抽軍避寇
耳目神居探消息,皆從於地室。大吉丑、小吉未為天目,太沖卯從魁酉為天耳。天耳即地室也。聞賊不的,即使遊騎向天耳下聽之,必得賊人行止消息。欲聽密事,亦於天耳下察之,必得。
消息を探聴するは「天耳」「天目」の両組の神を靠むを要し、而して皆「地室」より下手す。大吉(丑)・小吉(未)は天目、太冲(卯)・従魁(酉)は天耳、天耳即ち言う所の地室なり。聞く所の敵情が確切ならざれば、即ち遊動の騎兵を派して天耳の臨む下に至りて打探せしめば、必定に敵人の行止の消息を得る可し。機密の事を探聴せんと欲すれば、また天耳の下に於て察訪せば、一定して手を獲せん。
不臨支干,憂合貴人;好鄉不戰,畏處交兵。游都不臨支干,而與天乙並者,賊亦來。游都所臨相生,此好鄉不戰。若寅為游都,加申酉之上,是寅木所畏之鄉,當此之時,父子不相親,中外不相念,戰鬥必也。凡游都與天乙,在日辰前一辰,則一日至;二辰,則二日至;隔四辰則不至也。游都所臨下辰剋日亦忌。
遊都が日干日支に臨まずと雖も、それが貴人と并臨するを擔心するを要す。それが相生の好き地方に落つれば即ち開戦せず、それが畏懼する所に落つれば返って交兵せん。遊都は干支に臨まずと雖も、但し天乙貴人と一処に并なれば、敵人はなおも来る。遊都の臨む処が上下相生すれば、これ即ち「好郷」にして、双方は交戦せざらん。仮に寅を遊都として、却って申・酉の上に加われば、寅木は正に金の克を怕る、これ即ちその畏るる郷なり。この時相手は父子相親しからず・朝廷と辺将と互いに顧念せず、必定して一戦を打たん。凡そ遊都と天乙と日支の前の一位に落つるは、一日の内に至る。前の両位なれば、両日して至る。相隔ること四位なれば、即ち来らず。遊都の臨む地盤の支が若し日干を克すれば、また忌む所なり。
若在東方猛烈兮,宜堅城壘;或當南面威強兮,速備關津。聞賊至時,正時占,游都臨東方,其賊勢猛;若臨南方,其勢亦不可當也。經云:“卯辰巳等宜防賊,兵書云此是三刑。”
遊都が若し東方に落つれば、敵勢は猛烈にして、当に城壘を加固すべし。若し南面に当たれば、敵勢は威強にして、急ぎ関隘渡口を防守するを要す。敵人の来到を聞く時に正時を用いて課を起こし、遊都が東方に臨めば、敵勢は凶猛なり。南方に臨めば、其の勢いもまた鋭くして當たる可からず。経の上に曰く:「卯・辰・巳の三位は敵を防ぐを要す、兵書はこの三支を正に三刑と講ず」と。
在西疑遲,可行恩而犒將;臨北事退,可宴樂而棲遲。游都臨西方,其賊遲疑未進,可行賞犒之事。若在北方,主賊退,可宴樂無虞也。又看旺相死休囚。
遊都が西方に在れば、敵人は遲疑して進まず、我方は恩を施し将を犒賞すること可なり。遊都が北方に臨めば、敵事は已に退き、宴飲して楽を作し・従容に休息すること可なり。遊都が西方に臨めば、敵人は猶疑して敢えて進兵せず、正に賞賜犒勞の事を辦ずるを得たり。若し北方に在れば、敵人の退走を主り、安心して宴楽し、後顧の憂なし。このほかまた遊都が当時旺か相か、それとも死・休・囚かを合わせ看るを要す。
天罡天陽,月建地陽,動偶天陰天魁,靜陰地陰玄見玄武。《玉帳經》云:“天罡為天陽,月建為地陽,天魁為天陰,玄武為地陰。”常法,他處以太歲為地陰。
「天罡」(辰)は天陽、月建は地陽、之と相偶して動く「天魁」(戌)は天陰、静にして陰に属する「玄武」は地陰なり。《玉帳経》に曰く:「天罡は天陽を為し、月建は地陽を為し、天魁は天陰を為し、玄武は地陰を為す。」通常の法則に按じれば、別処にもまた太歳を以て地陰と作すあり。
若交相覆,君臣驚悖於奸謀;或曰重臨,水火提防於事變。若天陽天陰互相交復,主君臣不相和協。占國兵察地陰,若陰覆陽者,臣欲害君,子欲害父,婦欲害夫也。若陽覆陰時,君欲害臣,父欲害子,夫欲害妻也。若值重陽重陰,皆凶。重陽時火驚,重陰時水驚,若聞有賊,亦急備之。
この四神が若し互相に壓覆すれば、君臣の間に奸謀に因りて驚乱せん。若し同類が重畳して相臨めば、即ち水火の類の事変を提防するを要す。天陽と天陰が互相交覆すれば、君臣の和睦能わざるを主る。国事・兵事を占うに地陰を察看するを要す:陰が陽の上に覆えば、是れ臣の君を害し・子の父を害し・妻の夫を害せんとする。陽が陰の上に覆えば、是れ君の臣を害し・父の子を害し・夫の妻を害せんとする。若し重陽あるいは重陰に碰上せば、皆凶なり:重陽の時は火警を防ぎ、重陰の時は水患を防ぐ。若しこの時また敵の来犯有りと聞かば、また急ぎ戒備するを要す。
功曹加甲,陽居日以無憂;旬首承箕,陰在干而逢戰。常以功曹加六甲首,聞賊占,日干上見陽神者賊不來,陰神臨日干者賊必至也。謂寅為箕者,以箕宿在寅也。
「功曹」(寅)が甲に加われば、日干の上に陽神を得て即ち憂なし。旬首が箕宿を承ければ、日干の上に陰神を得て即ち交戦せん。通常の做法は功曹を六甲の旬首に加えて盤を転じ、敵情を聞いて課を起こす:日干の上に陽神を見れば、敵人は来らず。陰神の日干に臨むを見れば、敵人は必ず至る。ここに寅を「箕」と作すは、箕宿が寅に属するに因るなり。
大吉反伏,太乙追尋;若臨子午,太沖可任。《玉帳經》云:“大吉為天耳,若反吟、伏吟時占,賊在天盤太乙之下,若臨子午之位,賊在太沖之下。”
返吟・伏吟の課を占得すれば、即ち「大吉」を用いて「太乙」を追尋す。若し大吉が子・午の位に臨めば、即ち「太冲」の下に至りて尋ぬべし。《玉帳経》に曰く:「大吉は天耳なり。若し是れ返吟・伏吟の時に課を起こせば、敵人は即ち天盤太乙(巳)の下に在り。若し大吉が子・午の位に臨めば、敵人は即ち太冲(卯)の下に在り。」
巳亥見牛,於星紀而排陣;辰戌遇鬥爭,向營室以加心。斗牛二宿在丑,故名丑為斗牛也。星紀亦丑也。若巳亥上見丑,賊在星紀之下。若辰戌上見丑,賊在天盤亥下伏也。
巳・亥の上に「牛」を見れば、敵人は即ち星紀の下に陣を列ねる。辰・戌の上に「斗」に遇えば、即ち営室の位に向かって用心して防備するを要す。斗宿・牛宿はみな丑に在れば、故に丑を斗牛と作し、星紀もまた丑の別名なり。若し巳・亥の上に丑を見れば、敵人は即ち星紀(丑)の下に在り。若し辰・戌の上に丑を見れば、敵人は即ち天盤亥の下に伏す。
卯酉逢聽,可掩襲於太簇;寅申斗耳,當備戰於實沉。太簇,酉之別名。實沈,申之別名。若大吉加卯、酉之上,賊在天盤酉下伏也。若大吉加寅、申之上,賊在天盤申下伏也。
卯・酉の上に動静を聴得すれば、即ち太簇の位に到りて掩襲する可し。寅・申の上に斗耳の応有れば、即ち実沈の位に於て戦備すべし。太簇は酉の別名、実沈は申の別名なり。若し「大吉」(丑)が卯・酉の上に加われば、敵人は天盤酉の下に伏す。若し大吉が寅・申の上に加われば、敵人は天盤申の下に伏す。
神后登明,正時可曉。干見賊多,支逢寇少。聞賊加正時。若亥、子二神臨日,賊多;臨辰,賊少。又游都臨日賊多,臨辰寇少。
「神后」(子)と「登明」(亥)は、正時を用いて課を起こせば即ち敵兵の多少を明白にす:日干の上に臨めば敵人は多く、日支の上に臨めば敵人は少し。敵情を聞けば即ち月将を正時に加えて課を起こす:若し亥・子の二神が日干に臨めば、敵兵は众多。日支に臨めば、敵兵は稀少。遊都もまた同じく、日干に臨めば則ち敵は多く、日支に臨めば則ち敵は少し。
辰加剋日,奇兵應防於陣後。支臨日克干,賊在我後。又云:支其克干,賊必襲後,宜速備之。
日支が日干に加臨してまた来りてそれを克すれば、即ち敵人の奇兵が我軍の陣後を抄襲するを防ぐを要す。日支が日干の上に臨みて日干を克すれば、敵人は即ち我の後ろに在り。ある説は日支が日干を克すれば、敵人は必定に我の後方を偷襲す、当に急ぎ防備するを要すと為す。
日覆於辰,銳卒急當於前擾。干加支,賊在我前,又云,干克支,賊當道伏截,宜急備之。又云,天罡辰、太乙巳、大沖卯、神后子四神臨日,賊兵在前;臨辰,賊兵在後。
日干が日支の上に覆えば、敵人の精鋭は即ち前面に於て急攻侵擾せん。日干が日支の上に加われば、敵人は我の前方に在り。ある説は日干が日支を克すれば、敵人は必経之路の上に埋伏して截撃す、当に急ぎ防備するを要すと為す。また一説あり:天罡(辰)・太乙(巳)・太冲(卯)・神后(子)のこの四神が日干の上に臨めば、敵兵は我の前方に在り。日支の上に臨めば、敵兵は我の後方に在り。
雀蛇臨日,白勾制而血光。朱雀、螣蛇臨日,必主驚悸也。白虎、勾陳臨日,必傷兵士。
「朱雀」「螣蛇」が日干に臨み、更に「白虎」「勾陳」に壓制されれば、即ち血光の災有らん。朱雀・螣蛇が日干に臨めば、必定に驚恐・心悸を主る。白虎・勾陳が日干に臨めば、必定に兵士を傷損するを要す。
虛子軫巳二神,蛇鼠會而賊矯。虛宿在子,軫宿在巳,若二神臨日辰而又剋日辰者,其賊急強,未可攻也。我據險依隘,從太歲備之。
虚宿は子に属し、軫宿は巳に属す。この両神は一処に会せん、蛇鼠の相聚まるが如く、敵人は即ち驍勇凶悍なり。虚宿は子に在り、軫宿は巳に在り。若しこの両神が日干日支に臨みてまた日干日支を克すれば、敵人の来勢の急・力量の強きを説明し、暫時攻打すべからず、我方は当に険要の関隘に憑拠し、太歳の方位に依りて設防するを要す。
太乙巳罡辰沖,遇必爭先。夜防賊至,兵備宜專。太沖、天罡、太乙三神齊見,謂之三刑。聞賊來占,值巳、辰、卯臨日辰上者,不問克不克,賊必先至。若臨日,則夜有劫營掩襲之患。
太乙(巳)・天罡(辰)・太冲(卯)の三神が一斉に出現すれば、遇上すれば必定に人の先んじて手を動かす有り、夜裡に敵人の来襲を防ぐを要し、戒備は務めて専一なれ。太冲・天罡・太乙の三神が同時に出現すれば、即ち「三刑」と曰う。敵人の来犯を聞きて課を起こすに、凡そ巳・辰・卯が日干日支の上に臨めば、克するか否かを論ぜず、敵人は一定に先ず至る。若し日干の上に臨めば、夜裡に即ち営を劫し襲う患有らん。
甲乙聞憂,丙子可除亂寇;庚辛知事,壬癸定破烽煙。假令甲、乙日忽聞賊,或見賊,宜丙、丁、巳、午時,擇吉門而出,必勝;庚、辛日,宜用壬、子、癸、亥時,則吉也。
甲の日・乙の日に憂警を聞けば、丙・丁の時を用いれば便ち乱寇を除掉する可し。庚の日・辛の日に軍情を得知すれば、壬・癸の時を用いれば必ず烽煙の中に敵を破る能し。例えば甲の日・乙の日に忽然敵有りと聞く・あるいは敵軍を望見すれば、即ち丙時・丁時・巳時・午時に於て、一箇の吉門を選んで出兵せば、必定に取勝せん。庚の日・辛の日は、則ち壬時・子時・癸時・亥時を用いるに宜しく、かくの如くして乃ち吉なり。
土木東青,金火南輪兮於夏;甲庚西罹,丙壬北敗兮冬天。此言用兵日與方向。不可太旺與太屈。假如春三月甲乙日,向東方,則太旺,而出兵必課災眚。又如春三月土死,以戊巳日向東行,則受制太過,出兵必遭屈辱。舉此例,五行類推。
土の日・木の日は東方の青位に、金の日・火の日は夏天に南方に向かい、甲の日・庚の日は西に往けば禍患を遭罹し、丙の日・壬の日は冬天に北に向かえば即ち敗績せん。これは用兵の日と所向の方位の配合を講ず:既に太旺なるべからず、また太く屈抑を受くるべからず。例えば春季三月の甲の日・乙の日に更に東方に往けば、木気は太旺にして、出兵すれば必ず災禍を生ぜん。又如春季に土は死地に處し、戊の日・己の日を用いて東に往き行けば、土は木の制を受くること太過して、出兵すれば必ず屈辱を遭わん。挙げてこの両例を以て准と為し、五行の其余の各類はこれに照らして推演す。
貴人舉兵,開地千里;螣蛇出軍,眾心憂畏。太常粗吉,知軍旅之營安;六合尤宜,獲金實之美麗。青龍大勝,得府庫與圖書;朱雀多詞,慮軍戎之見恥。太陰中怯,玄武失物以憂深;天后無威,白虎自敗而禍死。勾陳則戰士折傷,天空乃君臣被毀。
発用が「天乙貴人」に乗じて兵を挙げれば、千里の地を開拓する可し。「螣蛇」に乗じて軍を出せば、全軍の人心は憂懼す。「太常」に乗ずるはおおよそ吉にして、軍営の安穩を知る可し。「六合」に乗ずるはなかんずく相宜にして、金帛珍寶を獲取する能し。「青竜」に乗ずれば大勝して、敵方の府庫と図籍を得る可し。「朱雀」に乗ずれば口舌多く、軍中の耻辱を蒙るを顧慮するを要す。「太陰」に乗ずれば中途に怯戦し、「玄武」に乗ずれば財物を丟失して憂慮深重なり。「天后」に乗ずれば全く威勢なく、「白虎」に乗ずれば自ら敗亡を取りて禍は性命に及ばん。「勾陳」に乗ずれば則ち戦士は折損傷亡し、「天空」に乗ずれば便ち君臣は人の詆毀を受くるなり。
此言發用初傳之將所主之吉凶也。用起天乙,出軍,敵人千里畏服。用起螣蛇,主驚駭潰亡之兆。用起太常,主營固而卒安。用起六合,主獲金帛子女之大利,占邦國亦然。用起青龍,必得邦郡圖書、府庫之物,出軍大利。用起朱雀,被蔑毀辱,立見災殃。起太陰,出軍士卒怯弱。起玄武,主軍馬潰失奔潰之禍。起天后,出軍不戰自敗。發用白虎,出軍疾疫喪亡。起勾陳,主敗亡,軍折馬傷。起天空,主出軍被敵欺誆凌辱之事。
この一段は初伝発用の乗ずる天将が各々何の吉凶を主るかを講ず。発用が天乙に乗ずれば、出兵の後敵人は千里の外皆畏服す。発用が螣蛇に乗ずれば、驚駭して潰散敗亡の兆を主る。発用が太常に乗ずれば、営壘の穩固・士卒の安寧を主る。発用が六合に乗ずれば、金帛人口を獲得の大利を主り、国事を占うもまた是の如し。発用が青竜に乗ずれば、必ず敵方の州郡の図籍と府庫財物を得、出兵は大いに利有り。発用が朱雀に乗ずれば、人に軽蔑・詆毀・羞辱せられ、立刻に災殃を見ん。発用が太陰に乗ずれば、出兵の後士卒は胆怯軟弱なり。発用が玄武に乗ずれば、軍馬の失散潰逃の禍を主る。発用が天后に乗ずれば、出兵して戦わず自敗す。発用が白虎に乗ずれば、出兵の後疫病と死亡有らん。発用が勾陳に乗ずれば、敗亡を主り、軍士は折損し馬匹は傷亡す。発用が天空に乗ずれば、出兵して敵人に欺騙諼哄せられ・凌辱を受くるを主る。
空亡失眾,傳逢不利。初傳雖吉,中未見空亡者,出師不利。
三伝の中に空亡に逢えば、即ち部衆を喪失し、事に於て不利なり。たとい初伝は吉なると雖も、ただ中伝・末伝に空亡を見れば、出師はなおも不利なり。
天罡加巳,行者獲全;縱橫建午,坐帳調琴。此下七節言天罡所指之吉凶也。天罡指巳,為天地所初開時,出軍開地千里,大勝也。加午為縱橫,坐帳不出,宜安樂而備兵也。
天罡が巳に加われば、出行の人は保全する可し。天罡が午に値えて「縦横」の局を成せば、主将は即ち帳中に坐して琴を弾じ、出兵するに及ばず。以下の七節は皆天罡の指す吉凶を講ず。天罡が巳を指すは、天地初開の時にして、出兵すれば千里の疆土を開拓し、大いに全勝を獲ん。天罡が午に加わるは「縦横」の時、帳に坐して出でざるに宜しく、安然と休整し・兵器を整備す。
指未必通,謂聲名之著顯;向申地迫,言災禍以彌深。加未,天道小吉時,可以出軍也。加申,天地小爭時,又為地迫時,不可出軍,避之則吉。
天罡が未を指せば必定に通達し、声名の顕揚を主る。指向して申なれば則ち「地迫」にして、災禍はますます深からん。天罡が未に加わるは、天道小吉の時にして、出兵する可し。天罡が申に加わるは、天地小争の時にして、また地迫の時と称す、出兵すべからず、躲开して乃ち吉なり。
直酉西方,地閉而車折馬死;返來戌上,人乖而將殞兵沉。加酉為天地關格時,不可出師,必有隔絕、人馬鬥傷之患。加戌為天地反吟時,不可出軍,乃君臣相隔、父子相違、夫婦相別、奴婢背主之時,主士卒凶傷禍敗也。
天罡が正しく西方の酉を對すれば、地気は閉塞し、車輌は折損し・馬匹は死亡す。戌の上に回れば、人心は乖離し、主将は殞命し・士卒は沈淪す。天罡が酉に加わるは天地関格の時にして、出師すべからず、必ず道路の隔絶・人馬の斗傷の患有らん。天罡が戌に加わるは天地返吟の時にして、また出兵すべからず。那是君臣相隔・父子相違・夫妻分離・奴婢が主に背く時にして、士卒の凶傷・事の敗れ禍の生ずるを主る。
亥上見之,天窄而傷人驚怖;子邊見也,地逼而半路難居。加亥為天窄時,加子為地逼時,俱不宜出軍,主半路恍惚不安。
天罡が亥の上に出現するは、「天窄」にして、人を傷つけ・人を驚懼せしむ。子の辺に出現するは、「地逼」にして、半路に走到すれば駐留し難し。天罡が亥に加わるを天窄の時と曰い、子に加わるを地逼の時と曰い、みな出兵に宜からず、行軍の半路上に精神恍惚・心神不安を主る。
丑向途通,三十里宿;來晨任意,神功潛助。每臨寅上,龍見天乙以情通;若到卯中,天地塞閉而氣換。加丑為天地小通時,出軍三十里,來晨任意前行。指寅為天地獨通時,遇天乙尤吉。加卯為天地閉塞不通時,宜藏避。
天罡が丑に向かえば則ち道路は通達し、出兵して三十里を行けば即ち宿営し、第二天早晨に便ち随に意のままに前行すれば、暗中に神力の相助有らん。天罡が毎に寅の上に臨めば、龍の天乙を見るが如く、情意相通ず。若し卯の中に到れば、天地閉塞して気数変換す。天罡が丑に加わるは天地小通の時にして、出兵して三十里を走り、次晨に随に意のままに前進す。天罡が寅を指すは天地独通の時にして、若しまた天乙貴人に遇えば更に吉なり。天罡が卯に加わるは天地閉塞不通の時にして、蔵匿躲避するに宜し。
伏吟辰地,關梁閉塞以難通。若守城營,客將憂疑而自縮。指辰為天地伏吟時,亦為天地閉塞,利以守己。若堅城守營,賊將自遁,不可出軍遠行也。
天罡が本位の辰地に回るは、伏吟にして、関隘橋梁は堵塞して通じ難し。この時若し城営を堅守すれば、来犯の客将は自ら憂疑して退縮せん。天罡が辰を指すは天地伏吟の時にして、また天地閉塞に属し、自守に利す。ただ城池を堅固にし・営壘を守住せば、敵将は自己に就て遁走せん、切に出兵遠行すべからず。
猝逢賊將,方處占求;強兵神后,步卒牽牛。此下四節,以來方而占賊也。見賊加正時,看方上之神。神后,子也。若方上見子,賊從其下來者,賊將先來,必為輕騎。方上見大吉,賊從其下來者,其將堅強也。
倉卒の間に敵将に碰上せば、即ち彼の來る所の方位に按じて課を起こして断を求む:其の方に「神后」を見れば、来るは強悍の兵。見るに「大吉」(丑)なれば、来るは牛を牽き重を負う歩卒。以下の四節は、皆敵人の来る方位に按じて敵を占う。敵人を望見すれば即ち月将を正時に加えて課を起こし、其の方の上が何の神かを看よ。神后即ち子なり。若し其の方の上に子を見れば、敵人は子の下より過り来る、敵将は必ず先んじて趕到し、必定是軽装の騎兵。若し其の方の上に大吉を見れば、敵人は丑の下より過り来る、其の主将は必定に堅強なり。
猛見功曹寅,車騎長槍於兔腹卯;急旗角亢辰,衛兵變陣於龍頭巳。賊從功曹下來,其將猛,其士健。兔即卯也,賊從太沖下來,其兵精,器械且利。角亢,辰也,天罡也,賊從其下來,必有伏兵急速也。太乙名龍頭,即巳也,賊從其下來,其兵善能進退,變化陣形,故名衛兵,它謹速之。
「功曹」(寅)より来るを見れば敵将は凶猛、「兔腹」(卯)より来るを見れば是れ車騎長槍の兵、「角亢」(辰)より来るを見れば旗幟は急促、「龍頭」(巳)より来るを見れば是れ変陣に善き衛兵。敵人が功曹の下より来れば、主将は凶猛・士卒は強健。兔即ち卯、敵人が太冲の下より来れば、其の兵は精鋭・器械は鋒利。角宿・亢宿はみな辰に在り、辰即ち天罡、敵人が其の下より来れば、必ず伏兵あり而且行動は迅急。太乙はまた龍頭と名づく、即ち巳、敵人が其の下より来れば、其の部隊は進退・変化陣形に善し、故に衛兵と曰う、それに對付するは格外に謹慎迅速を要す。
馬隊勝光,大將秦宮未而坐用。驍從傳送申,明天趙次酉以箕籌。賊從勝光下來,其將武勇,或軍士眾,當以奇兵以待之。賊小吉下來,其兵勝而強。賊從傳送下來,其賊勇銳。酉為趙分,賊從其下來,其賊能知天道,有謀略。
「勝光」(午)より来るは馬隊、「秦宮」(未)より来るは大将の坐鎮有り、「伝送」(申)より来るは驍勇、趙分(酉)より来るは天時を懂り・籌劃を会す。敵人が勝光の下より来れば、主将は勇武、あるいは兵員は众多、当に奇兵を用いて彼に對付すべし。敵人が小吉(未)の下より来れば、兵力は占優にして而且強悍。敵人が伝送の下より来れば、其の衆は勇猛精鋭。酉は趙国の分野、敵人が其の下より来れば、能く天道を通暁し、甚だ謀略有り。
天魁戌猛壯而難擊。登明亥突急而莫留。賊從戌下來,其賊將士猛壯精銳,不可輕擊也。賊從亥下來,多有突急銳兵或奇伏之卒也。
「天魁」(戌)より来るは猛壮にして、攻撃し難し。「登明」(亥)より来るは突襲急驟にして、停留すべからず。敵人が戌の下より過り来れば、将士は猛壮精鋭にして、軽々しく迎撃すべからず。敵人が亥の下より来れば、多くは突撃の鋭卒を帯び、あるいは別に奇兵の埋伏有らん。
象色天機,金來火應。兵戈相入,勾陳是刑。賊從申上來,我以赤旗、銳陣應之。四方皆仿此。勾陳臨日,兩軍合陣以爭雄;井斗來臨,彼此收戈而息怒。假令申酉為勾陳,臨甲日之上,為刑,金克甲,必戰。加仲神在門,兩傷;加季神在外,必有大戰。若大、小吉臨甲日,兵自兩解而不戰。井,小吉;斗,大吉也。
旗幟の顏色は五行に按じて象を取るを要し、敵方の来るが金なれば、我方は即ち火を以て相應ず。兵戈の交接するか否か、關鍵は「勾陳」が刑を帯ぶ有るかを看る。敵人が申(金)の上より来れば、我は即ち紅旗・火形の尖鋭なる陣勢を用いて彼に應ず、四方の配色は皆これに照らして類推す。勾陳が日干に臨めば、両軍は即ち陣を合わせて雄を争わん。井・斗の二宿が日干に臨めば、双方は返って兵を収め怒りを息めん。例えば申・酉が勾陳に乗じて甲の日の上に臨めば、刑を構成し、金はまた甲木を克す、必定に開戦せん。若し四仲の神に加われば、那是「在門」にして、双方ともに受傷す。四季の神に加われば、那是「在外」にして、必ず大戦有らん。若し「大吉」(丑)「小吉」(未)が甲の日に臨めば、両軍は自ら解散して戦わざらん。井宿は未に属し即ち小吉、斗宿は丑に属し即ち大吉。
年逢六害,凶神必並於外傷。若主將本命、行年上見六害,更與凶將並,主凶敗。或剋日,大凶。
行年の上に「六害」に遇い、また凶神と并臨すれば、外来の傷損は免れ難し。若し主将の本命・行年の上に六害を見、更に凶将と一処に并なれば、凶险敗亡を主る。若しこれらの神がまた日干を克すれば、那是大凶なり。
日值孤雄,吉將堪逢於陣擊。孤者,太歲、月建後二辰是也。虛者,孤之對沖也。如正月子孤、午虛之類。用兵皆當背孤擊虛。雄者,春寅、夏巳、秋申、冬亥,用兵皆當背雄擊雌,雌者,雄之沖也。若孤神與戰雄臨將之行年、本命、辰之上者,必得大勝。
日干の上に「孤」と「雄」に値え、また吉将に逢えば、即ち陣を列ねて出撃する可し。言う所の「孤」は、太歳・月建より後に数うて第二位の地支。「虚」は孤の对冲の位。例えば正月は寅を建てば、子を孤と為し・午を虚と為す。用兵は皆当に孤を背け・虚に向かって打つべし。言う所の「雄」は、春天は寅、夏天は巳、秋天は申、冬天は亥。用兵は皆当に雄を背け・雌に向かって打つべし、雌即ち雄の对冲なり。若し孤神と戦雄が主将の行年・本命あるいは日支の上に臨めば、必ず大勝を獲ん。
官軍欲勝,勾制玄都。勾陳若制玄武、游都者,出軍必勝。主將年上神克白虎、玄武所乘神亦勝。若三傳中將得六合、青龍、太陰、太禽,及在將軍年命上更乘旺氣者,必大勝。又玄武陷死囚之地,亦勝。若玄武臨日辰,遙克時上勾陳,必敗。天乙、勾陳所乘神克游都者勝。
官軍が取勝せんと欲せば、即ち「勾陳」に「玄武」と「遊都」を制せしむるを要す。勾陳が若し能く玄武・遊都を制伏すれば、出兵すれば必ず勝つ。主将行年の上の神が白虎・玄武の乗ずる神を克するも、同じく取勝す。若し三伝の中に六合・青竜・太陰・太禽の幾位の天将を得て、また主将の行年本命の上に落ちて且つ旺気に乗ずれば、必ず大勝を獲ん。このほか玄武が死囚の地に陥れば、また我が勝つを主る。反対に、若し玄武が日干日支に臨み、位を隔てて遥かに占時の上の勾陳を克すれば、那就必敗なり。天乙・勾陳の乗ずる神が能く遊都を克する者は、我方勝つ。
損支主敗,傷干客輸。正時占,干上神遙克支上神,或干克支,及上克下,皆為主敗。若支上神克干上神,或支克干,或下克上,皆為主勝。
日支が損を受くれば、主方敗つ。日干が傷を受くれば、客方輸す。正時を用いて課を起こす:日干の上神が遥かに日支の上神を克し、あるいは日干が日支を克し、あるいは四課中に上神が下神を克す、これら皆主方の敗れを主る。反対に、日支の上神が日干の上神を克し、あるいは日支が日干を克し、あるいは下神が上神を克す、これら皆主方の勝ちを主る。
欲掠他鄉,戊己須逢于吉將。欲潛兵劫掠,視天盤、地盤二處戊、己位,逢吉將,出掠有功。假令甲子旬中以辰、巳為戊、己,上下皆為吉將,必然大獲。
別処に到りて劫掠せんと想えば、戊・己の位は必ず吉将に逢うを要す。兵を潜めて劫掠せんと欲せば、即ち天盤と地盤の両処の戊・己の所在の位置を看よ。若し吉将に乗ずれば、出でて劫掠せば必ず斬獲有らん。例えば甲子旬中に遁干すれば、辰の上に遁じて戊を得・巳の上に遁じて己を得、天盤地盤のこの両処の上下は皆吉将なり、必定に大いに収獲有らん。
前三後二,私門禁戶以相扶。前三,六合也。後二,太陰也。若卯、酉乘之謂之私門。禁戶有四,除、定、危、開是也,得太常、青龍、太陰、六合乘之,出兵深入,如蹈無入之境。入水不溺,入兵不傷,天佑之福也。
貴人の前三位と後二位は、「私門」なり。建除十二値の中の四禁戸は、之と互相扶助す。貴人の前三位は「六合」、後二位は「太陰」。若し卯・酉がこの両将に乗ずれば、即ち「私門」と曰う。禁戸は四箇有り、即ち除・定・危・開の四日の位。若しこの四位の上に更に太常・青竜・太陰・六合の来りて乗ずるを得れば、出兵して敵境に深入するに、如同無人之地に走り入るが如く、水に下りて淹溺せず・兵に遇いて受傷せず、這是上天の護佑の福分なり。
三路迷心、時下罡隨於孟仲;兩歧惑應,日辰左右以規謀。路逢三叉之道,欲知何道吉,正時占。天罡加孟,左道通;加季,右道通;加仲,中道通。此下出軍大捷,所求必遂。若逢兩歧路,日干吉者,左道通;支吉者,右道通也。
三条の岔路が人をして主意を拿え難からしめば、即ち占時の下に天罡の落つるが孟位か仲位かを看よ。两条の岔路が人を疑惑せしめば、即ち日干日支を用いて左右を分かちて謀劃す。路上に三岔道に遇い、いずれの路が吉かを知らんと欲せば、即ち正時を用いて課を起こす:天罡が四孟に加われば、左路は通ず。四季に加われば、右路は通ず。四仲に加われば、中路は通ず。これに按じて走れば、出兵して必ず大捷を獲、求むる所は皆如願せん。若し两条の岔路に遇上せば、日干が吉なれば即ち左路を走り、日支が吉なれば即ち右路を走れ。
欲渡河江,支傷莫人。卯辰及酉,井泉須知。壬亥子兼癸丑,天河覆井以沉波。更忌罡沖,太歲遭虛而禍急。欲渡江河,正時占,支傷則水路不宜行也。卯、辰、酉為地之三井,壬、子、癸為天之三河。正時占,天河加臨地之井者,主有覆溺之危,不可渡也。若見太沖、天罡加支干,必有風濤之惡。神后加太歲之上,主行船有沒溺之災。
江河を渡らんと欲するに、日支が傷を受くれば即ち水に下る勿れ。卯・辰・酉の三処は地上の井泉、必ず知るを要す。壬・亥・子に連なりて癸・丑は、天上の河漢なり。天河が地井を壓覆すれば、即ち船を翻し沈没せん。更に天罡・太冲を忌諱し、「太歳遭虚」は禍の来ること急なり。江河を渡らんと欲すれば、正時を用いて課を起こし、日支が傷を受くれば、水路即ち走るに宜からず。卯・辰・酉は地の三井、壬・子・癸は天の三河。正時に課を起こした後、天河が地井の上に加臨すれば、翻船溺水の危有るを主り、渡る可からず。若し太冲(卯)・天罡(辰)が日干日支の上に加わるを見れば、必ず風浪の険有らん。「神后」(子)が太歳の上に加われば、行船に沈没の災有るを主る。
洿池之地,天罡指處以堪行;支吉干傷,水面通船而立事。日為陸地,干吉利陸進。如有洿下聚水之處,亦取天罡下去通於道也,加孟勿前行,加仲勿中行,加季勿後行。支為水道,支吉利水路。
低窪積水の地方は、天罡の指す処より走れば即ち通行する能し。日支が吉にして日干が傷を受くれば、即ち水路を走りて船を行きて事を辦ずべし。日干は陸地を代表し、日干が吉利なれば即ち陸路より進兵するに宜し。若し低窪積水の処に碰上せば、また天罡の下の方向を取りて走れ、彼処は必ず道路通ず:天罡が四孟に加われば即ち前面を走る勿れ、四仲に加われば即ち中間を走る勿れ、四季に加われば即ち後面を走る勿れ。日支は水道を代表し、日支が吉なれば即ち水路を走るに利す。
凡丙子、丁丑、癸未、癸丑為觸水龍日,不宜涉水,戊寅、己卯日亦凶。凡卯為船車,臨支為船,臨干為車,在旺相之鄉,車船無損,在囚死之鄉,車船破壞。若臨渡船漏,看天罡,加孟前有補處,加仲中間有補處,加季船尾有補處。行車同。
凡そ丙子・丁丑・癸未・癸丑のこの数日を「触水龍日」と曰い、水を渉るに宜からず。戊寅・己卯の両日もまた凶なり。卯は船と車を代表す:卯が日支に臨めば即ち船と作して看、日干に臨めば即ち車と作して看。それが旺相の地に落つれば、車船は損せず。囚死の地に落つれば、車船即ち破損せん。若し河を渡る時に船が水漏れすれば、即ち天罡を看よ:天罡が四孟に加われば、破処は船頭に在り。四仲に加われば、破処は船中に在り。四季に加われば、破処は船尾に在り。車を修するもこの一法に照らして推せ。
昏蒙失路,執式天盤。參申行意曉,天角辰堪緣。道經山林野澤,蒙雨霧暗,迷失道路,執式特盤投於地,取天罡下之五十步當得好道。傳送之下,亦主自然開悟。參宿在申,故曰參行也。天角,天罡也。去必有路。
昏暗にして路に迷えば、即ち式盤を手持して天盤を看よ:「参」(申)は能く行走の方向を指明し、「天角」(辰)もまた以て依循する可し。行軍して山林荒沢を経過し、蒙蒙たる細雨・霧気昏暗に遇いて道路を迷失せば、即ち式盤の天盤を地に投げて定位し、天罡の下に向かって五十步を走れば、必ず好き路を尋ね得ん。「伝送」(申)の下に走到すれば、また自然に豁然として開朗せん。参宿は申に在れば、故に「参行」と曰う。天角即ち天罡なり。かくの如く走れば、往けば一定して路有らん。
軍士酣臥,趨井未房卯之清泉。軍士進行歇臥,正時上,求水路,以小吉有井宿,並太沖又有房宿,其下可以求水井或河,不出二百步之外。
軍士が安歇休息せんと欲すれば、即ち井宿の所在の未位・房宿の所在の卯位に到りて清泉を尋ぬべし。行軍中途に歇息し就寝するに、当下の正時を用いて課を起こして水源を尋ぬ:未は「小吉」と為り、其中に井宿を含む。卯は「太冲」と為り、其中に房宿を含む。この両位の下に於て水井あるいは河流を尋ねれば、二百步の外を出でざれば必定に尋ね到らん。
欲劫軍糧,向吳秦之大獲。欲劫糧,出吳分大吉、秦分小吉之下,糧必得。
敵軍の糧草を劫奪せんと想えば、即ち呉・秦の両処の分野に向かえば、必ず大いに獲有らん。糧を劫さんと欲すれば、即ち呉分野の属する「大吉」(丑)と秦分野の属する「小吉」(未)の下より出兵せば、糧草は一定して手に到らん。
大吉紫房,神后華蓋,能藏萬物,即行無害。大吉為紫房,神后為華蓋,凡有急事欲避藏者,往大吉、神后之下,人不能以掩來也。
「大吉」(丑)は紫房、「神后」(子)は華蓋星の位、この両処は能く万物を蔵るを得、彼処より行動すれば害有らざらん。大吉は紫房と曰い、神后は華蓋と曰う。凡そ急事の躲避蔵身せんとする有れば、即ち大吉・神后の臨む下に到れば、別人は掩襲するに従由なし。
太沖千騎,從魁可遁於百人;斗鬼參回,天駟潛之而莫奈。卯下可藏千騎。酉為後女之神,可藏百人。凡伏兵避惡,乃可從丑上去,向未,回申上立定,正向卯上潛避,則追不得也。丑有斗宿,未有井鬼,申有參,故謂丑未申為斗、鬼、參。一云,賊卒至,宜往房星下避之。房星,太沖也,亦名天駟。假令房星在午,宜出正南造之。
「太冲」(卯)の下は千騎を蔵る可し、「従魁」(酉)の下は以て百人を隠遁する可し。斗・鬼・参の三宿に沿いて繞行し、最後に「天駟」の下に潜伏せば、敵人は即ち我を奈何するを得ず。卯の下は千騎を蔵る可し。酉は后女の神、百人を蔵る可し。凡そ埋伏あるいは凶険を躲避せんとするは、即ち丑位より出発し、未位に向かって走り、更に折り回りて申位に站定し、然る後に正しく卯位に向かって潜蔵せば、追兵は即ち我を尋ね着かざらん。丑の中に斗宿あり、未の中に井宿・鬼宿あり、申の中に参宿あり、故に丑・未・申を斗・鬼・参と称す。別に一説あり:敵人が突然殺到せば、房星の下に往きて躲避するに宜し。房星即ち太冲(卯)、また天駟と曰う。例えば房星が午位に落つれば、即ち正南方に向かって往くべし。
青常陰合,大梁酉大火卯以同居;除定危開,主將其方而喜在。大梁,從魁也。大火,太沖也。此二神為私門。除、定、危、開為地四禁戶。以二私門加禁戶,又與龍、常、合、陰並,宜出其下大吉。
「青竜」「太常」「太陰」「六合」の四吉将が、「大梁」(酉)「大火」(卯)と同じく一宮に處す。更に除・定・危・開の四位に逢えば、主将が彼の方に駐在すれば即ち喜有り。大梁即ち従魁(酉)、大火即ち太冲(卯)、この両位は「私門」なり。除・定・危・開は地上の四禁戸。両箇の私門を禁戸の上に加え、また青竜・太常・六合・太陰と并臨せば、それらの下より出兵すれば大吉なり。
急賊方所,初傳五行。水為北房,火作南兵。忽問賊,正時占,視初傳五行,即可知何賊。亥、子為北虜,巳、午為南蠻。
急ぎ敵人が何方より来るかを知らんと欲すれば、即ち初伝の五行を看よ:水に属するは北方より来り、火に属するは南方より来る。忽然敵情を問わんと欲すれば、正時を用いて課を起こし、初伝が何の五行に属するかを看れば、即ちいずれの一路の敵人かを知る:亥・子は水に属し、是れ北方の敵。巳・午は火に属し、是れ南方の敵。
復見土神,有虜急從於四季;初當本位,其謀必見於東渡。初傳辰、戌、丑、未,賊必四季之人。初傳寅、卯,必東方之人。
若しまた土神を見れば、那是四季の位より急々と来る敵寇なり。初伝が若し正に本位に当たれば、敵人の圖謀は必ず東方より出づ。初伝が辰・戌・丑・未なれば、敵人は必ず四季の方位即ち四隅の地の人。初伝が寅・卯なれば、必ず東方の人。
地恐埋軍,參申軫巳虛子房卯而速備;象宜休車,蛇支獸干以尋驚。軍行次城隘之處,恐有伏兵,正時占,申、巳、子、卯臨日,則夜必有伏兵也。四神又旺相,與殺並者,大凶,無兵亦有猛獸。若不與凶並,日能制之者,兵不敢動。若蛇、虎克日辰者,有卒驚,宜察而備之。
地面の下に伏兵の埋まるを担心ば、即ち参(申)・軫(巳)・虚(子)・房(卯)の四宿を看よ、之を見れば急ぎ戒備するを要す。若し螣蛇の日支に臨み・白虎の日干に臨むを見れば、即ち車を停めて驚変を尋査すべし。軍隊が城池険隘の処に走到し、伏兵有らんを怕れば、正時を用いて課を起こす:申・巳・子・卯が日干に臨めば、夜裡に必ず伏兵有らん。この四神が若しまた旺相に当たり、更に凶煞と并臨せば、大凶にして、たとい伏兵なくともまた猛獣有らん。若し凶煞と并臨せず、而して日干がまた能くそれらを克制すれば、敵兵は敢えて動かざらん。若し「螣蛇」「白虎」が日干日支を克すれば、突発の驚擾有らん、当に查明して且つ防備を加うべし。
斗季損支,邀截我後;干傷前伏,陰陽左右。正時占,天罡加季有伏兵。支傷干吉,伏兵在後;干傷支吉,伏兵在前。天罡加陽,伏兵在左,加陰在右。
天罡が四季に加わりて日支が損を受くれば、敵人は我軍の後路を拦截せんとす。日干が傷を受くれば則ち伏兵は前に在り。至於左右は、即ち天罡の落つるが陽支か陰支かを看よ。正時を用いて課を起こす:天罡が四季に加われば、伏兵有り。日支が傷を受けて日干が吉なれば、伏兵は後に在り。日干が傷を受けて日支が吉なれば、伏兵は前に在り。天罡が陽支に落つれば、伏兵は左に在り。陰支に落つれば、伏兵は右に在り。
帶刑並傷,旺相而猛將來爭;無殺空刑,將弱而庸夫退驟。正時占伏兵,日辰上子、卯、申、巳並刑殺,兼有旺相氣,必有伏兵欲來掩襲,宜備之。若子、卯、申、巳並刑殺陷落空亡、無氣者,伏兵不敢起,且自潛消矣。
これらの神が刑を帯びまた相傷し、且つ旺相の気に当たれば、即ち猛将の前来して鋒を争う有らん。若し凶煞なく・刑がまた空に落つれば、来るは不過弱将庸夫にして、すぐに退走せん。正時を用いて伏兵を占う:日干日支の上に子・卯・申・巳が刑煞と并せて着き、また兼ねて旺相の気なれば、必ず伏兵の来りて掩襲する有らん、当に防備すべし。若し子・卯・申・巳が刑煞と連なりて共に空亡に陷入し・毫も気力なければ、伏兵は敢えて発動せず、自然に消散せん。
三刑五墓,日辰遇而夜防;蛇虎魁罡,支干遭而宿俟。正時占,日辰上見三刑、五墓,將當移營,不然大凶。若辰、戌與白虎、螣蛇臨支干者,皆有伏兵,夤夜來擾營也。
日干日支が三刑・五墓に遇上すれば、夜裡に即ち防備するを要す。干支が螣蛇・白虎・河魁・天罡に遭遇すれば、即ち整夜守候するを得なり。正時を用いて課を起こし、日干日支の上に三刑・五墓を見れば、主将は当に営寨を遷移すべし、さもなければ大凶なり。若し辰・戌が白虎・螣蛇と連なりて日干日支の上に臨めば、皆伏兵有るを主り、深夜に来りて営壘を騒擾せん。
立營心動,青常兮信使將來。下營未定心動者,正時占,日辰上見青龍、太常必有使來。
営を紮る時に心裡忽然と一動し、若し「青竜」「太常」を見れば、是れ信使の将に至らんとする有り。営寨がなお安定せずして心神忽ち動けば、即ち正時を用いて課を起こす:日干日支の上に青竜・太常を見れば、必定に使者の来る有らん。
郊野目瞤,雷卯水子兮淫霖欲就。郊野目瞤者,正時占,見卯、子臨日辰者,有暴雨至,宜置高營防之。若魁罡加臨,必有將至。
郊野の中に於て眼皮が跳動すれば、若し雷に属する卯と水に属する子を見れば、那是連綿たる大雨の将に来らんとするなり。郊野の中に眼皮が跳動すれば、即ち正時を用いて課を起こす:卯・子の日干日支に臨むを見れば、暴雨の到る有り、当に営寨を高き処に紮りて防備すべし。若し「河魁」「天罡」の加臨すれば、必定に将領の到来有らん。
忽被圍繞,日辰陰陽。經云:“傷不傷,視陰陽。”正時,四課日辰之陰陽不備,則主之。交鋒見損,和好無傷。若支干被傷,有爭角之禍。
忽然敵軍に包囲されれば、即ち日干日支の陰神陽神を看よ。経の上に曰く:「傷か傷ならざるかは、陰陽を看る。」正時を用いて課を起こし、四課中に日干日支の陰神陽神が斉備せざれば、即ち困を受くるを主る。若し交鋒すれば即ち損傷有り、和を講ずれば便ち傷なからん。日干日支が若し克傷せられれば、即ち争闘の禍有らん。
凡欲突圍,隨斗罡而可擊;後占出路,從勾制而取強。兵圍欲出,視天罡下,出必通。黃帝云:“兵圍千里,斗道必通。”又云:“出路直向勾陳所制之鄉,方可出。”假令寅、卯為勾陳,利出四季方。又云,當從開星下去,吉。春房卯,夏張午,秋婁戌,冬壁亥。
凡そ突囲せんと欲すれば、即ち天罡の指す所に随いて冲殺せよ。随いて後に更に出路を占い、勾陳の克制する方向に向かって強を取りて突出せよ。囲まれて出でんと欲すれば、即ち天罡の下を看て、彼処より冲せば必ず通ず。黄帝に曰く:「兵に囲まれ千里、斗柄の指す道は必ず通ず。」又曰く:「出路は要ず一直に勾陳の制する方位に向かって走れ、乃ち出で得るなり。」例えば寅・卯が勾陳に乗り、木は土を克すれば、即ち辰戌丑未の四季の方より出づるに利す。なお一説あり:当に「開星」の下より走るべし、吉。開星は春天は房(卯)に在り、夏天は張(午)に在り、秋天は婁(戌)に在り、冬天は壁(亥)に在り。
審察其情,用神傳出於天乙;欲知其義,吾軍可動於龍驤。正時占,初傳在天乙後,傳出天乙前者,可向天罡,出而必利也。
其中の情形を審察せんと欲すれば、即ち用神と三伝とが天乙貴人の処より伝出するか否かを看よ。其中の道理を明白にせんと欲すれば、我軍は便ち神龍の騰躍するが如く出動する可し。正時を用いて課を起こし、初伝が天乙の後に落ちて、而して天乙の前に伝われば、即ち天罡の指す方向に向かって冲出する可く、必然に利有らん。
潛起掠敵,須壯玄神。若乘四季,忌甲乙以東征;曹沖二神,慮庚辛而西問。玄武旺相,能制支干,賊兵必強;若欲掠他,潛伏正時。視玄武之乘神旺相剋日辰者,必捷。假令玄武乘土神,忌甲、乙日發兵,行東方大凶;乘木神,忌庚、辛日西行,餘仿此。
潜行して敵人を劫掠せんと欲すれば、必ず「玄武」を強壮ならしむるを要す。玄武が若し四季の土神に乗ずれば、即ち甲乙の日に東に向かって出征するを忌む。若し「功曹」(寅)「太冲」(卯)の二木神に乗ずれば、即ち庚辛の日に西に向かって行動するを顧慮するを要す。玄武が旺相にして能く日干日支を制すれば、敵兵の強悍を説明す。若し是れ我方が往きて相手を劫掠せんと欲すれば、即ち正時に課を起こして潜伏して事を行え:玄武の乗ずる神が旺相にしてまた日干日支を克するを看れば、必ず成功を獲ん。例えば玄武が土神に乗ずれば、即ち甲の日・乙の日に兵を発するを忌み、東に往けば大凶。玄武が木神に乗ずれば、即ち庚の日・辛の日に西に往くを忌む、其余はこれに照らして類推せよ。
