命宮氣色を相す
夫指者,欲纖稼如鵝,有皮相連者,性淳和人也;指頭方懟者,見事遲人也;姘美者,屬援人信之;惡者,人不遵承也。毛髮光澤,唇口如朱者,才能學藝人也 —— 心出為舌,又主血,血窮為毛髮,榮於耳。藏神經曰:野狐鬢,難期信;披瀝瀝,多狐疑,唇急齒露,難與為友;唇寬端正,出言有章;唇口不佳,出言不信;口邊無媚,好揚人惡;口啄如鳥,不可與居;噁心入者,口急緩加鳥;言語皆撮聚者,此人多口舌:緩急不同,少信人也。
手指纖細整齊して鵝羽のごとくを要し、指間薄皮相連有るは、性情淳厚溫和なり。指頭方にして鈍のは、事に遇ひて反應遲鈍なり。指形秀美のは、能く人の幫襯を得・信任を受く。指形醜惡のは、別人肯んじて它を聽從せず。毛髮光澤・脣色朱砂のごとく紅のは、是れ才能有り・技藝を學ぶ能くする人なり。心の精氣外發して舌と爲し、又た血を主る。血の末梢是れ毛髮、其の榮華耳上に顯る、心の藏する所是れ神なり。相經曰く:鬢髮野狐毛のごとく蓬松のは、它の信を守るを指望し難し。鬢髮披散淋漓のは、多疑善變なり。嘴脣緊繃にして牙齒外露のは、朋友を交はり難し。嘴脣寬闊端正のは、說話條理有り。脣口生じて好からざるは、說話信す可からず。嘴邊柔和の態無きは、別人の過失を張揚するを愛す。嘴形鳥喙のごとく啄出するは、它と共處す可からず。心懷惡意の人は、口形急促にして又た鳥喙に似たり。說話の時嘴總じて撮聚一處に在るは、此種の人口舌多し。說話忽快忽慢一致せざるは、是れ少信の人なり。
鼻孔小縮,準頭低曲者,慳吝人也 —— 肺出為鼻孔,又主皮,又為氣息,藏於魄;好鼻者,有聲譽;鼻柱薄而梁陷者,多病厄人也;鼻無媚態,蠢人;蜣蜣鼻,少意智人也。耳孔小,齒辦細者,邪陷奸佞人也 —— 賢出為骨又為髓;髓窮為耳孔,骨窮為齒,藏於志,經曰:耳孔深廣者,心虛而識元;耳孔丑小者,無智而不信神理;耳邊無媚,鄙拙人也;耳孔小而節骨曲戾者,無意智人也;鼠耳殺之不死,又云鼠耳之人,多作偷盜也。
鼻孔小にして內縮・鼻準低にして彎曲のは、是れ吝嗇の人なり。肺の精氣外發して鼻孔と爲し、又た皮膚を主り、又た呼吸を管し、肺の藏する所是れ魄なり。鼻子生じて好きは聲譽有り。鼻柱薄にして鼻梁塌陷のは、多病多厄なり。鼻子柔和の態無きは、是れ蠢人なり。鼻形蜣螂のごとく短塌のは、智謀少なし。耳孔小・牙齒細のは、是れ邪僻奸佞の人なり。腎の精氣外發して骨と爲し、又た化して髓と爲す。髓の末梢耳孔に通じ、骨の末梢是れ牙齒、腎の藏する所是れ志なり。相經曰く:耳孔深にして寬のは、心地虛靜にして見識本原に通達す。耳孔醜陋細小のは、智慧無くして亦た神明の理を信ぜず。耳邊柔和の態無きは、是れ鄙陋笨拙の人なり。耳孔小にして耳骨曲折乖戾のは、心智無し。鼠耳を生ずる人殺すも亦た殺し死せず、又た說く鼠耳を生ずる人多く偷盜の事を做る。
耳輪厚,鼻準圓實,孔頭端淨,額頤深廣厚大者,忠信謹厚人也 —— 脾出為肉,肉窮為孔,又主耳輪、準鼻樑項頤等;藏於意,經曰:夫頸高大者,性自在而好凌人,頭卑弊者,性隨和而細碎;故曰,鹿頭側長,志氣雄長;鬼頭蔑頡,意志下劣,獺頭橫闊,心意豁達;夫頭細而曲者,不自樹立人也;若色斑駁或不潔淨者,性隨直而不堅固。
耳輪厚、鼻準圓實、鼻孔口端正潔淨、額頭與下巴深廣厚大のは、是れ忠信謹厚の人なり。脾の精氣外發して肌肉と爲し、肉の末梢是れ孔竅、又た耳輪・鼻準・鼻梁・頸項・下巴等處を主り、脾の藏する所是れ意なり。相なり。相經曰く:頸項高大のは、性情自在にして人に凌駕するを喜ぶ。頭形低塌のは、性情隨和なれど瑣碎なり。故に說く:頭形鹿頭のごとく側長のは、志氣雄壯なり。頭形鬼頭のごとく偏斜局促のは、意志下劣なり。頭形獺頭のごとく橫闊のは、心意豁達なり。頭形細小にして彎曲のは、是れ自立する能わざる人なり。若し頭上膚色斑駁或いは不潔淨のは、性情雖も隨和直率なれど堅定ならず。
夫手纖長者,好施舍;短厚者,好取舍則貪惜;故曰;手如雞腳意志編促;手如豬蹄,意志昏迷;手如猴掌,勤動伎倆。夫背厚闊者,剛決人也;薄者,怯弱人也。夫腹端研者,才華人也;故曰:牛腹婪貪,財物自淹;蝦螟腹者,蝦螟腹者,懶人也。夫腹端美者,則樂而能任人也;晰蠍腰者。緩人也。
手掌手指纖細修長のは、施與を樂しむ。手短にして厚のは、只だ取るを知りて舍るを知らず、貪吝愛惜す。故に說く:手鷄爪に像るは、志意褊狹局促なり。手豬蹄に像るは、心思昏昧糊塗なり。手猴掌に像るは、活動に勤しみ・手段を善く使ふ。背部厚にして寬闊のは、是れ剛毅果決の人なり。背薄のは、是れ怯懦の人なり。腹部端正細膩のは、是れ才華有る人なり。故に說く:肚子牛腹に像るは貪婪、錢財自ら積聚する會。肚子蝦蟆のごとく鼓突のは、是れ懶人なり。腹部端正美好のは、性情快樂にして能く人を任用す。腰身蜥蜴・蝎子のごとく細軟のは、是れ行動遲緩の人なり。
夫聲渾厚廣者,可倚任安穩人也;夫蛇行者貪毒人也,不可與之共事;鳥行蹌蹌,性行不良,似烏鵲形也;鷹行雄烈,豺狼行者,性粗覓利人也;牛行性直,馬行猛烈人也;此性存乎客目者也。夫命之與相,憂聲之響也,聲動於機,響窮乎應。必然理矣。雖云以言信行,失之宰予;以貌度性,失之子羽;然傳稱無憂而威,憂心反之;無慶而歡,樂必還之,此心有先動,而神有先知,則色有先見,故扁鵲見恆公而知其將死,申叔見巫臣而知其竊妻;或躍馬膳珍,或飛而食肉,或皂隸而晚侯,或初刑而末王,銅巖無以飽生,玉饌終乎餓死;則彼度表,捫骨指色,摘理不可誣也,故做列云爾。
聲音渾厚寬廣のは、是れ倚重托付す可き・性情安穩の人なり。走路蛇爬のごときは、是れ貪婪陰毒の人、它と共事す可からず。走路鳥のごとく踉蹌のは、品行不良、形狀烏鴉喜鵲に像たり。走路鷹のごときは雄壯猛烈なり。走路豺狼のごときは、性情粗野にして一味利を逐ふ。走路牛のごときは性情正直、走路馬のごときは性情猛烈なり。此れらの性情、皆旁觀者の眼裏に顯現す。命與相の關係は、便ち聲音與回響のごとし:聲音一たび機括上より發出すれば、回響必然應聲して至る、此れ必然の理なり。雖も說く孔子曾て宰予に因りて只だ言語に憑りて德行を判定す可からざるを懂得し、澹臺滅明(字子羽)に因りて只だ相貌に憑りて性情を揣度す可からざるを懂得せりと。但し史傳上說く、憂事無くして面に威色を帶ぶるは、其實心里正に憂へり。喜慶無くして面に歡容を帶ぶるは、歡樂必ず將に回還せんとす――此れ心先に動き・神先に知り、因而氣色先に顯現するなり。故に扁鵲齊桓公を見れば便ち其の將に死せんとするを知り、申叔時巫臣を見れば便ち其の將に人家の妻子を拐走せんとするを知る。或る人高頭大馬に騎り・珍饈を喫ひ、或る人騰達して食肉し、或る人差役を做り過ぎて晚年侯を封ぜられ、或る人先に刑罰を受けて後來王と稱す。或る人銅山を守るも亦た喫ひ飽れず、或る人玉食に對して終究餓死す。見る可し外表に按じて揣度し・骨を摸し色を看て・事理を剖析するは、此の門の學問污蔑す可からず。故に此れらの條目を一一此處に列す。
察相篇一令,唐趙蓫撰,字太賓。梓州人,著儒門《長短經》九卷,談王伯經償之要,其第六篇則察相篇也;每條下悉狃自注,篇中義理精密,動本古經,與後世太陽清神鑑迥別,蓋非術士之言也;讀書知人,本儒家要道,況此篇言,皆有據可易視與。
以上《察相篇》一卷、是れ唐人趙蕤の撰する所。趙蕤字は太賓、梓州人、儒門《長短經》九卷を著はす、講る所是れ王業霸業を成就するの要領、其中第六篇便ち《察相篇》なり。每一條下皆他自己の注解有り。全篇義理精密、立論皆古經に本づき、後世流行の《太淸神鑑》一類の書と大不相同、見る可し江湖術士の言語にあらず。讀書にして能く人を識るは、本來儒家の要道、何況んや此の一篇の所說皆根據有り、怎麼して輕視す可けんや。
相兒經 (晉)嚴助
兒初生,叫聲連延相屬者壽;聲絕而復揚急者壽;啼聲散著不成人,啼聲沈深者不成人,臍中無血者好。臍小者不壽,通身軟弱如無骨者不壽;解曰:長大者壽,自開眼者不成人;目視不正,數動者大,非佳;汗血者,多厄不壽;汗不流不成人;小便凝如脂膏不成人;頭四破不成人;常搖手足者,不成人;早坐、早行、早齒、早話,皆惡性,非佳人;頭毛不周匝,老不成人;髮稀少者,不聽人;額上有旋毛者,早貴,防父母;
嬰兒剛に出生の時、哭聲連綿不斷・一聲一聲に接續するは、長壽を主る。哭聲斷えて又た急促揚起するも、亦た長壽を主る。哭聲散亂調を成さざるは養大せず、哭聲低沉滯重のも亦た養大せず。肚臍裏出血せざるは好し。臍眼小のは長壽ならず。渾身軟弱して骨頭無きがごときは長壽ならず。解釋曰く:身量長じて大のは長壽なり。一生み下すれ自己眼を睜くは養大せず。眼睛物を看て端正ならず・眼珠頻頻轉動のは、長大すも亦た好からず。出汗血を帶ぶるは、多く災厄にして長壽ならず。一點の汗も亦た出さざるは養大せず。小便濃凝して脂膏のごときは養大せず。頭骨四處開裂して合せざるは養大せず。總じて手を搖り脚を蹬るは養大せず。過早に坐する會・過早に走る會・過早に牙を出ず・過早に說話するは、皆是れ惡性の徵兆、是れ好孩子にあらず。頭髮長じて勻ならず・環繞周遍する能わざるは、到老も亦た成就有り難し。頭髮稀少のは、教誨を聽かず。額上旋毛有るは、早年顯貴、但し父母を妨克す(底本「早貴、防父母」に作る、「防」は當に「妨」の訛たるべし)。
兒生枕骨不成者,能言語而死;尻骨不成者,能倨而死;掌骨不成者,能匍匐而死;身不收者死;魚口者死;股間無生肉者死;頤下破者死;陰不起者死;陰囊下白者死;赤者死;卵縫通達,黑者壽;兒小時識悟通敏過人者,多天;小兒骨法,成就威儀,迥轉運舒稍緩,粗神鵰琢者壽,小兒預知人意,迴旋敏捷者夭。
嬰兒生み下りて後腦枕骨長成せざるは、剛に說話する會すれば便ち夭折す。尾骶骨長成せざるは、剛に坐起する會すれば便ち夭折す。掌骨長成せざるは、剛に爬行する會すれば便ち夭折す。身子松軟收束不住は死する會。嘴張開合攏せず魚口のごときは死する會。大腿之間肌肉を長長ぜざるは死する會。下巴下方破損のは死する會。男嬰陰莖勃起する能わざるは死する會。陰囊下面發白のは死する會、發赤するも亦た死する會。陰囊縫線底部に貫通し・顏色發黑のは長壽なり。小孩子小時識見領悟通達敏捷・常人を超過するは、多半夭折す。小兒の骨法長じて形を成し・舉止威儀有り、轉動舒展稍稍從容、神氣朴厚にして雕琢せられしがごときを要し、才に長壽なり。小兒若し能く豫先大人の心思を猜到り・周旋應對過分機敏なれば、反つて夭折す。
