兵將勇怯第十九
兵將勇怯如何斷,成敗相推論亦同。貴六陰常龍與並,若還旺相定收功。勾雀虎空蛇後,懦將難當彼敵鋒。賊之強弱多寡既較,而我將之勇怯、軍心之順逆獨不可預定乎?於是有兵將勇怯之占。
我方の兵を統べる將は勇か怯か、怎麼樣に判斷するか。連帶して事情の成敗を推斷するも、道理は亦一樣なり。若し發用が「天乙」「六合」「太陰」「太常」「青龍」の幾位の吉將を得て并臨し、更に旺相の氣に逢えば、一定能く功を建てん。若し發用が「勾陳」「朱雀」「白虎」「天空」「螣蛇」「天后」なれば、那就是懦弱の將、敵人の鋒芒を抵擋する能わず。旣に已に敵人の强弱多寡を比較し畢れば、豈に我方將領の勇怯・軍心の順逆は預先に判定する能わざらんや。是に於て即ちこ一門の「兵將勇怯」の占有らん。
兵將,統兵之將也,非兵、將並論之語。大都以初傳為主,如初傳是天乙,主開地千里;青龍、太常、六合俱為得勝;惟太陰恐中止而不前,無敗;此五將又乘旺相,定主收功,此強將也。若發用是螣蛇多驚怖,玄武多遺失,天后無威且多內惑,勾陳將士折傷,朱雀大將被讒毀,天空被賊誘又失眾,白虎殺傷喪亡。旺相猶可,休囚必敗,此懦將,何以當彼之鋒哉?功之成敗,亦同此論之,故曰“成敗相推論亦同”,此出《軍帳》、《鉤玄》諸書。
ここに言う「兵將」は、兵馬を統領する將領を指し、並不是士兵と將領とを并列して説くなり。斷法は大抵初傳を以て主と爲す:初傳が「天乙」なれば、千里の疆土を開拓するを主る。「青龍」「太常」「六合」は皆勝を得るを主る。ただ「太陰」は恐怕中途に停頓して前進せず、但し亦至るは敗にあらず。これ五位の天將が若しまた旺相の氣に乘ずれば、一定能く功を建て、這就是強將なり。若し發用が「螣蛇」なれば、多く驚懼恐怖す。「玄武」なれば、多く財物を遺失す。「天后」なれば、將領は威信なく而且内部は多く迷惑す。「勾陳」なれば、將士は折損傷亡す。「朱雀」なれば、主將は人に讒言詆毀せらる。「天空」なれば、敵人に引誘せられまた部衆を失す。「白虎」なれば、殺傷死亡す。這些の將が若し旺相に乘ずれば還に勉强にして可なり、休囚に落つれば必敗無疑なり、這就是懦將、怎麼樣に敵人の鋒芒を擋ぐを得んや。功業の成敗も、またこの法子に照らして推せ、故に「成敗相推すれば論も亦同じ」と曰うなり。這一段は《軍帳賦》《兵帳鉤玄》などの書に出づ。
軍心順逆第二十
兩敵相持要出軍,君臣向背也須明。天罡天陽月建地,河魁天陰太歲平。陽覆陰兮下逆上,陰覆陽兮逆子臣。重陽憂火重陰水,旺相休囚要細分。
兩軍對峙して出兵せんとすれば、君臣の間の向背もまた弄明白にせざる可からず。「天罡」(辰)は天陽、月建は地陽、「河魁」(戌)は天陰、太歲は地陰、四者は相配す。陽が陰の上に覆えば、是在下の者が在上に忤逆す。陰が陽の上に覆えば、是れ兒子・臣下の逆心を起こせるなり。重陽は火患を憂え、重陰は水災を防ぎ、その間また細分して旺相と休囚とを看るを要す。
天罡為天陽,月建為地陽;河魁為天陰,太歲為地陰。若天罡月建或一神臨於河魁或太歲之上為陽覆陰,主君欲害臣,父欲害子,夫欲害妻;若河魁太歲或一神臨於天罡或月建之上,為陰覆陽,主臣欲害君,子欲害父,妻欲害夫。若天罡之加月建,或月建加天罡,為陽覆陽,謂之重陽,主有火驚。若河魁臨太歲,或太歲臨河魁,為陰覆陰,謂之重陰,主有水災。更著旺相休囚,旺相者吉,休囚者凶。
天罡は天陽、月建は地陽、河魁は天陰、太歲は地陰。若し天罡あるいは月建の両者の一が河魁あるいは太歲の上に臨到せば、即ち「陽覆陰」にして、君主の臣子を害し・父親の兒子を害し・丈夫の妻子を害せんとするを主る。若し河魁あるいは太歲の両者の一が天罡あるいは月建の上に臨到せば、即ち「陰覆陽」にして、臣子の君主を害し・兒子の父親を害し・妻子の丈夫を害せんとするを主る。若し天罡が月建に加わり、あるいは月建が天罡に加われば、是れ陽の陽を壓する、「重陽」と曰い、火警有るを主る。若し河魁が太歲に臨み、あるいは太み、あるいは太歲が河魁に臨めば、是れ陰の陰を壓する、「重陰」と曰い、水災有るを主る。このほかまた合わせて旺相休囚を看るを要す:旺相の氣を得れば則ち吉、休囚に落つれば則ち凶。
核審刑害第二十一
卜戰將軍年命占,三刑六害戰難堪。更逢白虎尤當忌,若值干支俱精嚴。三刑六害大凶之神,若值將軍年命上,難以出戰,況又白虎加之乎?加年命已不可,況日干與支乎?凡值此者宜戒之慎之!若年命旺相,刑害休囚,支干上有救,尤可出征。
交戰を占うに、主將の行年本命を看るを要す:一旦三刑・六害を見れば、こ一仗は打ち難し。再び「白虎」に逢えば、なかんずく忌諱するを要す。若し日干日支の上にも見れば、那就更に嚴く戒備するを要す。三刑・六害は皆大凶の神にして、若し主將の行年本命の上に値せば、出戰し難し、いはんや更に白虎を加ふるをや。行年本命の上に加わるすら已に不可なり、いはんや日干日支の上に加わるをや。凡そこの種の情形に遇へば、務めて警戒謹愼す。但し若し行年本命が旺相の氣に當りて、刑害の神が休囚に落ち、日干日支の上にまた救神有れば、那就なおも出征する可し。
今日戰否第二十二
兩軍相守已經時,今辰憂戰始占之。勾陳剋日刑並克,不克無利各護持。大小吉居支干上,兩軍俱解固疆圍。
兩軍は已に相持すること少からざる時有りて、今日早朝に憂えて開戰せんとす、こに課を起こして占ふ。斷法は「勾陳」を看よ:勾陳が日干を克し、また刑を帶びて并せ克すれば、今日は必ず戰ふ。克せざればまた刑なきは、雙方は共に利を圖る無く、各々営壘を守護す。若し「大吉」(丑)「小吉」(未)が日干日支の上に落つれば、兩軍は皆兵を罷め、各々疆界を固守せん。
經云:“戰不戰,視勾陳。”勾陳與臨方上下相刑相剋必戰,相生和解,各守疆圍。若勾陳乘神或地盤刑剋害日辰,更凶(假令戊子返吟,勾陳乘酉臨卯地,卯刑子,是勾陳刑支也;卯又克戊土,是勾之地盤剋日也。丙辰日伏吟,晝將勾陳臨卯,卯克辰,又辰卯相害,是為勾陳刑害也。幾值此等,戰必大凶,不可輕出。《兵機總要》並諸書只言克刑日有,並不及地盤,恐失略,故錄之耳)。
經の上に曰く:「打つか打たざるかは、勾陳を看よ。」勾陳と其の臨む所の地盤の方とが上下相刑相克せば、必定に開戰す。上下相生せば、將に和を講じて、各々疆界を守らん。若し勾陳の乘ずる神あるいは其の落つる所の地盤が日干日支を刑克し・損害せば、那就更に凶なり。両例を擧ぐ:戊子の日に返吟課を得、勾陳が酉に乘じて卯地に臨めば、卯は子を刑す、這是勾陳の日支を刑するなり。卯木はまた戊土を克す、這是勾陳の地盤の日干を克するなり。丙辰の日に伏吟課を得、晝貴に將を起こし、勾陳が卯の上に臨めば、卯木は辰土を克し、辰と卯とはまた相害す、這就是勾陳の刑を帶び害を帶ぶるなり。凡そこの幾種に遇へば、交戰すれば必定に大凶、輕々しく出兵すべからず。《兵機總要》と其他の各書はただ日を克し・日を刑するに至るのみ、地盤には提到せず、恐怕疎略有らん、故にここに補錄す。
若大吉、小吉居支干之上,兩家俱不欲戰。《軍帳賦》云:“兩兵相加,勾陳是的。勾陳制日,兩家合戰以爭雄;井斗來臨,彼此收戈而息怒。”也。
若し「大吉」(丑)・「小吉」(未)が日干日支の上に落つれば、両家は皆打たんと欲せざらん。《軍帳賦》に曰く:「兩軍對壘して交鋒するか否かは、勾陳が最も準なり。勾陳が日干を制住せば、両家は即ち陣を合わせて雄を爭はん。井宿・斗宿が一たび來臨せば、雙方便ち兵器を收め・怒氣を平息せん。」講ずる所は正にこの道理なり。
決定戰守第二十三
承命興師鎮玉關,未知戰守孰為先。斗罡加孟宜堅守,加仲相傷彼此殘。攻他得勝須臨季,識此安邊反掌間。
命を奉じて出師して邊關を鎭守す、なお未だ先ず戰すべきか先ず守るべきかを知らず。斷法は「斗罡」を看よ:天罡が四孟に加われば、堅く守るに宜し。四仲に加われば、雙方は互相に損傷し・彼此殘破す。對方を攻打して取勝せんと欲すれば、必ず天罡の四季に加わるを要す。この一訣を明白にせば、邊疆を安定するは掌を翻すが如く容易なり。
陳兵關塞,未知戰守孰吉,即以天罡所加定之。若加孟宜堅守,如強戰,兩家俱凶。《靈轄經》云“斗加孟神,在內宜守。加仲在門,戰必兩傷。加季在外,出兵大捷。”此利為客者也(假令丁丑日返吟,大吉臨日,小吉臨辰,主兩軍和解,天罡臨戌是季,宜出兵大勝)。《金匱》“對敵當視天罡,加孟可休士卒,加仲兩傷,加季大勝也。”
關塞に兵を陳ねて、戰と守と孰れか吉なるかを知らざれば、即ち天罡の加ふる所の位を用いて以て定む。天罡が四孟に加われば、堅く守るに宜し。若し勉强に出戰せば、両家は皆凶なり。《靈轄經》に曰く:「斗罡が孟神に加わるは、是在內にして、守るに宜し。仲神に加わるは、是在門にして、戰へば兩傷す。季神に加わるは、是在外にして、出兵すれば大捷せん。」これは客方を作りて進攻するに就て言ふなり。例を擧げて言へば:丁丑の日に返吟課を得、「大吉」が日干に臨み、「小吉」が日支に臨めば、兩軍の和解を主る。而して天罡が戌に臨めば、戌は四季に屬す、那就出兵するに宜しく、大勝を主る。《金匱經》もまた曰く:「敵に對して當に天罡を看るべし:四孟に加われば士卒を休息せしむ可く、四仲に加われば兩下皆傷を受け、四季に加われば則ち大勝せん。」
主客勝負第二十四
勝負支干主客分,辰刑日上主贏賓。干克支上利為客,日上乘凶利主人。不戰則已,占則主客勝負未有不先定者。干在上,為外為客;支在下,為內為主。假如利為客,我多張旗幟,鼓角高鳴而先行。如不利為客,則宜掩旗靜鼓以為之,使彼先動,我後應之。此變動之道也,為主亦然。
勝負は日干日支より主客を分かつ:日支が日干の上神を刑すれば、主方は客方に赢つ。日干が日支の上神を克すれば、客を作るに利す。日干の上に凶將に乘ずれば、則ち主を作るに利す。打たざれば則ち已、一たび打ち起こせば、主客の勝負は先ず定まらざるはなし。日干は上に在り、外を爲し客を爲す。日支は下に在り、內を爲し主を爲す。假令客を作るに利するを占得せば、我方は旗幟を多く張り・鼓角を齊しく鳴らし、搶先して出擊す。若し客を作るに利せざれば、當に旗幟を收め・鼓聲を響かせず、對方に先んじて動かしめ、我方は後發して相應ず。これ隨機應變の道理、主を作る一方も同じなり。
太平之世,出師征討不庭,以先動者為主,所征者為客。若陳兵原野,與敵對壘,以先動者為客,後應者為主,此真秘法也,然卒不能以支干為定。辰上辰剋日上神,或辰剋日亦是;日上神克辰上神,或日克辰上神亦是(如甲午日丑加午,此害氣臨辰,客勝)。《兵帳賦》云:“損支主敗,傷干客輸。”
太平の世に、朝廷が師を出して朝覲せざる諸侯を征討すれば、即ち先に兵を動かす一方を主と爲し、征討せらるる一方を客と爲す。若し是れ原野に兵を陳ね・敵と對壘すれば、那就先に手を動かすを客と爲し・後に應戰するを主と爲す、こ乃ち真の祕法、可見終竟に死板に日干日支を拿りて以て定むる能わず。日支の上神が日干の上神を克し、あるいは日支が直接日干を克すれば、皆日干の傷を受くると算す。日干の上神が日支の上神を克し、あるいは日干が日支の上神を克すれば、皆日支の損を受くると算す。例えば甲午の日に丑を午に加ふれば、害氣は日支の上に臨む、即ち客方の勝ちなり。《兵帳賦》に曰く:「日支が損を受くれば、主方敗つ。日干が傷を受くれば、客方輸す。」
又以日陽為客大將,日陰為客參將,辰陽為主大將,辰陰為主參將,觀其生克以定勝負。范蠡曰:“重審,下賊上,主勝;元首,上克下,客勝。”日上乘凶者,日上見凶將也,日上見凶將則客凶,辰上見凶將主凶。日上凶,辰上吉,主人利;辰上凶,日上吉,客克。日辰俱凶,主客俱凶。日辰俱吉,主客俱吉。
別に一法有り:日干の陽神を以て客方の大將と爲し、日干の陰神を以て客方の參將と爲す。日支の陽神を以て主方の大將と爲し、日支の陰神を以て主方の參將と爲し、其の彼此の生克を看て以て勝負を定む。范蠡に曰く:「『重審』課は下神が上神を賊すれば、主方勝つ。『元首』課は上神が下神を克すれば、客方勝つ。」言う所の「日上に乘る凶」は、日干の上に凶將を見る:日干の上に凶將を見れば、客方凶。日支の上に凶將を見れば、主方凶。日干の上が凶にして日支の上が吉なれば、主方は利有り。日支の上が凶にして日干の上が吉なれば、客方は取勝す。日干日支が皆凶なれば、主客皆凶。日干日支が皆吉なれば、主客皆吉。
日辰分主客,自是古式,《玄黃一秤金》不以日辰分,專以先起為客,後起為主。假如我先起兵,則干屬我,支屬他,我客他主,傷干我敗,傷支他敗。如他先起兵,則干屬他為客,支屬我為主,傷干他凡,傷支我敗。
日干日支を用いて主客を分かつは、本是古式の老辦法。《玄黃一秤金》は卻って日干日支に按じて分かたず、專ら先に起兵するを客と爲し・後に起兵するを主と爲す。例えば我方が先に起兵すれば、那麽日干は即ち我に屬し・日支は即ち彼に屬す、我は客を爲し彼は主を爲し、日干が傷を受くれば是我の敗、日支が傷を受くれば是彼の敗。反對に彼が先に起兵すれば、日干は即ち彼に屬して客を爲し、日支は我に屬して主を爲し、日干が傷を受くれば是彼の敗、日支が傷を受くれば是我の敗。
又大將取勝,先要知背孤擊虛之法,萬人以上用年孤虛,千人以上用月孤虛,百人以上用日孤虛,十人以上用時孤虛。年孤者,太歲之後一辰也,對宮為虛,日月時亦如之。太公曰:“行軍知法,能知孤虛,一女能敵十夫。”
更に言へば、主將が取勝せんと欲せば、先ず「孤を背けて虚を擊つ」の法門を懂るを要す:兵を統べること萬人以上は、年の孤虚を用ふ。千人以上は、月の孤虚を用ふ。百人以上は、日の孤虚を用ふ。十人以上は、時の孤虚を用ふ。言う所の「年孤」は、太歲より後に數うて第一位の地支、其の對宮即ち「虚」なり。月・日・時の孤虚もまたこの法子に照らして取る。太公に曰く:「行軍して法度を懂り・能く孤虚を識れば、一箇の女子も十箇の壯漢に抵擋する能し。」
勾將克方為主勝,客贏方反克勾陳。用空為客須亡眾,賊勝緣初克未神。《神定經》云:“主客勝負詳勾陳。勾陳克所臨之方則主勝,所臨之方剋制勾陳則客勝。”臨方,謂地盤。如此則又不論日辰矣。
勾陳の乘ずる神が其の臨む所の地盤の方を克すれば、主方勝つ。反對に地盤の方が勾陳を克すれば、客方赢つ。用神が空亡に落つれば、客を作る一方は兵を損じ將を折らん。敵人の取勝するは、初傳が末傳を克したるに因るなり。《神定經》に曰く:「主客の勝負は詳しく勾陳を看よ:勾陳が其の臨む所の地盤の方を克すれば、即ち主方の勝ち。臨む所の方が返って勾陳を克制せば、即ち客方の勝ち。」ここに言ふ「臨方」は、指す所は地盤なり。この説に照らせば、則ちまた日干日支を論ぜずとも可なり。
古法以用神為客為士卒,空亡則主士卒逃亡失散。初克末賊勝者,初中為外為客,未傳為內為主,克末故賊勝。如我入敵境,則宜初中制末;敵來侵我,則宜未制初、中。
古法は用神を以て客方を代表し・また士卒を代表す、用神が空亡に落つれば、即ち士卒の逃亡走散を主る。至於「初傳が末傳を克せば則ち敵勝つ」は、初傳・中傳は外を爲し客を爲し、末傳は內を爲し主を爲す、初傳が末傳を克したれば、故に敵方は勝を得るなり。これより推し開けば:若し是れ我方が敵境に攻め入るは、我は客を爲し、則ち初傳中傳をして末傳を制住せしむるを要す。若し是れ敵人が來りて我を侵犯すれば、我は主を爲し、則ち末傳をして初傳と中傳とを制住せしむるを要す。
華虜詳推刑德準,命年制虎武勾陳。又宜勾將克遊武,賊位神宜勾將侵。勾將若臨賊位上,貴宜遙制下乘神。占初貴六青常吉,八將俱凶各有論。若中國與夷虜交兵,又以刑德推勝負。德克刑中國勝,刑剋德夷虜勝(德是日德,刑是三刑),又詳德所臨之地方生克否。
中原が外族と交戰すれば、「刑」「德」を以て準と爲して推詳するを要す。主將の本命行年は最も能く「白虎」「玄武」「勾陳」の三將を制住するを好しとす。勾陳の乘ずる神はまた宜しく「遊都」と玄武とを克すべく、敵人の所在する方位の神もまた宜しく勾陳に侵克せらるべし。若し勾陳が敵位の上に臨めば、即ち天乙貴人をして遥かに勾陳の下に乘ずる神を制住せしむるを要す。戰を占ふの初傳に「天乙」「六合」「青龍」「太常」を得るを吉と爲し、其余の八將は皆凶に屬し、各々斷法有り。中原が夷狄と交兵すれば、即ち刑德を用いて勝負を推す:德が刑を克すれば、中原勝つ。刑が德を克すれば、夷狄勝つ。ここに言ふ「德」は日德を指し、「刑」は三刑を指す。なお細看して德の臨む所の地盤の方が是れを生ずるか是れを克するかを看るを要す。
命年,主將本命、行年也。若白虎、玄武、勾陳三神乘神被主將命上神或刑之,或害之,或克之,利為客勝。六處但有制遊玄之神,俱我勝(假令主將本命乙丑,壬戌日伏吟課,晝貴巳逆行,白虎臨戌,本命丑刑戌,此是主將本命制白虎,用兵大勝)。或主將年命不制虎武勾三神,又要勾陳剋制游都並玄武所臨之地盤(假令癸巳日,晝貴巳臨申逆行,勾陳丑臨辰,游都臨玄武亦臨亥,此勾臨方克游都臨方,出兵大勝)。
言う所の「命年」は、即ち主將の本命と行年なり。若し「白虎」「玄武」「勾陳」の三將の乘ずる神が、主將の本命の上の神に刑せられ・害せられ・あるいは克せらるれば、即ち客を作りて取勝するに利す。日・辰・年・命・三傳・正時のこ六處の中に、ただ能く遊都・玄武を制住する神有れば、皆我方の勝ちを主る。例を擧ぐ:主將の本命は乙丑、壬戌の日に伏吟課を得、晝貴は巳を起こりて逆行し、白虎が戌の上に臨み、本命の丑は戌を刑す、這是主將の本命が白虎を制住する、兵を用ふれば大勝す。若し主將の行年本命が白虎・玄武・勾陳の三將を制住せざれば、那就勾陳に靠りて遊都と玄武の落つる所の地盤を克制す。例を擧ぐ:癸巳の日、晝貴は巳が申に臨みて逆行し、勾陳が丑に乘じて辰の上に臨み、遊都と玄武とは皆亥に臨み、勾陳の臨む所の方は遊都の臨む所の方を克す、出兵すれば大勝す。
范蠡曰:“勾陳為主將,玄武為客將,旺相者勝,囚死者負。勾克武,主勝;武克勾,客勝。”賊位,賊所居之方位也,其位宜勾陳乘神克之(假令甲子日干上午,辰作玄臨子,陰貴乘未臨卯順行,亥作勾陳臨未,克賊方之子水,此勾克賊方神也,出兵大勝,此只論地盤即知之矣)。
范蠡に曰く:「勾陳は主方の將、玄武は客方の將。旺相の氣を得る者は勝ち、囚死の地に落つる者は負く。勾陳が玄武を克すれば、主方勝つ。玄武が勾陳を克すれば、客方勝つ。」言う所の「賊位」は、敵人の居する所の方位、こ方位は最も勾陳の乘ずる神に克住せらるるを好しとす。例を擧ぐ:甲子の日、日干の上は午、日支の上は玄武を作して子に臨み、陰貴は未に乘じて卯に臨みて順行し、亥の上は勾陳を作して未に臨み、亥水……盤に按じて推算すれば、勾陳の臨む所は敵方の子水を克住す、這是勾陳の敵方の神を克する、出兵すれば大勝す。こ一層はただ地盤を看れば便ち明白なり。
若勾陳臨賊位上,天乙不拘立於何地,但要乘神剋制勾陳之地者,吉(如丙申日干上寅,夜貴酉臨子,賊在卯方;主將行年在巳,日干丙加申,是日刑辰又克辰。行年巳上見寅,白虎乘辰加未,是主將行年上寅克白虎所乘辰土也。勾陳乘大吉,是行年上神克勾陳也;賊方卯上見子,是勾將克賊位神也,利為客先舉者勝)。
若し勾陳が已に敵人の居する所の方位の上に臨めば、那麽天乙貴人はいずれの一宮に立つとも要せず、ただ其の乘ずる神が能く勾陳の所在する地を克制せば、即ち吉なり。例を擧ぐ:丙申の日、日干の上に寅を見、夜貴は酉を起こりて子に臨み、敵人は卯方に在り。主將の行年は巳に在り。日干の丙は申宮に寄せ、申の上に加わるは、是れ日干が日支を刑しまた日支を克するなり。行年の巳の上に寅を見、白虎は辰に乘じて未の上に加わるは、這是主將行年の上の寅木が白虎の乘ずる辰土を克住するなり。勾陳は「大吉」(丑)に乘ず、這是行年の上神が勾陳を克するなり。敵方の所在する卯の上に子を見るは、這是勾陳の將が敵位の神を克するなり。合わせれば、客を作りて搶先して出兵するに利し、先に手を動かす一方は取勝す。
《靈匣經》云:“主將行年克勾虎大勝,不然勾克玄亦勝。勾陳所居之神能制所攻之神,必勝。所攻之神與勾陳並,賊勝。天乙乘神能制勾陳乘神,是為敵降(如乙未日反吟,賊居寅地,陽貴子臨午逆行。勾陳乘申臨寅立賊方,天乙在午,能制賊方勾陳之申金,出兵亦勝。
《靈匣經》に曰く:「主將の行年が勾陳・白虎を克せば、大勝す。然らざれば勾陳が玄武を克するも亦勝つ。勾陳の居する神が能く我方の攻めんとする其の一方の神を制住せば、必勝す。反對に、攻むる所の神が勾陳と一處に并なれば、敵方勝つ。天乙の乘ずる神が能く勾陳の乘ずる神を制住せば、那就是敵人の來りて降るなり。」例を擧ぐ:乙未の日に返吟吟課を得、敵人は寅地に在り、陽貴は子を起こりて午に臨みて逆行し、勾陳が申に乘じて寅の上に臨み、正に敵方に立つ。天乙は午に在り、午火は能く敵方の勾陳の乘ずる申金を制住す、かくの如く出兵するもまた取勝する能し。
占,占戰也;初,初傳也。凡占戰鬥,初傳得天乙、六合、青龍、太常,大利。《集靈經》云:“用見天乙,出兵大捷,拓地千里。見六合,得賊玉帛子女。見青龍,得賊營寨、府庫、錢財。太常,得賊衣服、緞帛、旗幟,大勝。”《金匱經》云:“天乙臨大將行年,或在有氣之鄉,玄武臨死囚之地,大勝。”
歌訣の裡の「占」は交戰を占ふを指し、「初」は初傳を指す。凡そ戰鬥を占ふに、初傳に「天乙」「六合」「青龍」「太常」を得れば、皆大いに利有り。《集靈經》に曰く:「發用に天乙を見れば、出兵して大捷し、千里の疆土を開拓す。六合を見れば、敵方の財帛人口を得る可し。青龍を見れば、敵方の営寨・府庫と錢財を得る可し。太常を見れば、敵方の衣服・緞帛・旗幟を得る可く、大勝せん。」《金匱經》に曰く:「天乙が主將の行年の上に臨み、あるいは氣有る之鄕に落ち、同時に玄武が死囚の地に落つれば、大勝を主る。」
八將者,蛇、雀、勾、空、虎、武、陰、後也,此八將俱為凶神。各有論,各有主也,《集靈經》曰:“用見螣蛇,驚恐傷損。見朱雀,士卒作亂,妄作口舌。見勾陳,戰傷被擒。見天空,士卒欺詐。見白虎,士卒死亡疾病。見玄武,戰敗,軍中多遺失偷盜。見太陰,士卒怯弱,私匿隱藏。見天后不戰自敗,將亦無權。”《金匱經》曰:“玄武臨日辰,遙克時上辰者,勿與戰。”
言う所の「八將」は、螣蛇・朱雀・勾陳・天空・白虎・玄武・太陰・天后、こ八位は皆凶神に屬し、各々斷法と所主と有り。《集靈經》に曰く:「發用に螣蛇を見れば、驚恐と傷損とを主る。朱雀を見れば、士卒は亂を作し・胡に口舌を生ぜん。勾陳を見れば、戰鬥の中に傷を受け擒はれん。天空を見れば、士卒は虛偽を弄せん。白虎を見れば、士卒は死亡疾病せん。玄武を見れば、戰に敗れ、軍中に多く遺失偷盜有らん。太陰を見れば、士卒は怯弱にして・私に躲藏せん。天后を見れば、戰はずして自ら敗れ、主將もまた權柄なからん。」《金匱經》に曰く:「玄武が日干日支に臨み、また位を隔てて遥かに占時の支を克する者は、敵と交戰する勿れ。」
日上孤雄子孫勝,干支切忌父官臨。財神六處相逢惡,尤畏害刑白虎凶。日上,日干上也。子孫,干所生之神。子孫能制鬼,故日上有子孫者勝(如甲辰日,干上午,辰上申,申為甲鬼,被甲上午火克之,賊雖強不能為害)。
日干の上に「孤」「雄」の二神を得、また「子孫」を見れば、即ち能く取勝す。日干日支の上は則ち切に「父母」「官鬼」の臨壓を忌む。「財」神も六處に於て遇上するは好からず、なかんずく六害・三刑と白虎の帶來する凶險を怕る。ここに言ふ「日上」は日干の上を指し、「子孫」は日干の生ずる其の一神なり。子孫は能く官鬼を制すれば、故に日干の上に子孫有る一方は取勝す。例を擧ぐ:甲辰の日、日干の上は午、日支の上は申。申金は甲木の官鬼、卻って甲の上の午火に克せらる、敵人は強しと雖も我を害する能わざるなり。
孤雄,亦名戰雄,戰雄臨日客勝,臨辰主勝;對沖為戰雌,臨日客敗,臨辰主敗。大將知此,當得坐雄擊雌之法。
言う所の「孤雄」は、また「戰雄」と曰ふ:戰雄が日干に臨めば、客方勝つ。日支に臨めば、主方勝つ。之と相沖するを「戰雌」と曰ふ:戰雌が日干に臨めば、客方敗つ。日支に臨めば、主方敗つ。主將がこ一層を懂れば、即ち雄位に坐守し・雌位を攻擊するの法門を掌握せり。
生干者父母,剋日者官鬼,課取子孫制鬼,若見父母爻,則克子孫矣,烏能制鬼哉?故與官鬼並忌之。如六處無鬼,支干上見子孫,則為脫神。財,日之所克神也,能生鬼,故六處亦忌之。六處,謂日、辰、年、命、三傳、正時六處。若此六處無鬼,亦不忌財。課傳全財,賊神又旺相得地,占賊已到邊境。將星乘子孫克遊玄或賊方之神者,吉(將星驛馬後二位是)。
日干を生ずるは「父母」、日干を克するは「官鬼」。課中は本來子孫を取りて官鬼を制せんと欲す、若し父母爻を見れば、父母は子孫を克す、子孫は還に怎麼樣に官鬼を制住するを得んや。故に父母は官鬼と一同に忌諱するを要す。假如六處皆官鬼なからして、而して日干日支の上にまた子孫を見れば、那子孫は返って氣を泄がすの「脱神」と成らん。「財」は日干の克する神、それは能く官鬼を生ずれば、故に六處もまた之を忌む。言う所の六處は、即ち日・辰・年・命・三傳・正時のこ六箇の地方なり。若しこ六處皆官鬼なからざれば、那麽財もまた忌むに及ばず。若し四課三傳全て財なりて、而して敵方の神がまた旺相にして地を得れば、則ち敵人の已に邊境に到りたるを斷ず。將星が子孫に乘じて遊都・玄武あるいは敵方の神を克する者は、吉なり。將星即ち驛馬の後の第二位なり。
六害、三刑並白虎,更不宜六處見之,日辰年命逢此三神,其凶更甚(如午日丑加午,此害氣臨辰,客勝。假令主將本命甲子,但逢甲、逢子年月日時,俱是伏吟,逢庚午為反吟,逢卯是三刑,未是六害,遇此勿出兵臨敵。又如主將年命在子,六甲日反吟,陽貴丑臨未逆行,白虎臨子,此白虎臨主將之命,又辰臨子,天罡克主將之命,俱不可戰)。
六害・三刑と白虎と連なりて、六處の中に更に見るに宜からず。日・辰・年・命の上に此の三者に遇へば、凶險は就更に重し。例を擧ぐ:午の日に丑を午の上に加ふれば、害氣は日支に臨む、客方勝つ。又如主將の本命は甲子、凡そ甲に逢ひ・子に逢ふ年月日時は、皆伏吟を構成す。庚午に逢へば即ち返吟。卯に逢へば是三刑。未に逢へば是六害。これらに遇上せば皆兵を出して敵に臨む勿れ。再如主將の年命は子に在り、六甲の日に返吟課を得、陽貴は丑を起こりて未に臨みて逆行し、白虎が子の上に臨めば、這是白虎が主將の本命を壓住するなり。同時に辰が子の上に臨めば、天罡は主將の本命を克す。こ兩種の情形は皆交戰する可からず。
《心鏡》云:“六害來加年命上,此時攻戰自遭刑。白虎若並凶更甚,日辰遙克切須明。”年命上忌魁、罡、螣蛇(凡言年命,皆指主將而言)。害,六害也,子未、丑午之類。
《六壬心鏡》に曰く:「六害が行年本命の上に加われば、此の時出戰すれば自己は即ち刑傷を遭わん。若し再び白虎と并臨せば、凶險は更に重し。日干日支の間の遥克も、また務めて看明白にせよ。」行年本命の上はなお「河魁」「天罡」と「螣蛇」とを見るを忌む。凡そ行年本命を講ずるは、皆主將を指して言ふ。言う所の「害」即ち六害、子と未・丑と午の類の如し。
獄寇炎從並九丑,二煩網禍有災臻。生孤建旺罡雄相,主將宜居擊對辰。獄,天獄也。初傳囚死,罡加日本(日之長生),墓加同類,仰邱俯仇(邱即墓也),為天獄卦;傳中更值災劫刑害(災,災煞;劫,劫煞;刑,三刑;害,六害),其凶更甚。
「天獄」「天寇」「炎上」「從革」および「九丑」、更に「天煩」「地煩」「天網」「天禍」を加へ、凡そこれらの課に遇へば、災禍は即ち來らん。反對に、「生氣」「空亡」「月建」「旺氣」「天罡」「戰雄」「相氣」のこ七處は、主將は當に其中の一處に坐して、對宮に向かって出擊すべし。先ず「獄」を説く、即ち天獄課:初傳が囚死の地に落ち、天罡が日干の長生の位に加わり、墓神が同類の支に加わり、また「仰邱俯仇」を構成す、邱即ち墓なり、かくの如くすれば即ち天獄卦なり。三傳の中に若し再び災煞・劫煞・三刑・六害に遇へば、凶險は就更に重し。
此課惟甲乙日辰加亥,為罡加日本;未加寅,為墓加同類(未為木墓,寅為甲乙之同類);又為仰邱俯仇(寅上見未為仰邱,未為寅克為俯仇),的為天獄卦。庚辛日罡加巳,丑加寅亦是(巳為庚辛之本,丑為金墓,寅上見丑為仰邱,丑被寅克為俯仇),但罡不克日本,墓不加同類,為禍稍輕。六甲、六乙、六辛、六庚,凡二十四日,共有二十四課;餘雖有罡加日本,卻無墓加同類、仰邱俯仇,俱非此例。
こ種の課は、ただ甲の日・乙の日に辰を亥の上に加へば、乃ち「罡が日本に加わる」と算す、亥は甲乙木の長生なればなり。未を寅の上に加へば、乃ち「墓が同類に加わる」と算す、未は木の墓庫、寅は甲乙と同じく木に屬するが故なり。同時にまた「仰邱俯仇」を構成す:寅の上に未を見るを仰邱と曰い、未が寅に克せらるるを俯仇と曰ふ。こ乃ち確確實實の天獄卦なり。庚の日・辛の日に天罡を巳の上に加へ・丑を寅の上に加ふるも、また一種と算す、巳は庚辛金の長生、丑は金の墓庫、寅の上に丑を見るを仰邱と爲し、丑が寅に克せらるるを俯仇と爲す。但しこ種の情形は天罡は並不に日干の長生を克せず、墓神もまた同類の上に加わるにあらず、故に禍患は稍や輕し。六甲・六乙・六庚・六辛を合わせて一共に二十四日、即ち二十四課有り。其余の各日は雖もまた罡が日本に加わる有れど、墓が同類に加わり・仰邱俯仇するは無し、皆こ例の內に算入せず。
寇,天寇也。太陰加於分至(春分、秋分、冬至、夏至前一日)之支為天寇卦。炎,炎上課,三傳寅午戌。從,從革課,三傳巳酉丑。《克應經》云:“炎上防火炎,天將或地盤見水為有救。從革防戰鬥,天將或地盤見火為救。金日遇炎上,木日遇從革,尤凶。”
「寇」は天寇課:「太陰」が春分・秋分・冬至・夏至のこ四箇の節氣の前一日の地支の上に加われば、即ち天寇卦なり。「炎」は炎上課、三傳は寅・午・戌の三合火局なり。「從」は從革課、三傳は巳・酉・丑の三合金局なり。《克應經》に曰く:「炎上課は火災を防ぐを要す、若し天將あるいは地盤の上に水を見れば、救有りと算す。從革課は戰鬥を防ぐを要す、若し天將あるいは地盤の上に火を見れば、救有りと算す。金の日に炎上を占得し・木の日に從革を占得すれば、なかんずく凶險なり。」
九丑,亦卦名,謂乙、戊、己、辛、壬、五干,臨於子午卯酉四支,此十日為九丑日。此十日內遇大吉加本日干支,又大時、小時二煞加日辰或在傳內,出軍忌之(大時就正月在卯,逆行四仲,小時死囚在月建上是也)。
「九丑」もまた一箇の課名:乙・戊・己・辛・壬のこ五箇の天干、配して子・午・卯・酉の四箇の地支、共に十日を得、こ十天即ち九丑日と曰ふ。こ十天の內に、若し再び「大吉」(丑)の本日の干支の上に加わるに遇ひ、「大時」「小時」の兩箇の凶煞が日干日支に加臨し・あるいは三傳の內に落つるを加へば、出兵すれば忌諱するを要す。大時の排法は正月は卯に在り、四仲の位に沿いて逆行す。小時は則ち死囚の氣が月建の上に落つるなり。
二煩,天煩、地煩也。日宿加四仲,天罡加丑未為天煩卦;月宿加四仲,天罡加丑未,為地煩卦。如日宿月宿加四仲,天罡不臨丑未者,為杜傳。日宿月宿即太陽太陰躔度,俱詳臺曆。網,天網卦,正時並用神俱剋日干,是為天網卦。
「二煩」は天煩・地煩の兩課を指す。日宿が四仲の位に加わり、同時に天罡が丑あるいは未の上に加われば、即ち天煩卦なり。月宿が四仲の位に加わり、天罡もまた丑あるいは未の上に加われば、即ち地煩卦なり。若し日宿・月宿は雖も四仲に加われど、而して天罡は並不に丑未に臨まざれば、那就「杜傳」と曰ふ。言う所の日宿・月宿は、即ち太陽と太陰の運行する所の躔度、皆欽天監の頒する所の暦書の裡に載す。「網」は天網卦:占時と用神とが皆來りて日干を克せば、即ち天網卦を構成す。
四立前一日為四絕日(立春、立夏、立秋、立冬,前一日),四立之干臨於絕日之干,為天禍(《觀月經》又以絕日之干臨於四立之下為天禍,未知何出)。以上九課,舉兵俱凶,故云有災臻,總承上句而言也。
立春・立夏・立秋・立冬のこ四立の前一天は、「四絶日」と曰ふ。四立當天の天干が絶日の天干の上に臨到せば、即ち「天禍」課なり。《觀月經》はまた絶日の天干が四立の下に臨到して乃ち天禍と算すと説く、こ一説の出づる所を知らず。以上一共に九種の課、以て兵を擧ぐるに皆凶に屬すれば、故に歌訣は「災臻有り」と曰ふ、これは總じて上一句を承くるに就て言ふなり。
生,生氣也;孤,空亡也;建,月建也;旺,四時之旺氣也;罡,天罡也;雄,戰雄也;相,四時之相氣也;辰上,七辰所對之宮也。言主將宜居此七神,以擊對宮,大勝。《魯氏占》曰:“背生擊死,背孤擊虛,背建擊破,背旺相擊死囚,背罡擊魁,背雄擊雌,百戰百勝(倘不合此,堅壁待時)。”正此之謂。
歌訣末句の裡の「生」は生氣、「孤」は空亡、「建」は月建、「旺」は四時の旺氣、「罡」は天罡、「雄」は戰雄、「相」は四時の相氣。「辰上」は則ちこ七神の對する宮位を指す。意思は主將は當にこ七箇の神位の一に坐して、對宮に向かって出擊すべし、必ず大勝を獲ん。《魯氏占》に曰く:「生氣を背けて死氣を打ち、空亡を背けて對沖の虚を打ち、月建を背けて月破を打ち、旺相を背けて死囚を打ち、天罡を背けて河魁を打ち、戰雄を背けて戰雌を打てば、百戰百勝す。倘若これらの條件に合せざれば、則ち堅壁固守して、時機を等待せよ。」講ずる所は正にこの意思なり。
課體分主客勝負時
元首忠良先舉宜,逆後重審搴旗知。知一比用須和允,涉害察微要見機。日遙神遙分主客,昂星剛柔各稽遲。伏吟主靜返吟遠,別責八專利出奇。凡以六壬占兵,先審卦義,詳其吉凶,而定其戰守奇正,然後舉兵。
「元首」課は上下忠良にして序有り、搶先して發動するに宜し。違逆して後に應ずるは「重審」課にして、拔旗奪陣の事有るを知る可し。「知一」課は比用の神を取り、凡事は講和允諾を講ずるを要す。「涉害」課は其の幽微を察し、務めて機を見て動くを要す。日干の遥克と上神の遥克とは、分かちて客と主とに對應す。「昴星」課は陽日陰日に分かち、各々稽留遲滯有り。「伏吟」は靜守を主り、「返吟」は遠行を主る。「別責」「八專」の兩課は則ち奇を出して勝を制するに利す。凡そ六壬を用いて兵事を占ふに、皆先ず課體の義理を審明にし、詳細に其中の吉凶を推し、據りて是れ戰か守か・奇を用ふるか正を用ふるかを決定し、然る後に乃ち兵を動かす。
下賊上為用者,卦名元首,主臣忠子孝,聞事皆實;利先舉,未利後動,利為客,不利為主。上克下為用者,卦名重審,主下凌於上,多事不順;此時行兵,利後應,不利先動,利主,不利客。
下神が上神を賊するの一課を取りて發用と爲し、課名は「元首」、臣忠子孝を象徴し、聞く所の事情は皆實情なり。此の時は搶先して發動するに利し、後動するに利せず、即ち客に利して主に利せず。上神が下神を克するの一課を取りて發用と爲し、課名は「重審」、在下の者が在上に凌犯するを象徴し、事情は多く順ならず。此の時用兵すれば、後發して相應ずるに利し、先に手を動かすに利せず、即ち主に利して客に利せず。
比用課為用者,卦名知一,比者近也,占人不出邑里,占賊皆在近處;此時行兵,進退孤疑,是和允之兆。涉害課為用者,卦名見機用孟、察徽用仲,主作事稽留,憂患難解;此時行兵,當審其後,察其後而動,否則恐致傷也。
比用の神を取りて發用と爲し、課名は「知一」。「比」は相近の意思、人を占へば人は本鄕本邑を出でず、敵を占へば敵は即ち近處に在り。此の時用兵すれば、進退の間は猶疑して決せず、是れ講和允諾するに宜しきの徵兆なり。涉害の神を取りて發用と爲し、課名は「涉害」:若し四孟の神を取れば「見機」と曰い、四仲の神を取れば「察微」と曰ふ、事を辦するに拖延して・憂患は解け難きを主る。此の時用兵すれば、當に後路を審察し、看清楚にして後に動け、さもなければ恐怕損傷を受けん。
遙克為用者,卦名蒿矢(神遙剋日)、彈射(日遙克神),射無所中,諸事皆輕;此時行兵,雖凶無畏。蒿矢利主,彈射利客。昴星剛日卦,名虎視,主動,出兵欲動,忌關梁稽滯;柔日卦,名冬蛇掩目,主伏,利於伏藏,若我往攻彼,必潛伏不見。
遥克の神を取りて發用と爲し、上神が遥かに日干を克する課名は「蒿矢」、日干が遥かに上神を克する課名は「彈射」。これは譬へば箭を射出せども射中らざるが如く、凡事は皆輕し。此の時用兵すれば、雖も凶象有れどもまた畏るるに及ばず。大體に蒿矢は主を作るに利し、彈射は客を作るに利す。「昴星」課は陽日に於ては「虎視」と曰い、動を主り、出兵して行動せんと欲すれども、關卡橋梁の阻滯を忌む。陰日に於ては「冬蛇掩目」と曰い、伏を主り、隱蔽藏伏するに利す。若し是れ我方が往きて對方を攻打すれば、對方もまた必定に潛伏して露面せざらん。
伏吟課者,天地相同,諸神各伏其位。剛日伏吟,欲行中止;柔曰伏吟,伏藏不起。此時行兵,關梁杜塞,賊不越境之象。返吟課者,天地相反,諸神各易其所,禍從外來,子逆臣奸之象;此時行兵,事多反覆,尤宜審忌。
「伏吟」課は、天盤と地盤とが完全に相同なり、諸神は各々本位に伏す。陽日の伏吟は、走らんと欲すれど半路に停住す。陰日の伏吟は、伏藏して起こる能わず。此の時用兵すれば、是れ關隘橋梁の堵塞し・敵人は越境せざるの象なり。「返吟」課は、天盤と地盤とが處處相反し、諸神は各々對宮に換へ、禍患は外面より來る、是れ兒子の忤逆・臣下の奸邪の象なり。此の時用兵すれば、事情は反復して常なく、なかんずく仔細に忌諱を審察するを要す。
八專為用者,此課陰陽其處,主客不分,此時行兵;遇敵必戰,要當時旺相為吉,又宜持正。別責為用者,此課借徑而行,倚仗別物;此時行兵,須外助方可,否則怯懦也。
「八專」を取りて發用と爲す、こ類の課は干支同宮、陰陽は一一處に擠り、主と客とは分かち清楚せず。此の時用兵すれば、一たび敵人に碰上すれば打たざるを得ず、當に當令の旺相の氣を須て乃ち吉、還に當に正道を持守すべし。「別責」を取りて發用と爲す、こ類の課は四課全からず、ただ他神の路を借りて行く、處處別の物に倚仗す。此の時用兵すれば、必ず外來の援助有るを要し、さもなければ即ち怯懦にして前進せざらん。
