妙法莲华经 · 第9巻
破法不信故,墜於三惡道。
法を破り信ぜざる故に、三惡道に墜ちん。
我寧不說法,疾入於涅槃。
我寧ろ法を說かずして、疾く涅槃に入らん。』
尋念過去佛,所行方便力,
隨ひて過去佛の、行ずる所の方便力を念ず。
我今所得道,亦應說三乘。』
我今得たる所の道、亦應に三乘を說くべし。』
作是思惟時,十方佛皆現,
此の思惟を作す時、十方の佛皆現れて、
梵音慰喻我:『善哉釋迦文!
梵音にて我を慰喻して曰く『善哉釋迦文!
第一之導師,得是無上法,
第一の導師、此の無上法を得て、
隨諸一切佛,而用方便力。
諸の一切佛に隨ひて、方便力を用ふ。
我等亦皆得,最妙第一法,
我等も亦皆、最妙第一の法を得て、
為諸眾生類、分別說三乘。
諸の衆生類の爲に、分別して三乘を說く。
少智樂小法,不自信作佛,
少智は小法を樂ひ、自ら佛を作さんと信ぜず。
是故以方便,分別說諸果。
是の故に方便を以て、諸果を分別して說く。
雖復說三乘,但為教菩薩。』
雖復た三乘を說くとも、但だ菩薩を教ふるが爲なり。』
舍利弗當知!我聞聖師子,
舍利弗當に知るべし!我聞く、聖師子の、
深淨微妙音,喜稱南無佛。
深淨微妙の音、喜びて南無佛と稱す。
復作如是念:『我出濁惡世,
又此の念を作さく、『我濁惡の世に出で、
如諸佛所說,我亦隨順行。』
諸佛の說く所の如く、我も亦隨順して行ぜん』と。
思惟是事已,即趣波羅柰。
此の事を思惟し已りて、即ち波羅奈に趣く。
諸法寂滅相,不可以言宣,
諸法の寂滅相、言を以て宣ぶべからず。
以方便力故,為五比丘說。
方便力を以ての故に、五比丘の爲に說く。
是名轉法輪,便有涅槃音,
是を名づけて轉法輪と曰ふ、便ち涅槃の音ありて、
及以阿羅漢,法僧差別名。
及び阿羅漢に、法僧差別の名あり。
從久遠劫來,讚示涅槃法,
久遠の劫より來、涅槃の法を讚示して、
生死苦永盡,我常如是說。
生死の苦永く盡く、我常に是の如く說く。
舍利弗當知!我見佛子等,
舍利弗當に知るべし!我見る、佛子等の、
志求佛道者,無量千萬億,
佛道を志求する者、無量千萬億、
鹹以恭敬心,皆來至佛所,
皆恭敬の心を以て、皆佛の所に來至して、
曾從諸佛聞,方便所說法。
曾て諸佛より聞く、方便の說く所の法を。
我即作是念:『如來所以出,
我即ち此の念を作さく、『如來の出づる所以は、
為說佛慧故,今正是其時。』
佛慧を說くが爲の故、今正しく是れ其の時なり』と。
舍利弗當知!鈍根小智人、
舍利弗當に知るべし!鈍根小智の人・
著相憍慢者,不能信是法。
相に着する憍慢の者、此の法を信ずる能はず。
今我喜無畏,於諸菩薩中,
今我喜び畏れ無し、諸の菩薩の中に於て、
正直捨方便,但說無上道。
正直に方便を舍てて、但だ無上の道を說かん。
菩薩聞是法,疑網皆已除,
菩薩此の法を聞かば、疑網皆已に除かれん。
千二百羅漢,悉亦當作佛。
千二百の羅漢も、亦皆當に佛と作るべし。
如三世諸佛,說法之儀式,
三世の諸佛の、法を說くの儀式の如く、
我今亦如是,說無分別法。
我今も亦如是、無分別法を說く。
諸佛興出世,懸遠值遇難,
諸佛の興りて世に出づる、懸遠にして値遇すること難し。
正使出於世,說是法復難。
正しく世に出づるも、此の法を說くこと亦難し。
無量無數劫,聞是法亦難,
無量無數劫にも、此の法を聞くこと亦難し。
能聽是法者,斯人亦復難。
能く此の法を聽く者、此の人も亦復た難し。
譬如優曇花,一切皆愛樂,
譬へば優曇華の、一切の愛樂する所、
天人所希有,時時乃一齣。
天人の希有なり、時時に乃ち一出づるが如し。
聞法歡喜讚,乃至發一言,
法を聞きて歡喜して讚ず、乃至一言を發すとも、
則為已供養,一切三世佛,
則ち已に供養するを爲れり、一切三世の佛を。
是人甚希有,過於優曇花。
此の人甚だ希有、優曇華に過ぎたり。
汝等勿有疑,我為諸法王,
汝等疑有ること勿れ、我は諸の法王と爲れり。
普告諸大眾,但以一乘道,
普く諸の大衆に告ぐ、但だ一乘の道を以て、
教化諸菩薩,無聲聞弟子。
諸の菩薩を教化す、聲聞の弟子無し。
汝等舍利弗,聲聞及菩薩,
汝等舍利弗、聲聞及び菩薩、
當知是妙法,諸佛之秘要。
當に知るべし、此の妙法、諸佛の祕要なることを。
以五濁惡世,但樂著諸欲,
五濁惡世を以て、但だ諸の欲を樂着せしむ。
如是等眾生,終不求佛道。
如是等の衆生、終に佛道を求めず。
當來世惡人,聞佛說一乘,
當來世の惡人、佛の一乘を說くを聞かば、
迷惑不信受,破法墮惡道。
迷惑して信受せず、法を破りて惡道に墮ちん。
有慚愧清淨,志求佛道者,
慚愧清淨にして、佛道を志求する者有らば、
當為如是等,廣讚一乘道。
當に如是等の爲に、廣く一乘道を讚ずべし。
舍利弗當知!諸佛法如是,
舍利弗當に知るべし!諸佛の法如是なり。
以萬億方便,隨宜而說法,
萬億の方便を以て、宜に隨ひて法を說く。
