仏説無量寿経 巻上
常於大眾中,說法師子吼。
つねに大衆の中において、説法すること師子吼のごとし。
供養一切佛,具足眾德本,
一切の仏を供養し、衆徳の本を具足し、
願慧悉成滿,得為三界雄。
願と慧と皆成満して、三界の雄となることを得ん。
如佛無量智,通達靡不遍,
仏の無量智のごとく、通達して遍からざるなく、
願我功德力,等此最勝尊。
願わくはわが功徳力が、この最勝尊と同等ならん。
斯願若剋果,大千應感動,
これらの願もし果を克せば、大千世界まさに感動し、
虛空諸天人,當雨珍妙華。』」
虚空中の諸天人、まさに珍妙の花を雨らすべし。』」
佛語阿難:「法藏比丘說此頌已,應時普地六種震動,天雨妙華以散其上,自然音樂空中讚言:『決定必成無上正覺。』於是法藏比丘具足修滿如是大願,誠諦不虛,超出世間深樂寂滅。
仏は阿難に言った。「法蔵比丘がこの頌を説き終えた時、大地は悉く六種に震動し、天より妙花を雨らして彼の身の上に散らし、自然の音楽が空中において讃嘆した——『決定して必ず無上正覚を成就せん。』ここに法蔵比丘は具足してこのごとき大願を修満し、誠実にして虚ならず、世間を超出し、深く寂滅を楽えり。
「阿難!法藏比丘於彼佛所諸天、魔、梵、龍神八部大眾之中發斯弘誓,建此願已,一向專志莊嚴妙土。所修佛國開廓廣大,超勝獨妙,建立常然,無衰、無變。於不可思議兆載永劫積殖菩薩無量德行,不生欲覺、瞋覺、害覺,不起欲想、瞋想、害想,不著色、聲、香、味、觸之法。忍力成就,不計眾苦。少欲知足,無染恚痴,三昧常寂,智慧無礙。無有虛偽諂曲之心,和顏軟語先意承問,勇猛精進志願無惓,專求清白之法。以慧利群生,恭敬三寶,奉事師長;以大莊嚴具足眾行,令諸眾生功德成就。住空、無相、無願之法,無作、無起,觀法如化。遠離麁言、自害、害彼、彼此俱害,修習善語,自利、利人、彼我兼利。棄國、捐王,絕去財色。自行六波羅蜜,教人令行。
「阿難!法蔵比丘はあの仏のところにおいて、諸天・魔・梵・竜神八部の大衆の中にこれらの弘誓を発し、これらの願を建立した後、一向に専心して荘厳妙土に志した。修する所の仏国は開廓広大にして、超勝独妙にして、常然を建立して衰えず・変わらず。不可思議の兆載永劫において菩薩の無量の徳行を積累種植し、欲覚・瞋覚・害覚を生ぜず、欲想・瞋想・害想を起こさず、色・声・香・味・触の法に執着せず。忍力成就して衆苦を計校せず。少欲知足にして染・恚・癡なく、三昧はつねに寂静にして智慧に障碍なし。虚偽諂曲の心なく、和顔軟語・先意承問し、勇猛精進して志愿倦まず、専ら清白の法を求む。慧をもって群生を利益し、三宝を恭敬し、師長に奉事す。大荘厳をもって衆行を具足し、諸衆生をして功徳を成就せしむ。空・無相・無願の法に安住し、作せず・起さず、法を観ること幻化のごとし。麁言・自害・害彼・彼此俱害を遠離し、善語を修習して、自利・利人・彼我兼利す。国土を抛棄し王位を捐棄し、財色を絶去す。みずから六波羅蜜(「彼岸に到る」の意、すなわち生死の此岸より解脱の彼岸に渡る)を実行し、また人をして実行せしむ。
「無央數劫積功累德,隨其生處在意所欲,無量寶藏自然發應,教化安立無數眾生。住於無上正真之道,或為長者、居士、豪姓、尊貴,或為剎利國君、轉輪聖帝,或為六慾天主乃至梵王。常以四事供養恭敬一切諸佛,如是功德不可稱說。口氣香潔如優缽羅華,身諸毛孔出栴檀香,其香普燻無量世界;容色端正,相好殊妙,其手常出無盡之寶,衣服、飲食珍妙華香,諸蓋幢幡莊嚴之具。如是等事超諸人天,於一切法而得自在。」
「無央数劫に功を積み徳を累ね、生ずる所に随い・心意の欲するに随い、無量の宝蔵は自然に発応し、教化して无数の衆生を安立す。無上正真の道に安住し、或いは長者・居士・豪姓・尊貴となり、或いは刹利の国君・転輪聖帝となり、或いは六欲天主乃至梵王となる。つねに衣服・飲食・臥具・医薬の四事をもって恭敬供養して一切諸仏に奉事す。このごとき功徳は称説すべからず。口気は香潔にして優鉢羅花のごとく、身上の諸毛孔は栴檀香を出し、その香は普く無量世界に熏じ至る。容色端正にして相好殊妙なり。その手はつねに无尽の宝を拿出し、衣服・飲食・珍妙の花香・諸の蓋幢幡の荘厳の具。このごとき事は諸人天を超過し、一切法の上において自在を得たり。」
阿難白佛:「法藏菩薩為已成佛而取滅度、為未成佛?為今現在?」
阿難は仏に言った。「法蔵菩薩はすでに成仏して滅度を取ったのですか、それともいまだ成仏していないのですか。それともいま現在ですか。」
佛告阿難:「法藏菩薩今已成佛,現在西方,去此十萬億剎,其佛世界名曰安樂。」
仏は阿難に告げた。「法蔵菩薩はいま已に成仏し、西方に現在し、ここを離れること十万亿刹であって、あの仏の世界は名を安楽という。」
阿難又問:「其佛成道已來為經幾時?」
阿難また問うた。「あの仏が成道して以来いかほど久しいですか。」
佛言:「成佛已來凡歷十劫。其佛國土自然七寶——金、銀、琉璃、珊瑚、琥珀、車𤦲、瑪瑙——合成為地,恢廓曠蕩不可限極。悉相雜廁,轉相入間,光赫焜耀,微妙奇麗,清淨莊嚴超踰十方一切世界眾寶中精,其寶猶如第六天寶。又其國土無須彌山及金剛圍一切諸山,亦無大海、小海、溪渠、井谷。佛神力故,欲見則見。亦無地獄、餓鬼、畜生諸難之趣。亦無四時——春、秋、冬、夏——不寒、不熱,常和調適。」
仏は言った。「成仏以来あわせて十劫を経歴せり。あの仏の国土は自然に七宝——金・銀・瑠璃・珊瑚・琥珀・車磲・瑪瑙——をもって大地を合成し、恢廓曠蕩にして限極すべからず。皆互相に錯雑間厠し、転相に納入し、光赫焜耀にして微妙奇麗にして、清浄荘厳にして十方一切世界の衆宝の中の精華を超過し、それらの宝は第六天の宝のごとし。またあの国土には須弥山および金剛囲の一切諸山なく、また大海・小海・渓渠・井谷もなし。仏の神力によりて、見んと欲せば即ち見る。地獄・餓鬼・畜生の諸難の趣もなく、また四時——春・秋・冬・夏——もなく、寒ならず・熱ならず、つねに和調適中なり。」
爾時,阿難白佛言:「世尊!若彼國土無須彌山,其四天王及忉利天依何而住?」
その時、阿難は仏に言った。「世尊!もしあの国土に須弥山なければ、四天王および忉利天は何に依って住するのですか。」
佛語阿難:「第三炎天乃至色究竟天皆依何住?」
仏は阿難に言った。「第三焰天乃至色究竟天は皆何に依って住するか。」
阿難白佛:「行業果報不可思議。」
阿難は仏に言った。「行業果報は不可思議です。」
佛語阿難:「行業果報不可思議,諸佛世界亦不可思議。其諸眾生功德善力住行業之地,故能爾耳。」
仏は阿難に言った。「行業果報は不可思議なり。諸仏の世界もまた不可思議なり。それらの衆生は功徳善力をもって行業の地に住す。ゆえに能くこのごとし。」
阿難白佛:「我不疑此法,但為將來眾生欲除其疑惑,故問斯義。」
阿難は仏に言った。「わたしはこの法を疑うのではありません。ただ将来の衆生のために彼らの疑惑を除かんと欲して、この義を問うのです。」
佛告阿難:「無量壽佛威神光明最尊第一,諸佛光明所不能及。或有佛光照百佛世界、或千佛世界,取要言之,乃照東方恆沙佛剎,南、西、北方四維,上、下亦復如是。或有佛光照於七尺,或照一由旬,二、三、四、五由旬,如是轉倍乃至照一佛剎。是故,無量壽佛號無量光佛、無邊光佛、無礙光佛、無對光佛、炎王光佛、清淨光佛、歡喜光佛、智慧光佛、不斷光佛、難思光佛、無稱光佛、超日月光佛。
仏は阿難に告げた。「無量寿仏の威神光明は最尊第一にして、諸仏の光明の及ぶ所にあらず。或る仏光は百仏世界を照らし、或いは千仏世界を照らす。要を取って言えば、乃至東方の恒河沙の仏刹を照らし、南・西・北方・四維、上・下もまたこのごとし。或る仏光は七尺に照らし、或いは一由旬を照らし、二・三・四・五由旬、このごとく倍に増加して乃至一仏刹を照らす。ゆえに無量寿仏は、無量光仏・無辺光仏・無碍光仏・無対光仏・炎王光仏・清浄光仏・歓喜光仏・智慧光仏・不断光仏・難思光仏・無称光仏・超日月光仏と号す。
「其有眾生遇斯光者,三垢消滅,身意柔軟,歡喜踴躍,善心生焉。若在三塗勤苦之處,見此光明,皆得休息,無復苦惱;壽終之後皆蒙解脫。
「もし衆生がこの光に遇う者は、三垢消滅して身意柔軟にして、歓喜踊躍して善心便ちに生ず。もし三塗勤苦の処において、この光明を見れば、皆休息を得て再び苦悩あらず。寿終した後皆解脱を蒙る。
「無量壽佛光明顯赫照曜十方諸佛國土,莫不聞知。不但我今稱其光明,一切諸佛、聲聞、緣覺、諸菩薩眾鹹共歎譽,亦復如是。若有眾生聞其光明威神功德,日夜稱說至心不斷,隨意所願得生其國,為諸菩薩、聲聞大眾所共歎譽稱其功德;至其然後得佛道時,普為十方諸佛菩薩歎其光明亦如今也。」
「無量寿仏の光明は顕赫照曜して十方の諸仏国土を照らし、聞知せざるなし。ただわたしいまその光明を称讃するのみならず、一切諸仏・声聞・縁覚・諸菩薩衆は皆共に歎誉し、またこのごとし。もし衆生がその光明威神功徳を聞き、日夜称説して至心に断えざれば、心意の願うに随ってその国土に往生することを得、諸菩薩・声聞の大衆に共にその功徳を歎誉称讃せられん。後に仏道を得るに及んで、普く十方の諸仏菩薩にその光明を歎誉せられることまた今日のごとし。」
佛言:「我說無量壽佛光明威神巍巍殊妙,晝夜一劫尚不能盡。」
仏は言った。「わたしは無量寿仏の光明威神の巍巍殊妙なるを説く。昼夜一劫もなお説き尽くし能わず。」
佛語阿難:「無量壽佛壽命長久不可稱計,汝寧知乎?假使十方世界無量眾生皆得人身,悉令成就聲聞、緣覺,都共集會禪思一心,竭其智力於百千萬劫悉共推算,計其壽命長遠劫數,不能窮盡知其限極。聲聞、菩薩、天、人之眾,壽命長短亦復如是,非算數譬喻所能知也。又聲聞、菩薩其數難量不可稱說,神智洞達威力自在,能於掌中持一切世界。」
仏は阿難に言った。「無量寿仏の寿命は長久にして称計すべからず。汝は知らずや。假使十方世界の無量の衆生が皆人身を得て、皆声聞・縁覚を成就せしめ、共に集会して禅思一心し、智力を竭くして百千万劫の中に共に推算して、その寿命長遠の劫数を計算しても、その限極を窮知し能わず。声聞・菩薩・天・人の衆の寿命長短もまたこのごとく、算数譬喩の知る所にあらず。また声聞・菩薩の数目は量り難く称説すべからず、神智洞達・威力自在にして、掌中に一切世界を持し得べし。」
佛語阿難:「彼佛初會,聲聞眾數不可稱計,菩薩亦然。能如大目揵連百千萬億無量無數,於阿僧祇那由他劫乃至滅度悉共計挍,不能究了多少之數。譬如大海深廣無量,假使有人析其一毛以為百分,以一分毛沾取一渧。於意云何?其所渧者於彼大海,何所為多?」
仏は阿難に言った。「あの仏の最初の一会は、声聞衆の数目は称計すべからず、菩薩もまたこのごとし。大目犍連のごとき百千万億無量无数の人が、阿僧祇那由他劫乃至滅度に共に計算しても、多少の数を究了し能わず。譬えば大海の深広無量にして、假使に人が一毛を析して百分と為し、一分毛をもって一滴を沾取せん。汝はどう思う。沾取する所の一滴は大海に比べていずれが多きや。」
阿難白佛:「彼所渧水比於大海多少之量,非巧歷算數、言辭譬類所能知也。」
阿難は仏に言った。「その沾取する水が大海に比べる多少の量は、精巧の暦算・言辞譬類の知り得る所にあらず。」
佛語阿難:「如目連等於百千萬億那由他劫計彼初會聲聞菩薩,所知數者猶如一渧,其所不知如大海水。
仏は阿難に言った。「目連らの人が百千万億那由他劫の中にあの最初一会の声聞・菩薩を計算するに、知り得る所の数目は一滴のごとく、知らざる所は大海水のごとし。
「又其國土,七寶諸樹周滿世界——金樹、銀樹、琉璃樹、頗梨樹、珊瑚樹、瑪瑙樹、車𤦲樹——或有二寶、三寶乃至七寶轉共合成。或有金樹,銀葉、華、果;或有銀樹,金葉、華、果;或琉璃樹,頗梨為葉,華、果亦然;或水精樹,琉璃為葉,華、果亦然;或珊瑚樹,瑪瑙為葉,華、果亦然;或瑪瑙樹,琉璃為葉,華、果亦然;或車𤦲樹,眾寶為葉,華、果亦然。或有寶樹,紫金為本、白銀為莖、琉璃為枝、水精為條、珊瑚為葉、瑪瑙為華、車𤦲為實;或有寶樹,白銀為本、琉璃為莖、水精為枝、珊瑚為條、瑪瑙為葉、車𤦲為華、紫金為實;或有寶樹,琉璃為本、水精為莖、珊瑚為枝、瑪瑙為條、車𤦲為葉、紫金為華、白銀為實;或有寶樹,水精為本、珊瑚為莖、瑪瑙為枝、車𤦲為條、紫金為葉、白銀為華、琉璃為實;或有寶樹,珊瑚為本、瑪瑙為莖、車𤦲為枝、紫金為條、白銀為葉、琉璃為華、水精為實;或有寶樹,瑪瑙為本、車𤦲為莖、紫金為枝、白銀為條、琉璃為葉、水精為華、珊瑚為實;或有寶樹,車𤦲為本、紫金為莖、白銀為枝、琉璃為條、水精為葉、珊瑚為華、瑪瑙為實。行行相值、莖莖相望、枝枝相準、葉葉相向、華華相順、實實相當,榮色光曜不可勝視。清風時發,出五音聲,微妙宮商自然相和。
「またあの国土は、七宝の諸樹が世界に周満す——金樹・銀樹・瑠璃樹・玻璃樹・珊瑚樹・瑪瑙樹・車磲樹——或いは二宝・三宝乃至七宝が転相共に合成す。或いは金樹にして、銀の葉・花・果。或いは銀樹にして、金の葉・花・果。或いは瑠璃樹にして、玻璃を葉と為し、花・果もまたこのごとし。或いは水精樹にして、瑠璃を葉と為し、花・果もまたこのごとし。或いは珊瑚樹にして、瑪瑙を葉と為し、花・果もまたこのごとし。或いは瑪瑙樹にして、瑠璃を葉と為し、花・果もまたこのごとし。或いは車磲樹にして、衆宝を葉と為し、花・果もまたこのごとし。或いは宝樹にして、紫金を根幹と為し・白銀を茎と為し・瑠璃を枝と為し・水精を条と為し・珊瑚を葉と為し・瑪瑙を花と為し・車磲を実と為す。或いは宝樹にして、白銀を根幹と為し・瑠璃を茎と為し・水精を枝と為し・珊瑚を条と為し・瑪瑙を葉と為し・車磲を花と為し・紫金を実と為す。或いは宝樹にして、瑠璃を根幹と為し・水精を茎と為し・珊瑚を枝と為し・瑪瑙を条と為し・車磲を葉と為し・紫金を花と為し・白銀を実と為す。或いは宝樹にして、水精を根幹と為し・珊瑚を茎と為し・瑪瑙を枝と為し・車磲を条と為し・紫金を葉と為し・白銀を花と為し・瑠璃を実と為す。或いは宝樹にして、珊瑚を根幹と為し・瑪瑙を茎と為し・車磲を枝と為し・紫金を条と為し・白銀を葉と為し・瑠璃を花と為し・水精を実と為す。或いは宝樹にして、瑪瑙を根幹と為し・車磲を茎と為し・紫金を枝と為し・白銀を条と為し・瑠璃を葉と為し・水精を花と為し・珊瑚を実と為す。或いは宝樹にして、車磲を根幹と為し・紫金を茎と為し・白銀を枝と為し・瑠璃を条と為し・水精を葉と為し・珊瑚を花と為し・瑪瑙を実と為す。行々相い対し・茎々相い望み・枝々相い准え・葉々相い向い・花々相い順い・実々相い当たり、栄色光曜にして看尽くすこと能わず。清風は時に応じて起り、五音の声を発し、微妙なる宮商は自然に相い和す。
「又無量壽佛其道場樹,高四百萬裡,其本週圍五千由旬,枝葉四布二十萬裡。一切眾寶自然合成,以月光摩尼持海輪寶——眾寶之王——而莊嚴之。周匝條間垂寶瓔珞,百千萬色種種異變,無量光炎照曜無極。珍妙寶網羅覆其上,一切莊嚴隨應而現。微風徐動出妙法音,普流十方一切佛國。其聞音者得深法忍,住不退轉至成佛道,不遭苦患;目覩其色、耳聞其音、鼻知其香、舌甞其味、身觸其光、心以法緣,一切皆得甚深法忍,住不退轉至成佛道,六根清徹無諸惱患。
「また無量寿仏の道場樹は、高さ四百万里、樹本の周囲は五千由旬、枝葉は四方に布いて二十万里。一切衆宝自然に合成し、月光摩尼持海輪宝——衆宝の王——をもってこれを荘厳す。周囲の枝条の間に宝瓔珞を垂れ、百千万色の種々異変にして、無量の光焰照曜して極りなし。珍妙の宝網は羅覆してその上にあり、一切荘厳は応に随いて現ず。微風徐動して妙法音を発し、普く十方一切仏国に流布す。この音声を聞く者は深法忍を得、不退転に住して成仏に至り、苦患に遭わず。眼はその色を見・耳はその音を聞き・鼻はその香を知り・舌はその味を嘗め・身はその光に触れ・心は法を縁と為して、一切皆甚深法忍を得、不退転に住して成仏に至り、六根清徹にして諸の悩患なし。
「阿難!若彼國人天見此樹者,得三法忍:一者、音響忍,二者、柔順忍,三者、無生法忍。此皆無量壽佛威神力故、本願力故、滿足願故、明瞭願故、堅固願故、究竟願故。」
「阿難!もしあの国土の人天がこの樹を見る者は、三種の法忍を得る:一に音響忍、二に柔順忍、三に無生法忍。これ皆無量寿仏の威神力の故・本願力の故・満足願の故・明了願の故・堅固願の故・究竟願の故なり。」
佛告阿難:「世間帝王有百千音樂,自轉輪聖王乃至第六天上,伎樂音聲展轉相勝千億萬倍;第六天上萬種樂音,不如無量壽國諸七寶樹一種音聲千億倍也。亦有自然萬種伎樂,又其樂聲無非法音,清暢哀亮,微妙和雅,十方世界音聲之中最為第一。
仏は阿難に告げた。「世間の帝王には百千の音楽あり。転輪聖王より第六天上に至るまで、伎楽音声は展転相い勝ること千億万倍なり。第六天上の万種の楽音も、無量寿国の諸七宝樹の一種音声の千億倍に如かず。また自然の万種伎楽あり。またあの楽声は法音ならざるなく、清暢哀亮にして微妙和雅にして、十方世界の音声の中において最も第一なり。
「又,講堂、精舍、宮殿、樓觀皆七寶莊嚴,自然化成,復以真珠、明月摩尼眾寶以為交露,覆蓋其上。內、外、左、右有諸浴池,或十由旬,或二十、三十,乃至百千由旬,縱廣深淺各皆一等,八功德水湛然盈滿,清淨香潔味如甘露。黃金池者底白銀沙,白銀池者底黃金沙,水精池者底琉璃沙,琉璃池者底水精沙,珊瑚池者底琥珀沙,琥珀池者底珊瑚沙,車𤦲池者底瑪瑙沙,瑪瑙池者底車𤦲沙,白玉池者底紫金沙,紫金池者底白玉沙,或二寶、三寶乃至七寶轉共合成。其池岸上有栴檀樹,華葉垂布,香氣普燻。天優缽羅華、缽曇摩華、拘物頭華、分陀利華,雜色光茂彌覆水上。
「また、講堂・精舎・宮殿・楼観は皆七宝荘厳にして、自然化成し、また真珠・明月摩尼の衆宝をもって交絡の露帳と為し、その上に覆被す。内・外・左・右に諸の浴池あり、或いは十由旬、或いは二十・三十、乃至百千由旬。縦広深浅おのおの一等にして、八功徳水(清浄・清涼・甘美・軽軟・潤澤・安和・飢渇を除く・諸根を長養する)は湛然として盈満し、清浄香潔にして味は甘露のごとし。黄金の池の底は白銀の沙、白銀の池の底は黄金の沙、水精の池の底は瑠璃の沙、瑠璃の池の底は水精の沙、珊瑚の池の底は琥珀の沙、琥珀の池の底は珊瑚の沙、車磲の池の底は瑪瑙の沙、瑪瑙の池の底は車磲の沙、白玉の池の底は紫金の沙、紫金の池の底は白玉の沙。或いは二宝・三宝乃至七宝が転相共に合成す。池岸の上には栴檀樹あり、花葉垂布して、香気は普く熏開す。天の優鉢羅花・鉢曇摩花・拘物頭花・分陀利花、雑色光茂にして水の上に弥覆す。
「彼諸菩薩及聲聞眾若入寶池,意欲令水沒足,水即沒足;欲令至膝,即至於膝;欲令至腰,水即至腰;欲令至頸,水即至頸;欲令灌身,自然灌身;欲令還復,水輒還復。調和冷煖自然隨意,開神悅體蕩除心垢,清明澄潔淨若無形。寶沙映徹無深不照,微瀾迴流轉相灌注,安詳徐逝不遲不疾。波揚無量自然妙聲,隨其所應莫不聞者,或聞佛聲,或聞法聲,或聞僧聲,或寂靜聲、空無我聲、大慈悲聲、波羅蜜聲,或十力無畏不共法聲、諸通慧聲、無所作聲、不起滅聲、無生忍聲,乃至甘露灌頂眾妙法聲。如是等聲,稱其所聞歡喜無量,隨順清淨離欲寂滅真實之義、隨順三寶力無所畏不共之法、隨順通慧菩薩聲聞所行之道。無有三塗苦難之名,但有自然快樂之音,是故其國名曰極樂。
「それらの菩薩および声聞衆がもし宝池に入れば、心意に水に脚を没せしめんと欲すれば水は脚に没し、膝に至らしめんと欲すれば膝に至り、腰に至らしめんと欲すれば水は腰に至り、頸に至らしめんと欲すれば水は頸に至り、身に灌がしめんと欲すれば自然に身を灌ぎ、退還せしめんと欲すれば水は便ち退還す。冷暖を調和して自然に意に随い、精神を開暢し・身体を悦適し・心垢を蕩除して、清明澄潔にして浄きこと形なきがごとし。宝沙映徹して、深きも照らせざるなく、微瀾回流して転相灌注し、安詳徐逝して慢ならず快ならず。波浪は無量自然の妙声を揚げ、応ずる所に随って聞こえざるなく、或いは仏声を聞き、或いは法声を聞き、或いは僧声を聞き、或いは寂静声・空无我声・大慈悲声・波羅蜜声、或いは十力無畏不共法声・諸通慧声・無所作声・不起滅声・無生忍声、乃至甘露灌頂の衆妙法声を聞く。このごとき声は、聞く所に称して歓喜無量にして、清浄離欲寂滅真実の義に随順し、三宝力無所畏不共の法に随順し、通慧菩薩声聞の行ずる道に随順す。三塗苦難の名称なく、ただ自然快楽の音声あるのみ。ゆえにあの国の名は極楽という。
「阿難!彼佛國土諸往生者,具足如是清淨色身、諸妙音聲、神通功德,所處宮殿、衣服、飲食、眾妙華香莊嚴之具,猶第六天自然之物。若欲食時,七寶應器自然在前,金、銀、琉璃、車𤦲、瑪瑙、珊瑚、虎珀、明月真珠如是眾缽隨意而至,百味飲食自然盈滿。雖有此食實無食者,但見色、聞香,意以為食,自然飽足,身心柔軟,無所味著。事已化去,時至復現。
「阿難!あの仏国土の諸の往生する人は、このごとき清浄色身・諸妙音声・神通功徳を具足し、処する所の宮殿・衣服・飲食・衆妙花香荘厳の具は、第六天の自然の物のごとし。もし飯食せんと欲する時は、七宝の応器は自然に前にあり、金・銀・瑠璃・車磲・瑪瑙・珊瑚・琥珀・明月真珠、このごとき衆鉢は意に随って至り、百味の飲食は自然に盈満す。これらの食ありといえども実に食する者なく、ただ色を見・香を聞いて、心意は食したと為し、自然に飽足し、身心柔軟にして味着する所なし。事畢れば便ち化去し、時至れば再び出現す。
「彼佛國土清淨安隱,微妙快樂,次於無為泥洹之道。其諸聲聞、菩薩、人、天,智慧高明,神通洞達。咸同一類,形無異狀,但因順餘方,故有人、天之名。顏貌端正,超世希有,容色微妙,非天、非人,皆受自然虛無之身、無極之體。」
「あの仏国土は清浄安穏にして微妙快楽にして、無為泥洹の道に次ぐ。それらの声聞・菩薩・人・天は、智慧高明にして神通洞達す。皆同一類にして形体に異状なく、ただ余方に随順するがゆえに、ゆえに人・天の名称あり。顔貌端正にして超世希有にして、容色微妙にして、天にもあらず・人にもあらず、皆自然虚無の身・無極の体を受く。」
佛告阿難:「譬如世間貧窮乞人在帝王邊,形貌容狀寧可類乎?」
仏は阿難に告げた。「譬えば世間の貧窮乞児が帝王の側にあれば、形貌容状はいずれか類比すべきや。」
阿難白佛:「假令此人在帝王邊,羸陋醜惡無以為喻,百千萬億不可計倍。所以然者?貧窮乞人底極廝下,衣不蔽形,食趣支命,飢寒困苦,人理殆盡。皆坐前世不殖德本,積財不施、富有益慳,但欲唐得、貪求無厭,不信修善、犯惡山積。如是壽終,財寶消散,苦身積聚為之憂惱,於己無益,徒為他有。無善可怙,無德可恃,是故,死墮惡趣,受此長苦。罪畢得出生為下賤,愚鄙斯極示同人類。所以世間帝王人中獨尊,皆由宿世積德所致,慈惠博施,仁愛兼濟,履信修善,無所違諍。是以壽終,福應得昇善道,上生天上享茲福樂。積善餘慶今得為人,遇生王家自然尊貴,儀容端正眾所敬事,妙衣珍膳隨心服御。宿福所追,故能致此。」
阿難は仏に言った。「假使この人が帝王の側にあれば、羸陋醜悪にして比喻を作すものなく、百千万億不可計倍差あり。なぜか。貧窮乞児は卑極下賤にして、衣は形を蔽わず、食は活きるに足るのみ、飢寒困苦にして、人たるの理ほぼ尽く。皆前世に徳本を種植せず、財を積んで施さず、富めばますます慳吝にして、ただ白得せんと欲し、貪求厭くことを知らず、修善を信ぜず悪を犯して山のごとく積めるがゆえなり。このごとく寿終すれば、財宝消散し、身を苦しめ積聚したるもただそれがために憂悩し、おのれに益なく、徒に他人の所有と為る。善に憑るべくなく、徳に恃るべきなし。ゆえに死して後悪趣に堕して、この長苦を受く。罪畢りて出で得て下賤に生ずるも、愚鄙極まりて、ただ表面上人類に同じのみ。ゆえに世間の帝王は人中に独尊するも、皆宿世の積徳の致す所に由る——慈恵博施し、仁愛兼済し、信を履み善を修して、違諍する所なし。ゆえに寿終して、福応して善道に昇り、上って天上に生れてこれらの福楽を受く。善を積みたる余慶にいま人となることを得て、王家に遇生して自然尊貴にして、儀容端正にして衆人の敬事する所と為り、妙衣珍膳を心に随って服用す。宿福の追う所ゆえに、能くこれに致る。」
佛告阿難:「汝言是也。計如帝王,雖人中尊貴,形色端正,比之轉輪聖王,甚為鄙陋,猶彼乞人在帝王邊。轉輪聖王威相殊妙天下第一,比忉利天王,又復醜惡不得相喻萬億倍也。假令天帝比第六天王,百千億倍不相類也。設第六天王比無量壽佛國菩薩、聲聞,光顏容色不相及逮,百千萬億不可計倍。」
仏は阿難に告げた。「汝の言う所は然り。これを算するに帝王は人中に尊貴にして形色端正なりといえども、転輪聖王に比ぶれば甚だ鄙陋にして、あの乞児が帝王の側にあるがごとし。転輪聖王の威相殊妙にして天下第一なりといえども、忉利天王に比ぶれば、また再び醜悪にして比ぶべくもなく万億倍。假使天帝が第六天王に比ぶれば、百千億倍相類せず。設し第六天王が無量寿仏国の菩薩・声聞に比ぶれば、光顔容色は及ばず、百千万億不可計倍差あり。」
佛告阿難:「無量壽國其諸天人,衣服、飲食、華香、瓔珞、諸蓋幢幡、微妙音聲,所居舍宅、宮殿、樓閣,稱其形色、高下、大小,或一寶、二寶,乃至無量眾寶,隨意所欲,應念即至。又,以眾寶妙衣遍佈其地,一切人天踐之而行。無量寶網彌覆佛土,皆以金縷、真珠、百千雜寶、奇妙珍異莊嚴絞飾,周匝四面垂以寶鈴,光色晃曜盡極嚴麗。自然德風徐起微動,其風調和,不寒、不暑;溫涼柔軟,不遲、不疾;吹諸羅網及眾寶樹,演發無量微妙法音,流佈萬種溫雅德香。其有聞者,塵勞垢習自然不起,風觸其身皆得快樂,譬如比丘得滅盡三昧。
仏は阿難に告げた。「無量寿国のそれらの天人は、衣服・飲食・花香・瓔珞・諸蓋幢幡・微妙音声、住する所の舍宅・宮殿・楼閣は、その形色・高下・大小に称合し、或いは一宝・二宝、乃至無量衆宝、随意所欲にして応念即ち至る。また衆宝妙衣をもってその地に遍布し、一切人天は踏みて行く。無量の宝網は仏土に弥覆し、皆金縷・真珠・百千雑宝・奇妙珍異をもって荘厳絞飾し、周囲四面に宝鈴を垂れ、光色晃曜して尽極厳麗なり。自然の徳風は徐起微動し、その風は調和して、寒ならず・暑ならず、温涼柔軟にして、慢ならず・快ならず。諸の羅網および衆宝樹を吹動して、無量微妙の法音を演発し、万種の温雅徳香を流布す。もし聞く者あれば、塵労垢習は自然に起らず、風が身体に触れれば皆快楽を得ること、比丘が滅尽三昧を得るがごとし。
「又,風吹散華遍滿佛土,隨色次第而不雜亂,柔軟光澤馨香芬烈,足履其上陷下四寸,隨舉足已還復如故。華用已訖地輒開裂,以次化沒清淨無遺,隨其時節風吹散華,如是六反。
「また、風は散花を吹いて仏土に遍満し、色に随って次第にして雑乱せず、柔軟光沢にして馨香芬烈なり。脚をもってその上に蹈めば四寸に陥り、足を挙ぐれば便ち還復して故のごとし。花は用い尽きれば地は便ち開裂し、次いで化没して清浄にして遺すことなく、その時節に随いて風は散花を吹き、このごとく六回反覆す。
「又眾寶蓮華周滿世界,一一寶華百千億葉,其葉光明無量種色,青色青光,白色白光,玄、黃、朱、紫光色亦然,煒燁煥爛,明曜日月。一一華中出三十六百千億光;一一光中出三十六百千億佛,身色紫金,相好殊特;一一諸佛又放百千光明,普為十方說微妙法;如是諸佛各各安立無量眾生於佛正道。」
「また衆宝蓮花が世界に周満す。一一の宝花は百千亿の葉あり、葉の光明は無量種の色あり、青色青光・白色白光、玄・黄・朱・紫の光色もまたこのごとく、煒燁焕爛にして日月を明曜す。一一の花の中より三十六百千亿の光を出ず。一一の光の中より三十六百千亿の仏を出で、身色は紫金にして相好殊特なり。一一の諸仏はまた百千の光明を放ち、普く十方のために微妙法を説く。このごとき諸仏はおのおの無量の衆生を仏の正道に安立す。」
無量壽經捲上
無量寿経 巻上
