Libo

许负相法十六篇

汉 · 许负(旧题;明·黄省曾辑录作序)

今や江湖を遊走する術子たちは、「宅墓」(陰宅陽宅の風水を相する)、「禄命」(生辰八字を推す)、「形相」(人の形貌を察する)の三つの術をもって…

相術典籍

部位別に読むほうが通読より効率的である。相書中の社会的背景の記述にはその時代の刻印が強く残っている点に注意。

許負相法十六篇

序

今之遊夫術子以宅墓,祿命、形相三事,致道吉凶、卑榮。王侯百官之門,日無虛者。聽其言也,則□昭昭,明根曲據,若銖毫無爽矣。而率皆無驗,要之三事,唯形相人各判殊,可以案察推。取神斯理者,當揚目而洞□。

今や江湖を遊走する術子たちは、「宅墓」(陰宅陽宅の風水を相する)、「禄命」(生辰八字を推す)、「形相」(人の形貌を察する)の三つの術をもって、人の吉凶禍福と卑賤榮顯を斷定する。王侯百官の門庭には毎日彼らが出入りし、一日として空く日がない。その言を聴けば、人人が頭頭是道に語り、根拠分明で引證も曲折を極め、まるで一銖一毫の差錯もないかのようである。しかし実際に應驗させると、多くは靈ではない。総じてこの三事のうち、「形相」の一門のみが、人の形體相貌が各々異なり判然と別れるがゆえに、實地の察看によって推求できる。かの神妙な道理を領會せんとする者は、眼を開いて洞察入微すべきである。按:「則」の字の下と「洞」の字の下に、底本各々一字を脱す。今は□をもって標し、敢えて臆補しない。

國朝永樂間,盛稱柳莊、袁生,百無一謬。而其精奧,竟鮮有傳之者。餘家有古刻相法十六篇,乃高陽許負所撰。且云許負者,即漢文帝令相鄧通者也。然通傳不載負名,而相通之訣則著於負篇矣。餘誦其文,雖多後世增色,而古簡要,非漢代莫有也。嘗取一二,私自鏡別,則往往靈中可愕。即雜渾群述,後世無以持其領旨。乃別錄之,倘山澤之英有好之者,則舉以贈也。五獄山人黃省曾撰。

本朝永樂の年間、相術で最も盛名を負ったのは柳莊先生袁珙と袁生(その子袁忠徹)で、相を見て百に一つも失わなかった。しかしその精微奧妙の奧の門は、竟に傳える者が稀であった。我家に古刻本《相法》十六篇の一部を藏し、高陽の人許負の撰と題す。書中にまたこの許負が、漢文帝の命を受けて寵臣鄧通の相を見たその人であると説く。しかし《史記》の鄧通の傳には許負の名を記さず、鄧通の相を見た一套の口訣は、明らかに許負と題するこの數篇の中に記されている。私がその文字を誦讀するに、後世の增飾潤色した處は少なくないが、あの古樸簡要の氣味は、漢代の人でなければ寫し出せない。かつてその中の一二條を摘取し、私く人をもって対照験證したところ、往々にして應驗して人を驚かせた。ただ惜しむべきは、それが衆家の雜説の中に混雜し、後人がその綱領要旨を摑む由なきことである。ここにこれを單獨に抄錄して出す。もし山林川澤の間に此の道を好む英才あれば、これをもって相贈せん。以上は五嶽山人黃省曾の作れる序である(「五嶽」は「五岳」に同じく、黃省曾は自ら五岳山人と號し、明代の呉縣の人)。

相目篇第一

目秀而長,必近君王。龍睛鳳目,必食重祿。目如臥弓,必是奸雄。鬥雞蜂目,惡死孤獨。目光如電,貴不可言。目尾朝天,福祿綿綿。女目四白,外夫入宅。目色通黃,慈憫忠良。黑白分明,必主朝京。若是女子,的主廉貞。目白長細,貧寒無計。

眼睛が清秀で眼形が狭長の人は、後日かならず君王に親近しうる。眼珠は龍の睛のごとく、眼形は鳳の目のごとく――眼が長く眼尾が微かに挑げ上り、黑睛の神が足る――この種の人はかならず厚禄を享ける。眼形が一張の横臥した弓のようで、弓背が上を向き眼皮が彎りて下に壓する者は、多くは心機の深い奸雄である。眼球が圓凸して怒張し鬥雞のごとき者、あるいは眼が小さく突き出て眼白の多い蜂目のごとき者は、凶死と孤獨無靠を主る。目光が炯炯として閃電のごとき者は、尊貴なること形容しがたい。眼尾が上へ斜挑して天を朝ぐ者は、福氣と俸禄が綿綿として絕えない。婦人の「四白眼」――黑睛が偏小で上下左右四面とも眼白を露わす――を生じたるは、外遇ありて外男を家門に引き入るるを主る。眼珠の色澤が通體黄を帯びる者は、慈悲憐憫にして忠厚善良なり。眼中の黑白の界限が分明なる者は、かならず入朝して官となる。もし女子がかかる眼を生じば、正に「廉貞」を主り、即ち操守貞正にして清白なり。眼白多く眼形細長の者は、一生貧寒にして施すに計なし。

目中赤砂起,法死須妨已。女人目下赤色,必憂產厄。目下一字平,所作皆分明。目下亂理紋,室家多子孫。目下有臥蠶,足女還少男。目下光漫亂,姦淫須少喚。右目小,女畏夫。左目小,男畏婦。隨其男女,小心不虛。目長一寸,五分刀筆,五分凌雲。

眼白の中に紅絲赤點を泛ばし、一層の赤砂を撒いたごとき者は、相法に凶死を主り、災禍の己が身に落つるを防ぐべし。婦人の下眼瞼に赤色を現ずる者は、かならず生産の凶險を憂うべし。下眼瞼の處に一條の橫紋が平直にして「一」の字のごとき者は、事を办するに條理分明にして乾淨利落なり。下眼瞼の處の紋路が雜亂交錯する者は、家中に子孫衆多なり。下眼瞼に一條の臥蠶肉を隆起する者は、女兒多く儿子少なし。下眼瞼が光亮浮泛し氣色散漫にして聚まらざる者は、奸淫の事ありて名聲佳ならず、招呼往來を肯ずる人少なし。右眼が左眼より小なる者は、女子ならば丈夫を怕れ、左眼が右眼より小なる者は、男子ならば妻子を怕る。相する所の男か女かに随いて各々之を斷ずべく、凡そ此の相ある人は配偶の前にて小心謹慎、決して虛言にあらず。眼が長くして一寸に滿つる者は、力の半ばを「刀筆」即ち文書吏事に用い、力の半ばを「凌雲」即ち青雲に直上し飛黃騰達すべしに用いうる。

相鼻篇第二

鼻準洪直,富貴無極。鼻狹高危,兄弟微羸。鼻樑不直,欺詐未息。鼻毛出外,誹謗凶害。鼻上黑子,疾在陰裡。鼻有縱理,主養他子。鼻上橫理,憂危不已。若是胡人,富貴如市。鼻柱不平,委的他姓。鼻柱薄,立志弱。

鼻頭(相書は「準頭」と稱す)が豐隆にして鼻梁が端直なる人は、富貴窮盡なし。鼻が狹窄にして卻って高聳險峻、兩旁に肉なき者は、兄弟稀少にして體弱多病なり。鼻梁が歪斜にして直ならざる者は、一輩子欺瞞詐騙の心斷えず。鼻毛が鼻孔の外に長く來る者は、人の誹謗を招きやすく、凶險傷害に遭遇す。鼻梁の上に黑痣を生ずる者は、暗疾を下陰隱祕の處に生ず。鼻上に豎直の紋理ある者は、他人のために儿子を撫養するを主り、即ち繼承承嗣の事あり。鼻上に橫紋ある者は、憂愁危難接續して斷えず。ただし胡人(西域の深目高鼻の族)ならば、かかる橫紋を生ずるはかえって富貴を主り、家門は興旺熱鬧して市のごとし。鼻柱(鼻梁正中の一條)が高低平ならざる者は、その人の來歷實に疑わしく、多くは別姓に随い、即ち本宗の出にあらず。鼻柱が單薄にして肉なき者は、立身の志氣も薄弱なり。

鼻如縮囊,至老吉昌。鼻如獅子,聰明達士。鼻高而昂,仕宦欣昌。鼻上光澤,富貴盈宅。鼻如截筒,富貴興隆。鼻起中央,車馬敗傷。鼻頭短小,意志淺小。鼻相廣長,必多伎倆。鼻直而厚,天子諸侯。鼻如缺破,孤獨□餓。

鼻が一隻の收口の布囊のごとく、鼻頭が圓收し兩旁の蘭臺廷尉が包裹し得る者は、老に至るまで吉利昌盛なり。鼻が獅子鼻のごとく生じ、鼻頭肥大にして鼻翼寬厚の者は、聰明通達の士なり。鼻梁高聳にして鼻頭昂起する者は、官をなすに順遂にして仕途は欣欣として榮に向かう。鼻上の皮色が光潔潤澤なる者は、富貴滿門なり。鼻が一截一截斷れたる竹筒のごとく、鼻梁齊直にして鼻孔外に露われざる者は、富貴興隆なり。鼻梁が獨り中段に一節を隆起する者は、車馬の厄を主り、出行して敗損傷害を受く。鼻頭が短く小なる者は、心志も淺薄狹小なり。鼻相が寬闊にして長き者は、かならず手段技藝多し。鼻梁端直にして肉厚き者は、貴は天子諸侯に至る。鼻が殘缺破損に生じたる者は、一生孤獨にして、且つ飢寒餒餓の厄あり(「孤獨」と「餓」の間に底本一字を脱し、今□をもって標し、敢えて臆補しない)。

相人中篇第三

人中平長,至老吉昌。兼有年壽,更益兒郎。人中短促,子孫不足。人中高厚,壽年長久。人中廣平,養子不成。雖即生產,長聞哭聲。人中廣厚,姦淫未足。人中兩黑,的生可□。人中深長,子孫滿堂。人中漫漫,無子可憐。

「人中」は鼻下唇上の一條の縱溝で、相法は之をもって子嗣と壽元を看る。人中が平整にして長き者は、老に至るまで吉利昌盛なり。若し更に「年上」「壽上」(鼻梁中段の二つの部位)の生じたるが良ければ、子息はいよいよ興旺なり。人中が短促の者は、子孫足らず。人中が高起して豐厚の者は、壽數長久なり。人中が寬平にして溝槽を見出しえざる者は、兒を養い難成し、縱い生れ下すとも、常に哭喪の聲を聞く。人中が寬闊厚實の者は、情欲滿足し難く、多く奸淫の事あり。人中の兩側に黑痣黑斑を生ずる者は、生む所の子いかん、底本の句意完らず(「的生可」の下一字を脱し、今□をもって標し、敢えて臆補しない)。人中が深く長き者は、子孫滿堂なり。人中が平漫模糊にして幾も溝形なき者は、子なくして憐れむべし。

相耳篇第四

耳高於目,合受他祿。(作為人師也。)高於眉一寸,永不踐貧困。耳高輪廓,亦主安樂。耳有刀環,五等高官。耳門垂厚,富貴長久。耳門容筋,家貧易去。耳有毫毛,長壽富貴,兼沒災殃。(毛若目能自見者吉。)耳如獸耳,自安自止。耳門寬大,廈韃譜恪□耳門薄小,命短食小。耳白於面,名滿赤縣。

耳の上緣が眼より高き者は、他人の與うる俸禄を承受すべく、即ち人の舉薦によりて食を得るなり。原注に曰く、かかる人は人の師となるべしと。耳が眉毛より一寸高き者は、一輩子貧困に踏み入らず。耳位高く輪廓分明の者も、一生安樂を主る。耳輪の上に刀環のごとき圓棱を生ずる者は、公・侯・伯・子・男の五等の高官をなしうる。耳門(耳孔前の一片)が低垂して厚實の者は、富貴長久なり。耳門が窄くしてただ一根の筋を容るるのみの者は、家道貧寒にして敗落離散しやすし。耳中に毫毛を生長する者は、長壽にして富貴、且つ災殃なし。原注に曰く、この毫毛は自家の眼睛に見ゆるまで長ずるを要し、乃ち吉とすと。耳形が野獸の耳のごとく聳えて尖薄の者は、その人本分に安んじ自止自足し、進取を求めず。耳門が寬大の――此句の下四字底本訛脱して讀むべからず、「厦韃譜恪」を作り、顯らかに傳刻の誤に係る。今照らし錄して疑を存し、末の一字は□をもって標す。耳門が薄く小なる者は、壽命短く食禄も少なし。耳の顏色が臉面より更に白き者は、名聲「赤縣」に傳遍し、即ち名は天下に滿つ。

相唇篇第五

下唇遇上唇,妨夫的有真。上唇遇下唇,法多虛假人。唇紫色,足衣食。唇常赤,為貴客。上唇厚,命非久。下唇長,主貪食。唇上下相當,語音易善,好集文章。女唇紫,夫早死,兼妨首子。唇赤如丹,不要師看。唇上下不相覆,常懷盜竊,終身不富。唇多紋理,兒多無比。

口を合わする時下唇が反って上唇を包住する婦人は、丈夫を妨害す。この話確かに虛ならず。上唇が下唇を蓋うこと多すぎる者は、相法に多く虛僞不實の人なり。嘴唇が紫色を呈する者は、衣食充足す。嘴唇が常年紅潤の者は、貴客たるべき人なり。上唇が過厚の者は、壽命長からず。下唇が過長の者は、貪喫嗜食を主る。上下兩唇の厚薄長短彼此相稱する者は、言説聲音和順にして悦耳、又文章の搜集撰述を好む。婦人の嘴唇が紫を發する者は、丈夫早死し、還た頭一胎の孩子を妨害す。嘴唇が丹砂のごとく赤紅なる者は、更に相師を請うて看るを須いず、一望にして好相と知るべし。上下唇が合わせ攏まらず彼此遮盖しえざる者は、心に常に偷盜の念を存し、一輩子富裕ならず。嘴唇の上に紋理繁密の者は、兒女多くして比ぶる人なし。

相口篇第六

口如角弓,位至三公。口如含丹,不受□寒。一則主富,一則主官。口如撮聚,供承人後。虛用心情,人賤如狗。口如縮囊,死無糧。縱然有子,必主別房。口如吹火,寒獨坐。口如縮螺,常樂獨。龍唇鳳口,不可為友。好說不真,常懷粗丑。口如赤丹,不入殷蘭。若是女子,亦得夫憐。

嘴形が一張の角弓のごとく、唇線彎曲にして兩端上翹、輪廓分明の者は、官位三公に至るべし。嘴唇紅潤にして一顆の丹丸を含むがごとき者は、飢寒の苦を受けず(「不受」の下底本一字を脱し、今□をもって標す)。かかる口相は一には富を主り、一には貴を主る。嘴巴を撮起して收口のごとく口小唇尖の者は、ただ人の差遣に供え、人の後ろに跟いて事をなすのみで、空しく心思を費盡し、身份は狗のごとく低賤なり。嘴巴が一隻の收口の空囊のごとく唇薄口皺の者は、死に至るまで餘糧なし。縱い儿子ありとも、かならず分居別房して同堂ならず。嘴巴を撮起して吹火のごとき者は、寒苦孤獨にして、ただ獨り枯坐するのみ。嘴巴を縮緊して螺殼の口のごとき者は、常に獨處自樂を愛す。一副の龍唇鳳口を生じて言語浮誇の人とは、之と結交して友と為すことなかれ。この種の人は大話を説くを好みて真實ならず、心に常に粗鄙醜惡の念を懷く。嘴唇が丹砂のごとく赤紅の者は、「殷蘭に入らず」――「殷蘭」の二字底本かくのごとく、舊義未詳、大抵淪落して卑污の地に致らざるを謂うならん。もし女子がかかる口を生じば、亦た丈夫の憐愛を得ん。又按ずるに:「口如縮囊」「口如吹火」「口如縮螺」の三句、底本各々一字を少し、句は四言に足らず。今照らし錄して補わず。

口闊舌薄,必好歌樂。如此之人,永無凶惡。縱理入口,□死不久。口邊紫色,貪財妨害。口開齒出,當失算數。必不久長,少即身故。口中有理,長相對益。豐財足祿,終無妨害。口未語,將唇起,奸邪在心,常懷不足。口如馬口,□害貪丑。口中黑子,貪皆美。

嘴巴が寬闊にして舌頭薄き者は、かならず歌唱娛樂を愛好す。かかる人は一生凶惡の事に遇わず。直紋ありて兩旁より口角に縱り入る者は、飢餒に死するを主り、且つ死期遠からず(「縱理入口」の下底本一字を脱し、今□をもって標し、敢えて臆補しない)。口の四圍に紫色を泛ぶる者は、錢財を貪圖し、因りて妨克傷害を招く。嘴が合わさらず牙齒が外に露わるる者は、事を办するに當に帳目を算錯し計較を失すべし。かかる人は壽數かならず長久ならず、年紀軽くして便ち身故す。口内に紋理ある者は、人と長久に相處して人に益あり。かかる人は財豐禄足にして終身妨害なし。話未だ口に出でざるに、嘴唇先ず自ら掀動する者は、心に奸邪を藏し、常に貪心足らず。嘴巴が馬嘴のごとく生じ唇長齒露の者は、多く損害を招きて性情貪鄙なり(「口如馬口」の下底本もまた一字を脱す)。口内に黑痣を生ずる者は、口福好しを主り、凡そ貪嗜する所の飲食皆その美味を得ん(此句底本「貪皆美」を作り、亦た一字を少しとす)。

相齒篇第七

齒白如玉,自然歌樂。財食自至,不用苦作。齒如斬銀,必是貴人。齒如石榴,富貴他求。齒如龍齒,法生貴子。齒齦竅出,每事漏失。齒縫疏稀,財食無餘。如此之人,與鬼同居。齒數三十六,貴聖有天祿。若三十向上,富貴豪望。足滿三十,衣食自如。齒色黑,多妨克。三十以下,漸多□寒。衣食必少,壽命短促。

牙齒が潔白にして玉のごとき人は、自然に一生歌舞歡樂し、錢財飲食は招かずして自ら來り、辛苦勞作を須いず。牙齒が整齊にして新たに斬り開きたる銀塊のごとく斷面白亮の者は、かならず貴人なり。牙齒の排列が緊密にして石榴子のごとき者は、富貴は外人に向かって求取するを須いず。牙齒が修長挺直にして傳説の龍齒の狀のごとき者は、相法に貴子を生ずるを主る。牙龈萎縮して齒根孔竅外に露わるる者は、每件事を办するに疏漏差失あり。牙縫稀疏にして風を漏らす者は、錢財飲食皆餘餘なし。かかる人は鬼と鄰りて同住するがごとく、凄清にして依る所なし。牙齒三十六顆ある者は、聖人のごとく尊貴にして、上天の賜う所の禄位を享有す。もし三十顆以上ならば、富貴にして豪門の聲望あり。恰好三十顆に滿つる者は、衣食自足自如なり。牙齒の顏色が黑を發する者は、多く六親を妨克する事あり。三十顆に足らざる者は、便ち漸く飢寒の苦多し(「漸多」の下底本一字を脱し、前の數處と同例、今□をもって標す)。かかる人は衣食かならず短缺し、壽命も短促なり。

相舌篇第八

舌小窄方,法主公王。舌上長理,三公可擬。舌小多紋理,安樂常不已。舌至鼻頭,必得封侯。舌長而薄,萬事虛耗。舌大口小,言不了了。舌小口大,言語捷快。舌過粗大,主多□餓。舌小而短,法主貧賤。舌上黑紫,必無終始。舌語未出,其舌先見。好語他事,必自改變。舌上繡文,奴馬成群。財帛千萬,富貴凌雲。舌有支理紋,富貴必超升。

舌頭が小巧にして舌形窄く端方の者は、相法に貴は公王を主る。舌面の上に長條の紋理ある者は、地位三公に比すべし。舌頭小にして紋理多き者は、安樂の日子長久にして斷えず。舌頭伸び出でて鼻頭に舔える者は、かならず封侯の貴を得ん。舌頭長く薄き者は、萬事をなすに虛耗して成ることなし。舌頭大にして口小、舌容れられざる者は、說話含混にして清からず。舌頭小にして口大の者は、言語敏捷爽快なり。舌頭が過分に粗大の者は、多く飢餓の苦を主る(「主多」の下底本一字を脱し、今□をもって標す)。舌頭又小又短の者は、相法に貧賤を主る。舌面の上に黑紫色を現ずる者は、事をなすにかならず始有り終無し。話未だ説き出さざるに舌頭先に伸露する者は、かかる人は他人の閒事を議論するを好み、説きたる話を自らかならず改口す。舌面の上に紋理細密にして刺繡のごとき者は、奴僕車馬群を成し、財帛千萬、富貴直上して雲霄に至る。舌上に分枝狀の紋理ある者は、富貴かならず節々高升す。

相胸篇第九

胸狹面長,不可求望。胸廣而長,主得公王。胸短於面,法主鄙賤。胸上黑紫,為兵萬里。胸獨高起,貧賤不已。胸若覆身,富貴名真。胸不平均,未足為人。胸均平滿,豪播天畔。胸有毫毛,必主富豪。(十毫以下,三毫以上,必主長命。若多毛生者,亦主貧賤。精、長而出,即為第一也。)胸廣而方,長智榮昌。

胸膛狹窄にして臉面偏長の者は、前程指望すべきものなし。胸膛寬闊にして胸廓修長の者は、公王の位を得るを主る。胸膛の長度がかえって臉より短き者は、相法に鄙陋卑賤を主る。胸上の皮色に黑紫を現ずる者は、萬里之外に去りて從軍當兵せん。胸骨が獨り高々と突起して雞胸のごとき者は、貧賤止まず。胸脯厚實にして整個の身軀を覆蓋し得るがごとき者は、富貴の名虛ならず。胸部の左右高低平匀ならざる者は、尚ほ完人と稱するに足らず。胸部均勻平滿の者は、豪邁の名聲天邊に傳播す。胸上に毫毛を生ずる者は、かならず富豪を主る。原注に曰く、毫毛十根以下三根以上の者はかならず長壽、もし毛生じて多すぎればかえって貧賤を主る、毛質精純にして長く挺出する者が即ち最上等なりと。胸膛寬廣にして方正の者は、才智日に增し、一生榮顯昌盛なり。

相腹篇第十

腹小而下,大富長者。腹大垂下,名遍天下。腹如抱兒,萬國名題。腹如雀腹,貧賤無屋。腹有三甲,背有三壬。如此之人,法蓄黃金。腹臍突出,壽命早卒。

肚腹大ならざるも、腹勢低垂にして分量皆下部に在る者は、大富の長者なり。肚腹肥大にして下垂する者は、名聲天下に傳遍す。肚腹圓隆にして懷裏に嬰兒を抱くがごとき者は、名字萬國の上に題し、即ち名揚四海なり。肚腹が瘦癟にして麻雀の腹のごとき者は、貧賤にして房屋すらなし。腹上に「三甲」あり背上に「三壬」あり――相書は腹前の三道の橫褶をもって「三甲」とし、背上の三處の厚起をもって「三壬」とす。皆皮厚肉重にして福氣を藏し得る相なり。かかる相ある人は、相法に黄金を積蓄しえんとす。肚臍が外へ突出する者は、壽命短促にして早々と去世せん。

相手篇第十一

手紋亂挫,合有福祿,永無災害。手有橫理紋,殺害不須論。手有縱橫紋,爵位至三公。黑子掌中,財食無窮。黑子手裡,多婦少兒。掌四方,厚中央。薄兼有深,法益仕宦,財食安樂。掌通四起,容止君子。手有仰羊,行不衣糧。(手中有仰羊者,即難得也。)手有三的約,必使奴僕。(指上紋有三行,各三道者是也。)

手上の紋路が細密交錯して亂挫のごとき者は、當に福あり禄あり一生災害なかるべし。手上に橫紋のみある者は、殺伐傷害の事は更に論ずるを須いず、凶險言わずして自明なり。手上の縱紋橫紋交織して形を成す者は、爵位三公まで為し得べし。掌心に黑痣を生ずる者は、錢財飲食無窮無盡なり。手背上に黑痣を生ずる者は、妻妾多く儿子少なし。手掌が四邊方正にして掌心肉厚、邊緣略ほ薄く掌中に深窩ある者は、相法に仕途做官に益あり、一生財食安樂なり。手掌の四圍(大魚際・小魚際と掌上の諸丘)皆飽滿起棱の者は、擧止容儀君子の風あり。手上に「仰羊」紋を生ずる者は、出門在外衣食を愁えず。原注に曰く、手中に真に「仰羊」紋ある人は極めて難得なりと。手指上に「三的約」ある者は、かならず奴僕を役使し得べし。原注に曰く、即ち手指上に三行の紋あり每行各々三道なるを謂うと。

手一約,必為奴走腳。或作客,兼貧無福。十指三約並通,財食無窮。手如虎屈,貧寒至骨。手如□瓦,必作大富。長者爪忽缺落,厄病數著。若似龍虎,貴名難得。龍龜紅直,必得官職。男手如旡囊,祿位似公王。(上相人若庶人,各富貴也。)女手竹竿槍,福祿至無疆。

手指上にただ一道の指節紋のみある者は、かならず人の奴僕を作し跑腿差遣し、あるいは一生寄居作客して、又貧窮にして又福分なし。十指皆三道の指節紋あり道道貫通する者は、錢財飲食無窮無盡なり。手掌が僵硬蜷曲して虎爪のごとき者は、貧寒入骨なり。手掌が一片の瓦のごとく厚く覆う者は、かならず大富を成さん(「手如」の下底本一字を脱し、今□をもって標す)。年長の人の指甲が忽然缺損脱落するは、災厄疾病接續して斷えず。手もし龍形虎勢のごとく生じ、指長掌厚にして氣象軒昂なれば、かかる貴人の名は極めて求め難し。掌上高起して龍のごとく龜のごとき二處の肉丘、色澤紅潤にして紋路挺直の者は、かならず官職を得ん。男子の手が一隻の鼓起した口袋のごとく、掌肉豐厚にして合攏して東西を兜え得る者は、禄位公王に比すべし(「旡囊」の「旡」の字底本かくのごとく、當に囊袋を形容する字ならん)。原注に曰く、かかる相は縱い平民の身に出ずるとも、各自皆富貴ならんと。女子の手指が纖長にして竹竿のごとく挺直にして槍のごとき者は、福禄無窮無盡なり。

相腳篇第十二

腳下龜理紋,主二千石祿位。君子之相,腳下容龜。三公封侯,腳下理長。位至公王。(有相理文者好。)通心達理,三公刺史之位。腳心黑紫,祿至二千石。腳下三理紋,公王將相位。腳下無文,法主寒貧。足薄而指長,之子沒兒郎□足中指長,客死他鄉。足蹈齊短,為人安穩。腳骨節強,妨非一雨。兼主辛苦。足厚四寸,必主大祿,富貴人也。

腳底に龜紋(龜甲のごとき網狀の紋理)ある者は、二千石の禄位を主り、即ち郡守一級の官なり。君子の腳相は、腳底に一隻の龜を容るべしとは、足心深陷にして窩あり物を藏しうるを謂う。位を三公に至り侯に封ぜられる人は、腳底の紋理長直なり。紋長の者は位を公王に至るべし。原注に曰く、腳底に成相成理の紋路あるを要すと。紋路が脚心を貫通し條理分明の者は、三公あるいは刺史の位を得べし。脚心に黑紫色を現ずる者は、禄位二千石に至るべし。腳底に三道の紋理ある者は、公・王・將・相の位なり。腳底に一條の紋もなき者は、相法に寒苦貧窮を主る。腳掌薄く腳趾長き者は、此人儿子の送終なし(「兒郎」の下一字底本訛脱、今□をもって標す)。腳の中趾が特に長き者は、他鄉に客死せん。走路の時兩腳の落地齊整にして步幅短小の者は、人と為り安穩持重なり。腳上の骨節粗大強硬の者は、妨克一處に止まらず、且つ一生辛苦勞碌す(「妨非一雨」の「雨」の字底本かくのごとく、訛字ならんと疑う)。腳掌の厚さ四寸に至る者は、かならず大禄を主り、富貴の人なり。

相陰篇第十三

陰上黑紫,富貴之事。陰毛逆生上,夫婦定相妨。黑紫陰頭,必得封侯。

「相陰」は下陰部位の氣色と毛髮を看る。下陰處の皮色に黑紫を現ずる者は、富貴の事を主る。陰毛が倒逆して朝上に生長する者は、夫妻の間かならず互相妨克す。陰頭(男子の龜頭)の色が黑紫を呈する者は、かならず封侯の貴を得ん。

相尿屎篇第十四

尿頭散瀉,富貴天下。尿如竹竿,必主貧寒。穀道急而方,得位至公王。穀道寬,主貧寒。大便遲,堪為人師,又富貴人也。大便急,德智俱失。

「相尿屎」は二便の形態より人を看る。小便の時水頭が散開分瀉して花のごとき者は、富貴天下に冠たり。小便直下一股にして一根の竹竿のごとき者は、かならず貧寒を主る。「谷道」は即ち肛門なり。谷道が收束緊急にして形狀端方の者は、位を公王に至るまで得べし。谷道が松寬にして收まらざる者は、貧寒を主る。大便の來るが從容不迫にして忍び得待ち得る者は、人の師と為るに堪え、亦た富貴の人なり。大便一たび來れば急に耐えがたき者は、德行と智慮皆失あらん。

相行篇第十五

凡相形,須行十步,即喚回頭。須看左轉,必有官職。右轉無官職,又無衣食。行作龜行,必主聰明。行作鹿行、馬行,必主辛苦。行不低昂,富貴之相。行步兩踵相,衣食早衰。

凡そ人の形態擧止を相するは、まず彼をして十步を走らせ、然る後忽然に彼を叫びて回頭せしむ。彼がいずれの一邊へ轉身するかを看るべし。左に轉身する者は、かならず官職あり。右に轉身する者は、官職なきのみならず、又衣缺け食少なし。走路が烏龜のごとく沈穩徐緩の者は、かならず聰明なり。走路が鹿のごとく跳躍し馬のごとく奔急の者は、かならず一生辛苦す。行走の時頭身平穩にして上下俯仰起伏せざる者は、富貴の相なり。走路の時兩隻の腳跟相互に摩擦碰撞する者は、衣食早々と衰敗す(「兩踵相」の下疑わしくは一字を脱し、當に兩踵の相撃あるいは相磨を謂うならん)。

聽聲篇第十六

聲小亮高,賢貴之極。語聲細嫩,必主貧寒,兼須危困。女人雄聲,終身不榮,良人早須,虛有夫名。男子雌聲,妨婦多兒。女聲急切,妨夫一絕。夫人身手欲得厚,大小相覆,滑淨光澤,必應豪貴。顏色光潤,財祿日進。夫人少顏色惡者,絕無官分。

聲音宏大ならざるも清亮高揚の者は、賢能尊貴極點に至る。説話聲音細弱嬌嫩の者は、かならず貧寒を主り、還た危難困厄に遭遇せん。女人にして卻って一副の男子の粗聲を生ずる者は、終身榮顯を得ず、丈夫も亦た早々に離世せん(「良人早須」の「須」の字、底本かくのごとく、當に「殂」「亡」一類の字の訛誤ならん)、空しく有夫之婦の名分あるのみ。男子にして卻って一副の女人の細聲を生ずる者は、妻子を妨克して兒女偏多なり。女子の聲音急促迫切の者は、丈夫を妨克し、一至って死絕に至る。大凡そ人の身軀と手掌は皆厚實に生じ、大處小處彼此勻稱相配し、皮膚滑淨にして光澤あるを要す。かくのごとくばかならず豪貴の人と應驗せん。氣色光潔潤澤の者は、財と禄一天天に增進す。凡そ氣色淺薄にして惡滞の人は、做官の分絕えてなし。

故經云:頭小為一極,不得上天力。額小為二極,不得父母力。目小為三極,無有廣知識。鼻小為四極,農作無體息。口小為五極,無有盛衣食。耳小為六極,方命難量測。頭雖大,額無角。目雖大,無廓落。(是無相也。)鼻雖大,探柱弱。口雖大,語略綽。耳雖大,無輪廓。腹雖大,近上著,非奴即作客。(是無相也。)

故に相經の上に説く:頭の生じて小なるは第一樣の窮極の相、上天の助力を得ず。額頭小なるは第二樣、父母の蔭庇を得ず。眼睛小なるは第三樣、廣博の見識あることなからん。鼻子小なるは第四樣、務農勞作歇息の時なし。嘴巴小なるは第五樣、豐盛の衣食あることなからん。耳朵小なるは第六樣、壽數命分測量し難し。反って説けば、光に生じて大なるも亦た用なし。頭雖も大なれど、額上に隆起の骨角なし。眼睛雖も大なれど、眼眶輪廓分明ならず――原注に曰く、此れ即ち相なきに等しと。鼻子雖も大なれど、鼻梁此の「柱」は摸するに軟弱無力なり。嘴巴雖も大なれど、説き話すに含糊拖沓なり。耳朵雖も大なれど、耳輪耳廓形を成さず。肚子雖も大なれど、位置は偏に上に靠り胸下に貼く。かかる人は人の奴僕を作するに非ざれば、一世人の籬下に寄す――原注に曰く、此れも亦た相なきに等しと。

頭雖小,方且平。目雖小,精且明。鼻雖小,樑柱成。口雖小,語媚生。如此之人,法主聰明,兼不少衣食。夫女人共語,未了即面看他,如此之人,必有病也。夫女人當共人語,手拈衣帶者,便低頭答者,必有姦淫之事也。

再び反って説けば、生じて小なるも未だ必ずしも好からずとせず。頭雖も小なれど、方正にして平整なり。眼睛雖も小なれど、眼神精銳にして明亮なり。鼻子雖も小なれど、鼻梁此の柱子は結實にして立ち得べし。嘴巴雖も小なれど、説き話すに嫵媚動聽なり。此の幾樣ある人は、相法に聰明を主り、且つ衣食缺けず。婦人に至りては、人と説話するに話未だ説き盡さざるに便ち臉を轉じ開きて別處を看る者は、かかる人の身上かならず病あり。婦人正に人と交談するに、一面に手をもって衣帶を捻弄し、一面に頭を低えて話に答うる者は、かならず奸淫の事あり。

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