主勝;元首,上克下,客勝。”日上乘凶者,日上見凶將也,日上見凶將則客凶,辰上見凶將主凶。日上凶,辰上吉,主人利;辰上凶,日上吉,客克。日辰俱凶,主客俱凶。日辰俱吉,主客俱吉。
別に一法有り:日干の陽神を以て客方の大將と爲し、日干の陰神を以て客方の參將と爲す。日支の陽神を以て主方の大將と爲し、日支の陰神を以て主方の參將と爲し、其の彼此の生克を看て以て勝負を定む。范蠡に曰く:「『重審』課は下神が上神を賊すれば、主方勝つ。『元首』課は上神が下神を克すれば、客方勝つ。」言う所の「日上に乘る凶」は、日干の上に凶將を見る:日干の上に凶將を見れば、客方凶。日支の上に凶將を見れば、主方凶。日干の上が凶にして日支の上が吉なれば、主方は利有り。日支の上が凶にして日干の上が吉なれば、客方は取勝す。日干日支が皆凶なれば、主客皆凶。日干日支が皆吉なれば、主客皆吉。
日辰分主客,自是古式,《玄黃一秤金》不以日辰分,專以先起為客,後起為主。假如我先起兵,則干屬我,支屬他,我客他主,傷干我敗,傷支他敗。如他先起兵,則干屬他為客,支屬我為主,傷干他凡,傷支我敗。
日干日支を用いて主客を分かつは、本是古式の老辦法。《玄黃一秤金》は卻って日干日支に按じて分かたず、專ら先に起兵するを客と爲し・後に起兵するを主と爲す。例えば我方が先に起兵すれば、那麽日干は即ち我に屬し・日支は即ち彼に屬す、我は客を爲し彼は主を爲し、日干が傷を受くれば是我の敗、日支が傷を受くれば是彼の敗。反對に彼が先に起兵すれば、日干は即ち彼に屬して客を爲し、日支は我に屬して主を爲し、日干が傷を受くれば是彼の敗、日支が傷を受くれば是我の敗。
又大將取勝,先要知背孤擊虛之法,萬人以上用年孤虛,千人以上用月孤虛,百人以上用日孤虛,十人以上用時孤虛。年孤者,太歲之後一辰也,對宮為虛,日月時亦如之。太公曰:“行軍知法,能知孤虛,一女能敵十夫。”
更に言へば、主將が取勝せんと欲せば、先ず「孤を背けて虚を擊つ」の法門を懂るを要す:兵を統べること萬人以上は、年の孤虚を用ふ。千人以上は、月の孤虚を用ふ。百人以上は、日の孤虚を用ふ。十人以上は、時の孤虚を用ふ。言う所の「年孤」は、太歲より後に數うて第一位の地支、其の對宮即ち「虚」なり。月・日・時の孤虚もまたこの法子に照らして取る。太公に曰く:「行軍して法度を懂り・能く孤虚を識れば、一箇の女子も十箇の壯漢に抵擋する能し。」
勾將克方為主勝,客贏方反克勾陳。用空為客須亡眾,賊勝緣初克未神。《神定經》云:“主客勝負詳勾陳。勾陳克所臨之方則主勝,所臨之方剋制勾陳則客勝。”臨方,謂地盤。如此則又不論日辰矣。
勾陳の乘ずる神が其の臨む所の地盤の方を克すれば、主方勝つ。反對に地盤の方が勾陳を克すれば、客方赢つ。用神が空亡に落つれば、客を作る一方は兵を損じ將を折らん。敵人の取勝するは、初傳が末傳を克したるに因るなり。《神定經》に曰く:「主客の勝負は詳しく勾陳を看よ:勾陳が其の臨む所の地盤の方を克すれば、即ち主方の勝ち。臨む所の方が返って勾陳を克制せば、即ち客方の勝ち。」ここに言ふ「臨方」は、指す所は地盤なり。この説に照らせば、則ちまた日干日支を論ぜずとも可なり。
古法以用神為客為士卒,空亡則主士卒逃亡失散。初克末賊勝者,初中為外為客,未傳為內為主,克末故賊勝。如我入敵境,則宜初中制末;敵來侵我,則宜未制初、中。
古法は用神を以て客方を代表し・また士卒を代表す、用神が空亡に落つれば、即ち士卒の逃亡走散を主る。至於「初傳が末傳を克せば則ち敵勝つ」は、初傳・中傳は外を爲し客を爲し、末傳は內を爲し主を爲す、初傳が末傳を克したれば、故に敵方は勝を得るなり。これより推し開けば:若し是れ我方が敵境に攻め入るは、我は客を爲し、則ち初傳中傳をして末傳を制住せしむるを要す。若し是れ敵人が來りて我を侵犯すれば、我は主を爲し、則ち末傳をして初傳と中傳とを制住せしむるを要す。
華虜詳推刑德準,命年制虎武勾陳。又宜勾將克遊武,賊位神宜勾將侵。勾將若臨賊位上,貴宜遙制下乘神。占初貴六青常吉,八將俱凶各有論。若中國與夷虜交兵,又以刑德推勝負。德克刑中國勝,刑剋德夷虜勝(德是日德,刑是三刑),又詳德所臨之地方生克否。
中原が外族と交戰すれば、「刑」「德」を以て準と爲して推詳するを要す。主將の本命行年は最も能く「白虎」「玄武」「勾陳」の三將を制住するを好しとす。勾陳の乘ずる神はまた宜しく「遊都」と玄武とを克すべく、敵人の所在する方位の神もまた宜しく勾陳に侵克せらるべし。若し勾陳が敵位の上に臨めば、即ち天乙貴人をして遥かに勾陳の下に乘ずる神を制住せしむるを要す。戰を占ふの初傳に「天乙」「六合」「青龍」「太常」を得るを吉と爲し、其余の八將は皆凶に屬し、各々斷法有り。中原が夷狄と交兵すれば、即ち刑德を用いて勝負を推す:德が刑を克すれば、中原勝つ。刑が德を克すれば、夷狄勝つ。ここに言ふ「德」は日德を指し、「刑」は三刑を指す。なお細看して德の臨む所の地盤の方が是れを生ずるか是れを克するかを看るを要す。
命年,主將本命、行年也。若白虎、玄武、勾陳三神乘神被主將命上神或刑之,或害之,或克之,利為客勝。六處但有制遊玄之神,俱我勝(假令主將本命乙丑,壬戌日伏吟課,晝貴巳逆行,白虎臨戌,本命丑刑戌,此是主將本命制白虎,用兵大勝)。或主將年命不制虎武勾三神,又要勾陳剋制游都並玄武所臨之地盤(假令癸巳日,晝貴巳臨申逆行,勾陳丑臨辰,游都臨玄武亦臨亥,此勾臨方克游都臨方,出兵大勝)。
言う所の「命年」は、即ち主將の本命と行年なり。若し「白虎」「玄武」「勾陳」の三將の乘ずる神が、主將の本命の上の神に刑せられ・害せられ・あるいは克せらるれば、即ち客を作りて取勝するに利す。日・辰・年・命・三傳・正時のこ六處の中に、ただ能く遊都・玄武を制住する神有れば、皆我方の勝ちを主る。例を擧ぐ:主將の本命は乙丑、壬戌の日に伏吟課を得、晝貴は巳を起こりて逆行し、白虎が戌の上に臨み、本命の丑は戌を刑す、這是主將の本命が白虎を制住する、兵を用ふれば大勝す。若し主將の行年本命が白虎・玄武・勾陳の三將を制住せざれば、那就勾陳に靠りて遊都と玄武の落つる所の地盤を克制す。例を擧ぐ:癸巳の日、晝貴は巳が申に臨みて逆行し、勾陳が丑に乘じて辰の上に臨み、遊都と玄武とは皆亥に臨み、勾陳の臨む所の方は遊都の臨む所の方を克す、出兵すれば大勝す。
范蠡曰:“勾陳為主將,玄武為客將,旺相者勝,囚死者負。勾克武,主勝;武克勾,客勝。”賊位,賊所居之方位也,其位宜勾陳乘神克之(假令甲子日干上午,辰作玄臨子,陰貴乘未臨卯順行,亥作勾陳臨未,克賊方之子水,此勾克賊方神也,出兵大勝,此只論地盤即知之矣)。
范蠡に曰く:「勾陳は主方の將、玄武は客方の將。旺相の氣を得る者は勝ち、囚死の地に落つる者は負く。勾陳が玄武を克すれば、主方勝つ。玄武が勾陳を克すれば、客方勝つ。」言う所の「賊位」は、敵人の居する所の方位、こ方位は最も勾陳の乘ずる神に克住せらるるを好しとす。例を擧ぐ:甲子の日、日干の上は午、日支の上は玄武を作して子に臨み、陰貴は未に乘じて卯に臨みて順行し、亥の上は勾陳を作して未に臨み、亥水……盤に按じて推算すれば、勾陳の臨む所は敵方の子水を克住す、這是勾陳の敵方の神を克する、出兵すれば大勝す。こ一層はただ地盤を看れば便ち明白なり。
若勾陳臨賊位上,天乙不拘立於何地,但要乘神剋制勾陳之地者,吉(如丙申日干上寅,夜貴酉臨子,賊在卯方;主將行年在巳,日干丙加申,是日刑辰又克辰。行年巳上見寅,白虎乘辰加未,是主將行年上寅克白虎所乘辰土也。勾陳乘大吉,是行年上神克勾陳也;賊方卯上見子,是勾將克賊位神也,利為客先舉者勝)。
若し勾陳が已に敵人の居する所の方位の上に臨めば、那麽天乙貴人はいずれの一宮に立つとも要せず、ただ其の乘ずる神が能く勾陳の所在する地を克制せば、即ち吉なり。例を擧ぐ:丙申の日、日干の上に寅を見、夜貴は酉を起こりて子に臨み、敵人は卯方に在り。主將の行年は巳に在り。日干の丙は申宮に寄せ、申の上に加わるは、是れ日干が日支を刑しまた日支を克するなり。行年の巳の上に寅を見、白虎は辰に乘じて未の上に加わるは、這是主將行年の上の寅木が白虎の乘ずる辰土を克住するなり。勾陳は「大吉」(丑)に乘ず、這是行年の上神が勾陳を克するなり。敵方の所在する卯の上に子を見るは、這是勾陳の將が敵位の神を克するなり。合わせれば、客を作りて搶先して出兵するに利し、先に手を動かす一方は取勝す。
《靈匣經》云:“主將行年克勾虎大勝,不然勾克玄亦勝。勾陳所居之神能制所攻之神,必勝。所攻之神與勾陳並,賊勝。天乙乘神能制勾陳乘神,是為敵降(如乙未日反吟,賊居寅地,陽貴子臨午逆行。勾陳乘申臨寅立賊方,天乙在午,能制賊方勾陳之申金,出兵亦勝。
《靈匣經》に曰く:「主將の行年が勾陳・白虎を克せば、大勝す。然らざれば勾陳が玄武を克するも亦勝つ。勾陳の居する神が能く我方の攻めんとする其の一方の神を制住せば、必勝す。反對に、攻むる所の神が勾陳と一處に并なれば、敵方勝つ。天乙の乘ずる神が能く勾陳の乘ずる神を制住せば、那就是敵人の來りて降るなり。」例を擧ぐ:乙未の日に返吟吟課を得、敵人は寅地に在り、陽貴は子を起こりて午に臨みて逆行し、勾陳が申に乘じて寅の上に臨み、正に敵方に立つ。天乙は午に在り、午火は能く敵方の勾陳の乘ずる申金を制住す、かくの如く出兵するもまた取勝する能し。
占,占戰也;初,初傳也。凡占戰鬥,初傳得天乙、六合、青龍、太常,大利。《集靈經》云:“用見天乙,出兵大捷,拓地千里。見六合,得賊玉帛子女。見青龍,得賊營寨、府庫、錢財。太常,得賊衣服、緞帛、旗幟,大勝。”《金匱經》云:“天乙臨大將行年,或在有氣之鄉,玄武臨死囚之地,大勝。”
歌訣の裡の「占」は交戰を占ふを指し、「初」は初傳を指す。凡そ戰鬥を占ふに、初傳に「天乙」「六合」「青龍」「太常」を得れば、皆大いに利有り。《集靈經》に曰く:「發用に天乙を見れば、出兵して大捷し、千里の疆土を開拓す。六合を見れば、敵方の財帛人口を得る可し。青龍を見れば、敵方の営寨・府庫と錢財を得る可し。太常を見れば、敵方の衣服・緞帛・旗幟を得る可く、大勝せん。」《金匱經》に曰く:「天乙が主將の行年の上に臨み、あるいは氣有る之鄕に落ち、同時に玄武が死囚の地に落つれば、大勝を主る。」
八將者,蛇、雀、勾、空、虎、武、陰、後也,此八將俱為凶神。各有論,各有主也,《集靈經》曰:“用見螣蛇,驚恐傷損。見朱雀,士卒作亂,妄作口舌。見勾陳,戰傷被擒。見天空,士卒欺詐。見白虎,士卒死亡疾病。見玄武,戰敗,軍中多遺失偷盜。見太陰,士卒怯弱,私匿隱藏。見天后不戰自敗,將亦無權。”《金匱經》曰:“玄武臨日辰,遙克時上辰者,勿與戰。”
言う所の「八將」は、螣蛇・朱雀・勾陳・天空・白虎・玄武・太陰・天后、こ八位は皆凶神に屬し、各々斷法と所主と有り。《集靈經》に曰く:「發用に螣蛇を見れば、驚恐と傷損とを主る。朱雀を見れば、士卒は亂を作し・胡に口舌を生ぜん。勾陳を見れば、戰鬥の中に傷を受け擒はれん。天空を見れば、士卒は虛偽を弄せん。白虎を見れば、士卒は死亡疾病せん。玄武を見れば、戰に敗れ、軍中に多く遺失偷盜有らん。太陰を見れば、士卒は怯弱にして・私に躲藏せん。天后を見れば、戰はずして自ら敗れ、主將もまた權柄なからん。」《金匱經》に曰く:「玄武が日干日支に臨み、また位を隔てて遥かに占時の支を克する者は、敵と交戰する勿れ。」
日上孤雄子孫勝,干支切忌父官臨。財神六處相逢惡,尤畏害刑白虎凶。日上,日干上也。子孫,干所生之神。子孫能制鬼,故日上有子孫者勝(如甲辰日,干上午,辰上申,申為甲鬼,被甲上午火克之,賊雖強不能為害)。
日干の上に「孤」「雄」の二神を得、また「子孫」を見れば、即ち能く取勝す。日干日支の上は則ち切に「父母」「官鬼」の臨壓を忌む。「財」神も六處に於て遇上するは好からず、なかんずく六害・三刑と白虎の帶來する凶險を怕る。ここに言ふ「日上」は日干の上を指し、「子孫」は日干の生ずる其の一神なり。子孫は能く官鬼を制すれば、故に日干の上に子孫有る一方は取勝す。例を擧ぐ:甲辰の日、日干の上は午、日支の上は申。申金は甲木の官鬼、卻って甲の上の午火に克せらる、敵人は強しと雖も我を害する能わざるなり。
孤雄,亦名戰雄,戰雄臨日客勝,臨辰主勝;對沖為戰雌,臨日客敗,臨辰主敗。大將知此,當得坐雄擊雌之法。
言う所の「孤雄」は、また「戰雄」と曰ふ:戰雄が日干に臨めば、客方勝つ。日支に臨めば、主方勝つ。之と相沖するを「戰雌」と曰ふ:戰雌が日干に臨めば、客方敗つ。日支に臨めば、主方敗つ。主將がこ一層を懂れば、即ち雄位に坐守し・雌位を攻擊するの法門を掌握せり。
生干者父母,剋日者官鬼,課取子孫制鬼,若見父母爻,則克子孫矣,烏能制鬼哉?故與官鬼並忌之。如六處無鬼,支干上見子孫,則為脫神。財,日之所克神也,能生鬼,故六處亦忌之。六處,謂日、辰、年、命、三傳、正時六處。若此六處無鬼,亦不忌財。課傳全財,賊神又旺相得地,占賊已到邊境。將星乘子孫克遊玄或賊方之神者,吉(將星驛馬後二位是)。
日干を生ずるは「父母」、日干を克するは「官鬼」。課中は本來子孫を取りて官鬼を制せんと欲す、若し父母爻を見れば、父母は子孫を克す、子孫は還に怎麼樣に官鬼を制住するを得んや。故に父母は官鬼と一同に忌諱するを要す。假如六處皆官鬼なからして、而して日干日支の上にまた子孫を見れば、那子孫は返って氣を泄がすの「脱神」と成らん。「財」は日干の克する神、それは能く官鬼を生ずれば、故に六處もまた之を忌む。言う所の六處は、即ち日・辰・年・命・三傳・正時のこ六箇の地方なり。若しこ六處皆官鬼なからざれば、那麽財もまた忌むに及ばず。若し四課三傳全て財なりて、而して敵方の神がまた旺相にして地を得れば、則ち敵人の已に邊境に到りたるを斷ず。將星が子孫に乘じて遊都・玄武あるいは敵方の神を克する者は、吉なり。將星即ち驛馬の後の第二位なり。
六害、三刑並白虎,更不宜六處見之,日辰年命逢此三神,其凶更甚(如午日丑加午,此害氣臨辰,客勝。假令主將本命甲子,但逢甲、逢子年月日時,俱是伏吟,逢庚午為反吟,逢卯是三刑,未是六害,遇此勿出兵臨敵。又如主將年命在子,六甲日反吟,陽貴丑臨未逆行,白虎臨子,此白虎臨主將之命,又辰臨子,天罡克主將之命,俱不可戰)。
六害・三刑と白虎と連なりて、六處の中に更に見るに宜からず。日・辰・年・命の上に此の三者に遇へば、凶險は就更に重し。例を擧ぐ:午の日に丑を午の上に加ふれば、害氣は日支に臨む、客方勝つ。又如主將の本命は甲子、凡そ甲に逢ひ・子に逢ふ年月日時は、皆伏吟を構成す。庚午に逢へば即ち返吟。卯に逢へば是三刑。未に逢へば是六害。これらに遇上せば皆兵を出して敵に臨む勿れ。再如主將の年命は子に在り、六甲の日に返吟課を得、陽貴は丑を起こりて未に臨みて逆行し、白虎が子の上に臨めば、這是白虎が主將の本命を壓住するなり。同時に辰が子の上に臨めば、天罡は主將の本命を克す。こ兩種の情形は皆交戰する可からず。
《心鏡》云:“六害來加年命上,此時攻戰自遭刑。白虎若並凶更甚,日辰遙克切須明。”年命上忌魁、罡、螣蛇(凡言年命,皆指主將而言)。害,六害也,子未、丑午之類。
《六壬心鏡》に曰く:「六害が行年本命の上に加われば、此の時出戰すれば自己は即ち刑傷を遭わん。若し再び白虎と并臨せば、凶險は更に重し。日干日支の間の遥克も、また務めて看明白にせよ。」行年本命の上はなお「河魁」「天罡」と「螣蛇」とを見るを忌む。凡そ行年本命を講ずるは、皆主將を指して言ふ。言う所の「害」即ち六害、子と未・丑と午の類の如し。
獄寇炎從並九丑,二煩網禍有災臻。生孤建旺罡雄相,主將宜居擊對辰。獄,天獄也。初傳囚死,罡加日本(日之長生),墓加同類,仰邱俯仇(邱即墓也),為天獄卦;傳中更值災劫刑害(災,災煞;劫,劫煞;刑,三刑;害,六害),其凶更甚。
「天獄」「天寇」「炎上」「從革」および「九丑」、更に「天煩」「地煩」「天網」「天禍」を加へ、凡そこれらの課に遇へば、災禍は即ち來らん。反對に、「生氣」「空亡」「月建」「旺氣」「天罡」「戰雄」「相氣」のこ七處は、主將は當に其中の一處に坐して、對宮に向かって出擊すべし。先ず「獄」を説く、即ち天獄課:初傳が囚死の地に落ち、天罡が日干の長生の位に加わり、墓神が同類の支に加わり、また「仰邱俯仇」を構成す、邱即ち墓なり、かくの如くすれば即ち天獄卦なり。三傳の中に若し再び災煞・劫煞・三刑・六害に遇へば、凶險は就更に重し。
此課惟甲乙日辰加亥,為罡加日本;未加寅,為墓加同類(未為木墓,寅為甲乙之同類);又為仰邱俯仇(寅上見未為仰邱,未為寅克為俯仇),的為天獄卦。庚辛日罡加巳,丑加寅亦是(巳為庚辛之本,丑為金墓,寅上見丑為仰邱,丑被寅克為俯仇),但罡不克日本,墓不加同類,為禍稍輕。六甲、六乙、六辛、六庚,凡二十四日,共有二十四課;餘雖有罡加日本,卻無墓加同類、仰邱俯仇,俱非此例。
こ種の課は、ただ甲の日・乙の日に辰を亥の上に加へば、乃ち「罡が日本に加わる」と算す、亥は甲乙木の長生なればなり。未を寅の上に加へば、乃ち「墓が同類に加わる」と算す、未は木の墓庫、寅は甲乙と同じく木に屬するが故なり。同時にまた「仰邱俯仇」を構成す:寅の上に未を見るを仰邱と曰い、未が寅に克せらるるを俯仇と曰ふ。こ乃ち確確實實の天獄卦なり。庚の日・辛の日に天罡を巳の上に加へ・丑を寅の上に加ふるも、また一種と算す、巳は庚辛金の長生、丑は金の墓庫、寅の上に丑を見るを仰邱と爲し、丑が寅に克せらるるを俯仇と爲す。但しこ種の情形は天罡は並不に日干の長生を克せず、墓神もまた同類の上に加わるにあらず、故に禍患は稍や輕し。六甲・六乙・六庚・六辛を合わせて一共に二十四日、即ち二十四課有り。其余の各日は雖もまた罡が日本に加わる有れど、墓が同類に加わり・仰邱俯仇するは無し、皆こ例の內に算入せず。
寇,天寇也。太陰加於分至(春分、秋分、冬至、夏至前一日)之支為天寇卦。炎,炎上課,三傳寅午戌。從,從革課,三傳巳酉丑。《克應經》云:“炎上防火炎,天將或地盤見水為有救。從革防戰鬥,天將或地盤見火為救。金日遇炎上,木日遇從革,尤凶。”
「寇」は天寇課:「太陰」が春分・秋分・冬至・夏至のこ四箇の節氣の前一日の地支の上に加われば、即ち天寇卦なり。「炎」は炎上課、三傳は寅・午・戌の三合火局なり。「從」は從革課、三傳は巳・酉・丑の三合金局なり。《克應經》に曰く:「炎上課は火災を防ぐを要す、若し天將あるいは地盤の上に水を見れば、救有りと算す。從革課は戰鬥を防ぐを要す、若し天將あるいは地盤の上に火を見れば、救有りと算す。金の日に炎上を占得し・木の日に從革を占得すれば、なかんずく凶險なり。」
九丑,亦卦名,謂乙、戊、己、辛、壬、五干,臨於子午卯酉四支,此十日為九丑日。此十日內遇大吉加本日干支,又大時、小時二煞加日辰或在傳內,出軍忌之(大時就正月在卯,逆行四仲,小時死囚在月建上是也)。
「九丑」もまた一箇の課名:乙・戊・己・辛・壬のこ五箇の天干、配して子・午・卯・酉の四箇の地支、共に十日を得、こ十天即ち九丑日と曰ふ。こ十天の內に、若し再び「大吉」(丑)の本日の干支の上に加わるに遇ひ、「大時」「小時」の兩箇の凶煞が日干日支に加臨し・あるいは三傳の內に落つるを加へば、出兵すれば忌諱するを要す。大時の排法は正月は卯に在り、四仲の位に沿いて逆行す。小時は則ち死囚の氣が月建の上に落つるなり。
二煩,天煩、地煩也。日宿加四仲,天罡加丑未為天煩卦;月宿加四仲,天罡加丑未,為地煩卦。如日宿月宿加四仲,天罡不臨丑未者,為杜傳。日宿月宿即太陽太陰躔度,俱詳臺曆。網,天網卦,正時並用神俱剋日干,是為天網卦。
「二煩」は天煩・地煩の兩課を指す。日宿が四仲の位に加わり、同時に天罡が丑あるいは未の上に加われば、即ち天煩卦なり。月宿が四仲の位に加わり、天罡もまた丑あるいは未の上に加われば、即ち地煩卦なり。若し日宿・月宿は雖も四仲に加われど、而して天罡は並不に丑未に臨まざれば、那就「杜傳」と曰ふ。言う所の日宿・月宿は、即ち太陽と太陰の運行する所の躔度、皆欽天監の頒する所の暦書の裡に載す。「網」は天網卦:占時と用神とが皆來りて日干を克せば、即ち天網卦を構成す。
四立前一日為四絕日(立春、立夏、立秋、立冬,前一日),四立之干臨於絕日之干,為天禍(《觀月經》又以絕日之干臨於四立之下為天禍,未知何出)。以上九課,舉兵俱凶,故云有災臻,總承上句而言也。
立春・立夏・立秋・立冬のこ四立の前一天は、「四絶日」と曰ふ。四立當天の天干が絶日の天干の上に臨到せば、即ち「天禍」課なり。《觀月經》はまた絶日の天干が四立の下に臨到して乃ち天禍と算すと説く、こ一説の出づる所を知らず。以上一共に九種の課、以て兵を擧ぐるに皆凶に屬すれば、故に歌訣は「災臻有り」と曰ふ、これは總じて上一句を承くるに就て言ふなり。
生,生氣也;孤,空亡也;建,月建也;旺,四時之旺氣也;罡,天罡也;雄,戰雄也;相,四時之相氣也;辰上,七辰所對之宮也。言主將宜居此七神,以擊對宮,大勝。《魯氏占》曰:“背生擊死,背孤擊虛,背建擊破,背旺相擊死囚,背罡擊魁,背雄擊雌,百戰百勝(倘不合此,堅壁待時)。”正此之謂。
歌訣末句の裡の「生」は生氣、「孤」は空亡、「建」は月建、「旺」は四時の旺氣、「罡」は天罡、「雄」は戰雄、「相」は四時の相氣。「辰上」は則ちこ七神の對する宮位を指す。意思は主將は當にこ七箇の神位の一に坐して、對宮に向かって出擊すべし、必ず大勝を獲ん。《魯氏占》に曰く:「生氣を背けて死氣を打ち、空亡を背けて對沖の虚を打ち、月建を背けて月破を打ち、旺相を背けて死囚を打ち、天罡を背けて河魁を打ち、戰雄を背けて戰雌を打てば、百戰百勝す。倘若これらの條件に合せざれば、則ち堅壁固守して、時機を等待せよ。」講ずる所は正にこの意思なり。
課體分主客勝負時
元首忠良先舉宜,逆後重審搴旗知。知一比用須和允,涉害察微要見機。日遙神遙分主客,昂星剛柔各稽遲。伏吟主靜返吟遠,別責八專利出奇。凡以六壬占兵,先審卦義,詳其吉凶,而定其戰守奇正,然後舉兵。
「元首」課は上下忠良にして序有り、搶先して發動するに宜し。違逆して後に應ずるは「重審」課にして、拔旗奪陣の事有るを知る可し。「知一」課は比用の神を取り、凡事は講和允諾を講ずるを要す。「涉害」課は其の幽微を察し、務めて機を見て動くを要す。日干の遥克と上神の遥克とは、分かちて客と主とに對應す。「昴星」課は陽日陰日に分かち、各々稽留遲滯有り。「伏吟」は靜守を主り、「返吟」は遠行を主る。「別責」「八專」の兩課は則ち奇を出して勝を制するに利す。凡そ六壬を用いて兵事を占ふに、皆先ず課體の義理を審明にし、詳細に其中の吉凶を推し、據りて是れ戰か守か・奇を用ふるか正を用ふるかを決定し、然る後に乃ち兵を動かす。
下賊上為用者,卦名元首,主臣忠子孝,聞事皆實;利先舉,未利後動,利為客,不利為主。上克下為用者,卦名重審,主下凌於上,多事不順;此時行兵,利後應,不利先動,利主,不利客。
下神が上神を賊するの一課を取りて發用と爲し、課名は「元首」、臣忠子孝を象徴し、聞く所の事情は皆實情なり。此の時は搶先して發動するに利し、後動するに利せず、即ち客に利して主に利せず。上神が下神を克するの一課を取りて發用と爲し、課名は「重審」、在下の者が在上に凌犯するを象徴し、事情は多く順ならず。此の時用兵すれば、後發して相應ずるに利し、先に手を動かすに利せず、即ち主に利して客に利せず。
比用課為用者,卦名知一,比者近也,占人不出邑里,占賊皆在近處;此時行兵,進退孤疑,是和允之兆。涉害課為用者,卦名見機用孟、察徽用仲,主作事稽留,憂患難解;此時行兵,當審其後,察其後而動,否則恐致傷也。
比用の神を取りて發用と爲し、課名は「知一」。「比」は相近の意思、人を占へば人は本鄕本邑を出でず、敵を占へば敵は即ち近處に在り。此の時用兵すれば、進退の間は猶疑して決せず、是れ講和允諾するに宜しきの徵兆なり。涉害の神を取りて發用と爲し、課名は「涉害」:若し四孟の神を取れば「見機」と曰い、四仲の神を取れば「察微」と曰ふ、事を辦するに拖延して・憂患は解け難きを主る。此の時用兵すれば、當に後路を審察し、看清楚にして後に動け、さもなければ恐怕損傷を受けん。
遙克為用者,卦名蒿矢(神遙剋日)、彈射(日遙克神),射無所中,諸事皆輕;此時行兵,雖凶無畏。蒿矢利主,彈射利客。昴星剛日卦,名虎視,主動,出兵欲動,忌關梁稽滯;柔日卦,名冬蛇掩目,主伏,利於伏藏,若我往攻彼,必潛伏不見。
遥克の神を取りて發用と爲し、上神が遥かに日干を克する課名は「蒿矢」、日干が遥かに上神を克する課名は「彈射」。これは譬へば箭を射出せども射中らざるが如く、凡事は皆輕し。此の時用兵すれば、雖も凶象有れどもまた畏るるに及ばず。大體に蒿矢は主を作るに利し、彈射は客を作るに利す。「昴星」課は陽日に於ては「虎視」と曰い、動を主り、出兵して行動せんと欲すれども、關卡橋梁の阻滯を忌む。陰日に於ては「冬蛇掩目」と曰い、伏を主り、隱蔽藏伏するに利す。若し是れ我方が往きて對方を攻打すれば、對方もまた必定に潛伏して露面せざらん。
伏吟課者,天地相同,諸神各伏其位。剛日伏吟,欲行中止;柔曰伏吟,伏藏不起。此時行兵,關梁杜塞,賊不越境之象。返吟課者,天地相反,諸神各易其所,禍從外來,子逆臣奸之象;此時行兵,事多反覆,尤宜審忌。
「伏吟」課は、天盤と地盤とが完全に相同なり、諸神は各々本位に伏す。陽日の伏吟は、走らんと欲すれど半路に停住す。陰日の伏吟は、伏藏して起こる能わず。此の時用兵すれば、是れ關隘橋梁の堵塞し・敵人は越境せざるの象なり。「返吟」課は、天盤と地盤とが處處相反し、諸神は各々對宮に換へ、禍患は外面より來る、是れ兒子の忤逆・臣下の奸邪の象なり。此の時用兵すれば、事情は反復して常なく、なかんずく仔細に忌諱を審察するを要す。
八專為用者,此課陰陽其處,主客不分,此時行兵;遇敵必戰,要當時旺相為吉,又宜持正。別責為用者,此課借徑而行,倚仗別物;此時行兵,須外助方可,否則怯懦也。
「八專」を取りて發用と爲す、こ類の課は干支同宮、陰陽は一一處に擠り、主と客とは分かち清楚せず。此の時用兵すれば、一たび敵人に碰上すれば打たざるを得ず、當に當令の旺相の氣を須て乃ち吉、還に當に正道を持守すべし。「別責」を取りて發用と爲す、こ類の課は四課全からず、ただ他神の路を借りて行く、處處別の物に倚仗す。此の時用兵すれば、必ず外來の援助有るを要し、さもなければ即ち怯懦にして前進せざらん。
兩軍對陣第二十五
兩軍對陣欲交鋒,先看軍容用計攻。陣是圓形宜用火,若教方體木當從。旗幟忽然青作色,也須白旄往前沖。更審八方誰出馬,克刑擇吉誰張弓。
兩軍が對陣して將に交鋒せんとす、先ず對方の軍容を看て而して後に何の計策を用いて攻むるかを定む。敵陣が圓形に擺すれば金に屬す、我は即ち火形の陣を用いて往きて破れ。敵陣が方形に擺すれば土に屬す、我は即ち木形の長陣を用いて中より破れ。敵人の旗幟が忽然一率に青色を用ゐれば、那是木氣、我は即ち白旄白甲を用いて冲り上がるを要す。なお審明して敵人が八方のいずれの一方より出馬するかを看よ、我便ち相克・相刑に按じて吉門を擇取し、對應する方位より弓を張りて迎戰す。
主客既定,勝負已明,則於交陣欲戰之時,夫得無作用哉?於是觀其軍容若何,始出奇以應之。軍容者,軍之陣勢與旗幟形色也。如敵陣作圓形,此金陣也,我則排尖陣以破之(尖者火也,取火克金);如敵陣方形,如土陣也,我則排成長陣以破之(長者木也,取木克士);如敵陣所張旗幟衣服,皆純青色,則是木氣,我即用白旗白甲以應之(白,金色,金克木);五方之色,以克彼者為勝。
主客は旣に已に分定し・勝負も已に明白なれば、那麽兩陣の相交る將に開戰せんとする時に到り、豈に施爲する可きの處なからんや。是に於て敵人の軍容の如何を觀察して、乃ち奇を出して勝を制するを好し。言う所の軍容は、即ち軍隊の陣勢形狀と旗幟衣甲の顏色。例えば敵陣が圓形に擺すれば、圓は金に屬す、我は即ち尖形の陣を排出して往きて破れ、尖は火に屬し、火の金を克するを取るなり。敵陣が方形に擺すれば、方は土に屬す、我は即ち長形の陣を排出して往きて破れ、長は木に屬し、木の土を克するを取るなり。敵人の張る所の旗幟衣服が全て純青色なれば、那是木氣、我は即ち白旗白甲を用いて彼に應ず、白は金色、金は木を克す。要するに五方の顏色は、能く對方を克する其の一色を以て取勝す。
四方,八卦之方位也。當用奇門休、生、傷、杜、景、死、驚、開,如八卦位,看敵在何方出馬,我則取克彼刑,彼出吉門以接刃(如彼自死門來,我從生門出應,是擇吉也。如彼自兌位出馬,我從離位張弓,是克他也)。刑是十二支之三刑。
歌訣の説く所の「八方」は、即ち八卦の方位。當に奇門の休・生・傷・杜・景・死・驚・開の八門に配合し、八門は正に八卦の位に對す。敵人がいずれの一方より出馬するかを看て、我便ち能く彼を克し・能く彼を刑する方位を取り、吉門より出でて彼と交鋒す。例えば敵人が死門の方向より來れば、我は即ち生門より出でて應戰す、這是吉を擇ぶなり。敵人が兌位より出馬すれば、我は即ち離位より弓を張れ、離火は兌金を克す、這是彼を克するなり。ここに言ふ「刑」は、十二地支の間の三刑を指す。
以實擊虛虛擊實,因奇用正正還奇。彼勞我逸攻宜急,我眾他微可用圍。兵法云:“實者虛之,虛者實之。”如敵空虛,我以實擊之,是實擊虛也,如敵實我設虛以擊,是虛擊實也(如玄德因劉璋之弱而得益州,是以實擊虛之事。張飛以二十騎拖柴揚塵退曹兵百萬,是以虛擊實之事)。
用兵は實を以て虚を擊ち・虚を以て實を擊つを要す、敵人が奇を用ゐれば我は即ち正を以て相因す、敵人が正を用ゐれば我は即ち彼に還して以て奇と爲す。對方が遠來して疲勞し我軍が逸を以て勞を待てば、即ち急攻すべし。我衆にして敵寡なれば、即ち圍みて之を困らしむ可し。兵法に曰く:「實のは虚と裝り、虚のは實と裝るべし。」敵人が空虚なれば、我は實力を以て往きて打つ、這就是實を以て虚を擊つなり。敵人が充實なれば、我は虚勢を擺し出して往きて打つ、這就是虚を以て實を擊つなり。例えば劉備が劉璋の勢弱に趁りて益州を取得したるは、即ち實を以て虚を擊つの例子。張飛が二十騎を用いて樹上に柴枝を拖りて塵土を揚げ、曹操の百萬大軍を嚇退したるは、即ち虚を以て實を擊つの例子なり。
敵設奇,我因其奇而擊之以正(如曹操遣蔡瑁詐降周瑜,而周瑜遂因以奇破曹操)。敵用正來,我破其正而擊之以奇(如韓信拔趙之類)。彼軍遠來,是勞也,我宜急攻之。彼兵寡將微,是我宜圍之,以俟其自敗。其虛虛實實、奇奇正正,妙用多端,不可一言而盡也。
敵人が奇計を設くれば、我は即ち其の奇計に順いて正兵を以て彼を擊破す、例えば曹操が蔡瑁を派して周瑜に詐降せしめ、周瑜は返ってこれに借りて奇計を用いて曹操を大破したるが如し。敵人が正兵を以て來攻せば、我は即ち其の正兵を破りて奇兵を以て取勝す、例えば韓信が趙國を攻取したるの一類の戰例の如し。對方が遠道より來るは、是れ「勞」、我方は即ち急攻すべし。對方が兵少なく將弱ければ、我方は即ち彼を圍んで、其の自己に潰敗するを待て。こ裡頭の虚虚實實・奇奇正正は、妙用變化すること極めて多く、一句の話に説き盡くす能わざるなり。
銳氣勿攻衰氣勝,亂宜擊整懈精追。洿下正當澭水浸,順風切記逞炎威。兵法曰:“銳氣勿擊。”銳氣,朝氣也,士卒在朝,其氣方銳,至午後則衰矣,擊之則勝。亂,軍之行伍陣法紊,我以整擊之,則勝。懈,彼軍志氣懈怠,我軍精猛,擊之則勝。如彼軍站立洿下,我於上流空水以灌之。如臨陣以順風,宜用火燒,此人事之作用,不筮祝而知者。
敵人の銳氣が正に盛なれば打つ勿れ、其の氣の衰へるを待ちて打てば即ち勝てん。敵陣が混亂すれば即ち整齊の師を以て往きて擊て、敵軍が懈怠すれば即ち精銳の師を以て往きて追へ。敵人が低窪の處に駐れば、正好に上流より水を放りて彼を淹れよ。臨陣して順風を得れば、切に火を放りて威を逞しむるを記れ。兵法に「銳氣は擊つ勿れ」と曰ふ、銳氣即ち早晨の氣:士卒は清晨に於て氣勢正に銳く、午后に到れば即ち衰ふ、其の時に彼を打てば即ち勝てん。言う所の「亂」は、敵軍の行伍陣法の紊亂する、我は整齊を以て往きて打てば即ち勝てん。言う所の「懈」は、敵軍の志氣の松懈する、我軍は精銳勇猛にして、往きて打てば即ち勝てん。若し敵軍が低窪の地に站れば、我は即ち上流に於て水を決りて彼を灌げ。若し臨陣して風の刮るは順風なれば、即ち火を放りて彼を燒くに宜し。これら皆人事の上の作爲、占卜を用ゐずとも明白なり。
若用六壬,依《兵機總要》訣例占之:“發用雌雄定輸贏,勝負初傳天下評。年命支上空虎勝,本行貴旺武衰贏。勾陳玄武攻方利,陳覆攻方責克亨。日辰武傷時克武,季贏孟敗視罡星。”此總要占訣也,注見前《主客勝負》篇內。
倘若六壬を用いて占はんと欲せば、即ち《兵機總要》の訣例に依れ:「發用は戰雄か戰雌か、輸赢を定め、勝負は全て初傳を憑りて評斷す。行年本命と日支の上とに空亡に落ち・白虎を見る一方は返って能く取勝す。本命の行く所は貴神が當旺にして玄武が衰弱の一方は赢を獲る。勾陳・玄武の所在するは攻むる所の方に利し。勾陳が攻むる所の方を覆壓し、能く克せば即ち通達す。日干日支が若し玄武に傷せらるれば、即ち占時をして來りて玄武を克せしむるを要す。天罡が四季に落つれば則ち赢ち・四孟に落つれば則ち敗れ、全て罡星を看れ。」這就是《兵機總要》の占訣、其の註解は前面の《主客勝負》一篇の內に見よ。
急出從神第二十六
急密發兵從急神,私門卯下用機深。旺與克玄方莫去,須向天罡與太陰。占者用兵遣將,約戰,此正體也。設未陣之先,猝有不虞,則速急發兵應之,當統兵向六合與太沖下(以備六合為私門,太沖卯也)。至干旺方與克我之方、玄武所立之方,都不可往,宜往天罡、太陰之下。
緊急にして隱祕に兵を發するは、「急神」に順いて走り、「私門」卯の下より出發せば、機謀乃ち深し。當令の旺方と玄武を克する其の一方とは皆往く勿れ、必ず「天罡」と「太陰」の下に向かって走るを要す。凡そ兵事を占ふに、將を遣わし期を約して戰ふは、那是正常の路數。假如なお未だ列陣せずして、忽然意外出でば、即ち急ぎ兵を發して應付するを得、此の時當に兵を統べて「六合」と「太冲」の下に向かって走るべし、六合は私門、太冲即ち卯なればなり。至於日干の當旺する方・我を克する方および玄武の立つ所の方は、皆往く可からず、宜しく天罡と太陰の下に往くべし。
占賊去留第二十七
賊兵去否斗罡尋,孟未仲季季遠奔。大吉過干賊已出,未過潛住欲來侵。夫既定勝負而後戰,則賊必棄甲曳兵而走矣。然猶疑其未去,則以斗罡定之。斗罡,即天罡也。月將加時,斗罡加孟,賊未去;加仲,將發;加季,已遠奔矣。《兵機總要》云:“加季如今過遠出”是也。
敵兵は到底走り去ったか否かを知らんと欲すれば、即ち「斗罡」を尋ぬよ:四孟に加われば、なお未だ走らず。四仲に加われば、正に身を動かさんとす。四季に加われば、已に遠く逃げ去れり。若し「大吉」(丑)が日干を越え過ぎれば、敵人は已に界を出でり。越え過ぎざれば、敵人はなお近處に潛伏し、再び來りて侵犯せんと想ふ。旣に已に勝負を定めて而して後に交戰せば、敵人は必定に盔を丟げ甲を棄てて逃跑せん。但しなお其の真に走らざるを疑心せば、即ち斗罡を用いて判定せよ。斗罡即ち天罡なり。月將を用いて占時に加えて盤を轉ぜ:天罡が四孟に加われば、敵人は未だ去らず。四仲に加われば、將に出發せんとす。四季に加われば、已に遠遁せり。《兵機總要》に「季に加われば如今遠く出で過ぎり」と曰ふ、即ちこの意思なり。
又《靈匣經》云:“大吉加於干前一神,是謂過干,賊已過關;如未過,則賊潛住,尚欲來侵我”(假令甲子日,大吉加卯,是過干,賊已出界。若臨寅或臨丑,是未過關,賊尚未出)。
《靈匣經》に別に一説有り:「大吉が日干の前面の第一位の神の上に加われば、即ち『過干』と曰ふ、敵人は已に關を過ぎり。若しなお未だ過ぎざれば、敵人は近處に潛伏し、還に來りて我を侵犯せんと想ふ。」例を擧げて言へば:甲子の日、甲は寅宮に寄せ、大吉が卯の上に加われば即ち過干、敵人は已に邊界を出でり。若し大吉が寅に臨みあるいは丑に臨めば、即ちなお未だ關を過ぎず、敵人はなお未だ境を出でず。
分兵追襲第二十八
魯都臨處知賊去,陰空臨之不可圍。魁罡如入遭囚繫,魯勾相生賂釋賊。兵言窮寇勿追,若欲追之,則當以魯都看賊之所息。《經》云:“游都察賊至,魯都察賊歸。”是也。游都沖處即魯都,魯都臨支,賊尚在近處;若臨干去日又遠,賊已遠去,不可追,即因天罡加孟仲季決之亦是。
「魯都」の臨む所の處を以て、即ち敵人のいずれの處に往けるかを知る可し。若し「太陰」と空亡とが其の上に臨めば、即ち圍みに往く可からず。魯都が若し「河魁」「天罡」の下に落入すれば、追ひ往けば返って囚繫せられん。魯都が若し「勾陳」と相生せば、那是人の賄賂を受けて敵人を放走せしめたるなり。兵法は「窮寇は追ふ勿れ」と講ず、若し一定要して追はんとすれば、即ち魯都を用いて敵人の歇息する處を看るを要す。《經》の上に曰く:「遊都は敵の來るを察し、魯都は敵の歸るを察す。」正にこの意なり。遊都と相沖する其の一位即ち魯都:魯都が日支に臨めば、敵人はなお近處に在り。若し日干に臨みてまた日を離るること遠ければ、敵人は已に遠く走り、再び追ふ可からず。天罡を用いて孟・仲・季に加えて判斷するも、結論は一樣なり。
若魯都入空地,並太陰之下,不可見;太陰為陰私藏匿;空亡,入空。斗者,天罡也,天罡為牢獄之所;魁,天魁也,天魁為幽禁河之地,賊入其下,必遭囚擊。至於分我軍之法,擇吉神將之方,並刑剋魯都之方便是。又有魯都生勾陳,為捉人受賂而釋賊之說。
若し魯都が空亡の地に落進み、あるいは「太陰」の下に落ちれば、敵人は見えざらん:太陰は陰私藏匿を主り、空亡は則ち落空なり。「斗」は天罡を指し、天罡は牢獄の所。「魁」は天魁(戌)を指し、天魁は幽禁の地。敵人が若しこの兩處の下に逃げ入れば、必定に囚禁擒獲せられん。至於兵を分かちて追擊するの辦法は、即ち吉神吉將の所在する方位、および能く魯都を刑克する方位を選んで往きて追へ。別にまた一種の説有り:魯都が勾陳を生ずれば、人を捉へた後に賄賂を收めて、また敵人を放掉するを主る。
伏兵前後第二十九
恐賊埋兵居要程,支干上決最通靈。巳申子卯來覆立,寇敵奸心布伏兵。旺相帶刑逢必戰,空亡體廢不來爭。干傷在前支傷後,支干俱損莫驚沖。日行險隘,恐人謀害,當以日辰時三處決之,日傷勿在前,辰傷勿在後,時傷勿在中(此與前《兵機》、《心鏡》合,但彼不取時耳)。
敵人の必經の要道上に埋伏せんことを擔心すれば、日干日支を用いて判斷するを最も靈驗と爲す。巳・申・子・卯の四神が覆壓して上れば、即ち敵寇の心懷奸詐・伏兵を布きたるなり。こ四神が若し旺相に當りまた刑を帶ぶれば、遇上すれば必定に打たん。若し空亡に落ち・氣數廢絶せば、來りて相爭はざらん。日干が傷を受くれば、伏兵は前に在り。日支が傷を受くれば、伏兵は後に在り。日干日支が皆損を受くれば、即ち貿然と衝擊する勿れ。行軍して險要の隘口を經過し、人の圖謀加害せんとする有らんを怕れば、當に日干・日支・占時のこ三處を用いて判斷すべし:日干が傷を受くれば前面を走る勿れ、日支が傷を受くれば後面を走る勿れ、占時が傷を受くれば中間を走る勿れ。これ前面の《兵機總要》《六壬心鏡》の説法と一致す、ただ彼の兩家は占時を取らざるのみ。
又曰,斗罡加孟勿在前,加仲勿在中,加季勿在後。若天罡加日辰,必有惡人躡我蹤跡,宜急去。
別に一説有り:天罡が四孟に加われば、隊伍の前面を走る勿れ。四仲に加われば、中間を走る勿れ。四季に加われば、後面を走る勿れ。若し天罡が日干日支に加臨せば、一定に歹人の我軍の行蹟を跟蹤する有らん、當に急ぎ離開すべし。
渡關覘賊第三十
見賊行程渡關方,行年歲月日沖難。支干上將休囚惡,旺相相生去即安。魁罡蛇虎尤當忌,向國方門要細研。渡關,謂我軍欲渡彼境,覘聽賊所虛實,先看大將行年本命,不可與太歲日月沖破相剋,即在太歲日月沖破,亦不可輕去。《經》云:“凶不凶,視破沖。”是也。破神,子破酉、卯破子之類。沖,十二宮對沖。
敵人の行止を探明せんと欲せば、關を越え境を渡るを要す。此の時行年が若し太歲・月建・日辰に沖せらるれば、難有らん。日干日支の上の神將が休囚に落つれば好からず、旺相を得また相生すれば、往けば平安なり。「河魁」「天罡」「螣蛇」「白虎」はなかんずく忌むを要し、往く所の國・向かふ所の方・出づる所の門は皆細細に研究するを要す。言う所の渡關は、我軍の對方の境內に渡りて、窺探打聽して敵方の虛實を探るなり。先ず主將の行年本命を看て、太歲・月建・日辰と相沖破・相克す可からず。たといただ太歲・月建・日辰の沖破する方位に身を處するのみなるも、また輕々しく前往す可からず。《經》の上に「凶か凶ならざるかは、破と沖とを看よ」と曰ふ、即ちこの道理なり。言う所の「破神」は、子の酉を破り・卯の子を破るの類の如し。言う所の「沖」は、即ち十二宮の對沖なり。
《玉門經》曰:“差人覘賊虛實,日辰上見旺相之神,更與日辰相生者吉;見休囚之神,又與日辰相剋,則不可去。”
《玉門經》に曰く:「人を派して敵方の虛實を窺探せしむるに、日干日支の上に旺相の神を見、而且日干日支と相生する者は、吉なり。若し休囚の神を見、また日干日支と相克すれば、那就派し往く可からず。」
蛇,螣蛇;虎,白虎;魁罡,辰戍也;若辰戌乘蛇虎二神加支干年命上,或加去方門上尤最忌(方,所至之方也;門,去使所出之門也)。
歌訣の裡の「蛇」は螣蛇、「虎」は白虎、「魁罡」即ち辰・戌の兩支なり。若し辰・戌が螣蛇・白虎のこ兩將に乘じて、日干日支あるいは主將の行年本命の上に加え、あるいは往く所の方位と出づる所の門の上に加われば、那是最も忌諱するを要す。ここに言ふ「方」は往かんとする所の方位を指し、「門」は使者の出發する走る其の一道の門を指す。
行年歲月日沖否。若向沖陰有慶還,亥午罡臨人宅吉,出軍玄武畏方難。主將行年若在太歲、月建、日沖下,不可去(一作差人行年)。此《玉門經》斷法,《玉曆鈐》作“本命行年,忌見日辰上對沖之神。”
なお行年に太歲・月建・日辰の沖する有るか否かを看るを要す。若し「太冲」と「太陰」の方向に向かって往けば、即ち喜慶有りて歸らん。亥・午と天罡とが日干日支の上に臨むは吉なり。出兵すれば難くは玄武の畏るる方位に在り。主將の行年が若し太歲・月建・日辰の沖する下に落つれば、即ち前往す可からず、別の一傳本は説くは所派する人の行年なり。これは《玉門經》の斷法。《玉曆鈐》は則ち「本命と行年とは、日干日支の上の之と對沖する神を見るを忌む」と作す。
沖,太沖也;陰,太陰。歲後二位是太陰,太沖臨處可去,有喜。還,回還也。《玉帳經》云:“令人探賊,出天上太沖下,則人鬼不見,又宜太陰之上探之。”正此意也。
歌訣の中の「冲」は「太冲」(卯)を指し、「陰」は「太陰」を指す。太陰は太歲の後の第二位を取る。太冲の臨む所の處は往く可く、往けば喜有り。「還」は回還の意思なり。《玉帳經》に曰く:「人を派して敵を探らしむるに、天盤太冲の下より出づれば、人も鬼も彼を見えず。また宜しく太陰の上に於て打探すべし。」正にこの意思なり。
人宅,即日辰也。《玉門經》云:“日辰上得登明、天罡、勝光,宜急去。”玄武畏方,是克玄武之方也。《靈匣經》曰:“玄武乘神能制所往之方,出兵大勝。乘神畏所往之方,凶。假令武乘勝光,不宜往北方。”
歌訣の裡の「人宅」即ち日干日支なり。《玉門經》に曰く:「日干日支の上に『登明』(亥)・『天罡』(辰)・『勝光』(午)を得れば、即ち急ぎ身を動かすべし。」言う所の「玄武の畏方」は、能く玄武を克する其の一方なり。《靈匣經》に曰く:「玄武の乘ずる神が能く往かんとする所の方位を制住せば、出兵して大勝す。若し乘ずる神が返って往く所の方位を怕れば、即ち凶なり。例えば玄武が勝光(午火)に乘ずれば、即ち水に屬する北方に往くに宜からず。」
迷路求通第三十一
迷路申辰下可從,三途罡孟左宜沖。仲中季右依之法,陽左宜令陰右通。兩路日良趨左大,辰良右小斷無壅。我軍度關,去國已遠,一時嚮導不及,迷失路途,或二三路相雜,則不可不決也。
路に迷へば、即ち申・辰の下より走れ。三条の岔路に碰上せば、天罡が四孟に加われば左路を走り、四仲に加われば中路を走り、四季に加われば右路を走れ。別に一法ありて天罡が陽支に落つれば左を走り・陰支に落つれば右を走る。若しただ兩条の路なれば、日干が吉なれば左邊の大路を走り、日支が吉なれば右邊の小路を走れ、斷じて毫も窒礙なし。我軍が關を渡りたる後、本國を離るること已に遠く、一時に向導を尋ね得ず、道路を迷失し、あるいは兩三条の路が交交錯して辯じ難し、こは占斷せざるを得ざるなり。
申傳送也,辰天罡也,二神臨方有路,黃帝云:“軍行迷路,若功曹、傳送臨日辰,前路通;天罡蛇虎臨日辰,前路不通。”《兵帳賦》云:“洿泥之地,天罡指處堪行。”又云:“錯迷失路,參角堪前。”參,申宿;角,辰宿。
申は「傳送」、辰は「天罡」、こ兩神の臨む所の方位は路有りて走る可し。黃帝に曰く:「行軍して路に迷へば、若し『功曹』(寅)・『傳送』(申)が日干日支に臨めば、前路は通暢す。若し『天罡』と螣蛇・白虎とが日干日支に臨めば、前路は通せず。」《兵帳賦》に曰く:「低窪泥濘の地は、天罡の指す處より走れば通ず。」また曰く:「路を錯迷せば、參宿・角宿に靠れば即ち前行する能し。」參宿は申に屬し、角宿は辰に屬す。
逢三路,未知從何路,則以天罡加宜孟左去,加仲宜中去,加季右去。《七十二占》同此。陽,六陽之神也,子、寅、辰、午、申、戌,天罡臨此六位,宜往左。陰,六陰之神也,丑、卯、巳、未、酉、亥,天罡臨此六位,宜往右。此又一法。
三条の岔路に遇上し、いずれの一条を走るかを知らざれば、即ち天罡を看よ:四孟に加われば即ち左路を走り、四仲に加われば即ち中路を走り、四季に加われば即ち右路を走れ。《七十二占》の説法はこれと相同なり。言う所の「陽」は、六箇の陽支:子・寅・辰・午・申・戌、天罡がこ六位の上に臨めば、左に往くに宜し。言う所の「陰」は、六箇の陰支:丑・卯・巳・未・酉・亥、天罡がこ六位の上に臨めば、右に往くに宜し。これはまた別の一種の法子なり。
設逢兩路可疑,日上吉可向左道,或大道去,吉。辰上吉,可向右路,或小路去,吉。《兵帳賦》云:“兩歧惑意,日辰左右。”即此之謂也。
假如兩条の路に遇ひて取捨し難ければ、日干の上が吉なれば、即ち左邊の其の一条の路を走り、あるいは大路を走れ、吉なり。日支の上が吉なれば、即ち右邊の其の一条の路を走り、あるいは小路を走れ、吉なり。《兵帳賦》に「兩条の岔路は人をして主意を拿え難からしめば、即ち日干日支を用いて左右を分かつ」と曰ふ、講ずる所は正にこのなり。
昴星俯視關梁杜,猴虎干支有路蹤。若見罡魁蛇虎阻,未虛臨處更休攻。陽日昴星課為仰視,載在起例。凡遇此等課,主關梁杜塞不通。
「昴星」課を占得すれば、即ち關隘橋梁の堵塞の象なり。若し「猴」(申)と「虎」(寅)とが日干日支の上に落つれば、前路は便ち蹤跡の循む可き有らん。若し「天罡」「河魁」と螣蛇・白虎の阻攔するを見れば、未と虛宿の臨む所の處もまた整裝前行するに往く勿れ。陽日の昴星課はまた「仰視」と曰ふ、課を起こすの凡例の裡に記載有り。凡そこ一類の課に遇へば、皆關隘橋梁の堵塞不通を主る。
猴,傳送之屬;虎,寅也。二神臨日辰,前去有路。魁、罡、蛇、虎四神加臨日辰上,前路不通。《兵帳賦》云:“神后多池,小吉阻道。”蓋神后子也,臨處必有水池。小吉臨方有井泉。未,小吉。虛,子中宿也。攻,治,謂治裝前行也。
歌訣の裡の「猴」は「傳送」(申)に屬し、「虎」即ち寅なり。こ兩神が日干日支に臨めば、前面に路有りて走る可し。若し「河魁」「天罡」と螣蛇・白虎のこ四者が日干日支の上に加臨せば、前路は通せざらん。《兵帳賦》に曰く:「神后の處は多く水池有り、小吉の處は道を阻むに會せん。」神后即ち子、其の臨む所の處は必ず水池有らん。小吉の臨む所の方は則ち井泉有らん。歌訣の裡の「未」即ち小吉、「虛」は子の中の宿名なり。「攻」は治辦の意思、指す所は整裝前行す。
中途防截第三十二
遠涉途間怕賊邀,加時占測好推敲。巳申子卯臨支後,立於前路欲指挑。不臨支干兵離遠,如到干支近我巢。旺相帶刑逢必戰,空亡休廢且虛跑。干為大路支為小,勝光之下看哮咆。
遠行の途中に敵人の攔截を怕れば、即ち月將を占時に加えて課を起こして細細に推敲す。巳・申・子・卯が日支に臨めば、敵兵は我の後面に在り。日干に臨めば、敵人は即ち前路に站りて挑釁して戰を要す。こ四神が一箇も日干日支に臨まざれば、敵兵は我を離るることなお遠し。若し已に日干日支の上に到れば、那是我軍の巢穴に逼近せんとするなり。それらが旺相に當りまた刑を帶ぶれば、遇上すれば必定に打たん。若し空亡・休廢無氣に落つれば、不過虚に聲勢を張りて一趟を跑るのみなり。日干は大路を代表し、日支は小路を代表す、更に「勝光」(午)の下に咆哮の勢有るや否やを看よ。
《玄女經》曰:“間關千里,須防邀截。則以月將加時,看丑申卯子。臨支主有兵在我後,臨干主有兵在我前,相挑欲戰也。若此四神不臨支干,兵離我遠,即無邀截矣。如到支干,是欲近我巢穴,宜備之。且看賊神在何方上,如抵旺相,又帶刑殺,此大戰之兆。如抵空亡休廢,不過虛咆一番耳。”勝光,午也,主道路,加干,賊從大路來邀截;加支,賊從小路來劫(此出《兵機天鏡》)。
《玄女經》に曰く:「千里を跋涉すれば、必ず攔截を提防するを要す。即ち月將を用いて占時に加へ、丑・申・卯・子の四神を看よ:日支に臨めば兵の我の後に有るを主り、日干に臨めば兵の我の前に有るを主り、正に挑釁して開戰せんと想ふ。若しこ四神が皆日干日支に臨まざれば、敵兵は我を離るることなお遠く、即ち攔截の患なし。若し已に日干日支に到れば、那是我軍の巢穴に逼近せんと欲す、當に防備すべし。なお敵方の神のいずれの一方に落つるかを看るを要す:若し正に旺相に當り、また刑煞を帶ぶれば、這是大戰の兆なり。若し空亡休廢に落つれば、不過白白と咆哮して一場するのみ。」「勝光」即ち午、道路を主る:午が日干に加われば、敵人は大路より來りて攔截す。午が日支に加われば、敵人は小路より來りて劫掠す。こ一段は《兵機天鏡》に出づ。
覓水求糧第三十三
覓水須求未卯方,劫糧戊已吉臨藏。玄神克處克干得,丑未臨方也最良。
水を尋ぬるは未・卯の兩方に到りて求むるを要し、糧を劫するは則ち本旬に遁出する戊・己の位の上に吉將の隱藏する有るや否やを看よ。「玄武」の乘ずる神の克住する處、あるいは玄武の日干を克するは、皆能く劫し得手す。丑・未の臨む所の方もまた最も好き去處なり。
孫子云:“因糧於敵。”則迢迢關外,非劫何以取足?於是取水則向卯未方大吉。蓋未中有井宿,其下有井泉。其為天漢之源,其下有河,故卯為天河,未為地井。《兵帳賦》云:“尋房井之清泉。”又云:“欲掠他鄉,戊己須逢吉將。”戊已,是以月將加時尋本旬天上戊己,上乘吉將,主得糧也(假如甲子旬戊己在辰巳,若天乙青龍等吉將臨於天盤辰巳之上,出掠必得財)。
孫子は「糧は敵に因る」と曰ふ、那麽關外の千里の地に遠く在りて、往きて劫掠せざれば怎麼樣に供給を充足せんや。故に水を取るは即ち卯・未の兩方に向かって往け、大吉なり。未の中に井宿を含み・其の下に井泉有れば、卯は天漢銀河の源・其の下に河流有ればなり、故に卯を天河と爲し・未を地井と爲すと曰ふ。《兵帳賦》に「房宿・井宿の下に到りて清泉を尋ぬよ」と曰ふ、また曰く「別處を劫掠せんと想へば、戊・己の位は必ず吉將に逢ふを要す」。言う所の戊己は、月將を用いて占時に加えて盤を轉じたる後、本旬の天盤上に遁得する戊・己の位置を尋ぬ。上に吉將に乘ずれば、即ち糧食を得るを主る。例えば甲子旬中に戊・己は辰・巳に遁じ、若し天乙・青龍などの吉將が天盤の辰・巳の上に臨めば、出でて劫掠せば必定に獲有らん。
玄武,賊神也,我要行劫,我即是賊,故要玄武乘神克處劫之;若玄武乘神剋日干,亦可得也。《兵帳賦》云:“潛起掠地,玄武須旺。能制干支,我軍大獲。若居四季,忌甲乙東征;若乘功曹太沖,忌庚辛酉向。”餘同此。
「玄武」は盜賊を主る神なり。我方の往きて劫掠せんと欲するは、我自己が即ち「賊」なり、故に玄武の乘ずる神の克する所の地方を拿りて往きて劫するを要す。若し玄武の乘ずる神が日干を克するも、一樣に能く得手す。《兵帳賦》に曰く:「潛行して土地を劫掠せば、玄武は必ず旺相たるを要す。能く日干日支を制住せば、我軍は即ち大いに斬獲有らん。玄武が若し辰戌丑未の四季土の上に落つれば、即ち甲の日・乙の日に東に向かって出征するを忌む。若し『功曹』(寅)『太冲』(卯)の木神に乘ずれば、即ち庚の日・辛の日に西方の酉位に向かって行動するを忌む。」其余の情形はこれに照らして類推せよ。
若丑未臨方,亦可劫掠。《兵帳賦》云:“欲劫軍糧,向秦吳大獲。”秦,未之分野;丑,吳之分野。我有糧有水,兵有所恃,自此而潛伏劫掠,自此而拔邑攻城,自此而遣行間諜,與敵往來,無有不豫矣。
若し丑・未が某方に臨めば、其の一方もまた往きて劫掠する可し。《兵帳賦》に曰く:「軍糧を劫さんと想へば、即ち秦・吳の兩分野に向かへ、必ず大獲有らん。」秦は未の分野、吳は丑の分野なり。我方に糧有り水有れば、士兵は即ち依恃する所有らん。これより潛伏劫掠する可く、城邑を拔取し・城池を攻打する可く、間諜を派遣する可く、敵人と往來周旋するに、一様として預め籌劃し好き有らざるなし。
潛兵劫掠第三十四
潛兵劫掠最為強,先察三傳端的詳。初為本國中為將,未為外虜乃他邦。初中克末無人境,獲功無劫得財糧。初生末處人逃彼,末若生初賊虜降。三傳獲克休囚位,兩家敵戰盡遭傷。初中囚死末旺相,退兵自守莫驚張。初中旺相末傳死,直搗巢邱鎖逆王。
兵を潛めて劫掠するは最も功效を見る、先ず三傳を細細に察明するを要す。初傳は本國を代表し、中傳は主將を代表し、末傳は外族他邦を代表す。初傳中傳が末傳を克すれば、如同無人之境に入るが如く、劫奪を費やさずとも財物糧草を得る可し。初傳が末傳を生ずれば、我方の士卒は返って敵陣に逃げ往く者有らん。末傳が初傳を生ずれば、敵人は自ら前に來りて投降せん。三傳が彼此相克してまた休囚の位に落つれば、兩家は交戰して皆傷を受けん。初傳中傳が囚死に落ちて末傳が旺相なれば、即ち兵を退きて自守し、張皇する勿れ。初傳中傳が旺相にして末傳が死地に落つれば、即ち直に敵人の巢穴を搗き、叛逆の王を鎖拿して回らん。
此以初傳為中國,中傳為主將,末傳為所攻之國。如初克末傳,是我克他,如入無人之境一般,獲財無數。初傳生末,則我之士卒反有逃入彼陣者。末傳生初,主賊虜自來投降,不但得財而已。若三傳戰相剋賊,彼此俱有傷敗。初中囚死,末反旺相,宜按兵不動。末傳囚死,初中旺相,則直搗丘巢,以鎖叛逆之王來。
ここに初傳を以て中原本國を代表し、中傳を以て主將を代表し、末傳を以て攻めんとする所の其の國家を代表す。若し初傳が末傳を克せば、即ち我の彼を克する、好像無人之境に走り入るが如く、無數の財物を獲得する能し。初傳が末傳を生ずれば、那麽我方の士卒は返って對方の陣裡に逃げ往く者有らん。末傳が初傳を生ずれば、敵人の自己に來りて投降するを主り、不過些の財物を得るのみにあらず。若し三傳が彼此に交戰相克せば、雙方は皆傷亡敗績有らん。初傳中傳が囚死の地に落ちて末傳が返って旺相なれば、即ち兵を按して動かざるに宜し。末傳が囚死に落ちて初傳中傳が旺相なれば、那就直に敵人の巢穴を搗き、叛逆の首領を鎖拿して回らん。
此出《兵機天鏡》,只以三傳分主客勝負,全不計較日辰。愚謂日辰乃三傳本也,豈可只用傳而不用日辰哉?宜照《神樞經》,以日為彼,以辰為我,辰剋日上神與辰上神剋日上神者,可肆兵劫掠;若日克辰,與日上神克辰上神者,不可劫掠,且防賊來劫我。月將臨玄武,可擒盜不可劫掠;太陰乘玄武,可劫掠而不可擒賊。
以上のこ一套の説法は《兵機天鏡》に出づ、それはただ三傳を用いて主客勝負を分かち、完全に日干日支を理會せず。我以爲日干日支乃ち三傳の根本、怎麼樣にただ三傳を用いて日干日支を用ゐざる可けんや。當に《神樞經》の辦法に依照すべし:日干を以て對方を代表し、日支を以て我方を代表す。日支が日干の上神を克し、あるいは日支の上神が日干の上神を克する者は、即ち放手して出兵劫掠する可し。若し日干が日支を克し、あるいは日干の上神が日支の上神を克すれば、即ち劫掠す可からず、還に敵人の來りて我を劫するを防ぐを要す。月將が「玄武」に臨めば、盜賊を擒拿する可くして劫掠するに宜からず。「太陰」が玄武に乘ずれば、劫掠する可くして敵人を擒ふる能わざらん。
追兵既去,我亦可渡關覘賊矣,但恐賊兵尚有伏吾前後者,未可知也,於是則以巳申子卯覆立支干為有埋伏,不覆則無。若賊神旺相帶刑,逢之必戰;休廢空亡,則不來矣。巳申子卯四神傷干,賊伏在前;四神傷支,賊伏在後;支干俱傷,前後有賊,豈可妄行沖擊哉?
追兵は旣に已に退走せば、我方もまた關を越えて往きて敵情を窺探する可し。ただなお敵人が我の前後に別に埋伏する有らんを怕る、一時に知るに從由なし。是に於て即ち巳・申・子・卯のこ四神を用いて看れ:それらが日干日支の上に覆壓せば即ち埋伏有り、覆壓せざれば即ちなし。若し敵方の神が旺相にしてまた刑を帶ぶれば、遇上すれば必定に打たん。若し休廢空亡に落つれば、敵人は即ち來らざらん。こ四神が日干を傷れば、敵人は我の前に伏す。日支を傷れば、敵人は我の後に伏す。日干日支が皆傷を受くれば、那就是前後に皆敵人有り、怎麼樣に胡亂に衝擊するを得んや。
此出《兵機天鏡》,若《玄黃一秤金》說又不同,再詳之:前後巳申子卯看,臨支在後落干前。日臨辰上前防寇,支若臨干後備奸。亥子臨干居大路,如加辰上小衢潛。
上面のこ一説もまた《兵機天鏡》に出づ。《玄黃一秤金》の講法は卻って一樣ならず、再び下面に錄して以て參詳に備ふ:前後に伏兵有るか否かは、巳・申・子・卯の四神を看よ——日支に臨むは後に伏し、日干に落つるは前に伏す。日干が日支の上に加われば、前面に敵寇有るを防ぐを要す。日支が日干の上に加われば、後面に奸細有るを備ふを要す。亥・子が日干に臨めば、敵人は大路上に在り。亥・子が日支の上に加われば、敵人は小巷小道の中に潛伏す。
此以四神臨支,賊伏後;臨干,賊伏前;不臨干支,則無賊矣。《靈匣經》云:“只取子卯巳三神。”《兵機總要》曰:“太沖、勝光、河魁、登明四神加日辰,後有賊。”此與《靈匣經》、《兵機天鏡》俱背謬之至。
こ一説は:四神が日支に臨めば、敵人は後面に伏す。日干に臨めば、敵人は前面に伏す。皆日干日支に臨まざれば、即ち敵人なし。《靈匣經》は卻って曰く:「ただ子・卯・巳の三神を取れ。」《兵機總要》はまた曰く:「『太冲』(卯)・『勝光』(午)・『河魁』(戌)・『登明』(亥)のこ四神が日干日支に加臨せば、後面に敵人有り。」こ兩家の説法は《靈匣經》《兵機天鏡》と彼此抵牾して、實に乖謬なること甚し。
日往加辰,賊在前;辰往加干,賊在後。《兵仗賦》云:“辰加於日,防賊兵於後驚;日覆於辰,備敵卒於前擾。”是也。若亥子臨干上,賊居大路;臨支辰,賊居小路。黃帝曰:“占盜,課得四上克下,不可劫,以禍從外至內也。四下賊上可劫,以禍從內至外也。課傳得六陽,宜潛匿行劫;得六陽不宜。干支上下,互相剋賊,我劫他,他亦來劫我。”
日干が日支の上に加われば、敵人は前に在り。日支が日干の上に加われば、敵人は後に在り。《兵仗賦》に曰く:「日支が日干の上に加われば、敵兵の後面より驚擾するを防ぐを要す。日干が日支の上に覆えば、敵卒の前面に騷擾するを防ぐを要す。」正にこの意なり。若し亥・子が日干の上に臨めば、敵人は大路上に在り。日支の上に臨めば、敵人は小路上に在り。黃帝に曰く:「盜賊を占ふに、課中の四課が皆上神の下神を克するは、劫しに往く可からず、禍は外より內に向かって來るが故なり。四課が皆下神の上神を賊するは、劫しに往く可し、禍は內より外に向かって去るが故なり。四課三傳に六陽の神を得れば、潛行劫掠するに宜し。六陰の神を得れば即ち宜からず。若し日干日支の上下が互相克賊すれば、那就是我は往きて彼を劫し、彼もまた來りて我を劫すなり。」
攻城拔邑第三十五
陽城龍首亥宮求,巳尾申腹寅背周。陰城首尾背腹反,宜攻背腹莫攻頭。支干旺相賊當敗,初中克末有功收。末絕初中有氣勝,初中無氣主凶憂。
陽城の龍頭は亥宮に在り、龍尾は巳に在り、腹は申に在り、背は寅に在り、四處は圍繞して局を成す。陰城の首尾・背腹は恰好相反す。城を攻むるは其の背と腹とを打つを要し、龍頭を打つ勿れ。日干日支が旺相なれば、敵人は敗る可し。初傳中傳が末傳を克せば、即ち收功する能し。末傳が絶氣にして初傳中傳が氣有れば、即ち取勝す。初傳中傳が氣無ければ、主將は即ち凶憂有らん。
城,所攻之城也。陽,陽日也;陰,陰日也。凡攻城者,莫犯龍頭,宜擊背腹。陽日龍頭在亥,尾在巳,腹在坤,背在艮。坤,申中卦;艮,寅中卦。陰日龍頭在巳,尾在亥,腹在艮,背在坤。若支干旺相,更初中克未傳,必獲破賊殺將之勝。
ここに言ふ「城」は攻めんとする所の城を指し、「陽」は陽日を指し、「陰」は陰日を指す。凡そ城を攻むるに、皆、皆龍頭を觸犯する勿れ、當に其の背と腹とを攻擊すべし。陽日の龍頭は亥に在り、尾は巳に在り、腹は坤に在り、背は艮に在り。坤は申位の含む所の卦、艮は寅位の含む所の卦なり。陰日の龍頭は巳に在り、尾は亥に在り、腹は艮に在り、背は坤に在り。若し日干日支が旺相にして、更に初傳中傳が末傳を克すれば、必定に敵を破り將を斬るの大勝を獲得せん。
絕謂囚死也,有氣旺相也,未傳囚死,初中有氣,攻城大勝。初中無氣,末更旺相,主將必有凶優,逢此者宜擇吉,保守營寨為上。《兵仗賦》云:“龍頭莫犯,支干以休囚;背腹宜攻,要日辰之旺相。”莫解。陽城陰城,非陽日明日,如我在南而城在北為之陰城,我在北而城在南為之陽城,我在東而城在西為坎陰,我在西而城在東為坎陽,當以此為正。
歌訣の裡の「絶」即ち囚死、「有氣」即ち旺相なり。末傳が囚死にして初傳中傳が氣有れば、城を攻めば大勝す。初傳中傳が氣無くして末傳が返って旺相なれば、主將は必有て凶險憂患有らん、こ種の課に遇上せば、最も別に吉日を擇び、先ず営寨を保守するを上策と爲す。《兵仗賦》に曰く:「龍頭は觸犯する勿れ、怕るるは日干日支の休囚に落つるなり。背腹は攻打するに宜し、靠るは日干日支の旺相なり。」こ話は解釋し好からず。至於陽城・陰城は、並不是陽日・陰日を指す:我は南に在りて城は北に在れば、即ち陰城と曰ふ。我は北に在りて城は南に在れば、即ち陽城と曰ふ。我は東に在りて城は西に在れば、坎陰と爲す。我は西に在りて城は東に在れば、坎東に在れば、坎陽と爲す。當にこの講法を以て正と爲す。
遣使入敵第三十六
或間諜,或講盟好。遣使去人年日辰,切防其上斗魁臨。年門生吉相沖否,申入傳中吉將歆。年日辰防太歲制,行干尤畏到干侵。
使者を派して敵境に入れ、あるいは間諜を爲さしめ、あるいは和を講じ盟を結ばしむ。所派の人の行年および日干日支を看るを要し、切に「天罡」「河魁」の其の上に加臨するを提防せよ。往く所の門と行年とは相生を以て吉と爲すか、それとも彼此相沖するか、皆看清楚にするを要す。「傳送」(申)が三傳に入りてまた吉將に乘ずれば、那是喜ぶ可し。行年と日干日支とは還に太歲の來りて克制するを防ぐを要す。出發の日の天干はなかんずく到達の日の天干の來りて侵克するを怕る。
年,行年也,去使行年、日辰上魁罡加臨凶。《兵仗賦》云:“發使方行,年路支干。切忌魁罡,亦憂返伏。”反吟伏吟卦不宜遣使。
歌訣の裡の「年」は行年なり。所派する使者の行年および日干日支の上に、若し河魁・天罡の加臨有れば、即ち凶なり。《兵仗賦》に曰く:「使者を派遣して身を動かせば、行年・路途と日干日支とを看るを要す、切に河魁天罡を忌み、また返吟伏吟を怕る。」返吟課・伏吟課を占得すれば、皆使者を派遣するに宜からず。
所往之方為門,若門上神與去人年上神相生則吉,相剋凶。《兵帳賦》云:“門傷年處路遇殃,而凶將災深;年制門時帶病歸,而吉神禍消。”如月將加時,門上神制年上神,途中有疾;年上神克門上神,帶病而歸。二者逢吉將有救,災淺。
往かんとする所の其の方位即ち「門」と曰ふ。若し門上の神が所派する人の行年の上の神と相生せば、即ち吉。相克せば、即ち凶。《兵帳賦》に曰く:「門が行年を傷つければ、路上に殃を遭へ、再び凶將に乘ずれば災禍は更に深し。行年が門を制住せば、即ち病を帶びて歸り、若し吉神に乘ずれば禍患は便ち消ゆ。」例えば月將を用いて占時に加えて盤を轉じ、門上神が行年上神を制すれば、此人は途中に病を生ぜん。行年上神が門上神を克すれば、此人は病を帶びて回らん。こ兩種の情形は若し吉將に逢ひて救へば、災禍は即ち輕し。
申,傳送也,三傳行使初發時,傳內有申者吉;申上乘吉將,雖不入傳亦吉;入傳又乘吉將,更吉也。蓋傳送乃道路之神,故不入傳亦宜推之。《兵帳賦》云:“初宜參宿,不然要乘乎吉神。”是也。
歌訣の裡の「申」即ち「傳送」なり。使者の出發する時に起こす所の三傳の中に、申有る者は吉なり。申の上に吉將に乘ずれば、たとい三傳に入らざるともまた吉なり。旣に三傳に入りてまた吉將に乘ずれば、那就更に吉なり。傳送は本是道路を主る神なれば、故に縱然傳に入らずとも、また當にそれを推算に入るるべし。《兵帳賦》に「初傳は宜しく參宿を得べし、然らざるもまた吉神に乘ずるを要す」と曰ふ、講ずる所は正にこのなり。
又去使行年日辰俱畏太歲克之(假令四季年丙丁巳午日行大吉,蓋日火生歲土也。庚申辛酉日行亦吉,歲土生日金也。壬癸亥子日行大凶,歲土剋日水也。太歲與行日相生吉,克凶)。
このほか、所派する使者の行年および日干日支は、皆太歲の來りて克するを怕る。例を擧げて言へば:辰戌丑未の四季の年は土に屬し、丙・丁・巳・午のこれら火に屬する日子を用いて身を動かせば大吉、日の火が太歲の土を生ずればなり。庚申・辛酉のこれら金に屬する日子を用いて身を動かすもまた吉、太歲の土が日の金を生ずればなり。壬癸・亥子のこれら水に屬する日子を用いて身を動かせば大凶、太歲の土が日の水を克すればなり。要するに太歲と出發の日とが相生すれば即ち吉、相克せば即ち凶。
行干,行者初發之日干也;到干,到彼處之日干也。侵,亦克也。大抵行日與到日相生吉,相剋凶。然行干可定,到干不可定,只以至彼處行事之日為主。如下書到彼處,不論某日下書,擇一日與去日干相生可也。
歌訣の裡の「行干」は、出發の其の天の日干。「到干」は、對方の處に到達する其の天の日干。「侵」もまた即ち克なり。大體に出發の日と到達の日とが相生すれば即ち吉、相克せば即ち凶。但し出發の日干は事先に定むる可く、到達の日干は卻って預定し難し、ただ對方の彼處に於て事を辦する其の一天を以て準と爲すのみ。例えば書信を投遞しに往けば、いずれの一天に送到するを論ぜず、ただ一箇の出發日干と相生する日子を挑んで往きて辦せば便ち可なり。
江河除定危開上,行間差人未敢嗔。探賊宜從天上耳,去探密地駐方奔。從魁為九江,太沖為三河,若三河九江臨於除定危間之上,差人行間,甚吉也。假令正月定日在午,午上見卯或酉是也。月建前一日為之除,五日為之定,七日為之危,八日為之開。
「三河」「九江」が若し除・定・危・開のこ幾位の上に落つれば、人を派して間諜を爲さしむるに嫌忌する可きものなし。敵情を探るは天耳の臨む所の方より往け、機密を探るは則ち地耳の駐る所の方に奔れ。「從魁」(酉)は九江と曰ふ、「太冲」(卯)は三河と曰ふ。若し三河九江が除・定・危のこ幾日の位の上に臨めば、人を派して間諜の事を行はしむるに、非常に吉利なり。例を擧げて言へば:正月の定日は午に在り、午の上に卯あるいは酉を見れば即ち是れなり。月建より前に數うて第一天を除と爲し、第五天を定と爲し、第七天を危と爲し、第八天を開と爲す。
探賊消息,向天耳臨方吉,乃天上丑未之方也。探人密事向地耳臨方吉,乃天上卯酉之方也。《百煞歌》曰:“天耳天目宜探聽。”春辰、夏未、秋戌冬丑為天目,對沖為天耳。蓋耳目下宜探聽消息也。
敵人の消息を打探するは、「天耳」の臨む所の方位に向かって往くを吉と爲し、那就天盤丑・未の所在する方位なり。人の機密を打探するは、「地耳」の臨む所の方位に向かって往くを吉と爲し、那就天盤卯・酉の所在する方位なり。《百煞歌》に曰く:「天耳・天目の下は探聽するに宜し。」春辰・夏未・秋戌・冬丑は天目、之と相沖する即ち天耳なり。要するに耳目の下に於て最も消息を探聽するに適す。
《一秤金》云:“凡遣使行間諜,要干支上刑剋不相和,然後可用謀反行間。若上下相生相合,彼之君臣一心,將卒一體,雖欲反間,何隙可乘?”此大有理。又書云:“行間若得傳送發用,又乘朱雀,主讒言易中。”此亦有理,並附之。
《玄黃一秤金》に曰く:「凡そ使者を派して反間の計を行はしむるに、須らく日干日支の上に彼此刑克して相和睦せざるを要し、然る後に乃ち計を用ひて離間するを好し。若し上下相生相合せば、對方の君臣は一条心・將士は一體同心を説明し、縱然反間を施さんと想ふとも、又に何の縫隙か鑽る可きあらんや。」こ話は甚だ道理有り。別に書の上に説く有り:「反間の計を行ふに、若し『傳送』(申)の發用するを得、また『朱雀』に乘ずれば、讒言の采信せられ易きを主る。」こ話もまた道理有り、一幷にここに附錄す。
差委的否第三十七
差委的否意如何,相生旺合事無他。刑剋囚死妨誤徵,別行更改更蒐羅。可差必定差伊去,天將初傳品揣摩。凡遣使,須看其事之成敗,而其人品要的。如日辰得吉神吉將發用,生合旺相,則斯人可往,而事無他虞矣。若用神囚死刑剋,此人必無力量,必不誠實,而誤我正事也,必須另擇個好人去,即可去得。
差委する所の人は到底用に合ふか否か。若し課中に相生・旺相・相合せば、事情は岔子を出ださざらん。若し是れ刑克・囚死なれば、怕るは征戰の大事を耽誤せん、那就別に人手を選びて・更に搜羅するを要す。確實に差する可きは、即ち一定に彼を派して往かしめよ。至於人品才具は、則ち初傳の乘ずる所の天將の上より揣摩す。凡そ使者を派遣するに、旣にこ件事の成る可きか否かを看、またこ人の品格の可靠なるか否かを看るを要す。若し日干日支の上に吉神吉將を得て發用し、また生合旺相せば、那麽こ人は往く可く、事情は別の顧慮有る能わざらん。若し用神が囚死に落ち、また刑克を受くれば、此人は一定に能力なく、また一定に誠實ならず、我方の正事を耽誤せん、必ず別に一箇の好人を挑んで往かしむるを要す。
以發用天將決其人之才品能幹:天乙主人厚重有體;太常主美服好飲;青龍主多財有變博;朱雀善言詞,能以詐欺人;太陰恐以私情輸敵;白虎力過人,有威;天空言不與實;螣蛇性暴躁;六合得朋友之助;勾陳思慮雖滯,有擒縱之力;玄武善飫人情實,然多邪淫;而天后美貌,柔而不剛。
初傳發用の乘ずる所の天將を用いて此人の才具品格を判斷す:「天乙」に乘ずれば、人は厚重にして氣度有り。「太常」に乘ずれば、衣着を講究し・飲宴を好む。「青龍」に乘ずれば、錢財多くして變通博洽す。「朱雀」に乘ずれば、能く言い善く辯ずれども、詐術を用いて人を騙す。「太陰」に乘ずれば、恐怕私情に因りて消息を敵方に輸せん。「白虎」に乘ずれば、力氣は人に過ぎて威勢有り。「天空」に乘ずれば、説く所の話は實情と符せず。「螣蛇」に乘ずれば、性情は暴躁なり。「六合」に乘ずれば、能く朋友の相助を得ん。「勾陳」に乘ずれば、思慮は雖も遲滯なれど、擒縱して人を制するの本事有り。「玄武」に乘ずれば、善く人情を揣摩し・事を辦するに踏實なれど、多く邪淫の行有り。「天后」に乘ずれば、容貌は美好にして、性情は柔順にして剛強ならず。
敵使誠偽第三十八
使來辰主日為賓,宜辰制日莫傷辰。日克辰頭言不實,辰傷日上語堪憑。我既遣使入敵,敵亦遣使相答矣,其中或講罷兵,或言投降,未可輕信也。占之則以辰為主,以日為賓,辰上神宜制日上神,日上神不宜制辰上神。
敵方の使者の來るは、日支を以て主と爲し・我方を代表し、日干を以て賓と爲し・來使を代表す。最も好きは日支の日干を制住する、反って日支を傷する勿れ。日干が日支の上を克せば、來使の話は實ならず。日支が日干の上を傷れば、來使の話は即ち信ずる可し。我方は旣に已に使者を派して敵境に入れれば、敵人もまた使者を派して回訪せん、其の間あるいは罷兵休戰を講じ、あるいは投降せんと説かん、皆輕信す可からず。占ふ時は日支を以て主と爲し・日干を以て賓と爲す:當に日支の上神が日干の上神を制住し、日干の上神が返って日支の上神を制するに宜からず。
日克辰頭,是日上神來克辰上神,我被他制,言必不實;辰傷日上,是辰上神往剋日上神,他被我制,言不敢不實也。《兵帳賦》云:“敵使求和,正時占決,支神制干,即為真說。”《七十二占》曰:“敵有來使,下時剋日上神,其言確切。”
言う所の「日が辰頭を克する」は、日干の上神が來りて日支の上神を克する、我方は彼に制せらる、彼の話は必定に實ならず。言う所の「辰が日上を傷る」は、日支の上神が往きて日干の上神を克する、彼は我方に制せられ、話は敢えて真ならざる能わず。《兵帳賦》に曰く:「敵方の使者が來りて和を求めば、正時を用いて課を起こして判斷す、日支の神が能く日干を制すれば、説くは即ち真話なり。」《七十二占》に曰く:「敵人に使者有りて來れば、占時の下の神が日干の上神を克すれば、彼の話は確切にして信ずる可し。」
日辰上將相生吉,人宅六情凶將起。發用日辰空存詭,日辰年忌耳罡隱。來降歲克貴人偽,日受陰傷防患侵。《軍帳賦》云:“下生其上,知詐偽以不行;用生干支,謂陰謀而罷結。”下生上,乃辰上生日上也。蓋我占他,我有恩以及之,彼感恩而實向也。
日干日支の上の天將が相生せば即ち吉。若し日干日支の上に「六情」の神を見てまた凶將に乘ずれば、奸謀は即ち生起せん。發用と日干日支とが空亡に落つれば、其中は即ち詭詐を藏す。行年と日干日支の上は、最も「天耳」「天罡」「太陰」のこれら隱蔽の神を忌む。敵人の來降を占ふに、若し太歲の上神が天乙貴人を克せば、來降は即ち假なり。日干が自己の陰神に傷せらるれば、即ち禍患の侵襲するを防ぐを要す。《軍帳賦》に曰く:「下位が上位を生ずれば、詐偽の施行せられざるを知る可し。用神が日干日支を生ずれば、陰謀の已に罷結したるを説明す。」言う所の下が上を生ずるは、即ち日支の上神が日干の上神を生ずるなり。是我の彼を占ふれば、我は恩德を以て彼に加ふ、彼は恩に感じて即ち真心に歸向す。
人宅,即干支也,干支上見六情之神,各以其情斷其奸謀災異(《軍帳賦》以申、子、亥、卯、辰、未為六情:申子為貪狼,貪而無義;亥卯為陰賊,潛為寇盜;辰未為奸邪,淫泆而狂忤。凶將乘之,尤可畏。此出《天元曆書》)。
歌訣の裡の「人宅」即ち日干日支なり。日干日支の上に「六情」の神を見れば、即ち各々其の性情に按じて對方の奸謀と災異とを斷ず。《軍帳賦》は申・子・亥・卯・辰・未を以て六情と爲す:申と子とを「貪狼」と曰ふ、貪婪にして道義を講ぜず。亥と卯とを「陰賊」と曰ふ、暗中に盜寇の事を做す。辰と未とを「奸邪」と曰ふ、淫佚放蕩にして狂悖忤逆す。若し再び凶將に乘ずれば、更に畏る可し。こ一説は《天元曆書》に出づ。
若發用並日辰上見天空、朱雀,來人詭詐,蓋空雀皆虛詐之神也。《兵帳賦》云:“將推課休,朱雀用起以奸謀。”《七十二占》曰:“朱雀加日辰,其言奸詐。”
若し初傳發用と日干日支の上とに連なりて「天空」「朱雀」を見れば、那麽來人は詭詐なり、天空と朱雀とは皆虛假欺詐を主る神なればなり。《兵帳賦》に曰く:「天將を推詳して課體衰敗せば、朱雀が發用すれば即ち奸謀を藏す。」《七十二占》に曰く:「朱雀が日干日支に加臨せば、來人の話は奸詐にして信ず可からず。」
耳,天耳也,春寅、夏巳、秋申、冬亥。罡,天罡辰也。陰,太陰,天乙後二位之神。言主將行年與日辰上,切忌天罡、天耳、太陰臨之,天罡凶神,太陰蔽匿。《兵仗賦》云:“天耳臨年日辰,來使潛機。”又云:“角陰日辰年而奸譎。”角,辰宮星也。
歌訣の裡の「耳」は天耳、春は寅に在り・夏は巳・秋は申・冬は亥に在り。「罡」は天罡、即ち辰なり。「陰」は太陰、即ち天乙貴人の後の第二位なり。意思是主將の行年と日干日支の上は、切に天罡・天耳・太陰の臨壓を忌む、天罡は凶神、太陰は遮蔽隱匿を主ればなり。《兵仗賦》に曰く:「天耳が行年・日干日支に臨めば、來使は心機を暗藏す。」また曰く:「角宿と太陰とが日干日支と行年の上に落つれば、奸猾詭譎を主る。」角は辰宮の含む所の星なり。
歲,太歲也,上神克貴人天乙為虛詐也。占來降,不論課傳,只觀歲貴。太歲上神克天乙乘神,其詐無疑(假令太歲在申,六壬日申上見神后,貴人繫巳臨丑,被歲上子水克之,是為降也)。
歌訣の裡の「歲」は太歲:太歲の上神が天乙貴人を克せば、來降は即ち虛假なり。敵人の來りて投降するを占ふに、四課三傳を論ずるに及ばず、ただ太ず、ただ太歲と貴人のこ兩處を看よ。太歲の上神が天乙の乘ずる神を克すれば、其中有りて詐は毫も疑問なきなり。例を擧げて言へば:太歲は申に在り、六箇の壬日に課を起こし、申の上に「神后」(子)を見、貴人は巳が丑の上に臨む、巳火は太歲申の上の子水に克せらる、こ即ち詐降と斷ず。
末句“日受陰傷”,謂日干被日之陰神克也,假令丙午日干上寅為日之陽神,日陰寅上見亥水剋日干,是謂日受陰傷,利主人也。《兵仗賦》云:“外國人來,歲神克天乙而禍至;他邦情異,陰神賊日辰以愁之。”是也。情異,謂有異心也(一說為日辰而言之,謂日辰受用陰陽克之也)。
歌訣の末句の「日が陰傷を受く」は、説く所は日干が自己の陰神に克せらるるなり。例を擧げて言へば:丙午の日、日干の上の寅は日の陽神、而して陽神寅の上にまた亥水を見、亥水は丙火の日干を克す、こ即ち「日が陰傷を受く」と曰ふ、此の時返って主方に利す。《兵仗賦》に曰く:「外邦の人が前に來れば、太歲の上神が天乙を克し、禍は即ち到れり。別國が心に異志を懷けば、陰神が日干日支を克賊し、人をして憂愁せしむ。」正にこの意なり。言う所の「情異」は、即ち二心を懷くなり。別の一説は日干日支に就て言ふ、指す所は日干日支が用神の陰神陽神に克せらるるなり。
敵約往否第三十九
敵約曹沖子巳推,日辰上見詐謀來。子申亥卯並辰未,定是虛謀莫亂猜。敵使虛實,以來降來說者說。至於敵人來約我,則誠偽在敵,主其可往與否,亦不可不占也。
敵人が來りて相約すれば、即ち「功曹」(寅)・「太冲」(卯)・「神后」(子)・「太乙」(巳)の四神を用いて推せ:日干日支の上にそれらを見れば、來るは即ち詐謀なり。若し子・申・亥・卯および辰・未のこ六神を見れば、那一定に虛假の圖謀、胡亂に猜疑するに及ばず。前の一門の敵使の虛實を講ずるは、來りて降る・來りて游說する人に就て言ふなり。至於敵人が主動して來りて我を約するは、誠意の眞假は對方に在り、我は究竟往く可きか否かを、また占はざるを得ざるなり。
法以日辰上見功曹、太沖、神后、太乙四神,皆為詐偽,不可往也。《軍帳賦》云:“後乙曹沖,臨日辰而偽詐。”是也。《玉曆》云:“申子為貪狼,亥卯為陰賊,辰未為奸邪,此六辰臨於日辰,皆主虛詐。”《玉曆》,天文書也,六壬取之。
占法は:日干日支の上に「功曹」(寅)・「太冲」(卯)・「神后」(子)・「太乙」(巳)のこ四神を見るは、皆詐偽の象にして、約に赴く可からず。《軍帳賦》に「神后・太乙・功曹・太冲が日干日支に臨めば、即ち偽詐なり」と曰ふ、正にこの意なり。《玉曆》に曰く:「申と子とは貪狼、亥と卯とは陰賊、辰と未とは奸邪、こ六箇の地支が日干日支の上に臨むは、皆虛假欺詐を主る。」《玉曆》は一部の天文の書、六壬家は其の説法を取用せり。
據成書所載,皆以神將吉主可往,以神將不吉不可往,其實有善贊軍務者,約之誠固可往,即約之詐亦當隨其詐而入其虛,預設防備,明踐盟約,如鴻門之宴、河梁之會,雖極凶險,其實甚平穩也。
現成の書上に載する所に照らせば、皆神將が吉なれば往く可く・神將が吉ならざれば往く可からず。其の實若し軍中に軍務を籌劃するに善き人有れば、對方の約すること誠懇なれば固然に往く可し。たとい對方が詐約なるも、また當に其の詐術に順いて其の空虛の處に鑽り入り、預め防備を設下して、光明正大に約を踐んで會に赴くべし。劉邦が鴻門の宴に赴き・李陵と蘇武の河梁の會の如きは、看るに極めて凶險なるが如し、實際の上處置の得當なれば返って十分に平穩なり。
將心不寧第四十
將帥心驚視日辰,魁罡夜襲後沖霖。青常便信虎勾陳,朱雀螣蛇恐有真。興師日久,忽覺將心不寧,何以占之?則視日辰上有魁罡立者,主當夜有兵襲寨。若天后、太沖加之,主有霖雨,蓋天后為雨澤之神,而太沖為天河故也。青龍、太常有使信至,白虎而傷病,勾陳被捉鬥傷,大戰將至,朱雀螣蛇,恐怖驚嚇。
主將の心の裡に慌てを發せば、即ち日干日支を看よ:「河魁」「天罡」を見れば、當夜に人の營を襲ふ有らん。「天后」「太冲」を見れば、即ち連綿の大雨有らん。「青龍」「太常」を見れば、書信の到る有るなり。「白虎」「勾陳」を見れば、則ち傷病と闘傷と有らん。「朱雀」「螣蛇」を見れば、恐怕眞に驚嚇有らん。兵を出して日子久しく、忽然主將の心神不寧を覺ゆるは、怎麼樣に占ふべきや。即ち日干日支の上に河魁・天罡の站る有るや否やを看よ:有れば、即ち當夜に敵兵の營寨を襲ふ有るを主る。若し是れ天后・太冲の加臨なれば、久雨有るを主る、天后は雨澤を主る神・太冲は則ち天河なればなり。青龍・太常を見れば、使者書信の到來有るを主る。白虎を見れば、傷損疾病を主る。勾陳を見れば、擒捉せられ・闘毆して傷を受くるを主り、大戰將に臨まん。朱雀・螣蛇を見れば、驚恐嚇人の事を主る。
行軍見異第四十一
見兵而主將忽然心動才占,不動則不必占也。行軍見怪忽然間,天象禽星以類占。倘或類神無此物,研諸四課卜三傳。
主將が兵象を見て心の裡に忽然一動するを待ちて、乃ち課を起こして占ふを要す。心の裡動かざれば、即ち占ふに及ばず。行軍の途中に忽然怪異の事を見れば、即ち天象と二十八宿の禽星とに按じて、同類の神を取りて占へ。倘若類神の裡に見る所の其の一樣の物を査へずれば、即ち四課を研究し・三傳を占斷して以て吉凶を定めよ。
行軍之際,有非所見而見者,即謂之怪,非必山精水魅。看是何物,以天上二十八宿禽星辨其宮分吉凶。倘或類神不載,則以四課三傳吉凶卜之。以月將加時,視天上類神臨何辰,以所臨地分之神與日干較其生克定吉凶,更以天將詳之,休咎見矣。
行軍の際、凡そ本來見る可からざるに卻って見たるは、即ち「怪」と曰ふ、未だ必ずしも眞に山精水怪ならざるなり。先ず見る所は何の物かを看て、再び天上二十八宿の禽星を用いて其のいずれの宮分に屬するかを辯明にし、據りて以て吉凶を斷ぜよ。倘若類神の表の裡にこ一物を載せずれば、即ち四課三傳の吉凶を用いて占へ。方法是月將を用いて占時に加えて天盤を轉じ、天上の類神のいずれの辰に臨むかを看、再び其の臨む所の地盤の神を拿りて日干と生克を比較して以て吉凶を定め、還に乘ずる所の天將を合看せば、吉凶禍福は即ち顯現して出來る。
附行軍見異諸占
物類分宮
子鼠蠍燕丑犀牛,虎豹貓狸寅上求。卯兔驢騾狐共取,魚龍蛟蜃鯗辰求。蛇蜴蟮蚯蚓巳內,天馬獐鹿雀午頭。鳩鷹雁鴿羊鸛未,申鵬鵝猱及猿獼。雞鴨鳥鵲酉見鴉,豺犬狼獒戌土留。豬豚狳熊皆屬亥,十二宮中畜類周。
各類の禽獸蟲魚は十二宮に分屬し、異を見るを占ふに類に按じて神を取れ:子宮は鼠・蝎・燕に屬す。丑宮は犀・牛に屬す。虎・豹・猫・狸は寅の上に到りて尋ぬよ。卯宮は兎・驢・騾・狐と連なりて一幷に取れ。魚・龍・蛟・蜃・鮝は辰宮に歸す。蛇・蜥蜴・鱔・蚯蚓は巳宮の內に在り。天馬・獐・鹿・雀は午宮の首に在り。斑鳩・鷹・雁・鴿・羊・鸛は未に屬す。申宮は鵬・鵝・猱および猿猴獼猴有り。鷄・鴨・鳥・鵲と烏鴉と連なりて酉宮に見ゆ。豺・犬・狼・獒は戌土に留まる。猪・豚・狳・熊は皆亥に屬す。十二宮の中の禽畜の類別はここに就て周備せり。
軍中見龍
凡軍中無故見龍者,百日血光之災,龍噴火,主混沌大戰;若忽見騎龍上天,詔書立至;龍雲轉磨,大將起兵。又曰:龍墜地者水災,龍鳴有大雨;聞龍說話者,聖人出世,文武爭鋒,大兵作亂之兆;見龍取水者,忌行兵;出水者,行兵大勝。
凡そ軍中に緣故なく龍を見るは、一百日の內に血光の災有らん。龍口の火を噴くは、一場の混沌にして分かち難き大戰有るを主る。若し忽然有人の龍に騎りて天に上るを見れば、詔書は立刻に即ち到らん。龍が雲と盤旋して磨盤の般に轉動するは、大將の起兵を主る。また曰く:龍が墜落して地上に到るは、水災を主る。龍が鳴叫するは、大雨有るを主る。龍の説話するを聞くは、聖人の出世・文武の爭鋒・大軍の作亂の徵兆なり。龍の水を取るを見るは、出兵を忌諱す。龍の水を出づるを見れば、則ち出兵して大勝す。
軍中見蛇
蛇者,大凶之兆,如見寅申,亦有陰謀事,並主敵兵至。如入營傷人者,夜有賊偷營;蛇當道,前防敵兵,不傷人者無害;蛇盤旋金鼓上,大將勞心,不可出戰。蛇截道,若安營帳埋伏固守之則免難;遁入水者有喜,可速進兵;蛇入帳上或床上盤者,勿得殺之,主生喜,若祭禱山川,則敵兵自敗來降;蛇自營內出外,主軍中潰散,宜大將禳之吉。
蛇を見るは大凶の兆なり。若し寅・申の兩位に在るを見れば、また陰謀の事有るを主り、并せて敵兵の將に到らんとするを主る。蛇が營に進みて人を咬傷するは、夜裡に敵人の營を偸する有らん。蛇が路の當中に攔まるは、前面に敵兵を防ぐを要し、人を咬まざれば即ち害なし。蛇が金鼓の上に盤繞するは、主將は勞心費神して、出戰す可からず。蛇が道路を橫截するは、ただ營帳を安下して・埋伏固守せば、即ち難を免る可し。蛇が水の裡に鑽り入るは、喜有るの象、迅速に進兵する可し。蛇が帳頂あるいは床上に爬りて盤るは、切に之を殺す可からず、喜事の發生するを主り、若し再び山川を祭禱せば、敵兵は自ら敗退して來りて降らん。蛇が營內より營外に往きて爬るは、軍中の潰散を主り、主將は當に禳解の禮を舉行して乃ち吉なり。
軍中見牛
行軍見斗牛沖陣,主兵敗之兆。若二牛相鬥,勝牛來者勝,敗牛來者敗散。
行軍の時に相闘ふ牛の陣中に冲入るを見るは、兵の敗るるの徵兆なり。若し是れ兩頭の牛の相闘ふ、闘ひて赢つ其の一頭が我方に向かって跑り來れば、我方は即ち勝てん。闘ひて輸けつ其の一頭が我方に向かって跑り來れば、我方は即ち敗散せん。
軍中見馬
馬,龍駒也,見馬跳舞者喜兆,有休兵息爭之意。馬食砂石者,遇敵兵,大勝;馬忽生角,主陰謀事;馬忽產人形,大兵將起;馬望月而嘶者,有大兵至,宜備之則吉;馬作人言,主將士災傷,言吉宜固守,吉凶宜殺以祭。
馬は龍種の駒なり。馬の跳躍起舞するを見るは、喜兆にして、兵を休め爭を止むるの意思有らん。馬が沙石を喫するは、敵兵に遇上して大勝するを主る。馬が忽然角を長出するは、陰謀の事有るを主る。馬が忽然人形の物を產下するは、大戰將に起こらんとするを主る。馬が月を望みて嘶鳴するは、大軍の到來有るを主り、預め戒備すれば即ち吉なり。馬が口を開きて人話を説くは、將士に災傷有るを主り、説く所若し吉語なれば當に固守すべく、説く所若し凶語なればそれを殺して神を祭るに宜し。
馬產子自食者,主陰謀傷害士卒,宜殺此畜與眾兵食之,吉,或殺之埋於刑方;馬出戰張尾者,主先勝後傷,宜謹守勿戰,三旬內出陣不利主將;馬回拗膝及咬主衣,有奸細;馬產青駒,將軍戰勝,取封疆之兆。
母馬が小馬を產下してまた自己に喫ふるは、陰謀有りて士卒を傷害せんとするを主る、當にこ匹の馬を殺して衆兵に分かちて喫はしむを吉と爲し、あるいは殺して刑煞の所在する方位に埋めよ。馬が出戰する時に尾巴を張開するは、先に勝ち後に傷づるを主り、當に謹守して戰はず、三十天の內に陣を出づるは皆主將に利あらず。馬が頭を回し別して膝蓋に着け・また主人の衣服を咬むは、軍中に奸細有らん。母馬が青色の馬駒を產下するは、將軍の戰勝を主り、封疆を開拓するの吉兆なり。
占鳥
軍中有飛鳥宿於鼓金旌旗者,為客兵至;若作巢者,將凶;鳥入水化為蛤、為魚,爭地之兆。群鳥隨我軍出陣,敵兵不戰而走;若成群沖陣者,賊兵勝,鳴者凶極。鷹鷂入營捕鳥,主敵人分散來劫掠之象,捕得鳥去大凶,未捕得去吉。
軍中に飛鳥の鼓・鉦・旌・旗の上に栖息する有るは、客兵の到來有るを主る。若し其の上に巢を築けば、將に凶有らん。鳥が水に入りて蛤と化し・魚と化するは、地盤を爭奪するの徵兆なり。成群の鳥が我軍に跟著して陣を出づれば、敵兵は會して戰はずして逃げん。若し鳥群が我陣に冲向けば、則ち敵兵は勝てり、鳥が還に鳴叫するは、凶は極點に到らん。鷹鷂が營中に飛進みて鳥を捕ふは、敵人の兵を分かちて四出して來りて劫掠せんとするを主る。鷹が鳥を捕へて後に飛び去るは、大凶。捕へずして飛び去るは、吉なり。
飛鳥成群集大旗杆,須防伏兵,軍中宜設備之,出陣不吉。大鳥入營不知名者,敵設奸謀,起兵固守則吉。鴉飛鳴者,防兵潰。鳩鴿於營中作斗及鳴者,七日有暴兵災生,不然或主營寨有虛驚。
飛鳥が成群して大旗杆の上に聚集せば、必ず伏兵を提防するを要し、軍中は當に防備を設け戒め、此の時陣を出づるは不吉なり。名を叫び出す能わざる大鳥の營中に飛進む有るは、敵人の奸謀を設下する、兵を起こして固守せば則ち吉なり。烏鴉が飛び過ぎて鳴叫するは、軍隊の潰散を防ぐを要す。斑鳩・鴿子が營中に相闘ひあるいは鳴叫するは、七天の內に突發の兵災有らん、然らざるもまた營寨の裡に一場の虛驚を主る。
野雞飛叫入營,主兵難住,有兵患兵災;若後向飛前,應在他營;前飛向後,應在我寨。鴟梟飛鳴前後,軍心失機,兵勢不堅,主將宜安撫士卒,申明號令則吉。白鳥入軍主兵災,更看巢於何處,旺方災輕,刑方災重。飛鳥銜花落軍前者,大將得眾心,出戰有功,大喜將至也。
野鷄が飛鳴して營中に進入するは、軍隊の駐留し難く・兵患兵災有らんを主る。若しそれが後より前に飛べば、敵營に應ず。前より後に飛べば、我方の營寨に應ず。鴟鴞が營前營後に飛鳴するは、軍心の主張を失ひ・兵勢の牢固ならざるを主り、主將は當に士卒を安撫し・號令を申明すべく、かくの如くすれば乃ち吉なり。白色の鳥が軍中に飛進むは、兵災有るを主り、還に其のいずれに巢を築くかを看るを要す:當令の旺方に築けば、災は輕し。刑煞の方に築けば、災は重し。飛鳥の花を啣えて軍前に落つるは、大將の深く衆心を得るを主り、出戰して功を建て、大喜の事の將に至らんとす。
彩鳥飛翔,從歲德上來者,主暴病,伏兵沖陣,防兵怪及奸謀。百舌鴉營,敵有奸計,五更有賊劫寨防之。赤鳥入軍,有天神助陣,主喜。營中夜間怪鳥鳴,於鳴處立旗、磨兵器、禳之吉,旺方有可,忌方賊至。
彩色の鳥が飛來すれば、若し是れ「歳德」の所在する方位より來れば、急病有るを主り、また伏兵の陣を冲るを主り、兵象の怪異と敵人の奸謀とを防ぐを要す。百舌鳥が營中に喧噪するは、敵人に奸計有る、五更の時分に敵人の來りて寨を劫する有らん、當に防備すべし。赤色の鳥が軍中に飛進むは、天神の助陣有る、喜を主る。營中の夜裡に怪鳥の鳴叫するは、即ち其の鳴叫する處に旗幟を立起し・兵器を磨礪し、禳解を舉行すれば則ち吉なり。若し當令の旺方に在れば、還に算して可なり、若し忌む所の方に在れば、則ち敵人の來らんとするを主る。
鶯語營中,主將出陣有聲名,且得君賞賜。鵪鶉成群入軍,主士卒多淫奔,獲鶉出戰勝,不獲反被敵傷。杜宇入營,主賊凶我吉。鸛入營,主天雨。鶴入營,主朝廷有恩詔至。
黃鶯が營中に啼叫するは、主將の陣を出でて聲名を博得する能く・還に君主の賞賜を得んとするを主る。鵪鶉が成群して軍中に飛入るは、士卒の多く淫亂私奔の事有るを主る。能く鵪鶉を捉へば、出戰すれば即ち勝てり、捉へざれば返って敵人に傷せられん。杜鵑が營中に飛入るは、敵方は凶にして我方は吉を主る。鸛鳥が營中に飛入るは、天の雨を下さんとするを主る。鶴が營中に飛入るは、朝廷に恩典詔書の到來有るを主る。
占蟲類
軍營中無故有蟲出沒,是為兵潰人離之兆。鼠咬兵器皮條,主兵潰散,遷營吉,守舊凶;鼠咬弓箭衣服,主敵人以妖術害我,可速移營;白鼠隨軍,獲之主有戰功,須以來方決敵在何處;群鼠出營,主文書、火發、賊來,若移營免災。
軍營の裡に緣故なく蟲子の出沒有るは、這は軍隊の潰散・人心の離析の徵兆なり。老鼠が兵器の上の皮條を咬斷するは、軍隊の潰散を主り、營を遷せば則ち吉、原地を死守すれば即ち凶なり。老鼠が弓箭衣服を咬壞するは、敵人の妖術を用いて我方を加害せんとするを主り、當に趕く營を移すべし。白鼠の軍隊に跟隨する有るは、能くそれを捉へば即ち戰功有るを主り、還に其の來る方向に按じて敵人のいずれの一處に在るかを判定するを要す。成群の老鼠が營外に往きて跑るは、文書の事有り・火災有り・敵人の來犯有るを主り、ただ營寨を遷移すれば便ち災を免る可し。
蠅蟎不時集營,主士卒瘟疫痢疾,遷營祭禱可免。蝴蝶飛集營中,防有奸軍,過三日後無竟,且主士卒迷戀。螻蟈在軍聚鳴前後,防營內有大災,大將當賞犒三軍,免驚。
蒼蠅・蟎蟲が時常に營中に聚集するは、士卒の瘟疫痢疾を生ぜんとするを主り、營を遷し并せて祭禱を舉行すれば避免する可し。蝴蝶が成群して營中に飛聚するは、軍中の奸細を防ぐを要す。三天を過ぎて動靜なければ即ち事なし、此のほかまた士卒の女色に沉迷するを主る。螻蛄・蛙類が營前營後に聚集鳴叫するは、營內に大災有るを防ぐを要し、主將は當に三軍を犒賞して、乃ち驚擾を免る可し。
占獸類
行軍有野獸沖陣者,不祥之兆,獲得者小吉,不獲者大凶。軍中見異獸不識者,看有爪牙否,有爪牙三七日月有敵兵至傷人,無牙爪不畏。狼虎入軍,三七日防戰,先行兵者凶,後舉兵者勝;獲者吉,不獲者凶。若行軍前後有狼虎鳴者,防暴兵侵斥,在申方有戰爭,三軍宜固守則吉。
行軍の時に野獸の陣中に冲进る有るは、不祥の兆なり:能く捕獲すれば、小吉。捕へざれば、大凶。軍中に認め出だせざる異獸を見れば、先ず其の爪牙有るや否やを看よ:爪牙有るは、二十一天の內に敵兵の到來して人を傷づる有らん。爪牙なきは、即ち畏懼するに足らざるなり。狼・虎が軍中に闖進るは、二十一天の內に交戰を防ぐを要し、先に兵を出す一方は凶、後に兵を擧ぐる一方は勝てり。能く捕獲すれば則ち吉、捕へざれば即ち凶なり。若し行軍の前後に狼虎の嚎叫有れば、突發の兵禍の侵擾を防ぐを要し、申方に於て戰事有らん、三軍は當に固守して乃ち吉なり。
野狐入營,主軍心不寧,獲之則吉,不獲者凶。熊羆入陣,獲得無損,不獲傷人,從天德天喜方至者,主大將生子。野獸夜間過營鳴者,移營則吉,日間鳴走繞軍者,逃亡之兆,移營賞眾可免。
野狐が營中に鑽り入るは、軍心の安寧ならざるを主り、それを捉へば則ち吉、捉へざれば即ち凶なり。熊羆が陣中に闖進るは、捕獲すれば即ち損傷なし、捕へざれば即ち人を傷つけん。若しそれが「天德」「天喜」の所在する方位より過來すれば、返って大將の兒子を生ぜんとするを主る。野獸が夜間に營寨を經過して鳴叫するは、營を遷せば則ち吉なり。白天に軍營を繞りて跑り邊叫するは、那是人の逃亡せんとするの徵兆、營を遷し并せて衆兵を犒賞すれば便ち避免する可し。
占軍器
軍中以金鼓旗為三皇,旌角麾鈴鐸為五帝,大將進兵則用鼓,收軍則用金,大師則建旗,招軍則用麾,催軍則用角,建陣象方則用旌,旌小旗也,傳事出入則以鈴鐸,俱軍中之用器。
軍中は鉦・鼓・旗を把りて「三皇」を看爲し、旌・角・麾・鈴・鐸を把りて「五帝」を看爲す。主將は兵を進むれば即ち鼓を擊ち、兵を收むれば即ち金を鳴らす。大軍を出づれば即ち旗を樹て、部隊を招集すれば即ち麾を用ひ、行軍を催促すれば即ち角を吹き、陣を布きて象を取りて方位を定むれば即ち旌を用ふ——旌は小旗なり。軍令を傳遞し・出入を通報すれば即ち鈴鐸を用ふ。これら皆軍中の用ふる所の器具なり。
若聲雄者軍勝,聲低者軍敗,無聲者為國勢去;無故自鳴者,主大兵將起;無故自裂者敗凶必速;忽生光華者,客兵至;或如染血,或似塗泥,或分潰,不出三旬大敗。
これらの器具は若し聲音雄壯なれば、我軍は即ち勝てん。聲音低沉なれば、我軍は即ち敗れん。聲を發出し得ざれば、那是國運衰亡の象なり。それらが緣故なく自己に響き起これば、大戰將に起こらんとするを主る。緣故なく自己に破裂すれば、敗亡の禍は必定に甚だ速く到らん。忽然光彩を放出するは、客兵の到來有るを主る。若し器具の看るに血を染めたるが如く・泥を塗りたるが如く、あるいは自行して散裂するは、三十天を出でずして必ず大敗有らん。
旌旗麾帶無風似有風者指敵,我將勝;背敵,敵兵來;若有風似無風者,將威;上指,將易;若有風下垂者,軍士自服;若火燒者,將婦拜佛;若無故自飛起者,兵潰。
旌旗と麾帶とが風なき時に卻って風有るが如く飄動す:敵方に向かって飄ぶは、我軍將に勝たんとす。敵方を背けて向かふは、敵兵の來らんとす。若し風有るに卻って風なきが如く紋絲として動かざれば、將に威嚴有るを主る。旗尖が上に向かって直指するは、將に更換有るを主る。若し風有るに旗子が低く垂れ下れば、軍士は自然に順服せん。若し旗幟が火に燒着けられれば、主將の家眷は佛を拜して災を消するを要す。若し旗幟が緣故なく自己に飛び起これば、軍隊の潰散を主る。
金、石、絲、竹、匏、土、革、木,樂器也。若聲音和,主世有清平之慶。音聲雜厲,主有亂離之事。若食器中忽變血色者,將軍戰勝有功。盞碟作聲,刺客至。不用自迸碎者,大將更;又囚徒主逃。
金・石・絲・竹・匏・土・革・木のこ八音は、樂器の總類なり。若し其の聲音が和諧せば、世道に清平の慶有るを主る。若し聲音が雜亂凄厲せば、戰亂流離の事有るを主る。若し食器の中に忽然血色と變成するは、將軍の作戰して獲勝して功有るを主る。杯盞碟碗が自己に聲響を發出するは、刺客の來らんとする有らん。人のそれを動かすなくして自己に迸碎するは、大將の更換せんとするを主り、また囚徒の逃走せんとするを主る。
將軍刀劍生血斑,大戰有功,抽劍不出鞘,有陰謀事。刀劍自折,客吉主凶。刀劍有火光,客至防戰。刀劍自鳴,大戰有功。刀劍火焚,上將罷。刀劍化鳥,將士散亡。刀劍化神鬼,將立功勳。刀劍似大搖棹,速有大戰,又主兵散。刀亂響,恐防混戰。
將軍の刀劍の上に血斑を生ずるは、大戰して功有るを主る。劍を鞘より抽出す能わざれば、陰謀の事有るを主る。刀劍が自己に折斷するは、客方は吉・主方は凶なり。刀劍の上に火光を現出するは、客兵の將に至らんとするを主り、交戰を防ぐを要す。刀劍が自己に鳴響するは、大戰して功有るを主る。刀劍が火に燒毀せらるるは、上將の罷職せんとするを主る。刀劍が鳥と變化するは、將士の潰散逃亡を主る。刀劍が神鬼と變化するは、將領の功勳を立てんとするを主る。刀劍が搖動して大船上の櫓棹の如きは、甚だ速く大戰有るを主り、また兵衆の離散を主る。刀が雜亂の響聲を發出するは、恐怕一場の混戰を防ぐを要す。
驢馬奔咬,軍旅不利。兵器作人言,吉語則吉,凶語則凶。馬廄火焚,大兵將起。鐵甲噴火,不日交戰。槍頭生火,敵客生侵。木驢自走,千里行征。輕車有滯,君王不詔。刁斗自飛,兵回將易。
驢馬が狂奔して互に咬むは、軍中に利あらず。兵器が口を開きて人話を説くは、説く是れ吉語なれば即ち吉、説く是れ凶語なれば即ち凶なり。馬廐に火を失するは、大戰將に起こらんとするを主る。鐵甲の上に火光を噴出するは、日ならずして即ち交戰せん。槍頭の上に火焰を生ずるは、敵方の客兵の來犯を主る。城を攻むるに用ゐる木驢が自己に走動するは、千里を遠征せんとするを主る。輕車の行動が滯澁するは、君王の詔を下さざらんとするを主る。軍中の更を打つに用ゐる刁斗が自己に飛び起こるは、軍隊の撤回せんとし・主將の更換せんとするを主る。
占城營屋宇
凡城營房舍,無故生火照耀,其地荒涼,庶人為官。城營吐火光赤色,兵潰。宮殿臭氣,大凶。宮門自開,臣叛;自關,主兵入境。屋舍自香,生貴人,又曰神仙自會。
凡そ城池・營寨・房舍が緣故なく火光を生じて照耀するは、其の一帶の將に荒涼と變らんとするを主り、また平民百姓の官を爲さんとするを主る。城營の中に赤色の火光を吐出するは、軍隊の潰敗を主る。宮殿の裡に臭氣を發出するは、大凶。宮門が自己に打開くは、臣下の叛亂を主る。自己に關閉するは、敵兵の境に入る有るを主る。屋舍が自己に香氣を發出するは、貴人を生ぜんとするを主り、また人の説くは神仙の自ら來りて聚會するなり。
宮殿聲鳴,主更人離。樑柱自折壞,主凶。帳房自鳴,宜賞軍。屋舍有鬼喚者,宜修福,又曰人亡。關鎖不能開,防奸人。屋舍忽無,此地必戰;屋舍忽添,年內大熟。宮殿內忽有胡人現形,主有焚戮、兵戰、將更、地沒。
宮殿が鳴響を發出するは、人を換へんとし・人の離散有るを主る。梁柱が自己に折斷損壞するは、凶を主る。營中の帳房が自己に作響するは、當に軍士を犒賞すべし。屋舍の裡に鬼の呼喚有るは、當に福を修め禳解すべく、また説法有りて人を死なんとす。門上の鎖が打開き得ざれば、奸細を提防するを要す。屋舍が忽然不見と爲れば、こ一帶は必ず戰事有らん。屋舍が忽然増多すれば、一年の內に五穀大熟せん。宮殿の內に忽然胡人の形貌を現出する有るは、焚燒屠戮・兵戈戰亂・主將更替・土地淪陷の事有るを主る。
占北斗
紫微垣乃天皇帝座,北斗為之拱衛。若有赤氣入斗,一年內大旱,又主外兵主境。黃氣入斗,君恩臣義,國正條明。白氣入斗,八月內大兵作戰。青氣入斗,文貴武伏。黑氣入斗,妖兵大作,又主大水。紫氣入斗,君聖臣賢。
紫微垣は天帝の座位、北斗七星は環繞して之を拱衛す。若し赤色の氣の北斗に侵入有れば、一年の內に大旱有り、また外敵の境に入るを主る。黃色の氣が斗に入れば、君主の恩有り・臣下の義を守るを主り、國政清明にして・條理分明なり。白色の氣が斗に入れば、八月の內に大戰有るを主る。青色の氣が斗に入れば、文臣の顯貴・武將の俯首を主る。黑色の氣が斗に入れば、妖異の兵の大いに起こるを主り、また大水を主る。紫色の氣が斗に入れば、君主の聖明・臣下の賢能を主る。
袁子曰:凡占見異,當以月將加時,看日祿泊於何官上,即從日祿上起五符,次天曹、地府、風伯、雷公、雨師、風雲、唐符、國印、天關、地鑰、天賊分佈十二宮分。看所見之物,或異鳥飛來,或風起卷旗,或馬嘶蛇入,或旌旗不動而自動,或金鼓不鳴而自鳴,從何方神上來,從何方神上起,即以其所見之時占之,吉凶自見。
袁子に曰く:凡そ異象を見るを占ふに、皆當に月將を用いて占時に加えて天盤を轉じ、本日の「祿」神のいずれの宮の上に停るかを看、即ち日祿の其の一宮より「五符」を起こし、接着依次に「天曹」「地府」「風伯」「雷公」「雨師」「風雲」「唐符」「國印」「天關」「地鑰」「天賊」を排して、こ十二神を十二宮に分布せよ。然る後に見る所の物を看よ——あるいは異鳥の飛來する、あるいは風の起こりて旗幟を卷動する、あるいは馬嘶・蛇入、あるいは旌旗は人の動かすなくして自己に動く、あるいは金鼓は人の敲くなくして自己に響く——それはいずれの一位の神の所在する方位より過來し・いずれの一位の神の所在する方位より發生するか、即ちそれを見る其の時辰に按じて課を起こせば、吉凶は自然に顯現せん。
如五符方位有鳥來,主有喜信,所謀皆利。天曹亦主有文書喜慶,無災禍也。地府戰則成功,有奇喜。風伯主口舌,宜固守營寨。雷公主大雨滂沱,雖有召喚,亦不可出,安防災禍。雨師出行不宜遠途,大雨淋漓。風雲主憎嫌,且防有賊,不可舉兵。
例えば「五符」の所在する方位より鳥の飛來する有れば、喜訊有るを主り、謀劃する所の事は皆順利なり。「天曹」の方位より來るは、また文書喜慶有るを主り、災禍なし。「地府」の方位より來るは、交戰して成功する能く、還に意外の喜有らん。「風伯」の方位より來るは、口舌爭端を主り、營寨を固守するに宜し。「雷公」の方位より來るは、大雨滂沱を主り、たとい人の來りて召喚する有るもまた出でる可からず、安坐して災禍を防備せよ。「雨師」の方位より來るは、出行して遠路を走るに宜からず、大雨淋漓に遇上せん。「風雲」の方位より來るは、人に憎惡嫌棄せらるるを主り、還に敵人有るを防ぎ、兵を擧ぐる可からず。
唐符主大潰,和諧宮府,大兵至此,所求遂意。國印主皇恩喜詔,或有賜賞,並文字、求謀稱意。天關宜伏兵守寨,興兵則悲。地鑰當提防失財,招喚莫出,以免災咎。天賊口舌爭嚷有驚,更提防奸詐,謹慎免憂。以上十二條,吉至則順受,凶來則修德以祉之。
「唐符」の方位より來るは、敵方の大潰を主り、官府と相處すること和諧なり、大軍ここに到れば、求むる所は皆願の如くならん。「國印」の方位より來るは、皇恩喜詔有るを主り、あるいは賞賜を得、文書と謀劃の事とは皆心に稱ふ。「天關」の方位より來るは、兵馬を埋伏し・營寨を堅守するに宜しく、兵を興して出戰すれば即ち悲傷せん。「地鑰」の方位より來るは、當に財物を丟失するを提防すべく、人の招喚する有るもまた出でる勿れ、以て災を招くを免れん。「天賊」の方位より來るは、口舌爭吵・驚を受くるを主り、更に奸詐を提防し、謹愼に行事して乃ち憂を免る可し。以上の十二条は、吉の來れば即ち坦然として承受し、凶の來れば即ち德を修め善を行ひて以て化解して福を求めよ。
途人善惡第四十二
遙望人來子孟良,仲商季惡立天罡。持兇器看支干上,巳賊卯冤亥子強。辰戌功曹傳送更,勝光並酉欲潛藏。途路之間遇見有人來者,未審善惡休咎,看神后子臨四孟(四孟者,寅申巳亥),好人也;神后加仲是商人,加季是惡人。
遥かに人の過來するを望見せば、即ち「神后」(子)を看よ:四孟に臨むは好人、四仲に臨むは商人、四季に臨むは惡人なり。此の時我方は天罡の位の上に站りて身を防げ。若し來人が凶器を手持せば、即ち日干日支の上の神を看よ:「太乙」(巳)を見れば是れ盜賊、「太冲」(卯)を見れば是れ冤情有る人、「登明」(亥)「神后」(子)を見れば是れ凶惡強橫の徒。辰・戌・「功曹」(寅)・「傳送」(申)を見れば是れ官府の差役。「勝光」(午)と酉とを見れば、則ち此人は正に躲藏せんと想ふ。路途の間に人の走り來るに遇ひ、善か惡か・吉か凶かを弄清せざれば、即ち神后子の寅・申・巳・亥のこ四孟の上に落つるを看よ、那是好人なり。神后が四仲に加われば、來るは商人。四季に加われば、來るは惡人なり。
立天罡,我立天方罡以避惡人,則惡人不敢近我。若見舟人來,天罡加孟是吏人,仲季同前。《七十二占》云:“軍歷危險,逢異人宜防備。可向天上天罡下去,此為八極俱張,人不可當。”
言う所の「天罡を立つ」は、我方が天盤天罡の指す所の方位の上に站りて惡人を避くるなり、かくの如くすれば惡人は敢えて我に靠近せざらん。若し船に坐する人の過來するを見れば、天罡が四孟に加われば、來るは官府の差人。四仲・四季に加われば、斷法は前面と相同なり。《七十二占》に曰く:「軍隊が險地を行經し、形貌怪異の人に遇上せば當に防備すべし。天盤天罡の下に向かって走る可し、こを『八極俱張』と曰ふ、人の敢えて擋ぐなし。」
執持兇器,若遇持器之人,日辰上太乙是賊人,太沖是冤人,登明神后兇惡之人,河魁功曹傳送是吏人,勝光從魁其人慾避難。此皆行軍之途間,或當危險之際,有奸細,若見此等怪異之人,不得不占。
至於凶器を手持する人は、遇上せば即ち日干日支の上を看よ:「太乙」(巳)を見れば、此人は盜賊なり。「太冲」(卯)を見れば、此人は冤屈有り。「登明」(亥)「神后」(子)を見れば、是れ凶惡の徒なり。「河魁」(戌)「功曹」(寅)「傳送」(申)を見れば、是れ官府の差吏なり。「勝光」(午)「從魁」(酉)を見れば、此人は逃難せんと想ふなり。これら皆行軍の途中に發生し、あるいは正に險境の時に當る、その中は奸細なきを保し難し、故にこ一類の怪異の人を見れば、占はざる能わざるなり。
孤軍被圍第四十三
占圍之能傷否。被圍上剋日辰傷,天將重刑有禍殃。神將比生為優矣,日辰年命克凶亡。萬一孤軍深入,彼眾我寡,前後不及,被圍敵境,則或傷或否,突圍出方,引軍避鋒,尤不可不慮也。
こ一門は圍まれし後に傷損を受くるか否かを占を占ふ。圍まる時に若し上神が日干日支を克せば、即ち傷有らん。天將が若し更に一重の刑克を加へれば、即ち禍殃有らん。神と將とが彼此に比和相生せば、情形は即ち好し。日干日支と行年本命とが相克せば、那就凶險喪亡なり。萬一孤軍深く入りて、敵衆にして我寡、前後の接應上らず、敵境の中に圍困せられば、那麽傷を受くるか否か・いずれの一方より突圍すべきか・如何に兵を帶びて敵鋒を避くるかは、皆預め考慮せざる能わざるなり。
《軍帳賦》曰:“傷不傷,視陰陽。”謂日辰陰陽四課互剋日辰,或日上剋日,辰上克辰,必有鬥傷。如日辰上神剋日辰,而所見天將又重克之,禍殃必至。
《軍帳賦》に曰く:「傷を受くるか否かは、陰神陽神を看よ。」意思是日干日支の陰神陽神の成す所の四課が互に日干日支を克し、あるいは日干の上神が日干を克し・日支の上神が日支を克せば、即ち一定に戰鬥傷亡有らん。若し日干日支の上の神が已に日干日支を克したれど、而して見る所の天將がまた更に一重の克を加へれば、那麽禍殃は必定に到來せん。
神將謂日辰上神將也,比生謂日上與日相比相生,或與辰相比相生,辰上與辰相比相生,或與日相比相生也。《金匱經》曰:“忽被兵圍,若日辰上神相生不傷,相剋有傷;若天將重剋日辰,其凶更甚。”假令甲子日逆貴,甲上見登明,子上見從魁,二將俱為不傷,甲上登明乘太常,子上從魁乘大陰,二天將雖不傷,而太常乃克支,太陰乃克干,亦有害,稍輕耳。日辰與年命相生則吉,相剋則凶。
歌訣の裡の「神將」は、日干日支の上の神と將とを指す。「比生」は、説く所は日干の上神が日干と比和あるいは相生し、あるいは日支と比和相生し、日支の上神が日支と比和相生し、あるいは日干と比和相生するなり。《金匱經》に曰く:「忽然敵兵に圍困せられれば、若し日干日支の上の神が相生せば、即ち傷を受けず。相克せば、即ち傷有り。若し天將が更に一重の日干日支を克すれば、凶險は更に甚し。」例を擧げて言へば:甲子の日に逆行の貴人を用ひ、甲の上に「登明」(亥)を見、子の上に「從魁」(酉)を見れば、こ兩處の神は皆日干日支を傷らず。甲の上の登明は「太常」に乘り、子の上の從魁は「太陰」に乘る、こ兩位の天將は雖も傷と算せざれど、太常は土に屬して日支の子水を克し、太陰は金に屬して卻って日干の甲木を克し、依舊として害有り、ただ稍や輕きのみ。此のほか日干日支と行年本命とが相生すれば即ち吉、相克せば即ち凶なり。
突圍出處第四十四
被圍欲出向天罡,罡阻絳明玉上詳。酉申方明智卯去,玉夜大上河魁方。勾陳制處最為勝,三吉臨方雲頗強。日辰上下相生吉,相剋休囚忌損傷。太公曰:“兵圍千重,斗至必通。”斗,天罡也。《靈匣經》:“被圍宜出青龍臨方,利若鋒刃,八極俱張,其誰敢當?”青龍亦天罡也(假令天罡臨午,宜往南方,撞而出之)。
圍まれて突き出づるを要せば、即ち天罡の指す方向に向かって冲れ。若し天罡の其の一方が受阻すれば、即ち更に「絳宮」「明堂」「玉堂」の三宮の時を詳看せよ。絳宮の時は申・酉の方より出で、明堂の時は機智を憑りて卯位より出で、玉堂の時は夜裡に「河魁」(戌)の方より出でよ。勾陳の制する處は最も能く取勝し、「大吉」「小吉」などの吉神の臨む所の方もまた頗る強勢なり。日干日支の上下が相生せば即ち吉、相克してまた休囚に落つれば怕るは損傷有らん。太公に曰く:「敵兵の圍むこと千重なりとも、斗柄の指す所は必定に通ず。」斗即ち天罡なり。《靈匣經》に曰く:「圍まれば宜しく青龍の臨む所の方より冲出すべし、鋒利なること刀刃の如く、八方齊しく張る、誰か抵擋する能はん。」ここに言ふ青龍もまた天罡を指す。例えば天罡が午に臨めば、即ち南方に往きて猛冲して出づべし。
如罡臨方遇有山水之阻,又考三宮時。三宮時謂絳宮、明堂、玉堂也,亥加四仲為絳宮,子加四仲為明堂,丑加四仲為玉堂(四仲,子午卯酉時也)。《靈匣經》:“絳宮時出傳送從魁下,明堂時出太沖下,玉堂時出河魁下。”
若し天罡の臨む所の方位が山水の阻隔に遇へば、即ち更に「三宮時」を考査せよ。三宮時は絳宮・明堂・玉堂を指す:亥が四仲の上に加わるは絳宮、子が四仲に加わるは明堂、丑が四仲に加わるは玉堂なり。ここに言ふ四仲は、子・午・卯・酉の四箇の時辰を指す。《靈匣經》に曰く:「絳宮の時は、『傳送』(申)『從魁』(酉)の下より突出せよ。明堂の時は、『太冲』(卯)の下より突出せよ。玉堂の時は、『河魁』(戌)の下より突出せよ。」
《曾門經》云:“吉神吉將臨日辰行年,勾陳乘神制所出之神,又發用得陰傳出陽者,必免難。”《軍帳賦》云:“若取出路,從勾制以取強。”一曰:勝光加四季旺神,出勾陳下必克。如春木旺,以午加卯,依本日干尋勾陳臨處是也。
《曾門經》に曰く:「吉神吉將が日干日支と行年の上に臨み、勾陳の乘ずる神が能く我の突出せんとする其の一方の神を制住し、更に發用が陰神より傳じて陽神を出づるを加へれば、一定能く難を脱す。」《軍帳賦》に曰く:「若し突圍の路を取らんと要せば、即ち勾陳の克制する方向に順いて往きて強を取れ。」別に一説有り:「勝光」(午)を四季の當旺の神の上に加へ、勾陳の下より出づれば必ず能く敵を克す。例えば春天に木旺なれば、即ち午を卯の上に加えて盤を轉じ、再び本日の日干に依って勾陳の臨む處を尋ぬ、彼處より突圍せよ。
二吉,大吉、小吉也,二吉臨方突出亦吉。《軍帳賦》云:“龍頭莫戰,嫌支干以休囚。背腹宜攻,要日辰之旺相。”解見前篇。
歌訣の裡の「三吉」の中に指す所の兩吉は、即ち「大吉」(丑)と「小吉」(未)、こ兩神の臨む所の方より突圍するも、また吉なり。《軍帳賦》に曰く:「龍頭の處は交戰する勿れ、怕るるは日干日支の休囚に落つるなり。城の背腹は攻打するに宜し、但し日干日支の旺相を得るを要す。」解釋は前面の《攻城拔邑》一篇に見よ。
抽軍避寇第四十五
賊勢憑陵我未強,抽軍迴避看天罡。值孟切宜從右隱,促季還須向左藏。彼強我弱。不得不引軍迴避,於是以月將加時看,天罡加四孟,宜向右路去;天罡加四仲、四季,宜向左路去。《神樞經》曰:“天罡加四仲四季,俱宜左避,加孟宜右避。”《靈匣經》曰:“聞賊來追,罡加孟神在內,宜右避;罡加仲神在門,宜中避;加季神在外,宜左避。”
敵勢が凶猛にして人を逼りて我方がなお強さ足らざれば、即ち軍を撤して回避するを要す、辦法は天罡を看よ:四孟に値せば右邊より隱れ去り、四季に値せば左邊に向かって身を藏めよ。對方強く我方弱くして、兵を帶びて回避せざるを得ざれば、是に於て月將を用いて占時に加えて盤を轉じて看れ:天罡が四孟に加われば、右路を走るに宜し。天罡が四仲・四季に加われば、左路を走るに宜し。《神樞經》に曰く:「天罡が四仲・四季に加われば、皆左に向かって避くるに宜し。四孟に加われば、右に向かって避くるに宜し。」《靈匣經》に曰く:「敵人の來りて追ふを聞きてば、天罡が孟神に加わるは『在內』、右に向かって避くるに宜し。仲神に加わるは『在門』、中間に向かって避くるに宜し。季神に加わるは『在外』、左に向かって避くるに宜し。」
卯酉歲寅陰合併,開星戌亥勝光臧。天盤丑未臨方吉,旺相之方切忌防。卯太沖也,酉從魁也,歲太歲也,寅功曹也,陰太陰也,合六合也,六神臨方,都利避難。《龍首經》云:“賊猝然至,宜往卯、酉、功曹、太歲臨方避之。”《兵帳賦》云:“前三後二,私門禁戶以相扶。”前三,六合卯也;後二,太陰酉也。
卯・酉・太歲・寅に、「太陰」「六合」の并臨を加へ、還に「開星」および戌・亥・「勝光」(午)は、皆難を避くるの好き去處なり。天盤の丑・未の臨む所の方もまた吉、獨り當令の旺方のみ切に提防するを要す。卯は「太冲」、酉は「從魁」、歲は太歲、寅は「功曹」、陰は「太陰」、合は「六合」、こ六神の臨む所の方は皆難を避くるに利す。《龍首經》に曰く:「敵人が突然として殺到せば、卯・酉・功曹・太歲の臨む所の方に往きて躲避するに宜し。」《兵帳賦》に曰く:「貴人の前三位と後二位は、私門と禁戶と爲し、互相扶助する可し。」前三位は六合、卯に配す。後二位は太陰、酉に配す。
開星者,春卯、夏午、秋戌、冬亥。戌河魁也,亥登明也,勝光者午也,四神臨方,避兵亦吉。臧善也。
言う所の「開星」は、春天は卯に在り、夏天は午に在り、秋天は戌に在り、冬天は亥に在り。戌は「河魁」、亥は「登明」、午は「勝光」、こ幾神の臨む所の方は、以て兵を避くるもまた吉なり。歌訣の裡の「臧」の字は、即ち善・好の意思なり。
丑未二神臨方亦吉,一雲有急事不暇候吉,以河魁加時,斗加孟可入,加季可出。旺方,謂春東、夏南、秋西、冬北、四季四維,不可向之;夏季尤忌,及剋日干,更凶。
丑・未の兩神の臨む所の方もまた吉なり。別に一説有り:若し事情緊急にして、吉時を待つに及ばざれば、即ち「河魁」(戌)を用いて占時の上に加えて盤を轉ぜ、天罡が四孟に加われば即ち進む可く、四季に加われば即ち出づる可し。言う所の「旺方」は、春天の東方・夏天の南方・秋天の西方・冬天の北方、および四季月の四維の位、皆向かって往く可からず。夏季はなかんずく忌むを要し、若し其の一方がまた日干を克せば、就更に凶なり。
天乙直符方最忌,日干被克去當凶。子無六合午無陰,三日逃凶講吉祥。天乙直符者,與月厭煞同例。
「天乙直符」の所在する方位は最も忌諱するを要し、日干の克せらるる其の一方は往くもまた凶なり。子位の上に「六合」なく・午位の上に「太陰」なからば、那麽三天の內に凶險を逃避して・吉祥を求めんと欲するは、即ち難し。言う所の天乙直符は、其の排法は「月厭煞」と是れ同一の例なり。
日干被克處,如甲乙日不宜向西,丙丁日不宜向北,戊己日不向東,庚辛日不宜向南,壬癸日不宜向四維。又云,不可以死向旺,如秋令甲乙日申酉尤凶,若攻賊亦忌之。
言う所の日干の克せらるる處:甲の日・乙の日は木に屬し、金に屬する西方に往くに宜からず。丙の日・丁の日は火に屬し、水に屬する北方に往くに宜からず。戊の日・己の日は土に屬し、木に屬する東方に往くに宜からず。庚の日・辛の日は金に屬し、火に屬する南方に往くに宜からず。壬の日・癸の日は水に屬し、土に屬する四維に往くに宜からず。また曰く:死氣に處する一方を拿りて當旺の一方を撞く可からず、例えば秋令の甲の日・乙の日は、木死して金旺、申・酉の方に往けばなかんずく凶なり。若し是れ往きて敵人を攻打せんとするも、同じくこ一条を忌むを要す。
子方乃六合不臨之地,午上乃太陰不臨之地,夫陰合二神是天地之私門,利以逃遁,子午之地,既不見此,逃者不利也,慎之,慎之!
子のこ一方は「六合」が永遠に臨到せざる地方、午のこ一位は「太陰」が永遠に臨到せざる地方なり。太陰と六合のこ兩神は天地間の私門、最も逃遁するに利す。子・午の兩地は旣にそれらを見ざれば、彼處に逃げるは即ち利ならず、務めて謹愼・務めて謹愼せよ。
渡江過泥第四十六
渡江最怕支神傷,支水干陸兩評詳。歲乘神后遭沉溺,支干凌沖車櫓傷。日遇罡沖風逆浪,支乘神克惡泥殃。軍行異域,欲無涉水渡泥之患,則以支為水路,干為陸路。若渡江者,最怕支上乘神克支,或支克支上神,主有沉溺之災。
江を渡るは最も日支の神の傷を受くるを怕る、日支は水路を代表し・日干は陸路を代表し、兩邊は皆評斷するを要す。太歲の上に「神后」(子)に乘ずるは、船を沈め水に溺るるを主る。日干日支が凌壓相沖せらるるは、車輛船櫓の損壞を主る。日干日支が「天罡」「太冲」に遇上するは、逆風大浪を主る。日支の乘ずる神が來りて日支を克するは、泥濘の裡に陷りて殃を遭ふを主る。軍隊が異域を行經し、水を涉り泥を過ぐるの禍患を免れんと想へば、即ち日支を以て水路と爲し・日干を以て陸路と爲せ。若し江を渡らんと要せば、最も日支の上に乘ずる神の日支を克し、あるいは日支の往きて日支の上神を克するを怕る、皆沉溺の災有るを主る。
神后加太歲,行船沉沒。支為水,干為陸,太沖加干為車,加支為舟櫓,所以行舟之具,若卯加支干,被下神凌之,舟車有損。
「神后」(子)が太歲の上に加わるは、行船の沈沒を主る。日支は水路を代表し、日干は陸路を代表す。「太冲」(卯)が日干の上に加われば即ち車と看爲し、日支の上に加われば即ち船櫓と看爲す、皆路を行き舟を行くの器具なり。若し卯が日干日支の上に加わりて下面の神に凌克せらるれば、那麽車と船とは皆損壞せん。
天罡太沖加日辰,主大風浪覆舟。《兵仗賦》云:“日忌罡沖,太歲遭虛而禍起。”太歲遭虛,謂神后加太歲也。支上乘神傷支及年命,又帶惡將,過水涉泥俱不利。
「天罡」(辰)と「太冲」(卯)とが日干日支に加臨するは、大風浪の起こり・船隻の掀翻するを主る。《兵仗賦》に曰く:「日干日支は天罡・太冲を見るを忌む。太歲が虛を遭えば、禍事は即ち起こらん。」言う所の「太歲が虛を遭ふ」は、即ち神后が太歲の上に加わるなり。此のほか、日支の上に乘ずる神が若し日支および行年本命を傷克し、また凶惡の天將を帶ぶれば、那麽水を過ぎ・泥を涉るは皆利あらず。
天河地井行船惡,土煞水龍過渡愁。支吉干傷舟可渡,鵬池罡指不須憂。壬癸子天之三河,卯酉辰地之三井,月將加正時,三河有一臨井者,舟不可渡也。
天河が地井を壓すれば、行船は即ち凶なり。「土煞」「觸水龍」に碰上せば、過渡するに人をして發愁せしむ。日支が吉にして日干が傷を受くれば、船に坐すもなお渡り得て過ぐ。至於泥沼水泊は、ただ天罡の指すに順いて走れば、即ち憂慮するに及ばず。壬・癸・子は天上の三河、卯・酉・辰は地上の三井。月將を用いて正時に加えて盤を轉ぜ、三河の中にただ一条の地井の上に臨む有れば、船即ち渡る可からず。
土煞、玉皇煞訣云:“土煞子丑巽宮未,寅卯之年坤上收。辰巳居干午年坎,未雷申酉古離州。戌亥二年居艮位,對宮便是玉皇遊。”又云:“辰戌丑未為土煞。”丙子、癸未、癸丑為觸水龍日。書曰:“土煞不宜過泥,水龍不宜過江。”
「土煞」と「玉皇煞」の口訣に曰く:「子年・丑年の土煞は巽宮と未位に在り、寅年・卯年は坤位に收む。辰年・巳年は乾位に居り、午年は坎位に在り。未年は震位に在り、申年・酉年は離位に在り。戌年・亥年は艮位に居る。土煞の對宮即ち玉皇煞の游ぶ所の處なり。」別に説法有り:「辰・戌・丑・未は本身就是れ土煞なり。」丙子・癸未・癸丑のこ三天を「觸水龍日」と曰ふ。書の上に曰く:「土煞の日は泥濘を過ぐるに宜からず、觸水龍の日は江を渡るに宜からず。」
支為水道,若支上神吉,干雖受傷,渡舟無妨。遇有淤泥之地,只向天罡下去,便得干路。
日支は水道を代表す、若し日支の上の神が吉なれば、那麽日干は雖も傷を受くれど、船に坐して水を渡るも妨礙なし。途中に若し淤泥の地に遇へば、ただ天罡の指す下に向かって走れば、即ち乾燥の路を尋ね得ん。
水戰觀風第四十七
水戰全憑風便方,日干未巳正堪詳。白虎風神逢劫殺,飛廉大殺亦風鄉。旺相乘殺風速起,休囚無殺乘風狂。行船雖不宜見風,而戰必借風以助威,巳為風門,未為風伯,日辰上要此二神到方有風。
水戰は全て風向の順か否かに靠る、故に日干と未・巳の兩神は正に細看するを要す。「白虎」は風神、若し「劫殺」に遇上し、あるいは「飛廉」「大殺」に碰上すれば、亦皆風の起こる處なり。旺相にしてまた凶煞に乘ずるは、風の來ること快し。休囚に落ちまた煞に乘らざれば、即ち狂風の借る可きなし。行船は本來風に遇ふに宜からず、但し水仗を打つは卻って風を借りて威を助けざる可からず。巳は「風門」、未は「風伯」、日干日支の上にこ兩神の到位有るを要して、乃ち風有らん。
白虎,風神也,逢劫殺、飛廉、大殺,主大風暴起。若日干旺相乘諸風殺,風速起,休囚而又不乘殺,主無風也。飛廉,正戌、二巳、三午、四未、五申、六酉、七辰、八亥、九子、十丑、十一寅、十二卯。
白虎は風神、若しそれが劫殺・飛廉・大殺に逢上せば、狂風の暴起を主る。若し日干が旺相の氣に當りてまたこれらの風煞に乘ずれば、風は甚だ速く來らん。若し休囚に落ちまた煞に乘らざれば、那就風なし。飛廉の排法は:正月は戌に在り、二月は巳、三月は午、四月は未、五月は申、六月は酉、七月は辰、八月は亥、九月は子、十月は丑、十一月は寅、十二月は卯に在り。
斑神東轉木推出,小吉相逢風迅速。三神忽爾潛空宿,上克下兮風息言。斑神,虎也,東轉謂虎入寅卯之地。蓋虎嘯風生,未為風伯,乘之必有大風。三神指虎與未巳也。潛空宿,謂二神若乘空亡,又是上克下,所以無風。
「斑神」が東に轉じて木位に到れば、即ち風有るを推し出す。再び「小吉」(未)と相遇せば、風の來ること迅疾なり。こ三神が若し忽然空亡に落進み、課體が上神の下神を克するを加へれば、那就風の言ふ可きなし。言う所の斑神は、即ち白虎。「東轉」は説く所は白虎の寅・卯の地に進入するなり。虎が嘯すれば則ち風を生じ、未はまた風伯、白虎が未に乘ずれば必ず大風有らん。ここに言ふ三神は、白虎と未・巳とを指す。「潛空宿」は説く所はこ幾神が若し空亡に乘じ、また上克下に逢へば、故に風なし。
巳午雀居曲直課,殺推月日用辰午。更兼寅木相逢遇,颶狂須索煞時間。巳午為火神,朱雀亦火神。然熱極生風,且雀入巳午為入巢。經云“穴居知雨,巢居知風。”是也。逐月風伯,正月起申逆行十二辰;逐月風殺,正月起寅,逆行十二辰。或見發用並日辰之上,與朱雀等會主大風。未為風伯,寅中有箕宿好風,二神會,亦主大風也,惟落空亡風小。
「朱雀」が巳・午に落ちて課體が「曲直」を成せば、風煞は則ち月と日とに按じて辰・午の位に推到す。若し再び寅木に遇上せば、即ち凶煞の當值する時辰の裡に一場の狂飆を索取するを要す。巳・午は火に屬し、朱雀もまた火神なり。然るに熱すること極點に到れば即ち風を生じ、而且朱雀が巳午に落入るを「入巢」と曰ふ。經の上に「穴居の動物は雨の下らんとするを知り、巢居の鳥は風の起こらんとするを知る」と曰ふ、正にこの道理なり。月を逐ふの「風伯」は、正月は申より起こり、十二辰を逆行す。月を逐ふの「風殺」は、正月は寅より起こり、十二辰を逆行す。若しそれらが發用および日干日支の上に出現し、また朱雀等と會合せば、即ち大風を主る。未は風伯、寅の中に箕宿を含みて箕宿は風を好む、こ兩神の會合するも、また大風を主る。ただ空亡に落つる時のみ風乃ち小なり。
附風雨雜占
巳為風門,未為風伯,白虎為風神,發用有氣,主風,披刑猛烈迅速。虎在東方為出林,主風,乘小吉愈猛。寅申加日,在天乙前,皆主有風,未下即風起。
巳は風門、未は風伯、白虎は風神なり。それらが發用してまた氣有れば、即ち風の起こるを主り、若し再び刑を帶ぶれば、風の來ること猛烈迅疾なり。白虎が東方に落つるを「出林」と曰ふ、風有るを主る。若し「小吉」(未)に乘ずれば、風は就更に猛し。寅・申が日干に加臨し、而且位が天乙貴人の前に在るは、皆風有るを主る。未の臨む所の下に到れば、風は即ち起こらん。
傳見白虎,乘有氣之神,又加有氣之鄉,下賊上,必主大風。若知風從何方來,看白虎臨何神,如乘亥臨酉上正西風,臨卯正東風,餘仿此。白虎乘小吉受剋落空,上克下,即有亦小。
三傳の中に白虎を見れば、其の乘ずるは氣有る之神、また氣有る之鄕に加わり、課體が再び下神の上神を賊するは、必定に大風有らん。風のいずれの一方より來るかを知らんと要せば、即ち白虎の何の神の上に臨むかを看よ:例えば白虎が亥に乘じて酉の上に臨めば、即ち正西の風を刮かん。卯の上に臨めば、即ち正東の風を刮かん、其余はこれに照らして類推せよ。若し白虎が小吉に乘じて卻って克を受け・また空亡に落ち、課體が上克下なるを加へれば、那麽たとい風有るとも甚だ小さきなり。
坎為雨,壬癸亥子玄后皆坎類也。離為晴雨,丙丁巳午蛇雀皆離類也。坎臨日辰及發用,主雨。離臨日辰,及發用主晴。巽為風,而辰巳勾蛇皆巽類也。震為雷,而甲乙卯合皆震類也,巽臨日辰及發用主風,震臨日辰及發用主雷。
坎卦は雨を主り、壬・癸・亥・子および「玄武」「天后」は皆坎類に屬す。離卦は晴を主り、丙・丁・巳・午および「螣蛇」「朱雀」は皆離類に屬す。坎類が日干日支あるいは發用に臨めば、即ち雨の下るを主る。離類が日干日支あるいは發用に臨めば、即ち天の晴るるを主る。巽卦は風を主り、辰・巳および「勾陳」「螣蛇」は皆巽類に屬す。震卦は雷を主り、甲・乙・卯および「六合」は皆震類に屬す。巽類が日干日支あるいは發用に臨めば、風の起こるを主る。震類が日干日支あるいは發用に臨めば、雷の打つを主る。
亥子二神及青龍在課傳刑剋日,或日上神者有雨,不入課傳無雨。亥子加臨巳午未申,是水升火降,主累日雨。亥子旺主大雨,加申酉大雨,乘勾陳久雨,冬則主雪深厚,惟落空及臨土受制無雨,北方為退歸江湖無雨。
亥・子の兩神および「青龍」は、若し四課三傳の中に日干を刑克し・あるいは日干の上神を刑克すれば、即ち雨有らん。四課三傳に入らざれば、即ち雨なし。亥・子が巳・午・未・申の上に加臨するは、水氣の上升・火氣の下降、連日の雨を下るを主る。亥・子が旺に當れば大雨を主り、申・酉の上に加わるもまた大雨、若し「勾陳」に乘ずれば則ち久雨して停まず、冬天は還に積雪の深厚を主る。ただ空亡に落ち・あるいは土位に臨みて制せらるるのみ、乃ち雨なし。北方に落つるは江湖に退回するの象、また雨なし。
龍乘申酉主雨,不以剋制論。蓋申為水母,酉為兌澤,若旺相雨更大。龍乘旺昇天大雨,昇天臨巳午未申也;乘亥子丑為遊樂,江湖不能變化,主無雨,入墓亦然。螣蛇入亥子丑變化主雨,虎臨亥子亦有大風雨。
青龍が申・酉に乘ずるは雨の下るを主る、こ一条は生克制化に按じて以て論ぜず。申は水の母氣・酉は兌卦の澤なれば、若し再び旺相に當れば、雨は就更に大なり。青龍が旺氣に乘じて「升天」するは、大雨を主る。言う所の升天は、巳・午・未・申の上に臨むなり。青龍が亥・子・丑に乘ずるを「游樂」と曰ふ、江湖の裡に在りて變化騰躍する能わず、返って雨なきを主り、墓に入るの情形もまた一樣なり。「螣蛇」が亥・子・丑に進入して變化を起こすは、雨有るを主る。「白虎」が亥・子に臨むも、また大風雨有らん。
大都虎龍須以披神合看,虎披甲乙先風後雨,龍披庚辛戊己先雨後風,皆取剋制之辰為雨日,以五子遁干,干支交戰,即雨日也。初傳為雨來雲起方位,末傳為雨止期。子卯相加有雨;子玄武加亥子為入穴主雨,所謂“穴居知雨”是也;畢宿會雨師大雨,月臨於畢主連雨。
大體に白虎・青龍は皆其の「披」する所の遁干を合看するを要す:白虎が甲・乙を披れば、即ち先に風を起こし後に雨を下す。青龍が庚・辛・戊・己を披れば、即ち先に雨を下し後に風を起こす。應期は皆能くそれを克制する其の一辰を取りて以て雨を下るの日と爲す:五子元遁干を用ひて、干支の交戰する其の一天に遇上せば、即ち雨日なり。初傳は雨のいずれの方位より雲を起こして來るかを代表し、末傳は雨の停まる時候を代表す。子と卯とが相加へば雨を下すに會せん。子の上の「玄武」が亥・子の上に加わるを「入穴」と曰ふ、雨有るを主る、言う所の「穴居は雨を知る」即ちこのなり。畢宿と「雨師」とが會合するは、大雨を主る。月亮が畢宿に行到するは、連綿の陰雨を主る。
邊夷犯界第四十八
支干尊卑分內外,日刑辰上我贏夷。支克干頭強虜逆,日生辰死自亡歸。更將刑德推強弱,初外中吾剋制夷。干尊支卑,故以中國為主,外夷為支,此一定不易之理。若日上神刑辰上神,我贏夷之兆;辰上神刑日上神,強虜橫逆不順。即日克辰上,與克辰中國勝;辰剋日上與剋日,外軫猖獗。若上得相生旺相之神,辰上得死囚空亡之神,夷眾逃散,不敵而歸。
日干日支は尊卑の別有り、以て內外を分かつに用ふ:日干の上神が日支の上神を刑すれば、我方は外族に戰勝す。日支が日干の上を克するは、那是強敵の橫逆なり。日干が生を得て日支が死地に落つれば、外族は自己に敗亡して歸去せん。此のほか還に刑・德を用いて強弱を推し、初傳は外に屬し・中傳は我に屬するを用いて能く夷狄を克制するか否かを看よ。日干は尊を爲し・日支は卑を爲すれば、故に中原を以て日干と爲し・外夷を以て日支と爲す、這是一定不移の道理なり。若し日干の上神が日支の上神を刑すれば、即ち我方の夷狄に戰勝するの兆なり。日支の上神が日干の上神を刑すれば、即ち強敵の橫行して順服せざるなり。日干が日支の上神を克し・あるいは日支を克せば、中原は勝てり。日支が日干の上神を克し・あるいは日干を克せば、外族は即ち猖獗せん。若し日干の上に相生旺相の神を得、而して日支の上に死囚空亡の神を得れば、那麽夷衆は潰散して、戰はずして歸らん。
此自日辰尊卑之分論也,惟《靈匣經》及《兵機捷徑》等又以刑德分中外(刑,日刑也;德,日德也),德克刑中國勝,刑剋德外夷勝。又詳德刑之地盤生克何如,若俱受刑亦不妙。
以上は日干日支の尊卑の分より立論するなり。ただ《靈匣經》と《兵機捷徑》などの書は別に刑・德を用いて中原と外族とを分かつ:「刑」は日刑を指し、「德」は日德を指す。德が刑を克すれば、中原勝つ。刑が德を克すれば、外夷勝つ。此のほか還に德と刑とが地盤に落つるの生克の如何を細看するを要し、若し兩者が皆刑を受くれば、那もまた妙ならず。
然則三傳可以不用乎?初傳為外末為內,若初中旺相生末,內有奸人與相連。中末旺克初,寇至境邊自回。如無氣末往生之,宜退謹守,怕有穿窬竊財,將神俱以制刑制支為吉。
那麽三傳は即ち用ゐずとも可ならんや。亦そうにあらず。初傳は外方を代表し、末傳は內地を代表す:若し初傳中傳が旺相にして末傳を生ずれば、內部に奸人の外敵と勾連する有るを主る。若し中傳末傳が旺相にして初傳を克せば、敵人は邊境に到るもまた自行して退回せん。若し末傳が氣無くして返って往きて初傳を生ずれば、即ち退守謹愼すべく、怕るは墻を穿りて財物を竊盜する事の有らん。至於天將と天神とは、皆能く刑を制し・日支を制するを以て吉と爲す。
然而夷性不測,方土亦異,則當以發用神將決。如發用亥子,知為北狄;巳午發用,知為南蠻;申酉發用,知為西戎;寅卯發用,知為東虜;四季發用,知為五方雜集之苗。
然るに外族の性情は揣測し難く、各處の方土もまた一樣ならず、那就當に初傳發用の神將を用いて以て判定すべし。發用が亥・子なれば、北方の狄人なるを知る可し。發用が巳・午なれば、南方の蠻人なるを知る可し。發用が申・酉なれば、西方の戎人なるを知る可し。發用が寅・卯なれば、東方の敵虜なるを知る可し。發用が辰戌丑未の四季なれば、五方の雜處聚集する苗人なるを知る可し。
若論其性,見子為貪狼,亥卯為陰賊,寅午為勇猛,丑戌為公正,巳酉為寬大,辰未為奸邪獲擄。螣蛇為凶惡,朱雀天空為欺詐虛滑,勾陳好殺,太陰為後,陰私懦弱,故曰:“方從子午分南北,性看天神一定之。”夫知其性知其方,則預有以備之,蕩平亦何難之有?
若し彼らの性情を論ぜば:子を見れば是れ貪婪して狼の如し、亥・卯を見れば是れ暗中に盜を爲し、寅・午を見れば是れ勇猛にして闘を好み、丑・戌を見れば是れ公道正直、巳・酉を見れば是れ寬厚大度、辰・未を見れば是れ奸邪にして擄掠を好む。天將の方面は、「螣蛇」は凶惡を主り、「朱雀」「天空」は欺詐滑頭を主り、「勾陳」は殺を好み、「太陰」と「天后」とは陰私懦弱を主る。故に曰く:「方位は子午の一線より南北を分かち、性情は天神を看れば便ち一定す。」旣に彼らの性情を知り・また彼らの方位を知れば、即ち預め防備を加以する可く、那麽邊患を蕩平するに又に何の難しか有らんや。
蕩平群寇第四十九
若逢群寇定輸贏,勝負初傳大將評。德或制刑刑生德,貴乘太歲制玄神。本神行年能制虎,勾陳賊上震下辰。遇此敵降天滅寇,行師傳助建功勳。
成群の寇盜に碰上して輸赢を定めんとすれば、勝負は即ち初傳と主將とを憑りて評斷す。若し日德が日刑を克制し、あるいは刑が返って德を生ぜん。若し天乙貴人が太歲に乘じて「玄武」を制住せん。若し主將の本命行年が能く「白虎」を制せん。若し「勾陳」が敵の方位に壓しまた震懾して其の下の神を克制せん——これらに遇上せば、即ち敵人の來りて降り・上天の寇を滅するの象、兵を出すに三傳の相助有り、必ず能く功勳を建立せん。
平寇之課,以發用天將核之,吉將勝,凶將否。若德克刑,刑又來生德,主不戰而服。貴乘太歲立旺方是天子合位,平一海內之象。玄武為賊,太歲又制之,中華勝虜之兆。若本將行年又能制虎,勾陳臨賊方位,又克上神,則寇自降滅,定成大勳也(勾陳立賊方共有三說:一說制勾陳神,一說天乙克勾下神,今又是勾自克下神。凡天乙制勾陳,六辛、壬、癸日有之)。
寇盜を平定するの課は、初傳發用の乘ずる所の天將を用いて核定す:吉將なれば即ち勝ち、凶將なれば即ち勝たず。若し日德が日刑を克し、而して刑がまた返って德を生ぜば、敵人の戰はずして降服するを主る。天乙貴人が太歲に乘じて當旺の方に立つは、那是天子の位に當るの象、海內を平定し・天下一統するを主る。玄武は盜賊を代表し、太歲がまたそれを制住するは、那是中原の外虜に戰勝するの徵兆なり。若し主將の行年がまた能く白虎を制住し、勾陳が敵方の居する所の方位に臨みて而且其の上の神を克住せば、那麽寇盜は自然に降服消滅し、一定能く大功を成就せん。「勾陳が賊方に立つ」に關しては一共に三種の説法有り:一説は神の勾陳を制住する有るを要すとし、一説は天乙が勾陳の下の神を克するとし、ここに講ずるはまた勾陳が自己に下神を克するなり。凡そ天乙の能く勾陳を制するは、ただ六辛の日と壬・癸の日のみ乃ち出現せん。
凱旋聞詔第五十
得勝還朝斷眾心,歲生年命聖歡欣。歲陰旺相生主將,後宮暗助有親臣。歲神年後扶年命,宰輔出力助將軍。月建生日公侯力,日上休囚反禍臨。歲神月建來刑剋,譽贊與誰宜得人?日辰旺相及有氣,三陽三光鑄印逢。月將龍德生年日,鐘鼎銘勳寵渥隆。
勝を得て朝に還るに、朝中衆人の心向を判斷するを要す:太歲が主將の行年本命を生ずれば、天子は必定に歡欣せん。太歲と「太陰」とが旺相にして主將の年命を生ずれば、是れ後宮と親近の臣とが暗中に相助するなり。太歲の後の神が年命を扶助するは、是れ宰輔の力を出して將軍を幫襯するなり。月建が日干を生ずるは、是れ公侯の力を出すなり。若し日干の上が休囚に落つれば、返って禍事の頭に臨む有らん。太歲と月建とがまた來りて刑克せば、那麽榮譽と褒獎とを誰に歸し・何の人才に託付して乃ち好からんや。ただ日干日支が旺相にして氣有り、課中にまた「三陽」「三光」「鑄印」などの吉課に逢ひ、月將と「龍德」とが再び行年と日干とを生ずれば、那乃ち鐘鼎に功を銘し・恩寵優渥の局面なり。
邊夷既靖,正班師勒鼎之時,然而朝臣未知其心服否,若得太歲生主將年命,聖天子不勝歡欣。太歲與太陰旺相生大將年命,主後官有皇后妃親臣(上所親信者也)暗助。太歲後之神生扶年命,宰輔亦左右維持。月建生日,公侯亦朝夕贊襄,在朝之眾心可知也。
邊地の夷患は旣に已に平定せば、正に師を班して朝に回り・功勳を鐘鼎の上に銘刻するの時候なり。然るに朝中の大臣の心の裡に服するか否かは、還に知らず。若し太歲が主將の行年本命を生ずるを占得せば、那麽聖明の天子は必定に十分に歡欣せん。太歲と太陰とが旺相にして主將の年命を生ずれば、後宮の皇后嬪妃および天子の親信の臣の暗中に於て相助するを主る。太歲の後の神が年命を生扶するは、宰輔大臣もまた傍より維護せん。月建が日干を生ずれば、公侯らもまた朝夕に贊助せん。朝中衆人の心向は、これより便ち以て知る可し。
若日上體囚,反有禍至;歲神月建又來刑,公卿大夫相與阻撓,即亦吝爵不賞矣,又敢望封哉?惟是日辰旺相,又臨有氣之神,課得三陽、三光、鑄印、龍德等吉,月將又來生日,則是寵涯之隆矣。
若し日干の上が囚地に落つれば、返って禍事の到來有らん。太歲と月建とがまた來りて刑克せば、那就是公卿大夫が一齊に中より阻撓し、爵位賞賜すら吝惜して與へず、何處か敢えて封侯を指望せんや。ただ日干日支が旺相にして、また氣有る之神の上に臨み、課體が「三陽」「三光」「鑄印」「龍德」のこれら吉課を得、月將が再び來りて日干を生ずれば、那乃ち恩寵優渥・榮極して一時の局面なり。
