巻三十六・奇門行兵雜摘
作盤ガイド: 奇門遁甲作盤
奇門行兵雜摘:天乙飛宮,不宜進兵,後應則吉。白入熒利主,熒入白利客。龍逃走、雀投江不利客,宜後應;蛇夭蟜、虎倡狂不利主,宜先舉。大格、刑格必敗。值符是庚,又宜避丙丁之宮,此是格悖,非回首也。陽時要天盤強,陰時要地盤強。返吟有吉格,亦宜進兵,當乘亂破殺;伏吟宜藏兵暗地,使敵入我伏中。要擇九天、開門、值符下出兵吉。回首、跌穴、三詐、九遁之類,最忌下尅上;時干尅日干,主下犯上,主客勝。
奇門行兵の雜項の摘要:天乙飛宮の格に遇えば兵を進むるに宜しからず、後發して人を制して乃ち吉なり。白入熒は主方に利有り、熒入白は客方に利す。青龍逃走・朱雀投江の両格は客方に利ならず、客方は當に後發すべし;螣蛇夭矯・白虎猖狂の両格は主方に利ならず、主方は當に先ず手を動かすべし。大格・刑格に遇えば必ず敗る。若し値符が本身就是れ庚なれば、還た丙・丁の所在する宮を避くるを要す、此れは格と悖とに属すればなり、并びに青龍返首に非ず。陽時は天盤の強きや否やを看るを要し、陰時は地盤の強きや否やを看るを要す。返吟の中に若し吉格有れば、亦た兵を進むることを得し、當に敵方の混亂に乘じて一擧に撃破すべし;伏吟は則ち兵を暗處に藏り、敵人をして我が埋伏に落入せしむるに宜し。九天・開門・値符の下を選擇して出兵して乃ち吉なり。青龍返首・飛鳥跌穴・三詐・九遁の此の一類の吉格は、最も下盤の上盤を剋するを忌む;時干が日干を剋すれば、以下犯上を主し、客方は勝を取る。
奇儀相合,安營最利。立寨須看六庚與玄武所臨之宮,主有刦營之賊,所遇無非奸細。陽將陰時遇兩重玄武,賊兵必來偷刦。乙加辛,賊來偷刦,必自敗而退;若乙得旺氣,此一路必有伏兵。虎倡狂不會驚開二門,不甚為害,利為客。
三奇六儀の相合する方位は、營を安んずるに最も利有り。寨を扎する時は必ず六庚と玄武の臨む所の宮位を査看すべし、あれは劫營の賊兵有るを主り、遇う所の人は無非は奸細なり。陽將が陰時に在りて又た兩重の玄武に碰上せば、賊兵は必定に來りて寨を偷襲劫掠せん。乙が辛に加わる方位は、賊は雖ど來りて劫を偷るも、亦た必定に自ら敗退せん;若し乙が又た旺氣を得れば、此の一路上は必ず伏兵有らん。白虎猖狂の格は若し驚門・開門の此の両門に會わざれば、為害は算して大ならず、而且に客方に利有り。
龍回首主兵大利,客亦不凶。丙加壬,有文書纒綿遺失。六儀擊刑最凶,雖為值符亦不可用。三奇入墓,百無一成。刑格、大格、小格,遇此車破馬倒,慎勿追趕,反受其咎。天乙飛宮,切勿進兵;天乙伏宮,須移帳於丙丁方避之。飛宮則將軍當隨天上值符而飛,伏宮則將軍當隨天上值符而伏。夭矯不可對敵,宜移帳到戊己方。
青龍回首は主方の兵に大いに利を主し、客方も亦た算して凶ならず。丙が壬に加わるは、文書の糾纏不清して并びに遺失有るを主す。六儀撃刑は最も凶にして、便ち其の値符なりとも亦た用う可からず。三奇入墓は、百事は一成も無し。刑格・大格・小格に碰上せば、車は破れ馬は倒れ、千萬に追趕する勿れ、否ずんば反って其の害を受けん。天乙飛宮に遇えば、切に兵を進むる勿れ;天乙伏宮に遇えば、必ず須らく中軍帳を丙・丁の方に移して躲避すべし。飛宮の時は主將は當に天盤値符に随いて一同に飛移し、伏宮の時は主將は當に天盤値符に随いて一同に潜伏すべし。螣蛇夭矯の格は敵と對陣する可からず、當に中軍帳を戊・己の方に移すべし。
六合臨主,敵有人降,事必成就。交戰最利傷門,景門勝而不久,休門只宜堅守。白入熒,賊來偷營,即伏兵於此方迎戰。熒入白,凡遇賊兵,可即時發兵,遲則讓賊為客,又宜避之。置陣之法:用本日干之五行,甲乙為直陣,丙丁為銳陣,戊己為方陣,庚辛為圓陣,壬癸為曲陣。
六合が主方に臨めば、敵方の人の來りて投降するを主し、事情は必ず能く成就せん。交戰は最も傷門に利し、景門は雖ど能く勝を取るも持久する能わず、休門は只だ堅守するに宜し。白入熒に遇えば、賊は必ず來りて營を偷し、便ち此の方位に於て兵馬を埋伏して迎擊す。熒入白に遇えば、凡そ賊兵に碰上せば、能く立即に兵を發す;遲疑すれば便ち「客」の位置を賊に讓るに等し、あの時は反って當に回避すべし。陣を布くの法:當日の日干の五行に按じて之を定む、甲乙日は直陣を排し、丙丁日は銳陣を排し、戊己日は方陣を排し、庚辛日は圓陣を排し、壬癸日は曲陣を排す。
巻三十六・安營方所
安營方所:出兵征伐,安營列陣,步用六百,外圓內方,象天地之式,量士卒多寡以令為之,四通八達,運糧水道盤迴屈曲,法度井龍,不得犯惡石及塚墓、草莽、絕道、死水、隘狹、險峻之地。凡擇勝地,然後表十二位,旗上將軍居九天之上,大將軍居青龍之上,竟五位開軍門,背月建,不向太歲、大將軍。
安營の方位と處所:出兵征伐・安營布陣するに、營地は六百步を以て度と為し、外圈は圓形を作し内圈は方形を作して、天圓地方の格式に象を取り;再び士卒の多少に按じて令を下して之を加減す。營中は四通八達すべく、糧を運ぶ水道は回環曲折し、法度は井田と龍脉とのごとく條理有らしむべし。惡石および墳墓・草莽・斷頭路・死水・狹隘・險峻の地を触犯するを得ず。凡そ有利の地形を選定して後、然る後に表を立てて十二個の方位を標出す:旗上將軍の位置は九天の上に設け、大將軍の位置は青龍の上に設け、五位を隔滿して軍門を開設し、營門は月建を背にし、太歳と大将軍方とを正對せず。
凡軍次宿,大將軍當居玉帳之中,得天神之助,及天乙宮、值使宮,地下旬支也;坐陣臨陣,天上干也。經曰:天動地靜,正此謂也。甲子旬軍門辰上、將軍子,甲戌旬軍門寅上、將軍戌,甲申旬軍門子上、將軍申,甲午旬軍門戌上、將軍午,甲辰旬軍門申上、將軍辰,甲寅旬軍門午上、將軍寅。大將軍居青龍六甲也。
凡そ軍を駐して宿るは、主將は當に玉帳の中に居るべく、天神の相助を得ることを得ん;玉帳の位置は又た天乙宮・値使宮と關有り、此れらは皆に地盤上の旬支を取りて之を定む。坐陣と臨陣の所向に至っては、則ち天盤上の天干を取りて之を定む。經文に「天動地靜」と曰うは、正しく此の道理を指す。各旬の軍門と將軍位とは下のごとし:甲子旬は軍門は辰の上に在り將軍は子に在り;甲戌旬は軍門は寅の上に在り將軍は戌に在り;甲申旬は軍門は子の上に在り將軍は申に在り;甲午旬は軍門は戌の上に在り將軍は午に在り;甲辰旬は軍門は申の上に在り將軍は辰に在り;甲寅旬は軍門は午の上に在り將軍は寅に在り。主將の居る所の青龍位は、即ち本旬の六甲の位なり。
軍門開五位繫守營,軍門開六戊繫戰營也。旗鼓居蓬星六乙也,士卒居明堂六丙也,伏兵居六陰六丁也,軍門居天門六戊也,小將居地戶六己也,齊眾斬斷居六庚也,判罪運糧居六辛也,囚繫移谷居六壬也,府藏之庫居六癸也。
軍門の五位を隔てて開くは是れ守營の格局、軍門を六戊の上に開くは是れ戰營の格局。營內の各部の安置は:旗鼓は蓬星即ち六乙の位に設け、士卒は明堂即ち六丙の位に駐し、伏兵は六陰即ち六丁の位に藏し、軍門は天門即ち六戊の位に設け、副將は地戸即ち六己の位に居り、部衆を整肅し斬決を執行するは六庚の位に設け、罪を判じ糧を運ぶは六辛の位に設け、囚犯を關押し糧穀を轉運するは六壬の位に設け、府庫倉廩は六癸の位に設く。
巻三十六・行軍擇地
行軍擇地:驅馳千里,破軍殺將,存亡所關,安危所繫,雖曰本乎人事,而實天時居半、地利居半。故經曰:知天之時,可以合戰;識地之利,可以全軍。天時不知,地利不識,每出必敗。故上將之道,度天地而後因之,故曰:勝敵者地也。地有步地、車地、騎地,車地、騎地、步地利於險,車地於平,騎地利於曠,故能因利而制勝,是為上將。
行軍して地形を選擇す:千里を馳騁して敵軍を撃破し敵將を斬殺するは、存亡に關係し安危に繋がる、雖ど根本は人事に在ると謂うも、其の實は天時は一半を占め地利は一半を占む。故に兵經に曰く:天時を懂れば、會戰することを得し;地利を識れば、軍を保全することを得し。天時を懂らず地利を識らずば、每たび兵を出せば必ず敗る。故に上等將領の做法は、先ず天時地利を度量し、然る後に勢いに因りて利に導く、此に因りて曰く:眞に敵人に戰勝するは地形なり。地形は步兵に宜しき・車兵に宜しき・騎兵に宜しきの三種に分かる:步兵の地は険要に利し、車兵の地は平坦に利し、騎兵の地は空曠に利す。能く地の利に因りて制勝するは、此れ纔かに上將と算すべし。
長江亙前,舟梁皆絕,軍難飛渡,名曰天塹。高山密圍,四望無缺,水潦皆至,名曰天井。峰巓亂起,路多分析,來去不見,名曰天房。叢林相薄,四面若回,逶迤其路,名曰天羅。群山相挾,松柏深黑,路如羊腸,名曰天牢。地多下溼,高迥低低,泥濘粘足,名曰天陷。怪石遍地,處處井塘,或突或兀,名曰天隙。樹木數里,荵蔭極目,去路必由,名曰天障。城邑相隣,野多樹落,雞犬時驚,名曰天市。前有平原,崇山後繞,林木陰蔽,名曰天屏。
以下は各種の地形の名目:大江が前面に横たわり、船隻橋梁は皆に斷絶し、軍隊は飛渡し難し、之を天堑と叫ぶ。高山は密密に圍合し、四面に望めば毫も缺口無し、雨水積潦は皆に此に彙る、之を天井と叫ぶ。山峰は亂れて起き、道路は歧多く、往來は皆に人影を見ず、之を天房と叫ぶ。叢林は逼近し、四面は一圈を圍うがごとく、道路は蜿蜒曲折す、之を天羅と叫ぶ。群山は夾峙し、松柏は森森として一片幽暗、道路は細くして羊腸のごとし、之を天牢と叫ぶ。地勢は低窪潮濕にして、高低起伏は不平、泥濘は脚に粘る、之を天陷と叫ぶ。怪石は遍地にして、處處に井坑水塘、或いは突起し或いは兀立す、之を天隙と叫ぶ。樹木は數里に綿延し、樹蔭は視野を遮滿し、去路は必ず其の中より穿過せねばならず、之を天障と叫ぶ。城邑は相鄰し、野外に村落樹叢多く、雞犬は時時に驚を受く、之を天市と叫ぶ。前面は平原、高山は後面に繞れ、林木は遮蔽して蔭を成す、之を天屏と叫ぶ。
峻嶺前回,旁無去路,步步欲高,名曰天梯。山分左右,壁立百仞,一水飛流,名曰天潤。險阻在旁,一峰挺出,八方皆見,名曰天月。大山兩岸,中流獨時,水勢從空,名曰天界。蔓草相延,叢生莞葦,風颷數起,名曰天灶。浩浩蕩蕩,四望無山,垣平如砥,名曰天場。路曲山巔,曲折崎嶇,竟日不盡,名曰天棧。眾樹交加,隔離天日,細路入山,名曰天穴。環山數里,進路不通,內儲富厚,名曰天倉。面山背水,進可以戰,退可以守,名曰天府。荒墳古塚,觀宇相仍,夜多鬼火,名曰天幽。
峻嶺が前面に回環し、旁に去路無く、愈々行けば愈々高し、之を天梯と叫ぶ。山は左右に分列し、絶壁は高さ百仞に達し、一道の水は其の中より飛流して下る、之を天潤と叫ぶ。険阻は旁に在り、一座の山峰は挺立して出で、八方は皆に能く望見す、之を天月と叫ぶ。大山は両岸に夾り、中間に獨り水流有り、水勢は凌空して下る、之を天界と叫ぶ。蔓草は蔓延し、蒲草蘆葦を叢生し、狂風は時時に刮起す、之を天竈と叫ぶ。地勢は浩浩蕩蕩にして、四面に山を望見せず、地面は平坦にして磨刀石のごとし、之を天場と叫ぶ。道路は山頂に盤り、曲折崎嶇にして、一整天を走るも走り尽くせず、之を天棧と叫ぶ。衆樹は交錯し、天日を遮住し、唯だ細路の山中に通入する有るのみ、之を天穴と叫ぶ。群山は數里に環繞し、進入の路は通ぜず、裡面は却って物産富厚なり、之を天倉と叫ぶ。山に面して水を背にし、進めば戰うべく退けば守るべし、之を天府と叫ぶ。荒墳古墓、道觀廟宇は一片に連なり、夜裡に鬼火多し、之を天幽と叫ぶ。
故善用兵者,因其地勢而用之,進無接,退無及,分車列騎,無易無厄,前後遠近,內外左右,無所不慮,無所不備,則無所不利,乃可以全軍。故制勝之道,莫先於地。當留不留,當去不去,當奇不奇,當伏不伏,是謂死將;當進不進,當退不退,當避不避,當爭不爭,是謂死軍。軍死無功,將死無及。
故に兵を用うるに善き者は、總て地勢に因りて運用す:敵人をして進んで接近する能わず退いて追及する能わからしむ;車兵を分派し騎兵を排列すれば、平易を走るも険厄に入るもせず;前後遠近・内外左右、一處に考慮を加えざる無く、一處に防備を加えざる無し、則ち往々に利あらざる無し、纔かに全軍を保全するを得ん。故に制勝の道は、地形より優先する無し。當に留駐すべきに留駐せず、當に離去すべきに離去せず、當に奇を出すべきに奇を出さず、當に伏を設くべきに伏を設けず、此れを「死將」と叫作す;當に進むべきに進まず、當に退くべきに退かず、當に避くべきに避けず、當に爭うべきに爭わず、此れを「死軍」と叫作す。軍隊が死軍と成れば戰功無く、將領が死將と成れば挽救するに及ばざるなり。
巻三十六・回止惡風
回止惡風:忽有驟風夜間拔樹屋,此為賊風;若大風起有聲,大樹枝條不動者,謂之鬼風。賊風主兵,鬼風主病,均宜急避之。司馬仲達曰:凡有風動,但以八門遁甲課之,若在奇門相合上來則吉,若在凶門不得奇者為凶。故軍中遇惡風不止,旗竿倒折,取乾坤艮巽四窮上土,作泥人長三尺,手執桃弓、葦箭,仍執刀、披髮向風三叩齒。
惡風を禳止するの法:夜間に忽然として暴風が刮起し、樹木房屋を皆に拔倒せば、此れを「賊風」と叫ぶ;若し大風が起こりて只だ聲響を聞くも、大樹の枝條は却って動かざれば、此れを「鬼風」と叫ぶ。賊風は刀兵を主り、鬼風は疾病を主り、皆に當に急ぎ回避すべし。司馬懿に曰く:凡そ風の起こる有れば、只だ八門遁甲を用いて課を起こして之を推せ:風が若し奇門相合の方位より吹來せば則ち吉、若し凶門にして而も三奇無きの方位より吹來せば則ち凶なり。故に軍中に於て若し惡風の止まざる・旗杆の倒折するに遇えば、則ち乾・坤・艮・巽の四隅の盡頭の處の泥土を取り、一個の三尺高き泥人を捏え、手裡に桃木の弓・蘆葦の箭を拿らしむ;法を作る人は再び刀を握り頭發を披散し、風向に對して齒を三たび叩く。
咒曰:天有四狗,以守四境;地有四狗,以守四隅。以城為山,以池為河,寇賊不得過,來者不得進,去者不得還,急急如律令。咒畢棄之而去。又咒曰:道風之道,災殃消除,急急如律令。
咒を念じて曰く:天上に四隻の神犬有り、用いて四方の邊境を守衛す;地上に四隻の神犬有り、用いて四個の角隅を守衛す。城牆を以て山と作し、護城河を以て大河と作し、寇賊は越過するを得ず;來るは進入する能わず、去るは回還する能わず。急急として律令のごとし。咒を念じ畢れば便ち泥人を丢下して走り去る。別に一道の咒に曰く:道風の道、災殃は消除す、急急として律令のごとし。
巻三十六・明隨地置變之術
明隨地置變之術:地有異形,兵有異機,一險一易,地之形也;因地制宜,兵之機也。隨地制變,雖有不同而便利存焉,故能因其形乃可得其利,敵雖欲困我,亦無由也。晁錯曰:用兵臨戰,其所最急者有三:一曰先明地形,二曰士卒服習,三曰器械利用。國之所恃以戰者,將也;將之所賴者,兵也。有能之將,有制之兵,無往不勝;將不能而兵無制,何以取勝乎?
地形に随って布置を變換するの方法を講ず:地形は各々不同の樣子有り、用兵は各々不同の機宜有り。一處は険要、一處は平易、此れは地の形;地形に因りて適宜の法を採取す、此れは兵の機。地形に随って變換するは、做法は雖ど同じからざれど、方便と有利とは皆に其の中に在り。故に能く地形に順いて之を用えば、纔かに地形の利を得、敵人は縦れ我を困らんと欲するも、下手するに由無し。晁錯に曰く:用兵して戰に臨むは、最も緊要なるは三件有り:一は先ず地形を弄清し、二は士卒の訓練嫻熟、三は器械の精良好使。國家の倚仗して作戰するは將領、將領の倚仗するは士兵。能幹の將領有りて、節制有る士兵有れば、則ち往々に勝たざる無し;將領が無能にして士兵に節制無ければ、何を以て勝を取らんや。
故兵法曰:丈尺溝塹、草木茂林、依土積石、邱阜所在,此步兵之地,車騎二不當一。土山平原,四面曠野,此車騎之地,步兵十不當一。平易相遠,山谷幽澗,居高臨下,此弓弩之地,短兵百不當一。兩陣相近,平地淺草,可後可前,此長戟之地,劍盾三不當一。
故に兵法に曰く:丈尺寛の溝塹・草木茂密の樹林・土坡に依りて亂石を堆積せる丘陵地帶は、此れは步兵の施展する處にして、車兵騎兵の兩個も步兵の一個に抵當せず。土山平原・四面曠野の地方は、此れは車騎の施展する處にして、步兵十個も一個の車騎に抵當せず。地勢は平坦にして彼此の相距は遠く、或いは山谷幽澗の間に於て高に居り下に臨むは、此れは弓弩の施展する處にして、短兵器一百個も一個の弓弩手に抵當せず。兩軍の陣地は相近し、平地淺草にして進む可く退く可し、此れは長戟の施展する處にして、劍盾兵三個も一個の長戟手に抵當せず。
萑葦竹筱,草木叢密,此矛鋌之地,弓弩三不當一。士不選練,卒不服習,起坐不安,動靜無常,前擊後解,與金鼓旗幟所指皆不得當,此不素習之過也。兵不完、器不利,與空手同;甲不堅密,與袒裼同;弓弩不能及遠,與短兵同;射不的中,與無矢同;中不深入,與無鏃同:此將不省兵之過也。
蘆葦竹叢・草木叢生茂密の地方は、此れは長矛短矛の施展する處にして、弓弩手三個も一個の矛手に抵當せず。士兵は選擇訓練を經ず、兵卒は號令を熟習せず、起坐は皆に安穩せず、動靜は常規無く、前面は進撃すれば後面は便ち散じ、金鼓旗幟の指示する所と皆に對わず、此れは平時に訓練せざるの過なり。兵器は不完好、器械は不鋒利、則ち空手に等し;鎧甲は不堅固緊密、則ち赤膊して陣に上るに等し;弓弩は遠く射る能わず、則ち短兵器に等し;射出して命中する能わず、則ち箭無きに等し;命中して扎りて深からず、則ち箭上に鏃無きに等し。此れらは皆に將領の兵器裝備を檢査せざるの過なり。
兵法曰:器械不利,以其卒與敵也;卒不可用,以其將與敵也;將不知兵,以其主予敵也;主不擇將,以其國予敵也。此四者,用兵之至要也。是乙太乙用兵之法,克敵於未然,制勝於未兆,臨機觀變,全在於將。故曰:出兵從門,置陣順地,此之謂也。
兵法に曰く:器械は不鋒利、則ち自己の士卒を敵人に送るに等し;士卒は使用に堪えず、則ち自己の將領を敵人に送るに等し;將領は用兵を懂らず、則ち自己の君主を敵人に送るに等し;君主は將を選ぶ能わず、則ち自己の國家を敵人に送るに等し。此の四條は、是れ用兵の最も緊要の道理。故に太乙の用兵の法は、禍患の未だ發生せざるの時に敵を克し、徵兆の未だ顯現せざるの時に勝を制するを講究す;機に臨み變を觀るは、全て將領に在り。此に因りて曰く:兵を出ずるは吉門に順い、陣を布くは地形に順うを要す、講ずるは正しく此の意。原刻の「是乙太」は當に「是以太」の訛と為すべし。
巻三十六・明選將之術
明選將之術:武王問太公曰:王者舉兵,欲簡練英雄,不知士之高下,為之奈何?太公曰:夫士之外貌,不與中情相近者十五:有嚴而不肅,有溫良而為盜者,有貌恭敬而心慢易者,有外廉讓而內無誠信者,有精精而無情者,有湛湛而無誠者,有好謀而不決者,果敢而無能者,有悾悾而不信者,有恍恍惚惚而反忠實者,有詭激而見功効者,有外勇而內怯者,有肅肅而反平易,有嗃嗃而反誠慤者,有形貌虛劣而智略過人足以有為者,有獨行不苟、庸人所輕而君子所重者。人固不易知,知人亦不易,非有大明,不能得其涯際也。
將領を選拔するの方法を講ず。周武王が姜太公に問う:君王は兵を起こして、精練の英雄の才を挑選せんと欲すれど、士人の高下を分別する能わず、當に如何せん。太公に曰く:士人の外貌と內心と相符せざるは、共に十五種有り:看似嚴厲にして却って整肅ならざる有り;外表は溫良にして實は盜賊の有り;面貌は恭敬にして內心は輕慢の有り;外表は廉潔謙讓にして內裡は毫も誠信無きの有り;精明幹練にして情義無きの有り;沈靜深厚にして誠意無きの有り;謀劃を好みて決斷する能わざるの有り;果敢にして能力無きの有り;誠懇老實にして信用を守らざるの有り;恍恍惚惚として反って忠誠可靠の有り;言行は詭異偏激にして反って能く功を立て効を效するの有り;外表は勇敢にして內心は怯懦の有り;神情は肅穆にして反って平易近人の有り;聲色は嚴厲にして反って誠實敦厚の有り;形貌は虚弱不佳に見えて却って智謀は人に過ぎて作為有るに足るの有り;獨立行事して苟合するを肯んぜず、庸人に輕視せられて却って君子に看重せらるるの有り。人は本來に了解し易からず、人を識るも亦た容易ならず、極高の明察力有るに非ざれば、其の邊際に摸到する能わざるなり。
以山濤之資,而不知其子簡;以王濟之才,歷三十年而不知其叔湛。夫親莫親於父子叔侄,而乃有三十年而不知者,況其他乎。世固有砥中而玉表,羊質而虎皮者,亦有大智、大愚、大辯若訥、大巧若拙者。故曰:以貌取人,失之子羽;以言取人,失之宰我。是以中情外貌之不相應也。武王曰:如何知之?
山濤のごとき才識を以てしても、尚お自己の兒子山簡の才具を看出せず;王濟のごとき才華を以てしても、相處三十年にして還た其の叔父王湛の深淺を了解せず。至親は父子叔姪より過ぐる無し、尚お三十年了解せざる有り、況んや別人をや。世上は本來に內裡は磨刀石のごとき粗礪にして外表は玉のごとき人が有り、亦た本質は羊なりて虎皮を披くの人が有り;亦た大智は愚のごとき・大辯は訥のごとき・大巧は拙のごとき人が有り。此に因りて曰く:相貌に憑りて人を取れば、則ち澹臺滅明(字は子羽)を錯看し;言辭に憑りて人を取れば、則ち宰我を錯看す。此れは皆に內心と外貌と相應せざるの緣故なり。武王に曰く:あ然らば怎樣にして纔かに彼らを了解することを得んや。
太公曰:知之有八徵。一曰問之以言,以觀其詞;二曰窮之以詞,以觀其變;三曰試之以謀,以觀其知;四曰使之以事,以觀其德;五曰與之以財,以觀其廉;六曰間之以色,以觀其貞;七曰告之以危,以觀其勇;八曰醉之以酒,以觀其態。八徵既備,則賢不肖別矣。
太公に曰く:一個の人を了解するに八種の考驗有り。第一、言語を用いて發問し、其の如何に答うるかを看る;第二、言辭を用いて到底を追問し、其の應變の如何を看る;第三、謀略を拿りて之を試探し、其の見識を看る;第四、事を交えて去りて辦らしめ、其の德行を看る;第五、財物を給して、其の廉なるか廉ならざるかを看る;第六、女色を用いて之を離間し、其の正を守るか守らざるかを看る;第七、危險の處境を告げて、其の勇なるか勇ならざるかを看る;第八、酒を用いて之を灌醉せしめ、其の態度を看る。八種の考驗を皆に做し過ぎれば、賢と不肖ととは亦た分別清楚せん。
人雖有難知之情,而有可知之理。所謂問之以言者,蓋言為心聲,情動於中,乃形之於言,故吉人辭寡,躁人詞多;漢高祖於韓信,登臺拜將之初,先有將軍何以教寡人之言是也。之以詞者,欲盡其言之蘊,究其所以盡是變者,而以知其所得於心也;孫武之見吳王,吳王既與之言,而復使勒兵是也。試之以謀者,事之可否成敗,必先計其始終,有識者乃預知其得失,所謀事在人,成事在天也。
人は雖ど了解し難きの實情有れど、却って亦た了解する可きの道理有り。所謂「言語を用いて發問す」は、言語は內心の聲音にして、情感は心中に一動すれば、便ち言語の上に表現するを以てなり、故に吉善の人は言辭は簡省にして、躁急の人は言辭は繁多なり;漢高祖が韓信に對し、臺に登りて將を拜するの初めに於て、先ず一句「將軍は何を以て我を指教せんとするか」と言うは、即ち此の意なり。所謂「言辭を用いて到底を追問す」は、是れ其の言語中の蘊含を全て掏出して、其の何以に能く此れらの變化を窮盡するかを追究し、從而して其の心中の眞正の所得を知るを要す;孫武の呉王に進見せし時、呉王が之と談話して後に又た其れに實地に部隊を演練せしめしは、即ち此の意なり。所謂「謀略を拿りて試探す」は、事情の可行可否・成敗如何は、必ず須らく先ず其の始末を算清楚するを要し、見識有る人は能く預め得失を知る;畢竟は事を謀るは人に在りて、事を成すは天に在ればなり。
使之以事者,事有難易,可以見其材力與操守之正,此光武初見鄧禹所以有何能之問也。與之以財者,人無貪心,則貨賂亦不能移,不貪即廉矣。間之以色者,女色最易惑人,惟所守者正,則不為所搖,而間不能入矣,故知其貞。告之以危者,敢於有為,斯無所畏避,而勇往直前,無所顧慮也。醉之以酒者,內有所養,則不為酒所使,醉而仍不改其常度者,所養益深矣。八徵既備,人之內外皆得而知,而賢不肖判然矣。
所謂「事を交えて去りて辦らしむ」は、事情は難有り易有り、其の中より其の才力と操守とが端正なるか否かを看出することを得し;光武帝が初めて鄧禹を見て彼に問う「汝は何を為す能く」とは、即ち此の意なり。所謂「財物を給す」は、人は若し貪心無ければ、財貨賄賂も亦た之を動搖する能わず、貪ならざるは即ち廉なればなり。所謂「女色を用いて離間す」は、女色は最も人を迷惑し易く、唯だ所守端正の人のみ搖動せられず、離間の計は便ち插り入ることを得ず、此に由りて其の貞なるか貞ならざるかを知ることを得ん。所謂「危險を告ぐ」は、敢えて作為有らんとする人は、則ち畏懼躲避無く、能く勇往直前し、毫も顧慮無し。所謂「酒を用いて灌醉せしむ」は、內心に涵養有る人は酒に支配せられず、醉するも仍りて平常の舉止を改せず、涵養は便ち更に深し。八種の考驗を皆に做し過ぎれば、一個の人の內外は皆に能く了解し、賢と不肖ととは便ち判然として分明せん。
巻三十六・明教兵之術
明教兵之術:武王問太公曰:合三軍之眾,欲令士卒服習,教戰之法為之奈何?太公曰:凡領三軍,必有金鼓之節,所以整齊士眾也。為將者,必先明告吏士,申之以三令,教之以起居、進退、旌旗指揮之法。故教士吏,先使一人學戰,教成合之十人;十人學成,合之百人;百人學成,合之千人;千人學成,合之萬人;萬人學成,合之三軍,而後及於百萬之眾,以成其大兵,而立威於天下。苟不教之以戰,一旦迫之而為兵,是驅市人以就死地也,是烏合之眾也。
士卒を訓練するの方法を講ず。周武王が姜太公に問う:三軍の將士を集合して、士卒をして戰法を熟習せしめんと欲す、教戰の法は當に如何せん。太公に曰く:凡そ三軍を統領するは、必ず金鼓の節度有るを須し、用いて部衆を整肅す。將領を為すは、必ず須らく先ず明白に官吏士卒に告知し、反覆して三條の軍令を申明し、彼らに起居坐卧・前進後退および旌旗を看て行動するの指揮方法を教え與うべし。故に士吏を訓練するは、先ず一個の人をして作戰を學會せしめ、教會し畢れば便ち十人に合成す;十人が學會せば、百人に合成す;百人が學會せば、千人に合成す;千人が學會せば、萬人に合成す;萬人が學會せば、三軍に合成し、然る後に推及して百萬の衆に及ぼし、從而して強大の軍隊を組成し、天下に威名を樹立す。若し訓練を加えずして作戰せば、一旦に迫られて兵を當らしめれば、あれは街市上の百姓を驅趕して死を送るに等しく、只だ一群の烏合の衆なり。
然教之必於平日所習而立勸懲之法:五人為伍,伍有其長,前後左右各有其方,教成則長有賞,是勸之也;不成則長有罰,如犯法之罪,是懲之也。
但し訓練は必ず平日の操習の中に於て同時に獎懲の法を立下するを須らん:五人は一伍に編成し、每伍に伍長有り、前後左右は各々固定の方位有り;訓練が成功すれば、伍長は賞有り、此れは激勸なり;訓練が成らずば、伍長は罰を受け、軍法を触犯するの罪に同じ、此れは懲戒なり。
勸懲之法既明,則人自為戰,無往而不克。金鼓之節,鼓以進之,金以退之,一進一退,各有節,此士卒所以整齊也。三令而五申之,申明軍法,使士卒皆知所守而不敢亂,乃可以行教之之法。由寡以及眾,欲其力不勞而教易成也。
獎懲の法は既に明白なれば、人人は皆に自己の為に奮戰し、則ち往々に勝たざる無し。金鼓の節度は:鼓を擊つは前進を表示し、金を鳴らすは後退を表示し、一進一退は各々節奏有り、此即ち士卒の整齊する所以なり。三令五申は、即ち軍法を反覆申明して、士卒をして何を守るべきかを知らしめて敢えて亂來せざらしめ、然る後に纔かに訓練の法を推行することを得ん。少數の人より多數の人に推及するは、是れ人力をして疲勞に至らざらしめて而も訓練は容易に成功せしめんと欲するなり。
自一人以至千百萬人,必教之有素,而後合之有序,以能成大兵,而立威於天下也。其後孫武子與尉繚子教兵之法,亦由少而及多,以次遞加,皆太公之教法,遵而行之,變化以盡其用也。
一個の人より一直に千百萬人に至るまで、必ず須らく平日の訓練有素して、然る後に集合すれば纔かに秩序有り、因りて強大の軍隊を組成し、天下に威名を樹立することを得ん。後來に孫武子と尉繚子との士卒を訓練するの辦法も、亦た少より多に由り、依次に遞増するは、全是れ太公の教法;彼らは遵奉して施行し、又た變化を加以して、其の效用を盡處に發揮せり。
巻三十六・明用兵分合術
明用兵分合術:經曰:用兵之法,三軍之眾,必有分合之變。其大將先定戰地戰日,然後移檄與各處將吏士卒,告之以攻城圍邑之期,使之畢集其所。大將乃設營立表於轅門,清道禁行以待其來,先至有賞,後至有誅,則遠近皆至,三軍咸集。
用兵分合の方法を講ず。兵經に曰く:用兵の法は、三軍の衆は必ず分と合との變化有り。主將は先ず作戰の地點と日期とを定下し、然る後に文書を發して各處の將吏士卒に通告し、彼らに攻城圍邑の期限を告げ、彼らをして全部指定地點に到りて集合せしむ。主將은便ち轅門に營を設け表を立て、道を清めて通行を禁止し、各部の到来を等候す;先到するは賞有り、後到するは罰を受く、此のごとくせば遠近の各軍は皆に趕到し、三軍は齊集せん。
大將乃發令啟行,尅期進兵併力以戰,此分合之用也。分不分縻軍,合不合孤旅,分合之變,兵之至要也。蓋用兵之道,其始也分,其終也合。始之分者,使之各據其要地;終之合者,臨陣則併力而合戰也。武王之伐紂也,孟津大會,牧野陳師,一舉而成王業,此用兵之至善也。
主將は於是に令を下して開拔し、日期を限定して兵を進め、合力して作戰す、此即ち分と合との用法なり。當に分かつべきに分かたずば、兵力は便ち牽制せられて施展し難し;當に合すべきに合せずば、便ち孤軍と成る。分合の變化は、用兵の最も緊要の事なり。用兵の道は、開頭は分に在り、結尾は合に在り:開頭の分兵は、是れ各部をして各自に要地を占拠せしむ;最後の合兵は、是れ臨陣の時に併力して合戰するなり。周武王が商紂を討伐せし時、先ず孟津に於て諸侯を大會し、再び牧野に於て陣を列し、一擧にして王業を成就せり、此れは用兵の最も完善の例なり。
漢高祖垓下之役,始與信布等會,期而未至,高祖深以為憂;及信布等發兵俱至後,高祖之業定矣,此會期併力之効也。按此數篇皆仍太乙原本,篇中間引後事,乃注以為證,非答問語也,細看自明,故仍之。星源識。
漢高祖の垓下の戰は、起初に韓信・英布等と期を約して師を會せんとし、期に到るも彼らは却って趕到せず、高祖は深く之を憂慮せり;韓信・英布等の發兵して一齊に趕來するを待ちて後、高祖の帝業は便ち定局せり。此れは正しく期に按じて會合し、併力して作戰するの效驗なり。作者の按語:以上の此の幾篇は皆に仍りて太乙の原本を照錄し、篇中に間或は後代の事例を引用するは、あれは注文の用いて印證と為すものにして、并びに武王と太公との問答の原話に非ず、細看すれば自ら明白、故に照舊保留す。朱星源記。
巻三十七・天罡所指
天罡所指:天罡指巳天地開。以月將加用時,尋天罡至巳,為天地初開,出軍行師,任徘徊,用兵大勝,開地千里。指午坐帳宜彈琴。指午為天地縱橫,不宜出軍,宜坐帳彈琴吉。指未小通亦可裁。天地小通,出軍亦吉。指申迫爭君須忌。天地爭更之時,用兵須忌。指酉人馬受驚駭。天地閉塞之時,車傷馬死,戰主大凶。反來戌上指乖隔。出軍主士卒乖隔傷和。
天罡の指す所の法:月將を用事の時辰の上に加え、再び天罡(辰神)の何の方を指向するかを看る。歌訣に「天罡が巳を指せば天地は開く」と曰う——天罡が巳位に走到すれば、是れ天地初開の象、出兵行軍は從容として進退するを得し、用兵は大勝し、能く千里の疆土を開拓せん。「午を指せば帳に坐して琴を彈くに宜し」——天罡が午を指すは是れ天地縱横の象、出兵に宜しからず、帳中に坐して琴を彈くに宜しく、吉と為す。「未を指せば小通して亦た裁う可し」——天地は略かに通達し、出兵するも亦た算して吉なり。「申を指せば迫爭にして君は須らく忌むべし」——此れは天地の相爭更替する時、用兵は必ず忌むを要す。「酉を指せば人馬は驚駭を受く」——此れは天地閉塞の時、車は損し馬は死して、作戰は大凶なり。「反りて戌上に來りて指せば乖隔す」——出兵すれば士卒の離心乖違にして和氣を傷つくるを主す。
加亥天窄不稱懷。用兵主損傷驚恐。指子半路魂魄散。行至半路魂魄不安。指丑途宿待明來。為小通,出軍三十里待來朝,任意而行必大勝。臨寅有喜戰獲勝。行者有喜,戰必大捷。到卯閉塞宜埋藏。為天地閉塞,宜藏匿避之,凡事不宜。復臨辰地關梁塞。關梁閉塞,只可安營下塞,不可妄動。掌上兵機仔細排。
「亥に加えば天窄にして懷を稱えず」——天罡が亥に到れば、天地は狭窄にして、心意に稱えず、用兵すれば損傷惊恐を主す。「子を指せば半路にして魂魄は散ず」——半路の上に走到すれば便ち心神は不安に至らん。「丑を指せば途に宿して明來を待つ」——此れは小通の象、出兵して三十里を走れば便ち宿營し、第二天早上に到って再び任意に行動すれば、必ず大勝を獲ん。「寅に臨めば喜有りて戰えば勝を獲ん」——出行の人は喜事有り、作戰すれば必ず大捷を獲ん。「卯に到れば閉塞にして埋藏に宜し」——此れは天地閉塞、當に藏匿躲避すべく、凡事は皆に宜しからず。「復た辰地に臨めば關梁は塞がる」——關隘橋梁は閉塞し、只だ能く營を安んじ寨を扎す、妄動する可からず。以上の此れら兵機は、當に手掌の上に於て仔細に推排すべし。
占迷路法:如七月申時,以巳將加地盤申上,順數辰時天罡在地盤未上,未為季,右道通,餘仿此。黃石公曰:出行道逢三路,未知何道通,以月將加時占之,天罡加孟左道通,加季右道通,加仲中道通。寅申巳亥為四孟,子午卯酉為四仲,辰戌丑未為四季。
迷路を占するの方法:例えば七月の申時、七月の月將は巳と為る、則ち巳將を地盤の申位の上に加え、順に數え下れば、辰(天罡)は地盤の未位の上に落つ;未は四季の支に属す、故に右邊のあの條の路を走れば通ず。其の余は此に照りて類推す。黃石公に曰く:出行して三岔路口に遇い、何れの條の路の通ずべきかを知らざれば、則ち月將を時に加えて占せ:天罡が四孟の支の上に落つれば、左邊の路を走れば通ず;四季の支の上に落つれば、右邊の路を走れば通ず;四仲の支の上に落つれば、中間の路を走れば通ず。寅申巳亥は是れ四孟、子午卯酉は是れ四仲、辰戌丑未は是れ四季。
立知井泉法:兵屯山阜,被賊圍困,又無溪澗處覓水,急用磁碗覆地,將土壅碗口,待過一晚,至早揭碗視之,底有水珠,有泉脈也,掘地數尺,可以得水。卜螺法:取山中赤色大螺,取時忌婦人、孝子、雞犬見之。凡預卜勝負,取二螺安盤中,直畫一路,左為我,右為賊;盤內盛水一寸許,將螺各記之。
立刻に井泉を査知するの方法:軍隊が山岡の上に駐扎し、賊に圍困せられ、又た溪澗無くして水を取る可からざれば、則ち急ぎ瓷碗を拿りて地上に倒扣し、土を用いて碗口を封嚴し、一夜を過ぎて、第二天早上に碗を揭開して査看せば、碗底に若し水珠有れば、あの下は便ち泉脉有りて、下に向かって幾尺を挖れば便ち水を得ん。螺を卜するの法:山中の紅色の大田螺を取り、採取する時は婦人・孝を戴く人および雞犬に見えらるるを忌む。凡そ勝負を預卜せんと要せば、兩隻の螺を取りて盤中に放ち、中間に直に一道の線を画き、左邊は我方と算し右邊は賊方と算す;盤裡に約一寸深き水を盛りて、兩隻の螺を各々記號を做す。
咒曰:田螺舞舞,能知風雨,賊若來遇,入我境界;田螺索索,風雨不著,賊若不來,各守城郭。咒畢候至天明,依法斷之:若賊螺入我境界,宜固守,不可與戰;我螺入賊界,宜急攻之。春螺頭向東大利,向西被賊,向南有驚,向北小吉。夏螺頭向東小吉,向南大利,向西賊來,向北大驚。秋螺頭向西大利,向南有神助,向東大吉獲財,向北戰勝宜守。冬螺頭向北大利,向西平安,向南城能破,向東小驚,宜固守。
咒を念じて曰く:田螺は舞動し、能く風雨を知る;賊若し來らんと欲せば、便ち我が地界に爬入る。田螺は索索として動かず、風雨は至らず;賊若し來らざれば、各々各の城郭を守らん。咒を念じ畢りて天亮を待ち、法に按じて判断す:若し賊方のあの隻の螺が我方の地界に爬入れば、則ち當に固守すべく、交戰する可からず;若し我方のあの隻の螺が賊方の地界に爬入れば、則ち當に急攻すべし。春天は螺頭が東に向かば大いに利有り、西に向かば則ち賊に侵せられ、南に向かば驚有り、北に向かば小吉。夏天は螺頭が東に向かば小吉、南に向かば大利、西に向かば則ち賊來り、北に向かば大驚。秋天は螺頭が西に向かば大利、南に向かば神の相助有り、東に向かば大吉而且に財を獲、北に向かば雖ど能く戰勝するも宜しく固守すべし。冬天は螺頭が北に向かば大利、西に向かば平安、南に向かば能く敵城を攻破し、東に向かば小驚有り、宜しく固守すべし。
甲乙日螺頭向東,賊來急,不宜戰;向南五日內賊來,向西十四日賊來,向北賊不至。丙丁日螺頭向南九日去,向西七日去,向北當日至,交戰我勝敵敗,向東賊散。戊己日占,宜各守,不論螺頭何向。庚辛日螺頭向西,與賊平;向北賊散;向南賊來而復去;向東有賊來大戰。壬癸日螺頭向南,賊敗而去;向西賊不來;向東各固守;向北宜平。
甲日乙日:螺頭が東に向かば、賊は來ること甚だ急にして、交戰に宜しからず;南に向かば則ち五天之内に賊來り;西に向かば則ち十四天に賊來り;北に向かば則ち賊は來らざらん。丙日丁日:螺頭が南に向かば則ち賊は九天後に退走し;西に向かば則ち七天後に退走し;北に向かば則ち賊は当日に到り、交戰すれば我は勝ち敵は敗る;東に向かば則ち賊は潰散す。戊日己日に占えば、螺頭の何れの一方に向かうを論ぜず、皆に各々堅守するに宜し。庚日辛日:螺頭が西に向かば則ち賊と勢均力敵し;北に向かば則ち賊は潰散し;南に向かば則ち賊は來りて又た退去し;東に向かば則ち賊來りて大戰有らん。壬日癸日:螺頭が南に向かば則ち賊は敗退し;西に向かば則ち賊は來らず;東に向かば則ち雙方は各々固守し;北に向かば講和して兵を罷むるに宜し。
密訪法:欲得賊消息,天目聽之吉。天目日大吉、小吉方也。欲訪機密事,地耳不須疑。地耳日太沖、從魁方也。占渡河:天有三河壬子癸,地有三井卯酉辰,月將加時看三河,一河臨井必覆舟。又曰:太沖加日主風雨,神加季急渡則吉。刦糧覔水法:我軍欲刦糧,大小吉下詳;我軍欲求水,小吉太沖裡。小吉、太沖為井泉神,地下覔之可得。
密訪の法:賊方の消息を打聽せんと欲せば、天目方に到りて聞くは最も吉なり——天目とは大吉(丑)・小吉(未)の両方を指す。機密の事を探訪せんと欲せば、地耳方に到りて遲疑するを須らず——地耳とは太冲(卯)・從魁(酉)の両方を指す。渡河を占う:天上に三河有り、壬・子・癸と為し;地上に三井有り、卯・酉・辰と為す。月將を時辰の上に加えて十二神を排し、三河の臨む所を看れば、若し一河が正しく井の上に壓せば、渡河は必ず翻船せん。又た曰く:太冲が日の上に加われば風雨を起こすを主り;若し神が四季の支の上に落つれば、急ぎ渡河すれば則ち吉なり。劫糧覓水の法:我軍が糧を劫しに行かば、便ち大吉・小吉の両方の下に於て細察す;我軍が水源を找さば、便ち小吉・太冲の中に到りて找す。小吉と太冲とは是れ井泉の神、それらの底下に地を掘れば便ち水を得ん。
占敵使虛實:敵有使來,看日辰。辰即時也。日干為客、辰主人,日干上神尅辰上,日尅時,其言虛謬不可聞;若是辰上尅日上,彼必畏我,言詞真。朱、空、太陰、祿乘日上,主彼詐;辰上主我詐。
敵方の使者の言うが是れ眞か假かを占う:敵方に使者の來る有れば、便ち日と辰とを看る——此處の「辰」は即ち時辰なり。日干を以て客方(來使)を代表し、辰を以て主人(我方)を代表す。若し日干の上に乘る神が辰の上の神を剋し、即ち日が時を剋すれば、那麼使者の言は虚假荒謬にして、聽信する可らず;若し反って辰上が日上を剋するなれば、那は對方が我を畏れるを說明し、言辭は是れ眞なり。若し朱雀・天空・太陰・祿神が日の上に乘れば、對方の使詐を主り;辰の上に乘れば、則ち我方の使詐を主す。
巻三十七・突圍と藏形の諸法
突圍法:我被兵圍不要忙,加時出路是天罡。太公曰:兵圍千里,斗道必通。斗者,天罡也。以月將加時,尋天罡,其下一突可出。若從天罡方無路可出,當尋三宮時,三宮者,亥子丑也。若值絛宮申酉地。以月將加時,若亥臨子午卯酉為絛宮,宜向天盤申酉下出。
突圍の法:我が敵兵に包圍せらるる時は慌てる勿れ、月將を時辰の上に加え、天罡の所在を找出せば、あの底下は即ち出路なり。姜太公に曰く:敵兵は千里を圍困すれど、斗道は必定に通ずべし——所謂「斗」とは、即ち天罡なり。月將を時に加えて十二神を排し、天罡を找到し、其の下より一冲すれば便ち出ることを得ん。若し天罡の方向より出ずべき路無ければ、則ち「三宮」の時を找すを要す、三宮とは亥・子・丑の三位を指す。若し絛宮が申酉の地に在るに碰上せば:月將を時に加え、若し亥が子午卯酉の上に落つれば、則ち絛宮と叫び、當に天盤の申・酉の臨む所の下より突出すべし。
明堂時往太沖方。子臨子午卯酉為明堂,宜向天盤卯方出。玉堂宜突天魁下。丑臨子午卯酉為玉堂,宜向戌方出。利若鋒鋩八極張。逢豪強之賊,勢不可當,向天罡可出,此為八極也。日辰上將相生吉,相尅須防有損傷。日辰與上將年命相生則吉,尅則小利,用兵者最宜詳審。
若し明堂の時に逢えば、便ち太冲方に向かって走れ:子が子午卯酉の上に落つるを明堂と叫び、當に天盤の卯方より突出すべし。若し玉堂に逢えば、便ち天魁の下より冲出す:丑が子午卯酉の上に落つるを玉堂と叫び、當に戌方より突出すべし。鋒芒は犀利にして八方に張開するがごとし:强悍の賊に遇うて其の勢い挡く可からざる時、天罡の方向に向かえば冲出することを得ん、此れを八極と叫ぶ。日辰と其の上に乘る神將とが相生すれば則ち吉、相剋すれば則ち損傷有るを防ぐを要す:日辰と上乘の神將とが主將の本命と相生すれば則ち吉、相剋すれば則ち獲利は限り有り、用兵の人は最も當に仔細に審察すべし。
察賊所在法:聞賊未知賊所在,加時春乙、夏居丁。乙干寄辰、丁干寄未。秋辛冬癸名天目。辛干寄戌、癸干寄丑。賊當在下伏其形。以月將加時,視天目之方,賊在其下。天目者,春辰、夏未、秋戌、冬丑也。春占尋辰,餘仿此。
賊兵の所在を察知するの法:賊有りと聞くも賊の何處に在るかを知らざれば、便ち月將を時に加えて天目を找す。春天は乙を取り、夏天は丁を取る——乙干は辰位に寄り、丁干は未位に寄る;秋天は辛を取り、冬天は癸を取る、此れらの處は皆に天目と叫ぶ——辛干は戌位に寄り、癸干は丑位に寄る。賊は便ち天目の下に潜伏す。月將を時に加えて盤を排し、天目の所在する方を看れば、賊は便ち其の下に在り。所謂天目とは、春天は辰、夏天は未、秋天は戌、冬天は丑なり。春天に占問すれば便ち辰を找し、其の余は此に照りて類推す。
抽軍避寇法:賊勢頻臨我未強,抽軍迴避看天罡。以月將加時,看天罡落何宮,可避雄猛。繫孟直須從右隱。辰為天罡,如加寅申巳亥四孟,從右道避之。仲季還宜向左藏。子午卯酉為四仲,辰戌丑未為四季,天罡加此,向左藏無咎。
抽軍避敵の法:賊の勢いは屢々逼近し而して我方は尚お强大ならざる時、軍を抽きて回避せんと要せば、便ち天罡を看よ。月將を時に加えて盤を排し、天罡の何れの宮に落つるかを看て、據りて敵人の凶猛の鋒芒を躲避す。天罡が四孟に落つれば則ち右邊より隱避す——辰は即ち天罡、若し其れが寅申巳亥の此の四孟の上に加われば、便ち右邊の路より躲开せよ。四仲四季に落つれば則ち左邊に向かって藏れ——子午卯酉は是れ四仲、辰戌丑未は是れ四季、天罡が此れらの位の上に加われば、左邊に向かって隱藏せば咎害無からん。
從魁、小吉、太沖地,酉為從魁、未為小吉、卯為太沖,此三神為天三門,再得除、危、定、開四地戶助之更吉。天上加臨為好方。以將加時,看天盤卯酉未落何宮,可以避難。如遇時令旺方,亦不可去,如春不東去是也,餘仿此。大吉、神后與紫蓋,能藏萬物形無害。大吉為紫房,神后為華蓋,凡有急難避藏其下,人不能掩襲也。
從魁・小吉・太冲の此の三處:酉は從魁と為り、未は小吉と為り、卯は太冲と為り、此の三神は合して「天三門」と稱す;若し再び建除十二神中の除・危・定・開の此の四個の地戸の相助を得れば更に吉なり。それらが天盤の上に加臨する處は即ち好方位:月將を時に加え、天盤の卯・酉・未の何れの宮に落つるかを看れば、便ちあそこに到りて難を避くることを得ん。但し若し當令旺氣の所在する方位に碰上せば、亦た行く能わず、例えば春天は東に向かわず、其の余は此に照りて類推す。大吉・神後と紫蓋の三者は能く萬物を藏匿して傷害を受けざらしむ:大吉(丑)は紫房と稱し、神後(子)は華蓋と稱し、凡そ急難有りて其の下に躲藏せば、別人は掩襲する能わざらん。
伏匿藏形法:伍子胥曰:凡有急難欲伏匿藏形,當畫地佈局,乘青龍六甲,歷蓬星六乙,過明六丙,伏太陰六丁,出天門六戊,入地戶六己,伐天刑六庚,判天庭六辛,羈天牢六壬,入天藏六癸,走月厭方而去。月厭正月戌,每月以次逆數便是。
隱伏藏形の法:伍子胥に曰く、凡そ急難に遇うて隱伏藏形せんと欲せば、當に地上に格局を画出し、依次に行くべし:先ず青龍即ち六甲に乘り、再び蓬星即ち六乙を經、明堂即ち六丙を過ぎ、太陰即ち六丁に伏し、天門即ち六戊を出で、地戸即ち六己に入り、天刑即ち六庚を伐ち、天庭即ち六辛を判じ、天牢即ち六壬を羈め、最後に天藏即ち六癸に進入し、然る後に月厭方に向かって走脱す。月厭の推法は:正月は戌に在り、其の余の各月は依次に地支に逆りて下に數えれば便ち是れなり。
假如六甲日甲子時,初起乘青龍甲子,歷蓬星乙丑,過明堂丙寅,出天門戊辰,入地戶己巳,伏太陰丁卯,取草折半,以半置卯地,以半障人中,入天藏癸酉而出,人無見之者。過太陰時,咒曰:天翻地覆,九道皆塞,有來迫我,至此而極,視我者死,追我者亡,吾奉九天玄女道母元君,急急如律令。咒畢逕入天藏,慎勿反顧。庚為天刑、辛為天庭、壬為天牢,切記謹避,向則反被擒縛。
例を挙げて言えば、甲日の甲子時:起手して青龍即ち甲子に乘り、蓬星即ち乙丑を經、明堂即ち丙寅を過ぎ、天門即ち戊辰を出で、地戸即ち己巳に入り、太陰即ち丁卯に伏す;此の時一根の草を取りて兩半に折り、一半は卯位の地上に放ち、一半は自己の人中を掩い、再び天藏即ち癸酉に進入して脫身せば、別人は見る能わざらん。太陰位を經過する時に咒を念じて曰く:天は翻り地は覆り、九道は皆に堵塞す;來りて我を逼迫する有れば、此に到りて止まれ;我を看る者は死し、我を追う者は亡ぶ。我は九天玄女道母元君の命を奉ず、急急として律令のごとし。咒を念じ畢れば便ち徑直に天藏に進入し、切に回頭して看る勿れ。庚は是れ天刑、辛は是れ天庭、壬は是れ天牢、務めて謹慎して避け、此れらの處に向かって走れば反って擒獲せられ捆縛せられん。
天月將即太陽:正月亥、二月戌、三月酉、四月申、五月未、六月午、七月巳、八月辰、九月卯、十月寅、十一月丑、十二月子。地月將即建:正月寅、二月卯、三月辰、四月巳、五月午、六月未、七月申、八月酉、九月戌、十月亥、十一月子、十二月丑。
天月將とは即ち太陽の所在する次、各月の對應は:正月は亥、二月は戌、三月は酉、四月は申、五月は未、六月は午、七月は巳、八月は辰、九月は卯、十月は寅、十一月は丑、十二月は子。前面の各法の言う所の「月將を時に加う」は、用うる所は便ち此の一組なり。地月將とは即ち月建、各月の對應は:正月は寅、二月は卯、三月は辰、四月は巳、五月は午、六月は未、七月は申、八月は酉、九月は戌、十月は亥、十一月は子、十二月は丑。兩者は一は逆一は順にして、正しく相配す。
天氣將:正月雨水壬、二月春分乾、三月穀雨辛、四月小滿庚、五月夏至坤、六月大暑丁、七月處暑丙、八月秋分巽、九月霜降乙、十月小雪甲、十一月冬至艮、十二月大寒癸。地氣將:正月立春子、二月驚蟄亥、三月清明戌、四月立夏酉、五月芒種申、六月小暑未、七月立秋午、八月白露巳、九月寒露辰、十月立冬卯、十一月大雪寅、十二月小寒丑。
天氣將は各月の中氣を以て準と為し、干支或いは卦位に配す:正月の雨水は壬に配し、二月の春分は乾に配し、三月の穀雨は辛に配し、四月の小滿は庚に配し、五月の夏至は坤に配し、六月の大暑は丁に配し、七月の處暑は丙に配し、八月の秋分は巽に配し、九月の霜降は乙に配し、十月の小雪は甲に配し、十一月の冬至は艮に配し、十二月の大寒は癸に配す。地氣將は各月の節氣を以て準と為し、地支に配す:正月の立春は子に配し、二月の驚蟄は亥に配し、三月の清明は戌に配し、四月の立夏は酉に配し、五月の芒種は申に配し、六月の小暑は未に配し、七月の立秋は午に配し、八月の白露は巳に配し、九月の寒露は辰に配し、十月の立冬は卯に配し、十一月の大雪は寅に配し、十二月の小寒は丑に配す。
十二支神將圖:申傳送白虎,酉從魁太陰,戌河魁天空,亥將登明神玄武,未小吉太常,子將神后神天后,午勝光朱雀,丑將大吉神天乙,巳太乙螣蛇,辰天罡勾陳,卯太沖六合,寅將功曹神青龍。
十二地支の配する月將名と神將名とは下のごとし:申位の月將は傳送と叫び、白虎に配す;酉位の月將は從魁と叫び、太陰に配す;戌位の月將は河魁と叫び、天空に配す;亥位の月將は登明と叫び、玄武に配す;未位の月將は小吉と叫び、太常に配す;子位の月將は神後と叫び、天后に配す;午位の月將は勝光と叫び、朱雀に配す;丑位の月將は大吉と叫び、天乙貴人に配す;巳位の月將は太乙と叫び、螣蛇に配す;辰位の月將は天罡と叫び、勾陳に配す;卯位の月將は太冲と叫び、六合に配す;寅位の月將は功曹と叫び、青龍に配す。原書の此の一節は本來に一幅の圖なり、此處は圖中の文字に按じて依次に錄出す。
