妙法莲华经 · 第2巻
化諸菩薩,破魔兵眾,而擊法鼓。
諸の菩薩を化し、魔の兵衆を破り、法鼓を擊つ。
又見菩薩,寂然宴默,天龍恭敬,
又菩薩を見る、寂然として宴默し、天龍恭敬するも、
不以為喜。又見菩薩,處林放光,
以て喜と爲さず。又菩薩を見る、林に處りて光を放ち、
濟地獄苦,令入佛道。又見佛子,
地獄の苦を濟ひて、佛道に入らしむ。又佛の子を見る、
未甞睡眠,經行林中,懃求佛道。
曾て睡眠せず、林中に經行して、勤めて佛道を求む。
又見具戒,威儀無缺,淨如寶珠,
又戒を具へ、威儀缺なきこと、淨きこと寶珠の如く、
以求佛道。又見佛子,住忍辱力,
以て佛道を求む。又佛の子を見る、忍辱の力に住し、
增上慢人,惡罵捶打,皆悉能忍,
增上慢の人の、惡罵捶打するも、皆能く忍受して、
以求佛道。又見菩薩,離諸戲笑,
以て佛道を求む。又菩薩を見る、諸の戲笑を離れ、
及痴眷屬,親近智者,一心除亂,
及び癡眷屬を離れ、智者に親近し、一心に亂を除き、
攝念山林,億千萬歲,以求佛道。
山林に念を攝し、億千萬歳に、以て佛道を求む。
或見菩薩,餚饍飲食、百種湯藥,
或は菩薩を見る、肴膳・飲食・百種の湯藥を、
施佛及僧。名衣上服,價直千萬,
佛及び僧に施す。名衣上服、價直千萬、
或無價衣,施佛及僧。千萬億種,
或は無價の衣を、佛及び僧に施す。千萬億種の、
栴檀寶舍、眾妙臥具,施佛及僧。
栴檀の寶舍・衆妙の臥具を、佛及び僧に施す。
清淨園林,華菓茂盛,流泉浴池,
清淨の園林、華果茂盛にして、流泉浴池を、
施佛及僧。如是等施,種種微妙,
佛及び僧に施す。如是等の施、種種微妙にして、
歡喜無厭,求無上道。或有菩薩,
歡喜して厭くこと無く、無上の道を求む。或は菩薩、
說寂滅法,種種教詔,無數眾生。
寂滅の法を說きて、種種に教詔して、無數の衆生を度す。
或見菩薩,觀諸法性,無有二相,
或は菩薩を見る、諸法の性を觀じて、二相無きこと、
猶如虛空。又見佛子,心無所著,
猶虛空のごとし。又佛の子を見る、心に着する所無し。
以此妙慧、求無上道。文殊師利!
此の妙慧を以て、無上の道を求む。文殊師利!
又有菩薩,佛滅度後,供養舍利。
又菩薩あり、佛の滅度の後、舍利を供養す。
又見佛子,造諸塔廟,無數恆沙,
又佛の子を見る、諸の塔廟を造ること、無數恒沙、
嚴飾國界,寶塔高妙,五千由旬,
國界を嚴飾し、寶塔高妙なること、五千由旬、
縱廣正等,二千由旬。一一塔廟,
縱廣正等なること、二千由旬。一一の塔廟に、
各千幢幡,珠交露幔,寶鈴和鳴。
各千の幢幡あり、珠交はる露幔、寶鈴和鳴す。
諸天龍神、人及非人,香華伎樂,
諸天・龍神・人及び非人、香華伎樂を以て、
常以供養。文殊師利!諸佛子等,
常に供養す。文殊師利!諸の佛子、
為供舍利,嚴飾塔廟,國界自然,
舍利を供養するが爲に、塔廟を嚴飾して、國界自然にして、
殊特妙好,如天樹王,其華開敷。
殊特妙好なること、天樹王の、其の華開敷するが如し。
佛放一光,我及眾會,見此國界,
佛一光を放ちて、我及び衆會、此の國界の、
種種殊妙。諸佛神力、智慧希有,
種種殊妙なるを見たり。諸佛の神力・智慧希有にして、
放一淨光,照無量國。我等見此,
一淨光を放ちて、無量の國を照らす。我等此を見て、
得未曾有。佛子文殊!願決眾疑。
未曾有を得たり。佛子文殊!願はくは衆疑を決ぜよ。
四眾欣仰,瞻仁及我。世尊何故,
四衆欣仰して、仁及び我を瞻る。世尊は何故ぞ、
放斯光明?佛子時答,決疑令喜。
此の光明を放つや。佛子即時に答へて、疑を決して喜ばしめん。
何所饒益,演斯光明?佛坐道場,
何の饒益する所ぞ、此の光明を演する。佛道場に坐して、
所得妙法,為欲說此?為當授記?
得たる妙法、此を說かんとするか。還た當に授記すべきか。
示諸佛土,眾寶嚴淨,及見諸佛,
諸の佛土を示して、衆寶嚴淨にして、及び諸佛を見ゆ、これ小ならざる緣なり。
此非小緣。文殊當知,四眾龍神,
文殊當に知るべし、四衆・龍神、
瞻察仁者,為說何等。」
仁者を瞻察す、何等を說き給はん。」
爾時文殊師利語彌勒菩薩摩訶薩及諸大士:「善男子等!如我惟忖,今佛世尊欲說大法,雨大法雨,吹大法螺,擊大法鼓,演大法義。諸善男子!我於過去諸佛,曾見此瑞,放斯光已,即說大法。是故當知,今佛現光,亦復如是,欲令眾生,鹹得聞知一切世間難信之法,故現斯瑞。
爾の時文殊師利、彌勒菩薩摩訶薩及び諸の大士に語りて曰く、「善男子等!我が思忖するが如くんば、今佛世尊大法を說き、大法雨を雨らし、大法螺を吹き、大法鼓を擊ち、大法の義を演べん。諸の善男子!我過去の諸佛に於て、曾て此の瑞を見て、此の光を放ち已りて、即ち大法を說きたりき。是の故に當に知るべし、今佛の光を現ずるは、亦復た是の如し。衆生をして、皆一切世間の難信の法を聞知せしめんが故に、此の瑞を現ず。
「諸善男子!如過去無量無邊不可思議阿僧祇劫,爾時有佛,號日月燈明如來、應供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、佛、世尊,演說正法,初善中善後善,其義深遠,其語巧妙,純一無雜,具足清白梵行之相。為求聲聞者說應四諦法,度生老病死,究竟涅槃;為求辟支佛者說應十二因緣法;為諸菩薩說應六波羅蜜,令得阿耨多羅三藐三菩提,成一切種智。
「諸の善男子!過去無量無邊不可思議阿僧祇劫の如くんば、爾の時佛ありて、號は日月燈明如來・應供・正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・佛・世尊なりき。正法を演說して、初善・中善・後善、其の義深遠にして、其の語巧妙にして、純一無雜、清白梵行の相を具足せり。聲聞を求める者の爲には四諦の法に應じて說き、生老病死を度して、究竟涅槃せしめ、辟支佛を求める者の爲には十二因緣の法に應じて說き、諸の菩薩の爲には六波羅蜜(「彼岸に到る」の意、即ち生死の此岸より解脫の彼岸に渡る)に應じて說き、無上正等正覺を得しめて、一切種智を成ぜしむ。
「次復有佛亦名日月燈明,次復有佛亦名日月燈明,如是二萬佛,皆同一字,號日月燈明,又同一姓,姓頗羅墮。彌勒當知,初佛後佛,皆同一字,名日月燈明,十號具足。所可說法,初中後善。其最後佛,未出家時有八王子:一名有意,二名善意,三名無量意,四名寶意,五名增意,六名除疑意,七名嚮意,八名法意。是八王子,威德自在,各領四天下。是諸王子,聞父出家,得阿耨多羅三藐三菩提,悉捨王位亦隨出家,發大乘意,常修梵行,皆為法師,已於千萬佛所、殖諸善本。
「其の次に又佛ありて、亦名を日月燈明と曰ひ、次に又佛ありて、亦名を日月燈明と曰ふ、如是二萬の佛、皆同じく一字、號は日月燈明、又同じく一姓、姓は頗羅墮なり。彌勒當に知るべし、初佛・後佛、皆同じく一字、名は日月燈明、十號具足せり。說くべき所の法、初中後善なり。其の最後の佛、未だ出家せざりし時、八王子ありて、一には有意と名づけ、二には善意と名づけ、三には無量意と名づけ、四には寶意と名づけ、五には增意と名づけ、六には除疑意と名づけ、七には向意と名づけ、八には法意と名づく。是の八王子、威德自在にして、各四天下を領す。是の諸の王子、父の出家して無上正等正覺を得たりと聞きて、皆王位を舍てて亦出家に隨ひ、大乘の意を發して、常に梵行を修し、皆法師と爲り、已に千萬の佛の所に於て、諸の善本を種ゑたり。
「是時日月燈明佛說大乘經,名無量義,教菩薩法,佛所護念。說是經已,即於大眾中結加趺坐,入於無量義處三昧,身心不動。是時、天雨曼陀羅華,摩訶曼陀羅華,曼殊沙華,摩訶曼殊沙華,而散佛上、及諸大眾。普佛世界,六種震動。爾時會中,比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷,天、龍、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦樓羅、緊那羅、摩睺羅伽、人非人,及諸小王、轉輪聖王等,是諸大眾,得未曾有,歡喜合掌,一心觀佛。
「是の時日月燈明佛、大乘經を說きて、名は無量義、菩薩法を教へ、佛の護念する所なり。此の經を說き已りて、即ち大衆の中に於て結跏趺坐して、無量義處三昧に入り、身心動かず。是の時、天曼陀羅華・摩訶曼陀羅華・曼殊沙華・摩訶曼殊沙華を雨らして、佛の上及び諸の大衆に散ず。普く佛世界、六種に震動す。爾の時會中、比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦樓羅・緊那羅・摩睺羅伽・人非人、及び諸の小王・轉輪聖王等、是の大衆、未曾有を得て、歡喜合掌して、一心に佛を觀ず。
「爾時如來放眉間白毫相光,照東方萬八千佛土,靡不周遍,如今所見是諸佛土。彌勒當知,爾時會中,有二十億菩薩樂欲聽法。是諸菩薩,見此光明、普照佛土,得未曾有,欲知此光所為因緣。時有菩薩,名曰妙光,有八百弟子。是時日月燈明佛從三昧起,因妙光菩薩、說大乘經,名妙法蓮華,教菩薩法,佛所護念,六十小劫不起於座。時會聽者亦坐一處,六十小劫身心不動,聽佛所說,謂如食頃。是時眾中,無有一人若身若心而生懈惓。
「爾の時如來、眉間の白毫相光を放ちて、東方萬八千の佛土を照らし、周遍せざる無し、今見る所の是の諸佛土の如し。彌勒當に知るべし、爾の時會中に、二十億の菩薩ありて、法を聽くことを樂欲せり。是の諸の菩薩、此の光明の、佛土を普照するを見て、未曾有を得て、此の光の爲す所の因緣を知らんと欲ふ。時に菩薩ありて、名を妙光と曰ひ、八百の弟子あり。是の時日月燈明佛、三昧より起ちて、妙光菩薩に因りて、大乘經を說きて、名は妙法蓮華、菩薩法を教へ、佛の護念する所なり。六十小劫、座より起たず。爾の時會中の聽する者も亦一處に坐して、六十小劫、身心動かず、佛の說く所を聽きて、謂ふに食一頓の時の如く思へり。是の時衆中、一人として若し身若し心懈倦を生ずること無し。
「日月燈明佛於六十小劫說是經已,即於梵、魔、沙門、婆羅門、及天、人、阿修羅眾中,而宣此言:『如來於今日中夜,當入無餘涅槃。』時有菩薩,名曰德藏,日月燈明佛即授其記。告諸比丘:『是德藏菩薩,次當作佛,號曰淨身多陀阿伽度、阿羅訶、三藐三佛陀。』佛授記已,便於中夜、入無餘涅槃。佛滅度後,妙光菩薩持妙法蓮華經,滿八十小劫為人演說。日月燈明佛八子皆師妙光,妙光教化令其堅固阿耨多羅三藐三菩提。是諸王子、供養無量百千萬億佛已,皆成佛道,其最後成佛者,名曰燃燈。八百弟子中,有一人號曰求名,貪著利養,雖復讀誦眾經,而不通利,多所忘失,故號求名。是人亦以種諸善根因緣故,得值無量百千萬億諸佛,供養、恭敬,尊重、讚歎。彌勒當知,爾時妙光菩薩豈異人乎?我身是也;求名菩薩,汝身是也。今見此瑞,與本無異,是故惟忖:『今日如來當說大乘經,名妙法蓮華,教菩薩法,佛所護念。』」
「日月燈明佛、六十小劫に於て此の經を說き已りて、即ち梵・魔・沙門・婆羅門、及び天・人・阿修羅の衆中に於て、此言を宣べて曰く、『如來今日の中夜に、當に無餘涅槃に入るべし』と。時に菩薩ありて、名を德藏と曰ふ、日月燈明佛即ち其の記を授けて、諸の比丘に告げて曰く、『此の德藏菩薩、其の次に當に佛と作るべし、號は淨身多陀阿伽度・阿羅訶・三藐三佛陀と曰はん』と。佛記を授け已りて、便ち中夜に於て、無餘涅槃に入りき。佛滅度の後、妙光菩薩『妙法蓮華經』を持ちて、八十小劫に滿てて人の爲に演說せり。日月燈明佛の八子、皆妙光に師事し、妙光教化して無上正等正覺を堅固ならしめき。是の諸の王子、無量百千萬億の佛を供養し已りて、皆佛道を成じたりき。其の最後に佛を成りたるは、名を然燈と曰ふ。八百の弟子の中に、一人ありて號を求名と曰ふ、利養に貪着して、雖も復た衆經を讀誦せども、而も通利せず、多く忘失する所有り、是の故に號を求名と曰ふ。此の人も亦以て諸の善根の因緣あるが故に、無量百千萬億の諸佛に値ふるを得、供養・恭敬・尊重・讚歎せり。彌勒當に知るべし、爾の時の妙光菩薩は豈に異人ならんや、則ち我が身なり。求名菩薩は、則ち汝が身なり。今此の瑞を見るに、本と異ること無し。是の故に思忖して曰く、『今日如來當に大乘經を說くべし、名は妙法蓮華、菩薩法を教へ、佛の護念する所ならん』と。」
爾時文殊師利於大眾中,欲重宣此義,而說偈言:
爾の時文殊師利、大衆の中に於て、欲りて重ねて此の義を宣べて、偈を說きて曰く、
「我念過去世,無量無數劫,
「我過去世を念ふに、無量無數の劫、
有佛人中尊,號日月燈明。
佛の人中の尊ありて、號は日月燈明。
世尊演說法,度無量眾生,
世尊法を演說して、無量の衆生を度し、
無數億菩薩,令入佛智慧。
無數億の菩薩を、佛の智慧に入らしむ。
佛未出家時,所生八王子,
佛未だ出家せざりし時、生じたる八王子、
見大聖出家,亦隨修梵行。
大聖の出家を見て、亦梵行を修に隨ふ。
時佛說大乘,經名無量義,
時に佛大乘を說く、經名は無量義、
於諸大眾中,而為廣分別。
諸の大衆の中に於て、廣く分別を爲す。
佛說此經已,即於法座上,
佛此の經を說き已りて、即ち法座に於て、
加趺坐三昧,名無量義處。
跏趺坐して三昧す、名は無量義處。
天雨曼陀華,天鼓自然鳴,
天曼陀華を雨らし、天鼓自然に鳴る。
