遣使入敵第三十六
或間諜,或講盟好。遣使去人年日辰,切防其上斗魁臨。年門生吉相沖否,申入傳中吉將歆。年日辰防太歲制,行干尤畏到干侵。
使者を派して敵境に入れ、あるいは間諜を爲さしめ、あるいは和を講じ盟を結ばしむ。所派の人の行年および日干日支を看るを要し、切に「天罡」「河魁」の其の上に加臨するを提防せよ。往く所の門と行年とは相生を以て吉と爲すか、それとも彼此相沖するか、皆看清楚にするを要す。「傳送」(申)が三傳に入りてまた吉將に乘ずれば、那是喜ぶ可し。行年と日干日支とは還に太歲の來りて克制するを防ぐを要す。出發の日の天干はなかんずく到達の日の天干の來りて侵克するを怕る。
年,行年也,去使行年、日辰上魁罡加臨凶。《兵仗賦》云:“發使方行,年路支干。切忌魁罡,亦憂返伏。”反吟伏吟卦不宜遣使。
歌訣の裡の「年」は行年なり。所派する使者の行年および日干日支の上に、若し河魁・天罡の加臨有れば、即ち凶なり。《兵仗賦》に曰く:「使者を派遣して身を動かせば、行年・路途と日干日支とを看るを要す、切に河魁天罡を忌み、また返吟伏吟を怕る。」返吟課・伏吟課を占得すれば、皆使者を派遣するに宜からず。
所往之方為門,若門上神與去人年上神相生則吉,相剋凶。《兵帳賦》云:“門傷年處路遇殃,而凶將災深;年制門時帶病歸,而吉神禍消。”如月將加時,門上神制年上神,途中有疾;年上神克門上神,帶病而歸。二者逢吉將有救,災淺。
往かんとする所の其の方位即ち「門」と曰ふ。若し門上の神が所派する人の行年の上の神と相生せば、即ち吉。相克せば、即ち凶。《兵帳賦》に曰く:「門が行年を傷つければ、路上に殃を遭へ、再び凶將に乘ずれば災禍は更に深し。行年が門を制住せば、即ち病を帶びて歸り、若し吉神に乘ずれば禍患は便ち消ゆ。」例えば月將を用いて占時に加えて盤を轉じ、門上神が行年上神を制すれば、此人は途中に病を生ぜん。行年上神が門上神を克すれば、此人は病を帶びて回らん。こ兩種の情形は若し吉將に逢ひて救へば、災禍は即ち輕し。
申,傳送也,三傳行使初發時,傳內有申者吉;申上乘吉將,雖不入傳亦吉;入傳又乘吉將,更吉也。蓋傳送乃道路之神,故不入傳亦宜推之。《兵帳賦》云:“初宜參宿,不然要乘乎吉神。”是也。
歌訣の裡の「申」即ち「傳送」なり。使者の出發する時に起こす所の三傳の中に、申有る者は吉なり。申の上に吉將に乘ずれば、たとい三傳に入らざるともまた吉なり。旣に三傳に入りてまた吉將に乘ずれば、那就更に吉なり。傳送は本是道路を主る神なれば、故に縱然傳に入らずとも、また當にそれを推算に入るるべし。《兵帳賦》に「初傳は宜しく參宿を得べし、然らざるもまた吉神に乘ずるを要す」と曰ふ、講ずる所は正にこのなり。
又去使行年日辰俱畏太歲克之(假令四季年丙丁巳午日行大吉,蓋日火生歲土也。庚申辛酉日行亦吉,歲土生日金也。壬癸亥子日行大凶,歲土剋日水也。太歲與行日相生吉,克凶)。
このほか、所派する使者の行年および日干日支は、皆太歲の來りて克するを怕る。例を擧げて言へば:辰戌丑未の四季の年は土に屬し、丙・丁・巳・午のこれら火に屬する日子を用いて身を動かせば大吉、日の火が太歲の土を生ずればなり。庚申・辛酉のこれら金に屬する日子を用いて身を動かすもまた吉、太歲の土が日の金を生ずればなり。壬癸・亥子のこれら水に屬する日子を用いて身を動かせば大凶、太歲の土が日の水を克すればなり。要するに太歲と出發の日とが相生すれば即ち吉、相克せば即ち凶。
行干,行者初發之日干也;到干,到彼處之日干也。侵,亦克也。大抵行日與到日相生吉,相剋凶。然行干可定,到干不可定,只以至彼處行事之日為主。如下書到彼處,不論某日下書,擇一日與去日干相生可也。
歌訣の裡の「行干」は、出發の其の天の日干。「到干」は、對方の處に到達する其の天の日干。「侵」もまた即ち克なり。大體に出發の日と到達の日とが相生すれば即ち吉、相克せば即ち凶。但し出發の日干は事先に定むる可く、到達の日干は卻って預定し難し、ただ對方の彼處に於て事を辦する其の一天を以て準と爲すのみ。例えば書信を投遞しに往けば、いずれの一天に送到するを論ぜず、ただ一箇の出發日干と相生する日子を挑んで往きて辦せば便ち可なり。
江河除定危開上,行間差人未敢嗔。探賊宜從天上耳,去探密地駐方奔。從魁為九江,太沖為三河,若三河九江臨於除定危間之上,差人行間,甚吉也。假令正月定日在午,午上見卯或酉是也。月建前一日為之除,五日為之定,七日為之危,八日為之開。
「三河」「九江」が若し除・定・危・開のこ幾位の上に落つれば、人を派して間諜を爲さしむるに嫌忌する可きものなし。敵情を探るは天耳の臨む所の方より往け、機密を探るは則ち地耳の駐る所の方に奔れ。「從魁」(酉)は九江と曰ふ、「太冲」(卯)は三河と曰ふ。若し三河九江が除・定・危のこ幾日の位の上に臨めば、人を派して間諜の事を行はしむるに、非常に吉利なり。例を擧げて言へば:正月の定日は午に在り、午の上に卯あるいは酉を見れば即ち是れなり。月建より前に數うて第一天を除と爲し、第五天を定と爲し、第七天を危と爲し、第八天を開と爲す。
探賊消息,向天耳臨方吉,乃天上丑未之方也。探人密事向地耳臨方吉,乃天上卯酉之方也。《百煞歌》曰:“天耳天目宜探聽。”春辰、夏未、秋戌冬丑為天目,對沖為天耳。蓋耳目下宜探聽消息也。
敵人の消息を打探するは、「天耳」の臨む所の方位に向かって往くを吉と爲し、那就天盤丑・未の所在する方位なり。人の機密を打探するは、「地耳」の臨む所の方位に向かって往くを吉と爲し、那就天盤卯・酉の所在する方位なり。《百煞歌》に曰く:「天耳・天目の下は探聽するに宜し。」春辰・夏未・秋戌・冬丑は天目、之と相沖する即ち天耳なり。要するに耳目の下に於て最も消息を探聽するに適す。
《一秤金》云:“凡遣使行間諜,要干支上刑剋不相和,然後可用謀反行間。若上下相生相合,彼之君臣一心,將卒一體,雖欲反間,何隙可乘?”此大有理。又書云:“行間若得傳送發用,又乘朱雀,主讒言易中。”此亦有理,並附之。
《玄黃一秤金》に曰く:「凡そ使者を派して反間の計を行はしむるに、須らく日干日支の上に彼此刑克して相和睦せざるを要し、然る後に乃ち計を用ひて離間するを好し。若し上下相生相合せば、對方の君臣は一条心・將士は一體同心を説明し、縱然反間を施さんと想ふとも、又に何の縫隙か鑽る可きあらんや。」こ話は甚だ道理有り。別に書の上に説く有り:「反間の計を行ふに、若し『傳送』(申)の發用するを得、また『朱雀』に乘ずれば、讒言の采信せられ易きを主る。」こ話もまた道理有り、一幷にここに附錄す。
差委的否第三十七
差委的否意如何,相生旺合事無他。刑剋囚死妨誤徵,別行更改更蒐羅。可差必定差伊去,天將初傳品揣摩。凡遣使,須看其事之成敗,而其人品要的。如日辰得吉神吉將發用,生合旺相,則斯人可往,而事無他虞矣。若用神囚死刑剋,此人必無力量,必不誠實,而誤我正事也,必須另擇個好人去,即可去得。
差委する所の人は到底用に合ふか否か。若し課中に相生・旺相・相合せば、事情は岔子を出ださざらん。若し是れ刑克・囚死なれば、怕るは征戰の大事を耽誤せん、那就別に人手を選びて・更に搜羅するを要す。確實に差する可きは、即ち一定に彼を派して往かしめよ。至於人品才具は、則ち初傳の乘ずる所の天將の上より揣摩す。凡そ使者を派遣するに、旣にこ件事の成る可きか否かを看、またこ人の品格の可靠なるか否かを看るを要す。若し日干日支の上に吉神吉將を得て發用し、また生合旺相せば、那麽こ人は往く可く、事情は別の顧慮有る能わざらん。若し用神が囚死に落ち、また刑克を受くれば、此人は一定に能力なく、また一定に誠實ならず、我方の正事を耽誤せん、必ず別に一箇の好人を挑んで往かしむるを要す。
以發用天將決其人之才品能幹:天乙主人厚重有體;太常主美服好飲;青龍主多財有變博;朱雀善言詞,能以詐欺人;太陰恐以私情輸敵;白虎力過人,有威;天空言不與實;螣蛇性暴躁;六合得朋友之助;勾陳思慮雖滯,有擒縱之力;玄武善飫人情實,然多邪淫;而天后美貌,柔而不剛。
初傳發用の乘ずる所の天將を用いて此人の才具品格を判斷す:「天乙」に乘ずれば、人は厚重にして氣度有り。「太常」に乘ずれば、衣着を講究し・飲宴を好む。「青龍」に乘ずれば、錢財多くして變通博洽す。「朱雀」に乘ずれば、能く言い善く辯ずれども、詐術を用いて人を騙す。「太陰」に乘ずれば、恐怕私情に因りて消息を敵方に輸せん。「白虎」に乘ずれば、力氣は人に過ぎて威勢有り。「天空」に乘ずれば、説く所の話は實情と符せず。「螣蛇」に乘ずれば、性情は暴躁なり。「六合」に乘ずれば、能く朋友の相助を得ん。「勾陳」に乘ずれば、思慮は雖も遲滯なれど、擒縱して人を制するの本事有り。「玄武」に乘ずれば、善く人情を揣摩し・事を辦するに踏實なれど、多く邪淫の行有り。「天后」に乘ずれば、容貌は美好にして、性情は柔順にして剛強ならず。
敵使誠偽第三十八
使來辰主日為賓,宜辰制日莫傷辰。日克辰頭言不實,辰傷日上語堪憑。我既遣使入敵,敵亦遣使相答矣,其中或講罷兵,或言投降,未可輕信也。占之則以辰為主,以日為賓,辰上神宜制日上神,日上神不宜制辰上神。
敵方の使者の來るは、日支を以て主と爲し・我方を代表し、日干を以て賓と爲し・來使を代表す。最も好きは日支の日干を制住する、反って日支を傷する勿れ。日干が日支の上を克せば、來使の話は實ならず。日支が日干の上を傷れば、來使の話は即ち信ずる可し。我方は旣に已に使者を派して敵境に入れれば、敵人もまた使者を派して回訪せん、其の間あるいは罷兵休戰を講じ、あるいは投降せんと説かん、皆輕信す可からず。占ふ時は日支を以て主と爲し・日干を以て賓と爲す:當に日支の上神が日干の上神を制住し、日干の上神が返って日支の上神を制するに宜からず。
日克辰頭,是日上神來克辰上神,我被他制,言必不實;辰傷日上,是辰上神往剋日上神,他被我制,言不敢不實也。《兵帳賦》云:“敵使求和,正時占決,支神制干,即為真說。”《七十二占》曰:“敵有來使,下時剋日上神,其言確切。”
言う所の「日が辰頭を克する」は、日干の上神が來りて日支の上神を克する、我方は彼に制せらる、彼の話は必定に實ならず。言う所の「辰が日上を傷る」は、日支の上神が往きて日干の上神を克する、彼は我方に制せられ、話は敢えて真ならざる能わず。《兵帳賦》に曰く:「敵方の使者が來りて和を求めば、正時を用いて課を起こして判斷す、日支の神が能く日干を制すれば、説くは即ち真話なり。」《七十二占》に曰く:「敵人に使者有りて來れば、占時の下の神が日干の上神を克すれば、彼の話は確切にして信ずる可し。」
日辰上將相生吉,人宅六情凶將起。發用日辰空存詭,日辰年忌耳罡隱。來降歲克貴人偽,日受陰傷防患侵。《軍帳賦》云:“下生其上,知詐偽以不行;用生干支,謂陰謀而罷結。”下生上,乃辰上生日上也。蓋我占他,我有恩以及之,彼感恩而實向也。
日干日支の上の天將が相生せば即ち吉。若し日干日支の上に「六情」の神を見てまた凶將に乘ずれば、奸謀は即ち生起せん。發用と日干日支とが空亡に落つれば、其中は即ち詭詐を藏す。行年と日干日支の上は、最も「天耳」「天罡」「太陰」のこれら隱蔽の神を忌む。敵人の來降を占ふに、若し太歲の上神が天乙貴人を克せば、來降は即ち假なり。日干が自己の陰神に傷せらるれば、即ち禍患の侵襲するを防ぐを要す。《軍帳賦》に曰く:「下位が上位を生ずれば、詐偽の施行せられざるを知る可し。用神が日干日支を生ずれば、陰謀の已に罷結したるを説明す。」言う所の下が上を生ずるは、即ち日支の上神が日干の上神を生ずるなり。是我の彼を占ふれば、我は恩德を以て彼に加ふ、彼は恩に感じて即ち真心に歸向す。
人宅,即干支也,干支上見六情之神,各以其情斷其奸謀災異(《軍帳賦》以申、子、亥、卯、辰、未為六情:申子為貪狼,貪而無義;亥卯為陰賊,潛為寇盜;辰未為奸邪,淫泆而狂忤。凶將乘之,尤可畏。此出《天元曆書》)。
歌訣の裡の「人宅」即ち日干日支なり。日干日支の上に「六情」の神を見れば、即ち各々其の性情に按じて對方の奸謀と災異とを斷ず。《軍帳賦》は申・子・亥・卯・辰・未を以て六情と爲す:申と子とを「貪狼」と曰ふ、貪婪にして道義を講ぜず。亥と卯とを「陰賊」と曰ふ、暗中に盜寇の事を做す。辰と未とを「奸邪」と曰ふ、淫佚放蕩にして狂悖忤逆す。若し再び凶將に乘ずれば、更に畏る可し。こ一説は《天元曆書》に出づ。
若發用並日辰上見天空、朱雀,來人詭詐,蓋空雀皆虛詐之神也。《兵帳賦》云:“將推課休,朱雀用起以奸謀。”《七十二占》曰:“朱雀加日辰,其言奸詐。”
若し初傳發用と日干日支の上とに連なりて「天空」「朱雀」を見れば、那麽來人は詭詐なり、天空と朱雀とは皆虛假欺詐を主る神なればなり。《兵帳賦》に曰く:「天將を推詳して課體衰敗せば、朱雀が發用すれば即ち奸謀を藏す。」《七十二占》に曰く:「朱雀が日干日支に加臨せば、來人の話は奸詐にして信ず可からず。」
耳,天耳也,春寅、夏巳、秋申、冬亥。罡,天罡辰也。陰,太陰,天乙後二位之神。言主將行年與日辰上,切忌天罡、天耳、太陰臨之,天罡凶神,太陰蔽匿。《兵仗賦》云:“天耳臨年日辰,來使潛機。”又云:“角陰日辰年而奸譎。”角,辰宮星也。
歌訣の裡の「耳」は天耳、春は寅に在り・夏は巳・秋は申・冬は亥に在り。「罡」は天罡、即ち辰なり。「陰」は太陰、即ち天乙貴人の後の第二位なり。意思是主將の行年と日干日支の上は、切に天罡・天耳・太陰の臨壓を忌む、天罡は凶神、太陰は遮蔽隱匿を主ればなり。《兵仗賦》に曰く:「天耳が行年・日干日支に臨めば、來使は心機を暗藏す。」また曰く:「角宿と太陰とが日干日支と行年の上に落つれば、奸猾詭譎を主る。」角は辰宮の含む所の星なり。
歲,太歲也,上神克貴人天乙為虛詐也。占來降,不論課傳,只觀歲貴。太歲上神克天乙乘神,其詐無疑(假令太歲在申,六壬日申上見神后,貴人繫巳臨丑,被歲上子水克之,是為降也)。
歌訣の裡の「歲」は太歲:太歲の上神が天乙貴人を克せば、來降は即ち虛假なり。敵人の來りて投降するを占ふに、四課三傳を論ずるに及ばず、ただ太ず、ただ太歲と貴人のこ兩處を看よ。太歲の上神が天乙の乘ずる神を克すれば、其中有りて詐は毫も疑問なきなり。例を擧げて言へば:太歲は申に在り、六箇の壬日に課を起こし、申の上に「神后」(子)を見、貴人は巳が丑の上に臨む、巳火は太歲申の上の子水に克せらる、こ即ち詐降と斷ず。
末句“日受陰傷”,謂日干被日之陰神克也,假令丙午日干上寅為日之陽神,日陰寅上見亥水剋日干,是謂日受陰傷,利主人也。《兵仗賦》云:“外國人來,歲神克天乙而禍至;他邦情異,陰神賊日辰以愁之。”是也。情異,謂有異心也(一說為日辰而言之,謂日辰受用陰陽克之也)。
歌訣の末句の「日が陰傷を受く」は、説く所は日干が自己の陰神に克せらるるなり。例を擧げて言へば:丙午の日、日干の上の寅は日の陽神、而して陽神寅の上にまた亥水を見、亥水は丙火の日干を克す、こ即ち「日が陰傷を受く」と曰ふ、此の時返って主方に利す。《兵仗賦》に曰く:「外邦の人が前に來れば、太歲の上神が天乙を克し、禍は即ち到れり。別國が心に異志を懷けば、陰神が日干日支を克賊し、人をして憂愁せしむ。」正にこの意なり。言う所の「情異」は、即ち二心を懷くなり。別の一説は日干日支に就て言ふ、指す所は日干日支が用神の陰神陽神に克せらるるなり。
敵約往否第三十九
敵約曹沖子巳推,日辰上見詐謀來。子申亥卯並辰未,定是虛謀莫亂猜。敵使虛實,以來降來說者說。至於敵人來約我,則誠偽在敵,主其可往與否,亦不可不占也。
敵人が來りて相約すれば、即ち「功曹」(寅)・「太冲」(卯)・「神后」(子)・「太乙」(巳)の四神を用いて推せ:日干日支の上にそれらを見れば、來るは即ち詐謀なり。若し子・申・亥・卯および辰・未のこ六神を見れば、那一定に虛假の圖謀、胡亂に猜疑するに及ばず。前の一門の敵使の虛實を講ずるは、來りて降る・來りて游說する人に就て言ふなり。至於敵人が主動して來りて我を約するは、誠意の眞假は對方に在り、我は究竟往く可きか否かを、また占はざるを得ざるなり。
法以日辰上見功曹、太沖、神后、太乙四神,皆為詐偽,不可往也。《軍帳賦》云:“後乙曹沖,臨日辰而偽詐。”是也。《玉曆》云:“申子為貪狼,亥卯為陰賊,辰未為奸邪,此六辰臨於日辰,皆主虛詐。”《玉曆》,天文書也,六壬取之。
占法は:日干日支の上に「功曹」(寅)・「太冲」(卯)・「神后」(子)・「太乙」(巳)のこ四神を見るは、皆詐偽の象にして、約に赴く可からず。《軍帳賦》に「神后・太乙・功曹・太冲が日干日支に臨めば、即ち偽詐なり」と曰ふ、正にこの意なり。《玉曆》に曰く:「申と子とは貪狼、亥と卯とは陰賊、辰と未とは奸邪、こ六箇の地支が日干日支の上に臨むは、皆虛假欺詐を主る。」《玉曆》は一部の天文の書、六壬家は其の説法を取用せり。
據成書所載,皆以神將吉主可往,以神將不吉不可往,其實有善贊軍務者,約之誠固可往,即約之詐亦當隨其詐而入其虛,預設防備,明踐盟約,如鴻門之宴、河梁之會,雖極凶險,其實甚平穩也。
現成の書上に載する所に照らせば、皆神將が吉なれば往く可く・神將が吉ならざれば往く可からず。其の實若し軍中に軍務を籌劃するに善き人有れば、對方の約すること誠懇なれば固然に往く可し。たとい對方が詐約なるも、また當に其の詐術に順いて其の空虛の處に鑽り入り、預め防備を設下して、光明正大に約を踐んで會に赴くべし。劉邦が鴻門の宴に赴き・李陵と蘇武の河梁の會の如きは、看るに極めて凶險なるが如し、實際の上處置の得當なれば返って十分に平穩なり。
將心不寧第四十
將帥心驚視日辰,魁罡夜襲後沖霖。青常便信虎勾陳,朱雀螣蛇恐有真。興師日久,忽覺將心不寧,何以占之?則視日辰上有魁罡立者,主當夜有兵襲寨。若天后、太沖加之,主有霖雨,蓋天后為雨澤之神,而太沖為天河故也。青龍、太常有使信至,白虎而傷病,勾陳被捉鬥傷,大戰將至,朱雀螣蛇,恐怖驚嚇。
主將の心の裡に慌てを發せば、即ち日干日支を看よ:「河魁」「天罡」を見れば、當夜に人の營を襲ふ有らん。「天后」「太冲」を見れば、即ち連綿の大雨有らん。「青龍」「太常」を見れば、書信の到る有るなり。「白虎」「勾陳」を見れば、則ち傷病と闘傷と有らん。「朱雀」「螣蛇」を見れば、恐怕眞に驚嚇有らん。兵を出して日子久しく、忽然主將の心神不寧を覺ゆるは、怎麼樣に占ふべきや。即ち日干日支の上に河魁・天罡の站る有るや否やを看よ:有れば、即ち當夜に敵兵の營寨を襲ふ有るを主る。若し是れ天后・太冲の加臨なれば、久雨有るを主る、天后は雨澤を主る神・太冲は則ち天河なればなり。青龍・太常を見れば、使者書信の到來有るを主る。白虎を見れば、傷損疾病を主る。勾陳を見れば、擒捉せられ・闘毆して傷を受くるを主り、大戰將に臨まん。朱雀・螣蛇を見れば、驚恐嚇人の事を主る。
行軍見異第四十一
見兵而主將忽然心動才占,不動則不必占也。行軍見怪忽然間,天象禽星以類占。倘或類神無此物,研諸四課卜三傳。
主將が兵象を見て心の裡に忽然一動するを待ちて、乃ち課を起こして占ふを要す。心の裡動かざれば、即ち占ふに及ばず。行軍の途中に忽然怪異の事を見れば、即ち天象と二十八宿の禽星とに按じて、同類の神を取りて占へ。倘若類神の裡に見る所の其の一樣の物を査へずれば、即ち四課を研究し・三傳を占斷して以て吉凶を定めよ。
行軍之際,有非所見而見者,即謂之怪,非必山精水魅。看是何物,以天上二十八宿禽星辨其宮分吉凶。倘或類神不載,則以四課三傳吉凶卜之。以月將加時,視天上類神臨何辰,以所臨地分之神與日干較其生克定吉凶,更以天將詳之,休咎見矣。
行軍の際、凡そ本來見る可からざるに卻って見たるは、即ち「怪」と曰ふ、未だ必ずしも眞に山精水怪ならざるなり。先ず見る所は何の物かを看て、再び天上二十八宿の禽星を用いて其のいずれの宮分に屬するかを辯明にし、據りて以て吉凶を斷ぜよ。倘若類神の表の裡にこ一物を載せずれば、即ち四課三傳の吉凶を用いて占へ。方法是月將を用いて占時に加えて天盤を轉じ、天上の類神のいずれの辰に臨むかを看、再び其の臨む所の地盤の神を拿りて日干と生克を比較して以て吉凶を定め、還に乘ずる所の天將を合看せば、吉凶禍福は即ち顯現して出來る。
附行軍見異諸占
物類分宮
子鼠蠍燕丑犀牛,虎豹貓狸寅上求。卯兔驢騾狐共取,魚龍蛟蜃鯗辰求。蛇蜴蟮蚯蚓巳內,天馬獐鹿雀午頭。鳩鷹雁鴿羊鸛未,申鵬鵝猱及猿獼。雞鴨鳥鵲酉見鴉,豺犬狼獒戌土留。豬豚狳熊皆屬亥,十二宮中畜類周。
各類の禽獸蟲魚は十二宮に分屬し、異を見るを占ふに類に按じて神を取れ:子宮は鼠・蝎・燕に屬す。丑宮は犀・牛に屬す。虎・豹・猫・狸は寅の上に到りて尋ぬよ。卯宮は兎・驢・騾・狐と連なりて一幷に取れ。魚・龍・蛟・蜃・鮝は辰宮に歸す。蛇・蜥蜴・鱔・蚯蚓は巳宮の內に在り。天馬・獐・鹿・雀は午宮の首に在り。斑鳩・鷹・雁・鴿・羊・鸛は未に屬す。申宮は鵬・鵝・猱および猿猴獼猴有り。鷄・鴨・鳥・鵲と烏鴉と連なりて酉宮に見ゆ。豺・犬・狼・獒は戌土に留まる。猪・豚・狳・熊は皆亥に屬す。十二宮の中の禽畜の類別はここに就て周備せり。
軍中見龍
凡軍中無故見龍者,百日血光之災,龍噴火,主混沌大戰;若忽見騎龍上天,詔書立至;龍雲轉磨,大將起兵。又曰:龍墜地者水災,龍鳴有大雨;聞龍說話者,聖人出世,文武爭鋒,大兵作亂之兆;見龍取水者,忌行兵;出水者,行兵大勝。
凡そ軍中に緣故なく龍を見るは、一百日の內に血光の災有らん。龍口の火を噴くは、一場の混沌にして分かち難き大戰有るを主る。若し忽然有人の龍に騎りて天に上るを見れば、詔書は立刻に即ち到らん。龍が雲と盤旋して磨盤の般に轉動するは、大將の起兵を主る。また曰く:龍が墜落して地上に到るは、水災を主る。龍が鳴叫するは、大雨有るを主る。龍の説話するを聞くは、聖人の出世・文武の爭鋒・大軍の作亂の徵兆なり。龍の水を取るを見るは、出兵を忌諱す。龍の水を出づるを見れば、則ち出兵して大勝す。
軍中見蛇
蛇者,大凶之兆,如見寅申,亦有陰謀事,並主敵兵至。如入營傷人者,夜有賊偷營;蛇當道,前防敵兵,不傷人者無害;蛇盤旋金鼓上,大將勞心,不可出戰。蛇截道,若安營帳埋伏固守之則免難;遁入水者有喜,可速進兵;蛇入帳上或床上盤者,勿得殺之,主生喜,若祭禱山川,則敵兵自敗來降;蛇自營內出外,主軍中潰散,宜大將禳之吉。
蛇を見るは大凶の兆なり。若し寅・申の兩位に在るを見れば、また陰謀の事有るを主り、并せて敵兵の將に到らんとするを主る。蛇が營に進みて人を咬傷するは、夜裡に敵人の營を偸する有らん。蛇が路の當中に攔まるは、前面に敵兵を防ぐを要し、人を咬まざれば即ち害なし。蛇が金鼓の上に盤繞するは、主將は勞心費神して、出戰す可からず。蛇が道路を橫截するは、ただ營帳を安下して・埋伏固守せば、即ち難を免る可し。蛇が水の裡に鑽り入るは、喜有るの象、迅速に進兵する可し。蛇が帳頂あるいは床上に爬りて盤るは、切に之を殺す可からず、喜事の發生するを主り、若し再び山川を祭禱せば、敵兵は自ら敗退して來りて降らん。蛇が營內より營外に往きて爬るは、軍中の潰散を主り、主將は當に禳解の禮を舉行して乃ち吉なり。
軍中見牛
行軍見斗牛沖陣,主兵敗之兆。若二牛相鬥,勝牛來者勝,敗牛來者敗散。
行軍の時に相闘ふ牛の陣中に冲入るを見るは、兵の敗るるの徵兆なり。若し是れ兩頭の牛の相闘ふ、闘ひて赢つ其の一頭が我方に向かって跑り來れば、我方は即ち勝てん。闘ひて輸けつ其の一頭が我方に向かって跑り來れば、我方は即ち敗散せん。
軍中見馬
馬,龍駒也,見馬跳舞者喜兆,有休兵息爭之意。馬食砂石者,遇敵兵,大勝;馬忽生角,主陰謀事;馬忽產人形,大兵將起;馬望月而嘶者,有大兵至,宜備之則吉;馬作人言,主將士災傷,言吉宜固守,吉凶宜殺以祭。
馬は龍種の駒なり。馬の跳躍起舞するを見るは、喜兆にして、兵を休め爭を止むるの意思有らん。馬が沙石を喫するは、敵兵に遇上して大勝するを主る。馬が忽然角を長出するは、陰謀の事有るを主る。馬が忽然人形の物を產下するは、大戰將に起こらんとするを主る。馬が月を望みて嘶鳴するは、大軍の到來有るを主り、預め戒備すれば即ち吉なり。馬が口を開きて人話を説くは、將士に災傷有るを主り、説く所若し吉語なれば當に固守すべく、説く所若し凶語なればそれを殺して神を祭るに宜し。
馬產子自食者,主陰謀傷害士卒,宜殺此畜與眾兵食之,吉,或殺之埋於刑方;馬出戰張尾者,主先勝後傷,宜謹守勿戰,三旬內出陣不利主將;馬回拗膝及咬主衣,有奸細;馬產青駒,將軍戰勝,取封疆之兆。
母馬が小馬を產下してまた自己に喫ふるは、陰謀有りて士卒を傷害せんとするを主る、當にこ匹の馬を殺して衆兵に分かちて喫はしむを吉と爲し、あるいは殺して刑煞の所在する方位に埋めよ。馬が出戰する時に尾巴を張開するは、先に勝ち後に傷づるを主り、當に謹守して戰はず、三十天の內に陣を出づるは皆主將に利あらず。馬が頭を回し別して膝蓋に着け・また主人の衣服を咬むは、軍中に奸細有らん。母馬が青色の馬駒を產下するは、將軍の戰勝を主り、封疆を開拓するの吉兆なり。
占鳥
軍中有飛鳥宿於鼓金旌旗者,為客兵至;若作巢者,將凶;鳥入水化為蛤、為魚,爭地之兆。群鳥隨我軍出陣,敵兵不戰而走;若成群沖陣者,賊兵勝,鳴者凶極。鷹鷂入營捕鳥,主敵人分散來劫掠之象,捕得鳥去大凶,未捕得去吉。
軍中に飛鳥の鼓・鉦・旌・旗の上に栖息する有るは、客兵の到來有るを主る。若し其の上に巢を築けば、將に凶有らん。鳥が水に入りて蛤と化し・魚と化するは、地盤を爭奪するの徵兆なり。成群の鳥が我軍に跟著して陣を出づれば、敵兵は會して戰はずして逃げん。若し鳥群が我陣に冲向けば、則ち敵兵は勝てり、鳥が還に鳴叫するは、凶は極點に到らん。鷹鷂が營中に飛進みて鳥を捕ふは、敵人の兵を分かちて四出して來りて劫掠せんとするを主る。鷹が鳥を捕へて後に飛び去るは、大凶。捕へずして飛び去るは、吉なり。
飛鳥成群集大旗杆,須防伏兵,軍中宜設備之,出陣不吉。大鳥入營不知名者,敵設奸謀,起兵固守則吉。鴉飛鳴者,防兵潰。鳩鴿於營中作斗及鳴者,七日有暴兵災生,不然或主營寨有虛驚。
飛鳥が成群して大旗杆の上に聚集せば、必ず伏兵を提防するを要し、軍中は當に防備を設け戒め、此の時陣を出づるは不吉なり。名を叫び出す能わざる大鳥の營中に飛進む有るは、敵人の奸謀を設下する、兵を起こして固守せば則ち吉なり。烏鴉が飛び過ぎて鳴叫するは、軍隊の潰散を防ぐを要す。斑鳩・鴿子が營中に相闘ひあるいは鳴叫するは、七天の內に突發の兵災有らん、然らざるもまた營寨の裡に一場の虛驚を主る。
野雞飛叫入營,主兵難住,有兵患兵災;若後向飛前,應在他營;前飛向後,應在我寨。鴟梟飛鳴前後,軍心失機,兵勢不堅,主將宜安撫士卒,申明號令則吉。白鳥入軍主兵災,更看巢於何處,旺方災輕,刑方災重。飛鳥銜花落軍前者,大將得眾心,出戰有功,大喜將至也。
野鷄が飛鳴して營中に進入するは、軍隊の駐留し難く・兵患兵災有らんを主る。若しそれが後より前に飛べば、敵營に應ず。前より後に飛べば、我方の營寨に應ず。鴟鴞が營前營後に飛鳴するは、軍心の主張を失ひ・兵勢の牢固ならざるを主り、主將は當に士卒を安撫し・號令を申明すべく、かくの如くすれば乃ち吉なり。白色の鳥が軍中に飛進むは、兵災有るを主り、還に其のいずれに巢を築くかを看るを要す:當令の旺方に築けば、災は輕し。刑煞の方に築けば、災は重し。飛鳥の花を啣えて軍前に落つるは、大將の深く衆心を得るを主り、出戰して功を建て、大喜の事の將に至らんとす。
彩鳥飛翔,從歲德上來者,主暴病,伏兵沖陣,防兵怪及奸謀。百舌鴉營,敵有奸計,五更有賊劫寨防之。赤鳥入軍,有天神助陣,主喜。營中夜間怪鳥鳴,於鳴處立旗、磨兵器、禳之吉,旺方有可,忌方賊至。
彩色の鳥が飛來すれば、若し是れ「歳德」の所在する方位より來れば、急病有るを主り、また伏兵の陣を冲るを主り、兵象の怪異と敵人の奸謀とを防ぐを要す。百舌鳥が營中に喧噪するは、敵人に奸計有る、五更の時分に敵人の來りて寨を劫する有らん、當に防備すべし。赤色の鳥が軍中に飛進むは、天神の助陣有る、喜を主る。營中の夜裡に怪鳥の鳴叫するは、即ち其の鳴叫する處に旗幟を立起し・兵器を磨礪し、禳解を舉行すれば則ち吉なり。若し當令の旺方に在れば、還に算して可なり、若し忌む所の方に在れば、則ち敵人の來らんとするを主る。
鶯語營中,主將出陣有聲名,且得君賞賜。鵪鶉成群入軍,主士卒多淫奔,獲鶉出戰勝,不獲反被敵傷。杜宇入營,主賊凶我吉。鸛入營,主天雨。鶴入營,主朝廷有恩詔至。
黃鶯が營中に啼叫するは、主將の陣を出でて聲名を博得する能く・還に君主の賞賜を得んとするを主る。鵪鶉が成群して軍中に飛入るは、士卒の多く淫亂私奔の事有るを主る。能く鵪鶉を捉へば、出戰すれば即ち勝てり、捉へざれば返って敵人に傷せられん。杜鵑が營中に飛入るは、敵方は凶にして我方は吉を主る。鸛鳥が營中に飛入るは、天の雨を下さんとするを主る。鶴が營中に飛入るは、朝廷に恩典詔書の到來有るを主る。
占蟲類
軍營中無故有蟲出沒,是為兵潰人離之兆。鼠咬兵器皮條,主兵潰散,遷營吉,守舊凶;鼠咬弓箭衣服,主敵人以妖術害我,可速移營;白鼠隨軍,獲之主有戰功,須以來方決敵在何處;群鼠出營,主文書、火發、賊來,若移營免災。
軍營の裡に緣故なく蟲子の出沒有るは、這は軍隊の潰散・人心の離析の徵兆なり。老鼠が兵器の上の皮條を咬斷するは、軍隊の潰散を主り、營を遷せば則ち吉、原地を死守すれば即ち凶なり。老鼠が弓箭衣服を咬壞するは、敵人の妖術を用いて我方を加害せんとするを主り、當に趕く營を移すべし。白鼠の軍隊に跟隨する有るは、能くそれを捉へば即ち戰功有るを主り、還に其の來る方向に按じて敵人のいずれの一處に在るかを判定するを要す。成群の老鼠が營外に往きて跑るは、文書の事有り・火災有り・敵人の來犯有るを主り、ただ營寨を遷移すれば便ち災を免る可し。
蠅蟎不時集營,主士卒瘟疫痢疾,遷營祭禱可免。蝴蝶飛集營中,防有奸軍,過三日後無竟,且主士卒迷戀。螻蟈在軍聚鳴前後,防營內有大災,大將當賞犒三軍,免驚。
蒼蠅・蟎蟲が時常に營中に聚集するは、士卒の瘟疫痢疾を生ぜんとするを主り、營を遷し并せて祭禱を舉行すれば避免する可し。蝴蝶が成群して營中に飛聚するは、軍中の奸細を防ぐを要す。三天を過ぎて動靜なければ即ち事なし、此のほかまた士卒の女色に沉迷するを主る。螻蛄・蛙類が營前營後に聚集鳴叫するは、營內に大災有るを防ぐを要し、主將は當に三軍を犒賞して、乃ち驚擾を免る可し。
占獸類
行軍有野獸沖陣者,不祥之兆,獲得者小吉,不獲者大凶。軍中見異獸不識者,看有爪牙否,有爪牙三七日月有敵兵至傷人,無牙爪不畏。狼虎入軍,三七日防戰,先行兵者凶,後舉兵者勝;獲者吉,不獲者凶。若行軍前後有狼虎鳴者,防暴兵侵斥,在申方有戰爭,三軍宜固守則吉。
行軍の時に野獸の陣中に冲进る有るは、不祥の兆なり:能く捕獲すれば、小吉。捕へざれば、大凶。軍中に認め出だせざる異獸を見れば、先ず其の爪牙有るや否やを看よ:爪牙有るは、二十一天の內に敵兵の到來して人を傷づる有らん。爪牙なきは、即ち畏懼するに足らざるなり。狼・虎が軍中に闖進るは、二十一天の內に交戰を防ぐを要し、先に兵を出す一方は凶、後に兵を擧ぐる一方は勝てり。能く捕獲すれば則ち吉、捕へざれば即ち凶なり。若し行軍の前後に狼虎の嚎叫有れば、突發の兵禍の侵擾を防ぐを要し、申方に於て戰事有らん、三軍は當に固守して乃ち吉なり。
野狐入營,主軍心不寧,獲之則吉,不獲者凶。熊羆入陣,獲得無損,不獲傷人,從天德天喜方至者,主大將生子。野獸夜間過營鳴者,移營則吉,日間鳴走繞軍者,逃亡之兆,移營賞眾可免。
野狐が營中に鑽り入るは、軍心の安寧ならざるを主り、それを捉へば則ち吉、捉へざれば即ち凶なり。熊羆が陣中に闖進るは、捕獲すれば即ち損傷なし、捕へざれば即ち人を傷つけん。若しそれが「天德」「天喜」の所在する方位より過來すれば、返って大將の兒子を生ぜんとするを主る。野獸が夜間に營寨を經過して鳴叫するは、營を遷せば則ち吉なり。白天に軍營を繞りて跑り邊叫するは、那是人の逃亡せんとするの徵兆、營を遷し并せて衆兵を犒賞すれば便ち避免する可し。
