妙法蓮華經卷第三
我復於彼中,為說無上法。
我復た彼の中に於て、無上の法を爲に說く。
汝等不聞此,但謂我滅度。
汝等此を聞かずして、但だ我滅度すと謂ふ。
我見諸眾生,沒在於苦惱,
我諸の衆生の、苦惱に沒在するを見て、
故不為現身,令其生渴仰,
故に身を現さずして、其の渴仰を生ぜしめて、
因其心戀慕,乃出為說法。
其の心の戀慕するに因りて、乃ち出でて爲に法を說く。
神通力如是,於阿僧祇劫,
神通の力是の如し、阿僧祇劫に於て、
常在靈鷲山,及餘諸住處。
常に靈鷲山に在りて、及び餘の諸の住處に。
眾生見劫盡,大火所燒時,
衆生劫盡きて、大火の燒く所の時を見るも、
我此土安隱,天人常充滿。
我が此の土安穩にして、天人常に充滿せり。
園林諸堂閣,種種寶莊嚴,
園林・諸の堂閣、種種の寶莊嚴して、
寶樹多花菓,眾生所遊樂。
寶樹華果多くして、衆生の游樂する所なり。
諸天擊天鼓,常作眾伎樂,
諸天天鼓を擊ちて、常に衆の伎樂を作して、
雨曼陀羅花,散佛及大眾。
曼陀羅華を雨らして、佛及び大衆に散ず。
我淨土不毀,而眾見燒盡,
我が淨土毁れずして、而も衆燒盡くるを見る、
憂怖諸苦惱,如是悉充滿。
憂怖・諸の苦惱、是の如く悉く充滿す。
是諸罪眾生,以惡業因緣,
是の罪の衆生、惡業の因緣を以て、
過阿僧祇劫,不聞三寶名。
阿僧祇劫を過して、三寶の名を聞かざりき。
諸有修功德,柔和質直者,
諸の功德を修して、柔和にして質直なる者は、
則皆見我身,在此而說法。
則ち皆我が身の、此に在りて而も法を說くを見ん。
或時為此眾,說佛壽無量,
或る時此の衆の爲に、佛壽無量を說きて、
久乃見佛者,為說佛難值。
久しく乃ち佛を見る者の爲には、佛遇ひ難しと說く。
我智力如是,慧光照無量,
我が智力是の如し、慧光照ること無量にして、
壽命無數劫,久修業所得。
壽命無數劫、久しく業を修して得る所なり。
汝等有智者,勿於此生疑,
汝等智有る者、此に於て疑を生ずる勿れ、
當斷令永盡,佛語實不虛。
當に斷じて永く盡かしめよ、佛の語實にして虛ならず。
如醫善方便,為治狂子故,
醫の善き方便の如くして、狂子を治する故の爲に、
實在而言死,無能說虛妄。
實に在るも而も死と言言ふ、虛妄と說く能くする無し。
我亦為世父,救諸苦患者,
我亦世の父と爲りて、諸の苦患を救ふ者、
為凡夫顛倒,實在而言滅。
凡夫の顛倒の爲に、實に在るも而も滅と言ふ。
以常見我故,而生憍恣心,
常に我を見るを以ての故に、而も驕恣の心を生じて、
放逸著五欲,墮於惡道中。
放逸にして五欲に着して、惡道の中に墮つ。
我常知眾生,行道不行道,
我常に衆生の、道を行ず道を行行ぜざるを知りて、
隨所應可度,為說種種法。
應に度べき所に隨ひて、種種の法を爲に說く。
每自作是意,以何令眾生,
每に自ら此の意を作す、何を以てか衆生をして、
得入無上慧,速成就佛身。」
無上の慧に入るを得せしめて、速く佛身を成就せしめん。」
妙法蓮華經分別功德品第十七
妙法蓮華經分別功德品第十七
爾時大會,聞佛說壽命劫數長遠如是,無量無邊阿僧祇眾生得大饒益。於時世尊告彌勒菩薩摩訶薩:「阿逸多!我說是如來壽命長遠時,六百八十萬億那由他恆河沙眾生,得無生法忍;復有千倍菩薩摩訶薩,得聞持陀羅尼門;復有一世界微塵數菩薩摩訶薩,得樂說無礙辯才;復有一世界微塵數菩薩摩訶薩,得百千萬億無量旋陀羅尼;復有三千大千世界微塵數菩薩摩訶薩,能轉不退法輪;復有二千中國土微塵數菩薩摩訶薩,能轉清淨法輪;復有小千國土微塵數菩薩摩訶薩,八生當得阿耨多羅三藐三菩提;復有四四天下微塵數菩薩摩訶薩,四生當得阿耨多羅三藐三菩提;復有三四天下微塵數菩薩摩訶薩,三生當得阿耨多羅三藐三菩提;復有二四天下微塵數菩薩摩訶薩,二生當得阿耨多羅三藐三菩提;復有一四天下微塵數菩薩摩訶薩,一生當得阿耨多羅三藐三菩提;復有八世界微塵數眾生,皆發阿耨多羅三藐三菩提心。」
爾の時大會、佛の說く壽命・劫數の長遠是の如くなるを聞きて、無量無邊阿僧祇の衆生大いに饒益を得たり。時に於て世尊彌勒菩薩摩訶薩に告げて曰く、「阿逸多!我此の如來壽命長遠を說く時、六百八十萬億那由他恒河沙の衆生、無生法忍を得、復た千倍の菩薩摩訶薩有りて、聞持の陀羅尼門を得、復た一世界の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、樂說無礙の辯才を得、復た一世界の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、百千萬億無量の旋陀羅尼を得、復た三千大千世界の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、能く不退の法輪を轉じ、復た二千中國土の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、能く清淨の法輪を轉じ、復た小千國土の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、八生當に無上正等正覺を得べく、復た四四天下の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、四生當に無上正等正覺を得べく、復た三四天下の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、三生當に無上正等正覺を得べく、復た二四天下の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、二生當に無上正等正覺を得べく、復た一四天下の微塵數の菩薩摩訶薩有りて、一生當に無上正等正覺を得べく、復た八世界の微塵數の衆生有りて、皆無上正等正覺の心を發せり。」
佛說是諸菩薩摩訶薩得大法利時,於虛空中,雨曼陀羅華、摩訶曼陀羅華,以散無量百千萬億眾寶樹下、師子座上諸佛,並散七寶塔中師子座上釋迦牟尼佛及久滅度多寶如來,亦散一切諸大菩薩及四部眾。又雨細末栴檀、瀋水香等。於虛空中,天鼓自鳴,妙聲深遠。又雨千種天衣,垂諸瓔珞、真珠瓔珞、摩尼珠瓔珞、如意珠瓔珞,遍於九方。眾寶香爐燒無價香,自然周至,供養大會。一一佛上,有諸菩薩,執持幡蓋,次第而上,至於梵天。是諸菩薩,以妙音聲,歌無量頌,讚歎諸佛。
佛是の菩薩摩訶薩の大法の利を得るを說く時、虛空の中に於て、曼陀羅華・摩訶曼陀羅華を雨らして、以て無量百千萬億の衆寶の樹の下・師子座の上の諸佛に散じて、竝せて七寶の塔の中の師子座の上の釋迦牟尼佛及び久しく滅度せし多寶如來に散じて、亦一切の諸の大菩薩及び四部の衆に散ぜり。又細末の栴檀・沈水香等を雨らせり。虛空の中に於て、天鼓自ら鳴りて、妙聲深遠なりき。又千種の天衣を雨らして、諸の瓔珞・眞珠の瓔珞・摩尼珠の瓔珞・如意珠の瓔珞を垂れて、九方に遍れり。衆寶の香爐無價の香を燒きて、自然に周至して、大會を供養せり。一一の佛の上に、諸の菩薩有りて、幡蓋を執持して、次第にして上りて、梵天に至れり。是の菩薩、妙音聲を以て、無量の頌を歌して、諸佛を讚歎せり。
爾時彌勒菩薩從座而起,偏袒右肩,合掌向佛,而說偈言:
爾の時彌勒菩薩座より起ちて、偏に右肩を袒ぎて、合掌して佛に向かひて、而も偈を說きて曰く、
「佛說希有法,昔所未曾聞,
「佛希有の法を說き給ふ、昔の未曾聞する所、
世尊有大力,壽命不可量。
世尊大力有りて、壽命量るべからず。
無數諸佛子,聞世尊分別,
無數の諸の佛の子、世尊の分別を聞きて、
說得法利者,歡喜充遍身。
法の利を得るを說き給へば、歡喜身に充遍せり。
或住不退地,或得陀羅尼,
或は不退地に住し、或は陀羅尼を得て、
或無礙樂說,萬億旋總持。
或は礙無き樂說、萬億の旋總持を得たり。
或有大千界,微塵數菩薩,
或は大千界の、微塵數の菩薩有りて、
各各皆能轉,不退之法輪。
各各皆能く轉ず、不退の法輪を。
復有中千界,微塵數菩薩,
復た中千界の、微塵數の菩薩有りて、
各各皆能轉,清淨之法輪。
各各皆能く轉ず、清淨の法輪を。
復有小千界,微塵數菩薩,
復た小千界の、微塵數の菩薩有りて、
餘各八生在,當得成佛道。
餘各八生在りて、當に佛道を成るを得べし。
復有四三二,如此四天下,
復た四・三・二、此の如き四天下の、
微塵諸菩薩,隨數生成佛。
微塵の諸菩薩、數に隨ひて生じて佛と成らん。
或一四天下,微塵數菩薩,
或は一四天下の、微塵數の菩薩にして、
餘有一生在,當成一切智。
餘に一生有りて、當に一切智を成るべし。
如是等眾生,聞佛壽長遠,
是の如き等の衆生、佛壽の長遠を聞きて、
得無量無漏,清淨之果報。
無量無漏の、清淨の果報を得たり。
復有八世界,微塵數眾生,
復た八世界の、微塵數の衆生有りて、
聞佛說壽命,皆發無上心。
佛の壽命を說くを聞きて、皆無上の心を發せり。
世尊說無量,不可思議法,
世尊無量の、不可思議の法を說き給ふ、
