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仏果圜悟禅師碧巌録巻第四(終)

宋 · 重显颂古,克勤评唱 · 第9巻 / 16

【五五】舉。道吾與漸源至一家弔慰。源拍棺雲。生邪死邪(道什麼。好不惺惺。這漢猶在兩頭)吾雲。生也不道。死也不道(龍吟霧起。虎嘯風生。買㡌相頭。老婆心切)源雲。為什麼不道(蹉過了也。果然錯會)吾雲。不道不道(惡水驀頭澆。前箭猶輕後箭深)回至中路(太惺惺)源雲。和尚快與某甲道。若不道。打和尚去也(卻較些子。罕逢穿耳客。多遇刻舟人。似這般不唧𠺕漢。入地獄如箭)吾雲。打即任打。道即不道(再三須重事。就身打劫。這老漢滿身泥水。初心不改)源便打(好打且道。打他作什麼。屈棒元來有人吃在)後道吾遷化。源到石霜舉似前話(知而故犯。不知是不是。是則也大奇)霜雲。生也不道。死也不道(可殺新鮮。這般茶飯卻元來有人吃)源雲。為什麼不道(語雖一般。意無兩種。且道與前來問是同是別)霜雲。不道不道(天上天下。曹溪波浪如相似。無限平人被陸沈)源於言下有省(瞎漢。且莫瞞山僧好)源一日將鍬子。於法堂上。從東過西。從西過東(也是死中得活。好與先師出氣。莫問他。且看這漢一場懡㦬)霜雲。作什麼(隨後婁藪也)源雲。覓先師靈骨(喪車背後懸藥袋。悔不慎當初。爾道什麼)霜雲。洪波浩渺白浪滔天。覓什麼先師靈骨(也須還他作家始得。成群作隊作什麼)雪竇著語云。蒼天蒼天(太遲生。賊過後張弓。好與一坑埋卻)源雲。正好著力(且道落在什麼處。先師曾向爾道什麼。這漢從頭到尾。直至如今。出身不得)太原孚雲。先師靈骨猶在(大眾見麼。閃電相似。是什麼破草鞋。猶較些子)。

【五五】挙:道吾漸源と一家に至りて吊慰す。源棺を拍して説く。生か死か(什麼を道う。好く不惺惺。此の漢猶お両頭に在り)吾説く。生なりとも道わず。死なりとも道わず(竜吟して霧起こり。虎嘯いて風生ず。帽を買うて頭を相す。老婆心切なり)源説く。何の故にか道わざる(錯り過ぎたり。果然錯りて会せり)吾説く。道わず道わず(悪水頭を劈きて澆ぐ。前の箭猶お軽く後の箭深し)回りて中路に至る(太だ惺惺なり)源説く。和尚快く某甲と道え。もし道わざれば、和尚を打たんと去るなり(却って好く些かなり。罕に耳を穿つ客に逢い、多く舟を刻する人に遇う。此の般の不唧溜の漢に似て、地獄に入ること箭の如し)吾説く。打たば即ち打つに任せよ。道えば即ち道わず(再三須く事を重んずべし。身に就きて劫を打つ。此の老漢満身泥水。初心改まらず)源便ち打つ(好し打て且く道え。彼を打ちて什麼を作さん。屈の棒原来人の喫する有る在り)後道吾遷化す。源石霜に到りて前の話を挙似す(知りて故に犯す。知らず是か非か。是なればも亦た大いに奇なり)霜説く。生なりとも道わず。死なりとも道わず(殺すべき新鮮。此の般の茶飯却って原来人の喫する有り)源説く。何の故にか道わざる(語一般なりと雖も、意に両種無し。且く道え前の来たりて問えると是れ同じか是れ別か)霜説く。道わず道わず(天上天下。曹渓の波浪相似するが如く。限り無き平人陸沈せられん)源言下に省る有り(瞎の漢。且く山僧を瞞かす莫れ好し)源一日锹子を將て、法堂の上に於いて、東より西に過ぎ、西より東に過ぐ(も是れ死の中に活を得たり。好く先師と気を出ださん。彼に問う莫れ。且く此の漢の一場の懊憹を看よ)霜説く。什麼を作す(後に随いて搂搜するなり)源説く。先師の霊骨を覓む(喪車の背後に薬袋を懸く。悔いらく当初を慎まざりしを。爾什麼を道う)霜説く。洪波浩渺白浪天に滔たり。什麼の先師の霊骨を覓む(も須く彼に作家を還して始めて得ん。群を成し隊を作して什麼を作さん)雪竇語を著して説く。蒼天蒼天(太だ遅く生ず。賊過ぎて後弓を張る。好し一坑に埋却せんを給らん)源説く。正に好し力を著くべし(且く道え什麼の処にか落つる。先師曽て爾に向かい什麼を道いたる。此の漢頭より尾に至るまで、如今に至るまで、身を出だすことを得ず)太原孚説く。先師の霊骨猶お在り(大衆見るか。電光を閃くに相似たり。是れ什麼の破草鞋。猶お好く些かなり)。

道吾與漸源。至一家弔慰。源拍棺木雲。生邪死邪。吾曰生也不道。死也不道。若向句下便入得。言下便知歸。只這便是透脫生死底關鍵。其或未然。往往當頭蹉過。看他古人行住坐臥。不妨以此事為念。才至人家弔慰。漸源便拍棺問道吾雲。生邪死邪。道吾不移易一絲毫。對他道。生也不道。死也不道。漸源當面蹉過。逐他語句走更雲。為什麼不道。吾雲。不道不道。吾可謂赤心片片。將錯就錯。源猶自不惺惺。回至中路又云。和尚快與某甲道。若不道。打和尚去也。這漢識什麼好惡。所謂好心不得好報。道吾依舊老婆心切更向他道。打即任打。道即不道。源便打。雖然如是。卻是他贏得一籌。道吾恁麼血滴滴地為他。漸源得恁麼不瞥地。道吾既被他打。遂向漸源雲。汝且去。恐院中知事探得。與爾作禍。密遣漸源出去。道吾忒殺傷慈。源後來至一小院。聞行者誦觀音經云。應以比丘身得度者即現比丘身而為說法。忽然大悟雲。我當時錯怪先師。爭知此事。不在言句上。古人道。沒量大人。被語脈裡轉卻。有底情解道。道吾雲。不道不道。便是道了也。喚作打背翻筋斗。教人摸索不著。若恁麼會。作麼生得平穩去。若腳踏實地。不隔一絲毫。不見七賢女遊屍陀林。遂指屍問雲。屍在這裡。人在什麼處。大姊雲。作麼作麼。一眾齊證無生法忍。且道有幾箇。千箇萬箇。只是一箇。漸源後到石霜。舉前話。石霜依前雲。生也不道。死也不道。源雲。為什麼不道。霜雲。不道不道。他便悟去。一日將鍬子。於法堂上。從東過西。從西過東。意欲呈己見解。霜果問雲。作什麼。源雲。覓先師靈骨。霜便截斷他腳跟雲。我這裡洪波浩渺白浪滔天。覓什麼先師靈骨。他既是覓先師靈骨。石霜為什麼卻恁麼道。到這裡。若於生也不道。死也不道處。言下薦得。方知自始至終全機受用。爾若作道理。擬議尋思。直是難見。

道吾漸源と、一家に至りて吊慰す。源棺木を拍して説く。生か死か。吾説く生なりとも道わず。死なりとも道わず。もし句の下に向かい便ち入り得ば、言下に便ち帰るを知らん。只だ此れ便ち是れ生死を透脱するの関鍵。其れ或いは未だ然らざれば、往往頭に当たりて錯り過ぐる。看他古人行住坐臥、妨げず此の事を以て念と為す。纔かに人家に至りて吊慰せば、漸源便ち棺を拍して道吾に問うて説く。生か死か。道吾一絲毫を移易せず。彼に対して説く。生なりとも道わず。死なりとも道わず。漸源当面錯り過ぐる。彼の語句を逐い走りて更に説く。何の故にか道わざる。吾説く。道わず道わず。吾謂うべし赤心片片。錯りを将って錯りに就く。源猶お自ら惺惺ならず。回りて中路に至りて又説く。和尚快く某甲と道え。もし道わざれば、和尚を打たんと去るなり。此の漢什麼の好悪を識る。謂う所の好心好き報を得ず。道吾依前として老婆心切なり更に彼に向かい説く。打たば即ち打つに任せよ。道えば即ち道わず。源便ち打つ。是れ如しと雖も、却って是れ彼の一籌を贏ち得たるなり。道吾此の様に血滴滴として彼が為にして、漸源此の様の不瞥地を得たり。道吾既に彼に打たれて、遂に漸源に向かい説く。爾且く去れ。恐る院の中の知事探得して、爾と禍を作さんことを。密かに漸源を遣わして出で去らしむ。道吾太だ過ぎて慈を傷く。源後来一小院に至りて、行者の観音経を誦するを聞きて説く。応に比丘身を以て度せらるべき者は即ち比丘身を現じて法を説かんと。忽然として大悟して説く。我当時錯りて先師を怪えり。怎んぞ知らん此の事、言句の上に在らざるを。古人説く。量無きの大人、語脈の中に轉却せらる。有るの情解説く。道吾の説く、道わず道わず、便ち是れ道えり。喚びて背を打ちて筋斗を翻すと作して、人をして摸索し著けざらしむ。もし此の様に会せば、怎么样にか平穏を得て去らん。もし脚を踏みて地に実ならば、一絲毫を隔てず。七賢の女の尸陀林を游ぶを見ざるか。是に於いて尸を指して問うて説く。尸ここに在り。人什麼の処に在る。大姉説く。作么作么。一衆斉しく無生法忍を証す。且く道え几箇有る。千箇万箇、只だ是れ一箇。漸源後に石霜に到りて、前の話を挙ぐ。石霜依前として説く。生なりとも道わず。死なりとも道わず。源説く。何の故にか道わざる。霜説く。道わず道わず。他便ち悟り去れ。一日锹子を將て、法堂の上に於いて、東より西に過ぎ、西より東に過ぐ。意欲して己が見解を呈せんと。霜果に問うて説く。什麼を作す。源説く。先師の霊骨を覓む。霜便ち彼の脚跟を截断して説く。我ここに洪波浩渺白浪天に滔たり。什麼の先師の霊骨を覓む。他既に是れ先師の霊骨を覓む。石霜何の故にか却って此の様に道う。ここに到りて、もし生なりとも道わず、死なりとも道わずの処に於いて、言下に薦得せば、方に知らん自ら始め自ら終わるまで全機の受用なるを。爾もし道理を作して、擬議尋思せば、直に是れ見難し。

漸源雲。正好著力。看他悟後道得自然奇特。道吾一片頂骨如金色。擊時作銅聲。雪竇著語云。蒼天蒼天。其意落在兩邊。太原孚雲。先師靈骨猶在。自然道得穩當。這一落索。一時拈向一邊。且道作麼生是省要處。作麼生是著力處。不見道。一處透千處萬處一時透。若向不道不道處透得去。便乃坐斷天下人舌頭。若透不得。也須是自參自悟。不可容易過日。可惜許時光。雪竇頌雲。

(圜悟が続けていう:)漸源説く。正に好し力を著くべし。看他悟の後道え得ること自然に奇特なり。道吾の一片の頂骨金色の如し。撃つるの時銅声を作す。雪竇語を著して説く。蒼天蒼天。其の意両辺に落つ。太原孚説く。先師の霊骨猶お在り。自然に道え得ること穏当なり。此の一落索、一時に拈じて一辺に向かう。且く道え怎么样か是れ省要の処。怎么样か是れ力を著くるの処。道に見えず。一処透れば千処万処一時に透る。もし道わず道わずの処に向かい透得て去らば、便ち乃ち天下人の舌頭を坐断す。もし透ることを得ざれば、も須く是れ自ら参じ自ら悟り、容易に日を過ぐすべからず。惜しむべし時光。雪竇頌して説く。

兔馬有角(斬可殺奇特。可殺新鮮)牛羊無角(斬。成什麼模樣。瞞別人即得)

兎馬角有り(斬。殺すべき奇特。殺すべき新鮮)牛羊角無し(斬。什麼の模様を成さん。別の人を瞞かせば即ち得なり)

絕毫絕氂(天上天下唯我獨尊。爾向什麼處摸索)如山如嶽(在什麼處。平地起波瀾。𡎺著爾鼻孔)

毫を絶し厘を絶す(天上天下唯我独尊。爾什麼の処に向かいか摸索せん)山の如く岳の如し(什麼の処に在る。平地に波瀾を起こす。爾の鼻孔に捣著す)

黃金靈骨今猶在(截卻舌頭。塞卻咽喉。拈向一邊。只恐無人識得伊)

黄金の霊骨今に猶お在り(舌頭を截却し。咽喉を塞却し。拈じて一辺に向かう。只だ恐らくは人の彼を識得する無からん)

白浪滔天何處著(放過一著。腳跟下蹉過。眼裡耳裡著不得)

白浪天に滔たりて何れの処にか著けん(一着を放過す。脚跟の下に錯り過ぐる。眼中耳中に著くるを得ず)

無處著(果然。卻較些子果然沒溺深坑)隻履西歸曾失卻(祖禰不了。累及兒孫。打雲。為什麼卻在這裡)

著くるの処無し(果然。却って好く些かなり果然深坑に没溺す)只履西帰曽て失却せり(祖禰了からず。児孫に累及す。打って説く。何の故にか却ってここに在る)

雪竇偏會下注腳。他是雲門下兒孫。凡一句中。具三句底鉗鎚。向難道處道破。向撥不開處撥開。去他緊要處頌出。直道兔馬有角。牛羊無角。且道兔馬為什麼有角。牛羊為什麼卻無角。若透得前話。始知雪竇有為人處。有者錯會道。不道便是道。無句是有句。兔馬無角。卻雲有角。牛羊有角。卻雲無角。且得沒交涉。殊不知。古人千變萬化。現如此神通。只為打破爾這精靈鬼窟。若透得去。不消一箇了字。兔馬有角牛羊無角。絕毫絕氂。如山如嶽。這四句。似摩尼寶珠一顆相似。雪竇渾淪地。吐在爾面前了也。末後皆是據欵結案。黃金靈骨。今猶在。白浪滔天何處著。此頌石霜與大原孚語。為什麼無處著。隻履西歸曾失卻。靈龜曳尾。此是雪竇轉身為人處。古人道。他參活句不參死句。既是失卻。他一火為什麼。卻競頭爭。

雪竇偏に注脚を下すを会す。他是れ雲門の下の児孫。凡そ一句の中に、三句の鉗鎚を具う。道い難きの処に向かい道破し、撥き開けざるの処に向かい撥き開き、彼の緊要の処に去りて頌出す。直に道う兎馬角有り、牛羊角無し。且く道え兎馬何の故にか角有る。牛羊何の故にか却って角無き。もし前の話を透得せば、始めて知らん雪竇人と為るの処有るを。有るの錯りて会して説く。道わざれば便ち是れ道う。句無きは是れ句有り。兎馬角無きに、却って角有りと云う。牛羊角有るに、却って角無しと云う。且く交渉無きを得たり。殊に知らず。古人千変万化、此の如きの神通を現ず。只だ爾の精霊の鬼窟を打破せんが為。もし透り得て去らば、一箇の了字を消せず。兎馬角有り牛羊角無し。毫を絶し厘を絶す。山の如く岳の如し。此の四句、摩尼宝珠一顆に相似たり。雪竇囫囵として地なり、爾の面前に吐きて了れり。末後皆な是れ款に拠りて案を結ぶ。黄金の霊骨、今に猶お在り。白浪天に滔たりて何れの処にか著けん。此の頌石霜と太原孚との語。何の故にか著くるの処無し。只履西帰曽て失却せり。霊亀尾を曳く。此れ是れ雪竇の身を轉じて人と為るの処。古人説く。他活句を参じて死句を参ぜず。既に是れ失却せり。他一火何の故にか、却って頭を競い争う。

垂示雲。諸佛不曾出世。亦無一法與人。祖師不曾西來。未甞以心傳授。自是時人不了。向外馳求。殊不知自己腳跟下。一段大事因緣。千聖亦摸索不著。只如今見不見聞不聞。說不說知不知。從什麼處得來。若未能洞達。且向葛藤窟裡會取。試舉看。

垂示していう。諸仏曽て世に出でず。亦た一法も人に与えず。祖師曽て西来せず。未だ曽て心を以て伝授せず。自ら是れ時人了からず。外に向かい馳求す。殊に知らず自己の脚跟の下。一段の大事因縁、千聖も亦た摸索し著けざるを。只だ如今見るや見ざるや、聞くや聞かざるや、説くや説かざるや、知るや知らざるや。什麼の処よりか得来したる。もし未だ洞達する能わざれば、且く葛藤窟の中に向かい会取せん。試みに挙げ看よ。

【五六】舉。良禪客問欽山。一鏃破三關時如何(嶮不妨奇特。不妨是箇猛將)山雲。放出關中主看(劈面來也。也要大家知。主山高按山低)良雲。恁麼則知過必改(見機而作。已落第二頭)山雲。更待何時(有擒有縱。風行草偃)良雲。好箭放不著所在便出(果然。擬待翻欵那。第二棒打人不痛)山雲。且來闍黎(呼則易遣則難。喚得回頭。堪作什麼)良回首(果然把不住。中也)山把住雲。一鏃破三關即且止。試與欽山發箭看(虎口裡橫身。逆水之波。見義不為無勇也)良擬議(果然摸索不著。打雲。可惜許)山打七棒雲。且聽這漢疑三十年(令合恁麼。有始有終。頭正尾正。這箇棒合是欽山吃)。

【五六】挙:良禅客欽山に問う。一鏃三関を破るの時如何(険妨げず奇特なり。妨げず是れ箇の猛将)山説く。関中の主を放出して看よ(面を劈きて来たれり。も大家に知らしめんと要す。主山高く按山低し)良説く。此の様ならば則ち過を知りて必ず改む(機を見て作す。已に第二頭に落ちたり)山説く。更に何の時を待たん(擒うる有り縦にする有り。風行きて草偃く)良説く。好き箭放ち著けざるの所在便ち出づ(果然。款を翻さんと擬待する那。第二棒人を打ちて痛まず)山説く。且く来たれ闍梨(呼べば則ち易く遣れば則ち難し。喚び得て頭を回らす。堪えて什麼を作さん)良頭を回らす(果然把し住せず。中りたり)山把り住して説く。一鏃三関を破るは即ち且く止まん。試みに欽山と箭を発し看よ(虎口の中に身を横たう。水に逆らうの波。義を見て為さざれば勇無きなり)良擬議す(果然摸索し著けず。打って説く。惜しむべし)山七棒を打ちて説く。且く此の漢に三十年疑わしめん(令合に此の様なるべし。始有り終有り。頭正しく尾正し。此の箇の棒合に是れ欽山の喫すべし)。

良禪客也不妨是一員戰將。向欽山手裡。左盤右轉。墜鞭閃𩍐。末後可惜許。弓折箭盡。雖然如是。李將軍自有嘉聲在。不得封侯也是閑。這箇公案。一齣一入。一擒一縱。當機覿面提。覿面當機疾。都不落有無得失。謂之玄機。稍虧些子力量。便有顛蹶。這僧亦是箇英靈底衲子。致箇問端。不妨驚群。欽山是作家宗師。便知他問頭落處。鏃者箭鏃也。一箭射透三關時如何。欽山意道。爾射透得則且置。試放出關中主看。良雲。恁麼則知過必改。也不妨奇特。欽山雲。更待何時。看他恁麼祇對。欽山所問。更無些子空缺處。後頭良禪客卻道。好箭放不著所在。拂袖便出。欽山才見他恁麼道。便喚雲。且來闍黎。良禪客果然把不住。便回首。欽山擒住雲。一鏃破三關則且止。試與欽山發箭看。良擬議。欽山便打七棒。更隨後與他念一道呪雲。且聽這漢疑三十年。如今禪和子盡道。為什麼不打八下。又不打六下。只打七下。不然等他問道試與欽山發箭看。便打。似則也似。是則未是在。這箇公案。須是胸襟裡不懷些子道理計較。超出語言之外。方能有一句下破三關。及有放箭處。若存是之與非。卒摸索不著。當時這僧。若是箇漢。欽山也大嶮。他既不能行此令。不免倒行。且道關中主。畢竟是什麼人。看雪竇頌雲。

良禅客も亦た妨げず是れ一員の戦将。欽山の手裏に向かい、左に盤り右に轉じ、鞭を墜とし𩍐を閃く。末後惜しむべし。弓折れ箭尽きたり。是れ如しと雖も、李将軍自ら嘉声有る在り。封侯を得ざるも亦た是れ閑なり。此の箇の公案、一たい出で一たい入り、一擒一縦。機に当たりて面に觌えて提す。面に觌えて機に当たりて疾し。都て有無得失に落ちず。之を玄機と叫ぶ。稍く些子の力量を虧けば、便ち顛蹶有らん。此の僧も亦た是れ箇の英霊の衲子。箇の問端を致す。妨げず群を驚かす。欽山是れ作家の宗師。便ち彼の問頭の落処を知る。鏃とは是れ箭鏃なり。一箭射透して三関を破るの時如何。欽山の意道う。爾射透し得ば則ち且く置かん。試みに関中の主を放出して看よ。良説く。此の様ならば則ち過を知りて必ず改む。も妨げず奇特なり。欽山説く。更に何の時を待たん。看他此の様に祇対す。欽山の問う所、更に些子の空缺の処無し。後頭良禅客却って説く。好き箭放ち著けざるの所在。袖を拂いて便ち出づ。欽山纔かに彼の此の様に道うを見て、便ち喚びて説く。且く来たれ闍梨。良禅客果然把し住せず。便ち頭を回らす。欽山擒え住して説く。一鏃三関を破るは則ち且く止まん。試みに欽山と箭を発し看よ。良擬議す。欽山便ち七棒を打つ。更に後に随いて彼と一道の呪を念じて説く。且く此の漢に三十年疑わしめん。如今の禅和子尽く道う。何の故にか八下を打たざる。又た六下を打たざる。只だ七下を打つ。然らずんば彼の道う試みに欽山と箭を発し看よを等てば、便ち打たん。似るも亦た似たり。是なれば未だ是ならず在り。此の箇の公案、須く是れ胸襟の中に些子の道理計計較を懐かずして、言語の外を超出し、方に能く一句の下に三関を破り、及び箭を放つの処有らん。もし是と非とを存せば、卒に摸索し著けず。当時此の僧、もし是れ箇の漢ならば、欽山も亦た大いに険し。他既に此の令を行うこと能わざれば、免れず倒行せん。且く道え関中の主、畢竟に是れ什麼の人。看雪竇頌して説く。

與君放出關中主(中也。當頭蹉過。退後退後)放箭之徒莫莽鹵(一死不再活。大誵訛過了)

君と関中の主を放出せん(中りたり。頭に当たりて錯り過ぐる。退け退け)箭を放つの徒莽鹵する莫れ(一死して再び活せず。大いに淆訛過ぎたり)

取箇眼兮耳必聾(左眼半斤。放過一著。左邊不前右邊不後)

箇の眼を取れば兮耳必ず聾す(左眼半斤。一着を放過す。左辺前ならず右辺後ならず)

捨箇耳兮目雙瞽(右眼八兩。只得一路。進前則墮坑落壍。退後則猛虎䘖腳)

箇の耳を舎てば兮目双瞽なり(右眼八両。只だ一路を得るのみ。前に進めば則ち坑に堕ち塹に落ち、後に退けば則ち猛虎脚を衔えん)

可憐一鏃破三關(全機恁麼來時如何。道什麼。破也。墮也)

憐れむべし一鏃三関を破る(全機此の様に来たるの時如何。什麼を道う。破れたり。堕ちたり)

的的分明箭後路(死漢。咄。打雲。還見麼)君不見(癩兒牽伴。打葛藤去也)

的々として分明なり箭後の路(死の漢。咄。打って説く。還た見るか)君見ずや(癩児伴を牽く。葛藤を打ちて去れ)

玄沙有言兮(那箇不是玄沙)大丈夫先天為心祖(一句截流萬機寢削。鼻孔在我手裡。未有天地世界已前。在什麼處安身立命)

玄沙言有り兮(那箇か是れ玄沙ならざる)大丈夫先天にして心の祖と為す(一句流を截ちて万機寝削す。鼻孔我が手裏に在り。未だ天地世界有らざる已前、什麼の処に於いてか身を安んじ命を立てたる)

此頌數句。取歸宗頌中語。歸宗昔日。因作此頌。號曰歸宗。宗門中謂之宗旨之說。後來同安聞之雲。良公善能發箭。要且不解中的。有僧便問。如何得中的。安雲。關中主是什麼人。後有僧舉似欽山。山雲。良公若恁麼。也未免得欽山口。雖然如是。同安不是好心。雪竇道。與君放出關中主。開眼也著。閤眼也著。有形無形。盡斬為三段。放箭之徒莫莽鹵。若善能放箭。則不莽鹵。若不善放。則莽鹵可知。取箇眼兮耳必聾。捨箇耳兮目雙瞽。且道取箇眼。為什麼卻耳聾。捨箇耳。為什麼卻雙瞽。此語無取捨。方能透得。若有取捨則難見。可憐一鏃破三關的的分明箭後路。良禪客問。一鏃破三關時如何。欽山雲。放出關中主看。乃至末後同安公案。盡是箭後路。畢竟作麼生。君不見。玄沙有言兮。大丈夫先天為心祖。尋常以心為祖宗極則。這裡為什麼。卻於天地未生已前。猶為此心之祖。若識破這箇時節。方識得關中主。的的分明箭後路。若要中的。箭後分明有路。且道作麼生是箭後路。也須是自著精彩始得。大丈夫先天為心祖。玄沙常以此語示眾。此乃是歸宗有此頌。雪竇誤用為玄沙語。如今參學者。若以此心為祖宗。參到彌勒佛下生。也未會在若。是大丈夫漢心猶是兒孫。天地未分已是第二頭。且道正當恁麼時。作麼生是先天地。

此の頌数句、帰宗の頌中の語を取る。帰宗昔日、此の頌を作るに因りて、号けて帰宗と曰う。宗門の中之を宗旨の説と叫ぶ。後来同安聞きて説く。良公善く能く箭を発す。要は且く中的を解せず。僧有りて便ち問う。如何にか中的を得ん。安説く。関中の主是れ什麼の人。後に僧有りて欽山に挙似す。山説く。良公もし此の様ならば、も未だ欽山の口を免れず。是れ如しと雖も、同安是れ好心ならず。雪竇説く。君と関中の主を放出せん。眼を開くも著けり。眼を合するも著けり。形有形無、尽く斬りて三段と為す。箭を放つの徒莽鹵する莫れ。もし善く能く箭を放てば、則ち莽鹵ならず。もし善く放たざれば、則ち莽鹵知るべし。箇の眼を取れば兮耳必ず聾す。箇の耳を舎てば兮目双瞽なり。且く道え箇の眼を取るに、何の故にか却って耳聾する。箇の耳を舎つるに、何の故にか却って双瞽なる。此の語取舎無し。方に能く透得せん。もし取舎有らば則ち見難し。憐れむべし一鏃三関を破る的々として分明なり箭後の路。良禅客問う。一鏃三関を破るの時如何。欽山説く。関中の主を放出して看よ。乃至末後同安の公案、尽く是れ箭後の路。畢竟に怎么样。君見ずや。玄沙言有り兮。大丈夫先天にして心の祖と為す。尋常心を以て祖宗の極則と為す。ここに何の故にか、却って天地未だ生生ぜざる已前に於いて、猶お此の心の祖と為る。もし此の箇の時節を識破せば、方に関中の主を識得せん。的々として分明なり箭後の路。もし中的せんと要せば、箭後分明に路有り。且く道え怎么样か是れ箭後の路。も須く是れ自ら精彩を著けて始めて得ん。大丈夫先天にして心の祖と為す。玄沙常に此の語を以て衆に示す。此れ乃ち是れ帰宗此の頌有り。雪竇誤りて玄沙の語と為して用う。如今の参学する者、もし此の心を以て祖宗と為さば、弥勒仏の下生に参じ到るも、も未だ会せず在らん。もし是れ大丈夫の漢ならば心猶お是れ児孫。天地未だ分かれざる已に是れ第二頭。且く道え正当に此の様の時、怎么样か是れ天地に先んずる。

垂示雲。未透得已前。一似銀山鐵壁。及乎透得了。自己元來是鐵壁銀山。或有人問且作麼生。但向他道。若尚箇裡。露得一機。看得一境。坐斷要津不通凡聖。未為分外。苟或未然。看取古人樣子。

垂示していう。未だ透得せざる已前、一たい銀山鉄壁に似たり。及び至りて透得して了れば、自己原来是れ鉄壁銀山。或いは人の問う有らば且く怎么样。但だ彼に向かい説け。もし尚お箇の中に、一機を露得し、一境を看得ば、要津を坐断して凡聖を通ぜず。未だ分外と為らず。苟も或いは未だ然らざれば、古人の様子を看取せん。

【五七】舉。僧問趙州。至道無難唯嫌揀擇。如何是不揀擇(這鐵蒺藜。多少人吞不得。大有人疑著在。滿口含霜)州雲。天上天下唯我獨尊(平地上起骨堆。衲僧鼻孔一時穿卻。金剛鑄鐵券)僧雲。此猶是揀擇(果然隨他轉了也。拶著這老漢)州雲。田厙奴。什麼處是揀擇(山高石裂)僧無語(放爾三十棒。直得目瞪口呿)厙(式夜切音含)。

【五七】挙:僧趙州に問う。至道難無し唯だ揀択を嫌う。如何なるか是れ揀択せざる(此の鉄蒺藜。多少の人呑むことを得ず。大いに人の疑著する有る在り。満口に霜を含む)州説く。天上天下唯我独尊(平地の上に骨堆を起こす。衲僧の鼻孔一時に穿却す。金剛鉄券を鋳る)僧説く。此れ猶お是れ揀択(果然彼に随いて轉ぜり。此の老漢を拶著せり)州説く。田厍の奴。什麼の処か是れ揀択(山高く石裂く)僧語無し(爾を放ちて三十棒。直に目を瞪り口を呿くを得たり)厍(式夜切、音は含)。

僧問趙州。至道無難唯嫌揀擇。三祖信心銘劈頭便道這兩句。有多少人錯會。何故至道本無難。亦無不難。只是唯嫌揀擇。若恁麼會。一萬年也未夢見在。趙州常以此語問人。這僧將此語。倒去問他。若向語上覓。此僧卻驚天動地。若不在語句上。又且如何更參三十年。這箇些子關捩子。須是轉得始解。捋虎鬚也須是本分手段始得。這僧也不顧危亡。敢捋虎鬚便道。此猶是揀擇。趙州劈口便塞道。田厙奴。什麼處是揀擇。若問著別底。便見腳忙手亂。爭奈這老漢是作家。向動不得處動。向轉不得處轉。爾若透得一切惡毒言句。乃至千差萬狀。世間戲論。皆是醍醐上味。若到著實處。方見趙州赤心片片。田厙奴。乃福唐人。鄉語罵人。似無意智相似。這僧道此猶是揀擇。趙州道田厙奴。什麼處是揀擇。宗師眼目。須至恁麼。如金翅鳥擘海直取龍吞。雪竇頌雲。

僧趙州に問う。至道難無し唯だ揀択を嫌う。『三祖信心銘』頭を劈きて便ち此の両句を道う。多少の人有りて錯りて会す。何の故にか至道本は難無し。亦た不難無し。只だ是れ唯だ揀択を嫌う。もし此の様に会せば、一万年も亦た未だ夢に見ず在らん。趙州常に此の語を以て人に問う。此の僧此の語を將て、倒さに去りて彼に問う。もし語の上に向かい覓めば、此の僧却って天を驚かし地を動かす。もし語句の上に在らざれば、又た且く如何更に三十年参ぜん。此の些子の関捩子、須く是れ轉得して始めて解せん。虎の鬚を捋ぐも須く是れ本分の手段ならば始めて得ん。此の僧も亦た危亡を顧みず。敢えて虎の鬚を捋ぎて便ち説く。此れ猶お是れ揀択。趙州口を劈きて便ち塞ぎて説く。田厍の奴。什麼の処か是れ揀択。もし別のに問著せば、便ち脚忙し手乱れるを見ん。怎奈せん此の老漢是れ作家。動くべからざるの処に向かい動き、轉ずべからざるの処に向かい轉ず。爾もし一切の悪毒の言句を透得せば、乃至千差万状、世間の戯論、皆な是れ醍醐の上味。もし著実の処に到れば、方に趙州の赤心片片を見ん。田厍の奴、乃ち是れ福唐の人。郷語人を罵る。意智無きに相似たり。此の僧道う此れ猶お是れ揀択。趙州道う田厍の奴。什麼の処か是れ揀択。宗師の眼目、須く此の様に至るべし。金翅鳥の海を擘きて直に竜を取りて呑むが如し。雪竇頌して説く。

似海之深(是什麼度量。淵源難測。也未得一半在)如山之固(什麼人撼得。猶在半途)

海の深きに似たり(是れ什麼の度量。淵源測り難し。も未だ一半を得ず在り)山の固きに似たり(什麼の人か撼るを得ん。猶お半途に在り)

蚊虻弄空裡猛風(也有恁麼底。果然不料力。可殺不自量)

蚊虻空中の猛風を弄ぶ(も此の様の有り。果然力を料らず。殺すべき自ら量らず)

螻蟻撼於鐵柱(同坑無異土。且得沒交涉。闍黎與他同參)揀兮擇兮(擔水河頭賣。道什麼趙州來也)

螻蟻鉄柱を撼す(同じ坑異土無し。且く交渉無きを得たり。闍梨彼と同参せり)揀する兮択する兮(水を担ぎて河頭に売る。什麼を道う趙州来たれりと)

當軒布鼓(已在言前一坑埋卻。如麻似粟打雲。塞卻爾咽喉)

軒に当たりて鼓を布く(已に言の前に在り一坑に埋却せん。麻の如く粟に似たり打って説く。爾の咽喉を塞却せん)

雪竇注兩句雲。似海之深如山之固。僧雲。此猶是揀擇。雪竇道。這僧一似蚊虻弄空裡猛風。螻蟻撼於鐵柱。雪竇賞他膽大。何故此是上頭人用底。他敢恁麼道。趙州作不放他。便雲。田厙奴。什麼處是揀擇。豈不是猛風鐵柱。揀兮擇兮。當軒布鼓。雪竇末後提起教活。若識得明白。十分爾自將來了也。何故不見道。欲得親切。莫將問來問。是故當軒布鼓。

雪竇両句を注して説く。海の深きに似たり山の固きに似たり。僧説く。此れ猶お是れ揀択。雪竇説く。此の僧一たい蚊虻の空中の猛風を弄ぶに似て、螻蟻の鉄柱を撼すに似たり。雪竇彼の胆大ききを賞す。何の故にか此れ是れ上頭の人の用うる所。他敢えて此の様に道う。趙州彼を放さずと作して、便ち説く。田厍の奴。什麼の処か是れ揀択。豈に是れ猛風鉄柱ならずや。揀する兮択する兮。軒に当たりて鼓を布く。雪竇末後に提起して活を教う。もし明白に識得せば、十分爾自ら将来して了れ。何の故にか道に見えざる。親切を得んと欲せば、問を將て来たりて問う莫れ。是の故に軒に当たりて鼓を布く。

【五八】舉。僧問趙州。至道無難唯嫌揀擇。是時人窠窟否(兩重公案。也是疑人處。踏著秤鎚硬似鐵。猶有這箇在。莫以己妨人)州雲。曾有人問我。直得五年分疎不下(面赤不如語直。胡孫吃毛蟲。蚊子咬鐵牛)。

【五八】挙:僧趙州に問う。至道難無し唯だ揀択を嫌う。是れ時人の窠窟か否や(両重の公案。も是れ人を疑わしむるの処。秤錘を踏著して鉄に硬きに似たり。猶お此の箇有る在り。己を以て人を妨ぐる莫れ)州説く。曽て人の我に問う有りて、直に五年分疏し下さざるを得たり(面の赤きは語の直きに如かず。猢猻毛虫を喫う。蚊子鉄牛を咬む)。

趙州平生不行棒喝。用得過於棒喝。這僧問得來。也甚奇怪。若不是趙州。也難答伊。蓋趙州是作家。只向伊道。曾有人問我。直得五年分疎不下。問處壁立千仞。答處亦不輕他。只恁麼會直是當頭。若不會。且莫作道理計較。不見投子宗道者。在雪竇會下作書記。雪竇令參至道無難唯嫌揀擇。於此有省。一日雪竇問他。至道無難唯嫌揀擇。意作麼生。宗雲。畜生畜生。後隱居投子。凡去住持。將袈裟裹草鞋與經文。僧問。如何是道者家風。宗雲。袈裟裹草鞋。僧雲。未審意旨如何。宗雲。赤腳下桐城。所以道。獻佛不在香多。若透得脫去。縱奪在我。既是一問一答。歷歷現成。為什麼趙州卻道。分疎不下。且道是時人窠窟否。趙州在窠窟裡答他。在窠窟外答他。須知此事不在言句上。或有箇漢徹骨徹髓。信得及去。如龍得水。似虎靠山。頌雲。

趙州平生棒喝を行わず。用え得ること棒喝に過ぎたり。此の僧問い得来たるも、亦た甚だ奇怪なり。もし趙州に非ざれば、も彼に答え難し。蓋し趙州是れ作家。只だ彼に向かい説く。曽て人の我に問う有りて、直に五年分疏し下さざるを得たり。問うの処壁立千仞。答うるの処も亦た彼を軽んぜず。只だ此の様に会すれば直に是れ頭に当たる。もし会せざれば、且く道理を作して計較する莫れ。投子の宗道者を見ざるか。雪竇の会下に於いて書記と作る。雪竇令して至道難無し唯だ揀択を嫌うを参ぜしむ。此に於いて省る有り。一日雪竇彼に問う。至道難無し唯だ揀択を嫌う。意怎么样。宗説く。畜生畜生。後に投子に隠居す。凡そ去りて住持するに、袈裟を將て草鞋と経文とを裹む。僧問う。如何なるか是れ道者の家風。宗説く。袈裟草鞋を裹む。僧説く。未だ審ならず意旨如何。宗説く。赤脚して桐城に下る。所以に説く。仏に献ずるは香多きに在らず。もし透得して脱け去らば、縦奪我に在り。既に是れ一問一答、歴々として現成なり。何の故にか趙州却って説く。分疏し下さず。且く道え是れ時人の窠窟か否や。趙州窠窟の中に於いて彼に答うるか。窠窟の外に於いて彼に答うるか。須く知れ此の事言句の上に在らざるを。或いは箇の漢骨を徹し髓を徹して、信じ及びて去らば、竜の水を得るが如く、虎の山に靠るに似たり。頌して説く。

象王嚬呻(富貴中之富貴。誰人不悚然。好箇消息)獅子哮吼(作家中作家。百獸腦裂。好箇入路)

象王の嚬呻(富貴の中の富貴。誰人か悚然とせざらん。好個の消息)師子の哮吼(作家の中の作家。百獣脳裂ける。好個の入路)

無味之談(相罵饒爾接嘴。鐵橛子相似。有什麼咬嚼處。分疎不下五年強。一葉舟中載大唐。渺渺兀然波浪起。誰知別有好思量)

味無きの談(相い罵るに饒く爾の嘴を接ぐる。鉄橛子に相似たり。什麼の咬嚼の処か有らん。分疏し下さざること五年の強。一葉の舟の中に大唐を載す。渺渺として兀然として波浪起こる。誰か知らん別に好き思量有るを)

塞斷人口(相唾饒爾潑水。咦闍黎道甚麼)

人の口を塞ぎ断す(相い唾るに饒く爾の水を潑ぐる。咦闍梨什麼を道う)

南北東西(有麼有麼。天上天下。蒼天蒼天)烏飛兔走(自古自今一時活埋)

南北東西(有るか有るか。天上天下。蒼天蒼天)烏飛び兎走る(自古自今一時に活埋す)

趙州道。曾有人問我。直得五年分疎不下。似象王嚬呻獅子哮吼。無味之談。塞斷人口。南北東西。烏飛兔走。雪竇若無末後句。何處更有雪竇來。既是烏飛兔走。且道趙州雪竇山僧畢竟落在什麼處。

趙州説く。曽て人の我に問う有りて、直に五年分疏し下さざるを得たり。象王の嚬呻師子の哮吼に似たり。味無きの談。人の口を塞断す。南北東西。烏飛び兎走る。雪竇もし末後の句無からば、何れの処にか更に雪竇有らん来たる。既に是れ烏飛び兎走る。且く道え趙州雪竇山僧畢竟に什麼の処にか落つる。

垂示雲。該天括地。越聖超凡。百草頭上指出涅槃妙心。干戈叢裡點定衲僧命脈。且道承箇什麼人恩力。便得恁麼。試舉看。

垂示していう。天を該め地を括る。聖を越え凡を超ゆ。百草の頭上に涅槃の妙心を指出す。干戈の叢中に衲僧の命脈を点定す。且く道え箇の什麼の人の恩力に承けて、便ち此の様を得る。試みに挙げ看よ。

【五九】舉。僧問趙州。至道無難。唯嫌揀擇(再運前來。道什麼。三重公案)才有語言是揀擇(滿口含霜)和尚如何為人(拶著這老漢。㘞)州雲。何不引盡這語(賊是小人智過君子。白拈賊。騎賊馬趁賊)僧雲。某甲只念到這裡(兩箇弄泥團漢。逢著箇賊。垛根難敵手)州雲。只這至道無難唯嫌揀擇(畢竟由這老漢。被他換卻眼睛。捉敗了也)。

【五九】挙:僧趙州に問う。至道難無し。唯だ揀択を嫌う(再び前を運び来たる。什麼を道う。三重の公案)纔かに言語有れば是れ揀択(満口に霜を含む)和尚如何にか人と為す(此の老漢を拶著せり。㘞)州説く。何ぞ此の語を引尽さざる(賊是れ小人智君子に過ぐ。白拈の賊。賊馬に騎りて賊を趁う)僧説く。某甲只だここに至るまで念ず(両箇の泥団を弄するの漢。箇の賊に逢著す。垛根敵手し難し)州説く。只だ此の至道難無し唯だ揀択を嫌う(畢竟に此の老漢に由る。彼に眼晴を換却せられて、捉え敗せられて了れり)。

趙州道。只這至道無難唯嫌揀擇。如擊石火似閃電光。擒縱殺活。得恁麼自在。諸方皆謂。趙州有逸群之辯。趙州尋常示眾。有此一篇雲。至道無難唯嫌揀擇。才有語言。是揀擇。是明白。老僧不在明白裹。是汝等還護惜也無。

趙州説く。只だ此の至道難無し唯だ揀択を嫌う。石を撃つ火の如く電光を閃くに似たり。擒縦殺活、此の様の自在を得たり。諸方皆な謂う。趙州群を逸するの辨有りと。趙州尋常衆に示すに、此の一篇の説有り。至道難無し唯だ揀択を嫌う。纔かに言語有れば、是れ揀択。是れ明白。老僧明白の裏に在らず。是れ爾ら還た護惜するや無きや。

時有僧問雲。既不在明白裡。護惜箇什麼。州雲。我亦不知。僧雲。和尚既不知。為什麼道。不在明白裡。州雲。問事即得。禮拜了退。後來這僧只拈他釁罅處去問他。問得也不妨奇特。爭奈只是心行。若是別人奈何他不得。爭奈趙州是作家。便道何不引盡這語。這僧也會轉身吐氣。便道某甲只念到這裡。一似安排相似。趙州隨聲拈起便答。不須計較。古人謂之相續也大難。他辨龍蛇別休咎。還他本分作家。趙州換卻這僧眼睛。不犯鋒鋩。不著計較。自然恰好。爾喚作有句也不得。喚作無句也不得。喚作不有不無句也不得。離四句絕百非。何故。若論此事。如擊石火。似閃電光。急著眼看方見。若或擬議躊躇。不免喪身失命。雪竇頌雲躊躇(上音躊。下音除。猶豫不進也)。

(圜悟が続けていう:)時に僧問うて説く。既に明白の裏に在らざれば、箇の什麼を護惜する。州説く。我も亦た知らず。僧説く。和尚既に知らざれば、何の故にか道う。明白の裏に在らず。州説く。事に問えば即ち得なり。礼拜して了り退け。後来此の僧只だ彼の釁罅の処を拈じて去りて彼に問う。問え得るも亦た妨げず奇特なり。怎奈せん只だ是れ心行。もし是れ別の人ならば彼を奈何することを得ず。怎奈せん趙州是れ作家。便ち道う何ぞ此の語を引尽さざる。此の僧も亦た身を轉じて気を吐くを会す。便ち道う某甲只だここに至るまで念ず。一たい安排するに相似たり。趙州声に随いて拈起して便ち答う。計較を須とせず。古人之を相い続ぐも亦た大いに難しと叫ぶ。他竜蛇を辨じ休咎を別つ。彼に本分の作家を還す。趙州此の僧の眼晴を換却して、鋒芒を犯さず。計較を著けず。自然に恰好なり。爾喚びて句有りと作すも得ず。喚びて句無しと作すも得ず。喚びて不有不無の句と作すも得ず。四句を離れ百非を絶つ。何の故にか。もし此の事を論ぜば、石を撃つ火の如く、電光を閃くに似たり。急きて眼を看れば方に見ん。もし或いは擬議躊躇せば、免れず身を喪い命を失わん。雪竇頌して説く。躊躇(上は音踌。下は音除。猶豫して進まざるなり)。

水灑不著(說什麼太深遠生。有什麼共語處)風吹不入(如虛空相似。硬剝剝地。望空啟告)

水の洒ぐも著かず(什麼を説く太だ深遠く生ず。什麼の共に語るの処か有らん)風の吹くも入らず(虚空に相似たり。硬剥剥として地なり。空を望みて啓告す)

虎步龍行(他家得自在。不妨奇特)鬼號神泣(大眾掩耳。草偃風行。闍黎莫是與他同參)

虎歩き竜行く(他家自在を得たり。妨げず奇特なり)鬼号き神泣く(大衆耳を掩う。草偃ぎ風行く。闍梨彼と同参せる莫れや)

頭長三尺知是誰(怪底物。何方聖者。見麼見麼)

頭の長きこと三尺誰を知る(怪き底の物。何方の聖者。見るか見るか)

相對無言獨足立(咄。縮頭去。放過一著。山魈。放過即不可。便打)

相い対して言無く独り足を立つ(咄。頭を縮め去れ。一着を放過す。山魈。放過すれば即ち不可なり。便ち打つ)

水灑不著。風吹不入。虎步龍行。鬼號神泣。無爾啗啄處。此四句頌趙州答話大似龍馳虎驟。這僧只得一場懡㦬。非但這僧。直得鬼也號神也泣。風行草偃相似。末後兩句。可謂一子親得。頭長三尺知是誰。相對無言獨足立。不見僧問古德。如何是佛。古德雲。頭長三尺頸長二寸。雪竇引用。未審諸人還識麼。山僧也不識。雪竇一時脫體畫卻趙州。真箇在裡了也。諸人須子細著眼看。

水の洒ぐも著かず。風の吹くも入らず。虎歩き竜行く。鬼号き神泣く。爾の啖啄するの処無し。此の四句趙州の答話大いに竜の馳せ虎の驟るに似たりを頌す。此の僧只だ一場の懊憹を得るのみ。但だ此の僧のみならず、直に鬼も号き神も泣くを得たり。風行きて草偃くに相似たり。末後の両句、謂うべし一子親しく得たり。頭の長きこと三尺誰を知る。相い対して言無く独り足を立つ。僧古徳に問うを見ざるか。如何なるか是れ仏。古徳説く。頭の長きこと三尺頸の長きこと二寸。雪竇引用す。未だ審ならず諸人還た識るか。山僧も亦た識らず。雪竇一時に体を脱して趙州を画却す。真に箇裏に在れり。諸人須く子細に眼を著けて看るべし。

垂示雲。諸佛眾生本來無異。山河自己寧有等差。為什麼卻渾成兩邊去也。若能撥轉話頭。坐斷要津。放過即不可。若不放過。盡大地不消一揑。且作麼生是撥轉話頭處。試舉看。

垂示していう。諸仏衆生本来異無し。山河自己寧に等差有らんや。何の故にか却って渾として両辺と成りて去る。もし能く話頭を撥転し、要津を坐断せば、放過すれば即ち不可なり。もし放過せざれば、大地を尽くして一捏を消せず。且く怎么样か是れ話頭を撥転するの処。試みに挙げ看よ。

【六〇】舉。雲門以拄杖示眾雲(點化在臨時。殺人刀活人劍。換卻爾眼睛了也)拄杖子化為龍(何用周遮。用化作什麼)吞卻乾坤了也(天下衲僧性命不存。還礙著咽喉麼。闍黎向什麼處安身立命)山河大地甚處得來(十方無壁落。四面亦無門。東西南北四維上下。爭奈這箇何)。

【六〇】挙:雲門拄杖を以て衆に示して説く(点化臨時に在り。人を殺すの刀人を活かすの剣。爾の眼晴を換却して了れり)拄杖子化して竜と為る(何ぞ周遮を用いん。用いて什麼を化作さん)乾坤を呑却して了れり(天下の衲僧性命存せず。還た咽喉に碍著するか。闍梨什麼の処に向かいか身を安んじ命を立てん)山河大地甚の処よりか得来したる(十方に壁落無し。四面も亦た門無し。東西南北四維上下。怎奈せん此の箇を何せん)。

只如雲門道。掛杖子化為龍。吞卻乾坤了也。山河大地甚處得來。若道有則瞎。若道無則死。還見雲門為人處麼。還我拄杖子來。如今人不會他雲門獨露處。卻道即色明心。附物顯理。且如釋迦老子四十九年說法。不可不知此議論。何故。更用拈花。迦葉微笑。這老漢便搽胡道。吾有正法眼藏涅槃妙心。分付摩訶大迦葉。更何必單傳心印。諸人既是祖師門下客。還明得單傳底心麼。胸中若有一物。山河大地。摐然現前胸中若無一物。外則了無絲毫。說什麼理與智冥境與神會。何故一會一切會。一明一切明。長沙道。學道之人不識真。只為從前認識神。無量劫來生死本。痴人喚作本來人。忽若打破陰界。身心一如身外無餘。猶未得一半在。說什麼即色明心附物顯理。古人道。一塵才起。大地全收。且道是那箇一塵。若識得這一塵。便識得拄杖子。才拈起拄杖子。便見縱橫妙用。恁麼說話。早是葛藤了也。何況更化為龍。慶藏主雲。五千四十八卷。還曾有恁麼。說話麼。雲門每向拄杖處。拈掇全機大用。活潑潑地為人。芭蕉示眾雲。衲僧巴鼻。盡在拄杖頭上。永嘉亦云。不是標形虛事褫。如來寶杖親蹤跡。如來昔於然燈佛時。布髮掩泥。以待彼佛。然燈曰。此處當建梵剎。時有一天子。遂標一莖草雲。建梵剎竟。諸人且道。這箇消息。從那裡得來。祖師道。棒頭取證。喝下承當。且道承當箇什麼。忽有人問。如何是拄杖子。莫是打筋斗麼。莫是撫掌一下麼。總是弄精魂。且喜沒交涉。雪竇頌雲褫(音馳)。

只だ雲門の説くが如し。拄杖子化して竜と為り、乾坤を呑却して了れり。山河大地甚の処よりか得来したる。もし有りと道わば則ち瞎。もし無しと道わば則ち死。還た見るか雲門の人と為るの処を。我に拄杖子を還せ。如今人彼の雲門の独り露るるの処を会せず。却って道う色に即して心を明らめ、物に附して理を顕わすと。且く釈迦老子四十九年法を説きて、此の議論を知らざるべからざるが如し。何の故にか。更に花を拈ずるを用いん。迦葉微笑す。此の老漢便ち胡を搽して説く。吾に正法眼蔵涅槃の妙心有り。摩訶大迦葉に分付す。更に何ぞ必ずしも単に心印を伝えん。諸人既に是れ祖師の門下の客。還た明らめ得るか単伝の心を。胸中もし一物有らば、山河大地、摐然として現前す。胸中もし一物無からば、外は則ち絲毫を了无し。什麼を説く理と智と冥く境と神と会すと。何の故にか一会すれば一切会し、一明れば一切明る。長沙説く。道を学ぶの人真を識らず。只だ従前神を認むるが為。无量劫より来たる生死の本。痴人喚びて本来の人と作す。忽ち若し陰界を打破せば、身心一如身外余り無し。猶お未だ一半を得ず在り。什麼を説く色に即して心を明らめ物に附して理を顕わすと。古人説く。一塵纔かに起これば、大地全く収む。且く道え是れ那箇の一塵。もし此の一塵を識得せば、便ち拄杖子を識得せん。纔かに拄杖子を拈起せば、便ち縦横の妙用を見ん。此の様の説話、早くも是れ葛藤なり。何況んや更に化して竜と為るを。慶蔵主説く。五千四十八巻、還た曽て此の様の説話有るか。雲門毎に拄杖の処に向かい、全機大用を拈掇して、活々として地なりにて人と為す。芭蕉衆に示して説く。衲僧の巴鼻、尽く拄杖の頭上に在り。永嘉も亦た説く。是れ形を標し虚事を褫ぐに非ず。如来の宝杖親しく蹤跡を蹴る。如来昔燃灯仏の時に於いて、髪を布きて泥を掩い、以て彼の仏を待つ。燃灯説く。此の処当に梵刹を建つべし。時に一天子有りて、是に於いて一茎の草を標して説く。梵刹を建て竟えり。諸人且く道え。此の箇の消息、那里よりか得来したる。祖師説く。棒頭に証を取り、喝下に承当す。且く道え箇の什麼を承当する。忽ち人の問う有らん。如何なるか是れ拄杖子。筋斗を打つ莫れや。掌を撫すること一下なる莫れや。総て是れ精魂を弄ぶ。且く喜べ交渉無きを。雪竇頌して説く。褫(音は驰)。

拄杖子吞乾坤(道什麼。只用打狗)徒說桃花浪奔(撥開向上一竅。千聖齊立下風。也不在拏雲攫霧處。說得千遍萬遍。不如手腳羅籠一遍)

拄杖子乾坤を呑む(什麼を道う。只だ狗を打つを用いん)徒らに桃花の浪の奔るを説く(向上の一竅を撥き開く。千聖斉しく下風に立つ。も亦た雲を拏し霧を攫むの処に在らず。千遍万遍を説くも、手腳に一遍を羅籠するに如かず)

燒尾者不在拏雲攫霧(左之右之。老僧只管看。也只是一箇乾柴片)

尾を焼く者雲を拏し霧を攫むに在らず(之を左にし之を右にす。老僧只管に看る。も只だ是れ一箇の干柴の片)

曝腮者何必喪膽亡魂(人人氣宇如王。自是爾千里。萬裡。爭奈悚然)

腮を曝す者何ぞ必ずしも胆を喪い魂を亡なわん(人々気宇王の如し。自ら是れ爾が千里、万里。怎奈せん悚然たるを)

拈了也(謝慈悲。老婆心切)

拈じて了れり(慈悲に謝す。老婆心切なり)

聞不聞(不免落草。用聞作什麼)直須灑灑落落(殘羹餿飯乾。坤大地甚處得來)

聞くや聞かざるや(免れず草に落つ。聞くを用いて什麼を作さん)直に須く洒洒落落(残羹馊飯。乾坤大地甚の処よりか得来したる)

休更紛紛紜紜(舉令者先犯。相次到爾頭上。打雲放過則不可)

更に紛紛紜紜するを休めよ(令を挙ぐる者先に犯す。相い次ぎて爾の頭上に到る。打って説く放過すれば則ち不可なり)

七十二棒且輕恕(山僧不曾行此令。據令而行。賴值得山僧)一百五十難放君(正令當行。豈可只恁麼了。直饒朝打三千暮打八百堪作什麼)

七十二棒且く軽く恕す(山僧曽て此の令を行わず。令に拠りて行う。賴りて山僧に値え得たり)一百五十君を放し難し(正令当に行うべし。豈に只だ此の様にて了るべけんや。直に饒く朝に三千を打ち暮に八百を打つも堪えて什麼を作さん)

師驀拈拄杖下座。大眾一時走散(雪竇龍頭蛇尾作什麼)

師蓦し拄杖を拈じて座を下る。大衆一時に走散す(雪竇竜頭蛇尾什麼を作さん)

曝(音僕日干也。通作暴。又薄報切)

曝(音は仆、日を干すなり。通じて暴と作す。又た薄報切)

雲門委曲為人。雪竇截徑為人。所以撥卻化為龍。不消恁麼道。只是拄杖子吞乾坤。雪竇大意免人情解。更道徒說桃花浪奔。更不必化為龍也蓋禹門有三級浪。每至三月。桃花浪漲。魚能逆水。而躍過浪者即化為龍。雪竇道縱化為龍。亦是徒說。燒尾者不在拏雲攫霧。魚過禹門。自有天火燒其尾。拏雲攫霧而去。雪竇意道。縱化為龍。亦不在拏雲攫霧也。曝腮者何必喪膽亡魂。清涼疏序雲。積行菩薩。尚乃曝腮於龍門。大意明華嚴境界非小德小智之所造詣。獨如魚過龍門透不過者。點額而回。困於死水沙磧中。曝其腮也。雪竇意道。既點額而回。必喪膽亡魂拈了也。聞不聞。重下注腳。一時與爾掃蕩了也。諸人直須灑灑落落去。休更紛紛紜紜。爾若更紛紛紜紜。失卻拄杖子了也。七十二棒且輕恕。雪竇為爾捨重從輕。古人道七十二棒。翻成一百五十。如今人錯會。卻只算數目。合是七十五棒。為什麼。卻只七十二棒殊不知。古人意在言外。所以道。此事不在言句中。免後人去穿鑿。雪竇所以引用。直饒真箇灑灑。落落正好與爾七十二棒。猶是輕恕直饒總。不如此一百五十難放君。一時頌了也。卻更拈拄杖。重重相為雖然恁麼。也無一箇皮下有血。

雲門は委曲に人と為す。雪竇は径を截って人と為す。所以に化して竜と為るを撥却し、此の様に道うを消せず。只だ是れ拄杖子乾坤を呑む。雪竇の大意は人の情解を免れんとす。更に道う徒らに桃花の浪の奔るを説くと。更に必ずしも化して竜と為らず。蓋し禹門に三級の浪有り。毎に三月に至れば、桃花の浪漲る。魚能く水に逆らいて、浪を躍えて過ぐる者は即ち化して竜と為る。雪竇道う縦い化して竜と為るも、亦た是れ徒らに説く。尾を焼く者雲を拏し霧を攫むに在らず。魚禹門を過ぐれば、自ら天火其の尾を焼き、雲を拏し霧を攫みて去る。雪竇の意道う。縦い化して竜と為るも、亦た雲を拏し霧を攫むに在らず。腮を曝す者何ぞ必ずしも胆を喪い魂を亡なわん。清凉の疏序説く。行を積む菩薩、尚お乃ち竜門に於いて腮を曝すと。大意華厳の境界は小徳小智の造詣する所に非ざるを明らむ。独り魚の竜門を過ぎて透過せざる者、額を点じて回り、死水沙碛の中に困む。其の腮を曝すが如し。雪竇の意道う。既に額を点じて回れば、必ず胆を喪い魂を亡なわん。拈じて了れり。聞くや聞かざるや。重ねて注脚を下す。一時に爾と掃蕩して了れり。諸人直に須く洒洒落落と去れ。更に紛紛紜紜するを休めよ。爾もし更に紛紛紜紜せば、拄杖子を失却せん。七十二棒且く軽く恕す。雪竇爾が為に重を舎てて軽に從う。古人説く七十二棒。翻して一百五十と成る。如今人錯りて会して、却って只だ数目を算す。合に是れ七十五棒なるべし。何の故にか。却って只だ七十二棒。殊に知らず。古人の意言の外に在るを。所以に説く。此の事言句の中に在らず。後人の去りて穿鑿するを免れんと。雪竇の所以に引用する。直に饒く真に箇の洒洒落落正しく爾と七十二棒。猶お是れ軽く恕す。直に饒く総て此の如くならずとも、一百五十君を放し難し。一時に頌して了れり。却って更に拄杖を拈ず。重ね重ね相い為す。此の様と雖も、も皮の下に血有る一箇無し。

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