仏説無量寿経 巻上
曹魏の時、天竺の三藏康僧鎧が訳した。
仏家典籍
短いものは心経・金剛経・四十二章経・壇経から読み始められる。浄土は阿弥陀経・無量寿経・観経を見る。大乗の叙事と禅を見るなら、法華・維摩・楞厳・円覚・地蔵へ進む。
曹魏天竺三藏康僧鎧譯
曹魏の時、天竺の三藏康僧鎧が訳した。
我聞如是:
わたしはこのように仏の説かれるのを聞いた。
一時佛住王舍城耆闍崛山中,與大比丘眾萬二千人俱,一切大聖神通已達,其名曰:尊者了本際、尊者正願、尊者正語、尊者大號、尊者仁賢、尊者離垢、尊者名聞、尊者善實、尊者具足、尊者牛王、尊者優樓頻䗍迦葉、尊者伽耶迦葉、尊者那提迦葉、尊者摩訶迦葉、尊者舍利弗、尊者大目揵連、尊者劫賓那、尊者大住、尊者大淨志、尊者摩訶周那、尊者滿願子、尊者離障閡、尊者流灌、尊者堅伏、尊者面王、尊者果乘、尊者仁性、尊者喜樂、尊者善來、尊者羅雲、尊者阿難,皆如斯等上首者也。
ある時、仏は王舎城の耆闍崛山(ぎしゅくつせん、霊鷲山)の中にお住まいで、一万二千人の大比丘(出家の男衆)とともにおられた。彼らは皆大聖で、神通はすでに通達しており、その名号は:尊者了本際、尊者正願、尊者正語、尊者大号、尊者仁賢、尊者離垢、尊者名聞、尊者善実、尊者具足、尊者牛王、尊者優楼頻螺迦葉、尊者伽耶迦葉、尊者那提迦葉、尊者摩訶迦葉、尊者舎利弗、尊者大目犍連、尊者劫賓那、尊者大住、尊者大浄志、尊者摩訶周那、尊者満願子、尊者離障阂、尊者流灌、尊者堅伏、尊者面王、尊者果乗、尊者仁性、尊者喜楽、尊者善来、尊者羅睺羅(原文は羅云)、尊者阿難——皆このような上首たちであった。
又與大乘眾菩薩俱,普賢菩薩、妙德菩薩、慈氏菩薩等,此賢劫中一切菩薩。
また大乗の衆菩薩(菩提薩埵の略、覚りを求めまた衆生を度する人)とともにおり、普賢菩薩・妙徳菩薩・慈氏菩薩など、この賢劫の中の一切の菩薩であった。
又賢護等十六正士:善思議菩薩、信慧菩薩、空無菩薩、神通華菩薩、光英菩薩、慧上菩薩、智幢菩薩、寂根菩薩、願慧菩薩、香象菩薩、寶英菩薩、中住菩薩、制行菩薩、解脫菩薩,皆遵普賢大士之德,具諸菩薩無量行願,安住一切功德之法,遊步十方,行權方便,入佛法藏,究竟彼岸,於無量世界現成等覺。
また賢護など十六の正士がいた:善思議菩薩・信慧菩薩・空无菩薩・神通華菩薩・光英菩薩・慧上菩薩・智幢菩薩・寂根菩薩・願慧菩薩・香象菩薩・宝英菩薩・中住菩薩・制行菩薩・解脱菩薩。皆普賢大士の徳行を遵行し、諸菩薩の無量の行願を具足し、一切功徳の法の中に安住し、十方に游歩し、権巧方便を施行し、仏法の蔵に入り、究竟して彼岸に到達し、無量の世界において等正覚を成ずることを示現した。
處兜率天弘宣正法,捨彼天宮降神母胎,從右脇生,現行七步。光明顯曜,普照十方無量佛土,六種振動,舉聲自稱:「吾當於世為無上尊,釋梵奉侍,天、人歸仰。」示現算計、文藝、射御,博綜道術,貫練群籍,遊於後園講武試藝。現處宮中色味之間,見老、病、死,悟世非常,棄國財位,入山學道,服乘、白馬、寶冠、瓔珞,遣之令還。捨珍妙衣而著法服,剃除鬚髮,端坐樹下。勤苦六年,行如所應。現五濁剎隨順群生,示有塵垢沐浴金流。天按樹枝得攀出池,靈禽翼從往詣道場,吉祥感徵表章功祚。哀受施草,敷佛樹下,加趺而坐,奮大光明使魔知之。魔率官屬而來逼試,制以智力皆令降伏,得微妙法成最正覺。釋梵祈勸請轉法輪,以佛遊步、佛吼而吼,扣法鼓、吹法螺、執法劍、建法幢、震法雷、曜法電、澍法雨、演法施,常以法音覺諸世間,光明普照無量佛土。一切世界六種震動,總攝魔界、動魔宮殿,眾魔懾怖莫不歸伏。摑裂邪網,消滅諸見,散諸塵勞,壞諸欲塹。嚴護法城,開闡法門;洗濯垢汙,顯明清白;光融佛法,宣流正化。入國分衛獲諸豐饍,貯功德、示福田、欲宣法、現欣笑,以諸法藥救療三苦。顯現道意無量功德,授菩薩記成等正覺,示現滅度拯濟無極。消除諸漏,殖眾德本,具足功德微妙難量。遊諸佛國,普現道教,其所修行清淨無穢。
彼らは兜率天に住して正法を弘宣し、その天宮を舎離して母胎に降神し、右脇より出生し、七歩を歩むことを示現した。光明は顕耀して十方の無量の仏土を普く照らし、大地は六種に震動し、口を開いて自ら称した——「わたしは世に無上の尊とならん。帝釈・梵天が奉事し、天・人が帰仰する。」算術・文芸・射御を示現し、道術に博通し、群籍に貫通し、後園に至り武を講じ芸を試した。宮中の色味の間に住することを示現し、老・病・死を見て世間の無常を覚り、国土・财位を抛棄して入山して道を学び、乗騎・白馬・宝冠・瓔珞を遣って帰らせた。珍妙の衣服を捨てて法服を著け、鬚髪を剃除して樹下に端坐した。六年勤苦し、行ずることおのれが当然のごとし。五濁の世界において群生に随順し、塵垢あるを示現し、金流の中に沐浴した。天人が樹枝を按えて彼を攀じて池より出でしめ、霊禽が翼を従えて道場に往き、吉祥の兆が功祚を表彰した。哀愍して施された草を受け、仏樹の下に敷き、結跏趺坐して大光明を放って魔に知らしめた。魔は官属を率いて来たり逼迫試探するも、智力をもって制し、皆降伏せしめ、微妙法を得て最正覚を成就した。帝釈・梵天が祈請して法輪を転ぜしめ、仏の游歩をもってし、仏吼して吼え、法鼓を撾ち、法螺を吹き、法剣を執り、法幢を建て、法雷を震い、法電を曜し、法雨を降らし、法施を演じ、つねに法音をもって諸の世間を覚醒せしめ、光明は普く無量の仏土を照らした。一切世界の大地は六種に震動し、魔界を総摂し、魔の宮殿を震動し、衆魔は慴怖して帰伏せざるなし。邪網を撕裂し、諸見を消滅し、諸の塵労を散去せしめ、諸欲の壕塹を毀壊した。法城を厳護し、法門を開闡し、垢汚を洗濯して清白を顕明にし、仏法に光融して正化を宣流した。城邑に入りて乞食し、豊かな膳食を獲得し、功徳を積貯し、福田を示現し、まさに法を宣べんとして欣笑を現じ、諸法の薬をもって三苦を救療した。道意の無量功徳を顕現し、菩薩のために授記して等正覚を成就せしめ、滅度を示現して拯済すること極りなし。諸漏を消除し、衆徳の本を種植し、功徳具足して微妙にして量り難し。諸仏の国土に游歴し、仏道の教化を普く示現し、彼らの修行する所は清浄にして汚穢なし。
譬如幻師現眾異像,為男、為女無所不變,本學明瞭在意所為。此諸菩薩亦復如是,學一切法貫綜縷練,所住安諦靡不感化,無數佛土皆悉普現,未曾慢恣、愍傷眾生。如是之法一切具足,菩薩經典究暢要妙,名稱普至導御十方,無量諸佛鹹共護念。佛所住者皆已得住、大聖所立而皆已立,如來道化各能宣佈,為諸菩薩而作大師。以甚深禪慧開導眾人,通諸法性,達眾生相,明瞭諸國,供養諸佛。化現其身猶如電光,善學無畏曉了幻法。壞裂魔網,解諸纏縛。超越聲聞、緣覺之地,得空、無相、無願三昧。善立方便,顯示三乘。於此中下而現滅度,亦無所作、亦無所有,不起、不滅得平等法。具足成就無量總持百千三昧,諸根智慧廣普寂定,深入菩薩法藏,得佛華嚴三昧。宣揚演說一切經典,住深定門,悉覩現在無量諸佛,一念之頃無不周遍。濟諸劇難諸閑不閑,分別顯示真實之際,得諸如來辯才之智。入眾言音,開化一切,超過世間諸所有法。心常諦住度世之道,於一切萬物隨意自在。為眾生類作不請之友,荷負群生為之重任。受持如來甚深法藏,護佛種性常使不絕。興大悲、愍眾生,演慈辯、授法眼、杜三趣、開善門,以不請之法施諸黎庶,猶如孝子愛敬父母。於諸眾生視之若己,一切善本皆度彼岸,悉獲諸佛無量功德,智慧聖明不可思議。
譬えば幻術師が種々の異なる形像を現ずるがごとく、男となり女となり変えられぬものなく、本来学びたることすでに明了にして、心意の為すがままである。これらの菩薩もまたこのごとく、一切法を学び、貫通熟練し、住するところ安諦にして、感化せられざるなく、无数の仏土に皆普く示現し、いまだかつて驕慢放逸せず、衆生を憐愍す。このような法一切具足し、菩薩の経典は要妙を究暢し、名称は普く至り十方を導御し、無量の諸仏は共に護念す。仏の安住する所に彼らはすでに住し、大聖の建立する所に彼らはすでに建立し、如来の道化はおのおの皆宣布し、諸菩薩のために大師となる。甚深の禅慧をもって衆人を導き開き、諸法性に通達し、衆生相に通達し、諸国を明了にし、諸仏を供養す。変化してその身を現ずること電光のごとく、善く無畏を学び、幻法を暁了す。魔網を撕裂し、諸の纏縛を解開す。声聞・縁覚の地を超越し、空・無相・無願の三昧(心を専注して散ぜざる定境)を得る。善く方便を建立し、三乗を顕示す。この中下の中において滅度を示現するも、また作す所なく・有する所なく、起せず・滅せず、平等法を得る。無量の総持・百千の三昧を具足成就し、諸根・智慧は広博にして寂定し、菩薩の法蔵に深入りし、仏華厳三昧を得る。一切経典を宣揚演説し、深定の門に住して、皆現在の無量の諸仏を見ることを得、一念の間に周遍せざるなし。諸種の劇難・閑と不閑とを救済し、分別して真実の辺際を顕示し、諸如来の弁才の智を得る。種々の音声に入り、一切を開化して世間の有する法を超過す。心はつねに真実に度世の道に安住し、一切万物に随意自在である。衆生の類のために請われずして来たる朋友となり、群生を荷負しておのが重任とす。如来の甚深法蔵を受持し、仏の種性を護持してつねに断絶せしめず。大悲を興起し、衆生を憐愍し、慈弁を演説し、法眼を授与し、三悪趣を杜塞し、善門を打開し、かつて請われざる法を黎庶に施すこと、孝子の父母を愛敬するがごとし。諸の衆生に対して見ることおのれのごとく、一切善本を皆彼岸に度し、皆諸仏の無量功徳を獲得し、智慧聖明にして不可思議なり。
如是菩薩無量大士不可稱計,一時來會。
このような菩薩・無量の大士は称計すべくもなく、同一時に来たり集会した。
爾時,世尊諸根悅豫,姿色清淨,光顏巍巍。
その時、世尊の諸根は愉悦し、姿色は清浄にして、光顔は巍巍たり。
尊者阿難承佛聖旨,即從座起,偏袒右肩,長跪合掌而白佛言:「今日世尊諸根悅豫,姿色清淨,光顏巍巍,如明鏡淨影暢表裡,威容顯耀超絕無量,未曾瞻覩殊妙如今。唯然,大聖!我心念言:『今日世尊住奇特法、今日世雄住佛所住、今日世眼住導師行、今日世英住最勝道、今日天尊行如來德。去來現在佛佛相念,得無今佛念諸佛耶?何故威神光光乃爾?』」
尊者阿難は仏の聖旨を禀承し、即座に座位より起ち、偏袒右肩し、長跪合掌して仏に言った。「今日、世尊の諸根は愉悦し、姿色は清浄にして、光顔は巍巍たること、明鏡の潔く影が表裏に暢るがごとく、威容は顕耀して超絶無量であり、いまだかつて今日のごとき殊妙を瞻見したことはありません。そうです、大聖よ!わたしは心に思います——『今日世尊は奇特法に住し、今日世雄は仏の住する所に住し、今日世眼は導師の行に住し、今日世英は最勝の道に住し、今日天尊は如来の徳を実行しておられる。過去・未来・現在の仏と仏とは互いに憶念しあう。今日仏が諸仏を憶念しておられるのではないか。なにゆえに威神の光がこのように光るのか。』」
於是世尊告阿難曰:「云何,阿難!諸天教汝來問佛耶?自以慧見問威顏乎?」
ここに世尊は阿難に告げて言った。「なんぞ、阿難!諸天が汝に教えて仏に問わしめたのか。それとも汝が自ら慧見をもってこの威顔を問うのか。」
阿難白佛:「無有諸天來教我者,自以所見問斯義耳。」
阿難は仏に答えた。「諸天がわたしに教えたのではありません。わたし自ら見る所をもってこの義を問うのです。」
佛言:「善哉,阿難!所問甚快。發深智慧真妙辯才,愍念眾生問斯慧義。如來以無盡大悲矜哀三界,所以出興於世,光闡道教,普令群萌獲真法利。無量億劫難值難見,猶靈瑞華時時乃出。今所問者多所饒益,開化一切諸天人民。
仏は言った。「善いかな、阿難!汝の問いは甚だ善い。深い智慧を発し、真実の妙弁才を発し、衆生を憐愍憶念してこの慧義を問う。如来は无尽の大悲をもって三界を矜哀するがゆえに世に出現し、仏道の教化を光闡し、普く群萌に真実の法利を獲得せしめる。無量億劫にも値遇し難く・見難いこと、霊瑞花の時に一度出るがごとし。いま問う所は饒益多く、一切諸天・人民を開化す。
「阿難!當知如來正覺其智難量,多所導御,慧見無礙,無能遏絕。以一喰之力,能住壽命億百千劫無數無量,復過於此。諸根悅豫不以毀損,姿色不變光顏無異。所以者何?如來定慧究暢無極,於一切法而得自在。
「阿難!知るべし——如来の正覚は、その智は計量し難く、導御すること多く、慧見に障碍なく、遏止断絶し得るものなし。一餐の力を憑りて、寿命を億百千劫・无数無量に住せしめ、なおこれを超過す。諸根は愉悦してこのゆえに毀損せず、姿色は変わらず、光顔に異なりなし。なぜか。如来の定慧は究暢して終極なく、一切法の上において自在を得たればなり。
「阿難諦聽,今為汝說。」
「阿難、諦かに聴け。いま汝のために説かん。」
對曰:「唯然,願樂欲聞。」
答えて言った。「そうです、喜んで聴聞せんことを願います。」
佛告阿難:「乃往過去久遠無量不可思議無央數劫,錠光如來興出於世,教化度脫無量眾生,皆令得道乃取滅度。次有如來名曰光遠、次名月光、次名栴檀香、次名善山王、次名須彌天冠、次名須彌等曜、次名月色、次名正念、次名離垢、次名無著、次名龍天、次名夜光、次名安明頂、次名不動地、次名琉璃妙華、次名琉璃金色、次名金藏、次名炎光、次名炎根、次名地種、次名月像、次名日音、次名解脫華、次名莊嚴光明、次名海覺神通、次名水光、次名大香、次名離塵垢、次名捨厭意、次名寶炎、次名妙頂、次名勇立、次名功德持慧、次名蔽日月光、次名日月琉璃光、次名無上琉璃光、次名最上首、次名菩提華、次名月明、次名日光、次名華色王、次名水月光、次名除痴冥、次名度蓋行、次名淨信、次名善宿、次名威神、次名法慧、次名鸞音、次名師子音、次名龍音、次名處世,如此諸佛皆悉已過。
仏は阿難に告げた。「往昔、過去久遠無量不可思議無央数劫に、錠光如来が世に出現し、教化して無量の衆生を度脱し、皆道を得せしめてから滅度を取った。次に光遠という如来あり、次に月光という名あり、次に栴檀香という名あり、次に善山王という名あり、次に須弥天冠という名あり、次に須弥等曜という名あり、次に月色という名あり、次に正念という名あり、次に離垢という名あり、次に無著という名あり、次に竜天という名あり、次に夜光という名あり、次に安明頂という名あり、次に不動地という名あり、次に瑠璃妙華という名あり、次に瑠璃金色という名あり、次に金蔵という名あり、次に炎光という名あり、次に炎根という名あり、次に地種という名あり、次に月像という名あり、次に日音という名あり、次に解脱華という名あり、次に荘厳光明という名あり、次に海覚神通という名あり、次に水光という名あり、次に大香という名あり、次に離塵垢という名あり、次に捨厭意という名あり、次に宝炎という名あり、次に妙頂という名あり、次に勇立という名あり、次に功徳持慧という名あり、次に蔽日月光という名あり、次に日月瑠璃光という名あり、次に無上瑠璃光という名あり、次に最上首という名あり、次に菩提華という名あり、次に月明という名あり、次に日光という名あり、次に華色王という名あり、次に水月光という名あり、次に除癡冥という名あり、次に度蓋行という名あり、次に浄信という名あり、次に善宿という名あり、次に威神という名あり、次に法慧という名あり、次に鸞音という名あり、次に師子音という名あり、次に竜音という名あり、次に処世という名あり。このような諸仏は皆すでに過去せり。
「爾時,次有佛名世自在王如來、應供、等正覺、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊。時有國王,聞佛說法心懷悅豫,尋發無上正真道意,棄國、捐王,行作沙門,號曰法藏,高才勇哲與世超異。詣世自在王如來所,稽首佛足,右遶三匝,長跪合掌以頌讚曰:
「その時、次に世自在王如来・応供・等正覚・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊という仏あり。当時、一人の国王があって、仏の説法を聞いて心に愉悦し、即座に無上正真の道意を発し、国土を抛棄し王位を捐棄し、出家して沙門となり、号を法蔵と曰い、高才勇哲にして世に超異なり。世自在王如来のところに往き、仏足に稽首し、右に繞ること三匝し、長跪合掌して、頌をもって讃嘆して曰く——
「『光顏巍巍,威神無極,如是炎明,
「『光顔巍巍、威神に終極なし、このごとき焰明は、
無與等者。日月摩尼,珠光炎耀,
これに等しきものあらず。日月摩尼、珠光焰耀も、
皆悉隱蔽,猶如聚墨。如來容顏,
皆隠蔽せられ、聚墨のごとし。如来の容顔は、
超世無倫,正覺大音,響流十方。
世間を超越して倫比なく、正覚の大音は、十方に流布す。
戒聞精進,三昧智慧,威德無侶,
戒・聞・精進、三昧・智慧、威徳に伴侶なく、
殊勝希有。深諦善念,諸佛法海,
殊勝希有なり。深く諦観し善く憶念す、諸仏の法海を、
窮深盡奧,究其崖底。無明、欲、怒,
深奥に窮め尽くし、崖底に追究せり。無明・貪欲・瞋怒は、
世尊永無,人雄師子,神德無量。
世尊に永遠になく、人中の雄師子、神徳無量なり。
功德廣大,智慧深妙,光明威相,
功徳は広大にして、智慧は深妙にして、光明威相は、
震動大千。願我作佛,齊聖法王,
大千を震動す。願わくはわたし仏を作り、聖法王と同等に、
過度生死,靡不解脫。佈施、調意、
生死を超度して、解脱を得ざるあらざらん。布施・心意を調伏し・
戒、忍、精進,如是三昧,智慧為上。
戒・忍・精進、このごとき三昧は、智慧をもって上となす。
吾誓得佛,普行此願,一切恐懼,
わたしは誓い仏を成じ得て、普くこれらの願を行じ、一切の恐懼に、
為作大安。假令有佛,百千億萬,
彼らのために大安を作らん。假使に仏ありて、百千億万の、
無量大聖,數如恆沙,供養一切,
無量の大聖、数は恒河沙のごとく、これらの一切を供養するも、
斯等諸佛,不如求道,堅正不卻。
これらの諸仏、皆道を求むるに如かず、堅固正直にして退却せず。
譬如恆沙,諸佛世界,復不可計,
譬えば恒河沙数の、諸仏世界、更に計算すべからず、
無數剎土,光明悉照,遍此諸國,
无数の刹土に、光明皆照し、これらの諸国に遍くまで。
如是精進,威神難量。令我作佛,
このごとき精進は、威神量り難し。わたしをして仏を作らしめよ、
國土第一,其眾奇妙,道場超絕。
国土は第一、大衆は奇妙、道場は超絶ならん。
國如泥洹,而無等雙,我當愍哀,
国土は泥洹(すなわち涅槃、煩悩息みて再び生死流転せざる境地)のごとく、これと双ぶものなからん、わたしはまさに憐愍哀愍して、
度脫一切。十方來生,心悅清淨,
一切を度脱せん。十方より来たり往生するは、心地愉悦にして清浄、
已到我國,快樂安隱。幸佛信明,
すでにわが国土に到れば、快楽安穏ならん。幸いに仏が誠信の証明を作さんことを得、
是我真證,發願於彼,力精所欲。
これわが真実の証験、そこに発願して、力を尽くし精進してわが求むる所を成さん。
十方世尊,智慧無礙,常令此尊,
十方の世尊、智慧に障碍なく、つねにこれらの尊をして、
知我心行。假令身止,諸苦毒中,
わが心行を知らしめよ。假使身が留まって、諸の苦毒の中にあっても、
我行精進,忍終不悔。』」
わたしは精進を行じ、忍耐してついに悔いず。』」
佛告阿難:「法藏比丘說此頌已而白佛言:『唯然,世尊!我發無上正覺之心,願佛為我廣宣經法,我當修行,攝取佛國清淨莊嚴無量妙土,令我於世速成正覺,拔諸生死勤苦之本。』」
仏は阿難に告げた。「法蔵比丘がこの頌を説き終えて、仏に言った。『そうです、世尊!わたしは無上正覚の心を発しました。願わくは仏がわたしのために広く経法を宣説したまえ。わたしはまさに修行し、仏国の清浄荘厳なる無量妙土を摂取して、わたしをして世に速やかに正覚を成就し、諸の生死勤苦の根本を拔除せしめんことを。』」
佛語阿難:「時世自在王佛告法藏比丘:『如所修行莊嚴佛土,汝自當知。』
仏は阿難に言った。「その時、世自在王仏は法蔵比丘に告げた。『汝の修行して仏土を荘厳する所は、汝みずから知るべきである。』
「比丘白佛:『斯義弘深,非我境界。唯願世尊廣為敷演諸佛如來淨土之行。我聞此已,當如說修行成滿所願。』
「比丘は仏に言った。『この義は甚だ弘深にして、わが境界にあらず。ただ願わくは世尊が広くわたしのために諸仏如来の浄土の行を敷演したまえ。わたしこれらを聞いた後、説くところに照して修行し、願望する所を成満せんことを。』
「爾時,世自在王佛知其高明志願深廣,即為法藏比丘而說經言:『譬如大海,一人斗量,經歷劫數尚可窮底,得其妙寶。人有至心精進,求道不止,會當剋果,何願不得?』
「その時、世自在王仏は彼が高明にして志愿深広なるを知り、即座に法蔵比丘のために経を説いて曰く。『譬えば大海を、一人が斗をもって量れば、劫数を経歴してなお底に窮尽し、其中の妙宝を得べし。人もし至心精進して道を求めて止まざれば、終に果を克せん。いかなる願か得られざらん。』
「於是,世自在王佛即為廣說二百一十億諸佛剎土天人之善惡、國土之粗妙,應其心願悉現與之。
「ここに世自在王仏は即座に彼のために広く二百一十億の諸仏刹土の天人の善悪・国土の麁妙を宣説し、その心願に応じて皆顕現して見せた。
「時彼比丘聞佛所說嚴淨國土,皆悉覩見。超發無上殊勝之願,其心寂靜,志無所著,一切世間無能及者。具足五劫,思惟攝取莊嚴佛國清淨之行。」
「その時、あの比丘は仏の説きたる荘厳清浄の国土を聞いて、皆悉く見ることを得た。超然として無上殊勝の願を発し、その心は寂静にして、志は執着する所なく、一切世間に及ぶものなし。五劫に具足して、荘厳なる仏国清浄の行を摂取することを思惟した。」
阿難白佛:「彼佛國土壽量幾何?」
阿難は仏に言った。「あの仏の国土の寿量はどれほどありますか。」
佛言:「其佛壽命四十二劫。
仏は言った。「あの仏の寿命は四十二劫である。
「時法藏比丘攝取二百一十億諸佛妙土清淨之行。如是修已,詣彼佛所,稽首禮足,遶佛三匝,合掌而住,白言:『世尊!我已攝取莊嚴佛土清淨之行。』
「その時法蔵比丘は二百一十億の諸仏妙土の清浄の行を摂取した。このごとく修め終えて後、あの仏のところに往き、仏足に稽首礼し、仏を繞ること三匝し、合掌して立ち、禀告して曰く。『世尊!わたしはすでに荘厳なる仏土清浄の行を摂取し終えました。』
「佛告比丘:『汝今可說,宜知是時。發起悅可一切大眾。菩薩聞已,修行此法,緣致滿足無量大願。』
「仏は比丘に告げた。『汝いま説くべし。まさに時であると知るべし。発起して一切大衆を喜悅認可せしめよ。菩薩これを聞いた後、この法を修行せば、因縁便ちに無量大願を満足せん。』
「比丘白佛:『唯垂聽察,如我所願,當具說之。
「比丘は仏に言った。『ただ願わくは垂聴審察したまえ。わが発する願のごとく、まさに一一具に説くべし。
「『設我得佛,國有地獄、餓鬼、畜生者,不取正覺。
「『もしわたしが成仏するや、国土の中に地獄・餓鬼・畜生あれば、正覚を成ぜず。
「『設我得佛,國中人天壽終之後復更三惡道者,不取正覺。
「『もしわたしが成仏するや、国土の中の人天が寿終した後また三悪道に入ることがあれば、正覚を成ぜず。
「『設我得佛,國中人天不悉真金色者,不取正覺。
「『もしわたしが成仏するや、国土の中の人天が悉く真金色ならざれば、正覚を成ぜず。
「『設我得佛,國中人天形色不同有好醜者,不取正覺。
「『もしわたしが成仏するや、国土の中の人天の形色が同じからず好醜あらば、正覚を成ぜず。
