男女の五官を論ず
夫人身手欲得厚,大小相覆,滑淨光澤,必應豪貴,顏色光潤,財祿日進。夫人顏色惡者,絕無官分。《墳經》云:頭小為一極,不得上天力。額小為二極,不得父母力。目小為三極,無有廣知識。鼻小為四極,農作無休息。口小為五極,無有盛衣食。耳小為六極,方命難量測。
人の身體と手掌とは皆生じて厚實を要し、大小彼此相稱・上下相覆し、肌膚滑淨にして光澤あれば、かくの如き必定豪貴に應ず。面上氣色光潤のは、財祿一天一天增長す。之に反して、面色晦惡の人は、絕に官を爲すの分無し。《墳經》は六種の「極」を擧出す、即ち六種の極虧の相なり。頭小は第一極にして、上天の助力を得ず。額小は第二極にして、父母の助力を得ず。眼小は第三極にして、廣博の見識無し。鼻小は第四極にして、一輩子勞作して休息を得ず。口小は第五極にして、豊盛の衣食無し。耳小は第六極にして、壽命と命數と估量し難し。
頭雖大,額無角。目雖大,無廓落。無相也。鼻雖大,樑柱弱。口雖大,語略綽。耳雖大,無輪廓。腹雖大,近上著。非奴即作客。是無相。頭雖小,方且平。目雖小,精且明。鼻雖小,樑柱成。口雖小,語媚生。如此之人法主聰明,兼不少衣食。夫女人共語未了,即面看地,如此之人,必有病也。夫女人當共人語,手拈衣帶者,便低頭答者,必有姦淫之事也。
再び大にして用無きの幾種を說く。頭雖も大なれども額上に骨角無く、眼雖も大なれども眼眶開闊分明ならず、此れ皆相無しと算す。鼻雖も大なれども鼻梁軟弱にして、口雖も大なれども說話橫闊收無く、耳雖も大なれども輪廓無く、肚腹雖も大なれども位置偏上にして下垂せず――此の種の人は奴僕を爲すならざれば則ち人の籬下に寄食す、亦た相無しと算す。之に反して、頭雖も小なれども卻って方正平滿にして、眼雖も小なれども卻って精光明亮にして、鼻雖も小なれども卻って梁柱成形にして、口雖も小なれども卻って言語和悅動聽なれば――相法に照し此の種の人は聰明を主り、而且衣食を缺かず。另外女子を看るに、人と說話して未だ說き盡さざるに卽ち頭を低めて地を看るは、身上必定に病あり。人と交談する時手裡に衣帶を搓捻し・又頭を低めて答話するは、必定に私通淫亂の事あり。
五岳
額為衡山。頦為恆山。鼻顴嵩山。左顴為泰山。右顴為華山。中嶽要得高隆,東嶽須聳,而朝應不隆不峻,則無勢,為小人,亦無高壽。中嶽薄面無勢,則四嶽無主,縱別有好處,不至大貴,無威嚴重權,壽不甚遠。中嶽不及且長者,止中壽,如尖薄,晚年見破,到頭少稱意。南嶽傾側,則主見破,不宜長家。北嶽尖陷,未主無成,終亦不貴。東西傾倒無勢,則心惡毒無慈愛,五嶽須要相朝。
面上五岳の配屬は:額は南岳衡山にして、下巴は北岳恒山にして、鼻は中岳嵩山にして、左顴は東岳泰山にして、右顴は西岳華山なり。中岳(鼻)は生じて高隆を要し、東岳(左顴)は高聳して中央に向かって呼應するを要す。若し既に隆起せず亦た高峻ならざれば、則ち氣勢無く、只だ小人の相のみ、亦た長壽せず。中岳單薄無勢のは、四岳則ち主宰無く、縱然として別處生じて好けれども、亦た大貴に到る能わず、威嚴と重權と無く、壽數も亦た長遠ならず。中岳高きこと足らずして只だ長きのみのは、ただ中等の壽數を得るのみ。若し又尖又薄なれば、晚年に破敗を見、到頭來稱心の事少なし。南岳(額)傾斜歪側のは、家業見破を主り、一家の長と爲るに宜しからず。北岳(頦)尖削凹陷のは、晚年一事成る無く、終竟貴からず。東西二岳(兩顴)傾倒無勢のは、心地惡毒にして慈愛を缺乏す。總じて五岳は一定に彼此朝拱呼應するを要して乃ち好し。
四瀆
耳為江瀆。目為河瀆。口為淮瀆。鼻為濟瀆。四瀆要深遠成就,而涯岸不走,則財穀有成,財物不耗多蓄積。耳為江瀆,竅要闊而深,有重城之副,緊則聰明,家業不破。目為河瀆,深為壽,小長則貴,光則聰明,淺則短命,昏濁多滯,圓則多夭,不大不小,貴。口為淮瀆,要方闊,而唇吻相覆載,上薄則不覆。下薄則不載,不覆不載則無壽,無晚幅。不覆則家必覆。鼻為濟瀆,要豐隆光圓,不破不露,則家必富。
面上四瀆の配屬は:耳は江瀆にして、眼は河瀆にして、口は淮瀆にして、鼻は濟瀆なり。四瀆皆深くして通遠・成就あるを要し、而して兩岸(孔竅の邊廓)收まりて散走せざれば、かくすれば財穀乃ち成あり、財物耗散せずして多く積蓄す。耳は江瀆にして、耳孔は開闊にして深きを要し、外面還た耳輪耳廓ありて重重の城牆の如く輔護するを要す。輪廓緊湊のは聰明を主り、家業破せず。眼は河瀆にして、眼窩深きは壽を主り、眼形細長のは貴を主り、神光あるは聰明を主る。眼淺のは短命、昏濁のは多く滯礙、眼圓のは多く夭折、不大不小のは乃ち貴を主る。口は淮瀆にして、方にして闊きを要し、上下脣彼此覆載相配するを要す。上脣薄なれば則ち蓋ふ能わず、下脣薄なれば則ち托ぐ能わず、既に覆せず又載せざれば則ち壽無く、亦た晚年の福無し(底本の「晚幅」は「晚福」とすべし)。上脣覆盖する能わざるは、家業必定傾覆す。鼻は濟瀆にして、豊隆にして光潤圓滿・破損せず・孔を露さざるを要す。かくすれば家中必定富足なり。
五星六耀說
五星:金、木、水、火、土也。六耀者:太陽、太陰、月孛、羅喉、計都、紫氣。火星須得方,方者有金章。(額也) 紫氣須得圓,圓者有高官。(印堂) 土星須要厚,厚者得長壽。(鼻也) 木星須要朝,五福並相饒。(右耳) 金星須要白,官位終須獲。(左耳) 羅喉須要長,長者食天倉。(左眉) 計都須要齊,齊者有妻兒。(右眉) 月孛須要直、直者得衣食。(山根) 太陰須要黑,黑者有官職。(右眼) 太陽須要光,光者福祿強。(左眼) 水星須要紅,紅者作三公。(口也)
相家は又面上十一處を配して「五星」と「六耀」と成す。五星は金星・木星・水星・火星・土星なり。六耀は太陽・太陰・月孛・羅睺・計都・紫氣なり。各自の部位と要求とは:火星は即ち額にして、方正を要し、方正のは金印紫綬を得べし。紫氣は即ち印堂にして、圓滿を要し、圓滿のは高官を爲すべし。土星は即ち鼻にして、厚實を要し、厚實のは長壽を得。木星は即ち右耳にして、前方に朝向するを要し、かくすれば五福皆來りて相饒す。金星は即ち左耳にして、色白を要し、色白のは終に官位を獲得すべし。羅睺は即ち左眉にして、長を要し、長のは天倉の俸祿を享くべし。計都は即ち右眉にして、齊整を要し、齊整のは妻あり兒あり。月孛は即ち山根にして、挺直を要し、挺直のは衣食缺えず。太陰は即ち右眼にして、黑睛分明を要し、黑きこと好きは官職あり。太陽は即ち左眼にして、神光あるを要し、光有るは福祿强盛なり。水星は即ち口にして、紅潤を要し、紅潤のは三公を爲すべし。
五星六耀決斷詩
金木星是耳,貴要輪廓分明,其位紅白色不均,大小如門闊,生得端正不反,不尖不小,一般更是高過眉眼,白色如銀樣大好,其人當生,得金木二星照命,發祿定早。若反側窄,或大或小,為陷了金木二星,其人損田宅,破財帛,無學識也。
金星・木星は即ち左右の兩耳にして、輪廓分明を貴ぶ。此の一部位若し紅白の色不勻にして、或いは兩耳大小不一にして門戶の寬窄等しからざれば、則ち不好なり。生じて端正にして外反せず、尖ならず亦た小ならず、兩耳一般齊しく、更に眉と眼とを高く過ぐるを要し、顏色白きこと銀子の如く乃ち最も好し。此の樣の人は生來金木二星の照臨命宮を得て、祿を發すること必定早し。若し兩耳外反・歪斜・狹窄にして、或いは一大一小なれば、則ち金木二星を陷れたり。此の種の人は田宅を損じ・財帛を破し、亦た學識無し。
詩曰:金木成雙廓有輪,風門容指主聰明,端聳直朝羅計上,富貴榮華日日新。左金耳也。金本開花一世貧,輪翻廓反有艱辛。於中若有為官者,終是區區不出塵。右木耳也。水星是口,名為內學堂,須要唇紅闊四角,人中深,口齒端正,有文章為官食祿。若唇齒粗,口角垂,黃色主貧賤。
詩中に曰く、金木二星雙成雙對・耳廓耳輪完整にして、耳孔(風門)能く一指を容るるは聰明を主る。兩耳端正高聳・直に上に朝向して羅睺計都(兩眉)と相應すれば、富貴榮華一天新たかに一天に似たり――此れは左耳金星を說く。之に反して、耳金花の如く外張のは一世貧寒にして、耳輪翻卷・耳廓外反のは一生艱辛なり。其の中卽ち官を爲す者有りと雖も、亦た終竟局促卑微・頭を出す能わず――此れは右耳木星を說く。水星は即ち口にして、又「內學堂」と呼ぶ。脣色紅潤・口形方闊にして四角分明・人中深長・口と牙齒と皆端正なるを要す。かくの如き人は文章才學あり、官を爲して祿を食すべし。若し脣厚齒粗・嘴角下垂・脣色發黄なれば、則ち貧賤を主る。
詩曰:口含四字似硃紅,兩角生稜向上宮,定是文章聰俊士,少年及第作王公。水星略綽兩頭垂,尖薄無稜是乞兒,若是偏將居左右,是非奸詐愛便宜。口也。火星是額,凡額廣闊,髮際深者,有祿位衣食,及子息四五人,其人有藝學,父母尊貴,當生命宮,得火星之力,入命有田宅,壽九十九。如尖陋有多紋理者,是陷了火星,乃不貴,無子息一二人,至老不得力,衣食平常,又不得兄弟力,主貧,無大壽,損妻破財。
詩中に曰く、口方正にして「四」字の如く、脣紅朱砂に似て、兩箇の嘴角に稜角を生じて朝上せば、必定文章聰俊の士にして、少年にして能く科擧及第・位王公に至る。之に反して、水星(口)橫闊にして兩角下垂・脣尖薄にして又稜線無きは、是れ乞丐の相なり。若し口形が左邊或いは右邊に偏向せば、是非奸詐・便宜を占むるを愛するを主る――これら說く所は皆口なり。火星は即ち額なり。凡そ額頭廣闊・髮際線高くして深きは、祿位衣食あり、子女四五人あり、其の人技藝學問あり、父母も亦た尊貴なり。生來命宮火星の助を得て、一生田宅あり、壽九十九に至る。若し額尖窄醜陋にして紋路又多ければ、則ち火星を陷れたり。因りて貴ならず、子女ただ一兩人甚だしくは無し、老に到るも子女の力を得ず、衣食平常にして、又兄弟の幫助を得ず、貧窮を主り、大壽無く、還た妻を損し財を破す。
詩曰:火星宮分闊方平,潤澤無紋氣色新,骨聳三條川字樣,少年及第作公卿。火星尖狹是常流,紋亂縱橫主配囚,赤脈兩條侵日月,刀兵赴法死他州。額也。土星是鼻,須要準頭豐厚,兩孔不露,年上壽上平滿直,端聳不偏,其人當不陷了土星,入命並滿三分,主有福祿壽。如中嶽土星不正,準頭尖露,更準頭高,其人陷了中嶽土星,主貧賤,少家業,主心性不直。
詩中に曰く、火星(額)の此一宮は開闊・方正・平滿を要し、潤澤にして紋無く氣色清新なり。額上に三條の骨稜聳起して「川」字の如きは、少年及第して位公卿に至る。之に反して、額尖窄のは只だ平常の輩のみ。額上亂紋縱橫のは流配囚禁を主る。兩條の赤色の血脈が日月角に侵入するは、刀兵刑法に死するを主り、他州に客死す――これら說く所は皆額なり。土星は即ち鼻なり。鼻準豊厚・兩箇の鼻孔外に露れず・年上壽上平滿にして挺直・端正高聳して偏斜せざるを要す。かくの如き人は土星を陷れず、命中三分滿得して、福あり・祿あり・壽ありを主る。若し中岳土星端正ならず、鼻準尖削にして孔露れ、或いは鼻準孤高無輔なれば、則ち中岳土星を陷れたり。貧賤を主り、家業單薄にして、心性も亦た正直ならず。
詩曰:土宿端圓似截筒,灶門孔大即三公,蘭臺廷尉來相應,必主聲名達聖聰,土宿歪斜受苦辛,準頭尖薄主孤貧,傍觀勾曲如鷹咀,心裡奸謀必害人。鼻也。紫氣星印堂下,是印堂分明,無直紋圓如珠,主人必貴。白色如銀樣,主大富貴。黃者有衣食。如窄不平勻,有隱紋者,不吉,子息二三人,不得力,無厚祿,損田宅。
詩中に曰く、土宿(鼻)端正圓滿にして截斷の竹筒の如く、竈門(鼻孔)雖も大なれども外仰せざるは、位三公に至るべし。左右の蘭臺・廷尉兩片の鼻翼來りて相應配すれば、必定聲名上って天子に達す。之に反して、土宿歪斜のは一生苦辛を受け、鼻準尖薄のは孤苦貧寒を主る。側面より鼻梁勾曲して鷹嘴の如きを看れば、心裡に奸謀を藏して必定人を害す――これら說く所は皆鼻なり。紫氣星は印堂の下一帶に在り。印堂生じて分明・豎直の紋路無くして圓潤珠の如きは、主人必定貴なり。顏色白きこと銀子の如きは大富大貴を主る。發黄のも亦た衣食あり。若し印堂狹窄・不平不勻にして、又隱隱の暗紋あれば、則ち不吉なり。子女二三人も亦た其の力を得ず、厚祿無く、還た田宅を損す。
詩曰:紫氣宮中闊又圓,拱朝帝主是英賢。蘭臺廷尉來相應,末主官榮盛有錢。紫氣宮中窄又尖,小短無腮更少男。自小為人無實學,衣食瀟條更沒添。印堂。太陰太陽,是眼,要黑白分明,長細雙分入鬢者,黑睛多,白睛少,光彩者,其人當生得陰陽二星照命,作事俱順,骨肉俱貴。如黑少白多,黃赤色,其人陷了二星,損父母害妻子,破田宅多災短命。
詩中に曰く、紫氣宮(印堂)開闊にして圓滿にして、拱衛して帝座に朝向するは、是れ英才賢士なり。再び蘭臺・廷尉兩鼻翼相應有れば、晚年官運榮顯にして錢財多し。之に反して、紫氣宮又窄又尖・人短小・腮骨肉無く、兒子も亦た少なし。此の種の人は從小真才實學無く、衣食蕭條にして增添を見ず――これら說く所は皆印堂なり。太陰・太陽は即ち兩眼なり。黑白分明・眼形細長にして兩眼分開・眼尾鬢に入り、黑睛多く・白睛少くして光彩あるを要す。此の樣の人は生來陰陽二星の照命を得て、事を爲す皆順にして、骨肉親人も亦た皆顯貴なり。若し黑睛少くして白睛多く、眼中還た黄を泛し赤を泛せば、則ち此の兩星を陷れたり。父母を損し・妻子を害し・田宅を破り、災多くして短命を主る。
詩曰:日月分明是太陽,精神光彩一般強。(太陽)為官不拜當朝相,也合高遷作侍郎。(左眼)日月斜窺赤貫瞳,更嫌孤露又無神。(太陰)陰陽枯暗因刀死,莫待長年主惡終。(右眼)月字星是山根,從印堂直下分破者,其人當遭月孛照命。陷了山根,主子孫不吉,定多災厄,修讀無成,破產,刑妻害子息。
詩中に曰く、兩眼日月の如く黑白分明なれば、則ち是れ太陽星にして、精神光彩同じく强旺なり(此の注は太陽を指す)。此の種の人官を爲す卽ち拜して當朝宰相と爲る能わずと雖も、亦た高く升りて侍郎を爲るべし(此の注は左眼を指す)。之に反して、兩眼斜睨偷窺・赤絲瞳仁を貫穿し、更に嫌ふは眼珠孤露して毫も神采無き(此の注は太陰を指す)。兩眼上下枯瘦昏暗のは、刀兵に死するを主り、年老を待つ必ずしもせず、終竟善終を得ず(此の注は右眼を指す)。月孛星は即ち山根なり(底本の「月字」は「月孛」とすべし)。若し印堂より直下して紋ありて山根を分斷せば、此の人は則ち月孛の照命に遭ふなり。山根を陷れたるは、子孫不吉・必定多災多厄・讀書進修も亦た成就あること難く・産を破り家を敗し、還た妻を刑し子を害するを主る。
詩曰: 月孛宜高不宜低,瑩然光彩似琉璃。為官必定忠臣相,末主高官有好妻。月孛宮中狹又尖,家財早破事相煎。為官豈得榮高祿,孛位當生困歲年。山根羅計星是眉,二星粗黑,過目入鬢際者,此衣祿之相,子息父母皆貴,親眷亦責。此二星入命。如眉相連橫赤色更短,主骨肉子息多犯惡死。
詩中に曰く、月孛(山根)は高きに宜しく低きに宜しからず、瑩潤にして光彩あり・琉璃の如く一般なるを要す。此の樣の人官を爲せば必ず忠臣の相にして、晚年官高くして而且賢妻あり。之に反して、月孛宮狹窄にして尖削のは、家財早年破敗・事事煎迫す。官を爲すに何ぞ榮顯厚祿を得んや。月孛の此の一位生じて好からざれば、當年則ち困頓せん――此れは山根を說く。羅睺・計都二星は即ち兩眉なり。此の兩星生じて粗にして黑・眼を長く過ぎて鬢角に伸び入るは、是れ衣祿あるの相にして、子女父母皆顯貴にして、親戚も亦た敬重を受く(底本の「亦責」は「亦貴」とすべし)。此れ則ち二星命に入るなり。若し兩眉交連・橫生にして色赤又短なれば、骨肉と子女と多く橫死の禍あるを主る。
詩曰:羅計星君秀且長,分明貼肉應三陽。(左羅)不惟此貌居官職,恩義彰名播遠方。羅喉稀疏骨聳高,為人性急愛兇豪。(眉毛)奸邪狀似垂楊柳,兄弟同胞有旋毛。(右計)
詩中に曰く、羅睺・計都二星生じて清秀にして修長、眉毛分明肉に貼して、眼下三陽の位と相應す(此の注は左眉羅睺を指す)。此の樣の人は不徒此の相貌に憑りて官職に居るを得、還た能く恩義昭彰・名聲を遠方に傳播す。之に反して、羅睺(左眉)稀疏にして眉骨高聳のは、人と爲りて性情急躁・凶豪を逞しするを喜ぶ(此の注は眉毛を指す)。眉形奸邪・軟垂して楊柳枝の如きは、同胞兄弟の間に旋毛の相を生じ、彼此不睦なり(此の注は右眉計都を指す)。
六府論法
六府者,兩輔骨、兩顴骨、兩頤骨,欲其充實相輔,不欲支離孤露。《靈臺秘訣》云:上二府自輔角至天倉,中二府自命門至虎耳,下二府自腮骨至地閣。六府充直,無缺陷瘢痕者,主財旺。天倉峻起多財祿,地閣方停萬頃田,缺者不合。
所謂「六府」とは、面上三對の相輔の骨なり。上の一對は兩邊の輔骨(額角の旁)、中の一對は兩顴骨、下の一對は兩頤骨(腮骨)なり。此の六處は生じて充實豐滿・彼此扶持するを要し、支離破碎・孤零外露する可からず。《靈臺祕訣》に曰く、上二府は輔角より一直に天倉に至り、中二府は命門(耳前)より虎耳(耳下)に至り、下二府は腮骨より地閣に至る。六府充實端直・缺陷疤痕無きは、財運旺盛を主る。天倉高峻隆起のは財祿多し。地閣方正平滿のは萬頃の田産あり。此の幾處若し虧缺あれば、則ち格に合せず。
三才三停論
三才者:額為天,欲闊而圓,名曰有天者貴。鼻為人,欲旺而齊,名曰有人者壽。頦為地,欲方而闊,名曰有地者富。三停者:髮際至印堂為上輔,是初主。自山根至準頭為中輔,是中主。自人中至地閣為下輔,是末主。
所謂「三才」とは、面部三段を天・地・人に配す。額は天にして、開闊にして圓滿を要し、「有天」と呼び、貴を主る。鼻は人にして、氣旺にして端齊を要し、「有人」と呼び、壽を主る。下巴は地にして、方正にして寬闊を要し、「有地」と呼び、富を主る。所謂「三停」とは、面部を縱に三段に分かち并びに運程を配す。髮際より印堂に至るを「上輔」と呼び、早年運を管し、即ち初主なり。山根より準頭に至るを「中輔」と呼び、中年運を管し、即ち中主なり。人中より地閣に至るを「下輔」と呼び、晚年運を管し、即ち末主なり。
自髮際至眉為上停,眉至準頭為中停,準頭至地閣為下停。訣曰:上停長,老吉昌,中停長,近君王,下停長,少吉祥。三停平等,富貴榮顯。三停不均,孤夭貧賤。詩曰:面上三停仔細看,額高須得耳門寬。學堂三部奚堪足,空有文章恐不官,鼻樑隆起如懸膽,促者中年壽不長。地閣滿來田地盛,天廷平闊子孫昌。
另一種の分法は:髮際より眉に至るを上停と爲し、眉より準頭に至るを中停と爲し、準頭より地閣に至るを下停と爲す。口訣に曰く、上停長のは、老來吉慶昌盛す。中停長のは、能く君王に親近す。下停長のは、反って吉祥少なし。三停長短齊平のは、富貴榮顯す。三停不勻のは、孤苦・短命にして貧賤なり。詩中に曰く、面上の三停は子細に看るを要し、額頭高きは還た耳門寬きを須う。若し學堂三部充實足らざれば、空しく文章有るも恐らくは官を爲す能わず。鼻梁隆起して懸膽の如く乃ち好し、鼻短局促のは中年にして壽數長からず。地閣豐滿のは田地興盛し、天庭平闊のは子孫昌隆す。
相三主。額尖初主災,鼻歪中主逃。欲知晚景事,地閣喜方高。論三柱。論三柱:頭為壽柱,鼻為樑柱,足為棟柱。
三主を看るとは、則ち一生を分かちて初・中・末の三段と爲し、各おの一處の部位に由りて主管す。額頭尖削のは、早年(初主)災あり。鼻子歪斜のは、中年(中主)奔逃流離するを要す。晚年の景況を知らんと欲せば、則ち地閣を看よ――下巴は生じて方正にして高厚を喜ぶ。再び三柱を講ず。人身に三根の支柱あり。頭は「壽柱」にして、壽元を主る。鼻は「梁柱」にして、中年の成敗を主る。脚は「棟柱」にして、根基穩固を主る。三柱一根不正有れば、一身則ち撑ふ能わず。
身の三停を相す
身分三停,頭為上停,人矮小而頭大長者,有上梢無下梢;身長大而頭短小者,一生貧賤。自肩至腰,為中停,要相稱,短而無壽,長則貧。腰軟而坐俱動者,無力而無壽。自腰至足為下停,要與上停齊而不欲長,長則多病。若上中下三停,長大短小不齊者,此人無壽,一身三停相稱為美。
身體も亦た三停に分かつ。頭は上停なり。人矮小にして頭又大にして長のは、前半段有りて後半段無く、早年好にして晚年敗す。身軀高大にして頭短小のは、一生貧賤なり。肩より腰に至るは中停にして、上下と相稱するを要す。中停短のは壽無く、中停長のは貧を主る。腰軟にして力無く、一たび坐下すれば上身便ち隨ひて搖動するは、氣力足らず而且長壽せず。腰より脚に至るは下停にして、上停と長短相當にして過長に宜しからざるを要す。過長のは多病なり。若し上・中・下の三停長短大小齊しからざれば、此の人は則ち壽數無し。一身の三停彼此相稱するは、乃ち好相なり。
上停豐秀厚而長,此是平生大吉昌,若是下停長且薄,似此貧窮走四方。身上三停頭足腰,看他長短要均調,上長下短公侯相,長短無差福不饒。
歌訣に曰く、上停(頭部)豐滿秀潤・厚實にして長きは、此れ一生大吉大昌の相なり。若し下停(腰以下)又長又薄なれば、此の種の人貧窮にして四方に奔走す。身上の三停は即ち頭・腰・足の三段にして、彼らの長短均勻調停するや否やを看るを要す。上停長にして下停短のは、是れ公侯の相なり。三停長短毫も偏差無きは、福分も亦た薄からず。
中停長者人多貴,背聳三山足寶珍,萬一腳長身又短,區區浪走一凡民。又云:下長上短賤人體,形貌乾枯骨又粗,若見眼圓如竹葉。中年裡面產田無。上停短,下停長,終日區區促壽疆。上停長,下停短,衣食自然倉廩滿。三停俱短無虧陷,五嶽端嚴富貴全,上下兩停兼短促,一生終是受□。
中停(肩より腰に至る)長の人は多く貴顯を主り、背上に三處の山峰般の骨肉聳起すれば、財寶自足なり。萬一腿長にして身子短ければ、彼は不過碌碌奔走の一介の平民のみ。又曰く、下身長にして上身短のは低賤の體にして、形貌枯干にして骨骼又粗なり。若し再加へるに眼睛圓きこと竹葉の如ければ、中年に家中の田産も亦た保つ能わず。上停短・下停長のは、終日局促勞碌にして壽數を折損す。上停長・下停短のは、衣食自然充足・倉廩滿盈なり。三停雖も皆短なれども虧陷無く、五岳又端正嚴整のは、富貴仍ほ齊全なり。若し上下兩停皆短促なれば、一生終竟苦を受くべし(ここで底本に脱字あり)。
五行形相
詩曰:木瘦金方水主肥,土形敦厚背如龜,上尖下闊名為火,五樣人形仔細推。木色青兮火色紅,土黃水黑是真容,只有金形是帶白,五般顏色不相同。青主憂兮白主喪,黑主重病及官方,若還進職並添喜,看取所黃滿面光。
詩中に曰く、木形人は瘦せ、金形人は方なり、水形人は肥ゆ、土形人は敦厚にして背隆ること龜の如く、上尖下闊のは火形と呼ぶ。此の五樣の人形は子細に推詳するを要す。再び顏色に配す。木形人の膚色は青を帶び、火形人は紅を帶び、土形人は黄を帶び、水形人は黑を帶び、唯獨金形人は白を帶び、五種の顏色各おの相同ならず。此の五色又可用いて氣色吉凶を看る。面上青を泛すは憂愁を主り、白を泛すは喪事を主り、黑を泛すは重病と官司とを主る。若し官を升り喜を添ふるを看らんと欲せば、則ち面上に滿ちて黄潤の光澤あるや否やを看よ。
五行相說
夫人之受精於水,稟氣於火,而為人。精合而後神生,神生而後形全,是知全於外者,有金木水火土之相,有飛禽走獸之相。金不嫌方,木不嫌瘦,水不嫌肥,火不嫌尖,土不嫌濁。似金得金,剛毅深。似木得木,貲財足。似水得水,文學貴。似火得火,見機果。似土得土,厚匱庫。故豐厚嚴謹者,不富即貴。淺薄輕燥者,不貧則夭。如女子之氣,欲其和媚,相貌欲其嚴整,若此者不富則貴也。
人は水の中より精を受け・火の中より氣を禀けて成る。精先に聚合し、然る後に神生ず。神生じたれば、形體乃ち完備す。故に外に顯現するは、一類は金木水火土五行の相にして、一類は飛禽走獸の相なり。此の五形各おの本色あり、嫌ふ必ずしもせず。金形は方を嫌はず、木形は瘦を嫌はず、水形は肥を嫌はず、火形は尖を嫌はず、土形は濁を嫌はず。形金に似て而又真に金氣を得たるは、剛毅深沉なり。形木に似て而又真に木氣を得たるは、資財豐足なり。形水に似て而又真に水氣を得たるは、文章學問に憑りて顯貴す。形火に似て而又真に火氣を得たるは、機を見て果決なり。形土に似て而又真に土氣を得たるは、倉庫豊厚なり。故に體貌豊厚にして擧止嚴謹のは、富ならざれば則ち貴なり。形質淺薄にして擧動輕躁のは、貧ならざれば則ち夭なり。女子に至っては、氣度は和婉柔媚を要し、相貌は端嚴整肅を要す。生じてかくの如きは、亦た富ならざれば則ち貴なり。
形を論ず
人秉陰陽之氣,肖天地之形,受五行之資,為萬物之靈者也。故頭象天,足象地,眼象日月,聲音象雷霆,血脈象江河,骨節象金石,鼻額象山嶽,毫髮象草木。天欲高遠,地欲方厚,日月欲光明,雷霍欲震響,江河欲潤,金石欲堅,山嶽欲峻,草木欲秀,此皆大概也,然郭林宗有觀人八法,是也。
人は陰陽二氣を禀受し、天地の形狀に仿照し、五行の資養を得て、因りて萬物の靈と成る。故に頭は天に象を取り、脚は地に象を取り、兩眼は日月に象を取り、聲音は雷霆に象を取り、血脈は江河に象を取り、骨節は金石に象を取り、鼻と額とは山岳に象を取り、毫毛頭髮は草木に象を取る。既に然る此れ、頭(天)は則ち高く遠きを要し、脚(地)は則ち方にして厚きを要し、兩眼(日月)は則ち光明を要し、聲音(雷霆)は則ち震響を要し、血脈(江河)は則ち滋潤を要し、骨節(金石)は則ち堅實を要し、鼻額(山岳)は則ち高峻を要し、毫髮(草木)は則ち清秀を要す。已上說く所は皆大概なり。細目に至っては、郭泰別に「觀人八法」ありて參るべし。
神を論ず
夫形以養血,血以養氣,氣以養神,故形全則血全,血全則氣全,氣全則神全。是知形能養神,托氣而安也。氣不安,則神暴而不安,能安其神,其惟君子乎。寤則神遊於眼,寐則神處於心,是形出處於神,而為形之表,猶日月之光,外照萬物,而其神固在日月之內也。眼明則神清,眼昏則神濁。清則貴,濁則賤。清則寤多而寐少,濁則寤少而寐多。能推其寤者,可以知其貴賤也。
形體は血液を涵養し、血液は氣を涵養し、氣は神を涵養す。故に形體完足なれば則ち血完足し、血完足なれば則ち氣完足し、氣完足なれば則ち神完足す。見るべし、形は能く神を養ひ、而して神は氣に托して乃ち安定するを要す。氣安んぜざれば、神則ち躁動不寧なり。能く己の神を安頓するは、大概君子のみならん。人醒めたる時神は眼睛裡に游走し、睡れたる時神は心裡に安處す。神は形體の中より透出し、形の外在表徵と成る。日月の光が萬物を照耀し、而して其の光の本源は仍ほ日月の內に在るが如し。故に眼明のは神則ち清、眼昏のは神則ち濁なり。清のは貴を主り、濁のは賤を主る。神清の人は醒むる時多く・睡る時少く、神濁の人は醒むる時少く・睡る時多し。能く一個の人の醒睡多少より推究せば、便ち以て彼の貴賤を知るべし。
夫夢之境界,蓋神遊於心,而其所遊之遠,亦不出五臟六腑之間,與夫耳目視聽之門也。其所遊之界,與所見之事,或相感而成,或遇事而至,亦吾身之所有也。夢中所見之事,乃吾身中,非出吾身之外也。白眼撣師說:夢有五境:一曰靈境;二曰寶境;三曰過去境;四曰見在境;五曰未來境。神燥夢生,神靜則境滅。
夢を做る境界に至っては、彼は神が心中を游走するなり。其の游ぶこと再び遠きも、亦た五臟六腑の間と耳目視聽の此れら門戶とを跑出する能わず。夢游の境界と所見の事とは、或いは內外感應して成り、或いは事に遇ひて來る、其の實皆自己の身中本有の物なり。夢中の所見皆我が身の內に在り、并びに我が身の外より來るに非ず。白眼禪師曰く、夢に五種の境界あり。一は靈境、二は寶境、三は過去境、四は現在境、五は未來境なり。神一たび躁動すれば、夢便ち生出す。神一たび安靜すれば、境界便ち消滅す(底本の「撣師」は「禪師」とすべし)。
夫望其形,或灑然而清,或朗然而明,或凝然而重,然由神發於內而見於表也。神清而和,徹明而秀者,富貴之相也。昏而柔弱,濁而結者,貧薄之相也。實而靜者其神安,虛而急者其神燥。
遠く一個の人の形貌を望むに、或いは灑脫にして清朗、或いは開朗にして明亮、或いは凝重にして沉穩――これら皆神が內裡より發出して、外表の上に顯現せるなり。神清朗にして和平・透徹明亮にして秀發のは、是れ富貴の相なり。神昏暗柔弱・渾濁鬱結のは、是れ貧薄の相なり。神充實にして安靜のは、其の神安定なり。神空虛にして急促のは、其の神躁動なり。
達磨の相主神有七
藏不晦,藏者不露也。晦者無神也。安不愚,安者不搖動也,愚者不變通也。發不露,發者發揚也,露者輕跳也。清不枯,清者神逼人也,枯者神而死也。和不弱,和者可親也,弱者可狎也。怒不爭,怒者正氣也,爭者戾氣也。剛不孤。剛者可敬也,孤者可惡也。
達磨に名を托する相法は、相神に七條の要訣あるを講じ、每條皆一正一反・ただ一線を差すのみ。一要「藏而不晦」――藏は神含蓄して外に露れざるにして、晦は卻って根本神無し。二要「安而不愚」――安は神定まりて搖動せざるにして、愚は卻って呆板にして變通を知らず。三要「發而不露」――發は神采發揚にして、露は卻って輕浮跳脱なり。四要「清而不枯」――清は神光逼人にして、枯は卻って神氣死するが如し。五要「和而不弱」――和は人をして親近せんと願はしむるにして、弱は卻って人をして敢へて輕侮せしむ。六要「怒而不爭」――怒は正氣發作にして、爭は卻って暴戾の氣なり。七要「剛而不孤」――剛は人をして敬を起さしむるにして、孤は卻って人をして厭惡せしむ。
詩曰:神居形內不可見,氣以養神為命根,氣壯血和則安固,血枯氣散神光奔。英標清秀心神爽,氣血和調神不昏。神之清濁為形表,能定貴賤最堪論。
詩中に曰く、神は形體の內に住し、肉眼は見る能わず。氣は用いて神を涵養し、是れ性命の根本なり。氣壯にして血和のは、神則ち安穩牢固なり。血枯にして氣散のは、神光則ち奔潰四散す。風采清秀の人は心神爽朗にして、氣血調和の人は神志昏ならず。神の清と濁とは形體の外在表徵にして、之を憑りて人の貴賤を判定す、最も推究するに値す。
氣を論ず
夫石蘊玉而山輝,沙懷金而川楣,此至精之實,見乎色而發於形也。夫形者質也,氣所以充乎質,質因氣而宏。神完則氣寬,神安則氣靜。得失不足以暴其氣,喜怒不足以驚其神。則於德為有容,於量為有度,乃重厚有福之人也。
石頭裡に美玉を藏すれば、整座の山便ち光輝あり。沙中に黃金を含めば、整條の河便ち秀媚を顯す(底本の「川楣」は「川媚」とすべし)。此れ最も精粹の物が內に充實し、因りて氣色に顯現し・形貌に發露す。形は質地にして、氣は用いて此の質地を充實し、質地は氣に靠りて乃ち宏大に成る。神完滿なれば則ち氣寬舒し、神安定なれば則ち氣寧靜す。得失は彼の氣を驚かす能わず、喜怒は彼の神を擾亂する能わず。此の樣の人は德上に於て容量あり、量上に於て法度あり、正に敦厚にして福ある人なり。
形猶材,有杞梓 荊棘之異,神猶士,所以治材用其器,聲猶器,聽其聲,然後知其器之美惡;氣猶馬,馳之以道善惡之境。君子則善養其材,善御其德,又善治其器,善御其馬。小人反是。
形は木材に比すべく、杞木梓木の如き良材あり、亦た荆棘の如き劣材あり。神は工匠に比すべく、是れ用いて木材を處置し・器物を成就するなり。聲は器物本身に比すべく、其の聲響を聽き、則ち器物の好壞を知る。氣は馬に比すべく、人彼を駕して善或いは惡の境地に奔向す。君子は善く己の材質を培養し、善く己の德性を駕馭し、又善く己の器用を修治し・己の彼の馬を駕馭す。小人は正に其の反なり。
其氣寬可以容物,和可以接物,清可以表物,正可以理物。不寬則隘,不和則戾,不剛則懦,不清則濁,不正則偏。視其氣之淺深,察其色之燥靜,則君子小人辨矣。氣表而舒,和而不暴,為福壽之人。急促不均,暴然見乎色者,為下賤之人也。
氣寬厚なれば則ち能く事物を容納し、氣平和なれば則ち能く事物を接待し、氣清朗なれば則ち能く事物を表率し、氣端正なれば則ち能く事物を整治す。之に反して、寬ならざれば則ち狹隘にして、和ならざれば則ち暴戾にして、剛ならざれば則ち懦弱にして、清ならざれば則ち渾濁にして、正ならざれば則ち偏斜なり。彼の氣の深淺を看、彼の氣色の躁動或いは安靜を察すれば、君子と小人と便ち分辨出來す。氣外に顯れて舒緩・平和にして暴烈ならざるは、是れ福あり壽ある人なり。氣急促不勻・暴戾の色顔面に形するは、是れ下賤の人なり。
醫經以一呼一吸為一息,凡人一晝夜計一萬三干五百息,今觀人之呼吸,疾徐不同,或急者十息,遲者尚未七八。而老肥者大疾,勿其者差遲,故恐古人之言,猶未盡理。夫氣呼吸發乎顏表,而為吉凶之兆,其散如毛髮,其聚如黍米。望之有形,按之無跡,苟不精意以觀之,則禍福無憑也。
醫書は一呼一吸を算して一「息」と作し、人一晝夜に共に一萬三千五百息あるを說く。如今人の呼吸を觀察するに、快慢并びに相同じからず。急の人の呼吸十次の工夫にして、慢の人は還た七八次に到らず。肥胖の老人は呼吸大多急促にして、別の人は則ち相對遲緩なり。故に恐らく古人の此の說は還た道理を講き盡さざるなり。氣は呼吸に隨ひて顔面の上に發露し、吉凶の先兆と成る。其の散ずる時は細きこと毛髮の如く、聚まる時は小きこと黍米の如く、遠望すれば形あるに似たれども、手を用ゐて按ずれば卻って蹤跡無し。若し心を用ゐて精細に觀察せざれば、禍福則ち憑據する無し。
氣出入無聲,耳不自察,或臥而不喘者,為之龜息氣象也。呼吸氣盈而身動,主死之兆也。孟子不顧萬鍾之祿,能養氣者也,爭可欲之利,悻悻然戾其色而暴其氣者,亦何以論哉。
氣の出入に聲響無く、自己の耳朵を連ねても察覺する能わず、或いは躺下睡著して喘息を見ざるは、此れを「龜息」の象と呼び、是れ長壽の氣象なり。之に反して、呼吸の時氣滿胸腹・身子を連ねて皆隨ひて起伏聳動するは、是れ將に死せんとするの徵兆なり。孟子能く萬鐘の厚祿を顧みずして動心せざるは、正に善く氣を養ふの人なり。彼ら可貪の利を爲めて爭奪し・氣冲冲として臉色を變じ・暴戾の氣を外に發する人に至っては、還た何の評論する好きあらん。
詩曰:氣乃形之本,察之見賢愚,小人多急躁,君子則寬舒。暴戾災相及,深沉福有餘,誰知公輔量,虛受若重淵。柳莊曰:從髮際至承漿左右,氣止一百二十五部,若言黑子皆為助相,視其骨氣美者為妙也。
詩中に曰く、氣は形體の根本にして、之を察看すれば則ち賢愚を看出すべし。小人多く急躁にして、君子則ち寬舒なり。暴戾の人は災禍相隨ひ、深沉の人は福分有餘なり。誰か能く公卿宰輔の器量を識るを得ん。則ち彼の虛懷能く受け、深きこと層層の深淵の如きに在り。袁柳莊曰く、髮際より一直に承漿に至り、左右兩側を連ねて、氣の部位を看るに共に一百二十五處あり。黑痣に至っては、亦た皆以て輔助の相徵と爲すべし。但し總じて彼の骨氣生じて美なるを看るを要して、乃ち上妙と算す。
五音を論ず
五行散而為萬物,人生萬物之上,聲亦辨其五音。故木音嘹亮高暢,激越而和。火音焦烈燥怒,如火烈之聲。金音和而不戾,潤而不枯,如調簧奏曲,玉磬流音。水音圓而清,急而暢,感條達之間也。與形相養相生者吉,與形相剋相犯者凶。
五行散布して萬物を生成し、人は萬物の上に居る。故に人の聲音も亦た五音に按じて分辨すべし。木音嘹亮高暢にして、激越にして和諧を失はず。火音焦躁猛烈・乾燥して怒を帶び、烈火燃燒の聲響の如し。金音和順にして乖戾せず・潤澤にして干枯せず、笙簧の奏曲・玉磬の流響の如し。水音圓潤にして清澈・急促にして通暢にして、感覺は條達舒展なり。聲を聽くは形體と配合して看るを要す。聲と形と相養相生のは吉を主り、聲と形と相克相犯のは凶を主る。譬へば金形人が金聲を得れば則ち吉、木形人が卻って金聲を發出すれば、金は木を克す、則ち凶なり。
聲を論ず
夫人之有聲,如鐘鼓之響,器大則聲宏,器小則聲短,神清則氣和,氣和則聲潤,深而圓暢也。神濁則氣促,氣促則聲焦急而輕嘶也。故貴人之聲,多出於丹田之中,與聲氣相通,混然而外達。丹田者,聲之根也。舌端者,聲之表也。夫根深則表重,根淺則表輕,是如聲發於根而見於表也。
人の聲音は鐘鼓の響聲に比すべし。器身大なれば聲音就中宏亮にして、器身小なれば聲音就中短促なり。神清の人は氣就和し、氣和の聲音就中潤澤にして、聽きて深沉にして圓暢なり。神濁の人は氣就中急促にして、氣促の聲音就中焦躁にして輕嘶なり。故に貴人の聲音は多く丹田裡より發出し、氣と相通じ、渾然一體として外に傳到す。丹田は聲音の根にして、舌尖は聲音の表なり。根深きは表就中厚重にして、根淺きは表就中輕薄なり。此れ則ち聲が根上より發出して表上に顯現するの道理なり。
若夫清而圓,堅而亮,緩而烈,急而和,長而有力,勇而有節,大如洪鐘騰韻,鼉鼓振音,小如玉水流鳴,琴徽奏曲,見其色則□然而後動,與其言久而後應,皆貴人之相也。
彼の種の清越にして圓潤・堅實にして洪亮・舒緩の中に剛烈を帶び・急促の中に平和を含み、綿長にして力あり・雄壯にして節度ある聲音に至っては。大きく成れば洪鐘の餘韻を騰がすが如く・鼉皮大鼓の震響の如く、小さく成れば玉泉流水の叮咚・琴弦の樂曲を奏出するが如し。彼の神色を看れば、從容(ここで底本に脱字あり)して然る後に乃ち口を開き、人と交談するも亦た聽きて久しくして乃ち回應す――これら皆貴人の相なり。
小人之言,皆發舌端之上,促急而不達,何則急而嘶,緩而澀,深而滯,淺而澡大,大則散,散則破,或輕重不均,嘹亮無節,或睚毗而暴,繁亂而浮,或如破鑼之響,敗鼓之鳴,又如寒鴉哺雛,鵝雁哽咽,或如病猿求侶,孤雁失群,細如蚯蚓發吟,狂如青鼉夜噪,有如犬之吠,如羊之鳴,皆賤薄之相也。
小人の說話は、聲皆舌尖上に發し、急促にして傳ること遠からず。具體に說けば:急なれば則ち嘶啞にして、緩なれば則ち滯澁にして、沉なれば則ち壅塞にして、淺なれば則ち浮躁にして虛大なり。虛大なれば則ち散じ、散ずれば則ち破る。或いは輕重不勻にして、雖も嘹亮なれども毫も節度無し。或いは目を怒らして暴喝し、繁雜散亂にして浮淺なり。或いは破鑼の響聲・破鼓の敲擊の如し。又寒鴉の雛を餵る・鵝雁の哽咽の如し。或いは病猿の伴を尋ぬる・孤雁の群を失ふが如し。細きは蚯蚓の低吟の如く、狂のは鼉龍の夜叫の如し。還た狗吠の如き・羊叫の如き有り――これら皆低賤淺薄の相なり。
男有女聲單貧賤,女有男聲亦妨害,然身大而聲小者凶,或乾溼而不齊,謂之羅網聲。大小不均,謂之雌雄聲。或先遲而後急,或先急而後遲,或聲未止而氣先絕,或心未舉而色先變,皆賤之相也。夫神定於內,氣和於外,然後可以接物非難,言有先後之敘,而色亦不變也。苟神不安而意不和,則其言失先後之敘,辭色撓矣,此小人之相也。
男子に女人の聲音を生ずるは、孤單貧賤を主る。女子に男人の聲音を生ずるも、亦た妨克を主る。身軀高大にして聲音細小のは凶を主る。聲音乾濕不勻・參差不齊のは、「羅網聲」と呼ぶ。忽大忽小・輕重不均のは、「雌雄聲」と呼ぶ。還た先慢後快・先快後慢の、聲音未だ說き盡さずして氣已に斷絕する、心裡念頭未だ起らずして臉色先に變ずる――これら皆賤相なり。大凡そ神安定して內にあり・氣平和して外にあり、然る後に人を待し物に接して乃ち爲難を覺えず。說話に先有り後あり・條理分明にして、臉色も亦た變ぜず。若し神安んぜず意和せざれば、說話則ち次序を失ひ、言辭と神色と皆亂る――此れ則ち小人の相なり。
夫人稟五行之形,則氣聲亦配五行之象也。故土聲深厚,木聲高唱,火聲焦烈,水聲緩急,金聲和潤。又曰:聲輕者斷事無能,聲破者作事無成,聲濁者謀運不發,聲低者鹵鈍無文。清吟如澗中流水者,極貴。發聲溜亮自覺如甕中之響者,主五福全備之人也。
人既に五行の形を禀受せば、氣と聲と亦た就中五行の象に配す。故に土聲深厚、木聲高揚、火聲焦烈、水聲緩急相間、金聲和潤なり。又曰く、聲音輕飄のは、事を斷ずるに決斷力無し。聲音破啞のは、事を爲すに一成する所無し。聲音渾濁のは、謀劃の事運轉開かず。聲音低沉遲鈍のは、魯鈍にして文采無し。聲音清越にして山澗流水の如きは、極貴なり。發聲流暢洪亮にして、自ら聽きて甕中より共鳴出來するが如きは、主として壽・富・康寧・好德・善終の五福齊備の人なり。
