天将総論
十二天將,天乙貴人為主,居中。前有五位,一蛇、二雀、三合、四勾、五龍,此水火土之神在左方者。後有五位,一後、二陰、三玄、四常、五虎,此金水土之神在右方者。天空雖云後六位,有名而無物,緣貴人相對無物沖之,猶月殺之有月空,以遇之事皆可也。以課之天盤起貴神之例,地盤定順逆之序。順布者則背天門,逆布者則向地戶。
十二天将は天乙貴人を以て主と為し、正中に居る。貴人の前に五位あり:第一は螣蛇、第二は朱雀、第三是六合、第四は勾陳、第五は青龍、これは水・火・土に属する諸神が左方に排せられるなり。貴人の後にも五位あり:第一は天后、第二は太陰、第三は玄武、第四は太常、第五は白虎、これは金・水・土に属する諸神が右方に排せられるなり。天空は貴人の後第六位に排せらるると説くと雖も、然れども有名にして實なし、それが貴人と正相對し、實物のそれに衝するなきがごとく、月殺の外に別に一箇の月空あるがごとし、凡そこれに遇えば、諸事は皆通融すべし。課を起すの規矩は、天盤に按じて貴神を起し、地盤に按じて順行逆行の次序を定む:順布は天門亥位に背を向け、逆布は地戸巳位に面を朝す。
凡壬課吉凶,繫於天將五行,雖各有所屬,而用者專取天盤乘神決之。如貴人屬土,若乘亥子,則屬水矣。生克皆以水論。生日為吉,雖凶將亦為吉;剋日為凶,雖吉將亦為凶。緊要不離生克二字,吉將喜生扶忌剋制,凶將反此。更察乘神所加盤之神生克旺相休囚,喜則宜旺相,忌則宜休囚也。
凡そ六壬課の吉凶は、皆天将の五行属性に係る;天将は各々属する所有りと雖も、然れども實際に取用する時は專らそれが天盤上に乗ずる所の神を看て判斷す。譬えば貴人は本より土に属すれども、若し乗るは亥・子なれば、則ちそれに隨いて水に属し、生克は一概に水に按じて推論す。乗ずる所の神が日干を生ずれば便ち吉、縱りも凶將なりと雖も轉じて吉と為る;日干を剋すれば便ち凶、縱りも吉將なりと雖も轉じて凶と為る。緊要の處は「生」「剋」の两箇の字を出でず:吉將は生扶あるを喜び剋制せらるるを忌み、凶將は則ち恰好相反す。還って進んで乗ずる所の神が地盤の神に加臨するの生克と旺相休囚を察看すべし:喜ぶ所はその旺相に宜しく、忌む所はその休囚に宜し。
又《頥旨經》曰:四課三傳雖一定不易,十二神將如四時而運轉無窮。人皆言青龍吉將,白虎凶神。太常多主飲饌,勾陳必至勾留。殊不知龍無鱗(未上),則傷身之害至,折角(申酉上)則鬥訟之愆生,虎登山(未上)則秉權於閫外,銜牒(申上)則通信於道途,太常荷項(子上)而枷鎖,勾陳捧印(巳上)而轉職。似此之類,世所不知。
《頤旨經》又曰く:四課三伝は一経排定すれば固定して移らず、十二神將は却って四時のごとく運轉して窮まらず。世人は皆青龍は吉將・白虎は凶神と説き、太常は多く飲食宴樂を主り、勾陳は必ず勾連滯留を帯來すと説く。然れども知らず:青龍が未上に臨むを「無鱗」と曰い、却って身を傷るの害を招來し;申酉上に臨むを「折角」と曰い、却って争闘訴訟の咎を生出す。白虎が未上に臨むを「登山」と曰い、却って外に在りて兵權を掌握し;申上に臨むを「銜牒」と曰い、却って道途上に音信を傳通す。太常が子上に臨むを「荷項」と曰い、枷鎖の身に加わるを主り;勾陳が巳上に臨むを「捧印」と曰い、却って升遷轉職を主る。諸如此類の變化は、正に世人の知らざる所なり。
又曰:十二天官在天應十二神,在地表十二分野,在歲為十二月,在人為十二經。
又曰く:この十二位の天官は、天上において十二天神に對應し、地上において十二分野を標示し、一年の中に於ては即ち十二箇月、人身上に於ては即ち十二經脈なり。
十二将釈
貴人
貴人・論
《天官書》曰:天乙在紫微宮門外右星,天帝之神,主戰鬥,知人吉凶。經曰:天乙閶闔門外事,天皇大帝下游十二辰,家於艮丑斗牛之次,執玉衡校量世間之事,乃壬式中天子也。
《史記・天官書》にいう:天乙星は紫微宮門外の右側の一星に在り、是天帝の神にして、戰闘を主管し、能く人の吉凶を知る。壬經上にいう:天乙は閶闔天門以外の事を掌管し、是天皇大帝の下に臨みて十二辰に游行するの化身にして、本家は艮方の丑位の斗宿・牛宿の次舍に安んじ、手に玉衡を執りて世間万事を校量す、それ即ち六壬式盤の中の天子なり。
天乙貴人,己丑土吉將也。為神將之主,傳順吉,傳逆凶;比和吉,不比和凶。若貴人順治,更與日干相生,雖遇前一蛇,前四勾,不為深害。逆治雖前三合,前五龍,不為深喜。兼剋日干,定主貴人嗔責。順治,謂在天門之前,地戶之後;逆治,謂在地戶之前,天門之後。
天乙貴人は納音が己丑土に属し、是一位の吉將なり。それは十二神將の主宰にして:三伝順行すれば則ち吉、三伝逆行すれば則ち凶;日干と比和すれば則ち吉、比和せざれば則ち凶。若し貴人が順行して事を治め、又日干と相生せば、なれば縱りも前一位の螣蛇・前四位の勾陳に遇うと雖も、亦た深重の禍害あらず;若し貴人が逆行して事を治めば、縱りも前三位の六合・前五位の青龍に遇うと雖も、亦た大喜と算上げず。倘若再び日干を剋傷せば、必定に貴人の嗔怒責備を主る。所谓「順治」は、指すは貴人が天門亥位の前・地戸巳位の後に在る;所谓「逆治」は、指すは地戸巳位の前・天門亥位の後に在るなり。
貴人順逆為吉凶之分,又看侍從之神。在吉則吉,在凶則凶,諸神將仿此。
貴人の順行逆行は吉凶の大分界にして、このほかまたそれの左右の侍從の神を看るべし:侍從が吉神の位に在れば則ち吉、凶神の位に在れば則ち凶。その余の各位の神將は、皆この办法に照らして推看す。
貴神得地則貴,失地則賤。加小人之命則生殃,在君子之身則降福。愛龍、常、合,不立魁罡,在卯酉為關,子午為格。在日辰前則動,在後則寧。
貴神は地を得れば便ち顯貴し、地を失えば便ち低賤なり。それが小人の本命に加臨すれば災殃を生じ、君子の身上に落てれば福澤を降す。貴人は青龍・太常・六合と同處するを喜び、河魁戌と天罡辰の上に立つを肯ぜず;卯・酉に臨むを「關」と曰い、子・午に臨むを「格」と曰う。それは日辰の前に在りて動を主り、日辰の後に在りて則ち安寧を主る。
貴人從十干分晝治、暮治,獨不居辰戌之地,以辰為宰殺,戌為牢獄也。故貴人若臨辰戌上者,則巳上起子,辰上起丑,卯上起寅,寅上起卯,丑上見辰,子上見巳,亥上見午,戌上見未,酉上見申,申上見酉,未上見戌,午上見亥,此謂太乙起子逆後尋也。
貴人は十天干に依りて昼貴・夜貴に分かちて事を治むるも、唯だ辰・戌の两地に居るを肯ぜず、辰は宰殺の地・戌は牢狱の地たるを以てなり。故に貴人若し辰・戌の上に臨めば、則ち改めて別種の排法を用う:巳上は子に起り、辰上は丑に起り、卯上は寅に起り、寅上は卯に起り、丑上は辰を見、子上は巳を見、亥上は午を見、戌上は未を見、酉上は申を見、申上は酉を見、未上は戌を見、午上は亥を見。これを「太乙は子に起り、逆いて後に尋ぬ」と曰う。
又云:貴人臨辰戌者,以沖為神。臨辰沖申,臨戌沖寅,乃天乙所臨之位,諸將並隨天乙順逆前後取之(二條論貴人出獄之法)。
又一説あり:貴人が辰・戌に臨む時は、改めて相衝の位を用いて神を定む。辰に臨めば則ち衝する所の申位を取り、戌に臨めば則ち衝する所の寅位を取り、それを貴人の實際に臨む所の處と當作し、その余の諸將は皆貴人に隨いて順逆前後に按じて重ねて排定す。以上两条の講ずるは皆「貴人出獄」の取法なり。
又云:貴神在丑,其十二神入家則不治事。四仲,則正沖,子午相沖,卯酉相沖。四孟,則斜沖,辰申相沖,戌寅相沖,亥未相沖,丑巳相沖,而為井欄沖,移神換將,此之謂也。
又一説あり:貴神が丑に在るは、自己本家に回帰したれば、十二神は一たび本家に入れば便ち事を理せず。子午卯酉の四仲の位は、用うるは正衝にして、子と午は相い衝し、卯と酉は相い衝す;寅申巳亥の四孟の位は、用うるは斜衝にして、辰と申は相い衝し、戌と寅は相い衝し、亥と未は相い衝し、丑と巳は相い衝す、これを「井欄衝」と曰う。所谓「移神換將」、説くは正にこの種の情形なり。
貴人空亡,憂喜皆不成。經所謂當憂不憂,當喜不喜。
貴人が空亡に落てれば、憂事喜事は皆成らず。壬經の説く所の「當に憂うべきに憂えず、當に喜ぶべきに喜ばず」、指すは即ちこの種の情形なり。
兩火一金,金被銷爍,二水一火,火乃滅光。如貴人乙丑金,下臨乙亥火,火欲克金,有水為救,雖有魁,不為憂。若辛未土,下臨癸酉金,金土相生,吉兆。壬寅金,下臨甲辰火,火乃克金,得丙午水為救神,災殃消散。十二天官以此推(此論納音)。
两重の火が一重の金に對すれば、金は必ず熔爍せらる;两重の水が一重の火に對すれば、火は便ち光を滅す。譬えば貴人が乙丑納音金なれば、下に乙亥納音火に臨み、火は金を剋せんとするも、却って水の來りて相い救うあり、縱りも河魁に遇上するも、必ずしも憂慮せず。若し是れ辛未納音土なれば、下に癸酉納音金に臨み、金土相生して、是れ吉兆なり。若し是れ壬寅納音金なれば、下に甲辰納音火に臨み、火は來りて金を剋す、而して丙午納音水を得て救神と作す、災殃も亦た消散せり。十二天官は皆この办法に照らして推算す——以上の講ずるは納音五行なり。
一日兩貴,一貴當權,其一為簾羃,貴人科試。占得與日干相生,必得高第。凡謀事,遇兩貴人,宜於囑託。
一日の中に昼夜两箇の貴人あり、その中の一箇は當權して事を用い、別の一箇は便ち「帘幕貴人」と作す。科擧考試を占うに、若し貴人と日干と相生するを占得せば、必定に前列に高中す。凡そ事を謀辦するに两重貴人に遇えば、人に托して關説請求するに宜し。
太歲作貴人,不必入傳,皆為救助。凡占得貴人,吉;惟不救病(一說亦主病輕)。
太歳上に貴人と作すれば、即ち三伝に入らずと雖も、亦た一概に救助の作用を起す能し。凡そ事を占うに貴人を得れば皆吉と算す、唯だ疾病を救うこと能わず(一说は亦た病情の較輕なるを主る)。
貴人臨旺相氣發用,及加日辰年命者,曰「富貴卦」。歲貴更用起月將者,曰「龍德卦」,皆主陛遷,所求遂。
貴人が旺相の気を乗りて発用し、あるいは日・辰・行年・本命の上に加臨すれば、これを「富貴卦」と曰う。太歳上の貴人が又恰好月将の上に起れば、これを「龍徳卦」と曰う。両者は皆升遷を主り、求むる所の事は心に稱い意に如う。
貴人臨二八門,曰「勵德卦」,利君子遷轉與動移事,不利小人。主憂身、宅移動不寧。
貴人が二月の卯・八月の酉この两箇の門戸の位に臨むを、「勵徳卦」と曰い、君子の遷官轉職と動身移居に利あり、小人に對しては則ち不利にして、憂慮の身に及ぶ・家宅動蕩不安を主る。
貴人入獄,主君子煩燥不寧。凡謁貴遇入獄及勵德,必阻滯。即相見,亦欠利,或貴人自有憂煩。
貴人が辰戌の牢狱の地に落入すれば、君子の煩躁不安を主る。凡そ貴人に求見して「貴人入獄」あるいは「勵徳卦」に遇えば、必定に受阻滯留す;縱りも見着くと雖も亦た順利ならず、あるいはあの貴人自身正に憂煩の事あるなり。
貴人專主錢財喜慶詔命之事,君子拜命遷官,小人田宅財物。
貴人は專ら錢財・喜慶と詔命の類の事を主る:君子に在りては命を受け官に拜し・遷轉升職し、小人に在りては則ち田宅と財物の利なり。
貴人在旺上,主貴人官爵印信;相,主貴人錫賜財物;休,主貴人憂病;囚,主貴人囚繫;死,主貴人死喪。
貴人が旺気の上に臨めば、貴人の官爵と印信を主る;相気に臨めば、貴人の賞賜財物を主る;休気に臨めば、貴人に憂愁疾病あるを主る;囚気に臨めば、貴人の囚繋せらるるを主る;死気に臨めば、則ち貴人に死喪の事あるを主る。
貴人・賦
天乙居中,後六前五,在子也。解息,必囑事於僕童,在丑也;陛堂,宜投書於公府。案几在寅,卜庭謁之無虞。登車在卯,知路訴為有補。辰戌懷怒兮,上妬下憂,巳午受生兮,君悅臣喜。
賦文にいう:天乙貴人は正中に居り、後に六位・前に五位あり。それが子位に在るを「解息」と曰い、事は必ず僕童に嘱托して辦せしむるを得;丑位に在るを「陛堂」と曰い、官府に書状を投逓するに宜し。寅位に在るを「案几」と曰い、公庭に謁見を占うに無虞を保しうる;卯位に在るを「登車」と曰い、路途上に申訴するは補益あるを知るべし。辰・戌に在れば則ち貴人は怒を懐き、上位者は妒忌し下位者は憂懼す;巳・午に在れば則ち火は來りて土を生じ、君上は歡悅し臣下は欣喜す。
移途在申兮,有干求之榮。列席在未兮,有酒食之美。亥還絳宮,坦然安居。酉入私室,不遑寧處。
申位に在るを「移途」と曰い、干謁求取して榮顯を得るの事あり;未位に在るを「列席」と曰い、酒食宴樂の美あり。亥位に到るは絳宮本闕に回帰して、坦然として安居す;酉位に到るは私室に進入して、却って局促して安寧を得ず。
子居北方幽隱地,故為房。貴臨為解息。一云:沐浴。又云:主婦人病。房前為堂。丑又為玉堂,投書進策,主貴人接引喜合。又云:丑為本家不治事,惟宜守舊。寅宜謁見於家,卯宜訴訟於路。又云:在卯為荷項,不利於進,主官求退。又為追魂使者,病凶。貴在卯酉,家宅遷移不寧。
注解にいう:子は北方の幽深隠蔽の地にして、故に内房に象を取る、貴人これに臨むを「解息」と曰う;一说は「沐浴」と曰い、又一说は婦人に病あるを主る。内房の前は即ち廳堂にして、丑は又「玉堂」、故に丑に在りては書を投じ策を献ずるを主り、貴人の接引を得て歡喜相合す;亦た説ありて丑は貴人の本家にして、家に回れば便ち事を理せず、ただ旧業を固守するに宜しとす。寅に在りては門に登りて謁見するに宜しく、卯に在りては道路上に申訴するに宜し。又一説:貴人が卯に在るを「荷項」と曰い、進取に利あらず、官を為る者の却って退職を求むるを主る;卯は又追魂使者の位にして、病を占うは凶と為す。貴人が卯・酉に在れば、家宅遷移・動蕩不寧を主る。
巳午以火生土,謂之受賞,又在巳謂趨朝,在午謂乘軒,皆主進望詔命,薦接遷擢之喜。又云:官訟遠行在辰戌,上欲害下,且怒且懼,主貴人不寧,有決罰之事。又入獄貴人下臨,未太常,主晏樂、小惠。申白虎,主道路、干求,一云:有神像事,又主損財。
巳・午は火に属し、火は土を生ず、故に「受賞」と曰う;巳に在りては又「趨朝」と曰い、午に在りては又「乘軒」と曰い、皆進身の望あり・詔命を受くるを得、および薦擧提拔せらるるの喜事を主る。又一説:官訟と遠行は辰・戌に應ず、此の時上位者は下位者を加害せんと要し、既に怒を含み又懼を含み、貴人の心緒不寧・刑罰を決斷するの事あるを主る、これ即ち「貴人入獄」なり。貴人が下に未位に臨むは太常の家にして、宴飲歡樂と小小の恩惠を主る;下に申位に臨むは白虎の家にして、道路奔走と干謁求取を主り、一说は別に神像佛事あり、又錢財を損耗するを主る。
加酉與卯同,酉為日月入明之地,群象私出之門,為陰私不明,關隔不通。或云:主口舌、疾病。加戌與辰同,加亥曰持笏,又為登天門。貴人順治,諸煞被制,利於進取。
貴人が酉に加わると卯に加わるの主る所は相同なり:酉は日月が明より暗に入るの地にして、亦是れ群象の私自に出入する門戸、故に陰私曖昧・關隔阻塞不通を主り、亦有りて口舌と疾病を主ると説く。戌に加わると辰に加わるの主る所は相同なり。亥に加わるを「持笏」と曰い、又叫ぶ「登天門」、此の時貴人は順行して事を治め、各路の凶煞は皆制服せらる、進取に最も利あり。
貴人・詩
天乙神中是貴人,利為干謁慶財因;君子拜官遷祿秩,小人爭訟入公庭;旺相相生尊者召,死囚刑剋忌官嗔;病名寒熱頭目痛,崇非凡鬼廟宗神。
詩訣にいう:天乙は衆神の中に於て即ち貴人にして、干謁請托に利あり、慶賀と財帛の因縁を主る;君子が占得すれば拜受官職・增遷俸禄品秩を主り、小人が占得すれば則ち争訟して公庭に傳入せらるるを主る。気が旺相に在りてまた日と相生すれば、尊長の召見を主る;気が死囚に在りてまた日干を刑剋すれば、則ち官長の嗔怒を防ぐべし。病を占うは寒熱往来・頭目疼痛を主る;犯する所の祟は尋常の游鬼にあらずして、廟中宗祠の神なり。
貴人・類
為官祿、文章、首飾、珍寶、榖麻、鱉、獬、牛,變異為水木之精,鱗角之物。色,黃、白。數,八。
貴人の類象:官爵俸禄・文章・首飾・珍寶・穀物麻料を主り、動物は則ち鱉・獬・牛;若し變異を見れば、則ち水木の精および鱗ある角あるの物なり。その色は黃と白と為り、成数は八なり。
螣蛇
螣蛇・論
螣蛇在天事天乙,為車騎都尉,雷部鞭馭之神。位居前一家,丁巳火旺六十日,凶將也。
螣蛇は天上に於て天乙貴人に侍奉し、職任は車騎都尉にして、是れ雷部の中の鞭を執りて駕馭する神なり。それは貴人の前の第一位に排せられ、納音は丁巳火に属し、一年の中に當旺六十日にして、是一位の凶將なり。
螣蛇為太乙,照則福生,過則禍生。凡事造釁,發端者,此神也。既過之後,風火、刀兵、大刼、小盜、流災、凶旱、風水、蟊賊、蟲毒、疾疫多行,暗道私匿,婦人姙孕不明事。愛陰、虎、龍、玄、後,畏戌。
螣蛇の本家は巳に在りて太乙を以て位と為す、太乙の光がそれに照到すれば福を生じ、それを越えれば禍を生ず。凡そ事の釁を起し端を生ずるは、多くこの神より引發す。それが過去するの後を待てば、風災火患・刀兵・大劫掠と小偷竊・流行の災害・凶年旱魃・風水之患・蟊賊・虫毒・瘟疫は皆盛行し、還って暗中に行事し・私相に藏匿し、および婦人の懐孕の來歴不明の類の事を主る。それは太陰・白虎・青龍・玄武・天后と同處するを喜び、而して戌位を畏懼す。
蛇主文字、虛譽、公信、小財、水火之交。其戾,主火燭驚恐、怪夢、火光、釜鳴、官司、口舌、血光事,應在丙丁巳午日。若旺、相、相生、比和則吉,休、囚則轉災。空亡減半,披刑帶殺,災病立至。
螣蛇の正面に主る所は、文字・虚名浮譽・公家の信約・小額財物、および水火交争の事なり。それが乖戾する時は、則ち火燭の災・驚恐・怪夢・火光・釜鳴作響・官司・口舌と血光の事を主り、多く丙・丁・巳・午日に應ず。若し気が旺相に在り、又日と相生するか比和せば、便ち吉;気が休囚に在れば、則ち轉じて災と為る。空亡に落つる時は凶禍は半減す;若し身に刑を披き凶殺を帯ぶれば、災病は立時に到る。
蛇附旺相,神更相生者,主胎產與婚姻之喜,以其為陰私血光之神也。在君子,主威權之相,以其將厲車騎威武也。若附血忌,帶刑煞,占胎必墜,當產即生。蛇附旺相,神乃有氣,占怪必生氣之類,附死囚氣為死物,或有聲無形。
螣蛇が旺相の神に附し、乗ずる所の神がまた日と相生すれば、胎産と婚姻の喜事を主る、それが本より陰私血光の神たるを以てなり。君子の身上に在りては、則ち威權の象を主る、それの領する所は威武の車騎たるを以てなり。若し血忌の上に附してまた刑煞を帯ぶれば、胎を占うは必ず小産、産に臨めば則ち當即に生下す。螣蛇が旺相に附して乗ずる所の神に氣ある時は、怪異を占うは必ず生気ある活物なり;死囚の氣に附せば、便ち死物、あるいはただ聲響ありて形跡を見ざるのみ。
占夢與見怪,先責螣蛇及陰神日辰,三傳次之。凡蛇附火神,居火鄉,及值時下見火決,主火燭驚恐,不然有口舌、公事。求財,蛇附財星,旺相相生,必因賤貨而得財;反此者,主驚恐。凡蛇臨日辰,占貨必得下賤之物。
夢境を占い怪異を占うは、まず螣蛇およびその陰神と日辰を責問し、三伝は其次に放つ。凡そ螣蛇が火神の上に附し、又火郷に居り、あるいは占時が正に火時にあたれば、火燭驚恐と斷ず;否則も亦た口舌と官府の事を主る。財を求むるを占うに、螣蛇が財星の上に附して氣が旺相に在り・日と相生せば、必ず賤価の貨物に倚りて財を得る;情形相反なるは、則ち驚恐を主る。凡そ螣蛇が日辰に臨めば、貨物を占うは必ず低賤の物を得る。
蛇,旺主縣官鬥訟,相主亡財爭訟,囚主囚繫恐懼,休主疾病怪異,死主死喪驚恐。
螣蛇の気が旺に在れば、官府の争闘訴訟を主る;気が相に在れば、破財と争訟を主る;気が囚に在れば、囚繋と恐惧を主る;気が休に在れば、疾病と怪異を主る;気が死に在れば、則ち死喪と驚恐を主る。
螣蛇・賦
螣蛇怪異,掩目在亥,去難以消災。盤龜在丑,禍淫而福善。生角在寅,露牙在酉,進用非訟,禍福兩途。乘霧在午,飛空在巳,休祥不辨,皆主進望。入林兮在未,舉步可防。墜水兮在子,從心無患。卯當門,申銜剱總是成災。戌入冢,辰乘龍,並云釋難。
賦文にいう:螣蛇は怪異を主る。亥に在るを「掩目」と曰い、災難は之に隨いて消去す;丑に在るを「盤龜」と曰い、禍は淫邪に及び福は善良に帰す。寅に在るを「生角」と曰い、酉に在るを「露牙」と曰い、一は進用を主り一は争訟を主り、禍福は两路に分かつ。午に在るを「乘霧」と曰い、巳に在るを「飛空」と曰い、吉凶は辨じ難しと雖も、然れども皆進取の指望あるを主る。未に在るを「入林」と曰い、擧步の間に須らく提防を加うべし;子に在るを「墜水」と曰い、却って心に隨いて患なし。卯に在るを「當門」と曰い、申に在るを「銜劍」と曰い、皆災禍を釀成す;戌に在るを「入塚」と曰い、辰に在るを「乘龍」と曰い、則ち一概に危難を解除するを主る。
蛇加亥曰「掩目」,不能傷人。一云:發用主婢走或失財。丑為寺、龜蛇、鑑盤,文故主鑑降禍福。又云:乃入穴自藏之象,憂事自散。寅屬火,乃變化之地,旺則生角成龍,而得時利於進用,衰則失時,反為蜴蜥,以大為小。在酉為克傷之地,故露齒,必主陰人、災疾、口舌、怪異。
注解にいう:螣蛇が亥上に加臨するを「掩目」と曰い、眼は遮らるれば便ち人を傷ること能わず;一说はそれが發用する時は婢女の走失あるいは錢財を丟失するを主る。丑は寺廟にして、又有りて龜蛇の盤繞・鑑盤の文を承くるの象、故に上天の鑑察して禍福を降すを主る;亦有りてこれは穴に入りて自ら蔵るの象にして、憂愁の事は自ずから消散するを説く。寅は火の長生の地にして、變化の郷に属し、氣旺なれば則ち角を生じ龍に化し、時を得て進用に利あり;氣衰なれば則ち時を失し、却って蜥蜴と成り、大より小と為る。酉は火の剋傷を受くる地にして、故に「露齒」と曰い、必ず陰人・災病・口舌と怪異を主る。
未木墓之地,為入林,主口舌、官訟。子火絕之鄉,為墜水,主凶災不成。一云:主驚疑、怪夢。加卯曰當門,傷人口,門戶上不和。一云:血光。申,金也。與將刑合內戰。戌乃火庫,為睡床,故入冢憂散。辰為龍庭,加辰曰自蟠,只可遠,不可近。又蛇處辰宮,名為進化,凶怪皆什。一云:主產婦公事。
未は木の墓に入る地にして、故に「入林」と曰い、口舌と官司訴訟を主る。子は火氣斷絶の郷にして、故に「墜水」と曰い、凶災の事を成さざるを主る;一说は驚疑と怪夢を主る。卯上に加臨するを「當門」と曰い、家中人口を傷損し・門戸の内の不和を主る;一说は血光を主る。申は金に属し、螣蛇の火と既に刑し又合し、内戰の象に属す。戌は火庫にして、又有りて睡床の象、故に「入塚」して憂事は消散す。辰は龍庭にして、辰上に加臨するを「自蟠」と曰い、ただ遠觀すべくして近前すべからず;又説く螣蛇が辰宮に處するを「進化」と曰い、凶事怪異は皆平息す;一说は産婦と官府の事を主る。
螣蛇・詩
前一螣蛇車騎尉,火神驚恐怪非安;君子居官憂失位,小人爭鬥病災纏;旺相相生災未發,死囚刑剋禍連綿;病者四肢頭目痛,水木神來作祟冤。
詩訣にいう:貴人の前一位の螣蛇は車騎都尉にして、火に属する神、驚恐怪異を主りて安寧を得ず;君子は官位上に在りて失位を憂慮すべく、小人は則ち争闘と病災に纏身す。気が旺相に在りて又日と相生すれば、災禍はまだ發作せず;気が死囚に在りて又日干を刑剋すれば、禍患は便ち接連して断たず。病を占うは四肢と頭目疼痛を主り、犯する所は水神・木神の類の作祟結怨なり。
螣蛇・類
為文華金火,每物變異為金火之精。於人為驚狂婦人,或作熒惑小人。於祟水木土神,或不葬客鬼。於病為頭目、四肢、癰腫、見血。於五榖為豆黍。於獸為蛇蛟。受味甘羙食物。色,紅赤。數,四。
螣蛇の類象:文采華飾と金・火の物を主り、凡そ變異あるは皆金火の精なり。人物の上では受驚癲狂の婦人、あるいは善く人を蛊惑する小人なり。祟象の上では水神・木神・土神、あるいは客死他郷して未だ安葬せざる孤魂なり。病症の上では頭目の疾・四肢の患・癰腫と出血なり。五穀の上では豆と黍なり。獸類の上では蛇と蛟なり。滋味の上では甘美の食物を主る。その色は紅赤と為り、成数は四なり。
朱雀
朱雀・論
朱雀在天事天乙,為羽林將軍,在雷部行火,亦名招風神。位居前二家,丙午火,夏旺春相,凶將也。陰火寄於重離,陽極反陰,不足之神,又名飛火流金。愛虎、陰,畏後、空,不立亥子戌。
朱雀は天上に於て天乙貴人に侍奉し、職任は羽林將軍、雷部の中に於て行火を掌管し、又叫ぶ「招風神」。それは貴人の前の第二位に排せられ、納音は丙午火に属し、夏天に當旺し・春天は相と為り、是一位の凶將なり。それは陰火にして重離の位に寄居し、陽極まりて反轉して陰と為り、氣に不足ある神に属し、又名「飛火流金」。それは白虎・太陰と同處するを喜び、天后と天空を畏懼し、亥・子・戌の上に立つを肯ぜず。
雀吉得地,主文章、印信、勑命、服色、王庭事。失地則凶,主火燭焚煌、口舌、生病、公訟、文字、財物損失、馬畜災傷等事。若旺相披刑帶殺,為害必深,反此則淺。凡占公事,雀逆理,刑賊日干,官必嗔責,反此無害。
朱雀が吉に居りて地を得れば、文章・印信・敕命・服飾品色と朝廷の事を主る。地を失えば便ち轉じて凶となり、火燭焚燒・口舌・生病・官府訴訟・文書糾葛・財物損失および馬匹牲畜の災を受くる等の事を主る。若し気が旺相に在りて而又身に刑を披き凶殺を帯ぶれば、害と為すは必ず深重;反せば則ち較輕淺なり。凡そ官府の事を占うに、朱雀が理に逆りて行い、日干を刑剋賊害せば、官長は必定に嗔怒責備す;情形相反なれば妨害なし。
占科場與投獻文策,雀不入傳,亦須尋討,最愛為歲、月建與月將並,不然與歲月日相合,帶祿附馬,並德加臨生旺之地,文策必中。如被刑剋,及落空亡、無炁加臨死絕,其文必不合格。又卦體三傳並吉,亦不必以此斷。
科擧考場と献策文章を投逓するを占うに、朱雀は即ち三伝に入らずと雖も、必ずそれを尋ね出して推詳すべし。最も好しは朱雀が太歳・月建・月将と併び臨み、再び然らざれば歳・月・日と相合し、禄神を帯び驛馬に附着し、併せて日徳に合して長生・帝旺の地に加臨する、このようになれば文章策論は必定に中式す。若し刑剋せられ、あるいは空亡に落入し、あるいは無氣にして死絶の地に加臨すれば、文章は一定に合格せず。不過若し卦體と三伝と皆吉なれば、亦た必ずしも朱雀の一項に憑りて斷ずる要なし。
朱雀,羽蟲之長,文書信息、口舌、刑戮之神,其為印信,亦分大小,或天戒,或朝廷公文,或行人私信。嘗夏月見山蛇戲路中,占得丑雀,附天喜臨門戶發用,合主朝廷文字,不然則天驚也。當晚驟風雨,幾旬而止。葢丑為太歲、為風伯、雨師,附天喜臨門戶,果應天戒。又旬日中有御牓至,凡將驚動,仿此斷之。雀附火神,臨火鄉,並值火時,占決主火燭。
朱雀は羽族の長にして、是れ文書音信・口舌と刑戮を主るの神なり。それの主る所の印信も亦た大小に分かつ:あるいは上天の告誡、あるいは朝廷の公文、あるいは行人の私信なり。曾て夏月に山蛇の路中に嬉游するを見、丑上に朱雀を乗せるを占得し、天喜に附着して門戸に臨みて發用す、合當に朝廷文書を主るべし;否則は便ち上天の示警なり。當晚果して驟かに風雨起り、十来日を過ぎてはじめて停まる。丑は既に太歳、又是れ風伯・雨師にして、天喜に附して門戸に臨めば、果して天戒に應じたり;十日の内にまた御榜の下達あり。凡そ諸將の驚動に遇うは、皆この例に照らして推斷す。朱雀が火神の上に附し・火郷に臨み、又正に火時にあたれば、占斷すれば則ち火燭の災を主る。
嘗正月己卯日占季卦,雀乘午火,居南方,春得相氣逆理,三傳卯子午四刑沖殺,當主火燭。幸課名伏吟,神殺不動,雀下賊日干,後不為災。朱雀開口,法主斗喧。正巳、二辰、三午、四未、五卯、六寅、七申、八酉、九丑、十子、十一戌、十二亥。
曾て正月己卯日に一箇の四季課を占い、朱雀は午火に乗りて南方に居り、春天に相氣を得て逆理し、三伝は卯・子・午にして、四刑衝殺を帯び、本應に火燭の災を主るべし;幸いに課名は伏吟にして、神煞は皆發動せず、朱雀は下に在りて却って日干を賊し、後來は並びて災を成さず。又有りて「朱雀開口」の一煞、法に按じて争闘喧鬧を主り、その起法は:正月は巳に在り、二月は辰に在り、三月は午に在り、四月は未に在り、五月は卯に在り、六月は寅に在り、七月は申に在り、八月は酉に在り、九月は丑に在り、十月は子に在り、十一月は戌に在り、十二月は亥に在り。
朱雀,旺,主縣官口舌;相,主錢財、婚姻;死,主死喪、口舌;囚,主囚禁;休,主疾病、心腹、口竅不利。
朱雀の気が旺に在れば、官府と口舌を主る;気が相に在れば、錢財と婚姻を主る;気が死に在れば、死喪と口舌を主る;気が囚に在れば、囚禁を主る;気が休に在れば、疾病を主り、殊に心腹と口竅不利なり。
