妙法蓮華經卷第五
諸山深嶮處,栴檀樹花敷,
諸の山の深險の處、栴檀の樹華敷くも、
眾生在中者,聞香皆能知。
衆生其の中に在る者、香を聞きて皆能く知れり。
鐵圍山大海,地中諸眾生,
鐵圍山・大海、地の中の諸の衆生も、
持經者聞香,悉知其所在。
經を持する者香を聞きて、悉く其の在る所を知れり。
阿修羅男女,及其諸眷屬,
阿修羅の男女、及び其の諸の眷屬の、
鬪諍遊戲時,聞香皆能知。
鬪諍・游戲する時、香を聞きて皆能く知れり。
曠野險隘處,師子象虎狼,
曠野・險隘の處の、師子・象・虎狼、
野牛水牛等,聞香知所在。
野牛・水牛等、香を聞きて在る所を知れり。
若有懷妊者,未辯其男女,
若し懷妊する有れば、未だ其の男女を辯せずとも、
無根及非人,聞香悉能知。
根無き及び人に非ざる、香を聞きて悉く能く知れり。
以聞香力故,知其初懷妊,
香を聞く力なるを以ての故に、其の初め懷妊するを知りて、
成就不成就,安樂產福子。
成就す、成就せざる、安樂に福子を産むを。
以聞香力故,知男女所念,
香を聞く力なるを以ての故に、男女の念ずる所を知りて、
染欲痴恚心,亦知修善者。
染欲・癡恚の心、亦善を修するを知れり。
地中眾伏藏,金銀諸珍寶,
地の中の衆の伏藏、金銀・諸の珍寶、
銅器之所盛,聞香悉能知。
銅器の盛へる所、香を聞きて悉く能く知れり。
種種諸瓔珞,無能識其價,
種種の諸の瓔珞、其の價を識る能くする無くとも、
聞香知貴賤,出處及所在。
香を聞きて貴賤を知り、出處及び在る所を。
天上諸華等,曼陀曼殊沙、
天上の諸の華等、曼陀・曼殊沙、
波利質多樹,聞香悉能知。
波利質多の樹、香を聞きて悉く能く知れり。
天上諸宮殿,上中下差別,
天上の諸の宮殿、上中下の差別、
眾寶花莊嚴,聞香悉能知。
衆寶・華に莊嚴せる、香を聞きて悉く能く知れり。
天園林勝殿,諸觀妙法堂,
天の園林・勝殿、諸の觀・妙法堂、
在中而娛樂,聞香悉能知。
中に在りて而も娛樂する、香を聞きて悉く能く知れり。
諸天若聽法,或受五欲時,
諸天若しくは法を聽き、或は五欲を受くる時、
來往行坐臥,聞香悉能知。
來往・行坐臥、香を聞きて悉く能く知れり。
天女所著衣,好華香莊嚴,
天女の着する所の衣、好華・香に莊嚴せる、
周旋遊戲時,聞香悉能知。
周旋して游戲する時、香を聞きて悉く能く知れり。
如是展轉上,乃至於梵世,
是の如く展轉して上る、乃至梵世に於ても、
入禪出禪者,聞香悉能知。
禪に入り禪を出づる者、香を聞きて悉く能く知れり。
光音遍淨天,乃至於有頂,
光音・遍淨の天、乃至有頂に於ても、
初生及退沒,聞香悉能知。
初め生ずる及び退沒するを、香を聞きて悉く能く知れり。
諸比丘眾等,於法常精進,
諸の比丘の衆等、法に於て常に精進して、
若坐若經行,及讀誦經法,
若しくは坐し若しくは經行し、及び經法を讀誦するを、
或在林樹下,專精而坐禪,
或は林樹の下に在りて、專精にして而も坐禪するを、
持經者聞香,悉知其所在。
經を持する者香を聞きて、悉く其の在る所を知れり。
菩薩志堅固,坐禪若讀誦,
菩薩志堅固にして、坐禪し若しくは讀誦し、
或為人說法,聞香悉能知。
或は人の爲に法を說くも、香を聞きて悉く能く知れり。
在在方世尊,一切所恭敬,
在在の方の世尊、一切の恭敬する所の、
愍眾而說法,聞香悉能知。
衆を愍みて而も法を說くを、香を聞きて悉く能く知れり。
眾生在佛前,聞經皆歡喜,
衆生佛の前に在りて、經を聞きて皆歡喜するを、
如法而修行,聞香悉能知。
法の如く而も修行するを、香を聞きて悉く能く知れり。
雖未得菩薩,無漏法生鼻,
未だ菩薩の、無漏の法生の鼻を得ざると雖も、
而是持經者,先得此鼻相。」
而も是の經を持する者、先に此の鼻相を得れり。」
「復次,常精進!若善男子、善女人,受持是經,若讀、若誦、若解說、若書寫,得千二百舌功德。若好、若醜,若美、不美,及諸苦澁物,在其舌根,皆變成上味,如天甘露,無不美者。若以舌根於大眾中有所演說,出深妙聲,能入其心,皆令歡喜快樂。又諸天子、天女,釋梵諸天,聞是深妙音聲,有所演說言論次第,皆悉來聽。及諸龍、龍女,夜叉、夜叉女,乾闥婆、乾闥婆女,阿修羅、阿修羅女,迦樓羅、迦樓羅女,緊那羅、緊那羅女,摩睺羅伽、摩睺羅伽女,為聽法故,皆來親近恭敬供養。及比丘、比丘尼,優婆塞、優婆夷,國王、王子、群臣、眷屬,小轉輪王、大轉輪王、七寶千子內外眷屬,乘其宮殿,俱來聽法,以是菩薩善說法故。婆羅門、居士、國內人民、盡其形壽,隨侍供養。又諸聲聞、辟支佛、菩薩、諸佛,常樂見之。是人所在方面,諸佛皆向其處說法,悉能受持一切佛法,又能出於深妙法音。」
「復次、常精進!若し善男子・善女人、此の經を受持して、若しくは讀し、若しくは誦し、若しくは解說し、若しくは書寫せば、千二百の舌功德を得ん。若し好く、若し醜く、若し美しく、若し美ならず、及び諸の苦澁の物、其の舌根に在れば、皆變じて上味と成りて、天の甘露の如くして、美ならざる無し。若し舌根を以て大衆の中に於て演說する所有れば、深妙の聲を出だして、能く其の心に入りて、皆歡喜快樂せしめん。又諸の天子・天女、釋・梵の諸天、此の深妙の音聲を聞きて、演說・言論・次第する所有れば、皆悉く來りて聽けん。及び諸の龍・龍女、夜叉・夜叉女、乾闥婆・乾闥婆女、阿修羅・阿修羅女、迦樓羅・迦樓羅女、緊那羅・緊那羅女、摩睺羅伽・摩睺羅伽女、法を聽く故の爲に、皆來りて親近して恭敬供養せん。及び比丘・比丘尼、優婆塞・優婆夷、國王・王子・群臣・眷屬、小轉輪王・大轉輪王・七寶の千子の內外の眷屬、其の宮殿に乘りて、俱に來りて法を聽かん、此の菩薩の善く法を說くが故なり。婆羅門・居士・國內の人民、其の形壽を盡くして、隨侍供養せん。又諸の聲聞・辟支佛・菩薩・諸佛、常に之を見るを樂まん。此の人の在る所の方面、諸佛皆其の處に向かひて法を說きて、悉く能く一切の佛法を受持して、又能く深妙の法音を出ださん。」
爾時世尊欲重宣此義,而說偈言:
爾の時世尊、欲りて重ねて此の義を宣べて、偈を說きて曰く、
「是人舌根淨,終不受惡味,
「此の人舌根淨くして、終に惡味を受けずして、
其有所食噉,悉皆成甘露。
其の食啖する所有れば、悉く皆甘露と成れり。
以深淨妙聲,於大眾說法,
深淨の妙聲を以て、大衆に於て法を說きて、
以諸因緣喻,引導眾生心,
諸の因緣の喻を以て、衆生の心を引導して、
聞者皆歡喜,設諸上供養。
聞く者皆歡喜して、諸の上の供養を設けん。
諸天龍夜叉,及阿修羅等,
諸天・龍・夜叉、及び阿修羅等、
皆以恭敬心,而共來聽法,
皆恭敬の心を以て、而も共に來りて法を聽く。
是說法之人,若欲以妙音,
此の法を說く人、若し欲りて妙音を以て、
遍滿三千界,隨意即能至。
三千界に遍滿せば、意に隨ひて即ち能く至らん。
大小轉輪王,及千子眷屬,
大小の轉輪王、及び千子の眷屬、
合掌恭敬心,常來聽受法。
合掌して恭敬の心を以て、常に來りて法を聽受す。
諸天龍夜叉、羅剎毘舍闍,
諸天・龍・夜叉、羅刹・毘舍闍も、
亦以歡喜心,常樂來供養。
亦歡喜の心を以て、常に樂ひて來りて供養す。
梵天王魔王,自在大自在,
梵天の王・魔王、自在・大自在と、
