Libo

海底眼

宋 · 王鼎

作盤ガイド: 六爻納甲の立卦, 大衍筮法

願を還し神に賽して庇佑を求む:最も緊要なるは卦中に爻の來りて世身を生扶し、并且子孫福德爻の旺相する有るなり。若し五世卦、游魂卦を搖得せば、願…

六爻納甲典籍

まず体例書で装卦の手順を握り、それから卦例集へ進む。取用神は断法全体の要となる一手であり、書ごとの処理の違いを対照する価値がある。

卜易秘訣·海底眼·怡然齋藏版

此の書の表紙には《卜易秘訣・海底眼》と題して、怡然斎の蔵版として刻版印行せり。所谓「卜易」とは、蓍草を用ゐずに卦を起し、改めて銅銭を六度揺りて卦を成し、更に「納甲」の法則に依りて天干・地支・五行・六親を六爻に配して人事を推断する占法を指す。「海底眼」は則ち比喩にして、善く占ふ者の眼力は深海の底にまで直に透徹して、卦中に隠伏して露れざる関窍を一眼に看り通すを謂ふなり。

序

上古伏羲出而王天下也,觀象於天,體法於地,遠取諸物,近取諸身,遂為八卦之文,以通神明之德。及夫龍馬負圖出於河,神龜戴文出於洛,然八卦著於世,得龍天降此法,以曉悟世人。

遠古の時、伏羲氏興りて天下を治めたり。彼は仰ぎて日月星辰の天上に呈する物象を観察し、俯ぎて山川草木の地上に成形する条理に取法し、遠くは飛禽走獣等の万物に取材し、近くは人の自己の身体に取材して、乃ち八卦と云ふ一套の符号を画き出し、以て神明の徳性を貫通せしむ。後に龍馬が「河圖」を負ひて黄河中より浮出し、神龜が「洛書」を負ひて洛水中より爬出し、八卦の学は此れに因りて始めて世に顕揚せり。伏羲は既に上天の降す所の此の法門を得て、便ち以て世間の人を開悟せしめたり。

其法以二四為肩,金木之始;六八為足,水火之終;五行中宮,天地通理。夫五行者,在天為五星,在地為五方,在人為五事,五性為五常,在歷為五紀,在德為五運。

此の法門の数位の布置は、二・四の両数を左右に分列して「肩」と為すは、正に金と木の生数の起点なり。六・八の両数を下方に分列して「足」と為すは、正に水と火の成数の帰宿なり。五と云ふ数は中央の「中宮」に居りて土に属し、天地を貫通する樞紐なり。所谓「五行」は、天上に於ては歳星・熒惑・太白・辰星・鎮星の五星と表れ、地上に於ては東・南・西・北・中の五方と表れ、人事に於ては《尚書・洪範》の謂ふ所の貌・言・視・聴・思の五事と表れ、人性に於ては仁・義・禮・智・信の五常と表れ、暦法に於ては《洪範》の歳・月・日・星辰・暦數の五紀と表れ、朝代の徳運に於ては相代り更替する五運と表る。

孤陰不成,獨陽不生,交錯相配。天一生水,歷五數而成地六;地二生火,歷五數而成天七;天三生木,歷五數而生地八;地四生金,歷五數而成天九;天五生土,歷五數而成地十。

陰のみ有りて陽無ければ、事物形を成す能はず。陽のみ有りて陰無ければ、事物發生する能はず。必ず陰陽交錯配合して後乃ち可なり。故に天数一は先づ水を生じ、更に中に居る五の数を加へて、地数六と配成して、水乃ち成と算す。地数二は先づ火を生じ、中五を加へて、天数七と配成して、火乃ち成と算す。天数三は先づ木を生じ、中五を加へて、地数八と配成して、木乃ち成と算す。地数四は先づ金を生じ、中五を加へて、天数九と配成して、金乃ち成と算す。天数五は先づ土を生じ、中五を加へて、地数十と配成して、土乃ち成と算す。此れ即ち《周易・繫辭》の「天一地二」の一段の講ずる所の五行生成の数にして、一生一成皆中五の土を借りて橋を架さんとするなり。

其相生猶父子,其相合猶夫婦,其相配猶君臣,其相摩猶崑玉。成敗之形著矣,興衰之理判矣。化行鬼神,開物成務,如斯而已矣。

五行の間は彼此相生して、譬へば父の子を生養するが如し。彼此相合して、譬へば夫妻の一体を結成するが如し。彼此相配して、譬へば君主と臣下と各々其の位に安んずるが如し。彼此摩蕩して切磋するは、譬へば兄弟の間に美玉の相撃するが如し。此の幾層の関係を摸り清めれば、一事の将成将敗の形跡は則ち顕露し、一段の運勢の将興将衰の道理も亦判然として分明なり。占卜の能く鬼神に溝通し、万物の情を開通して人間の事務を成就する所以は、憑藉する所不過是れ等なり。

今之卜者不一,皆泥於卦名之善惡,神煞之吉凶。殊不知卦例之出現,內外之飛伏,爻象之動靜,六親之逆順,五行之生克,有絕處而逢生者,有貪生而忘克者,有動興而洩氣者,若不推究其理,而概以卦例、爻象、神煞吉凶而斷之,則鑿矣,善卜者幸鑑焉。

今占卜する人の門路は一ならず、大多は死にも卦名の聞て好きか好かざるかと、神煞の查出して凶か吉かとの一層に死死と咬り付く。彼等は全然知らず:本宮の「卦例」の裏に用神の卦中に出現するや否や、内外卦の間の「飛神」の「伏神」を壓するは如何なる関係か、爻象の動か靜か、「六親」の間の順生か逆剋か、五行の間の相生か相剋か—此の裏には或る爻は本已に絶地に處しても、生扶に遇ふに因りて絶處に生に逢ふ者有り。或る爻は只顧みて他を生ずるに赴いて、反つて自己が正に他人に剋さるゝ所を忘るゝ者有り。或る爻は雖も發動すれども、生して他爻を泄するに因りて自身の氣を泄光する者有り。若し此れ等の道理の上より一層々推求せずして、一概に卦名・爻象・神煞の吉凶を拿て断語を下さば、則ち穿鑿附會なり。真に占卜を會する人は、此れを以て鑑と為さんことを望む。

逸客斗南陸位謹識。

以上の此の一篇の序は、自ら「逸客」と號し、字を「斗南」とする陸位が恭敬に題寫せしなり。「謹識」は舊時の序跋末尾の署名の套語にして、鄭重に其の事を記述するを表す。

卜易秘訣・海底眼

卜易秘訣海底眼卷上。逸客斗南陸位校輯,錢塘學海樓主人鄭觀卿詳註。

《卜易秘訣・海底眼》卷上。本卷は自ら「逸客」と號し、字を「斗南」とする陸位が校勘編輯し、錢塘(今の浙江杭州)の學海樓主人鄭觀卿が逐條注を加ふ。書中に凡そ「眉批」と標明する小字は、皆鄭觀卿の手に出づる、舊時の注解にして、正文と一併に保留せり、後人の妄加せし話と當て看成す可からず。

易理

古聖人書不可輕,傳流今日顯其情,雖然易理無窮極,也要人心自曉明。

古代の聖人の留めたる此の《易》書は、輕慢に看待すべからず。其れ一路流傳して今日に至り、其の中の實情は始めて慢慢と顯露せり。《易》の義理は雖も深廣にして窮盡なく、真に用得上ぐるには、還だ占卦する人の自己の心裏に通透明白を靠らざるべからず—師傳は只汝に一套の法則を與ふるのみ、卦に臨み断を下す分寸は終究自己に體會せざるべからず。

易云:生生之謂易,成象之謂乾,效法之謂坤,極數知來之謂土,變通無常之謂道,陰陽不測之謂神。易有爻象,土有神煞。京房不知易道,亂傳神煞,以誤後人,不可以神煞用之也。

《周易・繫辭》に曰く:生々不熄、變化不已、之を「易」と曰ふ。卦の物象を成就するを「乾」と曰ひ、乾の法則を仿效して承載成形するを「坤」と曰ひ、蓍策の数を推し盡くして因りて未来を豫知する能くするを「占」と曰ひ、變化通達して常規を守らざるを「道」と曰ひ、陰陽消長して測度定まらざるを「神」と曰ふ。(此の處及び下句の「占」の字は、底本皆「土」と刻成せり、今底本に照りて錄出し、改めず。)《易》の講ずる所は只爻と象のみ、占法の裏に於て始めて別に神煞の一路の物を生出せり。漢代の京房は《易》の正道を明白せず、胡亂に神煞の説を傳布して、後來の學人を貽誤せり。故に卦を断ずるに神煞を拿て依據と為すべからず。

易道

易道無窮達理深,還將□唬奉陰人,萬物本來居正體,何須物外去求神。

《易》の道理は窮盡なく、之を通達するに功夫極めて深し。惜む可し偏に人の反つて之を拿て神を裝い鬼を弄し、不明就裏なる人を嚇唬する者有り(底本此の句一字を脱して、「還將□唬奉陰人」と作り、文義完整せず、此の處敢て空補字せず)。天地の萬物は本來各自其の應有の位置と形體とに安處し、卦中の道理も亦爻象の内に擺在せり、何ぞ必せん卦象を丢下して管せず、卦外に跑りて神を求め煞を問はんや。

易鏡云:正幾大義,後學後明,物有萬物,事有千門,達理者取其捷徑,愚昧者枝葉千端。自古迄今,本存乎一,後人不知,胡取胡求。有以立郷二十五,變六爻五休,有以移宮換宮,有以切充切變,有以六神吉凶請煞,有以生世克世,有以四營空沖並刑,因此徑徑,不知捷徑,亂說經典而不驗也。

《易鏡》に曰く:卦中の那一點の幾微の動を端正するこそ、《易》の大義の在る所なれ、後來《易》を學ぶ人は往往最後に至りて此の一層に悟る。物は萬種有り、事は千門有りて、事理を通達する人は直捷の門径を抓住する能くし、蒙昧の人は却て枝枝葉葉の上に千百の頭緖を纏り出す。古より今に至り、占法の根本は其の實只一箇有るのみ、後人明白せずして、是に東に一把を抓み、西に一套を求む:或る者は「立郷二十五」の類の数法を搬出し、或る者は六爻が變出する「五休」を講じ、或る者は移宮換宮を用ひ、或る者は切冲切變を用ひ、或る者は專ら「六神」の吉凶に憑りて神煞を請ひ、或る者は只爻の世を生ずるか世を剋するかを論じ、或る者は又「四營」を拿て空亡・冲・併・刑に配す。是の如く小路の上に圈子を兜りて、反つて那の眞正の捷徑を認得せず、經典を講りて七零八落にして、占らば自然に靈驗せず。

八卦圖

五行局

乾坤納甲

乾象:冬至先甲後壬,夏至先壬後甲。坤象:冬至先乙後癸,夏至先癸後乙。

乾卦の納甲:冬至以後、陽氣は下より上昇し、六爻の干を納するに先づ「甲」を納して後「壬」を納る。夏至以後、陽氣は轉じて下降すれば、則ち先づ「壬」を納して後「甲」を納る。坤卦の納甲:冬至以後、先づ「乙」を納して後「癸」を納り、夏至以後、先づ「癸」を納して後「乙」を納る。乾は甲・壬を納し、坤は乙・癸を納るは、「納甲」の一法の最根本の一條にして、其の餘の六卦は分りて丙・丁・戊・己・庚・辛を納るも、皆此の一條より推し開くなり。

凡天地湊合六十日甲子,天干卜天文,地支卜人事,納音卜幽冥。乾生於子,混沌一氣之元,坤生於未,陰陽三才足備。何也?蓋乾乃西北之位,而順行於六陽,故生於子也。坤乃西南之位,而逆行六陰,故生未也。夫乾有甲壬,坤有乙癸,何謂也?蓋天子自乾生甲,至兌,而有壬癸,不盡之數,分於乾坤,周流二至,徑來運不窮矣。

天干と地支とは相湊り相配して、六十甲子の一箇の周期を合成す。天時氣象を占するに天干を取り、人間世事を占するに地支を取り、幽冥鬼神の事を占するに納音を取る。乾卦は「子」に起るは、子は混沌一氣の初開の本元なるが故なり。坤卦は「未」に起るは、未位に行到すれば、陰陽交會して天・地・人の三才已に齊備するが故なり。何故か此の如く謂ふ。乾は西北の位に居り、六箇の陽爻の次序に順つて往前推行すれば、起點は正に子上に落る、故に乾は子に生ずと曰ふ。坤は西南の位に居り、六箇の陰爻の次序に逆つて退行すれば、起點は正に未上に落る、故に坤は未に生ずと曰ふ。然らば乾は何故に甲と壬とを兼納し、坤は何故に乙と癸とを兼納するか。天干は乾卦の納甲より算起して、順次兑卦に至るまで分派せるに、八箇の卦は只八箇の干を納るを得て、壬・癸の両干を餘して安んずる處無きに因り、乃ち此の二箇の「不盡の数」を仍舊乾坤二卦に歸還して、干支の氣をして冬至・夏至の兩箇の轉折點上に周流回環せしめ、運行すれば則ち窮盡無からしめたり。

五行定位

天一地六,鬼道生焉,屬水之數。上應雨露,下應亥子。為北方之氣而生坎,乃鬼道也。(眉批:一六屬水,鬼道生焉。)

天数一と地数六と相配して、「鬼道」是れに由りて生ず、水の成数なり。天上に於ては雨と露とに對應し、地支上に於ては亥・子に對應す。其れ北方の氣に属し、因りて坎卦を生出す、故に其れ鬼道を主ると曰ふ。(舊注:一・六は水に属し、鬼道は則ち此處より生出す。)所谓「鬼道」は、水は六親上に於て多く官鬼の一類の幽隱・險陷・暗昧の事を主るを謂ひ、凡そ鬼神・盗賊・災厄を占するに、常に水爻上より着眼せざるべからざるなり。

地二天七,人道生焉,屬火之數。上應日用,下應巳午。為南方之氣而生離,乃人道也。(眉批:二七屬火,人道生焉。)

地数二と天数七と相配して、「人道」是れに由りて生ず、火の成数なり。天上に於ては日に對應し(底本は「日用」と作る、「用」の字は疑はしくは「月」の字の刻錯なり、今仍お底本に照りて錄出す)、地支上に於ては巳・午に對應す。其れ南方の氣に属し、因りて離卦を生出す、故に其れ人道を主ると曰ふ。(舊注:二・七は火に属し、人道は則ち此處より生出す。)火は文明を主る、故に人事・文書・禮法の一路に配す。

天三地八,萬物生焉,屬水之數。上應風雲,下應寅卯。(眉批:三八屬木,萬物生焉。)

天数三と地数八と相配して、萬物是れに由りて生長す、本當に木の成数と説くべし(底本此の處は「属水之数」と刻成せり、下面の眉批「三八属木」と自ら相矛盾し、顯に刻誤に係る、今底本に照りて錄出して改めず)。天上に於ては風と雲とに對應し、地支上に於ては寅・卯に對應し、東方の氣に属し、因りて震・巽の兩卦を生出す。(舊注:三・八は木に属し、萬物は則ち此處より生出す。)

金:西方之氣,始生四象。自立秋之後,草木凋零,行殺令。在鄉為鬼,類物為輕重不等。天九地四之數。故金能殺物,而為官鬼也。(眉批:類物為輕重不等,食物能殺物,而為官鬼。)

金:西方の氣に属し、四象は其れに由りて生成を始む。立秋以後、草木は凋落零謝し、正に金氣の肅殺の令を行使する時節なり。金は「五鄉」(五行各自の占する六親の位)上に於て官鬼を主り、象を取りて物に類すれば則ち分量輕重不一の物を主る。其れは天数九・地数四に配す。金は能く萬物を殺伐するに因り、故に六親の裏に於て官鬼を充当す。(舊注:金は物に類して輕重不等を主り、金は能く物を殺す、因りて官鬼と為る。)病を占し、訟を占し、盗を占するに、金爻の旺動は最も須らく提防すべし。

土:辰戌丑未中央之氣,始分八卦,定吉凶,吉凶生大業,四時運用,濟時利物。在鄉為不定之爻,類物為虛實表裡,天五地十之數。故土動則生育萬物,而為不定之爻也。(眉批:類物為虛實表裡,土動生育萬物,而為不定之爻。)

土:辰・戌・丑・未の四支の主る所の中央の氣なり。八卦は此處より分派出で、吉凶は此處より判定す、《周易・繫辭》の謂ふ所の「吉凶生大業」は正に此の意なり。土は四季の末に旺を寄せ、一年の四時皆運化に在りて、時に隨ひ物を濟し人を利す。土は「五鄉」上に於て一箇の性質不定の爻にして、象を取りて物に類すれば則ち又虚又實、表有り裏有りの物を主り、天数五・地数十に配す。土は一たび發動すれば則ち能く萬物を生育す、故に之を「不定の爻」と稱す—生するも其れに在り、剋するも其れに在り、卦を断ずる時最も一口に咬殺すべからず。(舊注:土は物に類して虚實表裏を主り、土の動は能く萬物を生育す、故に不定の爻と為る。)

支神類屬

亥子:(眉批:乾坎卦同水爻。)亥子江河雨露池,虡衡鹽酒並溝危,奸邪不正並湯數,聰明智慢事成遲。(眉批:乃北方悔朔,三五人之象,為五十中之一也。)

亥・子の兩支の主る所の類象(舊注:乾宮・坎宮の卦は水爻と取象相同なり):亥子は物象上に於て江河・雨露・池塘を主り、鐘磬を懸挂する立柱の「虡」と横梁の「衡」を主り、鹽と酒とを主り、亦溝渠と險陷の地とを主る。人品上に於て姦邪不正の輩を主り、醫藥上に於て湯劑の数を主り、才性上に於て人の聰明にして性の遲緩なるを主る、故に凡事多くは要して拖延して後乃ち成る。(舊注:此れは北方晦朔幽暗の地の象にして、「三五」の数と人形の象とを含み、大衍五十の数の中に其一を占む。)水性は下に向ひて行き遲し、故に亥子を取りて用神と為せば、應期皆後に推さんとするなり。

太虛周易,雨露江河,壬癸玄武,並坑溝危。醜陋魚鱉,什物冬衣,虡衡鹽酒,恐恨哀悲,粟豆松柳,北道行。黑城水女,湯散扶持,聰明智慧,奸邪不正。瀉冷精逆,恆聽分論,耳腎腰衰,事事成遲。

水爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:天體上に於て太虚の空闊を主り、典籍上に於て《周易》を主る。天時上に於て雨露を主り、地形上に於て江河を主る。天干上に於て壬・癸に配し、六神上に於て玄武に配す。地勢上に於て坑穴・溝渠と險陷の處とを主る。相貌上に於て醜陋を主り、動物上に於て魚と鱉とを主る。器用上に於て日常の什物と冬季の衣裳とを主り、亦鐘磬架の立柱・横梁と鹽・酒とを主る。情志上に於て恐懼・怨恨・哀傷・悲泣を主る。穀木上に於て粟・豆・松・柳を主る。方位上に於て北方に往く路程を主る。顏色上に於て黑を主り、處所上に於て城池を主り、人上に於て水邊の女子を主る。醫藥上に於て湯劑・散劑の一類の調養扶持を主る。才性上に於て聰明にして智慧有るを主り、品行上に於て却て姦邪不正を主る。病症上に於て泄瀉・畏冷・遺精・氣逆を主る。聽訟上に於て反覆分辯を主る。身體上に於て耳・腎と腰部の衰弱とを主る。總の應期上に於て則ち事事遲成なり。

巳午:(眉批:離卦同火爻。)巳午星辰閃電神,祖宗先聖灶焚營,口舌明哲宮詞牒,膏末瘡漢眼目心。(眉批:乃南方聖明之象,明兩作離。)

巳・午の兩支の主る所の類象(舊注:離宮の卦は火爻と取象相同なり):巳午は天象上に於て星辰と閃電とを主り、神道上に於て祖宗と先聖とを主り、處所上に於て爐竈・焚燒と軍營とを主り、人事上に於て口舌の是非を主り、人品上に於て明達賢哲を主り、文書上に於て宮中の詞狀文牒を主り、患上に於て膏藥を敷く瘡瘍を主り、身體上に於て眼目と心とを主る。(舊注:此れは南方聖明の象にして、《周易・離卦・彖傳》の所谓「明兩作離」は、兩重の光明の相繼ぎて起るなり。)

公孝神聖,閃電星□,丙丁朱雀,溫暖暑熱。焚營爐灶,肩扎明哲,宗廟先祖,宮觀詞牒。文章一紮,羽翼日說,膏末灸焙,眼木心血。尖細微小,勞死冤結,緊急性躁,情美暢悅。

火爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人倫上に於て公正・孝順を主り、神道上に於て神聖の属を主る。天象上に於て閃電と星辰とを主り、此の處底本に別に一箇の字庫に打出せざる字有り(上「列」下「心」、音は「烈」、意は憂なり)、今「□」と作りて照留す。天干上に於て丙・丁に配し、六神上に於て朱雀に配す。氣候上に於て温暖乃至暑熱を主る。處所上に於て焚燒・營寨と爐竈とを主る。身體上に於て肩を主り、事上に於て紮縛を主り、人品上に於て明達賢哲を主る。祭祀上に於て宗廟先祖を主り、處所上に於て宮觀を主り、文書上に於て詞狀文牒を主る。文字上に於て一札の文章を主り、飛物上に於て羽翼を主り、天時上に於て日を主り、言語上に於て辯説を主る。醫療上に於て膏藥・艾灸と烘焙とを主る。身體上に於て眼目(底本は「目」を「木」と誤刻す)と心血とを主る。形狀上に於て尖細微小を主る。凶事上に於て勞瘵して死し、冤仇鬱結を主る。性情上に於て緊急躁動を主り、亦情意美好・心境暢悅を主る。

寅卯:(眉批:巽震卦同木爻。)寅卯風雷山草木,仁慈寬厚舟槁屋,皮毛手足廟眾神,肝膽酸腥主驚哭。(眉批:乃東方日出上弦之象,如分三才,天地人。)

寅・卯の兩支の主る所の類象(舊注:巽宮・震宮の卦は木爻と取象相同なり):寅卯は天時上に於て風と雷とを主り、地形上に於て山林を主り、物類上に於て草木を主り、德性上に於て仁慈寛厚を主り、器用上に於て舟船・槁木と屋宇とを主り、身體上に於て皮毛と手足とを主り、神事上に於て廟宇の衆神を主り、臟腑上に於て肝膽を主り、氣味上に於て酸と腥とを主り、人事上に於て驚を受け啼哭するを主る。(舊注:此れは東方の日出、月の上弦の象にして、若し三才に照りて分派せば、天・地・人の三畫俱全なり。)

內翰禁庭,風雷恭肅,甲乙青龍,山川草木。仁慈寬厚,毛詩語錄,東方人數,舟車槁屋。相貌長文,四肢手足,肝膽腥酸,小兒悲哭。家神廟宇,麟角象屬,泰嶽中樞,妖怪林麓。

木爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:官署上に於て翰林内廷と禁中宮庭とを主る。天時上に於て風雷を主り、儀態上に於て恭敬嚴肅を主る。天干上に於て甲・乙に配し、六神上に於て靑龍に配す。地形上に於て山川を主り、物類上に於て草木を主る。德性上に於て仁慈寛厚を主る。典籍上に於て《毛詩》の一類の經傳語錄を主る。方位上に於て東方を主り、數目上に於て人の口數を主る。器用上に於て舟車・槁木と屋宇とを主る。相貌上に於て身材の頎長にして文采有るを主る。身體上に於て四肢手足を主り、臟腑上に於て肝膽を主り、氣味上に於て腥酸を主る。人上に於て小兒を主り、事上に於て悲啼を主る。神事上に於て家神と廟宇とを主る。異物上に於て麒麟の角と象類とを主る。山川上に於て泰嶽の一類の中に居る大山を主り、亦妖怪出没の林麓を主る。

申酉:(眉批:兌卦同金。)申酉金刀省部軍,重權差膱人兵刑,僧尼道行邪魔願,眉頭喘嗽發金針。(眉批:乃西方日入下弦之象,而為象。)

申・酉の兩支の主る所の類象(舊注:兑宮の卦は金爻と取象相同なり):申酉は器物上に於て金屬と刀刃とを主り、官署上に於て省部と軍營とを主り、職事上に於て重權を握有する差遣の職任(底本の「膱」は「職」の字の刻誤なり)を主り、刑政上に於て兵器と刑罰とを主り、人上に於て僧尼と修道の人とを主り、神事上に於て邪魔と許願祈禳とを主り、身體上に於て眉頭を主り、病症上に於て氣喘咳嗽を主り、醫術上に於て金針を用ゐて施治するを主る。(舊注:此れは西方の日落、月の下弦の象にして、其の收斂成象の義を取るなり。)

三光明照,方正康寧。庚辛白虎,斗文金刀,尚書龍傳,省部軍營。重權差職,剛又兵刑,才幹害兩,李麥行程。僧道口願,辣白丹針,肺氣咳喘,骸骨肢筋。眉舌頭腦,毛髮傷身,恤觸橫死,羶臭凶嗔。

金爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:天象上に於て日月星の三光の照耀を主る。形性上に於て方正を主り、境況上に於て康寧を主る。天干上に於て庚・辛に配し、六神上に於て白虎に配す。星文上に於て斗宿の文を主り、器物上に於て金屬刀刃を主る。官職上に於て尚書の位と傳宣の任とを主り、官署上に於て省部と軍營とを主る。職事上に於て重權差遣を主り、性情上に於て剛強を主り、刑政上に於て兵器と刑罰とを主る。人上に於て才幹有る者を主り、事上に於て兩相妨害を主る。穀物上に於て李と麥とを主り、人事上に於て行旅路程を主る。人上に於て僧人道士を主り、事上に於て口頭の許願を主る。滋味上に於て辛辣を主り、顏色上に於て白を主り、醫藥上に於て丹藥と針石とを主る。病症上に於て肺氣咳喘を主る。身體上に於て骸骨・四肢と筋絡とを主り、又眉・舌・頭腦と毛髮とを主り、凶事上に於て身體の受傷を主る。禍患上に於て觸犯して橫死するを主る。氣味上に於て膻臭を主り、情性上に於て凶狠嗔怒を主る。

辰戌丑未:(眉批:坤坎卦同土爻。)土地城隍此禁庭,冢墳田野霧沙云,師巫卜藥負元子,嘔逆皮膚腹肚鳴。(乃中央戊己之象,為五行之上。)

辰・戌・丑・未の四支の主る所の類象(舊注:坤宮・坎宮の卦は土爻と取象相同なり):土爻は神祇上に於て土地神と城隍神とを主り、處所上に於て宮禁朝庭を主り、地形上に於て墳塚と田野とを主り、天象上に於て霧・沙・雲を主り、人上に於て師巫・卜者と賣藥人とを主り、亦幼子を背負する婦人を主り、病症上に於て嘔吐氣逆・皮膚の疾と腹中の鳴響とを主る。(舊注:此れは中央戊己の象にして、五行の裏に於て最尊の地位に居る。)

睿舉老人,砂石雲霧,土地城隍,壽命君王。守令監官,文章詩賦,嵩路尊崗,禁庭州府。嬴物山園,固守大路,思慮牢獄,田野墳墓。貨卜師巫,店業鋪戶,甜偏黃謁,倉場庫務。脾胃皮膚,腫腹瀉肚,狩藥負子,時疫嘔吐。

土爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人上に於て睿智にして薦を受くる士と年高の老人とを主る。物類上に於て砂石を主り、天象上に於て雲霧を主る。神祇上に於て土地と城隍とを主る。人事上に於て壽命を主り、人上に於て君王を主る。官職上に於て守令と監當の官とを主る。文事上に於て文章詩賦を主る。地形上に於て高路と尊崗とを主る。處所上に於て宮禁朝庭と州府衙門とを主る。物類上に於て盈餘の物と山中の園圃とを主る。行事上に於て固守を主り、道路上に於て大路を主る。心事上に於て思慮を主り、刑獄上に於て牢獄を主る。地面上に於て田野と墳墓とを主る。人上に於て販貨者・卜師と巫者とを主り、處所上に於て店鋪行戶を主る。滋味上に於て甜を主り、顏色上に於て黄を主り、人事上に於て偏私干謁を主る。處所上に於て倉場と庫務とを主る。身體上に於て脾胃と皮膚とを主り、病症上に於て腫脹腹瀉を主る。人事上に於て采藥と幼子を背負するを主り、疫癘上に於て時疫嘔吐を主る。

六親屬類

父母:父母尊長文書吏,印授衣服轎車船,契約本事勞心力,天地墳墓屋田園。

「父母」の此一六親の主る所の類象:父母と一切の尊長とを主り、文書と吏員とを主り、印信告身・衣服・轎馬車船を主り、契約と本事の憑據、及び一切の勞心費力の事を主り、又天地・墳墓・屋宇・田園を主る。凡そ事を占するに父母を以て用神と為すは、看る所は此の一路の人と物なり。父母は又全卦の「統體」の爻にして、凡そ庇蔭・遮蓋・承載・憑據の義を帶ぶるは、皆其れに歸して管せしむ。

天地蓋載,日月星辰,父母叔伯,田土墳塋。尊長貨殖,旗旌光明,舟車橋轎,軍壘州營。園圃草木,網罟帶繩,兵戈屋宇,牛馬飛鳴。衣服桌凳,期信頭名,文榜曉示,交易行程。文書契約,嘔逆勞心,見解學問,容止詞說。文章印授,官職事業,圖籍號令,差劄條敕。

父母爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:天の覆ひ地の載せ、日月星辰の高懸するは、皆父母に歸す。人倫上に於て父母と叔伯とを主る。地産上に於て田土と墳塋とを主る。人上に於て尊長を主り、事上に於て經營貨殖を主る。器物上に於て旗幟と光明の物とを主り、行具上に於て舟車・橋梁と轎子とを主り、處所上に於て軍壘と州營とを主る。地面上に於て園圃草木を主り、器用上に於て網罟と帶繩とを主り、兵器上に於て戈戟を主り、居處上に於て屋宇を主り、牲畜上に於て牛馬の鳴叫を主る。日用上に於て衣服桌凳を主る。人事上に於て約期取信と榜上の頭名とを主り、公文上に於て張貼曉示の文榜を主り、商事上に於て交易と行程とを主る。憑據上に於て文書契約を主る。身體上に於て嘔逆を主り、心力上に於て勞苦を主る。學問上に於て見解を主り、儀態上に於て容止と言辭とを主る。文事上に於て文章と印信告身とを主り、仕途上に於て官職と事業とを主り、官府上に於て圖籍號令・差遣札子と條敕公文とを主る。

子孫:福德僧道尼師貴,緝捕醫藥閒漁僧,皮毛六畜氣方珠,犀角電雪枕玳瑁。

「子孫」の此一六親は又「福德」と稱し、主る所の類象:僧人・道士・尼師の此一類の方外の貴人を主り、緝捕の吏・醫生藥物、及び閑散の漁人と游方僧とを主り、皮毛と六畜とを主り、氣脈方藥と珠寶とを主り、犀角・電光・雪・枕席と玳瑁とを主る。子孫は卦中の厄を解く神にして、能く官鬼を剋す、故に病を占するに之を取りて藥石と為し、訟を占するに之を取りて官非を散ぜしめ、盗を占するに之を取りて賊人を捉へしむ。

子息鈍納,生養魚蟲,喜慶雪晴,睿色長空。景風瑞物,待載酒肉,毛甲頭髮,禽獸狗畜。玳瑁珠象,童稚門福,師巫捕抗,苻藥醫卜。道路稱意,人口欽伏,器皿光華,僧道林麓。內外誠實,逍遙退福,敕神正直,空田並谷。

子孫爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人上に於て子息を主り、性情上に於て愚鈍木訥を主る。生物上に於て魚蟲の孳生養育を主る。天時上に於て喜慶と雪後の放晴とを主り、氣色上に於て睿明なること長空の如しを主る。風物上に於て景和の風と祥瑞の物とを主る。宴享上に於て酒肉を置辦するを主る。身體上に於て毛甲と頭髮とを主り、動物上に於て禽獸と犬畜とを主る。寶貨上に於て玳瑁・珍珠と象牙とを主る。人上に於て童稚を主り、家門上に於て福慶を主る。人上に於て師巫と緝捕の吏とを主り、方術上に於て符籙・藥石・醫術と卜筮とを主る。行路上に於て稱心如意を主り、人口上に於て衆人の欽服を主る。器皿上に於て光潔華美を主る。人上に於て僧道を主り、處所上に於て山林麓野を主る。心地上に於て內外の誠實を主る。境遇上に於て逍遙自在・退居して福を享くを主る。神道上に於て敕封を受くる正直の神を主る。田事上に於て空田と穀物とを主る。

妻財:妻妾使下及婢女,飲食財同色信禮,氣象風雲雨露來,貨物受用倉為美。

「妻財」の此一六親の主る所の類象:妻妾・使喚に供する下人と婢女とを主り、飲食・錢財、及び顏色・信物と禮品とを主り、天時上に於て風雲雨露の一類の氣象を主り、物用上に於て貨物と日常受用の資とを主り、倉廩の充盈を以て美と為す。凡そ錢財を占し、妻室を占し、奴婢を占し、飲食を占するに、皆妻財を取りて用神と作るなり。

妻妾財寶,四肢骨脈,什物受用,廚灶毀折。產業庫務,精神氣色,飲食乳奶,菜蔬米麥。奴婢娼妓,不省妨克,無舉庸懶,泉源雨澤。吏後勞力,無礫形宅,請給俸祿,豬羊伏迢。

妻財爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人上に於て妻妾を主り、物上に於て財寶を主る。身體上に於て四肢と骨脈とを主る。器用上に於て日常の什物と受用の資とを主り、處所上に於て廚房竈頭を主り、事上に於て毀損折耗を主る。家業上に於て産業と庫務とを主る。人身上に於て精神氣色を主る。飲食上に於て乳酪奶食・菜蔬と米麥とを主る。人上に於て奴婢と娼妓とを主り、性情上に於て事を省せずして妨剋し易きを主り、行事上に於て擧動を肯せずして庸懶なるを主る。天時上に於て泉源と雨澤とを主る。人上に於て胥吏と僕從とを主り、事上に於て力を出して勞作するを主る。居處上に於て平坦にして砂礫無き宅形を主る。俸給上に於て薪俸を請領するを主る。牲畜上に於て猪羊の遠處に圈伏するを主る。

兄弟:兄弟姊妹及同類,口舌貪淫氣始生,好賭失信行無禮,不正形丑亂相侵。

「兄弟」の此一六親の主る所の類象:兄弟姊妹及び一切の同輩同類の人を主り、口舌の爭競を主り、貪淫の念の初起を主り、好賭・失信・行事無禮を主り、人品の不端・形貌の醜陋、動もすれば相欺き相侵すを主る。兄弟は財を劫する神にして、凡そ錢財を占するに、最も其れの旺相發動を忌むなり。

兄弟昆仲,同居親情,門缺豎立,牆壁園營。克妻害婢,賭博田墳,搬唆口舌,爭鬥眾人。敗詐阻隔,朋友近鄰,無理失信,悞氣傷神。沐浴孔竅,肘腋抬擎,糞壞臭腐,瘦弱身窮。舒融嫉妒,姊妹貪淫,場木私用,霧露風雲。

兄弟爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人倫上に於て兄弟昆仲を主り、家中に於て同居の親情を主る。宅相上に於て門戶の殘缺と竪立の物とを主り、又牆壁・園圃と營壘とを主る。人事上に於て妻を剋し婢を害するを主り、嗜好上に於て賭博を主り、地産上に於て田地墳塋を主る。是非上に於て搬弄唆使・口舌相爭、及び衆人と爭鬪するを主る。行事上に於て敗壞欺詐と阻隔不通とを主る。人上に於て朋友と近鄰とを主り、品行上に於て無理失信を主る。情緖上に於て氣を慪り神を傷るを主る。身體上に於て沐浴と孔竅とを主り、肢體上に於て肘腋の抬擧を主る。穢物上に於て糞土の腐臭を主る。形體上に於て瘦弱を主り、境遇上に於て窮困を主る。心地上に於て外面の舒和にして內に嫉妒を懷くを主る。人上に於て姊妹を主り、情欲上に於て貪淫を主る。場圃上に於て木料の私自に取用せらるゝを主る。天時上に於て霧露風雲を主る。

官鬼:官鬼神邪病崇盜,失物輸贏災夢憂,電閃主人廳殿類,溝渠獄尻制身愁。

「官鬼」の此一六親の主る所の類象:官府を主り、鬼神邪祟を主り、疾病・禍祟と盗賊とを主り、失物・輸贏勝負・災禍・惡夢と憂患とを主り、電閃を主り、人家の正廳殿堂の一類の處所を主り、溝渠・牢獄・尻臀の疾、及び一切の己身を拘制して人をして愁へしむる事を主る。官鬼は既に功名の神にして、亦災病の神なり:官を求むれば之を取り、病を占すれば之を忌み、用法は全く占する所の何事なるかに在り。

官鬼事發,君主職清,江河溝渠,固審不明。公庭東道,災害傷身,鬼崇凶禍,市肆招刑。嫌疑憎妒,尸骸魂臭,疾病瘡癤,怪夢虛驚。怨謗狡詐,賊盜仇人,文天奉仗,破損不堪。輪鼠權車,霜雷霄電,怪果瘋瘢。

官鬼爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:事上に於て案の發敗を主り、人上に於て君主と清要の職とを主る。地形上に於て江河溝渠を主る。審斷上に於て固執して明なり難きを主る。處所上に於て公堂官庭と宴を設けて客を待つ東道とを主る。災患上に於て災害して身を傷るを主る。神道上に於て鬼祟凶禍を主る。市井上に於て買賣に因りて刑責を招致するを主る。人情上に於て嫌疑・憎恨と妒忌とを主る。凶穢上に於て屍骸と腐臭の魂氣とを主る。病症上に於て疾病と瘡癤とを主る。夢寐上に於て怪夢と無端の驚恐とを主る。口舌上に於て怨謗と狡詐とを主る。人上に於て賊盗と仇家とを主る。儀仗上に於て文書旗仗を奉持するを主る。器物上に於て破損不堪を主る。行具上に於て車輪と鼠輩の據する所の權車とを主る。天象上に於て霜・雷・雲霄と閃電とを主る。異事上に於て怪果を主り、疾患上に於て瘋癲と瘢痕とを主る。

此尾五句,應在官鬼上,未知是否,存考。

校語:以上「輪鼠權車」等の末尾の幾句は、文義に照らば官鬼の此の一門の下に歸すべしと當るも、底本原來果たして此の如く編排せるや否や已に確知する由無し、姑く疑を存して考を待つ。此れは校輯者の底本の次第に對する一處の按語にして、卦を断ずるの辭にあらず。

六親爻動

父動:父母當頭克子孫(父能克子),病人無藥主沉昏(子能醫藥),婚姻子息應難得(子變父克),買賣勞心利不存(父生娘難)。觀望行人書信動(父為書信),訟官下狀理先分(父為狀詞),士人科舉登金榜(父為文章),失物逃亡要訴論。

父母爻の發動:其れは當頭に子孫爻を剋住す(夾注:父は能く子を剋す)。疾病を占するに、子孫は本來醫藥なり、醫藥剋されれば、故に藥を用ゐる無く、病勢は沉重にして昏沉なり(夾注:子孫は醫藥を主る)。婚姻を占して子嗣を求むるに、子孫は制を受け、故に子息は得難し(夾注:子孫が父母を變出せば、反つて父母に剋さる)。買賣を占するに、父母は只勞心を主りて財利を主らず、故に奔波し力を費して利を存せず(夾注:父母は氣を泄して官を生ず、利を得ること艱難なり)。遠行の人を盼望するに、父母は音信を主り、父の動けば便ち先に書信の來る有り(夾注:父は書信を為る)。官府と官司を打ち狀紙を遞するに、父母は則ち狀詞なり、狀詞の一たび動けば、是非曲直は先に分かれ得る(夾注:父は狀詞を為る)。讀書人の科擧に應ずるに、父母は則ち文章なり、父の動けば則ち文章は得力にして、金榜に登るを得(夾注:父は文章を為る)。失物を占し、逃亡を占するに父の動に遇はば、則ち官に經て訴訟して始めて着落有らんとす。

子動:子孫發動傷官鬼(子能克鬼),占病求醫身便痊(鬼制病安),行人買賣身康健(子為福德),婚姻喜笑是姻緣(旺動傷夫)。產婦當生子易養(子為用神),詞訟空論事不全(官被子克),謁貴求官休進用(主用被傷),守舊當占可自然。

子孫爻の發動:其れは專門に官鬼爻を傷剋す(夾注:子は能く鬼を剋す)。疾病を占して醫を求むるに、官鬼は則ち病なり、病は制せられれば、人は便ち痊癒す(夾注:鬼は制を受ければ、病は自ら安んず)。行人を占し、買賣を占するに、子孫は福德の神にして、人身の康健を主る(夾注:子は福德を為る)。婚姻を占するに、子孫の旺動は本來夫星を傷すれども、成親の一面に於て看れば仍お喜笑の姻緣にして、男家は須らく防ぎ、女家は喜ぶ可し(夾注:旺動は夫を傷す)。産婦の臨盆を占するに、子孫は正に用神にして、孩兒は生じ易く養ひ易し(夾注:子は用神を為る)。官司を打つに、官鬼は子孫に剋されれば、話を説くこと再多くも白説にして、事は辦り成らず(夾注:官は子に剋さる)。貴人に謁見し、官職を謀求するに、官星は正に所用の神にして、今傷されれば、便ち進用を指望するに足らず(夾注:所用の神は傷さる)。若し占する所が本來舊を守り動かざるの事ならば、反つて自然に安穩なり。

妻動:妻財發用克文書(財能克文),應舉求官總是虛(文書受傷),買賣交易財利吉(用神出現),婚姻如意樂無虞(財為妻主)。行人在外身欲動(財動生回),產婦求神易娩除(財動生鬼),失物靜安家裡覓(財靜可尋),病者傷脾並胃虛(財為飲食)。

妻財爻の發動:其れは文書即ち父母爻を剋す(夾注:財は能く文を剋す)。故に擧に應じ考試し、官職を謀求するは、皆一場の空と成る(夾注:文書は傷を受け、功名は據無し)。買賣交易を做するに、妻財は正に用神にして、用神は出現して動けば、財利は吉利なり(夾注:用神出現す)。婚姻を占するに、妻財は正に妻室の主象にして、稱心如意・歡樂無憂なり(夾注:財は妻の主を為る)。行人を占するに、財の動は官鬼即ち人身を生助し、外に在る人は将に身を動かさんとす(夾注:財動生助、回を主る)。産婦を占するに、財の動は鬼を生じ、鬼の動は生を催して、神を祈り佑を求めば分娩し易し(夾注:財動は鬼を生ず)。失物を占するに、妻財は則ち失物の本身なり、財爻の安靜なれば則ち物は未だ門を出でず、家裏に在りて尋ねれば即ち可なり(夾注:財は靜ならば尋む可し)。病を占するに、妻財は飲食を主り、財の動は脾を傷り、脾傷り胃虚を主る(夾注:財は飲食を為る)。

兄動:兄弟同人克了財(同謂同類),病人占者恐悲哀(兄動反覆),應舉雷同文不一(兄主文雜),若是常占尚破財(兄動克財)。見官虛詞應累眾(兄動虛詐),出路行人身未來(兄動有阻),貨物經商消折本(以財為主),求妻買婢事難諧(同上斷之)。

兄弟爻の發動:兄弟は我と同類にして、一たび動けば便ち妻財を剋掉す(夾注:「同人」は我と同類を説く)。疾病を占するに、兄の動は病情の反覆を主り、病家は恐らく悲哀の事有らんとす(夾注:兄動は反覆を主る)。擧に應じ考試するに、兄弟は文章の雷同駁雜を主り、寫し出す文字は前後一ならず(夾注:兄は文雜を主る)。若し是れ尋常の占問ならば、兄の動も總じて財を破るを要す(夾注:兄動は財を剋す)。官に見え官司を打つに、供詞は多く虚妄に属し、還だ旁人を連累せんとす(夾注:兄動は虚詐を主る)。出行と行人とを占するに、兄の動は阻有りて、人は一時に回り來らず(夾注:兄動は阻隔有り)。貨を販り經商するは仍お妻財を以て主と為し、財の剋されれば則ち本を折り虧耗す(夾注:財爻を以て主と為す)。妻を求め、婢を買ふも亦此に照りて断じ、事は諧合し難し(夾注:上に同じく推断す)。

官動:官鬼從來克兄弟(鬼動克兄),婚姻未就生疑滯(鬼動狐疑),病困門庭禍崇來(病占忌鬼),更改動謀皆不行(鬼動阻隔)。出外逃亡定見災(出行不宜),詞訟傷身累有因(鬼克),買賣財輕賭博輪(妻財皮池),失物難尋闇昧侵(鬼主闇昧)。

官鬼爻の發動:官鬼は向來兄弟爻を剋す(夾注:鬼動は兄を剋す)。婚姻を占するに、鬼の動けば則ち雙方疑を生じ事は遲滯して、一時に説り成らず(夾注:鬼動は狐疑を主る)。疾病を占するに、一門の老小皆病に困して、禍祟は門に臨む(夾注:病を占するに最も官鬼を忌む)。凡そ章程を改動し、別に圖謀を作さんとする事は、鬼の動けば皆行き通らず(夾注:鬼動は阻隔を主る)。外に出て遠行し逃亡するは、必定災に遇ふ(夾注:鬼動は出行に宜しからず)。詞訟の事は自身を傷り、牽累を受くるは必ず來由有り(夾注:鬼の來て身を剋す)。買賣を做すれば財氣は輕薄にして、賭博するも亦輸を要す(夾注:妻財は鬼に泄耗さる)。失物を占すれば則ち尋ね回り難く、暗昧不明の人事に侵奪せられん(夾注:鬼は暗昧を主る)。

六親爻變

父化:父化父兮文不實(變動變改),舉事艱難事非一(父主艱辛),父化子兮宜退散(化子凶散)。

父母爻の別の爻を變出する:父母が父母を化すれば、文書は不實にして、一變再變、改め來り改め去る(夾注:變動は則ち變改なり)。事を辦起するに艱難にして、頭緖は還だ一處に止まらず(夾注:父母は本來艱辛勞碌を主る)。父母が子孫を化出すれば、子孫は解散の神にして、凡事退讓消散に宜しく、進取に宜しからず(夾注:子を化すは凶事の消散を主る)。

財化:財化財兮婦主災(謂之化去),財化官兮徒走失(財生官洩),財化文書用可諧(先難後易),財化兄兮財少成(兄能克財)。相知脫賺勿交親(因友侵耗),財化子兮官事散(子能克官),托用人情不一心(託人不宜)。

妻財爻の別の爻を變出する:財が財を化すれば、本位を化去するにして、家中の婦人に災有るを主る(夾注:此れを化去と謂ふ)。財が官鬼を化すれば、財は去りて官を生じて自己は氣を泄し、白く走り失す(夾注:財の官を生ずれば則ち財を泄す)。財が文書即ち父母を化すれば、先に剋を受くれども、之を用ゐれば終に諧合する能くし(夾注:先難後易)。財が兄弟を化すれば、兄弟は財を劫し、得る所極めて少し(夾注:兄は能く財を剋す)。相熟の人は反つて汝を脱騙せんとす、深く交はるべからず(夾注:交友に因りて侵耗を遭ふ)。財が子孫を化すれば、子孫は官を剋し、官司は自然に消散す(夾注:子は能く官を剋す)。但だ人に託して事を辦せば則ち人心齊しからず(夾注:人に託するに宜しからず)。

兄化:兄化兄兮家不足(兄能克財),兄化財兮財反覆(先難後易),兄化官兮休下狀(事元十象),占病難醫哭泣臨(鬼能克子)。兄化文書和改求(先阻後順),心情後喜主先憂(同上),兄化子兮憂可散(子能克鬼),若望行人信有期(子為福德)。

兄弟爻の別の爻を變出する:兄が兄を化すれば、重重に財を劫し、家用は足らず(夾注:兄は能く財を剋す)。兄が妻財を化すれば、財は來り財は去りて反覆定まらず、終究は先難後易なり(夾注:先難後易)。兄が官鬼を化すれば、狀紙を遞りて官司を打つに就かざるを要す(夾注:事情は本原の頭緖重疊す)。病を占すれば則ち醫し難く、還だ哭泣の事有らんとす(夾注:官鬼は能く子孫即ち醫藥を剋す)。兄が文書即ち父母を化すれば、事情は和緩して下り、路數を改めて再び求む可し(夾注:先に阻を受け後に順に轉ず)。心境上は先憂後喜なり(夾注:上に同じ)。兄が子孫を化すれば、子孫は鬼を剋し、憂疑は消散する可し(夾注:子は能く鬼を剋す)。若し行人を盼がば、音信は期して待つ可し(夾注:子は福德を為る)。

鬼化:官化官兮病未安(謂之化去),見貴求官事盡難(有名無實),官化文書官未順(官超文難),縱能憂病還為吉(病凶亦吉)。

官鬼爻の別の爻を變出する:官が官を化すれば、本位を化去するにして、病を占すれば則ち病は未だ安んぜず(夾注:此れを化去と謂ふ)。貴人に見え、官職を求むるに、事は樣樣艱難なり(夾注:名有りて實無し)。官鬼が文書即ち父母を化すれば、官星は氣を泄して父を生じて、仕途は順ならず(夾注:官は本位を越えて父を生ず、反つて難事と成る)。不過占する所が若し憂患疾病ならば、鬼氣は父母に泄して、反つて吉に轉ず(夾注:病を占するは本來凶、此れは則ち反つて吉)。

父化同人多口舌(化兄是非),同求婉轉須重疊(縱成重更),父化財兮交易利(先難後易),家長不寧求事拙(化財克父)。父化官兮家悞失(化鬼不宜),求官必得近高職(官父兩月),卦無父母事無頭(父為統體),更在休囚空費力(父衰後勞)。

父母爻の兄弟を化出する:兄弟は爭奪を主り、口舌は必ず多し(夾注:兄を化すは是非を主る)。人と同じく去りて一事を求むるに、須らく婉轉周旋して、還だ一而ならず再び重來せんとす(夾注:縱使辦り成るも反覆更改を免れず)。父母が妻財を化すれば、財は來りて父を剋し、交易上に於て倒れて利有り(夾注:先難後易)。只だ家長は安寧を得ず、事を謀れば拙鈍なり(夾注:化する所の財は反つて父母を剋し、而も父母は正に家長の象なり)。父母が官鬼を化すれば、家中有つて耽誤閃失の事有り(夾注:鬼を化すは宜しからず)。若し是れ官を求むれば、反つて必ず相當に高き職位を得るを得(夾注:官と父と互相成就して、兩其の力を得)。卦中に若し根本に父母爻無ければ、事は頭緖無し(夾注:父母は一卦の統體なり)。父母が又休囚の地に落れば、那は更に力を白費するなり(夾注:父衰すれば則ち徒勞なり)。

子化:子化子兮陰小凶(謂之化去),舉訟興官理不同(官長反覆),子化官兮防禍患(子忌化官),占疾憂疑總不中(醫藥受克)。子化父兮防產婦(父能克子),無中生有頭緒多(同上),子化兄兮事不圓(化兄虛詐),脫詐人情疑莫方(同上)。

子孫爻の別の爻を變出する:子が子を化すれば、本位を化去するにして、婦人と小兒とに凶有るを主る(夾注:此れを化去と謂ふ)。官府に告げて官司を打てば、道理は攏り講じ難し(夾注:官長の意見は反覆して定まらず)。子が官鬼を化すれば、禍患を提防せんとす(夾注:子孫は最も官鬼を化出することを忌む)。疾病と憂疑の事とを占するに、如何に断じても中らず(夾注:醫藥の神は反つて化する所の鬼に牽制さる)。子が父母を化すれば、産婦の失有るを提防せんとす(夾注:父は能く子を剋す)。事は還だ無中に有を生じて、頭緖繁多なり(夾注:上に同じ)。子が兄弟を化すれば、事は圓滿ならず(夾注:兄を化すは虚詐を主る)。人情上に於て多く脱騙欺詐して、一腔の疑心は安んずる處無し(夾注:上に同じ)。

子化財兮好望財(子能生財),交加爭競鬼相干(鬼父兩全),官化子兮憂自除(官遭子傷),若占小口必災危(子為鬼化)。官化兄兮朋友詐(鬼兄誆詐),安託人心不似初(同上),官化財兮財自得(財能生官),賭博抽拈總不如(件件不宜)。官中無鬼難謀事(無鬼不成),官員不見事空虛(見官無主)。

子孫が妻財を化出すれば、子は能く財を生じて、正好く財を進むを指望す(夾注:子は能く財を生ず)。只だ化する所の財は又去りて官鬼を生じて、是に紛爭交加し、官鬼は旁より牽扯す(夾注:官鬼と父母と兩頭皆在りて、事は掣肘多し)。官鬼が子孫を化すれば、官は子に傷られ、憂患は自ら解除せらるべし(夾注:官は子の剋を遭ふ)。但だ若し小兒を占すれば、反つて必ず災危有らん(夾注:此の處の子孫は鬼の化出せし爻なり)。官鬼が兄弟を化すれば、朋友は詐を行はんとす(夾注:鬼と兄と相連なるは、誆騙を主る)。原本心を安んじて付託する人は、心思は已に當初の如からず(夾注:上に同じ)。官鬼が妻財を化すれば、財は能く官を生じて、錢財は自然に手に到る(夾注:財は能く官を生ず)。只だ賭博抽拈の此の類の事は、件件皆遂はず(夾注:件件宜しからず)。卦中に若し官鬼無ければ、事は謀り成り難し(夾注:鬼無ければ則ち事は成らず)。官員に求見するも亦見るを得ず、終歸して一場の空なり(夾注:官に見えんとするに卦に主事の神無し)。

六親持世

父世:父母持世身憂苦(父主難宰),身帶文書及官鬼(父賴官生),夫妻相合不同床(夫婦不宜),到者終求他姓子(父必克子)。

父母爻の世爻上に臨む:自身は憂多く苦多し(夾注:父母は艱難にして主宰し難きを主る)。世身は文書と官鬼との兩重の氣を帶ぶ(夾注:父母は官鬼を靠て來りて生ぜしむ)。夫妻は雖も名義上相合すれども、同牀して共處し難し(夾注:父母の世を持するは夫婦の事に於て不利なり)。到頭來子嗣は得難く、終究は異姓の子を求取して承繼せしめんとす(夾注:父母は必ず子孫を剋す)。

子世:子孫持世事無憂(子能克鬼),見鬼後來便了休(福世鬼無),同夫此時應就見(子為捉賊),營生作事有來由(子為父洩)。

子孫爻の世爻上に臨む:諸事は憂患無し(夾注:子は能く鬼を剋す)。即便先前に卦中に官鬼を見るも、後來も自ら了結す(夾注:福德の世を持するは、官鬼は祟を作す由無し)。人を拿りて盗を捕へんとするに、此の時正に拿獲すべし(夾注:子孫は賊を捉ふ神なり)。生計を經營し、手を着手して事を做すは、皆來由頭緖有り(夾注:子孫は父母に由りて氣を泄して生ず、父を泄すれども自身は力を得)。

妻世:妻財持世益財榮(財世易得),問卜求財定稱心(同上),更得子孫臨應上(應子克鬼),官鬼從他斷不成(有鬼無訟)。

妻財爻の世爻上に臨む:財源は增益して興榮す(夾注:財爻の世を持するは、錢財は得易し)。來りて財を求むるの事を問へば、一定に稱心す(夾注:上に同じ)。若し再び子孫爻の應位に臨むに遇はば(夾注:應爻の子孫は能く官鬼を剋す)、那麼官鬼は再び如何に發動するも事を斷成せず(夾注:縱使官鬼有るも、訟を起す能はず)。

兄世:兄弟持世克妻財(兄必克財),憂官未了事遲來(財能生官),值旺正面憂口舌(旺甚大非),身強必定損其財(世旺損財)。

兄弟爻の世爻上に臨む:世爻は直接に妻財を剋住す(夾注:兄は必ず財を剋す)。官事憂疑は遲遲として了らず(夾注:妻財は本來能く官を生ず、財劫されれば則ち官事は拖延す)。兄爻が正に旺相に當れば、當面に口舌を生ぜんとす(夾注:旺は太過を得れば、是非は大なり)。世身の強旺なれば、必定錢財を折損す(夾注:世旺なれば則ち財を劫す)。

鬼世:官鬼持世事難安(鬼世禍殃),占身不病也遭官(病訟因官),財物時時憂失脫(鬼能脫財),骨肉分離會合難(占兄尤否)。

官鬼爻の世爻上に臨む:諸事は安穩を得難し(夾注:鬼爻の世を持するは禍殃を主る)。自身を占すれば、生病ならずんば則ち官非を招く(夾注:疾病と訟事とは皆官鬼に由りて起る)。錢財貨物は時時に失落走脱を擔心せんとす(夾注:官鬼は能く妻財を耗脱す)。骨肉の親人は分離して、聚合を得難し(夾注:兄弟手足の事を占するに尤も不利なり)。

六神爻動

龍動:青龍發動萬物通(青龍屬木),進財旺祿福無窮(無不亨通),臨凶遇殺都無礙(能化凶殺),惟忌臨金與落空(龍受金克)。

靑龍の臨む所の爻の發動:萬事は亨通す(夾注:靑龍の五行は木に属す)。財を進め祿を旺し、福氣は無窮なり(夾注:一處も通達せざる無し)。就中凶神惡煞に遇ふも、皆妨げず(夾注:靑龍は能く凶殺を化解す)。唯獨其れの金爻上に落り、或いは旬空の裏に落ちるを怕る(夾注:木は金に剋を受ければ、靑龍は便ち力を失ふ)。

朱動:朱雀交重文印旺(朱雀屬火),殺神相併謾勞功(並凶無文),是非口舌皆因此(多主口舌),持水臨空卻利公(臨太空吉)。

朱雀の臨む所の爻の交重發動:文書印信は旺相す(夾注:朱雀の五行は火に属す)。若し凶殺の神と一處に並ばば、便ち功を白費するなり(夾注:凶神に並べば、文書は事を濟さず)。人間の是非口舌は、多く其れに由りて引起す(夾注:朱雀は口舌を主る)。若し其れが水爻上に落ちて制せられ、或いは旬空に落ちば、反つて公事に利有り(夾注:空に臨めば反つて吉)。

勾動:勾陳發動憂田主(勾陳屬土),累歲迍邅為殺逢(勾主牽連),持木落空方脫灑(持木空吉),維饒安靜也迷濛(不動亦否)。

勾陳の臨む所の爻の發動:田土産業の事の為に愁を發せんとす(夾注:勾陳の五行は土に属す)。一連數年困頓して行き難きは、皆其れの凶殺と相逢するに因る(夾注:勾陳は牽連纏繞を主る)。只だ其れが木爻上に落ちて剋を受け、或いは旬空に落ちれば、纔に身を脱して灑落と算す(夾注:木を持し或いは空に臨めば則ち吉)。縱使其れが安靜不動なるも、事は還だ曖昧不明なり(夾注:不動も亦好しと算するを得ず)。

蛇動:蛇發動憂索絆(蛇屬土),怪夢陰魔暗裡攻(多主怪異),持木落空方始吉(值木空吉),交重旺相必然凶(旺相變凶)。

螣蛇の臨む所の爻の發動:繩索の一般の事に牽絆糾纏せられんと擔心せんとす(夾注:螣蛇の五行は土に属す)。怪夢は頻頻として、陰邪の物は暗中に侵襲す(夾注:多く怪異の事を主る)。只だ其れが木爻上に落ちて剋を受け、或いは旬空に落ちれば、始めて吉に轉ず(夾注:木に値し或いは空に臨めば則ち吉)。若し交重發動して又旺相ならば、那は必定凶を主る(夾注:旺相は反つて凶に變ず)。

虎動:白虎交重驚怪事(白虎屬金),求官臨鬼反豐隆(虎官利名),持金世殺妨人口(世金虎凶),遇火如空卻不同(臨火空吉)。

白虎の臨む所の爻の交重發動:多く驚恐怪異の事有り(夾注:白虎の五行は金に属す)。但だ若し占する所が官を求むるなれば、白虎は正に官鬼爻に臨み、反つて聲勢隆盛を主る(夾注:虎と官と同臨するは、功名に利有り)。若し白虎が金を持し而又世に臨み殺を帶ばば、則ち家中の人口を妨害せんとす(夾注:世は金爻に臨み又白虎に値すれば、凶を主る)。若し其れが火爻に遇ひて制を受け、或いは旬空に落ちば、情形は便ち同じからず(夾注:火に臨み或いは空に臨めば反つて吉)。

玄動:玄武動搖多闇昧(玄武屬水),若臨旺相賊交攻(秋冬尤凶),土爻相併邪無犯(值土空吉),帶殺依然咎在躬(臨殺為咎)。

玄武の臨む所の爻の動搖:多く暗昧不明の事有り(夾注:玄武の五行は水に属す)。若し其れが正に旺相に當れば、則ち盗賊は交じりて來犯す(夾注:秋冬水旺の時は尤も凶なり)。若し土爻と一處に並んで制せられば、邪祟は侵犯する能はず(夾注:土に値し或いは空に臨めば則ち吉)。但だ其れが還だ凶殺を帶ぶる以上、災咎は依舊自己身上に落る(夾注:殺に臨めば便ち災咎と成る)。

六親

六親占法少人知,不離元宮五向推,變動虧盈隨本用,日月生扶取剋期。(眉批:無宮五向重伏神,木宮六親。)

六親の占法は真に懂する人少なし:六親を断ずるに本卦の属する本宮(元宮)を離れざるべからず、五行の五箇の方位に就着きて推さんとす。爻の變動・虧損と盈滿とは、全く占する所の事の「用神」に跟つて走り、應期の何れの日なるかに至りては、則ち日辰と月建とが用神に對して生扶か剋制かを看て定む。(舊注:本宮の裏に若し用神を見ずば、則ち五行五向の中に別に伏神を找ふべし。木宮の卦の如きは、六親は仍お木宮本宮に照りて配す。)

六親者,乃八卦占主也。凡類事爻,只取本宮為實。一宮有八卦,共六十四卦,皆先看元辰某卦,然後論之。世為我,應為彼,本宮為卦,直苻四時分吉凶,日辰取克生沖兮,出現並刑,刑墓空亡。又曰:用爻伏是我爻,上飛是彼,有動看動變爻,安靜看有氣爻,若占官事疾病,如六爻安靜,是看世,作父爻,因何而得。

「六親」は八卦の占斷の依託する所の主體なり。凡そ事類に按じて爻を取るに、只だ本宮の六親を以て實在の依據と為すのみ。一宮は八箇の卦を統轄し、八宮は共に六十四卦を成し、卦を断ずるに皆先に本卦の何れの宮より出るか、元辰は何れの卦なるかを看て、然る後に始めて六親を論ず。世爻は我を代表し、應爻は對方を代表し、本宮は六親の歸属を決定す。再び值符と四時の旺衰とを合して吉凶を分ち、日辰の用神に對して剋か・生か・冲かを看、用神の卦中に出現するか、或いは他爻と相併し・刑を受くか、及び入墓・落空するか否かを看る。又曰く:下に伏藏する用爻は我の此の一邊に属し、其の上に壓する飛神は對方に属す。卦中に爻の發動有れば、則ち動爻と變する所の爻とを看、六爻安靜なれば、則ち氣有る爻を看る。若し官司と疾病とを占して六爻皆動かざれば、則ち世爻を看、再び之を父母爻と當りて一路推して去り、此の一場の官司・此の一場の病の究竟何に因りて來るかを追究す。

空亡

生扶:生扶旺相合為吉,空並刑沖剋墓凶。(眉批:春生旺火相水休金囚土死。夏火旺土相木休水囚金死。秋金旺水相土休火囚木死。冬水旺木相金休土囚火死。)

生扶を論ず:生を得、扶を得、旺に當り、相を得、合に逢ふは、皆吉を主る。空に落ち、他爻と相併し、刑を被り、冲を被り、剋を被り、墓に入るは、皆凶を主る。(舊注:春は木旺・火相・水休・金囚・土死—底本此の句は「春生旺火相水休金囚土死」と作り、「生」の下に「木」の一字を脱す、今底本に照りて錄出し、擅補せず。夏は火旺・土相・木休・水囚・金死。秋は金旺・水相・土休・火囚・木死。冬は水旺・木相・金休・土囚・火死。)此の四句は爻の強弱を稱量する總綱にして、一切の生剋は皆先に此の上頭に於て分量を掂まざるべからず。

旺相:但隨日用循環用,八卦分明在掌中。合吉:動靜去來有真假,吉凶彼我有疏親。空克:旺相生扶為發用,死囚沖並是虛因。刑沖:旺相用爻沖必發,休囚沖散脫疏空。墓凶:或見飛龍如克動,有氣無生亦不中。

旺相を論ず:只だ當日の日辰に隨りて循環して用ゐれば、八宮六十四卦の旺衰は清清楚楚として掌中に握らる。合吉を論ず:爻には動有り靜有り、來る有り去る有りて、其の中に真有り假有り。吉凶の對方に落るか自己に落るかも、亦親疏を分ちて、須らく明白に辨ぜよ。空と剋とを論ず:旺相にして又生を得扶を得たる爻のみ、纔に真に發動して用を起す能くする爻なり。死囚の爻は縱使冲を被り併を被るも、不過虚に其の事有るのみ。刑と冲とを論ず:旺相の用爻は冲に遇へば、是れ冲起にして、必定應じて發動す。休囚の用爻は冲に遇へば、是れ冲散にして、反つて冲りて脱漏疎離して空に落つ。墓と凶とを論ず:時に飛神の龍の如く動き來りて相剋するを見るも、用爻は縱使氣有りて生扶無ければ、終究中用ならず。

旺相如有氣,休囚為無氣。陽日陽爻用事為扶,陰日陽爻用並無氣。旺相亦為扶,木爻為長生之類。

爻が旺相に處れば則ち「有氣」と謂ひ、爻が休囚に處れば則ち「無氣」と謂ふ。陽日に陽爻に遇ひて令に當り事を用ゐれば、之を「扶」と曰ふ。陰日に却て陽爻を用ゐれば、兩者相協せず、只だ「併」と算して氣無し。爻の本身が旺相に居るも、亦扶助を得たるに等し。又木爻の亥に遇ひて長生に坐するが如きも、亦得氣の一類に属す。

春無土,夏無金,秋無水,冬無火。要日生出之吉,凡變克,不能生。如午日豫卦,占則辰在卯下之類,若旺相有氣,生合則吉。

春は土に氣無く、夏は金に氣無く、秋は水に氣無し(底本此の處は後人方括號を以て一「木」の字を補せり、今仍お底本に照りて只だ「秋無水」と作るのみ、擅補せず)、冬は火に氣無し。此れ等の無氣の爻は、須らく日辰の生扶に靠りて之を帶び出して後乃ち吉なり。凡そ變出の爻が反つて本爻を剋するは、則ち生と算する能はず。譬へば午日に《豫》卦を占得して、卦中の辰爻の卯爻の下に伏する此の類は、只だ辰爻の自身旺相にして氣有り、又日辰の生合を得ば、仍舊吉と断ず。

用爻旺相,日辰沖者,其爻發出應速,用爻休囚,日辰沖者,其爻已散了。若用爻動旺,被飛克,如無日辰生出扶出,亦不中用。(眉批:用爻變克,繼日生扶,亦主難難。)

用爻が旺相にして日辰に冲せられば、那は「冲起」にして、此の爻は立刻に發動し、應驗極めて速し。用爻が休囚にして日辰に冲せられば、那は「冲散」にして、此の爻は已に散掉せり。若し用爻が雖も動いて旺なるも、其の上に壓する飛神に剋されば、此の時若し日辰の來りて之を生じ、之を扶け、之を帶び出す無ければ、亦一樣に中用ならず。(舊注:用爻の變出せし爻が反つて來りて之を剋すれば、就使隨後に日辰の生扶有るも、事情は仍舊艱難なり。)

四時胎絕臨值用,便是空亡莫亂更,只求旺相爻生克,自然吉凶事分明。(眉批:同上論斷)

用爻が若し四時十二長生の「胎」位或いは「絶」位上に落ちば、其の效力は空亡に落ちると一樣にして、別に名目を立てて断法を亂改するに及ばず。只だ須らく爻の旺相と生剋とに就きて推求せば、吉凶は自然に分明なり。(舊注:上一條の道理に照りて断ずべし。)

四時旺相不為空,日辰生助亦相同,旬內二爻休空論,內有空亡事卻中。(眉批:春不空於寅卯巳午之爻,或日出,能生扶出,反吉斷。)

爻が四時の裏に正に旺相に當れば、雖も旬空に入るも真空と算せず。日辰の生助を得るも、道理は相同なり。一旬の中に空する所の那の二箇の地支は、其れ本身が又休囚に處して始めて真に空亡に按じて論ず。此の如く看來せば、卦裏に雖も空亡有るも、事は倒れて還だ辦り成るを得。(舊注:春の寅・卯・巳・午の此れ等の得氣の爻は空と作りて論ぜず。或いは日辰の能く之を生じ出し扶け出せば、反つて吉に按じて断ず。)

旺相空亡過一旬,囚死空亡必不成,應上空亡宜改過,世落空亡事不明。(眉批:過旬占就。)

旺相の爻が空に落ちば、只だ此の一旬を過ぎて、空を出でれば則ち事に應ずるを得。囚死の爻が空に落ちば、那の事は必定成らず。應爻が空に落ちば、對方に心無きを説明し、弦を改め更に張りて別に打算を作すに宜し。世爻が空に落ちば、則ち自己の此の一邊の心意は定まらず、事は着落無し。(舊注:本旬を過ぎて再び占せば、事は成る。)

用爻最怕走時空,吉不能成凶不凶,春土夏金秋是木,三冬是火莫相逢。(眉批:四時空亡,春土夏金秋水冬火,四季是木。)

用爻が最も當令の「真空」上に落るを怕る:一たび真空に落ちば、吉なるべきも成るを得ず、凶なるべきも凶起き來らず。所谓四時真空:春は土、夏は金、秋は木、冬の三月は火にして、用爻は千萬に撞上せざれ。(舊注:四時の空亡に別に一説有り—春土・夏金・秋水・冬火、而して辰戌丑未の四季の月は則ち木なり。)兩説は略々出入有りて、卦に臨む時は須らく爻の旺衰を參看して自ら取舍を定むべし。

以上言內二爻者,如甲子旬中空戌亥。財休宜論也。又云:空者財春土發金,乃四時之空也。

上文の謂ふ所の「旬內二爻」は、指す所は每一旬の空する所の那の二箇の地支にして、例へば甲子の一旬の空する所は戌と亥なり。妻財が若し正に休囚に處して又此の兩支上に落ちば、纔に空亡に按じて論ず。又有一説:所谓空とは、指すは春の土爻・發用の金爻の此一類にして、那の講ずるは四時の空にして、旬空とは一事ならず。

刑剋

(眉批:動爻可克靜爻,靜爻克不得動爻。)若見用爻生得地,無刑無克方有氣,不入時空與並沖,日月扶助皆如意。五行立用看生時,扶事生身所作主,世應相生人扶順,若逢刑剋事皆遲。(眉批:世應主吉,刑剋主凶。)

(舊注:動爻は靜爻を剋する可く、靜爻は動爻を剋する不動なり。)若し用爻の生を得て又旺地に居り、刑を受けず剋を受けずして、纔に真に氣有りと算せしを見ん。再び當令の空亡に落ちず、他爻に併せられ冲せられず、又日辰月建の來りて扶助有れば、那は事事如意なり。五行は用神を取立して、先に其れの何れの時に生るか・當令するか否かを看る。凡そ能く占する所の事を扶助し、世身を生助するは、則ち主事の爻なり。世と應と互相生合するは、人の幫扶有りて順遂なり。一たび刑剋に遇へば、事は皆拖延せんとす。(舊注:世應の相生は吉を主り、世應の刑剋は凶を主る。)

寅刑巳上巳刑申,子卯逢之無禮星,墓刑不動生淹滯,辰午酉亥日相刑。

三刑の口訣:寅は巳を刑し、巳は又申を刑す(申は再び頭を回して寅を刑す、此の一組を「無恩の刑」と曰ふ)。子と卯と相遇すれば、「無禮の刑」と曰ふ。辰・午・酉・亥の此の四支が各々本位と相見れば、「自刑」と曰ふ。凡そ刑の墓庫の爻上に落ちて爻又動かざれば、事情の停滞淹留して久拖して決せざるを主る。應期を推すに、此れ等の相刑の日に遇へば、往往正に事發の時なり。

若旁爻立不可動,動則紛爭而難甲。月日辰主用、合用利,再用吉。世爻旺相能借用,休囚不能借飛神,飛爻動旺克,無世凶。

如果旁宮の爻が已に站定せば、則ち更に動くに宜しからず、一たび動けば便ち紛爭四起して、占先して勝を取り難し。月建・日辰が若能く用神を主持し、用神と相合せば、便ち利に属す。能く再一次我に用ゐられば、更に吉なり。世爻の旺相の時は、伏神の力量を借用する可し。世爻の休囚なれば、則ち上に壓する不動の飛神を借る。飛爻が旺相發動して來りて剋し、世爻又氣無ければ、那は凶象なり。

凡用爻為飛神所克,不動者須要日辰旺生出沖出飛無氣之日不能生,有動者在剋日旺生出,亦可取。如占妻病,申日得比坤,五爻動,癸亥伏在戌上下動,本不好,卻得日辰能生扶出,死中得也。

凡そ用爻の飛神に剋さるゝ:用爻の不動のは、必ず日辰の旺相に靠りて來りて之を生じ、之を冲り出して後乃ち可なり。若し飛神の無氣の日に碰上せば、生を連れても生じ出す能はず。用爻の已に發動せしは、之を剋する那一日に於て若能く旺相の生扶を得て帶び出せば、亦還だ取る可し。例を擧ぐれば:妻の病を占して、申日に《比》卦を搖得して《坤》卦に變じ、第五爻が發動し、用神の癸亥水が戌土の下に伏し、上下俱に動き、本來好卦ならず。幸して申日は金に属し、金は能く亥水を生じて、伏神を生扶して出す、此れを死中に生を得と謂ふ。

凡旺爻,乃陰時日不能刑剋,作事亦吉。若休囚死,日辰能沉滯,如伏在生下,遇生合赦吉,主遲。

凡そ旺相の爻は、即便陰柔の時辰日辰の裏に在るも、之を刑剋して動かざらん、事を辦れば一樣に吉利なり。若し爻が休囚死絶に處れば、日辰は反つて能く之を壓りて沉滯して起たざらしむ。此の時其れが若能く之を生ずる爻の下に伏し、又生に逢ひ合に逢へば、還だ危を轉じて吉と為す可く、只だ事に應ずること遲緩なり。

六合

辰日合酉午合未,亥日寅爻六合神,旺相長生皆可順,財鬼婚姻便結親。(眉批:凶神即凶陳。)易云:日月合生從吉論,支神刑剋作凶神。

地支六合の口訣:辰日は酉爻と相合し、午は未と相合し、亥日は寅爻と相合す、此れ皆「六合」の神なり。既に合して又旺相、又長生に坐するは、事に順遂せざる無し。婚姻を占するに妻財と官鬼と相合せば、此の門親事は便ち結び成るを得。(舊注:所谓凶神とは、指すは勾陳の此一類の凶を帶ぶる神なり。)《易》に曰く:日辰月建と用爻と相合相生せば、吉に照りて断ず。地支の間彼此刑剋すれば、那は則ち凶神と成る。

飛伏

伏克飛神為出暴,飛生伏下得長生,卦見伏生飛是脫,用遭飛克事難行。(眉批:飛生伏用爻,旺相為得生。日辰生合伏,克飛為出墓。)旁求□察飛神,世應隨宮配六親,將來謁人須用靜,脫貨占求動是真。

伏神が反つて飛神を剋すれば、之を「出暴」と謂ひ、伏神は能く圍を突りて出づ。飛神が伏神を生ずれば、伏神は便ち長生に坐するが如くして力を得。卦中に若是伏神が去りて飛神を生ずれば、那を「泄脱」と謂ひ、伏神は反つて耗損せらる。用神の飛神に剋さるゝは、事情は推行し難し。(舊注:飛神が伏神の此の用爻を生じ、又旺相に値すれば、就使生を得と算す。日辰が伏神を生合し、飛神を剋去するを「出墓」と謂ふ。)他處に求むる別に須らく飛神を審察すべし(底本此の句に一字の字庫に打出せざる者有り、「旁求□察飛神」と作る)。世爻と應爻とは皆本宮に隨りて六親を配定す。将に人に謁見せんとするに、用神は靜に宜し。貨物を脱手し、人に求めて事を辦するに、用神の發動は纔に真に着落有り。

如用爻旺相,日辰生扶出,飛伏比和,用爻出現,行人歸,逃者回。生產養,求事見頭緒,占卦有。若用爻休囚死絕寅敗,忌巳辰用,沖剋事爻父元氣,有人未來,逃者不歸,生產不收,求事無頭緒,占財不實。

如果用爻が旺相にして、日辰が又之を生じ之を扶け之を帶び出し、飛神と伏神と五行比和して相戰はず、用爻は卦中に明現せば:那麼行人を占すれば則ち人は歸り、逃亡を占すれば則ち人は回り、生産を占すれば則ち母子俱に安んじ、事を謀るを占すれば則ち頭緖分明、物を占すれば則ち卦中に確か其の物有り。反つて、若し用爻が休囚死絶・寅位の敗地に落ち、又巳・辰の身に臨むを忌み、事爻と父母の元氣とを冲剋して了へば:那は則ち來るべき人は來らず、逃げ走る人は歸らず、生産は順利なる能はず、事を謀れば頭緖無く、財を占するも亦落實せず。

六爻飛上取旁通,克應用爻須是財,卦六親用,謁人,要用爻不動,有氣,日辰透出,或動不在。若用在墓動,或應動,人慾出,可速見。

六爻の上に還だ飛神より旁通して象を取るべし:能く應爻を剋制する用爻は、多半是れ妻財なり。凡そ卦中の六親を取りて用神と為すに:人に謁見する時は、用爻の安靜にして氣有り、并且日辰の能く之を透出さんを要す。用爻若し動かば、那人は多半家に在らず。若し用爻が正に墓中に在りて發動し、或いは應爻が發動せば、那人は將に門を出でんとするを説明し、見んと要せば則ち趕緊に去るを得。

將本求利,放債抽拈,買物停塌,賭聞撼錢,圖謀考試,見任官員,上書投詞,守舊常占。(眉批:用爻)

以下事類に按じて取用の宜忌を分列す。此の一組は皆用爻を以て主と為して看る:本錢を帶びて利を求め、債を放し、頭を抽ち利を拈り、貨を買ひて囤積し、賭博して錢を搖り、考試を圖謀し、現任の官員に謁見し、書を上り狀詞を投遞し、成を守る常占—皆先に用爻の旺衰と動靜とを審す。(舊注:此の一段は用爻を説く。)

娶妻買婢,屋宅墳田,住庵謁人,失物理冤。用爻宜靜,有氣為先,取索借債,讀書請客。生產求歸,脫貨贖解,官員待次,散事解災。(眉批:宜靜。)改易敘職,告欲幹求,脫詐失約,行人遠信,出行遷移,動者無噓。(眉批:宜動。)

妻を娶り婢を買ひ、屋宅墳田を置辦し、庵に住し人に謁し、失物を尋ね、冤情を理す:此の幾類は用爻は靜に宜しく、而且首要は氣有るなり。此の外如き欠欵を索取し、借貸し、讀書し、客を請ひ、生産し、人の歸來を盼がり、貨物を脱手し、當を贖ひ質を解き、官員の候補待次し、事端を消散し、災厄を解除するも、亦皆用爻の安靜を以て宜しと為す。(舊注:以上は靜に宜し。)差事を改換し、職級を敘升し、告を投じ干求し、脱騙失約を識破し、行人の遠方の音信を等候し、出行し、遷居する:此の幾類は反つて用爻の發動して始めて好く、動けば便ち愁ふるに及ばず。(舊注:以上は動に宜し。)

卜易秘訣海底眼卷上終

卜易秘訣・海底眼・卷下

逸客斗南陸位校輯,錢塘學海樓主人鄭觀卿詳註。

本卷は同じく自ら「逸客」と號し、字を「斗南」とする陸位が校勘編輯し、錢塘學海樓主人鄭觀卿が逐條注を加ふ。卷下の收る所は、卷上の講ずる六親・飛伏・旺衰の理を各門の具體的占斷に落す、日辰・世應より起りて、婚姻・生産・求財・疾病・墳塋に至るまでなり。

日辰

(眉批:身動即世動也。)占卦先須完日辰,日辰沖戰不堪親,若見合生當喜悅,更須輕重卦中音。(眉批:用與世爻相剋者是。)

(舊注:卦身の發動は、亦則ち世爻の發動なり。)卦を占するに先に日辰を看准す可し(底本の「完」の字は「看」の字の誤り、今底本に照りて錄出す):日辰若し用爻と相冲り相戰はば、此の爻は親近して取用に堪へず。若し日辰が用爻と相合相生せば、那は則ち可喜なり。此の外還だ卦中の納音五行の輕重を掂量せんとす。(舊注:所谓冲戰とは、指すは用神と世爻と互相剋制する情形なり。)日辰は一卦の君にして、最急最重、凡そ爻の生死存亡は、皆先に日辰の頭を點ずるか否かを問はざるべからず。

日為君生,故云:日時最急,歲日猶賒。日音日辰,時者時令,歲者太歲,月者卦中月卦也。(眉批:世應相剋,縱好費力。)

日辰は一卦の君なり(底本は「日為君生」と作る、「生」は「主」の字の誤り、今照錄す)。故に曰く:日辰と時辰とは事に應ずる最も急、太歲と月建とは應ずる較遠し(底本は「歲日猶賒」、「日」は「月」の字の誤り)。此の處の所谓「日」とは、指すは日辰なり(底本は「日音」、「音」は「者」の字の誤り)。「時」は時令を指し、「歲」は太歲を指し、「月」は卦中の月卦を指す、亦則ち卦身の值する月なり。(舊注:世と應と互相剋制すれば、縱使好事なるも、亦一番の力氣を費さざるを得ず。)

世應

應動託人心易變,身動生憂事不寧,若是用爻卯有氣,旺相扶持不速成。宅墓高低產子難,病多進退往行難,婚姻有疑逃者近,詞訴普速主繫閉。

應爻の發動は、付託する所の人の心思の易變を説明す。卦身の發動は、空に憂慮を生じ、事は安寧を得ず。若し用爻が正に卯木に値して氣有れば、縱使旺相の扶持有るも、亦速成する能はず。世應の交動は、各門に落れば則ち:宅兆墳塋を占すれば則ち地勢の高低は稱せず、生産を占すれば則ち臨盆は艱難、疾病を占すれば則ち病勢は忽進忽退、出行を占すれば則ち行かんと欲して行き難し、婚姻を占すれば則ち雙方各々疑慮を存し、逃亡を占すれば則ち人は還だ近處に躲れ、詞訟を占すれば則ち催逼甚だ急にして、拘系關押せらるゝを主る。

身動有憂事,旺見磨折,費力而成,故身為我之門戶也。雖宜動出行,若世下鬼發,財發,亦不吉也。

卦身の發動は、憂心の事有るを主る。卦身が又旺なれば、則ち一番の磨折を經て、力を費して始めて事を成すを得—卦身は好比我の此の一家の門戶なるが故に、門戶の一たび動けば、家裏は則ち安穩を得ず。雖も出行を占するに卦身の發動を以て宜しと為すと説けども、若し世爻の下に伏する官鬼が發動し、或いは妻財が發動して去りて官鬼を生助せば、那も亦一樣に不吉なり。

應動事變,不可託人,用爻有氣,須是欲求,或自去理會吉,用與世爻相剋者是。凡世應相剋,縱然好事,也須費力。

應爻の發動は、事情は中途に變せんとす、人に託して代辦すべからず。用爻若し氣有れば、本來求む可きの望有るを説明し、最好くは親身出面して料理して始めて吉なり。上面の説く「人に託すべからず」は、正に用神と世爻と互相剋制する那一種の卦を指す。凡そ世と應と彼此相剋すれば、縱使好事なるも、亦一番の周折費力を免れず。

重動

八純重動爻業雜,於中考論加臨法,求財金鬼土為兄,水子火印消詳納。(眉批:重動八純,須濟伏神。)若重動,更著伏爻。乾伏坤,坎伏離,震伏巽,艮伏兌。

八純卦にして爻又重動すれば、卦中の頭緖は最も駁雜にして、須らく其の中に於て六神の加臨の法を考究すべし。財を求むる一事を例に擧げれば:金爻を取りて官鬼と作り、土爻を取りて兄弟と作り、水爻を取りて子孫と作り、火爻を取りて印綬即ち父母と作り、一々に消息を詳納して然る後に其の取舍を定む。(舊注:八純卦は重動に遇へば、必ず伏神を借りて救濟せざるべからず。)凡そ重動に遇へば、更に伏爻の何物なるかを看るべし:乾宮は坤を伏し、坎宮は離を伏し、震宮は巽を伏し、艮宮は兌を伏す。八純卦は六爻同じく一宮より出で、六親は往往全からず、缺くる所は則ち對宮の伏神の裏に去りて找ふ。

間爻

世應當中兩間爻,發動所求多阻隔,假饒有無事分明,又見切切方始得。(間為中人,不可發動,兄動脫詐,鬼動見禍。)

世爻と應爻との當中に夾る那の兩爻を、「間爻」と謂ふ。間爻の一たび發動すれば、求むる所の事は多く阻隔有り。縱使事情の指望有るか無きか本已に分明なるも、亦還だ再三懇切に催求して始めて辦り下すを得。(夾注:間爻は間に居りて説合する中人を代表し、最も發動を忌む。兄弟が間爻に臨みて動けば、中人は脱賴欺詐す。官鬼が間爻に臨みて動けば、中間に禍事を出づ。)

凡世應中間兩爻為中人,不可動,動則有隔。兄弟動主脫詐口舌,官鬼動主人事見隔,占婚姻為某人詭譎,占生產為老孃,占事為阻郎,占耕種為農夫,占家宅為鄰里。

凡そ世應の間の那の兩爻は皆中人と當て看て、發動に宜しからず、一たび動けば便ち阻隔有り。兄弟が之に臨みて動けば、中人の脱賴欺詐・口舌を招惹するを主る。官鬼が之に臨みて動けば、人事上に隔礙を生出するを主る。間爻は各門占の裏に於て指す所の人各々相同じからず:婚姻を占すれば、中より詭詐して梗を作す那个人なり。生産を占すれば、生を接ぐる老娘なり。一般の事を謀るを占すれば、中より阻撓する者なり(底本は「阻郎」、「郎」は「隔」の字の誤り)。耕種を占すれば、佃作の農夫なり。家宅を占すれば、左右の鄰里なり。

獨發

本卦一爻為獨發,一爻之變可相扶,更將日上分生克,始知神應出虛無。(眉批:凡一爻動,重主過去,交主未來。)若變爻旺相可用,休囚只有本卦六親一爻動可變,旁宮一爻動不可變,只看六親,占陰晴可借用。

一卦の中に只だ一爻の發動するを、「獨發」と曰ふ。此の一爻の變出する所の爻は、頭を回して本爻を扶助するを得。再び日辰を擺り入れて生と克とを分ちて、始めて神明の感應は正に此の空虚無形の處より顯現するを明白にす。(舊注:凡そ一爻の動く、「重」は老陽の陰に變ずるにして、已に過去せし事を主り、「交」は老陰の陽に變ずるにして、將に發生せんとする事を主る。)變出の爻の旺相なれば則ち取用する可く、休囚なれば便ち用ふべからず。又須知る:只だ本宮本卦の六親の爻の發動のみ變を論じ、旁宮の爻の發動は變を論ぜず、只だ其れの何れの位の六親に属するかを看るのみ。唯獨天時の陰晴を占するは、旁宮の爻も亦借りて一用するを得。

亂動

亂動休將亥爻尋,只求親土守其真,審擇用爻何位發,旺相生扶始有因。(眉批:亂動不變,不宜六親,用爻動凶,旺相生扶,輕重言義。)

六爻亂動の時は、再び一味に亥水の那の一路の爻を追ふべからず、只だ須らく占する所の事と相親しき土爻、即ち本宮本位の爻を守れば、纔に真機を守りたると算す。然る後に仔細に用爻の何れの爻位に發動するかを揀擇し、其れの旺相生扶を得るか否かを看て、事情は始めて着落有り。(舊注:亂動の卦は變爻を看ず、亦位位に硬く六親を配するに宜しからず。用爻の發動は本來凶を主り、須らく旺相生扶を得て始めて好し、その間の輕重は斟酌して言ふべし。)

旁宮一爻動變,使本卦重用,六親分旺相輕重言之。六爻亂動,事緒難明,兩爻三爻至六爻動,切不可看變,只取旺相有情,急宜仔細看。

旁宮の一爻の動きて變を生ずれば、仍お本卦の上に回りて改めて取用し、六親を旺相と輕重とに按りて分りて論説せんとす。六爻亂動の卦は、事情の頭緖最も理め難し。凡そ兩爻・三爻乃至六爻齊しく動くは、千萬に變爻を追ふべからず、只だ其の中の旺相にして又世と情有る那一爻を取りて用神と爲し、此の一步最も緊要にして、須らく仔細に審察せよ。

生氣死氣・日冲月破

生氣動者謀往吉,死氣發時病訟凶,日沖飛上伏爻出,月破爻沖爭爭空。(眉批:日破為日虎神,為解神,為耗散神,為破敗神。)

生氣を帶ぶる爻の發動は、事を謀りて往けば則ち吉なり。死氣を帶ぶる爻の發動は、病を占し訟を占するに皆凶なり。日辰が上に壓する飛神を冲り開けば、底下の伏爻は便ち透出して用爲るを得。用爻が月建に冲せらるゝを、「月破」と曰ふ、任せて爭ひ來り爭ひ去るも、終歸して落空す。(舊注:日破は又日虎神と曰ひ、其れは既に解神にして、又是れ耗散の神・破敗の神なり——能く人の爲に憂を解き、亦能く人の物を耗す。)

生氣者:如占文書,旺相出現,或官爻有氣發,也能生父母。死氣者:如占病,官司,動爻旺相剋其世身,謂之死氣。

何をか生氣と謂ふ。譬へば文書を占するに、父母爻の旺相にして卦中に明現すれば、或いは官鬼爻の氣有りて發動し、官は能く父を生じ、同じく文書を生扶し起す——此れ則ち生氣なり。何をか死氣と謂ふ。譬へば疾病を占し、官司を占するに、卦中の動爻の旺相にして來りて世爻を剋し、卦身を剋すれば、此れを死氣と曰ふ。

日沖者:如占財,財爻伏在無氣爻下,卻得日辰沖去飛爻,其財有用也。月破者:憂者散,病者死,事不成,財無氣。蓋用爻被月建之沖也。

何をか日冲と謂ふ。譬へば錢財を占するに、妻財爻が一箇の無氣の爻の底下に伏して動弹するを得ず、恰好日辰が上に在る那箇の飛爻を冲り開けば、伏せる財は便ち透出して用ふべし。何をか月破と謂ふ。用爻が月建に冲せらるゝは則ち是れなり:憂疑を占すれば則ち憂は自ら消散し、疾病を占すれば則ち病人は危殆、事を謀れば則ち成らず、財を占すれば則ち財爻は氣無し。同じ一箇の「破」の字、憂疑の上に在りては解、人事の上に在りては敗、全く占する所の何事なるかを看て吉凶を定む。

有無

五行憂者先憂否,無鬼憂官喜落空,結婚買婢成諸事,卦無財子鬧重重。(眉批:用爻出現謂之有,用爻不現謂之無。)

五行の中に憂ふる所有るは、先に此の一層の憂慮が到底成立するか否かを問はんとす。卦中に若し官鬼無ければ、那麼官非の事を憂ふるは正に其れの落空するを喜ぶべし。しかるに結婚し、婢を買ひ、及び種種の事を辦り成さんと要するに、卦裏に妻財無く、子孫無ければ、便ち紛紛擾擾として成就し難し。(舊注:用爻の卦中に明現するを「有」と曰ひ、用爻の卦中に現れざるを「無」と曰ふ。)見るべし「有」「無」の兩字は、全く占する所の事が該り何れの位の六親を以て用爲とするかを看るのみ。

男女

男女包含少壯形,須審前文後卦情,陰變陽爻為男子,陽變陰爻是女人。(眉批:陰宮變陽為男,陽宮變陰為女。)

辨ずる所の問ふ人の男か女か、年少か壯健かを知らんと要するは、須らく前面の卦文と後面に變出する卦情とを合し審察すべし。陰爻の陽爻を變出するは男子を主り、陽爻の陰爻を變出するは女人を主る。(舊注:陰宮の卦の陽を變出するは男を主り、陽宮の卦の陰を變出するは女を主る。)

家親

欲卜家親無外人,鬼爻世應便為親,陰宮若見陽官鬼,不是鄉鄰即外人。

占はんとする作祟するは自家の親人か外人か:若し官鬼爻が正に世爻或いは應爻の上に落ちば、那は則ち自家の親眷なり。若し陰宮の卦の裏に却て陽性の官鬼を見れば、那は便ち同鄉の鄰里ならずんば、則ち外來の人なり。家先の祖作祟と外鬼の侵擾とを占するに、此の一條は則ち分界なり。

外人

奴婢外人財作用,弟兄同輩察同爻,發官夫主詳官鬼,父母尊親印授獻。

奴婢と外人とを占するに、妻財爻を取りて用神と爲す。兄弟と同輩の人とを占すれば、則ち同類の爻、即ち兄弟爻を審察す。發迹の官員と丈夫とを占するに、官鬼爻を詳看す。父母の尊長を占すれば、則ち父母爻の此の「印綬」の神を以て憑爲とす。此の一條は各色の人物を一々に六親に配定して、用神を取るの總例なり。

潛虚

坐方立物皆成卦,看其爻發在何時,潛虛不遂心生起,自然神悟洩天機。

坐する所の方位、眼前に立てる物件、皆起して一卦を成すを得。再び此の一爻の何れの時辰に發動するかを看る。所谓「潛虚」とは、則ち心中の那點の隱微未だ遂げざる念頭の忽然生起する那一刻——此の一念に順りて體察すれば、自然に神明は感悟し、天機は之に隨りて泄露す。此れは錢を搖らずして直接に象を取りて卦を成す一路の法門なり。

凡坐方立物,飛禽走獸,雲雨風雷,金石絲竹,皆可成卦。且如鴉從西南來,便為坤卦。看何時辰,如子午用初爻,丑未二爻,寅申三爻,卯酉四爻,辰戌五爻,巳亥六爻。以別四外,自然知凶之理。一字一物,皆可成卦,但字數畫物,取五行以定八卦者也。

凡そ坐する所の方位、立つ所の物件、飛禽走獸、雲雨風雷、金石絲竹の聲、皆卦を起すを得。譬へば烏鴉の西南方より飛び來れば、西南は坤位に属し、則ち坤卦を取る。再び當時の何れの時辰なるかを看て、以て何れの爻を動爻と定むるかを定めん:子時・午時は初爻を用ひ、丑時・未時は第二爻を用ひ、寅時・申時は第三爻を用ひ、卯時・酉時は第四爻を用ひ、辰時・戌時は第五爻を用ひ、巳時・亥時は第六爻を用ふ。此に據りて再び四方內外の情形を分辨すれば、吉凶の理は自然に知るべし。一箇の字・一件の物も皆卦を成すを得:字は則ち其の筆畫を數へ、物は則ち其の形數を取り、五行に折算して八卦を定出す。

來情

卦者多者取來情,或向空亡無處尋,又看世爻沖剋處,於中一事破來心。(眉批:五鄉沖剋取來情爻,此法取看有氣無氣言之,若無氣之月,即不用也。)

卦を占する時に若し卦中の頭緖繁多ならば、則ち其の中より「來情」を取る、即ち來人の心裏に究竟何の事の爲に來るかなり。有時線索は恰好空亡の上に落ちて、便ち尋ねる處無し。此の時再び世爻の何れの爻に冲せられ、何れの爻に剋せらるゝかを看て、則ち那一處より其の此來の心事を點破す。(舊注:五行五鄕の中より冲せられ剋せらるゝ處に就きて來情の爻を取る。此の法は該爻の氣有るか無氣かを看て定め、若し正に其れの無氣の月に逢へば、便ち其れを用ゐず。)

沖剋父母:沖印契割至尊長,屋宅墳野與田園,又取文書並應舉,產業車輪共舟船。

冲せられ剋せらるゝは父母爻ならば、來人の問ふ所は此の一路に在り:印信、契約、割讓の此れ類の事、及び至親の尊長。屋宅、墳地の荒野と田園。又は文書と應擧の考試なるべし。還だ產業、車馬と舟船と有り。父母は本來庇蔭承載の神にして、主る所は皆倚むべく載す可きの物なり。

沖剋兄弟:沖兄爭鬥與貪淫,小見克財口舌臨,切忌妻災防破散,相知嫉妒是同人。

冲せられ剋せらるゝは兄弟爻ならば、來人の問ふ所は多半は爭鬥と貪淫の事なり。小さくは不過錢財を折損し、口舌は門に臨む。最も緊要なるは妻室の災有り、家財の破散せんとするを提防するなり。又は相熟の朋友の心に嫉妬を懷き、同輩の間に嫌隙を起したるべし。

沖剋妻財:沖妻即是繫占財,鋪店金銀買賣來,或有陰人成合事,金銀錢銅器和釵。

冲せられ剋せらるゝは妻財爻ならば、那の來人は多半則ち錢財の爲に來るなり:鋪面店業、金銀の買賣の此の一類。又は婦人の中より撮合する事有るべし。又或いは金銀の錢幣、銅器と釵環の首飾の此れ等の實物なり。妻財は既に妻妾を主り、又一切の受用の資を主る、故に妻を問ふと財を問ふとは、皆此の一爻の上に於て分曉を見る。

沖剋子孫:沖福瑞物及醫藥,七寶貴人寺觀塔,僧尼佛像所欲生,六畜皮毛與角筋。

冲せられ剋せらるゝは子孫爻ならば、來人の問ふ所は福德の一路に在り:祥瑞の物と醫藥。七寶、貴人及び寺觀の塔廟。僧尼、佛像と生育を盼望するの事。再び是れ六畜及び皮毛、角、筋の牲畜より出づる物なり。子孫は厄を解くの神にして、凡そ平安を問ひ、嗣を求むるを問ひ、藥を服するを問ふは、皆此の處に落つ。

沖剋官鬼:沖剋官鬼即求官,更有訟事暗相關,又或走失兼盜賊,莫把爻中一例看。

冲せられ剋せらるゝは官鬼爻ならば、來人は多半は官を求むるが爲に來るなり。此の外還だ暗裏に一椿の官司を牽連するを得。又或いは物を走失し、盗賊に遭ひたるべし。官鬼の一爻は兼ねて功名と災患との兩面を攝し、切に卦中の各爻を一概に同じ一箇の例に照りて看るべからず。

未來過去

爻在卦中言未來,爻在卦後言過去,六爻先以卦為身,然後看其爻發處。陰世月前事未生,陽爻月後事先過,但能仔細尋其意,卦中何事不包羅。

動爻の值する所の地支の若し卦身の前に排せば、講ずるは未來の事なり。卦身の後に排せば、講ずるは已往の事なり。六爻を看るに、先に卦身を定出して、然る後に動爻の何れの位に發するかを看る。世爻の陰に属せば、動爻の卦身の月份の前に落つるは、那件事は還だ發生せず。世爻の陽に属せば、動爻の卦身の月份の後に落つるは、那件事は早已に過去せり。只だ其の中の意思を仔細に尋繹せんと肯ずれば、卦裏に還だ何の事か包羅し下さざらん。

聖人作易,逆觀未來,順考已往。假令遁卦,第二陰爻為世,即是六月卦也,卦中身未土。壬午亥動,或官,或疾病。午在未後,言已往也,合在四五月也。卦身土生金爻,帶兄弟,為萬事和。申在未前,為未來事,合在申酉月應。

聖人の《易》を作るは、數に逆らひて將來の事を看、數に順りて已往の事を考ふ。例を擧げて《遯》卦を言へば、第二爻は陰爻にして世爻と爲り、其れは六月の卦に属し、卦身は未土の上に落つ。若し壬午と亥爻と發動せば(底本の「亥」の字は「發」の字の誤り、今底本に照りて錄出す)、主る所は或いは官非、或いは疾病なり。午は未の後の一位にして、已往を逆推す、事情は當に四月・五月の間に發生すべし。卦身は土に属し金爻を生ずるを得、那金爻は又兄弟を帶び、萬事の和諧を主る。申は未の前の一位にして、未來の事に属し、當に申月・酉月の上に應驗すべし。

覆射

覆射包涵世應中,方圓表裡在何宮,旺扶重大實沉厚,休囚輕小細微空。父母持世為殺物,光華藥石子孫同,妻財受用或能食,兄弟爻將物不中。(眉批:以才應為表,為皮毛,在外主長。以鬼世力泉為形狀,在內為主短。)

覆を射て物を猜するに、猜する所の東西は則ち世爻と應爻との中に包涵す:其れは方か圓か、表有り裏有り、須らく其れの何れの宮に落つるかを看よ。爻の旺相扶助を得れば、物は重大、結實、沉厚なり。爻の休囚に處れば、物は輕小、細微、空虚なり。父母爻の世を持すれば、覆する所は能く遮蓋し或いは殺伐する物なり。光潔華美の物と藥石の一類とは、子孫に歸す。妻財の主る所は日常の受用の物、或いは喫す可きの物なり。兄弟爻の之を持せば、那物件は多半中用ならず。(舊注:妻財と應爻とを以て物の外表、即ち其の皮毛と爲し、外に在る部分は長を主る。官鬼と世爻とを以て物の形狀と爲し、內に在る部分は短を主る。)

夫卦之覆射,以財為表,以應為表,為皮毛,在外主長。以鬼為裡,以世為裡,為形狀,在內為短。單陽為圓,折陰主方。(眉批:單陽主圓,折陰主方,伏才能食,伏子能用,伏父能蓋,伏兄不中。旺相重大主新,休囚微小主舊,鬼現正色,伏藏勞色。)

凡そ卦を以て覆を射るは:妻財爻を拿りて物の外表と當て、應爻を拿りて物の外表と當つ、即ち其の皮毛にして、外に在る部分は長を主る。官鬼爻を拿りて物の內裏と當て、世爻を拿りて物の內裏と當つ、即ち其の形狀にして、內に在る部分は短を主る。爻は單畫の陽なれば、物は則ち圓なり。爻は折斷の陰なれば、物は則ち方なり。(舊注:單注:單陽は圓を主り、折陰は方を主る。伏神の妻財なれば、物は食ふ可し。伏神の子孫なれば、物は用ふ可し。伏神の父母なれば、物は能く遮蓋す。伏神の兄弟なれば、物は中用ならず。爻の旺相なれば則ち物は重大にして新しく、爻の休囚なれば則ち物は微小にして舊し。官鬼の卦に明現すれば、物は正色を呈し、官鬼の伏藏すれば、物は陳舊の色を呈す。)

財無應空無皮,鬼隱世空無肉。旺相重大主新,休囚微細主舊。鬼現正色,伏藏旁色。伏財能食,伏子能用,伏父能蓋,伏兄能無,用不中。

卦中に妻財無く、應爻又空に落ちば、那物件は外皮無し。官鬼の隱伏して現れず、世爻又空に落ちば、那物件は內瓤無し。爻の旺相なれば、物は重大にして而且新し。爻の休囚なれば、物は細微にして而且舊し。官鬼の卦に明現すれば、物は正色を呈す。官鬼の伏藏して出でざれば、物は雜色を呈す。伏神の妻財なれば、物は喫す可し。伏神の子孫なれば、物は用ふ可し。伏神の父母なれば、物は能く覆蓋す。伏神の兄弟なれば、那は等しく甚麼も無きにして、取り來るも亦中用ならず。

表受刑剋落空,無皮而實;裡受刑剋落空,無肉而虛無;表裡俱受刑剋落空,則空而無物。持乾則圓,持坤則方,逢震在上為飛,在下為走。春夏生物,秋冬死槁。

外表を代表する爻の刑を受け剋を受けて又空に落ちば、那物件は外皮無く、只だ一箇の實心を剩すのみ。內裏を代表する爻の刑を受け剋を受けて又空に落ちば、那物件は內瓤無く、中間は虚なり。表裏の兩爻俱に刑剋を受けて又俱に空に落ちば、那は則ち空空如として、根本に東西無し。爻の乾に属せば則ち物の形は圓、爻の坤に属せば則ち物の形は方なり。震卦に遇へば、震の上卦に在るは覆する所は能く飛ぶ物、震の下卦に在るは覆する所は能く走る物なり。春夏の覆する所は多く活物、秋冬の覆する所は多く死物或いは枯槁の物なり。

圓受刑剋月破日破不圓,方受刑剋月破日破不方。子動物有足,兄動物有皮,財動物可食,父動物主氣,官動物不中。

本應圓なるべき那爻の若し刑を受け剋を受け、又月破日破に逢へば、物は圓にして整はず。本應方なるべき那爻の若し刑を受け剋を受け、又月破日破に逢へば、物は方にして正ならず。子孫爻の發動すれば、覆する所の物は脚有り。兄弟爻の發動すれば、物は外皮有り。妻財爻の發動すれば、物は喫す可し。父母爻の發動すれば、物は氣味を帶び或いは覆蓋の形有り。官鬼爻の發動すれば、那物は便ち中用ならず。

五鄉一鄉亦可取物,合則圓,扶則長,生則方,克則損,刑則尖。乾兌金五,震巽竹木,坤艮土石,坎水血鹽貨物,離火絲綿絹帛,各觸類而長之。

五行五鄕の中に任せて一鄕を取りて、亦物を断ずるを得:爻の合に逢へば、物の形は圓なり。爻の扶を得れば、物の形は長なり。爻の生を得れば、物の形は方なり。爻の剋を受ければ、物は殘損有り。爻の刑を受ければ、物の形は尖銳なり。至る所八卦の主る所:乾・兌は金に属し、金屬の器物を主る。震・巽は木に属し、竹木の器を主る。坤・艮は土に属し、土石を主る。坎は水に属し、血、鹽と水中の貨物とを主る。離は火に属し、絲綿の絹帛を主る。其の餘は各々此に依りて類推し、類に觸れ旁通して擴充して去るべし。

婚姻

娶妻先向財中覓,嫁夫可類鬼爻推,旺相得時成合配,休囚刑害不相宜。兄旺克妻妻不就,子旺傷夫夫有疑,八純動者主離別,五世游魂損小兒。(眉批:妻財鬼爻,旺相成合,休囚不宜,兄旺克妻。子動傷夫,八純離別,五世游魂,必損小兒。)

男家の妻を娶るは、先に妻財爻の上に就きて用神を找ふ。女家の夫に嫁ぐは、則ち官鬼爻の此の一類に照りて推す。用神の旺相にして又令に當り時を得れば、此の門親事は配り成るを得。用神の休囚にして、再び刑に逢ひ害に逢へば、那は便ち相宜ならず。兄弟の旺動して妻財を剋すれば、妻の此の一頭は説り攏らず。子孫の旺動して官鬼を傷れば、夫の此の一頭は疑心を起す。八純卦を搖得して爻又發動すれば、日後の離別を主る。五世卦と游魂卦とは、小兒を折損するを主る。(舊注:妻財と官鬼との此の兩爻は、旺相なれば則ち成合し、休囚なれば便ち宜しからず。兄の旺は妻を剋し、子の動は夫を傷り、八純は離別を主り、五世游魂は必ず小兒を損す。)

占妻看財宜動,占夫有鬼宜靜。陽宮端正,陰宮醜陋,在飛止應頭面,在飛不應四肢,卦無子孫不喜悅。男占得震主再婚,女占得坎主再嫁。

妻室を占するに妻財爻を看るに、發動を以て宜しと爲す。丈夫を占するに卦中に官鬼有るを要すに、安靜を以て宜しと爲す。用神の陽宮に落つれば、其の人の相貌は端正なり。陰宮に落つれば、相貌は醜陋なり。用神の居る所の飛爻の若し應ずる所の位と相當すれば、看る所は頭面なり。飛爻の應ずる所の位と相當らざれば、看る所は四肢なり。卦中に若し子孫爻無ければ、此の段の姻緣は便ち喜色を見ず。男子の卦を占して震卦を搖得すれば、主として再び一度娶るを要す。女子の卦を占して坎卦を搖得すれば、主として再び一回嫁ぐを要す。

妻在同爻女有親為主婚,夫在同爻男有親為主婚。若得時旺相,則有成。如出現,忌日沖月破。世動男不肯,應動女生疑。用神發動,成也見分離。父傷損長親,間動阻隔,或媒人又作鬼。

妻財と兄弟と同一爻に在るは、女家に親屬の出面して婚を主る有り。官鬼と兄弟と同一爻に在るは、男家に親屬の出面して婚を主る有り。用神の若し令に當り旺相なれば、事情は成るを得。用神は縱使已に卦中に明現するも、仍お日辰に冲せられ、月建に破せらるゝを怕る。世爻の發動は、男方の肯んぜざるなり。應爻の發動は、女方の疑を生ずるなり。用神の發動は、就使親を成すも、日後も亦分離を見んとす。父母爻の傷を受けば、尊親の長輩に損及せんとす。間爻の發動は、中間に人の阻隔有りて、甚至其の媒人の本身が則ち作祟の鬼なり。

生産

生產未知臨盆許,月日長生子當執,兄爻旺相母生難,子孫受克兒災苦。又曰:飛去克伏子難收,陽卦為男陰是女,兩爻旺相喜相扶,必是雙胎天賜與。(眉批:取胎元氣,假令乾宮以子水為子孫,長生在申,至午為胎。子孫出現胎月。)

生産を占して何れの時か盆に臨むかを知らずば、則ち月建、日辰と子孫爻の長生の位とを合して推し、此の一處を執りて以て準爲とす。兄弟爻の旺相なれば、母親の生産は艱難なり。子孫爻の剋を受ければ、胎兒は災有り苦有り。又曰く:上の飛神の下に伏する子孫を剋去れば、孩子は收生し難し。卦の陽に属するは男を生ずるを主り、卦の陰に属するは女を生ずるを主る。若し兩爻の同時に旺相にして又互いに扶助すれば、那は必ず上天の賜ふ所の雙胎なり。(舊注:胎元の氣を推すの辦法、譬へば乾宮は子水を以て子孫と爲し、子水の長生は申に在り、申より順に數へて午に至りて正に「胎」位に當る。子孫爻の出現する處に就けば、則ち受胎の月を定出するを得。)

若子爻出現,不出月生,但看世爻,向支數至母長生日,即為乳也。假令秋占需卦,戊申持世,癸亥之水為母,長生在申,即言當日乳。

如果子孫爻の卦中に明現せば、本月を出でずして則ち生まんとす。只だ須らく世爻の值する所の地支を看て、下に數へて母親の長生する那一日に至れば、則ち分娩哺乳の日なり。例を擧げて言へば:秋に《需》卦を占得して、戊申の世を持ち、癸亥水を以て母爲と爲す(底本此の處は別に後人の加ふる所の一段の考辨を夾み、癸亥は坤宮首卦の第五爻、《需》卦の妻財の應爻は甲子水、上爻は戊子水にして、本書の原文に非ずと説く、今錄せず)。亥水の長生は申に在り、而して世爻は恰も戊申なり、故に當日に生ずと断ず。

如未爻持世,來日生。亥子持世,旬日分娩。但憑卦,卜世曰:世旺克子,落草即死。若在伏義,可克飛上,下爻便見,降生之月,下及月者生,墮胎也。

如果未爻の世を持せば、明日に則ち生ず。亥、子の世を持せば、十日の內に分娩す。此れ等は皆只だ卦象に憑りて話を爲すのみ。世爻に就きて論を立つ:世爻の旺にして子孫を剋住せば、胎兒は一たび地に落ちて便ち夭折す。若し子孫の下面に伏して其の義通ず可ければ、能く反つて上の飛爻を剋住せば、那麼下面の爻位の上より便ち看て出づ:指す所は正に降生の月份なり。若し月份に到らずして出づれば、那は則ち墮胎なり。

應擧

應舉求官問後先,官旺文書有氣前,文作文章為直用,日建扶官定是元。又曰:父母文書是棟樑,推明旺相細銷張,官鬼試官題目事,子孫如錦子榮昌。(眉批:官文兩強,月建捄宮,必奪文魁。子動傷官,財動破父,鬼動奪禮,父化父雅,父化官難。)

應擧と求官とは、問ふ所は名次の先後なり:官鬼の旺にして文書又氣有るは、名次は前に在り。文書は則ち文章にして、直接に其れを取りて用神と爲す。再び日建の來りて官星を扶助有れば、那は必定榜首の一流なり。又曰く:父母即ち文書は、此の一門の棟梁にして、推斷する時は須らく其の旺相を細細に鋪陳し開くべし。官鬼は考官と試題とを主る。子孫は錦の如く、子弟の榮昌を主る。(舊注:官星と文書と兩邊俱に強く、月建又本宮を培植せば、必定文魁を奪得す。子孫の發動は官星を傷り、妻財の發動は文書を破り、官鬼の發動は禮數を奪去す。父母の父母を化するは、文辭は典雅なり。父母の官鬼を化するは、功名は艱難なり。)

又曰:兄弟雷同難上榜,妻財美論豈能強,父化父兮多雜犯,父化官兮總不方。要文書持世,無刑無克,太歲貼身,必占魁元。

又曰く:兄弟爻は文章の雷同を主り、上榜し難し。妻財爻は雖も話を説くを得て漂亮なるも、却て正に文書を剋し、終究は強まる能はず。父母の父母を化するは、文の中に夾雜して冲犯の處多し。父母の官鬼を化するは、總じて規矩に合せず。總じて文書の世を持ち、既に刑を受けず又剋を受けず、再び太歲の世身の上に貼る有らば、那は必定頭名を占むるを得。

凡占試以鬼為主,看伏在何爻下,要日辰生扶命出。且如春未日,占剝卦,官在文書下有氣,日辰合出生,中試。

凡そ考試を占するは官鬼を以て主爲とす:其れの何れの爻の下に伏するかを看て、須らく日辰の能く其れを生じ其れを扶け、其れを帶び出して始めて行くを得。例を擧げて言へば:春の未日に《剝》卦を占得して、官鬼は文書即ち父母爻の下に伏して氣有り、未日は其れと相合し又能く其れを生じ、其れを引き出す、此れを中試と断ず。

赴詔面君子堂,宜官鬼出現,鬼墓發動不須推。除遷以鬼爻持世,鬼或發,臨鬼墓,不吉。求職請判,在任宜鬼爻靜,鬼發或動子出,有替。

詔を奉じて朝に入り、君主に殿堂に於て面見せんとするに、官鬼爻の卦に明現するを宜しとす。若し官鬼の墓に入りて又發動せば、那は則ち再び推するに及ばず、事情は必ず諧はず。除授遷轉を求むるに、官鬼の世を持するを以て吉爲とす。官鬼の若し發動し、或いは鬼墓の上に臨めば、皆吉利ならず。差遣を求め、判牒を請ひ、及び現任の官員の任上の安否を占するは、皆官鬼の安靜を宜しとす。官鬼の一たび動き、或いは子孫の動きて出でて官を剋せば、那は則ち人の來りて汝の位子に接替せんとする有るなり。

文書

見貴求謀問立身,文書不動及時辰,財動文書空費力,子動傷官事不亨。又曰:事見兩爻須再覓,官多宛轉恐艱難,最要日辰生合出,知音處處得前程。

貴人に謁見し、進身を圖謀するに、問ふ所は自身の能く立ち住むを得るか否かなり:文書爻の安靜にして動かず、又合宜の時辰に趕上すれば、事は則ち順なり。妻財の發動して文書を剋するは、氣力を白費す。子孫の發動して官星を傷るは、事情は通ぜず。又曰く:一件事の卦中に兩爻を占めば、便ち別に門路を尋ねて重ねて求むるを得。官鬼の多くして重疊せば、事情は輾轉周折して、恐らく艱難ならん。最も緊要なるは日辰の能く其れを生じ其れと合し、其れを帶び出すにして、那は則ち處處に知音に遇ひ、前程は期すべし。

如六爻中,只一爻動,最忌兄弟動,事不實而難成。若文書與貴人卦中原無事,亦難成。出現有氣,亦怕空亡,所謂動爻急如火攻,急落空亡。求官與文書,要旺相持世有成。

如果六爻の中に只だ一爻の發動するは、最も此の一爻の兄弟たるを忌む:兄は虚詐を主り、事情は實在せず、成就し難し。若し文書爻と貴人を代表する官鬼爻と卦裏に原本に無ければ、那も亦成り難し。用神は縱使出現して而も氣有るも、仍お空亡の裏に落ち込むを怕る。所谓動爻は火攻の如く急なるは、勢ひ來る雖も猛なるも、一たび空亡に落ちば則ち急々として消散す。官を求むると文書を求むるとは、皆用神の旺相にして又世を持するを要して、始めて成就有り。

應爻不克,事體分明,乾兌坎宮,謀事不一。見官用動,其人多出亦空喚。

應爻の來りて世を剋せざれば、事情の原委は便ち清楚分明なり。若し卦の乾宮・兌宮・坎宮より出づれば、事を謀るは便ち專一ならず、頭緖は分歧す。將に官長に見えんとするに、用爻の若し發動せば、那人は多半外出せり、去るも亦白く一趟跑りて、空しく一聲を喊ぶのみ。

求財

占財旺相喜持世,出現生扶司秉勞,脫貨求財要用興,開張生意方得利。(眉批:最忌空亡臨財,飛爻克伏,徒為費力。)

錢財を占するに、喜ぶ所は妻財の旺相にして又世を持するなり。財爻の卦に明現して、再び生扶を得ば、自己の其の事を執掌して勞して酬有るを主る。貨物を脱手して財を求むるに、用神の發動して始めて行くを得。此の如くして生意を開張して、方に利を得るを得。(舊注:最も財爻の空亡に落ち、或いは上頭の飛爻の伏せる財爻を剋住するを忌む、那は皆氣力を白費するなり。)

又曰:月破空亡未可憑,飛爻克伏要留神,若求件件皆如意,但看財生世者是。(眉批:且如寅日卜得益卦,討益當日便有益,日辰比財庫中也。)

又曰く:財爻の月破に逢ひ、空亡に落つるは、皆靠り難し。飛爻の伏爻を剋住するは、尤も留神を要す。若し件件の稱心如意せんと要せば、只だ是れ妻財爻の來りて世爻を生ずるか否かを看よ——財の來りて我を生ずれば、纔に真に手に到ると算す。(舊注:譬へば寅日に《益》卦を占得して、好處を討要しに行けば當日に便ち得る所有り、日辰は財と氣を同じくして、正に財庫の中に比合するが故なり。)

世空不妨,即需鼎困豫家人,始雖艱難,終可如意。為脫貨,宜動。至如開張販賣,營運抽拈,停塌賭博,索欠覓借,並要財爻旺相,日辰生扶,官靜言祥。如福德旺相,亦可有財。

世爻の空に落つるも亦妨げず、《需》《鼎》《困》《豫》《家人》の此の幾卦の如きは、起初は雖も艱難なるも、最終は皆意の如くなるを得。若し是れ貨物を脱手するは、用神は發動を以て宜しと爲す。至る所開張販賣、經營週轉、抽頭拈利、貨物を囤積し、賭博し、欠債を索取し、借貸を張羅する此れ等の事は、皆妻財爻の旺相にして、日辰又來りて生扶し、官鬼の安靜なるを要して、始めて吉利の話を説くを得。假如子孫福德爻の旺相なれば、子は能く財を生じ、亦一樣に得るべき財有り。

凡財爻旺相出現者,日克之必有。日辰旺相,卻不要克他,看財伏於何爻,日辰沖散飛爻,其財必有。

凡そ妻財爻の旺相にして又卦中に明現するは、就使日辰の來りて其れを剋するも、財は亦必定有り——旺財は剋を怕れず。但し若し日辰の自身正に旺なれば、便ち其れをして財爻を剋するに到らしむるべからず。財爻の若し出現せずば、須らく其れの何れの爻の下に伏するかを看て、只だ日辰の上頭に壓する飛爻を冲散すれば、此の筆の財は必定手に到る。

凡卦中無財,殊不知福能生財,但能福爻旺相,必遂。又卦內無財無福,月令中有財,亦可成。或日辰是財,當日亦有。此謂之無中生有。凡有財卦即此,亦不可錯過,慎之。

卦中に若し妻財無ければ、人は多く財を求むべき無しと爲す、殊に知らず子孫福德は能く財を生ず:只だ福爻の旺相ならば、財を求めば必ず遂ぐ。又卦內に既に財無く又福無くして、而も月令の本身は則ち財なるが如きは、亦一樣に成るを得。或いは日辰が則ち財なれば、那は則ち當日に便ち得る所有り。此れを「無中に有を生ず」と謂ふ。凡そ此の一類の實に取るべき財有る卦に属するは、切に無財と當りて錯過すべからず、務めて須らく謹慎に分辨すべし。

博戲

博戲求財皆是木,子孫出現世臨之,更兼旺相無刑剋,管取歡欣稱意歸。(眉批:子孫持世,財旺得遂,鬼爻持世,福星無益。)又曰:世爻見鬼應來克,縱有精神也是輸,福德休囚皆陷伏,往來空去下工夫。

賭博博戲にして財を求むるは、皆木爻を以て主爲とす。須らく子孫爻の卦に明現にして、而且正に世爻の上に臨むを要す。再び旺相にして刑剋を受けざれば、那は保管して歡歡喜喜、心に稱ひて歸らん。(舊注:子孫の世を持して財爻又旺なれば、求むる所は得て遂ぐ。官鬼の世を持すれば、福星は便ち忙を幫ふ能はず。)又曰く:世爻の上に官鬼を坐し、應爻又來りて世を剋せば、縱使精神百倍なるも還だ輸なり。子孫福德の若し休囚にして、或いは下に陷伏して出頭する能はずば、那は則ち來り去りて白く一場の工夫を下すのみ。

間爻動,沖撞多,兄弟動多鬧,官動財爻必輸。

間爻の發動は、賭局の上に冲撞爭執必ず多し。兄弟爻の發動は、是れ喧鬧して財を奪ふ。官鬼爻の發動して妻財は其れに牽制せられば、那は則ち必ず輸く无疑なり。此の三三條は賭戲の中に於て最も直接の敗象なり。

送物

送物與人宜世動,財爻若發去留也,世應並興歡喜悅,反蒙他家物惠多。(眉批:世動財發,去必留之。世應並興,成此歡悅。)

人に禮を送るに、世爻の發動を宜しとし、禮は始めて手より送出すを得。妻財爻の若し亦發動せば、那禮は送り過ぎて對方は一定に收下せん。世と應との兩邊同時に興動すれば、雙方は皆歡喜し、不但禮は送り成るのみならず、反つて還だ對方の更多の回贈を承受せんとす。(舊注:世の動きて財又動けば、送り去れば必ず留下せらる。世應の同興は、此の一段の歡悅を成就す。)

出行

遠行世墓身難動,鬼發財爻莫上舟,絕命游魂休舉步,扶身福德任前行。(眉批:世動宜行,尤宜遠行,傍動行遲,八純之卦,不宜遠行。世墓之方,大不可行。)又曰:父母發兮風雨阻,動爻克世路艱難,子孫出現官爻伏,旺相財爻千里安。

遠行する時に世爻の墓に入れば、人は動身し難し。官鬼の發動して妻財又動きて來りて鬼を生ずれば、便ち船に上るべからず。絶命卦・游魂卦を搖得せば、一步も邁ぐべからず。子孫福德爻の世身を扶助する有れば、那は則ち只管前行すべし。(舊注:世爻の發動は出行に宜しく、尤も遠行に宜し。旁爻の發動は則ち行程は遲緩なり。八純の卦は遠行に宜しからず。世爻の墓に入る那箇の方位は、萬萬に去るべからず。)又曰く:父母爻の發動は、路の上に風雨の阻隔有り。動爻の來りて世爻を剋するは、道路は艱難なり。子孫爻の明現して官鬼は伏藏して出でず、再び妻財爻の旺相なれば、那は則ち千里の行も亦平安なり。

謁見

謁人須問謁何人,世應作鬼枉勞心,用爻出現不乘旺,往見必不在家庭。世應坐鬼,彼此疑心,用爻衰弱,我何籍焉。

人に謁見せんと去るに、先に見る所は何の人なるかを問清して、始めて用神を定出するを得。世爻と應爻との上に官鬼を坐するは、那は心計を白費するなり。用爻は雖も已に卦中に出現するも、旺に當らざれば、去れば那人は必定家に在らず。世應の鬼に坐するは、彼此心裏に皆疑忌を存するなり。用爻の衰弱なれば、那人は忙を幫ふ能はず、我は又其れに何を憑藉せん。

行人

文望行人慾候歸,爻神出現必歸期,信來父母交重發,旺相扶生可待時。又曰:鬼動克身凶信至,若不遭凶禍必隨,要知行者來何日,先問何人占是誰。(眉批:占家親者,以墓為歸,爻神日辰出現,不克行人,可待。若望遠路,用爻值月,以定行期。)

行人の歸來を盼ぐ:只だ用神の爻の卦中に明現すれば、則ち必ず歸期の定る可き有り。音信の到らんとするは、父母爻の交重發動なり。用神の旺相にして又生扶を得ば、歸期は便ち坐等するを得。又曰く:官鬼の發動して來りて世身を剋すれば、凶信は將に至らんとす。即便凶事に遭はざるも、禍患は亦踵を接して來らんとす。門を出づる人の何れの日に回るかを知らんと要するは、先に占する所は誰なるか・誰に由りて占するかを問清して、用神は始めて准を定るを得。(舊注:自家の親人を占するに、用神の墓に入る日を以て歸期爲とす。用神と日辰と皆卦に出現して、又行人を剋せざれば、那は則ち待つを得。若し盼ぐ所は遠路の人ならば、則ち用爻の何れの月に值するかを看て、據りて以て歸期を定む。)

又曰:變動行人應取之,日辰生旺定歸期,出現有氣生取用,不落空亡亦主回。

又曰く:卦中に爻の變動有れば、則ち其れが變出する爻を取りて以て行人を断ず。再び日辰の其れに對して生か旺かを看て、此に據りて歸期を定出す。用神の卦に出現して、氣有りて又生を得れば、則ち取り來りて用爲と爲すを得。只だ其れの空亡に落ちざれば、一樣に人の回らんとするを主る。

又曰:間動人必阻歸期,月破親爻去不回,伏義扶世日辰出,消息遠來無改移。世臨四五無蹤跡,初二三爻在目令。

又曰く:間爻の發動は、中途に必ず人事の歸期を阻ぐ有り。六親の用爻の若し月破に逢へば、那人は一たび去りて便ち回來せず。伏神の義は世爻を扶助するに在り、只だ日辰の其れを帶び出せば、遠方の消息は一定に期の如くして至り、更改せざらん。世爻の第四・第五爻の上に臨めば、那人は渺として蹤迹無し。世爻の初、二、三爻の上に在れば、那人は眼前の不遠に在り。

又曰:八純卦伏求方所,應現墓方尋的真,獨發之爻亦可取,自知賊若屈和伸。(眉批:用神伏藏,以生為方。)

又曰く:八純卦を搖得すれば、用神は多半伏藏し、則ち伏神の所在する處より去りて方位を求めんとす。應爻の現る所の墓庫の方位に照應して找ねば、始めて尋ね得て准なり。卦中の獨發する那一爻も、亦取り來りて以て方を定るを得。此の如くして自然に尋ぬる所の人或いは賊の屈か伸か、躲れるか走るかを知るを得。(舊注:用神の伏藏する時は、其れを生ずる那一支の属する所の方位を以て方爲とす。)

去方:乾方天父玉樓君,坤方地母金臺臣,震長雷霆園林木,巽直風言草木繩。(眉批:丑東北,辰東南,未西南,戌西北。)

論ずる所の去る方位:乾は西北に在り、象を取りて天爲・父爲・玉樓爲・君主爲と爲す。坤は西南に在り、象を取りて地爲・母爲・金臺爲・臣下爲と爲す。震は東方に在り、長男爲にして、象を取りて雷霆、園林と樹木と爲す。巽は東南に在り、其の性は直にして、象を取りて風爲、號令言語、草木と繩索と爲す。(舊注:四墓の支の主る所の方位は——丑は東北、辰は東南、未は西南、戌は西北に在り。)

又曰:凡財出現,在五爻之下,不動可見。若伏在下,其物閉藏,須是日辰生扶出,乃可見。

又曰く:凡そ妻財爻の第五爻以下の位置に出現するは、只だ其れの動かざれば、那東西は看て得られ、尋ね得る。若し其れの別の爻の底下に伏藏せば、此の件の東西の閉藏せられたるを説明す、必ず日辰に頼りて其れを生じ其れを扶け、其れを帶び出して、始めて見るを得。

又曰:損失動爻隨件數,物色還將數上凍,出現財爻多易覓,官藏內象主家親。鬼休財靜終須覓,坤艮之宮早去尋,應動傷財人已去,六爻亂動不分明。

又曰く:丟失せし東西の幾件有るかは、則ち卦中の動爻の數目に隨りて推す。東西の成色品類も、亦爻數の上に於て定住す。妻財爻の卦に明現すれば、多半易く找回す。官鬼の內卦の象の裏に藏るゝは、那は則ち自家の親人の爲す所なり。官鬼の休囚にして、妻財の安靜なれば、東西は終究尋ね得る。卦の坤宮・艮宮より出づれば、則ち趁早に西南、東北の兩箇の方位に往きて找すべし。應爻の發動して財爻を傷れば、東西を拿る人は已に走り去れりを説明す。六爻亂動せば、那は則ち頭緖紛紜として、説り分明ならず。

非鬼為賊,獨發之爻亦可取。但以足爻身爻動,行人皆至。世空來速,應空過去,一自歸魂卦,世動不來,或別處去。

官鬼の爻ならざるも、有時は亦賊と當りて看るを得。卦中の獨發する那一爻も、同じく取りて以て賊を定るを得。只だ足爻と卦身の爻と發動すれば、行人は皆到らん。世爻の空に落ちば、人の來るは快し。應爻の空に落ちば、人は已に過ぎ去れり。一たび歸魂卦に搖り到りて世爻又動けば、那人は便ち回來せず、或いは別處に轉往して去れり。

失物

失物未知何物色,先向財爻伏下尋,財爻不動宜尋覓,鬼現非親是外人。妻財在內不出屋,子旺還須祝告親,應動物藏方見易,亂動逆亡失不明。(眉批:財動宜尋,鬼現非親,財內未出,子現可覓,應動變易,亂動逆亡。)

東西を丟して何の成色品類なるかを知らずば、先に妻財爻及び其れの伏する處に到りて找すべし。財爻の安靜にして動かざるは、正に尋覓に宜し。卦中の官鬼の明現すれば、那東西を拿るは自家の人にあらずして、外人なり。妻財の內卦に落つれば、東西は還だ屋を出でず。子孫の旺相なれば、還だ須らく神明に禱告し、親長に告知して助を求めよ。應爻の發動せば、東西は已に別處に挪り去られ、方位を換ふれば始めて見着き易し。六爻亂動せば、那は則ち丟れて不明不白、逆料して尋ね難し。(舊注:財の動は尋ねるに宜しく、鬼の現は親に非ず、財の內卦に在れば則ち門を出でず、子孫の出現すれば尋覓するを得、應の動は則ち物の轉移有り、亂動は則ち失して明らめ難し。)

以財相助,以鬼為賊,出現最急,傍爻為坎。又曰:土城火動山崗嶺,用上親方自得真,事爻出現人非遠,用墓刑空可急尋。(眉批:土動鬼現,不遠游魂,遠去鬼魂,還鄉世子。內動在近,外動在遠,用初世現,以旺為方。)

失物を断ずるに、妻財爻を以て失する所の物爲とし、尋找の憑據を作し、官鬼爻を以て賊爲とす。用神の卦中に出現すれば、事は最も緊急にして、須らく速追すべし。旁爻は則ち坎陷の義を取りて、物の坑坎の低窪の處に落つるを主る。又曰く:土爻の動は城郭を主り、火爻の動は山崗の嶺脊を主る。則ち用神の臨む所の相親しき方位に就きて找すべし、始めて尋ね得て真なり。事爻の明現すれば、那人は還だ遠しと算せず。用神の墓に入り、刑を受け或いは空に落ちば、便ち趕緊に去找すべし。(舊注:土爻の動きて官鬼の出現すれば、人の走るは遠からず。游魂卦は遠去を主り、歸魂卦は還鄕を主る、須らく世爻と子孫とを看よ。內卦の動は近處に在り、外卦の動は遠處に在り。用神の初爻に在りて世爻の明現すれば、則ち旺相の支の属する所を以て方位とす。)

又曰:鬼爻發現人難捉,游魂應愛走他方,歸魂不久還鄉井,世動與身旺路傍。

又曰く:官鬼爻の發動して又明現すれば、那賊は捉へ難し。游魂卦を搖得せば、應爻は此の人の別處に往きて跑るを愛するを主る。歸魂卦を搖得せば、久しからずして其れは則ち自己の鄕里に回らんとす。世爻の發動して卦身又旺なれば、那人は多半則ち路の旁の近處に在り。

又曰:走閃先觀世應神,應爻發動便難尋。若以鬼為賊,更以日干為主,分別老少。六畜以子為用爻,父動便休也。(眉批:此火六畜只宜子孫為用,父母動便休矣。)

又曰く:人の躲藏走失するは、先に世爻と應爻との此の兩箇の主神を看よ。應爻の一たび發動せば、便ち尋ね難し。若し官鬼を以て賊爲とせば、還だ再び日干を拿りて主爲を作し、據りて以て此の賊の老か少かを分辨す。走失せる六畜を占するに、子孫爻を以て用神爲とす、父母爻の一たび動けば、子孫は剋を受け、那は則ち指望無し。(舊注:此の一條の説く走失の六畜は、只だ子孫を取りて用爲とするに宜し。父母の一たび發動すれば、事情は便ち了れり。底本の「此火」の「火」は「失」の字の誤り。)

逃亡

走卻先求得用神,福藏寺觀父投親,兄弟動速必有伴,伏坐財鄉隱婦人。(眉批:福藏寺觀,父投親屬,兄動有伴,伏財婦人。)

人の逃走を占するに、先に用神を取定せんとす:用神は子孫なれば、人は寺、人は寺觀の裏に藏る。用神は父母なれば、人は親戚に投奔して去れり。兄弟爻の發動して急なれば、那人は必定同伴を結びて同行せり。用神の妻財の下に伏すれば、那は則ち婦人の家中に躲るるなり。(舊注:福德は寺觀に藏身するを主り、父母は親屬に投靠するを主り、兄の動は同伴有るを主り、財の下に伏するは婦人の處に藏るゝを主る。)

去路

動宮官舍近軍伍,動水河邊近水亭,木動乘船金動丸,火為鬧市甚分明。坎實雨露舟車獄,離虛日火旺空禽,艮重門山雲霧露,兌霞缺澤妓軍營。(眉批:動宮官舍,動水水邊,木動乘船,火動鬧市。)

逃者の走る所の路徑を推す:動爻の官宮の象に属すれば、人は官舍或いは軍營に近し。動爻の水に属すれば、人は河の邊或いは水亭に近し。木爻の動は、人は船に乘りて走るなり。金爻の動は、丸轉の象を取りて、行止は定まらず。火爻の動は、人は鬧市の中に在り、此の一條最も分明なり。八卦に就きて言へば:坎は實爲、雨露爲にして、舟車と牢獄とを主る。離は虚爲、日火爲にして、旺なれば則ち空中の飛禽を主る。艮は重門爲、山爲にして、雲霧の露氣を主る。兌は雲霞爲、缺口の沼澤爲にして、妓館と軍營とを主る。(舊注:動爻の宮に属するは官舍に在り、動爻の水に属するは水の邊に在り、木の動は船に乘り、火の動は鬧市なり。)

盜賊

官鬼當頭是賊爻,交重傷身禍必遭,再得子孫來解救,不臨旺相也難逃。(眉批:鬼動是賊,克世遭殃,子動來救,鬼衰可獲。)

官鬼の頭に當るは、那一爻は則ち賊なり。其れの交重發動して世身を傷及せば、必定禍に遭はんとす。若し再び子孫爻の發動して來りて解救し、官鬼又旺相に當らざれば、那賊は則ち逃げ掉げず、一定に捉へ得る。(舊注:鬼の動は便ち賊なり、世を剋すれば則ち殃に遭ふ、子の動きて來り救援すれば、鬼の衰は便ち擒獲すべし。)

六親定方

父母金爻槁,木爻圓,火爻城,土爻野,水爻郭池湖。子孫金爻寺觀,木爻樓上,土爻廚閣,水爻酒肆,火爻鬧市。妻財土爻庫,木爻倉,水爻茶,金火爻奴妾。兄弟水爻房,土爻節,木爻瓦,金火爻賭坊。官鬼木爻山林,土爻祠廟宇,火爻廳場,金爻金鐵,水爻路傍。

六親に按りて再び五行を配し、人物の所在する處所を定出す。父母爻:金に属するは槁木の堆積する處を主り、木に属するは圓形の地を主り、火に属するは城中を主り、土に属するは郊野を主り、水に属するは外郭、池塘と湖泊とを主る。子孫爻:金に属するは寺觀を主り、木に属するは樓上を主り、土に属するは廚房の閣樓を主り、水に属するは酒肆を主り、火に属するは鬧市を主る。妻財爻:土に属するは庫房を主り、木に属するは倉廩を主り、水に属するは茶坊を主り、金に属し火に属するは奴婢姬妾の處を主る。兄弟爻:水に属するは房舍を主り、土に属するは關節の隘口を主り、木に属するは瓦屋を主り、金に属し火に属するは賭坊を主る。官鬼爻:木に属するは山林を主り、土に属するは祠堂の廟宇を主り、火に属するは廳堂の場院を主り、金に属するは金鐵の作坊を主り、水に属するは路の旁を主る。凡そ人を尋ね物を尋ぬるは、則ち此の一張の表に照りて爻の五行に按りて方位を指す。

應爻定方

應在兄弟木,是相識人家。應在官鬼,有勾引出去,或官司去處。應是父母,投親戚家,或入手藝人家。應是財,則奴婢姑娘人家。應是子孫,在寺觀廟宇處。

再び應爻の上より人の去り所を定む。應爻は兄弟にして木に属すれば、人は相識の人家に在り。應爻は官鬼なれば、是れ人に勾引されて出で去りたるか、或いは官司の衙門の裏に落つるなり。應爻は父母なれば、是れ親戚に投奔するか、或いは手藝の人家に進み入るなり。應爻は妻財なれば、那は則ち奴婢、姑娘の一類の人家に在り。應爻は子孫なれば、人は寺觀の廟宇の中に在り。應爻は對方を代表す、故に專ら其れを拿りて以て人の投靠する所の門戶を断ず。

官訟

禁訟憂官兩未□,應為財主世為身,鬼旺墓鄉須下獄,官臨歲動達朝廷。(眉批:應為對主,世為己身,鬼旺墓獄,歲官陷廷。)

拘せられ訟せられ、官非を憂ふるは、兩下裏に皆還だ着落無し(底本此の句は一字を缺き、「禁訟憂官兩未□」と作る、今其の缺を存して補せず)。應爻は對頭と財貨の主人とを代表し、世爻は自身を代表す。官鬼の旺相にして又墓鄕に落入するは、那は獄に下らんとするなり。官鬼の太歲に臨みて發動すれば、此の案は朝廷に上達せんとす。(舊注:應は對頭爲、世は己身爲。鬼の旺にして墓に入るは牢獄を主り、太歲の官に臨むは訟の朝廷に陷るを主る。)

又曰:鬼旺出現催公判,卦若傷財理不明,應爻坐鬼他遭責,身下藏官我不贏。(鬼現公判,財無理者,應鬼被責,世鬼我輸。)

又曰く:官鬼の旺相にして卦に明現すれば、官府は久しからずして則ち判を下さんとす。卦中に若し妻財の傷を受けば、那は自己の此の一邊の道理は講じ明白ならざるなり。應爻の上に官鬼を坐するは、對方の責罰を挨らんとするなり。世身の下に官鬼を藏るゝは、那は我の此の一邊は贏つ能はざるなり。(夾注:鬼の現は則ち公家の判決、財を傷れば則ち理無し、應爻の鬼を帶ぶるは對方の責を受く、世爻の鬼を帶ぶるは我方の敗訴なり。)

又曰:卦值兩官官疊見,兄爻發動起同人,財多損子災難脫,輕者徒流重者形。(兩官重見,兄動子眾,財多誤子,輕徒重刑。)

又曰く:一卦の中に兩重の官鬼を出現するは、那は官司の疊出、案の上に又案を生ずるなり。兄弟爻の發動は、是れ衆人の一同に牽扯せられ入るなり。妻財の過多なれば則ち子孫を剋損し、子孫は本來解神にして、解神の傷を受けば、此の災禍は則ち身を脱する能はず:輕ければ則ち徒刑流放を判せられ、重ければ則ち刑戮を動かんとす。(夾注:兩官の重見は則ち案疊し、兄の動は則ち案に渉る人多し、財の多は則ち子孫を誤り、輕きは徒流、重きは刑戮なり。)

又曰:脫事散官尋福德,父興財發事關身,動爻克世人來累,兄動虛憂假變真。(福德脫事,父興關身,動克世累,兄動防憂。)

又曰く:身を脱りて事を了し、官非を消散せんと要想するは、則ち子孫福德爻の上に到りて出路を找すべし。父母の興起し、妻財の發動すれば、此の案は則ち自身に牽連せんとす。動爻の來りて世爻を剋するは、是れ人の來りて我を連累する有り。兄弟爻の發動は、本來不過虚驚の一場、弄び好からざれば亦假を弄りて真と成さんとす。(夾注:福德は能く事を脱し、父の興は則ち己身に關渉し、動爻の世を剋するは則ち累を受け、兄の動は須らく憂疑の實禍と變ずるを防ぐべし。)

不問旺相休囚,但以世持福德,更看克爻定之。凡下狀,要官爻旺相,可以先布芳,休囚不可陳論。若言鬼持克世,必有罪名。

此の一門は必ずしも先に旺相休囚を論ぜず、只だ世爻の上に子孫福德を持てば、便ち先に不敗の地に立つ。再び是れ何れの爻の來りて世を剋するかを看て、據りて以て案情の輕重を定む。凡そ狀紙を遞りて人を告げんと要するは、須らく官爻の旺相にして、始めて先聲に人を奪ふを得。官爻の休囚なれば、便ち陳情申論しに去るべからず。若し官鬼の世を持して又世を剋せば、那は自己は必定一箇の罪名を落さんとす。

父動克世,因勾惹之事,世空自散宜和解,應空詞者沒前期了。但如疑一人阻我之事,要占是本人否,專有應爻持財子父,並安靜,不是,空亦然。應世官兄,或化兄鬼,是此人也。

父母爻の發動して來りて世を剋するは、那は文書の勾牒に因りて惹き出せし事なり。世爻の空に落ちば、官司は自ら消散し、正に和解に宜し。應爻の空に落ちば、狀を告ぐる一方は便ち下文無く、前の案は罷と作す。譬へば或る一箇人の中より我が事を阻撓せんと疑ひ、究竟其れなりや否やを占はんと想はば、則ち專ら應爻を看よ:應爻の上に妻財、子孫或いは父母を持ち、而且安靜にして動かざれば、那は則ち其れに非ず。應爻の空に落ちば、亦其れに非ず。若し應爻と世爻と官鬼、兄弟を帶び、或いは兄弟、官鬼を變出し來れば、那は則ち正に此の人なり。

憂疑

世空世動其憂脫,子現官衰事不妨,鬼動八純持克世,官興旺相禍難當。(眉批:八純持世,鬼爻亂動,旺相禍重。)大凡憂疑之事,如得世空世動,則無咎矣。得子現官衰,全無害耳。

世爻の空に落ち、或いは世爻の發動すれば、此の一層の憂慮は則ち脱け開くを得。子孫爻の明現して官鬼の衰弱なれば、事情は妨げず。若し官鬼の發動し、又八純卦を搖得して世を持ち世を剋し、官星の興旺して勢を得ば、那禍事は則ち抵當し住る能はず。(舊注:八純卦の世を持し、官鬼の爻の亂動し、再び旺相に逢へば、禍患は極めて重し。)大凡憂疑の事は、只だ世爻の空に落ち或いは世爻の發動せば、便ち災禍有らざらん。再び子孫の出現して官鬼の衰敗するを得ば、那は則ち一點の妨害も無し。

征戰

出陣交兵問吉凶,怕嫌鬼旺克持身,世墓我軍不可動,應傷彼陣折人兵。(鬼旺不宜,世墓固守,應傷彼凶,世陰復牽。)又曰:世坐陰宮宜後舉,身臨陽象利先征,子孫得地兵必勝,妻財糧草要相乘。(眉批:世應先征)

陣に出でて交戰して吉凶を問ふは、最も官鬼の旺相にして來りて世を剋し身を持するを怕る。世爻の墓に入れば、我方は輕動すべからず、只だ堅守に宜し。應爻の傷を受けば、對方の陣營は人馬を折損せんとす。(夾注:鬼の旺は出戰に宜しからず、世の墓は固守に宜しく、應の傷は則ち對方の凶、世の陰位に居るは則ち反つて牽制を受く。)又曰く:世爻の陰宮に坐するは、後發にして人を制するに宜し。卦身の陽象に臨むは、先發進擊に利有り。子孫爻の地を得ば、我軍は必ず勝つ——子孫は正に我方の將士なり。妻財爻は其れと相生相承せんと要す、那は則ち糧草の接濟は上り得るなり。(舊注:世應を看て以て先發か後發かを定む。)

又曰:火鬼克身防劫寨,水發臨宮不可停,土動八方兵不一,木宮傷世慮生擒。(眉批:土為炮石,金為刀刃,水為舟車,火為營寨。動爻克世,提防刺客,應值空亡,已促太平。)

又曰く:火爻の官鬼を帶びて來りて世身を剋するは、敵人の營を劫し寨を燒くを提防せんとす。水爻の發動して本宮に臨めば、營地は久停すべからず、恐らく水攻に遭ひ或いは營を移すを須らん。土爻の發動は、八方の來兵は一路に止まらず。木宮の爻の世を傷れば、須らく人に生擒せらるゝを慮るべし。(舊注:土は砲石爲、金は刀刃爲、水は舟車爲、火は營寨爲。動爻の世を剋するは、刺客を提防せんとす。應爻の空亡の裏に落ちば、對方は已に鬪志無く、太平は間近に在り。)

又曰:金火不宜持世應,兩家流血害交征,兄弟奪糧兼變發,父母旌旗怕動興。

又曰く:金爻と火爻とは皆世爻、應爻の上に臨むに宜しからず——金は刀刃を主り、火は焚燒を主り、兩家は皆血を流さんと要し、交りて殘害す。兄弟爻は糧を奪ふを主り、其れの一たび發動して又變を生ずれば、糧道は必ず劫せられん。父母爻は旌旗の號令を主り、最も其れの動きて興起するを怕る、旗號の一たび亂るれば、陣脚は便ち穩ならず。

以兄為彼賊,以子孫為我軍。若子孫旺相,行其交戰必勝,出現宜先,伏藏宜後。

兄弟爻を以て對方の敵兵と當つ(底本は「以兄為彼賊」と作る、旁校は「兄」は當に「鬼」の字の誤りと説く)、子孫爻を以て我方の軍隊と當つ。若し子孫の旺相なれば、戰を交起すれば必ず勝つ。子孫の卦に明現すれば、先發にして人を制するに宜し。子孫の伏藏して出でざれば、則ち後動に宜し。

凡鬼爻旺相,或獨發,或持世,大敗之兆,不可出征。六爻不動,世旺克應,亦可勝。父母旌旗,兄弟伏兵,大忌獨發。子孫旺相獨發,則賊兵自敗,亦可降伏。

凡そ官鬼爻の旺相にして、或いは獨自發動し、或いは世爻の上に臨むは、皆大敗の兆にして、兵を出すべからず。六爻の全く皆動かずして、世爻の旺相にして應爻を剋する能くば、亦一樣に勝つ可し。父母爻は旌旗の號令にして、兄弟爻は伏兵なり、此の兩爻は最も單獨の發動を忌む。唯獨子孫爻の旺相にして獨發すれば、敵兵は自ら潰敗し、還だ其れ等を收降するを得。

晴陰

天象陰晴父母推,雨雲擊剝五行隨,子孫霞氣並雲彩,冬水冰寒雪不移。(眉批:以父母爻為主。)又曰:財動乍晴陰不足,弟兄風雲霧露持,鬼興霹靂神龍急,雲雷滂沱閃電飛。(眉批:財動主晴,父動主雨,子主彩霞,兄主風雲,鬼動霹靂,水動滂沱,火動晴明。)

天象の陰晴を占するに、父母爻を以て主爲として推す。雨、雲、雷擊、剝蝕の此れ等の景象は、各爻の五行に隨りて定む。子孫爻は霞氣と雲彩とを主る。冬季は水爻の令に當り、冰寒の霜雪を主り、凝りて化せず。(舊注:父母爻を以て主爲とす。)又曰く:妻財爻の發動は乍晴を主り、陰氣は足らず。兄弟爻の之を持するは、風雲の霧露を主る。官鬼爻の興起は、霹靂の驟降、神龍の雨を行ふの急を主る。雲雷の相合すれば、則ち大雨滂沱、閃電の飛馳す。(舊注:財の動は晴を主り、父の動は雨を主り、子孫は彩霞を主り、兄弟は風雲を主り、鬼の動は霹靂を主り、水の動は滂沱を主り、火の動は晴明を主る。)

又曰:水動雨兮土動陰,木動生風火動晴,卦中無水必有雨,六爻無火不光明。又曰:坎兌滂沱坤艮陰,震巽風雷雨便晴,但向外卦看緊慢,乾離二象主晴明。(眉批:坎兌雨澤,震巽風雷,坤艮主陰,乾離時明。)

又曰く:水爻の發動は雨を下すを主り、土爻の發動は陰天を主り、木爻の發動は風を生じ、火爻の發動は晴れ放つを主る。卦中に一箇の水爻も無ければ、反つて必定雨有り、此れは無中に有を生ずの理なり。六爻の裏に一箇の火爻も無ければ、天は便ち光明を放たず。又曰く:坎、兌の二卦は大雨滂沱を主り、坤、艮の二卦は陰晦を主り、震、巽の二卦は風雷の過ぎて隨りて晴に轉ずるを主る。只だ須らく外卦を看て、據りて以て雨勢の緊慢を判斷せば良し。乾、離の二象は則ち晴明を主る。(舊注:坎兌は雨澤を主り、震巽は風雷を主り、坤艮は陰を主り、乾離は晴明を主る。)

五行以外卦有動有變出者是,水爻出現,有兩爻變出水爻,亦有雨。

上面の説く所の五行は、皆外卦の中に發動有り、變出する爻有るを以て準爲とす。譬へば卦裏に本來水爻の出現有りて、又兩爻の變じて水爻を出さば、那も亦一樣に雨有り。天時を占するに內卦を取らざるは、天は外に在り地は內に在るに因りて、外卦は纔に天象の寄る所なり。

贏 滿 聚 散 生 虧 不父 滂沱 連日 不定 細微 漸布 六爻 五爻 四爻 三爻 二爻 一爻

此れは爻位に按りて雨勢を断ずる一張の對照表にして、三行上下相配して讀む:第六爻は「贏」爲にして、雨氣は餘有り(底本此の格は「不父」と作る、字は訛脱有り)。第五爻は「滿」爲にして、大雨滂沱を主る。第四爻は「聚」爲にして、連日開けざるを主る。第三爻は「散」爲にして、陰晴の定まらざるを主る。第二爻は「生」爲にして、細雨の微濛を主る。初爻は「虧」爲にして、雲氣の漸漸散り布きて雨意は未だ足らざるを主る。大體は爻位の愈高きは、雨は愈大にして愈久し。爻位の愈低きは、雨は愈小にして愈薄し。

養蠶

子為蠶命宜安靜,財為救斂要扶持,鬼興父動重還賽,兄弟爻興一半虧。(眉批:子蠶安靜,財旺得意,鬼父兄動,勞而無功。)又曰:子孫水火蠶作繭,申酉扶之盡日凶,亥子二神眠溼死,如臨四土半成傷。(眉批:木火子動,申酉子凶,亥子溼死,四土半傷。)

養蠶を占す:子孫爻は則ち蠶の性命にして、安靜に宜し。妻財爻は蠶繭を收斂するを主り、生扶を得るを要す。官鬼の興起し、父母の發動すれば、便ち再三神に祈り願を還すを得。兄弟爻の興動すれば、此の一季は半分を虧掉せんとす。(舊注:子孫の安靜なれば則ち蠶は安んじ、財の旺なれば則ち得意、鬼、父、兄の三者の一たび動けば便ち勞して功無し。)又曰く:子孫の水火の爻の上に落つれば、蠶は能く繭を結ぶ。若し申、酉の金の來臨すれば、名は扶と曰ふと雖も、實は金の木を剋して蠶を傷るの象、終日は凶を主る。亥、子の二水の令に當れば、蠶は眠時に濕を受けて死す。子孫の若し辰戌丑未の四土の爻に臨めば、收成も亦一半を傷られん。(舊注:木火の子孫の動は則ち吉、申酉の子孫は則ち凶、亥子は濕死を主り、四土は半傷を主る。)

巳午爻為蠶命,但子孫旺相有氣靜者天收,要木火之爻出現,乘土些小。

具體に説き來れば、巳、午の火爻は正に蠶命の繋る所なり:只だ子孫爻の旺相にして氣有りて又安靜なれば、此の一季の蠶事は則ち老天の收を賞す所なり。總じて木爻火爻の卦に出現するを要して始めて好し。若し土爻を帶びば、收成は便ち折扣を打りて、只だ一小部分を得るのみ。

農種

農人卜問今年事,財旺福興收十倍,鬼現神祗願一還,父動有害無害生。(眉批:財旺福興,十足收成,鬼現父動,有損無益。)又曰:水動多霖火旱枯,木動今春桑葉貴,土動蟲傷更有災,金動提防訟事來。(眉批:水澇火旱,木動多成,土動蟲傷,金動訟事。)已上八旬,不持許之。

農家の今年の年成を占問す:妻財の旺、子孫の興なれば、收成は十倍に增す可し。官鬼の出現は、是れ神祇の願を討ふにして、須らく一度願を還しに去るべし。父母爻の發動は、則ち損有りて益無く、生機は害を受く。(舊注:財の旺福の興は便ち十足の收成、鬼の現父の動は便ち損有りて益無し。)又曰く:水爻の發動は、久雨は澇と成る。火爻の發動は、干旱は枯焦す。木爻の發動は、今春の桑葉は貴からんと要す。土爻の發動は、蟲害は禾を傷り、別に災殃有り。金爻の發動は、訟事の興起するを提防せんと要す。(舊注:水は澇を主り、火は旱を主り、木の動は多く成り、土の動は蟲傷、金の動は訟事なり。)以上の此の八句は、一概に執定して人に許す可からず。

添人進口

添人進口求財福,財為奴婢要安然,應爻變動人難托,財動休囚心必偏。父母動兮居不久,鬼多更變禍連綿,兄動家中生口舌,財陷空亡事不圓。(眉批:財福爻主,招義僕心,應爻變動,僕心難測。)

家中の添人進口を占するに、須らく妻財と子孫福德との此の兩爻の上に於て求めよ:妻財爻は奴婢を代表し、須らく安穩にして動かざるを得。應爻の變動は、此の人は託付するを得ざるなり。妻財の發動して又休囚なれば、其の心は必ず偏にして、力を盡すを肯んぜず。父母爻の發動は、此の人は住すること長久ならず。官鬼の多くして屢屢變化すれば、禍患は連綿として斷えず。兄弟爻の發動は、家中に口舌を生ぜんとす。妻財の空亡の裏に落ちば、此の件事は便ち圓滿ならず。(舊注:妻財と福德の二爻を以て主爲とせば、能く忠義の僕人を招き來るを得。應爻の一たび變動すれば、僕人の心思は便ち測度し難し。)

遷移

遷動占家起蓋同,先尋父母在何宮,最要財爻無損害,子孫出現在榮豐。(眉批:父為主家,財怕木傷,子現榮豐。)又曰:鬼旺交重災禍至,動爻克世主大凶,父動在家煩惱枯,絕命游魂總不中。(眉批:鬼旺禍至,動克世為,父動煩惱,絕命卦名,游魂不中。)

遷居搬動を占するは、起造の房屋を蓋るを占すると同じ一箇の法則なり:先に父母爻の何れの宮に落つるかを找出すべし、父母は正に房舍の屋宇の主なるが故なり。最も緊要なるは妻財爻の損害を受けざるなり。子孫爻の卦に出現すれば、家道は便ち榮盛豐足なり。(舊注:父母は一家の主象、妻財は木爻に傷られんことを怕れ、子孫の出現は則ち榮豐なり。)又曰く:官鬼の旺相にして交重發動すれば、災禍は便ち來る。動爻の來りて世爻を剋するは、大凶を主る。父母爻の發動は、家中に於て煩惱枯槁す。絶命卦・游魂卦を搖得せば、總じて中用ならず。(舊注:鬼の旺は則ち禍は至り、動爻の世を剋するは凶爲、父の動は煩惱を主り、絶命は卦の名、游魂は中用ならず。)

凡占家宅與起造,一例以父母為主。最要財爻安靜,子孫出現主吉昌。

凡そ家宅を占すると興造の房屋を占するとは、一概に父母爻を以て主爲とす——父母は則ち屋宇の本身なり。最も緊要なるは妻財爻の安靜にして動かざるなり、財の一たび動けば則ち父を剋して屋宅を傷るが故なり。子孫爻の卦に出現せば、則ち家道の吉慶昌盛を主る。

疾病

問災先問是何人,父母逢之父母陳,官鬼臨之愁旺相,子孫克世藥無靈。(眉批:父病看病,鬼怕旺相,子克世爻,服藥不靈。)又曰:財為祿命忘非克,印授交重病困沉,大忌世空來月破,又嫌墓發損其身。(眉批:財為祿命,印授命沉,世空月破,墓絕皆凶。)

災病を占するに、先に病するは何の人なるかを問清して、始めて用神を定るを得:用神の若し父母爻の上に落ちば、那病するは則ち父母尊長の此の一路の人なり。官鬼の身に臨むは、最も其れの旺相を愁ふ——鬼の旺なれば則ち病は重し。子孫は本來藥神にして、若し其れの反つて世を剋せば、那は則ち藥を服するも亦靈驗を見ず。(舊注:父母の病を占すれば則ち父母爻を看、官鬼は旺相を怕れ、子孫の世爻を剋すれば則ち藥を服して靈ならず。)又曰く:妻財は病人の祿命の繋る所にして、忘るゝ能はずして其れの剋を受くるか否かを看るを要す。印綬即ち父母爻の交重發動すれば、病勢は便ち沉困す。最も世爻の空に落ちて又月破に逢ふを忌み、又墓庫の發動して來りて自身を損傷するを嫌ふ。(舊注:財は祿命爲、印綬の動は則ち病は沉し、世空月破、墓に入り絶に入るは皆凶なり。)

又曰:鬼在內兮當夜重,鬼在外兮夜必輕,內外有鬼人昏困,提防舊病再來侵。代占最怕應持鬼,官鬼持身命亦傾。(眉批:鬼內夜重,鬼外解厄,內外鬼險,代占應鬼官墓,命僕必傾。)

又曰く:官鬼の內卦に在れば、病は夜裏に到りて便ち加重す。官鬼の外卦に在れば、夜間は反つて輕し。內外卦に皆官鬼有れば、病人は昏沉困頓して、還だ須らく舊病の復發して來り侵すを提防すべし。別人に替りて病を占するは、最も應爻の上に官鬼を持するを怕る。官鬼の若し卦身の上に持せば、那は則ち性命をも傾覆せんと要す。(舊注:鬼の內に在れば則ち夜重し、鬼の外に在れば則ち厄を解くべし、內外に皆鬼有るは最も險なり。代占する時は應爻の鬼を帶び、官鬼又墓に入れば、占する所の人の性命は必ず危し。)

疾病病因,怕逢旺相,子為藥餌,不宜克世。財為祿命,忌飛克之,父母交重,病體沉重。大怕世空,又嫌月破,更嫌身世入墓內猶重,官外盡凶。內外有鬼,舊病再發,代占應持鬼凶。

總じて疾病の一門を束ぬ:病因の繋る所の官鬼爻は、其れの旺相に逢ふを怕る。子孫は是れ藥餌にして、其れの反つて世を剋するに到るに宜しからず。妻財は是れ祿命にして、飛神の來りて其れを剋するを忌む。父母爻の交重發動すれば、病體は便ち沉重なり。最も世爻の空に落つるを怕れ、又其れの月破に逢ふを嫌ふ。更に卦身と世爻との墓に入るを嫌ふ——墓に入るは內卦に在れば、病勢は尤も重く、官鬼の外卦に在るも、亦一片の凶象なり。內外卦に皆官鬼有れば、舊病は重新發作せんと要す。人に替りて代占するは、應爻の上に官鬼を帶ぶれば、凶なり。

病患

病患先須得病因,安靜先尋世下神,次看鬼爻藏伏處,更將爻象察其真。(眉批:六爻安靜,世下伏神。)

病を断ぜんと要するは、先に病因を找出すべし:六爻安靜の卦は、先に世爻の底下に伏する那箇の神の上に於て尋ねよ。其次は官鬼爻の何の處に藏伏するかを看る。再び爻の物象を拿りて核對して、始めて真情を察し出すを得。(舊注:六爻安靜の時は、則ち世爻の下の伏神を看よ。)

又曰:用是病人宜有氣,福德醫師可至全,子孫發動誤服藥,卦宮旺相病逡巡。六位無財食不納,兄弟交重氣積深,鬼多不一原曾病,用發休囚損病因。(眉批:鬼伏何爻,爻察其真,用爻有氣,禍隨不吉,子動誤藥,卦旺逡巡,財無不食,兄動氣積,鬼動不一,用率病厄。)

又曰く:用神は則ち病人の本身にして、氣有るに宜し。子孫福德は則ち醫師にして、力を得れば則ち病は保全す可し。子孫爻の發動する時は亂に藥を服するべからず(底本の「誤」の字は當に「勿」と作るべし)。卦宮の旺相なれば、病勢は還だ一陣を遷延せんと要す。六箇の爻位の上に皆妻財を見ずば、病人は飯を喫し下がらず。兄弟爻の交重發動は、是れ氣の鬱積すること深きなり。官鬼の多くして一ならざるは、本來舊病有るを説明す。用神の發動して又休囚なれば、那は則ち病因の上に再び損傷を添へんと要す。(舊注:官鬼の何れの爻に伏するかは、則ち那一爻の上より其の真情を察す。用爻の氣有りて禍其の後に隨ばば則ち不吉。子孫の動く時は軽く藥を服する勿れ。卦宮の旺相なれば則ち病勢は逡巡す。財無ければ則ち食を進めず。兄の動は則ち氣積し、鬼の動は則ち病は一種に止まらず。用神の主る所は、大體則ち病厄の由來なり。)

鬼伏何爻下,以五行分辨論之。父母以憂慮得,或動土,或往修造處得。兄弟因失飢傷飽,或因口舌氣得。官鬼出現,驚恐怪異,或因寺觀廟宇中得。子孫出現,或因欲事大過。妻財飲食得,或買物得。

官鬼の何れの爻の下に伏するかは、則ち那一爻の五行と六親とに按りて病の何より來るかを分辨す。父母の下に伏すれば、病は憂愁思慮に由りて得たるか、或いは土を動かし工を興すに因り、或いは修造の處に去り過ぎたるに因りて得たるなり。兄弟の下に伏すれば、是れ饑けたり飽いたりして脾胃を傷りたるか、或いは口舌に氣を爭りたるに因りて得たるなり。官鬼の自身の卦に出現するは、是れ驚恐を受け、怪異に撞見し、或いは寺觀の廟宇の中に於て沾染して得たるなり。子孫の出現は、多く房事の過度に因る。妻財の下に伏するは、是れ飲食の致す所、或いは買來せし東西に因りて得たるなり。

上下伏土,瘡腫。火下火,手足。金見金,問亂未下,大寒熱。水下水,冷疾。金下金,喘咳。陽宮世動主吐,陰宮財動主瀉。鬼出現,外表。鬼伏內,心腹。病在內,或動下受病,用又同。鬼在外,或動土變病,用爻同。

再び飛伏の五行の相疊するを看る:上下俱に土を伏すれば、瘡瘍の腫毒を主る。火の下に火を伏すれば、病は手足に在り。金と金と相見れば、心中は煩亂して定まらず、大寒大熱は交作す。水の下に水を伏すれば、寒冷の疾を主る。金の下に金を伏すれば、氣喘咳嗽を主る。陽宮の卦の世爻の發動は、嘔吐を主る。陰宮の卦の妻財の發動は、泄瀉を主る。官鬼の卦に出現すれば、病は外表に在り。官鬼の內卦に伏すれば、病は心腹に在り。病の內卦に在るは、或いは內卦の爻の發動して病を受くるなり、用神も亦此に照りて看よ。官鬼の外卦に在るは、或いは土爻の發動して病情は轉變するなり、用神も同じく此に照りて看よ。

病症

肺病金同木四肢,感寒痰喘氣□羸,辰戌胃胸生嘔逆,丑運腸肚木傷脾。(眉批:金肺經病,木四肢病,辰戌胃嘔,巳腸木脾,火動熱極,水冷發寒。)又曰:火動熱極三焦竭,血心眼目及痦痰,水主發寒因冷得,世瀉虛勞耳腎衰。

金爻は肺經の病を主り、木爻は四肢の病を主る。風寒を感受すれば則ち痰喘を生じ、氣弱にして羸瘦す(底本此の句は一字を缺き、「感寒痰喘氣□羸」と作る、今其の缺を存して補せず)。辰、戌の二支は胃と胸膈とを主り、嘔吐の氣逆を生ず。丑支の行ふ所は腸と腹肚とを主り、木爻は則ち脾を傷る。(舊注:金は肺經の病を主り、木は四肢の病を主り、辰戌は胃と嘔逆とを主り、巳は腸を主り、木は脾を主り、火の動は熱の極を主り、水の冷は寒を發するを主る。)又曰く:火爻の發動は、熱は極處に到り、三焦の津液は枯竭す。病は血分、心經、眼目、及び口瘡の痰涎に在り。水爻は寒を發するを主り、病は冷を受けて得たるなり。世爻は泄瀉を主り、虚勞の症に属し、兼ねて耳鳴の腎衰を見る。

土動主吐,水動主瀉,水動發寒,火動發熱,金動四肢及滿悶。木主足,金主頭,土主胸腹,火主手,水主脾腎。

再び五行の動靜を以て症を分つ:土爻の發動は嘔吐を主り、水爻の發動は泄瀉を主る。水爻の發動は又寒を發するを主り、火爻の發動は熱を發するを主り、金爻の發動は四肢の酸重と胸中の滿悶とを主る。部位を以て分てば:木は足を主り、金は頭を主り、土は胸腹を主り、火は手を主り、水は脾と腎とを主る。前の一組は病狀を論じ、後の一組は病位を論ず、兩組を合看して始めて断じて准なり。

飛伏俱旺相,飛為起因,以代為受病。又世為動爻,在內下受病。應為動爻,在外上受病。間爻動,受阻隔。易鏡云:且如長男受病,宜純震之不搖。少女染病,則兌卦之不動。

飛神と伏神と皆旺相の時は、飛神は病を致すの起因にして、伏神は則ち病を受くる處を代表す。又:世爻は動爻なれば、病は內卦の下部に在り。應爻は動爻なれば、病は外卦の上部に在り。間爻の發動は、病氣は阻隔を受けて暢ならず。《易鏡》に曰く:譬へば長男の生病するは、純震の卦を得て六爻搖れざるを宜しとす——震は長男爲にして、本宮の安靜なれば則ち本人は自ら安んず。少女の生病するは、兌卦を得て動かざるを宜しとす——兌は少女爲、正に同じ一箇の道理なり。

神崇

何以卜分神為崇,八純鬼莊可求伸,艮鬼五郎並離灶,乾出天神坎水神。(眉批:艮鬼五郎,離鬼井灶,乾宮天神,坎宮水神。震巽嶽下,坤主家祖,兌鬼師巫,鬼動占親。伏鬼我隨,游魂絕光,金木橫惡,火癆土瘟。乾坎艮震,四鬼是男,內外男謀,廟動家親。爻動剋日,祖先財動,剋日陰司,子動剋日。)

如何に占して作祟するは何れの一路の神鬼なるかを分辨せん。八純卦を搖得せば、其の鬼は莊嚴にして主有り、祈求して伸解するを得。艮宮の鬼は五郎神にして、離宮の鬼は竈神にして、乾宮の出づるは天神にして、坎宮の出づるは水神なり。(舊注:艮鬼は五郎爲、離鬼は井竈の神爲、乾宮は天神爲、坎宮は水神爲。震、巽は岳廟の下の神爲、坤は家中の祖先を主り、兌鬼は師巫爲。鬼爻の發動すれば則ち家親に按りて占す。伏藏の鬼は我に隨りて行く。游魂卦、絶命卦は幽晦不明を主る。金木の二爻は橫死の凶惡の鬼を主り、火は癆瘵を主り、土は瘟疫を主る。乾、坎、艮、震の四宮の鬼は皆男鬼なり。內外卦の相謀るも皆男に属す。廟爻の發動すれば則ち自家の親人なり。爻の動きて日辰を剋するは祖先なり。妻財の動きて日辰を剋するは陰司なり。子孫の動きて日辰を剋するは又一一路なり。)

又曰:震巽朝奉求嶽下,坤出家神宅不寧,兌有師巫神佛仵,鬼爻動卦亦占親。又曰:伏下交重主村隨,游魂絕命夢中知,金木二爻為橫惡,火癆發血土瘟時。

又曰く:震、巽の二宮は岳廟の下に到りて朝拜奉祀せんと要す。坤宮の出づるは家神にして、宅中の不寧を主る。兌宮は師巫と神佛の偶像と相忤有り。官鬼爻の卦中に發動するは、同じく家親に按りて占す。又曰く:伏神の下の交重發動は、是れ村社の神の跟隨して作祟するなり。游魂、絶命の卦を搖得せば、其の事は往往夢中に顯現す。金爻木爻は橫死の凶惡の鬼を主り、火爻は癆瘵の吐血を主り、土爻は時行の瘟疫を主る。

又曰:坎象臨官求落水,乾坎艮震是男兒,要知內外何人作,廟動家親更莫疑。(兒女兄動,剋日路死,官動剋日,刑侵日一,分其老少。)

又曰く:坎象の上に官鬼を臨むは、落水して死せし亡魂の上に往きて解を求むるを要す。乾、坎、艮、震の四宮の出づる所は皆男鬼なり。作祟するは內に在るか外に在るか、究竟何の人なるかを知らんと要するは、只だ廟爻の發動すれば、那は則ち自家の親人にして、再び疑ふに及ばず。(夾注:兒女爻と兄弟爻との發動して日辰を剋するは、路の上に死せし亡魂なり。官鬼の動きて日辰を剋するは、再び刑冲の日辰を侵犯する情形を看て、據りて以て此の鬼の老か少かを分辨す。)

又曰:父動剋日求祖先,或因修造不安然,財興剋日陰司惱,或因買物禍勾連。又曰:子孫剋日兒女作,或是奸邪畜類傳,兄弟剋日神無主,路死傷亡作禍先。

又曰く:父母爻の發動して日辰を剋するは、祖先に向りて解禳を祈求せんと要すか、或いは房屋を修造して土神を驚動して不安を致せしなり。妻財爻の興動して日辰を剋するは、是れ陰司の惱怒するか、或いは買來せし東西に因りて禍事を招致して牽連せしなり。又曰く:子孫爻の日辰を剋するは、是れ兒女の作祟するか、或いは奸邪の氣、畜類の靈の傳ふ所なり。兄弟爻の日辰を剋するは、是れ主無きの孤神にして、多半是れ路の上に死し、傷亡橫死の鬼の先に來りて禍を作すなり。

又曰:鬼來克我招邪崇,或是神明口頭牽,更將日子分老少,仔細推詳勿亂言。易鏡云:察禍推其鬼處,還將身配六親,相剋相生,便見禍之端。旺相為神,休囚為鬼。凡動爻克世剋日,亦可取鬼。

又曰く:官鬼の來りて我を剋するは、是れ邪祟を招惹せしなり。又は口頭に神明に向りて許し過ぎし願の還さず、牽扯せられ住るべし。還だ日辰の干支を拿りて以て此の鬼の老か少かを分辨し、仔細に推詳して、亂に講る可からず。《易鏡》に曰く:禍患を察看するに、須らく鬼爻の所在する處を推究し、再び卦身に六親を配上して、其れ等の彼此相剋か相生かを看れば、禍事の端由は便ち顯はれ出づ。爻の旺相なるは神にして、爻の休囚なるは鬼なり。凡そ動爻の來りて世爻を剋し、日辰を剋するは、亦一樣に取りて鬼として断ずるを得。

還。

還賽神祗求保佑,大要生身旺子孫,五世游魂還未盡,傷身鬼旺禍難分。(眉批:五世游魂未盡完,鬼旺傷身禍難分。)福德動吉,以親爻取。

還賽

願を還し神に賽して庇佑を求む:最も緊要なるは卦中に爻の來りて世身を生扶し、并且子孫福德爻の旺相する有るなり。若し五世卦、游魂卦を搖得せば、願の還すは還だ乾淨ならざるを説明し、事情は了結せず。再び官鬼の旺相にして世身を傷るを加へば、那禍患は便ち分解し難し。(舊注:五世と游魂とは願の未だ還し盡さざるを主り、鬼の旺にして身を傷れば則ち禍は分解し難し。)子孫福德爻の發動は是れ吉なり。至る所該り何れの位の神に還すべきかは、則ち六親の爻に照りて取定す。

壘土立墳占問候,五事俱全不可傷,父動必是還鄉地,在艮亡人可葬山。又曰:巳午離宮宜化火,葬之白蟻不能安,兄動木爻風勢惡,財動家衰禍自幹。

葬墳

又曰:穴中有水泉渠破,穴上安金在石崗,但得子孫無□害,枝枝葉葉水無妨。

又曰く:穴の中に水を見るは、是れ泉脈の溝渠の穴場を冲破せしなり。穴の上に金を帶ぶるは、那は則ち石崗の上に安葬するなり。只だ子孫爻の損害を受けざれば(底本此の句は一字を缺き、「但得子孫無□害」と作る、今其の缺を存して補せず)、那麼子子孫孫は枝繁葉茂にして、縱使水有るも亦事を妨げず。

凡墳墓埋凶,若怕鬼旺動克世,官鬼要休囚安靜。世為家長,應為卑幼,財為家業,子為祭祀,並宜靜,不宜動。或問:鬼旺宜火之說。曰:鬼旺只是不利,故宜火,不宜葬也。

凡そ下葬して卦中に凶を現ずるは、怕る所は則ち官鬼の旺相發動して來りて世爻を剋するなり。官鬼は總じて休囚安靜にして始めて好し。此の一門の裏に於て、世爻は家長を代表し、應爻は卑幼の晩輩を代表し、妻財は家業を代表し、子孫は祭祀の香火を代表し、此の幾爻は皆安靜に宜しく、發動に宜しからず。人の問ふ:上文の説く「鬼旺は化火に宜し」とは、何の道理なる。答へて曰く:官鬼の旺相は本來便ち利ならず、故に寧ろ火葬として、土葬に宜しからざるなり。

陰宅先論墓地,次論卦身,要有財福,世應有氣,相生之妙。未葬時,外亡內冢,相剋,言不要官旺。已葬時,內亡外冢,相生吉,鬼旺亡人安,鬼為亡,身為冢。

陰宅を占するに、先に墓地の本身を論じ、再び卦身を論ず。卦中に妻財と子孫福德と有るを要し、世爻應爻は皆氣有るを要し、彼此相生して始めて妙て妙處を見る。還だ下葬せざる時は、外卦は亡人爲、內卦は塚穴爲にして、兩者の相剋は便ち好からず、即ち此の時は官鬼の旺相を要せず。已に下葬せし之後は、內卦は亡人爲、外卦は塚穴爲にして、兩者の相生は吉爲にして、此の時は官鬼の旺相は反つて亡人の安穩を主る。總じて官鬼は亡者を代表し、卦身は墳塚を代表し、兩者の向背は葬前葬後に隨りて互いに易ふ、一概に論ず可からず。

卜易秘訣海底眼卷下終

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