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西汉 · 扬雄 · 第6巻 / 7

或問:「淵、騫之徒惡乎在?」曰:「寢。」或曰:「淵、騫曷不寢?」曰:「攀龍鱗,附鳳翼,巽以揚之,勃勃乎其不可及也。如其寢!如其寢!」

ある人が問うた。「顔淵・閔子騫の門徒はどこに在る?」揚雄は言った。「埋没した。」ある人が言った。「顔淵・閔子騫はなぜ埋没せぬ?」揚雄は言った。「龍鱗に攀り、鳳翼に附き、風に順いて揚がり、勃勃然として追い及ばず。どうして埋没せん!どうして埋没せん!」

七十子之於仲尼也,日聞所不聞,見所不見,文章亦不足為矣。

七十位の弟子が孔子に対しては、毎日いまだかつて聞かぬを聞き、いまだかつて見ぬを見る、文章もまた作るに足らず。

君子絕德,小人絕力。或問「絕德」。曰:「舜以孝,禹以功,皋陶以謨,非絕德邪?」「力」。「秦悼武、烏獲、任鄙扛鼎抃牛,非絕力邪?」

君子の絶するは徳、小人の絶するは力。ある人が「絶徳」を問うた。揚雄は言った。「舜は孝を以てし、禹は功を以てし、皋陶は謨を以てす、絶徳に非ずや?」「力」を問う。揚雄は言った。「秦悼武王・烏獲・任鄙が鼎を扛ぎ牛を搏つは、絶力に非ずや?」

或問「勇」。曰:「軻也。」曰:「何軻也?」曰:「軻也者,謂孟軻也。若荊軻,君子盜諸。」「請問孟軻之勇。」曰:「勇於義而果於德,不以貧富、貴賤、死生動其心,於勇也,其庶乎!」

ある人が「勇」を問うた。揚雄は言った。「軻。」問う。「どの軻か?」揚雄は言った。「軻とは、孟軻を謂う。荊軻のごときは、君子は彼を盗賊と為す。」「孟軻の勇を請う。」揚雄は言った。「義に勇にして徳に果たり、貧富・貴賤・死生を以て本心を動揺せず、勇に対しては、ほぼそうであろう!」

魯仲連𠎯而不制,藺相如制而不𠎯。

魯仲連は豪放にして節制を受けず、藺相如は節制ありて豪放せず。

或問「鄒陽」。曰:「未信而分疑,忼辭免罿,幾矣哉!」

ある人が「鄒陽」を問うた。揚雄は言った。「いまだ信任されざるに能く嫌疑を分辨し、激昂の言は己を網羅より免れしむ、危険かな!」

或問:「信陵、平原、孟嘗、春申益乎?」曰:「上失其政,姦臣竊國命,何其益乎!」

ある人が問うた。「信陵・平原・孟嘗・春申に益あるか?」揚雄は言った。「上は政柄を失い、奸臣は国命を窃取す、どこに益あらん!」

樗裡子之知也,使知國如葬,則吾以疾為蓍龜。

樗里子の智、もし国を知ること彼が葬地を知るがごとくならば、我は疾病を以て蓍亀と為さん。

「周之順、赧,以成周而西傾;秦之惠文、昭襄,以西山而東並,孰愈?」曰:「周也羊,秦也狼。」「然則狼愈與?」曰:「羊、狼一也。」

「周の順王・赧王は、成周を凭って西に傾覆し、秦の惠文・昭襄は、西山を凭って東に兼倂した、誰が良いか?」揚雄は言った。「周は羊、秦は狼。」「では狼が良いか?」揚雄は言った。「羊と狼は同じである。」

或問:「蒙恬忠而被誅,忠奚可為也?」曰:「壍山堙谷,起臨洮,擊遼水,力不足而死有餘,忠不足相也。」

ある人が問うた。「蒙恬は忠にして殺された、忠になお為すべき何かある?」揚雄は言った。「山を挖り谷を填め、臨洮より築起し、遼水に連接した、力気足らずして死有余なり、忠はなお輔佐に足らず。」

或問:「呂不韋其智矣乎?以人易貨。」曰:「誰謂不韋智者與?以國易宗。不韋之盜,穿窬之雄乎?穿窬也者,吾見擔石矣,未見雒陽也。」

ある人が問うた。「呂不韋は智に足るか?人を以て貨物を換えた。」揚雄は言った。「誰が不韋が智と謂う?国家を以て宗族を換えた。不韋の盗窃は、墻を穿つ小偷の中の雄傑であろうか?墻を穿つ小偷は、斗石を偸るを見たことあり、洛陽を偸るを見たことなし。」

「秦將白起不仁,奚用為也?」「長平之戰,四十萬人死,蚩尤之亂,不過於此矣。原野猒人之肉,川穀流人之血,將不仁,奚用為!」「翦?」曰:「始皇方獵六國,而翦牙欸。」

「秦将白起は不仁、なお彼を用いて何を為さん?」「長平の戦、四十万人死す、蚩尤の禍乱もかくのごとし。原野は人の肉に飽き、河川山谷は人の血を流す、将領不仁、なお彼を用いて何を為さん!」「王翦は?」揚雄は言った。「始皇はまさに六国を猟取せんとし、王翦はただ爪牙の喘息するに過ぎず。」

或問:「要離非義者與?不以家辭國。」曰:「離也,火妻灰子,以求反於慶忌,實蛛蝥之靡也,焉可謂之義也?」「政?」「為嚴氏犯韓,刺相俠累,曼面為姊,實壯士之靡也,焉可謂之義也?」「軻?」「為丹奉於期之首、燕督亢之圖,入不測之秦,實刺客之靡也,焉可謂之義也?」

ある人が問うた。「要離は義士に非ずや?家を以て辞とせず国のためにした。」揚雄は言った。「要離は妻子を焼き殺し、子を灰に焼き、以て慶忌に返報を求めた、実は蜘蛛の類、どうして義と呼べよう?」「聶政は?」「厳仲子のために韓国を冒犯し、相国侠累を刺殺し、面を毀するは姉のため、実は壮士の類、どうして義と呼べよう?」「荊軻は?」「燕丹のために樊於期の頭・燕国督亢の地図を奉上し、測り知れぬ秦に入った、実は刺客の類、どうして義と呼べよう?」

或問:「儀、秦學乎鬼谷術,而習乎縱橫言,安中國者各十餘年,是夫?」曰:「詐人也,聖人惡諸。」曰:「孔子讀而儀、秦行,何如也?」曰:「甚矣!鳳鳴而鷙翰也。」「然則子貢不為與?」曰:「亂而不解,子貢恥諸;說而不富貴,儀、秦恥諸。」

ある人が問うた。「張儀・蘇秦は鬼谷の術を学び、縦横の言を熟習し、中国を安んじた各々十余年、是れ然りか?」揚雄は言った。「是れ詐欺の人、聖人は彼らを厭悪す。」問う。「孔子は経を読みて儀・秦は去りて実行した、どうか?」揚雄は言った。「あまりに甚だしい!鳳凰の鳴叫なるも猛禽の翅翼なり。」「では子貢はこの類の事を為さぬか?」揚雄は言った。「禍乱が化解せざれば、子貢はこれを恥と引けた。遊説して富貴ならざれば、儀・秦はこれを恥と引けた。」

或曰:「儀、秦其才矣乎?跡不蹈已。」曰:「昔在任人,帝曰難之,亦才矣。才乎才,非吾徒之才也。」

ある人が言った。「儀・秦は才に足るか?行跡は己の旧路を踏まず。」揚雄は言った。「昔このごとき人を任用すれば、帝は難しと言う、また才ありと算う。才かな才かな、我らの類の才に非ず。」

美行:園公、綺裡季、夏黃公、角里先生。言辭:婁敬、陸賈。執正:王陵、申屠嘉。折節:周昌、汲黯。守儒:轅固、申公。菑異:董相、夏侯勝、京房。

美好の行為:園公・綺里季・夏黄公・甪里先生。言辞:婁敬・陸賈。正道を執守す:王陵・申屠嘉。折節:周昌・汲黯。儒を守る:轅固・申公。災异:董仲舒・夏侯勝・京房。

或問「蕭、曹」。曰:「蕭也規,曹也隨。」「滕、灌、樊、酈」。曰:「俠介。」「叔孫通」。曰:「槧人也。」「爰盎」。曰:「忠不足而談有餘。」「晁錯」。曰:「愚。」「酷吏」。曰:「虎哉!虎哉!角而翼者也。」「貨殖」。曰:「蚊。」曰:「血國三千,使捋踈、飲水、褐博,沒齒無愁也。」或問「循吏」。曰:「吏也。」「遊俠」。曰:「竊國靈也。」「佞幸」。曰:「不料而已。」

ある人が「蕭何・曹参」を問うた。揚雄は言った。「蕭何は規劃し、曹参は随従す。」「滕公・灌嬰・樊噲・酈商」。揚雄は言った。「輔佐夾持。」「叔孫通」。揚雄は言った。「書牘の人。」「袁盎」。揚雄は言った。「忠足らずして談有余り。」「晁錯」。揚雄は言った。「愚。」「酷吏」。揚雄は言った。「虎かな!虎かな!角を長じまた翅翼ある。」「貨殖」。揚雄は言った。「蚊子。」また言った。「三千の国の血を吸食して、人をして穗を拾い、水を飲み、粗褐を穿ち、死に至るまで愁怨なからしむ。」ある人が「循吏」を問うた。揚雄は言った。「あれこそ吏。」「游侠」。揚雄は言った。「国家の威霊を盗窃す。」「佞幸」。揚雄は言った。「計量に値せざるのみ。」

或問「近世社稷之臣」。曰:「若張子房之智,陳平之無悟,絳侯勃之果,霍將軍之勇,終之以禮樂,則可謂社稷之臣矣。」或問:「公孫弘、董仲舒孰邇?」曰:「仲舒欲為而不可得者也,弘容而已矣。」

ある人が「近世の社稷の臣」を問うた。揚雄は言った。「張子房の智のごとく、陳平の悖乱せざる、絳侯周勃の果断、霍将軍の勇、さらに礼楽を以て完成すれば、社稷の臣と称すべし。」ある人が問うた。「公孫弘・董仲舒は誰が近い?」揚雄は言った。「仲舒は為さんと欲して得られざる人、公孫弘はただ身を容れるのみ。」

或問「近世名卿」。曰:「若張廷尉之平,雋京兆之見,尹扶風之絜,王子貢之介,斯近世名卿矣。」「將」。曰:「若條侯之守,長平、冠軍之徵伐,博陸之持重,可謂近世名將矣。」「請問古。」曰:「鼓之以道德,徵之以仁義,輿屍、血刃,皆所不為也。」

ある人が「近世の名卿」を問うた。揚雄は言った。「張廷尉の公平、雋京兆の見識、尹扶風の廉潔、王子貢の耿介のごとき、これが近世の名卿。」「将。」揚雄は言った。「條侯の堅守、長平・冠軍の征伐、博陸の持重のごとき、近世の名将と称すべし。」「古代を請う。」揚雄は言った。「道徳を以て鼓動し、仁義を以て征伐す、屍を載せて還り刀刃を血に染むるは、みな為さざる所。」

張騫、蘇武之奉使也,執節沒身,不屈王命,雖古之膚使,其猶劣諸!

張騫・蘇武は使を奉じ、節を守りて死に至るまで、王命に屈せず、古代の優秀の使者といえども、なお彼らに及ばず!

世稱東方生之盛也,言不純師,行不純表,其流風遺書,蔑如也。或曰:「隱者也。」曰:「昔之隱者,吾聞其語矣,又聞其行矣。」或曰:「隱道多端。」曰:「固也!聖言聖行,不逢其時,聖人隱也。賢言賢行,不逢其時,賢者隱也。談言談行,而不逢其時,談者隱也。昔者箕子之漆其身也,狂接輿之被其髮也,欲去而恐罹害者也。箕子之《洪範》,接輿之歌鳳也哉!」或問:「東方生名過實者,何也?」曰:「應諧、不窮、正諫、穢德。應諧似優,不窮似哲,正諫似直,穢德似隱。」「請問名。」曰:「詼達。」「惡比?」曰:「非夷尚容,依隱玩世,其滑稽之雄乎!」或問:「柳下惠非朝隱者與?」曰:「君子謂之不恭。古者高餓顯,下祿隱。」

世人は東方朔の盛大を称道す、しかし言は純正を以て師と為さず、行は純正を以て表と為さず、流風遺書は微小にして道に足らず。ある人が言った。「彼は隠者。」揚雄は言った。「昔の隠者は、我は彼らの言を聞き、また彼らの行を聞いた。」ある人が言った。「隠の途徑は多種あり。」揚雄は言った。「固然!聖人の言聖人の行、時に逢わざれば、是れ聖人の隠。賢人の言賢人の行、時に逢わざれば、是れ賢人の隠。談者の言談者の行、時に逢わざれば、是れ談者の隠。昔箕子は身を漆し、狂接輿は髪を披いた、離れんと欲して禍害に遭うを怕れる人。箕子に『洪範』あり、接輿に鳳歌あらん!」ある人が問うた。「東方朔は名が実に過ぐるは、なぜか?」揚雄は言った。「応対詼諧、辯才窮まらず、能く正諫し、徳行駁雑。応対詼諧は倡優に似、辯才窮まらざるは哲人に似、正諫は正直に似、徳行駁雑は隠者に似る。」「彼の名はどう称すべきかを請う。」揚雄は言った。「詼達。」「誰に比作する?」揚雄は言った。「伯夷を学ばずして身を容るるを崇尚し、隠に依りて世を玩ぶは、滑稽の中の雄傑か!」ある人が問うた。「柳下恵は朝隐の人に非ずや?」揚雄は言った。「君子は彼を不恭と言う。古は饑餓にして顕揚するを高と看、俸禄を取りて隠するを低と看た。」

妄譽,仁之賊也;妄毀,義之賊也。賊仁近鄉原,賊義近鄉訕。

妄りに称誉するは、仁の賊害。妄りに毀謗するは、義の賊害。仁を賊害すれば郷願に近づき、義を賊害すれば郷里の訕謗に近づく。

或問:「子,蜀人也,請人。」曰:「有李仲元者,人也。」「其為人也奈何?」曰:「不屈其意,不累其身。」曰:「是夷、惠之徒與?」曰:「不夷不惠,可否之間也。」「如是,則奚名之不彰也?」曰:「無仲尼,則西山之餓夫與東國之絀臣惡乎聞?」曰:「王陽、貢禹遇仲尼乎?」曰:「明星皓皓,華藻之力也與!」曰:「若是,則奚為不自高?」曰:「皓皓者,己也;引而高之者,天也。子欲自高邪?仲元,世之師也。見其貌者,肅如也;聞其言者,愀如也;觀其行者,穆如也。鄲聞以德詘人矣,未聞以德詘於人也。仲元,畏人也。」或曰:「育、賁。」曰:「育、賁也,人畏其力,而侮其德。」「請條。」曰:「非正不視,非正不聽,非正不言,非正不行。夫能正其視聽言行者,昔吾先師之所畏也。如視不視,聽不聽,言不言,行不行,雖有育、賁,其猶侮諸!」

ある人が問うた。「あなたは蜀人、蜀人を挙げてください。」揚雄は言った。「李仲元という人あり、人材である。」「彼の為人はどうか?」揚雄は言った。「己の心意を屈せず、己の身を連累せず。」問う。「伯夷・柳下恵の類か?」揚雄は言った。「伯夷に似ず柳下恵にも似ず、可と不可の間に在る。」「すでにこのごとし、なぜ名声が顕揚せぬ?」揚雄は言った。「孔子なくば、西山の餓夫と東国の被贬の臣子はどうして人に知られよう?」問う。「王陽・貢禹は孔子に遇えりしか?」揚雄は言った。「明星皓皓たり、華藻の力量か!」問う。「すでにこのごとし、なぜ自ら擡高せぬ?」揚雄は言った。「皓皓は自ら、それを高きに引向するは天。あなたは自ら擡高せんと欲するか?仲元は世の老師。彼の容貌を見る者は粛然、彼の言を聴く者は愀然、彼の行事を観る者は穆然。徳を以て人を屈服せしむるを聞いたことあり、徳あってかえって人に屈服せらるるを聞いたことなし。仲元は、人に敬畏せらるる人。」ある人が言った。「夏育・孟賁。」揚雄は言った。「夏育・孟賁か、人は彼らの力気を怕れ、しかし彼らの徳を軽慢す。」「分条して講じてください。」揚雄は言った。「正に非ざるは看ず、正に非ざるは聴かず、正に非ざるは説かず、正に非ざるは為さず。能く視聴言行を端正するは、昔我が先師もまた敬畏した。もし看るべきを看ず、聴くべきを聴かず、説くべきを説かず、為すべきを為さずば、夏育・孟賁あるといえども、またなお人に軽慢せられん!」

12

或問:「君子言則成文,動則成德,何以也?」曰:「以其弸中而彪外也。般之揮斤,羿之激矢,君子不言,言必有中也;不行,行必有稱也。」

ある人が問うた。「君子は言えばすなわち文となり、行えばすなわち徳となる、何を憑ってか?」揚雄は言った。「内裏が充実して外表が彪炳するを以て。公輸般が斧を揮動し、后羿が箭を射出すがごとく、君子は言わざれば已み、一言えば必ず中る。行わざれば已み、一行えば必ず相称す。」

或問「君子之柔剛」。曰:「君子於仁也柔,於義也剛。」

ある人が「君子の柔と剛」を問うた。揚雄は言った。「君子は仁に対しては柔にして、義に対しては剛である。」

或問:「航不漿,沖不薺,有諸?」曰:「有之。」或曰:「大器固不周於小乎?」曰:「斯械也,君子不械。」

ある人が問うた。「大船は漿を盛るに用いず、衝車は薺を切るに用いず、こ事あるか?」揚雄は言った。「ある。」ある人が言った。「大器は本来小用に周遍せぬか?」揚雄は言った。「あれは器械、君子は器械に非ず。」

或問「孟子知言之要,知德之奧」。曰:「非苟知之,亦允蹈之。」或曰:「子小諸子,孟子非諸子乎?」曰:「諸子者,以其知異於孔子也。孟子異乎?不異。」

ある人が「孟子は言之要を懂り徳之奧を懂る」を問うた。揚雄は言った。「知るのみならず、また真誠に践行する。」ある人が言った。「あなたは諸子を小と看る、孟子もまた諸子に非ずや?」揚雄は言った。「いわゆる諸子とは、彼らの知が孔子と異なるがゆえ。孟子は異なるか?異ならず。」

或曰:「孫卿非數家之書,侻也;至於子思、孟軻,詭哉!」曰:「吾於孫卿,與見同門而異戶也,惟聖人為不異。」

ある人が言った。「荀子は几家の書を批評す、なお簡易と算う。子思・孟軻に至っては、詭异かな!」揚雄は言った。「我が荀子に対するは、同門にして戸を異にするを見るがごとし、ただ聖人のみ異なるなし。」

牛玄騂白,睟而角,其升諸廟乎?是以君子全其德。

牛は黒・赤・白を論ぜず、毛色純粋にして角あれば、宗廟に升るべしか?ゆえに君子は己の徳を保全す。

或問「君子似玉」。曰:「純淪溫潤,柔而堅,玩而廉,隊乎其不可形也。」

ある人が「君子は玉に似たり」を問うた。揚雄は言った。「純粋温潤、柔にして堅、玩ぶべくして棱角あり、墜落しても形容し得ざるなり。

或曰:「仲尼之術,周而不泰,大而不小,用之猶牛鼠也。」曰:「仲尼之道,猶四瀆也,經營中國,終入大海。它人之道者,西北之流也,綱紀夷貉,或入於沱,或淪於漢。」

ある人が言った。「孔子の術は周遍するも泰然とせず、大にして小なく、用いるに牛と鼠のごとし。」揚雄は言った。「孔子の道は、四瀆のごとく、中国を経営して終に大海に流入す。他人の道は、西北の細流、夷貉を経理して、あるいは沱に流入し、あるいは漢に沈入す。」

淮南說之用,不如太史公之用也。太史公,聖人將有取焉;淮南,鮮取焉爾。必也,儒乎!乍出乍人,淮南也;文麗用寡,長卿也;多愛不忍,子長也。仲尼多愛,愛義也;子長多愛,愛奇也。

淮南の学の用は、太史公の用に如かず。太史公は、聖人も取るべき所あらん。淮南は、取るべき所少なし。必ず言えば、なお儒か!忽然として出で忽然として入るは、淮南。文辞が華麗にして用が少ないは、司馬長卿。愛すること多くして割舍に忍びざるは、司馬遷。孔子が愛すること多きは、義を愛する。司馬遷が愛すること多きは、奇を愛する。

或曰:「甚矣,傳書之不果也!」曰:「不果則不果矣,又以巫鼓。」

ある人が言った。「あまりに甚だしい、伝記の書は着実ならず!」揚雄は言った。「着実ならざれば着実ならざるのみ、さらに巫祝の鼓吹を加う。」

或問:「聖人之言,炳若丹青,有諸?」曰:「籲!是何言與?丹青初則炳,久則渝。渝乎哉?」

ある人が問うた。「聖人の言は丹青のごとく鮮明なり、こ事あるか?」揚雄は言った。「ああ!それは何の言か?丹青は初め鮮明なれど、久しければ変わる。変わらんや?」

或曰:「聖人之道若天,天則有常矣,奚聖人之多變也?」曰:「聖人固多變。子游、子夏得其書矣,未得其所以書也;宰我、子貢得其言矣,未得其所以言也;顏淵、閔子騫得其行矣,未得其所以行也。聖人之書、言、行,天也。天其少變乎?」

ある人が言った。「聖人の道は天のごとし、天は有常なれど、なぜ聖人はあれほど多変か?」揚雄は言った。「聖人は固より多変。子游・子夏はその書を得たも、そのように書く所以を得ず。宰我・子貢はその言を得たも、そのように言う所以を得ず。顔淵・閔子騫はその行を得たも、そのように為す所以を得ず。聖人の書・言・行は、すなわち天。天は豈に変少なからんや?」

或曰:「聖人自恣與?何言之多端也!」曰:「子未覩禹之行水與?一東一北,行之無礙也。君子之行,獨無礙乎?如何直往也!水避礙則通於海,君子避礙則通於理。」

ある人が言った。「聖人は自ら放縦か?なぜ言があれほど多端か!」揚雄は言った。「あなたは禹の治水を見ぬか?一回東し一回北し、走りて阻碍なし。君子が事を行うに、豈に独り阻碍なからんや?どうして一直線に往かん!水は阻碍を避けて海に通じ、君子は阻碍を避けて理に通ず。」

君子好人之好,而忘己之好;小人好己之惡,而忘人之好。

君子は人の好き所を喜好して、己の好き所を忘る。小人は己の好かざる所を喜好して、人の好き所を忘る。

或曰:「子於天下則誰與?」曰:「與夫進者乎!」或曰:「貪夫位也,慕夫祿也,何其與?」曰:「此貪也,非進也。夫進也者,進於道,慕於德,殷之以仁義,進而進,退而退,日孳孳而不自知勌者也。」或曰:「進進則聞命矣,請問退進。」曰:「昔乎,顏淵以退為進,天下鮮儷焉。」或曰:「若此,則何少於必退也?」曰:「必進易儷,必退易儷也。進以禮,退以義,難儷也。」

ある人が言った。「あなたは天下の誰とともに在るか?」揚雄は言った。「進を求める人と!」ある人が言った。「その位を貪りその禄を慕う者と、なぜともに在る?」揚雄は言った。「あれは貪にして進に非ず。いわゆる進とは、道に進み徳に慕い、仁義を以て充実し、進むべきに進み退くべきに退き、日日孳孳として自ら疲倦を知らぬ人。」ある人が言った。「進に進むは、すでに教えを領した、退きてなお進を請う。」揚雄は言った。「昔か、顔淵は退を以て進と為し、天下に比ぶ者希なり。」ある人が言った。「すでにこのごとし、なぜ必ず退を堅持する者が少ない?」揚雄は言った。「一味に必ず進むは比ぶ易し、一味に必ず退くも比ぶ易し。進むに礼に依り、退くに義に依るは、こそ比ぶ難し。」

或曰:「人有齊死生,同貧富,等貴賤,何如?」曰:「作此者,其有懼乎?信死生齊,貧富同,貴賤等,則吾以聖人為囂囂。」

ある人が言った。「死生を斉しくし、貧富を同じくし、貴賤を等しくする者あり、どうか?」揚雄は言った。「この説を作す者は、ほぼ心に懼れる所あらん?果して死生斉しく貧富同じく貴賤等しければ、我は聖人をもって喧々囂々たる者と看做さん。」

通天、地、人曰儒,通天、地而不通人曰伎。

天・地・人に通ずるを儒と謂い、天・地に通じて人に通人に通ぜざるを技と謂う。

人必先作,然後人名之;先求,然後人與之。人必其自愛也,而後人愛諸;人必其自敬也,而後人敬諸。自愛,仁之至也;自敬,禮之至也。未有不自愛敬而人愛敬之者也。

人は必ず先ず自ら為して、然る後に人はその名を以てこれを称す。先ず自ら求めて、然る後に人はこれに与う。人は必ず先ず自愛して、然る後に人はこれを愛す。人は必ず先ず自敬して、然る後に人はこれを敬う。自愛とは、仁の極。自敬とは、礼の極。いまだかつて自愛自敬せずして人の愛敬する有らんや。

或問:「龍、龜、鴻、鵠不亦壽乎?」曰:「壽。」曰:「人可壽乎?」曰:「物以其性,人以其仁。」

ある人が問うた。「龍・亀・鴻・鵠はまた寿ならずや?」揚雄は言った。「寿なり。」問う。「人は寿たり得るか?」揚雄は言った。「物はその性に靠り、人はその仁に靠る。」

或問:「人言仙者,有諸乎?」「籲!吾聞虙羲、神農歿,黃帝、堯、舜殂落而死。文王,畢;孔子,魯城之北。獨子愛其死乎?非人之所及也。仙亦無益子之彙矣!」或曰:「聖人不師仙,厥術異也。聖人之於天下,恥一物之不知;仙人之於天下,恥一日之不生。」曰:「生乎!生乎!名生而實死也。」或曰:「世無仙,則焉得斯語?」曰:「語乎者,非囂囂也與?惟囂囂為能使無為有。」或問「仙之實」。曰:「無以為也,有與無,非問也。問也者,忠孝之問也。忠臣孝子,偟乎不偟。」

ある人が問うた。「人は仙あると言う、こ事あるか?」揚雄は言った。「ああ!我は聞く、伏羲・神農は殁し、黄帝・堯・舜は殂落して死せりと。文王は畢に葬られ、孔子は魯城の北に葬られた。豈に汝のみ己の死を愛惜せんや?あれは人の及び得る所に非ず。仙は汝が類にもまた益なし!」ある人が言った。「聖人が仙を学ばぬは、術の異なるがゆえ。聖人は天下に対して、一物を知らざるを以て恥と為し、仙人は天下に対して、一日生かざるを以て恥と為す。」揚雄は言った。「活よ活よ!名義上は活、実際上は死。」ある人が言った。「世上に仙なければ、またどこよりこの言の来るか?」揚雄は言った。「この言を説くは、喧々囂々の人に非ずや?ただ喧々囂々のみ無を以て有と説くを能くす。」ある人が「仙の実質」を問うた。揚雄は言った。「管するを要せず。有と無は、問うべきに非ず。問うべきは、忠孝の問い。忠臣孝子は、遑遑然としてこれらを顧みる暇なし。」

或問:「壽可益乎?」曰:「德。」曰:「回、牛之行德矣,曷壽之不益也?」曰:「德,故爾。如回之殘,牛之賊也,焉得爾?」曰:「殘、賊或壽。」曰:「彼妄也,君子不妄。」

ある人が問うた。「寿は增益すべきか?」揚雄は言った。「徳に靠れ。」問う。「顔回・冉伯牛の行は徳あり、なぜ寿は增益せぬ?」揚雄は言った。「まさに徳あるがゆえに、あのごとくなり。もし顔回が残暴、冉伯牛が賊害ならば、またどうしてあのごとくならん?」問う。「残暴・賊害の人にも寿ある者あるが。」揚雄は言った。「あれは虚妄、君子は虚妄を取らない。」

有生者必有死,有始者必有終,自然之道也。

生あるは必ず死あり、始あるは必ず終あり、是れ自然の道。

君子忠人,況己乎?小人欺己,況人乎?

君子は人に対してみな忠、まして己においてをや?小人は己に対してみな欺、まして人においてをや?

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