Libo

艮宮・大畜(乾下艮上)

汉 · 京房 · 第3巻 / 6

作盤ガイド: 大衍筮法, 六爻納甲の立卦

陽長陰消,積氣凝盛,外止內健,二陰猶盛,成於畜義。《易》云:“既雨既處。”畜消時行,陽未可進。取於下卦,全其健道,君子以時順其吉凶。與乾為飛伏。【甲寅木,丙午火。】

大畜卦は陽気増長して陰気消退し、積聚の気は凝重強盛なり。外卦艮止して内卦乾健にして、上面の两個の陰爻は仍ほ強盛にして、是に「畜止」の義を成就す。《周易》に曰く「すでに雨しすでに処る」と。畜止の勢は時に随いて消長して行い、陽は還た冒然と前進すべからず。取用は下卦に在り、其の剛健の道を保全し、君子は時に按じて其中の吉凶に順応す。大畜は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は甲寅木、伏神は丙午火。)

建始壬辰至丁酉,【清明至秋分。】積算起丁酉至丙申,周而復始。【金土入卦分吉凶起算。】 五星從位起太白,【太白金星入卦推吉凶。】畢宿從位降甲寅。【畢宿入大畜九二甲寅上。】九二大夫應世,應六五為至尊,陰陽相應,以柔居尊。(缺)為畜之主。分氣候二十八。【極陰陽之象,定吉凶之兆。】

建候は壬辰より起り、丁酉に推し、(注:清明より秋分に至る。)積算は丁酉より起り、丙申に推して、周して復た始まる。(注:金・土は卦に入りて、拠りて吉凶を分辨して起算す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は卦に入りて以て吉凶を推す。)二十八宿は畢宿に輪り、甲寅爻の上に降落す。(注:畢宿は大畜九二甲寅の位に進入す。)九二「大夫」は世爻と為り、上は六五至尊に応じ、陰陽彼此相応じ、六五は柔を以て尊位に居り(此処は旧本缺文有り)、正に畜止の主なり。分配の気候の数は二十八なり。(注:陰陽の象を窮尽して、吉凶の兆を定出す。)

山下有乾,金土相資。陽進陰止,積雨潤下,畜道光也。乾象內進,君道行也。吉凶升降,陰陽得位,二氣相應,陽上薄陰,陰道凝結。上於陽長,為雨反下,九居高位,極於畜道。反陽為陰,入於兌象。六三應上九,上有陽九,反應六三,成於損道。次降損卦。【乾入兌九三之變六二。】

山下に乾を含み、金と土と互相資助す。陽は前進して陰は止住し、積聚の雨水は潤沢して下り、畜養の道は此より光大す。乾象は内卦に於て上進し、君道は施行を得たり。吉凶は升降に随いて定まり、陰陽各々其の位を得、二気彼此相応ず。陽は上に向かい陰に迫近すれば、陰道は便ち凝結せり。陽気の長じて上位に到るを待ちて、雨は反って落ちて来る。上九は高位に身居して、畜養の道を極処に推到せり。是に陽は反転して陰と為り、兌象に進入す――六三は上九と相応じ、上面の陽九は又反って六三に応じて、就中「損」の道理を成就す。接続して降りて損卦に入る。(注:乾は兌に入り、九三は変じて六二と為る。)

艮宮・損(兌下艮上)

澤在山下,卑險于山;山高處上,損澤益山。成高之義,在於六三。在臣之道,奉君立誠。《易》云:“損下益上。”【乾九三變六三陰柔,益上九,臣奉君之義。】與兌為飛伏。【丁丑土,丙申金。】三公居世,宗廟為應。【六三,上九。】

損卦は沢は山の下に在り、地位は卑下にして山より険し。山は高く上に踞り、沢を減損して山を增益す。其の高を成就する関鍵は、六三の一爻に在り。臣と為るの道に就きて言えば、これは君上に奉事し誠敬を確立するなり。《周易》に曰く「下を損して上を益す」と。(注:乾の九三は変じて六三陰柔と為り、去りて上九を增益す。正に臣の君に奉するの意なり。)損は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁丑土、伏神は丙申金。)世爻は第三爻「三公」に居り、「宗廟」を以て応と為す。(注:すなわち六三と上九。)

建始癸巳至戊戌,【小滿至寒露。】積算起戊戌至丁酉,周而復始。【土火入宮起積算。】 五星從位起太陰,【太陰水星入卦用事。】觜宿從位降丁丑,【二十八宿配觜宿入損卦,六三爻起算歲月日時。】土星入卦配吉凶,陰陽相蕩位不居。【土金入損卦起算,陰陽相生,六位變動不居也。】六爻有吉凶,四時變更,不可執一以為規。【六爻吉凶,隨時更變。或春或夏,或秋或冬,歲時運動。】分氣候二十八。【二十八起數,算吉凶入卦。】 陰陽升降,次艮入離,見睽之象。損益六爻,剛長陰。次入火澤睽卦。

建候は癸巳より起り、戊戌に推し、(注:小満より寒露に至る。)積算は戊戌より起り、丁酉に推して、周して復た始まる。(注:土・火は宮に入りて積算を起す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰水星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は觜宿に輪り、丁丑爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に觜宿を配して損卦に入れ、六三の一爻より歳・月・日・時を起算す。)土星は卦に入りて吉凶を配定し、陰陽互相激蕩して、爻位は固定して動かざるを得ず。(注:土・金は損卦に入りて起算し、陰陽相生して、六爻の位は変動して居らず。)六爻各々吉凶有り、四時更替に随いて変わり、一端に執着して定規と当為すべからず。(注:六爻の吉凶は時に随いて変更し、あるいは春あるいは夏、あるいは秋あるいは冬、皆歳時に随いて運転す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:二十八のこの数より起りて、卦に入りて吉凶を推算す。) 陰陽は升降往来し、接続して艮より離に転入して、就中睽の卦象を見る。六爻は損有り益有り、剛爻増長して陰爻退譲す。接続して火沢睽卦に進入す。

艮宮・睽(兌下離上)

火澤二象,氣運【一作轉。】非合。陰消陽長,取象何比。惟陽是從。陰陽動靜,剛柔分焉。先睽後合,其消通也。文明上照,幽暗分矣。【兌處下,為積陰暗之象也;離在上,為明照於下。】《易》云:“見豕負塗,載鬼一車,先張之弧,後說之弧,往遇雨則吉。群疑亡也。”【先疑,暗也;後說,明也。】與離為飛伏。【己酉金,丙戌土。】諸侯立九四為世,初元士為應。

睽卦は火と沢の两象にして、気の運行(「運」の字は一本「転」に作る)は并せ相合せず。陰消えて陽長じ、取象は比ぶるに由無く、ただ一味に陽に順従す。陰陽は一動一静し、剛柔是に就きて分かる。先に乖睽して後に会合するは、正に消散の後に重ねて通達に帰るなり。文明の徳は上に向かい照耀して、幽暗も亦分辨し出すを得。(注:兌は下に処して、積陰昏暗の象なり。離は上に在りて、光明は下に照る。)《周易》睽卦上九に曰く「豕の塗を負うを見、鬼を一車に載せ、先に之に弧を張り、後に之に弧を説く。往きて雨に遇えば則ち吉、群疑亡ぶ」と。(注:先前の猜疑は暗に属し、後来の鬆弛は明に属す。)睽は離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己酉金、伏神は丙戌土。)第四爻「諸侯」立ちて世爻と為り、初爻「元士」を以て応と為す。

建始甲午至己亥,【芒種至小雪。】積算起己亥至戊戌。【水土入卦。】 五星從位起歲星,【歲木星入卦。】參宿從位降己酉,【二十八宿配參宿,入卦己酉土。】分氣候三十六。【起數積算。】

建候は甲午より起り、己亥に推し、(注:芒種より小雪に至る。)積算は己亥より起り、戊戌に推す。(注:水・土は卦に入る。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:歳星は木に属し、卦に入る。)二十八宿は参宿に輪り、己酉爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に参宿を配し、卦に入りて己酉土の上に落つ。)分配の気候の数は三十六なり。(注:此より数を起して積算す。)

金火二運合土宮,配吉凶於歲時。六五陰柔處文明,九二四得立權臣。 陰陽相蕩,六位逆遷,變離入乾。健於外象,坎入履。【陰陽推遷,變化六爻。吉凶之兆,著於要之爻。如臣事君,近多憂也。】次降入天澤履卦。

金と火の两運は土宮に会合し、吉凶を歳時の上に配す。六五は陰柔を以て文明の地に処し、九四は位を得て立ちて掌権の臣と為る。 陰陽互相激蕩し、六爻の位は逆向遷移し、離は変じて乾に入りて、外象は転じて剛健と為り、是に変じて履卦に入る。(注:陰陽は推移変遷し、六爻は随いて変化す。吉凶の兆は、関鍵の彼の一爻に顕著す。譬えば臣子の君王に事奉するは、愈々親近すれば愈々多く憂懼するがごとし。)接続して降りて天沢履卦に入る。

艮宮・履(兌下乾上)

天下有澤曰履。【履者,禮也。】得位吉,失位凶,【當履之時。】素尚吉。《易》云:“視履考祥,其旋元吉。”與乾為飛伏。【壬申金,丙子水。】六丙屬八卦,【艮六丙也。】九五得位為世身,九二大夫合應象。

天下に沢有れば就中履と呼ぶ。(注:「履」はすなわち礼なり。)位を得れば吉、位を失えば凶。(注:これは履卦の当位するか否かに就きて言う。)能く素朴自守すれば吉。《周易》履卦上九に曰く「履を視て祥を考う、其の旋り元吉」と。履は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は壬申金、伏神は丙子水。)六個の丙干は艮宮諸卦に分属す。(注:艮宮の納する所は正に丙なり。)九五は位を得て世爻の身と成り、九二「大夫」はそれと相応して象を成す。

建始乙未至庚子,【大暑至大雪。】積算起己亥至庚子。【金水入卦,配六位,算吉凶。】 五星從位起熒惑,【熒惑火星入卦。】井宿從位降壬申,【二十八宿入卦,井宿入壬申。】分氣候,金火入卦,起於極數二十八。【二十八數,起丙辰,推吉凶。】

建候は乙未より起り、庚子に推し、(注:大暑より大雪に至る。)積算は己亥より起り、庚子に推す。(注:金・水は卦に入りて、六爻の位に配して吉凶を推算す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑火星は卦に入る。)二十八宿は井宿に輪り、壬申爻の上に降落し、(注:二十八宿は卦に入りて、井宿は壬申に落つ。)気候を分配する時、金と火は卦に入り、二十八のこの極数より起算す。(注:二十八の数を以て、丙辰より起りて、吉凶を推斷す。)

陽多陰少,宗少為貴。得其所履則貴,失其所履則賤。《易》云:“眇能視,跛能履。”【此履非其位六三也。】吉凶取此文為準。六位推遷,積欠起算數,休王相破,資益可定吉凶也。 升降反位,歸復止於六四,入陰,為游魂中孚卦。【次入中孚卦。】

履卦は陽多くして陰少なし、衆陽は少なき者を以て尊貴と為す。踏みて其の所を得れば貴く、踏みて其の所を失えば賤し。《周易》履卦六三に曰く「眇なれど能く視、跛なれど能く履む」と。(注:これは正に踏みて其の位を得ざるの六三を説く。)吉凶を判断するは就中この爻辞を以て准と為す。六爻の位は依次推移し、積算の数を起出して、其の休か旺か・相生か相破かを看て、資助と損益と一算すれば便ち吉凶を判定すべし。 升降は本位に返回し、帰復して六四に止まり、転じて陰に入りて、就中遊魂の中孚卦と成る。(注:接続して中孚卦に進入す。)

艮宮・中孚(兌下巽上・遊魂)

陰陽變動,六位周匝,反及游魂之卦。【金木合上運入卦象。】互體見艮,止於信義。【中孚,信也。】與乾為飛伏。【辛未土,壬午火。】艮道革變,升降,各稟正性。六四諸侯立世,應初九元士。九五履信,九二反應,氣候相合,內外相敵。【陰勝陽,陽勝陰,剛柔相薄,六爻反應,柔順相合,吉凶見矣。】

中孚卦は陰陽変動し、六爻の位は周流して一匝し、返り来りて遊魂の卦と成る。(注:金木は上位の運と会合して卦象に入る。)其の互体は艮を見て、信義に止まる。(注:中孚はすなわち誠信なり。)中孚は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は辛未土、伏神は壬午火。)艮道は変革を発生し、一升一降して、各々端正の性を禀受す。六四「諸侯」立ちて世爻と為り、初九「元士」と相応す。九五は誠信を踐行し、九二は反ってそれと呼応し、気候彼此相合して、而して内外両象は勢力均しく敵す。(注:あるいは陰は陽に勝ち、あるいは陽は陰に勝ち、剛柔相い迫り。六爻互相呼応して、柔順なる者は彼此契合し、吉凶は就中顕現す。)

建始庚子至乙巳,【大雪至小滿。】積算起乙巳至甲辰,周而復始。【火土入卦起積算。】 五星從位起鎮星,【鎮星,土星。】鬼宿從位降辛未,【二十八宿,配鬼宿入卦推吉凶。】分氣候三十六,【配卦算吉凶之位。】

建候は庚子より起り、乙巳に推し、(注:大雪より小満に至る。)積算は乙巳より起り、甲辰に推して、周して復た始まる。(注:火・土は卦に入りて積算を起す。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:鎮星はすなわち土星。)二十八宿は鬼宿に輪り、辛未爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に鬼宿を配して卦に入れて以て吉凶を推す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:卦爻に配合して吉凶の在る所の位を推算す。)

風與澤,二氣相合;巽而說,信及於物。物亦【一作必。】順焉。《易》云:“信及豚魚。”【豚魚,幽微之物,信尚及之,何況於人乎。】 兌入艮,六三入陽,內二陽歸陰。陰陽交互,復本曰歸魂,次降歸魂風山漸卦。【內見艮。】

風と沢の両気相合して、内は巽順にして外は和悦なり。誠信は能く万物に及べば、万物も(「亦」の字は一本「必」に作る)随いて順従す。《周易》中孚卦に曰く「信は豚魚に及ぶ」と。(注:豚と魚とは幽微の物にして、誠信尚ほ能くそれらに及ぶ、況んや人をや。) 兌は艮に進入し、六三は転じて陽に入り、内卦の两個の陽爻は陰に帰す。陰陽交互往来して、本宮に復帰すれば就中帰魂と呼び、接続して降りて帰魂の風山漸卦に入る。(注:内卦に艮を見る。)

艮宮・漸(艮下巽上・帰魂)

陰陽升降,復本曰歸魂之象。巽下見艮,陰長陽消,柔道將進,【艮變八卦終於漸,漸終降純陰入坤,分長女,三陰之兆也,柔道行也。】與兌為飛伏。【丙申金,丁丑土。】九三三公居世,宗廟為應。

漸卦は陰陽升降して、本宮に復帰す、これすなわち帰魂の象なり。巽下に艮を見て、陰長じて陽消え、柔道は将に前進せんとす。(注:艮宮八卦は変じて漸に到りて終結す。漸は終了して再び降りて純陰と為りて坤に入り、長女を分出す。これは三陰の兆にして、亦柔道通行の象なり。)漸は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙申金、伏神は丁丑土。)九三「三公」居りて世爻と為り、「宗廟」を以て応と為す。

建始己亥至甲辰,【小雪至清明。】積算起甲辰至癸卯,周而復始。【土木見運入卦,算吉凶。】 五星從位起太白,【太白,西方之卦,定吉凶。】柳宿從位降丙申,【二十八宿,柳宿入卦定吉凶。】分氣候二十八。【定數配吉凶,入卦起算。】

建候は己亥より起り、甲辰に推し、(注:小雪より清明に至る。)積算は甲辰より起り、癸卯に推して、周して復た始まる。(注:土・木の運は卦に入りて、拠りて吉凶を推算す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白は西方の卦に属し、拠りて吉凶を判定す。)二十八宿は柳宿に輪り、丙申爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に柳宿は卦に入りて以て吉凶を判定す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:この定数を以て吉凶を配し、卦に入りて起算す。)

上木下土,風入艮象,漸退之象也。互體見離,主中文明。九五傳位,得進道明也。【九五處互體卦之上,進文明也。】六二陰柔得位,應至尊。《易》云:“鴻漸于磐,飲食衎衎。”【賢人進位也。】陰陽升降,八卦將盡;六十四爻,陰陽相雜,順道進退,次於時也。少男之位,分於八卦,終極陽道也。陽極則陰生,柔道進也,降入坤宮八卦。【陽卦三十二宮為陽,乾、震、坎、艮也。】

上卦は木に属し下卦は土に属し、風は艮象に入りて、漸々退避の象なり。其の互体は離を見て、中間の文明の徳を主る。九五は其の位を伝承し、前進の道の光明なるを見るべし。(注:九五は互体卦の上位に処れば、ゆえに文明に進むと曰う。)六二は陰柔を以て正位を得、上は至尊の九五に応ず。《周易》漸卦六二に曰く「鴻は磐に漸む、飲食衎衎」と。(注:これは賢人の其の位に進居するなり。)陰陽升降して、八卦推衍将に尽きんとす。六十四卦の各爻の陰陽は彼此交雑し、其の道に順いて進退して、皆依次時令に合す。少男の位次は八卦の中に分布して、ここに到れば陽道は終結して極点に到れり。陽は極処に到れば陰便ち生出し、柔道は是に前進して、降りて坤宮八卦に入る。(注:三十二卦は陽に属し、すなわち乾・震・坎・艮のこの四宮なり。)

京氏易伝・巻中(漢・京房撰)

坤宮・坤(坤下坤上)

純陰用事,象配地,屬土。柔道光也,陰凝感,與乾相納,臣奉君也。《易》云:“黃裳,元吉”。六二,內卦陰處中,臣道正也。與乾為飛伏,【癸酉金,壬戌土。】宗廟居世,三公為應。未免龍戰之災,無成有終。【陰臣陽君,臣不敢為物之始。陽唱陰和,君命臣終其事也。】初六起履霜,至於堅冰。陰雖柔順,氣亦堅剛,為無邪氣也。

坤卦は六爻純陰にして、純陰の気が令を当て事を用いる。取象の上で地と相配し、五行は土に属す。柔順の道は此より光大し、陰気は凝聚して陽と相感し、乾と互相容納して、正に臣子の君王に事奉するがごとし。《周易》坤卦六五に曰く「黄裳、元吉」と。六二の一爻は、陰を以て内卦の中に居るは、正に臣道端正の象なり。坤は乾卦と互いに飛伏し、(注:飛神は癸酉金、伏神は壬戌土。)世爻は上六「宗廟」に居り、第三爻「三公」を以て応と為す。それは「竜戦」の災を免れず、事は自ら開創するに由らずして、却って能く好き結局を有つ。(注:陰は臣・陽は君と為り、臣は敢えて万物の開創者と為らず。陽唱えて陰和し、君主は令を発し臣下は事を為完す。)初六は「霜を履む」より起り、一直に「堅氷」に至る。陰は柔順なるも、其の気も亦自ら堅剛の一面有りて、邪僻の気を含まず。

建始甲午至己亥,【芒種,小滿。】積算起己亥至戊戌,周而復始。【純土用事,入積算,定吉凶。】 五星從位起太陰,【太陰水星入卦】西南方之卦。【鎮星入卦配坤,西南。】星宿從位降癸酉金。【二十八宿,八卦星宿,降坤上六癸酉金。】分氣候三十六。【起積為數三十六。】

建候は甲午より起り、己亥に推し、(注:芒種より小満に至る。)積算は己亥より起り、戊戌に推して、周して復た始まる。(注:純土を以て令を当て事を用い、積算に納入して吉凶を判定す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰水星は卦に入る。)坤は西南方の卦なり。(注:鎮星は卦に入りて坤に配し、西南を主る。)二十八宿は星宿に輪り、癸酉金爻の上に降落す。(注:二十八宿は依次八卦に配入し、此処は坤卦上六癸酉金の上に降る。)分配の気候の数は三十六なり。(注:積算の起数はすなわち三十六なり。)

陰中有陽,氣積萬象,故曰陰中陰。陰陽二氣,天地相接,人事吉凶,見乎其象。六位適變,八卦分焉。【六位變動,八卦顯著。】陰雖虛納,於陽位稱實。【六五,六三之類也。】 升降反復,不能久處,千變萬化,故稱乎易。易者,變也。陰極則陽來,陰消則陽長,衰則退,盛則戰。《易》云:“上六,龍戰于野,其血玄黃”。陽屬。【乾配西北積陰之的地,陰盛故戰,乾坤並處,天地之氣雜,稱玄黃也。】 陽來蕩陰,坤內卦初六適變入陽,曰震。陰盛陽微,漸來之義,故稱復。次降陽,入地雷復卦。

陰の中に陽を含み、気は積聚して万象を生出す。ゆえに「陰中の陰」と呼ぶ。陰陽二気は天地をして彼此交接せしめ、人事の吉凶は、皆卦爻の象に顕現す。六爻の位は時に随いて変動し、八卦は此より分立す。(注:六爻一たび変動すれば、八卦の象は就中顕著なり。)陰は虚を以て受納するも、陽位に落てば就中「実」と称す。(注:六五・六三のこの一類のごとし。) 升降反復して、能く長久に一処に停止せず、千変万化す、ゆえに「易」と呼ぶ。易はすなわち変なり。陰は極処に到れば陽来り、陰消退すれば陽増長す。衰えれば便ち退き、盛んなれば便ち戦う。《周易》坤卦に曰く「上六、竜野に戦う、其の血玄黄」と。これは陽に就きて言うなり。(注:乾は西北積陰の地に配して、陰気太盛なればゆえに相い戦う。乾坤は一処に併処し、天地の気は混雑すれば、ゆえに「玄黄」と称す。) 陽来りて陰を蕩動せば、坤の内卦初六は時に応じて変じて陽に入りて、就中震と成る。陰盛んにして陽微し、陽は漸々返り来るなれば、ゆえに復と称す。接続して陽爻を降下して、地雷復卦に進入す。

坤宮・復(震下坤上)

陰極則反,陽道行【一作正】也。《易》云:“君子道長,小人道消”。又曰:“七日來復”。【七日,陽之稱也。七九稱陽之數也。謂坤上六,陰極陽戰之地,陰雖不能勝陽,然正當盛,陽不可輕犯。六陽涉六陰反下,七爻在初,故稱七日。日亦陽也。】六爻反復之稱。【注在前。】《易》云:“初九,不遠復,無祗悔”。【反至初九,陽來陰復,去遠也。】六爻盛,卦之體總稱也。

陰は極処に到れば就ち返回し、陽道は施行を得たり(「行」の字は一本「正」に作る)。《周易》に曰く「君子の道長じ、小人の道消ゆ」と。また曰く「七日にして来復す」と。(注:七は陽の称谓にして、七と九とは皆陽数と称す。これは坤の上六を説く、正に陰極まりて陽と相戦するの地なり。陰は陽に勝てざるも、但しこの時は正に極盛に当たり、陽も亦軽易に冒犯すべからず。六個の陽爻は六個の陰爻を渉過して下方に返回し、第七爻は恰も初位に落つ。ゆえに「七日」と称す、「日」も亦陽に属す。)これは六爻の反復往来に就きて立つる名目なり。(注:解説は前を見よ。)《周易》復卦に曰く「初九、遠からず復る、祗の悔無し」と。(注:初九に返れば、陽来りて陰は復帰し、去りて還た遠からず。)六爻倶に盛んなるは、則ち全卦の卦体に対する総称なり。

曰一陽為一卦之主,與震為飛伏。【庚子水,乙未土。】初九元士之世,六四諸侯見應。 建始乙未至庚子,【大暑大雪見候,起坤,六月至十一月,戊子為正朔,見復之兆。】積算起庚子至己亥,【積算起庚子至己亥,十月至十一月,年亦然。】周而復始。土水見候。

一個の陽爻は全卦の主と成り、復は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚子水、伏神は乙未土。)初九「元士」は世爻と為り、六四「諸侯」はそれと相応す。 建候は乙未より起り、庚子に推し、(注:大暑と大雪の間に於て候を見る。坤より起算し、六月より十一月に至る。戊子を以て正朔と為せば、復の兆を見るに就く。)積算は庚子より起り、己亥に推し、(注:積算は庚子より己亥に推す、すなわち十月より十一月に至る。年に按じて推算するも亦このごとし。)周して復た始まり、土と水と交替して候を見る。

五星從位起歲星,【歲星木星入復卦,合水土,配吉凶。】張宿從位降庚子,【二十八宿分張宿,入復卦庚子水上。】分氣候二十八。【積算起數二十八,定吉凶六爻。】 坤上震下,動而順,是陽來蕩陰,陰柔反去,剛陽復位,君子進,小人退。《易》云:“休復,元吉”。 陽升陰降,變六二入兌象,次併臨,二陽將進,內為悅。陰來陽去,氣漸隆,【陰不敢拒陽,奉命而已。】次降入地澤臨卦。

五星の輪値は「歳星」に起り、(注:歳星は木に属し、復卦に入りて、水土と会合して吉凶を配定す。)二十八宿は張宿に輪り、庚子爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より張宿を分出して、復卦庚子水の上に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算の起数は二十八にして、拠りて六爻の吉凶を判定す。) 坤は上に在り震は下に在り、能く動きて而も柔順なり。これは陽の来りて陰を蕩動するなり――陰柔は反って退去し、剛陽は本位を恢復し、君子は上進し小人は退避す。《周易》復卦六四に曰く「休復、元吉」と。 陽升りて陰降り、六二一たび変じて兌象と成り、接続して併せて臨卦に入る。两個の陽爻は将に前進せんとし、内卦は転じて和悦と為る。陰退きて陽来り、陽気は漸々隆盛す。(注:陰は敢えて陽に抗拒せず、ただ命に奉して行うのみ。)接続して降りて地沢臨卦に入る。

坤宮・臨(兌下坤上)

陽長陰消悅而順,金土應候剛柔分。震入兌,二陽剛,本體陰柔降入臨。臨者,大也。陽爻健順,陽交退散。《易》曰:“君子之道”。《易》云:“至于八月有凶”。【建丑至未也。】陽長,六爻反復,吉凶之道可見矣。【至于八月入遁。】與兌為飛伏,【丁卯木,乙巳火。】九二大夫立世,六五至尊應上位。

臨卦は陽長じて陰消え、内は悦にして外は順なり。金と土とは節候に応合し、剛柔是に就きて分判す。震は変じて兌に入り、两個の陽爻は剛健にして、本体の陰柔は便ち降りて臨と成る。臨はすなわち大なり。陽爻はすでに健にして且つ順にして、陽は交相推して陰は退散す。《周易》はこれを「君子の道」と曰う。《周易》臨卦にまた曰く「八月に至りて凶有り」と。(注:指すは建丑の月より建未の月に至る。)陽は増長するも、六爻は反復往還し、吉凶の道は此より見るべし。(注:八月に到れば就中遁卦に転入す。)臨は兌卦と互いに飛伏し、(注:飛神は丁卯木、伏神は乙巳火。)九二「大夫」立ちて世爻と為り、六五至尊は上位に在りてそれと相応す。

建始丙申至辛丑,【立秋,大寒。】七月積氣至六月,吉凶隨爻考汙隆。【旺則隆,衰則汙。】積算起辛丑至庚子。【積算起金土入卦,推休咎於六爻。】 五星從位起熒惑,【熒惑火星,入卦用事。】翼宿從位在丁卯,【二十八宿,翼宿入卦九二爻木上。】分氣候三十六。【定陰陽之數,起於三十六積算。】

建候は丙申より起り、辛丑に推し、(注:立秋より大寒に至る。)気は七月より積起して一直に六月に至る。吉凶は各爻に随いて其の隆か汚かを考察す。(注:旺なれば隆盛し、衰えれば汚下す。)積算は辛丑より起り、庚子に推す。(注:積算は金・土を以て卦に入りて、六爻の上に於て休咎を推斷す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑火星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は翼宿に輪り、丁卯爻の上に落ちて、(注:二十八宿の中に翼宿は卦に入りて、九二のこの木爻の上に落つ。)分配の気候の数は三十六なり。(注:陰陽の数を定出して、三十六より積算を起す。)

坤下見兌,悅、澤,臨。陽升陰降,入三陽,乾象入坤,即泰卦。【臨卦內象先陽長,逼陰成乾為泰象。】外坤積陰,內兌亦為陰,二陽合體,柔順之道,不可貞。吉凶以時,配於六位,用於陽長之爻,成臨之義。 六三將變陽爻,至次降入泰卦。【次入地天泰卦。】

坤下に兌を見て、和悦にして潤沢す、これすなわち臨なり。陽升りて陰降り、再び一個の陽爻を進めば、乾象は坤に入りて、便ち泰卦なり。(注:臨卦の内象は先に陽の増長有りて、陰を逼退して乾を成せば、すなわち泰象なり。)外卦坤は陰を積み、内卦兌も亦陰に属し、两個の陽爻は合して一体を成し、柔順の道は固執堅守すべからず。吉凶は時令に按じて定め、六爻の位に配して、取用は陽長する彼の一爻に在れば、臨の意義は就中成立せり。 六三は将に変じて陽爻と為らんとし、接続して便ち降りて泰卦に入る。(注:地天泰卦に進入す。)

坤宮・泰(乾下坤上)

乾坤二象,合為一運,天入地交泰,萬物生焉。小往大來,陽長陰危,金土二氣交合。《易》云:“泰者,通也”。通於天地,長於品彙。陽氣內進,陰氣升降,升降之道,成於泰象。與乾為飛伏。【甲辰土,乙卯木。】三公立九三為世,上六宗廟為應候。

泰卦は乾坤二象合して一運と為り、天気は地に入りて交泰し、万物此より生成す。小なる者は往き大なる者は来り、陽は増長して陰は危殆なり。金と土の二気は交相会合す。《周易》に曰く「泰は、通なり」と。上下は天地に通じ、各類の品物を長養す。陽気は内に在りて前進し、陰気は一升一降す。升降の道は、泰の卦象を成就せり。泰は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は甲辰土、伏神は乙卯木。)「三公」は九三を立てて世爻と為し、上六「宗廟」は応と為る。

建始丁酉至壬寅,【秋分,立春。】積算起壬寅至辛丑,周而復始。【金土位上起積算吉凶。】 五星從位起鎮星,【土星入卦。】軫宿從位降甲辰,分氣候二十八。【積算起二十八數,於甲辰位。】

建候は丁酉より起り、壬寅に推し、(注:秋分より立春に至る。)積算は壬寅より起り、辛丑に推して、周して復た始まる。(注:金・土の位の上に於て積算を起して吉凶を断ず。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:土星は卦に入る。)二十八宿は軫宿に輪り、甲辰爻の上に降落す。分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は二十八の数を起して、甲辰のこの位の上に落つ。)

地下有天,陽道浸長,不可極,極則否成。【三陽務上,坤順而往,往而不已,否道至。】存泰之義,在於六五,陰居陽位,能順於陽,陰陽相納,二氣相感,終於泰道。 外卦純陰,陽來剛柔,成於震象。陰降陽升,居乾上,成大壯。【次降陰昇陽,入雷天大壯卦。】

地下に天有り、陽道漸々増長すれども、尽頭に推す可からず。尽頭に到れば否は就中形成す。(注:三個の陽爻は一味に上進し、坤はそれに順いて往き、往きて停まらざれば、否道は就中到る。)泰を保住する関鍵は六五に在り――陰を以て陽位に居り、能く陽に順従し、陰陽彼此相容納し、二気交相感応して、終に泰道を成全せり。 外卦は純陰にして、陽来りて剛柔交換して、震象と成る。陰降りて陽升り、乾の上に居れば、就中大壮と成る。(注:接続して陰降り陽升して、雷天大壮卦に進入す。)

坤宮・大壮(乾下震上)

內外二象動而健,陽勝陰而為壯。【內陽升降,二象俱陽,曰大壯。】《易》曰:“羝羊觸藩,羸其角”。進退難也。壯不可極,極則敗物,不可極,極則反。故曰:“君子用罔,小人用壯”。與震為飛伏。【庚午火,癸丑土。】九四諸侯立世,初九元士在應。

大壮卦は内外二象は能く動きて而も剛健にして、陽は陰に勝れり、ゆえに壮と呼ぶ。(注:内卦陽爻は升降し、内外両象は皆陽に属すれば、ゆえに大壮と曰う。)《周易》大壮卦に曰く「羝羊は藩に触れて、其の角を羸す」と。これは進退両難なり。壮は尽頭に推す可からず、尽頭に到れば便ち事物を損壊す。尽頭に到る可からず、尽頭に到れば便ち反転す。ゆえに曰く「君子は罔を用い、小人は壮を用う」と。大壮は震卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚午火、伏神は癸丑土。)九四「諸侯」立ちて世爻と為り、初九「元士」は応位に在り。

建始戊戌至癸卯,【寒露至春分。】積算起癸卯至壬寅,【土木入卦起積算。】 五星從位起太白,【太白金星入卦。】角宿從位降庚午,【二十八宿入卦,配角宿,入大壯庚午九四爻上。】分氣候三十六。【積算起數庚午火,定吉凶。】

建候は戊戌より起り、癸卯に推し、(注:寒露より春分に至る。)積算は癸卯より起り、壬寅に推す。(注:土・木は卦に入りて積算を起す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は卦に入る。)二十八宿は角宿に輪り、庚午爻の上に降落し、(注:二十八宿は卦に入りて、角宿を配して大壮九四庚午爻の上に進入す。)分配の気候の数は三十六なり。(注:積算は庚午火より数を起して、拠りて吉凶を判定す。)

雷在天上,健而動,陽升陰降,陽來蕩陰,吉凶隨爻著於四時。九四庚午火之位,入坤,為卦之本。起於子,滅於寅。陰陽進退,六位不居,周流六虛。 外象震入兌為陰,悅適爻為剛長。次降入夬,陽決陰之象,入澤天夬卦。

雷は天上に在り、剛健にして能く動く。陽升りて陰降り、陽来りて陰を蕩動し、吉凶は各爻に随いて四時に於て顕著す。九四庚午火の这一位は、坤に入りて本卦の根本なり。それは子に起りて寅に滅す。陰陽は一進一退し、六爻の位は固定せず、六虚の間に周流す。 外象震は転じて兌に入りて陰と成り、和悦は爻に順いて剛爻増長す。接続して降りて夬卦に入る。あれは陽が陰を決去する象にして、すなわち沢天夬卦なり。

坤宮・夬(乾下兌上)

剛決柔,陰道滅。五陽務下,一陰危上,將反游魂。九四,悔也。 澤上於天,君道行也。【夬,五世。六位周而復始,為游魂。至九四成陰,入坎為需。】與兌為飛伏。【丁酉金,癸亥水。】九五立世,九二大夫為應。【九五在兌象為世,澤小於天也。】

夬卦は剛爻が柔爻を決去して、陰道は消滅に趨向す。五個の陽爻は皆下面に在りて事を用い、一個の陰爻は孤危に上位に居り、接下に将に遊魂に転ぜんとす。九四のこの一爻は悔を帯ぶ。 沢は天上に升り、君道は施行を得たり。(注:夬は本宮第五世卦なり。六爻の位は周して復た始まり、次の一歩は便ち遊魂なり。九四が陰爻に変ずるに到れば、坎に入れば需卦なり。)夬は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丁酉金、伏神は癸亥水。)九五立ちて世爻と為り、九二「大夫」はそれと相応す。(注:九五は兌象の中に在りて世爻と為るも、沢は終究天より小なり。)

建始己亥至甲辰,【小雪,清明。】積算起甲辰至癸卯,周而復始。金木分乾兌入坤象。【入坤宮起積算。】 五星從位起太陰,【太陰,水星。入卦起算。】亢宿從位降丁酉,【二十八宿配亢宿,入夬卦丁酉金上起。】分氣候二十八。【積算起宮二十八,入卦中甲辰,還丁酉金上定吉凶。】

建候は己亥より起り、甲辰に推し、(注:小雪より清明に至る。)積算は甲辰より起り、癸卯に推して、周して復た始まる。金と木とは乾・兌に分属して坤象に入る。(注:坤宮に進入して積算を起す。) 五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰はすなわち水星にして、卦に入りて起算す。)二十八宿は亢宿に輪り、丁酉爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に亢宿を配し、夬卦丁酉金の上より起算す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は本宮二十八より起りて、卦中の甲辰に進入し、再び丁酉金の上に回りて吉凶を判定す。)

《易》云:“澤上於天,夬”。“揚于王庭”。柔道消,消不可極,反於游魂。九四柔來文剛,陰道存也,陰之道不可終否。剛柔相濟,日月明矣;天地定位,人事通也。【凡卦,陰極陽生,陽極陰生,生生之義,不絕之貌。日月循環,天地交泰,陰陽相蕩,六位交分,萬物生焉。】故曰:雷動風行,山澤通氣。人之運動,體斯合矣。【人稟五常,三焦九竅,風火逓相兼濟,以一位虧,四體羸焉。】 陰陽升降,反復道也。次降入游魂水天需卦。

《周易》夬卦に曰く「沢は天に上る、夬」と。また曰く「王庭に揚ぐ」と。柔道は正に消退し、消えて再び消む可き無ければ、便ち遊魂に返るを要す。九四は柔を以て剛を文飾し、陰道は仍旧存在して、陰の道理は終に閉塞に至らず。剛柔互相調済し、日月因りて光明す。天地各々其の位を定め、人事因りて通暢す。(注:凡そ卦は皆陰は極処に到れば陽生じ、陽は極処に到れば陰生ず。これすなわち生々已まず綿延絶えずの意なり。日月は循環し、天地は交泰し、陰陽互相激蕩し、六爻の位は交錯分布して、万物此より生成す。)ゆえに曰く――雷動風行、山沢は気を通ず。人身の運転活動も、亦この道理と相合す。(注:人は五常の性を禀受し、身に三焦九窍有りて、風と火とは遞相調済す。ただ一処亏損せば、四肢は皆衰弱せん。) 陰陽升降は、正に反復往還の道なり。接続して降りて遊魂の水天需卦に入る。

坤宮・需(乾下坎上・遊魂)

雲上於天,凝於陰而待於陽,故曰需。需者,待也。三陽務上,而隔於六四,路之險也。【外卦坎水,為險。亦陰稱血也。】坤之反復,適陽入陰,【夬卦九四,入需卦成六四,陰之位也。】陰陽交會運動,陰雨積而凝滯於陽,通乃合也。【群陽務上,一陰報之,故凝滯雨乃合。】與兌為飛伏。【戊申金,丁亥水。】游魂立世諸侯,應初九元士。

需卦は雲気は天上に升り、陰に凝聚して陽の来るを等待す、ゆえに需と呼ぶ。需はすなわち等待なり。三個の陽爻は力を竭くして上行すれども、六四に隔住せられて、前路に険有り。(注:外卦坎は水に属し、険と為る。陰も亦血と称すべし。)これは坤宮反復推衍して、恰も陽の陰に入るに逢う。(注:夬卦の九四は、需卦に到りて六四に変ず、正に陰位なり。)陰陽交相会動し、陰雨は積聚して陽の前面に凝滞し、通ずるを待ちてこそ会合すべし。(注:衆陽は力を竭くして上行し、一陰はそれらに回応すれば、ゆえに先に凝滞して後に会合す。)需は兌卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊申金、伏神は丁亥水。)遊魂卦は第四爻「諸侯」を以て立ちて世爻と為し、初九「元士」と相応す。

建始甲辰至己酉,【清明,秋分。】積算起己酉至戊申,周而復始。金土入乾坎。【積算起宮定吉凶。】 五星從位起歲星,【歲星木星入卦。】氐宿從位降戊申,【二十八宿降氐宿,入坤宮游魂卦六四戊申金上,起積算吉凶。】分氣候三十六。【定吉凶總三十六位起算。】

建候は甲辰より起り、己酉に推し、(注:清明より秋分に至る。)積算は己酉より起り、戊申に推して、周して復た始まる。金と土とは乾・坎の両象に進入す。(注:積算は宮を起して吉凶を定む。) 五星の輪値は「歳星」に起り、(注:歳星は木に属し、卦に入る。)二十八宿は氐宿に輪り、戊申爻の上に降落し、(注:二十八宿の中より氐宿を降下して、坤宮遊魂卦六四戊申金の上に進入し、拠りて積算を起して吉凶を断ず。)分配の気候の数は三十六なり。(注:吉凶を判定するは総じて三十六位より起算す。)

乾外見坎,健而進,險在前也。需於飲食,爭於坎也。陰陽相激,勝負有倚,反為不速,敬終有慶。陰陽漸消,陽道行行,反復其位,不妄於陰。 坎降入歸魂,水地比卦,坤之歸魂也。

乾は内に在りて外に坎を見え、剛健にして前進すれども、険は却って前面に横たわる。「飲食に需る」は、坎険の中に在りて相争うに因る。陰陽互相激蕩し、勝負各々倚る所有り。反って不速の客の到来有りて、能く敬慎して終れば便ち喜慶有り。陰気漸々消退し、陽道は通行已まず、各々本位に返回して、陰の上に於て妄動するに至らず。 坎は降りて帰魂に入りて、水地比卦と成る。これすなわち坤宮の帰魂なり。

坤宮・比(坤下坎上・帰魂)

反本復位,陰陽相定,六爻交互,一氣在也。水在地上,九五居尊,萬民服也。【比卦一陽五陰,少者為貴,眾之所尊者也。】比親於物,物亦附焉。原筮於宗,歸之於眾。諸侯列土,君上崇之,奉於宗祧,盟契無差,邦必昌矣。與乾為飛伏。【乙卯木,甲辰土。】歸魂六之三公居世,應上六宗廟。

比卦は本に返り位に復し、陰陽彼此安定し、六爻交互往来して、同一の気は其中に貫串す。水は地上に在り、九五は尊位に居り、万民は皆来り帰服す。(注:比卦は一陽五陰、少なき者を以て貴しと為るは、正に衆人の尊奉する所なり。)外物に親比すれば、外物も亦来り依附す。原本は宗主に占問し、最終は衆人に帰結す。諸侯は封を受け列土し、君上はそれらを尊崇し、共に宗廟に奉じ、盟約信契は差錯出ざれば、邦国は必定昌盛す。比は乾卦と互いに飛伏す。(注:飛神は乙卯木、伏神は甲辰土。)帰魂卦は第三爻「三公」を以て居りて世爻と為し、上六「宗廟」と相応す。

建始癸卯至戊申,【春分,立秋。】積算起戊申至丁未,周而復始。 五星從位起熒惑,【火星入卦。】房宿從位降乙卯,【二十八宿配房宿,入坤歸魂乙卯木位上。】分氣候二十八。【積算起二十八數。】

建候は癸卯より起り、戊申に推し、(注:春分より立秋に至る。)積算は戊申より起り、丁未に推して、周して復た始まる。 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:火星は卦に入る。)二十八宿は房宿に輪り、乙卯爻の上に降落し、(注:二十八宿の中に房宿を配して、坤宮帰魂卦乙卯木位の上に進入す。)分配の気候の数は二十八なり。(注:積算は二十八の数を起す。)

陰道將復,以陽為主,一陽居尊,群陰宗之。六爻交分,吉凶定矣。地道之義,妻道同也,臣之附君,比道成也。 歸魂復本,陰陽相成,萬物生也。故曰:坤生三女巽離兌,分長中下。【巽長女,離中女,兌少女。】以陽求陰,乾之巽,為長女。

陰道は将に回復せんとして、仍ほ陽を以て主と為す――一個の陽爻は尊位に居り、衆陰は皆それを宗奉す。六爻交錯して位を分かち、吉凶は就中定下せり。地道の意義は妻道と相同じ。臣下は君上に依附して、比の道理は就中成全せり。 帰魂は本宮に復帰し、陰陽互相成就し、万物此より生成す。ゆえに曰く――坤は巽・離・兌の三個の女卦を生出し、分かれて長女・中女・少女と為す。(注:巽は長女、離は中女、兌は少女。)陽を以て陰に求めば、乾変じて巽と為るは、すなわち長女なり。

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