五燈會元卷第十五
上堂。寒氣將殘春日到。無索泥牛皆𨁝跳。築著崑崙鼻孔頭。觸倒須彌成糞掃。牧童兒。鞭棄了。懶吹無孔笛。拍手呵呵笑。歸去來兮歸去來。煙霞深處和衣倒。良久曰。切忌睡著。
上堂、寒氣殘る將盡きんとする春の日到り、索無き泥牛皆な蹦跳す。(此の字足に從う、句意當に蹦跳とすべし。)崑崙の鼻孔頭に筑き著き、須弥を觸倒して糞掃と成す。牧童兒、鞭棄て了り、懶く吹かず無孔の笛、手を拍ちて呵呵と笑う。歸去來せん歸去來、烟霞の深處に衣を和して倒る。沈黙許久して曰く、切に睡著を忌む
長蘆信禪師法嗣
長蘆信禅師法嗣
東京慧林懷深慈受禪師
東京慧林懷深慈受禅師
壽春府夏氏子。生而祥光現舍。文殊堅禪師遙見。疑火也。詰旦。知師始生。往訪之。師見堅輒笑。母許出家。十四割愛冠祝髮。後四年。訪道方外。依淨照於嘉禾資聖。照舉良遂見麻谷因緣。問曰。如何是良遂知處。師即洞明。出住資福。屨滿戶外。蔣山佛鑑懃禪師行化至。茶退。師引巡寮。至千人街坊。鑑問。既是千人街坊。為甚麼祇有一人。師曰。多虗不如少實。鑑曰。恁麼那。師赧然。偶朝廷以資福為神霄宮。因棄往蔣山。留西庵陳請益。鑑曰。資福知是般事便休。師曰。某實未穩。望和尚不外。鑑舉倩女離魂話。反覆窮之。大豁疑礙。呈偈曰。祇是舊時行履處。等閑舉著便誵訛。夜來一陣狂風起。吹落桃花知幾多。鑑拊幾曰。這底豈不是活祖師意。未幾。被旨住焦山。僧問。如何是佛。師曰。面黃不是真金貼。曰。如何是佛向上事。師曰。一箭一蓮華。僧作禮。師彈指三下。問。知有道不得時如何。師曰。瘂子吃蜜。曰。道得不知有時如何。師曰。鸚鵡喚人。僧禮拜。師叱曰。這傳語漢。問。甚麼人不被無常吞。師曰。祇恐他無下口處。曰。恁麼則一念通玄箭。三尸鬼失姧也。師曰。汝有一念。定被他吞了。曰。無一念時如何。師曰。捉著闍黎。上堂。古者道。忍忍。三世如來從此盡。饒饒。萬禍千殃從此消。默默。無上菩提從此得。師曰。會得此三種語了。好箇不快活漢。山僧祇是得人一牛。還人一馬。潑水相唾。插觜廝罵。卓拄杖曰。平出。平出。上堂。雲自何山起。風從甚㵎生。好箇入頭處。官路少人行。上堂。不是境。亦非心。喚作佛時也陸沈。箇中本自無階級。切忌無階級處尋。總不尋。過猶深。打破雲門飯袋子。方知赤土是黃金。咄。
壽春府夏氏の子。生ずる時祥光舍に現ず。文殊堅禅師遙かに見て、火と疑う。次日一早、老師始めて生るるを知り、往きて之を訪う。老師堅を見れば即ち笑う。母彼の出家を許す。十四歳にして愛を割き髮を落とす。後四年、方外に道を訪い、嘉禾資聖に於て淨照に依る。照良遂の麻谷を見るの因緣を擧げて問う、如何なるか是れ良遂の知る處。師即ち洞明す。出でて資福を住し、門外鞋履滿つ。蔣山佛鑑勤禅師行化して到來す。茶退きて、師彼を引きて寮を巡る。千人の街坊に到りて、鑑問う、既に千人の街坊、什麼を以てか只だ一人有る。師曰く、多く虛なるは少く實なるに如かず。鑑曰く、恁麼那。師赧然す。偶朝廷資福を以て神霄宮と為す、因りて棄てて蔣山に往く。西庵に留まりて、述べて請益す。鑑曰く、資福是の般の事を知れば便ち休せよ。師曰く、某實に未だ穩ならず、和尚外ならざるを望む。鑑倩女離魂の話を擧げ、反覆して之を窮めて、大いに疑礙を豁す。偈を呈して曰く、只だ是れ舊時行履の處、等閑に擧著すれば便ち淆訛す。夜來一陣の狂風起きて、吹落す桃花幾多なるを知るや。鑑几を拊して曰く、這の底豈に是れ活祖師意ならずや。程なく旨を奉じて焦山に住す。僧問う、如何なるか是れ佛。師曰く、面黃きは是れ真金貼るに非ず。曰く、如何なるか是れ佛向上の事。師曰く、一箭一蓮花。僧禮を作す。師指を三下彈く。問う、道有りて得ざる時如何と知る。師曰く、啞子蜜を喫す。曰く、道い得て知る時如何。師曰く、鸚鵡人を喚ぶ。僧禮拜す。師叱りて曰く、這の傳語漢。問う、什麼人無常に吞まれざる。師曰く、只だ恐らくは他口を下す處無からん。曰く、恁麼ならば一念玄に通ずる箭、三尸の鬼奸を失う。師曰く、汝一念有らば、定めて他に吞了されん。曰く、一念無き時如何。師曰く、闍黎を捉え著く。上堂、古人説く、忍忍、三世の如來此より盡く、饒饒、萬禍千殃此より消ゆ、默默、無上菩提此より得たりと。師曰く、此の三種の語を會得して了れば、好個の不快活漢。山僧只だ是れ人一牛を得て、人に一馬を還す。水を潑きて相唾し、嘴を插みて厮罵す。拄杖を卓して曰く、平出、平出。上堂、雲自り何の山より起こり、風甚の澗より生ずる。好個の入頭の處、官路人の行くこと少なし。上堂、是れ境に非ず、亦是れ心に非ず、喚びて佛の時と作さば也く陸沈す。個中本より階級無し、切に階級無き處に尋ぬるを忌む。總て尋ねず、過猶ほ深し。雲門の飯袋子を打破して、方に知る赤土是れ黄金と。咄
平江府萬壽如璝證悟禪師
平江府萬壽如璝證悟禅師
建寧魏氏。開堂日。僧問。如何是蘇臺境。師曰。山橫師子。秀。水接太湖清。曰。如何是境中人。師曰。衣冠皇宋後。禮樂大周前。師凡見僧。必問。近日如何。僧擬對。即拊其背曰。不可思議。將示寂。眾集。復曰。不可思議。乃合掌而終。
建寧魏氏。開堂の日、僧問う、如何なるか是れ蘇台の境。師曰く、山師子に橫たわり秀で、水太湖に接し淸し。曰く、如何なるか是れ境中の人。師曰く、衣冠皇宋の後、禮樂大周の前。老師凡そ僧を見れば、必ず問う、近日如何。僧對えんと擬すれば、即ち其の背を拊して曰く、不可思議。寂を示さんと將にして、衆集まり、又曰く、不可思議。於是掌を合わせて終わる
越州天衣如哲禪師
越州天衣如哲禅師
族裡未詳。自退席寓平江之萬壽。飲啖無擇。人多侮之。有以瑞巖喚主人公話問者。師答以偈曰。瑞巖長喚主人公。突出須彌最上峰。大地掀翻無覓處。笙歌一曲畵樓中。一日曰。吾行矣。令拂拭所乘筍輿。乃書偈告眾曰。道在用處。用在死處。時人祇管貪歡樂。不肯學無為。敘平昔參問。勉眾進修已。忽竪起拳曰。諸人且道。這箇落在甚麼處。眾無對。師揮案一下曰。一齊分付與秋風。遂入輿。端坐而逝。
族里未だ詳ならず。席を退きて後平江の萬壽に寓す。飮啖擇ばず、人多く之を侮る。瑞岩の主人公を喚ぶの話を以て問う者有り、師偈を以て答えて曰く、瑞岩長く主人公を喚び、突出せる須弥最上の峰。大地掀翻して覓る處無し、笙歌一曲畫樓の中。一日曰く、吾行かんとす。人に乘る所の筍輿を拂拭せしめ、於是偈を書して衆に告げて曰く、道は用の處に在り、用は死の處に在り。時人只管歡樂を貪りて、無為を學ぶを肯ぜず。平昔の參問を敘述し、衆を勉めて進修せしめ已りて、忽然拳を竪起して曰く、諸人且く道え、這個は什麼の處に落つる。衆對無し。師案を一下揮して曰く、一齊に秋風に分付與せん。於是輿に入りて、端坐して逝く
婺州智者法銓禪師
婺州智者法銓禅師
上堂。要扣玄關。須是有節操。極慷慨。斬得釘。截得鐵。硬剝剝地漢始得。若是隈刀避箭。碌碌之徒看即有分。以拂子擊禪床。下座。
上堂、玄關を扣かんと要せば、須らく是れ節操有り、極めて慷慨にして、釘を斬り得、鐵を截り得、硬く剥剥たる漢にして始めて得べし。若し是れ刀に隈り箭を避くる、碌碌の徒ならば、看れば即ち分有り。拂子を以て禅床を擊ち、下座
臨安府徑山智訥妙空禪師
臨安府徑山智訥妙空禅師
僧問。牛頭未見四祖時如何。師曰。坐久成勞。曰。見後如何。師曰。不妨我東行西行。
僧問う、牛頭未だ四祖に見えざる時如何。師曰く、坐すこと久しくして勞と成る。曰く、見えて後如何。師曰く、我が東行し西行するに妨げず
金山慧禪師法嗣
金山慧禅師法嗣
常州報恩覺然寶月禪師
常州報恩覺然寶月禅師
越州鄭氏子。上堂。學者無事空言。須求妙悟。去妙悟而事空言。其猶逐臭耳。然雖如是。罕逢穿耳客。多遇刻舟人。一日謂眾曰。世緣易染。道業難辦。汝等勉之。語卒而逝。
越州鄭氏の子。上堂、學者事無く空言するは、須らく妙悟を求むべし。妙悟を去りて空言を事とするは、其れ猶ほ臭を逐うのみ。然りといえども此の如し、罕く穿耳の客に逢い、多く刻舟の人に遇う。一日衆に對して曰く、世緣染み易く、道業辦え難し。你們之を勉めよ。語畢りて逝く
法雲白禪師法嗣
法雲白禅師法嗣
婺州智者紹先禪師
婺州智者紹先禅師
潭州人也。上堂。根塵同源。縛脫無二。不動絲毫。十方遊戲。子湖犬子雖獰。爭似南山氅鼻。遂高聲曰。大眾看腳下。上堂。團不聚。撥不散。日曬不乾。水浸不爛。等閑掛在太虗中。一任傍人冷眼看。
潭州の人なり。上堂、根塵同源、縛脱無二。絲毫動かずして、十方に游戲す。子湖の犬子狞なりと雖も、怎んぞ比せん南山の鱉鼻に。(底本「氅鼻」と作る、當に「鱉鼻」とすべし。)於是高聲に曰く、大衆脚下を看よ。上堂、團めば聚まらず、撥せば散ぜず。日に曬せども乾かず、水に浸せども爛れず。等閑に太虚の中に掛けて、傍人の冷眼に一任す
沂州馬鞍山福聖院仲易禪師
沂州馬鞍山福聖院仲易禅師
上堂。一二三四五。陞堂擊法鼓。簇簇齊上來。一一面相睹。秋色滿虗庭。秋風動寰宇。更問祖師禪。雪峰到投子。咄。
上堂、一二三四五、堂に升りて法鼓を擊つ。簇簇として齊しく上來り、一一面相睹す。秋色虚庭に滿ち、秋風寰宇を動かす。更に祖師禅を問わば、雪峰投子に到る。咄
東京慧林慧海月印禪師
東京慧林慧海月印禅師
僧問。師唱誰家曲。宗風嗣阿誰。師曰。黃金地上玉樓臺。曰。如何是祖師西來意。師曰。三月洛陽人戴花。上堂。黃金地上。具眼者未肯安居。荊棘林中。本分底留伊不得。祇如去此二途。作麼生是衲僧行履處。良久曰。舉頭煙靄裡。依約見家山。上堂。顧視大眾。拍禪床一下。曰。聊表不空。便下座。
僧問う、師唱うは誰が家の曲ぞ、宗風は阿谁に嗣ぐ。師曰く、黃金の地上玉樓台。曰く、如何なるか是れ祖師西來の意。師曰く、三月洛陽人花を戴く。上堂、黃金の地上、具眼の者は未だ安居を肯ぜず、荊棘の林の中、本分の底は伊を留むるを得ず。只だ如く此の二途を去るに、作麼生か是れ衲僧行履の處。沈黙許久して曰く、頭を擧ぐれば烟靄の裏、依約として家山を見る。上堂、大衆を環顧し、禅床を一拍して曰く、聊か空ならざるを表す。便ち下座
楊州建隆原禪師
楊州建隆原禅師
姑蘇夏氏子。上堂。拈拄杖曰。買帽相頭。依模畵樣。從他野老自顰眉。誌公不是閑和尚。卓拄杖。下座。
姑蘇夏氏の子。上堂、拄杖を拈じて曰く、帽を買い頭を相するは、模に依りて樣を畫く。他の野老自ら眉を顰めるに從い、志公は是れ閑の和尚に非ず。拄杖を卓し、下座
保寧英禪師法嗣
保寧英禅師法嗣
臨安府廣福院惟尚禪師
臨安府廣福院惟尚禅師
初參覺印。問曰。南泉斬貓兒。意旨如何。印曰。須是南泉始得。印以前語詰之。師不能對。至僧堂。忽大悟曰。古人道。從今日去。更不疑天下老和尚舌頭。信有之矣。述偈呈印。曰。須是南泉第一機。不知不覺驀頭錐。覿面若無青白眼。還如𮭗𮭗守空池。舉未絕。印竪拳曰。正當恁麼時作麼生。師掀倒禪床。印遂喝。師曰。賊過後張弓。便出。住廣福日。室中問僧。提起來作麼生會。又曰。且道是箇甚麼。要人提起。
初め覺印に參じて問う、南泉猫兒を斬る、意旨如何。印曰く、須らく是れ南泉にして始めて得べし。印前の語を以て之を詰るに、師對えず。僧堂に到りて、忽然大悟して曰く、古人説く、今日より去りて、更に天下の老和尚の舌頭を疑わず、信に之れ有り。偈を述べて印に呈して曰く、須らく是れ南泉第一の機、知らず覺えず驀頭の錐。觌面若し青白眼無くば、還た如し某の鳥空池を守るに。(二の字の字鳥に從う、未だ確指する能わず。)擧げ未だ絶えざるに、印拳を竪てて曰く、正に當る恁麼の時作麼生。師禅床を掀倒す。印於是喝す。師曰く、賊過ぎて後に弓を張る。便ち出づ。廣福に住する日、室中に於て僧に問う、提起し來れば作麼生に會する。又曰く、且く道え、是れ個の什麼ぞ、人をして提起せしむるを要する
明州雪竇法寧禪師
明州雪竇法寧禅師
衢州杜氏子。上堂。百川異流。以海為極。森羅萬象。以空為極。四聖六凡。以佛為極。明眼衲子。以拄杖子為極。且道拄杖子以何為極。有人道得。山僧兩手分付。儻或未然。不如閑倚禪床畔。留與兒孫指路頭。
衢州杜氏の子。上堂、百川異流するも、海を以て極と為し、森羅萬象、空を以て極と為し、四聖六凡、佛を以て極と為し、明眼の衲子、拄杖子を以て極と為す。且く道え、拄杖子は何を以て極と為す。人道い得る有れば、山僧兩手に分付せん。倘若未だ然らざれば、如かず閑に禅床の畔に倚りて、兒孫に留め與えて路頭を指さしめん
開先珣禪師法嗣
開先珣禅師法嗣
廬州延昌熈詠禪師
廬州延昌熈咏禅師
僧問。少林面壁。意旨如何。師曰。慚惶殺人。
僧問う、少林面壁、意旨如何。師曰く、慚惶人を殺す
廬州開先宗禪師
廬州開先宗禅師
上堂。一不做。二不休。棙轉鼻孔。捺下雲頭。禾山解打鹽官鼓。僧繇不寫戴嵩牛。廬陵米。投子油。雪峰依舊輥雙毬。夜來風送衡陽信。寒鴈一聲霜月幽。
上堂、一為さず、二休まず。鼻孔を捩轉し、雲頭を捺下す。禾山解けて鹽官の鼓を打ち、僧繇寫さず戴嵩の牛。廬陵の米、投子の油、雪峰依舊雙毬を滾す。夜來風衡陽の信を送り、寒雁一聲霜月幽なり
甘露顒禪師法嗣
甘露顒禅師法嗣
楊州光孝元禪師
楊州光孝元禅師
