妙法莲华经 · 第13巻
『我有種種,珍玩之具,妙寶好車,
『我に種種の、珍玩の具・妙寶の好車あり、
羊車鹿車、大牛之車,今在門外。
羊車・鹿車・大牛の車、今門の外に在り。
汝等出來,吾為汝等,造作此車,
汝等出來れ、吾汝等の爲に、此の車を造作せり、
隨意所樂,可以遊戲。』諸子聞說,
意の樂む所に隨ひて、以て游戲すべし』と。諸子說を聞きて、
如此諸車,即時奔競,馳走而出,
如此の諸車、即時に奔競して、馳走して出でて、
到於空地,離諸苦難。長者見子,
空地に到りて、諸の苦難を離る。長者子を見る、
得出火宅,住於四衢。坐師子座,
火宅を出づるを得て、四衢に住す。師子座に坐して、
而自慶言:『我今快樂!此諸子等,
而も自ら慶びて言へらく、『我今快樂なり!此の諸子等、
生育甚難,愚小無知,而入險宅。
生育甚だ難く、愚小にして知ること無く、而も險宅に入れり。
多諸毒蟲,魑魅可畏,大火猛炎,
多く諸の毒蟲・魑魅畏るべし、大火猛焰、
四面俱起。而此諸子,貪樂嬉戲。
四面に俱に起れり。而も此の諸子、嬉戲に貪樂す。
我已救之,令得脫難。是故諸人,
我已に之を救ひて、難を脱るを得しめり。是の故に諸人、
我今快樂。』爾時諸子,知父安坐,
我今快樂なり』と。爾の時諸子、父の安坐するを知りて、
皆詣父所,而白父言:『願賜我等,
皆父の所に詣りて、而も父に對して曰く、『願はくは我等に賜はれ、
三種寶車。如前所許:「諸子出來,
三種の寶車。前に許し給ひしが如く、「諸子出來れ、
當以三車,隨汝所欲。」今正是時,
當に三車を以て、汝が欲する所に隨ふ」と。今正しく是れ時、
唯垂給與。』長者大富,庫藏眾多,
唯だ垂れて給與せんことを』と。長者大富にして、庫藏衆多、
金銀琉璃、車𤦲馬腦,以眾寶物,
金銀・琉璃・車渠・馬腦、衆の寶物を以て、
造諸大車。莊校嚴飾,周匝欄楯,
諸の大車を造る。莊校嚴飾して、周匝に欄楯あり、
四面懸鈴,金繩交絡。真珠羅網,
四面に鈴を懸け、金繩交絡す。眞珠の羅網、
張施其上,金華諸瓔,處處垂下,
其の上に張施し、金華・諸の纓珞、處處に垂下し、
眾綵雜飾,周匝圍繞,柔軟繒纊,
衆彩雜飾して、周匝圍繞す。柔軟の繒纊、
以為茵蓐。上妙細㲲,價直千億,
以て茵褥と爲す。上妙の細疊、價直千億、
鮮白淨潔,以覆其上。有大白牛,
鮮白にして淨潔、以て其の上を覆ふ。大白牛有りて、
肥壯多力,形體姝好,以駕寶車。
肥壯にして力多く、形體姝好にして、以て寶車を駕す。
多諸儐從,而侍衛之。以是妙車,
多く諸の儐從して、而も之を侍衛す。此の妙車を以て、
等賜諸子。諸子是時,歡喜踴躍,
等しく諸子に賜ふ。諸子是の時、歡喜踊躍して、
乘是寶車,遊於四方,嬉戲快樂,
此の寶車に乘りて、四方に游び、嬉戲快樂して、
自在無礙。告舍利弗:『我亦如是,
自在にして礙無し。舍利弗に告げて曰く、『我も亦如此、
眾聖中尊,世間之父。一切眾生,
衆聖の中の尊、世間の父なり。一切衆生、
皆是吾子,深著世樂,無有慧心。
皆是れ吾が子、深く世樂に着して、慧心無し。
三界無安,猶如火宅,眾苦充滿,
三界安無し、猶ほ火宅の如く、衆苦充滿して、
甚可怖畏。常有生老、病死憂患,
甚だ怖畏すべし。常に生・老・病・死・憂患有り、
如是等火,熾然不息。如來已離,
如是等の火、熾然として息えず。如來已に離れたり、
三界火宅,寂然閑居,安處林野。
三界の火宅、寂然として閑居し、安く林野に處れり。
今此三界,皆是我有,其中眾生,
今此の三界、皆是れ我が有、其の中の衆生、
悉是吾子。而今此處,多諸患難,
皆是れ吾が子。而今此の處、多く諸の患難あり、
唯我一人,能為救護。雖復教詔,
唯だ我一人、能く救護と爲れり。雖復た教詔すれども、
而不信受,於諸欲染,貪著深故。
而も信受せず、諸の欲染に於て、貪着深きが故なり。
以是方便,為說三乘,令諸眾生,
此の方便を以て、三乘を爲に說きて、諸の衆生をして、
知三界苦,開示演說,出世間道。
三界の苦を知らしめ、出世間の道を開示演說す。
是諸子等,若心決定,具足三明,
是の子等、若し心決定せば、三明を具足し、
及六神通,有得緣覺、不退菩薩。
及び六神通、緣覺・不退の菩薩を得る有らん。
汝舍利弗!我為眾生,以此譬喻,
汝舍利弗!我衆生の爲に、此の譬喻を以て、
說一佛乘。汝等若能,信受是語,
一佛乘を說く。汝等若し能く、此の語を信受せば、
一切皆當,得成佛道。是乘微妙、
一切當に、佛道を成るを得べし。此の乘微妙にして、
清淨第一,於諸世間,為無有上,
清淨第一、諸の世間に於て、上と爲る無し。
佛所悅可。一切眾生,所應稱讚、
佛の悅可する所。一切衆生の、應に稱讚し、
供養禮拜。無量億千,諸力解脫、
供養禮拜すべき所なり。無量億千の、諸力・解脫・
禪定智慧,及佛餘法,得如是乘。
禪定・智慧、及び佛の餘法、如是の乘を得ん。
令諸子等,日夜劫數,常得遊戲,
諸子等をして、日夜劫數、常に游戲を得しめ、
與諸菩薩,及聲聞眾,乘此寶乘,
諸の菩薩及び聲聞の衆と、此の寶乘に乘りて、
直至道場。以是因緣,十方諦求,
直に道場に至らん。此の因緣を以て、十方に諦求すれども、
更無餘乘,除佛方便。』告舍利弗:
更に餘乘無し、佛の方便を除く。』舍利弗に告げて曰く、
『汝諸人等,皆是吾子,我則是父。
『汝の諸人等、皆是れ吾が子、我は則ち是れ父なり。
汝等累劫,眾苦所燒,我皆濟拔,
汝等累劫に、衆苦の燒く所、我皆濟拔して、
令出三界。我雖先說:「汝等滅度。」
三界を出でしめり。我雖先だ說けり、「汝等滅度す」と。
但盡生死,而實不滅;今所應作,
但だ生死を盡くせども、而も實には滅せず。今應に作す所は、
唯佛智慧。若有菩薩,於是眾中,
唯だ佛の智慧のみ。若し菩薩有りて、此の衆の中に於て、
能一心聽,諸佛實法。諸佛世尊,
能く一心に聽かば、諸佛の實法を。諸佛世尊、
