Libo

国風

先秦 · 佚名 · 第1巻 / 22

雎鳩(みさご)がかんかんと鳴き交わし、河の中洲にいる。あの淑やかで美しい娘は、君子の良き配偶者である。

儒家典籍

初学は四書から入るのがよい。大学が綱を立て、論語が言を記し、孟子が展開し、中庸が収束する。続いて詩経・尚書・礼記と春秋三伝へ。荀子・春秋繁露・近思録・伝習録は、経学の外で儒学がどう語られてきたかを見る几道である。

關關雎鳩,在河之洲。窈窕淑女,君子好逑。

雎鳩(みさご)がかんかんと鳴き交わし、河の中洲にいる。あの淑やかで美しい娘は、君子の良き配偶者である。

參差荇菜,左右流之。窈窕淑女,寤寐求之。

長さのそろわない荇菜(こうなすなずな)が、左右に流れ漂う。あの淑やかで美しい娘は、寝ても覚めても求め続ける。

求之不得,寤寐思服。悠哉悠哉,輾轉反側。

求めても得られず、寝ても覚めても思い慕う。長い夜よ、長い夜よ、転々として眠れない。

參差荇菜,左右采之。窈窕淑女,琴瑟友之。

長さのそろわない荇菜を、左右から摘み取る。あの淑やかで美しい娘には、琴瑟を奏でて近づこう。

參差荇菜,左右芼之。窈窕淑女,鐘鼓樂之。

長さのそろわない荇菜を、左右から選り取る。あの淑やかで美しい娘には、鐘鼓を鳴らして喜ばせよう。

葛之覃兮,施於中谷,維葉萋萋。黃鳥于飛,集於灌木,其鳴喈喈。

葛(かずら)が蔓を延ばし、谷間にまで伸び、その葉は萋萋(せいせい)と茂る。黄鳥(こうちょう)が飛び、灌木にとまり、喈喈(かいかい)と和やかに鳴く。

葛之覃兮,施於中谷,維葉莫莫。是刈是濩,為絺為綌,服之無斁。

葛が蔓を延ばし、谷間にまで伸び、その葉は密密(みつみつ)と繁る。そこで刈り取り、そこで煮て、細かい葛布と粗い葛布を作り、身に着けても厭きない。

言告師氏,言告言歸。薄汙我私,薄浣我衣。害浣害否,歸寧父母。

女師に告げる、私は里帰りすると。私の内衣を少し洗い、私の外衣を少し洗う。洗うべきものと洗わなくてよいものを見分けて、父母に安否を問いに帰る。

采采卷耳,不盈頃筐。嗟我懷人,置彼周行。

采采(さいさい)と卷耳(けんじ)を摘むが、浅い筐(かたみ)にも満たない。思い慕う人を嘆いて、筐を大路のほとりに置く。

陟彼崔嵬,我馬虺隤。我姑酌彼金罍,維以不永懷。

あの高く平らでない山に登れば、我が馬は足萎えて力を失う。とりあえず金罍(きんらい)の酒を斟(く)むのは、永く思い煩わないためだ。

陟彼高岡,我馬玄黃。我姑酌彼兕觥,維以不永傷。

あの高き岡に登れば、我が馬は玄黄(げんこう・病み疲れた)となって病む。とりあえず兕角(じかく)の杯の酒を斟むのは、永く傷まないためだ。

陟彼砠矣,我馬瘏矣,我僕痡矣,云何籲矣。

あの石山に登ったが、我が馬は病んで歩めず、我が僕(しもべ)も疲れ病む。どうすればよいのか、どう憂いを解こうか。

南有樛木,葛藟累之。樂只君子,福履綏之。

南方に下に垂れ曲がった木があり、葛藟(かつるい)がそれに絡まる。楽しき君子よ、福禄が彼を安らげる。

南有樛木,葛藟荒之。樂只君子,福履將之。

南方に下に垂れ曲がった木があり、葛藟がそれを覆う。楽しき君子よ、福禄が彼を助ける。

南有樛木,葛藟縈之。樂只君子,福履成之。

南方に下に垂れ曲がった木があり、葛藟がそれに縈(まと)いつく。楽しき君子よ、福禄が彼を成す。

螽斯羽,詵詵兮。宜爾子孫,振振兮。

螽斯(しゅうし)の翅、なんと多いことか。願わくはあなたの子孫、盛んにして仁厚であらんことを。

螽斯羽,薨薨兮。宜爾子孫。繩繩兮。

螽斯の翅、薨薨(こうこう)と鳴り響く。願わくはあなたの子孫、綿々として絶えざらんことを。

螽斯羽,揖揖兮。宜爾子孫,蟄蟄兮。

螽斯の翅、集まり集う。願わくはあなたの子孫、安らかに多からんことを。

桃之夭夭,灼灼其華。之子于歸,宜其室家。

桃の木は若々しく美しく、花は灼灼(しゃくしゃく)と明るく咲く。この娘が嫁ぐのは、その家室にふさわしい。

桃之夭夭,有蕡其實。之子于歸,宜其家室。

桃の木は若々しく美しく、実は蕡蕡(ふんふん)と実る。この娘が嫁ぐのは、その家室にふさわしい。

桃之夭夭,其葉蓁蓁。之子于歸,宜其家人。

桃の木は若々しく美しく、葉は蓁蓁(しんしん)と茂る。この娘が嫁ぐのは、その家人にふさわしい。

肅肅兔罝,椓之丁丁。赳赳武夫,公侯干城。

緻密な兎網、杭を打つ音が丁丁(ていてい)と響く。赳赳(きゅうきゅう)たる武士は、公侯の城を守る者である。

肅肅兔罝,施於中逵。赳赳武夫,公侯好仇。

緻密な兎網、四通の岐路に張る。赳赳たる武士は、公侯の良き輔佐である。

肅肅免罝,施於中林。赳赳武夫,公侯腹心。

緻密な兎網、林の中に張る。赳赳たる武士は、公侯の腹心である。

采采芣苡,薄言採之。采采芣苡,薄言有之。

采采と芣苡(ふうい・車前草)を摘みに行く。采采と芣苡を摘み取る。

采采芣苡,薄言掇之。采采芣苡,薄言捋之。

采采と芣苡を一粒ずつ拾う。采采と芣苡を一把ずつ扱(すく)い取る。

采采芣苡,薄言袺之。采采芣苡,薄言襭之。

采采と芣苡を、衣の襟を掲げて盛る。采采と芣苡を、襟をたばしおって入れる。

南有喬木,不可休息。漢有遊女,不可求思。漢之廣矣,不可泳思。江之永矣,不可方思。

南方に高い木はあるが、その下で休むことはできない。漢水に遊ぶ娘はいるが、求めることはできない。漢水は広すぎて泳いで渡れず、江水は長すぎて筏では渡れない。

翹翹錯薪,言刈其楚。之子于歸,言秣其馬。漢之廣矣,不可泳思。江之永矣,不可方思。

雑然と高く積まれた薪、その荊条を刈り取る。この娘が嫁ぐなら、その馬に餌をやろう。漢水は広すぎて泳いで渡れず、江水は長すぎて筏では渡れない。

翹翹錯薪,言刈其蔞。之子于歸。言秣其駒。漢之廣矣,不可泳思。江之永矣,不可方思。

雑然と高く積まれた薪、その蒌蒿(ろうこう)を刈り取る。この娘が嫁ぐなら、その小馬に餌をやろう。漢水は広すぎて泳いで渡れず、江水は長すぎて筏では渡れない。

遵彼汝墳,伐其條枚。未見君子,惄如調饑。

あの汝水の堤に沿って、その枝を伐る。まだ君子に会わないと、朝の飢えのように苦しい。

遵彼汝墳,伐其條肄。既見君子,不我遐棄。

あの汝水の堤に沿って、その再生枝を伐る。すでに君子に会えば、彼は私を遠く捨てなかった。

魴魚赬尾,王室如毀。雖則如毀,父母孔邇。

魴魚(ほうぎょ)は疲れて尾が赤くなり、王室は火の燃えるようだ。火の燃えるようだと言っても、父母はすぐ近くにいる。

麟之趾,振振公子,于嗟麟兮。

麒麟(きりん)の趾(あし)、仁厚な公子よ、ああ麒麟よ。

麟之定,振振公姓,于嗟麟兮。

麒麟の額(ひたい)、仁厚な公族の子弟よ、ああ麒麟よ。

麟之角,振振公族,于嗟麟兮。

麒麟の角、仁厚な公族よ、ああ麒麟よ。

維鵲有巢,維鳩居之。之子于歸,百兩御之。

鵲(かささぎ)に巣があり、鳲鳩(しきゅう・ホトトギス)がそこに住む。この娘が嫁ぐとき、百両の車が彼女を迎えに行く。

維鵲有巢,維鳩方之。之子于歸,百兩將之。

鵲に巣があり、鳲鳩がそれを占めて住む。この娘が嫁ぐとき、百両の車が彼女を送る。

維鵲有巢,維鳩盈之。之子于歸,百兩成之。

鵲に巣があり、鳲鳩がいっぱいに住む。この娘が嫁ぐとき、百両の車が婚礼を成す。

於以采蘩?於沼於沚。於以用之?公侯之事。

どこへ行って白蒿(はくこう)を摘むか。池沼で、小洲で。それを何に使うか。公侯の祭祀の事に。

於以采蘩?於澗之中。於以用之?公侯之宮。

どこへ行って白蒿を摘むか。山の涧(かん)の中で。それを何に使うか。公侯の宮廟に。

被之僮僮,夙夜在公。被之祁祁,薄言還歸。

鬘(かずら)を整然と結い上げ、朝から晩まで公家に仕える。鬘が盛んで垂れ下がるほどになって、これで帰れる。

喓喓草蟲,趯趯阜螽。未見君子,憂心忡忡。亦既見止,亦既覯止,我心則降。

草虫(そうちゅう)が喓喓(ようよう)と鳴き、阜螽(ふうしゅう)が跳ねる。君子に会わないと、心は忡忡(ちゅうちゅう)として憂える。すでに会えば、すでに相見えて、私の心は安らぐ。

陟彼南山,言採其蕨。未見君子,憂心惙惙。亦既見止,亦既覯止,我心則說。

あの南山に登って、蕨(わらび)を摘む。君子に会わないと、心は憂えて悩む。すでに会えば、すでに相見えて、私の心は喜ぶ。

陟彼南山,言採其薇。未見君子,我心傷悲。亦既見止,亦既覯止,我心則夷。

あの南山に登って、薇(ぜんまい)を摘む。君子に会わないと、私の心は悲しむ。すでに会えば、すでに相見えて、私の心は静まる。

於以採蘋?南澗之濱。於以採藻?於彼行潦。

どこへ行って浮萍(うきくさ)を摘むか。南の涧の水辺で。どこへ行って藻(も)を摘むか。あの流れゆく淀み水で。

於以盛之?維筐及筥。於以湘之?維錡及釜。

何でそれを盛るか。四角い筐と丸い筥(きょ)。何でそれを煮るか。脚のある錡(き)と脚のない釜。

於以奠之?宗室牖下。誰其屍之?有齊季女。

どこでそれを祭るか。宗廟の窓の下で。誰が祭祀を司るか。慎み深い少女が。

蔽芾甘棠,勿翦勿伐,召伯所茇。

茂った甘棠(かんとう)の木、剪るな、伐るな、召伯(しょうはく)がかつてここに住まれた。

蔽芾甘棠,勿翦勿敗,召伯所憩。

茂った甘棠の木、剪るな、毀(こぼ)つな、召伯がかつてここで休まれた。

蔽芾甘棠,勿翦勿拜,召伯所說。

茂った甘棠の木、剪るな、屈めるな、召伯がかつてここにとどまられた。

厭浥行露,豈不夙夜,謂行多露。

道の露は濃く濡れている。早朝や夜に急いで行かないわけではないが、道の露が多すぎるのが心配だ。

誰謂雀無角?何以穿我屋?誰謂女無家?何以速我獄?雖速我獄,室家不足!

誰が雀に角がないと言ったか。角がなければどうやって私の家を突き破ったか。誰があなたに家室がないと言ったか。家室がなければどうやって私を訴えて裁判にかけるか。たとえ訴えられても、家を成す礼はまだ足りない!

誰謂鼠無牙?何以穿我墉?誰謂女無家?何以速我訟?雖速我訟,亦不女從!

誰が鼠に牙がないと言ったか。牙がなければどうやって私の墻(かき)を突き破ったか。誰があなたに家室がないと言ったか。家室がなければどうやって私を訴えて訴訟を起こすか。たとえ訴訟を起こされても、私はあなたに従わない!

羔羊之皮,素絲五紽。退食自公,委蛇委蛇。

羔羊の皮裘、白い絲で縫った五紽(ごた)。公家から退朝して食事する、委蛇委蛇(いいいい・ゆったりとしてゆったりと)。

羔羊之革,素絲五緎。委蛇委蛇,自公退食。

羔羊の皮革、白い絲で縫った五緎(ごうい)。委蛇委蛇と、公家から退朝して食事する。

羔羊之縫,素絲五總。委蛇委蛇,退食自公。

羔羊の縫い目、白い絲で縫った五総(ごそう)。委蛇委蛇と、公家から退朝して食事する。

殷其雷,在南山之陽。何斯違斯,莫敢或遑?振振君子,歸哉歸哉!

殷殷(いんいん)と響く雷、南山の南のほうに。なぜこの時にここを離れるのか、片時の暇も許されないと。仁厚な君子よ、帰れ帰れ!

殷其雷,在南山之側。何斯違斯,莫敢遑息?振振君子,歸哉歸哉!

殷殷と響く雷、南山のそばに。なぜこの時にここを離れるのか、しばし休むこともできないと。仁厚な君子よ、帰れ帰れ!

殷其雷,在南山之下。何斯違斯,莫或遑處?振振君子,歸哉歸哉!

殷殷と響く雷、南山の麓に。なぜこの時にここを離れるのか、安らかにとどまることもできないと。仁厚な君子よ、帰れ帰れ!

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