仏説無量寿経 巻下
「彼國人民有胎生者,汝復見不?」
「あの国土の人民に胎生あるを、汝また見たりや。」
對曰:「已見。」
答えて言った。「すでに見ました。」
「其胎生者所處宮殿,或百由旬或五百由旬,各於其中受諸快樂,如忉利天,亦皆自然。」
「それらの胎生の人の処する所の宮殿は、或いは百由旬或いは五百由旬にして、おのおのその中において諸の快楽を受くること、忉利天のごとく、皆自然なり。」
爾時,慈氏菩薩白佛言:「世尊!何因何緣彼國人民胎生化生?」
その時、慈氏菩薩は仏に言った。「世尊!何の因何の縁によりてか、あの国土の人民に胎生あり・化生あるのですか。」
佛告慈氏:「若有眾生以疑惑心修諸功德,願生彼國,不了佛智、不思議智、不可稱智、大乘廣智、無等無倫最上勝智,於此諸智疑惑不信;然猶信罪福,修習善本,願生其國。此諸眾生生彼宮殿,壽五百歲,常不見佛、不聞經法、不見菩薩聲聞聖眾,是故於彼國土謂之胎生。若有眾生明信佛智乃至勝智,作諸功德信心迴向,此諸眾生於七寶華中自然化生,加趺而坐,須臾之頃,身相光明,智慧功德如諸菩薩具足成就。
仏は慈氏に告げた。「もし衆生が疑惑の心をもって諸の功徳を修してあの国土に生れんと願うも、仏智・不思議智・不可称智・大乗広智・無等無倫最上勝智を了せず、これらの諸智を疑惑して信ぜず。しかるにまた罪福を信じ、善本を修習してその国に生れんと願う。これらの衆生はそれらの宮殿に生じて、寿五百歳にして、つねに仏を見ず・経法を聞かず・菩薩声聞の聖衆を見ず。ゆえにあの国土において胎生という。もし衆生が明らかに仏智乃至勝智を信じ、諸の功徳を作して信心をもって回向せば、これらの衆生は七宝花の中において自然化生し、結跏趺坐して、須臾の間に、身相光明にして、智慧功徳は諸菩薩のごとく具足成就す。
「復次,慈氏!他方諸大菩薩發心欲見無量壽佛,恭敬供養及諸菩薩聲聞之眾。彼菩薩等命終得生無量壽國,於七寶華中自然化生。彌勒當知,彼化生者智慧勝故。其胎生者皆無智慧,於五百歲中常不見佛、不聞經法、不見菩薩諸聲聞眾,無由供養於佛、不知菩薩法式、不得修習功德,當知此人宿世之時無有智慧,疑惑所致。」
「また説く、慈氏!他方の諸大菩薩は心を発して無量寿仏を見んと欲し、恭敬供養しておよび諸菩薩声聞の衆を見んとす。それらの菩薩等は命終して無量寿国に生ずることを得、七宝花の中において自然化生す。弥勒まさに知るべし。それらの化生する者は智慧勝れるがゆえなり。それらの胎生する者は皆智慧なく、五百歳の中につねに仏を見ず・経法を聞かず・菩薩諸声聞衆を見ず、仏を供養する由なく・菩薩の法式を知らず・功徳を修習するを得ず。まさに知るべし——これらの人は宿世の時に智慧なし、疑惑の致す所なり。」
佛告彌勒:「譬如轉輪聖王別有宮室,七寶莊飾,張設床帳,懸諸繒幡。若有諸小王子得罪於王,輒內彼宮中,繫以金鎖,供給飲食、衣服、床蓐、華香、伎樂,如轉輪王無所乏少。於意云何?此諸王子寧樂彼處不?」
仏は弥勒に告げた。「譬えば転輪聖王が別に宮室あって、七宝にして荘飾し、床帳を張設し、諸の繒幡を懸ける。もし諸の小王子が王に得罪せば、便ちあの宮中に納れ、金鎖をもって繫ぎ、飲食・衣服・床蓐・花香・伎楽を供給して、転輪王のごとく缺少する所なし。汝はどう思う。これらの王子はあの処所を楽むや。」
對曰:「不也,但種種方便求諸大力欲自勉出。」
答えて言った。「楽みません。ただ種々の方便をもって諸の大力を求めてみずから勉力して出でんと欲すのみ。」
佛告彌勒:「此諸眾生亦復如是。以疑惑佛智生彼宮殿,無有刑罰乃至一念惡事,但於五百歲中不見三寶,不得供養修諸善本。以此為苦,雖有餘樂猶不樂彼處。若此眾生識其本罪,深自悔責求離彼處,即得如意,往詣無量壽佛所恭敬供養,亦得遍至無量無數諸如來所修諸功德。彌勒當知,其有菩薩生疑惑者,為失大利。是故,應當明信諸佛無上智慧。」
仏は弥勒に告げた。「これらの衆生もまたこのごとし。仏智を疑惑してそれらの宮殿に生ずるに因りて、刑罰あることなく乃至一念の悪事もなし。ただ五百歳の中に三宝を見ず、供養して諸善本を修するを得ざるのみ。これをもって苦と為して、余の楽ありといえどもなおあの処所を楽まず。もしこれらの衆生がおのが本罪を認識し、深くみずから悔責してあの処所を離れんと求めれば、即ち如意を得、無量寿仏のところに往きて恭敬供養し、また能く遍く無量无数の諸如来のところに至りて諸の功徳を修す。弥勒まさに知るべし。もし菩薩に疑惑を生ずる者は、これ大利益を失うなり。ゆえに、まさに明らかに諸仏の無上智慧を信ずべし。」
彌勒菩薩白佛言:「世尊!於此世界有幾所不退菩薩生彼佛國?」
弥勒菩薩は仏に言った。「世尊!この世界においてどれほどの不退菩薩があの仏国に往生しますか。」
佛告彌勒:「於此世界有六十七億不退菩薩往生彼國。一一菩薩已曾供養無數諸佛,次如彌勒者也;諸小行菩薩及修習少功德者不可稱計,皆當往生。」
仏は弥勒に告げた。「この世界において六十七億の不退菩薩があの国土に往生せん。一一の菩薩はすでに无数の諸仏を供養したり、弥勒のごとき人に次ぐ。諸の小行菩薩および少功徳を修習する者は称計すべからず、皆まさに往生すべし。」
佛告彌勒:「不但我剎諸菩薩等往生彼國,他方佛土亦復如是。其第一佛名曰遠照,彼有百八十億菩薩皆當往生。其第二佛名曰寶藏,彼有九十億菩薩皆當往生。其第三佛名曰無量音,彼有二百二十億菩薩皆當往生。其第四佛名曰甘露味,彼有二百五十億菩薩皆當往生。其第五佛名曰龍勝,彼有十四億菩薩皆當往生。其第六佛名曰勝力,彼有萬四千菩薩皆當往生。其第七佛名曰師子,彼有五百億菩薩皆當往生。其第八佛名曰離垢光,彼有八十億菩薩皆當往生。其第九佛名曰德首,彼有六十億菩薩皆當往生。其第十佛名曰妙德山,彼有六十億菩薩皆當往生。其第十一佛名曰人王,彼有十億菩薩皆當往生。其第十二佛名曰無上華,彼有無數不可稱計諸菩薩眾——皆不退轉,智慧勇猛,已曾供養無量諸佛,於七日中即能攝取百千億劫大士所修堅固之法——斯等菩薩皆當往生。其第十三佛名曰無畏,彼有七百九十億大菩薩眾、諸小菩薩及比丘等不可稱計皆當往生。」
仏は弥勒に告げた。「ただわが刹の諸菩薩等のみあの国土に往生するにあらず、他方の仏土もまたこのごとし。その中の第一の仏は名を遠照といい、そこに百八十億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第二の仏は名を宝蔵といい、そこに九十億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第三の仏は名を無量音といい、そこに二百二十億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第四の仏は名を甘露味といい、そこに二百五十億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第五の仏は名を竜勝といい、そこに十四億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第六の仏は名を勝力といい、そこに万四千の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第七の仏は名を師子といい、そこに五百億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第八の仏は名を離垢光といい、そこに八十億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第九の仏は名を徳首といい、そこに六十億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第十の仏は名を妙徳山といい、そこに六十億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第十一の仏は名を人王といい、そこに十億の菩薩ありて皆まさに往生すべし。その中の第十二の仏は名を無上華といい、そこに无数不可称計の諸菩薩衆あり——皆不退転にして、智慧勇猛にして、すでに無量の諸仏を供養し、七日の中において即ち百千亿劫の大士の修する所の堅固の法を摂取し能くす——これらの菩薩は皆まさに往生すべし。その中の第十三の仏は名を無畏といい、そこに七百九十億の大菩薩衆・諸小菩薩および比丘等は称計すべからず皆まさに往生すべし。」
佛語彌勒:「不但此十四佛國中諸菩薩等當往生也,十方世界無量佛國其往生者亦復如是,甚多無數。我但說十方諸佛名號及菩薩、比丘生彼國者,晝夜一劫尚未能竟,我今為汝略說之耳。」
仏は弥勒に言った。「ただこれ十四仏国の中の諸菩薩等のみまさに往生すべきにあらず、十方世界の無量の仏国に往生するもまたこのごとく、甚だ多く无数なり。わたしはただ十方の諸仏の名号および菩薩・比丘があの国土に生ずるを説くに、昼夜一劫もなお畢る能わず。わたしいま汝のために略説するのみ。」
佛語彌勒:「其有得聞彼佛名號,歡喜踴躍,乃至一念,當知此人為得大利,則是具足無上功德。是故,彌勒!設有大火充滿三千大千世界,要當過此。聞是經法,歡喜信樂,受持讀誦,如說修行。所以者何?多有菩薩欲聞此經而不能得。若有眾生聞此經者,於無上道終不退轉,是故應當專心信受持誦說行。吾今為諸眾生說此經法,令見無量壽佛及其國土一切所有,所當為者皆可求之,無得以我滅度之後復生疑惑。當來之世經道滅盡,我以慈悲哀愍特留此經止住百歲,其有眾生值斯經者,隨意所願皆可得度。」
仏は弥勒に言った。「もしあの仏の名号を聞くことを得て、歓喜踊躍して、乃至一念せん者は、まさに知るべし——この人は大利益を得たり、便ち無上功徳を具足せり。ゆえに、弥勒!たとえ大火が三千大千世界に充満するも、必ず過ぎて、この経法を聴き、歓喜信楽し、受持読誦し、説くごとく修行すべし。なぜか。多くの菩薩はこの経を聴かんと欲して得る能わざるなり。もし衆生がこの経を聞く者は、無上道において終に退転せず。ゆえにまさに専心に信受持誦説行すべし。わたしいま諸衆生のためにこの経法を説いて、彼らをして無量寿仏およびその国土の一切所有を見せしむ。作すべき所は皆求め得べし。わが滅度した後に再び疑惑を生ずること得べからず。当来の世に経道滅尽せば、わたしは慈悲哀愍をもって特にこの経を留めて百歳止住せしむ。もし衆生がこの経に値遇する者は、意の願うに随って皆度を得べし。」
佛語彌勒:「如來興世難值難見、諸佛經道難得難聞;菩薩勝法諸波羅蜜得聞亦難;遇善知識、聞法能行此亦為難;若聞斯經信樂受持,難中之難無過此難。是故我法,如是作、如是說、如是教,應當信順,如法修行。」
仏は弥勒に言った。「如来の世に興るは値い難く見難し、諸仏の経道は得難く聞難し。菩薩の勝法・諸波羅蜜は聞くことを得るも難し。善知識に遇い・法を聞いて能く行ずるもこれ難し。もしこの経を聞いて信楽受持すれば、難中の難にしてこの難に過ぐるなし。ゆえにわが法は、このごとく作し・このごとく説き・このごとく教う。まさに信順して、法のごとく修行すべし。」
爾時,世尊說此經法,無量眾生皆發無上正覺之心,萬二千那由他人得清淨法眼,二十二億諸天人民得阿那含,八十萬比丘漏盡意解,四十億菩薩得不退轉,以弘誓功德而自莊嚴,於將來世當成正覺。爾時,三千大千世界六種震動,大光普照十方國土,百千音樂自然而作,無量妙華芬芬而降。
その時、世尊がこの経法を説くに、無量の衆生は皆無上正覚の心を発し、万二千那由他の人は清浄法眼を得、二十二億の諸天人民は阿那含(不還果、再び欲界に受生せざる)を得、八十万の比丘は漏尽意解し、四十億の菩薩は不退転を得、弘誓功徳をもってみずからを荘厳して、将来世においてまさに正覚を成らんとす。その時、三千大千世界の大地は六種に震動し、大光は普く十方国土を照らし、百千の音楽は自然に作り、無量の妙花は紛紛として降下せり。
佛說經已,彌勒菩薩及十方來諸菩薩眾,長老阿難、諸大聲聞,一切大眾,聞佛所說靡不歡喜。
仏が経を説き畢りて、弥勒菩薩および十方より来たる諸菩薩衆、長老阿難・諸大声聞・一切大衆は、仏の説きたるを聞いて歓喜せざるなし。
無量壽經卷下
無量寿経 巻下
