悟真篇 · 第2巻
卷之中
巻之中
七言絕句六十四首
七言絶句六十四首。
(以象卦數)
(以て卦数に象る。)
其一
その一
道自虛元生一氣,便從一氣產陰陽。陰陽再合成三體,三體重生萬物昌。
道は虚無より一気を生じ(底本の「元」は「无」に作るべし)、便ち一気より陰陽を産出す。陰陽は再び合して三体を成し、三体は重ねて万物の昌盛を生ず。
其二
その二
萬物芸芸各返根;返根覆命即長存。知常返本人難會,妄作招兇眾所聞。
万物は芸芸として各々根に返り、根に返り命に復せば、便ち長存すべし。常を知り本に返るは人の体會し難き所、妄作して凶を招くは衆人みな聞説する所。
其三
その三
但將死戶為生戶,莫執生門號死門。若會殺機明反覆,始知害裡卻生恩。
ただ死戸を以て生戸と作し、生門を執着して死門と叫ぶなかれ。もし能く殺機を領會し反覆を明白ならば、始めて知らん害裏に却って恩を生ずることを。
其四
その四
禍福由來互倚伏,還如影響相隨逐。若能轉此生殺機,反掌之間災變福。
禍福は従来互いに倚伏し、還って影と回响の相随逐うがごとし。もし能くこの生殺の機を転ぜば、掌を反すの間に災は便ち福と変る。
其五
その五
妥得谷神長不死,須憑玄牝立根基。真精既返黃金屋,一顆明珠永不離。
谷神を得て長久に死せざらんと欲せば(底本の「妥」は「安」に作るべし)、須く玄牝に凭りて根基を立つべし。真精すでに返還して黄金屋にあれば、一顆の明珠は永く離れず。
其六
その六
玄牝之門世罕知,休將口鼻妄施為。饒他吐納經千載,怎得金馬搦兔兒。
玄牝の門は世上に知る人少なし、口鼻を拿りて妄りに施為するなかれ。彼に任せて吐納して千載を経るも、あに金烏をして兎児を捉えしめんや(底本の「馬」は「烏」に作るべし)。
其七
その七
異名同出少人知,兩者玄玄是要機。保命全形明損益,紫金丹藥最靈奇。
異名・同出は知る人稀なり、両者玄玄こそ要機なれ。命を保し形を全うし損益を明白にするは、紫金丹薬が最も霊奇なり。
其八
その八
不識陰陽及主賓,知他那個是疏親。房中空閉尾閭穴,誤殺閻浮多少人。
陰陽および主賓を認識せずんば、あに孰れが疏にして孰れが親なるを知らん。房中に空しく尾閭穴を関閉するは、誤りて閻浮世上の幾人を殺すや。
其九
その九
先且觀天明五賊,次須察地以安民。民安國富方求戰,戰罷方能見聖人。
先ず且く天を觀察して五賊を明白にし、其次に必ず地を察して以て民を安んずべし。民安く国富みて後に戦を求め、戦罷めて後に始めて聖人を見ん。
其十
その十
用將須分左右軍,饒他為主我為賓。勸君臨陣休輕敵,恐喪吾家無價珍。
将を用るには須く左右軍を分かち、彼をして主と為し我をして賓と為さしめよ。あなたに勧む、陣に臨んで敵を軽んずるなかれ、恐るべし我が家の無價の珍宝を喪わんことを。
十一
十一
三才相盜食其時,此是神仙道德機。萬化既安諸慮息,百骸俱理證無為。
三才互いに盗食するは其の時に合すべし、これは神仙・道徳の枢機なり。万化すでに安く、諸慮は止息し、百骸はことごとく治理を得て、無為を証成す。
十二
十二
陰符寶字逾三百,道德靈文滿五千。今古上仙無限數,盡從此處達真詮。
陰符の宝字は三百を超え、道徳の霊文は五千に満つ。今古の上仙は其の数無限にして、みな此れより真詮に通達す。
十三
十三
契論經歌講至真,不將火候著於文。要知口訣通玄處,須共神仙仔細論。
契・論・経・歌は至真を講るも、火候を文に寫さず。須く知るべし、口訣・玄に通ずるの処は、必ず神仙と仔細に討論すべしと。
十四
十四
饒君聰慧過顏閔,不遇師傳莫強猜。只為丹經無口訣,教君何處結靈胎。
たとい聡慧は顔回・閔損を超過すとも、師伝に遇わざれば強猜するなかれ。ただ丹経に口訣なきがためのみ、あなたをして何処に至りて霊胎を結ばしめん。
十五
十五
夢渴西華到九天,真人授我指玄篇。其中簡要無多語,只是教人鍊汞鉛。
夢裏に西華に謁見して九天に至り、真人は我に《指玄篇》を授けたり。其の中は簡要にして並びに多少の言なく、ただ人に汞と鉛を錬れと教うるのみ。
十六
十六
用鉛不得用凡鉛,用了真鉛也棄捐。此是用鉛真妙訣,用鉛不用是誠言。
鉛を用るに凡鉛を用るを得ず、真鉛を用いるもまた棄捐すべし。これは鉛を用るの真妙訣にして、鉛を用いて用いざる、こそ是れ誠実の話なれ。
十七
十七
竹破須將竹補宜,抱雞當用卵為之。萬般非類徒勞力,爭似真鉛含聖機。
竹破れては須く竹を以て補うが合宜なり、鶏を孵すには當に卵を以てすべし。万般同類にあらざればみな徒労、あに真鉛の聖機を含むに比べんや。
十八
十八
末煉還丹莫隱山,山中前後盡非鉛。此般至寶家家有,自是時人識不全。
未だ還丹を錬らざれば、山中に隠居するなかれ。山中の前後は盡く鉛にあらず。此般の至寶は家々に皆有り、ただ時人の認識は完全ならず。
十九
十九
虛心實腹義俱深,只為虛心要識心。不若煉鉛先實腹,且教守取滿堂金。
虚心・實腹は義はみな深し。ただ虚心に因りて心を識るを要とす。鉛を錬て先ず腹を充實せしむるに如かず、且く守取して満堂の金を教えん。
二十
二十
日居離位反為女,坎配蟾宮卻是男。不會此中顛倒意,休將管見事高談。
日は離位に居りて却って女と為り、坎は蟾宮に配して却って男なり。此れ裏の顛倒の意を領會せずんば、管見を拿りて高談するなかれ。
二一
二一
震龍汞出自離鄉,兌虎金生在坎方。二物總因兒產母,五行全要入中央。
震龍の汞は離郷より出で、兌虎の金は坎方に生ず。二物は總じて児が母を産出するに因り、五行は全く中央に入るを要す。
二二
二二
離坎若還無戌己,雖含四象不成丹。只緣彼此懷真土,遂使金丹有返還。
離坎にもし戊己なかりせば(底本の「戌」は「戊」に作るべし)、四象を含むとも丹を成す能わず。ただ彼此が真土を懐くがためのみ、金丹をして返還あらしむ。
二三
二三
火生於木本藏鋒,不會鑽研莫強攻。禍發必因斯害己,要須制伏覓金公。
火は木に生じて本より鋒芒を蔵す、鑽研を會せざれば強攻するなかれ。禍は発して必ず此れにより己を害す、須く制伏して金公を尋覓すべし。
二四
二四
金公本是東家子,送在西鄰寄體生。認得喚來歸舍養,配將奼女結親情。
金公は本より東家の子にして、西鄰に送られて體を寄せて生ず。認得して喚び回りて舍に帰りて養い、姹女に配して親情を結成す。
二五
二五
奼女遊行各有方,前行須短後須長。歸來卻入黃婆舍,嫁個金公作老郎。
姹女の游行は各々方向あり、前行は須く短く後行は須く長かるべし。帰來して却って黄婆の舍に入り、金公に嫁して老郎を作す。
二六
二六
取將坎位中心實,點化離宮腹內陰。從此變成乾健體,潛藏飛躍總由心。
坎位中心の實を取り來りて、離宮腹內の陰を點化す。此れより乾健の體と變じて、潛藏・飛躍はみな心に由る。
二七
二七
先把乾坤為鼎器,次搏鳥兔藥來烹。既驅二物歸黃道,爭得金舟不解生。
先ず乾坤を把て以て鼎器と作し、再び烏兎の藥を搏取して烹す(底本の「搏」は或は「摶」に作るべし)。すでに二物を黃道に驅歸せば、金丹あに生ぜざらんや(底本の「舟」は「丹」に作るべし)。
二八
二八
安爐立鼎法乾坤,鍛鍊精華制魄魂;聚散氤氳成變化,敢將玄妙等閒論。
爐を安んじ鼎を立てて乾坤に取法し、精華を鍛鍊して魄と魂を制伏す。聚散・氤氳して變化を成就す、敢えて玄妙を把て等閑の論と作すなかれ。
二九
二九
