眉は保壽官と爲す
濃厚淹留孤獨:眉黑稠濃密,主淹留蹇滯久困。《五總龜》云:眉濃髮厚人多滯。《萬金相》云:陽,男子也,陽得虎眉蹇滯,虎眉稠濃密也,主平生少快、二十六歲入運至三十五歲,此一運中主上五年多淹滯。短促兄弟非宜:《廣鑑集》云:眉為君,目為臣,宜清長過日,宜如雁行,若短不及目者,難為兄弟,縱有二三四,終須不靠也。
眉毛濃厚の人は淹滯孤獨なり。眉色黑にして稠密濃重のは、運途淹留・蹇滯久困を主る。《五總龜》に曰く、眉濃發厚の人は多く滯礙す。《萬金相法》に曰く、陽は男子を指し、男子若し一副の「虎眉」を生ぜば則ち蹇滯を主る。虎眉は即ち稠密濃重の眉にして、一生快意の事少なきを主る。二十六歲より眉運に入りて三十五歲に至る此の一段の運の裡にして、前の五年は尤も多く淹滯す。眉短促のは兄弟に於て利ならず。《廣鑑集》に曰く、眉は君に比すべく、眼は臣に比すべし。眉は清朗修長にして眼を過ぐるに宜しく(底本の「過日」は「過目」とすべし)、雁陣の如く兩邊整齊なるに宜し。若し眉短きこと眼長に及ばざれば、則ち兄弟の依靠あること難し。縱いて兩三個有りと雖も、終竟靠る能わず。
《萬金相》云:眉長於目,兄弟五六,眉如掃帚,兄弟八九。與目同等,兄弟一兩。短不及目,兄弟不足。縱有一兩,非是同腹。二十六至三十五,上四五年不利。骨稜高起,性勇好為非:稜骨高起者,言眉骨尖峻顯露也,則主人粗鹵,知進而不知退,知存而不知亡,知成而不知敗,自強自勝,作事不應為而強為。性暴好鬥,不可為友之相也,平生宜遠之。
《萬金相法》に曰く、眉長く眼を過ぐるは、兄弟五六人。眉濃きこと掃帚の如きは、兄弟八九人。眉と眼と一樣の長きは、兄弟一兩人。眉短く眼に及ばざるは、兄弟足らず、縱いて一兩人有りと雖も亦た同母の生ずる所に非ず。此の種の人は二十六より三十五歲に至る眉運の裡にして、前の四五年利ならず。眉骨稜稜高起のは、性情勇悍にして事を惹くを好む。所謂稜骨高起とは、眉骨尖峻顯露を謂ふ。此の種の人は人と爲りて粗魯にして、前進を知りて後退を知らず、保存を知りて敗亡を知らず、成功を知りて失敗を知らず、一味に強を逞し勝を好み、作すべからざる事を偏えに硬て作し、性情暴躁にして又鬪を好み、之と友と爲る可からず、平生彼を遠ざくべし。
清秀彎如月樣,文章顯折桂榮奇:《廣鑑集》云:眉是目之君,膽之苗,面之表也。若得清秀彎如月樣,主為人聰明智慧,文學博雅,必攀蟾桂,高明富貴之相。知為平生之福,二十六歲運至中主,便得顯煥功名。郭林宗曰:眉如新月祥。名譽四方聞。許負曰:眉如月弓,衣食不窮。《太清神鑑》云:眉曲彎彎多學識。
眉清秀にして彎きて新月の如きは、文章顯達・蟾宮折桂を主る。《廣鑑集》に曰く、眉は眼の君主にして、膽氣の苗頭にして、亦た一面の儀表なり。若し生じて清秀にして彎きて新月の如ければ、人と爲りて聰明にして智慧あり・文才廣博高雅にして、必ず能く月中の桂枝を攀折し・科擧得中するを主り、是れ高明富貴の相なり。知るべし、此れ是一生の福分なり。二十六歲より眉運を行じて中主に入れば、便ち功名顯耀す。郭泰曰く、眉が新月の如きは吉祥の相にして、名譽四方に傳遍す。許負曰く、眉が彎月の弓の如ければ、衣食窮乏せず。《太清神鑑》に曰く、眉彎彎として致ある人は多く學識あり。
印堂廣雙分入鬢,卿相位何疑:眉中為印堂,名曰官祿宮、相貌宮、福德紫氣宮,一面之中,此位最幹禍福,所以眉毛欲得寬廣,雙分入鬢,主生平多福而貴,二十六歲人運行中,主大發功名。緯林真人曰:眉為羅計之星,宜闊而不欲侵犯紫氣宮。陳圖南曰:翠眉入鬢,位至公卿。《廣鑑集》云:朝中無交眉宰相。
印堂開闊・兩眉分張して鬢角に伸び入るは、位公卿宰相に至ること又何の疑問かあらん。兩眉の間を印堂と呼び、又官祿宮・相貌宮・福德紫氣宮と呼ぶ。整箇の面部の裡に在りて、此の一處は最も禍福に關係し、故に眉毛は生じて寬疏開闊を要し、兩眉各自分開して鬢角に伸び入るは、一生多福にして貴を主る。二十六歲に眉運の中に入れば、便ち大いに功名を發す。緯林真人曰く、眉は羅睺・計都の二星にして、開闊に宜しく、紫氣宮(印堂)を侵犯する可からず。陳摶曰く、眉色青翠にして鬢角に伸び入るは、位公卿に至る。《廣鑑集》に曰く、朝廷裡に兩眉交連の宰相無し。
豎毛多,主殺,神剛氣暴,豈有思維:豎眉者,謂眉毛直立而少也,多主殺性。《大統賦》曰:主性急神猛。好鬥貪殺,無思算之相也。又云:毛直性狠。交頭並印促,背祿奔馳:頭交者,言兩頭印提交鎖,侵犯印堂也。蓋緣印堂是官祿宮,若得眉宇寬,則為官平生安穩。若交促者無祿,而一生走驟愚夫。
眉毛豎立する多きは、殺伐の性を主り、神剛氣暴にして、何處にか還た周密の思慮あらん。所謂豎眉とは、眉毛直立にして稀少、多く凶殺の性を主る。《大統賦》に曰く、此の種の人は性情急躁・神氣凶猛にして、鬪を好み殺を嗜む、是れ思量籌算無きの相なり。又曰く、眉毛直豎のは性情狠戾なり。兩眉の眉頭交連し、印黨を逼促するは、祿位に背離して終生奔走を主る。所謂「頭交」とは、兩邊の眉頭が交鎖して一處となり、印堂を侵犯するを謂ふ。何となれば印堂は官祿宮にして、眉宇寬疏の人は官を爲すに一生安穩。若し眉頭交連逼促せば、則ち祿位無く、一生ただ奔波勞碌の愚夫なり。
印堂又為命宮,眉宇為羅計星,羅計侵犯交促,不利財祿,胡人不在此限,神強者不在此限,在此限即為平生之滯,三六交運至四十一,此四五年最緊。橫直妨妻害子:夫直者,言眉毛。凡生直豎不順也,左妨子,右妨妻,左有如此妻子俱傷。然為平生不利,二十八限至三十,此三年最是不利。旋螺聚必執旗槍:旋螺,言其中毛盤旋似螺絲尾尖,盤盤旋旋而生者,主為人剛健勇猛,可車前槍旗之首當先,無懼而戰也。
印堂は又命宮にして、兩眉は羅睺・計都の二星なり。羅計が命宮を侵犯し・彼此交連逼促せば、則ち財祿に利ならず。不過胡人(西北民族)の眉濃交連は常態にして、此の限に在らず。神氣强旺の人も亦た此の限に在らず。凡そ此の限の內に落ちるは、則ち一生の滯礙なり。三十六歲より運を交えて四十一歲に至る、此の四五年最も喫緊なり。眉毛橫生直豎のは妻を妨げ子を害す。所謂「直」とは、眉毛が生じて直豎して順伏せざるを謂ふ。左眉かくの如きは兒子を妨げ、右眉かくの如きは妻子を妨げ、兩邊皆かくの如ければ則ち妻子兒女皆傷克を受く。此れ一生の不利にして、二十八歲より三十歲に至る此の三年最も不利なり。眉中に旋毛ありて螺狀に聚まるは、必ず旗槍を執りて軍に從す。所謂「旋螺」とは、眉中の毛が盤旋して螺絲の尖尾の如く、一圏圏卷きて生長するを謂ふ。此の種の人は人と爲りて剛健勇猛にして、能く軍前に於て旗を執り槍を持する先鋒に充當し、陣に臨みて畏懼する所無し。
低壓眼相連不斷,運至必災厄:《廣鑑集》云:眉為羅計之星,眼為日月之象,相眉緊緊貼而與眼相連不斷者,是羅計二星侵犯太陰太陽,太陰太陽為日月之臺,一身之主,二十六限至二十九不利,三十七八九亦不利。若孛星高廣,日月分明,災禍減半。
眉毛が眼睛を低壓し、眼と連成して一片と爲り斷開せざるは、運一たび此處に行かば必ず災厄あり。《廣鑑集》に曰く、眉は羅睺・計都の二星にして、眼は太陽・太陰の二象なり。眉を相する時若し眉が緊貼して眼皮に、眼と連接斷えざるを見れば、則ち羅計二星が太陰太陽を侵犯するなり。太陰太陽は日月の所在にして、一身を主宰す。故に二十六歲より二十九歲に至る眉運不利にして、三十七・三十八・三十九歲の眼運も亦た不利なり。不過若し「月孛星」(山根)が生じて高く寬にして、兩眼又黑白分明なれば、此の災禍は以て一半を減ずべし。
論曰:運限者,兩眉管四年人中主,左二年二十六七,右二年,二十八九眉生四理。黑子眉中生者,初主水厄,眉頭生者,主性剛,眉上生者主貴官。紋理眉中十字元字紋者,大亨。有坤卦紋者,祿二千石。有成土字並魚鳥形紋,主大將公卿之位。
總論に曰く、眉の運限を講ずるに、兩眉は四年を管し、中主の初に屬す。左眉は兩年を管し、即ち二十六・二十七歲、右眉は兩年を管し、即ち二十八・二十九歲、眉上に別に四道の紋理を生じて參看すべし。眉上の痣:黑痣が眉中に生ずるは、早年水厄を主る。眉頭に生ずるは、性情剛硬を主る。眉上方に生ずるは、貴官を得るを主る。眉間の紋理:眉中に「十」字紋或いは「元」字紋を現すは、大いに亨通す。坤卦形(三橫斷紋)有るは、二千石の俸祿を得べし。「土」字形および魚形・鳥形紋有るは、大將或いは公卿の位に居るを主る。
眉上氣色忽然白者,主哭泣聲服忌。忽然紅色者,三日七日主口舌官訟。黃明入華蓋,日近遠喜信入宅。又主動出為吉。眉中忽然生毫長,謂之壽毛,然不宜早生。萬金相云:二十生毛三十死,四十生毛命壽長,若四十之上忽然生一毫長者,三年內遇貴。
再び眉上の氣色を看るに、忽然として發白するは、哭泣喪服の事あるを主る。忽然として發紅するは、三日より七日の內に口舌官司を主る。黃明の色が華蓋(眉上の額部)に透入するは、近ければ則ち數日・遠ければ則ち久しからず喜訊家に到る有り、亦た出行走動するに吉を主る。眉中に忽然として一根の長毫を長出するを「壽毛」と呼ぶ、但し生ずること太早きに宜しからず。《萬金相法》に曰く、二十歲に壽毛を生ずるは三十歲に死し、四十歲に壽毛を生ずるは乃ち長壽を主る。若し四十歲以上にして忽然として一根の長毫を長出せば、三年の內に貴人に遇はん。
目は監察官と爲す
兩眼浮光,雙輪噴火,殺人賊好奸謀:兩眼浮光者,謂噴突不收,光射人也。雙輪噴火,上下眼堂紅赤,如炎火噴外也,似此者則主人凶惡,奸狡貪鄙,衷懷奸盜之心。然平生之惡。三十歲入運,至三十五此五年大發。三十七至四十。此四年亦不利。《大統賦》云:睛如點漆。許負門:目中赤沙起,法死須妨己。又謂之蛇眼,赤沙便是噴火。
兩眼の神光浮露・上下の眼眶が噴火するが如く赤紅なるは、是れ人を殺すの凶徒・奸謀を好用するの盜賊なり。所謂「兩眼浮光」とは、眼珠突出して神光收まらず、人を射て人を逼るを謂ふ。所謂「雙輪噴火」とは、上下の眼堂紅赤にして、火焰が外に向かって噴くが如し。生成してかくの如き眼は、主人凶惡にして奸猾貪鄙にして、胸中に盜竊の心を懷く、此れ一生の惡相なり。三十歲に眼運に入りて、三十五歲に至る此の五年惡性大發す。三十七より四十歲に至る此の四年も亦た不利なり。《大統賦》に曰く、好眼は應に黑亮として點漆の如くなるべし(此れと正に相反す)。許負曰く、眼中に赤色の血絲を泛起するは、相法に按じて橫死を主り、須みに己を傷るを防ぐべし。此の種の眼を又「蛇眼」と呼び、所謂赤沙は即ち上文の言ふ噴火なり(底本の「許負門」は「許負曰」とすべし)。
睛如點漆,應不是常流:《廣鑑集》云:兩睛黑光如點漆,昭輝明朗光彩射人者,投貴人臣,神仙高士,奇異之相,然為平生之福,三十歲至三十五歲,此六歲顯耀功名。眼大者多攻藝業:《月波洞中經》云:眼睛大而端定,不浮不露,黑白分明者。主可學藝業,異於眾人。成家立業。
眼珠が黑亮として點漆の如きは、決して尋常の輩に非ず。《廣鑑集》に曰く、兩只の眼珠が黑光として點漆の如く、明朗にして人を照し・光彩逼人なるは、以て貴臣を爲す可く・以て神仙高士を成す可きの奇異の相にして、此れ一生の福分なり。三十歲より三十五歲に至る此の六年間功名顯耀す。眼大の人は多く能く技藝學業を鑽研す。《月波洞中經》に曰く、眼珠大にして端正安定、既に浮動せず亦た突露せず、黑白分明のは、能く一門の技藝學業を學成し、常人を超出し、家を成家業を立つるを主る。
上視者勿與交遊:上視者,或看物觀望,或觀人昂面,睛昂向上視者,主為人賊性,自強自是,不容物,太察多疑,不可為友,同行須在富貴之中,不可深交,又曰,上視者,人多狠。斜觀狼目強獨,性鏗吝更貪求:斜觀者,主人秉性剛強,獨能堅吝者,自堅不施,貪鄙愛聚,損人安已,縱居富貴能文,亦不改堅吝之心,口腹不能相應之人也。
眼睛老いて向上看する人は、彼と來往する勿れ。所謂「上視」とは、物を看或いは人を看る時總じて臉を仰起し・眼珠を朝上翻すを謂ふ。此の種の人は心性陰賊にして、剛愎自是にして、別人を容下せず、觀察過苛にして疑心重し、交りて朋友と爲す可からず。卽ち同じく富貴場中に往還すと雖も、亦た深交する可からず。又曰く、上視の人は多半狠戾なり。眼斜視して狼眼の如く・孤强自用のは、性情吝嗇にして而又貪求す。所謂「斜觀」とは、主人の秉性が剛强にして孤僻慳吝なるを謂ふ。自ら守ること死緊にして、從來施舍せず、貪婪にして聚斂を好み、別人を損害して以て己を安頓す。縱然として身富貴に居り・又文才ありと雖も、亦た此の慳吝の心を改掉する能わず、是れ嘴上の說ふ所と肚裡の想ふ所とが號に對せざる人なり。
《廣鑑集》云:目為心之外戶,觀其物外而知其內也。孟子曰:胸中正則眸子了焉,胸中不正,則眸子不能掩其惡也,善惡在目中偏正。善者。正視神清睛定。惡則斜視不定神濁。《太清神鑑》云:眼有些小病,心有些小毒,眼有十分病,心有十分毒。眼善心也善,眼噁心亦惡。《大統賦》云:斜盼者人遭其毒,然居富貴之書,只是心中不正,何況於小人乎。
《廣鑑集》に曰く、眼は心の外門にして、外表より以て內裡を看出すべし。孟子曰く、胸中端正なれば、眼珠便ち明亮清澈なり。胸中不正なれば、眼珠便ち其の邪惡を掩ふ能わず。故に善惡は則ち眼神の正と斜とを看る。善の人は目光平正・神清にして眼珠安定なり。惡の人は目光斜視・閃爍不定にして神氣渾濁なり。《太清神鑑》に曰く、眼上に幾分の毛病あれば、心裡に便ち幾分の毒あり。眼上に十分の毛病あれば、心裡に便ち十分の毒あり。眼善のは心も亦た善、眼惡のは心も亦た惡なり。《大統賦》に曰く、目光斜睨の人は、別人彼の毒害を遭ふべし。此の種の人は卽ち身富貴に居り・書を讀みたると雖も、亦不過心術不正のみ、況んや是れ市井の小人ならんや(底本の「之書」は「知書」とすべし)。
圓大神光露,心懷兇狠,訟獄堪憂:若圓大眼睛突露光者,主兇暴,多招禍患,常遭囹圄之囚繫,然為平生之凶,二十八限至三十五歲不利。三十七八九亦然,雖居富貴,亦為兇徒。若肯讀書,近君子遠小人,其凶減半。《月波洞中經》云:莫交眼突,往往見災□。又曰,眼露心亦露。
眼睛又圓又大にして神光外露のは、心懷凶狠にして、官司牢獄を擔心すべし。眼珠圓大突出して神光外泄のは、性情凶暴・多く禍患を招き・常に牢獄囚禁を遭ふを主り、此れ一生の凶相なり。二十八歲より三十五歲に至る此の一段不利にして、三十七・三十八・三十九歲も亦た一樣なり。縱然として身富貴に居ると雖も、亦た仍お凶徒なり。若し肯んじて書を讀み理を明らめ・君子に親近し・小人を遠離せば、凶險は以て一半を減ずべし。《月波洞中經》に曰く、眼珠突出の人と結交する勿れ、往往にして災禍を見るべし(ここで底本に脱字あり)。又曰く、眼露の人は心思も亦た藏ぬる能わず。
似雞蛇鼠目,不濫須偷:《月波洞中經》云:雞目無痕,好鬥貪淫。蛇目上胞厚而心毒。鼠目左小竊盜,似者男女盜竊貪婪無恥,然居富貴,亦不改奸妒之象。三角深藏毒害:眼生三角,兇狠之人,常能損物害人,若是女子,妨夫不良。《大統賦》云:三角多嗔,為妨夫命。刃者劍刃也,婦人眼生三角,如殺夫之劍也。
眼が雞眼・蛇眼・鼠眼の如きは、行爲放蕩ならざれば則ち偷竊性成なり。《月波洞中經》に曰く、雞眼は眼紋無く、鬪を好み淫を貪るを主る。蛇眼は上眼皮厚く、心腸毒あるを主る。鼠眼は左右不勻にして細小にして、偷竊を主る。此の幾種の眼の如きは、男女を論ぜず皆貪婪偷盜・羞恥を知らず。縱然として身富貴に居ると雖も、亦た奸詐嫉妒の本性を改掉する能わず。眼生じて三角にして眼珠深藏のは、心に毒害を存す。眼生じて三角形のは凶狠の人にして、常に物を損じ人を害す。若し是れ女子なれば、丈夫を妨害し・行爲不良を主る。《大統賦》に曰く、三角眼の人は惱怒多く、丈夫の性命を妨害する會あり。所謂「刃」は即ち劍刃なり。婦人に三角眼を生ぜば、一把の夫を殺すの劍の如し。
頻偷視,定無良籌:頻偷視者,謂談話之間,廣會之座,低目沉吟,常常用眼偷觀人者,乃為人心性不定,多疑智淺之象。神清爽秀,長如鳳目,身顯作王侯:神清秀者,瞳子瑩潔,黑白分明,如曉星光肘四遠也。長如鳳者。鳳目細長入鬢,極一寸五分,陰陽,大富大貴□蜀關雲長,唐房玄齡俱應。
眼睛が頻々と偷看する人は、肚裡に一定に好き主意無し。所謂「頻偷視」とは、談話の間・大庭廣衆の中に在りて、眼を低くして沈吟語らず、却って時時眼角を用ゐて別人を偷看するを謂ふ。此れ心性不定・疑心重くして智慮淺薄の相なり。眼神清爽秀朗・眼形細長にして鳳目の如きは、身顯にして位王侯に至るべし。所謂「神清秀」とは、瞳仁瑩潔・黑白分明にして、拂曉の星光が四方に照徹するが如し(底本の「光肘」は「光射」とすべし)。所謂「長如鳳」とは、鳳目細長にして尾梢鬢に入り、長きこと一寸五分なり。兩眼陰陽相配するは、大富大貴を主る(ここで底本に脱字あり)。蜀漢の關羽(字は雲長)・唐代の房玄齡は皆此の種の相に應じたり。
論曰:運限者,兩目管六年,左目三十三十一二,右目三十四五。目有四神,黑子生在眼胞上者,貪婪作竊。眼下者妨害。氣色者,三陰三陽,忽然生黑氣,深者二五日,淺者二七日,家宅不寧,陰人是非。紅者火災。眼下鋪青者,連累口舌。赤者官災。黑者破耗。黃明者最吉。陰人目下青者喪夫。赤者產厄。眼尾其色瑩白光潤者,主夫位增遷,財祿之喜。
總論に曰く、眼の運限を講ずるに、兩眼は共に六年を管す――左眼は三十・三十一・三十二歲を管し、右眼は三十四・三十五歲を管す。眼に四神の別あり、須みに清濁藏露を分辨すべし。眼上の痣:黑痣が上眼皮に生ずるは、貪婪偷竊を主る。下眼瞼に生ずるは、六親を妨克するを主る。再び氣色を看るに、三陰三陽(兩眼の下方)に忽然として黑氣を生ずるは、色深きは十天許り・色淺きは十四天許りにして、家宅不寧・女人が是非を生ずるを主る。紅色を現すは火災を主る。眼下に一層の青色を鋪開するは、牽連を受けて口舌あるを主る。赤を泛すは官非を主る。黑を泛すは破財耗散を主る。黄にして明潤のは最も吉なり。婦人の眼下發青のは夫を喪ふを主り、發赤のは産厄を主る。眼尾の氣色瑩白光潤のは、丈夫の官を升り、并びて財祿の喜あるを主る。
鼻は審辨官と爲す
竅小鏗貪:竅者,鼻孔也。《萬金相》云:左右胞謂之仙庫,左胞名左庫,右胞名右庫,夫庫欲高豐厚。竅者庫之戶也,戶欲小而齊,庫厚而隆,庫小而齊者,庫內有積也。庫狹而薄,戶大而薄者,庫無積也。竅小庫齊之相,好聚而不舍。戶寬反仰之相,無積而好施也。
鼻孔小の人は吝嗇にして聚を貪る。「竅」は即ち鼻孔なり。《萬金相法》に曰く、左右兩片の鼻翼を「仙庫」と呼び、左邊を左庫と呼び、右邊を右庫と呼ぶ。庫は生じて高厚豊滿を要す。鼻孔は庫の門戶にして、門戶は小にして齊整を要し、庫は厚くして隆起を要す。庫小にして齊整のは、庫裡に積蓄あり。庫狹薄・門戶又大又薄のは、庫裡に積蓄無し。故に鼻孔小にして鼻翼齊整の相は、主人が財を聚むるを好みて花費を舍てず。鼻孔寛大・鼻頭上仰の相は、主人が錢を存ずる能わずして施舍を好む。此の一條は財帛の聚散を講じ、鼻孔と鼻翼との兩處より看出す。
高隆顯宦:《廣鑑集》云:鼻為土宿,萬物生於土,歸於土,象乎山嶽,山不厭高,土不厭厚,義為一面之表也。夫天地人三才之中,鼻為人也,欲得高隆而貴。《大統賦》云:惟鼻者,號嵩嶽,居中為天柱而高聳,梁貴乎豐隆,漢高祖隆準,終為平生之福,三十五至五十中,大顯功名。
鼻子高隆の人は顯官を爲す。《廣鑑集》に曰く、鼻は五星の中に土に屬し、「土宿」と呼ぶ。萬物は土の中より生じて・又土に歸す。鼻は山岳に象を取り、山は高きを嫌はず、土は厚きを嫌はず。故に鼻は一面の儀表なり。天・地・人の三才の中に在りて、額は天と爲し・頦は地と爲し、鼻は中に居りて人に屬す。故に生じて高隆なるを要して乃ち貴なり。《大統賦》に曰く、ただ鼻子は中岳嵩山と號する有り、面部の正中に居り、天柱の如く一般高聳す。鼻梁は豊滿隆起を貴ぶ。漢高祖は即ち「隆準」(高き鼻梁)にして、此れ終竟一生の福分なり。鼻運は三十五歲より五十歲の間にして、正に大いに功名を顯すの時なり。
偏斜曲陷堪傷:偏斜者,不端正,主孤滯也。曲者主孤貧。《萬金相》云:鼻偏左先損父,偏右先損母。又曰,樑柱不直,中年遭厄。六七八限至九六不利。許負曰:鼻仰突,多孤獨。陷者,地低四陷,瘡窩疵瘕痕傷也,亦主妨厄,最不利。
鼻子偏斜・彎曲・凹陷のは皆傷損を主る。「偏斜」は鼻端正ならざるにして、孤獨滯礙を主る。「曲」は鼻梁彎曲にして、孤苦貧寒を主る。《萬金相法》に曰く、鼻が左邊に偏向するは先づ父親を克損し、右邊に偏向するは先づ母親を克損す。又曰く、鼻梁の此の根の柱子直ならざるは、中年に厄に遭ふ。三十六より四十九歲一帶の鼻運皆不利なり。許負曰く、鼻孔上仰して鼻頭突出のは、多く孤獨を主る。所謂「陷」とは、鼻旁の地勢低く・四面凹陷し、或いは瘡窩・瘢痕・疵疤等の損傷あるを謂ふ、亦た妨害災厄を主り、最も不利なり。
《萬金相》云:印堂缺陷,財祿不旺,三十六歲,不利妻房。山根缺陷自身傷害,三十八歲,本身不利。金匱缺陷,鎖在他鄉,三十九遠出不利,亦重破祖。年上缺陷,哭聲不祥,四十歲孝服哭泣動。月孛缺陷,百事為傷,四十一歲凡幹□難成。壽上缺陷,作事乖舛,四十二歲,凡幹不利。準頭缺陷,人事不和,四十三歲,妨是非口舌。左庫缺陷,財物消散。四十四歲破財。右庫缺陷,橫事極多,四十五大破財。
《萬金相法》に處處に逐ひて鼻部各位の缺陷の應期を列出す。印堂缺陷のは、財祿旺ならず、三十六歲の那年妻室に不利なり。山根缺陷のは、自身傷害を受く、三十八歲本人不利なり。金匱(山根の兩側)缺陷のは、他鄉に羈留するを要し、三十九歲遠行不利にして、亦た重重祖業を破敗するを主る。年上缺陷のは、哭聲不祥の兆あり、四十歲の那年孝服哭泣の事動く。月孛(山根の別名)缺陷のは、百事傷を受け、四十一歲凡そ求むる所有りて(ここで底本に脱字あり)皆成ること難し。壽上缺陷のは、事を爲すに乖違差錯し、四十二歲諸事不利なり。準頭缺陷のは、人際不和にして、四十三歲是非口舌を防ぐを要す。左庫(左鼻翼)缺陷のは、財物消散し、四十四歲破財す。右庫(右鼻翼)缺陷のは、橫事極めて多く、四十五歲大いに破財す。
此十缺陷,然為人限不利,必須更看別位滿缺乘除。若是神陷,色尾陷,文武陷,天地陷,色更青赤,乃為一生孤克,貧下之相也。蓋緣缺處多。若天地豐,目下平,日月明,魚尾滿,氣色正,似此者,運至有災。《大統賦》云:完美宜官,破露憂辱,最忌準頭。
已上の此の十種の缺陷は、皆其の限に行かば不利を主る。但し還た必ず他の部位の是れ滿是れ缺を再び看て、彼此加減折算し、只だ一處に憑りて斷定する可からず。若し神光陷・眼尾氣色陷・文武二星(左右の眉眼)陷・天庭地閣皆陷して、氣色又發青發赤せば、則ち是れ一生孤苦刑克・貧賤低下の相なり。何となれば虧缺の地方太多きを以てなり。之に反して、若し天庭地閣豊滿・眼下平實・日月角明朗・魚尾飽滿・氣色端正なれば、此の樣の人は縱然として運を行きて缺陷の處に災あれども、亦た大害に致らず。《大統賦》に曰く、鼻相完美のは官を爲すに宜しく、破損外露のは憂愁屈辱を主り、其の中最も忌諱するは準頭に損あるを是とす。
若還短促,未敢許榮昌:短促,鼻小侷促也。《大統賦》云:巢窩,面之儀表,欲其廣大,主富貴。若短小侷促,主貧賤。許負曰:鼻小莫求官。《大統賦》云:小而滯者作童僕。若鼻短促,童僕之相,為平生貧賤,六六至五九,最不利於己。然鼻小之相,終身不富貴,縱有神骨,相貌亦不祥。
鼻若し短小局促なれば、則ち敢へて彼を榮顯昌盛と許す能わず。「短促」は鼻子小にして局促なり。《大統賦》に曰く、鼻の此の「巢窩」は一面の儀表にして、生じて廣大なるを要して乃ち富貴を主る。若し短小局促なれば、則ち貧賤を主る。許負曰く、鼻小の人は官を求むるを去れ。《大統賦》に曰く、鼻小にして氣色滯暗のは、ただ童僕を爲すのみ。鼻短促のは正に童僕の相にして、一生貧賤なり。三十六歲より五十九歲に至る鼻運の裡にして、自己に對し最も不利なり。總じて鼻小の相は終身富貴を得ること難く、縱然として神氣骨格尚ほ可なりと雖も、相貌も亦た祥瑞と算せず。
生怕十分昂露:昂露,鼻孔仰。孔為二庫之門,十分昂露者,謂戶門開闊內無積也,難為平生不利,五九大破。廣鑑相中,大忌鷹嘴露竅。《大統賦》云:井灶露破廚無粟。井灶者,鼻孔也,又云斜如菱藕之狀,困乏預儲,斜如菱藕者,鼻斜露似刀切藕也,預儲為盛米之器也。困乏為無米也。《照膽經》云:鼻孔外仰成惡敗。
最も怕るゝは鼻孔が十分に朝天外露するを是とす。「昂露」は即ち鼻孔上仰なり。鼻孔は左右兩庫の門戶にして、十分に昂露すれば則ち門戶大開して庫內に積蓄無きに等しく、一生不利を免れず、五十九歲の那年大いに破財す。《廣鑑集》相法の中に、最も忌諱するは鼻鉤が鷹嘴の如くして鼻孔外露するを是とす。《大統賦》に曰く、井竈破露のは、厨房裡に存糧無し――「井竈」は即ち鼻孔なり。又曰く、鼻斜きこと切開の菱角蓮藕の如ければ、米囤裡則ち空乏す――所謂斜如菱藕とは、鼻が歪斜外露して、刀を以て斜に切りたる藕に好似たるを謂ふ。「預儲」は米を盛るの器具にして、「困乏」は即ち米無きを謂ふ。《照膽經》に曰く、鼻孔が外に向かって上仰するは、凶惡敗落を主る。
如懸膽,必作朝郎:如懸膽者,其形從印堂隆隆懸垂,直下準頭,準頭完美如彈者是也。似懸掛豬羊之膽,有骨法,貴作朝郎,無骨法者,富有千金。《心鏡經》云:鼻如懸膽,終須貴,土曜當生得地來。若是山根連額起,定知榮貴作三臺。許負曰:鼻如懸膽,家財鉅萬。《大統賦》云:圓如懸膽之形,榮食鼎□,為平生之福,六六至五九,大發財祿。
鼻子生じて懸膽の如きは、必定朝廷の命官を爲す。所謂「如懸膽」とは、鼻形が印堂より起りて隆隆下垂し、一直に鼻準に至り、鼻準圓滿して彈丸の如く、整體は掛けたる猪羊の膽囊の如し。此の種の鼻若し再び好骨法に配せば、貴にして朝官と爲るべし。卽ち好骨法無くとも、亦た千金を富有す。《心鏡經》に曰く、鼻懸膽の如きは終竟貴ならん、土曜(鼻)が其の地を生得するを以てなり。若し山根一直に額頭に連なりて隆起せば、必定榮貴にして位三台に列す。許負曰く、鼻懸膽の如きは、家財巨萬なり。《大統賦》に曰く、鼻圓にして懸膽の形の如きは、能く列鼎して食するの榮華を享く(ここで底本に脱字あり)。此れ一生の福分なり。三十六歲より五十九歲に至る鼻運の裡にして、大いに財祿を發す。
年壽上縱橫紋理,家破苦窮忙:鼻為年壽二位,屬中央戊已上,萬物生成之地,又為巢窩,欲其光隆無犯者吉,若有縱橫亂紋交雜者,破祖離家,一生弛驟奔波苦,終日揭貧困而厄。若得形正神剛,則主成敗走驟,若女子不可為配。《大統賦》云:紋若亂交,慎勿為乎眷屬,平生大破。
鼻梁上の年上・壽上の二位若し縱橫交錯の紋理あれば、家業破敗・一生窮忙を主る。鼻は年上・壽上の兩段に分かち、五行は中央戊己土に屬す(底本の「戊已上」は「戊己土」とすべし)、是れ萬物生成の地にして、又「巢窩」と呼ぶ。生じて光潤隆起・侵犯する所無きを要して乃ち吉なり。若し縱橫亂紋其の上に交雜せば、祖業を破敗し・鄉井を離背し・一生奔波勞苦・終日貧困に厄せらるるを主る。若し形貌端正・神氣剛强なれば、亦不過成敗起伏・奔走不定のみ。此の種の紋相若し女子の身上に生ぜば、則ち之と婚配するに宜しからず。《大統賦》に曰く、鼻上の紋路若し雜亂交錯せば、千萬に之と眷屬を結ぶ勿れ、一生大いに家業を破るを以てなり。
山根低折,田園不守,妻子先亡:低者,塌也。折者,橫紋斷流也。似此者則主破祖離巢,妨害妻子也。終為平生之患,三十七至四十歲,運行到此,男女並同,蓋緣為生日不順也。若更眉壓眼,神氣薄,樑柱偏,輕則中年大病刑獄,重則喪軀矣。或得形正神強,色明聲亮,其害減半。
山根低塌或いは斷折のは、田園を守る能わず、妻子兒女還た先んじて亡ぶ。「低」は即ち塌陷にして、「折」は橫紋ありて鼻梁を截斷するを謂ふ。生成してかくの如きは、祖業を破敗し・舊居を離れ、還た妻子を妨害するを主る。此れ一生の隱患なり。三十七歲より四十歲に至る運を行きて此に至るは、男女皆一樣にして、此の一段は本と生機不順の部位を以てなり。若し再加へるに眉毛眼を壓し・神氣單薄・鼻梁偏斜なれば、輕ければ則ち中年大病或いは牢獄の災、重ければ則ち命を喪ふ。倘若形貌端正・神氣强旺・氣色明朗・聲音洪亮なれば、此の危害は以て一半を減ずべし。
《五總龜》曰:月孛宮中折又尖,家財早破事相煎,妻兒晚見尤難保,況是□屬少年。《萬金相》云:山根斷折,三十九四十一,三年命祿中。
《五總龜》に曰く、月孛宮(山根)が既に斷折し又尖削なるは、家財早年に破敗し、事事煎迫す。此の種の人は卽ち晚年に至りて乃ち妻兒を得ると雖も、亦た保全し難し、況んや(ここで底本に脱字あり)還た是れ少年の時候に在るをや。《萬金相法》に曰く、山根斷折の人は、三十九歲・四十歲・四十一歲の此の三年正に命宮と祿位との運程の中に落ち、最も小心すべし。
又曰:月孛名山根,又名疾厄宮,又名妻子宮。又名月孛宮,又名嶺斷宮,司囚宮,在山根上一分,名玉嶺根斷自身傷。又曰:嶺斷官司不自由,嶺根折斷自身休。山根嶺斷三十九,嶺根道斷自身休。又曰:山懸橋道耗財,主嶺山根金道三位折也。嶺根平梁,財聚,三位高也,此三位嶺根道,於一面之中,諸部之內,最關禍福,學者可用意觀之。
又曰く、山根に許多の別名あり――月孛と呼び、亦た疾厄宮・妻子宮・月孛宮・嶺斷宮・司囚宮と呼ぶ。山根上方の一分の處を「玉嶺」と呼び、此處若し斷なれば、自身傷を受く。又曰く、嶺斷の人は常に官司纏身・自由を得ず。嶺根折斷のは、自身亦た就中完了す。山根・玉嶺斷折は三十九歲に應ず。嶺・根・道の三處斷のは、自身保ち難し。又曰く、山・懸・橋・道の諸位破損すれば則ち財を耗すとは、玉嶺・山根・金道の此の三處折斷を指す。之に反して、嶺・根・梁平滿のは財を聚むるを主る、彼は此の三處皆高起の緣故なり。此の嶺・根・道の三處は、整箇の面部諸位の中に於て、最も禍福に關係す。相を學ぶの人は心を用ゐて細看すべし。
鼻如鷹嘴樣狡狠:鷹嘴樣者,嶺根道三位細細低下,年壽孤聳,準頭尖垂向下者是也。可旁觀得見,主最毒。《廣鑑集》云:鼻如鷹嘴,啄人心髓。貧女曰:旁觀曲凸如鷹嘴,心裡奸謀暗殺人。許負曰:生伯如鷹嘴,一生奸詐不堪言。《月波洞中經》云:相中大忌鷹嘴露竅,似此者,主為人最毒,常懷嫉賢妒能。外貌偽和假寬,內實毒害。然居富貴知書,不免貪婪奸狡,何況小人乎?又主好成要敗,四十五歲主人破財。
鼻子長成して鷹嘴の如き人は狡詐狠毒なり。所謂「鷹嘴樣」とは、玉嶺・山根・金道の三處細細低陷にして、中間の年上壽上孤零零として聳起し、鼻頭却って尖尖として下に向かって垂鈎す――側面より看れば最も清楚にして、主人心腸最も毒し。《廣鑑集》に曰く、鼻鷹嘴の如きは、別人の心髓を啄食する會あり。《貧女相法》に曰く、旁より看て彎曲凸出して鷹嘴の如きは、心裡に奸謀を藏して人を暗害せんとす。許負曰く、生成して鷹嘴鼻のは、一生奸詐にして說き出す可からず。《月波洞中經》に曰く、相法の中最も忌むは鷹嘴鼻に鼻孔外露を加ふるを是とす。此の種の人は人と爲りて最も毒にして、常に賢能を嫉妒し、外表は溫和寬厚に裝ひ、內裡其の實歹毒なり。此の種の人は卽ち身富貴に居り・書を讀みたると雖も、亦た貪婪奸猾を免れず、況んや市井の小人をや。又事將に成らんとして又敗壞するを主り、四十五歲の那年破財を主る。
廣大巢窩須穩:《萬金相》云:鼻為巢窩,人之家宅也。欲其樑柱端直,年壽豐隆廣大肉厚,接迎東西二嶽,準圓庫起者。主家宅廣人口多,三十六歲入運,至五十九歲,此十年大進入口並宅舍。《大統賦》云:梁廣者窩巢穩。
鼻の此の「巢窩」寬廣なれば、家宅乃ち安穩なり。《萬金相法》に曰く、鼻を巢窩と呼ぶは、即ち人の家宅なり。鼻梁の此の根の柱子端正挺直を要し、年上壽上豊隆寬廣にして肉厚く、左右に向かって東岳(左顴)西岳(右顴)を接應し、鼻頭圓滿にして兩旁の仙庫隆起す――かくの如き人は家宅寬大・人口衆多なり。三十六歲より鼻運に入りて、五十九歲に至る、此の一段の中に十年大いに人口を添え并びに宅舍を置辦す。《大統賦》に曰く、鼻梁寬廣の人は、巢窩則ち安穩なり。
光明主財祿殊常:《太神神鑑》云:面部有五嶽之位,額為南嶽衡山,屬離火。頦為北嶽恆山,屬坎水,左顴為東嶽泰山,屬震木,右顴為西嶽華山,屬兌金,鼻為中嶽嵩山,屬中央土,金木水火土,各有時,火主夏,水主冬,木主春,金主秋,惟土每季旺十八日,乃為萬物生成之地,所以鼻貴乎高隆光明色黃者,得其十之本色也,若有骨法者,主有貴祿,在庶人得財入宅。
鼻部氣色光明のは、財祿非同尋常を主る。《太清神鑑》に曰く、面部に五岳の位あり――額は南岳衡山にして、離卦の火に屬す。頦は北岳恒山にして、坎卦の水に屬す。左顴は東岳泰山にして、震卦の木に屬す。右顴は西岳華山にして、兌卦の金に屬す。鼻は中岳嵩山にして、中央の土に屬す。金木水火土は各おの當令の時あり。火は夏に旺に、水は冬に旺に、木は春に旺に、金は秋に旺に、ただ土は每季末に各おの十八天旺にして、是れ萬物生成の地なり。故に鼻は高隆光明を貴び、顏色發黄すれば、彼は正に土の本色を得たるなり(底本の「十之本色」は「土之本色」とすべし)。此の種の鼻若し再び好骨法に配せば、貴位厚祿あるを主る。就中平民百姓と雖も、亦た能く財を得て産を置く。
《大統賦》云:梁貴乎於隆貫額,高也。色貴乎光瑩溢目,明也。許負曰:準明印正,諸事亨通。鬼谷先生曰:欲觀在任吉凶者,看年壽二位,一分黃明,一年無事,二分黃明,二載平安,三分黃明,三周吉利,若見非來之色,或青或赤或黑,並主當年不利。《五總龜》曰:年壽四時黃。財帛喜非常。
《大統賦》に曰く、鼻梁は隆起して直に額頭を貫くを貴ぶ、此れ則ち所謂「高」なり。氣色は光瑩にして滿溢して目に入るを貴ぶ、此れ則ち所謂「明」なり。許負曰く、準頭明潤・印堂端正なれば、諸事亨通す。鬼谷先生曰く、在任官員の吉凶を看らんと欲せば、則ち年上・壽上の兩處の氣色を看よ――一分の黃明有れば一年無事、兩分の黃明有れば兩年平安、三分の黃明有れば三年吉利なり。若し應に出現すべからざる顏色を見、或いは青・或いは赤・或いは黑なれば、皆當年不利を主る。《五總龜》に曰く、年上壽上が四季皆黃潤を保持するは、財帛の喜非同尋常なり。
《廣鑑集》云:心善三陽光點點,左眼胞也。脾安鼻準見黃明,耳輪焦黑腎臟喪,年壽黃明福德生,右目上下,忽然準頭明更淨,等閒有土是通亨,土者黃明也。自印堂至準庫中間,四季常得黃明。寒暑不侵。壽怒不變,乃為平生之福也。
《廣鑑集》に曰く、心地良善の人は、三陽(左眼胞)一帶光として點點發亮す。脾氣安和の人は、鼻準に黃明の色を現出す。耳輪焦黑のは、是れ腎臟已に傷へられしなり。年上壽上黃明のは、福德此に由りて生ず(三陰は右眼上下を指す)。若し忽然として鼻準明亮にして潔淨にして、平白に土色を見れば、則ち通達亨順なり――所謂「土」は、即ち黃明の色なり。印堂より一直に準頭・仙庫に至る此の一段の中間、四季常に黃明を保し、寒暑侵る能わず、喜怒も亦た之を改めず、此れ則ち一生の福氣なり(底本の「壽怒」は「喜怒」とすべし)。
準頭黑,蘭臺暗摻,旬日必身亡:準頭者,是土之主。蘭臺,左鼻胞名蘭臺,又右為廷尉。《海底眼》曰:夫鼻者,運五臟之精華,肺之苗。肺虛則通,而色瑩光明。無病多吉。肺災則塞,而色摻黑暗,大患至而多凶。若見準頭蘭臺包修黑暗者,大病速至,不出十日之內喪矣。病人最怕此色。
鼻準發黑・蘭臺晦暗にして雜色を摻雜せるは、十天の內に必定身亡す。「準頭」は土位の主宰にして、「蘭臺」は左鼻翼の名稱、右鼻翼は則ち「廷尉」と呼ぶ。《海底眼》に曰く、鼻子は五臟の精華を運轉し、是れ肺の苗竅なり。肺氣虛にして通暢する時は、鼻色瑩潤光明にして、病無く多吉なり。肺に病ありて壅塞する時は、鼻色則ち黑暗を摻雜し、大患將に至らんとして多凶なり。若し準頭・蘭臺一帶の整片黑暗を見れば、大病立刻に到り、十天を出でずして死せん。病人は此の種の氣色を見るを最も怕る。
論曰:運限者鼻管十年,自印堂二十八,至右庫五十。鼻有二節,黑於在山根者,主妨妻害子,鼻側,大凶不利,年上者兄弟難為,印堂當中圓黑者,貴吉。夫氣色印堂山根,光明者吉,暗慘者滯,年壽黃明者吉,黑病,赤官災,青破耗,白哭泣,準頭黃明者,喜慶立至。黑大病,赤紅者破耗,白者破毒。
總論に曰く、鼻の運限を講ずるに、鼻は共に十年を管し、印堂の二十八歲より起りて、右庫の五十歲に至りて止まる。鼻は年上・壽上の兩節に分かつ。痣の應驗は:黑痣が山根に長ずるは、妻を妨げ子を害するを主る。鼻側に長ずるは大凶不利なり。年上に長ずるは、兄弟依靠と爲り難し。ただ印堂正中に一顆の圓黑痣を生ずるは反って貴吉を主る。再び氣色を看るに、印堂と山根と光明のは吉、暗慘のは滯なり。年上壽上黃明のは吉、發黑は病を主り、發赤は官非を主り、發青は破財を主り、發白は哭泣を主る。準頭黃明のは、喜慶立刻に到り、發黑は大病を主り、赤紅は破耗を主り、發白は中毒受損を主る。
口は出納官と爲す
短促、唇掀、色青、齒露、偏邪,骨肉相煎:促者,口聚也。短者,橫窄也。促短者,並主孤也。《大統賦》云:口如吹火似寒酸。吹者撮聚也。《通神鬼眼相》曰:口有三聚,一曰猴口,吹火聚注,令人無子,孑立自身亡。二曰羊口,飲水聚注,令人孤寒,好歌樂,無衣糧。三曰鶴口,縮囊聚注,令孤寒,性寡親子另房。
口若し短促・脣掀・色青・齒露・偏斜なれば、骨肉親人互相に煎迫するを主る。「促」は口撮聚攏にして、「短」は口橫向窄小にして、兩者皆孤獨を主る。《大統賦》に曰く、口を撮起すること吹火の如きは、是れ寒酸の相なり――「吹」は即ち撮攏なり。《通神鬼眼相》に曰く、口に三種の撮聚の形あり。第一種は「猴口」と呼び、撮聚して吹火の如く、主人無子にして孤零零として終老す。第二種は「羊口」と呼び、撮聚して飲水の如く、主人孤寒にして、歌を唱ふを好み樂を作して衣糧無し。第三種は「鶴口」と呼び、撮聚して收口の布袋の如く、主人孤寒にして、性情寡合にして、親生の子女とも亦た房を分かち別住す。
唇掀者,口唇翻蹇也,亦主弧克。《太清神鑑》曰:眼露睛,唇皮蹇,男憂賊盜,女憂產難。若去寺觀及出家,免得一身見八難。青色者,言唇氣青黑,亦主弧貧。《五總龜》云:貧窮似鼠常青黑,破盡田園不住家。《大統賦》云:青黑禍發,齒露者,凡語笑露齒牙,孤克。《廣鑑集》云:相中大忌露齒也。
「脣掀」は嘴脣が外に向かって翻卷するを謂ふ、亦た孤獨刑克を主る(底本の「弧克」は「孤克」とすべし)。《太清神鑑》に曰く、眼珠外露・脣皮翻卷のは、男子は賊盜の禍を憂慮し、女子は難産の厄を憂慮すべし。此の種の人若し寺觀に入りて出家せば、以て一身の八種の苦難を免る可し。所謂「色青」とは、脣上の氣色青黑を謂ふ、亦た孤苦貧寒を主る。《五總龜》に曰く、貧窮の人は脣色老鼠の如く常に青黑を帶び、家中の田園破盡にして、住すこと能わず。《大統賦》に曰く、脣色青黑なれば則ち禍事發生せん。所謂「齒露」とは、凡そ說話發笑する時牙齒皆露出するを謂ふ、孤獨刑克を主る。《廣鑑集》に曰く、相法の中最も忌諱するは齒を露するを是とす。
偏斜者,口不正也,亦主孤貧。《萬金相》云:海朝文、陽十七禍至,陰二八大病。海朝武,陽二八災病,陰十七禍生,文左武右也。又曰,水星不正,骨肉相煎。水星,口也。骨肉,六親也。然主平生之象,五十六歲入運,至六十四歲不利骨肉。
所謂「偏斜」とは、即ち口生じて端正ならざるを謂ふ、亦た孤苦貧寒を主る。《萬金相法》に曰く、口角が「文」の一邊(左邊)に朝向するは、男子十七歲に禍事あり、女子十六歲に大病あり。口角が「武」の一邊(右邊)に朝向するは、男子十六歲に災病あり、女子十七歲に禍端を生ず――所謂文は左に在り、武は右に在り。又曰く、水星(口)端正ならざれば、骨肉の間則ち互相煎迫す。「水星」は口を指し、「骨肉」は六親を指す。此れ一生の相にして、五十六歲より口運に入りて、六十四歲に至る、此の一段は六親に於て不利なり。
闊而不正,虛詐不堪言:橫曰不收,而偏斜不正者,主為人多奸猾,虛謬不實。《大統賦》曰:大言無信者略綽,賂綽者,即橫闊不收也。《五總龜》曰:若傷歸於左胖,是非奸詐愛便宜,口唇左邊也。偏薄是非謗訕:偏薄者,口唇薄橫偏也,主好說談,是非謗訕者,不知己口快舌長。專提人語失,取笑渾語,毀善譏調,不顧忌諱,似此之人,雖居富貴,亦不脫小人也。《五總龜》曰:水星偏陷兩頭垂,尖薄無稜作乞兒。無稜者,薄也。
口闊にして端正ならざるは、虛僞奸詐にして言説する能わざるを得たり。口橫向張開して兩角收まらず、又偏斜不正のは、主人多く奸猾にして、說話虛妄不實なり。《大統賦》に曰く、大話を說いて信を守らざる人は、口形「略綽」なり――所謂略綽とは、即ち橫闊にして收攏せざるを謂ふ。《五總龜》に曰く、若し口形が左半邊に損せば、主人是非多く・奸詐にして便宜を占むるを愛す(口脣の左邊を指す)。口偏にして薄のは是非多く・誹謗譏訕を愛す。所謂偏薄とは、嘴脣薄にして橫斜なるを謂ふ。此の種の人は閑話を說くを好み、專ら別人の話裡の毛病を挑み、持ち來りて取笑戲謔し、好人を詆毀し・譏諷調侃し、全く忌諱を顧みず、自己は卻って口快舌長を覺えず。此の種の人は縱然として身富貴に居ると雖も、亦た小人本色を脫する能わず。《五總龜》に曰く、水星(口)偏斜低陷・兩箇の嘴角下垂・脣尖薄にして稜線無きは、是れ乞丐の相なり――所謂「無稜」とは、即ち脣薄なり。
如朱抹,名譽相傳:如朱抹者,口唇紅鮮,似塗抹硃砂之紅色也,主文章才俊,其姓名傳揚四方。陳圖南曰:唇如潑砂,富貴如華,紅色也。許負曰:口如含丹,不受飢寒。郭林宗曰:唇紅齒白食天祿,多藝多財又多富。《貧女》曰:貴人唇紅似潑砂,更加四字足榮華。然主平生之貴,五十六歲入運,大發財祿。
嘴脣紅きこと朱砂を塗りたるが如ければ、名譽便ち遠近に相傳す。所謂「如朱抹」とは、脣色鮮紅にして、朱砂を抹上げたるが如し。此の種の人は文章才華あるを主り、姓名四方に傳揚す。陳摶曰く、嘴脣が朱砂を潑きたるが如く紅なれば、富貴便ち花開くが如し。許負曰く、口中丹砂を含むが如く紅潤のは、飢寒を受けず。郭泰曰く、脣紅齒白の人は天賜の祿を享け、技藝多く・財物多く而且富あり。《貧女相法》に曰く、貴人の嘴脣紅きこと砂を潑くが如し、若し口形再び方正にして「四」字の如くなれば、榮華則ち足れり。此れ一生の貴相にして、五十六歲に口運に入れば、大いに財祿を發す。
唇裡紫,食肉千里,衣祿自天然:唇鮮紫紅色者,主富貴。可食千里之爵祿,乃為天生自然之福,平生之貴,五十六入限快。覆載多紋理,掩人過惡,得子孫須賢:覆載,唇之名也。《萬金相》云:上層名金覆,下層名金載,若唇上下有紋理多者,主為人寬和,見善多為,遇惡勸歸於善,而喜避其惡,又招貴子賢孫。《大統賦》云:上下紋交子孫眾,周匝稜利仁信全。
嘴脣裡面紫紅色を呈するは、能く千里の封地の俸祿を享け、衣祿天生に出づ。脣色鮮紫紅潤のは富貴を主り、以て千里之地の爵祿を受食すべし。此れ天生自然の福分・一生の貴氣にして、五十六歲に口運に入れば則ち順遂快意なり。上下脣紋理多き人は、能く別人の過錯を掩蓋し、還た能く賢良の子孫を得る。「覆載」は嘴脣の名稱なり。《萬金相法》に曰く、上脣を「金覆」と呼び、下脣を「金載」と呼ぶ。若し上下脣紋路多ければ、主人寬厚平和にして、善事を見れば多く之を爲し、惡人に遇へば則ち彼を勸めて善に歸せしめ、自ら惡行を避くるに樂しみ、還た能く貴子賢孫を招來す。《大統賦》に曰く、上下脣紋交錯のは子孫衆多にして、脣周稜角分明のは仁と信と皆齊全なり。
食時多哽咽,必主□:哽咽者,吃飯食吞噎,向喉咽之中,作沃沃之聲是也。□者,平生蹇滯不通。張紫菱曰:食為性之本,所以欲詳而不暴,啜不欲聲,吞不欲鳴也。《五總龜》曰:鳥啄豬食最賤客,相他衣食必無終,咽粗急者人多燥,鼠食從來飲食空。又曰:相食看詳緩,窮忙豈合宜,更嫌將鳥啄,更總合淋漓,性暴吞須急,心寬食必遲,問君榮貴處,牛哺福相隨。
喫飯の時常常哽咽作響するは、一生必定蹇滯なり(此の二處底本各おの一字脱す)。所謂「哽咽」とは、喫飯呑咽する時噎住し、喉嚨裡に「沃沃」の響聲を發するを謂ふ。主る所の(底本脱字)は則ち一生滯礙不通なり。張紫菱曰く、飲食は性命の根本にして、故に喫相は從容細緻にして粗暴ならざるを要し、湯を喝するに聲を出す勿れ、呑咽するに響を作す勿れ。《五總龜》に曰く、鳥の食を啄むが如く・猪の食を搶ふが如きは、最も下賤の喫相にして、彼の衣食を看れば必定善終する能わず。呑咽粗猛急促の人は性情多く躁なり。老鼠の如く零嘴斷えざるは、一輩子飲食空乏す。又曰く、喫相を看るは彼の從容不迫を看るを要す、窮忙食を搶ふは何ぞ合宜ならん。更に鳥の食を啄むが如きを嫌ひ、亦た喫ること湯水淋漓を嫌ふ。性情暴躁のは呑咽必ず急、心地寬厚のは進食必ず緩なり。何れの喫相か榮貴なるを問はば、牛の反芻の如く徐緩に咀嚼するは、福分自然に相隨す。
常向睡中不合,洩元氣,天促天年一:口者,宜言語以接萬物。博飲食以安五臟,造化之權,禍福之柄。唇為口之城廓,舌之門戶,一開一合,榮辱所繫也。所以夜睡開口者,洩其元氣,元氣既洩,壽不永也。
睡覺の時嘴常に張きて合攏せざるは、元氣を泄漏し、因りて天年を折損す(底本の「天促天年一」の文に訛衍あり、夭促天年を意謂す)。口の用處は、言語を用ゐて以て萬物に應接し、飲食を用ゐて以て五臟を安養す。其れ造化の權柄・禍福の把柄を掌る。嘴脣は口の城牆・舌の門戶にして、一開一合皆一生の榮辱に關係す。故に夜裡睡覺して口を張く人は、元氣口中より泄漏す。元氣一たび泄れれば、壽命便ち長からず。
親曾見低垂兩角,常被世人嫌:兩角下垂者,無衣食也,最招人憎嫌。《五總龜》曰:口者,心之外表,賞罰之所出,榮辱之所關。欲端而厚,言不亂發,謂之口德。若多言而亂發者,謂之口佞。若方廣有稜者,主壽。形如弓稍向上者,主貴。若尖而薄反者,主賤。若黑子生於上唇者,平生酒肉來自然。生於口角者,災滯。生於壽帶人口,主飢餓而死。女人唇生黑子者,主淫,無媒而自嫁也。
親眼見過するに嘴角が下に向かって低垂の人は、常に世人に厭嫌せらる。兩箇の嘴角下垂のは、衣食無きを主り、最も人の憎惡を招く。《五總龜》に曰く、口は心の外在の表徵にして、賞と罰とは此に由りて發出し、榮と辱とは此に由りて相關す。口は生じて端正厚實を要し、說話亂發せざるは、此れを「口德」と呼ぶ。若し話多くして亂說すれば、則ち「口佞」と呼ぶ。口方正寬廣にして稜角あるは長壽を主る。口形弓の如くして兩角稍稍上向のは貴を主る。口尖薄にして脣外翻のは賤を主る。痣に至っては、黑痣が上脣に長ずるは、一生酒肉自然に來る。嘴角に長ずるは災滯を主る。人中の「壽帶」の處に長じて口に入るは、飢餓して死するを主る。婦女の脣上に黑痣を生ずるは淫蕩を主り、媒妁を待たずして自ら人に嫁ぐ會あり。
論曰:運限者,口管十五年,為末主,五十六至六十四。口有三聚,黑子生在唇上者,主一生得酒食,唇內亦然。口角生者,末主水災。紋理者壽帶人口直,飢餓不食而死。氣色紅潤者,則貴。黑者賤。青者毒,白者亦然。黃者病。惟□口黃明者,最吉。
總論に曰く、口の運限を講ずるに、口は共に十五年を管し、末主に屬し、五十六歲より六十四歲に至る(并びに其の後の數年を含む)。口に前述の猴口・羊口・鶴口の三種の撮聚の形あり。痣の應驗:黑痣が脣上に長ずるは、一生酒食を缺かず、脣內に長ずるも亦た一樣なり。嘴角に長ずるは、晚年水災あり。紋理方面:人中の「壽帶」が直貫して口に入るは、飢餓して食を得ずして死するを主る。氣色方面:口色紅潤のは貴を主り、發黑のは賤を主り、發青のは中毒を主り、發白のも亦た一樣、發黄のは生病を主る。唯獨口周(ここで底本に脱字あり)に黃明の色を現すは最も吉なり。
