妙法蓮華經卷第三
四萬及三萬、二萬至一萬,
四萬及び三萬・二萬一萬に至る、
一千一百等,乃至一恆沙、
一千・一百等、乃至一恒沙・
半及三四分,億萬分之一,
半及び三四分、億萬分の一、
千萬那由他,萬億諸弟子,
千萬那由他、萬億の諸弟子、
乃至於半億,其數復過上。
乃至半億に於ても、其の數復た上に過ぎたり。
百萬至一萬,一千及一百,
百萬一萬に至る、一千及び一百、
五十與一十,乃至三二一,
五十與一十、乃至三・二・一、
單己無眷屬,樂於獨處者,
單己にして眷屬無くて、獨處を樂ふ者も、
俱來至佛所,其數轉過上。
俱に來りて佛の所に至る、其の數轉た上に過ぎたり。
如是諸大眾,若人行籌數,
是の如き諸の大衆、若し人籌數を行ずとも、
過於恆沙劫,猶不能盡知。
恒沙の劫に過に過ぎても、猶だ盡く知ること能はざらん。
是諸大威德,精進菩薩眾,
是の大威德、精進の菩薩衆、
誰為其說法,教化而成就?
誰か爲に法を說きて、教化して而も成就せる。
從誰初發心?稱揚何佛法?
誰よりか初めて心を發したる。何の佛法を稱揚する。
受持行誰經?修習何佛道?
誰の經を受持して行ずる。何の佛道を修習する。
如是諸菩薩,神通大智力,
是の如き諸の菩薩、神通の大智力、
四方地震裂,皆從中踴出。
四方の地震裂して、皆其の中より涌出せり。
世尊我昔來,未曾見是事,
世尊我昔來より、曾て此の事を見ず、
願說其所從,國土之名號。
願はくは其の從る所・國土の名號を說き給へ。
我常遊諸國,未曾見是眾,
我常に諸國に遊ぶも、曾て此の衆を見ず、
我於此眾中,乃不識一人,
我此の衆の中に於て、乃ち一人をも識らず、
忽然從地出,願說其因緣。
忽然として地より出づ、願はくは其の因緣を說き給へ。
今此之大會,無量百千億,
今此の大會、無量百千億、
是諸菩薩等,皆欲知此事。
是の菩薩等、皆此の事を知らんと欲す。
是諸菩薩眾,本末之因緣,
是の菩薩衆、本末の因緣を、
無量德世尊,唯願決眾疑。」
無量德の世尊、唯だ願はくは衆疑を決し給へ。」
爾時釋迦牟尼分身諸佛,從無量千萬億他方國土來者,在於八方諸寶樹下,師子座上,結加趺坐。其佛侍者,各各見是菩薩大眾,於三千大千世界四方,從地踴出,住於虛空。各白其佛言:「世尊!此諸無量無邊阿僧祇菩薩大眾,從何所來?」
爾の時釋迦牟尼の分身の諸佛、無量千萬億の他方の國土より來れる、八方の諸の寶樹の下に在りて、師子座の上に、結跏趺坐せり。其の佛の侍者、各各是の菩薩大衆の、三千大千世界の四方に於て、地より涌出して、虛空に住するを見て、各々其の佛に白して言へらく、「世尊!是の無量無邊阿僧祇の菩薩大衆、何の所よりか來れる」と。
爾時諸佛各告侍者:「諸善男子!且待須臾,有菩薩摩訶薩,名曰彌勒——釋迦牟尼佛之所授記,次後作佛——以問斯事,佛今答之,汝等自當因是得聞。」
爾の時諸佛各々侍者に告げて曰く、「諸の善男子!且く須臾を待て、菩薩摩訶薩有りて、名づけて彌勒と曰ふ——釋迦牟尼佛の授記する所にして、次後に佛と作る——此の事を問ふ、佛今之に答へ給ふ、汝等自ら當に此に因りて聞くを得べし」と。
爾時釋迦牟尼佛告彌勒菩薩:「善哉,善哉!阿逸多!乃能問佛如是大事。汝等當共一心,被精進鎧,發堅固意,如來今欲顯發宣示諸佛智慧、諸佛自在神通之力、諸佛師子奮迅之力、諸佛威猛大勢之力。」
爾の時釋迦牟尼佛彌勒菩薩に告げて曰く、「善哉、善哉!阿逸多(彌勒の別の名)!乃ち能く佛に是の如き大事を問ふ。汝等當に共に一心に、精進の鎧を被きて、堅固の意を發すべし、如來今欲りて顯發して諸佛の智慧・諸佛の自在の神通の力・諸佛の師子奮迅の力・諸佛の威猛の大勢の力を宣示せん」と。
爾時世尊欲重宣此義,而說偈言:
爾の時世尊、欲りて重ねて此の義を宣べて、偈を說きて曰く、
「當精進一心,我欲說此事,
「當に精進して一心にすべし、我此の事を說かんと欲す、
勿得有疑悔,佛智叵思議。
疑悔有るを得る勿れ、佛智思量せず。
汝今出信力,住於忍善中,
汝今信力を出して、忍善の中に住せば、
昔所未聞法,今皆當得聞。
昔の未聞する所の法、今皆當に聞くを得べし。
我今安慰汝,勿得懷疑懼,
我今汝を安慰す、疑懼を懷くを得る勿れ、
佛無不實語,智慧不可量。
佛實ならざる語無し、智慧量るべからず。
所得第一法,甚深叵分別,
得る所の第一の法、甚深にして分別し難し、
如是今當說,汝等一心聽。」
是の如く今當に說かん、汝等一心に聽け。」
爾時世尊說此偈已,告彌勒菩薩:「我今於此大眾,宣告汝等。阿逸多!是諸大菩薩摩訶薩,無量無數阿僧祇,從地踴出,汝等昔所未見者,我於是娑婆世界得阿耨多羅三藐三菩提已,教化示導是諸菩薩,調伏其心,令發道意。此諸菩薩,皆於是娑婆世界之下、此界虛空中住;於諸經典,讀誦通利,思惟分別,正憶念。阿逸多!是諸善男子等,不樂在眾多有所說;常樂靜處,懃行精進未曾休息;亦不依止人天而住。常樂深智,無有障礙,亦常樂於諸佛之法,一心精進,求無上慧。」
爾の時世尊此の偈を說き已りて、彌勒菩薩に告げて曰く、「我今此の大衆に於て、汝等に宣告す。阿逸多!是の大菩薩摩訶薩、無量無數阿僧祇にして、地より涌出せる、汝等昔の未だ見ざる所は、我此の娑婆世界に於て無上正等正覺を得已りて、教化示導して是の菩薩を、其の心を調伏して、道意を發せしめたり。是の菩薩、皆此の娑婆世界の下・此の界の虛空に住して、諸の經典に於て、讀誦通利して、思惟分別して、正憶念す。阿逸多!是の善男子等、衆多の中に在りて說く所有るを樂はざりき。常に靜處を樂ひて、勤く精進を行じて曾て休息せず。亦人天に依止して住せず。常に深智を樂ひて、障礙無く、亦常に諸佛の法を樂ひて、一心精進して、無上の慧を求めたり。」
爾時世尊欲重宣此義,而說偈言:
爾の時世尊、欲りて重ねて此の義を宣べて、偈を說きて曰く、
「阿逸汝當知!是諸大菩薩,
「阿逸汝當に知るべし!是の大菩薩、
從無數劫來,修習佛智慧,
無數劫より來りて、佛の智慧を修習す。
悉是我所化,令發大道心。
悉く是我が化する所、大道の心を發せしめたり。
此等是我子,依止是世界,
此の等是れ我が子、此の世界に依止して、
常行頭陀事,志樂於靜處,
常に頭陀の事を行じて、志靜處を樂ひて、
捨大眾憒閙,不樂多所說。
大衆の憤鬧を舍てて、多く說くを樂はざりき。
如是諸子等,學習我道法,
是の如き諸の子等、我が道法を學習して、
晝夜常精進,為求佛道故,
晝夜常に精進して、佛道を求むる故の爲に、
在娑婆世界,下方空中住。
娑婆世界に在りて、下方の空中に住せり。
志念力堅固,常懃求智慧,
志念の力堅固にして、常に勤く智慧を求めて、
說種種妙法,其心無所畏。
種種の妙法を說きて、其の心畏るる所無し。
我於伽耶城,菩提樹下坐,
我伽耶城に於て、菩提樹の下に坐して、
得成最正覺,轉無上法輪。
最正覺を成るを得て、無上の法輪を轉ぜり。
爾乃教化之,令初發道心,
爾に乃ち之を教化して、初めて道心を發せしめて、
今皆住不退,悉當得成佛。
今皆不退に住して、悉く當に佛と成るを得べし。
我今說實語,汝等一心信,
我今實語を說く、汝等一心に信ぜよ、
我從久遠來,教化是等眾。」
我久遠より來りて、此の等の衆を教化せり。」
爾時,彌勒菩薩摩訶薩及無數諸菩薩等,心生疑惑,怪未曾有,而作是念:「云何世尊於少時間、教化如是無量無邊阿僧祇諸大菩薩,令住阿耨多羅三藐三菩提?」即白佛言:「世尊!如來為太子時,出於釋宮,去伽耶城不遠,坐於道場,得成阿耨多羅三藐三菩提。從是已來,始過四十餘年。世尊!云何於此少時,大作佛事,以佛勢力、以佛功德,教化如是無量大菩薩眾,當成阿耨多羅三藐三菩提?
爾の時、彌勒菩薩摩訶薩及び無數の諸の菩薩等、心疑惑を生じて、未曾有を怪しんで、而も此の念を作さく、「云何にしてか世尊少しき時間に於て、是の如き無量無邊阿僧祇の諸の大菩薩を教化して、無上正等正覺に住せしむる」と。即ち佛に白して言へらく、「世尊!如來太子と爲りし時、釋宮を出でて、伽耶城に去ること遠からず、道場に坐して、無上正等正覺を成るを得給へり。此より已來、始めて四十餘年を過ぎたり。世尊!云何にしてか此の少時に於て、大きく佛事を作して、佛の勢力・佛の功德を以て、是の如き無量の大菩薩衆を教化して、當に無上正等正覺を成るべきや。
「世尊!此大菩薩眾,假使有人於千萬億劫數不能盡,不得其邊。斯等久遠已來,於無量無邊諸佛所,殖諸善根,成就菩薩道,常修梵行。世尊!如此之事,世所難信。譬如有人,色美髮黑,年二十五,指百歲人,言:『是我子。』其百歲人,亦指年少,言:『是我父,生育我等。』是事難信。佛亦如是,得道已來,其實未久,而此大眾諸菩薩等,已於無量千萬億劫,為佛道故,懃行精進,善入出住無量百千萬億三昧,得大神通,久修梵行,善能次第習諸善法,巧於問答,人中之寶,一切世間甚為希有。今日世尊方云:『得佛道時,初令發心,教化示導,令向阿耨多羅三藐三菩提。』世尊得佛未久,乃能作此大功德事。我等雖復信佛隨宜所說,佛所出言未曾虛妄,佛所知者皆悉通達。然諸新發意菩薩,於佛滅後,若聞是語,或不信受,而起破法罪業因緣。唯然,世尊!願為解說,除我等疑,及未來世諸善男子聞此事已,亦不生疑。」
「世尊!此の大菩薩衆は、假使有人千萬億劫に於て數へても盡くすこと能はず、其の邊を得ざらん。斯の等久遠已來、無量無邊の諸佛の所に於て、諸の善根を殖して、菩薩道を成就して、常に梵行を修せり。世尊!此の如きの事、世の信じ難き所なり。譬へば人有りて、色美しく髮黑くして、年二十五にして、百歲の人を指して言ふ、『此れ我が子なり』と。其の百歲の人、亦年少を指して、言ふ、『此れ我が父、我等を生育せしなり』と。是の事信じ難し。佛亦復た是の如し、道を得已來、其の實未だ久しからず、而も此の大衆の諸の菩薩等、已に無量千萬億劫に於て、佛道の故の爲に、勤く精進を行じて、善く無量百千萬億の三昧に入出し住して、大神通を得て、久しく梵行を修して、善く能く次第に諸の善法を習して、問答に巧みにして、人の中の寶、一切世間甚だ希有なり。今日世尊纔かに說き給ふ、『佛道を得る時、初めて心を發せしめて、教化示導して、無上正等正覺に向はしめたり』と。世尊佛を得て未だ久しからずして、乃ち能く此の大功德の事を作す。我等雖復た佛の宜に隨ひて說く所を信ずとも、佛の出でる所の言曾て虛妄ならず、佛の知る所皆悉く通達せり。然れども諸の新發意の菩薩、佛滅の後に於て、若し此の語を聞かば、或は信受せずして、而も破法の罪業の因緣を起さん。唯然れ、世尊!願はくは爲に解說して、我等の疑を除きて、及び未來世の諸の善男子此の事を聞き已りて、亦疑を生ぜざらんことを。」
爾時彌勒菩薩欲重宣此義,而說偈言:
爾の時彌勒菩薩、欲りて重ねて此の義を宣べて、偈を說きて曰く、
