Libo

乙巳占

唐 · 李淳风

作盤ガイド: 暦注(黄暦), 万年暦

重刻《乙巳占》序(清・陸心源)

綜合類典籍

通読するより工具書として引くほうが実用的である。他の門類で分からない暦法術語に出会ったら、たいていここで出所をたどれる。

《乙巳占》 唐・李淳風撰

目次

重刻《乙巳占》序、《乙巳占》序

巻頭には序文が二篇収められている。一篇は清代光緒年間に陸心源がこの書を重刻した際に書いた《重刻〈乙巳占〉序》で、版本の源流と校刻の理由を述べたもの。もう一篇は唐代に李淳風が本書を撰した時の自序で、全書の立論の宗旨と編纂の体例を説明したものである。

乙巳占 卷第一:天象第一、天數第二、天占第三、日占第四、日月旁氣占第五、日蝕占第六。

《乙巳占》巻第一は全部で六篇。第一篇《天象》は、古来の天体構造を論じた八家の学説を評述し、張衡の《霊憲》を全文収録する。第二篇《天数》は、周天の度数・黄赤二道および渾天儀の制作と測候の法を考定する。第三篇《天占》は、天空そのものが裂けたり鳴り響いたり異物が降るといった変異を占う。第四篇《日占》は、太陽の形色・明暗の変化を占う。第五篇《日月旁気占》は、日月の周囲の冠・戴・珥・抱などの雲気を占う。第六篇《日蝕占》は、専ら日蝕を占う。

乙巳占 卷第二:月占第七、月與五星相干犯占第八、月干犯列宿占第九、月干犯中外官占第十、月暈占第十一、月暈五星及列宿中外官占第十二、月蝕占第十三、月蝕五星及列宿中外官占第十四。

《乙巳占》巻第二は全部で八篇、専ら月を論ずる。《月占》第七は月の行度と形色を総論する。《月与五星相干犯占》第八は月と五大行星の相侵を占う。《月干犯列宿占》第九は月が二十八宿を侵犯するのを占う。《月干犯中外官占》第十は月が紫微垣内外の諸星官を侵犯するのを占う。《月暈占》第十一は月の周りの光環を占う。《月暈五星及列宿中外官占》第十二は月暈が五星と諸宿・諸官を覆うのを占う。《月蝕占》第十三と《月蝕五星及列宿中外官占》第十四は、月蝕および月蝕の時に掩われた星宿を占う。「干犯」とは二つの天体が相侵して迫ること、「中外官」とは紫微垣以内と以外の星官をいう。

乙巳占 卷第三:分野第十五、占例第十六、日辰占第十七、占期第十八、修德第十九、辨惑第二十(闕)、史司第二十一。

《乙巳占》巻第三は全部で七篇。《分野》第十五は二十八宿と地上の州国との対応を説く。「分野」とは天区を列国・郡県に割り当て、これによって災祥がどこに応ずるかを判定するものである。《占例》第十六は占候の通例を立てる。《日辰占》第十七は干支の日辰をもって占いに参じる。《占期》第十八は応験の遅速・期限を推算する。《修徳》第十九は人君が災異に遇ったとき徳を修め過ちを改めるべきことを論ずる。《辨惑》第二十は既に亡佚し、原書に「闕」と注記されている。《史司》第二十一は天文の史官の職守を論ずる。

乙巳占 卷第四:五星占第二十二、星官占第二十三、五星干犯中外官占第二十四、歲星占第二十五、歲星入列宿占第二十六、歲星干犯中外官占第二十七。

《乙巳占》巻第四は全部で六篇。《五星占》第二十二は歳星・熒惑・填星・太白・辰星の五大行星を総論する。《星官占》第二十三は各星官の名位と所掌を分述する。《五星干犯中外官占》第二十四は五星が内外の諸星官を侵犯するのを占う。以下の三篇は専ら木星を論ずる。《歳星占》第二十五はその行度の吉凶を総論し、《歳星入列宿占》第二十六は二十八宿に入るのを占い、《歳星干犯中外官占》第二十七は内外の星官を侵犯するのを占う。「歳星」とは木星で、古人はそれが約十二年で天を一周することから紀年に用いた。

乙巳占 卷第五:熒惑占第二十八、熒惑入列宿占第二十九、熒惑干犯中外官占第三十、填星占第三十一、填星入列宿占第三十二、填星干犯中外官占第三十三。

《乙巳占》巻第五は全部で六篇、火星と土星を分論する。「熒惑」とは火星で、色は赤く行度の進退が一定しないため、古人は兵喪を掌る凶星と見なした。《熒惑占》第二十八は総論、《熒惑入列宿占》第二十九は二十八宿に入るのを占い、《熒惑干犯中外官占》第三十は内外の星官を侵犯するのを占う。「填星」とは土星で、鎮星とも書き、約二十八年で天を一周し、毎年一宿を填め鎮める。《填星占》第三十一は総論、《填星入列宿占》第三十二、《填星干犯中外官占》第三十三はそれぞれ入宿と犯官を分占する。

乙巳占 卷第六:太白占第三十四、太白入列宿占第三十五、太白入中外官占第三十六、辰星占第三十七、辰星入列宿占第三十八、辰星入中外官占第三十九。

《乙巳占》巻第六は全部で六篇、金星と水星を分論する。「太白」とは金星で、明け方東に見えるものを啓明、夕方西に見えるものを長庚と呼び、古人は兵戈を掌るとした。《太白占》第三十四は総論、《太白入列宿占》第三十五、《太白入中外官占》第三十六はそれぞれ二十八宿と内外の星官に入るのを分占する。「辰星」とは水星で、常に太陽の左右近くに出没するためこの名がある。《辰星占》第三十七は総論、《辰星入列宿占》第三十八、《辰星入中外官占》第三十九はそれぞれ入宿と入官を分占する。

乙巳占 卷第七:流星占第四十、流星犯日月占第四十一、流星與五星相犯占第四十二、流星入列宿占第四十三、流星犯中外官占第四十四、客星干犯列宿占第四十五、客星犯中外官占第四十六。

《乙巳占》巻第七は全部で七篇、専ら流星と客星を論ずる。《流星占》第四十は流星の大小・色沢と墜落の所を総論する。以下順に、流星が日月を侵犯する(第四十一)、五星と相犯する(第四十二)、二十八宿に入る(第四十三)、内外の星官を侵犯する(第四十四)のを占う。「客星」とは忽然と出現し、しばらくしてまた隠没する星で、今日いう新星の類に相当する。《客星干犯列宿占》第四十五、《客星犯中外官占》第四十六はそれぞれ諸宿・諸官を侵犯するのを分占する。

乙巳占 卷第八:彗孛占第四十七、彗孛入列宿占第四十八、彗孛入中外官占第四十九、雜星祆星占第五十、氣候占第五十一、雲占第五十二。

《乙巳占》巻第八は全部で六篇。「彗」とは長い尾を曳く箒星、「孛」とは芒気が四方に放たれ定まった尾のない異星で、古人はいずれも旧を除き新を布く象と見なした。《彗孛占》第四十七は総論、第四十八・第四十九はそれぞれ二十八宿と内外の星官に入るのを分占する。《雑星祆星占》第五十は常度に合わない各種の妖異の星を占い、《気候占》第五十一は四時の気候の失常を占い、《雲占》第五十二は雲の形色が主る人事を占う。

乙巳占 卷第九:帝王氣象占第五十三、將軍氣象占第五十四、軍勝氣象占第五十五、軍敗氣象占第五十六、城勝氣象占第五十七、屠城氣象占第五十八、伏兵氣象占第五十九、暴兵氣象占第六十、戰陣氣象占第六十一、圖謀氣象占第六十二、吉凶氣象占第六十三、九土異氣象占第六十四、雲氣入列宿占第六十五、雲氣入中外官占第六十六、雲氣入外官占第六十七。

《乙巳占》巻第九は全部で十五篇、すべて「望気」、すなわち雲気の形色・高下を観察して人事を判断することを講ずる。まず帝王の気(第五十三)と将軍の気(第五十四)を占う。次に軍事を専占する。軍隊が勝利する(第五十五)、軍隊が敗亡する(第五十六)、城を守って勝つ(第五十七)、城が破れて屠戮される(第五十八)、伏兵が埋められている(第五十九)、兵が倉卒に起こる(第六十)、陣に臨んで対塁する(第六十一)、暗に図謀する(第六十二)。さらに泛常の吉凶の気(第六十三)と九州各地の土性から生じる異気(第六十四)を占い、最後の三篇で雲気が二十八宿・内外星官・外官に入るのを占う(第六十五から第六十七)。

乙巳占 卷第十:候風法第六十八、占風遠近法第六十九、推風聲五音法第七十、五音所主占第七十一、五音風占第七十二、論五音六屬第七十三、五音受正朔日占第七十四、五音相動風占第七十五、五音鳴條已上卒起宮宅中占第七十六、推歲月日時干德刑殺法第七十七、論六情法第七十八、陰陽六情五音立成第七十九、五音刑德日辰所屬立成第八十、六情風鳥所起加時占第八十一、八方暴風占第八十二、行道宮宅中占第八十三。

《乙巳占》巻第十は篇幅が最も大きく、専ら占風を講じ、前半は全部で十六篇。《候風法》第六十八は竿を立て羽を係けて風向を測る方法を説く。《占風遠近法》第六十九は風力から風の来た所の遠近を推測する。第七十から第七十六の諸篇は、宮・商・角・徵・羽の「五音」をもって風声に配当し、それが主る人事・所属する六情・正朔を受ける日における応験、および樹梢より上を吹き動かす風や忽ち屋宅の中に起こる風を推し断る。《推歳月日時干徳刑殺法》第七十七と《論六情法》第七十八は、干支に配合して徳・刑・殺と六種の情性を定める。第七十九・第八十の二篇は排定済みの推算表である。《六情風鳥所起加時占》第八十一は、風と飛鳥の起こる方位・時辰を兼ねて見る。《八方暴風占》第八十二は八方から驟起する大風を占い、《行道宮宅中占》第八十三は行路と居宅の中で遇う風を占う。

十二辰風占第八十四、諸解兵風占第八十五、諸陷城風第八十六、占入兵營風第八十七、五音客主法第八十八、四方夷狄侵郡國風占第八十九、占官遷免罪法第九十、候詔書第九十一、候赦贖書第九十二、候大兵將起第九十三、候大兵且解散第九十四、候火災第九十五、候諸公貴客第九十六、候大兵攻城並勝負候賊占第九十七、候喪疾第九十八、候四夷入中國第九十九、雜占王侯公卿二千石出入第一百。

巻第十の後半は全部で十七篇。《十二辰風占》第八十四は十二地支の方位によって風を占う。第八十五から第八十七は、兵事を解散させ得る風・城池を陥落させ得る風・軍営に吹き入る風を分占する。《五音客主法》第八十八は五音をもって客軍と主軍の勝敗を分別する。《四方夷狄侵郡国風占》第八十九は四方の外族が郡国に侵入侵入するのを占う。これ以後の各篇はいずれも風をもって事を候する。官員の昇遷と免罪を候し(第九十)、詔書を候し(第九十一)、赦令・贖令を候し(第九十二)、大軍が将に興らんとする(第九十三)および将に解散せんとするのを候し(第九十四)、火災を候し(第九十五)、公卿・貴客の来臨を候し(第九十六)、大軍の攻城の勝敗と盗賊の動静を候し(第九十七)、喪事・疾病を候し(第九十八)、四夷が中国に入るのを候する(第九十九)。末篇《雑占王侯公卿二千石出入》第百は、権貴の出入り・行止を雑占する。「二千石」はもと漢代の郡守の俸禄等級で、ここでは高級の地方長官を泛指する。

重刻《乙巳占》序(清・陸心源)

《乙巳占》十卷,唐李淳風撰。《新唐書藝文志》著於錄,作十二卷。陳直齋《書錄解題》、馬貴興《文獻通考》、王伯厚《玉海》皆作十卷,與今本合。每卷約萬餘言,惟第十卷幾及三萬言。或後人合三卷為一卷,故與唐志不符,未可知也。乾隆中採訪遺書,未經儲藏家進呈,阮文達亦未之見,朱竹垞所見只殘本七卷,惟《敏求記》有全書,其書之罕見可知矣。

《乙巳占》は全部で十巻、唐代の李淳風が撰した。《新唐書・芸文志》はかつてこの書を著録し、十二巻と記した。しかし宋代の陳振孫(号は直斎)の《直斎書録解題》、馬端臨(字は貴与)の《文献通考》、王応麟(字は伯厚)の《玉海》はいずれも十巻と記し、今日見られる本と合致する。全書は各巻およそ一万余字で、第十巻のみ三万に近い。あるいは後人がそのうちの三巻を併せて一巻としたため、巻数が《唐志》と合わないのかもしれないが、今となっては確かめようがない。乾隆年間に朝廷が散佚の書を四方に訪求したとき、この書を進呈する蔵書家はなかった。阮元(諡は文達)も見たことがなく、朱彝尊(号は竹垞)が見たのは七巻の残本にすぎず、ただ銭曽の《読書敏求記》だけが全書を著録している。この書の流伝がいかに稀かは、これをもって知ることができる。

餘所藏,為門人抄本,得之金匱蔡氏。卷三、卷六後有題名三行:一曰太史局直長、主管刻漏、臣成衍書;一曰太史局中官正、太史局提點曆書、賜緋魚袋、臣李維宗校;寧海軍承宣使、提舉佑神觀、博陵郡開國公、食邑二千二百戶、食實封二百戶、提舉臣邵諤。

私の蔵するこの一部は、門生の写本で、金匱の蔡氏の家から得たものである。巻三・巻六の末尾に三行の銜名が題されている。一行は「太史局直長・主管刻漏・臣成衍書」、一行は「太史局中官正・太史局提点暦書・賜緋魚袋・臣李維宗校」、もう一行は「寧海軍承宣使・提挙佑神観・博陵郡開国公・食邑二千二百戸・食実封二百戸・提挙臣邵諤」である。「太史局」とは天文・暦法を掌る官署、「直長」「中官正」「提点暦書」はいずれも局中の職名、「刻漏」は計時用の漏壺、「賜緋魚袋」は朝廷が賜う服色と符信である。この三行はまさに当時この書を校勘した官員の署銜である。

考《玉海》,建炎三年三月二日詔,《紀元歷經》送太史局中,載《乙巳占》計十冊。今本十卷,又有太史局諸人題名,或即從建炎本傳抄歟?上元乙巳之歲,十一月甲子朔,冬至夜半,日月如合璧,五星如連珠,故以為名。

《玉海》を查考すると、南宋建炎三年三月初二に詔書があり、《紀元暦経》を太史局に送付し、その中に《乙巳占》が合計十冊と載っている。今日のこの本はちょうど十巻で、また太史局の諸人の題名もあるから、あるいは建炎年間の本から伝写されたものであろうか。書名の由来については、暦法推算の起算点である「上元」の年がちょうど乙巳に当たり、十一月初一がちょうど甲子日で、冬至がこの日の夜半にあり、日月が並行して二枚の玉璧の合するがごとく、五大行星が連なる真珠の串のごとく排列したので、「乙巳」の二字を取って書名としたのである。

其書雜採黃帝、巫咸、甘氏、石氏、郄萌、韓楊、祖暅、孫僧化、劉表、《天鏡》、《白虎》、《海中》、《列宿》、《五官》諸占及劉向《洪範》、張衡《靈憲》、《五經圖緯》,參以經傳,排比成書。始於天象,終於風氣,凡分一百篇。今缺《辨惑》一篇,餘皆完具。唐人遺籍傳世日稀,亟為讎校,付之手民。其有訛脫,概從缺疑。

この書は黄帝・巫咸に仮託した占書、および甘徳・石申・郤萌・韓楊・祖暅之・孫僧化・劉表諸家の占法を広く採録し、また《天鏡占》《白虎通占》《海中占》《列宿占》《五官占》などの書、さらに劉向の《洪範五行伝》・張衡の《霊憲》と《五経図緯》を参用し、儒家の経伝をもって相印証して、排比し編成してこの書とした。全書は天象から説き起こし、風気をもって結びとし、全部で百篇に分かれる。今は《辨惑》一篇を欠くのみで、残りは皆完整している。唐人の残した典籍の伝世は日に日に稀少となるので、急いで校勘を加え、刻工に交付して付印した。その中に錯訛・脱漏があれば、一概に疑を存して闕如とし、あえて妄りに補改しない。

夫災異占候之說原不足憑。然《易》言:“天垂象,見凶吉”,《周禮保章氏》以日月、星辰、五雲、十二風辨吉凶、祲祥、豐荒,其所由來者久矣。淳風雖以方技名,《修德》篇屢引經傳,以改過遷善為戒,《司天》篇深箸隋氏之失,諄諄於納諫遠佞,不失為儒者之言,非後世術士所能及也。

災異占候の類の説は、もともと憑信するに足りない。しかし《周易・繋辞》に「天は象を垂れ、吉凶を見る」とあり、《周礼》の保章氏という職は、まさに日月・星辰・五種の雲色・十二方位の風をもって吉凶・「祲祥」と豊歉を分辨する——「祲」は妖気、「祥」は吉兆である。この一路の学問の由来が久しいことが見て取れる。李淳風は方術・技芸で名を知られたが、《修徳》篇では屡々経伝を援引し、過ちを改め善に遷ることを誡めとし、《司天》篇(すなわち書中の《史司》篇)では隋朝の失政を痛切に指陳し、人君が諫言を納め奸佞を疏遠すべきことを反復して叮嚀した。これらは皆儒者の言に失せず、決して後世の術士の及ぶところではない。

《玉海》引書目序云:五十卷,今合為十卷。今序云:合為十卷。與《玉海》不符,蓋合併後人所妄改耳。光緒三年,歲在強圉赤奮若,仲秋之月,歸安陸心源敘。

《玉海》の引く書目に載る原序は、「もと五十巻があり、今は併せて十巻とす」と言うが、今本の自序はただ十巻に合せたとしか言わない。両処が符合しないのは、おそらく後人が巻数を併合する際に妄りに改動したのであろう。光緒三年、歳次は丁丑——「強圉」は天干の丁の歳陽の名、「赤奮若」は地支の丑の歳陰の名——八月、帰安人の陸心源が序を作る。

《乙巳占》序(李淳風撰)

夫神功造化,大易無以測其源;玄運自然,陰陽不可推其末。故乾元資始,通變之理不窮;坤元資生,利用之途無盡。無源無末,眾妙之門大矣;無窮無盡,聖人之道備矣。

造化の功は神妙にして測り難く、たとえ広大なる《周易》をもってしても、その本源を探測することはできない。天地の玄妙なる運行は自然に出るもので、たとえ陰陽の説をもってしても、その終末を推究することはできない。ゆえに《乾》卦の元徳は万物に創始の憑拠を供し、よって変通の理に窮尽がない。《坤》卦の元徳は万物に生長の憑拠を供し、よって利用の途に辺際がない。求むべき源頭がなく、及ぶべき終末もない、これが老子のいう「衆妙の門」の広大である。窮尽なくまた無尽である以上、聖人の道もまたその中に備わる。

昔者伏羲氏之王天下也,仰則觀象於天,俯則觀法於地,觀鳥獸之文,與天地之宜,近取諸身,遠取諸物,於是始畫八卦,以通神明之德,以類萬物之情。故可以探賾索引,鉤深致遠,幽潛之狀不藏,鬼神之情可見。允符至理,盡性窮源。斷天下之疑,通天下之志,定天下之業,冒天下之道。可大可久,通遠逾深,明本其宗,致在於茲矣。

昔、伏羲氏が天下を統治したとき、仰いで天の星象を観、俯して地の法則を観、鳥獣の紋理と天地各所の宜しきを考察し、近くは身に取り、遠くは万物に取り、ここに初めて八卦を画き、もって神明の徳性を会通し、万物の情状を比類した。ゆえに幽隠を探索し、深奥を鉤取して遠くに通達でき、隠伏して見え難い形状も匿れることがなく、鬼神の情実も窺見できた。これは誠に至高の理に符合し、物性を窮め本源を追究し、天下の疑惑を断絶し、天下の心志を会通し、天下の事業を成就し、天下の道術を涵蓋することができる。広大にもなり、長久にもなり、通ずる所が遠いほどいよいよ深邃を顕す。根本を明らかにし、帰宗して極を立てる鍵はまさにここにある。

故曰:天垂象、見凶吉,聖人則之,天生變化,聖人效之。法象莫大乎天地,通變莫大於四時,懸象著明莫大乎日月。是知天地符觀,日月耀明,聖人備法,致用遠矣。

ゆえに《周易・繋辞》にいう。天は星象を垂れ示して吉凶を顕し、聖人はこれに則る。天は変化を生じ、聖人はこれに傚う。取法すべき物象は天地より大きいものはなく、変化に通達するは四時より大きいものはなく、高く懸かって顕著明るいは日月より大きいものはない。これをもって知る、天地の垂示する徴兆は観るべく、日月は照らして分明に弁じ得、聖人はこれによって法度を制定し、その応用は極めて深遠である。

昔在唐堯,則曆象日月,敬授人時,愛及虞舜,在璿璣玉衡,以齊七政。暨乎三王五霸,克念在茲,先後從順,則鼎祚永隆;悖逆庸違,乃社稷顛覆;是非利害,豈不然矣!斯道實天地之宏綱,帝王之壯事也。

昔、唐尭が位に在り、人に日月の運行を推算させて暦法を制定し、鄭重に農時を百姓に頒授した。虞舜に至ってはまた「璿璣玉衡に在り、以て七政を斉す」といい、玉製の観天儀器をもって日月と五星の運行を校正した。夏・商・周の三王と春秋の五覇に及んでも、皆その心をこの上に用いた。およそ天時の先後に順応して行えば国祚は長く興隆し、天道に悖逆して軽慢に違背すれば社稷は傾覆し滅亡した。その是非利害は、まさにこのごとくではないか。この学問は実に天地の宏大なる綱紀、帝王の重大なる事業である。

至於天道神教,福善禍淫,譴告多方,鑑戒非一。故列三光以垂照,布六氣以效祥,候鳥獸以通靈,因謠歌而表異。同聲相應,鳴鶴聞於九皋;同氣相求,飛龍吟乎千里。兼復日虧麟斗,月減珠消,暈逐灰移,慧因魚出。門之所召,隨類畢臻;應之所授,待感斯發;無情尚爾,況在人乎?

それに上天が神道をもって教を設け、善を行う者に福を降し、淫佚の者に禍を降す、その譴責・警告の方式は多く、鑑戒とすべき事例も一種にとどまらない。ゆえに日・月・星の「三光」を陳列して垂示照察とし、陰・陽・風・雨・晦・明の「六気」を布散して徴兆を呈現し、鳥獣の挙動を観察して神霊に通達し、民間の歌謡を憑藉して異常を標明する。同類の声は互いに応和するから、鶴が深沢で鳴けばその声は遠く外に聞こえ、同類の気は互いに招引するから、飛竜が一吟すれば千里の外にも回响がある。このほか日蝕の時に麒麟が相闘い、月の缺ける時に蚌珠が随って虧損し、日月の暈気が律管の中の葭灰に随って移動し、鯨魚が死して彗星が応じて出現するといった感応もある。およそ招引する所あれば、同類の物は必ず紛々として至り、応答する所あれば、一たび感通すれば発動する。無情の物でさえこのようである。まして人においてをや。

余幼纂斯文,頗經研習,古書遺記,近數十家,而遭大業昏凶,多致殘缺,泛觀歸旨,請略言焉。夫神妙無方,義該萬品,陰陽不測,事同百慮。

私は幼い頃からこの類の文字を編集し、かなり研習の工夫を積んだ。見聞した古書・旧記はほぼ数十家に及んだが、惜しいことに隋煬帝大業年間の昏乱・凶危に遭い、多くは残欠不全となった。ここに私が各家を泛覧して得た要旨を、簡略に以下に陳述する。天道は神妙にして定方なく、義理は万類を包羅する。陰陽の変化は測度し難く、万事は殊途にして終に一致に帰する。

故景星夜煥,慶雲朝集,二明合於北陸,五緯聚於東井,此乃表帝皇之盛德,順天下之嘉瑞也。孛氣見於夏終,慧星著於秦末,或狗象而東墜,或蛇行而西流,此則呈執政之酷暴,逆生民之禍應也。

ゆえに瑞星が夜間に光彩を奐発し、慶雲が清晨に聚集し、日月がともに北方の星次に会合し、五大行星が東井宿に聚集する——これらは皆帝王の盛徳を標示し、天下の人心に順応する美しき祥瑞である。一方、孛気が夏代の末に出現し、彗星が秦代の末に顕著となり、あるものは狗のような形で東に墜落し、あるものは蛇行のごとく西に流れ去る——これらは執政者の残虐・生民の心への違逆が招いた禍の徴を呈する。「孛気」とは光芒が四方に放たれ定まった尾のない異星の気、「二明」とは日月、「五緯」とは五大行星、「東井」とは井宿である。

殷帝翦髮,沃澤潤乎千里;宋公請殃,熒惑退移三舍;此則修善之慶,至德可以穰災也。劉裕作逆,以長星為紀瑞;毋丘起亂,以蚩尤為我祥;此則覆宋之咎,逆招天殃者也。

商湯が大旱に遭い、自らの髪を剪断して上天に祈禱すると、甘霖が千里を潤沢した。宋景公は災殃を臣民・百姓に転嫁することを肯んぜず、むしろ自らに帰せんことを願い、熒惑星はこのため三舎を退行した——これらは皆善を修めて得た吉慶で、至高の徳が災禍を禳除し得ることを示す。劉裕は簒逆を図謀しながら、長星を自家の祥瑞と見なした。毌丘倹は起兵して乱を作しながら、蚩尤旗を己に利する吉兆と見なした——これらはまさに宋室を傾覆せしめた罪咎であり、天道に悖逆して自ら天殃を招いたものである。「舎」は星次の単位、「蚩尤旗」は旗のような形の妖星で、古人は兵事を掌るとした。

唐堯欽明,鎮還水府;殷湯聖政,焦金流石;此猶日在北陸而沍寒,日行南陸而炎暑;月麗箕而多風,從畢而多雨;此運數之大期,非關治亂者也。

唐尭は恭敬明察であったが、なお洪水滔天の大災に遭い、久しくしてようやく水府に帰した。商湯は政治が聖明であったが、なお金を熔かし石を爍くに足る大旱に遭った。これはちょうど太陽が北方の星次に行くと厳寒凝凍し、南方の星次に行くと炎熱酷暑となり、月が箕宿に附麗すれば風多く、畢宿に近づけば雨多いのと同じである。この類の現象は気運・数術の大周期に属し、人事の治乱とは関係がない。

荊軻謀秦,白虹貫日;衛生設策,長庚食昴;魯陽麾指,而曜靈回駕;苟公道高,而德星愛聚;此則精誠所感,而上靈懸著也。黃星出漢,表當塗揖讓之符;紫氣見秦,呈典午南遷之應也。

荊軻が秦王を刺殺せんと図謀したとき、天上に白虹が太陽を貫穿した。衛先生が秦昭王のために謀をめぐらしたとき、太白星が昴宿を侵犯した。魯陽公が戈を揮って一指すると、落日がそれがために退回した。荀淑の徳行が高遠であると、徳星が彼のために聚会した——これらは皆人の精誠が上天を感動させ、天象が随って高く懸かって昭示したものである。黄色の星気が漢朝に出現したのは、「当塗高者」たる曹魏が禅譲を受ける符験であった。紫気が秦地に出現したのは、「典午」たる司馬氏の南渡の応験であった。「当塗」「典午」はいずれも当時の隠語で、前者は曹魏を指し、後者は字を拆して「司馬」を合成する。「長庚」とは太白金星である。

祅象著而殃鍾齊晉,蛇乘龍而禍連周楚;熒惑守心,始皇以終;流光墜地,公孫遂隙;此則先形以設兆也。使流入蜀,李邰辯其象;客氣逼座,嚴陵當其占;芒碭之異氣常存,舂陵之火光不絕;或稷星侵楚,氣兆晉軍,此則當時旌象也。

妖異の象が顕現すれば、災殃は斉・晋の両国に集中した。蛇が竜位に乗る星変が出現すれば、禍患は相次いで周・楚に及んだ。熒惑星が心宿に留まって去らざれば、秦始皇はこれがため終命した。流星の光芒が地に墜落すれば、公孫述は即座に人と嫌隙を生じた——これらは皆災禍がまだ発せざるに天象が先に示した預兆である。漢朝の使者が密かに蜀に入ったとき、李邰(すなわち東漢の李郃)は星象の上からそれを弁識した。客星が帝座に迫ったのは、まさに厳子陵に応じた。芒碭山上には常に異気が存留し、舂陵一帯には火光が絶えなかった。また稷星が楚地の分野を侵犯し、雲気が晋軍の動向を予示した——これらは当時まさに生起しつつある事の天上の標識である。

周衰夜明,常星不見;漢失其德,日暈晝昏;女主攝政,遂使紀綱分析;權臣擅威,乃令至柔震動;景藏飛燕,地裂鳴雉,此則後事而星驗也。是乃或前事以告祥,或後攻而示罰,莫不若影隨形,如聲召音。凶謫時至,譴過無差,休應若臻,福善非謬,居遠察邇,天高聽卑,聖人之言,信其然矣。

周室が衰微したとき、夜が白昼のごとく明るく、恒星は反って見えなくなった。漢朝が徳政を失したとき、白昼は日暈がために昏暗となった。女主が臨朝して政を摂れば、朝廷の綱紀は分崩離析した。権臣が威権を擅弄すれば、至順柔なる大地すら震動した。日影の中に飛燕の形が蔵れ、土地が裂けて野雉が鳴いた——これらは人事が先にあり、星象が後に随って応験した例である。これを見れば、天象はあるいは事の発する前に吉祥を預告し、あるいは事の発した後に懲罰を顕示し、影が形に随い、声が回响を招くごときを免れない。凶险の謫罰は時に応じて至り、過失への譴告は分毫も差わない。美好なる応験が一旦至れば、善人に福を賜うにも誤りがない。高遠に身を処して近处を察知し得、天は高しと雖も卑下を聴聞し得る——聖人のこれらの言は、誠に信ずべきである。

是故聖人寶之,君子勤之,將有興也,諮焉而已,從事受命,而莫之違。然垂景之象,所由非一,占人管見,異短別規。

ゆえに聖人はこの学問を珍視し、君子はこれに勤勉する。将に大事を興辦せんとするとき、ただ天象に諮詢するのみである。一旦これに拠って行事し天命を承ければ、あえて違背しない。しかし上天の垂示する天象は来由が一端にとどまらず、占家は各々一孔の見を持ち、長短異なり、規矩は各別である。

至如開基闡業,以濟民俗,因河洛而表法,擇賢達以授官,則軒轅、唐虞、重黎、羲和,其上也;疇人習業,世傳常數,不失其所守,妙賾可稱,巫咸、石氏、甘公、唐昧、梓慎、裨灶,其隆也;博物達理,通於彝訓,綜核根源,明其大體,箕子、子產,其高也;

基業を開創し治道を闡揚し、もって民生・風俗を救助し、河図・洛書を憑藉して法度を表明し、賢達の士を選択して官職を授けたものは、軒轅黄帝・唐尭虞舜および重黎・羲和のごとき天地を掌る官がその最上等である。世代が天文暦算を承襲する「疇人」の子弟は本業を専習し、代代恒常の度数を相伝えてその守る所を失わず、精微な処は称道に足りる。巫咸・石申・甘徳・唐昧・梓慎・裨竈は、その中の興盛した一流である。事物に博通し義理に通達し、常法・典訓に熟悉し、根源を綜核して大体を明らかにした箕子・子産は、その中の高明な一流である。

抽秘思,述軌模,探幽冥,改弦調,張平子、王興元,其枝也;沉思通幽,曲窮情狀,緣枝反干,尋源達流,譙周、管輅、吳範、崔浩,其最也;托神設教,因變敦獎,亡身達節,盡理輔諫,谷永、劉向、京房、郎顗之,其盛也;

精深なる構思を抽繹し、法式・規模を著述し、幽冥の理を探究し、旧法を改易して新調を別立した張衡(字は平子)・王興元は、その中の支派である。沈潜して思索し幽微に通達し、委曲に事情の情状を窮究し、枝葉から主干を反求し、源頭から支流を通達した譙周・管輅・呉範・崔浩は、その中で最も杰出している。神道に借助して教化を設立し、災変を憑藉して人君を勧勉し、身を舎てて節操を成し、情を尽くし理を尽くして輔佐・進諫した谷永・劉向・京房・郎顗は、その中で最も盛大な一流である。

短書小記,偏執一途,多說遊言,獲其半體,王朔、東方朔、焦貢、唐都、陳卓、劉表、郄萌,其次也;委巷常情,人間小惠,意唯財穀,志在米鹽,韓楊、錢樂,其末也,參同異、會殊途,觸類而長,拾遺補缺,蔡邕、祖暅、孫僧化、庾季才,其博也;

ただ短小の記述を書くのみで、一条の路数に偏執し、浮泛無根の言を多说し、この道の半分を得るにとどまった王朔・東方朔・焦延夀(字は貢)・唐都・陳卓・劉表・郤萌は、次の一等に属する。街巷の尋常な見識に囿り、人間の小恩小恵をなすのみで、心思はただ銭財・穀物にあり、志向は米塩の瑣事を出ない韓楊・銭楽は、最も末の一等に属する。諸家の異同を参校し、異なる路数を会通し、類に触れて旁通して推広し、遺を拾い闕を補した蔡邕・祖暅之・孫僧化・庾季才は、博洽の一流に属する。

竊人之才,掩蔽勝己,諂諛先意,讒害忠良,袁充,其酷也;妙賾幽微,反招嫌忌,忠告善道,致被傷殘,郭璞,其命也。

他人の才学を窃取し、己に勝る者を圧制・掩没し、逢迎諂媚して搶先に上意に迎合し、讒言を進めて忠良を陥害した袁充は、その中で最も刻毒である。幽深微妙の理に精通しながら、反って猜嫌・忌恨を招き、忠誠に勧告し善意に引導したのに、そのために殺害され身を残した郭璞は、その中で最も命運の不幸な者である。

自古及今,異人代有,精窮數象,咸司厥職,或取騷一時,或傳書千載,或竭誠奉國,或嘉遯相時,隱顯之跡既殊,詳略之差未等。

古から今に至るまで、奇異の人は毎代皆ある。彼らは数術・星象を精研窮究し、各々その職守を執った。あるいは一時に名を動かし、あるいは書を著して千载に流伝し、あるいは忠誠を竭くして国家に効力し、あるいは時勢を看清して美善に隠退した。彼らの隠顕の行跡は既に異なるから、伝えた学説の詳略もまた参差している。

餘不揆末學,集某所記,以類相聚,編而次之。採摭英華,刪除繁偽,小大之間,折衷而已。始自天象,終於風氣。凡為十卷,賜名《乙巳》。每於篇首,各陳體例,書云盡意,豈及多陳?文外幽情,寄於輪鄧,後之同好,幸悉餘心。

私は浅陋の学を自量せず、各家の記す所を汇集し、門類に拠って帰聚させ、編排して序となした。その中の精華を採摘し、繁冗と虚妄を删去し、詳略・大小の間に折中を取ったのみである。全書は天象から始め、風気をもって結びとし、全部で十巻を成し、《乙巳》と名づけ定めた。毎篇の冒頭には、各々その篇の体例を交代してある。文字は終に心意を写し尽くせない。どうして多くの铺陈を語ろうか。言外の幽微なる情意に至っては、輪扁が輪を斫るがごとく会意するのみで言伝し難く、文字の外に寄托した。後世の同好の士が、私のこの一片の心を体察してくれることを願う。

乙巳占 巻第一

天象第一

論天體象者,凡有八家:一曰渾天,即今所載張衡《靈憲》是也;二曰宣夜,絕無師學;三曰蓋天,《周髀》所載;四曰軒天,姚信所說;

天体の形象を論説するものは、全部で八家の学説がある。第一家を「渾天」といい、ここに載録した張衡《霊憲》の主張する所で、天は地の外に包み、卵殻が卵黄を裹むがごとしとする。第二家を「宣夜」といい、天に実体なく、日月・衆星は虚空の中に自然に浮生すると主張するが、惜しいことに既に師承・伝授がない。第三家を「蓋天」といい、《周髀算経》に載る所で、天を大地を覆う斗笠に喩える。第四家を「軒天」といい、三国呉人の姚信の説である。

五曰穹天,虞聳所擬;六曰安天,虞喜所述;七曰方天,王充所論;八曰四天,祅胡寓言。凡此八家,渾天最親,今獨取之,以載於此。

第五家を「穹天」といい、虞聳の擬立したもの。第六家を「安天」といい、虞喜の論述したもの。第七家を「方天」といい、王充の主張したもの。第八家を「四天」といい、西来の胡人の寓言之説に出る。この八家のうち、渾天説が実際の天象に最も切近い。ゆえにここではただ渾天一家を取り、以下に載録する。

淳風謹按:張衡天文之妙,冠絕一代。所著《靈憲》、《渾儀》略具宸曜之本,今寫載以備其理矣。

李淳風謹んで按ずる。張衡の天文における精妙は一代に冠絶する。彼の著した《霊憲》と《渾儀》は、大体において日月星辰の根本を推究する理を具備している。今これをここに抄録し、その理を完備ならしめる。「宸曜」とは高天の上の日月・衆星を指す。

《靈憲》曰:昔在天王,將步天路,用定靈軌,尋緒本元,先準於渾體,是焉正儀立度,而皇極有攸建也,樞運有攸稽也。乃建乃稽,斯經天常。聖人無心,因茲以生心,故《靈憲》作興,曰:

《霊憲》にいう。昔の天王は将に天体運行の道路を推歩して、もって日月星辰の軌道を確定し、その本原・頭緒を追尋せんとして、まず渾円の天体をもって準則とした。これによって儀器を校正し度数を確立してこそ、帝王の準則は建つ所があり、天枢の運転は稽考する所がある。建つ所があり、また稽考する所がある、これが天道を治める常法である。聖人はもとより成心なく、ただこの天象によって心思を生ずる。ゆえに《霊憲》の一書が興作されたのである。書中にいう。

太素之前,幽清玄靜,寂寞冥默,不可為象。厥中唯虛,厥外唯無,如是者永久焉。斯謂溟涬,蓋乃道之根也。道根既建,自無自有,太素始萌,萌而未兆,並氣同色,渾沌不分。故道志之言云:有物渾成,先天地生。其氣體固未可得而形也,其遲速故未可得而紀也,如是者又永久焉,斯謂龐鴻,蓋乃道之干也。

「太素」の前は、幽深にして清虚、玄妙にして静寧、寂寞にして声なく、昏冥にして光なく、形象をもって描摹することができない。その内はただ虚空、その外はただ虚無であり、この状態が極めて久遠の時間を経た。これを「溟涬」と呼び、すなわち道の根である。道の根が既に建つと、無から有を生じ、太素が初めて萌動した。萌動したとはいえまだ徴兆がなく、気と色は渾然一体で、混沌として区別できない。ゆえに道を論ずる書にいう、「有物混成、天地に先んじて生ず」と。この時その気と体は確かにまだ形状を顕すことができず、その運行の遅速も記録する由がなく、この状態がまた極めて久遠の時間を経た。これを「龐鴻」と呼び、すなわち道の幹である。

道干既育,有物成體,於是元氣剖判,剛柔始分,清濁異位。天成於外,地定於內。天體於陽,故圓以動;地體於陰,故平以靜。動以行施,靜以合化,堙鬱構精,時育庶類,斯謂天元,蓋乃道之實也。

道の幹が既に長成すると、物が凝聚して形を成し、ここに元気が剖分し、剛と柔が区別を始め、清と濁が各々その位に居った。清陽の気は外に上升して天を成し、重濁の気は内に凝定して地を成した。天は陽の性質を禀受するから形が円く運動し、地は陰の性質を禀受するから形が平らかで安静である。天は運動をもって化育を施行し、地は安静をもって生成に配合し、二気が鬱結・交合して精気を構成し、時に応じて万類の品物を生育する。これを「天元」と呼び、すなわち道の果実である。

在天成象,在地成形。天有九位,地有九域;天有三層,地有三形。有象可效,有形可度。情性萬殊,旁通感薄,自然相生,莫之能紀。於是人之精者作聖,實始紀綱經緯之。

天に在っては凝結して星象を成し、地に在っては凝結して山川の形体を成す。天には九つの方位があり、地には九つの区域がある。天は三層に分かれ、地は三種の形態がある。星象は倣傚すべく、地形は度量すべきがある。万物の情性は千差万別で、彼此が旁通・交感し、相迫り相摩して、自ずから相生・相成する——一々記録し得ない。ここにおいて人の中で最も精明な者が聖人となり、初めてこれがために綱紀を建立し、経緯を划分した。

八極地之維,徑二億三萬二千三百里,南北則短減千里,東西則廣增千里。自地至天,半於八極,則地之深亦如之。通而度之,則是渾已。將覆其數,用重勾股,懸天之景,薄地之儀,皆移千里,而差一寸,得之,過此而往者,未之或知也。未之知者,宇宙之謂也。宇之表無極,宙之端無窮。

八方の極遠の処は大地の四維で、直径は二億三万二千三百里、南北方向は一千里短く、東西方向は一千里広い。地面から天までが八極の直径の半分、そうであれば地の深さもまたこの数である。合せて通盤に度量すれば、渾円の一つの整体として呈する。これらの数字を験核するには、重差・勾股の術を用いなければならない。測天の表影を高く懸け、地面に貼る儀器を用い、千里移動するごとに影の長さが一寸相違する——これによって推得する。この範囲を超出する外は、知り得るところではない。いわゆる不可知とは、すなわち宇宙を指す。「宇」の外表には極限なく、「宙」の端際には窮尽がない。

天有兩儀,以舞道中。其可睹,樞星是也,謂之北極。在南者不著,故聖人弗之名焉。其世之遂,九分而減二。陽道左回,故天運左行。有驗於物,則人氣左嬴,形左繚也。天以陽回,地以陰淳。是故天致其動,稟氣舒光;地致其靜,承施俟明。

天には南北二つの枢極があり、天体はこれを環って軌道中を回旋する。その中で見ることができるのが枢星で、「北極」と称する。南辺の一つは顕現しないから、聖人はこれに命名しなかった。天球の人の見得る部分は、およそ九分にして二分を減じたものに当たる。陽道は左に回旋するから、天の運転は左に向かって行く。これは物象の上にも験証できる。人の気は左に充盈し、形体も左に向かって盤繞する。天は陽気に憑って回転し、地は陰気に憑って凝厚する。ゆえに天はその動を極め、元気を禀受して光明を舒布し、地はその静を極め、天の施与を承受して照臨を待つ。

天以順動,不失其中,則四序順至,寒暑不忒,死生有節,故品物用生。地以靈靜,作合承天,清化至養,四時而後育,故品物用成。凡至大莫著天,至厚莫若地也。至質者曰地而已。至多莫若水,水精為漢,周於天而無列焉,思次質也。

天は常道に順って運動し、中正を失わないから、四季は順に応じて至り、寒暑は差錯せず、生死は各々節度があり、ゆえに万物は生発し得る。地は寧静の霊をもって天に配合し、天の施与を承受し、清和の化育の力をもって至誠に物を養い、四時を経歴して後に成る。ゆえに万物は長成し得る。およそ至大なるは天より顕著なものなく、至厚なるは地より勝るものなく、至質なるもまた地のみである。至繁多なるは水より多いものなく、水の精気は升って「天漢」すなわち銀河となり、周天を環繞するが星宿には列しない——地に次ぐ質体と見なし得る。

地有山嶽,以宣其氣,精種為星。星也者,體生於地,精成於天,列居錯跱,各有攸屬。紫宮為皇極之居,太微為五帝之庭。明堂之房,大角有席,天市有座。蒼龍連蜷於左,白虎猛踞於右,朱雀奮翼於前,靈龜圈首於後,黃帝軒轅於中。六擾既畜,而狼蚖魚鱉,罔有不具。在野象物,在朝象官,在人象事,於是備矣。

地上には山岳があり、地気を宣泄するのに用いられ、地気の精華が上天に播散すれば星となる。いわゆる星とは、形体は地に生じ、精気は天に凝成し、羅列錯落として分布し、各々所属する所がある。「紫宮」すなわち紫微垣は天帝・皇極の居る所。「太微」すなわち太微垣は五方天帝の朝廷である。明堂星には房舎があり、大角星には座席があり、天市垣には位次がある。東方の蒼竜は蜿蜿として左に盤繞し、西方の白虎は威猛に右に蹲踞し、南方の朱雀は前に翅を振い、北方の霊亀は後に首を蜷め、黄帝軒轅は中央に居る。牛・馬・羊・犬・豕・鶏の六種の馴養の家畜は既に斉備し、狼・蜥・魚・鼈の類も具全しないものはない。これらの星象は原野の上で万物に取象し、朝廷の上で百官に取象し、人事の上で諸事に取象し、ここにおいて天上の図景は完備する。

懸象著明,莫大乎日月,其徑當天周七百三十六分之一,地廣二百四十二分之一。日者,陽精之宗,積而成鳥,象烏而有三趾,陽之精,其數奇。月者,陰精之宗,積而成獸,象兔而乃缺唇,陰之精,其數偶。

高く懸かって顕著明るいは、日月より大きいものはない。日月の直径は周天の七百三十六分の一に相当し、地面の広度の二百四十二分の一に相当する。太陽は陽精の宗主で、陽気が積聚して鳥形を成し、烏鴉に似て三足を生ずる。陽の精華であるから、属する数は奇数である。月は陰精の宗主で、陰気が積聚して獣形を成し、兎に似て唇に缺口がある。陰の精華であるから、属する数は偶数である。

其後有窮羿者,羿請不死之藥於西王母,姮娥竊之以奔月,將往,求筮於有黃,有黃占之曰:吉,翩翩歸妹,獨將西行,逢天晦芒,無恐無驚,後且大昌。姮娥遂託身於月,是為蟾蜍。

後に有穷国の君主羿が、西王母に不死の薬を求め得たが、その妻姮娥が薬を偷んで月に飛び去った。行くに臨み、姮娥は有黄に占筮を求問し、有黄が彼女のために占断していうに、吉。翩翩たる嫁ぐ少女は、独り将に西方に行かんとし、途中で天色の晦暗・昏茫に遇うであろうが、恐れるなかれ、慌てるなかれ、此の後大いに昌盛するであろう。姮娥はここに月の上に身を托し、化して蟾蜍となった。

夫日譬猶火,月譬猶水。火則外光,水則含景。故月,光生於日之所照,魄生於日之所蔽。當日則光盈,就日則光盡。眾星被曜,因水轉光,當日之沖,光常不合者,蔽於地也,是謂暗虛。在星星微,遇月則食,日之薄地,暗其明也。

太陽は火に喩え、月は水に喩える。火は外に向かって光を発し、水は光影を含蕰する。ゆえに月は日光の照る所を受けて亮しく、日光に遮蔽される所は暗魄となる。月と日が正相対する時は月光が盈満し、太陽に近づく時は月光は耗盡する。衆星も日光の照耀を受け、水のようにその光を転射する。ちょうど太陽の対冲の処には、その光が常に会合できない——大地に遮蔽されるためで、この陰影を「暗虚」と呼ぶ。星が暗虚に入れば微弱に見え、月が暗虚に遇えば月蝕が生ずる。これはちょうど太陽が地平に迫近する時、その光明もまた掩暗されるのと同じである。

由暗視明,明無所屈,是以望之若大,方於中天,天地同明;由明瞻暗,暗還自奪,故望之若小,火當夜而揚,光在晝則不明也。月之於夜,與日同而差微。星則不然,強弱之差也。

暗処から明処を望めば、光明は屈抑を受けないから、望めば大きく見える。日が中天に在るに至れば、天上・地下が同じく明るいから、大きいと覚えない。明処から暗処を望めば、暗処の光は反って明処に奪われるから、望めば小さく見える。ちょうど火が夜間には光焰高く揚がると見え、白昼に至れば明るいと覚えないのと同じである。月の夜間の情形は太陽と同じで、ただ差別が細微なだけである。星星はそうではない——それは本身の光度の強弱の差別である。

眾星列布,其以神著,有五列焉,是為三十五名。一居中央,謂之北斗,動變挺占,實司王命。四佈於方,為二十八宿,日月運行,歷示吉凶,五緯躔次,用告禍福,則天心於是見矣。中外之官,常明者百有二十四,可名者三百二十,為星二千五百,而海人之占未存焉。微星之數,蓋萬一千五百二十。庶物蠢蠢,咸得繫命。不然,何以總而理諸?

衆星は羅列分布し、その神異に憑って顕著となり、共に五列に分かれ、合せて三十五の名号を成す。一列は中央に居り、北斗と称し、その運転・変化は占験に拠ることができ、実際に王者の命運を掌管する。四列は四方に分布し、すなわち二十八宿で、日月はその間を運行して順次吉凶を顕示し、五大行星はその間に宿次を経歴して福禍を告知する。上天の心意はこれによって見ることができる。紫微垣内外の星官は、常年明るいものが百二十四座、名を呼び得るものが三百二十座、合計二千五百の星があり、海上の人の占する南方諸星はその中に算入しない。微小な暗星の数はおよそ一万一千五百二十顆である。衆多の蠢動する生物は、皆各々一つの星にその命が係っている。もしそうでなければ、上天は何を憑って万物を統摂治理するのか。

夫三光同形,而有似珠玉,神守精存,麗其職而宣其明,及其衰也,神歇精斁,於是乎有隕星。然則奔星之所墜,至則石矣。

日・月・星の三光の形質は相同じく、皆珠玉のごときで、神明が守護し精気が長存し、各々その職分に附麗して光明を宣布する。その衰竭する時に至れば、神明は歇滅し精気は敗壊し、ここにおいて星が隕落する。既にしかりとすれば、流星が墜落する所は、地面に落ちて石となる。

文曜麗乎天,其動者七,日月五星是也。周旋右回,天道者貴順也。近天則遲,遠天則速。行則屈,屈則留;回則逆,逆則遲:迫於天也。行遲者犯之於東,東屬陽;行速者視之於西,西屬陰。日旦而月夕,此配合也。攝提、熒惑、填星候晨,見附於日也,太白、辰星俟昏,見附於月也。三陽二陰,三天兩地,故男女取則焉。

光ある天体は天に附麗し、その中で運行するものが七つ——すなわち日・月と五星である。それらは天球を環って右に回行し、天道は順行を貴ぶ。天球の外層に近いものは行くのが遅く、外層から遠いものは行くのが速い。行進の中に屈折があり、屈折すれば停留不動となり、回転すれば逆行となり、逆行すれば遅緩に見える——これは皆天球の運転に迫促されるが故である。行度の遅いものは東方で他の星を侵犯し、東方は陽に属す。行度の速いものは西方で人に望見され、西方は陰に属す。太陽は清晨に属し、月は夜晚に属する——これが陰陽の配合である。「摂提」すなわち木星、「熒惑」すなわち火星、「填星」すなわち土星は、皆清晨に出現を候し、太陽に附属する。「太白」すなわち金星、「辰星」すなわち水星は、皆黄昏に出現を候し、月に附属する。三つは陽に属し、二つは陰に属し、ちょうど「参天両地」の数に合する。ゆえに男女の道もまたこれに取法する。

方星巡鎮,必因常度,苟或盈縮,不逾於次。故有司作使,曰:老子四星、周伯、王蓬,絮內,各一星,錯於五緯之間,其見無期,其行無度,實祅星經之所,然後吉凶宜用,其祥可量也。

各方の星は巡行・鎮守し、必ず固定の度数に依循し、偶に超前・落后があっても、その次を越出しない。ゆえに別に命を奉じて来る使星の類があり、老子四星・周伯・王蓬・絮内と呼ばれ、各々一星で、五大行星の間に錯雑に出現する。それらは出現に定期なく、運行に常度なく、実に妖星・占経の講ずる対象に属する。これに拠って吉凶を推占すれば、その中の祥異は估量できる。

天数第二

王藩者,廬江人也。吳時為中常侍,善術數。傳劉洪《乾象曆》,依乾象法而論渾天曰:前儒舊說,天地之體,狀如鳥卵。天包地外,猶殼之裹黃也。周旋無端,其形渾渾然,故曰:渾天也。

王蕃は廬江の人で、三国呉の時に官は中常侍に至り、術数の学に精かった。彼は劉洪の《乾象暦》を伝習し、乾象暦法に拠って渾天を論じていう。先儒の旧説では、天地の形体は鳥卵のようなものとする。天は地の外に包み、卵殻が卵黄を裹むがごとし。その回転・周流に起止なく、形状は浑然として円整である。ゆえに「渾天」と呼ぶ。

周天三百六十五度、五百八十二分度之百四十五半。半覆地上,半在地下。其二端謂之南極、北極。北極出地三十六度,南極入地亦三十六度,兩極相去一百八十二度半強。繞北極徑七十二度,常見不隱,謂之上規;繞南極七十二度,常隱不見,謂之下規;赤道橫絡,謂之中規。赤道帶天之紘,去兩極各九十一度少強。

周天は全部で三百六十五度および五百八十二分度の百四十五半。その半分は地面の上を覆い、半分は地面の下にある。天球の両端を南極・北極と呼ぶ。北極は地平より三十六度高く出で、南極は地平より三十六度低く、両極の相距は百八十二度半あまり。北極を環る直径七十二度の範囲内は、星辰が常年見えて隠没せず、「上規」と呼ぶ。南極を環る七十二度の範囲内は、星辰が常年隠没して見えず、「下規」と呼ぶ。赤道は天球の中腰を横に繞り、「中規」と呼ぶ。赤道は大帯のごとく天の中間に束ね、南北両極から各々九十一度あまり距る。

黃道,日之所行也,半在赤道內,半在赤道外。與赤道東交於角五度稍弱,西交於奎十四度少強。其出赤道外,極遠者二十四度,斗二十一度是也;其入赤道內、極遠亦二十四度,井二十四度是也。

黄道は太陽の運行する軌道で、半分は赤道以内の北に偏り、半分は赤道以外の南に偏する。それは赤道と東辺で角宿五度に少し足りない処で相交わり、西辺で奎宿十四度あまりの処で相交わる。赤道以外に伸出する最も遠い処は二十四度で、すなわち斗宿二十一度の所在。赤道以内に深入する最も遠い処も二十四度で、すなわち井宿二十四度の所在。

日南至,在斗二十一度,去極一百一十五度少強。是日最南,去極最遠,故景最長。黃道斗二十一度,出辰入申,日晝行地上一百四十六度強,故晝短;夜行地下,二百一十九度稍弱,故夜長。自冬至之後,日漸去極近,故景稍短。日晝行地上漸多,故日稍長;夜行地下度漸少,故夜稍短。

太陽が南行して尽頭に至るのがすなわち冬至の日で、位は斗宿二十一度にあり、北極から百十五度あまり距る。この日太陽は最も南に偏し、北極から最も遠いから、日影が最も長い。黄道上の斗宿二十一度のこの点は、辰位の東南方から升り、申位の西南方に落ちる。太陽は昼間地面以上を百四十六度あまり行くから白昼は短く、夜間地面以下を二百十九度に少し足りないほど行くから黒夜は長い。冬至以後、太陽は漸々北極に近づくから日影はやや短くなり、昼間地上に行く度数は漸々多くなるから白昼は漸々長くなり、夜間地下に行く度数は漸々少なくなるから黒夜は漸々短くなる。

日所在度漸北,以至於夏至,日在井二十四度,去極六十七度少強,是日最近北極,故景最短。黃道井二十四度,出寅入戌,日晝行地上二百一十九度多弱,故日長;夜行地下百四十六度強,故夜短。自夏至之後,日漸去極遠,故景少長。日晝行地上度漸少,故日稍短;夜行地上度漸多,故夜稍長。日所在度漸南,故日出稍南,以至於冬至而復初焉。斗二十一度,井二十四度,南北相去四十八度。

太陽の在る度数は漸々北に移し、夏至に至れば太陽は井宿二十四度に位し、北極から六十七度あまり距り、この日北極に最も近いから日影は最も短い。黄道上の井宿二十四度のこの点は、寅位の東北方から升り、戌位の西北方に落ちる。太陽は昼間地面以上を二百十九度ほど行くから白昼は長く、夜間地面以下を百四十六度あまり行くから黒夜は短い。夏至以後、太陽は漸々北極から遠ざかるから日影はやや長くなり、昼間地上に行く度数は漸々少なくなるから白昼は漸々短くなり、夜間地下に行く度数は漸々多くなるから黒夜は漸々長くなる。太陽の在る度数は漸々南に移るから、日出の処もまた漸々南に偏し、冬至に至ってまた起点に帰る。斗宿二十一度と井宿二十四度は、南北の相距が四十八度である。

春分日在奎十四度少強,秋分日在角五度少弱,此黃、赤二道之交中也,去極俱九十一度少強。南北處交斗二十一度、井一十四度之中,故景居二至長短之中。奎十四度,角五度,故曰:在赤道。出卯入酉,日晝行地上,夜行地下,俱百八十二度半強。故曰:見之漏五十刻,不見之漏五十刻,謂之晝夜同。

春分の時太陽は奎宿十四度あまりにあり、秋分の時太陽は角宿五度に少し足りない処にあり、この両処はまさに黄道と赤道の相交わる中点で、北極から皆九十一度あまり距る。それらの南北の位置はちょうど斗宿二十一度と井宿十四度の間にあるから、日影の長短もまた冬夏二至の間に居る。奎宿十四度・角宿五度のこの二点は、いわゆる赤道上にある。太陽は正東の卯位から升り、正西の酉位に落ち、昼間は地上を行き夜間は地下を行き、いずれも百八十二度半あまりである。ゆえにいう、見える漏刻は五十刻、見えない漏刻は五十刻、これを昼夜相等と呼ぶ。

夫天之晝夜,以日出為分;人之晝夜,以昏明為限。日未出前二刻半為晚,日入後二刻半為昏。故損夜五刻以益晝,是以春秋二分之漏,晝五十五刻。

天象から昼夜を算れば、日出・日没をもって分界とする。人事から昼夜を算れば、天亮・天黑をもって界限とする。太陽の未だ出ざる以前の二刻半に天色は既に微かに亮しく、太陽の落ちた以後の二刻半に天色はまだ全く黒くない。ゆえに夜から五刻を減じて白昼に加える。したがって春分・秋分の両日の漏刻は、白昼は五十五刻と算える。

王藩按:《周禮》曰:“夏至之景,尺有五寸,謂之地中。”鄭眾說云:“土圭之長,尺有五寸。以夏至之日,立八尺之表,其景與土圭等,謂之地中。今穎川陽城地也。”

王蕃按す。《周礼・地官・大司徒》にいう、「夏至の日の日影は一尺五寸の長さで、その処を地中と呼ぶ」。鄭衆の解釈にいう、「土圭という玉尺は一尺五寸の長さ。夏至の日に、八尺の高さの表竿を立てれば、その影の長さは土圭と相等しく、そこがすなわち地中で、今日の潁川郡の陽城である」。

鄭玄云:“凡日景於地,千里而差一寸。景尺有五寸者,南戴日之下萬五千里也。以此推之,日當去其下地八萬里矣。日邪射陽城,為天徑之半也。天體圓如彈圓,故地處天之半,而陽城居其中,則日春秋冬夏、昏明晝夜,去陽城皆等。

鄭玄にいう、「およそ日影が地上に投ずるは、千里相距すれば影の長さは一寸相違する。影の長さが一尺五寸の処は、それがちょうど太陽の直射の処より北一万五千里にあることを説明する。これに拠って推算すれば、太陽はその真下の地面より八万里離れているべきである。太陽が斜めに陽城に射るこの距離は、まさに天球の半径である。天体は渾円にして弾丸のごとし。ゆえに大地はちょうど天球の正中に在り、陽城はまた大地の中に居る。そうであれば、春夏秋冬・昏明・昼夜を問わず、太陽の陽城からの距離は皆相等しい」。

以勾股法言之:旁萬五千里,勾也;八萬里,股也;無盈縮矣。故知從日邪射陽城為天徑之半也。從日邪射陽城,弦也。以勾股求弦法,八之,得八萬一千三百九十四里三十步五尺三寸六分也。

勾股の法をもって講ずれば、横向きの一万五千里が「勾」、垂直の八万里が「股」で、両者とも出入りがない。ゆえに太陽から斜めに陽城に射るあの線が、すなわち天球の半径と知る。太陽から斜めに陽城に射るこの線は、すなわち「弦」である。勾股で弦を求める方法で開方推算すれば、八万一千三百九十四里三十歩五尺三寸六分を得る。

以周率乘之,徑率約之,得五十一萬三千六百八十七里六十八步一尺八寸二分,周天之數也。一度凡一千四百六里二十四步六寸四分有奇。黃、赤二道相與交錯其間,相去二十四度,以兩儀準之。二道俱三百六十五度、五百八十二分度之一百四十五半,是以知天體圓如彈丸。”

円周の率をもってそれに乗じ、また直径の率をもってそれを約すれば、五十一万三千六百八十七里六十八歩一尺八寸二分を得、これがすなわち周天の里数である。周天の毎一度は千四百六里二十四歩六寸四分あまりに合する。黄道と赤道は彼此その間に交錯し、相距は二十四度で、天地両儀をもって校准する。両道は各々三百六十五度および五百八十二分度の百四十五半を有す。これをもって知る、天体は渾円にして弾丸のごときである。

淳風按:“王藩所論,冬夏二至,春秋二分,日度交黃道所在,並據劉洪乾象所說,今則並差矣。黃道與日相隨而交,據今正觀三年乙丑歲,則冬至日在斗十二度,夏至在井十五度,春分日在奎七度,秋分日在軫十五度,每六十年餘差一度矣。

李淳風按す。王蕃の論ずる冬至・夏至・春分・秋分の時に太陽が黄道に交わる度数は、皆劉洪《乾象暦》の説に拠り、今日に至っては既に全て偏差がある。黄道は太陽に随って相交わる。今の貞観三年に按ずれば、冬至の太陽は斗宿十二度にあり、夏至は井宿十五度、春分は奎宿七度、秋分は軫宿十五度にあり、およそ六十年ごとに一度あまり相差する。(原文の「正観」はすなわち貞観で、唐人が太宗李世民の諱を避けて改めた書き方である。)

淳風今略陳新法,以考天數及渾儀交道等法如左。周天三百六十五度,及分縱橫斜側皆定耳,更無盈縮。先以銅鐵為環卷六枚,兩兩合,周徑二小四大。大者適容其五枚,各均賦三百六十五度及分。其一大者,名為平準卷,唯雕刻六十四卦十二辰,先側立二大環卷,南北側之,以平準卷交合加之,令側者為南北,徑準為主。

私は今簡略に新法を陳述し、もって周天度数および渾儀上の黄赤交道などの法を考定し、以下に開列する。周天は三百六十五度および零分で、縦横・斜側を問わず固定し、もはや伸縮・増減がない。まず銅鉄をもって六つの環圈を作り、二二相配し、周径に按って二小四大に分ける。大環の口径はちょうどその余の諸環を容れることができる。毎環の上に均しく三百六十五度およびその零分を刻む。その中の一つの大環を「平准環」と名づけ、上に六十四卦と十二地支を雕刻するのみ。まず二つの大環を側立させ、南北向に側置し、さらに平准環を交叉して套合せしめ、側立の両環に南北を定出させ、平准環の径面をもって基準とする。

一曰遊環。遊環上安釭釧,遊環著雙軸,以內大環軸孔中,令得運轉。軸中一圓長筒管。其筒孔周徑,準儀大小而斟酌之。若長八尺,即須孔徑一寸,他皆準此。其側環安釭釧之處,在北者謂之北極,出平準北面上三十六度;在南者謂之南極,入平準南面下三十六度。從其南端北向斜上望之,即見北極星。

別に一つの環を「游環」と呼ぶ。游環の上には金属の軸套と軸環を装し、環の上に二根の軸を連ねて大環の軸孔に挿入し、転動し得るようにする。軸心には円形の長筒管を装し、筒孔の周径は儀器の大小に按って斟酌決定する。筒の長さが八尺ならば孔径は一寸を要し、その余もこれに類推する。側環の上に軸套を安装する処は、北面のものを「北極」と呼び、平准環の北面より三十六度高く出で、南面のものを「南極」と呼び、平准環の南面より三十六度低い。筒管の南端から北に向かって斜めに上を望めば、北極星を見ることができる。

又以一天環加於側環外,斜絡之,令東西合於卯酉平面之準,南北上下去二極,各九十一度強,以為赤道。然後轉其中游環,令得左右、東西、上下,以當所望處,轉軸中筒孔,使得南北以測去極遠近及赤道內外之度數,然則筒孔瞻察,無所不至矣。

さらに一つの天環を側環の外に加え、斜めに套絡せしめ、その東西両端を卯酉平面の基準に合せ、南北上下は両極から各々九十一度あまり距らせ、これをもって赤道に充てる。それから中の游環を転動し、左右・東西・上下に移動し得るようにし、観測せんとする処に対準する。さらに軸心の筒孔を転動し、南北に俯仰し得るようにし、もって目標の北極からの遠近および赤道内外の度数を測量する。こうすれば、筒孔をもって瞻望観察すれば、観測し得ない処はない。

若欲安星辰者,更著從脅上屈銅鐵,穿珠為星,以放上象,隨所在次第而安置之,轉令應天皆得,此渾天遊儀之法也。按渾儀,必先以水準地使平,夜占極,晝測日景,定其經緯,然後措之矣。餘近造乙巳元歷術,實為絕妙之極,日夜法度諸法,皆同一母,以通眾術。今列之以推天度,日月五星行度皆用焉。

もし儀の上に星辰を安置せんと欲すれば、さらに環の旁側から上に向かって銅鉄の枝条を彎出させ、珠子を穿って星に当て、もって天上の星象を摹放し、各星の在る次序に依って一一に安放すれば、転動して皆天に相応する——これが渾天游儀の做法である。渾儀を制造するには、必ず先に水平の法をもって地面を校平し、夜に北極を観測し、昼に日影を測量してその経緯・方位を定出し、それから後に儀器を安置する。私は近頃《乙巳元暦》の算術を編成したが、実に精妙の極みに至った。日法・夜法・度法などの各種の法数は、皆一つの母数に同出し、よって各種の推算を貫通し得る。今それを以下に列し、もって周天度数を推算する——日月・五星の行度も皆これを用いる。

日度法:一千三百四十,以此數為一度之長分數也。周天有三百六十五度、一千三百四十分度之三百四十一。南極去北極,巡規一百八十二度、一千三百四十分之八百四十半。赤道去二極,巡規各九十一度、一千三百四十分之四百二十分、小分四分之十,即春秋分之所在度,黃、赤二道交處,去北極之遠近也。

日度法を千三百四十に定め、すなわちこの数をもって一度に含まれる分数とする。周天は全部で三百六十五度および千三百四十分度の三百四十一。南極から北極に量り、圈に沿って百八十二度および千三百四十分の八百四十半を得る。赤道は南北両極から、圈に沿って各々九十一度および千三百四十分の四百二十分を得、さらに小分四分の十を加える。これもまた春分・秋分の時に太陽の在る度数、すなわち黄道と赤道の相交わる処の北極からの遠近である。

黃道出入赤道二十四度,冬至日在赤道外二十四度,去極一百一十五度,一千三百四十分度之四百二十分、小分四分之一。夏至日在赤道內二十四度,去北極六十七度、一千三百四十分度之四百二十分、小分四分之一。此其常數也。

黄道は赤道に出入りして各々二十四度。冬至の日太陽は赤道以外二十四度にあり、北極から百十五度および千三百四十分度の四百二十分を距り、さらに小分四分の一を加える。夏至の日太陽は赤道以内二十四度にあり、北極から六十七度および千三百四十分度の四百二十分を距り、さらに小分四分の一を加える。これらは皆恒定不変の常数である。

淳風今又按張胄《玄象曆》及今傳《仁均歷》,春分、秋分,日皆在卯半以前,其沒亦在酉半以後,各四分刻之一。春、秋二分之日,晝漏五十刻半,夜漏四十九半,然則赤道、黃道交處,亦直在卯酉之北。又有北極去地三十六度,則天之正高在地中陽城之上。

李淳風今また按ずる。張胄玄の《玄象暦》および当今通行の傅仁均暦に依れば、春分・秋分のこの両日、太陽は皆卯正以前に升り、落ちるのも酉正以後で、各々四分の一刻差がある。春分・秋分のこの両日は、白昼の漏は五十刻半、黒夜の漏は四十九刻半。このように見れば、赤道と黄道の相交わる処もまたちょうど卯酉線より北にある。また北極が地平より三十六度高く出るがゆえに、天の正頂は地中・陽城の上方にある。

以四維循規去地亦九十一度,一千三百四十分度之四百二十分、小分四分之一矣。以三十六度減之,餘五十五度,一千三百四十分度之四百二十分、小分四分之一。夏至日黃道在北極南六十七度、一千三百四十分度之四百二十、小分四分之一。

四方・四隅から圈に沿って地平に量るも、また九十一度および千三百四十分度の四百二十分、さらに小分四分の一を加える。北極の出地の三十六度をもってそれを減ずれば、余は五十五度および千三百四十分度の四百二十分、さらに小分四分の一。夏至の日、黄道は北極より南六十七度および千三百四十分度の四百二十分、さらに小分四分の一にある。

是正北子地一百三度,一千三百四十分度之四百二十分有奇矣。以天頂去四維各九十一度,一千三百四十分度之四百二十分、小分四分之一減之,餘一十二度矣。是夏至日在天頂南一十二度,他悉仿此求之,皆可知也。

このように算えば、それが正北子位の地平から距るは合計百三度および千三百四十分度の四百二十分あまり。さらに天頂から四方へ各々九十一度および千三百四十分度の四百二十分・小分四分の一をもって減ずれば、余りは一十二度。これがすなわち、夏至のあの日太陽は天頂より南十二度にあることをいう。その余の各節気は皆この方法に仿って推求すれば、全て知ることができる。

是知繞北極循規徑七十二度,常見不隱;繞南極循規徑七十二度,常隱不見。去極三十六度外,一百一十度內,四時辰昏,有時而隱,有時而見,為日在其中故也。繞北極常見者,謂之上規;南極常隱者,謂之下規;赤道橫絡謂之中規焉。

これをもって知る。北極を環る直径七十二度の一圈の内は、星辰が常年見えて隠没しない。南極を環る直径七十二度の一圈の内は、星辰が常年隠没して見えない。北極から三十六度以外・百十度以内のこの一帯は、四季の晨昏の際に、あるいは隠没しあるいは出現する——太陽がちょうどその中を運行するが故である。北極を繞る常年見えるあの一圈を「上規」と呼び、南極を繞る常年隠没するあの一圈を「下規」と呼び、赤道が中腰を横繞するあの一圈を「中規」と呼ぶ。

然圖體以平物為之易辨,若作渾儀,始識於事稍難。今世供傳星圖者,蓋皆天圖,其四畔外,即是南極下規矣。分佈二十八宿距度、與黃、赤二道、上規並具焉。

ただ天体を平面図形に画成すれば辨認し易いが、渾儀を制作しようとすれば、初学の人が作るにはやや難しい。当今流伝する星図は、大都いわゆる「天図」に属し、図の四周の外はすなわち南極・下規の在る範囲である。図上には二十八宿の距度・黄道赤道二道および上規を皆一併に標画してある。

天之運也,一晝一夜,而運過周天所過之度,則一日所行之數,在天謂之一度,在歷謂之一日一夜。度之天數無常準,各隨一家之法令,一千三百四十是也。日行三百六十五日而周天,故天一周有三百六十五日有奇矣。天運渾渾然不思,東出西沒,周而復始,永無窮焉。

天の運転は、一昼一夜に周天を転じてなお一段多出する。多出のこの一段の度数は、まさに太陽の一日に行く数の目で、天上では一度と呼び、暦法上では一昼一夜と呼ぶ。一度の含む分数に固定の標準なく、各家の暦法は各々その法を自定し、本暦の取る所はすなわち千三百四十である。太陽は三百六十五日を行満して天を一周するから、天は一周して三百六十五日あまりに合する。天の運行は浑然として心なく、東方から升り西方に沈没し、周りて復始し、永く窮尽しない。

天占第三

淳風按:自黃帝占已後,向數十家,其間或真或偽,不可悉從。今略取其理當者,刪而次比,以著於篇。其間亦有出自經傳子史,但有關涉,理可存者,並不棄之,今錄古占書目於此,以表其人。自入占已後,並不復具記名氏,非敢隱之,併為是幼小所習誦,前後錯亂,恐失本真故耳。

李淳風按す。黄帝に仮託した占書以来自り、占家はほぼ数十家に及び、その中に真あり偽ありで、一概に依従することはできない。今ややその中の義理の妥当な者を取り、删削・排比を加えてこの一篇を書成した。その間にも経伝や諸子・史書に出るものがあり、占候に関わり理の保留し得るものは、皆捨てなかった。ここにまず古占書の書目を以下に録し、もって各家の所属を表明する。占辞の正文に入って以後は、もはや一々姓名を注出しない——あえて彼らを隠没するのではなく、実にこれらは皆私が幼年に誦習したもので、前後すでに錯雑しており、注を誤れば反って本真を失うことを恐れるからである。

《黃帝》、《巫咸》、《石氏》、《甘氏》、劉向《洪範》、《五行大傳》、《五經緯圖》、《天鏡占》、《白虎通占》、《海中占》、京房《易祅占》、《易傳對異占》

拠る所の古占書の書目は以下のごとし。黄帝に仮託した占書、巫咸の占書、石申の《石氏星経》、甘徳の《甘氏星経》、劉向の《洪範五行伝》、および《五行大伝》《五経緯図》《天鏡占》《白虎通占》《海中占》、京房の《易祆占》、さらに《易伝対異占》。

《陳卓占》、《郄萌占》、《韓楊占》、祖暅《天文錄占》、孫僧化《大象集占》、劉表《荊州占》、《列宿占》、《五官占》、《易緯》、《春秋佐助期占》、《尚書緯》、《詩緯》、《禮緯》、張衡《靈憲》

また《陳卓占》《郤萌占》《韓楊占》、祖暅之の《天文録占》、孫僧化の《大象集占》、劉表の《荊州占》、および《列宿占》《五官占》《易緯》《春秋佐助期占》《尚書緯》《詩緯》《礼緯》、さらに張衡の《霊憲》。以上のこれらが、本書の採録する占辞の来歴である。

夫天地者,萬物之父母也。覆載育養,左右無方。況人稟最靈之性,君為率上天之宗,天見人君得失之跡也,必極吉凶,故隨其所在,以見變異。

天地は万物の父母で、上に覆い下に載せ、万物を養育し、扶助・照顧に固定の方所がない。まして人は最も霊秀なる性情を禀受し、君主はまた上天を奉承する宗主である。上天は人君の行事の得失を見れば、必ず吉凶を極処に顕示する。ゆえに人君の応ずる分野に随って、種種の変異を顕現する。

天有災變者,所以譴告人君覺悟之,令其悔過,慎思慮也。行有玷缺,氣逆於天,精氣感出,變見以誡之。若天忽變色,是謂易常,四夷來侵,不出八年,有兵戰。若陽不足,臣盛將害君上,則天裂。

上天が災変を降す所以は、もって人君を譴責・告誡し、彼を覚悟させ、過ちを悔改し慎重重に思慮させんがためである。人君の行事に瑕疵・闕失あれば、気は上に逆って天に至り、精気が交感して出で、天は変異を顕して彼を警誡する。假如天空が忽ち色を変ずる、これを「易常」と呼び、四方の外族が来たり侵犯することを預兆し、八年を出でず、兵戦あるべし。假如陽気不足、臣下の勢い盛んにして将に君上を危害せんとすれば、天は开裂する。

按:馬續《天文志》云:“孝惠二年,天開東北,廣十丈,長二十餘丈,天裂,陽不足;地震,陰有餘:皆下盛將害上之變。”當時呂氏臨朝干位,卒有兵亂,此其驗也。

按ずるに、馬続の続いた《漢書・天文志》にいう、「漢恵帝二年、天は東北方に裂け、幅十丈、長さ二十余丈。天の开裂は陽気の不足、地の震動は陰気の有余で、皆下位の勢い盛んにして将に上位を危害せんとする変異である」。当時まさに呂后が臨朝し、君位に干犯していたが、後に終に兵乱が発生した——これがその応験である。

若天分裂,作君之亂,無道之臣欲裂國,其下之主當之。若天開見光,流血滂滂;天裂見人,兵起國亡;天鳴有聲,至尊憂而且驚。

假如天が分裂すれば、君主の乱を釀成せんとし、無道の臣が国土の分裂を図謀し、天裂の処の対する分野の君主に応ず。假如天が开裂して光亮を露わせば、流血滔滔を主る。天が开裂して人形を現ずれば、兵乱の興起・国家の滅亡を主る。天が鳴响の声を発すれば、至尊の人が憂愁し且つ驚恐することを主る。

劉向曰:春秋之前,天鳴地坼,災異並臻,其主不知驚懼修德,上帝降災,禍變必極,皆亂國之所生也。

劉向にいう。春秋以前、天が鳴声を発し、地が裂缝を開き、各種の災異が一斉に出現したが、当時の人主は警惧して徳を修めることを知らず、ここにおいて上帝が災禍を降し、禍変は必ず極に達した。これらは皆乱国のみ生じ出す現象である。

凡國亂,五星化下為之祅,而降之自天。是故歲星降為貴臣,熒惑降為童兒嬉戲歌謠,填星降為老人婦女,太白降為壯夫處於林麓,辰星降為婦女,或變化無所不為,以見異而告之也。

およそ国家が将に乱れんとすれば、五大行星は化身して人間に下降し妖異となり、この妖異は天上から降り来たるものである。ゆえに木星(歳星)は下降して顕貴の大臣に化し、火星(熒惑)は下降して児童の嬉戏・歌謡に化し、土星(填星)は下降して老人と婦女に化し、金星(太白)は下降して壮漢に化して山林に出没し、水星(辰星)は下降して婦人に化する。あるいはさらに変化不定にして為さざる所なく、怪异を顕現する方式をもって世人を告誡する。

凡天雨雜物,其類甚多。若雨禽獸,是謂不祥,不出三年,其下兵興。天雨蟲,人君不親骨肉而親他人,與裸蟲同類,故蟲從天墜地,骨肉去也。不救,兵大起。其起也,立王公,率同姓諸侯,無偏黨側,災消。

およそ天上から降る各種の雑物は種類が多い。もし禽獣を降らせば、これを不祥と呼び、三年を出でず、その一帯に兵事を興起せん。天上が虫を降らせば、人君が骨肉の至親に親しまず、反って外人に親しむことを主る。人は无毛の「裸虫」と同属するから、虫が天上から地面に墜落するは、骨肉の離散を象徴する。もし補救の法を設けなければ、大いに兵戈を起こすに至る。補救の法は、王公を分封し、同姓の諸侯を統率し、偏私せず結党せずすれば、災異は消解する。

劉向云:春秋時蟲者,蟲之災也。以刑罰暴虐而取於天下,貪叨無厭以興師動眾,聚邑治城而失眾心,蟲為害矣。故宋文公三年秋,雨蟲於宋。是時宋公暴虐重刑,賦斂無已,故應是雨蟲。

劉向にいう。《春秋》の記する「虫」とは、すなわち虫災である。暴虐の刑罰をもって天下に向かって捜取し、貪むりなく師を興し衆を動かし、民力を聚集して城邑を修筑して衆人の心を失えば、虫は災を成す。ゆえに宋文公三年秋、宋国に虫雨を降らせた。当時宋公は暴虐にして重刑を濫施し、賦税の徴斂に止境がなかったから、ここの虫雨に応験したのである。

天雨魚鱉,國有兵喪。天雨骨,是謂陽消。王者德衰,令不行,佞不用,不出三年,內有爭。天雨筋,國大飢。天雨膏如蟲,輔臣多貪,賢智隱之應也,君臣無道暴虐。天雨肉,天不享其德,將易其君。

天上から魚鼈を降らせば、国中に兵禍と喪事あることを主る。天上から骨頭を降らせば、これを「陽消」と呼ぶ。王者の徳行は衰敗し、政令は通行せず、佞人すらも彼のために用いられんとせず、三年を出でず、内部に争闘あるべし。天上から筋を降らせば、国中の大飢饉を主る。天上から虫のような油膏を降らせば、輔政の大臣が多く貪で賢能の士が隠退する応験で、また君臣が無道にして暴虐なることを説明する。天上から肉を降らせば、上天がもはやその徳を享受せず、将にこの国君を更換せんとするものである。

天雨爵錫,如甘露著樹,不出三年,改易王。白者為甘露,黃者為爵錫。天雨如水銀,是謂刑祖。不出三年,兵喪並起,亡國失土。天雨血,是謂天見其祅。不肖者不得久處其位,不出一年兵起。

天上から「爵錫」を降らせば、甘露のごとく樹上に附着し、三年を出でず、君王を更換せんとする。その中で白色のものは甘露、黄色のものが爵錫である。天上から水銀のようなものを降らせば、これを「刑祖」と呼び、三年を出でず、兵禍と喪事が一斉に興起し、国亡び土失う。天上から血を降らせば、これを上天がその妖異を顕現するという。不賢の人は久しくその位に居ること能わず、一年を出でず兵乱が興起する。

京房曰:“臨獄不解,茲謂進非,厥咎天罰。故天雨血者,茲謂不親,民有怨恐,不出三年,亡其宗人。”又曰:“佞人用,功臣棄戮,故天雨血。”

京房にいう、「案獄が久しく拖して決せず、これを人を進用するに当たらずと呼び、その罪咎はすなわち上天の懲罰である。ゆえに天に血雨を降らす、これを上下相親しまずと呼び、百姓は怨恨・恐懼を心に懐き、三年を出でず、その宗族を喪失せん」。またいう、「奸佞の人が任用され、有功の臣が棄逐・誅戮されるがゆえに、天に血雨を降らす」。

天雨毛,邪人進,賢人逃,貴人出走。天雨羽,君德不通,逆施天下。天雨金、銀、鐵、錢、花,兵將興,失道之君當之。

天上から毛を降らせば、邪佞の人が進用され、賢良の人が逃避し、貴人が出奔することを主る。天上から羽を降らせば、君主の徳沢が通達せず、政令が倒行逆施して天下に及ぶことを主る。天上から金・銀・鉄・銭・花を降らせば、兵事の将に興起せんとすることを主り、失道の君に応ず。

淳風按:“隋仁壽四年甲子諸州造舍利塔時,陝州天雨金銀花,時人以作像,象祥瑞,以奏於高祖,高祖知其非吉。其後有楊諒之亂、二世失道,斯其驗也。”

李淳風按す。隋文帝仁寿四年甲子、各州が舎利塔を建造したとき、陝州の天上に金銀花を降らせた。当時の人はそれを取って仏像を鋳造し、祥瑞に当て、高祖文帝に上奏したが、文帝は却ってこれが吉兆ではないと知った。後に漢王楊諒の叛乱が発生し、第二代煬帝もまた道を失って国を亡ぼした——これがその応験である。

天雨石,為政者質信不施,為詐妄行,國君死亡。甘氏曰:“無雲而雷,隕石墜地,大可一丈,圓形如雞子,兩頭銳,名曰天鼓。所下之邦,必有大戰,伏尸數萬,不可救。”春秋魯僖公十六年,隕石於宋五,此時宋襄公之應也。望之是星,至地為石。失其所,無光榮之象也。

天上から石を降らせば、執政の人が誠実・信義を施行せず、反って詐偽・妄為することを主り、国君は将に死亡せんとする。甘徳にいう、「雲なくして雷を打ち、隕石が地面に墜落し、大きいものは一丈に至り、形状は鶏蛋のごとく円く、両頭尖鋭で、「天鼓」と名づく。それが落下するあの邦国は、必ず大戦あり、横尸数万、挽救し得ざるなり」。《春秋》は魯僖公十六年に五塊の隕石が宋国に落ちたと記す——これはちょうど宋襄公に応験した。この物は天上に望むときは星、地面に落ちれば石となる。それが本来在るべき位を離れたのは、まさに光栄を失う象徴である。

皇甫士安曰:“殷紂暴虐,天雨灰。”天雨灰,邑君有來歸邑者。墨子曰:“商紂不德,十日雨土於毫。”天雨土,君失封。

皇甫謐(字は士安)にいう、「殷紂は暴虐にして、天に灰を降らせた」。天上から灰を降らせば、別国の城邑の君が来たり帰附することを主る。《墨子》にいう、「商紂は徳行なく、亳都一帯に十日連続して土雨を下した」。天上から土を降らせば、君主が封地を失うことを主る。

天雨五穀,是謂禾不熟。人君賦斂重數,故示戒。不出五年,國乏軍糧。天雨粟,不肖者食祿,三公易位。天雨黍豆麥粟稻,是謂惡祥。不出一年,人民父子流亡,莫知所向。

天上から五穀を降らせば、これを「禾不熟」と呼ぶ。人君が賦税の徴斂を過重・過密にするがゆえに、上天が告誡を顕示したので、五年を出でず、国家は軍糧を欠乏するであろう。天上から粟を降らせば、不賢の人が空しく俸禄を享くることを主り、三公が将に人を換えられんとする。天上から黍・豆・麦・粟・稲を降らせば、これを悪兆と呼び、一年を出でず、百姓の父子は流亡して行く所を知らざるべし。

若國君失信,專祿去賢,則天雨草。君信讒,臣不和,天雨草木,其歲人多兵死。天雨釜甑,歲大豐穰。此釜甑適如小錢許大,從地中生出,餘親見之。其中有如小麻黍粟大,世人謂之蒸餅,豐穰之驗也。

もし国君が信義を失い、禄位を独占して賢人を斥退すれば、天上は草を降らす。国君が讒言を聴信し群臣が不和ならば、天上は草木を降らし、その年百姓は兵禍に死する者多し。天上から「釜甑」を降らせば、年成の大豊収を主る。この釜甑形の物は、大小ちょうど小銭一枚のごとく、地の中から生じ出る——私はかつて親しく見たことがある。その中に小麻・黍・粟ほどの顆粒があり、世人はこれを「蒸餅」と呼び、豊収の験証である。

天雨絮,其國將喪,無後有兵。天雨櫱,君有咎。天雨墨,臣多陰謀。天火燒國郭門,其地有謀人慾發。天光蟠邑城門,其國圍。天火焚宗廟社稷,大殃,國將亡主。

天上から棉絮を降らせば、その国家に喪亡あるべく、君主は後を絶ちまた兵禍あることを主る。天上から曲蘖を降らせば、君主に災咎あることを主る。天上から墨を降らせば、臣下に陰謀多きことを主る。天火が国都の外城門を焼毁すれば、その処に陰謀の人が将に難を発せんとすることを主る。天上の光が城邑の城門に盤繞すれば、その国家が囲困せらるべきことを主る。天火が宗廟・社稷を焚焼するは、極めて大きい災殃で、国家が君主を失うべきことを主る。

淳風按:“漢魏時,造作宮室過度,而頻有天災,其後尋有兵亂。隋末大業十二年,東京災宮,西京災顯揚門。至十三年,二邑並被圍沒,即絕其宗廟社稷,亦天告之驗。”

李淳風按す。漢・魏の時、宮室の營造が過度であったがゆえに、屡々天火の災があり、その後まもなく兵乱があった。隋末・大業十二年、東京洛陽の宮中に失火があり、西京長安の顕揚門に失火があった。十三年に至り、両京ともに囲攻され陥落し、宗廟・社稷も随って断絶した。これもまた上天の預告した応験である。

天雨下物,非人所聞見者,皆大兵也。其災見所主國分,應發遠近。皆在略例篇中。

天上から降る物で、およそ人がかつて聞き見たことのないものは、皆大兵あることを主る。この類の災異はそれが主る国家の分野に応じ、その応験の遠近・遅速は皆《占例》篇に載っている。いわゆる「国分」とは、この一片の天区が分配される邦国・地域のことで、すなわち「分野」である。

日占第四

夫日者,天之所布,以照察於下而垂示法則也。日為太陽之精,積而成象人君。仰為光明外發,魄體內全,匿精揚輝,圓而常滿,此人君之體也。晝夜有節,循度有常,春生夏養,秋收冬藏,人君之政也。

太陽は上天の布設する所で、もって下方を照察し法則を垂示する。太陽は太陽の精が積聚して成り、人間において君主に取象する。仰いでこれを望めば、光明は外に向かって発散し、暗魄は内に保全され、精気を収斂して光輝を揚布し、形体は渾円にして常に満ちる——これがまさに人君の有すべき体統である。それは昼夜に運行して節度あり、軌道に循って常規あり、春に生発し、夏に養育し、秋に収斂し、冬に閉蔵する——これがまさに人君の有すべき政令である。

星月稟其光,辰宿宣其氣,生靈仰其照,葵藿慕其思,此人君之德也。是以日生道德,養生福佑仁恩。若人君有瑕,必露其匿,以告示焉。夫日之體象周徑之數,餘別驗之,著於《曆象志》,此非所須,故不錄之也。

星星と月はその光を承受し、衆星宿はその気を宣布し、蒼生はその照臨に仰頼し、葵藿の類の草木は心を傾けてこれに向かう——これがまさに人君の有すべき徳行である。ゆえに太陽は道徳を生じ、生命を養育し、福佑と仁恩を賜与する。假如人君に瑕疵あれば、太陽は必ず彼の隠した過失を顕露し、もって天下に告示する。太陽の形体の周長・直径などの数値に至っては、私は別に考験があり、《暦象志》に書き記した。ここでは用いないから、もはや録入しない。

日行於天,一晝一夜行一度。日出地上謂之晝,日沒地下謂之夜。一晝一夜謂之一日。日者實也,言光明盛實也。日之光後,不可名狀,假甲子乙丑以異之焉。

太陽は天上を運行し、一昼夜に一度を行く。太陽が地面の上に出るを昼と呼び、地面の下に没するを夜と呼び、一昼一夜を合せて一日と称す。「日」とはすなわち充実の意で、その光明が盛大にして充実するをいう。太陽の光華は前後相続いて、名目をもって一々に称説し得ないから、やむなく甲子・乙丑のごとき干支を借りて毎日を区別する。

其行於天,去極近,日長而暑;去極遠,日短而寒;去二極中,暄涼等,晝夜停。故聖人作歷,以推步焉,序之以四時,分之以八卦,正之以中氣,變之以節候,為二十四氣焉。

太陽が天上を運行し、北極に近い時は白昼が長く天気は炎熱し、北極から遠い時は白昼が短く天気は寒冷し、南北両極の正中に在る時は温涼相当にして昼夜均等である。ゆえに聖人は暦法を制作して日行を推歩する。四時をもって次序を排定し、八卦をもって方位を分配し、「中気」をもって校正を加え、節候をもって変換を顕示し、ここにおいて二十四節気を定出した。

上元乙巳之歲,十一月朔,甲子冬至夜半,日月如合璧,五星如連珠,俱起北方虛宿之中,合朔冬至已來,至今大唐正觀三年己丑之歲,積七萬九千二百四十五年算上矣。日行一度,即是日法一千三百四十分,一年行三百六十五度、一千三百四十分度之三百二十八,每歲不周天十三分矣。

暦元「上元」のあの年はちょうど乙巳に当たり、十一月初一、甲子日・冬至の夜半に、日月は並行して両玉璧の合するがごとく、五星は連珠のごとく排列し、一斉に北方の虚宿の中から出発した。あの合朔・冬至以来、如今大唐貞観三年己丑に至り、累計七万九千二百四十五年(本年を算入する)。太陽は一日に一度を行く——すなわち日法の定める千三百四十分である。一年に三百六十五度および千三百四十分度の三百二十八を行き、毎年周天より十三分をなお差し足りない。

欲求當時冬至日所在度者,置上元乙巳以來積算,盡所求年減一,以歲分四十八萬九干四百二十八乘之,為歲別日行積分,以周天分四千八萬九千四百四十一去之,餘不滿法者,以度法除之,為度餘。命起虛四度,宿次除之,經虛,去度分三百四十一。不滿宿算外,即冬至加時日所在宿度及分,

ある年の冬至に太陽の在る度数を求めるには、まず上元乙巳以来積算した年数を列し、求めるあの年まで算えて一を減じ、歳分四十八万九千四百二十八をもって乗じ、逐年日行の積分を得る。さらに周天分四千八万九千四百四十一をもって減除し、余りの一周天に満たない数を度法で除して、度数と余分を得る。虚宿四度から起算し、二十八宿の次第に按って順に相減する。虚宿を経るときは、度分三百四十一を扣去する。一宿に満たずして余った数が、すなわち冬至・加時に太陽の在る宿・度と分である。

求次氣日所在度及分者,加冬至日度十五,小餘二百九十二,小分五。小分滿六,去之後,從小餘一。小餘滿日度法,去之,從度數。一度滿宿,依次命之,即次氣日所在度及分,求次日者加一度,去命如前。

次の節気に太陽の在る度と分を求めるには、冬至の度数の上に十五度を加え、小余に二百九十二を加え、小分に五を加える。小分が六に満てば減じて小余一に進め、小余が一つの日度法に満てば減じて一度に進め、度数が一宿に満てば順に次の宿に進む。こうして得たものが、すなわち次の節気に太陽の在る度と分である。次日の度数を求めれば、一度を加え、進位と命宿の办法は前と同じである。

若求冬至日甲乙名者,置所求年歲別日行積分,以日法除之,為積日,不盡為冬至小餘。以六十去積日,不盡為冬至大餘。命以甲子起算外,即所求年冬至日。及小餘求次氣日名者,依求次日度法加之,滿法從日滿六十去之,命如前,即次氣日名也。俱日行之所在,目視不可見宿度,故須算知。推其分野,以辨災祥。

もし冬至の日の干支名を求めようとすれば、求める年の逐年日行の積分を列し、日法で除して「積日」を得、除し尽くせない余数がすなわち冬至小余である。さらに六十をもって積日を減じ、減じ尽くせない余数がすなわち冬至大余である。甲子から起算し、大余の数まで数えれば、すなわち求める年の冬至日の干支である。これによって小余を連ねて次の節気の日名を求めれば、次日を求める度法に依って加え、法に満てば一日に進め、六十に満てば減じ、干支を命ずる办法は前と同じで、得たものがすなわち次の節気の日名である。太陽の在る位置は、肉眼では直接それがどの宿・どの度に正当中するか見出せないから、必ず推算に憑らなければ知ることができない。それが対する分野を推し出せば、これに拠って災異と祥瑞を分辨できる。

又,二十四氣日影律候至與不至,皆有應驗。今故列之如左,並二十四氣影如後。及律氣應不應法,用此,虛是占日之大綱矣。二十四氣影長短,《易緯》占律名。祖沖之歷日中影長短。

ほかに、二十四節気の日影の長短、および律管候気の到ると到らざるは、各々応験がある。今それらを以下に開列する——二十四節気の影長は後に附し、また律気の応験する法则と応じざる法则がある。この一套の办法を用いれば、大略はすなわち太陽を占候する総綱である。以下に列する二十四節気の影長は、各気の応ずる律名は《易緯》に取り、日中の影長の数値は祖冲之の暦法に依拠する。

冬至中影長一丈三尺。律鍾中黃,律長九寸。(徑三分)小寒中影長一丈二尺四寸三分。大寒中影長一丈一尺二寸。律中大呂,律長八寸二百四十三分寸之一百三。立春中影長九尺八寸。雨水中影長八尺一寸七分。律中太簇,律長八寸。

冬至は日中の影の長さ一丈三尺で、一年中で最も長い。この気は律に黄鐘に中り、律管の長さ九寸(管径三分)。小寒は影の長さ一丈二尺四寸三分。大寒は影の長さ一丈一尺二寸、律に大吕に中り、律管の長さ八寸および二百四十三分寸の百三。立春は影の長さ九尺八寸。雨水は影の長さ八尺一寸七分、律に太簇に中り、律管の長さ八寸。いわゆる「律中某」とは、この節気の地気がこの支の律管に応ずることをいい、管内に実めた葭莩灰は時に至れば飛動する。

驚蟄中影長六尺六寸七分。春分中影長五尺三寸七分。律中夾鐘,律長七寸二千一百八十七分寸之一千七百五。清明中影長四尺二寸五分。穀雨中影長三尺二寸六分。律中姑洗,律長七寸九分寸之一。

驚蟄は日中の影の長さ六尺六寸七分。春分は影の長さ五尺三寸七分、律に夾鐘に中り、律管の長さ七寸および二千百八十七分寸の千七百五。清明は影の長さ四尺二寸五分。穀雨は影の長さ三尺二寸六分、律に姑洗に中り、律管の長さ七寸および九分寸の一。この数気の影長は逐次短縮し、まさに太陽が日々北に移るを顕す。文中の「七寸二千百八十七分寸の千七百五」の類の書き方は、整寸のほかになお一つの分数を帯びることをいい、分母は前にあり分子は後にある——すなわち七および二一八七分の一七○五寸である。

立夏中影長二尺五寸三分。小滿中影長一尺九寸九分。律中仲呂,律長六寸二萬九千六百八十三分寸之一萬二千九百四。芒種中影長一尺六寸九分。夏至中影長一尺五寸。律中蕤賓,律長六寸八十一分寸之二十六。

立夏は日中の影の長さ二尺五寸三分。小満は影の長さ一尺九寸九分、律に仲吕に中り、律管の長さ六寸および二万九千六百八十三分寸の一万二千九百四。芒種は影の長さ一尺六寸九分。夏至は影の長さ一尺五寸で、一年中で最も短く、これより後日影は転じて増長する。律に蕤賓に中り、律管の長さ六寸および八十一分寸の二十六。十二律のうち、黄鐘・太簇・姑洗・蕤賓・夷則・無射は六陽律、大吕・夾鐘・仲吕・林鐘・南吕・応鐘は六陰吕で、陰陽相間にして順に十二箇月に分配される。

小暑中影長一尺六寸九分。大暑中影長一尺九寸九分。律中林鐘,律長六寸。立秋中影長三尺五寸三分。處暑中影長三尺二寸六分。律中夷則,律長五寸七百二十九分寸之四百五十一。

小暑は日中の影の長さ一尺六寸九分で、芒種と相同じい。大暑は影の長さ一尺九寸九分、律に林鐘に中り、律管の長さ六寸。立秋は影の長さ三尺五寸三分。処暑は影の長さ三尺二寸六分で、穀雨と相等しく、律に夷則に中り、律管の長さ五寸および七百二十九分寸の四百五十一。林鐘の管長六寸はちょうど黄鐘九寸の三分の二で、これがまさに「三分損益」の生律の法である。黄鐘を三分してその一を去れば林鐘を得、林鐘を三分してその一を益すれば太簇を得、このごとく輾転相生して、十二律は順に成る。

白露中影長四尺二寸五分。秋分中影長五尺三寸七分。律中南呂,律長五寸三分寸之一。寒露中影長六尺六寸七分。霜降中影長八尺一寸七分。律中無射,律長四寸六千五百六十三分寸之六千五百二十四。

白露は日中の影の長さ四尺二寸五分。秋分は影の長さ五尺三寸七分で春分と相等しく、律に南吕に中り、律管の長さ五寸および三分寸の一。寒露は影の長さ六尺六寸七分。霜降は影の長さ八尺一寸七分、律に無射に中り、律管の長さ四寸および六千五百六十三分寸の六千五百二十四。秋分の影長は春分と相等しく、寒露は驚蟄と相等しく、霜降は雨水と相等しい——二分前後の日影もまた両両対称するを見るべし。

立冬中影長九尺八寸。小雪中影長一丈一尺二寸。律中應鐘,律長四寸二十七分寸之二十。大雪中影長一丈二尺四寸三分。

立冬は日中の影の長さ九尺八寸。小雪は影の長さ一丈一尺二寸、律に応鐘に中り、律管の長さ四寸および二十七分寸の二十。大雪は影の長さ一丈二尺四寸三分。さらに下ればまた冬至に帰り、影長は再び一丈三尺に長く、一年の影長はこのごとく周りて復始する。

候影法:先定南北,使正樹八尺表為勾,臥股一丈四尺。按其歷氣,日中視影與歷合則吉,不合則凶。日影中,年短於氣歷舊影,則為日行上道;與歷同,為行中道;長於舊影為行下道。行上道太平,行中道昇平,行下道為霸世也。

日影を測候する方法。まず南北方向を定准し、端正に八尺の高さの表竿を竪てて「勾」とし、一丈四尺の尺を横臥させて「股」とする。暦書の載する各節気の影長に按り、正午に日影を観察し、暦書と相合すれば吉、合わなければ凶。日中の影長は、もしこの年が暦書の旧載の影長より短ければ、太陽が「上道」を行く。暦書と相同じければ「中道」を行く。旧影より長ければ「下道」を行く。太陽が上道を行けば天下太平を主り、中道を行けば時世升平を主り、下道を行けば覇主が道に当たる世である。

候氣法:截十二竹及銅為律管,口徑三分,各如其長短。埋於室中,實地依十二辰次之,上與地平,以葭莩灰實律中,以羅觳覆上。律氣至,吹灰動觳,小動為和,大動為君弱臣強,不動為君嚴暴之應也。

候気の方法。竹管と銅管を截取して合計十二支の律管を作り、管口の内径は三分で、各々前に列した長短に依って制作する。それらを密室の中に埋め、十二地支の方位に依って実地に排列し、管口を地面と相平らかにし、管内には蘆葦の内膜を焼いた葭莩灰を実め、その上に疎らな絹羅を一層蓋う。ある一律の属する節気の気が到来すれば、灰を吹き動かして絹羅を顫動せしめる。灰が微かに動くは和順、動きが大き過ぎるは君弱く臣強し、全然動かざるは君主の厳酷・暴虐の応験である。

其律聲有清濁,吹之以聽其音,以知世之和與不和。是故西戎猶解聽律,以辨國中。國有聖人,有聖人則東風應乎律矣。

各支の律管の発する声は清あり濁あり、吹奏して音色を聴辨すれば、時世の和順か否かを知ることができる。ゆえに西方の戎人すらも聴律を懂え、もって中原の国中の情形を判断する。国中に聖人あれば、東風が律管と相応する。

又,詩序稱:聲成文謂之音。世有治亂,音有哀樂,人君宰相須深察之。律應早晚,和與不和,乃史官之要事也,皆繫之於日行,故錄附於此,以示一隅。今史官傅仁均、薛頤等,並不考用影律,尸素之流也。

ほかに《毛詩序》にいう。声音が組み合わさって文采を成すを「音」と呼ぶ。時世に治あり乱あれば、音声に哀あり楽あり——人君と宰相は必ず深く体察を加えなければならない。律気の候に応ずる早晚・和与不とは、すなわち史官の要務である。これらは皆太陽の運行に係る。ゆえにここに附録し、一隅を挙げてその余を示す。当今の史官の傅仁均・薛頤などは、一概に影長と律管を考求せず、皆尸位素餐の輩である。

京房曰,日月行房乘三道,太平行上道,昇平行中道,霸世行下道。日不可視,以宿度影晷推之可知,影短則行上道矣。列宿當有道之國,日月過則光明,人君吉昌,民人安寧。日或黑或赤或黃,有軍軍破,無軍喪侯王。若人君不聞道德,其臣亂國背上,則日赤。

京房にいう。日月が房宿を経行するは、各々上・中・下の三道の一に乗る。天下太平ならば上道を行き、時世升平ならば中道を行き、覇主が道に当たれば下道を行く。太陽は直視できないから、それが在る宿度と日影をもって推算すれば知ることができ、影が短かければすなわち上道を行く。二十八宿の中、およそ有道の国に対するあの宿は、日月が経過するとき格別に光明で、人君の吉慶・昌盛、百姓の安寧を主る。太陽はあるいは黒を発し、あるいは赤を発し、あるいは黄を発す。もし軍隊が外にあれば軍隊の敗破を主り、軍隊が外になければ諸侯王に喪あることを主る。假如人君が道徳の言を聴聞せず、臣下が国政を扰乱し君上に背叛すれば、太陽は赤色を呈する。

劉向《洪範五行傳》曰:漢成帝河平九年正月二日朝,日出如血無光,漏上四刻五刻,乃頻有光,照地赤黃,食後乃復。是時成帝無道德,後宮趙氏亂於內,外家王氏擅權,遂至國亡也。

劉向《洪範五行伝》にいう。漢成帝河平九年正月初二の早朝、太陽は升る時、血のごとく紅く光芒がなかった。漏刻が四刻・五刻に上るまで、ようやく屡々光を透出し、地上に照らして赤黄色を呈し、早飯の時分を過ぎてから正常に回復した。当時成帝は道徳なく、後宮の趙氏姉妹は内に在りて政を乱し、外戚の王氏は外に在りて権を専らにし、終に亡国に致らしめた。

若臣逆君法,日赤如火,其國遂矣,國亡也。若臣逆君法,日赤如火者,其國內亂。若陰沉日月無光,晝不見日,夜不見星,皆有雲障之而不雨,此為君臣俱有陰謀,兩敵相當,陰相圖議。

もし臣下が君主の法度に違逆すれば、太陽は火のごとく紅く、その国家はこれによって敗壊し、亡国に至る。又一説。臣下が君法に違逆すれば太陽は赤紅にして火のごとく、その国家に内乱の発生を主る。もし天色が陰沈し、日月ともに光なく、昼は太陽を見ず夜は星星を見ず、皆雲に遮蔽されてしかも雨を降らさざれば、これは君と臣が各々陰謀を心に懐くを主る。もし両軍の対塁の時に出現すれば、双方が暗中に互いに図謀・算计しているのである。

若晝陰,夜月出,君謀臣。若夜陰,晝日出,臣謀君。若日濛濛,並無光,士卒內亂。日出一竿無光曜者,其月有三死,若有憂。若人君宰相不從四時行令,刑罰不時,大臣奸謀,離賢蔽能,則日月無光並見瑕謫,不改其行,其國五穀不成,六畜不生,人民上下縱橫,盜賊並起。

もし白天が陰晦し、夜に月が反って出れば、君主が臣下を図謀するを主る。もし夜が陰晦し、昼に太陽が反って出れば、臣下が君主を図謀するを主る。もし太陽が昏蒙にして明るからず、全く光輝なければ、士卒が内部に作乱するを主る。太陽が升ること約一竿の高さにして光芒なければ、その月に三重の死喪あるか、または憂患の事あるを主る。もし人君と宰相が四時に依って政令を頒行せず、刑罰の施用が時宜に合わず、大臣が暗に奸謀し、賢者を疏遠し能人を埋没せば、日月は光輝を失い斑点・瑕疵を現す。もしなお行事を改めざれば、その国家は五穀熟せず、六畜繁せず、百姓は上下横行して序なく、盗賊は一斉に興起する。

日出無光曜者,主病,一曰:主有負於臣,百姓有怨心。日失色,所臨之國不昌。日晝昏,行人無影,至暮不止者,上刑下急,民不聊生。不出一年,必有大水,下田不收。

太陽が出て光芒なければ、君主の生病を主る。另一説。君主が臣下に負う所あり、百姓が心に怨を懐くを主る。太陽が本色を失えば、それが照臨するあの国家が昌盛し得ないを主る。白昼が昏暗し、行人が路を歩んで影子なく、傍晚に至るまでなお止まなければ、上が刑を用うるに厳酷にして下が催逼するに急切で、百姓は生活する能わざるを主る。一年を出でず、必ず大水を発し、低窪の田地は顆粒の収穫なし。

日晝昏,烏鳥群嗚,國失政,臣持政。日無雲不見光,比三日,為大喪,必有滅國。日中烏見,主不明,為政亂,其分國有白衣會,大旱。三足烏出在日外,天下大國受殃,戴麻森森,哭聲吟吟。

白昼が昏暗し、烏鴉が群集して鳴けば、国家が政柄を失い大臣が朝政を把持するを主る。天上に雲なくして太陽に光芒見えず、連続三日なれば、大喪あるを主り、必ず国家の滅亡あるべし。日面の中に烏形を現ずれば、君主不明・政事昏乱を主り、それが対応する分野の国家に喪事の会あるべく、かつ大旱——「白衣会」とはすなわち喪事の聚会を指す。三足烏が日輪の外に出現すれば、天下の大国が殃を受け、人々頭に麻布を戴き、一片森森として、哭声呜咽して絶えざるを主る。

日光明盛,萬物不得視其體,猶人君之尊,權勢不可窺逾。今日無光,人皆見其體貌,將有伺察神物者焉,人君失其威柄之象,特宜修德政以禳之。

太陽の光明が盛大なるは、万物が皆その形体を直視し得ない——ちょうど人君の尊厳にして、権勢が窺測・僭越を容れざるがごとし。今太陽が光芒を失い、人々皆その形貌を看清し得るは、将に人の神器を窺伺・窃取せんとする徴候あり、人君が威権を喪失する象徴で、殊に応に明徳の政を修めてもってそれを禳解すべきである。

日中有火光氣現者,其國君左右大臣欲反。夫祭天不順,茲謂逆祀。日中有黑子、黑雲,若青若黃赤,乍二乍三,天子崩。按《晉中興書》云:昇平三年十月丙午,日中有黑子,大如雞子,俄而孝宗崩。晉太和四年十月乙未,日中有黑子如李。至八年十一月己酉,天子廢為海西公。

日面の中に火光の気を現ずれば、その国家の君主の左右の大臣が反叛を図謀するを主る。これもまた祭天が次序に合わざるより来たる——「逆祀」と呼ぶ。日面の中に黒子または黒雲を現じ、あるいは青くあるいは黄赤く、忽ち二つ忽ち三つとなれば、天子の駕崩を主る。《晋中興書》の記載に按るに。升平三年十月丙午、日中に黒子を現じ、大きさ鶏蛋のごとく、まもなく孝宗は駕崩した。晋・太和四年十月乙未、日中に李子ほどの大きさの黒子を現じた。八年十一月己酉に至り、天子は廃黜されて海西公となった。

若日足白者,有破軍敗將,諸侯王敗退。日足白者,日影屬地而純白也。日上有黃芒,天下攻戰。日消小,所當國君死。日中分,其國亡。

もし太陽の「足」が白色を呈すれば、軍隊が撃破され将領が打敗し、諸侯王が敗退するを主る。いわゆる日足白とは、日光が垂れ射して地面に連接して純白色を呈するをいう。太陽の上方に黄色の芒気あれば、天下が互いに攻戦するを主る。太陽の形体が消損して小さくなれば、それが対応する国の国君が死亡するを主る。太陽が中から裂けて両半に分かれれば、その国家の滅亡を主る。

日夜半見,天下不安,是謂陰明,天下大兵,洪水流行。日再出再沒,國亡君死,有兵,主降於臣,天下亡。日出非其所,天子失國,政令不行。

太陽が半夜に出現すれば、天下不安を主り、これを「陰明」と呼び、天下が大いに干戈を動かし、洪水が泛濫・流行するを主る。太陽が二度升り二度落ちれば、国亡び君死し、兵禍興起し、君主が臣下に降服し、天下が淪亡するを主る。太陽が升るべからざる方位から升れば、天子が国家を失い政令が通行せざるを主る。

兩日並出,諸侯有謀,是謂滅亡。天下用兵,無道者亡。兩日並照,是謂陽明。假主抗衡,天下有兩王並爭。眾日並見,天下裂分,百官各設,法令不一。王者並出,言天子多也。汲冢書曰:甲居於河曲,天有祅孽。

二つの太陽が同時に出現すれば、諸侯が不軌を図謀するを主り、これを滅亡の象と呼ぶ。天下が兵戈を動用し、無道の一方が滅亡する。二つの太陽が一同に照耀すれば、これを「陽明」と呼び、偽主が真主と抗衡して、天下に二つの王が并立して相争うを主る。許多の太陽が一同に出現すれば、天下の分裂を主り、各所が自ら百官を設け、法令が統一し得ない。いわゆる王者并起とは、天子を称する者が多いをいう。《汲冢書》にいう、「甲が河曲に居り、天に妖孽あり」と。

十日並出,日象似日形耳,非正如日也。兩軍相當,數日並出,當分營以應之。日斗者,日中三足烏見,常在日出至食時候之。或離而復合,白日與黑日斗,其國相攻,天下有兵,不出三年,天下大飢。日斗之時,或有五色仰珥之狀,為行隊而相追凌突,皆為天子失國,為軍兵滿野。

いわゆる十日并出とは、それらは不過形が太陽に似た幻象に過ぎず、真に太陽ではない。両軍対塁の時にもし幾つかの太陽が一同に出現すれば、応に営塁を分立して応対すべきである。いわゆる「日斗」とは、日面の中に三足烏が出現することを指し、通常は日出から早飯までの間にそれを観察する。あるいは両日が分離してまた合攏し、白日と黒日が相斗えば、その両国が互いに攻伐し天下に兵禍あるを主り、三年を出でず、天下大飢。日斗のとき、あるいは五色の仰珥形の雲気を現じ、行列を排して互いに追逐・衝撞すれば、これらは皆天子の失国・兵馬が原野に遍布するを主る。

日病主病,日赤黃是也。月死主死,日赤紫色是也。月並出,中國有兩主立。日月並見,是謂滅亡。天下兵起,國將亡。

太陽に病あれば、君主の生病を主り、すなわち日色が赤黄の情形である。月が晦死すれば、死喪あるを主り、すなわち日色が赤紫の情形である。二つの月が一同に出現すれば、中国に二つの君主が并立するを主る。日と月が同時に天上に出現するは、これを滅亡の象と呼び、天下に兵起り国家は将に亡びんとするを主る。

日月並見,相去數寸,臣下作亂,滅其國主也。日月大星,並出晝見,是謂爭明,大國弱,小國強,有立侯王。日月星俱見有者,天子不能禁制臣下,政令不行,大國亡。

日月が同時に出現して相距ることわずか数寸なれば、臣下が作乱しその国君を殺滅するを主る。太陽・月と大星が一同に白天に出現するを、これを「争明」と呼び、大国が転じて弱く小国が転じて強く、将に新立の侯王あらんことを主る。日・月・星の三者が一斉に出現すれば、天子が臣下を約束し得ず政令が通行せず、大国の滅亡を主る。

日入月中,不出九十日,兵大起,易法令,金鐵貴三倍。二旬而正,主病,不則將軍去,后死。日見月中,人主死。朔日日赤是也。月與日並照,日中光不盛,后妃持政。

太陽が月の中に入れば、九十天を出でず、大いに兵戈を起こし、法令を更改し、金鉄の価銭は三倍に漲る。もし二十天内に正常に回復すれば、君主の生病を主る。然らざれば将軍が職を去り、随いて死亡する。太陽が月の中に出現すれば、人主の死亡を主り、すなわち初一の日に太陽が紅を発する情形である。月と太陽が一同に照耀して日の中の光が盛んならざれば、后妃が朝政を把持するを主る。

日月旁気占第五

淳風按:夫氣者,萬物之象,日月光明照照之使見。是故天地之性,人最為貴,其所應感亦大矣。人有憂樂喜怒誠詐之心,則氣隨心而見。日月照之以形其象,或運數當有,斯氣感占召,人事與之相應,理若循環矣。

李淳風按す。いわゆる「気」とは、万物が天空の中に顕す形象で、日月の光明の照耀に憑って初めて見るべきものとする。天地の生ずる物は人を最も貴しとするから、それゆえ人の感応する気もまた最も大きい。人の心中に憂愁・喜楽・悩怒・誠実・詐偽の種種の情態あれば、気は人心に随って顕現し、日月がそれを照らせば各種の形象を顕す。あるいは気運・数術がもとよりしかるべきもので、ここにこの気が感召して生じ、人事とそれが彼此相応じる——その中の道理は循環・往复のごときである。

風雨氣見於日月之旁,三日內有大風,遠至七日內,大雨久淫者為災,無此風雨之應也。七日內無風雨之後,乃可論災祥耳。

もし風雨の気が日月の旁に出現すれば、三天以内に大風あり、遠ければ七天以内に大雨あり。久雨が災を成すは、ただこの風雨本身の徴候で、また別に他の占応あるではない。七天以内に並びて風雨の出現せざるを待って、然る後にこれらの気をもって災祥を論断すべきである。

一曰冠氣。青赤色立在日月之上,冠帶之象也。天子當立侯王,封建親戚,授之茅土以為蕃屏。白則有喪,赤則有兵。

第一種を「冠気」と呼ぶ。青赤色の気が日月の上方に竪立するは、冠を戴き帯を係くる象徴である。天子が将に侯王を冊立し、親族を分封し、彼らに茅土を授けて屏藩とせんことを主る——古代の分封では方位に按って五色土を取り、白茅をもって包みて受封者に授けた。ゆえに「授之茅土」と称す。もし気色が白を発すれば喪事を主り、赤を発すれば兵事を主る。

二曰戴氣。青赤色橫在日月之上,而小隆起,其分當有益土進爵推戴之象,亦為福佑之象。黑則有病,青則多憂。(五色鮮明黃潤為吉。此純赤、純黑、純白、純青為凶色。)三曰珥氣。青赤短小,在日月之旁,纓珥之象也。其色黃白,女主有喜。日朝有珥,國主有進幸之事。其不可行,女主戒之。純白為喪,間赤為兵,問青為疾,間黑為水,間黃為喜。他皆仿比。有軍而珥為喜,兩軍相當,軍欲和解,所臨者喜。在日西,西軍勝;在日東,東軍勝。南北亦然。敗處可知也。無軍而珥,為拜將。日有四珥,天子立侯王,有子孫之喜,期不出三年。日有六珥,其分有喪。若有赤雲掩日,下有亡國。

第二種を「戴気」と呼ぶ。それは青中に赤を帯びた色を呈し、日・月の上方に横陳し、中間は微かに隆起する。それが対応する分野の地は、当に土地を増封し爵位を晋升し、衆人が擁戴する事あるべく、また上天が降福・護佑する徴象である。気色が黒を発すれば疾病を主り、気色が青を発すれば憂患繁多を主る。(雲気が五色鮮明にして黄色の潤沢を帯びるは皆吉象。ここに言う純赤・純黒・純白・純青は皆凶色に属す。)第三種を「珥気」と呼ぶ。それは青中に赤を帯び、形状は短小で、日・月の両旁に出現し、冠纓の上に垂れた耳飾りのごとし。気色が黄白のものは后妃・女主に喜慶の事あるを主る。太陽が早朝に珥気を現ずれば、国君が進用・寵幸する人の事あるを主る。もしこの事が施行すべからざれば、女主はこれがために戒惧すべし。純白色は喪事を主り、赤色を夾雑すれば兵事を主り、青色を夾雑すれば疾疫を主り、黒色を夾雑すれば水災を主り、黄色を夾雑すれば喜慶を主り、その余の各色は皆この例に照らして類推する。軍隊が外にあって珥気を現ずるは喜兆。両軍が対峙する時に出現すれば、軍中に和解する意あるを説明し、珥気の靠近するあの一方に喜あり。珥気が太陽の西にあれば西辺の軍隊が勝を取り、太陽の東にあれば東辺の軍隊が勝を取り、南北両方もまたこれに照らして推し、どちらの一方が敗北するかもまた知るべし。軍事行動なくして珥気を現ずれば、将帥を拝授するを主る。太陽に四道の珥気あれば、天子が侯王を冊立し、かつ子孫が添丁する喜事あるを主り、期限は三年を出でず。太陽に六道の珥気あれば、その分野の地に喪事あるを主る。もしまた赤色の雲気が太陽を遮掩せば、その下に必ず亡国の禍あり。

四曰抱氣。青赤而曲,向日抱扶。抱,向就之象也。日月旁有抱,鄰國臣佐來降,亦有子孫之喜,臣下忠誠以輔之象也。五曰背氣。青赤而曲,向外為背,背叛乖逆之象。其分有反城叛將,邊將欲去,善防之。六曰玦氣。青赤,曲向外,中有橫枝似山字,玦傷之象也。君臣不和,上下玦傷。兩軍相當,所臨者敗,有軍必戰。七曰直氣。青赤色,一丈餘,正立日月之旁,直立之象也。其分有自立者。

第四種を「抱気」と呼ぶ。それは青中に赤を帯びて彎曲の形を呈し、彎口は日・月に朝向し、双腕の環抱・扶持するごとき様である。いわゆる「抱」とは、趨向・帰附の徴象である。日・月の旁に抱気が出現すれば、隣国の臣属が来たり帰降するを主り、また子孫添丁の喜事あるを主り、臣下が忠誠に君主を輔佐する象徴である。第五種を「背気」と呼ぶ。同じく青中に赤を帯びて彎曲するが、彎口が外に向かうを「背」と呼び、背叛・乖違・忤逆の徴象である。その分野の地に城を拠って反叛する将領あり、辺地の守将もまた離去の心あり——よく防備すべきである。第六種を「玦気」と呼ぶ。青中に赤を帯び、彎曲して日月に背向し、中に別に一道の横枝が伸出し、形状は「山」の字のごとく、玉玦の残欠・彼此傷損の徴象である。それは君臣不和・上下が互いに残害するを主る。両軍対峙の時、玦気の臨近するあの一方が戦敗する。軍隊が外にあれば、必ず交戦するを要す。第七種を「直気」と呼ぶ。青中に赤を帯び、長さ一丈あまり、笔直に日・月の旁に竪立し、挺身自立の徴象である。その分野の地に自立して王となる人が出現する。

八曰交氣。青赤色,狀如兩直相交,淫悖之象也。人生有淫悖之行,則有此氣。常以九月上旬兩日候之,日月旁有交赤雲,其下有兵。九日提氣。日月四旁有赤雲曲向,名曰四提。提似珥而曲,不出其年,兵起,王者死,赤為亡地,有自立者。一雲氣形如三角,在日四方,為提。

第八種を「交気」と呼ぶ。青中に赤を帯び、形状は两道の直気が交叉相錯するごとく、淫乱・悖逆の徴象である。人間に淫乱・悖逆の行為あれば、天上にこの種の気が出現する。通常は九月上旬に二日を選んで観測し、日・月の旁にもし交錯する赤色の雲気あれば、その下の地に兵事あるべし。第九種を「提気」と呼ぶ。日・月の四周に赤色の雲気が彎曲して相向かうを「四提」と呼ぶ。提気は珥気に似て彎曲を帯び、出現の後当年を出でず、兵事興起し君王は身を死す。気色が赤を発すれば国土の喪失を主り、かつ自立して王となる者あり。另一説。この種の気は形状が三角に似て、太陽の四方に出現すれば、すなわち「提」と呼ぶ。

十曰纓紐承履。氣青赤色,在日下。上曲為纓,下直立為履。在日下兩邊,交曲而雙垂為紐,皆喜氣也。人君將有納女寵之象也。氣如半暈,在日下為承。承者,臣承君也,為君臣相承有喜。青赤氣橫直在日上下者為格。格者,格鬥之象也。日冠而珥,君有私事,在珥之所處,處東在東。他皆仿此。日戴而珥,天子有喜賀子孫之事。抱為和親,日多抱珥,則國中歡喜而和洽。若一抱兩背而玦,是謂大疫。軍眾在外,將有反者。日有背玦,四直交在其中,臣欲為邪。有芒刺,中青外赤,為逆,外青無芒,為謀。此數見,國家凶。抱而且背,不和之象。順逆相參,明者勝,抱明久順勝。他皆仿此。凡有抱者以攻戰,從抱擊之者勝,芒外刺者中人勝,芒內刺者外人勝,皆以象類為法也。

第十類を「纓・紐・承・履」と呼ぶ。この一類の気は青赤色を呈し、太陽の下方に出現する。上端が彎曲するを「纓」と呼び、下端が笔直に竪立するを「履」と呼ぶ。太陽の下方の両側で交錯・彎曲し、双々して下垂するを「紐」と呼ぶ。それらは皆喜気に属し、君主に将に寵妃を納娶する事あらんことを主る。気の形状が半箇の日暈のごとく太陽の下方に位するを「承」と呼ぶ。承とは、すなわち臣子が君主を承奉するで、君臣上下が彼此承接して喜慶あるを主る。青赤色の気が太陽の上下に横陳または直貫するを「格」と呼ぶ。格とは、すなわち格闘相争の徴象である。太陽の上に冠気あり旁にまた珥気あれば、君主に私下の事あるを主り、事は珥気の在る方位に発生する——珥が東方にあれば事は東方に応じ、その余の方位は皆これに類推する。太陽の上に戴気あり旁にまた珥気あれば、天子に子孫を慶賀する喜事あるを主る。抱気は和親・修好を主り、太陽の周囲に抱気・珥気多ければ、国中は歓欣にして上下和洽す。もし一道の抱気・两道の背気にさらに玦気を加えれば、これを「大疫」と呼ぶ。軍隊が外にあれば、反叛の人あるべし。太陽に背気・玦気を現じ、また四道の直気がその中に交錯すれば、臣下が邪僻の事を行わんとするを主る。気の上に芒刺を生じ内は青く外は赤きは叛逆を主り、外に青色を呈して芒刺なきは暗中の図謀を主る。この類の気象が屡々出現すれば、国家に凶禍あり。既に抱気ありまた背気あれば、上下不和の徴象である。順象の抱気と逆象の背気が交雑して並び見えるとき、どちらか一方が明亮なればその一方が勝を取る。抱気が明亮にして且つ久しく散ぜざれば、順の一方が勝を取る——その余は皆これに類推する。およそ抱気あるは、用兵作戦のとき抱気の方向に順って攻撃すれば勝を取り得る。芒刺が外に向かうは気中の一方の人が勝を取り、芒刺が内に向かうは気外の一方の人が勝を取る——これらは皆気象の形態に按り類比して占法を立てたものである。

十一日暈氣。暈周而匝,中赤外青,軍營之象也。對敵有暈,厚而鮮明久留者勝,在東東勝,他仿此。無軍在外而有此氣,天子失御,人民多叛。日月皆暈,共戰不合,兵罷。日以庚子暈,有赦令。日有青暈,不出旬日有大風,糴貴,人民多為病凶。日有黑暈,災在用事之臣。日暈七日無風雨,兵大作。不可起兵,眾大敗。日暈而珥,宮中多事,後宮忿爭。七日不雨,審察宮中。日暈而珥,立侯王,人有謀。軍在外,外軍有悔。日暈且珥如井干,國亡以兵亂大戰。一珥為一國兵戰,二珥為二國兵戰,以珥為數,日暈珥,貴人有罷,國有謀反,亦為拜將。

第十一類を「暈気」と呼ぶ。暈気は日月を環繞して一周し首尾が閉合し、内圈は赤色・外圈は青色で、軍営の環衛の徴象である。敵と対陣する時に日暈が出れば、暈気が濃厚・鮮明にして且つ久しく散ぜざる一方が勝を取る。暈が東方にあれば東方が勝を取り、その余の方位はこれに類推する。軍隊が外にないのにこの種の気を現ずれば、天子が駕馭の権を失い百姓に叛離多きを主る。日・月が同時に暈あれば、双方は一地に共処すれど交戦せず、兵事は罷息するを主る。太陽が庚子日に暈気を現ずれば、赦令を頒布せんことを主る。太陽に青色の暈あれば、十天を出でず大風あり、米価騰貴し、百姓は疾病に染する者多く、凶を主る。太陽に黒色の暈あれば、災禍は権を当て事を用うる大臣の身に落ちる。日暈の後七天以内に風雨なければ、兵事大いに起るを主る。この時発兵すべからず、発兵すれば軍衆大いに敗す。日暈がまた珥気を生ずれば、宮中に事多く後宮の嬪妃が忿争するを主る。もし七天下雨せざれば、仔細に宮中の事を察訪すべし。日暈がまた珥気を生ずれば、侯王を冊立するを主り、また人の不軌を図謀するあるを主る。軍隊が外にあれば、外出の軍隊に悔咎あるべし。日暈が并せて珥気あり、形状が井欄のごとく方正なれば、国家が兵乱・大戦によって覆亡するを主る。一道の珥気は一国の交兵を主り、两道の珥気は両国の交兵を主り、珥気の道数に按って国数を計る。日暈が珥を帯びれば、貴人が罷黜せられ、国中に人の謀反するあり、また将帥を拝授するを主る。

十二曰負氣。負氣者,青赤如小半暈狀而在日上則為負,負者得地,為喜。日重暈四負,殃大,如內亂,三日雨,不占。戟氣者,青赤氣長而斜倚日旁,為戰戈戟相傷之象。日暈且有冠,且有戴,天下立侯王。若自立者,其分必有益土。日暈而有戴,若拜謁、立諸侯,德令矣。

第十二類を「負気」と呼ぶ。いわゆる負気とは、青赤色にして形は小半箇の日暈のごとく太陽の上方に位する気で、これを「負」と呼ぶ。負気の出現は土地の開拓を主り、喜兆である。太陽に両重の暈ありまた四道の負気を帯びれば、災殃の重大を主り、内乱の象のごとし。もし三天以内に雨降れば、占断を作さない。いわゆる「戟気」とは、青赤色の気が長長と太陽の旁に斜倚するで、交戦の時戈戟が相互に刺傷する徴象である。日暈の上に既に冠気ありまた戴気あれば、天下が侯王を冊立せんとするを主る。もし人の自立して王となるあれば、その分野の地は必ず疆土を増拓する。日暈の上に戴気あれば、将に朝覲・拝謁し諸侯を冊立する事あるを主り、また恩を施す徳政の号令を頒行するを主る。

日暈有抱,抱為順,日月之旁,王者有喜,子孫吉昌,政令行。兩軍相當,有抱者勝。日暈抱珥,上將易。日暈而背,兵起其分,失城背焉,逆有降、反城。背在東,東有叛;在西,西有叛。他仿此。蓋兩軍相當,背所在方敗,無背者勝。背者逆也。日暈中有璚為不順,與背同。人臣不忠,為外其心,君臣乖離。其國兵起,若有逃臣。

日暈の上に抱気あれば、抱は順従を主る。それが日・月の旁に出現すれば、君王に喜慶あり子孫は吉祥・昌盛し、政令は通行して阻なしを主る。両軍対峙の時、抱気ある一方が勝を取る。日暈が抱気と珥気を帯びれば、上将の更替を主る。日暈にして背気を生ずれば、背気の在る分野が兵事を興起し、城池を失守し朝廷を背棄する事あるべく、叛逆の中にも出降する者と城を拠って反叛する者とあり。背気が東方にあれば東方に叛乱あり、西方にあれば西方に叛乱あり——その余の方位はこれに類推する。大凡両軍対峙に、背気の在るあの一方が戦敗し、背気なき一方が勝を取る——「背」とはすなわち違逆だからである。日暈の中に璚気あれば、順従せざるを主り、占断は背気と相同じい。臣下が忠ならず心思が外に向かい、君臣が心を離れ徳に背き、その国は将に兵事を興起せんとし、あるいは臣子の出逃するありを主る。

日暈而玦,兩軍相當,所臨者敗。內外同,軍玦戰。日暈而有直氣在兩旁,其國有自立諸侯王者,封賞左右。兩軍相當,有直者勝。日暈四提,必有大將出亡。日暈而有背,抱珥直而虹貫之,宜從虹而擊之。日暈有背者,有軍不合戰,將有叛。內外同,在內為內,在外為外。

日暈にして玦気を生ずれば、両軍対峙の時、玦気の臨近する一方が戦敗する。暈内・暈外は一様に見做し、玦気ある軍隊は必ず交戦するを要す。日暈にして両旁に直気あれば、その国に自立して諸侯王となる人あり、かつ左右の近臣に対し官を封じ賞を行うを主る。両軍対峙の時、直気ある一方が勝を取る。日暈の四周に四道の提気あれば、必ず大将の出逃するあり。日暈にして背気あり、同時にまた抱気・珥気・直気あり、かつ虹霓に貫穿せられれば、宜しく虹霓の指す方向に順って攻撃を発起すべし。日暈に背気を現ずれば、軍隊が外にありて交戦せざるを主り、将領の中に叛変する人あるべし。暈内・暈外は一様に見做し、背気が内圈にあれば内部に応じ、外圈にあれば外部に応ずべし。

兩軍相當,日暈而冠珥及纓者,軍和解。抱戴者有喜。日月無精光,青赤暈,虹蜺背玦在心度中,是謂大蕩。兵喪並起,當以赦除之咎。日暈而珥,有雲穿之者,天下名士死。日暈而兩珥右外,有聚雲在中與外,不出三日,城圍出戰。

両軍対峙の時、日暈の上に冠気・珥気および纓気あるは、両軍の和解を主る。抱気・戴気あるは喜事あるを主る。日・月が光輝を失い、青赤色の暈を現じ、また虹霓・背気・玦気が心宿の度数の中に聚集するを、これを「大蕩」と呼び、兵禍と喪事が一同に発生するを主り、応に大赦をもってこの災咎を消除すべきである。日暈にして珥気を生じ、また雲気がその中を穿ち過ぐれば、天下に名望ある士人の死亡を主る。日暈にして两道の珥気が右外方に偏し、暈内と暈外にともに雲気の積聚あれば、三天を出でず、城池は将に囲困せられて出城して交戦せんとするを主る。

日月暈,仰視之,順臾當有雲氣從旁入者,急隨雲以攻之,大勝。日暈,有聚雲不出者,兵起三日,內城受圍。日暈,而白雲如車蓋臨日上,城降得地。日暈再重,有德之君得天下,其分有攻戰。

日・月に暈ある時に頭を擡げて仰観し、片刻の間にもし雲気が旁から暈中に侵入せば、応に急速に雲気の来る方向に順って攻撃を発起し、大勝を獲べし。日暈の内に雲気が積聚して散ぜざれば、三天以内に兵事興起し、内城が囲まるを主る。日暈の時、白雲が車蓋のごとく太陽の上方に臨圧すれば、敵城が帰降し我方が地を得るを主る。日暈に両重あれば、徳ある君が将に天下を取得せんとするを主り、その分野の地に攻戦あるべし。

日暈色青再重,外戚、親屬在內為亂,王者有憂,有亡地。日暈三重,諸侯王反,天下受兵,期三年有攻戰。日暈四重,滅。有野有反相,亡國死王。日暈五重,是謂陰謀。女主喪,其年飢。天下有兵,其地破亡。日暈六重,國失政,兵起國喪。

日暈が青色を呈して両重あれば、外戚・皇親が朝廷の内部に作乱し、君王に憂患あり、かつ国土を喪失するを主る。日暈が三重なれば、諸侯王が反叛し天下が兵禍を受くるを主り、期限三年以内に攻戦あり。日暈が四重なれば、覆滅の象を主る。郊野の間に反叛する輔相の臣出現し、国家は敗亡し君王は身を死す。日暈が五重なれば、これを「陰謀」と呼び、女主の喪亡を主り、当年飢饉し、天下に兵事あり、その地は攻破せられ敗亡す。日暈が六重なれば、国家の政事が失序し、兵事興起し且つ国喪あるを主る。

日暈七重,中國弱,戎狄強,有急使至。日暈八重,士人亂,天子傷。日暈九重,天下亡。日暈十重,天下大亡。各以其日所在辰、星宿、國分占之。

日暈が七重なれば、中原衰弱し戎狄強盛し、緊急の使者の到来あるべきを主る。日暈が八重なれば、士人が作乱し天子が傷害を受くるを主る。日暈が九重なれば、天下危亡を主る。日暈が十重なれば、天下大乱・危亡を主る。以上の各条は、皆日暈の出現したあの日に太陽の在る辰次・星宿および対応する分野の国に按って占断すべきである。

日暈再重而有兩珥,白虹貫之,天子有憂,大戰流血,橫尸遍野。日暈三重兩珥,其國有兵,亡其市邑,有相叛。日交暈,立大夫為將軍。交暈無厚薄,交爭力勢均,厚者勝,交暈居上者勝。交暈而珥,天下兵起,有兵者罷,暈而不匝者敗。有暈在東,東軍勝。兩半暈相向者,風殘五穀。日交暈,貫日,天下有破軍死將。

日暈が両重にしてまた两道の珥気あり、白虹がその中を横貫すれば、天子に憂患あり、将に大戦・流血し屍が野に横たわらんことを主る。日暈が三重して两道の珥気あれば、その国に兵禍あり城邑を喪失し、かつ輔相の臣が叛離するを主る。両重の日暈が交錯して相接すれば、大夫を提拔して将軍に充任するを主る。交錯の両暈が厚薄相同じければ、交戦双方の力量が勢均することを説明する。暈気の濃厚なる一方が勝を取り、交暈の位置が上に在る一方が勝を取る。交暈がまた珥気を生ずれば、天下に兵起るを主り、已に兵事あるは将に兵を罷めんとし、暈気が環繞・閉合し得ざる一方が戦敗す。暈が東方にあれば東方の軍隊が勝を取る。二つの半暈が彼此相向かえば、大風が五穀を摧残するを主る。日が交暈して太陽を横貫すれば、天下に軍隊の潰敗・将領の戦死する事あるを主る。

日暈有一抱一背,兩軍相當,從抱擊背者勝。暈不匝空而軍敗。有赤氣如布掩日,為大戰。日月旁有懸鐘,如人臥其下,有死將。日旁有黑氣,如龍銜日,及如人背日,大將欲反。

日暈の上に一道の抱気・一道の背気あれば、両軍対峙の時、抱気の一方から背気の一方に攻撃するが勝を取る。暈気が合囲し得ず中間が空缺すれば、軍隊の敗亡を主る。赤色の気が布幅のごとく太陽を遮掩すれば、大戦あるを主る。日・月の旁に形が懸鐘のごとき雲気あり、また人が鐘の下に卧するがごとければ、将領の死亡あるを主る。太陽の旁に黒気あり、形状が竜の口に日を銜むがごとく、あるいは人が太陽に背対するがごとければ、大将が将に反叛せんとするを主る。

伏虎守日,大將軍反。四虹貫日,有人謀亂,氣赤猶甚。赤雲如人頭懸鏡,皆兵起流血之象。白虹貫日,虹蜺連結,展轉刺日,並后族悉黜,天子外戰,若兵威內奪。

形が伏虎のごとき雲気が太陽の旁に守れば、大将軍の反叛を主る。四道の虹霓が太陽を横貫すれば、人の作乱を図謀するあるを主り、気色の赤紅なるは禍を為すこと殊に甚し。赤色の雲気が形状は人頭に鏡を懸けたるがごときは、皆兵事興起・流血・傷亡の徴象である。白虹が太陽を横貫し、虹と霓が連結して一となり、反復して日面を穿刺すれば、后族・親属が全て貶黜せられ、天子が外に向かって兵を用うるか、あるいは兵権が朝内に在りて人に奪わるるを主る。

赤暈有一虹,所在將死。日月始出,有黑雲貫之,或一或二或三,不出三日,必有暴雨。有赤雲如杵,長七八尺,撞入日月,所宿國主死。日月中有人者,臣害主,兩主爭。

赤色の日暈の上に一道の虹あれば、虹の在る方位の将領が死亡するを主る。日・月が剛く升起する時、黒雲がその中を横貫し、あるいは一道・あるいは两道・あるいは三道あれば、三天を出でず必ず暴雨あるべし。赤色の雲気が形状は木杵のごとく長さ七八尺で、日・月の中に衝撞して入れば、日月の宿する星宿に対応するあの国家の君主が死亡するを主る。日・月の中に人形を現ずれば、臣下が君主を謀害し、两位の君主が相争うを主る。

日蝕占第六

夫日依常度,蝕者,月來掩之也,臣下蔽君之象。日行遲,一日行一度,一月行二十九度餘;月行疾,二十七日半一周天,二十九日餘而迫及日。及日之時,與日同道,而在於內映日,故蝕其象。大臣與君同道,逼迫其主,而掩其明。又為臣下蔽上之象,人君當慎防權臣內戚在左右擅威者。

太陽は固定の度数に按って運行する。いわゆる「日蝕」とは、月が運行して来てそれを遮掩するで、これは臣下が君主を遮蔽する徴象である。太陽は行くこと遅く、一日に一度を行き、一箇月に二十九度あまりを行く。月は行くこと速く、二十七天半で天を一繞し、二十九天あまりで太陽に追及する。太陽に追及する時、月と太陽は同じ一条の軌道に在り、しかも太陽の内側に位して日面を遮映する。ゆえに日蝕の象を形成する。これはちょうど大臣が君主と一道を同行して、自らの君主を逼迫し君主の光明を遮蔽するがごとし。日蝕はまた臣下が君上を蒙蔽する象徴である。ゆえに君主は応に身を左右に居る・威権を擅弄する権臣と外戚を謹慎して防範すべきである。

其蝕雖依常度,而災害在於國君大臣。或人疑之,以為日月之虧蝕,可以算理推窮,皆先朔知之。蝕分多少時節、早晚所起,皆如符契左右,此豈天災之意耶?夫月毀於天,魚腦滅於泉,月豈為螺蚌之災而毀其體乎?但陰陽之氣迭相感應自然耳。東風至而酒湛溢,東風非故為溢酒而來至也,風逼至而酒適溢耳,此豈不相感應者歟?若然,油水之類也。東風至,油水不溢而酒獨溢,猶天災見,有德之君修德而無咎,暴亂之王行酷而招災,豈不然也?陽燧之取火,方諸之取水,皆以象占之也。陽燧方諸銅蛤之類,將凡鏡往求而不得者,為無其象而不占也。

日蝕は固定の度数に依って発生すれども、災害は国君と大臣の身に応験する。これに対し懐疑する人あり、日・月の虧蝕は算法をもって推演・窮尽し得て、皆朔日以前に予め推知し得るとし、虧蝕の分数の多少・発生の時節・起蝕の早晚は、全て符契のごとく両相吻合する——これはどうして上天の降災の用意と言えようか。実の処、月が天上で虧損すれば魚脳は水中で消減す。月はどうして螺蚌に災害を造成せんがために自らの形体を毀損するのであろうか。不過陰陽二気が交互に感応し自然と然るのみである。東風が吹き来て美酒が壇口から溢出する——東風は特に酒を溢出せしめんがために吹き来るのではなく、ただ風が一たび逼迫すれば酒が恰好溢出するのみ。これは彼此の感応ではないか。もしこれは不過偶然と言わば、油と水は酒と同属の液体である。東風が吹き来ても油と水は皆外溢せず唯だ酒のみが溢出する。これはちょうど天災の顕現する時、徳ある君主は徳行を修養すれば災禍なく、暴虐・昏乱の君王は酷政を施行すれば災殃を招来するがごとし——これはまさにこの理ではないか。「陽燧」をもって日に向かい火を取り、「方諸」をもって月に向かい水を取るは、皆物類相感の象に依って占験する。陽燧・方諸は皆銅蛤の類の器物で、もし尋常の鏡を取って求取して求め得ざれば、それは相応の象なきがゆえに、よって占験に拠ることができない。

災之所起,起於昏亂之所,無災非朔而蝕者,名為薄蝕。凡薄蝕者,人君誅之不以理,賊臣漸舉兵而起,北陰氣盛,掩薄日光也。陰盛侵陽,臣凌其君,其分君凶,不出三年。無道之國,日月過之而薄蝕。兵之所攻,國家壞亡,必有喪禍。裴子曰:夫日者君也,月者臣也,一歲十二會,君臣相見之象。君有失德,臣下專之,故有日蝕之咎,故伐鼓,用幣,責上卿,是其禮退臣道也。

災禍の興起は、昏乱の地より起る。明顯の災異なくして非朔日に発生する虧蝕を「薄蝕」と呼ぶ。およそ薄蝕は、皆君主が誅戮を情理に合わず行い、奸賊の臣が漸々兵を挙げて起り、北方の陰気が盛大にして日光に逼近し掩蔽するを主る。陰気の強盛にして陽気を侵犯するは、すなわち臣子が君主を欺凌するで、その分野の国の君主に凶険あり、三年を出でず応験す。無道の国は、日月がその分野を経過する時に薄蝕を発生す。兵禍の攻する処は、国家敗壊・滅亡し、必ず喪禍あらん。裴子にいう。太陽は君主を象徴し、月は臣子を象徴す。一年の中に日月は十二次相会す——これは君臣相見の象徴である。君主に失徳の処あり、臣下が権柄を專擅す。ゆえに日蝕のごとき災咎あるなり。ゆえに日蝕に遇うに鼓を撃ち、玉帛を進献し、上卿を責問し、この一套の礼儀をもって臣道を抑退する。

以知君臣忠。天下太平,雖交而不能蝕,蝕即有凶。臣下縱權篡逆,兵革水旱之應兆耳。日者陽精之明,曜魄之寶,其氣佈德而生。生在地曰德,德者生之類也,德傷則亡,故日蝕,必有亡國死君之災。日蝕則失德之國亡。日蝕,則王者修德。修德之禮重於責躬。是故禹湯罪己,其興也勃焉。

これによって君臣が忠正か否かを察知し得る。天下太平の時は、日月は交雖会すれども蝕を成すに至らず。一旦蝕を成せば、凶事あり。これは臣下が権勢を放縱し・簒奪・叛逆し、および兵革・水旱の災の応験の先兆である。太陽は陽精の凝する光明・曜魄の精の珍宝で、その気は恩徳を布施して万物を生養す。この生養の功が地上に落ちるを「徳」と呼び、徳とはすなわち生養の類の作為である。徳が損傷を受ければ生機は消亡す。ゆえに日蝕を発生すれば、必ず亡国・君死の災禍を伴う。日蝕を発生すれば、失徳の国は将に滅亡せん。日蝕を発生すれば、君王は応に徳行を修養すべし。而して修徳の礼は、最も自らの身を責むるを重しとす。ゆえに大禹・成湯は皆罪を自らに帰し、彼らの興盛もまた格別に迅猛であった。

日薄蝕,色赤黃,不出三年,日蝕所當之國有喪。一曰日始出而蝕,是謂無明。齊越之國受兵亡地。凡日蝕者,則有兵有喪。失地因亡,皆以日蝕時早晚、分宿、日辰占之。日午時已後蝕者,有兵,兵罷不起。日蝕從上起,君失道而亡。從旁起,內亂兵大起,更立天子。日蝕從下起,女主自恣,臣下興師動眾失律,將軍當之。

日光が掩せられて薄蝕を成し、顔色が赤黄のものは、三年を出でず、日蝕の対応する国家に喪事あるべし。另一説。太陽が剛く升起して虧蝕を発生するを、これを「無明」と呼び、斉・越の一帯の国家は将に兵禍を受け土地を喪失せんとす。およそ日蝕を発生すれば、兵事あり喪事あり。失地乃至亡国に至るは、皆日蝕発生の時刻の早晚・所在の分野星宿および当日の日辰干支に拠って占断すべきである。日蝕が午時以後に発生するは、兵事あるを主るが、兵事は将に止息して再び興らざるべし。日蝕が太陽の上部から虧缺を始むるは、君主が道を失い国を亡ぼすを主る。旁側から虧缺を始むるは、内乱・兵事大いに起り、別に天子を立つるを主る。日蝕が太陽の下部から虧缺を始むるは、女主が放縱・專恣にして、臣下が師を興し衆を動かして軍紀に違背し、将軍の身に応験すを主る。

日蝕少半,諸侯、大臣亡國失地相逐。蝕半,有大喪亡國。蝕大半,災重,天下之主當之。蝕盡,亡天下,奪國,臣弒君,子弒父,不出三年。日蝕見星,臣弒其君,天下分裂。日蝕而暈傍珥,白雲來去掩映,天下大亂,大兵起。臣弒君,君失位。日蝕陰侵陽,君位凶,群兵動,宜施恩賞。

日面の虧缺が半分に至らざるは、諸侯・大臣が亡国・失地し彼此駆逐するを主る。虧缺が半分なるは、大喪あり亡国の禍あるを主る。虧缺が半分を過ぐるは、災情深重にして天下の主の身に応験すを主る。日面が全て食い尽くされしは、天下を喪失し国柄を奪はれ、臣子が君主を弑殺し兒子が父親を弑殺するを主り、三年を出でず応験す。日蝕の時天上に星辰を顕現せば、臣子が君主を弑殺し天下分裂するを主る。日蝕の時また暈気を生じ旁に珥気あり、白雲が来来去去して日面を遮映せば、天下大乱し大規模の兵事興起し、臣子は君を弑し君主は位を失うを主る。日蝕は陰気が陽気を侵犯するで、君位に凶険あり諸路の兵馬が躁動するを主り、この時宜しく広く恩賞を施してもって陽を扶け陰を抑ゆべし。

日蝕而旁有似白兔、白鹿守之者,民為亂,臣逆君,不出其年。其分兵起。凡日蝕之時,或有雲氣風冥暈珥,似有群鳥守日,名曰天雞,后妃謀易主位,奪其君,數視動靜,欲行其志。日蝕大風地鳴,四方雲者,宰相專權謀反之象。地震烈,日色昧而寒乃蝕者,四方正伯專誅,恣行殺逆。

日蝕の時旁に形が白兎・白鹿に似たる雲気が守護すれば、百姓が作乱し臣子が君主に忤逆するを主り、当年を出でず応験し、その分野の地に兵事を興起す。およそ日蝕の時、もし雲気・大風・天色昏暗および暈気・珥気を現じ、形状が一群の飛鳥のごとく太陽の旁に守るを、これを「天鶏」と呼び、后妃が君位を更換し君権を奪取せんと図謀し、彼女らは屡々時局の動静を窺察して自らの意図を実現せんと欲するを主る。日蝕の時大風を刮き起こし地面が鳴响を発し四方に雲気が湧起するは、宰相が権柄を專擅し反叛を図謀する徴象である。地震が劇烈にして日色晦暗にして天気寒冷、随いて日蝕を発生せば、四方の方伯が擅自に誅戮し恣意に殺伐・悖逆の事を施行するを主る。

日蝕而大寒,又在於平旦,中國大飢餓,賊盜起,夷狄動,諸侯亂。日蝕星墜而復上,君將被殺,下將窮竭,賦斂重數之應。日月俱蝕,國亡。日者,人主之象,故王者道德不施,則日為之變。

日蝕にして天気が奇寒、また恰も天の剛く亮するときなれば、中原に大いに飢饉が鬧ぎ、盗賊興起し、夷狄騷動し、諸侯作乱するを主る。日蝕の時星が墜落してまた反って升り上がれば、君主が将に殺害せられんとし、下民の財力が将に搜刮して盡きんとするを主る。これは賦税の徴斂が過重・征收が過頻の応験である。日・月が同時に虧蝕を発生すれば、国家の滅亡を主る。太陽は君主の象徴。ゆえに君王が道徳を施行せざれば、太陽はこれがために変異を発生す。

薄蝕無光。日以春蝕,大凶,有大喪,女主亡;夏蝕無光,諸侯死;秋蝕,兵戰,主人死;冬蝕,有喪,多病而疫。凡四時以王日蝕者,主死;以相日蝕者,國相死;以囚死日蝕者,臣殺君;休廢日蝕者,多病疫。

日光が掩逼せられて光輝を失う。太陽が春季に虧蝕を発生すれば大凶にして、大喪あり女主が亡故するを主る。夏季に虧蝕して光なければ、諸侯の死亡を主る。秋季に虧蝕すれば、兵戦あり主人の一方が死亡するを主る。冬季に虧蝕すれば、喪事あり疾病・瘟疫流行するを主る。およそ四季の中、五行が「王」位に処する日に逢て日蝕を発生するは君主の死亡を主り、「相」位の日に逢て日蝕を発生するは国相の死亡を主り、「囚」「死」の日に逢て日蝕を発生するは臣子が君主を弑殺するを主り、「休」「廃」の日に逢て日蝕を発生するは疾病・瘟疫の流行を主る。

日以正月蝕,人多病;二月蝕,多喪;三月蝕,大水;四月、五月蝕,大旱,民大飢;六月蝕,六畜死;七月蝕者,歲惡,秦國惡之;八月蝕者,兵起;九月蝕者,女工貴;十月蝕者,六畜貴;十一月、十二月蝕者,糴貴,牛死於燕國。其日之甲乙,一如略例中。

太陽が正月に虧蝕を発生すれば、百姓の多病を主る。二月に虧蝕すれば喪事頻仍を主る。三月に虧蝕すれば大水を主る。四月・五月に虧蝕すれば大旱・百姓の大飢を主る。六月に虧蝕すれば六畜の死亡を主る。七月に虧蝕すれば年成悪劣にして秦地の国が害を受くるを主る。八月に虧蝕すれば兵事の興起を主る。九月に虧蝕すれば女工・織物の価貴を主る。十月に虧蝕すれば六畜の価貴を主る。十一月・十二月に虧蝕すれば米価の騰貴・燕国境内の牛只の死亡を主る。日蝕当日の甲・乙等の日辰干支を如何に占断するかに至っては、一概に本書《略例》篇の列する条例に依照する。

蝕列宿占:日在角蝕,將吏耕田。臣有憂為司農之官者。國四門閉,其國凶;(月同。)日在亢蝕,朝廷之臣有謀叛;日在氐蝕,天子病崩,卿相讒諛,君殺無辜,王后惡之;日在房而蝕,王者憂疾病,有亂。又大臣專權;(月同。)日在心而蝕,君臣不相信。政令失儀度,準繩變其宜。

日蝕の所在する星宿に按って占断す。太陽が角宿に虧蝕すれば、将帥・官吏が遣われて田を耕し、臣子の中で農事を掌管する司農の官に憂患あるを主る。国都の四門は閉塞し、その国に凶あり。(月蝕が角宿にあれば、占断相同じい。)太陽が亢宿に虧蝕すれば、朝廷の臣に謀叛の心あるを主る。太陽が氐宿に虧蝕すれば、天子が病に染まり駕崩し、公卿・宰相が讒を進め媚を献じ、君主が無辜を誅殺し、王后が禍害を遭うを主る。太陽が房宿に虧蝕すれば、君王が疾病に憂い、国中に乱あり、また大臣が権を專らにするを主る。(月蝕が房宿にあれば、占断相同じい。)太陽が心宿に虧蝕すれば、君臣が互いに信任せず、政令が応有の儀則・法度を失い、法度・準縄がその本来の適宜を変乱するを主る。

日在尾蝕,將有疫,後宮中小凶;日在箕蝕,將有疾風飛砂,發屋折木,戒之於出入;日在斗蝕,將相憂,國飢兵起;(月同。)日在牛蝕,其國反叛兵起,戒在后夫人祠禱之咎;日在女蝕,戒在巫祝后妃禱祠;日在虛蝕,其邦有崩亡,天下改服;(月同。)日在危蝕,有大喪,君臣改服;日在室蝕,人君出入無禁,好女色,外戚專權;日在壁蝕,則陽消陰壞,男女多傷敗其人道,王者失孝敬,下從師友,虧文章,損德教,學禮廢矣。

太陽が尾宿に虧蝕すれば、将に疫病流行し、後宮の中に小さき凶事あるを主る。太陽が箕宿に虧蝕すれば、将に疾風・揚沙あり、屋頂を掀翻し樹木を折断し、出入・行止は皆戒備を要すを主る。太陽が南斗宿に虧蝕すれば、将・相に憂あり、国中飢饉にして兵事興起すを主る。(月蝕が斗宿にあれば、占断相同じい。)太陽が牽牛宿に虧蝕すれば、その国に人の反叛し兵事興起するあり、応に后妃・夫人の祭祀・祈禱の招き来たる過咎を戒備すべきを主る。太陽が須女宿に虧蝕すれば、応に巫祝と后妃の祈禱・祭祀の事を戒備すべきである。太陽が虚宿に虧蝕すれば、その邦国に崩壊・滅亡の禍あり、天下は将に服色を改換せんとするを主る。(月蝕が虚宿にあれば、占断相同じい。)太陽が危宿に虧蝕すれば、大喪あり、君臣皆喪服を改換するを主る。太陽が室宿に虧蝕すれば、君主の出入に禁制なく、女色を貪好し、外戚が権を專らにするを主る。太陽が東壁宿に虧蝕すれば、陽気消損し陰気敗壊し、男女の間に人倫を敗傷する事多く、君王は孝敬に失し、身を屈して師友に従い、文章・典制は虧缺し、徳教は損を受け、学校・礼儀は廃弛する。

日在奎蝕,魯國凶,邦不安,慎在人主、邊境廄庫;日在婁蝕,戒在聚斂之臣;日在胃蝕,委輸國有乏食之憂;日在昴蝕,大臣厄在獄,王者有疾,戒在主獄有犯誤天子者;日在畢蝕,將有邊將亡,人主有弋獵之咎;日在觜蝕,大將謀議,戒在將兵之臣;日在參蝕,戒在將帥。

太陽が奎宿に虧蝕すれば、魯地の国に凶あり邦国安ならず、君主本身および辺境の馬廐・倉庫の事を慎防を要すを主る。太陽が婁宿に虧蝕すれば、財貨を聚斂する臣を戒備すべきである。太陽が胃宿に虧蝕すれば、漕糧を転運する国家に糧を欠く憂あるを主る。太陽が昴宿に虧蝕すれば、大臣が困厄して獄に下り、君王に病あり、刑獄を掌管する官の中に君上に冒犯し天子を誤陷する者あるを戒備すべきを主る。太陽が畢宿に虧蝕すれば、将に辺将の敗亡あり、君主に射獵・游楽の招き来たる過咎あるを主る。太陽が觜觿宿に虧蝕すれば、大将が暗中に謀議し、応に兵を統べる臣を戒備すべきを主る。太陽が参宿に虧蝕すれば、応に将帥を戒備すべきである。

日在井蝕,秦邦不臣,畫謀不成,大旱,人流亡;日在鬼蝕,其國君不安;日在柳蝕,廚官門戶橋道之臣有憂;日在七星蝕,橋門臣憂黜;日在張蝕,山澤汙池之官有憂;日在翼蝕,王者退太常,以法官代之,有德令則蝕不為害,其歲旱,亦為王者失祀,宗廟不親,戒在主車駕之官;日在軫蝕,貴臣亡,后不安。(月同。)

太陽が東井宿に虧蝕すれば、秦地の邦が臣服を肯んぜず、謀划する事は成功能わず、大旱にして百姓流亡するを主る。太陽が輿鬼宿に虧蝕すれば、その国の国君が安ならざるを主る。太陽が柳宿に虧蝕すれば、膳食・門戸・橋梁・道路を掌管する官員に憂患あるを主る。太陽が七星宿に虧蝕すれば、橋梁・門禁を掌管する臣子が貶黜に憂うるを主る。太陽が張宿に虧蝕すれば、山林・川沢・陂池を掌管する官員に憂患あるを主る。太陽が翼宿に虧蝕すれば、君王が太常の官を罷退し、改用して執法の官をもって代え、もし恩を施す徳政の号令を頒行し得れば、日蝕は災を成さざるを主る。この年旱情あり、また君王が祭祀に失し宗廟を親奉せざるを主り、応に車駕を掌管する官員を戒備すべきである。太陽が軫宿に虧蝕すれば、貴臣の死亡・皇后の安ならざるを主る。(月蝕が軫宿にあれば、占断相同じい。)

凡日蝕者,皆著赤幘以助陽也。天子素服,避正殿,內外嚴警,太史靈臺伺日,有變,便伐鼓,聞鼓音作,侍臣皆著赤幘,帶劍以助陽,順之也。

およそ日蝕を発生すれば、群臣は皆赤色の頭巾を戴き、もって陽気を扶助す。天子は素服を身に着け、正殿を避けて居らず、宮内・宮外は厳重に警戒し、太史官は霊台上で守候して太陽を観測す。一旦日面に変あれば、即座に鼓を撃ち、鼓声の响起するを聞けば、侍臣は皆赤幘を戴き宝剣を佩帯してもって陽気を扶助す——これは天象に順応して行う礼制である。

乙巳占 巻第二

月占第七

夫月者,太陰之精,積而成象,魄質含影,稟日之光,以明照夜,佐修陰道,以之配日,女主之象也。以之比德,刑罰之義也。列之朝廷,諸侯大臣之數也。是以近日則光斂,猶臣近君卑而屈也;遠日則光滿,為其守道循法,蒙君榮華而體勢申也。當日則蝕,猶臣僭君道,而禍至於覆滅。盈極必缺,示其不可久盈也。月闕也,陰道、臣道、妻道,不可使盈,理當恆闕也。其行速,臣下之道也。行有弦望晦朔,遲疾陰陽,政刑之等威也。

月は太陰の精で、陰気が積聚して形象を成し、その魄質は本身に影質を含蔵し、太陽の光照を承受し、もって黑夜を照明し、陰道の修治を輔助す。これをもって太陽に相配すれば、すなわち女主の象徴。これを徳に比擬すれば、刑罰の意義を含有す。これを朝廷の位次に安排すれば、諸侯・大臣の行列に相当す。ゆえに月が太陽に靠近するとき光華は収斂し——ちょうど臣子が君主に靠近すれば卑退・屈己するがごとし。太陽から遠離するとき光華は盈満す——それが道を守り法に循い、君主の栄寵を蒙受して形勢が舒展し得るがゆえに。ちょうど太陽に当たる時に虧蝕を成す——ちょうど臣子が君主の道を僭越して、禍患が竟に覆滅に至るがごとし。盈満が極処に至れば必ず虧缺す。これは盈満が長久し得ざるを顕示す。「月」とはすなわち「闕」の意で、陰道・臣道・妻道は皆それを盈満さすべからず、理に按って常に虧缺を保すべきである。それは運行が迅速で、まさに臣下の奔走・趨事の道である。その運行に上弦・望・晦・朔の分別あり、遅疾・陰陽の差異あり——これはすなわち政令・刑罰の等級・威儀に相当す。

日,日行一度;月,日行十三度一千三百四十分度之四百九十四分。此平行之大率也。上元乙巳之歲,十一月甲子冬至夜半,日月如合壁,五星如連珠,俱起北方虛宿之中,合朔冬至,與日俱行,各修其度。至合正觀三年己丑之歲,積七萬九千三百四十五算上矣。推月朔置上元乙巳以來歲朔積分,(在日度中。)以月法三萬九千五百七十一。以法去之,餘以日法約之為閏大餘,不盡為閏小餘,減冬至小餘。不足減,減大餘,加日法乃減之,大餘不足減,加六十乃減之,(冬至大小餘,並在日內推也者。)餘為所求。天正十一月大小餘,命以甲子算外,則天正朔日也。

太陽は毎日一度を行き、月は毎日十三度および千三百四十分度の四百九十四分を行く——これは日月の平均行度の大概の率数である。上元乙巳のあの年、十一月甲子日・冬至の夜半の時分、日月は并合して両玉璧の合するがごとく、五星は一串の珠子のごとく排列し、一斉に北方の虚宿の中から起算した。この一刻は既に合朔でありまた冬至で、月と太陽は一同に啓行し、各々自らの度数に按って運転す。上元から本朝貞観三年己丑の歳に推して、共に七万九千三百四十五算を積得た。毎月朔日を推求する方法。上元乙巳以来の暦年朔の積分を列し(この数値は前の日度を推する章節の中に既に求め得た)、「月法」三万九千五百七十一をもってそれを除す。除し尽くした後、余る数を「日法」をもって約し、得た整数を「閏大余」とし、除し尽くせぬ零数を「閏小余」とし、さらにそれをもって冬至の小余を減ず。もし小余が減ずるに足らざれば、大余の中から一日を借り、一箇の日法の数を加えて再び減ず。大余もまた減ずるに足らざれば、六十を加えて再び減ず。(冬至の大余・小余は、皆日度を推する章節の中に一併に推出す。)余る数がすなわち求める結果で、すなわち天正十一月の大余と小余である。甲子をもって起算して本数に計入せざれば、すなわち天正十一月の朔日干支を得る。

求次月朔者。加大餘二十九,小餘七百一十一,小餘滿日法去之從大餘,一大餘滿六十去之,命日如前,則次月朔日及餘也。求上弦日。加朔大餘七,小餘五百一十二,大餘滿法去之,命如前,則天正上弦常日也。又加得望日,又加得下弦,又加得後月朔日。前朔、後朔相去二十九日七百一十一分,謂之一月。一月之中,行天一周,又行二十九度七百一十一分,而又與日一合矣。求朔日夜半月所在度者,置朔日加時日所在度,減去朔小餘,則朔日夜半月所在度矣。求次日加時夜半月度,加十三度一千三百四十分度之四百九十四分。滿日法從度,度滿宿去之,命以次宿算外,則次日夜半月所在度及分矣。

下一箇月の朔日を求む。本月の大余の上に二十九を加え、小余の上に七百十一を加え、小余が一箇の日法に満てば日法を減じて大余に一を進め、大余が六十に満てば六十を減じ、干支を命ずる方法は前と同じくして、すなわち下月の朔日およびその余分を得る。上弦の日を求む。朔日の大余の上に七を加え小余の上に五百十二を加え、大余が六十に満てば減じ、命法は前と同じくして、すなわち天正上弦の常日である。再びこれに照らして一度加えれば望日を得、再び一度加えれば下弦日を得、再び一度加えればすなわち下月の朔日を得る。前一箇の朔と後一箇の朔の相距は二十九日および七百十一分——これを「一月」と呼ぶ。この一箇月の内に、月は天を一繞し、また多く二十九度七百十一分を行き、ここにおいて再び太陽と相会す。朔日の夜半の時に月の所在する度数を求める方法。朔日・加時の太陽の所在する度数を取り、朔小余を減じれば、すなわち朔日夜半の月の所在する度数である。次日の夜半の月度を求めれば、前一日の度数の上に十三度および千三百四十分度の四百九十四分を加え、分数が一箇の日法に満てば一度に進め、度数が一宿に満てばこの一宿の度数を減じ、改めて次の宿から起算して本数に計入せず、すなわち次日の夜半の月の所在する宿度と分数を得る。

此皆平行也。月行又有遲疾不同。極遲一日行十二度強,極疾一日行十四度太強。大率合朔後極疾,起而漸遲,十三日半強而極遲,則又漸疾,十三日半強而極疾。一遲一疾,凡二十九日半強。又有陰陽行。上元之初,合朔已後,月則出日道外,行陽道,經十三日半強,則又入日道內,越黃道,行陰道,又十三日半強,而出黃道之外矣。當越道之處,名曰交道。大凡二十七日強而一出,一入兩過,交於黃道;黃道,日道也。月不行日道者,猶臣不可與君同名器矣。在黃道內外極遠之時出入各六度矣。朔日與同度之時,月在交道內,而當交則蝕矣。不當交則不蝕,此猶臣與君相遇,同道擅權而掩蔽君矣。望日加時,月在交道上過,則日蝕;不當交道上過,則不蝕矣。其推求法術,並著在《曆象志》、《乙巳元經》,事煩不能具錄,略表綱紀焉。

以上の講ずる所は皆平均行度である。月の実際の運行になお快慢の不同あり。最も慢なる時は一日に十二度あまりを行き、最も速き時は一日に十四度大半あまりを行く。大致の規律は、合朔の後月行が最も速く、これより後漸々慢となり、十三天半あまりを経て最も慢に達し、それからまた漸々速くなり、再び十三天半あまりを経て最も速に達する。一慢一速を合せて、共に二十九天半あまり。月行になお陰陽二道に出入する分別あり。上元の初、合朔以後月はすなわち太陽の軌道の外に走出し、「陽道」を行き、十三天半あまりを経て、また太陽の軌道の内に入り、黄道を越えて「陰道」を行き、再び十三天半あまりを過ぎて、また黄道の外に出る。それが黄道を穿越する処を「交道」と呼ぶ。大约二十七天あまり、一出一入して二次経過し、黄道と相交わる。いわゆる黄道とは、すなわち太陽の運行する軌道である。月が太陽と一道を共に行かざるは、ちょうど臣子が君主と同様の名号・器物を共用すべからざるがごとし。月が黄道の内外に離れる最も遠き時、出入各々六度に達す。朔日の月と太陽が同度の時、もし月がちょうど交道の内に在り恰も交点に当たれば、すなわち日蝕を発生す。交点に当たらざれば蝕を成さず。これはちょうど臣子が君主と相遇し、一道に同処して権柄を擅弄し、ここにおいて君主を遮蔽するがごとし。望日・加時に、月がもし交道上を経過すれば、すなわち蝕を成す(此処は月蝕を指す)。交道上を経過せざれば、蝕を成さず。これらの推算の方法は皆《暦象志》と《乙巳元経》の中に書き記す。事項が繁瑣なるがゆえに、ここに一々録出し得ず、ここではただ大略の綱要を挙ぐるのみ。

夫月之行也,每朔稟先於日,漸舒其照,遠而益明,行於列宿,不巡光道。舒而還斂,屈體戢光,盈而不僭,以至於晦,此順理之常也。猶大臣諸侯稟承君命,教令節度,巡行萬國,照察百揆,而無僭亂擅權之心。有功歸主,不自矜伐,退以報君焉。烏兔抗衡,光盛威重,數盈理極,危亡之災,一時頓盡,遂使太陽奪其光華,暗虛虧其體質,小僭則小虧,大驕則大虧,此理數之當然也。

月の運行は、朔日に逢うごとに先ず太陽の光照を承受し、これより後漸々その光輝を舒展し、太陽から離るるほどいよいよ明亮となり、二十八宿の間を経行し、並びて太陽の光道に沿って走らず。舒展が極処に至りまた転じて収斂し、形体を屈縮し光芒を斂蔵し、已に盈満すれども僭越せず、一直に晦日に至る——これは常理に順応する正道である。これはちょうど大臣・諸侯が君主の命を秉承し、教令・法度に依って天下・万国を巡行し、百官の政事を明察するも、僭乱・擅権の心なきがごとし。功労あれば君主に帰し、自ら誇耀せず、功成の後退き下りて君主に復命す。しかるに一旦金烏(日)と玉兎(月)が勢均力敵し相持・抗衡すれば、月光は極盛にして威勢は加重し、盈数は已に満ち理勢は已に極まり、危亡の災は顷刻の間に驟然と頭に臨む。ここにおいて太陽はその光華を奪い、暗虚の気はその形体を虧損す。小さく僭越すれば小さく虧損を受け、大いに驕縦すれば大いに虧損を受く——これは理数上の必然である。

是以明王在上,月行依道。主不明,臣執勢,則月行失道。大臣用事,背公向私,兵刑失理,則月行乍南乍北。女主外戚擅權,則或進或退朏肭,皆君臣德刑不正之咎也。有不如常,隨其事占其吉凶。月行疾則君刑緩,行遲則君刑急。月之與日,遲疾勢殊,而事勢異也。劉向曰:「是故人君,月有變,則省刑薄斂以修德,恩從肆赦,故春秋有眚災肆赦之義矣。」

ゆえに英明の君王が位に在れば、月は常道に依って運行す。君主が明ならず臣子が権を擅にすれば、月は運行に道を失う。大臣が権を專らにし事を用い、公義を背棄し私利に趨向し、兵事・刑法が条理を失えば、月は忽ち南し忽ち北して偏行す。女主・外戚が権を擅にすれば、月は時に進み時に退き、「朏」(月初に明を生ずること早過ぐる)、「肭」(月行が退縮して及ばざる)の類の失序の変を現ず。これらは皆君臣の徳教・刑政が端正ならざるの招き致す過咎である。およそ月行に常度に合わざる処あれば、皆応ずる事に随って吉凶を占断す。月行が速ければ、君主が刑を用うるに寛緩を主り、月行が慢なれば、君主が刑を用うるに急峻を主る。月と日と相い比べ、快慢の勢い相同じからず、対応する事勢もまた相同じからず。劉向にいう、「これがために君主が月の変異の出現するに遇えば、応に刑罰を減省し賦斂を軽減してもって徳行を修養し、広く恩沢を施し罪人を赦免すべし。ゆえに《春秋》に災異によって過失を寛赦する義例あるなり」。

月若變色,將有災殃。青為飢而憂,赤為爭與兵,黃為德與喜,白為旱與喪,黑為水,人病且死。月若晝明者,月為臣,日為君,臣以明續君,當在其時,不可與君爭力竟能。晝明者,此奸邪並作,不救,則失其行而必毀矣。其救也,出退強臣,斷絕奸佞,近忠直,親賢良,則月得其行,不專明矣。是故人君宰相不從四時行令,刑罰不中,大臣奸謀,黜賢蔽能,則日月無光而見瑕謫矣。不救其行,五穀不成,六畜不產,人民上下不從,盜賊並起。

月がもし顔色を変えれば、将に災殃あらん。青を発すれば飢饉と憂患を主り、赤を発すれば争闘と兵事を主り、黄を発すれば徳政と喜慶を主り、白を発すれば旱災と喪事を主り、黒を発すれば水災を主り、百姓は病に生じ乃至死亡す。月がもし白昼に光を放てば——月は臣を象徴し日は君を象徴す。臣子は応に君主の光明を接続し、各々その時に当たるべく、君主と強を争い能を鬥わすべからず。白昼に月が明亮なるは、奸邪の徒が一斉に興作するを説明す。挽救を加えざれば、月はその常道を失い必ず虧毀せん。挽救の办法は、強横の臣を斥退し、奸佞の輩を杜絶し、忠直の士に親近し、賢良の才を任用す。こうすれば月は常道に回帰し、再び日と明を争わざるべし。ゆえに君主・宰相がもし四時の節令に按って政を施さず、刑罰当ならず、大臣が心に奸謀を懐き、賢者を貶黜し能人を埋没せば、日月は光輝を失い瑕疵・斑点を顕現す。この失道の行を挽救せざれば、五穀は成熟能わず、六畜は繁育能わず、百姓は上下心を離れ服せず、盗賊は一斉に興起す。

月出非出所,行非其路,皆女主失行,姦通內外陰謀,小國兵強,中國民飢,下欲僭權矣。月生正偃,天下有兵,合無兵,人主凶。月行急,未當中而中,未當望而望,皆為急。兵大戰,軍破將死,大臣執政逼君,主將有女主擅權,天下亂,易宗廟。月未當缺而缺,大臣滅,女主黜,諸侯世家絕。月再中,帝王窮。

月が出現すべからざる方位から升起し、走ること応に走るべき路径にあらざれば、皆女主の行為が失検にして、内外私通し暗に陰謀を結ぶを主る。小国の兵力が強盛にして、中原の百姓飢饉し、下位の者が僭越・奪権せんと欲す。新月の初生の時月体が仰卧して偃のごとく両角は上に朝けば、天下に兵事あるを主る。もし両角が合攏すれば、兵事なからんも、君主に凶あり。月の運行が急過ぎ、行くべからざる中天に已に至り、至るべからざる望日に已に円満するは、皆「急」に属し、大規模の交戦・軍隊の潰敗・将領の戦死を主り、大臣が政を執りて君主を逼迫するか、或いは女主の擅権の出現せんとし、天下大乱し宗廟は主を易う。月が虧缺すべからざるに已に虧缺すれば、大臣が誅滅せられ、女主が貶黜を遭い、諸侯・世家は断絶するを主る。月が一夜の中に二度中天に行き至れば、帝王の気数が窮尽するを主る。

月當出而不出,有陰謀,有死王,天下亂。月未當上弦而弦,國兵起;未當下弦而弦,臣下多奸詐。當盈而不盈,君侵臣,則大旱之災。未當盈而盈,臣欺君,有兵。月初生而盛,女主持政。大月八日,小月七日,昏中過度,有兵事,如不及度,喪事。月生五日,而昏中已後盛,君無威德,佞臣執權柄,民背君,尊其臣。

月が出現すべきに出現せざれば、陰謀あり君王の死亡あるを主り、天下大乱す。月が上弦の期に至らざるに已に弦形を成せば、国中に兵事の興起を主る。下弦の期に至らざるに已に弦形を成せば、臣下が多く奸詐を行うを主る。円満すべきに円満せざれば、君主が臣下の分位を侵奪し、将に大旱の災を招致せんとするを主る。円満すべからざるに已に円満すれば、臣下が君主を欺瞞し、将に兵事あらんとするを主る。月が初めて生ずるに格別に明盛なれば、女主が朝政を把持するを主る。大月の初八・小月の初七に、黄昏の時月が已に中天を越過すれば、兵事あるを主る。もしなお中天に行き至らざれば、喪事あるを主る。月が生じて第五日に、黄昏以後月色が格別に明盛なれば、君主に威徳なく、奸佞の臣が権柄を把持し、百姓が君主に背き臣子を尊奉することを主る。

月前望西缺,後望東缺,名反月,臣不奉法制度,侵奪主勢,無救,為湧水,兵起。(其救也,止刑罰,誅奸猾,任賢而稽疑,定謀事成,則月變不為傷亡也。)月當晦而不盡,所宿國亡地。月初生小而形廣大者,有水災。月大而體小者旱,有氣色非常,皆為皇后陰謀事。

月が望日以前に西辺で虧缺し、望日以後に東辺で虧缺するを、これを「反月」と呼び、臣子が法度・制度を奉行せず、君主の権勢を侵奪するを主る。挽救を加えなければ、洪水が暴漲し兵事が興起するであろう。(挽救の办法は、刑罰の濫用を停止し、奸猾の徒を誅除し、賢才を任用して彼らに疑難を諮詢す。謀議が既定し事が弁成すれば、月の変異は傷亡を醸成しない。)月が晦日に至っても完全に隠れ尽くさなければ、月の宿する星宿に対応する国が土地を喪失するを主る。新月の初生の時月体が小さいに拘らず形状が寛広・博大に見えるは、水災あるを主る。月体がもと大きくして見るに反って小さく見えるは、旱を主る。もし月の気色が反常なれば、皆皇后に陰謀の事あるを主る。

月始生有黑雲貫月,名激雲。或一或二,或三或四,不出三日,有暴雨。月上有黃芒,君福昌,皇后喜。月生刺,是謂賊臣生中國。月生牙齒,女主后妃亂,天下兵起。月生爪牙,入主賞罰不行。一占云:人君左右,宜防刺客。

月が剛く生ずる時に黒雲が月体を横貫するを、これを「激雲」と呼ぶ。あるいは一道、あるいは两道、あるいは三道、あるいは四道あれば、三天を出でず暴雨あり。月の上方に黄色の光芒あれば、君主の福沢が昌盛し、皇后に喜あるを主る。月体に芒刺を生ずれば、これを奸賊の臣が中原に出生するを主る。月体に牙歯のごとき缺口を生ずれば、女主・后妃が作乱し天下に兵起るを主る。月体に爪牙の形を生ずれば、君主の賞罰が施行し得ざるを主る。另一の占法にいう、君主の左右の近侍の中、応に刺客を提防すべし。

月望而中蟾光不見者,所宿之國山川大水,城陷民流,亦為女主宮中不安。月出復沒,天下亂。月分為兩道,無道之君失天下。月墜於天,有道之臣亡。月出子地中,庶民出為王。

望日の月は円満すれども、月中の蟾蜍の影は見るべからざるは、月の宿する星宿に対応する国の山川が泛濫して大水し、城池が陥没し百姓が流散し、また女主が宮中で安寧を得ざるを主る。月が升起して後に重ねて隠没すれば、天下大乱を主る。月体が分裂して两道となれば、無道の君が天下を失うを主る。月が天上から墜落すれば、道を守る臣の死亡を主る。月が正北・子位の地下から升起すれば、庶民の中に王を称する人の出現を主る。

兩月並出相重,急兵至。三月並見,其分有立諸侯,而女主有競。兩月並出,天下治兵,異姓大臣爭朝勢為害,王者選能授之。月重出,皆為暴兵殘害天下亂首,將有亡天下之象也。

二つの月が一同に出現して彼此相重なれば、緊急の兵禍の到来を主る。三つの月が同時に出現すれば、その分野の地に人の諸侯に立てられるあり、しかして女主の間が互いに争競するを主る。二つの月が一同に出現すれば、天下が兵備を整治し、異姓の大臣が朝中の権勢を争奪して禍害を醸成するを主り、君王は応に賢能の人を選取して職任を授与すべし。月が重複して出現するは、皆暴虐の兵禍が生民を残害し、天下動乱の禍首が将に起らんとするを主り、行に天下を喪失せんとする徴象である。

餘於大業九年在江都,時年十三,寓遊彼土。正月內,因送孝於城東。是時正月二十七日旦起,東方有二月,見之相去二尺許,分明在箕斗之間,眾懼見之。俄而玄感於黎陽起逆,朱燮、管崇又殘賊於江南,天下因此遂兵賊相掠,至於滅亡,此尤大效也。

私は隋煬帝・大業九年に江都に住し、当時十三歳で、あの一帯に客居して游学していた。正月の内、城東に送葬・行孝したがために、その日はちょうど正月二十七日・清晨に起身する時で、東方に二つの月が出現し、見るに彼此相距ること二尺ほどで、清清楚晰として箕宿と斗宿の間に懸り、衆人は見て皆恐懼した。まもなく楊玄感が黎陽で起兵して叛乱し、朱燮・管崇もまた江南で百姓を残害した。天下はこれより兵匪が交々劫掠し、隋朝が覆亡するまで続いた——これはさらに一度の極めて大きい応験であった。

東方小月承大月,小國毀,大國伐之為主。凶在西方。小月承大月,小邑勝;大月承小月,大邑勝。月兩弦中間,光盛面多眾,或二或三,或四或五,乃至十月並見,皆為天下分裂,天子政在諸侯,諸侯自立,諸侯傍氣象,皆與日占大同。

東方に小月が大月を托承すれば、小国が毀され、大国がそれを討伐して盟主となるを主り、凶事は西方に応ず。小月が大月を托承すれば、小邑の取勝を主り、大月が小月を托承すれば、大邑の取勝を主る。上弦と下弦の間に、月光が盛大にして月面が見るに衆多で、あるいは二つ、あるいは三つ、あるいは四つ、あるいは五つ、甚至十箇の月が一同に出現するは、皆天下の分裂を主り、天子の政柄が諸侯の手に落ち、諸侯が各自称立す。諸侯の応ずる旁気の象に至っては、占法は皆前の日旁気占と大致相同じい。

月と五星の相干犯占第八

凡五星及列宿與月相蝕相薄,皆凶。歲星蝕月,有大喪,女主死,臣弒君易主。熒惑蝕月,讒臣貴,後宮女有害主者。填星蝕月,女主凶,當有黜者,有喪。太白蝕月,易大將,將死。辰星蝕月,有大水。五星入月中,其分野有逐君,大臣賊主。

およそ五星および二十八宿が月と互いに掩蝕し互いに逼近するは、皆凶を主る。歳星(木星)が月を掩蝕すれば、大喪あり、女主が死亡し、臣子が君主を弑殺して国主を改換するを主る。熒惑(火星)が月を掩蝕すれば、讒を進める臣が貴を得、後宮の女子の中に君主を謀害する人あるを主る。填星(土星)が月を掩蝕すれば、女主に凶あり、当に廃黜せられる人あるべく、かつ喪事ありを主る。太白(金星)が月を掩蝕すれば、大将を更換し将領が死亡するを主る。辰星(水星)が月を掩蝕すれば、大水あるを主る。五星が月体の中に入れば、その分野に国君を駆逐する事あり、大臣が君主を謀害するを主る。

月蝕五星,若舍皆其分,有災。月凌歲星,年多盜賊,刑獄煩。月與歲星同光,即有飢亡。(土同。)月與歲星同宿,其年疫疾。月與熒惑相犯,戰勝之國大將死,天下有女主之憂。月與熒惑同光,內亂且飢。月吞滅熒惑,國敗。月犯填星,女主敗喪。(魏青龍二年十月乙丑,月犯填星。三年正月,太后郭氏崩。晉安帝隆安四年正月乙亥,填在牽牛、月頻犯之。七月壬子,皇太后李氏崩。)填星入月,不出四旬,有土功事。若犯,貴人絕無後。

月が五星を掩蝕するに、もし居る星宿がちょうどあの星の分野に当たれば、災禍あり。月が歳星を欺凌すれば、当年に盗賊衆多にして刑獄が煩雑なるを主る。月と歳星と光色相同じければ、飢饉・死亡あるべし。(月と填星と光色相同じければ、占断相同じい。)月と歳星と同じ一宿に処れば、当年に疫病流行するを主る。月と熒惑と互いに侵犯すれば、戦勝の国の大将が死亡し、天下に女主の帯び来たる憂患あるを主る。月と熒惑と光色相同じければ、内乱あり且つ飢饉あるを主る。月が熒惑を呑没すれば、国家の敗亡を主る。月が填星を侵犯すれば、女主の敗亡・喪あるを主る。(魏・青龍二年十月乙丑、月填星を犯す。三年正月、太后の郭氏去世す。晋安帝・隆安四年正月乙亥、填星は牽牛宿に位し、月が屡々それを犯す。当年七月壬子、皇太后の李氏去世す。)填星が月体に入れば、四十天を出でず、土木の役を興造するあらん。もしただ相犯するのみならば、貴人が絶嗣して後なきを主る。

太白入月中不見星者,臣殺主。月蝕太白,國君亡,臣弒主。月犯太白,將有兩心。戴太白,有卒兵。月生三日,刺太白之陽。陽國大邑勝,小邑損。月刺太白之陰,兵在外者未及入,在內者不及出。月與太白合宿,太子死。

太白が月体の中に入って星光が隠没して見えざるは、臣子が君主を殺害するを主る。月が太白を掩蝕すれば、国君が敗亡し臣子が君主を弑殺するを主る。月が太白を侵犯すれば、将領が二心を懐くを主る。月の上方に太白を戴けば、倉卒の間に爆発する兵事あるを主る。月生第三日に、月芒が太白の南面・陽位に刺向すれば、南方の国の大城が取勝し小邑が損を受くるを主る。月芒が太白の北面・陰位に刺向すれば、外に在る軍隊は回師するに及ばず、内に在る軍隊は出動するに及ばざるを主る。月と太白と同宿相合すれば、太子の死亡を主る。

太白在西方始見,在月北為得行,在月南為失行,西方先起兵者敗。太白與月相去三尺,有憂軍。與月相去二尺,有憂城。與月相去一尺,有拔城。太白入月中不出,客將死;出者,主人將死。無軍,大將當之。

太白が剛く西方に出現する時、月の北に位するを「得行」と呼び、月の南に位するを「失行」と呼ぶ。この時西方に先に兵を動かす一方が敗北す。太白と月と相距ること三尺なれば、軍旅の憂あるを主り、相距ること二尺なれば、城守の憂あるを主り、相距ること一尺なれば、城池の攻抜せらるるあるを主る。太白が月体の中に入って出ざれば、客軍の将領が死亡するを主り、出れば、主軍の将領が死亡するを主る。もし軍事行動なければ、大将の身に応験すべし。

太白出東方,在月南,中國勝。在月北,中國敗。出西方,在月北,負海國勝;在月南,負海國敗。金火與月相近,其間六寸,天下有兵;間一尺,天下憂;尺五已來,無害。

太白が東方に出現して月の南に位すれば、中原の取勝を主り、月の北に位すれば、中原の失敗を主る。太白が西方に出現して月の北に位すれば、山に背き海に面する国の取勝を主り、月の南に位すれば、山に背き海に面する国の失敗を主る。金星・火星と月と相靠近して彼此相隔つこと六寸なれば、天下に兵事あるを主り、相隔つこと一尺なれば、天下に憂あるを主り、相隔つこと一尺五寸以上なれば、妨害なし。

太白出西方似月,三日候之,與月並出。間容一指,軍在外,期十日,有破軍死將,客勝。容二指,期十五日,有破軍死將,主人小勝。容三指,期二十日,有破軍死將,客軍大勝,主人亡地。容四指,期二十五日,客軍入境,主人不勝。容五指,期三十日,軍陣不戰。

太白が西方に出現し、形状が見るに月のごとく、連続三天それと月とが一同に出現する情形を観測す。両者の間の空隙が一指を容るる可くば、もし軍隊が外にあれば、期限十天、軍隊の潰敗・将領の戦死する事あり、客軍が取勝す。空隙が两指を容れれば、期限十五天、軍隊の潰敗・将領の戦死する事あり、主軍が小勝す。空隙が三指を容れれば、期限二十天、軍隊の潰敗・将領の戦死する事あり、客軍が大勝し主軍が土地を喪失す。空隙が四指を容れれば、期限二十五天、客軍が主軍の境内に攻め入り、主軍は取勝し得ず。空隙が五指を容れれば、期限三十天、両軍は陣を列すれども交戦せず。

太白以月未盡一日,晨出東方,與月並出,候之以指。容一指,十日,有破軍死將,主人不勝。容二指,十五日,客大破,主人得地。容三指,期二十日,有破軍死將,主者亡地。容四指,期二十五日,客軍大敗。容五指,期三十日,軍陣不戰。(金同。)

太白が一月将に尽きんとして一日のみ余る時に、清晨東方に出現し、月と一同に升起すれば、手指をもって二者の間距を測量す。空隙が一指を容れれば、十天以内に軍隊の潰敗・将領の戦死する事あり、主軍は取勝し得ず。空隙が两指を容れれば、十五天以内に客軍が大敗し、主軍が地を得る。空隙が三指を容れれば、期限二十天、軍隊の潰敗・将領の戦死する事あり、主軍が土地を喪失す。空隙が四指を容れれば、期限二十五天、客軍が大敗す。空隙が五指を容れれば、期限三十天、両軍は陣を列すれども交戦せず。(太白はすなわち金星。占法はこれと相同じい。)

月犯辰星,辰星入月中,有水行事起,不出三旬,內有匿謀,春夏大水。晉孝武太元十三年十一月戊子,辰星入月在危,是時濤水入石頭,春大雨,牛馬疾疫,穀貴,不出百日也。

月が辰星を侵犯するか、あるいは辰星が月体の中に入れば、水利工役の興起あるを主り、三十天を出でず、朝廷の内に隠秘の図謀あり、春夏の際に大水を発生す。晋孝武帝・太元十三年十一月戊子、辰星が月中に入り、危宿に位した。当時江潮が石頭城に倒灌し、春に大雨止まず、牛馬が疫に染まり、穀価が騰貴し——これらは皆一百天以内に応験した。

月干犯列宿占第九

角:月犯角,天子大人惡之,大人有憂獄事,天下大凶。犯左、右角,大戰,大臣當之。有憂喪。兩軍相當。犯左角,大戰將死;右角,廷尉死。月在角中行,為出天門中道,百姓安寧,歲美無兵。出右角,北胡王死,天下多雨。行中道之南,南君惡之,大臣不輔。

角宿。月が角宿を侵犯すれば、天子と大人がこれがために憂悪し、大人に刑獄の憂あり、天下大凶を主る。左角・右角を侵犯すれば、大戦あるを主り、大臣の身に応験し、かつ喪憂あり、両軍もまた将に対峙せんとす。左角を侵犯すれば、大戦にして将領が死亡するを主り、右角を侵犯すれば、刑を掌る廷尉の死亡を主る。月が左右両角の間を穿行するを、天門の中道を走出すと呼び、百姓安寧・年成豊美にして兵事なきを主る。月が右角から出れば、北方の胡王の死亡・天下に雨多きを主る。月が中道の南に行けば、南方の君がこれがために憂悪し、大臣が力を尽くして輔佐することを肯んぜざるを主る。

亢:月犯亢,其國將死。月蝕亢,大人多死疫癘,在朝廷之臣為始。月在亢,有變,王者佈政失理,宜省刑罰。氐:月犯氐,天下兵起。晉孝武太元三年二月癸亥,月入氐,大將軍韋楷率兵襲汝南,苻堅及子等十餘萬人寇襄陽。是年大兵。月蝕氐,及犯在氐有變,皆為宮中陰謀,大人女主,宿止不安,刑政失理,天下飢亂,兵寇賊起。

亢宿。月が亢宿を侵犯すれば、その国の将領の死亡を主る。月が亢宿を掩蝕すれば、大人が瘟疫に多く死し、朝廷の臣をもって最先に応験すを主る。月が亢宿に在りて変異あれば、君王が政令を布施するに条理を失い、応に刑罰を減省すべきを主る。氐宿。月が氐宿を侵犯すれば、天下に兵起るを主る。晋孝武帝・太元三年二月癸亥、月氐宿に入る。大将軍の韋楷が兵を率いて汝南を襲撃し、苻堅と彼の兒子らが十余万の衆を率いて襄陽を進犯し、この年大いに干戈を動かした。月が氐宿を掩蝕し、および氐宿を侵犯し、氐宿に在りて変異を発生するは、皆宮中に陰謀あり、大人と女主の居処が安ならず、刑罰・政令が条理を失い、天下飢饉・動乱し、兵寇・盗賊興起するを主る。

房:月犯蝕房上將,上將誅。犯蝕次將,次將誅。上相、次相亦然。月行房南一丈,兵起,天子旁有亂臣,歲有大水,七月期。月行天駟中,經歲安寧,五穀熟。月行太陽,天下亂,民事失,民啼哭,陽道未窮而死;月行太陰,天下後起,陰道未窮而作。月出中道,天下和平,利以稱兵。月變於房,名寶出,駟駕滿野,將不安,失時令。

房宿。月が房宿の上将星を侵犯または掩蝕すれば、上将の誅せらるるを主り、次将星を侵犯・掩蝕すれば、次将の誅せらるるを主り、上相星・次相星もまた同様。月が房宿の南一丈の処を運行すれば、兵事興起し、天子の身辺に乱臣あり、当年に大水あり、期限は七月に在るを主る。月が天駟(房宿四星)の中を穿行すれば、整年安寧・五穀豊熟を主る。月が房宿北辺の太陽道を経行すれば、天下大乱し、民事荒废し、百姓号哭し、陽道の数尽きずして人已に先に死するを主る。月が房宿南辺の太陰道を経行すれば、天下に後起の事あり、陰道の数尽きずして事已に発作するを主る。月が両服の間の中道から穿出すれば、天下和平・挙兵に宜しきを主る。月が房宿に変異を発生するを「名宝出」と呼び、車馬・駕乗が野に遍く奔走し、将領安ならず、政令に時宜を失する有るを主る。

心:月犯心,主命惡之,其宮內亂,臣有逆者。月犯心中,人王遇害,有大賊,國人亂。月乘心,其國相死。出心太北,國旱,宗廟災。出心太南,君憂,且有兵起。月變於心,人主有憂,兵在外,大將易。無兵,太子事,亦為天子計失於刑罰。尾:月犯尾,貴戚有誅者,其國將軍死。月在尾,後宮有爭,人君子孫不吉。箕:月入箕,糴大貴,天下旱,飢死過半,人君號令,傷於酷暴,百姓失所。月在箕,後宮政教失,女主乖怨,有暴風。失行於箕者,大風。

心宿。月が心宿を侵犯すれば、君主の性命がこれがために憂悪し、その宮廷の内に乱を生じ、臣子の中に叛逆の人あるを主る。月が心宿中央の大星を侵犯すれば、君王が害に遇い、国中に大盗あり、国人作乱するを主る。月が心宿を凌乗すれば、その国の国相の死亡を主る。月が心宿より北に偏出して太遠きは、国中の旱災・宗廟の火に遭うを主る。心宿より南に偏出して太遠きは、君主に憂あり、かつ兵事の興起あるを主る。月が心宿に変異を発生すれば、君主に憂あるを主り、もし軍隊が外にあれば大将を更換し、もし兵事なければ太子の身に応じ、また天子が刑罰の上に籌算を失するを主る。尾宿。月が尾宿を侵犯すれば、皇親・貴戚の中に誅殺せらるるあり、その国の将軍死亡するを主る。月が尾宿にあれば、後宮に争闘あり、君主の子孫が吉ならざるを主る。箕宿。月が箕宿に入れば、米価大いに貴く、天下乾旱し、飢餓して死する人が半数を過ぎ、君主の号令が厳酷・暴虐に傷られ、百姓が流離・失所するを主る。月が箕宿にあれば、後宮の政教が失序し、女主が乖戾・怨懟し、将に暴風あらんとするを主る。月が箕宿に在りて常道を失いて運行するは、大風を刮くを主る。

南斗:月行於南斗,大臣誅,大將及近臣去,將軍死,女主凶。(《宋書志》稱:晉哀帝興寧三年七月庚戍,月犯斗。來年五月戊寅,皇后庾氏崩。安帝義熙元年三月已巳,月掩斗第五星,至八月丙戌,頻掩之。是年三月始興太守徐道覆反。四月,盧循起湘中。五月,循破劉稷。自是京畿大臣多戮死也。)月入斗魁,大人憂,太子辱,宮中有賊。月一歲三入南斗,有德令,有兵起。月在斗有變,易相,爵祿失,大臣有憂刑戮,及將相非理食祿,更易天子法令者。月乘斗,色惡,蒼芒,丞相死。月宿斗,為風雨。月蝕斗,群臣憂國亂。

南斗宿。月が南斗に行入れば、大臣の誅せらるる、大将および近臣の位を去る、将軍の死亡、女主に凶あるを主る。(《宋書・天文志》に記載す。晋哀帝・興寧三年七月庚戌、月南斗を犯す。第二年五月戊寅、皇后の庾氏去世す。安帝・義熙元年三月己巳、月が斗宿第五星を掩蔽し、八月丙戌に至り、また接続してそれを掩蔽す。这一年三月、始興太守の徐道覆が反叛し、四月、盧循が湘中に起兵し、五月、盧循が劉稷を撃破す。これより京畿の大臣に誅殺せらるる者多し。)月が斗魁の中に入れば、大人に憂あり、太子が辱を受け、宮中に奸賊あるを主る。月が一年の内に三たび南斗に入れば、徳政の号令を頒行するを主り、また兵事の興起を主る。月が斗宿に変異を発生すれば、宰相を更換し、爵位・俸禄に失あり、大臣が刑戮に憂い、および将・相が功なくして禄を食み、擅自に天子の法令を改むるを主る。月が斗宿を凌乗して気色悪劣にして蒼茫の状を呈すれば、丞相の死亡を主る。月が斗宿に宿れば、風を刮き雨を降らすを主る。月が斗宿を掩蝕すれば、群臣の憂懼・国家の動乱を主る。

牽牛:月犯牛,牛疫,牛馬羊暴貴,犧牲之官有憂,將軍奔,道路關梁阻,天下有詐,谷大貴,大國有憂,將軍死。一曰牛多病。月在牛有變,關梁閉塞,將有農令犧牲之事,四足蟲疾矣。月乘牛,有大水,人相棄於道。

牽牛宿。月が牛宿を侵犯すれば、牛只が疫に染まり、牛・馬・羊の価格が暴漲し、祭祀・犠牲を掌管する官員に憂患あり、将軍が奔逃し、道路・関卡・橋梁が阻害され、天下に欺詐多く、穀価大いに貴く、大国に憂あり、将軍死亡するを主る。另一説は牛只の多病である。月が牛宿に変異を発生すれば、関卡・橋梁の閉塞し、将に農事政令と祭祀・犠牲に関する事あり、四足の牲畜に疫病の発生あるを主る。月が牛宿を凌乗すれば、大水あり、人々が道路上で彼此に拋棄するを主る。

須女:月犯女,女子凶,憂疾患女惑之事,其國有憂,將軍死。(晉孝武大元二年八月戊辰,月入女。八月,征西將軍桓豁率。十月乙未,犯女,壬寅,尚書令王彪之卒也。)有改易高下貴賤,女工興,有女令。月在女有變,有兵不戰而降。又曰嫁女娶婦之事,亦為女主布帛。

須女宿。月が女宿を侵犯すれば、女子に凶あり、疾病および女色の迷惑によって起る事に憂い、その国に憂あり、将軍死亡するを主る。(晋孝武帝・太元二年八月戊辰、月女宿に入る。同月、征西将軍の桓豁が兵を統して出征す。十月乙未、月女宿を犯す。壬寅日、尚書令の王彪之去世す。)このほかもまた尊卑・貴賤の次序の更易あるを主り、女紅・織作が興盛し、婦女に関する政令を頒行す。月が女宿に変異を発生すれば、軍隊が交戦を経ずして帰降するあるを主る。又説は嫁女・娶婦の事を主り、また女主の掌る布帛の事を主る。

虛:月犯虛,天下大虛,虛邑復盛,天下政亂,國有憂,將軍死,百姓飢,哭泣不已,有陵廟事也。月蝕虛危,人多去其室,有大戰。月變於虛,有土功在外,軍人飢。危:月蝕危。不有崩主,必有大臣喪,天下改服,將有墳墓哭泣之事。月犯危,治臺樓蓋屋者多,天下亂,將軍死。月在危有變,將有哭泣死喪、墳墓蓋屋動眾之事。

虚宿。月が虚宿を侵犯すれば、天下空虚・匱乏し、原本荒废した城邑が重ねて興盛し、天下の政事が紊乱し、国家に憂あり、将軍死亡し、百姓飢饉し、哭泣止まず、かつ陵墓・宗廟の事あるを主る。月が虚宿・危宿を掩蝕すれば、許多の人が自らの居室を離れ、大戦の発生あるを主る。月が虚宿に変異を発生すれば、外地に土木の工程を興辦し、軍士が挨餓するを主る。危宿。月が危宿を掩蝕するは、君主の駕崩ならざれば、必ず大臣の喪亡あり、天下が服色を改換し、将に墳墓・哭泣の事あらんとするを主る。月が危宿を侵犯すれば、台榭・楼閣を修造し房屋を蓋造する事多く、天下動乱し、将軍死亡するを主る。月が危宿に変異を発生すれば、将に哭泣・死喪あり、墳を修り屋を蓋いて衆人を労する事あらんとするを主る。

室:月犯蝕室,及在室有變,國亂有憂,將亡地失。若宗廟有毀,將相有死者,王者自將兵,宿在離宮,不安正寢,宜修文德、設武備、振軍旅以應之。東壁:月犯蝕東壁及在壁有變,大人為亂,人民多死,兵在外,軍人大驚,近臣去,將軍死,軍糧絕,將軍有謀,將有府庫土功之事。月宿壁,不雨則風。(斗同。)蝕壁,有開閉之事,大臣戮,有文章者執。

室宿。月が室宿を侵犯または掩蝕し、および室宿に変異を発生するは、国中が動乱して憂あり、将に土地を喪失せんとするを主る。もし宗廟に毀壊あれば、将・相の中に死亡の人あり、君王は自ら兵を領し、夜に離宮に宿して正寝に安処し得ず。この時宜しく文徳を修明し武事を整備し軍旅を振作してもって応対すべし。東壁宿。月が東壁を侵犯または掩蝕し、および壁宿に変異を発生するは、大人作乱し、百姓の死する者多く、軍隊が外に在る時軍士が大いに驚擾せられ、近臣が位を去り、将軍死亡し、軍糧断絶し、将軍に別に図謀あり、かつ将に府庫の財物と土木の工程の事あらんとするを主る。月が壁宿に宿れば、雨降らざれば風を刮かん。(月が斗宿に宿れば、占断相同じい。)月が壁宿を掩蝕すれば、関閉・開啓の事あり、大臣が殺され、文才ある人が拘捕せらるるを主る。

奎:月犯奎,若在奎有變,大人亂,大臣凶,人多死憂,將軍有謀,有溝瀆女子之事。月犯奎大星,乳婦多死,邊民不安,有大水。月蝕奎,大將軍戰死。婁:月犯蝕變於婁,有兵在外,不戰而和,有聚斂之事,多有搜狩弋獵之事,民多獄怨,國君納女,遊獵無度,大人憂,將軍死。胃:月犯蝕變於胃,其國有憂,將軍死,鄰國有暴兵,天下谷無實,有倉廩賦斂之事,小國兵起不戰,有霜,以夷狄為憂,民多病。

奎宿。月が奎宿を侵犯するか、あるいは奎宿に変異を発生するは、大人作乱し、大臣に凶あり、衆人の死亡・憂患多く、将軍に別に図謀あり、かつ沟渠・水道と女子に関する事あるを主る。月が奎宿の大星を侵犯すれば、産婦の死亡多く、辺地の百姓安ならず、大水あるを主る。月が奎宿を掩蝕すれば、大将軍の戦死を主る。婁宿。月が婁宿を侵犯・掩蝕するかあるいは婁宿に変異を発生するは、軍隊が外にありて交戦を経ずして講和するあり、財貨を聚斂する事あり、囲獵・射獵の事多く、百姓が獄訟によって怨を生ずる者多く、国君が女子を納娶し遊獵に節制なく、大人に憂あり、将軍死亡するを主る。胃宿。月が胃宿を侵犯・掩蝕するかあるいは胃宿に変異を発生するは、その国に憂あり、将軍死亡し、隣国に強暴の兵事あり、天下の穀物が結実せず、倉廩・儲積と賦税・徴斂の事あり、小国が兵を興して交戦せず、天が霜災を降らし、夷狄をもって憂患とし、百姓の多病なるを主る。

昴:月犯蝕變於昴,天子破匈奴,有白衣會,貴臣有憂,民離散,去其鄉,獄訟煩苛,無辜獲罪。(檀道鸞《晉陽秋》云:孝武帝寧康元年正月丁未,月掩昴,七月己亥大司馬桓溫薨。安帝義熙五年二月甲子,月犯昴,九月又犯昴,閏月丁酉又犯之,是年宋高祖討鮮卑。十月翌主為其子所殺,六年鮮卑滅胡也。)

昴宿。月が昴宿を侵犯・掩蝕するかあるいは昴宿に変異を発生するは、天子が匈奴を撃破し、白衣を身に着る喪会あり、貴臣に憂あり、百姓が離散し井郷を背き、獄訟が繁苛にして、無辜の人が罪罰に蒙受するを主る。(檀道鸞《晋陽秋》に記載す。晋孝武帝・寧康元年正月丁未、月が昴宿を掩蔽す。当年七月己亥、大司馬の桓温去世す。安帝・義熙五年二月甲子、月昴宿を犯し、九月また昴宿を犯し、閏月丁酉に再度侵犯す。这一年、宋高祖の劉裕が鮮卑を征討し、十月その主は自らの兒子に殺され、義熙六年に鮮卑の国は消滅せられた。)

月行犯昴,北有赤白雲緣月,兵入匈奴有得地;赤白雲不緣月,兵入不得地。月乘昴,天下法峻,水滿野,谷不收。月行觸昴,匈奴受兵。月蝕昴,諸侯黜門戶,大臣有事。月入昴,赦;月出昴,天下有福,大臣匿其罪。月入昴中,胡王死,理官有憂。月蝕昴,貴臣誅,貴女失勢心,月變於昴,兵在外絕食。月犯昴,將軍死,胡不安,或背叛。月行一歲不出昴畢間,來年有兵。

月の運行が昴宿を侵犯するに、北面に赤白色の雲気が月を環繞すれば、兵を出して匈奴を進撃して地を得る能きを主り、赤白色の雲気が月を環繞せざれば、兵を出して地を得る能わざるを主る。月が昴宿を凌乗すれば、天下の法令が厳峻にして、大水が野に漫り、穀物が収成し得ざるを主る。月の運行が昴宿に触及すれば、匈奴が兵禍に遭受するを主る。月が昴宿を掩蝕すれば、諸侯の門第が貶黜せられ、大臣が事故を出すを主る。月が昴宿に入れば、赦令を頒行するを主り、月が昴宿から出れば、天下に福あり、大臣が自らの罪過を隠匿したを主る。月が昴宿の中に入れば、胡王の死亡・刑理を掌る官に憂あるを主る。月が昴宿を掩蝕すれば、貴臣の誅せらるる・貴女が勢を失うを主る。月が昴宿に変異を発生すれば、軍隊が外に在りて糧食を断絶するを主る。月が昴宿を侵犯すれば、将軍の死亡・胡人の安ならず、あるいは背叛あるを主る。月の運行が一整年も昴宿と畢宿の間を離れざれば、来年に兵事あるを主る。

畢:月犯畢,出其北陰,國有憂。月入畢中,將軍死,不則有邊兵,期十月。月犯畢,天子用法誅罰急。若蝕畢,賊臣誅,貴人多死,兵革起。畢星見月中,女君當死,有德令。(晉孝武大元五年五月庚子,月掩畢,六月丁卯又掩畢,進入畢口。九月癸未,皇后王氏崩。)月失行,合陽風,合陰雨。月失行離畢則雨。月犯畢大星,下犯上,臣殺主,大將死。月變於畢,有邊兵之急,邊將刑。

畢宿。月が畢宿を侵犯し、それの北面の陰位から穿出すれば、国家に憂あるを主る。月が畢宿の中に入れば、将軍の死亡を主り、然らざればもまた辺境の兵事あり、期限は十月に在るを主る。月が畢宿を侵犯すれば、天子が法を用いて誅戮するに急峻なるを主る。もし畢宿を掩蝕すれば、奸賊の臣が誅せられ、貴人の死亡多く、兵革興起するを主る。畢宿の星が月体の中に顕現すれば、女君が将に死せんとするを主り、また徳政の号令を頒行するを主る。(晋孝武帝・太元五年五月庚子、月が畢宿を掩蔽す。六月丁卯また畢宿を掩蔽し、かつ畢口の中に入る。九月癸未、皇后の王氏去世す。)月の運行が常道を失い、合して陽道に靠れば風を起し、合して陰道に靠れば雨を降らす。月が道を失いて畢宿を離れれば、すなわち雨を降らす。月が畢宿の大星を侵犯すれば、下に在る者が上に在る者を冒犯し、臣子が君主を殺害し、大将死亡するを主る。月が畢宿に変異を発生すれば、辺境兵事の急報あり、辺将が刑を受くるを主る。

觜觽:月犯觜,小戰,吏多死道路者,或背叛。月變於觜,刑罰之事,將相有殃。(月犯蝕皆同占。)參:月犯蝕參,貴臣誅,赤地千里,其國大飢,人民相食。月變於參,百姓葆旅。月犯左肩,左將戰死;犯右肩,右將死。月犯蝕參伐星,戰,小將死。月宿參伐為風雨。月蝕參伐兵起。

觜觿宿。月が觜宿を侵犯すれば、小規模の戦闘あり、官吏の道路上に死する者多く、あるいは背叛の出現あるを主る。月が觜宿に変異を発生すれば、刑罰の事あり、将・相が殃に遭うを主る。(月が觜宿を侵犯するも掩蝕するも、占断皆相同じい。)参宿。月が参宿を侵犯または掩蝕すれば、貴臣の誅せらるる、赤地千里、その国に大いに飢饉が鬧び、百姓が相食するを主る。月が参宿に変異を発生すれば、百姓が寨を結び自ら保ち、群を成して流徙するを主る。月が参宿の左肩星を侵犯すれば、左将の戦死を主り、右肩星を侵犯すれば、右将の死亡を主る。月が参宿の伐星を侵犯または掩蝕すれば、戦事ありて偏裨の小将が死亡するを主る。月が参・伐の間に宿れば、風を刮き雨を降らすを主る。月が参・伐を掩蝕すれば、兵事の興起を主る。

東井:月犯井,將軍死。(晉孝武大元元年五月戊午,十二月乙卯,月掩東井。六年二月壬子,建威將軍桓副薨。七月甲辰,將軍王邵薨。月犯井左右星,女主憂。魏齊王嘉平三年四月戊寅,月犯井,七月皇后甄氏崩。)月犯井,人主有憂,大水。若水官有黜者,其國有憂,平準水衡之官,刑政不平矣。月蝕井,大臣有謀,皇后不安,五穀不登。月蝕井,內亂之災,以日占其國也。

東井宿。月が井宿を侵犯すれば、将軍の死亡を主る。(晋孝武帝・太元元年五月戊午・十二月乙卯、月が二度東井を掩蔽す。太元六年二月壬子、建威将軍の桓副去世す。七月甲辰、将軍の王邵去世す。月が井宿左右両側の星を侵犯すれば、女主に憂あるを主る。魏・斉王・嘉平三年四月戊寅、月井宿を犯し、七月皇后の甄氏去世す。)月が井宿を侵犯すれば、君主に憂あり、大水あり、あるいは水を掌る官に貶黜せらるるあり、その国に憂あり、平準・水衡の類の官署が刑罰・政令を公ならずするを主る。月が井宿を掩蝕すれば、大臣が心に図謀を懐き、皇后安ならず、五穀が豊収し得ざるを主る。月が井宿を掩蝕するは、内乱の災で、当日の日辰に按ってどの国に応ずるかを推占すべし。

月犯井鉞星,為內亂兵起,破軍殺將,城陷血流。(《宋志》云:魏正始四年十月、十一月,月犯井鉞,是月司馬懿討諸葛恪,恪棄城走。晉穆帝永和十二年六月己未,月犯井鉞,桓溫破姚襄於伊水,北定周地。十二月稿城陷,執段龕三十餘人。)凡月干犯井鉞,秉質,斧鉞用之象。月犯井鉞,大臣誅,斧鉞用。月變於井,以色占。黑,大水,他仿此。

月が井宿の鉞星を侵犯すれば、内乱・兵起り、軍隊潰敗し将領が殺され、城池陥落し血流れて河を成すを主る。(《宋書・天文志》に記載す。魏・正始四年十月・十一月、月井鉞を犯す。当月、司馬懿が諸葛恪を征討し、諸葛恪は城を棄てて逃走す。晋穆帝・永和十二年六月己未、月井鉞を犯す。桓温が伊水で姚襄を撃破し、北に向かって周地を平定し、十二月稿城が陥落し、段龕ら三十余人を擒獲す。)およそ月が井宿の鉞星を衝犯するは、皆それが刑質を執掌し斧鉞を動用する象を取る。月が井鉞を侵犯すれば、大臣の誅せらるる・斧鉞の刑が動用を得るを主る。月が井宿に変異を発生すれば、気色に按って占断すべし。色黒ければ大水を主り、その余の各色は皆これに類推す。

輿鬼:月入鬼,人主憂。(晉咸康七年八月辛丑月犯鬼。來年癸巳,成帝崩,財寶出。)月犯鬼質,秦邦君憂,大臣誅。(魏嘉平二年十月犯鬼,三年五月王陵反,楚王虎等誅之。)月蝕鬼,貴臣女主憂,天下不安,有大喪,謀臣糾彈之官凶。(《宋志》云:魏齊王正始二年九月癸酉,月犯鬼西北星,主金玉。三年二月丁未,又犯西南星,主布帛。占曰:有錢令,大臣憂。三年二月,太尉滿寵薨。青龍二年三月辛卯,月犯鬼。占曰:民多疾疫。是年夏大疫。)

輿鬼宿。月が鬼宿に入れば、君主に憂あるを主る。(晋・咸康七年八月辛丑、月鬼宿を犯す。第二年癸巳日、成帝駕崩し、宮中の財宝が散出す。)月が鬼宿中の積尸質星を侵犯すれば、秦地の邦の国君に憂あり、大臣が誅せらるるを主る。(魏・嘉平二年十月月鬼宿を犯す。三年五月王陵が謀反し、楚王の曹彪らがこれがために誅せらる。)月が鬼宿を掩蝕すれば、貴臣と女主に憂あり、天下安ならず、大喪あり、謀議の臣と糾察・弾劾を掌る官員に凶あるを主る。(《宋書・天文志》に記載す。魏・斉王・正始二年九月癸酉、月が鬼宿西北のあの星を侵犯す——此星は金玉を主る。三年二月丁未、また西南のあの星を侵犯す——此星は布帛を主る。占辞にいう、将に銭幣方面の政令あらん、大臣に憂あり。三年二月、太尉の満寵去世す。青龍二年三月辛卯、月鬼宿を犯す。占辞にいう、百姓に疫病に染まる者多し。这一年夏果して大疫。)

柳:月犯柳,木工興,名木被伐,又有土功事。月蝕柳,王者疾,不安宮室,百姓、貴人以言語坐罪,大臣憂,其地有禍。七星:月犯蝕七星,兵在外戰,皇后、大臣有暴憂,有誅,國大惡。(下蝕列宿同。)月犯七星,輕車戰,國相更政之。張:月蝕張,貴臣失勢,后有憂,君有賜。(下蝕列宿同。)

柳宿。月が柳宿を侵犯すれば、木工が興作し、名貴の樹木が砍伐され、また土木の工程の事あるを主る。月が柳宿を掩蝕すれば、君王が患い、宮室に安処し得ず、百姓と貴人が言語によって罪を獲、大臣に憂あり、その分野の地に禍あるを主る。七星宿。月が七星を侵犯または掩蝕すれば、軍隊が外に在りて交戦し、皇后・大臣に突発の憂患あり、人の誅せらるるあり、国中大いに不祥なるを主る。(以下およそ某宿を掩蝕すと言うは、体例これと相同じい。)月が七星を侵犯すれば、軽車部隊の出戦・国相が政令を変更するを主る。張宿。月が張宿を掩蝕すれば、貴臣が勢を失い、皇后に憂あり、君主に賞賜する所有るを主る。(以下およそ某宿を掩蝕すと言うは、体例これと相同じい。)

翼:月蝕翼,忠臣見譖言,政事亡,飛蟲多死,將軍亡,北夷有兵,女主凶。月變於翼,其國有飛鳥喜,若有獸鳥者。軫:月宿軫,則多風。月蝕軫,則貴臣亡,后不安。月犯軫,月凶喪,車騎出,兵車用,期一年。

翼宿。月が翼宿を掩蝕すれば、忠臣が讒言の中傷に遭受し、政事荒废し、飛虫が大量に死亡し、将軍敗亡し、北方の夷族が兵を興し、女主に凶あるを主る。月が翼宿に変異を発生すれば、その国に飛鳥の帯び来たる喜事あり、あるいは異獣・異鳥の出現あるを主る。軫宿。月が軫宿に宿れば、風多きを主る。月が軫宿を掩蝕すれば、貴臣の死亡・皇后の安ならざるを主る。月が軫宿を侵犯すれば、凶喪の事あり、車騎出動し、兵車啓用し、期限一年を主る。

月干犯中外官占第十

《海中占》曰:月入攝提,聖人受制,謀臣在側。(此亦非月行所及,但古人有此占,又為災,或行越變常,以至於此也。)月犯蝕大角,強國亡,戰不勝,大人憂患,有大喪。大角貫月,天子惡之。月犯織女,女主有憂。月犯鉤鈐,駟馬駕,將有行。

《海中占》にいう。月が摂提星に入れば、聖明の人が牽制を受け、謀划に善い臣子がすなわち身旁に在るを主る。(摂提もまた月の運行の到達し得る所ではない。ただ古人にこの一条の占辞あるのみ。これは同様に災異と算えるか、あるいは月が常道を越出し変異・反常して、初めてこのごとくに至った。)月が大角星を侵犯または掩蝕すれば、強国の滅亡し、作戦して取勝し得ず、大人が憂患し、大喪あるを主る。大角星の光芒が月体を貫穿すれば、天子がこれがために憂悪するを主る。月が織女星を侵犯すれば、女主に憂あるを主る。月が鉤鈐星を侵犯すれば、四馬の車が駕起し、将に出行の事あらんとするを主る。

月犯東西咸,主因淫致禍,有陰謀。犯於東咸,必有賊。(晉孝武大元二十一年四月,月犯東咸,吳郡內使王欽發人誡嚴,吳興諸郡響應為賊。)月犯天江,大水,關梁塞。月犯乘天市,粟貴,有更弊之令,大將死,或易政。月入天市及有變於市中者,女主憂,將相有戮於市者,近臣有罪。

月が東咸・西咸星を侵犯すれば、淫乱によって禍患を招致し、陰謀の発生あるを主る。東咸星を侵犯すれば、必ず盗賊あり。(晋孝武帝・太元二十一年四月、月東咸を犯す。呉郡内史の王欽が民衆を徴発し戒厳して変に備え、呉興等の郡が紛紜として応じて盗を為した。)月が天江星を侵犯すれば、大水あり、関卡・橋梁が堵塞するを主る。月が天市垣を侵犯または凌乗すれば、粟米の価貴く、将に弊政を更改する号令あり、大将死亡するか、あるいは執政を更換するを主る。月が天市垣に入るか、あるいは市垣の中に変異を発生すれば、女主に憂あり、将・相の中に市に処死せらるる人あり、近臣が罪を獲るを主る。

月犯侯星,侯有憂。月犯帝座宗星,人主有憂。月犯宦者,侍臣誅。月犯建星,大臣相譖死。(按魏陳留王景元元年二月,月犯建星。是後鍾、鄧相譖,以至夷滅。)月變於建星,有亂臣更天子之法令者。一曰近臣大將死,易將相。

月が侯星を侵犯すれば、諸侯に憂あるを主る。月が帝座星・宗星を侵犯すれば、君主に憂あるを主る。月が宦者星を侵犯すれば、侍奉の臣が誅せらるるを主る。月が建星を侵犯すれば、大臣が互いに讒を進めて以って死に致るを主る。(按す。魏・陳留王・景元元年二月、月建星を犯す。此後鍾会・鄧艾が互いに讒毀し、以って双々夷滅するに至る。)月が建星に変異を発生すれば、乱臣が擅自に天子の法令を改むるあるを主る。另一説は近臣・大将の死亡・将・相の更替を主る。

月犯天弁,天下粟貴,一犯一貴。月犯河鼓,犯左,左將死;犯右,右將死。所中者誅,有軍敗亡。月犯乘大陵,天下盡喪服。星眾,兵革起,死人如丘山;星稀則無。月乘犯捲舌,天下多喪。月乘天尸者,亂臣在內。

月が天弁星を侵犯すれば、天下の粟米価貴く、侵犯一次ごとに騰貴一次するを主る。月が河鼓星を侵犯するに、左星を侵犯すれば左将の死亡を主り、右星を侵犯すれば右将の死亡を主る。衝中せられたあの一顆の星の主する人は誅せられ、かつ軍隊の敗亡あるを主る。月が大陵星を侵犯または凌乗すれば、天下人が皆喪服を穿上るを主る。大陵の中の星数が衆多なれば、兵革興起し、死者は堆積して丘山のごとし。星数が稀疏なれば、この種の応験なし。月が卷舌星を凌乗または侵犯すれば、天下に喪事多きを主る。月が天尸星を凌乗すれば、乱臣がすなわち朝廷の内に在るを主る。

月犯五車,兵起趣駕。月入五車,天庫兵起,道路阻。(一雲天下兵起。劉向五星同占。)月犯天關,有亂臣更天子之法,主關津者有罪,王者憂。月犯南河戒,為中邦凶。北河戒,四方兵起,有喪,大旱,百姓病疫,刑罰峻暴,誅伐不當。

月が五車星を侵犯すれば、兵事興起し・急速に車を駕して出動するを主る。月が五車の中に入れば、天子の武庫中の兵器が動用せられ・兵事興起し、道路が阻害せらるるを主る。(另一説は天下兵起る。劉向の記する五星が五車を侵犯する占断はこれと相同じい。)月が天関星を侵犯すれば、乱臣が擅自に天子の法令を改むるあり、関卡・渡口を掌管する官員が罪を獲、君王に憂あるを主る。月が南河戒星を侵犯すれば、中原の邦に凶あるを主る。北河戒星を侵犯すれば、四方に兵起り、喪事あり、大旱し、百姓が疫病に染まり、刑罰が厳峻・暴虐にして誅伐がその当を得ざるを主る。

月犯北河之中,冠帶國兵起,道阻塞,人君失道,淫女子,金錢貪色奢侈。月行南戒之南,兵旱並起,男子多喪;月行北戒之北,兵水並起,女子多喪。月犯五諸侯,諸侯誅。(宋孝武大明三年四月,月犯五諸侯,時竟陵王誕反,沈慶之攻敗也。)

月が北河二星の間を侵犯すれば、衣冠・礼義の国が兵事を興起し、道路が阻塞し、君主が道を失い、女色に淫乱し、財を貪り色を好み、奢侈に耽るを主る。月が南戒の南に行けば、兵禍と旱災が一同に発生し、男子の死喪多きを主り、月が北戒の北に行けば、兵禍と水災が一同に発生し、女子の死喪多きを主る。月が五諸侯星を侵犯すれば、諸侯の誅せらるるを主る。(宋孝武帝・大明三年四月、月五諸侯を犯す。当時竟陵王の劉誕が反叛し、沈慶之に攻め破られ撃敗せられた。)

月入軒轅中犯乘之,有逆賊,女主憂,若火災。月犯軒轅左右角,臣有誅。乘大民星,大飢,太后宗有誅者。若有罪,犯其端,臣子反,有亂臣,臣子失勢,其所中者,以官名之。犯乘少民星,小飢小流,皇后宗有誅。若有罪,犯御女,御女有憂,御僕死。月犯大星,女主當之。(晉安帝元興三年四月甲午,月掩軒轅第二星。明年七月戊申,永安皇后何氏崩。孝武太元五年七月庚子,月犯軒轅大星。九月癸未,皇后王氏崩。)

月が軒轅星の中に入ってかつそれを侵犯・凌乗すれば、叛逆の賊あり、女主に憂あり、あるいは火災の発生あるを主る。月が軒轅の左角星・右角星を侵犯すれば、臣子の中に誅せらるるあるを主る。大民星を凌乗すれば、大飢饉あり、太后の宗族の中に誅せらるる人あるを主る。もし罪あるが、しかして月がまた軒轅の端首の星を侵犯すれば、臣子の反叛・朝中に乱臣出現し、臣子が勢を失うを主る。衝中した具体はどの一顆の星に至っては、その星の主する官職に按って応験の人を指認す。少民星を侵犯・凌乗すれば、小飢饉・小規模の流亡あり、皇后の宗族の中に誅せらるる人あるを主る。もし罪あるが、しかして月がまた御女星を侵犯すれば、御女に憂あり、御僕が死亡するを主る。月が軒轅大星を侵犯すれば、女主の身に応験す。(晋安帝・元興三年四月甲午、月が軒轅第二星を掩蔽す。第二年七月戊申、永安皇后の何氏去世す。孝武帝・太元五年七月庚子、月軒轅大星を犯す。九月癸未、皇后の王氏去世す。)

月犯少微,處士有憂。(續晉陽秋云:會稽謝敷,字慶緒,隱若邦山,初月犯少微。時載逵名著於敷,時人憂之。俄而敷死,會稽嘲吳人曰:吳中高士,便是求死不得也。)月犯少微,女主憂,宰相易,而憂史官黜。月犯少微南一星,處士憂,第一星,義士憂;第三星,博士憂;第四星,大夫憂。

月が少微星を侵犯すれば、隠居の処士に憂あるを主る。(《続晋陽秋》に記載す。会稽人の謝敷、字は慶緒、若邪山中に隠居す。当初月が少微を犯し、あの時戴逵の名望は謝敷に高過ぎ、人々は皆戴逵のために憂えた。まもなく却って謝敷が死した。会稽人はこれによって呉地の人を譏笑していう、「呉中の高士は、竟に死を求めても求め得られぬか」と。)月が少微星を侵犯すれば、女主に憂あり、宰相が更替し、かつ史官が貶黜せらるるに憂うを主る。月が少微南辺の一星を侵犯すれば、処士に憂あるを主り、第一星を侵犯すれば、義士に憂あるを主り、第三星は、博士に憂あるを主り、第四星は、大夫に憂あるを主る。

月行太微中,皆為大臣有憂,大臣死。月所犯者,天子誅之。亦曰后族擅威,凶。月入太微中,若流星縱橫逕行太微中者,主弱臣強,諸侯、四夷兵不制。行不端,心不正。心不正,有邪欲不受命,有奸人在王庭,四夷難信,月干犯太微庭,出其門為使。月貫太微中而東出,大臣出、王侯入為主。出其中門,臣不臣。月入太微,有喪。(《宋書志》云:晉穆帝昇平五年五月壬寅,月犯太微,是月丁巳穆帝崩。安帝義熙十四年五月庚子又犯太微,九月丁巳,又入太微,是年十二月戊寅,安帝崩。)

月が太微垣の中を経行するは、皆大臣に憂あり・大臣の死亡を主る。月の侵犯したあの星の主する人は、天子に誅殺せらるるべし。もまたこれは後族が威権を擅弄し、凶を為すを主るといい。月が太微垣中に入るか、あるいは流星が太微垣中を縦横に穿行すれば、君主の衰弱・臣下の強横にして、諸侯と四方夷族の兵力が節制を受けざるを主る。これは行事が端ならず心術が正しからざるがゆえに。心術が正しからざれば、邪僻の欲を懐いて君命を奉ぜず、朝廷の上に奸人あり、四方の夷族は取信し難し。月が太微の庭を衝犯し、それの門中から出れば、使者の出行あるを主る。月が太微垣中を貫穿して東辺より出れば、大臣が外放せられ王侯が朝に入りて政を主るを主る。中門から出れば、臣子が臣道を守らざるを主る。月が太微垣に入れば、喪事あるを主る。(《宋書・天文志》に記載す。晋穆帝・升平五年五月壬寅、月太微を犯す。当月丁巳、穆帝駕崩す。安帝・義熙十四年五月庚子また太微を犯し、九月丁巳また太微に入る。这一年十二月戊寅、安帝駕崩す。)

月行左右執法,大臣憂,相繫而死,免者少。月出東掖門,為相受命東南出,德事也;出西掖門,為將受令西南出,刑事也。(上同。)月出太微中華東西門,若左右掖門而出端門者,皆為必有度。(五星同。)月入太微西門,出東門,人君不安,大臣假主之威,不從王命。月犯干太微庭,臣殺主,宜求賢人。人中華西門,出中華東門,皆為臣出令。入太陰西門,出太陽東門,皆為大亂有喪,苦大水。月入西門,犯天庭,出端門,皆為大臣伐主。(《宋志》云:晉恭帝元熙元年正月丙午,三月壬寅,五月丙申,七月乙卯,月皆犯太微。二年六月三日,帝遜位宋高祖。)

月が左執法・右執法星を経行すれば、大臣に憂あり、接続して牽連されて死し、幸免を得る者は少なきを主る。月が太微東掖門から出るは、宰相が命を受けて東南に向かい出行し、徳を施す事に属す。西掖門から出るは、将帥が命を受けて西南に向かい出行し、刑を用うる事に属す。(占断は上条と相同じい。)月が太微の中華東門・中華西門、あるいは左右掖門から入って端門より出るは、皆行事に必ず法度の循うべきあるを主る。(五星このごとくなれば、占断相同じい。)月が太微西門から入り東門より出れば、君主安ならず、大臣が君主の威権を假借し、王命に服従せざるを主る。月が太微の庭を衝犯すれば、臣子が君主を殺害するを主り、この時宜しく賢人を訪求して政を輔けしむべし。中華西門から入り中華東門より出るは、皆臣子が擅自に号令を発施するを主る。太陰西門から入り太陽東門より出るは、皆天下大乱・喪事あり、かつ大水に苦しむを主る。月が西門から入り天庭を侵犯して端門より出るは、皆大臣が君主を攻伐するを主る。(《宋書・天文志》に記載す。晋恭帝・元熙元年正月丙午・三月壬寅・五月丙申・七月乙卯、月皆太微を犯す。元熙二年六月三日、恭帝が位を宋高祖の劉裕に禅譲す。)

月行犯黃帝座,大人憂,天下存亡半,有亂臣,主惡之,臣子反,政大易。月犯四帝座天下亡。月出黃帝座,北禍大,出南禍小,皆為下謀上。月犯太微,乘四輔,大臣誅。月行犯乘守內屏星,皆為群臣失禮,而輔臣有誅者,若免罷。

月の運行が黄帝座星を侵犯すれば、大人に憂あり、天下の存亡が各々半を占め、朝中に乱臣出現し、君主がこれがために憂悪し、臣子が反叛し、政局が大変するを主る。月が四帝座星を侵犯すれば、天下の危亡を主る。月が黄帝座の北辺から出るは、禍を為すこと大。南辺から出るは、禍を為すこと小。皆下位に在る者が上位に在る者を図謀するを主る。月が太微垣を侵犯し四輔星を凌乗すれば、大臣の誅せらるるを主る。月の運行が内屏星を侵犯・凌乗または滞留するは、皆群臣が礼を失い、しかして輔政の臣の中に誅せらるるあり、あるいは職を免ぜられ罷黜せらるるを主る。

月入咸池,天下大亂,人君死,易政。月入三臺,君有大憂患,敗在臣下。月入三臺,大臣為天子,公侯共殺君。月入庫樓,天下兵並起。月宿羽林,軍兵大起。月犯乘北落,皆為天下兵大起。

月が咸池星に入れば、天下大乱し、君主死亡し、政権が更易するを主る。月が三台星に入れば、君主に大憂患あり、禍敗は臣下より起るを主る。月が三台星に入るは、また大臣が自立して天子となり、公侯が合謀して共同で君主を弑殺するを主る。月が庫楼星に入れば、天下の兵事が一斉に興起するを主る。月が羽林星に宿れば、軍隊が大挙して出動するを主る。月が北落師門星を侵犯または凌乗するは、皆天下の兵事が大いに起るを主る。

月入天倉,主財寶出,憂臣在內,天下有兵起。月犯天倉,有移谷。月入天市,軍起。月行弧矢,臣逾主。月變於狼星,陳兵不戰。一曰兵起小戰,有水事。甘氏云:月在天理,臣當坐欲反者而入獄。一曰君大憂。

月が天倉星に入れば、府庫の財宝が外に流散し、君主を憂えしむる臣子がすなわち朝内に在り、天下に兵事の興起あるを主る。月が天倉星を侵犯すれば、主に穀物を転運するを要す。月が天市垣に入れば、軍隊の興起を主る。月が弧矢星を経行すれば、臣子が君主を逾越するを主る。月が天狼星に変異を発生すれば、兵を陳し陣を列して交戦せざるを主る。另一説は兵起りて小規模の交戦あり、かつ水患の事あるを主る。甘氏にいう。月が天理星にあれば、臣子が謀反を意図する人に牽連して以って獄に下るを主る。另一説は君主に大憂あるを主る。

月乘天高,將死,臣有誅。月入咸池,暴兵起。月入天潢中者,皆為兵起。道路阻,天下亂,易政。一曰貴人多死。月犯乘天潢,二十日兵起。月不從天街者,皆為政令不行,不出其年有兵。月行天街中,天下寧,百姓順。月行天街外,百姓凶。月行折威中,天子亡威。

月が天高星を凌乗すれば、将領の死亡し、臣子の中に誅せらるるあるを主る。月が咸池星に入れば、倉卒の兵禍の興起を主る。月が天潢星の中に入るは、皆兵事興起し、道路が阻害され、天下動乱し、政権が更易するを主る。另一説は貴人の死亡多きを主る。月が天潢星を侵犯・凌乗すれば、二十天以内に兵事興起するを主る。月が天街に沿って運行せざるは、皆政令の推行し得ざるを主り、当年を出でず兵事あらん。月が天街の中に行けば、天下安寧・百姓順服を主る。月が天街の外に行けば、百姓に凶あるを主る。月が折威星の中に行けば、天子が威権を喪失するを主る。

月行入哭星,有大喪,主崩。月乘鍵閉星,大人憂,大臣誅,天子不敬,天火害於宗廟,王者不宜出宮,天子崩。月入天積,即蒭藁也。財寶出,主憂臣在內。月行天廄星間,為兵歸。月行天廄,主上不安。月行天淵中,臣逾主。月入中犯乘鈇鑕,皆為鈇鑕用。

月が哭星に行入れば、大喪あり・君主駕崩するを主る。月が鍵閉星を凌乗すれば、大人に憂あり、大臣が誅せられ、天子が敬慎を失い、天火が宗廟を焚害するを主る。この時君王は宮を出るに宜しからず、然らざれば応に天子駕崩の禍あるべし。月が天積星に入れば(天積はすなわち芻藁星)、財宝が外に流散し、君主を憂えしむる臣子がすなわち朝内に在るを主る。月が天廐諸星の間に行けば、軍隊が班師するを主り、月が天廐星を経行すれば、君上の安ならざるを主る。月が天淵星の中に行けば、臣子が君主を逾越するを主る。月が鈇鑕星に入り・侵犯し・または凌乗するは、皆鈇鑕の斬刑が動用せらるるを主る。

月暈占第十一

月暈者,謂之逡巡也。人君乘土而亡,其政失平,則月多暈而圓。月暈,受沖之國不安。月暈,臣下專權之象。四孟月七日,四仲月八日,四季月九日,皆夜當月暈。暈若不以其日,不出三日,有暴風甚雨。月暈,聞皆為其君背約。

いわゆる月暈は、また「逡巡」と呼ぶ。君主が土徳に憑恃するも終に敗亡し、政令が公平を失えば、月は多く暈を生じて暈形が渾円となる。月暈を現ずれば、月と相衝する分野の国が安寧を得ざるを主る。月暈は臣下が権柄を專擅する徴象である。孟春・孟夏・孟秋・孟冬のこの四箇の孟月の初七、四箇の仲月の初八、四箇の季月の初九、この幾つかの夜はもとより応に月暈を現ずべし。月暈がもしこれらの日に現ぜざれば、三天を出でず、暴風・大雨あるべし。月暈を現じ、およそ聞く所有れば、皆その国の君が盟約を背棄するを主る。

月暈,東向者敗五木,西向者且雨而風,害五穀。北向者為水,南向者旱風。月暈明者,王自將兵。月暈七日,無雨大風,兵大作,若土功起。月暈多直,為兵,曲吏逆,則為雨。月暈黃色,將軍益秩。候月暈,常以十二月八日。

月暈が東方に偏向するは、五種の木類作物を損敗するを主り、西方に偏向するは、将に雨を降らし且つ風を起し五穀を損害せんとするを主り、北方に偏向するは水災を主り、南方に偏向するは旱災と大風を主る。月暈が格別に明亮なるは、君王が自ら兵を領するを主る。月暈の後七天以内に雨を降らずして大風を刮けば、兵事大いに起り、あるいは土木の工役を興起するを主る。月暈の上に直気多きは、兵事を主り、曲気あるは、官吏の悖逆を主り、また雨を降らすを主る。月暈が黄色を呈すれば、将軍が俸秩を増加するを主る。月暈を観測するは、通常十二月初八のこの日を取る。

暈再重,有大風,兵起,災在內,女親用事。暈再重,赤雲繞之如杵,有軍在外,萬人死其下。月南北有半暈兩重,月北有青雲五沖,關不通。月暈三重,天下大亂,必有拒城。

月暈が两重なれば、大風あり、兵事興起し、災禍は宮廷の内に出、女性親属が政事を把持するを主る。月暈が两重にして、また赤色の雲気が木杵のごとくそれを環繞すれば、軍隊が外にあり、万人がこの暈象の下に死するを主る。月の南北が各々两重の半暈あり、月の北面にまた五道の青雲が直衝すれば、関隘が阻絶して通ぜざるを主る。月暈が三重なれば、天下大乱し、必ず城を拠りて抗拒する事あるを主る。

月暈四重,天下易王。(漢高帝七年,月暈參畢七重。占曰:昴畢間,天街也。街北,胡也。街南,中國也。昴為匈奴,參為趙,畢為邊兵。是歲高帝自將兵擊匈奴。至平城,為冒頓單于所圍,七日乃解。)暈八重,天下有亡國。暈九重,暈十重,天下更王。

月暈が四重なれば、天下が君王を更換するを主る。(漢高帝七年、月暈が参宿・畢宿を籠罩して七重に達す。占辞にいう。昴宿と畢宿の間は、すなわち天街。天街より北は胡地に属し、天街より南は中原に属す。昴宿は匈奴を主り、参宿は趙地を主り、畢宿は辺地の兵事を主る。这一年、高帝は自ら兵を領して匈奴を攻め打ち、平城に至りて冒頓単于に囲困せられ、七天の後にようやく囲を解くを得た。)月暈が八重なれば、天下に国家の滅亡あるを主る。月暈が九重・月暈が十重なれば、天下が君王を改換するを主る。

月色黃白交暈,一黃二赤,所宿其國受咎。月交暈,赤有光,其國不出三年遇兵。月色黃白交暈,所宿之國受其殃。月暈環如兩,軍兵起,軍事爭。月暈如連環,有白虹干暈,不及月,女貴人有陰謀亂,有白衣令,宮中多怪。

月色が黄白にして交錯の暈を生じ、一重は黄・两重は赤なれば、月の宿する星宿に対応する国が災咎に遭受するを主る。月が交暈を生じ、色赤くして光あれば、その国が三年を出でず兵禍に遭遇するを主る。月色が黄白にして交錯の暈を生ずれば、月の宿する国が禍殃を承受するを主る。月暈が環繞して两重のごとければ、軍隊興起し、軍中に争闘の事あるを主る。月暈が形は連環のごとく、また白虹が暈気を衝犯して月体に触及せざれば、女性の貴人が暗に乱を謀り、将に素服をして喪を挙げる号令を頒行し、宮中に怪異の事多きを主る。

月暈而冠,天子大喜,或大風。月暈而珥,歲平國安。又曰國有女喪。月暈而珥,攻擊者勝利。月暈一珥,所在國失地。月暈,先起者有喜。月抱珥在暈外赤,外人勝。

月暈の上に冠気あれば、天子に大いに喜慶あり、あるいは大風を刮くを主る。月暈の上に珥気あれば、年成が平順・国家が安寧するを主る。また一説は国中に女性の喪事あるを主るという。月暈の上に珥気あれば、攻撃を発動する一方が勝を獲るを主る。月暈にただ一道の珥気あれば、珥気の所在する国が土地を喪失するを主る。月暈を現ずる時、暈気の先に起る一方に喜あり。月の抱気・珥気が暈の外に在りて赤色を呈すれば、外囲に処する一方の人が取勝するを主る。

月有兩暈不合,其月水;四背,有謀不成。五月中有九暈以上,道路大有熱死者。月暈一重,下缺不合,上有冠帶,有兩珥,白暈連環貫珥,接北斗,國有大兵,大戰流血,其分亡地。

月に两重の暈ありて彼此合攏し得ざれば、当月に水災あるを主り、暈の上に四道の背気あれば、謀る所の事が成功し得ざるを主る。五月の中に九重以上の月暈を現ずれば、道路上に暑熱に中りて死する人の大いに多きを主る。月暈が一重にして下方の缺口が合攏し得ず、上方に冠帯の気あり、また两道の珥気あり、白色の暈気が連環のごとく珥気を貫穿し、一直に北斗に連接すれば、国中に大規模の兵事あり、大戦して流血し、その分野の地が土地を喪失するを主る。

月以正月三日暈,所宿國小熟,一日二日,必有土功。五日暈,大熟。上旬一暈,樹木蟲;二暈,禾穀蟲;三暈震雷;十日暈,天下更王;六日、八日、九日暈,天下有國亡。正月中有九暈以上,道多飢死人。

月が正月初三に暈を生ずれば、月の宿する国が略々収成あるを主り、もし初一・初二に暈を生ずれば、必ず土木の工程の事あり。初五に暈を生ずれば、大豊収を主る。上旬に一重の暈を現ずれば、樹木が虫を生ずるを主り、两重の暈は、禾穀が虫を生ずるを主り、三重の暈は、雷電が震撃するを主る。初十に暈を生ずれば、天下が君王を改換するを主る。初六・初八・初九に暈を生ずれば、天下に国家の滅亡あるを主る。正月の中に九重以上の月暈を現ずれば、道路上に餓死する人の多きを主る。

月暈五星及び列宿中外官占第十二

凡月暈五星,星色不明主人勝,星色明客勝。暈木,人主病,不然大水,五暈,人主疾喪;暈木,天下有女子之憂,糴貴,三重,相死;暈木,其國主不安。暈火,女主凶,若有死亡,所守國主當之;熒惑在暈中,色惡不明,客兵敗;暈火,兵在野大戰,無兵大旱,兵起。

およそ月暈が五星を籠罩す。星色が晦暗にして明ならざるは、主軍の取勝を主り、星色が明亮なるは、客軍の取勝を主る。月暈が歳星(木星)を籠罩すれば、君主の患病を主り、然らざれば大水あるを主る。もし暈が五重に至れば、君主が疾に染まり喪亡するを主る。月暈が歳星を籠罩するは、また天下に女子によって起る憂患あり、米価騰貴するを主る。暈が三重に至れば、宰相の死亡を主る。月暈が歳星を籠罩するは、還たその国の国主が安ならざるを主る。月暈が熒惑(火星)を籠罩すれば、女主に凶あり、あるいは死亡の事あり、熒惑の守る分野の国の国主の身に応験すを主る。熒惑が暈気の中に処り、気色悪劣にして明亮ならざれば、客軍の兵敗を主る。月暈が熒惑を籠罩するは、また軍隊が野外に大戦するを主り、もし兵事なければ、大旱を主り、随いて兵事興起す。

暈土,所宿國有福德;填星色不明,主人勝;暈三重,相死,天下土動功,兵起,女主憂;暈土,其國女主失勢,有土功事。暈金,其國受兵,戰不勝,主人敗;暈金而星月合,其主死境外。暈水再合再解,其國敗主死。月暈辰星,色不明,主人勝;明,客勝;暈水,角亢間二星如連環,有大臣謀;春夏暈水,民病寒熱;在秋冬,憂兵起,不即大水,主死,若大憂;冬暈水,主命惡之。

月暈が填星(土星)を籠罩すれば、月の宿する国に福徳あるを主る。填星の気色が明ならざるは、主軍の取勝を主り、暈が三重に至れば、宰相の死亡し、天下に大いに土木の工役を興し、兵事興起し、女主に憂あるを主る。月暈が填星を籠罩するは、またその国の女主が勢を失い、土木の工程の事あるを主る。月暈が太白(金星)を籠罩すれば、その国が兵禍に遭受し、作戦して取勝し得ず、主軍が敗北するを主る。月暈が太白を籠罩して星・月相合すれば、その国の主が境外に死するを主る。月暈が辰星(水星)を籠罩して两度聚合し两度散開すれば、その国の敗亡・国主が身を死するを主る。月暈が辰星を籠罩するに、星色が明ならざるは、主軍の取勝を主り、星色が明亮なるは、客軍の取勝を主る。月暈が辰星を籠罩する時、角宿・亢宿の間に両顆の星が形は連環のごとければ、大臣が不軌を図謀するあるを主る。春夏の際に月暈が辰星を籠罩すれば、百姓が寒熱の疾に患うを主り、もし秋冬に在れば、兵事の興起に憂うるか、然らざれば大水あり、人の死亡あるか、あるいは大きい憂患あるを主る。冬季に月暈が辰星を籠罩すれば、君主の性命がこれがために憂悪するを主る。

凡月,春暈木,夏暈火,秋暈金,冬暈水。四季暈土,而其星惡之,皆為其國之分主死國亂,大凶。

大凡月が暈を生ずるに、春季は歳星(木)を暈住し、夏季は熒惑(火)を暈住し、秋季は太白(金)を暈住し、冬季は辰星(水)を暈住し、四季の各々末月は鎮星(土)を暈住す。これは皆月暈が当該の季に令を当たる時に当令の星を罩住したで、あの星は最もこの種の情形を忌諱す。およそ此象を見るは、皆当該の星の臨む分野の国に死喪あり・国政が大乱するを主り、極凶の兆である。

角:月暈左角,軍道阻塞,大臣誅,獄官刑,左將有殃。月暈右角,右將有殃,鱗角多死害,太尉士卒刑死。月暈兩角,大水。色黃白,王者大喜,當有德令;無德令,則天子以軍兵自守,其國不安,有兵兵罷,無兵兵起,將憂。月行角間,暈再重,連環圍北斗,有大臣誅。甲乙為春,丙丁為夏,庚辛為秋,以四時期之。凡占災祥皆此例。月暈角亢,先起兵者有喜,勝。

角宿は天の門戸で、左角は刑法を主り、右角は将帥を主り、分野は鄭・兖州に属す。月暈が左角を罩住すれば、行軍の道路が阻断せられ、朝中の大臣が誅殺せられ、獄を掌る官が刑を受け、左軍の将に災殃あるを主る。月暈が右角を罩住すれば、右軍の将に災殃あり、鱗あり角ある物の死傷多く、太尉と士卒に刑を受けて死する有るを主る。月暈が同時に左右両角を罩住すれば、大水を発するを主る。もし暈色が黄白を呈せば、則ち吉象で、君王に大喜あり、当に恩を施す徳令を頒すべし。もし徳令を頒せざれば、天子は便ち兵をもって自衛し、国中は安寧を得ず、本に戦事あるは兵を罷め、本に戦事なきは兵を起し、将帥に憂あるべし。月が両角の間を経行し、暈が重曡して两重、また連環して北斗を囲えば、大臣の誅せらるるあるを主る。応験の期は日の天干をもって四時に配して推算す。甲・乙に逢えば春に応じ、丙・丁に逢えば夏に応じ、庚・辛に逢えば秋に応じ、これに拠って災祥の到来する時節を推定す。およそ災祥の応期を占断するは、皆この体例に照らす。月暈が兼ねて角・亢二宿を罩えば、先に兵を発する一方に喜慶あり、勝を得るを主る。

亢:月暈亢,君有兵革之事,有兵兵罷,無兵後八十日兵起。月在秋三暈,大臣死,兵大戰水中。再暈,大雪雨水,民移千里,有德令解之。不爾,王自將兵。氐:月暈氐,大將凶,水蟲死。與歲星同合在氐而暈,不出四十日,有德令。

亢宿は疾疫と朝堂の礼法を主り、角宿と同じく鄭の分野に属す。月暈が亢宿を罩住すれば、君王に兵革の事あるを主る。本に戦事あるは兵を罷め、本に戦事なきは則ち八十天后に兵を起さん。月が秋季に三たび亢宿を暈住すれば、大臣の死亡し、軍隊が水上に大戦するを主る。暈が两重に重なるは、大雪・大雨・洪水泛濫し、百姓が千里之外に遷徙し、徳令を頒することを須ちてのみ消解し得るを主る。然らざれば、君王は就ち自ら兵を領して出征せん。氐宿は天子の休息の宮で、分野は宋・豫州に属す。月暈が氐宿を罩住すれば、大将に凶禍あり、水中の虫類が死亡するを主る。もし月と歳星とが一同に氐宿に会合して暈を生ずれば、則ち四十天を出でず、当に恩を施す徳令の頒し下さるるあらん。

房:月暈房心,國有兵在廟堂。勾五宿,大赦。勾三宿,小赦。月暈房及箕,大風動地。心:月暈心,大旱。與五星合暈,王者大憂及大災,兵起,國易相。月暈心尾,無骨四足蟲為害,易政,山崩,麥貴。尾:月暈尾箕,分有疾凶,或益地百里,民多病寒熱,風大至,大水。

房宿は天子が政を布く明堂で、心宿は天王の座で、二宿は同じく宋・豫州の分野に属す。月暈が房・心を罩住すれば、国家の兵禍が朝堂の内より起るを主る。暈気が五宿を勾連するは、当に大赦を行うべし。三宿を勾連するは、当に小赦を行うべし。月暈が兼ねて房宿と箕宿を罩えば、大風が驟然に起りて大地を震動するを主る。月暈が心宿を罩住すれば、大旱を主り、もし五星と会合して暈を成せば、君王に大憂・大災あり、兵事興起し、国家が宰相を更換するを主る。月暈が兼ねて心・尾を罩えば、骨なき軟体の虫と四足の獣が災を成し、朝政が変易し、山陵が崩塌し、麦価が騰貴するを主る。尾宿九星は後宮の嬪妃を主り、分野は燕・幽州に属す。月暈が兼ねて尾・箕を罩えば、その分野に疾疫・凶禍あり、あるいは疆土が百里を増広し、百姓に寒熱の病を患う者多く、大風が驟至し、洪水が泛濫するを主る。

箕:月暈箕斗,兵從東北方來勝,從西南方來不勝。箕斗者,天子冠服,在斗罷,在箕外戰。月暈箕斗,五穀不成,易大將。南斗:月暈斗,大臣免,大將刑。牽牛:月暈牛,小兒多死,軍暴將死。月暈牛,女子女貴,牛多暴死。須女:月暈女,兵進而不斗,寡婦多死。

箕宿は風と口舌を主り、分野は燕・幽州に属す。南斗は爵禄・寿命を主り、牽牛は関梁・犠牲を主り、同じく呉越・揚州に属す。須女は布帛・嫁娶を主り、斉・青州に属す。月暈が兼ねて箕・斗を罩えば、兵が東北方より来る一方が勝を得、西南方より来る一方が勝たざるを主る。箕・斗二宿は天子の冠冕・衣服を象徴し、暈が斗に在れば兵を罷め、暈が箕に在れば境外に戦う。月暈が兼ねて箕・斗を罩うは、また五穀が熟せず、大将を更換するを主る。月暈が南斗を罩住すれば、大臣が罷免せられ、大将が刑を受くるを主る。月暈が牽牛を罩住すれば、小児の死する多く、軍中が暴乱して将領が死亡するを主る。また女子の中に女事によって顕貴するあるを主り、牛の暴死多し。月暈が須女を罩住すれば、軍隊が進発するも交戦せず、寡婦の死する多きを主る。

虛:月暈虛危,兵革離宗廟。危:月暈危,兵,軍敗,有喪,天下哭。室:月暈室,蠻夷來貢。壁:月暈室壁,風起,大水至,寡婦小兒多死。奎:月暈奎,兵大敗,有兵令,米貴,不出年,有祅星流。婁:月暈婁,五日之內不雨,宰相相疑,然後事解。

虚・危二宿は廟堂の祭祀と死喪・哭泣を主り、分野は斉・青州に属す。営室・東壁は宮室の土功と文章・図籍を主り、分野は衛・并州に属す。奎宿は武庫・兵事を主り、婁宿は苑牧・犠牲を主り、分野は魯・徐州に属す。月暈が兼ねて虚・危を罩えば、兵革の事が宗廟を離散せしむるを主る。月暈が危宿を罩住すれば、兵を起し、軍隊が敗績し、喪事あり、天下が哀を挙ぐるを主る。月暈が営室を罩住すれば、遠方の蛮夷が来たり朝貢するを主る。月暈が兼ねて室・壁を罩えば、大風が驟然に起り、洪水到来し、寡婦と小児の死する多きを主る。月暈が奎宿を罩住すれば、軍隊が大敗し、朝廷が徴兵の令を下達し、米価騰貴し、一年を出でず、妖星が流れ過ぐる有るを主る。月暈が婁宿を罩住すれば、五日の内に雨を降らず、宰相の間が互いに猜疑し、此の後事態がようやく化解を得るを主る。

胃:月暈胃三重,歲星在其中,天下有德令,有兵不戰,妊女多死。昴:月以正月上旬,暈昴畢參伐,有赦,月一歲三暈昴,來年大赦,弓弩貴。畢:月暈畢中,人主坐之占。月三暈畢,天下中外有兵,有大赦。觜:月以正月暈觜參,赦。月暈觜,道路多死人而無首,大將死,女子疾,弓弩貴。

胃宿は天の倉廩で、昴宿は号して「旄頭」といい、刑獄と胡兵を主り、同じく趙・冀州の分野に属す。畢宿は辺兵と雨沢を主り、觜宿は葆旅・収斂を主り、同じく晋魏・益州の分野に属す。月暈が胃宿を罩住して三重に達し、しかして歳星がまさに暈中に在れば、天下に恩を施す徳令あり、兵あれども交戦せず、孕婦の死する多きを主る。月が正月上旬に昴・畢・参・伐諸宿を暈住すれば、赦令あるを主る。月が一年の内に三たび昴宿を暈住すれば、来年に大赦し、弓弩の価貴くなるを主る。月暈がまさに畢宿の中を罩住するは、君主の身に応験する占象である。月が三たび畢宿を暈住すれば、天下の内外に皆兵事あり、かつ大赦あるを主る。月が正月に觜・参を暈住すれば、赦あるを主る。月暈が觜宿を罩住すれば、道路上に頭なき死人の多く、大将死亡し、女子に病多く、弓弩の価貴くなるを主る。

參:月暈伐,將軍死,貴人有誅。四月暈參井,凌霜至。月以十二月、正月暈伐,十四日而暈參,為大人憂。月暈參,有軍不勝。月以正月暈伐二夜,不出三旬,兵起。東井:月暈井鬼,其年不收,旱。三月,月暈井,大水。鬼:月暈鬼,黍貴三倍。月夏三暈鬼,大雨,五穀不成,皆在月初,月以正月上旬暈鬼,赦。

参宿は斬刈・殺伐を主り、その中の「伐」三星は専ら兵戈・誅罰を主り、分野は晋魏・益州に属す。東井は水衡・法令を主り、輿鬼は祠祀・死喪を主り、分野は秦・雍州に属す。月暈が伐星を罩住すれば、将軍の死亡し、貴人が誅せらるるを主る。四月の内に月暈が兼ねて参・井を罩えば、寒霜が提前して降臨するを主る。月が十二月・正月に伐星を暈住し、十四日に至りまた参宿を暈住すれば、大人物に憂あるを主る。月暈が参宿を罩住すれば、軍を出して取勝し得ざるを主る。月が正月に連続して両夜伐星を暈住すれば、三十天を出でず兵事興起するを主る。月暈が兼ねて東井と輿鬼を罩えば、当年は顆粒も収めず、天旱するを主る。三月の内に月暈が東井を罩住すれば、大水を発するを主る。月暈が輿鬼を罩住すれば、黍価が三倍に漲るを主る。月が夏季に三たび鬼宿を暈住すれば、大雨が災を成し、五穀熟せず——これらは皆月初に応ず。月が正月上旬に鬼宿を暈住すれば、則ち赦令あるを主る。

柳:月暈柳,林木苑谷,各有兵戰。月暈柳三月,大臣死,有水,民愁。七星:月暈七星,民多大傷,物再繁榮。張:月暈張,飛鳥死,海鳥出,其地旱,大人憂,人相食。翼:月暈翼,士卒多遁走。一曰士卒大聚大戰,民去室宅。軫:月暈軫角,大赦,飢。以二月暈軫角,至五月大赦。

柳宿は草木・厨膳を主り、七星は衣裳・文繍と急兵を主り、張宿は珍宝・宗廟の供養を主り、同じく周の三河の分野に属す。翼宿は楽府・遠客を主り、軫宿は車騎・風気を主り、同じく楚・荊州の分野に属す。月暈が柳宿を罩住すれば、山林・苑囿と川谷の地に各々兵戦あるを主る。月が連なる三箇月も柳宿を暈住すれば、大臣の死亡し、水災あり、百姓が愁苦するを主る。月暈が七星を罩住すれば、百姓に大いなる傷亡の多きを主り、その後草木が再度繁茂す。月暈が張宿を罩住すれば、飛鳥が死亡し、海鳥が内陸に出現し、その分野の地が大旱し、大人物に憂あり、以至人の相食するに至るを主る。月暈が翼宿を罩住すれば、士卒の逃亡多きを主る。另一説は士卒が大批に聚集して大戦し、百姓が家を棄てて逃离するを主る。月暈が兼ねて軫宿と角宿を罩えば、大赦あるを主り、また飢饉を主る。もし二月に軫・角を暈住すれば、則ち五月に至りて当に大赦を行うべし。

暈中外官占:月暈攝提,火在暈中,天下大兵,橫行不禁,諸侯分政,天下亂,內有興兵與上爭立者,以其時赦。暈織女,兵滿天下。暈天市,有兵。暈建星之口,有德令。暈大陵前足,赦死罪;後足,赦小罪。暈五車一星,赦小罪。暈五星並昴畢大陵,必大赦。

以下は月暈の中官・外官諸星の占辞である。摂提六星は大角を夾輔し、時節を建立し暦数を厘正するを主る。月暈が摂提を罩住して、しかして熒惑(火)がまた暈中に在れば、天下が大いに干戈を動かし、横行して忌憚なく、諸侯が各自政令を分掌し、天下大乱し、国内に兵を起して君上と帝位を争奪する人あり、その時に至りて朝廷は赦令を頒し下さん。月暈が織女を罩住すれば、兵禍が天下に遍布するを主る。月暈が天市垣を罩住すれば、兵事あるを主る。月暈が建星の「口」の処を罩住すれば、恩を施す徳令あるを主る。月暈が大陵の前足を罩住すれば、死罪を赦免するを主り、後足を罩住すれば、軽罪を赦免するを主る。月暈が五車中の一星を罩住すれば、軽罪を赦免するを主り、もし暈が兼ねて五車諸星および昴・畢・大陵を罩えば、必ず大赦せん。

暈庫一柱,兵少出。二柱,兵半出。三柱,兵盡出,兵在外。暈一柱,兵少罷;暈二柱,兵半罷。暈三柱,兵盡罷。月一歲三暈天關,其年赦。暈南北河戒,有土功。暈軒轅,有女喪,有小赦。暈太微庭,天子發軍自衛。三暈之,天子自臨兵以行,有急謀在軍中,天子忌之。

庫楼に五柱あり、兵車・武備を主る。月暈が庫楼の一柱を罩住すれば、兵を出すこと少なきを主り、二柱を罩住すれば、兵の半分を出すを主り、三柱を罩住すれば、全軍尽く出し、兵は境外に在るを主る。もし兵已に外に在りて、暈が一柱を罩えば、兵を罷むること少なきを主り、暈が二柱を罩えば、兵の半分を罷むるを主り、暈が三柱を罩えば、全部兵を罷むるを主る。月が一年の内に三たび天関星を暈住すれば、当年に赦令あるを主る。南河・北河は南北二戒で、日月五星の出入する門戸である。月暈が南北河戒を罩住すれば、土木の功を興すを主る。軒轅十七星は后妃の事を主り、月暈が軒轅を罩住すれば、女子の喪事あり、かつ小赦あるを主る。太微垣は天子の朝庭で、月暈が太微庭を罩住すれば、天子が兵を発して自衛するを主る。もし三たび暈住すれば、天子が自ら兵を統べて出行し、軍中に別に緊急の図謀あり、天子は当に此事を忌憚すべきを主る。

暈五帝座,有赦令。暈文昌,有赦。暈天牢,天下大敗,多盜賊。連環及北斗,天下大亂,國有喪,民徙千里,有拔城者。暈魚星,凶。暈弧狼,兵起。天狗,多暴風。暈天關,門梁閉。暈天高,不出六月,必有大喪,以日占邦。暈貫索,不出四月有殃,內禍匿謀之事。

月暈が太微垣中の五帝座を罩住すれば、赦令あるを主る。文昌六星は天の六府の文運を主り、月暈が文昌を罩住すれば、赦あるを主る。天牢六星は愆過・囚禁を主り、月暈が天牢を罩住すれば、天下大敗し、盗賊衆多なるを主る。もし暈気が連環してまた北斗に及べば、天下大乱し、国に喪事あり、百姓が千里に遷徙し、城池の攻破せらるる有るを主る。月暈が魚星を罩住すれば、凶を主る。月暈が弧矢と天狼を罩住すれば、兵事の興起を主る。月暈が天狗星を罩住すれば、暴風多きを主る。月暈が天関星を罩住すれば、門戸・橋梁の閉塞を主る。月暈が天高星を罩住すれば、六箇月を出でず必ず大喪あるを主る。どの邦国に応ずるは、暈を生じたあの日の日辰をもって推占す。月暈が貫索を罩住すれば、四箇月を出でず災殃あり、しかも宮禁の内の禍事と隠匿の陰謀であるを主る。

暈天街,關梁阻塞。暈客星,在月北,北國勝;在南,南國勝。暈天,下無雲,有流星過月下,若過月上,其國有喜。一曰兵出。流星橫度暈中者,諸侯皇后有亡失國者。月無精光,青赤暈,及虹蜺背璚蝕心度中,是為大蕩,兵喪大起,王者以德除咎。暈有雲貫,暈輝約月,不出其年,所直國有喪。

天街二星は昴・畢の間に在り、華夏と胡人の分界である。月暈が天街を罩住すれば、関隘・橋梁の阻塞を主る。月暈が客星を罩住するに、客星がもし月の北に在れば、北方の国が勝を得、月の南に在れば、南方の国が勝を得る。月暈已に成りて天空の下に並びて雲気なく、また流星が月下より経過するか、あるいは月上より経過すれば、その分野の国に喜慶あるを主る。另一説は兵を出すを主るという。流星が月暈の中を横に穿つ有れば、諸侯あるいは皇后の中に邦国を亡失する人あるを主る。月が光華を失い、青赤色の暈を生じ、また虹霓・背気と玉玦形の珥気が心宿の度数の内を侵蝕するを、これを「大蕩」と呼び、兵禍・喪乱が大いに起るを主り、君王は徳政を施行して災咎を消除することを須つ。月暈の上に雲気が貫穿し、暈の光輝が月体を束縛すれば、当年を出でず、暈の正対する分野の国に喪事あるを主る。

月蝕占第十三

月生三日無魄,其月必蝕。《易緯萌氣樞》曰:候月盡蝕,視水中不見影者盡蝕。凡月蝕,其鄉有拔邑大戰之事。凡師出門而蝕,當其國之野,大敗軍死。月蝕三日內,有雨,事解,吉。月蝕以旦相及,太子當之;以夕,君當之。

月が初生して第三日に至るも月魄の輪廓が見えざれば、この月は必ず月蝕を発生す。《易緯・萌気枢》にいう。月が全蝕するか否かを予候せんとすれば、水中の月影を看るべし。水中に月影が見えざるは、すなわち全蝕である。およそ月蝕有れば、月の臨むあの一方に城邑を攻抜し大挙して交戦する事あるを主る。およそ軍隊が出師して城門を出る時にちょうど月蝕に遇えば、当該の国の分野に応じ、軍隊大敗し将士死亡するを主る。月蝕の後三日以内に雨降るは、事端が化解するを主り、吉兆である。月蝕が天将に破暁せんとする時に発生するは、太子の身に応じ、傍晚に発生するは、君主の身に応ず。

月蝕起南方,男子惡之。起北方,女子惡之。起東方,少者惡之。起西方,老者惡之。月蝕盡,光耀亡,君之殃。蝕不盡,光輝散,臣之憂。月蝕中分,不出五年,國有憂兵,其分軍亡。月蝕而斗且暈,國君惡之。有軍必戰,無軍兵起。

月蝕が月体の南辺から虧缺を始むるは、男子がこの種の天象を忌諱す。北辺から始むるは、女子が忌諱す。東辺から始むるは、年少の人が忌諱す。西辺から始むるは、年老の人が忌諱す。月が全部蝕尽して光耀が全失するは、君主の災殃である。蝕して未尽にしてただ光輝が散乱するは、臣下の憂患である。月体が半分を蝕去するは、五年を出でず国家に兵禍の憂あり、その分野の軍隊が覆亡するを主る。月蝕の時また他星と相凌・相斗してかつ月暈を生ずれば、国君がこの種の天象を忌諱す。已に軍隊あるは必ず交戦し、軍隊なきもまた兵事を興起せん。

兩月並蝕,天下大亂。月蝕,有氣從外來入月中,主人凶。從中出外,客凶。氣從南行,南軍凶;北行,北軍凶。東西亦然。軍在外而月蝕,將環其國,戰不勝。月生三日而蝕,是謂大殃,國有喪。十日至十四日而蝕,天下兵起。十五日而蝕,國破滅亡。

天上に両月并出して同時に蝕せらるれば、天下大乱を主る。月蝕の時、雲気が外面から月中に入るは、主方(守方・本国)に凶あるを主り、雲気が月中から外に向かい散出するは、客方(来犯の一方)に凶あるを主る。雲気が南に向かい行けば、南方の軍隊に凶あり、北に向かい行けば、北方の軍隊に凶あり、東・西に向かうもまたこれに照らして推断す。軍隊が境外に在りて月蝕に遇上れば、将帥が道を繞らして本国に返回するを主り、作戦して取勝し得ず。月が初生第三日にして蝕を発生するを、これを「大殃」と呼び、国に喪事あるを主る。初十から十四日に月蝕を発生すれば、天下に兵起るを主る。十五日に月蝕を発生すれば、国家の破敗・滅亡を主る。

春蝕,歲惡,將死,有憂;夏蝕,大旱;秋蝕,兵起;冬蝕,其國有兵喪。冬以其日辰占邦野:月以甲乙蝕,年多魚禾麥傷;丙丁蝕,年豐收;戊己蝕,無耕,下田凶;庚辛蝕,高田不收;壬癸蝕,歲和;月蝕辰巳,地採年麥傷。蝕午未,秋稼凶。

春季の月蝕は、年成悪劣にして将帥死亡し、憂患あるを主る。夏季の月蝕は、大旱を主る。秋季の月蝕は、兵事の興起を主る。冬季の月蝕は、その国に兵禍と喪事あるを主る。冬季は還た月蝕のあの日の日辰に按って各邦国の分野を占断すべし。月が甲・乙日に蝕せらるれば、当年に魚多くして禾麦が損を受くるを主り、丙・丁日に蝕せらるれば、当年豊収を主り、戊・己日に蝕せらるれば、耕作する人なく低田が歉収するを主り、庚・辛日に蝕せらるれば、高田が収めざるを主り、壬・癸日に蝕せらるれば、年歳が和順なるを主る。月が辰・巳の日に蝕せらるれば、土地に採収あれど当年に麦が損を受くるを主り、午・未の日に蝕せらるれば、秋季の庄稼が歉収するを主る。

月蝕五星及び列宿中外官占第十四

月行與木同宿而蝕,民相食,粟貴,農官憂。月行與火同宿而蝕,天下破亡,有憂。月行與土同宿而蝕,國以飢亡。月行與金同宿而蝕,強國戰勝亡城,大將有兩心。月行與水同宿而蝕,其國有女亂而國亡。

月の運行が歳星(木)と同じ一宿に処りて月蝕を発生するは、歳星は農事・年成を主るがゆえに、百姓の相食し・粟価騰貴し、農を掌る官に憂あるを主る。月と熒惑(火)と同宿して蝕すれば、天下の破敗・滅亡し、憂患あるを主る。月と鎮星(土)と同宿して蝕すれば、国家が飢饉によって亡ぶを主る。月と太白(金)と同宿して蝕すれば、強国は戦勝すれども城池を失い、大将が二心を懐くを主る。月と辰星(水)と同宿して蝕すれば、その国が女子の作乱によって亡国するを主る。

月蝕列宿:月在角亢蝕,刑法官當黜,將吏有憂,國門四閉,其邦凶。月在亢中蝕,君有憂。月蝕氐中,天子疾崩,大臣死,後惡之,公卿大夫有憂。(日同。)月在房蝕,王者有憂,昏亂,大臣專政,有憂病。(日同。)月在心蝕,王者惡之,太子、庶子及三公憂。

以下は月が二十八宿に蝕するの占辞である。月が角・亢二宿に蝕せらるるは、角は天門・亢は疏廟・刑法を主るがゆえに、刑法を掌る官は当に貶黜せられ、将領・官吏に憂あり、国の四門が緊閉し、その分野の邦に凶あるを主る。月が亢宿の中に蝕せらるれば、君王に憂あるを主る。月が氐宿の中に蝕するは、氐は天子の休息の宮室なるがゆえに、天子が病重くして崩じ、大臣死亡し、皇后が此象を忌諱し、公卿・大夫に憂あるを主る。(日が氐に蝕するは、占法相同じい。)月が房宿に蝕せらるるは、房は天子が政を布く明堂なるがゆえに、君王に憂あり、政令が昏乱し、大臣が朝政を專擅し、かつ憂病あるを主る。(日が房に蝕するは、占法相同じい。)月が心宿に蝕せらるるは、心宿の中星は天王・前星は太子・後星は庶子なるがゆえに、君王が此象を忌諱し、太子・庶子および三公に憂あるを主る。

月在尾箕蝕,君族有刑。若御妾有坐,後主憂,御車乘人當黜。月在箕蝕,為車騎發。月在斗蝕,將相有憂飢亡。(日占兵起,餘同。)月在牛蝕,其國叛兵起。(日同。)月在女蝕,邦有女主憂,天下女工廢。月在虛蝕,邦有崩喪,天下改服。

月が尾・箕二宿に蝕せらるるは、尾宿九星は後宮の嬪妃を主るがゆえに、君王の宗族に刑を受くる人あるを主る。あるいは侍御の姫妾が罪を獲、皇后に憂あり、車駕を掌る人は当に貶黜せらるるべし。月が箕宿に蝕せらるるは、箕は風と口舌を主るがゆえに、車騎の発動を主る。月が南斗に蝕せらるるは、斗は爵禄を主るがゆえに、将・相に憂あり、あるいは飢饉・死亡あるを主る。(日が斗に蝕するは、則ち兵起ると占し、その余相同じい。)月が牽牛に蝕せらるれば、その国に叛軍の興起あるを主る。(日が牛に蝕するは、占法相同じい。)月が須女に蝕せらるるは、須女は布帛・女功を主るがゆえに、邦国の女主に憂あり、天下の女紅の事が廃弛するを主る。

月在危蝕,不有崩喪,必有大臣薨,天下改服,刀劍之官憂,衣履金玉之人有黜。月在室蝕,為士眾乏糧食。月在東壁蝕,陰道毀傷,不能化生,有黜削之罪,大臣有戮,文章者執。月在奎蝕,聚斂之臣有黜者。月在婁蝕,皇后犯逆。

月が危宿に蝕せらるるは、危宿は墳墓・屋を架する事を主るがゆえに、もし君主の崩逝する喪事ならざれば、必ず大臣の去世あり、天下が喪服を改換し、刀剣・兵器を掌る官に憂あり、衣履・金玉を掌る人に貶黜せらるるあり。月が営室に蝕せらるるは、室は宮室と軍糧を主るがゆえに、士卒が糧食を欠乏するを主る。月が東壁に蝕せらるるは、壁は文章・図籍を主るがゆえに、陰柔の道が毀傷を受け、化育・生長し能わず、貶削せらるる罪責あり、大臣が殺戮に遭い、文書・典籍を掌る人が拘捕せらるるを主る。月が奎宿に蝕せらるるは、財賦を聚斂するを掌る臣子に罷黜せらるるあるを主る。月が婁宿に蝕せらるるは、婁は苑牧を主り、また後宮を主るがゆえに、皇后に悖逆の事あるを主る。

月在胃蝕,王者食大絕。或曰大將亡軍,委輸之臣有罪,皇后憂。月在昴蝕,大臣誅,貴女失勢。(與前蝕二十八宿同。)月在畢蝕,有邊使者凶,若邊臣誅。月在觜參蝕,旱,貴臣誅;月在觜參蝕,主兵之臣當黜。月在井蝕,主水官、五祀之官有憂,大臣誅,皇后不安,谷不登。

月が胃宿に蝕せらるるは、胃は天の倉廩なるがゆえに、君王の膳食が大いに断絶するを主る。另一説は大将が師を喪い、転運・輸送を掌る臣子が罪を獲、皇后に憂あるを主る。月が昴宿に蝕せらるるは、昴は号して「旄頭」といい、刑獄と胡兵を主るがゆえに、大臣が誅せられ、貴族の女子が勢を失うを主る。(前の月蝕二十八宿の占法と相同じい。)月が畢宿に蝕せらるるは、畢は辺兵を主るがゆえに、辺地に出使する使者に凶あり、あるいは辺地の臣子が誅せらるるを主る。月が觜・参に蝕せらるれば、天旱し貴臣が誅せらるるを主る。月が觜・参に蝕せらるるは、また兵権を執掌する臣子が当に貶黜せらるるべきを主る。月が東井に蝕せらるるは、井は水衡の事を主るがゆえに、水利を掌る官・五祀を掌る官に憂あり、大臣が誅せられ、皇后安ならず、五穀が登らざるを主る。

月在鬼蝕,貴人失勢,臣有憂,天下不安。月在柳蝕,大臣憂黜。月在七星蝕,正陽虧太陰,皇后貴臣暴誅,國大飢。月在張蝕,貴人失勢,皇后憂,與蝕鬼同占。月在翼蝕,忠臣見譖言,清正者亡。(與上二十八宿同。)月在軫蝕,貴臣亡,皇后不安。(日同,又與上二十八宿同占。)

月が輿鬼に蝕せらるるは、鬼は祠祀と死喪を主るがゆえに、貴人が勢を失い、臣下に憂あり、天下が安寧を得ざるを主る。月が柳宿に蝕せらるるは、柳は草木・厨膳を主るがゆえに、大臣に憂あり・貶黜せらるるを主る。月が七星に蝕せらるるは、七星は南方の正陽の位に居り、しかして月は太陰なり。正陽の位にして太陰が虧損するがゆえに、皇后と貴臣が突然誅殺せられ、国内大いに飢うるを主る。月が張宿に蝕せらるれば、貴人が勢を失い、皇后に憂あり、月が鬼宿に蝕するの占法と相同じい。月が翼宿に蝕せらるるは、翼は楽府・遠客を主るがゆえに、忠臣が讒言に遭受し、清廉・正直の人が敗亡するを主る。(上文の月蝕二十八宿の占法と相同じい。)月が軫宿に蝕せらるるは、軫は車騎を主るがゆえに、貴臣の死亡・皇后の安ならざるを主る。(日が軫に蝕する占法相同じく、また上文の月蝕二十八宿と同占。)

月犯蝕占:月在建星中蝕,后妃姪娣有當黜者。月入太微中,若流星縱橫經行太微中者,主弱臣強,諸侯四夷,兵不制,行不端,心不正。心不正,有邪欲,不受命,有奸在主庭,四夷難信。月數入太微,有喪。(按《宋志》:晉穆帝升千五年五月壬寅,月犯太微,是月穆帝崩。安帝義熙十四年五月庚子,又犯太微。九月丁巳,又入太微。是年十二月,安帝崩。)

以下は月が諸星を侵犯するおよび月蝕の占辞である。建星六星は南斗の北に在り、天の都関である。月が建星の中に蝕せらるれば、后妃および随嫁の姪娣の中に当に貶黜せらるるあるを主る。太微垣は天子の朝庭である。月が太微垣中に入るか、あるいは流星が太微垣内を縦横に穿行するは、君主が衰弱して臣下が強横にして、諸侯と四方の夷狄の兵馬が節制を受けず、行事が端ならず居心が正しからざるを主る。居心が正しからざれば邪念・私欲を生じ、朝命を奉受することを肯んぜず、君主の朝庭の中に奸人あり、四方の夷狄は取信し難し。月が屡々太微垣に入れば、喪事あるを主る。(《宋書・天文志》の記載に拠れば、晋穆帝・升平五年五月壬寅日、月が太微垣を侵犯し、当月穆帝駕崩す。晋安帝・義熙十四年五月庚子日、月また太微を侵犯し、九月丁巳日、また太微に入り、这一年十二月、安帝駕崩す。)

月出東掖門,為相受命,東南出,為德事;月出西掖門,為將受令,西南出,刑事。月犯鬼質,邦君憂,大臣誅。(魏嘉平二年十月,月犯鬼。三年五月,王陵楚王彪等誅。)凡月干鉞乘鑕,斧鉞用。月乘天尸,亂臣在內。(晉義興五年二月甲子,月犯昴,九月壬寅,鮮卑滅。)

太微垣に東・西掖門あり。月が東掖門から出るは、宰相が命を受くるを主り、東南方から出るは、徳を施す事あるを主る。月が西掖門から出るは、将帥が命を受くるを主り、西南方から出るは、刑殺の事あるを主る。輿鬼宿中の「質」はすなわち積尸気で、専ら死喪を主る。月が鬼質を侵犯すれば、邦国の君に憂あり、大臣が誅せらるるを主る。(魏・嘉平二年十月、月輿鬼を侵犯す。三年五月、王陵・楚王曹彪らが誅せらる。)およそ月が鉞星を干犯し・錆星を乘凌するは、斧鉞の刑が将に動用せんとするを主る。月が天尸を乘凌すれば(すなわち輿鬼中の積尸気、一説は昴宿を指す)、乱臣が朝廷の内に在るあるを主る。(晋・義興五年二月甲子日、月昴宿を侵犯す。九月壬寅日、鮮卑が消滅せらる。)

月行犯昴,北有赤白雲緣月,兵入匈奴,有得地。月乘昴,天下法峻,水滿野,谷不收。月行觸昴,匈奴受兵。月犯昴,諸侯黜,門房中有事,月入昴,赦。

昴宿は号して「旄頭」といい、胡人の星で、刑獄・辺兵を主る。月の運行が昴宿を侵犯するに、もし月の北面に赤白色の雲気が月体を環繞すれば、中国が兵を出して匈奴の地に入り、土地を取得し得るを主る。月が昴宿を乘凌すれば、天下の刑法が苛峻にして、大水が野に漫り、五穀収めざるを主る。月の運行が昴宿に触及すれば、匈奴が兵禍に遭受するを主る。月が昴宿を侵犯すれば、諸侯が貶黜せられ、宮門・内室の中に変故あるを主る。月が昴宿の中に入れば、則ち赦令あるを主る。

乙巳占 巻第三

分野第十五

謹按:在天二十八宿,分為十二次,在地十二辰,配屬十二國。至於九州分野,各有攸繫,上下相應,故可得占而識焉。州郡國邑之號,並劉向所分,載於《漢書地理志》,其疆境交錯,地勢寬窄,或有未同,多因春秋已後,戰國所據,取其地名國號而分配焉。星次度數,亦有進退。眾氏經文,莫審厥由。按列國地名,三代同目,地勢不改,人遽遷移,古往今來,封爵遞襲,上繫星野,沿而未殊。自秦燔簡策,書史殘缺,時有片言,理無全據,雖欲考定,敢不闕疑。

謹んで按ず。天上に在りては二十八宿が十二星次に分かれ、地上に在りては十二辰が十二箇の諸侯国に配属す。九州の分野に至っては、各々繋属する所有り、天上・地下が互いに対応す。ゆえにこれに拠って占験して吉凶を識知し得る。文中の州・郡・国・邑の名号は、皆劉向の劃分する所に依り、《漢書・地理志》の中に載る。これらの疆界は彼此交錯し、地勢に寛あり窄あり、あるいは全く合し得ざる処あるは、多半は春秋以後戦国が各自割拠し、就ち当時の地名・国号を取って分配したがゆえである。星次の度数もまた各々進退・出入あり。諸家の経文の載する所は一ならず、その中の由来を考明する法なし。列国の地名を考察するに、夏・商・周三代の称する所は相同じく、地勢は並びて改変せず、ただ人事が屡々遷移あるのみ。古往・今来、封爵は世代相承襲し、上は星野に繋がり、沿用して来て並びて差異なし。秦朝が簡冊を焚毀してより、書史は残欠し、時々片言・隻語を留むる虽も、道理の上には完整の依拠なし。縱使考定せんと欲するも、またあえて疑を存し闕如せざらんや。

唯有《二十八宿山經》載其宿、山所在,各於其國分。星宿有變,則應乎其山,所處國分有異,其山亦上感星象。又其宿星辰,常居其山,而上伺察焉。上下遞相感應,以成譴告之理。或人疑之,以為不爾,乃因以張華劍事而論之。張華昔見斗牛之間有異氣,知是神劍之精,遂按地分求之,果得寶劍。夫劍,一利器耳,尚能應見於天,況乎人物精靈,山川迂鬱,性情至理,大於劍乎?今輒列古十二次國號星度,以為紀綱焉。其諸家星次度數不同者,乃別考論著於《曆象志》雲。

唯《二十八宿山経》にのみ各宿と各山の所在を記載し、分别して各国の分野に繋属す。星宿に変異あれば、それと相配するあの山に応験す。処る国分が同じからざれば、あの山もまた上は星象に感応す。しかもあの一宿の星辰は、常にあの山の上に駐り、上より人事を伺察す。上下は互いに感応し、従って上天が人間を譴告する道理を構成す。この説に懐疑する人あり、実は然るに非ずと以為し、ここにおいて張華の剣を得た旧事をもって論証を加う。当年張華は斗・牛二宿の間に異常の気あるを見て、それが神剣の精気なるを知り、便ち分野に按って地上に尋求し、果して宝剣を得た。剣は不過一件の利器に過ぎざるに、尚且上は天に応じて星象を顕す。いわんや人物の精霊・山川の鬱結する霊気、その性情の至理は一把の剣より遥かに重大なるをや。如今は就ち古来の十二星次の国号と星度を下に列して、分野の綱領と為す。諸家の記する星次・度数の同じからざるに至っては、別に考論を加え、《暦象志》の中に著録す。

角、亢,鄭之分野。自軫十二度至氐四度,於辰在辰,為壽星。三月之時,萬物始建於地,春氣布養,各盡其性,不罹天夭,故曰壽星。(《爾雅》曰:壽星,角亢也。《史記天官書》曰:角亢氐、兗州也。)今之南陽郡,(秦置)潁川、定陵、襄城、潁陽、潁陰、長社、陰翟、郟鄆。(八縣也。潁川,秦置之也。)東接汝南,西接弘農,得新安,宜陰,(二縣也,屬弘農郡,漢武帝置之。)皆韓之分也。

角・亢二宿は、鄭国の分野である。軫宿十二度より氐宿四度に至り、十二辰の中では辰位に当たり、星次の名は「寿星」。三月の時、万物は始めて地上に形体を建立し、春気は布散して養育し、各自その本性を尽くし、夭折に遭わず。ゆえに寿星と呼ぶ。(《爾雅》にいう。寿星は、すなわち角・亢。《史記・天官書》にいう。角・亢・氐は兖州に対応す。)この分野はすなわち今天の南陽郡(秦朝の置く所)、および潁川郡の定陵・襄城・潁陽・潁陰・長社・陰翟・郟・鄆(共に八県。潁川郡は秦朝の置く所)、東辺は汝南に接し、西辺は弘農に接し、還た新安・宜陰を得(両県、弘農郡に属し、漢武帝の置く所)、これらは皆韓国の分野である。

《韓世家》曰:韓氏,姬之苗裔也。韓武子事晉,得封於韓。武子曾孫獻子以韓為氏,居於平陽。子宣子徙居州地。玄孫康子與趙、魏共滅智伯,分其地。康子五世孫哀侯滅鄭,因都於鄭,凡二十一世也。《詩風》陳鄭之國,與韓同星分。《陳世家》曰:陳本太昊之墟也。周武王克殷,乃復求舜後,得媯滿,封之於陳,以奉舜祀,為胡公。胡公至渭侯二十三世,為楚所滅。《詩》云:坎其擊鼓。淮陽之間,陳縣郡也。

《史記・韓世家》にいう。韓氏は周王室・姫姓の後裔である。韓武子は晋国に供職し、韓地に受封するを得た。武子の曽孫・献子は便ち韓をもって姓氏と為し、平陽に居住す。献子の子・宣子は州地に遷居す。宣子の玄孫・康子は趙・魏両家と共同で智伯を滅ぼし、彼の封地を瓜分す。康子の五世孫・哀侯は鄭国を滅ぼし、ここにおいて鄭に都を建て、前後共に二十一世。《詩経》国風中の陳・鄭両国は、韓と同じ一つの星分に属す。《史記・陳世家》にいう。陳国はもと太昊・伏羲氏の故墟である。周武王は殷商を攻克し、また虞舜の後裔を訪求し、嬀満を尋ね得て、彼を陳国に封じ、もって虞舜の祭祀を奉守せしむ——これがすなわち胡公。胡公より渭侯に伝わり共に二十三世にして、楚国に滅ぼさる。《詩経》にいう「坎其撃鼓」——講ずる所は淮陽一帯で、すなわち陳県の所在する郡である。

鄭國,今河南新鄭是也。(新鄭,縣也,河南郡。秦三川郡,漢高帝改名。)本高辛氏之火正祝融之墟也。重黎亦為帝二縣也。及城皋、滎陽,潁川之嵩陽、陽城,皆鄭之分。《鄭世家》曰:周宣王立二十二年,初封庶弟友于鄭,是為桓王,居虢城皋。後犬戎弒宣公,其事武公居溱渭,二十二世韓滅也,屬兗州。(《尚書禹貢》曰:濟河唯兗州。《周官》云:河東曰兗州。《爾雅》云:濟河間曰兗州,自河東至濟也。《未央分野》:由鄭潁川。從滎陽南至梁山、東至龍山,為潁川也。)

鄭国は、すなわち今天河南の新鄭(新鄭は県名で、河南郡に属す。秦時は三川郡、漢高帝が改名して河南郡とす)、もと高辛氏の火正・祝融の故墟で、重黎もまたかつて帝嚳の火正を任じ、この地は共に二県あり。城皋・滎陽を加え、および潁川の嵩陽・陽城は、皆鄭の分野に属す。《史記・鄭世家》にいう。周宣王が位に即き二十二年に、ようやく庶弟の友を鄭地に封じ——これがすなわち鄭桓公で、虢地の城皋に居す。後来犬戎が宣公を弑殺し、此後武公は溱・渭の間に居し、二十二世を伝えて韓国に滅ぼさる。鄭地は兖州に属す。(《尚書・禹貢》にいう。済水と黄河の間は兖州。《周官》にいう。黄河以東を兖州と呼ぶ。《爾雅》にいう。済水と黄河の間を兖州と呼び、河東から一直に済水に至る。《未央分野》にいう。鄭地は潁川より起算し、滎陽より南は梁山に至り東は竜山に至るまで、皆潁川の地。)

氐、房、心,宋之分野。自氐五度至尾九度,於辰在卯,為大火。東方之木,心星在卯,火在木心,故曰大火。(《爾雅》曰:大火謂之辰。大辰,房心尾也。《史記天官書》曰;房心,豫州,《世語》曰:參辰,亦曰參商,謂參與心星也。已釋於魏次注中。)

氐・房・心三宿は、宋国の分野である。氐宿五度より尾宿九度に至り、十二辰の中では卯位に当たり、星次の名は「大火」。卯位は東方の木に属し、心星はまさに卯位に在り、火は木の中心に居る。ゆえに大火と呼ぶ。(《爾雅》にいう。大火はまた辰と呼ぶ。いわゆる大辰とは、房・心・尾三宿を指す。《史記・天官書》にいう。房・心は豫州に対応す。《世語》にいう。参と辰は、また参商と呼び、参宿と心星を指す——この点は已に魏の星次の注の中に解釈し済み。)

今之沛梁,(秦碣郡,漢高帝為梁國也。)楚,(漢高帝置楚國,宣帝以為彭城郡也。)山陽郡,(漢景帝分梁國治之。)東平,(漢景帝分梁國,置齊東國,宣帝改為平國者也。)濟陽,(漢景帝分梁國為濟陽國。)及東郡之須昌、壽張,(二縣也。壽張本名壽梁,漢光武避叔諱。改為壽張。)皆宋之分野。周封微子於宋,今之睢陽是也。(睢陽縣,屬梁國。周武王封紂庶兄微于于宋,以奉殷祀。)本陶唐氏之火正,閼伯之墟也。(閼地,高辛氏之長子也。房,商丘也。)濟陰、定陶,(定陶,縣也,屬濟陰國。詩風:曹國是也,周武王封弟叔振鐸於曹,定陶縣是。)屬豫州。(《尚書禹貢》曰:荊河唯豫州。《周官》曰:河南曰豫州。《爾雅》云:河南曰豫州。注云:自河南至漢也。《未央分野》曰:宋治下蔡、淮陰,從南恆至齊濮水、沛郡、濟陽、太行、東海。今為梁國是也。)

氐・房・心三宿の対応する宋の分野は、地域に就いて言えば今天の沛・梁を包含す(此地は秦時は碭郡、漢高帝が改置して梁国とす)、楚地(漢高帝が楚国を設置し、漢宣帝に至りて彭城郡に改む)、山陽郡(漢景帝が梁国の地を分割して設置して治す)、東平(漢景帝が梁国を分割して斉東国を設置し、漢宣帝が改称して東平国とす)、済陽(漢景帝が梁国を分割して済陽国と設す)、および東郡の須昌・寿張両県(寿張は本名寿梁、漢光武帝が叔父の諱を避けるがために、改称して寿張とす)——これらは皆宋国の分野である。周朝は微子を宋に封じ——すなわち今天の睢陽(睢陽県は梁国に属す。周武王は商紂の庶兄・微子を宋国に封じ、彼に殷商の祭祀を奉守せしむ)。此地はもと陶唐氏の火正・閼伯の故墟(閼伯は高辛氏の長子。房は、すなわち商丘)。済陰・定陶(定陶は県名で、済陰国に属す。《詩経》国風中の曹国はすなわちここに在り、周武王は弟弟の叔振鐸を曹に封じ、すなわち今の定陶県)、皆豫州に統属す。(《尚書・禹貢》にいう。荆山と黄河の間は豫州。《周官》にいう。黄河以南を豫州と呼ぶ。《爾雅》にいう。黄河以南を豫州と呼ぶ。注にいう。河南より一直に漢水に至る。《未央分野》にいう。宋国は下蔡・淮陰に治し、南面の恒山より斉地の濮水・沛郡・済陽・太行・東海に至る。今天はすなわち梁国の地。)

尾、箕,燕之分野。自尾十度至斗十一度,於辰在寅,為析木。尾,東方木宿之末;斗,北方水宿之初,次在其間,隔別水木,故曰析木。(《爾雅》曰;析木謂之津,箕斗之間,漢津也。《史記天官書》曰:箕,幽州也。)周武王定殷,封邵公於燕,其後三十六世,與六國並稱王。(王易水也。)

尾・箕二宿は、燕国の分野である。尾宿十度より斗宿十一度に至り、十二辰の中では寅位に当たり、星次の名は「析木」。尾は東方木宿の末尾で、斗は北方水宿の開頭で、この一星次はまさに二者の間に処り、水と木を分隔す。ゆえに析木と呼ぶ。(《爾雅》にいう。析木はまた「津」と呼ぶ。箕・斗の間はすなわち天漢の渡口。《史記・天官書》にいう。箕宿は幽州に対応す。)周武王は殷商を平定し、召公を燕地に封じ、その後三十六世を伝え、戦国の六雄と一同に王を称す。(燕王は易水の地を拠有す。)

東有漁陽,右北平,遼東、遼西、上谷、代郡、雁門。(七郡,並秦置也。)南得涿郡之易、容城、范陽、北新城、固安、涿縣、良鄉、新昌。(八縣也。涿郡,秦置也。)及渤海之安次、(安次,縣也。渤海,漢高帝置之。)樂浪、玄菟、朝鮮,(三郡並漢武帝置之。)皆燕之分也,屑幽州。(《燕世家》曰:周分冀州至幽州。《周官》曰:東北曰幽州。《爾雅》曰:幽州。注云:自易水至北狄。《未央分野》曰:燕治冀,南至積石,東至海,西恆山。今為上谷、漁陽,右北平,遼東,西至涿郡也。)

燕国の疆界は、東面に漁陽・右北平・遼東・遼西・上谷・代郡・雁門の共に七郡あり(この七郡は皆秦朝の置く所)、南面に涿郡の易・容城・范陽・北新城・固安・涿県・良郷・新昌の共に八県を得(涿郡もまた秦朝の置く所)、および渤海郡の安次(安次は県名。渤海郡は漢高帝の置く所)、還た東北方の楽浪・玄菟・朝鮮三郡あり(皆漢武帝の置く所)。以上これらの地方は皆燕国の分野で、九州の中では幽州に統属す。(《史記・燕世家》にいう。周朝は冀州より幽州を分出す。《周官》にいう。東北方を幽州と呼ぶ。《爾雅》もまたこの一帯を幽州と呼ぶ。注にいう。易水より一直に北狄の地に至る。《未央分野》にいう。燕国は冀に治し、南は積石に至り、東は大海に至り、西は恒山に至る。今天はすなわち上谷・漁陽・右北平・遼東、さらに西は涿郡のこの一帯に至る。)

斗、牛,吳越之分野。自斗十二度至女七度,於辰在丑,為星紀。星紀者,言其統紀萬物。十二月之位,萬物之所終始,故曰星紀。(《爾雅》曰:星紀,斗牛也。《史記天官書》曰:斗老江湖。牽牛,婺女,揚州。高誘注:《呂氏春秋》云:斗,吳也;牛,趙也。)今之會稽、九江、(二郡秦置。)丹陽、(秦為鄣郡,漢武改為丹陽。)豫章、(漢高帝置。)廬江、(漢武帝置。)廣陵、六安、(漢武帝改江都國為廣陵國。分衡山、立六安、置國。)臨淮,(漢武帝置。)皆吳之分也。

斗・牛二宿は、呉・越両国の分野である。斗宿十二度より女宿七度に至り、十二辰の中では丑位に当たり、星次の名は「星紀」。いわゆる星紀とは、それが万物を統紀するをいう。丑は十二月の位で、万物はここに終結しまたここに開始す。ゆえに星紀と呼ぶ。(《爾雅》にいう。星紀は、すなわち斗・牛二宿。《史記・天官書》にいう。斗は江湖の地に対応し、牽牛・婺女は揚州に対応す。高誘が《呂氏春秋》を注していう。斗は呉地、牛は趙地。)この分野はすなわち今天の会稽・九江(両郡は秦朝の置く所)、丹陽(秦時は鄣郡、漢武帝が改名して丹陽とす)、豫章(漢高帝の置く所)、廬江(漢武帝の置く所)、広陵・六安(漢武帝は江都国を改めて広陵国とし、また衡山の地を分割して六安国を設立す)、臨淮(漢武帝の置く所)——これらは皆呉国の分野である。

《吳世家》曰:吳太伯,周太王之長子也,與弟仲雍,讓國於季歷,奔荊蠻之地,斷髮文身,荊蠻義之,從而歸之,自號句吳。周武王克殷,求太伯、仲雍之後,得雍曾孫周章,封之於吳也。今之蒼梧、鬱林、合浦、交趾、九真、日南、南海,皆越之分也。《越世家》曰:越之先,夏后帝少康之庶子,封於會稽,號曰無餘,以奉禹之祀。十有餘世,微弱為民,禹祀中絕。千餘載後,有子生而能言,曰:我無餘之苗末也。越人尊以為君,號曰無餘王也。後至允常,越復興焉,並屬揚州。(《尚書禹貢》曰:淮海唯揚州。《周官》曰:東南曰揚州。《爾雅》曰:江南曰揚州。注云:自江至南海。《未央分野》曰:吳越,北至大江,南至衡山,東至海,西至洞庭。)

《史記・呉世家》にいう。呉太伯は周太王の長子で、弟弟の仲雍と一同に君位を季暦に譲り、荊蛮の地に出奔し、頭髪を剪断し身に花紋を刺し、荊蛮の人は彼を義有りと為し、追随して彼に帰附し、彼は自ら「句呉」と号す。周武王は殷商を攻克し、太伯・仲雍の後人を訪求し、仲雍の曽孫・周章を尋ね得て、彼を呉国に封ず。今天の蒼梧・鬱林・合浦・交趾・九真・日南・南海は、皆越国の分野である。《史記・越世家》にいう。越国の先祖は夏后帝・少康の庶子で、会稽に受封し、無余と号し、もって大禹の祭祀を奉守す。十几世を伝えて後に衰微して平民と為り、禹の祭祀は中断す。一千多年以后、生まれてすぐ能く言語する孩子ありていう、「我は無余の後裔なり」と。越人は便ち彼を尊奉して国君と為し、無余王と号す。後来允常に伝わり、越国は重ねて興盛す。呉・越は皆揚州に属す。(《尚書・禹貢》にいう。淮水と東海の間は揚州。《周官》にいう。東南方を揚州と呼ぶ。《爾雅》にいう。長江以南を揚州と呼ぶ。注にいう。長江より一直に南海に至る。《未央分野》にいう。呉越の地は北は大江に至り、南は衡山に至り、東は大海に至り、西は洞庭に至る。)

女、虛,齊之分野。自女八度至危十五度,於辰在子,為玄枵也。玄者黑也,北方之色;枵者耗也。十一月之時,陽氣在下,陰氣在上,萬物幽死,未有生者,天地空虛,故曰玄枵。(玄枵,黃帝之嫡子也。顓頊墟。顓頊,黃帝之孫,昌僕之子也。《爾雅》曰:玄枵,虛也。顓頊之墟也。《史記天官書》曰:虛危,青州也。)

女・虚二宿は、斉国の分野である。女宿八度より危宿十五度に至り、十二辰の中では子位に当たり、星次の名は「玄枵」。玄はすなわち黒で、北方の色。枵はすなわち虚耗。十一月の時、陽気は下に伏し、陰気は上に浮き、万物は幽閉して死し、生長するなく、天地は一片空虚す。ゆえに玄枵と呼ぶ。(玄枵は黄帝の嫡子で、此地は顓頊の墟。顓頊は黄帝の孫・昌僕の子。《爾雅》にいう。玄枵は、すなわち虚宿で、顓頊の故墟。《史記・天官書》にいう。虚・危は青州に対応す。)

東萊、(郡、漢高帝置之。)琅琊、(郡,秦置之。)高密、(漢宣帝改膠西國為高密國。)膠東,南有淄川、(郡,漢高帝置也。)城陽,(漢文帝分齊國,立城陽國。)北有千乘。(漢高帝立為國。)得清河已南渤海、樂城、重合、陽信,西有濟南、(漢文帝分為齊國,立濟南國。)平原,(漢高帝置。)皆齊之分也。《齊世家》曰:齊太公望,佐周武王而伐紂,紂亡,乃封太公於齊。武王崩,成王立,周命齊東至於海,西至於河南,南至於穆陵,北至於無棣,而都營丘也,屬青州。(《尚書禹貢》曰:海岱唯青州。《周官》曰:正東曰青州。《爾雅》臼:濟曰營州。注云:自岱東至海,即青州也。《未央分野》曰:齊治營丘,北至燕,西至九河,南至淄水,東至海矣。)

斉国の分野は、所轄の地は東莱を包含し(郡、漢高帝の置く所)、琅琊(郡、秦朝の置く所)、高密(漢宣帝は膠西国を改めて高密国とす)、膠東。南面に淄川あり(郡、漢高帝の置く所)、城陽(漢文帝は斉国の地を分割して城陽国を立つ)。北面に千乘あり(漢高帝が立てて封国とす)。また清河以南の渤海・楽城・重合・陽信等の地を得。西面に済南あり(漢文帝は斉国を分割して済南国を立つ)、平原(漢高帝の置く所)。以上これらの郡国は、皆斉国の分野の内に在り。《史記・斉世家》にいう。斉太公の呂望は周武王を輔佐して商紂を討伐し、商紂が滅亡の後、武王は就ち太公を斉地に封ず。武王去世し成王が位に即き、周朝は斉国の疆界を劃定して東は大海に至り、西は河南に至り、南は穆陵に至り、北は無棣に至り、しかして営丘をもって都城と為す。斉地は九州の中では青州に統属す。(《尚書・禹貢》にいう。東海と泰山の間は青州。《周官》にいう。正東方を青州と呼ぶ。《爾雅》にいう。済水一帯を営州と呼ぶ。注にいう。泰山以東より大海に至るは、すなわち青州。《未央分野》にいう。斉国は営丘に治し、北は燕地に至り、西は九河に至り、南は淄水に至り、東は大海に至る。)

危、室、壁,衛之分野。自危十六度至奎四度,於辰在亥,為娵訾。娵訾者,言嘆貌也。十月之時,陰氣始盛,陽氣伏藏,萬物失養育之氣,故曰哀愁而嘆,悲嫌於無陽。(《爾雅》曰:娵訾之口,營室東壁也。娵訾,古諸侯也。帝嚳取娵訾氏女,生摯。摯,堯兄也。一曰豕韋。豕韋,夏后御龍氏之國也,春秋蔡侯之所封。《左傳》曰:萇弘對周景王曰:蔡侯殺其君之歲,歲在豕韋。《史記天官書》曰:營室東壁,幷州也。)

危・室・壁三宿は、衛国の分野である。危宿十六度より奎宿四度に至り、十二辰の中では亥位に当たり、星次の名は「娵訾」。娵訾とは、叹息の様をいう。十月の時、陰気は始めて盛大にして、陽気は潜伏・収蔵し、万物は養育の気を失う。ゆえにそれを哀愁して叹息し、陽気なきを悲傷すと説く。(《爾雅》にいう。娵訾の口は、すなわち営室と東壁。娵訾は古代の諸侯で、帝嚳は娵訾氏の女を娶り、摯を生む。摯は帝堯の兄。この一星次は一説に「豕韋」と呼ぶ。豕韋は夏后氏・御龍氏の国で、また春秋時蔡侯の受封した地。《左伝》に記載す。萇弘が周景王に答えていう、蔡侯が自らの国君を殺したあの年、歳星はまさに豕韋に在りと。《史記・天官書》にいう。営室・東壁は并州に対応す。)

今之東郡、(秦置。)黎陽、河內、(郡,漢高帝置也。本殷之舊國,周既克殷,分其畿內為三國,《詩風》邶、鄘、衛國是也。)野王、朝歌,皆衛之分也,(衛本國既為狄人所滅,文公徙封於楚丘。後三十餘年,子成公遷於帝丘。今濮陽是也。)屬幷州。(周分冀州、置幷州。《周官》曰:正北曰幷州。所部郡縣,幷州凡九郡,悉在燕、趙、秦次中,未詳之。《未央分野》曰:衛治濮陽,其地從三州。記東至沛,今為東郡也。)

この分野はすなわち今天の東郡(秦朝の置く所)、黎陽・河内(郡、漢高帝の置く所。此地はもと殷商の旧国で、周朝が殷商を攻克して後、王畿の内を三国に劃し、《詩経》国風中の邶・鄘・衛はすなわちこの三国)、および野王・朝歌で、皆衛国の分野に属す。(衛国の本土が狄人に滅ぼされて後、衛文公は楚丘に改封せらる。三十多年后、彼の子・成公は帝丘に遷り、すなわち今天の濮陽。)衛は并州に属す。(周朝は冀州より并州を分出す。《周官》にいう。正北方を并州と呼ぶ。并州の所轄の郡県は共に九郡、却って全て燕・趙・秦の星次の中に在り、その中の縁由は未だ詳考し能わず。《未央分野》にいう。衛国は濮陽に治し、その地は三州に跨る。記載に東は沛地に至るといい、今天はすなわち東郡。)

奎、婁,魯之分野。自奎五度至胃六度,於辰在戌,為降婁。降,下也;婁,曲也。陰生於午,與陽俱行。至八月,陽遂下。九月陽,剝卦用事。陽將剝盡,陰在上,萬物枯落,捲縮而死,故曰降婁。(《爾雅》曰:降婁,婁奎也。《史記天官書》曰:奎婁胃、徐州。《未央分野》曰:魯星得奎婁也。)

奎・婁二宿は、魯国の分野である。奎宿五度より胃宿六度に至り、十二辰の中では戌位に当たり、星次の名は「降婁」。降は下降、婁は卷曲。陰気は午月に生じ、陽気と一同に運行す。八月に至り、陽気は便ち下に向かい沉降す。九月に至り陽気は衰微し、《剥》卦が令に当たりて事を行い、陽気は将に剥尽せんとし、陰気は上位に居り、万物は枯萎・凋落し、巻縮して死す。ゆえに降婁と呼ぶ。(《爾雅》にいう。降婁は、すなわち婁・奎。《史記・天官書》にいう。奎・婁・胃は徐州に対応す。《未央分野》にいう。魯国の星分は奎・婁二宿を得。)

東至東海,(郡,漢高帝置。)西有泗水,(泗水之國也。漢武帝分東海郡立。)至淮,得臨淮之下睢,陵僮,取慮,皆魯分也。周成王以少昊之墟曲阜,封周公子伯禽為魯侯,以為周公主也。《魯世家》曰:周武王克殷,封弟周公旦於少昊之墟。周公留佐武王,不就封。武王崩,成王命周公子伯禽代居魯,是為魯公也。屬徐州。(《尚書禹貢》曰:海岱及淮唯徐州。《爾雅》曰,濟東曰徐州。注云:自濟東至海也。周繼殷,罷徐以合青。漢武帝分置徐州。《未央分野》曰:魯東至海,西至營丘,北至代,南至淮也。)

魯の分野は東は東海に至り(郡、漢高帝の置く所)、西に泗水あり(すなわち泗水国、漢武帝は東海郡を分けて立つ)、南は淮水に至り、また臨淮の下睢・陵・僮・取慮を得——皆魯の分野。周成王は少昊の故墟の曲阜を周公の子・伯禽に封じ、立てて魯侯と為し、彼に周公の承祀の主たらしむ。《史記・魯世家》にいう。周武王は殷商を攻克し、弟弟の周公旦を少昊の故墟に封ず。周公は朝中に留まりて武王を輔佐し、封地に前往せず。武王去世し、成王は周公の子・伯禽に命じて父に代わり魯に居らしむ——これがすなわち魯公。魯は徐州に属す。(《尚書・禹貢》にいう。東海・泰山および淮水一帯は徐州。《爾雅》にいう。済水以東を徐州と呼ぶ。注にいう。済水以東より一直に大海に至る。周朝は殷商を承継し、徐州を撤銷して青州に并入す。漢武帝はまた分置して徐州とす。《未央分野》にいう。魯国は東は大海に至り、西は営丘に至り、北は代地に至り、南は淮水に至る。)

胃、昴,趙之分野。自胃七度至畢十一度,於辰在酉,為大梁。梁,強也。八月之時,白露始降,萬物於是堅成而強大,故曰大梁。(《爾雅》曰;大梁,昴也。《史記天官書》曰:昴、畢、冀州。《淮南子天文訓》曰:胃昴畢,魏也。《未央分野》曰:趙星得觜參也。)

胃・昴二宿は、趙国の分野である。胃宿七度より畢宿十一度に至り、十二辰の中では酉位に当たり、星次の名は「大梁」。梁は強大の意。八月の時、白露は始めて降下し、万物はここにおいて堅実・成熟して強大す。ゆえに大梁と呼ぶ。(《爾雅》にいう。大梁は、すなわち昴宿。《史記・天官書》にいう。昴・畢は冀州に対応す。《淮南子・天文訓》にいう。胃・昴・畢は魏地。《未央分野》にいう。趙国の星分は觜・参二宿を得。)

趙本晉地,分晉得趙國。(漢高帝以邯鄲郡為趙國。)北有信都、(國,漢高帝立也。)真定、(國,漢武帝置之。)常山、(郡,漢高帝置。本國山為名,曰恆山郡。漢文帝諱恆,改曰常山郡也。)中山。(漢景帝以郡為國也。)又得涿郡之高陽、靳鄉,(三縣。涿郡,漢高帝置之也。)東有廣平、(國,漢武帝置之。)鉅鹿、(郡,秦置之。)清河、(郡,漢高帝置之。)河間。(國,漢文帝分趙國也。)又得渤海之東平舒、中武邑、文安、萊州、成、章武。(六縣也,漢高帝置之。)河已北也,南至浮水、(水名,作漳水也。)繁陽、內黃、斥丘,(三縣屬魏郡,漢高帝置之。)西有太原、(郡,秦置之。)定襄、(郡、漢高帝置。)雲中、(秦置。)五原、(秦九原郡,漢武帝改名也。)朔方、(漢武帝置。)上黨。(秦置。)

趙地はもとより晋国に属し、韓・趙・魏三家が晋を分け、趙氏は因って趙国を有するを得た(漢高帝は邯鄲郡をもって趙国とす)。趙国の疆域は、北面に信都有り(封国、漢高帝の立つ所)、真定(封国、漢武帝の置く所)、常山(郡、漢高帝の置く所。もと境内の山をもって名と為し、恒山郡と呼ぶ。漢文帝の名は恒、諱を避けるがために改称して常山郡とす)、中山(漢景帝は中山郡を改めて封国とす)。また涿郡の高陽・靳郷等三県を得(涿郡もまた漢高帝の置く所)。東面に広平あり(封国、漢武帝の置く所)、巨鹿(郡、秦朝の置く所)、清河(郡、漢高帝の置く所)、河間(封国、漢文帝は趙国を分割して置く)。また渤海郡の東平舒・中武邑・文安・莱州・成・章武の共に六県を得(皆漢高帝の置く所)。以上これらの地方は皆黄河以北に在り。南面は浮水に至りて界と為す(浮水は水名で、すなわち漳水)、かつ繁陽・内黄・斥丘あり(三県は魏郡に属し、漢高帝の置く所)。西面に太原あり(郡、秦朝の置く所)、定襄(郡、漢高帝の置く所)、雲中(郡、秦朝の置く所)、五原(秦時は九原郡、漢武帝が改名して五原とす)、朔方(漢武帝の置く所)、上党(郡、秦朝の置く所)等の郡。以上の各郡県は、皆胃・昴二宿の主する趙の分野の内に在り。

上黨,本韓之別郡也。遠韓近趙,後卒降趙,趙皆得之。自趙後九世稱侯。四世敬侯徙都邯鄲。後三世有武靈王,五世為秦所滅。《趙世家》云:趙氏之先,帝顓頊之苗裔,伯益之後也。又虞舜妻之姚姓二女,賜姓贏氏。歷夏殷周,世為諸侯。後造父為周穆王御,西巡狩,見西王母,樂之忘歸。而徐偃王反,穆王日馳千里,還攻徐偃王,大破之,乃賜造父以趙。趙城由此,為趙氏。屬冀州。(《尚書禹貢》曰,冀州既載壺口,治梁及岐。《周官》曰,河內曰冀州。《爾雅》曰:兩河間曰冀州。注云:自東河至西河。《未央分野》曰:趙治邯鄲,北至常山、代郡、河間。)

上党はもと韓国の別郡で、韓国から遠く趙国に近いがために、後来終に趙国に降附し、趙国は便ち全部その地を拠有す。趙氏は国を立てて以後九世を伝えて侯を称し、第四世・敬侯は邯鄲に都を遷し、此後三世して武霊王を出し、再び五世を伝えて秦国に滅ぼさる。《史記・趙世家》にいう。趙氏の先祖は帝・顓頊の後裔・伯益の後人。虞舜はかつて姚姓の二箇の女児を彼の家に嫁せしめ、姓を嬴氏と賜う。夏・商・周三代を経歴し、世代諸侯と為る。後来造父は周穆王のために車を駕し、西に向かい巡狩して西王母に見え、楽しんで返るを忘る。この時徐偃王が反叛し、穆王は一日に千里を奔馳し、師を回して徐偃王を攻め打ち、大いに彼の軍を破り、ここにおいて趙城を造父に賜う——趙氏の称はこれより来る。趙は冀州に属す。(《尚書・禹貢》にいう。冀州は壺口より功を施し始め、梁山と岐山を治す。《周官》にいう。黄河以内を冀州と呼ぶ。《爾雅》にいう。両河の間を冀州と呼ぶ。注にいう。東河より西河に至る。《未央分野》にいう。趙国は邯鄲に治し、北は常山・代郡・河間に至る。)

畢、觜、參,晉魏之分野。自畢十二度至井十五度,於辰在申,為實沈。言七月之時,萬物極盛,陰氣沉重,降實萬物,故曰實沈。(高辛氏有二子,伯曰閼伯,季曰實沈者,不相能,后帝不臧,遷閼伯於商丘,主辰,商人是因,故辰為商星。遷實沈於大夏,主參,唐人是因,故參為唐星。至周武王感靈夢而生叔虞。成王時,唐有亂,周公滅唐,成王因戲而封叔虞於唐,河汾以東方百里,太原郡之晉陽縣是也。叔虞卒,子燮立,是為晉侯。故參為晉也。實沈,參之神也,因名實沈焉。後武侯興,趙、韓滅晉,分其地,故參為魏之分野。《史記天官書》曰:觜觽。參,益州也。《淮南子天文訓》曰:觜觽、參,趙也。鄭玄注《周禮保章氏》職曰:實沈,晉也。《未央分野》曰:晉魏星得胃昴畢。)

畢・觜・参三宿は、晋・魏の分野である。畢宿十二度より井宿十五度に至り、十二辰の中では申位に当たり、星次の名は「実沈」。これは七月の時万物が極めて茂盛にして、陰気が沈重に下降し、万物に結実せしむるをいう。ゆえに実沈と呼ぶ。(高辛氏に二箇の兒子あり。長子を閼伯と呼び、幼子を実沈と呼び、兄弟は和不ならず。後来帝嚳はこれを不善と為し、閼伯を商丘に遷し、辰星(心宿)の祀を主らしむ。商人はその事を沿袭す。ゆえに辰は商星と称す。実沈を大夏に遷し、参宿の祀を主らしむ。唐人はその事を沿袭す。ゆえに参は唐星と称す。周武王に至りて神夢に感じて叔虞を生む。成王の時唐国が作乱し、周公は唐国を滅ぼし、成王は一句の戯言によって叔虞を唐地に封じ——すなわち黄河・汾水以東の方円百里、すなわち太原郡の晋陽県。叔虞去世し、その子・燮が位を継ぐ——これがすなわち晋侯。ゆえに参宿は晋の分野と為る。実沈は参宿の神で、星次はこれによって名を得て実沈とす。後来魏武侯が興起し、趙・韓が晋国を滅ぼし、その地を瓜分す。ゆえに参はまた魏の分野と為る。《史記・天官書》にいう。觜觽・参は益州に対応す。《淮南子・天文訓》にいう。觜觽・参は趙地。鄭玄が《周礼・保章氏》の職を注していう。実沈は、晋地なり。《未央分野》にいう。晋・魏の星分は胃・昴・畢を得。)

自高陵(縣也,屬左馮翊。)已東,盡河東、(郡,秦置也。)河內,(漢高帝置。)南有陳留、(郡,漢武帝置也。)汝南之郡陵、新汲(秦置)及西華、長平、潁川之舞陽、郾、許、鄢陵,河南開封、中牟、陽武、酸棗、卷、(酸棗縣屬陳國,則為之重見也。)□□,皆魏之分也。

高陵県(県名、左馮翊に属す)以東より、一直に東は河東に至り(郡、秦朝の置く所)、河内(漢高帝の置く所)。南面は則ち陳留あり(郡、漢武帝の置く所)、汝南の郡陵・新汲(秦朝の置く所)および西華・長平、潁川の舞陽・郾・許・鄢陵、河南の開封・中牟・陽武・酸棗・巻(酸棗県はもと陳国に属し、此処は重複の出現)、還た原書已に字を缺く□□两地——以上これらの地方は、皆魏国の分野の内に在り。

《魏世家》曰:魏之先,畢公高之後也,與周同姓。武王之伐紂,而高封於畢,是氏焉,長安縣西北是也。其後絕封為庶人,或在中國,或在夷狄。復封其苗裔曰畢萬,事晉獻公。獻公之十六年,趙夙為御,畢萬為右,以伐霍耿魏,滅之。獻公以魏封畢萬。魏,今河東郡,即河北縣是也。萬孫悼子徙治霍。霍,平陽郡之永安縣是也。悼子子昭子徙治安邑,河東安邑縣是也。昭子孫獻子,與趙、韓共誅祁羊舌氏,盡取其地。獻子曾孫桓子,與趙襄子、韓康子共滅智伯,分其地。桓子之孫曰文侯,時魏為強大。周威烈王二十二年,賜命為諸侯。子武侯,十一年與趙、韓滅晉,三分其地。故參為魏之次野者,屬益州。(漢武帝改梁州為益州,非魏地也。益州地盡在秦楚次中,以魏為益州,未詳其旨。《未央分野》曰:晉治太原,後魏巴西至定襄清河之水,今為河內、上黨、雲中也。)

《史記・魏世家》にいう。魏の先祖は畢公高の後人で、周王室と同姓。周武王が紂を伐った後、高を畢地に封じ、因って畢をもって氏と為し——すなわち長安県西北に在り。その後封爵は断絶し、子孫は降りて平民と為り、あるいは中原に留まり、あるいは夷狄の地に流落す。後来またその後裔・畢万を封じ、畢万は晋献公に事奉す。献公十六年、趙夙は献公のために車を駕し、畢万は車右と為り、霍・耿・魏三国を討伐してそれらを滅ぼし、献公は便ち魏地を畢万に封ず。魏地はすなわち今天の河東郡で、即ち河北県。畢万の孫・悼子は霍に治を遷し、霍はすなわち平陽郡の永安県。悼子の子・昭子は安邑に治を遷し、すなわち河東郡の安邑県。昭子の孫・献子は趙・韓両家と共同で祁氏・羊舌氏を誅滅し、全部その地を占有す。献子の曽孫・桓子は趙襄子・韓康子と共同で智伯を滅ぼし、その地を瓜分す。桓子の孫は文侯と称し、当時魏国は最も強大。周威烈王二十二年、魏に命を賜いて諸侯と為す。その子・武侯は位に在ること十一年、趙・韓と晋国を滅ぼし、晋地を三分す。ゆえに参は魏の星次の分野と為り、益州に属す。(漢武帝は梁州を改めて益州とせしも、並びて魏地ではない。益州の地は全て秦・楚の星次の中に在り、魏を益州に配するは、未だその用意を詳知し得ず。《未央分野》にいう。晋国は太原に治し、後魏は巴西より定襄・清河の水に至る。今天はすなわち河内・上党・雲中の地。)

井、鬼,秦之分野。自井十六度至柳八度,子辰在未,為鶉首。南方七宿,其形象鳥,以井為冠,以柳為口,鶉鳥首頭也,故曰鶉首。(鶉首,星名也,井、鬼、柳,朱烏首宿也。故曰鶉首。《史記天官書》曰:東井與鬼,雍州也。自弘農故關以西,故關,函谷關也。弘農郡,漢武帝置。)京兆、扶風、馮翊、(並秦內史,漢武帝分為三輔。)北地、上郡、(二郡,秦置。)西河、安定、天水,(三郡,漢武帝置。)南有巴郡、蜀郡、(二郡,秦置。)廣漢、(漢高帝置。)犍為、(漢武帝置。)武都,西有金城、武威、(本休屠王置也。)酒泉、敦煌,(敦煌本屬酒泉,武帝置之也。)又西南有洋河、(漢武帝置。)越巂、益州,皆其屬焉,(三郡,並漢武帝開置。)皆秦之分也。

井・鬼二宿は、秦国の分野である。井宿十六度より柳宿八度に至り、十二辰の中ではまさに未位に当たり、星次の名は「鶉首」。南方朱雀七宿はその形は鳥のごとく、東井をもって冠と為し、柳宿をもって口と為し、まさに鶉鳥の頭部に当たる。ゆえに鶉首と呼ぶ。(鶉首は星次の名。井・鬼・柳は朱雀頭部の星宿。ゆえに鶉首と呼ぶ。《史記・天官書》にいう。東井と輿鬼は雍州に対応す——すなわち弘農の故関以西の地。いわゆる故関とは、すなわち函谷関。弘農郡は漢武帝の置く所。)この分野の所轄の地域は京兆・扶風・馮翊を包含し(もとは皆秦の内史に属し、漢武帝は分けて三輔とす)、北地・上郡(この両郡は皆秦朝の置く所)、西河・安定・天水(この三郡は皆漢武帝の置く所)。南面に巴郡・蜀郡あり(両郡、秦朝の置く所)、広漢(漢高帝の置く所)、犍為(漢武帝の置く所)、武都。西面に金城・武威あり(もとは休屠王の故地の置く所)、酒泉・敦煌(敦煌はもと酒泉に属し、漢武帝は分出して別置す)。また西南に洋河あり(漢武帝の置く所)、越巂・益州もまた皆ここに帰属す(三郡は皆漢武帝の開拓して置く所)。以上これらの郡国は、皆秦国の分野の内に在り。

《秦世家》曰:秦之先曰非子者,與趙同姓,伯益之十六世孫也。周孝王養馬蕃息,孝王封為附庸,邑之於秦,號曰秦嬴。今天水之隴西縣秦亭。即其地也乙秦贏曾孫曰秦仲,周宣王使伐西戎,西戎殺之。宣王后命仲之子莊公者,與四弟伐西戎,破之,賜仲大駱之地,於是居於犬丘扶風之槐裡縣是也,屬雍州。(《尚書禹貢》曰:黑水西河唯雍州。《周官》曰:正西曰雍州,漢武帝改為涼州。《爾雅》云:河西曰雍州。注雲,自河西至黑水也。《未央分野》曰:故治雍州,後治宜陽,又治咸陽,今為長安。此地從華山西至流沙,今為三輔。巴蜀漢中,隴西,北地上郡,是也。)

《史記・秦世家》にいう。秦の先祖は名を非子といい、趙と同姓で、伯益の十六世孫。彼は周孝王のために馬を養いて馬匹が蕃息し、孝王は彼を附庸に封じ、秦地を賜いて食邑と為し、秦嬴と号す——すなわち今天の天水・隴西県の秦亭で、まさにあの地。秦嬴の曽孫を秦仲と呼び、周宣王は彼を派して西戎を討伐せしめ、西戎に殺さる。宣王は随いて秦仲の子・荘公と四箇の弟弟に命じて西戎を討伐せしめ、西戎を打敗り、大駱の地を彼らに賜う。ここにおいて犬丘に居す——すなわち扶風郡の槐里県。秦は雍州に属す。(《尚書・禹貢》にいう。黑水と西河の間は雍州。《周官》にいう。正西方を雍州と呼び、漢武帝は改称して涼州とす。《爾雅》にいう。黄河以西を雍州と呼ぶ。注にいう。河西より一直に黑水に至る。《未央分野》にいう。秦は原先雍州に治し、後来宜陽に治し、また咸陽に治し、今天はすなわち長安。此地は華山より西は一直に流沙に至り、今天はすなわち三輔、および巴・蜀・漢中・隴西・北地・上郡等の地。)

柳、七星、張,周之分野。自柳九度至張十六度,於辰在午,為鶉火。南方為火,言五月之時,陽氣始盛,火星昏中,在七星朱鳥之處,故曰鶉火。(《爾雅》曰:柳,鶉火也。柳、七星、張,南方之中宿也。故曰火。《周禮》曰:鳥旟七斿,以象鶉火。《史記天官書》云:柳、七星、張,三河也。)今之河南洛陽、穀城、平陰、偃師、鞏縣、緱氏,(七縣,屬河南郡。)並周之分野。

柳・七星・張三宿は、周の分野である。柳宿九度より張宿十六度に至り、十二辰の中では午位に当たり、星次の名は「鶉火」。南方は火に属し、五月の時陽気が始めて隆盛にして、大火星が黄昏の時まさに南中に当たり、七星の朱雀の処に位するをいう。ゆえに鶉火と呼ぶ。(《爾雅》にいう。柳は、すなわち鶉火。柳・七星・張は南方の中宿。ゆえに火と称す。《周礼》にいう。鳥を畫する旌旗は七条の飄帯を垂れ、もって鶉火を象徴す。《史記・天官書》にいう。柳・七星・張は三河に対応す。)すなわち今天河南の洛陽・穀城・平陰・偃師・鞏県・緱氏(共に七県、河南郡に属す)は、皆周の分野である。

《周本紀》曰:周之先曰棄,棄生有神怪,長好稼穡,為舜播植百穀,舜封之於邠,扶風之釐縣是也。號曰后稷,姓為姬氏。曾孫公劉、子慶節,立國於邠,扶風之漆縣,後十世孫曰太王,為狄所侵,遷於邠,度漆沮,逾梁山,邑於岐下,扶風之美陽是也。太王孫文王,有聖德,周室方隆,徙都於酆,酆在京兆之杜縣是也。文王子武王,滅商,徒都於鎬,鎬在京兆之長安縣是也。武王子成王,營洛邑、都河南是也。或雲成王居洛邑,六世孫懿王,遷犬丘也,屬三河。(河南、河內、河東三郡是也。按周之將士,唯河南一郡,故以為國。周分野,其河內、河東,乃在魏次中,未詳。周之分野稱三河之謂矣。《未央分野》曰:洛陽西至華山、東至滎澤少室,北至河南,南至漢水,今為河南陳留是也。)

《史記・周本紀》にいう。周の先祖は名を棄といい、棄は出生するに便ち神異あり、長大して農事を喜好し、虞舜のために百穀を播種し、舜は彼を邠地に封じ——すなわち扶風の釐県、后稷と号し、姓は姫氏。彼の曽孫・公劉と公劉の子・慶節は、邠に邦国を建立し、即ち扶風の漆県。此後第十世孫は太王と称し、狄人に侵擾せられ、邠地を遷離し、漆水・沮水を渡り、梁山を翻越し、岐山の下に城邑を建立す——すなわち扶風の美陽。太王の孫・文王は聖徳あり、周室はまさに興隆に当たり、酆に都を遷し、酆は京兆の杜県に在り。文王の子・武王は商朝を滅ぼし、鎬に都を遷し、鎬は京兆の長安県に在り。武王の子・成王は洛邑を營建し、河南に都を建つ。もある説は成王は洛邑に居し、その六世孫・懿王は犬丘に遷るといい。周地は三河に統属す。(三河はすなわち河南・河内・河東三郡。周朝の所轄に按れば、ただ河南一郡のみあり、因ってこれをもって国と為す。周の分野の中、河内・河東は却って魏の星次の内に列す——その中の縁由は未だ詳考し能わず。周の分野を三河と称するは、説く所はこの意。《未央分野》にいう。洛陽は西は華山に至り、東は滎沢・少室山に至り、北は河南に至り、南は漢水に至る。今天はすなわち河南・陳留の地。)

翼、軫,楚之分野,自張十七度至軫十一度,於辰在巳,為鶉尾。南方朱鳥七宿,以軫為尾,故曰鶉尾。(《周禮月令》曰:鶉尾,一名鳥帑。《史記天官書》曰:翼軫,荊州也。)今之南郡、(秦置。)江陵、江夏、(漢高帝置。)零陵、(郡,漢武帝置之。)桂陽、武陵、(二郡、漢高帝置。)長沙、(郡,秦為郡,漢高帝改為國。)汲、漢中、(秦置。)汝南,(漢高帝置。)皆楚之分也。

翼・軫二宿は、楚国の分野である。張宿十七度より軫宿十一度に至り、十二辰の中では巳位に当たり、星次の名は「鶉尾」。南方朱雀七宿は、軫宿をもって鳥尾に当てる。ゆえにこの一星次を鶉尾と呼ぶ。(《周礼・月令》にいう。鶉尾は、又名鳥帑。《史記・天官書》にいう。翼・軫は荊州に対応す。)この分野はすなわち今天の南郡(秦朝の置く所)、江陵・江夏(漢高帝の置く所)、零陵(郡、漢武帝の置く所)、桂陽・武陵(両郡、漢高帝の置く所)、長沙(秦時は郡、漢高帝は改めて封国とす)、汲・漢中(秦朝の置く所)、汝南(漢高帝の置く所)——これらは皆楚国の分野である。

周成王時,封文王之先師鬻熊之曾孫繹於荊蠻,為楚子,居丹陽。後十餘世至熊通,號武王,浸以強大。後五世至莊王,總帥諸侯,觀兵周室,併吞江漢之間,內滅陳魯之國。後十餘世,有項王,東徒於陳焉。《楚世家》曰:鬻熊,祝融之苗裔也,姓羋氏,居丹陽,今南郡枝江縣是也。武王子文王始都郢,江陵是也。莊王曾孫昭王,為吳所破,吳兵入郢。昭王出奔隨,使楚大夫申包胥請救於秦,秦乃救楚,大敗吳師。闔廬弟夫概,返吳自立為王,闔廬聞之班師。昭王乃得返國,更都於鄀。鄀,南郡鄀縣是也。屬荊州。(《尚書禹貢》曰:荊及衡陽唯荊州。《周官》曰;正南曰荊州,《爾雅》曰:漢南曰荊州,自漢南至衡山之陽。《未央分野》曰:楚治郢,南至九江,北至積水,東至海,西至魚腹山。今為汝南、汝陽、廬江、豫章、長沙,南海,故楚治南郢者也。)

周成王の時、文王の先師・鬻熊の曽孫・熊繹を荊蛮の地に封じ、爵は楚子と為し、丹陽に居す。此後十余世を伝えて熊通に至り、自ら武王と号し、楚国は逐漸強大す。再び五世を伝えて荘王に至り、諸侯を統率し、周室の辺境に兵を陳して示威を為し、江・漢の間の土地を呑併し、対内に陳・魯等の国を滅ぼす。此後十余世して項王を出し、東は陳地に遷す。《史記・楚世家》にいう。鬻熊は祝融の後裔で、姓は芈氏、丹陽に居す——すなわち今天南郡の枝江県。武王の子・文王は始めて郢に都を建つ——すなわち江陵。荘王の曽孫・昭王は呉国に撃破せられ、呉兵は郢都に攻め入る。昭王は随国に出奔し、楚大夫・申包胥を派して秦国に向かい救を求めしめ、秦国はここにおいて兵を発して楚を救い、大いに呉軍を敗る。呉王・闔廬の弟・夫概は呉国に返回して自立して王と為し、闔廬は聞きて便ち師を班して国に帰り、昭王はようやく返回を得て、鄀に都を改む——鄀はすなわち南郡の鄀県。楚は荊州に属す。(《尚書・禹貢》にいう。荆山より衡山の南は荊州。《周官》にいう。正南方を荊州と呼ぶ。《爾雅》にいう。漢水以南を荊州と呼び、漢南より一直に衡山の陽に至る。《未央分野》にいう。楚国は郢に治し、南は九江に至り、北は積水に至り、東は大海に至り、西は魚腹山に至る。今天はすなわち汝南・汝陽・廬江・豫章・長沙・南海で、すなわち従前楚国が南郢に治した所。)

《周禮大司徒》職云:以土圭之法,辯十有二土之名,以相民宅而知厲害。(鄭玄云:十二土分野十二邦,上繫十二次焉。)《保章氏》云:星辯九州之地,所封之地,皆有分星,以視祆祥。(馬融云:星,土也,星所主也。《土地傳》曰:參主晉,商主大火也。辯,別也。封,界也。封域一國也。分星自斗十二度,謂之星紀之次、吳越之分野之類也。)馮相氏掌十有二歲、十有二月、十有二辰、二十八宿之位,辨序其事,以會天位。(位,大歲。歲星與日月同次之月,斗在建之辰。)

《周礼・大司徒》の職にいう。土圭で影を測る法を用い、十二土の名称を辨别し、もって民衆の居処を相察してその利害を知る。(鄭玄にいう。十二土はすなわち十二邦の分野で、上は十二星次に繋がる。)《保章氏》にいう。星象をもって九州の地を辨别し、およそ受封の地は皆各々分星あり、もって妖祥の兆を観察す。(馬融にいう。いわゆる星とは、すなわち土で、即ち星の主管する地域。《土地伝》にいう。参宿は晋地を主り、商星は大火の次を主る。「弁」とはすなわち分别、「封」とはすなわち疆界、封域は即ち一国の地。分星は例えば斗宿十二度より起算するを、星紀の次・呉越の分野と呼ぶ——すなわちこの類。)馮相氏は十二歳・十二月・十二辰と二十八宿の位次を掌管し、これらの事を辨明・排定し、もって天位に会合す。(いわゆる位とは、太歳の位を指し、即ち歳星と日月とが同じ一次に処るあの月、および斗柄の建指する辰位。)

《詩緯推度災》:邶國,結蝓之宿。(宋均曰:謂營室星。)鄘國,天漢之宿。(天津也。)衛國,天宿斗衡。(國分所宜。)王國,天宿箕斗。鄭國,天宿斗衡。魏國,天宿牽牛。唐國,天宿奎婁。秦國,天宿白虎,氣生玄武。陳國,天宿大角。鄶國,天宿招搖。曹國,天宿張弧。右以上《詩緯》所載國次星野,與《淮南子》等不同。

《詩緯・推度災》の載する所の列国の星野は下のごとし。邶国は、結蝓の宿に属す(宋均にいう。営室星を指す)。鄘国は、天漢の宿に属す(即ち天津星)。衛国は、天宿は斗・衡に在り(これは国分の宜しきに就いて言う)。王畿の国は、天宿は箕・斗に在り。鄭国は、天宿は斗・衡に在り。魏国は、天宿は牽牛に在り。唐国は、天宿は奎・婁に在り。秦国は、天宿は白虎に属し、その気は玄武に生ず。陳国は、天宿は大角に在り。鄶国は、天宿は招揺に在り。曹国は、天宿は張宿と弧星に在り。以上是《詩緯》の記載した列国の星次・分野で、《淮南子》等の書の載する所と並びて相同じからず。

《史記天官書》:角、氐、亢,兗州。房、心,豫州。尾、箕,幽州。斗,江湖。牛、女,揚州。虛、危,青州。室、壁,幷州。奎、婁、胃,徐州。昴、畢,冀州。觜、參,益州。井、鬼,雍州。柳、七星、張,三河。翼、軫,荊州。七星為官員,辰星廟,蠻夷星也。

《史記・天官書》の配する所の州域は下のごとし。角・氐・亢は兖州に対応し、房・心は豫州に対応し、尾・箕は幽州に対応し、斗は江湖の地に対応し、牛・女は揚州に対応し、虚・危は青州に対応し、室・壁は并州に対応し、奎・婁・胃は徐州に対応し、昴・畢は冀州に対応し、觜・参は益州に対応し、井・鬼は雍州に対応し、柳・七星・張は河南・河内・河東の三河の地に対応し、翼・軫は荊州に対応す。七星は朝廷の官員を主り、また辰星の星廟で、蛮夷を主る星である。

又曰:二十八舍,主十二州。斗乘兼之,所從來久矣。秦之疆,候在太白,占於辰弧。吳楚之疆,候在熒惑,占于衡星。燕齊之疆,候在辰星,占於虛尾。宋鄭之疆,候在歲星,占於房心。晉之疆,亦候在填星,占於參。秦並三晉已後,占更不同,山河以南為中國,占於天街南,畢主之;其西北則胡貊月氏,占於街北,昴主之。

《天官書》またいう。二十八宿は分かれて十二州を主り、北斗は則ちその上を凌駕して兼ねて各州を統べる——この種の説は由来既に久し。秦国の疆域は、占候の星は太白に在り、狼星と弧矢に参験す。呉・楚の疆域は、占候の星は熒惑に在り、衡星に参験す。燕・斉の疆域は、占候の星は辰星に在り、虚宿と尾宿に参験す。宋・鄭の疆域は、占候の星は歳星に在り、房宿と心宿に参験す。晋国の疆域は、占候の星は則ち鎮星に在り、参宿に参験す。秦国が三晋を兼併して以後、占法はまた同じからざる有り。華山・黄河以南は中国と為り、天街の南に占験し、畢宿に主管せらる。その西北の胡・貊・月氏は、天街の北に占験し、昴宿に主管せらる。

《淮南子》及《山海經》並云:地之所載,六合之間,四海之內。照之以日月,紀之以星辰,要之以太歲。(淮南所分十二國分,同石氏。)《春秋內事》曰:天有十二次,日月之所躔;地有十二分,王侯之所國也。

《淮南子》と《山海経》は皆いう。大地の承載する所は、六合の間・四海の内の一切である。日月をもってそれを照臨し、星辰をもってそれを紀次し、太歳をもってそれを約束す。(《淮南子》の劃分した十二国の分野は、石氏星経と相同じい。)《春秋内事》にいう。天上に十二星次あり、是れ日月の運行の経る度舎。地上に十二分野あり、是れ王侯が国を建つる所在。

圖緯降象,《河圖》云:天中極星,下屬地中崑崙之墟。陽盛於己,立東太微天庭五帝圖,中和美玉在己。崑崙南東方五千里,名神州。中有五山地祗圖,隔以阻塞,帝王居之。東嶽太山,角、亢、房之根,上為天門明堂。邠之隘,上為扶桑,日所陳;宣陸之阻,上為吳泉,(或曰虞泉。)月所登。阿阮之隘,上為陽穀,五星以陳;方域之險,上為咸池。四殽險之阻,上為女紀。今訾之塞,上為緱星;井陘之險,上為魁首。勾拒之阻,上五合五紐為都星;居庸之隘,上為極紫宮之戶。右以上九塞之星精,上著於天。

図讖・緯書の講ずる天象下降の対応は、《河図》にいう。天の中央に北極星あり、下は大地中央の崑崙の墟に繋属す。陽気は巳位に盛んにして、東方に太微・天庭・五帝の図を立起し、中和の美玉もまた巳位に在り。崑崙の東南五千里、名を神州と呼び、その中に五山の地祇の図あり、険阻・要塞をもって相隔て、帝王の居する所の地。東岳の泰山は、角・亢・房三宿の根で、上は天門と明堂に応ず。邠地の隘口は、上は扶桑に応じ、太陽の陳布する処。宣陸の険阻は、上は呉泉に応じ(一説は虞泉と作る)、月の升登する処。阿阮の隘口は、上は陽谷に応じ、五星はここに陳列す。方域の険要は、上は咸池に応ず。四殽の険阻は、上は女紀に応ず。今訾の関塞は、上は緱星に応じ、井陘の険要は、上は魁首に応ず。勾拒の険阻は、上は五合五紐に応じて都星と為り、居庸の隘口は、上は紫微宮の門戸に応ず。以上是九処の要塞の星精で、上は天に顕著す。

倉絡山,天運攝提精。代闕,天提高星精。王屋,天資華蓋精。握彌首山,天維輔星精。山戎足,天街北界之精。岐山,天維房星之精。太行,附路之精。岳陽,天提紀漢之精。孟堪,地閏河鼓之精,燕齊之維。右以上九山,稟大宿之精。

倉絡山は、天運・摂提の星の精気の結する所。代闕は、天提高星の精気。王屋山は、天資「華蓋」の星の精気。握弥首山は、天維・輔星の精気。山戎足は、天街北界の精気。岐山は、天維・房宿の精気。太行山は、附路星の精気。岳陽は、天提・紀漢の星の精気。孟堪は、地閏・河鼓の星の精気で、燕・斉両地の維繋と為る。以上九座の山は、各自星宿の精気を禀受す。

河導崑崙山,名地首,上為權勢星。東流千里,至規其山,名地契,上為距樓星。北流千里,至積石山,名地肩,上為別符星。南千里,入隴首山間,抵龍門首,名地根,上為宮室星。龍門,上為王良星,為天橋。神馬山河躍。南流千里,抵龍首,至卷重山,名地咽,上為捲舌星。東流貫砥柱,觸閼流山,名地喉,上為樞星,以運七政。西距卷重山千里,東至洛會,名地神遣,上為紀星;東流至大伾山,名地肱,上為輔星。東流過絳水千里,至大陸,名地腹干,上為虛星。右以上黃河九曲上為星。

黄河は崑崙山に発源し、此処は名を「地首」と呼び、上は権勢星に応ず。東に流るること一千里、規其山に至り、名を「地契」と呼び、上は距楼星に応ず。北に流るること一千里、積石山に至り、名を「地肩」と呼び、上は別符星に応ず。南に一千里、隴首山の間に入り、竜門の首に抵達し、名を「地根」と呼び、上は宮室星に応ず。竜門の上は王良星で、是れ天橋と為り、神馬はかつてここに山河を躍過す。再び南に流るること一千里、竜首に抵達し、巻重山に至り、名を「地咽」と呼び、上は巻舌星に応ず。東に流れて砥柱を貫穿し、閼流山に触及し、名を「地喉」と呼び、上は枢星に応じ、もって七政を運転す。西は巻重山に距ること一千里、東は洛水の会合する処に至り、名を「地神遣」と呼び、上は紀星に応ず。再び東に流れて大伾山に至り、名を「地肱」と呼び、上は輔星に応ず。東に流れて絳水を過ぎること一千里、大陸沢に至り、名を「地腹干」と呼び、上は虚星に応ず。以上是黄河九曲の上に対応する星である。

洛涇之起,西維南嶓冢山,上為狼星。漾水出端,東流過武關山南,上為天高星。漢水東流至嶽首,北至荊山為地雌,上為軒轅星。大別山為地裡,上為庭蕃星。三危山,上為天苑星。岐山為地乳,上為天廩星。岷山之地為井絡,上為天井星。岷江九折,上為太微庭。九江北,東出南流,上為東蕃。兗州濟汶,上為天津。桐柏山為地穴,維尾為地腹,上為太微帝座、三能、斗、軒轅,淮源出之。岱嶽表出鉤鈐。鳥鼠同穴山,地之干,上為奄畢星。熊耳山,地之門也,上為畢。附耳星,洛水擊其間,東北過五湖山,至於陪尾。東北入中提山,五靈山上為五諸侯,陪尾山為軒轅,中提山上為三臺。

洛水・涇水の発源は、西維の南の嶓冢山に在り、上は天狼星に応ず。漾水はここより端を発し、東に流れて武関山の南を過ぎ、上は天高星に応ず。漢水は東に流れて岳首に至り、北は荆山に至り、此処は「地雌」で、上は軒轅星に応ず。大別山は「地里」で、上は庭蕃星に応ず。三危山は、上は天苑星に応ず。岐山は「地乳」で、上は天廩星に応ず。岷山の地は「井絡」で、上は天井星に応ず。岷江九曲は、上は太微の庭に応ず。九江の北は、東に出て南に流れ、上は東蕃に応ず。兗州の済水・汶水は、上は天津星に応ず。桐柏山は「地穴」で、その維尾は「地腹」で、上は太微・帝座・三能・斗・軒轅諸星に応じ、淮水は就ちここより発源す。岱岳は外に向かい鉤鈐二星を標出す。鳥鼠同穴山は大地の躯幹で、上は奄畢星に応ず。熊耳山は大地の門戸で、上は畢宿と附耳星に応じ、洛水はその間に衝激し、東北に流れて五湖山を過ぎ、陪尾に到達す。再び東北に中提山に入る。五霊山は上は五諸侯に応じ、陪尾山は上は軒轅に応じ、中提山は上は三台に応ず。

《洛書》分二十八宿於左:岍,角。岐,亢。荊山,氐。壺口,房。雷首,心。太嶽,尾。砥柱,箕。析成,斗。王屋,牛。太行,須女。恆山,虛。碣石,危。西傾,室。朱圄,畢。鳥鼠,奎。太華,婁。熊耳,胃。外方,昴。桐柏,畢。陪尾,觜。冢,參。荊山,東井。內方,輿鬼。大別,柳。岷山,七星。衡山,張。九江,翼。敷淺原,軫。右以上《洛書》,以禹貢山川配二十八宿。

《洛書》は二十八宿を諸山に分配して、下に列す。岍山は角宿に配し、岐山は亢宿に配し、荆山は氐宿に配し、壺口は房宿に配し、雷首は心宿に配し、太岳は尾宿に配し、砥柱は箕宿に配し、析成は斗宿に配し、王屋は牛宿に配し、太行は須女に配し、恒山は虚宿に配し、碣石は危宿に配し、西傾は室宿に配し、朱圄は畢宿に配し、鳥鼠は奎宿に配し、太華は婁宿に配し、熊耳は胃宿に配し、外方は昴宿に配し、桐柏は畢宿に配し、陪尾は觜宿に配し、嶓冢は参宿に配し、荆山は東井に配し、内方は輿鬼に配し、大別は柳宿に配し、岷山は七星に配し、衡山は張宿に配し、九江は翼宿に配し、敷浅原は軫宿に配す。以上是《洛書》が《禹貢》の載する山川を用いて二十八宿に配したものである。

陳卓分野:角、亢、氐,鄭,兗州。東郡,入角一度。東平、任城、山陰、入角六度。泰山,入角十二度。濟北、陳留,入亢五度。濟陰,入氐二度。東平,入氐七度。房、心,宋,豫州。潁川。入房一度。汝南,入房二度。沛郡,入房四度。梁國,入房五度。淮陽,入心一度。魯國,入心三度。

以下は陳卓の定めた分野である。およそ某郡が「某宿に几度入る」と言うは、当該の郡の分野があの一宿の第几度より算えるを指す。角・亢・氐三宿は鄭に属し、兖州に対応す。東郡は角宿一度に入り、東平・任城・山陰は角宿六度に入り、泰山は角宿十二度に入り、済北・陳留は亢宿五度に入り、済陰は氐宿二度に入り、東平は氐宿七度に入る。房・心二宿は宋に属し、豫州に対応す。潁川は房宿一度に入り、汝南は房宿二度に入り、沛郡は房宿四度に入り、梁国は房宿五度に入り、淮陽は心宿一度に入り、魯国は心宿三度に入る。

尾、箕,燕,幽州。上谷,入尾一度。漁陽,入尾三度。右北平,入尾七度。西河、上郡、北地、遼西、遼東,入尾十度。涿郡,入尾十六度。渤海,入箕一度。東浪,入箕三度。玄菟,入箕六度。廣陽,入箕九度。斗、牛、女,吳越,揚州。九江,入斗一度。廬江,入斗六度。豫章,入斗十度。丹陽,入斗十六度。會稽,入牛一度。臨淮,入牛四度。廣陵,入牛八度。泗水,入牛一度。六安,入牛六度。

尾・箕二宿は燕に属し、幽州に対応し、下列の各郡は皆燕の分野の内に在り。上谷は尾宿一度に入り、漁陽は尾宿三度に入り、右北平は尾宿七度に入り、西河・上郡・北地・遼西・遼東は皆尾宿十度に入り、涿郡は尾宿十六度に入り、渤海は箕宿一度に入り、東浪は箕宿三度に入り、玄菟は箕宿六度に入り、広陽は箕宿九度に入る。斗・牛・女三宿は呉越に属し、揚州に対応し、下列の各郡は皆呉越の分野の内に在り。九江は斗宿一度に入り、廬江は斗宿六度に入り、豫章は斗宿十度に入り、丹陽は斗宿十六度に入り、会稽は牛宿一度に入り、臨淮は牛宿四度に入り、広陵は牛宿八度に入り、泗水は牛宿一度に入り、六安は牛宿六度に入る。

虛、危,齊,青州。齊國,入虛六度。北海,入虛九度。濟南,入危一度。東安,入危四度。東萊,入危一度。平原,入危十一度。淄川,入危十四度。室、壁,衛,幷州。安定,入室一度。天水,入室八度。隴西,入室四度。酒泉,入室十一度。張掖,入室十二度。武都,入壁一度。金城,入壁四度。武威,入壁六度。敦煌,入壁八度。奎、婁、胃,徐州。東海,入奎一度。瑯琊,入奎六度。高密,入婁一度。陽城,入婁九度。膠東,入胃一度。

虚・危二宿は斉に属し、青州に対応し、下列の各郡は皆斉の分野の内に在り。斉国は虚宿六度に入り、北海は虚宿九度に入り、済南は危宿一度に入り、東安は危宿四度に入り、東莱は危宿一度に入り、平原は危宿十一度に入り、淄川は危宿十四度に入る。室・壁二宿は衛に属し、并州に対応し、下列の各郡は皆衛の分野の内に在り。安定は室宿一度に入り、天水は室宿八度に入り、隴西は室宿四度に入り、酒泉は室宿十一度に入り、張掖は室宿十二度に入り、武都は壁宿一度に入り、金城は壁宿四度に入り、武威は壁宿六度に入り、敦煌は壁宿八度に入る。奎・婁・胃三宿は徐州に対応し、下列の各郡は皆その分野の内に在り。東海は奎宿一度に入り、瑯琊は奎宿六度に入り、高密は婁宿一度に入り、陽城は婁宿九度に入り、膠東は胃宿一度に入る。

昴,畢,趙,冀州。魏郡,入昴一度。鉅鹿,入昴三度。常山,入昴五度。廣平,入昴七度。中山,入昴人度。清河,入昴九度。信都,入昴三度。趙郡,入畢八度。安平,入畢四度。河間,入畢十度。真定,入畢十三度。觜、參,魏益州。廣漢,入觜一度。越巂,入觜二度。蜀郡,入參一度。犍為,入參之度。洋河,入參五度。巴郡,入參六度。益州,入參七度。漢中,入參九度。

昴・畢二宿は趙に属し、冀州に対応し、下列の各郡は皆趙の分野の内に在り。魏郡は昴宿一度に入り、巨鹿は昴宿三度に入り、常山は昴宿五度に入り、広平は昴宿七度に入り、中山は昴宿八度に入り、清河は昴宿九度に入り、信都は昴宿三度に入り、趙郡は畢宿八度に入り、安平は畢宿四度に入り、河間は畢宿十度に入り、真定は畢宿十三度に入る。觜・参二宿は魏に属し、益州に対応し、下列の各郡は皆その分野の内に在り。広漢は觜宿一度に入り、越巂は觜宿二度に入り、蜀郡は参宿一度に入り、犍為は参宿二度に入り、洋河は参宿五度に入り、巴郡は参宿六度に入り、益州は参宿七度に入り、漢中は参宿九度に入る。

井、鬼,秦雍州。雲中,入井一度。定襄,入井八度。雁門,入井十六度。代郡,入井十八度。太原,入井二十九度。上黨,入鬼二度。柳、七星、張,三河。弘農,入柳一度。河南,入七星三度。河東,入張一度。河內,入張九度。翼、軫,楚荊州。南陽,入翼六度。南郡,入翼十度。江夏,入翼十二度。零陵,入軫一度。桂陽,入軫六度。武陵,入軫十一度。長沙,入軫十六度。

井・鬼二宿は秦に属し、雍州に対応し、下列の各郡は皆秦の分野の内に在り。雲中は井宿一度に入り、定襄は井宿八度に入り、雁門は井宿十六度に入り、代郡は井宿十八度に入り、太原は井宿二十九度に入り、上党は鬼宿二度に入る。柳・七星・張三宿は河南・河内・河東の三河の地に対応す。弘農は柳宿一度に入り、河南は七星三度に入り、河東は張宿一度に入り、河内は張宿九度に入る。翼・軫二宿は楚に属し、荊州に対応し、下列の各郡は皆楚の分野の内に在り。南陽は翼宿六度に入り、南郡は翼宿十度に入り、江夏は翼宿十二度に入り、零陵は軫宿一度に入り、桂陽は軫宿六度に入り、武陵は軫宿十一度に入り、長沙は軫宿十六度に入る。

《漢志》十二次。費直《周易》分野。蔡邕《月令章句》分野。未央《太一飛符九宮》分野。星紀,起斗十二度。自斗十度。自斗六度,吳越。玄枵,起女八度。自女六度。自女二度,齊。娵訾,起危十六度。自危十四度。自尾十度,衛。降婁,起奎五度。自奎二度。自壁八度,魯。大梁,起胃七度。自胃四度。自胃一度,趙。

下面に四家の星次の起度を並列す。《漢書・律暦志》の載する十二次、費直《周易》分野、蔡邕《月令章句》分野、未央《太一飛符九宮》分野。星紀。《漢志》は斗宿十二度に起し、他家はあるいは斗宿十度より起し、あるいは斗宿六度より起し、呉越に配属す。玄枵。女宿八度に起し、他家はあるいは女宿六度より起し、あるいは女宿二度より起し、斉に配属す。娵訾。危宿十六度に起し、他家はあるいは危宿十四度より起し、あるいは尾宿十度より起し、衛に配属す。降婁。奎宿五度に起し、他家はあるいは奎宿二度より起し、あるいは壁宿八度より起し、魯に配属す。大梁。胃宿七度に起し、他家はあるいは胃宿四度より起し、あるいは胃宿一度より起し、趙に配属す。

實沈,起畢十二度。自畢九度。自畢六度,晉。鶉首,起井十六度。自井十二度。自井十度,秦。鶉尾,起張十八度。自張十三度。自張十二度,楚。後次鶉火,起柳九度。自柳五度。自柳三度,周。前壽星,起軫十二度。自軫七度。自軫六度,鄭。大火,起氐五度。自氐十一度。自亢八度,宋。析木,起尾十度,自尾九度。自尾四度,燕。

実沈。畢宿十二度に起し、他家はあるいは畢宿九度より起し、あるいは畢宿六度より起し、晋に配属す。鶉首。井宿十六度に起し、他家はあるいは井宿十二度より起し、あるいは井宿十度より起し、秦に配属す。鶉尾。張宿十八度に起し、他家はあるいは張宿十三度より起し、あるいは張宿十二度より起し、楚に配属す(原本の旁注に「後次」、この次は応に後に排すべきを標明す)。鶉火。柳宿九度に起し、他家はあるいは柳宿五度より起し、あるいは柳宿三度より起し、周に配属す(原本の旁注に「前」、この次は応に前に排すべきを標明す)。寿星。軫宿十二度に起し、他家はあるいは軫宿七度より起し、あるいは軫宿六度より起し、鄭に配属す。大火。氐宿五度に起し、他家はあるいは氐宿十一度より起し、あるいは亢宿八度より起し、宋に配属す。析木。尾宿十度に起し、他家はあるいは尾宿九度より起し、あるいは尾宿四度より起し、燕に配属す。

《漢書律曆志》云:六物者,歲時日月星辰也。辰者,日月之會,而斗建所指也。玉衡勺,建天之綱也,日月初躔之星紀也。是以斗牛繫丑次,名紀下繫地,分野當吳越。費直,字長翁,東萊人。仕前漢為單父令,能治《易》,撰《章句》,著筮占,所論天地義理,多有疏闊。言分野郡縣,與子政略同。說星分,皆壽星之次四十二度,大火之次三十二度,餘次並三十度。不均之義,未能詳也。

《漢書・律暦志》にいう。いわゆる六物とは、歳・時・日・月・星・辰を指す。辰とは、日月の交会する処で、また斗柄の指す位。玉衡と斗勺は、天綱を建立する枢機で、また日月の最初に運行の経る星紀の次。この故に斗・牛二宿は丑位の次に繋がり、名づけて「紀」といい、下は地に繋属し、分野は当に呉越に在るべし。費直は、字は長翁、東莱人、前漢に単父令を做り、《周易》に精通し、《章句》を撰し、また筮占の書を著す。但し彼の論ずる天地の義理は多く粗疏あり。彼の講ずる分野・郡県は、劉向(字は子政)と大体相同じく、星次の分度を講ずれば、則ち寿星の次は四十二度を占め、大火の次は三十二度を占め、その余の各次は皆三十度。このように分配して均ならざるの道理は、未だ詳知し得ず。

蔡邕《月令章句》云:周天三百六十五度四分度之一,為十二次,日月之所躔。地有十二分,王侯之所國也。每次三十度三十二分度之十四,至其初為節,至其中為氣。未央,不知何許人也。漢孝安時為千乘都尉,長於陰陽氣數之術。元初二年,上書言太乙九宮事。御有詔詰問,未央各以理對。制示太史,下章蘭臺石室,賜未央金百斤,增位二等,拜為弘農太守。其言分野,簡略未可詳也。所屬星國名,與石氏頗同。

蔡邕《月令章句》にいう。周天は共に三百六十五度また四分度の一、十二星次に劃し、是れ日月の運行の経る度舎。地上に十二分野あり、是れ王侯が国を建つる所在。毎一星次は三十度また三十二分度の十四を占む。太陽が一次の初に行き至るを「節」と為し、一次の中に行き至るを「気」と為す。未央は、どこの人か知らず、漢安帝の時千乗都尉を任じ、陰陽・気数の術に擅長す。元初二年に書を上りて太乙九宮の事を論述し、皇帝は詔を下して詰問し、未央は皆理に拠って作答し得た。詔令して彼の答対を太史に出視せしめ、かつ奏章を蘭台石室に収蔵し、未央に黄金百斤を賜い、二級の官階を晋升し、弘農太守に拝す。彼の講ずる所の分野は過ぎて簡略にして、詳知し能わず。配属する所の星と国名は、石氏星経と大致相同じい。

《宋書歷志》云:大子旅賁中郎將戴法興議云:祖沖之造歷,歲別有差,則今之壽星,乃周之鶉尾。誣天背地,乃至於斯。沖之對曰:次隨方名,義合宿體,分至雖改,而厥位不遷。豈謂龍火,質處金水,亂列名號,乖舛之義,抑未詳究。

《宋書・暦志》に記載す。太子旅賁中郎将の戴法興が議論していう。祖冲之が暦を造り、歳差が逐年積累することを主張すれば、那么今天の寿星の次は、便ち周代の鶉尾の次と為り、上天を欺罔し大地に違背し、竟にこのごとき地步に至ったと。祖冲之が答弁していう。星次は方位に随って命名され、その義は宿体と相合す。二分二至の位置は推移ある虽も、星次の位は并びて遷改せず。どうして蒼龍・大火の次が、金・水の処する方位に移りて、名号を錯乱して排列せんや。この種の乖謬の説は、恐らくは詳らかに考究せざるのみ。

《天文錄》云:天次十二分者,辯吉凶之所在,明兆應之攸歸。《周禮》以土圭之法定十有二壤。故馮相氏掌四七之位,以會天位。保章氏辯九州之分,以別祅祥,是以明王觀象而設教,睹變而修德。故能先天而天不違,後天而奉天時者也。自重黎之後,宜有其書,文紀絕滅,世莫得聞。今所行十二次者,漢光祿大夫劉向之所撰也,班固列為《漢志》,群氏莫不宗焉。

《天文録》にいう。天を十二星次に劃するは、吉凶の所在の処を辨明し、徴兆・応験の帰属を弄清するため。《周礼》は土圭の法を用いて十二壌を確定す。ゆえに馮相氏は四方七宿の位次を掌管し、もって天位に会合し、保章氏は九州の分野を辨别し、もって妖祥の兆を区分す。これがために聖明の君王は天象を観察して教化を設立し、変異を見て徳行を修養す。ゆえに能く天時に先んじて天は彼に違わず、天時に後れて天道を奉行す。重黎以後、本に応に此方面の著作あるべきに、ただ文献の記載が断絶し、後世は聞き得る由なし。如今通行の十二次は、漢の光禄大夫・劉向の撰する所で、班固はそれを《漢志》に列入し、各家は奉じて宗本と為さざるなし。

而言詞簡略,學者多疑,輒載其本文,而為之注。因漢地理,覆其同異,蓋言次名之攸出,列國之興喪,都鄙之遷革,郡邑人所繼耳。乃若天以陽動,地以陰凝,變主於上,祥應於下。北方之宿,返主吳越,火午之辰,更在周邦。且天度均列,而分野殊形。一次所主,或綿亙萬里,跨涉數州;或止在寰內,不布一郡。而靈感遙通,有若影響。故非末學,未能詳之。

但し劉向の言詞は簡略にして、学者は多く疑惑あり。ここにおいて就ち彼の本文を照録してこれがために注を作り、漢代の地理に依拠してその中の異同を核対し、大略は是れ星次の名称の由来・列国の興亡・都邑の遷改、および郡県が何人に承襲せられたかを説明するのみ。説くに天は陽気をもって運動し、地は陰気をもって凝聚し、変異は上に発生し、祥応は下に顕現す。北方の宿は反って呉越の地を主り、火に属する午位の辰はまた却って周邦に落つ。しかも天上の度数は均匀に排列するに、地上の分野の形勢は却って各々相同じからず。一箇の星次の主管する地域は、あるいは万里に綿亘して数州に跨越し、あるいはただ王畿の内に在るのみで還た一郡に満たず。然るに霊気は遥かに相感通し、影の形に隨い・响の声に応ずるがごとし。ゆえにこれは浅学の人の能く詳説し得る所に非ず。

按,星官有《二十八宿山經》,其山各在十二次之分。分野有災,則宿與山相感,而見祥異。至如《石氏星經》配宿屬國,皆以星斷,不計度距。《漢地理志》及蔡邕《月令章句》,皆以二十四氣日度所宿以分野。一設此法,莫能改張。而費直及未央,世不施用。且海內之廣,仰繫天宿,州國郡縣,皇王代殊,星辰兆未萌之前,人事興佈置之後。

李淳風按す。星官の書の中に《二十八宿山経》あり、載する所の各山は分别して十二次の分野の内に処す。分野に一旦災あれば、星宿はあの山と互いに感応し、従って祥瑞あるいは異象を顕現す。《石氏星経》が星宿の所属の国を配定するに至っては、皆星をもって断じ、度数の遠近を計らず。《漢書・地理志》と蔡邕《月令章句》は、則ち皆二十四節気の太陽の所在する宿度をもって分野を劃分す。この一套の方法は一経設立せられ、後人は便ち更改する法なし。而して費直と未央の説法は、世間は并びて施行せず。况且海内はこのごとく広大にして、皆天上の星宿に仰繋するに、而して州・国・郡・県の建制は歴代の帝王各々相同じからず。星辰は早くも事物の未萌の前に就已に徴兆を顕し、人事は却って建置・分劃の後に興起するなり。

秦漢郡縣遠應天文,晉趙都邑交錯非一。周祖后稷,創國策鄰,為狄所侵,仍居岐下。而《國語》云:武王伐殷,歲在鶉火。歲之所在,則我有周分野。今周之分隸在豫州,豐鎬舊都,翻當秦宿,應以理實,事恐難詳。如熒惑守心,宋景攘其災咎;實沈為崇,晉侯受其斃殃,此則天道影響,似逐人情,據其事驗,時以相應。今輒集星次如前,以存異說,州國分屬,義非所詳也。

秦・漢の郡県は遥々と上は天文に応じ、晋・趙の都邑はまた交錯して一処に止まらず。周の始祖・后稷は邦国を創建し隣境を経営し、後来狄人に侵擾せられ、仍ほ岐山の下に居す。而して《国語》にいう。武王が殷を伐つ時、歳星は鶉火の次に在り。歳星の所在するは、すなわち我が周朝の分野。可是今天周の分野は却って豫州に隷属し、豊・鎬両処の旧都は反って当に秦の星宿の下に在るべし。もし道理に按って実処に落とさんとすれば、此事は恐らく説清し難し。熒惑が心を守るに至っては、宋景公は善言をもって災咎を禳除した。実沈が作祟するは、晋侯はこれによって斃命の殃を受けた——これはすなわち天道は影の形に隨い・响の声に応ずるがごとく、似て人情に順って動く。これらの事験に依拠すれば、もまた時々互いに応合す。如今は姑く星次を上のごとく匯集し、もって各家の異説を保存す。州国の分属に至っては、その中の義理は并びて我の能く詳知する所に非ず。

或人問曰:天高不極,地厚無窮。凡在生靈,咸蒙覆載,而上分辰宿,下列侯王,分野獨擅於中華,星次不沾於荒服。至於蠻夷君長,敵戎虜酋豪,更稟英奇,並資山嶽。豈容變化,應驗全無,豈日月私照,意所未詳。冀爾達人,以祛所惑。

ある人が発問していう。天は高きこと極限なく、地は厚きこと窮尽なく、およそ生ある霊は、皆天の覆蓋と地の承載を蒙受す。可是上面には星辰・宿次を分列し、下面には侯王・邦国を排布するに、分野はただ中華の独り有するに帰し、星次は竟に荒遠の地に沾及せず。蛮夷の君長・戎虜の酋豪に至っては、同じく英奇の気を禀受し、同じく山岳の霊に憑借するに、どうして天象の変化は彼らに対し全く応験なからんや。豈に日月に還た偏私の照临あらんや。その中の用意は実に不明——先生のごとき通達の人に望む、我がために疑惑を解除せよと。

淳風答之曰:昔者周公,列聖之宗也。挾輔成王,定鼎河洛,辯方正位,處厥土中。都之以陰陽,隔之以寒暑,以為四交之中,當二儀之正,是以建國焉。故知華夏者,道德、禮樂、忠信之秀氣也。故聖人處焉,君子生焉。彼四夷者,北狄冱寒,穹廬牧野;南蠻水族,暑溼鬱蒸;東夷穴處,寄託海隅;西戎氈裘,愛居瀚海。莫不殘暴狠戾,鳥語獸音,炎涼氣偏,風土憤薄,人面獸心,宴安鴆毒,以此而況,豈得與中夏皆同日而言哉?

李淳風は彼に回答していう。往昔周公は歴代の聖人の中の宗師で、彼は成王を輔佐し、河・洛の間に国鼎を奠定し、方位を辨正し、大地の正中に安処した。陰陽の理をもって都を建て、寒暑の界をもって分隔し、此地がまさに四方交会の中・天地二儀の正に当たると認め、これがためにここに王国を建立した。これによって知るべし、華夏は道徳・礼楽・忠信の精粹の気の聚まる所。ゆえに聖人はここに居し、君子はここに生す。四方の夷狄に至っては、北狄は地気が厳寒にして、穹廬に住み曠野に牧す。南蛮は水族のごとく、暑湿が鬱蒸す。東夷は穴居して、海角に身を寄す。西戎は氈裘を身に着て、瀚海に安居す。彼らは残暴・狠戾ならざるなく、言語は鳥獣の声のごとく、寒暑の気は偏頗し、風土は澆薄・躁戾し、人面・獣心にして、苟安・享楽するは猶ほ鴆を飲みて自ら毒するがごとし。これをもって相い比ぶれば、豈に中夏と相い提並して論ずべけんや。

故孔子曰:夷狄之有君,不如諸夏之亡,此之謂也。是故越裳重譯,匈奴稽顙,肅慎獻矢,西戎聽律。莫不航海梯山,遠方致貢,人畜納首,殊類宅心。以此而言,四夷宗中國之驗也。故孔子曰;為政以德,譬如北辰,居其所,而眾星拱之。又且聖人觀象,分配國野,或取水土所生,或視風氣所宜,因繫之以成形象之應。故昴為旄頭被髮之象,青丘蠻夷文身之國,梗河胡騎負戈之俗。胡人事天,以昴星為主;越人伺察,以斗牛辨祥。秦人占狼弧,齊觀虛危,各是其國,自所宗奉。是以聖人因其情性所感而屬,豈越理苟且而傅會者哉?

ゆえに孔子にいう。夷狄は縱使君長あるも、諸夏の君なきに如かず——講ずる所はまさにこの道理。これがために越裳氏は輾転して翻訳して来朝し、匈奴は首を叩きて帰服し、肅慎は楛矢を進献し、西戎は中国の律令に聴命す。航海し山を翻らざるなく、遠方より前来して進貢し、人畜は首を俯せ、異族は心を帰す。これより説くれば、これはまさに四夷が中国を尊奉する明証。ゆえに孔子またいう。徳をもって政を施すは、譬えば北極星がその位に安居して、衆星が環繞してそれを拱衛するがごとし。况且聖人は天象を観察し国土・田野を分配するに、あるいは水土の生ずる物に取法し、あるいは風気の宜しき処を察看し、従って両者を聯繋して、形象上の対応を構成す。ゆえに昴宿は「旄頭」と号して、披髪の象を取り、青丘は蛮夷の文身の国に対応し、梗河星は胡人の騎兵が戈を負う習俗を象徴す。胡人は天を祭るに昴星をもって主星と為し、越人は天象を伺察するに斗・牛二宿を用いて吉凶を辨别し、秦人は天狼と弧矢を占候し、斉人は虚・危二宿を観測す——各自その本国に依拠し、自ら宗奉する所有り。見るべし、聖人は各方の情性の感応する所に順って配属するを、豈に事理に違背し苟且に附会せんや。

占例第十六

按:景緯垂變,妖孛示應,深淺之跡既殊,利害之差不一。先哲考驗多有異同,得失混淆,是非重疊,不為體例,學者致疑。今則錄薄蝕守犯,逆順斗凌,以次相從列之雲爾。

李淳風按す。日月・星辰は変異を垂示し、妖星・彗孛は応験を顕現す。その徴兆に深あり浅あり、痕跡は既に同じからず、主る所の利害の差別もまた一ならず。前代先哲の考察・検証は多く異同あり、得失は混淆し、是非は重曡す。もし一套の体例を整理せざれば、学者は便ち心に疑惑を生ぜん。如今は就ち薄・蝕・守・犯・逆・順・斗・凌これらの占例を記録し、類に依って相従い、依次に後に排列す。

日月則有蝕,有薄,有斗,有昏,有冥。星月同光,星月相蝕。列宿五緯,則有變動。芒角喜怒,大小存亡,列坐官位,則有疏拆舍集;五緯祆客,則有逆順遲疾。平行出入,合會聚從,離徙盈縮,(金宿。)居留經天,守中乘犯,侵凌牴觸,經歷貫刺,磨靡掩斗,周環繞戴,句巳牝牡焉。

日・月に就いて言えば、蝕あり・薄あり・斗あり・昏あり・冥ありのこれらの変異あり。星と月とが同じく光芒を放つこともあり、また星と月とが互いに掩蝕することもあり。二十八宿と五緯(五星)に就いて言えば、則ち種々の変動あり。芒角の舒張・収斂は喜怒を見る可く、形体の大小は存亡を見る可く、諸星の列する座次と官位は、則ち疏散・拆離・舎止・聚集の別あり。五緯と妖星・客星は、則ち逆行・順行・遅行・疾行の異あり。此外また平行・出入・合会・聚従・離徙・盈縮(太白等の金宿の進退を指す)、および居・留・経天・守中・乘・犯・侵・凌・抵・触・経・歴・貫・刺・磨・靡・掩・斗・周・環・繞・戴・句巳・牝牡等々の名目あり。

日月兩體相掩映,從一邊起漸侵,或多或少,此為蝕也,猶似蟲蝕葉之狀。日被月蝕,陰侵陽,下凌上,咎在君王。蝕少半災輕,蝕大半災重。蝕既,亡國殺君之象。月蝕者,被日映而損元明,咎在女主。破大軍,殺大將,蝕少半災輕,大半災重。蝕既,諸侯大臣亡國破家,女主黜退。

日・月二つの天体が互いに遮掩・交映し、虧缺は一辺より始めて逐漸裏に向かい侵入し、あるいは多くあるいは少なく——これを「蝕」と呼び、その形状はあたかも虫が樹葉を啃食するがごとし。太陽が月に遮蝕せらるるは、陰気が陽気を侵犯し・下位に居る者が上位に居る者を凌逼し、過咎は君王の身に応ず。虧蝕が半に至らざるは災禍軽く、虧蝕が半を過ぐるは災禍重く、完全に蝕尽する(「蝕既」)は、すなわち亡国・弑君の徴象。月蝕に至っては、月はもと日光の照映に靠って光輝を有すに、如今その本有の光明を損傷せられ、過咎は皇后・太后の類の「女主」の身に応じ、大軍の潰敗・大将の被殺を主る。同じく虧蝕の半に至らざるは災軽く・半を過ぐるは災重く、完全に蝕尽するは、諸侯・大臣が亡国・破家し、女主が廃黜・貶退せらるるを主る。

有交為蝕,朔望依度是也。無交為薄,或近望朔。陰氣侵迫,黃赤無光,匿氣薄日也。日薄為下凌上,強臣以迫其主,而奪其威權之象也。災輕於日蝕。月蝕薄,為女主憂,大臣失其所理,蔽退之象。

日・月が行きて黄道と白道の交会の処に至りて相掩するを、「蝕」と呼ぶ——すなわち正に朔・望に逢いかつ交食の度数に合う。交点に逢わざるを「薄」と呼び、ただ望日あるいは朔日に接近するのみ。陰気が侵逼して来て、日月は黄赤の色を呈して光輝を失うは、これ隠匿の気が太陽に迫近する所致なり。日薄は、下に居る者が上に居る者を凌逼し、強横の臣がその君主を逼迫して君主の威権を奪去するを象徴し、災禍は日蝕より軽し。月に薄蝕が現るるは、女主に憂患有り・大臣が自ら治むべき職分を喪失し、蒙蔽・斥退せらるるの徴象を主る。

《志》云:凡軍行而遇日月薄,當收軍。不爾,有謀反。日月斗者,別有假象,共日體相凌,離而復合,合而復離。日月失光,乍明乍暗。或烏體具見,在乎食時以前。晚晡已復者為斗,斗者,兩競之象,天子失據,四夷迭侵,兵賊俱起,擊賊將興之象。或有五色,色無主數十日,似日象為陣而來。□災日者,大凶災重,亡國殺君之象。此災尤於日蝕。

《天文志》にいう。およそ行軍の途中に日薄・月薄に遇上るは、当に兵を収めて営に回るべし。然らざれば人の謀反する有らん。いわゆる「日月斗」とは、別に一種の虚假の光体が日体と互いに凌逼し、分離してはまた合攏し・合攏してはまた分離し、日月はこれによって光輝を失い忽明忽暗し、時には日面上の「烏」(黒気)の形体すら清楚に見る可きに至る。この種の現象は食時(辰時前後)以前に起り、晚晡(申時)に至って回復するを、これを「斗」と呼ぶ。「斗」は両方の相争うの象で、天子が憑依を失い・四方の夷狄が輪番で入侵し・兵禍と盗賊が一斉に興起するを主り、賊を討つの師が将に興動せんとするの徴象。時に天上に五色の気が現れ、顔色に定主なくして数十日に連なり、あたかも日象が陣勢を結んで圧来するがごとし。およそこのようにして(原文一字を缺く)太陽に災を加うるは、大凶にして災重く、亡国・弑君の象で、この一類の災異は日蝕より還た厳重なり。

晝昏者,日無雲而光暗;夜冥者,月無雲而影滅。昏冥者,人君不明,昏耗之象。法令不行,又是將有殺戮、死亡之兆。若雜以殺氣寒濁者,大咎。昏三日內雨,不占。

いわゆる「昼昏」とは、白天に並びて雲気の遮蔽なくして日光が昏暗なるをいう。いわゆる「夜冥」とは、夜裏に並びて雲気の遮蔽なくして月影が隱沒するをいう。昏冥が出現するは、人君が明察ならず・政事が昏乱・耗損するを象徴し、法令が推行し下らざるを主り、また将に殺戮・死亡あるの先兆。もしその中に還た肅殺の気と寒冷・渾濁の気とを夾雜すれば、それはすなわち大咎。もし昏暗の後三日の内に雨が降れば、ただ陰雲・水気の所致なるを説明し、占断を作さず。

星月同光者,星月近,俱明盛也,臣下明盛之象。亦為大臣爭競,與主爭明之象。星月相蝕者,月與五星列宿諸星相遇,月掩雲,星不見,為月蝕星。星見,為星蝕月。星蝕月者,國君女主,將有被其臣下殺之象也。亦為自亡有喪。月蝕星者,為殺戮將相諸侯之象。右屬日月變者,形色異常改異之象。

いわゆる「星月同光」とは、星と月とが相距ること近く、両者ともに明亮・盛大にして、臣下の声勢が明盛なるを象徴し、また大臣が互いに争競し・君主と光輝を争奪するを主る。いわゆる「星月相蝕」とは、月が五星および二十八宿の衆星に相遇う。月が掩い去りて雲気に隱入し、星はこれによって見えざる——これを「月蝕星」と呼ぶ。星が依旧として見えて月光が反って奪わるる——これを「星蝕月」と呼ぶ。星蝕月は、国君と女主とが将に自らの臣下に弑殺せらるるの徴象あり、また自身の死亡・家中に喪あるを主る。月蝕星は、則ち将・相・諸侯が殺戮を遭受するの徴象。以上は皆日月の変異に属し、形状・顔色が反常・改易するの徴象である。

動者,光體搖動,興作不安之象;芒者,光曜生鋒芒刺,殺害之象;角者,頭角長大於芒,興立誅伐之象;喜者,光色潤澤和順,德賞慶悅之象;怒者,光芒盛,色重大不潤,亹逆則伐斗異之象。

いわゆる「動」とは、星の光体が揺晃・顫動し、興造・動作して人心安ならざるを主る。いわゆる「芒」とは、星光が鋒刃のごとき芒刺を生じ、殺傷・残害を主る。いわゆる「角」とは、芒刺が再び長大して頭角の形と成り、兵を興し威を立て・誅討・征伐するを主る。いわゆる「喜」とは、光色が潤澤・柔和にして、徳を施し賞を行い・慶賀・喜悦するを主る。いわゆる「怒」とは、光芒が熾盛にして顔色が濃重・粗大にして潤澤せず、一旦勉めて常度に違逆せば、則ち征伐・争闘・変異の事あり。

大者,大於其本體,吉星大者吉,凶星大者凶,以分位斷之,大者興建開拓之象。小者,小於本體,吉星則凶,凶星則吉,以分位斷之,小者亡敗蹙迫之象。存者,守常得正象;亡者,失其所在,滅亡之象。

いわゆる「大」とは、星がその本来の形体より更に大なるをいう。吉星が変大すれば則ち吉、凶星が変大すれば則ち凶——その所在の分野と位次に按って判断すべく、総じて言えば変大は興建・開拓の象。いわゆる「小」とは、星が本体より更に小なるをいう。吉星が変小すれば反って凶、凶星が変小すれば反って吉——同じく分野・位次に按って判断し、総じて言えば変小は敗亡・窘迫の象。いわゆる「存」とは、常度を安守してその正を得るの徴象。いわゆる「亡」とは、それが本に応に在るべき位置を失い、滅亡を主る。

疏拆者,相離失其常體,敗壞之象;合聚者,將近而聚,蹙迫之象。逆者,當東反西,當西反東,違逆常度,暴逆之象;順者,循其常度,與曆數相應,守常和順之象。

いわゆる「疏拆」とは、星官中の諸星が互いに离散し・本来の排列の形体を失い、敗壊を主る。いわゆる「合聚」とは、諸星が彼此靠近して聚拢し、窘迫・逼促を主る。いわゆる「逆」とは、当に東行すべきに反って西に向かい・当に西行すべきに反って東に向かい、常度に違背し、暴乱・悖逆を主る。いわゆる「順」とは、常度に循って行き・暦法の推算の数と相合し、常道を安守し・和順にして事なきを主る。

凡七曜皆逆天東行,以日為主。故五星皆以東行為順,西行為逆。又有留有伏,各如其歷術之數,失常則逆,循度為順,吉。多以東行為順,西行為逆,今古則亦參用之矣。

およそ日・月と五星のこの「七曜」は、皆天球の旋転の方向に逆らって自ら西より東に向かい運行し、しかして太陽の行度をもって準と為す。ゆえに五星は皆東行するを「順」と称し・西行するを「逆」と称す。それらはまた各々停留(「留」)と隱伏(「伏」)とあり、皆暦法の推算の数値に合す。常度を失えばすなわち逆、度数に依って運行すればすなわち順、順なれば則ち吉。大多は東行をもって順と為し・西行をもって逆と為し、古今の占家もまた皆この標準を参照して併用す。

遲者,不及其常度,和緩之象;疾者,行過其度,迫速之象。凡五緯之行,各有疾有遲,如其曆數。故木一歲行一次,土三年行一次,金、水並一年而一周。或過或不及,此則是其大分之遲疾。

いわゆる「遅」とは、行度がそれに応有の常度に趕及ばざるをいい、寛和・舒緩を主る。いわゆる「疾」とは、行度が応有の度数を超過するをいい、逼迫・急促を主る。およそ五星の運行は、各自快あり慢あり、皆暦法の数に合す。ゆえに歳星(木)は一年に一「次」を行き、填星(土)は三年に一次を行き、太白(金)と辰星(水)は皆一年に天を一周す。あるいは超過し・あるいは不及す——これがすなわちそれらの大体上の遅疾である。

歲星,近日則遲,遠日則疾;熒惑,近日則疾,遠日則遲。填星之行,自見至留逆復順,恆各平行,無有益遲宜疾。太白、辰星,晨見,初則遲而後疾,疾則伏;夕見,初則疾而漸遲,遲則伏。此則五星當分遲疾大量也。

歳星は太陽に靠近する時は行くこと慢く、太陽に遠離する時は行くこと快し。熒惑は太陽に靠近する時は行くこと快く、太陽に遠離する時は行くこと慢し。填星の運行は、初見より留・逆行に至り・再び順行に転ずるまで、始終各々平均速度に按って推移し、漸慢・漸快の変化なし。太白と辰星は、早晨に出現するは起初慢くして後來快く、快なること極処に至れば便ち隱伏す。傍晚に出現するは起初快くして漸々変慢し、慢なること極処に至れば便ち隱伏す。これがすなわち五星が各自の分際に在る遅疾の大致の尺度である。

平行者,石氏以一日行一尺五寸為平行,一尺二寸為遲。今則不然,皆以度其數格之為遲疾,故不須占其平行,平行猶常也。韓公賓以五星遠日則疾,近日則遲。此亦未為通論,故不取焉。

いわゆる「平行」とは、石申(石氏)は一天に一尺五寸を行くを平行と算し・一天に一尺二寸を行くを遅と算す。如今はこのように算せず、皆度数をもって衡量して遅疾を核定す。ゆえに平行は必ずしも別に占辞を立てざるは、平行はすなわち循常に等しきがゆえなり。韓公賓は五星が太陽に遠離すれば行くこと快く・太陽に靠近すれば行くこと慢しと主張す——これもまた通達の論と算するに足らず。ゆえに本書は採用せず。

出者,未當去也,屬乎福德之兆,福德出,則失善之象;入者,不應來而來也,屬乎祆禍之兆,祅福入,則亡亂之象。若其常行,初至其分,禍祅在其間,同體失色為入;過其坐位,離其宿分為出。福入刑出則吉。德出福入,此其常也。故論出入者,有此六途。

いわゆる「出」とは、本に応に離去すべからざるに離去し、福德の星の徴兆に属す。福德の星の出走は、すなわち善慶の流失の象。いわゆる「入」とは、本に応に到来すべからざるに到来し、妖禍の星の徴兆に属す。妖禍の星の侵入は、すなわち敗亡・禍乱の象。もし星が常度に依って運行し、剛くある一つの分野に進入すれば、禍祟はその間に伏す。星官と同じく一体に処りて本色を失うを「入」と呼び、所居の坐位を越え・本宿の分野を離開するを「出」と呼ぶ。福德の星が入り・刑殺の星が出づれば、則ち吉と為す。徳星が出で・福星が入るは、これそれらの常態。ゆえに「出入」を論ずるに、一共にこの六条の途徑あり。

合者,二星相逮,同處一宿之中。和順而合則吉,乖逆而合則凶。會者,一逆一順,一遲一疾,相逢而在宿中為會,德會則福興,刑會則禍起。聚者,自三星以上為聚。聚者集會之象。福集則吉,刑集則凶。

いわゆる「合」とは、両顆の星が互いに追及し、同じく一宿の中に処るをいう。五行が和順にして合すれば則ち吉、五行が乖違・相逆して合すれば則ち凶。いわゆる「会」とは、一星が逆行し・一星が順行し、あるいは一星が慢く・一星が快く、両者が宿中に相逢う——これを「会」と呼ぶ。徳星が相会すれば則ち福慶が興起し、刑星が相会すれば則ち禍患が発生す。いわゆる「聚」とは、三顆の星以上が同じく一処に処り、「聚」は群星の集会の象。福德の星が会集すれば則ち吉、刑殺の星が会集すれば則ち凶。

從者,遲疾次第相及於一處也,次序從就之象。德先至則吉,刑先至則凶。離者,雖同宿而兵度,而南北乖隔不和之象。從者雖同在宿分,不相停待,離越移避,相背之象。右占以為相近為就聚,相遠為離,則屬乎列宿星官。

いわゆる「従」とは、諸星に慢あり快あり、依次に先後して同一の処に到達し、次第に相隨い・彼此帰就するを象徴す。徳星が先到すれば則ち吉、刑星が先到すれば則ち凶。いわゆる「離」とは、同じく一宿に在る虽も、度数は却って各自相異にして南北に分隔し、乖違・不和を主る。「従」にして相待たざるの情形に至っては、同じく一宿の分野の内に在る虽も、互いに停留・等候せず、彼此越過し・遷移・回避すれば、それはすなわち相背の象。以上の占法は、彼此靠近するを「就聚」と為し・彼此遠離するを「離」と為し、皆二十八宿と諸星官の占断に属す。

盈者,超舍大進,過其所常。德盈則加福,刑盈則加禍。縮者,退舍不及其常。德縮則迫蹙,刑縮則善育。舍者,經其宿度而行為舍,舍其宿而遲也。宿者,經其舍而過,經去不遲之謂也。

いわゆる「盈」とは、本に応に停留すべき星舎を超越して大歩に前進し、それが平常の行度を超過するをいう。徳星が盈すれば則ち福慶を增添し、刑星が盈すれば則ち禍患を加重す。いわゆる「縮」とは、星舎に退回し・平常の行度に達せざるをいう。徳星が縮すれば則ち局促・窘迫し、刑星が縮すれば則ち善事が反って生養を得。いわゆる「舎」とは、星がある宿の度数を経行する時に停駐するをいい、すなわちこの一宿に留まりて行くこと遅緩。いわゆる「宿」とは、この星舎を経過すれば便ち徑直に過去することを指し、経行して遅留せざるを指す。

居者,福德之星在其宿位,光色潤澤而遲為居,喜福降臨之象。留者,刑禍祆異在其宿位,久住非益之稱,興作勃亂之象。又五星依歷,木、火、土層見中而留:留極而逆,逆極昏中而留,留而又順,此五星之留也。留者,住而不移之稱也。福德則為居之而留,刑祻則作動,伺察政治之象。

いわゆる「居」とは、福德の星がそれが所属する宿位上に停り、光色は潤澤にして行度は遅緩——これを「居」と呼び、喜慶・福澤の降臨を主る。いわゆる「留」とは、刑禍・妖異の星があの宿位に停り、久住して益する所なきをいい、事を興し乱を作すを主る。また、五星は暦法に依って推算すれば、歳星・熒惑・填星は清晨に中天に升る時に便ち「留」す。留すること極処に至れば便ち逆行に転じ、逆すること極処に至りて黄昏に中天に在る時にまた「留」し、留すること過ぎて後に再び順行に転ず——これがすなわち五星の留。「留」はすなわち停住して動かざるの意。福德の星が留まれば便ち安居し、刑禍の星が留まれば便ち興動せんとし、上天が人間の政治を窺察するの徴象。

經天者,謂太白昏旦當午而見也。諸星昏當午,皆留而逆。太白與辰星,昏欲至未則遲,旦欲至午則疾。昏旦不合,在午而見,南見則為經天。兵盛威重,改易自任,不由常數之象。

いわゆる「経天」とは、太白が黄昏あるいは清晨に正に午位(正南)に当たりて出現するを指す。諸星は黄昏に午位に行き至れば、皆停留して転じて逆行と為る。太白と辰星は、黄昏に将に未位に至らんとする時は行度が慢に転じ、清晨に将に午位に至らんとする時は行度が快に転じ、本に応に昏旦に当午して見ゆべからざるに、如今昏旦が常度に合せず、偏に午位に顕現し、正南方よりそれを見る——これがすなわち「経天」。兵威の強盛・権重にして制し難く、旧章を改易し・専擅・自任し、常法に循わざるを主る。

守者,留住也,附近列星為害之象。中者,謂星行東西相當,中傷之象。謂相剋也,和則不然。乘者,自上為下,臨迫之象。乘者,駕御壓伏之象也。《春秋傳》云:蛇乘龍是也。犯者,月及五星同在列宿之位,光曜自下迫上,侵犯之象。七寸以下為犯,月與太白一尺為犯。

いわゆる「守」とは、すなわち停留・駐守し、ある一星官に靠近して去らざるをいい、為害を主る。いわゆる「中」とは、星が東西方位の正に相当の処に行き至りて相撃するを指し、中傷を主る。これは五行相克に就いて言うので、もし彼此相和せば便ちこのように断ぜず。いわゆる「乘」とは、上より下に圧臨し、臨逼を主る。「乘」はすなわち駕馭・圧伏の象で、《春秋左氏伝》の言う所の「蛇乘龍」はすなわちこの意。いわゆる「犯」とは、月と五星とが同じくある一宿の位置上に処り、光芒が下より上の方に逼るをいい、侵犯を主る。相距ること七寸以内を「犯」と算し、月と太白は則ち相距ること一尺をもってすなわち「犯」と算す。

侵者越理而進,以大迫小,自上逼下,漸損害之象。凌者,以小而逼大,自下而犯上,直往而凌,凌小辱大之象。抵者,一動一靜,直相至。觸者,兩俱動,而直相觸。經者,在其中過無所犯。歷者,以次相及,而過經歷。

いわゆる「侵」とは、条理を越えて進逼し、大をもって小を圧し・上より下に逼り、漸々損害を受くるを主る。いわゆる「凌」とは、小をもって大に逼り・下より上を犯し、徑直に上りて欺凌し、小なる者をもって大なる者を凌辱するを主る。いわゆる「抵」とは、一方が動き・一方が静にして、徑直に対方に触るるをいう。いわゆる「触」とは、両方ともに動き在りて、しかして徑直に相撞するをいう。いわゆる「経」とは、当中より穿過して並びて相犯せざるをいう。いわゆる「歴」とは、次序に依って一々相及び、逐個経過するをいう。

貫者,直徑中過。刺者,旁過光芒刺之。磨者,旁過而相切逼之。靡者,旁逼過而有間之。掩者,覆蔽而滅之。斗者,二體往返,離而復合。同者,二體各一,不辨其形。環者,星行繞一周。

いわゆる「貫」とは、徑直に当中より穿過するをいう。いわゆる「刺」とは、旁辺より経過して光芒をもって対方に向かい刺すをいう。いわゆる「磨」とは、旁より経過しかつ貼切して相逼るをいう。いわゆる「靡」とは、旁より逼近して過ぎ、彼此の間に還た空隙を留むるをいう。いわゆる「掩」とは、覆蓋・遮蔽して対方の光を隱滅せしむるをいう。いわゆる「斗」とは、両箇の星体が往来・反復し、分開してはまた合攏するをいう。いわゆる「同」とは、両箇の星体が各自一を為すに、却って各自の形状を分辨し出さざるをいう。いわゆる「環」とは、星が一周を繞行するをいう。

繞者,環而不周。戴者,月在星下,若似頂戴之象。勾者,一往一返,如勾之狀。已者,往而返,返而又往,再勾如已狀。牝牡者,五行相剋如夫妻。夫在陽,婦在陰,為牝牡也。右為五星月祅變行占。

いわゆる「繞」とは、環行して一周に満たざるをいう。いわゆる「戴」とは、月が星の下方に在り、あたかも頭頂をもってそれを着るがごときをいう。いわゆる「勾」とは、一去して一回り、勾曲の形状を走出するをいう。いわゆる「已」とは、去りてまた回り・回りてまた去り、勾曲すること两次、形状は「巳」の字のごとし。いわゆる「牝牡」とは、五行相克に夫妻の配对のごとき有り——丈夫は陽に属し・妻子は陰に属す。ゆえに牝牡と呼ぶ。以上是五星と月の妖変・異行の占法である。

日辰占第十七

日為君,月為後,五星主官,二十八宿各屬分野。主職有常,列坐三百,各司其位,具知當條。然災祥發見,國俗不同,事借日辰,以辨其所居,以知其分次。是以有歲,有月,有日,有時,有所,各占其分。

太陽は君主を象徴し、月は皇后を象徴し、五星は分かれて各類の官職を主管し、二十八宿は各自一方の分野を統属す。それらの主る所の職司は皆定規あり、天上に羅列する星座は三百の数あり、各々自らの位次を守り、具体の条目は皆逐一に查考し得べし。然るに災異と祥瑞の顕現は、各国の風俗は并びて相同じからず。占断する時は干支の「日辰」を借助して、それを用いて天象の所在する方位を分辨し・それが対応する分野の次舎を推知す。この故に占候は年を分かち・月を分かち・日を分かち・時を分かち・処所を分かち、各々その所属の分野に就いて占断す。

歲在甲,為齊;乙,為海外東夷;丙,為楚;丁,為江淮、南蠻、海岱;戊,為韓、魏、中州、河濟;己為韓、魏;庚,為秦;辛,為華山以西,為西夷之國;壬,為燕、趙、魏。癸,為常山已北,北夷燕趙之國。

太歳の紀年に天干が甲に逢うは、斉地に対応し、乙は海外の東夷に対応し、丙は楚地に対応し、丁は江淮・南蛮と海岱一帯に対応し、戊は韓・魏・中州と河済の間に対応し、己は韓・魏に対応し、庚は秦地に対応し、辛は華山以西——すなわち西方の夷狄の国に対応し、壬は燕・趙・魏に対応し、癸は常山以北——即ち北方の夷狄と燕・趙の国に対応す。

子,為周。丑,為翟魏,亦主遼東;寅,為楚趙;卯,為鄭;辰,為晉邯鄲、趙國;巳,為衛;午,為秦;未,為中山、梁、宋;申,為齊、晉、魏;酉,為魯;戌,為趙,為吳,為越。亥,為燕、代。歲月日時,及見災所在之地,皆同用之。

地支が子なるは、周地に対応し、丑は翟と魏に対応し・また兼ねて遼東を管し、寅は楚・趙に対応し、卯は鄭地に対応し、辰は晋国の邯鄲と趙国に対応し、巳は衛地に対応し、午は秦地に対応し、未は中山・梁・宋に対応し、申は斉・晋・魏に対応し、酉は魯地に対応し、戌は趙に対応し・また呉・越に対応し、亥は燕と代に対応す。年・月・日・時の干支なりとも、還た災異の出現の所在する方位の地なりとも、皆一律にこの一套の対照に照らして使用す。

假令丙辰年七月丁卯日午時,災見於未地,太歲在丙辰。丙為楚,辰為晉。七月申,申為晉魏,丁卯月,丁為江淮南蠻。午時,午為秦。災見未地,未為中山樑宋。即是其地各有災也。

例を挙げて説く。丙辰年七月丁卯日午時に、災異が未の方位上に出現す。太歳は丙辰に在り、丙は楚地に対応し・辰は晋地に対応す。七月は申を建て、申は晋・魏に対応す。丁卯のこの一組の干支に就いて言えば、丁は江淮と南蛮に対応す。午時の午は秦地に対応す。災異が未位に見ゆるは、未は中山・梁・宋に対応す。このように推排して来れば、上述のこれらの地方は就ち各自皆災異を有す。

《尚書洪範》云:王者唯歲。王者即占於楚晉有為災也。卿士唯月,七月即占於晉魏為有災。師尹唯日,丁即為江淮南蠻、卯為鄭國等有災。他皆仿此。此即梓慎、裨灶占異而俱驗也。

《尚書・洪範》にいう。君王は一年の事を主管す。ゆえに君王のこの一層に就いて見れば、便ち楚・晋两地に災ありと占断す。《洪範》またいう。卿士は一月の事を主管す。ゆえに七月に就いて見れば、便ち晋・魏に災ありと占断す。またいう。衆官の長は一日の事を主管す。ゆえに日の干支に就いて見れば、丁は江淮・南蛮に対応し・卯は鄭国に対応し、これらの地方は皆災あり。その余は皆これに照らして類推す。春秋時魯国の梓慎と鄭国の裨灶は、占断の結論は各々相同じからざるに後来皆応験した——道理はまさにここに在り。

按《春秋》,魯昭公十年春正月戊子,祅星出於婺女,見於申維。女屬齊,申為晉分。梓慎見祅星出,知晉侯以戊子日死。所以知者何?齊逢公死時亦有此星見。推以方之,知晉平公將死。梓慎,魯大夫也。

《春秋》の載する所を考すれば、魯昭公十年春正月戊子のこの日、妖星が婺女宿に出現し、申の方位に顕現す。婺女宿は斉地に属し、申位は晋国の分野。梓慎は妖星の出現を見て、便ち晋侯が将に戊子日に死去せんと断定す。彼は何に憑って知るや。当年斉国の逢公が死する時もかつて同様の星象が出現し、持ち来りて比照して推求すれば、便ち晋平公が将に死せんとするを知る。梓慎は、魯国の大夫である。

襄公二十八年,歲星失次,淫於玄枵中五度,在虛,以為蛇乘龍。是歲星虛下,故曰蛇乘龍。龍為壽星,宋鄭之分。梓慎見蛇乘龍,以為宋鄭將飢,裨灶以為周王及楚子皆死,以虛宿沖午,午為張翼,周楚之分,故二人占不同而皆驗。

魯襄公二十八年、歳星の運行は応有の次舎を失い、越えて玄枵の次に入ること五度、正に虚宿に落つ。当時の人はこれを「蛇乘龍」と呼ぶ。歳星が虚宿の下に在るがゆえに、ゆえに蛇乘龍と称す。龍は寿星の次を指し、宋・鄭両国の分野。梓慎は蛇乘龍を見て、宋・鄭が将に飢荒を鬧かさんと認めた。裨灶は却って周天子と楚国の国君とが皆将に死去せんと認めた——虚宿が午位と相沖し、午位は張宿・翼宿に対応し、正に周と楚の分野なるがゆえに。ゆえに両人の占断は同じからず、しかして後来皆応験した。

占期第十八

凡福德之祥,應□□□□□□□□□□□德有吉祥其常期於春以□□□□□□□□□□□甲乙。他皆仿此。若為不吉之祥,應在秋,及五月見災祥,應在十一月,五月災見,此刑破之下也。期日以庚辛。他皆仿此。

およそ福德の一類に属する祥瑞は、応験の期は□□□□□□□□□□□(原文十一字を缺く)、徳星は吉祥を顕し、その常期は春季に在り、□□□□□□□□□□□(原文十一字を缺く)甲・乙の日をもって応期と為し、その余は皆これに照らして類推す。もし不吉の兆ならば、則ち秋季に応ず。もし五月に災祥を見れば、十一月に応ず——五月に災を見るは、正に刑破の位置の下に落ち、応期の日は庚・辛を取り、その余もまたこれに照らして類推す。

木、火、土三星,期五行休王,四月不一,各有其時而為主焉。及其司過見罰,降福呈樣,別大小,異其類,休王殊其色,或光潤明靜,或微暗芒角,犯有少異,即可消息占之,不必待斗蝕掩犯耳。

歳星・熒惑・填星のこの木・火・土三星は、応期は五行の休囚と旺相を見るべく、四季の各月は并びて一致せず、各々当令の時ありてそれによって権を当て主を為す。それらが過失を察挙し・刑罰を顕示し、あるいは福澤を降下し・祥瑞を呈現するに及んで、就ち形体の大小に按って分别を加え・類属に按って区分を加うべし。休囚・旺相は還たそれらに顔色を同じからざらしむ——あるいは光沢・潤潔・明浄、あるいは略々昏暗にして芒角を生ず。ただ干犯の中に稍々異常あらば、便ち斟酌・推詳して占断し得べく、必ずしも斗・蝕・掩・犯のこの類の大変を待たずして占することを要せず。

如木、火、土者,有吉祥則常期本月,本期春色。若王時見祥,期會合月。如三月祥,應在九月是也。其日若是甲乙,應期寅卯。餘準此。火正王夏,土王季夏。若以五月見祥,即期六月,午與未合。若戊己日見,即辰戍丑末日應期也。

木・火・土三星のごときは、もし吉祥が出現すれば、通常は本月をもって応期と為し、本来の期候は春天の気色を取る。倘若当旺の時に祥兆を顕せば、応期は就ち相会・相合の月份を取る——譬えば三月に祥を見れば九月に応ずるは便ち是れ。もし甲・乙の日に見れば、応期は就ち寅・卯に落つ。その余はこれをもって準と為す。火が当旺するは夏季に在り、土が当旺するは季夏六月に在り。もし五月に祥を見れば、応期は便ち六月に在るは、午と未とが相合するがゆえなり。もし戊・己の日に見れば、那么辰・戌・丑・未の日は就ち応期なり。

木若見凶祥,即見秋應。如二月,應在八月,卯沖酉也。及十一月,卯刑子也。木星變,以庚辛日事發,火即以壬癸日。仿此。金、水二星,即以殺月殺日,時期遠近。若申子辰,殺在未,刑亦如常也。猶如大業三年,長星竟天,至十三年,然後易政之弊應之也。凡論兵者以殺,論誅戮以刑,論死生亦耳。其古占所載,今列如左。

木星がもし凶兆を顕せば、就ち秋季に応験す。譬えば二月に凶を見れば、八月に応ず——卯と酉とが相沖するがゆえなり。また可能に十一月に応ず——卯と子とが相刑するがゆえなり。木星に変あれば、事情は多く庚・辛の日に発作す。火星に変あれば、就ち壬・癸の日に発作し、その余はこれに照らして類推す。金・水二星は、則ち「殺」の月份と日子に按って推算し、応期に遠あり近あり。譬えば申・子・辰は三合して、殺は未の上に落ち、刑の推法もまた平常と同じ。就ち隋煬帝・大業三年に長星が全天を横貫し、一直に大業十三年に至りて、改朝・易政の禍敗がようやく応験したがごとし。およそ兵事を論ずるは「殺」を用い、誅戮を論ずるは「刑」を用い、生死を論ずるもまた此のごとし。古代の占書に載する所の説法を、如今下に開列す。

巫咸曰:五星之合,金星以金日,木星以木日,水星以水日,火星以火日,土星以土日。星月期十二辰,候其災變,以期殺時。甲乙日應在金,丙丁日應在水,戊己日應在木,庚辛日應在火,壬癸日應在土。五星皆同此法。

巫咸にいう。五星相合の応期は、太白(金星)は金に属する日を取り、歳星(木星)は木に属する日を取り、辰星(水星)は水に属する日を取り、熒惑(火星)は火に属する日を取り、填星(土星)は土に属する日を取る。星と月の応期は則ち十二辰を用いて推算し、それらの災変を観察し、「殺」の時辰を用いて応期を定む。甲・乙の日は金に応じ、丙・丁の日は水に応じ、戊・己の日は木に応じ、庚・辛の日は火に応じ、壬・癸の日は土に応ず。五星は皆この一套の方法を用う。

巫咸曰:歲星主木,日以甲乙;熒惑主火,日以丙丁;填星主土,日以戊己;太白主金,日以庚辛;辰星主水,日以壬癸。二十八宿以十二辰。木應在金,火應在水,土應在木。故木期十二日十二月,火期四十日四十月,土期二十八日二十八月,金期八日八月,水期十日十月。

巫咸にいう。歳星は木行を主管して甲・乙の日を取り、熒惑は火行を主管して丙・丁の日を取り、填星は土行を主管して戊・己の日を取り、太白は金行を主管して庚・辛の日を取り、辰星は水行を主管して壬・癸の日を取る。二十八宿の応期は則ち十二辰を用いて推算す。木の応験は金の上に落ち、火の応験は水の上に落ち、土の応験は木の上に落つ。ゆえに木の期限は十二日あるいは十二箇月、火は四十日あるいは四十箇月、土は二十八日あるいは二十八箇月、金は八日あるいは八箇月、水は十日あるいは十箇月。

巫咸曰:五星守二十八舍,左為春應,右為秋應,前為夏應,後為冬應。其法隨氣所在,制前後也。石氏曰:凡五星行犯列舍,前為春應,後為秋應,左為冬應,右為夏應。假令春以東為前,西為後,北為左,南為右;夏以南為前,北為後,東為左,西為右;秋以西為前,東為後,南為左,北為右;冬以北為前,南為後,西為左,東為右。

巫咸にいう。五星が二十八舎に駐守するに、星が左辺に在れば則ち春天に応じ、右辺に在れば則ち秋天に応じ、前面に在れば則ち夏天に応じ、後面に在れば則ち冬天に応ず。この一算は当令の節気の所在する方位に随って、何者をか前と為し・何者をか後と為すを確定すべし。石申にいう。およそ五星が諸宿を経行・干犯するに、前に在るは春天に応じ、後に在るは秋天に応じ、左に在るは冬天に応じ、右に在るは夏天に応ず。例を挙げて言えば、春天は東方をもって前と為し・西方をもって後と為し・北方をもって左と為し・南方をもって右と為し、夏天は南方をもって前と為し・北方をもって後と為し・東方をもって左と為し・西方をもって右と為し、秋天は西方をもって前と為し・東方をもって後と為し・南方をもって左と為し・北方をもって右と為し、冬天は北方をもって前と為し・南方をもって後と為し・西方をもって左と為し・東方をもって右と為す。

宋均曰:災祥見皆在沖月。假令見在正月,則應在七月;見在七月,則應在來年正月。他皆仿此。《荊州占》曰:甲乙日有變,期一百二十日;丙丁日有變,期八十日;戊己日有變,期六十日;庚辛日有變,期四十日;壬癸日有變期二十日。甲乙為春,丙丁為夏,庚辛為秋,壬癸為冬。以四時期之。凡占災祥,皆以此例也。

宋均にいう。災異と祥瑞の応験は皆相沖の月份に落つ。譬えば正月に出現すれば、就ち七月に応じ、七月に出現すれば、就ち来年正月に応じ、その余はこれに照らして類推す。《荊州占》にいう。甲・乙の日に変あれば、応期一百二十日。丙・丁の日に変あれば、応期八十日。戊・己の日に変あれば、応期六十日。庚・辛の日に変あれば、応期四十日。壬・癸の日に変あれば、応期二十日。甲乙は春に属し、丙丁は夏に属し、庚辛は秋に属し、壬癸は冬に属す——就ち四季を用いて応期を定む。およそ災祥を占断するは、皆この体例に依照す。

修徳第十九

夫修德者,變惡從善,改亂為治之謂也。上天垂象,見其吉凶、譴告之義。人君見機變,齋戒洗心,修政以道,順天之教也。夫人君順天者,子從父之教也。見災而不修德者,逆父之命也。順天為明君,順父為孝子。故孔子曰:昔者明王事父孝,故事天明;主事母孝,故事地察。天地明察,神明彰矣。

いわゆる「修徳」とは、すなわち悪行を改変し・善道を遵従し、乱政を治世に改造するをいう。上天は天象を垂示し・吉凶を顕現し、譴責・告誡の用意を含有す。人君は天象変動の徴兆を見れば、就ち斎戒・沐浴し・内心を洗滌し、正道に依って政事を整頓すべし——これがすなわち上天の教導に順從する。人君が上天に順從するは、譬えば兒子が父親の教誨に聴從するがごとし。災異を見て修徳せざれば、就ち譬えば父親の命令に違抗するがごとし。天に順うは明君、父に順うは孝子。ゆえに孔子は《孝経》の中にいう。往昔聖明の君王は父親に侍奉して能く孝を尽くし、因って上天に侍奉して能く明察す。君主は母親に侍奉して能く孝を尽くし、因って大地に侍奉して能く明察す。天地の道は皆明白・洞察せられ、神明の意旨は自然に彰顯すと。

《易》曰:大人者,與天地合其德,與日月合其明,與四時合其序,與鬼神合其吉凶。此順天地而化也。先天而天不違,後天而奉天時。天且不違,而況於人乎?況於鬼神乎?此大人至德,同乎天也。

《周易・乾卦・文言》にいう。いわゆる「大人」とは、彼の徳行は天地と相合し、彼の光明は日月と相合し、彼の秩序は四時と相合し、彼の定むる所の吉凶は鬼神と相合す。これがすなわち天地に順応して教化を施行する。彼が行事は天時の先に走れば、上天は并びて彼に違背せず。行事が天時の後に在れば、彼は就ち上天の時令を奉行す。上天ですら尚且彼に違背せざれば、いわんや人をや、いわんや鬼神をや。これは大人の極高の徳行で、已に天と同一せり。

是故人君力行守道,見德遷善,大人順天之化而照臨萬方,故物莫之違。及其行不符道,理不合義,則示之以災,教之從善不息,補過自新,故盛德必昌也。

ゆえに人君はただ努力して踐行し・正道を恪守すれば、善徳を見れば遷りて善に向かい、それはすなわち大人が上天の化育に順応して四方を光照する。これがために万物は能く彼に違逆するなく。彼が行事して道に合せず・施政して義に合せざるに及んで、上天は便ち災異を用いて彼を警示し、不断に彼に教えて善道に改從し・過失を彌補し・重新に人と為らしむ。ゆえに徳行の盛大の君主は必ず昌盛す。

《書》曰:唯聖人罔唸作狂,唯狂克唸作聖。此之謂也。蓋善不積不足以成名,惡不積不足以滅身。惡雖小,不可不去;善雖小,不可不為。子曰:積善之家,必有餘慶;積不善之家,必有餘殃。非一朝一夕之故,其所由來者漸矣。此言善惡之積起於毫末,而成丘山。故曰:日變修德,禮重則躬;月變眚刑,恩從肆赦;星變結和,義敦鄰睦。是以明君宰相,隨變而改,積善以應天也。

《尚書・多方》にいう。聖人はもし善道を存念し能わざれば、もまた狂妄の人に変成す。狂妄の人はもし善道を存念し能わば、もまた聖人と為る可し——講ずる所はまさにこの道理。善行は積累せざれば名声を成就するに足らず、悪行は積累せざればもまた自身を毀滅するに足らず。悪事は小なる虽も、除去せざる可からず。善事は小なる虽も、做らざる可からず。孔子にいう。善行を積累する人家は、必定に余留の福慶あり。悪行を積累する人家は、必定に余留の禍殃あり。これは皆一朝・一夕に造成するに非ず、その由来は逐漸に積成するなり。これは説く所は善悪の積累は毫末に起りて、終に堆りて丘山と成る。ゆえに説く。太陽に変異あれば就ち徳行を修養し、礼数の隆重の時は親身に礼を行うべし。月に変異あれば就ち刑罰を省察し、広く恩澤を施して大いに罪人を赦すべし。星辰に変異あれば就ち和好を締結し、道義を篤行して隣邦を敦睦すべし。これがために聖明の君主と宰輔は、皆天象の変に随って政事を改易し、善行を積累してもって上天に回応す。

《易》曰:君子見機而作,不俟終日。此言修德之急也。是故有變,修其政而理其事焉,何暇待於終日哉?上自天子,下及黎庶,蟲魚草木,咸繫天象,垂見變異,罔不悉焉。譴告之理多方,從善之途非一,以善為德,以虐為凶。故《書》曰:德無常師,善無常主,協於克一,此之謂矣。唯爾在位,咸司厥職,罔或淫僻,以召天災。

《周易・繫辞下》にいう。君子は事情の先兆を見れば就立刻行動し、一天の過ぐるを待たず——これは修徳の緊迫を講ず。ゆえに天象は一有変異すれば、就ち政令を整頓し・政事を料理すべし——どこに還た一整天を等待する工夫あらんや。上は天子より、下は黎民・百姓に至り、乃至虫魚・草木に至るまで、天象と相関聯せざるなく。上天の垂示する変異は、一様に周備・詳尽せざるなし。譴責・告誡の方式は多種・多様にして、善道に改從する途徑もまた一条に止まらず。善を行うをもって徳と為し、暴虐をもって凶と為す。ゆえに《尚書・咸有一徳》にいう。修徳に固定・不変の老師なく、為善にも固定・不変の準則なく、関鍵は純一の徳に合するに在り——説く所はすなわちこの意。およそ官位に身居する人は、皆各々その職を守り、淫佚・邪僻の行為ある可からず、もって天災を招来することを免れんがためなり。

治亂之緒,得失之經,事匪一途,萬機並作。故曰:月災眚,五星時合,變異之象,感召之應。咸具本篇,以為常則。故每占下云:修德以禳之也。修德同於君臣,非獨在乎上位矣。

治と乱の頭緒・得と失の常理は、事情は一条の路徑に止まらず、万般の政務は同時に并起す。ゆえに説く。月に災眚が出現し、五星が時に応じて会合する——これらの変異の天象は、皆人事の感召して来るの報応。その内容は皆本篇の中に具備し、用いて通常の準則と為す。これがために毎一条の占辞の下に皆「修徳以禳之」と写る——修徳は君と臣の共同の事で、并びてただ上位に居る人のみが去做するを要するに非ず。

按劉向、京房對災異,多云:人君賦斂重數,徭役繁多,黜退忠良,進用讒佞,荒於禽色,酣酒嗜音,雕牆峻宇,誅戮直諫,殘害無辜,聽邪言,不遵正道,疏絕宗戚,異姓擅權,無知小人,作威作福,則天降災祥,以示其變,望其修德以禳之也。

漢代の劉向・京房が災異に応答した奏対を考察すれば、彼らは大多説く。人君はもし賦税の征斂が沉重・頻数にして・徭役が煩多く、忠良を貶退して讒佞を進用し、田猟・女色に沉溺し・酒に耽り楽を好み、墙壁を雕飾し・屋宇を高起し、直言・進諫の人を誅殺し・無辜の民を残害し、邪僻の言を聴信して正道に遵わず、宗室・外戚を疏遠・断絶して異姓に権柄を專擅せしめ、無知の小人に威を作し福を作さしめれば、那么上天は就ち災異・変象を降下し、用いて警告を顕示し、君主が修徳してもってそれを消除することを指望すと。

不修德以救,則天裂地動,日月薄蝕,五星錯度,四序愆期,雲霧昏冥,風寒慘裂,兵飢疾疫,水旱過差,遂至亡國喪身,無所不有。

もし修徳して挽救することを肯んぜざれば、那么天就ち開裂し・地が震動し、日月は薄蝕し、五星の運行は錯乱・失度し、四季の節候は違誤・失期し、雲霧は昏暗・晦冥し、風寒は凛冽・刺骨し、兵禍・飢荒・疾疫は接連して来り、水旱は常度を失い、終に亡国・喪身に至り、なんの禍事も皆発生せん。

其救之也,君治以道,臣諫以忠,進用賢良,退黜讒佞,恤刑緩獄,存孤育寡,薄賦寬徭,矜贍無告,散後宮積曠之女,配天下鰥獨之男,齊七政於天象,順四時以布令,輿人之誦必聽,芻蕘之言勿棄,行□束帛,以賁丘園,進安車以搜巖穴,然後廣建賢戚,蕃屏皇家,磐石維城,本枝百世,然則此災可消也,國可保也,身可安也。頌太平者,將比肩於市里矣。擊壤行歌者,豈一老夫哉!餘今略具大綱而已,豈能詳之者矣。

挽救の弁法は、君主は正道をもって国を治め、臣子は忠誠をもって進諫し、賢良を進用し・讒佞を貶退し、刑罰を慎用し・獄訟を寛緩し、孤児を撫養し・寡婦を贍育し、賦税を軽減し・徭役を放寛し、申訴する処なき人を怜恤・救済し、後宮中の長久に空守する宮女を遣散し、彼女らを天下の鰥居・孤独の男子に配給し、七政(日月五星)を天象と整斉に相応せしめ、四時に順応して政令を頒布す。衆人の議論は一定要聴取し、草を割き柴を打つ者の言も抛棄する勿れ。□(原文一字を缺く)束帛の礼を備辦して、山林に隠逸する士を光耀し、安車を派出して岩穴中の賢人を搜訪す。然る後に広く賢能の宗親を封建し、彼らに皇室を屏藩せしめ、磐石のごとく穩かに・城垣のごとく固くし、本干・枝葉を百世に伝続せしむ。このようになれば、災禍は就ち消除し得べく、国家は就ち保全し得べく、自身は就ち安寧し得べし。太平を歌頌する人は、将に街市・里巷の中に摩肩・接踵せんとし、撃壤して歌うは、また豈に一位の老農に止まらんや。我は如今ただ大略に綱要を陳述するのみで、どこに能く一々詳尽せんや。

辨惑第二十(闕)

史司第二十一

昔重黎受職,羲和御官,任重上司,位居鼎嶽,所以調均和氣,燮理陰陽,義等鹽梅,事同舟楫,故能觀天示變,察人成化,百工信理,庶績咸熙,此古之□世。

往昔重・黎二氏は命を受けて天地の職を掌管し、羲氏・和氏は暦象の官を統領し、彼らは責任が重大にして身は上司に居り、地位は鼎足と山岳のごとし。彼らの職分は調和・均平して天地の気をし・陰陽を燮理するに在り、その緊要は羹湯を調るに用うる塩と梅のごとく、その功用は河を渡るに用うる船と桨のごとし。ゆえに能く天象を観察してもって変異を顕示し、人情を体察してもって教化を成就し、百官は各々その職を守りて政理は信可く、各項の功業は皆興盛せり。これがすなわち上古□(原文一字を缺く)の世の情形。

暨三王已降,五霸相沿,英賢嗣興,哲人繫踵,君則畏命奉天,臣則竭誠盡慮,故能權宜時政,斟酌治綱,驗人事之是非,托神道以設教,忠節上達,黎庶下安,此中古之賢史也。

夏・商・周三王以後に至っては、春秋の五覇は相継いで沿袭し、英才・賢士は接連して興起し、明哲の人は接踵して出ず。国君は天命を敬畏し・天道を奉行し、臣子は忠誠を竭尽し・精力を殫し慮を竭くす。ゆえに能く時に因って宜に制するに政令を権変し・治国の綱紀を斟酌し、人事の是非を検証し、神道を借助してもって教化を施行し、忠貞の節操を上は君王に達せしめ、黎民・百姓は下に安居せしむ。これがすなわち中古時代の賢明の史官。

至若漢魏之後,晉宋相承,夷狄亂華,官失其守,君惡直諫,臣矜諂諛,捷徑是遊,罕遵正道。疇人術士,俯同卜祝之流,唯辨纖芥之吉凶,驗事理之微末。推考術數,務在多言屢中;庶徵休咎,未詳關於政治。玉衡傾斜,七政所以不齊;彝倫攸敘,九疇於焉遂隱。此末代之流弊也。

漢・魏以後に至っては、晋・宋は相承し、夷狄は中原を扰乱し、官員は本職を喪失す。君主は直言・進諫を厭悪し、臣下は阿諛・奉承を夸尚し、人人は捷径を钻営し、正道に遵循するは少し。世代相伝の暦官と術士は、身を俯して卜筮・祝祷の流に混同し、ただ能く纖芥のごとき細なる吉凶を辨别し・事理中の最も瑣末の枝節を検証するのみ。彼らは術数を推算するに、一味に話の多いを求め・偶に言中することを求め、種種の徴兆の善悪に対しては、却ってそれが政治との関係を講清せず。玉衡(渾儀)は傾斜・不正にして、七政の運行はこれによって整斉を失う。彝倫は本に応に有序なるべきに、《洪範》九疇はここにおいて隱沒して彰らざる。これがすなわち末代の流弊。

近在隋代,則尤甚焉。吳人袁充,典監斯任。口柔曲佞,阿媚時君。誑惑文皇,諂諛二世。每回災變,妄陳禍福。以凶為吉,回是作非。先意承顏,附會神理。勸桀行虐,助紂作淫。凡是南人,明相煽惑。

近在隋代、この種の弊病は尤其厳重。呉地人の袁充は、太史監のこの一職任を掌管し、彼は口舌が柔媚にして・曲意に諂佞し、当時の君主に逢迎・討好す。隋文帝を欺騙・迷惑し、煬帝父子両代に阿諛・奉承す。災変に逢う毎に、就ち胡乱に禍福を陳説し、凶を把りて吉と為し・是を掉換して非と為し、君主の開口する前に搶って彼の臉色に迎合し、牽強・附会して所謂神明の理を為す。これは等しく夏桀に暴虐を施行するを勧め・商紂に縱欲・作乱するを幇するがごとし。およそ南方より来る人は、彼は皆公然と結党・煽惑す。

於時大業昏暴,崇向吳人。中州高才,言不入耳。每有四方秀異,獻書上策,一皆不覽,並付袁充。充乃繕寫所獻,回換前後。竊人之才,以為己力。奏於昏主,自叨名位。

当時大業年間朝政は昏乱・暴虐にして、呉地の人に偏向を崇尚し、中原の高才の士の説く話は根本聴入れず。四方の杰出人物が書を献じ策を上るに逢う毎に、煬帝は一概に看ず、全部袁充に交す。袁充は便ち人家の献じた文字を一遍謄抄し、前後の次序を調換一下し、別人の才思を窃取して己が有と為し、昏君に上奏し、己がために濫りに名位を取る。

因行譖害,追逐前人。以忠言獲罪者,其將量方,復奏絕圖書,彌增忌諱。一藝以上,追就京師。因聚富人,幾將數萬。置之別府,名為道術。賣威鬻勢,交納貨財。免徭停租,賄於私室。兼之以抑黜勝己,排擯同儕,浸潤屢行,誅斥非一。

続いて彼はまた讒を進めて陷害し、先前の同行を駆逐す。忠言・直諫によって罪を獲た人は、正に彼に掂量・処置せらるるを等待す。彼は還た上奏して図讖の書籍を禁絶し、忌諱を越発繁多せしむ。およそ略々一技の長ある人は、一概に京師に追征す。彼は機に乗じて富人を聚斂し、幾乎数万の衆あり、另設の官署の裏に安置し、名義上は道術を研習すると説くも、実則は威権を販売し・勢力を售賣し、貨財を收受し、人のために徭役を免除し・租賦を停納し、賄賂を自己の家中に納む。加上勝れる己なる人を壓制・貶斥し・同輩を排擠・擯棄し、讒言は水の浸潤するがごとく一次次施行し、誅戮・斥逐せらるるは一人に止まらず。

術士達人,高賢碩學,朱紫雌黃,由其品藻,權衡失正,何其毒歟!於是清烈之後,超然遠遊,結舌鉗口,坐觀得失,而充苟安祿位,以危天下,在上不悟,卒至覆亡。將是上天降禍,生此讒賊,不然,何由翦隋宗之甚也。此乃前朝殘橫者矣。

術士と通達の人・徳高の賢者と学問淵博の士は、誰が朱か誰が紫か・孰れが是か孰れが非かは、全憑彼一人の品評・塗改に凭り、人物を衡量する権柄は完全に公正を失う——何等の毒害なるや。ここにおいて清正・剛烈の士の後人は、皆超然として遠游して去り、口を閉じ舌を結び、朝政の得失を坐看す。而して袁充は苟且に俸禄・官位を貪戀し、以致天下を危害し、上位に在る人は始終覚悟せず、終に国家の傾覆・滅亡に落る。これは大概上天が災禍を降下して、ようやくこのごとき讒佞の賊子を生ず。然らざれば、何ぞ隋朝の宗室をこのごとく徹底に剪滅するに至らん。これがすなわち前朝の残忍・横暴の史官である。

若乃天道幽遠,變化非一,至理難測,應感詎同。故梓慎、裨灶,占或未周,況術斯已下,焉足可說。至若多言屢中,非餘所尊,唯爾學徒,幸勿膠柱。夫言非次也,豈徒然哉?立行建功,必以其道。故宋韋晉野,理存設教;京房谷永,義在救君。照灼圖謀,餘芳不朽,遺風獨邁,可不尚歟?

天道の幽深・遼遠に至っては、変化は一端に止まらず、最深の道理は測度し難く、感応の方式はまた怎麼相同じならんや。ゆえに連れ梓慎・裨灶のごとき高手も、占断も必ずしも周全ならず、いわんや術業が彼らの下に在る人をや——どこに称道するに値せん。あの種の話を多く説き・偶に言中する做法に至っては、我が推重する所に非ず。諸位の学徒、膠柱・鼓瑟し・旧法に拘泥せざるを希望す。我がこれらの話を説くは并びて次序に合せざる空談に非ず——豈に白説せんや。立身・行事し・功業を建立するは、必定に正道に遵循すべし。ゆえに宋国の子韋・晋国の師曠(子野)は、本意は天象を借して教化を設立するに在り。漢代の京房・谷永は、用心は君主を匡救するに在り。彼らの謀慮は光輝として人を照らし、遺留の芳名は永不磨滅し、流風・余韻は古今に超絶す——怎麼推崇を加えざらんや。

若乃高才希世,學藝過人,後生所畏也;時不再來,恥自媒銜,沉翳可惜也。至蔽賢妒能,素餐吝位,抑屈奇俊,先民所恥也;名遂身退,功成不居,舉賢進能,古人所尚也。

才具の高絶・世の罕有に至っては、学識・技芸が常人を超過するは、これ後輩の敬畏する所。然るに時機は一去すれば再び回らず、もし自我の挙薦・自らの長を陳することを耻とすれば、才華は就此埋没・湮滅し、それは很可惜なり。あれらの賢者を遮蔽し・能人を嫉妒し、白く俸禄を吃して官位を吝惜し、奇才・俊士を壓制・委屈するのごときは、前代の先民の引きて恥と為す所。而して功名成就すれば便ち自ら引退し、功ありて自ら居らず、賢才を推挙し・能人を進用するは、ようやく古人の崇尚する所なり。

貴耳賤目,棄能取假,任非其人,鑑賞之過也;信古疑今,深廢淺習,抑揚失疑,知音之責也。變通守道,被褐幽居,知命是鑑,哲人之規也;道聽途說,眩惑群小,詭隨掇禍,庸人之悔也。唯爾史官後學,餘之所志,可不鑑哉!

耳聞を看重して目見を軽視し、真有本领の人を抛弃して虚假の徒を取用し、応に任用すべからざる人を任用するは、これ鑑別・賞識の上の過錯。古人を迷信して今人を懐疑し、精深の学を廃置してその浅陋を習い、褒貶・軽重を失当するは、これ識者の応に負うべき責任。能く権変に通達してまた正道を堅守し、粗布の衣裳を身穿して幽居して仕えず、天命を明白にしてこれをもって自ら照すは、これ哲人の準則。道聴・途説して、一群の小人に迷惑せられ、声に随い和して禍患を招来するは、これ庸人の悔恨。諸位の史官と後学の士は、我がここに記下する心志を、怎麼引きて鑑と為さざらんや。

乙巳占・巻第四

五星占第二十二

夫形器著於下,精象繫於上,所以通山澤之氣,引性命之情,近取諸身,耳目為肝腎之用,鼻口實心腹之資,故情慾暢於性靈,神道宣於視聽,彼此響應,豈不然與?是以聖人體而名之,垂教後世,授之以職位,分之以國野,象之事物,效之以吉凶,雖變化萬殊,誰能越此,將來事業,可得而理焉。

有形の器物は下方に顕現し、精微の星象は上天に繋属し、二者はこれによって能く山沢の気を溝通し・性命の情を引発す。就近して人身より譬を取れば、耳目は肝・腎の気の外用で、鼻口は実に心・腹の資養する所の通道。ゆえに情欲は性霊の中に通暢し、神明の道は視聴の間に宣発し、彼此は声響の相応ずるがごとし——豈にこのごときに非ずや。これがために聖人はこの道理を体察して星辰のために名を命じ、教化を後世に垂示す。それらに職位を授与し、それらの主る所の邦国と郊野を分配し、それらを用いて人間の事物に象を取り、それらを用いて吉凶を検証す。天象の変化は千差万別なる虽も、誰か能くこの範囲を超出せん。将来の事業も、また就ちこれに拠って推理して知る可し。

《易》曰:在天成象,在地成形,變化見矣,此之謂也。但去聖久遠,通人間作名數多少,或有不同,今總列之。取其理當者,以著於篇;浮華之流,刪而不錄矣。

《周易・繫辞上》にいう。天上に在りては星象を形成し、地上に在りては物形を形成し、変化は就ちこれによって顕現す——講ずる所はまさにこの道理。ただ聖人の時代に距ること已に久遠にして、博通の士は各自名目を造立し、数目の多少はあるいは出入あり。如今はそれらを総汇・羅列出して、その中の道理の妥当なるを取り、本篇に写進す。浮華・不実の一類に至っては、一概に删去して録せず。

凡五星之行也,象人君次敘,不敢干犯亂常,越次當位矣。猶如月有弦望晦朔、星有合見留逆。是故歲星、填星、熒惑晨見於日,後行逆於日。當其平旦之時,欲至於午上便留,留而平旦過午返則逆,逆行行至於夕時,又欲當午上則後更留,留而午則又順行,行極而伏與日合,則同宿共度而受命於日,更晨見於東方,此皆不敢以昏旦之時,當於午後任行歷,故遲凝留焉。

およそ五星の運行は、皆人君の位次・秩序に象を取り、あえて常規を冒犯・扰乱し・次第を越えて占すべからざる位置を占据せず。就ち月に上弦・下弦・望日・晦日・朔日あるがごとく、五星もまた合・見・留・逆あり。ゆえに歳星・填星・熒惑は早晨に太陽より先に出現して後、行度は太陽の後面に落ちて逆行を呈す。清晨の時分に当たり、それらは将に午位(正南)に行き至らんとして便ち停留す。停留して後、もし清晨已に午位を過ぐれば、就ち逆行に転成す。逆行して傍晚の時分に至り、将に正に午位に当たらんとする時に便ちまた停留す。午位を留め過ぎれば就ち再び順行に転じ、順行して極処に至れば便ち隱伏して太陽と相合し、同宿・同度して太陽に聴命し、然る後に重新に早晨に東方に出現す。これは皆それらが昏・旦の時に正に午位に当たりて任意に行度することを敢えてせざるがために、ようやく遅滞・凝住して停留するなり。

至於金、水二星,則又甚耳。晨見東方平旦,當丙己之地,便速行以追日,及之,伏,伏與日合,合後出於西方,速行,昏時至丁未之地,即遲行,待日而又伏焉,此則日與五星,皆不敢以昏旦當午而盛。

太白(金)・辰星(水)二星に至っては、この種の情形は就ち更に明顯。それらは清晨に東方に出現し、平旦の時に丙・己の方位に行き至り、便ち速度を加快して太陽を追趕す。趕上して後に便ち隱伏し、伏して太陽と相合す。相合して以後また西方より出で、快速に運行し、黄昏の時に丁・未の方位に行き至り、便ち慢行に転じ、太陽を等候して再度隱伏す。見るべし、太陽と五星は、皆昏・旦の時に正に午位に当たりて自己の盛大を顕示することを敢えてせず。

故《易》曰:日中則昃,月盈則蝕,天地盈虛,與時消息。是則正南方者,君人之所面向也,故莫敢輕焉。而五星伏見,日數各殊,遲疾逆順,其數不等,求之見合,大較同一術焉。今列之如左:

ゆえに《周易・豊卦・彖伝》にいう。太陽は正中に至れば就ち西に偏し、月は圓満すれば就ち虧蝕す。天地の盈満と空虚は、皆時節に随って消長す。見るべし、正南方は君主が南面して坐して朝向する所の方位。これがためにどの一顆の星もそれを軽慢することを敢えてするなし。而して五星の隱伏と出現の日数は各々相同じからず、遅・疾・逆・順の数値も一様ならず。但しそれらの出現と相合を推求する方法は、大体上は同一套の算術。現在はそれらを下に開列す。

歲星,率五十三萬四千五百三。(一本云:五百三百分一之五。)晨伏十六日。一終三百九十八日。熒惑,率一百四萬五千九十四六分半。晨伏七十二日。一終七百七十九日。填星,率五十萬六干六百三十八七分半。晨伏十八日。一終三百七十八日。

歳星は、会合の率は五十三万四千五百零三(另一种の本子は「五百三又三百分之五」と作る)。晨伏十六日、一整周を繞行するは三百九十八日。熒惑は、会合の率は一百零四万五千零九十四又六分半。晨伏七十二日、一整周を繞行するは七百七十九日。填星は、会合の率は五十万六千六百三十八又七分半(原文は「千」を「干」と写す)。晨伏十八日、一整周を繞行するは三百七十八日。

太白率七十八萬二千四百五十分。晨伏六日。一終五百八十三日。晨見伏三百二十七分。同夕見伏二百五十六日。辰星,率十五萬五千二百七十八五分半。晨伏十一日。一終一百一十五日。晨見伏五十二日分,同夕見伏五十三日、五十六日。推合見日月術。

太白は、会合の率は七十八万二千四百五十分。晨伏六日、一整周を繞行するは五百八十三日。晨見より隱伏に至るは三百二十七分、それと相対する夕見より隱伏に至るは二百五十六日。辰星は、会合の率は十五万五千二百七十八又五分半。晨伏十一日、一整周を繞行するは一百一十五日。晨見より隱伏に至るは五十二日分、それと相対する夕見より隱伏に至るは五十三日あるいは五十六日。以上就是五星と日月との会合・初見を推算する方法である。

星官占第二十三

夫五星者,昊天上帝之五使,稟神受命,各司下土,雖幽潛深遠,罔不知悉。故或有福德佑助,或有禍罰威刑,或順軌而守常,或錯亂以顯異,芒角變動,光色盛衰,居留干犯,句巳掩滅。所以告示者,蓋非一途矣。

五星は、昊天上帝の派出した五位の使者で、神明を秉承し・天命を接受し、各々人間の一方の土地を主管す。人間の事は即便隱微・深藏し・幽遠にして見難きも、それらは知暁・詳尽せざるなし。ゆえにそれらは時に福德を降下して佑助を加え、時に禍罰を施加して威刑を顕示し、時に軌道に循って常度を安守し、時に錯乱・失序してもって異常を顕出す。それらはあるいは芒角を生じ、あるいは変動・揺曳し、光色は時に盛時に衰え、あるいは居し・あるいは留し・あるいは干し・あるいは犯し、あるいは勾曲の「句巳」の形を走出し、あるいは別の星を掩蔽してそれを隱滅せしむ。上天が用いて人間に告示する方式は、本來一条の途徑に止まらず。

凡五星,各有常色,各有本體。至如歲星色青,熒惑色赤,如大角,如參左肩,是其常色。填星色黃,太白色白,如五車大星有光。辰星色黑,如奎大星。凡五星,色青員為飢而憂,赤員多旱而爭,黃員女主喜,白員為喪與兵,黑員水而病。

およそ五星は、各々それが固定の顔色あり、各々それが本来の形体あり。譬如歳星は色青く、熒惑は色赤く、赤きこと大角星のごとく・参宿左肩のあの一顆の星のごとし——これがすなわちそれらの常色。填星は色黄、太白は色白く、白きこと五車中の大星のごとく光あり。辰星は色黒く、黒きこと奎宿の大星のごとし。およそ五星は、顔色が青を発して圓なるは、飢荒と憂患を主る。赤を発して圓なるは、旱多くしてかつ争闘あるを主る。黄を発して圓なるは、女主に喜慶あるを主る。白を発して圓なるは、喪事と兵禍を主る。黒を発して圓なるは、水災と疾病を主る。

凡五星,黃角土地之爭,赤角犯誤城,白角為兵,青角為憂,黑角死喪。凡五星,五色變常者,青為憂,赤為爭旱,黃為喜,白為兵,黑為喪病。

およそ五星が黄色の芒角を生ずれば、土地を争奪するを主る。赤色の芒角を生ずれば、城邑を侵犯して差失を致すを主る。白色の芒角を生ずれば、兵禍を主る。青色の芒角を生ずれば、憂患を主る。黑色の芒角を生ずれば、死喪を主る。およそ五星の五色が常態を改変すれば、青に変ずれば憂患を主り、赤に変ずれば争闘と旱災を主り、黄に変ずれば喜慶を主り、白に変ずれば兵禍を主り、黒に変ずれば喪事と疾病を主る。

夫五星繫八卦:填星繫於坤艮。故其行最遲,象地之與山不可移易。不易者,女人之德也。歲星繫於震巽。巽象草木之生動而遲也,又似風雷有時而作耳。雷震百里,風為號令。而震動者,人君之象也,故象主德焉。

五星は各自八卦に繋属す。填星は坤卦と艮卦に繋属す——ゆえにそれの運行は最も慢く、大地と山岳の移易し可からざるを象徴す。移易せざるは、正に女子の徳。歳星は震卦と巽卦に繋属す。巽卦は草木の生長を象徴し、動に在る虽も遅緩にして、また風雷が時に按って発作するがごとし。雷声は百里を震動し得べく、風は則ち号令を象徴す。而して震動の象は正に人君の象徴。ゆえに歳星は君主の徳に象を取る。

熒惑繫於離。離,火也。凡物之恆動不靜者,火也。火能照明糾察,燔燒穢積,故蕩除暴。故熒惑,行疾於水,而象禮官,察獄以罰萬物。《易》曰:相見乎離,大人以繼明照于四方。故主體察焉。

熒惑は離卦に繋属す。離はすなわち火。万物の中に恒久に運動して静止せざるは、すなわち火。火は能く照亮・明察し・奸慝を糾挙し、汚穢・積垢を焚焼す。ゆえに能く暴乱を盪除す。これがために熒惑の運行は辰星(水)より還た快く、礼を掌る官に象を取り、獄訟を審察してもって万物を懲罰す。《周易・説卦伝》にいう。万物は離卦に在りて相見る。《離卦・象伝》にいう。大人は相継いで絶えざる光明をもって四方を照臨す。ゆえに熒惑は体察・糾核の事を主管す。

太白繫於乾,為天體行健不息,故金行最急。《易》曰:悅乎兌,戰乎乾。故主兵,兵又須有威,故主威。兌為悅,言以悅使人,以威臨物,乾兌之道也。故太白主兵焉。

太白は乾卦に繋属す。乾は天体で、運行は剛健にして息まず。ゆえに金星の運行は最も急疾。《周易・説卦伝》にいう。兑卦に在りては欣悦し、乾卦に在りては交戦す。ゆえに太白は兵事を主管す。兵を用うるはまた必ず威厳あるべし。ゆえにそれもまた威権を主管す。兑卦は悦を為すは、欣悦をもって人を役使し・威厳をもって万物を統御するを説く——これは正に乾・兑両卦の道理。これがために太白は兵事を主管す。

辰星繫於坎,坎為水者,晝夜常流,無有休息。故水行亦速,與金相似。坎為水,為陰,為盜,為刑,刑盜於險,司獄之官也。故其坎所主於刑焉。

辰星は坎卦に繋属す。坎は水を為し、水は昼夜長流して休止なし。ゆえに水星の運行もまた很も快く、金星と相似す。坎は水を象徴し、もまた陰を象徴し、盗賊を象徴し、刑罰を象徴す。險難の地に在りて盗賊を懲治するは、正に牢獄を掌管する官の職分。ゆえに坎卦の主る所は、すなわち刑罰の事。

凡五星之入列宿與中外官,其占大同。但當以理消息其吉凶,不可一一具陳也。凡月之行也,每去五星十度內,必疾行向之。若道內外則屈,屈回就之。過之則遲行,留止不速去。又辰星欲見,有時依度合見而入氣差。伏者,去之十八度內,有星者見,先星則不見。此皆相從就之大例也。並著在歷術之中,其日蝕交分亦然。

およそ五星が二十八宿および中官・外官の各星座に進入するは、占法は大体相同じく、ただ応に事理に按って斟酌・推詳してその吉凶をし、一条一条全部列挙する法なし。およそ月の運行は、毎当五星に距ること十度以内に至れば、必定に速度を加快してそれに趨向す。もし黄道の内外に在れば、行跡は就ち弯曲し、繞りて回りてそれに靠近す。越過して後に便ち速度を放慢し、逗留して肯んじて很も快く離去せず。また辰星の将に出現せんとするがごときは、時に度数に按って本に応に出現すべきに、却って入気の推算に差あるがために見えず。いわゆる「伏」とは、それに距ること十八度以内に在り、もし別に星あれば則ち看見し得べく、もし星の先に在れば便ち看えざる。これらは皆天体が彼此趨從・靠近する通例で、一併に暦法の中に載る。日蝕・交食の分数もまた同様の道理。

其五行代王,四序不一,各於其時而為主焉。及其司過見罰,降福呈祥,則大小異其貌,休王殊其色。或光潤明淨。或微細芒角,犯有少異,即可消息占之,不必要待其間有斗蝕掩犯也。四時之色,春青,夏赤,秋白,冬黑,四季黃。占於列國也,則明勝暗,喜勝怒。其憂喜之色,則以同前。

五行は更迭して権を当て、四季は各々相同じからず、各々自ら当令の時に在りて主を為す。それらが過失を察挙し・刑罰を顕示し、あるいは福澤を降下し・祥瑞を呈現するに及んで、就ち形体の大小によって形貌を同じからざらしめ、休囚・旺相によって顔色に別あり。あるいは光沢・潤潔・明浄、あるいは細微にして芒角を生ず。ただ干犯の中に略々異常あらば、就ち斟酌・推詳して占断を加うべく、必ずしも一定要その間に斗・蝕・掩・犯の出現を待つを要せず。四季の正色は、春は青・夏は赤・秋は白・冬は黒、四季の末の辰・戌・丑・未月は黄。用いて列国の事を占断すれば、則ち明亮は昏暗に勝り・喜色は怒色に勝る。憂色と喜色の分別に至っては、前面に講じた所と同じ。

凡五星之內,有三星巳上同宿,為合。凡聚合之宿,相生則吉事興,相剋則凶事起。宿之行性,並於當方為定,兼之宿占,而察其事焉。二星明,相和大吉,相剋大凶。福德先至為吉,刑禍先至為凶。刑禍先去為吉,福德先去為凶。一吉一凶,兩事俱發,但當修德以備之。

およそ五星の中、三顆以上が同じく一宿に処るを、就ち「合」と呼ぶ。およそ聚合の所在する星宿は、星の五行と相生すれば則ち吉事が興起し、相克すれば則ち凶事が発生す。星宿の五行の属性は、皆それが所在する方位をもって準と為し、再び当該の宿の本身の占辞を合上し、もって主る所の事を考察す。両星が明亮の時、五行が相和すれば則ち大吉、相克すれば則ち大凶。福德の星が先到するは吉を為し、刑禍の星が先到するは凶を為す。刑禍の星が先に離去するは吉を為し、福德の星が先に離去するは凶を為す。もし一吉・一凶が并見すれば、就ち吉凶両事が一斉に発生す——ただ応に徳行を修養してもってそれに防备すべし。

二星已上聚合,皆為改革政令。三星若合,是謂驚,改立侯王。四星若合,是為大蕩,其國兵喪並起,君子憂,小人流。五星若合,是謂易行,改立王者,掩有四方,子孫蕃昌,亡德受殃,滅其宗廟,百姓離去,被滿四方。五星大,事大;小,事小。

両顆以上の星が聚合するは、皆政令を改革するを主る。三星が相合するは、「驚」と呼び、諸侯王を改立するを主る。四星が相合するは、「大蕩」と呼び、あの分野の国家は兵禍と喪事が一斉に興起し、君子は憂愁し、小人は流亡す。五星が相合するは、「易行」と呼び、天下の主を改立するを主る。徳あるは四方を取得し、子孫は繁盛・昌隆す。徳なきは反って禍殃を受け、宗廟が滅せられ、百姓は离散・逃亡し、流散して四方に布満す。五星の形体が大なれば、主る所の事は就大し。形体が小なれば、主る所の事は就小し。

五星干犯中外官占第二十四

五星犯攝提,臣謀其君。若主出之,有兵起,期一年。五星犯守大角,臣謀主,有兵起,人主憂,王者戒慎左右,不出八十日,遠期一年。五星入市中,將凶。一曰五官有憂,一曰赦。

五星が摂提星を侵犯すれば、臣下がその君主を図謀するを主る。もし君主が外出すれば、就ち兵事の興起あらん——応期一年。五星が大角星を侵犯しかつ駐守すれば、臣下が君主を図謀し・兵事の興起あり・君主に憂患あるを主り、君王は当に左右の近臣を警戒・提防すべく、事発は八十日を出でず、最遠は応期一年。五星が天市垣の中に進入すれば、将帥に凶あるを主る。另一説は五官の長に憂あり、還た一説は将に大赦あらんとす。

五星犯帝座,為臣謀主,有逆亂事。五星犯守東西咸,為臣有不從令,有陰謀。五星犯天江,天下水,若入之,大水滿城郭,人民飢,去其鄉。五星干犯五車,大旱,若喪。犯庫星,兵起北方、西方。犯倉,穀貴,有水。

五星が帝座星を侵犯すれば、臣下が君主を図謀し・叛逆・作乱の事あるを主る。五星が東咸・西咸二星を侵犯しかつ駐守すれば、臣下が政令に服從せず・暗中に別に図謀あるを主る。五星が天江星を侵犯すれば、天下に水あるを主る。もしその中に進入すれば、大水が城郭に灌満し・百姓が飢荒し・郷を離れて逃亡するを主る。五星が五車星を干犯すれば、大旱を主り、あるいは喪事あり。庫楼星を侵犯すれば、兵事が北方・西方より興起するを主る。天倉星を侵犯すれば、穀価が騰貴し、かつ水災あるを主る。

五星犯建星,大臣相諧。五星犯離珠,宮中有爭,若有亂宮者,若宮人有罪黜者。五星入天市,將軍興軍者吉。五星守犯天關,道路絕,天下相疑,為有關梁之令。五星出北河戒北,若乘北河戒,為女喪。

五星が建星を侵犯すれば、大臣が互いに勾結・附和するを主る。五星が離珠星を侵犯すれば、宮中に争闘あり、あるいは宮中に作乱する人あり、あるいは宮人が罪を獲て貶退せらるるを主る。五星が天市垣に進入するは、将軍が兵を興し武を用うるに対し吉利なり。五星が天関星に駐守しかつ侵犯すれば、道路が断絶し・天下の人が彼此猜疑し・将に関卡・橋梁方面の禁令あらんを主る。五星が北河戒の北面に出現し、あるいは北河戒に圧臨すれば、女子の喪事あるを主る。

五星中犯乘守五諸侯,諸侯死,期三年。五星入五諸侯,伺其日出而數之,皆二十日兵發,伺始入處,率百日,期十日軍罷。《巫咸占》曰:五星入二十八宿宮,中外宮同。五星犯守積水,其國有水災,物不成,魚鹽貴。一曰:水潦為敗,糴大貴,民飢期三年。

五星が当中を衝犯し・圧臨しかつ五諸侯星に駐守すれば、諸侯の死亡を主り、応期三年。五星が五諸侯星に進入するは、それが出で来るあの日を守候してかつ計数すべく、一律二十日の内に兵事が発動す。再びそれが当初進入の位置を守候すれば、大約一百日——応期十日の内に軍隊が解散す。《巫咸占》にいう。五星が二十八宿の宮位に進入するは、中官と外官の占法は相同じい。五星が積水星を侵犯しかつ駐守すれば、あの一分野の国家に水災あり・作物が成らず・魚塩の価が貴きを主る。另一説は、積水が澇を成して災害を造成し・糧価が大漲し・百姓が飢荒し、応期三年。

五星犯守積薪,天下大旱,五穀不登,人民飢。五星犯守水位,天下以水為害,津樑阻塞。一曰:大水入城郭,傷人,民皆走,期二年。五星守酒旗,則天下大酺,賜爵宗室。

五星が積薪星を侵犯しかつ駐守すれば、天下が大旱し・五穀が歉収し・百姓が飢餓するを主る。五星が水位星を侵犯しかつ駐守すれば、天下が水をもって害と為し・渡口と橋梁が阻塞して通ぜざるを主る。另一説は、大水が城郭に灌み進み・人口を淹傷し・百姓が四散・奔逃し、応期二年。五星が酒旗星に駐守すれば、那就ち天下が大いに酒宴を擺して聚飲し、かつ宗室に向かい爵位を賜与するを主る。

五星入天庭,色白潤澤,期百八十日,有大赦。五星東行入太微庭,歲不登,人民飢,遲出東門,天下有急兵。若守之,將相大臣御史有死者。若入端門守庭,大禍至。

五星が天庭(太微垣)に進入し、顔色が潔白にして潤澤なるは、応期一百八十日、将に大赦あらん。五星が東行して太微垣の庭中に進入するは、年成が歉収し・百姓が飢荒するを主る。もし遅遅としてようやく東門より出づれば、天下に緊急の兵事あるを主る。もしそれが垣中に駐守すれば、将・相・大臣・御史の当中に人の死亡するありを主る。もし端門より進入して庭中に駐守すれば、大禍の臨頭を主る。

入南門,出東門,國大旱;入南門,逆行出西門,國有大水;逆行入東門,出西門,大國破亡;若順入西門蕃而留不出,楚國凶殃。五星若從右入太微,主有大憂,有赦。犯將相,執法大臣有憂,執法者誅。(金火尤甚。)五星入太微中華東西門,若左右掖門,而出端門者,必有反臣。

南門より進入し・東門により出づるは、国中に大旱あるを主る。南門より進入し・逆行して西門により出づるは、国中に大水あるを主る。逆行して東門より進入し・西門により出づるは、大国が破敗・滅亡するを主る。もし順行して西門より進入し、藩垣の内に滞留して出でざれば、楚地が凶殃を遭受するを主る。五星はもし右辺より太微垣に進入すれば、君主に大憂あり・かつ将に赦令あらんを主る。将星・相星を侵犯すれば、執法の大臣に憂あり・執法の官が誅せらるるを主る(太白と熒惑がこれを犯すは尤其厳重)。五星が太微垣の中華東門・中華西門より、あるいは左掖門・右掖門より進入して、しかして端門により出づるは、必定に反叛の臣あらん。

五星犯黃帝座,改易主,天下亂,存亡半。五星犯守四帝座,臣謀主,去之,去一尺,事不成。五星中犯乘守四帝座,闢君也。星中犯乘四帝座,天下半亡。五星守內屏星,君臣失禮,下而謀上。一曰:大臣有戮死者。

五星が黄帝座星を侵犯すれば、君主を更換し・天下が大乱し・存する者と亡する者とが各々半を占めるを主る。五星が四帝座星を侵犯しかつ駐守すれば、臣下が君主を図謀するを主る。もしそれが離去し、離去すること一尺なれば、則ち事情は成就し能わず。五星が当中を衝犯し・圧臨しかつ四帝座に駐守すれば、君主が廃黜せらるるを主る。星が当中を衝犯しかつ四帝座に圧臨すれば、天下に半の人の喪亡あるを主る。五星が内屏星に駐守すれば、君臣の間が礼節を失去し・下位に居るが上位に居るを図謀するを主る。另一説は、大臣の中に殺死せらるるあり。

五星入羽林,有兵起。若逆行變色,成句巳,天下大兵,關梁阻塞,不出其年。五星犯天廩,天下亂,大飢,粟散出其年。五星守參旗,兵大起,弓弩用,大將出行。一曰弓矢貴。

五星が羽林軍星に進入すれば、兵事の興起あるを主る。もし逆行してしかも色を変じ、勾曲の「句巳」の形を走成すれば、天下に大規模の戦事あり・関卡・橋梁が阻塞して通ぜず、当年を出でずして応験するを主る。五星が天廩星を侵犯すれば、天下が大乱し・大いに飢荒を鬧かし・倉中の粟米が散発せられ出づるを主り、就ち当年に応験す。五星が参旗星に駐守すれば、兵事が大起し・弓弩が用場に派し・大将が出征するを主る。另一説は弓箭の価格が昂貴なり。

歳星占第二十五

歲星,一名攝提。東方木德,靈威仰之使,蒼龍之精也。其性仁,其事□,其時春,其日甲乙,其辰寅卯,其音角,其數八,其帝太昊,其神句芒,其蟲鱗,其味酸,其臭羶,卦在震巽,人主之象。主道德之事,故人君仁也。其常體大而清明潤澤,所在之宿國分大吉。

歳星は、また摂提と呼ぶ。それは東方木徳の星で、東方天帝・霊威仰の使者、蒼龍の精気の結する所。その性は仁に属し、主る所の事は□(原文一字を缺く)を為し、配する所の季節は春、配する所の日は甲・乙、配する所の辰は寅・卯、配する所の音は角、配する所の数は八、配する所の帝は太昊、配する所の神は句芒、配する所の虫類は鱗虫、味は酸に属し、気味は膻に属し、卦に在りては震・巽、君主の象徴。それは道徳方面の事を主管す。ゆえに人君の仁と相応ず。その正常の形体は大にして清明・潤澤、それが所在する星宿に対応する邦国の分野は大吉。

《易傳》曰:帝王人君行道德,德至仁利,則歲星明大潤澤;明大潤澤,則人君昌壽,民富樂,中國安,四夷服。人君行酷虐殘暴,則歲星時時暗小微昧,微昧則國亡君死。是故星明則主明,星暗則主暗。人君從諫,則歲星如度,人君聽諛佞,拒忠諫,則歲星亂行。故歲星變色亂行,人君無福;進退如度,則奸邪止息。

《易伝》にいう。帝王・人君が道徳を施行し、徳澤が仁愛・厚利の地步に達すれば、歳星は就ち明亮・広大にして潤澤す。歳星が明大・潤澤なれば、君主は便ち昌盛・長寿し、百姓は富足・安楽し、中原は安定し、四方の夷狄は帰服す。人君が酷虐・残暴の政を施行すれば、歳星は就ち時々昏暗・変小・幽微・不明す。幽微・不明なれば、就ち国亡・君死を主る。ゆえに星が明亮なればすなわち君主が明察なるを表示し、星が昏暗なればすなわち君主が昏昧なるを表示す。人君が勧諫に聴從すれば、歳星は就ち常度に依って運行す。人君が諂諛・佞人を聴信し・忠言・勧諫を拒絶すれば、歳星は就ち運行を錯乱す。ゆえに歳星が色を変じて乱行するは、君主に福分なきを主る。歳星の進退が常度に合するは、奸邪の事は就ち止息せん。

猶如木之曲直,從繩則正;人君性習,從諫則聖矣。人君令合於時,則歲星光喜,年穀登;人君暴怒失其理,則歲星有芒角而怒矣。歲星怒則兵起,有所攻伐矣。歲星所在之分,不可攻之,攻之則反受其殃矣。

これは譬えば木材に弯あり直あり、墨繩に依照して裁削すれば能く正を取るがごとし。人君の秉性と習染は、肯んじて勧諫に聴從すれば能く聖明の君と為る可し。人君の政令が時宜に合すれば、歳星は就ち光彩・喜悦し、年穀は豊収す。人君が暴怒して常理を失えば、歳星は就ち芒角を生じて怒色を顕す。歳星が怒を顕せば、就ち兵事の興起・攻伐の挙あるを主る。歳星の所在する分野は、攻打に往く可からず。それを攻打すれば反って自ら禍殃を受く。

秦之將亡也,歲星聚於東井。東井,秦之分野,秦政殘暴失政,歲星仁和之理違。歲星貌恭,恭作肅,不肅之道,拒諫信讒,是故二世君終於屠滅。漢高之入秦也,修德佈政仁和,約法三章,與民更始,除秦暴酷,故秦人欣戴焉,卒入三秦之漢中而基王業也。項羽後入,焚燒宮室,殘暴楚毒,失仁之福,卒於敗亡。

秦朝の将に滅亡せんとする時、歳星は東井宿に聚集した。東井は秦国の分野で、秦政は残暴にして治道を喪失し、歳星の仁愛・和順の道理に違背した。歳星の主る所は容貌の恭敬で、恭敬すれば便ち能く厳肅を生ず。いわゆる不肅の道とは、すなわち勧諫を拒絶し・讒言を聴信する。ゆえに秦二世のこの位の君主は終に屠戮・覆滅に遭った。漢高祖が秦地に進入する時、徳行を修養し・施政は仁厚・和順にして、百姓と約法三章し、百姓を重新に開始せしめ、秦朝の暴虐・苛酷を除去した。ゆえに秦地の百姓は欣然として彼を擁戴し、彼は終に三秦に進據し・漢中により帝王の基業を奠定した。項羽は後来秦地に進入し、宮室を焚焼し、残暴・狠毒にして、仁徳の帯来する福分を失掉し、終に敗亡した。

是故人君順其時,處其分,宜布其德,而修其政也。歲星所在處有仁德者,天之所佑也。不可攻,攻之必受其殃。利以稱兵,所向必克也。

ゆえに人君は天時に順応し・自己の名分に安処し、当に広く徳澤を布きて政事を整飭すべし。歳星の所在する処にもし仁徳を施行する人あれば、それは上天の保佑する所で、攻打に往く可からず——攻打すれば必定に自ら禍殃を受く。反対に、歳星の所在する分野に居る一方が兵を挙ぐれば、則ち有利あり、向かう所必定に取勝す。

歲星木精,其時春也。人君春時,當順少陽德令。天子率百官,制法度,當佈德和令,施惠下及兆民,無有不當。順天象,授民時,祈嘉穀,教新卒,布農合,修封疆,相地宜,以導民,躬必親之。

歳星は木の精気で、配する所の季節は春天。人君は春天に在りては、当に少陽の生発する徳令に順從すべし。天子は百官を率領して法度を制定し、当に広く徳澤を布き・政令を和洽し、恩惠を万民に施及し、一処も合宜せざるなきようにすべし。天象に順応し、百姓に農時を頒授し、嘉穀の豊収を祈求し、新兵を訓練し、農事の安排を布置し、疆界を修整し、土地の宜しき作物する所を察看してもって百姓を引導す——これらの事は天子は必ず親身に参与すべし。

命賜司典,止殘伐,毋覆巢,毋殺胎天飛鳥,毋鏖卵,毋聚大眾,毋置城郭,掩骼埋胔,不稱兵,兵戎不起,不可以從我始,毋逆天之道,毋絕地之理,毋亂人之紀。

典章を主管する官員に命令し賜教す。残害・砍伐を制止し、鳥巣を傾覆するを許さず、懐胎の禽獣と幼小の飛鳥を殺害するを許さず、鳥卵を毀壊するを許さず、大批の人衆を聚集するを許さず、城郭を興築するを許さず。暴露の枯骨と腐肉を掩埋し、兵を挙げて征戦せざるべし。兵戎の事は興起す可からず、更に我が方より先に挑起す可からず。上天の道に違逆する勿れ、大地の理を断絶する勿れ、人間の綱紀を扰乱する勿れ。

仲春養幼少,存孤獨,省囹圄,去桎梏,毋肆掠,止獄訟,同律度,正權量,無作大事以妨農事,無竭川澤,無漉陂池,無焚山林,命出而不納。

仲春二月は幼小を養育し、孤児と孤老を撫恤し、牢獄を減省し、刑具を去掉し、濫りに拷掠を施すを許さず、獄訟を停止す。音律と度数を統一し、秤錘と量器を校正す。大工役を興辦して農事を妨害する勿れ、川沢の利を竭尽する勿れ、陂塘の積水を淘干する勿れ、山林を焚焼する勿れ。政令は一経発出すれば、就ち只管施行して再び收回せず。

天子佈德行惠,發倉廩,賜貧窮,賑乏絕,開府庫,出穀帛,賜天下,勉諸侯,聘名士,禮賢者,止弋獵,無悖於時,無淫巧以蕩上心,則歲星無變而降福矣。

天子は広く徳澤を布き・恩惠を施行し、糧倉を打開し、貧窮を賑済し、糧を断ち告ぐるなき人を救助す。府庫を開啓し、穀物・布帛を拿出して天下を賞賜し、諸侯を勉勵し、名士を聘請し、賢人を礼遇す。射猟を停止し、時令に違背せず、奇技・淫巧を用いて君上の心志を動揺するを許さず。これらを做到すれば、歳星は変異を出現せず、反って福澤を降下す。

失令非時,行夏令,則熒惑之氣干,則星變赤芒角,國大旱暖氣,是哀蟲螟為害食,人民疾疫,時雨降,山陵不收,風雨不時,旱木早落,邦時有恐,中國寇戎來征。

もし政令が失当して・時節に合せず、春天に却って夏天の政令を推行すれば、那么熒惑の気が就来て干犯し、歳星は赤色に変じて芒角を生じ、国中に大旱・煖気の反常あるを主る。可嘆なるは螟虫が為害して庄稼を啃食し、百姓は疫病に遭遇す。縱使応時の雨の降下あるも、山陵の地は仍ほ顆粒の収なし。風雨は常時を失い、天旱して樹木は過早に落葉し、国中は時々驚恐し、中原には外寇・兵戎の前来して征伐するあらん。

行秋令,則太白之氣干之,星白無光,寒氣大至,民大疫,飄風暴雨總至,藜莠蓬蒿並與,天多陰沉淫雨早降。行冬令,則辰星氣干之,星變黑小,水澇為敗,雪霜大至,首種不入,陽不收,麥不熟,民多相撓,寒氣時發,草木皆肅,國有大水。

春天に秋天の政令を推行すれば、那么太白の気が就来て干犯し、歳星は白を発して光彩なく、寒気の大挙して到来し・百姓が大いに疫病を起し・狂風・暴雨が一斉に襲来し・藜・莠・蓬・蒿の類の雑草が叢生・蔓延し・天が多く陰沈して連綿の淫雨が早早と落下するを主る。春天に冬天の政令を推行すれば、那么辰星の気が就来て干犯し、歳星は又黒く又小に変じ、水澇が災を成し・雪霜が大量に降臨し・最先に播種の作物は地に下る能わず・陽気は収斂し能わず・麦子は成熟し能わず・百姓は多く相扰乱し・寒気は時々発作し・草木は一概に凋零・蕭瑟し・国中に大水あるを主る。

歲星為仁,貌曰曲直象木。(可操曲直)木曰貌,貌,容儀也;貌曰恭,恭,儼恪也;恭作肅,肅,敬也。肅時雨若,狂恆雨若,是故人君貌恭心肅,則歲星光明盛大,無盈縮,儼而行中道,降福德而示吉祥。時雨降,人君壽,百穀成,天下安而民樂矣。

歳星は仁を主管し、《尚書・洪範》の五事においては「貌」に配属す——木に曲あり直ありと説くは、まさに木に象を取る(木は人の揉製に任じて曲あるいは直と為り得べし)。木は五事において「貌」に対応し、「貌」はすなわち容止・仪表。「貌」は「恭」を求め、「恭」はすなわち荘重・謹敬。恭は能く「肅」を生じ、「肅」はすなわち敬慎。君主が肅敬なれば、上天は応時の雨をもって回応す。君主が狂妄なれば、上天は久雨に止まざるをもって回応す。ゆえに人君の容貌が恭敬・内心が肅敬なれば、歳星は就ち光明・盛大にして、超前・落後の盈縮なく、端厳に中道を行き、福德を降下して吉祥を顕示す。ここにおいて応時の雨は期に按って降下し、人君は長寿し、百穀は成熟し、天下は安定して百姓は歓楽す。

若人君酷亂恣情,則讒臣湊,變怒芒角,錯逆降示,應恆雨淫注,人君不昌,百穀不成,庶事不寧,天下有兵。夫歲星色澤微暗,進退失度,為奸邪並與,人君無福,有芒角者戰勝。武密曰:順角指所戰勝,逆者凶,順行不可逆戰,逆行不可背之以戰,凶。

もし人君が酷虐・昏乱にして・恣意に纵情すれば、那么讒佞の臣が聚集して来り、歳星は就ち色を変じて怒を顕し・芒角を生じ、錯乱・悖逆の天象をもって警示し、感応して来るは久雨の停まず・大水の傾注す。君主は昌盛する能わず・百穀は成熟する能わず・各種の事務は安寧を得ず・天下に兵禍あり。およそ歳星の色沢が略々昏暗・進退が常度を失えば、奸邪の徒の一斉に興起し・君主に福分なきを主る。もし歳星が芒角を生ぜば、則ち芒角の指す方向に依って用兵する一方が取勝し得べし。武密にいう。芒角の指す方向に順って作戦すれば取勝し・それに逆らうは則ち凶。歳星が順行する時は逆向に作戦す可からず・歳星が逆行する時はそれに背を向けて作戦す可からず——それは凶なりと。

歲星與月相掩食,國有大喪,女主大臣亡。歲星與熒惑合斗,殺大將;與太白合斗,有大兵;與太白相犯,有兵大戰。金在木南,南國敗;在木,北國敗。木乘金,偏將死;木與金合斗,大將死。

歳星と月とが互いに掩蝕するは、国中に大喪あり・女主と大臣とが死亡するを主る。歳星と熒惑とが相合して斗うは、大将の殺されんを主る。太白と相合して斗うは、大規模の兵事あるを主る。太白と互いに干犯するは、兵あり而して大戦たるを主る。太白が歳星の南に在るは、南方の国の敗るるを主る。太白が歳星の北に在る(原文「在木」の下に疑らく一「北」字を脱す)は、北方の国の敗るるを主る。歳星が太白を圧臨するは、偏将の戦死するを主る。歳星と太白とが相合して斗うは、大将の戦死するを主る。

歲星先至,諸星從之者,其國分人君吉,以仁德威天下矣。應留不留,其國亡;應去不去,其國昌。歲星主齊魯,青、徐州。色白有喪,黑有病,赤有兵起,黃有喜。

歳星が先に到り、其余の諸星が跟随して来るは、あの一分野の国君が吉利にして、能く仁徳を凭りて天下を威服するを主る。歳星が応に停留すべきに停留せざれば、あの一分野の国家は将に亡びん。応に離去すべきに離去せざれば、あの一分野の国家は昌盛す。歳星は斉・魯の地を主管し、すなわち青州と徐州なり。それの色白なるは喪事あるを主り、色黒なるは疾病あるを主り、色赤なるは兵事の興起あるを主り、色黄なるは喜慶あるを主る。

歲星平見,入冬至初者,減八日,後六日損七日,以次六日損一日,畢於大寒四十五日。凡損十六日盡即平行。自入立春十一日加一日,畢於雨水,因入春分,均加四日,清明穀雨,均加五日。

歳星の平見日を推算す。冬至初候に進入するは、八日を減じ、此の後六日毎に再び七日を減じ、依次に六日毎に一日を減じ、一直に大寒以後四十五日に至るまで算す。総計して十六日を減じ満たして後、就ち平行に按って推算す。立春に進入するより、十一日毎に一日を加え、一直に雨水に至るまで加う。続いて春分に進入すれば、一律に四日を加う。清明・穀雨の両箇の節気は、一律に五日を加う。

自入立夏,畢於大暑,均加六日。自入立秋,初日加六日,加後十日減五日,畢於秋分。自入寒露已後,六日減一日,畢於立冬。自入小雪,畢於大雪,均減八日。餘為定見日,初見去日十四度。

立夏に進入するより、大暑に至るまで、一律に六日を加う。立秋に進入するより、頭一日は六日を加え、加え過ぎて後十日毎に五日を減じ、一直に秋分に至るまで算す。寒露に進入する以後、六日毎に一日を減じ、一直に立冬に至るまで算す。小雪に進入するより、大雪に至るまで、一律に八日を減ず。余る所の数目はすなわち確定の初見の日なり。初見の時、歳星は太陽に距ること十四度。

五星行術

置星定見之前夜半日所在之宿度算及分,各以定見去朔日算及分加之,行分滿法,六百七十乃從度一。(其日度星度分名,半日法也。)以星初見去日度數,晨減夕加之,命度以次,則星初見所在度分求者,次日各以一日所行度及分。

布算の法。当該の星の確定初見の日の前の夜半時に太陽の所在する宿度の整数と分数を取り、各自に定見日より朔日の間の日数の整数と分数を加う。得る所の行分が一法に満つれば、すなわち六百七十分に満つれば、進位して一度と為す(其中日度・星度の分名は、皆半日法をもって準と為す)。再び当該の星の初見の時に太陽に距る度数を取り、晨見は相減じ・夕見は相加え、依次に度数を命定すれば、就ち当該の星の初見の所在する度と分を求得す。もし以後の各日を推求せんと欲せば、就ち次日に各々一日の行く所の度数と分数を加うべし。

其金火之行而有小分者,各以日率為母,小分滿母法,從去行分滿六百七十,去從行度日一度。其有益遲益疾者,則別置一日行分,各以疾益遲損乃加之,留者因前退即減之。伏不注度,順行出虛,去其分已也,行入斗,先加分。

太白(金)と熒惑(火)の運行して小分を帯ぶるは、各々日率をもって分母と為す。小分が分母の数に満つれば進位し、進みて行分が六百七十に満つれば、再び進んで一度と為す。行度の漸慢あるいは漸快に遇えば、就ち別に一日の行分を布出し、分かれて漸快に按っては加え・漸慢に按っては減じ、然る後に総数に併入す。「留」に遇えば、就ち前面の退行の数値を承接して減法を作す。隱伏の期間は度数を記注せず。順行して虚宿を出づれば、就ちその分を去掉す。斗宿を行進する時は、則ち先に分を加上するを要す。

歲星初見順,見順日行一百七十一分,日益遲一分,一百一十四分。日行十九度三百二十三分而留,二十六日乃退。日行九十七分,八十四日退十二度一百八十分。又留二十六日乃順行。初日行五十八分,日益度一分疾。一百一十四日,行十九度三百二十三分而伏。

歳星は初見の時に順行を作す。初見の順行は每日に一百七十一分を行き、此の後每日に一分を逓減して漸慢し、共に一百一十四日を行く。このように合計して十九度三百二十三分を行きて「留」に転じ、留すること二十六日にしてようやく退行を始む。退行の時は每日に九十七分を行き、八十四日に共に十二度一百八十分を退す。再び留すること二十六日にしてようやく順行に転ず。順行に転ずる頭一日は五十八分を行き、此の後每日に一分を逓増して漸快し、行くこと一百一十四日に満ち、共に十九度三百二十三分を行きて隱伏す。

歳星入列宿占第二十六

角:歲星犯左角,天下之道皆阻塞。犯右角,天下更王,使絕滅。守留角中,五穀成熟,留之一百日,兵起。木犯守角,王者大赦,忠臣用。木乘左角,法官誅。木乘右角,大將軍死。木逆行於角,人主出入不時。若有急事,千里之行。凡木犯守乘左角七日已上,天下大赦;守右角,賢士用,期七十日。

角宿。歳星が左角星を侵犯するは、天下の道路が皆阻塞して通ぜざるを主る。右角星を侵犯するは、天下が君王を改換し・前朝の世系が断絶・滅亡するを主る。角宿の中に駐守・停留するは、五穀の成熟するを主る。もし停留が一百日に満てば、則ち兵事の興起を主る。歳星が角宿を侵犯しかつ駐守するは、君王が天下を大赦し・忠臣が任用を得るを主る。歳星が左角を圧臨するは、司法の官の誅せらるるを主る。歳星が右角を圧臨するは、大将軍の死亡を主る。歳星が角宿に逆行するは、君主の出入に時を定めざるを主る。もし急事に遇えば、千里の遠行あらん。およそ歳星が左角を侵犯・駐守・圧臨して七日以上なるは、天下の大赦を主る。右角を駐守するは、賢士の任用せらるるを主り、応期七十日。

亢:歲星犯亢,天子坐之,則敗於君。木數入亢,其國疾疫。木經亢,韓鄭有兵。木守亢,小兵。木逆行守亢,為中國兵。木犯守亢逆行,失國,其明色,大政不用。

亢宿。歳星が亢宿を侵犯するは、天子がそれに牽累せられ、就に君位上に在りて失敗に遭うを要す。歳星が屢々亢宿に進入するは、あの一分野の国家に疫病の発生するを主る。歳星が亢宿を経過するは、韓・鄭の地に兵事あるを主る。歳星が亢宿を駐守するは、小規模の兵事あるを主る。歳星が逆行して亢宿を駐守するは、中原に兵事あるを主る。歳星が亢宿を侵犯・駐守してまた逆行するは、国土の喪失を主る。もしそれが色沢明亮ならば、則ち大政・方針の採用せられざるを主る。

氐:木犯氐,國無儲。木舍守氐,其國歲熟,賤人有疾。木乘氐之右星,天下有大水大兵。木乘氐左星,天子有自將兵於野。木出入舍氐者,(天庫之星也。)其國有急令,其歲太平,環而守之,其國以兵致天下。氐為嬖妾有喜者,若與月合在氐而暈,不出四十日有德令。木守氐,王者立后,期十八日。木犯逆行守氐,國大飢,人民流亡,亦為人多病。

氐宿。歳星が氐宿を侵犯するは、国家に儲備なきを主る。歳星が停舍して氐宿を駐守するは、あの一分野の国家の年成が豊熟し、而して地位卑賤の人に多く疾病あるを主る。歳星が氐宿の右星を圧臨するは、天下に大水と大規模の兵事とあるを主る。歳星が氐宿の左星を圧臨するは、天子が親身に兵を領して出征して外に在るを主る。歳星が氐宿に出入・停舍する(氐宿は天上の庫蔵の星)は、あの一国に緊急の政令あり・その一年太平なるを主る。もし氐宿を環繞して駐守せば、あの一国が兵力を憑藉して天下を取得するを主る。氐宿は寵妾に喜慶あるを主る。もし歳星と月とが氐宿に相合して月暈を生ぜば、四十日を出でずして恩施の徳令あらん。歳星が氐宿を駐守するは、君王が皇后を冊立するを主り、応期十八日。歳星が氐宿を侵犯・逆行して駐守するは、国中の大飢荒・百姓の流散・逃亡を主り、もまた人の多く疾病あるを主る。

房:木入房十日成句巳者,為天子惡之,以赦解之。(金水同占。)又曰:為皇后夫人喪,謂房東行復還返也。木舍房氐,氐色不明;有喪。又曰大水。木守房,為大人憂,以赦解之。木犯房,將相有憂。木舍房,人主喜,其將相大吉。

房宿。歳星が房宿に進入して十日にして勾曲の「句巳」の形を走出するは、天子がこの象を厭悪し、大赦をもって化解す可し(太白・辰星がこれを犯すは、占法相同じ)。また一説は、皇后・夫人に喪あるを主るといい、指す所は歳星が房宿に東行した後にまた折返して来るをいう。歳星が房宿・氐宿の間に停舍し、氐宿の顔色が晦喑・不明なるは、喪事あるを主る。又一説は大水あるを主る。歳星が房宿を駐守するは、貴人に憂あり・大赦をもって化解す可きを主る。歳星が房宿を侵犯するは、将相に憂あるを主る。歳星が房宿に停舍するは、君主に喜慶あり・その将相が大吉なるを主る。

心:木近心,七日以內有暴貴者,遠不出百八十日。木經心,清明列照,天下內奉王化,帝必延年。木乘心,其國相死。木居守心,王者行天心,陰陽和,天下大豐,五穀成熟,有慶賜,賢士用,皆有德令。木犯乘守心,大人凶。木中犯乘凌太子位,太子憂;犯少子位,少子憂。

心宿。歳星が心宿に靠近するは、七日以内に人の驟然に顕貴するあり・最遲も一百八十日を出でざるを主る。歳星が心宿を経過し、もし清朗・明浄にして光が四布に照らせば、天下が皆王者の教化を尊奉し・皇帝が必ず延年を得るを主る。歳星が心宿を圧臨するは、あの一分野の国相の死亡を主る。歳星が居留・駐守して心宿に在るは、君王が天心に合する政令を施行し・陰陽が調和し・天下が大豊収し・五穀が成熟し・慶典と賞賜とあり・賢士が任用を得、皆恩施の徳令あらんを主る。歳星が侵犯・圧臨・駐守して心宿に在るは、貴人に凶あるを主る。歳星が当中を衝犯・圧臨・欺凌して心宿の太子星位に在るは、太子に憂あるを主る。庶子星位を侵犯するは、庶子に憂あるを主る。

尾:木入尾者,易後太子者;后族有升顯者,不出百八十日。木守尾,民人為憂,大臣作亂者,若反逆,從大將家起,若中有讒諛者,期二十日,若卿出當之。木乘犯尾,早谷大貴,人人相食。木守尾三十日,王者立貴后夫人。若生太子,欲封寵后族,人主以嬪為後。

尾宿。歳星が尾宿に進入するは、皇后あるいは太子を更換するを主る。もまた后族の中に人の昇遷・顕達するあり・一百八十日を出でざるを主る。歳星が尾宿を駐守するは、百姓に憂患あり・大臣の中に作乱する人ありを主る。もし叛逆が発生せば、大将の家より始まらん。もし朝中に讒を進め阿諛する人あれば、応期二十日、あるいは公卿により出面してこの禍を承当せん。歳星が尾宿を圧臨・侵犯するは、早熟の穀物の価格が暴漲し・人びとが互いに残食するを主る。歳星が尾宿を駐守して三十日に満つるは、君王が尊貴の皇后と夫人とを冊立するを主る。もし太子を生まば、就ち寵幸の后族を加封すべく、君主は還た可能に嬪妃を立てて皇后と為さん。

箕:木入箕,天下兵亂,箕中有一星,民莫處其室。箕,木在箕南旱,在箕北有水。其年木入箕踵者,歲熟之象也。木入箕中,行疾,中有口舌相讒事,期五十日,若百三十日。木守犯出箕,多惡風,谷大貴,天下大旱,飢死過半,民相食。

箕宿。歳星が箕宿に進入するは、天下の兵乱を主る。箕宿の中にもし別に一星を見れば、百姓がその室に安居し能わざるを主る。箕宿に就いて言えば、歳星が箕宿の南に在るは旱を主り、箕宿の北に在るは水あるを主る。当年歳星が箕宿の下端「箕踵」に進入するは、年成豊熟の象なり。歳星が箕宿の中に進入して行度が加快するは、朝中に口舌・讒毀の事あり・応期五十日、あるいは一百三十日を主る。歳星が箕宿を駐守・侵犯して穿出するは、多く悪風あり・穀価が大漲し・天下が大旱し・餓死する人が半を過ぎ・百姓が相食するを主る。

斗:木犯南斗,為有赦。木乘凌南斗,有大臣反伏誅者。木入南斗中,死者甚眾。木經南斗魁,失道者死。木經南斗,與國福,歲大熟。木入南斗,若留守十日,所居之國當誅。

斗宿。歳星が南斗を侵犯するは、将に赦令あらんを主る。歳星が南斗を圧臨・欺凌するは、大臣の謀反して誅殺せらるるあるを主る。歳星が南斗の中に進入するは、死亡する人の很も多きを主る。歳星が南斗の斗魁を経過するは、正道に背离する人の死亡を主る。歳星が南斗を経過するは、この一分野の国家に福澤を賜給し・年成の大豊収を主る。歳星が南斗に進入し、もし停留・駐守して十日に満てば、それが所在の分野の国家は応に誅戮の事あるべきを主る。

牛:木犯牽牛,越獻金銀。木居牽牛,三十日至九十日,天下和平,道德明,四夷朝中國。木入牽牛,農人死於野,陰陽不和,五穀多傷。木犯牛,留守之,為有破軍殺將,牛多死。

牛宿。歳星が牽牛宿を侵犯するは、越地が金銀を進献するを主る。歳星が牽牛宿に居留し、三十日より九十日に至るは、天下が和平し・道徳が昌明し・四方の夷狄が中原を朝拜するを主る。歳星が牽牛宿に進入するは、農人が田野に死し・陰陽が調和せず・五穀が多く損傷を受くるを主る。歳星が牛宿を侵犯して停留・駐守するは、軍隊の潰敗・将領の殺され・牛もまた大量に死亡するを主る。

女:木入須女,有進美女者,大人慶,若宜女喜,立后,拜太子,期四十日,若九十日,宮人有受賜者。木守須女逆行,其君廢農桑。木守須女,米一斗三百,民有自責者,多火災。木逆行留守,凌犯須女,天子及大臣有疾,必有苛政,布帛貴賤不時。

女宿。歳星が須女宿に進入するは、人の美女を進献するあり・貴人に喜慶あり・あるいは女を生んで喜事を得るに宜しく、皇后を冊立し・太子を拝立するを主り、応期四十日あるいは九十日、宮中の人に賞賜を受くるあり。歳星が須女宿を駐守して逆行するは、あの位の国君が農桑の政を荒廃するを主る。歳星が須女宿を駐守するは、米価が一斗三百銭に漲り・百姓の中に自ら責め自ら罰する人あり・かつ多く火災を発するを主る。歳星が逆行・停留・駐守・欺凌・侵犯して須女宿に在るは、天子と大臣とに病あり・必定に苛刻の政令あり・布帛の価格が忽ち貴し忽ち賤し・漲落に常なきを主る。

虛:木入虛,天下大虛。木經虛,齊國多憂。木守虛,七日已上,盡三十日,王者起宗廟,修陵冢,有白衣之會,不出九十日。木入守虛,留守之。二十日不下,有立諸侯;六十日不下,國有死將;百日不下,改年號,大臣戮死,期二年。木犯虛而守之,王者以凶改服,有白衣之會,不出六十日,天下大飢,人民流千里,君臣離散。

虚宿。歳星が虚宿に進入するは、天下の空虚・匱乏を主る。歳星が虚宿を経過するは、斉地に多く憂患あるを主る。歳星が虚宿を駐守して七日以上・直到三十日に至るは、君王が宗廟を興建し・陵墓を修治し・喪事の集会あらんを主り、九十日を出でずして応験す。歳星が虚宿に進入して駐守し停留して去らざる——二十日に離開せざれば諸侯を冊立するを主り、六十日に離開せざれば国中に将領の死亡するを主り、一百日に離開せざれば年号を改換し・大臣が殺され・応期二年を主る。歳星が虚宿を侵犯して駐守するは、君王が凶喪に因りて服色を改換し・喪事の集会あらんを主り、六十日を出でずして応験す。また天下の大飢荒・百姓の流亡千里・君臣の离散を主る。

危:木舍危南,雨血膏王室。木守危,三十日若二十日,諸侯天子更宮室,民多土功,有哭泣之事。又為多盜賊,民相惡之。

危宿。歳星が危宿の南に停舍するは、天の血雨を降らし・王室を沾汚するを主る。歳星が危宿を駐守して三十日あるいは二十日に満つるは、諸侯と天子とが宮室を改建し・百姓が多く土木の役を服し・哭泣して喪を辦する事あらんを主る。また盗賊の衆多・百姓が彼此憎悪するを主る。

室:木犯營室。犯陽,為陽有急;犯陰,為陰有急。木入營室而人主有賞賜之事,天下當有受賜爵祿者。木處營室東壁,赦,其去陽之陰,天下喜,牢獄虛。木守營室,民疾病,有德者得地,歸與民爵。

室宿。歳星が営室宿を侵犯す。それの陽位を侵犯するは、陽に属する一方に急難あるを主る。それの陰位を侵犯するは、陰に属する一方に急難あるを主る。歳星が営室宿に進入するは、君主に賞賜の事あり・天下に人の爵位・俸禄を受賜するあらんを主る。歳星が営室宿と東壁宿との間に処るは、赦令あるを主る。それがもし陽位を離れて陰位に転入せば、天下の歓喜・牢獄の空虚を主る。歳星が営室宿を駐守するは、百姓に多病・徳ある人が封地を得・君主が還た百姓に爵を賜うを主る。

壁:木居東壁,五穀以水傷。木守壁,天下大赦。王者有堯舜之治,四海同心。木犯壁,天下兵起,一曰狄兵起。

壁宿。歳星が東壁宿に居留するは、五穀が水災に因りて損傷を受くるを主る。歳星が壁宿を駐守するは、天下の大赦・君王が能く堯・舜のごとき治世を得・四海の内が同心に帰附するを主る。歳星が壁宿を侵犯するは、天下の兵事の興起を主る。另一説は北狄の兵事の興起を主る。

奎:木入奎,其年五穀以蟲為害。居其南,糴賤,牛馬繒帛皆賤。居其西,糴物貴,人不安。木處奎中,小赦。木守奎,北狄來降。木逆行入奎而守之,其君好攻戰,兵甲不息,人民流亡,不安其居。

奎宿。歳星が奎宿に進入するは、当年五穀が虫害を遭受するを主る。歳星が奎宿の南に居るは、糧価の便宜にして・牛馬と繒帛と皆便宜なるを主る。奎宿の西に居るは、糧食の物価が昂貴にして・人心安ならざるを主る。歳星が奎宿の中に処るは、小赦あるを主る。歳星が奎宿を駐守するは、北狄の前来して帰降するを主る。歳星が逆行して奎宿に進入して駐守するは、あの位の国君が攻戦を喜好し・兵甲が休息を得ず・百姓が流散・逃亡して安居する能わざるを主る。

婁:木入婁,國有聚,人主喪,期一年。木守婁,王者承天位,天下安寧,有慶賀,有兵罷。木逆行守婁,其君牢吏斷獄不用,不以時,民多怨訟,若有赦令。

婁宿。歳星が婁宿に進入するは、国中に聚斂・屯積の事あり・君主に喪あり・応期一年を主る。歳星が婁宿を駐守するは、君王が天命の位を承受し・天下が安寧し・慶賀に値する事あり・兵事が罷息を得るを主る。歳星が逆行して婁宿を駐守するは、あの位の国君の手下の獄吏が案を断ずるに職に称せず・審理が時に及ばず・百姓に多く怨恨と訟争とあり・あるいは赦令の頒下あらんを主る。

胃:木犯胃,為天下五穀無實以為災。木經胃、昴、畢,趙水澇,魚行人道。木守胃,國以無義失幣,有水旱事。木守胃,王者順天德,中畿國昌。

胃宿。歳星が胃宿を侵犯するは、天下の五穀が結実せずして災を成すを主る。歳星が胃宿・昴宿・畢宿を経過するは、趙地が水澇し・魚が游行して人の走る道路上に在るを主る。歳星が胃宿を駐守するは、国家が道義を失去して財貨を喪失し・かつ水旱の事あるを主る。歳星が胃宿を駐守するは、もまた君王が上天の徳に順応し・京畿の国の昌盛を主る。

昴:木乘昴,若出北者,為陰國有憂,若胡主死。木守昴東,糴大貴,三月後守北,其歲有德令。木守昴,王者有德令。昴者,天之內室,歲星近之,下獄之臣有解者,不出四十日。木守昴畢,東行至天高,復反至五車,為邊兵。一曰為赦令。木守昴,入守天獄,天下獄虛。木乘守昴,若出北者,為陰國有憂,胡王死。(土水同占。)

昴宿。歳星が昴宿を圧臨し、あるいは昴宿の北より出づるは、陰に属する国家に憂患あり・あるいは胡人の君主の死亡を主る。歳星が昴宿の東を駐守するは、糧価の大漲を主る。三箇月後に転じて昴宿の北を守るは、当年に恩施の徳令あるを主る。歳星が昴宿を駐守するは、君王が徳令を頒布するを主る。昴宿は上天の内室で、歳星がそれに靠近するは、獄に下る臣子に釈放を獲るあり・四十日を出でざるを主る。歳星が昴宿・畢宿を駐守し、東に行きて天高星に至り、また折返して五車星に至るは、辺境に兵事あるを主る。另一説は赦令あるを主る。歳星が昴宿を駐守し、天獄星に進入して駐守するは、天下の牢獄の空虚を主る。歳星が圧臨・駐守して昴宿に在り、あるいは昴宿の北より出づるは、陰に属する国家に憂患あり・胡人の王の死亡を主る(填星・辰星がこれを犯すは、占法相同じ)。

畢:木犯畢,出其北,陰國有憂;出其南,為陽國有憂。木入畢口中,邊有兵。木出畢陽則旱,出畢陰則水為災,政令不行。木處畢北,其年有赦令,有別離之國,奪地之君。一曰歲水。處畢南,有土功,男子多疾疫,歲旱,晚水;處東,多暴雨,金器刀劍貴。木守畢口,國大赦,王賜夷狄,若有功德令。一曰幣大貴。木犯附耳,兵起。若將相喪憂,不即死退。

畢宿。歳星が畢宿を侵犯し、畢宿の北より出づるは、陰に属する国家に憂患あるを主る。畢宿の南より出づるは、陽に属する国家に憂患あるを主る。歳星が畢宿の「畢口」の中に進入するは、辺境に兵事あるを主る。歳星が畢宿の陽位より出づれば則ち旱を主り、陰位より出づれば則ち水が災害を成し・政令の推行し下らざるを主る。歳星が畢宿の北に処るは、当年に赦令あり・分離・解体する国家あり・土地を奪去せらるる君主ありを主る。另一説は当年に水あり。歳星が畢宿の南に処るは、土木の工程あり・男子に多く疫病を染み・当年乾旱して水の来ること晚きを主る。畢宿の東に処るは、多く暴雨あり・金属の器物と刀剣とが価貴きを主る。歳星が畢口を駐守するは、国中の大赦・君王が夷狄を賞賜し・あるいは功労を奨賞する徳令ありを主る。另一説は銭幣が大いに貴重なり。歳星が附耳星を侵犯するは、兵事の興起し・あるいは将相に喪憂の事あり・縱使死なずとも退位を要するを主る。

觜:木犯觜觽,其國兵起,君誅罰不當。木守觜觽,君臣和同。木犯守觜觽,不出一旬,必有覘候之事,農夫不耕,天子皇后俱憂,期甲辰日。

觜宿。歳星が觜觿宿を侵犯するは、あの一分野の国家の兵事の興起・国君の誅戮・懲罰が失当なるを主る。歳星が觜觿宿を駐守するは、君臣の和睦・同心を主る。歳星が觜觿宿を侵犯して駐守するは、十天を出でずして必定に窺探・偵候の事の発生あり・農夫が耕作する能わず・天子と皇后と皆憂患あり・応期は甲辰日に在るを主る。

參:木犯參,水旱,谷不收。木處參東,若處伐東,東多流人,多暴雨;處參北,若伐北,多沖水。木處參,天下農夫不耕。有赤星出參中,邊有兵起。木入若守伐,天下有兵。

参宿。歳星が参宿を侵犯するは、水旱の災・穀物の収なきを主る。歳星が参宿の東に処り、あるいは伐星の東に処るは、東方に多く流亡の人・多く暴雨あるを主る。参宿の北に処り、あるいは伐星の北に処るは、多く大水の衝決あるを主る。歳星が参宿に処るは、天下の農夫が耕作する能わざるを主る。もし赤色の星が参宿の中に出現せば、辺境に兵事の興起あるを主る。歳星が進入しあるいは伐星を駐守するは、天下に兵あるを主る。

井:木入東井,主秦國,留守之,以仁致天下。木犯東井,人主有行仇水之事,大將惡之,其國內亂,有兵起。木犯井鉞,刑罰用,兵起。木乘守東井,人主有法令水術之事,逆臣為亂,將軍死,人君有憂。

井宿。歳星が東井宿に進入す——この一宿は秦地を主管す。歳星がここに停留・駐守するは、秦地が能く仁徳をもって天下を取得するを主る。歳星が東井宿を侵犯するは、君主に報仇および治水の事あり・大将がこの象を厭悪し・あの一国に将に内乱あり・兵事の興起あらんを主る。歳星が井宿の旁の鉞星を侵犯するは、刑罰の動用・兵事の興起を主る。歳星が東井宿を圧臨して駐守するは、君主に法令と水利との方面の挙措あり・叛臣が作乱し・将軍が死亡し・君主に憂ありを主る。

鬼:木犯鬼鑕,人君有憂,斧鑕用,大臣誅。木入鬼,留十日已上,令散於諸侯,期六十日,若十月。木逆行抵輿鬼中央者,其君主之。木守鬼,為大人有祭禮之事。木守鬼,出於左右,貴親坐之。木守輿鬼西南,為秦漢有反臣,以赦令解之。木干犯守天尸,國有喪。天尸,鬼中粉白者是。

鬼宿。歳星が鬼宿中の質星(鑕)を侵犯するは、君主に憂あり・斧鑕の刑が動用を要し・大臣が誅せらるるを主る。歳星が鬼宿に進入し、停留して十日以上なるは、政令が散落して諸侯の手に落つるを主り、応期六十日、あるいは十箇月。歳星が逆行して輿鬼宿の正中に抵達するは、あの位の国君が親身にこの事を承当するを要するを主る。歳星が鬼宿を駐守するは、貴人に祭祀の礼の挙行を要するあるを主る。歳星が鬼宿を駐守してその左右より出づるは、尊貴の親属がこれに因りて罪を獲るを主る。歳星が輿鬼宿の西南を駐守するは、秦・漢の地に反叛の臣あり・赦令をもって化解す可きを主る。歳星が天尸星を干犯して駐守するは、国中に喪あるを主る。いわゆる天尸とは、すなわち鬼宿の中のあの一団の粉白色の星気。

柳:木犯柳者,有木功事,若名木見伐者。木經柳,國多義兵。木守柳,貴臣得地,有德令,不出九十日。木逆守柳,為反臣,中外兵起,以德令解之。

柳宿。歳星が柳宿を侵犯するは、木作の工程あり・あるいは名貴の樹木の砍伐せらるるを主る。歳星が柳宿を経過するは、国中に多く義に仗りて起つ軍隊あるを主る。歳星が柳宿を駐守するは、顕貴の臣が封地を獲得し・かつ恩施の徳令あり・九十日を出でざるを主る。歳星が逆行して柳宿を駐守するは、反叛の臣の出現・朝廷の内外に兵事の興起・徳令をもって化解す可きを主る。

星:木入七星,有君置太子者。木留七星,為天下大憂。木守七星,多火災,旱,萬物五穀不成,有兵飢。木入若守七星,盜賊有兵。

星宿。歳星が七星宿に進入するは、国君の太子を冊立せんとするあるを主る。歳星が七星宿に停留するは、天下に大憂患あるを主る。歳星が七星宿を駐守するは、多く火災と旱災とを発し・万物と五穀と皆成熟する能わず・兵禍と飢荒とあるを主る。歳星が進入しあるいは七星宿を駐守するは、盗賊の四起してかつ兵事あるを主る。

張:木入張,旱,多火災,萬物百穀不成。木逆行張,其君用樂淫泆。木處張西,歲大水;東,為大旱。木守張,天子有慶賀事。木守張十日,其歲大豐,五穀成;三十日不下,天下安寧;守之留百日,其主昇平,君臣同心。木逆行守張,人民疾疫,多心腹病。木犯張,若守之,王者政事,若有千里之行。

張宿。歳星が張宿に進入するは、乾旱・多く火災・万物と百穀と皆成熟する能わざるを主る。歳星が張宿に逆行するは、あの位の国君が声楽に耽り・淫佚・放縦するを主る。歳星が張宿の西に処るは、当年に大水あるを主る。張宿の東に処るは、大旱を主る。歳星が張宿を駐守するは、天子に慶賀に値する事あるを主る。歳星が張宿を駐守して十日に満つるは、当年の大豊収・五穀の成熟を主る。三十日に離開せざれば天下の安寧を主る。駐守・停留して一百日に満つるは、あの位の君主の治世・升平・君臣の同心を主る。歳星が逆行して張宿を駐守するは、百姓が疫病に遭い・多く心腹の疾を患うを主る。歳星が張宿を侵犯し、あるいは張宿を駐守するは、君王に政事の辦するを要するあり・あるいは千里の遠行あるを主る。

翼:木入翼,人多死流亡,五穀傷於風,期一歲中。木出入留舍翼,荊楚有急,歲多大蟲,六十日不下,小人失功。木守翼,王者應天,又方術之士大用,翼輔正政,天下符瑞,不出九十日。木守翼,主聖,天下和,五穀登,人民樂,禮義興。

翼宿。歳星が翼宿に進入するは、人の多く死亡・流散し・五穀が風に損傷せられ・応期は一年の内に在るを主る。歳星が翼宿に出入して停留・停舍するは、荊楚の地に急難あり・当年に多く大虫の為害するありを主る。六十日に離開せざれば小民の生業を失うを主る。歳星が翼宿を駐守するは、君王が能く天意に応合し・方術の士もまた大いに任用せられ・朝政を輔翼・匡正し・天下に符命・祥瑞の出現あり・九十日を出でざるを主る。歳星が翼宿を駐守するは、もまた君主の聖明・天下の和洽・五穀の豊登・百姓の安楽・礼義の興盛を主る。

軫:木入軫中,伺其出日而數之。期二十日,皆為兵發,伺始入處數之,率一日,期十日,軍罷。(二十八宿中外官,同有此占。)木逆行至軫,及守之,其國有喪,人君改服,天下更主之令,期二年,王者以赦除害。一曰所舍七日不移,有殺君者。

軫宿。歳星が軫宿の中に進入するは、それが出で来るあの日を守候してかつ計数するを要す——応期二十日、一律に兵事の発動を主る。再びそれが当初進入の位置を守候して計数すれば、大約一日——応期十日の内に軍隊が解散す(二十八宿および中官・外官は、皆同じくこの一条の占辞を有す)。歳星が逆行して軫宿に至り、および軫宿を駐守するは、あの一分野の国家に喪あり・君主が服色を改換し・天下に君主を更換する詔令あらんを主り、応期二年、君王は大赦を用いて災害を消除するを要す。另一説は、歳星の停舍する処が七日に移動せざれば、就ち国君を弑殺する人あらんとす。

木逆行至軫,及守之,其國有喪人君者。木在軫,王者憂疾病,若有喪,不出九十日,改服,王者修宗廟,赦三萬里內,災消。木處軫東,糴貴。木處軫西,有女喪,若有水。木守軫南,六畜及車貴。木守軫北,為多疾病。

歳星が逆行して軫宿に至り、および軫宿を駐守するは、あの一分野の国家に国君の喪あるを主る。歳星が軫宿に在るは、君王が疾病を憂い・あるいは喪事あり・九十日を出でずして服色を改換するを要するを主る。君王は応に宗廟を修治し・三万里以内を大赦して、災禍ようやく消除し得べし。歳星が軫宿の東に処るは、糧価の昂貴を主る。歳星が軫宿の西に処るは、女子の喪あり・あるいは水災あるを主る。歳星が軫宿の南を駐守するは、六畜と車輌とが価貴きを主る。歳星が軫宿の北を駐守するは、多く疾病あるを主る。

歳星干犯中外官占第二十七

木入五車,兵大起,五穀大成。木入建星,諸侯有謀入關者,期六十日,若百五十日。木守天關,有兵起,期三年。木行南河戒中,為四方兵起,百姓疾病。木乘南河戒中,出南河,為中關兵起。歲星乘北河戒中,若出北河,戒北為胡王死。

歳星が五車星に進入するは、兵事の大起にして・而して五穀の大熟を主る。歳星が建星に進入するは、諸侯の中に入関を図謀する人あり・応期六十日、あるいは一百五十日を主る。歳星が天関星を駐守するは、兵事の興起あり・応期三年を主る。歳星が南河戒の中を経行するは、四方の兵事の興起・百姓の多病を主る。歳星が南河戒の中を圧臨してまた南河より穿出するは、関中一帯の兵事の興起を主る。歳星が北河戒の中を圧臨し、あるいは北河より穿出し・北河戒の北に出づるは、胡人の王の死亡を主る。

木在軒轅中,有女子反謀君者。木行犯守軒轅,女主失勢。一曰大臣當之。若有黜者,期二年。木中犯乘守軒轅太民星,大飢,大流皇太后宗。木乘犯守軒轅少民星,小飢,小流皇后宗,有誅者,若有罪戮。

歳星が軒轅星座の中に在るは、女子の反って君主を図謀するあるを主る。歳星が経行・侵犯して軒轅を駐守するは、女主の権勢を失去するを主る。另一説は大臣によりこの禍を承当せしむ。もし人の貶黜せらるるあれば、応期二年。歳星が当中を衝犯・圧臨して軒轅の太民星を駐守するは、大飢荒・皇太后一族の大批に流散するを主る。歳星が圧臨・侵犯して軒轅の少民星を駐守するは、小飢荒・皇后一族の小規模に流散し・其中に誅殺せらるる人あり・あるいは人の罪に因りて戮せらるるありを主る。

木入少微,君當有求賢佐;不求賢佐,則失威奪勢。木犯守少微,名士有憂卒,王者任用小人,忠臣被害有死者。

歳星が「少微」星区に進入するは、君主は応に賢能の士を訪求して自己を輔佐せしむべし。もし賢を求めに往かざれば、就ち威権の旁落し・権勢の人に奪わるるあらん。少微四星は太微垣の西南に在り、処士・議士の類の隠居して在野の賢才を主管す。歳星が少微に迫近して滞留すれば、名士に将に憂患乃至死亡あらん・君王は小人を任用し・忠臣は迫害を遭い・其中に還た害せられて死するに至るあらん。

木逆來犯帝座,其色白者,有赦。歲星守黃帝座,大人憂。歲星犯平星,凶。木守平星,執政臣憂,若有罪誅者,期一年。木守入羽林,諸侯悉發兵,強臣謀主,王者有憂,期三年。

歳星が逆行して来りて「帝座」星を侵犯すれば、もし星色が白を発せば、将に大赦あらん。歳星が太微垣中の「黄帝座」に滞留・守候すれば、則ち天子のこの一等の大人物に憂患あり。歳星が「平星」に迫近するは、凶を主る。平星二星は氐宿の南に在り、刑罰の公平なりや否やを掌管す。歳星が滞留・守候して平星に在るは、権を当て政を執る大臣に憂患あり・あるいは罪を獲て誅殺せらるる人あり・応期は一年の内に在るを主る。歳星が滞留して「羽林」星区に進入する(羽林四十五星は営室の南に在り、天子の禁衛軍を象徴す)は、諸侯が全て兵を発し・強横の臣が君主を図謀し・君王に憂患あり・応期は三年の内に在るを主る。

乙巳占・巻第五

熒惑占第二十八

熒惑,一名罰星。南方火德,朱雀之精,赤熛怒之使也。其性禮,其事視察,其時夏,其日丙丁,其辰巳午,其音徵,其數七,其帝炎帝,其神祝融,其蟲羽,其味苦,其臭焦,其卦離。主視明罰禍福之所在,熒惑伺察而行殃罰。《易》曰:相見乎離。又曰:重明以麗,大人以繼明照乎四方。主逆,共主災旱,主察獄,主死喪,為禮,以為理官,敕舉糾察,以明姦凶所在,而垂示應變。為人君,常以夏時修熒惑之政,則君正臣忠,父慈子孝,咸得其理,不失禮節矣。

火星はまた「罰星」と名づく。それは南方火徳に属し、朱雀の精気で、南方天帝「赤熛怒」の使者なり。それの対応する徳性は「礼」、対応する政事は「視察」、季節は夏に属し、天干は丙丁に属し、地支は巳午に属し、五音は徴に属し、成数は七、配する古帝は炎帝、配する神は祝融、配する物類は羽虫、滋味は苦、気味は焦、卦象は離卦なり。それは明察・賞罰および禍福の所在を掌管し、天上に在りて人間を伺察し、これに拠って災殃と刑罰とを施行す。《周易・説卦》にいう。「相見る乎離」と。《周易・離卦》またいう。「重明以て正に麗れ……大人は継明を以て四方に照す」と。火星は悖逆の事を掌管し、兼ねて旱災を管し、刑獄の審察を掌管し、死喪を掌管す。五常の中に「礼」に配し、官職上は刑法を掌る「理官」に相当し、挙発・糾察を負責し、奸邪・凶悪をして藏身する所なからしめ、かつ天象をもって徴兆を垂示し、人をして及早く変に応ぜしむ。君主たる者は、もし能く常に夏季に火星に相応する政令を修明せば、那么君正しく臣忠く・父慈かに子孝かに、人人各々その理を得、礼節を失うあらざらん。

熒惑之政者,人君命大臣,三公贊傑俊,遂賢良,舉長大,行爵出祿,必當其位;斷薄刑,決小罪,出輕繫,寬重囚,益其食,祈祀山川,雩請谷實,則熒惑順軌而無變異。其國有禮,咸得其宜,炎氣長物,以成百實。

いわゆる火星に相応する政令とは、君主が大臣・三公に命じて杰出・俊異の才を推挙せしめ、賢良を進用し、器量の宏大なる人を選抜し、爵を頒き禄を授くるに必ずその才位と相称せしめ、軽刑を判決し・小罪を了結し・軽罪の囚徒を釈放し・重刑の犯人を寛待し・彼らの口糧を増加し、山川を祭祀し、「雩祭」を挙行して穀物の結実を祈求するを指す。このようになれば火星は就ち常軌に循って運行し、変異を出現せず。国家に礼あり・事事に宜を得、炎熱の気が万物を長養し、百穀の果実を成就す。

若人君興土功,合諸侯,起兵動眾,舉大事以搖養氣,壞隳我眾,伐大樹,失農時,燒燔布暴,芟刈草木,用火於南方,則熒惑怒而芒角變常,行度錯逆。大臣反,國相誅,人君憂。天殃罰之,民不昌,谷不成,萬物不長,兵旱災火併起。

もし君主が夏季に土木を大興し・諸侯を会合し・兵を起し衆を動かし・大事を挙辦して長養の気を揺動し・自己の民衆を損傷し・大樹を砍伐し・農時を耽誤し・焚焼・曝曬し・草木を芟割し、また南方に在りて火を用いれば、那么火星は就ち震怒し・光芒が四射し・形態が常を失い・運行の度数が錯乱・逆行す。ここにおいて大臣が反叛し・国相が誅せられ・君主に憂あり。上天が災殃を降下して懲罰し、百姓は昌盛する能わず・穀物は成熟する能わず・万物は生長する能わず・兵禍・旱災・火災が一斉に発生す。

人君以夏行秋令,則太白之氣干之,色白而昧,若雨數至,水澇,五穀不滋,四鄙入堡,草林零落,果實早成,民多疾疫,孕女多災,有大喪。以夏行春令,則歲星之氣干之,色青而變,人君有憂,蝗蟲為災,暴氣未格,秀草不實,五穀晚熟,百螣時起,其國乃飢,谷實鮮落,民乃遷移。以夏行冬令,則辰星之氣干之,色黑而怒,年兵起,有患死喪,草木枯落,後乃大水敗其城郭,雹凍傷谷,道路阻塞,暴兵來至。

君主が夏季に秋に属する政令を推行すれば、金星の気が就来て火星を干犯し、火星は色白くして晦暗す。ここにおいて陰雨が屢々降り・水澇を発生し・五穀が滋長する能わず・四方の辺邑の百姓が堡壘に退入して躲避し・草木が凋零し・果実が過早に成熟し・百姓に多く疫病を生じ・妊婦に多く災殃あり・還た大喪あらん。夏季に春に属する政令を推行すれば、木星の気が就来て干犯し、火星は色青くして変異す。君主に憂患あり・蝗虫が災を成し・暴戾の気が消解する能わず・穂を抽く草が結実せず・五穀が晚熟し・各種の螟螣の虫が時々興起し・国中はここにおいて飢荒し・穀粒は稀落し・百姓は迁徙を迫られる。夏季に冬に属する政令を推行すれば、水星の気が就来て干犯し、火星は色黒くして怒張す。この一年兵禍が興起し・禍患と死喪とあり・草木が枯落し、随後大水が城郭を衝壊し・冰雹・霜凍が穀物を損傷し・道路が阻塞し・凶暴の敵兵が到来す。

人君失時令,則熒惑錯亂逆行。乘凌守犯,芒角動搖,句巳環繞,無所不為。或下化為人,童子妖言並作,惑亂人民,人君憂之,宜修德以謝其災。

君主が時令に違失すれば、火星は就ち錯乱・逆行す。あるいはその上に凌駕して「乘」し、あるいは迫近・相逼して「凌」し、あるいは滞留して去らずして「守」し、あるいは接近・侵擾して「犯」し、鋒芒が閃爍・揺動し、「句巳」のごとき弯曲・回環の軌跡を走出し、どんな反常の事も皆做り出し得べし。時にそれは還た地上に降りて人形に化し、児童の口中の妖異の謡言が一斉に興起し、百姓を迷惑・扰乱す。君主はこのために憂懼すべく、宜しく徳行を修養してもってこの場の災殃を謝除すべし。

熒惑,火星也。火性炎上,而為禮察觀政焉。人君視正,明察教令,決斷清審,則分別賢愚,政理明哲,以應天心,則熒惑明而小,光而不怒,炎暑之氣,長養萬物,百殃息矣。人君若佚豫驕怠,獄訟不止,賢人在野,小人在位,視聽不明,賢愚莫辨,則熒惑大而明,怒而芒角,以告罰焉,則災旱疾疫,非時失宜,反罰俱作矣。是故熒惑所在,伺察人君,國分主者得失,以罰之也。其示罰,災旱凶禍並至,怒動芒角,為大兵起,盜賊不止,國將死亡。

熒惑は、すなわち五行に火に属する星。火性は炎上す、ゆえにそれは「礼」をもって人間の政事を察看す。君主の視聴が端正・教令が明察・決断が清明・審慎にして、能く賢愚を分辨し・政理が通達し・上は天心に応ずれば、那么火星は就ち明亮にして形小に・光有りて怒張せず・炎暑の気が万物を長養し・各種の災殃が平息す。君主がもし安逸・驕惰にして・獄訟が不断・賢人が流落して野に在り・小人が高位を窃拠し・視聴が明ならず・賢愚を辨せざれば、那么火星は就ち形大にして光亮く・怒張して芒角が四射し、用いて懲罰を宣告す。ここにおいて旱災・疫病が発生し・節令が宜を失い・各種の反常と責罰とが一斉に降臨す。ゆえに火星の所在する位置は、正にそれが君主を伺察し・当該の分野の国および当政者の得失を察看し・これに拠って罰を施す所の地。それが懲罰を顕示する時、旱災・凶禍が一斉に到来し・怒気が発動し・芒角が閃耀すれば、就ち大規模の興兵・盗賊の止まず・国家の将に滅亡せんとするを主る。

熒惑小而赤,主兵罷,行成句巳,戰,凶,國有軍。火始出色赤而芒角,軍在必戰,無兵兵起,隨芒所指,破軍殺將之象也。

火星の形体が小にして色赤なるは、兵事の停罷を主る。もしそれが運行して「句巳」形の回環の軌跡を成せば、則ち交戦を主り、凶兆と為り、国中に軍事あり。火星が剛に出現する時に色赤にして芒角あらば、已に軍を駐するは必定に開戦し・本来兵事なきもまた兵事を興起せん。芒角の指す方向に順えば、正に軍を破り将を殺すの徴象なり。

火芒角,火盛大動搖者,利為客攻聲有威。火不動,兵戰凶,有誅將。火留三日已上,大將死;留五日,軍敗亡地,留十日,君死國亡之象也。

火星の芒角が顕露し・光焰が盛大にして揺動するは、「客」(主動して出撃する一方)を為して進攻するに利あり、声威は赫赫たり。火星が凝定して動かざるは、交戦して凶を主り、将領の誅せらるるあらん。火星が滞留して三天以上なれば、大将死す。滞留して五天なれば、軍隊が敗績し・土地を喪失す。滞留して十天なれば、すなわち君死し国亡ぶの徴象なり。

火去復逆行其宿,有破軍死將,亡國死王者。火所留逆之國,起兵戰鬥,殺將亂軍,亡國破家,父子相去,至於流血,謂順度所留也,其越度留者益甚。

火星が已に某一宿を離開し、また逆行して当該の宿に返回するは、軍を破り将を死せしめ・国を亡ぼし王を死せしむる事あるを主る。火星が滞留・逆行して対応する分野の国家は、兵を起して交戦し・将を殺し軍を乱し・国破れ家亡び・父子が离散し、流血に至るまでせん。これは還たただ正常の度数に依って運行して滞留する情形を説くのみ。もし正常の度数を超越して滞留せば、災禍は更加厳重なり。

火所乘凌守犯宿,其國必當死亡。凡用兵戰者,宜背熒惑。如熒惑行在鶉火之次,宜背午以戰,及以月將加時。背勝光而戰,大勝。

火星が凌駕・逼迫・滞留・侵犯して某宿に在るは、当該の宿の分野の国に必ず死亡の禍あらん。およそ兵を用い作戦するは、皆応に火星に背を向くべし。譬如火星が「鶉火」のこの一星次に運行せば(鶉火は午位に対応す)、就ち応に午方に背いて作戦すべし。再び式法中の「月将加時」の推算を用い、「勝光」(午位の月将名)に背いて戦えば、大勝を獲る可し。

火犯木土,為大戰;太白傅之,亡偏將;熒惑環太白,偏將死;與太白相逆而斗,破軍殺將;熒惑入太白中上出,破軍殺將,客勝。金火相犯大戰,金在南,南邦敗,在北,北國敗。所斗之野,破軍殺將。火所在,不利先起。

火星が木星・土星に迫近するは、大規模の交戦を主る。金星がそれの旁辺に附着するは、偏将の損失を主る。火星が金星を環繞するは、偏将の戦死を主る。火星と金星とが相向して争闘するは、軍を破り将を殺すを主る。火星が金星の光芒の中に進入して上方より穿出するは、もまた軍を破り将を殺すを主り、出撃する一方が取勝す。金・火二星が互いに侵犯するは大戦を主る。金星が南に在れば南方の国敗れ、金星が北に在れば北方の国敗る。二星の相斗うに対応する分野は、軍を破り将を殺すの禍あらん。火星の所在する方位は、先んじて戦事を発動するに利あらず。

火所行之處留守之,皆為大禍,君死國亡。若其君修德,則不為咎而加福矣。(猶宋景公熒惑守心,景公出三善言,熒惑退三舍,而延二十一年矣。是故人君視熒惑之所在,而修德以禳之矣。)

火星が運行して至る所の処に滞留・守候するは、皆大禍にして、君死し国亡ぶを主る。但しもし当該の分野の君主が能く徳行を修養せば、不但に災咎と成らざるのみならず、反って福祉を增添す。(譬えば春秋時宋景公が火星の心宿に滞留するに遇上り、景公が三句の仁徳の言を説出すれば、火星は便ち三舎を退避し、景公はこれに因りて二十一年を延寿したがごとし。ゆえに君主は応に火星の所在を察看し、修徳してもって災禍を禳除すべし。)

月與火相犯,貴人死。凡火行復跡,名曰燒跡。大凶旱飢,兵敗國亡。

月と火星とが相犯するは、貴人の死亡を主る。およそ火星が運行した後にまた原路に循って返回し・旧跡を重踏するを、「焼跡」と呼び、大凶を主り・旱災・飢荒・兵敗れ国亡ぶを主る。

熒惑平見,入冬至初日,減二十五日,後六日減五日去二十五日。餘者以冬至後平見日畢,於小寒入大寒,三日加兩日,於平見日畢驚蟄初日。畢於穀雨,均加二十九日。自入立夏初日,加二十九日,後三日減一日,計日減去二十九日。餘者以加平見日,畢於大暑日,入立秋依平。自入處暑日,四減一日,畢於立冬日,入小雪日,畢於大雪日,均減二十五日,初見去五日十七度,行星法在歲星占內。熒惑見在冬至初日,率百四十一日行一度,一百六十七度在也。

火星の「平見」(平均行度に按って推得る初見の日)を推求す。冬至初日に交するは、二十五日を減じ、此の後六日毎に五日を減じ、直到この二十五日を減じ尽すまで、余る所の日数を冬至以後の平見日に加う。小寒より大寒に至り、三日毎に両日を加え、平見日に加え、直到驚蟄初日に至るまで。穀雨に至るまで、一律に二十九日を加う。立夏初日より、二十九日を加え、此の後三日毎に一日を減じ、累計してこの二十九日を減じ完し、余る所の数を仍ほ平見日に加え、直到大暑日に至るまで。立秋に交すれば則ち平見の数に依り、加えず減ぜず。處暑日より、四日毎に一日を減じ、立冬日に至るまで。小雪日より大雪日に至り、一律に二十五日を減ず。初めて火星を見る時、それは太陽に距ること約五日・十七度。行星の位置を推算する方法は、前面の《歳星占》篇の中に見ゆ。火星が冬至初日に出現するは、大約一百四十一日に一度を行き、共計一百六十七度。

熒惑入列宿占第二十九

角:熒惑犯左右角,大人憂。一曰有兵,大臣為亂。火入左角,有大赦;入右角,兵起。火守左角,左將憂;入右角,右將憂。火守天門,主絕嗣。火成句巳環繞角,有芒如鋒刃,天子失位。

角宿。角宿二星は蒼龍の角で、分野は鄭に属し・兗州に対応し、左角は理を主り刑を主り、右角は将を主り兵を主る。火星が左右両角星に迫近するは、君王の一類の大人に憂患あるを主る。另一説は兵事あり・大臣が作乱するを主る。火星が左角星区に進入するは、大赦あらん。右角星区に進入するは、兵事の興起。火星が左角に滞留するは、左将に憂あり。右角に進入するは、右将に憂あり。両角の間は「天門」で、火星が天門に滞留するは、帝王が子嗣を断絶するを主る。火星が「句巳」形の弯曲の軌跡を走成して角宿を環繞し、光芒が鋭利にして刀鋒のごときは、天子が帝位を失去するを主る。

亢:熒惑入亢,有芒角犯凌之,當有白衣之會。火入亢天子庭,有兵水災。火守亢,成句巳,而環繞之三十日,天子自將兵,國易政。火逆行守亢,為中兵。火犯亢者,臣亂,多疾疫。

亢宿。火星が亢宿に進入し、また芒角を顕露し・迫近・凌逼して亢星に及べば、当に白衣を身著する喪事の聚会あるべし。亢宿四星は天子の政を聴く外朝の庭で、火星が亢に入るは、兵禍と水災とあるを主る。火星が亢宿に滞留し、「句巳」形を走成してそれを環繞して三十日に満つるは、天子が親身に兵を領して出征し・国家が政令を更改するを主る。火星が逆行して亢宿に滞留するは、京畿の内に起兵するを主る。火星が亢宿に迫近するは、臣下の作乱・疫病の流行を主る。

氐:熒惑入氐,(一名天子宮也。)天子失其宮。火入氐,留守二十日不下,當有賊臣在內下反者;三十日不下,其國兵起,人主當之。凡氐為天子宮,罰星入之,宮中不祥之應,所守之國其君死。火逆行氐,失地。一曰多火災。火守氐成句巳者,大人憂,天子惡之。一云:赦,期六月。火逆行入氐,大臣謀反,以其事成。

氐宿。火星が氐宿に進入する(氐宿はまた「天子の宮」と呼ぶ)は、天子が宮室を失掉するを主る。火星が氐に入り、滞留・守候して二十日に仍ほ離去せざれば、当に奸臣の宮禁の内に在りて謀反するあるべし。三十日に去らざれば、当該の国に兵起り・君主本人がこの場の災禍を承当するを要す。大凡氐宿は天子の寝宮で、罰星火星がその中に進入するは、すなわち宮中の不祥の応験で、それの滞留する分野の国は、国君は当に死すべし。火星が氐宿に逆行するは、土地の喪失を主る。另一説は多く火災を主る。火星が氐宿に滞留して「句巳」形を走成するは、大人に憂あり・天子がこの象を厭悪するを主る。又一説は大赦を主り、応期六箇月。火星が逆行して氐宿に進入するは、大臣の謀反し・しかして事情が成り做されるあらんを主る。

房:熒惑星干犯凌房,國君有憂,色青憂喪,赤憂兵,積尸成山,黑有將相誅,白芒角火災。(金同占。)房四星,股肱將相位也,五星犯之,將相有憂。火入房三道,天子有子。火入房,馬貴;出房,馬賤。火行房南,旱,若守之,為喪;行房北為水,若守之,為兵。火出中道留也,天子有喪,期三月、四月,天下大赦。火犯房鉤鈐,王者憂。(金同。)火逆行至鉤鈐,王者憂。火逆行至鉤鈐,天子侍臣俱亡。

房宿。火星が干犯・凌逼して房宿に及ぶは、国君に憂患あるを主る——火星が色青なれば則ち喪事を憂い、色赤なれば則ち兵禍・尸の山のごとく積むを憂い、色黒なれば則ち将相の誅せらるるあり、色白にして芒角あらば則ち火災あり(金星が房を犯すは占法相同じ)。房宿四星は、君主を輔弼する将相の位で、五星がそれを侵犯するは、将相に憂あり。房宿四星の間は上・中・下の三条の「道」に分かれ、火星が房宿の三道に進入するは、天子が子を添うるを主る。火星が房に入れば馬価が上漲し、房を出づれば馬価が下跌す。火星が房宿の南を経行するは、旱を主る。もし南辺に滞留せば、喪事を主る。房宿の北を経行するは、水災を主る。もし北辺に滞留せば、兵事を主る。火星が中道より穿出して滞留するは、天子に喪あり・応期三・四箇月・随後天下の大赦を主る。火星が房宿の旁の鉤鈐星に迫近するは、君王に憂あるを主る(金星同じ)。火星が逆行して鉤鈐に至るは、君王に憂あるを主る。火星が逆行して鉤鈐に至るは、天子の侍従の近臣が一併に死亡するを主る。

心:熒惑犯心,戰不勝,外國大將鬥死。一曰主亡。火犯心,天子王者絕嗣。火犯太子,太子不利;犯庶子,庶子不利。(土同占。)火舍心,大人振旅,天下兵;若色不明,有喪。(金同占。)火守心,大人易政,主去其宮。火逆行而西守心二十日,大臣為亂。火逆行守心,泣哭吟吟,王命惡之,國有大喪,易政。火守心,哭聲吟吟。(金水同。《漢書天文志》:高祖十二年春,熒惑守心,宮車晏駕。)

心宿。心宿三星は蒼龍の心で、分野は宋に属し・豫州に対応す。中間の大星は天王、前一星は太子、後一星は庶子。火星が心宿に迫近するは、作戦して取勝する能わず・敵国の大将が戦死するを主る。另一説は君主の死亡を主る。火星が心宿を犯すは、天子・帝王が子嗣を断絶するを主る。火星が太子星を犯すは、太子に利あらず。庶子星を犯すは、庶子に利あらず(土星の占法相同じ)。火星が心宿に止宿するは、君王が軍を整え師を班し・天下に兵事あるを主る。もし火星の光色が明ならざれば、喪事あるを主る(金星の占法相同じ)。火星が心宿に滞留するは、君王が政令を更改し・自己の宮室を離開するを主る。火星が西に向かい逆行して心宿に滞留して二十日なるは、大臣の作乱を主る。火星が逆行して心宿に滞留するは、哭泣の声が絶えず・君王の政令が上天に厭棄せられ・国に大喪あり・政令が更易するを主る。火星が心宿に滞留するは、哭声が嗚咽して止まざるを主る(金星・水星の占法相同じ。《漢書・天文志》の記載にいう。漢高祖十二年春、火星が心宿に滞留し、ほどなく高祖は便ち駕崩したりと)。

尾:熒惑在尾,與辰星相近,天下牢開,大赦。火留尾箕,臣下淫亂。火守尾,歲多妖祥,皇后恐。又曰:人民為變,國易政,兵始動,人君有憂,大臣作亂者,若從大將家起。(五星同占。)火犯守尾,妾為夫人,女主后妃惡之。(土同。)火守天江,赤地千里,人民流亡。

尾宿。尾宿九星は蒼龍の尾で、また後宮の嬪妃の位で、分野は燕に属し・幽州に対応す。火星が尾宿に在りて水星と相靠近するは、天下が牢獄を開放し・大赦を実行するを主る。火星が尾宿・箕宿の間に滞留するは、臣下の淫乱を主る。火星が尾宿に滞留するは、この一年に多く妖異の兆あり・皇后が恐懼するを主る。又一説は、百姓が変乱し・国家が政令を更改し・兵事が発動を始め・君主に憂患あり・大臣の中に作乱するあり・多半は大将の家より発起す(五星の占法相同じ)。火星が迫近して尾宿に滞留するは、妾室が夫人に升るを主り、女主・后妃がこの象を厭悪す(土星同じ)。火星が尾宿附近の天江星に滞留するは、赤地千里・百姓の流亡を主る。

箕:熒惑入箕,谷大貴,天下大旱、飢、死。火出天梁,守箕,大赦。火守箕,燕主有疾。一曰憂內變。火守箕,人主惡之。火入箕中,若守之,天下兵起,吏人相攻,士卒半死,人民流亡,不居其鄉,其國失地。

箕宿。箕宿四星は八風を主り口舌を主り、分野は燕に属す。火星が箕宿に進入するは、穀価の大漲・天下の大旱・飢荒・死亡を主る。火星が天梁星より出でて箕宿に滞留するは、大赦を主る。火星が箕宿に滞留するは、燕地の君に疾病あるを主る。另一説は内部の変乱を憂慮するを主る。火星が箕宿に滞留するは、君主がこの象を厭悪するを主る。火星が箕宿の中に進入し、あるいはその中に滞留するは、天下に兵起り・官吏と百姓とが互いに攻殺し・士卒が死傷して半を過ぎ・百姓が流亡して故郷に安居する能わず・当該の国が土地を喪失するを主る。

斗:熒惑犯入斗,為有赦。(五星同占。)火犯斗,破軍殺將。火犯斗,且有反臣,道路阻塞,丞相有事。火入向斗,三月吳王死,二月皇后死,一月相死,不死走出。火入斗,大臣之國內外謀,大亂。火入斗中,國有大亂,兵大起。火入鬥口中,大臣反被誅,若相出走。火守斗,赦。一曰二十人大赦。火守斗,留二十日巳上,宰相出走,既已去之,復還居之,宰相死。火入斗,若守之,所守之國當誅。(木同。)其地有亂君。火入斗,晨出東方,因留守,其國絕嗣。火守斗,為亂為賊,為喪為兵,守之久,其國絕嗣。(《漢書天文志》云:孝武元鼎中,熒惑守斗,其後越相呂嘉殺其王及太后,漢兵誅之,滅其國也。)

斗宿。南斗六星は天廟で、爵禄を主り寿命を主り、分野は呉に属し・揚州に対応す。火星が迫近して斗宿に進入するは、大赦あるを主る(五星の占法相同じ)。火星が斗宿を犯すは、軍を破り将を殺すを主る。火星が斗宿を犯すは、還た将に反叛の臣あらん・道路が阻塞し・丞相に事あらんを主る。火星が入りて斗宿に趨向するは、三箇月内に呉王死し・両箇月内に皇后死し・一箇月内に国相死し、死せざるも出走を要す。火星が斗に入るは、大臣が国内外と勾結して図謀し・天下の大乱を主る。火星が斗宿の中に進入するは、国に大乱あり・大規模に起兵するを主る。火星が斗口の中に進入するは、大臣の謀反して誅せらるる・あるいは国相の出走を主る。火星が斗宿に滞留するは、大赦を主る。另一説は二十人の大赦を主る。火星が斗宿に滞留して二十日以上なれば、宰相が出走す。もし火星が離去した後にまた原処に返回して滞留せば、宰相は当に死すべし。火星が斗宿に進入しあるいはその中に滞留するは、滞留する分野の国家は当に誅戮の事あるべし(木星同じ)。当該の地に昏乱の君の出現あらん。火星が斗に入り、清晨に東方に出現し、因って滞留・守候するは、当該の国が嗣を絶つを主る。火星が斗宿に滞留するは、変乱を主り・盗賊を主り・喪事を主り・兵禍を主り、滞留の時間が越え久しければ、当該の国は越え子嗣を断絶せん(《漢書・天文志》の記載にいう。漢武帝元鼎年間、火星が斗宿に滞留し、その後南越国相呂嘉が越王と太后とを殺し、漢朝が兵を出して討伐し、南越を滅掉したりと)。

牛:熒惑入牛中,四月,越王死,糴大貴。火守牛,民餓,有自賣者,多火災。火守牛,有犧牲之事,有反逆者從中起,有走軍死將,期一年。火犯牛,留守之,有破軍殺將。(金犯牛同。)

牛宿。牽牛六星は関梁を主り犠牲・祭祀を主り、分野は越に属し・揚州に対応す。火星が牛宿の中に進入するは、四箇月内に越王死し・米価が大漲するを主る。火星が牛宿に滞留するは、百姓が飢餓し・人の身を売りて奴と為すあり・多く火災を発するを主る。火星が牛宿に滞留するは、祭祀に牲を用いる事あり・反叛する者の内部より興起するあり・軍隊の潰敗・将領の戦死あるを主り、応期は一年の内に在り。火星が牛宿に迫近してその中に滞留するは、軍を破り将を殺すを主る(金星が牛宿を犯すは占法相同じ)。

女:熒惑入女中一旬,王后死,布帛貴,天子內美女。不然,兵甲起。火守女,皇后病疾,宮中有火災。火留逆行犯守乘凌須女,天子及大臣有憂,必有號令。

女宿。須女四星は布帛・嫁娶を主り女工の事を主り、分野は斉に属し・青州に対応す。火星が女宿の中に進入して十日に満つるは、王后の死亡・布帛の価貴・天子が美女を宮に納れるを主る。然らざればすなわち兵甲の興起。火星が女宿に滞留するは、皇后が病を患い・宮中に火災の発生するを主る。火星が滞留・逆行して、須女に対しあるいは犯し・あるいは守り・あるいは乘じ・あるいは凌ぐは、天子と大臣と皆憂患あり・必定に重大の号令の頒布あらんを主る。

虛:熒惑入虛中三月,齊王死;八旬,相死,不死走出。火入虛,天下有變,諸侯有死者,有罷軍破將,天下更政令,期一年。火舍虛,天子喜,賜諸侯。又曰:舍天府門中央,天下赦。火守虛,赤地千里,人相食,將軍兵發,天下更令。火入虛之而犯之,天子自將兵,流血滿野,必有亡國死王,期一年。

虚宿。虚宿二星は廟堂の祭祀を主り哭泣・死喪を主り、分野は斉に属し・青州に対応す。火星が虚宿の中に進入するは、三箇月内に斉王死し・八十日内に国相死し、死せざるも出走を要す。火星が虚に入るは、天下に変故あり・諸侯の中に死亡するあり・軍隊の罷散・将領の敗亡あるを主り、天下が政令を更改し・応期は一年の内に在り。火星が虚宿に止宿するは、天子が歓喜し・諸侯を賞賜するを主る。又一説は、天府門の正中に止宿するは、天下の大赦を主る。火星が虚宿に滞留するは、赤地千里・人の相食・将軍が兵を発し・天下が法令を更改するを主る。火星が虚宿に進入してまたそれを侵犯するは、天子が親身に兵を領し・血が野に流れ満ち・必ず国を亡ぼし王を死せしむる事あり・応期は一年の内に在るを主る。

危:熒惑入危,大赦天下,賊臣起。火舍天府下,天子賜諸侯王;舍門中央,天下赦。火出入留舍危,其國繕城郭而起兵。火守危,大臣為亂,大國有憂,人民為憂,國易政,不出其年,天下疾死者不葬。火入危守之,諸侯王謀大兵起,天下有憂。若土功。守上星,為人民死;守中星,諸侯死;守下星,大臣死。期一百八十日。

危宿。危宿三星は天府を主り宮室の営造と墳墓とを主り、分野は斉に属し・青州に対応す。火星が危宿に進入するは、天下を大赦し・もまた奸臣の興起するを主る。火星が天府星の下に止宿するは、天子が諸侯王を賞賜するを主る。府門の正中に止宿するは、天下の大赦を主る。火星が危宿に出入・滞留・止宿するは、当該の国が将に城郭を修繕して起兵せんを主る。火星が危宿に滞留するは、大臣の作乱・大国に憂あり・百姓の憂苦・国家が政令を更改し・この一年を出でずして天下に病死して埋葬する人なきあらんを主る。火星が危宿に進入してその中に滞留するは、諸侯王の図謀・大規模の起兵・天下に憂あり・あるいは土木の工程の役あるを主る。上面の一星に滞留するは、百姓の死亡を主る。中間の一星に滞留するは、諸侯の死を主る。下面の一星に滞留するは、大臣の死を主る。応期一百八十日。

室:熒惑犯室,以賤人為役。火入室,大臣匿謀,齊國有兵,諸侯人民多死,歲不收,期十日。火逆行室,環繞之,三十日,有破國;六十日不下,有崩主,若太子死,期一年,中二年,遠三年。火逆行經犯室,臣謀兵起。火入室中,天子宮也。留二十日已上,天子惡之,期不出十月中。經云:大臣伐主。火守室,天子為軍自守者,有水災糴貴。又曰:守三日,王者崩,及立王。火入室,守天宮四十日,天子轉粟千里,各虛其舍。火守室離宮正東為父,守正西為母,守正北為妻,守正南為子,守正舍星為身。其言赫赫,某國離易,近期三年,遠期五。

室宿。営室二星は天子の離宮・宗廟と軍糧の府で、分野は衛に属し・并州に対応す。火星が室宿に迫近するは、貧賤の人を役使して労役を服せしむるを主る。火星が室宿に進入するは、大臣の暗中に図謀し・斉地に兵事あり・諸侯と百姓とに多く死亡あり・年成に収なく・応期十日を主る。火星が室宿に逆行してそれを環繞して三十日に満つるは、国家の敗亡あるを主る。六十日に仍ほ離去せざれば、君主の駕崩あり・あるいは太子の死亡・近ければ一年・中なれば二年・遠ければ三年を主る。火星が逆行して経過して室宿を侵犯するは、臣下の謀乱・兵事の興起を主る。火星が室宿の中に進入す——室宿は本は天子の宮——滞留して二十日以上なれば、天子がこの象を厭悪し・応期は十月の中を出でず。占経の上にいう。これは大臣が君主を討伐する象なりと。火星が室宿に滞留するは、天子が軍を布きて自守し・また水災あり・米価の騰貴を主る。又一説は、滞留して三日なれば、君王の駕崩を主り、随後別に新王を立つ。火星が室宿に入り、天宮の位に滞留して四十日なるは、天子が千里之外より糧食を転運し・各処の倉廩が皆空なりを主る。火星が室宿の旁の離宮星に滞留する——正東に滞留するは父と為り、正西は母、正北は妻、正南は子、正中の舎星に滞留するは則ち君主自身に応ず。この類の天象の声勢が赫赫たるは、某国の離乱・改易を主り、近ければ三年に応じ・遠ければ五年に応ず。

壁:熒惑入壁中三月,衛國君死,入五月,相死,不死走出。(二十八宿同有此占。)火守壁,為天下兵起。一曰狄起。(木同。)火入壁留守之,有土功。

壁宿。東壁二星は文章・図籍を主り、分野は衛に属し・并州に対応す。火星が壁宿の中に進入するは、三箇月内に衛地の君死し・五箇月に至れば国相死し、死せざるも出走を要す(二十八宿は皆この一類の占法を有す)。火星が壁宿に滞留するは、天下の興兵を主る。另一説は北狄の興起を主る(木星同じ)。火星が壁宿に進入して滞留・守候するは、土木の工程の役あるを主る。

奎:熒惑入奎中,人多疾。火入奎中三月,魯主死;入旬,相死,不死相走。(二十八宿同占。)火入奎環繞之三十日,相死;三月不行,其國王死,不死走出,期三年。火守奎,移動進退,為赦。又曰:天下大水,民多死。火守奎二十日已上,大臣有謀國,有兵。若有死王,加兵於魯國之地,期一年。

奎宿。奎宿十六星は天の武庫で、軍兵と溝瀆・水利とを主り、分野は魯に属し・徐州に対応す。火星が奎宿の中に進入するは、百姓に多く疾病を生ずるを主る。火星が奎宿に入りて三箇月なれば、魯地の君死し・十日に至れば国相死し、死せざるも出走を要す(二十八宿の占法相同じ)。火星が奎宿に入りてそれを環繞して三十日に満つるは、国相死す。三箇月に移動せざれば、当該の国の国君死し、死せざるも出走を要し、応期三年。火星が奎宿に滞留してまた移動・進退するは、大赦を主る。又一説は天下の大水・百姓の多く死するを主る。火星が奎宿に滞留して二十日以上なれば、大臣が国政を図謀し・兵事あり・あるいは君王の死亡・兵禍が魯地に加わり・応期一年を主る。

婁:熒惑入婁而守之,天下有聚眾,兵大起,車騎用,必有死君走相,天下不熟,民飢,非一國。若山林有大盜,道路阻塞,期一年,遠二年。火入婁,成句巳,國有焚燒倉庫府庫之事。若逆行至奎,大兵起,臣謀將軍為亂,期不出年。火守婁,卒人病,大小金銀貴。火入守婁,其國坐之。一曰:守三十日,其國君有憂。

婁宿。婁宿三星は苑牧・犠牲を主り衆を聚むるを主り、分野は魯に属し・徐州に対応す。火星が婁宿に進入してその中に滞留するは、天下に衆を聚むる事あり・大規模に起兵し・車騎が斉出し・必ず君主の死亡・国相の出走あり・年成が熟せず・百姓が飢餓し、しかも一国に止まらざるを主る。あるいは山林の中に大盗の出現し・道路が阻塞し・応期一年・遠ければ二年。火星が婁宿に入りて「句巳」形を走成するは、国中に倉庫・府庫の焚焼せらるる事の発生を主る。もし火星が逆行して奎宿に至れば、大規模の起兵・臣下の図謀・将軍の作乱・応期一年を出でざるを主る。火星が婁宿に滞留するは、士卒の生病・大小金銀の価貴を主る。火星が進入して婁宿に滞留するは、当該の分野の国がその禍を承受するを要す。另一説は、滞留して三十日なれば、当該の国の国君に憂ありとす。

胃:熒惑入胃二十日,天下有兵敵,倉廩粟出。火守胃,其年旱飢,民多疫,王者行仁則吉,此火克金,以禮教義天下,無咎。火入胃而守之,三十日不下,趙地大急,人民半死,大兵起,客軍敗,主人勝,期不出一年。火入若守胃東出,民擾。

胃宿。胃宿三星は天の倉廩で、積聚・糧穀を主り、分野は趙に属し・冀州に対応す。火星が胃宿に進入して二十日に満つるは、天下に敵兵あり・倉廩の中の糧食が発放せられ出づるを要するを主る。火星が胃宿に滞留するは、この一年に旱災・飢荒・百姓に多く疫病を生ずるを主る。君王が仁政を施行すれば則ち吉に転ず——これは火が金を克する象で、「礼」をもって天下の「義」を教化すれば、災禍あらざらんがゆえなり。火星が胃宿に入りてその中に滞留し、三十日に離去せざれば、趙地の形勢が危急にして・百姓が死亡して半を過ぎ・大規模に起兵し・進攻の客軍が戦敗し・拠守の主人が取勝し・応期一年を出でざるを主る。火星が進入しあるいは胃宿に滞留して後に東辺より穿出するは、百姓の騒動・不安を主る。

昴:熒惑犯昴,若入之,胡人聚中國,匈奴大出,四夷兵起,國有憂。火入昴,天下不安,兵起,有兵,兵亦罷。四月、五月大赦。近期十五日,遠期三十日赦。又曰:不可為客。一曰:貴人多戮死者。火守昴,無罪者誅。火守昴,胡人不寧。火入昴,已去復還守之,有臣為天子破軍匈奴者,期三年。火犯昴,胡民疾病。一曰有赦,獄訟疑,出囚。

昴宿。昴宿七星は「髦頭」で、胡人の事を主り刑獄を主り、分野は趙に属し・冀州に対応す。火星が昴宿に迫近しあるいはその中に進入するは、胡人が中原に聚集し・匈奴が大挙して出動し・四方の夷狄が起兵し・国家に憂あるを主る。火星が昴に入るは、天下の不安・兵事の興起を主る。原本に兵事あるは、兵事が反って停罷す。四月・五月に大赦あらん・近ければ十五日・遠ければ三十日の内に赦令が下達す。又一説は、主動して進攻する一方を為すに宜しからず。另一説は、貴人の中に多く殺されん。火星が昴宿に滞留するは、罪なき人の誅せらるるを主る。火星が昴宿に滞留するは、胡人が安寧を得ざるを主る。火星が昴宿に入り、離去した後にまた返回して滞留するは、大臣の天子のために匈奴の軍を撃破するあらんを主り、応期三年。火星が昴宿に迫近するは、胡地の百姓の生病を主る。另一説は赦令あり・獄訟の疑難なる者が釈放を獲て出獄するを主る。

畢:熒惑犯畢右角,大戰;犯右畢角,小戰。凡五星犯畢,有邊兵,刑罰用。火入畢中,國君自衛守。火入畢,將相憂。一日國相死。火入畢口,有大赦令,期十五日。若三十日,將相憂。若其國有白衣徒聚,期不出一年。火逆行畢至昴,期為死喪寇亂。火逆守畢,兵大起,馬頓其蹄;牛運其角,婦兒碌碌,無所止屬,萬民為其處,飢於菽粟,人人相食。若其國政不安,其留二十日已上,當有掠者,期七十日,趙地凶也。火犯附耳,為兵起,若將相有喪憂,不即免退。

畢宿。畢宿八星は辺兵と狩猟とを主り、また雨を主り、分野は趙に属し・冀州に対応す。火星が畢宿の右角に迫近するは、大戦を主る。右辺の畢角に迫近するは、小戦を主る。大凡五星が畢宿を侵犯するは、皆辺境に兵事あり・刑罰の興用を主る。火星が畢宿の中に進入するは、国君が自ら防衛・戒備を加うるを要するを主る。火星が畢に入るは、将相に憂あるを主る。一説は国相の死亡を主る。火星が畢口に進入するは、大赦の令あり・応期十五日を主る。もし三十日に至れば、則ち将相に憂あり・あるいは当該の国に白衣を穿つ喪衆の聚集あり・応期一年を出でざるを主る。火星が畢宿より逆行して昴宿に至るは、応験して死喪・寇乱と為る。火星が逆行して畢宿に滞留するは、大規模の起兵・馬蹄の困頓・牛角の揺動・婦人・小児の奔忙して依るなき・身を安ずる処なき・万民の他郷に流落し・豆穀を缺少して飢餓し・人人の相食に至るまでを主る。あそこの国政もまた動蕩・不安ならん。火星が滞留して二十日以上なれば、当に劫掠の事あるべく、応期七十日、趙地は大凶。火星が附耳星に迫近するは、兵事の興起・あるいは将相に喪事・憂患あり・しかも馬上に免除・退散せざるを主る。

觜:熒惑犯觜,其國兵起,天下動移。火與觜合,趙相死。火守觜,將軍及天下之軍破,牛馬有急行。火守觜,國易政,天下多不孝,父子相鬥,鐵器貴。火犯守觜,野多反者,鈇鉞用。

觜宿。觜觿三星は葆旅を主り収斂を主り、参宿と同じく白虎の首と為り、分野は魏(晋)に属し・益州に対応す。火星が觜宿に迫近するは、当該の分野の国の兵事の興起・天下の動蕩・遷移を主る。火星と觜宿とが同度に相合するは、趙国の国相の死亡を主る。火星が觜宿に滞留するは、将軍および天下の軍の潰敗・牛馬の急征され奔走するを主る。火星が觜宿に滞留するは、国家が政令を更改し・天下に多く不孝の事あり・父子が相斗い・鉄器の価貴きを主る。火星が迫近して觜宿に滞留するは、野外に多く反叛の人あり・斧鉞の刑戮の事の興起を主る。

參:熒惑犯參,有將反者,兵火連,四方相射,王者不安,轉徙宮室。火舍伐,不出三旬,大赦。火守參,以四月守火入參,金錢發。火與鍾龍並見參中,天子秉政,有戮死臣。

参宿。参宿七星は白虎の体で、斬伐・殺戮を主り、分野は魏(晋)に属し・益州に対応す。火星が参宿に迫近するは、将領の反叛あり・兵火が相連なり・四方が交戦・射殺し・君王が安寧を得ず・只好宮室を遷移するを主る。火星が参宿中央の「伐」星に止宿するは、三十日を出でずして必ず大赦あらん。火星が参宿に滞留し、もし四月に滞留して火星が参宿に進入するは、銭財の大量に支出するを主る。火星と「鍾龍」の星とが一同に参宿の中に出現するは、天子が親身に政柄を執掌し・臣子の誅殺せらるるあるを主る。

井:熒惑犯井,小有兵,群臣有以家事坐罪者。火以春入井,赦。火入井,兵起,若旱,其國亂。有兵兵止,無兵兵起,大臣當之。火出北河戒至井,干一星,將軍有野死不葬者;干二星中,倖臣有市死者。火守井,大人憂。火入井,留守井中,天子有火災。火干犯乘守,鉞用,為其國內亂兵起。(金同。)一曰:執法者誅之。

井宿。東井八星は水事を主り法令を主り、分野は秦に属し・雍州に対応す。火星が井宿に迫近するは、稍々兵事あり・群臣の中に家事に因りて罪を獲るありを主る。火星が春季に井宿に進入するは、大赦を主る。火星が井宿に入るは、兵事の興起・あるいは旱災・当該の国の動乱を主る。原有の兵事あるは兵事が停止し・本無の兵事あるは兵事が興起し・大臣がこの災禍を承当するを要す。火星が北河戒星より出でて井宿に行き至り、その中の一星を干犯するは、将軍の暴死して野外に在りて収葬する人なきあるを主る。二星の中を干犯するは、寵幸の臣に棄市に処死せらるるありを主る。火星が井宿に滞留するは、大人に憂あるを主る。火星が井宿に入りて井中に滞留するは、天子が火災に遭遇するを主る。火星が干犯・凌乘・滞留して井宿に在るは、斧鉞の刑戮の興用・当該の国の内乱・起兵を主る(金星同じ)。另一説は、法令を執掌する人の誅せらるるを主る。

鬼:熒惑犯輿鬼,皇后憂失勢,其執法者戮。火入鬼,有兵喪,金玉用,有大赦,及留守之,物貴,天下大疫,其留二十日已上,兵大起,多戰死者,為宗廟神明事。若民多痢疾,若有女喪,期十日。火入鬼,火賊在大人之側。火守鬼東北,男子兵相殺毒守東南,萬民多死;守西北,為戎兵反逆兵事;守西南,人君惡之。秦漢有反臣兵事,以赦令解之。(土同。)火出入鬼,守成句巳,尊者失宗廟,期六十日,若百八十日。火經鬼中,犯乘積尸,兵在西北,有沒軍死將,又留守之,天子有喪,期以十二月。從西來人守之,下賤多死,有土功事,有德令。

鬼宿。輿鬼五星は祠祀・鬼神を主り死喪を主り、中央の白気は「積尸」で、分野は秦に属し・雍州に対応す。火星が輿鬼に迫近するは、皇后が憂懼して勢を失い・法令を執掌する人が殺されんを主る。火星が鬼宿に入るは、兵禍・喪事あり・金玉の物の耗用・また大赦あるを主る。もしその中に滞留せば、則ち物価の騰貴・天下の大疫。滞留して二十日以上なれば、大規模に起兵し・戦死者が衆多・還た宗廟の神を祭る事あらん・あるいは百姓に多く痢疾を患う・あるいは女子の喪あり・応期十日を主る。火星が鬼宿に入るは、火を縦する賊が就に君王の身辺に在るを主る。火星が鬼宿の東北に滞留するは、男子が兵禍に因りて互いに残殺するを主る。東南に滞留するは、万民の多く死するを主る。西北に滞留するは、戎兵の反叛の兵事を主る。西南に滞留するは、君主がこの象を厭悪するを主る。この時秦地・漢中一帯に叛臣の兵事あらん・赦令をもって化解す可し(土星同じ)。火星が鬼宿に出入し、滞留して「句巳」形を走成するは、尊貴の人が宗廟を失去するを主り、応期六十日、あるいは一百八十日。火星が鬼宿の中を経過し、「積尸」気を侵犯・凌乘するは、兵禍が西北に在り・全軍の覆没・将領の戦死の事あるを主る。もしまたその中に滞留せば、天子に喪あり・応期は十二月に在るを主る。火星が西辺より過ぎ来りてその中に滞留するは、下層・貧賤の人の多く死亡し・土木の工程の事あり・もまた恩施の徳令あるを主る。

柳:熒惑犯柳,有木功事,若名木見伐者。(五星占同。)火入柳,諸侯有慶賀之事,天下大樂。火守柳,有兵,逆臣在側,天下旱,多火災,萬物五穀不成,糴大貴也。火犯守柳,有遵主為非,亂其國事,若天子以飲食為害,不安社稷。

柳宿。柳宿八星は朱雀の喙で、草木を主り、また天子の膳食・厨饌を主り、分野は周に属し・三河の地に対応す。火星が柳宿に迫近するは、木料を興修する工程あり・あるいは名貴の大樹の砍伐せらるるあるを主る(五星の占法相同じ)。火星が柳宿に進入するは、諸侯に慶賀の事あり・天下の歓楽を主る。火星が柳宿に滞留するは、兵事あり・叛逆の臣が就に君側に在り・天下の大旱・多く火災を発し・万物・五穀が成熟する能わず・米価の大漲を主る。火星が迫近して柳宿に滞留するは、人の君主を挾制して非を為し歹を作し・国事を扰乱し・あるいは天子が飲食に因りて害を受け・社稷が安ならざるを主る。

七星:熒惑入七星,君有置太子者。火入留舍七星,國失地,天下大亂,若臣下衣服失度。火守七星,有兵,若聚車騎。又曰:社稷傾亡,宮中生荊棘。又曰:治宮室之事。火守七星三十日,其君憂。火守七星,為臣,中外兵,以德令解之。

星宿。七星は朱雀の頸で、急事と衣裳・文繍とを主り、分野は周に属し・三河の地に対応す。火星が七星に進入するは、君主に太子を冊立する事あるを主る。火星が進入して滞留・止宿して七星に在るは、国家が土地を喪失し・天下の大乱・あるいは臣下の衣着・服飾が法度を逾越するを主る。火星が七星に滞留するは、兵事あり・あるいは車騎を聚集するを主る。又一説は、社稷の傾覆・宮中に荊棘の長出するを主る。又一説は、宮室を興修する事を主る。火星が七星に滞留して三十日に満つるは、当該の分野の君に憂あるを主る。火星が七星に滞留するは、臣下に応じ・京城の内外に皆兵事あり・恩施の徳政の令をもって化解す可きを主る。

張:熒惑入張,大亂兵起,六月干之,國空。火逆犯乘張,大亂兵起。火與張合,所在之國不可舉事用兵,必受其殃。(《漢志》云:水合於危同,又水合於斗同。)火守張,法大將有千里驚,大水,五穀貴。一曰:有土功,作役不時,百姓怨謗。火守張,兵起,女主用事,宮中生荊棘。火非其次守張,當去不去,其絕大赤,其國舉兵,從留得其次,不為災殃。火犯張,若守之,天下有兵,宮門當閉,天子有急,女子不安,五穀不成,人民大飢。一曰:火居張,人絕糧。

張宿。張宿六星は朱雀の嗉で、珍宝を主り天子の宗廟の用器と賓客とを主り、分野は周に属し・三河の地に対応す。火星が張宿に進入するは、大乱・起兵を主る。もし六月にそれを干犯せば、国中が空虚す。火星が逆行して迫近・凌乗して張宿に及ぶは、大乱・起兵を主る。火星と張宿とが同度に相合するは、その分野の国は事を挙げ兵を用う可からず——然らざれば必ず災殃を受けん(《漢書・天文志》にいう。水星と危宿とが相合するは同様の占法、水星と斗宿とが相合するもまた同様の占法なりと)。火星が張宿に滞留するは、占法に按って大将に千里之外の驚変あり・また大水・五穀の価貴を主る。另一説は、土木の工程あり・労役を征発するに農時に合せず・百姓の怨恨・毀謗を主る。火星が張宿に滞留するは、兵事の興起・女主が権を当て事を用い・宮中に荊棘の長出するを主る。火星が自己の応に処るべき星次に在らずして張宿に滞留し、行くべきに行かざる、光色が赤くして目を刺すは、当該の国が就将に兵を挙げん。もし滞留の処より本來応に所在する星次に回れば、就ち災殃と成らず。火星が張宿に迫近しあるいはその中に滞留するは、天下に兵事あり・宮門は応に関閉すべく・天子に急難あり・女子が安ならず・五穀が熟せず・百姓の大飢を主る。另一説は、火星が張宿に居るは、人びとの糧食を断絶するを主る。

翼:熒惑犯入翼,車騎無極,四海大兵,民當何息?萬民若飢,當何所食?火逆行翼,不出其年,有軍起,天下大憂。火守翼,若大旱,魚鹽五穀貴,萬物不成。火逆行翼,歲飢,民流千里,有亡國,蛇龍見。

翼宿。翼宿二十二星は朱雀の翼で、楽府・倡優と遠方の賓客とを主り、分野は楚に属し・荊州に対応す。火星が迫近して翼宿に進入するは、車騎の征発に止境なく・四海の内に大いに兵戈を動かし・百姓は何時にか安息を得ん、万民が飢餓してまた何処に往きて食を求めんを主る。火星が翼宿に逆行するは、この一年を出でずして軍隊の興起あり・天下の大憂を主る。火星が翼宿に滞留するは、大旱・魚塩・五穀の価貴・万物の成らざるを主る。火星が翼宿に逆行するは、年成の飢荒・百姓の流亡千里・国家の滅亡するあり・蛇龍の一類の怪異の出現を主る。

軫:熒惑入軫中四月,楚王死,入旬日,相見□,不死走出。(二十八宿同占。)□□□火入軫,兵盜。一雲水旱為害,人民擾動,妖言無實,國政數改,士卒勞苦。火出軫南,民多病;出其北,民多死。火守兩角間,若至軫道,絕出其南,多病;出其北,多死;出其陰,陰伐利,戰勝;出其陽,陽伐利,戰勝。火以十月守軫,三十日車騎發,若居軫中心,天下人盡給軍事,無得居家者。火守軫,旱,水枯阻塞,國多火災,萬物五穀不成。火干犯軫,大臣戮死。

軫宿。軫宿四星は車駕を主り、また風を主り死喪を主り、分野は楚に属し・荊州に対応す。火星が軫宿の中に進入するは、四箇月内に楚王死し・十日に進入するは国相□、死せざるも出走を要す(二十八宿の占法相同じ)。□□□火星が軫宿に入るは、兵禍・盗賊を主る。另一説は水旱の為害・百姓の騒動・妖言の四起して実拠なき・国政の屢々更改・士卒の労苦を主る。火星が軫宿の南より穿出するは、百姓に多病を主る。北面より穿出するは、百姓に多死を主る。火星が軫宿の両角の間に滞留し、あるいは「軫道」に行き至り、徑直に南面より穿出するは、多病を主る。北面より穿出するは、多死を主る。陰面(北)より穿出するは、則ち陰方より兵を興すに利あり・取勝し得べし。陽面(南)より穿出するは、則ち陽方より兵を興すに利あり・取勝し得べし。火星が十月に軫宿に滞留するは、三十日内に車騎が出動す。もし正に軫宿の中心に処れば、天下の人は皆軍役を供給するを要し・家に安居し得る人なし。火星が軫宿に滞留するは、旱災・水源の枯竭・水道の阻塞・国中の多く火災・万物・五穀の成熟する能わざるを主る。火星が軫宿を干犯するは、大臣の殺されんを主る。

熒惑干犯中外官占第三十

熒惑入五車中,大旱。一曰:留不去,旱。火入五車中,必赦。一雲行令法。火犯守五諸侯,大臣有謀反者不成。(武德二年冬,火入五諸侯,懷恩王謀反伏誅也。)

火星が「五車」星区の中に進入するは、大旱を主る。另一説は、その中に滞留して離去せざれば、ようやく旱を主る。火星が五車の中に入るは、必定に赦令あらん。又一説は法令を頒行する事を主る(五車五星は畢宿の北に在り、天子の兵車と五穀の豊歉とを主る)。火星が迫近して「五諸侯」星に滞留するは、大臣の中に人の謀反するあるも、事情は成功し能わざるを主る(唐高祖武徳二年冬、火星が五諸侯に進入し、その後懐恩王が謀反して処死せらる)。

火守天江,赤地千里,民人流亡。火行南河界中若守,一曰:守南界,為主旱。火行南河界中,若留止者,為西方兵起,百姓疾病。(木同占。)

火星が「天江」星に滞留するは、赤地千里・百姓の流亡を主る。火星が「南河」の戒界の中を経行しあるいはその中に滞留す——另一説は南面の界限に滞留するといい——皆旱災を主る。火星が南河界中を経行し、もし停留して動かざれば、西方の興兵・百姓の生病を主る(木星の占法相同じ)。

火入若舍北河界,天下有覆囚移繫。一曰大臣誅。火守積水,兵起,國有水憂。火守積薪,旱,多災。

火星が進入しあるいは「北河」の戒界に止宿するは、天下に囚案を重新審理し・关押を転移する事あるを主る。另一説は大臣の誅せらるるを主る。火星が「積水」星に滞留するは、兵を興し・国中に水患の憂あるを主る。火星が「積薪」星に滞留するは、旱・多く災あるを主る。

火犯軒轅,御女、天子僕死。火干犯,女主當之。守軒轅五日,兵起。火守軒轅,宮中有誅者,期百二十日內。

軒轅十七星は后妃の主・女主の象。火星が軒轅に迫近するは、御女と天子の近侍の死亡を主る。火星が軒轅を干犯するは、女主がこの災禍を承当するを要す。火星が軒轅に滞留して五日なるは、兵を興すを主る。火星が軒轅に滞留するは、宮中に人の誅殺せらるるあり・応期は一百二十日の内に在るを主る。

火犯少微,賢士有讓善者。火犯少微,人君當求賢德,不則失威奪權勢。

火星が少微に迫近するは、賢士の中に謙譲・推善の人あるを主る。火星が少微に迫近するは、君主は応に賢徳の士を訪求すべく、然らざれば就ち威望の喪失・権勢の奪わるるあらん(少微四星は太微垣の西南に在り、処士と在野の賢とを主る)。

火入太微,天下不安。火犯太微門右,大將軍死;門左,小將軍死。(木同。)大臣有憂,執法者誅。火犯太微東南垣星,天下大飢,近期一年,遠五年。火常以十月、十一月入太微天庭,受制而出行列宿,伺無道之國,罰無道之君,失禮之臣。若干犯左相,左相誅;犯右相,右相誅。守宮三旬,必有赦,期六十日。火入太微天庭,色白潤澤,期一百八十日有赦。

火星が太微垣に進入するは、天下の不安を主る。火星が太微垣門の右側に迫近するは、大将軍の死を主る。門の左側に迫近するは、小将軍の死を主る(木星同じ)。また大臣に憂あり・法令を執掌する者が誅せらるるを主る。火星が太微垣の東南方の垣墻の星に迫近するは、天下の大飢荒を主り、近ければ一年に応じ・遠ければ五年に応ず。火星は常に十月・十一月に太微天庭に進入し、ここにおいて天命を承受して後に二十八宿を巡行し、無道の国を伺察し・無道の君と失礼の臣とを懲罰す。もし左執法(左相)の星を干犯せば、左相が誅せられ、右執法(右相)の星を干犯せば、右相が誅せらる。火星が太微宮に滞留して三十日なれば、必ず赦令あり・応期六十日。火星が太微天庭に進入し、色白くして潤沢なるは、応期一百八十日の内に赦あらん。

火入帝座,其色白者為有赦。(五星同占。)火觸犯黃帝座,主亡。

火星が「帝座」星に進入し、もし星色が白を発せば、大赦あるを主る(五星の占法相同じ)。火星が太微垣中の「黄帝座」に触犯するは、君主の死亡を主る。

填星占第三十一

填星,一名地侯,中央土德,句陳之精,舍樞紐之使也。其性信而聖,其事思而睿,其時四季,其日戊己,其辰辰戌丑未,其音宮,其數五,其帝黃帝,其神后土,其蟲倮,其味甘,其臭香,其卦坤艮。填星為女主之象,坤之氣也。言福佑信順,所在之國大吉之,為聚眾土功,所在之分,成國君而兵強。土主四季,人君之象,無所不去,故於四時行令,必信而順,以為四行之綱維,猶如地之紀持,以配天成功也。

土星はまた「地侯」と名づく。中央土徳に属し、句陳の精気で、天樞紐神の使者なり。それの対応する徳性は「信」にして聖に通じ、対応する政事は「思」にして叡智、季節は四季の末の辰月に配し、天干は戊己に属し、地支は辰・戌・丑・未に属し、五音は宮に属し、生数は五、配する古帝は黄帝、配する神は后土、配する物類は倮虫、滋味は甘、気味は香、卦象は坤卦と艮卦なり。土星は女主の象徴で、坤地の気に属す。それは福佑と誠信・柔順とを主り、所在の分野の国家は大吉。もまた衆を聚め土木を興建する事を主り、それの所在する分野は、能く国君の業を成就して兵力が強盛す。土星は四季を主り、君主の象で、到らざる処なし。ゆえに君主が四時に政令を頒行するは、必ず誠信にして柔順にして、「信」をもって其余の四行の綱維と為し、あたかも大地の万物を維繫するがごとく、天と相配して功業を成就す。

人君象地之載不可動,苗稼可收斂蓄積,子以成,百穀以養,則填星黃明光潤而大。履道不越,以降人君,百祿萬福,慶順之征焉。填星所處,君聖臣忠,民信物順,則填星光明盛大。祥風至,以出動萬物,人君昌,其國興。人君若不思慮政道,教令不信,以權詐威物,則填星降之不祥,變色微小,其國不昌,大風暴起,傷損百物。猶周公居東,成王不信,而大風拔木,邦人斯恐,若此之變也。

君主が大地の万物を承載して厚重にして動かざるに效法し、禾苗・庄稼をして収斂・蓄積せしめ・種子をして成熟せしめ・百穀をして人を養わしむれば、那么土星は就ち黄色を呈し・明亮・潤沢にして形体が碩大す。土星が道に循って運行して軌を越えず、百禄・万福を君主に降下すれば、これは吉慶・和順の徴兆。土星の処る分野は、もし君聖く臣忠く、民に信義あり・物類が和順なれば、土星は就ち光明・盛大にして、祥和の風が吹き来り・万物を鼓動して生発せしめ、君主が昌盛し・国家が興旺す。君主がもし政を為すの道を思考せず・教令に信用を講ぜず・権術・詐欺を用いて万物を威圧すれば、土星は就ち不祥を降下し・色を変じて形体が微小に、その国家は昌盛する能わず・還た狂風が暴起して百物を損傷せん。これは譬えば当年周公が東征して外に在り・成王が彼を信任せず、ここにおいて天が大風を降らして大樹を抜き起し、国人がこれがために恐懼したがごとき、正にこの一類の変異。

填星主福德,為女主,所在之國有福,不可攻伐之,稱兵動眾。填星黃潤,女主吉。芒角者,有土功聚眾事。色白,女主退亡喪。黑色,人君暗,國敗。赤色,有兵。土與木合,為覆軍殺將,合戰鬥,兵內亂。土木合,其邦飢,戰不勝,亡地,所去之分失地,所入之分得地,益主食。隋二世大業十三年丁丑,林鐘御律,攝提地候,依於參晉。我大唐時,爰發義旗,肇基王業,遂克平宇內,方舉乾維,再育蒼生,更懸日月。曆數鍾於中運,符瑞感於黃神,聖德溢於百王,奇功邁於上古,此則參為唐晉之分。填主福聖之徵,感天順民,在於斯矣。

土星は福德を掌管し、女主を象徴し、それの所在する分野の国家は福あり、それを攻伐し・それに対して兵を興し衆を動かす可からず。土星が色黄にして潤沢なれば、女主は吉利。芒角が顕露すれば、土木の工程・民衆を聚集する事あるを主る。色白なれば、女主が退位・死亡しあるいは喪あり。色黒なれば、君主が昏暗・国家が敗亡す。色赤なれば、兵事あるを主る。土星と木星とが相合するは、全軍の覆没・将領の殺されを主り、両星が相合して争闘すれば、則ち兵変・内乱を主る。土木が相合すれば、あの邦国は飢荒し・作戦して取勝する能わず・土地を喪失す。土星が離開する分野は地を失い・土星が進入する分野は地を得、かつ君主の食邑を増加す。隋煬帝・大業十三年丁丑、正に林鐘の律が事を主るに当たり、土星(摂提地候)は参宿に留まる——参宿は晋地の分野。我が大唐は正にこの時に義旗を高挙し・王業を開創し、終に天下を平定し・乾坤の綱紀を重振し・蒼生を再造し・日月を重新に高懸したり。暦数は正に中運に応じ・符瑞は黄帝の神に感通し、聖徳は歴代の帝王を超過し・奇功は遠く上古を邁す。参宿は既に唐(晋)地の分野にして、土星はまた福德・聖明の徴兆を主り、上天に感応し・百姓に順応し、その応験は正にこれに在り。

星平見,入冬至初日,減七日,後九日加一日,以滅平見日及分。畢於氣盡日入小寒,均減九日;入立春減八日,以次氣則降減二日;入穀雨,畢芒種,均減三日,入立夏內減三日,入夏至日內減二日,二十月外畢;小暑五日內減一日,五日外畢。小暑五日減一日,五日外畢,氣盡依平見。自入大暑已後,四日加一日,畢於立秋;自入處暑均加九日;自入白露初日加九日,後五日減去一日,以減九日而加平視日,畢於寒露。自入霜降後,九日減一日;畢於大雪,初見去日十七度。行星法在歲星占內。填星初見,順日行六十分,八十三日行七度二百九十分而留四十八日,乃退四十一分。一百日退六度八十分又留四十七日,而順行六十分廣八十三日行七度二百九十分而伏矣。填星行無遲疾,以象女主持綱紀,不輕變異,遲行以象人君,不可輕違也。

土星の平見の日を推求す。冬至初日に交するは、七日を減じ、此の後九日毎に一日を加え、用いて減ずる所の平見の日数およびその分数を抵消し、到この一節気の終了の日に至るまで。小寒に交するは、一律に九日を減ず。立春に交するは八日を減じ、以後一箇の節気を過ぐる毎に就ち二日を逓減す。穀雨に交して芒種に至るまで、一律に三日を減ず。立夏の内は三日を減じ、夏至の日内は二日を減じ、二十日以外にて結了す。小暑は五日の内に一日を減じ、五日以外にて結了す。節気が用い尽せば就ち平見の数に依る。大暑以後より、四日毎に一日を加え、立秋に至るまで。處暑より一律に九日を加う。白露初日より九日を加え、此の後五日毎に一日を減去し、この九日を減じ完し、再加えて平見日に上げ、寒露に至るまで。霜降以後より、九日毎に一日を減じ、大雪に至るまで。初見の時に太陽に距ること十七度。行星の位置を推算する方法は前面の《歳星占》篇の中に見ゆ。土星が初見の時、順行して每日に六十分、八十三日に七度二百九十分を行きて後に滞留して四十八日、続いて每日に後退して四十一分、一百日に六度八十分を退し、また滞留して四十七日、然る後に仍ほ每日六十分をもって順行し、八十三日に七度二百九十分を行きて後に伏没して見えず。土星の運行に忽快忽慢の変化なく、用いて女主が綱紀を執掌し・軽易に変異せざるを象徴す。それの行度が遅緩は、また君主の持重・軽易に違背す可からざるを象徴す。

填星入列宿占第三十二

角:填星犯左角,大戰。一曰將軍死。土守左角天門,多貴人死。土守右角,天子好遊獵,國亡。土守角,為水,有兵災。土留兩角間,軍興國庭,關梁阻塞。

角宿。角宿二星は蒼龍の角で、左角は刑理を主り、右角は将兵を主り、分野は鄭に属し・兗州に対応す。土星が左角星に迫近するは、大戦を主る。另一説は将軍の死亡を主る。土星が左角と天門の処とに滞留するは、多く貴人の死亡するを主る。土星が右角に滞留するは、天子が游猟に沉溺し・国家の将に亡びんを主る。土星が角宿に滞留するは、水災あり・また兵禍あるを主る。土星が両角の間に停留するは、軍隊が朝廷の上に於いて興起し・関口・橋梁が阻塞して通ぜざるを主る。

亢:填星犯亢,廷臣為亂,諸侯當有失國者。土逆行亢,女主治政。一曰:從倚亢前,女主非其人,若賤女暴貴。土守亢,五穀傷,人流亡。土守亢,四海且安,君貴禮義。土守犯亢,逆行不順,失其色,大臣不用。

亢宿。亢宿四星は天子の外朝の庭で、疾疫を主り、分野は鄭に属し・兗州に対応す。土星が亢宿に迫近するは、朝廷の臣の作乱・諸侯の中に当に封国を失去するあるべきを主る。土星が亢宿に逆行するは、女主が朝政を執掌するを主る。另一説は、土星が亢宿に靠近する前は、女主が合適の人に非ず・あるいは卑賤の女子が驟然に顕貴するを主る。土星が亢宿に滞留するは、五穀の損を受け・百姓の流亡を主る。土星が亢宿に滞留するは、もまた四海の将に安らかならん・君主が礼義を崇尚するを主る。土星が滞留・迫近して亢宿に在りてまた逆行・不順にして・本来の黄潤の色を失うは、大臣の任用せられざるを主る。

氐:填星逆行氐,女主不當居宮。土犯氐左星,左中郎誅死;犯右星,右中郎誅死,期三年。守氐星,有拜賀太子。一曰:賤人女有暴貴者,若有土功之事。土守氐,有赦令。土守氐,即歲安。色赤,有分裂地之君,四夷不服,天下大疫。土守氐,天下必有亡國死亡。

氐宿。氐宿四星は天子の寝宮・后妃の府で、分野は宋に属し・豫州に対応す。土星が氐宿に逆行するは、女主が宮中に居るに宜しからざるを主る。土星が氐宿の左辺の星に迫近するは、左中郎将の誅死するを主る。右辺の星に迫近するは、右中郎将の誅死を主り、応期三年。土星が氐宿に滞留するは、太子を冊立して百官が朝賀する事あるを主る。另一説は、卑賤の女子の中に驟然に顕貴するあり・あるいは土木の工程の事あるを主る。土星が氐宿に滞留するは、赦令あるを主る。土星が氐宿に滞留するは、この一年就ち平安なり。もし星色が赤を発せば、土地を割据・分裂する諸侯あり・四方の夷狄が服せず・天下の大疫を主る。土星が氐宿に滞留するは、天下に必ず国家の滅亡・君主の死喪の事あらん。

房:填星犯守房,成句巳,天下相誅,夫人喪。土入房三道,為天子有子。(火同。)土守房左右,去復還,庶子秉國。土守房,國有女主喜,大赦,其國有兵發,有反逆臣,大人喪,天下易政令。土守鉤鈐,王者失天下。土犯鍵閉,王者不宜守宮下殿。魏齊王正始九年七月癸丑,土犯鍵閉,明年,車駕謁陵,司馬懿奏誅曹爽等,天子野宿,於是失勢矣。

房宿。房宿四星は天子の明堂・将相の位で、分野は宋に属し・豫州に対応す。土星が迫近して房宿に滞留して「句巳」形を走成するは、天下の互いに誅殺し・夫人に喪あるを主る。土星が房宿の三条の道に進入するは、天子が子を添うるを主る(火星同じ)。土星が房宿の左右に滞留し、離去した後にまた返回するは、庶子が国政を執掌するを主る。土星が房宿に滞留するは、国中の女主に喜慶あり・大赦を実行するを主る。もまた当該の国が兵を発し・叛逆の臣あり・大人に喪あり・天下が政令を更改するを主る。土星が鉤鈐星に滞留するは、君王が天下を失去するを主る。土星が鍵閉星に迫近するは、君王が宮中に留守せず・殿を走下るに宜しからざるを主る。曹魏・斉王正始九年七月癸丑日、土星が鍵閉に迫近し、第二年天子の車駕が城を出でて陵を謁し、司馬懿が上奏して曹爽らを誅殺し、天子が郊外に露宿し、これより権勢を喪失したり。

心:填星犯心,王者絕嗣,犯太子,太子不利;犯庶子,庶子不利。(火同。)土在心,人主貴清虛。土守心,其國相死。土守心,人主任賢。土犯乘凌心,天下大赦。土中犯乘凌心太子位,太子憂;犯少子位,少子憂。(五星同占。)土守心,義士多烈節,庸夫立義也。土守心,太子反。土守心,太子庶子出。色光明赤黃,吉,有賜賀之事。土逆守心成句巳,若環繞之,其國內亂,天子惡之,以赦解之,期六月。

心宿。心宿三星は、中星は天王・前星は太子・後星は庶子で、分野は宋に属し・豫州に対応す。土星が心宿に迫近するは、君王が子嗣を断絶するを主る。太子星に迫近するは、太子に利あらず。庶子星に迫近するは、庶子に利あらず(火星同じ)。土星が心宿に在るは、君主が清静・無為を崇尚するを主る。土星が心宿に滞留するは、当該の国の国相の死亡を主る。土星が心宿に滞留するは、もまた君主が賢才を任用するを主る。土星が迫近・凌乘・逼迫して心宿に及ぶは、天下の大赦を主る。土星が中間より迫近・凌乘して心宿の太子星位に及ぶは、太子に憂あり。少子星位に迫近するは、少子に憂あり(五星の占法相同じ)。土星が心宿に滞留するは、義士に多く剛烈の節操あり・平庸の人すらも能く身を立て義を行うを主る。土星が心宿に滞留するは、太子の反叛を主る。土星が心宿に滞留するは、太子・庶子が出居して外に在るを主る。もし星色が光明にして赤黄なれば、則ち吉と為し、賞賜・慶賀の事あり。土星が逆行して心宿に滞留して「句巳」形を走成し、あるいは心宿を環繞するは、当該の国の内乱・天子がこの象を厭悪し・赦令をもって化解す可く・応期六箇月を主る。

尾:填星逆行入尾箕,妾為女主。若星黃,后有喜,若立后。土守尾,芒角動,更姓易政,天下不安,其國兵起。土犯守尾,為夫人女主妃后惡之。

尾宿。尾宿九星は後宮の嬪妃の位で、分野は燕に属し・幽州に対応す。土星が逆行して尾宿・箕宿に進入するは、妾室が女主に升るを主る。もし土星の色黄なれば、則ち皇后に喜事あり・あるいは皇后を冊立す。土星が尾宿に滞留して芒角が閃動するは、朝を改め姓を換え・政令を更易し・天下が安ならず・当該の国が兵を興すを主る。土星が迫近して尾宿に滞留するは、夫人・女主・妃后が皆この象を厭悪す。

箕:填星犯箕,女主有憂,為天下大赦。一曰大亂。土守箕,后妃貴人大喜,若立王。一曰凌發,後宮有亂。土出入箕留守之,九十日,人民流亡,兵大起,期一年。土守箕,多雨蟲,必有空國死王,客水至,小兵。

箕宿。箕宿四星は八風を主り口舌を主り、分野は燕に属し・幽州に対応す。土星が箕宿に迫近するは、女主に憂あり・また天下の大赦を主る。另一説は大乱を主る。土星が箕宿に滞留するは、后妃・貴人に大いに喜慶あり・あるいは君王を冊立するを主る。另一説はもし凌逼して発せば、則ち後宮に乱あり。土星が箕宿に出入してその中に滞留して九十日に満つるは、百姓の流亡・大規模の起兵・応期一年を主る。土星が箕宿に滞留するは、多雨・多く虫害・必ず国空しく人尽き・君王の死亡の事あり・外来の水患が到来し・還た小規模の兵事あるを主る。

斗:填星亂行入斗,且失地,使之不然,無淫於樂,無見諸侯客,無所出遊,如此即止。又曰:入天庫,以喪起兵國中。土逆行斗,地動。土犯斗,先水後旱,若守之一旬,名水有溢者。不然,則有暴水出。土守斗,國多義士。土守斗,大臣逆,奸民賊子,欲殺其主。又曰:在陽,田宅賤;在陰,田宅貴。

斗宿。南斗六星は天廟で、爵禄を主り、分野は呉に属し・揚州に対応す。土星が乱行して斗宿に進入するは、将に土地を失わんとするを主る。それを応験せしめざらんと欲せば、逸楽に耽溺せず・諸侯・賓客を接見せず・外出・游幸せざるを得べし——このようになれば災禍はようやく停止せん。又一説は、土星が「天庫」に進入するは、喪事に因りて国中に起兵するを主る。土星が斗宿に逆行するは、地震を主る。土星が斗宿に迫近するは、先に水して後に旱を主る。もし滞留して十日なれば、則ち名川・大河の氾濫あり・然らざるもまた暴発の洪水あらん。土星が斗宿に滞留するは、国中に多く義士あるを主る。土星が斗宿に滞留するは、もまた大臣の叛逆・奸民・賊子がその君主を謀殺せんと欲するを主る。又一説は、土星が南(陽)方に在れば、田宅の価賤し。北(陰)方に在れば、田宅の価貴しとす。

牛:填星逆行牛,女主為奸為賊。土乘牛,為人相棄於道。土守牛,諸侯多忠烈,大赦,天下有急。土守牛南,為天子憂;守牛北,為美人憂。土守天關,氣洩,貴人多死。土守犯牛,土功事。

牛宿。牽牛六星は関梁と犠牲・祭祀とを主り、分野は越に属し・揚州に対応す。土星が牛宿に逆行するは、女主が奸を行い悪を作すを主る。土星が牛宿を凌乘するは、人びとの流離・尸を道路に棄つるを主る。土星が牛宿に滞留するは、諸侯の中に多く忠烈の士あり・また大赦・天下に急事あるを主る。土星が牛宿の南に滞留するは、天子に憂あるを主る。牛宿の北に滞留するは、宮中の美人に憂あるを主る。土星が「天関」星に滞留するは、天地の気の泄漏・貴人の多く死するを主る。土星が滞留して牛宿に迫近するは、土木の工程の事あるを主る。

女:填星入女,有女喜。土犯乘女,人民相惡,有女喪。土宿女逆行,變色不安明,女主不親倖。土守女,多妖女。朝臣幸上。土逆行留守凌女,天子大臣必有變令苛政。

女宿。須女四星は布帛・嫁娶と女工とを主り、分野は斉に属し・青州に対応す。土星が女宿に進入するは、女子の喜慶の事あるを主る。土星が迫近・凌乘して女宿に及ぶは、百姓が互いに怨恨し・女子の喪あるを主る。土星が女宿に止宿して逆行し、星色が改変して安明ならざるは、女主が君王の親近・寵幸を受けざるを主る。土星が女宿に滞留するは、多く妖媚の女あり・朝臣の中にもまた諂媚をもって君上に寵を取るありを主る。土星が逆行・滞留・凌逼して女宿に及ぶは、天子と大臣とが必定に常制を変乱する苛刻の政令を頒出するを主る。

虛:填星入舍虛中,有赦德令,大人憂,天下大虛。土守虛,天下亂,政治急,王出。入留舍虛之中,且有急令,行未當至而至,有客兵,不過五日而去;當至不至,其國且用兵。一雲兵起。土守虛之中,水且為急,進而守之,有客兵,斧鉞將用。土入虛,犯守之,當有急令。星行疾而入,必有客兵,斧鉞用,不出其年。

虚宿。虚宿二星は廟堂の祭祀と死喪・哭泣とを主り、分野は斉に属し・青州に対応す。土星が進入して虚宿の中に止宿するは、赦免・施恩の徳令あり・また大人に憂あり・天下の空虚を主る。土星が虚宿に滞留するは、天下の動乱・政令の苛急・君王の出奔を主る。土星が進入・滞留・止宿して虚宿の中に在るは、将に緊急の政令あらん。もしそれの運行が本に応に到らざるべきに提前して到達せば、外来の客兵あり・五日を過ぎずして退去するを主る。もし到るべきに到らざれば、当該の国は将に兵を用いんとす——另一説は兵事の興起を主る。土星が虚宿の中に滞留するは、水患の告急を主る。もし前行を続けてその中に滞留せば、客兵あり・斧鉞の刑戮が将に動用せんとするを主る。土星が虚宿に進入し、また迫近してその中に滞留するは、当に緊急の政令あるべし。土星が行度を加快して虚宿に進入するは、必ず客兵の到来あり・斧鉞が動用し・応験はこの一年を出でざるを主る。

危:填星入危,天下大亂,若賊臣起。土出入留舍危,其國破亡失地,必有流血,其國空虛,有死王,期二年。土守危,天子弋獵,天下儉。土入危留守之,其國破亡,有流血,將軍戰死,亡地五百里,必有徙王,期三年。土守墳墓,為人主有哭泣之聲。

危宿。危宿三星は天府・宮室と墳墓とを主り、分野は斉に属し・青州に対応す。土星が危宿に進入するは、天下の大乱・あるいは奸臣の興起を主る。土星が危宿に出入・滞留・止宿するは、当該の国が破敗して地を失い・必ず流血の禍あり・国中が空虚し・君王の死亡あり・応期二年を主る。土星が危宿に滞留するは、天子が射猟に沈み・天下が貧儉なるを主る。土星が危宿に進入して滞留・守候するは、当該の国が破敗・滅亡し・流血の事あり・将軍が戦死し・土地を五百里喪失し・必ず君王の遷徙あり・応期三年を主る。土星が危宿の旁の墳墓星に滞留するは、君主の家中に哭泣の声あるを主る。

室:填星居室,關梁阻塞,出入操持節,貴人多死。土犯室,犯陽,為陽有急;犯陰,為陰有急。土宿室而逆行,女子自恣。土守室,色黃白,女有分離賜邑而去者。土守室南,主賜金寶。土守室,為大人惡之,以赦解之。一曰太后夫人憂。

室宿。営室二星は天子の離宮と軍糧の府で、分野は衛に属し・并州に対応す。土星が室宿に居るは、関口・橋梁が阻塞し・出入する皆符節を持して査験を受け・貴人に多く死亡あるを主る。土星が室宿に迫近す——南辺(陽)の星を犯すは、陽方に急あるを主る。北辺(陰)の星を犯すは、陰方に急あるを主る。土星が室宿に止宿して逆行するは、女子の放縦・自恣を主る。土星が室宿に滞留して色が黄白を呈するは、女子の分離し・封邑を受賜して離去するあるを主る。土星が室宿の南に滞留するは、君王が金宝を賞賜するを主る。土星が室宿に滞留するは、大人がこの象を厭悪し・赦令をもって化解す可きを主る。另一説は太后・夫人に憂あるを主る。

壁:填星逆行壁,女主干治。土守壁,遠國獻珍寶。土逆行壁,成句巳,其國必有大兵、土功之事,期六月。不下,天子有立王。

壁宿。東壁二星は文章・図籍を主り、分野は衛に属し・并州に対応す。土星が壁宿に逆行するは、女主が朝政に干与するを主る。土星が壁宿に滞留するは、遠方の国が珍宝を進献するを主る。土星が壁宿に逆行して「句巳」形を走成するは、当該の国に必ず大規模の兵事と土木の工程とあり・応期六箇月を主る。もし六箇月に仍ほ離去せざれば、天子が新王を冊立するを主る。

奎:填星入奎,以喪起兵。一曰國有水事。土潤出奎,有善令;變色入其奎,有偽令來者;若出奎,有迫令出使者。土逆行奎,女主為賤。土守奎,天子誡在邊境,不可遠行、將兵出。

奎宿。奎宿十六星は天の武庫で、兵と溝瀆とを主り、分野は魯に属し・徐州に対応す。土星が奎宿に進入するは、喪事に因りて起兵するを主る。另一説は国中に水患の事あるを主る。土星が色沢が潤美にして奎宿を出づるは、良善の政令あるを主る。星色が改変して奎宿に進入するは、仮託の偽令の伝来するあるを主る。もし色を変じて奎宿を出づれば、逼迫性の命令が人を派して出使せしむるあるを主る。土星が奎宿に逆行するは、女主の地位の卑落を主る。土星が奎宿に滞留するは、天子が辺境の事を警戒すべく・遠行す可からず・また兵を領して出征す可からざるを主る。

婁:填星入婁,五穀豐熟,人民息,天下安。土入留舍婁,天下且起兵。一曰外國兵來入。土逆行守婁,三十日不下,女主出入不時,女主謁行。若守之九十日不下,有奸臣謀主。土出入婁,六十日不下,用兵三年。至十日,小旱,秋有兵,禾稼不成,歲有霜。

婁宿。婁宿三星は苑牧・犠牲を主り衆を聚むるを主り、分野は魯に属し・徐州に対応す。土星が婁宿に進入するは、五穀の豊熟・百姓の安息・天下の太平を主る。土星が進入・滞留・止宿して婁宿に在るは、天下の将に起兵せんとするを主る。另一説は外国の兵の入侵を主る。土星が逆行して婁宿に滞留して三十日に満ちて去らざるは、女主の出入が時宜に合せず・随意に外出して謁見するを主る。もし滞留して九十日に去らざれば、奸臣が君主を図謀するあるを主る。土星が婁宿に出入して六十日に満ちて去らざるは、兵を用いること三年を主る。もしただ十日に至るのみなれば、則ち小旱・秋天に兵事あり・禾稼が熟せず・年内に霜の降るを主る。

胃:填星犯胃,臣為亂。土在胃陽,女主不用事;居其陰,女主死。土出入留舍胃,九十日不下,客軍大敗,天下小憂,兵不用。土守胃,歲谷大貴,動搖天下有兵。土逆守胃,若成句巳,天下有兵。六十日不下,士卒大飢,軍大敗;九十日不下,鄰國有暴兵來伐中國,期不出一年。土犯守胃,天下倉有繕者,當有憂殃罰。

胃宿。胃宿三星は天の倉廩で、積聚を主り、分野は趙に属し・冀州に対応す。土星が胃宿に迫近するは、臣下の作乱を主る。土星が胃宿の南(陽)に在るは、女主が権を当つ能わざるを主る。胃宿の北(陰)に居るは、女主の死亡を主る。土星が胃宿に出入・滞留・止宿して九十日に去らざるは、進攻の客軍が大敗し・天下に略々憂患あるも・兵事は動用に至らざるを主る。土星が胃宿に滞留するは、当年の穀価の大漲・天下の動蕩して兵あるを主る。土星が逆行して胃宿に滞留し、あるいは「句巳」形を走成するは、天下に兵あるを主る。六十日に去らざれば、士卒が大飢し・軍隊が大敗す。九十日に去らざれば、隣国に凶暴の兵の前来して中原を討伐するあり・応期一年を出でざるを主る。土星が迫近して胃宿に滞留するは、天下に倉廩を修繕する事あり・当に憂患と災殃の懲罰とあるべきを主る。

昴:填星入昴,胡人為亂,若胡王死,將軍出兵,當有流血,兵起東北,不出其年。土逆行入昴,女主飲食過度。土守昴,天下民貧,人不得飽。土守昴,皇后憂失勢,王者以赦除咎。土守犯昴,天下有福。土中犯乘昴,若北者為陰國有憂,若胡王死。(木水同。)又曰:兵北征胡。又曰:為白衣之會。出其北,為儉有憂。

昴宿。昴宿七星は「髦頭」と称し、胡人と刑獄の事とを主り、分野は趙に属し・冀州に対応す。土星が昴宿に進入するは、胡人の作乱・あるいは胡王の死亡・将軍が兵を出し・当に流血あるべく・兵事が東北に起り・応験はこの一年を出でざるを主る。土星が逆行して昴宿に進入するは、女主の飲食の過度を主る。土星が昴宿に滞留するは、天下の百姓が貧困し・飯を喫うに飽かざるを主る。土星が昴宿に滞留するは、もまた皇后の憂懼・失勢・君王が赦令を用いて災咎を消除するを要するを主る。土星が滞留して昴宿に迫近するは、天下に福あるを主る。土星が中間より迫近・凌乘して昴宿に及び、もし北辺に偏せば、北方(陰)の国に憂あり・あるいは胡王の死亡を主る(木星・水星同じ)。又一説は、兵を発して北に胡人を征するを主る。又一説は、白衣を穿つの喪事の聚会あるを主る。土星が昴宿の北面より穿出するは、年成の歉薄にして憂あるを主る。

畢:填星出其北,為陰國有憂。土入畢口,大人當之。土守畢,人君為下所制,政令不行。土守畢,邊有軍降,王侯受賀,若有大赦。土犯附耳,兵起,有將相喪憂,不即免退。(火同占。)

畢宿。畢宿八星は辺兵と田猟とを主り、また雨を主り、分野は趙に属し・冀州に対応す。土星が畢宿の北面より穿出するは、北方(陰)の国に憂あるを主る。土星が畢口に進入するは、大人が災禍を承当するを要するを主る。土星が畢宿に滞留するは、君主が臣下に挾制せられ・政令の推行し能わざるを主る。土星が畢宿に滞留するは、もまた辺境に敵軍の来降するあり・王侯が慶賀を接受し・あるいは大赦あるを主る。土星が附耳星に迫近するは、兵を興し・将相に喪事・憂患あり・しかも立即に免除・退散せざるを主る(火星の占法相同じ)。

觜:填星犯觜,其國兵起,天下動移。土入觜,其國兵起,天下國中有兵。土守觜,國有謀反者,四方容動侵地,君王崇禮以制義,則國安,天下寧。(金同占。)土守觜,所出之宿,其國亡地;所入之宿,其國得地。

觜宿。觜觿三星は葆旅・収斂を主り、分野は魏(晋)に属し・益州に対応す。土星が觜宿に迫近するは、当該の国の起兵・天下の動蕩・遷徙を主る。土星が觜宿に進入するは、当該の国の起兵・天下と国中とに皆兵事あるを主る。土星が觜宿に滞留するは、国中に人の謀反するあり・四方が機を伺いて動き・土地を侵奪するを主る。君王がもし礼制を崇尚し・礼をもって宜に合する事を裁断せば、国家は就ち安定し得べく・天下は太平す(金星の占法相同じ)。土星が觜宿に滞留するは、それが離開したあの一宿は、その分野の国が土地を失去し・それが進入したあの一宿は、その分野の国が土地を獲得するを主る。

參:填星犯參,國有反者。土逆行,若留止衡中者,為兵革起。土守參,天下有大喪。土守參,大人出使,天下治城,奸臣謀主,有外兵。土守參,為后夫人當之。行陰,為水災,五穀不成。

参宿。参宿七星は斬伐・殺戮を主り、分野は魏(晋)に属し・益州に対応す。土星が参宿に迫近するは、国中に人の反叛するあるを主る。土星が逆行し、あるいは参宿中央の「衡」位に停留するは、兵革の興起を主る。土星が参宿に滞留するは、天下に大喪あるを主る。土星が参宿に滞留するは、もまた大人の出使して外に在り・天下が城池を修治し・奸臣が君主を図謀し・外敵の来犯するあるを主る。土星が参宿に滞留するは、后妃・夫人が災禍を承当するを要するを主る。土星が北(陰)方に偏行するは、水災・五穀の熟せざるを主る。

井:填星入井,大人憂之。行陰,為大水,五穀不成。土當在觜而去居井,亡地。土入留舍井,三十日不行,水且大出,流殺人民。土守井,為旱,赤地千里,不出九十日,有赦。土犯守井鉞,大臣誅,斧鉞用,有兵起。(五星同。)土入井鉞,王者惡之。

井宿。東井八星は水事と法令とを主り、分野は秦に属し・雍州に対応す。土星が井宿に進入するは、大人に憂あるを主る。土星が北(陰)方に偏行するは、大水・五穀の熟せざるを主る。土星が本に応に觜宿に在るべきに離開して井宿に居るは、土地の喪失を主る。土星が進入・滞留・止宿して井宿に在り、三十日に移動せざれば、大水の将に至らん・百姓を淹死せしむるを主る。土星が井宿に滞留するは、旱災・赤地千里・九十日を出でずして赦令あらんを主る。土星が迫近して井宿の旁の「鉞」星に滞留するは、大臣の誅せらるる・斧鉞の刑戮の動用・兵事の興起あるを主る(五星の占法相同じ)。土星が井鉞に進入するは、君王がこの象を厭悪す。

鬼:填星犯鬼,其人君有戮死者。(五星同。)土犯天尸,皇后憂失勢。土入斧鉞,王者惡之。土舍鬼中央,赦。土守鬼西南,為秦漢有反臣,以赦令解之。土入若守鬼,為王者憂,財寶出,亂臣在內。若大臣誅,有干鉞乘鑕者,人君憂,金玉用,人民多疾。南入為男,北入為女人,西入為老,東入為丁壯。木倍貴。土干犯守天尸,隨所守,王者惡之,不出七十日,其天下國大喪,陽為人君,陰為皇后,左為太子,右為貴臣。

鬼宿。輿鬼五星は祠祀・鬼神と死喪とを主り、中央の白気を「積尸」と呼び、また「天尸」とも称し、分野は秦に属し・雍州に対応す。土星が鬼宿に迫近するは、当該の分野の君主の身辺に人の殺されんあるを主る(五星の占法相同じ)。土星が天尸に迫近するは、皇后の憂懼・失勢を主る。土星が斧鉞の位に進入するは、君王がこの象を厭悪す。土星が鬼宿の中央に止宿するは、大赦を主る。土星が鬼宿の西南に滞留するは、秦地・漢中に叛臣あり・赦令をもって化解す可きを主る。土星が進入しあるいは鬼宿に滞留するは、君王に憂あり・財宝の流散・乱臣が就に朝内に在り・あるいは大臣の誅せられ・人の刑鉞に触犯して身を鉄砧に伏せて戮を受け・君主がこれがために憂慮し・金玉が耗用し・百姓に多病あるを主る。土星が南面より進入するは、男子に応ず。北面より進入するは、女子に応ず。西面より進入するは、老人に応ず。東面より進入するは、壮年の人に応ず。木材の価格が加倍して上漲す。土星が干犯して天尸に滞留するは、それの滞留する方位に随いて各々応験あり・君王が皆この象を厭悪し・七十日を出でずして天下の国に大喪あらん——南(陽)に応ずるは君主と為り、北(陰)に応ずるは皇后と為り、左に応ずるは太子と為り、右に応ずるは貴臣と為る。

柳:填星入柳,若不以正道而入之,其國有旱,不則有火災。若逆行入之,地大動,山崩。土出入留舍柳,有急令,三十日。土守柳,天子誡飲食,食官欲殺主。土星守柳,為反臣中兵也,當以德令解之。(水同。)土守柳,女主敬祭祀。一曰多水災。

柳宿。柳宿八星は朱雀の喙で、草木を主り、また天子の膳食を主り、分野は周に属し・三河に対応す。土星が柳宿に進入し、もし正道に循わずして入れば、当該の国に旱災あり・然らざれば火災あらん。もし逆行して進入せば、地の大いに震動し・山峰の崩塌するを主る。土星が柳宿に出入・滞留・止宿するは、緊急の政令あり・応期三十日を主る。土星が柳宿に滞留するは、天子が飲食を謹慎すべく・膳食を掌る官員に君主を謀害する心あるを主る。土星が柳宿に滞留するは、叛臣あり・京城の内に兵あり・応に恩施の徳令をもって化解すべきを主る(水星同じ)。土星が柳宿に滞留するは、また女主の虔敬に祭祀するを主る。另一説は多く水災を主る。

七星:填星出入留守七星,其國五穀大貴,守五十日不下,有兵起,負海國大敗。土守七星,有遷王。一曰有立后。

星宿。七星は朱雀の頸で、急事と衣裳とを主り、分野は周に属し・三河に対応す。土星が七星に出入・滞留・守候するは、当該の分野の国の五穀の価格の大漲を主る。滞留して五十日に去らざれば、兵を興し・瀕海の国が大敗するを主る。土星が七星に滞留するは、君王の遷徙あるを主る。另一説は皇后を冊立するを主る。

張:填星入張,天下大道去,阻關梁,宗室惶惶。土留舍張,為陰陽盡,民流千里,魚鱉死於陰道,民憂疾賊。土守出入留舍張,車盡出,其秋冬仲月土功事大起。土守張三日,其事微;守之三十日,其事大。其國諸侯謀慮,大臣伏法死。土守張,多盜賊,人民相惡,兵起。土守張,兵大起。一曰有土功事。

張宿。張宿六星は朱雀の嗉で、珍宝と宗廟・賓客とを主り、分野は周に属し・三河に対応す。土星が張宿に進入するは、天下の大道の廃棄・関口・橋梁の阻塞・宗室の惶恐・不安を主る。土星が張宿に滞留・止宿するは、陰陽の気の衰竭・百姓の流亡千里・魚鱉の水中に死し・百姓が疾病と盗賊とを憂うを主る。土星が張宿に滞留・出入・止宿するは、車輛が尽数に征発せられ・当年秋冬の仲月に土木の工程が大興するを主る。土星が張宿に滞留して三日なれば、事情は軽微。滞留して三十日なれば、事情は重大——当該の国の諸侯が図謀し・大臣が法に伏して死す。土星が張宿に滞留するは、多く盗賊・百姓の互いに怨恨し・兵事を興起するを主る。土星が張宿に滞留するは、大規模の起兵を主る。另一説は土木の工程の事あるを主る。

翼:填星逆行翼,女主亂朝。土守翼,有反臣中兵也,(柳同。)若有土功事。土守翼,王者承德,君臣賢明,六合門同氣,天下和平,禮樂大興。若守一年,十年豐。一曰女有喜者。土守翼,后夫人有喜。(火占同。)

翼宿。翼宿二十二星は朱雀の翼で、楽府と遠客とを主り、分野は楚に属し・荊州に対応す。土星が翼宿に逆行するは、女主が朝政を扰乱するを主る。土星が翼宿に滞留するは、叛臣あり・京城の内に兵あり(柳宿の占法と相同じ)、あるいは土木の工程の事あるを主る。土星が翼宿に滞留するは、もまた君王が天徳を承受し・君臣が賢明し・六合の内が同心・同気・天下が和平し・礼楽が大興するを主る。もし滞留して一年に満てば、此の後十年の豊収を主る。另一説は女子に喜慶あるを主る。土星が翼宿に滞留するは、后妃・夫人に喜あるを主る(火星の占法相同じ)。

軫:填星入軫中,候出日而數之,期二十日,為兵發,伺始入處而數之,率一日期十日,軍罷。土出入留舍軫,六十日不下,必有大旱六月。一曰不出三年,河海盡空。土守軫,土功大起,國有白衣之會,必有亡地千里,不出其年。土出入軫,若守之,兵大起,有憂,江河當竭,天下大旱,禾稼死傷,人民大飢,期二年。填星干犯軫,國有死喪,人主惡之。

軫宿。軫宿四星は車駕を主り、また風と死喪とを主り、分野は楚に属し・荊州に対応す。土星が軫宿の中に進入するは、それが宿を出づるの日より計算し、二十日を期と為し、兵を発するを主る。それが初入の処より計算すれば、大約一日が十日の期に折合し、其の時軍隊が罷散す。土星が軫宿に出入・滞留・止宿し、六十日に去らざれば、必ず六箇月の大旱あらん。另一説は三年を出でずして江・河・湖・海が皆乾涸せんとす。土星が軫宿に滞留するは、土木の工程の大興・国中に白衣を穿つの喪事の聚会あり・必定に土地を千里喪失し・応験はこの一年を出でざるを主る。土星が軫宿に出入しあるいはその中に滞留するは、大規模の起兵・国に憂患あり・江河が乾竭し・天下の大旱・禾稼の枯死・百姓の大飢・応期二年を主る。土星が軫宿を干犯するは、国中に死喪あり・君主がこの象を厭悪するを主る。

填星干犯中外官占第三十三

填星入天庫,以喪起兵國中。土乘南河界,若出南,為中國。土守南河,蠻夷兵起,邊界有憂,若有旱災,人民憂飢。

土星が「天庫」星に進入するは、喪事に因りて国中に起兵するを主る。土星が「南河」の戒界を凌乘し、あるいは南面より穿出するは、中原の国に応験す。土星が南河に滞留するは、蛮夷の興兵・辺境に憂患あり・あるいは旱災の発生・百姓が飢荒を憂うを主る。

土入軒轅干犯,女主失勢,有憂喪,地裂,大臣有放逐者,五官有不治者,色悴,為憂為病,其所在干犯乘守者,有誅若有罪。土守軒轅,天下大赦。土守軒轅,天下大亂,後官破散,改政易王,人主以赦除咎,期三年。

土星が進入・干犯して軒轅(后妃・女主の星)に及ぶは、女主の失勢・憂患・喪事あり・地面が開裂し・大臣の中に放逐せらるるあり・五官の中に職を失うありを主る。もし土星の色沢が枯槁なれば、則ち憂愁と疾病とを主る。およそそれの所在する処が干犯・凌乘・滞留せらるるは、あの一位に誅せらるるの禍ありあるいは罪責あらん。土星が軒轅に滞留するは、天下の大赦を主る。土星が軒轅に滞留するは、もまた天下の大乱・後宮の破敗・离散・政令を改易し・君王を更換し・君主が赦令を用いて災咎を消除し・応期三年を主る。

土入干犯守少微,為宰相易。又曰為女主有憂。(水同。)土入干犯乘守少微,為五官亂,宰相有憂。(水同。)土犯太微,女主持政,大夫執綱。

土星が進入・干犯・滞留して少微星に及ぶは、宰相の更換を主る。另一説は女主に憂あるを主る(水星同じ)。土星が進入・干犯・凌乘・滞留して少微星に及ぶは、五官の紊乱・宰相に憂あるを主る(水星同じ)。土星が太微垣に迫近するは、女主が朝政を執掌し・大夫が綱紀を掌握するを主る。

土出東掖門,為相受命,東南出,德令事也;出西掖門,為將受令,西南出,刑罰事。(月同。)期以春夏,入西掖門,出東門,皆為人君不安,欲求賢佐。入中華西門,出中華東門,為臣出令。入太陰西門,出太陰東門,皆為天下大亂,有喪,若大水。(月同。)

土星が太微垣の東掖門より穿出するは、宰相が命を受くるを主る。東南方より穿出するは、恩を施し徳令の事なり。西掖門より穿出するは、将帥が命を受くるを主る。西南方より穿出するは、刑罰の事なり(月が此処を経行するは占法相同じ)。応期は春夏の間に在り。土星が西掖門より進入して東門より穿出するは、皆君主の安ならず・賢才を訪求して輔佐せんと欲するを主る。中華西門より進入し・中華東門より穿出するは、臣下が君に代わりて号令を発するを主る。太陰西門より進入し・太陰東門より穿出するは、皆天下の大乱・喪事あり・あるいは大水あるを主る(月同じ)。

土守太微宮五帝座,必有破國易世立王,土入太微,干犯黃帝座,女主執政,用威勢。土犯天街,中外不通,四夷為寇。

土星が太微宮の五帝座に滞留するは、必ず国家の敗亡・朝を改め代を換え・別に新王を立つる事あらん。土星が太微垣に進入して「黄帝座」を干犯するは、女主が朝政を執掌し・威権・勢力を動用するを主る。土星が「天街」星に迫近するは、中原と四方とが隔絶して通ぜず・四方の夷狄が前来して入寇するを主る。

乙巳占・巻第六

太白占第三十四

太白,一名天相,一名太正,一名太皋,一名明星,一曰長庚。西方金德,白虎之精,白招矩之使也。其性義,其事言,其時秋,其日庚辛,其辰辛酉,其帝少昊,其神蓐收,其蟲毛,其音商,其味辛,其臭腥,其卦乾兌。易曰:說言乎兌,戰乎乾。是故太白主兵,為大將,為威勢,為斷割,為殺害,故用兵必占。太白體大而色白,光明而潤澤,所在之分,兵強國昌;體小而昧,軍敗亡國。

金星はまた「天相」と名づき、また「太正」と名づき、また「太皐」と名づき、また「明星」と名づき、もまた「長庚」と呼ぶ。それは西方金徳に属し、白虎の精気で、西方天帝「白招矩」の使者なり。それの対応する徳性は「義」、対応する政事は「言」、季節は秋に属し、天干は庚辛に属し、地支は申酉に属し、配する古帝は少昊、配する神は蓐収、配する物類は毛虫、五音は商に属し、滋味は辛、気味は腥、卦象は乾卦と兑卦なり。《周易・説卦》にいう。「言を説く乎兑、戦う乎乾」と。ゆえに金星は兵事を掌管し、大将を象徴し、威勢を象徴し、決断・裁割を象徴し、殺伐を象徴す。この故に兵を用うる時は必ず金星を占候す。金星の形体が大にして色白く・光明・潤沢なれば、それの所在する分野の国家は兵強く国盛ん。形体が小にして晦暗なれば、則ち軍敗れ国亡ぶを主る。

太白主秋,人君當秋之時,順太白以施政則吉,逆之則凶。是故可以秋日賞軍帥武人於朝,命將選士厲兵,簡俊練傑,專任有功,以徵不義,誅伐暴慢,而明好惡,以伏遠方,完城郭,修器械卒乘,校田獵,習五戎,三令五申,以圖軍事,則太白光而潤大,順行軌道,其國兵強主昌,太白之見也。

金星は秋を主り、君主が秋季に至り、金星の性情に順応して政を施せば則ち吉、それに違逆すれば則ち凶。ゆえに秋日に朝堂に於いて軍帥・武将を犒賞し・将領を任命し・士卒を選抜し・兵器を磨礪し、俊才を簡選し・英傑を訓練し、功ある人を専任し、用いて不義を征討し・凶暴・傲慢の徒を誅伐し、好悪を明示し、遠方の人をして懾服せしむ可し。また城郭を修完し・器械と士卒・車乘とを整治し、田猟を校閲し・五種の兵器を操習し、三令・五申して、もって軍事を謀劃す。このようになれば金星は就ち光明・潤沢にして形体が碩大に・軌に循って順行し、あの国家は兵強く君昌ん——これ正に金星の顕現する吉象なり。

以其時修法制,繕囹圄,具桎梏,禁奸邪,務執縛,察獄刑,戮罪過,斬殺必當,無留有罪,不留無式。枉撓不當,人君大臣受其咎。施制合時,則太白伏見以時,進退如度,稱兵及伐必克,四夷賓服。又於秋時,人君當審法度,養衰老,受几杖,築城修垣,完囷倉;務收斂,納蓄積,無出宿藏,無列土授封以傷秋收之氣,太白喜而光澤,國民強矣。凡舉大事,無逆天數,必順時因類,則太白降之威,而奸盜自息,而戎狄賓服矣。天數建時,政不以類,則太白經天晝見,國易政,四夷內侵,中國亂,失道者亂亡矣。

この季節に還た応に法制を修明し・牢獄を修繕し・刑具を備斉し・奸邪を禁絶し・緝捕に力を致し・獄訟・刑罰を審察し・罪ある人を懲処し、斬殺は必ず得當なるべく・罪ある者の判決を拖延せず・また法式の依据なき刑罰を濫用せざるべし。もし案を断ずるに冤枉・屈曲し・処置が失当なれば、君主と大臣と皆この過錯を承受するを要す。政令・措施が時令に合すれば、金星は就ち時に按って伏没し・時に按って出現し・進退が度数に合し・兵を興して征伐すれば必ず能く取勝し・四方の夷狄が帰服す。秋季の裏に、君主は還た応に法度を審定し・衰老の人を奉養し・几案・手杖を賜給し・城を築き墻を修め・糧囤・倉廩を修好すべし。収斂に力を致し・積蓄に納入し・旧蔵を動用せず・この時に土地を分封して秋收の気を傷つるなかれ。このようになれば金星は就ち欣悦して光沢・明潤に、国家と百姓と皆強盛す。およそ大事を挙辦するは、天数に違逆する勿れ、必ず時令に順応し・類に依って行うべし——金星は就ち威勢を降下し、奸邪・盗賊は自然に平息し、戎狄が前来して帰服す。もし天数が已に時令を定むるに、政令が却ってその類に依って行わざれば、金星は就ち天空を横経し・白昼に見え、国家が政令を更改し・四方の夷狄が内侵し・中原が動乱し・道を失う国が乱に因りて亡ぶを主る。

若以秋時行冬令,則辰星之氣干之,太白色黑而芒角,陰氣大勝,戎兵來,風災起,多盜賊,邊境不寧,地震坼,而國有大喪重獄。以秋時行春令,則歲星之氣干於太白,青而昧,小國旱,君有大憂,陽氣遲,五穀無實,雨不降,歲旱,不榮不時矣。若秋行夏令,則熒惑之氣干於太白,色赤怒而兵起,國多火災,寒熱不節,民多瘧疾。蟄蟲不藏矣。

もし秋季に冬に属する政令を推行すれば、水星の気が就来て干犯し、金星は色黒くして芒角を顕露す——陰気が大盛し・戎兵が入侵し・風災が興起し・盗賊が衆多し・辺境が寧ならず・地が震動して開裂し・国中に大喪と重大の刑獄とあらん。秋季に春に属する政令を推行すれば、木星の気が就来て金星を干犯し、星色は青くして晦暗す——小国が乾旱し・君主に大憂あり・陽気が遅滞し・五穀が結実せず・雨水が降らず・年成が大旱し・草木が時に応じて開花する能わざらん。もし秋季に夏に属する政令を推行すれば、火星の気が就来て金星を干犯し、星色は赤くして怒張す——兵事が興起し・国中に多く火災・寒熱が節度を失い・百姓に多く瘧疾を患い・蟄虫もまた土に入りて潜蔵するを肯んぜざらん。

若行令得以其時,白色而光潤,無錯逆矣,而兵強可以攻守矣。太白從軌修度先時者,國有應變多擁之將,從革而應機改易也。太白主義人斷獄,治軍旅境以使民,倉稟盈實,則太白明靜而國治也。若獄訟不理,弋獵非時,政教逆天,太白芒角動搖,而盜賊群行,兵騎滿野,攻守不息矣,兵旱並起。夫秋主義,義者理財正辭,禁民為非者也。

もし政令が皆時令に合すれば、金星は就ち白色を呈して光潤に・錯乱・逆行なく・兵力が強盛にして・攻守皆勝任す。金星が軌に依り度を守りて常時より提前して出現するは、国中に変に応ずるに善く・兵を擁する多き将領あり・能く金の「従革」のごとく機に随い変に応じ・弦を改め張り更むるを主る。金星は義理を掌管し・人びとの獄訟を断決するを掌り、軍旅を治理し・疆界を守衛して百姓を役使す。もし倉廩が充実せば、金星は就ち明亮・安静にして、国家は安治す。もし獄訟を治理せず・射猟が時令に合せず・政教が天道に違逆せば、金星は就ち芒角が閃動・揺曳し、ここにおいて盗賊が群を成して行き・兵馬が原野に布満し・攻守が止まず・兵禍と旱災とが一斉に発生す。秋は「義」を主る——いわゆる義とは、すなわち財貨を治理し・名分・言辞を端正し、百姓の非を為し歹を作すを禁止するなり。

凡用兵之要,必占太白,以金精大將之位,兵之象。太白出入,兵順之吉,逆之凶。太白出高,用兵,深入吉,淺入凶,先起勝;太白出下,淺入吉,深入凶,後起吉。太白晝見,有兵兵罷,無兵兵起,不出六十日。出東方,始見為德,月未盡三日,在月南得行,在月北失行,是謂反生,不有破軍,必有屠城,北國當之。

およそ兵を用うるの要領は、必ず金星を占候す——金の精気は正に大将の位・兵戎の象なるがゆえなり。金星の出没は、兵を用いてそれに順応すれば則ち吉・それに違逆すれば則ち凶。金星が出現する位置が高ければ、兵を用いて敵境に深入すれば則ち吉・浅入すれば則ち凶・先に発動する一方が取勝す。金星が出現する位置が低ければ、浅入すれば則ち吉・深入すれば則ち凶・後に発動する一方が吉利なり。金星が白昼に見ゆるは、原有の兵事あるは兵事が罷休し・本無の兵事あるは兵事が興起し・応験は六十日を出でず。金星が東方に出現するは、初見の時は「徳」を主る。月相の将に尽きんとする三日の内に、金星が月の南に在るは循行して度を得と為し、月の北に在るは度を失うと為し——これを「反生」と呼び、軍隊の潰敗ならざれば、必ず城を屠るの禍あり・北方の国に応ず。

太白出東方,月盡三日,太白在月北,負海國不勝;在月南,中國勝;在月北,中邦敗。太白失行南,謂金入火,有兵罷。太白出西方,為刑。月生三日,太白在月北,負海戰勝;在月南,負海戰敗。

金星が東方に出現し、月末の三日の内に、金星が月の北に在れば、瀕海の国は取勝する能わず。月の南に在れば、中原の国が取勝す。月の北に在れば、中原の邦が戦敗す。金星が度を失いて南に偏行するを、「金入火」と呼び、兵事の停罷を主る。金星が西方に出現するは、「刑」殺の事を主る。月初生の三日の内に、金星が月の北に在れば、瀕海の国が作戦して取勝す。月の南に在れば、瀕海の国が作戦して失敗す。

太白與月相夾,有兵。容三指,有兵憂;容二指,有憂城,有偏將之戰。太白與月出,城守者援城。太白與列宿相犯,為小戰;與五星相犯,為大戰。太白出南,南邦敗;出北,北邦敗。

金星と月とが互いに靠近して夾持するは、兵事あるを主る。二者の相距ること約三指の寛を容るるは、兵事の憂あるを主る。相距ること約二指の寛を容るるは、城池に憂あり・偏将の級別の交戦あらんを主る。金星と月とが同時に出現するは、城を守る一方が援救を得るを主る。金星と二十八宿の星とが相犯するは、小規模の交戦を主る。五星と相犯するは、大規模の交戦を主る。金星が南方に出現するは、南方の邦の敗るるを主る。北方に出現するは、北方の邦の敗るるを主る。

金出東方,為德事。用兵,左迎之吉,右背之凶。太白出西方,為刑舉事用兵,右迎之吉,左背之凶。太白守斗七日,夷狄侵。太白入羽林,軍兵起。太白蝕昴畢,胡可滅。太白光影,戰不勝,將軍死。太白變色,隨方向所在戰勝,色青,東方勝也。

金星が東方に出現するは、恩徳を施す事を主る。用兵の時に左辺よりそれを迎えれば吉・右辺よりそれに背けば凶。金星が西方に出現するは、刑殺の事を主り、事を挙げ兵を用うる時に右辺よりそれを迎えれば吉・左辺よりそれに背けば凶。金星が斗宿に滞留して七日なるは、夷狄の入侵を主る。金星が羽林星区に進入するは、軍隊が兵を興すを主る。金星が昴宿・畢宿を掩食するは、胡人の剿滅し得べきを主る。金星の光影が揺曳して定まらざるは、作戦して取勝する能わず・将軍の戦死を主る。金星が色を変ずれば、就ちそれの変ずる所の色の対応する方位に按って何方の取勝するかを判断す——色青なれば則ち東方が取勝す。

太白入月,四日候之,其傍有小星附出。若去尺餘至二尺,客軍大敗。有死將,軍在外;傍有小星,去之一尺,軍罷。太白色白而角,文也,不可以戰;金色赤而角,武,可以戰也。太白與木合光,戰。

金星が月の中に進入するは、連続して四日を観候し、それの旁辺に小星の附随して出づる有るや否やを看るべし。もし小星が金星に距ること一尺多から二尺なれば、進攻の客軍が大敗し・将領の戦死あり・軍隊が外に在りて征戦するを主る。もし旁辺の小星がそれに距ること一尺なれば、軍隊の罷散を主る。金星が色白にして芒角あるは、「文」に属し、作戦す可からず。金星が色赤にして芒角あるは、「武」に属し、作戦す可し。金星と木星とが光芒を相合するは、交戦を主る。

太白應出不出,應入不入,此謂失色,不有破軍,必有死將,所受之邦,不可以戰。不當出而出,未當入而入,天下兵起,有敗國受者,不可戰。太白始入,入十四日而復出,軍戰死,入七日而復出,相死也。太白始出小後大,兵強。太白,有兵戰吉,不戰凶,順而擊之吉,逆之凶。

金星が応に出現すべきに出現せず・応に隱没すべきに隱没せざるは、これを「失色」と呼び、軍隊の潰敗ならざれば、必ず将領の戦死あり・この天象を承受する邦国は作戦す可からず。応に出現すべからざるに却って出現し・応に隱没すべからざるに却って隱没するは、天下の興兵・国家の敗亡してその禍を承受するあり・もまた作戦す可からざるを主る。金星が初伏の後、隱入して十四日にして重新に出現するは、軍隊の交戦して人の戦死するあるを主る。隱入して七日にして重新に出現するは、国相の死亡を主る。金星が初出の時小にして後來大に変ずるは、兵力の強盛を主る。金星の顕現の時、兵事ありて交戦すれば則ち吉・戦わざれば反って凶・それの方位に順って出撃すれば則ち吉・それに逆えば則ち凶。

太白行遲,用兵遲吉疾凶;行疾,用兵疾吉遲凶。太白出則兵出,入則內兵,戰有勝。用兵象太白吉,逆之凶。赤而戰,白而角為喪。

金星の行度が遅緩なれば、兵を用うるは就ち緩進すべく、緩なれば則ち吉・急なれば則ち凶。金星の行度が快速なれば、兵を用うるは就ち急進すべく、急なれば則ち吉・緩なれば則ち凶。金星が出現すれば就ち兵を出し、金星が隱没すれば就ち兵を収めて内に入る——このように作戦すれば能く取勝し得べし。兵を用いて金星に取法すれば則ち吉・それに違逆すれば則ち凶。金星が色赤なれば、交戦す可し。色白にして芒角あらば、則ち喪事を主る。

太白在東方,與月並出,準之指間。容一指,期入十日,有軍,軍破將死,主人不勝;容二指,期十二日,軍大敗,主人亡地;容三指,期十六日;破軍死將,王者亡地;容四指,期二十五日,客軍大敗;容五指,期三十日,軍陣不戰。

金星が東方に在りて月と一同に出現するは、手指の寛度をもってそれらの間の距離を量るべし。相距ること一指なれば、応期十日の内・軍事あらん・軍隊が潰敗し・将領が戦死し・拠守の主人の一方が取勝する能わざらん。相距ること二指なれば、応期十二日・軍隊が大敗し・主人の一方が土地を喪失せん。相距ること三指なれば、応期十六日・軍を破り将を死せしめ・君王が土地を喪失せん。相距ること四指なれば、応期二十五日・進攻の客軍が大敗せん。相距ること五指なれば、応期三十日・両軍が陣を対して交戦せざらん。

太白夕出西方,月始出三日,與月並出。其間容一指,軍在外,期十日,有破軍,將死客勝;容二指,期十五日,有破軍死將,主人勝;容三指,期二十日,有破軍死將,客軍大勝,主人亡地;容四指,期二十五日,客入境,主人不勝;容五指,期三十日,軍陣不戰,並出者占,不併出者不占。

金星が傍晚に西方に出現し、正に月の初出の三日の内に当たり、月と一同に出現す。二者の間が相距ること一指なれば、軍隊が外に在りて征戦し・応期十日・軍隊の潰敗あり・将領が戦死して客方が取勝するを主る。相距ること二指なれば、応期十五日・軍を破り将を死せしめ・主人の一方が取勝せん。相距ること三指なれば、応期二十日・軍を破り将を死せしめ・客軍が大勝し・主人の一方が土地を喪失せん。相距ること四指なれば、応期二十五日・客軍が国境に侵入し・主人の一方が取勝する能わざらん。相距ること五指なれば、応期三十日・両軍が陣を対して交戦せざらん。二者が同時に出現してようやくこれに拠って占断し得べく、同時に出現せざるは就ち占せず。

太白一東一西,害侯王;一南一北,兵乃伏。太白犯房,戴麻森森;犯畢角二宿,戰流血;犯左角,左將死;犯右角,右將死。太白在填星北,天子失土。五星及太白守畢中,國亂,大人當之,國易政。太白、熒惑、辰星,守心,哭聲吟吟。

金星が忽ち東忽ち西に出没するは、侯王を危害するを主る。忽ち南忽ち北なるは、兵事の潜伏して発せざるを主る。金星が房宿に迫近するは、人びとの孝を戴き・麻衣の紛紛たるを主る。金星が畢宿と角宿とのこの両宿に迫近するは、交戦・流血を主る。左角星に迫近するは、左将の戦死を主る。右角星に迫近するは、右将の戦死を主る。金星が土星の北に在るは、天子が土地を喪失するを主る。五星および金星が畢宿の中に滞留するは、国家の動乱・大人がこの災禍を承当するを要し・国家が政令を更改するを主る。金星・火星・水星が一同に心宿に滞留するは、哭声の絶えざるを主る。

太白入月中不出,客將死。太白入月中,而星見者,臣殺主。月蝕太白,國君戮臣殺主。太白經天,不出三年,必有大喪,大臣有殃,軍事。

金星が月の中に進入して出でざるは、客方の将領の死亡を主る。金星が月の中に進入して、而して星体が仍然として見ゆるは、臣下が君主を弑殺するを主る。月が金星を掩食するは、国君が臣下を誅戮し・臣下が君主を弑殺するを主る。金星が天空を横経するは、三年を出でずして必ず大喪あり・大臣が殃を遭い・かつ軍事の発生あるを主る。

太白出,辰星不出太白,為客善,主人雖兵強不戰。辰星出,即以太白為主人,有主無憂兵戰。金水俱出東方,東方同勝,西方國大敗。辰守太白不去,大將死,辰星居太白前,二日軍罷。辰星出太白,小戰;南三尺,軍約大戰。太白進,則兵進。

金星が出現して水星が金星に随いて出現せざるは、客方(進攻の一方)に利あり・拠守の主人の一方は兵力が強盛なる虽も作戦するに宜しからざるを主る。水星が出現すれば、就ち金星をもって主人の一方と為し、主人に依托あり・交戦を憂慮する必ずしも要せず。金星・水星が一同に東方に出現するは、東方の国が共同に取勝し・西方の国が大敗するを主る。水星が金星の旁に滞留して去るを肯んぜざるは、大将の死亡を主る。水星が金星の前に居るは、両日の内に軍隊が罷散するを主る。水星が金星の旁に出現するは、小規模の交戦を主る。もし金星の南三尺に在れば、両軍が期を約して大戦せん。金星が前進すれば、則ち軍隊は応に前進すべし。

辰星太白俱出西方,西方國勝,東方國敗。各出一方為格,有兵不戰。辰星太白俱出而合宿,乃戰。異宿者,兩軍雖近不戰。太白出未高,敵深入者可敵,去勿追。太白出高,敵深入境,勿與戰,去亦勿追。

水星・金星が一同に西方に出現するは、西方の国が取勝し・東方の国が失敗す。二星が各々一方に出でて相対するを、「格」と呼び、兵事ある虽も交戦せざらん。水星・金星が一同に出現して同じく一宿に在ってようやく交戦せん。分居して同じからざる宿に在れば、両軍は縱使相距ること很も近きも交戦せず。金星が出現する位置が還た高からざれば、敵人が深入して入り来るも還た抵當し得べく、敵人が退去すれば則ち追撃する勿れ。金星が出現する位置が高ければ、敵人が国境に深入す、彼と交戦する勿れ、彼が退去するもまた追撃する勿れ。

太白入西方,未出東方。東方、南方起兵者勝,得地。其後主敗將死。太白入東方,未出西方,北方兵起者,身死亡地。太白主秦國,主雍涼二州。太白大,秦晉國與王者兵強得地,王天下。

金星が西方に隱没し、還た東方より出現せざる、この時東方・南方より起兵する一方が取勝し・能く地を得べく、但しその後主将が敗亡し・将領が戦死せん。金星が東方に隱没し、還た西方より出現せざる、この時北方より起兵する一方は、将に身死し地を失わんとす。金星は秦国を主管し、雍州・凉州の二州の分野を主管す。金星の形体が碩大なるは、秦・晋の地と当今の王者とが兵力強盛・疆を開き地を得・天下に王たると称し得べきを主る。

太白赤角則兵戰,白角兵起,黑角兵罷,青角憂。太白圓有喪,芒角,隨芒所指,兵之所起。太白晝見,為兵喪,為不臣更王。強國弱,弱國強。太白晝見,亦為大秦國強,各以其宿占,其國有兵。

金星が色赤にして芒角あるは、交戦を主る。色白にして芒角あるは、兵を興すを主る。色黒にして芒角あるは、兵事の停罷を主る。色青にして芒角あるは、憂患を主る。金星の光体が渾圓なるは、喪事あるを主る。芒角が顕露せば、則ち芒角の指す方向に順うが、正に兵事の興起する処なり。金星が白昼に見ゆるは、兵禍と喪事とを主り、臣下が臣たらず・別に新王を立て・強国が弱に転じ・弱国が強に転ずるを主る。金星が白昼に見ゆるは、もまた秦地の国の強盛を主る。具体の応験はそれの所在する宿の分野に按って占断するを要し、あの国家に兵事あらん。

太白犯五星,有大兵;犯列宿,為小兵。太白犯熒惑,為大戰。太白在南,南國敗;在北,北國敗。魏青龍二年五月丁亥,太白晝見,積三十餘日,以晷度推之,非秦、魏,則楚也。是時諸侯使諸葛亮據渭南,與司馬懿相持,孫權寇合肥,又遣陸機孫皓等入淮。帝親東征,蜀本秦地,則為秦魏及楚兵俱起。

金星が五星の中の其他の行星に迫近するは、大規模の兵事あるを主る。二十八宿の星に迫近するは、小規模の兵事を主る。金星が火星に迫近するは、大戦を主る。金星が南に在れば南方の国敗れ、北に在れば北方の国敗る。曹魏・青龍二年五月丁亥日、金星が白昼に見え、累積して三十多天。日晷の度数を用いてそれの対応する分野を推算すれば、秦・魏の地ならざれば、すなわち楚地なり。当時蜀漢が諸葛亮を派して渭水の南に占拠せしめ、司馬懿と相持し、孫権が合肥を進犯し、また陸機・孫皓らを派して淮南に進入せしめ、魏明帝が親身に東征したり。蜀地は本は秦の故地、ゆえにこれは秦・魏と楚との三方の兵事が一斉に興起するの応験なり。

月與太白相犯,人君死,又為兵。太白當見不見,是謂失舍。不有破軍,必有死王篡其國。《宋志》云:晉咸寧四年,太白應見不見,至青龍五年十一月,羊祜伐吳,太白始夕見西方,而卒滅吳。當見不見之應。

月と金星とが相犯するは、君主の死亡を主り、もまた兵事を主る。金星が応当に出現すべきに出現せざるは、これを「失舎」と呼び、軍隊の潰敗ならざれば、必ず君王の死亡・人のその国を篡奪するあり。《宋書・天文志》の記載にいう。西晋・咸寧四年、金星が応に出現すべきに却って出現せず、直到後來十一月に羊祜が東呉を伐たんを謀りて、金星はようやく傍晚に西方に出現し、最終に呉国を滅掉したりと。これがすなわち「当見不见」の応験なり。

太白入列宿占第三十五

角:太白犯左角,大戰,不勝,將軍死。金守角一尺,十六日,太子驕溢,國都圍,大人自將兵於野,民多疾疫,金守角為兵。其守色黃,大臣益地;色赤,臣欲反其主。金逆行左角間,有刺客,天子慎之。金守左角,群臣有謀不成,有其家坐罪。

角宿。角宿二星は蒼龍の角で、左角は刑理を主り、右角は将兵を主り、分野は鄭に属し・兗州に対応す。金星が左角星に迫近するは、大戦・しかも取勝する能わず・将軍の戦死を主る。金星が角宿に距ること一尺以内に滞留して十六日に満つるは、太子の驕縦・過度・国都の囲まれ・大人が親身に兵を領して野外に出征し・百姓に多く疫病を生ずるを主る。金星が角宿に滞留するは本より兵事を主る。滞留する時にもし星色が黄なれば、大臣が封地を増広するを主る。星色が赤なれば、臣下がその君に反叛せんと欲するを主る。金星が左角の間に逆行するは、刺客あり・天子が応に戒備すべきを主る。金星が左角に滞留するは、群臣に図謀する所有りて成功し能わず・還た人家のこれに因りて罪を獲るあるを主る。

亢:金入亢,中國有兵。若行疾犯凌而有芒角,朝廷貴臣有戮者,一百日,遠八月。金星數入亢,其國疾疫。金守角亢,為兵,大人自將兵於野。金守亢,收斂用兵,以備北方。金逆行犯亢,為兵逆臣亂,人君有憂。

亢宿。亢宿四星は天子の外朝の庭で、また疾疫を主り、分野は鄭に属し・兗州に対応す。金星が亢宿に進入するは、中原に兵事あるを主る。もしそれの行度が加快して迫近・凌逼し・また芒角あらば、朝廷の貴臣に誅殺せらるるあり・応期一百日・遠ければ八箇月を主る。金星が屢々亢宿に進入するは、当該の分野の国に疫病の流行するを主る。金星が角宿・亢宿に滞留するは、兵事・大人が親身に兵を領して野外に出征するを主る。金星が亢宿に滞留するは、応に兵力を収斂して、もって北方に防备すべきを主る。金星が逆行して亢宿に迫近するは、兵禍・叛臣の作乱・君主に憂あるを主る。

氐:太白犯氐左星,左中郎將誅死;犯右星,右中郎將誅死,期三年。又云:五星犯左右星數。(金同用。)金入氐,天下大疫。一曰有兵。金守五星同守之,加兵其國。

氐宿。氐宿四星は天子の寝宮・后妃の府で、分野は宋に属し・豫州に対応す。金星が氐宿の左辺の星に迫近するは、左中郎将の誅死を主る。右辺の星に迫近するは、右中郎将の誅死を主り、応期三年。又一説は、五星が氐宿の左右二星を侵犯する回数の多寡は、もまたこれに依って占断す(金星の占法同様に適用す)。金星が氐宿に進入するは、天下の大疫を主る。另一説は兵事あるを主る。金星が氐宿に滞留して、而して五星もまた一同にその中に滞留するは、兵禍が当該の分野の国に加わるを主る。

房:金入房成勾,為天子忌之,赦解之。金刺房心,皆正,不失儀,失則為變。金犯凌房,國君有憂。色青,憂喪;色赤,憂兵,積尸成山;色赤黑,有將相誅;色赤芒角,大喪。(一云:五星同占。)金守房,國大喪,大臣有戮死者,為良馬出廄,臣益君命,臣脅君,天下易主。大人喪,有反臣,大臣當之。金逆行守房,群臣戴麻鏘鏘。金犯守房,為天下相誅。犯守鉤鈐者憂。

房宿。房宿四星は天子の明堂・将相の位で、分野は宋に属し・豫州に対応す。金星が房宿に進入して弯勾の形を走成するは、天子がこの象を忌諱し・赦令をもって化解す可きを主る。金星が徑直に房宿・心宿を指し、ただ行度が端正・常儀を失わざれば、妨礙なく、一旦度を失えば、便ち変異と成る。金星が迫近・凌逼して房宿に及ぶは、国君に憂あるを主る——星色が青なれば、憂は喪事に在り。色赤なれば、憂は兵禍に在り、尸の積むこと山のごとし。色赤黒なれば、将相の誅せらるるあり。色赤にして芒角あらば、大喪を主る(一説は五星の占法相同じ)。金星が房宿に滞留するは、国に大喪あり・大臣の中に殺されんあり・また良馬が廐を出づる・臣下が君命を拡張し・君主を脅迫し・天下に主を易うるを主る。もまた大人に喪あり・叛臣あり・大臣がこの災禍を承当するを要するを主る。金星が逆行して房宿に滞留するは、群臣の孝を戴き・麻衣の声の鏘鏘たるを主る。金星が迫近して房宿に滞留するは、天下の互いに誅殺するを主る。迫近して鉤鈐星に滞留するは、憂患あるを主る。

心:金守心三寸以內,帝統於兵,將軍亡。(五星同占。)金中犯乘凌心太子位,太子憂;犯少子位,少子憂。金守心,天下大怪,金逆行守心,環繞成句巳,為大人忌,以赦解之。金中犯乘守心,為大戰不勝,將軍鬥死。金犯守心,兵起,國相為亂。一曰:大臣當之。

心宿。心宿三星は、中星は天王・前星は太子・後星は庶子で、分野は宋に属し・豫州に対応す。金星が心宿に距ること三寸以内に滞留するは、帝王が兵事に困まれ・将軍が敗亡するを主る(五星の占法相同じ)。金星が中間より迫近・凌乘・逼迫して心宿の太子星位に及ぶは、太子に憂あり。少子星位に迫近するは、少子に憂あり。金星が心宿に滞留するは、天下に大なる怪異あるを主る。金星が逆行して心宿に滞留し、環繞して「句巳」の形を走成するは、大人がこの象を忌諱し・赦令をもって化解す可きを主る。金星が中間より迫近・凌乘・滞留して心宿に在るは、大戦して取勝する能わず・将軍の戦死を主る。金星が迫近して心宿に滞留するは、兵を興し・国相の作乱を主る。另一説は大臣がこの災禍を承当するを要するを主る。

尾:金犯尾,人民憂,國易政。金守尾,宮人有罪者為亂,多水災,五穀不成。金出入留守尾,兵起於野,士將滿道,不行,國乏糧。金留守尾,犯乘凌尾,皇后有珠玉簪珥惑天子者,讒諛大起,后相貴臣誅,宮人出走,兵起宮門。

尾宿。尾宿九星は後宮の嬪妃の位で、分野は燕に属し・幽州に対応す。金星が尾宿に迫近するは、百姓の憂苦・国家が政令を更改するを主る。金星が尾宿に滞留するは、宮人の中に罪を獲る者が作乱し・多く水災を発し・五穀の熟せざるを主る。金星が尾宿に出入・滞留・守候するは、兵が野外に起り・士卒・将領が道路に充塞し・行進するを得ず・国中に糧を缺くを主る。金星が尾宿に滞留し、また尾宿に対しあるいは犯し・あるいは乘じ・あるいは凌ぐは、皇后の中に珠玉・簪珥をもって天子を媚惑するあり・讒佞・阿諛の風が大いに起り・その後国相と貴臣とが誅せられ・宮人が出逃し・兵禍が宮門の内より起るを主る。

箕:金犯箕,女主有喜。金守箕,大人位久守,多土功事,多疾疫,天下有兵。若動,天下有兵動,天下無所定計。

「箕」は東方蒼龍七宿の末宿で、分野は燕地・幽州に属し、八方の風を主管し、また口舌・是非と後宮の妃嬪の事とを主る。金星(太白)が箕宿に逼近して七寸以内に至るを「犯」と呼び、皇后・太后の一類の女主に喜慶の事あるを主る。金星が箕宿に停留して多日去らざるを「守」と呼び、高位に居る大人が能く長久にその位を保つを主るが、土木の工役が繁興し・疫病が流行し・天下に将に戦事あらん。もし金星が箕宿の中に動揺して定まらざれば、天下の兵馬が就将に調動せんとし、朝廷の上下もまた一箇の安定の決策を拿出し得ざらん。

斗:金犯舍南斗七寸,陰乘陽,小人在位。入斗,將軍戮死,國易政,期三年,將相有黜者。一曰:有被殺者。亦為天下受爵祿,期六十日,若九十日。金犯守斗,國有兵事,大臣有反者誅。金犯斗留守之,破軍殺將。

「斗」はすなわち南斗六星で、分野は呉越・揚州に属し、天の廟堂と為り、爵位・俸禄と天子の寿命とを主る。金星が侵犯して南斗の七寸以内に停宿するは、陰気が陽気を凌駕する象で、小人が高位を窃拠するを主る。金星が南斗に進入するは、将軍の誅殺せらるる・国家が政令を更改し・応期三年・将相の中に罷黜せらるるありを主る。一説は人の殺害に遭うあり。此の象はもまた天下に人の爵禄を得受するあり・応期六十日あるいは九十日を主る。金星が侵犯して久しく南斗を守るは、国に兵事あり・大臣の中に謀反する人が誅せらるるを主る。金星が南斗を侵犯してまた留駐・守候して去らざるは、軍隊の潰敗・将領の殺されを主る。

牛:金入牛,為天下牛車有急行。金入牛,留守之,大人憂死,將軍失其眾,關梁阻塞,民飢,有自賣者。金守牛,兵革並起,期六十日。又曰:妖言無已。金犯守牛,國有大兵,將軍為亂,大人憂,國易政。金犯牽牛,留守之,為有破軍殺將。

「牛」はすなわち牽牛六星で、分野は呉越・揚州に属し、関卡・橋梁・祭祀の犠牲と牛馬の事とを主る。金星が牽牛宿に進入するは、天下の牛車の奔走・緊急の転運あるを主る。金星が牽牛に入りて留駐・守候して去らざるは、貴人が憂愁して死に至り・将軍が部衆を失去し・関隘・橋梁が阻塞して通ぜず・百姓が飢荒し・甚だしきは身を売りて活を求める人あるを主る。金星が牽牛を停守するは、兵戈が同時に并起し・応期六十日を主る。又一説は妖言・邪説の流伝して止まざる。金星が侵犯して牽牛を停守するは、国に大規模の戦事あり・将軍が作乱し・貴人が憂患し・国家が政令を更改するを主る。金星が牽牛を侵犯してまた留駐・守候するは、軍隊の潰敗・将領の殺されを主る。

女:金犯須女,布帛貴,軍起。金去須女一尺而守之,天下多寡女。金出入留舍須女,棺槨貴,其國有兵。金守須女,王者發帛絲綿,庫藏珍寶出。金守若入須女中,倖臣與女亂。太白守須女,妃謀主,兵發內起。金入須女留守,有女喪,大臣謀生。金逆行留守犯凌須女,天子及大臣有疾,女有政令。

「女」はすなわち須女(婺女)四星で、分野は斉地・青州に属し、布帛の裁制・嫁娶と賤妾の事とを主る。金星が須女を侵犯するは、布帛の騰貴・軍隊の興起を主る。金星が須女に距ること一尺にして停守するは、天下に多く寡を守る婦人あるを主る。金星が須女に出没・留駐・停宿するは、棺槨の価貴・その分野の国に兵事あるを主る。金星が須女を停守するは、君王が糸帛・綿絮を散発し・府庫の蔵する珍宝が流出するを主る。金星が停守しあるいは須女宿の中に進入するは、寵を受くる臣と宮中の女子とが淫乱するを主る。太白が須女を停守するは、妃嬪が君主を図謀し・兵変が宮廷の内部より発動するを主る。金星が須女に入りて留守するは、女子の喪亡あり・大臣が自保を図謀するを主る。金星が逆行・留駐・侵犯・欺凌して須女に及ぶは、天子と大臣とが病を患い・婦人が政令に干与するを主る。

虛:金入虛,不出九十日,有大赦天下。金入虛,國多孤寡。危:金守危,去之一尺,諸侯無忠者,以讒言相謗,若有黜者。金入危,犯守之,為天下有急事,兵大起,國有憂,兵有加,齊國亡城。

「虚」宿の分野は斉地・青州に属し、廟堂の祭祀と哭泣・死喪とを主る。金星が虚宿に進入するは、九十日を出でずして天下に大赦あらん。金星が虚宿に進入するは、もまた国中に多く孤児・寡婦あるを主る。「危」宿の分野は同じく斉地に属し、天府・架屋の一類の土功を主り、また墳墓を主る。金星が危宿を停守して相距ること一尺なるは、諸侯の中に忠を尽くす人なく・彼此が讒言をもって毀謗し・罷黜せらるるあらんを主る。金星が危宿に進入して侵犯・停守してその中に在るは、天下に緊急の事あり・兵戈が大いに起り・国に憂患あり・戦事が加劇し・斉国が将に城邑を丢失せんとするを主る。

營室:金去營室一尺守之,威令不行。金入室犯之,天下兵滿野,人主威令不行,六十日不下,將軍死亡。金守營室,天子及妃后與臣謀,兵起於內。金守室,為大忌,以赦解之。

「営室」(室宿)の分野は衛地・并州に属し、土木の営造と宗廟・宮室とを主る。金星が営室に距ること一尺にして停守するは、君王の威権・号令の推行し能わざるを主る。金星が室宿に進入してそれを侵犯するは、天下の兵馬が郊野に遍布し・君主の威令が行われざるを主る。もし六十日に仍ほ消退せざれば、将軍は当に死すべし。金星が営室を停守するは、天子と妃后とが各自臣下と密謀し・兵変が内部より発生するを主る。金星が室宿を停守するは、極大の忌諱で、大赦を用いて消解するを須す。

壁:金去東壁一尺,諸侯用命。金守壁,右武並行,衛士用兵,大人當之。金守東壁,天下有軍不戰,大臣向正。金犯守壁,且有兵喪。

「壁」はすなわち東壁二星で、分野は衛地・并州に属し、文章・図籍を主る。金星が東壁に距ること一尺なるは、諸侯が朝廷の号令に聴從するを主る。金星が壁宿を停守するは、武力を崇尚する風が世に并び行われ・宿衛の士が兵器を動用し・貴人がこの一の凶咎を承当するを要するを主る。金星が東壁を停守するは、天下が兵を陳する虽も交戦せず・大臣が公正に趨向するを主る。金星が侵犯して壁宿を停守するは、将に兵禍と喪事とあらん。

奎:金入奎中,大水橫流,不出百日。金守奎,兵起出。一曰:聖人出;一曰:徭役大起,國有匿謀,不過歲中;又曰:大軍戰死,若戮死,期九十日,國有流民;又曰:赦,為王者憂,大人當之。金犯守奎,外兵來入國。若出奎一尺,四夷共理中國,期四年。

「奎」宿の分野は魯地・徐州に属し、武庫・兵禁を主り、また溝渠・水道を主る。金星が奎宿の中に進入するは、大水の横溢・氾濫し・百日を出でずして応験するを主る。金星が奎宿を停守するは、兵事が興起して師を出すを主る。一説は聖人の出世。一説は徭役の大興・国中に隠秘の陰謀あり・当年を出でずして応験す。又一説は大軍の戦死・あるいは誅殺に遭い・応期九十日・国内に流民の出現す。還た一説は大赦の令あり・君王に憂あり・貴人が承当するを要す。金星が侵犯して奎宿を停守するは、外国の兵が本国に入侵するを主る。もし金星が奎宿を離開すること一尺なれば、四方の夷狄が一同に中原の政務に插手し・応期四年を主る。

婁:金順行入婁,子歸其母,政令和平,國有喜。金去婁一尺,爵祿貴。金出婁,天下起兵,秦國以發兵加於魯之城。金守犯婁,赤色,其鄉吉,將軍和平,天下有喜。

「婁」宿の分野は魯地・徐州に属し、苑囿・牧養と衆を聚めて祭を供するを主る。金星が順行して婁宿に進入するは、あたかも兒子が母親の身辺に回帰するがごとく、政令の平和・国に喜慶あるを主る。金星が婁宿を離れること一尺なるは、爵位・俸禄が貴重にして得難きを主る。金星が婁宿を離開するは、天下の興兵・秦国が将に兵を発して魯国の城邑を進攻せんを主る。金星が停守して婁宿を侵犯して赤色を呈するは、その分野の地が反って吉利・将軍が相安して事なく・天下に喜慶あるを主る。

胃:金犯胃,色赤,五十日不下,其國大敗,有亡主,期不出年。金入胃二十日,兵起流血,五十日不下,兵見,百里流血,後月赦,色赤如火,兵起流血。一曰:青黃,有德令。金逆行守胃,成句巳,其君死,大臣有誅。若去一尺,燕趙大飢,人相食,百八十日。

「胃」宿の分野は魯地・徐州に属し、天の倉廩と為り、五穀を積貯するを主る。金星が胃宿を侵犯して色沢が赤を発し、五十日に仍ほ消退せざれば、その分野の国が大敗し・君主の亡故あり・応期は当年を出でざるを主る。金星が胃宿に進入して二十日なるは、兵を興し流血するを主る。五十日に仍ほ消退せざれば、則ち兵象が顕現し・百里の内に流血し・次月に赦令あり。もし色赤くして火のごときは、仍ほ起兵・流血を主る。一説は金星の色が青黄を作せば、則ち恩を施し徳を布くの詔令あり。金星が逆行して胃宿を停守し、運行の軌跡が屈曲して「勾」「巳」の二字のごときは、その国君の死亡・大臣の誅せらるるを主る。もし金星が胃宿を離れること一尺なれば、燕・趙の地の大飢荒・人の相食・応期一百八十日を主る。

昴:金犯昴,旱,天暑,兵起,近期一年,遠期五年。金入昴,天下擾,兵大起,期五十日。金入昴中,大赦,近期十五日,遠三十日。金行疾,期近;金行遲,期遠。入昴,大憂,國易政,兵大起,有流血千里,主命惡之,不出其年。金守昴,四夷有兵事。金逆行守昴,入下擾之,民多有下獄者。一曰:大臣有獄死。金入昴,若出昴北,若犯乘守,胡王死。

「昴」宿の分野は趙地・冀州に属し、胡人の辺事を主り、また牢獄と死喪とを主る。金星が昴宿を侵犯するは、天の旱・酷暑し・兵事の興起し・近ければ一年・遠ければ五年に応験するを主る。金星が昴宿に進入するは、天下の騒擾・兵戈の大いに起り・応期五十日を主る。金星が昴宿の中に入るは、大赦あり・近ければ十五日・遠ければ三十日を主る。金星の行度が快ければ、応期は就近き、行度が慢ければ、応期は就遠し。昴宿に進入するは、また大憂患・国家が政令を更改し・兵戈が大いに起り・千里に流血し、君主の性命に於いて大いに不利・当年を出でずして応験するを主る。金星が昴宿を停守するは、四方の夷狄に兵事あるを主る。金星が逆行して昴宿を停守するは、下民に擾及し・百姓に多く獄に下せらるるあり。一説は大臣が獄中に死す。金星が昴宿に進入し、あるいは昴宿の北より出で、あるいは侵犯・凌圧・停守して昴宿に在るは、胡人の王の身死を主る。

畢:金犯畢出北,陰國有憂。金犯畢口,大兵起,邊兵敗,一歲罷。亦刑罰事。金犯畢右角,胡兵大戰。金入畢口中,有女喪。一曰:將當之,君有大憂,大人惡之。金在東方,入畢口,車馬貴,易政。金守畢,勞其兵,亂。金犯守畢附耳,國讒亂,佞臣在主側,以敗獵惑主者,若相有善。

「畢」宿の分野は趙地・冀州に属し、辺兵・田猟を主り、また雨沢を主る。金星が畢宿を侵犯してその北より出づるは、陰方の国に憂あるを主る。金星が畢宿の張開する処の「畢口」を侵犯するは、大兵の興起・辺防軍の戦敗・一年の後に兵を罷むを主る。此の象はもまた刑罰の事を主る。金星が畢宿の右角の星を侵犯するは、胡兵の大戦を主る。金星が畢口の中に進入するは、女子の喪亡あるを主る。一説は将帥がこの咎を承当し・君王に大憂あり・貴人がこれをもって悪兆と為す。金星が東方に出現して畢口に入るは、車馬の価貴・国家が政令を更改するを主る。金星が畢宿を停守するは、兵卒の疲敝し・因って乱を生ずるを主る。金星が侵犯して畢宿の旁の「附耳」星を停守するは、国中に讒言の紛乱・奸佞の臣が君側に侍立し・田猟を荒廃する事をもって君主を迷惑するを主る。あるいは説く、丞相が反って美誉を得享するを主ると。

觜:金守觜,其國兵起,天子動移,大臣當之,國易政,兵起,斧鉞用,期九十日。金守觜,當溫反寒,當寒反溫,當雨反晴,當晴反雨。四方客兵動,侵地,為君崇禮制義,則安國。金居觜,君臣和同。金守觜,萬物不成。一曰:民多疾,大變。金守觜,天下兵起,人民相謀。

「觜」はすなわち觜觿三星で、分野は魏地・益州に属し、葆聚・収斂の事を主る。金星が觜宿を停守するは、その国が兵を興し・天子が遷徙・移動し・大臣がこの咎を承当するを要し・国家が政令を更改し・兵事が興起し・斧鉞の刑戮が動用し・応期九十日を主る。金星が觜宿を停守するは、また気候の失序を主る——当に煖なるべきに反って寒し・当に寒なるべきに反って煖し・当に雨なるべきに反って晴れ・当に晴るべきに反って雨。四方の外来の兵が調動し・土地を侵奪し、この時君たる者がもし能く礼制を崇尚し・義理を恪守せば、就ち国家を安定し得べし。金星が觜宿に居るは、君臣の和睦・同心を主る。金星が觜宿を停守するは、万物の成熟する能わざるを主る。一説は百姓に多病・天下に大変あるを主る。金星が觜宿を停守するは、還た天下の興兵・人民が互いに図謀するを主る。

參:金犯參,兵將行。金犯參右肩,有大戰,右將憂;犯守左肩,亦有戰,左將憂,若大臣當之,將軍死。金逆留止中衛,兵革起。金守參,有兵,天子之軍破,牛馬有急行。金守參,有赤星出中,邊有兵。金犯守參伐,大臣為亂,車騎發令,皆兵起急。

「参」宿の分野は魏地・益州に属し、白虎の体と為り、将軍の征伐・斬殺を主る。金星が参宿を侵犯するは、軍隊の将に出動せんとするを主る。金星が参宿の右肩の星を侵犯するは、大戦あり・右路の将領に憂あるを主る。侵犯して左肩の星を停守するは、もまた戦事あり・左路の将領に憂あり・あるいは大臣によりこの咎を承当せしめ・将軍の戦死を主る。金星が逆行・留駐して、参宿中央の護衛の諸星に停るは、兵戈の興起を主る。金星が参宿を停守するは、兵事あり・天子の軍隊の撃破せられ・牛馬の奔走・急行を主る。金星が参宿を停守し、もしまた赤色の星が参宿の中に出現せば、辺境に兵あるを主る。金星が侵犯して参宿の下方の「伐」星を停守するは、大臣の作乱・車騎が号令を発布し・皆兵事の緊急の象を主る。

井:金犯東井,人主浮船,五星同占。金犯東井,將軍惡之。金入井中,大人衛守,國君失政,大臣為亂,兵大起。金犯中乘守東井,為其國內亂兵起,井鉞干之,兵起,斧鉞用。

「井」はすなわち東井八星で、分野は秦地・雍州に属し、水事と法令とを主る。金星が東井を侵犯するは、君主が舟を泛べて水上に在るを主り、五星がこの宿を犯すは占義相同じ。金星が東井を侵犯するは、将軍がこれをもって凶と為す。金星が東井の中に進入するは、貴人が警戒・守衛を加うるを須ち、国君が政柄を失去し・大臣が作乱し・兵戈が大いに起るを主る。金星が東井の正中を侵犯して凌圧・停守するは、その国の内乱・起兵を主る。もしまた東井の旁の「鉞」星を衝犯せば、則ち兵事が興起し・斧鉞の刑殺の事が動用す。

鬼:金犯鬼質,將戮。金入鬼,為罪斬大臣,兵起,主旱。金入鬼,亂臣在內,有屠城。出入留舍鬼,五十日不下,民疫死而不赦。金行守鬼,成句巳,若環繞之,國有死王,大臣有戮,王者不行,人民死者大半。金久守鬼,病在女主,其留二十日以上,有喪,期八月。

「鬼」はすなわち輿鬼四星で、分野は秦地・雍州に属し、祠祀と死喪とを主り、その中央の白気を「質」と名づけ、すなわち積尸の気なり。金星が鬼宿の「質」を侵犯するは、将帥の誅戮せらるるを主る。金星が鬼宿に進入するは、罪に因りて大臣を斬殺し・兵事が興起し・また天旱を主る。金星が鬼宿に進入するは、もまた乱臣が朝廷の内に在り・城を屠るの禍あるを主る。金星が鬼宿に出没・留駐・停宿して、五十日に消退せざれば、百姓が疫死して赦免を得ざるを主る。金星が運行して鬼宿を停守し、軌跡が屈曲して「勾」「巳」の形のごとく、あるいは鬼宿を環繞して行くは、国に君王の死亡あり・大臣が誅戮に遭い・君王の政令が行われず・人民の死亡が半ばを過ぐるを主る。金星が久しく鬼宿を守るは、病患が皇后・太后の一類の女主の身上に応ず。もし留駐して二十日以上なれば、則ち喪事あり・応期八箇月。

柳:金入柳,兵大起,有益地者。金逆行入柳,成句巳,下刑上,臣謀主,人有怨仇,多暴死。金抵柳一尺,國有忠臣,專命無患。金犯守柳,主有急兵。若有變更之命,下凌上,君弱臣強,奸臣賊子,謀殺其主。金守柳,大將軍出。

「柳」宿の分野は周地・三河に属し、天の厨宰と為り、草木と膳食とを主る。金星が柳宿に進入するは、兵戈が大いに起り・人のこれに因りて土地を拡張するあるを主る。金星が逆行して柳宿に進入し、軌跡が屈曲して「勾」「巳」の形のごときは、下位の者が上位の者に刑及び・臣子が君主を図謀し・人間に多く怨仇を結び・横死する者多しを主る。金星が柳宿に迫近すること一尺なるは、国中に忠臣あり・専断に行事する虽も患を致さざるを主る。金星が侵犯して柳宿を停守するは、上に緊急の兵事ありを主る。もしまた成命を更改する挙あれば、すなわち下位が上位を凌駕し・君弱く臣強し・奸臣・賊子がその君主を図謀して殺害せんとす。金星が柳宿を停守するは、大将軍の出征を主る。

星:金犯七星,為臣亂。金入七星,有君置太子者。金經七星,民非吾民。一曰:當有詐為王者。金守七星,二十日已上,急兵事。金守七星,二十日已上,至三十日,大將出。

「星」はすなわち七星(星宿七星)で、分野は周地・三河に属し、衣裳・文繍を主り、また緊急の兵事を主る。金星が七星を侵犯するは、臣下の作乱を主る。金星が七星に進入するは、君王が太子を冊立する事あるを主る。金星が七星を経過するは、百姓の心を離れ・復た本国の民と為らざるを主る。一説は将に王を詐称する人の出現せんとす。金星が七星を停守して二十日以上なるは、緊急の軍情あるを主る。金星が七星を停守して二十日以上より三十日に至るは、大将の出征を主る。

張:金乘犯張,三日已上至七日,將軍內反,賊臣在側。金守張,其國有兵,謀不成,天子以空發兵。金守張,為反臣,中外兵,以德令解之。(五星同占。)金犯張,兵革滿野,天下易政。金犯守張,下凌上,君弱臣強,奸臣賊子,謀殺其主。

「張」宿の分野は周地・三河に属し、天厨の飨食と賓客の款待とを主る。金星が凌圧して張宿を侵犯し、三日以上を暦て七日に至るは、将軍が朝廷の内部に於いて反叛し・賊臣が就に君側に在るを主る。金星が張宿を停守するは、その国に兵事あり・然れども陰謀は得逞し能わず・天子が空しく自ら兵を発して得る所なきを主る。金星が張宿を停守するは、叛臣あり・京師の内外皆兵あり・恩を施し徳を布くの詔令を用いて消解するを須す(五星がこの宿を犯すは占義相同じ)。金星が張宿を侵犯するは、兵戈が野に遍く・天下が政令を更改するを主る。金星が侵犯して張宿を停守するは、下位が上位を凌駕し・君弱く臣強し・奸臣・賊子がその君主を図謀して殺害せんとするを主る。

翼:太白入翼,天下兵塞。金守翼,為萬物不成,人民流亡。守翼三日已上,為大亂,有大風。軫:金犯軫,其國兵起,得地。金出入留舍軫二合,為楚府庭。太白,秦國之星也,主之。金行軫,客來過楚矣。金守軫,兵大起,有亡地千里,恐有喪兵,有人謀欲伐上者。入軫中,兵起,國易政。及有自來諸侯王受命於王者,男子有封爵之慶。士卒有征伐之役,諸侯應之,魏以位禪。(晉時太白入軫,及留度進退於午之間二十餘日。晉伐吳之年,太白入軫。)金入守軫,兵大起,國易政,亡地千里。若有大喪,士卒有遠征之役,吳楚當憂兵,期三年。

「翼」宿の分野は楚地・荊州に属し、楽府・倡優と遠方の賓客とを主る。太白が翼宿に進入するは、天下の兵馬が道路を阻塞するを主る。金星が翼宿を停守するは、万物の成熟する能わず・人民の流離・逃亡を主る。翼宿を停守して三日以上なるは、天下の大乱・また大風あるを主る。「軫」宿の分野は同じく楚地・荊州に属し、車騎と風とを主る。金星が軫宿を侵犯するは、その国が兵を興して地を拓くを主る。金星が軫宿に出没・留駐・停宿して両度会合するは、これ楚国の府庭に進入するなり。太白は本は秦国の分星にして、秦より主られる所——ゆえに金星が軫宿に行るを説いて、是れ客人の来りて楚地を経過するなりとす。金星が軫宿を停守するは、兵戈の大いに起り・土地を千里喪失し・恐らくは軍隊の覆没あり・また人の君上を討伐せんを図謀するあるを主る。金星が軫宿の中に入るは、兵事の興起・国家が政令を更改するを主る。もまた諸侯王が親身に前来して天子に受命するあり・男子に爵位を受封する喜慶あり・士卒に征伐の労役あり・諸侯が起りて応ず——あたかも魏国が帝位を禅譲するがごときの事を主る(晋朝の時、太白が軫宿に進入し、かつ午位の間に留駐・進退して二十余日。晋が呉を伐つの年、太白が正に軫宿に入る)。金星が軫宿に入りて守るは、兵戈の大いに起り・国家が政令を更改し・土地を千里喪失し・あるいは大喪あり・士卒に遠征の役あり・呉・楚の地は当に兵事を憂うべく・応期三年を主る。

太白入中外官占第三十六

金入五車,留不去,秦國金玉貴。一曰:兵大起。一曰:萬人已上入國,以宿占其國。金乘守天庫,中國兵所向,無不勝。有自來王,將其人民中國,國有大喜。金守南河,天下難起,道塞。金犯五諸侯,與兵者亡國。金犯南河戒,邊兵,臣有謀,若兵起,夷狄君憂,若毀亡。

金星が「五車」星官に進入して留駐して去らざるは、秦地に金玉の騰貴を主る。一説は兵戈の大いに起る。一説は万人以上の軍隊の国境に進入するあり・五車の臨む所の宿次に依ってどの国に応ずるかを推占し得べし。金星が凌圧して「天庫」星を停守するは、中原の軍隊の所向無敵を主る。此の象はもまた外邦の王が自動して来帰し・その部衆を率いて中原に帰附し・国家に大喜慶あるを主る。金星が「南河」を停守するは、天下に禍難の興起・道路の阻塞を主る。金星が「五諸侯」星を侵犯するは、兵事に参与する諸侯の亡国を主る。金星が「南河戒」を侵犯するは、辺境に兵あり・臣下に陰謀ありを主る。もし兵を興せば、則ち夷狄の君に憂あり・甚だしきは覆滅せん。

金犯軒轅御女,天子僕死。金入軒轅中,犯乘守之,有逆賊,若大災。犯軒轅大星,女主憂。金出東井,犯必有白龍出左右。金入少微,君當求賢佐,則失威奪勢。太白犯少微,名士有憂,王者任用小人,忠臣被害者死。

金星が「軒轅」星官の中の「御女」星を侵犯するは、天子の近侍・僕従の死亡を主る。金星が軒轅の中に進入し、また侵犯・凌圧・停守してその星に及ぶは、叛逆の賊あり・あるいは大災あるを主る。軒轅の大星(すなわち女主の星)を侵犯するは、皇后・太后の一類の女主に憂あるを主る。金星が東井を出でて侵犯する所有るは、必ず白龍の一類の異象が左右に出現せん。金星が「少微」星に進入するは、君王が正に賢能を訪求して輔佐せんとするに当たり、然らざれば将に威権を失い・人に勢を奪われんとするを主る。太白が少微を侵犯するは、名望ある士人に憂あり・君王が小人を任用し・忠臣が陥害に遭いて死するを主る。

金犯太微,立受事期,命奪號滅衛為期。金犯左右執法,執法者誅,若有罪。金以庚子順入太微天庭中,天子所使也;不以庚子日,非天子之使。金當太微門,為受制,左執法為受事,右執法當為受事,守太微門三日已下,為受制,三日已上,為亂、為賊、為飢。金入太微宮,抵黃帝座,有兵在中,五星觸坐,君賊死。

金星が「太微垣」を侵犯するは、立刻に命を受けて事に任ずるの応期あり・封号を褫奪し・護衛を誅滅するをもって応験の時と為すを主る。金星が太微垣の「左執法」「右執法」の二星を侵犯するは、刑法を執掌する官員の誅せらるる・あるいは身に罪譴を獲るを主る。金星が庚子の日に順行して太微天庭の中に進入するは、是れ天子の命を奉じて出行する使者の象。庚子の日に非ざれば、則ち天子の使者に非ず。金星が正に太微垣の宮門に当たるは、制命を承受する象。左執法に在るは命を受けて事に任ずるを為し、右執法に在るもまた当に命を受けて事に任ずべし。太微門を停守して三日以内なるは、制命を承受するを為す。三日以上なれば、則ち変乱を主り・寇賊を主り・飢荒を主る。金星が太微宮に進入し、直ちに「黄帝座」に抵るは、宮禁の中に兵あるを主る。およそ五星が帝座に触犯するは、君王が賊人に殺害せらるるを主る。

辰星占第三十七

辰星,一名安調,二名細極,三名熊星,四名鉤星,五名司農,六名兔星。北方水德,玄武之精,葉光紀之使也,其性智,其事聽,其時冬,其日壬癸,其辰亥子,其帝顓頊,其神玄冥,其蟲甲,其音羽,其數六,其味鹹,其卦坎,為月,為刑獄、險阻,故辰星主刑獄。所在之宿,欲其小而明則吉,而刑息獄靜,百姓安。若大而光明,則刑亂獄興,人民險害,有阻守之象。辰星所在,其國有權智,用兵為主。

辰星(水星)に別に六箇の名号あり。一は「安調」と名づけ、二は「細極」と名づけ、三は「熊星」と名づけ、四は「鈎星」と名づけ、五は「司農」と名づけ、六は「兔星」と名づく。それは北方水徳に属し、玄武の精・北方黒帝「葉光紀」の使者なり。五常に於いては「智」、五事に於いては「聴」、四時に於いては冬、天干に於いては壬癸、地支に於いては亥子、その帝は顓頊、その神は玄冥、その虫は甲介の類、その音は羽、その数は六、その味は鹹、その卦は坎。三光に於いては月に比し、人事に於いては則ち刑獄・険阻と為り、ゆえに辰星は刑罰・獄訟を主管す。辰星の臨む所の宿次は、星体が小にして明浄なるをもって吉と為し、刑罰の止息・獄訟の清静・百姓の安寧を主る。もし星体が大にして光芒が熾盛なれば、則ち刑政が紊乱し・獄訟が繁興し・人民が険を遭い害を受け・阻塞・固守の象あり。辰星の臨む所の分野は、その国に多く権謀・智計あり・兵を用うるを能事と為す。

人君當以冬時,修辰星之政,恤孤獨,察阿黨,謹蓋藏,修積聚,培城郭,戒門閭,慎管龠,固封疆,備邊境,防要害,慎關梁,不為淫佚,命將帥講武,射御角力,節事省己,則辰星順度。人君若淫佚非道,縱恣外戚,不禁近習,不恆獄刑,起眾發徵,開洩藏氣,則辰星失行,伏見不常,伏見而有芒角矣,則民疾疫隨之,以喪亡,國不昌。

君主は応に冬季に辰星と相応する政令を修挙すべし。孤児・独老を撫恤し・党を結び私を営むを査察し・収蔵・儲備を謹慎し・倉廩の積聚を修治し・城郭を加固し・里門を戒備し・鎖鑰を慎守し・封疆を鞏固にし・辺境を防备し・要害を扼守し・関卡・橋梁を謹守し・淫楽を放縦せず・将帥に命じて武事を講習し・射御・角力を比試せしめ・政務を節制し・自身を反省すれば、このようになれば辰星は就ち度に循って行く。君主がもし荒淫・無道にして、外戚を放縦し・親近・侍幸を約束せず・刑獄の軽重が反覆して常なく・師を興し衆を動かし・徭役を征発し、冬季に本当に閉蔵すべき地気を泄漏せば、辰星は就會常軌を失い・あるいは伏しあるいは見ゆるに定準なく、一旦身を現わしてまた芒角を帯ば、百姓の疫病がこれに随いて至り、以て死亡が相続き・国家は昌盛する能わざらん。

人君以冬時行春令,則歲星之氣干之,辰星色青,君憂刑獄動,生死不當,地凍不密,氣洩,人流亡。來春蝗蟲為災,水泉竭,民多疥癘胎夭,多痼疾,斷官凶;以為冬行夏令,則熒惑之氣干之,辰星色赤而小昧,刑禍並起,兵旱,國多暴風,冬不雪不寒,氣霧冥昧,雷發聲矣;以冬行秋令,則太白之氣干之,辰星色白,則威刑並作,獄訟軍旅,同時而興,霜雪不時小兵起地,侵四鄙八堡矣。

君主が冬季に春に属する政令を推行すれば、木徳の歳星の気が就来て干犯し、辰星は青色を呈し・君王に憂あり・刑獄が興動し・処死と赦生とが皆その当を得ず・土地の封凍が密ならず・地気が外泄し・人民が流亡するを主る。来年の春に蝗虫が災を成し・泉水が枯竭し・百姓に多く疥癣・癘疫を生じ・胎児が夭折し・痼疾が身に纏い・獄を断ずる官に凶あらん。もし冬季に夏に属する政令を推行すれば、火徳の熒惑の気が就来て干犯し、辰星は色赤くして細小・昏暗に、刑罰と禍乱とが并び起り・兵災・旱災が同じく至り・国中に多く暴風・冬天が雪を降らずも寒冷せず・霧気が昏冥し・冬雷が声を発するを主る。もし冬季に秋に属する政令を推行すれば、金徳の太白の気が就来て干犯し、辰星は白色を呈し・威刑が并作し・獄訟と軍旅とが同時に興起し・霜雪が時令に按らずして降り・小股の兵禍が境内に起り・四方の辺鄙と各処の堡寨とを侵擾するを主る。

令逆時,則辰星不軌,錯逆動行,降之以刑誅,大臣刑戮作矣。命得時,則獲詔矣。自辰星降之以治矣,民靜而國安,軍威而邊固,無危難,人君聽察是非,智慮聽審,刑戮當其儀,允則辰星明光,小國順道降治矣。若君聽讒言,任佞,刑戮無辜,獄訟停滯,其儀不當,則辰星垂芒,氣暈不明,天降刑戮,人亂矣,國者不昌。

政令が時序に違逆すれば、辰星は就ち常軌に循わず・錯乱・逆行し、上天が刑誅をもって罰を降し・大臣が刑戮の禍を遭受す。政令が時序に合すれば、就ち能く上天の嘉命を獲得せん。此の後辰星は便ち治平の象を降下す——百姓が安静にして国家が安定し・軍威が振揚して辺防が穩固に・危難なからん。君主が是非を明察し・思慮が周詳・聴断が審慎に・刑戮が法度に合し・公允・得當なれば、辰星は就ち光明・清亮にして、小国すらも正道に順服してその治理を受けん。もし君主が讒言を聴信し・奸佞を任用し・罪なき人を刑戮し・獄訟が積圧して決せず・案を断ずるに法度に合せざれば、辰星は就ち芒角を垂下し・気暈が昏暗にして明らかならず・上天が刑戮の罰を降下し・人事が紛乱し・国家は昌盛する能わざらん。

若用兵,辰星出東方,色白即勝,外邦敗;出西方色赤,西方勝,中國敗,無兵。辰星色黃,有福。辰星有角,小戰。辰星色黑三芒,有罷兵,天下無兵。辰星太白出西方,水居金星前滅,日在西北,陰邦有兵,謀以戰,主人勝;在西南,陽有兵,謀在外戰,客勝。辰星與太白在西南,南方事;在西北,北方事;正在酉,陰國事;正在卯,陽國事。辰星與宿星合,為亡地。五星與辰星合,為將死;水土合,為覆軍,軍合斗,為戰無兵,內亂。

もし兵を用うるの際に逢えば。辰星が東方に出でて色白なれば、本方が取勝し・外邦が敗る。西方に出でて色赤なれば、西方が取勝し・中原が敗れ、あるいは竟に兵事なからん。辰星が色黄なれば、福慶あるを主る。辰星が芒角を生出するは、小規模の戦闘あるを主る。辰星が色黒にして三道の芒を帯ば、兵を罷むを主り・天下に戦事なし。辰星と太白とが同じく西方に出で、水星が金星の前に隱没し、日が西北の方位に在れば、陰方の国に兵あり・開戦を謀劃すれば、則ち守方(主人)が取勝す。日が西南の方位に在れば、陽方に兵あり・境外に交戦せんを謀れば、則ち来攻の一方(客)が取勝す。辰星と太白とが同じく西南に在るは、南方の事に応ず。同じく西北に在るは、北方の事に応ず。正に酉位に当たるは、陰方の国に応ず。正に卯位に当たるは、陽方の国に応ず。辰星と列宿の星とが相合するは、土地の喪失を主る。五星と辰星とが相合するは、将帥の死亡を主る。水星と土星とが相合するは、軍隊の覆没を主る。両軍が相合して交闘すれば、則ち交戦する虽も大兵禍なく、却って内乱あらん。

水出東方,大而白,天下有兵、有水。水金俱出東方,皆赤而角,中邦敗,負海國勝。水入月中,人主敗戰、亡地。金水旗出,破軍殺將,客勝。視旗所指,以命破軍,水環繞太白,若與鬥戰,客勝,主人吏死。水遇金間可成劍,小戰客勝。太白去三尺,軍急約戰。水色黑三芒,天子有兵,一時再見,則有軍在外有罷。水在金北出,利主人;出金南,利客。

水星が東方に出でて形体が大・色白なるは、天下に兵事あり・また水災あるを主る。水星と金星とが一同に東方に出で、皆赤色を呈して芒角を生ずるは、中原の邦が戦敗し・瀕海の国が取勝するを主る。水星が月の中に進入して月に掩わるるは、君主が戦敗し・土地を喪失するを主る。金・水の二星の旁辺に旗状の気が生出するは、軍隊の潰敗・将領の殺され・来攻の一方が取勝するを主る。旗気の指す方向を察看すれば、則ちどの一方の軍隊の潰敗するかを断定し得べし。水星が太白を環繞して行き、もし太白と相闘せば、客方が取勝し・守方の将吏が死亡するを主る。水星と金星とが相遇し、その間の光気が剣形を結成し得べく、小戦ありて客方が取勝するを主る。太白が水星に距ること三尺なるは、軍情の緊急・双方が期を約して交戦するを主る。水星が色黒にして三芒を帯ば、天子に兵事あるを主る。もし同一の時段の内に両度出現せば、則ち軍隊が外に在り・将に兵を罷めんとするを主る。水星が金星の北に出現するは、守方に利あり。金星の南に出現するは、客方に利あり。

辰星水性,平而且智,故主刑獄焉。辰星伏而不見經時,斷獄者失理矣,人君察之。辰星伏見以時,斷獄平矣。辰星怒芒角,有暴獄,不則水損城郭,傷嘉苗。

辰星は水の性を禀け、水性は平準にして智を含む——ゆえに辰星は刑罰・獄訟を主管す。辰星が潜伏して見えずして本に応に出現すべき時節を過ぐるは、案を断ずる官吏が法理に違失し・君主が応に明察すべきを主る。辰星の隱伏と出現とが皆時節に合するは、獄を断ずるに公平を主る。辰星が怒張して芒角するは、惨酷の冤獄あるを主る。然らざれば則ち大水が城郭を毀壊し・禾苗を損傷せん。

辰星入列宿占第三十八

角:水乘左角為旱,乘右角為水。一曰:為水、兵戰。水守角,王者刑罰急。水守角,大水滂滂,人民往來,舟船相望。留兩角間,關梁阻塞,軍有興國庭者,邊戎阻塞。

「角」宿の分野は鄭地・兗州に属し、天の門戸と為り、左角は刑理を主り、右角は将帥を主る。水星が左角を凌圧するは、天旱を主る。右角を凌圧するは、水災を主る。一説は水災と兵戦とが并び見ゆ。水星が角宿を停守するは、君王の刑罰の苛急を主る。水星が角宿を停守するは、また大水の浩蕩・人民の奔走・往来・舟船の首尾相望むを主る。水星が左右の両角の間に留駐するは、関卡・橋梁の阻塞・軍隊の朝廷に於ける興動・辺地の戎狄の通路もまた阻斷せらるるを主る。

亢:水入亢,其國病疫。水守亢者,國有憂,天下大亂。水守亢,逆行不順,其色明大,政未行。水逆行守,為中兵。一云:五星守亢為中兵。

「亢」宿の分野は鄭地・兗州に属し、天子の内朝と為り、疎遠の宗廟と疾疫とを主る。水星が亢宿に進入するは、その国に疫病の流行するを主る。水星が亢宿を停守するは、国に憂患あり・天下の大乱を主る。水星が亢宿を停守して逆行・不順にして、色沢が明亮・形体が粗大なるは、政令の推行し能わざるを主る。水星が逆行して亢宿を停守するは、京師の内に兵あるを主る。一説はおよそ五星が亢宿を停守するは、皆京師の内に兵あるを主るとす。

氐:水入氐,貴臣暴憂,法官有獄事。水乘氐右星,天下有大水大兵;乘氐右星,天子有自將兵於地野外。房:水入房十日,成句巳,為大人惡之,以赦解之。水守房,天下水火起,不則有兵。水守房,為胡兵發。水守房,有白衣之會。

「氐」宿の分野は鄭地・兗州に属し、天の根と為り、后妃の休息する宮府なり。水星が氐宿に進入するは、貴臣が驟然に憂に遭い・法を掌る官に獄訟の事あるを主る。水星が氐宿の右星を凌圧するは、天下に大水・大兵あるを主る。氐宿の右星を凌圧するは、もまた天子が親身に兵を領して郊野の外に在るを主る。「房」宿の分野は宋地・豫州に属し、天駟・明堂と為り、車馬と布政とを主る。水星が房宿に進入して十日、軌跡が屈曲して「勾」「巳」の形のごときは、貴人がこれをもって凶と為し・赦令を用いて消解するを須すを主る。水星が房宿を停守するは、天下に水火の災が并び起り・然らざれば兵事あらんを主る。水星が房宿を停守するは、胡兵の発動を主る。水星が房宿を停守するは、また喪事の聚会あるを主る。

心:水守心,以水滅火,三日不去,主服藥酒,忠臣相戮,山川大潰,水溢滂滂。水守心,大水滂滂,天下失綱。水守心,為火,時多盜賊,人民相惡。水守心,天下大敗,易主姓氏。水守心,大臣戮主,水逆留犯守乘凌心,王者起,內賊亂,臣下有謀易位天子者,權宗室得勢大臣。

「心」宿の分野は宋地・豫州に属し、明堂と為り、中央の大星は天王を象り、前後の二星は太子と庶子とを象り、賞罰・号令を主る。水星が心宿を停守するは、是れ水をもって火を滅するの象。三日に去らざれば、君上が誤って毒酒を服し・忠臣が互いに残殺し・山川が崩潰し・洪水が漫溢するを主る。水星が心宿を停守するは、大水の浩蕩・天下が綱紀を失去するを主る。水星が心宿を停守するは、また火象に応じ、当時に多く盗賊・人民が彼此に憎悪するを主る。水星が心宿を停守するは、天下の大敗・君主の姓氏を改換するを主る。水星が心宿を停守するは、大臣が君主を殺害するを主る。水星が逆行・留駐・侵犯・停守・凌圧して心宿に及ぶは、人の起りて作乱するあり・宮廷の内部に賊党が乱を生じ・臣下に天子の位を篡奪せんを図謀するあり・宗室と勢を得たる大臣とが機に借りて権柄を窃取するを主る。

尾:水入尾,天下大水,江河決溢,魚鹽貴三倍。水入尾天江,天下水。水守尾箕,後宮有省罷者。一曰:後宮有罪者。水守尾,大飢,人相食,民異其國,君子賣子,妃后亂。

「尾」宿の分野は燕地・幽州に属し、後宮の嬪妃と九子の位とを主る。水星が尾宿に進入するは、天下の大水・江河の決口・漫溢・魚鹽の価が三倍に漲るを主る。水星が尾宿の附近の「天江」星に進入するは、天下の水を発するを主る。水星が尾宿・箕宿を停守するは、後宮に裁減・罷黜せらるる人あるを主る。一説は後宮に人の罪を獲るあり。水星が尾宿を停守するは、大飢荒・人の相食・百姓が本国を背离し・士人が自己の児女を売り・妃后が淫乱するを主る。

箕:水入箕,天下大赦。水入箕,大人當之。水守箕,若動角芒,貴者有棄,自相滅。水守箕,七日以內禍災起,若有疾風解之,消。

水星が箕宿に進入するは、天下に大赦あるを主る。水星が箕宿に進入するは、もまた貴人が災咎を承当するを主る。水星が箕宿を停守し、もし芒角が搖動せば、顕貴の人が棄逐に遭い・彼此に残滅するを主る。水星が箕宿を停守するは、七日以内に禍災の興起あるを主る。もし疾風に吹き散らされば、災禍は就ち消解せん。

南斗:水入南斗中,大臣誅。一曰:不用兵眾而有天下。水守斗,有兵,赤而角,天下敗;白而大,裂地,相賄賂為利;異而小,其國亡。水守斗,有兵,易政改朔。水留南斗,所守之國當誅。

水星が南斗の中に進入するは、大臣の誅せらるるを主る。一説は衆に兵を動用せずして便ち天下を取得し得べし。水星が南斗を停守するは、兵事あるを主る——色赤にして芒角を生ずれば、天下の敗亡を主る。色白にして形体が大なれば、土地を割裂し・彼此に賄賂して私利を謀るを主る。色沢が異常にして形体が細小なれば、その分野の国の滅亡を主る。水星が南斗を停守するは、兵事あり・政令を更改し・正朔を変易するを主る。水星が南斗に留駐するは、守る所の分野の国に当に誅戮あるべきを主る。

牽牛:水入牛,五穀不成。水守牛,水湧為敗久,牛多死。水守牛,臣謀其上。水常以冬朝於牛,當朝不朝,名曰失律;二時不朝,名曰失政;三時不朝,名曰五穀不登。

水星が牽牛宿に進入するは、五穀の熟せざるを主る。水星が牽牛を停守するは、大水の湧溢・為害が久長に・牛の多く死亡するを主る。水星が牽牛を停守するは、臣下がその君上を図謀するを主る。水星は常度に按りて冬季に当に来りて牽牛に朝会すべし。当に朝会すべきに来らざるを「失律」と呼び、両季に朝会に来らざるを「失政」と呼び、三季に朝会に来らざるを「五穀不登」と呼ぶ。

女:水入須女守之,其國當娶婦嫁女事,若他國來進女者。水守女,為萬物不行。水守女,為后夫人有變,妾立。水守女,女主御世,天下大赦,其國水,國大亂。

水星が須女に進入してその中に停守するは、その国に当に婦を娶り女を嫁がすの事あるべく・あるいは別国が前来して女子を進献するを主る。水星が女宿を停守するは、万物の生長・運行する能わざるを主る。水星が女宿を停守するは、皇后・夫人の位次の変を生ずるを主り、妾媵が扶立を得るを主る。水星が女宿を停守するは、皇后・太后の一類の女主が朝に臨みて天下を統御し・天下に大赦あり・その分野の国に水災あり・国中の大乱を主る。

虛:水犯虛,其邦多水災。水守虛,政令急,天下大亂,天下虛,大人憂。水守虛,若角動青色,臣有欺君者,有兵喪於國內。水守虛,有女災,丁壯行徭,妻子獨居,萬民坐虛。

水星が虚宿を侵犯するは、その邦国に多く水災あるを主る。水星が虚宿を停守するは、政令の苛急・天下の大乱・国用の空虚・貴人に憂あるを主る。水星が虚宿を停守し、もし芒角が搖動して青色を呈せば、臣下に君主を欺瞞するあり・国内に兵禍・喪事あるを主る。水星が虚宿を停守するは、女子の災あり・壮丁が遠く徭役に服し・妻子が独り空房を守り・万民がこれに因りて空乏するを主る。

危:水守入危,奸臣謀。水守危,有大水,有大喪。水守危,皇后憂疾,兵喪並起。營室:水入營室,天下大兵乘水,欲攻王侯之國,不出百二十日,水守室,天下諸侯發動於西北。

水星が停守して危宿に進入するは、奸臣が不軌を図謀するを主る。水星が危宿を停守するは、大水あり・大喪あるを主る。水星が危宿を停守するは、皇后の憂愁・患病・兵禍と喪事とが一同に発生するを主る。水星が営室に進入するは、天下の大軍が水路を乘じて兵を進め・将に王侯の封国を攻打せんとし・一百二十日を出でずして応験するを主る。水星が室宿を停守するは、天下の諸侯が西北方に兵を興し発動するを主る。

東壁:水犯東壁,王者刑急法深,朝廷憂愁,國有蓋藏保守之事。水守壁,兵革起,入壁守之,奸臣有謀。奎:水入奎,有決洩之事,名水有絕者。水守奎,外國之王入御中道。水守奎,天下多災為旱,萬物五穀不成,有兵災。水守奎,王者憂,大人當之。

水星が東壁を侵犯するは、君王の刑罰の苛急・法令の深刻・朝廷の上下が憂愁し・国中に封蔵・守備の事あるを主る。水星が壁宿を停守するは、兵戈の興起を主る。壁宿に進入して停守するは、奸臣の暗中に図謀するを主る。水星が奎宿に進入するは、堤防の決口・滲泄の事あり・著名の河流に断流するあるを主る。水星が奎宿を停守するは、外国の王が中原の正道に入居するを主る。水星が奎宿を停守するは、天下に多く災ありて旱を成し・万物・五穀が成熟する能わず・また兵災あるを主る。水星が奎宿を停守するは、君王に憂あり・貴人がこの咎を承当するを主る。

婁:水守婁,若角動赤黑色,臣有爭色而起兵者。水守婁,多水災;水守婁,外國之主入御中。水入婁犯守之,王者刑法急,大臣當誅,必有下獄者。

水星が婁宿を停守し、もし芒角が搖動して赤黒の色を呈せば、臣下に争競に因りて起兵するあるを主る。水星が婁宿を停守するは、多く水災を主る。水星が婁宿を停守するは、外国の君が中原に入居するを主る。水星が婁宿に進入して侵犯・停守するは、君王の刑法の苛急・大臣に当に誅戮せらるべきあり・必ず獄に下る人あらんを主る。

胃:水犯胃,天下谷無實,以為飢憂。一曰為亂。水守胃,且有急令。一曰國主當之。水逆行胃,天下有兵,倉庫空虛。水星犯胃,國安寧。

水星が胃宿を侵犯するは、天下の穀物が結実せず・因りて飢荒の憂あるを主る。一説は変乱を主る。水星が胃宿を停守するは、将に緊急の詔令あらんを主る。一説は国君がこの咎を承当す。水星が胃宿に逆行するは、天下に兵あり・倉庫の空虚を主る。もまた一説あり、水星が胃宿を侵犯するは反って国家の安寧を主るとす。

昴:水乘昴,且有亡國,有謀主之變。若行其北,西夷有毒霜早降,歲有疾癘。水犯昴乘之,兵起,為民害。水乘昴,若出北者,為陰國有憂,若胡王死。水入昴中,有三丈水,留二十日,若六十日,守昴中,國開門,有大客,國政大危,易政令,若自來。水守昴畢,東南行至天街,及至五車,為邊兵發,有赦。

水星が昴宿を凌圧するは、将に亡国の禍あり・また君主を図謀する事変あるを主る。もし水星が昴宿の北に行れば、西方の夷狄に毒霜の提早に降下し・当年に多く疾疫あるを主る。水星が昴宿を侵犯してその上を凌圧するは、兵事の興起・百姓の害と為るを主る。水星が昴宿を凌圧し、あるいは昴宿の北より出現するは、陰方の国に憂あり・あるいは胡人の王の身死を主る。水星が昴宿の中に進入するは、三丈の深き大水あるを主る。もし留駐して二十日あるいは六十日、昴宿の中に停守せば、国門が洞開し・大批の外客の到来あり・国政が極めて危殆に・政令を更改し・あるいは外邦の自行して来帰するあるを主る。水星が昴宿・畢宿を停守し、再び東南に行きて「天街」に到り、「五車」に至るまでなるは、辺兵の発動・また赦令あるを主る。

畢:水犯畢,出其北陰國有憂;出南,南國有憂,水入畢口,各伺其出日而數之。期二十日,為兵發始入處,率一日期十日,為軍罷。水入畢口,邊有兵。一曰:其國易政。水出畢陽則旱,出畢陰則水,為政令不行。水守畢,山水潰,河大溢,潦大至。水犯附耳,兵起,若將相有喪憂也,不即免退。

水星が畢宿を侵犯してその北より出づるは、陰方の国に憂あるを主る。その南より出づるは、南方の国に憂あるを主る。水星が畢口に進入するは、各々それの出で来る日を守候して計数す——二十日を期と為すは、兵を発する象なり。それが始めて進入するの処より起算し、大約留駐すること一日が応期十日なり、期に到れば即ち兵を罷む。水星が畢口に進入するは、辺境に兵あるを主る。一説はその国が政令を更改す。水星が畢宿の陽(南)より出づれば則ち天旱し、畢宿の陰(北)より出づれば則ち水災し、また政令の推行し能わざるを主る。水星が畢宿を停守するは、山洪の暴発・河水の大いに溢れ・涝水の氾濫して至るを主る。水星が「附耳」星を侵犯するは、兵事の興起・あるいは将相に喪憂あり・もし立即に官を免じ引退せざれば便ち禍を免れ難きを主る。

觜:水入觜中,伺其出日而數之。期二十日,兵發,伺始入之處,率一日期十日,罷軍。水入觜,子歸其母,君臣和同。水守觜,為萬物不成。一曰:旱,五穀不成,大人憂。又曰:不出百日,天下大飢。水守觜,多水災。水犯觜,不可動眾行兵。一曰:有反臣,不出百日,天下水,趙國尤甚。

水星が觜宿の中に進入するは、それの出で来る日を守候して計数す——二十日を期と為し、兵を発するを主る。それが始めて進入するの処より起算し、大約留駐すること一日が応期十日なり、期に到れば即ち兵を罷む。水星が觜宿に進入するは、あたかも兒子が母親に回帰するがごとく、君臣の和睦・同心を主る。水星が觜宿を停守するは、万物の成熟する能わざるを主る。一説は天旱・五穀の成らず・貴人に憂あり。又一説は百日を出でずして天下の大飢せん。水星が觜宿を停守するは、多く水災を主る。水星が觜宿を侵犯するは、師を興し衆を動かして兵を用う可からざるを主る。一説は叛臣あり・百日を出でずして天下に大水を発し・趙地が尤其に嚴重なりとす。

參:水犯參,貴臣強。水守伐,星移南,胡入塞;星移北,胡出塞。水守參,天子不可以兵動眾,國必有反臣。水守參,有赤星守參中,邊有兵。水宿參,若宿伐,為有反臣。

水星が参宿を侵犯するは、貴臣の勢力の強盛を主る。水星が「伐」星を停守す——星位が南に移れば、胡人の塞に入るを主る。星位が北に移れば、胡人の塞を出づるを主る。水星が参宿を停守するは、天子が兵を動かし衆を興す可からず・国中に必ず叛臣あらんを主る。水星が参宿を停守し、もしまた赤色の星が参宿の中に停守せば、辺境に兵あるを主る。水星が参宿に停宿し、あるいは伐星に停宿するは、皆叛臣あるを主る。

東井:水入東井,若星進,兵進。水守井,為火災。水守井,若角動,色赤黑,為水起兵;色黃潤澤,天子善令。若色變者,大人憂,天下有名水絕,所為絕者,逆行而入之。水守東井,胡兵起,五穀霜損,其國尤甚,歲大惡。守鉞,大臣誅,斧鉞用,省兵起。水受期不東井,朝輿鬼,五穀不登。

水星が東井に進入し、もし星体が前に推進せば、兵馬の進軍を主る。水星が東井を停守するは、火災あるを主る。水星が東井を停守し、もし芒角が搖動して色が赤黒を作せば、水事に因りて兵を起すを主る。もし色黄にして潤沢なれば、天子に善政・良令あるを主る。もし星色が変異せば、貴人に憂あり・天下に名ある大川の断流するを主る。およそその断絶を致すは、皆水星の逆行して井に入るの致す所なり。水星が東井を停守するは、胡兵の興起・五穀が霜損に遭い・その分野の国が尤其に嚴重に・年成の大壊を主る。水星が井宿の旁の「鉞」星を停守するは、大臣の誅せらるる・斧鉞の刑の動用・宮省の中に兵の興起あるを主る。水星が応期に到るも東井に入らず、反って輿鬼に朝向するは、五穀の登らざるを主る。

輿鬼:水犯輿鬼,有兵。一曰:犯天質,兵起。水犯天尸,貴臣有罪;犯四星,天子當之。水守鬼,大人不祭祀之事。柳:水入天庫,以水起兵。水入柳,天下米貴,馬貴,先潦後旱。水守柳,即歲不收。水守柳,為反臣,中外兵,以德令解之。水守柳,貴臣得地,後有德令,不出九十日。

水星が輿鬼を侵犯するは、兵事あるを主る。一説は鬼宿の中の「天質」を侵犯するは、兵事の興起を主る。水星が「天尸」を侵犯するは、貴臣の罪を獲るを主る。鬼宿四星を侵犯するは、天子がこの咎を承当するを主る。水星が鬼宿を停守するは、貴人が祭祀の事を廃棄するを主る。水星が「天庫」星に進入するは、水事に因りて兵を起すを主る。水星が柳宿に進入するは、天下の米価・馬価の騰貴・先に涝災あり・後に旱災あるを主る。水星が柳宿を停守するは、当年就ち顆粒の収穫なきを主る。水星が柳宿を停守するは、叛臣あり・京師の内外皆兵あり・恩を施し徳を布くの詔令を用いて消解するを須すを主る。水星が柳宿を停守するは、また貴臣が地を拓き・その後に恩徳の令の頒下するあり・九十日を出でずして応験するを主る。

七星:水守犯七星,有君置太子者。水留七星,為天下大憂之,中兵。水犯七星,即兵內亂起。若守二十日已上,有水。水守七星,貴人有罪,若法官有憂也。水守犯七星,三月已上,賊臣在側,若叛臣,皆九十日應。

水星が停守して七星を侵犯するは、君王が太子を冊立する事あるを主る。水星が七星に留駐するは、天下に大憂あり・京師の内に兵あるを主る。水星が七星を侵犯すれば、就ち兵変・内乱の興起あらん。もし停守して二十日以上なれば、水災あるを主る。水星が七星を停守するは、貴人の罪を獲る・あるいは法を掌る官に憂あるを主る。水星が停守して七星を侵犯して三箇月以上なるは、賊臣が就に君側に在り・あるいは叛臣あり・皆九十日の内に応験するを主る。

張:水守張,天下水兵起。水守張,若角動,有臣傷其君;色赤,有兵出。水守張,為反臣,中外以兵,德令解,謂赦令也。水入張,若守,水入火,為逆理犯上,天下不安,下謀上,多鬥訟,若多疾。

水星が張宿を停守するは、天下に水災あり・兵事の興起を主る。水星が張宿を停守し、もし芒角が搖動せば、臣下のその君を傷害するあるを主る。色赤なれば、兵の出動あるを主る。水星が張宿を停守するは、叛臣あり・京師の内外に兵を動かし・恩徳の令をもって消解するを須すを主る——いわゆる恩徳の令とはすなわち赦令なり。水星が張宿に進入し、あるいはその中に停守するは、是れ水が火位に入るにして、常理に悖逆し・君上を冒犯する象、天下の不安・下位が上位を図謀し・多く争闘・訴訟あり・あるいは多く疾病あるを主る。

翼:水入翼中,兵大起。水守翼,水入火,逆理,貴有憂,若大臣戮,又水旱之災。星入其度,當位者退之,以消天意,王者以赦除咎。水守翼,大水兵起,色白,京師兵起;色黃,事成;色青黑,死事。

水星が翼宿の中に進入するは、兵戈の大いに起るを主る。水星が翼宿を停守するは、是れ水が火位に入るにして、常理に悖逆し、顕貴の者に憂あり・あるいは大臣が誅戮に遭い・また水旱の災あるを主る。星が本に応に入るべからざる宿度に進入するは、その位に居る人は応に引退して、もって上天の譴告を消解し、君王は則ち赦令を用いて災咎を免除すべし。水星が翼宿を停守するは、大水と兵事とが并び起るを主る——色白なれば、京師に兵を興すを主る。色黄なれば、事情の成し遂ぐるを主る。色青黒なれば、死喪の事あるを主る。

軫:水入軫中,為火起。水守軫,天下大變,貴人多死。一曰:國有喪。水守軫,萬物五穀不成。水守軫,為反,中外兵,以德令解之。水守軫,戚臣凶。

水星が軫宿の中に進入するは、火災の興起を主る。水星が軫宿を停守するは、天下に大変あり・貴人に多く死すを主る。一説は国に喪事あり。水星が軫宿を停守するは、万物・五穀の成熟する能わざるを主る。水星が軫宿を停守するは、反叛あり・京師の内外皆兵あり・恩徳の令を用いて消解するを須すを主る。水星が軫宿を停守するは、外戚の臣に凶あるを主る。

辰星入中外官占第三十九

水星入五車,則水開。水入五車乘犯守之,庫以潦,兵起。水守南河戒,兵起,蠻夷兵,邊城或憂,若有旱災,人民飢。又曰:留南河南戒中,為兵起西方。水行南戒中,若留中守南戒,為旱。一日,為姬疾病。

水星が「五車」星官に進入するは、河水の解凍・開流を主る。水星が五車に進入して凌圧・侵犯・停守してその星に及ぶは、府庫が涝水に因りて損を受け・兵事の興起を主る。水星が「南河戒」を停守するは、兵事の興起・蛮夷の兵を発し・辺城に或は憂患あり・或は旱災あり・人民の飢荒を主る。又一説は、南河の南戒の中に留駐するは、兵の西方に起るを主る。水星が南戒の中を経行し、あるいはその中に留駐し・南戒を停守するは、天旱を主る。另一説は宮中の姫妾の患病を主る。

水行犯守軒轅,女主失勢。一曰:大臣當之,若有黜者,期三年。水中犯乘軒轅太民星,大飢,大流太后宗,有誅者,若□有罪。中犯乘守少民星,小飢,小流後宗,有誅者,若有罪。水入乘犯少微,宰相易。一曰:主有憂。

水星が運行して侵犯し「軒轅」星官を停守するは、皇后・太后の一類の女主が権勢を失去するを主る。一説は大臣がこの咎を承当し・あるいは罷黜せらるる人あり・応期三年。水星が軒轅の中に於いて侵犯・凌圧して「太民」星に及ぶは、大飢荒・太后の一族が大批に流徙し・誅殺せらるるあり・あるいは□人の罪を獲るあるを主る(原文ここに一字を缺く)。その中に於いて侵犯・凌圧・停守して「少民」星に及ぶは、小飢荒・后族が小批に流徙し・誅殺せらるるあり・あるいは人の罪を獲るあるを主る。水星が進入・凌圧・侵犯して「少微」星に及ぶは、宰相の更換を主る。一説は君主に憂あり。

乙巳占 巻第七

流星占第四十

流星者,天皇之使,五行之散精也。飛行列宿,告示休咎。若星大,使大;星小,使小。星大則事大而害深,星小則事小而禍淺。有尾跡光為流星,無尾跡者為飛星,至地者為墜星。出則使出,入則使入。干犯滅則為誅罰之象。墜星之所,其下流血,破軍殺將,為咎最深。

流星は天皇大帝の使者にして、五行の散布する精気の化する所なり。それは列宿の間を飛行し、用いて吉凶を昭示す。星体が大なれば、主る所の使命もまた大。星体が小なれば、主る所の使命もまた小。星が大なれば則ち事情が大にして危害が深く、星が小なれば則ち事情が小にして禍患が浅し。尾跡の光芒を拖くを「流星」と呼び、尾跡なきを「飛星」と呼び、地面に落つるを「墜星」と呼ぶ。星が内より外に向かって出づるは、使者の外出を主る。外より内に向かって入るは、使者の入朝を主る。他星を衝犯して随いて熄滅するは、誅罰の象なり。墜星の落下する地方は、その下に必ず流血の禍あり・軍隊が潰敗し・将領が殺され・災咎が最も深重なり。

蜀後主建興十年,諸葛亮帥大眾伐魏,屯兵於渭南。有長星赤而芒角,自東北西南流投營,三投再還,往大還小,占曰:兩軍相當,有大流星流來走軍上及墜軍者,皆破敗之兆也。九月,亮卒于軍營而退,群帥交爭,多相殘誅。

蜀漢・後主建興十年、諸葛亮が大軍を率いて曹魏を討伐し、渭水の南に兵を屯す。当時長星ありて色赤にして芒角を帯び、東北より西南に向かって飛流し、蜀軍の営壘に投向し、三度投下し・两度折回し、去る時は星体が大にして回る時は星体が小なり。占辞にいう。両軍が対壘の際、大流星の飛来して軍営の上空を掠过しあるいは営中に墜落するは、皆潰敗の徴兆なりと。この年の九月、諸葛亮が軍営に死し、蜀軍が兵を退き、衆将が互いに権を争い、多く彼此に残殺・誅戮するあり。

魏景初二年,司馬仲達懿圍公孫淵於襄平。八月丙寅夜,有大流星,長數十丈,色白有芒鬣,從首出東北,流墜襄平城東南。占曰:圍城而有流星來走城上及墜城中者,軍破。又曰:星墜當其下有戰傷。又曰:凡星所墜,國易姓。九月,淵突圍,走至襄平星墜所,破斬屠城,坑其眾。

曹魏・景初二年、司馬懿(字は仲達)が襄平に於いて公孫淵を囲困す。八月丙寅日の夜、大流星ありて長さ数十丈・色白にして芒鬣を帯び、首を出づるの処より東北に飞向し、襄平城の東南に墜落す。占辞にいう。城を囲むの時、流星の飛来して城上を掠过しあるいは城中に墜入するは、軍隊の潰敗を主ると。又いう。星の墜落する処は、その下に当に戦事の死傷あるべしと。又いう。およそ星の墜つる地は、その国が姓氏を改換するを要すと。この年の九月、公孫淵が囲を突いて出逃し、正に襄平の星墜の地方に走到して撃破・斬殺せられ、魏軍が城を屠り、その部衆を坑殺したり。

景元四年六月,大流星二,並如斗見西方,分流南北,光照地,隆隆有聲。占曰:流星為貴使,星大者使大。是年鍾會、鄧艾克蜀。二星二帥之象,二帥相背分流之象應也。鍾會既叛,三軍怒。隆隆有聲,兵將怒之驗也。

曹魏・景元四年六月、両顆の大流星ありて皆斗のごとき大さにして、西方に出現し、分かれて南北に向かって飛流し、光が地面を照らし・隆隆として声あり。占辞にいう。流星は顕貴の使者の象にして、星体の大なるは主る所の使者の位望もまた高しと。この一年に鍾会・鄧艾が蜀漢を攻克し、両顆の星は正に両位の統帥の象に応じ、二星が背向して分流するは、正に両位の統帥が彼此に相背くの象に応ず。後來鍾会が叛変し、三軍が憤怒す。星流の隆隆として声あるは、正に兵将の憤怒の応験なり。

凡流星有芒角者及有聲為怒,色潤而遲為喜。疾則事速,緩而事遲。眾星皆流,人遷之象。星數流者,天下大兵,急使馳驛之象也,皆以色占。色青為飢為憂,色赤為旱為兵,色黃為喜為土功,色白為兵為刑罰,色黑為病死疾疫。各以其休王占之,各以其日辰所在宿分國屬而占。

およそ流星が芒角を帯びおよび声响あるは、怒を主る。色沢が潤沢にして行度が徐緩なるは、喜を主る。行度が快ければ則ち事情の来ること急に、行度が慢ければ則ち事情の来ること遅し。衆星が一斉に飛流するは、人民の遷徙の象なり。流星の屢々飛流するは、天下に大兵あり・緊急の使者が驛を馳せ奔走する象なり。これらは皆星色に合わせて占断するを要す——色青は飢荒を主り憂患を主り、色赤は天旱を主り兵事を主り、色黄は喜慶を主り土木の工程を主り、色白は兵事を主り刑罰を主り、色黒は疾病・死亡と瘟疫とを主る。又各々五行の休王の気に依って推占し、各々その日辰の所在する宿次・分野と所属の国とに依って推占す。

流星犯日月占第四十一

流星映日而赤色,向日流者,天下不安,帝王易位,人主崩亡,百姓逃竄,九州荒蕪。流星映日,前銳後方者,王者被大臣殺,後宮大亂,天下振動,日月無光,人民大疫,天下半死。

流星が日光に映じて赤色を呈し、また太陽に朝着して飛流するは、天下の不安・帝王がその位を更易し・君主が崩亡し・百姓が四散・逃亡し・九州が荒蕪するを主る。流星が日に映じ、形状が前端が尖鋭・後端が方正なるは、君王が大臣に殺され・後宮が大乱し・天下が震動し・日月に光なく・人民が大疫し・天下の人が死去して半ばとなるを主る。

流星前赤後白,夕見者,大臣欲謀國,陰發使。流星晝見,竟天陰者,陰有謀臣,欲奪國政,誅殺賢良,遠期一年,中期二百日,下期一百日,必然也。

流星が前段赤・後段白にして、傍晚に出現するは、大臣が国柄を図謀し・暗中に使者を派遣するを主る。流星が白昼に出現し、長天を横貫して気色が晦暗なるは、暗中に陰謀の臣ありて国政を奪取し・賢良を誅殺せんと欲し、遠ければ一年・中は二百日・近ければ一百日に、必定に応験せんを主る。

流星夕墜,光耀天者,所墜分野有大兵起。一云:有霸王出,流血為災。一云:所墜分野,大疫為災。流星六七,一時晝墜地,其分王者死。一云:被迫殺。一云:其分大亂,流血為災,一云:赤旱千里,百泉枯涸,王者受戮。

流星が傍晚に墜落して光耀が天に満つるは、墜つる所の分野に大兵の興起あるを主る。一説は覇を称する君王の出現あり・流血が災を成す。又一説は墜つる所の分野に瘟疫が災を成す。六七顆の流星が同一の時刻に白昼に地に墜つるは、その分野の君王の死亡を主る。一説は逼迫せられて殺害に遭う。一説はその分野の大乱・流血が災を成す。還た一説は赤地千里・旱情が野に遍く・百泉が枯竭し・君王が誅戮に遭うを主る。

流星晝落作聲,野雉皆鳴,群鳥盡驚者,所墜之分,主大兵起,大戰流血,漬骨如山,血流溝壑,王者大憂,遠期三年,中期一年,近期百日。流星赫奕翳日者,王者被殺,期一百日,無光者,期十日。

流星が白昼に墜落して声响を発し、以て野鶏が斉しく鳴き・群鳥が驚き飛ぶに至るは、墜つる所の分野に大兵の興起あり・大戦・流血し・尸骨が堆積して山のごとく・血が溝壑に流れ満ち・君王に大憂あり・遠ければ三年・中は一年・近ければ一百日に応験するを主る。流星の光焰が熾盛にして日光を遮蔽するは、君王の殺されんを主り・応期一百日。もし流星本身に光芒なければ、応期十日。

流星入漢,八角散者,帝王欲發大使,慰宣四方。一云:八道賊起,欲散他邑。一云:欲有卿相,走投外國。流星沖月,大臣有事,陟貶之兆,遠則一百日,近十日。流星沖月透者,大臣被殺,王者受戮,太子王也。

流星が天漢(銀河)に進入し、芒角が八方に向かって散射するは、帝王が将に大使を派遣して四方を撫慰・宣諭せんとするを主る。一説は八方の盗賊が并び起り・将に別の城邑に流散せんとす。又一説は将に公卿・宰相が出走して外国に投奔するあらん。流星が直ちに月体を衝くは、大臣に事あり・升遷あるいは貶降の先兆にして、遠ければ一百日・近ければ十日に応験す。流星が月を衝きて穿透して過ぎ去るは、大臣の殺され・君王が誅戮に遭い・太子により継立して王と為らしむるを主る。

流星白色沖月者,皇后憂;赤色沖月者,皇后病。一云:後宮口舌大起,王者大怒。流星蔽月光者,欲有大使至他國,宣揚帝德。流星雙貫月者,宰相將被殺,大兵起,公卿受死。

流星が色白にして月を衝くは、皇后に憂あるを主る。色赤にして月を衝くは、皇后の患病を主る。一説は後宮に口舌の争端が大いに起り・君王がこれがために震怒す。流星が月光を遮蔽するは、将に大使の他国に出使するあり・帝王の恩徳を宣揚するを主る。両顆の流星が一同に月体を貫穿するは、宰相が将に殺されん・大兵が興起し・公卿が処死せらるるを主る。

流星五色映天,奪月光者,帝有大使發。流星赤光,前方後銳,映天者,公卿宰相謀國,陰兵起,王者失邦,天下荒亂。流星四面,一時刺月,臣殺其君,子殺其父,大兵起。一云:四方有使還,使叛心離上。

流星が五色に長天を映照し・光芒が月色を奪うは、帝王に大使の出発あるを主る。流星が赤光を放出し・前端が方正・後端が尖鋭にして長天を映照するは、公卿・宰相が国柄を図謀し・暗中に兵を起し・君王が邦国を失去し・天下が荒乱するを主る。流星が四面より同時に月体に刺向するは、臣子が君主を殺害し・兒子が父親を殺害し・大兵が興起するを主る。一説は四方に使者の帰来あり・使者が叛意を懐いて君上に背离す。

流星与五星相犯占第四十二

凡五星自流者,所主之分國荒,人民相殘,帝王奔走徙野,必有敗國。其五星若流於有福之鄉,聖人見矣。流於無福之鄉,將受其辱,主受其殃,破國滅亡,天地翻改,不可不察。

およそ五星が自身流星のごとく飛流するは、それが主る所の分野の国の荒残・人民が互いに残害し・帝王が奔逃・遷徙して荒野に在り・必ず亡国の禍あらんを主る。五星がもし福ある方位に飛流せば、聖人の出世を主る。福なき方位に飛流せば、将帥・使臣が屈辱を受け・君主が殃禍に遭い・国破れ家亡び・天地が翻覆・改易し、明察せざる可からざるを主る。

流星與歲星斗光卻偃者,其分君被使辱,使受其戮。一云:使半路被殺。一云:國君振雄,鄰國悉辱。流星赤,直繞刺木,其分使被戮。一雲病死。

流星と歳星(木星)とが光芒を相闘して後に偃伏・退避するは、その分野の君が使者に辱められ・使者もまたこれに因りて誅戮に遭うを主る。一説は使者が半路に殺されん。又一説は国君の威名が大いに振るい・隣国が皆屈辱を蒙受す。流星が色赤にして、徑直に環繞して木星に直刺するは、その分野の使者の誅戮せらるるを主る。一説は病死す。

流星黃潤行緩,頭尾直,端去木一二寸滅。此分君有福,鄰國來賓,主霸國,此名霸王之使也。流星沖火者,其分君有福;光影熒惑者,國有大使至。此雄猛之使也,必有姦淫之意,宜審察之。

流星が色黄にして潤沢・行度が徐緩に、頭尾が端直に、末端が木星に距ること一二寸の処に熄滅するは、此の分野の君に福あり・隣国が来朝して賓と為り・その国が覇を称するを主り、これを「霸王の使」と呼ぶ。流星が直ちに火星(熒惑)を衝くは、その分野の君に福あるを主る。光影が熒惑に映及するは、国中に大使の到来あるを主る。これは雄猛の使にして、必ず奸邪・淫佚の心を懐く——応に仔細に審察すべし。

流星穿火過,火無光,其分君死國荒。流星與土相犯者,外國有奸人入國。一云:夷狄來賓。流星來抵土星,其土星光潤,其分君有福,國昌主霸,邦寧。

流星が火星を穿過して火星の光沢を失わしむるは、その分野の君の死亡・国土の荒残を主る。流星と土星(鎮星)とが相侵犯するは、外国に奸人の潜入して本国に入るあるを主る。一説は夷狄の前来して朝賓す。流星が土星に迫近して土星の光沢が潤美なるは、その分野の君に福あり・国家が昌盛し・君主が覇を称し・邦域が安寧するを主る。

流星犯太白,太白無光,將帥有憂。一云:大將死,軍大敗。流星光潤,前後光銳,穿太白,帝王德令行,邦寧兵強,大將遠。

流星が太白(金星)を侵犯して太白の光芒を失わしむるは、将帥に憂あるを主る。一説は大将の死亡・軍隊の大敗。流星の光沢が潤美にして、前後の光芒が尖鋭にして太白を穿過するは、帝王の徳令の推行を得・邦国が安寧し・兵力が強盛に・大将が遠征して外に在るを主る。

流星犯辰星,帝王霸,德令施四方,水官憂。一云,大水至。辰星被流星奪其光者,外有使欲行直言。一云:使回振德。

流星が辰星(水星)を侵犯するは、帝王が覇を称し・恩徳・号令が四方に施行せられ・而して水を掌る官に憂あるを主る。一説は大水の将に至らんとす。辰星が流星に光芒を奪わるるは、外方に使者の直言・進諫せんと欲するあるを主る。一説は使者の帰来し・君徳を振揚す。

流星入列宿占第四十三

流星入左角,兵吏有來繫者。色赤以兵,色黃土功,色黑死凶。青憂,白義繫也。流星入兩角間,天子使出也。流星抵角,角不動,臣欲殺主,主戮死也。

流星が左角に進入するは、軍吏の拘系・押来せらるるあるを主る——色赤は兵事に因りて系せらるるを主り、色黄は土木の工役に因るを主り、色黒は死亡・凶禍を主り、色青は憂患を主り、色白は義事に因りて系せらるるを主る。流星が左右の両角の間に進入するは、天子の使者の外出を主る。流星が角宿に迫近して角宿の星が并びに動揺せざるは、臣下が弑君を図謀し・君主が将に誅戮に遭いて死せんとするを主る。

流星入亢中,倖臣有自死,期一年。色黑出亢,愛臣有口舌事,自然期一百八十日,或一年。流星入氐,兵起,若國有大水。一云:國相疾。出亢入氐中,人民相食,有疾病帶而下。流星抵氐,國多怨女。

流星が亢宿の中に進入するは、寵を受くる臣に自殺して身死するあり・応期一年を主る。流星が色黒にして亢宿より出づるは、寵愛せらるる臣子に口舌の患あり・自然に応期一百八十日・あるいは一年を主る。流星が氐宿に進入するは、兵事の興起・あるいは国中に大水あるを主る。一説は国相の患病。流星が亢宿より出でて氐宿の中に進入するは、人民の互いに残食し・疾病が腰帯以下より発作するを主る。流星が氐宿に迫近するは、国中に多く幽怨の女子あるを主る。

流星入房,不出其年,國有大喪。蛇曲入房,臣殺主代王,輔臣亡,王者以赦除災。年中消,民怨,人人憂,臣欲伐主,兵大起宮中,不出一年,遠二年。犯乘明堂,皆為人人憂,為內亂,近期十月,遠三年。犯乘太子,太子憂;庶子,庶子憂;明堂,君子死。

流星が房宿に進入するは、当年を出でずして国に大喪あらん。流星が屈曲して蛇形のごとく房宿に入るは、臣下が君を弑して王位を取代し・政を輔く臣が敗亡し・君王が赦令を用いて災禍を消除するを須すを主る。縱使年内に消解するも、もまた民怨の沸騰・人びとの憂懼・臣下が君主を討伐せんと欲し・大兵が宮中に起り・一年を出でず・遠ければ両年に応験するを主る。流星が侵犯・凌圧して房宿の中の「明堂」に及ぶは、皆人びとの憂懼を主り・内乱を主り、近ければ十箇月・遠ければ三年に応験す。「太子」星を侵犯・凌圧するは、太子に憂あり。庶子星を侵犯するは、庶子に憂あり。明堂を侵犯するは、君子の死亡を主る。

流星入心,不出其年,國有大喪。一曰:臣殺主,期不出三年。入心,有使來者。色赤以兵,黃土功,白義,青憂,黑凶。流星出心,大臣出使,以五色占之。入心,遠國使來,星大為大國,小為小國使也。

流星が心宿に進入するは、当年を出でずして国に大喪あらん。一説は臣下の弑君・応期三年を出でず。流星が心宿に進入するは、使者の到来あるを主る——色赤は兵事を主り、色黄は土木の工役を主り、色白は義事を主り、色青は憂患を主り、色黒は凶禍を主る。流星が心宿より出づるは、大臣が命を奉じて出使するを主り、同様に五色に按って推占す。流星が心宿に入るは、また遠方の国に使者の来るあり・星体が大なるは大国の使を主り・星体が小なるは小国の使を主る。

流星入尾,色青黑,臣有歸者及逃走者。流星出箕,宮人有出者;出入箕,大臣有棄捐。流星入斗,有使來入國者。色赤兵,黃土功,白言義,青言憂,黑死。出斗,大臣有使者,以五色占之。

流星が尾宿に進入して色が青黒を作すは、臣下に帰降するあり・もまた逃亡するあるを主る。流星が箕宿より出づるは、宮人に放出せらるるあるを主る。箕宿に往来・出入するは、大臣に棄置して用いられざるあるを主る。流星が斗宿に進入するは、使者の来りて本国に入るあるを主る——色赤は兵事を主り、色黄は土木の工役を主り、色白は義事を主り、色青は憂患を主り、色黒は死亡を主る。流星が斗宿より出づるは、大臣に使を奉ずる事あるを主り、同様に五色に按って推占す。

流星入牛,大將出期一百八十日。入牛,客有四足蟲為幣來者,色青道病,色黑道死,不至。流星色赤入天鼓,受命於主;出天鼓,將出受命。星之所之,以占四方。

流星が牽牛宿に進入するは、大将の出征・応期一百八十日を主る。流星が牛宿に入るは、また外客が牛馬の一類の四足の牲畜を帯びて礼幣と為して前来するあるを主る——色青は使者が途中に病を生ずるを主り、色黒は使者が路上に死して到達する能わざるを主る。流星が色赤にして「天鼓」星に進入するは、将領が朝廷に於いて君命を承受するを主る。天鼓より出づるは、将領が出征して命を受くるを主る。流星の去る所の方向に依りて、四方の事を推占し得べし。

流星入女,天下不納女者;出女,女御有使者;乾女,貴女有獄,期一百八十日。抵女,女主有事於君,有流死者,期不出一年。流星入虛,色青,哭泣之事;色黃若白,有受賜者。奔星以乙丑日流入女虛危之間,有流入出虛,臣有出使者。入危,小人乘君子位。

流星が須女宿に進入するは、天下が復た女子を納献せざるを主る。女宿より出づるは、宮中の女官に命を奉じて出使するあるを主る。女宿を衝犯するは、貴族の女子に牢獄の災あり・応期一百八十日を主る。流星が女宿に迫近するは、皇后・太后の一類の女主が君王に干求する所有り・かつ流放大して死する人あり・応期一年を出でざるを主る。流星が虚宿に進入して色青なれば、哭泣の喪事あるを主る。色黄あるいは色白なれば、人の賞賜を受くるあるを主る。奔星が乙丑の日に飛流して女・虚・危の三宿の間に進入し、あるいは飛び入りてまた虚宿を飛び出づるは、臣下に使を奉じて外出するあるを主る。流星が危宿に進入するは、小人が君子の位置を窃拠するを主る。

流星入危,天下不寧,其國憂,下欲謀上,期百八十日,遠一年。入危,以人為幣之危右,以兵為幣之危左。色青以水為幣,白以四足蟲為幣,黃以貝為幣。流星交對抵危,中國與北狄交兵也。

流星が危宿に進入するは、天下の安寧ならず・その分野の国に憂あり・下位が上位を図謀し・応期一百八十日・遠ければ一年を主る。流星が危宿に入る——危宿の右に偏すれば、人口をもって礼幣と為すを主る。危宿の左に偏すれば、兵器をもって礼幣と為すを主る。色青は水産をもって礼幣と為すを主り、色白は四足の牲畜をもって礼幣と為すを主り、色黄は貝貨をもって礼幣と為すを主る。流星が交錯・相対して危宿に迫近するは、中原と北方の狄人とが兵を交えるを主る。

流星入室,有使來者,亦主兵。黃土功,青客凶,黑客死,白義。出室,人主去其國,若有內亂,兵起宮中,王者有憂;出室,有使出以五色占之。大奔星色赤,流抵室,其國凶,貴人有死者。上旬見,老年,來月上旬死;中旬見,為中年,來月中旬死,下旬見,為盛壯,來月下旬死。

流星が営室に進入するは、使者の到来あるを主り、もまた兵事を主る——色黄は土木の工役を主り、色青は外客に凶あるを主り、色黒は外客の死亡を主り、色白は義事を主る。流星が室宿より出づるは、君主がその国を離開し・あるいは内乱・兵が宮中に起り・君王に憂あるを主る。室宿より出づるは、もまた使者の外出あるを主り、五色に按って分かちて推占す。大奔星ありて色赤にして、飛流して室宿に迫近するは、その国に凶あり・貴人の中に死亡するありを主る——上旬に出現すれば、老年人に応じ・来月の上旬に死す。中旬に出現すれば、中年の人に応じ・来月の中旬に死す。下旬に出現すれば、壮年の人に応じ・来月の下旬に死す。

流星干犯壁,大國分兵;犯壁,文章士死;使星從西壁入東壁,人主用故臣;抵東壁,婦人憂。流星入奎,有破軍殺將,有溝瀆之事於國內;出奎,溝瀆之事於國外。

流星が壁宿を衝犯するは、大国が兵を分かちて出征するを主る。壁宿を侵犯するは、文章に擅長の士人の死亡を主る。使星が西壁より進入して東壁に至るは、君主が旧臣を起用するを主る。東壁に迫近するは、婦人に憂あるを主る。流星が奎宿に進入するは、軍隊の潰敗・将領の殺され・国内に溝渠・水道の工役あるを主る。奎宿より出づれば、則ち溝渠・水道の工役が国外に発生す。

流星入婁,有聚眾之事於國內。一曰:有白衣會,為大亂,期三年;出婁,有聚眾之事於國外;抵婁,貴賤相謀,不暇食。流星入胃,保倉之事於其國內;出胃,於其國外。

流星が婁宿に進入するは、国内に人衆を聚集する事あるを主る。一説は喪事の聚会あり・天下の大乱・応期三年。流星が婁宿より出づるは、衆を聚むる事が国外に発生するを主る。婁宿に迫近するは、貴賤の人が互いに図謀し・忙しきに飯を喫うに及ばざるを主る。流星が胃宿に進入するは、国内に倉廩を保守する事あるを主る。胃宿より出づれば、此の事は就ち国外に発生す。

流星入昴,四夷交兵,白衣會,若貴人有急下獄;出昴,兵眾滿野,若他國有使至,期一百日,遠一年;入,胡兵起,一年,遠二年。流星干犯畢,邊軍大戰;入畢口而復出,其星小,小赦;大,大赦。

流星が昴宿に進入するは、四方の夷狄が兵を交え・喪事の聚会あり・あるいは貴人が緊急に獄に下せらるるを主る。昴宿より出づるは、兵衆が原野に遍布し・あるいは他国の使者の到来あり・応期一百日・遠ければ一年を主る。流星が昴宿に入るは、また胡兵の興起・応期一年・遠ければ両年を主る。流星が畢宿を衝犯するは、辺防軍に大戦あるを主る。畢口に進入してまた飛び出づるは、星体が小なれば小赦を主り・星体が大なれば大赦を主る。

流星干犯觜觽,其國後起破亡;入觜口中者,天子出使也,外宿中來,則外國使也。三十丈至百丈,將軍使;十丈至二十丈,小使,皆不出一年,出觜口,有葆旅之事於國外。一曰兵罷。

流星が觜觿を衝犯するは、その国が日後に興起するも終に破亡に帰するを主る。觜口の中に進入するは、是れ天子が使者を派出する象。もし別の宿の中より飛来せば、則ち外国の使者の象なり。星の長さ三十丈より一百丈に至るは、将軍の使を主る。長さ十丈より二十丈に至るは、小使を主り、皆一年を出でずして応験す。流星が觜口より出で去るは、国外に屯聚・保守の事あるを主る。一説は兵を罷む。

流星入參,衡右之事於國內。色青黑,不出其年兵起。出南門以刺參,不出十年,若六年,有一國王兼天下。(南門,南井也。)使星守參左,五穀貴;守右,五穀熟。

流星が参宿に進入するは、国内に権衡・刑賞の一類の事あるを主る。流星が色青黒なれば、当年を出でずして就ち兵事の興起あらん。流星が南門より飛び出でて直ちに参宿を刺すは、十年を出でず・あるいは六年に、就ち一国の王の天下を兼并するあらん(いわゆる南門とは、すなわち南井、すなわち東井なり)。使星が参宿の左側を停守するは、五穀の価貴を主る。右側を停守するは、五穀の豊熟を主る。

流星干犯東井,大臣誅,其國有兵,期一百八十日;入井,有水令而來,其國分亡。流星入井,其國若以水亡,其分人飢,期三年:出井,有水事於國。一名曰水有絕者。

流星が東井を衝犯するは、大臣の誅せらるる・その国に兵あり・応期一百八十日を主る。井宿に進入するは、水事に関する詔令の随いて下るあり・その分野の国の将に敗亡せんとするを主る。流星が井宿に入るは、その国があるいは水患に因りて亡び・その分野の人民が飢荒し・応期三年を主る。井宿より出づるは、国中に水利の事あるを主る。此の象に還た一箇の名目あり、「名川断流」と呼ぶ。

流星入鬼,中國與南蠻同,四夷來貢。一曰:有宗廟祠祀事。奔流星入鬼質,大臣有戮死者。流星干犯柳,周國亡,期九十日;入柳,名木有來者;若出之,名木有出者。

流星が鬼宿に進入するは、中原と南方の蛮夷とが同心し・四方の夷狄が前来して進貢するを主る。一説は宗廟の祭祀の事あり。奔星が飛び入りて鬼宿の「質」に至るは、大臣の中に誅戮せられて死するあるを主る。流星が柳宿を衝犯するは、周地の国の滅亡・応期九十日を主る。柳宿に進入するは、名貴の木材の運入あるを主る。もし柳宿より出で去れば、名貴の木材の外運あるを主る。

流星干犯星,國有兵,不出一百八十日;入星,客有急事來使者;若出星,王者以急事出使,期一百八十日,若一年入星。一曰:天下更令,有徒入,期三年,以有急來使於諸侯也。

流星が七星を衝犯するは、国に兵事あり・一百八十日を出でざるを主る。七星に進入するは、外客が緊急の事に因りて使者を派して前来するを主る。もし七星より飛び出づれば、君王が緊急の事に因りて使者を派出し・応期一百八十日・あるいは一年の内にまた流星の七星に入るあるを主る。一説は天下が政令を更改し・人衆の遷徙・移入あり・応期三年——緊急の事ありて諸侯の許に出使するを要するがゆえなり。

流星入張,諸侯有誅者,若人君使人於諸侯。一曰:天下更令,有移徙,期三年。出張,諸侯有受賜者。流星干犯翼,國用大兵,大臣有憂,遠期一百八十日。入翼,其國用兵,大臣有憂;若抵翼,天子下尊諸侯,期半年;出翼,滿國受賜恩者。

流星が張宿に進入するは、諸侯の中に誅せらるるあり・あるいは君主が人を派して諸侯に出使せしむるを主る。一説は天下が政令を更改し・遷徙・移居の事あり・応期三年。流星が張宿より出づるは、諸侯に賞賜を受くるあるを主る。流星が翼宿を衝犯するは、国家が大軍を動用し・大臣に憂あり・遠ければ一百八十日に応験するを主る。流星が翼宿に進入するは、その国が兵を用い・大臣に憂あるを主る。もし翼宿に迫近せば、天子が己を屈してもって諸侯を尊礼し・応期半年を主る。翼宿より出づるは、国を挙げての人が恩賜を蒙受するを主る。

流星入軫,兵喪並起,近期半年,遠一年。國車為幣,王者應之以善之令,即無咎;出軫,臣有出使者,以車為幣,入長沙,天子有逃,王無居憂也。

流星が軫宿に進入するは、兵禍と喪事とが一同に発生し・近ければ半年・遠ければ一年に応験するを主る。此の時にもし国家の車輛をもって礼幣と為して相贈り、君王が再び善政・良令をもって相応ずれば、就ち災禍あらざらん。流星が軫宿より出づるは、臣下に使を奉じて外出するあり・車輛をもって礼幣と為すを主る。流星が軫宿の旁の「長沙」星に進入するは、天子に出逃の事あり・君王に安居する処なきの憂患あるを主る。

又,流星入犯角,口舌。帝王起止行事抑挫者,春犯疾疫,夏犯口舌,女子妖言,秋犯死喪,冬犯賢良用事。流星犯亢,府車憂。春夏犯,大妖言,王者憂;秋犯,其分疫;冬犯,盜賊起,水災。流星犯氐,秘閣官有事。春秋犯,其有貶職者;冬夏犯,雨旱。

別に一法あり。流星が進入して角宿を侵犯するは、口舌の争端・帝王の挙止・行事が挫抑を受くるを主る。再び四時に分かちて看れば、春天にこれを犯すは疾疫を主り、夏天にこれを犯すは口舌・是非・女子の妖言を造作するを主り、秋天にこれを犯すは死喪を主り、冬天にこれを犯すは賢良の士が権を当て事に任ずるを主る。流星が亢宿を侵犯するは、車府の官に憂あるを主る。春夏にこれを犯すは、大いに妖言を起し・君王に憂あるを主る。秋天にこれを犯すは、その分野に疫病あるを主る。冬天にこれを犯すは、盗賊の興起・また水災あるを主る。流星が氐宿を侵犯するは、秘閣・図籍を掌管する官員に事あるを主る。春秋にこれを犯すは、貶職せらるる人あるを主る。冬夏にこれを犯すは、雨涝あるいは乾旱を主る。

流星犯沖房,大兵起。一雲大水災。春夏犯,土官憂;秋冬犯,人大飢,太宰反。流星犯心,其星動,主有憂,春夏火災,秋冬犯。沖中星者,天子有人行直言,天子憂國。流星犯沖尾,后妃有貶黜。春夏犯,後宮口舌起;秋冬犯,賢良用事,妖言被誅,佞者受誅。

流星が侵犯して直ちに房宿を衝くは、大兵の興起を主る。一説は大水が災を成す。春夏にこれを犯すは、土を掌る官に憂あるを主る。秋冬にこれを犯すは、人民の大飢・太宰の謀反を主る。流星が心宿を侵犯して心宿の星が搖動するは、君上に憂あるを主る。春夏にこれを犯すは火災を主り、秋冬にこれを犯すもまたこのに依って推占す。直ちに心宿の中央の大星を衝くは、天子の身辺に人の直言・進諫するあり・天子が国事を憂慮するを主る。流星が侵犯して直ちに尾宿を衝くは、后妃に貶黜せらるるあるを主る。春夏にこれを犯すは、後宮に口舌の争端の興起を主る。秋冬にこれを犯すは、賢良の士が権を当て事に任じ・妖言を造作する人が誅せられ・奸佞の徒が誅戮を受くるを主る。

流星犯箕,春夏犯,金玉貴;秋冬犯,土功興,王者大作宮殿,峻城隍。流星犯斗,宰相有憂。春犯,天子夭壽;夏犯,水災;秋犯,宰相黜陟者;冬犯斗魁,大臣逆。流星犯牛,王欲改事出,春犯,五穀熟;秋冬犯,五穀貴。一雲水災。

流星が箕宿を侵犯す——春夏にこれを犯すは、金玉の騰貴を主る。秋冬にこれを犯すは、土木の工役の興起・君王が宮殿を大造し・城墻を加高し・城濠を深挖するを主る。流星が斗宿を侵犯するは、宰相に憂あるを主る。春天にこれを犯すは、天子の寿命の損あるを主る。夏天にこれを犯すは、水災を主る。秋天にこれを犯すは、宰相に貶黜・升遷の変あるを主る。冬天に斗魁の諸星を侵犯するは、大臣の叛逆を主る。流星が牽牛宿を侵犯するは、君王が将に政事を更改する挙動あらんを主る。春天にこれを犯すは、五穀の豊熟を主る。秋冬にこれを犯すは、五穀の価貴を主る。一説は水災あり。

流星犯女,布帛貴。春夏犯,大雨澇;秋冬犯,繒絮貴,天下蠶不收。流星犯虛,天下哭泣。春夏犯,廟官憂;秋冬犯,天子將兵出野。流星犯危,祭祀事動。春夏犯,水災,溝洫浚;秋冬犯,口舌大起,毀者辱。犯墳墓,冢官有事。

流星が須女宿を侵犯するは、布帛の騰貴を主る。春夏にこれを犯すは、大雨の涝を成すを主る。秋冬にこれを犯すは、繒帛・糸絮の価貴・天下の養蚕に収なきを主る。流星が虚宿を侵犯するは、天下の哭泣・喪あるを主る。春夏にこれを犯すは、宗廟を掌る官に憂あるを主る。秋冬にこれを犯すは、天子が兵を領して郊野に出づるを主る。流星が危宿を侵犯するは、祭祀の事の興動を主る。春夏にこれを犯すは、水災・溝渠を疏浚するを須すを主る。秋冬にこれを犯すは、口舌の争端の大いに起り・人を毀謗する者が反って自ら辱を取るを主る。危宿の旁の「墳墓」星を侵犯するは、陵寝を掌る官に事あるを主る。

流星犯室,軍事乏糧。夏犯,將帥出;秋冬犯,水溢決,土功興。流星犯壁,賢良受用。春夏犯,文章者用;秋冬犯,道術興行。流星犯奎,武庫用事。春夏犯,金革興;秋冬犯,百川溢,水災。

流星が営室を侵犯するは、軍中の糧を缺くを主る。夏天にこれを犯すは、将帥の出征を主る。秋冬にこれを犯すは、大水の漫溢・決口・土木の工役の興起を主る。流星が壁宿を侵犯するは、賢良の士の任用を受くるを主る。春夏にこれを犯すは、文章に擅長の人の用を得るを主る。秋冬にこれを犯すは、道術の学の盛行を主る。流星が奎宿を侵犯するは、武庫の動用を主る。春夏にこれを犯すは、兵甲の事の興起を主る。秋冬にこれを犯すは、百川の氾濫・水災の発生を主る。

流星犯婁,五祀官用事。春夏犯,園囿興作;秋冬犯,犧牲貴。流星使數犯,人多死也。流星犯胃,主倉廩大出。春夏犯,谷大貴;秋冬犯,倉稟空,五穀菽麥大貴,人民相食。流星光流入昴,胡王死。春夏犯,其分君昌邦;秋冬犯,有赦,期一月。

流星が婁宿を侵犯するは、五祀を掌る官員が当値して事に任ずるを主る。春夏にこれを犯すは、園林・苑囿の工を興し営造するを主る。秋冬にこれを犯すは、祭祀に用うる所の犠牲の価貴を主る。使星が屢々婁宿を侵犯するは、人の多く死亡するを主る。流星が胃宿を侵犯するは、倉廩の大量に糧を出すを主る。春夏にこれを犯すは、穀価の大貴を主る。秋冬にこれを犯すは、倉廩の空虚・五穀・豆麦の大漲・人民の相食を主る。流星が光を帯びて飛び入りて昴宿に至るは、胡人の王の身死を主る。春夏にこれを犯すは、その分野の君が邦国を昌盛せしむるを主る。秋冬にこれを犯すは、赦令あり・応期一箇月を主る。

流星犯畢,邊兵大起。春夏犯,流血為災;秋冬犯,大災,魚行人道。流星犯觜,君王欲行斬殺事。春夏犯,多雨;秋冬犯口者,大風大雨,人民多病。流星犯參,邊兵大起。春夏犯,名將死;秋冬犯,猛將受用。流星犯玉井者,天下大兵,流血成川。

流星が畢宿を侵犯するは、辺兵の大いに起るを主る。春夏にこれを犯すは、流血の災を成すを主る。秋冬にこれを犯すは、大災あり・洪水が氾濫して以て魚が人の走る道路に游行するに至るを主る。流星が觜宿を侵犯するは、君王が将に斬殺の事を行わんを主る。春夏にこれを犯すは、多雨を主る。秋冬に觜口を侵犯するは、大風・大雨・人民の多病を主る。流星が参宿を侵犯するは、辺兵の大いに起るを主る。春夏にこれを犯すは、名将の死亡を主る。秋冬にこれを犯すは、勇猛の将の任用を受くるを主る。流星が参宿の旁の「玉井」星を侵犯するは、天下に大兵あり・流血が河を成すを主る。

流星大光,犯沖東井,有大使至,主大憂。春夏犯,秦地亂。一云:主百川溢。秋冬犯,宮中憂,人多死,魚鹽賤。流星犯鬼,帝王威政,斬奸謀。春夏犯,政事不明;秋冬犯積尸,天子多疾病。流星長數丈入柳者,王者有火災。春夏犯,帝王必發急使;秋冬犯者,後室口舌起,內有奸私事。

流星の光芒が盛大にして、侵犯して直ちに東井を衝くは、大使の到来あり・君上に大憂あるを主る。春夏にこれを犯すは、秦地の変乱を主る。一説は百川の氾濫を主る。秋冬にこれを犯すは、宮中に憂あり・人の多く死亡し・魚鹽の価賤しを主る。流星が鬼宿を侵犯するは、帝王が威を振り政を行い・奸邪の図謀を斬除するを主る。春夏にこれを犯すは、政事の昏暗・不明を主る。秋冬に鬼宿の中の「積尸」を侵犯するは、天子が多く疾病を生ずるを主る。長さ数丈の流星ありて柳宿に進入するは、君王に火災あるを主る。春夏にこれを犯すは、帝王が必ず緊急の使者を派出するを主る。秋冬にこれを犯すは、後宮に口舌の争端の興起・宮内に奸私の事あるを主る。

流星雙入星。五穀不熟。春夏犯第三星,兵大起;秋冬犯沖,水災,王者之憂。流星犯張,廚官有事。一雲病。春夏四季災,五穀不登;冬犯,魚行人道中,鹽大貴。流星犯翼,主昌邦。春犯官憂;秋犯,土功用事;冬從上。流星犯軫,庫藏空。春夏犯,革皮用事,秋冬犯,水旱不調。

両顆の流星ありて一同に七星に進入するは、五穀の熟せざるを主る。春夏に七星の中の第三星を侵犯するは、兵戈の大いに起るを主る。秋冬に直ちに七星を衝くは、水災・是れ君王の憂患を主る。流星が張宿を侵犯するは、膳食を掌る厨官に事あるを主る。一説は病を生ず。春夏に災を成し・四時の調を失するは、五穀の登らざるを主る。冬天にこれを犯すは、洪水の氾濫・魚が人道の中に游行し・鹽価の大漲を主る。流星が翼宿を侵犯するは、邦国の昌盛を主る。春天にこれを犯すは、官員に憂あるを主る。秋天にこれを犯すは、土木の工役の興起を主る。冬天にこれを犯すは、上の例に依って推占す。流星が軫宿を侵犯するは、府庫の空虚を主る。春夏にこれを犯すは、皮革の事の興用を主る。秋冬にこれを犯すは、水旱の調を失するを主る。

流星犯中外官占第四十四

流星入攝提,外國以兵為使來者,若有急走,王者以兵出使。觸破大角,兵眾四合有急;又刺大角,主失位。入干天市,色陷白,萬物貴;亦必有火災,人多病。抵帝席,諸侯兵起,臣謀主,若貴人更改大令,期三年。入抵東西咸,妃后出入不得時;徭役自恣;一曰:女主亂宮,王者憂,期一年,遠三年。

流星が「摂提」星に進入するは、外国が兵事を名と為して使者を派して前来し・あるいは緊急に奔走する事あり・君王もまた兵事に因りて使者を派出するを主る。流星が触犯・衝破して「大角」星に及ぶは、兵衆が四面より合囲し・事勢が危急を主る。もしまた直ちに大角を刺せば、君上の位を失うを主る。流星が進入して「天市垣」を衝犯し、星色が沉暗して白を発するは、万物の騰貴・もまた必ず火災あり・人に多く疾病するを主る。流星が「帝席」星に迫近するは、諸侯の起兵・臣下が君主を図謀し・あるいは貴人が擅りに重大の政令を改るを主り・応期三年。流星が進入して「東咸」「西咸」の二星に迫近するは、妃后の出入が時宜に合せず・徭役の征発が放任して度なきを主る。一説は女主が宮闈に淫乱し・君王に憂あり・応期一年・遠ければ三年。

入建星,天下謀,色赤者昌。入天江,有大水,河海溢,人民飢。入離珠,兵起宮中,有憂有罪者。入天大將軍,大將軍驚出。出五車,色白,諸侯以車為憂;色黃,受賀;色赤,主兵,車騎滿野;青黑,主死;各以其日辰占之。

流星が「建星」に進入するは、天下に謀議の事あり・星色が赤なるは昌盛を主る。流星が「天江」星に進入するは、大水あり・江・河・湖・海が氾濫し・人民の飢荒を主る。流星が「離珠」星に進入するは、兵変が宮中に起り・人の憂に遭うあり・人の罪を獲るあるを主る。流星が「天大將軍」星に進入するは、大将軍が驚を受けて出づるを主る。流星が「五車」星より出づる——色白なれば、諸侯が車馬の事に因りて憂あるを主る。色黄なれば、人の称賀を受くるを主る。色赤なれば、兵事・車騎が原野に遍布するを主る。色青黒なれば、死亡を主る。各々流星の出現する日辰に按って推占す。

抵天關,天下有急兵,關道有阻,若多盜賊,人民憂,期半年,遠一年。入南河,有喪兵起,防戍有憂。一曰:為旱兵。入北河,胡兵起,來入中國,若關梁阻塞。入五諸侯,諸侯有大喪。以星所入日,占其國,出諸侯,諸侯有反者。其星中散絕,諸侯坐其咎殃。

流星が「天関」星に迫近するは、天下に緊急の兵事あり・関隘・道路が阻塞し・あるいは多く盗賊・人民の憂懼・応期半年・遠ければ一年を主る。流星が「南河」に進入するは、喪事あり・兵事の興起・辺を戍り防守する処に憂あるを主る。一説は旱災と兵禍とを主る。流星が「北河」に進入するは、胡兵の興起・中原に入侵し・あるいは関卡・橋梁の阻塞を主る。流星が「五諸侯」星に進入するは、諸侯に大喪あるを主る。流星の進入する日辰に按って、どの国に応ずるかを推占し得べし。流星が五諸侯より出づるは、諸侯の中に謀反するあるを主る。流星がもし半途に散滅・断絶せば、諸侯がこの份の災殃を承受するを要するを主る。

入抵積水,有大水,舟船用,人大飢。抵積薪,為憂,若廚官有罪者。入水位,天下有水,河溢流,天下五穀不生,人流大飢,期三年。流星散出軒轅間,女子多讒亂。流星大如甕,出大陵西,下必有積尸。

流星が進入して「積水」星に迫近するは、大水あり・舟船の大量に動用せられ・人民の大飢を主る。流星が「積薪」星に迫近するは、憂あり・あるいは膳食を掌る厨官が罪を獲るを主る。流星が「水位」星に進入するは、天下の水を発し・河流が氾濫し・天下の五穀が生ぜず・人民が流亡し・大いに飢荒を鬧し・応期三年を主る。流星が散射して「軒轅」の諸星の間より飛び出づるは、女子が多く讒言を進め・宮闈を攪乱するを主る。大なること瓮のごとき流星ありて「大陵」星の西より飛び出づるは、その下に必ず尸骨の堆積あらん。

入抵少微,賢良集道,衛士用。一曰:能人多來者,不出其年。入太微,有兵起,外國以急有使採。不出其年。流星入太微東西門,大兵起,大臣為亂,貴人多死,若有謀,近期一年,中二年,遠三年。出太微端門,天子之使出,各以其野,命其國,期不出二年。

流星が進入して「少微」星に迫近するは、賢良の士が正道に汇聚し・宿衛の士が任用を得るを主る。一説は才能ある人が紛紛として前来し・当年を出でずして応験す。流星が「太微垣」に進入するは、兵事の興起あり・外国が緊急の事に因りて使者を派して前来し・当年を出でずして応験するを主る。流星が太微垣の東・西の二門に進入するは、大兵の興起・大臣の作乱・貴人の多く死し・あるいは陰謀あり・近ければ一年・中は両年・遠ければ三年に応験するを主る。流星が太微垣の「端門」より出で去るは、天子の使者の外出を主り、各々流星の指す分野に按ってどの国に応ずるかを断定し・応期両年を出でず。

入太微,犯黃帝座,大人易,東西犯者皆死士。抵帝座,天下亂,臣戮主,國移政,期不出三年。流星犯四帝座,輔臣有誅,執政者憂,貴人多死,期三年。抵屏星,尚書有憂。若有死者,期半年,遠一年。流星犯入太微,使還。

流星が太微垣に進入して「黄帝座」を侵犯するは、君位の更易を主る。東西の両側より侵犯するは、皆壮士が命を效して死するを主る。流星が帝座に迫近するは、天下の大乱・臣下の弑君・国家が政権を改換し・応期三年を出でざるを主る。流星が太微垣の中の「四帝座」を侵犯するは、政を輔く臣に誅せらるるあり・執政する者に憂あり・貴人に多く死し・応期三年を主る。流星が「屏星」に迫近するは、尚書の官に憂あるを主る。もし死するあれば、応期半年・遠ければ一年。流星が侵犯して太微垣に進入するは、外出の使者の帰来を主る。

流星犯內屏星,王者大憂。犯郎位,所主大臣憂。犯內五諸侯,宰相被辱。犯三公內坐,相憂。犯郎位,主者被黜貶。犯九卿內座,王者大憂。一雲病疾。

流星が「内屏」星を侵犯するは、君王に大憂あるを主る。「郎位」星を侵犯するは、それが対応する大臣に憂あるを主る。「内五諸侯」星を侵犯するは、宰相の辱を受くるを主る。「三公内坐」星を侵犯するは、丞相に憂あるを主る。郎位星を侵犯するは、当該の職の官員の貶黜せらるるを主る。「九卿内座」星を侵犯するは、君王に大憂あるを主る。一説は君王の患病。

流星犯沖左右攝提者,公卿不安改動者。犯沖大角,大使出,王道正,帝道昌,人樂。犯梗河,王者不安。犯天市垣,王者憂。犯沖貫索,人飢疾病,王者大憂。

流星が侵犯して直ちに左右の「摂提」星を衝くは、公卿の不安・職位の変動あるを主る。侵犯して直ちに「大角」星を衝くは、大使の外出・王道の端正・帝業の昌盛・人民の安楽を主る。「梗河」星を侵犯するは、君王の不安を主る。「天市垣」を侵犯するは、君王に憂あるを主る。侵犯して直ちに「貫索」星を衝くは、人民の飢荒・疾病・君王に大憂あるを主る。

犯沖螣蛇,水蟲受戮,口舌大起。一雲魚鹽大貴,一雲龍見。犯沖東西咸,大水,百川決溢。犯河鼓,天下雷,非時鳴,水蟲死。犯沖天棓,兵革興,盜賊大起。犯建星,王道平寧。犯沖閣道,帝王欲使出。

流星が侵犯して直ちに「螣蛇」星を衝くは、水中の生物が殺戮に遭い・口舌の争端の大いに起るを主る。一説は魚鹽の大貴。一説は龍の出現あり。侵犯して直ちに「東咸」「西咸」の二星を衝くは、大水・百川の決口・漫溢を主る。「河鼓」星を侵犯するは、天下の雷電が時節に按らずして鳴り・水中の生物の死亡を主る。侵犯して直ちに「天棓」星を衝くは、兵戈の興起・盗賊の大いに起るを主る。「建星」を侵犯するは、王道の平和・安寧を主る。侵犯して直ちに「閣道」星を衝くは、帝王が将に使者を派して外出せんとするを主る。

犯沖大陵,冢官憂。犯捲舌,多讒諛。犯沖五車,水旱不調,人君憂。一雲五諸侯憂。犯沖天船,天下水災,魚行人道。犯沖匏瓜,天下不安。犯沖織女,主不寧,諸侯大憂。犯天津,水災。犯漸臺,宮殿火災。一雲帝出走。犯左右更,太史失錯。犯沖輦道,帝王出獵。

流星が侵犯して直ちに「大陵」星を衝くは、陵寝を掌る官に憂あるを主る。「卷舌」星を侵犯するは、讒佞・阿諛の人の衆多を主る。侵犯して直ちに「五車」星を衝くは、水旱の調を失し・君主に憂あるを主る。一説は五諸侯に憂あり。侵犯して直ちに「天船」星を衝くは、天下の水災・洪水が氾濫して以て魚が人の走る道路に游行するに至るを主る。侵犯して直ちに「匏瓜」星を衝くは、天下の不安を主る。侵犯して直ちに「織女」星を衝くは、君上が安寧を得ず・諸侯に大憂あるを主る。「天津」星を侵犯するは、水災を主る。「漸台」星を侵犯するは、宮殿の失火を主る。一説は帝王の出逃。「左更」「右更」の二星を侵犯するは、太史の推歩の差錯を主る。侵犯して直ちに「輦道」星を衝くは、帝王の外出・田猟を主る。

流星者,帝之使也。入太微宮及諸內座,為使遠;出諸內座,為使出外也。流星沖紫微宮垣者,使遠採見,期三日內。沖入勾陳者,遠見天子,不出七日三日。犯華蓋者,還使有功慶。出華蓋內,內使發,不過三日。犯五帝內座,邊兵出,帝有大使出。一云:大將軍出。流星入五帝內座,使還見主。

流星は天帝の使者なり。太微宮および各「内座」星に進入するは、使者の遠方より来るを主る。各内座星より出で去るは、使者の外出を主る。流星が直ちに紫微宮垣を衝くは、遠方の使者の前来して朝見し・応期三日の内に在るを主る。直ちに衝きて「勾陳」星に進入するは、遠方の人の前来して天子に朝見し・七日あるいは三日を出でざるを主る。「華蓋」星を侵犯するは、出使して帰来する人に功あって慶すべきを主る。華蓋の内より飛び出づるは、宮内の使者の出発・三日を超過せざるを主る。「五帝内座」を侵犯するは、辺兵の出動・帝王に大使の外出あるを主る。一説は大将軍の出征。流星が五帝内座に進入するは、使者の帰来して君主に朝見するを主る。

犯六甲,賢良見用。犯北斗,兵大起,還回,使者奏事,內亂為災。犯大理,貴人入獄;獄官憂。入北極者,內使出。沖天皇大帝,人主有憂。沖文昌,公卿有大憂。一云:文書事。犯太陽守,外國有使至□。

流星が「六甲」星を侵犯するは、賢良の士の任用を得るを主る。「北斗」を侵犯するは、兵戈の大いに起るを主る。もし流星が折返して回旋せば、使者が政事を上奏し・内乱が災を成すを主る。「大理」星を侵犯するは、貴人が獄に入り・獄を掌る官に憂あるを主る。「北極」星に進入するは、宮内の使者の外出を主る。直ちに「天皇大帝」星を衝くは、君主に憂あるを主る。直ちに「文昌」星を衝くは、公卿に大憂あるを主る。一説は文書の事あり。「太陽守」星を侵犯するは、外国に使者の到来あるを主る(原文ここに一字を缺き、「□」を作す)。

犯天槍,王者憂,兵革起。犯天床,謀兵動,王者憂。犯四輔,帝王被迫。犯三公,宰相憂。一雲被免。犯天相,王者憂。犯內階,使者至。一雲陰謀事。犯天理,帝王欲振威,諸侯者殂。犯柱史,柱史大憂。犯女史,史官憂。

流星が「天槍」星を侵犯するは、君王に憂あり・兵戈の興起を主る。「天床」星を侵犯するは、人の兵を動かさんを謀劃するあり・君王に憂あるを主る。「四輔」星を侵犯するは、帝王が人の脅迫を受くるを主る。「三公」星を侵犯するは、宰相に憂あるを主る。一説は職を免ぜらる。「天相」星を侵犯するは、君王に憂あるを主る。「内階」星を侵犯するは、使者の到来あるを主る。一説は陰謀の事あり。「天理」星を侵犯するは、帝王が将に威権を振揚せんとし・諸侯の中に身死するあるを主る。「柱史」星を侵犯するは、柱下史の官に大憂あるを主る。「女史」星を侵犯するは、女史の官に憂あるを主る。

犯沖入天柱,主憂,有大使還。沖出天柱者,帝發大使出,振威天下。流星入平星,執令臣有憂。若有罪;出平星,臣有黜,期半年。犯庫樓,主者大憂。一雲兵起。犯沖鰲星,水蟲死,魚大貴。犯天淵,天下水,江海溢,百川決溢。犯沖天雞,兵起方霸。

流星が侵犯して直ちに衝きて「天柱」星に進入するは、君上に憂あり・大使の帰来あるを主る。直ちに衝きて天柱より飛び出づるは、帝王が大使を派出し・天下に威権を振揚するを主る。流星が「平星」に進入するは、法令を執掌する臣子に憂あり・あるいは罪を獲るを主る。平星より出で去るは、臣下に貶黜せらるるあり・応期半年を主る。「庫樓」星を侵犯するは、当該の職の官員に大憂あるを主る。一説は兵事の興起。侵犯して直ちに「鰲星」を衝くは、水中の生物の死亡・魚価の大貴を主る。「天淵」星を侵犯するは、天下の水を発し・江海の氾濫・百川の決口・漫溢を主る。侵犯して直ちに「天鶏」星を衝くは、兵事の興起・一方の覇を称するあるを主る。

犯羽林軍,大軍散。一云:大兵起,主憂將帥。犯天倉,倉廩出,五穀大貴,人民大飢,主憂。犯天屎,人民多病。犯沖軍市,人大飢。犯土司空,天下兵大動,人民飢,男不得耕,女不得織;荒亂災起。

流星が「羽林軍」星を侵犯するは、大軍の潰散を主る。一説は大兵の興起・君上が将帥の事を憂慮す。「天倉」星を侵犯するは、倉廩が糧を放ち・五穀の大貴・人民の大飢・君上に憂あるを主る。「天屎」星を侵犯するは、人民の多病を主る。侵犯して直ちに「軍市」星を衝くは、人民の大飢を主る。「土司空」星を侵犯するは、天下の兵馬の大動・人民の飢荒・男子が耕種する能わず・女子が紡織する能わず・荒乱・災禍の并び起るを主る。

犯沖弧星,夷狄大起,兵大動,流血為災。犯沖九坎,主者大憂。王憂後病。沖壘壁陣,犯土公,所主憂受辱。入羽林軍,兵大起,士卒發,將軍有出者,期三年。犯沖南極丈人,天下人民歌樂,風雨順時,帝王清泰,諸侯慶賀,國昌。

流星が侵犯して直ちに「弧星」を衝くは、夷狄の大いに挙りて興り・兵馬の大動・流血の災を成すを主る。侵犯して直ちに「九坎」星を衝くは、当該の職の官員に大憂あり・君王が憂愁して皇后が患病するを主る。直ちに「壘壁陣」を衝きて「土公」星を侵犯するは、対応する官員が憂に遭い辱を受くるを主る。流星が「羽林軍」星に進入するは、兵戈の大いに起り・士卒の征発・将軍の中に出征するあり・応期三年を主る。侵犯して直ちに「南極丈人」星を衝くは、天下の人民が歌舞・歓楽し・風調・雨順に・帝王が清明・安泰に・諸侯が慶賀し・国家の昌盛を主る。

客星が列宿を干犯する占い 第四十五

客星者,非其常有,偶見於天,皆天皇大帝之使者,以告咎罰之精也。客星干犯兩角者,軍起不戰,邦有大喪。其色赤戰,所指必有破軍侵城,期七十日,或三年。他星入左角,兵吏有來繫者。色赤兵繫也,黃土功,色白義,黑色死,青色憂。守左角,色赤,天下大旱,五穀不成;守右角,大水。

いわゆる「客星」とは、天に常にある星ではなく、偶然に現れるもので、いずれも天皇大帝の使者であり、災咎と刑罰を告げ知らせる精気である。客星が左右の両角を衝き犯すのは、軍が起こって交戦せず、邦国に大喪がある兆しである。星の色が赤ければ戦事の兆しとなり、その芒角の指す方向には必ず軍の潰敗と城邑の侵逼があり、応期は七十日または三年である。他の星が左角に入るのは、軍吏が拘えられて引き致される兆しであり、色が赤なら兵事ゆえに繋がれ、黄なら土工役ゆえ、白なら義事ゆえ、黒なら死亡、青なら憂患を示す。客星が左角に留まり守って色が赤ければ天下に大旱があり五穀が実らない兆し、右角に留まり守れば大水の兆しである。

客星干犯亢,中國不安,兵起政亂,期一年。有星出右角間入亢,色赤有兵,白有過客,黑有過喪。入亢,有兵戰,士卒行,期不出九十日,天下大亂。出氐入亢中而散,人主有病,從帶下而上。守亢,國有臣不祥。

客星が亢宿を衝き犯すのは、中原が安らかでなく兵事が興り政局が乱れる兆しで、応期は一年である。星が右角の間から出て亢宿に入るのは、色が赤なら兵事、白なら行き過ぎる賓客、黒なら行き過ぎる喪事の兆しである。星が亢宿に入るのは兵戦があり士卒が出行する兆しで、応期は九十日を出ず、天下は大いに乱れる。星が氐宿から出て亢宿の中に入りすぐ消散するのは、君主が病を患い、その病勢が腰帯の下から上へ広がる兆しである。客星が亢宿に留まり守るのは、国中に不善を抱く臣がいる兆しである。

客星干犯入氐中,後宮有亂,暴兵動,期半年,遠一年。出氐,君有疾於國外,色黃白與兩星齊,期十日而赦,去二星一尺,期六十日赦;去兩星二尺,期百日赦。有星入氐,黑色大水,其國有改主,廊廟有憂;赤有兵,在廟中,近臣誅,殺貴人;逆守乘氐,諸侯王者坐法者,誅絕無後。

客星が氐宿を衝き犯しその中に入るのは、後宮に乱れがあり突如兵が興る兆しで、応期は半年、遠くは一年である。客星が氐宿から出るのは、君主が国外で病を患う兆しである。星の色が黄白で氐宿の二星と並び等しくあれば応期十日に赦があり、その二星から一尺離れれば応期六十日に赦があり、二尺離れれば応期百日に赦がある。星が氐宿に入るのは、色が黒なら大水、その国が君主を改め易え朝廷に憂いがある兆しであり、色が赤なら兵事の兆しで、もし廟堂の中にあれば近臣が誅され貴人が殺される兆しである。客星が逆行して留まり守り氐宿を凌ぎ圧するのは、諸侯王の中に法令に触れて誅戮され嗣を絶たれる者がある兆しである。

客星干犯房,主國空,兵起,人飢,骨肉相殘。入房,有大臣殺其君。又曰:入天府,天下有喪,更令之事,若有急令。出房,在陽,為喪旱飢;在陰,為水兵飢。干犯鉤鈐,王宮大亂,不出二年。

客星が房宿を衝き犯すのは、国用が空虚となり兵事が興り、人民が飢饉に遭い、骨肉の至親が互いに害し合う兆しである。客星が房宿に入るのは、大臣がその君を弑する兆しである。またの説には、「天府」に入るのは天下に喪があり、政令を改め易える事があり、あるいは緊急の詔令がある兆しとする。客星が房宿から出るのは、南(陽位)なら喪事・旱災・飢饉の兆し、北(陰位)なら水災・兵禍・飢饉の兆しである。房宿の旁の「鉤鈐」星を衝き犯すのは、王宮が大いに乱れる兆しで、二年を出ずして応じる。

客星入心,諸侯有來使者,出心,君使人於諸侯。色赤兵,黃土功,色青使者憂,色黑客凶。入太子宮,太子益官。赤星入心左星,太子有兵;入右星,庶子有兵。赤星大如缽大,赤如雞冠,而入心,人主遇賊。其出心也,行道甚遠,人主戮於千里外。客犯乘守心者,大旱,天下慎火,近期十日,遠期一年。

客星が心宿に入るのは、諸侯から使者が来る兆しであり、心宿から出るのは君主が人を諸侯へ遣わす兆しである。色が赤なら兵事、黄なら土工役、青なら使者に憂い、黒なら外客に凶がある。客星が太子宮(心宿の前星)に入るのは、太子が官属を増置する兆しである。赤い星が心宿の左星に入るのは太子に兵事がある兆し、右星に入るのは庶子に兵事がある兆しである。鉢盂ほどの大きさで鶏冠のように赤い星が心宿に入るのは、君主が賊人に遭う兆しであり、それが心宿から出て遠く行けば、君主が千里の外で殺される兆しである。客星が心宿を犯し凌ぎ留まり守るのは大旱の兆しで、天下は慎んで火を防ぐべく、近くは十日、遠くは一年で応じる。

客星入尾,歲飢,人相食,多死者,北夷大飢來降,宮中忌之。天下大抵,一東一西,一南一北,男不得耕,女不得織。出入尾,皇后有去宮者。一曰:賤女有暴貴者。君使人於諸侯,備賊臣,兵革罷,天下大飢,歲多大風大雨。客星入箕中,天下大飢,人相食,人多徙棄,國多土功,北夷大飢,來歸中國,大風雨。舍箕,秋多水,干犯同。

客星が尾宿に入るのは、年成が飢饉となり人が相食み、死者が多く、北方の夷狄が大いに飢えて帰降してくる兆しで、宮中は忌避すべきである。天下はおおかた分崩離析し、東西・南北それぞれに割拠し、男子は耕すことができず女子は織ることができない。客星が尾宿に出没往来するのは、皇后が宮から逐い出される兆しであり、一説に卑賤の女子がにわかに貴くなるとする。この時君主が人を諸侯へ遣わすなら賊臣を防がねばならず、兵戈は罷んでも天下は大いに飢饉に騒ぎ、その年は大風雨が多い。客星が箕宿の中に入るのは、天下が大いに飢え人が相食み、人民が多く徙り逃げ、国中に土工役が多く、北方の夷狄が大いに飢えて中原に帰附し、また大風雨がある兆しである。客星が箕宿に留まり宿するのは秋に水が多い兆しであり、箕宿を衝き犯す場合も占いの義はこれと同じである。

客干犯南斗度,其國必亂,兵大起,期一年。入斗中三尺,三日不去,城郭閉,道路有阻,貴人坐之。入鈇鑕,士卒殺傷,其國將亡,外國來降。入斗,諸侯客有來見天子者;出斗,天子使人之諸侯。色青憂,赤兵,黃士功,白義,黑凶。入斗中,三日三犯,天下有赦,期三月。守斗,天下大喜得福。客守斗,兵家憂。

客星が南斗の宿度を衝き犯すのは、その国が必ず乱れ兵戈が大いに興る兆しで、応期は一年である。客星が斗宿の中三尺に入って三日去らないのは、城門が緊閉され道路が塞がり、貴人がこれによって罪を得る兆しである。斗宿の旁の「鈇鑕」星に入るのは、士卒が殺傷されその国が亡びようとし、外国が帰降してくる兆しである。客星が斗宿に入るのは、諸侯あるいは外客が天子に朝見しに来る兆しであり、斗宿から出るのは天子が人を諸侯へ遣わす兆しである。色が青なら憂患、赤なら兵事、黄なら土工役、白なら義事、黒なら凶禍を示す。客星が斗宿の中に入り三日のうちに三度衝き犯すのは、天下に赦がある兆しで、応期は三箇月である。客星が斗宿に留まり守るのは、天下に大喜があり福を得る兆しであり、また一説には、客星が斗宿に留まり守るのは兵を用いる家に憂いがある兆しとする。

客入牛,諸侯有客來,以四足蟲為幣。出牛,君使人之使諸侯,以四足蟲為幣。色青病,黑死不至。客出牛,兵起,大將出,關梁阻塞,地大動,牛馬貴三倍,期二年。入牛,臣謀主,五穀不登。守牛,越有喜象獻中國。客入牛,盜賊在江海,歲多水。

客星が牽牛宿に入るのは、諸侯に賓客が至り、牛馬の類の四足の牲畜を礼幣とする兆しであり、牛宿から出るのは君主が人を諸侯へ遣わし、同じく四足の牲畜を礼幣とする兆しである。色が青なら使者が病み、黒なら使者が死亡して到着できない。客星が牛宿から出るのは、兵事が興り大将が出征し、関卡・橋梁が阻塞し、大地が震動し、牛馬が三倍に値上がりする兆しで、応期は二年である。客星が牛宿に入るのは、臣下が君主を図り謀り五穀が登らない兆しである。客星が牛宿に留まり守るのは、越の地に祥瑞があり中原へ進献する兆しである。客星が牛宿に入るのは、また江海の間に盗賊が横行し、その年に水が多い兆しである。

客干犯女,鄰國有以妓女來進,妾遷為後。入女,留不去,天下諸侯王者阻塞。出女或守女,宮人有憂,女主憂,後起宮門,貴人有死,期一年,遠二年,有嫁女事,黃吉,青黑凶,赤憂。暴出女,女主戮死,期一年。他星出御女,女有出者。赤星守女,女喪。守女,南邦獻女,賤女暴貴;守女,糴貴。

客星が須女宿を衝き犯すのは、隣国が歌妓・美女を進献し、妾媵が正室に升ることを得る兆しである。客星が女宿に入り留まって去らないのは、天下の諸侯と君王の間が阻隔して通じない兆しである。客星が女宿から出るか女宿に留まり守るのは、宮人に憂いがあり、皇后・太后の類の女主に憂いがあり、后妃が宮門で事を興し、貴人の中に死亡する者がある兆しで、応期は一年、遠くは二年である。この時また嫁女の事があり、星の色が黄なら吉、青黒なら凶、赤なら憂患を示す。客星が突然女宿から現れるのは、女主が誅戮されて死ぬ兆しで、応期は一年である。他の星が「御女」星から出るのは、宮女に放ち出される者がある兆しである。赤い星が女宿に留まり守るのは、女子の喪亡がある兆しである。客星が女宿に留まり守るのは、南方の邦が女子を進献し卑賤の女子がにわかに貴くなる兆しであり、女宿に留まり守るのはまた糴糧の値が貴くなる兆しでもある。

客星干犯虛中,有哭泣之事,有井田之法、改制之事。入虛中,有軍在外,大飢,將離散,卒死亡,天下有大令。入中三日,強環繞之,赦,期七十日。入虛,赤色有赦,白為幣客來者。出虛,大臣亂,兵大起,國有喪,天下哭泣,期三年。守虛,共國兵起,近期一年,遠二年,當有哭泣。

客星が虚宿の中を衝き犯すのは、哭泣の喪事があり、また井田の法を整え制度を更改する事のある兆しである。客星が虚宿の中に入るのは、軍が外にあり国中が大いに飢え、将帥が離散し士卒が死亡し、天下に重大な号令が頒かれる兆しである。客星が虚宿の中に三日入り、またそれを緊く環り繞るのは赦のある兆しで、応期は七十日である。客星が虚宿に入るのは、色が赤なら赦があり、白なら礼幣を持って来る賓客がある兆しである。客星が虚宿から出るのは、大臣が乱をなし兵戈が大いに興り、国に喪事があり天下が哭泣する兆しで、応期は三年である。客星が虚宿に留まり守るのは、その分野の国が兵を興す兆しで、近くは一年、遠くは二年、哭泣の事があるべきである。

客星犯危,國有哭泣事。一曰:雨水五穀不收,人相食於道。入危,有土功,王者築宮室,不出一年,大飢,年無全食。出危中,大水,一曰大飢。魏景初二年十月癸巳,客星見危,逆行在離宮北、螣蛇南,甲辰犯宗皇,己酉滅。占曰:客星所出,有兵喪,虛危為宗廟,又近墳墓,宮中將有大喪,就先君於宗廟,皆王者崩隕之象。三年正月,明帝崩之驗也。

客星が危宿を侵犯するのは、国に哭泣の喪事がある兆しであり、一説には雨水が災いとなり五穀の収穫がなく、人が道路上で互いに殺し食うとする。客星が危宿に入るのは、土工役があり君王が宮室を営建する兆しで、一年を出ずして大飢となり、その年は足食の時がない。客星が危宿の中から出るのは大水の兆しであり、一説には大飢とする。曹魏の景初二年十月癸巳の日に、客星が危宿に現れ、「離宮」の北、「螣蛇」の南を逆行し、甲辰の日に「宗皇」星を衝き犯し、己酉の日に隠れ滅した。占辞に曰く、客星の現れた所には兵禍・喪事がある。虚・危の二宿は宗廟の象であり、また「墳墓」星に近いから、宮中に大喪があり先君の霊を宗廟に奉り入れることになる。これはみな君王の駕崩の象である。景初三年正月に魏の明帝が駕崩したのは、まさにこの占いの応験である。

客星入室中,天子有憂,順行有德,逆行凶。黑星入廟,人主有藥死。不然,有藥人主者。客星入室,有陰雨,垣牆無立者。客舍室,其國作宗廟,多土功事。留不去,匈奴有兵來。客星干犯東壁,有帝者死;舍壁,牛馬多疫。入守東壁,諸侯相謀,有赤星從東壁入西壁,臣殺其主。

客星が営室の中に入るのは、天子に憂いがある兆しである。客星が順行すれば恩徳がある兆し、逆行すれば凶を示す。黒い星が宗廟を象する室宿に入るのは、君主が服薬によって死ぬ兆しであり、さもなければ人が薬物をもって君主を害するのである。客星が室宿に入るのは、陰雨が連綿として牆垣を立てられない兆しである。客星が室宿に留まり宿するのは、その国が宗廟を営建し土工役が繁多となる兆しであり、もし留まって去らなければ匈奴が兵を発して来る兆しである。客星が東壁を衝き犯すのは、帝王の死亡がある兆しであり、壁宿に留まり宿するのは、牛馬に疫病が多く生じる兆しである。客星が東壁に入り留まり守るのは、諸侯が互いに図り謀る兆しであり、もし赤い星が東壁から西壁に入るのは、臣下がその君主を弑する兆しである。

客星犯奎,國有溝瀆之事。入奎,破軍殺將,邊兵大動,土功起。赤星逆行,從婁至奎,有兵。守奎,主有憂,大人當之,又魯國兵起。

客星が奎宿を侵犯するのは、国中に溝渠・水道の事がある兆しである。客星が奎宿に入るのは、軍が潰敗し将領が殺され、辺兵が大いに動き土工役が興る兆しである。赤い星が逆行して婁宿から奎宿まで行くのは、兵事がある兆しである。客星が奎宿に留まり守るのは、君上に憂いがあり貴人がこの咎を承当し、また魯国が兵を興す兆しである。

客星犯婁,國有大兵,四時絕祠,(婁主苑牧給享,祀天以奉事,孝也。王者以乘天法古。)遠不出三年。入婁,外夷兵有聚眾之事,三日環繞之,天下有赦,期七十日。守婁,天下大虛,或天下奪主權,布帛貴。守犯婁,天下欲分社稷者,白衣自立,牛馬貴。

客星が婁宿を侵犯するのは、国に大兵があり四時の祭祀が断絶する兆しである(婁宿は苑囿の牧養と祭享の供給を主り、天を祭って上帝に奉仕する、これが孝道である。君王はこれにより天意に奉承し古制に倣う)。遠くとも三年を出ずして応じる。客星が婁宿に入るのは、外族の夷狄が兵衆を聚集する事のある兆しであり、もし三日の内に婁宿を環り繞れば、天下に赦がある兆しで、応期は七十日である。客星が婁宿に留まり守るのは、天下が大いに空虚となるか、天下に君主の権柄を奪う人がおり、布帛の値が貴くなる兆しである。客星が婁宿に留まり守りかつ侵犯するのは、天下に社稷を瓜分しようとする人がおり、布衣の士が自立して王となり、牛馬の値が貴くなる兆しである。

客星入胃,王者有倉廩之事。出胃,王者備四夷。臣強凌君,國有大兵,天下發粟,金銅之事,期半年,遠一年,粟滅。守胃,國宮有大兵,焚燒其倉。入天獄中二月,天下有赦五日。

客星が胃宿に入るのは、君王に倉廩の出納の事がある兆しである。客星が胃宿から出るのは、君王が四方の夷狄を防備する兆しであり、また臣が強く君を凌ぎ、国に大兵があり、天下が倉を開き粟を発し、金銅の鋳造の事を興す兆しで、応期は半年、遠くは一年、粟米はこれによって尽きる。客星が胃宿に留まり守るのは、国都の宮城に大兵があり、その倉廩を焚焼する兆しである。客星が「天獄」星の中に二箇月入るのは、天下に赦がある兆しで、期は五日である。

客星入昴,有白衣會於國內。他星入昴,貴人有急獄。他星出昴,兵眾滿野。客星守昴,胡有兵,天下多亂。犯守昴,讒諛賊臣在內,諸侯謀上。一曰:白衣聚謀慮。

客星が「昴宿」に入るのは、国内に喪事の集会がある兆しである――古人は白色を喪服の色とし、「白衣会」とは即ち国を挙げての喪である。他の異星が昴宿に入るのは、貴人が突然獄に下される兆しである。他の異星が昴宿から分かれ出るのは、兵馬が原野に布満する兆しである。客星が昴宿に留まり守候するのは、北方の胡人が兵を興す兆しである――昴宿はもとより胡星であり、天下に動乱が多い。もし侵犯し久しく昴宿を守るなら、讒言を進め媚を献る奸邪の臣が朝廷の内におり、諸侯が君上を図り謀ることを示す。別の説には、官爵なき平民の一群が集まり密かに謀ることを示すとする。

客星入畢,邊兵動,又十二月,天下有赦,期五月。入畢口,與兩股齊者,有走主。又曰:期三十日,兵發。一曰:期十日,兵罷。其去也,視其東西南北所往及所主近宿,或受兵。他星入畢,有兵革謀。客星入畢口,留不去,馬貴。一曰牛貴。守天子,嗣無後。守附耳,有兵,一曰邊兵尤甚。

客星が「畢宿」に入るのは、辺境の兵馬が調動する兆しであり、また十二月の間に天下へ大赦が頒かれる兆しで、応験の期は五箇月以内である。客星が畢宿の口部に入り、畢宿の二つの星股と並び等しくあるのは、君主が出奔逃亡する兆しである。また一説に応期三十日に兵事が発動するとし、別の説に応期十日に兵事が平息するとする。客星が去る時は、それが東・西・南・北のいずれへ往くか、およびそれが主る隣の星宿を見るべく、その方に兵禍を受けることがあろう。他の異星が畢宿に入るのは、人が兵変を企てる兆しである。客星が畢宿の口部に入り留まって去らないのは、馬の値が貴くなる兆しであり、別の説には牛の値が貴くなるとする。客星が畢宿の中の「天子」星を守るのは、帝王に後嗣がない兆しである。「附耳」星を守るのは兵事のある兆しであり、一説には辺境の兵事が殊に甚だしいとする。

客星干犯觜,若暴出觜,中臣與外臣,謀殺其主,星遊行明,覺不得成;不行不明不覺,期一月。守觜,西戎侵動,欲為君者,崇禮以制,則國安。干犯觜,國破亡。入觜,車馬有急,期五月,四月有大喪。

客星が「觜宿」を侵犯し、あるいは突然觜宿から飛び出るのは、朝内の臣と外任の臣が合い謀り君主を殺害する兆しである。もしこの星が遊移飛行して光芒が明るければ、陰謀は察知されて遂げられず、もし動かず明るくなく人に察知されなければ、応験の期は一箇月である。客星が觜宿を守候するのは、西方の戎族が侵擾し兵を動かす兆しである。君業を成し遂げようとする人は、礼制を尊崇して自らを節するだけで国家は安定する。客星が觜宿を侵犯するのは、国家が破敗滅亡する兆しである。客星が觜宿に入るのは、車馬に緊急の徴調がある兆しで、応験の期は五箇月、四箇月以内に大喪がある。

客星入參中央星,色白,縣令有賜,若伐。色青黑,縣令有罪,又云:邊有暴兵起,邊城圍而壞。入伐,有兵不足以傷。又曰:入天尉中十日,宮中有自殺者。入其陽為男,入其陰為女,皆期三十日。出參,邊有兵起,城圍,客軍入國。若有戰,期不出二年。客星出參,鈇鑕兵出;入參,鈇鑕兵入。赤星出參武卒,若守之天尉中,媵嫡相拒。守參者,老人多死,馬貴。入守參,諸侯國當之,伐誅大臣。

客星が「参宿」の中央の三つの星に入り、色が白く発するのは、県令が賞賜を得るかあるいは討伐され罪を問われる兆しであり、色が青黒なら県令が罪を得る兆しである。またの説に、辺境に暴乱の兵が興り辺城が囲まれて破られるとする。客星が参宿の旁の「伐」星に入るのは、兵事がある兆しだが害を成すには足りない。またの説に、客星が「天尉」星の中に十日入れば宮中に自殺する人が出るとする。天尉の南(陽位)に入れば男子に応じ、北(陰位)に入れば女子に応じ、応験の期はいずれも三十日である。客星が参宿から分かれ出るのは、辺境に兵事が興り城池が囲まれ敵軍が国境に深く入る兆しであり、もし交戦が起これば応験の期は二年を超えない。客星が参宿を出るのは、斧鉞の刑戮を執る軍が出る兆しであり、参宿に入るのはそのような軍が入る兆しである。赤い星が参宿の「武卒」星から分かれ出るか天尉星の中を守るのは、媵妾と嫡妻が互いに争う兆しである。客星が参宿を守るのは、老年の人の死亡が多く馬の値が貴くなる兆しである。客星が参宿に入りかつ守るのは、諸侯の国に応じ、大臣を誅伐する兆しである。

客星犯井,國有大土功之事,小兒妖言。入東井,五穀不登,糴貴,有客以水令來者;出東井,宮中火起,大人憂,及為亂兵起,將軍憂,若白衣有自立,其國必破,期三年。守井,大臣亂,入鉞,外兵愈殺其將士卒。

客星が「井宿」を侵犯するのは、国家に大規模な土木の工役があり、民間の小児が妖異の謡諺を唱う兆しである。客星が「東井」に入るのは、五穀が欠收し糧の値が昂貴となり、外来の客使が水を治める政令を携えて来る兆しである。客星が東井から分かれ出るのは、宮中に火が起こり大人物が憂愁し、併せて乱兵が興り将軍が憂懼する兆しである。もし平民・百姓が自立して君となれば、その国は必ず敗亡し、応験の期は三年である。客星が井宿を守るのは、大臣が乱をなす兆しであり、井宿の旁の「鉞」星に入るのは、外来の兵がその国の将領と士卒を大肆に殺戮する兆しである。

客星犯鬼,國有非次自立,必敗亡。守天尸,帝王亡,天下多病。入尸,金玉貴,三日一環之,有赦。出鬼,其國有喪,出南為人君,出北為女主,左為太子,右為庶子。或守四星,隨其所犯發之,期不出二年。守鬼,五十日不去,國有大喪,兵起,將軍戰于野,當有死,期不出一年。若守西,若從西入鬼,老人死;若從東入鬼,少年死。干犯守鬼,天下有喪,陽為君,陰為臣,若左太子,右貴臣,又隨所主事,王者發之,不出七十日。

客星が「鬼宿」を侵犯するのは、国中に次序を踏まず自立して君となる人があり、その人は必ず敗亡する兆しである。客星が鬼宿の中の「天尸」(即ち積尸気)を守るのは、帝王が死亡し天下に疾病が多い兆しである。天尸星に入るのは金玉の値が貴くなる兆しであり、もし三日の内に一周を行い繞れば大赦がある兆しである。客星が鬼宿から分かれ出るのは、その国に喪事がある兆しである。南から出れば国君に応じ、北から出れば女主に応じ、左から出れば太子に応じ、右から出れば庶子に応じる。あるいは鬼宿の四つの星を守れば、それが侵犯する一つに依って断じ、応験の期は二年を出ない。客星が鬼宿を五十日守って去らないのは、国に大喪があり兵事が興り、将軍が野外に交戦し必ず陣亡する者がある兆しで、応験の期は一年を出ない。もし鬼宿の西を守るか西から鬼宿に入れば老年の人が死亡する兆しであり、東から鬼宿に入れば少年の人が死亡する兆しである。客星が鬼宿を侵犯しかつ守るのは、天下に喪事がある兆しである。南(陽位)なら君主に応じ、北(陰位)なら臣子に応じ、左なら太子に応じ、右なら貴臣に応じる。それが主る事項に依ってまた断ずべく、君王はこれに拠り時宜に政令を発して補い救えば、応験は七十日を出ない。

客星干犯柳,周當之,期九十日。入柳,兵大起,人大怨,若布帛繒絮貴,蒼星出柳舍,殺邊將諸侯。守柳,庫兵大發,天下有為王者。犯守柳,王者賜邊臣。

客星が「柳宿」を侵犯するのは、周の地(今の洛陽一帯)に応じ、応験の期は九十日である。客星が柳宿に入るのは、兵事が大いに興り百姓の怨恨が極めて深くなるか、あるいは布帛・絲綿の類の物価が昂貴となる兆しであり、青い星が柳宿の星舎から分かれ出るのは、辺将と諸侯が誅殺される兆しである。客星が柳宿を守るのは、府庫の兵器が大量に調発され、天下に王を称する人が現れる兆しである。侵犯しかつ柳宿を守るのは、君王が辺を守る臣に賞賜する兆しである。

客星入七星,有立太子者,若有苛令。客星為死喪,客星留不去左右中,以火為憂;守星,周有大賢,兵大起,道路多水潦。一曰:溝渠道路阻塞。一曰:水大出。

客星が「七星」(即ち星宿)に入るのは、太子を冊立する事があるか、あるいは苛刻な政令が頒行される兆しである。客星はそれ自体が死亡と喪事を主る。客星が星宿の左・右あるいは正中に滞留して去らないのは、火災を憂患とする兆しである。客星が星宿を守るのは、周の地に大賢の人が現れ兵事が大いに興り、道路上に水が積んで潦となる兆しである。別の説に溝渠と道路が阻塞されるとし、またの説に大水が泛濫して出るとする。

客星入張,有賜客之事。出入張,君使客賜諸侯。出張,白衣同姓有自立,天下更令,有徙民,君使人放諸侯;守張,楚周有隱士。不去,滿三十日,有亡國死王,臣戮其主,小人謀貴,禍及嗣子,期三年,食中有毒,鄰國有獻食物者,天下酒大出,天子以為憂敗。出張若守之,白衣自立者。犯守張,天子以酒為憂。

客星が「張宿」に入るのは、賓客への賞賜の事がある兆しである。客星が張宿に出入するのは、君主が使者を遣わして諸侯に賞賜する兆しである。客星が張宿から分かれ出るのは、同姓の宗室の中に身に官爵なき人が自立して君となり、天下が法令を更改し百姓を徙す事があり、君主が人を遣わして諸侯を放逐する兆しである。客星が張宿を守るのは、楚の地・周の地に隠居の賢士が現れる兆しである。客星が滞留して去らず満三十日となるのは、亡国があり君王が死難に遭い、臣子が君主を殺戮し小人が富貴を図り謀り、禍事が継位の子嗣に連及する兆しで、応験の期は三年である。また飲食の中に毒があり、隣国に食物を進献して来る者があり、天下に酒類が大量に流通し、天子がこれによって事の敗れるを憂える兆しである。客星が張宿から分かれ出るかそれを守るのは、平民が自立して君となる兆しである。侵犯し張宿を守るのは、天子が酒の事によって憂える兆しである。

客星干犯翼,國有兵,大臣憂,遠期百八十日。(與流星同。)出翼,將軍謀反,兵大起,必有戰,邊兵有大急,同姓諸侯有自立者。若大水,五穀傷,人民飢,去其邦,期三年。守翼,君弱臣強,四夷王。客星明大守翼,大水,江海決溢,四海道路阻塞,魚龍死於陸路。

客星が「翼宿」を侵犯するのは、国中に兵事があり大臣が憂愁する兆しで、最も遠い応験の期は百八十日である(この条の占法は流星が翼を犯すのと同じである)。客星が翼宿から分かれ出るのは、将軍が謀反し兵事が大いに興り、必ず戦事があり辺境の軍情が十分に緊急となり、同姓の諸侯の中に自立して君となる人がある兆しである。あるいは大水が発して五穀が損なわれ、百姓が飢餓して本邦を離れ逃荒する兆しで、応験の期は三年である。客星が翼宿を守るのは、君主が衰弱し臣下が強横となり、四方の夷族が王を称する兆しである。客星が明るく大きくて翼宿を守るのは、大水が災いとなり江海が決口して漫溢し、四方の道路が阻絶し、魚竜が陸地に打ち上げられて死ぬ兆しである。

赤星入軫,輕車入;出軫,輕車出。客星出軫,若有白衣自立者,大國多害,有喪,兵革起,天下有逃主,期不出一年,遠三年。守軫,國有自立者,大國憂多害。守軫,兵大起,邊境尤甚。守軫,天下有山崩,若水溢出地。入長沙,天下有逃亡。一曰兵盡散。

赤い星が「軫宿」に入るのは、軽車の部隊が入る兆しであり、軫宿から分かれ出るのは軽車の部隊が出る兆しである。客星が軫宿から分かれ出るのは、平民が自立して君となり、大国に禍害が多く喪事が現れ、兵革が興り、天下に出奔逃亡する君主がある兆しで、応験の期は一年を出ず最も遠くは三年である。客星が軫宿を守るのは、国中に自立して君となる人があり、大国が憂愁して災害が多い兆しである。軫宿を守るのは、また兵事が大いに興り辺境で殊に甚だしい兆しである。軫宿を守るのは、さらに天下に山崩があり、あるいは地下水が涌溢して地面に出る兆しである。

客星が中外官を犯す占い 第四十六

客星入攝提座,謀臣在側,聖人受制。出大角,兵起,天下亂。若守之二十日已上,王者惡之,國易政,期三年。干犯天市,所犯者誅。干犯帝座,人民大亂,宮朝徙大臣,期三年。守東西咸,人主淫泱失道。

客星が「摂提」星座に入るのは、陰謀を持つ臣が君主の身旁におり、聖明の君主がかえって彼に挟制される兆しである。客星が「大角」星から分かれ出るのは、兵事が興り天下が大いに乱れる兆しであり、もし大角を二十日以上守れば、君王はこの象を悪み国家が政権を換え、応験の期は三年である。客星が「天市垣」を侵犯するのは、それが侵犯する星に対応する人が誅殺される兆しである。客星が「帝座」星を侵犯するのは、百姓が大いに乱れ宮廷朝堂が大臣を遷調する兆しで、応験の期は三年である。客星が「東咸」「西咸」の二星を守るのは、君主が淫佚放纵して正道を失う兆しである。

入天江,津關絕,道路阻塞。一曰:河津吏有憂。干犯建星,王者失道,貴者誅,賢士逃亡。犯離珠,後宮凶。守天大將軍,大將憂。干犯五車,兵起滿野,天下半傾,百姓徙居,去其鄉土,期三年;守,五穀貴。

客星が「天江」星に入るのは、渡口・関隘が断絶し道路が阻塞する兆しであり、別の説に河渡を掌る官吏に憂患があるとする。客星が「建星」を侵犯するのは、君王が正道を失い顕貴の人が誅殺され、賢士が外に逃亡する兆しである。客星が「離珠」星を侵犯するのは、後宮に凶事がある兆しである。客星が「天大将軍」星を守るのは、大将が憂懼する兆しである。客星が「五車」星を侵犯するのは、兵馬が興り原野に布満し、天下が半ば傾覆し百姓が他へ徙り己の郷土を離れる兆しで、応験の期は三年である。ただ守って犯さないだけなら、五穀の値が貴くなる兆しである。

入天關,天下有急,關市閉塞,人多疾病,多盜賊。出南河戒,有男喪事於外,暈三重,必有降城。一曰:客干犯兩戒間,天子出走,大臣執勢,王者以赦除咎,群臣天子以寧。入北河,多胡為異兵。

客星が「天関」星に入るのは、天下に緊急の事があり、関口と集市が閉塞して通じず、人に疾病が多く盗賊が衆多となる兆しである。客星が「南河戒」から分かれ出るのは、男子の喪事が外地で発生する兆しであり、もし星の外囲に三重の光暈があれば必ず城池が投降する。別の説に、客星が南河・北河の両戒の間を侵犯するのは、天子が出奔逃亡し大臣が権勢を把持する兆しである。君王が大赦をもって災咎を消除すれば、群臣と天子は安寧を得る。客星が「北河戒」に入るのは、北方の胡人が大批に興り、辺を犯す異族の兵となる兆しである。

干犯五諸侯,王室亂,大兵起,天下宮廟不祀。出五諸侯,大臣有憂,若執政臣得罪。一曰:議臣有黜。赤星守五諸侯,天下大亂。干犯積水,兵起宮門,宗廟毀絕,大臣憂。出積水,天下水溝為災,土功堤防之事,期不出一年。出積薪,有憂,若以薪蒿之事而致罪。

客星が「五諸侯」星を侵犯するのは、王室が動乱し大規模な兵事が興り、天下の宮殿・宗廟の祭祀が絶える兆しである。客星が五諸侯から分かれ出るのは、大臣に憂患があるか、あるいは執政の臣が罪を得る兆しであり、別の説には諫議の臣が罷黜されるとする。赤い星が五諸侯を守るのは天下が大いに乱れる兆しである。客星が「積水」星を侵犯するのは、兵事が宮門の内に起こり宗廟が毀棄され断絶し、大臣が憂懼する兆しである。客星が積水から分かれ出るのは、天下の溝渠・水道が災いとなり土木・堤防の役が興る兆しで、応験の期は一年を出ない。客星が「積薪」星から分かれ出るのは、憂患があるか柴草の事によって罪を得る兆しである。

干犯水位,水道閉塞,伏兵在水中,以水為害。出水位,為水官有憂,若臣下有謀兵起,期三年。干犯軒轅,近者誅滅宋族,王以赦除咎。入軒轅,有遠客來者。入東門,有夷人從外來降。

客星が「水位」星を侵犯するのは、水道が閉塞して通じず、伏兵が水中に蔵れ、水をもって禍害とする兆しである。客星が水位から分かれ出るのは、水を掌る官に憂患があるか、あるいは臣下が陰謀を懐いて兵事が興る兆しで、応験の期は三年である。客星が「軒轅」星を侵犯するのは、近期の応験は宋の地の宗族を誅滅することであり、君王は大赦をもって災咎を消除すべきである。客星が軒轅に入るのは、遠方の客人が来る兆しである。客星が「東門」に入るのは、夷族の人が境外から帰降して来る兆しである。

干犯少微,白衣聚,王者凶,術士不彰,智者逃亡,期三年。入少微,奸臣眾;出少微,術士用,及功巧,王用之。入端門仍出,其國大患,天下亂,以色占之。出左掖門,其國憂;出東門,旱;出右門,亂;出西門,國亂及大水。

客星が「少微」星を侵犯するのは、官爵なき士人が聚集し、君王に凶险があり、方術の士が顕揚されず、智謀ある人が逃亡し世を避ける兆しで、応験の期は三年である。客星が少微に入るのは奸臣が衆多の兆しであり、客星が少微から分かれ出るのは、方術の士が任用を得て、身に巧藝を懐く工匠も併せて君王に起用される兆しである。客星が「端門」に入りすぐまた出るのは、その国に大きな禍患があり天下が動乱する兆しで、具体的な吉凶は星の色によって占い断ずる。客星が「左掖門」から分かれ出るのはその国に憂患がある兆し、「東門」から分かれ出るのは干ばつの兆し、「右掖門」から分かれ出るのは動乱の兆し、「西門」から分かれ出るのは国家が動乱し大きな水がある兆しである。

入太微庭中,出端門,天下大亂,王憂,國易政,期三年。他星入太微,色白潤澤者有赦。入太微中,兵大起,有客賊來入國,守之十日不出,其災成。在陽為男,在陰為女,不出三十日。入天子宮十日而成句巳,天下有赦。入太微中乘守者,有殃;出太微,國有兵喪。

客星が太微垣の庭中に入り、再び「端門」から出るのは、天下が大いに乱れ君王が憂愁し、国家が政令を換える兆しで、応験の期は三年である。他の異星が太微垣に入り、色が潔白で潤いあるものは、大赦がある兆しである。客星が太微垣の中に入るのは、兵事が大いに興り外来の賊寇が国境に侵入する兆しであり、もしその中に十日守って出なければ、この災禍は坐実する。南(陽位)に発生すれば男子に応じ、北(陰位)にあれば女子に応じ、応験は三十日を出ない。客星が天子の宮(太微垣内)に十日入り、運行が曲がった勾巳の形を成すのは、天下に大赦がある兆しである。客星が太微垣の中に入り諸星を凌乗し守るのは禍殃がある兆しであり、客星が太微垣から出るのは、国家に兵事と喪事がある兆しである。

入太微,犯黃帝座,天子憂,臣謀主,至座而還,謀不成,反受其殃。犯之十日已上,臣謀成,期不出一年。抵帝座,天子有喪;抵座旁,臣有反。有赤星銳如鉤抵座星,天子兵驚,一曰火驚。黑星抵帝座,天子惡之。客星有犯乘守內屏星者,為君臣失禮,而輔臣有諫者免罷。

客星が太微垣に入り「黄帝座」星を侵犯するのは、天子が憂愁し臣下が君主を図り謀る兆しである。もし星が帝座の跟前まで行って折り返せば、陰謀は成らず、事を謀る人がかえって自らその禍を受ける。帝座を十日以上侵犯するのは、臣下の陰謀が遂げられる兆しで、応験の期は一年を出ない。客星が帝座に抵るのは天子に喪がある兆しであり、帝座の旁に抵るのは臣下に反叛がある兆しである。赤い星で芒角が鋭く鉤のごとく帝座に抵るのは、天子が兵事に驚擾される兆しであり、別の説には火災に驚擾されるとする。黒い星が帝座に抵るのは、天子がこの象を悪む兆しである。客星が「内屏」星を侵犯し凌乗し守るのは、君臣の間が礼数を失い、進諫する輔弼の臣が免職罷黜される兆しである。

客星入紫微,王室有兵喪。客星出平星,賦斂之臣有罪;若庫使不忠,當有廢黜,期不出一年。守羽林軍天陣,兵戈大起。

客星が「紫微垣」に入るのは、王室に兵事と喪事がある兆しである。客星が「平星」から分かれ出るのは、賦税の征斂を掌る臣が罪を得るか、あるいは倉庫の主管が不忠であって廃黜されるべき兆しで、応験の期は一年を出ない。客星が「羽林軍」と「天陣」の二星を守るのは、兵戈が大いに興る兆しである。

乙巳占 巻第八

彗孛の占い 第四十七

長星,狀如帚;孛星圓,狀如粉絮,孛孛然,皆逆亂凶。孛之氣狀雖異,為殃一也,為兵喪,除舊佈新之象。餘災不盡,為兵喪水旱,凶飢暴疾。長大見久,災深;短小見速,災淺。彗孛所當之國受其殃。

「長星」の形は箒のようであり、「孛星」は丸く、形は散り乱れた綿絮のようで、ぼんやり蓬として四方へ射出る。この二種の星はいずれも叛逆・動乱の凶象を主る。彗気と孛気は形状は異なれど、成す禍殃は同じで、いずれも兵事と喪事を主り、「除旧布新」――王朝の交代の徴象である。もし余りの災気が散り尽くせなければ、兵禍・喪亡・水災・旱災、および凶年の飢饉と急性の疫病を主る。星の形が長大で現れる時間が久しければ災禍は深重となり、星の形が短小で速やかに隠没すれば災禍は軽浅となる。彗星・孛星がいずれの国の分野に正対すれば、その国がこの禍殃を蒙るのである。

彗孛干犯月五星,有兵喪,中國兵動,四夷來侵,百姓不安。凡彗孛見,亦為大臣謀反,以家坐罪,破軍流血,死人如麻,哭泣之聲遍天下,臣殺君,子殺父,妻害夫,小凌長,眾暴寡,百姓不安,干戈並興,四夷來侵,國兵不出,飢疫死亡之事。

彗星・孛星が月と金・木・水・火・土の五星を侵犯するのは、兵事と喪事があり、中原の兵馬が調動され、四方の夷族が侵して来て、百姓が安寧を得ない兆しである。およそ彗星・孛星が現れるのは、また大臣が謀反し、全家がこれによって連坐して罪を得る兆しであり、軍が潰敗して血が流れを成し、死者が乱麻のごとく多く、哭泣の声が天下に満ちる。臣が君を殺し、子が父を殺し、妻が夫を謀り害し、年の幼き者が長き者を欺き、人多き者が人少なき者を圧し、百姓が安寧を得ず、干戈が四方に興り、四方の夷族が侵入するのに、本国の軍は陣に出ることができず、併せて飢饉・瘟疫と死亡の事がある兆しである。

凡戰,兩軍相當,執本者勝;隨彗所指處以討之焉。彗星有行有止,行者則事小,止者則事大,各在邦以直事國分占之。

およそ交戦において、両軍が勢力互角の時は、彗星の本体(星身)のある方に居る側が勝利を占め、彗尾の指す方向に従って敵を討伐すべきである。彗星には運行して止まらないものと、停駐して動かないものとがある。運行するものは応験の事が小さく、停駐するものは応験の事が重大である。それぞれその居る位置により、当値の事項と対応する国家の分野をもって占い断ずる。

彗孛が列宿に入る占い 第四十八

彗孛出行,歷二十八宿。留舍出見,百日不去,三年應之。五十日已上,五年應之。二百日已上,七年應之,災深。

彗星・孛星が運行するときは二十八宿を遍歴する。それがある宿の星舎に停留して現れ、百日も去らないものは三年以内に応じ、五十日以上停まるものは五年以内に応じ、二百日以上停まるものは七年以内に応じ、しかも災禍はいよいよ深重である。

彗孛干犯兩角間,白者,軍起不戰,邦有大喪;其色赤,戰,芒所指,必有破軍侵城,期七十日,或三年。與彗孛出角,天下大亂,更改易王,暴兵起,必有戰,近期三年,中五年,遠九年。彗入出角,長可七八尺,天下更改。金火守之,兵大用。

彗星・孛星が「角宿」の二星の間を侵犯する場合、色が白く発するものは、軍が兵を起こして交戦せず邦国に大喪がある兆し、色が赤く発するものは交戦の兆しで、星芒の指す方向には必ず軍の撃破と城池の侵奪があり、応験の期は七十日、あるいは三年である。もし彗孛が角宿から分かれ出るのは、天下が大いに乱れ改朝换代して君王を換え、暴乱の兵が興り必ず戦事がある兆しで、近くは三年、中は五年、遠くは九年に応じる。彗星が角宿を出入して長さ七・八尺ほどのものは、天下が改易して主を換える兆しである。太白金星・熒惑火星が角宿を守るのは、大規模に兵を用いる兆しである。

彗出亢,天下大飢,其國有兵喪,人民多疫,人相食,不出三年。彗出亢,天子失德,天下大亂,有大水、兵疫。彗干犯氐,大赦,天子失德,米大貴。彗出氐中,天下大赦,其滅氐,大疾惡,米大貴,兵起。彗孛起氐中,天子不安宮,移徙,失德,易政。

彗星が「亢宿」から分かれ出るのは、天下が大いに飢饉となり、その分野の国に兵事と喪事があり、百姓に瘟疫が多く、人が人を食うに至る兆しで、応験は三年を出ない。彗星が亢宿を出るのは、また天子が徳を失い天下が大いに乱れ、大水・兵災と疫病がある兆しである。彗星が「氐宿」を侵犯するのは、大赦が頒行され天子が徳を失い、米の値が大いに上がる兆しである。彗星が氐宿の中から分かれ出るのは、天下に大赦がある兆しであり、もしそれが氐宿の光を掩い滅すれば、重い疾疫があり米の値が大いに上がり、兵事が興る兆しである。彗孛が氐宿の中から升るのは、天子が宮中で安寧を得ず、他へ徙るを余儀なくされ、徳行に欠け政令を換える兆しである。

彗起房出,天子行為無道,諸侯守兵守國。彗孛貫房,王室大亂。彗干犯鉤鈐,王宮大亂,不出三年。彗出心,兵起宮中,劍戟交鋒,大臣相疑,有戮死者,近期七日,中七十日,遠百八十日。彗出心,居守之,天子有喪,德令不行,蝗蟲大起,人民飢,流去其鄉,期一年,遠六年。

彗星が「房宿」から升り分かれ出るのは、天子の行いが無道で、諸侯が各自に兵を擁して自国を守る兆しである。彗孛が房宿を貫穿するのは、王室が大いに乱れる兆しである。彗星が房宿の旁の「鉤鈐」星を侵犯するのは、王宮が大いに乱れる兆しで、応験は三年を出ない。彗星が「心宿」から分かれ出るのは、兵事が宮中に起こり、刀剣・長戟が当面して交鋒し、大臣の間で互いに猜疑し、殺戮される人が出る兆しで、近くは七日、中は七十日、遠くは百八十日に応じる。彗星が心宿を出て停駐し守候するのは、天子に喪があり徳政の法令が行えず、蝗虫が大量に滋生し、百姓が飢餓して流亡し郷を離れる兆しで、応験の期は一年、最も遠くは六年である。

彗出入尾,后相貴臣誅,兵起宮門,宮人走出,國易政,近一年,中二年,遠三年。彗孛干犯尾,后有以珠玉簪珥惑天子者,誣讒大起,后相貴臣誅,宮人走出,兵起宮門,歲多土功,近期百八十日,遠一年。彗出箕,夷狄為亂,大兵起,天下大旱,米貴十倍,大飢。彗守箕,東夷下溼與水居,將為亂。

彗星が「尾宿」を出入するのは、皇后・丞相と顕貴の臣が誅殺され、兵事が宮門に起こり、宮人が出逃し、国家が政権を換える兆しで、近くは一年、中は二年、遠くは三年に応じる。彗孛が尾宿を侵犯するのは、後宮の人が珠玉の簪珥の類の首飾をもって天子を惑わし、誣告・讒毀の風が大いに起こり、皇后・丞相と貴臣が誅され、宮人が出逃し、兵が宮門に起こり、この年に土木の工役が多い兆しで、近くは百八十日、遠くは一年に応じる。彗星が「箕宿」から分かれ出るのは、夷狄が乱をなし大規模な兵事が興り、天下に大旱があり、米の値が十倍に上がり大きな飢饉となる兆しである。彗星が箕宿を守るのは、東方の夷族のうち低窪で湿った所に水に依って居る部落が乱をなさんとする兆しである。

彗孛長干犯南斗,爵祿大臣憂,王者病疫,臣謀君,子謀父,弟謀兄,是謂無禮,諸侯不通,天下易政,大亂兵起,期百八十日,遠不出一年。彗出南斗,大臣謀反,兵水並起,天下亂。彗出斗,天下皆謀上。

長大な彗孛が「南斗」を侵犯するのは、爵禄を掌る大臣が憂愁し、君王が疫病に染まる兆しである。臣が君を図り、子が父を図り、弟が兄を図る、これを「無礼」と謂う。諸侯の間で往来が断絶し、天下が政権を換え、大いに乱れて兵が起こる兆しで、応験の期は百八十日、最も遠くは一年を出ない。彗星が南斗から分かれ出るのは、大臣が謀反し、兵禍と水災が共に発生し天下が動乱する兆しである。彗星が斗宿を出るのは、天下の人が皆君上を図り謀る兆しである。

彗犯牛,吳越兵起自立,三年而滅。彗孛干犯牛,中國兵起。彗出牛,四夷兵起,邊境為亂,來侵中國,人主有憂,期一年,中二年,遠三年。彗出牛,改元易號之象。又曰:多兵,糴貴,牛大死。

彗星が「牛宿」を侵犯するのは、呉・越の地が兵を起こして自立し、三年の後に消滅される兆しである。彗孛が牛宿を侵犯するのは、中原の地に兵事が興る兆しである。彗星が牛宿から分かれ出るのは、四方の夷族が兵を起こし、辺境が動乱して中原を侵犯しに来て、君主に憂患がある兆しで、応験の期は一年、中は二年、遠くは三年である。彗星が牛宿を出るのは、また年号を改め名号を換える征象である。別の説には、兵事が多く糧の値が昂貴となり、牛が大批に死亡するとする。

彗孛干犯須女,其邦兵起,女為亂,若妾遷為後,王者無信,大亂,期不出三年,退女所親,天下安寧。彗出須女,其國兵大起,女主為亂,王者惡之,將軍戮死,若以戰亡,期不出三年。

彗孛が「須女」宿を侵犯するのは、その邦国に兵事が興り、女子が乱をなすか、あるいは姫妾が正して皇后とされる兆しであり、君王が人に信を失い天下が大いに乱れる兆しで、応験は三年を出ない。もし女寵の親党を斥退できれば、天下は安寧を得る。彗星が須女宿から分かれ出るのは、その国に兵事が大いに興り、女主が乱をなし、君王がこの象を悪み、将軍が殺されるかあるいは戦場に死する兆しで、応験は三年を出ない。

彗出虛,兵大起,天子自將兵於野,大戰流血,光芒所指,國必亡,期三年,遠五年。彗出虛危之間,其國有叛臣,兵大起,將軍出行,國易政,期三年。彗出干犯危,其國有叛臣,兵大起,將軍出,國易政,若大水,人飢,期三年。彗孛干犯危,其國有叛者,兵起,大將軍出。

彗星が「虚宿」から分かれ出るのは、兵事が大いに興り、天子が自ら兵を率いて野外で征戦し、大戦して血が流れを成す兆しであり、彗芒の指す分野の国は必ず滅亡し、応験の期は三年、最も遠くは五年である。彗星が虚宿と危宿の間に出るのは、その国に叛臣があり兵事が大いに興り、将軍が兵を領して出行し、国家が政権を換える兆しで、応験の期は三年である。彗星が出て「危宿」を侵犯するのは、その国に叛臣があり兵事が大いに興り、将軍が出征し国家が政権を換えるか、あるいは大水が発し人民が飢饉に遭う兆しで、応験の期は三年である。彗孛が危宿を侵犯するのは、その国に叛乱する人があり兵事が興り、大将軍が出征する兆しである。

彗孛干犯室,先起兵者弱,不可以戰,戰必亡地,主將必亡,去之吉,期百八十日,遠二年。一云:期三年,遠六年。又曰:彗出室,大水。彗出室壁間,兵大起,若有大喪,有亡國死王,期不出三年。彗出室,天下亂,易政。孛見室中,後宮且有亂。一曰:有德令。彗犯室,先起兵者,不可以戰,亡地,期三年,遠六年。

彗孛が「室宿」を侵犯するのは、先に兵を動かす方が弱勢に処し、開戦してはならず、開戦すれば必ず土地を失い、主将は必ず陣亡し、避けて戦わないのを吉とする兆しで、応験の期は百八十日、最も遠くは二年である。一説には応験の期は三年、最も遠くは六年とする。またの説に、彗星が室宿を出るのは大水の兆しとする。彗星が室宿と壁宿の間に出るのは、兵事が大いに興るか、大喪があり亡国があり君王が死難に遭う兆しで、応験は三年を出ない。彗星が室宿を出るのは、天下が動乱して政権を換える兆しである。孛星が室宿の中に見えるのは、後宮に変乱がある兆しであり、別の説には徳政を施す詔令が頒き下される兆しとする。彗星が室宿を侵犯するのは、先に兵を動かす方は開戦してはならず、開戦すれば土地を失う兆しで、応験の期は三年、最も遠くは六年である。

彗孛犯壁,且其國起兵大災,廟堂四門流血,天下降。彗干犯出壁,王者兵起,毀壞宗廟,四門伐兵,流血滂滂,人民惶惶,莫知其殃,近期一年,中三年,遠五年。

彗孛が「壁宿」を侵犯するのは、その国が兵を起こさんとして大災を釀し、宗廟・朝堂と都城の四門に血が遍地に流れ、天下の人が次々に降服する兆しである。彗星が壁宿を侵犯して出るのは、君王が兵を興し、宗廟が毀壊され、四方の城門に兵刃が相攻し、鮮血が滂沱として横流れし、百姓が惶恐安まらず禍殃の来る所を知らない兆しで、近くは一年、中は三年、遠くは五年に応じる。

彗孛干犯奎,其國君出戰,大飢,人相食,國無繼嗣,近期一年,遠三年。彗孛出奎,西北舉兵伐中國。其下食石千錢,天下大水,庫兵悉出,禍在強侯外夷,相應首謀,期三年。彗出奎,魯國兵起。

彗孛が「奎宿」を侵犯するのは、その国の国君が自ら出戦し、大いに飢饉に騒ぎ人が人を食い、国に継位の子嗣がない兆しで、近くは一年、遠くは三年に応じる。彗孛が奎宿から分かれ出るのは、西北の方が兵を挙げて中原を討伐する兆しである。その分野の下では糧食が一石に千銭にまで売られ、天下に大水が発し、府庫の兵器はすべて調出される。禍の端は強横の諸侯と境外の夷族にあり、二者が互いに呼応して乱を謀るを首とし、応験の期は三年である。彗星が奎宿を出るのは、魯国に兵事が興る兆しである。

彗孛干犯婁,國有大兵,四時絕祀,遠不出三年。彗出婁,國有大兵,四時絕祀,有亡國,先旱後水,人民亂,飢死,五穀大貴,糴無價,期一年,遠三年。彗孛干犯出婁,五穀不成,倉廩空虛,六畜疫。

彗孛が「婁宿」を侵犯するのは、国中に大規模な兵事があり四季の祭祀が断絶する兆しで、最も遠くは三年を出ずして応じる。彗星が婁宿を出るのは、国中に大兵があり四季の祭祀が断絶し、亡国の禍がある兆しである。先に旱し後に澇れ、百姓が動乱して飢餓に死し、五穀の価格が暴騰し、糧食が貴くて価を定められない兆しで、応験の期は一年、最も遠くは三年である。彗孛が婁宿を侵犯して出るのは、五穀が成熟せず倉庫が空虚となり、六畜が瘟疫に遭う兆しである。

彗出胃,五穀不成,倉廩空虛。彗孛出昴胃之間,狀如竹竿而倚,此出為兵起戒,此太白之變見,不過一年,其國兵起,若有喪。彗出胃,大臣為亂,天下兵起,五穀不登,人民飢,京都國倉,悉皆空虛,期三年,中五年,遠七年。彗出胃昴之間,狀如竹帚,有兵災,大臣為亂,君弱臣強,邊兵大起,天子憂之,人民驚恐,國王有憂,期一年,中二年,遠三年。彗孛出胃昴之間,大國兵起。

彗星が「胃宿」から分かれ出るのは、五穀が熟せず倉庫が空虚となる兆しである。彗孛が昴宿と胃宿の間に出て、形状が斜めに倚れた竹竿のようであるものは、この出現は兵事が起こらんとする警戒であり、太白金星の失常の変に属する顕現で、一年を出ずしてその分野の国に兵事が興るか、喪事がある兆しである。彗星が胃宿を出るのは、大臣が乱をなし天下に兵が起こり、五穀が欠收し百姓が飢餓し、京城と国の糧倉がすべて空虚となる兆しで、応験の期は三年、中は五年、遠くは七年である。彗星が胃宿と昴宿の間に出て、形状が竹製の箒のようであるのは、兵災があり大臣が乱をなし、君主が衰弱し臣下が強横となり、辺境の兵事が大いに興り、天子がこれによって憂え百姓が驚恐し、国王に憂患がある兆しで、応験の期は一年、中は二年、遠くは三年である。彗孛が胃宿と昴宿の間に出るのは、大国に兵事が興る兆しである。

彗孛干犯昴,大臣為亂,國兵大起,期一年。彗孛出昴,赦。彗孛犯畢,必有丈夫數萬人。彗孛犯畢,邊大戰,中原流血。彗出畢觜之間,小而長,狀如長竿,上有壘壘然。此出為兵戰戒,此填星之變見,不過一年,兵起宮中,女主有殃。

彗孛が「昴宿」を侵犯するのは、大臣が乱をなし全国の兵事が大いに興る兆しで、応験の期は一年である。彗孛が昴宿から分かれ出るのは、大赦がある兆しである。彗孛が「畢宿」を侵犯するのは、必ず数万の成年男丁を徴発して軍に従わせる兆しである。彗孛が畢宿を犯すのは、また辺境に大戦があり中原に血が流れを成す兆しである。彗星が畢宿と觜宿の間に出て、形体が小さく狭長く、様子が長竿のごとく、上端が層々に堆り重なるもの――この出現は兵戦が起こらんとする警戒であり、填星(土星)の失常の変に属する顕現で、一年を出ずして兵事が宮中に起こり、女主が殃に遭う兆しである。

彗孛守畢柄,侯邑益土;守畢口,中邦相亂易政,邑君大臣當之。彗干犯觜,國兵起,天下動擾,期一年,遠三年。彗出觜,其國兵起,有失地死主,人流,大臣出戰,下有亡國,期三年,遠五年。彗見觜,必有破國亂軍,伏死其辜。

彗孛が畢宿の柄部を守るのは、諸侯の封邑が土地を增益する兆しであり、畢宿の口部を守るのは、中原の諸邦が互いに攻め乱れ政権を換え、城邑の君と大臣に応じる兆しである。彗星が「觜宿」を侵犯するのは、国中に兵事が興り天下が動盪して安まらない兆しで、応験の期は一年、最も遠くは三年である。彗星が觜宿を出るのは、その国に兵が起こり、土地を失い君主が死難する事があり、人民が流散し、大臣が兵を領して出戦し、下に亡国の禍がある兆しで、応験の期は三年、最も遠くは五年である。彗星が觜宿に見えるのは、必ず国家の破敗・軍の潰乱があり、併せて罪によって法に伏して死する人がある兆しである。

彗孛干犯參,其國邊兵大敗,其軍亡,期一年,遠三年。彗出參,天子更政。彗出參伐,天兵蔽地,大臣謀反,君有憂,天子躬甲,斧鉞大用,兵馬馳道,弓弩恆張,期三年,遠五年。彗孛流入參,若出參,其年兵起。彗干犯東井,則大臣誅,其國用兵,期百八十日。

彗孛が「参宿」を侵犯するのは、その国の辺防の軍が大敗して全軍覆没する兆しで、応験の期は一年、最も遠くは三年である。彗星が参宿を出るのは、天子が政令を更改する兆しである。彗星が参宿の「伐」星に出るのは、天子の軍が天を遮り地を蔽い、大臣が謀反し君主に憂患があり、天子が自ら甲を披いて陣に臨み、斧鉞の刑戮が大量に動かされ、兵馬が馳道に奔馳し、弓弩が長く張設されて発を待つ兆しで、応験の期は三年、最も遠くは五年である。彗孛が参宿に流れ入るか、あるいは参宿から分かれ出るのは、その年に兵事が興る兆しである。彗星が「東井」宿を侵犯するのは、大臣が誅殺されその国が兵力を動かす兆しで、応験の期は百八十日である。

彗在井,大人死,見三十日,兵將當之;見五十日,相當之;見七十日,主當之。彗孛干犯鬼,國有大兵橫行,近一年,遠三年,天子以赦除咎。彗出鬼,名曰喪樓見,皆以赦應之;彗出鬼,有喪。

彗星が井宿に停まるのは、大人物が死亡する兆しである。三十日現れるものは兵を帯びる将領に応じ、五十日現れるものは丞相に応じ、七十日現れるものは君主その人に応じる。彗孛が「鬼宿」を侵犯するのは、国中に大軍が横行する兆しで、近くは一年、遠くは三年に応じ、天子は大赦をもって災咎を消除することができる。彗星が鬼宿から分かれ出るのは、この天象を「喪楼見」と名づけ、いずれも大赦をもって応ずべきものであり、彗星が鬼宿を出るのは喪事がある兆しである。

彗出於犯柳,國誅大臣,兵喪並起。又云:強臣凌主,天下傾危,其國大旱,民以飢死,期三年,遠五年。彗出柳,有兵,臣凌主,大旱,穀貴。

彗星が出て「柳宿」を侵犯するのは、国家が大臣を誅殺し、兵事と喪事が共に発生する兆しである。またの説に、強横の臣が君主の上に凌ぎ、天下が傾覆して危殆となり、その国が大旱となり百姓が餓死する兆しで、応験の期は三年、最も遠くは五年である。彗星が柳宿を出るのは、兵事があり臣下が君主を欺凌し、大旱で穀の値が昂貴となる兆しである。

彗干犯七星,邦有大亂,國主不定,兵起宮殿,貴臣戮,近期七十日,遠百八十日。掃出星張之間,狀如布,從風而靡,此為兵戒,熒惑之變也。彗出星張之間,狀如炊火,且為兵災,熒惑之變。

彗星が「七星」(即ち星宿)を侵犯するのは、邦国が大いに乱れ国君の位が穏やかでなく、兵事が宮殿の中に起こり、顕貴の臣が殺される兆しで、近くは七十日、遠くは百八十日に応じる。箒のような彗気が星宿と張宿の間に出て、形状が一幅の布のようで風に飄拂して倒伏するのは、兵事の警戒であり、熒惑(火星)の失常の変に属する。彗星が星宿と張宿の間に出て、形状が炊煙の中の火光のようであるのも、また兵災を主り、同じく熒惑の変である。

彗干犯張,其國內外用兵,主徙宮,天下半亡。彗出張,大旱,谷石三千。彗干犯翼,其國用兵,大臣為憂,遠期百八十日。彗出翼軫之間,天下皆謀上,國有大喪,人主死亡,必有大兵,期其不出三年。彗出翼,其國有兵,若有喪,以水為飢,人多流亡,所指有降伏,期五年。

彗星が「張宿」を侵犯するのは、その国が内にも外にも兵を用い、君主が宮室を遷り離れ、天下が半ば淪亡する兆しである。彗星が張宿を出るのは、大旱があり穀の値が一石に三千銭となる兆しである。彗星が「翼宿」を侵犯するのは、その国が兵力を動かし大臣がこれによって憂愁する兆しで、最も遠い応験の期は百八十日である。彗星が翼宿と軫宿の間に出るのは、天下の人が皆君上を図り謀り、国に大喪があり君主が死亡し、必ず大規模な兵事がある兆しで、応験の期は三年を出ない。彗星が翼宿を出るのは、その国に兵事があるか、あるいは喪事があり、水災によって飢饉となり人が多く他郷に流亡し、彗芒の指す方向に降服する人がある兆しで、応験の期は五年である。

彗孛干犯軫,兵喪並起,近期百八十日,遠一年。彗出軫,天子崩,兵喪並起,滿宮門,車馬無主,人無定居,期三年,中五年,遠九年。王者以赦除咎,則災消也。

彗孛が「軫宿」を侵犯するのは、兵事と喪事が共に発生する兆しで、近くは百八十日、遠くは一年に応じる。彗星が軫宿を出るのは、天子が駕崩し兵事と喪事が併せ起こり、兵馬が宮門に満ち塞がり、車馬が主を失い、人々に安定の居所がない兆しで、応験の期は三年、中は五年、遠くは九年である。君王がもし大赦をもって災咎を消除すれば、災禍は化解することができる。

彗孛が中外官に入る占い 第四十九

彗出攝提,天下亂,帝自兵於野,兵起宮中,王者有憂,期不出三年。彗干大角,長可六七尺,天下大亂,兵大起,國易政,期三年。彗出大角,大角為帝座。秦始皇時,彗出大角,大角亡,以亡秦之象。

彗星が「摂提」星から分かれ出るのは、天下が動乱し、皇帝が自ら兵を領して野外で征戦し、兵事が宮中に起こり、君王に憂患がある兆しで、応験は三年を出ない。彗星が「大角」星を侵犯し、長さ六・七尺ほどのものは、天下が大いに乱れ兵事が大いに興り、国家が政権を換える兆しで、応験の期は三年である。彗星が大角に出る――大角という星は即ち天帝の宝座である。秦始皇の時、彗星が大角に出て大角星がこれによって隠没し見えなくなったのは、秦朝が亡びようとする征象であった。

彗犯天市,地震。(一雲天紀。)彗干天市,所犯者誅。彗孛犯宦者,中外有兵。彗干犯帝座,民大亂,宮廟徙,大臣憂,期三年。彗出東西咸,女主淫泱自恣,宮門不禁,若貴女有憂。

彗星が「天市垣」を侵犯するのは、地震の兆しである(別の説には「天紀」星を侵犯するという)。彗星が天市垣を侵犯するのは、それが犯する星に対応する人が誅殺される兆しである。彗孛が「宦者」星を侵犯するのは、朝廷の内外に兵事がある兆しである。彗星が「帝座」星を侵犯するのは、百姓が大いに乱れ宮室・宗廟が遷移し、大臣が憂懼する兆しで、応験の期は三年である。彗星が「東咸」「西咸」の二星から分かれ出るのは、女主が淫佚放纵して恣に為し、宮門が禁衛を失うか、あるいは貴族の女子に憂患がある兆しである。

彗干歷天江,大兵攻王國,王者以赦解之,則國豐年。彗孛干犯建,王者失道,忠言誅,賢士逃亡。彗孛犯離珠,後宮為亂,若宮人有誅。若守之陽,為大旱;守之陰,為大水,五穀不登,人民飢。

彗星が「天江」星を侵犯して経過するのは、大軍が王畿の国を攻める兆しであり、君王が大赦をもって化解すれば、国家はかえって豊年を得る。彗孛が「建星」を侵犯するのは、君王が正道を失い、忠言を進める人が誅殺され、賢士が外に逃亡する兆しである。彗孛が「離珠」星を侵犯するのは、後宮が乱をなすか、あるいは宮人が誅される兆しである。もし離珠の南(陽位)を守れば大旱の兆し、北(陰位)を守れば大水で五穀が欠收し百姓が飢餓する兆しである。

魏陳留咸熙二年五月,彗見王良,長丈餘,色白,東南指,十二日滅。占曰:王良,天子御馳;彗掃之,除舊佈新之象也。色白為喪,王良在東壁次,又幷州之分野,八月晉文王薨,十二月帝遜位於晉。

曹魏の陳留王・咸熙二年五月に、彗星が「王良」星に現れ、長さ一丈余り、白色で、尾は東南を指し、十二日して消えた。占辞に曰く、王良は天子の駕を馳駆する象である。彗星がそれを掃うは、まさに除旧布新の徴兆である。白色は喪事を主る。王良星は東壁宿の星次に位し、また并州の分野に属す。その年の八月に晋の文王・司馬昭が世を去り、十二月に魏帝は位を晋に譲った。

彗出天大將軍,兵大起,將軍出,旗鼓陳。若守之,大將死,若有誅,期不出三年。彗孛干犯五車,兵滿野,天下半傾,百姓徙居,去其鄉土,期三年。

彗星が「天大将軍」星から分かれ出るのは、兵事が大いに興り将軍が出征し、旌旗・戦鼓を列ねて陣して行く兆しである。もし彗星がこの星を守れば、大将が陣亡するかあるいは誅殺される兆しで、応験は三年を出ない。彗孛が「五車」星を侵犯するのは、兵馬が原野に布満し、天下が半ば傾覆し、百姓が他へ徙り己の郷土を離れる兆しで、応験の期は三年である。

彗出天關,兵大起,道路不通,人多盜賊,必有關塞之事,人主有憂。彗出天關而守之,天下道絕,國多盜賊,關梁不通,人主有憂。彗出南河,蠻越兵起,邊戍有憂,若關吏有罪者。彗守南河,為大旱;守北河,胡為亂,來侵中國;若守,胡軍敗。

彗星が「天関」星から分かれ出るのは、兵事が大いに興り道路が通ぜず、盗賊が衆多となり、必ず関隘を封鎖する事があり、君主に憂患がある兆しである。彗星が天関を出て停留し守候するのは、天下の道路が断絶し、国中に盗賊が多く、関卡・橋梁が通ぜず、君主に憂患がある兆しである。彗星が「南河」から分かれ出るのは、南方の蛮・越の地に兵が起こり、辺境の戍守に憂いがあるか、あるいは関吏が罪を得る兆しである。彗星が南河を守るのは大旱の兆しであり、「北河」を守るのは北方の胡人が乱をなし中原を侵犯しに来る兆しで、もし久しく守って去らなければ、胡人の軍はかえって敗亡する。

彗干犯五諸侯,王室大亂,兵起,天子宮廟不祀。彗出五諸侯,執政臣有誅,若有被戮者,貴人當之,主有憂,期一年,遠五年。彗孛干犯積水,兵起宮門,宗廟毀絕,大臣有憂。彗孛干犯積薪,有亂臣在宗廟。

彗星が「五諸侯」星を侵犯するのは、王室が大いに乱れ兵事が興り、天子の宮殿・宗廟の祭祀が絶える兆しである。彗星が五諸侯から分かれ出るのは、執政の大臣が誅されるか、あるいは殺戮される人があり、貴人に応じ、君主に憂患がある兆しで、応験の期は一年、最も遠くは五年である。彗孛が「積水」星を侵犯するのは、兵事が宮門に起こり、宗廟が毀棄され断絶し、大臣に憂患がある兆しである。彗孛が「積薪」星を侵犯するのは、乱臣が宗廟の中に混迹する兆しである。

彗孛干犯水位,水道不通,伏兵在水中,以水為害。彗出水位,天下以水為憂,有兵起,五穀不成,人飢。彗出軒轅,皇后有憂,若失勢,宮人不安,人主有憂,後宮當之。彗犯軒轅,天下大亂,易主,以五色占期。彗出軒轅,若守之,天下大亂,易王,宮門當閉,若女主死,期三年,遠五年。

彗孛が「水位」星を侵犯するのは、水道が通ぜず伏兵が水中に蔵れ、水をもって禍害とする兆しである。彗星が水位を出るのは、天下が水患を憂いとし、兵事が興り五穀が熟せず人民が飢餓する兆しである。彗星が「軒轅」星から分かれ出るのは、皇后に憂患があるか、あるいは権勢を失い、宮人が安寧を得ず、君主に憂いがあり、後宮に応じる兆しである。彗星が軒轅を侵犯するのは、天下が大いに乱れ君主を換える兆しで、彗星の五色によって応期を推し断ずる。彗星が軒轅を出るかそれを守るのは、天下が大いに乱れ君王を換える兆しで、宮門は緊閉すべきか、あるいは女主が死亡し、応験の期は三年、最も遠くは五年である。

彗孛干犯少微,白衣聚,王者凶,術士不顯,智者逃亡,期三年。彗出少微,多能臣有戮者,若功臣有罪,一曰:法令臣有誅者。彗出少微,士大夫起。

彗孛が「少微」星を侵犯するのは、官爵なき士人が聚集し、君王に凶险があり、方術の士が顕達できず、智謀ある人が逃亡して世を避ける兆しで、応験の期は三年である。彗星が少微を出るのは、才干多き臣に殺戮される者があるか、あるいは功ある臣が罪を得る兆しであり、別の説には法令を執掌する臣に誅される者があるとする。彗星が少微を出るのは、また士大夫が起ちて政に干る兆しである。

彗孛干太微,天下亂,有兵喪,大人惡之,以色占期,亦為死王。彗孛干歷太微,所歷者亡。出而孛太微,天下亂,不過三五年,必易政,以色占期,亦為徙王。彗如粉絮,入太微,守五帝座,國有崩喪,大臣立,天下亂,大兵起,若犯守四帝座,輔臣有誅,執政者亡,期三年。

彗孛が太微垣を侵犯するのは、天下が動乱し兵事と喪事があり、大人物がこの象を悪む兆しで、星の色によって応期を推し断じ、また君王の死亡を主る。彗孛が太微垣の諸星を侵犯して経歴するのは、それが経過する星に対応する人が敗亡する兆しである。彗星が現れて孛気をもって太微垣を衝き犯すのは、天下が動乱し、三五年を過ぎずに必ず政権を換える兆しで、星の色によって応期を推し断じ、また君王の遷徙を主る。彗星の形状が散り乱れた綿絮のようで、太微垣に入り「五帝座」を守るのは、国に崩逝・喪亡の事があり、大臣が新君を立て、天下が動乱し大規模な兵事が興る兆しであり、もし四方の帝座星を侵犯し守れば、輔弼の臣が誅され執政する人が敗亡する兆しで、応験の期は三年である。

大彗干犯五帝座,王者亡,子孫不昌,王者修孝於天,奉宗廟郊祠則災除。狀如帚,正赤,抵內屏,兵也。彗出內屏,守衛臣有誅,若有罪執法者當之。彗孛干犯北辰,天下有大喪。

大きな彗星が「五帝座」を侵犯するのは、君王が死亡し子孫が昌盛できない兆しであり、君王は孝道をもって天を敬奉し、恭しく宗廟を祭祀し郊祭を行えば、災禍は消除し得る。彗星の形状が箒のようで色が純赤にして「内屏」星に抵るのは、兵事の兆しである。彗星が内屏に出るのは、宮廷の守衛の臣が誅されるか、あるいは罪ある執法の官がこの災殃に当たる兆しである。彗孛が「北辰」(北極星)を侵犯するのは、天下に大喪がある兆しである。

彗孛干犯北斗,有殺罰。春秋時,有孛干於北斗,則齊、魯、晉、鄭、宋、莒之君並殺亂之禍。孛東方,則楚滅,三家、田氏分篡齊魯。漢文帝末,孛西方,後吳楚六國反,而誅滅亡。晉太始末至太康初,災異數見而晉氏隆盛,吳實滅亡,天變在吳可知矣。昔漢高三年,孛大角。大角,項王以亡,漢氏無事,此項王先受命也。吳晉之時,天下橫分,大角孛而吳亡,與項氏事同。

彗孛が「北斗」を侵犯するのは、誅殺・刑罰の事がある兆しである。春秋の時、かつて孛星が北斗を侵犯し、続いて斉・魯・晋・鄭・宋・莒の諸国の国君が相次いで弑殺・動乱の禍に遭った。孛星が東方に現れた時は、楚が滅亡し、韓・趙・魏の三家が晋を分け、田氏が斉を簒い、斉魯の一帯が瓜分された。漢の文帝の末年、孛星が西方に現れ、後に呉・楚など六国が反逆して、いずれも誅滅された。西晋の泰始末年から太康初年にかけ、災異がしきりに現れたが、晋室はかえって隆盛し、真に滅亡したのは東呉であった。これはこの天変が呉に応じたことを示す。昔、漢の高祖三年に孛星が大角を犯した。大角は帝座の星であり、項羽はこれによって敗亡したが、漢室は安然として事なきを得た。これは項羽が先に天命を受けたゆえである。呉・晋が対峙した時、天下が東西に分裂し、大角が孛を蒙って呉国が滅亡したのは、項羽のあの事と同じ理である。

彗干三臺,三公誅喪。彗孛干紫微,天下易王。彗出執法,臣有憂,政令不行,國失綱紀。彗出羽林,軍人反。

彗星が「三台」星を侵犯するのは、三公が誅殺されるか喪亡に遭う兆しである。彗孛が「紫微垣」を侵犯するのは、天下が君王を換える兆しである。彗星が「執法」星に出るのは、大臣に憂患があり政令が行えず、国家が綱紀を失う兆しである。彗星が「羽林」星に出るのは、軍人が反叛する兆しである。

魏正始六年八月戊午,彗見七星,長可二尺,色白,進至張,積二十三日滅。九年三月見昴,長六尺,色青白,西南指。七月見翼,長二尺,進至軫,積四十二日滅。占曰:七星、張為周分野,翼、軫為楚,昴為趙魏。彗所以除舊佈新,主兵喪。嘉平元年,司馬懿誅曹爽兄弟及其黨與,皆夷三族,京師嚴兵。三年,誅楚王彪,又襲王凌於淮南。淮南,東楚也,魏諸王幽於鄴。

曹魏の正始六年八月戊午の日、彗星が「七星」宿に現れ、長さ約二尺、白色で、前へ推し進み「張宿」に至り、共に二十三日して消えた。正始九年三月、彗星が「昴宿」に見え、長さ六尺、青白色で、尾は西南を指した。七月に「翼宿」に見え、長さ二尺、推し進んで「軫宿」に至り、共に四十二日して消えた。占辞に曰く、七星・張宿は周の地の分野であり、翼宿・軫宿は楚の地に属し、昴宿は趙・魏の地に属す。彗星の意義は除旧布新にあり、兵事と喪事を主る。嘉平元年に至り、司馬懿が曹爽の兄弟とその党羽を誅し、皆三族を滅ぼされ、京城に戒厳して兵を布いた。嘉平三年に楚王・曹彪を誅し、また淮南で王凌を襲撃した――淮南は即ち東楚の地である。この後、曹魏の諸藩王は皆鄴城に幽禁された。

雑星・祆星の占(雜星祆星占)第五十

祆星晝見。甘氏曰:星與日並出,名曰婦女與日爭光,武且弱,文且強,在邑為文,在野為兵。恆星不見。楊泉《物理論》曰:凡無名之星,一見一不見,唯二十八宿度數有當,故曰恆。《左氏傳》曰:魯莊公時恆星不見,夜中,星隕如雨。傳曰:恆星不見,夜明也。《穀梁傳》曰:常者在位,人君之象。不見者,無君之象。晉世祖太始四年七月,星隕如雨,西流星隕,民叛吳歸晉之象也。

妖星が白昼に現れること。甘氏は言う――この種の星は太陽とともに現れ、「婦女が日と光を争う(婦女与日争光)」と名づけ、武力が衰えて文教が盛んになる兆しである。城邑の上空に現れるのは文事に応じ、原野の上空に現れるのは兵事に応じる。恒星が見えなくなること。楊泉『物理論』は言う――およそ名号のない星は、ある時は見え、ある時は見えない。二十八宿だけが一定の度数・位次をもつため「恒星」と称する、と。『左氏伝』の記載――魯の荘公の時に恒星が見えなくなり、夜半に至って流星が雨のように降った。伝文の解釈によれば、恒星が見えないのは夜空が明るすぎるからである。『穀梁伝』は言う――常に位に在るのは人君の象徴である。恒星が見えないのは君なき象徴である、と。西晋世祖泰始四年七月、流星が雨のように墜ちて、星は西に向かって流れ落ちた。これはまさに民衆が東呉を裏切って晋朝に帰順する徴象であった。

斗搖占。《呂氏春秋》曰:至亂之代,有星斗星搖。漢文帝元年,中星盡搖,上問候星者,對曰:星搖者,民勞也。後伐四夷,百姓勞於兵革。京房《易傳》曰:星者陰陽之精,萬物之體,五行之形。其體在下,精耀在上。百官之命,各因其原,飛及行,萬人不安。大星隕下,陽失其位,災害之萌也。其救也,人君當悔過,反政責躬,省徭役,安國封侯,以寧人為先,則宿星正矣。京房《易傳》曰:君不任賢,厥祅,天雨星。

星辰が揺動する占。『呂氏春秋』は言う――極乱の世になると、星辰と北斗の星が揺れて定まらない、と。漢の文帝元年、天空の正中にある衆星がすべて揺動した。皇上が星象を観測する官に問うと、答えて言う――星辰が揺動するのは百姓が労苦する兆候です、と。後に朝廷が四方の夷族を討伐し、百姓は果たして兵革の役に苦しんだ。京房『易伝』は言う――星は陰陽の精華・万物の形体・五行の形象である。形体は下界に在り、精光は上天に照る。百官の命運は各々その本源の星宿に依る。星が飛び星が行き常度を失えば、万民は安寧を得ない。大星が墜落するのは陽気が本位を失うことで、これは災害の萌す先兆である。補救の方は――人君は悔い改め、政事を反省し自らを責め、徭役を減省し、邦国を安んじ功臣を分封し、百姓を安んじることを先とすれば、諸宿の星は正位に帰る、と。京房『易伝』はまた言う――君主が賢人を任用しないとき、その妖異の応は、天より星が雨のように落ちることである、と。

祅占。《黃帝占》曰:祅者,五行之氣,五星之變,各見其方,以為災殃。各以五色占,知何國吉凶,必決矣。行見無道之國,失禮之邦,為飢為兵,水旱死亡之徵。《黃帝占》曰:凡祅所出,形狀不同,為殃一也。其出不過一年,若三年,必有破國屠城,其君死亡,天下反亂,戰死於野,積尸縱橫,餘殃不盡,為水旱、兵飢、疾疫之殃也。

妖異の星の占。『黄帝占』は言う――いわゆる「妖」とは、五行の気の化するもの・五星の常を失う変で、各々相応する方位に現れて、もって災殃を示すものである。青・赤・黄・白・黒の五色によって分かち占断すれば、どの国の吉凶かを知ることができ、必ず判定できる。妖星が運行して無道の国・礼を失う邦に顕現するのは、饑饉を主り・兵禍を主り、水旱と死亡の兆しである、と。『黄帝占』はまた言う――およそ妖星が現れるとき、形状は各々同じでないが、もたらす禍殃は同じである。それが出てから一年を経ず、あるいは三年、必ず国破れ城屠られる禍があり、その国の君主が死亡し、天下が反背して乱れ、士卒が荒野に戦死して屍が縦横に積み重なる。余る災殃が散じ尽きなければ、化して水旱・兵禍・饑饉と疫病の災いとなる、と。

天棓。《河圖》曰:歲星之精,流為天棓。班固《天文志》曰:歲星嬴而東南,變為天棓。石氏曰:天棓出,其國凶,不可舉事用兵。又曰:期三月,必破軍拔城。甘氏曰:天棓見,女主用事。

天棓(てんぱい)。『河図』は言う――歳星(木星)の精気が流散すれば、化して「天棓」となる、と。班固『天文志』は言う――歳星が運行して常度を超え東南に偏すれば、変じて天棓となる、と。石氏は言う――天棓が現れると、その分野の国に凶禍があり、大事を興し兵力を動かすことはできない、と。また言う――応期は三ヶ月、必ず軍隊の撃破され城池の攻め取られることがある、と。甘氏は言う――天棓が現れるのは、女主が権を当たり政を理める兆しである、と。

天槍占。《春秋緯》曰:歲星退而南,三月生天槍。陽亢變萌,義亂兵行,諸侯大橫,所見國,無用兵。《漢書天文志》曰:孝文帝時,天槍夕出西南。占曰:為兵喪亂。其六年十一月,匈奴入上郡雲中,漢起兵以衛京師。劉向曰:吳楚七國反。

天槍の占。『春秋緯』は言う――歳星が逆行して南に偏し、三ヶ月後に「天槍」を生ずる。これは陽気の亢盛・変異の萌生する象で、道義の敗壊・動乱の興起・兵馬の出行を主り、諸侯が極めて横暴となる。それが現れた分野の国は、兵を用いるに宜しくない、と。『漢書天文志』は言う――漢の文帝の時、天槍が夕暮れに西南方に現れた。占辞に――兵事・丧事と動乱を主る、と。文帝六年十一月、匈奴が上郡と雲中に侵入し、漢は兵を調べて京師を拱衛させた。劉向はこの天象を呉楚七国の反乱に応じたとした。

國皇。巫咸曰:國皇之大而赤,類南極老人也。《春秋考異郵》曰:國皇見東南,則兵起,天下急。司馬彪《天文志》曰:孝靈光和中,國皇見東南角,去地一二丈,如炬火狀,十餘日不見。占曰:國皇為亂,內外有兵喪,其後黃巾賊張角燒州郡,朝廷遣將討平,斬首十餘萬級。

国皇(こっこう)。巫咸は言う――国皇の星は形体が大きく色が赤を帯び、南極老人星に類似する、と。『春秋考異郵』は言う――国皇が東南方に現れれば、兵事の興起を主り、天下に急を告ぐ、と。司馬彪『天文志』は言う――漢の霊帝光和の間、国皇の星が東南の角に現れ、地を離れること一二丈、火炬の形の如く、十数日して見えなくなった。占辞に――国皇は動乱を主り、朝廷の内外に兵事と丧事がある、と。この後、黄巾の張角が州郡を焼き、朝廷は将を遣わして討伐して平定し、十余万級を斬った。

蚩尤旗。《河圖》:熒惑之精,流為蚩尤旗,類彗而後委曲,象旗也。《說苑》曰:蚩尤旗,五星盈縮之所生。夏氏曰:四望無雲,獨見赤雲,蚩尤旗也。《黃帝占》曰:蚩尤旗,本類彗而後委曲,象旗幡,長可二三丈。見則王者旗鼓大行,征伐四方,兵大起。不然,國有大喪,期三年,中五年,遠七年。魏高貴鄉公元年,有白氣出南北側,廣數丈竟天。王肅曰:蚩尤旗也,東方有亂乎?後毋丘儉據淮南以叛。《春秋運斗樞》曰:蚩尤旗干太微,法滅,帝死於野。

蚩尤旗。『河図』は言う――熒惑(火星)の精気が流散すれば、化して「蚩尤旗」となる。形状は彗星に類似して尾部が曲がり、旗一面のようである、と。『説苑』は言う――蚩尤旗は五星の運行の盈縮が常を失うことより生ずる、と。夏氏は言う――四方望んでも雲がなく、ただ一片の赤雲を見るとき、それがすなわち蚩尤旗である、と。『黄帝占』は言う――蚩尤旗は本体が彗星のようで尾部が曲がり、旗幡の姿の如く、長さおよそ二三丈である。それが現れると、君王が大いに旌旗・戦鼓を挙げて四方を征伐し、兵事が大いに興る兆しである。もしそうでなければ、国に大喪がある兆しで、応期三年、中は五年、遠くは七年である。曹魏の高貴郷公の元年、白気が南北両側より起こり、幅は数丈に達して長空を横貫した。王粛は言う――これは蚩尤旗である。東方におそらく変乱があるであろう、と。後に毌丘倹が果たして淮南に拠って反逆した。『春秋運斗枢』は言う――蚩尤旗が太微垣を侵犯するのは、法度の廃滅を主り、皇帝が野外に死する兆しである、と。

天讒占。甘氏曰:天讒在西南,長數丈,左右銳,出而易處。京房曰:天讒出其下,相讒為兵,赤地千里,枯骨籍籍。《漢書天文志》曰:天讒為天喪。(一雲兵喪。)

天讒の占。甘氏は言う――天讒の星が西南方に現れ、長さ数丈、左右両端が鋭く、現れた後に位置を移し替える、と。京房は言う――天讒がどこかの上空に現れれば、そこの人は互いに讒毁して兵禍を引き起こし、赤地千里・白骨が遍地に狼藉する、と。『漢書天文志』は言う――天讒は上天の降す喪亡を主る、と(もう一つの説では兵事と丧事を主るという)。

旬始。《說苑》曰:旬始,五星盈縮之所生也。巫咸曰:旬始出於北斗旁,狀如雄雞,其怒有青黑,象伏鱉。《春秋合誠圖》曰:黃彗分為旬始,為立王之題,主亂主招橫,見則臣亂兵作,諸侯虐,期十年,聖人起伐,群猾橫恣。《春秋考異郵》曰:旬始照其下,必有滅王。《漢天文志》曰:旬始如鱉,一見群猾橫恣。《玄冥占》曰:有如雄雞,其色赤黃,其名曰旬始,則天下有兵,其國不寧,期三年。

旬始(じゅんし)。『説苑』は言う――旬始は五星の運行の盈縮が常を失うことより生ずる、と。巫咸は言う――旬始は北斗の傍に現れ、形状は一羽の雄鶏のようである。それが怒るときは青黒の色を帯び、形は地に伏す鼈のようである、と。『春秋合誠図』は言う――黄色の彗気が分化して旬始を出す。それは新王を擁立する標記で、動乱を主り・横暴を招く。現れると臣下の作乱・兵禍の興作を主り、諸侯が暴虐となり、応期は十年、その間に聖人が兵を起こして討伐し、一群の奸猾の徒が横行放肆する、と。『春秋考異郵』は言う――旬始がどこかを照臨すれば、そこに必ず君王の滅ぶることがある、と。『漢天文志』は言う――旬始は形状が鼈のようで、一旦現れると群奸が横行放肆する、と。『玄冥占』は言う――一種の星は形が雄鶏の如く、色は赤黄、名を旬始という。それが現れると天下に兵事のあることを主り、その国は安寧を得ず、応期三年である、と。

天狗。《黃帝占》曰:天狗者,五星之氣,出西南,金火氣合,名曰天狗。孟康曰:天狗有尾,旁有短彗,下有如狗下食血,其軍必敗。石氏曰:西北有星,長三丈而出,水金氣交,名曰天狗,見則大兵起,天下大飢,人相食。石氏曰:夫天狗所下之處,必有大戰,破軍殺將,伏尸流血,天狗食之。皆期一年,中二年,遠三年,各以其所下之國占之。郄萌曰:出狀赤白有光,即為天狗,其下小小無足。所下之地,必流血,國易政。

天狗(てんぐ)。『黄帝占』は言う――天狗は五星の気の化するもので、西南方に現れ、金気と火気が相合して成り、名を天狗という、と。孟康は言う――天狗には尾があり、傍に短い彗芒を帯び、下端は一疋の狗が身を俯せて血を舐めるようである。それに遭う軍隊は必ず敗戦する、と。石氏は言う――西北方に星があって、長さ三丈にして現れるのは、水気と金気の交合して成るもので、名を天狗という。それが現れると大規模な兵事の興起を主り、天下に大饑饉があり、人が人を食う、と。石氏はまた言う――およそ天狗の墜落する所には、必ず大戦があり、軍隊が撃破され・将が殺され、屍が横たわり鮮血が遍く流れ、天狗に呑食されるが如くである。これらはすべて一年で応じ、中は二年、遠くは三年、各々その墜落に対応する国によって占断する、と。郄萌は言う――現れる時に形状が赤白にして光あるものが、すなわち天狗である。その下端は小さく脚なく、それが墜落する所は必ず血が流れ、国家は政権を換える、と。

《漢天文志》曰:哀帝時著天白氣,廣如一匹布,長十餘丈,如雷,西南行止,名曰天狗。傳曰:言之不從,則有狗禍、詩祅。其年人相驚動,喧譁奔走。《春秋緯》:天狗如犬奔有聲,望之如火,見則四方相射。《漢史》云:西北有三丈如火,名曰天狗,出則人相食。《天官》云:天狗狀如犬。《鏡星》又曰:大流星,有聲,其止地,類狗所墜,如火光中天。其下圓,如數頃田處,上銳,見有黃色,千里破軍殺將。《漢史》又曰:昭明,下為天狗,兵起流血,占昭明。《洛書》曰:昭明見,霸者出。《運斗樞》曰:昭明有芒角征也。《河圖》曰:太白散為天狗。又曰:有出其狀赤白有光,則為天狗。其下小無足,所下國易主。貞觀十三年正月三日日午,東南方有聲如雷,久而方絕。參驗此徵,多是天狗下,眾說不同,未詳孰是。推亂亡之運,此其必天狗乎。

『漢天文志』は言う――漢の哀帝の時、天上に一道の白気が現れ、幅は一匹の布の如く、長さ十余丈、声は雷鳴の如く、西南に向かって運行して後に留まり、名を天狗という、と。伝文に――言語が正理に合わなければ、狗妖の禍と歌謡の妖が起きる。その年、人々は互いに驚き乱し、諠譁して奔走した、と。『春秋緯』は言う――天狗は狗のように走りて声響を帯び、望むと一団の火のようである。それが現れると四方の互いに攻射するを主る、と。『漢史』は言う――西北方に長さ約三丈・形状が火のようなものがあって、名を天狗という。それが現れると人が人を食うを主る、と。『天官書』は言う――天狗の形状は犬のようである、と。『鏡星』はまた言う――大流星があって、声響を帯びて地上に墜落し、一条の狗が落ちるようで、火光が半空を照らす。落ちた所は下部が円く広く約数頃の田ほどで、上部は鋭く、望むと黄色を帯び、千里の内で軍隊の破れ・将の殺されることを主る、と。『漢史』はまた言う――昭明星が降下すれば天狗となり、兵事の興起・血流成河を主る。これは昭明を占う説である、と。『洛書』は言う――昭明が現れると、覇を称する者の興起を主る、と。『運斗枢』は言う――昭明星が芒角を帯びるのが、その徴験である、と。『河図』は言う――太白(金星)の精が散じて天狗となる、と。また言う――星が現れて、形状が赤白にして光あるものがすなわち天狗である。それは下部が小さく足なく、墜落する国は君主を換える、と。唐の貞観十三年正月三日正午、東南方に雷鳴の如き声があって、久しくして止んだ。上面のこれらの徴験に照らして見れば、多くは天狗の墜落である。ただ各家の説が同じでないため、いずれが正しいかまだ分からない。もし乱亡の気運に依って推断するならば、これは恐らく必ず天狗であろう。

枉矢。《說苑》曰:枉矢,五星盈縮之所生也。巫咸曰:枉矢,類大流星,色蒼黑,蛇行,望之如有毛,(一雲目。)因長數匹,著天。《海中占》曰:枉矢,類流星,望之有毛目,可一匹布,皎皎著天。見則天下兵大起。將出,弓弩用,期三年。《漢天文志》云:枉矢所觸,天下之所伐射,滅亡之象也。又曰:枉矢流,以伐亂。又云項羽救鉅鹿,枉矢西流。占曰:枉矢所觸,天下之所伐射,滅亡之象也。物類莫直於矢,今蛇行不能直,矢而枉者,執矢者不正矣,以象項羽執正亂也。

枉矢(おうし)。『説苑』は言う――枉矢は五星の運行の盈縮が常を失うことより生ずる、と。巫咸は言う――枉矢は大流星に類似し、色は蒼黒で、行く時は蛇のように弯曲し、望むと茸毛が生えているようである(もう一つの説では眼睛が長じているようだという)。長さ数匹の布で、緊密に天空に貼り付く、と。『海中占』は言う――枉矢は流星に類似し、望むと茸毛と斑目があり、約一匹の布の長さで、明るく天に附している。それが現れると天下の兵事の大起を主る。それが現れようとする時、弓弩がまさに動用されようとし、応期三年である、と。『漢天文志』は言う――枉矢の触れる所は、すなわち天下の征伐し射殺せんとする対象で、滅亡の象徴である、と。また言う――枉矢が流れるのは、乱賊を討伐するためである、と。また項羽が巨鹿を救援した時、枉矢が西に向かって流れたと言う。占辞に――枉矢の触れる所は、すなわち天下の討伐せんとする対象で、滅亡の象徴である。万物の中で箭より直いものはないが、今この「箭」は蛇行して直くことができない。箭が曲がるとは、箭を執る者が正しくないことを説明し、ちょうど項羽が不正の身をもって撥乱の権を執ったことを象徴する、と。

天鋒。宋均曰:天鋒,彗象矛鋒也。《洪範五行傳》曰:漢昭帝時,天鋒出西方天市,東行過河鼓,入營室中,佔有亂臣戮死。後左將軍上官傑與燕王謀反伏誅。

天鋒(てんぽう)。宋均は言う――天鋒はすなわち形状が矛の尖のような彗星である、と。『洪範五行伝』は言う――漢の昭帝の時、天鋒が西方の天市垣に現れ、東に向かって運行して「河鼓」星を経て、「営室」宿の中に入った。占断は――乱臣が誅殺される、と。後に左将軍上官桀と燕王劉旦が謀反し、果たして法に伏して誅された。

蓬星。《荊州占》曰:蓬星,一名王星,狀如夜火之光,多則四五,少則二三。一曰:蓬星在西南,長數丈,左右有光,出而易處。《漢書天文志》曰:景帝中三年六月壬戌,蓬星見西南,在房南,去房可二丈,大如二斗器,白色;癸亥,在心東北,可丈所;甲子,在尾北,可六尺;丁卯,在箕北,近漢稍小,且去時大如桃;壬申,去,凡十日。占曰:蓬星出,必有亂臣。房心間,天子宮也,是時梁王欲為漢嗣,使人殺漢諍臣袁盎,漢欲誅梁大臣,斧鉞用,梁王恐懼,乘車入關,伏斧鑕謝罪,然後得免也。

蓬星(ほうせい)。『荊州占』は言う――蓬星はまたの名を王星といい、形状は夜の火光のようで、多い時は四五顆、少ない時は二三顆ある、と。もう一つの説――蓬星は西南方に現れ、長さ数丈、左右に光があり、現れた後に位置を移し替える、と。『漢書天文志』は言う――漢の景帝中元三年六月壬戌の日、蓬星が西南方に現れ、房宿の南に位置して、房宿を距ること約二丈、大きさは二斗を盛る器皿のようで、白色であった。癸亥の日、心宿の東北に移り、相距ること約一丈。甲子の日、尾宿の北に在り、相距ること約六尺。丁卯の日、箕宿の北に在り、銀河に近づいてやや小さくなり、まさに去ろうとする時の大きさは桃の如し。壬申の日に去った。前後計十日であった。占辞に――蓬星が現れれば、必ず乱臣がある。房宿と心宿の間は、まさに天子の宮廷である。当時、梁孝王は漢朝の皇位継承者になろうとして、直諫を敢えてする漢臣袁盎を刺殺する人を遣わした。朝廷は梁国の大臣を誅殺しようとして、斧鉞の刑がまさに動用されようとした。梁王は恐懼して、車に乗って関に入り、斧質の上に伏して罪を謝し、その後に禍を免れた、と。

気候の占(氣候占)第五十一

赤黃氣出紫微宮天皇大帝星上,有立王。赤氣潤澤入紫微宮天皇星上,如刀劍,天子有喜,皇后懷孕事。赤黃氣出紫微宮中東西蕃星,天子用錢賜諸侯王,又云兵起。赤氣出紫微宮中勾陳星上,兵起。

赤黄色の雲気が紫微宮の「天皇大帝」星の上より昇るのは、新王が擁立される兆しである。赤色にして潤沢の雲気が紫微宮に入り、天皇大帝星の上に罩み、形状が刀剣のようなのは、天子に喜慶があり・皇后が懐妊する兆しである。赤黄色の雲気が紫微宮の中の東蕃・西蕃の諸星より昇るのは、天子が銭財をもって諸侯王に賞賜する兆しである。もう一つの説では兵事の興起を主るという。赤色の雲気が紫微宮の中の「勾陳」星の上より昇るのは、兵事の興起する兆しである。

黃白氣潤澤,如刀劍形,入紫微宮,守禦女星上,天子有男喜事。黃白氣正圓如杯碗,入紫微宮中,有立侯王。一云:天子有璧玉事。黃白氣入紫微宮中,有立侯王。白氣如龍如風或類獸飛鳥,入紫微宮,皆神氣,客喜。黃白如杯碗正圓,入紫宮,倖臣有奉獻美食。蒼白氣入紫微宮,其禍除;或入長垣,胡人兵起。

黄白色の雲気が潤沢鮮明で、形状が刀剣のようで、紫微宮に入って「御女」星の上に止まるのは、天子に男子誕生の喜びのある兆しである。黄白色の雲気が正円で杯碗の如く、紫微宮の中に入るのは、侯王が擁立される兆しである。一説では天子が璧玉を賜る事のある兆しという。黄白色の雲気が紫微宮の中に入るのは、侯王が擁立される兆しである。白色の雲気が龍のよう・風のよう、あるいは走獣・飛鳥のようで、紫微宮に入るのは、これらは皆神霊の気で、遠来の賓客が喜事をもたらす兆しである。黄白色の雲気が杯碗のように正円で、紫宮に入るのは、寵愛を受ける臣子が美食を進献する兆しである。蒼白色の雲気が紫微宮に入るのは、もとの禍患が消除する兆しである。もし「長垣」星に入れば、北方の胡人が兵を起こす兆しである。

蒼白氣入勾陳中,大司馬戮死。赤氣出勾陳中,大將戰有功。白氣入勾陳中,天子立宗廟事。黃白氣出勾陳中,兵在外告罷事。黃白氣入勾陳中,將不戰。黑氣入勾陳中,大司馬軍中死事。黑氣入勾陳中,其禍除。

蒼白色の雲気が「勾陳」星の中に入るのは、大司馬が殺される兆しである。赤色の雲気が勾陳の中より昇るのは、大将が戦って功を立てる兆しである。白色の雲気が勾陳の中に入るのは、天子に宗廟を建立する事のある兆しである。黄白色の雲気が勾陳の中より昇るのは、外で征戦する軍隊が罷兵を奏報する兆しである。黄白色の雲気が勾陳の中に入るのは、将領が開戦しない兆しである。黒色の雲気が勾陳の中に入るのは、大司馬が軍中に死する兆しである。黒色の雲気が勾陳の中に入るのは、またもとの禍患が解除を得る兆しである。

蒼黑氣入北斗魁中,貴臣下獄事。蒼白黑氣出北斗魁中,大臣禁者其禍除。赤氣入北斗魁中,大臣斧鑕斬者。黃氣入北斗魁中,天子出惡令。黃白氣入北斗魁中,天子左右倖臣有囚者遇德令。黃白氣入北斗魁中,集輔星,相有喜。赤氣集輔星,相有斧鑕之誅。黃白氣集輔星,相擾。

蒼黒色の雲気が北斗の魁星の中に入るのは、貴臣が下獄される兆しである。蒼白と黒色の雲気が北斗魁の中より昇るのは、囚われた大臣の禍患が解除を得る兆しである。赤色の雲気が北斗魁の中に入るのは、大臣に斧質に斬殺される者のある兆しである。黄色の雲気が北斗魁の中に入るのは、天子が厳苛な政令を頒下する兆しである。黄白色の雲気が北斗魁の中に入るのは、天子の身辺の囚繫される寵臣が施恩の詔令に遇う兆しである。黄白色の雲気が北斗魁の中に入って「輔」星の上に聚まるのは、丞相に喜事のある兆しである。赤色の雲気が輔星の上に聚まるのは、丞相に斧質に誅殺される禍のある兆しである。黄白色の雲気が輔星の上に聚まるのは、丞相が侵擾を受ける兆しである。

蒼白氣出東西掖門,天子憂喪事;出太微中,其禍除。黃白氣潤澤入太微中,天子有喜事。赤黃氣入太微,天子用錢賜玉。赤黃氣如箕帚,出太微中,天子用錢賜美女。赤氣如杯碗正圓光明,出太微中,天子用璧賜諸侯。氣上赤下白,大如井口,從外入,壓太微庭者,邪臣氣;其氣直者,貴臣氣;出東掖門者,兵起,將受命。

蒼白色の雲気が太微垣の東掖門・西掖門より昇るのは、天子が丧事を憂うる兆しである。もし太微垣の中より昇れば、もとの禍患が消除する兆しである。黄白色の雲気が潤沢鮮明にして太微垣の中に入るのは、天子に喜慶の事のある兆しである。赤黄色の雲気が太微垣に入るのは、天子が銭財をもって玉器を賞賜する兆しである。赤黄色の雲気が形は簸箕と掃帚の如く、太微垣の中より昇るのは、天子が銭財をもって美女を賞賜する兆しである。赤色の雲気が杯碗のように正円にして明るく、太微垣の中より昇るのは、天子が玉璧をもって諸侯を賞賜する兆しである。雲気が上部は赤く下部は白く、大きさは井口の如く、外より入って来て太微垣の庭を圧するのは、これは奸邪の臣の気である。その気の笔直なのは、貴臣の気である。東掖門より出て行くのは、兵事の興起を主り、将帥が命を受けて出征する兆しである。

赤氣出太微中,兵起。一曰立王。赤氣入東西掖門,內亂兵起,入,主且有喜事,天必應之以雲光影。黃白出宮上,若旗有光,人主有大喜,延年益壽。赤黃氣入太微,潤澤如帚,婦女喜。黃白氣如杯碗,入太微,天子有壁玉喜。黃白氣類走獸飛鳥,入太微,皆神氣,客喜。黃白氣入太微東西掖門,天子喜獻見戰。黃白氣如杯碗正圓,入太微,有獻美女者。黃白氣太微中,有立王。黑氣如蛇蚨及龍形,在太微庭中宮闕上者,白衣之會,其同章環太微天庭而入,殺主有喪,此氣皆奸臣讒賊之氣。黃白氣出東西掖門,天子同德令。一曰:雲如鳥口在太微,有人為外應。黑氣入東西掖門,大人憂。

赤色の雲気が太微垣の中より昇るのは、兵事の興起を主る。一説では新王を擁立する兆しという。赤色の雲気が東・西掖門に入るのは、内乱して兵が起こる兆しである。気が入った後、君主にまさに喜事があるであろう。上天は必ず云彩・光影をもって相応ずる。黄白色の雲気が宮殿の上空に現れ、形状が旗幟のようで光あるのは、君主に大喜があり、延年益壽する兆しである。赤黄色の雲気が太微垣に入り、潤沢鮮明にして形が掃帚のようなのは、婦女に喜びのある兆しである。黄白色の雲気が杯碗の如く、太微垣に入るのは、天子に璧玉を得賜する喜びのある兆しである。黄白色の雲気が形は走獣・飛鳥の如く、太微垣に入るのは、皆神霊の気で、遠客が喜事をもたらす兆しである。黄白色の雲気が太微垣の東・西掖門に入るのは、天子が戦功の献捷を得る喜びのある兆しである。黄白色の雲気が杯碗のように正円で、太微垣に入るのは、美女を進献する者のある兆しである。黄白色の雲気が太微垣の中に現れるのは、新王が擁立される兆しである。黒色の雲気が形は蛇・蝮および龍の様子で、太微庭の中の宮闕の上に現れるのは、丧事の集会のある兆しである。その気が一片に結成し、太微天庭を環繞して侵入するのは、君主が殺されて喪のある兆しで、この類の気は皆奸臣と讒賊の気である。黄白色の雲気が東・西掖門より昇るのは、天子が同じく恩徳を施す詔令を頒布する兆しである。もう一つの説――雲の形状が鳥口のようで太微垣に現れるのは、外に応接する者のある兆しである。黒色の雲気が東・西掖門に入るのは、大人物に憂患のある兆しである。

蒼白氣如走獸,入太微坐旁,天子旁有反者。蒼白氣如走獸,入太微坐旁,有反者。蒼白氣如走獸,入抵太微坐,天子有憂。蒼白氣入抵太微坐,天子喪事。赤青氣出五帝座,出南者,不出九十日,人君失其宮,天下不安。赤氣直指太微座,諸侯內亂。青氣赤氣出五帝下,入倖臣中,不出六十日,近臣欲有謀其君者,氣不明者不成,其明者死亡,天下大亂。黃氣出太子座,不出六十日,太子即位。黑氣抵太微座左右,諸侯死。

蒼白色の雲気が形は走獣の如く、太微垣の帝座の傍に入るのは、天子の身辺に反逆する者のある兆しである。蒼白色の雲気が形は走獣の如く、帝座の傍に入るのは、反逆する者のある兆しである。蒼白色の雲気が形は走獣の如く、入って来て太微垣の帝座に抵るのは、天子に憂患のある兆しである。蒼白色の雲気が入って来て帝座に抵るのは、天子に丧事のある兆しである。赤青色の雲気が「五帝座」より昇り、南辺より昇るのは、九十天を出ずに、人君がその宮室を失い、天下が安寧を得ない兆しである。赤色の雲気が笔直に太微垣の帝座を指すのは、諸侯が内部で作乱する兆しである。青色と赤色の雲気が五帝座の下方より昇り、寵臣の星位の中に入るのは、六十天を出ずに、近臣が君主を図謀する兆しである。気が明亮でなければ陰謀は成らず、気が明亮ならば君主の死亡を主り、天下が大いに乱れる兆しである。黄色の雲気が「太子座」より昇るのは、六十天を出ずに、太子が即位する兆しである。黒色の雲気が太微垣の帝座の左右に抵るのは、諸侯が死亡する兆しである。

蒼白氣入郎位,中兵起。赤氣出郎位,多用兵,遠出行。黃氣潤澤入郎位,中郎位受賜。黑氣入郎位,多有死者。蒼白氣入天棓,有喪。蒼白黑氣出天棓,其禍除。赤氣入天棓,兵起大將戮死。黑氣入天棓,大人憂。

蒼白色の雲気が「郎位」諸星に入るのは、宮禁の中に兵事の興起する兆しである。赤色の雲気が郎位より昇るのは、大量に兵を用い、遠く行って出征する兆しである。黄色にして潤沢の雲気が郎位に入るのは、中郎一班の宿衛の臣が賞賜を得る兆しである。黒色の雲気が郎位に入るのは、死亡する者の多い兆しである。蒼白色の雲気が「天棓」星に入るのは、丧事のある兆しである。蒼白と黒色の雲気が天棓より昇るのは、もとの禍患が消除する兆しである。赤色の雲気が天棓に入るのは、兵事の興起・大将の殺される兆しである。黒色の雲気が天棓に入るのは、大人物に憂患のある兆しである。

黃氣入玄床,後宮有子喜。白氣有喪。黑氣出女床,後宮有死者。青氣後宮病。青白氣出貫索中,其禍除。赤氣入貫索中,有內亂兵起。黃白氣入貫索中,天子喜。黃氣入貫索中,大人惡之。

黄色の雲気が「女床」星に入るのは、後宮に子を生む喜びのある兆しである。白色の雲気が入るのは、丧事のある兆しである。黒色の雲気が女床より昇るのは、後宮に死する者のある兆しである。青色の雲気が現れるのは、後宮に病める者のある兆しである。青白色の雲気が「貫索」星の中より昇るのは、もとの禍患が消除する兆しである。赤色の雲気が貫索の中に入るのは、内乱して兵の起こる兆しである。黄白色の雲気が貫索の中に入るのは、天子に喜びのある兆しである。黄色の雲気が貫索の中に入るのは、大人物がこの象を悪む兆しである。

蒼白黑氣出天市,其禍除,萬物賤。赤氣入天市,有斧鑕之事。赤氣入天市,有火憂。赤氣入天市,五兵器大貴。赤氣入天市中,有斧鑕之事。赤氣入天市,兵弩貴。黃白氣長二尺如繒布,常集天市,有神奇物者,天子有喜。

蒼白と黒色の雲気が「天市垣」より昇るのは、もとの禍患が消除し、百物の価が賤くなる兆しである。赤色の雲気が天市垣に入るのは、斧質の刑戮の事のある兆しである。赤色の雲気が天市垣に入るのは、火災の憂いのある兆しである。赤色の雲気が天市垣に入るのは、刀・剣・矛・戟・矢などの五種の兵器の価格が大いに漲る兆しである。赤色の雲気が天市垣の中に入るのは、斧質の刑戮の事のある兆しである。赤色の雲気が天市垣に入るのは、兵器と弓弩の価が貴い兆しである。黄白色の雲気が長さ二尺で、一段の繒布のようで、常に天市垣に聚集するのは、神奇の物の出現し・天子に喜びのある兆しである。

蒼白氣入南斗,多大風。赤氣入北斗,兵起及宗廟有火憂,大旱。黑氣入北斗,天子使諸侯。歲星出芒,氣長三丈,三日雨,王者不安;熒惑出芒,氣長一丈,百日旱;填星出芒,氣長四丈,有土功事;太白出芒,氣長三丈至六丈,大風雨起所指處;晨星出芒,氣長一丈,大水。

蒼白色の雲気が南斗に入るのは、大風の多い兆しである。赤色の雲気が北斗に入るのは、兵事の興起および宗廟に火災の憂いのある兆しで、天下に大旱がある。黒色の雲気が北斗に入るのは、天子が使者を遣わして諸侯に出使する兆しである。歳星(木星)が芒角を射出し、気の長さ三丈のは、三日内に雨の降る兆しで、君王が安寧を得ない。熒惑(火星)が芒角を射出し、気の長さ一丈のは、百日の乾旱の兆しである。填星(土星)が芒角を射出し、気の長さ四丈のは、土木の工程の事のある兆しである。太白(金星)が芒角を射出し、気の長さ三丈から六丈のは、芒角の指す所に大風雨の起こる兆しである。晨星(水星)が芒角を射出し、気の長さ一丈のは、大水の発する兆しである。

雲の占(雲占)第五十二

雲如匹布而行,若南,若東,若北,若西,郡上者,其君有憂,必有精以去。四望無雲,獨見赤雲如立蛇,其下有流血出戰。四望無雲,獨見赤雲如覆船,亦其下有戰。赤雲氣如光影見者,臣叛,不過三年。赤雲氣主兵將死,客勝,主人敗。

雲が一匹の布のように飄行して、あるいは南に、あるいは東に、あるいは北に、あるいは西に、ある郡の上空を経れば、そこの長官に憂患があり、必ず精誠の禳解があって免れることができる。四方望んでも雲がなく、ただ一片の赤雲が直立する蛇のようなのを見るのは、その下方の地区に流血の戦事のある兆しである。四方望んでも雲がなく、ただ一片の赤雲が翻覆した船のようなのを見るのも、またその下方に戦事のある兆しである。赤色の雲気が光影のように顕現するのは、臣下が反逆する兆しで、三年を出ない。赤色の雲気が現れるのは、守る方の軍隊の将領がまさに死し、客軍が勝利を得・主軍が敗落する兆しである。

赤氣覆日如血光,大旱,人民飢千里。黑氣如大道一條,至長明,不見頭尾東西者,不過三朔,大赦天下。黑氣如群羊豬魚,四夷不順。黑氣如斗如群馬蛇變化,為疾疫,人民亡,不宜乳婦,夷兵欲欺中國,宜遣伺候,讒言為惡。

赤気が太陽を罩め、一片の血光のようなのは、大旱の兆しで、千里の内で百姓が饑饉する。黒気が一条の大路のようで、極めて長く分明で、東西両端の頭尾が見えないのは、三ヶ月を出ずに天下に大赦のある兆しである。黒気が形は群れる羊・猪・魚のようなのは、四方の夷族が帰順しようとしない兆しである。黒気が形は斗器のようで、また群れる馬と蛇のように変化が定まらないのは、疾疫の流行し・百姓が死亡する兆しで、哺乳する婦人に対して特に不利である。また夷族の兵が中原を欺侮しようとする兆しで、人を遣わして偵察・守候し、ならびに讒言の悪をなすを備えるべきである。

雲如一匹布竟天,天下兵起。四望無雲,獨見黑雲極天,兵大起。雲半天,兵起天溝,不出三日,大雨,雨後不占。四望無雲,見赤雲如燭火,其下戰流血死。

雲が一匹の布のように長空を横貫するのは、天下に兵事の興起する兆しである。四方望んでも雲がなく、ただ黒雲が天際に布き満ちるのを見るのは、兵事の大起の兆しである。雲が半個の天空を遮るのは、兵事が天溝一帯に起こる兆しで、三日を出ずに大雨がある。雨が降った後は、これに依って占断しない。四方望んでも雲がなく、ただ赤雲が燭火のようなのを見るのは、その下方に戦事があり、流血して死する兆しである。

日濛濛無光,士卒內亂,將軍循法度,察有功以自明,及有內發,止嚴刑而伺奸人謀議。天陰沉不降雨,晝不見日,夜不見星月,三日已上,陰謀起,將慎左右及敵使;陰五日至七日,有陰謀蔽,將奪其權,此有篡殺事。

太陽が昏濛して光なきは、士卒が内部で作乱する兆しである。将軍は法度に遵い、功ある者を考核して自ら公正なるを表すべきで、内乱が中より発動するを待ったら、厳刑を停用し、暗中に奸人の密謀を偵察すべきである。天色が陰沈して雨が降らず、白天に太陽が見えず・夜に星月が見えず、このように三日以上連続するのは、陰謀の興起する兆しで、主将は身辺の者と敵方の派す使者を提防すべきである。陰沈が五天から七天のは、陰謀が遮蔽されていることを説明し、将領の兵権が奪去され、これは簒位・弑殺の事のある徴象である。

天陰,日月俱無光,晝不見日,夜不見星,有雲障之而不雨,此為君臣俱有陰謀,兩敵相當,陰相圖議;若晝陰夜月出,君謀臣;若夜陰晝日出,臣謀君。白氣如帶一道竟天,有暴兵;白蛇出,長盡天,必有暴兵流血;白蛇夜出,其年兵起。

天色が陰晦し、日月ともに光なく、白天に太陽が見えず・夜に星星が見えず、雲に遮蔽されて雨が降らないのは、これは君と臣の双方がともに陰謀を懐いていることである。もし両軍が対峙すれば、すなわち互いに暗中に図謀し計算し合うことである。もし白天が陰晦して夜に月亮が出れば、君主が臣下を図謀する兆しである。もし夜が陰晦して白天に太陽が出れば、臣下が君主を図謀する兆しである。白気が一条の帯のように長空を横貫するのは、暴乱の兵のある兆しである。白色で蛇の如き気が現れ、長く天空に布き満ちるのは、必ず暴兵が流血する。白蛇状の気が夜間に現れるのは、その年に兵事の興起する兆しである。

濛霧者,邪氣陰來沖陽,奸臣謀其君。在天為濛,在人為霧,日月不見為濛,前後人不見為霧。濛者,氣也,臣以為非法,亂君政,霧從夜半至,日中不解,遂止,為君不悟,臣行邪政於百姓。過日中而似雨,臣強;夜濛晝明,臣謀君;晝濛夜明,臣得志。

いわゆる「濛霧」とは、陰邪の気が上に冲犯して陽気に及ぶもので、奸臣がその君主を図謀することを象徴する。天上では「濛」と呼び、人間では「霧」と呼ぶ。日月が遮られて見えないのを「濛」といい、前後の人が互いに見えないのを「霧」という。濛はすなわち気であり、それが現れるのは臣下が行事に法度に合わず、君主の政令を擾乱することを表示する。霧が半夜より瀰漫し始め、正午に至っても消散せず、随後して止むのは、これは君主が醒悟できず・臣下が百姓に対して邪僻な政令を推行する徴象である。正午を過ぎて雨が降りそうなのは、臣下の強横を主る。夜に濛が起こって白天が晴明なのは、臣下が君主を図謀する兆しである。白天に濛が起こって夜が晴明なのは、臣下が志を得る兆しである。

黃雲霧蔽北斗,明日雨。赤雲掩北斗,明日大熱殺人。白雲掩北斗,不過三日雨。青雲掩北斗,立雨;天下無雲,晴;北斗上中下獨有雲,後五日大雨。

黄色の雲霧が北斗を遮蔽すれば、翌日雨が降る。赤色の雲が北斗を掩えば、翌日は酷熱して人を熱死させ得る。白色の雲が北斗を掩えば、三日を出ずに雨が降る。青色の雲が北斗を掩えば、即ち就中雨が降る。天上一片に雲なければ、晴天である。ただ北斗の上・中・下の三処に雲があれば、五天の後に大雨がある。

乙巳占 巻第九

《易》曰:天垂象,見吉凶,聖人則之。又云:觀乎天文,以察時變;觀乎人文,以化成天下。故伏羲畫卦,以定逆順之徵;軒轅設圖,實著陰陽之道。蓋大聖所以通天地之至理,極造化之能事,體妙綴於神機,作範擬於繫象。唯神也,故冥賾可尋;唯機也,故幽玄可驗。至若仰觀俯察,輔國利民,觀毫考微,全身保命,探禍福之源,徵成敗之數,賢達所尚,由來久矣。淳風不揆庸昧,少而研習,雖著作十餘,而每多繁雜,輒以負薪餘日,綴集眾書,考論群氏,錯綜黃咸,博聞甘石,及以三都鬼谷,王霸高宗;略其旨要,撮錄秘驗,吉凶勝負,以類相從,勒為一部,聊備遺忘,並指圖略,例示二三。好道畏命,時或覽焉,審能精之,萬不遺一也。

『周易・繋辞』に――天は天象を垂示し、吉凶を顕現し、聖人はそれに取法する、と。『周易・賁卦・彖伝』はまた言う――天文を観察して、もって四時の変化を考察し、人文を観察して、もって天下を教化し・風俗を成就する、と。故に伏羲は八卦を画き、もって逆と順の徴兆を判定し、軒轅黄帝は星図を設立し、実に陰陽の道を彰明にした。大聖人はまさにこれを藉りて天地の至理を貫通し、造化の能事を窮め、精微の体察を神妙の枢機に係り、法度の制作を卦爻の象に比拟した。まさにそれが神妙であるがゆえに、幽深難測の理が尋求できる。まさにそれが枢機あるがゆえに、玄遠の事が検証できる。仰ぎて天象を観・俯して地理を察し、国家を輔助し・百姓を利益し、毫末を観察し・細微を考究し、自身を保全し・性命を護り、禍福の根源を探求し・成敗の定数を検験する。これは歴来の賢達の士の推重するところで、由来すでに久しい。私李淳風は自らの平庸暗昧を量らず、年少の時より此の道を研習し、著述は十余種あるが、往々にして繁杂に失した。そこで柴を打ち労作する余の閑暇に乗じて、衆家の書を彙集し、諸家の学説を考訂・評議し、黄帝・巫咸の説を交錯綜合し、甘徳・石申の言を広く採り、および三都・鬼谷・王霸・高宗の諸家に及び、その中の要旨を撮取し、秘伝して霊験ある条目を摘録し、吉凶・勝負を門類に依って併せ帰し、編んで一部の書と成し、姑らくもって遺忘に備え、併せて図式の概要を附し、二三条を挙げて示例とした。此の道を好み天命を畏敬する者が、時おりそれを翻閲し、もし真に鑽研精熟できれば、万に一つの失もないことを能くするであろう。

帝王気象の占(帝王氣象占)第五十三

凡天子氣,內赤外黃,正四方所發之處,當有王者。若天子欲有遊往處,其地亦先發此氣,遠近數里,如法計之。吉凶以日辰相剋相生決期,亦如支干數法。天子氣如城門,隱隱在氣霧中,恆帶殺氣森森然。

およそ天子の気は、裏は赤を発し・外は黄を発し、端正に四方に対する。それの発する所のあの地方に、まさに王を称する者が出現すべきである。もし天子がまさに出游してある処に往かんとすれば、その塊の地方もまた予めこの種の気を発し、範囲の遠近は数里あり、法度に依って推算できる。吉凶はすなわち当日の干支の相生相克を用いて応期を判定し、また干支の数目を推算する方法と同じである。天子の気は形状が城門のようで、隠隠約約として霧気の中に藏れ、併せて常に森森たる殺気を帯びている。

天子氣如華蓋,在氣霧中,或有五色,又多在晨昏見。天子氣如千石倉,在氣霧中。凡王者氣發,常以王相日多,與時及日辰相生,其法並在略例中。天子氣五色如山鎮。天子氣如高樓在霧中。

天子の気は形状が「華蓋」のようで、すなわち帝王の車駕の上の傘蓋で、霧気の中に処り、ある時は五種の色を呈し、しかも多くは清晨と黄昏の時に現れる。天子の気は形状が千石を容るる糧倉のようで、霧気の中に処る。およそ王者の気の発出は、常に多く五行が旺・相に処る日に在り、併せて当時の時辰および日辰の干支と相生し、具体の方法は皆本書の『略例』の中に写されている。天子の気は五色を兼ね備え、一座の一方を鎮守する大山のようである。天子の気は形状が高楼のようで、霧気の中に隠現する。

《洛書》云:蒼帝起,青雲扶日;赤帝起,赤雲扶日;黃帝起,黃雲扶日;白帝起,白雲扶日;黑帝起,黑雲扶日。又云:氣象青衣人垂手,在日西,天子之氣。敵上氣如龍馬,雜色鬱鬱沖天者,此皆帝王之氣,不可擊。若在吾軍,戰必大勝。

『洛書』は言う――蒼帝が興起する時は、青雲が太陽を扶持する。赤帝が興起する時は、赤雲が太陽を扶持する。黄帝が興起する時は、黄雲が太陽を扶持する。白帝が興起する時は、白雲が太陽を扶持する。黒帝が興起する時は、黒雲が太陽を扶持する、と。また言う――雲気の形状が青衣を穿ち両手を垂れた人のようで、太陽の西に現れるのは、これは天子の気である。敵方の上空の雲気が形は龍馬の如く、雑色にして蓊鬱と直ちに天空に冲するのは、これらは皆帝王の気で、攻撃してはならない。もしこの種の気が我が軍の上空に現れれば、交戦すれば必ず大勝する、と。

范增云:漢祖氣皆為龍虎或五彩,此天子之氣也。又云:吾使人望沛公,其氣沖天,五色相摻,或似人,此非人臣之氣也。又云:氣如龜鳳大人,有五彩其形,隨王時發者,皆天子之氣,多上達於天。

范増は言う――漢高祖劉邦の頭上の雲気は皆龍虎の形をなし、あるいは五彩を呈す。これは天子の気である、と。また言う――私は人を遣わして沛公の雲気を観望させた。その気は雲天に直ちに冲し、五色が交雑し相い掺じ、ある時は人の形状のようである。これは人臣の有すべき気ではない、と。また言う――雲気の形状が亀のよう・鳳のよう・高大な人のようで、形体が五彩を帯び、併せて王者のまさに興るべき時に随って発出するのは、皆天子の気で、多くは上に向かって直ちに天際に通ずる、と。

将軍気象の占(將軍氣象占)第五十四

將軍之氣如龍,兩軍相當,若發其上,則其將猛銳如虎,在殺氣中。猛將欲行動,先發此氣;若無行動,亦有暴兵起,吉凶以日辰決之。猛將氣如火煙狀。猛將氣白,赤氣繞之。猛將氣如山林竹木。

将軍の気は形状が龍のようである。両軍が対峙する時、もしこの種の気がある一方の上空より発すれば、その一方の将領は勇猛鋭利で虎の如く、身は一片の殺気の中に処する。猛将がまさに行動あらんとする時、事に先んじてこの種の気を発する。もし行動が並びなければ、また暴乱の兵の興起する兆しである。吉凶は当日の干支を用いて判定する。猛将の気は火焰の升騰する煙のようである。猛将の気は色白く、四周に赤気が環繞する。猛将の気は山林の中の竹木のようである。

猛將氣紫黑如門樓,或上黑下赤,似黑旗。猛將氣如張弩。猛將氣如塵埃,頭銳而卑本大而高。兩軍相當,敵軍上氣如囷倉正白,見日益明者,猛將氣,不可擊。

猛将の気は紫黒色を呈し、一座の門楼のようで、あるいは上部が黒を発し下部が赤を発し、一面の黒色の旗幟のようである。猛将の気は張り開いた弩のようである。猛将の気は揚げたる塵埃のようで、頂端は鋭く低伏し、根部は粗大にして高聳する。両軍が対峙し、敵軍の上空の雲気が円形の穀倉のようで純白にして、太陽を見れば愈々明るいのは、これは猛将の気で、攻撃してはならない。

敵上氣黃白而轉澤者,將有盛德,不可擊。氣青白而高,將勇大戰;前白後青而高,將弱士勇;前大後小,將怯不明。敵上氣黑、中赤氣在前者,將精悍不可當。

敵方の上空の雲気が黄白色にして愈々転じて潤沢なるは、相手方の将領の徳望が隆盛なる兆しで、攻撃してはならない。雲気が青白にして高聳するは、将領が勇武でまさに大戦あらんとする兆しである。前面が白く後面が青にして高聳するは、将領が懦弱にして士卒が勇敢なる兆しである。前面が大きく後面が小さいは、将領が怯懦にして事理に明らかならざる兆しである。敵方の上空の雲気が黒を発し、中間に赤気が前に居るは、相手方の将領が精明強悍にして抵挡すべからざる兆しである。

敵上氣青而疏散者,將怯弱。軍上氣發,漸漸如云,變作山形者,將有深謀,不可擊。若在吾軍,速戰大勝。敵上氣如交蛇向人,此猛將氣,不可當;若在吾軍,戰必大勝。凡赤氣上與天連,軍中有名將。一雲賢將。

敵方の上空の雲気が青色にして稀疏涣散なるは、将領が怯懦軟弱なる兆しである。軍隊の上空に雲気が昇起し、漸く雲のように鋪展し、また山の形状と変ずるは、その将領が深く謀略有る兆しで、攻撃してはならない。もし我が軍の上空に現れれば、速戦すれば大勝を獲るべし。敵方の上空の雲気が两条の蛇の交纏して人に扑するが如きは、これは猛将の気で、抵挡すべからず。もし我が軍の上空に現れれば、交戦すれば必ず大勝する。およそ赤気が上に向かって天と相連なるは、軍中に著名の将領ある兆しである。もう一つの説では賢能の将領有るという。

軍勝気象の占(軍勝氣象占)第五十五

凡氣上與天連,此軍士眾強盛,不可擊;若在吾軍,可戰必勝。軍上氣如火光,將軍勇,士卒猛,不可擊;在吾軍,速戰大勝。

およそ雲気が上に向かって天と相連なるは、この軍隊の人馬が衆多にして強盛なるを説明し、攻撃してはならない。もし我が軍の上空に現れれば、出戦すべし、必ず勝を取る。軍隊の上空の雲気が火光のようなは、将軍が勇武にして士卒が剽悍なる兆しで、攻撃してはならない。もし我が軍の上空に現れれば、速戦すれば大勝を獲るべし。

軍上氣如山堤,山上若林木,將士驍勇,不可與戰;若在吾軍,戰必大勝。軍上氣如埃塵粉沸,其色黃白,如旌旗無風而揚,揮勢指敵,我軍欲勝,可急擊之。

軍隊の上空の雲気が山と堤岸のようで、山上また樹林を長ずるが如きは、将士が驍勇なる兆しで、彼と交戦してはならない。もし我が軍の上空に現れれば、交戦すれば必ず大勝する。軍隊の上空の雲気が塵埃粉末のように翻騰涌起し、顔色が黄白で、旌旗が風なく自ら揚がるが如く、揮動の気勢が敵方を指向するは、これは我が軍のまさに勝利を獲んとする徴象で、急速に出撃すべし。

有雲如三疋帛廣前後大,大軍行氣也。兩軍相當,敵上白氣粉沸如樓,緣以赤氣者,兵銳,不可擊;在吾軍,戰必大勝。

雲があって三匹の帛のように寛濶で、前後ともに粗大なるは、これは大軍の行進の気である。両軍が対峙し、敵方の上空の白気が翻涌して楼閣の如く、辺縁に一圈の赤気を鑲むは、相手方の兵鋒が鋭利なる兆しで、攻撃してはならない。もし我が軍の上空に現れれば、交戦すれば必ず大勝する。

營上氣黃白色厚潤重者,勿與戰。兩軍相當,有氣如人持斧外向,敵戰必大勝。兩軍相當,上有氣如蛇,舉首向敵者,戰勝。

軍営の上空の雲気が黄白色を呈して厚重潤沢なるは、彼と交戦するなかれ。両軍が対峙し、雲気があって人の手に斧头を持ち外に向かうが如きは、敵と交戦すれば必ず大勝する。両軍が対峙し、上空に雲気があって蛇の如く、頭を昂げて敵方に朝向するは、交戦して勝を取る兆しである。

敵上氣如疋帛者,此權軍之氣,不可攻;若在吾軍上,戰必大勝。敵上有雲如牽牛,不可擊。遙望軍上雲如鬥雞,赤白相隨在軍中,得天助,不可擊也。

敵方の上空の雲気が一匹の帛の如きは、これは兵権を握り・軍勢がまさに盛んなる気で、進攻してはならない。もし我が軍の上空に現れれば、交戦すれば必ず大勝する。敵方の上空に雲があって牽牛星の形状のようなは、攻撃してはならない。遥かに望む軍隊の上空の雲が相い鬥う公鶏の如く、赤白二色が相随って軍中に現れるは、その軍隊が上天の相助を得るを説明し、攻撃してはならない。

敵上發黃氣,將士精勇,不可擊;若在吾軍,可用戰。軍營上有赤黃氣,上達於天,亦不可攻。凡軍營上有五色氣,上與天連,此天應之軍,不可擊。

敵方の上空に黄気を発するは、将士が精悍勇猛なる兆しで、攻撃してはならない。もし我が軍の上空に現れれば、兵を用いて作戦すべし。軍営の上空に赤黄色の雲気があって、上に向かって直ちに天際に通ずるは、また進攻してはならない。およそ軍営の上空に五色の雲気があって、上に向かって天と相連なるは、これは上天の相応ずる所の軍隊で、攻撃してはならない。

其氣上小下大,其軍士日增,益士卒。其軍上氣似堤,以覆其軍上,前後白,此勝;若覆吾軍者,急往擊之,大勝。

雲気が上部小さく下部大きいは、その軍隊の兵員が日に日に増多し・士卒が不断に補充する兆しである。軍隊の上空の雲気が堤岸のようで、自家の軍隊の上方に覆い、前後ともに白を発するは、勝利を取る兆しである。もしこの種の気が我が軍の上方に覆えば、すなわち急いで前へ行って相手方を攻撃すべし、大勝を獲るべし。

夫氣銳、色黃白、團而澤者,敵將勇猛,且士卒能強戰,不可擊。雲如日月,而赤氣繞之,似日月暈狀有光者,所見之地大勝,不可攻。

およそ雲気が尖鋭にして顔色が黄白・団聚して潤沢なるは、敵方の将領が勇猛にして、しかも士卒が力戦を能くする兆しで、攻撃してはならない。雲が日月の形状のようで、四周に赤気が環繞し、日暈・月暈のように光を帯びたるが如きは、それの現れたる一方が大勝する兆しで、進攻してはならない。

敵上有氣或雲,及在中天而及軍上,有常此氣不變者,堅固難攻。凡雲氣似虎居上者,勝。軍上氣如塵埃、前後高者,將士精銳,不可擊。敵上氣如乳虎者,難攻。

敵方の上空に気あるいは雲があって、一直線に中天に連なって軍隊の上方に笼罩し、この気が長久に変わらざるは、相手方の陣勢が堅固にして進攻し難いを説明する。およそ雲気が老虎の盘踞して上方に在るが如きは、勝利を取る兆しである。軍隊の上空の雲気が塵埃の如くして前後に高聳するは、将士が精鋭なる兆しで、攻撃してはならない。敵方の上空の雲気が哺乳する母虎の如きは、進攻し難い。

軍上常有氣者,其兵難攻。軍上雲如華蓋,勿往與戰。有雲狀如鳥飛去,所見國戰勝。雲如旌旗如鋒向人者,勿與戰。

軍隊の上空に常に雲気あるは、その軍隊が攻打し難い。軍隊の上空の雲が「華蓋」の如き、すなわち帝王の車駕の上の傘蓋なるは、前へ行って彼と交戦するなかれ。雲の形状が飛鳥の去るが如き有るは、それを見る国が交戦して勝利を取る兆しである。雲が旌旗のよう・兵刃の鋒鋩が人に朝着するが如きは、彼と交戦するなかれ。

兩軍相當,敵上有氣如飛鳥,徘徊在其上,或來而高者,兵精銳,不可擊。夜黑氣出,上有赤氣臨我軍上,敵強我弱,弱能破強,小能擊大,大戰大勝,小戰小勝。

両軍が対峙し、敵方の上空に雲気があって飛鳥の如く、その上に盘旋徘徊し、あるいは飄来して位置が甚だ高いは、相手方の兵馬が精鋭なる兆しで、攻撃してはならない。夜に黒気が昇起し、上面また赤気があって我が軍の上空を笼罩すれば、然らばすなわち敵強く我弱くとも、弱きも能く強きを撃破し・小なるも能く大なるに打ち勝つ。大仗を打てば大勝し・小仗を打てば小勝す。

軍上雲如牛馬、頭低尾仰者,勿與戰。軍上雲如杵形,勿戰。望四方有赤氣如鳥,在鳥氣中如黑人,在赤氣中如赤杵,在鳥氣中或如人十十五五,及狀如旌旗在鳥氣中,有赤氣在前者,敵人精悍,不可當。

軍隊の上空の雲が牛馬の如くして頭低く尾高きは、彼と交戦するなかれ。軍隊の上空の雲が杵の形状の如きは、交戦するなかれ。四方に赤気があって鳥の如く、鳥形の気の中また黒衣の人有るが如く、赤気の中また赤色の杵有るが如く、鳥気の中また人が三五群れ・十個八個と聚るが如き、および形状が旌旗の如くして鳥気の中に処り、併せて赤気が前面に有るを望見するは、敵人が精明強悍にして抵挡すべからざる兆しである。

敵上有雲如山,兵可托。有雲長如引素,前後銳,或一或四,黑色有陰謀,青色兵,赤色有反,黃色急去。日暈,有雲氣入暈中者,隨所入擊之勝。有暈有抱,所臨者勝。

敵方の上空に雲があって山の如きは、山勢に依託して兵を用うべき兆しである。雲があって狭長で一条の引き直した白絹の如く、前後両端が尖鋭で、あるいは一条のみ、あるいは四条ある――黒色は相手方に陰謀あるを主り、青色は兵事あるを主り、赤色は反逆あるを主り、黄色は則ち急いで撤離すべし。太陽の周囲に光暈があり、また雲気があって暈の中に入るは、すなわち雲気の進入する方向に順って攻撃し、勝を取るべし。暈ありまた「抱」(環抱状の暈気)あるは、それの笼罩する一方が勝利を取る兆しである。

日暈相交,居止者勝。虹直指,順之而擊,可勝。暈有抱有虹,順抱者勝。日旁半暈,兩頭尖,有戰者,隨所指擊之。

両重の日暈が互相交錯するは、駐守して動かざる一方が勝利を取る兆しである。虹が笔直に某処を指すは、それの指す方向に順って攻撃し、勝を取るべし。暈の中に環抱の気ありまた虹あるは、抱気の方向に順って進攻する一方が勝利を取る。太陽の傍に半個の暈が現れ、両頭が尖鋭なるは、もし交戦せんと欲せば、すなわちそれの指す方向に順って攻撃すべし。

軍敗気象の占(軍敗氣象占)第五十六

有氣上黃下白,名曰善氣,所臨之軍,欲求和退,向北,其眾死散;向東,則不可信,眾能為害;向南,將死。敵上氣囚廢枯散,如馬肝色,或如死灰色,或類偃蓋,或類偃魚,皆為將敗。

雲気があって上部は黄を発し下部は白を発するは、名づけて「善気」という。それの笼罩する軍隊は、和を求めて兵を退かんと欲する。この気が北方に偏するは、相手方の兵衆が死傷潰散する兆しである。東方に偏するは、相手方の和を求むるが軽信すべからず、その部衆はなお害を為し得る兆しである。南方に偏するは、相手方の将領がまさに死せんとする兆しである。敵方の上空の雲気が衰囚廃敗・枯槁涣散し、馬肝の顔色の如く、あるいは死灰の顔色の如く、あるいは倒扣の傘蓋の如く、あるいは翻倒の魚の如きは、これらは皆まさに戦敗せんとする徴象である。

敵上氣乍見,乍聚乍散,如霧始起,此敗氣,可擊;上大下小,士卒日減。凡軍營上,十日無氣發,此軍必敗;而有赤白氣乍出即滅,外聲欲戰,其實或退散。黑氣如壞山墮軍上者,名曰營頭之氣,其軍必敗。

敵方の上空の雲気が忽ち隠れ忽ち現れ、一つ時は聚まり一つ時は散じ、霧の剛く起こる様子の如きは、これは敗亡の気で、攻撃すべし。雲気が上大きく下小さいは、相手方の士卒が日漸に減少する兆しである。およそ軍営の上空に一連十天雲気の発出なければ、この軍隊は必ず失敗する。もし赤白色の気が剛く現れて就中熄滅すれば、然らば相手方は外に向かって交戦すると揚言するも、実際は或いは兵を退き潰散せんとする。黒気が崩壊の山の如く軍隊の上方に墜落するは、名づけて「営頭の気」という。その軍隊は必ず失敗する。

軍上氣如火光夜照人,軍士散亂。軍上氣出而半絕者欲敗,漸盡者走。一絕一敗,再絕再敗,三絕三敗。在東發白氣者,災深。軍上氣如羊形,或如豬形,此是瓦解之氣,軍必敗。

軍隊の上空の雲気が火光の如く、夜に人影を照見するは、軍中の士卒が散乱する兆しである。軍隊の上空の雲気が昇起して中間に一半断たれたるは、まさに戦敗せんとする兆しである。漸々消尽するは、軍隊が逃走走せんとする兆しである。一たび断たれれば一たび敗れ、二たび断たれれば二たび敗れ、三たび断たれれば三たび敗れる。雲気が東方に在りて白色を発するは、災禍が特に深重である。軍隊の上空の雲気が羊の形状の如く、あるいは猪の形状の如きは、これは土崩瓦解の気で、その軍隊は必ず戦敗する。

敵上有氣如雙蛇,疾往攻之,大勝。軍上有氣,中似雙蛇守日,急往擊之,勿疑,必大勝。軍上氣如粉如塵,勃勃如煙,軍欲敗。軍上氣五色雜亂,東西南北不定者,其軍欲敗。

敵方の上空に雲気があって两条の蛇の如きは、急いで前へ行って攻打し、大勝を獲るべし。軍隊の上空に雲気があって、当中に两条の蛇が太陽を守るが如きは、急いで前へ行って攻撃し、遅疑するなかれ、必ず大勝する。軍隊の上空の雲気が細粉の如く・塵土の如く、勃勃然として一団の煙の如きは、この軍隊がまさに戦敗せんとする兆しである。軍隊の上空の雲気が五色雑乱して東南西北に飘忽定まらざるは、その軍隊がまさに戦敗せんとする兆しである。

軍上氣如群豬在氣中,此衰氣,擊之大勝。軍上有赤氣炎降於天,士眾亂,將死。赤氣如火光從天來,流下入軍,軍亂將死。彼軍上有蒼蒼氣,須臾散,擊之必勝;在我軍上,須自堅守。

軍隊の上空の雲気の中に一群の猪有るが如きは、これは衰敗の気で、それを攻撃すれば大勝を獲るべし。軍隊の上空に赤気があって火焰の如く天上より降り来るは、士卒が騒乱し・将領が死亡する兆しである。赤気が火光の如く天上より下り来り、流瀉して軍中に進入するは、軍中に大乱あり・将領が死亡する兆しである。相手方の軍隊の上空に蒼蒼の雲気があって、片刻にして散去するは、彼を攻撃すれば必ず勝利を取る。もしこの種の気が我が軍の上空に現れれば、就中堅守して自ら保たなければならない。

軍上有黑氣如牛形,或如馬形,從氣霧中下,漸漸入軍,名曰天狗下食血,則軍散敗。敵上氣如群鳥亂飛,衰氣也,伐之,則我軍勝。望彼軍上氣如懸衣,如人相隨,擊之可得。

軍隊の上空に黒気があって牛の形状の如く、あるいは馬の形状の如く、霧気の中より降り下り、漸々軍中に進入するは、これを「天狗の下りて血を食らう(天狗下食血)」と呼ぶ。その軍隊が潰散敗亡する兆しである。敵方の上空の雲気が一群の鳥の乱飛するが如きは、これは衰敗の気で、彼を討伐すれば我が軍は勝利を獲るべし。遥かに望む相手方の軍隊の上空の雲気が掛けたる衣服の如く、また人の一つ一つに跟うが如きは、彼を攻撃すれば勝利を獲て俘獲すべし。

望彼軍上氣紛紛如轉蓬者,急擊之。望彼軍上氣色如揚灰,敵欲退去。氣蒼黑亂者,士卒飢。兩軍相去十里外,望彼軍上氣高,而前後白青散者,此敗軍之氣,擊之可得。

遥かに望む相手方の軍隊の上空の雲気が紛紛揚揚と、風に随って打転する蓬草の如きは、急いで彼を攻撃すべし。遥かに望む相手方の軍隊の上空の気色が揚げたる灰塵の如きは、敵人がまさに撤退せんとする兆しである。気色が蒼黒にして雑乱なるは、相手方の士卒が飢餓する兆しである。両軍が相距ること十里以外、遥かに望む相手方の軍隊の上空の雲気が高く懸り、前後に白を発し青を発し・散乱して聚まらざるは、これは敗軍の気で、彼を攻撃すれば勝利を獲て俘獲すべし。

雲如覆船車蓋者,其軍必敗。雲氣如人頭臨軍營中,戰不勝,流血積溝渠。敵上雲如群羊,如驚鹿,必退走,急擊之。雲如卷席,如疋帛亂攘者,皆為敗,可攻而擒之。

雲が翻覆の船の如く・車上の傘蓋の如きは、その軍隊は必ず失敗する。雲気が人頭の如く軍営の中に笼罩するは、交戦して勝利を獲ること能わず、鮮血が溝渠に流れ満つる兆しである。敵方の上空の雲が一群の羊の如く・驚きたる鹿の如きは、敵人が必ず退走する兆しで、急いで攻撃すべし。雲が巻き起こした席子の如く・一匹の帛の紛乱翻攪するが如きは、皆戦敗を主り、進攻し併せて彼を擒獲すべし。

雲氣蓋道,蔽蒙晝冥者,飯不暇釋,炊不及熟,急去也。有雲如雞兔臨營者,軍敗走。軍上氣黑而卑如樓狀,軍移必敗。敵上氣如臥人無手足,或似車徊亂不起者,敗,如擊牛,凶敗氣。

雲気が道路を遮蓋し、昏蒙一片にして白天もまた夜晚の如くなる時は、碗を放下するに及ばず・飯を煮熟するに及ばず、急いで撤離すべし。雲があって鶏の如く・兔の如く営地の上空に笼罩するは、軍隊が敗逃する兆しである。軍隊の上空の雲気が黒を発して低圧し、形状が楼閣の如きは、軍隊が一旦移動すれば必ず失敗する兆しである。敵方の上空の雲気が躺く人の如くして手脚なく、あるいは車子の回旋紛乱して起き上がること能わざる様子の如きは、戦敗を主る。また撃倒されたる牛の如きも、これらは皆凶険の敗亡の気である。

敵上氣如雙蛇,如飛鳥,如決堤垣,如壞屋,如人相指,如人無頭,如驚鹿相隨逐,如人兩相向,皆為將敗之氣。凡降人氣,如人皆叉手低頭。又云:如人叉手相向。

敵方の上空の雲気が两条の蛇の如く、飛鳥の如く、決口の堤牆の如く、倒塌の房屋の如く、人の互いに指し点ずるが如く、頭なき人の如く、驚きたる鹿の一疋が一疋を追うが如く、両個の人の面と面と対して立つが如きは、これらは皆まさに戦敗せんとする気である。およそ人の投降せんとする気あるは、形状が人の皆手を拱き・頭を低うするが如し。また一の説――人の手を拱き互いに対するが如し、と。

白氣如群趨入長營,連繫結百餘里不絕,而徘徊須臾,氣如黑山,以黃雲為緣者,欲降服之象也。敵上氣青而漸黑者,將欲死。雲氣如人頭者,是將軍失兵眾。

白気が人群の快步して長き営塁に涌入するが如く、連綿結聚して百余里して断絶せず、また盤桓片刻して、気の形は一座の黒山の如く、辺縁に黄雲を鑲むは、これは相手方がまさに投降帰服せんとする徴象である。敵方の上空の雲気が青を発して漸々黒に転ずるは、相手方の将領がまさに死亡せんとする兆しである。雲気の形状が人頭の如きは、将軍がその部衆を喪失せんとする兆しである。

散軍之氣,如燔生草之煙,前雖銳,後必退,得歲月便擊之必勝。黑氣臨營,或聚或散,如鳥將宿,敵人畏我,心意不定,終必逃背,逼之大勝;若在我軍,善須安撫。

潰散の軍の気は、青草を焚焼して冒出する煙の如く、前面は来势鋭利なりと雖も、後面は必ず退却する。ただ有利の年月・時機を捉えて彼を攻撃せば、必ず勝利を取る。黒気が営地を笼罩し、時に聚まり時に散じ、鳥児のまさに帰巣せんとするが如きは、敵人が我方を畏懼し、心意が揺摆定まらず、最終に必ず逃散背離する兆しで、緊逼すれば大勝を獲るべし。もしこの種の気が我が軍の上空に現れれば、すなわち好く加えて安撫すべし。

日暈,有氣如死蛇屬暈者,將軍死,兩軍相當,不利先舉。日傍有赤雲如懸鐘,其下有死將。日暈四方均等,為力停;有缺薄徵細,所臨者敗。

太陽の周囲に光暈があり、また雲気があって死蛇の如く暈に連なるは、将軍が死亡する兆しである。両軍が対峙する時、先に進攻を発動するに利あらず。太陽の傍に赤雲があって懸挂の鐘の如きは、その下方の一方に将領の死亡ある兆しである。日暈が四面に均しく相等しいは、双方が勢均力敵なるを説明する。暈の上に缺口あり・薄まり・徴象が細弱なるは、それの笼罩する一方が失敗する兆しである。

日月暈有背氣,所臨者敗。軍上有白虹及蜺屈者,敗。軍上有白虹及蜺入營者,敗。日暈,氣後至,先去者敗。凡日月暈與氣,以先有者為發,以先去者為敗。軍上有日旁虹蛻及犯逆之,戰者敗。日暈有四缺,在外軍盡散敗。

日暈・月暈の上に「背気」あり、すなわち背向して弯曲する弧状の気は、それの笼罩する一方が失敗する兆しである。軍隊の上空に白虹および弯曲の副虹あるは、戦敗を主る。軍隊の上空に白虹および副虹が営中に進入するは、戦敗を主る。日暈の中に、雲気が後より到りて先に散去する一方は失敗する。およそ日月の暈と雲気は、先に現れたる一方をもって発動者と為し、先に散去する一方をもって敗者と為す。軍隊の上空に日傍の虹・蜺があり、併せて冲犯して日暈に逆襲するは、交戦の一方が失敗する。日暈に四処の缺口あるは、営外に処る軍隊が將に潰散敗亡せんとす。

城勝気象の占(城勝氣象占)第五十七

白氣從城中南北出者,兵不可攻城,不可屠城。

白気が城中より南・北両方に向かって冒出するは、兵を用いる一方がこの城を攻打すべからず、更に屠城すべからざる兆しである。

中有黑雲如星,名曰軍精,急解圍去者,有突兵出,客敗。城上白氣如旌旗者,勝。若赤界,其兵精銳不可當。赤雲臨城,有大喜慶。黃雲臨城,有大喜慶。青雲從軍城中南北出者,城不可攻。青色如牛頭觸人者,城不可攻。城中有氣出東,其光黃,此天守城,不可伐,伐者死。白氣從中出,青氣從北入及返回還者,軍不得入城。諸攻城圍邑,過旬不雷不雨者,為城有輔,疾去之,勿攻。

城を囲む雲気の中にもし黒雲があって状は星点の如きは、これを「軍精」と呼ぶ。城を囲む一方は急いで囲みを解き撤走すべし――城里に突撃の部隊がありて殺出し、客軍(進攻の一方)は必ず敗れる。城頭の上の白気が形は旌旗の招展するが如きは、攻方が勝利を得る。もし白気の外圍にまた一圈の赤色の辺界あれば、城を守る兵が精鋭比なきを説明し、硬碰すべからず。赤雲が城の上に圧するは、城中にまさに大いなる喜慶の事あらんとす。黄雲が城の上に圧するは、城中にもまた大いなる喜慶の事あらんとす。青雲が駐軍する城中より南・北両頭に向かって伸出するは、この城は攻むべからず。雲気が青色を呈し形状が牛の頭の人を撞頂するが如きは、この城もまた攻むべからず。城中に気があって東に向かって冒出し、光色が黄に泛むは、これは上天がこの城を守護するもので、討伐すべからず。強いて討伐する人は死す。白気が城中より透出し、青気が北面より侵入してまた折返回るは、我が軍は城に入ること能わず。およそ城を攻め邑を囲み、囲みて十天を過ぎて雷打たず・雨降らざるは、この城に神明の相助あるを説明し、急いで撤離し、再び攻むるなかれ。

城壘氣出於外,如火煙者,主人慾出戰,其氣無極者,不可攻。城上氣如雙蛇者,難攻;若前高後卑者,攻之可拔;後高前卑者,不可攻。赤氣如杵形,從城中出向外者,內兵突出,主人勝。城上有雲分為雨彗狀,攻不可得。其城上氣不見於外者,不可攻。有赤氣從城上出者,兵內勝,宜備之。凡攻城,有諸氣從城出,入吾軍上者,敵家氣也,氣繞城不入者,外兵不得入。日暈,有白虹貫日,其城可攻拔。日暈,有青氣從中起四出者,圍中勝。

城墻・営塁の気が外に向かって冒出し、形状が火煙の如きは、城を守る主人が城を出て決戦せんと図る。この気が綿延して尽頭を見ざるは、進攻すべからず。城上の気が形は两条の蛇の如きは、この城は攻め難し。もし気が前高く後低ければ、攻打して城を抜くべし。後高く前低ければ、すなわち強攻すべからず。赤気が形は木杵の如く、城中より外に向かって冲出するは、城内の守兵が突囲して殺出し、主人の一方が勝利を得る。城頭の上の雲が分かれてまた雨脚の如くまた彗尾の如き形状を成すは、攻打しても取り下すこと能わず。城上の気がただ城内に盤桓し外に向かって顕露せざるは、進攻すべからず。赤気があって城頭より冒出するは、城内の守兵が勝利を得、攻方は意を加えて防備すべし。およそ城を攻むるに、諸気が城中より冒出して我が軍の頭頂に圧するは、それは敵方の気である。気がただ城を繞り盘旋して城に入らざるは、城外の兵は城に入ること能わず。日暈が現れ、また白虹が日面を貫穿するは、この城は攻破すべし。日暈が現れ、青気が暈の中より昇りて四面に向かって散开するは、城中に囲まれたる一方が勝利を得る。

屠城気象の占(屠城氣象占)第五十八

赤氣在城上,黃氣四面繞之,城中大將死,城降。城上赤氣如飛鳥,城可攻,急擊之,則破走。城上有赤氣如破車,城可攻。城上無雲氣,士卒必敗散。城營中有赤氣,狀如狸皮斑及正赤者,並破亡將敗。城上氣如死灰色及上下出者,城可攻。一云,攻城圍邑,其氣如灰氣出而覆其一軍上者,多病,城可屠;氣出復入者,人慾逃背。

赤気が城の上に覆い、四面また黄気があってそれを環繞するは、城中の大将が死し、この城はまさに投降せんとす。城頭の上の赤気が形は飛鳥の如きは、この城は攻むべし。急速に攻撃せば、守軍は就中潰敗逃散す。城頭の上に赤気があって形は破損の車子の如きは、この城は攻むべし。城頭の上に一点の雲気もなきは、城中の士卒は必ず潰敗離散す。城中の営塁の裏に赤気があって、形状が狸皮の上の斑紋の如く、あるいは通体正赤なるは、皆城破れ人亡び・守将が敗績するを主る。城上の気が死灰の色を呈し、また上下に竄動するは、この城は攻むべし。もう一つの説――城を攻め邑を囲むの時、その気色が灰燼の如同じく、冒出して反って自己の一支の軍隊の頭上を罩うは、この軍隊は多く疾病を生じ、しかもあの城は屠滅すべし。気が冒出して後また城中に縮回するは、城里の人が逃亡背棄せんと欲する、と。

攻城圍邑,城上氣聚如樓見外者,攻之可得。望城中氣起而正上赤,可屠。城營上有雲如眾人頭赤色,下多流血死喪。攻城圍邑,其上氣色如灰,一雲灰,城可屠。氣出南北,城可克;其氣出復入城中,人慾逃背;其氣出而東,城可攻;其氣出而西,城可降;其氣出而復其軍上者,士多病;其氣出而高無所止,用日久長。有氣從城外者,兵欲盜攻。

城を攻め邑を囲むの時、城頭の上の気が楼台の形に聚成して城外に顕露するは、攻打して手に得べし。遥かに望む城中の気が昇起し、しかも正上方が一片の赤色なるは、この城は屠滅すべし。城中の営塁の上に雲があって許多の人頭の如く、顔色が赤紅なるは、城下に大量の流血あり・死傷惨重あらん。城を攻め邑を囲み、城上の気色が灰燼の如同じき(一説にすなわち灰色)は、この城は屠すべし。気が南北両頭に向かって冒出するは、城池は攻克すべし。気が冒出して後また城中に縮回するは、城里の人が逃亡背棄せんと欲す。気が冒出して東に向かって去るは、この城は攻むべし。気が冒出して西に向かって去るは、この城は投降せん。気が冒出して後転じて回り自家の軍隊の頭上を罩うは、士卒が多く疾病を生ず。気が冒出して後高く上昇して止境なきは、この場の仗は甚だ久しく打たん。気があって城外より飄来するは、敵兵が襲撃せんと欲するなり。

攻城,黑雲臨城者,積土固險之象。黑,水之氣,城池之稱。我據城,敵不能為我攻,故不可攻。又曰:審應而無攻,知難而自止,因可用智不敗。有白氣如蛇,來止敵城上者,急攻之,小緩則失;從其城來指我營者,宜急固守。凡攻城,有白氣繞城而入城者,隨所入,急攻之,小緩則失;從其城來指我營者,宜急固守。攻城,若不雨,濛霧,日死,風至,兵勝。日色無光為日死。

城を攻むるの時、黒雲が城の上に圧するは、これは土を堆積して険要を加固する徴象である。黒は水の気に属し、まさに城池の象徴である。相手方が城に拠りて守り、敵人が我を攻め破る能わざるがゆえに、この様の城は強攻すべからず。また一の説――徴応を看清して軽挙に進攻せず、艱難を知りて自ら停手し、この見識を憑じて智謀を用いれば失敗せず、と。白気があって形は長蛇の如く、飄来して敵城の上空に停在するは、急いで攻打すべし。稍々遅緩すれば就中戦機を錯失せん。もしこの気が敵城より飄来して直ちに我方の営塁を指せば、就中急いで堅守すべし。およそ城を攻むるに、白気があって城を繞ること一周して後城中に進入すれば、すなわちそれの入城する方位に順って急攻し、稍々遅緩すれば便ち機を失う。もし気が敵城より過ぎ来りて直ちに我営を指せば、また急いで堅守すべし。城を攻むる時、もし天が雨降らずして濛霧を起こし、日色が晦暗にして光なく、また風が吹き来るは、攻方が勝利を得る。日色に光亮なきを就中「日死」と呼ぶ。

雲氣如雄雉臨陣,其下必有降者。濛雲圍城而入城者,外勝得入。有雲如立人五枚,或如三牛,邊城圍。城上有蛟頭白,內降,城可攻;若有屈虹從外入城中,三日內,城可屠。日重暈而有白虹貫日,圍城客勝。

雲気の形が雄雉の陣地に俯臨する如きは、この陣中に必ず投降する人あらん。濛濛の雲気が城池を環繞して後城中に進入するは、城外の攻方が勝利を得併せて入城を能くす。雲があって五個の立つ人の如く、あるいは三頭の牛の如きは、辺境の城が将に囲困されん。城頭の上に蛟龍の形ありて龍頭が白を発するは、城内に投降する人あらん。この城は攻むべし。もし弯曲して虹の如き気が城外より城中に挿入せば、三天の内にこの城は屠滅すべし。太陽に両重の日暈が現れ、また白虹が日面を貫穿するは、城を囲む客軍が勝利を得る。

伏兵気象の占(伏兵氣象占)第五十九

軍上有黑氣,渾渾圓長,赤氣在其中,其下必有伏兵,不可擊。軍當欲戰,或長相守者。望彼軍上白氣粉沸,起如樓狀,其下必有藏兵萬人,不可輕擊。軍行近山林坑谷之間,當善防之,既是伏兵之地,而上有氣者不疑。雲紛紛綿綿相絞,及似蒿草數尺,車騎為伏兵。雲如布席之狀,及似蒿草尺許,此以步卒為伏兵。伏兵之氣,如幢節狀在烏雲中,或如赤杵在烏雲中,或如烏人在赤雲中。

敵軍の上空に黒気ありて、渾厚円長、中間また赤気を夾むは、その下に必ず軍隊を埋伏し、貿然と出撃すべからず。この種の情形が現れるに、両軍あるいは将に交戦せんとし、あるいは長久に対峙せん。遥かに望む相手方の軍上に白気が粉末の翻騰する如く、昇り起きて一座の楼台の如きは、その下に必ず上万の伏兵を蔵し、軽率に進攻すべからず。行軍して山林・坑谷の間を経過するは、善く防備すべし。そこは本来設伏の地形なり。もし上空にまた気あれば、更に疑うに及ばず。雲が紛紛綿綿として互いに絞結し、また数尺高き蒿草の如きは、埋伏するは車騎の部隊なり。雲が鋪き開く席子の如く、また一尺許り高き蒿草の如きは、これは歩卒をもって設伏するなり。伏兵の気は、あるいは儀仗の幢節の形如く黒雲の中に現れ、あるいは赤色の木杵の如く黒雲の中に現れ、あるいは黒色の人形の如く赤雲の中に現る。

黑氣出營南,賊逃吾,復有伏兵,謹候察之,有覆之無遺。兩軍相當,赤氣者伏兵之氣。若前有赤氣,前有伏兵;後有赤氣,後有伏兵;左右亦如之。察審則知伏兵所在。軍上有氣烏色中有赤氣,必有伏兵,不可攻;前有烏氣,後有白氣,必有伏兵,不可攻。有雲如山,兵在外,有伏兵。

黒気が営塁の南面より冒出するは、敵人がまさに我が軍を逃離れんとし、しかも別に伏兵を設く。須く偵察を謹慎し、一旦察明すれば就中全殲して残余を留めざるべし。両軍が対峙するの時、赤気はすなわち伏兵の気なり。もし前方に赤気あれば、前方に伏兵あり。後方に赤気あれば、後方に伏兵あり。左右両側もまた此に照らして推断す。仔細に審察すれば就中伏兵の所在する方位を知るべし。敵軍の上空の気が黒色を呈して中間に赤気を夾むは、必ず伏兵あり、進攻すべからず。前面が黒気・後面が白気も、また必ず伏兵あり、進攻すべからず。雲があって形は山巒の如きは、兵力が営外に在りて別に埋伏あるを説明す。

暴兵気象の占(暴兵氣象占)第六十

白氣如瓜蔓連結,部隊相逐,須臾罷而復出,至八九而來不斷,急賊卒至,宜防固之。白氣如仙人衣,千萬連結,部隊相逐,罷而復興,如是者,當有千里兵來,所起備之。

白気が瓜蔓の如く連綴勾結し、一隊が一隊に接ぎて互いに追随し、片刻の間に散去してまた冒出し、反復して八九次に到りて来势断えざるは、これは急襲の敵兵がまさに突然殺到せんとす。防守を加固すべし。白気が仙人の衣袂の如く、千絲万縷に連結して一なり、一隊が一隊を追い、散じてまた起こる。此の種の気象が現れるに、将に千里之外の大軍の開来あらん。それの興起する方向に対して防備を加うべし。

黑氣敵上,來之我軍上,欲襲我,敵人吉,宜備不宜戰,敵回,從而擊之,必得小勝;天色蒼茫而有此氣,依日支干數,內無風雨,則所發之方必有暴兵。日克時則凶,時剋日自消散。此氣所發之方,當有使人告急,一人來則氣一條,二人來則氣二條,三人來則氣三條;若散滿一方,則有眾來。期至依支干數,數內有風雨則伏。

黒気が敵軍の上空に現れ、また我が軍の頭頂に飄るは、これは敵人が我方を襲撃せんと欲し、形勢が敵人に対して利あり、我方は防備に宜しくして交戦に宜しからず。敵人の回撤するを待って時に尾隨攻撃し、必ず小勝一场を能くす。天色が蒼茫たる際に此の種の気が現れるに、当日の干支の数に按じて期限を推算し、期限の内にもし風雨なからんば、然らばこの気の発出する方向に必ず突然たる来る兵禍あらん。日辰が時辰を克すれば就中凶を主り、時辰が日辰を克すれば則ち災禍は自ら消散す。この気の発出する所の方向に、人の前來して急を告げる者あらん。一人の人来れば気は就中一条、両人の人来れば気は就中両条、三人の人来れば気は就中三条。もし気が散満して整整たる一方にあれば、則ち衆人が一斉に前來す。応期は干支の数に按じて推算し、期数の内にもし風雨あれば、その事は潜伏して発せざるなり。

壬子日,候四望無雲,獨見赤雲如旌旗,其下有兵起。若遍四方者,天下盡有兵。若四望無雲,獨見黑雲極天,天下兵大起;雲半天,兵半起,名天溝,三日內有雨,災解。敵欲來者,其氣上有雲,下亦有雲,其下敵必至。雲氣如旌旗,賊兵暴起,暴兵起如虎。雲氣行人,必有暴兵;色白而悴者,是暴兵起。氣如人持刀盾,有雲如坐人赤色,所臨城邑有卒兵至,驚怖,須臾去。

壬子の此の日に天象を観察し、四面望めど雲なく、ただ赤雲が形は旌旗の如きを見るは、その下方に将に兵事の興起あらん。もし此の種の赤雲が四方に布き満ちれば、然らば天下到る処に兵事あらん。もし四望して雲なく、ただ黒雲が天際を横貫するを見れば、天下は将に大いに挙げて兵を興さん。黒雲がただ半個の天空を占むるは、兵事もただ一半を起こす。この種の気を「天溝」と呼ぶ。三天の内に雨降れば、災禍は就中化解す。敵人が将に来犯せんとするは、あの気の上頭に雲あり・下頭にも雲あり。雲の下の敵人は必ず到来す。雲気の形は旌旗の如く、賊兵は突然に発動す。突然の来る兵禍は、その気は騰涌して猛虎の如同じし。雲気が行走の人の如きは、必ず突発の兵禍あらん。気色が白を発して枯槁なるも、また暴兵の将に起こらんとす。気が人の手に刀盾を持つが如く、また雲が赤色の坐る人の如きは、笼罩する所の城邑に倉促の兵の突至り、一時に驚恐すれども片刻にして便ち退去す。

赤氣如人持節,兵未息。雲如赤虹,有暴兵。白虹出長盡,有暴兵流血。有雲如人行止不崩,有暴兵。赤雲如火者,所向兵至。天有兵氣狀如疋布、經丑未者,天下多兵,赤者尤甚。有雲如胡人列陣,天下兵起。天有白氣廣六丈、東西氣竟天者,兵起;青者有大喪。白氣如帶道竟天,有暴兵。有雲如疋布竟天,天下兵起。有雲如疋布持捧,兵起民流。有雲如豹四五枚相聚,國兵起。四方清霽,獨有赤雲赫然者,所見之地有兵起。

赤気が人の手に符節を持つが如きは、兵事がいまだ平息せざるなり。雲が赤色の虹の如きは、将に突発の兵禍あらん。白虹が現れ、長くしてほとんど横貫して尽頭に到るは、将に暴兵ありて流血あらん。雲があって人の行走し・停下してまた潰散せざるが如きは、将に暴兵あらん。赤雲が紅くして火の如きは、それの指向する方向に兵馬の開到あらん。天上の兵気が形は一匹の布の如く、丑・未の両個の方位を横経するは、天下に兵多く、顔色が赤紅なるは特に厳重なり。雲があって胡人の列陣するが如きは、天下は将に兵を興さん。天上に白気があって寛さ約六丈、東西に整個の天空を横貫するは、将に兵事あらん。この気もし青色なれば、則ち大いなる丧事あらん。白気が一条の帯の如く天空を横貫するは、将に突発の兵禍あらん。雲があって一匹の布の如く天空を横貫するは、天下に兵興る。雲があって一匹の布の如くして中間が捧起するは、兵起こりて百姓が流亡するを主る。雲があって豹子の如く、四五個が聚まりて一なりは、国中に将に兵事あらん。四方の天色が清朗にして、ただ赤雲の赫然たる顕現有るは、見る所のあの塊の地方に兵事の興起あらん。

戦陣気象の占(戰陣氣象占)第六十一

氣青白,白高,將勇大戰。氣如人無頭,如死人臥,敵上氣如丹蛇,赤氣隨之,必大戰敗將。四望無雲,獨見赤氣如狗入營,其下有流血。四望無雲,獨見赤雲如立蛇,其下有流血出戰。四望無雲,獨見赤雲如覆船者,其下有戰。初出軍日,天氣昏漠,雲氣陰沉寒克者,必戰。若清陽溫和,風塵不動者,不見敵亦不戰。

気色が青中に白を帯び、白気が上方に居るは、主将が勇猛にして将に大戦あらん。気が頭なき人の如く、また死人の横卧するが如く、敵軍の上空の気が赤色の蛇の如く、後面また赤気が跟うは、必ず大戦が発生して将領を折損せん。四面に雲なく、ただ赤気が狗の如く営中に竄入するを見るは、営下に将に流血の事あらん。四面に雲なく、ただ赤雲が竪起の蛇の如きを見るは、その下に将に出戦・流血の事あらん。四面に雲なく、ただ赤雲が翻扣の船の如きを見るは、その下に将に戦事あらん。剛く兵を出すあの日、天色が昏暗迷濛にして、雲気が陰沈にして逼人的寒意を帯ぶるは、必ず交戦せん。もし天清く気朗く・温和宜人にして、風塵動かざれば、則ち敵人にすら遇わず、更に交戦せざるなり。

有青氣見軍之王相上者,當戌交戰,不見者不戰。若白虹,若赤屈虹,見城上,其下必大戰流血;赤氣屈旋停住者,其下有兵血流。白氣如車入北斗中轉移者,下有流血,大將死。雲如耕壠者,兵必大戰驚。日傍氣或相交貫穿,或相背,主中不和。日有白氣若虹交見者,從上擊下勝,無軍而見者,下必流血。兩軍相當,必交戰。有白虹列四五六見者,亦為大戰。

青気があって我が軍の処する王相の方位の上に現れるは、戌時に到りて交戦せん。この気を見ざれば交戦せざるなり。もし白虹、あるいは赤色の弯虹が城の上に現れれば、城下に必ず大戦・流血あらん。赤気が盤曲回旋して停住動かざるは、その下にもまた兵戦・流血あらん。白気が車子の如く北斗の中に進入し併せて移動するは、下方に流血の事あり、大将が死せん。雲が耕田の垄溝の一般に排列するは、必ず大戦と驚乱あるを主る。太陽の傍の気があるいは交叉貫穿し、あるいは背向して去るは、軍中の将帥が不和なるを主る。太陽の上に白気があって虹の如く交錯して現れるは、上より下に向かって攻撃する一方が勝利を得る。もし軍隊なくして此の象が現れれば、その下にもまた必ず流血あらん。両軍が相持し、必ず交戦せん。白虹があって一連に排列して四五六道を出すも、また大戦を主る。

日旁有一缺,萬人死其下。兩軍相當,不利先舉。月初滿而蝕,有軍必戰。日月有赤雲截之如大杵,軍在外,萬人死其下。兩軍相當,不利先舉。

太陽の傍に一処の缺損あるは、その下に将に上万の人の死亡あらん。両軍が対峙するの時、搶先して発動するに利あらず。月亮が剛く円満して就中月食が発生するは、軍隊の外に在るは必ず交戦せん。日月が赤雲に腰を拦まれて断たれ、形は一根の大木杵の如きは、軍隊が外に在るならば、その下に将に上万の人の死亡あらん。両軍が相持し、また先に手を動かすに利あらず。

図謀気象の占(圖謀氣象占)第六十二

白氣群行徘徊結陣來者,為他國人來欲圖人,不可應;視其所往,隨而擊之可得。日月濛濛無光,士卒內亂,將軍循法度,察有功以自明。及有兵內發,止嚴利,而伺奸入謀議。天陰沉不降雨,晝不見日,夜不見星月,三日已上,陰謀也,將慎左右及敵使;五日至七日,有謀蔽,將奪其權,此其篡殺事。連陰十日,亂風四起,欲雨而不雨,名曰濛,臣謀君。故曰;久陰不雨,臣謀主。

白気が群を成して移動し、徘徊盤結して陣勢を成して来るは、別国の人が前來して我方を図謀す。貿然と応戦すべからず。それの去向を看清し、尾隨攻撃すれば就中手に得べし。日月が昏濛にして光なきは、士卒が内部に作乱せん。主将は法度に遵循し、功有る人を考察して自らの公正を表明すべし。もし軍内に人の兵を挙げて難を発すあれば、立刻に賞罰を厳明にして乱勢を止住し、併せて暗中に奸人を察訪し、彼らが謀議に插手するを防ぐべし。天色が陰沈して却って雨降らず、白天に太陽を見ず・夜に星月を見ず、三天以上連続するは、人の陰謀を搞する有るなり。主将は左右の近侍および敵方の来使を提防すべし。五天から七天に持続するは、陰謀の遮蔽されたる有るなり。主将は将に兵権を奪去されん。就中これは簒逆・殺害の事なり。接いで陰くること十天、乱風が四起し、将に雨らんとしてまた雨らざるは、此の種の天象を「濛」と呼ぶ。臣下が君主を図謀するを主る。故に曰く――久陰して雨らざるは、臣子が君主を算計するなり、と。

天陰沉,日月俱無光,書不見日,夜不見星月,皆有雲障之而不雨,此為君臣俱有陰謀。兩敵相當,陰相圖議事。若晝陰夜月出,君謀臣;夜陰晝日出,臣謀君。黑氣如幢,出於營中,上黑下黃,敵欲來求戰,而無成實,言信相反,同奸於我。謀將軍之事,通言九日之內必覺,備之吉。黑氣臨我軍,如車輪行,敵人謀亂,我國臣與同勾引小臣,君行罰吉。黑氣遊行,中含五色,臨我軍上,敵必謀合諸侯而伐吾國,諸侯反謀,軍自敗。

天色が陰沈し、日月ともに光亮を失い、白天に太陽が見えず・夜に星月が見えず、全く雲に遮られてまた雨降らざるは、これは君と臣の双方がともに陰謀を懐くなり。両方の敵手が相持し、また暗中に互いに図謀し計算す。もし白天が陰にして夜に月亮が出れば、是れ君主が臣下を算計す。夜が陰にして白天に太陽が出れば、是れ臣下が君主を算計す。黒気の形が儀仗の幢の如く、営中より冒出し、上黒く下黄なるは、これは敵人が来りて戦を求めんと欲すれども、却って実意なし。言語と信義と相背き、是れ我方の内部に奸人を串通せんと欲す。彼らの図謀する所は我方の将帥なり。消息が伝開して九天の内に必ず察覚す。早く防備を作れば則ち吉なり。黒気が我が軍の頭上に圧し、車輪の如く滾動して前行するは、敵人が図謀して乱を作さんとし、我国の臣子が之と勾結し、また下層の小臣を拉攏す。君主が懲罰を施行すれば則ち吉なり。黒気が游動し、その中に五色を含み、我が軍の上空に圧するは、敵人が必ず諸侯と聯合して我国を討伐せんと謀る。但し諸侯が反って別に図謀あれば、敵軍は自ら敗亡せん。

吉凶気象の占(吉凶氣象占)第六十三

慶雲,赤紫色,如煙非煙,如雲非雲,鬱鬱紛紛,蕭索輪囷,是謂慶雲,亦曰景雲。見者國有慶。雲含五色,潤澤和緩,見於城上,景雲也。一曰慶雲。非氣非煙,五色氤氳,一曰卿雲。景雲者,太平之應也。五色為慶雲,三色為矞雲。一雲外赤內青為矞。

「慶雲」は赤紫の色を呈し、煙に似て煙にあらず、雲に似て雲にあらず、濃郁紛披・舒巻盤曲す。就中これを「慶雲」と呼び、また「景雲」とも呼ぶ。それを見る国に喜慶あり。雲の中に五色を含み、潤沢にして舒緩にして、城頭の上に現れるは、就中「景雲」なり。一説にまた「慶雲」とも呼ぶ、と。気にもあらず煙にもあらず、五色が交融瀰漫するは、一説に「卿雲」と呼ぶ、と。「景雲」は天下太平の感応なり。五色俱全なるを「慶雲」と呼び、ただ三色のみあるを「矞雲」と呼ぶ。もう一つの説は外圏赤く内圏青なるを乃ち「矞雲」と呼ぶ、と。

雲赤如龍狀,名曰昌光,帝王起則見。如星非星,如雲非雲,或曰星有雨。赤彗上似蓋,下連星,名曰歸邪。歸邪見,必有歸國者。日暈黃色及抱珥直光,履黃色,皆吉慶之事。京房《易飛候》曰:視四方常有大雲,五色具而不雨者,其下有賢人隱。青雲潤澤蔽日,在西北,為舉賢良。

雲が赤紅にして形は龍の如きは、名づけて「昌光」という。帝王の興起する時に就中現る。星に似て星にあらず、雲に似て雲にあらざるは、人あるいは言うにそれは星の傍に雨気を帯びたるなり、と。赤色の彗状の気、上端は傘蓋の如く、下端は星に連なるは、名づけて「帰邪」という。「帰邪」が一たび現れれば、必ず人の本国に帰附する者あらん。日暈が黄色を呈し、および抱・珥・直・履などの各種の暈気もまた黄色を呈するは、皆吉慶の事を主る。京房『易飛候』は言う――四方を観察し、常に大片の雲あり、五色が斉備して雨降らざるは、その下に賢人の隠居す、と。青雲が潤沢にして太陽を遮住し、西北方に現れるは、朝廷が将に賢良を挙用せんとするを主る、と。

黑氣如大道一條,至四五疋,明不見頭尾東西者,不過三朔,大赦天下。赤氣如散蓋覆軍上,千里內戰,有慶;千里外,有憂。黃氣臨營,西向東向,戰並凶;北向吉。赤氣隨日出,軍行有憂;隨日沒,外告急者。或曰:天下檄告敵。或徵不行,凶。赤氣漫漫血色者,流血之象。赤氣如火影見者,臣叛其君,不過三朔。赤氣如龍蛇,在山頭住,又如夜光者,臣離其君,國主不安,為客君所傷,人民流移,遠其鄉里。

黒気が一条の大路の如く、寛さは四五匹の布の様に到り、明亮にして東西両頭の首尾を望見せざるは、三ヶ月を出ずに天下に将に大赦あらん。赤気が張開の傘蓋の如く軍隊の上空に覆うは、千里の内に在りて作戦すれば喜慶あり、出兵して千里之外に到れば則ち憂患あらん。黄気が営塁を圧臨し、西に向かいあるいは東に向かって伸展するは、作戦すれば皆凶なり。北に向かって伸展するは則ち吉なり。赤気が太陽に随って一同に昇起するは、行軍に憂あらん。太陽に随って一同に落下するは、是れ外方に急を告げる事あり。人あるいは言うに天下が将に檄文を発して敵人を声討せんとす、と。もしすでに出征して中途に前進能わざれば、また凶を主る。赤気が瀰漫して一片の血色なるは、是れ流血の徴象なり。赤気が火光の影子の如く顕現するは、臣子が君主を背叛するを主り、三ヶ月を出ず。赤気が龍蛇の如く、山頭の上に停り、また夜に光を発するが如きは、臣子が君主を背離し、国君が安寧を得ず、外来の君に傷られ、百姓が流徙遷移して故郷を遠く離れるを主る。

赤氣覆日而光,大旱,人民飢千里。何知賊得否?赤氣行,黑氣隨;赤氣滅,為賊可得;若獨行無黑氣隨者,賊不可得。黑氣如死人頭在營上,敵人有所獻,且求降,許之;不許必戰,功雖成,士卒多死。黑氣如牛頭、龍、馬、蛇變化,疾病,人民流亡,不宜乳婦,夷兵咸欲欺中國,宜遣伺侯,讒言為惡。

赤気が太陽を蓋い而も太陽が依舊として光を発するは、大旱を主り、千里の内に百姓が饑饉す。怎麽にして賊寇が擒獲し得るか否かを知らんか。赤気が前に行き、黒気が後面に跟い、赤気の消滅するを待ち、就中これ賊寇の擒獲すべきなり。もし赤気が独自游行して黒気の跟随なければ、賊寇は就中抓り得ざるなり。黒気が死人の頭顱の如く営塁の上空に停在するは、敵人が進献有り併せて投降を請求せん。當に彼を答允すべし。答允せざれば必ず開戦し、功業は成を能くすと雖も、士卒は却って大量に死亡せん。黒気が牛頭の如く・龍の如く・馬の如く・蛇の如くに変幻して定まらざるは、疾病の流行し・百姓の流亡するを主り、産婦に不利なり。四夷の兵が皆中原を欺凌せんと欲す。偵候の人を派出し、還って讒言の作祟を防ぐべし。

新出軍行師,假令向東伐,而有白雲從西來,因隨而擊之勝;若有赤雲東來逆軍者,敵勝;我軍當敗,急且屯守,他方仿此。黑氣如積土,在我軍上,敵來襲我,我必堅守經月;敵心離,離而後戰,必大勝。若對敵在東方,白雲東去,而有雲又東來,相逆,須臾過者,雲已去而有風隨之,所望龍虎之狀,若在我軍,皆大勝。雖從雲而風逆者,亦不可戰。若有雲氣橫來者,兩軍不合,急先伏止,不爾,有遁將。黑氣遊行,中含黃氣,在我軍者,急令舉兵。不速戰,士卒懼,人有逃心,罷軍吉。

新近に兵を出して行軍し、假如是れ東に向かって討伐して、白雲が西面より跟って来る有れば、就中勢に順って追随して攻撃し、勝を取るべし。もし赤雲が東面より我が軍に迎着えて来る有れば、敵人が勝を得、我が軍は敗れん。急いで営を扎して固守すべし。其他の方向は此に依って類推す。黒気が堆積の泥土の如く、我が軍の上空に圧するは、是れ敵人が来りて我を襲撃せんとす。我方は必ず一ヶ月を堅守せよ。敵人の軍心の離散するを待ち、離散の後に再び戦い、必ず大勝を獲ん。もし対陣の敵人が東方に在り、白雲が東に向かって去り、また雲が東面より過ぎ来り、両下に相い迎え、片刻に交錯して過ぎ、雲はすでに去りて風が跟って来り、望見する気の形は龍の如く虎の如し。ただこれらが皆我が軍の一方に現れれば、皆大勝を主る。不過たとえ雲が勢に順って去り、風が逆向に吹き来るも、仍然として交戦すべからず。もし雲気が横向に圧し来れば、両軍は就中交鋒せず。急いで先に埋伏して兵を按じて動かざるべし。否然れば将領の逃亡有らん。黒気が游動し、中間に黄気を含み、我が軍の上空に現れるは、急いで進兵を下令すべし。もし速戦せざれば、士卒に恐懼の心生じ、人々皆逃走の意有らん。此の時に兵を収め師を回すを吉と為す。

兩軍相當,彼軍上有氣赤,上如疋布,廣長數十丈,其下色黃白,必有背叛之軍,昏見在臣佐,夜見在兵,宜備之。凡被圍,平目視圍上氣,鬱鬱如火,光芒勢翕翕然者,其方救至,無者無救。軍行,有白氣如虹者,軍大驚,宜備之。若黑雲南北陣,國將有憂。不然,有大水為害。

両軍が相持し、相手方の軍上の気が赤色を呈し、上端は一匹の布の如く、寛長数十丈、下端は黄白色なるは、あの一方に必ず背叛の部隊あらん。黄昏時に見るは、叛くは臣属の佐吏なり。夜に見るは、叛くは士兵なり。防備を加うべし。およそ囲困されたるは、平視して城を囲む上空の気に、もし濃郁して火の如く、光芒が収斂聚合して気勢有るは、あの方向の救兵がまさに到らんとす。この種の気なければ、救兵なきなり。行軍の途中に白気が現れて虹の如きは、軍中に大いに驚擾を受けん。防備すべし。もし黒雲が南北方向に陣勢を排成せば、国家に将に憂患あらん。不然れば、また大水が災を成さん。

白雲白氣極天南北陣,有憂;黑雲東西陣,君有憂。若天氣蒼茫而東西極天,移日不動者,為憂深。此氣以戊己日出為災。日入,有青氣東西極天,支干數內無風雨,不出三年,將有大喪。赤雲臨圍上東西陣,國且負兵。三霧,秋以庚辛申酉日,氣色白,東行利為客,先舉兵勝,後舉兵敗。

白雲・白気が天際を横貫し、南北方向に陣勢を排成するは、憂患有らん。黒雲が東西方向に陣勢を排成するは、君主に憂患有らん。もし天色が蒼茫にして、気が自ら東より西に向かって天空を横貫し、接いで几天も移動せざれば、憂患は就更に深重なり。此の種の気が戊日・己日に現れるは、災禍を醸成せん。日落の時分に青気があって東西に天空を横貫し、干支の推算する期数の内に風雨なければ、三年を出ずに、将に大いなる丧事あらん。赤雲が囲まれたる城の上空に圧し、東西方向に陣勢を排成するは、この国家は将に兵事に敗れん。第三種の霧は、秋季の庚・辛・申・酉の日に現れ、気色が白を発し、東に向かって移動し、客軍を為すに利あり。先に兵を出すは勝を得、後に兵を出すは失敗す。

二霧,夏以丙丁巳午日,色赤黃,氣西行,為利客,主人凶。四霧,冬以壬癸亥子日,氣青黑,氣南行,興軍動眾。五霧,四季月以戊己辰戍丑末日,氣黃色,行向北,利客,主人內亂。一霧,春以甲乙寅卯日,氣青,出東方向季者,客勝。山中冬霧,十日不解者,欲崩之候。雲如疋帛而行,若西南,若邑郡者,其君有憂。雲氣如亂壞,大風將至,視從來遮之,雲甚潤而厚,大雨必暴至。

第二種の霧は、夏季の丙・丁・巳・午の日に現れ、顔色が赤黄、気が西に向かって移動し、客軍に利あり、守る方の主人は凶なり。第四種の霧は、冬季の壬・癸・亥・子の日に現れ、気色が青黒、気が南に向かって移動し、兵を興し衆を動かすを主る。第五種の霧は、四季の末月の戊・己・辰・戌・丑・未の日に現れ、気が黄色を呈し、北に向かって移動し、客軍に利あり、守る方の主人に内乱有らん。第一種の霧は、春季の甲・乙・寅・卯の日に現れ、気色が青く、東方より発出して四季の位に指向するは、客軍が勝利を得ん。山中に冬天に霧が起こり、十天散ぜざるは、是れ山の将に崩塌せんとする徴候なり。雲が一匹の絹帛の如く飄行し、もし西南に指向し、あるいは某座の城邑・郡県に指向すれば、そこの君長に憂患有らん。雲気が紛乱して潰散の如同じきは、大風が将に来たらんとす。それの来る方向を看清して遮擋を加うべし。雲もし十分に潤沢にして厚重なれば、大雨は必ず驟然に至らん。

四始之日,有黑氣如陣,厚重大而多雨氣,若霧非霧,衣冠而濡,見則其城帶甲而趨。日出沒時,有雲橫截之,白者喪,黑者驚。三日內雨者,咎解。雲氣如雄兔,臨軍營中,軍士死亡。天有青氣入營者,兵弱驚。天有赤色入營者,兵暴驚。天有黃氣入營者,兵和解。天有白氣入營者,兵強。天有黑氣入營者,士卒疾病。一云:兵相殘,急移營。有雲如蛟龍,所見處,將軍失魄。有雲如鵠尾,來蔭圍上,三日亡。

歳・時・月・日の四始の日に黒気が現れて陣の如く排列し、厚重龐大にして雨気多く、霧に似てまた霧にあらず、人の衣帽を沾湿する。それを見るに、あの城の士兵は就中甲を披き奔走せんとす。日出・日落の時、雲があって日面を拦腰截断し、白色は丧事を主り、黒色は驚擾を主る。三天の内に雨降れば、災咎は就中化解す。雲気が雄兔の如く、軍営の中に臨むは、軍士に死亡有らん。天上に青気があって営中に進入するは、兵力が衰弱にして多く驚恐せん。赤色の気があって営に入るは、突発の驚乱有らん。黄気があって営に入るは、兵事が将に和解せん。白気があって営に入るは、兵力が強盛なり。黒気があって営に入るは、士卒が疾病を生ぜん。もう一つの説は士兵が自ら相い残殺す。急いで営地を遷移すべし、と。雲があって形は蛟龍の如きは、それの現れる所、将軍は失魂落魄せん。雲があって天鵝の尾巴の如きは、飄来して囲まれたる城の上空を蔭覆す。三天の内に城破れ人亡ぶ。

有雲如日月暈赤色,其國凶;青白色,有大水。有雲狀如龍行,國大水流亡。有雲赤黃色四塞,終日竟夜照地者,大臣縱恣。有雲如氣昧而濁,賢人去,小人在位。

雲があって日暈・月暈の如くして赤色を呈するは、あの国家に凶事有らん。青白色を呈するは、将に大水あらん。雲があって形状は龍の行走するが如きは、国中に大水を発して人民が流亡せん。雲があって赤黄色を呈して四方を堵塞し、整日整夜大地を映照するは、大臣の放縦専横を主る。雲気があって昏暗にして渾濁なるは、賢人の離去し・小人が政を当たるを主る。

凡遇四方盛氣,無向之戰。甲乙日青氣在東方,丙丁日赤氣在南方,庚辛日白氣在西方,壬癸日黑氣在北方,戊己日黃氣在中央。四季日戰,當此日吉,逆之必敗。甲乙日平旦,所向有白雲,不可攻。丙丁日所向有烏雲,皆為城堅,不可攻。他仿此。赤氣如火者,叛其君。赤氣加西方者客勝,加北方者客敗。加東方,和解不斗。加南方者軍還,天下安,無兵。他仿此。

およそ四方の旺盛の気に遇上するは、それに向かって作戦するなかれ。甲乙の日に青気が東方に在り、丙丁の日に赤気が南方に在り、庚辛の日に白気が西方に在り、壬癸の日に黒気が北方に在り、戊己の日に黄気が中央に在り。四季の日に交戦し、この日の当旺の気に順えば就中吉、それに逆えば必ず敗る。甲乙の日の清晨、向かう所の方位に白雲有れば、進攻すべからず。丙丁の日に向かう所の方位に黒雲有れば、皆城池の堅固・進攻すべからざるを表示す。其余は此に依って類推す。赤気が紅くして火の如きは、臣下の君主を背叛するを主る。赤気が西方に加臨すれば、客軍が勝利を得ん。北方に加臨すれば、客軍は失敗す。東方に加臨すれば、双方が和解して戦わず。南方に加臨すれば、軍隊が師を回し、天下が安定し、兵事なからん。其余は此に依って類推す。

凡天見五色雲氣,望東西南北,至子午卯酉,若百步千步,一丈十丈,一尺長,數百丈,如車道長百十丈,日辰相剋者,大斗;不相剋者,寄居憂除。王氣所臨,有天命,為兵強;相氣所臨,為戰勝,將吏有功;死氣所臨,死喪疾病,饑饉破敗;囚氣所臨,為被圍降敗;休氣所臨,為兵罷無功,士卒亡散。日中有黑氣,君有小過,而臣不掩君惡,不揚君善,故日中有黑氣,不明是也。

およそ天上に五色の雲気が現れ、東西南北に向かって望み、直ちに子・午・卯・酉の四正の位に抵り、あるいは長さ百歩千歩、あるいは寛さ一丈十丈、あるいは一尺来りの長さ、あるいは几百丈、車道の如く長さ上百十丈――もし日辰がそれと相克すれば、大戦を主る。相克せざるは、外に寄居する人の憂患が解除を得ん。王気の臨む所の一方は、天命を得、兵力が強盛なり。相気の臨む所は、作戦して勝を得、将吏が功を立てん。死気の臨む所は、死喪・疾病・饑饉・敗亡を主る。囚気の臨む所は、囲困されて投降し失敗するを主る。休気の臨む所は、兵を収めて功なく、士卒が逃亡離散するを主る。日面の中に黒気有るは、是れ君主に小さな過失ありて、しかも臣下が君主の為に過悪を掩盖せず、また君主の善行を宣揚せざるがゆえに、日中に黒気を生ず。日光が明ならざるは就中此の道理なり。

凡白虹者,眾亂之首,百殃之本。霧者,百邪之氣,陰來冒陽,奸臣謀主,擅權立威。在天為濛,在地為霧;日月不見為濛,前後人不相見為霧。象志氣也,晝霧夜明,臣志得伸;夜霧晝明,臣志不伸。一云:君政邪,人覆主上,臣謀冒其君,覆之氣也,臣以非政,亂君政。

およそ白虹は、皆衆乱の開端・百殃の根本なり。霧は、是れ各種の邪僻の気、陰気が上に来りて陽気を冒犯し、奸臣の君主を図謀し・権を擅り威を立つるを象徴す。此の種の気は天上では「濛」と呼び、地面では「霧」と呼ぶ。日月ともに見えざるは「濛」、前後の人が互いに見えざるは「霧」なり。霧は臣下の心志を象徴す。白天に霧が起こりて夜が晴明なるは、臣下の心志が伸展を能くす。夜に霧が起こりて白天が晴明なるは、臣下の心志が伸展を得ざるなり。もう一つの説――君主の政令が邪僻なれば、下面の人は便ち君上を壓過し、臣子がその君主を図謀冒犯し、就中これ覆壓の気なり。臣下が不正の政を用いて君主の政令を擾乱す、と。

霧從夜半至,日中不解,遂止於濛,君不悟臣,行奸政於百姓;過日中似雨,臣強,無所避;濛日見,邪人欺君,有救,則明政令,審取順信臣而無害。霧終日終時,有君憂。色黃小雨;白主兵喪;青疫病;黑主暴水;赤有兵喪旱;黃主土功,或有大風。凡夜霧白虹見,臣有憂;晝霧白虹見,君有憂。虹頭屈至地,流血之象;白虹氣出,其年兵起。

霧が半夜より昇起し、中午に到っても消散せず、最後に停留して「濛」を成すは、是れ君主が臣下を察覚能わず、臣下が便ち百姓に対して奸政を施行す。中午を過ぎて雨が降らんと欲するが如きは、是れ臣下が強横にして回避する所なし。「濛」の中に太陽が露面するは、是れ邪人が君主を欺蒙して尚ほ救薬有り。ただ政令を申明し、恭順守信の臣子を審慎に任用せば、就中害なからん。霧が整天整時散ぜざるは、君主に憂有らん。霧色が黄を発するは小雨を主る。白を発するは兵事と丧事を主る。青を発するは瘟疫を主る。黒を発するは暴漲の大水を主る。赤を発するは兵喪と旱災を主る。黄色はまた土木の工程を主り、あるいは大風有らん。およそ夜に霧が起こりて白虹が現れるは、臣下に憂有らん。白天に霧が起こりて白虹が現れるは、君主に憂有らん。虹の頭が弯曲して地面に垂るるは、是れ流血の徴象なり。白虹の気が現れるは、あの年に兵事有らん。

凡霧氣,不順四時,逆相交錯,微風小雨,為陰陽氣亂之象。從寅至辰已上,周而復始,逆者不成,積日不解,晝夜昏暗,天下欲分離。凡霧四合,有虹見其方,隨四時色,吉非時色凶。凡霧氣若晝若夜,其色青黃,更相掩覆;乍合乍散,臣欲謀君,為逆者不成自亡。凡霧氣四方俱起,百步不見人,名曰晝昏。不有破國,必有滅門。凡天地四方昏濛若下塵,十日已上,或一月日,或一時,不沾衣而有土,名曰霾。故語曰:天地霾,君臣乖,不大旱,外人來。

およそ霧気が四時に順応せず、反常に交錯雑陳し、また微風小雨有るは、これは陰陽の気の紊乱の徴象なり。寅時より辰時以上に至り、周して復た始まり、天時に違逆する人は事を成す能わず。もし接いで多日散ぜず・昼夜昏暗なれば、天下は将に分崩離析せん。およそ霧が四面より合攏し、某個の方位にまた虹の現れ有るは、虹色が四時に順応するを吉と為し、時令の色に合わざるを凶と為す。およそ霧気が白天夜間を論わず、顔色が青黄相間に・交替に掩覆し、忽ち合し忽ち散ずるは、是れ臣下が君主を図謀せんと欲し、乱を作す人が事を成す能わずして自ら滅亡を取るなり。およそ霧気が四方より一斉に昇起し、百歩以外に人を見る能わざるを、「昼昏」と呼ぶ。国破れずんば、就中必ず滅門の禍あらん。およそ天地四方が昏暗迷濛して塵土を落すが如く、十天以上持続し、あるいは一ヶ月、あるいはただ一個の時辰のみ、衣服を沾湿せずして一層の土を落下するを、「霾」と呼ぶ。故に古語に曰く――天地に霾起これば、君臣乖離し、大旱を鬧さずんば、就中外敵の入侵有らん、と。

九土異気象の占(九土異氣象占)第六十四

《史記》曰:故候息耗者,入國邑,視封疆田疇之整,城郭屋室門戶之潤澤,次至車服畜產之精華。實息者吉,虛耗者凶。然則天地之間,無不有氣色者也。故積錢實,瓦石古墟,市獄戰場,皆有其氣。今轉次之雲爾。海旁蜃氣象樓臺。廣野氣成宮闕。

『史記・天官書』は言う――善く盛衰消長を占候する人は、一国一邑に入りて、先ずその疆界・田畝の整斉なるか否かを見、城郭・房屋・門戸の潤沢光鮮なるか否かを見、再び車馬・衣服・牲畜・物産の精美なるか否かを看る。充実増長するは就中吉、空虚耗損するは就中凶なり。此の様に看れば、天地の間に気色なき一様の物はなし。故に堆積の銭財・実物、瓦礫・石頭の古墟・廃址、集市・牢獄および古戦場は、皆各々自己の気有り。現在就中依次にそれらを記述して下の如し。海辺の蜃気は楼台の形状を結成し、空曠の原野の上の気は宮殿・楼闕の形状を凝成す。

自華山已南,氣上黑下赤。嵩高三河之郊,氣正赤。恆山北氣青。渤海之間氣正黑。江淮之間氣皆白。東海氣如圓燈。漢水氣如引布。江漢氣勁如杼。濟水氣如黑豚。渭水氣如白狼白尾。淮南氣如帛。少室氣如白兔青白尾。恆山之氣如黑牛有尾。東海氣如樹。西夷氣如室屋。南夷氣如樓閣或類舟船幡旗。北夷氣如牛羊群畜宮闕。

華山より南に往けば、気は上黒く下赤し。嵩山の高処および河東・河内・河南の三河一帯の郊野は、気は純然として赤色なり。恒山以北は、気は青色を呈す。渤海一帯の気は純黒なり。江淮の間の気は皆白色なり。東海の気は一盞の円燈の如し。漢水の気は扯開の一匹の布の如し。長江と漢水の気は挺勁にして布を織る梭子の如同じし。済水の気は黒色の小猪の如し。渭水の気は白狼の白尾を拖るが如し。淮南の気は絲帛の如し。少室山の気は白兔にして青白色の尾巴を帯ぶるが如し。恒山の気は尾巴を帯びた黒牛の如し。東海の気はまた樹木の如し。西辺の夷人の地の気は房屋の如し。南辺の夷人の地の気は楼閣の如く、あるいは舟船・幡旗の如し。北辺の夷人の地の気は成群の牛羊・牲畜と宮殿・楼闕の如し。

黑氣如群羊,如豬魚,為六夷不順。陣雲如立垣,杼雲類杼。軸雲類軸,摶兩端銳。柄雲如繩,居前亙天山,其半半天者類門旗,故白雲勾曲。諸此云見,以五色占。而渾轉密,其見動人,及有兵起合闕。其真雲氣,如三疋帛廣,前銳後大,將軍行氣也。千歲龜,上有白雲。

黒気が成群の羊の如く、あるいは猪の如く魚の如きは、六夷が帰順せざるを肯んぜざるを主る。陣。陣雲は竪起の墻垣の如し。杼雲は布を織る梭子の如し。軸雲は車軸の如く、団団と聚攏して両端が尖鋭なり。柄雲は一条の繩索の如く、前方に横たわり天山に綿亘し、半個の天空を占むるは門旗の如し。故に白雲は勾曲の形を呈せん。これらの雲が現れる時は、皆五色の法則に按じて占断す。雲もし渾然として旋轉して稠密にして、一たび現れれば人の心を動揺せしむるは、則ち兵事の興起ありて直ちに宮闕を逼むるなり。あの真実の雲気は、寛さは三匹の布帛の如く、前頭は尖鋭にして後頭は寛大なるは、これは将軍の行軍の気なり。千年を活きたる神亀は、上頭に白雲の覆蓋有らん。

韓雲如布,周雲如車輪,秦雲如行人,衛雲如犬,魏雲如鼠,齊雲如絳衣,越雲如龍,蜀雲如囷。車氣,乍高乍下,往往而聚;騎氣,卑而布;卒氣摶,前高後卑者,不止而返;校騎之氣,正蒼黑,長數百丈;遊兵之氣,如彗掃。喜氣;上黃下白;怒氣,上黃下赤;憂氣,上下黑;土功氣黃,白徒氣白。

韓地の雲は布匹の如く、周地の雲は車輪の如く、秦地の雲は行人の如く、衛地の雲は狗の如く、魏地の雲は老鼠の如く、斉地の雲は深紅の衣裳の如く、越地の雲は龍の如く、蜀地の雲は円形の穀倉の如し。戦車の気は忽ち高く忽ち低く、常に一堆に聚成す。騎兵の気は低伏して鋪展開す。歩卒の気は団聚して塊を成し、もし前高く後低ければ、就中行軍して停まずにして将に師を回さんとす。校尉の領する騎兵の気は純然として蒼黒色、長さは几百丈に達す。游動の兵の気は彗星の掃き過ぐるが如し。喜気は上黄く下白し。怒気は上黄く下赤し。憂気は上下ともに黒色なり。土木の役を興すの気は黄色を呈し、白徒・民夫を征発するの気は白色を呈す。

凡候雲之法,氣初出時,若雲非雲,若霧非霧,彷彿若可見。初出森森然,在桑榆上,高五六尺者,是千五百里外,平視則千里,舉目望則五百里,仰瞻中天百里內,平望桑榆間二千里,登高山而望四下屬地者三千里。凡欲知吾軍,常以甲己日及庚子戊午未亥日,八月十八日,去軍十里,登高望之可見。依別記占之,百人已上,皆有氣。凡占災異,先推九宮分野,六壬日月,不應陰霧風雨者,乃可占。

およそ雲気を観候する方法――気が剛く現れる時は、雲に似てまた雲にあらず、霧に似てまた霧にあらず、隠約として仿佛たり見るべし。それが初めに起こる時は森然として立ち、桑樹・楡樹の梢頭に浮び、高さ五六尺なるは、一千五百里以外の事を主る。平視して見る所は一千里、眼を抬げて望見するは五百里、仰いで中天に到るを見るは百里の内なり。桑楡の間に沿い平く望み出でて両千里に及べし。高山に登りて四下に向かって地と相接する処まで望めば、三千里に及べし。およそ自家の軍隊の気を察看せんと欲するは、通常は甲日・己日および庚子日・戊午日と未日・亥日、あるいは八月十八日、軍営を離るること十里の地方に走り、高きに登り遠く望めば就中見るべし。再び別冊の記す所の条例に依って占断す。およそ百人以上の隊伍は、皆気を有せん。およそ災異を占測するは、先ず九宮の分野と六壬の日月を推算し、もし陰・霧・風・雨の類の天象に応ずるにあらざれば、乃ち占を起こすべし。

對敵,有雲來甚卑,掩溝蓋道,是大賊必至,食不及飽,急起嚴備之。敵在東,日出候;在南,日中候;在西,日入候;在北,夜半候。凡氣在王相色,吉;在囚死色,凶。凡軍上氣,高勝下,厚勝薄,實勝虛,長勝短,澤勝枯。凡氣,欲似甑上氣,勃勃上升,積為霧,霧為陰,陰氣結為虹蜺暈珥之屬。凡氣不積不結,散漫一方,不能災。必須和雜殺氣,森森然疾,乃可諭占。

敵と対陣するの時、雲があって甚だ低く圧して飄来し、溝壑を遮い・道路を蓋うは、これは大股の敵兵が必ず到来す。飯を飽食するに及ばず、急いで身を起こし厳しく戒備を加うべし。敵人が東方に在れば、就中日出の時に観候す。南方に在れば、就中正午に観候す。西方に在れば、就中日落に観候す。北方に在れば、就中半夜に観候す。およそ気が王気・相気の色を呈するを吉と為し、囚気・死気の色を呈するを凶と為す。およそ軍隊の上空の気は、高きは低きに勝り、厚きは薄きに勝り、実なるは虚なるに勝り、長きは短きに勝り、潤沢なるは枯槁なるに勝る。およそ気は蒸鍋の上の水汽の如く勃勃と上昇し、積聚して霧を成すべし。霧は陰に属し、陰気は再び凝結して虹・霓・暈・珥の類を成す。およそ気が積聚せず・凝結せず、ただ散漫にして一方に在るは、災を成す能わず。必ず肅殺の気を夾雑し、森然として急促なるを須みて、乃ちこれに拠って占を論ずべし。

軍上氣安則軍安,氣不安則軍不安,氣南則軍南,氣北則軍北,氣東則軍東,氣西則軍西,氣散則軍破散。候氣,常以平旦、下晡、日出沒時處氣見以知。夫占之期內,有大風雨久陰,則災不成。故風以散之,陰以疏之,雲以藏之,雨以解之。

軍隊の上空の気が安穏なれば、軍隊は就中安穏なり。気が安穏ならざれば、軍隊もまた安穏ならず。気が南に向かえば、軍隊は就中南に向かう。気が北に向かえば、軍隊は就中北に向かう。気が東に向かえば、軍隊は就中東に向かう。気が西に向かえば、軍隊は就中西に向かう。気が一たび散ずれば、軍隊は就中潰散す。雲気を観候するは、通常は清晨・傍晚および日出・日落の時、気の顕現する地方に在りて察看して知るを得る。占する所の応期の内に、もし大風・大雨あるいは長久の陰天あれば、災禍は就中応験せざらん。それは風がそれを吹き散らし・陰がそれを疏解し・雲がそれを蔵匿し・雨がそれを化解するがゆえなり。

雲気の列宿に入る占(雲氣入列宿占)第六十五

角宿:有雲狀如刀劍,□□□角間,有憂,陰謀起,天子下殿。有雲蒼色入左角,兵散;出右角,戰有憂。亢宿:有雲入亢,人民疾疫。有氣入亢出氐,君主疾。氐宿:有蒼白雲入氐,天下大疫疹流行。有黑雲入氐,水災。房宿:有赤雲狀人入房,后有娠,不然,好事起。有氣入房,宮中大兵起,名曰內亂。

角宿――雲があって形状は刀剣の如く、両角の間に在るは、憂患有り・陰謀の興起し・天子が迫られて殿を下るを主る。青色の雲があって左角星に進入するは、兵衆が離散す。右角星より出去するは、作戦に憂有らん。亢宿――雲があって亢宿に進入するは、百姓に将に疫病あらん。気があって亢宿より進入し・また氐宿より出るは、君主が生病す。氐宿――蒼白色の雲があって氐宿に進入するは、天下に将に大規模に疫疹が流行せん。黒雲があって氐宿に進入するは、水災を主る。房宿――赤雲があって形状は人の如く房宿に進入するは、皇后に将に身孕有らん。不然れば、また好事の発生有らん。気があって房宿に進入するは、宮中に大いに兵変を起こさん。これを「内乱」と呼ぶ。

心宿:有青雲出心,天子使諸侯將出。有白氣入心左星,太子受賜;黑氣入心右星,庶子受賜祿;蒼白氣入心中星,天子有憂。尾宿:蒼氣入尾,故臣有來歸身者;出尾,臣有死者。白雲入尾,君故臣有來者。箕宿:蒼氣出箕,國災除。又曰:入箕,四夷來見。黃雲入箕,有蠻夷來貢。斗宿:蒼白雲氣入南斗者,多風。赤氣入斗,兵起。

心宿――青雲があって心宿より出来するは、天子が諸侯・将領を派遣して出行せしめん。白気があって心宿の左星に進入するは、太子に将に賞賜を受けん。黒気が心宿の右星に進入するは、庶子に将に俸禄を賜うあらん。蒼白の気が心宿の中央大星に進入するは、天子に憂有らん。尾宿――青気が尾宿に進入するは、旧日の臣属に前來して帰附投靠する者有らん。尾宿より出去すれば、臣属の中に死亡の人有らん。白雲が尾宿に進入するは、君主の旧臣に来帰する者有らん。箕宿――青気が箕宿より出来するは、国家の災禍が解除す。また一説、気が箕宿に進入するは、四方の夷人が前來して朝見せん、と。黄雲が箕宿に進入するは、蛮夷の前來して進貢する有らん。斗宿――蒼白色の雲気が南斗に進入するは、風多し。赤気が南斗に進入するは、将に兵事有らん。

牛宿:虹雲出牽牛之度,必有崩城,期二年;蒼雲入牛,牛多疾。女宿:赤雲入須女,婦人多以兵死。白氣入女,女多疾疫。虛宿:蒼雲入虛,哭泣在內;出虛,禍除福興;黃氣入虛,天子以喜,起廟祠祀。危宿:蒼白若赤雲入危,有土功蓋屋大作之事。蒼氣入危,中國憂損屋。

牛宿――虹状の雲が牽牛宿の度数の上に現れるは、必ず城池の崩塌あり、応期は二年。青雲が牛宿に進入するは、牛が多く疾病を生ぜん。女宿――赤雲が須女宿に進入するは、婦人に多く兵禍に死する有らん。白気が女宿に進入するは、婦女に多く疫病を生ぜん。虚宿――青雲が虚宿に進入するは、宮内に哭泣の事有らん。虚宿より出去すれば、禍事が消除して福気が興起す。黄気が虚宿に進入するは、天子に喜事あり、宗廟を興建し・祭祀を挙行せん。危宿――蒼白色あるいは赤色の雲が危宿に進入するは、将に土木を大興し・房屋を蓋造する事有らん。青気が危宿に進入するは、中原の国が房屋の損毀を為に憂えん。

室宿:蒼白雲入室,大人喪之憂。(入壁同。)氣潤澤如日月見室,男子之祥。壁宿:赤雲入壁,有兵起。黑氣入壁,有破王。奎宿:赤雲入奎,有兵若疾病。婁宿:白氣入婁,人民受賞。黃氣入婁,貴人受賜。胃宿:蒼白氣入胃,以喪糴粟。黑氣入胃,囷倉敗,谷腐。昴宿:蒼赤雲入昴,人民多疾疫,妖言大起,不然龍見。

室宿――蒼白色の雲が室宿に進入するは、貴人に丧事の憂有るを主る(壁宿に進入するも占法同じ)。気が潤沢にして日月の光の如同じく室宿に現れるは、是れ男子を生むの祥なり。壁宿――赤雲が壁宿に進入するは、将に兵事の興起あらん。黒気が壁宿に進入するは、王侯の撃破せらるる有らん。奎宿――赤雲が奎宿に進入するは、兵事あるいは疾病有るを主る。婁宿――白気が婁宿に進入するは、百姓が将に賞賜を受けん。黄気が婁宿に進入するは、貴人に将に賞賜を受けん。胃宿――蒼白の気が胃宿に進入するは、丧事を為に粟米を買進せん。黒気が胃宿に進入するは、穀倉が損壊し、糧食が黴爛せん。昴宿――青赤色の雲が昴宿に進入するは、百姓に多く疫病に染み、妖言が大いに起こり、不然れば就中龍の出現有らん。

畢宿:蒼白雲入畢,歲不收;出畢口,其禍除。又曰:赤雲入畢,兵起,大旱,火災。白氣入畢口中,其歲大人必有生者。觜宿:黃雲入觜,兵隨之出。黑氣入觜,大人憂。參宿:蒼雲入參,有火災。赤氣入參,內有兵起。井宿:黃氣白入井,有客來賓,池澤水事興。赤雲入井,大水,不然有疾病。

畢宿――蒼白色の雲が畢宿に進入するは、当年の穀物が歉収す。畢口より出去するは、あの禍事は就中化解す。又一説――赤雲が畢宿に進入するは、兵起こり・大旱と火災を主る。白気が畢口の中に進入するは、此の年に貴人の家中に必ず生育の喜有らん。觜宿――黄雲が觜宿に進入するは、兵馬が之に随って出動せん。黒気が觜宿に進入するは、貴人に憂有らん。参宿――青雲が参宿に進入するは、将に火災有らん。赤気が参宿に進入するは、内部に兵事の興起有らん。井宿――黄気と白気が井宿に進入するは、賓客の来訪有り・池沼川沢の水利の事が興辦さる。赤雲が井宿に進入するは、大水を主り、不然れば就中疾病有らん。

鬼宿:白雲入鬼,有疾病憂。黑氣入鬼,大人憂。(觜同。)柳宿:赤雲入柳者,有失火之憂;出柳者,大旱。黃雲入柳中,五十日赦。星宿:蒼白雲入七星,大人憂。赤氣入七星,四曲五曲不正者,有亡臣。張宿:白雲入張,大客有憂。赤氣入張,天子用兵賜物。黃白氣潤入張,天子因喜賜客;出張,天子使信物、賜諸侯。黃赤氣入張,憂;出張,天子用兵。

鬼宿――白雲が鬼宿に進入するは、疾病の憂有るを主る。黒気が鬼宿に進入するは、貴人に憂有らん(觜宿の占法同じ)。柳宿――赤雲が柳宿に進入するは、失火の憂有らん。柳宿より出去するは、大旱を主る。黄雲が柳宿の中に進入するは、五十天の内に赦令有らん。星宿――蒼白色の雲が七星に進入するは、貴人に憂有らん。赤気が七星に進入し、弯曲して四折五折を成して端正ならざるは、臣子の逃亡有らん。張宿――白雲が張宿に進入するは、遠来の大賓客に憂有らん。赤気が張宿に進入するは、天子が将に兵を用い併せて財物を賞賜せん。黄白の気が潤沢にして張宿に進入するは、天子が喜事を因に賓客を賞賜せん。張宿より出去すれば、天子が使者を派して信物を送り・諸侯を賞賜せん。黄赤の気が張宿に進入するは、憂を主る。張宿より出去すれば、天子が将に兵を用いんとす。

翼宿:黑氣入翼,政短。翼星有氣三夜不去,大人憂,兵大起,車騎滿野。軫宿:蒼雲圍軫,亡國之戒。蒼白氣入軫,王大幸觀;出軫,其禍除。黑氣如鼠入軫正中,大人墮車憂,或落床。黃白雲出軫,天子用車為幣賜諸侯王。

翼宿――黒気が翼宿に進入するは、政令が短促にして行い難し。翼宿の星に気があって笼罩し、連続して三夜に散散ぜざるは、貴人に憂あり・将に大いに挙げて兵を興し・車馬・騎士が原野に布き満たん。軫宿――青雲が軫宿を環繞するは、是れ亡国の警戒なり。蒼白の気が軫宿に進入するは、君王が大規模に出巡して游観せん。軫宿より出去すれば、禍事が解除す。黒気が老鼠の如く軫宿の正中に鑽入するは、貴人に墜車の憂あり、あるいは床上より摔下せん。黄白色の雲が軫宿より出来するは、天子が車駕を以て礼物と為し諸侯王を賞賜せん。

雲気の中外官に入る占(雲氣入中外官占)第六十六

赤黃氣出紫宮,有立王。赤黃氣出紫宮中,天子用錢物賜諸侯王。赤雲氣直入紫宮中,兵大起,內亂,有立王。赤氣出紫宮中,兵起。赤黃氣潤澤入紫宮中,天子有嘉劍。黃白氣潤澤如刀劍入紫宮中,天子有男喜。黃白氣入紫宮中,有立侯王。黃白氣正圓如杯碗入紫宮中,倖臣有奉獻美女者。(入太微,同占。)

赤黄の気が紫微宮より出来するは、将に新王の立てらるる有らん。赤黄の気が紫微宮の中より出来するは、天子が銭財・物品を用いて諸侯王を賞賜せん。赤色の雲気が笔直に紫微宮の中に挿入するは、将に大いに挙げて兵を興し・内乱を発生し・併せて新王の立てらるる有らん。赤気が紫微宮の中より出来するは、将に兵事有らん。赤黄の気が潤沢にして紫微宮の中に進入するは、天子が嘉美の宝剣を得ん。黄白の気が潤沢にして刀剣の形の如く紫微宮の中に進入するは、天子に男子を生むの喜有らん。黄白の気が紫微宮の中に進入するは、将に侯王の立てらるる有らん。黄白の気が正円にして杯碗の如く紫微宮の中に進入するは、寵臣の美女を進献する有らん(此の種の気が太微垣に進入するも占法同じ)。

蒼白氣出紫宮,其禍除;起或入長垣,胡人起。蒼白氣出天極中,其禍除。蒼白氣入勾陳中,大司馬憂喪。黑氣入勾陳中,大司馬戮死。赤氣入勾陳中,內亂。赤氣出勾陳中,大戰,將有功。黃白氣入勾陳中,將大戰。白氣入勾陳中,天子立宗廟。黑氣出勾陳中,其禍除。

蒼白の気が紫微宮より出来するは、禍事が解除す。もしこの気が昇起しあるいは長垣星に進入すれば、胡人に将に動乱有らん。蒼白の気が天極星の中より出来するは、禍事が解除す。蒼白の気が勾陳星の中に進入するは、大司馬に憂患・丧事有らん。黒気が勾陳星の中に進入するは、大司馬が殺されん。赤気が勾陳星の中に進入するは、内乱を主る。赤気が勾陳星の中より出来するは、将に大戦有り・将領が功を立てん。黄白の気が勾陳星の中に進入するは、将領が大戦を打たんとす。白気が勾陳星の中に進入するは、天子が宗廟を営建せん。黒気が勾陳星の中より出来するは、禍事が解除す。

赤氣入北斗,兵起,及宮廟有火憂,大旱。赤氣入北斗中,還勾陳南斗,不過一年,有流血,兵將死,客勝主。黃白氣入北斗,天子使諸侯。雲氣五色直入北斗,必立天子,遠二年,近百日。蒼黑氣入北斗魁中,貴臣死獄中。蒼白氣出北斗魁中,其禍除。赤氣入北斗魁中,將斧鑕斬者。黃氣出北斗魁中,天子出惡令。黃白氣出北斗魁中,天子左右倖臣有囚者蒙德令。

赤気が北斗に進入するは、将に兵事有り、宮室・宗廟にもまた火災の憂あり、還って大旱を主る。赤気が北斗の中に進入し、再び折回して勾陳と南斗に至るは、一年を出ずに流血の事有らん。将領が戦死し、客軍が主軍に勝たん。黄白の気が北斗に進入するは、天子が諸侯を派遣して出使せしめん。五色の雲気が笔直に北斗に挿入するは、必ず天子を立てん。遠くは両年、近くは百日なり。青黒の気が北斗魁の中に進入するは、貴臣の獄中に死する有らん。蒼白の気が北斗魁の中より出来するは、禍事が解除す。赤気が北斗魁の中に進入するは、人の斧鑕に斬殺せらるる有らん。黄気が北斗魁の中より出来するは、天子が暴虐の命令を発布せん。黄白の気が北斗魁の中より出来するは、天子の身辺に囚禁せられたる寵臣が寛赦の恩令を蒙らん。

蒼白氣入北斗,多大風。黃雲蔽北斗,明日雨。赤雲掩北斗,明日大熱殺人。白雲掩北斗,不過三日,雨。青雲掩北斗,五日雨。天下晴,北斗上下獨有雲,後五日內必大雨。黃白氣集輔星,相有喜。白氣集輔星,相有憂。赤氣集輔星,相有斧鑕之事。

蒼白の気が北斗に進入するは、大風を多く刮らん。黄雲が北斗を遮住するは、第二日に雨降らん。赤雲が北斗を掩住するは、第二日に酷熱して人を傷らん。白雲が北斗を掩住するは、三天を出ずに雨降らん。青雲が北斗を掩住するは、五天の内に雨降らん。天下が皆晴朗にして、ただ北斗の上下に雲有れば、此の後五天の内に必ず大雨降らん。黄白の気が輔星の上に聚集するは、丞相に喜事有らん。白気が輔星の上に聚集するは、丞相に憂患有らん。赤気が輔星の上に聚集するは、丞相が斧鑕の刑戮の事に遭わん。

赤雲入攝提,九卿憂。黃雲入攝提,九卿有賞。赤氣入攝提,戈盾用事。青雲一道、如千尋槍竿而沖大角過者,殿樑棟折。黑氣出梗河,兵大戰。蒼白氣出招搖,三夜不去,大人憂。黃氣出女床,後宮有子喜;白氣有喪。黑氣出女床,後宮有死者;青氣有病。

赤雲が摂提星に進入するは、九卿に憂有らん。黄雲が摂提星に進入するは、九卿が賞賜を得ん。赤気が摂提星に進入するは、将に干戈・盾牌を動用して戦事を興起せん。一道の青雲があって千尋長き槍杆の如く直ちに大角星に冲して過ぐるは、殿堂の梁棟が折断せん。黒気が梗河星より出来するは、将に大戦有らん。蒼白の気が招揺星より出来して、連続三夜に散ぜざるは、貴人に憂有らん。黄気が女床星より出来するは、後宮に男子を生むの喜有らん。もし白気なれば、則ち丧事有らん。黒気が女床星より出来するは、後宮に人の死亡有らん。もし青気なれば、則ち病める人有らん。

蒼白氣入天棓,有喪。蒼白黑氣出天棓中,其禍除。青氣入天棓,有喪;出天棓,有禍。赤氣出天棓,兵大起戮死。黑氣入天棓,大人憂。蒼白氣出貫索中,其禍除。蒼白雲氣入貫索中,天子憂亡地。赤氣入貫索中,有內兵起。黃氣入貫索中,天子喜。

蒼白の気が天棓星に進入するは、将に丧事有らん。蒼白と黒色の気が天棓星の中より出来するは、禍事が解除す。青気が天棓星に進入するは、丧事有らん。天棓星より出去すれば、禍患有らん。赤気が天棓星より出来するは、将に大いに挙げて兵を興し人の殺され有らん。黒気が天棓星に進入するは、貴人に憂有らん。蒼白の気が貫索星の中より出来するは、禍事が解除す。蒼白色の雲気が貫索星の中に進入するは、天子が土地を失うを為に憂慮せん。赤気が貫索星の中に進入するは、将に内乱の兵の興起有らん。黄気が貫索星の中に進入するは、天子に喜有らん。

蒼白氣入織女,主憂病。蒼白氣出天市,其禍除,萬物賤。蒼黑氣入天市中,萬物賤。赤氣入天帝中,兵弩貴。赤氣出天市中,兵大貴。黃白氣長如二疋繒布,常集天市中,神奇物出,天子有喜。赤氣出天江,車騎將軍出。蒼白氣出河鼓中,將有憂。黑氣入匏瓜,天子食果為害。

蒼白の気が織女星に進入するは、憂愁・疾病の事有るを主る。蒼白の気が天市垣より出来するは、禍事が解除し、万物の価が賤し。青黒の気が天市垣の中に進入するは、万物の価が賤し。赤気が天帝座の中に進入するは、兵器・弓弩の価格が昂貴す。赤気が天市垣の中より出来するは、兵器が大いに昂貴す。黄白の気が長さは両匹の繒布の如く、常に天市垣の中に聚集するは、神奇の物の出世有り・天子に喜有らん。赤気が天江星より出来するは、車騎将軍が将に出征せん。蒼白の気が河鼓星の中より出来するは、将領に憂有らん。黒気が匏瓜星に進入するは、天子が瓜果を吃して害を受けん。

蒼白氣入天津中,君有水憂。蒼黑氣入王良,奉車憂。蒼白氣入附路,太僕憂。客氣出天船中,不出一年有自立者。蒼白雲氣入三臺,人民多喪。白雲大圍長二三丈,出天牢中,貴人及人親屬,必斬死。赤氣入天理中,兵大起。赤氣出東西掖門者,起兵將受令。赤氣入東西掖門,內亂兵起,人主且有吉事,天必應以雲光影。

蒼白の気が天津星の中に進入するは、君主に水患の憂有らん。青黒の気が王良星に進入するは、奉車都尉に憂有らん。蒼白の気が附路星に進入するは、太僕に憂有らん。客星の気が天船星の中より出来するは、一年を出ずに自立して王と為る人有らん。蒼白色の雲気が三台星に進入するは、百姓に多く喪亡有らん。白雲が囲りて長さ二三丈、天牢星の中より出来するは、貴人および彼らの親属が必ず斬殺せられん。赤気が天理星の中に進入するは、将に大いに挙げて兵を興さん。赤気が東西掖門星より出来するは、是れ兵を起こす将領が命令を接受せんとす。赤気が東西掖門星に進入するは、内乱して兵を興し、而るに君主に将に吉事有らん。上天は必ず雲の光影を用いて応験せん。

黃白氣入東西掖門,天子有喜。黃白氣出東西門,天子出德令。一曰:雲如為□在太微中,有人為外應者。黑氣入東西掖門,大人憂母。蒼白氣出東西掖門,天子憂喪事;出太微中,其禍除。蒼白氣如人反走獸入太微坐旁,有反者。蒼白氣如走獸,入抵太微帝座星,天子有憂。蒼白氣入抵太微及帝座,天子有喪事。

黄白の気が東西掖門星に進入するは、天子に喜有らん。黄白の気が東西門星より出来するは、天子が恩を施す詔令を頒布せん。もう一つの説――雲が太微垣の中に現れるは、人の外に応接する有らん。黒気が東西掖門星に進入するは、貴人が母親の事を為に憂慮せん。蒼白の気が東西掖門星より出来するは、天子に丧事の憂有らん。太微垣の中より出来すれば、禍事が解除す。蒼白の気が人の反身して逃走するが如く・また走獣の如く、太微垣の帝座の傍に進入するは、人の謀反する有らん。蒼白の気が形は奔走の野獣の如く、直ちに太微垣の帝座星に抵るは、天子に憂有らん。蒼白の気が侵入して直ちに太微垣および帝座に抵るは、天子に丧事有らん。

赤黃氣潤澤入太微中,天子有喜事。赤黃氣潤澤如箕帚入太微中,婦女有喜事。赤黃氣如箕帚出太微中,天子用錢物賜美女。赤黃氣入太微中,天子用錢賜諸侯王。赤氣出太微,兵起。一曰有立王。赤氣如杯碗正圓飛出太微中,天子用壁賜諸侯王。赤氣直指太微坐左右,諸侯且內亂。黃白氣出太微中,有立王。黃白氣如赤黑氣蛟蛇及龍形,在太微庭宮闕上,有白衣之會;其同章環太微天庭而主殺主喪。此氣皆亂臣讒賊之氣。

赤黄の気が潤沢にして太微垣の中に進入するは、天子に喜事有らん。赤黄の気が潤沢にして簸箕・掃帚の形の如く太微垣の中に進入するは、婦女に喜事有らん。赤黄の気が簸箕・掃帚の形の如く太微垣の中より出来するは、天子が銭財・物品を用いて美女を賞賜せん。赤黄の気が太微垣の中に進入するは、天子が銭財を用いて諸侯王を賞賜せん。赤気が太微垣より出来するは、将に兵事有らん。もう一つの説は将に新王の立てらるる有らん、と。赤気が正円にして杯碗の如く、太微垣の中より飛出するは、天子が玉璧を用いて諸侯王を賞賜せん。赤気が笔直に太微垣の帝座の左右を指向するは、諸侯が将に乱を作さん。黄白の気が太微垣の中より出来するは、将に新王の立てらるる有らん。黄白の気が赤黒の気を夾み、形は蛟の如く・蛇の如くおよび龍形の如くして、太微垣の宮庭・闕門の上に現れるは、喪服の会有らん。あの種の片を成して太微天庭を環繞するは、就中殺伐を主り・喪亡を主る。これらの気は皆乱臣と讒佞の徒の気なり。

黃白雲氣出宮上,若旗有光,人主有喜,延年益壽。有青白氣出五帝座飛徑出南門者,不出九十日,人君失其官,天下不安。赤氣出五帝座、下至入倖臣中者,不出六十日,近臣有欲謀其君者。氣不成,不明形者,死亡,天下大亂。青白氣出倖臣入五帝座,臣中正欲論兵事發。(入積卒同占。)氣上赤下白,大如井口,從外入壓太微庭者,邪臣;氣直者,貴臣之氣。太微中有雲如鳥,諸侯反,有來誅天子,內連謀。

黄白色の雲気が宮垣の上より冒出し、旗幟の如く光彩を帯びるは、君主に喜事あり・延年益壽せん。青白の気があって五帝座より出来し、径直に南門星より飛出するは、九十天を出ずに、君主がその位を失い、天下が安寧を得ざらん。赤気が五帝座より出来し、下に向かって幸臣星の中に進入するは、六十天を出ずに、近臣の中に人のその君主を図謀する有らん。この気もし形を成さず・形状が分明ならざれば、就中死亡を主り、天下が大乱せん。青白の気が幸臣星より出来して五帝座に進入するは、是れ臣子の中の中正の士が議論を発し・兵事を動かさんとす(積卒星に進入するも占法同じ)。気が上赤く下白く、大きさは井口の如く、外より入り来りて太微庭を圧住するは、是れ奸邪の臣の気なり。気の形が笔直なるは、是れ貴臣の気なり。太微垣の中に雲があって形は飛鳥の如きは、是れ諸侯の反叛・人の前來して天子を討伐し・併せて朝内に串通して謀劃するなり。

黃氣出太子座上、入五帝座者,不出六十日,太子即位。黑氣抵太微坐,左右諸臣死。蒼白氣入郎位,中兵起。赤氣出郎位,多用兵,遠出行。黃白氣潤澤入郎位,中郎受賜。黑氣入郎位,郎多死者。

黄気が太子座星の上より冒出し、五帝座に進入するは、六十天を出ずに、太子が就中即位せん。黒気が直ちに太微垣の帝座に抵るは、帝座の左右の諸大臣が死せん。蒼白の気が郎位星に進入するは、宮中に兵変有らん。赤気が郎位星より出来するは、将に多く兵を用い・併せて遠く出て行軍せん。黄白の気が潤沢にして郎位星に進入するは、中郎将が賞賜を受けん。黒気が郎位星に進入するは、郎官の中に多く死亡の者有らん。

雲気の外官に入る占(雲氣入外官占)第六十七

赤氣直如千尋槍竿沖庫樓,天子自將兵,兵大動,武庫官憂,內外不安。赤氣入魚星,車騎滿野,軍大動,將軍憂。蒼白氣入羽林軍,直南出,后有憂。赤白氣入龜,巫卜官憂。赤黑氣入鱉魚,白衣之會,天下易政。赤氣入傅說,祝官憂。赤氣入北落師門中,兵起。蒼黑氣入天倉,歲不熟。

赤気が笔直にして千尋長き槍杆の如く直ちに庫楼星に冲するは、天子が自ら兵を領し、軍事が大いに動き、武庫を掌る官に憂あり、内外ともに安寧を得ざらん。赤気が魚星に進入するは、車馬・騎士が原野に布き満ち、大軍が調動し、将軍に憂有らん。蒼白の気が羽林軍星に進入し、一直に南に向かって穿出するは、皇后に憂有らん。赤白の気が亀星に進入するは、巫卜を掌る官に憂有らん。赤黒の気が鱉魚星に進入するは、喪服の会有り、天下が朝を改め政を換えん。赤気が傅説星に進入するは、祝祷を掌る官に憂有らん。赤気が北落師門星の中に進入するは、将に兵事有らん。青黒の気が天倉星に進入するは、年成が熟さざらん。

青白氣入天囷,歲飢。蒼白氣入騎官,將死。赤氣入敗臼,人主凶。青氣入天廩,飛蝗生。赤氣入天苑中,牛馬多傷。赤氣出參旗,不出一年,西胡來,欲盜中國,若侵地,不出三年,天下煩擾,百姓多憂。蒼白氣入天廁中,天子有陰病。青赤氣入積卒中,正臣欲論兵事發。赤氣入天漢中,兵大起。

青白の気が天囷星に進入するは、年成が饑饉せん。蒼白の気が騎官星に進入するは、将領が死せん。赤気が敗臼星に進入するは、君主に凶有らん。青気が天廩星に進入するは、飛蝗を生ぜん。赤気が天苑星の中に進入するは、牛馬に多く傷損有らん。赤気が参旗星より出来するは、一年を出ずに、西方の胡人が就中前來して中原を劫掠せんと図謀せん。もしすでに土地を侵占せば、三年を出ずに、天下が動蕩煩擾し、百姓に多く憂有らん。蒼白の気が天厠星の中に進入するは、天子が隠疾を患えん。青赤の気が積卒星の中に進入するは、是れ中正の臣が議論を発し・兵事を動かさんとす。赤気が天漢の中に進入するは、将に大いに挙げて兵を興さん。

蒼白氣入咸池中,水蟲多死。蒼白氣入折威中,大臣作逆內亂,兵大起,天子失勢。赤雲氣入天積中,有火憂。蒭藁一名天積。歲星起出喪氣長三丈,三日雨,王者不安,大擾。熒惑出喪氣長一丈,百日旱。填星出喪氣長四丈,有土功,多雨。太白出喪氣長三丈至六丈,多風雨,兵大起所指處。辰星出喪氣長一丈,大水。

蒼白の気が咸池星の中に進入するは、水中の魚虫に多く死亡有らん。蒼白の気が折威星の中に進入するは、大臣が乱を作し反を造り、内乱が興起し、大いに挙げて兵を動かし、天子が権勢を失わん。赤色の雲気が天積星の中に進入するは、火災の憂有らん。蒭藁星はまたの名を天積という。歳星(木星)が昇起する時に喪気を冒出し、長さ三丈なるは、三天の内に雨降り、君王が安寧を得ず、天下が大乱せん。熒惑(火星)が喪気を冒出して長さ一丈なるは、百日の大旱を主る。填星(土星)が喪気を冒出して長さ四丈なるは、将に土木の役有り、しかも雨多し。太白(金星)が喪気を冒出して長さ三丈から六丈なるは、風雨多く、それの指す所に大いに挙げて兵を興さん。辰星(水星)が喪気を冒出して長さ一丈なるは、大水を主る。

氣象升沉,表吉凶之得失。青氣白黑犯官坐而入,占者察焉,豫曉祅變,括量銓度,唯氣幽深,窮之更堅,鑽之更邃。諸占隱辭決,並在略例中。若志士研精,須得指圖者也。僕尋之白首,粗得其門,後世學人觀此意也。

雲気の象はあるいは升りあるいは沈み、吉凶・得失を顕示す。青気・白気・黒気が星官の座位を侵犯してその中に進入するは、占候する人は仔細に審察し、予め妖異の変化を明了し、反復して衡量・斟酌すべし。ただ気の此の門の学問は幽深にして測り難く、愈々窮究すれば愈々艱深を覚え、愈々鑽研すれば愈々幽遠を覚ゆ。各種の占法の隠語と断辞は、皆『略例』の中に収む。もし志有る士が此の道を精研せんと欲せば、還って図式を指し点ずる人を得て当面伝授せらるるを須みる。我は此の道を探求して白頭に至るまで、始めて略々門径を摸り得たり。後世の学人は妨げず我が此の一番の用意を体会せよ。

乙巳占 巻第十

《易》曰:巽為風。巽卦曰:重巽以申命,又云:撓萬物者,莫疾乎風,風以散之。《詩序》曰:風,諷也,教也,風以動之,教以化之。然則風者,是天地之號令,陰陽之所使,發示休咎,動彰神教者也。《洪範》曰:念用庶徵:雲聖,時風若。咎徵:雲蒙,恆風若。《周禮春官保章氏》:以十有二風,察天地之和合、乖別之祅祥。自此而觀,即占風聲,以探禍福,由來尚矣。

『周易』は言う――巽卦は風を象徴す、と。『巽卦』は言う――重畳の巽卦は、以て反復して号令を申明す。また言う――万物を攪動するに、風より迅疾なるは莫し。風は万物を吹き散らすを能くす、と。『毛詩序』は言う――風はすなわち諷喻・すなわち教化なり。風を用いて人の心を鼓動し、教化を用いて風俗を改変す、と。此の様に看れば、風はすなわち天地の号令・陰陽の駆使する所の物なり。それは吉凶・禍福を顕示し、動象を用いて神明の教誨を彰明す。『尚書・洪範』は言う――各種の徴験に留意すべし。君主が聖明通達なれば、就中時に応ずる風の相随う有り。咎悪の徴に至りては、君主が昏昧不明なれば、就中久しく刮りて停まらざる風の相随う有り、と。『周礼・春官・保章氏』に記載――十二種の風を用いて天地の気の和合なるか乖離なるかの妖祥を考察す、と。此に由りて看れば、風声を占候して以て禍福を探求するは、由来すでに久遠なり。

故金勝未啟,表拔木之徵祥;玉幣才交,起偃禾之異事。宋襄失德,六鷁退飛;伯姬將焚,異鳥之唱。是知風覺鳥情,天地之事理,其所由來久矣。昔子野驟歌以驗楚軍,吳範立候而期關羽。楊範之占雞酒,管輅之察飛鳩。並皆占等同符,義過合契。是知事無大小,隨感必臻,祥無淺深,見形皆應。此則法術之所由來也。

故に周室の金縢の匱がいまだ開啓せざらざるに、先ず大風の木を抜くの徴祥有り。祭祀の玉帛が纔かに献上せられて、就中禾稼の倒伏して後に復た起きるの異事現る。宋襄公が徳を失えば、就中六隻の鷁鳥の倒退して飛び宋都を過ぐる有り。伯姫が将に火に焚かれて死せんとするに、先に怪鳥の鳴叫有り。見るべし、風は鳥獣の情状を顕露するを能くす。これは天地間の事理にして、その来源すでに久遠なり。従前、晋国の楽師・師曠(字は子野)は几たびか南風・北風を歌唱して、就中楚軍の必敗を験出したり。呉范は候風の法を設立し、関羽の敗亡の日期を予定せり。楊范は鶏と酒を憑じて占験し、管輅は飛鳩を察看して以て事を断ず。彼らの占断は皆符節の如く吻合し、義理は合券よりもなお厳丝合縫なり。此に由りて知るべし――事は大小を論わず、ただ感応有る所は必ず顕現し、祥兆は深浅を論わず、ただ形跡を現出せば皆応験せん。就中これは此の門の法術の由来なり。

余昔敦慕斯道,歷覽尋究。自翼奉己後,風角之書,近將百卷,或詳或略,真偽參差,文辭詭淺,法術乖舛,輒削除煩蕪,翦棄遊談,集而錄之,以為風鳥參驗,附於玄象之末。並有立成,以備倉卒,庶使文省事周,詞約理贍,後之同好想或觀之。夫蹙口微嘯,尚有徵應,況五行招感,能無所聞?陸賈曰:目瞷得酒食,火花得錢財,鵲啄足而行人至,蜘蛛集而百事喜,小既如此,大亦有之,將來君子,幸畏天命也。

我は従前に此の門の学問を篤好し、群書を遍覧し・根を尋ね底を究む。翼奉以後、風角を講ずる書はほとんど上百巻、あるいは詳尽あるいは簡略、真偽が雑混し、文辞が怪誕浅陋にして、法術が前后に矛盾す。我は是れ繁蕪を刪除し、空談を剪去り、彙集抄録して編と成し、「風鳥」の一門の参験の法として、天象の諸巻の末尾に附す。書中に還って現成の図表を編み、以て倉促の時の取用に備う。文字を省浄にして事理を周備・辞句を簡約にして義理を豊贍ならしめんことを希う。後世の同好の人は或いは一読せんや。唇を撮起して軽く口哨を吹くも尚ほ且つ徴応あれば、況んや五行の間に彼此招引して感応せんに、怎ぞ消息の聞くべからざるがあらん。陸賈は言ったり――眼皮が跳動すれば酒食を得、燈花が爆開すれば銭財を得、喜鵲が脚を啄めば行人の到来有り、蜘蛛が聚集すれば百事が歓喜す、と。小事はすでに此の如し、大事もまた必ず此の様ならん。将来の君子は、天命を敬畏するを希望す。

候風法(候風法)第六十八

凡候風者,必於高迥平原,立五丈長竿,以雞羽八兩為葆,屬於竿上,以候風,風吹羽葆,平直則占。亦可於竿首作盤,盤上作木烏三足,兩足連上而外立,一足繫羽下而內轉,風來烏轉,回首向之,烏口銜花,花旋則占之。

およそ風向を観候する人は、必ず高曠平坦の原野の上に、一根の五丈長き竿子を立て、八両の鶏毛を用いて羽葆を扎り、竿頂に繋りて以て風を候す。風が羽葆を吹動して、羽葆を平直に吹く時に就中占を起こすべし。また竿頂に一個の円盤を作るも可。盤上に一隻の三足の木烏を安んじ、その中の両足は盤に連ねて外に向かって立定し、一足は下面の羽毛を系りて内に向かって轉動すべし。風が一たび来れば木烏は就中轉動し、頭を回して風に迎着え、烏の嘴の裏に一朵の花を銜え、花が旋轉し起これば就中これに拠って占断す。

淳風曰:羽必用雞,取其屬巽,巽者號令之象。雞有知時之效。羽重八兩,以仿八風。竿長五丈,以仿五音。烏象日中之精,故巢居而知風,烏為先首。《淮南子》曰:天欲風,巢居先翔。古書云:立三丈五尺竿於西方,以雞羽五兩繫其端,羽平應占。

李淳風は言う――羽毛は必ず鶏毛を用い、それが八卦の中に巽に属するを取る。巽は正に号令の象徴なり。しかも鶏には暁を報じ時を知るの效験あり。羽毛の重さ八両は、八方の風を效法す。竿の長さ五丈は、五音を效法す。烏鴉は太陽の中の精気を象徴す。故にそれが巢を筑きて居れども風信を預知するを能くし、風を候するは便ち木烏を以て首选と為す。『淮南子』は言う――天が将に風を刮らんとすれば、巢を筑く鳥が先に飛び起きる、と。古書の上に言う――西方に一根の三丈五尺の竿子を立て、五両の鶏毛を竿端に系り、羽毛が吹き平さるる時に就中応験して占を起こす、と。

然則知長短輕重,取於合宜。竿不必過長,但以出眾中不被隱蔽為限,有風即動,便可占候。羽毛必五兩已上,八兩已下。但以羽輕則易平,重則難舉。常住安居,宜用烏候;軍旅權設,宜用羽占。羽葆之法:先取雞羽中破之,取其多毛處,以細繩遂緊夾之,長短三四尺許,屬於竿上,其扶堯、獨鹿、四轉、五復之風,各以形狀占之。

此に由りて知るべし――竿の長短・羽の軽重は、ただ一個の合適を取るのみ。竿子は必ずしも太長を要せず、ただ周囲より高出して遮蔽せられざれば行く。風有れば動き、便ち候占すべし。羽毛は必ず五両以上・八両以下を要す。それは羽毛が太軽ければ容易に吹き平され、太重ければ難く吹き起されるがゆえなり。長住安居の地方は、木烏を用いて風を候するに宜し。軍旅の中に臨時設置するは、羽葆を用いて風を占うに宜し。羽葆を作る方法――先ず鶏毛を取りて中より剖開し、毛の多き一段を取り、細繩を用いて緊く夾住し、長さ三四尺左右、竿の上に系す。扶尭・独鹿・四轉・五復の此の几種の風に至りては、各々その形状に按じて占断す。

占風遠近法(占風遠近法)第六十九

凡風動,初遲後疾,其來遠;初急後緩,其發近。(此以遲疾推風發遠近。)凡風動葉十里,鳴條百里,搖枝二百里,墮葉三百里,折小枝四百里,折大枝五百里。一云:折木飛砂石千里。或云:伐木施千里,又云:折木千里,拔木樹及根五千里。(此鳴條已上,皆百里風也。此以勢力推風遠近。)

およそ風が起こる時、初めは緩慢にして後が急驟なるは、風の遠方より来るを説明す。初めが急驟にして後が和緩なるは、風の近処より発するを説明す。(これは風勢の快慢を用いて風の起こる遠近を推断する。)およそ風がただ樹葉を吹動するは、十里より来る。枝條を吹きて響き作らしむるは、百里。樹枝を揺動するは、二百里。樹葉を吹落するは、三百里。小枝を折断するは、四百里。大枝を折断するは、五百里。一説に樹木を折断し・砂石を吹起するは、一千里より来る。また言うに林木を砍伐する一般の風は千里に及ぶ。更に言うに樹木を折断するは一千里、樹を根を連ねて抜き起こすは五千里。(枝條を吹きて響き作らしむる以上、皆百里の風に属す。これは風の勢力を用いて風の遠近を推断する。)

凡大風非常,三日三夜者,天下盡風也;二日二夜者,天下半風也;一日一夜者,萬里風也。(此以時節多少推風發遠近。)凡風二日二夜,事及三千里外;一日一夜周時,事及二千里;或一日或一夜六時已上者,事及一千里;半日半夜三時已上,事及五百里;三時已下,事及百里。(此以時多少推災及遠近。)凡大樹拔根,事及三千里外;折大枝,事及二千里。(此以勢力占災遠近。)

およそ異常の大風に遇上し、刮ること三天三夜なるは、是れ天下が皆風を刮るなり。刮ること両天両夜なるは、是れ天下の一半が風を刮るなり。刮ること一天一夜なるは、是れ万里の風なり。(これは持続する時辰の多少を用いて風の起こる遠近を推断する。)およそ風が両天両夜を刮るは、主する所の事は三千里以外に及ぶ。一天一夜を満ちて十二時辰を刮るは、事は両千里に及ぶ。あるいは一天・あるいは一夜にして六個の時辰以上なるは、事は一千里に及ぶ。半天・半夜にして三個の時辰以上なるは、事は五百里に及ぶ。三個の時辰に足らざるは、事は百里に及ぶ。(これは時辰の多少を用いて災禍の波及する遠近を推断する。)およそ大樹の根を連ねて抜き起こされるは、事は三千里以外に及ぶ。ただ大枝を折断するのみなるは、事は両千里に及ぶ。(これは風の勢力を用いて災禍の遠近を占断する。)

凡風近起城郭中者,有急事;卒起宮宅中者,為左右有變事。風自百里已上來者,皆謂其風時緩時急,條長垂索索然者是也。若蓬勃乍起乍止,卒緩卒急,勢無常準者,並二百里以內,非遠來,為災乃重。若當時有雲雨雷電者,不占。其應四時災日兼雷雨而發者,並依別占。周成王偃禾之風是也。

およそ風が就近して城郭の中に起こるは、緊急の事有るを主る。忽然として宮室・宅院の中に起こるは、是れ身辺の近侍に将に変故を出さんとす。風が百里以外より吹き来ると説くは、指す所は皆あの種の時に緩く時に急く・風条が長長に垂れ下りて索索として響く風なり。もし蓬勃として起こり・忽ち起き忽ち止み・忽ち緩く忽ち急く・勢頭に一定の準則なきは、皆二百里以内に在り、遠処より来るにあらざれども、しかもそれが災を成すは反って更重なり。もし当時に雲雨雷電有れば、就中占を起こさず。あの些の四時の災日に応じ・また雷雨を兼ねて一同に発作するは、皆別に専門の占法に按じて推断し、周成王の時に禾稼を吹き倒したあの場の大風はすなわち此の類に属す。

淳風曰:天下地氣,有偏饒風處,或近山川,或近大水,皆以異常為占,而山川記復有近風穴處。然風發出之時,皆有所應。然風或發一時間,遠乃至十日已上者,災重。而京房《風角》又有推五音風所發遠近,各以其五音之數,期風來處遠近。凡風發,一日為其縣,二日他縣,三日其郡,四日他郡,五日其州,六日他州。各以日數,知災所及。一云:凡風一日一夜為邑,二日三日為州,四日五日為國,六七日為天下。

李淳風は言う――天下の地気、有る地方は偏ねて風多く、あるいは山川に近く・あるいは大水に近し。これらの地方は皆反常の風を以て占と為すべし。山川の記載の中に還って風穴に近き地方有り。不過ただ風が発作する時、皆各々その徴応有り。風あるいはただ一個の時辰を刮り、久しきは竟に十天以上に延続すれば、あの災禍は就中重し。京房の『風角』の裏にまた五音の風の遠近より発するを推算する方法有り。各々五音の数に按じて、以て風の来処の遠近を定む。およそ風の起こる、第一天は本県を主り、第二天は別県を主り、第三天は本郡を主り、第四天は別郡を主り、第五天は本州を主り、第六天は別州を主る。各々天数に按じれば就中災禍の波及する範囲を知るべし。もう一つの説――およそ風が一天一夜を刮るは一邑を主り、両天三天は一州を主り、四天五天は一国を主り、六七天は天下を主る、と。

凡五音,有納音中金木水火土定五音者,有十二辰配五音,有聽聲配五音。宮風,近十里,中百里,遠千里。(宮之數也。)羽風,近六里,中六十里,遠六百里。徵風,近七里,中七十里,遠七百里。角風,近八里,中八十里,遠八百里。商風,近九里,中九十里,遠九百里。

およそ五音を講ずるに、納音の中の金木水火土に按じて以て五音を定むる有り、十二辰を用いて五音に配する有り、また声音を聴くに靠りて五音に配する有り。宮風は、近きは十里、中等は百里、遠きは千里(これは宮音の数なり)。羽風は、近きは六里、中等は六十里、遠きは六百里。徴風は、近きは七里、中等は七十里、遠きは七百里。角風は、近きは八里、中等は八十里、遠きは八百里。商風は、近きは九里、中等は九十里、遠きは九百里。

淳風曰:案京房《角風》所載,五音風發遠近,皆以五行成數推之。其云遠近及中者,皆以日時多少及勢力強弱,以事準之。推其遠近,皆變通其數,觸類長之,而風所從來二十四處,皆須明知發止。審別支干及以八卦所在,發時早晚,來從何處,息在何時,回在何日何辰,皆須審明知之。凡候風之體,須明知入卦,審識支干,或上或下,或高或卑,必曉此義,然後可驗,必無乖越。若失在毫末,差深千里。

李淳風は言う――京房『角風』の記載する所を考察するに、五音の風が発作する遠近は、皆五行の成数を用いて推算し出でたるなり。それの説く所の遠・近および中等は、皆風の持続する時辰の多少と勢力の強弱を参照し、実際の情形に按じて定むべし。遠近を推算する時は、皆この数字を靈活に変通し、類に触れて旁に通ずるに推衍して去るべし。而して風の従りて来る二十四個の方位は、必ずそれが何処より起こり・何処に止まるを弄清せねばならず。干支および八卦の所在する方位を審辨し、起風の早晚、何処より来り・何時に止息し・何れの日の何れの時辰に回旋するを、全て審察して明白にすべし。およそ風を候する要領は、必ず卦に入るの法を清楚に掌握し・干支を仔細に辨識し、風があるいは上あるいは下・あるいは高あるいは低を、必ずこれらの道理を通暁して然る後に占験乃ち偏差有ることなからん。もし毫厘を差せば、就中千里を謬らん。

今設八方之法:八干,甲乙丙丁庚辛壬癸;四卦,乾坤艮巽。八干、四卦、十二辰總有二十四分,皆立方,迭相沖破,即是風所從來。審視發止,乃可占驗。凡風從戌上來者須抵辰,自辛至者須直乙,發乾上來者必須抵巽,如此交沖,始知來處,以辯辰卦而入於占。迴風卒而圓轉扶搖,有如羊角向上輪轉。有自上而向下,有從下而升上,或平條長直,或磨地而起。

現在に八方の方法を設立す。八干は甲・乙・丙・丁・庚・辛・壬・癸。四卦は乾・坤・艮・巽。八干・四卦に十二辰を加えて、総計二十四分、各々一方を占め、両両として相冲し相破す。就中これは風の従りて来る所の方位なり。風の起止を審察して、乃ち占験すべし。およそ風が戌位の上より来るは、必ず辰位に抵せん。辛位より来るは、必ず直ちに乙位に冲せん。乾位より発出するは、必ず巽位に抵せん。此の象の如く両相交冲して、乃ち風の来処を知るを能くし、これに拠って地支と卦位を辨明して占断に納入す。旋風の来るは急促にして団団と盘旋し・扶揺して直上し、羊角の如く上に向かって旋轉す。あるいは上より下に向かって圧し、あるいは下より上に向かって升り、あるいは平直の長条を成し、あるいは地面に貼りて巻き起こる。

風声の五音を推す法(推風聲五音法)第七十

謂太史必知風之情,曉風之聲。宮聲如牛鳴牢中,隆隆如雷;(鼓響,雲直如雷鼓也。)徵風聲如奔馬,炎(注,一作燎火。)上如縛彘駭起;商風聲如離群之羊,如叩銅鐘,如飛集之羽,如流水汲汲,諮嗟聲感人;羽風聲如擊溼鼓,如流水揚波,激氣相磋,如麋鹿之鳴子也;角風聲如千人語,然令人悲哀,如人叫啾啾,如千人呼嘯,如雞登木。

これは太史が必ず風の情状を懂得し・風の声音を辨出し得べきを説く。宮音の風は、声は牛の欄中に在りて鳴叫するが如く、隆隆として雷声の好似たり(一注に鼓の響きと作るは、それが简直として雷鼓の如しを説く)。徴音の風は、声は奔馬の如く、火焰の上騰するが如し(注――一作に燎火)、また捆らるる猪の驚きて跳び起くるが如し。商音の風は、声は群を離れたる羊の叫ぶが如く、銅鐘を敲撃するが如く、群鳥の羽を振りて飛集するが如く、流水の汲汲として声有るが如く、あの嗟叹の音は人をして動容せしむ。羽音の風は、声は潮を受けたる鼓を敲打するが如く、流水の波浪を揚げるが如く、気流の激荡して相磨するが如く、また母鹿の幼崽を呼喚するが如し。角音の風は、声は千人の交談するが如く、却って人を悲哀せしめ、人の啾啾として哭叫するが如く、千人の一斉に呼嘯するが如く、また鶏の樹に飛び上がるが如し。

李淳風曰:五音者,是五行之聲,皆出於黃鐘之管,以生清濁。黃鐘之管長九寸,聲最濁以為宮,其數九九八十一,三分增減,以生上下。故三分減宮一分,餘五十四,三分益一,七十二,三分減一,四十八,三分益一,六十四,以成五音之數。

李淳風は言う――五音は、五行の声音なり。皆黄鐘の管より出で、此に由りて清濁の差別を生ず。黄鐘の管は長さ九寸、声音は最も濁く、それを宮音と定む。その数は九九八十一なり。再び三分損益の法を用いて増減し、上下の各音を生ず。故に宮の数を三分して一分を減ずれば、余る五十四。三分して一分を増ずれば、七十二を得。三分して一分を減ずれば、四十八を得。三分して一分を増ずれば、六十四を得――此の様にして便ち五音の数を成就す。

夫聽五音之法,必須以耳察其聲,以牙(牙,古互字。)大小,而清濁有大小,量聲體響,不可以文載口傳,是故黃帝截竹為管,以大小長短,為聲之法。然長短度量,必須以數正之。度數若正,則其聲亦正,今風發聲大小無定,不可一準。故推其清濁,以知大小況耳,但人見不同,故聲體多別,商徵牙錯,冀彼知音。

五音を聴辨する方法に至りては、必ず耳朵を用いてその声音を審察し、互いにその大小を比較せねばならず(「牙」は古の「互」の字)。清濁の中にまた大小の分別有り。声音の体勢と回响を衡量するは、これは文字に記載し・口頭に伝授する能わざる所なり。故に黄帝は竹を截りて管と為し、管子の大小・長短を用いて声音の法度を確定せり。然而長短の度量は、必ず数を用いて校正せねばならず。度数もし正ければ、声音もまた正し。如今、風の発出する声音は大小に定なく、ただ一個の標準を能わざるがゆえに、ただその清濁を推求し、藉りて大小を知るのみ。ただ各人の聴感が同じからざるがゆえに、声音の分辨に対して多く出入有り。商音を徴音と聴き成して互いに錯認す。還って音律を懂る人の明察を望む。

《黃帝》曰:凡風之動,皆不安之象也。若在山川海濱之上,空穴之間,風所起處,皆不可占之,為常式也。若在宮宅城營之內,戰陣之所,風勢異常,吹揚沙石,日光白濁,則乃占之。《黃帝》曰:凡人君理順四時,則春無悽風,夏無苦雨。先王之治,以天下為家,以兆民為子。

『黄帝』の書の上に言う――およそ風の起こるは、皆不安の徴象なり。もし山川・海濱の上・空谷・洞穴の間に在れば、あれは本来風の起こる地方にして、皆これに拠って占を起こすべからず。これは通例なり。もし宮室・宅院・城池・営塁の内、あるいは両軍の対陣する処に在りて、風勢が反常にして、沙石を吹揚し、日光が白を発して渾濁せば、乃ち占を起こすべし。『黄帝』はまた言う――およそ君主が治理して四時に順応すれば、春天に凄厉の寒風なく、夏天に害を為すの苦雨なし。先王が天下を治むるに、天下を以て自らの家と為し、億万の百姓を以て自らの孩子と為す、と。

凡風,用意察之,若紛錯交橫,乍起乍止,儒墨深藏,智者緘默。風若有聲刮耳,君用小人,疏遠君子。風若肅肅習習,調和潤氣濡物,而卯酉之位乘之,必雨,須臾而至。風若暴疾,南北無處,交錯離合,紛埃相注,此風之應,必在人主。風若冥冥,白日沉形,黃霧四塞,太陽翳精,主之昏亂,政教不明。風若滅滅,相隨南北,旁亂相觸,高下遲疾,人去其宅,大兵四集。風若寒切,令人戰慄,刑罰急酷,暴霜殺物。風若啾啾,令人悲愁,必有大喪,疾疫之憂。風若炎炎,或遲或疾,為火為旱,誠之所急。

およそ風は、皆心を用いて体察すべし。風もし紛乱交錯し・忽ち起き忽ち止まるは、儒者・墨者が皆深く蔵れて出でず・智慧有る人も緘口して言わざるを主る。風もし声有りて耳を刮るは、君主が小人を任用して君子を疎遠にするを主る。風もし肅肅習習として吹き、調和して潤気を帯びて万物を沾湿し、また卯位・酉位の上に乗ずるは、必ず雨を降らん。片刻にして就中到らん。風もし急暴迅疾にして、南北に定所なく、交錯離合し、塵埃が紛紛として灌注すれば、此の種の風の徴応は必ず君主の身に応ず。風もし昏昏冥冥にして、白日に形影を隠没し、黄霧が四方を堵塞し、太陽が光輝を失うは、君主の昏乱・政教の不明を主る。風もし断断続続・忽ち明く忽ち滅びて南北に相随い、四旁に乱竄して互いに碰撞し、忽ち高く忽ち低く・忽ち慢く忽ち快きは、百姓の家園を離れ・大軍の四面より聚集するを主る。風もし寒気の人を逼り、人をして戦慄せしむるは、刑罰の急迫苛酷にして、暴霜の万物を摧殺するが如きを主る。風もし啾啾として響き作り、人を悲愁せしむるは、必ず大いなる丧事と疫病の憂有らん。風もし炎熱にして人を灼き、あるいは慢くあるいは快きは、火災と旱災を主る。これは最も警誡を須むべし。

五音の主する所の占(五音所主占)第七十一

宮為君,商為臣,角為事,徵為令,羽為物。宮數一,(為君,為身。)徵數三,(為宗廟,為先人鬼怪。)羽數五,(為境界,為妻財。)商數七,(為人臣,為吏僕。)角數九。(為疾病,為死喪。)

宮音は君主を主り、商音は臣属を主り、角音は事務を主り、徴音は号令を主り、羽音は財物を主る。宮の数は一(君主を主り・自身を主る)。徴の数は三(宗廟を主り・先人と鬼怪を主る)。羽の数は五(疆界を主り・妻室・財物を主る)。商の数は七(臣と為る人を主り・吏員・僕役を主る)。角の数は九(疾病を主り・死喪を主る)。

淳風曰:按五音所主,以宮為君體,象五行之內土為最尊,(莊注,是故五行土性地是也。)地體與天敵體,故宮音於五音之內。為君之尊,必主宗廟。宮之先人,蓋是火行,故次徵。而號令之體,不取自專,必因宗廟,故徵亦為號令。體必有二,道不孤立,助祭宗廟,佐修陰道。故立妃后,以設母儀,是以羽為宮妻,妾是親物,故亦為物。

李淳風は言う――五音の主する所に按ずるに、宮を以て君主の本体と為し、象を五行の中の土の最も尊貴なるに取る(荘氏注――故に言うに五行の中に土性はすなわち地なり、と)。地の形体は天と相匹敵す。故に宮音は五音の中に君主の尊位に居り、必然として宗廟の事を主管す。宮の先人は火に属す。故に次の一位は徴なり。号令の此の事は、君主の一人に由りて専断する能わず。必ず宗廟に稟告せねばならず。故に徴もまた号令を主る。およそ体は必ず二有り。道は孤立する能わず。人の宗廟を祭祀し・陰柔の道を輔佐修治するを協助するを要す。故に妃后を立てて以て母儀の範を垂る。此の因に羽を以て宮の配偶と為す。妃妾はまた親近の物なり。故に羽もまた財物を主る、と。

有妻有物,百世本枝,當須子嗣,以紹宗社,故次商而為臣子。易窮則變,物極則反,天道常運,萬物隨時,次及於事,事之大者,莫過於病,病死之道,因於鬼刑。角是宮宮,故角終其末,論五音,則因濁而至清;論情誼,則從尊以主卑。故宮生於徵,徵生於角,角生於羽,此其宜也。

妻室有り・財物有りて、百世の本干・枝葉を延続して去らしむるを要し、還って子嗣の宗廟・社稷を継承するを須む。故に下の一位は商、臣と為り子と為るを主る。『周易』の講ずるは、窮すれば則ち変じ、事物は極点に到れば就中反轉し、天道は運転して停まず、万物は時に随って遷す。接いで便ち「事」に説き及ぶ。而して事情の中の最も大なるは、疾病より甚だしきは莫し。病死の道はまた鬼神・刑罰に源す。角は宮中の宮なり。故に角は最も末に排す。五音に就りて論ずれば、濁より漸々清に到るなり。情理に就りて論ずれば、尊き者より下りて卑き者に及ぶなり。故に宮は徴を生じ、徴は角を生じ、角は羽を生ず。これは理の当然たる次序なり。

地十二辰五音法:子為陽宮土,主帝王;丑為陽徵火,主旱、大災、口舌、宮寺;寅為陽徵,主烽旱火;卯為陽羽,主雨水、霖霪、霧露;辰為陽商金土,大將吏士;巳為陽角,主疾病憂懼;午為陰宮土,主妃后;未為陰徵火,主庶人土功,飛蟲,詔書檄;申為陰徵火,為郵驛尉侯;酉為陰羽水,主霜電陰沉;戌為陰商金,主小將兵刃;亥為陰角,主死喪哭泣。李淳風曰:自子至巳皆為陰律所上生,故為陽。自午至亥皆為陽律所下生,故為陰。

地支十二辰の五音に配する法――子は陽宮にして土に属し、帝王を主る。丑は陽徴にして火に属し、旱災・大災・口舌および宮廷・官署の事を主る。寅は陽徴にして、烽火・旱災と火患を主る。卯は陽羽にして、雨水・連綿の淫雨と霧露を主る。辰は陽商にして金土に属し、大将与吏士を主る。巳は陽角にして、疾病と憂懼を主る。午は陰宮にして土に属し、妃后を主る。未は陰徴にして火に属し、平民の土木・労役・飛虫の災と詔書・檄文を主る。申は陰徴にして火に属し、郵駅と尉侯の職を主る。酉は陰羽にして水に属し、霜・電と陰沈の天を主る。戌は陰商にして金に属し、偏裨・小将与兵刃を主る。亥は陰角にして、死喪・哭泣を主る。李淳風は言う――子より巳に至るは、皆陰律に被りて上に向かって生ぜらるる所なり。故に陽に属す。午より亥に至るは、皆陽律に被りて下に向かって生ぜらるる所なり。故に陰に属す、と。

《洪範五行》之數,水、火、金、木、土,蓋自順理,自北徂南,先經後緯,以土數注之。今五音則宮、徵、羽、商、角。宮為聲主,以集五音,形其尊卑。故逆自南徂北,先緯而後經,逆順先後,蓋取聲形為質也。數兼奇偶,聲為響也。陰偶陽奇,獨奇陽,性動者逆行,情定者順入,是以有逆順之理焉。徵者大也,大是南方,體合二位,故戊己及土同在南方。五音之說,故以二位成體。所以平均多少,遞標逆順,猶六神之內,大兼二將者也。

『洪範』五行の次序は水・火・金・木・土、本是れ常理に順いて排したるなり。北より南に由りて、先ず経にして後に緯、最後に土の数を用いて収束す。如今、五音の次序は則ち宮・徴・羽・商・角。宮は衆声の主にして、以て五音を統攝し・尊卑を顕出す。故に反って南より北に由りて、先ず緯にして後に経。此の一逆一順・一先一後は、声と形を取りて以て根拠と為す。数は奇偶を兼ね、声は則ち彼らの回响なり。陰は偶数・陽は奇数にして、ただ奇数のみ陽に属す。性の動に属するは逆行し、情の已に定まれるは順入す。故にその中に自ら逆順の道理有り。徴はすなわち大の意なり。大は南方に対応し、その体は両個の方位を兼合す。故に戊・己と土もまた南方に同在す。五音の説は、此の因に両個の方位を用いて一体を構成することを要し、此の様にして乃ち多少を平均し・依次に逆順を標出すを能くす。六神の中に大将が両位の副将を兼領するが如し。

五音風の占(五音風占)第七十二

宮風:(音如雷鼓。)發屋折木,(怒也。)有土功,(宮主土。)人君內亂,(宮為君,發屋折木,自動其□,故亂也。)不出十日、百日,(宮數。)有所之,(風以動之,以所其不安,故有之。)且有急令,(風必有急令也。)貴人相捕斬,(亂則君臣相疾,疑慮忌恐,其傷亡,遞相捕斬。)天下兵起,(貴賤相誅,下不堪命,故天下兵起也。)盜賊滿市,人飢不已,(貴人誅,兵卒起,令不行。賊入市。)車馳馬奔,流移不止。(宮為土,土動,故人移居。亂則兵起車馳,但有急令應占,則下皆發。他皆仿此。)

宮風(声音は雷鼓の如し)――屋頂を掀翻し・樹木を折断す(これは怒風)。土木の工程有るを主る(宮は土を主る)。君主の内部に乱を生ず(宮は君と為り、風が屋を掀き木を折るは、自己が自らの根本を動揺せしめたるがゆえに、故に乱を生ず)。応期は十天あるいは一百天を出ず(これは宮の数なり)。往く所有るを主る(風は万物を鼓動するを能くし、その不安を因として動く所有らん)。併せて緊急の命令有らん(風の起こるは必ず急令に伴随す)。貴人の間に互いに捕殺す(内乱なれば則ち君臣が互いに猜忌し・疑慮畏懼し、是を以て彼此傷亡し・逓相に捕斬す)。天下に兵興る(貴賤が互いに誅戮し、下面の人はその命に堪えざるがゆえに、天下に兵興る)。盗賊が市井に充斥し・百姓が饑饉して止まざらん(貴人が誅せられ・兵卒が蜂起し・政令が行われざれば、盗賊は便ち市中に闖入す)。車馬が奔驰し・流亡遷徙して停まざらん(宮は土に属し、土が一たび動けば、人は就中居を遷す。乱れば則ち兵起こり車馳す。ただ急令が此の占に応ぜば、下面のこれらの事は就中皆発生せん。其余の各風は皆此に照らして類推す)。

徵風。發屋折木,不出三日、三十日。若有大災,吏憂自行,當四方有告急事,或有火妖。性恐怖驚亂。(凡言吏者,理入官,上至三公皆是也。)羽風。發屋折木,不出五日、五十日,糴大貴,人以水為敗,若大喪,后妃黜,寶物出。商風。發屋折木,不出七日、七十日,有急令,兵起,糴大貴,國四門閉,兵從中起。(四門閉者,閉梁塞城邑,固折而備干也。)角風。發屋折木,不出九日、九十日,有急賊盜鬥戰,糴大貴,大飢,人飢相食,有大死喪,當有疾癘之事。

徴風――屋を掀き木を折るは、応期は三天あるいは三十天を出ず。もし大災有れば、官吏は憂懼を因に自ら奔走し、四方に将に急を告げる事有り、あるいは火怪の出現有らん。此の種の風の性情は人を恐怖驚乱せしむ。(およそ「吏」と説くは、治事して仕に入る人を指し、上は三公に至るまで皆算入す。)羽風――屋を掀き木を折るは、応期は五天あるいは五十天を出ず、糧価が大いに漲り、人は水を因に敗亡に遭い、あるいは大喪有り・后妃が廃黜せられ・宝物が宮外に流出せん。商風――屋を掀き木を折るは、応期は七天あるいは七十天を出ず、緊急の命令有り・兵事が興起し・糧価が大いに漲り・国都の四門が緊閉し・兵変が内部より発生せん。(いわゆる四門の緊閉とは、橋梁を封鎖し・城邑を堵塞し、関防を加固して以て外侵を防備す。)角風――屋を掀き木を折るは、応期は九天あるいは九十天を出ず、緊急の賊盗と斗戦有り・糧価が大いに漲り・大いに饑饉を鬧し・人は餓えて互いに残食し・大量の死喪有り、還って瘟疫の事を発生せん。

淳風曰:按京房翼奉風角舊書,皆以此與五音相動風占相連,各在一音之首。後之學者,竟不能悟,渾雜推考,頗乖舊意。今輒心集之於此,別為條例,則使後學如是風聲之占,不與彼日辰五音相雜矣。然即此風,雖知聲之所主發之禍福,皆須以日辰來處相參課之。

李淳風は言う――京房・翼奉の伝えたる風角の旧書を考察するに、皆此の一部分を五音の相動の風占と連ねて一にし、各々每一音の開頭に放り置く。後世の学者は竟に領会する能わず、混雑して一に推考し、甚だ旧本の原意に違背す。如今、我は特に心を用いてそれらを此処に彙集し、別に条例を立て、後学をして此の類の風声の占を推する時に、再びあの些の日辰・五音の占と相い混雑せざらしめんと欲す。不過ただ此の類の風に就りて言えば、声音の主する所の禍福を知ると雖も、仍然として皆日辰と風の来処を拿りて互いに参照考校せねばならざるなり。

占風之家,多雲發屋折木、飛沙轉石等語,若每一行之中,一著此語,則於文頗煩。今輒集風發之體,以一字例。凡古占雲發屋折木者,今皆云怒風。古占雲揚沙轉石者,今皆云狂風。古占雲四轉五復者,今皆云亂風。古占雲暴風卒至,乍有乍無者,今皆云暴風。古占雲獨鹿蓬勃者,今皆云勃風。古占雲扶搖羊角者,今皆為飄風。今因此以風來清涼溫和塵埃不起者為和風。若有闇冥昏濁寒克者為霾翳。

風を占う人は、多く「屋を掀き木を折る」「沙を飛ばし石を走らす」一類の説法を用う。もし每一条の裏に皆これらの話を写し上げば、文字は就中甚だ累贅なり。現在、我は風の発作する形態を帰納して、各々一個の字を用いて通例と為す。およそ古占に「屋を発し木を折る」と説くは、今后は一律に「怒風」と呼ぶ。古占に「沙を揚げ石を轉ず」と説くは、今后は一律に「狂風」と呼ぶ。古占に「四轉五復」と説くは、今后は一律に「乱風」と呼ぶ。古占に「暴風が忽然而至り・忽ち有り忽ち無し」と説くは、今后は一律に「暴風」と呼ぶ。古占に「独鹿蓬勃」と説くは、今后は一律に「勃風」と呼ぶ。古占に「扶揺羊角」と説くは、今后は一律に「飄風」と呼ぶ。此の因にまた清涼温和にして吹き来り・塵埃の起こらざる風を「和風」と呼ぶ。もし昏暗渾濁にして・寒気の人を逼るは、就中「霾翳」と呼ぶ。

古書云:風者,通已前並用,總有八號,謂之八風。取《爾雅》風名,風而雨為霾,陰而風為翳,日出而風為暴,迴風為飄,焚輪謂之頹,扶搖謂之焱。

古書の上に言う――風は、前面の列したる名目に連ねて併せて使用し、総計して八個の名号有り、「八風」と呼ぶ。これらの名称は『爾雅』の記す所の風名より取れり。風を起こしてまた雨を降らすを「霾」と呼び、天陰にして風を起こすを「翳」と呼び、日出の時に風を起こすを「暴」と呼び、回旋の風を「飄」と呼び、上より下に向かって巻く旋旋風を「頹」と呼び、下より上に向かって巻く旋風を「焱」と呼ぶ、と。

五音六属を論ず(論五音六屬)第七十三

五音者:一言宮,三音徵,五言羽,七言商,九言角。六屬者:庚屬震,辛屬巽,戊屬坎,巳屬離,丙屬艮,丁屬兌;子午屬庚,丑未屬辛,寅申屬戊,卯酉屬巳,辰戌屬丙,巳亥屬丁。

いわゆる五音――数一を宮と呼び、数三を徴と呼び、数五を羽と呼び、数七を商と呼び、数九を角と呼ぶ。いわゆる六属――庚は震卦に属し、辛は巽卦に属し、戊は坎卦に属し、己は離卦に属し、丙は艮卦に属し、丁は兌卦に属す。子・午の両辰は庚に属し、丑・未は辛に属し、寅・申は戊に属し、卯・酉は己に属し、辰・戌は丙に属し、巳・亥は丁に属す。

乾主甲子壬午。(甲為陽日之始,壬為陽日之終。子為陽辰之初,午為陽辰之中。乾初在子,則乾四在午。言乾為陽,故主陽日;乾主陽,故四陽辰。內主子,外主午,內為始,外為終,終始陰陽也。)坤主乙未癸丑。(乙為陰日之始,癸為陰日之終,丑為陰辰之初,未為陰辰之中。坤初在未,則坤四在丑每言坤為陰,故主陰日辰,內主未,外主丑。)

乾卦は甲子と壬午を主る。(甲は陽日の開始、壬は陽日の終結。子は陽辰の起頭、午は陽辰の中位。乾卦の初爻は子を納す。然らば乾卦の第四爻は就中午を納す。乾は陽と為るがゆえに陽日を主る。乾は陽を主るがゆえに四個の陽辰に配す。内卦は子を主り、外卦は午を主り、内は起始と為り・外は終結と為る。一終一始は正に陰陽の道なり。)坤卦は乙未と癸丑を主る。(乙は陰日の開始、癸は陰日の終結。丑は陰辰の起頭、未は陰辰の中位。坤卦の初爻は未を納す。然らば坤卦の第四爻は就中丑を納す。坤は陰と為るがゆえに陰の日辰を主る。内卦は未を主り、外卦は丑を主る。)

震主庚子庚午。(震為長九,主甲。對於庚,以父授男,乾初子,故主庚於,與父同也。)巽主辛丑辛未。(巽為長女,坤初主乙,乙對於辛,故巽主辛,以母授女,故主五未也。)坎主戊寅戊申。(戊為中男,故主之辰在中之干,與中也。離主己卯己酉,離為中女,故主中干中辰。)艮主丙辰丙戌。(艮方少男乾上,主壬對丙,故主丙辰丙戍,是第五配之。)兌主丁巳丁亥。(兌為少女對丁,故主丁巳丁坤上,主癸亥,是第六故配之。)

震卦は庚子と庚午を主る。(震は長男と為り、乾は甲を主り、甲と庚は相対す。これは父親が納甲の法を長子に授くるなり。乾卦の初爻は子を納す。故に震もまた庚子を主り、父卦と相同じ。)巽卦は辛丑と辛未を主る。(巽は長女と為り、坤卦の初爻は乙を主り、乙と辛は相対す。故に巽は辛を主る。これは母親が納甲の法を長女に授くるなり。故に辛未を主る。)坎卦は戊寅と戊申を主る。(戊は中男と為るがゆえに、それの主する所の地支は中位に居り、天干もまた居中の戊を取る。離卦は己卯と己酉を主り、離は中女と為るがゆえに、居中の天干と居中の地支を主る。)艮卦は丙辰と丙戌を主る。(艮は少男と為り、乾卦の上爻は壬を主り、壬と丙は相対す。故に艮は丙辰・丙戌を主る。これは第五重の配法なり。)兌卦は丁巳と丁亥を主る。(兌は少女と為り、丁と相対す。故に丁巳・丁亥を主る。坤卦の上爻は癸亥を主る。これは第六重の配法なり。)

故八地十二辰,以命十干所屬者命之。未至,以其言數納其音,以數主。一曰:今日辰相配,共得一音。然月初出於庚見震象,八日丁上見兌象,十五日甲上見乾象,十六日平旦、辛上見巽象,二十三日平旦、丙上現艮象,晦日見離象,朔日見坎象於戊巳中宮。此之所主,從月而來矣。

故に八方の地と十二地支は、皆十天干の各自の所属に依照して命名し帰類すべし。もし納音の数がいまだ推到せざれば、説く所の数目に依ってその音を納定し、数目を以て綱と為して推断す。もう一つの説法――当日の天干と地支を相配し、合わせてただ一個の音を得るのみ、と。月相と八卦の対応に至りては――月亮が初めに出ずる時は「庚」位に見え、「震」卦の象を顕現す。初八日は「丁」位の上に「兌」卦の象を顕現す。十五日は「甲」位の上に「乾」卦の象を顕現す。十六日の清晨は「辛」位の上に「巽」卦の象を顕現す。二十三日の清晨は「丙」位の上に「艮」卦の象を顕現す。月末の晦日は「離」卦の象を顕現す。月朔の日は則ち「戊己」の中宮に「坎」卦の象を顕現す。此の一套の推法の主管する所の休咎は、皆月亮の盈虧・運行に随って来るなり。

五音の正朔日を受くる占(五音受正朔日占)第七十四

(細音立成日,並納陰陽,六情中同者也。)

此の一篇は五音を細分し、「立成」表の用いる所の日辰を列出し、併せて陰陽の分属を一併に納入して其中と為す。後文の「六情」の一篇の講ずる所と相同じ。

朔者,正月一日,諸納音陰陽宮日。(子盡巳為陽,午盡亥為陰。)

いわゆる「朔」とは、就中正月初一の此の日なり。およそ納音の法を用いて推し出したる日子は、皆先ずどれが陽宮日・どれが陰宮日かを分清せねばならず。(「子」より「巳」に至る此の六辰は陽に属し、「午」より「亥」に至る此の六辰は陰に属す。)

庚子為陽宮,庚午為陰宮。(庚子重陽,庚午重陰。)以此宮音受正朔日風者,賣田宅,收粟。(謂正月朔也。淳風以十一月者,陽之始,歲首所起,十一月朔日為元。)

「庚子」の日は納音が宮に属して陽位に居るは、是れ陽宮日なり。「庚午」の日は納音が宮に属して陰位に居るは、是れ陰宮日なり。(庚子は陽の上に陽を加う。故に「重陽」と呼ぶ。庚午は陰の上に陰を加う。故に「重陰」と呼ぶ。)およそ正月初一の此の日に宮音の日に由りて当日の風を承受するは、田地・房産を売出し・粟米を収進するに宜きを主る。(此処に説くは正月初一なり。李淳風は則ち十一月を用うるを主張す。それは十一月が陽気の初生の始・一年の節候の起点なるがゆえに、故に十一月の朔日を取りて以て推算の開端と為す。)

徵日受正朔日風者,賣田宅絲綿,收大麥。羽日受正朔日風者,賣下田,就山陵居,五穀。(水傷。)商日受正朔日風者,賣六畜,收筋角皮,修甲治兵。角日受正朔日風者,賣田宅,收奴婢棺槨及送終之具。

徴音の日が正月初一に風を承受するは、田宅と糸綿を売出し・大麦を収進するに宜きを主る。羽音の日が正月初一に風を承受するは、低窪の田地を売掉し・山陵の高処に遷りて居住し・併せて五穀を囤積するに宜きを主る。(それは羽が水に属するがゆえに、此の年に水気が庄稼を傷害せん。)商音の日が正月初一に風を承受するは、六畜を売掉し・筋・角・皮革の一類の物資を収進し・铠甲を修繕し・兵器を整治するに宜きを主る。角音の日が正月初一に風を承受するは、田宅を売出し・奴婢および棺椁などの送終の器具を収買するに宜きを主る。

五音の相動の風占(五音相動風占)第七十五

宮日風從宮來,人君出行;從徵來,土功,寶物出,有兵;宮日子午風從子午來,為宮動宮;從子上來,山陵崩壞,人君出行,專風也;從子(一本無子字。)午來,地震裂,若后出行;時加子午為重宮,君將欲行,大臣走,若后出遊也。宮日子午風從丑未來,寅申來,為宮動徵,有土功,寶物出,有兵;時加徵為重徵,有義兵,土功興,國出令,有詔書,義風也。

宮音の日に、風が宮位より吹き来るは、国君に将に出行の事有らんとするを主る。風が徴位より吹き来るは、土木の工程を興起し・庫蔵の宝物が出現し・併せて兵事有るを主る。宮音の子日・午日に、風が子位・午位より吹き来るを、「宮の宮を動かす」と呼ぶ。子位より吹き来るは、山陵の崩塌毀壊・国君の出行を主る。これを「専風」と呼ぶ。(有る本子に「子」の字なし)午位より吹き来るは、地震・土裂を主り、あるいは王后の出行す。もし時辰がまた子・午に落ちれば、便ち「重宮」なり。国君が将に出行し・大臣が奔走し、あるいは王后の出游を主る。宮音の子日・午日に、風が丑位・未位あるいは寅位・申位より吹き来るを、「宮の徴を動かす」と呼ぶ。土木の工程有り・庫蔵の宝物が出現し・併せて兵事有るを主る。もし時辰がまた徴位に落ちれば、便ち「重徴」なり。義兵を興挙し・土功が大いに起こり・国家が政令を頒布し・詔書の下達有るを主る。これを「義風」と呼ぶ。

宮日風從羽來,且大雨不止,則大臣出走,若復為旱。(宮土、羽水,盛則水衰,水衰則火起,故亦為旱。宮為君,羽為人,故大臣出走。)時加羽為重羽,則大雨陰,制風也。宮日風從商來,有兵行,且有客兵;時加辰戌為重商,有兵殃,保風也。

宮音の日に、風が羽位より吹き来るは、将に大雨有りて停まざらん。大臣の出奔・逃亡を主り、あるいは反って転じて旱情を成さん。(宮は土に属し・羽は水に属す。土気が盛んなれば則ち水気が衰え、水が衰うれば則ち火気が起こる。故にまた旱に転ずるを得。宮は国君を象徴し、羽は臣民を象徴す。故に大臣の出奔を主る。)もし時辰がまた羽位に落ちれば、便ち「重羽」なり。大雨が連綿し・陰晦にして開けざるを主る。これを「制風」と呼ぶ。宮音の日に、風が商位より吹き来るは、軍隊の出動有るを主り、しかも外来の客兵有らん。もし時辰が辰・戌に落ちれば、便ち「重商」なり。兵禍の殃有るを主る。これを「保風」と呼ぶ。

宮日風從角來,必斗兵,人君凶,客兵傷,有急兵,若有喪傷;角來,邊兵有大戰。(宮為土、為君,角為木凶,木主哭泣,故客,土動,木所不勝,故君軍傷,有大喪也。)時加巳亥為重角,君不昌,宮有大喪。宮日風從乾來,有湧水暴雨。宮日時加宮,怒風從艮來,山陵崩壞,人君出行,水湧地裂。宮日時加宮,怒風從巽來,蝗蟲生,害五穀。宮日時加宮,怒風從坤來,有走獸為害,有土功。

宮音の日に、風が角位より吹き来るは、必ず兵戈の相斗有り、国君に凶険有り、客兵が傷を受け、緊急の兵事有り、あるいは喪亡・傷損有らん。風が角位より来るは、還って辺境の駐軍に大戦有るを主る。(宮は土に属し・国君を象徴す。角は木に属して凶を主り、木はまた哭泣の事を主る。土が一たび動けば便ち木の克を受け、土は木に敵過せず。故に国君の軍隊の受損・大喪の事有るを主る。)もし時辰が巳・亥に落ちれば、便ち「重角」なり。国君が昌盛せず・宮廷の中に大喪有るを主る。宮音の日に、風が乾方(西北)より吹き来るは、洪水の涌溢・暴雨の驟降を主る。宮音の日に時辰がまた宮位に落ち、もし怒風が艮方(東北)より吹き来れば、山陵の崩壊・国君の出行・水の涌き地の裂くるを主る。宮音の日に時辰がまた宮位に落ち、もし怒風が巽方(東南)より吹き来れば、蝗虫の滋生し・五穀を危害するを主る。宮音の日に時辰がまた宮位に落ち、もし怒風が坤方(西南)より吹き来れば、走獣の為害有り・併せて土木の工程有るを主る。

徵日風從陽宮來,有火災,土功起,將大旱,火殃數起,宮寺多失火,災起;從陰宮來,太子有疾;時加徵為重徵,有火災土功起。徵日風從陽徵來,有火災,人君有災恐,走獸為災,宮寺多失火。從王相陽宮來,歲大樂,有火災、旱。從陰徵來,人君憂,走獸為大災。時加寅申丑未為重徵,國四門閉。

徴音の日に、風が陽宮位より吹き来るは、火災有り・土木の工程が興起し・将に大旱有り・火患が屡屡として発生し・宮殿・官署に多く火を起こし・災害が頻りに興るを主る。風が陰宮位より吹き来るは、太子に疾病有るを主る。もし時辰がまた徴位に落ちれば、便ち「重徴」なり。火災有り併せて土功を興すを主る。徴音の日に、風が陽徴位より吹き来るは、火災有り・国君に災禍・驚恐有り・走獣が災を成し・宮殿・官署に多く失火有るを主る。風が「王」「相」の旺気に処る陽宮位より吹き来るは、一年の歓楽を主る。但し仍ほ火災と旱情有り。風が陰徴位より吹き来るは、国君が憂愁し・走獣が大災を醸すを主る。時辰が寅・申・丑・未に落ちれば、便ち「重徴」なり。国家の四門が閉塞するを主る。

徵日風從陽羽來,四鄰有事,寶物出,陰盛於陽,且或有雷電,有霜雹,諸侯大夫多失史;從陰羽來,四夷有事,寶物出,多雷電。徵日風從商來,有急兵,人君出入有輔佐,強兵自守,七日、若七十日,有邊兵斗。徵日風從陽角來,有兵起,急兵動驚,春有喪。(金克木,水於火,反克金。故有兵也,邊有急大驚也。)

徴音の日に、風が陽羽位より吹き来るは、四隣の邦国に事有るを主り、庫蔵の宝物が出現し、陰気が陽気を圧過し、併せて雷電有り・霜雹有らん。諸侯・大夫に多く史官の輔佐を失うの事有らん。風が陰羽位より吹き来るは、四方の夷狄に事有るを主り、宝物が出現し、雷電多し。徴音の日に、風が商位より吹き来るは、緊急の兵事有るを主り、国君の出入に人の輔佐・護衛有り、強兵を以て自ら守るを須みる。七日あるいは七十日の内に、辺境の駐軍に戦闘有らん。徴音の日に、風が陽角位より吹き来るは、兵事の興起有るを主り、急兵が調動して人心が驚擾し、春天に丧事有らん。(金は本來木を克する能くすれども、而して水が火の上に加わり、火が受制すれば便ち金を克すること能わず、反って金気をして勢いを得せしむ。故に兵を起こすを主り、辺境に緊急の大驚の事有らん。)

羽日風從陽宮來,人持財物聚,君吏有令,憂兵起,將受命,有集會,有土功,有寒霜雪。從陰宮來,有水土功,暴寒傷物,兵集。羽日風從陽徵來,有兵,國有受令,有憂,人臣有急憂,關梁塞。羽日風從陽羽來,且欲雨,白衣聚,若有大喪,大雪霜雹,日出沒時,又五日或五十日,白衣會。若五宮,立有喪寒,且雨從南方來,則國有憂,人多疾病;北方來,則有雹霜,或聚在水中。

羽音の日に、風が陽宮位より吹き来るは、人々が財物を持して聚集するを主り、君主と官吏に政令の下達有り、兵事の興起を憂慮し、将帥が将に命を受けんとし、集会有り・土木の工程有り・寒霜・大雪有らん。風が陰宮位より吹き来るは、水利・土木の役有るを主り、暴寒が万物を傷害し、軍隊が集結せん。羽音の日に、風が陽徴位より吹き来るは、兵事有るを主り、国家に政令の頒下有り、憂患有り、臣子に急難・憂愁有り、関隘・橋梁が阻塞して通通ぜざらん。羽音の日に、風が陽羽位より吹き来るは、将に雨を降らさん。素服を穿つ人が聚集し、あるいは大喪有り、大雪・霜雹有らん。日出・日落の時に応じ、またあるいは五日・五十日の内に、素服の人の相会する有らん。もし五宮の日に逢えば、立刻に丧事と寒気有らん。もし雨が南方より来る風に随って至れば、則ち国家に憂患有り、人に多く疾病有らん。北方より来る風に随って至れば、則ち冰雹・霜凍有り、あるいは人々が水辺・水中に聚集せん。

羽日風從陽商來,有斗兵圍城不戰,邊有兵,關梁不通,有喪兵不興。(金水母子和,故動角。邊兵圍城敗,羽為角除害,象臣為君討賊。故動必大雨,不出戰故也。)羽日風從陽角來,邊兵圍城,城敗;(一云:有兵圍城不解。)時加巳亥為重角,有圍城若大喪。

羽音の日に、風が陽商位より吹き来るは、交戦の軍隊の城を囲みて開戦せざる有るを主り、辺境に兵有り、関隘・橋梁が通ぜず、丧事有りと雖も兵事は起こらざらん。(金は水を生ずる能くし、金水は本來母子の相和の象なり。故に角位を触動するを能くす。辺兵が城を囲みて敗るるは、羽が角の為に禍害を除去するを因とす。臣子が君主の為に賊寇を討伐するに譬えたり。すでに相動すれば、就中必ず大雨を下さん。故に城を出でて交戦せざるなり。)羽音の日に、風が陽角位より吹き来るは、辺兵の城を囲むを主り、城池が攻破せられん。(もう一つの説――兵の城を囲みて久しく囲みて解けざる有り、と。)時辰が巳・亥に落ちれば、便ち「重角」なり。城を囲むの事あるいは大喪有るを主る。

商日風從陽宮來,戒太子忌怨,人君有疾,兵疾,有急兵;(宮土,土生金所,是一金兩土,母憂子,故曰太子也。)從陰宮來,庶子有急變兵,兵在北方。商日風從陽徵來,國邑受令,兵且行,將在外,兵還不戰,臣受兵令行;(徵為號令,商為兵。故兵令退也。)時加徵為重徵,有大兵行。

商音の日に、風が陽宮位より吹き来るは、太子を警戒し・怨隙を提防すべし。国君に疾病有り、軍中に疫疾有り、緊急の兵事有らん。(宮は土に属し、土は金を生ずる能くす。此の時は一金が両土に対す。母親が児子を為に憂うるがゆえに、故に説いて太子の身に応ずると為す。)風が陰宮位より吹き来るは、庶出の公子に緊急の兵変有るを主り、兵事が北方に発生せん。商音の日に、風が陽徴位より吹き来るは、都邑が政令を接到し、軍隊が将に出動し、将帥が外に在り、但し軍隊が返回して交戦せず、臣下が命を奉じて兵を領して行くを主る。(徴は号令を主り、商は兵戈を主る。故に是れ兵を発する令にしてまた收め回せり。)時辰がまた徴位に落ちれば、便ち「重徴」なり。大軍の出動有るを主る。

商日風從陽羽來,歲大荒,國凶憂亂,且大雨,兵在東方。商日風從陽商來,有白衣聚眾之象,立王之徵。且大雨,關梁塞,大將出退外敵,外敵來邑中,有小急,且有急兵,人君主憂,國四門閉,兵在西方。從陰商來,為大殃,糴貴,中有兵,風怒七日、七十日,急令兵大起。(羽入水,為從金生,故為大雨。二金逆行故水,為人主憂大兵斗,主國關梁塞也。)

商音の日に、風が陽羽位より吹き来るは、年成の大荒を主り、国家が凶が凶険・憂乱し、併せて大雨有り、兵事が東方に在らん。商音の日に、風が陽商位より吹き来るは、素服の人が衆を聚むるの跡象有り、是れ新王を擁立する徴兆なり。併せて大雨を主り、関隘・橋梁が阻塞し、大将が兵を出して外敵を撃退し、外敵が城邑の中に侵入し、小さき緊急有らん、また急兵有らん、君主に憂患有り、国家の四門が閉関し、兵事が西方に在らん。風が陰商位より吹き来るは、是れ大殃の兆なり。糧価が騰貴し、境内に兵有り、風が怒吼して七日あるいは七十日、緊急の征令が一たび下れば、兵事が大いに起こらん。(羽は水に属し、水は金の生ずる所なり。故に大雨を主る。両重の金気が逆行して化して水と為るは、君主の憂愁・大兵の相斗を主り、また国家の関梁の阻塞を主る。)

商日風從陽角來,有急兵令發。商日風從陽宮來,人君有憂,兵從申起,國四門閉;從陰角來,有大喪,貴人多疾病,有土功。(宮為君,角主死,故為大喪也。)

商音の日に、風が陽角位より吹き来るは、緊急の発兵の令有るを主る。商音の日に、風が陽宮位より吹き来るは、国君に憂患有るを主り、兵事が申方より興起し、国家の四門が閉関せん。風が陰角位より吹き来るは、大喪有るを主り、貴人に多く疾病を生じ、併せて土木の工程有らん。(宮は国君を象徴し、角は死亡を主る。故に大喪を主る。)

角日風從陽徵來,吏斂民財,若兵出會眾,倉粟糴貴,寶物出,有蝗蟲。(角木、徵火,火為絲絹,故吏斂民財物。)角日風從陽羽來,有土功,且大雨,邊有兵,卿大夫多口疾,先暑風,後雨。

角音の日に、風が陽徴位より吹き来るは、官吏が百姓の銭財を搜斂し、あるいは兵を出して民衆を聚集し、倉中の糧価が昂貴し、庫蔵の宝物が出現し、蝗虫の災有るを主る。(角は木に属し・徴は火に属す。火は糸絹・布帛を主る。故に官吏の民財を搜斂するの上に応ず。)角音の日に、風が陽羽位より吹き来るは、土木の工程有るを主り、併せて大雨有り、辺境に兵有り、公卿・大夫に多く口舌・争訟の疾を患え、先ず暑熱の風を起こし、随後して降雨せん。

角日風從陽商來,憂有卒兵也,鳴條已上皆應;角日風從陽角來,邊兵起,人主凶,有死亡,盜賊至,不勝;南方來,有兵,遠喪至,所不勝而發,時加角為重角,有遠喪,有邊兵,盜賊起,糴貴,野有飢人。(角主哭泣,木為金所克也。)

角音の日に、風が陽商位より吹き来るは、突発の兵事を憂慮するを主る。ただ風力が大にして樹枝を吹きて鳴響せしむる以上に到れば、就中皆応験せん。角音の日に、風が陽角位より吹き来るは、辺境に兵を起こすを主り、君主に凶険有り、人の死亡有り、盗賊が来りて制勝する能わざらん。風が南方より吹き来るは、兵事有るを主り、遠方の喪訊が伝到す。これは所の克制すること能わざる方位より発動するを因とす。時辰がまた角位に落ちれば、便ち「重角」なり。遠方の丧事有り・辺境の兵事有り・盗賊が四起し・糧価が騰貴し・野外に飢餓の民有るを主る。(角は哭泣の事を主るは、木の金に克せらるるを因とす。)

李淳風按:風角書與樂產本多少不同,占驗又異。今輒總括,除煩略穢,其有時下風來處同者,為重其音,此謂時音,與風所發處同,故云重,如餘所見,與日重有與風重者為異。其陰陽五音,主亦不同,各須以陰陽分別也。

李淳風の按語――各家の風角の占書と楽産の伝えたる本子は、条目の多少が互いに出入有り、占験の説法もまた同じからず。如今、我は一併に総括して、繁冗を刪去り・蕪雑を剔除す。およそ時辰の臨む所の位と風の来処と相同じきを、就中「重」其の音と呼ぶ。これは時辰の所属する音と起風の方位と相合するを説く。故に「重」と称す。我が見る所に依れば、日音と相重する和と風向と相重するの両者は、分別して看待すべし。陰音・陽音の各自の主管する所の事に至りては、また各々相同じからず。皆必ず陰陽に按じて分かち開いて推断すべし。

五音の鳴条已上に卒に宮宅中に起こる占(五音鳴條已上卒起宮宅中占)第七十六

宮日風鳴條已上,皆為人君出行,從德鄉來,德事出;(謂歲月日時,及溫德和清明也。一作:謂歲日月時、五行之德為吉情。)刑鄉來,刑事出。(謂五行歲月日時之五刑及寒烈冥濁。)及卒起宮宅中,皆為土功興作,若潰亂出入聚眾。

宮音の日に、風が大にして樹枝を吹響せしむる以上に到れば、皆国君の出行を主る。風が「徳」位より吹き来るは、徳に合う好事の発生有るを主る。(いわゆる徳とは、歳徳・月徳・日徳・時徳、および温和明浄の清明の気を指す。もう一本は――歳・月・日・時と五行の徳を指し、吉情に属す、と作る。)風が「刑」位より吹き来るは、刑罰の事の発生有るを主る。(いわゆる刑とは、五行の歳・月・日・時の上の五種の刑位、および寒冽・昏冥・渾濁の気を指す。)もし風が宮室・宅院の中に突然として刮き起これば、皆土木の工程を興辦し、あるいは潰乱・人衆の出入・聚集の事の発生を主る。

徵日風鳴條已上,來去皆發止於徵者,及卒起宮宅中,皆為失火,若有召口舌斗憂也;從徵來,時加徵而止於徵,為宮寺失火。

徴音の日に、風が大にして樹枝を吹響せしむる以上に到り、しかも起処と止処が皆徴位に落ちる、および宮室・宅院の中に突然として刮き起これば、皆失火を主り、あるいは口舌・争闘の憂を招来するを主る。もし風が徴位より吹き来り・時辰がまた徴位に落ち・風が最後にも徴位に停まれば、則ち宮殿・官署の失火を主る。

羽日風鳴條已上,及卒起宮宅中,皆為聚眾會物,有寶物出入之事。及有水物為變,船濟之事。

羽音の日に、風が大にして樹枝を吹響せしむる以上に到り、および宮室・宅院の中に突然として刮き起これば、皆人衆を聚集し・財物を彙集し、宝物の進出の事有り、また水中の物の変異の発生、および舟船・渡水の一類の事を主る。

商日風鳴條已上,及卒起宮宅中,及時加商,又從商來去,皆為宮宅中且有自傷者,及斗憂兵傷;日辰勝時下,皆為外人來傷害主人。

商音の日に、風が大にして樹枝を吹響せしむる以上に到り、あるいは宮室・宅院の中に突然として刮き起こり、あるいは時辰が商位に落ち、また商位より吹き来り・商位に向かって吹き去るは、皆宅院の中に将に自ら相い損傷する人有らんとし、および争闘の憂・兵刃の傷を主る。もし日辰の気が時辰の臨む所の気に勝れば、則ち皆外人の前來して主人を傷害するを主る。

角日風鳴條已上,及卒起宮宅中,皆為疾病;時加角,從來去皆為角上者,皆為外喪法。九日有令兵,若九十日,加王,為君長;加相,為臣子妻妾;加死、囚、休,為下賤。

角音の日に、風が大にして樹枝を吹響せしむる以上に到り、および宮室・宅院の中に突然として刮き起これば、皆疾病を主る。時辰が角位に落ち、風の来処と去処も皆角位に在るは、皆外喪の法に按じて断ず。応期は九日の内に征兵の令有り、あるいは九十日に延ぶ。時辰が「王」「相」の旺気に乗ずるは、君長の身に応ず。「相」気に乗ずるは、臣子・妻妾の身に応ず。「死」「囚」「休」の衰気に乗ずるは、下賤の人の身に応ず。

角日風時加申子,若從角來去,皆為中宮自傷;其日辰勝時下,皆為外人來傷害主人也。以風起止,決其人所在。角中雜羽為溺死,雜徵燒死,雜商兵死,雜宮病囚死。

角音の日に、時辰が申・子に落ち、あるいは風が角位より吹き来り・角位に向かって吹き去るは、皆宅院の中の人が自ら相い傷害するを主る。もし日辰の気が時辰の臨む所の気に勝れば、則ち皆外人の前來して主人を傷害するを主る。風の起処と止処に拠りて、応験する人の所在する方位を判定すべし。角音の中に羽音を夾雑するは、溺死を主る。徴音を夾雑するは、焼死を主る。商音を夾雑するは、兵刃に死するを主る。宮音を夾雑するは、病死あるいは囚禁に死するを主る。

歳月日時の干徳・刑殺を推す法(推歲月日時干德刑殺法)第七十七

歲日月時干德法:甲德自處,乙德在庚,丙德自處,丁德在壬,戊德自處,己德在甲,庚德自處,辛德在丙,壬德自處,癸德在戊。假令太歲在甲,即歲德在甲;太歲在乙,歲德在庚。(他皆仿此。)

歳・日・月・時の天干の徳を推求する方法――甲の徳は就中甲の自身に在り、乙の徳は庚に在り、丙の徳は丙の自身に在り、丁の徳は壬に在り、戊の徳は戊の自身に在り、己の徳は甲に在り、庚の徳は庚の自身に在り、辛の徳は丙に在り、壬の徳は壬の自身に在り、癸の徳は戊に在り。例を挙げて説けば――太歳が甲に在れば、歳徳は就中甲に在り。太歳が乙に在れば、歳徳は就中庚に在り。(其余の各干は皆此の弁法に照らして類推す。)

歲月日時支德法:歲月日時在子,德在巳;歲月日時在丑,德在午。(以次順行前五辰是也。他仿此。)

歳・月・日・時の地支の徳を推求する方法――歳月日時が子に逢えば、徳は巳に在り。歳月日時が丑に逢えば、徳は午に在り。(すなわち本支より起こり、次序に順って前に向かって第五辰に数えて至れば就中是なり。其余の各支は此に照らして類推す。)

月干德法:寅午戌,月德在丙;亥卯未,月德在甲;申子辰,月德在壬;巳酉丑,月德在庚。

月の干徳を推す方法――月支が寅・午・戌の三合の火局に属するは、月徳は丙に在り。亥・卯・未の三合の木局に属するは、月徳は甲に在り。申・子・辰の三合の水局に属するは、月徳は壬に在り。巳・酉・丑の三合の金局に属するは、月徳は庚に在り。

推歲殺法:寅午戌,歲殺在丑;巳酉丑,歲殺在辰;申子辰,歲殺在未;亥卯未,歲殺在戌。又金神殺:四孟月,殺在酉;四仲月,殺在巳;四季月,殺在丑。

歳殺を推す方法――太歳が寅・午・戌に属するは、歳殺は丑に在り。巳・酉・丑に属するは、歳殺は辰に在り。申・子・辰に属するは、歳殺は未に在り。亥・卯・未に属するは、歳殺は戌に在り。別に「金神殺」有り――四孟の月(正月・四月・七月・十月)は、殺は酉に在り。四仲の月(二月・五月・八月・十一月)は、殺は巳に在り。四季の月(三月・六月・九月・十二月)は、殺は丑に在り。

推歲月日時刑法:歲月日時在子,刑在卯;卯為刑下,子為刑上。歲月日時在丑,刑在戌;戌為刑下,未為刑上。歲月日時在寅,巳為刑下,申為刑上。歲月日時在卯,刑在子;子為刑下,卯為刑上。歲月日時在巳,申為刑下,寅為刑上。歲月日時在未,丑為刑下,戌為刑上。歲月日時在申,寅為刑下,巳為刑上。歲月日時在戌,未為刑下,丑為刑上。

歳・月・日・時の刑を推求する方法――歳・月・日・時が子に逢えば、刑位は卯に在り、卯は「刑下」、子は「刑上」なり。歳・月・日・時が丑に逢えば、刑位は戌に在り、戌は「刑下」、未は「刑上」なり。歳・月・日・時が寅に逢えば、巳は「刑下」、申は「刑上」なり。歳・月・日・時が卯に逢えば、刑位は子に在り、子は「刑下」、卯は「刑上」なり。歳・月・日・時が巳に逢えば、申は「刑下」、寅は「刑上」なり。歳・月・日・時が未に逢えば、丑は「刑下」、戌は「刑上」なり。歳・月・日・時が申に逢えば、寅は「刑下」、巳は「刑上」なり。歳・月・日・時が戌に逢えば、未は「刑下」、丑は「刑上」なり。風を占う時は先ず此の表に按じて刑上・刑下の位を定め出し、再び風が何れの一位より吹き来るを看るべし。

淳風按:刑下來者禍淺,刑上來者災深。一云:三刑皆為歲月日時之刑。今數即有四刑,歲也,月也,日也,時也。今淳風謂三刑者:刑上,刑下,自刑。四刑之中有此三刑,四刑辨尊卑、三刑別淺深也。

李淳風の按語――風が「刑下」の位より吹き来るは、禍患は較べて浅し。「刑上」の位より吹き来るは、災殃は深重なり。一種の説法有り――三刑は皆歳・月・日・時の刑を指す、と。可是し此の様に数え下れば実際に四種の刑有り。すなわち歳刑・月刑・日刑・時刑なり。我李淳風の説く所の三刑は、刑上・刑下・自刑の三種を指す。四刑の中に此の三刑を含む。四刑は以て応験する対象の尊卑を分辨し、三刑は以て災禍の深浅を分別す。

辨和風災風法:凡災風之來,多挾煞氣,寒克白濁,塵埃蓬勃;若吉祥之風,多德氣,並而日清明,天氣溫和,風氣索索,條長去地少高,不動塵土,平行而過。今諸字占,並具言寒克白濁等語,今略之為例:諸稱寒克白濁者,今雲災氣;諸稱清明溫和者,今雲和氣;(凡如此晴明,即雲清和。)諸稱大風寒冥、冥日無光、沉沒霧氣者,今雲昏氣。

和風と災風を分辨する方法――およそ災風の到来するは、多くは煞気を夾帯し、寒冷・肅殺にして天色が白を発して渾濁し、塵土が滚滚として飛揚す。吉祥の風に至りては、多くは徳気を帯び、同時に日色が清朗明浄にして、天気が温和にして、風声が索索として輕微にして、吹動する枝條が地を離るること高からず、塵土を揚げず、平緩に掠過す。如今、各条の占辞の裏に皆一一に「寒克白濁」などの話を写して在るを、現在それらを簡化して通例と為す。およそ「寒克白濁」と称するは、一律に「災気」と称す。およそ「清明温和」と称するは、一律に「和気」と称す。(およそ此の様に晴朗明浄なるは、就中「清和」と呼ぶ。)およそ「大風寒冥」「日色が昏暗にして光無し」「沈沈たる霧気が笼罩する」と称するは、一律に「昏気」と称す。

六情を論ずる法(論六情法)第七十八

六情者:好、惡、喜、怒、哀、樂。水性智敬,木性靜仁,火性躁亂,土性力倍,金性剛義。

いわゆる「六情」とは、就中好・悪・喜・怒・哀・楽の此の六種の情性なり。五行の本性に就りて言えば――水性は聡慧にして敬慎を知り、木性は沈静にして仁厚を懐き、火性は躁急にして乱を生じ易く、土性は厚重にして力量が倍増し、金性は剛強にして義理を重んず。

一曰貪狼,申子辰,水之源,其性侵淫,其性貪諍。水動而溢下,晝夜不停向震,故申子為貪狼,辰未為奸邪。水性智,故達下,流趣未,冬藏,故曰貪狼。

第一種を「貪狼」と呼び、申・子・辰の三支に配す。これは水の源流の所在なり。その性質は侵蝕漫延し、情性は貪求にして争を好む。水は一たび動けば就中漫溢して下に向かい、昼夜停まずに震方に向かって流る。故に申・子の二支は貪狼を主り、辰・未の二支は奸邪を主る。水性は智に属す。故に下に向かって通達するを能くし、未方に流趨す。冬令は閉蔵・聚斂を主り、貪蓄して足るを知らず。故に「貪狼」と呼ぶ。

二曰陰賊,亥卯未,木之類也。其性屈曲,其情邪伏,陰映閉匿,為水所生,返害所養,故亥犯為陰賊,未為奸邪。木自水生,葉落還本,歸於亥,主盜賊,故主陰賊。春生,故曰陰賊。

第二種を「陰賊」と呼び、亥・卯・未の三支に配し、木の一類に属す。その性質は屈曲して直ならず、情態は邪僻潜伏にして、陰暗遮蔽して蔵匿を善くす。木は本來水の生ずる所なりと雖も、却って反ってそれを養育する水を損耗す。故に亥位の相犯は就中陰賊と成り、未位は就中奸邪と成る。木は水中より生じ出で、葉落の後に根に帰り、仍旧として亥位に回る。亥は盗賊を主る。故にそれは陰賊の事を主管す。木は春天に萌生して暗中に滋長す。故に「陰賊」と呼ぶ。

三曰廉貞,寅午戌,火之位,其性真正,其情炎盛,精耀上升,淹濁下降,以禮自濟,不受穢惡,與離同類,道合重明,故寅午為廉貞,戌為公正,火性夏長,故正。炎強自伏,其卿不濫他所,故曰公正。

第三種を「廉貞」と呼び、寅・午・戌の三支に配す。是れ火の方位なり。その性質は真実端正にして、情態は炎熱旺盛にして、精光は上に向かって騰升し、濁滞は下に向かって沈降し、礼节を以て自我を成全し、汚穢・邪悪を接納せず、「離」卦と同類にして、その道は「重明」の象に合す。故に寅・午の二支は廉貞を主り、戌支は公正を主る。火性は夏季に長養す。故に正と為る。炎威は強しと雖も却って自我を收斂するを能くし、その気は別の方位に泛溢せざるなり。故に「公正」と呼ぶ。

四曰寬大,巳酉丑,金之位也。其性義斷剛直,其情寬大,與乾健同類,與兌相當,有象施與,故巳酉為寬大,丑戌為公正,金鋼義直,自歸本城,秋收故寬,體天故大。

第四種を「寛大」と呼び、巳・酉・丑の三支に配す。是れ金の方位なり。その性質は義断して剛直にして、情態は寛厚博大にして、「乾」卦の剛健と同類にして、「兌」卦と相当たり、人に施予するの象有り。故に巳・酉の二支は寛大を主り、丑・戌の二支は公正を主る。金性は剛強にして・行事は義直にして、終に本位に回帰せんとす。秋季は收成を主る。故に「寛」と称す。上天の万物を覆蓋するを效法す。故に「大」と称す。

五曰奸邪,辰未主之。辰為水末,未為木窮,水為智,智窮則奸生,木旁則邪曲,故辰未主之。六曰公正,丑戌主之。丑金剛而為公,戌火明而為正,故丑戌主之。

第五種を「奸邪」と呼び、辰・未の二支に由りて主管す。辰は水の末位、未は木の窮尽する処なり。水は智を主り、智慧が尽頭に走れば就中奸巧を生じ、木が旁生斜出すれば就中邪曲と変ず。故に辰・未に由りてそれを主る。第六種を「公正」と呼び、丑・戌の二支に由りて主管す。丑は金に属し、剛強にして公を秉るを能くす。戌は火に属し、明亮にして正を持するを能くす。故に丑・戌に由りてそれを主る。

申子為貪狼,主欺紿不信,亡財遇賊,主攻劫人也。(京房云:求人財物,強取也。)巳酉丑寬大,主福祿賞賜;聚集酒食,主貴人君子。(京房云:酒食慶賀也。)

申・子は「貪狼」を主り、欺騙・失信・財物を損失し・盗賊に遇上するの一類の事を主管し、また人の攻奪・劫掠を施行する有るを主る。(京房は言う――これは人に向かって財物を索求し・強行奪取の象なり、と。)巳・酉・丑は「寛大」を主り、福禄と賞賜・酒食・宴飲を聚集するを主管し、貴人・君子の身に応ず。(京房は言う――これは酒食・慶賀の象なり、と。)

亥卯未為陰賊。主戰鬥殺傷,謀反叛逆。(京房雲,劫暴奪也。)寅午為廉貞,主賓客禮儀,嫁娶國儀,為人誠信謙謹。(京房云:為上客遷官。)

亥・卯・未は「陰賊」を主り、戦闘・殺傷・反逆を図謀し乱を作すの事を主管す。(京房は言う――これは搶劫して暴を施し・強行奪取の象なり、と。)寅・午は「廉貞」を主り、賓主の往来の礼仪・婚嫁と国家の典礼を主管し、人と為りて誠実守信・謙遜謹慎なるの身に応ず。(京房は言う――上賓の到来・官・官職の陞遷を主る、と。)

丑戌為公正,主報怨仇,主兵。(京房云:仇諫諍。)辰未為奸邪,主欺慢人。(京房云:淫佚,疾病,欺紿。)

丑・戌は「公正」を主り、怨仇を報復するの事を主管し、また兵戈を主る。(京房は言う――仇隙を結下し・直言して争弁するを主る、と。)辰・未は「奸邪」を主り、他人を欺騙・軽慢するの事を主管す。(京房は言う――淫乱・放縦・疾病と欺詐を主る、と。)

第一本情,(甲乙主之。)第二合情,(丙丁主之。)第三刑情,(戊己主之。)第四沖情,(庚辛主之。)第五鉤情。(壬癸主之。)

天干に五種の情を配す。第一は「本情」(甲・乙の両干に由りて主管す)。第二は「合情」(丙・丁に由りて主管す)。第三は「刑情」(戊・己に由りて主管す)。第四は「冲情」(庚・辛に由りて主管す)。第五は「鉤情」(壬・癸に由りて主管す)。

六合:子與丑合,寅與亥合,卯與戌合,辰與酉合,巳與申合,午與未合。

地支の「六合」は――子と丑は相合し、寅と亥は相合し、卯と戌は相合し、辰と酉は相合し、巳と申は相合し、午と未は相合す。

三刑:子刑在卯,卯刑子,丑刑戌,戌刑未,未刑丑,寅刑巳,巳刑申,申刑寅,辰午酉亥自刑。

地支の「三刑」は――子の刑位は卯に在り、卯はまた反って子を刑す。丑は戌を刑し、戌は未を刑し、未は丑を刑す。寅は巳を刑し、巳は申を刑し、申は寅を刑す。辰・午・酉・亥の四支は則ち各自に「自刑」と為す。

對沖:子午,丑未,寅申,辰戌,卯酉,巳亥。(已上並沖破也。)

地支の「対冲」は――子と午、丑と未、寅と申、辰と戌、卯と酉、巳と亥。(以上の各対は皆相冲・相破の関係に属す。)

六鉤:子鉤酉,丑鉤辰,寅鉤亥,卯鉤午,巳鉤申,未鉤戌。

いわゆる「六鉤」は、彼此牵连勾挂する関係なり――子は酉に鉤り、丑は辰に鉤り、寅は亥に鉤り、卯は午に鉤り、巳は申に鉤り、未は戌に鉤る。

五合:甲己合,乙庚合,丙辛合,丁壬合,戊癸合。陽德自處,柔德在天。

天干の「五合」は――甲と己は相合し、乙と庚は相合し、丙と辛は相合し、丁と壬は相合し、戊と癸は相合す。陽剛の干は、その徳は就中自身の本位の上に落つ。陰柔の干は、その徳は則ちそれと相配する天干の上に寄托す。

陰陽・六情・五音の立成(陰陽六情五音立成)第七十九

甲子,陽商,貪狼。本情。甲申,陽羽,貪狼。本情。甲辰,陽徵,奸邪。本情。乙丑,陰商,公正。本情。乙酉,陰羽,寬大。本情。乙巳,陰徵,寬大。本情。

甲子の日は、納音が陽商に属し、六情は貪狼、天干の情は本情に属す。甲申の日は、陽羽に属し、六情は貪狼、本情に属す。甲辰の日は、陽徴に属し、六情は奸邪、本情に属す。乙丑の日は、納音が陰商に属し、六情は公正、本情に属す。乙酉の日は、陰羽に属し、六情は寛大、本情に属す。乙巳の日は、陰徴に属し、六情は寛大、本情に属す。

丙寅,陽徵,陰賊。合情。丙戌,陽宮,陰賊。合情。丙午,陽羽,奸邪。合情。丁卯,陰徵,公正。合情。丁亥,陰宮,廉貞。合情。丁未,陰羽,廉貞。合情。

丙寅の日は、納音が陽徴に属し、六情は陰賊、天干の情は合情に属す。丙戌の日は、陽宮に属し、六情は陰賊、合情に属す。丙午の日は、陽羽に属し、六情は奸邪、合情に属す。丁卯の日は、納音が陰徴に属し、六情は公正、合情に属す。丁亥の日は、陰宮に属し、六情は廉貞、合情に属す。丁未の日は、陰羽に属し、六情は廉貞、合情に属す。

戊辰,陽角,奸邪。刑情。戊子,陽徵,陰賊。刑情。戊申,陽宮,廉貞。刑情。己巳,陰角,貪狼。刑情。己丑,陰徵,公正。刑情。己酉,陰宮,寬大。刑情。

戊辰の日は、納音が陽角に属し、六情は奸邪、天干の情は刑情に属す。戊子の日は、陽徴に属し、六情は陰賊、刑情に属す。戊申の日は、陽宮に属し、六情は廉貞、刑情に属す。己巳の日は、納音が陰角に属し、六情は貪狼、刑情に属す。己丑の日は、陰徴に属し、六情は公正、刑情に属す。己酉の日は、陰宮に属し、六情は寛大、刑情に属す。

庚午,陽宮,貪狼。沖情。庚寅,陽角,貪狼。沖情。庚戌,陽商,奸邪。沖情。辛未,陰宮,公正。沖情。辛卯,陰角,寬大。沖情。辛亥,陰商,寬大。沖情。

庚午の日は、納音が陽宮に属し、六情は貪狼、天干の情は冲情に属す。庚寅の日は、陽角に属し、六情は貪狼、冲情に属す。庚戌の日は、陽商に属し、六情は奸邪、冲情に属す。辛未の日は、納音が陰宮に属し、六情は公正、冲情に属す。辛卯の日は、陰角に属し、六情は寛大、冲情に属す。辛亥の日は、陰商に属し、六情は寛大、冲情に属す。

壬申,陽角,寬大。鉤情。壬辰,陽羽,公正。鉤情。壬子,陽角,寬大。鉤情。癸酉,陰商,貪狼。鉤情。癸巳,陰羽,貪狼。鉤情。癸丑,陰角,奸邪。鉤情。

壬申の日は、納音が陽角に属し、六情は寛大、天干の情は鉤情に属す。壬辰の日は、陽羽に属し、六情は公正、鉤情に属す。壬子の日は、陽角に属し、六情は寛大、鉤情に属す。癸酉の日は、納音が陰商に属し、六情は貪狼、鉤情に属す。癸巳の日は、陰羽に属し、六情は貪狼、鉤情に属す。癸丑の日は、陰角に属し、六情は奸邪、鉤情に属す。

甲戌,陽微,公正。本情。甲午,陽商,廉貞。本情。甲寅,陽羽,廉貞。本情。乙亥,陰徵,陰賊。本情。乙未,陰商,奸邪。本情。乙卯,陰羽,陰賊。本情。

甲戌の日は、納音が陽微(すなわち陽徴)に属し、六情は公正、天干の情は本情に属す。甲午の日は、陽商に属し、六情は廉貞、本情に属す。甲寅の日は、陽羽に属し、六情は廉貞、本情に属す。乙亥の日は、納音が陰徴に属し、六情は陰賊、本情に属す。乙未の日は、陰商に属し、六情は奸邪、本情に属す。乙卯の日は、陰羽に属し、六情は陰賊、本情に属す。

丙子,陽羽,公正。合情。丙申,陽徵,寬大。合情。丙辰,陽宮,寬大。合情。丁丑,陰羽,貪狼。合情。丁酉,陰徵,奸邪。合情。丁巳,陰宮,貪狼。合情。

丙子の日は、納音が陽羽に属し、六情は公正、天干の情は合情に属す。丙申の日は、陽徴に属し、六情は寛大、合情に属す。丙辰の日は、陽宮に属し、六情は寛大、合情に属す。丁丑の日は、納音が陰羽に属し、六情は貪狼、合情に属す。丁酉の日は、陰徴に属し、六情は奸邪、合情に属す。丁巳の日は、陰宮に属し、六情は貪狼、合情に属す。

戊寅,陰宮,寬大。刑情。戊戌,陽角,奸邪。刑情。戊午,陽徵,廉貞。刑情。己卯,陰宮,貪狼。刑情。己亥,陰角,陰賊。刑情。己未,陰徵,公正。刑情。

戊寅の日は、納音が陰宮に属し、六情は寛大、天干の情は刑情に属す。戊戌の日は、陽角に属し、六情は奸邪、刑情に属す。戊午の日は、陽徴に属し、六情は廉貞、刑情に属す。己卯の日は、納音が陰宮に属し、六情は貪狼、刑情に属す。己亥の日は、陰角に属し、六情は陰賊、刑情に属す。己未の日は、陰徴に属し、六情は公正、刑情に属す。

庚辰,陽角,公正。沖情。庚子,陽宮,廉貞。沖情。庚申,陽角,廉貞。沖情。辛巳,陰商,陰賊。沖情。辛丑,陰宮,奸邪。沖情。辛酉,陰角,陰賊。沖情。

庚辰の日は、納音が陽角に属し、六情は公正、天干の情は冲情に属す。庚子の日は、陽宮に属し、六情は廉貞、冲情に属す。庚申の日は、陽角に属し、六情は廉貞、冲情に属す。辛巳の日は、納音が陰商に属し、六情は陰賊、冲情に属す。辛丑の日は、陰宮に属し、六情は奸邪、冲情に属す。辛酉の日は、陰角に属し、六情は陰賊、冲情に属す。

壬午,陽角,陰賊。鉤情。壬寅,陽角,陰賊。鉤情。壬戌,陽羽,奸邪。鉤情。癸未,陰角,公正。鉤情。癸卯,陰商,廉貞。鉤情。癸亥,陰羽,廉貞。鉤情。

壬午の日は、納音が陽角に属し、六情は陰賊、天干の情は鉤情に属す。壬寅の日は、陽角に属し、六情は陰賊、鉤情に属す。壬戌の日は、陽羽に属し、六情は奸邪、鉤情に属す。癸未の日は、納音が陰角に属し、六情は公正、鉤情に属す。癸卯の日は、陰商に属し、六情は廉貞、鉤情に属す。癸亥の日は、陰羽に属し、六情は廉貞、鉤情に属す。

五音・刑徳・日辰の所属の立成(五音刑德日辰所屬立成)第八十

甲:德自處,刑戊。丙子,兩不兩則晦,海裡起兵。子,侯,刑卯,周。戌,申曹,刑未,晉。申午辰寅。商、徵、羽商徵羽。

甲日の一行――徳は就中甲の自身に在り、刑する所は戊に在り。占辞に言う――丙子の日に、両両として相配せずんば昏晦して明からず、海上に将に兵事の興起有らん、と。配する所の地支――子は、官位を侯と為し、刑は卯に在り、分野は周に属す。戌は、官位を申曹と為し、刑は未に在り、分野は晋に属す。其余は順次に申・午・辰・寅の四辰を列出す。配する所の五音は先ず商・徴を列し、合わせれば羽・商・徴・羽なり。

乙:德日庚,刑巳。粟貴,邊夷內侵。丑,侯,刑戌,齊。亥,水,自刑,魯。酉未巳卯。

乙日の一行――徳は庚に在り、刑する所は巳に在り。占辞に言う――粟米が昂貴し、辺地の夷狄が内に向かって侵擾せん、と。配する所の地支――丑は、官位を侯と為し、刑は戌に在り、分野は斉に属す。亥は、所属を水と為し、自刑に逢い、分野は魯に属す。其余は順次に酉・未・巳・卯の四辰を列出す。

丙:德自處,刑庚。邊城有兵見圍。寅,尉卿,魏,刑巳。子。戌申午辰。徵、羽、宮徵羽宮。

丙日の一行――徳は就中丙の自身に在り、刑する所は庚に在り。占辞に言う――辺城に将に兵の来りて囲困する有らん、と。配する所の地支――寅は、官位を尉卿と為し、分野は魏に属し、刑は巳に在り。また子を配す。其余は順次に戌・申・午・辰の四辰を列出す。配する所の五音は先ず徴・羽を列し、合わせれば宮・徴・羽・宮なり。

丁:德在壬,刑辛。天旱傷物,人多疫。卯,市,日,刑子。丑。亥酉未巳。

丁日の一行――徳は壬に在り、刑する所は辛に在り。占辞に言う――天旱が万物を傷害し、人間に多く疫病有らん、と。配する所の地支――卯は、官位を市官・主日と為し、刑は子に在り。また丑を配す。其余は順次に亥・酉・未・巳の四辰を列出す。

戊:德自處,刑壬。有土功,食物貴,若欲議遷邑。辰。寅。寅子戌申。角、宮、徵角宮徵。

戊日の一行――徳は就中戊の自身に在り、刑する所は壬に在り。占辞に言う――将に土木の工程有らん、糧食の物価が昂貴し、あるいは将に城邑を遷移するを商議せんとす、と。配する所の地支――辰。寅。其余は順次に寅・子・戌・申の四辰を列出す。配する所の五音は先ず角・宮を列し、合わせれば徴・角・宮・徴なり。

己:德在甲,刑癸。有土功,食物貴,若欲遷。巳,獄吏,宋,刑申。卯。丑亥酉未。

己日の一行――徳は甲に在り、刑する所は癸に在り。占辞に言う――将に土木の工程有らん、糧食の物価が昂貴し、あるいは将に遷徙せんとす、と。配する所の地支――巳は、官位を獄吏と為し、分野は宋に属し、刑は申に在り。また卯を配す。其余は順次に丑・亥・酉・未の四辰を列出す。

庚:德自處,刑甲。蟲生人,治自刑。午,倉曹,犯自刑。辰。寅子戌申。宮、商、角宮商角。

庚日の一行――徳は就中庚の自身に在り、刑する所は甲に在り。占辞に言う――虫害が滋生して人事を侵擾し、その治は自刑の位に応ずべし、と。配する所の地支――午は、官位を倉曹と為し、相犯すればすなわち自刑なり。また辰を配す。其余は順次に寅・子・戌・申の四辰を列出す。配する所の五音は先ず宮・商を列し、合わせれば角・宮・商・角なり。

辛:德在丙,刑乙。蟲生人,治丑。未,大府,燕,刑丑。巳。卯丑亥酉。

辛日の一行――徳は丙に在り、刑する所は乙に在り。占辞に言う――虫害が滋生して人事を侵擾し、その治は丑位に応ずべし、と。配する所の地支――未は、官位を大府と為し、分野は燕に属し、刑は丑に在り。また巳を配す。其余は順次に卯・丑・亥・酉の四辰を列出す。

壬:德自處,在丙。北狄胡人興,備四塞。申,座吏,秦,刑寅。午。辰寅子戌。商、角、羽商角羽。

壬日の一行――徳は就中壬の自身に在り、もう一つの説は丙に在りとす。占辞に言う――北方の狄人・胡人が興起し、四方の辺塞を戒備すべし、と。配する所の地支――申は、官位を座吏と為し、分野は秦に属し、刑は寅に在り。また午を配す。其余は順次に辰・寅・子・戌の四辰を列出す。配する所の五音は先ず商・角を列し、合わせれば羽・商・角・羽なり。

癸:德在戊,刑丁。北狄胡人興,備四塞。酉,傳吏,鄭,自刑。未。巳卯丑亥。

癸日の一行――徳は戊に在り、刑する所は丁に在り。占辞に言う――北方の狄人・胡人が興起し、四方の辺塞を戒備すべし、と。配する所の地支――酉は、官位を伝吏と為し、分野は鄭に属し、自刑に逢う。また未を配す。其余は順次に巳・卯・丑・亥の四辰を列出す。

宮。子帝王,午后妃。震雷擊鼓。商。辰大將,戌小將。琴瑟鐘磬。

宮音――子位は帝王に応じ、午位は后妃に応ず。その風声は雷霆の震動し・擂鼓の響き作るが如し。商音――辰位は大将に応じ、戌位は偏裨・小将に応ず。その風声は琴瑟・鐘磬の相和するが如し。

徵。寅丑亥,旱火災。申未,土功及民。奔走燎火。角。巳疾病,亥死。悲吟呼叫。羽。卯雨水,丙霜雹。流水飛羽。

徴音――寅・丑・亥位は旱情と火災を主り、申・未位は土木・労役が百姓に波及するを主る。その風声は衆人の奔走し・烈火の原を燎くが如し。角音――巳位は疾病を主り、亥位は死亡を主る。その風声は悲声の吟哦し・声を放ちて呼叫するが如し。羽音――卯位は雨水を主り、丙位は霜雹を主る。その風声は流水の奔瀉し・羽毛の翻飛するが如し。

貪狼之日,時加奸邪,風從陰賊上來,有劫相殺之事。陰賊之日,風從奸邪上來,時加申子止子,必有賊殺人,逆亂相盜。

貪狼の日に逢い、時辰が奸邪の位に落ち、風が陰賊の位より吹き来るは、劫奪・相殺の事有るを主る。陰賊の日に逢い、風が奸邪の位より吹き来り、時辰が申・子に落ちて風が子位に止まるは、必ず賊人の人を殺す有り・叛乱を発生して互いに盗掠するの事有らん。

奸邪之日,風從寬大上來,時加卯止亥,有人持酒食禮來,相候謀盜。寬大之日,風從廉貞上來,時加己酉,為貴客至,有吉慶賀賞賜事。

奸邪の日に逢い、風が寛大の位より吹き来り、時辰が卯に落ちて風が亥に止まるは、人の酒食・礼物を帯びて前來し・表面上は問候にして実は則ち窺伺して盗を图る有るを主る。寛大の日に逢い、風が廉貞の位より吹き来り、時辰が己(巳)・酉に落ちるは、貴客の到来有り・吉慶・道賀と賞賜の事有るを主る。

公正之日,風從奸邪上來,時加寅午,為誠信之士,若來報仇詐人。廉貞之日,風從寬大上來,時加午酉,為貴客以酒食來相宴樂。

公正の日に逢い、風が奸邪の位より吹き来り、時辰が寅・午に落ちるは、誠実守信の士の前來有り、あるいは人の来りて仇を報じ・詐を行い人を騙く有るを主る。廉貞の日に逢い、風が寛大の位より吹き来り、時辰が午・酉に落ちるは、貴客の酒食を帯びて前來して宴飲取楽する有るを主る。

寬大之日,時加廉貞,風從寬大上來,時加午止酉,貴客以酒食相宴樂,有遷官徵召酒食喜事。從奸邪上,求有妖人為怪,婦人欺夫。從貪狼上來,有人競求財者。從陰賊上來,有賊而無所克。從公正上來,貴人有求名問事。

寛大の日に逢い、時辰が廉貞の位に落ち、風が寛大の位より吹き来り、時辰が午に在りて風が酉に止まるは、貴客の酒食を帯びて前來して宴楽し・官職を陞遷し・征召を受くるおよび酒食・喜慶の事有るを主る。風が奸邪の位より吹き来るは、妖妄の人の風を興し怪を作す有るを主り、婦人が丈夫を欺瞞せん。風が貪狼の位より吹き来るは、人の争いて銭財を求取する有るを主る。風が陰賊の位より吹き来るは、賊人有りと雖も手を得する能わざるを主る。風が公正の位より吹き来るは、貴人の前來して名位を求取し・事情を詢問する有るを主る。

廉貞之日,時加寬大,風從廉貞上來,有七千里來相慶事,若長者到。寬大上來,人以酒食求相和好。貪狼上來,吏客求錢物。公正上來,仇人報怨。陰賊上來,欲求劫人者。奸邪上來,有人上文書徵發事,不則有奸人設詐不信事。

廉貞の日に逢い、時辰が寛大の位に落ち、風が廉貞の位より吹き来るは、遠く七千里外より伝来する慶賀の事有るを主り、あるいは尊長の到来有らん。風が寛大の位より吹き来るは、人の酒食を帯びて前來して和好を求める有るを主る。風が貪狼の位より吹き来るは、官吏あるいは客人の前來して銭物を索求する有るを主る。風が公正の位より吹き来るは、仇家の前來して怨を報ずる有るを主る。風が陰賊の位より吹き来るは、人の他人を劫掠せんと図謀する有るを主る。風が奸邪の位より吹き来るは、人の文書を呈上して征発の事を辦理する有るを主り、否れば就中奸人の騙局を設け・信に背き欺詐する有らん。

公正之日,時加公正,風從公正上來,吏人爭財,多奸相傷,若仇人欲報仇怨。奸邪上來,人慾告言部吏私財物者。陰賊上來,下凌上,謀為不道者。貪狼上來,有亡失逐縱,相牽引事。廉貞上來,君長欲遷。寬大上來,行出必值人酒食之事或憤爭。

公正の日に逢い、時辰が公正の位に落ち、風が公正の位より吹き来るは、官吏が人と財物を争奪し・多く奸巧を以て相害し・あるいは仇家の怨仇を報復しに来らんとするを主る。風が奸邪の位より吹き来るは、人の本部の官吏の財物を私占するを控告せんとする有るを主る。風が陰賊の位より吹き来るは、下位が上位を凌犯し・人の無道の事を図謀する有るを主る。風が貪狼の位より吹き来るは、失物・走失・追捕・放縦・彼此牵连の事有るを主る。風が廉貞の位より吹き来るは、君長が将に遷陞せんとするを主る。風が寛大の位より吹き来るは、外出すれば必ず他人の酒食を設けて相待するの事に碰上し、あるいは忿怒・争執に遇うあらん。

陰賊之日,時加陰賊,風從陰賊上來,有賊格鬥,在部界內,必傷殺人。貪狼上來,以白刃相攻仇。公正上來,為外人謀內。寬大上來,告客行錢與人。廉貞上來,有隱士學人為惡劫。奸邪上來,東向婦人來,勿前之,必伺人家為匿盜之事。

陰賊の日に逢い、時辰が陰賊の位に落ち、風が陰賊の位より吹き来るは、賊人の格闘する有るを主り、就中本の管轄境の内に発生し、必ず人を傷け人を殺さん。風が貪狼の位より吹き来るは、人の白刃を手持して相攻め仇を尋ぬる有るを主る。風が公正の位より吹き来るは、外人が内部と結托して図謀するを主る。風が寛大の位より吹き来るは、人の客人に銭を送りて他人に与うるを告知する有るを主る。風が廉貞の位より吹き来るは、隠士・読書人の劫掠の悪事を做出す有るを主る。風が奸邪の位より吹き来るは、婦人の東面より走り来る有るを主る。上前りて招惹する莫れ。彼女は必ずや人家を窺伺し・行窃して贓を蔵むるの事を準備するなり。

貪狼之日,時加貪狼,風從貪狼上來,有賊人至,攻劫人財。且欲害人,慎之,禍起北大。公正上來,必有行怨報人,揚兵相擊,年立丑者凶。奸邪上來,惡人持挈物來。廉貞上來,他人遺財相賄者。寬大上來,持禮相候,而欲求人財物。陰賊上來,家人內若有人相牽引,不則行出為禽獸所傷。

貪狼の日に逢い、時辰が貪狼の位に落ち、風が貪狼の位より吹き来るは、賊人の到来有るを主り、他人の財物を攻奪・劫掠せん。しかも人を加害せんと欲す。務めて謹慎防備すべし。禍端は北方より起こらん。風が公正の位より吹き来るは、必ず人の怨を挟みて報復し・兵器を動用して相撃つ有らん。本命年が丑に在る人は殊に凶険なり。風が奸邪の位より吹き来るは、悪人の物を提げて前來する有るを主る。風が廉貞の位より吹き来るは、他人の財を送りて賄賂を行うを主る。風が寛大の位より吹き来るは、人の礼物を帯びて前來して問候し、実は則ち他人の財物を索取せんと欲するを主る。風が陰賊の位より吹き来るは、家中の人の事端に牵连せらるる有るを主り、否れば就中外出の時に禽獣に傷られん。

陰賊之日。風從奸邪上來,時加申子止子,必有賊煞人,逆亂相盜。奸邪之日,時加奸邪,風從奸邪上來,主人見謀,若出遇疾病。陰賊上來,有宿怨,令相攻,必流血。從公正上來,欲報怨仇。廉貞上來,有文書所召,若以淫盜相牽。貪狼上來,賊人謀持物亡走。寬大上來,有人因酒食病。

陰賊の日に逢い、風が奸邪の位より吹き来り、時辰が申・子に落ちて風が子位に止まるは、必ず賊人の人を殺す有り・叛乱を発生して互いに盗掠するの事有らん。奸邪の日に逢い、時辰が奸邪の位に落ち、風が奸邪の位より吹き来るは、家中の主人が人に算計せらるるを主り、あるいは出門して疾病に遇上せん。風が陰賊の位より吹き来るは、旧日の怨仇の発作有るを主り、双方を唆使して相攻めせしめ、必ず流血に至らん。風が公正の位より吹き来るは、人の怨仇を報復せんとする有るを主る。風が廉貞の位より吹き来るは、文書の伝喚有るを主り、あるいは奸淫・盗窃の事を因に牵连を受けん。風が貪狼の位より吹き来るは、賊人の物を携えて逃走せんと図謀するを主る。風が寛大の位より吹き来るは、人の酒を飲み食を進むを因に病を致す有るを主る。

六情・風鳥の起こる所の加時の占(六情風鳥所起加時占)第八十一

巳酉為寬大之日,假令巳酉注寬大之日,時加巳酉,鳥來鳴其上,時加王相,當言為長吏,休廢囚死,當有酒食;時加寅午,鳥來鳴其上,有酒食辭讓者;時加丑戌,鳥來鳴其上,酒食訟口舌;時加亥卯,鳥來鳴其上,有酒食,一作盜賊相害者;時加辰未,鳥來鳴其上,有酒食,婦人女口舌者;時加申子,鳥來鳴其上,酒食爭財事。

巳・酉の両支は「寛大」の日に属す。假如ある日に表中に巳・酉の寛大の日と注明せば、時辰がまた巳・酉に落ち、鳥の飛び来りて屋の上に鳴く有らば――時辰が「王」「相」の旺気に乗ずるは、長吏と関係有るの事と断ずべし。「休」「廃」「囚」「死」の衰気に乗ずるは、則ち酒食の会有るを主る。時辰が寅・午に落ち、鳥の来りて屋の上に鳴くは、酒食有りて衆人が推譲・謙辞するを主る。時辰が丑・戌に落ち、鳥の来りて鳴くは、酒食を因に争訟・口舌を起こすを主る。時辰が亥・卯に落ち、鳥の来りて鳴くは、酒食の事有るを主る(もう一本は――盗賊の相害有るを主る、と作る)。時辰が辰・未に落ち、鳥の来りて鳴くは、酒食有り・併せて婦人・女子を因に口舌を生ずるを主る。時辰が申・子に落ち、鳥の来りて鳴くは、酒食を因に銭財を争奪するを主る。

寅午廉貞之日,時加寅午,鳥來鳴其上,時加王相,當言為長吏,休廢囚死,當有諫諍辭讓事;時加巳酉,鳥來鳴其上,有書至;時加申子,鳥鳴其上,酒食禪讓事;時加辰未,陰私婦女口舌;時加丑戌,鳥鳴其上,酒食事;時加亥卯,以酒食相殺事。

寅・午の両支は「廉貞」の日に属す。時辰が寅・午に落ち、鳥の飛び来りて屋の上に鳴く有らば――時辰が「王」「相」の旺気に乗ずるは、長吏と関係有るの事と断ずべし。「休」「廃」「囚」「死」の衰気に乗ずるは、則ち諫諍と謙譲の事有るを主る。時辰が巳・酉に落ち、鳥の来りて屋の上に鳴くは、書信の到来有るを主る。時辰が申・子に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、酒食および位を推し賢に譲るの事有るを主る。時辰が辰・未に落ちるは、暧昧・隠私の事と婦女の口舌有るを主る。時辰が丑・戌に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、酒食の事有るを主る。時辰が亥・卯に落ちるは、酒食を因に相に相殺の禍を起こすを主る。

公正之日,時加丑戌,鳥鳴其上,時加王相,言□吏公正事,休廢囚死,當有吏來慰問事;時加巳酉,鳥鳴其上,有公正酒食賜遣;時加寅午,鳥鳴其上,有公正辭讓慶賀;時加辰未,有吏來說公私賊事;時加申子,有吏來說公正欺詐事;時加亥卯,有吏來說賊相傷事。

「公正」の日に逢い、時辰が丑・戌に落ち、鳥の屋の上に鳴く有らば――時辰が「王」「相」の旺気に乗ずるは、□吏の公を秉るの事を談及するを主る。「休」「廃」「囚」「死」の衰気に乗ずるは、則ち官吏の前來して慰問する有るを主る。時辰が巳・酉に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、公を秉りて事を辦するの酒食と賞賜・遣送有るを主る。時辰が寅・午に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、公正・謙譲と慶賀の事有るを主る。時辰が辰・未に落ちるは、官吏の前來して公私・盗賊の事を談論する有るを主る。時辰が申・子に落ちるは、官吏の前來して公正の名を假借して欺詐を行うの事を談論する有るを主る。時辰が亥・卯に落ちるは、官吏の前來して盗賊・傷人の事を談論する有るを主る。

奸邪之日,時加辰未,鳥鳴其上,加王相,當言長吏來捕奸詐,休廢囚死,當有口舌起;時加寅午,鳥鳴其上,謙讓人說姦淫事;時加寬大,有酒食陰私事;時加丑戊,有吏來捕奸私陰謀事;時加申子,有陰謀諍斗劫盜事;時加亥卯,有陰私賊兵相害事。

「奸邪」の日に逢い、時辰が辰・未に落ち、鳥の屋の上に鳴く有らば――「王」「相」の旺気に乗ずるは、長吏の前來して奸詐の徒を緝捕するを断ずべし。「休」「廃」「囚」「死」の衰気に乗ずるは、則ち口舌・是非の興起するを主る。時辰が寅・午に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、謙謙たる君子の奸淫の事を談説する有るを主る。時辰が寛大の位に落ちるは、酒食と暧昧・隠私の事有るを主る。時辰が丑・戊(戌)に落ちるは、官吏の前來して奸私・陰謀の事を查捕する有るを主る。時辰が申・子に落ちるは、陰謀・争闘と劫掠・盗窃の事有るを主る。時辰が亥・卯に落ちるは、隠私の事と賊寇・兵刃の相害有るを主る。

貪狼之日,時加申子,鳥鳴其上,時加王相,當言群賊攻劫,休廢囚死,當有盜賊事;時加寅午,鳥鳴其上,有善人說攻劫事;時加巳酉,鳥鳴其上,有酒食攻劫財物事;時加丑戌辰未,鳥鳴其上,有婦人諍訟群賊事;時加亥卯,鳥嗚其上,時加王相,有群賊相攻奪事。

「貪狼」の日に逢い、時辰が申・子に落ち、鳥の屋の上に鳴く有らば――「王」「相」の旺気に乗ずるは、群賊の攻劫と断ずべし。「休」「廃」「囚」「死」の衰気に乗ずるは、則ち盗賊の事有るを主る。時辰が寅・午に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、善人の攻劫の事を談論する有るを主る。時辰が巳・酉に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、酒食を因に財物を攻奪するの事を生ずるを主る。時辰が丑・戌・辰・未に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、婦人の争訟および群賊の事有るを主る。時辰が亥・卯に落ち、鳥が屋の上に鳴き、もしまた「王」「相」の旺気に乗ずれば、群賊の互いに攻奪するの事有るを主る。

陰賊之日,時加亥卯,鳥鳴其上,時加王相,群賊大戰,休廢囚死,當有大斗相傷;時加巳酉,鳥鳴其上,有酒食相殺傷事;時加丑戌,鳥嗚其上,有吏逐賊相害;時加寅午辰未,鳥鳴其上,有婦女奸私相傷事;時加申子,鳥鳴其上,有賊相攻劫事。

「陰賊」の日に逢い、時辰が亥・卯に落ち、鳥の屋の上に鳴く有らば――「王」「相」の旺気に乗ずるは、群賊の大戦を主る。「休」「廃」「囚」「死」の衰気に乗ずるは、則ち大規模の闘殴・相傷有るを主る。時辰が巳・酉に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、酒食を因に殺傷の事を生ずるを主る。時辰が丑・戌に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、官吏の盗賊を追捕して彼此相害する有るを主る。時辰が寅・午・辰・未に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、婦女の奸私の事有りて以て相傷に致るを主る。時辰が申・子に落ち、鳥が屋の上に鳴くは、賊人の互いに攻奪・劫掠するの事有るを主る。

諸陰賊日,有鳥若群飛及飄風颶從四季上來,時加四季,必有搜索,皆為開閉,囚日在近道。假令今日風起市中,若飛鳥從四季上來,即時搜索。欲知何捕人;若加丑戌,捕怨仇;加辰未,則捕小盜人殺。則此占皆為即至,不與風角同。

およそ陰賊の日に逢い、群鳥の飛び過ぐる有り、あるいは旋風・颶風が四季の位(辰・戌・丑・未)より吹き来り、時辰がまた四季の位に落ちれば、必ず搜捕の事有らん。皆城門の開閉に按じて推断すべし。もし「囚」の日に逢えば、事情は就中附近の道路の上に発生せん。假如、今日風が市集の中に起こり、あるいは飛鳥が四季の位より飛び来れば、立時に搜捕有らん。捕える所は何人なるかを判断するには――時辰が丑・戌に落ちれば、是れ仇家を緝捕す。辰・未に落ちれば、就中小偷あるいは人を殺すの賊徒を緝捕す。此の類の占法は皆応験の立即に到来するを主り、風角の占の応期と同じからず。

八方の暴風の占(八方暴風占)第八十二

北方坎,風名曰廣莫風,主冬至四十五日。京房云:四時暴風起於北方,主盜賊起,天下兵皆動,令人病溼飲帶下,難以起居。(北方坎,主盜賊,故兵起。水溼帶下。下部溼。)

北方は「坎」に属し、あれより来る風を「広莫風」と呼び、冬至以後の四十五天を主管す。京房は言う――四季の中にもし暴風が北方より起これば、盗賊の興起を主り、天下の兵馬は皆調動せられ、還って人を湿病・痰飲と帯下の疾を患え・起居に不便ならしめん。(北方の坎卦は盗賊を主る。故に兵事が興起す。坎は水湿と為る。故に帯下の症に応ず。すなわち下身の湿気の病なり。)

東北艮曰條風,(亦名炎風。)主立春四十五日。一云:鬼行人道,多旱疫,主天下水,令人疾洩,變易形容。(冬春之交,萬物變改。)東方震曰明庶風,(亦名宄風。)主春分四十五日。京房云:人流,盜起相攻,風發天下,旱冥霜起,歲大飢,令人病變節四肢,不可動搖。(雷始起動,木始盛故也。)

東北方は「艮」に属し、あれより来る風を「条風」(またの名を「炎風」)と呼び、立春以後の四十五天を主管す。一種の説法有り――此の風が一たび起これば、鬼怪が人道の上に行走し、多く旱情と疫病有り、天下の水を発するを主り、人を泄瀉の疾を患え・形貌が改変せらるるならしむ。(冬春の交替の際に、万物は皆変換・更改しつつ有り。)東方は「震」に属し、風を「明庶風」(またの名を「宄風」)と呼び、春分以後の四十五天を主管す。京房は言う――人口の流亡を主り、盗賊が四起して互いに攻奪し、風が起こりて天下に遍及し、天旱・昏暗にして霜凍が降臨し、年成が大饑となり、人を関節の病变・四肢の屈伸・活動する能わざらしむ、と。(これは雷が始めて震動し・木気が始めて旺盛なるを因とす。)

東南巽曰清明風,(一名景風。)主立夏四十五日。京房云:民多洩痢,乳婦暴病死喪。南方離曰景風,(一名臣風。)主夏至四十五日。此風中發,有火災。來年旱,令人身暴熱,生瘡,目盲。(離為火,目為熱盲也。)

東南方は「巽」に属し、風を「清明風」(一名を「景風」)と呼び、立夏以後の四十五天を主管す。京房は言う――百姓に多く泄瀉・痢疾を患え・産婦が突発して疾病し以て死喪に致るを主る、と。南方は「離」に属し、風を「景風」(一名を「臣風」)と呼び、夏至以後の四十五天を主管す。此の風もし期の中に刮き起これば、火災有るを主り、来年は乾旱し、人を身体が暴熱し・瘡を生じ・双目が失明するならしむ。(離卦は火に属す。故に眼睛の熱を因に盲に致るに応ず。)

西南坤曰涼風,一作諫,(一名陣風。)主立秋四十五日。此風發,天下兵動,日月失色,令人食不入口,病腰脊肩背股膝皆腫。(坤為眾,故兵動。陽氣衰,故日月無光,木為老,故患也。)西方兌曰閶闔風,(亦名飄風。)主秋分四十五日。京房曰:秋旱霜,主天下兵動,日月蝕,令人患瘡癬瘡。(兌為毀折,故日月食而生惡瘡。)

西南方は「坤」に属し、風を「涼風」と呼び、一本は「諫風」と作る(一名を「陣風」)。立秋以後の四十五天を主管す。此の風が一たび起これば、天下の兵馬が調動し、日月が光色を失い、人を飲食の下嚥する能わず・腰脊・肩背・大腿・膝蓋が皆腫痛するならしむ。(坤は衆庶と為る。故に兵の動くを主る。陽気が衰微す。故に日月に光なし。木気は已に老いたり。故に此の類の疾患を生出す。)西方は「兌」に属し、風を「閶闔風」(またの名を「飄風」)と呼び、秋分以後の四十五天を主管す。京房は言う――秋季の乾旱・降霜を主り、天下の兵馬が調動し、日月に食有り、人を瘡癬・悪瘡を患えしむ、と。(兌卦は毀折を主る。故に日月が虧蝕して人に悪瘡を生ぜしむ。)

西北乾曰不周風,主立冬四十五日。天下大飢。京房云:有盜賊相攻,人多疽疾,人流亡疾疫,多死喪,有神不起,地動,日月失色,令人病疥癘,生惡瘡。(乾當室壁,故主疾疫。)

西北方は「乾」に属し、風を「不周風」と呼び、立冬以後の四十五天を主管し、天下の大饑を主る。京房は言う――盗賊の互いに攻奪する有るを主り、人に多く疽瘡を生じ、百姓が流亡し・疫病が流行し、死喪が衆多にして、鬼神を祈禱するも応験を見ず、地気が震動し、日月が色を失い、人を疥癬・癘疾を患え・悪瘡を生出せしむ、と。(乾方は室宿・壁宿に対応す。故に疾疫を主る。)

古八節,但暴風起其方,即占。京房云:八方暴風之候及八卦風別名。春白、夏黑、秋赤、冬黃,皆為凶,下逆上,兵革四動,各隨其部日辰占之。乾高折風,(一名沖。)坎為大剛風,艮為凶風,震為嬰兒風,巽為大弱,(一雲小弱。)離為大弱風,坤為諫風,(一名陰謀風。)兌為小弱。

古法は八節に按じて推占し、ただ暴風が某一の方位に起これば、就中立即にあの一方に依って占断す。京房は言う――八方の暴風の徴候および八卦の風の別名は下の如し。春天に風色が白を発し・夏天に黒を発し・秋天に赤を発し・冬天に黄を発するは、皆凶兆に属し、下位の上位に悖逆し・兵革の四起するを主り、各々所属する方位の日辰に随って占断して去るべし。乾方の風を「高折風」(一名を「冲風」)と呼び、坎方を「大剛風」と呼び、艮方を「凶風」と呼び、震方を「嬰児風」と呼び、巽方を「大弱風」(一説に「小弱風」)と呼び、離方を「大弱風」と呼び、坤方を「諫風」(一名を「陰謀風」)と呼び、兌方を「小弱風」と呼ぶ、と。

古八風,發屋折木,飛沙揚石,三日不雨,則逆四時,乃占。風為陽,雨為陰,陽之怒,得陰則諧,故風災得雨則解。正月朔後八風者,此法齊人要術,五穀所宜。

古法の説く所の「八風」は、大風の屋頂を掀翻し・樹木を折断し・沙を飛ばし石を走らすを指し、而して三日の内に雨を降らさざれば、就中これを四時の気に違逆すると呼び、乃ちこれに拠って占断すべし。風は陽に属し、雨は陰に属す。陽気が发怒し、陰気を得れば就中調和に帰す。故に風災は雨に遇えば便ち自然に消解す。正月初一以後の八風の占法に至りては、これは斉地の農家の要術にして、以て何の五穀を種うるに宜しきかを判断するに用う。

及出《漢書志》:從乾來,有憂兵;從坎來,回水湯湯,有大水;從艮來,人疾疫,歲有蝗蟲;從震來,陽氣干歲,大旱有喪;從巽來,歲多風,傷五穀;從離來,歲旱大熱,多火災;從坤來,人疾病,道中多死凶;從兌來,歲有兵革之事。

また『漢書・天文志』より出づ――風が乾方(西北)より吹き来るは、兵事の憂有るを主る。坎方(正北)より吹き来るは、大水の回旋・泛濫有り・洪涝有るを主る。艮方(東北)より吹き来るは、人間に疫病が流行し・当年に蝗災有るを主る。震方(正東)より吹き来るは、陽気の亢燥・全年の大旱・併せて丧事有るを主る。巽方(東南)より吹き来るは、一年に風多く・五穀を損傷するを主る。離方(正南)より吹き来るは、年成の乾旱・酷熱にして・多く火災有るを主る。坤方(西南)より吹き来るは、人に多く疾病有り・道路上に多く死亡・凶事有るを主る。兌方(正西)より吹き来るは、当年に兵革・戦事有るを主る、と。

三辰八角風:辱、殺、反、吉、抵、誣誕、忿、爭。申子辰之日:艮震巽離坤兌乾坎。巳酉丑之日:巽離坤兌乾坎艮震。亥卯未之日:乾坎艮震巽離坤兌。寅午戌之日:坤兌乾坎艮震巽離。

「三辰八角風」の配位の表――八角の名目は依次に辱・殺・反・吉・抵・誣誕・忿・争なり(後文に分條解釈する時は辱・殺・反・吉・抵・誕・忿・争の八項と作る)。およそ申・子・辰の日は、此の八角は依次に艮・震・巽・離・坤・兌・乾・坎の八方に配す。およそ巳・酉・丑の日は、依次に巽・離・坤・兌・乾・坎・艮・震に配す。およそ亥・卯・未の日は、依次に乾・坎・艮・震・巽・離・坤・兌に配す。およそ寅・午・戌の日は、依次に坤・兌・乾・坎・艮・震・巽・離に配す。風を占う時は先ず当日が何れの一組の三合に属するかを看て、再び表に按じて風の来る方が何れの一角に対応するを査出すべし。

風從辱上來,國及家有恥辱之事。風從殺上來,有暴相殺不道理,若行道逢之,有相殺之人來過也。風從反上來,臣子有反逆不順之事。

風が「辱」位より吹き来るは、国家と家中とに皆恥辱を蒙受するの事有るを主る。風が「殺」位より吹き来るは、横暴の相殺・道理を講らざるの事有るを主る。もし道路の上で此の様の風に遇上せば、就中互いに仇殺する人の旁より経過する有らん。風が「反」位より吹き来るは、臣子に反叛・悖逆して帰順を肯んぜざるの事有るを主る。

風從吉上來,有恩澤詔書,百姓除害,有喜事,若行道逢之,即見賢人君子酒食之遣,此直迴風,入人家同。風從抵上來,有牴觸非理。王日,貴人;相日,中人;休日,庶人;囚日、死日,族人相連。

風が「吉」位より吹き来るは、恩を施すの詔書の下達有るを主り、百姓の為に禍害を除去し、喜慶の事有らん。もし道路の上で遇上せば、就中賢人・君子の酒食を備えて相贈るを見るべし。此処に説くは径直に旋轉して来る回風にして、人の家の宅院に吹き進む時も占法は相同じ。風が「抵」位より吹き来るは、抵触・違理の事有るを主る。「王」の日に逢えば貴人の身に応じ、「相」の日に逢えば中等の人に応じ、「休」の日に逢えば平民の身に応じ、「囚」の日・「死」の日は則ち整個の宗族に牵连せん。

風從誕上來,有欺誕不誠之人,有欺紿。風從忿上來,有非議、忿爭土地財物之事。風從爭上來者,主有好人慾爭財物事。

風が「誕」位より吹き来るは、虚妄・欺誑にして誠信を講らざる人の出現有るを主り、人に蒙騙せられん。風が「忿」位より吹き来るは、非議・指責有るを主り、および土地・財物を為に忿然として相争うの事有らん。風が「争」位より吹き来るは、善良の人をも卷入して財物を争奪するの事に至らしむるを主る。

八方風來:風從震巽離上來者,主勝。風從乾坎艮兌坤上來,客勝。兩軍相當。風從折衝上來,必獲敵人資糧。風從坤上來,有事不成也。

八方より来る風の勝負の占――風が震・巽・離の三方より吹き来るは、主方が勝を得ん。風が乾・坎・艮・兌・坤の五方より吹き来るは、客方が勝を得、両軍は勢均力敵なり。風が「折冲」の位より吹き来るは、必ず敵人の糧草・輜重を繳獲せん。風が坤方より吹き来るは、謀る所の事は成功する能わざらん。

正朔八風占:《漢志》曰:凡候歲美惡,謹候歲始,或冬至日。產氣始萌,臘明日,人眾卒歲,一會飲食,發陽氣,故曰初歲,正月旦。王者歲首立春,四時之始也,四者候之日。

正月朔日の八風の占――『漢書・天文志』に言う――およそ一年の年成の好壞を預測せんと欲するは、皆一年の開端を謹慎に観察せねばならず。一つは冬至の此の日にして、生育の気が始めて萌動す。二つは腊祭の第二日にして、衆人が旧歳を辞去り・聚まりて飲食し、以て陽気を発動す。故に「初歳」と呼ぶ。三つは正月初一の早晨。四つは帝王の定めたる歳首の立春にして、これは四季の起点なり。此の四個の日子は就中候占の日なり、と。

歲旦立春,風南來,大旱;西南來,小旱;西方來,主有兵革;西北來,戎菽為胡豆。小雨,兵起。北方來,中歲;東北來,上歲;東方來,大水;東南來,民有疾病,歲惡。八風各與其沖對課,多勝少,疾勝徐。旦至食為麥,食至昳為稷,昳至晡為黍,晡至下晡為菽,下晡至日沒為麻。

正月初一と立春の此の両天――風が南方より来れば、大旱を主る。西南より来れば、小旱を主る。西方より来れば、兵革の事有るを主る。西北より来れば、戎菽(すなわち胡豆)の豊収を主る。もし同時に小雨を下せば、則ち兵事の興起を主る。北方より来れば、中等の年成を主る。東北より来れば、上等の年成を主る。東方より来れば、大水を発するを主る。東南より来れば、百姓に多く疾病有り・年成が好からざるを主る。八方の風は各自の相冲する方向と対照比較し、風の多き一方は風の少なき一方に勝ち、風の急なるは風の緩なるに勝つ。また時段に按じて分かちて五穀を主る――天亮より早飯の時までは麦に応じ、早飯より日の中天を過ぐる時までは稷に応じ、日昃より申時までは黍に応じ、申時より日の将に落ちんとする時までは豆に応じ、日の将に落ちんとする時より日没までは麻に応ず。

又有東谷風、南凱風、西泰(一作涼)風、北涼風。風從北來,宜客;南來,為主吉;西來,宜客;東來,宜主;西北來,宜客;東南來,宜主;西南來,有謀不成;東北來,主客俱不利。

別にまた四方の風の専名有り――東風を「穀風」と呼び、南風を「凱風」と呼び、西風を「泰風」(一本は「涼風」と作る)と呼び、北風を「涼風」と呼ぶ。風が北方より来るは、客方に利有り。南方より来るは、主方に吉利なり。西方より来るは、客方に利有り。東方より来るは、主方に利有り。西北より来るは、客方に利有り。東南より来るは、主方に利有り。西南より来るは、謀る所の事は成らず。東北より来るは、主客の双方ともに利あらず。

風從乾來,西北方也,有小雨,兵起戎狄,胡兵也。風從正北坎方來,多水大雨。風從東北艮方來,豐稔。風從正東來,大水。風從東南來,民有疾病。風從南來為大旱。風從西南來者,小旱。風從正西來者,有兵災。若風勢大急惡昏濁,亦以八卦暴風例占之為妙也。

風が乾方より吹き来る、すなわち西北方は、小雨有るを主り、兵事が戎狄に起こる。すなわち胡人の兵なり。風が正北の坎方より吹き来るは、水多くして大雨を降すを主る。風が東北の艮方より吹き来るは、年成の豊収を主る。風が正東より吹き来るは、大水を発するを主る。風が東南より吹き来るは、百姓に多く疾病有るを主る。風が南方より吹き来るは、大旱を主る。風が西南より吹き来るは、小旱を主る。風が正西より吹き来るは、兵災有るを主る。もし風勢が急猛にして・天色が昏暗渾濁なれば、あれは就中再び八卦の暴風の通例に按じて占断して去るべく、更に妥当ならん。

立春,正月節,清明少雲,善熟,霧則旱蟲傷禾豆。乾上風來,暴霜殺物,五日,粟卒貴;坎上風來,冬大風寒,北狄侵;艮上風來,五穀熟;震上風來,氣洩,物不成;巽上風來,多風足蟲;離上風來,旱傷生物;坤上風來,春寒,六月水,人多愁土功;兌上風來,旱霜兵起。

立春は正月の節気なり――此の日に天色が清朗にして雲少なければ、年成好く・庄稼が成熟するを主る。もし大霧を起こせば、則ち旱情と虫害の禾苗・豆類を損傷するを主る。風が乾方より吹き来るは、暴霜の作物を殺傷し・五天の内に粟米が驟然に漲価するを主る。坎方より吹き来るは、冬季に大風・厳寒多く・北方の狄人の入侵を主る。艮方より吹き来るは、五穀の成熟を主る。震方より吹き来るは、地気の外泄・作物の結実せざるを主る。巽方より吹き来るは、風多くしかも爬虫多きを主る。離方より吹き来るは、旱情の生物を傷害するを主る。坤方より吹き来るは、春天の寒冷・六月に水を発し・百姓に多く土木・労役を為に愁うるを主る。兌方より吹き来るは、乾旱・降霜・兵事の興起を主る。

春分,二月中氣,東方有青雲,必熟;晴明,物不成。乾上風來,歲多寒,金鐵倍貴;坎上風來,菽豆不成,飢疫;艮上風來,夏不熟,米貴一倍;震上風來,五穀成,亦無賊;巽上風來,蟲生,四月多暴寒;離上風來,五月先水後旱;坤上風來,小水,人多瘧疫;兌上風來,有兵,春寒,八月國憂也。

春分は二月の中気なり――此の日に東方に青雲の出現あれば、庄稼の必ず成熟するを主る。もし一味に晴朗明浄なれば、反って作物の成らざるを主る。風が乾方より吹き来るは、一年に寒多く・金鉄の価格が翻倍するを主る。坎方より吹き来るは、豆類の結実せず・饑饉・疫病有るを主る。艮方より吹き来るは、夏季の庄稼が熟さず・米価が一倍上漲するを主る。震方より吹き来るは、五穀の豊成し・また盗賊なきを主る。巽方より吹き来るは、虫害の滋生し・四月に突発の寒潮多きを主る。離方より吹き来るは、五月に先ず涝れ後に旱けるを主る。坤方より吹き来るは、小水災有り・人に多く瘧疾・瘟疫を患うるを主る。兌方より吹き来るは、兵事有り・春天が寒冷し・八月に国家に憂患有るを主る。

立夏,南方有赤雲則豐,晴明則旱。乾上風來,其年凶飢,夏霜,麥不刈;坎上風來,多雨,魚行人道;艮上風來,山崩地動,人疫;震上風來,雷動非時擊物;巽上風來,其年豐熟;離上風來,夏旱禾熟;坤上風來,不共力,萬物天傷;兌上風來,蝗蟲大動。

立夏の此の日、南方に赤色の雲気の出現あれば就中豊収を主り、一味に晴朗明浄なれば則ち乾旱を主る。風が乾方より吹き来るは、此の年に凶荒・饑饉し・夏天に霜を下し・麦子が收割する能わざるを主る。坎方より吹き来るは、雨多く・魚が人の行く道路の上に游ぐを主る。艮方より吹き来るは、山崩・地震・人間の疫病を主る。震方より吹き来るは、雷の非時に震動し・物件を撃傷するを主る。巽方より吹き来るは、此の年の豊収を主る。離方より吹き来るは、夏天の乾旱にして禾稼は仍ほ成熟する能きを主る。坤方より吹き来るは、人力の協同する能わず・万物が天時の損傷を遭うを主る。兌方より吹き来るは、蝗虫の大いに起こるを主る。

夏至,南方赤氣則熟,晴明則旱。乾上風來,寒氣萬物;坎上風來,寒暑不時,夏月多寒;艮上風來,山水暴出;震上風來,八月人多疾;巽上風來,九月風落眾物;離上風來,五穀熟;坤上風來,六月多雨水橫流;兌上風來,秋多雨霜也。

夏至の此の日、南方に赤色の雲気有れば就中庄稼の成熟を主り、一味に晴明なれば則ち乾旱を主る。風が乾方より吹き来るは、寒気の万物を侵害するを主る。坎方より吹き来るは、寒暑の序を失い・夏季に反って寒冷多きを主る。艮方より吹き来るは、山洪の暴発を主る。震方より吹き来るは、八月の裏に人の多く疾病有るを主る。巽方より吹き来るは、九月に大風の各種の果実を吹落するを主る。離方より吹き来るは、五穀の成熟を主る。坤方より吹き来るは、六月に雨多く・洪水の横流するを主る。兌方より吹き来るは、秋天に雨多く霜多きを主る。

立秋,有白雲及小雨則吉,晴明物不成。乾上風來,甚寒多雨;坎上風來,冬霧多雪寒;艮上風來,秋氣不和;震上風來,秋多雨雹,人不知草木再榮;巽上風來,卒兵內起;離上風來,兵戎不利,多旱;坤上風來,五穀成熟;兌上風來,兵起將行。

立秋の此の日、白雲の出現し併せて小雨を降せば就中吉兆なり、一味に晴明なれば則ち作物の成らざるを主る。風が乾方より吹き来るは、極寒・雨多きを主る。坎方より吹き来るは、冬天に霧多く・雪多く厳寒なるを主る。艮方より吹き来るは、秋令の気の調和せざるを主る。震方より吹き来るは、秋天に雨多く雹多く・人々の意想せざる草木の再度花を開く有るを主る。巽方より吹き来るは、境内に突発の兵変有るを主る。離方より吹き来るは、兵を用うるに利あらず・多く旱情有るを主る。坤方より吹き来るは、五穀の成熟を主る。兌方より吹き来るは、兵事の興起・将帥の出征を主る。

秋分,西方有白雲,熟;晴明,物不成。乾上風來,人多相掠;坎上風來,多大寒;艮上風來,十二月當必多霧;震上風來,人疫,再花不實;巽上風來者,十月多風;寓上風來,兵動國南七百里;坤上風來者,土功作;兌上風來,年安樂也。

秋分の此の日、西方に白雲の出現あれば、庄稼の成熟を主る。一味に晴明なれば、作物の成らざるを主る。風が乾方より吹き来るは、人々の多く互いに劫掠するを主る。坎方より吹き来るは、多く厳寒なるを主る。艮方より吹き来るは、十二月に必ず霧多きを主る。震方より吹き来るは、人間の疫病・草木の再度花を開きて結実せざるを主る。巽方より吹き来るは、十月に風多きを主る。寓(離)方より吹き来るは、兵事の国都以南の七百里の処に発動するを主る。坤方より吹き来るは、土木の工程を興辦するを主る。兌方より吹き来るは、一年の安楽を主る。

立冬,晴明小寒,人君吉,天下大喜。乾上風來,人主政令行;坎上風來,冬雪殺走獸;艮上風來,地氣洩,人多疾疫;震上風來,人不安居,寒雪;巽上風來,冬溫,來年夏旱;離上風來,來年五月大疫;坤上風來,水出食物,魚鹽倍多;兌上風來,妖言兵在山澤。

立冬の此の日、天色が晴明にして略々寒意を帯ぶれば、国君の吉利を主り、天下に大いに喜慶有らん。風が乾方より吹き来るは、君主の政令の推行するを得るを主る。坎方より吹き来るは、冬雪の走獣を凍死せしむるを主る。艮方より吹き来るは、地気の外泄・人に多く疫病有るを主る。震方より吹き来るは、百姓の安居する能わず・多く寒雪有るを主る。巽方より吹き来るは、冬天の温暖・来年の夏天の乾旱を主る。離方より吹き来るは、来年の五月に大疫有るを主る。坤方より吹き来るは、水中に食物を出産し・魚鹽が往年より一倍多出するを主る。兌方より吹き来るは、謡言の四起し・兵事の山林・川沢の間に発生するを主る。

冬至,有雲雪寒則豐,晴明物不成。乾上風來,強國憂,年多寒;坎上風來,年豐人樂;艮上風來,正月多霧;震上風來,雷不發,大雨並;巽上風來,蟲傷生物;離上風來,冬溫,乳母死,水旱不時,人多疫;坤上風來,蟲生傷苗,年多水;兌上風來,年秋雨,大兵起也。

冬至の此の日、雲有り雪有りて天気が寒冷なれば就中豊収を主り、一味に晴明なれば則ち作物の成らざるを主る。風が乾方より吹き来るは、強国に憂患有り・一年に寒多きを主る。坎方より吹き来るは、年成の豊収・人民の安楽を主る。艮方より吹き来るは、正月に霧多きを主る。震方より吹き来るは、雷の時に按じて震発せず・大雨の接連として至るを主る。巽方より吹き来るは、虫害の生物に傷及するを主る。離方より吹き来るは、冬天の暖和・乳母の死亡・水旱の時を失い・人に多く疫病有るを主る。坤方より吹き来るは、虫の生じて苗を傷り・一年に水多きを主る。兌方より吹き来るは、当年の秋天に雨多く・大規模の兵事の興起を主る。

八逆風:立夏巽卦,王風從乾上來,為一逆,小凶;立秋坤卦,王風從艮上來,為三逆,欲無子;立春艮卦,王風從坤上來,為二逆,兵起;立冬乾卦,王風從巽上來,為四逆,人去其鄉;秋分兌卦,王風從震上來,為五逆,帶刀入市;冬至坎卦,王風從正南離上來,為六逆,人民潰散;夏至離卦,王風從正北坎上來,為七逆,臣子為亂;春分震卦,王風從正西兌上來,為八逆,殿上有刺客,刑殺昏寒者凶。

八種の逆風――立夏に当令するは巽卦なり。もし当旺の風が反って乾方より吹き来れば、就中「一逆」なり。小凶を主る。立秋に当令するは坤卦なり。もし当旺の風が艮方より吹き来れば、就中「三逆」なり。子嗣の断絶を主る。立春に当令するは艮卦なり。もし当旺の風が坤方より吹き来れば、就中「二逆」なり。兵事の興起を主る。立冬に当令するは乾卦なり。もし当旺の風が巽方より吹き来れば、就中「四逆」なり。百姓の井を背き郷を離るるを主る。秋分に当令するは兌卦なり。もし当旺の風が震方より吹き来れば、就中「五逆」なり。人の刀を帯びて市集に闖入して凶を行う有るを主る。冬至に当令するは坎卦なり。もし当旺の風が正南の離方より吹き来れば、就中「六逆」なり。百姓の潰散・流亡を主る。夏至に当令するは離卦なり。もし当旺の風が正北の坎方より吹き来れば、就中「七逆」なり。臣子の乱を作すを主る。春分に当令するは震卦なり。もし当旺の風が正西の兌方より吹き来れば、就中「八逆」なり。殿廷の上に刺客の出現有るを主る。これらの逆風がもしまた昏暗・寒冽の刑殺の気を帯ぶれば、就中更に凶険なり。

行道・宮宅の中の占(行道宮宅中占)第八十三

行道見迴風,從南方來,必有酒食。若加酉,覆人皆利,回就風起,坐君子席失官,小人亡財。(餘仿此。)

道路の上で旋風の南方より吹き来るに遇うは、必ず酒食の遇有らん。もし時辰が酉に落ちて、旋風が人の身に罩うは、衆人に皆利有り。もし旋風が就地に巻き起こり、正に坐する所の処に吹けば、君子は官を丢き、小人は財を破らん。(其余の各方は此に依って類推す。)

商日,風起宮宅中,人但持酒肉來,不過三日。角日,迴風覆人,為疾病,從角地來,為死亡事。徵日,迴風覆人,為鬥訟;若徵地來,宮戒火。

商音の日に、風が宮室・宅院の中に刮き起これば、人の酒肉を送りて前來する有るを主り、三天を出ずに就中応験せん。角音の日に、旋風が人の身に罩うは、疾病を生ずるを主る。もし風が角位より吹き来れば、則ち死亡の事を主る。徴音の日に、旋風が人の身に罩うは、争闘・訴訟を主る。もし風が徴位より吹き来れば、宮室の中に火災を厳防するを要せん。

宮日,迴風起宮宅中,為鬥訟,為囚,為縣官;起道路,從內向外,沖上吉。商日,迴風覆人,為失財亡遺,人所謀。羽日,迴風覆人,為失敗物,若憂酒內事,聚眾乾上。

宮音の日に、旋風が宮室・宅院の中に刮き起これば、争闘・訴訟・牢獄の災・官府の事を主る。もし風が道路に起こり、内より外に向かって吹き去り、直ちに冲りて上れば則ち吉と為す。商音の日に、旋風が人の身に罩うは、銭財を損失し・物品を遺失し、是れ人に算计せられたるに致るを主る。羽音の日に、旋風が人の身に罩うは、財物を毀損し、あるいは酒食・内事を因に憂を生じ、また衆を聚めて尊上を冒犯するを主る。

迴風起宮宅中,以六情王相,為有氣,為吉,又清和亦吉。無氣,宜慎之。迴風兩處夾道,隨人而行者,重吉。久不滅,亦無他。從凶地來,即凶。諸風從刑上來,得貪狼陰賊奸邪之日。若不加其德鄉來,眾凶並會,其災必成;風從休上來,若寬大之日,皆事解不成災。

旋風が宮室・宅院の中に刮き起こり、もし六情に按じて時辰が「王」「相」の旺気に乗ずるを推し得れば、就中「気有り」と呼び、吉を主る。風勢の清朗・温和なるも、また吉なり。もし「気無し」なれば、就中謹慎防備すべし。旋風が分かれて両処より道路を夾み・行人に随いて去るは、是れ加倍の吉兆なり。旋風が久久として息まずとも、また別の妨害なし。但し凶悪の方位より吹き来れば、あれは就中凶なり。およそ風が「刑」位より吹き来り、また正に貪狼・陰賊・奸邪の日に逢い、もしその「徳」位より吹き来るにあらざれば、あれは就中衆凶の会聚し・災禍は必ず形成せん。風が「休」位より吹き来り、あるいは正に寛大の日に逢えば、事情は皆化解し、災を成すに至らざらん。

宮日,迴風突人,戒田宅,憂移徙,若爭訟田宅;出道行,客人凶,沖外吉,有威勢也。角日,迴風突人,戒疾病,若哭泣,不則相擊傷。

宮音の日に、旋風が人の身に冲撞到るは、田地・房産の方面の事を警戒し・遷居・搬移を憂慮し、あるいは田宅を為に官司を打つを要す。もし門を出でて道路の上で遇上せば、客居して外に在る人に利あらず。風が外に向かって冲ずれば則ち吉と為し、威勢有るを主る。角音の日に、旋風が人の身に冲撞到るは、疾病を警戒し、あるいは哭泣の事有り、否れば就中人と相撃ちて傷を受くるなり。

商日,迴風突人,戒爭財,若入山林,墜下見傷殺也。徵日,迴風突人,戒告訟文書,若凶失金鐵事。羽日,迴風突人,戒人水沒溺;若失衣物財,聚眾事,千人已上也。

商音の日に、旋風が人の身に冲撞到るは、銭財を争奪するを警戒し、あるいは山林に進入する時に高処より墜落して傷を受け死に致らん。徴音の日に、旋風が人の身に冲撞到るは、告状・訴訟・文書の累を警戒し、あるいは凶事有り・金属の器物を丟失せん。羽音の日に、旋風が人の身に冲撞到るは、人の落水・淹溺する有るを警戒し、あるいは衣物・銭財を丟失し、また衆を聚むるの事を主り、人数は千人以上なり。

候宮宅中,有卒風起,及迴風若犬鳴鳥鳴向人,若宮宅中,占之,先以五音,次以六情,王、相、休、囚、刑、德,以占憂喜;從德鄉來為喜事,刑鄉來為憂事,日辰囚死勝時下,皆為凶事,起止寬大,為酒食賞賜,無氣為退。迴風入人屋中,飛揚人衣物,當憂財物驚火。

宮室・宅院の中を観察す――もし突発の風の刮き起こる有り、あるいは旋風有り、あるいは犬吠・鳥鳴が人に朝着して叫び、あるいは声響が就中宅院の内に出ずれば、占断の次序は先ず五音を看、其次に六情を看、再び王・相・休・囚および刑・徳を看て、これに拠って是れ憂か是れ喜かを判断す。風が「徳」位より吹き来るは、喜事を主る。「刑」位より吹き来るは、憂事を主る。もし日辰が「囚」「死」に処りて反って時辰の臨む所の気に勝てば、皆凶事を主る。風の起処と止処が皆寛大の位に在るは、酒食・賞賜有るを主る。もし「気無し」なれば、則ち事情の退散して成らざるを主る。旋風が屋中に吹き進み、人の衣物を吹きて飛揚せしむれば、財物の損失と火災の驚を憂慮すべし。

商日,加時寬大,風從角來止,曰廢,為賓客作奸,風起門外,入門止商亦然,加奸邪不覺,加六正為覺。商日,時加申,風從未來,迴風入門至堂邊,為長子作盜;迴風入井,婦人作奸,欲共他人殺夫;陰賊日,時加子,風從奸邪來,止陰賊,婦女作奸欲欺夫。辛丑日,時加午,風從宅中從午來,風後三日有酒食。奸邪日,時加奸邪,囚死,為盜人奴婢,去止酉,若卒為取財物,寒克,有所傷害。

商音の日に、時辰が寛大の位に落ち、風が角位より吹き来りて停止すれば、これを「廃」と呼び、賓客の暗中に奸を行うを主る。風が門外に起こり、門内に吹き入りて商位に止まるも、占断は同じなり。もし時辰が奸邪の位に落ちれば、その奸情は察覚せられざらん。「六正」の位に落ちれば就中察覚せられん。商音の日に、時辰が申に落ち、風が未位より吹き来り、旋風が門に進みて直ちに堂屋の旁に到れば、長子の窃を行い盗と為るを主る。旋風が井中に吹き入れば、主婦の人と通奸し、外人と伙同して丈夫を謀殺せんと欲するを主る。陰賊の日に、時辰が子に落ち、風が奸邪の位より吹き来り、陰賊の位に止まれば、婦女の奸を作し・丈夫を欺瞞せんと欲するを主る。辛丑の日に、時辰が午に落ち、風が宅中に午位より吹き起これば、風の後の三日の内に酒食の会有るを主る。奸邪の日に、時辰が奸邪の位に落ち、また「囚」「死」の衰気に乗ずれば、人の奴婢を偷盗する有るを主り、風が去りて酉位に止まらん。もし突然として刮き起これば、則ち人に財物を取り去られるを主る。もし風気が寒冷・肅殺なれば、就中傷害する所有らん。

宮宅中及眾人道路行伴,有暴風來蕩眾人中者,此眾人中有與此風同音者,憂喜在其中也。商日,日辰勝時下,風從未,純商,為怪物害人。商日,風起,純角,為惡鬼入宅害人。

宮室・宅院の中に在りて、あるいは衆人が道路の上で伴を結び同行する時に、暴風の人の群れに撲進すれば、あれば此の群の人の裏に必ず人の五音が此の風と相同じき者有り、憂喜は此の人の身に応ずべし。商音の日に、日辰の気が時辰の臨む所の気に勝ち、風が未位より吹き来り、純然として商音なれば、怪物の人を害する有るを主る。商音の日に、風が刮き起こりて純然として角音なれば、悪鬼の宅中に進入して人を害する有るを主る。

日辰王,為縣官;從王鄉來,為家長;相鄉採,為子孫;休廢來,為賓客;囚死來,為下賤,貪狼為劫盜。他仿此。西堂為父,東堂為母,堂邊為長子,房為婦女,庭為聚眾,牆壁為少子,井灶為僕及奴婢,門為賓客。

日辰が「王」気に乗ずるは、官府の身に応ず。風が「王」位より吹き来るは、家長の身に応ず。「相」位より吹き来るは、子孫の身に応ず。「休」「廃」位より吹き来るは、賓客の身に応ず。「囚」「死」位より吹き来るは、地位の卑下なる人の身に応ず。もし貪狼の情を得れば、則ち劫掠・盗賊の上に応ず。其余は此に照らして類推す。再び宅中の方位に按じて人を分かつ――西堂は父親に応じ、東堂は母親に応じ、堂屋の両旁は長子に応じ、内室は婦女に応じ、庭院は衆を聚むるの事に応じ、墙壁は幼子に応じ、水井と灶台は僕役・奴婢に応じ、門戸は賓客に応ず。

行坐有迴風飄暴,卒起人前而向人,(此逆向人,勿前,恐為伏之也。)從後來逐人者,(為隨人,誡也,亦止以六情決之左右。)若卒起宅內,若從外入,或揚人衣物,或發人屋舍,皆為凶辛惡之事。

行走あるいは坐卧する時に旋風の急暴にして飄旋し・突然として人の前に刮き起こり併せて迎面して撲来するに遇うは、(これは人に逆らいて来る風にして、再び前に往く莫れ。前面に埋伏有るを恐る。)あるいは背後より人に追いて吹き来るは、(これは人に尾隨する風にして、一種の告誡に属し、同様にただ六情を用いて左に応ずるか右に応ずるかを判断するのみ。)またあるいは突然として宅院の内に刮き起こり、あるいは外面より吹き進み、あるいは人の衣物を吹揚し、あるいは人の房屋を掀動するは、皆凶険・悪劣の事を主る。

若北堂為父,西堂為母,東堂為子,南堂為孫,皆聚眾事。在垣小口,在井灶為婦女,在門為長子,在客堂為外人,在碓磨為奴婢,在庭內為四鄰。以為五音所屬,知其姓名,以發時及日辰,以別長幼。以日剛柔知老少;以王相知為吏人。

もう一種の配法――北堂は父親に応じ、西堂は母親に応じ、東堂は児子に応じ、南堂は孫輩に応じ、皆衆を聚むるの事を主る。風が墻垣に起こるは、幼小の人口に応ず。井灶に在るは、婦女に応ず。門戸に在るは、長子に応ず。客堂に在るは、外人に応ず。碓磨の処に在るは、奴婢に応ず。庭院の内に在るは、四隣に応ず。再び五音の所属に依りて、応験する人の姓氏・名字を推知し。起風の時辰と日辰に依りて、彼の年紀・長幼を分辨し。日干の剛柔(陽干は剛と為り・陰干は柔と為る)に依りて是れ老か是れ少かを判断し。「王」「相」の旺気に乗ずるか否かに依りて、彼が官吏の中の人なるや否やを判断す。

諸飄回起而止前者,皆以時音期之;若從後來逐人而過去,以日音期之。假令今日音得角,期九日,從人年墓來,為疾病。日同。假令墓在木鄉,為從高墜下,林木所傷;在火鄉,為燒炙,若見血事;在土鄉,為瘡腫患;在金鄉,為格鬥相傷;在水鄉,為沒溺厭亡。

およそ旋風が刮き起こりて後に人の前に停まるは、皆時辰の音を用いて応期を定む。もし後面より人に追いて吹き過ぎ去るは、就中日の音を用いて応期を定む。例を挙げて説けば――今日の音が角を得れば、応期は就中九日なり。風もし当事人の本命年の墓位より吹き来れば、疾病を主る。日を用いて推算するも同じなり。假如、墓位が木郷に在れば、高処より墜落し・林木に傷られるを主る。火郷に在れば、焼灼・熨傷あるいは血を見るの事を主る。土郷に在れば、瘡腫の患を生ずるを主る。金郷に在れば、格闘・相傷を主る。水郷に在れば、淹溺あるいは圧覆されて亡ぶを主る。

日墓上來,為疾病;歲刑來,為縣官;月刑來,尉部鄉亭所召;日刑來,戒鬥諍至官庭;時刑上來,卒急之事;日德上來,有酒食相慶賀。年德皆為有吉喜,歲德月日時同。假令年在木鄉,有木器之物從北方來;在火鄉,銅瓦物從東方來;在土鄉,田宅物南方來;在金鄉,錢物四季來;在水鄉,酒肉六畜之物西方來。

風が日の墓位より吹き来るは、疾病を主る。歳刑の位より吹き来るは、官府の事を主る。月刑の位より吹き来るは、県尉・郷亭の一級の官署に伝喚せらるるを主る。日刑の位より吹き来るは、争闘・訴訟を因に官府の公堂に帯び到られるを警戒すべし。時刑の位より吹き来るは、突発の緊急の事を主る。日徳の位より吹き来るは、酒食の相慶賀有るを主る。およそ本命年の徳位より吹き来るは、皆吉慶・喜事を主る。歳徳・月徳・日徳・時徳の占法は相同じ。例を挙げて説けば――本命年が木郷に在れば、木器の物の北方より送り来る有らん。火郷に在れば、銅器・瓦器の東方より送り来る有らん。土郷に在れば、田宅の物の南方より送り来る有らん。金郷に在れば、銭財の物が辰・戌・丑・未の四季の月に送り来る有らん。水郷に在れば、酒肉・六畜の物の西方より送り来る有らん。

四孟之日,四孟上來,上官長吏憂免事;四仲之日,四仲上來,次官長吏憂免;四季之日,四季上來,下官長吏憂免。商得商時又加金,錢及鐵物,音得徵時又加火,文書衣物;音得羽時又加水,為酒食事,音得角日辰又加木,木實衣物;音得宮日辰又加土,酺肉酒食之屬,若皮革。王相,其物即好,休廢,是敝惡之物。

四孟の日(寅・申・巳・亥)に逢い、風がまた四孟の位より吹き来るは、上級の長官に免職せらるるの憂有るを主る。四仲の日(子・午・卯・酉)に逢い、風が四仲の位より吹き来るは、中級の長官に免職せらるるの憂有るを主る。四季の日(辰・戌・丑・未)に逢い、風が四季の位より吹き来るは、下級の長官に免職せらるるの憂有るを主る。もし日音が商を得・時辰がまた金位に落ちれば、応ずる所の物は銭幣と鉄器なり。音が徴を得・時辰がまた火位に落ちれば、応ずる所は文書と衣物なり。音が羽を得・時辰がまた水位に落ちれば、応ずる所は酒食の事なり。音が角を得・日辰がまた木位に落ちれば、応ずる所は木実と衣物なり。音が宮を得・日辰がまた土位に落ちれば、応ずる所は聚飲の肉食・酒饌の類、あるいは皮革なり。もし「王」「相」の旺気に乗ずれば、得る所の物は就中精好なり。もし「休」「廃」の衰気に乗ずれば、就中破損・低劣の物なり。

若十餘人同行共坐而回沖來,知復為誰?風從商是商姓,其同音日,年取年同。孟日,取長老少同,商日,取白色同,日辰王相,取尊貴賤同。陽日,取男左者,陰日,取女右者,左右同。以五音取於衣被,若取扶持之物,以決之,即知吉凶也。

もし十数人が同行・同坐して、旋風が迎面して冲り来れば、怎様にして誰の身に応ずるかを知らんや。風もし商音に属せば、就中商姓の人の身に応ず。もし同音の日に逢えば、就中本命年のそれと相同じき人を取る。四孟の日に逢えば、年長あるいは年少のそれと相応する人を取る。商音の日に逢えば、白色の衣服を穿つ人を取る。日辰が「王」「相」の旺気に乗ずれば、就中身分の尊貴あるいは卑賤のそれと相応する人を取る。陽日に逢えば、男子を取り・左辺に立つ人を取る。陰日に逢えば、女子を取り・右辺に立つ人を取る。左右もまた此に依って対応す。再び五音を用いて衆人の衣着・被服を核対し、あるいは彼らの手中に持する所の器物を、これに拠って判定すれば、就中吉凶が誰の身に応ずるかを知るを得ん。

十二辰の風の占(十二辰風占)第八十四

子日大風,日光沉沒,兵起水中。丑日大風,掃地揚沙,粟卒貴。寅日大風,赤氣四塞,為火。卯日大風,黃埃沖天,為蟲蝗必生。辰日大風,將出。巳日大風,蓬勃無常,亦大旱也。

子日に大風を刮り、日光が沈没して光なきは、兵事の水上に起こるを主る。丑日に大風を刮り、地を掃い沙を巻くは、粟米の驟然に漲価するを主る。寅日に大風を刮り、赤色の雲気が瀰漫して四塞するは、火災有るを主る。卯日に大風を刮り、黄塵が天に冲るは、蝗虫の必ず滋生するを主る。辰日に大風を刮るは、将帥の出征を主る。巳日に大風を刮り、風勢が蓬勃し・変幻して常なきは、また大旱を主る。

午日大風,乍遲乍疾,人不安移堡。未日大風,日無光影,為土功之役。申日大風,聲若磬,若有暴賊相攻劫。酉日大風,肅肅濡潤,必有大雨水潰流。戊日大風,塵霧橫天,揚埃千里,胡兵四起。亥日大風,揚沙折木,兵賊相攻,人啼哭。

午日に大風を刮り、忽ち緩く忽ち急なるは、人心の安ならず・砦塁の中に遷りて難を避けんとするを主る。未日に大風を刮り、日色が暗淡にして影子なきは、土木・労役有るを主る。申日に大風を刮り、風声が磬石を敲撃するが如きは、凶暴の賊寇の互いに攻劫する有るを主る。酉日に大風を刮り、風声が肅肅として気が湿潤を帯ぶれば、必ず大雨・洪水の泛濫有らん。戊(戌)日に大風を刮り、塵霧が天空を横貫し・塵を揚げて千里するは、胡人の兵の四面より起こるを主る。亥日に大風を刮り、沙を揚げ木を折るは、兵と賊との互いに攻殺し・人々が号啕して哭泣するを主る。

京氏云:東方寅卯木之角,發風三日,發屋折木,揚沙石,(自此已後,並云怒狂風。)國有大寇疾病。五嶽之音法:

京房は言う――東方の寅・卯は木に属し、その音は角と為る。起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断し・沙石を飛揚するは、(此処より以下、説く所は皆暴怒の狂風なり。)国中に大股の賊寇と疾病の流行有るを主る。以下は「五嶽の音」の占法なり。

寅卯火之徵,(亦云:發風三日,發屋折木,揚沙石。已後同。)國有妖言鬼神之書作災,有火災。寅卯金之商,國有大兵,客主攻伐之事,賊出燕趙。寅卯水之羽,國有暴霜雹水災,有蝗蟲起。寅卯土之宮,帝不安其都,有巡狩之行,寶物出,有善令,恩加庶人,以財物賜之。右已上東嶽之音。

寅・卯の日にして火の徴音を得るは、(また説く――起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断し・沙石を飛揚す。以下の各条は相同じ。)国中に妖言および鬼神の書の災禍を醸成する有るを主り、併せて火災有らん。寅・卯の日にして金の商音を得るは、国中に大兵有り・客主の双方が交相に攻伐し・賊寇が燕・趙の地より出づるを主る。寅・卯の日にして水の羽音を得るは、国中に暴霜・冰雹と水災有るを主り、併せて蝗虫の興起有らん。寅・卯の日にして土の宮音を得るは、帝王が都城に安んぜず・将に巡狩の行有らんとし・庫蔵の宝物が出現し・善政の令有り・恩沢が百姓に施及し・財物を用いて彼らを賞賜するを主る。以上は東嶽の音なり。

巳午之商,發風三日,發屋折木,國有大臣親事,人強亂害。巳午之徵,發風三日,發屋折木,國有夷狄賊為害,若遠人謀。巳午之羽,發風三日,發屋折木,有江海賊,或水中船車有害人者。巳午之角,發風三日,發屋折木,羊牛疫死,魚死水中,人小移動。巳午之宮,發風三日,發屋折木,帝王欲警暴亂,賞有功,逐佞人,封有德。右已上南嶽之音。

巳・午の日にして商音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、国中に大臣の親しくその事に預る有るを主り、強横の人が乱を作し害を為さん。巳・午の日にして徴音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、国中に夷狄の賊寇の害を為す有るを主り、あるいは遠方の人の不軌を図謀する有らん。巳・午の日にして羽音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、江海の上の盗賊有るを主り、あるいは水中の舟船・車渡の人を害するの事有らん。巳・午の日にして角音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、牛羊の疫に染みて死し・魚が水中に死し・人口が略々遷移するを主る。巳・午の日にして宮音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、帝王が将に暴乱を警誡し・功有る臣を賞賜し・奸佞の小人を斥逐し・徳有る士を封賞するを主る。以上は南嶽の音なり。

申酉之商;發風三日,發屋折木,軍民移出,船溺,凶。申酉之角,發風三日,發屋折木,有貴人災,使者至,有奸兵。申酉之羽,發風三日,發屋折木,臣有篡逆之心。申酉之宮,發風三日,發屋折木,諍財臣不知人心。右已上西嶽之音。

申・酉の日にして商音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、軍隊と百姓の遷移して外出するを主り、舟船が沈溺す。是れ凶兆なり。申・酉の日にして角音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、貴人に災有り・使者の到来有り・奸邪の兵有るを主る。申・酉の日にして羽音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、臣下の簒奪・叛逆の心を懐く有るを主る。申・酉の日にして宮音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、財物を為に争執し・臣下の人心を体察せざるを主る。以上は西嶽の音なり。

亥子之羽,發風三日,發屋折木,蝗蟲卒起,霧傷萬物。亥子之商,發風三日,發屋折木,外兵為災,水中之賊傷物。亥子之角,發風三日,發屋折木,三公喪憂,人有疾病。亥子之宮,發風三日,發屋折木,兵起乃行之憂。亥子之徵,發風三日,發屋折木,皇后憂,世子有異。右已上北嶽之音。

亥・子の日にして羽音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、蝗虫の突然として大いに起こり・霧気の万物を傷害するを主る。亥・子の日にして商音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、外来の兵禍が災を成し・水上の賊寇が財物を損傷するを主る。亥・子の日にして角音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、三公の一級の大臣に丧事の憂有るを主り、人間に多く疾病有らん。亥・子の日にして宮音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、兵事の興起・出征の憂有るを主る。亥・子の日にして徴音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、皇后に憂患有り・太子に変故有るを主る。以上は北嶽の音なり。

四季辰戌丑未之宮,發風三日,發屋折木,有土功災,羊牛疫,人流移。四季辰戌丑未之商,發風三日,發屋折木,有夷狄之兵,胡人作災,寶物出。四季辰戌丑未之羽,發風三日,發屋折木,人詠妖言,有流移之災。四季辰戌丑未之角,發風三日,發屋折木,有夷狄兵,胡人作災,寶物出。四季辰戌丑未之徵,發風三日,發屋折木,山賊出,若流言於人民,民怖,欲奔亡。右已上中嶽之音。

辰・戌・丑・未の四季の日にして宮音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、土木の工程の災有るを主り、牛羊が疫に染み、人口が流徙・遷移せん。四季の日にして商音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、夷狄の兵有るを主り、胡人が禍を為し、庫蔵の宝物が出現せん。四季の日にして羽音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、民間に妖言を伝唱し・流亡・遷徙の災有るを主る。四季の日にして角音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、夷狄の兵有るを主り、胡人が禍を為し、庫蔵の宝物が出現せん。四季の日にして徴音を得、起風すること三天、房屋を掀翻し・樹木を折断するは、山賊の出没有るを主り、あるいは流言の百姓の中に散布し・民衆が恐懼し・逃亡せんと欲す有らん。以上は中嶽の音なり。

凡五行十二辰風,五音發災害吉凶見矣。不能發屋折木、揚沙起石者,凶無大應。凡日辰納音為客,甲子乙丑商音是也;風從來五音為主人,子午為宮是也。假令今日甲午納音商,欲得,風從寅丑未申上來,則主勝,客為商,動徵為客。欲得日納音克風。假令甲子金,則為客,若風從已亥上來者,客勝。

およそ五行と十二辰の風は、ただ五音が一たび発動すれば、災害・吉凶は就中顕現し出づ。もし風力が房屋を掀翻し・樹木を折断し・沙を揚げ石を走らすに足らざれば、あれば便是れ凶兆なりとも大いなる応験有ることなからん。およそ日辰の納音を以て「客」と為す。例えば甲子・乙丑の納音が商音に属するが如き就中是なり。風の来処の所属する五音を以て「主人」と為す。例えば子位・午位の宮音に属するが如き就中是なり。例を挙げて説けば――今日は甲午、納音は商に属す。もし主方の勝を得るを希望せば、就中風の寅・丑・未・申などの位より吹き来るを要し、あれば主方が勝つ。客方が商音なりて、徴位を動かせば就中客と成る。総じて日の納音をして風の所属する音を克制する能わしむるを要す。また甲子の納音が金に属し、日を客と為す。もし風が已(巳)・亥の位より吹き来れば、就中客方の勝を得ん。

諸々の兵を解く風の占(諸解兵風占)第八十五

徵風發徵風尋解,若寬大廉貞之日,風從寬大上來,兵大散。又風四繳來,兵革散。諸兵風起,諸商日,風從貪狼陰賊上來,時加奸邪,日辰商,其日光白濁及昏霧,比連三日、七日,人間盜賊屯聚,攻城郭,不出月中。(下同。)

徴位に風が起こりてまた徴位に発するは、兵事は久しからずして便ち解散すべし。もし寛大・廉貞の日に逢い、風が寛大の位より吹き来れば、軍隊の大批に解散するを主る。また、風が四面より纏繞して来るも、また兵革の消散を主る。およそ兵を主る風の刮き起こる――商音の日に逢い、風が貪狼・陰賊の位より吹き来り、時辰が奸邪の位に落ち、日辰がまた商に属し、当天に日色が白を発して渾濁し・併せて昏霧有り、接連として三天あるいは七天なれば、民間に盗賊の屯聚して群を成し・城郭を攻打するを主り、一個月の内を出ずに就中応験せん。(以下の各条の応期は此と同じ。)

又何以知兵大來、夜攻城?常以日中,風從亥子上來,夜風晝止,日中寒不解,此必夜攻城,不避風雨,主將忌之,不出五日、十日。諸商日,夜半風卒起,大霧至日中不解,兵起。

また怎様にして大軍の将に至り・夜間に城を攻めんとするを知らんや。通常は正午の時分に、風が亥・子の位より吹き来り、夜間に風が起こりて白天に止み、正午の時に寒気が仍ほ消散せざれば、就中これは必ず夜間に城を攻めんとし、しかも風雨を避けざるなり。主将は忌憚して防備すべし。五天あるいは十天を出ず。およそ商音の日に、半夜の裏に風が突然として刮き起こり、大霧が中午に至るまで消散せざれば、兵事の興起を主る。

立春,正月戊申,二月己酉,三厄庚戌,有暴風從西方來,七日不止,兵起西方,不出沖大起。立夏,四月辛亥,五月壬子,六月癸丑,有暴風從西方來,七日不止,兵起北方,不出沖大起。

立春以後、正月に戊申に逢い・二月に己酉に逢い・三月(原文は「三厄」と作る)に庚戌に逢い、もし暴風の西方より吹き来りて連刮して七天停まざらば、兵事の西方に起こるを主り、それと相冲する月を出ずに就中大いに起こらん。立夏以後、四月に辛亥に逢い・五月に壬子に逢い・六月に癸丑に逢い、もし暴風の西方より吹き来りて連刮して七天停まざらば、兵事の北方に起こるを主り、それと相冲する月を出ずに就中大いに起こらん。

立秋,七月甲寅,八月乙卯,九月丙辰,有暴風從西方來,七日不止,兵起東方,不出沖大起。立冬,十月乙巳,十一月丙午,十二月丁未,有暴風從西方來,七日不止;兵起南方,不出沖大起。

立秋以後、七月に甲寅に逢い・八月に乙卯に逢い・九月に丙辰に逢い、もし暴風の西方より吹き来りて連刮して七天停まざらば、兵事の東方に起こるを主り、それと相冲する月を出ずに就中大いに起こらん。立冬以後、十月に乙巳に逢い・十一月に丙午に逢い・十二月に丁未に逢い、もし暴風の西方より吹き来りて連刮して七天停まざらば、兵事の南方に起こるを主り、それと相冲する月を出ずに就中大いに起こらん。

諸賊自殺風:季角陰賊之日,風從陰賊上來,大寒,主賊兵自相殺,不出九日。若商日風從陰賊上來者,皆自相殺也。

各種の賊寇の自ら相い残殺するを主る風――四季の月の角音・陰賊の日に、風が陰賊の位より吹き来り、天気が酷寒なれば、賊兵の自ら相い残殺するを主り、九天を出ざらん。もし商音の日なれば、風が陰賊の位より吹き来るも、また皆彼らの自ら相い残殺するを主る。

諸夷狄反風:奸邪公正受商之日,大風從奸邪公正上來,夷狄犯塞。十日不止,千里來;二十日不止,三千里來。期七十日。若四季受宮日,風從寬大上來。若四季上來,夷狄降。

各種の夷狄の反叛を主る風――奸邪・公正にして納音が商に属する日子に、大風が奸邪・公正の位より吹き来れば、夷狄の辺塞を侵犯するを主る。風が十天を刮りて停まざれば、敵人は千里之外より来る。二十天を停まざれば、三千里之外より来る。応期は七十天の内なり。もし四季の日にして納音が宮に属し、風が寛大の位より吹き来り、あるいは四季の位より吹き来れば、あれば就中夷狄の前來して帰降するを主る。

諸伏兵風:有旋風從三刑五墓上來,有伏兵,勿戰,戰則不勝,行者急走,坐者起避之。諸出軍行師之時,有大風從三刑上來,其兵不可當。若大風起五墓上來,避之吉。三四日,諸行軍出征水戰時,又大風從三刑上來,其兵不可當。若大風起五墓上,避之吉。

各種の伏兵を主る風――旋風の三刑・五墓の位より吹き来る有れば、前方に伏兵有るを主り、交戦すべからず。交戦すれば就中取勝する能わず。行走する人は速かに離去り、坐する人は身を起こし躲避するを要す。およそ兵を出し行軍する時に、大風の三刑の位より吹き来る有れば、敵兵は鋭くして当たるべからず。もし大風が五墓の位より起これば、避けるを吉と為す。約三四天の内に応験せん。およそ行軍・出征して水戦を進行する時に、また大風の三刑の位より吹き来る有れば、敵兵は同様に鋭くして当たるべからず。もし大風が五墓の位より起これば、避けるを吉と為す。

諸逆賊風:諸風蓬勃四方起,或上來觸地,此皆逆風也。平旦發,人民逆之;食時發,賓客逆;午時發,諸戚逆;晡時發,臣下逆;黃昏發,賤隸為逆;夜半發,同姓為逆,雞鳴發,后妃逆。皆大故,不出三十日。風止,三日有雨,災消。

各種の叛逆を主る風――風勢が蓬勃にして・四面より同時に刮き起こり、あるいは上より下に向かって地面に撲到するは、これらは皆逆風なり。清晨に刮き起こるは、百姓の乱を作すを主る。早飯の時に刮き起こるは、賓客の乱を作すを主る。正午に刮き起こるは、外戚の乱を作すを主る。申時に刮き起こるは、臣下の乱を作すを主る。黄昏に刮き起こるは、奴僕・下人の乱を作すを主る。半夜に刮き起こるは、同姓・宗族の乱を作すを主る。鶏鳴の時に刮き起こるは、后妃の乱を作すを主る。これらは皆重大の変故に属し、三十天を出ずに就中発生せん。もし風が停まりて後の三天の内に雨を下せば、災禍は就中消解すべし。

諸々の城を陥すの風(諸陷城風)第八十六

宮日,大風從角上來,卒起,此兵圍城。至日中、夜半折木者,城必陷,不出九日,若十八日。羽日,大風冥冥,日無光,沉霧,兵圍城郭,客勝主人。

宮音の日に、大風が角位より吹き来り、突然として刮き起これば、兵の城を囲む有るを主る。もし風が正午あるいは半夜に到るも仍ほ樹木を吹折すれば、城池は必ず陥落し、九天を出ず、あるいは十八天なり。羽音の日に、大風が昏昏沈沈として、日色に光なく、濃霧が瀰漫すれば、兵の城郭を囲困する有るを主り、客方が主方に勝たん。

角日,時加子午,風從角來,折木,兵起,必圍城屯聚,主人宜出,期九日至。

角音の日に、時辰が子・午に落ち、風が角位より吹き来り・樹木を吹折すれば、兵事の興起を主り、必ず軍隊の城を囲みて屯駐する有らん。主方は城を出でて応戦すべし。応期は九天の内に到来せん。

諸四季受商之日,大風折木,從四季上來,加子午,在外界民為賊,屯聚,往往相攻,關梁塞,道路斷絕,不出七十日。四季受商之日,風從四季上來,時加子午,此客兵入界自相殺,不出三十日。

およそ辰・戌・丑・未の四季の日にして納音が商に属し、大風が樹木を吹折し・四季の位より吹き来り、時辰がまた子・午に落ちれば、境外の百姓が盗賊と淪為し・屯聚して群を成し・処処に互いに攻撃し・関隘・橋梁が阻塞し・道路が断絶するを主り、七十天を出ざらん。もし四季の日にして納音が商に属し、風が四季の位より吹き来り、時辰が子・午に落ちれば、則ち客兵の境内に進入したる後に自ら相い残殺するを主り、三十天を出ざらん。

商日,大風折木,時加子午,風從子午上來,日光不明,此不宜主人,軍自內敗,不可守城,不出九十日,若三十日。奸邪受宮之日,大風從宮上來,及四季上來,大寒者,此城內夜開,長吏兵四出不禁,期七十日,遠九十日。

商音の日に、大風が樹木を吹折し・時辰が子・午に落ち、風がまた子・午の位より吹き来り、日光が昏暗にして明からざれば、これは主方に利あらず。軍隊は内部より潰敗し・城池を守る能わず、九十天を出ず、あるいは三十天なり。奸邪の日にして納音が宮に属し、大風が宮位より吹き来り、あるいは四季の位より吹き来り、天気が酷寒なれば、城門の夜間に打ち開かれ・長吏の軍隊が四散して奔出して禁止する能わざるを主る。応期は七十天、遠ければ九十天なり。

諸知賊人數,占賊所起。以風初發處,加為人數,又以風所從來為月期,又以所乘辰為道理,所止時支干以占人數。又發時加子,賊數九十人,若九人,數九期:若不應期,辰內月同數者倍之,以王氣十倍,相氣五倍,伏廢如數。(鳥鳴同占。)

各種の賊人の数目を推知し・賊寇の何処より興起するを占測する方法――起風の初発の処を以て人数を推算し、また風の来向を以て応験の月份を定め、また風の乗ずる所の地支を以て路程の遠近を定め、再び風の停止する時の時辰の干支を以て人数を推定す。例えば起風の時辰が子に落ちれば、賊人の数目は就中九十人、あるいは九人なり。応期もまた九の数を取る。もし期に到りて応験せざれば、就中同一の辰の内に月数の相同じきの加倍を取りて推算す。「王」気に乗ずるは十倍してその数と為し、「相」気に乗ずるは五倍してその数と為し、「伏」「廃」の気に乗ずるは就中本数に按じて計算す。(鳥の鳴くの占法も此と同じ。)

刑墓風。風從刑上來,皆刑惡凶事及有兵,行者急走,坐者急起。兵從五墓上來,皆凶。有救,吉;無救,凶。

刑位と墓位の風――風が「刑」位より吹き来るは、皆刑罰・悪事・凶険および兵事を主る。行走する人は速かに離去り、坐する人は速かに身を起こすべし。兵を主る風が五墓の位より吹き来るは、皆是れ凶兆なり。もし救応の象有れば、就中吉なり。救応なければ、就中凶なり。

兵営に入る風を占う(占入兵營風)第八十七

與彼相守,有旋風入營,斷絕干戈,吹壞帳幕,必有盜賊入營,將軍死。十干十二支數,子午甲巳九,日辰王相氣十倍之,休廢如數,囚死半之。(鳥鳴同占。)東三八,南二七,西四九,北一六,中五十。右已上五行數,為道里,亦為賊人頭數。

敵軍と相持して対塁する時に、旋風の営中に吹き入り・兵器を折断し・帳幕を吹壊すれば、必ず盗賊の軍営に潜入する有り、主将は死せん。十天干・十二地支は各々定数有り――子・午・甲・巳の数は九なり。日辰が「王」「相」の旺気に乗ずるは、此の数を十倍に放大す。「休」「廃」の気に乗ずるは本数に按じて計算す。「囚」「死」の気に乗ずるは半分に減ず。(鳥の鳴くの占法も此と同じ。)方位の数は――東方は三・八、南方は二・七、西方は四・九、北方は一・六、中央は五・十。以上は就中五行の数にして、以て路程の里数を推算するにも用い得、また以て賊人の頭数を推算するにも用い得。

欲知定發何方法:商角之日,變風發所從來;宮羽徵日,變風在刑上刑下;風所從起來為期,風從東,甲乙寅卯期。(他仿此。)乘王、(主王。)相、(臣。)廢、(吏民。)囚,(凡庶下賤。)太歲、(三月必有詔書居遷。)歲、月、日、時、邢,皆為凶事。王墓、(三日主喪。)囚、日辰,(必有大患。)日五音為客,地五音為主人。以看勝,亦從其道來。四正之日,四正上來者,亦從其道來。有氣日者責日音,無氣者責辰音。

風が究竟として何れの一方に発するやを判定するに、方法は――商音・角音の日に逢えば、変風が何れの方位より発起するを看る。宮音・羽音・徴音の日に逢えば、変風が「刑上」に落つるか「刑下」に落つるかを看る。風の起処を以て応期を定む。例えば風が東方より来れば、応期は就中甲・乙・寅・卯の日に在り。(其余の各方は此に照らして類推す。)再び風の乗ずる所の気を看る――「王」気に乗ずるは(君主に応ず)。「相」気に乗ずるは(臣子に応ず)。「廃」気に乗ずるは(吏民に応ず)。「囚」気に乗ずるは(庶民・下賤の人に応ず)。太歳に乗ずるは(三個月の内に必ず詔書の遷調有らん)。およそ歳刑・月刑・日刑・時刑に乗ずるは、皆凶事を主る。「王墓」に乗ずるは(三天の内に丧事有るを主る)。「囚」気に乗じて日辰と相併するは(必ず大患有らん)。日の五音を以て客と為し、地の五音を以て主人と為し、両者の誰が勝つを看るに、また風が何れの路より来るを看るを要す。子・午・卯・酉の四正の日に逢い、風がまた四正の位より吹き来るは、同様にそれの来る路径を看る。日に気有るは就中日音を取りて責断し、日に気無きは就中辰音を取りて責断す。

東來期甲寅乙卯,轉而西來,(甲申乙酉。)轉北來,(甲子乙丑。)轉南來。(甲午乙未。)今日庚申西來,須臾轉而東來,(庚寅辛卯。)轉而北來,(庚辛子丑。)轉而南來。(辰庚辛巳。)今日時加戌,(□甲□乙。)若寅卯,(即至。)時加午,(即至。)時加卯。(即九日與寅申乃至,卯同類也。)若庚辰日,時加申酉庚辛,(即至。)皆加四季,(皆即雲未卻,三同類加日來至。)

風が東方より来るは、応期は甲寅・乙卯の日に在り。もし中途に轉じて西より来るに成れば(応期は甲申・乙酉に改む)。轉じて北より来るに成れば(応期は甲子・乙丑に在り)。轉じて南より来るに成れば(応期は甲午・乙未に在り)。假如、今日が庚申の日にして、風が本來西方より来り、片刻の後に轉じて東より来るに成れば(応期は庚寅・辛卯に在り)。轉じて北より来るに成れば(応期は庚・辛の配する所の子・丑に在り)。轉じて南より来るに成れば(応期は庚・辛の配する所の辰・巳に在り)。假如、今日の時辰が戌に落ちれば(応期は□甲・□乙に在り)。もし時辰が寅・卯に落ちれば(立刻に応験す)。時辰が午に落ちれば(また立刻に応験す)。時辰が卯に落ちれば(就中九天の内に、寅・申と一併に到来す。卯がそれらと同類なるを因とす)。もし庚辰の日なれば、時辰が申・酉あるいは庚・辛に落ちれば(立刻に応験す)。もし皆四季の位に落ちれば(皆即刻に応験する能わずと説き、三個の同類の日子の相加するを待ちて乃ち到来す、と)。

諸宮宅內,日辰勝時下。(同者時期以之。)假令今日辛酉,時加午至酉,四月期之,此同情者。(故克言同類者,相為發詔不發。)諸商日,發皆在風下,商角相剋、相動、相殺傷,益明。又先以辰金、木火、水土證之。乃以六情知何等事?第一先以日情,乃合於時。假令今日甲子商,時加申子貪狼,辰奸邪,商音,相傷鬥殺。(餘並仿此。)諸卒起宮宅內,日辰勝時下,為外人賊內。商角情得貪狼陰賊,乃相殺,無吉,為日辰勝時下,無所能也。此惡情,有氣乃能也。

およそ宮室・宅院の内に風の起こるに在りては、日辰の気が時辰の臨む所の気に勝つや否やを看るを要す。(両者が相同じきは、就中時辰を用いて応期を定む。)例を挙げて説けば――今日は辛酉の日にして、時辰が午より酉に延ぶ。応期は四月に定む。これは日と時と同情なるの情形なり。(故に説いて相克にしてまた同類なるは、彼此の間に詔を下すと下さざると、結果は併せて同じからず、と。)およそ商音の日に、応験は皆風の下方に落つ。商と角の相克・相動・相殺傷の跡象は、更に明顕なり。また先ず地支の所属する金・木・火・水・土を用いて験証し、然る後に再び六情を用いて究竟として何の事なるかを推知す。第一歩は先ず日の情を看、再び合わせて時辰の情を看る。例を挙げて説けば――今日の甲子の日は商音に属し、時辰が申・子に落ちて貪狼に属し、辰は奸邪に属し、また商音なれば、互いに傷害し・闘殴・殺傷を主る。(其余は皆此に照らして類推す。)およそ宮室・宅院の内に突然として風の起こるに、日辰の気が時辰の臨む所の気に勝てば、外人の内部に到りて賊を作し害を為すを主る。もし商音・角音がまた貪狼・陰賊の情を得れば、就中互いに殺傷し、吉利の言うべきなし。それは日辰が時辰の臨む所の気に勝てば、時下は便ち力を為す能わざるを因とす。不過ただ此の種の悪情も、また「気有り」て乃ち発作するを得。

五音・客主の法(五音客主法)第八十八

日辰為客,加時為主人;六甲為客,以其行本位不動為主人。十二辰皆主人也。假令今日商客也,時加亥,角為主人也。客商,金克木,是客時皆以相扶克為法。今日甲子商客也,時加寅,徵為主人。徵,火克金,是主人勝客。(餘仿此。)若從寅來,便是二火也,主人於是大勝,準此推之。

当日の日辰の所属する五音を以て「客」を充当し、起風の時辰の所属する五音を以て「主人」を充当す。六甲の日は日干を以て客と為し、それの行く所の本位の固定して移らざる一方を以て主人と為す。十二地支は皆主人を充当すべし。譬如、今日の日辰が「商」に属せば、客方は便ち金なり。起風の時辰が亥に落ち、亥は亥卯未の木局に帰して「角」に属し、角木は便ち主人なり。客方は商金、金は木を克する能くす。見るべし、客・主の勝負を推断するは、全て双方の五行が相生・相助かそれとも相克・相制かを看る。又如、今日が甲子の日、甲子の納音は商金に属し、客方は金なり。起風の時辰が寅に落ち、寅は寅午戌の火局に帰して「徴」に属し、徴火は便ち主人なり。徴は火、火は金を克する能くす。就中これは主人の客方に戦勝するなり。(其余の各種の情形は皆此の弁法に照らして類推す。)もし風がまた恰好として寅位より吹き来れば、あれは便ち両重の火気の相畳なり。主人は是を以て大いに全勝を獲す。此の標準に依って逐一に推算すれば就中是なり。

時刑來,主人大勝;日刑來,客大勝。兩軍對,先動為客,後動為主。兩人相擊,先舉手為客,住者為主。人外來為客,在內為主人。有氣勝,無氣敗。

風が起風の時辰と相刑する方位より吹き来るは、主軍の大勝を主る。風が日辰と相刑する方位より吹き来るは、客軍の大勝を主る。両軍が対塁するに、先ず進攻を発動する一方は「客」と算え、後に起こりて応戦する一方は「主」と算う。両人が相搏するに、先ず手を挙げて招を出すは客と算え、兵を按じて動かざるは主と算う。外面より進入するは客と算え、内に拠守するは主人と算う。およそ五行が当令して気有る一方は勝を取り、衰絶して気無き一方は落敗す。

四方の夷狄の郡国を侵すの風の占(四方夷狄侵郡國風占)第八十九

壬辰是主東方,水裡,從貪狼來,從北方,七日至九日,此東方海賊動,期五十日。乙未主南方夷,此日從未來,七日,南夷反叛,內侵郡國,期七十日。壬戌主西羌,此日從戌來,大怒折木,七日已上,西羌叛,期五十日。癸丑主北方夷,此日從丑來,七日、九日,北方大兵攻人,近八日,遠二十日。

壬辰の日は東方の事を掌管し、水上に応験す。風もし「貪狼」の在る方位より吹き来り、また北方より自り至れば、連刮して七天より九天なり、これは就中東方の海上の盗賊が事を起こさんとするなり。応期は五十天の内に在り。乙未の日は南方の夷人を掌管す。此の一天に風が未位より吹き来り、連刮して七天なれば、南方の夷人は便ち反叛し・内に向かって郡県・封国を侵犯せん。応期は七十天の内に在り。壬戌の日は西方の羌人を掌管す。此の一天に風が戌位より吹き来り、風勢が暴怒して樹木を吹折する能くし、連刮して七天以上なれば、西羌は便ち叛乱せん。応期は五十天の内に在り。癸丑の日は北方の夷人を掌管す。此の一天に風が丑位より吹き来り、連刮して七天あるいは九天なれば、北方に就中大軍の前來して攻打する有り。近ければ八天に応験し、遠ければ二十天に応験す。

常以壬申、壬子、壬辰之日,有風從子上來,三日已上光明,此水內大賊欲攻王國。三日內有雨無事,四日有從申子亥卯上來急卒,比連至七日,必外賊群眾,與夷狄並侵郡國也。

通常は壬申・壬子・壬辰の此の几天に観察す――もし風の子位より吹き来る有りて連刮して三天以上にして天色が明朗なれば、これは水上の大股の盗賊が王侯の封国を攻打せんと欲するなり。三天の内にもし雨を下せば、就中事無し。もし第四天に到りてまた急驟の風の申・子・亥・卯の幾個の方位より吹き来りて接連して七天に刮き到れば、あれば必ず境外の群を成せる盗賊の夷狄と連合して一同に郡県・封国を侵犯する有らん。

國君公卿已下所屬日:春寅,為皇后,此日中有發屋折木,從午未上,五日已上,皇后被誅,其氣溫,皇后有乖。近期九日,遠九十日。風止大雨,不占。

以下は国君・公卿以下の各等の人物の帰属する所の日辰なり。春季の寅日は皇后に帰属す――此の一天に正午に大風が房屋を掀翻し・樹木を吹折し、風が午位・未位より吹き来り、連刮して五天以上なれば、皇后は就中誅せられん。もし風気が温和なれば、則ち皇后はただ違逆・失和の事有るのみ。近ければ九天に応験し、遠ければ九十天に応験す。もし風が停まりて後に大雨を下さば、此一占は便ち成立せず、推断するを要せず。

春丑,為大將軍,此日有風大雨,發屋折木。從丑上來,四日已上,丑有氣,將軍賀賜;無氣,有罪。迅疾大寒急者,有憂。近期八日,遠期八十日。風止而雨解,吉。

春季の丑日は大将軍に帰属す――此の一天にもし大風・大雨有りて房屋を掀翻し・樹木を吹折し、風が丑位より吹き来り・連刮して四天以上にして、丑が当令して気有れば、大将軍は便ち慶賀・賞賜を受けん。丑が衰絶して気無ければ、大将軍は便ち罪を獲らん。風勢が急驟にして奇寒・凛冽なるは、将に憂患有るを主る。近ければ八天に応験し、遠ければ八十天に応験す。もし風が停まりて後に轉じて雨を落とし・天気がそれに随いて和に轉ぜば、是れ吉兆なり。

春丁巳,為三公,風從丑上來,止三公坐上,天清明,三公遷封受賀,風氣寒急,日光不明,三公退免受誅。

春季の丁巳の日は三公に帰属す――風が丑位より吹き来り、三公の対応する所の座位の方位に停まり、天色が清朗・明浄なれば、三公は便ち升遷して封を受け・慶賀を拝せん。もし風気が寒冷・急驟にして日光が昏暗にして明からざれば、三公は便ち退位して官を免じ・誅責を遭うらん。

君臣品位立成:春三月:寅為皇后,甲為天子,卯為太子,乙為太子妻,辰為太子吏,巳為司空,丙為司徒,午為太尉,丁為太傅,(又云國師。)未為九卿,申為司隸,庚為詔獄,酉為庶民,辛為卒徒,戌為夷狄,亥為宗廟,壬為內相,子為宮府,癸為內藏,丑為大將軍。

君臣の品級と方位の現成の対照は下の如し。春季の三個月――寅位は皇后に対応し、甲位は天子に対応し、卯位は太子に対応し、乙位は太子妃に対応し、辰位は太子の属吏に対応し、巳位は司空に対応し、丙位は司徒に対応し、午位は太尉に対応し、丁位は太傅に対応す(もう一説は「国師」と作る)、未位は九卿に対応し、申位は司隷校尉に対応し、庚位は詔獄に対応し、酉位は百姓に対応し、辛位は士卒・役徒に対応し、戌位は夷狄に対応し、亥位は宗廟に対応し、壬位は内相に対応し、子位は宮府に対応し、癸位は内府・庫蔵に対応し、丑位は大将軍に対応す。

夏三月:巳為皇后,丙為天子,午為太子,丁為太子妻,未為太子吏,申為司空,庚為司徒,酉為太尉,辛為太傅,(又云上。)戌為九卿,亥為司隸,壬為詔獄,子為庶民,癸為卒徒,丑為夷狄,寅為宗廟,甲為內相,卯為宮府,乙為內藏,辰為大將軍。

夏季の三個月――巳位は皇后に対応し、丙位は天子に対応し、午位は太子に対応し、丁位は太子妃に対応し、未位は太子の属吏に対応し、申位は司空に対応し、庚位は司徒に対応し、酉位は太尉に対応し、辛位は太傅に対応す(もう一本は「上」と作る)、戌位は九卿に対応し、亥位は司隷校尉に対応し、壬位は詔獄に対応し、子位は百姓に対応し、癸位は士卒・役徒に対応し、丑位は夷狄に対応し、寅位は宗廟に対応し、甲位は内相に対応し、卯位は宮府に対応し、乙位は内府・庫蔵に対応し、辰位は大将軍に対応す。

秋三月:申為皇后,庚為天子,酉為太子,辛為太子妻,戌為太子吏,亥為司空,壬為司徒,子為太尉,癸為太傅,(又云上。)丑為九卿,寅為司隸,甲為詔獄,卯為庶民,乙為卒徒,辰為夷狄,巳為宗廟,丙為內相,午為宮府,丁為內藏,未為大將軍。

秋季の三個月――申位は皇后に対応し、庚位は天子に対応し、酉位は太子に対応し、辛位は太子妃に対応し、戌位は太子の属吏に対応し、亥位は司空に対応し、壬位は司徒に対応し、子位は太尉に対応し、癸位は太傅に対応す(もう一本は「上」と作る)、丑位は九卿に対応し、寅位は司隷校尉に対応し、甲位は詔獄に対応し、卯位は百姓に対応し、乙位は士卒・役徒に対応し、辰位は夷狄に対応し、巳位は宗廟に対応し、丙位は内相に対応し、午位は宮府に対応し、丁位は内府・庫蔵に対応し、未位は大将軍に対応す。

冬三月:亥為皇后,壬為天子,子為太子,癸為太子妻,丑為太子吏,寅為司空,甲為司徒,卯為太尉,乙為太傅,(又云上。)辰為九卿,巳為司隸,丙為詔獄,午為庶民,丁為卒徒,未為夷狄,申為宗廟,庚為內相,酉為宮府,辛為內藏,戌為大將軍。

冬季の三個月――亥位は皇后に対応し、壬位は天子に対応し、子位は太子に対応し、癸位は太子妃に対応し、丑位は太子の属吏に対応し、寅位は司空に対応し、甲位は司徒に対応し、卯位は太尉に対応し、乙位は太傅に対応す(もう一本は「上」と作る)、辰位は九卿に対応し、巳位は司隷校尉に対応し、丙位は詔獄に対応し、午位は百姓に対応し、丁位は士卒・役徒に対応し、未位は夷狄に対応し、申位は宗廟に対応し、庚位は内相に対応し、酉位は宮府に対応し、辛位は内府・庫蔵に対応し、戌位は大将軍に対応す。

春,甲為天子;夏,丙為天子;秋,庚為天子;冬,壬為天子。諸風從天子上來,所止為詔書;所加有氣清和,為遷官;若寒急白溺,為罪有憂;雨為事解,雨止後寒風,為事不解,但過亦為不解。

春季は甲位を以て天子と為し、夏季は丙位を以て天子と為し、秋季は庚位を以て天子と為し、冬季は壬位を以て天子と為す。およそ風が天子の所在する方位より吹き来るは、それの停まる処の対応するあの官位に、便ち詔書の下達有らん。風の臨む所の方位が当令して気有りて風がまた清爽・和暢なれば、是れ升官の兆しなり。もし風が寒冷・急驟にして天色が惨白にして湿気を帯ぶれば、便ち罪を獲て憂有るの兆しなり。雨を下すは事情の化解を表示す。雨が停まりて後にまた寒風を起こすは、事情の併せて化解せざるを表示す。風がただ掠過して停まらざるも、同様に化解する能わざると算う。

風半日一日,從近期;三日已上,從遠期;卒暴,從近期;遲稍怒,從遠期。戊子、戊午、甲辰、甲戌,此日以四時候使者,州牧、刺史從事檄書。此日風從上來,有氣為遷,無氣為免退。

風がただ半天あるいは一天を刮るは、近き応期に按じて推算す。連刮して三天以上は、遠き応期に按じて推算す。風の来るの突然・猛烈なるは、近期に按じて推算す。風の起こるの遅緩にして後に漸く发怒するは、遠期に按じて推算す。戊子・戊午・甲辰・甲戌の此の四天は、四季に按じて分かちて用いて朝廷の使者を占候し、および州牧・刺史・従事のこれらの官員の檄文・公文を占す。此の几天の裏に風もし相応する方位より吹き来れば、日辰が当令して気有れば便ち升遷の兆し、衰絶して気無ければ便ち免職・退位の兆しなり。

官の遷・免・罪を占う法(占官遷免罪法)第九十

假令春甲辰之日,風從辰上來,三日止甲,使者徵拜尚書。假令甲上來,三日止辰,使者遷二千石;近期三日,遠期二十日。

仮に春季の甲辰の日なりて、風が辰位より吹き来り、三天を刮りて甲位に停まるは、これは朝廷の使者が徴召されて尚書に拜せられんとするなり。仮に風が甲位より吹き来り、三天を刮りて辰位に停まるは、これは使者の将に二千石の郡守に升るなり。近ければ三天に応験し、遠ければ二十天に応験す。

到諸使者用事之日,風從徵上來,止辰,使者遷二千石;止丑,使者喜令長相;止公卿坐,使者喜,止公卿,其風清溫,為吉遷賀。假令大寒迅急,使者奏三公、二千石、令長,當退受罪,近期三日,遠期三十日。憂事有雨,解;賀事以雨,重有賜也。

各位の使者の事を主る日子に到りて、風が徴位より吹き来りて辰位に停まるは、使者の二千石の郡守に升るなり。丑位に停まるは、使者の喜慶の事が県令・県長と諸侯の国相の身に落つるなり。公卿の座位の方位に停まるは、使者に喜事有りて、而して喜事は公卿の頭上に帰す。此の幾種の情形はもし風気が清爽・温和なれば、皆吉利の升遷・慶賀の兆しなり。假如、風が奇寒にして急驟なれば、あれは便ち使者の三公・二千石と県令・県長を上奏・弾劾し、彼らが将に退職して罰を受けんとするなり。近ければ三天に応験し、遠ければ三十天に応験す。憂患の事は雨に遇上すれば、化解すべし。慶賀の事は雨に遇上すれば、則ち加倍して賞賜有らん。

丙辰為府君,此日有風從辰上來,二日止君上者,二千石徵納補。丙辰之日,有風從辰上來,止午,清和者,二千石表使者;其風寒急,二千石表刺使,更相奏上。有氣者勝,無氣者凶。止辰上,為奏事,不者,還受罪。近期九日,遠期四十五日也。

丙辰の日は府君に対応す。すなわち郡太守なり。此の一天にもし風の辰位より吹き来る有りて、两天を刮りて君位の上に停まるは、二千石の郡守が徴召されて朝に入りて新職に補授せらるるなり。丙辰の此の一天に風の辰位より吹き来る有りて午位に停まり、風気の清爽・和暢なるは、二千石の郡守が表を上して朝廷の使者を薦挙するなり。風もし寒冷・急驟なれば、便ち二千石の郡守が表を上して刺史を弾劾し、双方が互いに奏劾するなり。日辰が当令して気有る一方は勝を取り、衰絶して気無き一方は凶に遭う。風が辰位の上に停まれば、事情は就中奏して上るを得ん。もし辰位に停まらざれば、反って自己が回頭して罪を獲らん。近ければ九天に応験し、遠ければ四十五天に応験す。

五丑為令長相奏日。五丑之日,有氣風從丑上來,大寒者,止辰,此令長相奏府君;止午,奏使者;止公座,則奏公卿。此下官與上官更相奏,以寒溫決勝負。

乙丑・丁丑・己丑・辛丑・癸丑の此の五個の丑日は、県令・県長と諸侯の国相が上奏する日子なり。五丑の日に逢い、当令して気有る風の丑位より吹き来る有り、風勢が奇寒にして辰位に停まるは、これは県令・県長・国相の府君を奏劾するなり。午位に停まるは、朝廷の使者を奏劾するなり。三公の座位の方位に停まれば、就中公卿を奏劾するなり。これらは皆下級の官員と上級の官員の互いに奏劾するに属し、風の寒冷あるいは温和を用いて誰が勝ち誰が負くるを判定す。

五亥主諸丞,亥日風從亥上來,亥有氣,丞遷賀;亥無氣,丞免官。欲知何官丞,風半日止者,郡丞也;二日乃止者,府丞也;三日止者,州治中也;四日止者,公侯長吏也;五日止者,尚書丞也;丁亥,二千石日以上。以風知何官丞當之。

五個の亥日は各衙署の「丞」の此の一類の副職を掌管す。亥日に風が亥位より吹き来り、亥が当令して気有れば、丞は便ち升遷して賀を受けん。亥が衰絶して気無ければ、丞は便ち官を免ぜられん。何れの一級の丞の身に応ずるかを知らんと欲せば、就中風が幾久刮るを看る――風が半天を刮りて就中停まるは、郡丞なり。两天を刮りて乃ち停まるは、府丞なり。三天を刮りて停まるは、州の治中なり。四天を刮りて停まるは、公侯の長吏なり。五天を刮りて停まるは、尚書丞なり。もし丁亥の日に逢えば、則ち二千石以上の官員の身に応ず。就中此の如く風に憑って該当に何れの一級の丞が承当すべきかを判断す。

五戌為都尉,丙戌之日,風從戌上來,戌有氣,都尉遷;無氣,都尉免官。縣官占小尉,半日須臾,為小尉;若寒急,免官;溫和,遷賀。(他仿此。)

五個の戌日は都尉に対応す。丙戌の此の一天に、風が戌位より吹き来り、戌が当令して気有れば、都尉は升遷せん。戌が衰絶して気無ければ、都尉は官を免ぜられん。県の一級の官署は則ち県尉の類の小尉を占う――風がただ半天あるいは片刻を刮りて就中停まるは、小尉の身に応ず。風もし寒冷・急驟なれば、是れ官を免ずるなり。風もし温和なれば、是れ升遷して賀を受くるなり。(其余の情形は此に照らして類推す。)

詔書を候う(候詔書)第九十一

諸陽宮之日,風從陽徵上來,為詔書到也。欲知何詔書,風至時加,以知詔書。時加寅午,遷除詔;時加己酉,寬大緩詔;時加丑戌,徵占詣臺詔;時加申子,賦斂詔;時加亥卯,接章事老詔;時加辰未,嫁女傳路覆,皆期九日、四十五日。

およそ陽宮に属する日子に、風が陽徴の所在する方位より吹き来るは、これは詔書の将に到る有るなり。何れの一類の詔書なるかを知らんと欲せば、就中風が到る時の加臨する所の時辰を看、これに拠って詔書の内容を判定す。時辰が寅・午に加わるは、升遷・除授の詔書なり。時辰が己・酉に加わるは、寛赦・緩刑の詔書なり。時辰が丑・戌に加わるは、徴召して台省に赴き問対するの詔書なり。時辰が申・子に加わるは、賦税を徴収するの詔書なり。時辰が亥・卯に加わるは、章奏を接納し・耆老を優礼するの詔書なり。時辰が辰・未に加わるは、女を嫁がしめおよび駅路が覆命を伝送するの一類の詔書なり。これらは皆九天あるいは四十五天を以て応期と為す。

諸陽宮之日,風從刑上來,止德上,大迅急,此上官收下官者。此上官問下官,證對無罪。假令風從帝王上來,若子丑上來為詔書,又加子丑帝王地,益明。視支干金木水火土所加喜怒曰上情。知書所謂;從相來,為公卿書。

およそ陽宮に属する日子に、風が「刑」位より吹き来りて「徳」位の上に停まり、風勢が極めて急驟なれば、これは上級の官府が下級の官吏を収捕しに来るなり。此の様の風もまた上官の下屬を訊問するを表示し、而して下屬が対質・挙証するに併せて罪責なし。假如、風が帝王の所在する方位より吹き来り、あるいは子位・丑位より吹き来れば、皆是れ詔書の象なり。もし起風の時辰がまた子・丑の此の両処の帝王の地に加われば、徴兆は更に明白なり。再び日辰・干支の所属する金・木・水・火・土が何処に加臨するを看、是れ相生にして喜ぶかそれとも相克にして怒るかを、此に由って上面の意向を定めれば、就中詔書の説く所が何の事なるかを知るを得ん。風もし「相」位より吹き来れば、あれは就中公卿の文書なり。

春,甲為天子;夏,丙為天子;秋,庚為天子;冬,壬為天子。所在候之,風從上來,則天子來也。若時加公正,此天子令也;時加奸邪,詐稱詔書,不可信。

春季は甲位を以て天子と為し、夏季は丙位を以て天子と為し、秋季は庚位を以て天子と為し、冬季は壬位を以て天子と為す。就中これらの方位の上に守候し、風もしあれより吹き来れば、便ち天子の意旨の到るなり。もし起風の時辰が「公正」に加われば、これは天子の真実の命令なり。もし時辰が「奸邪」に加われば、あれば就中有人の詔書を假冒するにして、軽信すべからず。

赦・贖の書を候う(候赦贖書)第九十二

春,甲寅帝,乙卯王,庚申為詔獄,辛酉為司空。夏,丙午帝,丁巳王,壬癸亥為詔獄,壬子為司空。四季,戊午帝,己未王,甲寅為詔獄,乙卯為司空。秋,庚申帝,辛酉王,丁巳為詔獄,丙午為司空。冬,壬子帝,癸亥王,戊戌為詔獄,戊辰為司空。凡風從詔獄上來,為大赦;從司空上來,為小赦。

春季は甲寅を以て帝と為し、乙卯を以て王と為し、庚申を以て詔獄と為し、辛酉を以て司空と為す。夏季は丙午を以て帝と為し、丁巳を以て王と為し、壬・癸亥を以て詔獄と為し、壬子を以て司空と為す。辰・戌・丑・未の四季の月は戊午を以て帝と為し、己未を以て王と為し、甲寅を以て詔獄と為し、乙卯を以て司空と為す。秋季は庚申を以て帝と為し、辛酉を以て王と為し、丁巳を以て詔獄と為し、丙午を以て司空と為す。冬季は壬子を以て帝と為し、癸亥を以て王と為し、戊戌を以て詔獄と為し、戊辰を以て司空と為す。およそ風が「詔獄」の所在する方位より吹き来るは、朝廷の将に大赦を行わんとするを主る。「司空」の所在する方位より吹き来るは、朝廷の将に小赦を行わんとするを主る。

春,甲寅之日,時加申,風從甲上來,三日止申,其風溫和,法為有大赦,期六十日。(又云,風從庚上來,為大赦。)乙卯之日,時加商,風從甲上來,止申,為贖書,期四十五日。

春季の甲寅の日に、起風の時辰が申に加わり、風が甲位より吹き来り、三天を刮りて申位に停まり、風気が温和なれば、法則に按じて将に大赦有らんと断じ、応期は六十天なり。(もう一説――風は庚位より吹き来るを要して乃ち大赦と算う。)乙卯の日に、起風の時辰が商に属し、風が甲位より吹き来りて申位に停まるは、これは贖を納めて罪を減ずるを許可するの文書なり。応期は四十五天なり。

夏,丙午之日,時加亥,風從丙上來,止亥,為有大赦,期六十日。(又云:風從壬上來、為大赦。)丁巳之日,時加午,風從丙上來,止亥,為贖書,期四十五日。

夏季の丙午の日に、起風の時辰が亥に加わり、風が丙位より吹き来りて亥位に停まるは、将に大赦有らんとするなり。応期は六十天なり。(もう一説――風は壬位より吹き来るを要して乃ち大赦と算う。)丁巳の日に、起風の時辰が午に加わり、風が丙位より吹き来りて亥位に停まるは、これは贖を納めて罪を減ずるを許可するの文書なり。応期は四十五天なり。

秋,庚申之日,時加寅,風從庚上來,止,為有大赦。時加申子,為贖書,期六十日。冬,壬子之日,時加巳,風從丙上來,為有大赦。

秋季の庚申の日に、起風の時辰が寅に加わり、風が庚位より吹き来りてあれに到りて停まるは、将に大赦有らんとするなり。もし起風の時辰が申・子に加われば、便ち贖を納めて罪を減ずるを許可するの文書なり。応期は六十天なり。冬季の壬子の日に、起風の時辰が巳に加わり、風が丙位より吹き来るは、将に大赦有らんとするなり。

大兵の将に起こらんを候う(候大兵將起)第九十三

凡商角之日,風從奸邪、陰賊、貪狼上來,白濁冥晦,比連三日巳上,此大兵起,近三十五日,遠七十日。諸宮日,大風從角上來,大寒迅急,此大兵圍城;至日中發屋折木者,城必陷敗,不出九日,若十八日。

およそ商日・角日に逢い、風が「奸邪」「陰賊」「貪狼」の此の幾処の方位より吹き来り、天色が惨白・渾濁にして昏昧・晦暗、接連して三天以上を刮れば、これは大軍の将に興起せんとするなり。近ければ三十五天に応験し、遠ければ七十天に応験す。およそ宮日に逢い、大風が角位より吹き来り、奇寒にして急驟なれば、これは大軍の将に城を囲まんとするなり。もし正午に到りて風が大いに房屋を掀翻し・樹木を吹折すれば、城池は必ず陥攻せられ、九天を出ず、あるいは十八天なり。

諸羽日,大風冥冥,日無光,沉霧沒,此兵圍。諸角日,時加午,日中夜半,風從角上來折木,兵起,必圍城屯聚,主人宜出避之,期九日,必至。

およそ羽日に逢い、大風が驟然に起こりて天色が昏黒し、太陽が光亮を失い、濃霧が沈沈として一切を淹没するは、これは将に兵馬に囲困せられんとするなり。およそ角日に逢い、起風の時辰が午に加わり、正午あるいは半夜に風が角位より吹き来り・樹木を吹折すれば、兵事は就中発動し、敵軍は必ず城を囲みて屯駐せん。城を守る主軍は城を出でて躲避するを要す。応期は九天、その時に至れば必ず到らん。

諸商日,大風折木,夜半日中,風從子午上來,日光不明,此不宜主人,軍自內敗,不可守城邑,不出七日,遠七十日。(一云:九十日,若三十日,皆兵起風。)諸四季受商之日,大風折木,從四季上來,時加子午,此外界民賊欲聚,與夷兵並來攻,關梁道路斷絕,不出七十日。

およそ商日に逢い、大風が樹木を吹折し、半夜あるいは正午に風が子位・午位より吹き来り、日光が昏暗にして明からざれば、此の種の情形は主軍に利あらず。軍隊は内部より潰敗し・城邑を拠守する能わず、七天を出ずに応験し、遠ければ七十天なり。(もう一説は九十天と作り、あるいは三十天と作る。これらは皆兵の起こるの風に属す。)およそ辰・戌・丑・未の四季の日にして納音が商に属するは、大風が樹木を吹折し・風が四季の方位より吹き来り・起風の時辰が子・午に加われば、これは境外の乱民・盗賊が聚集し・夷狄の兵と連合して一同に攻め来るにして、関隘・橋梁と道路と皆切断せらるるなり。七十天を出ずに応験せん。

大兵の且つ解散せんを候う(候大兵且解散)第九十四

寬大之日,風從寬大上來,時加寬大,法主大兵解散。諸商之日,大軍圍城,有風從丑上來,丑為商墓,風從墓上來,比連三日已上至七日,客軍且退必敗,期在七日、十七日。

「寛大」の日に逢い、風がまた「寛大」の方位より吹き来り、起風の時辰もまた「寛大」に落つれば、法則に按じて此一象は大軍の将に解散せんとするを主る。およそ商日に逢い、大軍が正に城池を囲み、風の丑位より吹き来る有れば――丑は正に商金の墓庫にして、風は墓庫の上より吹き来るに等し――接連して三天以上より七天に至るまで刮れば、城を囲む客軍は将に退走し、しかも必ず失敗せん。応期は七天あるいは十七天に在り。

占興兵欲戰,當知和解否:其日寬大,時加商,風從寬大上來,止寬大,為大賊解散。

已に兵を起こし・将に交戦せんとする時に、双方の和解する能くするや否やを占問するに、弁法は――当天が「寛大」に属し、起風の時辰が商に属し、風が「寛大」の方位より吹き来りてまた「寛大」の方位に停まれば、就中これは大股の賊衆の将に解散せんとするなり。

諸商日,大風折木,夜半日中,從子午上來,日光不明,此不宜主人,軍自內敗,不可守城,近不出七日,遠七十日,重候兵解散。今日己酉受商之日,有風從酉上來,比連三日巳上至五日,天清明,此民間兵散,不出四十日,遠七十日,候兵解散。

およそ商日に逢い、大風が樹木を吹折し、半夜あるいは正午に風が子位・午位より吹き来り、日光が昏暗にして明からざれば、これは主軍に利あらず。軍隊は内部より潰敗し・城を守る能わず、近ければ七天を出ず、遠ければ七十天なり。此の後にまた再び一回占候し、兵衆の解散するや否やを看るを要す。もし今日が己酉の日にして納音が商に属し、風の酉位より吹き来る有りて接連して三天以上より五天に至るまで刮り、天色が清朗・明浄なれば、これは民間に聚まり起こる兵衆の散去らんとするなり。四十天を出ず、遠ければ七十天にして、就中兵衆の解散するを占候するを得ん。

諸陰商之日,風從徵上來,此界外兵還,客軍自退,不出七十日。(一雲七日。)凡占解兵風,其氣溫和,天清明,是軍且解散;其風且寒克,日光沉沒不明,此兵不解,必戰,期七日。(一雲七十日。)

およそ陰に属する商日に逢い、風が徴位より吹き来るは、これは境外の兵馬の回撤せんとするにして、客軍が自ら退去し、七十天を出ざらん。(もう一説は七天と作る。)大凡そ兵を罷むるの風を占候するに、風気が温和にして天色が清朗・明浄なるは、軍隊の将に解散せんとするなり。風が既に寒冷にしてまた克伐の勢を帯び・日光が沈没・昏暗なるは、これは兵事の化解する能わざるにして、双方は必ず一仗を打たん。応期は七天なり。(もう一説は七十天と作る。)

若寬大之日,風從寬大公正上來,夜來晝止,則士眾散解,主將不欲解也;晝來夜止,上下同心,陰且寒,風氣又寒,時日雖善,不為解也;溫和清順,乃為解耳。

もし「寛大」の日に逢い、風が「寛大」「公正」の方位より吹き来り、夜裏に風が起こり・白天に停まるは、あれは士卒の自ら散去るにして、而して主将は併せて兵を罷めんと欲せざるなり。白天に風が起こり・夜裏に停まるは、則ち上下が心を同じくするなり。天色が陰沈にして寒く・風気もまた寒ければ、あれば時日は好しといえども、仍ほ和解と算うるを得ず。必ず風気の温和・清暢・柔順なるを要して乃ち真に解散する能くするなり。

諸商日,大風折木,從丑寅上來,比連三日巳上至七日,此千里萬人眾,兩軍相當,自退解散。所以然者,商金風,從徵來,此金出遇火,兵自解散,主人勝,客軍大敗,其將必死。近期七日,中期二十一日,遠期七十日。

およそ商日に逢い、大風が樹木を吹折し、風が丑位・寅位より吹き来り、接連して三天以上より七天に至るまで刮れば、これは千里の内の数万の人の大軍が両両として対峙して自ら兵を退きて解散するなり。此の様なる所以は、それは商が金に属し・刮る所は金風にして、而して寅は寅午戌の火局に帰して徴に属し、風は徴位より吹き来るに等し。就中これは金が一たび出動すれば便ち火に遇上するにして、此を因に兵衆が自ら散去り、主軍が勝を獲し、客軍が大敗し、客軍の主将は必ず死せん。近ければ七天に応験し、中に居れば二十一天、遠ければ七十天なり。

火災を候う(候火災)第九十五

諸角日,有大風折木,從寅申丑未上來,乍遲乍疾,時加子,夜半,此火且起宮寺中。辰午酉亥,此四日刑自處也。

およそ角日に逢い、大風の樹木を吹折する有りて、風が寅・申・丑・未の此の幾個の方位より吹き来り、忽ち緩く忽ち急にして、起風の時辰が子に加わり、また正に半夜に当たれば、これは宮殿・官署の中に将に火を起こさんとするなり。辰・午・酉・亥の此の四天は自刑の日に属し、刑は就中本位の上に落つ。

辰日加辰,左部燒二千石傳舍;午日加午,燒都遷尉舍;酉日,燒貴府大傳舍;亥日加亥,燒喪家牢獄。大寒迅急,燒殺人;溫和,但失火;期三日。風止而雨,火不發;若期內不雨,火必起。

辰日にして時辰がまた辰に加われば、左部の一帯の二千石の官員の伝舎が火を失するなり。午日にして時辰がまた午に加われば、都尉の官署が火を失するなり。酉日は、顕貴の府第の大伝舎が火を失するなり。亥日にして時辰がまた亥に加われば、喪家と牢獄とが火を失するなり。風もし奇寒・急驟なれば、火の裏に人を焼死させんと欲す。風もし温和なれば、就中ただ走水するのみなり。応期は三天なり。風が停まりて後に接続して雨を下せば、火は便ち発り起こる能わず。もし応期の内に一直に雨を下さざれば、火は就中必ず燃焼せん。

假令四季受角之日,風從四季上來,止於午者,此下亭上鄉市有火,文書至俱到,期三日,若雨,災不發。假令丙寅丁卯之日,有風從寅卯上來,火燒都市中。所以然者,丙丁火、寅卯木也,火得木而燎,此是兩火共燒一木,為都市,其風寒急,燒殺人,期三日。若期內有雨,不發。

仮に辰・戌・丑・未の四季の日にして納音が角に属すとせば、風が四季の方位より吹き来りて午位に停まるは、これは下の亭駅と上の郷市とが火に着かんとするにして、災を報ずる文書が一斉に送り到らん。応期は三天なり。もし雨を下せば、災は発生せざらん。仮に丙寅・丁卯の此の两天なれば、風の寅位・卯位より吹き来る有れば、あれは都市の中に火を起こさんとするなり。此の様なる所以は、それは丙丁が火に属し而して寅卯が木に属し、火が木を得れば便ち燃焼し起こるにして、これは両重の火が共に一根の木を焼くなり。木は此処に都市を代表す。風もし寒冷・急驟なれば、火の中に人を焼死せん。応期は三天なり。もし応期の内に雨を下せば、発作せざらん。

諸亥卯受角之日,風從申亥未上來,時加申子,此賊火攻主人,寒急者,殺人,財出。若時加廉貞公正,此怨仇相殺,不出三日。諸徵日,時加徵風,從徵上來,天清明者,書檄至也。民人誤失火起,非人事之災也,近期三日,遠期三十日。

およそ亥日・卯日にして納音が角に属するは、風が申・亥・未の幾個の方位より吹き来り、起風の時辰が申・子に加われば、これは盗賊が火を放ちて主家を攻め来るなり。風もし寒冷・急驟なれば、人を焼死し・財物もまた散失せん。もし起風の時辰が「廉貞」「公正」に加われば、あれば就中仇家が怨を結びて互いに残殺するなり。三天を出ざらん。およそ徴日に逢い、起風の時辰もまた徴に属し、風がまた徴位より吹き来り、天色が清朗・明浄なれば、これは文書・檄令の将に到らんとするなり。もし百姓が謹まずして火を失して燃え起これば、あれば就中人为の禍事に属さず。近ければ三天に応験し、遠ければ三十天に応験す。

占火發法:陽徵日,風從陽徵上來,時加夜半,皆為都市中府寺火起。風從陰徵上來,皆為下亭鄉市邑及人間火災起。

火災の発作を占測する方法は――陽徴の日に逢い、風が陽徴の方位より吹き来り、起風の時辰が半夜に在れば、これらは皆都市の中の官府・衙署が火を起こすなり。風もし陰徴の方位より吹き来れば、あれは皆下の亭駅・郷里の集市・城邑および民間に火災の発生するなり。

占火得己酉之時,此誤相燒也。得公正之時,此怨仇相燒。得廉貞之時,此坐文書口舌相燒。得貪狼之時,此攻賊燒主人。得陰賊之時,此攻賊相燒。得好邪之時,此小盜陰私相燒。日辰王相有氣者,人事相燒也。囚死無氣,時加酉角者,此鬼神所燒。

火を占う時にもし己酉の時に遇上せば、これは失誤の引起こす火焼なり。「公正」の時に遇上せば、仇家が怨を結びて互いに火を縦放するなり。「廉貞」の時に遇上せば、文書・訟案・口舌・是非を因に互いに火を縦放するなり。「貪狼」の時に遇上せば、攻め来る盗賊が主家を焚焼するなり。「陰賊」の時に遇上せば、攻め来る盗賊が彼此に火を縦放し相焼するなり。「好邪」に遇上すれば、すなわち奸邪の時は、小偷が陰私の事を因に火を縦放し相焼するなり。日辰が王位・相位に居りて気有るは、皆人为の縦火に属す。日辰が囚・死に落ちて気無く、起風の時辰がまた酉・角に加われば、あれば就中鬼神の祟りて焼く所なり。

此日有風,三日巳上天氣黃赤,徵風為之,宿夜不解。至七日,此天火,災起山陵鬼神,明火上王屋,宗廟自生火,千里相望,近期三日,遠三十日。風止大雨,不占,占火與使者檄書同占。

此の一天にもし風有りて、連刮して三天以上にして天色が黄を発し紅を泛べば、あれは徴風の造成する所にして、通宵・達旦にしても消散せざらん。第七天に刮き到れば、此の便ち天火にして、災禍は山陵の鬼神より起こり、明火は上りて帝王の宮室を焼き、宗廟が故無くして自ら燃え、火光は千里に相望じ、近ければ三天に応験し、遠ければ三十天に応験す。風が停まりて後に大雨を下せば、此一占は就中成立せず。火災を占うと使者の檄書を占うとは同一の套の方法を用うるなり。

諸公・貴客を候う(候諸公貴客)第九十六

陽宮寬大之日,有大風從天子上來,止於三公座上,此三公入賀,期一日、九日。諸寬大公正廉貞之日,風從丑上來,所止者,君得所,加遷賞賜,以四時位別其官。假令止三公座上,則三公受賀,以座處推之。

陽宮にしてまた「寛大」に属する日に逢い、大風の天子の所在する方位より吹き来る有りて、三公の座位の方位の上に停まるは、これは三公の将に朝に入りて道賀せんとするなり。応期は一天あるいは九天なり。およそ「寛大」「公正」「廉貞」の日に逢い、風が丑位より吹き来るは、それの停まる処が就中君恩の帰する処にして、あれの対応する官員は将に升遷・賞賜を得んとす。四季の方位の表に按じて分かちて何れの一級の官員なるかを定むるを要す。假如、三公の座位の方位に停まれば、あれば就中三公が賀を受くるなり。皆座位の所在する処に照らして推断す。

假令大風從丑上來,大寒迅急,君有暴令,知止何座,其座自當之。假令大風折木,從臣座上來,止於君者,此臣上書奏事於君也。寬大溫和為賀。假令廉貞寬大公正之日,其日清明溫和,風從臣座上來,止於君者,此臣忠正,必受賀賜。

假如、大風が丑位より吹き来り、奇寒にして急驟なれば、あれは君上の将に厳酷の命令を下さんとするなり。ただ風の何れの一個の座位の方位に停まるを看清せば、あの座位の対応する人は自己にて此の一道の命令を承受す。假如、大風が樹木を吹折し・臣下の座位の方位より吹き来りて君位の上に停まるは、これは臣下が君上に向かって書を呈し事を奏するなり。風気が寛舒・温和なれば、便ち道賀の事なり。假如、「廉貞」「寛大」「公正」の日に逢い、当天が清朗・明浄にして気候が温和、風が臣下の座位の方位より吹き来りて君位の上に停まるは、これは臣下が忠誠・正直にして、必ず嘉奨・賞賜を受けん。

假令宮日寬大,時加宮,此近貴相客也,四十里內;風半日止者,五十里貴客也;一日止君者,百里內也;二日止者,千里大客也;風三日止君者,外臺使者也;四日止君者,外州使者;五日止君,邊將使也。七日止君者,此四萬里夷狄使也。

假如、宮日に逢いてまた「寛大」に属し、起風の時辰もまた宮に加われば、これは附近に貴客の来訪する有りて、来る処は四十里の内に在り。風が半天を刮りて就中停まるは、五十里外の貴客なり。一天を刮りて君位に停まるは、百里以内の客なり。两天を刮りて停まるは、千里の外の大客なり。風が三天を刮りて君位に停まるは、外台の派遣せる使者なり。四天を刮りて君位に停まるは、外州の派遣せる使者なり。五天を刮りて君位に停まるは、辺将の派遣せる使者なり。七天を刮りて君位に停まれば、あれば就中四万里外の夷狄の来使なり。

風冥冥寒急,此遠方使至,非順氣也,必懷叛逆。其風氣來時,日加巳酉丑戌午,此為正臣欲貢獻於中國也。風以遠近遲疾清溫為吉,寒迅為憂。假令風從宮上來寒急,君欲行誅也;溫和雨者,欲知位賜也。占貴客,自天子已下至於庶人,其占皆同下臣貴客。同大國小國家人差次。四季受宮日,風從四季上來,止君若子,皆為客候主人,期一日九日。假令宮情合,君臣相會。

風もし昏黒・寒冷にして急驟なれば、あれは雖も遠方の使者の到来するも、気は順ならず。来使は必ず心に叛逆を懐かん。風気の吹き来る時に、日辰が巳・酉・丑・戌・午に加わるは、これは忠正の臣属の中原朝廷に向かって進貢せんとするなり。風を占うに路程の遠近・勢の来るの遅疾・気色の清朗・温和を以て吉と為し、寒冷・急驟を以て憂と為す。假如、風が宮位より吹き来りて寒冷・急驟なれば、あれは君上の将に誅罰を行わんとするなり。風が温和にしてまた雨を帯ぶれば、君上の将に位を授け賞賜せんとするなり。貴客の此の一事を占うは、天子より下りて百姓に至るまで皆用い得、占法は下臣・貴客を占うと相同じ。ただ大国・小国・家人の等級に照らして依次に分かちて看待するのみ。四季の日に逢いて納音が宮に属し、風が四季の方位より吹き来り、君位あるいは子位に停まるは、皆是れ客人の来りて主人を問候するなり。応期は一天あるいは九天なり。假如、宮音の情性がそれと相合すれば、あれは便ち君臣の相会するの象なり。

大兵の城を攻め并びに勝負・賊を候う占(候大兵攻城并勝負候賊占)第九十七

假令角日,大風折木,從申子亥卯上來,大寒過度。以日中夜半,其風益怒,比連三日至七日,此兵且乘攻城邑必下,主人宜出城邑避之。

假如、角日に逢い、大風が樹木を吹折し、風が申・子・亥・卯の幾個の方位より吹き来り、寒冷なること尋常に異なり。正午と半夜に到りて風勢が更に暴怒し、接連して三天より七天に至るまで刮れば、これは敵軍の将に勢を乗じて城を攻めんとするにして、城邑は必ず攻め下され、城を守る主軍は城を出でて躲避するを要す。

所以然者,夜半日中,子午也。純宮,土也。角木克土,春夏克土之時,攻城必陷也。此日宜為客,不宜為主人,土畏於木,主人必弱敗,近期九日,中期二十七日,遠期七十日。

此の様なる所以は、それは半夜と正午とが正に子・午の両辰に当たり、子午は純粹に宮音に属し、宮音は土に属す。角は木に属し、木は土を克する能くし、また正に春夏の木旺にして土を克する時節に逢えば、城を攻めれば必ず陥落せん。此の様の日子は進攻の客軍を為すに宜しく、城を守る主軍を為すに宜しからず。土は木を畏惧し、主軍は必ず衰弱・敗亡せん。近ければ九天に応験し、中に居れば二十七天、遠ければ七十天なり。

假令諸商羽之日,大風折木,從商上來,此兵且來圍城邑。日中夜半,其風益怒,此攻城不能下,客必敗。所以然者,商金羽水,母子為強,水畏於土,勢不能行,土必制水。日中夜半,城中強,可以外固守,客軍自喪。

假如、商日・羽日に逢い、大風が樹木を吹折し、風が商位より吹き来れば、これは敵軍の将に来りて城邑を囲困せんとするなり。正午と半夜に到りて風勢が更に暴怒すれば、あれば城を攻めるもまた攻め下す能わず、客軍は必ず敗れん。此の様なる所以は、それは商が金に属し・羽が水に属し、金は水を生じ、母子は相依りて気勢が強盛なり。但し水は土を畏惧し、その勢は推行し開く能わず、土は必ず水を制し定むるを得ん。正午と半夜に城中の気勢が正に強く、以て外に対して堅守すべし。客軍は自ら潰亡せん。

公正之日,風從公正上來,止寬大上,為長吏勝賊。陰賊之日,時加公正,風從陰賊上來,止奸邪,為賊勝吏敗也。

「公正」の日に逢い、風が「公正」の方位より吹き来りて「寛大」の方位の上に停まるは、これは地方の長吏が賊寇に戦勝するなり。「陰賊」の日に逢い、起風の時辰が「公正」に加わり、風が「陰賊」の方位より吹き来りて「奸邪」の方位に停まるは、就中これは賊寇の勝を得て官吏の落敗するなり。

候水中賊,常以壬子、壬戌、壬申、壬辰之日,有風從子上來,三日已上,日光不明,此水中大賊,欲攻王侯國。其風大寒,兵夜而至,亦不出七日,中二十一日,遠三十五日,王侯之國備之。風止有溫雨,和解;不雨,謀不解,當設計以待之。

水上の盗賊を占候するに、通常は壬子・壬戌・壬申・壬辰の此の几天を取る――もし風の子位より吹き来る有りて連刮して三天以上にして日光が昏暗にして明からざれば、これは水上の大股の盗賊が王侯の封国を攻打せんとするなり。風もし奇寒なれば、賊兵は夜裏に到來し、また七天を出ざらず、中に居れば二十一天、遠ければ三十五天なり。王侯の封国は早く防備を作るを要す。風が停まりて後にもし温和の雨を下さば、事情は便ち化解せり。もし雨を下さざれば、賊人の図謀の併せて打消さざるを説明し、計策を設けて彼らを待つを要す。

諸羽日,大風冥霧,夜半從申子上來,當雨不雨,陰冥寒迅急,水中大賊攻絕關梁不通,不出五日,遠五十日。若壬戌、癸亥、乙卯、壬辰、甲申、丁未,凡此日之有風從辰申子亥上來,有兵水中相殺,不出五日,遠五十日。風止大雨,不發。又常以壬申、壬子、壬辰、壬戌之日,有風寒,入人肌膚,慘慘不解,王風至,賊發疾,囚死風至,賊發為遲。夫大水將至殺人,連風冥晦,四日五日,萬人皆悲傷,此且有暴水殺人。

およそ羽日に逢い、大風が昏黒の濃霧を夾み、半夜に申位・子位より吹き来り、雨の下すべきにして下さざり、天色が陰晦にして風がまた寒冷・急驟なれば、これは水上の大股の盗賊の攻め来るにして、関隘・橋梁は切断せられて通ぜず、五天を出ずに応験し、遠ければ五十天なり。もし壬戌・癸亥・乙卯・壬辰・甲申・丁未に逢えば、およそ此の几天に風の辰・申・子・亥の幾個の方位より吹き来る有れば、就中兵馬の水上に互いに残殺する有らん。五天を出ざらず、遠ければ五十天なり。風が停まりて後に大雨を下さば、則ち発生せざらん。また通常は壬申・壬子・壬辰・壬戌の此の几天に、もし寒風の肌膚に侵入する有りて、凄惨の気が久久として散ぜざれば――風が来る時に正に五行の王気に当たれば、賊衆の発動は就中快し。風が来る時に正に囚死の気に当たれば、賊衆の発動は就中慢し。大水の将に来りて人を淹死せんとするに至りては、あれは連日の風を刮り・天色が昏晦にして、一連に四五天、万人が皆心に悲傷を懐けば、就中これは将に暴漲の洪水の人を淹死せんとするなり。

喪・疾を候う(候喪疾)第九十八

占壬子壬辰之日,風起夜半,止夜半,占皇后國夫人;起日中,止日中,皆為變及人君夫人。(他仿此。)庚子陽宮之日,日中夜半,大風折木,從子上來,五日止辰,此為宮動,宮止辰,為人入墓中,此天子有憂喪,百官改服,期九日,遠九十日。

壬子・壬辰の此の两天に占候す――風が半夜に刮き起こり・また半夜に停まるは、占う所は皇后と諸侯国の夫人なり。正午に刮き起こり・また正午に停まるは、皆変故の君主と夫人に牵连せんとするを表示す。(其余の情形は此に照らして類推す。)庚子の此の陽宮に属する日子に、正午あるいは半夜に大風が樹木を吹折し、風が子位より吹き来り、五天を刮りて辰位に停まるは、これを「宮」の驚動せらるると呼ぶ。宮音が辰に停まるに、辰は正に宮音の墓庫にして、人の墓の中に進むに等し。これは天子の将に丧事の憂有らんとするにして、百官は皆喪服に改換せん。応期は九天、遠ければ九十天なり。

庚午陰宮之日,日中夜半,大風折木,從子上來,五日止午,若辰,此皇后卒暴,子來為誅,午來為黜退,止辰為入墓中,近期九日,遠九十日。庚子陽宮之日,夜半大風,從巳酉上來,止午,五日巳上,天清明,風溫和,是拜皇后,群臣諸侯大賀,天子有喜,近期九日,遠期二十七日。

庚午の此の陰宮に属する日子に、正午あるいは半夜に大風が樹木を吹折し、風が子位より吹き来り、五天を刮りて午位に停まり、あるいは辰位に停まるは、これは皇后の将に猝然の変に遭わんとするなり。風が子位より来るは誅殺せらるるを主り、午位より来るは廃黜・退位せらるるを主り、辰位に停まるは則ち墓に入りて身亡ぶなり。近ければ九天に応験し、遠ければ九十天なり。庚子の此の陽宮に属する日子に、半夜に大風が起こり、巳位・酉位より吹き来りて午位に停まり、連刮して五天以上にして、天色が清朗・明浄・風気が温和なれば、これは皇后を冊立せんとするにして、群臣・諸侯が皆来りて大いに慶賀し、天子に喜事有らん。近ければ九天に応験し、遠ければ二十七天なり。

諸角日,大風起,從亥來,二日止未,為入墓中,二千石有憂喪,期九日,中二十七日。壬午角日,風從未來,止午,比連三日,使者、州刺史有憂喪。癸丑之日,有風從未來,止丑,一日如止,此令長有憂喪。

およそ角日に逢い、大風が刮き起こりて亥位より吹き来り、两天を刮りて未位に停まれば――未は正に木の墓庫なり――就中これを墓に入ると呼び、二千石の郡守に丧事の憂有るを主る。応期は九天、中に居れば二十七天なり。壬午の此の角日に、風が未位より吹き来りて午位に停まり、接連して三天を刮れば、朝廷の使者と州刺史とに丧事の憂有るを主る。癸丑の此の一天に、風の未位より吹き来る有りて丑位に停まり、一天を満たして刮りて就中停下するは、県令・県長に丧事の憂有るを主る。

巳亥之日,有風從亥上來,半日止未,丞有憂喪。丙戌之日,有風從未來,止戌上,此小尉有憂喪。諸四季受角之日,風從未上來,比連三日,至九日,民大疾病。若風從己亥上來,大寒止未,人有死喪,期二十七日。

巳亥の日に、風の亥位より吹き来る有りて半天を刮りて未位に停まるは、各衙署の丞の此一級の副職に丧事の憂有るを主る。丙戌の此の一天に、風の未位より吹き来る有りて戌位の上に停まるは、県尉の一類の小官に丧事の憂有るを主る。およそ四季の日に逢いて納音が角に属し、風が未位より吹き来り・接連して三天より九天に至るまで刮れば、百姓は大いに疾病を生ぜん。もし風が己位・亥位より吹き来りて、風勢が奇寒にして未位に停まれば、就中有人の死亡して喪を治する有らん。応期は二十七天なり。

己亥受角之日,有風從己亥上來,止己,若止亥,此長吏客喪。連客止亭傳,近期三日,遠九日,先有起居。五墓之日,有風從五墓上來若止墓中,皆為死喪憂事。假令宮墓在辰,以宮日,風從辰來,止辰是也。宮王長吏。商墓在丑,商日風從丑未,若止丑是也,皆為疾病死。角木在未,亦主病也。

己亥の此の納音が角に属する日子に、風の己位・亥位より吹き来る有りて、己位に停まりあるいは亥位に停まるは、これは地方の長吏が他郷に客死するなり。接連して客人の亭駅・伝舎に滞留する有り。近ければ三天に応験し、遠ければ九天、事の先には起居を問候する消息の伝え来る有らん。五墓の日に逢い、風の五墓の方位より吹き来る有り、あるいは墓庫の中に停まるは、皆死喪・憂患の事を主る。譬如、宮音の墓は辰に在れば、就中宮日を取りて準と為し、風が辰位より吹き来りてまた辰位に停まれば、便ち此の象なり。宮音が王に当たる時は、長吏の身に応ず。商音の墓は丑に在り、商日に風が丑位・未位より吹き来り、あるいは丑位に停まれば、便ち此の象なり。皆疾病・死亡を主る。角は木に属し、木の墓は未に在り。此一象もまた疾病を主るなり。

人君欲救百姓疾疫之法:春以己角之日,戶曹出行,疾病未到,治壇救,白羊、大白雞禳之,則天氣消除,雖病不傷。夏遣法曹,秋遣金曹,冬遣水曹。四季月遣功曹,則復邑也。不者不安,期在月沖。

君主が百姓の疫病を救助せんと欲するに、弁法は此の様なり――春季に己日の角に属する日子を選択し、戸曹の官を派遣して出行せしめ、疫病の未だ蔓延し開かざるに趁りて、壇を築きて禳救し、白羊と大白鶏とを用いて祭品と為して災気を祓除すれば、あれば天地の間の疠気は便ち消散し、百姓は便ち病に染むるも傷害を受くるに至らざらん。夏季には法曹に改めて派遣し、秋季には金曹に改めて派遣し、冬季には水曹に改めて派遣す。辰・戌・丑・未の四季の月は則ち功曹を派遣して前往せしむ。此の様なれば城邑は就中安寧を恢復するを得ん。もし此の様に弁ぜざれば、地方は安定を得ざらん。応期は当月と相冲するあの月に在り。

四夷の中国に入るを候う(候四夷入中國)第九十九

丙辰、辛未、丙戌、辛丑,此日四季受宮之日,風從四季上來,折木,五日巳上,至九日,風止子午者,此夷狄君王萬里貢獻,近期一十日,中五十日,遠九十日,百五十日。

丙辰・辛未・丙戌・辛丑の此の几天は、皆四季の日にして納音が宮に属する日子なり。風が四季の方位より吹き来り・樹木を吹折し、連刮して五天以上より九天に至り、最後に子位あるいは午位に停まるは、これは夷狄の君王が万里の外より前來して進貢せんとするなり。近ければ十天に応験し、中に居れば五十天、遠ければ九十天乃至一百五十天なり。

如至壬辰、乙未、壬戌、乙丑,此四季日,有風從申子亥卯上來,迅急,比連三日,至七日,此界外群賊屯聚兵,與夷狄並勢,侵犯郡國,晝伏夜行,攻於中國,不出七十日。(一云:不出七日、十四日。)

もし壬辰・乙未・壬戌・乙丑に到れば、これもまた四季の日にして、風の申・子・亥・卯の幾個の方位より吹き来る有りて、来る勢が急驟にして接連して三天より七天に至るまで刮れば、これは境外の群を成せる盗賊が兵馬を屯聚し・夷狄と勢を合わせて郡県・封国を侵犯し・白天に隠伏して夜間に行軍し・中原を攻打するなり。七十天を出ずに応験せん。(もう一説――七天あるいは十四天を出ざらず。)

壬辰主東方夷,賊在水中,風從辰及貪狼上來,比連七日,至九日巳上,此東方海賊動,期五十日。乙未主南方夷,皆大風從未上來,比連七日巳上,此南方夷狄反叛,風從甲子上來,期七十日。壬戌之日主西方夷羌胡,風從戌上來,日中大怒折木,七日巳上,此西方夷大叛,期五十日。乙丑之日主北方夷,此日大風折木,從子上來,比連七日至九日,此北方大兵攻王侯國,不出七十日,遠百四十日。

壬辰の日は東方の夷人を掌管し、賊衆は水上に出没す――風が辰位および「貪狼」の方位より吹き来り、接連して七天より九天以上に至るまで刮れば、これは東方の海上の盗賊が事を起こすなり。応期は五十天なり。乙未の日は南方の夷人を掌管す――およそ大風の未位より吹き来る有りて接連して七天以上を刮れば、これは南方の夷狄が反叛するなり。もし風が甲・子の方位より吹き来れば、応期は七十天なり。壬戌の此の一天は西方の羌胡・夷人を掌管す――風が戌位より吹き来り、正午の時に風勢が暴怒し・樹木を吹折し・連刮して七天以上なれば、これは西方の夷人の大挙して叛乱するなり。応期は五十天なり。乙丑の此の一天は北方の夷人を掌管す――此の一天に大風が樹木を吹折し・子位より吹き来り・接連して七天より九天に至るまで刮れば、これは北方の大軍が王侯の封国を攻打するにして、七十天を出ざらず、遠ければ一百四十天なり。

諸四季受商之日,大風折木,從四季上來,此界外賊欲屯聚,往往相攻,關梁不通,道路斷絕,不出七十日。諸四季受商之日,風從四季上來,加子午,此客兵入界,自相攻殺,不出四十五日。

およそ四季の日にして納音が商に属し、大風が樹木を吹折し・風が四季の方位より吹き来れば、これは境外の盗賊が屯聚して夥を成さんとし・到る処に互いに攻掠し・関隘・橋梁が通ぜず・道路が断絶するなり。七十天を出ずに応験せん。同様に四季の日にして納音が商に属し、風が四季の方位より吹き来り・起風の時辰が子・午に加われば、これは外来の客軍が境内に侵入し・彼此に攻殺するなり。四十五天を出ずに応験せん。

庚辰、乙未、庚戌、乙丑、此四季受商之日,時加商,風從亥卯辰戌上來,止於巳午,五日已上,至九日,風則怒不解,如此夷狄兵起,晝伏夜行。若風中止,不滿五日,更轉巳酉上來者,此賊必還解,近期七十日,中九十日,遠百日。

庚辰・乙未・庚戌・乙丑の此の几天は、四季の日にして納音が商に属する日子なり。起風の時辰もまた商に属し、風が亥・卯・辰・戌の幾個の方位より吹き来りて巳位・午位に停まり、連刮して五天以上より九天に至り、風勢が暴怒にして平息せざれば、此の様の象は便ち夷狄の兵を興こし・白天に隠伏して夜間に行軍するなり。もし風が中途に停下して五天に満たず、また改めて巳位・酉位より吹き来るに成れば、あれば賊衆は必ず師を回らして解散せん。近ければ七十天に応験し、中に居れば九十天、遠ければ一百天なり。

占夷狄兵欲侵中國,又在道解散,相殺不至:風來,不滿日中止,轉從子午上來,雨若溼熱者,皆為道中離散。風從四季上來,不滿日,後從四仲來,轉從陰賊上來,更寒,日光不明者,此夷狄兵道自相殺,必不至也,近九十日,遠百二十日。假令四季之日,卒風暴起及遊風半日須臾止者,此為近界外雜居羌胡夷人為變,來必為千里外人也。

夷狄の兵が本來中原を侵犯せんと欲せしが、却って半路に解散し・自ら相い残殺して到るを得ざるを占うに、風象は此の様なり――風が刮き起こりて一天に満たざれば就中停まり、随後に轉じて子位・午位より吹き来るに成り、また雨を下すかあるいは天気が湿熱なれば、これらは皆敵兵の途中に离散するを表示す。風が先ず四季の方位より吹き来りて一天に満たず、後来に改めて子午卯酉の四仲の方位より吹き来り、再び轉じて「陰賊」の方位より吹き来るに成り、天気が愈々寒冷にして日光が昏暗にして明からざれば、これは夷狄の兵が半路の上に自ら相い残殺し・必ず到るを得ざるなり。近ければ九十天に応験し、遠ければ一百二十天なり。假如、四季の日に逢い、忽ち暴風を起こし、あるいは飄忽の游風がただ半天あるいは片刻を刮りて便ち停まるは、これは緊く隣接する辺界の外に雑居する羌胡・夷人の変故を生ぜんとするにして、而して真正に犯し来るは必ず千里之外の人なり。

小風小事,大風大事,風滿九日,萬里內也,千里、百里、一里、家、占法,亦如此占之。問曰:中國都市之內,如有夷狄之風,豈可千里外占之?對曰:風起都市之中,亦有羌胡夷狄應占,不必千里外也。近事中國人,遠以羌胡為變,亦是也。

風小なれば則ち事小、風大なれば則ち事大なり。風が九天を満たして刮れば、万里の内に応ず。千里・百里・一里および一家の範囲に至るまでも、占法はまた此の道理に照らして推算す。有人の発問す――中原の都市の内にもし夷狄に属する風象の出現せば、豈にまた千里以外に按じて占断せんと欲するか。回答えて曰く――風が都市の中に起こるも、同様に羌胡・夷狄の事有りて応験すべく、必ずしも千里之外に在るを要せず。近ければ中原の本地の人の身に応じ、遠ければ乃ち羌胡の変を生ずるを以て応ず。これもまた通例なり。

占知中國欲攻四夷,四季受角之日:時加夜半,大風折木,從四季上來,五日止四季上。此時中國欲攻四夷也。所以然者,四季土,土畏於木,今以角日木克土,故知伐四夷。假令止辰,伐東方夷;止未,伐南方夷;止戌,伐西方夷;止丑,伐北方夷;皆期九十日,風止有雨,不占。

中原の将に兵を出して四方の夷人を攻打せんとするを占知するには、就中四季の日にして納音が角に属する日子を看る――起風の時辰が半夜に在り、大風が樹木を吹折し・風が四季の方位より吹き来り・五天を刮りて仍ほ四季の方位の上に停まるは、此の時は便ち中原の将に四夷を攻打せんとするなり。此の様なる所以は、それは辰・戌・丑・未の四季が土に属し、土は木を畏惧す。如今角日に逢いて角は木に属し、木が来りて土を克す。此を因に四夷を討伐せんとするを知る。假如、風が辰位に停まれば、東方の夷人を討伐するなり。未位に停まれば、南方の夷人を討伐するなり。戌位に停まれば、西方の夷人を討伐するなり。丑位に停まれば、北方の夷人を討伐するなり。応期は皆九十天なり。風が停まりて後にまた雨を下せば、此一占は便ち成立せず。

占風大要。四季主關梁,主津渡,主道路,主關鑰,主遠方道客。四季為外,小事近門,占外郭、外界、外州、外夷狄,各以風日數知遠近,寒溫勝負,遲疾知進止。(他仿此。)凡大風從四季上來,止子午,此四方界分欲來和,隨日期之。

風を占うの大綱は下の如し。辰・戌・丑・未の四季は関隘・橋梁を掌管し、渡口を掌管し、道路を掌管し、門戸・鎖鑰を掌管し、遠道より来る行客を掌管す。四季は「外」に属し、小事は則ち近処の門戸の間に応じ、以て外城・辺界・外州および外面の夷狄を占うに用い得。各々風の刮る天数に按じて路程の遠近を判断し、風の寒冷あるいは温和に按じて勝負を判断し、風の来るの遅緩あるいは急疾に按じて敵人の是れ進か是れ止かを判断す。(其余の情形は此に照らして類推す。)およそ大風が四季の方位より吹き来りて子位あるいは午位に停まるは、これは四方の辺界の上の各方が前來して和を講せんと欲するなり。風の刮る天数に按じて応期を定め出すべし。

雑占・王侯・公卿・二千石の出入(雜占王侯公卿二千石出入)第一百

諸陽主長吏,諸陰主人間。假令天子、侯王、公卿、二千石、令長、出入郡臣不知,以風知之。假令天子在甲,二千石、使者、令長同占之。

およそ陽に属する日辰・方位は各級の長吏の事を掌管し、およそ陰に属する日辰・方位は民間の事を掌管す。假如、天子・侯王・公卿・二千石の郡守・県令・県長が外出しあるいは府に回るに、郡中の臣属は知る由無ければ、就中風に憑って判断す。譬如、天子の位次は甲に在れば、あれば二千石の郡守・朝廷の使者・県令・県長もまた同一の套の弁法に照らして占断す。

假令天子在甲,有風從甲上來,時加甲,風止寅,天子入皇后府中;甲來止丑,天子入將軍府中;甲來止卯,天子入太子府中;甲來止酉,天子侯白衣士;甲來止戌,天子入都市;甲來止□,天子入人家;甲來止四季,天子出遊千里;甲來止四仲,天子出百里;甲來止四孟,天子出行城郭中。

假如、天子の位次が甲に在りて、風の甲位より吹き来る有りて起風の時辰もまた甲に加われば――風が寅位に停まるは、天子が皇后の府の中に進入するなり。甲位より来りて丑位に停まるは、天子が将軍の府の中に進入するなり。卯位に停まるは、天子が太子の府の中に進入するなり。酉位に停まるは、天子が平民の士を接見するなり。戌位に停まるは、天子が都市に親臨するなり。□位に停まるは(此処の原書は一字を缺く)、天子が民家に駕臨するなり。辰・戌・丑・未の四季の位に停まるは、天子が千里之外に出游するなり。子・午・卯・酉の四仲の位に停まるは、天子が百里を出行するなり。寅・申・巳・亥の四孟の位に停まるは、天子がただ城郭の内に出行するのみなり。

天子諸侯如此以占,二千石、令長、人君出入同占。止甲之法。或半日止,或一日止,或五日止,此皆臣上事也。候長吏徵,占諸府庭,隨風所來。

天子と諸侯とは上面の此の套の弁法に照らして占断し、二千石の郡守・県令・県長および一国の君の出入も、また同一の套の占法を用う。風が甲位に停まるの推法に至りては――あるは半天を刮りて就中停まり、あるは一天を刮りて停まり、あるは五天を刮りて停まる。これらは皆臣下に上奏する事有るを表示す。地方の長吏の徴召せらるるを占候するには、就中各処の官府の庭院を以て対象と為し、風に随って何れの方位より吹き来るを以て推断す。

名官高下在何位也?春,天子在甲,風從未來,止甲,此九卿貴相上事入省;春,天子在甲,風從己來,止甲,此司空公上事入省;春,天子在甲,風從丙來,止甲,此司徒公上事入省;春,天子在甲,風從午來,止甲,此太尉公上事入省;春,天子在甲,風從丑來,止甲,此大將軍上事入省。

怎様にして上奏する人の官位の高低が何れの一格に落つるを定め出さんや。春季に天子の位次は甲に在り――風が未位より吹き来りて甲位に停まるは、これは九卿と貴相との上奏の事が台省に進呈するなり。春季に天子は甲に在り、風が己位より吹き来りて甲位に停まるは、これは司空の上奏の事が台省に進呈するなり。春季に天子は甲に在り、風が丙位より吹き来りて甲位に停まるは、これは司徒の上奏の事が台省に進呈するなり。春季に天子は甲に在り、風が午位より吹き来りて甲位に停まるは、これは太尉の上奏の事が台省に進呈するなり。春季に天子は甲に在り、風が丑位より吹き来りて甲位に停まるは、これは大将軍の上奏の事が台省に進呈するなり。

右從天子至令長、丞尉、百石、白衣長以貴人君上下同占。立春,司空在巳,司徒在丙,太尉在午,太傅在丁,九卿在未。申為司空,庚為詔獄,酉為民人,辛為卒徒,戌為夷狄,亥為宗廟,壬為內相,子為官府,癸為內藏。丑為大將軍,寅為皇后,甲為天子,卯為太子,乙為妃后,辰為大官廚。

以上は天子より下りて県令・県長・丞・尉・百石の小吏および白衣の百姓の中の頭面の人物に至るまで、皆尊卑・上下の次第に按じて同一の套の弁法を用いて占断す。立春以後の方位は――司空は巳位に在り、司徒は丙位に在り、太尉は午位に在り、太傅は丁位に在り、九卿は未位に在り。申位は司空と為し、庚位は詔獄と為し、酉位は百姓と為し、辛位は士卒・役徒と為し、戌位は夷狄と為し、亥位は宗廟と為し、壬位は内相と為し、子位は官府と為し、癸位は内府・庫蔵と為し、丑位は大将軍と為し、寅位は皇后と為し、甲位は天子と為し、卯位は太子と為し、乙位は妃后と為し、辰位は膳食を掌る大官厨と為す。

宮羽墓在辰,角在未,商在丑,徵在戌。五音墓所在,風從墓上來,入止墓中,此而死喪憂凶暴害,至期如五音數也。假令風從墓來,時加己酉,止王相,此死得生,入墓後出罪,天赦必生。(他仿此。)

宮音と羽音の墓庫は皆辰に在り、角音の墓庫は未に在り、商音の墓庫は丑に在り、徴音の墓庫は戌に在り。五音の墓庫の所在する方位の上に、風が墓庫より吹き来りてまた墓庫に入りて停まるは、就中これは死喪・憂患・凶険と暴虐の害を主る。応期の長短は五音の各々の数目に依って推算す。假如、風が墓庫より吹き来り、起風の時辰が己酉に加わり、最後に王位・相位の上に停まれば、あれは便ち死の中に生を得るにして、雖も已に墓に入るも仍ほ罪責を脱し出る能くし、天赦に遇上すれば必ず命を活かせん。(其余の情形は此に照らして類推す。)

何以知風為大兵先起?按其商角之風,兵起風上;宮羽微之風,兵起風下。假令陽角之日,風從起角上來,故知風為大將軍先起兵是也。知誰勝負者,按法言之,凡風起動,相生則和,相剋必凶。今角日風從羽來,角羽相生,大將軍出兵,必有勝利。

怎様にして一陣の風が大軍の先行発動するの徴兆なるを知らんや。成法に按じて曰く――商音・角音の風は、兵事は風の来る所の上方に起こる。宮音・羽音・徴音の風は、兵事は風の去る所の下方に起こる。假如、陽に属する角日に逢い、風がまた正に角位より吹き来れば、此に由って此の一陣の風が大将軍の率先して兵を起こすの徴兆なるを知る。誰が勝ち誰が負くるを判断するにも、また法則に按じて説かば――およそ風が一たび発動し、日辰の五行と相生すれば便ち和順し、相克すれば便ち必ず凶険なり。如今角日に逢いて風が羽位より吹き来れば、角木と羽水と相生す。大将軍が兵を出せば必ず勝を得る能くせん。

甲子戌亥、甲戌申酉、甲申午未,甲午辰巳、甲辰寅卯、甲寅子丑,此六甲寬大日。辰戌丑未四季,子午卯酉四仲,寅申巳亥四孟。春,王東,相南,休西,廢北。諸王相休廢,其次如此。休廢即為囚死。

甲子の旬は戌・亥に配し、甲戌の旬は申・酉に配し、甲申の旬は午・未に配し、甲午の旬は辰・巳に配し、甲辰の旬は寅・卯に配し、甲寅の旬は子・丑に配す。此の六組は就中六甲の「寛大」の日なり。辰・戌・丑・未は四季と呼ばれ、子・午・卯・酉は四仲と呼ばれ、寅・申・巳・亥は四孟と呼ばる。春季の五行の気――王は東方に在り、相は南方に在り、休は西方に在り、廃は北方に在り。各季の王・相・休・廃は、皆此の次序に照らして排列す。所謂休・廃とは、すなわち囚・死の気なり。

貪狼主強暴,長吏發財物;陰賊主誅殺,長吏考姦情;奸邪主淫泆蔽匿,長吏捕治罪;公正主報仇,長吏義謙虐;廉貞主清公,長吏主賢良;寬大主貴客,長吏賜賀遷也。

「貪狼」は強横・暴虐の事を掌管し、長吏の身に在りては財物を搜刮するに応ず。「陰賊」は誅戮・殺伐の事を掌管し、長吏の身に在りては奸私の情を拷問するに応ず。「奸邪」は淫乱・放縦・蔵匿・隠蔽の事を掌管し、長吏の身に在りては拘捕して罪を治するに応ず。「公正」は仇を報じ恨を雪ぐの事を掌管し、長吏の身に在りては義理を秉持し・暴虐を抑損するに応ず。「廉貞」は清廉・公正の事を掌管し、長吏の身に在りては賢良を挙用するに応ず。「寛大」は貴客の門に臨むの事を掌管し、長吏の身に在りては賞賜を受け・慶賀を得・升遷を獲るに応ず。

京房善用德,張平子善用日辰,伏氏善用刑,翼氏善用溫寒。謝臨泰抄四家風角所長,有效驗,略文取要。刑德王相,災應吉凶,凡十五事,辭慮意深,以近知遠,觀省事情,君可以知臣,臣可以知君。

漢代の京房は「徳」を用いて占うを擅みとし、張平子(すなわち張衡)は日辰を用いて占うを擅みとし、伏氏は「刑」を用いて占うを擅みとし、翼氏(すなわち翼奉)は寒温を用いて占うを擅みとす。謝臨泰は此の四家の風角の術の各自の長処を抄集し、皆甚だ応験有りて、繁文を删削して要旨を摘取せり。刑と徳・王と相、災異の感応と吉凶の判断、総じて十五条、措辞は謹慎にして寓意は深遠なり。能く近処より遠処を推知し・事情の実情を考察・省視するを得。君主はそれに憑って臣下を了解するを得、臣下もまたそれに憑って君主を了解するを得。

神貫聖理,號令未發,萬里以應,王者之心,乾坤相示,分授後賢傳者,保祿令祚巳矣。占風圖:凡占風之術,方法甚多。有難辨而難精者,今並不錄。嘗見八卦風來,多有徵驗,今錄圖於後。

それの神妙の処は聖人の道理に貫通し、号令は未だ発出せざるに、万里の外に便ち已に感応する所有り。帝王の心意は、天地・乾坤が予め昭示して出さん。此の套の学問を分かちて後世の賢者に伝授するは、他ならず彼らをして禄位を保住し・美好の福祚を成就せしめんと欲するのみ。以下は占風の図なり。大凡そ風を占うの方術は、路数は甚だ多し。其の中に或る分辨し難く・精通し難きは、此処に一概に収録せず。我は曽て八卦の方位の来る風を見、多く応験有り。今図を後面に録す。

八風を占いて主客の勝負を知る法(占八風知主客勝負法)

乾,折風,從西北來,主將死,客勝。坎,大罡風,從北來,客勝,主人敗。艮,小罡風,從東北來,客勝,主人不利。震,宄風,從東來,主人勝,客不利。

乾位より来る風は「折風」と呼ばれ、西北方より吹き来れば、主帥は将に死し、客軍が勝を得ん。坎位より来る風は「大罡風」と呼ばれ、北方より吹き来れば、客軍が勝を得、主軍が落敗せん。艮位より来る風は「小罡風」と呼ばれ、東北方より吹き来れば、客軍が勝を得、主軍に利あらず。震位より来る風は「宄風」と呼ばれ、東方より吹き来れば、主軍が勝を得、客軍に利あらず。

巽,小弱風,從東南來,主人勝,客不利。離,大弱風,從南來,主人勝,客不利。坤,諫風,從西南來,主人勝,客不利。兌,沖風,從西來,客勝,主人不利。

巽位より来る風は「小弱風」と呼ばれ、東南方より吹き来れば、主軍が勝を得、客軍に利あらず。離位より来る風は「大弱風」と呼ばれ、南方より吹き来れば、主軍が勝を得、客軍に利あらず。坤位より来る風は「諫風」と呼ばれ、西南方より吹き来れば、主軍が勝を得、客軍に利あらず。兌位より来る風は「冲風」と呼ばれ、西方より吹き来れば、客軍が勝を得、主軍に利あらず。

風を占いて軍を出す法(占風出軍法)

凡出軍,有風逆軍,不可行。風帶刑煞,大凶。風隨軍行,逢戰大勝。軍行,左右有風起,賊有伏兵。忽有風起西北,卻復東南,四轉五覆,主將貪虐,士卒謀逆。或挾月刑煞,慎勿出戰,必敗,凶。風從敵來,而合三刑,賊欲來攻我,歲刑、日刑凶,月刑遲緩。

およそ兵を出すに、もし風の迎面して軍に逆らいて吹き来る有れば、就中行軍すべからず。風もし刑・煞の気を帯ぶれば、大凶なり。風が軍隊の行進する方向に順いて吹けば、交戦に遇上せば必ず大勝せん。行軍の途中に左右の両側に忽然として風の起こるは、敵方の伏兵を設くるを説明す。もし忽然として風の西北に起こる有りてまた反轉して東南に到り、四回五轉して反復して定まらざれば、あれは主将が貪婪・暴虐にして士卒が心に反意を懐くなり。風もしまた月刑・煞気を夾帯せば、務めて謹慎し、出戦する莫れ。出戦すれば必ず敗れん。是れ凶象なり。風が敵方より吹き来りてまた三刑と相合すれば、あれは敵人の我が方を攻打し来らんとするなり。歳刑・日刑と合するは凶と為り、月刑と合すれば則ち来るの遅緩する些かなり。

旋風を占う法(占旋風法)

若旋風卒起敵軍上,急擊,必勝。旋風自敵來入我營中,賊心欲降。如挾三刑上來,必卻謀我。若旋風卒起而合三刑,兼挾五墓,賊有伏兵。若旋風頻起,而出逢敵,我敗,移營,吉。

もし旋風が突然として敵軍の頭頂の上に刮き起これば、就中速やかに攻撃を発起し、必ず勝を獲せん。旋風が敵方より一路に我が軍の営中に吹き進むは、敵人の心裏に投降せんと欲するを説明す。もし此の旋風が三刑の気を帯びて来れば、あれは敵人の反って我が方を算計する在るなり。もし旋風が突然として刮き起こりて正に三刑に合し、また五墓の気を夾帯せば、敵人の伏兵を設くるを説明す。もし旋風が接連として断えずに刮き起こり、一たび営を出づれば就中敵人に撞上すれば、あれは我が方の将に敗れんとするにして、速やかに営地を転移して乃ち吉利なり。

挾時刑,主利疾戰;日刑,客勝。若旋風直沖於天,急戰,破賊,大勝。若風揚旗幟,東西南北,迴轉周旋,將死軍覆。若風繞旗杆,直而垂下,鼙鼓無響,將死於野,大敗之徵。

旋風が時刑の気を夾帯すれば、速戦・速決するに宜し。日刑の気を夾帯せば、則ち客軍が勝を得ん。もし旋風が筆直に天に冲りて起これば、就中速やかに開戦し、敵人を撃破し・大いに全勝を獲るべし。もし風が旗幟を吹きて東南西北に来回に旋轉せしむれば、あれは主将の将に死し・全軍の将に覆没せんとするなり。もし風が旗子を旗杆に巻き繞けて、筆直に垂下して展開せざれば、軍中の鼙鼓もまた声响を敲き出す能わざれば、あれは主将の将に郊野に死せんとするにして、是大敗の徴兆なり。

三刑の法(三刑法)

歲刑,月刑,日刑。亦云:刑上,刑下,自刑。

所謂三刑とは、歳刑・月刑・日刑を指す。またもう一種の説法有りて、三刑を刑上・刑下と自刑と称す。

相刑の法(相刑法)

子刑卯,卯刑子;寅刑巳,巳刑申,申刑寅;未刑丑,丑刑戌;辰午酉亥自刑。

地支の相刑する次序は――子は卯を刑し、卯はまた子を刑す。寅は巳を刑し、巳は申を刑し、申はまた寅を刑す。未は丑を刑し、丑は戌を刑す。辰・午・酉・亥の此の四支は則ち自己にて自己を刑し、これを自刑と呼ぶ。

假如子年,及十一月,並子日,從卯上來是;卯年,及二月,並卯日,從子上來是;寅年,及正月,並寅日,從巳上來是;巳年,及四月,並巳日,從申上來是;申年,及七月,並申日,從寅上來是;未年,及六月,並未日,從丑上來是;丑年,及十二月,並丑日,從未上來是;其辰午酉亥年,並三月、五月、八月、十月,及辰午酉亥日,皆從本位上來是也。

具体的の推法は――譬如、子年・十一月および子日に逢い、風が卯位より吹き来れば、就中刑を犯すと算う。卯年・二月および卯日に、風が子位より吹き来れば、就中刑を犯すと算う。寅年・正月および寅日に、風が巳位より吹き来れば、就中刑を犯すと算う。巳年・四月および巳日に、風が申位より吹き来れば、就中刑を犯すと算う。申年・七月および申日に、風が寅位より吹き来れば、就中刑を犯すと算う。未年・六月および未日に、風が丑位より吹き来れば、就中刑を犯すと算う。丑年・十二月および丑日に、風が未位より吹き来れば、就中刑を犯すと算う。辰年・午年・酉年・亥年、および三月・五月・八月・十月、また辰・午・酉・亥の此の幾種の日子に至りては、皆風が本位より吹き来れば便ち刑を犯すと算う。

五墓の法(五墓法)

金墓於丑,木墓於未,水土墓於辰,火墓於戌。假如是金日,從丑上來是;木日,從未上來是;水土日,辰上來是;火日,戌上來是。

金の墓庫は丑に在り、木の墓庫は未に在り、水と土の墓庫は同じく辰に在り、火の墓庫は戌に在り。譬如、金日に逢い、風が丑位より吹き来れば、便ち墓に入ると算う。木日に逢い、風が未位より吹き来れば、便ち墓に入ると算う。水日・土日に逢い、風が辰位より吹き来れば、便ち墓に入ると算う。火日に逢い、風が戌位より吹き来れば、便ち墓に入ると算う。

徳神の法(德神法)

甲日德在甲,乙日德在庚,丙日德在丙,丁日德在壬,戊日德在戊,己日德在甲,庚日德在庚,辛日德在丙,壬日德在壬,癸日德在戊。

甲日の徳神は甲位に在り、乙日の徳神は庚位に在り、丙日の徳神は丙位に在り、丁日の徳神は壬位に在り、戊日の徳神は戊位に在り、己日の徳神は甲位に在り、庚日の徳神は庚位に在り、辛日の徳神は丙位に在り、壬日の徳神は壬位に在り、癸日の徳神は戊位に在り。

風を占うの法(占風之法)

初起之時候之,若天氣溫和,不動塵埃,條風來者,皆為祥風,如更從日德上來者,必有大喜。若飛沙揚石,折木揭屋,東西不定,旗旛繞槍,皆為災風。若風來颯颯,人盡森悚,皆為賊風;若更自三刑五墓上來,即須倍加隄備,勿與戰,吉;賊風若從當軍德上來,戰之必勝。凡風定後有雨者,不為災,不占;若雨晴後風起者,占之。

風の剛しく起こる時にそれを占候するを要す。もし天気が温和にして、風が過ぎて塵土が揚がらざれば、吹き来るは東北方の「条風」にして、これらは皆祥瑞の風に属す。假如、風がまた当日の徳神の所在する方位より吹き来れば、必ず大喜の事有らん。もし風が沙を飛ばし石を走らせ・樹木を吹折し・屋頂を掀き開き・方向が忽ち東忽ち西にして定まるを得ざれば、旗幟・幡幢が槍杆の上に纏繞するは、これらは皆災禍の風に属す。もし風が来る時に颯颯と作響して、人々が聴けば皆毛骨が悚然とすれば、これらは皆賊風に属す。もし此の賊風がまた三刑・五墓の方位より吹き来れば、就中必ず加倍して防備し、敵と交戦せざるを要して乃ち吉利なり。賊風が假如本軍の徳神の所在する方位より吹き来れば、あれば戦を迎えて必ず勝を獲せん。およそ風が停まりて後に雨を下すは、災異と算えず、占断するを要せず。もし雨が過ぎ天が晴れて後に乃ち風を起こせば、あれば就中それを占断するを要す。

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