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《兵要望江南》[唐]易静

唐 · 易静 · 第1巻 / 6

作盤ガイド: 暦注(黄暦), 万年暦

委任第一(京本は「占委任第一」)・二十六首

綜合類典籍

通読するより工具書として引くほうが実用的である。他の門類で分からない暦法術語に出会ったら、たいていここで出所をたどれる。

易靜,唐時任武安軍左押衙。著有《兵要望江南》,凡收詞七百卸二首。今編為四卷。(《全唐詩》無易靜詩,事跡據《崇文總目》卷三、《郡齋讀書後志》卷二)

易静は唐代の人で、武安軍の左押衙(節度使幕府で軍務文書を掌る武職)を務めた。著書に《兵要望江南》があり、すべて《望江南》の詞調で書かれ、詞七百二十二首を収め、今伝本は四巻に編まれている。この書は門類ごとに巻を分け、各首の詞は一種の天象・物象の兆とその軍事的応験を説く。(《全唐詩》には易静の詩作は収められておらず、その事蹟は《崇文総目》巻三と《郡斎読書後志》巻二に見える。)

委任第一(京本は「占委任第一」)・二十六首

兵之道,切忌起無名。不止京本作「正」少功虛效力,逡巡反川本作「及」禍複京本作「複禍」危傾。容易勿言兵。 統軍京本作「兵」帥,不可比鹽(酉咸)據川本、辛本、京本改梅。相政乖虧猶可救,朝綱雖失亦能回,兵敗國傾危。 當權將,其責重如山。社稷存亡全在爾,安危君父一時間。須要立功還川本、辛本作「爵祿帝王頒」。

用兵の根本の法則は、師出して名あることを最も忌む。名義がいったん正しくなければ、功を建て難く兵力を空しく損耗するばかりか、進退が逡巡するためにかえって禍患を招き、国家を傾危させる。だから軽々しく戦を言うべきではない。(「不止」は京本では「不正」で、まさに名分の不正を戒めとして立てている。) 軍を統べる主帥は、その分量を「塩梅」の臣に比べることはできない。「塩梅」は《尚書・説命》の「若し和羹を作らば、爾は惟れ塩梅」に出て、鼎鼐を調和する宰輔を指す。宰相の政を治めるのに時々の乖失があってもなお補救でき、朝綱が一時に廃弛してもまだ挽回できる。だが主帥がいったん敗れれば、国家は直ちに転覆する。だから将を選ぶことは相を選ぶよりさらに重要である。 兵権を握る将領の肩の責任は山岳のように重い。国家の存亡はすべてあなた一身に係り、君王と父老の安危も交鋒の一瞬の間にのみある。だから必ず戦功を立てて報いなければならない。(川本・辛本の末句は「爵禄帝王頒」で、爵位・俸禄はすべて帝王の賜うところとし、なおさら責を尽くすべきとする。)

銓大將京本作「帥」,須要素知京本作「司」兵名據辛本、川本、京本改。非是等閒虛譽職,莫將軍印京本作「兵柄」任辛本、川本作「委」、京本作「付」狂生,輕擁甲兵行。 諸屬幕,必京本作「須」是選賢辛本、川本作「堪」、京本作「沉」良。勿取京本作「使」門高京本作「風」當勢位,無私親舊與鄉邦京本作「同鄉」。曲順京本作「邪曲」定為殃。 攻敵策,謀乃勝之原京本作「源」。勿使辛本、川本、本京作「祗」迎兵京本作「軍」交血刃,休憑角京本作「勇」力靠兵官,勇是禍之端。經曰:善戰者不怒,善勝者不爭。非智者不能行,非賢者不能用也。

大将を銓選するには、必ず平素から兵事に通暁し、素より声名のある者を選ばなければならない。これは功に報いる虚銜の美職ではない。くれぐれも軍印・兵柄を狂妄な書生に渡して、軽々しく甲兵を率いて出征させてはならない。 幕府の各級の僚属は、必ず賢能で忠厚な者を選ばなければならない。相手の門第が高華で勢位にあるからといって採用してはならず、私情に徇って親旧・同郷を任用してもならない。もしひたすら曲意を迎え邪曲の徒を任用すれば、必ず禍殃を招く。 敵を攻める方略は、謀ることこそが勝利の根源である。一たび陣に臨んで両軍が短兵を接し血刃を交えさせてはならず、単に角力で猛り合うことだけを恃んで武官に頼ってはならない。勇を逞しくすることはまさに禍を招く始まりである。兵経に言う。善く戦う者は軽々しく怒らず、善く勝つ者は人と鋒を争わない。この道理は、智ある者でなければ為せず、賢者でなければ任用も解しない。

統軍帥,智慮有明謀。善識天文能勇敢,更兼威德賞勤勞。士卒自英豪。 為將帥,筮卜識機緣。更用一人高術士,精通占候要知言,凶吉預聞先。 覘彼勢,虛實要先評。兵有正奇將勝敗京本作「關將敏」,有京本作「勢」無強弱在軍精辛本作「情」,料敵不須驚。

軍を統べる主帥は、智慮が周到で胸に明謀を蔵していなければならない。天文・星象に通じ、陣に臨んで胆勇があり、さらに恩威をともに著しくし、力を出し労を効く者に賞賜を惜しまない。このようにして率いられた士卒は自然と一人ひとりが英豪となる。 将帥の身としては、さらに「筮卜」を用いて戦機を把捉することを知らなければならない。軍中にはなおさら高明な術士を迎え、 「占候」の学に精通し占辞の言外の意を解する者を置くべきだ。そうすれば吉凶はあらかじめ知られ、事が起こる前に先んじることができる。 敵の形勢を窺うには、まずその虚実を評価しなければならない。兵が多くて備えがなければ虚であり、兵が少なくて備えがあれば実である。用兵には「正」があり「奇」があり、勝敗の鍵は将領が機敏かどうかに係る。兵力の有無・強弱は、実は隊伍が精鋭かどうかに決まる。敵を先に料れば、事に臨んで慌てる必要はない。

量彼敵,將勇戒驕盈。整暇正須期死戰,凱旋猶懼有驕辛本、京本作「生」兵,養氣勿輕迎辛本作「臨」。 戰危事,上將戒貪行辛本作「兵」。閫京本作「國」計豈應辛本作「能」、京本作「令」求京本作「圖」小利,師行自古有常經,紀律要精明。 參彼將,德京本作「得」性好攻心。仔細究情辛本作「精」隨彼好,中行離反問據辛本、京本改詭相親,設利誘前擒。覆兵敗將,攻其便,究其情,伐其機。

敵情を衡量するとき、将領は勇があっても驕満を戒めなければならない。軍容を整え粛然として従容で急がないのは、まさに決死の一戦に備えるためである。勝って凱旋しても、なお勝によって驕兵が生じることを防がなければならない。平素は士気を蓄え養い、軽々しく迎戦すべきではない。 戦争は存亡に関わる危うい事である。主将がまず戒めるべきは功を貪り冒進することである。「閫外」の謀(主帥が外で機に臨んで決断する大計)がどうして眼前の小利だけを図ってよかろうか。古来、行軍には自ずから一定の常法があり、紀律は厳明にして周密でなければならない。 敵の将領を研判するには、その徳性・性情を見極め、「心を攻める」ことから着手する。実情を詳らかに察し、その好みに順って投合し、さらにその中から離間・反間の計を施し、詭詐の姿勢で彼に親しく近づき、しかる後に利を餌として彼を誘い来らせて擒にする。その軍を覆しその将を敗らしめるには、その疎漏なところを攻め、その真実の情形を究め、その乗じ得る機を伐たなければならない。

統軍將辛本、川本作「兵帥」,剛暴自殘兵。有勇有勞無賞罰,卻將傲慢事行刑,彼將定欺凌。 審向道京本作「彼將」,測京本作「斥」,辛本作「情」候要分明。莫為時多蒙辛本作「朦」躁進京本作「莫與兵徒萌躁進」,勿從剛暴速兼程,慮京本作「虞」彼伏潛兵。 途頓止,調節要京本作「力」均停。力若有餘兵有京本作「軍自」銳,縱逢強賊京本作「卒逢賊馬」亦堪徵,不致有惶驚。

軍を統べる将領がもし剛愎で暴戻ならば、自らの部隊を自ら残虐するに等しい。士卒に勇功があるのに賞賜を得られず、過ちがあっても懲処せず、かえって傲慢な態度で刑戮を濫りに施せば、敵将は必ずあなたを軽んじ、あなたを陵しに来る。 進む道路を審察するには、「偵測」と「候望」の二つをともに明白にしておかなければならない。時局が紛擾し蒙昧だからといって軽率に躁進してはならず、剛暴の性に任せて一味に兼程して急行してもならない。敵が伏兵を埋設していることを防がなければならない。 途中で駐屯して休養するには、行止と労逸を調節して均しくしなければならない。体力に余裕があれば、士卒は自然と鋭気を保つ。こうすれば、たとえ突然強敵の勁騎に遭っても、照れずに接戦でき、驚慌失措することはない。

量強弱,彼我孰優長?敵若勢雄兵將廣辛本作「兵將廣大」,吾軍衰弱亦京本作「何弱力」難當,主帥要參詳京本作「奇計可施張」。 將權柄,識務辨京本作「職務長」春秋。須是先施仁與惠,後行刑戮京本作「獄」擇其尤辛本作「由」,威令辛本、京本作「愛」自然收。 賞與罰,須是要均平。不可(狗去句改旬)辛本作「循」私行喜怒,稍京本作「私」偏親舊失軍情,如此辛本、京本作「否則」禍災生。

強弱を衡量するには、彼と我とで結局どちらが優位かを問わなければならない。もし敵の勢いが雄壮で兵多く将広く、我が軍が衰弱して抵当し難いなら、主帥は必ず繰り返し参酌して謀らなければならない。(京本はここを「奇計可施張」とし、ちょうどこの時に奇計を施すべきとする。) 将領が権柄を執るには、時務を識り事理を明らかにし、時に因って宜しきを制することを知らなければならない。まず仁愛の恩恵を施行してから、それでいて刑戮を動用し、しかもその中で最も重い者だけを選んで懲処する。こうすれば威信・号令は自然と人心を収攏できる。 賞と罰は、必ず公平で均一でなければならない。私情に徇って個人の喜怒で事を行ってはならない。わずかでも親旧に偏袒すれば、全軍の人心を失い、こうして禍災が発生する。

水與陸,兩勢作艟(舟朋)。陸有勢形水京本作「湖」亦有,舟車捷力京本作「利」不相爭,專在將能明。 統軍帥,不可妄行刑。莫以軍威行殺戮,人生一失永無生,誤損命天嗔。 統軍帥,職爵受皇恩。莫以暫時輕賞罰,休生外意信奸人,叛智據辛本、川本補怎成名?

水戦と陸戦は二つの異なる形勢で、いずれも「艨艟」の類の戦船と車騎に頼って施展する。陸地には地勢・地形があり、水面にも同じく水勢・水形がある。舟と車はそれぞれ便益があり、もともと優劣を強いて分ける必要はない。要は全く将領が明察して運用できるかどうかにある。 兵を統べる主帥は妄りに刑罰を用いてはならない。軍威を恃んで勝手に殺戮してはならない。人命はいったん失えば再び挽回できず、無辜を誤って殺せば上天の譴怒を招く。 兵を統べる主帥の職位・爵禄はすべて皇恩に由来する。一時に得意だからといって賞罰を軽忽してはならず、異心を萌やし奸人の言を聴き入れてもならない。いったん背反すれば、たとえ智謀があっても、どうして功名を成すことができようか。

如信佞,叛背事皆訛。自古兩邦難並立辛本、川本作「立廟」,當朝忠孝賜恩多,世代盡包羅。 狂京本作「徵」寇走辛本、川本、京本作「定」,乘馬複還京京本作「軍」。結局奏京本作「有」功須均京本作「當」賞,莫將親識京本作「舊」冒功升,反及據辛本、川本、京本改掩勇無名。 鋒辛本、川本作「蜂」、京本作「封」城壘,謹守保邊隅。莫恃雄強侵彼境,複從奸佞起兵夫。虛國死無辜。

もし佞臣の言を聴き入れれば、背反の事はすべてここから訛変して生じる。古来、二つの敵国は並び立ち難い。他邦に外から身を投ずるより、本朝に忠孝を尽くすに如かない。朝廷の賜う恩典はもともと豊厚で、世世代代に及ぶに足りる。 狂悖な敵寇がすでに敗走したなら、将士は馬に乗って班師して京に還る。戦事が終わって軍功を奏報するとき、賞賜は必ず均平でなければならない。決して親信・熟人に戦功を冒領させて昇遷させてはならず、かえって真に奮勇した者を埋もれさせて名もなきものとしてはならない。 辺地の城塁は厳加に封守し、謹んで防禦して辺陲を保全しなければならない。兵強く馬壮だと自恃して他国の疆界を侵犯してはならず、さらに奸佞の言を聴いて妄りに兵夫を征発してはならない。それはただ国力を空しくし、無辜の人を徒に命を送らせるだけである。

太平世,積食京本作「粟」養雄兵。不可輒忘征戰意京本作「備」,常時論武京本作「常須講習」使兵辛本、川本作「令」精,防寇犯京本作「彼寇」邊庭。 吾勢銳,人馬總精雄。財寶京本作「貨」滿盈軍用足辛本、川本、京本作「足用」,更詳天象審蒼穹,災禍免辛本、川本、京本作「那」軍中。經曰:「用兵者,非信義不立,非陰陽不順,非奇正不列,非詭譎不戰。謀藏於心,事見於跡,心與跡同者敗,心與跡異者勝。」

太平の世に身を置いても、糧穀を積儲し勁旅を豢養しなければならない。決して動もすれば征戦の備えを忘れてはならず、平時に武事を講習して士卒を精練に保ち、敵寇の辺庭侵犯を防がなければならない。 我が兵勢は鋭く、人馬はみな精悍で雄壮、府庫の財貨は充盈し軍需は充足している。この上にさらに天象を詳らかに審し蒼穹を仰ぎ察すれば、軍中は災禍を免れることができる。兵経に言う。兵を用いる者は、信義がなければ立たず、陰陽に順わなければ行かず、「奇」「正」を分けなければ陣を列せず、詭詐を用いなければ戦は成らない。謀略は心に蔵し、行事は形跡に顕れる。心と跡が同じなら、人に見穿かれやすく敗れ、心と跡が異なれば、人に測られ難く勝つことができる。

風角第二(辛本は「占風角第二」、京本は「占風第三」)・三十三首

興兵道,風角最為先。若是逆風辛本、川本作「迎風」權且住,後來風助合蒼天,大戰我當先。 春屬木,風自震方來。才起微微聲不大,終無禍福不須猜。疑慮卻成災。 離與兌,壬癸子辛本、川本、京本作「自」三方。飄作如春依逐分,不須多慮與張惶,有寇整兵當。

兵を起こし師を用いる道は、「風角」の占候を首位とする。もし軍を出すとき逆風が吹いていたら、しばらく兵を按して動かない。後に風向が転じて我を助けるとき、まさに上天の意に合う。その時に大いに挙げて決戦すれば、我が軍は自ずから先んじることができる。 春は五行で木に属し、「震」卦の主る東方に配当される。風がもし正しく震位から吹いて来て、起こりが微弱で声響が大きくなければ、終竟吉凶はないので、猜疑する必要はない。かえって主帥が心に疑慮を抱き挙止が失措すれば、災禍を招くことになる。 もし風が「離」(南)、「兌」(西)および壬・癸・子の主る北方水位という三方から吹いて来て、飄拂の状が春風のように柔和なら、各方の所属に依ってそれぞれ推断し、過度に憂慮して慌てる必要はない。たとえ敵寇が来犯しても、部伍を整粛して迎戦すればよい。

四季內,或京本作「忽」有猛風聲。倒京本作「卷」瓦揚沙急京本作「幾」似箭,隨來方所擺京本作「擁」精兵,急備彼軍情辛本、川本作「人」、京本作「急急備軍人」。 猛風過,如箭便京本作「更」無蹤。名曰(昔風)(革風)當速備,風聲才斷賊來攻,曰後京本作「日入」愈為凶。 兵行次,黯黯點點據辛本、京本改久陰沉。不雨又無光色現,下人謀上恨情深,細意要搜尋。

一年の四季のうち、忽然として呼び嘯く猛風が起こり、屋瓦を翻し砂塵を巻き起こし、来勢が飛箭のように急なら、風の来る方位に依って精兵を配置し、火急にその方向の敵軍を戒備しなければならない。 猛風が一掠して過ぎ去り、飛箭のように速く後に杳として蹤跡がない。この種の風を「飋飆」と名づけ、暴疾の風である。現れたら速やかに戒備しなければならない。風声がやっと止息したら、敵兵が攻めて来る。もし日入後に起これば、禍を為すこととりわけ険悪である。 行軍して駐屯する際、天色が昏暗で雲影が斑駁とし、長く陰沈して開かず、しかし雨も降らず日光も雲彩も見えないなら、これは部下が主上を謀り、怨恨が極めて深い兆である。留意して細かく査訪しなければならない。

軍出京本作「離」國,風自背邊生京本作「興」。大則大贏為大勝京本作「吉兆」,小風小勝總堪徵,天意助吾行。 軍京本作「兵」大舉,方出帝王城。逆面風來軍恐懼,合將人馬結營停,守過待時更京本作「行」。 軍行次,風猛逆狂吹。出陣若逢如此兆,不如抽退得全歸,免損將兵辛本、川本作「軍」危。

大軍が国境を出る時、風が背後から吹いて来る。これは順風が師を送る象である。風が大きければ大勝、風が小さくても小勝があり、総じて出征できる。これは天意が我がこの行を助けるのである。 大軍が兵を挙げ、京城を出たばかりで逆風が迎え面して撲して来れば、全軍がこれで恐懼する。それなら人馬を結営して停駐させ、堅守して時を待ち、風候が転じて順になるのを待って行進すべきである。 行軍の途中、猛風が逆面して狂吹する。陣を出るときこの種の兆に遭えば、兵を収めて退還するに如かず、全軍を保って帰ることで、将士を損折し軍を危に陥れることを免れる。

吾擊彼,參審京本作「審彼」主人方。莫問四時並氣候,風來後助便辛本、川本作「得」無妨京本作「休論刑殺旺衰鄉」,逆面主災殃辛本、川本作「迎面莫徵狂」,京本作「風要細推詳」。 敵居所,風起自他方。便有精兵宜固守,若言舉動禍之殃,實語莫猜量。 假令京本作「今」法,且論在三冬。彼國守干吾欲討,風生辛本、川本、京本作「顛」西北不堪徵京本作「攻」,以此較餘宮。

我方が敵を攻撃するには、まず「主人」(一方を据えて守る側)の所在する方位を参酌し審察しなければならない。四時の節令と刑殺・旺衰の説に拘泥する必要はない。ただ風が背後から来て我を助ければ、兵を出して妨げはない。もし風が迎え面して来れば、主に災殃がある。 敵の居る方位で、風が別の方向から吹き起こり我を助けないなら、我方はたとえ精兵があっても固守すべきである。この時に軽挙妄動すれば禍を招く。これは実話で、更に猶疑して猜度する必要はない。 推算の例を一つ挙げる。仮に時を三冬とする。敵国が据守して我方が討伐しようとするとき、この時風が西北から起これば、まさに冬令で水が旺んであり、乾位が当権して風が守方を助けるので、進攻に宜しくない。その余の各宮の方位もすべてこれに照らして比較類推できる。

雖是應京本作「風雖應」,還則京本作「即」應他方。也是彼贏吾負象,候京本作「當」其風止或攻傍京本作「成殃」,不可不參詳京本作「量」。 假令法,彼國在離間。我擁軍前辛本、川本作「前軍」、京本作「全軍」時正夏,南征辛本、川本、京本作「侵」北敵京本作「狄」苦冬寒。隨象擊傾京本作「急摧」殘。 八方法,推辛本、川本、京本作「準」此定成功。好事京本作「是」急乘他事辛本、川本、京本作「氣」逆,勿拘朝暮速吞攻京本作「功」,莫放彼從容。

風は応験があるが、応じるのが別の方位であるなら、これも同じく敵が勝ち我が負ける象である。風が停まってから動くべきか、あるいは改めて旁側から進攻するか、この一層は仔細に参詳しなければならない。 もう一つ例を挙げる。敵国が「離」宮の南方に位する。我が軍を擁して前進するにまさに盛夏であり、火気がまさに旺んでいるので、南征すれば天時の助けを得る。反対に北方の敵は厳冬の酷寒に苦しみ、支え難い。このような物候の象に依って出撃すれば、敵勢を摧折できる。 八方の風向の推算法は、みな上の例に類推して成敗を定めればよい。最もよいのは、相手の節候と方位がともに逆のときを乗じて急速に兵を進めることで、早晚の時辰に拘泥せず、迅速に併呑して攻取し、敵に従容として布置する余裕を与えないことである。

己亥角,辰戌成從辛本、京本改便為商。丑未寅甲皆京本作「俱」屬徵子據辛本、京本改,宮音子午正相當,卯酉羽為方京本作「旁」。 占風法,申京本作「甲」子是貪狼。丑戌謂之公正位,奸邪辰位自然當。細審辛本、川本、京本作「審細」看來方。 亥卯位辛本、川本作「未」,陰賊內京本作「在」中藏。己酉辛本、川本、京本作「巳酉」謂之寬大日京本作「位」,廉貞寅午位辛本、川本作「未」其方,知京本作「加」意細推詳。

これは五音に干支を配する口訣である。己・亥は「角」音に属し、辰・戌は「商」音に属し、丑・未・寅・甲は「徵」音に属し、「宮」音はまさに子・午の両位に当り、卯・酉は「羽」音に属する。風を占うときはまず風の来る方位の属する音を取り、次に主客双方の姓氏の音と相配して吉凶を断つ。 風を占う法は、さらに各方位に星神の名号を配する。申・子の位は「貪狼」、丑・戌の位は「公正」と呼び、辰位は自然に「奸邪」に当る。風の来る方位を仔細に審辨して、それから吉凶を定めなければならない。 亥・卯の位は「陰賊」で、暗中に奸謀を蔵するを主る。巳・酉の位は「寛大」と称し、「廉貞」は寅・午の方に当る。占う者は心を用いて細かく推詳し、草率であってはならない。

占飄起,客認納音風。徵羽宮商並角姓,盡為主客辛本、川本、京本作「位」辨方蹤,勝負在其中。 納音土,欲得角來風。土是客軍水京本作「木」是主,風從己亥發來沖,客敗主收功。 納音土,風向羽來吹。卯酉位也。水被土凌能克伏,定知主敗客來追,莫要展旌旗。

風を占い始めるとき、客軍は「納音」に依って風の五行の属性を認め取らなければならない。徵・羽・宮・商・角の五音に配当された姓氏は、すべて主客双方の方位・蹤跡を分かち辨るのに用い、勝負はまさにこの中間に現れる。 客軍の納音が土に属する場合、本は「角」音の風が来て助けることを得たい。しかし角音は木に属し、土が客で木が主である。風が己亥の角位から衝発して来れば、木がかえって土を克するので、結果は客軍が敗れ主軍が功を得る。(「水是主」は京本では「木是主」で、五行の理に合う。) 客軍の納音が土に属し、風が「羽」音の位から吹いて来る場合——羽音はすなわち卯・酉の位である。羽は水に属し、水は土に凌克されて制伏される。主軍が敗れ客軍が勝に乗じて追撃すると断ずべきで、主方はもはや旗を張って迎戦するな。

軍營內,忽有旋風來京本作「卯酉羽風吹」。吹折槍旗並倒屋,奸謀惡黨並來推辛本、川本、京本作「欲來摧」,暗有賊兵欺京本作「來」。又防火。京本注:「風從內起謀在裡,風從外入賊在內。」 風來處,如式辛本作「遇」作泥人。葦箭挑弓披髮向,望空搭箭射來蹤。禳厭禍消鎔。 泥人子,手執木桃弓。披髮仰頭風上指,張弓搭箭射來蹤,禳厭禍消鎔。禳惡風法。

軍営の内で忽然として旋風が起こり、槍旗を吹き折り営房を倒すなら、これは奸謀の悪党が我が軍を摧折しに来て、暗中に敵兵が来犯する兆であり、同時に火災を防がなければならない。京本の注に言う。風が営内から外へ起これば、謀逆が自らの内部に出ることを説き、風が営外から吹き入れば、賊人がすでに営中に混じり込んだことを説く。 これは古い軍中で悪風を禳除する法術である。悪風の来るその方に、法式に依って泥人を一つ捏ね作り、頭髪を披散させ、手に蘆葦を箭として弓を挑げさせ、正しく風向に対し、空に向かって箭を搭えて風の来る蹤跡を射る。この「禳厭」の法を用いれば、災禍は消解できる。 その泥人の手には桃木の弓を一張執らせ、髪を披いて顔を仰がせ、風の起こる上方を指し、弓を張り箭を搭えて風の来る蹤跡を射れば、災禍はこれに随って消解する。これが悪風を禳除する法術である。

風衣起京本作「動」,晝則不聞聲。寇賊夜行明則伏,遣人窺辛本、川本作「探」視京本作「伺候」莫教停,防備夜偷營。 邦京本作「郡」與邑,風猛似雷聲。折木飛沙並京本作「兼」走石,搖門拔戶禍應生,第一怕三刑。京本注:「寅申己亥辰戌丑未之類。」 軍營內,風猛突然來。若在歲刑憂歲內,月刑之內必為災,準備莫遲回。

風がただ衣袂を微かに吹き動かし、昼間は風声が聞こえないなら、これは敵寇が夜に行軍し、天明すれば潜伏する兆である。人を遣わして絶えず窺い伺候させ、敵軍が夜間に営を偷うことを防がなければならない。 城邦・州県の上空で、風が雷聲のように猛く轟き、樹木を折り、砂を飛ばし石を走らせ、門を揺り戸を拔くなら、まさに禍事が発生すべきである。その中で最も恐れるのは当日「三刑」を犯すことである。京本の注に言う。三刑は寅・申・巳・亥、辰・戌・丑・未の類の刑冲の組み合わせを指す。 軍営の内で猛風が突然襲って来て、もし当日まさに「歳刑」を犯していれば、一年の内に事が起こることを憂慮しなければならない。もし「月刑」を犯していれば、本月の内に必ず災禍が生じる。早めに準備し、遅疑して退縮してはならない。

干與坎,艮震巽離宮。坤兌八方真正位,敵軍京本作「人」居守起方風,狂辛本、川本、京本作「枉」戰我無功攻據辛本、川本、京本改。 吾攻彼,審令看風情。令不順方兵辛本、川本、京本作「吾」莫京本作「可」擊,風如京本作「仍」順我必攻城京本作「成」,降虜出前迎。 營下畢,風卒似雷聲。吹倒槍旗並辛本、川本、京本作「旗槍飄」帳幕,須防敵騎欲偷辛本、川本作「棄」、京本作「奪」營,大戰血交並。天風起,有雷聲吼,三朝五日同。

乾・坎・艮・震・巽・離・坤・兌、これは八方の正位である。もし風が正しく敵軍の据えて守るその一方から吹き起これば、風勢が守方を助けるに等しく、我方が強いて開戦しても徒労で、攻めても功がない。 我方が敵を攻めようとするには、まず時令を審察し風情を察しなければならない。時令と方位が相順じないときは、出撃してはならない。風勢が我に順えば、城を攻めれば必ず克ち、敵虜も城を出て前に来て投降し迎接する。 営寨を立て終えたばかりで、忽として暴風が起こり声が雷鳴のように槍旗を吹き倒し帳幕を翻すなら、敵騎が襲撃して営を奪いに来ることを防がなければならない。血戦があるだろう。もし天風が大いに作し雷聲が吼動するを伴えば、この種の応験は三日から五日の内は同じく有効である。

兵行次,風卒亂辛本、京本作「突」軍旗。人馬驚奔皆恐懼京本作「悸恐」,前程必有廟堂期京本作「基」,祭拜免災危。 臨陣次京本作「處」,風向後飄京本作「頭」來。旗幟翩翩吹向敵京本作「從敵上」,天威默助凱歌回,賊敗息京本作「悉」塵埃。 臨陣次京本作「處」,風起四維間。兵近塞京本作「寨」邊先備敵,更辛本、京本作「便」從豹尾擊黃幡。殺敵京本作「賊」不為難。

行軍の途中、暴風が突如起こり軍旗を攪乱し、人馬が驚奔し上下が恐懼するなら、これは前路に必ず神祠・廟宇がある兆である。その時に祭拜を一番すれば災危を免れることができる。 陣に臨み壘に対する時、風が我が軍の背後から吹いて来て、旗幟が翩翩として敵方に向かって飄巻するなら、これは上天の威霊が暗中に助ける象である。我が軍は必ず凱歌を奏して回り、敵兵は敗散し塵埃は尽く息む。 陣に臨む時、風が「四維」——乾・坤・艮・巽の四つの隅位の間から起これば、兵馬がすでに寨辺に迫っている。まず敵の来襲を戒備しなければならない。後に「豹尾」「黄幡」という二つの神煞の所在する方位に依って出撃すれば、敵を殺すのも難事と数えない。

占雲第三(京本は「占雲第二十四」)・二十六首

兵若進,先辛本、京本作「須」要京本作「是」識浮雲。雲氣順時京本作「隨」當急京本作「速」戰,毋京本作「勿」令雲散後交兵,莫問晝陰晴。 商音姓,軍陣見雲從從營從辛本、京本改。白與黑時京本作「兮」吾大吉,青雲亦京本作「主」勝赤雲凶,黃者兩平蹤。辛本注:「主取天子姓,不主出帥姓。」京本注:「天子出,取天子姓,不出則以主將。」 角音姓,青氣見辛本作「寓」晴空。黃赤二雲軍京本作「兵」亦勝,黑雲陰助喜先鋒,白色定為凶。

軍隊がまさに進兵しようとするとき、まず天上の浮雲を辨識しなければならない。雲気の主るところが我方と相順する時は、時機を捉えて決戦すべきで、決して雲気が消散した後に兵を交えてはならない。その時が白昼か陰晴かは、いずれも計較するに足りない。 主将の姓氏が「商」音に属する者(五音では金に属す)の軍陣上空に、雲気が営中から昇るのを見たとき:白雲・黒雲は我に大吉を主り、青雲も勝を得るを主り、赤雲は凶、黄雲は両辺が勢均力敵である。辛本の注に言う。音を取るには天子の姓を主とし、出征の主帥の姓を取らない。京本の注に言う。天子が親征すれば天子の姓を取り、天子が出征しなければ主将の姓を以て推す。 主将の姓氏が「角」音に属する者(五音では木に属す)が、もし青色の雲気が晴空に現れるのを見れば、これは本音が気を得たものである。黄・赤の両色の雲が現れても、軍隊は勝を得ることができる。黒雲が暗中に助け、先鋒が出撃するに利ある。ただ白色の雲が現れるときは、金が来て木を克し、必ず凶となる。

宮音姓,黃色京本作「赤」要先逢。青色氣京本作「雲」來軍大敗,更兼兵死將無功,黑氣利先攻京本作「鋒」。 徵音姓,赤色火燒金。非火京本作「是」克金成大器,青雲京本作「贏」黃助黑雲凶辛本作「白雲黑氣現黃雲」。軍將禍京本作「盡」殃深。 羽音姓,惟是辛本作「事」要青京本作「黑雲」青。列陣賊來先自京本作「是」走,赤黃白黑京本作「赤雲遍處」總非贏,宜退京本作「去」不宜徵。

主将の姓氏が「宮」音に属する者(五音では土に属す)が、まず黄色の雲気に遭うのがよい。黄は土の本色である。青色の雲気が来れば、木が来て土を克し、軍隊は大敗を喫し、兵卒が傷亡し主将も功なしとなる。黒色の雲気は先に発して進攻するに利がある。 主将の姓氏が「徵」音に属する者(五音では火に属す)については、赤色は火に属し、火は金石を焼錬できる。火が金を克するとかえって金を大器と成すので、純粋に凶とは数えない。青雲・黄雲が来れば相助けて吉、黒雲が現れれば水が来て火を克して凶となり、主将は深重の禍殃がある。 主将の姓氏が「羽」音に属する者(五音では水に属す)は、ただ青色の雲気を見るのが宜しい。水が木を生み、木は水の子で相生して吉である。この象があれば、陣を列する時に敵兵は戦わずして先に走る。もし赤・黄・白・黒の各色を見れば、いずれも勝を得られず、兵を退かすべきで出征に宜しくない。

雲起處京本作「氣至」,形色辛本、川本作「行色」重而烏。暗伏賊兵京本作「師」軍不見,露其形體京本作「體象」在高隅,一半是番胡。 雲起處京本作「氣至」,低覆似人形。此是賊軍辛本作「兵」謀我象京本作「重」,須防入境起征凶京本作「凶徵」,遣將用精兵。 雲似虎,或若豹行形京本作「形行」。及似穿連走匹練首本注:「一作驄」。辛本、川本作「絹」。暴師入境卻偷營,排京本作「(□□去)」陣整兵迎。

雲氣の昇る所、形色が濃重で黒みを帯びているのは、敵がひそかに伏兵を置き我軍がまだ察知していない象である。雲氣が重濁して散らないのは、まさに伏兵の形を高い所の一角に顕しているのであり、来犯する者の約半分は外族の番兵である。占う者は氣の指す所に循って伏兵の道を捜索すべきである。 雲氣の昇る所、低く覆い壓して形が人のようであり、雲が低く垂れて人が身を俯せて窺うようであるのは、敵軍がまさに我方を謀算している象である。敵が国境を越えて来犯して凶事を生ずるのを防がねばならず、良将を遣派し精兵を動かして迎え撃つべきで、坐してその至るのを待ってはならない。 雲の形が虎のよう、あるいは豹が行くよう、また一匹一匹の白練が連なって奔り過ぎるようである。虎豹は殺伐を主り、白練は兵刃を主る。ゆえにこれは強暴の軍が国境を越えて來り營寨を襲うことを主り、あらかじめ陣勢を排列し兵馬を整肅してその至るを待つべきで、戒備を疎かにしてはならない。(「匹練」は首本の注に一作「驄」、辛本・川本は「匹絹」と作る。)

四方現,雲色京本作「氣」競騰過。黯淡相親京本作「侵」來我寨,賊來請命未為和,賢將莫蹉跎。 雲起現,片片或舒長。有似舒繩排椽木,名為愁氣不相當,現處將憂喪。 雲氣赤,尤更接連綿。有似長藤無京本作「並」斷續,外邦賊起入京本作「及」中原,主戰在秋天京本作「前」。

四方にことごとく雲氣が現れ、爭って騰涌して過ぎ、色澤が黯淡として我が軍の營寨に侵逼する。この時敵が來りて降を請い命を求めるのは真心からの講和ではなく、賢明な將領はこれによって戦機を蹉蛇してはならない。 雲氣が現れ、一片一片に舒展して延長し、繩索を鋪くよう、椽木を列ねるようである。この雲を「愁氣」と名づけ、不祥の象である。どの方角に現れるや、その方角の將領に憂喪の事がある。 赤色の雲氣が接続して綿延し、長い藤のように間斷がない。赤は兵火の色であり、綿延不斷なれば兵禍が相尋ぐことを主る。これは外邦が兵を興して亂を作し、中原に侵入する先兆であり、應驗する戰事は多く秋の金氣が時を當たるの頃である。邊將は早くより籌備すべきである。

雲氣赤,那更滿蒼京本作「青」天。必定賊來侵我界,黑雲中赤亦徒然,吾將必京本作「莫」遷延。 雲來往,有似兩爭龍龍爭從辛本、川本改,京本作「兩條龍」。只在外軍盤頂上,賊邦兵將必逢凶,我帥顯英雄。 軍似鳥,盤繞在其京本作「軍」中。此時京本作「是」上方天京本作「蒼加」助順,不宜複見黑雲峰,連赤亦為凶。

赤色の雲氣が天空一面に布滿するのは、必ず敵寇が來りて我が疆界を侵犯するのである。たとえ黑雲の中に赤色を夾帶しても、同じく徒勞で益なし(=凶兆を免れない)。我が將帥は必ず早く備えを作し、遷延してはならない。 雲氣が往來交錯し、あたかも二條の龍が爭鬥するようであり、しかもただ敵軍陣地の上空に盤旋するならば、敵國の兵將は必ず凶に遭い、我方の主帥はまさに英雄の本色を顯すべきである。 軍營上の雲上の雲氣の形が鳥のようで、軍中に盤繞するのは、上天が意を加えて順に助ける象である。ただし更に黑雲が峰のような樣子を現してはならず、黑の中に赤色を連ねるのはなおさら凶兆である。

甲乙日,大辛本、川本作「將」忌白雲前。若奔吾軍還勢急,理當速退京本作「去」舍平川,守固在京本作「固守險」高原。 丙丁日,若京本作「前」遇黑雲攔辛本、川本作「閒」。莫恃兵多兼將勇,也宜堅守京本作「壁」引師還。征戰京本作「伐」必遭殘殃從京本改。 戊己日,前面有雲青。忽止忽行權且住辛本、川本作「急止匆行權住在」,京本作「急止勿行權住寨」,似以京本為長,軍人訛辛本、川本作「須」語審詳聽,施德惠於京本作「其」兵辛本、川本作「施惠得中旌」。

甲乙の木に屬する日は、最も白雲が前に當たるを忌む。白は金の色で、金は木を剋する。若し白雲が急速に我軍に奔り來り勢い凶猛ならば、理の當然として速やかに退き、平川を捨て、高原の險處に退守して固守すべきである。 丙丁の火に屬する日、若し黑雲に當たり攔阻されれば、黑は水の色で、水は火を剋する。この時兵多く將勇なるを恃んではならず、營壁を堅守し兵を引き退かせるべきである。強いて出戰すれば、必ず殘敗の殃を受ける。 戊己の土に屬する日、前方に青雲が現れるのは、青は木の色で、木は土を剋する。雲氣が忽ち止み忽ち行くならば、しばらく駐紮して動かずすべきである。軍中の流言・訛語は仔細に審聽し、士卒に恩德を施して惠養し、軍心を安んずべきである。この句は各本で異文が頗る多く、京本「急止勿行權住寨」の文意を以て長とする。

庚辛日,前忌赤雲來。勢緊迫京本作「迎」吾須大戰,彼軍得勝我軍摧,守險固顛危。過旬(京本作「日」)中卻行。 壬癸日,雲忌暗京本作「色」而黃。此兆主災軍京本作「兵」將損辛本、川本作「迎老將」,無緣兵廣恣猖狂,謀者審京本作「貴密」而詳。 觀現從辛本、京本改雲氣,擇士細詳京本作「汝當」看。晝夜用同從辛本改心精審究京本作「卻須精細審」,莫將此事以京本作「擬」為閒,風色便辛本作「辨」,京本作「旺」相干。

庚辛の金に屬する日は、最も赤赤雲が前に當たるを忌む。赤は火の色で、火は金を剋する。若し勢いが緊迫して我が大戰を逼るならば、敵軍が勝を得て我軍が挫かれる。險要に據守して危局を穩め、旬中十日の期を過ぎてから更に兵を進めるべきである。 壬癸の水に屬する日は、最も雲色の暗黄を忌む。黃は土の色で、土は水を剋する。この兆は災禍あり、軍中の將佐が折損することを主る。たとえ兵多くともこれによって恣意に猖狂してはならず、謀る者は周密詳審なるを貴ぶ。 現れる雲氣を觀察するには、専人を選んで細かく詳しく看るべきである。晝夜ともに同じく心を用いて精審に推究し、決してこの事を閒事と看成してはならない。風向と雲色はもとより互いに關連し、合わせて參して初めて斷ずること正確なり。

軍營上,雲若似飛烏。有似蓋來並伏虎,此為勝氣不須疑,攻則定疏虞。 軍營上,雲若死灰揚。若似辛本、川本作「蓋」臥魚或乍見,此為衰氣不須張,不動將兵辛本、川本作「軍」亡。移寨遠處吉。 城頭上,突出赤色雲。或是黃紅雲上現,城中不久喜來臻,以此得和平。

軍營上空の雲が若し飛鳥のよう、あるいは華蓋が覆い來るよう、猛虎が伏臥するようであれば、これすなわち「勝氣」であり、遲疑する要はない。この象があって出撃すれば、敵は必ず防備を疎かにする。 軍營上空の雲が若し死灰の揚がるよう、また魚が橫臥して忽ち隱れ忽ち現れるようであれば、これすなわち「衰氣」であり、用兵を張揚してはならない。更に動かなければ、將士は覆亡する。この時營寨を遠い處に遷してこそ吉なり。 城頭上に突然赤色の雲氣が涌き出し、あるいは黃赤色の雲氣が上方に現れる。赤黃相兼は火土相生に屬し、生旺の色であって殺伐の色ではない。ゆえに城中ほどなく喜事が來臨し、この兆に憑って戰を化して和となすべく、城を圍む一方は更に強攻する要はない。

占候法,雞羽作為車。二者勿惟牙帳內,敵人千里外須圖,知辨在須臾。 將軍善,識得氣妖祥。風角鳥占能總解,心無機巧計從長,報國效忠良。既有其象,當隨其景,就謀術,以破其軍。

占候の法は、鷄毛で風を測るのと相風輪車の兩樣の器具を用い、それらは中軍牙帳を離れてはならない。この兩樣に憑れば、千里之外の敵情も推圖して出來、吉凶を辨識するのはただ片刻の間である。 良將の長の長處は、雲氣の妖異と祥瑞とを辨識し得るに在り。「風角」「鳥占」諸術が皆通解でき、心に機巧の私意を存せず、謀略自ら長遠、かくの如くして初めて國に報いて忠を盡くせる。既然としてこのような天象が現れた以上、それが示す景況に順い、謀略と術法とを配合して、敵軍を攻破すべきである。

占氣第四(京本は「占氣第二十三」と作る)・三十一首

占氣色辛本作「法」,雞羽為輪車。二者勿離牙帳內,敵人千里外須知,圖變在須臾。 軍既舉,惟以氣為先。兵若精雄加氣銳,超關投石可攻前,鼓作在英賢。 將軍善一作「位」,識得一作「善識」氣妖祥。風角鳥雲能總解,機籌策謀略又應均從辛本改相當,取勝應功良一作「征討又功強」。

氣色を占望するには、鷄毛測風と相風輪車のこの兩樣の器具に靠らねばならない。それらは中軍牙帳を離れてはならない。それらがあれば、千里之外の敵情も知ることができ、敵が圖謀する變化も片刻の間に察覺できる。 大軍すでに出動した以上、雲氣を觀望するを以て第一の要務とする。士卒が若し精悍雄壯にして氣勢銳利ならば、關を越え隘を奪い、投石破城して向前進攻できる。この銳氣を鼓舞できるか否かは、すべて主將が英明賢能なるかどうかを看る。 良將の長處は、雲氣の妖祥を識別し得るに在り。「風角」「鳥占」「望雲」諸術が皆通解でき、臨機の籌算と謀略とが皆相稱して當を得ていれば、このように勝を取り功を建つの自然と順利である。

軍辛本、川本、京本作「兵」進擊,睹京本作「觀」氣合參詳。不似京本作「必」攻城並野戰,度其形狀自京本作「細」斟量,稍錯便乖張。 城營內,氣似鳳京本作「似鳳或」如龍。更若大京本作「太」山並類蓋,猶如辛本作「人」火京本作「人大」赤降城中,其下不堪攻。下必有貴人。 高空現,拂拂又微微。透闕京本作「秀潤」輕籠煙靉靉,一般黃氣色依依,慶賀兩朝期。

軍隊が進撃する時、雲氣を見れば合わせて參じ詳しく審すべきである。攻城であれ野戰であれ、皆雲氣の形狀を揣度して仔細に斟酌すべきで、些かでも差錯があれば、判斷は全然乖謬となる。 城池營壘の内、雲氣の形狀が鳳のよう、龍のよう、あるいは泰山のよう、華蓋のよう、また赤色の火光が城中に降落するようであれば、この城は攻むべからず——その下に必ず貴人が鎭守している。 高空の中に雲氣が現れ、輕輕と拂い動き、隱隱微微、城闕を透かして輕く煙靄のように籠る。若し一片の黃色の氣韻が柔和に繚繞するならば、それは祥瑞の氣であり、兩國朝廷にともに慶賀すべき事あるを主る。

猛將氣,龍虎兩京本作「氣」相連。掛翳蔽天兼掠地,蔓瓜蓋路京本作「地」覆平川,堅守莫爭先。 猛將氣,樓閣及旌幢。或似長堤形淼淼,更如華京本作「兵」蓋與王良京本作「蟲狼」,其下莫能當。 猛將氣,黑色似龍形。或似辛本、川本、京本作「類」虎形京本作「熊」並猛獸,當京本作「形」其敵上或城營,不可向前徵。

猛將の氣は、形が龍虎兩つ相連接するよう、垂れ挂かり遮翳し、上は天空を蔽い下は地面を掠め、また瓜蔓が道路を覆い、平川に鋪滿するよう。この氣が若し敵方に現れれば、堅守すべきで、爭い先んじて出戰してはならない。 猛將の氣は、形が樓閣のよう、旌旗幢幡のよう、あるいは長堤のごとく水氣浩渺、また「華蓋」星と「王良」星の形狀のよう。この氣の籠罩する方角は、抵當し得る者なし。 猛將の氣は、黑色を作し形が龍のよう、あるいは虎、熊などの猛獸のよう。この氣が若しまさに敵軍の上空あるいは敵方の城營の上に當たれば、向前に進攻してはならない。

猛將氣,顯赫京本作「象」又衝天。或似雙蛇山嶽辛本、川本作「兵」樣,又如倉廩及濃煙,休戰最為先。 猛將氣,持戟京本作「戈」又辛本、川本、京本作「或」持刀。林下森森弓弩樣,色兼青白若脂膏,將士盡雄豪。 猛將氣,如虎黑霞遮。或似門樓旗立內,又如氣出若蛟蛇,其下將堪誇。

猛將の氣は、顯赫奪目にして直に霄に霄漢に衝ち、あるいは雙蛇のよう、山岳の形狀のよう、また倉廩のよう、濃煙のよう。この氣を見れば、首要の事は戰を停めその鋒芒を避けることである。 猛將の氣は、形が人が長戟を持ち、大刀を執るよう、また樹林の下に森森と羅列する弓弩のよう、色は青白相兼、潤澤は脂膏の如し。これはその一方の將士が個個雄豪なるを表明する。 猛將の氣は、形が猛虎にして黑霞に遮掩され、あるいは門樓の內に旗幟が豎立するよう、また氣が流れ吐出して蛟の如く蛇の似るよう。この氣の下の主將は、實力稱道に足る。

暴兵氣,如火又如煙。或似旗旛並戰京本作「五」馬,低頭仰京本作「傾」尾面從辛本、川本、京本改向軍前京本作「前軍」,觸戰血成川。 伏兵氣,渾渾又能圓。黑京本作「赤」氣中間環赤色辛本、川本作「色」,京本作「含黑氣」,又如赤杵黑霞連京本作「邊」,其下立戈鋋。狀如赤杵在黑氣中也(據京本補)。 降兵氣,叉手盡低頭。形似成行相把手,三朝五日敵兵辛本、川本、京本作「來」求,指日倒戈矛。

暴兵の氣は、形狀が火の如くまた煙の如し、あるいは旗幡のよう、戰馬のよう、頭を低く垂れ尾を翹げ、面して我軍の前列に向かい來る。いったん接戰すれば、血流れ河を成す。 伏兵の氣は、渾然たる一團にして凝圓を成し得、黑氣の中間に赤色を環り、また赤色の木杵が黑霞と相連するよう。この氣の下に必ず戈を執り矛を持つ伏兵が埋藏されている。その樣子はすなわち一根の赤杵が黑氣の中に置かれたようである。 降兵の氣は、形が衆人が手を叉し、一齊に頭を低く垂れるよう、また行を成した人が互いに手を牽くよう。この氣を見れば、三五日の内に敵兵が來りて降を乞い、指日の間に戈を倒して來歸する。

伏兵氣,仿(上髟下弗)狀如樓。兼有似人形黑赤,或如京本作「如逢」山嶽立辛本、川本、京本作「覆」崗丘京本作「頭」,其下有戈矛。 兵發京本作「發兵」日,天氣久陰沉。不雨又無光彩色,奸人謀事京本作「士」恨懷心,仔細速京本作「早」推尋。 觀現從京本、辛本、川本改氣色,日月氣來沖。北面氣來還北壯,氣南南壯或西東,常京本作「俱」以此為宗。

伏兵の氣は、髣彿として形狀が一座の樓のよう、また黑赤色の人形を夾雜し、あるいは山岳が岡丘の上に覆壓するよう。この氣の下に戈を執り矛を持つ伏兵が藏れている。 出兵の日、天色が久久しく陰沈し、雨も降らず光彩も見えないのは、奸人が怨恨を懷き暗中に圖謀する象であり、仔細かつ迅速に推査して追尋すべきである。 現れる氣色を觀察するには、それが日月の氣と相衝相向するのを看なければならない。氣が北面から來れば北方が強盛であり、氣が南方にあれば南方が強盛であり、東西兩方もこれに照らして類推する。凡そ氣を占うは、皆この原則を以て根本とする。

城上氣,結似犬羊京本作「作犬頭」形。象主血流圍邑破,好持降類出門迎,方免血京本作「死」殘兵。 占蒙氣,鬱鬱達辛本作「繞」城營。其氣周迴如帛繞,分毫不入此城中,休擊此般城。 城營寨,有氣入城中。必主奸謀事已定,安排大戰奪吾城,謹守令嚴明。

城上の雲氣が凝結して犬羊の形を成す。この象は血流れ河を成し、城邑が圍まれて破られるを主る。守る方は降書を備え、城を出て迎え降するが最も良く、士卒が血に染め殘殺される禍を免れるを得る。 「蒙氣」を占望し、それが郁郁然として城營を環繞し、氣勢周回して一匹の帛が城牆を纏繞するようで、しかも分毫も城中に侵入しないを見れば、これはこの城に神靈の護持あるを説明し、このような城を攻めてはならない。 我方の城池營寨に若し外來の氣が城中に侵入すれば、必ず敵方の奸謀すでに定まり、まさに大戰を部署して我が城池を奪わんとするを主る。謹んで守禦し、號令を嚴明にすべきである。

軍上氣,漸漸變成雲。或作山形於直上,內中將有大辛本作「大有將」機謀,要擊且休休。 臨陣次,赤氣後前生。必有伏兵埋氣下,事須雖從辛本、川本改謹慎探其情,固守莫胡行。 占敗氣,如綱又如蛇。赤氣照天營上起,又如破屋壞氈車,其下死如麻。

軍營上空の氣が漸く變じて雲となり、あるいは正上方に山の形狀を結ぶは、この軍中の將領が重大なる機謀を懷くを説明する。攻撃しようとするも、しばらく手を罷むが良い。 臨陣の際、赤氣が前後に生起すれば、その氣の下に必ず兵馬が埋伏している。事は謹慎を要し、まず實情を探明し、堅守して機を待ち、胡亂に行動してはならない。 敗氣を占望し、形狀が網羅のようまた長蛇のよう、赤氣が天を照して營上より升起し、また破敗の屋舍、損壞の氈車のよう。この氣の下は、人馬の死傷麻の如し。

占敗氣,卷京本作「掃」帚似豬羊。藤蔓死蛟並京本作「蛇兼」死狗,塵埃走鹿又京本作「及」驚獐,不戰自奔亡。 占敗氣,群鳥似低頭。或類揚灰魚臥樣辛本、京本作「死」,懸鐘映暈或牽牛,才戰若星流。 占敗氣,掃京本作「如」帚又如虹。卷席京本作「鑼鼓」懸衣灰色樣,臥尸無首覆船同,戰彼不須攻。

敗氣を占望し、形が掃帚のよう、また豬羊のよう、藤蔓のよう、死去した蛟蛇と死狗のよう、塵埃の中に奔逃する鹿、驚いた獐のよう。この氣を現す一方は交戰する要もなく、自ら潰散して奔亡する。 敗氣を占望し、形が群鳥の頭を低くするよう、あるいは揚げる灰塵のよう、魚が橫臥し僵死する狀のよう、懸挂の鐘が光暈を映すよう、また牛を牽いて行く樣子のよう。この氣あれば、一交戰すれば流星のように散落潰敗する。 敗氣を占望し、形が掃帚のようまた長虹のよう、卷き上げた席子、懸挂の衣裳のよう、灰暗の色を作し、また無頭の臥尸、翻覆の船隻のよう。敵方にこの氣が現れれば、ただその自敗を待つのみ、強攻する要はない。

敗軍京本作「占敗」氣,鳩尾及鷹京本作「鸚」飛。或似壞山並破屋,彼軍形京本作「有」現敗無疑,一戰自京本作「才戰便」奔馳。 敗軍氣,乍有京本作「大」乍微纖京本作「微」。一去一來皆斷續,又如霞氣入青天京本作「在平田」,俱是敗之先京本作「亡原」。 敗軍氣,千萬似人頭。更有京本作「似」偃魚零落樹,如灰京本作「又如」瓦礫覆城樓,其下血交流。 黑氣現,其象若胡人。又似虜兵京本作「軍」排列陣,八方夷夏京本作「狄」起煙塵,民戮屋燒焚。

敗軍の氣は、形が鳩尾のよう、鷹の飛ぶよう、あるいは崩壞の山、倒塌の屋のよう。敵軍の上空にこの形狀が現れれば、敗局疑いなく、一交戰すれば彼らは奔逃する。 敗軍の氣は、忽ち顯著に忽ち纖細、一去一來斷斷續續、また霞氣が消散して青天に入るよう。氣が凝聚して形を成さないのは、まさに軍心が渙散し士氣が持久し難いを表明し、ゆえにこれらは皆敗亡の先兆である。 敗軍の氣は、成千上萬人頭が攢動するよう、また仰臥の魚、凋零の樹のよう、灰燼瓦礫が城樓上に覆壓するよう。この氣の下は、必ず血流れ交橫する。 黑氣が現れ、形象が胡人のよう、また敵虜が陣勢を排列するよう、八方華夷の間に烽煙が四起する。これは百姓の屠戮、房屋の焚燒を主る。

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