妙法蓮華經卷第五
並諸餘山林、大海江河水,
竝せに諸の餘の山林・大海・江河の水を、
下至阿鼻獄,上至有頂處,
下は阿鼻獄に至り、上は有頂の處に至りて、
其中諸眾生,一切皆悉見。
其の中の諸の衆生、一切に皆悉く見る。
雖未得天眼,肉眼力如是。
未だ天眼を得ざると雖も、肉眼の力是の如し。
「復次,常精進!若善男子、善女人,受持此經,若讀、若誦、若解說、若書寫,得千二百耳功德。以是清淨耳,聞三千大千世界,下至阿鼻地獄,上至有頂,其中內外種種語言音聲——象聲、馬聲、牛聲、車聲,啼哭聲、愁歎聲,螺聲、鼓聲、鍾聲、鈴聲,笑聲、語聲,男聲、女聲、童子聲、童女聲,法聲、非法聲,苦聲、樂聲,凡夫聲、聖人聲,喜聲、不喜聲,天聲、龍聲、夜叉聲、乾闥婆聲、阿修羅聲、迦樓羅聲、緊那羅聲、摩睺羅伽聲,火聲、水聲、風聲,地獄聲、畜生聲、餓鬼聲,比丘聲、比丘尼聲,聲聞聲、辟支佛聲,菩薩聲、佛聲——以要言之,三千大千世界中一切內外所有諸聲,雖未得天耳,以父母所生清淨常耳,皆悉聞知,如是分別種種音聲而不壞耳根。」
「復次、常精進!若し善男子・善女人、此の經を受持して、若しくは讀し、若しくは誦し、若しくは解說し、若しくは書寫せば、千二百の耳功德を得ん。此の清淨の耳を以て、三千大千世界を聞きて、下は阿鼻地獄に至り、上は有頂に至りて、其の中の內外の種種の言語・音聲——象聲・馬聲・牛聲・車聲、啼哭聲・愁歎聲、螺聲・鼓聲・鐘聲・鈴聲、笑聲・語聲、男聲・女聲・童子聲・童女聲、法聲・非法聲、苦聲・樂聲、凡夫聲・聖人聲、喜聲・不喜聲、天聲・龍聲・夜叉聲・乾闥婆聲・阿修羅聲・迦樓羅聲・緊那羅聲・摩睺羅伽聲、火聲・水聲・風聲、地獄聲・畜生聲・餓鬼聲、比丘聲・比丘尼聲、聲聞聲・辟支佛聲、菩薩聲・佛聲——要を以て之を言へば、三千大千世界の中の一切內外の所有の諸の聲、未だ天耳を得ざると雖も、父母の生ずる所の清淨の常耳を以て、皆悉く聞知して、是の如く種種の音聲を分別して而も耳根を壞らざれり。」
爾時世尊欲重宣此義,而說偈言:
爾の時世尊、欲りて重ねて此の義を宣べて、偈を說きて曰く、
「父母所生耳,清淨無濁穢,
「父母の生ずる所の耳、清淨にして濁穢無くて、
以此常耳聞,三千世界聲。
此の常耳を以て聞く、三千世界の聲を。
象馬車牛聲,鍾鈴螺鼓聲,
象馬・車牛の聲、鐘鈴・螺鼓の聲、
琴瑟箜篌聲,簫笛之音聲,
琴瑟・箜篌の聲、簫笛の音聲、
清淨好歌聲,聽之而不著,
清淨の好歌聲、之を聽きて而も着せず、
無數種人聲,聞悉能解了。
無數種の人聲、聞きて悉く能く解了す。
又聞諸天聲,微妙之歌音,
又諸天の聲を聞く、微妙の歌音を、
及聞男女聲,童子童女聲。
及び男女の聲を聞く、童子・童女の聲を。
山川嶮谷中,迦陵頻伽聲,
山川・險谷の中に、迦陵頻伽の聲、
命命等諸鳥,悉聞其音聲。
命命等の諸の鳥、悉く其の音聲を聞く。
地獄眾苦痛,種種楚毒聲,
地獄の衆の苦痛、種種の楚毒の聲、
餓鬼飢渴逼,求索飲食聲,
餓鬼・飢渴に迫られて、飲食を求索する聲、
諸阿修羅等,居在大海邊,
諸の阿修羅等、大海の邊に居して、
自共語言時,出於大音聲。
自ら共に語言する時、大きなる音聲を出だすを。
如是說法者,安住於此間,
是の如く法を說く者、此の間に安住して、
遙聞是眾聲,而不壞耳根。
遙かに此の衆の聲を聞きて、而も耳根を壞らざれり。
十方世界中,禽獸鳴相呼,
十方世界の中、禽獸鳴きて相呼ぶを、
其說法之人,於此悉聞之。
其の法を說く人、此に於て悉く之を聞く。
其諸梵天上,光音及遍淨,
其の諸の梵天の上、光音及び遍淨、
乃至有頂天,言語之音聲,
乃至有頂の天の、言語の音聲を、
法師住於此,悉皆得聞之。
法師此に住して、悉く皆聞くを得れり。
一切比丘眾,及諸比丘尼,
一切の比丘の衆、及び諸の比丘尼の、
若讀誦經典,若為他人說,
若しくは經典を讀誦し、若しくは他の爲に說くを、
法師住於此,悉皆得聞之。
法師此に住して、悉く皆聞くを得れり。
復有諸菩薩,讀誦於經法,
復た諸の菩薩有りて、經法を讀誦するを、
若為他人說,撰集解其義,
若しくは他の爲に說き、撰集して其の義を解くを、
如是諸音聲,悉皆得聞之。
是の如き諸の音聲、悉く皆聞くを得れり。
諸佛大聖尊,教化眾生者,
諸佛の大聖尊の、衆生を教化するを、
於諸大會中,演說微妙法,
諸の大會の中に於て、微妙の法を演說するを、
持此法華者,悉皆得聞之。
此の法華を持する者、悉く皆聞くを得れり。
三千大千界,內外諸音聲,
三千大千界、內外の諸の音聲、
下至阿鼻獄,上至有頂天,
下は阿鼻獄に至り、上は有頂の天に至りて、
皆聞其音聲,而不壞耳根,
皆其の音聲を聞きて、而も耳根を壞らず、
其耳聰利故,悉能分別知。
其の耳聰利なるが故に、悉く能く分別して知れり。
持是法花者,雖未得天耳,
此の法華を持する者、未だ天耳を得ざると雖も、
但用所生耳,功德已如是。
但だ生ずる所の耳を用ふ、功德已に是の如し。
「復次,常精進!若善男子、善女人,受持是經,若讀、若誦、若解說、若書寫,成就八百鼻功德。以是清淨鼻根,聞於三千大千世界上下內外種種諸香——須曼那華香、闍提華香、末利華香、瞻蔔華香、波羅羅華香,赤蓮華香、青蓮華香、白蓮華香,華樹香、菓樹香,栴檀香、瀋水香、多摩羅跋香、多伽羅香,及千萬種和香,若末、若丸、若塗香——持是經者,於此間住,悉能分別。又復別知眾生之香——象香、馬香、牛羊等香,男香、女香、童子香、童女香,及草木叢林香——若近、若遠、所有諸香,悉皆得聞,分別不錯。持是經者,雖住於此,亦聞天上諸天之香——波利質多羅、拘鞞陀羅樹香,及曼陀羅華香、摩訶曼陀羅華香、曼殊沙華香、摩訶曼殊沙華香、栴檀、瀋水、種種末香,諸雜華香——如是等天香和合所出之香,無不聞知。又聞諸天身香——釋提桓因在勝殿上,五欲娛樂嬉戲時香;若在妙法堂上,為忉利諸天說法時香;若於諸園遊戲時香;及餘天等男女身香,皆悉遙聞。如是展轉乃至梵世,上至有頂諸天身香,亦皆聞之,並聞諸天所燒之香。及聲聞香、辟支佛香、菩薩香、諸佛身香,亦皆遙聞,知其所在。雖聞此香,然於鼻根不壞不錯,若欲分別為他人說,憶念不謬。」
「復次、常精進!若し善男子・善女人、此の經を受持して、若しくは讀し、若しくは誦し、若しくは解說し、若しくは書寫せば、八百の鼻功德を成就せん。此の清淨の鼻根を以て、三千大千世界の上下內外の種種の諸の香を聞く——須曼那の華香・闍提の華香・末利の華香・瞻卜の華香・波羅羅の華香、赤蓮華香・青蓮華香・白蓮華香、華樹の香・果樹の香、栴檀の香・沈水の香・多摩羅跋の香・多伽羅の香、及び千萬種の和香、若しくは末、若しくは丸、若しくは塗香——此の經を持する者、此の間に住して、悉く能く分別す。又復た衆生の香を別知す——象の香・馬の香・牛羊等の香、男の香・女の香・童子の香・童女の香、及び草木・叢林の香——若しくは近く、若しくは遠く、所有の諸の香、悉く皆聞くを得て、分別して錯らざれり。此の經を持する者、雖此に住するも、亦天上の諸天の香を聞く——波利質多羅・拘鞞陀羅の樹香、及び曼陀羅の華香・摩訶曼陀羅の華香・曼殊沙の華香・摩訶曼殊沙の華香・栴檀・沈水・種種の末香、諸の雜華の香——是の如き等の天香の和合して出づる所の香、聞知せざる無し。又諸天の身香を聞く——釋提桓因の勝殿の上に在りて、五欲娛樂して嬉戲する時の香、若し妙法堂の上に在りて、忉利の諸天の爲に法を說く時の香、若し諸の園に於て游戲する時の香、及び餘の天等の男女の身香、皆悉く遙かに聞けり。是の如く展轉して乃至梵世、上は有頂の諸天の身香に至るまで、亦皆之を聞きて、竝せに諸天の燒く所の香を聞く。及び聲聞の香・辟支佛の香・菩薩の香・諸佛の身香、亦皆遙かに聞きて、其の在る所を知れり。雖此の香を聞くも、然れども鼻根に於て壞らず錯らず、若し欲りて分別して他の爲に說かば、憶念して謬らざれり。」
爾時世尊欲重宣此義,而說偈言:
爾の時世尊、欲りて重ねて此の義を宣べて、偈を說きて曰く、
「是人鼻清淨,於此世界中,
「此の人鼻清淨にして、此の世界の中に於て、
若香若臭物,種種悉聞知。
若し香若し臭き物、種種悉く聞知す。
須曼那闍提、多摩羅栴檀、
須曼那・闍提、多摩羅・栴檀、
瀋水及桂香,種種華菓香,
沈水及び桂香、種種の華果の香を。
及知眾生香,男子女人香,
及び衆生の香を知る、男子・女人の香を、
說法者遠住,聞香知所在。
法を說く者遠く住せども、香を聞きて在る所を知れり。
大勢轉輪王,小轉輪及子,
大勢の轉輪王、小轉輪及び子、
群臣諸宮人,聞香知所在。
群臣・諸の宮人、香を聞きて在る所を知れり。
身所著珍寶,及地中寶藏,
身の着する所の珍寶、及び地の中の寶藏、
轉輪王寶女,聞香知所在。
轉輪王の寶女、香を聞きて在る所を知れり。
諸人嚴身具,衣服及瓔珞,
諸の人の嚴身の具、衣服及び瓔珞、
種種所塗香,聞香知其身。
種種の塗く所の香、香を聞きて其の身を知れり。
諸天若行坐,遊戲及神變,
諸天若しくは行坐、游戲及び神變するも、
持是法華者,聞香悉能知。
此の法華を持する者、香を聞きて悉く能く知れり。
諸樹華菓實,及酥油香氣,
諸の樹・華・果・實、及び酥油の香氣を、
持經者住此,悉知其所在。
經を持する者此に住して、悉く其の在る所を知れり。
