一中一下・敬愼卦
一中一下。敬慎卦,昭德之象。二陽下升,乾天西北。象曰:昭德塞違,事在順機,賢人慎始,君子防微。詩曰:別有河沙路,休隨女子游,莫嗟多蹇滯,得意便風流。又:安居防危,涉險防欹,毋怠毋忽,慎始得宜。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に一枚・下棋に一枚現れ、名を「敬愼」と言い、德行を彰顯するを主とし、兩處の陽氣下より上昇す、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞《左傳・桓公二年》の「德を昭にし違を塞く」の話を用う:美德を彰明し邪僻を堵住し、事を做する關鍵時機に順應するに在り、賢人開端に謹愼し、君子細微に提防す。詩辞に言います。另に一條恒河沙數の如き大路走る可き有り、女子に跟隨して游蕩に去る毋れ、亦た蹇滯多しを感歎する毋れ、一旦得意なれば便ち自ら風流ならん。附詩其の義を申說す:安居の時危險を防ぎ、險を渉るの時傾側を防ぎ、懈怠せず疏忽せず、開頭謹愼なれば便ち一切合宜なり。
一中二下・帝道卦
一中二下。帝道卦,德至之象。陰陽相通,艮山東北。象曰:天地同功,陰陽相通,事業廣大,從西至東,行來去處,難蹈其蹤。詩曰:女子門前立,終然好事來,從今無險阻,享福莫疑猜。又:道大德至,功不可量,君子進用,小人退藏。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に一枚・下棋に二枚現れ、名を「帝道」と言い、德行極致に到達するを主とし、陰陽二氣互相貫通す、艮卦に配し、方位は東北に在り。象辞に言います。天と地と同に功業を建し、陰と陽と彼此貫通し、事業因而廣大、西より一直に東に貫到り、來往行止の蹤迹廣遠、別人追蹑し難し。詩辞に言います。女子有りて門前に立つ、終に好事到來有らん、今より往後險阻無し、儘管福を享けて猜疑する毋れ。附詩又た言います。道大にして德至り、功業限量す可からず、君子進用を得、小人只だ得て退避藏匿す。
一中三下・不定卦
一中三下。不定卦,狐疑之象。眾陽趨競,乾天西北。象曰:狐疑猶豫,意中不定,進不可希,退宜從正。詩曰:暗事出幽室,迷雲鎖洞房,連枝人不見,獨自一愁傷。又:岐多忘所向,天闊地無蹤,進止君須慎,安身獨守窮。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に一枚・下棋に三枚現れ、名を「不定」と言い、狐疑不決を主とし、衆陽の氣競りて奔趨す、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。心中狐疑猶豫し主意を拿定し得ず、前進已に指望す可き無く、退回來て倒れて正道を守住す可し。詩辞に言います。暗昧の事幽深の內室より出で、迷茫の雲霧洞房を鎖住し、同枝連理の人蹤影を見ず、只だ自己獨自愁傷を剩す。附詩《列子・說符》の楊朱歧路羊を亡うの意を借る:岔路太多ければ便ち往かんとする方向を忘れ、天空遼闊・地上蹤無し、進退の間汝須らく謹愼すべく、身を安ずるの道獨自清貧を守るに在り。
一中四下・邪佞卦
一中四下。邪佞卦,積惡之象。群陰克陽,艮山東北。象曰:違天背君,不順倫理,放恣邪佞,人皆切齒。詩曰:望斷行人事漸虛,相逢陌上卻成疏,當時許就平生計,等到如今不見渠。又:奸邪蔽上,禍及善良,背道逆理,下民怨望,小人得志,君子遁藏。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に一枚・下棋に四枚現れ、名を「邪佞」と言い、惡行積累を主とし、衆陰の氣陽氣を克伐す、艮卦に配し、方位は東北に在り。象辞に言います。天理に違背し君主を背棄し、倫常の理を遵わず、邪僻諂佞の行を放縱し、人人恨みて牙を咬む。詩辞占者の一方より說く:眼を望みて穿たんと欲して行人を等ち、事情漸漸落空す、即便路上相逢するも、已に疏遠なり、當年一生の計劃を成全せんと許諾せしに、今日を等ちて人影連れ亦た見着かず。附詩又た言います。奸邪上位を蒙蔽し、禍害善良に殃及し、道を背き理に逆い、下民怨恨し、小人志を得、君子只だ得て隱遁躲藏す。
二中一下・愼悔卦
二中一下。慎悔卦,顛錯之象。陰陽錯位,震雷正東。象曰:上下反錯,事皆失宜,東西乖異,不相追隨。詩曰:天事轉既危,人心亦自欺,察言防不義,進退慎其為。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に二枚・下棋に一枚現れ、名を「愼悔」と言い、顚倒錯亂を主とし、陰陽兩氣各々錯位す、震卦に配し、方位は正東に在り。象辞に言います。上下位置反り錯えり、事を做す皆合宜せず、東邊西邊彼此乖違し、誰も誰に跟隨せ肯んぜず。詩辞に言います。天時の事已に危險に轉向し、人心も亦た自ら欺き人を欺き、此の時須らく別人の言語を審察し、其中不義の成分を提防し、一進一退皆愼重に行事すべし。卦名「愼悔」の意思是れ:謹愼なれば則ち以て悔を少なうす可く、不愼なれば則ち悔いるに及ぶ無し。
二中二下・宜初卦
二中二下。宜初卦,防後之象。純陰缺陽,坤地西南。象曰:深思遠念,居實慮危,今雖無患,終必傾虧,行常正道,慎勿作欺。詩曰:莫言小事只如親,卻恐因循事轉難,不戒履霜馴至覆,堅冰恐失致傷殘。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に二枚・下棋に二枚現れ、名を「宜初」と言い、開始に謀りて日後を防備するに宜しきを主とし、純陰の氣にして陽を缺く、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。深思遠慮す要あり、安穩に處る時も亦た危險を想到す要あり、如今雖も禍患無しと雖も、最終必定虧損傾覆し、故に常に正道を行い、切に弄虚作假する毋れ。詩辞《周易・坤卦》初六の「霜を履めば堅冰至る」を引いて戒と為す:小事就中家常の如く隨便と為すを以てする毋れ、只だ怕らくは因循し下去れば事情愈々難辦ならん、霜を踏む時に警戒せざれば、便ち一步步傾覆に走到し、堅冰結成を等てば、恐らくは失足して傷殘を致さん。
二中三下・福會卦
二中三下。福會卦,敬慎之象。三陽助陰,震雷正東。象曰:德禳不樣,敬慎宜遵,今雖隱約,福祿自臻。詩曰:鵰鶚當秋勢轉雄,乘風奮翼到蟾宮,榮華若問時來事,先後聲名達九重。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に二枚・下棋に三枚現れ、名を「福會」と言い、福氣會聚を主とし、三股の陽氣陰氣を扶助す、震卦に配し、方位は正東に在り。象辞に言います。德行を以て不祥を穰除す(原文「樣」は「祥」の訛)、恭敬謹愼の道理應に遵守す可し、眼下境況雖も困頓隱微なれど、福禄自ら到來せん。詩辞人を秋日の雕と鶚とに比作す:秋に入りて後氣勢雄に轉じ、風に乘り翅を振って直に月宮に上る、若し榮華何時に到來せんかを問わば、前後相繼いで、聲名終に九重宮闕に上達せん。此卦の福は是れ僥倖に得るに非ず、是れ敬愼修德の感召する所なり。
二中四下・陰賊卦
二中四下。陰賊卦,後凶之象。陰盛失陽,坤地西南。象曰:陰賊逆謀,不利後代,今雖適意,後亦不泰。詩曰:一枝花欲發,卻值雨和風,雲散多青黑,悉消福祿空。又:險陰虧福,勢不可久,禍起一身,空貽於後。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に二枚・下棋に四枚現れ、名を「陰賊」と言い、日後凶有るを主とし、陰氣太盛にして陽氣を失去す、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。暗中殘害し不軌を圖謀し、後代に對して利あらず、眼下雖も事事心に稱うも、日後も亦た安泰ならざらん。詩辞に言います。一枝の花正に開放せんとするに、偏偏風雨に遇上り、雲雖も散去るも、天色仍お多く青黑、福禄全く消耗して空と成る。附詩道理を說透す:陰險の行は福分を虧損し、此の樣の勢頭長久する能わず、禍端自身一人に起り、白白に後人に留與して承受せしむ。此卦の戒むるは是れ陰謀を以て利を取るなり。
三中一下・福利卦
三中一下。福利卦,元亨之象。二陽主事,乾天西北。象曰:出門逢福,與善相得,明珠夜照,使我不惑。詩曰:運達功名至,皇恩忽到家,幾年桃李樹,春發滿園花。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に三枚・下棋に一枚現れ、名を「福利」と言い、《周易》乾卦の「元亨」の義を取り、大通を主とし、兩處の陽氣事務を主持す、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。一たび門を出れば便ち福氣に遇上り、善人善事と相投合し、又た明珠有りて夜裏照明し、我をして迷惑せしめず。詩辞に言います。時運通達し、功名之に隨いて來り、皇家の恩典忽然家に到る、栽えし幾年の桃李樹、一たび春に到れば滿園開花す。此卦の主とする所は是れ水到して渠成るの福、凡そ名を求め・賞を受け・遷轉を問うに、皆應驗を得ん。
三中二下・福祥卦
三中二下。福祥卦,安泰之象。陰陽各安,艮山東北。象曰:天消地息,賢人安職,行藏昌吉,有利無極。詩曰:貌貅寶馬自駢闐,驚起湖山白晝眠,千里悠然無阻礙,碧波勞草正連天。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に三枚・下棋に二枚現れ、名を「福祥」と言い、安穩通泰を主とし、陰陽各々自ら本位に安んず、艮卦に配し、方位は東北に在り。象辞に言います。天上の災氣消散し地上の變異平息し、賢人職守に安んじ、出仕と退隱と論ぜず皆昌盛吉利、利益無窮無盡なり。詩辞一派の盛況を寫す:貔貅の如き猛獸と寶馬と群を成し擁集す(原文「貌貅」は「貔貅」の訛)、湖山白晝の酣眠を驚起し、千里の内悠然として阻無く、碧波と芳草と一直に天邊に連なりて(原文「勞草」は「芳草」の訛)。
三中三下・攸敘卦
三中三下。攸敘卦,保寧之象。二陽純剛,乾天西北。象曰:鳳凰銜珠,來集庭隅,福為我致,禍為我除。詩曰:瑞物慶駢臻,光華五色新,天恩今日到,福祿在斯人。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に三枚・下棋に三枚現れ、名を「攸敘」と言い、語《尚書・洪範》の「彝倫攸敘」に出で、倫常法度各々其の序を得るを指し、保全安寧を主とし、兩處の陽氣純に剛健、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。鳳凰寶珠を銜えて飛來り、庭院の一角に停まり、我の為に福氣を招來し我の為に災禍を除去す。詩辞に言います。祥瑞の物と喜慶の事と接連して竝び至り、五彩光華煥然一新し、上天の恩澤今日就中到り、福と禄と皆此の一個の人の身上に落つ。此卦家宅・身命を占うに、皆安穩にして餘慶有るを主とす。
三中四下・否傾卦
三中四下。否傾卦,任賢之象。三陽伏明,艮山東北。象曰:君子抗衡,小人低軀,明君治世,分別紫朱。詩曰:枯木春將近,山川秀氣盈,門前雙鵲噪,喜報利名成。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に三枚・下棋に四枚現れ、名を「否傾」と言い、閉塞の局將に傾覆して轉機せんとするを指し、賢才を任用するを主とし、三股の陽氣光明を潛伏す、艮卦に配し、方位は東北に在り。象辞に言います。君子身を挺して之と抗衡し、小人便ち頭を低め身を屈し、賢明の君主天下を治理して、《論語・陽貨》の說く所の紫色と朱色とを辨別するが如く、似是而非の人を分淸する能し。詩辞に言います。枯木將に春天を等當せんとし、山川の間秀氣充盈し、門前一對の喜鵲叫び停まらず、名利成就の喜訊を報來す。此卦是れ否より泰に轉ずるの兆なり。
四中一下・未形卦
四中一下。未形卦,龍升之象。獨陽升陰,震雷正東。象曰:潛龍將升,元雲上起,天下蒙祉,先否後喜。詩曰:缺月復重圓,花枝色更鮮,桃源歸去路,一日遇神仙。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に四枚・下棋に一枚現れ、名を「未形」と言い、事機未だ成形せずして龍已に將に昇らんとするを指し、孤獨の陽氣上昇して陰に入る、震卦に配し、方位は正東に在り。象辞に言います。潛藏の龍將に騰起せんとし、玄雲下より上に涌動し、天下將に福祉を蒙受せんとし、先ず閉塞有り、後に歡喜を見ん。詩辞に言います。殘缺の月亮重ねて圓滿し、花枝の顏色更に鮮妍なり、歸往桃花源の路を走上り、一朝有りて神仙に遇見せん。此卦謀事を占うに、目下未だ形迹を見ずして機已に動くを主とし、宜しく靜候して宜しく催逼す可からず。
四中二下・蕩復卦
四中二下。蕩復卦,降災之象。純陰無應,坤地西南。象曰:天龍暴怒,雷公擊鼓,興雲致雨,流潦下土。詩曰:斟酌樽中酒,徘徊檻外花,一場歡宴地,不覺夕陽斜。又:日暝暝兮,水橫流兮,稼穡害兮,魚鱉遊兮,陽曷霽兮,德不修兮。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に四枚・下棋に二枚現れ、名を「蕩復」と言い、上天災を降して蕩滌反復するを主とし、純陰の氣相應無し、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。天上の龍暴怒し、雷公鼓を擊起し、雲氣を興して大雨を招來し、積水地面に漫流す。詩辞看似閑適:杯中の酒を斟り、欄杆外の花間に徘徊し、一場歡宴の地、知らず知らず夕陽西に斜む——歡樂將に盡きんとす、正に是れ災至の前の光景なり。附詩六句連用「兮」の字追問す:天色昏暗・大水橫流・莊稼害を受く・魚鱉田裏に游進す、陽光何れの時纔か放晴せんや、只だ因りて德行修好せざるに在り。
四中三下・避世卦
四中三下。避世卦,遠遁之象。以陰凌陽,震雷正東。象曰:小人得志,君子失道,去我室廬,入彼澤草。詩曰:口舌向門來,身中且滯災,人前防暗箭,第一恐傷財。又:鑾駕離丹陛,燕雀傳青霄,奸臣尤竊位,賢士利伏逃。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に四枚・下棋に三枚現れ、名を「避世」と言い、遠く遁隱するを主とし、陰氣を以て陽氣を欺凌す、震卦に配し、方位は正東に在り。象辞に言います。小人志を得、君子出路を失去し、只だ得て自己の屋舍を離開し、草澤の中に退入す。詩辞に言います。口舌是非門に找上り來り、身上還って災厄を滯留し、人前に於て暗箭を提防し、最も要緊なるは是れ破財を怕る。附詩又た言います。天子の車駕已に丹墀を離開し、燕雀卻って青霄の間に響を傳え、奸臣愈々竊りて高位に據り、賢士只だ宜しく隱伏逃避すべし。此卦《周易・遯卦》と意を同じくす:是れ怯懦に非ず、是れ時を識るなり。
四中四下・鬼動卦
四中四下。鬼動卦,用術之象。二陰克戰,坤地西南。象曰:兩鬼共居,常苦飢虛,欲入我戶,畏此靈符。詩曰:暗地重陰鬼,將貽疾病優,縱然符可御,也自被驚愁。
此卦は上棋一枚も現れず、中棋に四枚・下棋に四枚現れ、名を「鬼動」と言い、須らく符法の術を動用す可きを主とし、兩股の陰氣交争克伐す、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。兩個の餓鬼有りて一處に同住し、常に饑餓空虛に苦しみ、我が家門に進入せんと欲すれど、卻って門上此の一道の靈符を畏懼す。詩辞に言います。暗處重重の陰氣化して鬼祟と為り、將に疾病憂患を帶來せんとす(原文「優」は「憂」の訛)、縱い符籙以て抵御す可しと雖も、自己也一場の驚嚇憂愁を免る能わず。此卦病・祟を占うに宜しく穰解を用う可し、但し全く符法に指望する能わず。
一上一下・微損卦
一上一下。微損卦,求安之象。二陽相隔,乾天西北。象曰:登樹采桑,墮地僕僵,東鄰有藥,走往問方,因遇良醫,得不損傷。詩曰:欲履平途反遇難,若求名利不如閒,憂中喜遇良醫手,留得殘生在世間。
此卦は上棋に一枚・下棋に一枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「微損」と言い、略々損傷有りて終に安を求むるを主とし、兩處の陽氣隔開せらる、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞一段の小事故を講く:樹に爬上りて桑葉を采り、地上に摔りて僵臥して起きず、東邊の隣居家藥有り、趕去して藥方を請教し、因而良醫に遇上り、纔か傷損を落下せず。詩辞に言います。平坦の路を走らんと想えど反って災難に遇上り、若し名利を求取せば還って閑居するに如かず、憂患の中喜んで良醫の手を得、纔か殘生を留して世上に活かん。此卦驚有り損有り、但し救有り、故に名づけて「微」と曰す。
一上二下・粗諧卦
一上二下。粗諧卦,終泰之象。陰陽得位,艮山東北。象曰:如新娶婦,居家未諧,黽勉自力,嗣姓方續。詩曰:誰家女子把戈矛,利祿須知向此求,到得徹頭終快活,不妨歡愛且優遊。
此卦は上棋に一枚・下棋に二枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「粗諧」と言い、勉强和諧して最終安泰を指し、陰陽各々其の位を得、艮卦に配し、方位は東北に在り。象辞に言います。比するに剛めて娶り進むの媳婦の如く、家に居り日を過ぐること一時にして還って合來せず、只だ各々勉力すれば、子嗣姓氏纔か接續し下去るを得。詩辞に言います。誰家の女子か戈矛を手執るを知らず、利禄の事須らく知るべし正に向いて此處に求取せんとす、頭に熬到して終に快活に歸す、不打算且く歡愛を享け從容自在せん。此卦先難後易、婚姻・合伙を占うに皆煩に耐うに宜しく、半途に於て手を放すに宜からず。
一上三下・不耕卦
一上三下。不耕卦,中虛之象。二陽相隔,乾天西北。象曰:土急石堅,仰頭訴天,耒耜不舉,禾稼缺然。詩曰:有約還如夢,無緣事少成,故人應不遇,千里月空明。
此卦は上棋に一枚・下棋に三枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「不耕」と言い、中間空虛を主とし、兩處の陽氣隔開せらる、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。土地板結・石頭堅硬、只だ得て頭を仰げて天に向いて苦を訴し、農具擧起す能わず、莊稼因而歉缺す。此れ是れ條件本身耕作を容れずを說く、人力の勤ならざるに非ず。詩辞に言います。定下の約會還って一場の夢の如く、緣分無ければ則ち成事少なし、老友大概是れ遇上る能わず、千里之外只だ明月の空しく照るを見る。此卦約會・合作を占うに、皆落空を主とす。
一上四下・鬼災勢
一上四下。鬼災勢,虛耗之象。陰陽相隔,艮山東北。象曰:家有惡鬼,兩相對坐,伺候過失,斷水絕火,天地神祗,專察人過。詩曰:空宅久埋塵,遷居每致□□,只緣人命蹇,陰禍自纏身。
此卦は上棋に一枚・下棋に四枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「鬼災」(原文「勢」は「卦」の訛)、耗散虛空を主とし、陰陽彼此隔絶す、艮卦に配し、方位は東北に在り。象辞に言います。家裏惡鬼有り、兩兩相對して坐し、主人の過失を窺伺し、水を斷ち火を絕つ、天地間の神祇、本就中專ら人の過錯を稽察す。詩辞に言います。空屋久しく已に灰塵を積滿し、每次遷居皆招致す(此の下二字殘缺、「□」を以て疑を存す)、只だ因りて人の命途蹇滯なれば、暗中の禍患自ら身に纏わん。此卦家宅を占えば財を耗すを主とし、身命を占えば暗損を主とす。
二上一下・空亡卦
二上一下。空亡卦,缺望之象。陰陽反覆,震雷正東。象曰:入水伐木,登山捕魚,損工失力,手空口虛。詩曰:寶月盈時缺,長河濁且清,縱然無咎害,也恐惹虛驚。
此卦は上棋に二枚・下棋に一枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「空亡」と言い、指望落空を主とし、陰陽二氣反復顚倒す、震卦に配し、方位は正東に在り。象辞に言います。水裏に下りて樹を砍り、山上に爬して魚を捉う、方向全然反に弄し、工夫を白費し氣力を白搭し、落得兩手空空・口中食無し。詩辞に言います。明月盈滿の時便ち虧に轉ず要あり、長河時濁時清、即使災咎禍害を招來するに至らずとも、亦た一場の虚驚を惹上るを免れ難し。此卦謀望・求財を占うに、一概に勞して得無きを主とし、宜しく及早に弦を改め張を更う可し。
二上二下・不諧卦
二上二下。不諧卦,不成之象。二陰不合,坤地西南。象曰:兩女無大,鬥爭各居,出入異路,分別室廬。詩曰:彩雲飛散水東流,寂寞黃昏事可愁,縱使目前無一事,也須煩惱到中秋。
此卦は上棋に二枚・下棋に二枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「不諧」と言い、事成らざるを主とし、兩股の陰氣一處に合せず、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。兩個の女子尊長を分たず、争鬥の後各々一邊に住し、進出各々各の路を走り、屋舍連れ亦た分開せり。此れ是れ二陰同性相斥の意を取る。詩辞に言います。彩雲飛散・流水東に去り、寂寞の黃昏事事愁ず可し、縱使眼前一件事も無しと雖も、煩惱も亦た一直に中秋に到るまで牽延せん。凡そ合伙・婚姻・講和を占うに、此卦を得れば皆合せず。
二上三下・習坎卦
二上三下。習坎卦,虛勞之象。孤陽失位,震雷正東。象曰:二人相隨,欲行避危,逢難落井,筋力無施。詩曰:門戶自多煎,陰功好向前,交加文字上,花發火中蓮。又:事巳防微,反遭其危,如行入阱,如動發機,禍不可解,福不可祈。
此卦は上棋に二枚・下棋に三枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「習坎」と言い、《周易・坎卦》の「習坎、重險也」の意を取り、氣力を白費するを主とし、孤單の陽氣本位を失去す、震卦に配し、方位は正東に在り。象辞に言います。兩人結伴同行し、本想危險を躲開せんと、卻って災難に遇上り井裏に掉進し、一身筋骨氣力全く使上らず。詩辞に言います。家門の内自ら煎熬多し、多く陰德を積んで纔か前に向かうに好し、文書官司に牽連到れば、便ち火中花を開くが如く、其の實を得難し。附詩又た言います。事情已に意を著けて微を防ぐも、反って其の危害に遭い、如同路を走りて陷阱に踩進むが如く、一動すれば便ち機關を觸發し、禍患解開せず、福氣も亦た求來らず。
二上四下・來革卦
二上四下。來革卦,陰耗之象。陰氣彌盛,坤地西南。象曰:霜雪霏霏,沾我裳衣,北風吹我,不得旋歸。詩曰:樂極悲生處,黃金昨夜空,已亡身後計,歸路不亨通。
此卦は上棋に二枚・下棋に四枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「來革」と言い、變故到來・陰氣耗損を主とし、陰氣愈々盛んにして來る、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞《詩經・小雅・采薇》の「雨雪霏霏」の行役の苦を化用す:霜雪紛紛として落下し、我が衣裳を沾濕し、北風我を吹き、家に回る能わず。詩辞に言います。正に樂極まりて悲を生ずの處に在り、昨夜の黃金已に空と成り、身後の打算連れ亦た落空し、歸程も亦た通暢せず。此卦出行・遠客を占うに、皆滯留耗折を主とし、再び進むに宜からず。
三上一下・無功卦
三上一下。無功卦,勞力之象。孤陽失助,乾天西北。象曰:東行採藥,乃上泰山,不得芝草,但見芳蘭,初非濟用,空手而還。詩曰:見說洛陽花,人心豈不誇,去時良宵望,歸到已亡家。
此卦は上棋に三枚・下棋に一枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「無功」と言い、徒然力を費すを主とし、孤單の陽氣幫助を失去す、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。東に向いて藥を采り、一直に泰山に爬上り、靈芝仙草采着せず、只だ幾叢の芳蘭を見る、芳蘭雖も好しと雖も、本就中合用せず、只だ得て空手を以て回來す。詩辞に言います。人に聽きて洛陽の名花を說起せば、人心誰か稱羡せざる有らん、去るの時良夜に趁りて滿懷指望し、回來の時家業已に敗光せり。此卦の戒むる所は是れ求む所所需に非ず:目標一開始に就きて選錯り、愈々力を用うれば愈々功無し。
三上二下・雨災卦
三上二下。雨災卦,難處之象。陰陽相薄,艮山東北。象曰:連降淫雨,洪水滔天,人民巢居,無有火煙。詩曰:處處生荊棘,鸞皇不可棲,意窮心更拙,那飽稻梁肥。
此卦は上棋に三枚・下棋に二枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「雨災」と言い、處境艱難を主とし、陰陽二氣互相逼迫す、艮卦に配し、方位は東北に在り。象辞に言います。連綿の大雨下りて停まらず、洪水滔天、百姓只だ得て鳥の如く樹上に巢を搭して棲身し、家家炊烟を斷えり。詩辞に言います。處處荊棘長滿し、鸞鳥鳳凰棲る可き枝無し、心意窮盡して計謀更に拙く、何處か飽きて稻粱を食い肥壯を養うを談ずるを得ん。此卦居處・謀生を占うに、皆環境容れざるを主とし、宜しく暫く避くるに宜しく硬撐するに宜からず。
三上三下・旱災卦
三上三下。旱災卦,空竭之象。亢陽失陰,乾天西北。象曰:炎暑為患,天地焦然,上天請龍,入地求泉,惶惶恐懼,人皆不安。詩曰:欲進前程退後難,幾回歡喜幾憂顏,漫如東海撈明月,費盡精神只等閒。
此卦は上棋に三枚・下棋に三枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「旱災」と言い、枯竭空虛を主とし、陽氣亢盛にして陰氣の調劑を失去す、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。酷暑災と成り、天地一片焦枯、人々天に上りて龍の雨を行うを求め、地に入りて泉眼を尋ね、惶恐不安にして、誰も安寧を得ず。詩辞に言います。前に往き進まんと想うも、退後するも亦た難し、幾回歡喜し又た幾回愁容す、漫邊際無くして東海裏に月亮を撈むが如く、精神を費盡するも亦た是れ白搭なり。此卦前一卦と同じく天時の災に属し、一水一旱、皆人力施し難きを主とす。
三上四下・遠襲卦
三上四下。遠襲卦,逃散之象。陰陽隔位,艮山東北。象曰:追捕寇亡,乃至樂浪,收我寶玉,牽我中羊。詩曰:—牛兩尾事難全,名利順防兩不圓,遇得木人方有氣,或逢水上亦相便。又:縱然心無厭,誰知不兩全,殺人雖有恨,自亦損三千。
此卦は上棋に三枚・下棋に四枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「遠襲」と言い、遠行追襲して人逃げ財散ずを主とし、陰陽位を隔てて接せず、艮卦に配し、方位は東北に在り。象辞に言います。逃亡の寇盜を追捕し、一直に漢代樂浪郡の如き極遠の地に追到り、我が寶玉を收回し、我が牛羊を牽回す。詩辞の首字原本是れ「一」(傳本破折の形を作る):一牛兩尾、事情周全し難し、名と利皆須らく提防すべく、兩頭皆圓滿ならず、木に属する人に遇上りて纔か生氣有り、或いは水邊に於て事を行うも亦た便利と算す。附詩又た言います。縱い貪心足らずと雖も、誰知らん本就中兩全する能わざるを、敵を殺して雖も恨を解くも、自己も亦た三千を折損す要あり。
四上一下・盜竊卦
四上一下。盜竊卦,牽繫之象。陰伏陽孤,震雷正東。象曰:盜人珍寶,欲為己有,人糾其奸,鬼縛其肘。詩曰:不必勞形役,順防失盜時,苦求終不悔,反致自身危。
此卦は上棋に四枚・下棋に一枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「盜竊」と言い、牽連拘繫を主とし、陰氣潛伏して陽氣孤單、震卦に配し、方位は正東に在り。象辞に言います。別人の珍寶を偷み、己が有と為さんと據欲すれど、結果人其の奸行を揭發出來し、鬼其の胳膊肘を捆起す——人法と鬼責、兩頭皆躲掉す能わず。詩辞に言います。勞苦奔忙する毋れ、倒れて失竊の時を提防す要あり(原文「順」は「須」の訛)、苦苦求取して始終回頭せ肯んぜば、反って自身の危險を招來せん。此卦既に人の物を盜むを戒め、亦た人に盜まるるを戒む。
四上二下・失律卦
四上二下。失律卦,反咎之象。陰竊陽位,坤地西南。象曰:違道逆理,陰陽相傷,皇天不佑,反受其殃。詩曰:旅巢傾覆禍成深,慎事當防獄訟侵,若欲出行千里外,須憂家裡咎來臨。
此卦は上棋に四枚・下棋に二枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「失律」と言い、《周易・師卦》の「師出づるに律を以てし、臧ならざれば凶」の意を取り、自ら罪咎を招くを主とし、陰氣竊りて陽位に據り、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。正道に違背し常理に悖逆し、陰陽彼此損傷し、上天保佑を加えず、反って其の禍殃を受く。詩辞に言います。旅居の巢穴傾覆し、禍患已に深し、行事謹愼にして還って牢獄訴訟の門に找上り來るを防ぐ要あり、如果遠門を出でて千里之外に到らんと想わば、更に須らく家中咎殃頭に臨まんを憂慮すべし。此卦內外皆安寧せず、宜しく先ず己を正して而して後に行止を言う可し。
四上三下・奸黨卦
四上三下。奸黨卦,抑賢之象。陰進陽退,震雷正東。象曰:進枉退直,不得其職,賢人伏藏,君子嘆息。詩曰:順範無一離,詭遇終多獲,黃鍾埋草莽,瓦釜聲憂憂。
此卦は上棋に四枚・下棋に三枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「奸黨」と言い、賢才壓抑せらるるを主とし、陰氣進逼して陽氣退讓す、震卦に配し、方位は正東に在り。象辞に言います。邪曲の人を進用し正直の士を斥退し、各人皆合適の職位を得ず、賢人只だ得て隱伏躲藏し、君子唯有歎息す。詩辞連用兩個の典故:《孟子・滕文公下》は規矩に依りて車を驅りて整天一隻も射到らず、規矩を守らず邀截すれば反って一早十隻を獵得すと說き(原文「順范無一離」は「范驅無一獲」の訛)、《楚辭・卜居》は黃鐘毀棄せられて草莽裏に埋没し、瓦釜反って轟然響作すと說く。世道顛倒、正に是れ此卦の寫照なり。
四上四下・口舌卦
四上四下。口舌卦,無吉之象。二陰相剋,坤地西南。象曰:東家娶婦,西鄰會客,縛豬啾啾,打狗咋咋,戒懼禍患,將成災厄。詩曰:口舌向門來,終身且慎災,家中防暗箭,驚恐又傷財。
此卦は上棋に四枚・下棋に四枚現れ、中棋は一枚も現れず、名を「口舌」と言い、吉處無きを主とし、兩股の陰氣互相克伐す、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞一幅の鄉里喧鬧の畫面を寫す:東家媳婦を娶り、西隣客人を請い、猪を捆る時猪啾啾と叫び、狗を打つ時狗咋咋と吠ゆ、此の般の吵嚷の中禍患を警惕す要あり、眼看將に災厄を釀成せんとす。詩辞に言います。是非口舌一路門に找上り來り、終身皆小心して災禍を防ぐ要あり、家中に於て暗箭を提防し、既に驚恐を受け又た錢財を損す。此卦詞訟・争執を占うに、糾纏斷えざるを主とす。
一上・未明卦
一上。未明卦,天光之象。孤陽失助,乾天西北。象曰:元氣初生,萬物未形,光明未融,出入冥冥,始欲運立,百事不成。詩曰:憑心倚望非良策,半似成真半似無,想望不成無望得,有心反作木求魚,一木之支,一人莫興,一將之勇,卒然難平,建始造功,惟眾可成。
此卦只だ上棋一枚現れ、中棋・下棋皆現れず、名を「未明」と言い、天光將に啓かんとして未だ啓かざるの象を取る、孤單の陽氣幫助を得ず、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。元氣剛めて萌生し、萬物未だ成形せず、光明尚未融通し、進出皆昏暗の中に在り、此の時纔か局面を開創せんと想うに、百事皆辦成せず。詩辞に言います。一腔の心願に憑りて指望するは是れ好辦法に非ず、事情半ば成真を像り半ば落空を像り、一味想望すれば反って落得《孟子・梁惠王上》の說く所の「木に緣りて魚を求む」。末六句道理を申明す:一根の木頭大廈を撑起す能わず、一個人事業を興起す能わず、一員將領の勇力、倉促の間も亦た亂を平ぐ能わず、基業を開創し功勳を建立せば、唯有衆人に依靠して纔か成就する能し。
二上・遷流卦
二上。遷流卦,未定之象。微陰反位,坤地西南。象曰:自天立象,氣尚浮游,未能審定,東西迂流,多不遂意,漫漫悠悠。詩曰:干祿誠非利,營求亦有妨,縱然得亨快,見虎也須防。又:獨陰無助,地廣田虛,人事未定,不得安居。
此卦只だ上棋二枚現れ、中棋・下棋皆現れず、名を「遷流」と言い、漂泊未定を主とし、微弱の陰氣反って其の位に居り、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。天形象を垂下し、氣機仍お浮游して未だ凝せず、審斷確定する能わず、人便ち東一頭西一頭に迂回流轉し、多半心に稱わず、漫長にして着落無し。詩辞《論語・為政》の「學干禄」の語を化用す:禄位を謀求するに實に利無く、四處經營するも亦た妨礙有り、縱然一時通達痛快すれど、虎の如き凶險に遇上れば仍お須らく提防すべし。附詩に言います。孤陰幫手無し、地雖も廣しと雖も田荒虚、人事定局無し、因而安居を得ず。
三上・未寧卦
三上。未寧卦,欠安之象。三陽獨立,乾天西北。象曰:天地立形,人乃化生,隨氣上下,不能自寧。詩曰:驚虛捐失雨重災,謹密行藏慮暗來,虎尾蛇頭如脫得,此身要泰必虧財。又:二儀立象,三陽不空,吉凶未辨,焉有所從。
此卦只だ上棋三枚現れ、中棋・下棋皆現れず、名を「未寧」と言い、安穩を欠缺するを主とし、三股の陽氣孤零獨立す、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。天地各々成形し、人才其の間に於て化育して生じ、人氣機に隨いて起落升沈し、因而自ら安んずる能わず。詩辞に言います。虚驚と損耗とは是れ雙重の災殃(原文「雨」は「兩」の訛)、行止嚴密にして、須らく暗中より來るの禍事を防ぐべし、若し能く《周易・履卦》の說く所の虎尾を踩んで脫身するが如くせば、那麼此の身安泰を求めれば、就中必ず先ず些かの錢財を破るを得。附詩又た言います。天地兩儀已に象を立て、三陽幷びに落空に非ず、只だ吉凶還って分辨せず、取舍する從無し。
四上・死象卦
四上。死象卦,凶兆之象。重陰反位,坤地西南。象曰:人生有死,鬼氣乃興,四時代謝,寒暑相承,沉蔽不顯,其體陰凝。詩曰:燕雀動簾幃,驚迴夢已違,幽窗弗管事,也惹是和非。又:病入膏肓氣將絕,魄散魂離脈懼歇,百年相計等閒拋,縱有盧醫不能活。
此卦只だ上棋四枚現れ、中棋・下棋皆現れず、名を「死象」と言い、凶險の兆を主とし、重重の陰氣反って其の位に居り、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。人生まれて終に一死有り、鬼氣因而興起し、四季更替・寒暑相承、氣機沈滯遮蔽して顯露せず、其の形體是れ陰氣凝結なり。詩辞に言います。燕雀簾帷を掀動し、驚醒の時夢境已に消散せり、即便門を閉じ幽居して閑事を管せずとも、照樣是非に惹上る。附詩《左傳・成公十年》の「病膏肓に入る」の故事を用いて底に說到る:氣息將に絕えんとし魂魄離散し脈搏停まらんと欲し、百年の打算等閑に抛却し、縱然盧地の名醫扁鵲を請來するも亦た救活す能わず。
一中・發陽卦
一中。發陽卦,生意之象。孤陰無主,乾天西北。象曰:天光復下,日月發明,萬事營為,有足皆行。詩曰:恢往有南征,青天日月明,襄除災已散,名達利還生。
此卦只だ中棋一枚現れ、上棋・下棋皆現れず、名を「發陽」と言い、生機發動を主とし、孤單の陰氣主宰無し、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。天上の光明重新照下り、日月光輝を放出し、萬事皆着手經營す可く、凡そ脚有る者皆走動し起來る能し。詩辞に言います。宏大の行程南征の擧有り、青天の上日月明朗、攘除の後災厄已に消散し(原文「襄」は「攘」の訛)、名聲通達して財利も亦た之に隨いて生ず。此卦是れ陽氣初動の象、事を起し出行するに宜しく、再び守るに宜からず。
二中・歲登勢
二中。歲登勢,遲吉之象。孤陰失助,坤地西南。象曰:天地開通,萬物皆隆,事方決定,歲終大豐。詩曰:自從持守定,功在眾人先,別有非常喜,隨龍到九天。又:覆載功雖大,猶資雨露先,待時將有獲,歡樂度豐年。
此卦只だ中棋二枚現れ、上棋・下棋皆現れず、名を「歲登」(原文「勢」は「卦」の訛)、年成豐登を指し、遲些纔か吉なるを主とし、孤單の陰氣幫助を失去す、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。天地開通し、萬物皆興盛し起き、事情剛めて定局有り、年終に到れば便ち大豐收ならん。詩辞に言います。主意を守定して再び搖擺せざるより、功勞便ち衆人の前に排し、另に一樁非同尋常の喜事有り、龍に隨いて直に九天に上る可し。附詩又た言います。天覆地載の功勞雖も大なれど、仍お先ず雨露の滋潤を借る要あり、時候に到れば自ら收穫有り、歡歡樂樂として豐年を度らん。
三中・人事勢
三中。人事勢,大怏之象。盛陽處中,乾天西北。象曰:人事方起,吉無不利,居者得福,行者必至。詩曰:居家多有慶,富貴得平安,萬事從心起,都來好處看。
此卦只だ中棋三枚現れ、上棋・下棋皆現れず、名を「人事」(原文「勢」は「卦」の訛)、大いに快意の象を取る(「怏」は「快」の訛)、旺盛の陽氣中位に居り、乾卦に配し、方位は西北に在り。象辞に言います。人事の局剛めて興起し、吉利にして宜しからざる無し、居家の人福を得、出行の人必定到達す。詩辞に言います。家に在りて多く喜慶有り、富貴の中又た平安を得、萬事皆心意より生發し、看去處處皆是れ好處なり。此卦動を問い靜を問うと論ぜず皆吉、是れ全書中少見の兩全の象なり。
四中・保身卦
四中。保身卦,小安之象。積陰居中,坤地西南。象曰:鬼氣未盛,厲毒未形,保慎性命,門戶安寧。詩曰:花逢春雨難留豔,水逐東流怎復波?若把利名前路去,卻防閒事暗憂多。又:花開春又去,蝶來花已殘,惟有青青柏,終能耐歲寒。
此卦只だ中棋四枚現れ、上棋・下棋皆現れず、名を「保身」と言い、小小の安穩を主とし、積聚の陰氣中位に居り、坤卦に配し、方位は西南に在り。象辞に言います。鬼祟の氣未だ熾盛せず、厲害の毒害未だ成形せず、此の時只だ保重謹愼し・性命を愛惜すれば、門戸便ち安寧を得ん。詩辞に言います。花春雨に遇いて艷色を留住し難く、水東に流れて怎んぞ能く倒回らん、若し一味名利の路に沿いて前に趕往せば、倒れて閑事の暗中の憂愁を招來するを提防す要あり。附詩《論語・子罕》の「歲寒して然る後松柏の後凋を知る」を借りて結と為す:花開き春又た去り、蝶來る時花已に殘り、唯有青青の柏樹のみ、終に嚴寒に耐住する能し。
