Libo

卷十二

战国至汉 · 文子(辛鉨,传) · 第4巻 / 4

老子曰:上古真人,呼吸陰陽,而群生莫不仰其德以和順,當此之時,領理隱密,自成純樸,純樸未散,而萬物大優。及世之衰也,至伏羲氏,昧昧懋懋,皆欲離其童蒙之心,而覺悟乎天地之間,其德煩而不一。及至神農、黃帝,核領天下,紀綱四時,和調陰陽,於是萬民莫不竦身而思,戴聽而視,故治而不和。下至夏、殷之世,嗜慾達於物,聰明誘於外,性命失其真。施及周室,澆醇散樸,離道以為偽,險德以為行,智巧萌生,狙學以擬聖,華誣以脅眾,琢飾詩書,以賈名譽,各欲以行其智偽,以容於世,而失大宗之本,故世有喪性命,衰漸所由來久矣。是故至人之學也,欲以反性於無,遊心於虛,世俗之學,擢德攓性,內愁五藏,暴行越知,以譊名聲於世,此至人所不為也。擢德自見也,攓性絕生也,若夫至人定乎死生之意,通乎榮辱之理,舉世譽之而不益勸,舉世非之而不加沮,得至道之要也。

老子が言った。上古真人は、陰陽を呼吸し、群生其の德を仰ぎて和順せざるなし。此の時に當たり、領理隱密、自ら純朴を成し、純朴未だ散ぜずして、萬物大優す。世衰に及び、伏羲氏に至りて、昧昧懋懋、皆な那の童蒙の心を離れんと欲し、天地の間に覺悟せんと欲す、其の德煩にして一ならず。神農、黃帝に至りて、天下を核領し、四時を紀綱し、陰陽を和調す、是に萬民竦身して思い戴聽して視ざるなし、故に治まりて和せず。夏、殷之世に下りて、嗜欲物に通達し、聰明外に誘われ、性命其の真を失う。周室に延及して、其の醇を澆薄し其の朴を離散し、道を離れて僞を做し、德を險薄して行を爲し、智巧萌生し、狙學して聖に擬し、華誣して衆を脅し、詩書を琢飾して名譽を買い、各智僞を以て世に容れられんと欲して、大宗の本を失う。故に世に性命を喪う有り、衰漸の從來する已に久し。是の故に至人の學は、以て性を無に返回し、心を虛に游ばせんと欲す。世俗の學は、德を擢擧し、性を牽扯し、內五藏を愁え、暴行知を越え、以て名聲を世に喧嘩す、此れ至人の做さざる所なり。德を擢ぐは自ら顯露、性を牽扯するは生を絕つなり。至人の死生の意に定まり、榮辱の理に通ずるに至れば、舉世彼を譽めても更に勸めず、舉世彼を非しても更に沮まず、是れ至道の要を得るなり。

老子曰:古者被髮而無卷領,以王天下,其德生而不殺,與而不奪,天下非其服,同懷其德,當此之時,陰陽和平,萬物蕃息,飛鳥之巢可俯而探也,走獸可係而從也。及其衰也,鳥獸蟲蛇,皆為民害,故鑄鐵鍛刃以禦其難,故民迫其難則求其便,因其患則操其備,各以其智去其所害,就其所利,常故不可循,器械不可因,故先王之法度,有變易者也,故曰:名可名,非常名也。五帝異道而德覆天下,三王殊事而名後世,因時而變者也。譬猶師曠之調五音也,所推移上下無常,尺寸以度,而靡不中者,故通於樂之情者能作,音有本主於中。而知規矩鉤繩之所用者能治人,故先王之制,不宜即廢之,末世之事善即著之。故聖人之制禮樂者,而不制於禮樂,制物者,不制於物,製法者,不制於法,故曰:道可道,非常道也。

老子が言った。古は髮を披きて卷領なくして、以て天下を王たりし、其の德は生じて殺さず、與えて奪わず、天下其の服に非ずとも、一同に其の德を懷く。此の時に當たり、陰陽和平し、萬物蕃息し、飛鳥の巢は俯身して探る可し、走獸は繫ぎて跟從す可し。衰に及んで、鳥獸蟲蛇皆な民の害と爲る、故に鐵を鑄し刃を鍛して以て那の難を抵禦す。民難に迫られれば則ち其の便を求め、患に因れば則ち其の備を操り、各其の智を用いて害する所を去り、利する所に趨就す。常故循う可からず、器械因る可からず、故に先王の法度は、變易有るなり。故に曰く、指稱し出づ可き名は、則ち那の恒常の名に非ずと。五帝道を異にして德天下を覆い、三王事を殊にして名後世に留るは、時に因りて變ずるなり。譬えば師曠五音を調えるが如く、推移上下常なく、尺寸を用いて度れば中らざるなし。故に樂の情に通ずるは能く作す。音に中に主する本有りて、規矩鉤繩の用う所を知るは能く人を治む。故に先王の制は、宜ならざれば則ち之を廢す。末世の事は、善なれば則ち之を著す。故に聖人は禮樂を制して、禮樂に制せられず。物を制して、物に制せられず。法を制して、法に制せられず。故に曰く、言說し出づ可き道は、則ち那の恒常の道に非ずと。

老子曰:昔者之聖王,仰取象於天,俯取度於地,中取法於人,調陰陽之氣,和四時之節,察陵陸水澤肥墽高下之宜,以立事生財,除飢寒之患,闢疾疢之災,中受人事,以制禮樂,行仁義之道,以治人倫。列金木水火土之性,以立父子之親而成家,聽五音清濁六律相生之數,以立君臣之義而成國,察四時孟仲季之序,以立長幼之節而成官,列地而州之,分國而治之,立大學以教之,此治之綱紀也。得道則舉,失道則廢,夫物未嘗有張而不弛,盛而不敗者也。唯聖人可盛而不敗,聖人初作樂也,以歸神杜淫,反其天心,至其衰也,流而不反,淫而好色,不顧正法,流及後世,至於亡國,其作書也,以領理百事,愚者以不忘,智者以記事,及其衰也,為姦偽以解有罪而殺不辜,其作囿也,以成宗廟之具,簡士卒以戒不虞,及其衰也,馳騁弋獵以奪民時,以罷民力,其上賢也,以平教化,正獄訟,賢者在位,能者在職,澤施於下,萬民懷德,至其衰也,朋黨比周,各推其所與,廢公趣私,外內相舉,姦人在位,賢者隱處。天地之道,極則反,益則損,故聖人治弊而改制,事終而更為,其美在和,其失在權。聖人之道曰:非修禮義,廉恥不立,民無廉恥,不可以治,不知禮義,法不能正,非崇善廢醜,不嚮禮義,無法不可以為治,不知禮義不可以行法,法能殺不孝者,不能使人孝,能刑盜者不能使人廉。聖王在上,明好惡以示人,經非譽以導之,親而進之,賤不肖而退之,刑錯而不用,禮義修而任賢德也。故天下之高,以為三公,一州之高,以為九卿,一國之高,以為二十七大夫,一鄉之高,以為八十一元士。智過萬人者謂之英,千人者謂之俊,百人者謂之傑,十人者謂之豪。明於天地之道,通於人情之理,大足以容眾,惠足以懷遠,智足以知權,人英也。

老子が言った。從前の聖王は、仰いで象を天に取り、俯して度を地に取り、中に法を人に取り、陰陽の氣を調え、四時の節を和し、陵陸水澤肥磽高下の宜を察し、以て事を立て財を生じ、飢寒の患を除き、疾疢の災を避く。中に人事を受けて、以て禮樂を制し、仁義の道を行い、以て人倫を治む。金木水火土の性を列ねて、以て父子の親を立て家を成す。五音清濁、六律相生の數を聽きて、以て君臣の義を立て國を成す。四時孟仲季の序を察して、以て長幼の節を立て官を成す。地を列ねて州とし、國を分かちて之を治め、大學を立てて之を教う、此れ治の綱紀なり。道を得れば則ち舉り、道を失えば則ち廢る。物未だ嘗て張りて弛まざる、盛んにして敗れざる有らず。ただ聖人のみ盛んにして敗れざる可し。聖人初めて樂を作るは、以て神を歸し淫を杜し、天心に返回せんとするなり。其の衰に至りて、流れて返らず、淫して色を好み、正法を顧みず、後世に流及して、亡國に至る。其の書を作るは、以て百事を領理し、愚は是に因りて忘れず、智は是に因りて事を記す。其の衰に至りて、奸僞を做して有罪を開脫し無辜を殺す。其の囿を作るは、以て宗廟の具を成し、士卒を簡閱して不虞を戒む。其の衰に至りて、弋獵を馳騁して民時を奪い、民力を疲れしむ。其の賢を上るは、以て教化を平げ獄訟を正し、賢者位に在り、能者職に在り、澤下に施し、萬民德を懷く。其の衰に至りて、朋黨比周し、各其の與する所を推し、公を廢して私に趨り、外内相擧し、奸人位に在り、賢者隱處す。天地の道は、極まれば則ち反り、益せば則ち損す。故に聖人は弊を治めて制を改め、事終わりて更に爲す、其の美は和に在り、其の失は權に在り。聖人の道に曰く、禮義を修めざれば、廉恥立たず。民廉恥なければ、以て治む可からず。禮義を知らざれば、法正す能わず。善を崇び醜を廢せざれば、禮義に趨向せず。法なくんば以て治む可からず、禮義を知らずんば以て法を行う可からず。法は能く不孝を殺すも、人をして孝ならしむ能わず。能く盜を刑するも、人をして廉ならしむ能わず。聖王上に在り、好惡を明らかにして人に示し、非譽を經て彼らを導き、親して彼らを進め、不肖を賤みて彼らを退け、刑措して用いず、是れ禮義修まりて賢德を任ずるなり。故に天下の高は、用いて三公と爲す。一州の高は、用いて九卿と爲す。一國の高は、用いて二十七大夫と爲す。一鄕の高は、用いて八十一元士と爲す。智萬人を過ぐるを英と謂い、千人を過ぐるを俊と謂い、百人を過ぐるを傑と謂い、十人を過ぐるを豪と謂う。天地の道に明らかに、人情の理に通じ、大以て衆を容れ、惠以て遠を懷き、智以て權を知るに足るは、是れ人英なり。

德足以教化,行足以隱義,信足以得眾,明足以照下,人俊也。行可以為儀表,智足以決嫌疑,信可以守約,廉可以使分財,作事可法,出言可道,人傑也。守職不廢,處義不比,見難不苟免,見利不苟得,人豪也。英俊豪傑,各以大小之材處其位,由本流末,以重製輕,上唱下和,四海之內,一心同歸,背貪鄙,嚮仁義,其於化民,若風之靡草。今使不肖臨賢,雖嚴刑不能禁其姦,小不能制大,弱不能使強,天地之性也。故聖人舉賢以立功,不肖之主舉其所與同,觀其所舉,治亂分矣,察其黨與,賢不肖可論也。

德以て教化するに足り、行以て義を隱すに足り、信以て衆を得るに足り、明以て下を照らすに足るは、是れ人俊なり。行以て儀表を爲す可く、智以て嫌疑を決するに足り、信以て約を守る可く、廉以て財を分つを使す可く、事を作して法と爲す可く、言を出して道と爲す可きは、是れ人傑なり。職を守りて廢せず、義に處りて黨を結ばず、難を見て苟免せず、利を見て苟得せず、是れ人豪なり。英俊豪傑は、各大小の材を以て其の位に處り、本より末に流れ、重を以て輕を制し、上唱え下和し、四海之內一心同歸し、貪鄙を背き、仁義に向かう、其の民を化するに於いては、風が草を披靡せしむるが如し。今不肖をして賢に臨ましめば、雖も嚴刑も那の奸を禁ずる能わず。小は大を制する能わず、弱は強を使する能わず、是れ天地の性なり。故に聖人は賢を擧げて功を立て、不肖の主は其の與に同じきを擧ぐ。其の擧ぐる所を觀れば、治亂分かる。其の黨與を察すれば、賢不肖論ず可し。

老子曰:為禮者雕琢人性,矯拂其情,目雖欲之禁以度,心雖樂之節以禮,趣翔周旋,屈節卑拜,肉凝而不食,酒徵而不飲,外束其形,內愁其德,鉗陰陽之和而迫性命之情,故終身為哀人。何則?不本其所以欲,而禁其所欲,不原其所以樂,而防其所樂,是猶圈獸而不塞其垣,禁其野心,決江河之流而壅之以手,故曰:開其兌,濟其事,終身不救。夫禮者,遏情閉欲,以義自防,雖情心㖥噎,形性飢渴,以不得已自強,故莫能終其天年。禮者,非能使人不欲也,而能止之,樂者,非能使人勿樂也,而能防之。夫使天下畏刑而不敢盜竊,豈若使無有盜心哉!故知其無所用,雖貪者皆辭之,不知其所用,廉者不能讓之。夫人之所以亡社稷,身死人手,為天下笑者,未嘗非欲也,知冬日之扇,夏日之裘,無用於己,萬物變為塵垢矣!故揚湯止沸,沸乃益甚,知其本者,去火而已。

老子が言った。禮を爲すは人性を雕琢し、其の情を矯拂す。目雖も之を欲するも、度を用いて禁ず。心雖も之を樂しむも、禮を用いて節す。趨翔周旋し、節を屈し拜を卑しくし、肉凝結して食わず、酒澄清して飮まず、外其の形を束縛し、內其の德を愁え、陰陽の和を鉗住して性命の情を迫る、故に終身哀人を做す。何を以てや。欲する所以に本づかずして、欲する所を禁ず。樂しむ所以を原せずして、樂しむ所を防ぐ。此れ獸を圈住して其の垣を塞がずして、其の野心を禁ずるが如く、江河の流を決開して手を以て之を壅ぐが如し。故に曰く、嗜欲の孔竅を打開して、那の事務を成就せんと去れば、終身救藥す可きなし。禮は、情を遏め欲を閉じ、義を用いて自防す、雖も情心哽噎し、形性飢渴するも、不得已に因りて自強す、故に其の天年を終わる能う者なし。禮は、能く人をして欲せざらしむるに非ず、而るに之を止むる能し。樂は、能く人をして樂しまざらしむるに非ず、而るに之を防ぐ能し。天下をして刑を畏れて盗竊するを敢えてせざらしむるは、何ぞ彼らをして盗心なからしむるに及ばん。故に其の用うる所なきを知れば、雖も貪なるも之を辭す。其の用う所を知らざれば、廉なるも之を讓る能わず。人の社稷を亡し身死人の手に死し天下に笑わるる所以は、未だ嘗て欲ならざらず。冬日の扇、夏日の裘を知れば、己に用なし、萬物則ち塵垢と變成す。故に湯を揚げて沸を止むるは、沸益々厲害し。其の本を知るは、火を去るのみ。

老子曰:循性而行謂之道,得其天性謂之德,性失然後貴仁義,仁義立而道德廢,純樸散而禮樂飾,是非形而百姓眩,珠玉貴而天下爭。夫禮者,所以別尊卑貴賤也,義者,所以和君臣父子兄弟夫婦人道之際也。末世之禮,恭敬而交。為義者,佈施而得,君臣以相非,骨肉以生怨也,故水積則生相食之蟲,土積則生自肉之狩,禮樂飾則生詐偽。末世之為治,不積於養生之具,澆天下之醇,散天下之樸,滑亂萬民,以清為濁,性命飛揚,皆亂以營,貞信熳爛,人失其性,法與義相背,行與利相反,貧富之相傾,人君之與僕虜,不足以論。夫有餘則讓,不足則爭,讓則禮義生,爭則暴亂起,故多欲則事不省,求贍則爭不止,故世治則小人守正,而利不能誘也,世亂則君子為姦,而法不能禁也。

老子が言った。性に循いて行うを道と謂い、其の天性を得るを德と謂う。性失い然る後に仁義を貴び、仁義立ちて道德廢れ、純朴散じて禮樂飾り、是非形して百姓眩み、珠玉貴くして天下爭う。禮は以て尊卑貴賤を別するなり。義は以て君臣父子兄弟夫婦人道の際を和するなり。末世の禮は、恭敬して相交わる。義を爲すは、布施して得る所有り。君臣是に因りて相非し、骨肉是に因りて怨を生ず。故に水積れば則ち相食する蟲を生じ、土積れば則ち自肉の獸を生ず(底本「狩」に作る)、禮樂飾れば則ち詐僞を生ず。末世の治を爲すは、養生の具を積まず、天下の醇を澆薄し、天下の朴を離散し、萬民を滑亂し、清を以て濁と爲し、性命飛揚し、皆な亂れて營惑し、貞信漫爛し、人其の性を失う。法と義と相背き、行と利と相反し、貧富相傾き、人君と僕虜とは、以て論ずるに足らず。有餘なれば則ち讓り、不足なれば則ち爭う。讓れば則ち禮義生じ、爭えば則ち暴亂起る。故に欲多ければ則ち事省からず、贍を求めれば則ち爭止まず。故に世治まれば則ち小人正を守りて、利誘う能わず。世亂るれば則ち君子奸を爲して、法禁ずる能わず。

老子曰:衰世之主,鑽山石,挈金玉,擿礱蜃,消銅鐵,而萬物不滋,刳胎焚郊,覆巢毀卵,鳳凰不翔,麒麟不遊,構木為臺,焚林而畋,竭澤而漁,積壤而丘處,掘地而井飲,濬川而為池,築城而為固,拘獸以為畜,則陰陽繆戾,四時失序,雷霆毀折,雹霜為害,萬物焦夭,處於太半,草木夏枯,三川絕而不流,分山川谿谷,使有壤界,計人眾寡,使有分數,設機械險阻以為備,制服色等異貴賤,老賢不肖行賞罰,則兵革起而忿爭生,虐殺不辜,誅罰無罪,於是興矣。

老子が言った。衰世の主は、山石を鑽り、金玉を提起し、蜃蛤を剔磨し、銅鐵を銷熔して、萬物滋さず。胎を剖き郊を焚き、巢を覆し卵を毀れば、鳳凰翔らず、麒麟游ばず。木を構えて臺と爲し、林を焚きて畋り、澤を竭して漁り、壤を積みて丘に處り、地を掘りて井飲み、川を疏浚して池と爲し、城を築きて固と爲し、獸を拘して以て畜と爲れば、則ち陰陽錯戾し、四時序を失い、雷霆毁折し、雹霜害を爲し、萬物焦夭し、大半に處り、草木夏枯れ、三川絕えて流れず。山川谿谷を分かち、壤界有らしめ、人衆寡を計り、分數有らしめ、機械險阻を設けて以て備と爲し、服色等を制して以て貴賤を異にし、賢不肖を考して賞罰を行えば(底本「老賢」に作る)、則ち兵革起りて忿爭生じ、無辜を虐殺し、無罪を誅罰し、是に興起す。

老子曰:世之將喪性命,猶陰氣之所起也,主闇昧而不明,道廢而不行,德滅而不揚,舉事戾於天,發號逆四時,春秋縮其和,天地除其德,人君處位而不安,大夫隱遁而不言,群臣推上意而壞常,疏骨肉而自容,邪人諂而陰謀遽載,驕主而像其意,亂人以成其事,是故君臣乖而不親,骨肉疏而不附,田無立苖,路無緩步,金積折廉,壁襲無贏,殼龜無腹,蓍筮日施,天下不合而為一家,諸侯製法各異習俗,悖拔其根而棄其本,鑿五刑,為刻削,爭於錐刀之末,斬刈百姓,盡其太半,舉兵為難,攻城濫殺,覆高危安,大沖車,高重壘,除戰隊,使陣死路,犯嚴敵,百姓一反,名聲苟盛,兼國有地,伏屍數十萬,老弱飢寒而死者不可勝計。自此之後,天下未嘗得安其性命,樂其習俗也。賢聖勃然而起,持以道德,輔以仁義,近者進其智,遠者懷其德,天下混而為一,子孫相代輔佐,黜讒佞之端,息未辯之說,除刻削之法,去煩苛之事,屏流言之跡,塞朋黨之門,消智能,循大常,隳枝體,黜聰明,大通混冥,萬物各復歸其根。夫聖人非能生時,時至而不失也,是以不得中絕。

老子が言った。世將に性命を喪わんとするは、陰氣の起る所の如し。主暗昧して明ならず、道廢れて行われず、德滅して揚がらず、事を舉げて天に戾り、號を發して四時に逆い、春秋其の和を縮め、天地其の德を除く。人君位に處りて安んぜず、大夫隱遁して言わず、群臣上意を推して常を壞り、骨肉を疏して自容し、邪人諂い陰謀急載し、主を驕らして其の意を仿い、亂人來りて其の事を成す。是の故に君臣乖して親しまず、骨肉疏して附せず、田に立苗なく(底本「立苖」に作る)、路に緩步なく、金積みて廉を折れ、璧疊ねて贏なく(底本「壁襲」に作る)、占卜の龜甲に腹なく、蓍筮日に施行す。天下合して一と爲らず、諸侯法を制して各習俗を異にし、悖逆に其の根を拔き其の本を棄て、五刑を開鑿し、刻削を做し、錐刀の末に爭い、百姓を斬刈し、其の大半を盡し、兵を舉げて難と爲し、城を攻め濫殺し、高きを覆し安きを危うくし、大衝車、高重壘、戰隊を除去し、陣を死路と爲し、嚴敵を犯す。百姓一反して、名聲苟盛んに、國を兼ね地有りて、尸を伏す數十萬、老弱飢寒して死するは計るに勝えず。此より後、天下未だ嘗て其の性命を安んじ其の習俗を樂しむを得ず。賢聖勃然として起り、道德を用いて持し、仁義を用いて輔き、近きは其の智を進め、遠きは其の德を懷き、天下混として一と爲り、子孫相代わりて輔佐し、讒佞の端を黜し、末辯の說を息め、刻削の法を除き、煩苛の事を去り、流言の迹を屏し、朋黨の門を塞ぎ、智能を消し、大常に循い、肢體を隳し、聰明を黜し、大通混冥、萬物各其の根に復歸す。聖人は能く時を生ずるに非ず、時至りて失わざるなり。是の故に中絕するを得ず。

老子曰:酆水之深十仞而不受塵垢,金石在中,形見於外,非不深且清也,魚鱉蛟龍莫之歸也。石上不生五穀,秀山不遊麋鹿,無所蔭蔽也。故為政以苛為察,以切為明,以刻下為忠,以計多為功,如此者譬猶廣革者也,大敗大裂之道也,其政悶悶,其民淳淳,其政察察,其民缺缺。

老子が言った。酆水の深き十仞にして塵垢を受けず、金石其の中に在りて、形外に見ゆ、深く且つ清ならざるに非ずとも、魚鼈蛟龍之に歸するなし。石上は五穀を生ぜず、秀山は麋鹿游ばず、是れ蔭蔽する所なし。故に政を爲すに苛を以て察と爲し、切を以て明と爲し、下を刻するを以て忠と爲し、計多きを以て功と爲すは、斯の如きは譬えば皮革を擴張するが如く、是れ大敗大裂の道なり。政治寬厚朴鈍なれば、百姓淳厚老實なり。政治苛察精明なれば、百姓澆薄缺缺なり。

老子曰:以政治國,以奇用兵。先為不可勝之政,而後求勝於敵,以未治而攻人之亂,是猶以火應火,以水應水也,同莫足以相治,故以異為奇,奇靜為躁奇,治為亂奇,飽為飢奇,逸為勞奇,正之相應,若水火金木之相伐也,何往而不勝,故德均則眾者勝寡,力敵則智者制愚,智同則有數者禽無數。

老子が言った。清正の道を用いて國家を治理し、出奇の法を用いて兵を帶び戰を打つ。先づ勝つ可からざる政を做して、然る後に敵に向かいて勝を求む。未治を用いて人の亂を攻むるは、譬えば火を以て火に應じ、水を以て水に應ずるが如く、同は以て相治するに足らず、故に異を用いて奇と爲す。奇は靜を以て躁の奇と爲し、治を以て亂の奇と爲し、飽を以て飢の奇と爲し、逸を以て勞の奇と爲す。正の相應は、水火金木相伐するが如く、何往に勝たざらん。故に德均しければ則ち衆の寡に勝ち、力敵すれば則ち智の愚を制服し、智同じければ則ち數有るの數無きを擒す。

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