京氏易伝・巻上
これは清代《欽定四庫全書》に収録せる本子である。書名は《京氏易伝》、漢代京房の撰。京房は字を君明、西漢東郡頓丘の人、《易》を焦延寿に受け、漢…
易経易学典籍
術数への応用を目指すなら、まず六十四卦の卦爻辞と《説卦伝》の取象に親しむ。義理を目指すなら《繋辞伝》から入るのがよい。
欽定四庫全書 京氏易傳 漢 京房 撰
これは清代《欽定四庫全書》に収録せる本子である。書名は《京氏易伝》、漢代京房の撰。京房は字を君明、西漢東郡頓丘の人、《易》を焦延寿に受け、漢代象数易学の宗師である。全書は乾・震・坎・艮・坤・巽・離・兌の八宮を以て六十四卦を統摂し、卦ごとに「納甲」「世応」「飛伏」「建候」「積算」「五星」「二十八宿」の諸法を講ずる。
乾宮・乾(乾上乾下)
純陽用事。象配天,屬金。與坤為飛伏,居世。【壬戌土,癸酉金。】《易》云:“用九,見群龍無首,吉”。【純陽,用九之德。】九三,三公為應,肖乾乾、夕惕之憂。 甲壬配外內二象,【乾為天地之首,分甲壬入乾位。】積算起己巳火,至戊辰土,周而復始。【吉凶之兆,積年起月,積日起時,積時起卦入本宮。】
乾卦の六爻は全陽にして、純陽の気が令を当て事を用いる。取象の上で天と相配し、五行は金に属す。それは坤卦と互いに「飛伏」を為す――世爻上に顕露する一面を「飛」と呼び、世爻の背後に蔵れて坤卦の納する干支を「伏」と呼ぶ。乾は上爻を以て世とす。(注:飛神は壬戌土、伏神は癸酉金。)《周易》乾卦に曰く「九を用う、群竜を見て首無し、吉」と。(注:六爻純陽、正に「用九」が顕す徳性なり。)九三のこの爻位は「三公」と号し、世爻の応爻にして、取るは「終日乾乾、夕に惕ること厲の若し」のあの日夜戒懼の意なり。 乾卦の「納甲」は、甲を以て内卦に配し壬を以て外卦に配し、分かちて内外両象に属す。(注:乾は天地の首なれば、甲・壬の両干を乾位に納入す。)「積算」は己巳(火)より起り、戊辰(土)に推して、周して復た始まる。(注:吉凶の兆は就中これより推し出す――年を積みて月を起し、日を積みて時を起し、時を積みて卦を起し、最後に本宮に帰入して断ず。)
五星從位起鎮星,【土星入西方,麗西北,居壬戌為伏位。】參宿從位起壬戌,【壬戌在世,居宗廟。】建子起潛龍,【十一月冬至,一陽生。】建巳至極,主亢位。【四月龍見於辰,陽極陰來,吉去凶生,用九吉。】 配於人事:為首,【乾為首也。】為君父。【乾象堅剛,天地之尊,故為君父。】於類:為馬,為龍。【天行運轉不息。】
五星は卦位に依りて輪値し、乾卦は「鎮星」に輪り当たる、すなわち土星なり。(注:土星は西方の位に入りて、西北に附麗し、壬戌の上に落ちて伏位と為る。)二十八宿は依次輪転し、この卦は参宿に輪り、壬戌爻の上に落つ。(注:壬戌は正に世爻にして、上爻「宗廟」の位に居る。)建候は子月より起り、初九「潜竜勿用」に応ず。(注:十一月冬至、一陽始めて生ず。)建てて巳月に到りて極に至り、上九「亢竜」の位を主る。(注:四月竜は辰に見え、陽は極処に到れば陰気便ち来る。吉去りて凶生ずれば、ゆえに「用九」の道を用いるを須いてこそ吉ならん。) 人事に配るに――頭と為し、(注:乾はすなわち首なり。)君王・父親と為す。(注:乾象は剛健にして、天地間の至尊者なれば、君と為し父と為す。)物類に配るに――馬と為し、竜と為す。(注:皆天体運行の息まずの意を取る。)
降五行,頒六位。【十二辰分六位升降,以時消息吉凶。】居西北之分野,陰陽相戰之地。《易》云:“戰於乾。”【乾為陽,西北陰,陽入陰,二氣盛必戰。】 天六位,地六氣。六象,六包,四象分萬物。陰陽無差,升降有等。【陰陽二十四候,律呂調矣。】人事吉凶,見乎其象,造化分乎有無。【故云:變動不居,周流六虛。】
乾卦は五行を下降し、六爻の位を頒布す。(注:十二地支は六爻の上に分配して升降し、時令の消長に随いて吉凶を定む。)乾は西北の分野に居る。あれは正に陰陽交戦の地なり。《周易・説卦》に曰く「乾に戦う」と。(注:乾は本は陽に属し、西北は陰に属す。陽は陰地に入りて、両気倶に盛んなれば、必然相い戦う。) 天に六位有り、地に六気有り。卦に六象・六包有り(この二字は旧本已に通解し難し、姑くその旧に仍む)、四象は此より分化して万物を出す。陰陽配合して差錯無く、升降各々等次有り。(注:陰陽は共に二十四節候にして、十二律呂の数も亦調協す。)人事の吉凶は、皆卦爻の象に顕現し、造化の運行は、則ち「有」と「無」の間に分判す。(注:ゆえに《繋辞》に曰く「変動して居らず、六虚に周流す」と。)
六位純陽,陰象在中。【陽中陰,陰中陽。】陽為君,陰為臣;陽為民,陰為事。陽實陰虛,明暗之象,陰陽可知。【三五為陽,二四為陰,初上潛亢。】 水配位為褔德,【甲子水是乾之子孫。】木入金鄉居寶貝,【甲寅木是乾之財。】土臨內象為父母,【甲辰土是乾之父母。】火來四上嫌相敵,【壬午火是乾之官鬼。】金入金鄉木漸微。【壬申金同位傷木。】宗廟上建戌亥,乾本位。【戌亥乾之位。】 陽極陰生。【降入姤卦。】八卦例諸。
六爻純陽なるも、而して陰の象はなお其中に含む。(注:陽中に陰有り、陰中に陽有り。)陽は君と為り陰は臣と為り、陽は民と為り陰は事と為る。陽は実にして陰は虚、これすなわち明と暗の象にして、陰陽の分際は此より知るべし。(注:三爻五爻は陽位に属し、二爻四爻は陰位に属し、初爻は「潜」、上爻は「亢」と為す。) 再び「六親」に按じて納甲に配す――水は初爻に配して「福徳」と為し、(注:甲子水は乾卦の子孫爻なり。)木は金郷に入りて「宝貝」と成り、(注:甲寅木は乾卦の妻財爻なり。)土は内卦に臨みて「父母」と為し、(注:甲辰土は乾卦の父母爻なり。)火は第四爻の上に来りて便ち本宮と相敵するを嫌う、(注:壬午火は乾卦の官鬼爻なり。)金はまた金郷に入りて、木気は就中漸漸衰微す。(注:壬申金は本宮と同属金にして、反って木財を傷つく。)上爻「宗廟」の建てる所は戌・亥にして、正に乾の本位なり。(注:戌亥はすなわち乾の方位なり。) 陽は極処に到れば、陰便ち生出す。(注:是に降りて姤卦に入る。)其余八宮の諸卦は、皆この体例に照りて推衍す。
乾宮・姤(巽下乾上)
陰爻用事。金木互體,天下風行曰姤。姤,遇也。《易》曰:“陰遇陽。”【一陰初生,陽氣猶盛,陰未為敵。】與巽為飛伏,元士居世。【辛丑土,甲子水。】尊就卑,【子孫與父母相代位。】定吉凶,只取一爻之象。【多以少為貴。】九四諸侯堅剛在上,陰氣處下。《易》云:“繫于金柅。”
姤卦は初六のこの陰爻に由りて令を当て事を用いる。内巽は木に属し外乾は金に属し、金木交互して体を成す。天下に風の運行有りて、就中これを姤と呼ぶ。姤はすなわち相遇の意なり。《周易》に曰く「陰は陽に遇う」と。(注:一陰剛に生出し、陽気はなお甚だ旺盛にして、陰は尚ほ足りて陽と敵と為さず。)姤は巽卦と互いに飛伏し、世爻は初爻「元士」の位に落つ。(注:飛神は辛丑土、伏神は甲子水。)尊者は卑者に屈就し、(注:子孫爻と父母爻と互いに位次を換えたり。)吉凶を判断する時は、ただ初六のこの一爻の象を取る。(注:衆多の中は少なき者を以て貴しと為す。)九四「諸侯」は剛健を以て上位に居り、陰気は則ち下面に処す。《周易》姤卦初六に曰く「金柅に繋がる」と。
巽積陰入陽,辛壬降內外象,建庚午至乙亥。【芒種,小雪。】積算起乙亥水,至丙戌土,周而復始。【災福之兆,生乎五行升降也。】 五星從位起太白,【太白在西,居金位。】井宿從位入辛丑,【辛丑入土,元土臨母也。】
巽の積める陰気は陽中に入り、納甲は辛を以て内卦に配し壬を以て外卦に配し、分降して内外両象に入る。建候は庚午より起り、乙亥に至りて止む。(注:すなわち芒種より小雪に至る。)積算は乙亥(水)より起り、丙戌(土)に推して、周して復た始まる。(注:災と福の兆は、皆五行の升降の中より生出す。) 五星の輪値は「太白」に起る、すなわち金星なり。(注:太白は西方に在りて、正に金位に当たる。)二十八宿は井宿に輪り、初爻辛丑に落入す。(注:辛丑は土に属し、元士の位は父母爻の上に臨む。)
建午起坤宮初六爻。《易》云:“履霜堅冰至。”建亥,龍戰于野。【戌亥是乾之位。乾伏本位必戰,積陰之地猶盛,故戰。】 配於人事:為腹,為母,【坤順,容於物。】於類為馬。《易》云:“行地無疆。”【此釋一爻配坤象,本體是乾巽,今贊一爻起陰,假坤象言之。】
建候は午月に起り、正に坤宮初六の一爻に対応す。《周易》坤卦初六に曰く「霜を履みて、堅氷至る」と。建てて亥月に到れば、便ち「竜野に戦う」なり。(注:戌・亥は本是乾の方位にして、乾は自らの本位の上に潜伏すれば必定戦う。彼処はまた積陰の最盛の地なれば、ゆえに戦象有り。) 人事に配るに――腹と為し、母親と為す。(注:坤性は柔順にして、能く万物を容納す。)物類に配れば則ち馬と為す。《周易》坤卦に曰く「地を行くに疆無し」と。(注:ここは就中初六のこの一爻の配する坤象に就きて解釈するなり。姤卦本体は本是内巽外乾なり、如今初爻に陰を起せるに因りて、ゆえに坤象を借りて来て言う。)
內巽為風,乾為天;天下有風行,君子以號令告四方。【巽,入也。風入於坤,皆動也。故知天下有風動其物也。】 天風氣象三十六候。【三十六候節氣,降大風象。】木入金為始,【金納木也。】陰不能制於陽,附於金柅。《易》之“柔道牽”也。 五行升降,以時消息,陰蕩降入遁。【天山遁卦。】
内卦巽は風、外卦乾は天。天下に風の運行有りて、君子は象を此に取りて、号令を用いて四方に曉諭す。(注:巽は「入」の意なり。風は地に入りて、万物随いて動かざる無し。ゆえに天下に風有りて、能く万物を鼓動すと曰う。) 天風姤の気象は、分配の気候の数は三十六なり。(注:三十六候の節気は、正に大風の象に応ず。)木が金位に入るは姤の起始にして、(注:金は木を納伏せり。)陰は還た陽を制伏し得ず、ただ「金柅」の上に依附するのみ、これすなわち《周易》の謂う所の「柔道牽」なり。 五行は爻位に随いて升降し、時令に按じて消長す。陰気は蕩動して下り、降りて遁卦に入る。(注:すなわち天山遁卦。)
乾宮・遁(艮下乾上)
陰爻用事。陰蕩陽,遁。金土見象,山在天下為遁。【遁,退也。】陰來陽退也。小人君子汙隆,契斯義也。《易》云:“遁世無悶。”與艮為飛伏,大夫居世。建辛未為月。【丙午火,丙寅木。】六二得應,與君位遇建焉,臣事君,全身遠害。【遁,候時也。】
遁卦は下二陰爻に由りて令を当て事を用いる。陰気は陽気を蕩逼し、陽は只好退避す、これすなわち遁なり。金(乾)と土(艮)の象併せ見え、山は天の下に在れば、ゆえに名を遁とす。(注:遁はすなわち退なり。)陰気は進み来れば、陽気は便ち退去す。小人勢を得て君子位を失い、一汚一隆、正にこの道理に合す。《周易》に曰く「世に遯れて悶えず」と。遁は艮卦と互いに飛伏し、世爻は第二爻「大夫」の位に落ち、建候は辛未の月に起る。(注:飛神は丙午火、伏神は丙寅木。)六二は九五の相応を得て、臣位と君位と相遇して立建す。これは臣下が君上に事奉し、同時に又自らを保全し禍害を遠離すること能くすなり。(注:遁の要義は時機を等候するに在り。)
建辛未至丙子,陰陽遁去,終而伏位。【從六月至十一月也。】積算起丙子至乙亥,周而復始。【火土同宮,天與山遁。】陽消陰長,無專於敗。《繫》云:能消者息,必專者敗。 五星從位起太陰,鬼宿入位降丙辰。【丙辰臨元土。】
建候は辛未より丙子に推して、陰陽の気は依次遁去し、最後に伏位に帰す。(注:すなわち六月より十一月に推す。)積算は丙子より起り、乙亥に推して、周して復た始まる。(注:火と土は同じく一宮に在りて、正に天山遁の象に合す。)陽気消退して陰気生長すれども、却って一味に敗亡に走向せず。《繋辞》に曰く――能く自ら消損する者は反って生々息まず、一味に剛強を専恃する者は必定敗壊す。 五星の輪値は「太陰」に起る、すなわち水星なり。二十八宿は鬼宿に輪り、丙辰爻の上に降落す。(注:丙辰は初爻元士の位に臨む。)
配於人事:為背,為手。【艮為背、手。】於類為狗,為山石。 內外升降,陰陽分數二十八候。【分陰陽進退。】 土入金為緩,積陽為天,積陰為地。山所地高峻,逼通於天。是陰長陽消,降入否。【陰逼陽去,入天地否卦。】
人事に配るに――背と為し、手と為す。(注:艮象は背と手を取る。)物類に配れば則ち狗と為し、山石と為す。 内外二象は升降往来し、陰陽の分かつ所の気候の数は二十八なり。(注:此より陰陽の進退を分辨す。) 土は金を生じ、その勢和緩なり。陽気は積聚して天と成り、陰気は積聚して地と成る。山は大地に依りて高峻挺拔し、逼近して天に通ず。これ正に陰長陽消の勢にして、是に降りて否卦に入る。(注:陰気は陽気を逼めて退去せしめ、天地否卦に進入す。)
乾宮・否(坤下乾上)
內象陰長,【純用陰事】天氣上騰,地氣下降,二象分離,萬物不交也。小人道長,君子道消。【陰小人,陽君子。】《易》云:“否之匪人。”與坤為飛伏,三公居世。【乙卯木,甲辰土。】上九宗廟為應。君子以俟時,小人為災。【乙卯泰來。】
否卦の内卦は陰気増長し、(注:内卦は純に陰事を用いる。)天気は上騰し地気は下沈し、天地二象は各々分離し、万物は交通すること能わず。小人の道は日に長じ、君子の道は日に消す。(注:陰は小人を指し、陽は君子を指す。)《周易》に曰く「否の匪人」と。否は坤卦と互いに飛伏し、世爻は第三爻「三公」の位に落つ。(注:飛神は乙卯木、伏神は甲辰土。)上九「宗廟」はそれの応爻なり。君子はこの時に於てただ静かに時機を候すべく、小人は却ってこれに因りて災を招く。(注:乙卯一たび動けば、泰運便ち到る。)
建壬申至丁丑,陰氣浸長。【七月立秋,至十二月大寒。】積算起丁丑至丙子,周而復始。【金、丑土同宮,吉凶見矣。】 五星從位起歲星,【木星入卦用事。】柳宿從位降乙卯。【乙卯臨三公。】氣分氣候三十六。【六六三十六,積算吉凶。】陰陽升降,陽道消鑠,陰氣凝結,君臣父子各不迨及。【陰蕩陽來道行矣。】
建候は壬申より丁丑に推して、陰気漸々滋長す。(注:七月立秋、直に十二月大寒に至る。)積算は丁丑より起り、丙子に推して、周して復た始まる。(注:金と丑土は同じく一宮に在りて、吉凶は此より見るべし。) 五星の輪値は「歳星」に起る、すなわち木星なり。(注:木星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は柳宿に輪り、乙卯爻の上に降落す。(注:乙卯は正に三公の位に臨む。)分配の気候の数は三十六なり。(注:六六相乗して三十六を得、此に拠りて積算して吉凶す。)陰陽升降の際に、陽道は銷蝕せられ、陰気は凝聚結實し、君と臣・父と子は彼此皆及ばず通ぜず。(注:陰気の蕩尽し陽気の帰来するを待ちて、正道こそ行き通うを得ん。)
《易》曰:“其亡其亡,繫于苞桑。”【苞桑則叢桑也。】天地清濁,陰薄【音:博】陽消,天地盈虛,與時消息。危難之世,勢不可久。 五位既分,四時行矣。【君子當危難世,獨志,難不可久;立特處不改其操,將及泰來。】上九云:“否終則頃,何可長也。”【否及則泰來。】陰長降入於觀。【九四被陰逼入觀卦。】
《周易》否卦九五に曰く「其れ亡びなん其れ亡びなん、苞桑に繋がれ」と。(注:苞桑はすなわち叢生の桑樹にして、根柢牢固なり。)天地に清有り濁有り、陰気は迫近して陽気は消退し、天地の盈満と虚亏は、皆時令に随いて消長す。身を危難の世に処せば、この局勢は長久ならず。 五行の位すでに分定すれば、四時は便ち依次運行す。(注:君子は危難の世に身を処して、独り其の志を守り、深く危難の長久ならざるを知る。ただ卓然として自立し操守を改めざれば、泰運は終に到らん。)上九に曰く「否は終れば則ち傾く、怎么長久せんや」と。(注:否は尽頭に到れば、泰運便ち来る。)陰気は継続増長し、是に降りて観卦に入る。(注:九四は陰気に逼められて、観卦に進入す。)
乾宮・観(坤下巽上)
內象陰道已成,威權在臣。雖大觀在上,而陰道浸長。與巽為飛伏。諸侯臨世,【辛未土,壬午火。】反應元士而奉九五。【君位也。】《易》云:“觀國之光,利用賓于王。”【臣道出於六四爻也。】
観卦の内卦の陰道は已に形成し、威権は臣下の手裏に落到す。九五は「大観」を以て高居して上に在るも、陰気は却って仍在不断に滋長す。観は巽卦と互いに飛伏す。世爻は第四爻「諸侯」の位に落ち、(注:飛神は辛未土、伏神は壬午火。)下は初爻「元士」と相応し、上は九五の君に奉す。(注:九五は君位なり。)《周易》観卦六四に曰く「国の光を観る、王に賓たるに利し」と。(注:臣と為るの道は、正に六四のこの一爻より顕出す。)
建癸酉至戊寅,陰陽交伏。【秋分至立春。】積算起戊寅至丁丑,周而復始。【用金為首。】金火土互為體。 五星從位起熒惑,【火星入卦用事吉凶。】星宿從位降辛未。【星宿入諸侯宮,木星同位。】土木分氣二十八。【積算分配六位,吉凶爻定數。】陰陽升降,定吉凶成敗。取六四至於九五,成卦之終也。
建候は癸酉より戊寅に推して、陰陽交互に潜伏す。(注:秋分より立春に至る。)積算は戊寅より起り、丁丑に推して、周して復た始まる。(注:金を以て起首と為す。)金・火・土の三者は互いに体用と為る。 五星の輪値は「熒惑」に起る、すなわち火星なり。(注:火星は卦に入りて令を当て事を用い、拠りて吉凶を定む。)二十八宿は星宿に輪り、辛未爻の上に降落す。(注:星宿は諸侯の位に進入し、木星と同じく一位に処す。)土木が分分分配する気候の数は二十八なり。(注:積算の数は分布して六爻の上に到り、各爻の吉凶は就中定数有り。)陰陽は升降往来し、此より吉凶成敗を判定す。六四の上行して九五に至るを取れば、観卦の義は便ち終点に到れり。
《易》云:“觀我生。”【我生即道也。】又云:“風行地上。” 列象分爻,以定陰陽進退之道,吉凶見矣。地上見巽,積陰凝盛,降入於剝。【九五退陰入剝卦。】
《周易》観卦に曰く「我が生を観る」と。(注:「我が生」とは就中自ら行う所の道を指す。)また曰く「風は地上に行く」と。 卦象を排列し爻位を分辨し、用いて陰陽進退の道理を判定すれば、吉凶は就中顕現せり。地上に巽風を見れば、積聚の陰気は愈々凝重強盛にして、是に降りて剥卦に入る。(注:九五は陰に退譲して、剥卦に進入す。)
乾宮・剥(坤下艮上)
柔長剛減,天地盈虛。【建戌至建亥。】體象金為本,隨時運變,水土用事。成剝之義,出於上九。《易》云:“碩果不食,君子得輿,小人剝廬。”【君子全得剝道,安其位,小人終不可安也。】與艮為飛伏。【丙子水,壬申金。】天子治世,反應大夫。
剥卦は柔爻増長して剛爻消減し、正に天地盈虚の理を見る。(注:建候は戌月より亥月に至る。)本卦の体象は金を以て本と為し、時運に随いて推移変化し、この時は水と土とに由りて令を当て事を用いる。剥卦の義の成立は、上九の一爻に落つ。《周易》剥卦上九に曰く「碩果食われず、君子は輿を得、小人は廬を剥ぐ」と。(注:君子は完全に剥の道理を掌握すれば、ゆえに能く其の位に安んず。小人は終究安寧を得ず。)剥は艮卦と互いに飛伏す。(注:飛神は丙子水、伏神は壬申金。)世爻は第五爻「天子」の位に居りて主治し、下は第二爻「大夫」と相応す。
建甲戌至己卯,陰陽定候。【寒露至春分。】積算起己卯木至戊寅木,周而復始。【吉凶之兆見於有象。】純土配金用事。 五星從位起鎮星,【土星入卦。】張宿從位降丙子。【張宿入天子宮。】金土分氣三十六。【積算六位起吉凶,天地盈虛氣候。】
建候は甲戌より己卯に推して、陰陽の節候は此より定下す。(注:寒露より春分に至る。)積算は己卯(木)より起り、戊寅(木)に推して、周して復た始まる。(注:吉凶の兆は皆卦爻の象に顕現す。)この卦は純土を以て金に配して事を用いる。 五星の輪値は「鎮星」(土星)に起り、(注:土星は卦に入る。)二十八宿は張宿に輪り、丙子爻の上に降落す。(注:張宿は天子の位に進入す。)金土が分配する気候の数は三十六なり。(注:積算の数を分布して六爻の上に到りて吉凶を起さば、正に天地盈虚の気候を見る。)
《易、象》云:“山附於地。剝。”君子俟時,不可苟變,存身避害,與時消息。春夏始生,天氣盛大;秋冬嚴殺,天氣消滅。 故當剝道已成,陰盛不可逆,陽息陰專。升降六爻,反為游魂,蕩入晉。【積陰反入晉卦。】
《周易・象伝》に曰く「山は地に附す、剥」と。君子はこの時に於てただ応に時機を等候すべく、軽率に節を改むべからず。自らを保全し禍害を避け、時令に随いて消長す。春夏の際は万物始めて生発し、天地の気盛大なり。秋冬は則ち厳酷粛殺にして、天地の気消歇す。 ゆえに剥の局面すでに形成せば、陰気は極盛にして違逆すべからず、陽気はただ退蔵休息し、陰気をして独り其の権を専らにするを任すのみ。六爻はこのごとく下降して往き、反って転じて「遊魂」と成り、蕩動して晋卦に進入す。(注:積聚の陰気は反って晋卦に進入す。)
乾宮・晋(坤下離上・遊魂)
陰陽返復,進退不居,精粹氣純,是為游魂。【為陰極剝盡,陽道不可盡滅,故返陽道。道不復本位,為游魂例入卦。】金方以火、土運用事,與離為飛伏。【己酉金,丙戌土。】諸侯居世,反應元士。
晋卦は陰陽往返反復して、進退定まらず、精気は純粋凝聚す、これを「遊魂」と呼ぶ。(注:陰気は剥して極処に到るも、陽道は却って徹底的に消滅せられ得ず。ゆえに陽道に返回せんとするも、返回の時は并せ本位に復帰せずして、就中「遊魂」の体例に按じて卦に入る。)本宮は金に属し、この時は火・土の運を借りて令を当て事を用いる。晋は離卦と互いに飛伏す。(注:飛神は己酉金、伏神は丙戌土。)世爻は第四爻「諸侯」の位に居り、下は初爻「元士」と相応す。
建己卯至甲申,陰陽繼候。【春分至立秋。】積算起甲申金至癸未土,周而復始。【游魂取象,配於正位,吉凶同矣。】 五星從位起太白,【卦配金星入用。】翼宿從位降己酉金。【翼宿北方,入晉卦行事。】二象分候二十八運,配金土積算。氣候無差於晷刻,吉凶列陳,象在其中矣;天地運轉,氣在其中矣;乾道變化,萬物通矣。【乾分八卦,至大有復卦。】
建候は己卯より甲申に推して、陰陽依次相継いで候を成す。(注:春分より立秋に至る。)積算は甲申(金)より起り、癸未(土)に推して、周して復た始まる。(注:遊魂卦は特殊なるも、取象は仍ほ正位に配し、吉凶の推法は本宮諸卦と相同じ。) 五星の輪値は「太白」に起る、すなわち金星なり。(注:この卦は金星を配して入用す。)二十八宿は翼宿に輪り、己酉金爻の上に降落す。(注:翼宿は北方に列し、晋卦に進入して行事す。)内外二象の分配する気候は二十八運にして、金・土を配して積算す。気候推算は一刻の晷影も差せず、吉凶一々陳列し、卦象は就中其中に在り。天地運転息まず、気機も亦其中に在り。乾道変化已まず、万物は此より通達す。(注:乾は八卦を分出し、大有の一卦に到りて復た本宮に帰す。)
六爻交通,至於六卦,陰陽相資、相返、相剋、相生,至游魂,復歸本位為大有。故曰:“火在天上。” 大有為歸魂卦。定吉凶,配人事,五行。象乾為指歸地。【凡八卦分為八宮,每宮八卦,八八六十四卦。定吉凶,配人事。天地、山澤、草木、日月、昆蟲,包含氣候,足矣。】
六爻は互相交通し、歴遍して六個の変卦を経て、その間陰陽はあるいは相資助し、あるいは相返回し、あるいは相克制し、あるいは相生発し、遊魂に到りての後再び本位に復帰すれば、便ち大有と成る。ゆえに曰く「火は天上に在り」と。 大有は「帰魂」卦なり。それは用いて吉凶を判定し、人事に配合し、五行に配合す。象を乾に取るは、八卦最終の帰宿の地なり。(注:凡そ八卦は各々分かれて一宮と為り、每宮は八卦を統領し、八八共に六十四卦なり。それを用いて吉凶を判定し人事に配合すれば、天地・山沢・草木・日月・昆虫、連ねて一年の気候も、皆其中に包羅して、足りて用うべし。)
乾宮・大有(乾下離上・帰魂)
卦復本宮曰大有。內象見乾是本位。【八卦本從乾宮起,至大有為歸魂。】純金用事,與坤為飛伏。【甲辰土,乙卯木。】三公臨世,應上九為宗廟。 建戊寅至癸未,【立春正月至大暑時也。】積算起癸未土至壬午火,周而復始。【吉凶與乾卦同用。】
卦が本宮に回復すれば、就中大有と呼ぶ。内卦に乾を見るは、正に本宮の本位なり。(注:八卦は本是乾宮より頭を起し、大有に到れば便ち帰魂なり。)この卦は純金を以て令を当て事を用い、坤卦と互いに飛伏す。(注:飛神は甲辰土、伏神は乙卯木。)世爻は第三爻「三公」の位に臨み、上九「宗廟」と相応す。 建候は戊寅より癸未に推し、(注:正月立春より六月大暑に至る。)積算は癸未(土)より起り、壬午(火)に推して、周して復た始まる。(注:吉凶の推法は乾卦と相同じ。)
五星從位起太陰,【太陰水星入卦用事。】軫宿從位降甲辰。【二十八宿分軫星入大有卦用事,行度吉凶可見。】金土分象三十六候,配陰陽升降。六位相蕩,返復其道。【復歸本位也。】吉凶度數與乾卦同分。
五星の輪値は「太陰」に起り、(注:太陰はすなわち水星にして、卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は軫宿に輪り、甲辰爻の上に降落す。(注:二十八宿の中より軫星を分出して大有卦に入りて事を用い、其の行度より吉凶を看るべし。)金と土の分配する気候は三十六候にして、用いて陰陽の升降に配合す。六爻の位は互相激蕩し、最終に返復して本道に帰す。(注:すなわち本位に復帰す。)吉凶の度数は乾卦と同様に划分す。
六五陰柔,為日,照于四方,象天行健。【六龍御天。】少者為多之所宗,六五為尊也。【柔處尊位,以柔履剛,以陰處陽,能柔順於物,萬物歸附,故曰:照于四方。】 《易》曰:“火在天上,大有。”【離為火、為日,故曰大有。】陰陽交錯,萬物通焉。陰退陽伏,返本也。乾象分蕩八卦,入大有終也。 乾生三男,次入震宮八卦。【乾生三男,坤生三女。陽以陽,陰以陰,求奇耦定數於象也。】
六五は陰柔を以て尊に居り、太陽の四方を普照するを象徴し、而して外卦は仍ほ天行剛健の象を取る。(注:すなわち所謂「六竜天を御す」。)少なき一方は反って多なき一方の宗仰と為る。ゆえに六五は柔なるも尊位を得たり。(注:柔を以て尊位に居り、柔を以て剛強を駕馭し、陰を以て陽位に処す。能く柔順に物を待てば、万物便ち皆来り帰附す。ゆえに「四方に照る」と曰う。) 《周易》に曰く「火は天上に在り、大有」と。(注:離は火と為り日と為るがゆえに、大有と呼ぶ。)陰陽は彼此交錯し、万物は因りて通達す。陰気退去し陽気潜伏するは、本原に返帰するなり。乾象は分化蕩衍して一宮八卦を出し、大有に到れば便ち終結を告ぐ。 乾は震・坎・艮の三個の男卦を生出し、接続して震宮八卦に進入す。(注:乾は三男を生じ、坤は三女を生ず。陽と陽と相求め、陰と陰と相求めて、就中卦象の上に奇偶の数を定出す。)
震宮・震(震上震下)
分陰陽,交互用事。屬於木德,取象為雷,出自東方。震有聲,故曰雷。雷能警於萬物,為發生之始,故取東也。為動之主,為生之本。《易、繫》云:“帝出乎震。”【安為動主,靜為躁君。】與巽為飛伏。【庚戌土,辛卯木。】宗廟處上六。【陰為陽之主,震動。動須由陰陽交互,震動也。】
震卦は陰陽を分判し、交互に事を用いる。それは木徳に属し、象を雷に取り、東方より出ず。震は声響有るがゆえに雷と呼ぶ。雷は能く万物を警醒し、万物発生の開端なれば、因りて東方の位を取る。それは運動の主宰にして、生機の根本なり。《周易》に曰く「帝は震より出ず」と。(注:能く安定する者こそ動の主宰にして、能く沈静する者こそ躁の君長なり。)震は巽卦と互いに飛伏す。(注:飛神は庚戌土、伏神は辛卯木。)世爻は上六「宗廟」の位に居る。(注:陰は反って陽の主宰なれば、ゆえに震は能く動く。動は必ず陰陽の交互より起るを須いて、こそこれを震動と呼ぶ。)
運數入丙子至辛巳,【大雪至小滿。】積算起辛巳至庚辰土宮,配吉凶,周而復始。【吉凶配木官,以土用事。】 五星從位起歲星,【木星入卦用事。】角宿從位降庚戌土。【庚戌入震用事,臨上六爻,庚戌土位為元首。】內外木土二象,俱震。
運数は丙子より辛巳に推入し、(注:大雪より小満に至る。)積算は辛巳より起り、庚辰土宮に推して、此に拠りて吉凶を配定し、周して復た始まる。(注:吉凶は木宮の官爻に配するも、却って土を以て令を当て事を用いる。) 五星の輪値は「歳星」に起る、すなわち木星なり。(注:木星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は角宿に輪り、庚戌土爻の上に降落す。(注:庚戌は震卦に入りて事を用い、上六の一爻に臨む。庚戌のこの土位はすなわち全卦の元首なり。)内外両象は兼ねて木と土とを見え、而して上下皆震なり。
《易》曰:“震驚百里。”又云:“畏鄰戒也。”【震為雷,聲驚於百里,春發秋收,順天行也。取象定吉凶。】取象為陽,配爻屬陰,故曰:陰陽交錯而為震。 氣候分數三十六。定吉凶於頃刻,毫釐之末,無不通也,無不備也。【定陰陽數,考人之休咎,起於積算,終於六位也。】 陰陽交互,陽為陰,陰為陽,陰陽二氣蕩而為象,故初九三陰為豫。【入豫卦。】
《周易》震卦に曰く「百里を震驚す」と。また曰く「隣を畏れて戒なり」と。(注:震は雷と為り、雷声音は百里を驚動すべし。春に発生し秋に収斂し、皆天道に順いて運行す。此より象を取りて以て吉凶を判定す。)震は象を取りて陽に属すも、而して配する所の世爻は却って陰に属す。ゆえに陰陽交錯して震と成ると曰う。 分配の気候の数は三十六なり。それは能く頃刻の間に吉凶を定出し、纎毫の末も亦通達せず完備せざる無し。(注:陰陽の数を定下し、人の休咎を考察す。積算に起りて、六爻の位に終る。) 陰陽は交互往来し、陽は変じて陰と為るべく、陰は変じて陽と為るべし。二気は激蕩して卦象を結成す。ゆえに初九一たび変じて、三陰の象成れば、すなわち豫卦なり。(注:豫卦に進入す。)
震宮・豫(坤下震上)
卦配水火木,以為陽用事。《易》云:“利建侯行師。”又云:“天地以順動,故日月不過,四時不忒。【坤順震動。】聖人以順動,則刑罰清而民服。”與坤為飛伏。【乙未土,庚子水。】世立元士為地,易奉九四為正正。
豫卦は水・火・木の三気を配し、陽爻を以て令を当て事を用いる。《周易》豫卦に曰く「侯を建て師を行くに利し」と。また曰く「天地は順を以て動けば、ゆえに日月運行して過差せず、四時更替して錯乱せず。(注:坤性は柔順にして、震は発動を主る。)聖人は理に順いて動けば、則ち刑罰清明にして百姓帰服す」と。豫は坤卦と互いに飛伏す。(注:飛神は乙未土、伏神は庚子水。)世爻は初爻「元士」の位に立ちて地を象り、上は九四に奉して正応と為す。
建丁丑至壬午,【大寒至芒種。】積算起壬午至辛巳,以六爻定吉凶,周而復始。【火土算休咎。】 五星從位起熒惑,【熒惑火星入卦用事。】亢宿從位降乙未土,【亢宿配乙未土。】上木下見土,內順外動,故為悅豫。
建候は丁丑より壬午に推し、(注:大寒より芒種に至る。)積算は壬午より起り、辛巳に推して、六爻を用いて吉凶を判定し、周して復た始まる。(注:火・土を以て休咎を推算す。) 五星の輪値は「熒惑」に起り、(注:熒惑はすなわち火星にして、卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は亢宿に輪り、乙未土爻の上に降落す。(注:亢宿は正に乙未土に配す。)上卦は木に属し下卦は土を見え、内は柔順にして外は奮動す。ゆえに和悦安豫と呼ぶ。
時有屯夷,事非一揆,爻象適時,有凶有吉。人之生世,亦復如斯。或逢治世,或逢亂時,出處存亡,其道皆係。《易》云:“大矣哉。” 陰陽升降,分數二十八,極大小之數,以定吉凶之道。【積算壬午入乙未推吉凶。】
時勢に艱難有り平順有り、世事は并せ一個の準則のみならず。爻象は時に随いて変われば、ゆえに凶有り吉有り。人生世に在るも亦このごとし――或る人は治世に趕上し、或る人は乱世に碰上す。出仕するか退隠するか、生存するか敗亡するか、道理は皆ここに繋がる。《周易》豫卦《彖伝》は因りて贊嘆して曰く「大きなり哉」と。 陰陽は升降往来し、分配の気候の数は二十八にして、大小の数を窮尽し、用いて吉凶の道理を判定す。(注:積算を用いて壬午より乙未に推入して吉凶を断ず。)
豫以陽適陰為內順,成卦之義,在於九四一爻。以陽蕩陰,君子之道,變之於解。【豫卦以陰入陽,成九四之德。變入解卦,陽入陰,成解之德。】
豫卦は陽爻を以て陰爻に趨就すれば、ゆえに内卦柔順なり。卦を成すの関鍵は、全て九四のこの一爻に在り。陽を以て陰を蕩動するは、正に君子の道にして、接続して変じて解卦に入る。(注:豫卦は陰を以て陽を納め、九四の徳性を成就す。変じて解卦に入るは、則ち陽が陰に入りて、解卦の徳性を成就す。)
震宮・解(坎下震上)
陰陽積氣,聚散以時,內險外動,必散。《易》云:“解者,散也。”解也,品彙甲拆,雷雨交作,【震雷坎雨。】積氣運動,天地剖判。成卦之義在於九二,與坎為飛伏。【戊辰土,庚寅木。】立大夫於世為人,而六五降應,委權命於庶品。
解卦は陰陽の気が積聚し、聚と散とは各々其の時有り。内卦は険陷にして外卦は震動し、動けば必然離散す。《周易》に曰く「解はすなわち散なり」と。すでに解散せば、各類の品物は紛紛として甲を破り芽を抽き、雷と雨と一同に興作す。(注:震は雷、坎は雨。)積聚の気は運行発動し、天地は此より剖分す。卦を成すの関鍵は九二に在り、解は坎卦と互いに飛伏す。(注:飛神は戊辰土、伏神は庚寅木。)世爻は第二爻「大夫」の位に立ちて人を象り、六五降りて来りてそれと応じ、権柄政令を衆庶に托付す。
建戊寅至癸未,【立春至大暑。】推吉凶於陰陽,定運數於歲時。積算起癸未至壬午,周而復始。【土火入數起宮。】 五星從位起鎮星,【鎮星土位。】氐宿從位降戊辰。【氐宿入戊辰。】木下見水,動而險。陰陽會散,萬物通焉。
建候は戊寅より癸未に推し、(注:立春より大暑に至る。)陰陽より吉凶を推斷し、歳時より運数を定出す。積算は癸未より起り、壬午に推して、周して復た始まる。(注:土・火の数を以て宮を起す。) 五星の輪値は「鎮星」に起り、(注:鎮星は土位に属す。)二十八宿は氐宿に輪り、戊辰爻の上に降落す。(注:氐宿は戊辰に進入す。)木の下に水を見て、動いて険に遇う。陰陽の気はあるいは会合しあるいは離散し、万物は此より通達す。
升降屬陽蕩陰,以陽為尊。尊者高而卑者低。變六三為九三恆卦。分氣候定數,極位於三十六。【金水入數,合卦成數,定日月時。】 變坎入巽,居內象為雷風,運動鼓吹萬物,謂之恆。【入恆卦。】
升降の勢は陽の陰を蕩動するに属し、陽を以て尊と為す。尊者は高きに居り、卑者は低きに処す。六三変じて九三と為れば、就中恒卦と成る。気候を分配する定数は、三十六の位に極る。(注:金・水の数は卦に入りて、合して卦数を成し、此に拠りて日・月・時を定出す。) 坎は変じて巽と為り、内卦に居りて、上雷下風の象と成る。鼓動吹拂して万物をして能く久長ならしむ、これを恒と呼ぶ。(注:恒卦に進入す。)
震宮・恒(巽下震上)
久於其道,立於天地;雷與風行,陰陽相得;尊卑定矣。號令發,而萬物生焉。【萬物得其道也,生者。道,一作進也。】雷風行,而四方齊也。【齊者整齊。】與巽為飛伏。【辛酉金,庚辰土。】三公治世,應於上六宗廟。【宗廟爻。】
恒は長久に其の正道を守り、天地之間に立つなり。雷と風と並行し、陰陽は彼此相得、尊卑の位も就中定下せり。号令一たび發すれば、万物此より生長す。(注:万物は各々其の道を得てこそ、生長すること能くす。「道」の字は一本「進」に作る。)雷動風行して、四方因りて整粛す。(注:「斉」はすなわち整斉なり。)恒は巽卦と互いに飛伏す。(注:飛神は辛酉金、伏神は庚辰土。)世爻は第三爻「三公」の位に居りて主治し、上六「宗廟」と相応す。(注:上六は宗廟の爻なり。)
建己卯至甲申,【春分至立秋。】金木起度數,積算起甲申至癸未,周而復始。【金木入宮。】 五星從位起太白,【太白金星入卦用事。】房宿從位降辛酉。【房宿入卦,立秋用。】上下二象見木,分陰陽於內外。【內巽陰,外震陽。】氣候分數三十八。【金木入卦分節候。】九三至於陽屯之位,不順所履,無定其位。【恆者,常也。而九三以陽居位,立於陰陽交互之上,是知不久為[缺]所然[缺]。】
建候は己卯より甲申に推し、(注:春分より立秋に至る。)金・木を以て度数を起し、積算は甲申より起り、癸未に推して、周して復た始まる。(注:金木は本宮に進入す。) 五星の輪値は「太白」に起り、(注:太白金星は卦に入りて令を当て事を用いる。)二十八宿は房宿に輪り、辛酉爻の上に降落す。(注:房宿は卦に入りて、立秋の時に事を用いる。)上下両象は皆木を見え、而して内外に於て陰陽を分出す。(注:内卦巽は陰に属し、外卦震は陽に属す。)分配の気候の数は三十八なり。(注:金木は卦に入りて、此に拠りて節候を划分す。)九三は上りて陽気屯聚の位に至り、行う所順ならず、位置も亦安定すること得ず。(注:恒はすなわち常久なり。而して九三は陽爻を以て位に居り、又陰陽交互の関口の上に立つ。それの能く長久ならざるを知るべし――此処は旧本各々一字を缺く。)
《易》云:“不恆其德,或承之羞。”陰陽升降,反於陰。君道漸進,臣下爭權,運及於升。【次降入升卦。】
《周易》恒卦九三に曰く「其の徳を恒せず、或いは之に羞を承く」と。陰陽は升降往来し、又返りて陰に到る。君道は漸々上進し、臣下は却って権を争い、運数は是に転じて升卦に到る。(注:接続して降りて升卦に入る。)
