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36.失物・鬼祟を占う

宋 · 麻衣道者 · 第5巻 / 8

作盤ガイド: 六爻納甲の立卦, 大衍筮法

陽鬼為男,陰鬼為女;若是伏藏,返對而取。

失物を占い鬼祟を占うは、皆官鬼爻をもって用神と為す。官鬼の陽に属するは男なり、陰に属するは女なり。もしこの官鬼が伏蔵して露われざれば、便ち反対に取るを要す――陽のを陰に当たりて看、陰のを陽に当たりて看る。

占賊占祟,以鬼陰陽為用,占主女男看得何官。如占賊,陽宮鬼出現,主男鬼;伏藏主女。陰宮鬼出現,主女鬼,伏藏主男。占祟,鬼無正形,但以支干取之。鬼動以單為少陽,拆為少陰,重為太陽,交為太陰。如分老少何人,但看應爻最切。

賊を占い祟を占うは、皆官鬼の陰陽を拿りて用を定む。是れ男か女かを断ずるを要するは、まずこの鬼のどの宮に落つるかを看る。もし是れ賊を占うならば、陽宮の鬼が卦面に出現するは、男賊と主る。陽宮の鬼が伏蔵するは、女賊と主る。陰宮の鬼が出現するは、女賊と主る。陰宮の鬼が伏蔵するは、男賊と主る。もし是れ祟を占うならば、鬼は一定の形状無く、ただその干支に凭りて象を取るのみ能し。鬼爻の発動する時は爻象に按じて分つ。単は少陽、拆は少陰、重は太陽、交は太陰。是れ老か少か、いったい何人なるかを分弁するを要するは、応爻を看るが最も切要なり。

或問:若是伏藏,返對而取,何謂返對?答曰:用返對顛倒也。陽取陰,陰取陽之義。

人が問うていう。「もし伏蔵ならば、返対して取る」というが、何を「返対」という。答えていう。すなわち反対に顛倒して用いるなり。陽のを取りて陰と作し、陰のを取りて陽と作す。まさにこの意なり。

又問:返卦時,何以知賊之巢?曰:但向鬼生方尋之。問:何以知鬼生方?曰:但看財爻伏何爻之下,如姤卦,財伏子孫下,在西北方,僧道小兒處也。

また問うていう。反対に卦を看る時、どうして賊窩のどこに在るかを知る。答えていう。ただこの官鬼を生ずるあの一方に往生して尋ねよ。また問うていう。どうして鬼を生ずる方のどこに在るかを知る。答えていう。ただ財爻がどの一爻の下に伏するかを看るのみ。譬えば天風姤卦、財爻は子孫爻の下に伏し、子孫は乾に属して乾は西北に居れば、則ち西北方の僧道の人家、あるいは小児の出没する地方に往きて尋ねよ。

又問:何以定獲賊之日?曰:看子孫旺日是也。

また問うていう。どうして賊を捉住する日子を定むるか。答えていう。子孫爻の旺相なるあの一日を看る乃ち是れなり。子孫はまさに捕捉の神なればなり。

37.賊盗を占う

若有兩爻,可別單拆;忽有獨發,鄰中可測。

一卦のうちにもし両爻とも官鬼あらば、便ち「単」「拆」の両種の爻象を以て分別す。単は陽を為し是れ男、拆は陰を為し是れ女。もし忽然としてただ一爻のみ独発すれば、あの賊は便ち左隣右舎の中に在り、此に拠りて推測し出す可し。

卦有兩爻鬼者,以單拆分取之。六爻中一爻獨發,亦可取父母為老,子孫為幼,兄弟為男,妻財為女,官鬼橫惡,占賊過犯人。

卦中に両爻官鬼あるは、単・拆を用いて分別して取断す。六爻裏にただ一爻のみ独発あるも、またそれに拠りて象を取る可し。父母は年老の人を代表し、子孫は年幼の人を代表し、兄弟は男子を代表し、妻財は女子を代表し、官鬼は凶横にして悪を作す人を代表す――賊を占う時は、指すは前科ある犯人なり。

或問:若有兩爻,可別單拆,如何別之?曰:一卦兩爻鬼,以單為陽人,拆為陰人。如俱為拆,只是陰人,鬼化鬼,乃過犯人也。

人が問うていう。両爻の鬼ありて単・拆を以て分別すべしというが、いったいどう分つるか。答えていう。一卦裏に両爻鬼あるは、単は陽人、拆は陰人なり。もし両爻皆拆ならば、あれは便ち純に女人の為す所なり。鬼がまた鬼を変出し来たるは、便ち犯過の前科ある人なり。

以應爻為主,財為財,鬼為鬼,出現最急,旁爻為次。凡財出現於五爻之下,不動可見。 非鬼為賊,獨發爻亦可取,若有鬼為賊,更取日干為主,分辨老少。

賊を断ずるは応爻をもって主と為し、財爻は便ち失物と作りて看、鬼爻は便ち賊人と作りて看る。この両様が卦面に出現するが最も緊要、旁爻の上のは次の一等なり。およそ財爻が第五爻以下に出現してまた動かざるは、物は尋ね見るべし。もし卦中に併せて鬼なくして賊と作すべきなければ、則ち独発の爻を取りて推す。もし鬼ありて賊と作すべきあらば、便ち再び日干を取りて主と為し、此に拠りて賊の是れ老か少かを分弁す。

凡占六畜,只以子孫為用,父母動則休矣。 凡失物專看財爻,本象要旺相不空不動,可見;如財爻空了、動了,是出屋也。更無氣決不可見。

およそ走失の六畜を占うは、ただ子孫爻を以て用神と為す。父母爻が一たび発動すれば、子孫は剋を受け、便ち指望なし。およそ失物を占うは、専ら財爻を看る。この一爻の本象は旺相にして、落空せず、発動せざるを要して、物乃ち尋ね見るべし。もし財爻が空に落ち、また動を発したれば、物は已に屋子を出でたり。もしさらに加うるに無気ならば、あれは便ち断然として尋ね帰る能わず。

官鬼為賊,子孫為捕捉,兄弟為眾,父母為衣服、文書,財為失物。 如子孫旺相,其賊必獲:子孫無氣或空,難獲。鬼爻空,決尋不見。 六爻無鬼安靜,非賊偷去,乃自失也。

各爻の分工は、官鬼は賊人を代表し、子孫は緝捕の差役を代表し、兄弟は同伙の衆人を代表し、父母は衣物と文書とを代表し、妻財は所失の財物を代表す。子孫爻の旺相のは、この賊は必ず捉え得べし。子孫が無気あるいは落空のは、捉え難し。官鬼爻の落空のは、物は一定に尋ね見えず。もし六爻のうち根本より官鬼無く全卦また安静ならば、あれは則ち賊に偷り去られたるに非ずして、自己の遺失したるなり。

財在內卦安靜,旺相,物不失,必在家中;內外俱有鬼,偷與外人;鬼克世爻,主驀然揞見賊贓;鬼刑世,主賊再來,必有所損,宜防之。財化鬼,婦人為賊;子化鬼,小兒或出家(人)偷盜;鬼化鬼,過犯人拿;父化鬼,掌文書或老人為盜;兄化鬼,相識昆仲為盜,有多伴。

財爻が内卦に安静にしてまた旺相のは、物は併せて丟せず、必ずなお家中に在り。内卦・外卦ともに官鬼あるは、是れ家裏の人が外人と勾結して偷り去り了れり。官鬼の来たって世爻を剋するは、汝が突然に賊賍に撞見せんを主る。官鬼が世爻を刑するは、賊はなお再び来るを主り、必ずなお損失あるべし、応に預め提防すべし。財爻が官鬼を変出するは、是れ婦人の賊を為すなり。子孫が官鬼を変出するは、是れ小孩子あるいは出家人の偷みしなり。官鬼がまた官鬼を変出するは、是れ前科ある人の手を下したるなり。父母が官鬼を変出するは、是れ文書を掌管する人あるいは老年人の賊を為すなり。兄弟が官鬼を変出するは、是れ相識の兄弟輩の賊を為すにして、しかも同伙は一人に止まらず。

38.鬼神を占う

休囚為鬼,旺相為神;本象家親,他宮外人。

鬼神の作祟を占うに、同じ一爻でも、休囚無気なれば便ち「鬼」と当たりて看、旺相有気なれば便ち「神」と当たりて看る。本宮の爻象の上に現出するは、自家の先亡の親属。別宮の飛爻の上に現出するは、外姓・外人の鬼神なり。

(1)六爻定體: 六爻 公婆 家親 佛道 五爻 父母 口願 土神 四爻 叔伯 土神 半天 三爻 兄弟 門戶 境神 二爻 夫妻 土地 家神 初爻 小口 灶君 司命

第一、六つの爻位に按じて犯する者の本体を定む。上六爻は公婆・家中の先亡の親人・仏道の神を主る。第五爻は父母・許し下して未だ還さざる口願・土神を主る。第四爻は叔伯・土神・半天の神を主る。第三爻は兄弟・門戸の神・一方の境主を主る。第二爻は夫妻・土地の神・家宅の神を主る。初爻は家中の幼小・竈君・司命の神を主る。官鬼がどの一爻の上に現るやに照らして、この欄に就きて犯する所の対象を取る。

(2)五行鬼: 金木,橫死;土,時疫;火,勞血;水,落水。

第二、官鬼の五行に按じて死法を分つ。鬼が金に属し木に属するは、横死の鬼を主る。土に属するは、時疫・瘟病にして死したるを主る。火に属するは、労瘵・血を吐きて死したるを主る。水に属するは、水に落ちて淹れ死したるを主る。

(3)八純卦: 艮,五聖;震,天神;巽,木神;離,火神;乾,功德;坤,家將;坎,落水;兌,口願。

第三、八純卦に按じて奉ずる所の神を分つ。艮卦は五聖を主り、震卦は天神を主り、巽卦は木神を主り、離卦は火神を主り、乾卦は功徳を主り、坤卦は家将を主り、坎卦は落水の鬼を主り、兌卦は許し下したる口願を主る。

(4)五鄉獨發,剋日克世取之,各有兩義: 父母家先,子孫小兒,妻財婦婢,兄弟陽人,官鬼橫惡,以上隨爻。

第四、父母・子孫・妻財・兄弟・官鬼のこの五郷の中のどの一爻が独発するかを看る。しかもこの一爻は能く日辰を剋し世爻を剋するを要して、乃ち取りて祟を断ず。毎一様は各々两重の意思を含む。父母は先亡の家長を主り、子孫は夭折の小児を主り、妻財は婦人と婢女とを主り、兄弟は同輩の陽人を主り、官鬼は凶横にして悪を作す鬼を主る。以上の各条は、みなあの独発の爻に随いて取る。

或問:本象家先,他官外人,何也?答曰:本象鬼動是家親,旁爻鬼動是外人。假如乾卦壬午鬼動是家親;大有卦己巳鬼動,是外人也。

人が問うていう。本象は家中の先亡、他宮は外人というは、これどう講ずるか。答えていう。本宮の鬼爻の発動は、自家の親人の鬼なり。旁爻の鬼の発動は、外姓・外人の鬼なり。譬えば乾卦中に壬午の官鬼が発動すれば、壬午はもと乾宮の親爻、あれは便ち家親なり。而も火天大有卦中に己巳の官鬼が発動すれば、己巳は離体の上の旁爻、あれは便ち外人なり。

問:土鬼何也?曰:此乃當處靈驗之鬼,俗謂之神者也,旺相為神,休囚為鬼,動爻克世剋日,亦可取祟。

人が問うていう。何を「土鬼」という。答えていう。これは当地の霊験ある鬼で、俗人は便ちそれを称して神と作す。それが旺相の時は即ち神で、休囚の時は即ち鬼なり。ただ動爻が世爻を剋し日辰を剋せば、またそれを取りて祟を断ずる可し。

《易林》云:察禍推其鬼處,還將身配六親,相剋招生,便見禍之端的。

《易林》にいう。禍事を察明せんと要するは、まず鬼のどの処に落つるかを推尋し、再び卦身を把りて六親と配して一同に看る。相剋と相生の処より眼を著ければ、禍事の確実なる来路は便ち看り出し得べし。

附:六神

青龍:善惡、經文、蘸祀、廟香。無氣帶刑,自縊死。 朱雀:花幡、口願、符命、灶神。無氣帶刑,勞死鬼。 勾陳:天曹、勅士。無氣帶刑,黃病路死鬼。 螣蛇:夜夢、驚恐、上許下保福。無氣帶刑,夜夢見鬼。 白虎:金劉神、作犯白虎、刀傷鬼。無氣帶刑,刀傷鬼。 玄武:上真、北陰神。無氣帶刑,落水陰鬼。

青龍の主る所は善悪の因果・経文・醮祀と廟中の香火。青龍が無気にしてまた刑を帯びるは、自縊して身を亡ぼすの鬼を主る。朱雀の主る所は花幡・許し下したる口願・符籙・敕命と竈神。無気にして刑を帯びるは、労瘵にして死するの鬼を主る。勾陳の主る所は天曹と敕封の神吏。無気にして刑を帯びるは、黄病を害して路上に死する鬼を主る。螣蛇の主る所は夜間の夢魘・驚恐・上に向かって願を許し下に向かって福を保するの事。無気にして刑を帯びるは、夜裏夢中に鬼を見るを主る。白虎の主る所は金劉の神・白虎を冲犯する・刀傷の鬼。無気にして刑を帯びるも、これも刀傷の鬼なり。玄武の主る所は上真の神と北方の陰神。無気にして刑を帯びるは、水に落ちて死したる陰鬼を主る。

凡祭賽有三,如祀上帝,即取藏爻中鬼神祗,當用月建;神堂家廟,當用日辰。皆要生合卦身,不宜刑沖,亦不要動爻克害刑沖。如合生,福利而吉;若帶刑沖,反招禍。卦爻中鬼自化入墓,必有不了再牽之患。

およそ祭祀して神に酬ゆるに三等の分別あり。もし祭るが上帝の一類の至尊ならば、便ち蔵爻の中の鬼神祇を取り、応に月建を以て看るべし。もし是れ家中の神堂・宗廟の祭祀ならば、応に日辰を以て看るべし。どの一等なるを問わず、みな月建あるいは日辰が卦身を生合するを要し、刑冲を宜しとせず、また動爻の来たって剋し害し刑し冲するを許さず。もし相合相生する能くば、祭祀は便ち福利を得て吉。もし刑冲を帯びれば、かえって禍事を招来す。卦爻中の鬼が自ら変化して墓庫に入るは、必定にまだ了結せず、日後再び来たって牽纏する禍患あるなり。

39.詞訟を占う

舉訟興詞,要官有氣;若是被論,休囚卻利。

主動に状を告げて訟を興すは、官鬼爻に気あるを要し、官が旺にして乃ち相手方を圧し得。もし是れ人に告げられ被論の地位に処するは、官鬼はかえって休囚無気を以て有利と為し、官が弱ければ則ち自己の罪責は軽し。

凡下狀論人,官爻旺相出現,必贏;若占被論,官爻休囚,鬼爻持應,世爻克應,子孫持世,反得理,吉。若代占人坐獄,忌世下坐鬼,鬼墓持世,凶。但鬼爻動,便不可與人爭,財動折理,亦不可訟。

およそ自己が状紙を遞して人を告ぐるは、官爻が旺相にして卦面に出現すれば、必定に打ち贏つ。もし自己の人に告げられたるを占うは、則ち官爻の休囚を要し、官鬼が応爻の上に持ち、世爻が去りて応爻を剋し、子孫が世を持つ――このごとくはかえって理に占め住むを得、是れ吉なり。もし人に替わりて牢に坐する事を占うは、世爻の下に官鬼が坐するを忌み、また鬼の墓庫が世を持するをも忌む。この両様は皆凶なり。総じてただ鬼爻の発動すれば、便ち人と争訟すべからず。財爻の発動は自己の理に亏るを主り、また訟を興すべからず。

或問:代人占坐獄,忌世下坐鬼,代占看應,何故反看世也? 答曰:此理最微,人所不測,宜,於是疑,唯世下坐鬼便去沖應合應,故主離脫,汝若不信,請以六十四卦取之。

人が問うていう。人に替わりて牢に坐するを占うに、世爻の下に鬼が坐するを忌むという。しかるに人に替わりて占うは本当に応爻を看るべきに、なぜかえって世爻を看るに往くか。答えていう。この道理は最も精微にして、一般人の揣摩し到るに非ず、汝のここに疑を生ずるも怪しむに足らず。ただ世爻の下に一旦鬼が坐すれば、この鬼は便ち去りて応を冲し応を合す。一冲一合の間に人は便ち身を脱するが故に、かえって牢獄を脱離するを主る。汝もし信ぜずんば、請う六十四卦を逐一に取り来たりて験看せよ。

又問:如何財動折理?曰:財為理,財動便主理虧,蓋財能傷文書,文書既被傷,安得有理?

また問うていう。なぜ財爻が一たび動けば便ち理に亏るを主るか。答えていう。ここは財爻を以て「理」を代表す。しかるに財が一たび動けばかえって理に亏るを主る。財は能く父母・文書を剋傷し、状紙・公文は既に傷を受けたれば、どこにかなお理に立ち住むを得んや。

又問:財化財如何?曰:雖有理而不勝。 問:官化官如何?曰:推移主有詐偽事在後。 問:父化父如何?曰:事重迭,遲遲未決。 問:子化子如何?曰:主幹連小口。 問:兄化兄如何?曰:主對頭爭執。

また問うていう。財爻が財爻を変出するはどうか。答えていう。道理ありと雖も打ち贏つ能わず。また問うていう。官鬼が官鬼を変出するはどうか。答えていう。案子は幾経て推移し、後頭になお詐偽の事あり。また問うていう。父母が父母を変出するはどうか。答えていう。事は重重畳畳にして遅遅として判じ下らず。また問うていう。子孫が子孫を変出するはどうか。答えていう。家中の小孩に牽連するを主る。また問うていう。兄弟が兄弟を変出するはどうか。答えていう。対頭と当面して争執して休まざるを主る。

凡外有客鬼持世,主必遭虧,更有罪名;父動克世,因勾惹之事,世空自散宜和解,應空詞訟沒期程。

およそ外卦の上に客鬼ありて世を持するは、本人は必定に亏を喫し、さらに罪名を落さん。父母爻が発動して来たって世を剋するは、是れ人に勾連して牽惹せられて訟に渉るに因る。世爻の落空するは、事は自ら散去せん、和解に宜し。応爻の落空するは、此の場の官司は了結するの期限なし。

見世持鬼、鬼動入墓,卦中無財,必在獄中死。 凡卦爻變鬼,刑沖家身世,主徒流之罪。

もし世爻が官鬼を持するを見るに、この鬼が一たび動きてまた墓庫に入り、卦中に偏にまた財爻なくして救応なければ、此人は必定に獄中に死せん。およそ卦爻が官鬼を変出し来たりて、本家の卦身と世爻とを刑冲するは、主として徒刑・流放の罪を判ぜらるべし。

如金又是鬼,刑剋身世,化死墓絕,必主死罪官事。不宜官鬼動,動則看來生合沖剋世應,以定彼此吉凶。

如果し変出の鬼がまた金に属し、来たって卦身と世爻とを刑剋し、しかも死・墓・絶の地に変入するは、あれは必定に死罪を判ずるの重案なり。官鬼は総じて動かざるを以て宜しと為す。一旦動けば、便ちそれが是れ来たって生合するか是れ来たって冲剋するか世爻・応爻を看て、此に拠りて我が方と相手方との是れ吉か是れ凶かを判定す。

40.脱事・散憂を占う

脫事散憂,子孫旺相;世動自消,不成凶象。

身に纏む事を脱け開き、心頭の憂を散ずるを要するは、全く子孫爻の旺相に仗り恃む。子孫はまさに解憂の神なればなり。世爻が自ら発動するも、事はまた自ら消解して、凶象を成さず。

凡占脫事散憂,要子孫旺相出現,或子孫獨發,世爻動亦自散。忌應爻克世,鬼爻旺相,獨發凶。

およそ事端を摆脱し憂愁を消散するを占うは、子孫が旺相にして卦面に出現するを要し、あるいは子孫の独発するを要す。世爻の発動するも、事はまた自ら散け開かん。応爻の来たって世を剋するを忌み、また官鬼の旺相をも忌む。官鬼がもしなお独り発動するは、あれは便ち凶なり。

或問:世動自消,不成凶象,何也?答曰:只是世動,我可脫,如財動,利乾貨之義。

人が問うていう。世爻が一たび動けば事は自ら消えて凶象を成さずというは、これ何の道理ぞ。答えていう。ただ世爻が動けば、我自己は便ち身を脱する能し。まさに財爻が一たび動けば便ち貨物を脱手するに利するがごとく、動きて乃ち走り開くを得るなり。

又問:世動出官鬼,如何?曰:世動只是遲滯難脫,主亦無事,若占論何日出禁?須要得日辰沖散六害,方出。如世爻持未,得丑爻動,或日辰是丑,當是丑日出獄也。身爻世爻被太歲沖、生、合,有赦也。

また問うていう。世爻が発動して却って官鬼を変出し来たるは、またどうか。答えていう。あれは不過遅滯して脱し難きのみ、終究もまた大事なし。もしどの一日に出獄開釋するを占わんと要すれば、須く日辰が六害を冲散するを俟ちて、人乃ち出で来るを得。譬えば世爻が未を持ちて、丑爻の発動を得、あるいは日辰がまさに丑ならば、丑未は相冲すれば、応に丑日に出獄するに当たるべし。もし卦身・世爻が太歳に冲せられ生ぜられ合せらるるは、あれは大赦に逢うの象なり。

假令有人占推役與人,要世空,子托獨發,旺相,又要官鬼空,或官入墓絕,應持鬼好。若世生官凶,難脫破財,官鬼動化出,同。

譬えば人ありて差役を別人に推して当たらしめんことを占うに、世爻の落空を要し、子孫の独発にしてしかも旺相を要し、さらに官鬼の落空するを要し、あるいは官鬼が墓地・絶地に落ち入るを要す。応爻の上に鬼を持するは最上――差事は皆相手方に帰す。もし世爻がかえって去りて官を生ずれば、あれは便ち凶にして、差役は脱け得ずさらに財を破らん。官鬼が発動して別の爻を変出するも、情形は一様なり。

且如疑一人阻我事,要占是他否?專看應爻持財,子父並安靜,不是,空亦然;應是官鬼,或化出兄弟,是此人也。

再び比べるに、或る人の中より我が事を阻撓するを疑心して、いったい是れ彼なるか否かを占わんと要するは、専ら応爻を看る。応爻が財爻を持ちて、而も子孫・父母が皆安静ならば、あれは便ち彼に非ず。応爻の落空するもまた彼に非ず。もし応爻が官鬼なり、あるいは兄弟を変出し来たるは、あれは便ちまさにこの人なり。

41.疾病を占う

凡占疾病,應藥世身;若坐墓鬼,病主昏沉。

およそ疾病を占うは、応爻を以て服する所の薬を代表し、世爻を以て病人自身を代表す。もし世爻が墓庫の上に坐し、また官鬼の上に坐すれば、病人は便ち神志昏沉にして人事を省らず。

封有三墓:宮基、鬼墓,以世為身,忌生鬼爻。本宮墓鬼得之者,主自身合災,暴病未可,久病必死。

一卦のうちに三種の墓あり。ここには先ず本宮の墓と鬼墓の両様を挙ぐ(なお一種の財墓あり、下文に見ゆ)。病を占うは世爻を以て病人本身を代表し、それが去りて官鬼爻を生ずるを忌む。もし世爻が恰恰として本宮の墓に坐し、また鬼に坐すれば、あれは便ち本人の災に当たる合当を主る。突然に得たる急病は一時好し難く、拖り久しき旧病は必定に死せん。

以應為藥,忌坐鬼爻,旺相凶。本宮墓鬼得之,主無藥,服藥不效,大怕申酉爻持世,占病重大忌,木爻獨發,鬼爻旺相、伏世下,旺又動克世。

応爻を以て薬を代表し、応爻が鬼の上に坐するを忌む。鬼がさらに旺相なれば便ち凶なり。世爻がもし得たるが本宮の墓鬼なれば、症に対する薬なきを主り、薬を喫するも効あらず。病を占うに最も怕るるは申爻・酉爻の世を持するなり。これは重大の忌諱なり。また木爻の独発をも忌み、また官鬼の旺相にして世爻の下に伏し、あるいは官鬼が既に旺にしてまた発動して来たって世を剋するをも忌む。

或問:卦有三墓,何謂三墓?答曰:如天風姤卦,旁爻丑持世,乾宮屬金墓在丑,此是宮墓。如中孚封,世持辛未,艮官屬土,以寅木為鬼,木墓在未,此是鬼墓。如泰卦,甲辰持世,坤宮屬土,以亥水為財,水墓在辰,此是財墓。

人が問うていう。卦に三墓ありというが、いったいどの三墓ぞ。答えていう。譬えば天風姤卦、旁爻の辛丑が世を持ち、姤卦は乾宮に属し、乾宮の五行は金に属し、金の墓庫は丑に在り。これすなわち「宮墓」なり。また風沢中孚卦のごときは、世爻が辛未を持ち、中孚は艮宮に属し、艮宮の五行は土に属し、土を剋する寅木は便ち官鬼にして、木の墓庫は未に在り。これすなわち「鬼墓」なり。再び地天泰卦のごときは、甲辰が世を持ち、泰卦は坤宮に属し、坤宮は土に属し、土の剋する所の亥水は便ち妻財にして、水の墓庫は辰に在り。これすなわち「財墓」なり。

問:何謂得之?曰:得之者,世爻上逢之也。世為我身也,凡墓爻故主自身合災也。暴病未可者,墓滯也,故未可。久病必死者,病久氣衰,而又入墓,豈得不死?

また問うていう。何を「之を得る」という。答えていう。いわゆる之を得るは、世爻の上にまさにこの墓に逢うを指す。世爻はすなわち我が自身、世の上に一たび墓爻に坐すれば、ゆえに本人の災に当たる合当を主る。急病は一時好し難しというは、墓は停滞を主り、気機が一たび滞れば便ち驟かに愈ゆる能わざればなり。久病は必定に死せんというは、病の得たること久しければ元気はもと已に衰敗し、いままた墓庫に入れば、怎むぞ死せざるを得んや。

又問:何不言財墓?曰:財墓吉兆,故以財言之,若占婦人,逢此須大忌。

また問うていう。なぜ単に財墓を説かざるか。答えていう。財墓はもとは吉兆なれば、ゆえにただ財のこの一面に就きてそれを講ずるのみ。ただしもし占う所が婦人の病ならば、婦人は財を以て用神と為し、財墓に逢えば必ず大いに忌諱するを要す。

又問:鬼爻旺相伏世下何也?曰:世為我身,鬼伏世下,是病隨我,所以忌之。

また問うていう。なぜ官鬼の旺相にして世爻の下に伏するを忌むか。答えていう。世爻はすなわち我が自身、鬼が世爻の下に伏するは、病の我が身に緊く跟いて走るに等し。ゆえにそれを忌むを要す。

看鬼伏何爻下,於金木水火土分辨之,伏父母,憂心得,或動土得,或往修造處得。鬼伏兄弟動,失飢傷飽得,或因口舌氣上得。鬼伏子孫動,因牽惹得,或欲事太過得。鬼伏財,飲食得,或買物件得。官鬼出現,驚恐怪異,或寺觀宙宇中得。

この病が怎生に得たるかを推するを要するは、官鬼がどの一爻の下に伏するかを看て、さらに金木水火土に按じて分弁す。鬼が父母の下に伏するは、是れ憂思労心して得たるか、あるいは土木を動かして得たるか、あるいは修造の工地の上に到りて得たるなり。鬼が兄弟の下に伏して兄弟が発動するは、是れ飢えたり飽いたりして脾胃を傷りて得たるか、あるいは口角に因りて気を生じて得たるなり。鬼が子孫の下に伏して子孫が発動するは、是れ人に牽連して惹き被けたるか、あるいは房事の太過に得たるなり。鬼が妻財の下に伏するは、是れ飲食の上に得たるか、あるいは物を買いて帯び帰りたるなり。官鬼が直接に卦面に出現するは、是れ驚恐を受け怪异に撞うて得たるか、あるいは寺観・廟宇の中に於いて得たるなり。

土下伏土,瘡腫;火下火,手足;金見金,悶亂;木下木,寒熱;水下水,冷疾;金下火,喘滿;陽宮財動主吐;陰宮財動主瀉。鬼爻現外,金鬼爻伏裡,主心腹病。鬼在內地,下受病。鬼在外動,上受病。用爻同。

さらに飛伏両爻の五行の相配を看る。土爻の下に土が伏するは、瘡瘍腫毒を主る。火の下に火が伏するは、病は手足に在り。金の下に金を見るは、胸中の煩悶昏乱を主る。木の下に木が伏するは、忽ち寒く忽ち熱するを主る。水の下に水が伏するは、寒冷の疾を主る。金の下に火が伏するは、気喘脹満を主る。陽宮の財爻の発動するは、嘔吐を主る。陰宮の財爻の発動するは、泄瀉を主る。官鬼が外卦に現れて金鬼が内卦に伏するは、心腹の病を主る。鬼が内卦に在れば、病は下部より起こる。鬼が外卦に発動すれば、病は上部より起こる。用神の在る所の位置も、またこのごとく照らして推す。

土動主瀉,木動發寒,金動四肢或滿悶,火動發熱。木主足,金主頭、土主胸腹,火主手目,水主耳腎。飛伏俱旺相,飛為化因,以伏為受病。又世為動爻,在內下受病,應為動爻,在外上受病,間爻動,主胸膈病症。

さらに動爻の五行に按じて症候を看る。土爻の動は泄瀉を主り、木爻の動は寒を発するを主り、金爻の動は四肢の不適あるいは胸中の満悶を主り、火爻の動は熱を発するを主る。部位に按じて分かつれば、木は両足を主り、金は頭部を主り、土は胸腹を主り、火は手と眼目とを主り、水は耳と腎とを主る。飛爻・伏爻ともに旺相のは、飛爻は病を致すの外縁にして、伏爻こそ真に病を受けし処なり。この外、世爻がもし動爻ならば、病は内に在り下部に在り。応爻がもし動爻ならば、病は外に在り上部に在り。間爻の発動するは、胸膈の間の病症を主る。

《易鏡》云:且如長男受病,宜純震之不搖,小女染病,則兌卦之不動。大忌申酉持世,木爻獨發者,申為喪車,酉為喪服,木為棺槨耳。

《易鏡》にいう。譬えば長男が病を得るに、純震卦を得て六爻搖らざるを宜しとす。少女が病に染まるは、則ち兌卦を得て安静不動を宜しとす――震は長男を為し、兌は少女を為し、本命の卦が安静なれば、病は変を生ずるに至らず。病を占うに最も忌むは申爻・酉爻が世を持ちて木爻が独発するなり。申は是れ喪車、酉は是れ喪服、木は是れ棺槨、三様が湊り斉うは、まさに死亡の象なればなり。

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