Libo

微子

春秋 · 孔子门徒(辑录) · 第10巻 / 10

微子去之,箕子為之奴,比干諫而死。孔子曰:“殷有三仁焉。”

微子、之(ゆ)きて去(きよ)る。箕子(きし)、之が奴(ど)と爲る。比干(ひかん)、諫(かん)めて死す。孔子曰く、「殷に三仁有り。」

柳下惠為士師,三黜。人曰:“子未可以去乎?”曰:“直道而事人,焉往而不三黜?枉道而事人,何必去父母之邦?”

柳下惠、士師(しし)と爲りて、三黜(さんちゆつ)す。人曰く、「子未(いま)だ去(きよ)る可(べ)き乎(か)。」曰く、「直道(ちよくだう)にして人に事(つか)ふれば、焉(いづく)に往(ゆ)きて三黜せざらん。枉道(をうだう)にして人に事ふれば、何ぞ必ずしも父母の邦を去らん。」

齊景公待孔子曰:“若季氏,則吾不能。”以季、孟之間待之,曰:“吾老矣,不能用也。”孔子行。

齊景公、孔子を待(たい)す。曰く、「季氏の若(ごと)くば則ち吾能(あた)はず。」季孟(きもう)の間(かん)を以て之を待す。曰く、「吾老(らう)矣(なり)。能く用ゐざるなり。」孔子行(ゆ)く。

齊人歸女樂,季桓子受之,三日不朝,孔子行。”

齊人、女樂(じよがく)を歸(けい)す。季桓子之を受けて、三日朝(てう)せず。孔子行く。

楚狂接輿歌而過孔子曰:“鳳兮鳳兮,何德之衰?往者不可諫,來者猶可追。已而已而,今之從政者殆而!”孔子下,欲與之言,趨而闢之,不得與之言。

楚狂(そきやう)接輿(せつよ)、歌(うた)ひて孔子を過(か)る。曰く、「鳳(ほう)兮(けい)鳳兮、何(なに)德(とく)之衰(すい)ふ。往(わう)者諫(いさ)むべからず、來者猶(なほ)追(つい)ふべし。已(や)め而(じ)、已而。今の從政者(じうせいしゃ)殆(あや)ふ而。」孔子下(くだ)りて之と言はんと欲す。趨(すう)して之を辟(さ)く。得て之と言ふを得ず。

長沮、桀溺耦而耕,孔子過之,使子路問津焉。長沮曰:“夫執輿者為誰?”子路曰:“為孔丘。”曰:“是魯孔丘與?”曰:“是也。”曰:“是知津矣。”問於桀溺,桀溺曰:“子為誰?”曰:“為仲由。”曰:“是魯孔丘之徒與?”對曰:“然。”曰:“滔滔者天下皆是也,而誰以易之?且而與其從辟人之士也,豈若從辟世之士?”耰而不輟。子路行以告,夫子憮然曰:“鳥獸不可與同群,吾非斯人之徒與而誰與?天下有道,丘不與易也。”

長沮(ちやうそ)・桀溺(けつでき)耦(ぐう)して耕(かう)す。孔子之を過(す)ぐ。子路をして津(しん)を問はしむ。長沮曰く、「夫(そ)の執輿(しつよ)する者を誰(たれ)と爲す。」子路曰く、「孔丘と爲す。」曰く、「是れ魯の孔丘歟(か)。」曰く、「是れ也。」曰く、「是れ知る津なり。」桀溺に問ふ。桀溺曰く、「子誰を爲す。」曰く、「仲由を爲す。」曰く、「是れ魯の孔丘之徒歟。」對へて曰く、「然(しか)り。」曰く、「滔滔(たうたう)者天下皆是(かいぜ)なり。而(じ)誰(たれ)を以てか之を易(か)へん。且(か)つ而(なんぢ)從(したが)ふ辟人(へきじん)之士、豈(あに)從ふ辟世(へきせい)之士に如(し)かんや。」耰(えう)して輟(てつ)せず。子路行(ゆ)きて以て告ぐ。夫子憮然(ぶぜん)として曰く、「鳥獸、與(とも)に群(ぐん)する可(べ)からず。吾斯(こ)れ人の徒與(かた)に非ずんば、孰(た)れ與(とも)にせん。天下道有らば、丘易(か)へざるを與(ともに)せん。」

子路從而後,遇丈人,以杖荷蓧。子路問曰:“子見夫子乎?”丈人曰:“四體不勤,五穀不分,孰為夫子?”植其杖而芸,子路拱而立。止子路宿,殺雞為黍而食之,見其二子焉。明日,子路行以告,子曰:“隱者也。”使子路反見之,至則行矣。子路曰:“不仕無義。長幼之節不可廢也,君臣之義如之何其廢之?欲潔其身而亂大倫。君子之仕也,行其義也,道之不行已知之矣。”

子路從(したが)ひて後(おく)れ、丈人(しやうにん)に遇(あ)ふ。杖(ぢやう)を以て蓧(てう)を荷(か)つ。子路問ひて曰く、「子夫子を見(まみ)えしか。」丈人曰く、「四體(したい)勤(つと)めず、五穀分(ふん)せず。孰(た)れを夫子と爲さん。」其の杖を植(しよく)して芸(うん)す。子路拱(きやう)して立つ。子路を止(とど)めて宿(しゆく)せしめ、鶏を殺(さつ)し黍(しよ)を爲(つく)りて之を食(しよく)せしむ。其の二子を見せしむ。明日、子路行(ゆ)きて以て告ぐ。子曰く、「隱者(いんしゃ)也。」子路をして反(かへ)りて之を見しむ。至れば則ち行(ゆ)きぬ。子路曰く、「仕(し)へざるは無義(むぎ)なり。長幼(ちやうえう)の節(せつ)、廢(はい)す可(べ)からず。君臣の義、之を如何して廢せん。其の身を潔(けつ)せんと欲して、大倫(たいりん)を亂(らん)す。君子の仕ふるや、其の義を行はんが爲なり。道の行はれざるは、已(すで)に之を知る。」

逸民:伯夷、叔齊、虞仲、夷逸、朱張、柳下惠、少連。子曰:“不降其志,不辱其身,伯夷、叔齊與!”謂:“柳下惠、少連降志辱身矣,言中倫,行中慮,其斯而已矣。”謂:“虞仲、夷逸隱居放言,身中清,廢中權。我則異於是,無可無不可。”

逸民(いつみん)は、伯夷・叔齊・虞仲・夷逸・朱張・柳下惠・少連。子曰く、「其の志を降(こう)せず、其の身を辱(はぢ)めざるは、伯夷・叔齊歟(か)。」柳下惠・少連を謂ふ、「志を降し、身を辱めたり。言倫(げんりん)に中(ちう)し、行慮(かうりよ)に中る。其れ斯(こ)れ而已(のみ)。」虞仲・夷逸を謂ふ、「隱居(いんきよ)して言を放(ほう)し、身中清(ちゆうせい)、廢中權(はいちゆうけん)。我則ち是(こ)れに異(こと)なり。可無く、不可無し。」

太師摯適齊,亞飯幹適楚,三飯繚適蔡,四飯缺適秦,鼓方叔入於河,播鼗武入於漢,少師陽、擊磬襄入於海。

大師摯(たいしし)、齊に適(ゆ)く。亞飯(あはん)干(かん)、楚に適く。三飯(さんはん)繚(れう)、蔡に適く。四飯(しはん)缺(けつ)、秦に適く。鼓(こ)方叔(ほうしゆく)、河(か)に入(い)る。播(は)鼗(とう)武(ぶ)、漢(かん)に入る。少師陽(せうしやう)・擊磬(げきけい)襄(しやう)、海(かい)に入る。

周公謂魯公曰:“君子不施其親,不使大臣怨乎不以,故舊無大故則不棄也,無求備於一人。”

周公、魯公に謂ひて曰く、「君子、其の親を施(し)せず、大臣をして以(い)ひ乎(こ)怒(うら)みざらしめず。故舊(こきう)大故(たいこ)無くば、則ち棄(す)てざるなり。人に求めて備(そな)へる無かれ。」

周有八士:伯達、伯適、仲突、仲忽、叔夜、叔夏、季隨、季騧。

周に八士(はつし)有り。伯達(はくたつ)・伯适(はくかつ)・仲突(ちゆうとつ)・仲忽(ちゆうこつ)・叔夜(しゆくや)・叔夏(しゆくか)・季隨(きずい)・季騧(きか)。

子張

子張曰:“士見危致命,見得思義,祭思敬,喪思哀,其可已矣。”

子張曰く、「士、危(あや)うきを見て致命(ちめい)し、得(とく)を見て義を思ひ、祭(さい)敬(けい)を思ひ、喪(さう)哀(あい)を思はば、可矣(なり)。」

子張曰:“執德不弘,信道不篤,焉能為有?焉能為亡?”

子張曰く、「德を執(と)りて弘(こう)ならず、道を信(しん)じて篤(とく)ならず。焉(いづく)んぞ能く有(う)と爲さん、焉んぞ能く亡(む)と爲さん。」

子夏之門人問交於子張,子張曰:“子夏云何?”對曰:“子夏曰:‘可者與之,其不可者拒之。’”子張曰:“異乎吾所聞。君子尊賢而容眾,嘉善而矜不能。我之大賢與,於人何所不容?我之不賢與,人將拒我,如之何其拒人也?”

子夏の門人、交(まじはり)を子張に問ふ。子張曰く、「子夏云何(うんが)。」對へて曰く、「子夏曰く、「可與(とも)する者は與し、不可とする者は拒(きよ)め」と。」子張曰く、「異(こと)乎(こ)吾の聞く所。君子は賢を尊(そん)として衆を容(い)れ、善を嘉善(かぜん)として不能を矜(きん)す。我大賢(たいけん)なるか、人に於(お)いて何の容れざる所あらん。我賢ならざれば、人將(まさ)に我を拒まん。之を如何して人を拒まん。」

子夏曰:“雖小道必有可觀者焉,致遠恐泥,是以君子不為也。”

子夏曰く、「雖(たと)ひ小道(せうだう)、必ず觀(かん)ずべき者有り。致遠(ちえん)恐(おそ)れ泥(でい)。是(かれ)故(ゆゑん)に君子爲(な)さざるなり。」

子夏曰:“日知其所亡,月無忘其所能,可謂好學也已矣。”

子夏曰く、「日に其の亡(な)き所を知り、月に其の能(あた)ふ所を忘(ぼう)れざれば、好學(こうがく)と謂ふ可(べ)し。」

子夏曰:“博學而篤志,切問而近思,仁在其中矣。”

子夏曰く、「博學(はくがく)して志を篤(とく)くし、切問(せつもん)して近思(きんし)すれば、仁其の中に在り。」

子夏曰:“百工居肆以成其事,君子學以致其道。”

子夏曰く、「百工、肆(し)に居(お)りて以て其の事を成し、君子、學びて以て其の道を致(ち)す。」

子夏曰:“小人之過也必文。”

子夏曰く、「小人の過(あやま)ち、必ず文(ふん)す。」

子夏曰:“君子有三變:望之儼然,即之也溫,聽其言也厲。”

子夏曰く、「君子有三變(さんぺん)。之を望(ぼう)みれば儼然(げんぜん)、之に即(そく)すれば温(うん)、其の言を聽(き)けば厲(れい)なり。」

子夏曰:“君子信而後勞其民,未信,則以為厲己也;信而後諫,未信,則以為謗己也。”

子夏曰く、「君子、信して後其の民を勞(らう)す。未信(みしん)なれば則ち以て己を厲(れい)すと爲す。信して後諫(かん)む。未信なれば則ち以て己を謗(ぼう)すと爲す。」

子夏曰:“大德不逾閒,小德出入可也。”

子夏曰く、「大德(たいとく)は閑(かん)を踰(こ)ゆる無し。小德(せうとく)は出入(しゆつにふ)して可(か)なり。」

子游曰:“子夏之門人小子,當灑掃應對進退則可矣。抑末也,本之則無,如之何?”子夏聞之,曰:“噫,言遊過矣!君子之道,孰先傳焉?孰後倦焉?譬諸草木,區以別矣。君子之道焉可誣也?有始有卒者,其惟聖人乎!”

子游曰く、「子夏の門人小子、灑掃(ささう)・應對(おうたい)・進退(しんたい)に當(あ)たれば則ち可矣(なり)。末(まつ)なり。本(ほん)之(これ)無きを如何。」子夏之を聞きて曰く、「噫(い)、言游(げんゆう)過(あやま)れり。君子の道、孰(た)れを先(せん)に傳(でん)へ、孰れを後に倦(けん)せん。譬(たと)へば諸(これ)を草木に譬ゆるは、區(く)を以て別(わか)つ。君子の道、焉(いづく)んぞ誣(し)ふべき。始終(しじゆう)有りて卒(そつ)する者は、其れ唯(た)だ聖人乎(か)。」

子夏曰:“仕而優則學,學而優則仕。”

子夏曰く、「仕(し)して優(ゆう)あれば則ち學び、學んで優あれば則ち仕ふ。」

子游曰:“喪致乎哀而止。”

子游曰く、「喪(さう)に致(ち)する哀(あい)而止(や)む。」

子游曰:“吾友張也為難能也,然而未仁。”

子游曰く、「吾が友張(ちやう)也、爲(な)し能(あた)ふ難(なん)し。而(じ)未だ仁ならず。」

曾子曰:“堂堂乎張也,難與併為仁矣。”

曾子曰く、「堂堂(だうだう)乎(こ)張也。與(とも)に並(なら)びて仁を爲す難し。」

曾子曰:“吾聞諸夫子,人未有自致者也,必也親喪乎!”

曾子曰く、「吾諸(これ)を夫子に聞く、人未だ自(みづから)致(ち)せざる有り。必ずや、親喪(しんさう)乎(か)。」

曾子曰:“吾聞諸夫子,孟莊子之孝也,其他可能也;其不改父之臣與父之政,是難能也。”

曾子曰く、「吾諸を夫子に聞く、孟莊子(もうそうし)の孝、其の他(ほか)は可能(かのう)也。其の父の臣を改(か)へず、父の政を改めざるは、難(かた)し能ふ所。」

孟氏使陽膚為士師,問於曾子。曾子曰:“上失其道,民散久矣。如得其情,則哀矜而勿喜!”

孟氏、陽膚(ようふ)をして士師(しし)と爲さしむ。曾子に問ふ。曾子曰く、「上其の道を失(しつ)して、民散(さん)久(ひさ)し。如(も)し其の情(じやう)を得(え)ば、則ち哀矜(あいきやう)して喜ばざれ。」

子貢曰:“紂之不善,不如是之甚也。是以君子惡居下流,天下之惡皆歸焉。”

子貢曰く、「紂(ちゆう)の不善は、不如(し)かず是(こ)れの甚(はなは)だしき也。是(かれ)故(ゆゑん)に君子、下流(げりう)に居(お)るを惡(にく)む。天下の惡皆歸(き)焉(ここ)。」

子貢曰:“君子之過也,如日月之食焉。過也人皆見之,更也人皆仰之。”

子貢曰く、「君子の過(あやま)ち、猶(なほ)日月の食(しよく)のごとし。過つや、人皆之を見る。更(か)ふるや、人皆之を仰(ぎやう)ぐ。」

衛公孫朝問於子貢曰:“仲尼焉學?”子貢曰:“文武之道未墜於地,在人。賢者識其大者,不賢者識其小者,莫不有文武之道焉,夫子焉不學?而亦何常師之有?”

衛の公孫朝(こうそんてう)、子貢に問ひて曰く、「仲尼焉(いづく)に學ぶ。」子貢曰く、「文武(ぶんぶ)の道、未だ地に墜(お)ちず、人に在り。賢者は其の大なる者を識(し)り、不賢者は其の小なる者を識る。文武の道有らざる莫(な)し。夫子焉んぞ學ばずして、而(そ)して亦何ぞ常師(じやうし)有らん。」

叔孫武叔語大夫於朝曰:“子貢賢於仲尼。”子服景伯以告子貢,子貢曰:“譬之宮牆,賜之牆也及肩,窺見室家之好;夫子之牆數仞,不得其門而入,不見宗廟之美、百官之富。得其門者或寡矣,夫子之雲不亦宜乎!”

叔孫武叔(しゆくそんぶしゆく)、大夫に語(かた)りて朝(てう)に於(お)いて曰く、「子貢仲尼に賢(けん)なり。」子服景伯(しふくけいはく)、以て子貢に告ぐ。子貢曰く、「譬(たと)へば宮牆(きうしやう)。賜の牆也及肩(きうけん)。闚(き)みて室家(しつか)の好(こう)を見(まみ)ゆ。夫子の牆数仞(すうじん)。其の門を得ざれば、宗廟の美、百官の富を見ざるなり。其の門を得る者、或(ある)は寡(すく)なし。夫子の云(い)ふ、不(ふ)亦(ま)た宜(ぎ)ならん哉。」

叔孫武叔毀仲尼,子貢曰:“無以為也,仲尼不可毀也。他人之賢者,丘陵也,猶可逾也;仲尼,日月也,無得而逾焉。人雖欲自絕,其何傷於日月乎?多見其不知量也。”

叔孫武叔、仲尼を毀(き)す。子貢曰く、「以て爲(な)す無かれ。仲尼毀すべからざるなり。他人の賢は丘陵(きうりやう)なり。猶(なほ)踰(こ)ゆ可(べ)し。仲尼は日月なり。得(え)て踰ゆる無し。人雖(たと)ひ自(みづから)絕(ぜつ)せんと欲すと雖も、其れ何(なに)を日月に於(お)いて傷(やぶ)らん。多(た)く其の量(りやう)を知らざるを見(あらは)すのみ。」

陳子禽謂子貢曰:“子為恭也,仲尼豈賢於子乎?”子貢曰:“君子一言以為知,一言以為不知,言不可不慎也。夫子之不可及也,猶天之不可階而升也。夫子之得邦家者,所謂立之斯立,道之斯行,綏之斯來,動之斯和。其生也榮,其死也哀,如之何其可及也?”

陳子禽(ちんしきん)、子貢に謂ひて曰く、「子爲(な)る恭(きやう)也。仲尼豈(あに)子に賢於(まさ)らんや。」子貢曰く、「君子、一言を以て知(ち)と爲し、一言を以て不知と爲す。言は以て愼(つつし)まざるべからず。夫子の及(およ)ぶべからざるや、猶天之階(かい)を升(のぼ)る可からざるが如し。夫子の邦家を得て之(これ)を綏(すい)し、斯(こ)の謂の之を立てば則ち立ち、之を導(みちび)けば則ち行(ゆ)き、之を綏すれば則ち來(きた)り、之を動かせば則ち和(わ)す。其の生や榮(えい)し、其の死や哀(あい)す。之を如何して及ばん。」

堯曰

堯曰:“諮!爾舜,天之歷數在爾躬,允執其中。四海困窮,天祿永終。”舜亦以命禹。曰:“予小子履,敢用玄牡,敢昭告於皇皇后帝:有罪不敢赦,帝臣不蔽,簡在帝心。朕躬有罪,無以萬方;萬方有罪,罪在朕躬。”周有大賚,善人是富。“雖有周親,不如仁人。百姓有過,在予一人。”謹權量,審法度,修廢官,四方之政行焉。興滅國,繼絕世,舉逸民,天下之民歸心焉。所重:民、食、喪、祭。寬則得眾,信則民任焉,敏則有功,公則說。

堯曰く、「咨(し)。爾(なんぢ)舜。天之曆數(れきすう)、爾躬(きう)に在り。允(いん)に其の中を執(と)れ。四海困窮(こんきう)、天祿永終(てんろくえいしう)。」舜も亦以て禹(う)を命ず。曰く、「予小子履(り)、敢て玄牡(げんぼう)を用ゐて、敢て昭(しやう)かに皇天后帝(こうてんこうてい)に告ぐ。有罪敢て赦(しや)せず。帝臣蔽(へい)せず、帝心に簡(かん)す。朕(ちん)躬罪(とが)有らば、以て萬方(ばんぼう)無し。萬方罪有らば、罪朕躬に在り。」周大賚(たいらい)有りて、善人是(これ)富(ふ)。「雖(たと)ひ周親(しうしん)有ると雖も、仁人に如(し)かず。百姓過(あやま)たば、在予一人(ざいよいちじん)」。」謹(きん)權量(けんりやう)、法度を審(しん)にし、廢官を修(しう)して、四方の政行(ゆ)く焉(ここ)。滅國(めつこく)を興(おこ)し、絕世(ぜつせい)を繼(けい)し、逸民(いつみん)を擧(あ)げて、天下の民歸心(きしん)焉。所重(しよちう)は民・食・喪・祭。寬(くゎん)則ち衆を得、信則ち民に任(にん)ぜられ、敏(びん)則ち功有り、公(こう)則ち説(よろこ)ぶ。」

子張問於孔子曰:“何如斯可以從政矣?”子曰:“尊五美,屏四惡,斯可以從政矣。”子張曰:“何謂五美?”子曰:“君子惠而不費,勞而不怨,欲而不貪,泰而不驕,威而不猛。”子張曰:“何謂惠而不費?”子曰:“因民之所利而利之,斯不亦惠而不費乎?擇可勞而勞之,又誰怨?欲仁而得仁,又焉貪?君子無眾寡,無小大,無敢慢,斯不亦泰而不驕乎?君子正其衣冠,尊其瞻視,儼然人望而畏之,斯不亦威而不猛乎?”子張曰:“何謂四惡?”子曰:“不教而殺謂之虐;不戒視成謂之暴;慢令致期謂之賊;猶之與人也,出納之吝謂之有司。”

子張、孔子に問ひて曰く、「何くして斯(こ)れ從政(じうせい)すべき。」子曰く、「五美(ごび)を尊(そん)し、四惡(しあく)を屏(へい)して、斯れ從政すべし。」子張曰く、「何をか五美と謂ふ。」子曰く、「君子、惠(けい)して費(ひ)せず、勞(らう)して怨(えん)せず、欲(よく)して貪(たん)せず、泰(たい)して驕(きやう)らず、威(い)して猛(もう)せず。」子張曰く、「何をか惠して費せずと謂ふ。」子曰く、「民の利する所に因(よ)りて之を利す。斯れ亦惠して費せずに非ずや。可勞(からう)を擇(たく)んで之を勞す。又誰(たれ)か怨みん。仁を欲して仁を得。又焉(いづく)んぞ貪ならん。君子、衆寡(しゆうか)無く、小大無く、敢(あへ)て慢(まん)せず。斯れ亦泰して驕らずに非ずや。君子、其の衣冠(いかん)を正して、其の瞻視(せんし)を尊(そん)として、儼然(げんぜん)として人望(ぼう)みて畏(い)す。斯れ亦威して猛せずに非ずや。」子張曰く、「何をか四惡と謂ふ。」子曰く、「敎(きやう)へずして殺(さつ)すを虐(ぎやく)と謂ふ。戒(かい)せずして成(せい)を視(み)るを暴(ぼう)と謂ふ。令(れい)を慢(まん)して期(き)を致(ち)すを賊(ぞく)と謂ふ。猶(なほ)人と與(とも)にする也、出(しゆつ)の吝(りん)なり、有司(ゆうし)と謂ふ。」

孔子曰:“不知命,無以為君子也;不知禮,無以立也;不知言,無以知人也。”

孔子曰く、「命を知らざれば、以て君子と爲る無し。禮を知らざれば、以て立つ無し。言を知らざれば、以て人を知る無し。」

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