妙法莲华经 · 第17巻
得近其父,雖知諸物,心不希取。
其の父に近づくを得しが如く、雖諸物を知れども、心希取せず。
我等雖說,佛法寶藏,自無志願,
我等雖說きし、佛法の寶藏、自ら志願有ること無し、
亦復如是。我等內滅,自謂為足,
亦復た是の如し。我等內滅して、自ら足れりと謂ひ、
唯了此事,更無餘事。我等若聞,
唯だ此の事を了して、更に餘事無し。我等若し聞かば、
淨佛國土,教化眾生,都無欣樂。
佛國土を淨め、衆生を教化すと、皆欣樂有ること無し。
所以者何?一切諸法,皆悉空寂,
何以故。一切諸法、皆空寂にして、
無生無滅,無大無小,無漏無為。
無生無滅、無大無小、無漏無爲なるが故に。
如是思惟,不生喜樂。我等長夜,
如是思惟して、喜樂を生ぜず。我等長夜に、
於佛智慧,無貪無著,無復志願;
佛の智慧に於て、貪無く着無く、復た志願せず。
而自於法,謂是究竟。我等長夜,
而も自ら法に於て、是れ究竟と謂へり。我等長夜に、
修習空法,得脫三界,苦惱之患,
空法を修習して、三界の、苦惱の患を脱れて、
住最後身、有餘涅槃。佛所教化,
最後身・有餘涅槃に住せり。佛の教化する所、
得道不虛,則為已得,報佛之恩。
道を得て虛ならず、則ち已に佛の恩を報じ得るを爲れり。
我等雖為,諸佛子等,說菩薩法,
我等雖諸の佛子等の爲に、菩薩法を說きて、
以求佛道;而於是法,永無願樂。
佛道を求めんとせしに、而も此の法に於て、永く願樂無し。
導師見捨,觀我心故,初不勸進,
導師舍を見て、我が心を觀ずる故に、初め勸進せず、
說有實利。如富長者,知子志劣,
實利有りと說かざりき。富長者の、子の志劣るを知りて、
以方便力,柔伏其心,然後乃付,
方便力を以て、其の心を柔伏し、然る後に乃ち付す、
一切財物。
一切の財物を。
佛亦如是,現希有事,知樂小者,
佛も亦如此、希有の事を現じて、小を樂ふを知りて、
以方便力,調伏其心,乃教大智。
方便力を以て、其の心を調伏して、乃ち大智を教ふ。
我等今日,得未曾有,非先所望,
我等今日、未曾有を得たり、先の望む所に非ずして、
而今自得,如彼窮子,得無量寶。
而今自ら得たり、彼の窮子の、無量寶を得るが如し。
世尊我今,得道得果,於無漏法,
世尊我今、道を得て果を得たり、無漏法に於て、
得清淨眼。我等長夜,持佛淨戒,
清淨眼を得たり。我等長夜に、佛の淨戒を持して、
始於今日,得其果報,法王法中,
今日に始めて、其の果報を得たり、法王の法の中に於て、
久修梵行,今得無漏,無上大果。
久しく梵行を修して、今無漏の、無上の大果を得たり。
我等今者,真是聲聞,以佛道聲,
我等今の者、眞に是れ聲聞、佛道の聲を以て、
令一切聞。我等今者,真阿羅漢,
一切に聞かしむ。我等今の者、眞の阿羅漢、
於諸世間,天人魔梵,普於其中,
諸の世間に於て、天人・魔・梵、普く其の中に於て、
應受供養。世尊大恩,以希有事,
應に供養を受くべし。世尊の大恩、希有の事を以て、
憐愍教化,利益我等,無量億劫,
我等を憐愍して教化して利益す、無量億劫に、
誰能報者。手足供給,頭頂禮敬,
誰か能く報ぜん。手足にて供給し、頭頂にて禮敬し、
一切供養,皆不能報。若以頂戴,
一切の供養、皆能く報ぜず。若し頭頂を以て、
兩肩荷負,於恆沙劫,盡心恭敬;
兩肩に荷負して、恒沙劫に於て、心を盡くして恭敬すとも、
又以美饍、無量寶衣,及諸臥具、
又以て美膳・無量の寶衣、及び諸の臥具・
種種湯藥,牛頭栴檀,及諸珍寶,
種種の湯藥、牛頭栴檀、及び諸の珍寶、
以起塔廟,寶衣布地。如斯等事,
以て塔廟を起て、寶衣を地に布く。如此等の事、
以用供養,於恆沙劫,亦不能報。
以て供養に用ひても、恒沙劫に於ても、能く報ぜず。
諸佛希有,無量無邊,不可思議,
諸佛希有にして、無量無邊・不可思議の、
大神通力,無漏無為,諸法之王。
大神通力、無漏無爲にして、諸法の王なり。
能為下劣,忍於斯事,取相凡夫,
能く下劣の爲に、此の事に忍びて、相を取る凡夫に、
隨宜為說。諸佛於法,得最自在,
宜に隨ひて說き給ふ。諸佛法に於て、最自在を得て、
知諸眾生,種種欲樂,及其志力。
諸の衆生の、種種の欲樂、及び其の志力を知りて、
隨所堪任,以無量喻,而為說法。
堪任する所に隨ひて、無量の喻を以て、而も法を說く。
隨諸眾生,宿世善根,又知成熟、
諸の衆生に隨ひて、宿世の善根、又成熟・
未成熟者,種種籌量,分別知已,
未成熟の者を知りて、種種に籌量して、分別して知り已りて、
於一乘道、隨宜說三。」
一乘の道に於て、宜に隨ひて三と說く。」
