兵要望江南
委任第一(京本は「占委任第一」)・二十六首
綜合類典籍
通読するより工具書として引くほうが実用的である。他の門類で分からない暦法術語に出会ったら、たいていここで出所をたどれる。
《兵要望江南》[唐]易静
易靜,唐時任武安軍左押衙。著有《兵要望江南》,凡收詞七百卸二首。今編為四卷。(《全唐詩》無易靜詩,事跡據《崇文總目》卷三、《郡齋讀書後志》卷二)
易静は唐代の人で、武安軍の左押衙(節度使幕府で軍務文書を掌る武職)を務めた。著書に《兵要望江南》があり、すべて《望江南》の詞調で書かれ、詞七百二十二首を収め、今伝本は四巻に編まれている。この書は門類ごとに巻を分け、各首の詞は一種の天象・物象の兆とその軍事的応験を説く。(《全唐詩》には易静の詩作は収められておらず、その事蹟は《崇文総目》巻三と《郡斎読書後志》巻二に見える。)
委任第一(京本は「占委任第一」)・二十六首
兵之道,切忌起無名。不止京本作「正」少功虛效力,逡巡反川本作「及」禍複京本作「複禍」危傾。容易勿言兵。 統軍京本作「兵」帥,不可比鹽(酉咸)據川本、辛本、京本改梅。相政乖虧猶可救,朝綱雖失亦能回,兵敗國傾危。 當權將,其責重如山。社稷存亡全在爾,安危君父一時間。須要立功還川本、辛本作「爵祿帝王頒」。
用兵の根本の法則は、師出して名あることを最も忌む。名義がいったん正しくなければ、功を建て難く兵力を空しく損耗するばかりか、進退が逡巡するためにかえって禍患を招き、国家を傾危させる。だから軽々しく戦を言うべきではない。(「不止」は京本では「不正」で、まさに名分の不正を戒めとして立てている。) 軍を統べる主帥は、その分量を「塩梅」の臣に比べることはできない。「塩梅」は《尚書・説命》の「若し和羹を作らば、爾は惟れ塩梅」に出て、鼎鼐を調和する宰輔を指す。宰相の政を治めるのに時々の乖失があってもなお補救でき、朝綱が一時に廃弛してもまだ挽回できる。だが主帥がいったん敗れれば、国家は直ちに転覆する。だから将を選ぶことは相を選ぶよりさらに重要である。 兵権を握る将領の肩の責任は山岳のように重い。国家の存亡はすべてあなた一身に係り、君王と父老の安危も交鋒の一瞬の間にのみある。だから必ず戦功を立てて報いなければならない。(川本・辛本の末句は「爵禄帝王頒」で、爵位・俸禄はすべて帝王の賜うところとし、なおさら責を尽くすべきとする。)
銓大將京本作「帥」,須要素知京本作「司」兵名據辛本、川本、京本改。非是等閒虛譽職,莫將軍印京本作「兵柄」任辛本、川本作「委」、京本作「付」狂生,輕擁甲兵行。 諸屬幕,必京本作「須」是選賢辛本、川本作「堪」、京本作「沉」良。勿取京本作「使」門高京本作「風」當勢位,無私親舊與鄉邦京本作「同鄉」。曲順京本作「邪曲」定為殃。 攻敵策,謀乃勝之原京本作「源」。勿使辛本、川本、本京作「祗」迎兵京本作「軍」交血刃,休憑角京本作「勇」力靠兵官,勇是禍之端。經曰:善戰者不怒,善勝者不爭。非智者不能行,非賢者不能用也。
大将を銓選するには、必ず平素から兵事に通暁し、素より声名のある者を選ばなければならない。これは功に報いる虚銜の美職ではない。くれぐれも軍印・兵柄を狂妄な書生に渡して、軽々しく甲兵を率いて出征させてはならない。 幕府の各級の僚属は、必ず賢能で忠厚な者を選ばなければならない。相手の門第が高華で勢位にあるからといって採用してはならず、私情に徇って親旧・同郷を任用してもならない。もしひたすら曲意を迎え邪曲の徒を任用すれば、必ず禍殃を招く。 敵を攻める方略は、謀ることこそが勝利の根源である。一たび陣に臨んで両軍が短兵を接し血刃を交えさせてはならず、単に角力で猛り合うことだけを恃んで武官に頼ってはならない。勇を逞しくすることはまさに禍を招く始まりである。兵経に言う。善く戦う者は軽々しく怒らず、善く勝つ者は人と鋒を争わない。この道理は、智ある者でなければ為せず、賢者でなければ任用も解しない。
統軍帥,智慮有明謀。善識天文能勇敢,更兼威德賞勤勞。士卒自英豪。 為將帥,筮卜識機緣。更用一人高術士,精通占候要知言,凶吉預聞先。 覘彼勢,虛實要先評。兵有正奇將勝敗京本作「關將敏」,有京本作「勢」無強弱在軍精辛本作「情」,料敵不須驚。
軍を統べる主帥は、智慮が周到で胸に明謀を蔵していなければならない。天文・星象に通じ、陣に臨んで胆勇があり、さらに恩威をともに著しくし、力を出し労を効く者に賞賜を惜しまない。このようにして率いられた士卒は自然と一人ひとりが英豪となる。 将帥の身としては、さらに「筮卜」を用いて戦機を把捉することを知らなければならない。軍中にはなおさら高明な術士を迎え、 「占候」の学に精通し占辞の言外の意を解する者を置くべきだ。そうすれば吉凶はあらかじめ知られ、事が起こる前に先んじることができる。 敵の形勢を窺うには、まずその虚実を評価しなければならない。兵が多くて備えがなければ虚であり、兵が少なくて備えがあれば実である。用兵には「正」があり「奇」があり、勝敗の鍵は将領が機敏かどうかに係る。兵力の有無・強弱は、実は隊伍が精鋭かどうかに決まる。敵を先に料れば、事に臨んで慌てる必要はない。
量彼敵,將勇戒驕盈。整暇正須期死戰,凱旋猶懼有驕辛本、京本作「生」兵,養氣勿輕迎辛本作「臨」。 戰危事,上將戒貪行辛本作「兵」。閫京本作「國」計豈應辛本作「能」、京本作「令」求京本作「圖」小利,師行自古有常經,紀律要精明。 參彼將,德京本作「得」性好攻心。仔細究情辛本作「精」隨彼好,中行離反問據辛本、京本改詭相親,設利誘前擒。覆兵敗將,攻其便,究其情,伐其機。
敵情を衡量するとき、将領は勇があっても驕満を戒めなければならない。軍容を整え粛然として従容で急がないのは、まさに決死の一戦に備えるためである。勝って凱旋しても、なお勝によって驕兵が生じることを防がなければならない。平素は士気を蓄え養い、軽々しく迎戦すべきではない。 戦争は存亡に関わる危うい事である。主将がまず戒めるべきは功を貪り冒進することである。「閫外」の謀(主帥が外で機に臨んで決断する大計)がどうして眼前の小利だけを図ってよかろうか。古来、行軍には自ずから一定の常法があり、紀律は厳明にして周密でなければならない。 敵の将領を研判するには、その徳性・性情を見極め、「心を攻める」ことから着手する。実情を詳らかに察し、その好みに順って投合し、さらにその中から離間・反間の計を施し、詭詐の姿勢で彼に親しく近づき、しかる後に利を餌として彼を誘い来らせて擒にする。その軍を覆しその将を敗らしめるには、その疎漏なところを攻め、その真実の情形を究め、その乗じ得る機を伐たなければならない。
統軍將辛本、川本作「兵帥」,剛暴自殘兵。有勇有勞無賞罰,卻將傲慢事行刑,彼將定欺凌。 審向道京本作「彼將」,測京本作「斥」,辛本作「情」候要分明。莫為時多蒙辛本作「朦」躁進京本作「莫與兵徒萌躁進」,勿從剛暴速兼程,慮京本作「虞」彼伏潛兵。 途頓止,調節要京本作「力」均停。力若有餘兵有京本作「軍自」銳,縱逢強賊京本作「卒逢賊馬」亦堪徵,不致有惶驚。
軍を統べる将領がもし剛愎で暴戻ならば、自らの部隊を自ら残虐するに等しい。士卒に勇功があるのに賞賜を得られず、過ちがあっても懲処せず、かえって傲慢な態度で刑戮を濫りに施せば、敵将は必ずあなたを軽んじ、あなたを陵しに来る。 進む道路を審察するには、「偵測」と「候望」の二つをともに明白にしておかなければならない。時局が紛擾し蒙昧だからといって軽率に躁進してはならず、剛暴の性に任せて一味に兼程して急行してもならない。敵が伏兵を埋設していることを防がなければならない。 途中で駐屯して休養するには、行止と労逸を調節して均しくしなければならない。体力に余裕があれば、士卒は自然と鋭気を保つ。こうすれば、たとえ突然強敵の勁騎に遭っても、照れずに接戦でき、驚慌失措することはない。
量強弱,彼我孰優長?敵若勢雄兵將廣辛本作「兵將廣大」,吾軍衰弱亦京本作「何弱力」難當,主帥要參詳京本作「奇計可施張」。 將權柄,識務辨京本作「職務長」春秋。須是先施仁與惠,後行刑戮京本作「獄」擇其尤辛本作「由」,威令辛本、京本作「愛」自然收。 賞與罰,須是要均平。不可(狗去句改旬)辛本作「循」私行喜怒,稍京本作「私」偏親舊失軍情,如此辛本、京本作「否則」禍災生。
強弱を衡量するには、彼と我とで結局どちらが優位かを問わなければならない。もし敵の勢いが雄壮で兵多く将広く、我が軍が衰弱して抵当し難いなら、主帥は必ず繰り返し参酌して謀らなければならない。(京本はここを「奇計可施張」とし、ちょうどこの時に奇計を施すべきとする。) 将領が権柄を執るには、時務を識り事理を明らかにし、時に因って宜しきを制することを知らなければならない。まず仁愛の恩恵を施行してから、それでいて刑戮を動用し、しかもその中で最も重い者だけを選んで懲処する。こうすれば威信・号令は自然と人心を収攏できる。 賞と罰は、必ず公平で均一でなければならない。私情に徇って個人の喜怒で事を行ってはならない。わずかでも親旧に偏袒すれば、全軍の人心を失い、こうして禍災が発生する。
水與陸,兩勢作艟(舟朋)。陸有勢形水京本作「湖」亦有,舟車捷力京本作「利」不相爭,專在將能明。 統軍帥,不可妄行刑。莫以軍威行殺戮,人生一失永無生,誤損命天嗔。 統軍帥,職爵受皇恩。莫以暫時輕賞罰,休生外意信奸人,叛智據辛本、川本補怎成名?
水戦と陸戦は二つの異なる形勢で、いずれも「艨艟」の類の戦船と車騎に頼って施展する。陸地には地勢・地形があり、水面にも同じく水勢・水形がある。舟と車はそれぞれ便益があり、もともと優劣を強いて分ける必要はない。要は全く将領が明察して運用できるかどうかにある。 兵を統べる主帥は妄りに刑罰を用いてはならない。軍威を恃んで勝手に殺戮してはならない。人命はいったん失えば再び挽回できず、無辜を誤って殺せば上天の譴怒を招く。 兵を統べる主帥の職位・爵禄はすべて皇恩に由来する。一時に得意だからといって賞罰を軽忽してはならず、異心を萌やし奸人の言を聴き入れてもならない。いったん背反すれば、たとえ智謀があっても、どうして功名を成すことができようか。
如信佞,叛背事皆訛。自古兩邦難並立辛本、川本作「立廟」,當朝忠孝賜恩多,世代盡包羅。 狂京本作「徵」寇走辛本、川本、京本作「定」,乘馬複還京京本作「軍」。結局奏京本作「有」功須均京本作「當」賞,莫將親識京本作「舊」冒功升,反及據辛本、川本、京本改掩勇無名。 鋒辛本、川本作「蜂」、京本作「封」城壘,謹守保邊隅。莫恃雄強侵彼境,複從奸佞起兵夫。虛國死無辜。
もし佞臣の言を聴き入れれば、背反の事はすべてここから訛変して生じる。古来、二つの敵国は並び立ち難い。他邦に外から身を投ずるより、本朝に忠孝を尽くすに如かない。朝廷の賜う恩典はもともと豊厚で、世世代代に及ぶに足りる。 狂悖な敵寇がすでに敗走したなら、将士は馬に乗って班師して京に還る。戦事が終わって軍功を奏報するとき、賞賜は必ず均平でなければならない。決して親信・熟人に戦功を冒領させて昇遷させてはならず、かえって真に奮勇した者を埋もれさせて名もなきものとしてはならない。 辺地の城塁は厳加に封守し、謹んで防禦して辺陲を保全しなければならない。兵強く馬壮だと自恃して他国の疆界を侵犯してはならず、さらに奸佞の言を聴いて妄りに兵夫を征発してはならない。それはただ国力を空しくし、無辜の人を徒に命を送らせるだけである。
太平世,積食京本作「粟」養雄兵。不可輒忘征戰意京本作「備」,常時論武京本作「常須講習」使兵辛本、川本作「令」精,防寇犯京本作「彼寇」邊庭。 吾勢銳,人馬總精雄。財寶京本作「貨」滿盈軍用足辛本、川本、京本作「足用」,更詳天象審蒼穹,災禍免辛本、川本、京本作「那」軍中。經曰:「用兵者,非信義不立,非陰陽不順,非奇正不列,非詭譎不戰。謀藏於心,事見於跡,心與跡同者敗,心與跡異者勝。」
太平の世に身を置いても、糧穀を積儲し勁旅を豢養しなければならない。決して動もすれば征戦の備えを忘れてはならず、平時に武事を講習して士卒を精練に保ち、敵寇の辺庭侵犯を防がなければならない。 我が兵勢は鋭く、人馬はみな精悍で雄壮、府庫の財貨は充盈し軍需は充足している。この上にさらに天象を詳らかに審し蒼穹を仰ぎ察すれば、軍中は災禍を免れることができる。兵経に言う。兵を用いる者は、信義がなければ立たず、陰陽に順わなければ行かず、「奇」「正」を分けなければ陣を列せず、詭詐を用いなければ戦は成らない。謀略は心に蔵し、行事は形跡に顕れる。心と跡が同じなら、人に見穿かれやすく敗れ、心と跡が異なれば、人に測られ難く勝つことができる。
風角第二(辛本は「占風角第二」、京本は「占風第三」)・三十三首
興兵道,風角最為先。若是逆風辛本、川本作「迎風」權且住,後來風助合蒼天,大戰我當先。 春屬木,風自震方來。才起微微聲不大,終無禍福不須猜。疑慮卻成災。 離與兌,壬癸子辛本、川本、京本作「自」三方。飄作如春依逐分,不須多慮與張惶,有寇整兵當。
兵を起こし師を用いる道は、「風角」の占候を首位とする。もし軍を出すとき逆風が吹いていたら、しばらく兵を按して動かない。後に風向が転じて我を助けるとき、まさに上天の意に合う。その時に大いに挙げて決戦すれば、我が軍は自ずから先んじることができる。 春は五行で木に属し、「震」卦の主る東方に配当される。風がもし正しく震位から吹いて来て、起こりが微弱で声響が大きくなければ、終竟吉凶はないので、猜疑する必要はない。かえって主帥が心に疑慮を抱き挙止が失措すれば、災禍を招くことになる。 もし風が「離」(南)、「兌」(西)および壬・癸・子の主る北方水位という三方から吹いて来て、飄拂の状が春風のように柔和なら、各方の所属に依ってそれぞれ推断し、過度に憂慮して慌てる必要はない。たとえ敵寇が来犯しても、部伍を整粛して迎戦すればよい。
四季內,或京本作「忽」有猛風聲。倒京本作「卷」瓦揚沙急京本作「幾」似箭,隨來方所擺京本作「擁」精兵,急備彼軍情辛本、川本作「人」、京本作「急急備軍人」。 猛風過,如箭便京本作「更」無蹤。名曰(昔風)(革風)當速備,風聲才斷賊來攻,曰後京本作「日入」愈為凶。 兵行次,黯黯點點據辛本、京本改久陰沉。不雨又無光色現,下人謀上恨情深,細意要搜尋。
一年の四季のうち、忽然として呼び嘯く猛風が起こり、屋瓦を翻し砂塵を巻き起こし、来勢が飛箭のように急なら、風の来る方位に依って精兵を配置し、火急にその方向の敵軍を戒備しなければならない。 猛風が一掠して過ぎ去り、飛箭のように速く後に杳として蹤跡がない。この種の風を「飋飆」と名づけ、暴疾の風である。現れたら速やかに戒備しなければならない。風声がやっと止息したら、敵兵が攻めて来る。もし日入後に起これば、禍を為すこととりわけ険悪である。 行軍して駐屯する際、天色が昏暗で雲影が斑駁とし、長く陰沈して開かず、しかし雨も降らず日光も雲彩も見えないなら、これは部下が主上を謀り、怨恨が極めて深い兆である。留意して細かく査訪しなければならない。
軍出京本作「離」國,風自背邊生京本作「興」。大則大贏為大勝京本作「吉兆」,小風小勝總堪徵,天意助吾行。 軍京本作「兵」大舉,方出帝王城。逆面風來軍恐懼,合將人馬結營停,守過待時更京本作「行」。 軍行次,風猛逆狂吹。出陣若逢如此兆,不如抽退得全歸,免損將兵辛本、川本作「軍」危。
大軍が国境を出る時、風が背後から吹いて来る。これは順風が師を送る象である。風が大きければ大勝、風が小さくても小勝があり、総じて出征できる。これは天意が我がこの行を助けるのである。 大軍が兵を挙げ、京城を出たばかりで逆風が迎え面して撲して来れば、全軍がこれで恐懼する。それなら人馬を結営して停駐させ、堅守して時を待ち、風候が転じて順になるのを待って行進すべきである。 行軍の途中、猛風が逆面して狂吹する。陣を出るときこの種の兆に遭えば、兵を収めて退還するに如かず、全軍を保って帰ることで、将士を損折し軍を危に陥れることを免れる。
吾擊彼,參審京本作「審彼」主人方。莫問四時並氣候,風來後助便辛本、川本作「得」無妨京本作「休論刑殺旺衰鄉」,逆面主災殃辛本、川本作「迎面莫徵狂」,京本作「風要細推詳」。 敵居所,風起自他方。便有精兵宜固守,若言舉動禍之殃,實語莫猜量。 假令京本作「今」法,且論在三冬。彼國守干吾欲討,風生辛本、川本、京本作「顛」西北不堪徵京本作「攻」,以此較餘宮。
我方が敵を攻撃するには、まず「主人」(一方を据えて守る側)の所在する方位を参酌し審察しなければならない。四時の節令と刑殺・旺衰の説に拘泥する必要はない。ただ風が背後から来て我を助ければ、兵を出して妨げはない。もし風が迎え面して来れば、主に災殃がある。 敵の居る方位で、風が別の方向から吹き起こり我を助けないなら、我方はたとえ精兵があっても固守すべきである。この時に軽挙妄動すれば禍を招く。これは実話で、更に猶疑して猜度する必要はない。 推算の例を一つ挙げる。仮に時を三冬とする。敵国が据守して我方が討伐しようとするとき、この時風が西北から起これば、まさに冬令で水が旺んであり、乾位が当権して風が守方を助けるので、進攻に宜しくない。その余の各宮の方位もすべてこれに照らして比較類推できる。
雖是應京本作「風雖應」,還則京本作「即」應他方。也是彼贏吾負象,候京本作「當」其風止或攻傍京本作「成殃」,不可不參詳京本作「量」。 假令法,彼國在離間。我擁軍前辛本、川本作「前軍」、京本作「全軍」時正夏,南征辛本、川本、京本作「侵」北敵京本作「狄」苦冬寒。隨象擊傾京本作「急摧」殘。 八方法,推辛本、川本、京本作「準」此定成功。好事京本作「是」急乘他事辛本、川本、京本作「氣」逆,勿拘朝暮速吞攻京本作「功」,莫放彼從容。
風は応験があるが、応じるのが別の方位であるなら、これも同じく敵が勝ち我が負ける象である。風が停まってから動くべきか、あるいは改めて旁側から進攻するか、この一層は仔細に参詳しなければならない。 もう一つ例を挙げる。敵国が「離」宮の南方に位する。我が軍を擁して前進するにまさに盛夏であり、火気がまさに旺んでいるので、南征すれば天時の助けを得る。反対に北方の敵は厳冬の酷寒に苦しみ、支え難い。このような物候の象に依って出撃すれば、敵勢を摧折できる。 八方の風向の推算法は、みな上の例に類推して成敗を定めればよい。最もよいのは、相手の節候と方位がともに逆のときを乗じて急速に兵を進めることで、早晚の時辰に拘泥せず、迅速に併呑して攻取し、敵に従容として布置する余裕を与えないことである。
己亥角,辰戌成從辛本、京本改便為商。丑未寅甲皆京本作「俱」屬徵子據辛本、京本改,宮音子午正相當,卯酉羽為方京本作「旁」。 占風法,申京本作「甲」子是貪狼。丑戌謂之公正位,奸邪辰位自然當。細審辛本、川本、京本作「審細」看來方。 亥卯位辛本、川本作「未」,陰賊內京本作「在」中藏。己酉辛本、川本、京本作「巳酉」謂之寬大日京本作「位」,廉貞寅午位辛本、川本作「未」其方,知京本作「加」意細推詳。
これは五音に干支を配する口訣である。己・亥は「角」音に属し、辰・戌は「商」音に属し、丑・未・寅・甲は「徵」音に属し、「宮」音はまさに子・午の両位に当り、卯・酉は「羽」音に属する。風を占うときはまず風の来る方位の属する音を取り、次に主客双方の姓氏の音と相配して吉凶を断つ。 風を占う法は、さらに各方位に星神の名号を配する。申・子の位は「貪狼」、丑・戌の位は「公正」と呼び、辰位は自然に「奸邪」に当る。風の来る方位を仔細に審辨して、それから吉凶を定めなければならない。 亥・卯の位は「陰賊」で、暗中に奸謀を蔵するを主る。巳・酉の位は「寛大」と称し、「廉貞」は寅・午の方に当る。占う者は心を用いて細かく推詳し、草率であってはならない。
占飄起,客認納音風。徵羽宮商並角姓,盡為主客辛本、川本、京本作「位」辨方蹤,勝負在其中。 納音土,欲得角來風。土是客軍水京本作「木」是主,風從己亥發來沖,客敗主收功。 納音土,風向羽來吹。卯酉位也。水被土凌能克伏,定知主敗客來追,莫要展旌旗。
風を占い始めるとき、客軍は「納音」に依って風の五行の属性を認め取らなければならない。徵・羽・宮・商・角の五音に配当された姓氏は、すべて主客双方の方位・蹤跡を分かち辨るのに用い、勝負はまさにこの中間に現れる。 客軍の納音が土に属する場合、本は「角」音の風が来て助けることを得たい。しかし角音は木に属し、土が客で木が主である。風が己亥の角位から衝発して来れば、木がかえって土を克するので、結果は客軍が敗れ主軍が功を得る。(「水是主」は京本では「木是主」で、五行の理に合う。) 客軍の納音が土に属し、風が「羽」音の位から吹いて来る場合——羽音はすなわち卯・酉の位である。羽は水に属し、水は土に凌克されて制伏される。主軍が敗れ客軍が勝に乗じて追撃すると断ずべきで、主方はもはや旗を張って迎戦するな。
軍營內,忽有旋風來京本作「卯酉羽風吹」。吹折槍旗並倒屋,奸謀惡黨並來推辛本、川本、京本作「欲來摧」,暗有賊兵欺京本作「來」。又防火。京本注:「風從內起謀在裡,風從外入賊在內。」 風來處,如式辛本作「遇」作泥人。葦箭挑弓披髮向,望空搭箭射來蹤。禳厭禍消鎔。 泥人子,手執木桃弓。披髮仰頭風上指,張弓搭箭射來蹤,禳厭禍消鎔。禳惡風法。
軍営の内で忽然として旋風が起こり、槍旗を吹き折り営房を倒すなら、これは奸謀の悪党が我が軍を摧折しに来て、暗中に敵兵が来犯する兆であり、同時に火災を防がなければならない。京本の注に言う。風が営内から外へ起これば、謀逆が自らの内部に出ることを説き、風が営外から吹き入れば、賊人がすでに営中に混じり込んだことを説く。 これは古い軍中で悪風を禳除する法術である。悪風の来るその方に、法式に依って泥人を一つ捏ね作り、頭髪を披散させ、手に蘆葦を箭として弓を挑げさせ、正しく風向に対し、空に向かって箭を搭えて風の来る蹤跡を射る。この「禳厭」の法を用いれば、災禍は消解できる。 その泥人の手には桃木の弓を一張執らせ、髪を披いて顔を仰がせ、風の起こる上方を指し、弓を張り箭を搭えて風の来る蹤跡を射れば、災禍はこれに随って消解する。これが悪風を禳除する法術である。
風衣起京本作「動」,晝則不聞聲。寇賊夜行明則伏,遣人窺辛本、川本作「探」視京本作「伺候」莫教停,防備夜偷營。 邦京本作「郡」與邑,風猛似雷聲。折木飛沙並京本作「兼」走石,搖門拔戶禍應生,第一怕三刑。京本注:「寅申己亥辰戌丑未之類。」 軍營內,風猛突然來。若在歲刑憂歲內,月刑之內必為災,準備莫遲回。
風がただ衣袂を微かに吹き動かし、昼間は風声が聞こえないなら、これは敵寇が夜に行軍し、天明すれば潜伏する兆である。人を遣わして絶えず窺い伺候させ、敵軍が夜間に営を偷うことを防がなければならない。 城邦・州県の上空で、風が雷聲のように猛く轟き、樹木を折り、砂を飛ばし石を走らせ、門を揺り戸を拔くなら、まさに禍事が発生すべきである。その中で最も恐れるのは当日「三刑」を犯すことである。京本の注に言う。三刑は寅・申・巳・亥、辰・戌・丑・未の類の刑冲の組み合わせを指す。 軍営の内で猛風が突然襲って来て、もし当日まさに「歳刑」を犯していれば、一年の内に事が起こることを憂慮しなければならない。もし「月刑」を犯していれば、本月の内に必ず災禍が生じる。早めに準備し、遅疑して退縮してはならない。
干與坎,艮震巽離宮。坤兌八方真正位,敵軍京本作「人」居守起方風,狂辛本、川本、京本作「枉」戰我無功攻據辛本、川本、京本改。 吾攻彼,審令看風情。令不順方兵辛本、川本、京本作「吾」莫京本作「可」擊,風如京本作「仍」順我必攻城京本作「成」,降虜出前迎。 營下畢,風卒似雷聲。吹倒槍旗並辛本、川本、京本作「旗槍飄」帳幕,須防敵騎欲偷辛本、川本作「棄」、京本作「奪」營,大戰血交並。天風起,有雷聲吼,三朝五日同。
乾・坎・艮・震・巽・離・坤・兌、これは八方の正位である。もし風が正しく敵軍の据えて守るその一方から吹き起これば、風勢が守方を助けるに等しく、我方が強いて開戦しても徒労で、攻めても功がない。 我方が敵を攻めようとするには、まず時令を審察し風情を察しなければならない。時令と方位が相順じないときは、出撃してはならない。風勢が我に順えば、城を攻めれば必ず克ち、敵虜も城を出て前に来て投降し迎接する。 営寨を立て終えたばかりで、忽として暴風が起こり声が雷鳴のように槍旗を吹き倒し帳幕を翻すなら、敵騎が襲撃して営を奪いに来ることを防がなければならない。血戦があるだろう。もし天風が大いに作し雷聲が吼動するを伴えば、この種の応験は三日から五日の内は同じく有効である。
兵行次,風卒亂辛本、京本作「突」軍旗。人馬驚奔皆恐懼京本作「悸恐」,前程必有廟堂期京本作「基」,祭拜免災危。 臨陣次京本作「處」,風向後飄京本作「頭」來。旗幟翩翩吹向敵京本作「從敵上」,天威默助凱歌回,賊敗息京本作「悉」塵埃。 臨陣次京本作「處」,風起四維間。兵近塞京本作「寨」邊先備敵,更辛本、京本作「便」從豹尾擊黃幡。殺敵京本作「賊」不為難。
行軍の途中、暴風が突如起こり軍旗を攪乱し、人馬が驚奔し上下が恐懼するなら、これは前路に必ず神祠・廟宇がある兆である。その時に祭拜を一番すれば災危を免れることができる。 陣に臨み壘に対する時、風が我が軍の背後から吹いて来て、旗幟が翩翩として敵方に向かって飄巻するなら、これは上天の威霊が暗中に助ける象である。我が軍は必ず凱歌を奏して回り、敵兵は敗散し塵埃は尽く息む。 陣に臨む時、風が「四維」——乾・坤・艮・巽の四つの隅位の間から起これば、兵馬がすでに寨辺に迫っている。まず敵の来襲を戒備しなければならない。後に「豹尾」「黄幡」という二つの神煞の所在する方位に依って出撃すれば、敵を殺すのも難事と数えない。
占雲第三(京本は「占雲第二十四」)・二十六首
兵若進,先辛本、京本作「須」要京本作「是」識浮雲。雲氣順時京本作「隨」當急京本作「速」戰,毋京本作「勿」令雲散後交兵,莫問晝陰晴。 商音姓,軍陣見雲從從營從辛本、京本改。白與黑時京本作「兮」吾大吉,青雲亦京本作「主」勝赤雲凶,黃者兩平蹤。辛本注:「主取天子姓,不主出帥姓。」京本注:「天子出,取天子姓,不出則以主將。」 角音姓,青氣見辛本作「寓」晴空。黃赤二雲軍京本作「兵」亦勝,黑雲陰助喜先鋒,白色定為凶。
軍隊がまさに進兵しようとするとき、まず天上の浮雲を辨識しなければならない。雲気の主るところが我方と相順する時は、時機を捉えて決戦すべきで、決して雲気が消散した後に兵を交えてはならない。その時が白昼か陰晴かは、いずれも計較するに足りない。 主将の姓氏が「商」音に属する者(五音では金に属す)の軍陣上空に、雲気が営中から昇るのを見たとき:白雲・黒雲は我に大吉を主り、青雲も勝を得るを主り、赤雲は凶、黄雲は両辺が勢均力敵である。辛本の注に言う。音を取るには天子の姓を主とし、出征の主帥の姓を取らない。京本の注に言う。天子が親征すれば天子の姓を取り、天子が出征しなければ主将の姓を以て推す。 主将の姓氏が「角」音に属する者(五音では木に属す)が、もし青色の雲気が晴空に現れるのを見れば、これは本音が気を得たものである。黄・赤の両色の雲が現れても、軍隊は勝を得ることができる。黒雲が暗中に助け、先鋒が出撃するに利ある。ただ白色の雲が現れるときは、金が来て木を克し、必ず凶となる。
宮音姓,黃色京本作「赤」要先逢。青色氣京本作「雲」來軍大敗,更兼兵死將無功,黑氣利先攻京本作「鋒」。 徵音姓,赤色火燒金。非火京本作「是」克金成大器,青雲京本作「贏」黃助黑雲凶辛本作「白雲黑氣現黃雲」。軍將禍京本作「盡」殃深。 羽音姓,惟是辛本作「事」要青京本作「黑雲」青。列陣賊來先自京本作「是」走,赤黃白黑京本作「赤雲遍處」總非贏,宜退京本作「去」不宜徵。
主将の姓氏が「宮」音に属する者(五音では土に属す)が、まず黄色の雲気に遭うのがよい。黄は土の本色である。青色の雲気が来れば、木が来て土を克し、軍隊は大敗を喫し、兵卒が傷亡し主将も功なしとなる。黒色の雲気は先に発して進攻するに利がある。 主将の姓氏が「徵」音に属する者(五音では火に属す)については、赤色は火に属し、火は金石を焼錬できる。火が金を克するとかえって金を大器と成すので、純粋に凶とは数えない。青雲・黄雲が来れば相助けて吉、黒雲が現れれば水が来て火を克して凶となり、主将は深重の禍殃がある。 主将の姓氏が「羽」音に属する者(五音では水に属す)は、ただ青色の雲気を見るのが宜しい。水が木を生み、木は水の子で相生して吉である。この象があれば、陣を列する時に敵兵は戦わずして先に走る。もし赤・黄・白・黒の各色を見れば、いずれも勝を得られず、兵を退かすべきで出征に宜しくない。
雲起處京本作「氣至」,形色辛本、川本作「行色」重而烏。暗伏賊兵京本作「師」軍不見,露其形體京本作「體象」在高隅,一半是番胡。 雲起處京本作「氣至」,低覆似人形。此是賊軍辛本作「兵」謀我象京本作「重」,須防入境起征凶京本作「凶徵」,遣將用精兵。 雲似虎,或若豹行形京本作「形行」。及似穿連走匹練首本注:「一作驄」。辛本、川本作「絹」。暴師入境卻偷營,排京本作「(□□去)」陣整兵迎。
雲氣の昇る所、形色が濃重で黒みを帯びているのは、敵がひそかに伏兵を置き我軍がまだ察知していない象である。雲氣が重濁して散らないのは、まさに伏兵の形を高い所の一角に顕しているのであり、来犯する者の約半分は外族の番兵である。占う者は氣の指す所に循って伏兵の道を捜索すべきである。 雲氣の昇る所、低く覆い壓して形が人のようであり、雲が低く垂れて人が身を俯せて窺うようであるのは、敵軍がまさに我方を謀算している象である。敵が国境を越えて来犯して凶事を生ずるのを防がねばならず、良将を遣派し精兵を動かして迎え撃つべきで、坐してその至るのを待ってはならない。 雲の形が虎のよう、あるいは豹が行くよう、また一匹一匹の白練が連なって奔り過ぎるようである。虎豹は殺伐を主り、白練は兵刃を主る。ゆえにこれは強暴の軍が国境を越えて來り營寨を襲うことを主り、あらかじめ陣勢を排列し兵馬を整肅してその至るを待つべきで、戒備を疎かにしてはならない。(「匹練」は首本の注に一作「驄」、辛本・川本は「匹絹」と作る。)
四方現,雲色京本作「氣」競騰過。黯淡相親京本作「侵」來我寨,賊來請命未為和,賢將莫蹉跎。 雲起現,片片或舒長。有似舒繩排椽木,名為愁氣不相當,現處將憂喪。 雲氣赤,尤更接連綿。有似長藤無京本作「並」斷續,外邦賊起入京本作「及」中原,主戰在秋天京本作「前」。
四方にことごとく雲氣が現れ、爭って騰涌して過ぎ、色澤が黯淡として我が軍の營寨に侵逼する。この時敵が來りて降を請い命を求めるのは真心からの講和ではなく、賢明な將領はこれによって戦機を蹉蛇してはならない。 雲氣が現れ、一片一片に舒展して延長し、繩索を鋪くよう、椽木を列ねるようである。この雲を「愁氣」と名づけ、不祥の象である。どの方角に現れるや、その方角の將領に憂喪の事がある。 赤色の雲氣が接続して綿延し、長い藤のように間斷がない。赤は兵火の色であり、綿延不斷なれば兵禍が相尋ぐことを主る。これは外邦が兵を興して亂を作し、中原に侵入する先兆であり、應驗する戰事は多く秋の金氣が時を當たるの頃である。邊將は早くより籌備すべきである。
雲氣赤,那更滿蒼京本作「青」天。必定賊來侵我界,黑雲中赤亦徒然,吾將必京本作「莫」遷延。 雲來往,有似兩爭龍龍爭從辛本、川本改,京本作「兩條龍」。只在外軍盤頂上,賊邦兵將必逢凶,我帥顯英雄。 軍似鳥,盤繞在其京本作「軍」中。此時京本作「是」上方天京本作「蒼加」助順,不宜複見黑雲峰,連赤亦為凶。
赤色の雲氣が天空一面に布滿するのは、必ず敵寇が來りて我が疆界を侵犯するのである。たとえ黑雲の中に赤色を夾帶しても、同じく徒勞で益なし(=凶兆を免れない)。我が將帥は必ず早く備えを作し、遷延してはならない。 雲氣が往來交錯し、あたかも二條の龍が爭鬥するようであり、しかもただ敵軍陣地の上空に盤旋するならば、敵國の兵將は必ず凶に遭い、我方の主帥はまさに英雄の本色を顯すべきである。 軍營上の雲上の雲氣の形が鳥のようで、軍中に盤繞するのは、上天が意を加えて順に助ける象である。ただし更に黑雲が峰のような樣子を現してはならず、黑の中に赤色を連ねるのはなおさら凶兆である。
甲乙日,大辛本、川本作「將」忌白雲前。若奔吾軍還勢急,理當速退京本作「去」舍平川,守固在京本作「固守險」高原。 丙丁日,若京本作「前」遇黑雲攔辛本、川本作「閒」。莫恃兵多兼將勇,也宜堅守京本作「壁」引師還。征戰京本作「伐」必遭殘殃從京本改。 戊己日,前面有雲青。忽止忽行權且住辛本、川本作「急止匆行權住在」,京本作「急止勿行權住寨」,似以京本為長,軍人訛辛本、川本作「須」語審詳聽,施德惠於京本作「其」兵辛本、川本作「施惠得中旌」。
甲乙の木に屬する日は、最も白雲が前に當たるを忌む。白は金の色で、金は木を剋する。若し白雲が急速に我軍に奔り來り勢い凶猛ならば、理の當然として速やかに退き、平川を捨て、高原の險處に退守して固守すべきである。 丙丁の火に屬する日、若し黑雲に當たり攔阻されれば、黑は水の色で、水は火を剋する。この時兵多く將勇なるを恃んではならず、營壁を堅守し兵を引き退かせるべきである。強いて出戰すれば、必ず殘敗の殃を受ける。 戊己の土に屬する日、前方に青雲が現れるのは、青は木の色で、木は土を剋する。雲氣が忽ち止み忽ち行くならば、しばらく駐紮して動かずすべきである。軍中の流言・訛語は仔細に審聽し、士卒に恩德を施して惠養し、軍心を安んずべきである。この句は各本で異文が頗る多く、京本「急止勿行權住寨」の文意を以て長とする。
庚辛日,前忌赤雲來。勢緊迫京本作「迎」吾須大戰,彼軍得勝我軍摧,守險固顛危。過旬(京本作「日」)中卻行。 壬癸日,雲忌暗京本作「色」而黃。此兆主災軍京本作「兵」將損辛本、川本作「迎老將」,無緣兵廣恣猖狂,謀者審京本作「貴密」而詳。 觀現從辛本、京本改雲氣,擇士細詳京本作「汝當」看。晝夜用同從辛本改心精審究京本作「卻須精細審」,莫將此事以京本作「擬」為閒,風色便辛本作「辨」,京本作「旺」相干。
庚辛の金に屬する日は、最も赤赤雲が前に當たるを忌む。赤は火の色で、火は金を剋する。若し勢いが緊迫して我が大戰を逼るならば、敵軍が勝を得て我軍が挫かれる。險要に據守して危局を穩め、旬中十日の期を過ぎてから更に兵を進めるべきである。 壬癸の水に屬する日は、最も雲色の暗黄を忌む。黃は土の色で、土は水を剋する。この兆は災禍あり、軍中の將佐が折損することを主る。たとえ兵多くともこれによって恣意に猖狂してはならず、謀る者は周密詳審なるを貴ぶ。 現れる雲氣を觀察するには、専人を選んで細かく詳しく看るべきである。晝夜ともに同じく心を用いて精審に推究し、決してこの事を閒事と看成してはならない。風向と雲色はもとより互いに關連し、合わせて參して初めて斷ずること正確なり。
軍營上,雲若似飛烏。有似蓋來並伏虎,此為勝氣不須疑,攻則定疏虞。 軍營上,雲若死灰揚。若似辛本、川本作「蓋」臥魚或乍見,此為衰氣不須張,不動將兵辛本、川本作「軍」亡。移寨遠處吉。 城頭上,突出赤色雲。或是黃紅雲上現,城中不久喜來臻,以此得和平。
軍營上空の雲が若し飛鳥のよう、あるいは華蓋が覆い來るよう、猛虎が伏臥するようであれば、これすなわち「勝氣」であり、遲疑する要はない。この象があって出撃すれば、敵は必ず防備を疎かにする。 軍營上空の雲が若し死灰の揚がるよう、また魚が橫臥して忽ち隱れ忽ち現れるようであれば、これすなわち「衰氣」であり、用兵を張揚してはならない。更に動かなければ、將士は覆亡する。この時營寨を遠い處に遷してこそ吉なり。 城頭上に突然赤色の雲氣が涌き出し、あるいは黃赤色の雲氣が上方に現れる。赤黃相兼は火土相生に屬し、生旺の色であって殺伐の色ではない。ゆえに城中ほどなく喜事が來臨し、この兆に憑って戰を化して和となすべく、城を圍む一方は更に強攻する要はない。
占候法,雞羽作為車。二者勿惟牙帳內,敵人千里外須圖,知辨在須臾。 將軍善,識得氣妖祥。風角鳥占能總解,心無機巧計從長,報國效忠良。既有其象,當隨其景,就謀術,以破其軍。
占候の法は、鷄毛で風を測るのと相風輪車の兩樣の器具を用い、それらは中軍牙帳を離れてはならない。この兩樣に憑れば、千里之外の敵情も推圖して出來、吉凶を辨識するのはただ片刻の間である。 良將の長の長處は、雲氣の妖異と祥瑞とを辨識し得るに在り。「風角」「鳥占」諸術が皆通解でき、心に機巧の私意を存せず、謀略自ら長遠、かくの如くして初めて國に報いて忠を盡くせる。既然としてこのような天象が現れた以上、それが示す景況に順い、謀略と術法とを配合して、敵軍を攻破すべきである。
占氣第四(京本は「占氣第二十三」と作る)・三十一首
占氣色辛本作「法」,雞羽為輪車。二者勿離牙帳內,敵人千里外須知,圖變在須臾。 軍既舉,惟以氣為先。兵若精雄加氣銳,超關投石可攻前,鼓作在英賢。 將軍善一作「位」,識得一作「善識」氣妖祥。風角鳥雲能總解,機籌策謀略又應均從辛本改相當,取勝應功良一作「征討又功強」。
氣色を占望するには、鷄毛測風と相風輪車のこの兩樣の器具に靠らねばならない。それらは中軍牙帳を離れてはならない。それらがあれば、千里之外の敵情も知ることができ、敵が圖謀する變化も片刻の間に察覺できる。 大軍すでに出動した以上、雲氣を觀望するを以て第一の要務とする。士卒が若し精悍雄壯にして氣勢銳利ならば、關を越え隘を奪い、投石破城して向前進攻できる。この銳氣を鼓舞できるか否かは、すべて主將が英明賢能なるかどうかを看る。 良將の長處は、雲氣の妖祥を識別し得るに在り。「風角」「鳥占」「望雲」諸術が皆通解でき、臨機の籌算と謀略とが皆相稱して當を得ていれば、このように勝を取り功を建つの自然と順利である。
軍辛本、川本、京本作「兵」進擊,睹京本作「觀」氣合參詳。不似京本作「必」攻城並野戰,度其形狀自京本作「細」斟量,稍錯便乖張。 城營內,氣似鳳京本作「似鳳或」如龍。更若大京本作「太」山並類蓋,猶如辛本作「人」火京本作「人大」赤降城中,其下不堪攻。下必有貴人。 高空現,拂拂又微微。透闕京本作「秀潤」輕籠煙靉靉,一般黃氣色依依,慶賀兩朝期。
軍隊が進撃する時、雲氣を見れば合わせて參じ詳しく審すべきである。攻城であれ野戰であれ、皆雲氣の形狀を揣度して仔細に斟酌すべきで、些かでも差錯があれば、判斷は全然乖謬となる。 城池營壘の内、雲氣の形狀が鳳のよう、龍のよう、あるいは泰山のよう、華蓋のよう、また赤色の火光が城中に降落するようであれば、この城は攻むべからず——その下に必ず貴人が鎭守している。 高空の中に雲氣が現れ、輕輕と拂い動き、隱隱微微、城闕を透かして輕く煙靄のように籠る。若し一片の黃色の氣韻が柔和に繚繞するならば、それは祥瑞の氣であり、兩國朝廷にともに慶賀すべき事あるを主る。
猛將氣,龍虎兩京本作「氣」相連。掛翳蔽天兼掠地,蔓瓜蓋路京本作「地」覆平川,堅守莫爭先。 猛將氣,樓閣及旌幢。或似長堤形淼淼,更如華京本作「兵」蓋與王良京本作「蟲狼」,其下莫能當。 猛將氣,黑色似龍形。或似辛本、川本、京本作「類」虎形京本作「熊」並猛獸,當京本作「形」其敵上或城營,不可向前徵。
猛將の氣は、形が龍虎兩つ相連接するよう、垂れ挂かり遮翳し、上は天空を蔽い下は地面を掠め、また瓜蔓が道路を覆い、平川に鋪滿するよう。この氣が若し敵方に現れれば、堅守すべきで、爭い先んじて出戰してはならない。 猛將の氣は、形が樓閣のよう、旌旗幢幡のよう、あるいは長堤のごとく水氣浩渺、また「華蓋」星と「王良」星の形狀のよう。この氣の籠罩する方角は、抵當し得る者なし。 猛將の氣は、黑色を作し形が龍のよう、あるいは虎、熊などの猛獸のよう。この氣が若しまさに敵軍の上空あるいは敵方の城營の上に當たれば、向前に進攻してはならない。
猛將氣,顯赫京本作「象」又衝天。或似雙蛇山嶽辛本、川本作「兵」樣,又如倉廩及濃煙,休戰最為先。 猛將氣,持戟京本作「戈」又辛本、川本、京本作「或」持刀。林下森森弓弩樣,色兼青白若脂膏,將士盡雄豪。 猛將氣,如虎黑霞遮。或似門樓旗立內,又如氣出若蛟蛇,其下將堪誇。
猛將の氣は、顯赫奪目にして直に霄に霄漢に衝ち、あるいは雙蛇のよう、山岳の形狀のよう、また倉廩のよう、濃煙のよう。この氣を見れば、首要の事は戰を停めその鋒芒を避けることである。 猛將の氣は、形が人が長戟を持ち、大刀を執るよう、また樹林の下に森森と羅列する弓弩のよう、色は青白相兼、潤澤は脂膏の如し。これはその一方の將士が個個雄豪なるを表明する。 猛將の氣は、形が猛虎にして黑霞に遮掩され、あるいは門樓の內に旗幟が豎立するよう、また氣が流れ吐出して蛟の如く蛇の似るよう。この氣の下の主將は、實力稱道に足る。
暴兵氣,如火又如煙。或似旗旛並戰京本作「五」馬,低頭仰京本作「傾」尾面從辛本、川本、京本改向軍前京本作「前軍」,觸戰血成川。 伏兵氣,渾渾又能圓。黑京本作「赤」氣中間環赤色辛本、川本作「色」,京本作「含黑氣」,又如赤杵黑霞連京本作「邊」,其下立戈鋋。狀如赤杵在黑氣中也(據京本補)。 降兵氣,叉手盡低頭。形似成行相把手,三朝五日敵兵辛本、川本、京本作「來」求,指日倒戈矛。
暴兵の氣は、形狀が火の如くまた煙の如し、あるいは旗幡のよう、戰馬のよう、頭を低く垂れ尾を翹げ、面して我軍の前列に向かい來る。いったん接戰すれば、血流れ河を成す。 伏兵の氣は、渾然たる一團にして凝圓を成し得、黑氣の中間に赤色を環り、また赤色の木杵が黑霞と相連するよう。この氣の下に必ず戈を執り矛を持つ伏兵が埋藏されている。その樣子はすなわち一根の赤杵が黑氣の中に置かれたようである。 降兵の氣は、形が衆人が手を叉し、一齊に頭を低く垂れるよう、また行を成した人が互いに手を牽くよう。この氣を見れば、三五日の内に敵兵が來りて降を乞い、指日の間に戈を倒して來歸する。
伏兵氣,仿(上髟下弗)狀如樓。兼有似人形黑赤,或如京本作「如逢」山嶽立辛本、川本、京本作「覆」崗丘京本作「頭」,其下有戈矛。 兵發京本作「發兵」日,天氣久陰沉。不雨又無光彩色,奸人謀事京本作「士」恨懷心,仔細速京本作「早」推尋。 觀現從京本、辛本、川本改氣色,日月氣來沖。北面氣來還北壯,氣南南壯或西東,常京本作「俱」以此為宗。
伏兵の氣は、髣彿として形狀が一座の樓のよう、また黑赤色の人形を夾雜し、あるいは山岳が岡丘の上に覆壓するよう。この氣の下に戈を執り矛を持つ伏兵が藏れている。 出兵の日、天色が久久しく陰沈し、雨も降らず光彩も見えないのは、奸人が怨恨を懷き暗中に圖謀する象であり、仔細かつ迅速に推査して追尋すべきである。 現れる氣色を觀察するには、それが日月の氣と相衝相向するのを看なければならない。氣が北面から來れば北方が強盛であり、氣が南方にあれば南方が強盛であり、東西兩方もこれに照らして類推する。凡そ氣を占うは、皆この原則を以て根本とする。
城上氣,結似犬羊京本作「作犬頭」形。象主血流圍邑破,好持降類出門迎,方免血京本作「死」殘兵。 占蒙氣,鬱鬱達辛本作「繞」城營。其氣周迴如帛繞,分毫不入此城中,休擊此般城。 城營寨,有氣入城中。必主奸謀事已定,安排大戰奪吾城,謹守令嚴明。
城上の雲氣が凝結して犬羊の形を成す。この象は血流れ河を成し、城邑が圍まれて破られるを主る。守る方は降書を備え、城を出て迎え降するが最も良く、士卒が血に染め殘殺される禍を免れるを得る。 「蒙氣」を占望し、それが郁郁然として城營を環繞し、氣勢周回して一匹の帛が城牆を纏繞するようで、しかも分毫も城中に侵入しないを見れば、これはこの城に神靈の護持あるを説明し、このような城を攻めてはならない。 我方の城池營寨に若し外來の氣が城中に侵入すれば、必ず敵方の奸謀すでに定まり、まさに大戰を部署して我が城池を奪わんとするを主る。謹んで守禦し、號令を嚴明にすべきである。
軍上氣,漸漸變成雲。或作山形於直上,內中將有大辛本作「大有將」機謀,要擊且休休。 臨陣次,赤氣後前生。必有伏兵埋氣下,事須雖從辛本、川本改謹慎探其情,固守莫胡行。 占敗氣,如綱又如蛇。赤氣照天營上起,又如破屋壞氈車,其下死如麻。
軍營上空の氣が漸く變じて雲となり、あるいは正上方に山の形狀を結ぶは、この軍中の將領が重大なる機謀を懷くを説明する。攻撃しようとするも、しばらく手を罷むが良い。 臨陣の際、赤氣が前後に生起すれば、その氣の下に必ず兵馬が埋伏している。事は謹慎を要し、まず實情を探明し、堅守して機を待ち、胡亂に行動してはならない。 敗氣を占望し、形狀が網羅のようまた長蛇のよう、赤氣が天を照して營上より升起し、また破敗の屋舍、損壞の氈車のよう。この氣の下は、人馬の死傷麻の如し。
占敗氣,卷京本作「掃」帚似豬羊。藤蔓死蛟並京本作「蛇兼」死狗,塵埃走鹿又京本作「及」驚獐,不戰自奔亡。 占敗氣,群鳥似低頭。或類揚灰魚臥樣辛本、京本作「死」,懸鐘映暈或牽牛,才戰若星流。 占敗氣,掃京本作「如」帚又如虹。卷席京本作「鑼鼓」懸衣灰色樣,臥尸無首覆船同,戰彼不須攻。
敗氣を占望し、形が掃帚のよう、また豬羊のよう、藤蔓のよう、死去した蛟蛇と死狗のよう、塵埃の中に奔逃する鹿、驚いた獐のよう。この氣を現す一方は交戰する要もなく、自ら潰散して奔亡する。 敗氣を占望し、形が群鳥の頭を低くするよう、あるいは揚げる灰塵のよう、魚が橫臥し僵死する狀のよう、懸挂の鐘が光暈を映すよう、また牛を牽いて行く樣子のよう。この氣あれば、一交戰すれば流星のように散落潰敗する。 敗氣を占望し、形が掃帚のようまた長虹のよう、卷き上げた席子、懸挂の衣裳のよう、灰暗の色を作し、また無頭の臥尸、翻覆の船隻のよう。敵方にこの氣が現れれば、ただその自敗を待つのみ、強攻する要はない。
敗軍京本作「占敗」氣,鳩尾及鷹京本作「鸚」飛。或似壞山並破屋,彼軍形京本作「有」現敗無疑,一戰自京本作「才戰便」奔馳。 敗軍氣,乍有京本作「大」乍微纖京本作「微」。一去一來皆斷續,又如霞氣入青天京本作「在平田」,俱是敗之先京本作「亡原」。 敗軍氣,千萬似人頭。更有京本作「似」偃魚零落樹,如灰京本作「又如」瓦礫覆城樓,其下血交流。 黑氣現,其象若胡人。又似虜兵京本作「軍」排列陣,八方夷夏京本作「狄」起煙塵,民戮屋燒焚。
敗軍の氣は、形が鳩尾のよう、鷹の飛ぶよう、あるいは崩壞の山、倒塌の屋のよう。敵軍の上空にこの形狀が現れれば、敗局疑いなく、一交戰すれば彼らは奔逃する。 敗軍の氣は、忽ち顯著に忽ち纖細、一去一來斷斷續續、また霞氣が消散して青天に入るよう。氣が凝聚して形を成さないのは、まさに軍心が渙散し士氣が持久し難いを表明し、ゆえにこれらは皆敗亡の先兆である。 敗軍の氣は、成千上萬人頭が攢動するよう、また仰臥の魚、凋零の樹のよう、灰燼瓦礫が城樓上に覆壓するよう。この氣の下は、必ず血流れ交橫する。 黑氣が現れ、形象が胡人のよう、また敵虜が陣勢を排列するよう、八方華夷の間に烽煙が四起する。これは百姓の屠戮、房屋の焚燒を主る。
占霧第五(京本は第八に列す)・十首
天霧者,不止四時生。陽不順時陰成霧,陰不和上霧昏沉辛本、川本作「昏昏」。邪氣事難精。 天之霧,五七日當占。有雨時時且平吉,若無雨時疫瘟纏。民病有災愆。 相對敵,有霧敵京本作「客」邊來。似雨紛紛來京本作「須」勢急,如煙入眼目京本作「眼」難開。馬步一齊京本作「時」來。
天上の霧は、ある一つの季節に限って生ずるのではない。陽氣が時に應じて舒發できず、陰氣が凝結して霧を成し、陰氣がまた上にある陽氣と調和できず、霧は昏沈して散らない。これは天地間の邪氣の結ぶ所であり、その中の主する事は精確に推確に推斷し難く、大體不祥と斷ずるのみである。 天上に霧が起こるは、五〜七日連ねて看て初めて斷語を下すべきである。この期間若し時時雨あれば、霧は雨に随いて解け、なお平安に屬す。若し始終雨なければ、瘟疫が身に纏い、百姓多く病み、災殃斷えず、軍中はとりわけ防疫を須とする。 兩軍對壘の時、霧が敵方のあちらより涌き來り、紛紛として落雨の如く勢い急驟、また煙のように目を迷わせ開き難い。霧が彼方より來りて我に逼るは、彼動我靜の象で、これは敵方の騎兵と步卒が將に一齊に掩殺して來らんとする征兆である。直ちに隊を整え應戰し、かつ霧の中に疑兵を多く設け、衝突を嚴防すべきである。
兵發日,霧氣晝昏昏京本作「紛紛」。一辛本、川本、京本作「欲」似露來兼灑京本作「霧來兼似」雨,此為天泣淚京本作「血」紛紛,須駐京本作「駐泊」賞三軍。 久陰霧,顏色帶紅鮮。更被黃辛本、川本、京本作「黑」風吹上去,兵戈即日京本作「目」展平川,速備京本作「避」莫遷延。 城營上,有霧似懸尸。為將且須觀此象,所居營寨即那京本作「須」移。不去將當之。
出兵の日、霧氣が終日昏昏として開けず、降露の如くまた洒雨を夾むは、これを「天泣」と謂い、上天の垂淚の象である。これに遇うては軍を駐めて進まず、三軍を犒賞して人心を安撫し、天象が和に轉ずるを待って行止を作すべきである。 久陰が霧を生じ、霧色が鮮紅を帶び、また黑風に吹卷されて上騰するは、兵戈の禍が當日に平川に展開するを主る。迅速に戒備し、あるいは早くに避け、遷延觀望してはならない。 城池營壘の上、霧氣が懸吊する尸首のように結ぶは、將たる者は必ずこの物象に留意せねばならず、駐する營寨は立即に遷走すべきである。遷走しなければ、この凶禍は主將自身の身上に應ずる。
軍營內,大霧數朝濃首本作「昏」,從辛本、川本、京本改。晝夜不開相對敵,客軍先敗走奔衝,排陣辛本、川本、京本作「隊」襲其蹤。 城京本作「軍」營內,大霧起城頭。白色似京本作「沙」煙兵戰起辛本、川本、京本作「喜」,三朝五日簇戈矛,準備好京本作「防備外」方遊。
軍營の內に大霧が數日連ねて濃重、晝夜ともに消散せず、この時兩軍相持するに、客軍(遠來して進攻する一方)は先に敗散し奔逃する。主軍は隊伍を排列し、その去路を追襲すべきである。 城營の內、大霧が城頭より升起し、白く煙の如きは、戰事將に興らんとし、三五日の內に刀槍相接するを主る。あらかじめ準備を停當し、かつ外方に游動する敵騎の襲擾に備うべきである。
大京本作「青」黃霧,騰(上日下卓)京本作「勝氣」掩山川。乍合乍開防詐偽,須防內外有京本作「與外」相連,不悟血侵京本作「浸」田。 周迴霧,城內沒些兒。欲要攻城攻不得,其城天助有軍威,謹守自安宜。
大片の黃霧が騰涌昭著、山川を遮掩し、忽ち合し忽ち開く。これは敵人が詐僞の計を施すを主り、また內部に人あって外敵と暗中勾連するを備うべきである。若し察覺できなければ、田野に血を染むることとなる。 霧氣が城池の四周を環繞し、城內には一點もないは、これは上天がこの城を助け、城中自ら軍威ある象である。このような城を攻めようとしても下せない。守る方はただ謹慎して固守すれば、自然安穩である。
占霞第六(京本は第二十六に列す)・十一首
占霞色,似氣不相成。形若似雲雲不是,形如拖掃氣紛紛,識者自詳因。 兵發日,占顧京本作「看」面前霞。甲乙怕逢霞氣白,丙丁黑氣向前遮,大戰不應差京本作「定交加」。 兵發日,霞氣日辰並辛本、川本作「兵」。縱有前程應京本作「勿」大戰,逢霞生日應須贏,拗日不宜京本作「須」徵辛本、川本作「多精」。甲乙日黃、戊己日黑之類。
霞色を占望すれば、それは雲氣に似てしかも雲氣より結ぶに由らず。形狀を看れば雲に似て、しかも雲に非ず。拖曳する掃帚のよう、氣象紛紜。行を識る者は自ずからその成因と主するところを詳辨する。 出兵の日、正前方の霞氣を回看すべきである。甲乙の木に屬する日は、白色の霞氣に遇うを怕る。白は金に屬して金が木を剋するが故である。丙丁の火に屬する日は、黑氣が前に遮攔するを怕る。黑は水に屬して水が火を剋するが故である。この兩種に遇えば、大戰必至、應驗に差はない。 出兵の日、霞氣の色を當日の干支と合わせて看るべきである。たとえ前路當に大戰あるべくとも、霞色が當日の日干を生じ得るならば、當に勝を取るべし。若し霞色が日干と相拗なれば、出征に宜しからず。原注が例を挙げて説くに、甲乙木日に黃霞を見、戊己土日に黑霞を見は、皆相拗の一類に屬す。
觀霞氣辛本、川本作「氣色」,霞氣日辰裁京本作「諧」。兵進前途交戰勝,開疆玉帛積成堆,人馬盡驅來。 兵發日,五氣辨災祥。角姓怕逢霞氣白,羽音黃氣莫禁京本作「相」當,宮姓怕青蒼。 商音姓,前怕赤霞攔。徵姓黑霞並黑氣,皆為鬼賊怕相殘京本作「攀」,不得視為閒。
霞氣を觀察するには、當日の干支を用いて吉凶を裁斷すべきである。若し霞色が日辰と相諧なれば、進兵の前途交戰必勝、疆土を開拓し、繳獲する玉帛は山を堆し、敵方の人馬も皆驅趕されて來り我に歸す。 出兵の日、五色の氣を用いて災祥を辨別すべきである。主將の姓が「角」音に屬するは木に屬し、白色の霞氣を見るを怕る。「羽」音に屬するは水に屬し、黃色の霞氣が前に當たるに受け難し。「宮」音に屬するは土に屬し、青蒼の色を見るを怕る。皆剋せられるが故である。 主將の姓が「商」音に屬するは金に屬し、赤色の霞氣が前方に攔むを怕る。「徵」音に屬するは火に屬し、黑霞黑氣を怕る。これら我を剋する色を皆「鬼賊」と謂い、彼此殘傷を主り、閒事として看てはならない。
城營上,五色氣並霞。盡是賊京本作「敗」軍天預顯,早須為計好防他辛本、川本作「警覺較量些」、京本作「警悟較些些」。否則死如麻。 霞與氣,二件或相兼。氣若色黃赤白好,霞如黑色亦京本作「氣色一」同占,仿(上髟下弗)在良賢。 霞似虎辛本作「似席」、京本作「與氣」,雲即便京本作「變」為龍。龍虎相交軍必戰川本、辛本作「勝」,臨時勝負更看風辛本、川本作「辨誰凶」,逐辛本、川本作「遂」我彼軍凶。
城池營寨の上空に五色の氣と霞光とが並び現るは、これ皆上天が預め顯示する敗軍の兆である。早く籌劃し、警覺して提防せねば、さもなくば死傷麻の如し。 霞と氣の兩樣、時に同時に出現する。氣が若し黃・赤・白三色を作すを好しとし、霞が若し黑色を作すも、同樣の方法に照して合并して占斷する。その中の細微の分寸は、すべて賢能の占者の體會に靠る。 霞の形狀が虎の如く、雲は随いて變化して龍となる。龍虎相交なれば、兩軍必ず一戰あり。臨陣の勝負はなお風向を參看すべく、風が若し我に順なれば、凶禍は敵軍の身上に應ずる。
出軍日,霞氣莫前攔。我後氣來風更順,從他前銳後寬嚴辛本、川本作「寬」,軍馬獲平安。 攻城寨,先料水清源首本作「源情」、辛本、川本作「情源」,此從京本。上有大流堪決灌,不須交刃損兵員,勿縱暴剛權。
出軍の日、最も霞氣が正前方に攔阻するを忌む。若し霞氣が我が背後より來り、風向もまた相順なれば、敵人の前鋒が銳利なるに任せ、我軍の後陣は寬舒嚴整、人馬自ら平安を獲るを得る。 城寨を攻打するには、まず水源の清濁と來去とを查明すべきである。上游に若し大河あって堤を決して城を灌せば、短兵相接せず徒らに兵員を折損する要なし。ただし暴戾の權を放縱し、ひたすら水攻を以て無辜の百姓に禍及してはならない。
占虹霓第七(京本は「占虹第九」と作る)・十一首
虹霓現,因雨影東西。晨現必當雨未止,晚來東現日光輝,術者細觀之。 兵行次,虹貫日京本作「路」邊傍。御京本作「預」備伏兵前有阻,且須審細自京本作「更」商量,移寨避災殃辛本、川本、京本作「終不得開疆」。 虹霓現,城寨可攻之。虹辛本、川本作「蛇」直入來為病疫,淺虹兵瘴京本作「青虹兵戰」要須知,移寨避災宜京本作「危」。
虹霓の出現は、雨氣が日影の映照を受けて成るもので、あるいは東に在りあるいは西に在り。早晨に虹を西に見れば、雨が未だ停まらぬを説明し、傍晚に虹を東に見れば、天は將に放晴して日光重現する。占術の人はその出現の方位と時辰とを細々觀察すべきである。 行軍の途中、虹が道路の傍に橫貫し、虹が道路を橫截するは、去路の截られる象であり、前方に伏兵の阻攔あるを主り、あらかじめ戒備すべきである。仔細に商量し、營寨を遷移して災殃を避くべし。たとえ強いて前行しても、この行は終に疆土を開拓し難い。 虹霓が敵方の城寨の上に出現すれば、その城寨は攻取し得べし。若し虹が直に我營に插入すれば、疫病流行を主る。虹色が淺淡なるは軍中の瘴癘を主り、これらは皆分別して辨え清楚すべく、營寨を遷移して災を避くるが宜しい。
虹赤白,盡是阻軍行。若是京本作「似」虹橋欄著路,且須盤泊犒京本作「靠」軍兵,不久卻回程。 虹入井,盡是敗軍情。或有京本作「似」鼠形營上現,忽然交戰血成坑,防京本作「勿」擊保城營。 虹如暈,更複京本作「或」似弓形。有若白虹形斷續,兼之五六見城營,皆主血光成京本作「生」。京本注:「或見五六月。」
虹が赤白の色を作すは、皆行軍の阻碍を主る。若し虹が橋のように道路に橫攔すれば、地に就いて駐紮し、士卒を犒賞し、ほどなく班師して回程するべきである。 虹霓が下垂して井中に插入する如きは、皆敗軍の情狀である。あるいは營上に鼠形の氣が現れれば、いったん交戰すれば血流れ坑を成す。出撃を避免し、城池營壘を保住するを上策とすべきである。 虹の形狀が日月の光暈のよう、また一張の彎弓のよう。あるいは白虹が斷斷續續、しかも一連五六道も城營の上に出現すれば、これらは皆血光の災を主る。京本の注に説く、あるいは五六月間にこの象を見ると解するもあり、と。
虹霓見,更或似弓形。有若暈來如斷續,兵興五日定辛本、川本作「便」回程。久住必災成。 白赤虹,單見色無雙。如氣衝天或橫過,蚩尤旗號動戈槍,起處必為殃。 虹起處,頭尾地侵天。其虹見時非有雨,晴天見者血成川,民更有災愆。
虹霓出現し、形狀が彎弓のよう、また光暈のように斷續して連ならずは、起兵の後五日の內に回師するを主る。若し久しく駐して退かざれば、必ず災を成す。 白虹あるいは赤虹が單獨に出現し、ただ一道にして第二道なし。それが氣のように天に衝って起こり、あるいは天空に橫貫すれば、これすなわち「蚩尤旗」の象であり、兵戈大動を主る。虹の起こる方角は必ず殃に遭う。 虹の起こる處、首尾が地上より天際に直插する。この虹が出現する時雨を降らさず、晴天に虹を見れば、血流れ河を成すを主り、百姓なお災殃に遭う。
白虹見,晝川本作「盡」見地侵辛本、川本作「青」天。其地一方皆主亂,眾人喧鬧有災纏,年內應其占。 白赤虹,晝川本作「盡」見莫興兵。更有虹霓垂軍上,彼軍殺將且須停,動必有災迍。
白虹出現し、白晝に見え、地面より青天に貫通すれば、虹の籠罩するその方角の地面は皆亂を生じ、衆人喧擾して災禍身に纏い、一年の內にこの占辭に應驗する。 白虹赤虹が白晝に見える時は、兵を興すべからず。若しまた虹霓が軍營の上方に低く垂れれば、その一方に將を殺すの禍あり、行動を停止すべし。妄動すれば必ず災難困厄あり。
占雨第八(京本は第二に列す)・十七首
凡論雨,二氣是陰陽。升則為雲降則雨,若逢兵動合災祥,良將要參詳。 師在道,或始出郊城。雷雨如傾溪澗阻,沐京本作「淋」尸凶象不堪行,勿要辛本、川本作「足」與天爭。 兵辛本、川本、京本作「軍」始進,雨急立成泥。名曰沐京本作「淋」尸當立辛本、川本、京本作「速」止,別詮吉日與良時,強進必京本作「有」凶危。京本注:軍讖曰:兵行日暴風猛雨,折旗幟不止,此天怒也,不可進兵。待天象和明,別擇日行。
凡そ雨を論ずるは、根本は陰陽二氣に在り。氣が上升すれば雲を成し、氣が下降すれば雨を成す。若しまさに用兵の際に逢って雨が降れば、雨を災祥と合わせて參じ、良將は必ず仔細に推詳すべきである。 大軍が途中にあり、あるいは郊外城門を出でたばかりに、雷雨が傾盆し溪澗が路を阻むに遇えば、これを「沐尸」と謂い、凶象である。更に前進すべからず、天意と爭ってはならない。 大軍が將に進發せんとするに、急雨がすぐ地面を泥濘に澆すは、これも「沐尸」と謂い、當に立即に行軍を停止し、別に吉日良時を推擇すべきである。強行して前進すれば必ず凶險あり。京本の注に《軍讖》を引いて説く、行軍の日に暴風猛雨に遇い、旗幟を吹折して止まざるは、これは上天が怒を發し、兵を進むべからず。天象の和順明朗を待ち、別に日子を擇んで出發すべき、と。
軍發日,微雨灑軍京本作「潤兵」行。此是潤軍兵京本作「兵人」必利,旌旗前指最為精,所向定須贏。 兵始進,旗幟繞於槍。半雨半晴霞氣過,且須盤泊好參詳,去即陣難當。 天數日,半雨半兼川本作「無」晴。營內有奸謀結叛,先晴後雨叛難成京本作「擒」,先雨後晴興京本作「兵」。
出軍の日、細雨が輕く洒いで隊伍が前行すれば、これを「潤軍」と謂い、兵衆に利あり。この時旌旗が前方に指すは最も精神あり、向かう所必ず勝を取る。 軍隊が將に進發せんとするに、旗幟がかえって槍杆上に纏繞し、天もまた半雨半晴、霞氣が掠過する。この時當に地に就いて駐紮し、好く參詳すべし。貿然として前去すれば、臨陣抵當し難い。 數日連ねて天色半雨半晴ならば、主營の內に黨を結び叛を謀る人あり。若し先に晴れ後に雨なれば、叛謀成り難く、これを擒獲し得べし。若し先に雨後に晴なれば、叛亂は將に興起せん。
兵首本作「風」,此從辛本發日,風雨逆沾人。天意示辛本作「欲」知教我記,不須前進恐危身,見陣潰亡軍。《軍行志》:如行軍見暴風猛雨,倒折旗槍,大雨不止者,天之怒也,軍不可進。宜待天象和明,別擇日時門戶,軍行方吉也。 天雨物,形體不能聲。其分凶災主兵寇,功臣遭戮國須傾,固守得平平。 天雨血,賢退進邪人。血染金革皆不喜,急移營寨賞三軍,無罪受王刑。
出兵の日、風雨が面に迎えて人を撲う。これは上天が意ありて警を示し、我に記取を教うるなり。前進する要なし。前進すれば己身に危うきを恐れ、一臨陣すれば全軍潰亡する。《軍行志》に説く、行軍の時暴風猛雨を見、旗槍を吹倒し吹折し、大雨止まざるは、これは上天が怒を發し、軍隊前進すべからず。天象の和順明朗を待ち、別に日時と出行の方位門戶を擇び、行軍してこそ吉なり、と。 天上より異物が落ち、形體あって聲を發せず。こういう類の征兆は凶災兵寇を主り、功臣の戮に遭い、國家傾危の事あり。この時堅守して動かずして、初めて平安を保ち得る。 天上より血雨が落つるは、賢者退隱、邪佞進用を主る。血が兵甲を染めるは皆好事ならず、急いで營寨を遷移し、三軍を犒賞して禳解すべし。さもなくば無罪の人が刑戮に遭うあり。
天雨鳥,爪翅及諸般。若在彼軍他主敗,我軍逢此不能安,必見損兵官。 天雨蛩,在敵不能辛本作「宜」攻。或鱉或魚皆凶首本作「吉」今從辛本兆,我軍見者便回程,不動必遭凶。 天雨毛,主將信邪奸。急宜謹廉須固守,莫將輕慢事非凡,天意報君顏。
天上より鳥類が落ち、あるいは鳥爪鳥翅の類の雜物。若し敵軍のあちらに落つれば、敵方の敗亡を主る。我軍のこちらに落つれば、我軍安寧を得ず、必ず兵將を折損する。 天上より蟋蟀の類の蟲が落つるは、たとえ敵方に落つるとも、我方も進攻に宜しからず。鼈あるいは魚が落つるも、同じく皆凶兆である。我軍この類の怪雨を見れば、すなわち班師回程すべし。若し兵を按じ動かず強いて原地に留まれば、かえって必ず凶禍に遭う。 天上より毛髮の類が落つるは、主將が邪佞奸人を聽信するを主る。急いで謹慎自ら律し、營壘を堅守し、この非常の事を輕慢に待つなかれ——これは上天が人君に警を示すなり。
無雲霧,一色見天晴。此象無雲而雨降,謂之天泣事難禁,主帥未安心。 黑雲現,橫截在天河。見此天河新作換,來朝有雨報君家,此語不曾差。 天河內,閃電見光明。隨即來朝遭大雨,自然(上雨下滂)霈若盆傾,平地水汪盈。
天上雲もなく霧もなく、一片晴明なるに、しかもこのような晴空の下に降雨するは、これを「天泣」と謂い、禁絶し難き禍事あるを主り、主帥心中安寧を得ず。 黑雲出現し、天河(銀河)の上に橫截し、天河の形貌はあたかも重新たに更換されたるが如し。これは明日將に雨降らんを主り、この説は從來錯誤なし。 天河の中に閃電が光明を放てば、随いて第二天に大雨に遭遇し、雨勢滂沱として盆を傾くるが如く、平地上水汪洋たる一片を積む。
月生暈,月暈暈參星。或暈井宿遭雨降,五朝七日不差分,空裡似盆傾。 密雲現,雨陣黑濃濃。驀地攔前轟霹靂,天雷驚震擁首本作「攤」,茲從辛本、川本來攻,有雨不多分。
月亮に光暈を生じ、暈圈が參宿を籠罩し、あるいは暈圈が井宿を籠罩すれば、皆降雨を主る。五〜七日の內に應驗し、分毫差なく、到時空中に大雨盆を傾くるが如し。 濃密の烏雲出現し、雨陣が黑壓壓と壓し來り、忽然正前方に霹靂を轟起す。天雷が驚震して擁逼し來る、このような情形下はかえって雨量は大ならず。
占雷第九(京本は第二十五に列す)・三十一首
老陽極,出地變成雷。出聲之先收聲後,此為災怪號非時,兵起主荒飢。 占雷法,大怕出非時。皆是守官無政法,酷民枉法有天知,天怒震權威辛本、川本作「震威摧」。 兵發日,風吼忽雷鳴。戰馬盡驚旗倒折,前程必有賊來迎,大戰血交並。
老陽の氣が極點に到り、地下より發出すれば雷と化成す。若し聲を發すべき時に響かず、聲を收すべき時にかえって作響するは、これすなわち節令に合わざる災異であり、「非時之雷」と謂い、兵禍の興起、年成の荒歉飢饉を主る。 占雷の法は、最も雷が非時に發するを怕る。これは多くは地方守官が政令廢弛する所致なり。百姓を苛虐し、法を枉げ私に徇るを、上天は皆眼中に看て、ここに震怒して威を示し、雷霆を以てその權勢を摧折する。將たる者この象を見れば、當にまず自ら軍政の失あるや否やを省みるべし。 出兵の日、狂風怒吼し、忽然雷鳴り、戰馬驚き旗杆倒折す。風雷交作して旗折れ馬驚くは、三軍が先ず自ら序を失うの應であり、前路に必ず敵兵の迎撃あり、一場の血戰あらん。宜しくまず行列を整肅し、游騎を加派して偵察し、貿然として冒進すべからず。
兵發日,雲氣與雷聲。雲趁我軍雷逐後,天威神助大軍行,此去必須贏。 兵發日,雷動我軍營。天助威靈軍得勝,若居彼上我勞軍,審細聽其聲。 冬三月,何事忽雷鳴?只利客居川本作「軍」非利主辛本、川本作「土」,高旗先舉定須贏,後戰必無成。
出兵の日、雲氣と雷聲とが同じく起こる。雲は我軍に随いて前行し、雷は我軍の背後に跟うは、これは天威神靈が大軍を護送する象であり、この行必ず勝を取る。 出兵の日、雷が我軍營上に震動するは、上天が威靈を以て相助くるなり、軍隊勝を得べし。若し雷が敵軍營上に響けば、それはすなわち我軍の徒勞無功なり。雷聲の出ずる方位を仔細に分辨して進退を定むべし。 冬季三箇月に何故忽然雷を打つか。これは陽氣妄動の象であり、ただ客軍という遠來進攻の一方に利あり、據守する主軍に利なし。客軍が先を爭って旗幟を高舉して出戰すれば必ず勝を取る。若し後に拖いて打てば、一事も成すことなし。
雷霹靂,樹木及諸般。若在彼軍營寨上,天威殺氣我難當,移寨始為安。 營寨上,雷止一聲鳴。定是命來應迅速,不然急詔事叮嚀,上將好詳聽。 營郡邑,天上忽雷鳴辛本、川本作「聲」。欲似雷鳴還不是辛本、川本作「似」,多應土地注長二字據辛本、川本補傾,否則辛本、川本作「即」戰將爭。
雷霆・霹靂が樹木およびその他の物件を劈き撃つ。この情況がもし敵軍の営寨の上方に現れたら、天威の殺気がまさに敵方に聚まっていると説く。我方は抵当し難いので、営寨を遷移してのみ安穏を得られる。 営寨の上空で雷が一聲だけ鳴って止んだ。一聲して即止むは、宣すべきことがあって更に申さない象で、これは必ず朝廷に命令がまもなく迅速に傳來するか、さもなければ緊急の詔書が軍務を叮嚀するものである。主将は留意して細聴し、靜かに消息を候い、驚き疑う必要はない。 軍営の所在する州郡・城邑の上空で、忽然として雷鳴に似て雷に全く似ない聲が響いた。これは多くは土地が崩塌・傾陷する類の地変に応じるか、さもなければ将帥の間に争闘が起こるものである。
兵發日,風送逆雷聲。天意欲將京本作「顯然」兵仔細,不宜先舉恐傷危,遇敵恐京本作「必」遭摧。京本注:夫雷霆者,天地之成,震則以驚萬物,兵者尤宜祭之。凡雷霆於將軍士卒,宜擐甲張弦,其兵得天助也。 無雲氣,天色十分晴。驀地一聲如雷響,或如霹靂野雞驚,龍出沒災刑。經曰:「謂之天鼓,亦主兵火。」又曰:「龍出。」
出兵の日、風が雷聲を逆らって我が面前に送ってくる。これは上天が兵を用いる者に倍加の謹慎を求めるものである。先んじて発動すべきではなく、さもなければ恐らく傷を受け危に致り、一たび敵に遭えば必ず摧折を受ける。京本の注に言う。雷霆は天地の生成の気で、一たび震えば萬物を驚動する。兵を用いる者はとりわけこれを祭祀すべきである。およそ雷霆に遇えば、将士はみな甲を被り弦を張って相応すべきで、このような軍隊は天助を得られる。 天上に雲気がなく一片に十分晴明なのに、忽然として雷のような巨響が一聲響き、あるいは霹靂が雉を驚き起こすようなことがあれば、これは龍の出没による災異・刑戮の兆である。兵経に言う。これを「天鼓」と呼び、また兵災・火患を主る。また一説に、龍が出行する故であるとも。
將軍眾,驀地一聲雷。次後並無雷附矣,將軍兵眾必行之,舉處可先為。 春三月,甲子共庚寅。乙丑戊子並辛卯,雷鳴霹靂恐傷人,大戰月旬驚。 將戰次,臨陣有雷聲。從我軍中謀至敵,敵軍必敗我軍贏,反此一同情。
将軍とその所部の所在する処に、忽然として雷聲が一聲響き、この後は更に雷聲が相次がない。これは将軍と部衆が必ず出動し、兵を起こす処で先んじて発難できるを主る。 春季三ヶ月の中で、甲子・庚寅・乙丑・戊子・辛卯の日辰に逢い、雷鳴・霹靂があれば、恐らく人命を傷つけ、当月の旬日の内に大戦の驚きがある。 まさに交戦し陣に臨む時に雷聲を聞いた場合、もし雷聲が我が軍中から起こって敵方に傳われば、敵軍は必ず敗れ我が軍は勝を得る。反対に、雷が敵方から我方に傳われば、情形もこの理に照らして反対に断ず。
天陰久,不雨數朝期。忽有雷鳴我軍上,前程得捷便占辛本、川本作「占便」宜,反此我軍危。 雷四起,南北與東西。其勢往還鳴不定,合當迴避不須遲,大戰兩傷之。 聲渾渾,其勢又圓長。起處來方我軍上,若還征戰定無妨,又助我軍強。
天が久しく陰り連日雨が降らないのに、忽然として雷が我が軍の上方で鳴り響くなら、これは前路に捷報を得て、處處に便宜を占め尽くすを主る。これに反して、雷が敵軍の上方で響けば、我が軍は危険である。 雷が四面から同時に響き、南北・東西に往来し回旋して鳴り響き定まらなければ、この時は戦を避けるべきで、遅疑してはならない。もし強いて大戦すれば、両軍とも損傷を受ける。 雷聲が渾厚で、聲勢が円長に綿延し、しかも我が軍の上方から發するならば、出兵して征戦しても必ず妨げなく、かえって我が軍の強盛の聲勢を助長する。
霹靂震,牙首本作「手」,茲從辛本、川本帳震聲雄。忽速搜尋休要住,須知營寨有姦凶,尋覓莫從容。 密雲見,踴躍若傾河。或辛本作「忽」有雷聲先大作,其時有雨也無多,說處莫川本作「沒」偏頗辛本作「說出遍遍無」。 雷忽震,震處眾人驚。若雷又非聲振怒,我軍之上必摧傾,移寨免憂驚。
霹靂が震響し、中軍の牙帳の上方で雷聲が雄壮なら、直ちに搜查して停歇してはならない。営寨の中にすでに奸凶の人が蔵れていることを知るべきで、搜尋は從容に拖延できない。 濃雲が湧き現れ、翻騰して奔涌して河水が傾瀉するよう。もし先に雷聲が大いに作したなら、その時たとえ雨が降っても多くはない。この象を占断するには平实であるべきで、一端に偏執してはならない。 雷が忽然として震響し、震かれた処では衆人が皆驚く。もしその聲が雷のようで雷でなく、聲勢が憤怒して異常であり、しかも我が軍の上方にあるなら、我が軍は必ず摧折を受ける。営寨を遷移して憂驚を免れるべきである。
雷聲震,連日不收聲。此象正為多失信,為他官吏不能清,天令與人聞。 雷震雹,隨即雪空飛。陰氣勝陽因此得,賊臣將起事須疑,主吏損心知。 兵發日,雷發我軍中。天助神威兵大勝,若居彼上我軍凶,詳細辨雷轟。
雷聲が震響し、連日停まらないなら、この天象はまさに人間に失信の事が多いことに応じる。官吏が清廉で法を守れないので、上天は雷聲をもって世人に聞かせて示警するのである。 雷が震した後に冰雹が降り、随いてまた飛雪が舞う。これは陰気が陽気を壓倒したためである。賊臣がまさに亂を作すべく、事が可疑であり、事を掌る官吏も損害を受けることを主る。心中にあらかじめ準備が要る。 出兵の日、雷が我が軍中から發すれば、上天が神威をもって助けるので、我が軍は大勝を獲られる。もし雷が敵軍の上方にあれば、我が軍に凶がある。雷の響く所在を仔細に分辨しなければならない。
兵發日,霞氣與雷聲。霞隨我軍雷隨彼,威感應之我軍停,此去必成功。 兵發日,須要識鳴方。雷自我軍營上起,主軍大勝客軍傷,天意助吾祥。以下七首從京本補。 兵發日,雷向敵軍鳴。彼勝我輸宜罷戰,不然城寨定遭迍,預計不宜徵。
出兵の日、霞気と雷聲が同時に現れる。霞気が我が軍に随い、雷聲が敵軍に随えば、これは天威の感應が各々帰する所があり、我が軍はやや停顿してから動いてよい。この行は必ず成功する。 出兵の日、必ず雷鳴の方位を辨明しなければならない。雷が我が営上から發すれば、主軍が大勝し客軍が傷を受けるを主る。これは天意が吉祥を降して我を助けるのである。(以下七首は京本に據り補入。) 出兵の日、雷が敵軍の方へ向かって鳴り響けば、敵が勝ち我が負けるを主り、兵を罷めて戦わないのがよい。さもなければ城池・営寨は定めて難に遭う。あらかじめ籌算すべきで、この時出征に宜しくない。
軍營內,無雨及無雲。營上忽然雷霹靂,主軍大敗急移營,不爾禍來侵。 占雷兆,初發那方鳴。乾上主興多士卒,坎方大水阻行兵,艮位病臨營。 占雷兆,初若震方鳴。決主其年穀高貴,預收糧餉賑軍民,巽上旱災臨。
軍営の内に雨もなく雲もないのに、営上に忽然として霹靂が打たれるなら、これは本軍が大敗するを主る。速やかに営壘を遷移しなければ、さもなければ禍患が即刻に侵及する。 雷を占う兆は、それが最初にどの方から鳴り起こるかを見る。雷が乾位に起これば、兵を興して士卒が衆多であるを主る。坎位に起これば、大水が行軍を阻碍するを主る。艮位に起これば、疾病が営に臨むを主る。 雷を占う兆で、もし最初に震位から鳴り起これば、当年に穀價が騰貴すると断ずべきで、あらかじめ糧餉を収儲して軍民を賑濟すべきである。もし巽位から鳴り起これば、旱災が降臨する。
占雷兆,初動在離方。恐有火災兼旱孽,坤宮損稼總宜禳,兌位起兵忙。 商音姓,鳴忌在離方。角姓兌乾宮震巽,羽防坤艮及中央,徵姓坎方殃。天子出取天子姓,不出只以主將姓並日乾為主,以八方生克斷。訣云:甲乙兌乾方,丙丁坎上當。戊己防震巽,庚辛離有殃。壬癸艮坤位,中央總不祥。我克他軍敗,他克我軍傷。生他雖用計,生我自投降。上天昭應驗,良將細推詳。
雷を占う兆で、最初に離位に動けば、恐らく火災と旱禍とが兼ねてある。坤宮に動けば、庄稼を損傷するを主り、この二つはいずれも禳解する法を設けるべきである。兌位に動けば、兵事が驟起して転眼のうちに征戦に忙しくなるを主る。 主将の姓が「商」音に属する者は金に属し、雷鳴が離位にあるを忌む。火が来て金を克するからである。姓が「角」音に属する者は木に属し、兌・乾を忌む。金が来て木を克するからで、震・巽はそれの本位である。姓が「羽」音に属する者は水に属し、坤・艮と中央を防ぐ。土が来て水を克するからである。姓が「徵」音に属する者は火に属し、坎位を忌む。水が来て火を克するからである。天子が親征すれば天子の姓を取り、親征しなければただ主将の姓を用い、さらに当日の天干を配して主とし、八方五行の生克に依って断ずる。口訣に言う。甲乙の日は兌・乾の両方を忌み、丙丁の日は坎方を忌み、戊己の日は震・巽を防ぎ、庚辛の日は離方に殃あるを忌み、壬癸の日は艮・坤の両位を忌み、中央の方位は一概に不祥である。我が往って彼を克すれば敵軍は敗れ、彼が来て我を克すれば我が軍は傷つき、我が往って彼を生ずればたとえ計謀があっても徒労で、彼が来て我を生ずれば敵人は自ずから投降する。上天の昭示は確かに応験がある。良将は細かく推詳すべきである。
占天第十・十一首
天之道,為父又為君。清靜麗明為順吉,昏暗陰散缺忠臣,諂佞近王庭。 天氣赤,蔭地一般紅。人物盡來如屠血,來兵必戰有災凶,兵敗莫西東。宋咸淳甲戌七月初六日庚辰酉時,在天有一丈餘高霞,映地如血,當年十二月過江,至丙子納降,江淮軍民遭塗炭。
天の道理は、人倫では父にたとえ、君臣では君にたとえる。天色が清明で淨朗、光華が麗美なら、順遂で吉利の象である。天色が昏暗で陰気が渙散すれば、朝中に忠臣を缺き、諂媚・佞幸の徒が王庭に親しくなるを主る。 天上の気が赤色を作し、地面を一片に通紅に映ずるなら、人も物も屠場の血色のように見える。これは来犯の兵が必ず惡戦し、災凶がこれに随い、いったん兵が敗れれば四散して奔逃し、東西を辨しないを主る。旧注に験例を附す。宋の咸淳甲戌年七月初六庚辰日酉時、天上に一丈余りの高さの紅霞が現れ、地面を血のように映した。その年十二月に元兵が江を渡り、丙子年に朝廷が降を納れ、江淮一帯の軍民は惨たる塗炭に遭った。
天之道,哀響又兼鳴。此處必主興王道,異謀革位少良臣,年內見其因。 天之道,其象號乾方。或若分為於兩半,分常別土亂徵傷,人主見憂惶。 天之道,忽裂見樓臺。皆主兵荒人世亂,千般祥瑞忽為災,其怪報人來。以上五首首本缺,據辛本、川本補。
天空が哀切な聲響を發し鳴動を伴うなら、この一帯には必ず新たな王道が興起し、異姓が圖謀して君位を更革する事があり、朝中に良臣の匡救を缺く。一年の内にその缘由を見ることができる。 天象の変が乾位・西北の方向に現れ、天が二つの半に分かれたようである。これは疆土が分裂し常法が敗壊し、征戦の傷亡が絶えず、君主がこれで憂懼・惶恐するを主る。 天が忽然として裂け、樓台の形狀を現す。これはすべて兵荒馬亂、人世の動盪を主り、もともとの種々の祥瑞も災異に轉變する。この類の天怪は、わざわざ人に示警するために来るのである。(以上五首は首本に缺き、辛本・川本に據り補入。)
天河分,忽若似槍辛本、川本作「戟」尖。兵革當興逢此兆,諸州郡府見憂煎。塗炭遍山川。 天色白,慘慘甚昏曚。久陰不雨陰謀事,必為兵火事難通「通」字據辛本、川本補。年內始知蹤首本作「通」,茲從辛本、川本。 天忽響,鳴鬧在蒼穹。多是子憂當父感,天鳴臣怒鑒君同,君主可寬刑。
天河(銀河)が忽然として分かれ、形狀が槍尖・戟刃のようである。この兆に遇えば、兵革の事が必ず興起し、各州郡府は皆憂煎に陥り、生靈の塗炭は山川に及ぶ。 天色が白く發し、慘淡として昏蒙で、長く陰沈して雨が降らないなら、これは陰謀の事があり、必ず兵火を釀成し、事が壅塞して通じ難いを主る。一年の内に至って始めてその來龍去脈を顯す。 天空が忽然として響きを作し、蒼穹の上で喧鳴する。これは多くは人間の父子相感の類の感應である。天がすでに鳴響すれば、臣下が怒を含んで君主が自ずから省察すべきと同じである。人君はこの時、刑罰を寛減してこれに応ずべきである。
天道慘,慘色變深黃。必主大風三二日,船行急止莫徜徉辛本、川本作「滄洋」,預報與君忙。 天忽見,有虹赤紅黃。貫北斗極星還繞,君生賢聖主辛本作「至」非常。此事甚相當。 天久旱,無雨水盆流。此是天時雨不潤,不能下降令人憂辛本、川本作「奔高流」。禾穀豈全收?
天色が慘淡で、慘白から深黄に轉ずれば、必ず二三日の大風が吹く。船を行かせる者は速やかに停靠して、水上で徘徊してはならない。早めに通報して、人に忙しく防備させるべきである。 天上に忽然として赤紅に黄を帶びた虹が現れ、北斗を貫き北極星を環繞する。これは国君がまさに賢聖で非凡な繼嗣を生み、あるいは非常の主が降世するを主る。この一つの應験はかなり正確である。 天が久しく旱して雨がなく、一盆の水ほどの雨もない。これは天時の失調で、雨澤が下潤できないことを人に憂えさせる。このような年成で、禾穀がどうして好い収成を得られようか。軍中の糧餉も早めに籌劃しなければならない。
占日第十一(京本は第六に列す)・五十六首
太陽位,為主正為君。兆主國君家國事,通行循度總和平,昏蝕主憂驚。 日旁氣,赤色若京本作「似」懸鐘。所見之時辛本、川本、京本作「遊所見邊」須將死,不論春夏與秋冬,所舉總成空。 日生暈,上下兩重交。必有彼疆亡將過京本作「軍亡將帥」,中謀獨霸不成韜,終是舉京本作「起」槍刀。
太陽の位次は、占法では人君を主り、正しく君主の位に應ずる。その兆は国君と国家の大事に関係する。日の行が通暢で常度に循って運轉すれば、天下は總じて太平である。いったん昏暗で光がなく、あるいは日食が發生すれば、憂患・驚擾を主る。 日の旁の雲気が赤色を作し、形狀が懸かる鐘のようである。鐘は喪器、赤は兵色。この気を見た一方は、将帥が死ぬ。春夏秋冬のいずれの季節でも、およそ挙動があれば皆落空する。この時は最も兵を斂めて按兵自守するのが宜しい。 太陽が光暈を生じ、上下の二重が交疊する。これは必ず敵国に将帥の敗亡があるに應ずる。たとえその中から一方を独霸しようと圖謀する者があっても、その韜略は成功し難く、最終的にはなお刀槍を動かすことになる。
日左辛本、川本作「在」右,白氣若虹交。兆京本作「即」主血流成大戰,緣君失政作成妖,無法可禳消。 日光暈,暈珥有陰風。左右並同為吉兆,三般變動日時逢京本作「同」,日月在羅籠。日邊耳,經曰:日有抱暈於野,皆有降軍降將至也。 日光暈,有暈要須知。闕處預先防京本作「堤」備吉,忽然不闕亦京本作「不」須疑,三日雨淋漓。
太陽の左右両辺に白気が虹のように交錯し、白虹が日側に交貫するのは、古来より兵象である。この兆は血流して河を成す大戦を主る。その根由は人君の政を失することにあり、これによって天が妖異を生じる。この種の妖象は祈禳で消除できるものではなく、ただ政事を修明し過を改め新たにすることで化解できる。 日光が暈を生じ、暈の旁にまた「珥」がある。これは日辺の耳狀の短い気で、陰冷の風を伴う。もし左右の両辺に同時に現れれば、吉兆である。この三つの變化が同じ日辰に遇えば、日月が羅網に籠罩されると言う。兵経に言う。太陽に環抱の暈が野外に現れるのは、みな降軍・降将が來りて歸附するを主る。 日光が暈を生じたら、暈を見てその缺口がどの方にあるかを辨明しなければならない。缺口の對する方位はあらかじめ設防すれば吉である。もし暈が円整で缺口がなければ、疑慮する必要もなく、それはただ三日の内に淋漓の大雨があるを主る。
日中暈,上蓋下為陰京本作「纓」。向暈即凶背暈吉,若無征戰有風聲,霞氣雨還成。 暈不合,垂在兩邊生京本作「旁」。城內有人謀不就,且饒緩慢看軍京本作「牽」情,一事也無成。 暈邊氣,入則外軍贏。隨氣攻之應大勝,忽然內出外軍傾,勝負預先明京本作「徵」。
太陽の正中に暈が生じ、暈が日の上にあるのを「蓋」と呼び、日の下にあるのを「纓」と呼ぶ。暈に面する方は凶、暈を背負う方は吉である。もし当時戰事がなければ、風聲の傳聞があるか、あるいは霞氣が化して雨となって降るを主る。 日暈が合圍せず、ただ両旁に下垂して生ずるなら、これは城中に圖謀する人があり成さないを主る。この時は從容して緩行し、靜かに軍情を觀るに妨げない。敵方は一事も成し得ない。 日暈の辺の気がもし暈内に侵入すれば、外來の客軍が勝を得るを主り、気の方向に順って進攻すれば、大勝すべきである。もし気が忽然として内から外へ冒出すれば、外軍が傾敗する。勝負はこの一点であらかじめ分明となる。
暈邊珥,一珥喜來生。兩珥欲來相解意,又言敗川本、辛本、京本作「拜」將攝公卿,此術甚分明。 日月背,順吉背須凶。若背東方西面勝,背西東面獲其功,南北並皆同。 占日月,主客要先知。晝把京本作「犯」太陽將作主,夜憑星月驗安危,客認京本作「與」氣隨時。日月星為主,雲霞氣為客。
日暈の旁の「珥」は、一つだけなら喜事の來臨を主り、二つあれば、双方が來りて和を講じ怨を解く意である。一説に拜将・公卿を授任する喜慶を主るとも。この一術の分辨はかなり明確である。 日月の旁の「背」気、すなわち日月を背にする弧形の気は、我に順えば吉、我に背けば凶である。もし背気が東方に向かえば、西面の一方が勝を得、背気が西方に向かえば、東面の一方が功を立てる。南北の両方もこの理に照らして推す。 日月を占うには、まず誰が主で誰が客かを分け明らかにしなければならない。昼は太陽を以て主とし、夜は星月に憑って安危を験し、客方は随時に雲気を以て認取する。定例は、日月星辰を主とし、雲霞の気を客とする。
相京本作「聞」敵,兩日見分明。必有拔營離寨去,正當日下京本作「夜」看拋城,大戰血交並京本作「兵」。首本缺此首,茲據辛本、川本。 相京本作「聞」敵,日對城營京本作「營城」。交戰血流看主客,必應主敗客軍贏,日度算還生。辛本、川本注:「算太陽分野。」京本注:「精算太陽分野,在日度算還生第十三首。」 日中暈,日被白虹穿。天下大兵看即京本作「帥」起,又兼烈士報仇冤,奮怒氣衝天。荊軻入秦時有此兆。
両軍が相持する際、天上に分明と二つの太陽が現れる。これは必ず一方が営を拔き寨を棄てて去るを主り、太陽の下で相手が城を棄てるのを見ることができ、後に血戦がある。(首本はこの首を缺き、辛本・川本に據り補入。) 両軍が相持する際、太陽が正しく城営に對する。交戦して血を流すのは誰が主で誰が客かを見る。この象は必ず主軍が敗れ客軍が勝つに應ずる。具體の應期は、さらに太陽の行く度数を推算しなければならない。辛本・川本の注に言う。これは太陽の分野を推算するもの。京本の注に言う。太陽の分野を精算すべきで、その法は「日度算還生」第十三首に見える。 太陽の正中に暈が生じ、日面が白虹に貫かれる。これは天下がまさに大いに兵を興すを主り、また烈士が讐を報じ冤を雪ごうとして、憤怒の気が霄漢に直衝するを主る。旧注に言う。荊軻が秦に入り行刺した時にこの兆が現れた。
兵發日,日偶蝕並虧。莫往前程尋大戰,天垂威辛本、川本作「戒」象遣京本作「上天垂象欲」人知,去則將難歸。 冠纓日京本作「者」,日上即為冠。右京本作「在」下為纓擎捧日,冠為喜兆將須歡,纓則將心攢。 兩日,少時京本作「小將」及明朝。倘或必辛本、川本、京本作「忽」聞如此兆,外藩草莽競京本作「盡」興妖,進步即嚎啕辛本、川本作「疾兵消」。
出兵の日、ちょうど日食あるいは日面の虧缺に逢えば、更に前に進んで決戰を求めてはならない。これは上天が示威して戒める象で、人に警惕を知らせるためである。執意して往けば、主將は生還し難い。 いわゆる「冠」「纓」は、皆日の旁の気を指す。日の上方にあるのを「冠」と呼び、日の下方で太陽を托捧するのを「纓」と呼ぶ。「冠」を見るのは喜兆で、將帥は歡喜すべきである。「纓」を見れば、將の心中に憂慮が攅聚するを主る。 天上に二つの太陽が現れ、あるいはただ片刻の間であったり、あるいは翌日の朝まで延續したりする。もし忽然としてこの種の兆に遇えば、外藩と草野の間で相争って亂を作し妖を興すを主る。この時にまだ冒然として兵を進めれば、嚎啕して痛哭する禍を招くだけである。
日邊氣,如杵赤而明。既顯不當軍將出,執迷堅往損其兵,一半不回程。 日旁暈,狀若死蛇圍。其兆主京本作「生」災先舉京本作「損」將,師徒半出不能回,宜改京本作「後」擁師歸。此首首本缺,據辛本、川本。 日邊暈,抱日一邊生。順抱敵人須可擊,還如逆抱戰無贏,隨眾京本作「象」舉其兵。
日の旁の氣が木杵の形をなし、色が赤く明亮である。この氣がいったん顯現すれば、軍將は出動すべきでない。もし迷い執って悟らず往こうと堅持すれば、必ず兵を損し將を折り、半分の人が歸って來ない。 日の旁の暈が、死蛇が盤圍する形狀である。この兆は災禍を生じ、先に將領を損折し、出征の兵衆の半分が歸って來ないを主る。元の計劃を改變して、軍を擁して歸るべきである。(この首は首本に缺き、辛本・川本に據り補入。) 日の旁の暈がただ一辺に太陽を環抱する。抱く方向が我に順って敵人に向かえば、出撃してよい。もし抱勢が我に逆らえば、交戰しても勝を得られない。總じてこの物象に順って兵を出すか出さないかを決めるべきである。
日下氣,赤氣列三層。天下流亡兵競起,黎民失業禍災生,鹿走霸圖爭。 日四耳,多在四隅邊。宮闕儲君生太子,歡欣期降定三年,人馬罷徵權。 日中氣,上下黑衝過。長子建謀興大逆,速當根究莫蹉跎,遲便舉京本作「起」干戈。
太陽の下方の氣が赤色を作し、三層に排列する。これは天下が流離して逃亡し、兵禍が競い起こり、百姓が生業を失い災禍が叢生し、群雄が鹿を逐い覇業を争奪するを主る。 太陽の四周に四つの「耳」狀の氣が生じ、多くは四つの隅角の方位にある。これは宮廷の中で儲君が子を得、太子を誕育し、喜慶がまさに至るを主る。三年の内に定局でき、人馬もしばらく兵を罷めてよい。 日中の氣が、上下ともに黑色で衝貫して過ぎる。これは長子が謀を設け大逆の事を興すを主り、迅速に根由を追查すべきで、蹉跎してはならない。遅れれば干戈を動かすことになる。
兩陣近,青氣日邊生。其狀分明如半月,順其形氣速前徵,交戰必須贏。 太陽畔,八字氣分明。下若鹿鹿章形勢走,將亡兵潰禍災生,固守保關營。 太陽畔,雲氣傘張形。又若飛煙星在辛本、川本、京本作「影」裡,火星傍出血成坑,堅守不宜行。
両軍の陣勢が逼近する時、青氣が日の旁に生じ、形狀が分明と半月のようである。この氣の形勢に順って迅速に前進して出撃すれば、交戰して必ず勝を得る。 太陽の旁に分明と「八」の字形の氣が現れ、下にまた麋鹿・獐子が奔走する形勢があるようである。これは將帥が敗亡し、士卒が潰散し、災禍が叢生するを主る。關隘・營壘を堅守して自らを保つべきである。 太陽の旁の雲の雲氣が傘のように張開し、また飛騰の煙氣の中に星影を裹むようである。もしさらに火星のような赤氣が旁から冒出すれば、血流して坑を成すを主る。この時は堅守すべきで、出兵に宜しくない。
太陽畔,突出泰山端。紫氣盤旋供辛本、川本作「俱」不散,城中軍勝賊當殘,臨陣審詳看。 太陽畔,氣蓋京本作「貫」日當中。白色東西連卯酉,主憂社稷京本作「宗社」重災凶,改號任神龍。龍名曰喪門。 太陽畔,九曜旋辛本、川本、京本作「簇」於邊。似火如燈光爛爛京本作「燁燁」,九州島大亂水滔天京本作「血流川」,王道苦京本作「若」憂煎。又主兵戈。
太陽の旁に突如として一團の氣が起こり、泰山の頂端のようで、紫氣が盤旋して久しく散らない。これは城中の守軍が勝を得、來犯の敵が當に敗れるべきを主る。陣に臨んでこの物象を仔細に審察しなければならない。 太陽の旁の氣が日の正中を覆蓋するか貫穿し、白色の氣が東西に相連し、卯酉の両方を横貫する。これは社稷に重大な災凶の憂いがあり、甚だしくは元を改め號を易えるを主る。旧注に言う。この條の龍は名を「喪門」と言う。 太陽の旁に九曜の氣が簇擁して環繞し、火のように燈のように光焰が燦爛とする。これは九州が大亂し、大水が滔天するを主る。一説に血流して川を成し、王道が憂煎に陥る。同時に兵戈の禍をも主る。
太陽畔,牛競爭時。更有傍邊持戟立,戟人無首影依稀,宗廟必傾危。首本此首兩收,前二句一作「太陽,競與日爭時」。 太陽畔,如幕京本作「蔓」又如花。相繼相連不間京本作「黏不」斷,嬪妃皇后亂其家,術士見生涯。 太陽畔,氣如剪刀形。更有散花桃杏京本作「李」雜,君王失政后妃稱京本作「嗔」,鮮潔京本作「解結」愈為精。
太陽の旁の氣が牛が爭鬥するようで、旁にまた人が戟を持って立つ形狀があり、しかし戟を持つ人に頭がなく、影像が依稀として辨し難い。これは宗廟が必ず傾危するを主る。(首本ではこの首が二處に重出し、前の二句は一作で「太陽、競りて日と時を爭う」。) 太陽の旁の氣が帷幕のようでありまた花のようで、相次いで相連し、綿延として絶えない。これは嬪妃・皇后が宮闈の家を擾亂するを主り、占候の術士もこれによって施展の餘地を得る。 太陽の旁の氣が剪刀の形をなし、また散落する桃花・杏花の狀を夾雜する。これは君王が政を失い、后妃が權を專り制を稱するを主る。この時は齋戒して鮮潔とし、結を解き災を禳する法を以てこれに應ずるのが最も精當である。
太陽畔,氣若璧形圓。其影團圓京本作「團」如暈色,群京本作「郡」邦臣下反京本作「反主」謀專,奪我境邊田。主小臣謀反分國。京本注:「主小臣謀叛分國侵奪之事。」 太陽畔,一樹蒂根成。兩京本作「雨」氣橫生長拽出,殺君自縊叛臣情,隨帝應其徵。 太陽畔京本一作「時」,如鼠樹枝京本一作「林」間。又似雞形雙京本一作「頭」翅舉京本作「頤頸勢」,看京本作「舉」看洪水作為京本作「危」難,移寨向京本作「上」高山。京本此首兩見。
太陽の旁の氣が玉璧のように圓整で、影子が團圓として日暈の色のようである。これは各邦の臣下が反逆して權を專らにし、我が邊境の田土を奪取せんとすることを主る。舊注に曰く、小臣が謀反し國土を分裂することを主る、と。京本の注に曰く、小臣の謀叛・國を分かち侵奪する事を主る、と。 太陽の旁の氣が結んで、蔕あり根ある樹形を成し、二道の氣が橫に生じて長く拖く。これは君を弑するの禍・叛臣が自ら縊死する事あるを主り、應驗は當朝の天子に隨って顯れる。 太陽の旁の氣が鼠が樹枝の間に伏するよう、また鷄が雙翅を張るようである。これは眼の前に大水を發して災を成すことを主り、營寨を高山の上に遷すべきである。(京本はこの首を兩處に重ねて見る。)
太陽畔,帆幔氣堪疑。又若破船來向京本作「泊」岸,仍居乾位帝京基辛本、川本作「隳」、京本作「墮」,帆落勢傾時京本作「危」。 太陽畔,五色氣鮮京本作「祥」明。下有奔(上鹿下章)形象具,忠臣遭戮又妖興京本作「兵」,不可不留情。 太陽畔,十字在中張。大禍欲來先露兆,姦凶懷恨京本作「詐」作妖祥,齋醮早消禳。
太陽の旁の氣が船帆・船幔のようで形狀が可疑、また破船がまさに岸に靠りつくようである。この氣が若し乾位に現れれば、帝京の根基の毀壞を主る。船帆が一落すれば、形勢は將に傾覆せん。 太陽の旁に五色の氣が鮮明で、下面にまた完整に麋獐が奔逃する形象を具備する。これは忠臣が殺戮に遭い妖孽が興起することを主り、心を留めて在意せざるを得ない。 太陽の旁に十字形の氣が正中に張布する。大禍將に至らんとして、先ずこのような兆象を露わす。それは奸凶の徒が仇恨を懷き、假りに妖祥を造るものである。早くより齋を設け醮を建て、災を消し禳解すべきである。
太陽畔,氣色似人兵。若在離邊移寨上,君王易代表臨坰,賢者得其情。 太陽畔,兩手在其傍。更有金星圓出現,后妃作孽亂生狂,乾地京本作「帝」應其殃。乾符六年二月十八日午時現。京本「乾符」前有「唐禧宗」三字。 太陽畔,舉手若兩京本作「首若雙」分。或作帚形居兩手,君王帝位欲分更,不散決然成。辛本、川本、京本注:「氣現久不散,其殃必應。」
太陽の旁の氣が形色として人のよう兵のよう。若し離位の一側に現れれば、營寨を遷走すべし。これは君王が代を易え、大軍が郊野に臨むを主る。唯だ賢者のみその中の實情を識透し得る。 太陽の旁に兩隻の手のような氣があり、また金星が圓々として顯現する。これは后妃が孽を作し禍亂が狂生することを主り、乾位の地に應驗する。舊注に記す、唐僖宗乾符六年二月十八日午時にこの象が現れた、と。 太陽の旁の氣が擧げた雙手が兩邊に分張するよう、あるいは兩手の間に掃帚の形を作す。これは君王の帝位が將に更易分裂せんとするを主る。氣が若し久しく消散しなければ、この事必ず眞となる。三本の注に曰く、氣が現れて長久散らずは、この災殃必ず應驗する、と。
太陽畔,青氣散如飛。變作雁行分勢列,外邦小國賊臣欺,謀反禍相隨。 太陽畔,若對斗牛間。更有一虹迎面見,三公流國戰無還,遷改莫辭難。京本注:「國主政權應自失。」 日邊氣,皆應在蚩尤。申酉且須看獬豸,喪門申未午時求,見處便堪愁京本作「憂」。
太陽の旁に青氣が散開して飛ぶが如く、變じて雁陣のように分列する形勢となる。これは外邦小國に賊臣が欺凌し、謀反の禍が接踵して來るを主る。 太陽の旁の氣が斗宿と牛宿との間に正對し、また一道の虹が迎面して出現する。これは三公が國の外に流放され、出戰して生還し得ざるを主る。朝廷の遷改すべきことあれば、その難を推辭してはならない。京本の注に曰く、國主の政權はこれによって自ら失落する、と。 日旁の氣は、大都「蚩尤」という凶神の身上に應ずる。申・酉の時に逢いて「獬豸」の象を察看し、「喪門」は申・未・午の三箇の時辰に求驗する。凡そこれらの形象の在る處を見るは、皆人をして憂愁せしむるに足る。
日之外,有耳兩邊生。必有和通同好事辛本、川本作「善」,京本作「同通好喜」,兩軍不戰結歡欣京本作「情」,四海得安寧。 青天象,日月氣來沖。北面氣衝北面旺,南沖南旺任川本、辛本、京本作「認」西東,取此以為宗川本、辛本、京本作「蹤」。 日色異,黃赤病之源。色若白時多死兆,更兼兵起禍凶年京本作「連」,疾疫湊來纏。
太陽の外の兩邊に「耳」狀の氣を生ずるは、これ必ず雙方が通和交好する事を主り、兩軍は交戰せずして歡好の情を結び、四海これによって安寧を得る。 青天の象は、日月の氣がどの方角から衝するかを看るべし。氣が北面に衝すれば北面が強旺し、南面に衝すれば南面が強旺し、東西兩方もこれに照らして認取する。凡そ氣を占うは、皆この一條を以て根本とする。 日色が反常する。黃赤色を呈するは疾病の根源、白色を呈するは多く死亡の兆を主り、なお兼ねて兵禍の興起・凶年の連綿、瘟疫が接踵して身に纏うを主る。
日五色,或有氣稜層京本作「稜」。其分國王權政失,耽迷酒色損生靈,修德滅奢矜。 日紫色,名曰疾萎蕤。其分起兵多喪敗,且宜修德厭天機,勿起京本作「忽即」禍當時。 日有耳,兩耳戰均平。厚處必贏軍占取,一邊有耳一邊贏,無戰喜交兵。
日が五色を現し、あるいは氣が棱角を帶び層疊する。これがその主する分野の上に、國王が權政を失い、酒色に沈迷して生靈を損害するに應ずる。補救の法は德行を修養し、奢侈と驕矜とを革除するに在り。 日が紫色を呈する。これを「疾萎蕤」と謂う。その主する分野の上に若し兵を起こせば、多く師を喪い敗績する。德を修めて天機に順應すべく、貿然として事を擧げてはならない。さもなくば禍患即時に降臨する。 太陽に「耳」を生ずる。兩邊ともに耳あるは、交戰して勢均力敵、耳氣の厚い一方が必ず勝ち、戰果を占取し得べし。ただ一邊に耳あるは、すなわちその一邊が勝を取る。若し當時戰事なければ、則ち兩軍が歡好して相接するを主る。
日色青,其分國堪傷。或似火光兼火影,皆為災亂殄忠良,防備賊臨疆。 日生暈,須有暈形圓。其形如暈圓其圓辛本、川本作「圓圓背」,皆主邦臣辛本、川本作「那邦臣子」叛謀專,奪取境邊田。 日四耳,頂上即為冠。兩下為纓須盡日,下為履象不為權,回報日須端。經曰:「日上為冠,下為履,兩下為耳,長而為纓,朝抱日吉。」
日色が青を發すれば、主する分野の國家が損傷を受くべし。若しまた火光のよう、火影を帶びれば、皆災亂を主りかつ忠良の臣を傷る。敵寇の境に臨むを防備すべし。 日に光暈を生じ、暈の形狀圓整、一圈に一圈を套して圓にまた圓なり。これは皆邦國の臣子が叛離して權を專らにし、邊境の田土を奪取せんとするを主る。 太陽が四耳を生ずる。頂上に在るは「冠」と謂い、兩下方に在るは「纓」と謂い、終日散らざるを須とす。正下方に在るは「履」の象で、權柄を主らず。占驗を囘報するには、必ず日面が端正か否かを以て準とせねばならない。兵經に曰く、氣が日上に在るを「冠」と謂い、日下に在るを「履」と謂い、兩下方に在るを「耳」と謂い、長くして下垂するを「纓」と謂う、と。朝向して太陽を環抱するを吉とす。
太陽位,下複見形圓。便若白來其色黑,王更國變別憂權,一日見憂煎。 日出現,便若似川本作「是」胭脂。蔭辛本作「映」地滿天血如染,此為天川本作「大」殺苦軍權,七日雨平川。無雨主火災。
太陽の下方にまた圓形の氣が現れ、看似として白色にして實際は黑を帶ぶ。これは王位の更替、國事の變故、別に權柄の憂あるを主り、一日の間に憂煎を見る。 太陽の升る時に顏色が胭脂のよう、映して滿天遍地血染の如くす。これを「天殺」と謂い、苦しむは兵權を掌る人。七日の內に當に大雨あって平川に遍くべし。若し始終雨なければ、火災を主る。
占月第十二(京本は第七に列す)・二十三首
太陰位,為後又為臣。凡有象形凶吉定,行兵主帥要知明,一一細分清辛本、川本作「情」。 占圓月,下小彼軍多。若總京本作「見」大時占我眾京本作「勝」,全京本作「總」無大小亦相和,青白定京本作「早」回戈。 出軍夜,看月好參詳。有兔主人占大勝,兔無反京本作「無兔還」是客軍強,仔細審形相京本作「須要細端詳」。
月亮の位次は、占法に皇后を主り、また臣下を主る。凡そ月旁に現るる種種の形象は、皆これに據って吉凶を判定する。兵を帶ぶる主帥はこれらを通曉し、一條一條細細に分辨して清楚にすべきである。 圓月を占望し、若し月の下半が偏小に顯れれば敵軍の人の多きを主る。若し整輪が皆大に顯れれば我方の兵衆多くして優に占むるを主る。若し全く大小の別なければ、則ち兩軍相和す。月色が青白なるは、早くより兵を收むべし。 出軍の夜晚、よく月亮を參詳すべし。月中に玉兔の形を看清し得るは、主軍(據守する一方)の大勝を主る。兔形を見得ざるは、かえって客軍の強盛なり。月中の形象を仔細に審看すべきである。
占夜月,五色氣相當。此是京本作「時」交兵須謹京本作「警」慎,直須拚京本作「挨」得賞兒郎,慳吝必相傷。 太陰內,有暈使人驚。其象分明如刀字京本作「刃」,奸臣謀反事將成,密究速加刑京本作「庶無凶」。 守彼壘,吾督將須攻。月色無光灰京本作「如」粉樣,拔城不過一旬中,守將亦須凶。
夜裏月を占し、五色の氣が月と相當して並び現るるを見れば、この時兵を交うるは必ず謹慎警戒し、かつ重く士卒に賞するを惜しまざるべし。若し財物を吝惜して賞を行わざれば、必ず敗仗を喫して損傷を受く。 月輪の內に光暈出現して人を驚疑せしめ、その形狀分明として一把の刀刃の如し。月は臣位を主り、暈內に刀を現ずるは、正に臣下が刃を操るの象で、奸臣の謀反する事將に逞ならんとするを主る。祕密に追査し、迅速に刑戮を施すべく、初めて凶を免るる可し。張揚すれば草を打って蛇を驚かす。 敵人が營壘に據守し、我方の督將まさに攻取せんとす。この時月色が晦暗して光なく、灰粉の一般ならば、十日を出づずして城を拔くを得、守方の將領もまた必ず凶禍あり。
看夜月,五色氣相沖。皆京本作「此」是將災宜京本作「須」謹慎,直須重賞宴軍中,堅執禍相逢。 月生暈,厚薄四方停。此是三軍均力象,一邊有抱一辛本、川本、京本作「抱」邊贏,順抱若神兵。 月生暈,暈有珥兼生。將有火京本作「大」災難閃避,三朝有雨得安寧,無雨禍還京本作「須」成。
夜裏月を看、五色の氣が月と相衝するを見れば、これは皆將に災禍あらんとする兆であり、謹慎すべく、軍中に宴を設け重く賞して衆心を安んずべし。若し己見に固執して強いて事を行えば、禍患に撞上する。 月に光暈を生じ、四面の厚薄が均勻なるは、これは兩軍の勢力相當の象である。若しただ一邊に環抱の氣あれば、すなわちその一邊が勝を取る。抱勢が我に順なれば、我軍は神兵の相助あるが如し。 月に光暈を生じ、暈の旁にまた「珥」氣を生ずる。これは將に火災ありて躲避し難きを主る。若し三日の內に雨降れば、安寧を得べし。若し始終雨なければ、禍事終に成らん。
月生暈,暈內有流星。當有貴人奔出走,客星入側將當驚,國亦不安寧。 月如赭,莫戰最為良。若或不依京本作「不依言」須見敗,客軍得勝主軍傷,宜且守封疆。京本注:「先出客,後出主。」 相敵,月滿色無光。客勝主衰京本作「虧」須謹慎,忽然交戰主難當,城內欲投降。
月に光暈を生じ、暈內にまた流星穿過すれば、これは將に貴人が出奔逃亡するを主る。若し客星が暈の一側に侵入すれば、將帥驚擾を受くべく、國家もまた安寧を得ず。 月色が赤褐して赭土の如きは、最も交戰せざるが良い。若し勸告を聽かざれば、必ず敗績を見る。客軍が勝を得て主軍が傷を受く。しばらく封疆に據守すべし。京本の注に曰く、先に現るるは客方に屬し、後に現るるは主方に屬す、と。 兩軍相持の時、月は圓滿なるも晦暗して光なし。これは客軍の勝・主軍の衰を主り、謹慎を須とす。若し忽然交戰すれば、主軍は抵當し得ず、城中は降を出づべし。
雙月現,現則有兵荒。兩兩三三俱荒亂辛本、川本、京本作「亂出」,當其現處有辛本、川本、京本作「競」猖狂,人馬兩京本作「死及」逃亡。 兩月,侯景犯梁朝。倘或遭逢如此兆,外藩京本作「番」雄略京本作「客」有謀韜,俱廢若京本作「永」冰消。 兵在外,月色辛本、川本作「蝕」、京本作「食」八分強。軍欲還鄉須京本作「休」罷戰,忽然蝕盡倒城亡,將死向郊京本作「飢」荒。
天上に兩箇の月亮出現し、一出現すれば兵荒を主る。若し兩兩三三として亂出すれば、各地皆荒亂する。出現するその一方が爭って猖狂に亂を作し、人馬死傷逃亡す。 天に兩月を現ずる。當年侯景が梁朝に侵犯した時にこの象あり。倘若このような征兆に遇えば、外藩の中に雄才大略・暗藏して韜謀ある人が亂を作すを主り、舊有の秩序は皆氷のように消融瓦解する。 軍隊外に在り、月が八分以上食せらるるは、これは軍心が歸を思うを主り、戰を罷めて鄉里に還るべし。若し月が全部食し盡されれば、則ち城池傾覆して軍隊敗亡し、將帥郊野に死す。
太平夕京本作「久」,月破作三分。四海荒荒興逆叛,都緣人主寵奢昏京本作「民」,草寇輒稱尊。 月黃色,分野現明光。此是將軍遷京本作「還」職象,彼師我眾兩無傷。各自守封疆。 月邊氣,其象若群豬。羽姓將軍兵大吉,宮商角徵不占拘京本作「推」,把捉顧方隅。
太平の夜、月が忽然破裂して三塊を成す。これは四海荒亂・逆叛四起を主り、根由は皆人君が寵幸奢靡・昏聵して道を失い、草莽の盜寇が輒ちに帝を稱し尊を稱するに至るに在り。 月が黃色を呈し、その主する分野の上に明亮の光を現ずる。これは將軍が職位を遷升する象で、敵我兩軍ともに損傷を受けず、各自封疆に據守するのみ。 月旁の氣、形象が一群の豬の如し。豬は五行に水に屬すれば、姓が「羽」音に屬する將軍が兵を帶ぶるは大吉なり。宮・商・角・徵の四音は必ずしもこの象に拘泥せず、ただその出現する方位を把握して推斷するを須とす。
十五夜,月缺不團圓。一面凸凹三兩處,近臣怪辛本、川本作「懷」怨京本作「懷恨」奪君權,急究反情原。 金入月,星朗月無光。星蝕太陰臣造逆,月明星暗將身辛本、川本作「星」亡。星沒客軍傷。 金與月,俱出在西方。星北北方軍必勝,星南南面將身辛本、川本作「星」強,月白辛本、川本作「向」將兵亡。
十五の夜本當に月圓なるべく、月がかえて殘缺して團圓せず、一面の凹凸に兩三處あり。これは君王の近臣が怨恨を心懷き、君權を奪取せんと意圖するを主り、急いでその謀反の根由を追究すべきである。 金星が月中に侵入し、星光が明朗にして月色に光なし。星が月を掩食するは、臣下が造逆を反すを主る。若し月が明にして星が暗ければ、將帥が身亡することを主る。星が隱沒して見えざれば、客軍が損を受く。 金星と月とが同じく西方に出づる。星が月の北にあれば北方の軍隊必ず勝ち、星が月の南にあれば南方の將帥が強盛なり。若し月色が白を發すれば、將士の敗亡を主る。
金月暈,星暗月昏昏。客必敗亡須好認,木星三暈將辛本、川本、京本作「宰」臣奔。天象顯然分。 月有暈,白虹向中穿。天下大兵看即起,更兼壯士執仇冤,大辛本、川本作「日」怒氣衝天。
金星と月とが同じく光暈を現し、星が暗にして月が昏なれば、これは客軍の必ず敗亡するを主り、この點を認清すべし。若し木星が連ねて三重の暈を生ずれば、宰輔大臣の出奔を主る。天象の顯示は甚だ分明なり。 月に光暈を生じ、白虹が暈の中より穿過す。これは天下將に大擧して兵を興さんとするを主り、また兼ねて壯士が仇怨を挾持して復讐し、憤怒の氣が直に霄漢に衝ぐ。
占星第十三(京本は第五に列す)・四十三首
兵要法京本作「訣」,為主認星辰。伏逆遲留京本作「留時」須固守,更看金京本作「堪全」現便京本作「使」宜行,俱伏兩均平。 兵要訣,為主京本作「客」認金星。若也伏藏休動作,逆行逆戰亦均平,順則最宜行。星退宜退,星進宜進。 金與火,統帥識星無。須算辛本、川本作「等」行藏知決勝,何須堅執講星孤,諸事細參圖。
用兵の要法は、星辰を辨認するを以て主とす。星が若し伏して見えず、逆行あるいは遲滯して留守すれば、固く守りて動かざるべし。更に太白金星が顯現の時を看、初めて出兵に宜し。若し雙方の主する星が皆伏して見えざれば、則ち兩邊勢均力敵なり。 用兵の要訣は、太白金星を辨認するを以て主とす。金星が若し伏藏して見えざれば、擧動するなかれ。金星が逆行すれば、方向に逆らって戰うもただ勢均力敵なるのみ。金星が順行すれば、初めて最も兵を進むるに宜し。總じて星が退けば我退き、星が進めば我進む。 太白金星と熒惑火星、統帥はこの兩顆の星を識得するや否や。必ずそれらの出没行止を推算して初めて決勝し得べし、何必して固執してただ一顆の孤星を講ずるや。各樣の事情は皆細細に參酌して圖謀すべきである。
土星合,相犯必為災。分野居京本作「老」、辛本作「若」當須有事,本藩太守禍之胎,修德免災京本作「殃」來。 三星聚,晉宋為居辛本、川本作「兼」、京本作「衛兼」唐。此地將軍須就獄,總兵主帥作猖狂,斬首獻明京本作「君」王。 四星聚,平地辛本、川本、京本作「帝」會張星。王莽赤眉兵造起,後來光武掃餘京本作「除」兵,晉魏也曾更京本作「經」。
土星と別の星とが相合・相犯すれば、必ず災を成す。主する分野の地がその衝に正當れば、事を出づべく、本藩の太守は正に禍端の所在なり。唯だ德行を修養するのみ、初めて災殃を免るるを得る。 三星會聚し、その分野は晉・宋・唐のここらの地方に在り。これらの地方の將軍は獄に下るべく、兵を統ぶる主帥は驕橫猖狂、終に斬首されて君王に獻ぜられる。 四星が張宿に會聚す。歷史上王莽が位を簒い、赤眉軍が兵を起こした時にこの象あり、後に光武帝が殘餘の兵衆を掃平した。晉・魏が代を易うの際もかつて經歷した。
五星聚,漢祖得其時。秦滅漢兵東井會,君王起事合天機,星會尾如京本作「聚尾和」箕。 星落寨,為將恐遭殃。宜速移營方見吉,堅強舊所必凶傷,天降禍相辛本、川本、京本作「難」當。 星相打,攻守兩茫茫京本作「忙忙」。遇戰血流交滿野京本作「遇賊血流郊野滿」,攻城不下好堤防,宴犒賞兒郎。
五星會聚すれば、漢高祖は正にこの時候に趕上した。秦の亡ぶの際に漢軍が興起し、五星が東井に聚まり、君王が事を起こすに恰も天機に合した。此外なお五星が尾宿・箕宿に聚まる情形あり、皆改朝換代の大兆なり。 星が營寨の中に隕落す。星の墮ち將に墮ちんとするは、將たる者殃に遭うを恐るべし。迅速に營を移して初めて吉利を見る。強いて舊處に守らば、必ず凶傷、上天の降す禍患は人力の抵當し得る所に非ず。 衆星が互相撞撃するは、攻守雙方ともに忙亂茫然に陷入する。一交戰すれば血流れ野に滿ち、城を攻めてまた下さず、ただ防守を加固し、かつ宴を設けて士卒を犒賞し以て軍心を穩住するよりなし。
金星畔,邊有小星侵。相去不過咫尺遠,客軍當敗將消沉,兵罷只如今。凡金星為將星,專主兵權兆。京本注:「金星專主兵權之事。」 金星京本作「行」疾,急戰定應京本作「須」贏。行若緩時須固守,星高攻京本作「遠」戰有功名,低害京本作「則」莫深徵。 金芒角京本作「金星落」,隨角出軍徵。若有焰光如掃帚,亦名天狗食妖兵,其下血成坑。如螻赴水,其下必敗。
太白金星の旁に小星が侵近し、相距ること咫尺に過過ぎざるは、これは客軍の當に敗れ、その將の氣勢消沮するを主り、戰事これに至って將に止息せん。凡そ金星はすなわち將星、専ら兵權の征兆を主る。京本の注に曰く、金星は専ら兵權の事を主る、と。 金星の行度が快速なれば、急速に交戰すれば必ず勝を取る。行度が緩慢なれば、固く守りて時を待つべし。金星の位置が高ければ、出戰して功を立つる可し。位置が低ければ、深く遠征するなかれ。 金星が芒角を生ぜば、芒角の指す方向に順って兵を出ず。若し焰光の形が掃帚の如ければ、これを「天狗」と謂い、妖兵を吞食するを主り、その下必ず血流れ坑を成す。舊注に曰く、若し星象が螻蛄の水に撲するに似れば、その一方必ず敗る、と。
占星宿,伏現在西東。星若近南南必勝,忽然近北北宜攻,專祖此為宗辛本、川本作「蹤」。 金星出,出在卯中央。東面兵強莫京本作「休」與戰,西出西方不可當京本作「出西面酉酉難當」,勿與動鋒槍辛本、川本作「刀槍」,京本作「勿與鋒芒」。 金西伏,木京本作「未」出現東方。軍在西南休進戰,二星同出現東方,西若戰須亡。或水或木星。
星宿を占望するには、それが伏沒するか顯現するか東に在るか西に在るかを看る。星が若し南方に靠近すれば南方必ず勝ち、忽然北方に靠近すれば北方は進攻に宜し。占星は専らこの一條を以て準則とす。 金星が卯位の正中に出現すれば、東面の兵力強盛なり、東方と交戰するなかれ。金星が西方に出現すれば、西方は銳くして當たるべからず、それと刀槍を動かすなかれ。 金星が西方に伏沒し、木星が東方に出現すれば、軍隊は西南方において進戰するなかれ。若し兩星が同時に東方に出現すれば、西方いったん交戰すれば必ず敗亡す。(ここに金星と相對する一顆は、あるいは水星、あるいは木星。)
金東伏,木京本作「未」出現西方。東北二方須敗走,忽然同出在西方京本作「現在旁」,東面不能當。 同伏現,相去尺餘間。交戰將兵須有應,水居月上戰應先京本作「關」,月內必師還。水在月上也。 欃星現,分野在京本作「出」何方。若是正臨災在即,忽然頭尾也遭殃,仁德可修禳。
金星が東方に伏沒し、木星が西方に出現すれば、則ち東・北の兩方は敗走すべし。若し兩星が忽然同じく西方に出づれば、東面は抵當し得ず。 兩星が同時に伏沒しあるいは同時に顯現し、相距ること一尺餘り。交戰の時將士に必ず相應の驗證あり。若し水星が月の上方に位すれば、先を爭って出戰するに宜しく、一箇月の內に必ず班師す。所謂「水居月上」とは、水星が月亮の上邊に在るを指す。 欃星(彗星の一種)が出現すれば、その分野がどの方角に在るかを看る。若し正に某地に臨めば、災禍即刻到來す。たとえ彗頭彗尾が掃過するのみなるも、その一帶も殃に遭う。補救の道は仁德を修行して禳解するに在り。
星一個,無尾赤京本作「亦」兼青。直下落來營寨上,急須遷去別為營,此地定無成。 金晝現,名號是經天。其分用兵兵必罷,未曾動處卻兵連,人馬滿郊田。已動敗,未動易政。 星晝隕,聲震響如雷。赤白或長三五丈,忽然更有小星陪,軍勢若寒灰。
一顆の星あり、尾なく、色赤にして青を帶び、徑直に營寨の上方に落つる。急いで遷走して別に營壘を立つべく、此の地に留まれば一定に事を成し得ず。 太白金星が白晝に見え、これを「太白經天」と謂う。その主する分野が若しまさに兵を用いれば、兵事必ず罷息す。未だ兵を動かさざる地方はかえって兵連ね禍を結び、人馬は郊野田地に布滿す。舊注に曰く、すでに兵を動かしたるは敗れ、未だ兵を動かさざるは政權を改易す、と。 白晝に星隕落し、聲は雷の如く震し、赤白色の光尾は長さ三五丈、忽然なお小星相隨うあり。これは軍勢の頹敗を主り、冷卻の灰燼の如く再び振作し難し。
星晝隕,其地定為災京本作「其下地殃危」。必有火焚軍寨柵,兼防將士涉沙泥京本作「垝」,移寨京本作「去」莫徘徊。 軍營內,斗大墜星來。或是作聲長數丈,其間大戰將星移京本作「身摧」,急去免災危。京本注:「孔明、祖逖,皆有此兆。」 軍營內,星隕落其間。拽尾或長三五尺辛本、川本、京本作「丈」,皆為敗陣辛本、川本、京本作「証」莫京本作「欲」相殘,急去免災京本作「凶」奸。孔明、祖逖皆有此兆。
白晝に星隕落し、落ちる處のその一帶は必ず災を成す。一定に軍寨の柵欄を火燒するあり、なお將士が沙泥泥濘に陷入するを防備すべし。迅速に寨を遷すべく、徘徊猶豫すべからず。 軍營の內に斗大の星落下し、あるいは聲響を帶びて下り、光尾の長さ數丈に達す。この期間必ず大戰あり、しかも主將の將星將に隕移せんとす、すなわち主將將に死せん。急いで此の地を離れて初めて災危を免るるを得。京本の注に曰く、諸葛孔明・祖逖が臨終の時皆このような征兆ありき、と。 軍營の內に星その中に隕落し、三五丈長の尾光を拖すは、これは皆敗陣の明證なり。更に相持して廝殺するなかれ、急いで撤離して初めて凶險を免るるを得。舊注に曰く、孔明・祖逖皆このような征兆ありき、と。
軍營內,星隕作驢鳴京本作「形」。兆是京本作「此兆」敗軍並殺將,便須移寨不須京本作「當返不當」停,天意甚分明。 營寨內,星火殞其中。芒角光明兼京本作「並」曳尾,急須移寨避災凶,不去禍重重。 出軍法,夜與日相殊。彼上有光京本作「星」兼月朗,我軍上面暗稀疏,進戰決成輸。
軍營の內に星隕落し、落つる時に驢の叫ぶような聲音を發す。この征兆は軍隊の潰敗かつ將領を折損するを主り、立即營寨を遷移すべく、停留すべからず。天意すでに甚だ分明に表示せり。 營寨の內に星火その中に隕落し、明亮の芒角を帶びかつ長々たる尾光を拖曳す。急いで營寨を遷移して災凶を避くべく、去らざれば禍患重々なり。 出軍の法則、夜間と白晝と占う所同じからず。若し敵軍の上方に星光ありて月色明朗、我軍の上方は晦暗にして星稀ならば、出戰すれば必ず失敗す。
星晝隕,分作二三星。此是兵戈將欲動,須防敵國別來侵京本作「必來爭」,陰賊逆謀生。 吾守壁,月內一星明。必是外奸來入壘,期於半夜害吾城,搜京本作「招」捉審姦情。 提大眾,欲打破城牆。月左京本作「上」有星占上角,城中賢將有謀方,速退莫施張。
白晝に星隕落し、かつ分裂して兩三顆を成すは、これは兵戈將に發動せんとする象なり。敵國の別に來犯するを防備し、なお內部に陰險の徒あって逆謀を生ずるを提防すべし。 我方が營壁に據守するに、月輪の內に一顆の星特に明亮なり。月は夜、星は客、客星が月に入るは、これは必ず外面の奸細すでに我が壘に混入し、半夜我が城を危害せんと打算するものなり。連夜搜捕審問し、奸情を査清し、かつ巡更を加派して內應が火を擧ぐるを防ぐべし。 大軍を統率して城牆を攻破せんと欲する時、若し月の左上方に星あって上角を占據すれば、城中に賢能の將領あり、自ら謀略方策あるを説明す。迅速に兵を退き、用兵を張揚するなかれ。
敵守壘,我力有餘攻。月下有星相近駐,彼城奸欲亂吾中,門戶審其蹤。 圍彼久,月背一星隨。壁京本作「城」內敵人謀走北,其城沉潰不須摧,捷報凱歌回。 觀敵壘,月背有辛本、川本、京本作「見」三星。狀若連珠敵便遁,不須攻打自安平,撫眾勿殘生。
敵人が營壘に據守して我が兵力餘裕ありて進攻し得べし。若し月下に星あって靠近して駐留すれば、敵城が奸細を派して我軍內部を擾亂せんと來るを説明す。營門出入の蹤跡を嚴査するを須とす。 城を圍むことすでに久しく、月の背面に一顆の星相隨うは、これは城內の敵人が正に北に逃走せんと謀劃するを説明し、その城自ら沈淪潰敗す。強攻する要なく、捷を奏して凱旋するを得。 敵壘を察看し、月背に三顆の星あり、形狀が連珠の一般ならば、敵人將に逃遁せんとす。攻打する要なく自然安定す。この時降衆を撫慰し、生靈を濫殺するなかれ。
軍馬進,月畔見三星。形似三星將月捧,攻城京本作「圍」不下戰無成,擇地設營停京本作「再安營」。候過旬日,別看氣候。 攻彼京本作「破」壘,月下見京本作「列」三星。城內詐降設京本作「施」巧計,急當準京本作「整」備出京本作「突」師徵,莫信詐為誠。 圍彼壘,月角露三星。亦京本作「形」類三臺侵抱月,其城難取枉亡京本作「勞」兵,別處設謀贏。
軍馬將に兵を進めんとするに、月旁に三顆の星あり、形狀が三星捧月の如きを見る。これは城を攻めて下さず、交戰して成功し得ざるを主り、別に地方を選んで營に安じて駐紮すべし。十日を過ぐるを待ち、更に別に氣候を占看せよ。 敵壘を攻打する時、月下に三顆の星排列するを見れば、これは城內は假意の投降にして暗に巧計を設くるを主る。急いで兵馬を整備して突然出擊すべく、詐降を眞心と作すなかれ。 敵壘を圍攻する時、月角に三顆の星露出し、形狀が三台星に類して侵近し月亮を環抱す。これはその城の攻取し難きを主り、強攻はただ徒らに兵力を折損するのみ、別に計謀を設けて勝を取るべし。
彗星見,出在京本作「自」月旁邊。必有弒君並殺父,國中紛擾禍相連,更主易桑田。 金臨水辛本、川本作「木」,三五寸金分。少婦合憂生哭泣,又見將見災凶,偏將喪郊中。 星墜地,鳴下似雷聲。著把辛本、川本作「地」更辛本、川本作「便」如焚薪狀,此為天狗食人民。百日見災生。
彗星が月亮の旁に出現すれば、これは必ず君を弑し父を殺すの類の大逆の事に應ずべく、國中紛擾して禍患相連ね、なお田土の變易・山河の改觀を主る。 金星が水星に臨近し、相距ること三五寸の星度。これは少婦に當に憂愁哭泣の事あるを主り、また將帥が災に遇い凶に遭い、偏將が郊野の中に命を喪うを主る。 星が墮落して地上に至り、墮落の時轟鳴して雷聲の如く、地に著いたる後また柴薪を焚燒する如し。これを「天狗」と謂い、百姓を吞食するを主り、一百日の內に災禍發生する。
慧星現,但看出何方。定主國君喪性命,不過百日見驚亡,減辛本、川本作「咸」滅在君王。 太白犯,昴畢二星纏。定主逆臣謀國主,馬奔人走喪中原,入昴赦人原。 金與水,二曜若侵凌。定主破軍並殺將,水居首本作「君」,茲從辛本、川本金上客軍贏,在下主和平。 慧星現,從斗向南行。經過垣牆天市界,外邊兵寇界相臨,損將血成坑。
彗星出現し、ただそれがどの方角より出づるかを看る。それは必ず國君の性命喪失を主り、一百日を出でずして驚變亡故の事を見ん。災殃は君王一身に歸す。 太白金星が昴宿・畢宿の兩星を侵犯し、纏繞して去らず。これは必ず逆臣が國君を圖謀し、人馬奔逃して中原淪喪するを主る。若し金星が昴宿に進入すれば、罪人を赦免するを主る。 金星と水星の兩曜が互相侵凌すれば、必ず軍隊の破られ將領の殺さるるを主る。若し水星が金星の上に在れば客軍勝を取り、若し水星が金星の下に在れば、則ち兩邊講和して相安んず。 彗星出現し、斗宿より南に行し、天市垣の垣牆分界を經過す。これは外方の兵寇が邊界に逼臨し、將領を折損し血流れ坑を成すを主る。
占北斗第十四(京本は「占斗第四」と作る)・十六首
凡北斗,斗乃眾星魁。天上眾星難相犯,若來相犯有災危,占候者須知。 鬥口內,慧現出光芒。海內兵戈俱大起,江河流絕業成京本作「田」荒,民作甲兵糧。 北斗內,穿出慧星輝。國內主君邊寨京本作「塞」將,陰謀惡黨起旌麾京本作「強圍」,著意謹防危。
凡そ北斗を論ずるに、北斗は衆星の魁首なり。天上の他の星辰はもとよりそれを侵犯し難く、若し星あって來り相犯すれば、必ず災危あり。占候の人は必ずこの點を知らねばならない。 北斗斗口の內に彗星顯現して光芒を放つ。これは海內に兵戈大きく起こり、江河斷流して田業荒廢し、百姓の口糧は皆徵されて軍糧に充つるを主る。 北斗の內より彗星の光輝を穿出す。これは國內の君主と邊塞守將との間に、陰謀の惡黨ありて旗を擧げ亂を作すを主り、格外留意して危を防ぐべし。
北斗下,氣若破車輪。白色漸生侵口內,飢荒不稔寇成群,餘荒不堪論。 黑色氣,守定鬥口邊。父子相吞天下歉,水渰城郭少乾田,災害四方傳。 占北斗,第一是妖星。卻京本作「都」要分明軍辛本、川本、京本作「君」始吉,忽然不現眾星明。主將落姦情。妖星乃貪狼星也。
北斗の下の氣が破車輪の形狀の如く、白色の氣が漸く生出して斗口の內に侵入す。これは飢饉歉收・盜寇成群を主り、その餘の荒亂の情形は更に言說に堪えず。 黑色の氣が斗口の旁に守定して散ぜんと肯んぜず。これは父子が相殘し相吞み、天下歉收し、大水が城郭を淹沒して乾燥の田地稀少、災害が四方に傳遍するを主る。 北斗を占するに、第一に看るべきは妖星なり。この星が顯現分明なれば、國君に於て吉。若しそれが忽然隱沒して見えず其餘の衆星が明亮なれば、主將は奸人の圈套に落入らん。舊注に曰く、妖星はすなわち貪狼星なり、と。
占北斗,夜夜白霞遮。不過七旬兵大起,橫尸千里臥如麻,忌戰日西斜。斗為主,霞為客,有索戰,不可出。京本「有索戰」作「酉未來索戰」。 占北斗,黃辛本、川本、京本作「紫」氣在其中。吉京本作「喜」、辛本、川本作「有」事欲來君且記,不過旬日京本作「逾三月」喜重重,萬姓賀堯風。 占北斗,赤氣在其中。萬萬雄風辛本作「師」、川本作「帥」、京本作「兵」徒京本作「多」費力,攻城盡死不成功,枉把庫(廠敖)空。
北斗を占し、若し夜夜白霞に遮蔽されば、七十日を出でずして大擧して兵を興し、橫尸千里・遍地麻の如し。最も忌むは日頭の西に斜るの時に交戰する。舊注に曰く、北斗は主にして霞氣は客、若し敵人が挑戰に來れば、兵を出して應戰すべからず、と。 北斗を占し、黃氣(一作紫氣)が斗の中に在るを見れば、これは吉慶の事將に到らんとするを主る。君王且つ記え:十日を出でずして重々の喜事あり、萬民同じく賀し、堯時の淳厚の風氣に重逢するが如し。 北斗を占し、赤氣が斗の中に在るを見れば、これはたとえ千軍萬馬あるも徒らに費力なるを主り、城を攻めれば士卒盡く死して成功し能わず、白白しく府庫倉廩を耗空す。
占北斗,兼有小星多。天下不安人失業,荒涼米貴遞相磨,處處動干戈。 青蒼氣,漸入斗心中。定有賊來侵郡邑京本作「縣」,不然裨將欲謀凶,大忌是三冬。 占北斗,明閃電光輝。定主好人初出世,輔賢明德助人君,此兆即非輕。
北斗を占し、斗の旁に小星の衆多なるを見れば、これは天下不安・百姓失業、田野荒涼して米價騰貴し、人々相互煎迫し、處處に干戈を興起するを主る。 青蒼の氣が漸く斗心の中に侵入す。これは必ず賊寇ありて郡縣を侵犯せしめん、さもなくば副將が凶逆を圖謀せんとす。最も忌諱するは冬季三箇月の裏に發生するなり。 北斗を占し、斗光の明亮にして閃電の如く輝耀するを見れば、これは必ず賢德の人初めて世に出で、賢能明德を以て人君を輔佐するを主る。この征兆の分量は輕からず。
占北斗,太白入其中。定主將軍逢戰死,城營難守亂人民,大小在辛本、川本作「走」西東。太白入斗,將星入度也。 黑雲氣,夜散辛本、川本作「蔽」星斗中。如此三朝當有雨,急須準備候天情辛本作「晴」,此理甚分明。 占北斗,忽直或伸之。衝入斗中奸事有,犯其星位各占之,術士亦須知。 占北斗,通夜黑雲遮。定主來朝須有雨,急披雨笠候天涯,應兆不能差。
北斗を占し、太白金星が斗の中に侵入するを見れば、これは必ず將軍が戰死し、城池營壘守り難く百姓離亂し、大小の人等四散して奔逃することを東西に主る。舊注に曰く、太白が斗に入るは、將星が北斗の星度に進入したるなり、と。 黑雲の氣が夜裏星斗の中に遮蔽する。こうして三日連續すれば當に雨降るべし。急いで準備し、靜かに天氣の變化を候すべく、この道理は十分に分明なり。 北斗を占し、若し氣ありて忽然筆直に伸展し斗の中に衝入せば、奸邪の事あるを主る。それが衝犯する哪一顆の星位なるやに至っては、その星に照して分別して占斷す。術士もまたこの法則を知るを須とす。 北斗を占し、若し整夜黑雲に遮蔽されば、必ず第二天に雨降るを主る。急いで蓑衣斗笠を披き、天邊を留意すべく、この應兆差錯あることなし。
占地第十五・二十一首
地之道,與月一般稱。為母為臣生萬物,發生含育盡乾坤,明辨豈無靈? 統軍帥,下寨要安營。先是須知吉凶地,莫令誤地損兵軍,此理要精明。 地名好,川破不堪安。大路叉中休下寨,伏尸古墓見多般,將帥要知言。主虛驚,賊來破寨。
地の道理は、月亮と相稱して並列す。地は母と爲り臣と爲り、萬物を生養し、その發生含育の功は乾坤に及ぶ。よく地象を明辨し得さえすれば、何ぞ靈驗なからんや。 軍を統ぶる主帥、寨を扎き營を安んずるの先に、まず何れの處か吉地・何れの處か凶地を辨明し、地方を選び錯えるに因って徒らに兵馬を折損することなかれ。地利は全軍の存亡に關わり、この道理は必ず精熟明白に弄し、臨時に草率に地を擇ぶこと能わざるなり。 地名よしと雖も、山川殘破なれば營を安んずるに宜しからず。大路の交叉する處は寨を扎くるなかれ、そこは往往に伏尸古墓を埋め、形形色色あり。將帥はこの告誡を聽懂すべし。舊注に曰く、ここに寨を扎くは虛驚あるを主り、また敵兵を招きて寨を破る、と。
山窄地,泣滴莫安營。兩路中間休立寨,龍頭辛本、川本作「勿投」天灶怎持兵,仔細與軍辛本、川本作「君」尋。天灶者,大谷之口;龍頭者,大山之端。 戰場地,古廟與靈壇首本作「臺」,茲從辛本、川本。攻破城營移辛本、川本作「遺」故地,盡言凶敗與傷殘,細說與軍辛本、川本作「兵」官。 山谷中,下寨忌逢之。前高後下居之險,地無草木主憂疑,明將總須知。
山勢狹窄にして地面水渗み滴瀝する處は營を安んずるなかれ。兩條の道路に夾まれた中間地帶も寨を立つるなかれ。「龍頭」「天竈」のような地形は、何ぞ兵を屯せんや。仔細に全軍の爲に別に營地を擇ぶべし。舊注に曰く、「天竈」は大山谷の谷口、「龍頭」は大山の頂端なり、と。 舊戰場・古廟・神壇、及び攻破せられたることある城營遺址、これらの地方は一概に凶敗傷殘を主り、皆細細に軍中の將吏に講じて知らしむべく、此に駐紮すべからず。 山谷の中は最も寨を扎くるを忌む。前高後低の地形は、之に處ること危險なり。地上に草木を生ぜざるは、憂疑不安を主る。明智の將領は皆必ず知るべし。
大驛路,前後總須疑。或在高崗或在辛本、川本作「近」水,長深溪澗最無疑,下寨得便宜。 營已下,須識有災非。地上忽生諸怪類,往來天象看來情,主將要知因。 占其地,毛羽忽然生。必主人君遭厄難,大兵侵國亂朝廷,百事應憂驚。
大驛道の前後は皆疑問に値し、久しく駐るに宜しからず。營地は當に高岡の上に選ぶべく、あるいは水源に靠近すべし。あの狹長深邃の溪澗の旁が最も穩妥にして、ここに寨を扎くは地利を占取し得る。 營寨すでに扎き下りたりと雖も、なお災禍の有無を辨識し得べし。若し地上に忽然種種の怪異の物を生ぜば、天象の往來變化と結び合わせてその主する情形を看るべく、主將は必ずその中の緣由を弄清せねばならない。 營地を占察し、若し地上に忽然毛羽の類を生ぜば、必ず人君が厄難に遭遇し、大軍が國境に侵入し朝廷動亂するを主り、凡事皆憂驚と應驗す。
田地上,忽然便生毛。處處盡生人總見,此為謀逆血流郊,百日主凶妖。 城營內,火焰忽然京本作「生」光。將士敗亡看在速,急須移寨京本作「轉」免災殃,不去禍難當。 城忽裂,必主起干戈。山中地或如雷吼,敵軍來時看辛本、川本作「速探」如何,急避莫蹉跎。
田地上に忽然毛を生じ、しかも處處皆生じ人人皆見るを得。これは人ありて謀反作逆し、郊野に血を流すを主り、一百日の內に凶妖の事を應驗す。 城池營壘の內に忽然火焰の光を冒出す。これは將士の速やかに敗亡するを主り、急いで寨を遷して災殃を免るべく、去らざれば禍患當り難し。 城牆が忽然開裂すれば、必ず干戈を興起せんとすることを主る。山中の地面若し雷のような吼聲を發せば、急いで敵軍の來時の情形を探明し、急速に回避し、蹉蛇すべからず。
營寨京本作「砦」地,泉水及生塵。有戰不離於月內,早排兵甲敵邊鄰,移寨避災迍。先移後戰。 城營京本作「營內」地,無故動還搖。大戰必應於歲月京本作「內」,並注:「城年營月也。」直須移京本作「離」寨禍應消,不去京本作「出」將身招。 城營內,地動起兵戈。且早移營於吉地辛本、川本作「福上」,不然刑禍將身多,陣敗辛本、川本、京本作「破」自消磨。
營寨の所在の地、忽然泉水涌出しあるいは故なく塵土揚ぐ。これは一箇月の內に必ず戰事あるを主り、早くより兵甲を整備して鄰近の敵に對付し、かつ營寨を遷移して災厄を躲避すべし。舊注に曰く、まず營を遷し、然る後に戰う、と。 城池營寨の地面が故なく震動搖晃するは、必ず大戰あるに應ずべし。原注に曰く、城の中に在るの應驗は年を以て計り、營の中に在るの應驗は月を以て計る、と。必ず營寨を遷移して初めて禍患消解し、去らざれば凶禍主將自己の身上に招かるる。 城營の內に地面震動すれば、兵戈を興起するを主る。早くより營を吉地に遷すべく、さもなくば主將の身上に刑禍重々、陣勢敗破して兵力自ら消磨し盡くさん。
城營內,忽見地生毛。所統精兵當便起,須臾不去禍應遭,禳醮保功勞。 城營內,地上起錢京本作「殘」花。有似馬蹄同此兆,移營擁京本作「各營勇」士定歸家,應驗決無差。 城營內,地忽現辛本、川本、京本作「陷」崩摧。禍結兵連緣此兆,移營修義滅京本作「速修仁義免」凶災,不信將身推京本作「危」。
城營の內、忽然地上に毛を生ずるを見れば、統率する精兵は立即に營を起つべし。片刻も去らざれば禍に遭う。同時に醮を設けて禳解すべく、初めてすでにある功勞を保ち得る。 城營の內、地上に銅錢の花紋のような印痕を現し、あるいは馬蹄の印の如きは、皆同一種の征兆に屬す。この時當に營を遷し、將士を擁して家に歸るが正辦なり。この應驗は決して錯わず。 城營の內、地面が忽然塌陷崩毀す。禍結び兵連ねるは皆この征兆に因って起こる。營を遷し仁義を修行して凶災を消滅すべし。若しこの話を信ぜざれば、主將自身が危險に陷入らん。
城營內,忽見地生丹京本作「忽有土崩塌」。敵騎欲來沖突我,差人截路莫輕閒京本作「待莫輕看」,移寨庶幾安辛本、川本作「倚亭關」。 城營內,花草忽然生。急出莫令軍疾病,經旬不動將身傾,智士京本作「勇」切須明。 城營內,地上忽然京本作「生」黃。五穀或生並地長京本作「忽然生遍地」,將軍祿位福無疆,士馬樂京本作「亦」安康。
城營の內、忽然地上に丹赤の色を生ずるを見れば、一説に土の崩塌あるなり。丹赤は火に屬し、また血の色なり。これは敵騎の將に我軍を衝撃せんと來るを主る。人を遣して道路を截斷し、等閒に視すべからず。營寨を遷して初めて安穩を望むべし。 城營の內に忽然花草を長ずれば、急いで撤出すべく、軍中に疫を生ずるを免れんがため。十日を過ぎてなお移動せざれば、主將自身が傾覆せん。智ある士は必ずこの點を明白にせよ。 城營の內、地面が忽然黃色を現し、あるいは五穀が自然に生長し遍地に滋蔓す。これは吉兆にして、將軍の祿位隆厚・福澤無窮を主り、士卒戰馬皆安樂康健なり。
占樹第十六・五首
城京本作「營」中樹,忽然總萎黃。威氣京本作「風」助吾軍必勝,陰神佑我必成強,主將喜非常。 營側畔,樹木自崩摧。若近軍前師敗辱,不然近彼賊京本作「彼戰必」衝來,移去免凶災。 諸樹木,花發不當時。營內見之須速備京本作「避」,定知賊眾欲來圍,移寨免災危。
城中の樹木が忽然全て枯萎發黃す。草木が肅殺の氣を受けて凋むは、正に兵威の加わる象なり。これは威氣が我を助け陰間の神靈が我方を佑護する兆、我軍必ず勝ち勢必強盛なり。主將は格外歡喜すべし。 營寨の側旁の樹木が自ら崩折摧倒す。若し崩倒の一側が我軍の前方に靠近すれば、我師の敗辱を主る。若し敵方に靠近すれば、敵兵の將に衝撃に來らんとするを主る。營を遷して凶災を免るる可し。 各種の樹木が時令に合わず開花す。花が開くにその時に非ざるは、「氣が位に當たらず」なり。營內にこのような反常の象を見れば、必ず迅速に戒備し、敵衆の將に圍困しに來らんと斷定し得べし。營寨を別處に遷して初めて災危を免るるを得。
營寨內,樹木被雷驚。或是震傷人與物,此為傷敗被天嗔,移寨免憂心。 諸樹木,忽地出奇枝。異花奇葉人罕見,必生異事報軍辛本、川本作「君」知,將帥看修為。
營寨の內、樹木が雷に撃たれ驚震し、あるいは雷震が人と器物とを傷つく。これは傷敗に遭い、上天に譴怒される兆なり。營寨を遷移して初めて憂慮を免る。 各種の樹木が忽然奇異の枝條を長出し、罕見の異花奇葉を開く。これは必ず異常の事ありて軍中に報知せんとするなり。將帥はこれに據って己の作為を檢點し、德を修めて之に應ずべし。
占蜂第十七(京本は第十一に列す)・五首
軍營內,蜂眾泊於營。兵京本作「軍」欲動移應不久,修磨器甲莫教停,總令便須行。 軍行次,蜂蝶接連來。定有伏兵居草莽辛本、川本、京本作「澤」,好防林木與山崖,先探保無災。 軍下寨,蜂蝶遍天飛。防有賊來攻我寨,急首本作「忽」,茲從辛本、川本須固守莫遲回,主將要先知。
軍營の內、成群の蜂が營中に停落す。これは軍隊のほどなく移動せんとするを主り、不停地に器械甲胄を修磨し、號令の下達を一等すれば即刻開拔すべし。 行軍の途中、蜂蝶が接續して飛來す。蜂蝶は草澤に棲みて人馬に驚起されてこそ接續して飛來す。これは必ず伏兵が草澤の中に藏れあり。林木と山崖の處をよく防備し、先ず人を遣して偵察し清楚にして、初めて災なきを保ち得。 軍隊が寨を扎くの時、蜂蝶が漫天に飛舞す。敵人の我寨を攻めに來るを防備し、急いで固守し、遲疑退縮すべからず。主將は必ずこの層の意思を預知すべし。
軍營內,蜂惡亂叮辛本、川本作「呵」人。或是反軍與謀將,必然軍將有災危,謹守賊欺追辛本、川本作「追欺」。 軍營內,蜂子遍飛遊。必主將軍多口舌,若還移寨沒災危,記此在心機。
軍營の內、惡蜂が亂に人を叮す。蜂は毒螫あって反ってその主を噬むは、正に內亂に象す。これはあるいは軍中に人あって反叛し、あるいは將領が別に圖謀を懷く。軍將必ず災危あり。謹んで營壘を守禦し、同時に敵人の隙に乘じて追逼欺凌するを防備すべし。 軍營の內、蜂子が四處に飛游して人を螫さず。これは必ず將軍に口舌是非多く、讒言紛起するを主る。若し營寨を遷移し得れば、災危なし。この一條を牢牢に心に記すべし。
占鼠第十八(京本は第十に列す)・十首
占見鼠,其物夙名虛。主盜主奸皆主賊,若來為怪將兵虞,不信禍難除。 逢見鼠,白色是金精。若順軍行軍大勝,逆軍來者禍相京本作「災」生,凶吉甚分明。 逢赤鼠,來往在軍前。此是伏軍京本作「兵」藏詭計,搜尋斜谷道旁邊,急備莫遲延。
老鼠を占見するに、この動物は向來名聲好からず。それは盜竊を主り奸邪を主り、總じて一箇の「賊」の字に歸す。若しそれが反常怪異の擧動を作せば、兵を帶ぶる者は憂慮戒備し、營中に內應の細作有無を査すべし。この話を信ぜざれば、禍患消除し難し。 白色の老鼠に遇うは、それは金氣の精華の化する所なり。それが若し我軍の前進の方向に順って走れば、我軍大勝す。若し我軍に逆らって來れば、禍事を生ぜん。吉凶の分辨は甚だ清楚なり。 赤色の老鼠が我軍の前に來回穿行するに遇えば、これは敵人が兵馬を埋伏し詭計を暗藏する象なり。斜谷と道路の兩旁とを搜查し、急いで戒備し、遲延すべからず。
軍營內,鼠咬屋椽楹。或見辛本、京本作「向」壁間搬出土,移營在近改遷寧,排備向前程。 軍營內,行鼠尾舒前。將京本作「軍」主有災須醮謝,夜深谷口京本作「各各」、辛本、川本作「穀穀」罷戈京本作「兵」鋋,太白京本作「天似」報人言。 營寨京本作「軍營」內,驀地鼠成行。欲似吊人聲不罷京本作「出」,此須為禍將身當,禳謝得平京本作「保安」康。
軍營の內、老鼠が屋椽梁柱を啃咬し、あるいは牆壁の間より土を外に搬ぶ。鼠は屋の將に壞れんとするを先知して預めその居を移す。これは營地が久留に宜しからざるを主り、近くに就いて改遷して初めて安寧を得、同時に行裝を整備して前進を準備すべし。 軍營の內、老鼠が行走する時尾巴を前面に伸ばす。これは將帥に災あるを主り、醮を設け祭謝禳解するを須とす。夜深の時分に谷口に兵戈を停止すべし。これは太白金星が人に警を示し言を傳うるなり。 營寨の內、老鼠が忽然成行成列を成し、叫聲が人の弔喪するが如く歇まんと肯ぜず。これは禍事にして、主將の身上に應ずべし。必ず禳解祭謝して初めて平安を保ち得。
營寨內,白日鼠搬兒。不是火災應大水,三日辛本、川本、京本作「朝」五京本作「兩」日速遷移,不出禍相隨。 寨中鼠,能舞向人前。必有內姦通外敵,且須搜捉莫遷延,速備實為先。
營寨の內、老鼠が白晝に幼崽を搬運す。これは火災を主るかさもなくば大水を主るか、三五日の內に急いで遷移すべく、去らざれば禍患將に跟って來らん。 寨中の老鼠が竟に人前にて起舞し得。鼠はもと人を畏るるも反って敢て人前に戲るるは、營中すでに恃む所ありて恐れなきの輩あるを説明す。これは必ず內奸ありて外敵と勾通す。急いで搜捕し、遲延すべからず。迅速に戒備するこそ第一の要務なり。
軍營鼠,血染將衣冠。或咬鼓旗皆不利,信須修謝拜星官,移寨且求安。 將軍臥,眼上被鼠傷京本作「將軍服,上衽鼠來傷」。必有奸賊京本作「喜神」來辛本、川本、京本作「看」在即,或傷腰下不相當,財散京本作「破」客軍強。經曰:「鼠者,賊也。如有變易,必主奸寇入也。」
軍營中の老鼠が血を將帥の衣冠上に染め、あるいは戰鼓と旗幟とを咬壞するは、皆吉利ならず。的確に祭謝を設法し、星官を禮拜し、かつ營寨を遷移して平安を求むるを須とす。 將軍が睡臥する時、眼睛の上方を老鼠に咬傷さるるは、これは必ず奸賊の即刻將に到來せんとするあり。若し傷が腰以下に在れば、應驗同じからず、破財して客軍強盛を主る。兵經に曰く、老鼠はすなわち賊なり。その擧動に一反常の變化あれば、必ず奸細賊寇の入境を主る、と。
占蛇第十九(京本は第二十一に列す)・十二首
兵發日,路上遇橫蛇。或入水中應大勝,蛇還赤地京本作「色」戰無涯,勝負較些些辛本、川本作「勝地住些些」。泊住過一日,外動則吉。 兵京本作「軍」行次,蛇赤忌逢之。慎備京本作「陣當」前程來勒京本作「應勤」戰,訓兵激賞布恩威,厚薄勿偏虧。 軍發次,驀地見交蛇京本作「蛟交」。講武揚兵須宴犒,不然上將中風邪,身喪掩黃沙。
出兵の日、路上に橫臥の蛇に遇う。若し蛇が水中に鑽入すれば、大勝を主る。若し蛇が赤色なれば、則ち戰事綿延として盡きず、勝負の相差は幾ばくもなし。舊注に曰く、この時營に駐り一日を停め、過ぐる後再び動けば吉なり、と。 行軍の途中、最も赤蛇に遇うを忌む。謹慎戒備すべく、前路に兵を勒して苦戰あらん。士卒を訓練し重賞を激勵し、恩威並び施し、賞賜の厚薄に偏私虧待あるべからず。 軍隊出發の時、忽然兩蛇の交纏するを見る。この時當に武事を講習し軍威を張揚し、かつ宴を設けて犒賞すべし。さもなくば主將に風邪の疾を中し、身死して黃沙に骨を埋めん。
蛇赤辛本、川本、京本作「諸」色,大小外邊來。來入我軍兵欲敵京本作「散」,更防引得外奸乖,德向京本作「得上」好通開首本作「關」,茲從辛本、川本、京本。 長蛇見,飲水近營京本作「軍」傍。抽退還鄉方始吉,不然移寨九天方,禳厭免災殃辛本、川本末八字作「向高強,營壘布旌幢」。京本注:「太歲九天上同。」 兵京本作「軍」行次,蛇貫路邊傍。備御伏京本作「賊」兵前道阻,且須仔細更思量,終不使開京本作「利封」疆。
各種顏色の蛇、大大小小營外より爬來し、我軍の中に鑽入するは、これは兵衆の將に潰散せんとするを主る。なおそれが外面の奸細を引來して乖を爲し禍を爲すを防備すべし。德行を以て疏通化解するこそ、好辦法なり。 長蛇が營旁に水を飲むを見る。この時兵を收め鄉里に還るこそ吉なり。さもなくば營寨を「九天」の所在の方位に遷し、かつ禳厭の法を施行して災殃を免れん。京本の注に曰く、太歲と九天との推法は相同じき、と。 行軍の途中、蛇が道路の旁に橫貫するは、これは伏兵を防備し前路の阻まるるを主る。仔細に再三思量すべく、この行は終に疆土を開拓し得ず。
蛇入井,俱是敗軍形。或似杵形營內現,若還交戰血成坑,堅守我軍營。 蛇貫道,白赤動京本作「助」軍情。必有賊兵攔道路京本作「捫路道」,只宜盤泊賞軍兵,不久卻回程。但有異色之蛇攔路,回師罷戰,大吉。 蛇如鳥,更有似弓辛本、川本作「車」形。或是白蛇形辛本、川本作「行」、京本作「形如」斷續,兼之五六見城營,泣淚血交並。
蛇が井中に鑽入するは、皆敗軍の象なり。あるいは營內に盤曲して木杵の形狀の如き蛇出現す。蛇の井に入るは「陷して出でず」の象なり。この時若し還って交戰に赴かば、血流れ坑を成さん。己の營壘を堅守し、この股の凶氣の過ぐるを待つべし。 蛇が道路を橫貫す。白色赤色の蛇は皆軍情を牽動す。これは必ず敵兵ありて道路を攔阻す。ただ地に就いて駐紮し、士卒を犒賞するに宜しく、ほどなく班師回程せん。舊注に曰く、凡そ異色の蛇の路を攔むは、すなわち師を回らし戰を罷む、大吉なり、と。 蛇の形狀が鳥の如く、また弓(一作車)の樣子の如し。あるいは白蛇にして身形斷斷續續、しかも一連五六條も城營の中に出現す。これは哭泣流淚・血光交併の禍を主る。
蛟蛇見,營寨必京本作「不」宜攻。更有青蛇人病疾,黃蛇疫瘴總成凶,移寨京本作「徙」免災凶京本作「逢」。 兵行次,水裡怕逢蛇。更有魚龍蜃類見,悉皆進退事無涯京本作「捱」,速退莫諮嗟。如見龍蛇蜃,並同。 下營畢京本作「軍」,繞寨京本作「蛇繞」大蛇棲。必有賊京本作「戰」兵來打寨,高強營壘矗京本作「布」旌旗,謹慎欲京本作「好」防之。
蛟蛇を見れば、敵方の營寨は攻撃に宜しからず。若し青蛇を見れば人に疾病あるを主り、黃蛇を見れば疫癘瘴氣を主り、總じて凶を成す。營寨を遷移して初めて災凶を免るるを得。 行軍の途中、最も水裏に蛇に遇うを怕る。若しまた魚・龍・蜃の一類を見れば、皆進退兩難・事情に著落なきを主る。迅速に兵を退き、歎息遲疑するなかれ。舊注に曰く、龍・蛇・蜃を見るは、占法皆相同じき、と。 營を扎し畢りて、大蛇ありて寨邊に盤繞し棲息す。蛇が盤繞して去らざるは、外物が環伺する象なり。必ず敵兵ありて營寨を攻打しに來らん。營壘を加高加固し、旌旗を多く豎てて聲勢を張り、晝夜謹慎防備すべし。
占獸第二十(京本は第二十二に列し、前六首は別に「占牛馬第十八」と作る)・三十四首
城營內,馬夜轉槽鳴。軍欲離營將大戰,早排驍勇各嚴辛本、川本作「令行」明,京本作「各令齊」,法令辛本、川本作「號」整齊行京本作「號令辨高低」。 軍營內,馬咬石兼沙。必有賊兵吾京本作「君」大獲,將軍克勝遠方誇,大小總榮華。 軍營內,牛舞向人前。欲罷戰爭休士卒,干戈不舉卻迴旋,各辛本、川本、京本作「齊」賀太平年。
城營の內、馬が夜裏身を轉じ槽を離れ嘶鳴す。これは軍隊の將に營を離れ大戰せんとするを主り、早くより驍勇の士を部署し、各自號令を申明し、法令整齊して然る後行動すべし。 軍營の內、馬が石頭と沙土とを啃咬す。これは必ず我軍が敵に對して大有斬獲あるを主り、將軍は敵に剋ち勝を制し、名は遠方に揚がり、大小の將士皆榮華を得ん。 軍營の內、牛が人前にて起舞す。牛は耕稼の畜、牛舞は正に農事復興の象なり。ゆえに戰事將に罷まんとし士卒休息を得るを主り、干戈を動用せずして師を回らし得、衆人同じく太平の年を賀す。
馬廄內,天火忽然燒。看即大兵將欲起,直須修德辛本、川本作「福」禍方消,勿使自身招。 城營內,驢馬作人言。聽取語言為定京本作「作」準,更看馬後辛本、川本作「駿」殺軍年,方始報仇冤。 軍川本作「城」營內,牛馬夜間鳴。必有暴兵來覓,直須防備夜偷營,速暗布精兵。
馬廄の內に忽然天火起こり焚燒す。これは眼の前に大軍將に興起せんとするを主り、必ず德行を修養して初めて禍患消解せん。災禍を自己の身上に招くことなかれ。 城營の內、驢馬が竟に人の話を說き起こす。それが說く所の話を聽取して憑準と作し、更に此の後の殺伐軍旅の年份を推看し、その時初めて仇を報じ冤を雪ぐるを得。 軍營の內、牛馬が夜間に嘶鳴す。これは必ず強暴の兵ありて前來尋釁す。必ず敵人の夜裏營を偷むを防備し、急いで暗中に精兵を布置すべし。
城營內,生產兩頭奇。或有足多生八隻,四足兩頭禍不移,裂土應逾期。 占走獸,獸字體相將。或辛本、川本作「凡」有怪形須要當,由分凶吉與君張,要辨辛本、川本作「獸」虎豺狼。 兵發日京本作「發兵次」,野獸截軍京本作「兵」行。直向隊中衝透過,必然京本作「分」隊伍兩縱橫,良將要京本作「亦」須明。
城營の內、牲畜が兩箇の頭の怪胎を產下し、あるいは八隻の脚を生出す。凡そ四足兩頭の類の畸形は、「一體二主」の象なり。禍事必ず免る可からず、國土分裂・政令二出を主り、應驗の時日はなお日後に拖延せん。 走獸を占するには、獸の形體に就いて推斷すべし。凡そ怪異の形狀あれば、皆當眞に對待し、これに據って吉凶を分かち主上に講じて聽かせ、とりわけ虎・豺・狼のここらの猛獸を辨清すべし。 出兵の日、野獸が行軍の隊伍を攔截し、徑直に隊中より衝穿して過ぐ。これは隊伍の必ず衝散され縱橫錯亂するを主り、良將は必ずこの點を明白にし、預め防を設くべし。
兵行次,狼虎及熊羆。若在軍前狂亂京本作「浪」走,此行旬日戰無移京本作「旬戰定無宜」,先舉得京本作「合」天機。 諸禽獸,異色及無名。有爪有牙京本作「齒」為我怕,無牙無爪亦應輕,此兆甚分明。 營前後,野獸亂縱橫。殺取太牢天地祭,三京本作「六」軍方得保安寧,有戰必須京本作「然」贏。
行軍の途中、狼・虎と熊羆とが軍前に狂奔亂走するを見る。これはこの行十日の內に必ず一戰あるを主り、先を搶して發動してこそ天機に合す。 各種の禽獸、あるいは顏色怪異、あるいは名を叫び出せず。爪あり牙あるは人を傷つけ得、我に畏る可からしめ、凶重きを主る。牙なく爪なきは害を爲す能わず、應驗すなわち輕し。凶吉の輕重はすなわちこのに照らして分辨す。界限甚だ分明なり。 營寨の前後に野獸が縱橫に亂竄す。太牢の牲を宰殺して天地を祭祀すべく、全軍初めて安寧を保ち得。こうして再び戰事あれば、必ず勝を取らん。
城營內,白鹿入營來。將士病災方欲起,若還無角京本作「病」主兵回,移寨免災危。 兵屯次,鹿走入軍營。必有降人來見我,期於三日事分明,或京本作「咸」喜長威名。辛本、川本注:有戰作,主大勝。 狼與虎,切忌入軍京本作「營」中。隊伍突沖並截路,不過數日有危凶,警備勿交攻。
城營の內に白鹿ありて營に闖入す。白は喪色、鹿の營に入るは外物の內に侵すなり。これは將士の疾病災厄まさに發生せんとするを主る。若しその鹿に角なければ、兵衆の師を回らせんとするを主る。營寨を遷移すれば災危を免るる可し。 兵を屯する時、鹿ありて軍營に跑入す。これは必ず降りに來る人ありて前來投見せん。三日の內に事情將に明朗ならんとし、衆人歡喜して軍威大いに振るう。辛本・川本の注に曰く、若し正に戰事あれば、大勝を主る、と。 狼と虎は最も軍中に闖入するを忌み、あるいは隊伍を衝撞し道路を攔截す。幾日を出でずして危凶あり、戒備を加强し、交戰進攻するなかれ。
虎相食,兆不出三年。必有大兵當至此,來其分野禍相煎,其兆理關天。 兵屯次,野象京本作「豕」入於營。急急殺來將祭獻京本作「鼓」,三軍從此得安寧,齋沐要嚴精。 城營內,鹿京本作「麂」子入其中。殺取三牲將祭獻辛本、川本、京本作「禱」,急當移寨免災凶,否則禍重重。
虎が互相吞食するは、この征兆の應驗は三年を出でず。必ず大軍ありて此の地に開到し、兵禍がその主する分野に降臨し、相互煎迫す。この兆象の道理は天數に關わる。 兵を屯する時、野象(一作野猪)が營中に闖入す。急いでこれを殺して以て釁鼓を祭獻に用い、全軍これより安寧を得。主祭の人は齋戒沐浴必ず嚴整精誠なるべし。 城營の內に鹿(一作麂)ありてその中に闖入す。三牲を宰取して祭禱し、かつ急いで營寨を遷移して災凶を免るべし。さもなくば禍患重々なり。
軍營側,驀地有豪豬。須備伏兵來犯京本作「賊兵來劫」我,便宜先舉莫躊躇,移寨始無虞。 軍營內,或京本作「忽」有野豬來。若戰先贏多後敗,速當移寨避其災,修謝莫遲回。 軍營內,兔走在京本作「入」其中。雖有雄兵終不戰,都緣彼敵欲和同,不在苦京本作「若」邀功。
軍營の旁に忽然豪猪出現す。豪猪は身に利刺を帶び、甲兵の象なり。伏兵あるいは敵寇の前來我が營壘を劫するを防備するを須とす。この時先を搶して發動してこそ便宜を占め、躊躇するなかれ。營寨を遷して初めて眞に後顧の憂なし。 軍營の內に忽然野猪ありて闖來す。野猪は性猛にして遠謀なく、正に初め銳く後に鈍きに象す。ゆえに交戰して先ず赢ちて後に敗るるを主り、勝勢保持し難し。迅速に營寨を遷移してこの場の災禍を躲避し、かつ及び時に祭謝を修設し、遲疑退縮すべからず、また初勝に因って輕進すべからず。 軍營の內に兔子ありて跑了進來す。兔は性怯懦にして鬥わず。ゆえにたとえ雄兵あるも、最終に打ち起こらず。緣由は敵方がもとより講和せんと欲するに在り。この時苦苦と戰功を求取する要なし。
軍營內,狸獸京本作「走」夜頻鳴。恰似豺狼同此兆,必知將士欲離營,不久禍災生。 兵屯京本作「行」次,豺狗入於營。內有奸人京本作「兵」相結外,急須搜捉察原情,莫遣叛縱橫京本作「蹤興」。 軍營內,狗怪遣人猜京本作「災」。急殺血流於戍京本作「成」地,埋深三尺以禳災,敵將必擒來。
軍營の內、狸獸が夜裏頻頻に鳴叫す。若し豺狼の夜嗥に換えても占法は同じ。夜鳴止まざるは躁動不安の象なり。これは必ず將士すでに營を離れ散去の心あるを説明し、ほどなく災禍を生ぜん。主將は早くより衆を撫して心を安んじ、賞罰を重申し衣糧を厚く給し、散亂の軍心を收攏すべし。 兵を屯する時、豺狗が營中に闖入す。これは營內に奸人ありて外面と勾結するを主る。急いで搜捕し原委を査明し、叛謀をして蔓延縱橫せしむるなかれ。 軍營の內、狗に反常怪異の擧あり、人をして疑を生ぜしむ。急いでこれを殺し、血を戍守の地に流し、更に三尺を深埋して災禍を禳除すべし。かくの如くすれば敵將必ず擒獲されん。
軍營內,獐入及登城。若遇此妖多是火,不然孝服與兵爭,祈謝保京本作「得」安寧。 兵行次,路上遇猿猴。嚴令小心防恐怖,理當排槊京本作「齪」整戈矛,預計盡良籌。 狼與虎,繞寨作悲鳴京本作「聲」。似哭似號京本作「嗥」軍大敗,將軍兵敗京本作「潰」事多驚京本作「更」,尸壘澗溝平。
軍營の內に獐闖入し、甚至城牆に登る。こういう妖異に遇えば、多くは火災を主る。さもなくば喪事孝服あるを主り、あるいは兵爭の禍なり。祈禱祭謝を設法して初めて安寧を保ち得。 行軍の途中、路上に猿猴に遇う。嚴に號令を申し、小心して驚恐騷動を防備すべし。理に照り長槊を排列し戈矛を整肅し、各種の謀劃を皆預め籌措して周全にすべし。 狼と虎とが營寨を繞って悲鳴を發し、その聲音は哭くが如くまた嗥叫の如し。虎狼が寨を繞りて哀鳴するは、死氣が先ず營に聚まるの應驗なり。全軍大敗を主り、將軍兵潰れ變故頻生し、尸首堆積して竟に澗溝をも填平す。この象を見る者は立刻營を拔き遠く避くべく、僥倖の心を存すべからず。
狼奔走,直撞入吾軍。不出三日京本作「去三朝」並五日,敵來降我引朝君,彼我受皇恩。 野豬鹿,從外入中營。定有降人來投京本作「伏」我,只於三日見分明,引使京本作「伴」履王庭。 狼與虎,卒見使人驚。我在徒師前去後京本作「在我帥營前後走」,須防大戰血成坑,不遇聖賢明。
狼が奔跑し徑直に我軍の中に撞進す。これは三五天を出でずして敵人が來り我に投降するを主り、我は彼らを引いて君王に朝見せしめ得、雙方皆皇恩を承受し得。 野猪と鹿とが營外より中軍大營に闖入す。野獸が自ら外より內に入りて驚避せざるは、正に歸附の象なり。必ず降りに來る人ありて前來投附し、ただ三日の內に分曉を見ん。降方の使者を引いて王庭に朝見せしめ得、更に干戈を動かす要なし。 狼と虎とが突然出現し、人を驚駭せしめ、しかも我軍隊伍の前後に在りて走動す。これは一場の大戰・血流れ坑を成すを防備すべく、この時また聖明賢德の主に遇わず汝の爲に轉圜せしむること能わず。
兵行辛本、川本、京本作「屯」次,狸走入其中。不住夜鳴圍繞寨,先因風火事京本作「憂風火夜」重重,埋伏且藏兵京本作「蹤」、辛本、川本作「擬藏中」。 軍營內,驀地有來獐。三朝七日須大戰,不然講武較旗槍。速斬免災殃。 牛與馬,產出是人形。定主胡人侵大國,不分南北亂人民,且候聖明生。 狼與虎,號泣辛本、川本作「號叫」、京本作「嘯叫」又傷人。五日七朝兵起至,臨時勝負預鋪陳,方許辛本、川本作「治」、京本作「恥」敗來軍。
兵を屯する時、狸が營中に跑進し、整夜不停に寨子を繞って鳴叫す。これは先ず風火の患重々を主り、その次に敵人の埋伏・暗中の藏兵を防ぐべく、嚴に搜索を加うるを須とす。 軍營の內に忽然一隻の獐來たる。これは三〜七日の內に必ず大戰あるを主る。若し交戰に至らざるも、講武較藝・旗槍を比試する事あらん。この獲を迅速に殺して災殃を免るる可し。 牛馬の產下するが竟に人形の怪胎なり。これは必ず外族の中國に侵入し、南北分たず百姓離亂するを主り、ただ靜かに聖明の主の世に降りて局面を收拾するを候つのみ。 狼と虎とが嘯叫嗥泣し、しかも人を傷つく。これは五〜七天の內に兵事將に起こらんとするを主り、預め臨陣勝負の方略を鋪陳安排し妥當にして初めて來犯の敵を打敗る把握あり。
占水族第二十一(京本は第十二に列す)・七首
兵行次,水族忌逢京本作「行」之。但是魚龍蛟蜃類,悉皆不吉兆災危,抽退卻相宜。 龍現壘,室宅及池京本作「其」中。必有大臣謀叛逆,且須作急探姦凶,莫待有奔衝。王莽、朱溫時,龍現池沼。 軍京本作「兵」行次,龍在軍前。必是京本作「有」交鋒亡命戰,黃龍得勝黑龍偏,平地血成川。
行軍の途中、最も水族に遇うを忌む。凡そ魚・龍・蛟・蜃のこういう類は、皆陰物にして位を離れその居を失い、一概に吉ならず、災危を預示す。この時兵を收め後退するはかえって相宜、強いて前行すれば必ず陷溺覆沒の患あり。 龍が營壘・屋宅あるいは池塘の中に出現す。これは必ず大臣ありて叛逆を圖謀す。急いで奸凶を偵査し、對方の發難衝突を待ってから動手するなかれ。舊注に曰く、王莽・朱温が位を簒うの時、皆かつて龍の池沼裏に出現するありき、と。 行軍の途中、龍が軍前に出現す。これは必ず一場の短兵相接の亡命惡戰あり。黃龍を見る一方は勝を得、黑龍を見る一方は偏敗し、平地上血流れ河を成す。
城營內,魚鱉現辛本、川本、京本作「鱉忽露」其形。防有內奸謀叛逆,不然水漲浸軍兵,速去得安寧。 城營內,龜蟹入其京本作「營」中。更有聚蠅億萬數,軍兵潰散京本作「敗」敗不從容,看即棄辛本、川本作「旋」營空。
城營の內、魚鼈が忽然形蹟を顯露す。これは內奸の叛逆を圖謀するを防備すべし。さもなくば大水暴漲して軍隊を淹沒するを主る。急いで此の地を離れて初めて安寧を得。 城營の內、龜と蟹とが爬入し、また成千上萬の蒼蠅聚集あり。龜蟹橫行し蠅を聚めて腐を逐うは、皆敗亡將に至らんとする穢惡の象なり。軍隊が倉皇に潰散し敗れて措手に及ばず、眼の前に營壘將に棄置して一空ならんとするを主る。この時當にまず營を移し、再び穢污を清理してその氣を斷つべし。
軍京本作「兵」行次,路上見黿鼉。或有戰爭營寨京本作「在戰營徵砦」內,不宜前進有京本作「損」兵戈,細審莫奔波。 城營內,龜鱉入其營。盡是頓遲亡首本作「忘」,此從辛本、川本敗象,速當移寨免災凶,不去禍災辛本、川本作「將」生。
行軍の途中、路上に黿と鼉とを見、あるいは交戰の營寨の內にそれらを見る。これは前進に宜しからざるを主り、前進すれば兵馬を折損せん。形勢を仔細に審察し、徒らに奔波するなかれ。 城營の內、龜鼈が營中に爬入す。龜鼈の行動遲緩は、皆頓滯遲疑にして終に敗亡に致るの象徵なり。迅速に營寨を遷移して災凶を免るべく、去らざれば禍災を生ぜん。
占鳥第二十二(京本は「占飛禽第二十」と作る)・八十三首
占飛鳥,軍旅要知因。或是縱橫或逐我,或來逆我或成群,仔細說來情。 鷹搦鷂,勢速入軍營。必是義兄圖義弟,不然義弟欲謀兄,奸禍兩般情。 兵行次,鷹鶚面京本作「鷂向」前飛。所向進兵應京本作「須」大勝,必能捉彼將兵辛本、川本作「師」、京本作「帥」歸,天意助神威。
飛鳥を占するに、兵を帶ぶる者は必ずその中の緣由を懂得せねばならない。鳥の動向は幾種を出でず。あるいは縱橫に亂飛し、あるいは我軍に追随して行き、あるいは迎面して我に逆らい來り、あるいは成群結隊して盤旋す。我に順いて行くは多く吉を主り、我に逆らって來るは多く凶を主る。それらの示す情形を一々仔細に分辨し、更に進止を定むべし。 老鷹が鷂子を擒え、來勢迅疾に軍營に闖入す。同類相搏つは、これは必ず結義の兄長が義弟を圖謀し、さもなくば義弟が兄長を算計するか、兩種の奸禍の情形必ずその一に居る。 行軍の途中、鷹鶚が前方に向かって飛去す。それが向かう方向に順って兵を進めれば、當に大勝し、必ず敵方の將帥を生擒して歸るを得。これは天意が我が神威を助くるなり。
城營內,鷂子搦蒼鷹。定有奸謀陰禍起,早須排備莫惶驚,有戰損精兵。 兵行次,鷂鶚京本作「鷹鷂」捉飛禽。此去前程須有戰,得其首領盡生擒,主京本作「上」將稱其心。 兵行次,鷹鶻辛本、川本、京本作「鶻雁」盡同占。鷹辛本、川本、京本作「雁」不避鶻鶻不搦,兩軍通好守盟言,各擁士回還。
城營の內、鷂子が反って蒼鷹を擒えたり。小を以て大を制するは反常の象なり。必ず奸謀陰禍の興起あり、早くより部署戒備し、驚慌する要なし。若しこの時交戰すれば、精銳を折損せん。 行軍の途中、鷂鶚が飛禽を捕捉す。これはこの行の前路に必ず一戰あるを主り、敵方の首領を俘獲し盡數生擒し得、主將稱心如意たるを得。 行軍の途中、鷹と鶻とを見るは占法皆相同じ。若し雁が鶻を避けず、鶻もまた雁を搏撃せざれば、これは兩軍の通好・盟約の遵守を主り、各自士卒を領して回還す。
城營內,忽京本作「或」見杜鵑來。應有負冤人未雪,佞臣謀間損賢才,天遣叫聲哀。 群烏京本作「雀」噪,隊隊逐辛本、川本、京本作「繞」營飛。防有賊京本作「外」兵來劫寨,早須整京本作「準」備設關機,遲京本作「稽」慢致災危。 城營內,眾鳥噪聲鳴。必有暴兵來劫寨,不然有戰損於辛本、川本作「千」、京本作「戈」兵,移轉最為精。
城營の內に忽然杜鵑の飛來するを見る。杜鵑は血を啼く、冤を含み未だ雪がざる人あるを主り、佞臣が離間の計を施行して賢才を損害す。ゆえに上天がそれを遣わして哀鳴を發し警を示さしむるなり。 成群の烏鴉が鼓噪し、一隊一隊營寨を繞って飛ぶ。これは敵兵の前來寨を劫するを防備すべく、早くより整備し機關埋伏を設くべし。遲慢なれば災危を招致せん。 城營の內、衆鳥が鼓噪鳴叫す。鳥は人事を先覺し、群噪はすなわち人馬の逼近する應あり。これは必ず暴兵ありて前來寨を劫せん。さもなくばいったん交戰するも、兵員を折損せん。營寨を別處に遷移するが最も妥當、同時に游騎を加派して噪聲の指す方向を偵察すべし。
群鳥隊,飛去又飛來。不問辛本、川本作「以」下京本作「在」營並在路,此行千里足京本作「十里走」難回,仔細察天災京本作「威」。 群鳥聚京本作「隊」,飛起忽然驚。盡向滿天鳴噪鬧,不過三日火燒營,或有劫寨辛本、川本、京本作「殘」兵。移營吉。 城營內,四面鳥聲鳴京本作「有鳥聲」。千萬結成鳴噪去,急須固守本城營,堅執戰傷兵。
成群の鳥が飛去りまた飛回る。營を扎くの時に在りて見るも行軍路上に在りて見るも、皆この行千里を遠涉して生還し難きを主る。上天の示し下す災威を仔細に體察すべし。 群鳥聚集し、忽然驚いて飛起こり、滿天に鳴噪喧鬧す。これは三日を出でずして營寨將に火に著かんとするを主り、あるいは敵ありて寨を劫し殘殺せん。舊注に曰く、この時營を遷せば則ち吉なり、と。 城營の內に四面皆鳥鳴あり、千萬隻が大群を結んで鳴噪して去る。この時急いで本部の城營を固守すべし。己見に固執して強いて出戰せば、兵を傷え將を折らん。
城營內,鳥夜結群鳴。必有暴兵來覓戰,不然城寨有虛驚,探後京本作「候」用心聽。 城營內,鳥眾泊京本作「拍」營牆京本作「壇」。頭向此營皆盡叫,人驚不起是天殃,不免京本作「去」見傷亡。 城營內,鳥鵲辛本、川本、京本作「烏鳥」驀然驚。內有奸臣連外賊,堤防大京本、辛本、川本作「苦」戰血成坑,謀反京本作「叛」害英明川本作「其身」。
城營の內、鳥が夜裏群を結んで鳴叫す。これは必ず暴兵ありて前來戰を尋ねん。さもなくば城寨もまた一場の虛驚あらん。人を遣して偵候し、かつ心を用いて四外の動靜を傾聽すべし。 城營の內、衆鳥が營牆上に停落し、頭皆本營を朝いて鳴叫す。若し人すでに驚覺せるも起って變に應ずること能わざれば、それはすなわち上天の降し來る災殃にして、傷亡を見るを免れず。 城營の內、鳥鵲が忽然驚を受く。これは內部に奸臣ありて外賊と勾連するを主り、一場の苦戰・血流れ坑を成すを提防し、また人の謀反して英明の主に加害せんとするを防ぐべし。
城營內,烏鵲忽圍牆。當有敵京本作「外」兵來打寨,不然疾病大辛本、川本、京本作「火」災殃,營內欲來京本作「他」降。 城營內,鳥鵲辛本、川本作「噪」兩京本作「叫二」三聲。必有命京本作「使」來應在即,早須奉候出門迎,此意京本作「語」且須聽。 鳥相打京本作「相打拍」,防擊有奸爭。斬斷罪愆懲戒眾,若無敵辛本、川本作「停」戰禍應生,固守始為精。
城營の內、烏鵲が忽然牆を繞って盤旋す。これは當に敵兵ありて營寨を攻打し來るを主る。さもなくば疾病火災の殃、あるいは營內に人ありて降を出づべし。 城營の內、鳥鵲が兩三聲叫ぶ。鵲噪はもと喜信を主る。これは必ず朝廷の命令あるいは使者の即刻將に到らんとするあり。早くより等候し、門を出でて迎接すべし。この層の意思は務めて聽き入るべし。 鳥が互相撲打するは、これは軍中に奸人ありて爭鬥相撃するを防備すべし。罪に依って處斬し衆人を儆戒すべし。若し內爭を停息し得ざれば、禍事必ず生ず。本營を堅守するこそ上策なり。
城營內,鳥集奪巢飛。必有爭相競事,不然下吏欲為非,防慎見辛本、川本作「間」分京本作「有間相」離。 臨陣次,鳥向四方鳴。選取鳥聲鳴叫京本作「向」處,但從京本作「存」此地出軍徵,百戰百回贏。 兵發日,前面有群烏首本作「聲鳴」,茲從辛本、川本、京本。亂叫亂辛本、川本、京本作「眾」鳴防伏截,或京本作「忽」然有戰莫先圖,詳緩保京本作「卻」無虞。
城營の內、鳥が聚集して巢穴を爭奪して飛ぶ。これは必ず互相爭競の事あり。さもなくば下級官吏が非を爲し歹を作さんとす。謹慎防備し、人あってその中より離間分化するを提防すべし。 臨陣の時、鳥が四方に向かって鳴叫す。鳥聲の鳴叫最も響亮なるその一方を選取し、すなわちその方向より兵を出して進征せば、百戰百勝し得べし。 出兵の日、前方に一群の烏鴉ありて亂叫亂鳴す。これは敵人の伏を設け攔截するを防備すべし。萬一交戰するも、先を搶して圖取するなかれ。從容詳審して初めて無虞を保ち得。
兵行次,鳥眾集旌旗。若見中軍加喜氣,將軍增爵位遷移,在即不為遲京本作「在疾莫遲為」。 兵發日,鳥眾逐軍行。未見彼軍防隱伏,若逢敵戰京本作「陣」利先征,攻戰必先贏。 兵京本作「軍」行次,橫數組鳥來。防有伏兵衝隊伍京本作「陣位」,搜羅前後用心猜,不信必為災。
行軍の途中、衆鳥が旌旗の上に聚集す。若し中軍これに因って喜氣を增添せば、將軍の爵位晉升遷轉を主り、しかも間もなく兌現して拖延せず。 出兵の日、衆鳥が軍隊に跟隨して行く。未だ敵軍を見ざる時は隱伏を防ぐべし。いったん敵陣に遇上すれば、則ち先を搶して進攻するに利あり、攻戰必ず先勝す。 行軍の途中、橫裏より數群の鳥飛來す。これは伏兵が我が隊伍を衝撃するを防備すべく、前後を搜索し心を用いて揣度すべし。この話を信ぜざれば、必ず災を成さん。
兵行次,鳥眾後頭來。若遇前隨應大勝,逆來沖我且宜回,退卻免凶災辛本、川本、京本作「災危」。 兵行次,鳥立在軍旗。必有奸人言賊勢,今旬來月好防之,偷京本作「發」號運謀機。 兵行次,軍上鳥鳴飛。不論下營將布陣,若同此瑞合天機,必勝莫遲疑。 下營次,鳥眾集牙旗。急宰三牲將祭禱,不然軍京本作「兵」敗主分離,靈物報人知。
行軍の途中、衆鳥が後頭より飛來す。若し鳥が前に在りて路を引き相隨わば、當に大勝すべし。若し方向に逆らって我に衝き來れば、師を回らすべく、退却して初めて凶災を免る。 行軍の途中、鳥が軍旗の上に停立す。軍旗は全軍の耳目の繫る所なり。鳥がその上に據るは、他人が竊かに號令を據るの象なり。必ず奸人ありて敵方の聲勢を散布し軍心を動搖せん。本旬より下月まで皆よく防備し、また人の號令を盜用し暗中に謀を運ぶるを提防すべし。 行軍の途中、鳥が軍隊の上空に鳴叫飛翔す。營を扎くるも陣を布くも、このような祥瑞に遇上すれば、すなわち天機に合して勝つこと疑いなし。遲疑するなかれ。 營を扎くの時、衆鳥が中軍牙旗上に聚集す。急いで三牲を宰殺して祭禱すべし。さもなくば軍隊潰敗し將士離散せん。これは靈物が特に來りて人に報知するなり。
城營內,白鵲京本作「雀」入軍營辛本、川本、京本作「營中」。若作巢窩兵大起,急須移寨免災凶,否則禍重重。 城營內,靈鵲京本作「雀」作巢窩。不去營空兼火起,速當移寨禍消磨,久住殺傷多。 寨始定,白鵲入營來。此是金星呈怪象,有人相害處謀乖,移寨免其災。
城營の內、白鵲が軍營に飛入す。若しそれがなお營中に巢窩を築かば、兵事大きく起こるを主る。急いで營寨を遷移して初めて災凶を免るべく、さもなくば禍患重々なり。鳥が營中に家を安んずるは、「客が反って主と爲る」の象なり。最も留意を須とす。 城營の內、靈鵲が巢窩を築起す。若し遷去せざれば、營壘終に空虛となり、なお兼ねて火災あらん。迅速に營寨を遷移して初めて禍患消磨せん。久しく此に留まれば、殺傷必ず多し。 營寨が剛に安定し下りて、白鵲が營中に飛入す。白色は五行に於て金に屬し、これは金星の顯示する怪象なり。人ありて暗中に相害し、居る所の地に謀事乖違するを主る。營寨を遷移して初めてこの場の災禍を免るるを得。
群鵲京本作「雀」噪,頭向敵軍營。隨鵲戰之軍必勝,一般群鵲京本作「雀」事無成,在外也須驚。頭指敵噪我軍勝,不指敵噪鬧則虛驚。 城營內,野雉入軍中。若在德鄉來即吉,或臨刑殺候為京本作「刑或殺帥侯」凶,仔細審西東。 城營內,驀地降鴛鴦。必有奸人生戶內,不然朋友害忠良,自衛己身強。
成群の鵲が鼓噪し、頭皆敵人の營寨を朝く。鵲頭の指す方向に順って出戰すれば、我軍必ず勝つ。若しただ一般に群鵲が亂噪して敵方を指さざれば、則ち事情成ることなく、人も營外に在りて驚を受く。舊注に曰く、鵲頭が敵方を指して噪するは我軍勝ち、敵方を指さずただ喧鬧するは、あれは不過一場の虛驚なり、と。 城營の內、野雉が軍中に飛入す。若しそれが「德鄉」に落つる、すなわち吉神の臨む所の方位なれば、來たるはすなわち吉なり。若し「刑殺」の位に落つれば、凶と爲す。その東西何方より來るかを仔細に審辨すべし。 城營の內に忽然鴛鴦落下す。鴛鴦はもと成雙に相守する物なり。今やその居を失いて降るは、必ず門戶の內に奸人を生ずるを主り、さもなくば朋友相害して忠良損を受くん。この時自身の防衛を加强すべし。
城營內,燕鴿忽離城。定有火災兼禍起,軍中行克事叮嚀,禳厭始安平。 城營內,水鳥忽銜魚。將至門橋並臺屋京本作「樓臺屋上」,必應大水漫街衢,預辦早防虞京本作「危」。 鴨聲異,一樣似鵝聲京本作「鳴」。必有官災並口舌,速須齋醮慎交爭,方使免災京本作「遭」刑。
城營の內、燕子鴿子が忽然城を棄て飛走す。禽鳥は禍福を先知し、燕鴿は人に依って居る。今や彼らですら城を棄てて去るは、必ず火災と禍患と將に起こらんとす。軍中行事は格外に克制叮嚀し、火燭を嚴禁し、更に禳厭の法を施行して初めて安寧を得。 城營の內、水鳥が忽然魚を銜え、城門・橋梁および樓臺屋頂上に飛到す。水族が高處に帶ばるは、必ず大水が街巷を漫過するに應驗す。預め籌辦し早くより防備すべし。 鴨子の叫聲が反常し、竟に鵝の叫聲の如し。これは必ず官府の災と口舌是非とあり。急いで齋戒して醮を設け、謹慎して人と爭執するを避免し、初めて災禍刑責を免るるを得。
鵝與鴨,或解京本作「忽辨」作人聲。家內必登三品祿京本作「位」,一門子辛本、川本作「兒」侄盡京本作「更」享辛本、川本、京本作「亨」榮,吉兆自天生。 城營內,雞母作雄聲。或在夜鳴家京本作「皆」有禍,若門京本作「聞」陰暗京本作「口」不惺惺,禳京本作「醮」謝始安寧。 兵京本作「軍」行次,軍上伯勞鳴京本作「鶯」。兆是軍分為京本作「鳴兆是軍分」,兩路兼防禍起察姦情,主將要須京本作「詳」明。
鵝と鴨とが忽然人の聲音を作し得。これは家中に必ず人ありて官に登り三品の祿を受け、一門の子姪皆榮華を享くるを主る。これは上天の自然に降す吉兆にして、前面の幾條の怪異と同じからず。 城營の內、母鷄が公鷄の鳴聲を發し、あるいは夜裏に啼叫するは、家中皆禍事あり。牝鷄が晨を司るは陰盛陽衰の象なり。若し更に門戶陰暗・人心昏昧して醒めざるを加えば、必ず禳解祭謝して初めて安寧を得。 行軍の途中、軍隊の上空に伯勞鳴叫あり。伯勞は孤飛獨鳴す。この征兆は軍隊の將に兩路に分成せんとするを主る。同時にまた禍の蕭牆に起こるを防ぎ、奸情を明察すべく、主將は必ず弄清楚せねばならない。
伯勞鳥,鬧噪在軍前。大禍預辛本、川本作「須」知京本作「將臨」須早覺,不逾兩月京本作「日」事應然,此象理關天。 伯勞鳥,啼叫在軍營。南北敵人困我將,東西只是有虛聲,此象甚分明。 城營內,梟鳥噪聲鳴。若京本作「如」在德鄉分隊伍,如居刑殺有奔驚,預叫使人聽。
伯勞鳥が軍前に喧鬧鳴噪す。大禍將に臨まんとし、必ず早くより察覺すべし。兩箇月を超過せずして事情將に應驗せん。この物象の道理は天數に關わる。輕忽すべからず。 伯勞鳥が軍營裏に啼叫す。若し南北方向に在れば、敵人の將に我方の將領を圍困せんとするを主る。若し東西方向に在れば、則ちただ虛に聲勢を張るのみ。この物象の分辨は甚だ清楚なり。 城營の內、梟鳥が鼓噪鳴叫す。梟は惡聲の鳥なり。若しそれが「德鄉」の方位に在れば、ただ隊伍の分拆調動を主る。若し「刑殺」の方位に在れば、奔逃驚亂を主る。それが預め鳴叫するは、正に人をして聽かせて警覺せしめんとするなり。
下營次,眾鳥集群鳴。如在德鄉猶自可,若臨刑上血成坑,此兆細京本作「仔細要」詳聽。 兵發日,百京本作「白」鳥忽迎軍。此是天威來助順,賊人歸向息邊塵,端的立功勛。 兵行次,眾鳥覆京本作「巨鳥伏」於營。必有大軍來擊我,皂旗黃桿引師行,禳厭必辛本作「畢」登程京本作「早堪程」。
營を扎くの時、衆鳥が成群聚集して鳴叫す。若し「德鄉」の方位に落つれば、還算可なり。若し「刑」の位の上に落つれば、血流れ坑を成すを主る。この兆象は仔細に詳審傾聽すべし。 出兵の日、百鳥が忽然軍隊に迎えて飛來す。これは上天が威靈を以て我が順行を助くる象なり。敵人將に歸附して降り來らんとし、邊塞の烽塵平息し、この行確實に功勳を建立し得べし。 行軍の途中、衆鳥が營寨の上に覆壓す。これは必ず大軍ありて前來我方を攻撃せん。黑旗黃杆を以て隊伍を引導し行進し、禳厭完畢すれば即刻啓程すべし。
兵行日京本作「已」,禽乃或京本作「巨鳥或」朝軍。將有福神天佑助,必然旬日立功勛,官爵顯超。 雞聲鬧京本作「」,半夜及黃昏。半夜精兵行在速,黃昏啼後有回軍,太白報人聞。眾雞主國事,一雞主家咎。 燕雀鬧,鄰境動京本作「有」兵爭。更有黑頭黃鳥至,腹黃身黑不知名,彼已出精兵。
行軍の日、飛禽が軍隊に朝いて來る。これは將に福神と上天の佑助あるを主り、十日の內に必ず功勳を建立し、官爵顯達超升せん。 鷄鳴喧鬧して、半夜あるいは黃昏に發生す。半夜に鳴くは、精兵の迅速に開拔せんとするを主る。黃昏に啼き過ぐる後は、則ち軍隊の回還あるを主る。これは太白金星が鷄聲を借りて人に報知するなり。舊注に曰く、群鷄齊しく鳴くは國事を主り、單隻の鷄鳴は一家の咎を主る、と。 燕雀が喧鬧するは、鄰境に兵爭の事あるを主る。若しまた黑頭黃身の鳥飛來し、あるいは黃腹黑身・名を叫び出せざる怪鳥出現せば、對方すでに精兵を派出せるを説明す。
城營內,雞鳥共喧爭。鳥若贏時軍外京本作「客軍」勝,雞贏主勝甚分明,偷寨兩般情。 鴉鳴京本作「鳥」噪,無故噪城營。此是用兵災欲起京本作「預兆」,人家被噪有凶情,禍發不安寧。 城營內,鶩京本作「鶖」鳥入其城。定有兵災並瘴疫,人民飢餓失京本作「不」耕耘,修德免災成。
城營の內、家鷄と野鳥とが一同に喧鬧爭鬥す。家鷄は主、野鳥は客なり。鳥勝てば則ち客軍勝ち、鷄勝てば則ち主軍勝つ。分辨は甚だ清楚なり。兩種の情形皆對方の營寨を偸襲するを防備すべし。 烏鴉が故なく城營の上空に鳴噪す。これは用兵の災將に起こらんとする預兆なり。若し尋常人家が鴉噪されても、凶情あるを主り、禍事一發すれば安寧を得ず。 城營の內、鶩鳥(一作秃鶖)が城中に飛入す。これは必ず兵災と瘴疫とあり、百姓飢餓して耕作荒廢す。唯だ德行を修養するのみ、災禍をして釀成に至らしめざらしむるを得。
城營內,黃鳥京本作「牛」赤其頭。必有官災三日內,兼防奸叛有因由,熒惑禍堪憂。熒惑禍者,火災也。 城營內,赤鳥入於京本作「其」營。更有野雞並野雉,須防風火與虛驚,皂幟厭為精。水克火,故用皂旗。如見赤色鳥入軍營,覆將帳幕以皂旗白竿,立帳前三日,厭吉。 城營內,大京本作「各」鳥繞其中。不是將軍亡瘴疫,及防外寇損身躬,先兆京本作「逃」已呈凶。
城營の內、黃身赤頭の鳥出現す。これは必ず三日の內に官府の災あり、また奸人の叛亂に別に緣由あるを防備すべし。「熒惑」の禍はとりわけ憂う可し。舊注に曰く、熒惑の禍は、すなわち火災なり、と。 城營の內、赤色の鳥が營中に飛入し、また野鷄野雉出現す。赤色は火に屬し、野鷄野雉もまた離火の象に屬す。これは風災火患と虛驚とを防備すべく、黑色の旗幟を以て厭勝するが最も精當なり。舊注に曰く、黑は水に屬し、水はよく火を剋す。ゆえに皂旗を用う。凡そ赤色の鳥が軍營に飛入するを見れば、すなわち黑旗白竿を以て主將の帳幕上に覆い、帳前に三日立滿すれば、厭勝して吉なり、と。 城營の內、大鳥ありてその中に盤繞す。これは將軍が瘴疫に死するを主るかさもなくば外寇の來犯して自身を傷るを防ぐべきか。凶兆すでに預め顯現せり。尋常の鳥事として看るべからず。
城營內,異鳥或京本作「忽」然來。好慎外歸京本作「切忌外方」刑禍事,不然軍京本作「君」將主辛本、川本、京本作「主將」身災,齋醮保無京本作「年」乖。 城營內,夜靜有鳩鳴。此是暴兵來逼我,便京本作「更」須防備速移營,即得事安寧。 城營內,眾鳥驀翱翔。障日翳天成陣起,必知內外將猖狂,仔細可京本作「好」消詳。
城營の內、忽然名を叫び出せざる怪鳥飛來す。外方より招き來る刑罰禍事を謹慎提防すべし。さもなくば軍中將帥自身に災あるを主る。この時齋を設け醮を建て祭禱して初めて乖違を出さざるを保ち得。 城營の內、夜深人靜の時に斑鳩鳴叫あり。これは強暴の兵の前來我方に逼近する征兆なり。必ず防備を加緊し迅速に營を遷して初めて事情安寧たるを得。 城營の內、衆鳥が忽然翱翔して起こり、天を遮り日を蔽い陣勢を結ぶ。これは必ず營內營外に皆人ありて猖狂に亂を作さんとするを預示す。仔細に消詳推究するを須とす。內は奸變を防ぎ、外は敵襲を防げ。
彼軍上,眾鳥泊其中。定見京本作「主」拋營軍敗走,不然潛伏刷營空,仔細審其蹤。 彼軍上,眾鳥鬧紛紛。聚散只看三五日,不然潛伏擬謀人,防禦始參真。 諸鳴鳥,不利叫三聲。一語辛本、川本、京本作「與」五聲將快和京本作「利」,若逢京本作「過」此數不堪聽,一任徹更辛本、川本、京本作「天」鳴。《易》云:「三多凶。」故不利。
敵軍の上空に衆鳥ありてその中に停落す。鳥が敢て停落するは、營中すでに人聲なきを説明す。これは必ず敵人が營を棄て敗走するを主る。さもなくば彼らが暗中に埋伏し營寨を騰空して餌と作し我を彀中に引き入れんとす。その中の蹤跡を仔細に審察し、先に輕騎を遣して試探し、貿然として營に入るべからず。 敵軍の上空に衆鳥紛紛と喧鬧す。ただ三五天內のそれらの聚散の情形を看れば端倪を知るを得。敵軍の將に潰散せんとするに非ざれば、すなわち彼らが潛伏して謀を設け人を算計せんとするなり。防禦を做好して初めてこの占象を參透したりと謂う。 各種鳴叫の鳥、最も不利なるは三聲を叫ぶなり。一聲あるいは五聲を叫ぶは、將帥の順遂和暢を主る。若しこの數目を超過せば、更に聽くに値せず、それが徹夜通天に鳴叫するに任せても理會する要なし。舊注に《易》を引いて「三は凶多し」と曰く、ゆえに三聲を不利とす。
占飛鳥,何事辛本、川本作「處」入軍營。若在德鄉加喜氣,只從刑地京本作「上」是凶聲,百鳥一般聽。 城營內,鳥散作巢窩。其地欲荒堪京本作「看」在即,速須移寨莫蹉跎,不去禍來磨京本作「多」。 攻城次,群鳥出牆頭。內有敵圍京本作「人」軍欲出,外兵急備整戈矛首本作「干戈」,此從辛本、川本、京本,用意設良籌。
飛鳥を占するには、それが何の爲に・どの方向より軍營に飛入するかを看るべし。若しそれが「德鄉」の方位に落つれば、軍中に喜氣を添うると爲す。若し「刑」の地より來れば、その聲音はすなわち凶聲なり。各種の鳥皆この一條に照らして聽辨す。 城營の內、鳥が四散開き各自巢を築く。鳥がここに巢を營むは、此の地の眼の前に荒廢して人なからんとするを説明す。急いで寨を遷し、蹉蛇すべからず。去らざれば禍患將に接續磨折して來らん。 城を攻むるの時、群鳥が城牆頭上より飛出す。鳥が城內より驚き出づるは、城中人馬の大動の應なり。圍まれたる敵軍が城を出でて突圍せんとするを説明す。城外の部隊は急いで戈矛を整備し出路を封住し、心を用いて周密の謀劃を設けて以て對付し、正に彼が城を出づるの際に乘じて殲滅し得べし。
軍營內,白鳥立旗頭。相聚數枚人總見,將軍遷位作公侯,吉慶喜天休。 鷹與鷂,逐鳥奔吾軍。前有暴客辛本、川本、京本作「兵」來勢猛,速當準備莫因循,常京本作「當」守險關津。 下營次,鳥立樹枝間。或在牙旗毛羽掩京本作「際」,須防敵騎欲相殘,三日內生奸。
軍營の內、白鳥が旗杆頂上に停立し、好幾隻を聚集し、人人皆見るを得。これは將軍が爵位を升遷し公侯に封ぜられるを主り、上天の賜い下す吉慶美事なり。 鷹と鷂とが別の鳥を追逐して我軍に奔向す。これは前方に強暴の敵兵ありて來勢凶猛なるを主り、迅速に準備し、因循拖延すべからず、かつ險要の關隘渡口を守住すべし。 營を扎くの時、鳥が樹枝の間に停まり、あるいは中軍牙旗上に停まり羽毛が旗面を掩覆す。これは敵騎の前來殘殺するを防備すべく、三日の內に營中に奸變を生ぜん。
城營內,異鳥入其中。宿處不知人不識,終京本作「中」須血染草頭紅,防備有奸京本作「妨」通。 占烏鳥,結伴後京本作「盡」隨軍。路後川本、京本作「寇」敵京本作「賊」人應過去,我軍不久卻回程,相賀喜安平京本作「寧」。 城營內,巨鳥忽留停。防備賊人來索京本作「兵來搦」戰,兆當催眾早收京本作「擁士倒抽」,兵,不去禍還成。京本注:「三日從始吉。」
城營の內、名を知らざる怪鳥飛來し、それが何處に棲宿するかを知らず、また人もそれを認得せず。これは終に草梢に血を染め遍地殷紅に應驗し、また人ありて暗に奸細に通ずるを防備すべし。 烏鴉の類の鳥を占するに、若し彼らが伴を結び軍隊の後面に跟いて飛行せば、これは後路の敵人すでに過去せるを説明し、我軍ほどなく班師回程し得、上下相賀して平安を喜ぶを得。 城營の內、大鳥が忽然停留して去らず。これは敵人の前來挑戰するを防備すべし。この兆象は當に衆人を催促して早くより兵を收めしめ、撤走せざれば禍患終に成らん。京本の注に曰く、三日の內に身を動かして初めて吉なり、と。
城營內,巨鳥至紛紛。地辛本、川本作「他」分欲荒應在即,早須排備莫留停,號令速驅兵。 臨陣次,聆京本作「聽」取鳥聲鳴。若在我軍頭上叫,切忌川本作「須」備敵莫京本「須忌取敵」交兵,在彼我軍贏。 臨陣次,鳥向京本作「」彼軍飛。便整旗槍京本作「旛」徵敵吉,統兵大帥不須疑,天助得其時。
城營の內、大鳥が紛紛と飛來す。これは此の地の屬する分野が眼の前に荒廢せんとするを説明す。早くより部署し、停留すべからず。號令一たび下れば迅速に兵を他往に驅れ。 臨陣の時、鳥鳴の所在の方位を聽取すべし。若し鳥が我軍の頭頂上に叫べば、敵と兵を交うるを切に忌み、ただ嚴に戒備を加うるを須とす。若し鳥が敵軍の頭上に叫べば、則ち我軍勝を得ん。 臨陣の時、鳥が敵軍の方向に朝いて飛去す。この時旗槍を整肅して出征し敵を討つを吉とす。兵を統ぶる大帥は遲疑する要なし。上天まさにこの刻に相助を給うなり。
臨陣次,鳥向敵軍來。一只一隻辛本、川本作「雙」猶可擊京本作「自可」,或京本作「忽」然成陣叫聲哀,勿戰速當回。 彼軍壘,群鳥出高飛。內有雄兵來突我京本作「將突出」,其城須辛本、川本、京本作「難」下速當回,不悟將身危。 城營內,雞雁京本作「鷹鷂」入其中。必京本作「的」有外京本作「內」姦通敵事京本作「外敵」,忽然搦鳥更為京本作「尤」凶,遇戰豈成京本作「我無」功。
臨陣の時、鳥が敵軍のあちらより我に朝いて飛來す。若しただ一隻兩隻なれば、なお出撃し得べし。若し忽然陣勢を結びしかも叫聲哀切なれば、交戰するなかれ。迅速に師を回らすべし。 敵軍の營壘中に群鳥騰空高飛す。群鳥が壘中より驚起して高飛するは、裏面が正に集結し精兵ありて我軍を突襲せんとするを説明す。あの城は一時攻下し難し。迅速に師を回らすべし。この點を覺悟せざれば、主將自身に危險あり。 城營の內、鷄と雁(一作鷹と鷂)とがその中に闖入す。これは必ず外奸ありて敵に通ずる事あり。若しその鳥が忽然別の鳥を撲撃せば、更に凶險と爲す。この時敵に遇い交戰して何ぞ功を立つるを得ん。
兵發日,烏鳥後隨聲。此是順天天助我,靈禽預報戰須贏,將士有歡情。 臨陣次,敵上鳥來沖。進戰必當傷將士,如從我後卻宜攻,賊敗定生擒。 城營內,夜靜有鳩鳴。軍欲還鄉宜準備,此為天意事叮嚀,為將莫憂驚。
出兵の日、烏鴉が後面に隨行して鳴叫す。これは天時に順應し上天が我を助くる象なり。靈禽が預めこの戰必ず勝つを報知し、將士自然歡欣鼓舞す。 臨陣の時、鳥が敵軍の上方より我に朝いて衝來す。この時進戰すれば必ず將士を傷損せん。若し鳥が我軍の後方より飛來すれば、則ち進攻に宜しく、敵軍敗退して必ず生擒し得ん。 城營の內、夜深人靜の時に斑鳩鳴叫あり。これは軍隊の將に鄉里に還らんとするを主り、預め準備を作るべし。これは上天の意旨の叮嚀なり。將たる者これに因って憂慮驚慌する要なし。
下營次,鳥眾聚營中。防有外兵來擊我,亦虞諸將起姦凶,急去莫從容。 他陣上,四面有鳥來。進戰必因傷將士,若從我陣往前摧,生捉將休猜。 兵發日,旗後有烏鳴。此是天教吾得勝,令禽先報我公卿,將士盡歡欣。以上三首據京本補。
營を扎くの時、衆鳥が營中に聚集す。これは外面の敵兵の來りて我方を襲撃するを防備し、また本部諸將が奸凶の心を生ずるを憂うべし。急いで此の地を離れ、從容拖延すべからず。 敵陣の上空に四面皆鳥飛來す。この時進戰すれば必ずこれに因って將士を傷損せん。若し鳥が我陣より向前推進すれば、則ち敵將を生擒し得、更に猜疑する要なし。 出兵の日、軍旗の後面に烏鴉鳴叫あり。これは上天が我方に勝を取らしめんとし、特に飛禽をして先に來りて公卿將帥に報知せしむるなり。全軍將士皆歡欣鼓舞す。(以上三首は京本に據り補入す。)
占怪第二十三(京本は「占怪象第十四」と作る)・四十四首
戈矛上,忽有火光明。兆主三軍輕命戰,管須京本作「取」交戰我軍贏,青焰不宜兵。火青焰小如鬼火者主兵憂。 帥衣服,無故血痕班。防有奸人京本作「備奸謀」來害己,急須焚毀禍回還,不爾將京本作「帥」遭殃。 抽刀劍,血點自然生。戰有大功須在近,又兼鈴鐸不搖京本作「撝」鳴,遇戰京本作「賊」必須贏。
兵器戈矛の上に忽然火光を發す。この征兆は全軍將士が生を輕んじ戰に赴き士氣極盛を主り、一交戰すれば我軍必ず勝つ。但し火焰が青を發すれば、用兵に宜しからず。舊注に曰く、火焰の青を發し細小にして鬼火の如きは、反って兵事の憂う可きを主る、と。 主帥の衣服上に故なく斑斑たる血痕出現す。これは奸人ありて前來自己に加害せんとするを防備すべく、急いでこの件衣服を焚毀して初めて禍患退去せん。さもなくば主帥殃に遭わん。血はもと兵刃の象、端なく先に人身に現ずるは、正に刺客將に至らんとする先兆なり。同時にまた左右侍從を清査すべし。 刀劍を抽出せば、劍身上に自然に血點を生ず。これはほどなく大戰功あるを主る。若しまた營中の鈴鐸が搖れずして自ら鳴るを加えれば、敵に遇い交戰して必ず勝を取らん。
出軍日,龍現眾人驚。急令京本作「命」師京本作「帥」回休強去辛本、川本、京本作「進」,若還堅執往前行京本作「向前營」,枉損馬和兵。 將軍帳,無故似人搖。兆主敵人兵潰散,稍驅兵馬向前交,瓦解與冰消。 將軍帳,床動眾人驚。及有血生俱作怪京本作「怪訝」,若還臨陣禍無輕,身喪掩黃辛本、川本、京本作「泉」坰。
出軍の日、龍ありて顯現し、衆人驚駭す。急いで令を下し兵を收め回還し、勉强して前進するなかれ。若し己見に固執して繼續前行せば、ただ白白しく人馬を折損せん。 將軍の營帳が故なく搖動し、人ありて搖くるが如し。帳は主帥の位に屬し、帳動きて人の搖くるなきは、彼方の軍心先に動くの應なり。ゆえにこの征兆は敵方の兵衆の將に潰散せんとするを主る。ただ稍く兵馬を驅動して前に交戰せば、敵人は土崩瓦解・氷消雪化し、大擧強攻する要なし。 將軍帳中、臥牀震動し、衆人驚駭す。若し更に血蹟生出あらば、皆怪異と算作す。この時若し還って臨陣交戰せば、禍事輕からず、主將身死して郊野に骨を埋めん。
將軍袂,驀地起飛騰。此是將軍傾折象京本作「逝相」,難禳兵眾敵相凌京本作「急須禳厭敵相臨」,火急整回程。 軍才統京本作「上」、辛本、川本作「正」,陂澤與郊京本作「菱」田。或有石盤從地湧,此為吉兆可攻前,君聖京本作「任」宰臣賢。 安營訖,分佈已周圍京本作「依圓」。碎石或生無數目,將軍不久罷兵權,天地京本作「兆」應昭然。
將軍の衣袖が忽然飄飛騰起す。これは將軍の傾覆折損の象にして禳解し難く、兵衆將に敵人の凌逼に遭わんとす。火速に隊を整え師を回らすべし。 軍隊が剛に統率集結し、陂塘沼澤と郊野田地とを行經するに、若し磐石ありて地下より涌出せば、これは吉兆にして向前進攻し得べし。同時にまた君主の聖明・宰輔の賢能を主る。 營を安んじ畢りて兵力すでに分布周遍す。若し地上に數え盡し得ざる碎石を生ぜば、これは將軍ほどなく兵權を交出せんとするを主る。天地の示し下す應驗昭然として見る可し。
軍營內,田地陡然高。必得敵人來土貢京本作「城土地」,開旗贏彼不疲勞,休士少川本作「止」、京本作「要止」槍刀。 軍營內,元處是平田。地比始臨微似長,將軍官職必升遷,祿位享遐年。 軍營內,地上或京本作「忽」生黃。兆首本作「照」,此從京本得敵人兵與將,凱旋歸國長威光,天下舉宮商。
軍營の內、田地が忽然隆起增高す。これは必ず敵方の前來土地を進獻し土を納めて歸降するを得るを主り、一張の旗で對方に赢ち、毫も力を費やさず。士卒を休養し刀槍を收起し得べし。 軍營の內もとより一片の平田なりしが、如今地面が剛に到りし時より稍く隆起す。これは將軍の官職必ず升遷するを主り、祿位は長く許多年を享くべし。 軍營の內、地面が忽然黃色を現ず。黃は中央の土色・生旺の徵なり。これは敵方の兵と將とを俘獲し得るを主り、凱旋して國に歸り威光を大いに揚げ、天下皆之が爲に樂を奏し稱頌す。
軍營內,氣出地京本作「應」中央。滿寨便教京本作「交」人勿訝,敵人怯戰愈乖張,獲將得封疆。 軍營內,地上水泉生。此是潤軍天助順,須當先敵京本作「預」將和兵,捷報入朝京。 軍止歇京本作「憩」,地上忽生塵。若有震聲人總怪,三朝首本作「日」,此從辛本、川本、京本五日定還軍京本作「勒還兵」,大戰苦勞心辛本作「辛」。
軍營の內、氣ありて地の中央より冒出し、營寨全部に瀰漫す。將士に告げて驚訝する要なからしめよ。これは敵人の交戰に怯え擧止愈々乖張失措するを主り、我方は敵將を俘獲し疆土を開拓し得べし。 軍營の內、地上に泉水涌出す。これを「潤軍」と謂い、上天が我の順遂を助くる象なり。敵人に先んじて部衆を調和し兵馬を整備すべく、捷報は便能に朝廷京師に傳入し得べし。 軍隊が駐紮休息する時、地上に忽然塵土揚がる。若しなお震動の聲を伴い、人人皆怪異と覺ゆ。これは三〜五日の內に必ず班師するを主り、たとえ大仗を打つも徒らに辛苦勞心なり。
軍寨內,地上血紛紛。此象大凶人速避,麻衣布京本作「履」帽送將京本作「三」軍,休望有功勛。 軍營內,地上艾方京本作「蒿」生。青嫩葉苗人盡識,師徒將捷京本作「疾」事非輕,惡疾使人驚。七年之病,求三年之艾,故為病兆。 安營內京本作「畢」,街京本作「階」經京本作「陘」已編成。地上忽然土裂坼辛本、川本、京本作「生拆裂」,不如準備速移營,不信大亡傾。
軍寨の內、地上に血蹟紛紛たり。血が故なく營地に見ゆるは、殺氣すでに此に聚集せるなり。この物象大凶にして、人は迅速に回避すべし。さもなくば將士らは麻衣布帽を穿着して死者の爲に送葬し、更に功勳を建立するを指望するなかれ。 軍營の內、地上に艾草を長出し、青嫩の葉苗は人人皆認得す。これは軍中に將に疾疫あらんとするを主り、事情輕からず、惡疾は人を驚駭せしむ。舊注に曰く、古語に「七年の病は三年の艾を求む」と講じ、艾は病を治する物、ゆえに艾を見るはすなわち疾病の征兆なり、と。 營を安んじ畢りて營中の街道通路皆編排就緒せるに、地面が忽然開裂す。この時は準備を好くして迅速に營を遷するに如かず。この話を信ぜざれば、大なる敗亡傾覆に遭わん。
營寨內,地陷或京本作「忽」成坑。大陷大虧微小負,俱為戰敗喪軍情,火速去移營。 軍營內,地陷幾京本作「使」人驚。若更似催徵京本作「作聲如」戰鼓,此般凶象速移營,少辛本、川本、京本作「稍」緩禍災成。 城京本作「軍」營內,半夜忽鍋鳴。定有暴兵來劫寨,並京本作「兼」防謀反京本作「叛」及奸生,列陣後京本作「遠」相迎。
營寨の內、地面が塌陷して坑を成す。塌ること大なれば虧損大なり、塌ること小なれば敗るること輕し。總じて皆戰に敗れ軍を喪うの情形なり。火速に營壘を遷移すべし。 軍營の內、地面塌陷して人を驚駭せしむ。若し塌陷の聲がなお征を催す戰鼓の如ければ、この類の凶象は迅速に營を遷すべく、稍か一たび遲緩すれば禍災將に釀成せん。 城營の內、半夜に鍋釜が忽然自ら鳴る。これは必ず暴兵ありて前來寨を劫せん。同時にまた內部の謀反奸變を防備すべし。陣勢を列好し、後方に在りて從容として敵を迎うべし。
軍營內,螻蟻滿營生。好備奸謀陰京本作「陰奸謀」禍起,兼虞地道入奸京本作「城」兵,早備得平平。 軍邑京本作「營口」內,天上忽聞聲。恰是京本作「似」雷聲還不是京本作「似」,多應京本作「因」土地見英京本作「現陰」靈,不久京本作「是」戰兵行京本作「興」。 諸怪現,不可廣傳聞京本、辛本、川本作「聲」。防有奸人知仔細,亦防京本作「虞」、川本作「如」彼內有賢英,知我兆原京本作「元」情。
軍營の內、螻蛄螞蟻が全營に遍布す。蟻は地を穿つを善しとす。これはよく奸謀陰禍の興起を防備し、なお敵人が地道を挖掘して城に潛入するを憂慮すべく、早くより戒備して初めて平安を得。 軍營城邑の內、天上に忽然聲響を聽き、雷聲の如くまた雷聲に非ず。これは多くは土地神靈の顯現にして、ほどなく戰事興起あらんことを預示す。 各種の怪異出現し、處處に傳揚すべからず。奸人が底細を探聽して清清楚楚たるを防備し、また敵方內部に賢能の士あるを防備し、從って我方兆象の實情を摸清させんとするを備うべし。
城京本作「軍」營內,晝夜起虛驚。營所田辛本、川本、京本作「舊」為神廟地,速移營寨莫居停京本作「速將移徙莫教停」,不去賊偷營。 城營內,旗鼓自搖鳴。此是天威來助我,十番出戰九須贏,上將稱其情。 城營內,鼓角急聲雄。此是乾坤興廢事,戈矛京本作「鋋」大舉禍重重,萬姓失耕農。
城營の內、晝夜皆虛驚を起こす。これは多くは營地がもとより神神廟の舊址なるが因なり。迅速に營寨を遷移し、停留すべからず。去らざれば敵人將に營を偸襲せん。 城營の內、旗幟が搖れずして自動し、戰鼓が擊たずして自鳴す。これは天威の前來我を助くるなり。十回出戰して九回勝を得、主將稱心如意たるを得。 城營の內、鼓角の聲が急促雄壯にして人の吹擊なし。これは乾坤興廢の大事に關わり、兵戈大擧・禍患重々を主り、百姓もまた耕作の業を失わん。
城營內,鼓角自然鳴。必有敵京本作「外」軍來擊我,急須整備待來兵,著意與交征。 城營內,鼓打不多鳴。一丈高懸並九尺,都虞副將驗槌聲,七拜解妖精。各七拜後打。 城營內,鼓打不能鳴。主將戰輸遭寇擄,早須收拾便回程,不去損其兵。移寨兵得。
城營の內、鼓角が人の吹擊なくして自然作響す。鼓角は號令の器、令せずして鳴るは、兵事先に動くの應なり。必ず敵軍ありて前來我方を攻撃せん。急いで器械隊伍を整備して來敵を等候し、留意して之と交戰し、偶然と作すなかれ。 城營の內、戰鼓を敲き起こせども大ならず響かず。この時鼓を一丈あるいは九尺懸高し、都虞候と副將とを以て槌聲を驗聽し、再び七拜の禮を行して以て妖異を解除すべし。舊注に曰く、各行七拜の後再び鼓を擊つ、と。 城營の內、戰鼓を敲いて聲を出さず。これは主將が交戰して失利し、敵寇に擄獲されるを主り、早くより行裝を收拾して班師回程すべく、去らざれば兵馬を折損せん。舊注に曰く、營寨を遷移すれば兵は保全し得べし、と。
或晝夜,大將劍刀鳴。刺客奸人在庭京本作「應在」近,急須搜捉莫教停,不信辛本、川本作「便見」血光成京本作「成坑」。 營與邑,井沸聞其京本作「鼎沸忽聞」聲。或溢水泉皆是敗,更還京本作「逢」龍見也同情,睹此便移營。 城營內,獨鼓辛本、川本作「角」自然京本作「能」鳴。此兆敵人來劫我,隨鳴火急整精兵,遠探向前徵。
あるいは白日あるいは夜裏、大將の刀劍が自鳴す。刀劍は同氣相感し、自鳴はすなわち兵刃の逼近あるなり。刺客奸人が近旁の庭院の中に在るを説明す。急いで搜捕し、停歇すべからず。この話を信ぜざれば、血光の禍を見ん。 營寨と城邑の中、井水が沸騰して聲響を發し、あるいは泉水が外に溢出すは、皆敗象なり。若し再び龍現を見れば、占法もまた相同じ。これらを見れば當に立即營を遷すべし。 城營の內、單單一面の鼓(一作號角)が自然作響す。この兆象は敵人の來りて我を劫するを主り、鼓聲に隨って火速に精兵を整頓し、遠く偵騎を派し、然る後向前迎擊すべし。
城營角,吹聲辛本、川本、京本作「了」遠而微。韻斷聲長京本作「哀」人怪訝,兆當我眾有災危,固守免傾首本作「災」,茲從辛本、川本、京本頹。 金鼙鼓,自裂七分餘。此是三京本作「將」軍囚沒兆京本作「死」,速當求解醮移居,不可侈辛本、川本、京本作「恣」行誅。 槍旗戟,無故倒交加。象主病災如臥草,四門宰犬瀝田沙,子候京本作「後」設施佳。子時以犬血瀝四門地上。
城營中に號角を吹響すれば、聲音は遠く傳わるも甚だ微弱、韻調斷續して餘聲悠長、人を詫異せしむ。この兆象は我方部衆に災危あるを主り、堅守して動かずして初めて傾頹を免るるを得。 金鼙戰鼓が自ら七分餘り裂開す。これは全軍將士が囚われ沒せられる凶兆なり。急いで醮を設けて解を求め營地を遷移すべく、切に恣意に誅戮を濫行する可からず、以て殺氣を加重するを免れん。 槍・旗・戟が故なく倒れ交疊して一起となる。この物象は疾病災厄を主り、人は草間に臥倒するが如く病倒す。禳解の法は四面の營門に於て狗を宰し、血を地上の沙土中に灑ぎ、子時に施行するが最佳なり。舊注に曰く、子時に狗血を以て四門の地に灑ぐ、と。
鈴與鐸,風息自然鳴。鼓角雄聲音振地,必須勝敵悅軍行辛本、川本、京本作「情」,擁眾返回程。 或晝夜,飲宴在其中。驀地盞鳴人總訝,賊辛本、川本、京本作「劫」人已起影無蹤辛本、川本作「意忙匆」、京本作「盡忙匆」,急遣將邀衝。 杯器內,清水忽然紅。有似血來人盡訝,此為祥瑞立奇功,戰急總無凶。
鈴と鐸とが風なき時に自然作響し、鼓角の聲雄壯にして地を震す。これは必ず敵人に勝利し軍心歡悅し、兵衆を擁して順利に返回し得べし。 あるいは白日あるいは夜裏、まさに營中に飲宴するに、酒盞忽然自鳴して人人詫異す。これは寨を劫する敵人すでに動身して行蹤隱祕なるを説明す。急いで將領を遣して半路に截擊衝殺すべし。 杯器の中、清水が忽然變紅し、血の如くなれば人人詫異す。これは其實祥瑞にして、奇功を建立し得るを主り、戰事再び緊急なるも凶險あらず。
軍營內,戰馬忽然嘶。跑擁搖身非時亂,賊兵降伏要相欺,祭享上天知。 軍器甲,夜後更生光。折毀月形方上窖,離營百步正相當,遠去更宜長辛本作「良」。 風不起,旗號自飛揚。前指敵軍並陣次,必當我勝用心腸,得勝早回鄉。
軍營の內、戰馬が忽然嘶叫し、蹄を刨り擁擠し、身を搖り亂動してしかも時候に合わず。馬は人意に通じて兵事を先知し、時に非ざる躁動はすなわち暗中に變あり。これは敵兵降伏を表示するも、其實は我方を欺瞞せんと欲するを主る。上天を祭祀して上天の明鑑を請い、同時に降りに來る一方を嚴加提防し、戒備を撤去すべからず。 軍中の器械甲胄、夜に入りて再び光を發す。毀折の兵器を月形に排列して地窖に埋入すべく、地點は營より一百步の處に選ぶが正當なり。更に遠く埋るるはなおよし。 風を起こさず、旗幟が自ら飄揚し、しかも敵軍と敵陣の所在とを指向す。これは必ず我方の勝を取る兆なり。ただ心を用いて謀劃すれば、勝を得たる後早く鄉里に還るを得。
臨陣次,馬匹忽然驚。欲悚欲慊多退縮,牽纏不動自遲情,回首免軍驚。 占怪異,說與眾賢知。正是一人行踏處,當逢奇異怪逢為,兵眾豈無知。
臨陣の時、馬匹が忽然驚を受け、また聳動しまた畏縮し、多く退避の意あり、それを牽くも纏住して動かず遲疑して前ならず。これは進に利あらざる征兆なり。この時師を回らして初めて全軍の驚亂を免る。 怪異の事を占察するは、衆位の賢者に講じて知らしむべし。ただ一人の行走する所到の處に於てすら、奇異怪象に遇上するを得。兵を帶ぶる人は何ぞこれらに對し一無所知ならんや。
禳厭第二十四(京本は「占厭禳第十九」と作る)・十三首
禳厭法,其理事情深。首異諸般奇異怪,或逢要日要時辰,厭法要精明。 軍行日,春正及春分。須用長槍前列京本作「作」勝,次排弓弩在中軍,決勝定須聞。 軍行日,立夏至皆同。令下三軍諸將士,須排戈戟作先鋒,將士定英雄。
禳厭の法、その中の道理深微なり。凡そ前面に説く所の種種の奇異怪象に遇えば、皆日と時とを挑準して施行し、厭勝の法度は必ず精熟明白にして、初めて眞に奏效し得べし。 行軍の日、若し春季の正月と春分の前後なれば、春は五行に於て木に屬し、木は長直を主る。すなわち長槍を以て前排に列し勝を取るべく、その次に弓弩を中軍に排す。こうして決勝の捷報は必ず聽くを得べし。 行軍の日、立夏より夏至までのこの段の時間は占法相同じ。夏は火に屬し、火は銳利分岐を主る。三軍將士に號令し、戈戟を前面に排して先鋒に充つべく、將士自然個個英豪なり。
軍行日,秋始與秋分。金氣旺時須要順,先持弓矢向前行京本作「存」,得勝遠方聞。 軍行日,凜冽正當冬。得氣一陽回一候,首令刀劍向前衝,舉戰得全功。 東方陣,角姓七人從。純著青衣青隊伏,青旗青京本作「驄」馬作先鋒,木陣號青龍。
行軍の日、若し初秋より秋分の間なれば、正に金氣旺盛の時なり。弓矢は金に屬し、用兵はそれに順應すべく、まず弓矢を持つ部隊を以て向前推進せば、勝を得るの名声は四方に遠播し得べし。 行軍の日、まさに凛冽の冬季に値う。冬至は一陽來復し、この一分の回生の氣を得れば、まず刀劍を持つ隊伍に令して向前衝擊せしめ、兵を興して戰を作せば全功を獲得し得べし。 東方の陣を布くに、五音「角」に屬する七箇の人を以て相隨わしめ、一律に青衣を穿ち青色の隊伍を結んで隱伏し、青旗青馬を以て先鋒と作す。これは木行の陣にして、「青龍」と號す。
南方陣,徵姓最為雄。七個赤衣乘赤馬,赤旗招動號長空,朱雀陣先鋒。 西方陣,商姓白衣兵。七個健兒乘白馬,白旗獨角京本作「卻」引前程京本作「行」,為首向先行京本作「前徵」。 北方陣,羽姓顯然明。騅馬烏衣如北斗,黑旗玄武隊前行,賊將勢摧傾。
南方の陣を布くに、五音「徵」に屬する人を以て最も雄壯と爲し、七箇の人は赤衣を穿ち赤馬に騎り、赤旗は長空中に招展す。これは火行の陣にして「朱雀」と號し、以て全軍の先鋒と作す。 西方の陣を布くに、五音「商」に屬する白衣の兵を用い、七名の健兒は白馬に騎り、白旗獨角を擧げて前に路を引き、全軍の首先行進發と作す。これは金行の陣なり。 北方の陣を布くに、五音「羽」に屬する人を用いて最も顯明と爲し、騅馬に騎り黑衣を著け、隊形は北斗の狀の如く排列し、黑旗を打ち「玄武」と號して、隊の前に行進す。こうすれば敵將の氣勢は摧折傾覆せられん。
中央陣,宮姓要黃衣。七個黃旗黃色馬,勾陳大將助堪依,敵國定橫尸。 凡行陣,甲子甲辰申京本作「寅辰」。三個甲頭旬日內,前驅辛本、川本作「袪」、京本作「行」天馬擺令真,整頓要辛勤。 凡行陣,甲午甲寅京本作「申」旬。甲戌都來為一處,當時京本作「持」刀劍在前行,其陣勒來兵。 揚兵吉京本作「禳兵告」,頓在辛本、川本、京本作「須向」九天方。諸惡不成加喜氣。更宜上將見恩光,安得京本作「將」有乖張。《太乙式》云:「九天之上,可以陳兵,九地之下,可以潛伏。」
中央の陣を布くに、五音「宮」に屬する人を用い、黃衣を穿つべく、七人は黃旗を打ち黃馬に騎る。中央の土神「勾陳」大將は依靠して相助を得べく、敵國は必ず橫尸野に遍し。 凡そ行軍布陣、甲子・甲辰・甲申のこの三箇の甲頭の統べる旬日の內は、前驅は「天馬」の方位に按じて擺布し、號令は務めて眞確を求め、部伍の整頓は必ず勤謹して懈らざるべし。 凡そ行軍布陣、甲午・甲寅・甲戌のここらの旬の合在一處の日子は、刀劍を持つ隊伍をして前面に行進せしむべし。こうして陣を布いて初めて來犯の兵を勒住し得べし。 兵を揚げ威を示して吉を求むるは、「九天」の所在の方位に駐紮すべし。こうすれば一切の凶惡は皆形を成さず、かえって喜氣を添う。更に主將の恩寵榮光を蒙受するに利あり、何ぞまた乖違を出現させんや。《太乙式》に曰く、九天の上は兵を陳べ陣を列す可く、九地の下は潛伏し身を藏る可し、と。
占夢第二十五(京本は第十三に列す)・九首
凡占夢,本出自微茫。得一夢來三事應,方知凶吉為君張,神魄預知祥。 將軍夢,雲外見飛龍。急去戰時須獲捷,不過三辛本、川本作「百」日帝王封,位顯立奇功。 將軍夢,魚變作蛟龍。百戰自然皆百勝,相敵來捉必無凶,大將職加封。
凡そ夢を占するに、夢はもとより幽微恍惚の中より生ず。ただ一夢に憑って遽に斷語を下すべからず。若し一夢を得て三件事相應ずれば、初めてその吉凶を斷定して主上に講じ聽かすべし。これは人の神魂魄氣が預め禍福を感知するなり。 將軍夢に雲外に飛龍あるを見る。この時急いで出戰すれば必ず捷報を獲、三日を過ぎず(一作百日)して帝王の封賞を受け、地位顯赫にして奇功を建立せん。 將軍夢に魚が蛟龍と變成するを見る。魚の龍と化するは騰躍升遷の象なり。百戰して自然百勝し、敵と交鋒して對方を擒捉するも必ず凶なく、大將の職位はなお加封せられん。
將軍夢,打辛本、川本、京本作「大」鼓大聲鳴。小鼓小聲京本作「鳴」軍小勝,不鳴固守莫先京本作「前」徵,勝負取其聲。 將軍夢,夢得大魚形。若得小魚軍京本作「兵」小勝,電光霹靂主軍鳴辛本、川本、京本作「驚」,此象最為靈。 將軍夢,見水及京本作「夢見汲」波濤。或京本作「忽」與敵人相角京本作「爭」競,須來挑京本作「排」戰莫輕交,堅守我門橋。
將軍夢に鼓を擊つを見る。鼓大にして聲響洪亮なれば大勝を主り、鼓小にして聲も小なれば小勝を主る。若し擊ちて鳴らざれば、固く守るべく、先を爭って出征するなかれ。勝負は全て夢中の鼓聲の大小に取決す。 將軍夢に大魚を見れば大勝を主り、小魚を夢見れば小勝を主る。若し電光霹靂を夢見れば、則ち軍中驚を受くるを主る。こういう類の夢象は最も靈驗なり。 將軍夢に大水の波濤を見る。水は險陷を主り、波濤洶涌は彼此相激する象なり。これは敵人と角力して爭競し、敵人が前來挑戰するを主る。但し輕易に交鋒すべからず。己の營門と橋梁などの要害の地を堅守し、その氣の衰るを待ちて動くべし。
將軍夢,天上作雷鳴。破敵勤辛本、川本、京本作「擒」王有京本作「看」此兆,無京本作「不」拘明辛本、川本、京本作「月」暗與陰晴,擁京本作「勇」士向前程京本作「徵」。 將軍夢,身涉大高山。遇戰必贏功顯著,相逢敵戰京本作「敵」急攻殘,莫放片時間。 將軍夢,夢見大舟船。順水順風帆幔順,戰之獲捷獨為先,快樂辛本、川本作「不爾」似神仙。
將軍夢に天上雷を打つを見る。敵を破り王を擒えるは正にこの兆象に應ずべく、當時が月明なりや天暗なりや、陰なりや晴なりやに拘泥する要なく、ただ勇士を擁して向前進征せよ。 將軍夢に己が跋涉して高山に登るを見る。これは戰に遇えば必ず勝ち功勳顯著を主り、敵と相逢えば急攻摧殘し、一刻も放松するなかれ。 將軍夢に大船を見、しかも水に順い風に順い、帆幔皆順なり。これは出戰すれば必ず捷報を得、獨り首功に居り、快樂なること神仙の一般なるを主る。
《周易》占候第二十六・三十七首
聖人造,作《易》變爻辭。擲卦要知凶與吉,切須盥手動占儀,懇意合天機。 凡占《易》,動靜卦爻裝。先辨剛柔分彼我,更分主客要知當,決勝自昭彰。 論主客,後舉我為尊。旗底辛本、川本作「低」住坐並為主,先身行者號為賓,此理甚分明。
聖人が《周易》を創制し、爻變の辭を作出す。卦を擲して吉凶を知らんと欲せば、務めて先ず手を淨め、然る後禮に依って占儀を啓動し、心意誠懇にして初めて天機に契合す。 凡そ《易》を以て占問するには、動靜に按じて卦爻を裝配すべし。まず剛柔を分辨して彼我を區分し、更に誰が主・誰が客を分清し、判斷當を得れば、勝負自然昭然として見る可し。 主客の分を論ずるに、後に發動する一方は我を以て尊とす。營を安んじ駐守し旗下動かざる一方を「主」と爲し、先行出動する一方を「賓」と叫び、すなわち客なり。この道理は甚だ分明なり。
入他國,我即論為辛本、川本作「其」賓。若是他來攻我寨,我為主辛本、川本作「賓」者汝為賓辛本、川本作「尊」,此理合天文。 凡占《易》,先論六親方。大煞彼鄉辛本、川本作「大謹五鄉」比和克,應殺世主總漂揚,官鬼子孫量。 彼與我,子鬼取為先。子孫旺相吾軍勝,鬼爻囚死彼辛本、川本作「複」遭愆,反此亦如然。
我が敵國の境內に進入すれば、我はすなわち「賓」と算作す。若し是れ敵人の來りて我が營寨を攻むるならば、則ち我を「主」と爲し對方を「賓」と爲す。この道理は天文占法と相合す。 凡そ《易》を以て占問するに、まず「六親」の所在の方位を論じ、謹んで五行の鄉が比和なりや相克なりやを推詳すべし。若し應爻が世爻を殺傷せば、則ち本方が漂泊動蕩するを主る。その中とりわけ「官鬼」と「子孫」の兩爻の強弱を衡量すべし。 彼我を分辨するに、まず「子孫」と「官鬼」の兩爻を取る。子孫爻が旺相なれば我軍勝を得、官鬼爻が囚死の地に落ちれば敵方殃に遭わん。反対の情形もまた同じ道理に照らして推斷す。
世為我,應象便為他。世克應兮當我勝,應爻克世我無家,比者各安家。 內卦我,外卦屬他邦。內克外時無大損辛本、川本作「攢捷」,子孫發動急旋辛本、川本作「施」張,大戰我軍強。 官爻動,卻在內爻興。若在子孫傍發動,未辛本、川本作「雖」來攻我不曾贏,彼敗怎回程?凡占戰,世為我,應為他;內為我,外為他;子為我,官為他;比和者吉。
「世」爻は我を代表し、「應」爻は對方を代表す。世が應を克すれば我方勝を得、應爻が世を克すれば我方は家園を失わん。若し世應比和なれば、則ち雙方各その居に安んじ相持して事なし。 內卦は我方を代表し、外卦は對方の國に屬す。內卦が外卦を克すれば我方に大きな損失なし。若し子孫爻が發動すれば、急いで布置を施展し、大戰の中に我軍必ず強し。 官鬼爻が發動して、卻って內卦に興起す。若しそれが子孫爻の旁に發動すれば、則ち敵人雖來攻するも我未だ勝を取らず、彼らすでに敗れたれば、又何ぞ順利に師を回らし得んや。舊注に曰く、凡そ戰事を占するに、世は我・應は他、內は我・外は他、子孫は我・官鬼は他。世應比和なれば則ち吉なり、と。
子孫動,有氣甚分明。我若擊他全獲捷,他來攻我敗無門,我將立功勛。 占賊信,官鬼上二爻。無氣動居爻五六,雖然已動不相遭,賊眾自辛本、川本作「再」回巢。 占賊信,鬼發內三中。或是官爻生有氣,賊軍來速在逡巡,急備點三軍。
子孫爻が發動し、しかも旺相にして氣あり、非常に分明なり。この時我が往きて對方を攻撃すれば全く捷報を獲、對方が來り我を攻むれば敗れて路なく走る可からず。我方將領は必ず功勳を立てん。 敵軍の消息を占するに、上面の兩爻の官鬼を看る。若し官鬼が氣なくして第五・第六爻に發動すれば、則ちそれ雖すでに動くも我と相遭遇せず、敵衆は自ら巢穴に退回せん。 敵軍の消息を占するに、若し官鬼が內卦の三爻の中に發動し、あるいは官爻が生を得て旺相にして氣あれば、則ち敵軍の來ること極めて速く、まさに頃刻の間なり。急いで三軍を點集して戒備すべし。
占賊興,卦裡子孫興。六位官爻全不見,話中空自說來情,不見信和音。 占賊信,應動是辛本、川本作「世」為他。其賊來時須辛本、川本作「雖」是到,到時攻我將須拿,來將喪黃沙。 占賊信,兄弟動如何。三四爻中他辛本、川本作「我」克我,逡巡來到不蹉跎,到後卻安和。
敵軍が兵を興すや否やを占するに、若し卦中の子孫爻が興旺にして、六箇の爻位の上に全く官鬼を見ざれば、則ち外面に傳うる種種の説法は皆空話にして、確實の消息を得ず。 敵軍の消息を占するに、應爻が發動すれば則ち對方を代表す。この敵人は確實に到來し、到時我を攻めに來れば、我方將領は彼を擒拿し得、來犯の敵將は黃沙に命を喪わん。 敵軍の消息を占するに、兄弟爻が發動すれば何如。若し第三・第四爻の上に對方が我を克せば、敵人は間もなく到來して決して拖延せず。但し到りたる後はかえって相安して事なし。
占賊信,父母主文書。若遇吉神天喜位,朝廷加祿永安和,賊智設機多。 占賊信,卦象動妻財。天喜來交爻已動,若來相戰見兵乖,我將得和諧。 凡占《易》,奇偶與剛柔。陽爻為九陰爻六,陽爻多眾我須周,柔少我辛本作「彼」軍憂。
敵軍の消息を占するに、父母爻は文書信息を主る。若し「天喜」のような吉神の臨む所の位に逢えば、朝廷の祿を加え長く安和を享くるを主る。但し同時にまた敵人の智謀多端・設けたる機關少なからざるを留意すべし。 敵軍の消息を占するに、卦中の妻財爻が發動し、また「天喜」に逢い交會して爻すでに發動す。こうすればたとえ交戰に來るも、對方の兵勢の乖違不利なるを見、我方將領は和好の結果を得るを得べし。 凡そ《易》を以て占問するに、奇偶剛柔を分かつべし。陽爻を「九」と稱し、陰爻を「六」と稱す。陽爻多ければ兵衆にして我方周全なり。陰柔の爻が太少なれば、則ち對方の軍中に憂あり。
入他境,我卻用官爻。官旺子孫休我勝,若煞反此少功勞,術士自詳消。 入他國,大要看財鄉。子動才興皆出現,處處獲捷有衣糧,飽賞喜還鄉。 爻上見,無鬼又無孫。但有應方並世上,以應為他我世軍,此克定軍情。
敵境に進入するに、我方は卻って官爻を以て推斷を用いる。官鬼が旺にして子孫が休囚なれば我方勝を取る。若し情形これと相反なれば、則ち功勞多からず。占術の士は自ら當に詳しく消詳すべし。 敵國に進入するに、最も要緊なるは財爻の所在を看るなり。若し子孫爻が發動して財爻が興旺にして一一併に顯現すれば、則ち處處勝を得、衣食糧餉充足し、將士飽くまで賞賜を受け歡喜して鄉に還らん。 卦爻の上に官鬼を見ることなく、また子孫を見ることなく、ただ應爻と世爻と看る可きのみ。則ち應爻を以て對方と爲し、世爻を以て我軍と爲し、この兩者の相克の關係に憑って軍情を斷定すべし。
世爻旺,若克應爻宮。速便提兵前去吉,自知天助喜重重,主將得奇功。 兄獨發,有寇伏埋藏。且莫提兵行遠路,急行前必有驚惶,不信見災辛本、川本作「遭」殃。 財辛本、川本作「賊」爻動,便是我軍糧。出國尋糧我軍旺辛本、川本作「財旺發」,無財難辛本、川本作「雖」旺恐飢荒,仔細好推詳辛本、川本作「半敵遇空亡」。
世爻が旺相にして應爻の所在の宮を克住すれば、迅速に兵を提して前往すべく、この行は吉なり。自然に上天の助在るを知り、喜事重々、主將奇功を得べし。 兄弟爻が單獨發動するは、敵寇が埋伏藏匿するを主る。しばらく兵を提して遠行するなかれ。急いで前進すれば必ず驚惶の事あり。この話を信を信ぜざれば殃に遭わん。 財爻が發動すれば、則ち我軍の糧餉を代表す。國を出でて地に就いて糧を籌すれば、我軍便ち旺盛なり。若し卦中に財爻なければ、たとえ別處旺相なりとも恐怕飢荒を鬧かさん。この一層は仔細に推詳すべし。
世若墓,我軍且默辛本、川本作「執」屯。應爻被克休囚位,來軍必敗損人兵,我眾喜忻忻。 官臨火,克我應辛本、川本作「慮」偷營。水立官鄉休立寨,土臨官鬼四方兵,不可辛本、川本作「一」亂提兵。 木官辛本、川本作「宮」旺,必定有雄兵。金火不宜臨世應,兩家流血定交爭,火鬼劫吾營辛本、川本作「軍」。
世爻若し墓庫の中に落ちれば、我軍は當に兵を按じ動かず、靜守屯駐すべし。若し應爻が克せられてまた休囚の位に處すれば、則ち來犯の軍必ず敗れ人馬を折損し、我方部衆歡欣喜悅せん。 官鬼が火に臨んで來り我を克するは、敵人の營を偸むを憂慮すべし。官鬼が水鄉に落つれば、そこに寨を立つるなかれ。官鬼が土に屬すれば、則ち四方皆兵事あるを主り、亂りに自ら兵を提して妄動すべからず。 官鬼が木に屬して旺なれば、必ず雄壯の兵衆あり。金と火と皆世爻應爻に臨むに宜しからず、然らば兩家必ず血戰相爭す。官鬼が火に屬すれば、則ち敵人の來りて我が營寨を劫するを主る。
兄爻克,防奪我軍糧。水動舟車火營寨,文書父母合穹蒼辛本、川本作「倉場」,嚴令下兒郎。 爻辭位,九六號陰陽。中半自然皆相守,比和世應兩無傷,各自主刀槍。 外卦靜,內動見兄爻。空亡臨象虛驚事,更兼不定事無毫,固守且平交。
兄弟爻が來り我を克するは、軍糧の人に劫奪されるを防備すべし。水爻の發動は舟車轉運の事を主り、火爻の發動は營寨の失火の患を主る。文書消息は則ち父母爻を看、皆上天の示す象と合わせて看るべし。この時當に號令を嚴明にし、部下將士を申飭し、糧道を守牢にすべし。 爻辭の位次は、「九」「六」を以て陰陽を標稱す。陽爻を九と稱し、陰爻を六と稱す。陰陽各半を占め、自然彼此相守す。世應比和なれば、兩邊皆損傷を受けず、各自己の刀槍を掌管し、互いに相犯さず。 外卦安靜にして、內卦發動して兄弟爻を見る。若し「空亡」が卦象に臨めば、あれは不過一場の虛驚なり。更に卦氣不定を加えれば、事情は更に毫も著落なし。この時固守して時を待てば、雙方平和に相處し得べし。
歸魂卦,三四動爻凶。若制鬼爻凶轉遂辛本、川本作「隊」,若逢天喜好回軍,不久卻抽兵。 《易》之位,六親與五鄉。外卦世爻子孫旺,三般有氣我無傷,勿要落空亡。 凡占課,內動外平安。動爻無鬼虛驚恐,內爻凶辛本、川本作「兄」動稔凶張,術者細參詳。
「歸魂」卦を占得すれば、第三・第四爻の發動を凶とす。若し官鬼爻を制住し得れば、凶は順遂に轉ず。若しまた「天喜」に逢上せば、正に班師の好時機、ほどなく兵を收め撤回すべし。 《易》占の位次は、「六親」と五行の鄉とを講ず。外卦・世爻と子孫爻と皆旺相なれば、この三樣皆氣あり、我方は損傷を受けず。ただ切に「空亡」の地に落入る可からず。 凡そ占課、內卦發動して外卦安靜なれば、平安を主る。動爻の中に官鬼なければ、ただ虛驚一場のみ。若し內爻に凶爻の發動あれば、凶勢將に滋長張大せん。術者はその間の分寸を仔細に參詳すべし。
外卦動,內卦動興爻。內外動爻俱動發,若然我戰動槍刀,大戰殺聲高。 鬼爻旺,三四動交爻。定主賊兵侵我陣,急須回首莫相交,動則我軍啕。 四德用,其課我軍強。春占雷巽寅卯木,夏火巳午得離鄉,此理要知詳辛本、川本作「當」。 秋乾位,申酉喜逢臨辛本、川本作「相逢」。三冬亥子坎宮卦,土旺用事艮和坤,丑未辰戌沖辛本、川本作「辰中」。
外卦發動し、內卦にもまた興動の爻あり、內外動爻が一齊に發作す。こうすれば若し我方出戰せば、刀槍を並び擧げ、大戰の中に殺聲天を震わん。 官鬼爻が旺相にして、第三・第四爻が發動交變す。これは必ず敵兵の我陣を侵犯するを主り、急いで師を回らし、之と交鋒すべからず。一動すれば我軍をして號啕受挫せしめん。 「四德」を以て推せば、この一課は我軍の強盛を主る。春は震雷・巽風および寅卯の木を占得して地を得ると爲す。夏は火と巳午とを占得し、離宮の鄉を得る。この道理は詳盡明白に知るべし。 秋は乾位を占得し、申・酉兩支の相臨に喜逢す。冬季三箇月は亥・子を占得し、坎宮の卦に屬す。土旺用事の時は則ち艮と坤の兩宮に在り、丑未・辰戌の四支は彼此相衝す。
太乙式第二十七(本門中「太乙」の二字は、辛本・川本皆「天乙」と作る)・三十一首
太乙式,逆順論陰陽。五日六時成一局,八門九曜遂辛本、川本作「逐」時當,凶吉利門方。 為術者,太乙式辛本、川本作「遁」須知。起造凶喪須得此,出行蒞任動兵機,用者得便宜。 出軍日,出門向何方。開休生門三路吉川本作「吉路」,一奇臨合自然良,主將得安康。
「太乙式」の推法は、陽遁順行・陰遁逆行に按じて陰陽を分別すべし。五日ごと、共に六十箇の時辰を結んで一局と成し、「八門」と「九曜」とが時辰に隨って各自當値し、これに據って吉凶の利する門戶と方位とを判定す。 凡そ術數を學ぶ人は、太乙遁式を知らざる可からず。房屋を興造し喪事を辦理するにそれを用い、出行赴任・軍機を發動するにもまたそれを用う。用いるを得る者は處處便宜を占め、用いるを得ざる者はたとえ良謀あるも常に時を失う。 出軍の日、まずどの方向より門を出づるかを看るべし。「開」「休」「生」のこの三門の對する三條の路を吉とす。若し更に一箇の「奇」星あってその上に臨會せば、自然更によく、主將安康を保ち得べし。
乙丙丁,名曰是三奇。天上若臨三吉路,自然神助合天機,任辛本、川本作「恁」往莫憂疑。 九星位,當位辛本、川本作「住」八宮方。惟有中宮寄在二,術人運式細消詳,依此我軍強。 甲加丙,龍反首辛本、川本作「首反」為先。丙甲相臨鳥跌穴,時中得此自然全,得勝凱歌旋。
乙・丙・丁の三箇の天干は合わせて「三奇」と稱す。乙を日奇と爲し、丙を月奇と爲し、丁を星奇と爲す。それらが若し三條の吉門の路上に臨めば、自然に神明の相助ありて天機に契合し、往かんとするに任せ、憂疑する要なし。 「九星」は各本位あり、分別して八宮の方位に當値す。ただ中宮のみ正位なく、二宮すなわち坤宮に寄す。術者式を運して推排する時は細々消詳し、これに依って行事すれば、我軍必ず強し。 甲が丙に加臨するを「青龍返首」と謂い、遁甲の上格なり。丙が甲に加臨するを「飛鳥跌穴」と謂う。時辰の上にこの兩種の格局を得れば、事情自然周全し、出兵して勝を得て凱歌して還るを得べし。
太乙遁,月奇合生門。下有六丁加臨者,此時攝政顯公卿,上策進書呈。 開門合,日奇六七辛本、川本作「乙」方。此為地遁安營吉,藏兵設伏免憂殃,所獻日精長川本作「良」。 星奇合,休門有蔭人。舉善薦賢求猛將,和仇說敵哲明言,此法合先賢。
太乙遁法の中、月奇の丙が「生門」と相合し、下面にまた六丁加臨す。この時辰は政務を攝理し公卿の位に顯達するに宜しく、正に上策を進獻し奏書を呈遞し得べし。 「開門」が日奇の乙と相合し、六乙の方位に落つる。これを「地遁」と謂い、營を安んじ寨を扎するに宜しく、また兵を藏め伏を設くるに宜しく、憂患災殃を免るるを得、承受する日精の氣は長久有益なり。 星奇の丁が「休門」と相合し、人を蔭庇する象あり。この時善を擧げ賢を薦め、猛將を訪求するに宜しく、また仇怨を化解し敵方を游說し、明智の言辭を以て對方を打動するに宜し。この法度は先賢の用意に合す。
月奇合,生門見九天。祭禱神祇行聖術,布仇辛本、川本作「籌」作法此間言,神遁不虛傳。生門月奇合,得九天所臨之位,謂「神遁」。宜作布籌,行聖術,祭神祇。 日奇合,九地見開門。探審賊機揚虛陣,遙虛設假利偷營,鬼遁隱神兵。 日休並,九地上加臨。龍遁祭龍宜水戰,祈求雨澤辛本、川本作「水」奏天庭。掩敵有才能。
月奇の丙が「生門」と相合し、また「九天」の位を得れば、この時神祇を祭禱し聖術を施行するに宜しく、籌を布き法を作す皆この時に在り。「神遁」の説は虛傳に非ず。舊注に曰く、生門が月奇と相合し、また九天の臨む所の位を得れば、すなわち「神遁」と謂い、籌を布き聖術を行い神祇を祭するに宜し、と。 日奇の乙が「九地」「開門」と相合すれば、この時敵方の機密を刺探審察し、陣勢を虛張し、遠くに假象を設くるに宜しく、敵營を偸襲するに利あり。これすなわち「鬼遁」にして、兵馬を神兵の如く發覺されず隱藏し得べし。 日奇の乙が「休門」と併合し、また「九地」の上に加臨すれば、これを「龍遁」と謂い、龍を祭るに宜しく水戰に宜しく、また雨澤を祈求し天庭に上奏するに宜し。それを以て敵を掩襲するは最も才能を見出せり。
生門下,辛儀艮位安。此處一方為虎遁,招安反賊討交關,將帥總平安。 論雲遁,龍走有奇門。便把鐵礫噴噀酒,令軍布辛本、川本作「仰」望必昇平,雲遁自相陳。 論風遁,白虎號張狂。運式天星加地乙,祭風起順祝吾邦,此理合天蒼。
「生門」の下、六辛の儀は艮位に安んず。この一方を「虎遁」と謂い、反叛を招安し敵人を討伐し關隘を打通するに宜しく、將帥皆平安を保ち得べし。 「雲遁」を説くに、龍行の位が奇門に遇上す。この時鐵礫を抛撒し酒を含み噴噀して法を作し、全軍に命じて仰望せしめば、必ず升平の效を得。雲遁の功は自ずから一々顯現せん。 「風遁」を説くに、この時白虎の神は號して張狂とす。式を運する時は天上の星を地下の六乙に加臨し、然る後風を祭り、風勢をして我に順はしめ、本國の爲に祝禱す。この道理は蒼天の意に合す。
九天上,大利我軍陳。九地伏藏宜密事,逃潛六合避凶星,隱伏喜忻情。 五不過辛本、川本作「遇」,甲午丙從辰。乙日巳時丁日卯,更兼戌日在於寅,都是忌行軍。 五不擊,第一九天方。九地直符直使位,生門通兵辛本、川本作「共」五般傷,此法遁中藏。
「九天」の上は、最も我軍の兵を陳べ陣を列するに利あり。「九地」の下は伏藏し機密の事を辦理するに宜し。逃遁潛藏せんとすれば「六合」の位を取って凶星を躲避すべし。隱伏法を得れば、自然心情欣喜す。 所謂「五不遇」は、甲日の午時・丙日の辰時・乙日の巳時・丁日の卯時、更に戊日の寅時を加う。この五箇の時辰は皆行軍を忌諱す。 所謂「五不擊」は、第一は「九天」の方位、その次は「九地」「直符」「直使」の所在の位、更に「生門」を加う。兵馬がこの五處を衝犯すれば皆傷を受く。この法則はすなわち遁甲の法の裏に藏る。
六儀刑,謀事總難成。遇著此時遭失陷,奇門雖有也難生川本作「禁」,大忌用兵行。 子符使,都忌在三宮。戌怕沖辛本、川本作「坤」宮申在艮,午離酉巽必為凶,寅與甲辰同。 三奇墓,課是沒辛本、川本作「設」人多。好事中間須減辛本、川本作「滅」力,奇門雖辛本、川本作「須」遇也難過,固守免蹉跎。
「六儀擊刑」に遇上せば、すなわち六儀の落つる所の宮と本支とが相刑するなり。事を謀れば總じて成功し難し。この種の時辰に碰えば失陷に遭遇し、たとえ奇門吉格あるも化解し難く、最もこの時に用兵行軍するを忌む。 直符・直使が子上に落つるは皆三宮を忌む。戌は坤宮を怕れ、申は艮宮を怕れ、午は離宮・酉は巽宮に在れば必ず凶と爲す。寅と甲辰との忌法もまた相同じ。 三奇が墓に入るは、この一課は陷沒する人多しを主る。好事が中途に進行するも氣力を減損し、たとえ奇門吉格に遇上するも關を過ぎ難し。この時固守して動かずして初めて蹉跎して事を誤るを免る。
乙奇墓,未上望坤方。丙奇辛本、川本作「其」戍地酉中是,丁奇同位戌乾辛本、川本作「朝」張,都是審明方。 三奇將,遊在六儀中。子庚丑辛寅乾上,卯壬為例順行蹤,八方四維宮。 六癸丁,天網四張時。舉用所謀皆不定,周天網者有高低,坎地一宮隨。
乙奇が墓に入るは未上に在り坤方を望み、丙奇が墓に入るは戌地と酉中に在り、丁奇も同じく戌と乾位に落つ。これらの幾處は皆それらの所在の方位を審辨明白にし、誤判を免るべし。 三奇の將が六儀の中に游行す。子は庚に配し、丑は辛に配し、寅は本干に配し、卯は壬に配す。この體例に照らして順次推排し、八方と四維の各宮に遍く及ぶ。 六癸と丁と相會すれば、正に「天網四張」の時なり。この時凡そ擧動謀劃あるも皆定奪し得ず。但し天網の張るに高きあり低きあり、坎宮第一宮より依次に推隨し、網の低き處はなお脱身し得べし。
如急難,事速要辛本、川本作「為」逃之。刀刃對肩居左右,行過六十步無疑,此事要君知。 開門照,六戊辛本、川本作「戌」合奇門。前程辛本、川本作「門」貴客相伏辛本、川本作「扶」助,陰人酒肉待相迎,拜訪喜忻忻。 休門外,喜笑得錢財。出門辛本、川本作「外」三旬五十里,蛇鼠陰人及小孩,出外免無厄辛本、川本作「定無災」。
如果緊急の危難に遇上し事情緊迫して必ず逃げざるを得ざれば、刀刃を左右兩肩に對して扛ぎ、一直に六十步を走過せば、必ず礙なし。この法門は主上をして知らしむべし。 「開門」照臨し、六戊が奇門と相合す。これは前路に貴客の扶助あるを主り、また婦人ありて酒肉を備え相迎す。この時人を拜訪すれば、歡喜融洽せん。 「休門」の外は、歡笑して財を得るを主る。門を出でて三十天・五十里路を行けば、蛇鼠の一類および婦人小孩の事に遇上し、門外に出でて災厄を免るるを得。
生門上,三奇合此門。公吏官人生紫皂,逢之軍馬六三程,特應與軍門。 傷門內,捕盜可移趨。杜門有難前潛吉,景門凡事不安居,獻策稍通疏。 死門上,攻戰莫辛本、川本作「要」逢之。出臘辛本、川本作「獵」更宜朝北辛本、川本作「此」向,若還征戰賊亡威辛本、川本作「滅」,決勝要逢之。 驚門路,捕盜捉逃亡。出行一二十里路,路道不通鵲噪狂,論訟喜公方。
「生門」の上、三奇がこの門と相合す。この時公吏官人に遇見し、紫色黑色の衣裳を穿著す。この種の格局に遇上すれば、軍馬の行程に六三の數あり、特に軍門の事に應驗す。 「傷門」の內は盜賊を捕捉するに宜しく、その方向に朝いて進發し得べし。「杜門」に難あれば、向前潛藏して初めて吉なり。「景門」は則ち凡事安んじ居るを得ず、ただ策を獻じ書を上るのみ還って稍く通達し得べし。 「死門」の上は、攻戰もとより遇うに宜しからず。但し出獵はかえってこの方向に朝いて去るに宜しく、若し征戰に用いれば、反って敵人の威風を滅却し得。ゆえに決勝の效を取らんとすれば、正にそれに遇うを須とす。 「驚門」の所在の路は、盜を捕え逃亡の人を捉拿するに宜し。出行一二十里すれば、道路通ぜず鵲鳥狂噪する情形に遇上す。若し官司論訟を打たば、則ち公正の裁斷を得るを喜ぶ。
占六壬第二十八(京本は第十七に列す)・四十五首
看行動,只取京本作「在」日辰推。若在貴人前實是京本作「是實」,三傳同去此辛本、川本作「此去」無京本作「此不須」疑,反此卻難移。 看天馬,辰戌亦同前。京本注:「魁罡也。」若在支干京本作「干支」應空辛本、川本、京本作「定」發,更還加季不京本作「主」留連,人馬鬧京本作「更」喧喧。 占虛實,後六作天空。若在干支虛事定,天空為煞最朦朧,虛妄禍辛本、川本作「更」、京本作「更望更」重重。
軍隊の行止動靜を看るに、ただ「日辰」を取って推算す。若し日辰が「貴人」の前に落つれば、得る所の情形はすなわち眞實なり。三傳皆同一方向に朝いて去れば、この行疑慮する要なし。若しこれと相反なれば、貴人は前に在りて三傳散亂し、軍隊は調動し難し。 「天馬」を看るに、辰・戌兩支の推法は前面と相同じ。京本の注に曰く、辰戌はすなわち「魁罡」なり、と。天馬若し日の干支上に落つれば、就一定要發動す。更に四季の支に加臨しても、滯留せず、人馬喧鬧して將に開拔せん。 事情の虛實を占するに、「天后」の後の第六位を以て「天空」と爲す。天空若し日の干支上に落つれば、事情必ず虛なり。天空は凶煞と爲して最も朦朧不實にして、虛妄の傳言の背後は禍患重々なり。
占主客,勝負蚤須知。甲乙丙丁並戊子辛本、川本作「己」、京本作「字」,陽時出戰主凶危,此事決京本作「定」無疑。 占宿次,今夜定如何。太乙天罡太沖上,支干見者恐奔過京本作「波」,準辛本、川本、京本作「整」備禦兵戈京本作「預防他」。 看歲月,沖破時辛本、川本、京本作「下」推之。上將行年居此位辛本、川本、京本作「下」,師行辛本、京本作「侯」身必有凶危,禳厭始無虧。月將加所得之時,看支乾上見魁罡星者主驚潰。將帥行年上見魁罡者宜禳之。
主客の勝負を占するに、早くより分曉を知るべし。甲・乙・丙・丁と戊己のこれらの日子に逢いて、陽時に出戰すれば凶危を主る。この一點斷然疑いなし。 今夜の宿營の吉凶如何を占するに、若し「太乙」「天罡」「太衝」のここらの神が日の干支の上に落つれば、恐怕奔逃驚擾の事あらん。兵戈を整備して嚴加防禦すべし。 流年と月份とを看るに、衝破の時辰の下に推算すべし。若し主將の行年が正にこの位置に落つれば、出師の時自身に必ず凶危あり、禳厭の法を行して初めて虧損に致らず。舊注に曰く、月將を得たる時辰の上に加え、干支上に若し「魁罡」星を見れば、軍中驚潰するを主る。將帥の行年上に魁罡を見るは、當に禳解すべし、と。
看六害,用將及傳中。若見定知他捷京本作「健」利,更兼惡京本作「月」將定重凶,不卻無凶京本作「為雄」。 後三五,前四將年辰。若被日沖兼被辛本、川本作「破」害,被刑之辛本、川本作「亡」者負於人,好記認為真。 參詳取,太歲頭上京本作「上頭」神。若克貴京本作「能責」人虛詐事,太陰六合辛本、川本作「後」、京本作「神后」偽為京本作「非」真,防備見傷人。
「六害」を看るに、用神・將神と三傳の中に察看すべし。「六害」は彼此相妨げる神なり。若しこれらの幾處に見れば、對方の捷利を斷定し得べし。更に凶惡の將を加えれば、それは凶の上に凶を加うるなり。この時法を設けて退避せざれば、凶禍を免れず。 後三位・後五位と前四位のここらの將神、および行年・日辰、若し日辰に衝せられまた刑害せられば、則ち刑を受くる一方は人に敗るべし。よくこの一條を記え、確實に信ずべし。 參詳の時は太歲の頭上の臨む所の神を取るべし。それが若し「貴人」を克せば、虛假詐僞の事あるを主る。再び「太陰」「六合」に逢えば、則ち更に假を以て眞に亂る。人の傷を受くるあるを防備するを須とす。
聞賊去,大吉是其元。若在乾辛本、川本、京本作「前」時應末去,若臨乾辛本、川本、京本作「賊」後是虛傳,勿聽此狂言。 他軍走京本作「是」,虛實辛本、川本、京本作「的」好參陳。神剋日辰天馬並,傳揚定去必無人,此兆決然真。 經險路,惟是京本作「則」、辛本、川本作「為則」忌天罡。加孟前行喜辛本、川本、京本作「應」不喜,罡臨四仲己中傷,加季後京本作「複」逃亡。
敵人の退走を聽説するに、「大吉」の丑神を以て主要の依據と爲すべし。それが若し前面の時辰に臨めば、敵人は未だ去らざるを説明す。若し後面に臨めば、あの消息はすなわち虛傳にして、この狂言を聽信するなかれ。 敵軍が果して退走するや否や、虛實はよく參詳すべし。若し課中の神が日辰を克し、また「天馬」と並び臨めば、則ち傳揚して出る消息は屬實にして、敵人は必ずすでに空に走り、この兆象は確鑿として信ずべし。 險要の道路を經過するに、最も「天罡」を忌む。天罡が四孟の支に加臨すれば、前行未だ必ずしも喜ばず。天罡が四仲に臨めば、自身將に傷を受けん。四季の支に加臨すれば、則ち後隊の逃亡を主る。
兵行次,四季獄神凶。春卯京本注:「夏午。」順京本注:「四季。」雷京本作「來」居震位,辰年艮京本作「日辰年」上忌相逢,臨著失勛功。 游都將,並殺又重傷。若遇德鄉神並合京本、辛本、川本作「神並合將」,加臨不克又加京本作「有嘉」祥,降虜我軍強。 游都將,剋日至行年。約束京本作「若屬」我軍牢固守,若辛本、川本作「莫」教見陣必遭愆京本作「邅」,不卻為賢。
行軍の途中、四季の「獄神」は凶と爲す。春は卯、夏は午に在り、その餘は依次に類推す。雷は震位に居り、辰年は艮位の上に皆相逢するを忌む。碰上すれば將に功勳を丟失せん。 「游都」この將神は、若し凶殺と並び臨めば、傷害將に加倍せん。若し「德鄉」に遇上してかつ吉神の將と合し、加臨して相克せざれば、かえって吉祥を增添し、敵虜の來降・我軍の強盛を主る。 「游都」の將神が日辰を克しかつ行年の上に克到れば、我軍を約束して牢く固守すべし。若し部隊をして臨陣交鋒せしめば、必ず殃に遭わん。この時退避して初めて賢明と算す。
主年上,須要克游都。克得此宮為大勝,多應擒捉賊京本作「客」酋徒,半虜半降誅。 游都將,玄武與勾陳。白虎年將須穩審辛本、川本作「害」,休囚絕氣不傷人,旺相卻京本作「即」殘身。 玄武將,斷例與前同。無克後三皆大勝,後三來京本作「未」克主皆凶,卻是京本作「試」審其中。
主將行年の上は、能く「游都」を克住すべし。能くこの一宮を克住すればすなわち大勝にして、多くは敵方の酋首を擒獲し得、俘虜一半・招降誅戮一半せん。 「游都」の將神は「玄武」「勾陳」と同類なり。「白虎」と年將ともまた穩妥に審察すべし。これらの凶將若し休囚絕氣の地に處すれば人を傷らず。若し旺相にして氣あれば、かえって自身を殘害せん。 「玄武」この將神は、斷法前面と相同じ。後三位來り相克せざれば皆大勝なり。後三位來り克せば、則ち一概に凶と爲す。この中間に仔細に審辨すべし。
勾陳將,忌克主行年。若克行年多敗死,行年無京本作「多」克見勛全,審細去參詮。勾陳克玄武,主勝。 凶神將,又克主行年。若遇行年克前四,此是交戰京本作「勝」勝當先,喜躍信京本作「作」超辛本、川本作「趨」前。 軍勝負,六害卦中凶。更作惡神並惡將,直須固守候時辛本、川本、京本作「晴」風,懼辛本、川本、京本作「俱」慎莫前衝。
「勾陳」この將神は、最も主將の行年に克到するを忌む。行年に克到すれば、多く敗亡を主る。行年が克を受けざれば、則ち功勳周全なり。細細に參詳詮解すべし。舊注に曰く、勾陳が玄武を克するは、我方の勝を得るを主る、と。 凶神凶將がまた主將の行年に克到するは、もとより利ならず。但し若し行年が反って前四位を克住すれば、則ち交戰して當に先に勝を取る象なり。歡欣鼓舞して奮勇向前し得べし。 軍隊の勝負、若し課中に「六害」あればすなわち凶なり。更に惡神惡將の並び臨を加えれば、ただ堅守し、天時風候の轉好を等候し、謹慎戒懼して向前衝擊するなかれ。
游都將,臨日在如今。辰上見之明日是,支乾不見辛本、川本作「是」用前神,三二是朝迍。 聞賊去,仔細驗天罡。若在孟方猶未去,忽然加仲已商量,加季發他鄉。 三傳將,遙日辛本、川本、京本作「見」覓支干。將見支干休進戰,三神被克我軍京本作「神」安,必獲彼旗旛。
「游都」の將神が日干上に臨めば、應驗はすなわち當日に在り。辰上に臨めば、應驗は明天に在り。干支上に皆見えざれば、前一位の神を取って推し、應期は兩三天の內に困厄あらん。 敵人の退走を聽説するに、「天罡」を仔細に驗看すべし。天罡が四孟の方に在れば、敵人は未だ走らず。忽然四仲に加臨すれば、すでに撤退を商議するを説明す。四季に加臨すれば、則ちすでに開拔して別處に往きたり。 三傳の將神は、日の干支に對して尋覓すべし。將神若し干支の上に見えば、進戰するなかれ。若し三神克せられば、我軍安穩にして、必ず敵方の旗幟を繳獲し得べし。
課中惡,忌見戰雌神。傳送是春登明夏,秋寅冬巳愛傷人,日與喜神親京本作「發動愈重迍」。 行軍京本作「兵」課,惟有伏吟時。兵伏自然軍勿進,預憂中道有儉京本作「陰」奇,審課要知機。 行兵京本作「軍」課,切忌反吟凶。若遇喜神應解退,惡神立敗禍來沖,反複我軍中。
課中の凶惡、最も「戰雌」の神を見るを忌む。春は「傳送」、夏は「登明」、秋は寅・冬は巳に在り。これらは皆人を傷り易し。ただ日辰と喜神とが相親近する時のみ解く可し。 行軍に課を起こすに、若し「伏吟」の時に遇上せば——三傳と四課とが重疊して動かず——兵象は伏して發せず、自然軍隊は前進に宜しからず。また預め途中に陰謀奇變あるを憂慮すべし。課を審する人は能くこの機微を識得し、ただ吉神を看て課體を忽略すべからず。 行軍に課を起こすに、最も「反吟」の凶を忌む——三傳と四課とが彼此相衝して、事情來回顛倒す。若し喜神に遇上せば、還って解退し化開し得べし。若し惡神に逢えば、立刻敗亡して禍患衝來し、我軍の中に必ず反覆動蕩を生ぜん。
熒惑煞,只是丙丁神。加在金方兵已退,亦無征戰不傷人,發動愈重迍京本作「日與喜神親」。 看課內,太白是庚辛。若在東方奸賊至,天罡加孟急京本作「疾」如神,警備要專勤。 課中聖,惟是戰雄並。四季孟神雄將位與戰對沖是也,若居喜將得相生,旺相更為榮。
「熒惑」の煞は、すなわち丙丁の火神なり。それが金方に加臨すれば、敵兵すでに退くを主り、また征戰あらず人を傷るに至らず。但しそれが一旦發動し起これば、困厄は更に深重なり。 課中の「太白」を看るに、すなわち庚辛の金神なり。それが若し東方に落つれば、奸賊將に至らんとするを主る。更に「天罡」が四孟に加臨すれば、來勢の速きこと神の如く、戒備は必ず専一勤謹なるべし。 課中に最も靈驗なるは、ただ「戰雄」の並び臨あり。舊注に曰く、四季と四孟の神の居る所の雄將の位、「戰」と相對沖するはすなわちこれなり、と。それが若し喜將と同居して相生を得、更に旺相を加えれば、更に榮顯なり。
看課上,與下要相生。上克下兮須損失,逢占惡將京本作「要逢虛將」必須驚,喜京本作「吉」將喜無爭。 何煞重,天狗是其殃。無殺福神相次惡,天雷並者是京本作「也」無妨,三殺可商量京本作「參商」。 勾陳將,玄武共相親。帶煞並加為惡煞,若逢相剋不宜軍京本作「君」,有煞便相侵。
課を看るに、上神と下神とが相生すれば好し。上が下を克すれば將に損失あらん。惡將を占得れば必ず驚を受け、喜將に遇上せば、則ち歡喜して爭鬥なし。 どの種の煞が最重きや。「天狗」の禍殃最も重し。凶殺なくしてただ福神の依次に惡に轉ずるは、還って輕し。「天雷」と並び臨むもなお妨げなし。「三殺」に至っては、則ち別に斟酌商量を要す。 「勾陳」と「玄武」の兩將は互相親近す。若し凶煞を帶びて並び加えば、すなわち惡煞と成る。若しまた相克に逢えば、軍隊に利あらず。ただ煞あるごとに、將に來りて相侵せん。
三刑內,最惡是天罡。或是季兮為日上,沖加四煞必相傷,夜即恐驚忙京本作「亡」。魁罡臨日,主大將死,臨辰,主小將死,日辰俱臨,俱死。 課驚怖,日上細尋推。辰巳太沖加日上,若逢蛇雀見凶危,複手也如之。大吉加日,宜急去,不可住,辰上見太沖,夜必有風雨,若神后太乙加日辰,夜有賊盜。旺相必見,無氣則不見。 課驚怖,辰巳卯三辰。無殺相並天馬並,用之發課不宜人,虛殺總相親。
三刑の中、最も凶惡なるは「天罡」なり。若しそれが四季の支に落ちて日に臨み、再び四煞を衝加せば、必ず互相傷害し、夜裏更に恐怕驚亂奔忙せん。舊注に曰く、魁罡が日干に臨めば大將死するを主り、日辰に臨めば小將死するを主る。日と辰と皆臨到せば、則ち大小將俱に死す、と。 課中に驚怖の事を主るは、日の上に細細に推尋すべし。辰・巳と「太衝」とが日に加え、若しまた「螣蛇」「朱雀」に逢えば、すなわち凶危を見、手を覆して課を翻すも亦た同じ。舊注に曰く、「大吉」が日に加えば、迅速に離開するに宜しく、停留すべからず。辰上に「太衝」を見れば、夜裏必ず風雨あり。若し「神後」「太乙」が日辰上に加えば、夜裏に賊盜あり。これらの神は旺相の時に必ず應驗し、氣なければ則ち應ぜず、と。 課中に驚怖を主るは、辰・巳・卯のこの三箇の地支を看るべし。若し凶殺の相併なくしてただ「天馬」と並び臨めば、則ちこの一課を以て發動するは人に對して利ならず、各種の虛煞皆圍攏して來らん。
移伏起,陽日在中傳。陰則未傳君記取,覺知如此見由緣,照處是推源。 欲捕捉,玄武定三傳。相剋三傳皆捉得,相生不克是無緣,好記不虛言。 三傳克,剋日易前擒。抉京本作「決」出疾行方始得,奸人移伏恐軍侵,離日卻難尋。
推移伏藏の事は何處より起こる。陽日は中傳を看、陰日は則ち末傳を看、主上は記住すべし。この點を明白にすれば、事情の由來を看出し得、この處に照らして根源を推尋し得べし。 盜賊逃犯を捕捉せんと欲すれば、「玄武」を以て三傳を定む。三傳相克すれば、皆捉るを得。若し相生して相克せざれば、すなわち捉獲の緣なし。よく記住せよ、これは空話に非ず。 三傳相克し、しかも日干に克到すれば、前面に於て擒獲し易し。必ず果決に迅速に出動して初めて手に得べし。奸人は轉移藏匿し、恐怕軍隊を侵擾せん。一旦日の範圍を離開せば、尋獲し難し。
傳課中京本作「內」,蛇雀與勾陳。蛇主虛驚雀主火,亦兼音信又公文,仔細好推論。 傳白虎,相剋戰傷人。無氣不傷途死損,天空依舊京本作「積」是空陳,旺處是窮貧。 占行路,逐日定占之。有氣青龍並六合,錢財倉庫定無疑,多獲彩縑持。
傳課の中の「螣蛇」「朱雀」と「勾陳」は、螣蛇は虛驚を主り、朱雀は火災を主り、も兼ねて音信と公文の事を主る。仔細によく推論すべし。 三傳中に「白虎」を見るに、若し相克せば、交戰して人を傷るを主る。若し白虎に氣なければ、人を傷らず、ただ途中に死損あるを主る。「天空」は舊の如く空虛陳設の象にして、たとえ旺處に落つるも窮困貧乏を主る。 行路の事を占するに、日を逐いて推占すべし。若し「青龍」に氣ありてかつ「六合」と同じく臨めば、則ち錢財倉庫の利は必ず疑いなく、還って彩繒細絹の一類の財物を多獲し得べし。
將一二,兼持京本作「赤」忌勾陳。若見後三並五六,因為發卦不宜軍,進步必遭迍。 將軍吏,支干審占之。大吉小吉支乾上,天罡加孟以同推,不戰兩無疑。 後五六,即是我軍傷。六帥有人虛詐說,日辰不克也無妨,剋日不宜良。
將神が第一・第二位に在り、同時にまた「勾陳」を忌む。若し更に後三位と第五・第六位とを見て並び臨めば、則ちこうして出る課卦は軍隊に利あらず、前進すれば必ず困厄に遭遇せん。 將軍と軍吏の事を占するに、日の干支を審察すべし。若し「大吉」の丑と「小吉」の未とが干支上に落ち、「天罡」また四孟に加臨すれば、同一の法に照らして推斷し、兩邊皆交戰せず、この一點疑いなし。 後五位・後六位は、則ち我軍の傷を受くるを主る。六位の將帥の中に人ありて虛言詐説す。若し日辰來り相克せざれば、倒って妨げなし。若し日干に克到せば、吉利ならず。
醫方第二十九・十六首
眾軍聚,駐札已經時。多有相蒸人辛本、川本作「多」氣鬱,使軍疫瘴見災危,一一與君知。 如瘴氣,鶻骨火燒將。便去上風焚此物,眾人聞此滅災殃,從此得安康。 轉筋腳,急去使生薑。新水一鍾煎五合,飲之即去總無妨,主將記心腸。
大軍聚集し、駐紮すでに時日些かあり、人多く氣聚まり彼此熏蒸し、鬱結して散らざれば、軍中に疫癘瘴氣を生じて災危に遭わしめん。以下逐條に軍中の常用の應急方劑を列出し、一々主上に講じて知らしめ、營中に預め備辦せしめん。 如果瘴氣に遇上せば、鶻骨を取りて火を以て燒くべし。上風口に到りてこの物を焚燒し、衆人をして皆この煙氣を聞かしめば、災殃便能に消除し、これより安康を得べし。 脚部が筋を轉じ抽搐すれば、急いで生薑を用う。新汲の水一鍾を取り、五合に煎じ、喝下すれば症狀即刻消退して全く妨げなし。主將はこの方子を心に記すべし。
金刃重,速翦馬牛毛。二件一同燒作末,敷之血止自然消,皮血便堅牢。 金傷者,香白芷為靈。細嚼噀敷瘡口上,更將暖酒飲七分辛本作「酒下七分功」,細說與君聽。 金傷者,甚渴急辛本作「即」非常。切忌休將水與飲,飲之必定有乖張,肥膩即無妨。
刀刃の傷重きは、急いで馬毛と牛毛とを剪取し、兩樣一同に燒いて灰末と成し、傷口に敷けば便能に血を止め、腫痛自然消退し、皮肉と血脈と便ち牢固なり。 金刃の傷に、香白芷を用いるが最も靈驗なり。細細に嚼碎したる後に瘡口上に噴敷し、更に七分の暖酒を以て送服す。この方子は細細に主上に講じ聽かす。 金刃に傷つきたる人、口渴急迫の異常なり。この時切に水を與えて飲ましむるを忌み、飲まば必ず亂子を出さん。些か肥膩の物を與うるは倒って妨げなし。
金傷處,傷腦及天蒼辛本作「倉」。臂中脈跳並心內,鳩尾五臟小腹胱。醫者不能當。 金傷者,腦髓出非常。頸咽喉中聲沸者,兩目直視痛難當,血似水流辛本作「泉」塘。似此,皆不治而難醫也。 金瘡法,閒時備急方。五月五日平明節,採其諸草搗成漿,石灰共作湯。
金刃の傷つきたる部位、若し傷が腦部と「天倉」穴に在り、あるいは臂中の動脈跳動の處および心臟の內に傷あり、あるいは鳩尾・五臟と小腹膀胱に傷あれば、これらの地方は醫者皆力及ばず。 金刃に傷つきたる人、若し腦髓流出異常にして、頸咽喉中に沸に沸響の聲を發し、兩眼直視して疼痛忍び難く、血は池塘泉水の如く涌流す。舊注に曰く、このようなのは皆不治の症に屬し、醫救し難し、と。 金瘡を醫治する辦法は、平時に於て應急の藥を備えるを要す。五月初五端午の日天剛に明るくなる時に、各種の藥草を采集して漿に搗り、更に石灰と一同に調して藥湯と成して存えて備用とす。
遭毒箭,更兼馬汗方。大頭(上亡下蟲蟲)蟲端午取,去翅陰乾為末霜,挑破藥敷瘡。次用醋打麵糊紙壓瘡口上,即追出毒氣也。 軍或患,發背及癰疽。人屎糞盤下潤土,碾細篩羅貼敷之,豬膽共調施。 人霍亂,吐瀉有方高。生薑二辛本作「三」兩須炮過,芭蕉一兩去皮熬,五兩大黃燒。大黃炒過為末,蜜為丸,如梧桐子大,每服三丸,以利為度;如不利,以米粥投藥。
毒箭に中り、同時に馬汗の瘡に入るを兼治する方子。端午の日に大頭の虻蟲を捕取し、翅膀を去り陰乾し、霜の如き細末に研成す。瘡口を挑破して、更に藥をその上に敷く。舊注に曰く、随いて醋を以て面糊を調して紙の上に塗りて瘡口を壓えば、便能に毒氣を拔出す、と。 軍中若し人ありて發背と癰疽とを患えば、糞盤の下面の濕潤の泥土を取り、碾細し過篩し、患處に貼敷し、更に猪膽汁を以て調和して施用す。 人が霍亂を患え上吐下瀉するに、高明の方子あり。生薑二兩は炮製したるを須とし、芭蕉一兩は皮を去り熬煮し、大黃五兩は燒過す。舊注に曰く、大黃は炒過して末に研し、蜜を以て梧桐子大の丸藥を作り、每に三丸を服し、通利を以て度とす。若し通利せざれば、米粥を以て送服す、と。
急喉閉,青艾汁須靈。滴下自消血破出,逡巡不救損於人,切記在心勤。 冬月內,無葉艾枝枯。草內急尋蛇床子,燒煙入口自消除,速救免災虞。 軍人眾,涉水冒霜多。手腳面皮皆裂拆,麥葉濃煮汁相過,熱洗即安和。 山瘴氣,嵐谷用恆山。獨頭大蒜烏梅肉,速將酒煮便能痊,謹記此良言。恆山二兩,獨頭蒜一兩,烏梅二十枚,咬咀,用酒二盞,煎至一大盞,分為二服。初一服未發時吃,次一服已發時吃。
急性の喉閉に、青艾汁を用いるが最も靈驗なり。滴下すれば自ずから消解し、瘀血破出して氣道通暢す。若し拖延して救わざれば、將に人の性命を害せん。務めて心に牢記し勤く照料すべし。 冬月の裏艾草葉なく枝幹枯萎する時は、急いで草叢の中に蛇牀子を尋覓し、煙を燒き出して口中に引入せば、喉閉自然消除す。迅速に施救して初めて災患を釀成するを免る。 軍中人多く、常に水を渉り霜を冒す。手脚と面部の皮膚皆開裂皴破す。麥葉を濃く煮て汁を濾取し、熱に乘じて患處を清洗せば、安好を得べし。 山中の瘴氣・嵐谷の毒は、恒山すなわち常山を以て治し、獨頭大蒜と烏梅肉とを配し、急いで酒を以て煮て服下せば痊愈し得。謹んでこの良言を記すべし。舊注に曰く、恒山二兩・獨頭蒜一兩・烏梅二十枚を一併に㕮咀して切碎し、酒兩盞を以て一大盞に煎じ、兩次に分かちて服す。第一服は病未だ發作せざるに喫し、第二服はすでに發作するに喫す、と。
馬藥方第三十・四首
常灌馬,黃柏與黃連。升麻大黃山梔子,胡鹽青黛鬱金仙,等分勿令偏。 相馬法,要試歲年何。鼻上金字十八歲,四字八歲不年多,八字四年過。
平常に馬に藥を灌るに、黃柏と黃連とを用い、更に升麻・大黃・山梔子・胡鹽・青黛・郁金を加え、各藥の分量は均等にして、偏多偏少あることなかれ。 馬を相する法は、その年歲を驗すべし。馬鼻上に「金」の字紋を現ずるは、十八歲なり。「四」の字紋を現ずるは、八歲にして年歲なお大ならず。「八」の字紋を現ずるは、四年餘りなり。
鼻上赤,二十歲無零。馬鼻若青三十歲,公字雖辛本作「須」當念五乘,此象最辛本作「甚」分明。 馬瘟病,急取獺之肝。肚內將來去屎洗,煮汁啖灌便平安,牢記在心間。
馬鼻上に赤色を發するは、整二十歲にして零頭を帶びず。馬鼻若し青色を發すれば、それは三十歲なり。「公」の字紋を現ずるは、當に二十五歲と作して計算すべし。これらの征象は最も分明なり。 馬が瘟病を得れば、急いで水獺の肝を取り、肚腸を連ねて取來し、糞穢を去り洗淨し、汁に煮成して馬に喂灌せば、平安を得べし。牢牢に心間に記すべし。
