京氏易传
これは清代《欽定四庫全書》に収録せる本子である。書名は《京氏易伝》、漢代京房の撰。京房は字を君明、西漢東郡頓丘の人、《易》を焦延寿に受け、漢…
易経易学典籍
術数への応用を目指すなら、まず六十四卦の卦爻辞と《説卦伝》の取象に親しむ。義理を目指すなら《繋辞伝》から入るのがよい。
京氏易伝・巻上
欽定四庫全書 京氏易傳 漢 京房 撰
これは清代《欽定四庫全書》に収録せる本子である。書名は《京氏易伝》、漢代京房の撰。京房は字を君明、西漢東郡頓丘の人、《易》を焦延寿に受け、漢代象数易学の宗師である。全書は乾・震・坎・艮・坤・巽・離・兌の八宮を以て六十四卦を統摂し、卦ごとに「納甲」「世応」「飛伏」「建候」「積算」「五星」「二十八宿」の諸法を講ずる。
乾宮・乾(乾上乾下)
純陽用事。象配天,屬金。與坤為飛伏,居世。【壬戌土,癸酉金。】《易》云:“用九,見群龍無首,吉”。【純陽,用九之德。】九三,三公為應,肖乾乾、夕惕之憂。 甲壬配外內二象,【乾為天地之首,分甲壬入乾位。】積算起己巳火,至戊辰土,周而復始。【吉凶之兆,積年起月,積日起時,積時起卦入本宮。】
乾卦の六爻は全陽にして、純陽の気が令を当て事を用いる。取象の上で天と相配し、五行は金に属す。それは坤卦と互いに「飛伏」を為す――世爻上に顕露する一面を「飛」と呼び、世爻の背後に蔵れて坤卦の納する干支を「伏」と呼ぶ。乾は上爻を以て世とす。(注:飛神は壬戌土、伏神は癸酉金。)《周易》乾卦に曰く「九を用う、群竜を見て首無し、吉」と。(注:六爻純陽、正に「用九」が顕す徳性なり。)九三のこの爻位は「三公」と号し、世爻の応爻にして、取るは「終日乾乾、夕に惕ること厲の若し」のあの日夜戒懼の意なり。 乾卦の「納甲」は、甲を以て内卦に配し壬を以て外卦に配し、分かちて内外両象に属す。(注:乾は天地の首なれば、甲・壬の両干を乾位に納入す。)「積算」は己巳(火)より起り、戊辰(土)に推して、周して復た始まる。(注:吉凶の兆は就中これより推し出す――年を積みて月を起し、日を積みて時を起し、時を積みて卦を起し、最後に本宮に帰入して断ず。)
五星從位起鎮星,【土星入西方,麗西北,居壬戌為伏位。】參宿從位起壬戌,【壬戌在世,居宗廟。】建子起潛龍,【十一月冬至,一陽生。】建巳至極,主亢位。【四月龍見於辰,陽極陰來,吉去凶生,用九吉。】 配於人事:為首,【乾為首也。】為君父。【乾象堅剛,天地之尊,故為君父。】於類:為馬,為龍。【天行運轉不息。】
五星は卦位に依りて輪値し、乾卦は「鎮星」に輪り当たる、すなわち土星なり。(注:土星は西方の位に入りて、西北に附麗し、壬戌の上に落ちて伏位と為る。)二十八宿は依次輪転し、この卦は参宿に輪り、壬戌爻の上に落つ。(注:壬戌は正に世爻にして、上爻「宗廟」の位に居る。)建候は子月より起り、初九「潜竜勿用」に応ず。(注:十一月冬至、一陽始めて生ず。)建てて巳月に到りて極に至り、上九「亢竜」の位を主る。(注:四月竜は辰に見え、陽は極処に到れば陰気便ち来る。吉去りて凶生ずれば、ゆえに「用九」の道を用いるを須いてこそ吉ならん。) 人事に配るに――頭と為し、(注:乾はすなわち首なり。)君王・父親と為す。(注:乾象は剛健にして、天地間の至尊者なれば、君と為し父と為す。)物類に配るに――馬と為し、竜と為す。(注:皆天体運行の息まずの意を取る。)
降五行,頒六位。【十二辰分六位升降,以時消息吉凶。】居西北之分野,陰陽相戰之地。《易》云:“戰於乾。”【乾為陽,西北陰,陽入陰,二氣盛必戰。】 天六位,地六氣。六象,六包,四象分萬物。陰陽無差,升降有等。【陰陽二十四候,律呂調矣。】人事吉凶,見乎其象,造化分乎有無。【故云:變動不居,周流六虛。】
乾卦は五行を下降し、六爻の位を頒布す。(注:十二地支は六爻の上に分配して升降し、時令の消長に随いて吉凶を定む。)乾は西北の分野に居る。あれは正に陰陽交戦の地なり。《周易・説卦》に曰く「乾に戦う」と。(注:乾は本は陽に属し、西北は陰に属す。陽は陰地に入りて、両気倶に盛んなれば、必然相い戦う。) 天に六位有り、地に六気有り。卦に六象・六包有り(この二字は旧本已に通解し難し、姑くその旧に仍む)、四象は此より分化して万物を出す。陰陽配合して差錯無く、升降各々等次有り。(注:陰陽は共に二十四節候にして、十二律呂の数も亦調協す。)人事の吉凶は、皆卦爻の象に顕現し、造化の運行は、則ち「有」と「無」の間に分判す。(注:ゆえに《繋辞》に曰く「変動して居らず、六虚に周流す」と。)
六位純陽,陰象在中。【陽中陰,陰中陽。】陽為君,陰為臣;陽為民,陰為事。陽實陰虛,明暗之象,陰陽可知。【三五為陽,二四為陰,初上潛亢。】 水配位為褔德,【甲子水是乾之子孫。】木入金鄉居寶貝,【甲寅木是乾之財。】土臨內象為父母,【甲辰土是乾之父母。】火來四上嫌相敵,【壬午火是乾之官鬼。】金入金鄉木漸微。【壬申金同位傷木。】宗廟上建戌亥,乾本位。【戌亥乾之位。】 陽極陰生。【降入姤卦。】八卦例諸。
六爻純陽なるも、而して陰の象はなお其中に含む。(注:陽中に陰有り、陰中に陽有り。)陽は君と為り陰は臣と為り、陽は民と為り陰は事と為る。陽は実にして陰は虚、これすなわち明と暗の象にして、陰陽の分際は此より知るべし。(注:三爻五爻は陽位に属し、二爻四爻は陰位に属し、初爻は「潜」、上爻は「亢」と為す。) 再び「六親」に按じて納甲に配す――水は初爻に配して「福徳」と為し、(注:甲子水は乾卦の子孫爻なり。)木は金郷に入りて「宝貝」と成り、(注:甲寅木は乾卦の妻財爻なり。)土は内卦に臨みて「父母」と為し、(注:甲辰土は乾卦の父母爻なり。)火は第四爻の上に来りて便ち本宮と相敵するを嫌う、(注:壬午火は乾卦の官鬼爻なり。)金はまた金郷に入りて、木気は就中漸漸衰微す。(注:壬申金は本宮と同属金にして、反って木財を傷つく。)上爻「宗廟」の建てる所は戌・亥にして、正に乾の本位なり。(注:戌亥はすなわち乾の方位なり。) 陽は極処に到れば、陰便ち生出す。(注:是に降りて姤卦に入る。)其余八宮の諸卦は、皆この体例に照りて推衍す。
乾宮・姤(巽下乾上)
陰爻用事。金木互體,天下風行曰姤。姤,遇也。《易》曰:“陰遇陽。”【一陰初生,陽氣猶盛,陰未為敵。】與巽為飛伏,元士居世。【辛丑土,甲子水。】尊就卑,【子孫與父母相代位。】定吉凶,只取一爻之象。【多以少為貴。】九四諸侯堅剛在上,陰氣處下。《易》云:“繫于金柅。”
姤卦は初六のこの陰爻に由りて令を当て事を用いる。内巽は木に属し外乾は金に属し、金木交互して体を成す。天下に風の運行有りて、就中これを姤と呼ぶ。姤はすなわち相遇の意なり。《周易》に曰く「陰は陽に遇う」と。(注:一陰剛に生出し、陽気はなお甚だ旺盛にして、陰は尚ほ足りて陽と敵と為さず。)姤は巽卦と互いに飛伏し、世爻は初爻「元士」の位に落つ。(注:飛神は辛丑土、伏神は甲子水。)尊者は卑者に屈就し、(注:子孫爻と父母爻と互いに位次を換えたり。)吉凶を判断する時は、ただ初六のこの一爻の象を取る。(注:衆多の中は少なき者を以て貴しと為す。)九四「諸侯」は剛健を以て上位に居り、陰気は則ち下面に処す。《周易》姤卦初六に曰く「金柅に繋がる」と。
巽積陰入陽,辛壬降內外象,建庚午至乙亥。【芒種,小雪。】積算起乙亥水,至丙戌土,周而復始。【災福之兆,生乎五行升降也。】 五星從位起太白,【太白在西,居金位。】井宿從位入辛丑,【辛丑入土,元土臨母也。】
巽の積める陰気は陽中に入り、納甲は辛を以て内卦に配し壬を以て外卦に配し、分降して内外両象に入る。建候は庚午より起り、乙亥に至りて止む。(注:すなわち芒種より小雪に至る。)積算は乙亥(水)より起り、丙戌(土)に推して、周して復た始まる。(注:災と福の兆は、皆五行の升降の中より生出す。) 五星の輪値は「太白」に起る、すなわち金星なり。(注:太白は西方に在りて、正に金位に当たる。)二十八宿は井宿に輪り、初爻辛丑に落入す。(注:辛丑は土に属し、元士の位は父母爻の上に臨む。)
建午起坤宮初六爻。《易》云:“履霜堅冰至。”建亥,龍戰于野。【戌亥是乾之位。乾伏本位必戰,積陰之地猶盛,故戰。】 配於人事:為腹,為母,【坤順,容於物。】於類為馬。《易》云:“行地無疆。”【此釋一爻配坤象,本體是乾巽,今贊一爻起陰,假坤象言之。】
建候は午月に起り、正に坤宮初六の一爻に対応す。《周易》坤卦初六に曰く「霜を履みて、堅氷至る」と。建てて亥月に到れば、便ち「竜野に戦う」なり。(注:戌・亥は本是乾の方位にして、乾は自らの本位の上に潜伏すれば必定戦う。彼処はまた積陰の最盛の地なれば、ゆえに戦象有り。) 人事に配るに――腹と為し、母親と為す。(注:坤性は柔順にして、能く万物を容納す。)物類に配れば則ち馬と為す。《周易》坤卦に曰く「地を行くに疆無し」と。(注:ここは就中初六のこの一爻の配する坤象に就きて解釈するなり。姤卦本体は本是内巽外乾なり、如今初爻に陰を起せるに因りて、ゆえに坤象を借りて来て言う。)
內巽為風,乾為天;天下有風行,君子以號令告四方。【巽,入也。風入於坤,皆動也。故知天下有風動其物也。】 天風氣象三十六候。【三十六候節氣,降大風象。】木入金為始,【金納木也。】陰不能制於陽,附於金柅。《易》之“柔道牽”也。 五行升降,以時消息,陰蕩降入遁。【天山遁卦。】
内卦巽は風、外卦乾は天。天下に風の運行有りて、君子は象を此に取りて、号令を用いて四方に曉諭す。(注:巽は「入」の意なり。風は地に入りて、万物随いて動かざる無し。ゆえに天下に風有りて、能く万物を鼓動すと曰う。) 天風姤の気象は、分配の気候の数は三十六なり。(注:三十六候の節気は、正に大風の象に応ず。)木が金位に入るは姤の起始にして、(注:金は木を納伏せり。)陰は還た陽を制伏し得ず、ただ「金柅」の上に依附するのみ、これすなわち《周易》の謂う所の「柔道牽」なり。 五行は爻位に随いて升降し、時令に按じて消長す。陰気は蕩動して下り、降りて遁卦に入る。(注:すなわち天山遁卦。)
乾宮・遁(艮下乾上)
陰爻用事。陰蕩陽,遁。金土見象,山在天下為遁。【遁,退也。】陰來陽退也。小人君子汙隆,契斯義也。《易》云:“遁世無悶。”與艮為飛伏,大夫居世。建辛未為月。【丙午火,丙寅木。】六二得應,與君位遇建焉,臣事君,全身遠害。【遁,候時也。】
遁卦は下二陰爻に由りて令を当て事を用いる。陰気は陽気を蕩逼し、陽は只好退避す、これすなわち遁なり。金(乾)と土(艮)の象併せ見え、山は天の下に在れば、ゆえに名を遁とす。(注:遁はすなわち退なり。)陰気は進み来れば、陽気は便ち退去す。小人勢を得て君子位を失い、一汚一隆、正にこの道理に合す。《周易》に曰く「世に遯れて悶えず」と。遁は艮卦と互いに飛伏し、世爻は第二爻「大夫」の位に落ち、建候は辛未の月に起る。(注:飛神は丙午火、伏神は丙寅木。)六二は九五の相応を得て、臣位と君位と相遇して立建す。これは臣下が君上に事奉し、同時に又自らを保全し禍害を遠離すること能くすなり。(注:遁の要義は時機を等候するに在り。)
建辛未至丙子,陰陽遁去,終而伏位。【從六月至十一月也。】積算起丙子至乙亥,周而復始。【火土同宮,天與山遁。】陽消陰長,無專於敗。《繫》云:能消者息,必專者敗。 五星從位起太陰,鬼宿入位降丙辰。【丙辰臨元土。】
建候は辛未より丙子に推して、陰陽の気は依次遁去し、最後に伏位に帰す。(注:すなわち六月より十一月に推す。)積算は丙子より起り、乙亥に推して、周して復た始まる。(注:火と土は同じく一宮に在りて、正に天山遁の象に合す。)陽気消退して陰気生長すれども、却って一味に敗亡に走向せず。《繋辞》に曰く――能く自ら消損する者は反って生々息まず、一味に剛強を専恃する者は必定敗壊す。 五星の輪値は「太陰」に起る、すなわち水星なり。二十八宿は鬼宿に輪り、丙辰爻の上に降落す。(注:丙辰は初爻元士の位に臨む。)
配於人事:為背,為手。【艮為背、手。】於類為狗,為山石。 內外升降,陰陽分數二十八候。【分陰陽進退。】 土入金為緩,積陽為天,積陰為地。山所地高峻,逼通於天。是陰長陽消,降入否。【陰逼陽去,入天地否卦。】
人事に配るに――背と為し、手と為す。(注:艮象は背と手を取る。)物類に配れば則ち狗と為し、山石と為す。 内外二象は升降往来し、陰陽の分かつ所の気候の数は二十八なり。(注:此より陰陽の進退を分辨す。) 土は金を生じ、その勢和緩なり。陽気は積聚して天と成り、陰気は積聚して地と成る。山は大地に依りて高峻挺拔し、逼近して天に通ず。これ正に陰長陽消の勢にして、是に降りて否卦に入る。(注:陰気は陽気を逼めて退去せしめ、天地否卦に進入す。)
乾宮・否(坤下乾上)
內象陰長,【純用陰事】天氣上騰,地氣下降,二象分離,萬物不交也。小人道長,君子道消。【陰小人,陽君子。】《易》云:“否之匪人。”與坤為飛伏,三公居世。【乙卯木,甲辰土。】上九宗廟為應。君子以俟時,小人為災。【乙卯泰來。】
否卦の内卦は陰気増長し、(注:内卦は純に陰事を用いる。)天気は上騰し地気は下沈し、天地二象は各々分離し、万物は交通すること能わず。小人の道は日に長じ、君子の道は日に消す。(注:陰は小人を指し、陽は君子を指す。)《周易》に曰く「否の匪人」と。否は坤卦と互いに飛伏し、世爻は第三爻「三公」の位に落つ。(注:飛神は乙卯木、伏神は甲辰土。)上九「宗廟」はそれの応爻なり。君子はこの時に於てただ静かに時機を候すべく、小人は却ってこれに因りて災を招く。(注:乙卯一たび動けば、泰運便ち到る。)
建壬申至丁丑,陰氣浸長。【七月立秋,至十二月大寒。】積算起丁丑至丙子,周而復始。【金、丑土同宮,吉凶見矣。】 五星從位起歲星,【木星入卦用事。】柳宿從位降乙卯。【乙卯臨三公。】氣分氣候三十六。【六六三十六,積算吉凶。】陰陽升降,陽道消鑠,陰氣凝結,君臣父子各不迨及。【陰蕩陽來道行矣。】
建候は壬申より丁丑に推して、陰気漸々滋長す。(注:七月立秋、直に十二月大寒に至る。)積算は丁丑より起り、丙子に推して、周して復た始まる。(注:金と丑土は同じく一宮に在りて、吉凶は此より見るべし。) 五星の輪値は「歳星」に起る、すなわち木星なり。(注:木星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は柳宿に輪り、乙卯爻の上に降落す。(注:乙卯は正に三公の位に臨む。)分配の気候の数は三十六なり。(注:六六相乗して三十六を得、此に拠りて積算して吉凶す。)陰陽升降の際に、陽道は銷蝕せられ、陰気は凝聚結實し、君と臣・父と子は彼此皆及ばず通ぜず。(注:陰気の蕩尽し陽気の帰来するを待ちて、正道こそ行き通うを得ん。)
《易》曰:“其亡其亡,繫于苞桑。”【苞桑則叢桑也。】天地清濁,陰薄【音:博】陽消,天地盈虛,與時消息。危難之世,勢不可久。 五位既分,四時行矣。【君子當危難世,獨志,難不可久;立特處不改其操,將及泰來。】上九云:“否終則頃,何可長也。”【否及則泰來。】陰長降入於觀。【九四被陰逼入觀卦。】
《周易》否卦九五に曰く「其れ亡びなん其れ亡びなん、苞桑に繋がれ」と。(注:苞桑はすなわち叢生の桑樹にして、根柢牢固なり。)天地に清有り濁有り、陰気は迫近して陽気は消退し、天地の盈満と虚亏は、皆時令に随いて消長す。身を危難の世に処せば、この局勢は長久ならず。 五行の位すでに分定すれば、四時は便ち依次運行す。(注:君子は危難の世に身を処して、独り其の志を守り、深く危難の長久ならざるを知る。ただ卓然として自立し操守を改めざれば、泰運は終に到らん。)上九に曰く「否は終れば則ち傾く、怎么長久せんや」と。(注:否は尽頭に到れば、泰運便ち来る。)陰気は継続増長し、是に降りて観卦に入る。(注:九四は陰気に逼められて、観卦に進入す。)
乾宮・観(坤下巽上)
內象陰道已成,威權在臣。雖大觀在上,而陰道浸長。與巽為飛伏。諸侯臨世,【辛未土,壬午火。】反應元士而奉九五。【君位也。】《易》云:“觀國之光,利用賓于王。”【臣道出於六四爻也。】
観卦の内卦の陰道は已に形成し、威権は臣下の手裏に落到す。九五は「大観」を以て高居して上に在るも、陰気は却って仍在不断に滋長す。観は巽卦と互いに飛伏す。世爻は第四爻「諸侯」の位に落ち、(注:飛神は辛未土、伏神は壬午火。)下は初爻「元士」と相応し、上は九五の君に奉す。(注:九五は君位なり。)《周易》観卦六四に曰く「国の光を観る、王に賓たるに利し」と。(注:臣と為るの道は、正に六四のこの一爻より顕出す。)
建癸酉至戊寅,陰陽交伏。【秋分至立春。】積算起戊寅至丁丑,周而復始。【用金為首。】金火土互為體。 五星從位起熒惑,【火星入卦用事吉凶。】星宿從位降辛未。【星宿入諸侯宮,木星同位。】土木分氣二十八。【積算分配六位,吉凶爻定數。】陰陽升降,定吉凶成敗。取六四至於九五,成卦之終也。
建候は癸酉より戊寅に推して、陰陽交互に潜伏す。(注:秋分より立春に至る。)積算は戊寅より起り、丁丑に推して、周して復た始まる。(注:金を以て起首と為す。)金・火・土の三者は互いに体用と為る。 五星の輪値は「熒惑」に起る、すなわち火星なり。(注:火星は卦に入りて令を当て事を用い、拠りて吉凶を定む。)二十八宿は星宿に輪り、辛未爻の上に降落す。(注:星宿は諸侯の位に進入し、木星と同じく一位に処す。)土木が分分分配する気候の数は二十八なり。(注:積算の数は分布して六爻の上に到り、各爻の吉凶は就中定数有り。)陰陽は升降往来し、此より吉凶成敗を判定す。六四の上行して九五に至るを取れば、観卦の義は便ち終点に到れり。
《易》云:“觀我生。”【我生即道也。】又云:“風行地上。” 列象分爻,以定陰陽進退之道,吉凶見矣。地上見巽,積陰凝盛,降入於剝。【九五退陰入剝卦。】
《周易》観卦に曰く「我が生を観る」と。(注:「我が生」とは就中自ら行う所の道を指す。)また曰く「風は地上に行く」と。 卦象を排列し爻位を分辨し、用いて陰陽進退の道理を判定すれば、吉凶は就中顕現せり。地上に巽風を見れば、積聚の陰気は愈々凝重強盛にして、是に降りて剥卦に入る。(注:九五は陰に退譲して、剥卦に進入す。)
乾宮・剥(坤下艮上)
柔長剛減,天地盈虛。【建戌至建亥。】體象金為本,隨時運變,水土用事。成剝之義,出於上九。《易》云:“碩果不食,君子得輿,小人剝廬。”【君子全得剝道,安其位,小人終不可安也。】與艮為飛伏。【丙子水,壬申金。】天子治世,反應大夫。
剥卦は柔爻増長して剛爻消減し、正に天地盈虚の理を見る。(注:建候は戌月より亥月に至る。)本卦の体象は金を以て本と為し、時運に随いて推移変化し、この時は水と土とに由りて令を当て事を用いる。剥卦の義の成立は、上九の一爻に落つ。《周易》剥卦上九に曰く「碩果食われず、君子は輿を得、小人は廬を剥ぐ」と。(注:君子は完全に剥の道理を掌握すれば、ゆえに能く其の位に安んず。小人は終究安寧を得ず。)剥は艮卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙子水、伏神は壬申金。)世爻は第五爻「天子」の位に居りて主治し、下は第二爻「大夫」と相応す。
建甲戌至己卯,陰陽定候。【寒露至春分。】積算起己卯木至戊寅木,周而復始。【吉凶之兆見於有象。】純土配金用事。 五星從位起鎮星,【土星入卦。】張宿從位降丙子。【張宿入天子宮。】金土分氣三十六。【積算六位起吉凶,天地盈虛氣候。】
建候は甲戌より己卯に推して、陰陽の節候は此より定下す。(注:寒露より春分に至る。)積算は己卯(木)より起り、戊寅(木)に推して、周して復た始まる。(注:吉凶の兆は皆卦爻の象に顕現す。)この卦は純土を以て金に配して事を用いる。 五星の輪値は「鎮星」(土星)に起り、(注:土星は卦に入る。)二十八宿は張宿に輪り、丙子爻の上に降落す。(注:張宿は天子の位に進入す。)金土が分配する気候の数は三十六なり。(注:積算の数を分布して六爻の上に到りて吉凶を起さば、正に天地盈虚の気候を見る。)
《易、象》云:“山附於地。剝。”君子俟時,不可苟變,存身避害,與時消息。春夏始生,天氣盛大;秋冬嚴殺,天氣消滅。 故當剝道已成,陰盛不可逆,陽息陰專。升降六爻,反為游魂,蕩入晉。【積陰反入晉卦。】
《周易・象伝》に曰く「山は地に附す、剥」と。君子はこの時に於てただ応に時機を等候すべく、軽率に節を改むべからず。自らを保全し禍害を避け、時令に随いて消長す。春夏の際は万物始めて生発し、天地の気盛大なり。秋冬は則ち厳酷粛殺にして、天地の気消歇す。 ゆえに剥の局面すでに形成せば、陰気は極盛にして違逆すべからず、陽気はただ退蔵休息し、陰気をして独り其の権を専らにするを任すのみ。六爻はこのごとく下降して往き、反って転じて「遊魂」と成り、蕩動して晋卦に進入す。(注:積聚の陰気は反って晋卦に進入す。)
乾宮・晋(坤下離上・遊魂)
陰陽返復,進退不居,精粹氣純,是為游魂。【為陰極剝盡,陽道不可盡滅,故返陽道。道不復本位,為游魂例入卦。】金方以火、土運用事,與離為飛伏。【己酉金,丙戌土。】諸侯居世,反應元士。
晋卦は陰陽往返反復して、進退定まらず、精気は純粋凝聚す、これを「遊魂」と呼ぶ。(注:陰気は剥して極処に到るも、陽道は却って徹底的に消滅せられ得ず。ゆえに陽道に返回せんとするも、返回の時は并せ本位に復帰せずして、就中「遊魂」の体例に按じて卦に入る。)本宮は金に属し、この時は火・土の運を借りて令を当て事を用いる。晋は離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己酉金、伏神は丙戌土。)世爻は第四爻「諸侯」の位に居り、下は初爻「元士」と相応す。
建己卯至甲申,陰陽繼候。【春分至立秋。】積算起甲申金至癸未土,周而復始。【游魂取象,配於正位,吉凶同矣。】 五星從位起太白,【卦配金星入用。】翼宿從位降己酉金。【翼宿北方,入晉卦行事。】二象分候二十八運,配金土積算。氣候無差於晷刻,吉凶列陳,象在其中矣;天地運轉,氣在其中矣;乾道變化,萬物通矣。【乾分八卦,至大有復卦。】
建候は己卯より甲申に推して、陰陽依次相継いで候を成す。(注:春分より立秋に至る。)積算は甲申(金)より起り、癸未(土)に推して、周して復た始まる。(注:遊魂卦は特殊なるも、取象は仍ほ正位に配し、吉凶の推法は本宮諸卦と相同じ。) 五星の輪値は「太白」に起る、すなわち金星なり。(注:この卦は金星を配して入用す。)二十八宿は翼宿に輪り、己酉金爻の上に降落す。(注:翼宿は北方に列し、晋卦に進入して行事す。)内外二象の分配する気候は二十八運にして、金・土を配して積算す。気候推算は一刻の晷影も差せず、吉凶一々陳列し、卦象は就中其中に在り。天地運転息まず、気機も亦其中に在り。乾道変化已まず、万物は此より通達す。(注:乾は八卦を分出し、大有の一卦に到りて復た本宮に帰す。)
六爻交通,至於六卦,陰陽相資、相返、相剋、相生,至游魂,復歸本位為大有。故曰:“火在天上。” 大有為歸魂卦。定吉凶,配人事,五行。象乾為指歸地。【凡八卦分為八宮,每宮八卦,八八六十四卦。定吉凶,配人事。天地、山澤、草木、日月、昆蟲,包含氣候,足矣。】
六爻は互相交通し、歴遍して六個の変卦を経て、その間陰陽はあるいは相資助し、あるいは相返回し、あるいは相克制し、あるいは相生発し、遊魂に到りての後再び本位に復帰すれば、便ち大有と成る。ゆえに曰く「火は天上に在り」と。 大有は「帰魂」卦なり。それは用いて吉凶を判定し、人事に配合し、五行に配合す。象を乾に取るは、八卦最終の帰宿の地なり。(注:凡そ八卦は各々分かれて一宮と為り、每宮は八卦を統領し、八八共に六十四卦なり。それを用いて吉凶を判定し人事に配合すれば、天地・山沢・草木・日月・昆虫、連ねて一年の気候も、皆其中に包羅して、足りて用うべし。)
乾宮・大有(乾下離上・帰魂)
卦復本宮曰大有。內象見乾是本位。【八卦本從乾宮起,至大有為歸魂。】純金用事,與坤為飛伏。【甲辰土,乙卯木。】三公臨世,應上九為宗廟。 建戊寅至癸未,【立春正月至大暑時也。】積算起癸未土至壬午火,周而復始。【吉凶與乾卦同用。】
卦が本宮に回復すれば、就中大有と呼ぶ。内卦に乾を見るは、正に本宮の本位なり。(注:八卦は本是乾宮より頭を起し、大有に到れば便ち帰魂なり。)この卦は純金を以て令を当て事を用い、坤卦と互いに飛伏す。(注:飛神は甲辰土、伏神は乙卯木。)世爻は第三爻「三公」の位に臨み、上九「宗廟」と相応す。 建候は戊寅より癸未に推し、(注:正月立春より六月大暑に至る。)積算は癸未(土)より起り、壬午(火)に推して、周して復た始まる。(注:吉凶の推法は乾卦と相同じ。)
五星從位起太陰,【太陰水星入卦用事。】軫宿從位降甲辰。【二十八宿分軫星入大有卦用事,行度吉凶可見。】金土分象三十六候,配陰陽升降。六位相蕩,返復其道。【復歸本位也。】吉凶度數與乾卦同分。
五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰はすなわち水星にして、卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は軫宿に輪り、甲辰爻の上に降落す。(注:二十八宿の中より軫星を分出して大有卦に入りて事を用い、其の行度より吉凶を看るべし。)金と土の分配する気候は三十六候にして、用いて陰陽の升降に配合す。六爻の位は互相激蕩し、最終に返復して本道に帰す。(注:すなわち本位に復帰す。)吉凶の度数は乾卦と同様に划分す。
六五陰柔,為日,照于四方,象天行健。【六龍御天。】少者為多之所宗,六五為尊也。【柔處尊位,以柔履剛,以陰處陽,能柔順於物,萬物歸附,故曰:照于四方。】 《易》曰:“火在天上,大有。”【離為火、為日,故曰大有。】陰陽交錯,萬物通焉。陰退陽伏,返本也。乾象分蕩八卦,入大有終也。 乾生三男,次入震宮八卦。【乾生三男,坤生三女。陽以陽,陰以陰,求奇耦定數於象也。】
六五は陰柔を以て尊に居り、太陽の四方を普照するを象徴し、而して外卦は仍ほ天行剛健の象を取る。(注:すなわち所謂「六竜天を御す」。)少なき一方は反って多なき一方の宗仰と為る。ゆえに六五は柔なるも尊位を得たり。(注:柔を以て尊位に居り、柔を以て剛強を駕馭し、陰を以て陽位に処す。能く柔順に物を待てば、万物便ち皆来り帰附す。ゆえに「四方に照る」と曰う。) 《周易》に曰く「火は天上に在り、大有」と。(注:離は火と為り日と為るがゆえに、大有と呼ぶ。)陰陽は彼此交錯し、万物は因りて通達す。陰気退去し陽気潜伏するは、本原に返帰するなり。乾象は分化蕩衍して一宮八卦を出し、大有に到れば便ち終結を告ぐ。 乾は震・坎・艮の三個の男卦を生出し、接続して震宮八卦に進入す。(注:乾は三男を生じ、坤は三女を生ず。陽と陽と相求め、陰と陰と相求めて、就中卦象の上に奇偶の数を定出す。)
震宮・震(震上震下)
分陰陽,交互用事。屬於木德,取象為雷,出自東方。震有聲,故曰雷。雷能警於萬物,為發生之始,故取東也。為動之主,為生之本。《易、繫》云:“帝出乎震。”【安為動主,靜為躁君。】與巽為飛伏。【庚戌土,辛卯木。】宗廟處上六。【陰為陽之主,震動。動須由陰陽交互,震動也。】
震卦は陰陽を分判し、交互に事を用いる。それは木徳に属し、象を雷に取り、東方より出ず。震は声響有るがゆえに雷と呼ぶ。雷は能く万物を警醒し、万物発生の開端なれば、因りて東方の位を取る。それは運動の主宰にして、生機の根本なり。《周易》に曰く「帝は震より出ず」と。(注:能く安定する者こそ動の主宰にして、能く沈静する者こそ躁の君長なり。)震は巽卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚戌土、伏神は辛卯木。)世爻は上六「宗廟」の位に居る。(注:陰は反って陽の主宰なれば、ゆえに震は能く動く。動は必ず陰陽の交互より起るを須いて、こそこれを震動と呼ぶ。)
運數入丙子至辛巳,【大雪至小滿。】積算起辛巳至庚辰土宮,配吉凶,周而復始。【吉凶配木官,以土用事。】 五星從位起歲星,【木星入卦用事。】角宿從位降庚戌土。【庚戌入震用事,臨上六爻,庚戌土位為元首。】內外木土二象,俱震。
運数は丙子より辛巳に推入し、(注:大雪より小満に至る。)積算は辛巳より起り、庚辰土宮に推して、此に拠りて吉凶を配定し、周して復た始まる。(注:吉凶は木宮の官爻に配するも、却って土を以て令を当て事を用いる。) 五星の輪値は「歳星」に起る、すなわち木星なり。(注:木星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は角宿に輪り、庚戌土爻の上に降落す。(注:庚戌は震卦に入りて事を用い、上六の一爻に臨む。庚戌のこの土位はすなわち全卦の元首なり。)内外両象は兼ねて木と土とを見え、而して上下皆震なり。
《易》曰:“震驚百里。”又云:“畏鄰戒也。”【震為雷,聲驚於百里,春發秋收,順天行也。取象定吉凶。】取象為陽,配爻屬陰,故曰:陰陽交錯而為震。 氣候分數三十六。定吉凶於頃刻,毫釐之末,無不通也,無不備也。【定陰陽數,考人之休咎,起於積算,終於六位也。】 陰陽交互,陽為陰,陰為陽,陰陽二氣蕩而為象,故初九三陰為豫。【入豫卦。】
《周易》震卦に曰く「百里を震驚す」と。また曰く「隣を畏れて戒なり」と。(注:震は雷と為り、雷声音は百里を驚動すべし。春に発生し秋に収斂し、皆天道に順いて運行す。此より象を取りて以て吉凶を判定す。)震は象を取りて陽に属すも、而して配する所の世爻は却って陰に属す。ゆえに陰陽交錯して震と成ると曰う。 分配の気候の数は三十六なり。それは能く頃刻の間に吉凶を定出し、纎毫の末も亦通達せず完備せざる無し。(注:陰陽の数を定下し、人の休咎を考察す。積算に起りて、六爻の位に終る。) 陰陽は交互往来し、陽は変じて陰と為るべく、陰は変じて陽と為るべし。二気は激蕩して卦象を結成す。ゆえに初九一たび変じて、三陰の象成れば、すなわち豫卦なり。(注:豫卦に進入す。)
震宮・豫(坤下震上)
卦配水火木,以為陽用事。《易》云:“利建侯行師。”又云:“天地以順動,故日月不過,四時不忒。【坤順震動。】聖人以順動,則刑罰清而民服。”與坤為飛伏。【乙未土,庚子水。】世立元士為地,易奉九四為正正。
豫卦は水・火・木の三気を配し、陽爻を以て令を当て事を用いる。《周易》豫卦に曰く「侯を建て師を行くに利し」と。また曰く「天地は順を以て動けば、ゆえに日月運行して過差せず、四時更替して錯乱せず。(注:坤性は柔順にして、震は発動を主る。)聖人は理に順いて動けば、則ち刑罰清明にして百姓帰服す」と。豫は坤卦と互いに飛伏す。(注:飛神は乙未土、伏神は庚子水。)世爻は初爻「元士」の位に立ちて地を象り、上は九四に奉して正応と為す。
建丁丑至壬午,【大寒至芒種。】積算起壬午至辛巳,以六爻定吉凶,周而復始。【火土算休咎。】 五星從位起熒惑,【熒惑火星入卦用事。】亢宿從位降乙未土,【亢宿配乙未土。】上木下見土,內順外動,故為悅豫。
建候は丁丑より壬午に推し、(注:大寒より芒種に至る。)積算は壬午より起り、辛巳に推して、六爻を用いて吉凶を判定し、周して復た始まる。(注:火・土を以て休咎を推算す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑はすなわち火星にして、卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は亢宿に輪り、乙未土爻の上に降落す。(注:亢宿は正に乙未土に配す。)上卦は木に属し下卦は土を見え、内は柔順にして外は奮動す。ゆえに和悦安豫と呼ぶ。
時有屯夷,事非一揆,爻象適時,有凶有吉。人之生世,亦復如斯。或逢治世,或逢亂時,出處存亡,其道皆係。《易》云:“大矣哉。” 陰陽升降,分數二十八,極大小之數,以定吉凶之道。【積算壬午入乙未推吉凶。】
時勢に艱難有り平順有り、世事は并せ一個の準則のみならず。爻象は時に随いて変われば、ゆえに凶有り吉有り。人生世に在るも亦このごとし――或る人は治世に趕上し、或る人は乱世に碰上す。出仕するか退隠するか、生存するか敗亡するか、道理は皆ここに繋がる。《周易》豫卦《彖伝》は因りて贊嘆して曰く「大きなり哉」と。 陰陽は升降往来し、分配の気候の数は二十八にして、大小の数を窮尽し、用いて吉凶の道理を判定す。(注:積算を用いて壬午より乙未に推入して吉凶を断ず。)
豫以陽適陰為內順,成卦之義,在於九四一爻。以陽蕩陰,君子之道,變之於解。【豫卦以陰入陽,成九四之德。變入解卦,陽入陰,成解之德。】
豫卦は陽爻を以て陰爻に趨就すれば、ゆえに内卦柔順なり。卦を成すの関鍵は、全て九四のこの一爻に在り。陽を以て陰を蕩動するは、正に君子の道にして、接続して変じて解卦に入る。(注:豫卦は陰を以て陽を納め、九四の徳性を成就す。変じて解卦に入るは、則ち陽が陰に入りて、解卦の徳性を成就す。)
震宮・解(坎下震上)
陰陽積氣,聚散以時,內險外動,必散。《易》云:“解者,散也。”解也,品彙甲拆,雷雨交作,【震雷坎雨。】積氣運動,天地剖判。成卦之義在於九二,與坎為飛伏。【戊辰土,庚寅木。】立大夫於世為人,而六五降應,委權命於庶品。
解卦は陰陽の気が積聚し、聚と散とは各々其の時有り。内卦は険陷にして外卦は震動し、動けば必然離散す。《周易》に曰く「解はすなわち散なり」と。すでに解散せば、各類の品物は紛紛として甲を破り芽を抽き、雷と雨と一同に興作す。(注:震は雷、坎は雨。)積聚の気は運行発動し、天地は此より剖分す。卦を成すの関鍵は九二に在り、解は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊辰土、伏神は庚寅木。)世爻は第二爻「大夫」の位に立ちて人を象り、六五降りて来りてそれと応じ、権柄政令を衆庶に托付す。
建戊寅至癸未,【立春至大暑。】推吉凶於陰陽,定運數於歲時。積算起癸未至壬午,周而復始。【土火入數起宮。】 五星從位起鎮星,【鎮星土位。】氐宿從位降戊辰。【氐宿入戊辰。】木下見水,動而險。陰陽會散,萬物通焉。
建候は戊寅より癸未に推し、(注:立春より大暑に至る。)陰陽より吉凶を推斷し、歳時より運数を定出す。積算は癸未より起り、壬午に推して、周して復た始まる。(注:土・火の数を以て宮を起す。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:鎮星は土位に属す。)二十八宿は氐宿に輪り、戊辰爻の上に降落す。(注:氐宿は戊辰に進入す。)木の下に水を見て、動いて険に遇う。陰陽の気はあるいは会合しあるいは離散し、万物は此より通達す。
升降屬陽蕩陰,以陽為尊。尊者高而卑者低。變六三為九三恆卦。分氣候定數,極位於三十六。【金水入數,合卦成數,定日月時。】 變坎入巽,居內象為雷風,運動鼓吹萬物,謂之恆。【入恆卦。】
升降の勢は陽の陰を蕩動するに属し、陽を以て尊と為す。尊者は高きに居り、卑者は低きに処す。六三変じて九三と為れば、就中恒卦と成る。気候を分配する定数は、三十六の位に極る。(注:金・水の数は卦に入りて、合して卦数を成し、此に拠りて日・月・時を定出す。) 坎は変じて巽と為り、内卦に居りて、上雷下風の象と成る。鼓動吹拂して万物をして能く久長ならしむ、これを恒と呼ぶ。(注:恒卦に進入す。)
震宮・恒(巽下震上)
久於其道,立於天地;雷與風行,陰陽相得;尊卑定矣。號令發,而萬物生焉。【萬物得其道也,生者。道,一作進也。】雷風行,而四方齊也。【齊者整齊。】與巽為飛伏。【辛酉金,庚辰土。】三公治世,應於上六宗廟。【宗廟爻。】
恒は長久に其の正道を守り、天地之間に立つなり。雷と風と並行し、陰陽は彼此相得、尊卑の位も就中定下せり。号令一たび發すれば、万物此より生長す。(注:万物は各々其の道を得てこそ、生長すること能くす。「道」の字は一本「進」に作る。)雷動風行して、四方因りて整粛す。(注:「斉」はすなわち整斉なり。)恒は巽卦と互いに飛伏す。(注:飛神は辛酉金、伏神は庚辰土。)世爻は第三爻「三公」の位に居りて主治し、上六「宗廟」と相応す。(注:上六は宗廟の爻なり。)
建己卯至甲申,【春分至立秋。】金木起度數,積算起甲申至癸未,周而復始。【金木入宮。】 五星從位起太白,【太白金星入卦用事。】房宿從位降辛酉。【房宿入卦,立秋用。】上下二象見木,分陰陽於內外。【內巽陰,外震陽。】氣候分數三十八。【金木入卦分節候。】九三至於陽屯之位,不順所履,無定其位。【恆者,常也。而九三以陽居位,立於陰陽交互之上,是知不久為[缺]所然[缺]。】
建候は己卯より甲申に推し、(注:春分より立秋に至る。)金・木を以て度数を起し、積算は甲申より起り、癸未に推して、周して復た始まる。(注:金木は本宮に進入す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は房宿に輪り、辛酉爻の上に降落す。(注:房宿は卦に入りて、立秋の時に事を用いる。)上下両象は皆木を見え、而して内外に於て陰陽を分出す。(注:内卦巽は陰に属し、外卦震は陽に属す。)分配の気候の数は三十八なり。(注:金木は卦に入りて、此に拠りて節候を划分す。)九三は上りて陽気屯聚の位に至り、行う所順ならず、位置も亦安定すること得ず。(注:恒はすなわち常久なり。而して九三は陽爻を以て位に居り、又陰陽交互の関口の上に立つ。それの能く長久ならざるを知るべし――此処は旧本各々一字を缺く。)
《易》云:“不恆其德,或承之羞。”陰陽升降,反於陰。君道漸進,臣下爭權,運及於升。【次降入升卦。】
《周易》恒卦九三に曰く「其の徳を恒せず、或いは之に羞を承く」と。陰陽は升降往来し、又返りて陰に到る。君道は漸々上進し、臣下は却って権を争い、運数は是に転じて升卦に到る。(注:接続して降りて升卦に入る。)
震宮・升(巽下坤上)
陽升陰,而陰道凝盛,未可便進,漸之。曰升。升者,進也。卦雖陰,而取象於陽,故曰:以陽用事。【內巽陰木陽也。】與坤為飛伏。【癸丑土,庚午火。】諸侯在世,元士為應侯。
升卦は陽気の陰に上昇するにして、而して陰道は正に凝聚強盛にして、未だ径直に前進すべからず、ただ循序漸進するのみ、ゆえに升と呼ぶ。升はすなわち進なり。この卦は陰を以て主と為すも、取象は却って陽の上に落つ。ゆえに陽を以て令を当て事を用いると曰う。(注:内卦巽は陰に属するも、その木性は却って陽なり。)升は坤卦と互いに飛伏す。(注:飛神は癸丑土、伏神は庚午火。)世爻は第四爻「諸侯」の位に居り、初爻「元士」を以て応と為す。
建庚辰至乙酉,【清明至秋分。】積算起乙酉至甲申,周而復始。【金水合木官見象定吉凶。】 五星從位起太陰,【太陰水星,入卦取象。】心宿入位降癸丑。【心宿入卦配土位。】土下見木,內外俱順。動陰陽而長歲時,人事配吉凶,發乎動。【占歲時、人事吉凶之兆,見乎動。】《易、繫》云:“吉凶悔吝,生乎動。”氣候配象,數位三十六。【分陰爻數,分陽爻數。】
建候は庚辰より乙酉に推し、(注:清明より秋分に至る。)積算は乙酉より起り、甲申に推して、周して復た始まる。(注:金水は木官と相合して、象を見て吉凶を定む。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰はすなわち水星にして、卦に入りて象を取る。)二十八宿は心宿に輪り、癸丑爻の上に降落す。(注:心宿は卦に入りて、土位に配す。)土の下に木を見え、内外二象は皆柔順なり。陰陽一たび動けば歳時滋長し、人事の吉凶は其中に配し、全て「動」の上より發出す。(注:歳時と人事の吉凶の兆を占問するは、皆動爻の上に顕現す。)《繋辞》に曰く「吉凶悔吝は、動より生ず」と。気候と卦象と相配し、数位は三十六なり。(注:分別して陰爻の数と陽爻の数を計す。)
自下升高,以至於極。至極而反,以修善道,而成其體。【合抱之木,始於毫末。】陰道革入陽,為坎水與風,見井。【入井卦。】
下より上に向かい高き処に升到り、一直に極点に到達す。極点に到れば便ち返るを要す。是に善道を修治して、自身の体質を成就す。(注:合抱の大樹も、亦是より毫末より長起る。)陰道変革して陽に進入し、坎水と巽風と相遇すると成れば、就中井卦を見る。(注:井卦に進入す。)
震宮・井(巽下坎上)
陰陽通變,不可革者,井也。井道以澄清不竭之象,而成於井之德也。《易》云:“井者,德之基。”又云:“往來井井,見功也。改邑不改井,德不可渝也。”【井道以澄清見用,為功也。井象德不可渝變也。】與坎為飛伏。【戊戌土,庚申金。】九五處至尊,應用見本象。
陰陽は処処通変すれども、唯だ変革すべからざる者は井なり。井道は澄澈清潔にして汲みて竭きざるを以て象と為し、井の徳性は就中此より成就す。《周易》に曰く「井は、徳の基なり」と。また曰く「往来井井なるは、其の功用を見るなり。邑を改めて井を改めずは、徳性は改易すべからざるなり」と。(注:井道は澄清を以て其の用を見る、これすなわち功なり。井象の示す所の徳性は変易すべからざるなり。)井は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊戌土、伏神は庚申金。)世爻は九五至尊の位に居り、応爻の取用も亦本象に見えたり。
建辛巳至丙戌,【小滿至寒露。】積算起丙戌至乙酉,周而復始。【火土入卦起算數。】 五星從位起歲星,【木星入卦,東方用事。】尾宿從位降戊戌。【尾宿配戊戌入卦宮。】坎下見風,險於前;內外相資,益於君。【井以德立,君正民信,德以其道也。】賢人有位,君子不孤。《傳》曰:“德不孤,必有鄰。”【六爻各處其務,反覆陰陽變化,各得其道也。】氣候所象,定數於二十八。【爻配陰陽,分人事,吉凶其見矣。】
建候は辛巳より丙戌に推し、(注:小満より寒露に至る。)積算は丙戌より起り、乙酉に推して、周して復た始まる。(注:火・土は卦に入りて算数を起す。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:木星は卦に入りて、東方を主りて事を用いる。)二十八宿は尾宿に輪り、戊戌爻の上に降落す。(注:尾宿は戊戌に配して本卦の宮に入る。)坎は下に在りて巽風を見れば、険難は就中前面に在り。但し内外は互相資助して、君上に有益なり。(注:井は徳性を以て身を立て、君主中正・百姓誠信は、皆徳を以て其の道を行うに倚る。)賢人位を得れば、君子は孤立せざらん。《伝》に曰く「徳は孤ならず、必ず隣有り」と。(注:六爻は各々其の職を守り、陰陽は反復変化し、各々其の道を得。)気候の取る所の象は、定数は二十八なり。(注:各爻は陰陽を配し、人事を分辨せば、吉凶は就中顕現す。)
天地之數,分於人事;【近取諸身,遠取諸物。】吉凶之兆,定於陰陽。陰生陽消,陽生陰滅,二氣交互,萬物生焉。 震至於井,陰陽代位,至極則反,與巽為終,退復於本。故曰游魂,為大過。【降入大過卦。】
天地の数は、人事に分派す。(注:近きは身に取象し、遠きは万物に取象す。)吉凶の兆は、則ち陰陽に取決す。陰生ずれば則ち陽消え、陽生ずれば則ち陰滅す。二気は交互往来し、万物此より生成す。 震卦より一路井卦に推して、陰陽は其の位を更替し、極処に到れば便ち返るを要し、巽と終りを為して、退いて復た本宮に帰す。ゆえに遊魂と呼ぶ、すなわち大過なり。(注:降りて大過卦に入る。)
震宮・大過(巽下兌上・遊魂)
陰陽代謝,至於游魂。《繫》云:“精氣為物,游魂為變,是故知鬼神之情狀。”互體象乾,以金土定吉凶。去本末,取二五為過之功。【大者相過。】與坎為飛伏。【丁亥水,戊申金。】降諸侯,立元首,元士居應上。
陰陽新旧代謝して、ここに到れば便ち遊魂と成る。《繋辞》に曰く「精気は物と為り、遊魂は変と為る。此に因りて能く鬼神の情状を知る」と。大過の互体は乾象を成し、金・土を以て吉凶を判定す。初・上のこの一本一末の両爻を去り、ただ九二と九五を取る。これこそ「大過」の功用の在る所なり。(注:大なる者は相過ぐ。)大過は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁亥水、伏神は戊申金。)世爻は第四爻「諸侯」の位に降りて立ちて元首と為り、初爻「元士」は応位に居る。
建丙戌至辛卯,【起元氣從丙戌至辛卯為卦建,建者,則所生之位。今立建起至辛卯,取陰陽至位極處也。寒露至秋分。】積算起辛卯至庚寅,周而復始。【土木入卦用事。】 五星從位起熒惑,【熒惑火星入卦。】箕宿從位降丁亥。【箕宿配丁亥水,合卦宮也。】陰陽相蕩,至極則反,反本及末於游魂。分氣候三十六。【六爻極陰陽之數三十六,五行分配,定吉凶於積算。】 陽入陰,陰陽交互,反歸於本,曰歸魂。降隨卦。【入澤雷隨卦。】
建候は丙戌より辛卯に推す。(注:元気は丙戌より起り辛卯に至りて止む、これすなわち本卦の「建」なり。「建」とは所指すは所生の位なり。如今立建は一直に起りて辛卯に至るは、取るは陰陽の極処に到達する位置なり。時令の上は寒露より秋分に至る。)積算は辛卯より起り、庚寅に推して、周して復た始まる。(注:土・木は卦に入りて令を当て事を用いる。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑火星は卦に入る。)二十八宿は箕宿に輪り、丁亥爻の上に降落す。(注:箕宿は丁亥水に配して、本卦の宮と相合す。)陰陽は互相激蕩し、極処に到れば便ち返回し、根本より一直に末梢に返りて、是に遊魂と成る。分配の気候の数は三十六なり。(注:六爻は陰陽の数を窮尽して三十六と為り、再び五行を以て分配し、積算を用いて吉凶を定む。) 陽は陰に入り、陰陽は交互往来し、本宮に返帰すれば就中「帰魂」と呼び、是に降りて随卦に入る。(注:沢雷随卦に進入す。)
震宮・随(震下兌上・帰魂)
震象復本曰隨。【內見震也。】內象見震曰本。【從震起至隨為歸魂。】純木用事,與巽為飛伏。【庚辰土,辛酉金。】世立三公,應宗廟。 建乙酉至庚寅,【秋分至立春。】積算起庚寅至己丑,【土木入卦氣算。】周而復始。【吉凶定於算數為準。】
震象が本宮に回復すれば就中随と呼ぶ。(注:内卦に震を見る。)内卦に震を見れば便ち本宮の象なり。(注:震卦より頭を起して、随卦に到りて帰魂と成る。)この卦は純木を以て令を当て事を用い、巽卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚辰土、伏神は辛酉金。)世爻は第三爻「三公」の位に立ち、上六「宗廟」と相応す。 建候は乙酉より庚寅に推し、(注:秋分より立春に至る。)積算は庚寅より起り、己丑に推し、(注:土・木は卦に入りて気数を推算す。)周して復た始まる。(注:吉凶は積算の数を以て准と為す。)
五星從位起鎮星,計都從位降庚辰。【計都配庚辰土,入卦分吉凶。】氣候分數二十八。【定數於六位。】 六位雖殊吉凶,象震,進退隨時。各處其位。無差咎刻。內外二象悅而動,隨附於物,繫失在於六爻。【《易》云:係丈夫,失小子。又云:係小子,失丈夫。此之謂也。】吉凶定於起算之端,進退見乎隨時之義。
五星の輪値は「鎮星」に起り、二十八宿は計都(すなわち斗宿)に輪り、庚辰爻の上に降落す。(注:計都は庚辰土に配して、卦に入りて吉凶を分かつ。)気候分配の数は二十八なり。(注:この定数は六爻の位に分布す。) 六爻の位は吉凶は各々異なるも、皆象を震に取り、進退は時に随いて定まり、各々其の位に安んじ、分毫の刻度も差せず。内外二象は一悦一動し、随順して外物に依附す。而して系う所と失う所とは就中六爻の間に在り。(注:《周易》随卦に曰く「丈夫に係われば、小子を失う」、また曰く「小子に係われば、丈夫を失う」、講ずるは正にこのことなり。)吉凶は起算の開端に取決し、進退は則ち「随時」の義を体現す。
金木交刑,水火相敵;休廢於時,吉凶生焉。震以一君二民,動得其宜。【震一陽二陰,陽君陰民,得其正也。】本於乾而生乎震,故曰長男。陰陽升降為八卦,至隨為定體。資於始而成乎終。坎降中男,而曰坎。互陽爻居中,為坎卦。
金と木と交り相い刑克し、水と火と彼此敵と為る。四時に随いて休有り廃有り、吉凶は便ち此より産生す。震卦は一個の君主が两個の民衆を統領して、動きて合宜なり。(注:震は一陽二陰、陽は君・陰は民と為り、各々其の正を得。)随は乾に本づきて震を生出せば、ゆえに震は長男と称す。陰陽升降して八卦を推衍し、随卦に到りて体式定下せり。開端に凭藉して終結を成就す。接続して乾降りて中男を出すを、就中坎と呼ぶ。互体の中に陽爻は中位に居るは、正に坎卦なり。
坎宮・坎(坎上坎下)
積陰,以陽處中。柔順,不能履重剛之險。故以剛克柔而履險。而曰陽,是以坎為屬中男。分北方之卦也,與離為飛伏。【戊子水,己巳火。】世立宗廟,居於陰位。比近九五,全於坎道,遠於禍害。三公居應,亦為陰暗。成坎之德,在於九五、九二也。【內外居坎,陽處中而為坎。主純陰得陽,為明臣得君,而安其居也。一作君得臣,而顯其道也。】
坎卦は陰気積聚して、而して陽爻は中位に処す。柔順の質は本来重重の剛険を踏過し得ざれば、ゆえに剛を用いて柔を克制せばこそ、険を履みて行うを得。因りてそれを陽に属すと曰い、坎も就中中男に列せられたり。それは北方に分属する卦にして、離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊子水、伏神は己巳火。)世爻は上六「宗廟」の位に立ち、陰位に居る。それは九五に緊隣して、能く坎道を保全し禍害を遠離す。「三公」は応爻に居りて、亦陰暗の一路に属す。坎卦の徳性を成就するは、九五と九二の両爻に在り。(注:内外皆坎にして、陽は中位に処して坎を成す。純陰を以て陽を得るは、譬えば賢明の臣子が明君に遇うがごとく、因りて能く其の居を安んず。一本は君主が賢臣を得て、因りて能く其の道を顕すと作る。)
建起戊寅至癸未,【大暑至大雪。】積算起癸未至壬午,周而復始。【金水入卦本同宮,氣候起算時日歲月吉凶。】 五星從位起太白,【太白金星入水宮。】牛宿從位降戊子。【二十八宿,從位八卦,周而復始。】歲候運數三十六。【配六位,分陰陽;三百五十六,餘日四分之一。分五行,配運氣,吉凶見矣。】
建候は戊寅より起り、癸未に推し、(注:大暑より大雪に至る。)積算は癸未より起り、壬午に推して、周して復た始まる。(注:金・水は卦に入りて、本宮と同気なり。気候に拠りて時・日・歳・月の吉凶を起算す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は水宮に進入す。)二十八宿は牛宿に輪り、戊子爻の上に降落す。(注:二十八宿は依次八卦に配入し、周して復た始まる。)歳候運数は三十六なり。(注:六爻の位に配して、陰陽を分辨す。其の数は三百五十六にして、別に四分の一の余日有り。再び五行を分かち運気を配せば、吉凶は就中顕現す。)
內外俱坎,是重剛之位。《易》曰:“坎,陷也。”【坎水能深陷於物;處坎之險,不可不習。故曰:習坎。便習之習後,可得履於險而不陷沒者。不以剛履柔,不能成坎之道也。】
内外皆坎は、これ重剛の位なり。《周易》に曰く「坎は、陥なり」と。(注:坎水は能く外物を深深に陥留す。坎険の中に身を処せば、反復して対応の道を演習せざるべからず。ゆえに「習坎」と呼ぶ。熟習した後に、こそ能く険地に行いて陥没に至らず。剛を以て柔を駕馭し得ざれば、坎の道理を成就し得ず。)
震以陽居初,能震動於物,能為動主。【乾生震,一陽居於初,震為長男。】坎以陽居中,為重剛之主,故以坎為險。陽變陰,成於陰道。今以陰變陽,止於為節。【次入於節卦。】
震は陽爻を以て初位に居り、能く万物を震動し、以て発動の主宰と為すべし。(注:乾は震を生じ、一陽は初爻に居れば、ゆえに震は長男と為る。)坎は陽爻を以て中位に居り、重剛の主なれば、ゆえに坎は険象を取る。陽変じて陰と為れば、陰道に於て成る。如今反って陰を以て陽に変ぜば、便ち節卦に止まる。(注:接続して節卦に進入す。)
坎宮・節(兌下坎上)
水居澤上,澤能積水。陽止於陰,故為節。節者,止也。陽蕩陰而積實,居中悅內,而險於前。陰陽進退,金水交運,與兌為飛伏。【丁巳火,戊寅木。】元士立元首,見應諸侯。【金火受其氣,納到內。】
節卦は水は沢の上に在り、沢は能く水を蓄積す。陽は陰に止められれば、ゆえに節と呼ぶ。節はすなわち止なり。陽は陰を蕩動して積を充実せしめ、中に居りて内心和悦すれども、前面は却って険難有り。陰陽は一進一退し、金と水と交替運行し、節は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁巳火、伏神は戊寅木。)世爻は初爻「元士」の位に立ちて元首と為り、第四爻「諸侯」と相応す。(注:金と火は其の気を受納して、皆内卦に収入す。)
建起甲申至己丑,【為本身節氣,立秋大寒。】積算起己丑至戊子,周而復始。【金水坎,火運入卦,雜定吉凶。】 五星從位起太陰,【太陰屬水,入卦用事。】女宿從位降丁巳。【配象入積算。】金上見水,本位相資,二氣交爭,失節則嗟。《易》云:“不節若,則嗟若。”分氣候二十八。【積算起數二十八。】
建候は甲申より起り、己丑に推し、(注:これは本卦自身の節気にして、すなわち立秋より大寒に至る。)積算は己丑より起り、戊子に推して、周して復た始まる。(注:坎は金水に属し、又火運の卦に入る有りて、交雑して一起来りて吉凶を定む。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰は水に属し、卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は女宿に輪り、丁巳爻の上に降落す。(注:卦象に配合して積算に納入す。)金の上に水を見て、本位互相資助す。但し二気交争し、一旦節度を失えば便ち嗟嘆す。《周易》節卦に曰く「節せざる若くば、則ち嗟かん若く」と。分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は就中二十八のこの数より起す。)
中男入兌,少女分蕩入陰中位,見陽升降,見長男。次入水雷屯。【是則節險入陽,蕩九二爻,體歸於陽,次入屯卦。】
中男(坎)は兌に進入し、少女の気は分蕩して陰の中位に到る。再び陽爻の升降を見れば、就中長男(震)を見る。接続して水雷屯に進入す。(注:これは節の険象が転じて陽に入り、九二の一爻を蕩動して、卦体は陽に帰して、是に屯卦に進入す。)
坎宮・屯(震下坎上)
內外剛長,陰陽升降,動而險。凡為物之始,皆出先難後易。今屯則陰陽交爭,天地始分,萬物萌兆,在於動難。故曰屯。【水在雷上,如雲雷交作;天地草昧,經綸之始,無出於此也。】故易曰:“屯如,邅如,乘馬班如。滋血漣如。”【屯難之際,盤桓不進之貌。】難定乃通。《易》云:“女子貞不字,十年乃字。”【字,愛也。時通則道亨,合正匹也。】土木應象見吉凶,與震為飛伏。【庚寅木,戊辰土。】世上見大夫,應至尊。陰陽得位,君臣相應,可以定難於草昧之世。
屯卦は内外剛爻増長し、陰陽升降して、動いて険に遇う。凡そ万物の開端は、皆先に難しくして後に易し。如今屯卦は正に陰陽交争・天地初分・万物剛に萌芽を露わすの時にして、難しき処は就中「動」に在れば、ゆえに屯と呼ぶ。(注:水は雷の上に在りて、如同雲雷一斉に興作す。天地は混沌草昧にして、経営創始の事は、これより難しきは無し。)ゆえに《周易》屯卦に曰く「屯如、邅如、馬に乗りて班如、血を滋して漣如」と。(注:屯難の際、徘徊して前進せざるの様子なり。)艱難一旦安定すれば、就中通達す。《周易》屯卦六二に曰く「女子は貞にして字せず、十年にして乃ち字す」と。(注:「字」はここに愛と解す。時運一たび通ずれば、其の道は就中亨く、正に端正の匹偶に配成す。)土と木の相応の象の上に吉凶を顕し、屯は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚寅木、伏神は戊辰土。)世爻は第二爻「大夫」の位に在り、九五至尊と相応す。陰陽各々其の位を得、君臣上下相応すれば、草昧の世に於て艱難を平定すべし。
建乙酉至庚寅,【秋分至立春。】積算起庚寅至己丑,周而復始。【土木配本宮起積算。】 五星從位起歲星,【木星入卦。】虛宿從位降庚寅。【虛宿入六二庚寅位。】分氣候三十六。【定吉凶之數。】 陽適陰,入中女,子午相敵見吉凶。【動入離象見既濟。】
建候は乙酉より庚寅に推し、(注:秋分より立春に至る。)積算は庚寅より起り、己丑に推して、周して復た始まる。(注:土・木は本宮に配して積算を起す。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:木星は卦に入る。)二十八宿は虚宿に輪り、庚寅爻の上に降落す。(注:虚宿は六二庚寅の位に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:此より吉凶の数を定出す。) 陽は陰に趨就し、中女の象に進入し、子と午と相対して敵と為りて吉凶を見る。(注:一たび動けば便ち離象に入りて、既済と成る。)
坎宮・既済(離下坎上)
二氣無沖,陰陽敵體。世應分君臣,剛柔得位,曰既濟。【離坎分子午,水上火下,性相交敵,不間隔。是曰既濟也。】與離為飛伏。【己亥水,戊午火。】世上見三公,應上見宗廟。內外陰陽相應,坎離相約上下交。【坎水潤下,離火炎上,二氣相交為既濟。】五行相配,吉凶麗乎爻象。【吉凶之兆,見乎爻象。】
既済卦は両気相い冲犯せず、陰陽彼此対等相当す。世爻と応爻と君臣を分出し、剛柔各々其の位を得れば、ゆえに既済と呼ぶ。(注:離と坎とは分かちて午と子とを主り、水は上に在り火は下に在り、両性交わり相対して而も隔絶せず、これを既済と呼ぶ。)既済は離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己亥水、伏神は戊午火。)世爻は第三爻「三公」の位に在り、応爻は上六「宗廟」なり。内外陰陽彼此相応じ、坎離相い約して上下交通す。(注:坎水の本性は潤下、離火の本性は炎上、二気相交わればすなわち既済なり。)五行互相配合し、吉凶は便ち爻象に附着して顕現す。(注:吉凶の兆は、皆爻象に見えたり。)
建丙戌至辛卯,【寒露至春分。】卦氣分節氣。始丙戌受氣,至辛卯成正象。考六位,分剛柔,定吉凶。積算起辛卯至庚寅,周而復始。【土木見運入卦。】 五星從位起熒惑,【熒惑火星入卦。】危宿從位降己亥。【危宿入己亥。】分氣候二十八。【定六爻之類,考吉凶之兆。】
建候は丙戌より辛卯に推し、(注:寒露より春分に至る。)卦気は此に拠りて節気を划分す――丙戌より気を受け始め、辛卯に到りて正象を成す。六爻の位を考察し、剛柔を分辨し、吉凶を判定す。積算は辛卯より起り、庚寅に推して、周して復た始まる。(注:土・木の運は卦に入る。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑火星は卦に入る。)二十八宿は危宿に輪り、己亥爻の上に降落す。(注:危宿は己亥に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:此より六爻の類属を定出し、吉凶の兆を考察す。)
坎入兌,為積陰;二象分,俱陰。上下反覆,卦變革。【坎入革,六四蕩之入陽,變體為陰也。】
坎は兌に進入して、積陰の象と成る。内外二象は分かちて見れば、皆陰に属す。上下は往復変動し、卦は就中変じて革と為る。(注:坎は革に入りて、六四は蕩動せられて陽に入り、卦体は随いて変じて陰と為る。)
坎宮・革(離下兌上)
二陰雖交,志不相合。體積陰柔,爻象剛健,可以革變。兌上離下,【中虛。】務上下積陰,變改之兆。成物之體,故曰革。《易》云:“君子豹變,小人革面。”與兌為飛伏。【丁亥水,戊申金。】諸侯當世,見元士。九五、六二為履正位。天地革變,人事隨而更也。【更者變也。】
革卦は两陰は相交わるも、心志は并せ契合せず。卦体は陰柔を積聚し、爻象は反って剛健を顕せば、ゆえに変革すべし。兌は上に在り離は下に在り、(注:中間は虚なり。)上下皆陰気を積みて、正に変改の兆なり。能く器物の体を成就せば、ゆえに革と呼ぶ。《周易》革卦に曰く「君子は豹変し、小人は革面す」と。革は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁亥水、伏神は戊申金。)世爻は第四爻「諸侯」の位に当たり、初爻「元士」と相応す。九五と六二は各々正位の上に踏めり。天地一旦変革せば、人事も随いて更改す。(注:「更」はすなわち変なり。)
建丁亥至壬辰,【小雪至清明。】水土配位。【土水入卦。】積算起壬辰至辛卯,周而復始。 五星從位起鎮星,【土星入卦。】室宿從位降丁亥。【二十八宿,室宿入卦,革丁亥土。】分氣候三十六,其數起元首。【分陰陽之象數,吉凶生矣。】
建候は丁亥より壬辰に推し、(注:小雪より清明に至る。)水と土は各々其の位を配す。(注:土・水は卦に入る。)積算は壬辰より起り、辛卯に推して、周して復た始まる。 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:土星は卦に入る。)二十八宿は室宿に輪り、丁亥爻の上に降落す。(注:二十八宿の中に室宿は卦に入りて、革卦の丁亥の上に落つ。)分配の気候の数は三十六にして、この数は元首の爻より起算す。(注:陰陽の象と数を分出せば、吉凶は便ち此より産生す。)
上金下火,金積水而為器,【器能盛納於物。】火變生而為熟。生熟稟氣於陰陽,革之於物,物亦化焉。【五行類五色,五色類萬物。稟和氣,氣即順。剛即逆,逆即反,反即敗。】 《易》云:“巳日乃孚。【孚猶信也。】陰陽更始,動以見吉凶。【震主動也。】動以柔當位,剛會之,光大,革變於豐。【外卦兌入震,為豐卦。】
上卦は金に属し下卦は火に属す。金は水を積蓄すれば器皿と成り、(注:器皿は能く外物を盛納す。)火は一たび変化すれば生を煮て熟に致す。生と熟とは皆陰陽の気に禀受す。変革は万物に施されば、万物も随いて化成す。(注:五行は五色に対応し、五色はまた万物に対応す。和気を禀受すれば気は和順し、一味剛強なれば悖逆し、悖逆すれば返転し、返転すれば敗壊す。) 《周易》革卦に曰く「巳日乃ち孚」と。(注:「孚」はすなわち誠信なり。)陰陽は重ねて開始し、一たび動けば吉凶を見出す。(注:震は発動を主る。)動いて柔を以て当位に居り、剛爻は又来りて会合し、其の道光明盛大にして、是に革より変じて豊に入る。(注:外卦兌は変じて震に入れば、就中豊卦と成る。)
坎宮・豊(離下震上)
雷火交動,剛柔散氣,積則暗,動乃明。《易》云:“豐其屋,蔀其家,窺其戶,闃其無人,三歲不覿,凶。”【上六積暗而動,凶之於上反下,見陰之兆。】火木分象,配於積陰,與震為飛伏。【庚申金,戊戌土。】陰處至尊為世,大夫見應。君臣相暗,世則可知;臣強君弱,為亂世之始。
豊卦は雷と火と交相鼓動し、剛柔の気は発散開らく。気は一たび積聚すれば昏暗し、一たび動けば光明を見る。《周易》豊卦上六に曰く「其の屋を豊にし、其の家を蔀し、其の戸を窺えば、闃として人無く、三歳觌れず、凶」と。(注:上六は暗を積みて而も妄動し、凶は上位より反って下面に落つ。正に陰気の兆なり。)火と木とは内外二象を分成し、積陰の上に配し、豊は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚申金、伏神は戊戌土。)陰爻は至尊の位に処して世爻と為り、第二爻「大夫」と相応す。君と臣と彼此昏暗にして、この時世も亦想い知るべし。臣強く君弱きは、正に乱世の開端なり。
建生戊子至癸巳,【大雪至小滿。】雷與火震動曰豐。宜日中。夏至積陰生豐,當正應,吉凶見矣。【日中也。】積算起癸巳至壬辰,周而復始。【火土起算。】 五星從位起太白,【太白金星入卦。】壁宿從位降庚申,【壁宿入坎至豐,庚申入土。】分氣候二十八。【積算定六位,起數二十八。】
建候は戊子より起り、癸巳に推し、(注:大雪より小満に至る。)雷と火と一同に震動すれば就中豊と呼び、日の中天に到るの時に宜し。夏至は陰気初めて生じて豊象成り、正に其の応に当たりて、吉凶は就中顕現す。(注:すなわち所謂「日中」。)積算は癸巳より起り、壬辰に推して、周して復た始まる。(注:火・土を以て起算す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は卦に入る。)二十八宿は壁宿に輪り、庚申爻の上に降落し、(注:壁宿は坎宮より豊卦に入り、庚申は土位に帰入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は六爻の位を定下して、数二十八を起す。)
上木下火,氣稟純陽;陰生於內,陽氣雜正,性潰亂極,乃反為游魂,入積陰。【震入坤也。】陰陽升降,反歸於本。變體於有無。吉凶之兆,或見於有,或見於無。陰陽之體,不可執一。為定象於八卦,陽蕩陰,陰蕩陽,二氣相感而成體,或隱或顯。故《繫》云:“一陰一陽之謂道。”【一者,道也。】外卦震降陰,入明夷。【次入明夷卦。】
上卦は木に属し下卦は火に属し、気は純陽を禀るも、但し陰は已に内部に生じ、陽気は正位の中に夾雑し、本性は潰乱して極処に到り、是に反転して遊魂と成り、積陰の地に進入す。(注:震は坤に入る。)陰陽は升降往来し、最終に本原に返帰す。卦体は「有」と「無」の間に於て変化す――吉凶の兆は、あるいは「有」に顕現し、あるいは「無」に顕現す。陰陽の本体は、一端に執着すべからず。この為に八卦の上に象を定出す――陽は陰を蕩動し、陰は陽を蕩動し、二気相い感じて卦体を結成し、あるいは隠れあるいは顕る。ゆえに《繋辞》に曰く「一陰一陽これを道と謂う」と。(注:この「一」は、すなわち道なり。)外卦震は陰気を降下し、明夷に進入す。(注:接続して明夷卦に進入す。)
坎宮・明夷(離下坤上・遊魂)
積陰蕩陽,六位相傷;外順而隔於明,處暗不分;【一作明】傷於正道,曰明夷。【夷者,傷也。】五行升降,八卦相蕩,變陽入純陰。【春夏之秋冬也。】陰道危,陽道安,故與震為飛伏。【癸丑土,庚午火。】傷於明而動乃見志,【震,動也。】退位入六四。諸侯在世,元士為應。君暗臣明不可止。【箕子與紂也。】
明夷卦は積聚の陰気が陽気を蕩逼し、六爻の位は互相損傷す。外表は柔順にして却って光明を内裏に隔て、暗地に身を処して分辨するに由無し。(「不分」は一本「不明」に作る。)正道は傷害を受ければ、ゆえに明夷と呼ぶ。(注:「夷」はすなわち傷なり。)五行は升降し、八卦は互相激蕩し、陽は変じて純陰に入る。(注:春夏が秋冬に転成するがごとし。)陰道は危険にして陽道は安穏なれば、ゆえに明夷は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は癸丑土、伏神は庚午火。)光明は傷つくも、一たび動けば仍ほ其の志を顕出し得、(注:震はすなわち動なり。)是に位を退いて六四に入る。世爻は第四爻「諸侯」の位に在り、初爻「元士」を以て応と為す。君上昏暗にして臣下明智なるこの局面は、止めること得ず。(注:正に箕子の紂王に対するがごとし。)
建起六四癸巳至戊戌,【游魂及六四爻數起,小滿至寒露。】積算起戊戌至丁酉,周而復始。【土金入卦起算數。】 五星從位起太陰,【太陰水星入卦。】奎宿從位降癸丑,【奎宿入明夷,配六四癸丑土上。】分氣候三十六。【三十六數入卦,起算推吉凶。】
建候は六四癸巳より起り、戊戌に推し、(注:遊魂卦は六四のこの一爻の数より起算し、時令は小満より寒露に至る。)積算は戊戌より起り、丁酉に推して、周して復た始まる。(注:土・金は卦に入りて算数を起す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰水星は卦に入る。)二十八宿は奎宿に輪り、癸丑爻の上に降落し、(注:奎宿は明夷に進入し、六四癸丑土に配す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:三十六の数を以て卦に入りて、起算して吉凶を推す。)
地有火,明於內,暗於外。當世出處,為眾疑之所及,反傷於明。《易》曰:“三日不食,主人有言。” 陰陽進退,金水見火,氣不相合。六位相蕩,四時運動,靜乃復本,故曰游魂。【以本宮八卦,相蕩六位推遷也。】次降歸魂入師卦。
地中に火を含み、光明は内に在りて昏暗は外に在り。この時は出仕するも退処するも、皆衆人の猜疑を招来し、反って自らの明智を傷つく。《周易》明夷初九に曰く「三日食わず、主人言有り」と。 陰陽は一進一退し、金水はまた火に遇上して、気息彼此合せず。六爻の位は互相激蕩し、四時運転停まず、静まれば便ち本原に返帰す、ゆえに遊魂と呼ぶ。(注:本宮八卦を用いて互相激蕩し、六爻の位は依次推移す。)接続して降りて帰魂の師卦に入る。
坎宮・師(坎下坤上・帰魂)
變離入陰,傷於正道;復本歸坎,陽在其中矣。【內卦坎為本宮。】處下卦之中,為陰之主,利於行師。《易》云:“師者,眾也。”眾陰而宗於一陽,得其貞正也。與離為飛伏。【離入坎也。】陰陽相薄,剛柔遷位。【戊午火,己亥水。】世主三公,應為宗廟。
師卦は離変じて陰に入り、正道は傷を受けたり。再び本宮の坎に復帰すれば、陽は就中其中に含まる。(注:内卦坎は正に本宮の象なり。)九二は下卦の中に処し、衆陰の主宰にして、兵を統べ師を行くに利し。《周易》に曰く「師はすなわち衆なり」と。衆多の陰爻は共同に一個の陽爻を宗奉し、正に其の貞正の道を得たり。師は離卦と互いに飛伏す。(注:離は坎に入る。)陰陽相い迫り、剛柔位を換える。(注:飛神は戊午火、伏神は己亥水。)世爻は第三爻「三公」を主り、上六「宗廟」を以て応と為す。
建始壬辰至丁酉,【清明至秋分。】積算起丁酉至丙申,周而復始。【金火入卦起算。】 五星從位起歲星,【歲星木入卦。】婁宿從位降戊午,【婁宿入坎卦歸魂六三爻。】分氣候二十八。【起算入卦吉凶。】
建候は壬辰より起り、丁酉に推し、(注:清明より秋分に至る。)積算は丁酉より起り、丙申に推して、周して復た始まる。(注:金・火は卦に入りて起算す。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:歳星は木に属し、卦に入る。)二十八宿は婁宿に輪り、戊午爻の上に降落し、(注:婁宿は坎宮帰魂卦の六三爻に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:此に拠りて卦に入るの吉凶を起算す。)
地下有水復本位,六五居陰處陽位;九二貞正,能為眾之主,不潰於眾。《易》云:“師,貞丈人吉。” 入卦始於坎,陰陽相蕩;反至於極,則歸本,坎中男。【陽居九二,稱中男。】升降得失,吉凶悔吝,策於六爻;六爻之設,出於蓍;蓍之得象而卦生。積算起於五行,五行正則吉,極則凶。吉凶之象,顯於天地人事、日月歲時。
地下に水有り、卦は已に本位に復帰せり。六五は陰柔を以て陽位に居り、九二は貞正を守持し、能く衆人の主宰と為り、衆人に冲潰せられずに至る。《周易》師卦に曰く「師、貞丈人吉」と。 卦に入るは坎より始め、陰陽互相激蕩す。極処に返れば便ち本宮に帰り、坎はすなわち中男なり。(注:陽は九二に居れば、ゆえに中男と称す。)升降の間の得と失・吉凶悔吝は、皆六爻に取決す。六爻の設立は蓍草より出て、蓍草は卦象を得出し、卦は就中生成せり。積算は五行に起り、五行は正を得れば吉、極端に走到れば凶。吉凶の象は、天地人事と日月歳時の上に顕現せん。
坎之變於艮,艮為少男。少男處卦之末,為極也。【震一陽居初爻,坎二陽處中,艮三陽處卦之末。故曰陽極為少男,又云止也。】次入艮卦。
坎再び変じて艮と成り、艮は少男なり。少男は三男の末位に処し、已に極処に到れり。(注:震は一陽を以て初爻に居り、坎は第二陽を以て中位に処し、艮は第三陽を以て卦の末位に処す。ゆえに陽は極処に到れば便ち少男と曰い、また艮に「止」の意有りと曰う。)接続して艮卦に進入す。
艮宮・艮(艮下艮上)
乾分三陽,為長中少,至艮為少男。本體屬陽,陽極則止,反生陰象。《易》云:“艮,止也。”於人為手、為背。取象為山、為石、為門、為狗。上艮下艮二象,土木分氣候,與兌為飛伏。【丙寅木,丁未土。為少男取少女相配。】世上見宗廟,三公為應。陰陽遷次,長幼分形。【乾,三生男;將至艮,極少;長分形,長中分之為建也。】
乾は三個の陽爻を分出し、依次長男・中男・少男と為り、艮に到れば便ち少男なり。艮本体は陽に属し、陽は極処に到れば就ち止住し、反って陰象を生出す。《周易》に曰く「艮は、止なり」と。人身上は手と為り背と為る。取象は則ち山・石・門・狗と為す。上艮下艮の两象相重なりて、土と木とに由りて気候を分主し、艮は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙寅木、伏神は丁未土。これは少男と少女の相配を取るなり。)世爻は上九「宗廟」の位に在り、第三爻「三公」を以て応と為す。陰陽は依次遷移し、長幼各々其の形を分かつ。(注:乾は三男を生じ、艮に到れば已に最少の一個なり。長幼すでに其の形を分かてば、就ち長・中の別に依りて「建」を定む。)
庚寅至乙未,【立春至大暑。】陰長陽極,升降六位,進退順時,消息盈虛。積算起庚寅至己丑,周而復始。【木土入卦】 五星從位起熒惑,【熒惑火星入卦。】胃宿從位降丙寅,【胃宿入卦分位。】分數位三十六。【配位六卦分吉凶。】
建候は庚寅より乙未に推し、(注:立春より大暑に至る。)陰気増長して陽は極処に到り、六爻の位は随いて升降し、進退は時令に順応し、あるいは消しあるいは息し、あるいは盈ちあるいは虚く。積算は庚寅より起り、己丑に推して、周して復た始まる。(注:木・土は卦に入る。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑火星は卦に入る。)二十八宿は胃宿に輪り、丙寅爻の上に降落し、(注:胃宿は卦に入りて爻位を分定す。)分かつ所の数位は三十六なり。(注:六爻の位に配して来りて吉凶を分辨す。)
金木相敵,升降以時。艮止於物,背於物。《易》云:“時止則止,時行則行。”剛極陽反陰長,積氣止於九三。 初六變陽,取其虛中,文明在內,成於賁。次降入賁卦。
金と木は彼此敵と為り、升降各々時令に依る。艮は外物に止まり、又外物に背う。《周易》艮卦に曰く「時止まれば則ち止まり、時行けば則ち行く」と。剛は極処に到れば、陽は就ち返回して陰は開始増長し、積聚の気は九三に止まる。 初六は変じて陽爻と為り、其の中間の虚象を取りて、文明は内裏に含まる、就中賁卦と成る。接続して降りて賁卦に入る。
艮宮・賁(離下艮上)
泰取象上六,柔來反剛。九二剛,上文柔。成賁之體,止於文明。賁者,飾也。五色不成謂之賁,文彩雜也。山下有火,取象文明,火土分象,與離為飛伏。【己卯木,丙辰土。】世立元士,六四諸侯在應。陰柔居尊,文柔當世,素尚居高,侯王無累。《易》云:“賁于丘園,束帛戔戔。”
賁卦は象を泰卦の上六に取る――柔爻下りて来りて剛爻と互換す。九二剛爻は上行し、柔を用いて之に文飾を加う。賁の卦体は此より成り、文明に止まる。賁はすなわち文飾なり。五色は純正の色を配成せざれば就中賁と呼ぶ、文彩駁雑するに因る。山下に火有り、象を文明に取る。火と土とは内外二象を分主し、賁は離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己卯木、伏神は丙辰土。)世爻は初爻「元士」に立ち、六四「諸侯」は応位に在り。陰柔は尊位に居り、文柔の徳は世に当たり、素朴の操守は反って高処に居り、侯王も亦外物に累さるること無し。《周易》賁卦六五に曰く「丘園に賁る、束帛戔戔」と。
建始辛卯至丙申,【春分至立秋。】積算起丙申至乙未,周而復始。【金土入卦起算。】 五星從位起鎮星,【鎮星入卦。】昴宿從位降己卯,【昴宿配賁卦初九陽位起算。】分氣候二十八。【起六位五行算吉凶。】
建候は辛卯より起り、丙申に推し、(注:春分より立秋に至る。)積算は丙申より起り、乙未に推して、周して復た始まる。(注:金・土は卦に入りて起算す。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:鎮星は卦に入る。)二十八宿は昴宿に輪り、己卯爻の上に降落し、(注:昴宿は賁卦初九のこの陽位に配して起算す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:六爻の位と五行とより吉凶を推算す。)
土火木分陰陽,相應為敵體;上九積陽,素尚全身遠害,貴其正道。起於潛,至於用九。【假乾初上為喻也。】陰陽升降,通變隨時。 離入乾,將之大畜。次降六二中虛為三連。入大畜卦。【陰消陽長。】
土・火・木の三者は陰陽に分属し、彼此相応じて而も対等の敵体と成る。上九は陽気を積聚し、素朴を以て自守して自らを保全し禍害を遠離す。貴ぶべき処は正に其の正道を守るに在り。それは乾卦初九の「潜竜」に起り、一直に「用九」に推して至る。(注:これは乾卦の初爻と上爻とを借りて来て打譬するなり。)陰陽は升降往来し、権に通じ変に達して、皆時に随いて定まる。 離は乾に進入し、将に大畜に変ぜんとす。接続して六二のこの中虚の爻降下し、三陽連なりて一体と成り、大畜卦に進入す。(注:陰消えて陽長ず。)
艮宮・大畜(乾下艮上)
陽長陰消,積氣凝盛,外止內健,二陰猶盛,成於畜義。《易》云:“既雨既處。”畜消時行,陽未可進。取於下卦,全其健道,君子以時順其吉凶。與乾為飛伏。【甲寅木,丙午火。】
大畜卦は陽気増長して陰気消退し、積聚の気は凝重強盛なり。外卦艮止して内卦乾健にして、上面の两個の陰爻は仍ほ強盛にして、是に「畜止」の義を成就す。《周易》に曰く「すでに雨しすでに処る」と。畜止の勢は時に随いて消長して行い、陽は還た冒然と前進すべからず。取用は下卦に在り、其の剛健の道を保全し、君子は時に按じて其中の吉凶に順応す。大畜は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は甲寅木、伏神は丙午火。)
建始壬辰至丁酉,【清明至秋分。】積算起丁酉至丙申,周而復始。【金土入卦分吉凶起算。】 五星從位起太白,【太白金星入卦推吉凶。】畢宿從位降甲寅。【畢宿入大畜九二甲寅上。】九二大夫應世,應六五為至尊,陰陽相應,以柔居尊。(缺)為畜之主。分氣候二十八。【極陰陽之象,定吉凶之兆。】
建候は壬辰より起り、丁酉に推し、(注:清明より秋分に至る。)積算は丁酉より起り、丙申に推して、周して復た始まる。(注:金・土は卦に入りて、拠りて吉凶を分辨して起算す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は卦に入りて以て吉凶を推す。)二十八宿は畢宿に輪り、甲寅爻の上に降落す。(注:畢宿は大畜九二甲寅の位に進入す。)九二「大夫」は世爻と為り、上は六五至尊に応じ、陰陽彼此相応じ、六五は柔を以て尊位に居り(此処は旧本缺文有り)、正に畜止の主なり。分配の気候の数は二十八なり。(注:陰陽の象を窮尽して、吉凶の兆を定出す。)
山下有乾,金土相資。陽進陰止,積雨潤下,畜道光也。乾象內進,君道行也。吉凶升降,陰陽得位,二氣相應,陽上薄陰,陰道凝結。上於陽長,為雨反下,九居高位,極於畜道。反陽為陰,入於兌象。六三應上九,上有陽九,反應六三,成於損道。次降損卦。【乾入兌九三之變六二。】
山下に乾を含み、金と土と互相資助す。陽は前進して陰は止住し、積聚の雨水は潤沢して下り、畜養の道は此より光大す。乾象は内卦に於て上進し、君道は施行を得たり。吉凶は升降に随いて定まり、陰陽各々其の位を得、二気彼此相応ず。陽は上に向かい陰に迫近すれば、陰道は便ち凝結せり。陽気の長じて上位に到るを待ちて、雨は反って落ちて来る。上九は高位に身居して、畜養の道を極処に推到せり。是に陽は反転して陰と為り、兌象に進入す――六三は上九と相応じ、上面の陽九は又反って六三に応じて、就中「損」の道理を成就す。接続して降りて損卦に入る。(注:乾は兌に入り、九三は変じて六二と為る。)
艮宮・損(兌下艮上)
澤在山下,卑險于山;山高處上,損澤益山。成高之義,在於六三。在臣之道,奉君立誠。《易》云:“損下益上。”【乾九三變六三陰柔,益上九,臣奉君之義。】與兌為飛伏。【丁丑土,丙申金。】三公居世,宗廟為應。【六三,上九。】
損卦は沢は山の下に在り、地位は卑下にして山より険し。山は高く上に踞り、沢を減損して山を增益す。其の高を成就する関鍵は、六三の一爻に在り。臣と為るの道に就きて言えば、これは君上に奉事し誠敬を確立するなり。《周易》に曰く「下を損して上を益す」と。(注:乾の九三は変じて六三陰柔と為り、去りて上九を增益す。正に臣の君に奉するの意なり。)損は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁丑土、伏神は丙申金。)世爻は第三爻「三公」に居り、「宗廟」を以て応と為す。(注:すなわち六三と上九。)
建始癸巳至戊戌,【小滿至寒露。】積算起戊戌至丁酉,周而復始。【土火入宮起積算。】 五星從位起太陰,【太陰水星入卦用事。】觜宿從位降丁丑,【二十八宿配觜宿入損卦,六三爻起算歲月日時。】土星入卦配吉凶,陰陽相蕩位不居。【土金入損卦起算,陰陽相生,六位變動不居也。】六爻有吉凶,四時變更,不可執一以為規。【六爻吉凶,隨時更變。或春或夏,或秋或冬,歲時運動。】分氣候二十八。【二十八起數,算吉凶入卦。】 陰陽升降,次艮入離,見睽之象。損益六爻,剛長陰。次入火澤睽卦。
建候は癸巳より起り、戊戌に推し、(注:小満より寒露に至る。)積算は戊戌より起り、丁酉に推して、周して復た始まる。(注:土・火は宮に入りて積算を起す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰水星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は觜宿に輪り、丁丑爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に觜宿を配して損卦に入れ、六三の一爻より歳・月・日・時を起算す。)土星は卦に入りて吉凶を配定し、陰陽互相激蕩して、爻位は固定して動かざるを得ず。(注:土・金は損卦に入りて起算し、陰陽相生して、六爻の位は変動して居らず。)六爻各々吉凶有り、四時更替に随いて変わり、一端に執着して定規と当為すべからず。(注:六爻の吉凶は時に随いて変更し、あるいは春あるいは夏、あるいは秋あるいは冬、皆歳時に随いて運転す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:二十八のこの数より起りて、卦に入りて吉凶を推算す。) 陰陽は升降往来し、接続して艮より離に転入して、就中睽の卦象を見る。六爻は損有り益有り、剛爻増長して陰爻退譲す。接続して火沢睽卦に進入す。
艮宮・睽(兌下離上)
火澤二象,氣運【一作轉。】非合。陰消陽長,取象何比。惟陽是從。陰陽動靜,剛柔分焉。先睽後合,其消通也。文明上照,幽暗分矣。【兌處下,為積陰暗之象也;離在上,為明照於下。】《易》云:“見豕負塗,載鬼一車,先張之弧,後說之弧,往遇雨則吉。群疑亡也。”【先疑,暗也;後說,明也。】與離為飛伏。【己酉金,丙戌土。】諸侯立九四為世,初元士為應。
睽卦は火と沢の两象にして、気の運行(「運」の字は一本「転」に作る)は并せ相合せず。陰消えて陽長じ、取象は比ぶるに由無く、ただ一味に陽に順従す。陰陽は一動一静し、剛柔是に就きて分かる。先に乖睽して後に会合するは、正に消散の後に重ねて通達に帰るなり。文明の徳は上に向かい照耀して、幽暗も亦分辨し出すを得。(注:兌は下に処して、積陰昏暗の象なり。離は上に在りて、光明は下に照る。)《周易》睽卦上九に曰く「豕の塗を負うを見、鬼を一車に載せ、先に之に弧を張り、後に之に弧を説く。往きて雨に遇えば則ち吉、群疑亡ぶ」と。(注:先前の猜疑は暗に属し、後来の鬆弛は明に属す。)睽は離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己酉金、伏神は丙戌土。)第四爻「諸侯」立ちて世爻と為り、初爻「元士」を以て応と為す。
建始甲午至己亥,【芒種至小雪。】積算起己亥至戊戌。【水土入卦。】 五星從位起歲星,【歲木星入卦。】參宿從位降己酉,【二十八宿配參宿,入卦己酉土。】分氣候三十六。【起數積算。】
建候は甲午より起り、己亥に推し、(注:芒種より小雪に至る。)積算は己亥より起り、戊戌に推す。(注:水・土は卦に入る。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:歳星は木に属し、卦に入る。)二十八宿は参宿に輪り、己酉爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に参宿を配し、卦に入りて己酉土の上に落つ。)分配の気候の数は三十六なり。(注:此より数を起して積算す。)
金火二運合土宮,配吉凶於歲時。六五陰柔處文明,九二四得立權臣。 陰陽相蕩,六位逆遷,變離入乾。健於外象,坎入履。【陰陽推遷,變化六爻。吉凶之兆,著於要之爻。如臣事君,近多憂也。】次降入天澤履卦。
金と火の两運は土宮に会合し、吉凶を歳時の上に配す。六五は陰柔を以て文明の地に処し、九四は位を得て立ちて掌権の臣と為る。 陰陽互相激蕩し、六爻の位は逆向遷移し、離は変じて乾に入りて、外象は転じて剛健と為り、是に変じて履卦に入る。(注:陰陽は推移変遷し、六爻は随いて変化す。吉凶の兆は、関鍵の彼の一爻に顕著す。譬えば臣子の君王に事奉するは、愈々親近すれば愈々多く憂懼するがごとし。)接続して降りて天沢履卦に入る。
艮宮・履(兌下乾上)
天下有澤曰履。【履者,禮也。】得位吉,失位凶,【當履之時。】素尚吉。《易》云:“視履考祥,其旋元吉。”與乾為飛伏。【壬申金,丙子水。】六丙屬八卦,【艮六丙也。】九五得位為世身,九二大夫合應象。
天下に沢有れば就中履と呼ぶ。(注:「履」はすなわち礼なり。)位を得れば吉、位を失えば凶。(注:これは履卦の当位するか否かに就きて言う。)能く素朴自守すれば吉。《周易》履卦上九に曰く「履を視て祥を考う、其の旋り元吉」と。履は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は壬申金、伏神は丙子水。)六個の丙干は艮宮諸卦に分属す。(注:艮宮の納する所は正に丙なり。)九五は位を得て世爻の身と成り、九二「大夫」はそれと相応して象を成す。
建始乙未至庚子,【大暑至大雪。】積算起己亥至庚子。【金水入卦,配六位,算吉凶。】 五星從位起熒惑,【熒惑火星入卦。】井宿從位降壬申,【二十八宿入卦,井宿入壬申。】分氣候,金火入卦,起於極數二十八。【二十八數,起丙辰,推吉凶。】
建候は乙未より起り、庚子に推し、(注:大暑より大雪に至る。)積算は己亥より起り、庚子に推す。(注:金・水は卦に入りて、六爻の位に配して吉凶を推算す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑火星は卦に入る。)二十八宿は井宿に輪り、壬申爻の上に降落し、(注:二十八宿は卦に入りて、井宿は壬申に落つ。)気候を分配する時、金と火は卦に入り、二十八のこの極数より起算す。(注:二十八の数を以て、丙辰より起りて、吉凶を推斷す。)
陽多陰少,宗少為貴。得其所履則貴,失其所履則賤。《易》云:“眇能視,跛能履。”【此履非其位六三也。】吉凶取此文為準。六位推遷,積欠起算數,休王相破,資益可定吉凶也。 升降反位,歸復止於六四,入陰,為游魂中孚卦。【次入中孚卦。】
履卦は陽多くして陰少なし、衆陽は少なき者を以て尊貴と為す。踏みて其の所を得れば貴く、踏みて其の所を失えば賤し。《周易》履卦六三に曰く「眇なれど能く視、跛なれど能く履む」と。(注:これは正に踏みて其の位を得ざるの六三を説く。)吉凶を判断するは就中この爻辞を以て准と為す。六爻の位は依次推移し、積算の数を起出して、其の休か旺か・相生か相破かを看て、資助と損益と一算すれば便ち吉凶を判定すべし。 升降は本位に返回し、帰復して六四に止まり、転じて陰に入りて、就中遊魂の中孚卦と成る。(注:接続して中孚卦に進入す。)
艮宮・中孚(兌下巽上・遊魂)
陰陽變動,六位周匝,反及游魂之卦。【金木合上運入卦象。】互體見艮,止於信義。【中孚,信也。】與乾為飛伏。【辛未土,壬午火。】艮道革變,升降,各稟正性。六四諸侯立世,應初九元士。九五履信,九二反應,氣候相合,內外相敵。【陰勝陽,陽勝陰,剛柔相薄,六爻反應,柔順相合,吉凶見矣。】
中孚卦は陰陽変動し、六爻の位は周流して一匝し、返り来りて遊魂の卦と成る。(注:金木は上位の運と会合して卦象に入る。)其の互体は艮を見て、信義に止まる。(注:中孚はすなわち誠信なり。)中孚は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は辛未土、伏神は壬午火。)艮道は変革を発生し、一升一降して、各々端正の性を禀受す。六四「諸侯」立ちて世爻と為り、初九「元士」と相応す。九五は誠信を踐行し、九二は反ってそれと呼応し、気候彼此相合して、而して内外両象は勢力均しく敵す。(注:あるいは陰は陽に勝ち、あるいは陽は陰に勝ち、剛柔相い迫り。六爻互相呼応して、柔順なる者は彼此契合し、吉凶は就中顕現す。)
建始庚子至乙巳,【大雪至小滿。】積算起乙巳至甲辰,周而復始。【火土入卦起積算。】 五星從位起鎮星,【鎮星,土星。】鬼宿從位降辛未,【二十八宿,配鬼宿入卦推吉凶。】分氣候三十六,【配卦算吉凶之位。】
建候は庚子より起り、乙巳に推し、(注:大雪より小満に至る。)積算は乙巳より起り、甲辰に推して、周して復た始まる。(注:火・土は卦に入りて積算を起す。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:鎮星はすなわち土星。)二十八宿は鬼宿に輪り、辛未爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に鬼宿を配して卦に入れて以て吉凶を推す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:卦爻に配合して吉凶の在る所の位を推算す。)
風與澤,二氣相合;巽而說,信及於物。物亦【一作必。】順焉。《易》云:“信及豚魚。”【豚魚,幽微之物,信尚及之,何況於人乎。】 兌入艮,六三入陽,內二陽歸陰。陰陽交互,復本曰歸魂,次降歸魂風山漸卦。【內見艮。】
風と沢の両気相合して、内は巽順にして外は和悦なり。誠信は能く万物に及べば、万物も(「亦」の字は一本「必」に作る)随いて順従す。《周易》中孚卦に曰く「信は豚魚に及ぶ」と。(注:豚と魚とは幽微の物にして、誠信尚ほ能くそれらに及ぶ、況んや人をや。) 兌は艮に進入し、六三は転じて陽に入り、内卦の两個の陽爻は陰に帰す。陰陽交互往来して、本宮に復帰すれば就中帰魂と呼び、接続して降りて帰魂の風山漸卦に入る。(注:内卦に艮を見る。)
艮宮・漸(艮下巽上・帰魂)
陰陽升降,復本曰歸魂之象。巽下見艮,陰長陽消,柔道將進,【艮變八卦終於漸,漸終降純陰入坤,分長女,三陰之兆也,柔道行也。】與兌為飛伏。【丙申金,丁丑土。】九三三公居世,宗廟為應。
漸卦は陰陽升降して、本宮に復帰す、これすなわち帰魂の象なり。巽下に艮を見て、陰長じて陽消え、柔道は将に前進せんとす。(注:艮宮八卦は変じて漸に到りて終結す。漸は終了して再び降りて純陰と為りて坤に入り、長女を分出す。これは三陰の兆にして、亦柔道通行の象なり。)漸は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙申金、伏神は丁丑土。)九三「三公」居りて世爻と為り、「宗廟」を以て応と為す。
建始己亥至甲辰,【小雪至清明。】積算起甲辰至癸卯,周而復始。【土木見運入卦,算吉凶。】 五星從位起太白,【太白,西方之卦,定吉凶。】柳宿從位降丙申,【二十八宿,柳宿入卦定吉凶。】分氣候二十八。【定數配吉凶,入卦起算。】
建候は己亥より起り、甲辰に推し、(注:小雪より清明に至る。)積算は甲辰より起り、癸卯に推して、周して復た始まる。(注:土・木の運は卦に入りて、拠りて吉凶を推算す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白は西方の卦に属し、拠りて吉凶を判定す。)二十八宿は柳宿に輪り、丙申爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に柳宿は卦に入りて以て吉凶を判定す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:この定数を以て吉凶を配し、卦に入りて起算す。)
上木下土,風入艮象,漸退之象也。互體見離,主中文明。九五傳位,得進道明也。【九五處互體卦之上,進文明也。】六二陰柔得位,應至尊。《易》云:“鴻漸于磐,飲食衎衎。”【賢人進位也。】陰陽升降,八卦將盡;六十四爻,陰陽相雜,順道進退,次於時也。少男之位,分於八卦,終極陽道也。陽極則陰生,柔道進也,降入坤宮八卦。【陽卦三十二宮為陽,乾、震、坎、艮也。】
上卦は木に属し下卦は土に属し、風は艮象に入りて、漸々退避の象なり。其の互体は離を見て、中間の文明の徳を主る。九五は其の位を伝承し、前進の道の光明なるを見るべし。(注:九五は互体卦の上位に処れば、ゆえに文明に進むと曰う。)六二は陰柔を以て正位を得、上は至尊の九五に応ず。《周易》漸卦六二に曰く「鴻は磐に漸む、飲食衎衎」と。(注:これは賢人の其の位に進居するなり。)陰陽升降して、八卦推衍将に尽きんとす。六十四卦の各爻の陰陽は彼此交雑し、其の道に順いて進退して、皆依次時令に合す。少男の位次は八卦の中に分布して、ここに到れば陽道は終結して極点に到れり。陽は極処に到れば陰便ち生出し、柔道は是に前進して、降りて坤宮八卦に入る。(注:三十二卦は陽に属し、すなわち乾・震・坎・艮のこの四宮なり。)
京氏易伝・巻中(漢・京房撰)
坤宮・坤(坤下坤上)
純陰用事,象配地,屬土。柔道光也,陰凝感,與乾相納,臣奉君也。《易》云:“黃裳,元吉”。六二,內卦陰處中,臣道正也。與乾為飛伏,【癸酉金,壬戌土。】宗廟居世,三公為應。未免龍戰之災,無成有終。【陰臣陽君,臣不敢為物之始。陽唱陰和,君命臣終其事也。】初六起履霜,至於堅冰。陰雖柔順,氣亦堅剛,為無邪氣也。
坤卦は六爻純陰にして、純陰の気が令を当て事を用いる。取象の上で地と相配し、五行は土に属す。柔順の道は此より光大し、陰気は凝聚して陽と相感し、乾と互相容納して、正に臣子の君王に事奉するがごとし。《周易》坤卦六五に曰く「黄裳、元吉」と。六二の一爻は、陰を以て内卦の中に居るは、正に臣道端正の象なり。坤は乾卦と互いに飛伏し、(注:飛神は癸酉金、伏神は壬戌土。)世爻は上六「宗廟」に居り、第三爻「三公」を以て応と為す。それは「竜戦」の災を免れず、事は自ら開創するに由らずして、却って能く好き結局を有つ。(注:陰は臣・陽は君と為り、臣は敢えて万物の開創者と為らず。陽唱えて陰和し、君主は令を発し臣下は事を為完す。)初六は「霜を履む」より起り、一直に「堅氷」に至る。陰は柔順なるも、其の気も亦自ら堅剛の一面有りて、邪僻の気を含まず。
建始甲午至己亥,【芒種,小滿。】積算起己亥至戊戌,周而復始。【純土用事,入積算,定吉凶。】 五星從位起太陰,【太陰水星入卦】西南方之卦。【鎮星入卦配坤,西南。】星宿從位降癸酉金。【二十八宿,八卦星宿,降坤上六癸酉金。】分氣候三十六。【起積為數三十六。】
建候は甲午より起り、己亥に推し、(注:芒種より小満に至る。)積算は己亥より起り、戊戌に推して、周して復た始まる。(注:純土を以て令を当て事を用い、積算に納入して吉凶を判定す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰水星は卦に入る。)坤は西南方の卦なり。(注:鎮星は卦に入りて坤に配し、西南を主る。)二十八宿は星宿に輪り、癸酉金爻の上に降落す。(注:二十八宿は依次八卦に配入し、此処は坤卦上六癸酉金の上に降る。)分配の気候の数は三十六なり。(注:積算の起数はすなわち三十六なり。)
陰中有陽,氣積萬象,故曰陰中陰。陰陽二氣,天地相接,人事吉凶,見乎其象。六位適變,八卦分焉。【六位變動,八卦顯著。】陰雖虛納,於陽位稱實。【六五,六三之類也。】 升降反復,不能久處,千變萬化,故稱乎易。易者,變也。陰極則陽來,陰消則陽長,衰則退,盛則戰。《易》云:“上六,龍戰于野,其血玄黃”。陽屬。【乾配西北積陰之的地,陰盛故戰,乾坤並處,天地之氣雜,稱玄黃也。】 陽來蕩陰,坤內卦初六適變入陽,曰震。陰盛陽微,漸來之義,故稱復。次降陽,入地雷復卦。
陰の中に陽を含み、気は積聚して万象を生出す。ゆえに「陰中の陰」と呼ぶ。陰陽二気は天地をして彼此交接せしめ、人事の吉凶は、皆卦爻の象に顕現す。六爻の位は時に随いて変動し、八卦は此より分立す。(注:六爻一たび変動すれば、八卦の象は就中顕著なり。)陰は虚を以て受納するも、陽位に落てば就中「実」と称す。(注:六五・六三のこの一類のごとし。) 升降反復して、能く長久に一処に停止せず、千変万化す、ゆえに「易」と呼ぶ。易はすなわち変なり。陰は極処に到れば陽来り、陰消退すれば陽増長す。衰えれば便ち退き、盛んなれば便ち戦う。《周易》坤卦に曰く「上六、竜野に戦う、其の血玄黄」と。これは陽に就きて言うなり。(注:乾は西北積陰の地に配して、陰気太盛なればゆえに相い戦う。乾坤は一処に併処し、天地の気は混雑すれば、ゆえに「玄黄」と称す。) 陽来りて陰を蕩動せば、坤の内卦初六は時に応じて変じて陽に入りて、就中震と成る。陰盛んにして陽微し、陽は漸々返り来るなれば、ゆえに復と称す。接続して陽爻を降下して、地雷復卦に進入す。
坤宮・復(震下坤上)
陰極則反,陽道行【一作正】也。《易》云:“君子道長,小人道消”。又曰:“七日來復”。【七日,陽之稱也。七九稱陽之數也。謂坤上六,陰極陽戰之地,陰雖不能勝陽,然正當盛,陽不可輕犯。六陽涉六陰反下,七爻在初,故稱七日。日亦陽也。】六爻反復之稱。【注在前。】《易》云:“初九,不遠復,無祗悔”。【反至初九,陽來陰復,去遠也。】六爻盛,卦之體總稱也。
陰は極処に到れば就ち返回し、陽道は施行を得たり(「行」の字は一本「正」に作る)。《周易》に曰く「君子の道長じ、小人の道消ゆ」と。また曰く「七日にして来復す」と。(注:七は陽の称谓にして、七と九とは皆陽数と称す。これは坤の上六を説く、正に陰極まりて陽と相戦するの地なり。陰は陽に勝てざるも、但しこの時は正に極盛に当たり、陽も亦軽易に冒犯すべからず。六個の陽爻は六個の陰爻を渉過して下方に返回し、第七爻は恰も初位に落つ。ゆえに「七日」と称す、「日」も亦陽に属す。)これは六爻の反復往来に就きて立つる名目なり。(注:解説は前を見よ。)《周易》復卦に曰く「初九、遠からず復る、祗の悔無し」と。(注:初九に返れば、陽来りて陰は復帰し、去りて還た遠からず。)六爻倶に盛んなるは、則ち全卦の卦体に対する総称なり。
曰一陽為一卦之主,與震為飛伏。【庚子水,乙未土。】初九元士之世,六四諸侯見應。 建始乙未至庚子,【大暑大雪見候,起坤,六月至十一月,戊子為正朔,見復之兆。】積算起庚子至己亥,【積算起庚子至己亥,十月至十一月,年亦然。】周而復始。土水見候。
一個の陽爻は全卦の主と成り、復は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚子水、伏神は乙未土。)初九「元士」は世爻と為り、六四「諸侯」はそれと相応す。 建候は乙未より起り、庚子に推し、(注:大暑と大雪の間に於て候を見る。坤より起算し、六月より十一月に至る。戊子を以て正朔と為せば、復の兆を見るに就く。)積算は庚子より起り、己亥に推し、(注:積算は庚子より己亥に推す、すなわち十月より十一月に至る。年に按じて推算するも亦このごとし。)周して復た始まり、土と水と交替して候を見る。
五星從位起歲星,【歲星木星入復卦,合水土,配吉凶。】張宿從位降庚子,【二十八宿分張宿,入復卦庚子水上。】分氣候二十八。【積算起數二十八,定吉凶六爻。】 坤上震下,動而順,是陽來蕩陰,陰柔反去,剛陽復位,君子進,小人退。《易》云:“休復,元吉”。 陽升陰降,變六二入兌象,次併臨,二陽將進,內為悅。陰來陽去,氣漸隆,【陰不敢拒陽,奉命而已。】次降入地澤臨卦。
五星の輪値は「歳星」に起り、(注:歳星は木に属し、復卦に入りて、水土と会合して吉凶を配定す。)二十八宿は張宿に輪り、庚子爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より張宿を分出して、復卦庚子水の上に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算の起数は二十八にして、拠りて六爻の吉凶を判定す。) 坤は上に在り震は下に在り、能く動きて而も柔順なり。これは陽の来りて陰を蕩動するなり――陰柔は反って退去し、剛陽は本位を恢復し、君子は上進し小人は退避す。《周易》復卦六四に曰く「休復、元吉」と。 陽升りて陰降り、六二一たび変じて兌象と成り、接続して併せて臨卦に入る。两個の陽爻は将に前進せんとし、内卦は転じて和悦と為る。陰退きて陽来り、陽気は漸々隆盛す。(注:陰は敢えて陽に抗拒せず、ただ命に奉して行うのみ。)接続して降りて地沢臨卦に入る。
坤宮・臨(兌下坤上)
陽長陰消悅而順,金土應候剛柔分。震入兌,二陽剛,本體陰柔降入臨。臨者,大也。陽爻健順,陽交退散。《易》曰:“君子之道”。《易》云:“至于八月有凶”。【建丑至未也。】陽長,六爻反復,吉凶之道可見矣。【至于八月入遁。】與兌為飛伏,【丁卯木,乙巳火。】九二大夫立世,六五至尊應上位。
臨卦は陽長じて陰消え、内は悦にして外は順なり。金と土とは節候に応合し、剛柔是に就きて分判す。震は変じて兌に入り、两個の陽爻は剛健にして、本体の陰柔は便ち降りて臨と成る。臨はすなわち大なり。陽爻はすでに健にして且つ順にして、陽は交相推して陰は退散す。《周易》はこれを「君子の道」と曰う。《周易》臨卦にまた曰く「八月に至りて凶有り」と。(注:指すは建丑の月より建未の月に至る。)陽は増長するも、六爻は反復往還し、吉凶の道は此より見るべし。(注:八月に到れば就中遁卦に転入す。)臨は兌卦と互いに飛伏し、(注:飛神は丁卯木、伏神は乙巳火。)九二「大夫」立ちて世爻と為り、六五至尊は上位に在りてそれと相応す。
建始丙申至辛丑,【立秋,大寒。】七月積氣至六月,吉凶隨爻考汙隆。【旺則隆,衰則汙。】積算起辛丑至庚子。【積算起金土入卦,推休咎於六爻。】 五星從位起熒惑,【熒惑火星,入卦用事。】翼宿從位在丁卯,【二十八宿,翼宿入卦九二爻木上。】分氣候三十六。【定陰陽之數,起於三十六積算。】
建候は丙申より起り、辛丑に推し、(注:立秋より大寒に至る。)気は七月より積起して一直に六月に至る。吉凶は各爻に随いて其の隆か汚かを考察す。(注:旺なれば隆盛し、衰えれば汚下す。)積算は辛丑より起り、庚子に推す。(注:積算は金・土を以て卦に入りて、六爻の上に於て休咎を推斷す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑火星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は翼宿に輪り、丁卯爻の上に落ちて、(注:二十八宿の中に翼宿は卦に入りて、九二のこの木爻の上に落つ。)分配の気候の数は三十六なり。(注:陰陽の数を定出して、三十六より積算を起す。)
坤下見兌,悅、澤,臨。陽升陰降,入三陽,乾象入坤,即泰卦。【臨卦內象先陽長,逼陰成乾為泰象。】外坤積陰,內兌亦為陰,二陽合體,柔順之道,不可貞。吉凶以時,配於六位,用於陽長之爻,成臨之義。 六三將變陽爻,至次降入泰卦。【次入地天泰卦。】
坤下に兌を見て、和悦にして潤沢す、これすなわち臨なり。陽升りて陰降り、再び一個の陽爻を進めば、乾象は坤に入りて、便ち泰卦なり。(注:臨卦の内象は先に陽の増長有りて、陰を逼退して乾を成せば、すなわち泰象なり。)外卦坤は陰を積み、内卦兌も亦陰に属し、两個の陽爻は合して一体を成し、柔順の道は固執堅守すべからず。吉凶は時令に按じて定め、六爻の位に配して、取用は陽長する彼の一爻に在れば、臨の意義は就中成立せり。 六三は将に変じて陽爻と為らんとし、接続して便ち降りて泰卦に入る。(注:地天泰卦に進入す。)
坤宮・泰(乾下坤上)
乾坤二象,合為一運,天入地交泰,萬物生焉。小往大來,陽長陰危,金土二氣交合。《易》云:“泰者,通也”。通於天地,長於品彙。陽氣內進,陰氣升降,升降之道,成於泰象。與乾為飛伏。【甲辰土,乙卯木。】三公立九三為世,上六宗廟為應候。
泰卦は乾坤二象合して一運と為り、天気は地に入りて交泰し、万物此より生成す。小なる者は往き大なる者は来り、陽は増長して陰は危殆なり。金と土の二気は交相会合す。《周易》に曰く「泰は、通なり」と。上下は天地に通じ、各類の品物を長養す。陽気は内に在りて前進し、陰気は一升一降す。升降の道は、泰の卦象を成就せり。泰は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は甲辰土、伏神は乙卯木。)「三公」は九三を立てて世爻と為し、上六「宗廟」は応と為る。
建始丁酉至壬寅,【秋分,立春。】積算起壬寅至辛丑,周而復始。【金土位上起積算吉凶。】 五星從位起鎮星,【土星入卦。】軫宿從位降甲辰,分氣候二十八。【積算起二十八數,於甲辰位。】
建候は丁酉より起り、壬寅に推し、(注:秋分より立春に至る。)積算は壬寅より起り、辛丑に推して、周して復た始まる。(注:金・土の位の上に於て積算を起して吉凶を断ず。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:土星は卦に入る。)二十八宿は軫宿に輪り、甲辰爻の上に降落す。分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は二十八の数を起して、甲辰のこの位の上に落つ。)
地下有天,陽道浸長,不可極,極則否成。【三陽務上,坤順而往,往而不已,否道至。】存泰之義,在於六五,陰居陽位,能順於陽,陰陽相納,二氣相感,終於泰道。 外卦純陰,陽來剛柔,成於震象。陰降陽升,居乾上,成大壯。【次降陰昇陽,入雷天大壯卦。】
地下に天有り、陽道漸々増長すれども、尽頭に推す可からず。尽頭に到れば否は就中形成す。(注:三個の陽爻は一味に上進し、坤はそれに順いて往き、往きて停まらざれば、否道は就中到る。)泰を保住する関鍵は六五に在り――陰を以て陽位に居り、能く陽に順従し、陰陽彼此相容納し、二気交相感応して、終に泰道を成全せり。 外卦は純陰にして、陽来りて剛柔交換して、震象と成る。陰降りて陽升り、乾の上に居れば、就中大壮と成る。(注:接続して陰降り陽升して、雷天大壮卦に進入す。)
坤宮・大壮(乾下震上)
內外二象動而健,陽勝陰而為壯。【內陽升降,二象俱陽,曰大壯。】《易》曰:“羝羊觸藩,羸其角”。進退難也。壯不可極,極則敗物,不可極,極則反。故曰:“君子用罔,小人用壯”。與震為飛伏。【庚午火,癸丑土。】九四諸侯立世,初九元士在應。
大壮卦は内外二象は能く動きて而も剛健にして、陽は陰に勝れり、ゆえに壮と呼ぶ。(注:内卦陽爻は升降し、内外両象は皆陽に属すれば、ゆえに大壮と曰う。)《周易》大壮卦に曰く「羝羊は藩に触れて、其の角を羸す」と。これは進退両難なり。壮は尽頭に推す可からず、尽頭に到れば便ち事物を損壊す。尽頭に到る可からず、尽頭に到れば便ち反転す。ゆえに曰く「君子は罔を用い、小人は壮を用う」と。大壮は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚午火、伏神は癸丑土。)九四「諸侯」立ちて世爻と為り、初九「元士」は応位に在り。
建始戊戌至癸卯,【寒露至春分。】積算起癸卯至壬寅,【土木入卦起積算。】 五星從位起太白,【太白金星入卦。】角宿從位降庚午,【二十八宿入卦,配角宿,入大壯庚午九四爻上。】分氣候三十六。【積算起數庚午火,定吉凶。】
建候は戊戌より起り、癸卯に推し、(注:寒露より春分に至る。)積算は癸卯より起り、壬寅に推す。(注:土・木は卦に入りて積算を起す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は卦に入る。)二十八宿は角宿に輪り、庚午爻の上に降落し、(注:二十八宿は卦に入りて、角宿を配して大壮九四庚午爻の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:積算は庚午火より数を起して、拠りて吉凶を判定す。)
雷在天上,健而動,陽升陰降,陽來蕩陰,吉凶隨爻著於四時。九四庚午火之位,入坤,為卦之本。起於子,滅於寅。陰陽進退,六位不居,周流六虛。 外象震入兌為陰,悅適爻為剛長。次降入夬,陽決陰之象,入澤天夬卦。
雷は天上に在り、剛健にして能く動く。陽升りて陰降り、陽来りて陰を蕩動し、吉凶は各爻に随いて四時に於て顕著す。九四庚午火の这一位は、坤に入りて本卦の根本なり。それは子に起りて寅に滅す。陰陽は一進一退し、六爻の位は固定せず、六虚の間に周流す。 外象震は転じて兌に入りて陰と成り、和悦は爻に順いて剛爻増長す。接続して降りて夬卦に入る。あれは陽が陰を決去する象にして、すなわち沢天夬卦なり。
坤宮・夬(乾下兌上)
剛決柔,陰道滅。五陽務下,一陰危上,將反游魂。九四,悔也。 澤上於天,君道行也。【夬,五世。六位周而復始,為游魂。至九四成陰,入坎為需。】與兌為飛伏。【丁酉金,癸亥水。】九五立世,九二大夫為應。【九五在兌象為世,澤小於天也。】
夬卦は剛爻が柔爻を決去して、陰道は消滅に趨向す。五個の陽爻は皆下面に在りて事を用い、一個の陰爻は孤危に上位に居り、接下に将に遊魂に転ぜんとす。九四のこの一爻は悔を帯ぶ。 沢は天上に升り、君道は施行を得たり。(注:夬は本宮第五世卦なり。六爻の位は周して復た始まり、次の一歩は便ち遊魂なり。九四が陰爻に変ずるに到れば、坎に入れば需卦なり。)夬は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁酉金、伏神は癸亥水。)九五立ちて世爻と為り、九二「大夫」はそれと相応す。(注:九五は兌象の中に在りて世爻と為るも、沢は終究天より小なり。)
建始己亥至甲辰,【小雪,清明。】積算起甲辰至癸卯,周而復始。金木分乾兌入坤象。【入坤宮起積算。】 五星從位起太陰,【太陰,水星。入卦起算。】亢宿從位降丁酉,【二十八宿配亢宿,入夬卦丁酉金上起。】分氣候二十八。【積算起宮二十八,入卦中甲辰,還丁酉金上定吉凶。】
建候は己亥より起り、甲辰に推し、(注:小雪より清明に至る。)積算は甲辰より起り、癸卯に推して、周して復た始まる。金と木とは乾・兌に分属して坤象に入る。(注:坤宮に進入して積算を起す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰はすなわち水星にして、卦に入りて起算す。)二十八宿は亢宿に輪り、丁酉爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に亢宿を配し、夬卦丁酉金の上より起算す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は本宮二十八より起りて、卦中の甲辰に進入し、再び丁酉金の上に回りて吉凶を判定す。)
《易》云:“澤上於天,夬”。“揚于王庭”。柔道消,消不可極,反於游魂。九四柔來文剛,陰道存也,陰之道不可終否。剛柔相濟,日月明矣;天地定位,人事通也。【凡卦,陰極陽生,陽極陰生,生生之義,不絕之貌。日月循環,天地交泰,陰陽相蕩,六位交分,萬物生焉。】故曰:雷動風行,山澤通氣。人之運動,體斯合矣。【人稟五常,三焦九竅,風火逓相兼濟,以一位虧,四體羸焉。】 陰陽升降,反復道也。次降入游魂水天需卦。
《周易》夬卦に曰く「沢は天に上る、夬」と。また曰く「王庭に揚ぐ」と。柔道は正に消退し、消えて再び消む可き無ければ、便ち遊魂に返るを要す。九四は柔を以て剛を文飾し、陰道は仍旧存在して、陰の道理は終に閉塞に至らず。剛柔互相調済し、日月因りて光明す。天地各々其の位を定め、人事因りて通暢す。(注:凡そ卦は皆陰は極処に到れば陽生じ、陽は極処に到れば陰生ず。これすなわち生々已まず綿延絶えずの意なり。日月は循環し、天地は交泰し、陰陽互相激蕩し、六爻の位は交錯分布して、万物此より生成す。)ゆえに曰く――雷動風行、山沢は気を通ず。人身の運転活動も、亦この道理と相合す。(注:人は五常の性を禀受し、身に三焦九窍有りて、風と火とは遞相調済す。ただ一処亏損せば、四肢は皆衰弱せん。) 陰陽升降は、正に反復往還の道なり。接続して降りて遊魂の水天需卦に入る。
坤宮・需(乾下坎上・遊魂)
雲上於天,凝於陰而待於陽,故曰需。需者,待也。三陽務上,而隔於六四,路之險也。【外卦坎水,為險。亦陰稱血也。】坤之反復,適陽入陰,【夬卦九四,入需卦成六四,陰之位也。】陰陽交會運動,陰雨積而凝滯於陽,通乃合也。【群陽務上,一陰報之,故凝滯雨乃合。】與兌為飛伏。【戊申金,丁亥水。】游魂立世諸侯,應初九元士。
需卦は雲気は天上に升り、陰に凝聚して陽の来るを等待す、ゆえに需と呼ぶ。需はすなわち等待なり。三個の陽爻は力を竭くして上行すれども、六四に隔住せられて、前路に険有り。(注:外卦坎は水に属し、険と為る。陰も亦血と称すべし。)これは坤宮反復推衍して、恰も陽の陰に入るに逢う。(注:夬卦の九四は、需卦に到りて六四に変ず、正に陰位なり。)陰陽交相会動し、陰雨は積聚して陽の前面に凝滞し、通ずるを待ちてこそ会合すべし。(注:衆陽は力を竭くして上行し、一陰はそれらに回応すれば、ゆえに先に凝滞して後に会合す。)需は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊申金、伏神は丁亥水。)遊魂卦は第四爻「諸侯」を以て立ちて世爻と為し、初九「元士」と相応す。
建始甲辰至己酉,【清明,秋分。】積算起己酉至戊申,周而復始。金土入乾坎。【積算起宮定吉凶。】 五星從位起歲星,【歲星木星入卦。】氐宿從位降戊申,【二十八宿降氐宿,入坤宮游魂卦六四戊申金上,起積算吉凶。】分氣候三十六。【定吉凶總三十六位起算。】
建候は甲辰より起り、己酉に推し、(注:清明より秋分に至る。)積算は己酉より起り、戊申に推して、周して復た始まる。金と土とは乾・坎の両象に進入す。(注:積算は宮を起して吉凶を定む。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:歳星は木に属し、卦に入る。)二十八宿は氐宿に輪り、戊申爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より氐宿を降下して、坤宮遊魂卦六四戊申金の上に進入し、拠りて積算を起して吉凶を断ず。)分配の気候の数は三十六なり。(注:吉凶を判定するは総じて三十六位より起算す。)
乾外見坎,健而進,險在前也。需於飲食,爭於坎也。陰陽相激,勝負有倚,反為不速,敬終有慶。陰陽漸消,陽道行行,反復其位,不妄於陰。 坎降入歸魂,水地比卦,坤之歸魂也。
乾は内に在りて外に坎を見え、剛健にして前進すれども、険は却って前面に横たわる。「飲食に需る」は、坎険の中に在りて相争うに因る。陰陽互相激蕩し、勝負各々倚る所有り。反って不速の客の到来有りて、能く敬慎して終れば便ち喜慶有り。陰気漸々消退し、陽道は通行已まず、各々本位に返回して、陰の上に於て妄動するに至らず。 坎は降りて帰魂に入りて、水地比卦と成る。これすなわち坤宮の帰魂なり。
坤宮・比(坤下坎上・帰魂)
反本復位,陰陽相定,六爻交互,一氣在也。水在地上,九五居尊,萬民服也。【比卦一陽五陰,少者為貴,眾之所尊者也。】比親於物,物亦附焉。原筮於宗,歸之於眾。諸侯列土,君上崇之,奉於宗祧,盟契無差,邦必昌矣。與乾為飛伏。【乙卯木,甲辰土。】歸魂六之三公居世,應上六宗廟。
比卦は本に返り位に復し、陰陽彼此安定し、六爻交互往来して、同一の気は其中に貫串す。水は地上に在り、九五は尊位に居り、万民は皆来り帰服す。(注:比卦は一陽五陰、少なき者を以て貴しと為るは、正に衆人の尊奉する所なり。)外物に親比すれば、外物も亦来り依附す。原本は宗主に占問し、最終は衆人に帰結す。諸侯は封を受け列土し、君上はそれらを尊崇し、共に宗廟に奉じ、盟約信契は差錯出ざれば、邦国は必定昌盛す。比は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は乙卯木、伏神は甲辰土。)帰魂卦は第三爻「三公」を以て居りて世爻と為し、上六「宗廟」と相応す。
建始癸卯至戊申,【春分,立秋。】積算起戊申至丁未,周而復始。 五星從位起熒惑,【火星入卦。】房宿從位降乙卯,【二十八宿配房宿,入坤歸魂乙卯木位上。】分氣候二十八。【積算起二十八數。】
建候は癸卯より起り、戊申に推し、(注:春分より立秋に至る。)積算は戊申より起り、丁未に推して、周して復た始まる。 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:火星は卦に入る。)二十八宿は房宿に輪り、乙卯爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に房宿を配して、坤宮帰魂卦乙卯木位の上に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は二十八の数を起す。)
陰道將復,以陽為主,一陽居尊,群陰宗之。六爻交分,吉凶定矣。地道之義,妻道同也,臣之附君,比道成也。 歸魂復本,陰陽相成,萬物生也。故曰:坤生三女巽離兌,分長中下。【巽長女,離中女,兌少女。】以陽求陰,乾之巽,為長女。
陰道は将に回復せんとして、仍ほ陽を以て主と為す――一個の陽爻は尊位に居り、衆陰は皆それを宗奉す。六爻交錯して位を分かち、吉凶は就中定下せり。地道の意義は妻道と相同じ。臣下は君上に依附して、比の道理は就中成全せり。 帰魂は本宮に復帰し、陰陽互相成就し、万物此より生成す。ゆえに曰く――坤は巽・離・兌の三個の女卦を生出し、分かれて長女・中女・少女と為す。(注:巽は長女、離は中女、兌は少女。)陽を以て陰に求めば、乾変じて巽と為るは、すなわち長女なり。
巽宮・巽(巽下巽上)
陽中積陰而巽順,【本乾象,陰來蕩成巽,巽者,順也。】風從穴,入於物,號令齊順,天地明也。內外稟於一陰,順於天地道也。聲聞於外,遠彰柔順,陰陽升降,柔依剛也。本于堅剛,陰來又柔,東南向明,齊肅陰陽。與震為飛伏。【辛卯木,庚戌土。】宗廟居世,三公在應。【上九,九三。】
巽卦は陽中に陰を積みて能く順従す。(注:本是乾象にして、陰来りて蕩動して巽と成る。巽はすなわち順なり。)風は孔穴より来り、万物の中に深入す。号令は一致して人皆順従し、天地の道は此より彰明す。内外両象は皆彼の一個の陰爻に禀承し、天地の道に順応す。声名は外に伝聞して、遠く柔顺を顕す。陰陽升降して、柔は剛に依附す。それは堅剛に本づき、陰来りて又柔に転じ、東南に居りて明に向かい、陰陽をして整斉厳粛ならしむ。巽は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は辛卯木、伏神は庚戌土。)世爻は上九「宗廟」に居り、「三公」は応位に在り。(注:すなわち上九と九三。)
建始辛丑至丙午,【大寒,芒種。】積算起丙午至乙巳,周而復始。 【缺】【火木與二十八宿分虛宿,入巽上九辛卯木上。】分氣候其數三十六。【分三十六數入卦起算。】
建候は辛丑より起り、丙午に推し、(注:大寒より芒種に至る。)積算は丙午より起り、乙巳に推して、周して復た始まる。 此処の五星と宿位を講ずる一段は、旧本の原注は「缺」と為す。(注:火と木とは、二十八宿の中より分出せる虚宿と同じくして、巽卦上九辛卯木の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:三十六の数を以て卦に入りて起算す。)
陰氣起陽,陽順於陰,陰陽和柔,升降得位,剛柔分也。陰不可盈,晷刻頃也。初六適變,陽來陰退,健道行也。三陽務進,外陰陽也,適變於內外未從也。次降陰交於陽九,為小畜卦。【初六變初九也。】
陰気は陽を引発し、陽は又陰に順従し、陰陽和柔して、升降各々其の位を得、剛柔是に就きて分判す。陰は盈満すべからず、盈満するも亦不過晷影一瞬間の事なり。初六は時に応じて変じ、陽来りて陰退き、剛健の道は通行を得たり。三個の陽爻は力を竭くして上進すれども、外卦は仍ほ陰中に陽を含み、すでに時に応じて変動するも、内外の間は還た完全に相従せず。接続して陰爻は陽九に交じりて、就中小畜卦と成る。(注:初六は変じて初九と為る。)
巽宮・小畜(乾下巽上)
《易》云:“密雲不雨,自我西郊”。小畜之義,在於六四。三陽連,進於一,危也。外巽體陰,畜道行也。巽之初六,陰蕩陽氣感,積陰不能固,退復本位。三連同往而不可見,成於畜義,外象明矣。【一陰劣,不能固,陽是以往也。外巽積陰能固,陽道成在上九一爻之法也。】《易》云:“既雨既處”也。與乾為飛伏。【甲子水,辛丑土。】初九元士居世,六四諸侯在應。
《周易》小畜卦に曰く「密雲雨せず、我が西郊より」と。小畜の関鍵は、六四の一爻に在り。三個の陽爻は連なりて一体と成すも、ただこの一個の陰爻に畜止せられて、処境危険なり。外卦巽体は陰に属し、畜止の道は施行を得たり。巽の初六は、陰が陽を蕩動して陽気感有るも、但し積める陰は陽を留住し得ず、只好本位に退回す。三個の相連の陽爻は一同に往きて阻攔を見出さず、畜止の意義は反って此に因りて成立し、外象も就中明白なり。(注:一個の陰爻は力量薄弱にして、固守し得ず、陽は因りて前往することを得。外卦巽は陰を積みて、能く陽を固守すれば、陽道の成就は就中上九のこの一爻の用法の上に在り。)《周易》に曰く「すでに雨しすでに処る」と。小畜は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は甲子水、伏神は辛丑土。)初九「元士」居りて世爻と為り、六四「諸侯」は応位に在り。
建始壬寅至丁未,【立春,大暑。】積算起丁未至丙午,周而復始。木土入乾巽。【入宮起算法。】 五星從位起太白,【金星入卦,起算吉凶。】尾宿從位降甲子,【二十八宿入卦,分尾宿,以小畜甲子水上起算。】分氣候其數二十八。【分二十八數起宮推算。】
建候は壬寅より起り、丁未に推し、(注:立春より大暑に至る。)積算は丁未より起り、丙午に推して、周して復た始まる。木と土とは乾・巽の両象に進入す。(注:これは宮に入りて起算するの法なり。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:金星は卦に入りて、吉凶を起算す。)二十八宿は尾宿に輪り、甲子爻の上に降落し、(注:二十八宿は卦に入りて、尾宿を分出し、小畜の甲子水の上より起算す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:二十八の数を以て宮を起して推算す。)
一陰居六四,建子入陽宮,推其休咎處吉凶。剛健立陽爻,陰凝在巽體。《易》云:“輿說輻,夫妻反目”。【不義之兆。】夏至起純陰,陽爻位伏藏;冬至陽爻動,陰氣凝地。 陰陽升降,以柔為剛,見中虛文明,積氣居內象。【九二適變入離。】次降入風火家人卦。
一個の陰爻は六四に居り、建候は子に起りて陽宮に入り、此に拠りて其の休咎を推し其の吉凶を断ず。剛健の勢は陽爻を立起し、陰気は則ち巽体の中に凝聚す。《周易》小畜卦に曰く「輿は輻を説き、夫妻目を反す」と。(注:これは不義の兆なり。)夏至は純陰開始生起して、陽爻の位置は就中潜伏隠蔵す。冬至は陽爻発動して、陰気は便ち地に凝結す。 陰陽升降して、柔を以て剛と為し、中間虚にして外面文明の象を見、積聚の気は内卦に居る。(注:九二は時に応じて変じて離に入る。)接続して降りて風火家人卦に入る。
巽宮・家人(離下巽上)
乾剛俱變文明,內外相應,【九五應六二爻。】陰陽得位,居中履正。火上見風,家人之象。閒邪存誠,嗃嗃得中,互體見文明,家道明也。內平遇坎,險象,家人難也。酌中之義,在於六二。與離為飛伏。【己丑土,辛亥水。】
家人卦は乾の剛爻全て変じて文明と成り、内外彼此呼応し、(注:九五は六二のこの一爻に応ず。)陰陽各々其の位を得、中に居りて正道を行う。火の上に風を見るは、正に家人の象なり。邪僻を防閑し誠敬を存養し、家を治むるは厳厲なるも能く中を得。互体は文明を見て、家道は因りて清明す。内卦互体は又坎に遇上す、あれは険象にして、家を治むるも亦難処有るを見るべし。斟酌して中を得る関鍵は、六二の一爻に在り。家人は離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己丑土、伏神は辛亥水。)
建始癸卯至戊申,【春分,立秋。】積算起戊申至丁未,金土入離巽。【金土入卦同積算。】大夫居世,應九五立君位。 五星從位起太陰,【太陰,北方,入卦起宮推算。】箕宿從位降己丑,【二十八宿,分箕宿入家人卦,在己丑土上。】分氣候其數三十六。【三十六起數家人卦,推入積算休咎。】
建候は癸卯より起り、戊申に推し、(注:春分より立秋に至る。)積算は戊申より起り、丁未に推し、金と土とは離・巽の両象に進入す。(注:金土は卦に入りて、一同に積算す。)世爻は第二爻「大夫」に居り、上は九五の立つる君位に応ず。 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰は北方に属し、卦に入りて宮を起して推算す。)二十八宿は箕宿に輪り、己丑爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より箕宿を分出して家人卦に進入し、己丑土の上に落つ。)分配の気候の数は三十六なり。(注:三十六を以て家人卦に数を起して、積算に推入して休咎を断ず。)
火木分形,陰陽得位,內外相資,二氣相和。君君臣臣,父父子子,兄兄弟弟。《易》曰:“家人嗃嗃,父子嘻嘻”。治家之道,分於此也。吉凶之義配五行進退,【六五進退,吉凶於陰陽。陰陽得起,在於四時運動,吉凶見矣,分內外矣。二象配天地星辰,合命定吉凶。】文明運動變化之象。 九三適陰入震,風為雷,合曰益。次降風雷益卦。
火と木とは各々其の形を分かち、陰陽各々其の位を得、内外互相資助し、二気彼此調和す。是に君は君道を尽くし臣は臣道を尽くし、父は父道を尽くし子は子道を尽くし、兄は兄道を尽くし弟は弟道を尽くす。《周易》家人卦に曰く「家人嗃嗃、父子嘻嘻」と。家を治むるの道は、就中ここに分辨す。吉凶の道理は五行の進退に配合し、(注:六五の進退は、吉凶を陰陽に繋ぐ。陰陽の能く興起するは、全て四時の運転に在り、吉凶は就中顕現して、内外も亦分明なり。内外二象は天地星辰に配して、人の命数に合して吉凶を判定す。)これは正に文明と運動と交相変化する象なり。 九三は時に応じて陰に趨りて震に入り、風は変じて雷と為り、合して益と呼ぶ。接続して降りて風雷益卦に入る。
巽宮・益(震下巽上)
天地不交曰否。六二陰上柔剛,九四下降積陰,故為益。《易》曰:“損上益下”。雷動風行,男下女上。【震男,巽女。】陽益陰,君益於民之象也。互見坤,坤道柔順。又外見艮,艮止陽益陰,止於陽,柔道行也。【內外順動,風雷益。四象分明,剛柔定矣。】與震為飛伏。【庚辰土,辛酉金。】六三三公居世,上九宗廟為應。
天地相交わらざれば否なり。如今六二のこの陰爻は上行して剛爻と交換し、九四は下降して積陰の処に到れば、ゆえに益と呼ぶ。《周易》に曰く「上を損して下を益す」と。雷動風行して、男は下に在り女は上に在り。(注:震は男、巽は女。)陽来りて陰を增益するは、正に君上が百姓に施恵するの象なり。互体は坤を見て、坤道は柔順なり。外互は又艮を見て、艮は能く「陽の陰を益す」の勢を止住し、陽の上に止まれば、柔道是に就きて通行す。(注:内外皆順にして能く動くは、すなわち風雷益なり。四种の卦象分明なれば、剛柔も就中定まる。)益は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚辰土、伏神は辛酉金。)六三「三公」居りて世爻と為り、上九「宗廟」は応と為る。
建始甲辰至己酉,【清明,秋分。】積算起己酉至戊申,周而復始。土金入震巽。【起積配風雷益卦起宮。】 五星從位起歲星,【木星入卦。】計宿從位降庚辰,【二十八宿,分計宿入風雷益六二庚辰土上。】分氣候二十八。【起二十八數,積算吉凶,周而復始。】
建候は甲辰より起り、己酉に推し、(注:清明より秋分に至る。)積算は己酉より起り、戊申に推して、周して復た始まる。土と金とは震・巽の両象に進入す。(注:積算を起して風雷益卦に配して宮を起す。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:木星は卦に入る。)二十八宿は計宿(すなわち斗宿)に輪り、庚辰爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より計宿を分出して、風雷益卦庚辰土の上に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:二十八の数より起りて、吉凶を積算し、周して復た始まる。)
陰陽二木,合金土配象,四時運轉,六位交分,休廢旺生,吉凶見乎動爻。配日月星辰進退,運氣升降,復當何位。【金、水、木、火、土。】 適變於外,陽入陰爻。二象健而動,屬於天地也。【天陽,震雷亦陽也。二氣相激,動而健,天行也。】陰陽相蕩,次降入天雷無妄卦。
内外两個の陰陽に分属する木象は、金と土と会合して卦象を配定す。四時運転停まず、六爻の位は交錯分布し、あるいは休しあるいは廃し、あるいは旺しあるいは生じ、吉凶は就中発動の爻に見えたり。再び日月星辰の進退・運気の升降に配上して、其の究竟何れの位に当たるかを看る。(注:すなわち金・水・木・火・土の五行。) 変化は外卦に及びて、陽は陰爻に進入す。両象すでに剛健にして能く動き、皆天地に帰属す。(注:天は陽に属し、震雷も亦陽に属す。二気互相激蕩して、動きて剛健なるは、正に天の運行なり。)陰陽互相激蕩して、接続して降りて天雷无妄卦に入る。
巽宮・无妄(震下乾上)
乾剛震動,二氣運轉,天下見雷,行正之道,剛正陽長,物無妄矣。內互見艮,止於純陽;外互見巽,順於陽道。天行健而動,剛正於物,物則順也。金木配象,吉凶明矣。【金木配乾震入卦。】與乾為飛伏。【壬午火,辛未土。】九四諸侯在世,初九元士立應上。
无妄卦は乾剛は上に在り震動は下に在り、二気運転して、天下に雷を見るは、端正の道を走るなり。剛正にして陽気増長せば、万物便ち虚妄無し。内互体は艮を見て、純陽に止まる。外互体は巽を見て、陽道に順従す。天行は剛健にして能く動き、剛正を以て物に待てば、万物就中順従す。金と木と卦象を配定せば、吉凶因りて明白なり。(注:金木は乾・震に配して卦に入る。)无妄は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は壬午火、伏神は辛未土。)九四「諸侯」は世爻と為り、初九「元士」立ちて応位に在り。
建始乙巳至庚戌,【小滿,寒露。】積算起庚戌至己酉,周而復始。火土入乾震。【火土分乾震,入無妄卦起積算。】 五星從位起熒惑,【火星入卦定吉凶。】牛宿從位降壬午,【二十八宿,分牛宿入無妄壬午火位上。】分氣候三十六。【三十六數,起卦積算。】
建候は乙巳より起り、庚戌に推し、(注:小満より寒露に至る。)積算は庚戌より起り、己酉に推して、周して復た始まる。火と土とは乾・震の両象に進入す。(注:火土は分かちて乾震に入り、无妄卦に進みて積算を起す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:火星は卦に入りて以て吉凶を定む。)二十八宿は牛宿に輪り、壬午爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より牛宿を分出して、无妄卦壬午火位の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:三十六の数を以て卦を起して積算す。)
上金下木,二象相沖,陰陽升降,健而動。內見一陽,應動剛。五行分配,吉凶半矣。【二氣各爭。】 九五適變入文柔,陰蕩陽爻歸復位。剛柔履次,明在外;進退吉凶,見中虛。次降入火雷噬嗑卦。
上卦は金に属し下卦は木に属し、両象相冲す。陰陽升降して、剛健にして能く動く。内卦に一個の陽爻を見て、外面の動と相応じて其の剛を顕す。五行は分派配置して、吉と凶とは各々半ばを占む。(注:両気は各自相争う。) 九五は時に応じて変じて文柔に入り、陰は陽爻を蕩動して、それをして本位に帰復せしむ。剛柔依次相踏みて、光明は外卦に顕る。進退と吉凶とは、就中中間のあの虚爻に見えたり。接続して降りて火雷噬嗑卦に入る。
巽宮・噬嗑(震下離上)
柔來文剛,積氣居中,陰道明白,動見文明。雷電合,分威光,而噬嗑也。《易》曰:“頤中有物,曰噬嗑”。陰陽分中,動而明;【象雷電也。】物有不齊,齧而噬。吉凶之道,象於五行。順則吉,逆則凶。火木合卦配升降。與離為飛伏。【己未土,辛巳火。】六五居尊,應六二大夫。
噬嗑卦は柔爻は上りて来りて剛爻を文飾し、積聚の気は中位に居り、陰道は明白顕露して、一たび動けば文明を見る。雷と電と会合して、各々其の威勢と光耀を分かつ、これすなわち噬嗑なり。《周易》に曰く「頤中に物有り、曰く噬嗑」と。陰陽は中位に分居して、動きて明を生ず。(注:雷と電とを象徴す。)物の整斉せざる有れば、則ち歯を用いて之を咬合す。吉凶の道理は、五行に取象す――順なれば吉、逆なれば凶。火と木と合して一卦を成り、升降を配定す。噬嗑は離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己未土、伏神は辛巳火。)六五は尊位に居り、六二「大夫」と相応す。
建始丙午至辛亥,【芒種,小雪。】積算起辛亥至庚戌,周而復始。火土入離震。【分火土二位入噬嗑卦,起積算爻,推配星辰,歲月日時,進退吉凶。】 五星從位起鎮星,【土星入卦。】女宿從位降己未土,【二十八宿,分女宿入卦六五己未土也。】分氣候二十八。【從二十八位數起八卦,算吉凶。】
建候は丙午より起り、辛亥に推し、(注:芒種より小雪に至る。)積算は辛亥より起り、庚戌に推して、周して復た始まる。火と土とは離・震の両象に進入す。(注:火・土の二位を分かちて噬嗑卦に入れ、各爻の上に於て積算を起し、再び星辰と歳・月・日・時とを推配して、以て進退吉凶を断ず。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:土星は卦に入る。)二十八宿は女宿に輪り、己未土爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より女宿を分出して卦に入れ、六五己未土に落つ。)分配の気候の数は二十八なり。(注:二十八のこの位数より八卦を起して、吉凶を推算す。)
火居水上,陽中見陰,陽雜氣渾而溷,吉凶適變,隨時見也。返復陰,游魂入卦。【降下九四陽入陰。】五行進退,始終之道,斯可驗矣。升降六爻,極返終,下降山雷頤卦。
火は水の上に居り、陽中に陰を見て、陽気は駁雑渾濁し、吉凶随いて変化して、皆時に随いて顕現す。返りて陰に入れば、便ち遊魂と成りて卦に入る。(注:九四の陽を降下して陰に入る。)五行の進退・始終の道は、此より就中験証すべし。六爻升降して、極処に到れば便ち其の終に返帰し、是に下降して山雷頤卦と為る。
巽宮・頤(震下艮上・遊魂)
六位上下,周而復始,內外交互,降入純陰。【見坤象居中。】地之氣,萃在其中。【上下陽位包陰。】積純和之氣,見浩然之道,明矣。土木配象,吉凶從六虛。【六虛即六爻也。】與震為飛伏。【丙戌土,己酉金。】六四諸侯在世,元士之初九見應。
頤卦は六爻上下推衍して、周して復た始まり、内外交互して、降りて純陰に入る。(注:卦の中間に坤象を見る。)大地の気は、皆其中に聚集す。(注:上下の陽位は陰を内裏に包む。)純和の気を積聚して、浩然の道を見るべし、これ就中明白なり。土と木と卦象を配定し、吉凶は六虚の上より見る。(注:六虚はすなわち六爻。)頤は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙戌土、伏神は己酉金。)六四「諸侯」は世爻と為り、初九「元士」はそれと相応す。
建始辛亥至丙辰,【小雪,清明。】積算起丙辰至乙卯,周而復始。土木入艮震。【分土木二象,入卦算吉凶。】 五星從位起太白,【金星西方,入八月卦上沖。】虛宿從位降丙戌土,【二十八宿,分虛宿入頤六四丙戌土上。】分氣候三十六。【起數二十八,推六爻吉凶之位。】
建候は辛亥より起り、丙辰に推し、(注:小雪より清明に至る。)積算は丙辰より起り、乙卯に推して、周して復た始まる。土と木とは艮・震の両象に進入す。(注:土・木の二象を分かちて卦中に入れて吉凶を推算す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:金星は西方に属し、八月の卦に入りてそれと相冲す。)二十八宿は虚宿に輪り、丙戌土爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より虚宿を分出して、頤卦六四丙戌土の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:数二十八を起し、拠りて六爻の吉凶の在る所の位を推す。)
山下有雷止而動,陰陽通變分氣候。內外剛而積中柔,升降游魂,下居六四位,特分,復歸於本,【游魂返居六四,入卦周始,爻位遷次,明矣。】吉凶起於六四,次環六位,星宿躔次也。 極則反本,降入歸魂山風蠱卦。
山下に雷有り、止みて而も動く。陰陽通変して気候を分出す。内外皆剛爻にして中間は柔を積み、升降の後に転じて遊魂と成り、下落して六四の位に至り、特地此より分判して、再び本宮に復帰す。(注:遊魂は返りて六四に居り、卦に入りて始終を周流し、爻位は依次遷移す、これ就中明白なり。)吉凶は六四より起算し、依次六爻の位を環行して、正に星宿の依次運行するがごとし。 極処に到れば便ち本宮に返回し、降りて帰魂の山風蠱卦に入る。
巽宮・蠱(巽下艮上・帰魂)
適六爻,陰陽上下,本道存也。氣運周而復始。山下見風,止而順;內互悅而動。《易》云:“蠱者,事也”。先甲後甲,事分而令行。金土合木象,復本曰歸魂。與震為飛伏。【辛酉金,庚辰土。】九三歸魂立三公在世,應上九見宗廟。
蠱卦は六爻に推及して、陰陽上下往来し、本宮の道は依然として存在し、気運は周して復た始まる。山下に風を見て、能く止みて而も順なり。内互体は則ち悦にして能く動く。《周易》に曰く「蠱は、事なり」と。甲に先だつ三日・甲に後るる三日に、事を分理清楚せば、号令便ち推行を得たり。金と土とは木象と会合し、本宮に復帰すれば就中帰魂と呼ぶ。蠱は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は辛酉金、伏神は庚辰土。)九三は帰魂卦の立つる所の世爻にして、「三公」の位に居り、上九「宗廟」と相応す。
建始庚戌至乙卯,【寒露,春分。】積算起乙卯至庚寅,周而復始。土木入艮巽。【土木分艮巽宮。】 五星從位起太陰,【太陰水星入卦用。】危宿從位降辛酉金,【二十八宿,危宿入巽歸魂山風蠱,九三辛酉金位上。】分氣候二十八。【起積算數二十八,卦宮定吉凶。】
建候は庚戌より起り、乙卯に推し、(注:寒露より春分に至る。)積算は乙卯より起り、庚寅に推して、周して復た始まる。土と木とは艮・巽の両象に進入す。(注:土木は艮宮と巽宮とに分属す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰水星は卦に入りて取用す。)二十八宿は危宿に輪り、辛酉金爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に危宿は巽宮帰魂の山風蠱卦に進入し、九三辛酉金位の上に落つ。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算の数二十八を起して、卦宮に就きて吉凶を判定す。)
木上見土,風落山,貞,乾於父事。陰陽復位,長幼分焉。八卦循環,始於巽,歸魂內象見還元。六爻進退,吉凶在於四時。積算起宮,從乎建始。【卦用及身也。】 升陰陽,巽宮適變入離,文柔分矣。陰入陽退,見中虛,次水中女。八卦相蕩,陰陽定位,遷入離宮八卦,純火,以日用事。
木上に土を見て、風は山上の草木を吹落す。貞正を守持して、能く父輩の遺留する事業を担当す。陰陽各々其の位に復し、長幼因りて分明す。八卦は循環推演して、巽より頭を起し、帰魂卦の内象に到れば便ち本元に還帰するを見る。六爻の進退は、吉凶は皆四時に取決す。積算は宮を起して、一律に「建始」のあの一位に依照す。(注:卦の用法は最終に人身上に落到するを要す。) 陰陽は上昇して、巽宮は時に応じて変じて離に入り、文柔是に就きて分出す。陰進みて陽退きて、中虚の象を見、接続して就中中女の卦に進入す。八卦互相激蕩して、陰陽各々其の位を定め、是に離宮八卦に遷入し、純に火象にして、太陽を以て令を当て事を用いる。
離宮・離(離下離上)
本於純陽,陰氣貫中,稟於剛健,見乎文明。故《易》曰:“君子以繼明照于四方”。【離卦中虛,始於乾象。純則健,不能柔明,故以北方陰氣貫中,柔剛而文明也。】陽為陰主,陽伏於陰也。【成卦義在六五。】是以體離,為日為火,始於陽象而假以陰氣。純用剛健,不能明照,故以陰氣入陽,柔於剛健而能順柔,中虛見火象也。【是以離取中虛,氣炎方能照物,日昌火,本陽象也。純以陰,又不能乾於物,純以陽,又暴於物,故取陰柔於中女,能成於物也。】與坎為飛伏。【己巳火,戊子土。】宗廟為世,應上見三公。【上九,九三。】
離卦は純陽に本づきて、而して陰気は中間に貫穿す。剛健の質を禀受するも、却って文明の徳を顕出す。ゆえに《周易》に曰く「君子は明を継ぎて四方に照らす」と。(注:離卦の中間は虚にして、本来乾象より出ず。純陽なれば剛健にして、能く柔にして明ならず。ゆえに北方の陰気を用いて中間に貫入して、剛をして柔に変ぜしめて文明と成す。)陽は陰の主宰にして、而して陽は又陰裏に潜伏す。(注:卦を成すの関鍵は六五に在り。)因りて離の卦体は日と為り火と為り、陽象より起りて陰気を借助す。若し純に剛健を用いれば、反って照明すること能わず。ゆえに陰気をして陽中に進入せしめて、剛健を柔に転じて能く順ならしめ、中間一たび虚ければ、火象就中現出す。(注:ゆえに離は「中虚」の象を取り、気は炎上することを得てこそ能く物を照らす。日盛んで火明らかなるは、本是陽象なり。若し純に陰を用いれば、能く物を乾燥せしめ得ず。若し純に陽を用いれば、又暴烈にして物を傷つく。ゆえに中女の陰柔を取りて、こそ万物を成就し得。)離は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己巳火、伏神は戊子土。)世爻は上九「宗廟」に居り、応爻は九三「三公」に在り。(注:すなわち上九と九三。)
建始戊申至癸丑,【立秋至大寒。】積算起癸丑至壬子,【火取胎月至本月。】周而復始。土水二象入離火位,【土水二位入卦起算。】 五星從位起歲星,【木星入火宮卦。】室宿從位降己巳火,【二十八宿,分室宿入離宮上九己巳火上也。】分氣候三十六。【積算起數三十六,立位定吉凶。】
建候は戊申より起り、癸丑に推し、(注:立秋より大寒に至る。)積算は癸丑より起り、壬子に推し、(注:火は受胎の月より本月に推す。)周して復た始まる。土と水の両象は離の火位に進入し、(注:土・水の二位は卦に入りて起算す。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:木星は火宮の卦に進入す。)二十八宿は室宿に輪り、己巳火爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より室宿を分出して、離宮上九己巳火の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:積算の起数は三十六にして、爻位を立定して吉凶を判断す。)
內外二象,配於火土為祥。【土火入離為祥。】互見悅順,著於明麗。【兌巽二象。】 陰陽升降入初九,適變從陰,止於艮象。【內卦變也。】吉凶從位,起至六五,休廢在何爻。【看當何位金水木火土,與本宮刑宮。】次降入火山旅卦。【初九爻變之。】
内外二象は、火と土とを配すは、吉祥の象なり。(注:土火は離に入れば便ち祥と為る。)互体は兌の和悦と巽の柔順を見て、光明附麗の中に於て顕著す。(注:すなわち兌・巽の両象。) 陰陽は升降して初九に落り、時に応じて変じて陰に従い、艮象に止まる。(注:これは内卦の変化なり。)吉凶は爻位に随いて定まり、初爻より一路六五に起りて、休廃の何れの一爻に落つるかを看るを要す。(注:其の金・水・木・火・土の何れの一位に当たるか、及び本宮と相生するか相刑するかを看る。)接続して降りて火山旅卦に入る。(注:初九のこの一爻に由りて変ず。)
離宮・旅(艮下離上)
陰中見陽,蕩入陽中。陰陽二氣交互,見本象。火居山上,為旅之義。【離為陰,初九為陽;艮為陽,初六為陰。二氣交互,上下見木也。火在上,無止象,旅之義。】《易》曰:“旅人先笑後號咷”。又曰:“得其資斧”。仲尼為旅人,固可知矣。【旅卦為取象,火在山上顯露無止,五行入卦消息,去此遷也。】與艮為飛伏。【丙辰土,己卯木。】其居初六元士,九四諸侯見應。
旅卦は陰中に陽を見、陽は又陰中に蕩入す。陰陽二気交互往来して、本卦の象を顕出す。火は山上に居るは、すなわち旅の意なり。(注:離は本は陰に属するも、而して初九は陽なり。艮は本は陽に属するも、而して初六は陰なり。二気交互して、上下皆木を見る。火は上面に在りて、止住の象無し、正に旅の意なり。)《周易》旅卦に曰く「旅人は先に笑い後に号咷す」と。また曰く「其の資斧を得」と。孔子は一生列国を周遊して旅人と為る、此より亦就中明白すべし。(注:旅卦はこのごとく象を取るは、火が山上に顕露して停留するに由無きに因る。五行の卦に入るの消長も、亦是より此処を離れて別処に遷往す。)旅は艮卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙辰土、伏神は己卯木。)世爻は初六「元士」に居り、九四「諸侯」はそれと相応す。
建始己酉至甲寅,【秋分,立春。】積算起甲寅至癸丑,周而復始。火土木入離艮。【火木土入卦起積算。】 五星從位起熒惑,【火星入卦見本象。】壁宿從位降丙辰,【二十八宿,壁宿入旅卦初六丙辰土位上起算。】分氣候三十六。【分三十六數起卦推算。】
建候は己酉より起り、甲寅に推し、(注:秋分より立春に至る。)積算は甲寅より起り、癸丑に推して、周して復た始まる。火・土・木は離・艮の両象に進入す。(注:火・木・土は卦に入りて積算を起す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:火星は卦に入りて本象を顕出す。)二十八宿は壁宿に輪り、丙辰爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に壁宿は旅卦初六丙辰土位の上に進入して起算す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:三十六の数を以て卦を起して推算す。)
火土同宮,二氣合應,陰陽相對,吉凶分乎陰位。上九陽居宗廟,得喪於易。六五為卦之主,不繫於一凶,其宜也。 內象適變,蕩陰入陽,巽順於外,進退意器,外象明,應內,為鼎。次降火從風入鼎。【初九之初六,六二之九二,巽為風,離象火,曰鼎。】
火と土とは同じく一宮に在り、二気会合相応じ、陰陽彼此相対して、吉凶は就中陰位の上に分辨す。上九は陽を以て「宗廟」に居り、得と失とは皆変易の中に在り。六五は全卦の主にして、某の一処の凶象に牽系せられず、これをこそ合宜と為す。 内象は時に応じて変じ、陰を蕩動して陽に入り、外面は又巽の柔順有りて、進退の意は皆器用の上に落つ。外象は光明にして、内象と相応じて、就中鼎と成る。接続して火は風より降りて、鼎卦に進入す。(注:初九は変じて初六と為り、六二は変じて九二と為る。巽は風、離は火、合して就中鼎と呼ぶ。)
離宮・鼎(巽下離上)
木能巽火,故鼎之象。亨飪見新,供祭明矣。《易》曰:“鼎取新”。【木見火中,發火木相資,象鼎之兆。下穴為足,中虛見納,飪熟之義明矣。凡飪熟,享祀為先。故曰供祭明矣。變生也。】陰陽得應,居中履順,三公之義,繼於君也。【九三成鼎之德,六五委任得賢臣,假之位,以斯明矣。】陰穴見火,順於上也;中虛見納,受辛於內也。金玉之鉉在乎陽,饗新亨飪在乎陰。與巽為飛伏。【辛亥水,己丑土。】九二立大夫為世,六五居尊見應。
木は能く順に火中に入りて其の燃焼を助ければ、ゆえに鼎の卦象有り。食物を烹煮して新成の物を見、用いて祭祀に供奉す、其の義甚だ明らかなり。《周易》に曰く「鼎は新を取る」と。(注:木は火中に見えて、火と木とを引発して互相資助す、正に鼎の兆なり。下面の孔穴は鼎足にして、中間虚空にして容納すべく、食物を烹熟するの意就中明白なり。凡そ食物を烹熟するは、総じて祭享を以て先と為す。ゆえに「供祭明らかなり」と曰う。これすなわち変じて新を生ず。)陰陽彼此応を得、中に居りて柔順の道を行い、三公の本分は、就中君命を承継するに在り。(注:九三は鼎の徳性を成就せり。六五は委任して賢臣を得、それに相応の地位を借与すれば、道理就中明白なり。)陰虚の処に火を見るは、上に順従するなり。中間虚空にして容納すべきは、内裏に於て辛味を受納するなり。金玉の鋳る所の鼎鉉は陽に在り、新物を享用し飲食を烹煮するは陰に在り。鼎は巽卦と互いに飛伏す。(注:飛神は辛亥水、伏神は己丑土。)九二立ちて世爻と為りて「大夫」に居り、六五は尊位に居りてそれと相応す。
建始庚戌至乙卯【寒露,春分。】積算起乙卯至甲寅,周而復始。分土木入離巽。【分土木二象入離巽,配鼎卦。】 五星從位起鎮星,【土星入火宮。】奎宿從位降辛亥水,【二十八宿,分奎宿入鼎卦九二辛亥位上。】分氣候三十六。【起宮數三十六宮配卦算吉凶。】
建候は庚戌より起り、乙卯に推し、(注:寒露より春分に至る。)積算は乙卯より起り、甲寅に推して、周して復た始まる。土と木とは離・巽の両象に分入す。(注:土・木の二象を離巽に分入して、鼎卦に配合す。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:土星は火宮に進入す。)二十八宿は奎宿に輪り、辛亥水爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より奎宿を分出して、鼎卦九二辛亥の位に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:宮を起すの数は三十六にして、卦爻に配合して吉凶を推算す。)
火居木上,二氣交合,陰陽巽順,器具形成。金玉堅剛,配象陰陽,升降六位,遞相遷次,九三適變,以陽入陰,見乎坎險。【鼎九三爻之義,陰成坎卦,外象,內坎外離,二氣不交,見未濟卦。】降入水火未濟卦。
火は木上に居り、二気交相会合し、陰陽皆能く巽順して、器物是に就きて成形す。金玉は堅硬剛強にして、陰陽の象に配合し、六爻の位は升降して、依次遞相遷移す。九三は時に応じて変じ、陽を以て陰に入れば、就中坎の険象を見る。(注:これは鼎卦九三の一爻の意義なり――陰は坎卦と成りて、外象に就きて言えば、内坎にして外離、二気相交わらずして、便ち未済卦を見る。)是に降りて水火未済卦に入る。
離宮・未済(坎下離上)
陰陽二位,各復本體,六爻交互,異於正象,【離炎上,坎務下,二象不合,各殊。陰陽交納,是以異於本象也。】故取未濟名之。世應得位,陰陽殊途,【九二,六五。】性命不交,吉凶列矣。【坎性,離命。】與坎為飛伏。【戊午火,己亥水。】六三三公為世,應宗廟。【上九。】
未済卦は陰陽两位は各々本体に回复し、六爻交互往来して、正象と同じからず、(注:離性は炎上、坎性は趨下、両象合せず、各々各々のを走る。陰陽交相納受すれば、ゆえに本象と同じからず。)因りて「未済」を以て命名す。世爻と応爻とは各自位を得るも、但し陰陽は途を分かち、(注:すなわち九二と六五。)性と命とは相い交通せず、吉凶は就此に排列出る。(注:坎は性を主り、離は命を主る。)未済は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊午火、伏神は己亥水。)六三「三公」は世爻と為り、「宗廟」と相応す。(注:すなわち上九。)
建始辛亥至丙辰,【小雪,清明。】積算起丙辰至丁卯,水土二象入離坎。【分水土入卦。】 五星從位起太白,【金星入離宮,卦分六爻。】婁宿從位降戊午火,【二十八宿,分婁宿入未濟九二戊午火位上,定吉凶,入積算。】分氣候二十八。【積算二十八數至吉凶處。】
建候は辛亥より起り、丙辰に推し、(注:小雪より清明に至る。)積算は丙辰より起り、丁卯に推して、水と土の両象は離・坎に進入す。(注:水土は分別して卦に入る。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:金星は離宮に進入し、卦に就きて六爻を分配す。)二十八宿は婁宿に輪り、戊午火爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より婁宿を分出して、未済卦九二戊午火位の上に進入し、吉凶を判定して積算に納入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は二十八の数を以て吉凶の在る所に推到す。)
水火二象,坎離相納,受性本異,立位見隔,睽於上下,吉凶生也。【子午之位。】受刑見害,氣不合也。 陰陽升降,入於外卦,適離為艮,上著於象。【艮上著離也。】天地盈虛,與時消息,其大也。次降入山水蒙卦。
水火両象は、坎離互相納受するも、但し禀する所の性は本来相異にして、立つる所の位は又彼此隔絶し、上下乖睽して、吉凶便ち此より産生す。(注:すなわち子位と午位。)刑克を互いに受けて害処を顕出するは、気息の合せざるに因る。 陰陽升降して、外卦に進入し、離は時に応じて変じて艮と為り、上面に附着して象を成す。(注:艮は離の上に附着す。)天地の盈満と虚亏は、時に随いて消長し、其の道甚だ大なり。接続して降りて山水蒙卦に入る。
離宮・蒙(坎下艮上)
積陽居陰,止於坎陷。養純正素,居中得位。《易》云:“山下出泉,蒙”。二象摽正,天下通也。擊暗釋疑,陽道行也;內實外正,暗得明,陰附於陽,稚道亨也。故曰:“蒙養正”。與艮為飛伏。【丙戌土,乙酉金。】諸位立世,元士為應。【六四,初六。】
蒙卦は積聚の陽は陰位に居り、坎の陥険の中に止まる。それは純正朴素の徳を涵養し、中に居りて正位を得たり。《周易》に曰く「山下に泉出ず、蒙」と。内外二象は正道を標挙して、天下因りて通達す。昏昧を撃破し疑惑を解開せば、陽道就中施行を得たり。内裏充実して外表端正なれば、昏暗なる者は開明を得て、陰は陽に依附して、蒙稚の道就中亨通せり。ゆえに「蒙は以て正を養う」と曰う。蒙は艮卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙戌土、伏神は乙酉金。)「諸侯」立ちて世爻と為り、「元士」を以て応と為す。(注:すなわち六四と初六。)
建始壬子至丁巳,【大雪,小滿。】積算起丁巳至丙辰,周而復始。火土入艮坎。【火土二象入卦同算。】 五星從位起太陰,【水星北方,入宮起算。】胃宿從位降丙戌土,【二十八宿,分胃宿入蒙卦六四丙戌土上。】分氣候三十六。【起數二十八,從六位推算。】
建候は壬子より起り、丁巳に推し、(注:大雪より小満に至る。)積算は丁巳より起り、丙辰に推して、周して復た始まる。火と土とは艮・坎の両象に進入す。(注:火土二象は卦に入りて、一同に推算す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:水星は北方に属し、宮に入りて起算す。)二十八宿は胃宿に輪り、丙戌土爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より胃宿を分出して、蒙卦六四丙戌土の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:数二十八を起して、六爻の位の上より推算す。)
山下見水,畜聚居中,分流萬派,六位不居,吉凶適變,水土分也。【五行入卦算吉凶,逐四時行囚廢王,吉則王,凶則廢。】陰陽進退,歲時物也。六五陽中積陰,入巽見陰中陽,二氣相蕩,不可盈望。次降入風水渙卦。【六五變入九五,陽中陰入陽中陽,適變往於他宮,位不出本宮。】
山下に水を見て、中間に蓄聚して、又分流して千百条の水派と成る。六爻の位は固定せず、吉凶随いて変化す、これは水と土とに分派するの結果なり。(注:五行は卦に入りて吉凶を推算して、四時に随いて行・囚・廃・旺有り。吉なるは旺し、凶なるは廃す。)陰陽は一進一退して、正に歳時と万物の常態なり。六五は陽中に陰を積みて、巽に進入して陰中の陽を見、二気互相激蕩して、其の盈満を指望すべからず。接続して降りて風水渙卦に入る。(注:六五は変じて九五と為り、陽中の陰は転じて陽中の陽と為る。時に応じて別処に変往するも、位次は本宮を出でず。)
離宮・渙(坎下巽上)
水上見木,渙然而合,【渙者,散也。】內外健而順,納實居中正,互見動而上,【虛舟行也。】陰陽二象,資而益也。風行水上,處險非溺也。【木浮於水也。】九五履正思順,非偪也。與巽為飛伏。【辛巳火,己未土。】九五居尊,大夫應。【九二爻也。】
渙卦は水上に木を見て、渙散の後に反って会合す。(注:渙はすなわち散なり。)内外すでに剛健にして又柔順にして、納受充実して中正に居り、互体は又能く動きて向上を見る。(注:空船の順流して行くがごとし。)陰陽両象は互相資助して增益す。風は水上に行いて、険境に処するも沉溺に至らず。(注:木は水の上に浮かぶ。)九五は正道を踐履して心に理に順うを存し、并せ威逼に倚るにあらず。渙は巽卦と互いに飛伏す。(注:飛神は辛巳火、伏神は己未土。)九五は尊位に居り、「大夫」はそれと相応す。(注:すなわち九二の一爻。)
建始癸丑至戊午,【大寒,芒種。】積算起戊午至丁巳,周而復始。火土入坎巽。【火土二象入坎巽,配火宮渙卦起算。】 五星從位起歲星,【木星入火宮本象。】昴宿從位降辛巳火,【二十八宿,分昴宿入渙九五辛巳火位上。】分氣候其數二十八。【起算從二十八位上推六爻吉凶,歲月日時為候。】
建候は癸丑より起り、戊午に推し、(注:大寒より芒種に至る。)積算は戊午より起り、丁巳に推して、周して復た始まる。火と土とは坎・巽の両象に進入す。(注:火土二象は坎巽に入りて、火宮の渙卦に配して起算す。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:木星は火宮の本象に進入す。)二十八宿は昴宿に輪り、辛巳火爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より昴宿を分出して、渙卦九五辛巳火位の上に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:起算は二十八のこの位数の上より六爻の吉凶を推し、歳・月・日・時を以て候と為す。)
內卦坎中滿,一陽居中,積實於內,風在外行,虛聲外順。吉凶之位,考乎四序,盛衰之道,在乎機要。陰陽死於位,生於時;死於時,生於位。進退不可詰,正盛則衰來,正衰則盛來。《易》曰:“積善之家必有餘慶,積不善之家必有餘殃”。 八卦始終,六虛反復,游魂生巽入乾,為天水訟卦。
内卦坎は中間充実の象にして、一個の陽爻は中に居り、実を内裏に積む。風は外面に於て吹行して、ただ虚声にして外に於て順応す。吉凶の在る所の爻位は、四時の次序を考察するを要す。盛衰の道理は、全て関鍵の処に在り。陰陽はあるいは位に死して時に生じ、あるいは時に死して位に生ず。進退の間は追問するに由無し――正に極盛に当たれば、衰は将に来らんとし、正に極衰に当たれば、盛も将来らんとす。《周易》に曰く「善を積む家は必ず余慶有り、不善を積む家は必ず余殃有り」と。 八卦は始有り終有り、六虚は反復往還し、遊魂は巽に由りて生じて乾に入れば、就中天水訟卦と成る。
離宮・訟(坎下乾上・遊魂)
生生不絕之謂道。六位不居,返為游魂。離宮八卦以訟為反四,【五至四也。】天與水違,曰訟。【天道西行,水東流,其路背也。外象乾,西北方之卦;內坎水,正北方之卦,其流東也。二氣不交,曰訟。】五行所占六位定吉凶,非所背,順為正。金與水,二氣相資,父子之謂。健與險,內外相激,家國之義。出象故以則,斯可驗矣。與巽為飛伏。【壬午火,辛未土。】諸侯居世,元士見應。【九四,初六。】
生々絶えずを就中道と呼ぶ。六爻の位は肯んじて固定せず、返り来れば便ち遊魂と成る。離宮八卦は、訟を以て第四爻に返るの卦と為す。(注:第五爻より第四爻に退る。)天と水とは彼此相い違背すれば、ゆえに訟と呼ぶ。(注:天道は西に向かい運行し、水は東に向かい流る、両者の路経相背なり。外象は乾にして、西北方の卦に属す。内卦は坎水にして、正北方の卦に属し、水流は東に向かう。二気相交わらずして、就中訟と呼ぶ。)五行の占むる所の六爻の位に拠りて吉凶を判定す――相い背離せず彼此相順応するをこそ正と為す。金と水の二気は互相資生して、譬えば父と子のごとし。剛健と険陷とは、内外互相激蕩して、正に家と国の道理なり。すでに象を顕せば、拠りて法則と為すべく、其の効験すべし。訟は巽卦と互いに飛伏す。(注:飛神は壬午火、伏神は辛未土。)「諸侯」居りて世爻と為り、「元士」はそれと相応す。(注:すなわち九四と初六。)
建始戊午至癸亥,【芒種,小雪。】積算起癸亥至壬戌,周而復始。火水入卦。【火水二象入離宮,配六位積算,推日月歲時。】 五星從位起熒惑,【火星入火宮,同起積算。】畢宿從位降壬午火,【二十八宿,分畢宿東方宿,入離游魂天水訟卦九四壬午火上也。】分氣候三十六。【起宮從三十六位算吉凶。】
建候は戊午より起り、癸亥に推し、(注:芒種より小雪に至る。)積算は癸亥より起り、壬戌に推して、周して復た始まる。火と水と卦に入る。(注:火水二象は離宮に進入し、六爻の位に配して積算し、日・月・歳・時を推す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:火星は火宮に進入し、一同に積算を起す。)二十八宿は畢宿に輪り、壬午火爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より東方の畢宿を分出して、離宮遊魂の天水訟卦九四壬午火の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:宮を起すは三十六のこの位数より吉凶を推算す。)
天下見水,陰陽相背,二氣不交,物何由生。吉凶宗於上九,進退見於九四,二居中履正,得其宜也。 陰陽升降,復歸內象。【陰去陽來復本位,內見離,同人。】次降天火同人卦。【次本陽上下,二爻陰,適變從離也。】
天下に水を見て、陰陽彼此相背し、二気相交わらざれば、万物は何を凭りて生長せん。吉凶は上九を以て帰宗と為し、進退は則ち九四に見る。九二は中に居りて正道を行い、処置宜しきを得たり。 陰陽升降して、又復た内象に帰す。(注:陰去りて陽来り、本位に回って、内卦に離を見れば、すなわち同人。)接続して降りて天火同人卦に入る。(注:本来上下皆陽なり、如今第二爻は陰に転じて、時に応じて変じて離に従う。)
離宮・同人(離下乾上・帰魂)
二氣同進,健而炎上,【乾務上,離務下。】同途異致,性則合也。《易》曰:“出門同人,又誰咎也”。九二得位居中,六三積陰待應。《易》曰:“先號咷而後笑”。【隔於陽位,不能決勝,先故曰號咷;後獲合方喜也,故曰後笑也。】八卦復位,六爻遷次,周而復始。上下不停,生生之義,易道祖也。天與火,明而健;陽道正,陰氣和也。【六二居內卦中,能奉於陽。】吉凶故象,五行昭然。【金木水火土,配六位相生。】與坎為飛伏。【己亥水,戊午火。】歸魂立三公為世,上九宗廟為應候。
同人卦は両気一同に上進し、剛健にして火性炎上す。(注:乾は一味に上に向かい、離は一味に下に向かう。)同じく一路を走るも趨向は各々異なるも、本性は却って相合なり。《周易》同人卦初九に曰く「門を出でて人に同じくす、又誰の咎めならん」と。九二は位を得て中に居り、六三は陰気を積みて相応を等待す。《周易》九五にまた曰く「先に号咷して後に笑う」と。(注:陽位に隔てられて、取勝すること能わざれば、ゆえに先に号咷す。後来終に会合してこそ歡喜し、ゆえに後に笑うと曰う。)八卦各々其の位に復し、六爻依次遷移して、周して復た始まり、上下運行停まらず、これすなわち生々の義にして、亦易道の根源なり。天と火と相配して、すでに明亮にして又剛健なり。陽道は端正にして、陰気は和順なり。(注:六二は内卦の中に居りて、能く陽に奉承す。)吉凶因りて象を顕し、五行昭然として見るべし。(注:金・木・水・火・土は六爻の位に配して相生す。)同人は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己亥水、伏神は戊午火。)帰魂卦は第三爻「三公」を立てて世爻と為し、上九「宗廟」は応と為る。
建始丁巳至壬戌,【小滿,寒露。】積算起壬戌至辛酉,周而復始。火土入乾離。【火土二象入乾離,配六宮起積算。】 五星從位起鎮星,【土星入卦,定其吉凶。】觜宿從位降己亥水,【二十八宿,分觜宿入離歸魂,配天火同人九三己亥水上。】分氣候二十八。【起積算二十八位數,巡六爻有吉凶入何位。】
建候は丁巳より起り、壬戌に推し、(注:小満より寒露に至る。)積算は壬戌より起り、辛酉に推して、周して復た始まる。火と土とは乾・離の両象に進入す。(注:火土二象は乾離に進入して、本宮六爻に配合して積算を起す。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:土星は卦に入りて、拠りて吉凶を判定す。)二十八宿は觜宿に輪り、己亥水爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より觜宿を分出して、離宮帰魂の卦に進入し、天火同人九三己亥水に配す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算の二十八のこの位数を起して、六爻を巡行し、吉凶の何れの位に落つるかを看る。)
火上見金,二氣雖同,五行相悖。六爻定位,吉凶之兆在乎五二,得時則順,失時則逆。陰陽升降,歲月分焉,爻象相蕩,內外適變,八卦巡迴,歸魂復本。本靜則象生,故適離為兌入少女,分八卦於兌象。【坎入兌宮八卦。】
火の上に金を見て、二気は同行するも、五行は却って相違背す。六爻各々其の位を定め、吉凶の兆は就中九五と六二の両爻に在り。時を得れば順、時を失えば逆。陰陽升降して、歳月此より分判す。爻象互相激蕩して、内外時に応じて変じ、八卦巡行一周して、帰魂は便ち本宮に回到す。根本安静にして、卦象こそ生出す。ゆえに離は時に応じて変じて兌と為りて、少女の卦に進入し、八卦は就中兌象より再び分派開去す。(注:坎宮より転入して兌宮八卦に至る。)
兌宮・兌(兌下兌上)
積陰為澤,純金用體,畜水凝霜,陰道同也。上六陰生,與艮為合。【兌下六陰凝,艮土於陽健,納兌為妻,二氣合也。】土木入兌,水火應之,二陰合體,積於西郊。【秋王。】沖艮入乾,氣類陰也;配象為羊,物類同也。與艮為飛伏。【丁未土,丙寅木。】上六宗廟在世,六三三公為應。
兌卦は陰を積みて沢と成り、純金を以て体と為し、水を蓄住して霜に凝成す、皆陰道相同の表現なり。上六は陰爻を生出して、艮と相合す。(注:兌の下面の陰気は凝聚し、艮は土に属し性は陽健にして、兌を納めて妻と為れば、二気就中合す。)土と木とは兌に進入し、水と火とはそれと相応じ、两個の陰爻は合して一体を成り、西郊に積聚す。(注:秋は金旺なり。)それは艮に冲して乾に入りて、気類は仍ほ陰に属す。物象に配れば羊と為るも、亦同類の物なり。兌は艮卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁未土、伏神は丙寅木。)上六「宗廟」は世爻と為り、六三「三公」は応と為る。
建始乙卯至庚申,【春分,立秋。】積算起庚申至己未,周而復始。金土入兌宮。【金土入兌宮起積算。】 五星從位起太白,【太白金星入卦。】參宿從位降丁未土,【二十八宿,分參宿入兌上六丁未土上。】分氣候三十六。【起宮算從三十六數,起定吉凶。】
建候は乙卯より起り、庚申に推し、(注:春分より立秋に至る。)積算は庚申より起り、己未に推して、周して復た始まる。金と土とは兌宮に進入す。(注:金土は兌宮に入りて積算を起す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は卦に入る。)二十八宿は参宿に輪り、丁未土爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より参宿を分出して、兌卦上六丁未土の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:宮を起し推算するは三十六の数より起りて、拠りて吉凶を判定す。)
內卦互體見離巽,配火木入金宮,分貴賤於強弱,【火強木弱。】吉凶隨爻算,歲月運氣逐休王。 陰陽升降,變初九入初六,陽入陰,為坎象。正體見陽位,剛柔分,吉凶見也。適變內象入坎,為困卦。【兌內卦初九變入坎。】
内卦互体は離と巽とを見て、火と木とを配して金宮に進入し、強弱の上より貴賎を分出し、(注:火強くして木弱し。)吉凶は各爻に随いて推算し、歳月運気は則ち四時の休旺に随いて定まる。 陰陽升降して、初九は変じて初六と為り、陽は陰に入れば、就中坎象と成る。正体の上に就きて陽位の在る所を見れば、剛柔分明にして、吉凶も就中顕現す。内象は時に応じて変じて坎に入れば、すなわち困卦なり。(注:兌の内卦初九は変じて坎に入る。)
兌宮・困(坎下兌上)
澤入坎險,水不通,困。外稟內剛,陰道長也,陰陽不順,吉凶生也。《易》云:“困于石,據于蒺藜,入于其宮,不見其妻,凶”。上下不應,陰陽不交,二氣不合。【困卦上下無應,陰陽不交。六三陰,上六亦陰,無匹。入九五求陽,陽亦無納也。】五行配六位,生悔吝,四時休王。金木交爭,萬物之情在乎幾微。與坎為飛伏。【戊寅木,丁巳火。】初六元士為世,九四諸侯在應。
困卦は沢は坎の険陷に落入して、水流通せず、ゆえに困と呼ぶ。外面は柔順を禀受して内裏剛強にして、陰道は正に増長し、陰陽相い順ぜず、吉凶就中産生す。《周易》困卦六三に曰く「石に困み、蒺藜に拠り、其の宮に入りて、其の妻を見ず、凶」と。上下相い応せず、陰陽相い交わらず、二気は会合すること能わず。(注:困卦の上下は正応無く、陰陽交わらず。六三は陰にして、上六も亦陰にして、対を配成せず。転じて九五の陽に求めれども、陽も亦肯んじてそれを納れず。)五行は六爻の位に配して、悔と吝とを生出し、四時に随いて休有り旺有り。金と木と交相争闘して、万物の情状は就中これらの細微の処に顕現す。困は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊寅木、伏神は丁巳火。)初六「元士」は世爻と為り、九四「諸侯」は応位に在り。
建始丙辰至辛酉,【清明,秋分。】積算起辛酉至庚申,周而復始。土金入坎兌。【分土金入坎兌,配金宮起算。】 五星從位起太陰,【水宿入兌卦起算。】井宿從位降戊寅,【二十八宿,分井宿入困卦初六戊寅木。】分氣候其數二十八。【二十八起宮入積算,定吉凶。】
建候は丙辰より起り、辛酉に推し、(注:清明より秋分に至る。)積算は辛酉より起り、庚申に推して、周して復た始まる。土と金とは坎・兌の両象に進入す。(注:土・金を分かちて坎兌に入れて、金宮に配して起算す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:水星は兌卦に入りて起算す。)二十八宿は井宿に輪り、戊寅爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より井宿を分出して、困卦初六戊寅木に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:二十八を以て宮を起して積算に納入し、吉凶を判定す。)
坎象互見離火入兌,金水見運,配吉凶。陰陽升降,坎入坤,陰氣凝盛,降入萃。【變通入萃卦。】
坎象の互体は又離火を見て兌に進入し、金と水とは交替行運して、拠りて吉凶を配定す。陰陽升降して、坎は転じて坤に入り、陰気凝聚強盛にして、是に降りて萃卦に入る。(注:変通して萃卦に進入す。)
兌宮・萃(坤下兌上)
金火分氣候,土木入兌宮升降,陰氣盛,剛柔相應,合九五,定群陰,二氣悅而順。【萃卦丁酉金,乙巳火,二象刑而合也。】澤上於地,積陰成萃。《易》曰:“萃者,聚也”。吉凶生,陽氣合而悅。【凡聚眾,必慎防閒假。陽為主,成萃之義,伏戎必豫備,眾聚去疑心。】與坤為飛伏。【乙巳火,丁卯木。】六二大夫居世,九五至尊見應。
萃卦は金と火とを以て気候を分主し、土と木とは兌宮に進入して升降有り。陰気強盛にして、剛柔彼此相応じ、皆九五に会合して衆陰を安定し、二気和悦にして順従す。(注:萃卦に丁酉金・乙巳火有りて、両象すでに相刑して又相合す。)沢は地上に升りて、陰を積みて萃と成る。《周易》に曰く「萃は、聚なり」と。吉凶此より産生し、陽気会合して和悦す。(注:凡そ衆人を聚集するは、必ず謹慎防閑して苟且すべからず。陽を以て主と為せばこそ、萃の意義を成就し得。隠伏の兵戎に対しては預め防備し、衆人聚集すれば猜疑の心を去るを要す。)萃は坤卦と互いに飛伏す。(注:飛神は乙巳火、伏神は丁卯木。)六二「大夫」居りて世爻と為り、九五至尊はそれと相応す。
建始戊寅至癸未,【立春,大暑。】積算起癸未至壬午,周而復始。土木入坤兌。【分土木入兌宮起算。】 五星從位起熒惑,【火星入金水宮推吉凶也。】翼宿從位降乙巳,【二十八宿,分翼宿入萃六二位上。】分氣候二十八。【積算起二十八數,六爻見吉凶。】
建候は戊寅より起り、癸未に推し、(注:立春より大暑に至る。)積算は癸未より起り、壬午に推して、周して復た始まる。土と木とは坤・兌の両象に進入す。(注:土・木を分かちて兌宮に入れて起算す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:火星は金水の宮に進入して吉凶を推す。)二十八宿は翼宿に輪り、乙巳爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より翼宿を分出して、萃卦六二の位に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は二十八の数を起して、六爻の上に於て便ち吉凶を見る。)
澤下見坤,二氣順,土木入宮有愛惡。【木惡土愛也。】陰陽升降,陽氣來,止於坤象,互見艮。【艮為陽。】 兌象納艮,陰氣強,【男下女。】次降澤山咸卦。
沢下に坤を見て、二気和順にして、土と木とは宮に入るも相愛と相悪の分別有り。(注:木は土を悪み、土は木を愛す。)陰陽升降して、陽気到来して、坤象に止まり、互体は又艮を見る。(注:艮は陽に属す。) 兌象は艮を納受して、陰気強盛なり。(注:男は女の下に屈居す。)接続して降りて沢山咸卦に入る。
兌宮・咸(艮下兌上)
山下有澤,虛已畜物,陽中積陰,感於物也。陽下於陰,男女之道,內外相應,感類於象也。六二待聘,九五見召,二氣交感,夫婦之道,體斯合也。《易》曰:“咸,感也,利取吉女。”【艮少男,兌少女,男下於女,取婦之象。】與艮為飛伏。【丙申金,丁丑土。】九三三宮居世,上六宗廟為應。
咸卦は山下に沢有り、己を虚しくして外物を容納す。陽中に陰を積みて、能く物に感通す。陽は陰の下に屈居するは、正に男女交往の道なり。内外彼此相応じて、感ずる所の類は皆此に取象す。六二は人の来聘を待ち、九五は出でて召求し、二気交相感応して、夫婦の道は其の体正にこれと合す。《周易》に曰く「咸は、感なり、吉女を取るに利し」と。(注:艮は少男、兌は少女にして、男は女の下に屈居す、正に婦を娶るの象なり。)咸は艮卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙申金、伏神は丁丑土。)九三「三公」居りて世爻と為り、上六「宗廟」は応と為る。
建始戊午之癸亥,【芒種,小雪。】積算起癸亥至壬戌,周而復始。火土入艮兌。【分火土象入艮兌也。】 五星從位起熒惑,【火星南方入金宮。】柳宿從位降丙申,【二十八宿,分柳宿入咸九三丙申金爻上。】分氣候三十六。【積算起數,分三十六位起吉凶。】
建候は戊午より起り、癸亥に推し、(注:芒種より小雪に至る。)積算は癸亥より起り、壬戌に推して、周して復た始まる。火と土とは艮・兌の両象に進入す。(注:火・土の象を分かちて艮兌に入る。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:火星は南方に属し、金宮に進入す。)二十八宿は柳宿に輪り、丙申爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より柳宿を分出して、咸卦九三丙申金爻の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:積算の起数は、三十六位を分かちて吉凶を起す。)
土上見金,母子氣和,陰陽相應,剛柔定位。吉凶隨爻,受氣出則吉,刑則凶。陰陽等降入外險,止於內象,為山水蹇卦。【九四爻之入陰中剛。】
土上に金を見て、母と子と気息調和し、陰陽彼此相応じ、剛柔各々其の位を定む。吉凶は各爻に随いて定まる――受くる所の気若し生発し得れば吉、若し相刑克せば凶。陰陽依次下降して外卦の険に入り、内象に止まれば、就中水山蹇卦と成る。(注:九四の一爻に由りて転入して陰中の剛と為る。)
兌宮・蹇(艮下坎上)
利於西南,民道通也。水在山上,蹇險難進,陰陽二氣否也。陰待於陽,柔道牽也,險而逆止,陽固陰長。處能竭至誠,於物為合,蹇道,亨也。《易》曰:“王臣蹇蹇,匪躬之故”。【六二。】與坎為飛伏。【戊申金,丁亥水。】六四諸侯居世,初六元士在應。
蹇卦は西南に利し、彼処は民衆の道通暢す。水は山上に在り、蹇難険阻にして前進し易からず、陰陽二気閉塞通ぜず。陰は陽を等待して、柔道は牽制せられ、険有りて又勢に逆らい止住し、陽は固守して陰増長す。此の境に身を処して若し至誠を竭尽し、外物と相合せば、蹇道も就中亨通せん。《周易》蹇卦に曰く「王臣蹇蹇、躬の故に非ず」と。(注:これは六二の爻辞なり。)蹇は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊申金、伏神は丁亥水。)六四「諸侯」居りて世爻と為り、初六「元士」は応位に在り。
建始己未至甲子,【大暑,大寒。】積算起甲子至癸亥,周而復始。土水入坎艮。【水土二象入艮,配金宮起算。】 五星從位起鎮星,【土星入金宮。】星宿從位降戊申,【二十八宿,分星宿入蹇六四戊申金上。】分氣候其數三十六。【積算起數三十六,從六位五行。】
建候は己未より起り、甲子に推し、(注:大暑より大寒に至る。)積算は甲子より起り、癸亥に推して、周して復た始まる。土と水とは坎・艮の両象に進入す。(注:水土二象は艮に入りて、金宮に配して起算す。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:土星は金宮に進入す。)二十八宿は星宿に輪り、戊申爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より星宿を分出して、蹇卦六四戊申金の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:積算の起数は三十六にして、六爻の位に依りて五行を配す。)
土上見水,柔而和此,五行相推二氣合,取象則陰陽相背也。九五適變入坤宮,宮比得朋,陰氣合也。【外卦九五,變入坤內,見艮,故曰得朋也。將入謙卦取象。】坎降,入地山謙。
土上に水を見て、柔順にして和洽す。五行依次相推して、二気本来相合するも、但し取象に就きて言えば、陰陽は仍ほ彼此相背なり。九五は時に応じて変じ、坤宮に転入して、両宮相比して朋類を得、陰気是に就きて会合す。(注:外卦九五は変じて坤に入り、内卦に艮を見れば、ゆえに「朋を得」と曰う。将に謙卦の象を取らんとす。)坎下降して、地山謙に進入す。
兌宮・謙(艮下坤上)
六位謙順,四象無凶,一陽居內卦之上,為謙之主。《易》曰:“謙謙君子,利涉大川”。陰陽不爭,處位謙柔,陰中見陽,止順於謙。有無之位,上下皆通。《易》曰:“撝謙,無不順也”。與坤為飛伏。【癸亥水,丁酉金。】六五居世,大夫在應。
謙卦は六爻の位皆謙遜柔順にして、四象の中に凶象無し。一個の陽爻は内卦の上位に居るは、正に謙の主爻なり。《周易》謙卦初六に曰く「謙謙君子、大川を渉るに利し」と。陰陽互いに争競せず、処する所の位は謙和柔順にして、陰中に陽を見て、止みて謙に順う。位に居るか否かを論ぜず、上下皆能く通達す。《周易》六四に曰く「謙を撝る、順ならざる無し」と。謙は坤卦と互いに飛伏す。(注:飛神は癸亥水、伏神は丁酉金。)六五居りて世爻と為り、「大夫」は応位に在り。
建始庚申至乙丑,【立秋,大寒。】積算起乙丑至甲子,周而復始。金土入坤艮。【金土二象,入兌宮起算也。】 五星從位起太白,【太白金星入兌宮卦。】張宿從位降癸亥,【二十八宿,分張宿入謙六五癸亥水上。】分氣候二十八。【積算起數,二十八位。】
建候は庚申より起り、乙丑に推し、(注:立秋より大寒に至る。)積算は乙丑より起り、甲子に推して、周して復た始まる。金と土とは坤・艮の両象に進入す。(注:金土二象は兌宮に進入して起算す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は兌宮の卦に進入す。)二十八宿は張宿に輪り、癸亥爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より張宿を分出して、謙卦六五癸亥水の上に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算の起数は、就中二十八の这一位の上に在り。)
坤在艮上順而止,五行入位象謙柔。【吉凶隨爻適變。】 陰陽升降,至六五位返入游魂,變歸六四,【謙六四,一爻入陽也。】八卦相離,四象分也。次降入雷山小過卦。
坤は艮上に在り、順にして能く止まり、五行は各位に入りて皆謙柔に取象す。(注:吉凶は各爻に随いて時に応じて変ず。) 陰陽升降して、六五の位に到れば就中返りて遊魂に入り、変動は六四に帰し、(注:謙卦六四のこの一爻は転じて陽と成る。)八卦此より分離し、四象も就中分かる。接続して降りて雷山小過卦に入る。
兌宮・小過(艮下震上・遊魂)
六四適變,血脈通也。陽入陰,陰入陽,二氣降內外象。上下返應,二剛相適。【九三,九四。】土木入卦,分於二象。【內艮外震。】雷處高山,亢之極也。內柔無正性,危及於外。《易》曰:“飛鳥遺之音,不宜上宜下”。與坤為飛伏。【庚午火,癸丑土。】反歸九四,諸侯立世,元士見應。
小過卦は六四時に応じて変じ、血脈因りて貫通す。陽は陰に入り、陰は陽に入りて、二気は下降して内外両象に到る。上下反って彼此呼応し、两個の剛爻は恰好相接す。(注:すなわち九三と九四。)土と木とは卦に入りて、内外二象を分主す。(注:内卦艮、外卦震。)雷は高山の上に響くは、亢極の象なり。内裏柔弱にして端正の性無ければ、危険は便ち外に及ばん。《周易》小過卦辞に曰く「飛鳥は音を遺す、上るに宜からず下るに宜し」と。小過は坤卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚午火、伏神は癸丑土。)九四に返帰して、「諸侯」立ちて世爻と為り、「元士」はそれと相応す。
建始乙丑至庚午,【大寒,芒種。】積算起庚午至己巳,周而復始。土火入震艮。【外土火二象入兌宮。】 五星從位起太陰,【水星入卦游魂。】翼宿從位降庚午,【二十八宿,分翼宿入兌宮游魂,小過卦九四庚午火上。】分氣候三十六。【積算三十六數,六位吉凶。】
建候は乙丑より起り、庚午に推し、(注:大寒より芒種に至る。)積算は庚午より起り、己巳に推して、周して復た始まる。土と火とは震・艮の両象に進入す。(注:外面の土火二象は兌宮に進入す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:水星は卦に入りて、遊魂を主る。)二十八宿は翼宿に輪り、庚午爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より翼宿を分出して、兌宮遊魂の小過卦九四庚午火の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:三十六の数を以て積算し、六爻の位に配して吉凶を定む。)
木下見土,二陽畜陰,六位相刑,吉凶生也。上升下陰陽反應,各私其黨。六爻適變,陰道悖也。升降進退,其道同也。之艮入兌,陰納與陽也。反復其位,次降入歸魂,雷澤歸妹卦。
木下に土を見て、两個の陽爻は陰を畜住し、六爻の位は互相刑克して、吉凶此より産生す。上昇下降の間、陰陽彼此呼応して、却又各自自らの党類に偏私す。六爻時に応じて変じて、陰道是に就きて違悖す。升降進退は、道理はこれ一様なり。艮より転じて兌に入りて、陰は陽に納受せらる。反復して本位に回りて、接続して降りて帰魂の雷沢帰妹卦に入る。
兌宮・帰妹(兌下震上・帰魂)
陰復於本,悅動於外,二氣不交,故曰歸妹。【歸者,嫁也。】互見離坎,同於未濟,適陽從陰,剛從外至。九四至剛,六三悅柔,返無其應,凶。兌羊涉卦之終,長何吉也。與艮為飛伏。【丁丑土,丙申金。】三公歸魂之世,上六宗廟見應。
帰妹卦は陰気は本宮に回復して、内悦にして外動すれども、二気は却って相交わらず、ゆえに帰妹と呼ぶ。(注:「帰」はすなわち出嫁なり。)互体は離と坎とを見て、未済と相同じ。陽に趨りて陰に従い、剛爻は外面より進入す。九四は剛に過ぎ、六三は悦柔に過ぎて、反って正応無し、ゆえに凶。兌は羊と為り、一路渉歴して全卦の終に到りて、還た何の吉を談ずるを得ん。帰妹は艮卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁丑土、伏神は丙申金。)「三公」は帰魂卦の世爻にして、上六「宗廟」はそれと相応す。
建始甲子至己巳,【大雪,小滿。】積算起己巳至戊辰,周而復始。水土入震兌。【分水土二象入兌宮。】 五星從位起歲星,【木星東方入兌宮歸魂。】軫宿從位降丁丑土,【二十八宿,分軫宿入兌歸魂六二丁丑土上,分吉凶起算。】分氣候三十八。【積算起三十八數,六位推五行數吉凶。】
建候は甲子より起り、己巳に推し、(注:大雪より小満に至る。)積算は己巳より起り、戊辰に推して、周して復た始まる。水と土とは震・兌の両象に進入す。(注:水・土の二象を分かちて兌宮に入る。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:木星は東方に属し、兌宮の帰魂卦に進入す。)二十八宿は軫宿に輪り、丁丑土爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より軫宿を分出して、兌宮帰魂卦の丁丑土の上に進入し、拠りて吉凶を分判して起算す。)分配の気候の数は三十八なり。(注:積算は三十八の数を起して、六爻の位に就きて五行の数を推して吉凶を断ず。)
雷居澤上,剛氣亢盛,陰陽不何,進退危也。【震長男,兌少女,少女匹長男,氣非合也。】吉凶在上六,處於動極,適變位定,時不可移之道也。五行考象,非合斯義,陰陽運動,適當何爻。或陰或陽,或柔或剛,升降六位,非取一也。【兌歸魂,配六十四卦之終也。】
雷は沢上に居り、剛気亢盛にして、陰陽相い和せず、進退皆危険有り。(注:震は長男、兌は少女にして、少女は長男に匹配す、気類は本来相合せず。)吉凶は上六に落て、それは正に動の極点に処す。時に応じて変じて位次一たび定まれば、時機は移易すべからず。五行を用いて卦象を考察し、若しこの道理に合せざれば、則ち陰陽の運動の究竟何れの一爻に当たるかを看るを要す――あるいは陰あるいは陽、あるいは柔あるいは剛、六爻升降して、ただ其中の一端を執取する能わず。(注:兌宮帰魂の卦は、正に六十四卦の最末に配す。)
京氏易伝・巻下(漢・京房撰)
夫易者,象也;爻者,效也。聖人所以仰觀俯察,象天地日月星辰,草木萬物。順之則和,逆之則亂。 夫細不可窮,深不可極,故揲蓍布爻,用之於下。筮分六十四卦,配三百六十四爻,序一萬一千五百二十策,定天地萬物之情狀。故吉凶之氣順六爻上下,次之八九六七之數,內外承乘之象。故曰:“兼三才而兩之”。
所謂「易」は、講ずるは象なり。所謂「爻」は、講ずるは効法なり。聖人は正に仰ぎて天文を観、俯して地理を察し、天地・日月・星辰および草木万物に取象するに凭る。それに順えば和諧し、それに逆えば紛乱す。 事物は細微にして窮尽するに由無く、深奥にして探底するに由無し。ゆえに蓍草を分揲し爻画を布列して、人事に施用す。占筮は六十四卦を分出し、三百六十四爻に配し、一万一千五百二十策を排定して、用いて天地万物の情状を判定す。ゆえに吉凶の気は六爻に順いて上下流行し、再び依次八・九・六・七のこの幾個の揲蓍の数に配上して、内外卦の間の承と乗の象を看る。ゆえに曰く「三才を兼ねて之を両にす」と。
孔子曰:“陽三陰四,位之正也”。三者東方之數,東方日之所出,又園者徑一而開三也。四者西方之數,西方日之所入,又方者徑一而取四也。言日月終天之道。故易卦六十四,分上下,象陰陽也。奇偶之數,取之於乾坤。乾坤者,陰陽之根本;坎離者,陰陽之性命。分四營而成易,十有八變而成卦。卦象定吉凶,明得失。
孔子曰く「陽は三・陰は四、位の正なり」と。三は東方の数にして、東方は太陽升起の処なり、況んや円形は直径一にして周長は約三を得るをや。四は西方の数にして、西方は太陽沈落の処なり、況んや方形は直径一にして四辺四を得るをや。これは日月が終天を周行するの道理を講ず。ゆえに易卦は共に六十四にして、上下两篇に分かれて、陰陽に取象す。奇数と偶数とは、乾と坤とより之を取る――乾坤は陰陽の根本にして、坎離は陰陽の性と命なり。四営を分かちて易を成し、十八次の変化を経て一卦を成す。卦象すでに立てば、能く吉凶を判定し得失を辨明す。
降五行,分四象,順則吉,逆則凶。故曰:“吉凶悔吝生乎動”。又曰:“明得失於四序”。【言吉凶生乎動,五行休廢,內犯胎養,合五行。】運機布度,其氣轉易,王者亦當則天而行,與時消息。安而不忘亡,將以順性命之理。極蓍龜之源,重三成六,能事畢矣。
五行を下降して、四象を分出し、順なれば吉、逆なれば凶。ゆえに曰く「吉凶悔吝は動より生ず」と。また曰く「得失を四序に明らかにす」と。(注:これは吉凶は変動より生じ、五行に休有り廃有りて、内裏は又胎・養の一類の運程に牽渉し、皆五行に合して看るを要す。)機枢運転して度数分布し、其の気は随いて転移変易す。王者と為るも亦当に上天に効法して行い、時令に随いて消長すべし。安定の時に危亡を忘れず、これをこそ性命の理に順応し得。蓍と亀の本源を窮究して、三画重ねて六画を成せば、占筮の能事就中完備せり。
分天地乾坤之象,益之以甲乙壬癸,【乾坤二分天地陰陽之本,故分甲乙壬癸,陰陽之始終。】震巽之象配庚辛,【庚陽入震,辛陰入巽。】坎離之象配戊己,【戊陽入坎,己陰入離。】艮兌之象配丙丁。【丙陽入艮,丁陰入兌。】
天地乾坤の象を分出して、再び甲・乙・壬・癸の四干に配上し、(注:乾坤両卦は分かちて天地陰陽の根本を主れば、ゆえに甲・乙・壬・癸を分配す、あれは陰陽の開始と終結なり。)震・巽の象は庚・辛に配し、(注:庚は陽に属し、震に納入す。辛は陰に属し、巽に納入す。)坎・離の象は戊・己に配し、(注:戊は陽に属し、坎に納入す。己は陰に属し、離に納入す。)艮・兌の象は丙・丁に配す。(注:丙は陽に属し、艮に納入す。丁は陰に属し、兌に納入す。)
八卦分陰陽,六位,五行。光明四通,變易立節,天地若不變易,不能通氣。五行迭終,四時更廢,變動不居,周流六虛,上下無常,剛柔相易。不可以為典要,惟變所適。吉凶共列於位,進退明乎機要,易之變化,六爻不可據,以隨時所占。
八卦は陰陽・六爻の位と五行とを分派し、光明は四方に貫通して、変易に随いて節度を確立す。天地若し変易せざれば、能く気を通ずること得ず。五行更迭終始して、四時輪流興廃し、変動して居らず、六虚に周流し、上下常処無く、剛柔互相交換す。それは以て固定不変の準則と為すべからず、ただ変化に随いて適応す。吉凶は各爻位の上に一同に排列し、進退の機は就中関鍵の処に顕明す。易の変化は、六爻死守すべからず、占問の時に随いて判断するを要す。
《周禮、太卜》:“一曰連山,二曰歸藏,三曰周易”。初為陽,二為陰,三為陽,四為陰,五為陽,六為陰。一三五七九陽之數,二四六八十陰之數。【陰主賤,陽主貴。】 陰從午,陽從子,子午分行。子左行,午右行,左右凶吉。吉凶之道,子午分時。
《周礼・太卜》に曰く「一に曰く連山、二に曰く帰蔵、三に曰く周易」と。初爻は陽、二爻は陰、三爻は陽、四爻は陰、五爻は陽、六爻は陰なり。一・三・五・七・九は陽数、二・四・六・八・十は陰数なり。(注:陰は卑賤を主り、陽は尊貴を主る。) 陰は午位より起り、陽は子位より起り、子午は道を分かちて行く――子位は左に行き、午位は右に行き、一左一右にして吉凶を分出す。吉凶の道理は、就中子午分時の上より判定す。
巻下・二十四節気配卦
立春正月節在寅,坎卦初六,立秋同用。雨水正月中在丑,巽卦初六,處暑同用。 驚蟄二月節在子,震卦初九,白露同用。春分二月中在亥,兌卦九四,春秋分同用。 清明三月節在戌,艮卦六四,寒露同用。穀雨三月中在酉,離卦九四,霜降同用。
立春は正月の節気にして、卦気は寅に在り、坎卦初六に配し、立秋も亦この一爻を同用す。雨水は正月の中気にして、卦気は丑に在り、巽卦初六に配し、処暑も亦同用す。 驚蟄は二月の節気にして、卦気は子に在り、震卦初九に配し、白露も亦同用す。春分は二月の中気にして、卦気は亥に在り、兌卦九四に配し、春分と秋分とは同用す。 清明は三月の節気にして、卦気は戌に在り、艮卦六四に配し、寒露も亦同用す。穀雨は三月の中気にして、卦気は酉に在り、離卦九四に配し、霜降も亦同用す。
立夏四月節在申,坎卦六四,立冬同用。小滿四月中在未,巽卦六四,小雪同用。 芒種五月節在午,乾宮九四,大雪同用。夏至五月中在巳,兌宮初九,冬至同用。 小暑六月節在辰,艮宮初六,小寒同用。大暑六月中在卯,離宮初九,大寒同用。
立夏は四月の節気にして、卦気は申に在り、坎卦六四に配し、立冬も亦この一爻を同用す。小満は四月の中気にして、卦気は未に在り、巽卦六四に配し、小雪も亦同用す。 芒種は五月の節気にして、卦気は午に在り、乾宮九四に配し、大雪も亦同用す。夏至は五月の中気にして、卦気は巳に在り、兌宮初九に配し、冬至も亦同用す。 小暑は六月の節気にして、卦気は辰に在り、艮宮初六に配し、小寒も亦同用す。大暑は六月の中気にして、卦気は卯に在り、離宮初九に配し、大寒も亦同用す。
孔子云:“易有四易,一世二世為地易,三世四世為人易,五世六世為天易,游魂歸魂為鬼易”。 八卦鬼為繫爻,財為制爻,天地為義爻,【天地即父母也。】福德為寶爻,【福德即子孫也。】同氣為專爻。【兄弟爻也。】
孔子曰く「易に四种の易有り――一世卦・二世卦を地易と呼び、三世卦・四世卦を人易と呼び、五世卦・六世卦を天易と呼び、遊魂卦と帰魂卦とを鬼易と呼ぶ」と。 八宮諸卦の六親の中に、「鬼」(官鬼)は牽系の爻、「財」(妻財)は制伏の爻、「天地」は義理を主るの爻、(注:天地はすなわち父母爻。)「福徳」は宝貴を主るの爻、(注:福徳はすなわち子孫爻。)「同気」は専一の爻なり。(注:すなわち兄弟爻。)
龍德十一月在子,在坎卦左行;虎刑五月午,在離卦右行。甲乙庚辛天官,申酉地官;丙丁壬癸天官,亥子地官;戊己甲乙天官,寅卯地官;壬癸戊己天官,辰戌地官。靜為悔,發為貞,貞為本,悔為末。
「竜徳」は十一月に於て子に居り、坎卦の上に於て左に行く。「虎刑」は五月に於て午に居り、離卦の上に於て右に行く。甲・乙は庚・辛を以て天官と為し、申・酉を以て地官と為す。丙・丁は壬・癸を以て天官と為し、亥・子を以て地官と為す。戊・己は甲・乙を以て天官と為し、寅・卯を以て地官と為す。壬・癸は戊・己を以て天官と為し、辰・戌を以て地官と為す。静にして動かざるを「悔」と呼び、発動し起るを「貞」と呼ぶ。貞は根本にして、悔は末梢なり。
初爻上,二爻中,三爻下;三月之數,以成一月。初爻三日,二爻三日,三爻三日,名九日;餘有一日,名曰閏餘。初爻十日為上旬,二爻十日為中旬,三爻十日為下旬;三旬三十,積旬成月,積月成年。 八八六十四卦,分六十四卦配三百八十四爻,成萬一千五百二十策,定氣候二十四,考五行於運命,人事天道,日月星辰,局於指掌,吉凶見乎其位。《繫》云:“吉凶悔吝生乎動”。
初爻は上を主り、二爻は中を主り、三爻は下を主る。三個月の数を用いて、一個月の推法を成就す。初爻は三日、二爻は三日、三爻は三日にして、合して九日と称す。此外還た一日余るを、「閏余」と呼ぶ。初爻の十日は上旬、二爻の十日は中旬、三爻の十日は下旬なり。三旬合して三十日を成し、旬を積みて月を成し、月を積みて年を成す。 八八相乗して六十四卦を得、六十四卦は配して三百八十四爻を成し、合して一万一千五百二十策を成し、二十四個の気候を定出し、再び五行を用いて人の運命を考察す。人事と天道・日月と星辰とは、皆指掌の間に収攏して、吉凶は就中各自の爻位の上に顕現す。《繋辞》に曰く「吉凶悔吝は動より生ず」と。
寅中有生火,亥中有生木,巳中有生金,【亦云上生之位。】申中有生水。丑中有死金,戌中有死火,未中有死木,辰中有死水,土兼於中。 建子陽生,建午陰生,二氣相沖,吉凶明矣。積算隨卦起宮,乾坤震巽坎離艮兌,八卦相蕩,二氣陽入陰,陰入陽,二氣交互不停。故曰:“生生之謂易”。天地之內,無不通也。
寅の中に火の長生を含み、亥の中に木の長生を含み、巳の中に金の長生を含み、(注:亦「上生の位」と呼ぶ。)申の中に水の長生を含む。丑の中は金の死地、戌の中は火の死地、未の中は木の死地、辰の中は水の死地にして、土は則ち兼ねて此の四者の中に寄す。 建子の月は陽気始めて生じ、建午の月は陰気始めて生ず。二気彼此相冲して、吉凶就中明白なり。積算は卦に随いて宮を起し、乾・坤・震・巽・坎・離・艮・兌の八卦互相激蕩して、陽は陰に入り、陰は陽に入り、二気交互停まらず。ゆえに曰く「生々これを易と謂う」と。天地の内、通ぜざる無し。
乾起巳,坤起亥,震起午,巽起辰,坎起子,離起丑,艮起寅,兌起【缺】。於六十四卦,遇王則吉,廢則凶,沖則破,刑則敗,死則危,生則榮。考其義理,其可通乎。 分三十為中,六十為上,三十為下,總一百二十,通陰陽之數也。新新不停,生生相續,淡泊不失其所,確然示人。
乾は巳に起り、坤は亥に起り、震は午に起り、巽は辰に起り、坎は子に起り、離は丑に起り、艮は寅に起り、兌は何れの支に起るかは旧本缺文なり。六十四卦の中に於て、旺相に遇上すれば吉、休廃に遇上すれば凶。冲せられれば破られ、刑せられれば敗れ、死地に落れば危うく、生気を得れば栄えん。其中の義理を考究すれば、是れ貫通すべし。 三十を分かちて中と為し、六十を上と為し、三十を下と為して、合計一百二十、正に陰陽の数と相通ず。日に新たにして又新たにして停歇せず、生々相継ぐ。淡泊自守して其の所を失わず、確々然として人に昭示す。
陰陽運行,一寒一暑,五行互用,一吉一凶。以通神明之德,以類萬物之情。故易所以斷天下之理,定之以人倫,而明王道。 八卦建,五氣立,五常法象乾坤,順於陰陽,以正君臣父子之義。故易曰:“元亨利貞”。夫作易所以垂教,教之所被,本被於有無,且易者包備有無。有吉則有凶,有凶則有吉。生吉凶之義,始於五行,終於八卦。從無入有,見災於星辰也。從有入無,見象於陰陽也。陰陽之義,歲月分也,歲月既分,吉凶定矣。故曰:“八卦成列,象在其中矣”。
陰陽運行して、一寒一暑す。五行交互に用を為して、一吉一凶す。此より神明の徳性に貫通して、万物の情状に比擬す。ゆえに《易》は以て天下の理を判断するに用い、拠りて人倫を確定し、従りて王道を彰明す。 八卦すでに立てば、五気も随いて確立す。五常は乾坤の象に効法して、陰陽に順従し、用いて君臣父子の名分を端正す。ゆえに《周易》に曰く「元亨利貞」と。《易》を作るは本是教化を垂示する為にして、而して教化の覆う所は、根本上「有」と「無」の両面を兼及して、《易》は正に有無を皆包羅完備す。吉有れば凶有り、凶有れば吉有り。吉凶の義の産生は、五行に始まりて八卦に終る。無より有に進入すれば、災異は星辰に見え、有より無に回帰すれば、象徴は陰陽に見る。陰陽の意義は、就中歳月の分判の上に在り。歳月すでに分判せば、吉凶も就中定まる。ゆえに曰く「八卦列を成せば、象は其中に在り」と。
六爻上下,天地陰陽運轉,有無之象,配乎人事。八卦仰觀俯察,在乎人;隱顯災祥在乎天。考天時,察人事,在乎卦。八卦之要,始於乾坤,通乎萬物。故曰:“易窮則變,變則通,通則久”。久於其道,其理得矣。 卜筮非襲于吉,唯變所適。窮理盡性於茲矣。
六爻上下推移して、天地陰陽運転し、「有」と「無」の象は、皆人事に配合す。八卦の能く仰観俯察するは、関鍵は人に在り。災祥の隠と顕とは、則ち天に取決す。天時を考察し人事を審察せんと欲せば、卦の上に落つ。八卦の要領は、乾坤に起りて万物に貫通す。ゆえに曰く「易窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通じ、通ずれば則ち久し」と。能く長久に其の道を守れば、其中の道理も就中得着せり。 卜筮は并せ一味に吉利を襲取するに非ずして、変化に随いて順応するなり。事理を窮究し物性を尽極すれば、全てここに在り。
附録・晁公武跋
晁氏公武曰:《漢、藝文志》,《易、京氏》凡三種,八十九篇。《隋、經籍志》,有《京氏章句》十卷,又有《占候》十種,七十三卷。《唐、藝文志》,有《京氏章句》十卷,而《易占候》存者五種,二十三卷。今其章句亡矣,乃略見於僧一行及李鼎祚之書。 今傳者曰:《京氏積算易傳》三卷,《雜占條例法》一卷,或共題《易傳》四卷,而名皆與古不同。
晁公武曰く――《漢書・芸文志》に拠れば、《易・京氏》と題する書は共に三种・八十九篇有り。《隋書・経籍志》は《京氏章句》十巻を著録し、又《占候》十种・七十三巻有り。《唐書・芸文志》は《京氏章句》十巻を著録して、而して《易占候》は留存する有り五种・二十三巻。如今あれらの章句は皆亡佚して、ただ僧一行と李鼎祚の書の裏に於て還た略々一二を見るのみ。 現在流伝するは、《京氏積算易伝》三巻・《雑占条例法》一巻と称し、亦有りて合題して《易伝》四巻と為す、書名は皆古代著録のと不同なり。
今所謂《京氏易傳》者,或題曰《京氏積算易傳》者,疑隋唐志之《錯卦》是也。《雜占條例法》者,疑唐志之《逆刺占災異》是也。《錯卦》在隋七卷,唐八卷。所謂《積算雜逆刺占災異》十二卷是也。至唐《逆刺》三卷,而亡其八卷。元佑八年,高麗進書,有《京氏周易占》十卷。疑隋《周易占》十二卷是也。是故:易家有書,而無傳者多矣。京氏之書,幸而與存者,才十之一,尚何離夫師說邪。
現在謂う所の《京氏易伝》は、亦《京氏積算易伝》と題作する有りて、我れ疑うは就中《隋書》《唐書》の両志の著録する《錯卦》ならん。《雑占条例法》に至りては、我れ疑うは就中《唐志》の記載する《逆刺占災異》ならん。《錯卦》は《隋志》に於て七巻、《唐志》に於て八巻にして、すなわち所謂《積算雑逆刺占災異》十二巻なり。唐代に到りて、《逆刺》は三巻を残すのみ、其中の八巻を亡失せり。元祐八年高麗は図書を進献して、《京氏周易占》十巻有り、我れ疑うは就中《隋志》の記載する《周易占》十二巻ならん。此より見れば――易を治むる人は書の世に伝う有りて而も其の学は承伝する人无しは、実に太多なり。京房の書の能く僥倖今日に留存するは、才かに十分の一に過ぎず、又どこで師説を背離して門戸を別立したを談ぜんや。
景迂甞曰:余自元豐壬戌,偶脫去舉子事業,便有志學易,而輒好王氏。本妄以謂弼之外,當自有名象者,果得京氏傳。而文字顛倒舛訛,不可訓知。迨其服習甚久,漸有所窺。今三十有四年矣,乃能以其象數,辨正文字之舛謬,於邊郡山房寂寞之中,而私識之。曰:是書兆乾坤之二象,以成八卦,凡八變而六十有四。於其往來升降之際,以觀消息盈虛於天地之元,而酬酢乎萬物之表者,炳然在目也。
景迂先生は曾て曰く――我れ元豊壬戌のあの年より起りて、偶然科挙の業を脱擺して、便ち《易》を学ぶに志有り、而して一向に王弼の一路を偏好せり。本来還た妄りに自ら以て王弼の外に、別に名象を講ずるの一家当に有るべしと為せば、後来果たして京房のこの伝を得たり。惜しむらくは文字顛倒錯訛して、読みて明白ならず。反復研習して久しきを待ちて、こそ漸々門径を窺見せり。如今に到りて已に三十四年にして、能く其の象数に凭りて、文字の舛誤を辨正し、辺遠州郡の山房寂寞の中に於て、私かに心得を記録せり。我れ曰く――この書は乾坤二象に由りて発端し、八卦を成就して、共に八変して六十四卦を得たり。それらの往来升降の際に於て、用いて天地本元の中の消息盈虚を観察し、并せて万物の外の种种の応接と相酬答せば、一切清清楚楚として眼前に呈現せり。
大抵辨三易,運五行,正四時,謹二十四氣,志七十二候,而位五星,降二十八宿,其進退以幾。而為一卦之主者,謂之世。奇偶相與,據一以起二,而為主之相者,謂之應。世之所位,而陰陽之肆者,謂之飛。陰陽肇乎所配,【乾與坤,震與坎,巽與離,艮與兌。】而終不脫乎本。【以飛某位之卦,乃伏某宮之位。】以隱顯佐神明者,謂之伏。起乎世而周乎內外,參乎本數以紀月者,謂之建。終之始之,極乎數而不可窮以紀日者,謂之積。會於中,而以四為用,一卦備四卦者,謂之互。
大略に謂うに、この書は三易を辨析し、五行を推運し、四時を端正し、二十四節気を謹守し、七十二候を記録し、進みて五星の方位を配定し、二十八宿を降下して、其中よりそれらの進退の微兆を察看す。而して一卦の主と為るを、「世」と呼ぶ。奇偶彼此配合して、世爻の这一位に拠りてそれと相対する一位を起出して、世爻の輔佐を充当するを、「応」と呼ぶ。世爻の居る所の位にて、陰陽は此に於て顕露張揚するを、「飛」と呼ぶ。陰陽は各自の配対に始まり、(注:乾と坤、震と坎、巽と離、艮と兌。)而して終に本宮を脱開せず、(注:某位の卦を以て飛と為せば、就中某宮の位を伏す。)隠と顕とを用いて神明を輔助するを、「伏」と呼ぶ。世爻より起算して内外を周遍し、本宮の数を参合して用いて月を紀るを、「建」と呼ぶ。終有り始有りて、其の数を窮極して窮尽すべからず、用いて日を紀るを、「積」と呼ぶ。卦の中間に会合して、四爻を以て用と為し、一卦の中に四卦を兼備するを、「互」と呼ぶ。
乾建甲子於下,坤建甲午於上。八卦之上,乃生一世之初。初一世,之五位,乃分而為五世之位。其五世之上,乃為游魂之世;五世之初,乃為歸魂之世。而歸魂之初,乃生後卦之初。其建,剛日則節氣,柔日則中氣。其數虛則二十有八,盈則三十有六。蓋其可言者如此。
乾は下卦に於て甲子を建て、坤は上卦に於て甲午を建つ。八純卦の上に於て、便ち一世卦の初爻を生出す。一世より五世に推して、就中五個の世位に分成す。五世卦の上は、すなわち遊魂卦の世位なり。五世卦の初爻は、則ち帰魂卦の世位なり。而して帰魂卦の初爻は、又後の一宮卦の初爻を生出す。「建」に至りては――剛日に逢えば節気を用い、柔日に逢えば中気を用う。其の数は、虚の時は二十八にして、盈の時は三十六なり。大体上講説すべきは、就中これらなり。
若夫象遺乎意,意遺乎言,則錯綜其用,唯變所適。或兩相配而論內外二象,若世與內,【革水火配位,離火四世水。】若世與外。【用金木交爭,外先金初世木。】或不論內外之象,而論其內外之位。【萃土木入艮兌,初土四水。】或三相參而論內外與飛,【賁土火木分陰陽,艮土離火飛水。】若伏。【旅火土木入離艮,離火艮土休伏木。】或相參而論內外世應建伏。【觀金土火木,互為體建,金水應內,土伏火外木。】
象が意を超出し意が言を超出するの時至ては、則ちこれらの法則を錯綜に運用して、一切は変化に随いて定まる。あるいは两項を相配して、ただ内外二象を論ず――あるいは世爻と内卦を論じ、(注:革卦は水火配位して、離火の外に又四世の水有り。)あるいは世爻と外卦を論ず。(注:金木交争を取りて、外卦は先に金を見て初爻の世位は木に属す。)あるいは内外の象を論ぜず、ただ内外の爻位を論ず。(注:萃卦は土木は艮兌に進入し、初爻は土に属して四爻は水に属す。)あるいは三項を参看して、内外と「飛」を論じ、(注:賁卦は土・火・木は陰陽に分属し、艮土・離火にして飛神は水に属す。)あるいは「伏」を論ず。(注:旅卦は火・土・木は離艮に進入し、離火・艮土にして伏神の木は休位に処す。)あるいは参合して兼ねて内外・世応と建・伏を論ず。(注:観卦は金・土・火・木は互いに体と建と為り、金水は内に応じ、土は伏して火と木とは外に在り。)
或不論內外,而論世建與飛伏。【益金土入震巽,世與飛土,建與伏金。】或兼論世應飛伏。【復水土見候,世應水土,飛伏水土。屯土木應象,世應土木,飛伏土水。】或專論世應。【夬金木合乾兌,入坤象,世金應木。蠱金木入艮巽,世金應木。】或論世之所忌。【履金火入卦,初九火【缺】九四火,克九五世金爻,及乾爻金。】或論世之所生。【巽火木與巽同宮,世木巽木見火。】於其所起,見其所滅。【大壯起於子,滅於亥。】於其所刑,見其所生。【隨金木交刑,水火相激,兌金巽木。】故曰:死於位,生於時;死於時,生於位。苟非彰往而察來,微顯而闡幽者,曷足以與此。
あるいは内外を論ぜず、ただ世位・建候と飛伏を論ず。(注:益卦は金・土は震巽に進入し、世爻と飛神は土に属し、建候と伏神は金に属す。)あるいは兼ねて世応と飛伏を論ず。(注:復卦は水土候を見て、世応は水土に属し、飛伏も亦水土に属す。屯卦は土木相応して象を成し、世応は土木に属し、飛伏は則ち土と水なり。)あるいは専に世と応を論ず。(注:夬卦は金木は乾兌に会合して坤象に入り、世は金に属し応は木に属す。蠱卦は金木は艮巽に進入し、世は金に属し応は木に属す。)あるいは世爻の忌諱する所を論ず。(注:履卦は金・火は卦に入り、初九は火に属す、此処は旧本缺文有り、九四は火に属し、九五のあの金に属する世爻を克し、亦乾卦諸金爻を克す。)あるいは世爻の生ずる所を論ず。(注:巽卦は火と木と同じく巽宮に在り、世爻は木に属し、巽木は又火を見る。)其の何れの処より起るかより、其の何れの処に於て滅するかを看るべし。(注:大壮は子に起りて、亥に滅す。)其の受くる所の刑より、其の得る所の生を看るべし。(注:随卦は金木交相刑克して、水火互相激蕩し、兌は金に属し巽は木に属す。)ゆえに曰く――位に死する者は、時に生ずべし。時に死する者は、位に生ずべし。若し既往を彰明し未来を察知し、幽微の処を顕露して隠晦の処を闡発明白ならしむる者に非ざれば、どこでこの門の学問に参与するに足らんや。
前是小王變四千九十有六卦,後有管輅定乾之軌七百六卦,復有八坤之軌六百七十有二,其知之者,將可以語邵康節三易也。從小王之徒,唯知尚其詞耳,其謂斯何。 昔魯商瞿子木,受易孔子。五傳而至漢田何子壯,何授洛陽丁光,光授碭田王孫,王孫授東海孟喜,孟喜授梁焦贑延壽,延壽授房。房授東海殷嘉,河東姚平,河南乘弘。由是易有京房之學,而傳盛矣。
此に先だつは、小王(王弼)は推衍して四千零九十六卦を出し、其の後管輅は乾の軌七百零六卦を定出し、又有りて八坤の軌六百七十二卦。能くこれらを懂得する者にして、こそそれと邵康節の三易の学を談ずべし。王弼に追随するあの一派に至りては、ただ文辞を推崇することを知るのみ、これ又何を算ずるを得んや。 从前魯国の商瞿子木は、孔子より《易》学を承受せり。五伝して漢代の田何子壮に到り、田何は洛陽の丁光に伝え、丁光は碭県の田王孫に伝え、田王孫は東海の孟喜に伝え、孟喜は梁地の焦贛延寿に伝え、延寿は京房に伝えたり。京房は又東海の殷嘉・河東の姚平・河南の乗弘に伝う。此より《易》に京房の一派の学有りて、流伝大いに盛んなり。
有瞿牧自生者,不肯學京氏,曰:京非孟氏學也。劉向亦疑京托之孟氏,予不知當時為何說也。今以當時之書驗之,蓋有孟氏京房十一篇,以大災異;孟氏京房六十六篇,與夫京氏殷嘉十二篇;同為一家之學,則其源委,孰可誣哉。此亦學者不可不知也。 若小王者,果何所授受邪。蓋自京氏,為王學有餘力,而王學之適京氏,則無繇矣。或傳是書,而文字舛謬,得以予言,而考諸凡學,不可就正者,缺以待來哲。《積算雜占條例法》,具如別錄。
当時瞿牧自生と呼ぶ人の者は、肯んじて京氏の学を学ばずして、曰く――京房は并せ孟喜の一派に非ずと。劉向も亦京房は孟氏に仮託せりと懐疑す。我れ当時究竟どう講じたかを知らず。如今当時の書目を拿して験証するに――《孟氏京房》十一篇有りて、大災異を講じ。又有りて《孟氏京房》六十六篇、及び《京氏殷嘉》十二篇。それらは同じく一家の学に属せば、則ち其中の源流本末を、又誰か誣指して無拠と為さんや。これも亦学を治むる人の知らざるべからざるなり。 王弼に至りては、其の学問は究竟何れの処より伝承して来れるか。大抵京氏の学より入手して再び王学を治むれば、還た綽綽有余裕なり。若し王学より京氏の学に通ぜんとすれば、就中下手するに由無し。日後如し人この書を伝写する有らば、文字の舛誤の処に遇上せば、我がこれらの言を参考して、再び各家の学に於て考核すべし。実に訂正するに法無ければ、就中寧ろ疑を存して缺きて、後来の明哲を等待せよ。《積算雑占条例法》に至りては、皆別に別録に見る。
附録・八宮卦次
乾:姤遁否觀剝晉大有 震:豫解恆升井大過隨 坎:節屯既濟革豐明夷師 艮:賁大畜損睽履中孚漸 坤:復臨泰大壯夬需比 巽:小畜家人益無妄噬嗑頤蠱 離:旅鼎未濟蒙渙訟同人 兌:困萃咸蹇謙小過歸妹
乾宮は依次所属する――姤・遁・否・観・剥・晋(遊魂)・大有(帰魂)。 震宮は依次所属する――豫・解・恒・升・井・大過(遊魂)・随(帰魂)。 坎宮は依次所属する――節・屯・既済・革・豊・明夷(遊魂)・師(帰魂)。 艮宮は依次所属する――賁・大畜・損・睽・履・中孚(遊魂)・漸(帰魂)。 坤宮は依次所属する――復・臨・泰・大壮・夬・需(遊魂)・比(帰魂)。 巽宮は依次所属する――小畜・家人・益・无妄・噬嗑・頤(遊魂)・蠱(帰魂)。 離宮は依次所属する――旅・鼎・未済・蒙・渙・訟(遊魂)・同人(帰魂)。 兌宮は依次所属する――困・萃・咸・蹇・謙・小過(遊魂)・帰妹(帰魂)。
