周書 文侯之命第三十
平王錫晉文侯秬鬯、圭瓚,作《文侯之命》。
平王は晉文侯に秬鬯・圭瓚を賜い、《文侯之命》を作った。
王若曰:“父義和!丕顯文、武,克慎明德,昭升於上,敷聞在下;惟時上帝,集厥命於文王。亦惟先正克左右昭事厥闢,越小大謀猷罔不率從,肆先祖懷在位。嗚呼!閔予小子嗣,造天丕愆。殄資澤於下民,侵戎我國家純。即我御事,罔或耆壽俊在厥服,予則罔克。曰惟祖惟父,其伊恤朕躬!嗚呼!有績予一人永綏在位。父義和!汝克紹乃顯祖,汝肇刑文、武,用會紹乃闢,追孝於前文人。
王はこのように言った。「父義和よ。大大に顯明なる文・武は、能く謹慎して德を彰明し、昭升して上に至り、鋪陳して下に聞ゆ。この時上帝は、命を文王の身上に聚集した。またただ先正が能く輔佐して彼らの君に昭事し、大小の謀猷は順從せざるなし。ゆえに先祖は能く安然として位に在り。ああ、哀しむべし我が小子は嗣位し、上天の大大の懲罰に遭遇した。資財恩澤を下民に滅絕し、侵伐戎禍はわが國家を大大に受損せしめた。わが御事に就いて言えば、年高俊美の人は職に在らず、我はすなわち勝任能わず。ただ祖を希望し・ただ父を希望するのみ、彼らはわが自身を憂恤す。ああ、功績ありて我が一人をして永遠に安然として位に在らしむ。父義和よ。汝は能く汝の顯赫の祖を紹續し、汝は始めて文・武を效法し、もって汝の君を會合紹續し、前代の文德ある人に追孝せん。
汝多修,扞我於艱,若汝,予嘉。”
(平王が続けて言うには、)汝は多く修治し、艱難の中に我を捍衛す。汝のごときは、我は嘉許す。」
王曰:“父義和!其歸視爾師,寧爾邦。用賚爾秬鬯一卣,彤弓一,彤矢百,盧弓一,盧矢百,馬四匹。父往哉!柔遠能邇,惠康小民,無荒寧。簡恤爾都,用成爾顯德。”
王は言った。「父義和よ。歸りて汝の師衆を視察し、汝の邦を安寧せよ。汝に秬鬯一卣・彤弓一張・彤矢一百・盧弓一張・盧矢一百・馬四匹を賜う。父は行け。遠方を安撫し近處を親睦し、小民を惠愛安定し、安寧を荒廢するなかれ。汝の都邑を簡選體恤し、もって汝の顯明の德を成就せよ。」
周書 費誓第三十一
魯侯伯禽宅曲阜,徐、夷並興,東郊不開。作《費誓》。
魯侯伯禽は曲阜に住み、徐戎・淮夷は一并に興起し、東郊は開通能わず。《費誓》を作った。
公曰:“嗟!人無譁,聽命。徂茲淮夷、徐戎並興。善乃甲冑,敿乃幹,無敢不弔!備乃弓矢,鍛乃戈矛,礪乃鋒刃,無敢不善!今惟淫舍牿牛馬,杜乃擭,敜乃穽,無敢傷牿。牿之傷,汝則有常刑!馬牛其風,臣妾逋逃,勿敢越逐,祗復之,我商賚爾。乃越逐不復,汝則有常刑!無敢寇攘,逾垣牆,竊馬牛,誘臣妾,汝則有常刑!甲戌,我惟徵徐戎。峙乃糗糧,無敢不逮;汝則有大刑!魯人三郊三遂,峙乃楨榦。甲戌,我惟築,無敢不供;汝則有無餘刑,非殺。魯人三郊三遂,峙乃芻茭,無敢不多;汝則有大刑!”
公は言った。「ああ、人々よ喧嘩するなかれ、命を聽け。往時この淮夷・徐戎は一并に興起した。汝らの甲冑を準備し、汝らの盾を繫好せよ。敢えて妥善せざるなかれ。汝らの弓矢を備え、汝らの戈矛を鍛煉し、汝らの鋒刃を磨礪せよ。敢えて善ならざるなかれ。今、まさに圈養の牛馬を大いに放牧す。汝らの捕獸機を堵塞し、汝らの陷阱を填塞し、敢えて圈畜を傷害するなかれ。圈畜が傷を受ければ、汝らに常刑あらん。馬牛が走失し臣妾が逃跑すれば、敢えて越えて追逐するなかれ。恭敬して歸還せば、我は商度して汝らを賞賜せん。もし越えて追逐し歸還せざれば、汝らに常刑あらん。敢えて寇掠攘奪し、垣牆を翻越し、馬牛を偷竊し、臣妾を誘拐するなかれ。汝らに常刑あらん。甲戌の日、我はまさに徐戎を征伐せん。汝らの乾糧を儲備せよ。敢えて不足なかれ。汝らに大刑あらん。魯人の三郊三遂よ、汝らの築牆夾板と支柱を儲備せよ。甲戌の日、我はまさに工事を築かん。敢えて供給せざるなかれ。汝らに無餘の刑あらん。これは殺にあらず。魯人の三郊三遂よ、汝らの飼草を儲備せよ。敢えて多からざるなかれ。汝らに大刑あらん。」
周書 秦誓第三十二
秦穆公伐鄭,晉襄公帥師敗諸崤,還歸,作《秦誓》。
秦穆公は鄭を伐ち、晉襄公は師を率いて崤にて彼を打敗し、歸りて《秦誓》を作った。
公曰:“嗟!我士,聽無譁!予誓告汝群言之首。古人有言曰:‘民訖自若,是多盤。’責人斯無難,惟受責俾如流,是惟艱哉!我心之憂,日月逾邁,若弗雲來。惟古之謀人,則曰未就予忌;惟今之謀人,姑將以為親。雖則云然,尚猷詢茲黃髮,則罔所愆。”
公は言った。「ああ、わが士よ、聽け喧嘩するなかれ。我は宣誓して汝らに群言の首要を告げん。古人に言あり、『人もしみな自ら是と爲せば、多く安樂放縱を生ず』と。他人を責備するは艱難ならず。ただ責備を接受して流水のごとくする、これぞ艱難なり。わが心裏の憂愁は、日月は過去し、再び歸來せざるがごとし。ただ古時の謀人は、いまだ我に靠近能わずと言えばすなわち忌恨し、ただ今日の謀人は、姑くまさに親人と爲さん。しかるに此のようと雖も、なおこれら黃髮の老人に謀詢せば、すなわち過失あらざらん。」
番番良士,旅力既愆,我尚有之;仡仡勇夫,射御不違,我尚不欲。惟截截善諞言,俾君子易辭,我皇多有之!昧昧我思之,如有一介臣,斷斷猗無他技,其心休休焉,其如有容。人之有技,若己有之。人之彥聖,其心好之,不啻若自其口出。是能容之,以保我子孫黎民,亦職有利哉!人之有技,冒疾以惡之;人之彥聖而違之,俾不達是不能容,以不能保我子孫黎民,亦曰殆哉!邦之杌隉,曰由一人;邦之榮懷,亦尚一人之慶。”
(秦穆公が続けて言うには、)白髮の良士は、體力すでに衰えたるも、我はなお彼らを有せん。壯勇の勇夫は、射御に差錯なくとも、我はなお欲せず。ただあの淺薄善辯の言が、君子をして輕々しく辭色を改變せしむるは、我は反ってこのような人を多く有せり。暗暗として我は想う。もし一臣子ありて、專誠にして他の技能なく、その心は寬大にして能く包容するがごとし。他人に技能あれば、自己の有するがごとし。他人が俊美聖明なれば、心裏に喜好し、自己の口より出づるがごときのみならず。このように能く包容するは、もってわが子孫黎民を保護するも、また利益あるかな。他人に技能あれば、すなわち冒嫉厭惡し、他人が俊美聖明なれば卻って彼に違背し、彼をして通達能わざらしむ。これは能く包容せざるなり。これによりわが子孫黎民を保護すること能わず、すなわち危險なるかな。邦國が傾危不安なるは、一人に因ると言う。邦國が光榮安定なるも、また一人の善慶なり。」
虞書 益稷第五
帝曰:「來,禹!汝亦昌言。」禹拜曰:「都!帝,予何言?予思日孜孜。」皋陶曰:「籲!如何?」禹曰:「洪水滔天,浩浩懷山襄陵,下民昏墊。予乘四載,隨山刊木,暨益奏庶鮮食。予決九川,距四海,濬畎澮距川;暨稷播,奏庶艱食鮮食。懋遷有無,化居。烝民乃粒,萬邦作乂。」皋陶曰:「俞!師汝昌言。」
舜帝は言った。「来い、禹よ。汝もよき言を説け。」禹は拜して言った。「ああ、帝よ、私は何を言うべきことがあろうか。私はただ日々勤勉して懈らざるを思うのみだ。」皋陶は言った。「ああ、どのように勤勉するのか。」禹は言った。「洪水は滔天し、浩浩然として山陵を包み丘陵を漫し、下方の人民は沈没陷溺した。私は四種の載具に乗り、山嶺に順って樹木を砍削して標記とし、益とともに新鮮な鳥獣魚鱉を進献して民衆に与えた。私は九州の大川を疏通して四海に通ぜしめ、田間の溝澮を疏濬して大川に通ぜしめた。また稷とともに播種し、艱難にして得た糧食と新鮮の肉食を進献して民衆に与えた。勉力して有無を調遷し、交易して積貯した。衆民はここに穀物を食うことを得、万邦は初めて治理を得た。」
禹曰:「都!帝,慎乃在位。」帝曰:「俞!禹曰:「安汝止,惟幾惟康。其弼直,惟動丕應。徯志以昭受上帝,天其申命用休。」
禹は言った。「ああ、帝よ、汝の在する位を謹慎せよ。」舜帝は言った。「そうだ。」禹は言った。「汝の当に止まるべき所に安んじ、思慮は隠微、思慮は安康せよ。汝の輔弼は正直たれ。挙動あれば必ず大いに応響する。心志の清明を待って上帝を受ければ、上天は再び美しき任命を降す。」
帝曰:「籲!臣哉鄰哉!鄰哉臣哉!」禹曰:「俞!」
舜帝は言った。「ああ、臣子よ近隣よ。近隣よ臣子よ。」禹は言った。「そうだ。」
帝曰:「臣作朕股肱耳目。予欲左右有民,汝翼。予欲宣力四方,汝為。予欲觀古人之象,日、月、星辰、山、龍、華蟲作會;宗彝、藻、火、粉米、黼、黻,絺繡,以五采彰施於五色,作服,汝明。予欲聞六律五聲八音,在治忽,以出納五言,汝聽。予違,汝弼,汝無面從,退有後言。欽四鄰!庶頑讒說,若不在時,侯以明之,撻以記之,書用識哉,欲並生哉!工以納言,時而颺之,格則承之庸之,否則威之。」
舜帝は言った。「臣子はわが大腿・胳膊・耳朵・眼睛をなす。私は人民を引導し輔助せんと欲すれば、汝らは輔翼せよ。私は四方に力を用いんと欲すれば、汝らは作為せよ。私は古人の図像を観たい。日・月・星辰・山・龍・華虫を絵飾になし、宗廟の彝器・水藻・火・粉米・黼・黻を細葛をもって繍い成し、五種の彩をもって五色を彰明に施し、礼服を作る。汝らは辨明せよ。私は六律・五声・八音を聴き、その中より治乱を考察し、もって五方の言論を宣布し接納する。汝らは聴け。私に違背あれば、汝らは匡正せよ。当面順従して退下して後に背後の言あるなかれ。左右の近臣を敬慎せよ。あの愚頑にして讒を進める者、もし位にあらざれば、射侯の礼をもって彰明し、撲撻をもって教訓を記せしめ、簡冊をもって記録する。これは彼らをして共に生きなからしめんと欲するのだ。楽工はもって言論を転達し、時に合すれば宣揚し、改正すれば進用し、改めざれば威懲する。」
禹曰:「俞哉!帝光天之下,至於海隅蒼生,萬邦黎獻,共惟帝臣,惟帝時舉。敷納以言,明庶以功,車服以庸。誰敢不讓,敢不敬應?帝不時敷,同,日奏,罔功。」
禹は言った。「そうだ。帝の光輝は天の下にあり、海角の蒼生に至るまで、万邦の衆賢はみな帝の臣子で、ただ帝の時に挙用するを待つ。普く彼らの言論を接納し、功績を明らかに衆人を考察し、車馬服飾をもって功ある者に酬いれば、誰か譲譲せざらん、誰か恭敬して応へざらん。帝が時に施用すること能わざれば、賢愚は混同し、日々進用しても功をなさない。」
「無若丹朱傲,惟慢遊是好,傲虐是作。罔晝夜頟頟,罔水行舟。朋淫於家,用殄厥世。予創若時,娶於塗山,辛壬癸甲。啟呱呱而泣,予弗子,惟荒度土功。弼成五服,至於五千。州十有二師,外薄四海,鹹建五長,各迪有功,苗頑弗即工,帝其念哉!」帝曰:「迪朕德,時乃功,惟敘。」皋陶方祗厥敘,方施象刑,惟明。
(禹が続けて言うには、)「丹朱のごとく傲慢で、ただ怠惰遊蕩を好み、傲慢暴虐の事をなすなかれ。昼夜を分かたず囂囂として休まず、水なくても船を行かせ、群れて家に淫乱し、よってその世系を滅絶した。私はこれをもって戒とし、塗山に妻を娶り、辛・壬・癸・甲の四日で去った。啓が呱呱と啼哭しても、私は父たることを顧みず、ただ水土の功を度量するに忙しかった。五服を輔成し、五千里に至る。州ごとに十二師、外は四海に接近し、みな五等の長を設立し、各自功あるを引導した。ただ苗民が頑劣で工に就こうとしない。帝よ、この事を記憶せよ。」舜帝は言った。「徳をもって私を引導するは、これは汝の功労だ。このように有序たれ。」
夔曰:「戛擊鳴球、搏拊、琴、瑟、以詠。」祖考來格,虞賓在位,群后德讓。下管鼗鼓,合止柷敔,笙鏞以閒。鳥獸蹌蹌;《簫韶》九成,鳳皇來儀。夔曰:「於!予擊石拊石,百獸率舞,庶尹允諧。」
夔は言った。「鳴球・搏拊・琴・瑟を敲撃し、もって歌詠に配合せん。」祖先は来たり降臨し、虞舜の賓客は位にあり、各方の諸侯は徳をもって相譲した。堂下の管楽と鞀鼓は、柷敔をもって楽を合し楽を止め、笙と大鐘は交代した。鳥獣は蹌蹌と起舞し、簫韶は九成を演奏すると、鳳凰が来たり儀容を呈した。夔は言った。「ああ、私が石磬を敲撃し、石磬を軽拍すれば、百獣はみな舞い従います。衆の長官は確かに和諧した。」
帝庸作歌,曰:「勑天之命,惟時惟幾。」乃歌曰:「股肱喜哉!元首起哉!百工熙哉!」皋陶拜手稽首颺言曰:「念哉!率作興事,慎乃憲,欽哉!屢省乃成,欽哉!」乃賡載歌曰:「元首明哉,股肱良哉,庶事康哉!」又歌曰:「元首叢脞哉,股肱惰哉,萬事墮哉!」帝拜曰:「俞,往欽哉!」
舜帝はこれにより歌を作った。言うには、「上天の命令を謹戒し(底本「𠡠」はすなわち「敕」)、時時事事みな謹慎せよ。」ここに唱えた。「股肱は歓喜し、元首は振作し、百工は興盛す。」皋陶は跪拜して叩頭し、高く声して言った。「記憶せよ。統率して事業を興辦し、汝の法度を謹慎せよ。敬慎せよ。屢々省察してこそ成功する。敬慎せよ。」ここに続けて唱えた。「元首英明なれば、股肱賢良なり、衆事安康なり。」また唱えた。「元首瑣碎なれば、股肱怠惰し、万事堕落す。」舜帝は拜して言った。「そうだ、行け、敬慎せよ。」
夏書 禹貢第一
禹別九州,隨山濬川,任土作貢。
禹は九州を分别し、山嶺に順って河川を疏濬し、土地に依拠して貢賦を制定した。
禹敷土,隨山刊木,奠高山大川。
禹は土地を鋪陳し、山嶺に順って樹木を砍削し、高山大川を確定した。
冀州:既載壺口,治梁及岐。既修太原,至於岳陽;覃懷厎績,至於衡漳。厥土惟白壤,厥賦惟上上錯,厥田惟中中。恆、衛既從,大陸既作。島夷皮服,夾右碣石入於河。
冀州:壺口はすでに施工し、梁山と岐山もまた治理を得た。太原はすでに修治し、太岳の南面に至った。覃懐の一帯はすでに成功し、横流して河に入る漳水に至った。ここの土は白壤、賦税は第一等にして第二等を間雑し、田地は第五等。恒水・衛水はすでに順流し、大陸沢はすでに耕作しうる。島夷は皮服を進貢し、右に碣石を繞って黄河に入る。
濟河惟兗州。九河既道,雷夏既澤,灉、沮會同。桑土既蠶,是降丘宅土。厥土黑墳,厥草惟繇,厥木惟條。厥田惟中下,厥賦貞,作十有三載乃同。厥貢漆絲,厥篚織文。浮於濟、漯,達於河。
済水と黄河の間は兗州。九河はすでに疏通し、雷夏はすでに沢を成し、灉水・沮水は会合した。桑に宜しい土地はすでに蚕を養い、ここに人民は丘の上より下りて平地に住んだ。ここの土は黒色肥沃の墳土、草の生長は茂盛、樹木は修長。田地は第六等、賦税は第九等、経営十三年にして他州と同じくなった。貢物は漆と糸、篋に装うは花紋ある糸織品。船は済水・漯水より浮行し、黄河に至る。
海岱惟青州。嵎夷既略,濰、淄其道。厥土白墳,海濱廣斥。厥田惟上下,厥賦中上。厥貢鹽絺,海物惟錯。岱畎絲、枲、鉛、松、怪石。萊夷作牧。厥篚檿絲。浮於汶,達於濟。
海と泰山の間は青州。嵎夷はすでに治理し、濰水・淄水はすでに疏通した。土は白色の墳土、海浜は広闊で鹸鹼。田地は第三等、賦税は第四等。貢物は塩と細葛、海物は種類錯雑。泰山の山谷は糸・枲麻・鉛・松・怪石を出す。萊夷は放牧に従事す。篋に装うは山桑の糸。船は汶水より浮行し、済水に至る。
海、岱及淮惟徐州。淮、沂其乂,蒙、羽其藝,大野既豬,東原厎平。厥土赤埴墳,草木漸包。厥田惟上中,厥賦中中。厥貢惟土五色,羽畎夏翟,嶧陽孤桐,泗濱浮磬,淮夷蠙珠暨魚。厥篚玄纖、縞。浮於淮、泗,達於河。
海・泰山より淮水までの間は徐州。淮水・沂水はすでに治理し、蒙山・羽山はすでに種植しうる。大野沢はすでに匯聚して湖を成し、東原はすでに平定した。土は赤色の黏りて肥えた埴墳、草木は漸々叢生す。田地は第二等、賦税は第五等。貢物は五色の土、羽山の山谷の夏翟(五色の雉羽)、嶧山の南面の特生の桐木、泗水の浜の浮磬、淮夷の珠と魚(底本「𧏖珠」、すなわち蠙珠)。篋に装うは黒色の細綢と白絹。船は淮水・泗水より浮行し、黄河に至る。
淮海惟揚州。彭蠡既豬,陽鳥攸居。三江既入,震澤厎定。篠、簜既敷,厥草惟夭,厥木惟喬。厥土惟塗泥。厥田唯下下,厥賦下上,上錯。厥貢惟金三品,瑤、琨、篠、簜、齒、革、羽、毛惟木。鳥夷卉服。厥篚織貝,厥包橘柚,錫貢。沿於江、海,達於淮、泗。
淮水と海の間は揚州。彭蠡はすでに匯して湖を成し、陽に随う鳥はここに居る。三江はすでに海に入り、震沢はすでに安定した。小竹大竹はすでに遍布し、草の生長は美盛、樹木は高大。土は塗泥。田地は第九等、賦税は第七等、間あるいは第六等。貢物は金・銀・銅の三品、美玉・美石・小竹・大竹・象牙・皮革・鳥羽・旄毛と木材。鳥夷(一作島夷)は草織の衣服を穿つ。篋に装うは織貝の錦、包裹するは橘子・柚子、錫命を待って進貢す。江・海に沿って、淮水・泗水に至る。
荊及衡陽惟荊州。江、漢朝宗於海,九江孔殷,沱、潛既道,雲土、夢作乂。厥土惟塗泥,厥田惟下中,厥賦上下。厥貢羽、毛、齒、革惟金三品,杶、幹、栝、柏,礪、砥、砮、丹,惟菌、簵、楛;三邦厎貢厥名。包匭菁茅,厥篚玄纁璣組,九江納錫大龜。浮於江、沱、潛、漢,逾於洛,至於南河。
荊山より衡山の南面までが荊州。江・漢は天子に朝見するがごとく海に奔り、九江は甚深く盛んにして、沱水・潜水はすでに疏通し、雲沢の泥土は露出し、夢沢もまた耕作しうる(底本は「雲土・夢」と断ず。一説に連読して雲夢とすべし)。土は塗泥、田地は第八等、賦税は第三等。貢物は鳥羽・旄毛・象牙・皮革と金の三品、杶木・干木・栝木・柏木、礪石・砥石・砮石・丹砂、および菌簵竹・楛木。三つの諸侯国は各々著名の物産を貢ぐ。包裹するは菁茅を装る匣子、篋の中は黒紅色の糸綢と珍珠の串、九江は大亀を進貢す。船は江・沱・潜・漢より浮行し、洛水を越えて南河に至る。
荊河惟豫州。伊、洛、瀍、澗既入於河,滎波既豬。導菏澤,被孟豬。厥土惟壤,下土墳壚。厥田惟中上,厥賦錯上中。厥貢漆、枲,絺、紵,厥篚纖、纊,錫貢磬錯。浮於洛,達於河。
荊山と黄河の間は豫州。伊・洛・瀍・澗はすでに黄河に流入し、滎波はすでに匯して湖を成した。菏沢を疏導し、水を孟猪に溢入せしめた。土は壤土、低下する処は肥沃の墳壚。田地は第四等、賦税は第二等にして第一等を間雑す。貢物は漆・枲麻・細葛・紵麻、篋の中は細綢と糸綿、錫命を待って磬を治する礪石を進貢す。船は洛水より浮行し、黄河に至る。
華陽、黑水惟梁州。岷、嶓既藝,沱、潛既道。蔡、蒙旅平,和夷厎績。厥土青黎,厥田惟下上,厥賦下中,三錯。厥貢璆、鐵、銀、鏤、砮磬、熊、羆、狐、狸、織皮,西傾因桓是來,浮於潛,逾於沔,入於渭,亂於河。
華山の南面より黒水までの間は梁州。岷山・嶓冢はすでに種植しうる。沱水・潜水はすでに疏通した。蔡山・蒙山はすでに平治を祭告し、和夷はすでに成功した。土は青黒色、田地は第七等、賦税は第八等、第七・第九等を間雑す。貢物は美玉・鉄・銀・剛鉄・砮石・磬・熊・羆・狐・狸と織皮。西傾山の貢物は桓水に順って来たり、船は潜水より浮行し、沔水を越えて渭水に入り、黄河を横渡する。
黑水、西河惟雍州。弱水既西,涇屬渭汭,漆沮既從,灃水攸同。荊、岐既旅,終南、惇物,至於鳥鼠。原隰厎績,至於豬野。三危既宅,三苗丕敘。厥土惟黃壤,厥田惟上上,厥賦中下。厥貢惟球、琳、琅玕。浮於積石,至於龍門、西河,會於渭汭。織皮崐崘、析支、渠搜,西戎即敘。
黒水と西河の間は雍州。弱水はすでに西に流れ、涇水は渭水の曲がる処に接続し、漆沮はすでに順流し、灃水は渭水に会同した。荊山・岐山はすでに祭告し、終南山・惇物山より鳥鼠山に至る。原隰はすでに成功し、猪野沢に至る。三危はすでに居住しうる。三苗は大大に安定した。土は黄壤、田地は第一等、賦税は第六等。貢物は球玉・琳玉・琅玕。船は積石より浮行し、龍門・西河に至り、渭水の曲がる処に会合す。織皮の民は崑崙・析支・渠捜にあり、西戎はみな安定した。
導岍及岐,至於荊山,逾於河;壺口、雷首至於太嶽;厎柱、析城至於王屋;太行、恆山至於碣石,入於海。
山道を開通し、岍山より岐山に至り、荊山に至って黄河を越えた。壺口・雷首より太岳に至り、底柱・析城より王屋に至り、太行・恒山より碣石に至って、延伸して海に入る。
西傾、朱圉、鳥鼠至於太華;熊耳、外方、桐柏至於陪尾。
西傾・朱圉・鳥鼠より太華に至り、熊耳・外方・桐柏より陪尾に至る。
導嶓冢,至於荊山;內方,至於大別。
嶓冢より開通して荊山に至り、内方より大別に至る。
岷山之陽,至於衡山,過九江,至於敷淺原。
岷山の南面より衡山に至り、九江を経て敷浅原に至る。
導弱水,至於合黎,餘波入於流沙。
弱水を疏導して合黎に至り、残りの水は流沙に流入した。
導黑水,至於三危,入於南海。
黒水を疏導して三危に至り、南海に流入した。
導河、積石,至於龍門;南至於華陰,東至於厎柱,又東至於孟津,東過洛汭,至於大伾;北過降水,至於大陸;又北,播為九河,同為逆河,入於海。
黄河を疏導し、積石より龍門に至り、南に華陰に至り、東に底柱に至り、また東に孟津に至り、東に洛水の河に入る処を経て大伾に至り、北に降水を経て大陸沢に至り、さらに北に九河に分かれ、会合して逆河をなし、海に流入した。
嶓冢導漾,東流為漢,又東,為滄浪之水,過三澨,至於大別,南入於江。東,匯澤為彭蠡,東,為北江,入於海。
嶓冢より漾水を疏導し、東に流れて漢水をなし、さらに東に滄浪之水をなし、三澨を経て大別に至り、南に流れて江に入った。東に彭蠡沢に匯し、さらに東に北江をなし、海に流入した。
岷山導江,東別為沱,又東至於澧;過九江,至於東陵,東迆北,會於匯;東為中江,入於海。
岷山より江水を疏導し、東に沱水を分出し、また東に澧に至り、九江を経て東陵に至り、東に偏北して匯に会合し、東に中江をなして海に流入した。
導沇水,東流為濟,入於河,溢為滎;東出於陶丘北,又東至於菏,又東北,會於汶,又北,東入於海。
沇水を疏導し、東に流れて済水をなし、黄河に入り、溢れて滎沢をなし、東に陶丘の北面より出て、また東に菏沢に至り、また東北に汶水に会合し、さらに北に東に流れて海に入った。
導淮自桐柏,東會於泗、沂,東入於海。
桐柏より淮水を疏導し、東に泗水・沂水に会合し、東に流れて海に入った。
導渭自鳥鼠同穴,東會於灃,又東會於涇,又東過漆沮,入於河。
鳥鼠同穴山より渭水を疏導し、東に灃水に会合し、また東に涇水に会合し、また東に漆沮を経て黄河に入った。
導洛自熊耳,東北,會於澗、瀍;又東,會於伊,又東北,入於河。
熊耳より洛水を疏導し、東北に澗水・瀍水に会合し、また東に伊水に会合し、さらに東北に黄河に入った。
九州攸同,四隩既宅,九山刊旅,九川滌源,九澤既陂,四海會同。六府孔修,庶土交正,厎慎財賦,鹹則三壤成賦。中邦錫土、姓,祗臺德先,不距朕行。
九州はみな統一し、四方の辺遠の地はすでに居住しうる。九条の山脈は樹木を砍り去り旅祭しうる。九条の大川は源を疏通し、九つの大沢はすでに堤陂を築いた。四海の内は京師に会同した。六府は治理してよく、各処の土地はみな等級を校正し、財賦を慎重に制定し、みな三等の土壤に按って賦税を確定した。華夏の邦に土地と姓氏を賜与し、敬徳を前に置き、わが行事に違抗するなかれ。
五百里甸服:百里賦納總,二百里納銍,三百里納秸服,四百里粟,五百里米。
五百里は甸服:一百里は秸を帯びた禾を納め、二百里は禾穂を納め、三百里は秸稈を納めまた服役し、四百里は粟を納め、五百里は米を納む。
五百里侯服:百里採,二百里男邦,三百里諸侯。
五百里は侯服:王畿に近い一百里は采邑、さらに外の二百里は男邦、さらに外の三百里は諸侯。
五百里綏服:三百里揆文教,二百里奮武衛。
五百里は綏服:三百里は文教を揆度し、二百里は武衛を奮揚す。
五百里要服:三百里夷,二百里蔡。
五百里は要服:三百里は夷人を安置し、二百里は蔡刑の地に流す。
五百里荒服:三百里蠻,二百里流。
五百里は荒服:三百里は蛮人を安置し、二百里は流放の地。
東漸於海,西被於流沙,朔南暨聲教訖於四海。禹錫玄圭,告厥成功。
東は海に至り、西は流沙に覆い及ぼし、北面南面の声教はみな四海に達した。禹は玄圭を賜与され、その成功を報告した。
