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辛金を論ず

明 · 余春台 · 第8巻 / 11

作盤ガイド: 八字作盤

正月辛金・寅月に生ず

正月辛金,陽氣舒而寒未除,不知正月建寅,中有長生之丙,解去寒氣。忌甲木司權,辛金失令,取己土為身之本;欲得辛金發現,全賴壬水之功。己壬兩透,支見庚制甲,科甲定然。

正月は寅を建つ。陽氣はすでに舒展すといえど寒氣はいまだ除かれず。卻(かえっ)て知るべし、寅中は本(もと)より長生の丙を蔵すれば、本よりすでに寒氣を解き去る能くして、別に局を暖むるを求めず。此の月の忌む所は甲木の權を司(つかさど)るなり。木は旺なれば則ち土は克を受け、辛金は生養の令を失う。だから己土を取りて立身の根本と作す。また辛金をして光彩を顯出せしめんには、全く壬水の淘洗の功に靠(よ)る。己土と壬水との兩透に、地支にさらに庚金を見て甲木を制し住(とど)めば、科甲は便ち一定なり。

或己土透干,支中有甲,異路恩榮;或己土不全,號曰君臣失勢,富貴難全;或有丙火出干,亦主武學;或見壬,無己庚者,貧賤之徒。

もし己土は干に透して、而(しか)も地支中に甲木を蔵して暗にそれを克せば、ただ異路の恩榮を得るのみ。もし己土は完備せざれば、「君臣失勢(くんしんしっせい)」と呼ぶ——己土は君と為り、壬水は臣と為る。君は弱ければ則ち臣は輔くる所なし——富貴は便ち兩全し難し。もし丙火の干に出るあれば、また武學に入るを主どる。もしただ壬水を見て而(しか)も己土・庚金なくば、金はすでに生ずる所なく、木はまた制する所なし。便是ち貧賤の徒なり。

或支成火局,即壬水出干,不克己土,亦尋常之人;或庚壬兩透,破局制火,必為顯達之人。或支成水局,不見丙火,名為金弱沉寒,平常之士。書曰:金水性寒寒到底,淒涼難免少年憂。得丙透照暖,反主富貴。

もし地支が火局を會成せば、たとい壬水は干に出るとも、それはただ往きて火を制して而(しか)も己土を克する能くさず。またただ尋常の人なり。もし庚金・壬水の兩透あれば、すでに火局を破りてまた火勢を制し住(とど)む。必ず顯達の人なり。もし地支が水局を會成して丙火を見ざれば、「金弱沉寒(きんじゃくちんかん)」と呼ぶ。これは平常の士なり。命書に説く。金水の性子は一たび寒せばこれ寒さは底に到るなり。少年の時は免れず一段の淒涼・憂苦あり。もし能く丙火を得て透出して照暖せば、かえって富貴を主どる。

故正月辛金,先己後壬,己為君,庚為佐,如用丙火須參看。用己,火妻土子;用壬,金妻水子。辛金珠玉,最怕紅爐。辛逢卯日,子時,名曰朝陽。

だから正月の辛金は、先ず己土を取り、後に壬水を取る。己土は君と為り、庚金は佐と為る(庚金は能く甲木を制して以て己土を護る)。もし丙火を用いんとせば、還(ま)た全局の寒暖を參看して後に定むるを要す。己土を取りて用と為す者は、火を以て妻星と為し土を以て子星と為し、壬水を取りて用と為す者は、金を以て妻星と為し水を以て子星と為す。辛金は珠玉に譬(たと)うべし。最も紅爐・猛火の來て煆(か)するを怕(おそ)る。辛金の日主は卯日・子時に逢うを、「朝陽」の格と呼ぶ。

時日月年:己辛庚丙,丑酉寅辰。

この造はなお「時・日・月・年」の順に横列して、還原して丙辰年・庚寅月・辛酉日・己丑時と為す——己土は時干に透して立身の本と作し、庚金は月干に在りて寅中の甲木を制し住(とど)め、日主は酉に坐りて祿を得、年干の丙火は寒を解す。まさに正月辛金の「先ず己にして後に壬、庚を以て佐と為す」の取法に合す。惜しむ所は壬水の見ざるなり。

二月辛金・卯月に生ず

二月辛金,陽和之際,壬水為尊,見戊己為病,得甲制伏,則辛金不致埋沒,壬水不致混濁,合此者必身入玉堂。

二月は卯を建つ。まさに陽和(ようわ)の際に當たりて、辛金は壬水を以て最尊と為す——それに靠りて金上の塵土を洗い去り、光澤を顯出せしむ。この時一たび戊己土を見れば便ち是れ病なり。土多ければ則ちすでに金を埋め、また水を濁(にご)す。須(すべか)らく甲木を得て出て土を制伏してこそ、辛金は埋没せらるるに至らず、壬水は攪渾(かくこん)せらるるに至らず。この配置に合するは、必然として身は玉堂に入る。

故二月庚金,有壬甲透者貴顯,不則,鄉紳,或壬坐亥支,不見土出,可能入芥,家亦小康,得申中之壬者,異途名望,無壬者常人,其生克之理,與正月辛金皆同。

だから二月の辛金(原文は誤りて「庚金」と作す)は、壬水・甲木の透出あるは貴にして顯達し、然らざればもまた一箇の鄕紳(きょうしん)を做得(なしう)べし。もし壬水は亥支の上に坐して、而(しか)も土の干に出て往きてそれを濁すを見ざれば、また能く進學して青衿を取り、家道はまた小康と稱すべし。ただ申中の蔵するあの一點の壬水を得るのみのは、異途の名朢なり。一點の壬水もなきは、ただ常人なり。その中の生克の道理は、正月の辛金と完全に相同(あいおな)じ。

或壬戊透,甲不出干,此為病不遇藥,平常之人;得乙破戊,頗有衣衿,但假名假利,刻薄乖張。或一派壬水汪洋,名金水淘洗太過,不得中和,略有衣食,全無作為;如壬水重重,得戊反吉。

もし壬水と戊土とが皆透して、而(しか)も甲木は干に出ざれば、これは則ち病ありて卻(かえっ)て藥に遇(あ)わず。ただ平常の人なり。もし乙木を得て出て戊土を克破せば、また頗(すこぶ)る一領の衣衿あり。ただし乙木は柔弱にして、名と利と倶(とも)に眞ならず。この人は還(ま)た刻薄・乖張(かいちょう)なり。もし滿盤に壬水の汪洋(おうよう)あれば、「金水淘洗太過(きんすいとうせんたいか)」と呼ぶ。中和を失いて、略(ほんのすこ)し衣食ありて全く作為(さくい)なし。ただし壬水もし重重畳畳なれば、この時かえって戊土を得て來て水を止めてこそ吉なり。

或支成木局,洩盡壬水,有庚富貴,無庚平人。或支成火局,名官印相爭,金水兩傷,下流之格,得二壬出制,富貴反奇。辛金生於春季,一派壬水,而無丙水,即能顯達,家無宿舂;得壬丙齊透,方許大富大貴。

もし地支が木局を會成し、木は旺にして壬水の氣を泄らし盡(つ)くせば、この時庚金あって來て木を制し、水を生ずるは富貴を主どり、庚金なきはただ平人なり。もし地支が火局を會成し、火は官殺と為りて土は印と為れば、官印は互に爭い、金と水とは兩下(りょうか)傷を受く。これは下流の格なり。もし兩箇の壬水を得て干に出て火を制せば、富貴はかえって奇特なり。辛金は春季に生まれ、もし滿盤に壬水ありて丙火なくば(原文の「丙水」は當に「丙火」と為すべし)、たとい能く顯達するも、家裏は隔宿の糧(かて)なし。必ず壬水・丙火の一齊に透出するを要す——丙火はこれを暖め、壬水はこれを清くす——こそ彼を許して大富大貴ならしむべし。

時日月年:甲辛己乙,午酉卯卯。時日月年:丙辛己乙,申卯卯酉。

以下の二造はなお「時・日・月・年」の順に横列す。第一造。乙卯年・己卯月・辛酉日・甲午時——己土は干に透して立身の本と為り、甲木は干に出て己を制し、日主は酉に坐りて祿を得。惜しむ所は壬水の透せざるなり。第二造。乙酉年・己卯月・辛卯日・丙申時——丙火は時干に透して局を暖め、申中の壬水は淘洗の用と為り、己土はまた能く身を生ず。配合は停匀を較(くら)べたり。

時日月年:己辛丁己,亥巳卯未。時日月年:己辛丁甲,亥未卯午。時日月年:壬辛癸壬,辰卯卯子。

以下の三造はなお「時・日・月・年」の順に横列す。第一造。己未年・丁卯月・辛巳日・己亥時——兩己は身を生じ、亥中の壬水は用と為り、月干の丁火は殺と為る。火土水の三者は互に見ゆ。第二造。甲午年・丁卯月・辛未日・己亥時——甲木は干に出て己を制し、亥中の壬水は金を淘す。ただ丁火の煆錬は稍(やや)烈しきを嫌うのみ。第三造。壬子年・癸卯月・辛卯日・壬辰時——兩壬一癸は、水勢は汪洋たり。まさに「金水淘洗太過」の樣子にして、全く戊土の流を止むるなし。

三月辛金・辰月に生ず

三月辛金,戊土司令,辛承正氣,母旺子相,先壬後甲。壬甲兩透,富貴必然;壬透甲藏,廩貢不失;甲透壬藏,富貴可云;壬甲皆無,平常之格。

三月は辰を建つ。戊土は司令して、辛金は令を當たるの正氣を承受して生ず。母は旺なれば則ち子は相(ほう)す。日主は弱からず。だから先ず壬水を取りて淘洗し、後に甲木を取りて土を疏す。壬・甲の兩透するは、富貴は必然なり。壬水は透して甲木は蔵するは、廩生・貢生は走りて脱(のが)るる能くさず。甲木は透して壬水は蔵するは、また以て富貴と稱すべし。壬甲ともになきは、ただ平常の格なり。

所忌者丙貪合也。如月時皆丙,名為爭合,主慷慨風流,交四海;若癸出干制丙,可許采芹。或支坐亥子之鄉,支又見申,即非玉堂,亦必高增祿位。若戊出干制水,不見甲乙,清閒之人。

この一格の忌む所は丙火の來て合を貪るなり——丙辛は一たび合せば、日主は便ち合を貪りて正用を失う。もし月干・時干ともに丙火なれば、「爭合」と呼ぶ。この人は慷慨・風流にして、交遊は四海に遍及(へんきゅう)すを主どる。もし癸水の干に出て丙火を克制し、この層の合を解き開けば、彼を許して進學せしむべし。もし日主は亥・子のこれら水鄕に坐して、地支にまた申金を見て水の源と作せば、たとい玉堂に入らずとも、必然として祿位は高く升る。もし戊土の干に出て水を制し住(とど)めて、而(しか)も甲乙木の來て土を疏するを見ざれば、それは便ち一箇の清閒・無為の人なり。

又或支見四庫,名土厚埋金,不見甲制,愚頑之輩。或四柱火多,無水制伏,名火土雜亂,主作緇衣,見癸可解。或比劫重重,壬癸淺弱,主夭,有甲出干,則貴,然無庚制方妙。

もし地支に辰戌丑未の四庫の齊備(せいび)を見れば、「土厚埋金(どこうまいきん)」と呼ぶ。甲木の土を制するを見ざるは、愚頑の輩なり。もし四柱に火多くして水の來て制伏するなくば、「火土雜亂(かつどつざつらん)」と呼ぶ。この人は緇(し)を披(ひら)きて僧と為るを主どる。もし癸水を見れば、還(ま)た以て解救すべし。もし比肩・劫財は重重にして、而(しか)も壬水・癸水は淺弱にして、この一片の金を泄らし動かす能くさざれば、夭折を主どる。この時甲木あって干に出て財と為りて來て金を耗(も)うれば、便ち貴を得べし。ただ須(すべか)らく庚金の來てこの甲木を劈くなくば、こそ妙と為す。

四月辛金・巳月に生ず

四月辛金,時道首夏,忌丙火之燥烈,喜壬水之洗淘。支成金局,水透出干,有木制戊,名一清澈底,科甲功名。癸透壬藏,富真貴假;若壬癸皆藏,戊己亦藏,略富;若壬癸俱無,反見火出,必主鰥獨。

四月は巳を建つ。時令はまさに初夏に當たりて、辛金は丙火の燥烈・煆熔(かよう)を忌み、壬水の洗淘を喜ぶ。もし地支が金局を會成し、水はまた天干に透し、さらに木ありて來て戊土を制し住(とど)めて水をして濁らざらしむれば、「一清澈底(いっせいちょうてい)」と呼ぶ。科甲の功名を主どる。癸水は透して壬水は蔵するは、富は眞にして貴は假(か)なり。もし壬癸はただ支中に蔵し、戊己土もまたただ蔵して透さざれば、略(ほんのすこ)し家資あるのみ。もし壬癸は全くなく、かえって火の透し出て金を煆するを見れば、必ず鰥寡孤獨(かんかこどく)を主どる。

或支成火局,有制者吉,無制者凶,凡火旺無水,取土洩之。若壬水藏亥,戊不出干,亦主上達;有戊常人。有一甲透,衣祿可求;若有甲無壬癸者,富貴虛浮,所謂羊質虎皮是也。壬,癸,甲,三者全無,又不合格,斯為下品。

もし地支が火局を會成し、水の制するあるは吉にして、制なきは凶なり。およそ火は旺にして水なきは、則ち土を取りて火の氣を泄らし、轉じて金身を生ず。もし壬水は亥中に蔵して、而(しか)も戊土は干に出て來てそれを克せざれば、また顯達・上進を主どる。戊土の干に出るあるは、則ちただ常人なり。もし一箇の甲木あって透出して財と為れば、衣祿は求め得べし。ただし甲木ありて壬水・癸水なくば、富貴はただ虛架子(きょかし)にして、まさに謂(い)う所の「羊質虎皮(ようしつこひ)」——外面は看るに虎なれど、裏子は卻(かえっ)て一隻の羊なり。壬・癸・甲の三樣全くなく、また別の格局に合い上げざれば、それは便ち下品の命なり。

時日月年:乙辛辛乙,未亥巳未。

この造はなお「時・日・月・年」の順に横列して、還原して乙未年・辛巳月・辛亥日・乙未時と為す——日主は亥に坐し、亥中の壬水はまさに洗淘の用なり。兩乙は財と為り、巳中の丙火は官と為りて制なし。「壬水は亥に蔵し、戊は干に出ず、また上達を主どる」の一類に屬す。

五月辛金・午月に生ず

五月辛金,丁火司權,辛金失令,陰柔之極,不宜煆煉,須己壬兼用。何也?己為泥沙,壬為湖海,己無壬不溼,辛無己不生,故壬己並用。無壬,癸亦可用,但癸力小。

五月は午を建つ。丁火は權を司(つかさど)り、辛金は令を失い、陰柔は極處に到りて、煆錬を經(た)え得べからず。だから須(すべか)らく己土と壬水とを兼用すべし。何を以(もっ)てか。己土は泥沙(でいしゃ)にして、壬水は湖海なり。己土は壬水なくば便ち潤い起こる能くさず、辛金は己土なくば便ち生じ出(い)づる能くさず。だから壬己は並用す——壬水は金を洗い、己土は金を生じ、而(しか)も壬水はまた能く己土を潤す。壬水なき時は、癸水もまた以て用い得べし。ただし癸水は力量は小些(しょうさ)なり。

或支成火局,即重見癸出,亦不濟,得壬透破火方可,必主生員。若無壬,癸見戊,雖有午宮己土,燥泥成灰,金必煆熔,反遭埋沒,必為僧道,有一二重比肩,不致孤獨。

もし地支が火局を會成せば、たとい癸水は重重に干に出るとも、また事を濟(たす)くる能くさず。必ず壬水を得て透出して火勢を破り去らばこそ行き得べし。如此(しか)もまたただ一箇の生員を主どるのみ。もしすでに壬癸なく、また戊土を見れば、たとい午宮の己土あって以て金を生ずるも、燥泥は燒かれて灰と成りて、金は必ず煆熔せられ、かえって埋没に遭う。必ず僧道と為る。もし一兩重の比肩あって身を幇けば、還(ま)た孤獨に至らざるなり。

五月辛金,壬,癸,己,三者皆用。或壬己兩透,支見癸水,不沖,定主顯達;即己藏支,亦有廩貢;或無壬有己,須得異途;或癸出有庚,必主衣錦,叨受恩榮;若水土多者,見甲方妙。庚辛生於夏月,要壬癸得地,若木多火多,不見金水,逢金水運必敗。

五月の辛金は、壬水・癸水・己土の三樣ともに用いるを要す。もし壬水・己土の兩透に、地支にまた癸水を見て冲を受けざれば、必ず顯達を主どる。たとい己土はただ支中に蔵するのみなるも、また廩生・貢生の分あり。もし壬水なくしてただ己土あるのみなれば、則ち須(すべか)らく異途に走りて出身すべし。もし癸水の干に出て庚金あってそれを生ぜば、必ず衣錦(いきん)にして身を榮(は)えしめ、恩榮を叨受(とうじゅ)するを主どる。もし水と土と皆太多ければ、須(すべか)らく甲木を見て土を疏し水を衛(まも)るあらば、こそ妙と為す。庚辛金は夏月に生ずれば、總(すべ)て須(すべか)らく壬癸水の地を得根あらんことを要す。もし木多く火多くして金水を見ざれば、一たび金水の運に行き到れば、水火は相激して、必ず敗落に致さん。

時日月年:壬辛甲丙,辰亥午子。

この造はなお「時・日・月・年」の順に横列して、還原して丙子年・甲午月・辛亥日・壬辰時と為す——時干の壬水は透出して火を破り、日主は亥に坐し、年支は子水、時支は辰庫なり。水はすでに根ありてまた庫あり。まさに「壬の透して火を破るを得ばこそ可なり」の説に合す。甲木は土を疏し火を生じ、年干の丙火は官と為る。寒暖は兩停(りょうてい)す。

六月辛金・未月に生ず

六月辛金,己土當權,輔助太多,恐掩金光,先用壬水,取庚佐之。壬庚兩透,科甲功名;即不出干,藏支得所,亦有榮華。但忌戊出,得甲制之,方吉,甲須隔位,恐貪己合,反掩金光,又寒壬水之流,下賤之格;又忌庚出制甲。

六月は未を建つ。己土は權を當たり、辛金を生扶するの力量は太多く、かえって金の光澤を掩(おお)い住(とど)むるを怕(おそ)る。だから先ず壬水を用いて淘洗し、庚金を取りて輔佐と作して水の源を發す。壬・庚の兩透するは、科甲の功名を主どる。たとい天干に出ざるとも、ただ支中に蔵して其の所に蔵るるを得ば、また榮華あり。ただ戊土の干に出て來て水を克するを忌む。この時須(すべか)らく甲木を得て戊土を制し住(とど)めてこそ吉なれ。ただしこの甲木は己土と位置を隔開(かくかい)するを要す。その己土を貪合するを怕(おそ)るればなり——甲己は一たび合せば、すでに土を疏する能くさず、かえって金光を遮り、また壅塞(ようそく)して壬水の去路を塞ぐ。それは則ち下賤の格と成る。同時にまた庚金の干に出て往きて甲木を克制するを忌む。

或只有未中一己,見子壬水,又為溼泥,不可見甲,甲出,反作平人。總以一壬一己,見庚無甲,方妙,與五月用己壬同。

もし柱中にただ未中の蔵する一箇の己土ありて、また子中の壬水を見れば、土は水を得て濕泥と成り、濕泥は正好(まさによ)く金を生ず。この時かえって甲木を見るべからず——甲木は一たび出れば、この一點の己土を克し去りて、則ちただ平常の人と作して看る。要するに一箇の壬水を以て一箇の己土に配し、庚金ありて甲木なきを以て最妙と為す。取用は五月の己壬を用ゐると同じ。

或丁乙出干,又有庚壬者,顯貴,無壬者,否,或支成木局,得壬透,又有庚金發水之源,可云富貴。

もし丁火・乙木の干に出るあれば——丁火は七殺と為り、乙木は偏財と為る——而(しか)も柱中にまた庚金と壬水とあれば、庚金は乙を制し、壬水は丁を制す。便ち顯貴を主どる。壬水なきは則ち成らず。もし地支が木局を會成し、財は旺にして身は弱なれば、壬水を得て透出して通關(つうかん)し、一面は財を泄らし、一面は身を生じ、また庚金あって水を發するの源と作れば、また以て富貴と説き得べし。

時日月年:甲辛丁壬,午丑未辰。時日月年:丁辛辛甲,酉未未寅。

以下の二造はなお「時・日・月・年」の順に横列す。第一造。壬辰年・丁未月・辛丑日・甲午時——壬水は年干に透して洗淘の用と作し、辰は水庫なり。ただし月干の丁火は壬と相合し、時干の甲木はまた己土に貼(てん)りて合を貪る。配合は略(やや)雑なり。第二造。甲寅年・辛未月・辛未日・丁酉時——兩未は身を生じ、比肩は幇扶す。時干の丁火は殺と為り、甲木は財と為る。獨り壬水の淘洗を缺く。まさに「壬なき者は否(ふた)なり」の一類に屬す。

七月辛金・申月に生ず

七月辛金,值庚司令,不旺自旺,且壬水居申。四柱不見戊土,胎元戊藏申內,為壬岸,人命得此,為官清正,但不富耳。

七月は申を建つ。庚金は司令して、辛金は必ずしも別に生扶を求めず、自然として旺なり。況(いわ)んや壬水は申に長生し、金水は相生して氣清(きせい)なり。もし四柱の中に戊土を見ざれば、而(しか)も胎元裏の戊土はまさに申内に蔵し、暗に壬水に替(か)わりて堤岸を作(な)せり。人命がこのような配置を得れば、官を為して清正・廉明なり。ただし富ならざるのみ。

或有土無甲,為有病無藥,常人;有甲者,衣衿可望。或四柱金多,宜水洩之;若一金水,得一戊土,反為辛用,又宜甲制,自然富貴。或干支水多,重見戊土,逢生得位,福壽之造。

もし柱中に土ありて甲木の來て疏するなくば、則ち病ありて藥なし。ただ常人なり。甲木あるは、一領の衣衿は朢むべし。もし四柱に金多ければ、宜しく水を用いてその銳氣を泄らすべし。ただし金水は各々ただ一位にして水淺ければ、一箇の戊土を得てこの一點の水を收め住(とど)めば、かえって辛金の用と為る。この時さらに甲木あって土を制して、土をして厚きに過過ぎざらしめば、自然として富貴なり。もし干支に水多くして、戊土は重重に出現せば、土は生に逢いまた位を得て、この一片の水を止め住(とど)むるを得。これは福あり壽あるの造なり。

七月辛金,壬不在多,故書曰,水淺金多,號曰體全之象,壬水為尊,甲戊酌用可也,癸水不可為用。

七月の辛金は、壬水は多きに在らず。だから命書に説く。「水淺く金多きは、體全(たいぜん)の象と曰(い)う」——水はただ用に足らば、金體は便ち自ら完全す。要するに壬水を以て最尊と為し、甲木・戊土は斟酌して用いれば可なり。癸水に至っては、力は弱くして陰濁(いんだく)なり。取りて用神と為すべからず。

時日月年:癸辛壬甲,巳卯申午。

この造はなお「時・日・月・年」の順に横列して、還原して甲午年・壬申月・辛卯日・癸巳時と為す——壬水は月干に透して申に坐りて源あり。年干の甲木は土を疏し、卯木は財と為る。まさに七月辛金の「壬水を尊と為し、甲戊は酌用す」の意に合す。ただし時干の癸水は壬水と並び見えて、稍(やや)その雑なるを嫌う。

八月辛金・酉月に生ず

八月辛金,當權得令,旺之極矣,專用壬水淘洗,故云金見水以流通。如見戊己,則生扶太過,故以土為病,見甲制土,方妙;無戊,不宜用甲。

八月は酉を建つ。辛金は權を當て令を得て、旺して極處に到る。だから專ら壬水を用いて淘洗す。命書にこそ説く「金は水を見て、氣機はこそ流通す」と。この時もし戊己土を見れば、生扶は則ち太過なり。だから土を以て病と為す。須(すべか)らく甲木を見て土を制し住(とど)めば、こそ妙と為す。もし本(もと)より戊土なくば、便ち宜しくさらに甲木を用いべからず——疏すべき土なくば、甲木はかえって白(いたず)らに壬水の力を耗(も)う。

或四柱一點壬水,甲多洩水,此為用神無力,奸詐之徒;得庚制者,反主仁義。或三點辛金,一重壬水,多見甲木,有庚透者,主大富貴,不見丁為美;若見一丁,此人風雅清高,衣食饒裕而已。

もし四柱にただ一點の壬水ありて、甲木太多くして水を泄らし盡(つ)くせば、用神は便ち力なし。この人は奸詐の徒なり。もし庚金を得て出て甲木を制し住(とど)めば、かえって仁義を主どる。もし三箇の辛金・一重の壬水ありて、また多く甲木を見て財と為れば、この時庚金あって透出して木を制し身を助くるは、大富大貴を主どる。而(しか)も丁火を見ざるを以て美と為す。もし一箇の丁火を見て來て金を克せば、この人は便ちただ風雅・清高にして衣食は富足するのみ。

或一二比肩,壬甲皆一,無庚出干,亦有恩榮。若二三比肩,一點壬水,戊土多見,此為土厚埋金,此人愚懦;見一甲出,必為創立之人。或一派辛金,一位壬水,無庚雜亂,又主富中取貴。

もしただ一兩箇の比肩あり、壬水と甲木と各々ただ一位にして、また庚金の干に出て來て奪うなければ、また恩榮あり。もし比肩は兩三箇に到りて、壬水はただ一點、戊土はまた多く見ゆれば、これは「土厚埋金」なり。この人は愚鈍・懦弱(ぐどくだじゃく)なり。もし一箇の甲木を見て干に出て土を疏せば、便ち必ず能く自ら事業を創るの人なり。もし滿盤に辛金ありてただ一位の壬水あり、また庚金の來て混雜するなくば、氣象は純一にして、また富の中に貴を取るを主どる。

或一派壬水洩金,無戊出制,為沙水同流,主奔波貧苦;若得支見一戊止流,其人頗有才略,藝術過人。或支成金局,干見比肩,無壬淘洗,此宜用丁;無丁必主兇頑無賴;若得一壬高透,以洩群金,又名一清到底,定有治國之材。

もし滿盤に壬水の金を泄らすありて、また戊土の出て制止するなくば、金は水に隨(したが)い去りて、「沙水同流(さすいどうりゅう)」と呼ぶ。一生は奔波・貧苦を主どる。もし地支に一箇の戊土を見て水流を止め住(とど)めば、この人は便ち頗(すこぶ)る才略有りて、技藝は人に過(す)ぎたり。もし地支が金局を會成し、天干にまた比肩を見て、而(しか)も壬水の淘洗なくば、則ち當に改めて丁火を用いて煆錬すべし。丁火なきは、必ず凶頑・無賴(むらい)を主どる。もし能く一箇の壬水を得て高透し、この一群の金の氣を泄らし將(も)て去らしめば、また「一清到底(いっせいとうてい)」と叫ぶ。必ず治國の材なり。

或支成金局,戊己透干,壬透無火,名白虎格,運行西北,富貴大顯,子息艱難;或透丙火,雖有壬出,亦屬平庸。或一二辛金,一派己土,定為僧道;或干透己土,支見庚甲,一生安閒。或一派乙木,不見庚壬,為才多身弱,一見庚制,富貴可期。

もし地支が金局を會成し、戊己土は干に透し、壬水もまた透して全く火氣なくば、「白虎格(びゃっこかく)」と呼ぶ。行運は西北金水の地に走れば、富貴は大いに顯る。ただし子息は艱難なり。もし別に丙火を透して來て暖めば、たとい壬水もまた干に出るとも、ただ平庸(へいよう)に屬す。もし一兩箇の辛金ありて滿盤は己土なれば、土は多く金を埋む。一定として僧道の命なり。もし天干に己土を透し、地支にまた庚金と甲木とを見れば——庚金は身を助け、甲木は土を疏す——則ち一生は安閒(あんかん)なり。もし滿盤に乙木ありて財と為りて庚金・壬水を見ざれば、便是ち「財多身弱」なり。一たび庚金を見て來て木を制し身を助けば、富貴は期すべし。

金生秋月土重,貧無寸鐵,六辛日透戊子時,運喜西方,陰若朝陽,切忌丙丁離位,庚辛局全巳酉丑,位重權高。

古歌に説く。金は秋月に生じて土は太重ければ、かえって貧しきこと一寸の鐵もなし。六箇の辛日はもし戊子時に逢えば、「六陰朝陽(りくいんちょうよう)」と呼ぶ。行運は西方に走るを喜び、最も丙丁の火と南方・離位(りい)との來て格を破るを忌む。庚辛金もし地支に巳酉丑の三合金局を齊全(せいぜん)せば、則ち位は高くして權は重し。

時日月年:己辛癸己,亥未酉酉。時日月年:丙辛己丁,申酉酉酉。時日月年:壬辛己丁,辰亥酉卯。

以下の三造はなお「時・日・月・年」の順に横列す。第一造。己酉年・癸酉月・辛未日・己亥時——兩己土は身を生じて金はすでに太旺なり。ただ月干の癸水と亥中の壬水とが秀を泄らすのみ。土は多く水は濁(にご)る。まさに「土を以て病と為す」の一類なり。第二造。丁酉年・己酉月・辛酉日・丙申時——三酉一申は、金は旺して極(きわ)めたり。丙丁の二火は煆錬するも壬水の淘洗なし。「壬の淘洗なければ、此れ宜しく丁を用うべし」の樣子に屬す。第三造。丁卯年・己酉月・辛亥日・壬辰時——時干の壬水は高透し、日は亥に坐し、時は辰に坐す。水は根ありて庫あり。この一片の金氣を泄らし盡(つ)くす。まさに「一壬高透、一清到底」の説に合す。

九月辛金・戌月に生ず

九月辛金,成土司令,母旺子相,須甲疏土,壬洩旺金,先壬後甲。壬甲兩透,桃洞之仙;或壬透甲藏,又見者,平人;甲透,壬藏,戊在支內,異途之仕。

九月は戌を建つ。戊土は司令す(原文の「成土」は當に「戊土」と為すべし)。母は旺なれば則ち子は相す。辛金は並びて弱からず。だから須(すべか)らく甲木を用いて厚土を疏き開き、壬水を用いてあの旺金を泄らすべし。取用は先ず壬にして後に甲なり。壬・甲の兩透するは、貴きこと桃源洞裏の神仙の如し。壬水は透して甲木は蔵し、また別に土の來て雜するを見るは、ただ平人なり。甲木は透して壬水は蔵し、戊土はまた支內に在るは、異途より出身するの官なり。

或辛日甲月,壬水在支,有庚自能去濁留清,秋聞一榜,若戊戌月,即有甲在支亦否。總之土太多,甲不出干,莫問功名,一壬出,洗土助甲,雖不發達,富而可求。

もし辛金の日主にして月干は甲木、壬水はまた地支に在り、さらに庚金あれば——庚金は土の頑を制し、また水の清を生ず——自然として能く濁を去り清を留む。秋闈(しゅうい)は一榜に中(あた)るべし(原文の「秋聞」は當に「秋闈」と為すべし)。ただしもし月柱は戊戌なれば、土は太重なり。たとい甲木は地支に蔵するも、またなお舊(ふる)く成らず。要するに土もし太多くして甲木は干に出ざれば、功名は則ち必ずしも問わず。この時ただ一箇の壬水あって干に出で、一面は土濁を洗い去り、一面は甲の力を助けば、發達せずとも、富を求むるは還(ま)た以てすべし。

或土多無壬甲,時月多透丙辛者,略貴,加以辰字在支,則榮顯莫及。或木多土厚,無水者常人;或干上重見癸水,雖無淘洗之功,頗有清金之用,此命主富,辛苦。或己透無壬有癸,亦能滋生金力,衣衿之貴,但恐己多,不免濁富。九月辛金,火土為病,水木為藥。

もし土多くして壬水・甲木なく、ただ時干・月干に多く丙火・辛金を透するは、また略(ほんのすこ)し貴氣あり。さらに地支に一箇の辰字を加うれば——辰は水庫にして、能く土を潤して金を養う——則ち榮顯は以て加うる無きなり。もし木多く土厚くして水なきは、ただ常人なり。もし天干に重重の癸水を見れば、癸は壬水のごときの淘洗の力なきといえど、卻(かえっ)て頗(すこぶ)る能く金氣を一清す。このようの命は富を主どる。ただし辛苦なり。もし己土の透出して壬水なく、ただ癸水あるのみなれば、濕土は同じく能く金力を滋生す。一領の衣衿の貴を得べし。ただ怕(おそ)るは己土太多きは、免れず一箇の富にして清ならざる人なり。要するに九月の辛金は、火土を以て病と為し、水木を以て藥と為す。

時日月年:壬辛戊丙,辰未戌戌。時日月年:戊辛壬戊,子酉戌戌。時日月年:丁辛戊丙,酉未戌戌。

以下の三造はなお「時・日・月・年」の順に横列す。第一造。丙戌年・戊戌月・辛未日・壬辰時——兩戌一未は、土は最も厚重なり。時干の壬水に頼(たの)みて土を洗い、辰庫は水を蓄(たくわ)う。年干の丙火は卻(かえっ)て土を助く。まさに「火土を病と為し、水木を藥と為す」の寫照(しゃしょう)なり。第二造。戊戌年・壬戌月・辛酉日・戊子時——壬水は月干に透し、日は酉祿に坐し、時は子水に坐す。秀を泄らすに力あり。ただ兩箇の戊土の干に出て來て混濁するを嫌う。第三造。丙戌年・戊戌月・辛未日・丁酉時——丙丁は並透して土はまた厚し。すでに壬水の洗うべきなく、また甲木の疏すべきなし。病は重くして藥なし。

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