海底眼 · 第1巻
願を還し神に賽して庇佑を求む:最も緊要なるは卦中に爻の來りて世身を生扶し、并且子孫福德爻の旺相する有るなり。若し五世卦、游魂卦を搖得せば、願…
六爻納甲典籍
まず体例書で装卦の手順を握り、それから卦例集へ進む。取用神は断法全体の要となる一手であり、書ごとの処理の違いを対照する価値がある。
海底眼
卜易秘訣·海底眼·怡然齋藏版
此の書の表紙には《卜易秘訣・海底眼》と題して、怡然斎の蔵版として刻版印行せり。所谓「卜易」とは、蓍草を用ゐずに卦を起し、改めて銅銭を六度揺りて卦を成し、更に「納甲」の法則に依りて天干・地支・五行・六親を六爻に配して人事を推断する占法を指す。「海底眼」は則ち比喩にして、善く占ふ者の眼力は深海の底にまで直に透徹して、卦中に隠伏して露れざる関窍を一眼に看り通すを謂ふなり。
序
上古伏羲出而王天下也,觀象於天,體法於地,遠取諸物,近取諸身,遂為八卦之文,以通神明之德。及夫龍馬負圖出於河,神龜戴文出於洛,然八卦著於世,得龍天降此法,以曉悟世人。
遠古の時、伏羲氏興りて天下を治めたり。彼は仰ぎて日月星辰の天上に呈する物象を観察し、俯ぎて山川草木の地上に成形する条理に取法し、遠くは飛禽走獣等の万物に取材し、近くは人の自己の身体に取材して、乃ち八卦と云ふ一套の符号を画き出し、以て神明の徳性を貫通せしむ。後に龍馬が「河圖」を負ひて黄河中より浮出し、神龜が「洛書」を負ひて洛水中より爬出し、八卦の学は此れに因りて始めて世に顕揚せり。伏羲は既に上天の降す所の此の法門を得て、便ち以て世間の人を開悟せしめたり。
其法以二四為肩,金木之始;六八為足,水火之終;五行中宮,天地通理。夫五行者,在天為五星,在地為五方,在人為五事,五性為五常,在歷為五紀,在德為五運。
此の法門の数位の布置は、二・四の両数を左右に分列して「肩」と為すは、正に金と木の生数の起点なり。六・八の両数を下方に分列して「足」と為すは、正に水と火の成数の帰宿なり。五と云ふ数は中央の「中宮」に居りて土に属し、天地を貫通する樞紐なり。所谓「五行」は、天上に於ては歳星・熒惑・太白・辰星・鎮星の五星と表れ、地上に於ては東・南・西・北・中の五方と表れ、人事に於ては《尚書・洪範》の謂ふ所の貌・言・視・聴・思の五事と表れ、人性に於ては仁・義・禮・智・信の五常と表れ、暦法に於ては《洪範》の歳・月・日・星辰・暦數の五紀と表れ、朝代の徳運に於ては相代り更替する五運と表る。
孤陰不成,獨陽不生,交錯相配。天一生水,歷五數而成地六;地二生火,歷五數而成天七;天三生木,歷五數而生地八;地四生金,歷五數而成天九;天五生土,歷五數而成地十。
陰のみ有りて陽無ければ、事物形を成す能はず。陽のみ有りて陰無ければ、事物發生する能はず。必ず陰陽交錯配合して後乃ち可なり。故に天数一は先づ水を生じ、更に中に居る五の数を加へて、地数六と配成して、水乃ち成と算す。地数二は先づ火を生じ、中五を加へて、天数七と配成して、火乃ち成と算す。天数三は先づ木を生じ、中五を加へて、地数八と配成して、木乃ち成と算す。地数四は先づ金を生じ、中五を加へて、天数九と配成して、金乃ち成と算す。天数五は先づ土を生じ、中五を加へて、地数十と配成して、土乃ち成と算す。此れ即ち《周易・繫辭》の「天一地二」の一段の講ずる所の五行生成の数にして、一生一成皆中五の土を借りて橋を架さんとするなり。
其相生猶父子,其相合猶夫婦,其相配猶君臣,其相摩猶崑玉。成敗之形著矣,興衰之理判矣。化行鬼神,開物成務,如斯而已矣。
五行の間は彼此相生して、譬へば父の子を生養するが如し。彼此相合して、譬へば夫妻の一体を結成するが如し。彼此相配して、譬へば君主と臣下と各々其の位に安んずるが如し。彼此摩蕩して切磋するは、譬へば兄弟の間に美玉の相撃するが如し。此の幾層の関係を摸り清めれば、一事の将成将敗の形跡は則ち顕露し、一段の運勢の将興将衰の道理も亦判然として分明なり。占卜の能く鬼神に溝通し、万物の情を開通して人間の事務を成就する所以は、憑藉する所不過是れ等なり。
今之卜者不一,皆泥於卦名之善惡,神煞之吉凶。殊不知卦例之出現,內外之飛伏,爻象之動靜,六親之逆順,五行之生克,有絕處而逢生者,有貪生而忘克者,有動興而洩氣者,若不推究其理,而概以卦例、爻象、神煞吉凶而斷之,則鑿矣,善卜者幸鑑焉。
今占卜する人の門路は一ならず、大多は死にも卦名の聞て好きか好かざるかと、神煞の查出して凶か吉かとの一層に死死と咬り付く。彼等は全然知らず:本宮の「卦例」の裏に用神の卦中に出現するや否や、内外卦の間の「飛神」の「伏神」を壓するは如何なる関係か、爻象の動か靜か、「六親」の間の順生か逆剋か、五行の間の相生か相剋か—此の裏には或る爻は本已に絶地に處しても、生扶に遇ふに因りて絶處に生に逢ふ者有り。或る爻は只顧みて他を生ずるに赴いて、反つて自己が正に他人に剋さるゝ所を忘るゝ者有り。或る爻は雖も發動すれども、生して他爻を泄するに因りて自身の氣を泄光する者有り。若し此れ等の道理の上より一層々推求せずして、一概に卦名・爻象・神煞の吉凶を拿て断語を下さば、則ち穿鑿附會なり。真に占卜を會する人は、此れを以て鑑と為さんことを望む。
逸客斗南陸位謹識。
以上の此の一篇の序は、自ら「逸客」と號し、字を「斗南」とする陸位が恭敬に題寫せしなり。「謹識」は舊時の序跋末尾の署名の套語にして、鄭重に其の事を記述するを表す。
卜易秘訣・海底眼
卜易秘訣海底眼卷上。逸客斗南陸位校輯,錢塘學海樓主人鄭觀卿詳註。
《卜易秘訣・海底眼》卷上。本卷は自ら「逸客」と號し、字を「斗南」とする陸位が校勘編輯し、錢塘(今の浙江杭州)の學海樓主人鄭觀卿が逐條注を加ふ。書中に凡そ「眉批」と標明する小字は、皆鄭觀卿の手に出づる、舊時の注解にして、正文と一併に保留せり、後人の妄加せし話と當て看成す可からず。
易理
古聖人書不可輕,傳流今日顯其情,雖然易理無窮極,也要人心自曉明。
古代の聖人の留めたる此の《易》書は、輕慢に看待すべからず。其れ一路流傳して今日に至り、其の中の實情は始めて慢慢と顯露せり。《易》の義理は雖も深廣にして窮盡なく、真に用得上ぐるには、還だ占卦する人の自己の心裏に通透明白を靠らざるべからず—師傳は只汝に一套の法則を與ふるのみ、卦に臨み断を下す分寸は終究自己に體會せざるべからず。
易云:生生之謂易,成象之謂乾,效法之謂坤,極數知來之謂土,變通無常之謂道,陰陽不測之謂神。易有爻象,土有神煞。京房不知易道,亂傳神煞,以誤後人,不可以神煞用之也。
《周易・繫辭》に曰く:生々不熄、變化不已、之を「易」と曰ふ。卦の物象を成就するを「乾」と曰ひ、乾の法則を仿效して承載成形するを「坤」と曰ひ、蓍策の数を推し盡くして因りて未来を豫知する能くするを「占」と曰ひ、變化通達して常規を守らざるを「道」と曰ひ、陰陽消長して測度定まらざるを「神」と曰ふ。(此の處及び下句の「占」の字は、底本皆「土」と刻成せり、今底本に照りて錄出し、改めず。)《易》の講ずる所は只爻と象のみ、占法の裏に於て始めて別に神煞の一路の物を生出せり。漢代の京房は《易》の正道を明白せず、胡亂に神煞の説を傳布して、後來の學人を貽誤せり。故に卦を断ずるに神煞を拿て依據と為すべからず。
易道
易道無窮達理深,還將□唬奉陰人,萬物本來居正體,何須物外去求神。
《易》の道理は窮盡なく、之を通達するに功夫極めて深し。惜む可し偏に人の反つて之を拿て神を裝い鬼を弄し、不明就裏なる人を嚇唬する者有り(底本此の句一字を脱して、「還將□唬奉陰人」と作り、文義完整せず、此の處敢て空補字せず)。天地の萬物は本來各自其の應有の位置と形體とに安處し、卦中の道理も亦爻象の内に擺在せり、何ぞ必せん卦象を丢下して管せず、卦外に跑りて神を求め煞を問はんや。
易鏡云:正幾大義,後學後明,物有萬物,事有千門,達理者取其捷徑,愚昧者枝葉千端。自古迄今,本存乎一,後人不知,胡取胡求。有以立郷二十五,變六爻五休,有以移宮換宮,有以切充切變,有以六神吉凶請煞,有以生世克世,有以四營空沖並刑,因此徑徑,不知捷徑,亂說經典而不驗也。
《易鏡》に曰く:卦中の那一點の幾微の動を端正するこそ、《易》の大義の在る所なれ、後來《易》を學ぶ人は往往最後に至りて此の一層に悟る。物は萬種有り、事は千門有りて、事理を通達する人は直捷の門径を抓住する能くし、蒙昧の人は却て枝枝葉葉の上に千百の頭緖を纏り出す。古より今に至り、占法の根本は其の實只一箇有るのみ、後人明白せずして、是に東に一把を抓み、西に一套を求む:或る者は「立郷二十五」の類の数法を搬出し、或る者は六爻が變出する「五休」を講じ、或る者は移宮換宮を用ひ、或る者は切冲切變を用ひ、或る者は專ら「六神」の吉凶に憑りて神煞を請ひ、或る者は只爻の世を生ずるか世を剋するかを論じ、或る者は又「四營」を拿て空亡・冲・併・刑に配す。是の如く小路の上に圈子を兜りて、反つて那の眞正の捷徑を認得せず、經典を講りて七零八落にして、占らば自然に靈驗せず。
八卦圖
五行局
乾坤納甲
乾象:冬至先甲後壬,夏至先壬後甲。坤象:冬至先乙後癸,夏至先癸後乙。
乾卦の納甲:冬至以後、陽氣は下より上昇し、六爻の干を納するに先づ「甲」を納して後「壬」を納る。夏至以後、陽氣は轉じて下降すれば、則ち先づ「壬」を納して後「甲」を納る。坤卦の納甲:冬至以後、先づ「乙」を納して後「癸」を納り、夏至以後、先づ「癸」を納して後「乙」を納る。乾は甲・壬を納し、坤は乙・癸を納るは、「納甲」の一法の最根本の一條にして、其の餘の六卦は分りて丙・丁・戊・己・庚・辛を納るも、皆此の一條より推し開くなり。
凡天地湊合六十日甲子,天干卜天文,地支卜人事,納音卜幽冥。乾生於子,混沌一氣之元,坤生於未,陰陽三才足備。何也?蓋乾乃西北之位,而順行於六陽,故生於子也。坤乃西南之位,而逆行六陰,故生未也。夫乾有甲壬,坤有乙癸,何謂也?蓋天子自乾生甲,至兌,而有壬癸,不盡之數,分於乾坤,周流二至,徑來運不窮矣。
天干と地支とは相湊り相配して、六十甲子の一箇の周期を合成す。天時氣象を占するに天干を取り、人間世事を占するに地支を取り、幽冥鬼神の事を占するに納音を取る。乾卦は「子」に起るは、子は混沌一氣の初開の本元なるが故なり。坤卦は「未」に起るは、未位に行到すれば、陰陽交會して天・地・人の三才已に齊備するが故なり。何故か此の如く謂ふ。乾は西北の位に居り、六箇の陽爻の次序に順つて往前推行すれば、起點は正に子上に落る、故に乾は子に生ずと曰ふ。坤は西南の位に居り、六箇の陰爻の次序に逆つて退行すれば、起點は正に未上に落る、故に坤は未に生ずと曰ふ。然らば乾は何故に甲と壬とを兼納し、坤は何故に乙と癸とを兼納するか。天干は乾卦の納甲より算起して、順次兑卦に至るまで分派せるに、八箇の卦は只八箇の干を納るを得て、壬・癸の両干を餘して安んずる處無きに因り、乃ち此の二箇の「不盡の数」を仍舊乾坤二卦に歸還して、干支の氣をして冬至・夏至の兩箇の轉折點上に周流回環せしめ、運行すれば則ち窮盡無からしめたり。
五行定位
天一地六,鬼道生焉,屬水之數。上應雨露,下應亥子。為北方之氣而生坎,乃鬼道也。(眉批:一六屬水,鬼道生焉。)
天数一と地数六と相配して、「鬼道」是れに由りて生ず、水の成数なり。天上に於ては雨と露とに對應し、地支上に於ては亥・子に對應す。其れ北方の氣に属し、因りて坎卦を生出す、故に其れ鬼道を主ると曰ふ。(舊注:一・六は水に属し、鬼道は則ち此處より生出す。)所谓「鬼道」は、水は六親上に於て多く官鬼の一類の幽隱・險陷・暗昧の事を主るを謂ひ、凡そ鬼神・盗賊・災厄を占するに、常に水爻上より着眼せざるべからざるなり。
地二天七,人道生焉,屬火之數。上應日用,下應巳午。為南方之氣而生離,乃人道也。(眉批:二七屬火,人道生焉。)
地数二と天数七と相配して、「人道」是れに由りて生ず、火の成数なり。天上に於ては日に對應し(底本は「日用」と作る、「用」の字は疑はしくは「月」の字の刻錯なり、今仍お底本に照りて錄出す)、地支上に於ては巳・午に對應す。其れ南方の氣に属し、因りて離卦を生出す、故に其れ人道を主ると曰ふ。(舊注:二・七は火に属し、人道は則ち此處より生出す。)火は文明を主る、故に人事・文書・禮法の一路に配す。
天三地八,萬物生焉,屬水之數。上應風雲,下應寅卯。(眉批:三八屬木,萬物生焉。)
天数三と地数八と相配して、萬物是れに由りて生長す、本當に木の成数と説くべし(底本此の處は「属水之数」と刻成せり、下面の眉批「三八属木」と自ら相矛盾し、顯に刻誤に係る、今底本に照りて錄出して改めず)。天上に於ては風と雲とに對應し、地支上に於ては寅・卯に對應し、東方の氣に属し、因りて震・巽の兩卦を生出す。(舊注:三・八は木に属し、萬物は則ち此處より生出す。)
金:西方之氣,始生四象。自立秋之後,草木凋零,行殺令。在鄉為鬼,類物為輕重不等。天九地四之數。故金能殺物,而為官鬼也。(眉批:類物為輕重不等,食物能殺物,而為官鬼。)
金:西方の氣に属し、四象は其れに由りて生成を始む。立秋以後、草木は凋落零謝し、正に金氣の肅殺の令を行使する時節なり。金は「五鄉」(五行各自の占する六親の位)上に於て官鬼を主り、象を取りて物に類すれば則ち分量輕重不一の物を主る。其れは天数九・地数四に配す。金は能く萬物を殺伐するに因り、故に六親の裏に於て官鬼を充当す。(舊注:金は物に類して輕重不等を主り、金は能く物を殺す、因りて官鬼と為る。)病を占し、訟を占し、盗を占するに、金爻の旺動は最も須らく提防すべし。
土:辰戌丑未中央之氣,始分八卦,定吉凶,吉凶生大業,四時運用,濟時利物。在鄉為不定之爻,類物為虛實表裡,天五地十之數。故土動則生育萬物,而為不定之爻也。(眉批:類物為虛實表裡,土動生育萬物,而為不定之爻。)
土:辰・戌・丑・未の四支の主る所の中央の氣なり。八卦は此處より分派出で、吉凶は此處より判定す、《周易・繫辭》の謂ふ所の「吉凶生大業」は正に此の意なり。土は四季の末に旺を寄せ、一年の四時皆運化に在りて、時に隨ひ物を濟し人を利す。土は「五鄉」上に於て一箇の性質不定の爻にして、象を取りて物に類すれば則ち又虚又實、表有り裏有りの物を主り、天数五・地数十に配す。土は一たび發動すれば則ち能く萬物を生育す、故に之を「不定の爻」と稱す—生するも其れに在り、剋するも其れに在り、卦を断ずる時最も一口に咬殺すべからず。(舊注:土は物に類して虚實表裏を主り、土の動は能く萬物を生育す、故に不定の爻と為る。)
支神類屬
亥子:(眉批:乾坎卦同水爻。)亥子江河雨露池,虡衡鹽酒並溝危,奸邪不正並湯數,聰明智慢事成遲。(眉批:乃北方悔朔,三五人之象,為五十中之一也。)
亥・子の兩支の主る所の類象(舊注:乾宮・坎宮の卦は水爻と取象相同なり):亥子は物象上に於て江河・雨露・池塘を主り、鐘磬を懸挂する立柱の「虡」と横梁の「衡」を主り、鹽と酒とを主り、亦溝渠と險陷の地とを主る。人品上に於て姦邪不正の輩を主り、醫藥上に於て湯劑の数を主り、才性上に於て人の聰明にして性の遲緩なるを主る、故に凡事多くは要して拖延して後乃ち成る。(舊注:此れは北方晦朔幽暗の地の象にして、「三五」の数と人形の象とを含み、大衍五十の数の中に其一を占む。)水性は下に向ひて行き遲し、故に亥子を取りて用神と為せば、應期皆後に推さんとするなり。
太虛周易,雨露江河,壬癸玄武,並坑溝危。醜陋魚鱉,什物冬衣,虡衡鹽酒,恐恨哀悲,粟豆松柳,北道行。黑城水女,湯散扶持,聰明智慧,奸邪不正。瀉冷精逆,恆聽分論,耳腎腰衰,事事成遲。
水爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:天體上に於て太虚の空闊を主り、典籍上に於て《周易》を主る。天時上に於て雨露を主り、地形上に於て江河を主る。天干上に於て壬・癸に配し、六神上に於て玄武に配す。地勢上に於て坑穴・溝渠と險陷の處とを主る。相貌上に於て醜陋を主り、動物上に於て魚と鱉とを主る。器用上に於て日常の什物と冬季の衣裳とを主り、亦鐘磬架の立柱・横梁と鹽・酒とを主る。情志上に於て恐懼・怨恨・哀傷・悲泣を主る。穀木上に於て粟・豆・松・柳を主る。方位上に於て北方に往く路程を主る。顏色上に於て黑を主り、處所上に於て城池を主り、人上に於て水邊の女子を主る。醫藥上に於て湯劑・散劑の一類の調養扶持を主る。才性上に於て聰明にして智慧有るを主り、品行上に於て却て姦邪不正を主る。病症上に於て泄瀉・畏冷・遺精・氣逆を主る。聽訟上に於て反覆分辯を主る。身體上に於て耳・腎と腰部の衰弱とを主る。總の應期上に於て則ち事事遲成なり。
巳午:(眉批:離卦同火爻。)巳午星辰閃電神,祖宗先聖灶焚營,口舌明哲宮詞牒,膏末瘡漢眼目心。(眉批:乃南方聖明之象,明兩作離。)
巳・午の兩支の主る所の類象(舊注:離宮の卦は火爻と取象相同なり):巳午は天象上に於て星辰と閃電とを主り、神道上に於て祖宗と先聖とを主り、處所上に於て爐竈・焚燒と軍營とを主り、人事上に於て口舌の是非を主り、人品上に於て明達賢哲を主り、文書上に於て宮中の詞狀文牒を主り、患上に於て膏藥を敷く瘡瘍を主り、身體上に於て眼目と心とを主る。(舊注:此れは南方聖明の象にして、《周易・離卦・彖傳》の所谓「明兩作離」は、兩重の光明の相繼ぎて起るなり。)
公孝神聖,閃電星□,丙丁朱雀,溫暖暑熱。焚營爐灶,肩扎明哲,宗廟先祖,宮觀詞牒。文章一紮,羽翼日說,膏末灸焙,眼木心血。尖細微小,勞死冤結,緊急性躁,情美暢悅。
火爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人倫上に於て公正・孝順を主り、神道上に於て神聖の属を主る。天象上に於て閃電と星辰とを主り、此の處底本に別に一箇の字庫に打出せざる字有り(上「列」下「心」、音は「烈」、意は憂なり)、今「□」と作りて照留す。天干上に於て丙・丁に配し、六神上に於て朱雀に配す。氣候上に於て温暖乃至暑熱を主る。處所上に於て焚燒・營寨と爐竈とを主る。身體上に於て肩を主り、事上に於て紮縛を主り、人品上に於て明達賢哲を主る。祭祀上に於て宗廟先祖を主り、處所上に於て宮觀を主り、文書上に於て詞狀文牒を主る。文字上に於て一札の文章を主り、飛物上に於て羽翼を主り、天時上に於て日を主り、言語上に於て辯説を主る。醫療上に於て膏藥・艾灸と烘焙とを主る。身體上に於て眼目(底本は「目」を「木」と誤刻す)と心血とを主る。形狀上に於て尖細微小を主る。凶事上に於て勞瘵して死し、冤仇鬱結を主る。性情上に於て緊急躁動を主り、亦情意美好・心境暢悅を主る。
寅卯:(眉批:巽震卦同木爻。)寅卯風雷山草木,仁慈寬厚舟槁屋,皮毛手足廟眾神,肝膽酸腥主驚哭。(眉批:乃東方日出上弦之象,如分三才,天地人。)
寅・卯の兩支の主る所の類象(舊注:巽宮・震宮の卦は木爻と取象相同なり):寅卯は天時上に於て風と雷とを主り、地形上に於て山林を主り、物類上に於て草木を主り、德性上に於て仁慈寛厚を主り、器用上に於て舟船・槁木と屋宇とを主り、身體上に於て皮毛と手足とを主り、神事上に於て廟宇の衆神を主り、臟腑上に於て肝膽を主り、氣味上に於て酸と腥とを主り、人事上に於て驚を受け啼哭するを主る。(舊注:此れは東方の日出、月の上弦の象にして、若し三才に照りて分派せば、天・地・人の三畫俱全なり。)
內翰禁庭,風雷恭肅,甲乙青龍,山川草木。仁慈寬厚,毛詩語錄,東方人數,舟車槁屋。相貌長文,四肢手足,肝膽腥酸,小兒悲哭。家神廟宇,麟角象屬,泰嶽中樞,妖怪林麓。
木爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:官署上に於て翰林内廷と禁中宮庭とを主る。天時上に於て風雷を主り、儀態上に於て恭敬嚴肅を主る。天干上に於て甲・乙に配し、六神上に於て靑龍に配す。地形上に於て山川を主り、物類上に於て草木を主る。德性上に於て仁慈寛厚を主る。典籍上に於て《毛詩》の一類の經傳語錄を主る。方位上に於て東方を主り、數目上に於て人の口數を主る。器用上に於て舟車・槁木と屋宇とを主る。相貌上に於て身材の頎長にして文采有るを主る。身體上に於て四肢手足を主り、臟腑上に於て肝膽を主り、氣味上に於て腥酸を主る。人上に於て小兒を主り、事上に於て悲啼を主る。神事上に於て家神と廟宇とを主る。異物上に於て麒麟の角と象類とを主る。山川上に於て泰嶽の一類の中に居る大山を主り、亦妖怪出没の林麓を主る。
申酉:(眉批:兌卦同金。)申酉金刀省部軍,重權差膱人兵刑,僧尼道行邪魔願,眉頭喘嗽發金針。(眉批:乃西方日入下弦之象,而為象。)
申・酉の兩支の主る所の類象(舊注:兑宮の卦は金爻と取象相同なり):申酉は器物上に於て金屬と刀刃とを主り、官署上に於て省部と軍營とを主り、職事上に於て重權を握有する差遣の職任(底本の「膱」は「職」の字の刻誤なり)を主り、刑政上に於て兵器と刑罰とを主り、人上に於て僧尼と修道の人とを主り、神事上に於て邪魔と許願祈禳とを主り、身體上に於て眉頭を主り、病症上に於て氣喘咳嗽を主り、醫術上に於て金針を用ゐて施治するを主る。(舊注:此れは西方の日落、月の下弦の象にして、其の收斂成象の義を取るなり。)
三光明照,方正康寧。庚辛白虎,斗文金刀,尚書龍傳,省部軍營。重權差職,剛又兵刑,才幹害兩,李麥行程。僧道口願,辣白丹針,肺氣咳喘,骸骨肢筋。眉舌頭腦,毛髮傷身,恤觸橫死,羶臭凶嗔。
金爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:天象上に於て日月星の三光の照耀を主る。形性上に於て方正を主り、境況上に於て康寧を主る。天干上に於て庚・辛に配し、六神上に於て白虎に配す。星文上に於て斗宿の文を主り、器物上に於て金屬刀刃を主る。官職上に於て尚書の位と傳宣の任とを主り、官署上に於て省部と軍營とを主る。職事上に於て重權差遣を主り、性情上に於て剛強を主り、刑政上に於て兵器と刑罰とを主る。人上に於て才幹有る者を主り、事上に於て兩相妨害を主る。穀物上に於て李と麥とを主り、人事上に於て行旅路程を主る。人上に於て僧人道士を主り、事上に於て口頭の許願を主る。滋味上に於て辛辣を主り、顏色上に於て白を主り、醫藥上に於て丹藥と針石とを主る。病症上に於て肺氣咳喘を主る。身體上に於て骸骨・四肢と筋絡とを主り、又眉・舌・頭腦と毛髮とを主り、凶事上に於て身體の受傷を主る。禍患上に於て觸犯して橫死するを主る。氣味上に於て膻臭を主り、情性上に於て凶狠嗔怒を主る。
辰戌丑未:(眉批:坤坎卦同土爻。)土地城隍此禁庭,冢墳田野霧沙云,師巫卜藥負元子,嘔逆皮膚腹肚鳴。(乃中央戊己之象,為五行之上。)
辰・戌・丑・未の四支の主る所の類象(舊注:坤宮・坎宮の卦は土爻と取象相同なり):土爻は神祇上に於て土地神と城隍神とを主り、處所上に於て宮禁朝庭を主り、地形上に於て墳塚と田野とを主り、天象上に於て霧・沙・雲を主り、人上に於て師巫・卜者と賣藥人とを主り、亦幼子を背負する婦人を主り、病症上に於て嘔吐氣逆・皮膚の疾と腹中の鳴響とを主る。(舊注:此れは中央戊己の象にして、五行の裏に於て最尊の地位に居る。)
睿舉老人,砂石雲霧,土地城隍,壽命君王。守令監官,文章詩賦,嵩路尊崗,禁庭州府。嬴物山園,固守大路,思慮牢獄,田野墳墓。貨卜師巫,店業鋪戶,甜偏黃謁,倉場庫務。脾胃皮膚,腫腹瀉肚,狩藥負子,時疫嘔吐。
土爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人上に於て睿智にして薦を受くる士と年高の老人とを主る。物類上に於て砂石を主り、天象上に於て雲霧を主る。神祇上に於て土地と城隍とを主る。人事上に於て壽命を主り、人上に於て君王を主る。官職上に於て守令と監當の官とを主る。文事上に於て文章詩賦を主る。地形上に於て高路と尊崗とを主る。處所上に於て宮禁朝庭と州府衙門とを主る。物類上に於て盈餘の物と山中の園圃とを主る。行事上に於て固守を主り、道路上に於て大路を主る。心事上に於て思慮を主り、刑獄上に於て牢獄を主る。地面上に於て田野と墳墓とを主る。人上に於て販貨者・卜師と巫者とを主り、處所上に於て店鋪行戶を主る。滋味上に於て甜を主り、顏色上に於て黄を主り、人事上に於て偏私干謁を主る。處所上に於て倉場と庫務とを主る。身體上に於て脾胃と皮膚とを主り、病症上に於て腫脹腹瀉を主る。人事上に於て采藥と幼子を背負するを主り、疫癘上に於て時疫嘔吐を主る。
六親屬類
父母:父母尊長文書吏,印授衣服轎車船,契約本事勞心力,天地墳墓屋田園。
「父母」の此一六親の主る所の類象:父母と一切の尊長とを主り、文書と吏員とを主り、印信告身・衣服・轎馬車船を主り、契約と本事の憑據、及び一切の勞心費力の事を主り、又天地・墳墓・屋宇・田園を主る。凡そ事を占するに父母を以て用神と為すは、看る所は此の一路の人と物なり。父母は又全卦の「統體」の爻にして、凡そ庇蔭・遮蓋・承載・憑據の義を帶ぶるは、皆其れに歸して管せしむ。
天地蓋載,日月星辰,父母叔伯,田土墳塋。尊長貨殖,旗旌光明,舟車橋轎,軍壘州營。園圃草木,網罟帶繩,兵戈屋宇,牛馬飛鳴。衣服桌凳,期信頭名,文榜曉示,交易行程。文書契約,嘔逆勞心,見解學問,容止詞說。文章印授,官職事業,圖籍號令,差劄條敕。
父母爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:天の覆ひ地の載せ、日月星辰の高懸するは、皆父母に歸す。人倫上に於て父母と叔伯とを主る。地産上に於て田土と墳塋とを主る。人上に於て尊長を主り、事上に於て經營貨殖を主る。器物上に於て旗幟と光明の物とを主り、行具上に於て舟車・橋梁と轎子とを主り、處所上に於て軍壘と州營とを主る。地面上に於て園圃草木を主り、器用上に於て網罟と帶繩とを主り、兵器上に於て戈戟を主り、居處上に於て屋宇を主り、牲畜上に於て牛馬の鳴叫を主る。日用上に於て衣服桌凳を主る。人事上に於て約期取信と榜上の頭名とを主り、公文上に於て張貼曉示の文榜を主り、商事上に於て交易と行程とを主る。憑據上に於て文書契約を主る。身體上に於て嘔逆を主り、心力上に於て勞苦を主る。學問上に於て見解を主り、儀態上に於て容止と言辭とを主る。文事上に於て文章と印信告身とを主り、仕途上に於て官職と事業とを主り、官府上に於て圖籍號令・差遣札子と條敕公文とを主る。
子孫:福德僧道尼師貴,緝捕醫藥閒漁僧,皮毛六畜氣方珠,犀角電雪枕玳瑁。
「子孫」の此一六親は又「福德」と稱し、主る所の類象:僧人・道士・尼師の此一類の方外の貴人を主り、緝捕の吏・醫生藥物、及び閑散の漁人と游方僧とを主り、皮毛と六畜とを主り、氣脈方藥と珠寶とを主り、犀角・電光・雪・枕席と玳瑁とを主る。子孫は卦中の厄を解く神にして、能く官鬼を剋す、故に病を占するに之を取りて藥石と為し、訟を占するに之を取りて官非を散ぜしめ、盗を占するに之を取りて賊人を捉へしむ。
子息鈍納,生養魚蟲,喜慶雪晴,睿色長空。景風瑞物,待載酒肉,毛甲頭髮,禽獸狗畜。玳瑁珠象,童稚門福,師巫捕抗,苻藥醫卜。道路稱意,人口欽伏,器皿光華,僧道林麓。內外誠實,逍遙退福,敕神正直,空田並谷。
子孫爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人上に於て子息を主り、性情上に於て愚鈍木訥を主る。生物上に於て魚蟲の孳生養育を主る。天時上に於て喜慶と雪後の放晴とを主り、氣色上に於て睿明なること長空の如しを主る。風物上に於て景和の風と祥瑞の物とを主る。宴享上に於て酒肉を置辦するを主る。身體上に於て毛甲と頭髮とを主り、動物上に於て禽獸と犬畜とを主る。寶貨上に於て玳瑁・珍珠と象牙とを主る。人上に於て童稚を主り、家門上に於て福慶を主る。人上に於て師巫と緝捕の吏とを主り、方術上に於て符籙・藥石・醫術と卜筮とを主る。行路上に於て稱心如意を主り、人口上に於て衆人の欽服を主る。器皿上に於て光潔華美を主る。人上に於て僧道を主り、處所上に於て山林麓野を主る。心地上に於て內外の誠實を主る。境遇上に於て逍遙自在・退居して福を享くを主る。神道上に於て敕封を受くる正直の神を主る。田事上に於て空田と穀物とを主る。
妻財:妻妾使下及婢女,飲食財同色信禮,氣象風雲雨露來,貨物受用倉為美。
「妻財」の此一六親の主る所の類象:妻妾・使喚に供する下人と婢女とを主り、飲食・錢財、及び顏色・信物と禮品とを主り、天時上に於て風雲雨露の一類の氣象を主り、物用上に於て貨物と日常受用の資とを主り、倉廩の充盈を以て美と為す。凡そ錢財を占し、妻室を占し、奴婢を占し、飲食を占するに、皆妻財を取りて用神と作るなり。
妻妾財寶,四肢骨脈,什物受用,廚灶毀折。產業庫務,精神氣色,飲食乳奶,菜蔬米麥。奴婢娼妓,不省妨克,無舉庸懶,泉源雨澤。吏後勞力,無礫形宅,請給俸祿,豬羊伏迢。
妻財爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人上に於て妻妾を主り、物上に於て財寶を主る。身體上に於て四肢と骨脈とを主る。器用上に於て日常の什物と受用の資とを主り、處所上に於て廚房竈頭を主り、事上に於て毀損折耗を主る。家業上に於て産業と庫務とを主る。人身上に於て精神氣色を主る。飲食上に於て乳酪奶食・菜蔬と米麥とを主る。人上に於て奴婢と娼妓とを主り、性情上に於て事を省せずして妨剋し易きを主り、行事上に於て擧動を肯せずして庸懶なるを主る。天時上に於て泉源と雨澤とを主る。人上に於て胥吏と僕從とを主り、事上に於て力を出して勞作するを主る。居處上に於て平坦にして砂礫無き宅形を主る。俸給上に於て薪俸を請領するを主る。牲畜上に於て猪羊の遠處に圈伏するを主る。
兄弟:兄弟姊妹及同類,口舌貪淫氣始生,好賭失信行無禮,不正形丑亂相侵。
「兄弟」の此一六親の主る所の類象:兄弟姊妹及び一切の同輩同類の人を主り、口舌の爭競を主り、貪淫の念の初起を主り、好賭・失信・行事無禮を主り、人品の不端・形貌の醜陋、動もすれば相欺き相侵すを主る。兄弟は財を劫する神にして、凡そ錢財を占するに、最も其れの旺相發動を忌むなり。
兄弟昆仲,同居親情,門缺豎立,牆壁園營。克妻害婢,賭博田墳,搬唆口舌,爭鬥眾人。敗詐阻隔,朋友近鄰,無理失信,悞氣傷神。沐浴孔竅,肘腋抬擎,糞壞臭腐,瘦弱身窮。舒融嫉妒,姊妹貪淫,場木私用,霧露風雲。
兄弟爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:人倫上に於て兄弟昆仲を主り、家中に於て同居の親情を主る。宅相上に於て門戶の殘缺と竪立の物とを主り、又牆壁・園圃と營壘とを主る。人事上に於て妻を剋し婢を害するを主り、嗜好上に於て賭博を主り、地産上に於て田地墳塋を主る。是非上に於て搬弄唆使・口舌相爭、及び衆人と爭鬪するを主る。行事上に於て敗壞欺詐と阻隔不通とを主る。人上に於て朋友と近鄰とを主り、品行上に於て無理失信を主る。情緖上に於て氣を慪り神を傷るを主る。身體上に於て沐浴と孔竅とを主り、肢體上に於て肘腋の抬擧を主る。穢物上に於て糞土の腐臭を主る。形體上に於て瘦弱を主り、境遇上に於て窮困を主る。心地上に於て外面の舒和にして內に嫉妒を懷くを主る。人上に於て姊妹を主り、情欲上に於て貪淫を主る。場圃上に於て木料の私自に取用せらるゝを主る。天時上に於て霧露風雲を主る。
官鬼:官鬼神邪病崇盜,失物輸贏災夢憂,電閃主人廳殿類,溝渠獄尻制身愁。
「官鬼」の此一六親の主る所の類象:官府を主り、鬼神邪祟を主り、疾病・禍祟と盗賊とを主り、失物・輸贏勝負・災禍・惡夢と憂患とを主り、電閃を主り、人家の正廳殿堂の一類の處所を主り、溝渠・牢獄・尻臀の疾、及び一切の己身を拘制して人をして愁へしむる事を主る。官鬼は既に功名の神にして、亦災病の神なり:官を求むれば之を取り、病を占すれば之を忌み、用法は全く占する所の何事なるかに在り。
官鬼事發,君主職清,江河溝渠,固審不明。公庭東道,災害傷身,鬼崇凶禍,市肆招刑。嫌疑憎妒,尸骸魂臭,疾病瘡癤,怪夢虛驚。怨謗狡詐,賊盜仇人,文天奉仗,破損不堪。輪鼠權車,霜雷霄電,怪果瘋瘢。
官鬼爻の取る可き類象を詳列すれば左の如し:事上に於て案の發敗を主り、人上に於て君主と清要の職とを主る。地形上に於て江河溝渠を主る。審斷上に於て固執して明なり難きを主る。處所上に於て公堂官庭と宴を設けて客を待つ東道とを主る。災患上に於て災害して身を傷るを主る。神道上に於て鬼祟凶禍を主る。市井上に於て買賣に因りて刑責を招致するを主る。人情上に於て嫌疑・憎恨と妒忌とを主る。凶穢上に於て屍骸と腐臭の魂氣とを主る。病症上に於て疾病と瘡癤とを主る。夢寐上に於て怪夢と無端の驚恐とを主る。口舌上に於て怨謗と狡詐とを主る。人上に於て賊盗と仇家とを主る。儀仗上に於て文書旗仗を奉持するを主る。器物上に於て破損不堪を主る。行具上に於て車輪と鼠輩の據する所の權車とを主る。天象上に於て霜・雷・雲霄と閃電とを主る。異事上に於て怪果を主り、疾患上に於て瘋癲と瘢痕とを主る。
此尾五句,應在官鬼上,未知是否,存考。
校語:以上「輪鼠權車」等の末尾の幾句は、文義に照らば官鬼の此の一門の下に歸すべしと當るも、底本原來果たして此の如く編排せるや否や已に確知する由無し、姑く疑を存して考を待つ。此れは校輯者の底本の次第に對する一處の按語にして、卦を断ずるの辭にあらず。
