占月第十二(京本は第七に列す)・二十三首
太陰位,為後又為臣。凡有象形凶吉定,行兵主帥要知明,一一細分清辛本、川本作「情」。 占圓月,下小彼軍多。若總京本作「見」大時占我眾京本作「勝」,全京本作「總」無大小亦相和,青白定京本作「早」回戈。 出軍夜,看月好參詳。有兔主人占大勝,兔無反京本作「無兔還」是客軍強,仔細審形相京本作「須要細端詳」。
月亮の位次は、占法に皇后を主り、また臣下を主る。凡そ月旁に現るる種種の形象は、皆これに據って吉凶を判定する。兵を帶ぶる主帥はこれらを通曉し、一條一條細細に分辨して清楚にすべきである。 圓月を占望し、若し月の下半が偏小に顯れれば敵軍の人の多きを主る。若し整輪が皆大に顯れれば我方の兵衆多くして優に占むるを主る。若し全く大小の別なければ、則ち兩軍相和す。月色が青白なるは、早くより兵を收むべし。 出軍の夜晚、よく月亮を參詳すべし。月中に玉兔の形を看清し得るは、主軍(據守する一方)の大勝を主る。兔形を見得ざるは、かえって客軍の強盛なり。月中の形象を仔細に審看すべきである。
占夜月,五色氣相當。此是京本作「時」交兵須謹京本作「警」慎,直須拚京本作「挨」得賞兒郎,慳吝必相傷。 太陰內,有暈使人驚。其象分明如刀字京本作「刃」,奸臣謀反事將成,密究速加刑京本作「庶無凶」。 守彼壘,吾督將須攻。月色無光灰京本作「如」粉樣,拔城不過一旬中,守將亦須凶。
夜裏月を占し、五色の氣が月と相當して並び現るるを見れば、この時兵を交うるは必ず謹慎警戒し、かつ重く士卒に賞するを惜しまざるべし。若し財物を吝惜して賞を行わざれば、必ず敗仗を喫して損傷を受く。 月輪の內に光暈出現して人を驚疑せしめ、その形狀分明として一把の刀刃の如し。月は臣位を主り、暈內に刀を現ずるは、正に臣下が刃を操るの象で、奸臣の謀反する事將に逞ならんとするを主る。祕密に追査し、迅速に刑戮を施すべく、初めて凶を免るる可し。張揚すれば草を打って蛇を驚かす。 敵人が營壘に據守し、我方の督將まさに攻取せんとす。この時月色が晦暗して光なく、灰粉の一般ならば、十日を出づずして城を拔くを得、守方の將領もまた必ず凶禍あり。
看夜月,五色氣相沖。皆京本作「此」是將災宜京本作「須」謹慎,直須重賞宴軍中,堅執禍相逢。 月生暈,厚薄四方停。此是三軍均力象,一邊有抱一辛本、川本、京本作「抱」邊贏,順抱若神兵。 月生暈,暈有珥兼生。將有火京本作「大」災難閃避,三朝有雨得安寧,無雨禍還京本作「須」成。
夜裏月を看、五色の氣が月と相衝するを見れば、これは皆將に災禍あらんとする兆であり、謹慎すべく、軍中に宴を設け重く賞して衆心を安んずべし。若し己見に固執して強いて事を行えば、禍患に撞上する。 月に光暈を生じ、四面の厚薄が均勻なるは、これは兩軍の勢力相當の象である。若しただ一邊に環抱の氣あれば、すなわちその一邊が勝を取る。抱勢が我に順なれば、我軍は神兵の相助あるが如し。 月に光暈を生じ、暈の旁にまた「珥」氣を生ずる。これは將に火災ありて躲避し難きを主る。若し三日の內に雨降れば、安寧を得べし。若し始終雨なければ、禍事終に成らん。
月生暈,暈內有流星。當有貴人奔出走,客星入側將當驚,國亦不安寧。 月如赭,莫戰最為良。若或不依京本作「不依言」須見敗,客軍得勝主軍傷,宜且守封疆。京本注:「先出客,後出主。」 相敵,月滿色無光。客勝主衰京本作「虧」須謹慎,忽然交戰主難當,城內欲投降。
月に光暈を生じ、暈內にまた流星穿過すれば、これは將に貴人が出奔逃亡するを主る。若し客星が暈の一側に侵入すれば、將帥驚擾を受くべく、國家もまた安寧を得ず。 月色が赤褐して赭土の如きは、最も交戰せざるが良い。若し勸告を聽かざれば、必ず敗績を見る。客軍が勝を得て主軍が傷を受く。しばらく封疆に據守すべし。京本の注に曰く、先に現るるは客方に屬し、後に現るるは主方に屬す、と。 兩軍相持の時、月は圓滿なるも晦暗して光なし。これは客軍の勝・主軍の衰を主り、謹慎を須とす。若し忽然交戰すれば、主軍は抵當し得ず、城中は降を出づべし。
雙月現,現則有兵荒。兩兩三三俱荒亂辛本、川本、京本作「亂出」,當其現處有辛本、川本、京本作「競」猖狂,人馬兩京本作「死及」逃亡。 兩月,侯景犯梁朝。倘或遭逢如此兆,外藩京本作「番」雄略京本作「客」有謀韜,俱廢若京本作「永」冰消。 兵在外,月色辛本、川本作「蝕」、京本作「食」八分強。軍欲還鄉須京本作「休」罷戰,忽然蝕盡倒城亡,將死向郊京本作「飢」荒。
天上に兩箇の月亮出現し、一出現すれば兵荒を主る。若し兩兩三三として亂出すれば、各地皆荒亂する。出現するその一方が爭って猖狂に亂を作し、人馬死傷逃亡す。 天に兩月を現ずる。當年侯景が梁朝に侵犯した時にこの象あり。倘若このような征兆に遇えば、外藩の中に雄才大略・暗藏して韜謀ある人が亂を作すを主り、舊有の秩序は皆氷のように消融瓦解する。 軍隊外に在り、月が八分以上食せらるるは、これは軍心が歸を思うを主り、戰を罷めて鄉里に還るべし。若し月が全部食し盡されれば、則ち城池傾覆して軍隊敗亡し、將帥郊野に死す。
太平夕京本作「久」,月破作三分。四海荒荒興逆叛,都緣人主寵奢昏京本作「民」,草寇輒稱尊。 月黃色,分野現明光。此是將軍遷京本作「還」職象,彼師我眾兩無傷。各自守封疆。 月邊氣,其象若群豬。羽姓將軍兵大吉,宮商角徵不占拘京本作「推」,把捉顧方隅。
太平の夜、月が忽然破裂して三塊を成す。これは四海荒亂・逆叛四起を主り、根由は皆人君が寵幸奢靡・昏聵して道を失い、草莽の盜寇が輒ちに帝を稱し尊を稱するに至るに在り。 月が黃色を呈し、その主する分野の上に明亮の光を現ずる。これは將軍が職位を遷升する象で、敵我兩軍ともに損傷を受けず、各自封疆に據守するのみ。 月旁の氣、形象が一群の豬の如し。豬は五行に水に屬すれば、姓が「羽」音に屬する將軍が兵を帶ぶるは大吉なり。宮・商・角・徵の四音は必ずしもこの象に拘泥せず、ただその出現する方位を把握して推斷するを須とす。
十五夜,月缺不團圓。一面凸凹三兩處,近臣怪辛本、川本作「懷」怨京本作「懷恨」奪君權,急究反情原。 金入月,星朗月無光。星蝕太陰臣造逆,月明星暗將身辛本、川本作「星」亡。星沒客軍傷。 金與月,俱出在西方。星北北方軍必勝,星南南面將身辛本、川本作「星」強,月白辛本、川本作「向」將兵亡。
十五の夜本當に月圓なるべく、月がかえて殘缺して團圓せず、一面の凹凸に兩三處あり。これは君王の近臣が怨恨を心懷き、君權を奪取せんと意圖するを主り、急いでその謀反の根由を追究すべきである。 金星が月中に侵入し、星光が明朗にして月色に光なし。星が月を掩食するは、臣下が造逆を反すを主る。若し月が明にして星が暗ければ、將帥が身亡することを主る。星が隱沒して見えざれば、客軍が損を受く。 金星と月とが同じく西方に出づる。星が月の北にあれば北方の軍隊必ず勝ち、星が月の南にあれば南方の將帥が強盛なり。若し月色が白を發すれば、將士の敗亡を主る。
金月暈,星暗月昏昏。客必敗亡須好認,木星三暈將辛本、川本、京本作「宰」臣奔。天象顯然分。 月有暈,白虹向中穿。天下大兵看即起,更兼壯士執仇冤,大辛本、川本作「日」怒氣衝天。
金星と月とが同じく光暈を現し、星が暗にして月が昏なれば、これは客軍の必ず敗亡するを主り、この點を認清すべし。若し木星が連ねて三重の暈を生ずれば、宰輔大臣の出奔を主る。天象の顯示は甚だ分明なり。 月に光暈を生じ、白虹が暈の中より穿過す。これは天下將に大擧して兵を興さんとするを主り、また兼ねて壯士が仇怨を挾持して復讐し、憤怒の氣が直に霄漢に衝ぐ。
占星第十三(京本は第五に列す)・四十三首
兵要法京本作「訣」,為主認星辰。伏逆遲留京本作「留時」須固守,更看金京本作「堪全」現便京本作「使」宜行,俱伏兩均平。 兵要訣,為主京本作「客」認金星。若也伏藏休動作,逆行逆戰亦均平,順則最宜行。星退宜退,星進宜進。 金與火,統帥識星無。須算辛本、川本作「等」行藏知決勝,何須堅執講星孤,諸事細參圖。
用兵の要法は、星辰を辨認するを以て主とす。星が若し伏して見えず、逆行あるいは遲滯して留守すれば、固く守りて動かざるべし。更に太白金星が顯現の時を看、初めて出兵に宜し。若し雙方の主する星が皆伏して見えざれば、則ち兩邊勢均力敵なり。 用兵の要訣は、太白金星を辨認するを以て主とす。金星が若し伏藏して見えざれば、擧動するなかれ。金星が逆行すれば、方向に逆らって戰うもただ勢均力敵なるのみ。金星が順行すれば、初めて最も兵を進むるに宜し。總じて星が退けば我退き、星が進めば我進む。 太白金星と熒惑火星、統帥はこの兩顆の星を識得するや否や。必ずそれらの出没行止を推算して初めて決勝し得べし、何必して固執してただ一顆の孤星を講ずるや。各樣の事情は皆細細に參酌して圖謀すべきである。
土星合,相犯必為災。分野居京本作「老」、辛本作「若」當須有事,本藩太守禍之胎,修德免災京本作「殃」來。 三星聚,晉宋為居辛本、川本作「兼」、京本作「衛兼」唐。此地將軍須就獄,總兵主帥作猖狂,斬首獻明京本作「君」王。 四星聚,平地辛本、川本、京本作「帝」會張星。王莽赤眉兵造起,後來光武掃餘京本作「除」兵,晉魏也曾更京本作「經」。
土星と別の星とが相合・相犯すれば、必ず災を成す。主する分野の地がその衝に正當れば、事を出づべく、本藩の太守は正に禍端の所在なり。唯だ德行を修養するのみ、初めて災殃を免るるを得る。 三星會聚し、その分野は晉・宋・唐のここらの地方に在り。これらの地方の將軍は獄に下るべく、兵を統ぶる主帥は驕橫猖狂、終に斬首されて君王に獻ぜられる。 四星が張宿に會聚す。歷史上王莽が位を簒い、赤眉軍が兵を起こした時にこの象あり、後に光武帝が殘餘の兵衆を掃平した。晉・魏が代を易うの際もかつて經歷した。
五星聚,漢祖得其時。秦滅漢兵東井會,君王起事合天機,星會尾如京本作「聚尾和」箕。 星落寨,為將恐遭殃。宜速移營方見吉,堅強舊所必凶傷,天降禍相辛本、川本、京本作「難」當。 星相打,攻守兩茫茫京本作「忙忙」。遇戰血流交滿野京本作「遇賊血流郊野滿」,攻城不下好堤防,宴犒賞兒郎。
五星會聚すれば、漢高祖は正にこの時候に趕上した。秦の亡ぶの際に漢軍が興起し、五星が東井に聚まり、君王が事を起こすに恰も天機に合した。此外なお五星が尾宿・箕宿に聚まる情形あり、皆改朝換代の大兆なり。 星が營寨の中に隕落す。星の墮ち將に墮ちんとするは、將たる者殃に遭うを恐るべし。迅速に營を移して初めて吉利を見る。強いて舊處に守らば、必ず凶傷、上天の降す禍患は人力の抵當し得る所に非ず。 衆星が互相撞撃するは、攻守雙方ともに忙亂茫然に陷入する。一交戰すれば血流れ野に滿ち、城を攻めてまた下さず、ただ防守を加固し、かつ宴を設けて士卒を犒賞し以て軍心を穩住するよりなし。
金星畔,邊有小星侵。相去不過咫尺遠,客軍當敗將消沉,兵罷只如今。凡金星為將星,專主兵權兆。京本注:「金星專主兵權之事。」 金星京本作「行」疾,急戰定應京本作「須」贏。行若緩時須固守,星高攻京本作「遠」戰有功名,低害京本作「則」莫深徵。 金芒角京本作「金星落」,隨角出軍徵。若有焰光如掃帚,亦名天狗食妖兵,其下血成坑。如螻赴水,其下必敗。
太白金星の旁に小星が侵近し、相距ること咫尺に過過ぎざるは、これは客軍の當に敗れ、その將の氣勢消沮するを主り、戰事これに至って將に止息せん。凡そ金星はすなわち將星、専ら兵權の征兆を主る。京本の注に曰く、金星は専ら兵權の事を主る、と。 金星の行度が快速なれば、急速に交戰すれば必ず勝を取る。行度が緩慢なれば、固く守りて時を待つべし。金星の位置が高ければ、出戰して功を立つる可し。位置が低ければ、深く遠征するなかれ。 金星が芒角を生ぜば、芒角の指す方向に順って兵を出ず。若し焰光の形が掃帚の如ければ、これを「天狗」と謂い、妖兵を吞食するを主り、その下必ず血流れ坑を成す。舊注に曰く、若し星象が螻蛄の水に撲するに似れば、その一方必ず敗る、と。
占星宿,伏現在西東。星若近南南必勝,忽然近北北宜攻,專祖此為宗辛本、川本作「蹤」。 金星出,出在卯中央。東面兵強莫京本作「休」與戰,西出西方不可當京本作「出西面酉酉難當」,勿與動鋒槍辛本、川本作「刀槍」,京本作「勿與鋒芒」。 金西伏,木京本作「未」出現東方。軍在西南休進戰,二星同出現東方,西若戰須亡。或水或木星。
星宿を占望するには、それが伏沒するか顯現するか東に在るか西に在るかを看る。星が若し南方に靠近すれば南方必ず勝ち、忽然北方に靠近すれば北方は進攻に宜し。占星は専らこの一條を以て準則とす。 金星が卯位の正中に出現すれば、東面の兵力強盛なり、東方と交戰するなかれ。金星が西方に出現すれば、西方は銳くして當たるべからず、それと刀槍を動かすなかれ。 金星が西方に伏沒し、木星が東方に出現すれば、軍隊は西南方において進戰するなかれ。若し兩星が同時に東方に出現すれば、西方いったん交戰すれば必ず敗亡す。(ここに金星と相對する一顆は、あるいは水星、あるいは木星。)
金東伏,木京本作「未」出現西方。東北二方須敗走,忽然同出在西方京本作「現在旁」,東面不能當。 同伏現,相去尺餘間。交戰將兵須有應,水居月上戰應先京本作「關」,月內必師還。水在月上也。 欃星現,分野在京本作「出」何方。若是正臨災在即,忽然頭尾也遭殃,仁德可修禳。
金星が東方に伏沒し、木星が西方に出現すれば、則ち東・北の兩方は敗走すべし。若し兩星が忽然同じく西方に出づれば、東面は抵當し得ず。 兩星が同時に伏沒しあるいは同時に顯現し、相距ること一尺餘り。交戰の時將士に必ず相應の驗證あり。若し水星が月の上方に位すれば、先を爭って出戰するに宜しく、一箇月の內に必ず班師す。所謂「水居月上」とは、水星が月亮の上邊に在るを指す。 欃星(彗星の一種)が出現すれば、その分野がどの方角に在るかを看る。若し正に某地に臨めば、災禍即刻到來す。たとえ彗頭彗尾が掃過するのみなるも、その一帶も殃に遭う。補救の道は仁德を修行して禳解するに在り。
星一個,無尾赤京本作「亦」兼青。直下落來營寨上,急須遷去別為營,此地定無成。 金晝現,名號是經天。其分用兵兵必罷,未曾動處卻兵連,人馬滿郊田。已動敗,未動易政。 星晝隕,聲震響如雷。赤白或長三五丈,忽然更有小星陪,軍勢若寒灰。
一顆の星あり、尾なく、色赤にして青を帶び、徑直に營寨の上方に落つる。急いで遷走して別に營壘を立つべく、此の地に留まれば一定に事を成し得ず。 太白金星が白晝に見え、これを「太白經天」と謂う。その主する分野が若しまさに兵を用いれば、兵事必ず罷息す。未だ兵を動かさざる地方はかえって兵連ね禍を結び、人馬は郊野田地に布滿す。舊注に曰く、すでに兵を動かしたるは敗れ、未だ兵を動かさざるは政權を改易す、と。 白晝に星隕落し、聲は雷の如く震し、赤白色の光尾は長さ三五丈、忽然なお小星相隨うあり。これは軍勢の頹敗を主り、冷卻の灰燼の如く再び振作し難し。
星晝隕,其地定為災京本作「其下地殃危」。必有火焚軍寨柵,兼防將士涉沙泥京本作「垝」,移寨京本作「去」莫徘徊。 軍營內,斗大墜星來。或是作聲長數丈,其間大戰將星移京本作「身摧」,急去免災危。京本注:「孔明、祖逖,皆有此兆。」 軍營內,星隕落其間。拽尾或長三五尺辛本、川本、京本作「丈」,皆為敗陣辛本、川本、京本作「証」莫京本作「欲」相殘,急去免災京本作「凶」奸。孔明、祖逖皆有此兆。
白晝に星隕落し、落ちる處のその一帶は必ず災を成す。一定に軍寨の柵欄を火燒するあり、なお將士が沙泥泥濘に陷入するを防備すべし。迅速に寨を遷すべく、徘徊猶豫すべからず。 軍營の內に斗大の星落下し、あるいは聲響を帶びて下り、光尾の長さ數丈に達す。この期間必ず大戰あり、しかも主將の將星將に隕移せんとす、すなわち主將將に死せん。急いで此の地を離れて初めて災危を免るるを得。京本の注に曰く、諸葛孔明・祖逖が臨終の時皆このような征兆ありき、と。 軍營の內に星その中に隕落し、三五丈長の尾光を拖すは、これは皆敗陣の明證なり。更に相持して廝殺するなかれ、急いで撤離して初めて凶險を免るるを得。舊注に曰く、孔明・祖逖皆このような征兆ありき、と。
軍營內,星隕作驢鳴京本作「形」。兆是京本作「此兆」敗軍並殺將,便須移寨不須京本作「當返不當」停,天意甚分明。 營寨內,星火殞其中。芒角光明兼京本作「並」曳尾,急須移寨避災凶,不去禍重重。 出軍法,夜與日相殊。彼上有光京本作「星」兼月朗,我軍上面暗稀疏,進戰決成輸。
軍營の內に星隕落し、落つる時に驢の叫ぶような聲音を發す。この征兆は軍隊の潰敗かつ將領を折損するを主り、立即營寨を遷移すべく、停留すべからず。天意すでに甚だ分明に表示せり。 營寨の內に星火その中に隕落し、明亮の芒角を帶びかつ長々たる尾光を拖曳す。急いで營寨を遷移して災凶を避くべく、去らざれば禍患重々なり。 出軍の法則、夜間と白晝と占う所同じからず。若し敵軍の上方に星光ありて月色明朗、我軍の上方は晦暗にして星稀ならば、出戰すれば必ず失敗す。
星晝隕,分作二三星。此是兵戈將欲動,須防敵國別來侵京本作「必來爭」,陰賊逆謀生。 吾守壁,月內一星明。必是外奸來入壘,期於半夜害吾城,搜京本作「招」捉審姦情。 提大眾,欲打破城牆。月左京本作「上」有星占上角,城中賢將有謀方,速退莫施張。
白晝に星隕落し、かつ分裂して兩三顆を成すは、これは兵戈將に發動せんとする象なり。敵國の別に來犯するを防備し、なお內部に陰險の徒あって逆謀を生ずるを提防すべし。 我方が營壁に據守するに、月輪の內に一顆の星特に明亮なり。月は夜、星は客、客星が月に入るは、これは必ず外面の奸細すでに我が壘に混入し、半夜我が城を危害せんと打算するものなり。連夜搜捕審問し、奸情を査清し、かつ巡更を加派して內應が火を擧ぐるを防ぐべし。 大軍を統率して城牆を攻破せんと欲する時、若し月の左上方に星あって上角を占據すれば、城中に賢能の將領あり、自ら謀略方策あるを説明す。迅速に兵を退き、用兵を張揚するなかれ。
敵守壘,我力有餘攻。月下有星相近駐,彼城奸欲亂吾中,門戶審其蹤。 圍彼久,月背一星隨。壁京本作「城」內敵人謀走北,其城沉潰不須摧,捷報凱歌回。 觀敵壘,月背有辛本、川本、京本作「見」三星。狀若連珠敵便遁,不須攻打自安平,撫眾勿殘生。
敵人が營壘に據守して我が兵力餘裕ありて進攻し得べし。若し月下に星あって靠近して駐留すれば、敵城が奸細を派して我軍內部を擾亂せんと來るを説明す。營門出入の蹤跡を嚴査するを須とす。 城を圍むことすでに久しく、月の背面に一顆の星相隨うは、これは城內の敵人が正に北に逃走せんと謀劃するを説明し、その城自ら沈淪潰敗す。強攻する要なく、捷を奏して凱旋するを得。 敵壘を察看し、月背に三顆の星あり、形狀が連珠の一般ならば、敵人將に逃遁せんとす。攻打する要なく自然安定す。この時降衆を撫慰し、生靈を濫殺するなかれ。
軍馬進,月畔見三星。形似三星將月捧,攻城京本作「圍」不下戰無成,擇地設營停京本作「再安營」。候過旬日,別看氣候。 攻彼京本作「破」壘,月下見京本作「列」三星。城內詐降設京本作「施」巧計,急當準京本作「整」備出京本作「突」師徵,莫信詐為誠。 圍彼壘,月角露三星。亦京本作「形」類三臺侵抱月,其城難取枉亡京本作「勞」兵,別處設謀贏。
軍馬將に兵を進めんとするに、月旁に三顆の星あり、形狀が三星捧月の如きを見る。これは城を攻めて下さず、交戰して成功し得ざるを主り、別に地方を選んで營に安じて駐紮すべし。十日を過ぐるを待ち、更に別に氣候を占看せよ。 敵壘を攻打する時、月下に三顆の星排列するを見れば、これは城內は假意の投降にして暗に巧計を設くるを主る。急いで兵馬を整備して突然出擊すべく、詐降を眞心と作すなかれ。 敵壘を圍攻する時、月角に三顆の星露出し、形狀が三台星に類して侵近し月亮を環抱す。これはその城の攻取し難きを主り、強攻はただ徒らに兵力を折損するのみ、別に計謀を設けて勝を取るべし。
彗星見,出在京本作「自」月旁邊。必有弒君並殺父,國中紛擾禍相連,更主易桑田。 金臨水辛本、川本作「木」,三五寸金分。少婦合憂生哭泣,又見將見災凶,偏將喪郊中。 星墜地,鳴下似雷聲。著把辛本、川本作「地」更辛本、川本作「便」如焚薪狀,此為天狗食人民。百日見災生。
彗星が月亮の旁に出現すれば、これは必ず君を弑し父を殺すの類の大逆の事に應ずべく、國中紛擾して禍患相連ね、なお田土の變易・山河の改觀を主る。 金星が水星に臨近し、相距ること三五寸の星度。これは少婦に當に憂愁哭泣の事あるを主り、また將帥が災に遇い凶に遭い、偏將が郊野の中に命を喪うを主る。 星が墮落して地上に至り、墮落の時轟鳴して雷聲の如く、地に著いたる後また柴薪を焚燒する如し。これを「天狗」と謂い、百姓を吞食するを主り、一百日の內に災禍發生する。
慧星現,但看出何方。定主國君喪性命,不過百日見驚亡,減辛本、川本作「咸」滅在君王。 太白犯,昴畢二星纏。定主逆臣謀國主,馬奔人走喪中原,入昴赦人原。 金與水,二曜若侵凌。定主破軍並殺將,水居首本作「君」,茲從辛本、川本金上客軍贏,在下主和平。 慧星現,從斗向南行。經過垣牆天市界,外邊兵寇界相臨,損將血成坑。
彗星出現し、ただそれがどの方角より出づるかを看る。それは必ず國君の性命喪失を主り、一百日を出でずして驚變亡故の事を見ん。災殃は君王一身に歸す。 太白金星が昴宿・畢宿の兩星を侵犯し、纏繞して去らず。これは必ず逆臣が國君を圖謀し、人馬奔逃して中原淪喪するを主る。若し金星が昴宿に進入すれば、罪人を赦免するを主る。 金星と水星の兩曜が互相侵凌すれば、必ず軍隊の破られ將領の殺さるるを主る。若し水星が金星の上に在れば客軍勝を取り、若し水星が金星の下に在れば、則ち兩邊講和して相安んず。 彗星出現し、斗宿より南に行し、天市垣の垣牆分界を經過す。これは外方の兵寇が邊界に逼臨し、將領を折損し血流れ坑を成すを主る。
占北斗第十四(京本は「占斗第四」と作る)・十六首
凡北斗,斗乃眾星魁。天上眾星難相犯,若來相犯有災危,占候者須知。 鬥口內,慧現出光芒。海內兵戈俱大起,江河流絕業成京本作「田」荒,民作甲兵糧。 北斗內,穿出慧星輝。國內主君邊寨京本作「塞」將,陰謀惡黨起旌麾京本作「強圍」,著意謹防危。
凡そ北斗を論ずるに、北斗は衆星の魁首なり。天上の他の星辰はもとよりそれを侵犯し難く、若し星あって來り相犯すれば、必ず災危あり。占候の人は必ずこの點を知らねばならない。 北斗斗口の內に彗星顯現して光芒を放つ。これは海內に兵戈大きく起こり、江河斷流して田業荒廢し、百姓の口糧は皆徵されて軍糧に充つるを主る。 北斗の內より彗星の光輝を穿出す。これは國內の君主と邊塞守將との間に、陰謀の惡黨ありて旗を擧げ亂を作すを主り、格外留意して危を防ぐべし。
北斗下,氣若破車輪。白色漸生侵口內,飢荒不稔寇成群,餘荒不堪論。 黑色氣,守定鬥口邊。父子相吞天下歉,水渰城郭少乾田,災害四方傳。 占北斗,第一是妖星。卻京本作「都」要分明軍辛本、川本、京本作「君」始吉,忽然不現眾星明。主將落姦情。妖星乃貪狼星也。
北斗の下の氣が破車輪の形狀の如く、白色の氣が漸く生出して斗口の內に侵入す。これは飢饉歉收・盜寇成群を主り、その餘の荒亂の情形は更に言說に堪えず。 黑色の氣が斗口の旁に守定して散ぜんと肯んぜず。これは父子が相殘し相吞み、天下歉收し、大水が城郭を淹沒して乾燥の田地稀少、災害が四方に傳遍するを主る。 北斗を占するに、第一に看るべきは妖星なり。この星が顯現分明なれば、國君に於て吉。若しそれが忽然隱沒して見えず其餘の衆星が明亮なれば、主將は奸人の圈套に落入らん。舊注に曰く、妖星はすなわち貪狼星なり、と。
占北斗,夜夜白霞遮。不過七旬兵大起,橫尸千里臥如麻,忌戰日西斜。斗為主,霞為客,有索戰,不可出。京本「有索戰」作「酉未來索戰」。 占北斗,黃辛本、川本、京本作「紫」氣在其中。吉京本作「喜」、辛本、川本作「有」事欲來君且記,不過旬日京本作「逾三月」喜重重,萬姓賀堯風。 占北斗,赤氣在其中。萬萬雄風辛本作「師」、川本作「帥」、京本作「兵」徒京本作「多」費力,攻城盡死不成功,枉把庫(廠敖)空。
北斗を占し、若し夜夜白霞に遮蔽されば、七十日を出でずして大擧して兵を興し、橫尸千里・遍地麻の如し。最も忌むは日頭の西に斜るの時に交戰する。舊注に曰く、北斗は主にして霞氣は客、若し敵人が挑戰に來れば、兵を出して應戰すべからず、と。 北斗を占し、黃氣(一作紫氣)が斗の中に在るを見れば、これは吉慶の事將に到らんとするを主る。君王且つ記え:十日を出でずして重々の喜事あり、萬民同じく賀し、堯時の淳厚の風氣に重逢するが如し。 北斗を占し、赤氣が斗の中に在るを見れば、これはたとえ千軍萬馬あるも徒らに費力なるを主り、城を攻めれば士卒盡く死して成功し能わず、白白しく府庫倉廩を耗空す。
占北斗,兼有小星多。天下不安人失業,荒涼米貴遞相磨,處處動干戈。 青蒼氣,漸入斗心中。定有賊來侵郡邑京本作「縣」,不然裨將欲謀凶,大忌是三冬。 占北斗,明閃電光輝。定主好人初出世,輔賢明德助人君,此兆即非輕。
北斗を占し、斗の旁に小星の衆多なるを見れば、これは天下不安・百姓失業、田野荒涼して米價騰貴し、人々相互煎迫し、處處に干戈を興起するを主る。 青蒼の氣が漸く斗心の中に侵入す。これは必ず賊寇ありて郡縣を侵犯せしめん、さもなくば副將が凶逆を圖謀せんとす。最も忌諱するは冬季三箇月の裏に發生するなり。 北斗を占し、斗光の明亮にして閃電の如く輝耀するを見れば、これは必ず賢德の人初めて世に出で、賢能明德を以て人君を輔佐するを主る。この征兆の分量は輕からず。
占北斗,太白入其中。定主將軍逢戰死,城營難守亂人民,大小在辛本、川本作「走」西東。太白入斗,將星入度也。 黑雲氣,夜散辛本、川本作「蔽」星斗中。如此三朝當有雨,急須準備候天情辛本作「晴」,此理甚分明。 占北斗,忽直或伸之。衝入斗中奸事有,犯其星位各占之,術士亦須知。 占北斗,通夜黑雲遮。定主來朝須有雨,急披雨笠候天涯,應兆不能差。
北斗を占し、太白金星が斗の中に侵入するを見れば、これは必ず將軍が戰死し、城池營壘守り難く百姓離亂し、大小の人等四散して奔逃することを東西に主る。舊注に曰く、太白が斗に入るは、將星が北斗の星度に進入したるなり、と。 黑雲の氣が夜裏星斗の中に遮蔽する。こうして三日連續すれば當に雨降るべし。急いで準備し、靜かに天氣の變化を候すべく、この道理は十分に分明なり。 北斗を占し、若し氣ありて忽然筆直に伸展し斗の中に衝入せば、奸邪の事あるを主る。それが衝犯する哪一顆の星位なるやに至っては、その星に照して分別して占斷す。術士もまたこの法則を知るを須とす。 北斗を占し、若し整夜黑雲に遮蔽されば、必ず第二天に雨降るを主る。急いで蓑衣斗笠を披き、天邊を留意すべく、この應兆差錯あることなし。
占地第十五・二十一首
地之道,與月一般稱。為母為臣生萬物,發生含育盡乾坤,明辨豈無靈? 統軍帥,下寨要安營。先是須知吉凶地,莫令誤地損兵軍,此理要精明。 地名好,川破不堪安。大路叉中休下寨,伏尸古墓見多般,將帥要知言。主虛驚,賊來破寨。
地の道理は、月亮と相稱して並列す。地は母と爲り臣と爲り、萬物を生養し、その發生含育の功は乾坤に及ぶ。よく地象を明辨し得さえすれば、何ぞ靈驗なからんや。 軍を統ぶる主帥、寨を扎き營を安んずるの先に、まず何れの處か吉地・何れの處か凶地を辨明し、地方を選び錯えるに因って徒らに兵馬を折損することなかれ。地利は全軍の存亡に關わり、この道理は必ず精熟明白に弄し、臨時に草率に地を擇ぶこと能わざるなり。 地名よしと雖も、山川殘破なれば營を安んずるに宜しからず。大路の交叉する處は寨を扎くるなかれ、そこは往往に伏尸古墓を埋め、形形色色あり。將帥はこの告誡を聽懂すべし。舊注に曰く、ここに寨を扎くは虛驚あるを主り、また敵兵を招きて寨を破る、と。
山窄地,泣滴莫安營。兩路中間休立寨,龍頭辛本、川本作「勿投」天灶怎持兵,仔細與軍辛本、川本作「君」尋。天灶者,大谷之口;龍頭者,大山之端。 戰場地,古廟與靈壇首本作「臺」,茲從辛本、川本。攻破城營移辛本、川本作「遺」故地,盡言凶敗與傷殘,細說與軍辛本、川本作「兵」官。 山谷中,下寨忌逢之。前高後下居之險,地無草木主憂疑,明將總須知。
山勢狹窄にして地面水渗み滴瀝する處は營を安んずるなかれ。兩條の道路に夾まれた中間地帶も寨を立つるなかれ。「龍頭」「天竈」のような地形は、何ぞ兵を屯せんや。仔細に全軍の爲に別に營地を擇ぶべし。舊注に曰く、「天竈」は大山谷の谷口、「龍頭」は大山の頂端なり、と。 舊戰場・古廟・神壇、及び攻破せられたることある城營遺址、これらの地方は一概に凶敗傷殘を主り、皆細細に軍中の將吏に講じて知らしむべく、此に駐紮すべからず。 山谷の中は最も寨を扎くるを忌む。前高後低の地形は、之に處ること危險なり。地上に草木を生ぜざるは、憂疑不安を主る。明智の將領は皆必ず知るべし。
大驛路,前後總須疑。或在高崗或在辛本、川本作「近」水,長深溪澗最無疑,下寨得便宜。 營已下,須識有災非。地上忽生諸怪類,往來天象看來情,主將要知因。 占其地,毛羽忽然生。必主人君遭厄難,大兵侵國亂朝廷,百事應憂驚。
大驛道の前後は皆疑問に値し、久しく駐るに宜しからず。營地は當に高岡の上に選ぶべく、あるいは水源に靠近すべし。あの狹長深邃の溪澗の旁が最も穩妥にして、ここに寨を扎くは地利を占取し得る。 營寨すでに扎き下りたりと雖も、なお災禍の有無を辨識し得べし。若し地上に忽然種種の怪異の物を生ぜば、天象の往來變化と結び合わせてその主する情形を看るべく、主將は必ずその中の緣由を弄清せねばならない。 營地を占察し、若し地上に忽然毛羽の類を生ぜば、必ず人君が厄難に遭遇し、大軍が國境に侵入し朝廷動亂するを主り、凡事皆憂驚と應驗す。
田地上,忽然便生毛。處處盡生人總見,此為謀逆血流郊,百日主凶妖。 城營內,火焰忽然京本作「生」光。將士敗亡看在速,急須移寨京本作「轉」免災殃,不去禍難當。 城忽裂,必主起干戈。山中地或如雷吼,敵軍來時看辛本、川本作「速探」如何,急避莫蹉跎。
田地上に忽然毛を生じ、しかも處處皆生じ人人皆見るを得。これは人ありて謀反作逆し、郊野に血を流すを主り、一百日の內に凶妖の事を應驗す。 城池營壘の內に忽然火焰の光を冒出す。これは將士の速やかに敗亡するを主り、急いで寨を遷して災殃を免るべく、去らざれば禍患當り難し。 城牆が忽然開裂すれば、必ず干戈を興起せんとすることを主る。山中の地面若し雷のような吼聲を發せば、急いで敵軍の來時の情形を探明し、急速に回避し、蹉蛇すべからず。
營寨京本作「砦」地,泉水及生塵。有戰不離於月內,早排兵甲敵邊鄰,移寨避災迍。先移後戰。 城營京本作「營內」地,無故動還搖。大戰必應於歲月京本作「內」,並注:「城年營月也。」直須移京本作「離」寨禍應消,不去京本作「出」將身招。 城營內,地動起兵戈。且早移營於吉地辛本、川本作「福上」,不然刑禍將身多,陣敗辛本、川本、京本作「破」自消磨。
營寨の所在の地、忽然泉水涌出しあるいは故なく塵土揚ぐ。これは一箇月の內に必ず戰事あるを主り、早くより兵甲を整備して鄰近の敵に對付し、かつ營寨を遷移して災厄を躲避すべし。舊注に曰く、まず營を遷し、然る後に戰う、と。 城池營寨の地面が故なく震動搖晃するは、必ず大戰あるに應ずべし。原注に曰く、城の中に在るの應驗は年を以て計り、營の中に在るの應驗は月を以て計る、と。必ず營寨を遷移して初めて禍患消解し、去らざれば凶禍主將自己の身上に招かるる。 城營の內に地面震動すれば、兵戈を興起するを主る。早くより營を吉地に遷すべく、さもなくば主將の身上に刑禍重々、陣勢敗破して兵力自ら消磨し盡くさん。
城營內,忽見地生毛。所統精兵當便起,須臾不去禍應遭,禳醮保功勞。 城營內,地上起錢京本作「殘」花。有似馬蹄同此兆,移營擁京本作「各營勇」士定歸家,應驗決無差。 城營內,地忽現辛本、川本、京本作「陷」崩摧。禍結兵連緣此兆,移營修義滅京本作「速修仁義免」凶災,不信將身推京本作「危」。
城營の內、忽然地上に毛を生ずるを見れば、統率する精兵は立即に營を起つべし。片刻も去らざれば禍に遭う。同時に醮を設けて禳解すべく、初めてすでにある功勞を保ち得る。 城營の內、地上に銅錢の花紋のような印痕を現し、あるいは馬蹄の印の如きは、皆同一種の征兆に屬す。この時當に營を遷し、將士を擁して家に歸るが正辦なり。この應驗は決して錯わず。 城營の內、地面が忽然塌陷崩毀す。禍結び兵連ねるは皆この征兆に因って起こる。營を遷し仁義を修行して凶災を消滅すべし。若しこの話を信ぜざれば、主將自身が危險に陷入らん。
城營內,忽見地生丹京本作「忽有土崩塌」。敵騎欲來沖突我,差人截路莫輕閒京本作「待莫輕看」,移寨庶幾安辛本、川本作「倚亭關」。 城營內,花草忽然生。急出莫令軍疾病,經旬不動將身傾,智士京本作「勇」切須明。 城營內,地上忽然京本作「生」黃。五穀或生並地長京本作「忽然生遍地」,將軍祿位福無疆,士馬樂京本作「亦」安康。
城營の內、忽然地上に丹赤の色を生ずるを見れば、一説に土の崩塌あるなり。丹赤は火に屬し、また血の色なり。これは敵騎の將に我軍を衝撃せんと來るを主る。人を遣して道路を截斷し、等閒に視すべからず。營寨を遷して初めて安穩を望むべし。 城營の內に忽然花草を長ずれば、急いで撤出すべく、軍中に疫を生ずるを免れんがため。十日を過ぎてなお移動せざれば、主將自身が傾覆せん。智ある士は必ずこの點を明白にせよ。 城營の內、地面が忽然黃色を現し、あるいは五穀が自然に生長し遍地に滋蔓す。これは吉兆にして、將軍の祿位隆厚・福澤無窮を主り、士卒戰馬皆安樂康健なり。
占樹第十六・五首
城京本作「營」中樹,忽然總萎黃。威氣京本作「風」助吾軍必勝,陰神佑我必成強,主將喜非常。 營側畔,樹木自崩摧。若近軍前師敗辱,不然近彼賊京本作「彼戰必」衝來,移去免凶災。 諸樹木,花發不當時。營內見之須速備京本作「避」,定知賊眾欲來圍,移寨免災危。
城中の樹木が忽然全て枯萎發黃す。草木が肅殺の氣を受けて凋むは、正に兵威の加わる象なり。これは威氣が我を助け陰間の神靈が我方を佑護する兆、我軍必ず勝ち勢必強盛なり。主將は格外歡喜すべし。 營寨の側旁の樹木が自ら崩折摧倒す。若し崩倒の一側が我軍の前方に靠近すれば、我師の敗辱を主る。若し敵方に靠近すれば、敵兵の將に衝撃に來らんとするを主る。營を遷して凶災を免るる可し。 各種の樹木が時令に合わず開花す。花が開くにその時に非ざるは、「氣が位に當たらず」なり。營內にこのような反常の象を見れば、必ず迅速に戒備し、敵衆の將に圍困しに來らんと斷定し得べし。營寨を別處に遷して初めて災危を免るるを得。
營寨內,樹木被雷驚。或是震傷人與物,此為傷敗被天嗔,移寨免憂心。 諸樹木,忽地出奇枝。異花奇葉人罕見,必生異事報軍辛本、川本作「君」知,將帥看修為。
營寨の內、樹木が雷に撃たれ驚震し、あるいは雷震が人と器物とを傷つく。これは傷敗に遭い、上天に譴怒される兆なり。營寨を遷移して初めて憂慮を免る。 各種の樹木が忽然奇異の枝條を長出し、罕見の異花奇葉を開く。これは必ず異常の事ありて軍中に報知せんとするなり。將帥はこれに據って己の作為を檢點し、德を修めて之に應ずべし。
占蜂第十七(京本は第十一に列す)・五首
軍營內,蜂眾泊於營。兵京本作「軍」欲動移應不久,修磨器甲莫教停,總令便須行。 軍行次,蜂蝶接連來。定有伏兵居草莽辛本、川本、京本作「澤」,好防林木與山崖,先探保無災。 軍下寨,蜂蝶遍天飛。防有賊來攻我寨,急首本作「忽」,茲從辛本、川本須固守莫遲回,主將要先知。
軍營の內、成群の蜂が營中に停落す。これは軍隊のほどなく移動せんとするを主り、不停地に器械甲胄を修磨し、號令の下達を一等すれば即刻開拔すべし。 行軍の途中、蜂蝶が接續して飛來す。蜂蝶は草澤に棲みて人馬に驚起されてこそ接續して飛來す。これは必ず伏兵が草澤の中に藏れあり。林木と山崖の處をよく防備し、先ず人を遣して偵察し清楚にして、初めて災なきを保ち得。 軍隊が寨を扎くの時、蜂蝶が漫天に飛舞す。敵人の我寨を攻めに來るを防備し、急いで固守し、遲疑退縮すべからず。主將は必ずこの層の意思を預知すべし。
軍營內,蜂惡亂叮辛本、川本作「呵」人。或是反軍與謀將,必然軍將有災危,謹守賊欺追辛本、川本作「追欺」。 軍營內,蜂子遍飛遊。必主將軍多口舌,若還移寨沒災危,記此在心機。
軍營の內、惡蜂が亂に人を叮す。蜂は毒螫あって反ってその主を噬むは、正に內亂に象す。これはあるいは軍中に人あって反叛し、あるいは將領が別に圖謀を懷く。軍將必ず災危あり。謹んで營壘を守禦し、同時に敵人の隙に乘じて追逼欺凌するを防備すべし。 軍營の內、蜂子が四處に飛游して人を螫さず。これは必ず將軍に口舌是非多く、讒言紛起するを主る。若し營寨を遷移し得れば、災危なし。この一條を牢牢に心に記すべし。
占鼠第十八(京本は第十に列す)・十首
占見鼠,其物夙名虛。主盜主奸皆主賊,若來為怪將兵虞,不信禍難除。 逢見鼠,白色是金精。若順軍行軍大勝,逆軍來者禍相京本作「災」生,凶吉甚分明。 逢赤鼠,來往在軍前。此是伏軍京本作「兵」藏詭計,搜尋斜谷道旁邊,急備莫遲延。
老鼠を占見するに、この動物は向來名聲好からず。それは盜竊を主り奸邪を主り、總じて一箇の「賊」の字に歸す。若しそれが反常怪異の擧動を作せば、兵を帶ぶる者は憂慮戒備し、營中に內應の細作有無を査すべし。この話を信ぜざれば、禍患消除し難し。 白色の老鼠に遇うは、それは金氣の精華の化する所なり。それが若し我軍の前進の方向に順って走れば、我軍大勝す。若し我軍に逆らって來れば、禍事を生ぜん。吉凶の分辨は甚だ清楚なり。 赤色の老鼠が我軍の前に來回穿行するに遇えば、これは敵人が兵馬を埋伏し詭計を暗藏する象なり。斜谷と道路の兩旁とを搜查し、急いで戒備し、遲延すべからず。
軍營內,鼠咬屋椽楹。或見辛本、京本作「向」壁間搬出土,移營在近改遷寧,排備向前程。 軍營內,行鼠尾舒前。將京本作「軍」主有災須醮謝,夜深谷口京本作「各各」、辛本、川本作「穀穀」罷戈京本作「兵」鋋,太白京本作「天似」報人言。 營寨京本作「軍營」內,驀地鼠成行。欲似吊人聲不罷京本作「出」,此須為禍將身當,禳謝得平京本作「保安」康。
軍營の內、老鼠が屋椽梁柱を啃咬し、あるいは牆壁の間より土を外に搬ぶ。鼠は屋の將に壞れんとするを先知して預めその居を移す。これは營地が久留に宜しからざるを主り、近くに就いて改遷して初めて安寧を得、同時に行裝を整備して前進を準備すべし。 軍營の內、老鼠が行走する時尾巴を前面に伸ばす。これは將帥に災あるを主り、醮を設け祭謝禳解するを須とす。夜深の時分に谷口に兵戈を停止すべし。これは太白金星が人に警を示し言を傳うるなり。 營寨の內、老鼠が忽然成行成列を成し、叫聲が人の弔喪するが如く歇まんと肯ぜず。これは禍事にして、主將の身上に應ずべし。必ず禳解祭謝して初めて平安を保ち得。
營寨內,白日鼠搬兒。不是火災應大水,三日辛本、川本、京本作「朝」五京本作「兩」日速遷移,不出禍相隨。 寨中鼠,能舞向人前。必有內姦通外敵,且須搜捉莫遷延,速備實為先。
營寨の內、老鼠が白晝に幼崽を搬運す。これは火災を主るかさもなくば大水を主るか、三五日の內に急いで遷移すべく、去らざれば禍患將に跟って來らん。 寨中の老鼠が竟に人前にて起舞し得。鼠はもと人を畏るるも反って敢て人前に戲るるは、營中すでに恃む所ありて恐れなきの輩あるを説明す。これは必ず內奸ありて外敵と勾通す。急いで搜捕し、遲延すべからず。迅速に戒備するこそ第一の要務なり。
軍營鼠,血染將衣冠。或咬鼓旗皆不利,信須修謝拜星官,移寨且求安。 將軍臥,眼上被鼠傷京本作「將軍服,上衽鼠來傷」。必有奸賊京本作「喜神」來辛本、川本、京本作「看」在即,或傷腰下不相當,財散京本作「破」客軍強。經曰:「鼠者,賊也。如有變易,必主奸寇入也。」
軍營中の老鼠が血を將帥の衣冠上に染め、あるいは戰鼓と旗幟とを咬壞するは、皆吉利ならず。的確に祭謝を設法し、星官を禮拜し、かつ營寨を遷移して平安を求むるを須とす。 將軍が睡臥する時、眼睛の上方を老鼠に咬傷さるるは、これは必ず奸賊の即刻將に到來せんとするあり。若し傷が腰以下に在れば、應驗同じからず、破財して客軍強盛を主る。兵經に曰く、老鼠はすなわち賊なり。その擧動に一反常の變化あれば、必ず奸細賊寇の入境を主る、と。
