11.鬼の兄に伏するを占う
用鬼伏兄,同類欺凌;若不虛詐,人不一心。
官鬼を取って用神とするに、官鬼が兄弟爻の下に伏するを「用鬼の兄に伏す」という。兄弟は同類で、同輩・同僚の欺凌・排擠を主る。このような卦はたとえ虚詐欺哄に遇わずとも、事に与る人が各々心思を懐きて一条心ならざるを主る。
官鬼伏兄之下,為同類欺凌、不忠。若官鬼旺相,喜持也,透出日辰吉。
官鬼が兄弟爻の下に伏するは、同輩・同類の欺凌を受け、身辺の人が忠実ならざるを主る。もしこの官鬼が自身旺相にして、またそれが世爻の上に持するを喜び、さらに日辰がそれを透し出せば、転じて吉となる。
或問:用鬼伏兄?答曰:兄為虛詐,為口舌,又與同類為劫財。占官事而鬼伏兄,主同類欺凌,官府多詐、吏貼賺錢,所謀之事,到底脫空。若旁多官鬼旺相,持世、日辰是官鬼,方可用,蓋官鬼能克兄也。
人が問うていう。「用鬼の兄に伏す」とはどう講ずべきか。答えていう。兄弟の一爻は虚詐を主り口舌を主り、また同類と合伙して来たって銭財を劫奪す。官府の事を占うに官鬼が兄弟の下に伏するは、同僚・同輩の欺凌を受けるを主り、官府のうちに詐偽多く、胥吏・差役が機に乗じて銭を索め、謀る所の事は到頭終に一場の空となる。ただ旁爻の上に官鬼が多くして旺相か、あるいは官鬼が世を持つか、あるいは日辰がまさに官鬼か、これをもってはじめて取用すべし。官鬼は能く兄弟を剋制し、あの劫財欺凌の神を圧し伏せるからである。
12.鬼の財に伏するを占う
鬼伏財鄉,因財有傷;官吏阻節,獨發乖張。
官鬼が妻財爻の下に伏するを「鬼の財郷に伏す」という。財は固より官を生ずる能くするも、これ一たび然れば官人はまず銭を要り、事は便ち銭財に因りて損を受く。手を経る官吏もまた中より留難阻隔す。この爻がなおも独り発動するならば、事はさらに枝節を横に生じ乖違して常に反す。
鬼伏財下,因財不吉,官吏阻節,須是官鬼旺相,伏世下,或與父爻俱透出,直日辰方許,又忌獨發。
官鬼が財爻の下に伏するは、事は銭財に因りて不吉を要し、手を経る官吏は中より阻隔留難す。必ず官鬼が自身旺相にして、また世爻の下に伏するか、あるいは官鬼と父母爻とが一同に日辰の上に透し出てまさに日を値うに当たるを要して、はじめてその成事を許すべし。同時にまたこの一爻の独り発動するを忌む。
或問:財能生官,何故因財有傷?答曰:財固生官,但用官為主,必有輔之。父母為文書,官伏財下,財去克了文書,主官人要錢,文書有阻。
人が問うていう。財はもと能く官を生ずるのに、なぜかえって財に因りて傷を受くというのか。答えていう。財は固より官を生ずるも、既に官をもって主用とせば、必ず輔助の神あるを要す。父母は文書・官凭を代表す。いま官が財の下に伏せば、財が一たび動けば文書を剋掉す。ゆえに官人が汝に銭を索めるを主り、文書・公凭はかえって阻滯を受く。
若官爻伏財,是世下,或父母透出,直日辰,如此可用。若父母持世獨發,則重迭艱辛,事不濟矣。
もし官爻が財の下に伏して、伏する所がまさに世爻の下に在るか、あるいは父母爻が日辰の上に透し出てまさに日を値うに当たるならば、このごときは便ち取用すべし。倘若し父母が世を持ちてまた独り発動するならば、それは文書の重重畳畳、弁するの万分の艱辛を主り、事は終究成らず。
13.官の父母に伏する
鬼伏父母,舉狀經官;若財世上,求之不難。
官鬼が父母爻の下に伏するを「鬼の父母に伏す」といい、官が文書を帯びる象で、状紙を呈遞し官府を経由して事を弁ずるに宜しい。もしこの時妻財がまた世爻の上にあれば、財は能く関節を打通し文書の阻を解き、求めてこの事を弁ずるは難からざるなり。
鬼伏父下為官化文書,要貼世,或官鬼旺相,或文書直日,利經官下狀及補名目之事。
官鬼が父母の下に伏するは、官が化して文書となる象である。それが世爻に緊貼するを要し、あるいは官鬼が自身旺相か、あるいは文書爻がまさに日を値うに当たるを要す。このごときは便ち官府を経由して状紙を呈遞し、および名額を趲補し職名を謀取する類の事に利あり。
或問:鬼伏父母如何處用?答曰:鬼伏父母,若在世下,方利下狀趲補名目事;若在他處,則亦艱辛矣,蓋父母為重迭神也。
人が問うていう。鬼の父母に伏するはどこに往きて用いるべきか。答えていう。鬼の父母に伏するは、ただ世爻の下に落つるのみ、状紙を遞し名額を趲補する事に利あり。もし別の爻の下に伏せば、弁ずるも一様に艱難なり。父母は重複畳出を主る神なれば、事は一遍また一遍と折騰しやすきが故なり。
14.官の子孫に伏する
鬼伏子孫,去路無門;官乘旺相,透出可分。
官鬼が子孫爻の下に伏するは、子孫はまさに官を剋する神で、官は下に圧せられ、官を謀り名を求むるに行く路なし。ただ官鬼が自身旺相の気に乗り、再び日辰に由りてそれを透し出さるるを得て、はじめて一線の門路を分け出し得、事はなお為すことあり。
鬼伏子孫,只宜散憂,若用宮,須是官鬼旺相,透出直日辰方可。若子孫旺相,占看夫病即死。
官鬼が子孫の下に伏する、このような卦はただ憂愁を散解するに用いるに宜しいのみ――子孫はもとより解憂の神なればなり。もし必ず官鬼を取って用とするならば、すなわち必ず官鬼の旺相にして、しかも日辰の上に透し出てまさに日を値うに当たるを要す。反ってこれを言えば、もし子孫が旺相にして官鬼を圧し伏せるとき、妻子が丈夫の病を占えば、丈夫の死を主る。夫は官鬼をもって用とし、官鬼が子孫に剋し尽くされるが故なり。
或問:官伏子孫去路無門?答曰:羝羊觸藩,不能進退,若官爻旺相在世下,世上旁爻子孫無氣落空,則不如此斷。徜子孫旺相,官爻無氣落空,亦不如此看,可斷有人關節,或官吏阻滯而已。
人が問うていう。「官の子孫に伏す」は去路に門なしというが、どう講ずべきか。答えていう。《周易・大壮》にいうごとく、公羊が角をもって籬笆を頂き、角は籬の中に卡して、進めど進むこと能わず退けど退くこと能わざるがごとし。ただしもし官爻が旺相にしてまた世爻の下に在り、世上の旁爻の子孫が無気落空ならば、則ちこのごとく断ぜず。倘若し子孫が旺相にして官爻が無気落空ならば、またこのごとく看ず、ただ人の中より関節を打通するありと断じ、あるいは不過官吏の中より拖延阻滯するのみと断ずべし。
15.官鬼の官に伏する
官鬼伏官,小人作難;若親見貴,方許開顏。
本宮の親爻の官鬼が旁爻の官鬼の下に伏するを「官鬼の官に伏す」という。真に事を管する貴人が小吏に外に挡かれ、ゆえに小人の中より作梗するを主る。ただ自ら往きてあの貴人に見えて、はじめて事は顔を開きて順に転ずる能し。
若官伏鬼下,乃關隔之象,又主小人作難,若得旺相相扶,親見貴人可就。
もし官鬼がもう一重の官鬼の下に伏するは、これ関卡の阻隔の象で、また小人の中より作難するを主る。もし旺相の気を得て来たって扶助し、さらに自ら往きて貴人に見ゆれば、事は弁じ成すこと能し。
或問:鬼伏官下乃關隔之象,主小人作難,何也?答曰:親爻官鬼是貴人也,旁爻官鬼是吏貼也,官人被吏貼遮蔽,不能出現,此所以小人作難也。
人が問うていう。鬼の官下に伏するは関隔の象で小人の作難を主るとは、これ何の理ぞ。答えていう。本宮の親爻の官鬼は貴人を代表し、旁爻の官鬼は衙門のうちの吏胥・差役を代表す。いま貴人は吏胥に遮蔽せられて顕露し出ず。これ則ちいわゆる小人の作難なり。
又問:若親見貴人,如何又得開顏?曰:凡用官伏官,皆被旁艾所隔,若用官伏官之卦,但世爻動化官鬼父母。故宜動身親去見官,官則用爻之神,父則輔助之物,於官有益,不至相傷,所以開顏也。
また問うていう。なぜ自ら往きて貴人に見ゆれば顔を開く能しや。答えていう。およそ官を用いるに官がまた官の下に伏するは、みな旁爻に隔てられたなり。この種の卦のうちの転機は、すべて世爻の発動して官鬼か父母を変出するに在り。官鬼は所用の神、父母は輔助の物、両様とも官を求むるに益ありて相い傷害せず。世爻の動は即ち本人の動身せんとする象なれば、ゆえに応に自ら動身して親しく官に見ゆべし。事はこれに由りてはじめて転じて開顔となる。
16.出現の重畳
出現重迭,還須旺相;若乘土艾,更看勾現。
用神が卦面の上に重複して出現するは、さらにそれが旺相か否かを見るを要し、旺相にしてはじめて用に頂く。倘若しそれが乗ずるは辰・戌・丑・未の四つの土爻ならば、すなわちまたさらにそれが能く何の局を「勾合」し出すかを見るを要す――この四土は三合局の墓庫で、能く三合の中の別の二支を勾き来たりて局を成し、局の成りし後に化する所の五行こそ、真に作用を起こす物なり。
世爻出現,乘父母官鬼,子孫妻財旺相可取,休囚不可取。若乘辰戌丑未,更看勾合何爻也。假令大有卦,甲辰父母持世,為雜氣,能勾申子辰化水局,子孫不宜官用。
世爻が卦面の上に出現して、乗ずる所が父母なれ官鬼なれあるいは子孫・妻財なれ、旺相ならば便ち取用すべく、休囚ならば便ち取るべからず。もし乗ずる所が辰・戌・丑・未ならば、すなわちまたそれが能くどの幾爻を勾合するかを見るを要す。譬えば火天大有卦、甲辰の父母が世を持ち、辰は水土の雑気の庫で、能く申・子・辰を勾して水局を成す。乾宮は金に属し、水局が一たび成れば便ち子孫を化出し、子孫は専ら官鬼を剋す。ゆえにこの一卦は官を占い官を用いるに宜しからず。
問:更看勾象,如何看?答曰:如火天大有,能勾申子辰水局,傷官者,以甲辰土父墓持世也。若不乘土爻,便不看勾象矣。
人が問うていう。さらに勾象を看るを要すというが、いったいどう看るか。答えていう。火天大有卦のごときは、能く申子辰の水局を勾出して、水局は子孫を化して官爻を傷る。その根子は甲辰というこの土爻、すなわち父母の墓が世を持つに在り。もし世爻の乗ずる所が土爻にあらずんば、すなわち根本より勾象を看るに及ばず。
又如隨卦,世持庚辰,能勾申子辰合水局,利幹文書之事。
また沢雷随卦のごときは、世爻が庚辰を持ち、同じく能く申・子・辰を勾して水局を成す。随卦は震宮に属し、震宮は木に属し、水は能く木を生ず。この水局が震宮に化出する所はまさに父母・文書の一路なれば、ゆえにこの一卦は文書の事を干求するに利あり。
若中孚卦,世持辛末官墓,不能勾亥卯未官局,以艮宮親爻寅木是官,卯木非官也。
風沢中孚卦に至っては、世爻が辛未を持ち、未は木の墓庫で、理に照らして亥卯未の木局を勾出すべき筈なり。しかるに中孚は艮宮に属し、艮宮は土に属し、木は土を剋して官鬼となるも、艮宮の本宮の親爻のうちは寅木のみぞ官鬼と算え、卯木は旁爻にして官と作らず論ぜず。ゆえにこの一卦は真の官局を勾成す能わず。
17.子孫の独発
子孫獨發,為退為散;若乘旺相,亦可求財。
一卦のうちただ子孫爻のみ発動するを「子孫の独発」という。子孫は官を剋する神で、官事これに逢えば退き、憂疑これに逢えば散ず。ゆえに「退を為し散を為す」という。それが旺相の気に乗ずれば、子孫はまた財を生ずる源頭なれば、もって財を求むるに取ることも可なり。
子孫為傷官之神,發動利脫事,若乘旺相,亦可求財,出現更看變爻。子孫又為九流、中貴、福德、醫藥、蠶禽。乾和尚,震道士,兌尼姑,巽道姑,坎醫藥,離小士,艮法術,坤師巫。
子孫は官鬼を傷剋する神で、それが一たび発動すれば、糾纏を脱却し事端を了結するに利あり。もし旺相の気に乗ずれば、もって財を求むるにも用い得。もしそれがすでに卦面に出現したるは、さらにそれが動して何の爻を変出するかを看るを要す。子孫はまた九流の術士、宮中の中貴人、福徳の神、医薬、および蚕桑・禽畜を代表す。子孫の落つる宮の同じからざるに随い、指す所の人も同じからず。乾宮に在れば和尚を指し、震宮に在れば道士を指し、兌宮に在れば尼姑を指し、巽宮に在れば道姑を指し、坎宮に在れば医薬を主り、離宮に在れば読書の小士人を指し、艮宮に在れば法術を行う人を指し、坤宮に在れば師婆・巫覡を指す。
或問:乾和尚等如何說?曰:乾為圓、為首、和尚圓頂象天也。
人が問うていう。子孫が乾宮に在るに何をもってか和尚という。答えていう。乾の卦象は円を為し首を為す。和尚は髪を剃りて頭頂は渾円にして、まさに乾の天を為し円首を為すの象に合す。ゆえに和尚を取る。
又問:子為和尚?曰:子孫在乾宮,其類神,乃為和尚也,餘以類推之。
また問うていう。子孫はすなわち必ず和尚なるか。答えていう。これは子孫爻が乾宮に落つる時、それが帰する所のあの一類の神こそ和尚と作して看るをいう。其余の各宮は、みなこの办法に照らして類に按じて推す。
18.兄弟の独発
兄弟獨發,為詐為虛;若乘旺相,財破嗟吁。
一卦のうちただ兄弟爻のみ発動するを「兄弟の独発」という。兄弟は虚詐不実を主り口舌の争奪を主る。ゆえに「詐を為し虚を為す」という。それが旺相の気に乗ずれば、財を劫する力はさらに大にして、銭財は必ず破損し、ただ徒らに嘆息するを得るのみ。
兄弟為劫財之神,大忌隱伏。動發主虛詐不實之事,凶不凶、吉不吉,若旺相,主口舌憂疑破財,如出現發動,更看變得何如,大怕化鬼爻,凶。
兄弟は銭財を劫奪する神で、最も忌むはそれが世爻の下に隠伏すること。それが一たび発動すれば、虚詐不実の事を生じ出すを主り、吉も吉と透らず凶も凶と尽きず、両頭とも落実せず。それが旺相ならば、口舌・是非、憂慮・疑惑にしてしかも財を破るを主る。もしそれがすでに卦面に出現してまた発動するは、さらにそれが何を変出するかを看るを要す。最も怕るるは官鬼爻と変成するで、あれは便ち凶なり。
或問:兄弟為劫財之神,大忌隱伏發動,何也?答曰:隱伏看兄弟伏在世爻下也,不伏世爻下,非為隱伏。動發者,兄弟獨發也。
人が問うていう。兄弟は財を劫する神で、最も隠伏を忌み発動を忌むというは、これ何を為すぞ。答えていう。いわゆる「隠伏」は、専ら兄弟が世爻の下に伏するこの一種を指す。世爻の下に伏せざるは、便ち隠伏と算えず。いわゆる「動発」は、指す所は兄弟の独発のこの一種の情形なり。
19.父母の独発
父母獨發,重迭艱辛;若乘旺相,文書可成。
一卦のうちただ父母爻のみ発動するを「父母の独発」という。父母は重複畳出の神で、一たび動けば便ち事の反復折騰して弁ずるに艱難辛苦を主る。ただしそれが旺相の気に乗ずれば、父母はまさに文書の神なれば、文書・契券の類の事を求取するはかえって弁じ成す能し。
父母為重迭之神,大忌出現發動。若趲補名缺,求書札、取契,得旺相動發可成;若坐休囚,不可憑準矣。
父母は重複畳出を主る神で、最も忌むはそれが卦面に出現してまた発動すること。但しもし空缺の名額を趲補し、書信・函札を求取し、契約・文券を弁理するこの一類の事ならば、それが旺相にして動発するを得て、かえって成る能し。もしそれが休囚の地に坐すれば、便ち靠るに足らず。
或問:父母為重迭之神,何故為重迭?答曰:凡六親只有一重,惟父母有兩重,如祖父母、父母也,故父母發動,重迭艱辛。又問:如坐休囚,不可憑準?曰:父母發動,旺相尚自重迭艱辛,若休囚豈可憑乎?
人が問うていう。父母は重畳の神というが、なぜ偏にそれが重畳を主るのか。答えていう。六親のうち別のは皆ただ一重のみ、唯独自父母は两重あり。上に祖父母あり、下に父母あり。ゆえに父母が一たび発動すれば、事は便ち重重畳畳、辛苦して了し難し。また問うていう。それが休囚に坐すれば憑信するに足らずというは、どう講ずる。答えていう。父母の発動は、旺相の時ですら尚且重畳艱辛を要す。何况や休囚無気、どこにか憑り住むを得んや。
附:動止の章
凡占官上馬,看文書爻入墓絕日去,墓,藏也;絕,止也。占自身,或占父在外慾回家,看世又絕墓日動身。又看世持什爻,待日辰沖便歸。如卦中化出爻來生合世爻,或去刑剋沖害世爻,便是此事搭住,如財又是婦人類。
およそ官員の上任起程を占うは、文書爻の墓に入り絶に入るあの日に動身するを看る。墓は収蔵の意、絶は停止の意で、文書が一たび収め起こされば、人は便ち走るべし。自己の出門を占い、あるいは父親の外に在りて家に帰らんと欲するを占うも、同じく世爻の絶に逢い墓に逢う日子に動身するを看る。さらに世爻の持つ所は何の爻かを看て、日辰の来たってそれを冲するを待ちて、人は便ち帰来す。假如し卦中に一爻を変出して世爻を生合し、あるいは去りて世爻を刑し剋し冲し害するあらば、それは便ち事ありて人を絆住したなり。比方変出したるが財爻ならば、彼を絆住したるは多半は婦人の類なり。
20.官鬼の独発
官鬼獨發,為欺為盜;若臨吉神,功名可望。
一卦のうちただ官鬼爻のみ発動するを「官鬼の独発」という。官鬼は悪い一面において欺瞞を主り盗賊を主る。しかるにそれが吉神に臨めば、便ち正経の官星にして、功名は指望あるなり。
官鬼為官史,若求名遇吉神,必主立身清高,若臨囚神,必主興訟,賊盜弄魅害人之事。
官鬼は官府の吏員を代表す。もし功名を求むるに官鬼が吉神に遇上するは、必ず立身清高にして名位は期すべきを主る。もしそれが囚死の神に臨むは、すなわち必ず詞訟を興起し、あるいは盗賊に遭遇し妖邪魅惑の人を害する事に撞うを主る。
21.妻財の独発
妻財獨發,生鬼傷父;問病難瘳,占親無路。
一卦のうちただ妻財爻のみ発動するを「妻財の独発」という。財は能く官鬼を生じ、また能く父母を剋す。ゆえに財が一たび動けば便ち「鬼を生じ父を傷る」なり。疾病を占うは、官鬼はまさに病根にして、財動して鬼を生ずれば、病は便ち好し難し。父母双親を占うは、父母はちょうど財に剋せらるるを、ゆえに親を占うに路なしという。
大抵財動克父,亦能生鬼;然財爻宜旺,不宜空;宜靜、不宜動。惟占脫貨,要財爻發動。如占婚姻,財動必克翁姑;占訟,主克文書,若財鬼俱動者,父有元神而翁姑不克,文書有成。
大略に言えば、財爻が一たび動けば、父母を剋するのみならず、また能く官鬼を滋生す。ゆえに財爻は旺を宜しとして落空を宜しとせず、静を宜しとして妄動を宜しとせず。ただ貨物を脱手するを占うこの一事のみ、財爻の発動を要し、動きてはじめて手を出るを得。譬えば婚姻を占うは、財動は必ず公婆を剋す。詞訟を占うは、財動は文書を剋掉するを主る。ただしもし財と鬼とが一同に発動すれば、鬼は財の生ずるを得て転じて来たって父母を生じ、父母は元神を有して、公婆は便ち剋を受けず、文書も弁じ成る能し。
以上專論五鄉公私兩用,為卜易者提綱捷訣也。
以上の各章は専ら父母・兄弟・妻財・子孫・官鬼の「五郷」が公用・私用の両途における取捨・軽重を講ずる、易を卜する人の綱を挙げ領を挈るる一套の捷訣なり。
22.身命を占う
世爻為命,月卦為身;得則富貴,失則賤貧。
一人の身家性命を占うは、世爻をもって「命」を代表し、月卦――すなわち卦身――をもって「身」を代表す。身・命のこの両処がもし皆時を得地を得て生扶に力あらば、便ち富貴の命なり。もし時を失い地を失いて剋を受け制を受くるは、便ち貧賎の命なり。
人之身命,冬至後占得陽卦陽爻為吉。假如正月占得二月卦為進,更加旺相祿馬,有子有財,居於有德之位,誠為有福貴人,如冬至後占得陰卦陰爻不吉。正月占得十二月卦為退,兼以相刑相剋、休囚又無財無子坐於不吉之爻,則為貧賤下命,俱以得時為吉,失時為凶也。
人の身命を推するに、冬至以後は陽気漸く生ず。陽卦・陽爻を占い得るを吉とす。譬えば正月に卦を占いて得たる卦身が二月ならば、正月より後へ向かって一歩を走る、これを「進」という。さらに加うるに爻位の旺相、禄神・駅馬を帯び、卦中に子孫あり妻財あり、世爻がまた徳ある位に坐すれば、あれは真に福ある貴人なり。反って、冬至以後に陰卦・陰爻を占い得るは便ち不吉。正月に卦を占いて得たる卦身が十二月ならば、正月より回りて一歩を退く、これを「退」という。さらに兼ねて刑冲剋害あり、爻もまた休囚、卦裏に財なくまた子なく、世爻が不吉の位に坐すれば、あれは便ち貧賎の下等の命なり。総じて一句、時令を得たるは吉を為し、時令を失いたるは凶を為す。
