欽定四庫全書・兵占
《六壬兵占》は全部で二巻。四庫に収録された底本は翰林院編修・励守謙の家蔵本である。この書には編纂者の姓名が記されていない。全体の編成は、《六…
大六壬典籍
まず起課と三伝を発する機械的な流れを確実にしてから、課体と神煞に入る。起課を飛ばして断語だけ読んでも、書中の例を自分で再現できない。
四庫全書総目提要
《六壬兵占》二卷,編修勵守謙家藏本。不著編輯者名氏。凡《六壬百鍊金》《六壬軍帳賦》《金鳳歌》《行軍占異》為一卷,其兵占自《時事休咎》至《凱旋聞詔》共五十篇為一卷。
《六壬兵占》は全部で二巻。四庫に収録された底本は翰林院編修・励守謙の家蔵本である。この書には編纂者の姓名が記されていない。全体の編成は、《六壬百錬金》《六壬軍帳賦》《金鳳歌》《行軍占異》の四種を上巻とし、下巻は軍中占断の条目共を収め、第一篇《時事休咎》から第五十篇《凱旋聞詔》まで、都合五十篇に及ぶ。
六壬非為用兵而作,而五行生剋制化與夫王相死生之用,理可相通,故兵家亦多取為占驗。《唐志》有李靖《玉帳經》一卷,李筌《六壬大玉帳歌》十卷,彭門《玉帳歌》三卷,其餘若胡萬頃《軍鑑式》之類,不可勝數。
「六壬」という術数は、もともと用兵・戦闘のために創設されたものではない。しかしその依拠する五行の相生・相克・相制・相化、および「旺」「相」「死」「生」という気数消長の推法は、兵家の強弱の権衡・進退の判断という考え方とまさに互いに貫通するもので、歴代の兵家も多くは六壬を取って軍情を占験した。《唐書・芸文志》には李靖《玉帳経》一巻、李筌《六壬大玉帳歌》十巻、彭門《玉帳歌》三巻が著録され、そのほか胡万頃《軍鑑式》の類の書は数えきれないほど多い。
然流傳既久,大抵出自術士偽託,非其本真。《新唐書·李靖傳》贊謂:世言靖精風角、鳥占、雲祲、孤虛之術,故善用兵,是不然,特以臨機果,料敵明,根於忠智而已。可謂知言。
しかしこれらの書は流伝が久しく、おおむね術士が名人の名を借りて偽造したもので、本来の真本ではない。《新唐書・李靖伝》の賛語に言う:世の人は皆、李靖が「風角」(風を聴いて占候する)、「鳥占」(鳥の情を観て占験する)、「雲祲」(雲気の妖祥を望む)、「孤虚」(日辰の空缺方位を推す)といった術法に精通していたので用兵に善かったと言うが、実はそうではなく、彼はただ臨機に決断が果敢で敵情の料度が明らかだったのであり、根本は忠誠と智慧にある。これは識見ある言というべきである。
為將者苟能如靖之決策制勝,即一切游都、天目、玉帳軍占之說俱可存而不論,矧其出自後來之傅會者乎?是書為明人所刊,所採諸家亦多未備。《兵占》末條稱:太歲與太陰旺生大將年命,主後宮有暗助之力。其說尤為鄙謬矣。
将たる者、もし真に李靖のように決断して勝を制することができるなら、すべての「遊都」(賊の来去を察する凶神)、「天目」(賊の蔵身を察する神位)、「玉帳」軍占の類の説は、みな棚に上げて論じなくてよい。ましてこれらの説は多くが後人の牽強附会に出るのであるから。此の書は明代の人の刊刻で、採録した各家の著述にも欠漏が多い。《兵占》の最後の条にはなんと、「太歳」と「太陰」が旺気に居て主将の行年・本命を生扶すれば、後宮の嬪妃が暗に力を貸して助けるとある。この種の説はいっそう鄙陋で荒謬である。
《兵吉百錬金》目録
十干寄宮歌、貴人歌、十干寄居圖、卦體、發用吉凶、出軍擇日、出軍忌日、出軍擇時、聞驚應敵、野宿安營、行軍擇道、察賊所在、抽軍避寇、渡關覘賊、占賊來否、占賊去否、突圍出處、占今日戰否、占定勝否、敵使虛實、劫糧覓水、奸匿、行險、訪密、劫掠、渡河、斗柄所指、六壬軍帳賦、金鳳歌、金鳳戰干歌、論盜賊方路、行軍占異。
上巻に収める篇目は順に次の通り:十干がそれぞれどの宮に寄居するかを説く口訣、天乙貴人の所在を推す歌訣、十干寄宮を方位図に画いたもの、九種の「課体」の義例を辨じる条、初伝の乗ずる天将を見て吉凶を定める条、出兵の吉日を選び・出兵の忌日を開列し・出兵の吉時を取る三門、警報を聞いた後にどう敵に応じるか、野外に営を営むときの宜忌、行軍時にどう路を択ぶか、敵軍の蔵れる処をどう見出すか、敵が強いときにどう軍を抽いて鋒を避けるか、どう境を越えて敵情を窺うか、敵軍が来るか来ないか・去ったか去らないかの判断、包囲されたときどの方から突出するか、今日交戦するか否か、勝敗は誰に帰するか、敵の使者の言葉の真假を辨ずる法、糧草を劫取し水源を尋ねる法、および奸細を察し・険を行き・機密を探聴し・劫掠し・河を渡り・斗柄の指す処を見る諸門。その後に《六壬軍帳賦》《金鳳歌》《金鳳戦干歌》《論盗賊方路》《行軍占異》の五種を収める。
六壬大全巻五·兵占:時事休咎第一、築臺選將第二、練兵防禦第三、敵國動靜第四、出師擇吉第五、出兵擇門第六、行擇吉道第七、水陸吉凶第八、野宿安營第九、大將居方第十、貯營糧草第十一、潛伏士卒第十二、察賊所在第十三、探賊消息第十四、游都察賊第十五、來兵何勢第十六、賊兵多寡第十七、賊勢強弱第十八、兵將勇怯第十九、軍心順逆第二十、核審刑害第二十一、今日戰否第二十二、決定戰守第二十三、主客勝負第二十四、課體分主客勝負時。
下巻すなわち《六壬大全》第五巻の兵占部分は、前の二十四篇の次序は次の通り:第一篇は現在の時局の吉凶を占い、第二篇は壇台を築いて主将を拝選し、第三篇は兵を練り防を布き、第四篇は敵国の動静を窺測し、第五篇は出師前に吉日を択び、第六篇は出兵時に吉門を択び、第七篇は行軍に吉利の道路を択び、第八篇は水路と陸路のいずれを辨ずるか、第九篇は野外の宿営、第十篇は主将の坐鎮すべき方、第十一篇は糧草を囤え置く方位、第十二篇は士卒を潜伏せしめ伏を設く、第十三篇は敵軍の所在を察知し、第十四篇は敵軍の消息を探聴し、第十五篇は「遊都」で敵情を察験し、第十六篇は来犯の敵がいかなる兵勢かを推し、第十七篇は敵兵の多少を推し、第十八篇は敵勢の強弱を推し、第十九篇は我方将士の勇怯を推し、第二十篇は軍心の順逆を推し、第二十一篇は刑害の凶神を核査し、第二十二篇は今日戦うか否かを問い、第二十三篇は戦うべきか守るべきかを決定し、第二十四篇は主客の勝負を定める。その後また一篇を附し、専ら課体を以て主客勝負を分つことを講ずる。
兩軍對陣第二十五、急出從神第二十六、占賊去留第二十七、分兵追襲第二十八、伏兵前後第二十九、渡關覘賊第三十、迷路求通第三十一、中途防截第三十二、覓水求糧第三十三、潛兵劫掠第三十四、攻城拔邑第三十五、遣使入敵第三十六、差委的否第三十七、敵使誠偽第三十八、敵約往否第三十九、將心不寧第四十、行軍見異第四十一、附行軍見異諸占:物類分宮、軍中見龍、軍中見蛇、軍中見牛、軍中見馬、占鳥、占蟲類、占獸類、占軍器、占城營屋宇、占北斗。
続く諸篇は:第二十五篇は両軍対陣の時にいかに計を用いるか、第二十六篇は倉卒の間に救兵を急発するにどの神将に随うべきか、第二十七篇は敵軍が去るか留まるかを占い、第二十八篇は兵を分かちて敗敵を追襲し、第二十九篇は伏兵が前に埋められているか後ろかを推し、第三十篇は関を渡って敵情を窺い、第三十一篇は迷路した時にいかに通を求めるか、第三十二篇は半途で截撃を防ぎ、第三十三篇は水を尋ね糧を取り、第三十四篇は兵を潜めて劫掠し、第三十五篇は城を攻め邑を抜き、第三十六篇は使者を遣して敵境に入らせ、第三十七篇は差委する人が用に合うか否か、第三十八篇は敵の使者の誠偽を辨じ、第三十九篇は敵が相約し盟を会すに赴くべきか否か、第四十篇は主将の心神不寧の占法、第四十一篇は行軍途中で異象に遇う占法。その後また行軍見異の各類の占辞を附し、十二宮に物類を配する分・軍中で龍を見る・蛇を見る・牛を見る・馬を見る、および飛鳥を占い・虫類を占い・獣類を占い・軍器を占い・城池営房屋宇を占い・北斗の気色を占う諸条に分かれる。
途人善惡第四十二、孤軍被圍第四十三、突圍出處第四十四、抽軍避寇第四十五、渡江過泥第四十六、水戰觀風第四十七、附風雨雜占、邊夷犯界第四十八、蕩平群寇第四十九、凱旋聞詔第五十。
末後の諸篇は:第四十二篇は路上に遇う行人の善悪を辨じ、第四十三篇は孤軍が包囲された時に傷損を受けるか否か、第四十四篇は突囲にどの方から出るべきか、第四十五篇は敵が強い時に軍を抽いて寇を避け、第四十六篇は江を渡り泥濘の地を過ぐる、第四十七篇は水戦の時に風向を観測する、その後に風雨雑占の一節を附し、第四十八篇は辺地の夷狄の疆界侵犯、第四十九篇は群がる寇盗の蕩平、第五十篇は勝を得て朝に還り封賞の詔命を聴く。
《兵吉百鍊金》目錄:十干寄宮歌、貴人歌、十干寄居圖、卦體、發用吉凶、出軍擇日、出軍忌日、出軍擇時、聞驚應敵、宿野安營、行擇吉道、察賊所在、途中察賊、疑賊前居、抽軍避寇、渡關見賊、占賊來否、占賊去否、突圍出處、占今日占否、占定勝否、敵使虛實、劫糧覓水、奸匿、行險、訪密、渡河、斗柄所指、交月將法。目錄終。
以下は《兵吉百錬金》目録の別の伝本で、列挙する条目は前の一つとやや出入りがある:十干がどの宮に寄居するかの歌訣、貴人歌、十干寄居図、卦体、発用吉凶、出軍択日、出軍忌日、出軍択時、聞驚応敵、野外に宿して営を安んずる、行軍に吉道を択取、敵軍の所在を察知、途中で敵を察し、敵軍がすぐ前方にいると疑う、軍を抽いて寇を避け、関を渡って敵を見る、敵が来るか否かを占い、敵が去るか否かを占い、突囲の出処、今日戦うか否かを占い、勝敗を占い、敵使の虚実を辨じ、糧を劫して水を覓め、奸細を察し、険を行き、機密を探聴し、河を渡り、斗柄の指す処、および月将を交換する方法。目録はここで終わる。
十干寄宮歌
甲課寅兮乙課辰,丙戊課己不須論。丁己課未庚申上,辛戌壬亥是其真。癸課原來丑宮坐,分明不用四正神。
六壬課を起こすにはまず十干がそれぞれどの地支の宮位に寄居するかを知らねばならない:甲の日は寅宮に寄り、乙の日は辰宮に寄る。丙の日と戊の日は同じ一宮に寄り、すなわち巳宮で、別に分けて言うまでもない。丁の日と己の日はともに未宮に寄り、庚の日は申宮に寄る。辛の日は戌宮に寄り、壬の日は亥宮に寄る、これが真の訣である。癸の日はもとより丑宮に坐す。ここから見れば、十干の寄宮はただ四孟(寅申巳亥)と四季(辰戌丑未)の八つの宮位を用い、明白に子・午・卯・酉の「四正」の神を用いない。
貴人歌
甲戊庚牛羊丑未,乙己鼠猴鄉子申,丙丁豬雞位亥酉,壬癸蛇兔藏巳卯,六壬逢馬虎午寅,貴人得此方。
「天乙貴人」の所在を推す口訣は:甲の日・戊の日・庚の日は、貴人は牛と羊にあり、すなわち丑と未。乙の日・己の日は、貴人は鼠と猴の郷位にあり、すなわち子と申。丙の日・丁の日は、貴人は猪と鶏の位次にあり、すなわち亥と酉。壬の日・癸の日は、貴人は蛇と兎に蔵れ、すなわち巳と卯。末句は通行本では「六辛に馬虎に逢う」で、辛の日の貴人は馬と虎にあり、すなわち午と寅を指す。各干はそれぞれ二位の貴人を持ち、日の出後は陽貴を用い、日の入後は陰貴を用いる。貴人がこれらの方位を得れば、それが吉方である。
十干寄居図
丙戊 丁己 巳 午 未 申 庚 乙 辰 酉 卯 戌 辛 寅 丑 子 亥 甲 癸 壬
これは十干の寄宮を十二地支の方位盤上に画いた図である。地支は固定の次序で排布され、天干はそれぞれ寄る宮の傍に注される:巳宮の外に「丙戊」と注し、未宮の外に「丁己」、申宮の外に「庚」、戌宮の外に「辛」、亥宮の外に「壬」、丑宮の外に「癸」、寅宮の外に「甲」、辰宮の外に「乙」と注す。午・酉・子・卯の四正の位には天干を寄せない。図を見れば分かる通り、何日かに遇えば、その日の天干を寄る宮に落とし、これを以て「日上神」の起算の処とし、四課三伝はみなここから推し開く。
卦体
用兵先卦體,宜知九課情。元首利客事皆實(凡一上克下為用,卦名元首,主臣忠子孝,問事皆實。此時行軍,利客不利主)。重審利主後舉亨(凡一下克上為用,卦名重審,下凌於上,事多不順。此時行軍,利主不利客)。
六壬で兵を占う第一歩は、まず「課体」を見ること、すなわち四課三伝の結ぶ格局で、必ず九種の課体それぞれの情性を明らかにせねばならない。第一種を「元首」という:四課の中にただ一課だけ上神が下神を克する場合、その課の上神を取って発用として初伝とし、課名を「元首」という。臣の忠・子の孝を象徴し、上下に序があり、問う事はみな実情である。軍中でこの課に遇えば、「客」となるに利あり、すなわち我方が先に進攻を発するに利し、「主」となって後に応戦するには利せず。第二種を「重審」という:四課の中にただ一課だけ下神が上神を克する場合、それを取って発用とし、課名を「重審」という。下に在る者が上に在る者を凌犯するを象徴し、事はおおむね順ならず。軍中でこの課に遇えば、「主」となって後に接戦するに利し、「客」となって先んじて出撃するには利せず。
知一賊近宜和好(凡比用者,卦名知一。比者,近也。占賊、占人皆在近邑。此時出軍,進退狐疑,事當和允)。涉害憂疑機要明(凡涉害為用,卦名卦害。謖察其微也,作事稽留,憂患難解。此時出軍,當審而機動)。
第三種を「知一」という:四課の中に二課以上が同じく克する場合、日干と陰陽の同じ一課を取って発用とし、これを「比用」という。課名を「知一」という。「比」は近い意で、だから敵を占い人を占うに、相手はみな近くの城邑の内にいる。軍中でこの課に遇えば、進退の間に猶疑して定まらず、事は和を講じ允諾するに宜しく、硬く拶り合うに宜しからず。第四種を「渉害」という:幾課か俱に克して比して取るべき処なき場合、各神が地盤を経歴して受ける克傷の深浅を数え、害を受けること最も深き一課を取って発用とし、課名を「渉害」という。これは人に幽微で見難き処を細察せしめるもので、事は延引して憂患は化解し難い。軍中でこの課に遇えば、当に審慎に観察し、時機を見極めてから動くべし。
蒿矢宜主彈宜客,彼此無功禍亦輕(凡神遙剋日,卦名蒿矢;日遙克神,卦名彈射,比無所中,凡事皆輕。此時出兵,雖凶無畏。我欲攻彼,亦不能中。大抵蒿矢利主,彈射利客)。虎視關隔蛇潛伏(凡昴星為用,卦名虎視,剛日主動,柔日主伏。此時出兵,剛日防忌關梁,柔日利於隱伏。若攻討,彼亦潛伏)。
第五種は「遥克」:四課の上下いずれも相克せざる場合、位を隔てて相克する一神を取って発用とす。上神が遥かに日干を克する者は課名を「蒿矢」といい、日干が遥かに上神を克する者は課名を「弾射」という。この二種はみな矢を遠く射て中たらぬに似て、凡事みな軽し。軍中でこの課に遇えば、凶象あれども畏るるに足らず。ただし我方が相手を攻めんと欲すれば、同じく要害に中たらず。おおむね「蒿矢」は主を為して守るに利し、「弾射」は客を為して攻めるに利す。第六種は「昴星」:四課の上下に克もなく遥克もなければ、酉宮から神を取って発用とす。陽の日を「虎視」課といい動を主り、陰の日を「冬蛇掩目」課といい伏を主る。軍中でこの課に遇えば、陽日の出兵は関卡・橋梁の阻隔を防ぎ、陰の日は隠蔽埋伏に利す。もし我が往いて攻討すれば、敵人も同じく蔵れて我と照面せざらん。
任行信止各安兵(凡天地伏吟,諸神各歸其位。剛日欲行中止,柔日伏藏不起。此時出兵,關梁阻塞,賊不出境。合者將離,居者將移,各安其境之象)。由來反吟多反覆(凡天地反吟,諸神各易其位,禍福從外來,子逆臣奸之象。此時出兵,事多反覆,尤宜審忌)。
第七種は「伏吟」:天盤と地盤が完全に相合し、十二神は各々本位に帰して動かず。陽の日の伏吟は、走らんと欲して半途に停まる。陰の日の伏吟は、伏蔵して起き上がれぬ。軍中でこの課に遇えば、関隘・橋梁は堵塞して通ぜず、敵人もまた境を越えて来らず。もとより聚合せるは将に分かれんとし、もとより安居せるは将に遷移せんとし、つねに各々本境を守り兵を動かさぬ象なり。第八種は「返吟」:天盤と地盤と處處に相冲し、十二神は各々対宮に換り、禍福はみな外より来る。子の忤逆・臣下の姦邪の象なり。軍中でこの課に遇えば、事は反復无常で、なかんずく忌諱を仔細に審察して軽挙すべからず。
八專奸邪敵必爭(凡八專為用,陰陽共處,主客不分,此時出兵,遇敵必戰,要持正為吉)。別責借途宜外助(凡別責為用,借徑而行,倚伏別物,此時出兵,要有外助方可,否則敗怯)。諸般大體最須明。乙合龍常為用吉(天乙、六合、青龍、太常發用為吉,更兼旺相必成功)。課體最要旺相。
第九種は「八専」:この類の課は干支が位を同じくし、陰陽が一処に擠し、主と客と分かち難し。軍中でこの課に遇えば、敵人に遇うや否や必ず戦わざるを得ず、務めて正道を持守して乃ち吉。第十種は「別責」:四課全からず、ただ他神の径を借りて行かざるを得ず、處處に別のものに倚靠せざるを得ず。軍中でこの課に遇えば、必ず外来の援助あって乃ち動兵可、さもなければ怯え敗退せん。以上の各課体の大関節は、最も須らく明らかにすべし。このほかまた初伝の乗ずる天将を見るべし:「天乙」「六合」「青竜」「太常」四将の発用は最も吉利で、若し更に当令の旺気・相気を加えば、出兵は必ず成功す。要するに、課体を見るに最も緊要なるは旺相の気の有無なり。
発用吉凶
偶聞驚報,即以月將加時起成四課,看發用吉凶,便知勝負,或戰或守,在為將者秘之而已。
軍中で偶然警報を聞けば、即ち当月の「月将」を占問の時辰に加えて天盤を転じ、四課三伝を起こし成し、初伝発用の吉凶を見れば、勝敗は預知でき、戦うべきか守るべきかも随いて決定す。この一揃いの推法は、将を為す者自ら心中に明白にして秘して宣せざればそれでよし。
用起天乙,將軍大捷,開地千里,敵人畏伏。用起螣蛇,兵卒驚駭;上下相剋,士卒死傷。用起朱雀,士卒驚恐,妄作口舌。用起六合,將兵大勝,得子女玉帛。用起勾陳,士卒戰死,車折馬傷。用起青龍,將軍大勝,得敵人邦國府庫。
初伝の乗ずる天将が異なれば、軍情もまた各々異なり。発用が「天乙貴人」に乗れば、将軍は大いに勝ち全勝を獲、疆土千里を開拓し、敵人は畏服す。発用が「螣蛇」に乗れば、士兵は驚駭を受け、若しこの課が上下相克せば、なお士卒の死傷を主る。発用が「朱雀」に乗れば、士卒は惊慌恐懼して、妄りに口舌の争端を生ず。発用が「六合」に乗れば、将士は大勝し、人口と財帛を擄獲すべし。発用が「勾陳」に乗れば、士卒は戦死し、車輌は折損し馬匹は傷亡す。発用が「青竜」に乗れば、主将は大勝し、敵国の城邦と府庫の財物を奪取すべし。
用起天后,將不戰自敗。用起太陰,士卒怯弱。用起玄武,軍兵逃亡,戰鬥不利。用起太常,將軍大勝。用起白虎,士卒死亡。用起天空,為敵欺詐,士卒不利。
発用が「天后」に乗れば、主将は交戦せぬまま自ら潰敗す。発用が「太陰」に乗れば、士卒は胆怯軟弱なり。発用が「玄武」に乗れば、軍士は逃亡し、戦闘は利あらず。発用が「太常」に乗れば、主将は大勝す。発用が「白虎」に乗れば、士卒は死亡す。発用が「天空」に乗れば、敵人に欺騙詐取され、士卒に利あらず。
以上更看所乘之神,若吉將者,但相生為吉,凶將不利。若神將相剋,來禍,是謂內戰,不暇害我也。即前乙合龍常為用吉也。
以上の十二将は、なおそれが乗ずる那一位の天神と合わせ看るべし。若し吉将なれば、将と神と相生せば即ち吉。若し凶将なれば、不利。仮に天将と乗ずる神と彼此相克すれば、凶禍はそれら自身の身に落ち、これを「内戦」という。それ自身顧みるに暇なく、また顧みて我を害するに及ばず。これ即ち前に言う所の「天乙・六合・青竜・太常の発用を吉と為す」の道理なり。
出軍択日
其法,天罡加月建,亥、子、申、柘、寅五神所臨之日為吉,定執危成閉五日是也。丑戌二神所臨者非也。《經》云:“建破平守俱不用。”今丑戌所臨乃破、收也。
出兵の吉日を択ぶ方法は:「天罡」(辰)を当月の月建の上に加えて天盤を転じ、亥・子・申・酉・寅の五つの神が地盤のいずれの日に落ちるかを見れば、その日は吉日、すなわち建除十二値の定・執・危・成・閉の五日である。丑・戌の両神の落つる日は用いるべからず。《経》に曰く:「建日・破日・平日・収日はみな用いるべからず。」今丑・戌の落つるは正に破日と収日なれば、避くるを要す。
擇日天罡加月建,看其神覆用其軍(視十二神所臨之處斷休咎)。歲對登明神后下(以亥子下為歲對),歲前頭下酉兼申(以申酉下為歲前)。河魁臨處為天府,餘神相逢不利人(餘神者即卯辰巳午未五神,所臨處俱凶)。天倉大吉加堪用(大吉下為天倉),日辰在七神所臨之下並宜。
日を択ぶにはなお天罡を月建に加える盤を用い、諸神がいずれの地支の上に覆うかを見、これにより軍隊を調度し、すなわち十二神の臨む処により吉凶を断ず。「登明」(亥)と「神后」(子)の覆う下は、「歳対」の位。「伝送」(申)と「従魁」(酉)の覆う下は、「歳前」の位。「河魁」(戌)の臨む処を「天府」という。其余の諸神の臨むは人に利あらず。ここに言う其余の諸神は、太冲(卯)・天罡(辰)・太乙(巳)・勝光(午)・小吉(未)の五神を指し、それらの臨む処はみな凶なり。「大吉」(丑)の覆う下を「天倉」といい、また堪えて用うべし。凡そ本日の日干・日支が上述の七神の臨む下に落ちる者は、みな出兵に宜し。
出軍忌日
乙巳丙辰丁巳日,癸亥宜令莫出軍。建寅逢六卯當七,累數加之是惡神(天乙絕氣日,正月初六、二月七、三月八、四月九,數至十二月是十七日,每月內忌之)。
乙巳・丙辰・丁巳の三つの日、および癸亥日は、みな当に下令して出兵を許さざるべし。寅を建つる月は初六に逢い、卯月は初七に逢い、此の後月を逐うて次いで上へ一日ずつ累加し、その日即ち悪神の当値する日なり。ここに言うは「天乙絶気日」:正月は初六を忌み、二月は初七を忌み、三月は初八を忌み、四月は初九を忌み、かくの如く一路数えて十二月は十七日なり。毎月の内いずれもこの一日を避くるを要す。
每月四朝並十九,二十八行皆有逆。更有往亡須若避,不忌前途傷害人(六窮日,每月忌初四、十九、二十八;往亡日,正寅、二巳、三申、四亥、五卯、六午、七酉、八子、九辰、十未、十一戌、十二丑)。
毎月の初四・十九・二十八の三日は出行すれば皆逆に遇い、また忌避を要す。このほかまた「往亡日」あり、必ず躲け避くべし。若し忌諱せざれば、前面の路途の上に人の傷害を受くることあらん。言う所の「六窮日」は、毎月初四・十九・二十八を忌む。「往亡日」の排法は:正月は寅の日に在り、二月は巳の日、三月は申の日、四月は亥の日、五月は卯の日、六月は午の日、七月は酉の日、八月は子の日、九月は辰の日、十月は未の日、十一月は戌の日、十二月は丑の日なり。
莫犯章光四絕日(章光日,孟月乙丑,仲月丙寅、季月甲子,即歸忌煞也。四絕日,春庚午、庚申、乙亥,夏壬戌、丙寅、丁亥,秋甲辰、乙丑、辛亥,冬丙午、壬辰、癸亥,亦名四窮)。無用空亡五帝辰(空亡者,截路是也。五帝日者,即五帝死葬日,甲戌、壬戌、己卯、乙卯、戊午、壬午、辛酉、丁巳、壬子是也。忌辰者,乙巳、丙辰、丁巳、癸亥日是也)。
「章光日」と「四絶日」を犯す勿れ。章光日の排法は:孟月(正・四・七・十月)は乙丑、仲月(二・五・八・十一月)は丙寅、季月(三・六・九・十二月)は甲子、即ち「帰忌煞」なり。四絶日の排法は:春季は庚午・庚申・乙亥、夏季は壬戌・丙寅・丁亥、秋季は甲辰・乙丑・辛亥、冬季は丙午・壬辰・癸亥、この数日はまた「四窮」とも称す。また「空亡」と「五帝辰」もまた用いるべからず。空亡即ち「截路空亡」。五帝日即ち五帝の死葬の日で、甲戌・壬戌・己卯・乙卯・戊午・壬午・辛酉・丁巳・壬子の数日なり。言う所の忌辰は、乙巳・丙辰・丁巳・癸亥の四日なり。
出軍択時
興兵須要選時辰,唯有神藏煞沒真(孟月甲丙庚壬取,仲月辰巽及乾坤,季月乙丁與辛癸,即此擇時煞不論。謂四煞沒於四絕也)。
兵を興すには必ず好き時辰を挑選し、その中「神蔵煞没」の時のみが真の吉時なり。取法は:孟月は甲・丙・庚・壬の四つの時干の値する時を用い、仲月は辰位と巽・乾・坤の三維の時を用い、季月は乙・丁・辛・癸の四つの時干の時を用い。この法子に按じて時を択べば、凶煞はもはや論ずるに及ばず。言う所の神蔵煞没は、四方の凶煞がみな四維絶地の中に隠没して、再び害を為さざるをいう。
何謂神藏最為利,貴人須要登天門(貴人臨地盤亥宮,則螣蛇落水,朱雀破頭,勾陳入獄,天空被剝,白虎燒身,玄武折足,是六神藏於六合,最為吉也)。
何をか「神蔵」と為して最も有利とするか。即ち「天乙貴人」を天門に登らしめるを要す。貴人が地盤の亥宮に臨むを、「貴人天門に登る」と称す。この時十二天将は各々勢を失う:「螣蛇」は水の中に落ち、「朱雀」は頭を破られ、「勾陳」は牢狱に関入れられ、「天空」は剥奪を遭い、「白虎」は火に身を焼かれ、「玄武」は脚を折られる。この六位の凶将はみな六合の中に蔵伏して悪を為すこと能わざれば、最も吉利と為す所以なり。
螣蛇出穴緣非吉,白虎登山是凶橫。截路拔刀凶可畏,飛揚反戾總難容。暗金伏斷為凶曜,截路空亡也莫逢。都將月將加時看,更得吉神最為功(暗金伏斷煞,在《禽遁書·雷霆書》內)。
反対に、「螣蛇」が洞穴を出れば吉象にあらず、「白虎」が高山に登れば凶横の兆なり。「截路」「拔刀」の二煞はその凶畏るべし、「飛揚」「反戻」の二煞もまたいつも容れ難し。「暗金」「伏断」は凶星で、「截路空亡」も同じく撞上するべからず。要するにみな当月の月将を占時に加えて天盤を転じて看るを要し、若し更に吉神の当値に遇えば、乃ち最も功效あるを算す。暗金煞と伏断煞の詳細の排法は、《禽遁書・雷霆書》に載す。
聞驚応敵
聞驚之日切須記,兵朝即在本日存。時日果何擇?即用其子孫(如甲乙日聞驚,宜用丙丁巳午時,出兵大勝。緣甲乙木事,畏金為賊,故用火制之,是用驚日之子孫是也)。若用克我者,其軍必主奔(如甲乙日聞驚,用庚申辛酉時出兵,必主敗亡,是用賊我也)。
警報を聞く其の日は、務めて牢く記憶すべし。用兵の根基はこの日の上に落つ。然らば時辰は畢竟いかに選ぶか。即ち聞驚の日の「子孫」を取る、すなわち日干の生ずる那一行なり。例えば甲の日・乙の日に警報を聞けば、甲乙は木に属し、木は火を生ずれば、当に丙・丁の両時干あるいは巳・午の両時辰を用いて出兵し、必ず大勝を獲ん。原因は甲乙の木に属するが、怕る所は金の来りてそれを克するなり。金即ち木の賊寇なれば、故に火を用いて金を制するを要す。これ正に聞驚の日の子孫を取りて用いるなり。若し反対に我を克する那一行を用いれば、軍隊は必ず潰奔せん。例えば甲乙の日に聞驚して、却って庚申・辛酉の時に出兵せば、金は正に木を克し、必ず敗亡せん。これ即ち賊寇を請きて己に対せしむるなり。
野宿安営
日晚行疲欲建營,支干逢墓不安寧(注曰:日辰上有辰戌丑未加之,是為逢墓,當夜有賊兵至,宜防之。若當季之墓神,如春未、夏戌、秋丑、冬辰是也,逢此或空營設伏以待之,或別尋吉地以遷之。卯辰巳等宜防賊,兵書說此是三刑)。
天色已に晚にして行軍疲乏し営を紮らんと欲する時、若し日干・日支の上神が「墓神」に遇えば、営中は安寧を得ず。注文に曰く:日干・日支の上に辰・戌・丑・未の加臨あるを、「墓に逢う」と曰う。当日の夜裡に敵兵の来りて営を劫することがあらん、当に預め防を設くべし。若し碰上がるが正に当季の墓神――春季は未、夏季は戌、秋季は丑、冬季は辰――ならば、この種の情形に遇えば、あるいは索性営寨を空けて埋伏を設けて敵人を待ち、あるいは別に一塊の吉地を尋ねて営を遷す。このほか卯・辰・巳の三神の加臨もまた敵を防ぐを要す。兵書の上にこの三支は互いに「三刑」を為すと曰うなり。
若見魁罡為恐怖(注曰:辰為天罡,戌為河魁,二神臨日辰,當夜有驚怖)。將兼龍虎虛遭驚(注曰:辰為龍,寅為虎,二神加日辰,主夜遭虛驚。螣蛇、白虎亦是龍虎,加日辰亦防賊至)。大吉臨干宜急去(注曰:丑為龍虎,若加臨本日干,不宜安營,急宜移之)。不逢斯將即堪寧(注曰:不逢三刑、五墓、白虎、魁罡,及丑不臨干,安營大吉,旦暮安寧也)。
若し「魁」「罡」の二神を見れば、営中に恐怖の事あらん。注文に曰く:辰は「天罡」、戌は「河魁」。この両神が日干日支の上に臨めば、当夜必ず驚恐あらん。若し天将がまた兼ねて龍・虎を見れば、則ち一場の虚驚を遭わん。注文に曰く:辰は龍に属し、寅は虎に属す。この両神が日干日支に加臨すれば、夜裡に虚驚あるを主る。「螣蛇」「白虎」の二将もまた龍虎の類に属し、日干日支に加臨すれば、同じく敵兵の到来を防ぐを要す。若し「大吉」(丑)が日干に臨めば、当に急いで離れるべし。注文に曰く:丑はまた龍虎の神と称し、一旦本日の日干に加臨すれば、此に営を安んずるに宜からず、急いで遷移を要す。反対に、若し上述の幾位の凶神に遇わざれば、即ち安穩に住すること可なり。注文に曰く:三刑・五墓・白虎・魁罡に遇わず、丑もまた日干に臨まざれば、営を安んずれば大吉、早朝より晩まで平安無事なり。
行軍択道
遇寇途中擇路行,勝光為武休北征(注曰:凡行兵擇路,先看玄武所乘之神。如勝光火玄武乘之,不可向北方水鄉用兵,謂火畏水故也)。見木為之忌申酉(玄武乘寅卯,不可西征,謂木畏金克也),庚辛南征不宜兵(玄武乘金神不宜南征,金累火克也)。水不宜向土,土不宜向木地。玄武畏方為危地(玄武所畏之方為受危之地,不可征進)。
途中で敵に遇い路を挑んで走らば、若し「玄武」が乗ずるが「勝光」(午火)なれば、北に向かって進兵する勿れ。注文に曰く:凡そ行軍に路を択ば、先ず玄武の乗ずるがいずれの神かを看る。仮に玄武の乗ずるが火に属する勝光なれば、即ち北方の水に属する地方に向かって兵を用うべからず、火は水を怕るが故なり。若し玄武の乗ずるが木神なれば、申・酉の方を忌諱するを要す:玄武が寅・卯に乗れば、西に向かって征伐すべからず、木は金の来りて克するを怕るが故なり。若し玄武の乗ずるが庚・辛の金神なれば、則ち南に向かって兵を用いるに宜からず、金は屡々火の克を受くるが故なり。同理に、玄武が水神に乗れば土方に向かうに宜からず、土神に乗れば木方に向かうに宜からず。要するに、玄武の畏懼する其の方向即ち危険の地なり、進兵すべからず。
又《出軍擇道》云:“視日辰行年上神能制玄武,攻賊不敢敵。”軍帥須得會其情(當審五行之情狀)。軍行擇路實多途,更以陰陽作歲模(亥卯未、巳酉丑為陰歲,申子辰、寅午戌為陽歲也)。陽歲大吉來加上(陽年以丑加陽歲君),陰歲還將小吉鋪(陰歲以未加陰歲君,俱順行)。丙壬之下為人道(丙屬巳,壬屬亥,天罡巳亥所臨之下為人道),甲庚之下是天居(即天盤寅申下是天道也,宜往之)。
《出軍択道》にまた曰く:日干・日支と主将行年の上の神を看るに、若し能く玄武を制伏すれば、則ち往きて敵を攻むれば敵人は敢えて抵当せず。兵を帯びる統帥は必ずここ裡頭の道理を領会せねばならず、即ち五行生克の情状を審明にするを要す。行軍に路を択ぶ門径は実に多し。また年の陰陽によりて別に一格を立つる可し:亥卯未・巳酉丑の年は陰年、申子辰・寅午戌の年は陽年。陽年は即ち「大吉」(丑)を太歳の上に加え、陰年は則ち「小吉」(未)を太歳の上に加え、みな順時針方向に按じて排布す。天盤を転じ出せば、丙と壬の落つる下即ち「人道」――丙は巳に寄り、壬は亥に寄る、天盤巳・亥の臨む処即ち人道なり。甲と庚の落つる下即ち「天道」――即ち天盤寅・申の下、此より行軍するに宜し。
察賊所在
聞賊未知賊所在,加時春乙夏居丁(乙干寄辰官,丁干寄未宮),秋辛冬癸名天目(辛干寄戌宮、癸干寄丑官),賊當在下伏其形(聞賊以月將加時,視天目所加之方,賊在其下。天目者,春辰、夏末、秋戌、冬丑是也。春占占尋辰,餘仿此)。
敵軍有りと聞きて敵人が何処にいるか知らざれば、即ち月将を占時に加えて天盤を転じ出し、更に「天目」を尋ねよ:春天は乙を用い、夏天は丁を用う、乙干は辰宮に寄り、丁干は未宮に寄るが故なり。秋天は辛を用い、冬天は癸を用う、辛干は戌宮に寄り、癸干は丑宮に寄るが故なり。この四つの宮位を「天目」と曰う。敵人即ち天目の指す方位の下に潜伏す。注文に曰く:敵情を聞くに、月将を占時に加え、天目が加臨するがいずれの方かを看れば、敵人即ち其の方の下に在り。天目即ち春辰・夏未・秋戌・冬丑なり。春天に占問すれば即ち辰の落処を尋ね、其余の三季はこれに照らして類推す。
途中前後疑逢寇,大吉所臨知賊程(丑為大吉,月將加時,大吉臨處即知賊駐向)。臨於子午太沖下(丑臨子午,賊在卯下),若加辰戌伏登明(丑加辰戌,賊在亥下)。寅申定是居參宿(參者,申中宿也。丑加寅申,賊在傳送下),丑未必應藏軫星(大吉加丑未,賊在巳下,軫者,巳中宿也)。卯酉河魁下潛伏(大吉加卯酉,賊在戍下),巳亥還在大吉停(丑加巳亥,賊在丑下)。
行軍途中に前後に敵有りと疑心すれば、即ち「大吉」(丑)の臨む処を用いて敵軍の行止を判断す。丑即ち大吉なり。月将を時に加えて天盤を転じ出せば、大吉がいずれの宮に落つるを見て、即ち敵人の駐屯する去向を知る。若し丑が子あるいは午の上に臨めば、敵人即ち「太冲」(卯)の下に在り。若し丑が辰あるいは戌の上に加われば、敵人即ち「登明」(亥)の下に伏す。若し丑が寅あるいは申の上に加われば、敵人は必ず参宿の位に在り、参宿は申に属す、即ち「伝送」(申)の下に在り。若し丑が丑あるいは未の上に加われば、敵人即ち軫星の位に蔵れ、軫宿は巳に属す、即ち巳の下に在り。若し丑が卯あるいは酉の上に加われば、敵人は「河魁」(戌)の下に潜伏す。若し丑が巳あるいは亥の上に加われば、敵人はなおもとより丑の下に停まる。
帶刑旺相難沖擊(在處或刑日辰,或旺相不可攻擊),設法抽軍別路行(既不可擊,當卜吉路而行也)。賊近我軍推前後(出兵臨敵,不知賊在前後,或陰有諜間,不可不占也),加時占測用防奸(以月將加時,方知敵奸,便於進退也)。
敵人の在る処が若し刑を帯びまた旺相に値すれば、即ち難く冲击し難し。注文に曰く:敵人の居する処が若し我方の日干日支を刑克し、あるいは正当に旺相の気に当たれば、みな硬攻すべからず。この時即ち設法して隊伍を抽き回し、別に一路を択びて行くを要す。既に強攻する能わざれば、即ち一条の吉路を占出して走るべし。敵人が我軍に逼近する時は、彼が我の前か我の後かを推算するを要す。出兵し敵に臨み、敵人の前後を知らず、あるいはまた暗中に間諜の潜伏すれば、これら皆占せざるを得ず。月将を占時に加えて推測するは、正に姦細を防備するが為なり――先ず敵人の姦謀を知りてこそ、進退は乃ち安排し好し。
巳申子卯臨支後(巳申子卯四神,內有一神臨支辰者,賊在我後,當反營以待之),立在干頭已去前(上四神有一神加在干上,賊在前,去當備前。不臨支干,前後無賊)。干若居支寇當道(日干加辰上,主賊正當要路也),支若居干隨我軒(辰加日干,主賊隨我後來,急宜回營以待之)。
巳・申・子・卯の四つの神は、ただ一つ日支の上に臨めば、敵人即ち我軍の後ろに在り、当に営寨の朝向を掉げて彼を待つべし。若しこの四神の中の一つ日干の上に加われば、敵人即ち我軍の前に在り、前行するに預め戒備を要す。この四神が一つも日干日支に臨まざれば、則ち前後とも敵人なし。若し日干が日支の上に加われば、敵人が正に我軍の必経の要道の上に拦截するを主る。若し日支が日干の上に加われば、敵人が我軍の車駕の後に跟いて追い来るを主る、当に急いで営に回りて防備を要す。
恐寇埋伏軍要程(若欲行程,恐有伏兵,以月將加時占之),支干上訣最靈通(干支手上一訣,鬼神通其靈應)。巳申子卯支干伏(四神有一神加臨支干者,是為鬼神通其吉凶),敵寇奸邪布伏兵(即知敵寇有伏兵,宜謹防之。四字不臨,無伏兵)。
敵人が我軍の必経之路の上に埋伏するを担心ば、ただ臨出発時に月将を占時に加えて課を起こして占えば、答案即ち日干日支の上に在り。この一訣は最も霊験なり。掌上に干支を推排するこの一訣、その応験は鬼神と通ずるが如し。巳・申・子・卯の四神の中の一つ日干あるいは日支に加臨すれば、便ち鬼神が汝に吉凶を告げるなり:敵寇の心に姦邪を懐き、已に伏兵を布き畢れりと説明し、当に謹慎に防備すべし。この四字が一つも干支に臨まざれば、埋伏なし。
旺相帶刑逢必戰(旺者,春占得卯,夏占得巳,秋占得申,冬占得子;相者,春火,夏土,秋水,冬木,季金是也;刑者,子卯刑之類。逢旺帶刑,必戰),休囚空亡不敢徵(休者,春水,夏木,秋土,冬金,四季火;囚者,春金,夏水,秋水,冬土,四季木是也;空亡者,甲子旬戌亥空,餘仿此。若逢此,我不敢戰,宜固守)。
この四神が若しまた旺相の気に当たり、また刑を帯びれば、遇上すれば必ず開戦を要す。言う所の「旺」は、春天は卯を占得し、夏天は巳を占得し、秋天は申を占得し、冬天は子を占得す。言う所の「相」は、春天は火、夏天は土、秋天は水、冬天は木、四季月は金。言う所の「刑」は、即ち子が卯を刑するの類。既に旺気に逢いまた刑を帯びれば、必ず一戦あらん。反対に、若し休囚の地に落ちあるいは空亡に落ちれば、敵人は敢えて来犯せず、我もまた出征に宜からず。言う所の「休」は、春天は水、夏天は木、秋天は土、冬天は金、四季月は火。言う所の「囚」は、春天は金、夏天は水、秋天は水、冬天は土、四季月は木。言う所の「空亡」は、甲子旬中は戌・亥が空、其余の各旬はこれに照らして類推す。若しこれらに遇上すれば、我方は敢えて軽戦せず、当に堅く守るべし。
干傷前伏支傷後(支上神克干並干上神,干受傷,伏兵在我前;干上神克支並支上神,為支傷,賊在我後),支干俱損莫沖驚(若干上神克干,支上神克支,謂支干俱損,前後俱有伏兵,固守吉,戰則凶)。
日干が傷を受ければ、伏兵即ち我の前に在り。日支が傷を受ければ、伏兵即ち我の後に在り。日支の上神が日干を克し、并且また日干の上神を克する者は、日干の受傷なり、伏兵は我軍の前方に埋まる。日干の上神が日支を克し、并且日支の上神を克する者は、日支の受傷なり、敵人は我軍の後方に埋まる。若し日干の上神が日干を克し、日支の上神がまた日支を克すれば、これを「支干倶損」と称す。前後とも伏兵あらん。この時堅く守れば則ち吉、出戦すれば則ち凶、貿然と冲击すべからず。
