五燈會元卷第十五
嶽麓海禪師法嗣
岳麓海禅師法嗣
荊門軍玉泉思達禪師
荆門軍玉泉思達禅師
僧問。如何是一印印空。師曰。萬象收歸古鑑中。曰。如何是一印印水。師曰。秋蟾影落千江裡。曰。如何是一印印泥。師曰。細觀文彩未生時。
僧問う、如何なるか是れ一印の空に印する。師曰く、萬象收め歸めて古鑑の中。曰く、如何なるか是れ一印の水に印する。師曰く、秋蟾の影千江の裏に落つ。曰く、如何なるか是れ一印の泥に印する。師曰く、細に觀よ文彩未だ生ぜざる時を
青原下十六世
青原の下十六世
中竺妙禪師法嗣
中竺妙禅師法嗣
溫州光孝巳菴深禪師
溫州光孝巳庵深禅師
本郡人也。上堂曰。龍生龍鳳生鳳。老鼠養兒㳂屋棟。達磨大師不會禪。歷魏遊梁乾打閧。上堂。一九二九。相逢不出手。三九二十七。籬頭吹觱栗。翻憶小釋迦。雙手抱屈膝。知不知。實不實。摩訶般若波羅蜜。上堂。維摩默然。普賢廣說。歷代聖人互呈醜拙。君不見。落花三月子規啼。一聲聲是一點血。上堂。風蕭蕭。葉飄飄。雲片片。水茫茫。江干獨立向誰說。天外飛鴻三兩行。
本郡の人なり。上堂曰く、龍は龍を生み、鳳は鳳を生じ、老鼠兒を養いて屋棟に沿う。達磨大師禅を會せず、魏を歷り梁に游びて干く哄を打つ。上堂、一九二九、相逢えば手を出ださず。三九二十七、籬頭に觱栗を吹く。翻えりて小釋迦を憶う、雙手膝を抱きて屈す。知るか知らざるか、實なるか實ならざるか、摩訶般若波羅蜜。上堂、維摩默然、普賢廣説す。歷代の聖人互いに醜拙を呈す。汝見ずや、落花三月子規啼く、一聲々は是れ一點の血。上堂、風蕭蕭、葉飄飄。雲片片、水茫茫。江干に獨り立ちて誰に向かって説かん、天外の飛鴻兩三行
五燈會元 巻第十六
五燈會元 巻第十七
臨濟宗
臨濟宗
南嶽下十一世
南岳の下十一世
石霜圓禪師法嗣
石霜圓禅師法嗣
隆興府黃龍慧南禪師
隆興府黃龍慧南禅師
信州章氏子。依泐潭澄禪師。分座接物。名振諸方。偶同雲峰悅禪師遊西山。夜話雲門法道。峰曰。澄公雖是雲門之後。法道異矣。師詰其所以異。峰曰。雲門如九轉丹砂。點鐵成金。澄公藥汞銀徒可翫。入煅則流去。師怒。以枕投之。明日。峰謝過。又曰。雲門氣宇如王。甘死語下乎。澄公有法授人。死語也。死語。其能活人乎。即背去。師挽之曰。若如是。則誰可汝意。峰曰。石霜圓手段出諸方。子宜見之。不可後也。師默計之曰。悅師翠巖。使我見石霜。於悅何有哉。即造石霜。中途聞慈明不事事。忽叢林。遂登衡嶽。乃謁福嚴賢。賢命掌書記。俄賢卒。郡守以慈明補之。既至。目其貶剝諸方。件件數為邪解。師為之氣索。遂造其室。明曰。書記領徒遊方。借使有疑。可坐而商略。師哀懇愈切。明曰。公學雲門禪。必善其旨。如雲放洞山三頓棒。是有吃棒分.無吃棒分。師曰。有吃棒分。明色莊曰。從朝至暮。鵲噪鴉鳴。皆應吃棒。明即端坐。受師炷香作禮。明復問。趙州道。臺山婆子。我為汝勘破了也。且那裡是他勘破婆子處。師汗下不能加答。次日又詣。明詬罵不已。師曰。罵豈慈悲法施耶。明曰。你作罵會那。師於言下大悟。作頌曰。傑出叢林是趙州。老婆勘破沒來由。而今四海清如鏡。行人莫與路為讎。呈慈明。明頷之。後開法同安。初受請日。泐潭遣僧來審。師提唱之語。有曰。智海無性。因覺妄而成凡。覺妄元虗。即凡心而見佛。便爾休去。將謂同安無摺合。隨汝顛倒所欲。南斗七。北斗八。僧歸。舉似澄。澄不懌。自是泐潭舊好絕矣。問。儂家自有同風事。如何是同風事。師良久。僧曰。恁麼則起動和尚去也。師曰。靈利人難得。僧禮拜。示眾曰。江南之地。春寒秋熱。近日已來。滴水滴凍。僧問。滴水滴凍時如何。師曰。未是衲僧分上事。曰。如何是衲僧分上事。師曰。滴水滴凍。
信州章氏の子。泐潭澄禅師に依りて、座を分かちて物を接し、名諸方に振る。偶雲峰悅禅師と同じく西山に游びて、夜に雲門の法道を話す。峰曰く、澄公雲門の後なりと雖も、法道異なり。師其の異なる所以を詰る。峰曰く、雲門は九轉の丹砂の如く、鐵を點じて金と成す。澄公は藥汞の銀、徒らに翫ぶべく、煅に入れば流れ去る。師怒りて、枕を以て之に投ぐ。明日、峰過ちを謝す。又曰く、雲門氣宇王の如し、甘んじて死語の下に在らんか。澄公人に授くる法有り、死語なり。死語、其れ能く人を活かさんか。即ち背きて去る。師彼を挽き住めて曰く、若し是の如くなれば、則ち誰か汝の意に可ならん。峰曰く、石霜圓の手段諸方より出づ、汝宜しく之に見ゆべし、後るべからず。師默かに計いて曰く、悅翠巖に師し、我をして石霜に見えしむ、悅に於て何の有らん。即ち往きて石霜を造る。中途にして慈明の事を事とせず、叢林に荒忽たるを聞き、於是衡岳に登り、乃ち福嚴賢を謁す。賢書記を掌らしむ。程なく賢卒し、郡守慈明を以て之に補す。既に至りて、其の諸方を貶剥するを看れば、件々邪解と數えて、師之が為に氣索し、於是其の室に造る。明曰く、書記徒を領して方に游ぶ、借いて疑有らば、坐して商略すべし。師哀懇愈々切なり。明曰く、公雲門禅を學ぶ、必ず其の旨を善くせん。如く説く洞山の三頓棒を放つは、是れ棒を喫する分有るか、棒を喫する分無きか。師曰く、棒を喫する分有り。明神色莊重にして曰く、朝より暮に至るまで、鵲噪き鴉鳴く、皆な應に棒を喫すべし。明即ち端坐して、師の炷香作禮を受く。明又問う、趙州説く、台山の婆子、我汝の為に勘破し了れり。且く哪らか是れ他の婆子を勘破せる處。師汗下して加答する能わず。次日又詣づれば、明詬罵已まず。師曰く、罵るは豈に慈悲の法施ならんや。明曰く、汝罵と會する那。師言下に於て大悟す。頌を作りて曰く、叢林に傑出するは是れ趙州、老婆勘破すれど來由無し。而今四海淸くして鏡の如く、行路の人路を仇と與うる莫れ。慈明に呈すれば、明之を頷く。後に同安に法を開く。初めて請を受くる日、泐潭僧を遣して師の提唱の語を審め來らしむ。話有りて曰く、智海性無し、妄を覺るに因りて凡と成る。妄を覺る元より虚なり、即ち凡心にして佛を見る。便ち爾く休し去れば、將に同安折合無しと謂わんとして、汝の顛倒する所の欲に隨え。南斗七、北斗八。僧歸りて、澄に擧似す。澄悅ばず。此より泐潭の舊好絶えたり。問う、儂家自ら同風の事有り、如何なるか是れ同風の事。師沈黙許久す。僧曰く、恁麼ならば和尚を起動して去らん。師曰く、靈利の人得難し。僧禮拜す。衆に示して曰く、江南の地、春寒く秋熱し。近日已來、水滴りて凍る。僧問う、水滴りて凍る時如何。師曰く、未だ是れ衲僧分上の事ならず。曰く、如何なるか是れ衲僧分上の事。師曰く、水滴りて凍る
問。牛頭未見四祖時。為甚麼百鳥䘖華獻。師曰。釘根桑樹。闊角水牛。曰。見後為甚麼不䘖華。師曰。裩無襠。袴無口。問。無為無事人。猶是金鎻難。未審過在甚麼處。師曰。一字入公門。九牛車不出。曰。學人未曉。乞師方便。師曰。大庾嶺頭。笑卻成哭。問。一不去。二不住。請師道。師曰。高祖殿前樊噲怒。曰。恁麼則今日得遇和尚也。師曰。仰面看天不見天。問。德山棒。臨濟喝。直至如今。少人拈掇。請師拈掇。師曰。千鈞之弩。不為鼷鼠而發機。曰。作家宗師。今朝有在。師便喝。僧禮拜。師曰。五湖衲子。一錫禪人。未到同安。不妨疑著。上堂。橫吞巨海。倒卓須彌。衲僧面前。也是尋常茶飯。行腳人須是荊棘林內。坐大道場。向和泥合水處。認取本來面目。且作麼生見得。遂拈拄杖曰。直饒見得。未免山僧拄杖。上堂。聖凡情盡。體露真常。拈起拂子。曰。拂子𨁝跳上三十三天。搊脫帝釋鼻孔。驢唇先生拊掌大笑道。盡十方世界覓箇識好惡底人。萬中無一。擊禪床。下座。上堂。說妙談玄。乃太平之姦賊。行棒行喝。為亂世之英雄。英雄姦賊。棒喝玄妙。皆為長物。黃檗門下總用不著。且道黃檗門下尋常用箇甚麼。喝一喝。上堂。撞鐘鐘鳴。擊皷皷響。大眾殷勤問訊。同安端然合掌。這箇是世法。那箇是佛法。咄。上堂。有一人朝看華嚴。暮觀般若。晝夜精勤。無有暫暇。有一人不參禪。不論義。把箇破蓆日裡睡。於是二人同到黃龍。一人有為。一人無為。安下那一箇即是。良久曰。功德天。黑暗女。有智主人。二俱不受。上堂。心王不妄動。六國一時通。罷拈三尺劍。休弄一張弓。擊禪床。下座。上堂。道遠乎哉。觸事而真。聖遠乎哉。體之即神。乃拈拄杖曰。道之與聖。總在歸宗拄杖頭上。汝等諸人。何不識取。若也識得。十方剎土。不行而至。百千三昧。無作而成。
問う、牛頭未だ四祖に見えざる時、什麼を以てか百鳥花を銜えて獻ずる。師曰く、釘根は桑の樹、濶角は水の牛。曰く、見えて後什麼を以てか花を銜えざる。師曰く、裩襠無く、褲口無し。問う、無為無事の人、猶ほ是れ金金鎖の難。未だ審かに過什麼の處に在るを知らず。師曰く、一字公門に入れば、九牛車出ださず。曰く、學人未だ曉らず、師の方便を乞う。師曰く、大庾の嶺頭、笑うて卻って哭と成る。問う、一去らず、二住まらず、師の道うを請う。師曰く、高祖の殿前樊噲怒る。曰く、恁麼ならば今日和尚に遇うを得たり。師曰く、面を仰ぎて天を看れども天を見ず。問う、德山の棒、臨濟の喝、直に如今に至りて、拈掇する人少なし。師の拈掇を請う。師曰く、千鈞の弩、鼷鼠の為に機を發せず。曰く、作家の宗師、今朝在り。師便ち喝す。僧禮拜す。師曰く、五湖の衲子、一錫の禅人、未だ同安に到らざれば、疑著するに妨げず。上堂、巨海を橫吞し、須弥を倒卓す。衲僧の面前、亦是れ尋常の茶飯。行脚の人須らく是れ荊棘の林內、大道場に坐せん。和泥合水の處に向かって、本來の面目を認取せん。且く作麼生に見得せん。於是拄杖を拈じて曰く、直饒見得すとも、未だ山僧の拄杖を免れず。上堂、聖凡の情盡き、體真常を露わす。拂子を拈起して曰く、拂子蹦跳して三十三天に上り、帝釋の鼻孔を搊脱す。驢唇の先生掌を拊して大笑して道う、十方世界を盡くして個の好惡を識る人を覓るに、萬中一無し。禅床を擊ち、下座。上堂、妙を説き玄を談ずるは、乃ち太平の奸賊、棒を行じ喝を行ずるは、亂世の英雄と為る。英雄奸賊、棒喝玄妙、皆な長物と為る。黃檗の門下總て用いて著かず。且く道え、黃檗の門下尋常個の什麼を用いる。一喝す。上堂、鐘を撞けば鐘鳴り、鼓を擊てば鼓響く。大衆殷勤に問訊し、同安端然として合掌す。這個は是れ世法、那个は是れ佛法。咄。上堂、一人有りて朝に華嚴を看、暮に般若を觀て、晝夜精勤して暫の暇無し。一人有りて禅を參ぜず、義を論ぜず、個の破席を把りて日裏に睡る。於是二人同じく黃龍に到る。一人有為、一人無為。安く下すは哪一個か即ち是れ。沈黙許久して曰く、功德の天、黑暗の女。智有る主人、二俱に受けず。上堂、心王妄動せざれば、六國一時に通ず。三尺の劍を拈するを罷め、一張の弓を弄するを休む。禅床を擊ち、下座。上堂、道遠しや哉、事に觸れて真なり。聖遠しや哉、之を體すれば即ち神なり。於是拄杖を拈じて曰く、道と聖と、總て歸宗の拄杖の頭上に在り。你們諸人、何ぞ識取せざる。若しも識得せば、十方の刹土、行かずして至り、百千の三昧、作せずして成る
若也未識。有寒暑兮促君壽。有鬼神兮妬君福。上堂。半夜捉烏雞。驚起梵王睡。毗嵐風忽起。吹倒須彌山。官路無人行。私酒多人吃。當此之時。臨濟德山開得口。張得眼。有棒有喝用不得。汝等諸人各自尋取祖業契書。莫認驢鞍橋作阿爺下頷。上堂。舉大珠和尚道。身口意清淨。是名佛出世。身口意不淨。是名佛滅度。也好箇消息。古人一期方便。與你諸人計箇入路。既得箇入路。又須得箇出路。登山須到頂。入海須到底。登山不到頂。不知宇宙之寬廣。入海不到底。不知滄溟之淺深。既知寬廣。又知淺深。一踏踏飜四大海。一摑摑倒須彌山。撒手到家人不識。鵲噪鴉鳴柏樹間。上堂。千般說。萬般喻。祇要教君早回去。去何處。良久雲。夜來風起滿庭香。吹落桃華三五樹。因化主歸。上堂。世間有五種不易。一化者不易。二施者不易。三變生為熟者不易。四端坐吃者不易。更有一種不易是甚麼人。良久雲。聻。便下座(時翠巖真為首座。藏主問雲。適來和尚道。第五種不易。是甚麼人。真曰。腦後見腮。莫與往來)。上堂。拈拄杖曰。橫拈倒用。撥開彌勒眼睛。明去暗來。敲落祖師鼻孔。當是時也。目連鶖子飲氣吞聲。臨濟德山呵呵大笑。且道笑箇甚麼。咄。師室中常問僧曰。人人盡有生緣。上座生緣在何處。正當問答交鋒。卻復伸手曰。我手何似佛手。又問。諸方參請。宗師所得。卻復垂腳曰。我腳何似驢腳。三十餘年。示此三問。學者莫有契其旨。脫有酬者。師未甞可否。叢林目之為黃龍三關。師自頌曰。生緣有語人皆識。水母何曾離得鰕。但見日頭東畔上。誰能更吃趙州茶。我手佛手兼舉。禪人直下薦取。不動干戈道出。當處超佛越祖。我腳驢腳竝行。步步踏著無生。會得雲收日卷。方知此道縱橫。總頌曰。生緣斷處伸驢腳。驢腳伸時佛手開。為報五湖參學者。三關一一透將來。
(師接續いて曰く、)若しも未だ識らざれば、寒暑有りて兮君の壽を促し、鬼神有りて兮君の福を妒む。上堂、半夜に烏鷄を捉え、梵王の睡りを驚起す。毘嵐の風忽ち起こり、須弥山を吹倒す。官路人の行く無く、私酒人の喫する多し。此の時に當りて、臨濟・德山口を開き得、眼を張り得るも、棒有り喝有れども用いるを得ず。你們諸人各自祖業の契書を尋取せよ、驢鞍の橋を認めて阿爺の下頷と作す莫れ。上堂、大珠和尚の説くを擧ぐ、身口意淸淨なるは、是を佛出世と名づく。身口意不淨なるは、是を佛滅度と名づく。亦た好個の消息。古人一期の方便、汝の諸人に個の入路を計う。既に個の入路を得たり、又須らく個の出路を得べし。山に登れば須らく頂に到り、海に入れば須らく底に到るべし。山に登りて頂に到らざれば、宇宙の寬廣を知らず、海に入りて底に到らざれば、滄溟の淺深を知らず。既に寬廣を知り、又淺深を知れば、一踏四大海を踏翻し、一掴須弥山を掴倒す。手を撒きて家に到れば人識らず、鵲噪き鴉鳴く柏樹の間。上堂、千般に説き、萬般に喻うも、只だ君をして早く回去らしめんと要す。何の處に去る。沈黙許久して曰く、夜來風起きて庭に香滿ち、吹落す桃花三五樹。化主歸り来るに因る。上堂、世間に五種の不易有り。一に化する者不易、二に施する者不易、三に生を熟に變ずる者不易、四に端坐して喫する者不易。更に一種の不易有りて是れ什麼人ぞ。沈黙許久して曰く、呢。便ち下座。(當時翠巖真首座と為す。藏主問う、適來和尚の説く、第五種の不易、是れ什麼人ぞ。真曰く、腦後腮を見るは、與に往來する莫れ。)上堂、拄杖を拈じて曰く、橫に拈じ倒に用いて、撥き開く彌勒の眼睛、明去り暗來りて、敲き落とす祖師の鼻孔。是の時に當りて、目連・鶖子氣を飮み聲を吞み、臨濟・德山呵呵として大笑す。且く道え、個の什麼を笑う。咄。老師室中に常に僧に問う、人人盡く生緣有り、上座生緣は何の處に在る。正に當る問答の交鋒、卻って又手を伸べて曰く、我が手何ぞ佛手に似たる。又諸方の參請、宗師の所得を問いて、卻って又脚を垂れて曰く、我が脚何ぞ驢脚に似たる。三十餘年、此の三問を示して、學者其の旨を契える未有り。便ち酬對する有るも、師亦た未曾だ可否せず。叢林之を稱して黃龍の三關と為す。師自ら頌して曰く、生緣語有りて人皆な識る、水母何ぞ曾て蝦を離れ得ん。但だ見る日頭東の畔に上る、誰か能く更に趙州の茶を喫せん。我が手佛手兼ねて擧ぐ、禅人直下に薦取せよ。干戈を動かさずして道出づ、處に當りて佛を超え祖を越ゆ。我が脚驢脚並び行う、步步無生を踏著す。會得すれば雲收り日卷けて、方に知る此の道縱橫たりと。總頌して曰く、生緣斷ずる處驢脚を伸べ、驢脚伸ぶる時佛手開く。五湖の參學者に報いん為めに、三關一一將來に透せ
熈寧己酉三月十六日。四祖演長老通嗣法書。上堂。山僧才輕德薄。豈堪人師。蓋不昧本心。不欺諸聖。未免生死。今免生死。未出輪迴。今出輪迴。未得解脫。今得解脫。未得自在。今得自在。所以大覺世尊於然燈佛所無一法可得。六祖夜半於黃梅又傳箇甚麼。乃說偈曰。得不得。傳不傳。歸根得旨復何言。憶得首山曾漏洩。新婦騎驢阿家牽。翌日午時。端坐示寂。闍維得五色舍利。塔於前山。諡普覺禪師。
熙寧己酉三月十六日、四祖演長老嗣法の書を通ず。上堂、山僧才輕く德薄く、豈に堪えん人の師と為るに。只だ因みに本心を昧くせず、諸聖を欺かず。未だ生死を免れざるも、今生死を免れ、未だ輪回を出でざるも、今輪回を出で、未だ解脫を得ざるも、今解脫を得、未だ自在を得ざるも、今自在を得たり。所以に大覺世尊然燈佛の所に於て一法も得べき無し。六祖夜半に黄梅に於て又個の什麼を傳えたる。於是偈を説いて曰く、得るか得ざるか、傳えるか傳えざるか、根に歸り旨を得れば復た何をか言わん。憶い得たり首山曾て漏泄せし、新婦驢に騎りて阿家牽く。翌日午時、端坐して寂を示す。闍維(火葬)して五色の舍利を得、前山に塔す。諡して普覺禅師と曰う
南嶽下十二世
南岳の下十二世
黃龍南禪師法嗣
黃龍南禅師法嗣
隆興府黃龍祖心寶覺禪師
隆興府黃龍祖心寶覺禅師
南雄鄔氏子。參雲峰悅禪師。三年無所得。辭去。悅曰。必往依黃檗南禪師。師至黃檗。四年不大發明。又辭。再上雲峰。會悅謝世。就止石霜。因閱傳燈。至僧問多福。如何是多福一叢竹。福曰。一莖兩莖斜。曰。不會。福曰。三莖四莖曲。師於此開悟。徹見二師用處。徑回黃檗。方展坐具。檗曰。子已入吾室矣。師踴躍曰。大事本來如是。和尚何得教人看話。百計搜尋。檗曰。若不教你如此究尋。到無心處自見自肯。即吾埋沒汝也。住後。僧問。達磨九年面壁。意旨如何。師曰。身貧無被蓋。曰。莫孤負他先聖也無。師曰。闍黎見處又作麼生。僧畫一圓相。師曰。燕雀不離窠。僧禮拜。師曰。更深猶自可。午後始愁人。問。未登此座時如何。師曰。一事全無。曰。登後如何。師曰。仰面觀天不見天。上堂。愚人除境不忘心。智者忘心不除境。不知心境本如如。觸目遇緣無障礙。遂舉拂子曰。看。拂子走過西天。卻來新羅國裡。知我者謂我拖泥帶水。不知我者嬴得一場怪誕。上堂。大凡窮生死根源。直須明取自家一片田地。教伊去處分明。然後臨機應用。不失其宜。祗如鋒芒未兆已前。都無是箇非箇。瞥爾𪹼動。便有五行金土相生相剋。胡來漢現。四姓雜居。各任方隅。是非鋒起。致使玄黃不辨。水乳不分。疾在膏肓。難為救療。若不當陽曉示。窮子無以知歸。欲得大用現前。便可頓忘諸見。諸見既盡。昏霧不生。大智洞然。更非他物。珍重。上堂。擊禪床曰。一塵才舉。大地全收。諸人耳在一聲中。一聲徧在諸人耳。若是摩霄俊鶻。便合乘時。止濼困魚。徒勞激浪。上堂。不與萬法為侶。即是無諍三昧。便恁麼去。爭奈絃急則聲促。若能向紫羅帳裡撒真珠。未必善因而招惡果。上堂。有句無句。如藤倚樹。且任諸人點頭。及乎樹倒藤枯。上無沖天之計。下無入地之謀。靈利漢這裡著得一隻眼。
南雄鄔氏の子。雲峰悅禅師に參じ、三年所得無く、辭して去る。悅曰く、必ず往きて黃檗南禅師に依れ。師黃檗に至り、四年大いに發明せず、又辭す。再び雲峰に上るに、正に悅の世を謝するに逢い、就いて石霜に止まる。《傳燈》を閱するに因り、僧の多福に問う、如何なるか是れ多福の一叢の竹。福曰く、一莖兩莖斜めなり。曰く、會せず。福曰く、三莖四莖曲がれり。師此に於て開悟し、二師の用用處を徹見す。徑りに黃檗に回る。方に坐具を展ぶるに、檗曰く、汝已に吾が室に入れり。師踊躍して曰く、大事本來是の如し、和尚何ぞ人をして話を看せしめ、百計搜尋せしむるを得ん。檗曰く、若し汝を敎えて此の如く究尋せしめざれば、無心の處に到りて自見自肯せん、即ち吾汝を埋沒せん。住して後、僧問う、達磨九年壁に面す、意旨如何。師曰く、身貧しく被蓋無し。曰く、莫れや他の先聖に辜負する無しや。師曰く、闍黎の見處又作麼生。僧一個の圓相を畫く。師曰く、燕雀窠を離れず。僧禮拜す。師曰く、更に深ければ猶ほ自ら可なり、午後始めて人を愁えしむ。問う、未だ此の座に登らざる時如何。師曰く、一事全く無し。曰く、登りて後如何。師曰く、面を仰ぎて天を觀れども天を見ず。上堂、愚人は境を除きて心を忘れず、智者は心を忘れて境を除かず。知らず心境本より如如なるを、目に觸れ緣に遇いて障礙無し。於是拂子を擧げて曰く、看。拂子西天を走り過ぎて、卻って來りて新羅の國裏。我を知る者は我を謂う泥を拖び水を帶ぶと、我を知らざる者は贏得す一場の怪誕。上堂、大凡生死の根源を窮むるに、直に須らく自家一片の田地を明取して、伊をして去處分明ならしめ、然る後機に臨みて應用して、其の宜しきを失わざるべし。只だ如く鋒芒未だ兆さざる已前、都て是れ個に非ず個に非ず。瞥爾として纔かに動けば(此の字火に從う、文意に據りて讀む)、便ち五行金土相生相克有り、胡來り漢現じ、四姓雜居し、各々方隅に任じ、是非鋒起り、致して玄黄辨えず、水乳分かれざらしむ。疾膏肓に在りて、救療し難し。若し當陽に曉示せざれば、窮子以て歸る所を知る無し。大用現前を得んと欲せば、便ち諸見を頓忘すべし。諸見既に盡くれば、昏霧生ぜず。大智洞然として、更に他物に非ず。珍重。上堂、禅床を擊ちて曰く、一塵纔かに擧がれば、大地全く收む。諸人の耳一聲の中に在り、一聲遍く諸人の耳に在り。若し是れ霄を摩する俊鶻ならば、便ち合して時に乘ずべし、泺に止まる困魚は、徒らに浪を激す。上堂、萬法と侶と為らざれば、即ち是れ無諍の三昧。便ち恁麼に去れば、怎んぞ弦急なれば則ち聲促なるを奈何せん。若し能く紫羅の帳裏に向かって真珠を撒かば、未だ必ずしも善因に因りて惡果を招かず。上堂、句有り句無きは、藤の樹に倚るが如し。且く諸人の點頭に任せよ。及んで樹倒れ藤枯れ、上に天を衝くの計無く、下に地に入るの謀無し。靈利の漢這裏に一隻の眼を著く
便見七縱八橫。舉拂子曰。看太陽溢目。萬裡不掛片雲。若是覆盆之下。又爭怪得老僧。上堂。若也單明自己。不悟目前。此人有眼無足。若悟目前。不明自己。此人有足無眼。據此二人。十二時中常有一物。蘊在𮌎中。物既在𮌎。不安之相。常在目前。既在目前。觸途成滯。作麼生得平穩去。祖不言乎。執之失度。必入邪路。放之自然。體無去住。上堂。良工未出。玉石不分。巧冶無人。金沙混雜。還有無師自悟底麼。出來辨別看。乃舉拂子曰。且道是金是沙。良久曰。見之不取。思之千里。上堂。有時開門待知識。知識不來過。有時把手上高山。高山人不顧。或作敗軍之將。向闍黎手裡拱手歸降。或為忿怒那吒。敲骨打髓。正當恁麼時。還有同聲相應.同氣相求底麼。有則向百尺竿頭。進取一步。如無。少室峰前。一場笑具。上堂。心同虗空界。示等虗空法。證得虗空時。無是無非法。便恁麼休去。停橈把纜。且向灣裡泊船。若據衲僧門下。天地懸隔。且道衲僧門下。有甚長處。楖栗橫擔不顧人。直入千峰萬峰去。上堂。一不向。二不開。飜思南嶽與天台。堪笑白雲無定止。被風吹去又吹來。上堂。不是風動。不是幡動。明眼漢謾他一點也不得。仁者心動且緩緩。你向甚處見祖師。乃擲下拂子。曰。看。上堂。過去諸佛已滅。未來諸佛未生。正當現在。佛法委付黃龍。放行則恍恍惚惚。其中有物。把住則杳杳冥冥。其中有精。且道放行即是。把住即是。竿頭絲線從君弄。不犯清波意自殊。上堂。虎頭生角人難措。石火電光須密佈。假饒烈士也應難。懵底那能善回互。手擎日月。背負須彌。擲向他方。其中眾生不覺不知。其中眾生騎驢入諸人眼裡。諸人亦不覺不知。會麼。將此身心奉塵剎。是則名為報佛恩。上堂。一漚未發。古帆未徵。風信不來。無人舉櫂。正當恁麼時。水脈如何辨的。
(師接續いて曰く、)便ち見る七縱八橫。拂子を擧げて曰く、看、太陽目に溢れ、萬里片雲を掛けず。若し是れ盆を覆うの下、又怎んぞ老僧を怪むを得ん。上堂、若しも單に自己を明らかにして目前を悟らざれば、此の人眼有りて足無し。若し目前を悟りて自己を明らかにせざれば、此の人足有りて眼無し。此の二人に據れば、十二時中常に一物有り、胸中に蘊ねり。(此の字肉に從う、當に「胸」とすべし。)物既に胸に在れば、安ならざる相常に目前に在り。既に目前に在れば、途に觸れて滯りと成る。作麼生に平穩に去るを得ん。祖是れ説かざらずや、之を執れば度を失い、必ず邪路に入り、之を放てば自然、體に去住無し。上堂、良工未だ出でざれば、玉石分かれず、巧冶人無ければ、金沙混雜す。還た師無くして自悟する有るか。出で來りて辨別して看よ。於是拂子を擧げて曰く、且く道え、是れ金か是れ沙か。沈黙許久して曰く、之を見て取らざれば、之を思うこと千里。上堂、或る時は門を開きて知識を待てど、知識來らざるの過、或る時は手を把りて高山に上れど、高山人の顧みざる。或いは敗軍の將と作りて、闍黎の手裏に向かって拱手歸降し、或いは忿怒の那咤と為りて、骨を敲き髓を打つ。正に當る恁麼の時、還た同聲相應じ同氣相求むる有るか。有れば則ち百尺の竿頭に向かって一步を進取せよ、無くば、少室の峰前一場の笑具。上堂、心虚空界に同じく、示す虚空法に等し。虚空を證得する時、是の法有らず是の法無し。便ち恁麼に休し去れば、橈を停め纜を把りて、且く灣裏に向かって船を泊めよ。若し衲僧の門下に據れば、天地懸隔す。且く道え、衲僧の門下に甚の長處か有る。楖栗橫に擔いで人を顧みず、直に入る千峰萬峰に去る。上堂、一向かわず、二開かず、翻えって思う南岳と天台と。笑うべし白雲定止無く、風に吹かれて去り又吹かれて來る。上堂、風の動くに非ず、幡の動くに非ず。明眼の漢は他一點を瞞すを得ず。仁者の心動くは且く緩緩、汝甚の處に向かって祖師を見る。於是拂子を擲下して曰く、看。上堂、過去の諸佛已に滅し、未來の諸佛未だ生まれず。正に現在に當りて、佛法黃龍に委付す。放行すれば則ち恍恍惚惚として、其の中に物有り、把住すれば則ち杳杳冥冥として、其の中に精有り。且く道え、放行即是か、把住即是か。竿頭の絲線君に從い弄せん、淸波を犯さずして意自ら殊なり。上堂、虎の頭に角生じて人措き難く、石火の電光須らく密布すべし。假饒烈士なりとも應に難し、懵の底哪んぞ能く回互を善くせん。手に日月を擎げ、背に須弥を負いて、他方に擲向す、其の中の衆生覺えず知らず。其の中の衆生驢に騎りて諸人の眼裏に入る、諸人亦た覺えず知らず。會するか。此の身心を將て塵刹に奉ずるは、是を則ち佛恩に報ゆると名づく。上堂、一漚未だ發せず、古帆未だ征せず。風信來らざれば、人の棹を擧ぐる無し。正に當る恁麼の時、水脈如何に辨える
君不見雲門老。垂手處。落落清波無透路。又不見華亭叟。洩天機。夜深空載月明歸。莫怪相逢不相識。從教萬古漫漫黑。上堂。馬祖陞堂。百丈卷席。後人不善來風。盡道不留眹跡。殊不知桃華浪裡正好張帆。七里灘頭更堪垂釣。如今必有辯浮沉.識深淺底漢。試出來定當水脈看。如無。且將漁父笛。閑向海邊吹。上堂。風瀟瀟兮木葉飛。鴻鴈不來音信稀。還鄉一曲無人吹。令餘拍手空遲疑。上堂。鏡像或謂有。攬之不盈手。鏡像或謂無。分明如儼圖。所以取不得。捨不得。不可得中祇麼得。還會麼。不作維摩詰。又似傅大士。上堂。夫玄道者。不可以設功得。聖智者。不可以有心知。真諦者。不可以存我會。至功者。不可以營事為。古人一期應病與藥則不可。若是丈夫漢。出則經濟天下。不出則卷而懷之。爾若一向聲和響順。我則排斥諸方。爾若示現酒肆婬坊。我則孤峰獨宿。且道甚處是黃龍為人眼。師室中常舉拳。問僧曰。喚作拳頭則觸。不喚作拳頭則背。喚作甚麼。將入滅。命門人黃太史廷堅主後事。茶毗日。隣峰為秉炬。火不續。黃顧師之得法上首死心新禪師曰。此老師有待於吾兄也。新以喪拒。黃強之。新執炬召眾曰。不是餘殃累及我。彌天罪過不容誅。而今兩腳捎空去。不作牛兮定作驢。以火炬打一圓相曰。祇向這裡雪屈。擲炬。應手而爇。靈骨窆於普覺塔之東。諡寶覺禪師。
(師接續いて曰く、)汝見ずや雲門の老、手を垂るる處、落落たる淸波透る路無し。又見ずや華亭の叟、天機を泄らし、夜深くして空しく月明を載せて歸る。怪しむ莫れ相逢えども相い識らざるを、從教えん萬古漫漫として黑きを。上堂、馬祖堂に升れば、百丈席を卷く。後人來風を善くせず、盡く道う朕の跡を留めずと。殊に知らず桃花の浪裏正好帆を張るべく、七里の灘頭更に堪えて釣を垂るべし。如今必ず浮沈を辨え淺深を識る漢有らば、試みに出で來りて當に水脈を看るべし。無くば、且く漁父の笛を將て、閑に海邊に向かって吹かん。上堂、風蕭蕭として兮木の葉飛び、鴻雁來らずして音信稀なり。還鄕の一曲人の吹く無く、我をして手を拍ちて空しく遲疑せしむ。上堂、鏡像或いは有と謂い、之を攬むれども手に盈たず、鏡像或いは無と謂い、分明として嚴圖の如し。所以に取るに得ず、捨つるに得ず、得べからざるの中に只恁に得たり。還た會するか。維摩詰と作らず、又傅大士に似たり。上堂、夫れ玄道なる者は、功を設けて得べからず、聖智なる者は、心有りて知るべからず、真諦なる者は、我會を存するべからず、至功なる者は、事を營み為と為すべからず。古人一期病に應じて藥を與うるは則ち可なり。若し是れ丈夫の漢ならば、出でれば天下を經濟し、出でざれば卷きて之を懐う。汝若し一向に聲和し響順わば、我則ち諸方を排斥し、汝若し酒肆淫坊を示現せば、我則ち孤峰獨り宿す。且く道え、甚の處か是れ黃龍人を為すの眼。老師室中に常に拳を擧げ、僧に問う、喚びて拳頭と作さば則ち觸れ、喚びて拳頭と作さざれば則ち背く。喚びて什麼と作さん。滅に入らんと將にして、門人黃太史庭堅を命じて後事を主持せしむ。荼毗の日、鄰峰炬を秉ると為すも、火續がず。黃老師の得法の上首死心新禅師を顧みて曰く、此の老師吾が兄に待つ所有り。新喪を以て拒ぐ。黃強め之を。新炬を執りて衆に召して曰く、是れ餘殃我に累及せず、彌天の罪過誅を容れず。而今兩脚空に捎りて去り、牛と作さずんば定めて驢と作らん。火炬を以て一個の圓相を打ちて曰く、只だ這裏に向かって屈を雪げ。炬を擲てば、手に應じて燃ゆ。靈骨普覺の塔の東に葬る。諡して寶覺禅師と曰う
江州東林興龍寺常總照覺禪師
江州東林興龍寺常總照覺禅師
延平施氏子。久依黃龍。密授大法決旨。出住泐潭。次遷東林。皆符讖記。僧問。乾坤之內。宇宙之間。中有一寶。秘在形山。如何是寶。師曰。白月現。黑月隱。曰。非但聞名。今日親見。師曰。且道寶在甚麼處。曰。古殿戶開光燦爛。白蓮池畔社中人。師曰。別寶還他碧眼胡。又僧出眾。提起坐具曰。請師答話。師曰。放下著。僧又作展勢。師曰。收。曰。昔年尋劍客。今朝遇作家。師曰。這裡是甚麼所在。僧便喝。師曰。喝老僧那。僧又喝。師曰。放過又爭得。便打。上堂。乾坤大地。常演圓音。日月星辰。每談實相。飜憶先黃龍道。秋雨淋漓。連宵徹曙。點點無私。不落別處。復雲。滴穿汝眼睛。浸爛汝鼻孔。東林則不然。終歸大海作波濤。擊禪床。下座。上堂。老盧不識字。頓明佛意。佛意離文墨故。白兆不識書。圓悟宗乘。宗乘非言詮故。如此老婆心。分明入泥水。今時人猶尚抱橋柱澡洗。把䌫放船。良久曰。爭怪得老僧。
延平施氏の子。久しく黃龍に依りて、密かに大法の決旨を授かる。出でて泐潭を住し、次いで東林に遷る、皆な識記に符す。僧問う、乾坤の內、宇宙の間、中に一寶有り、形山に秘め在り。如何なるか是れ寶。師曰く、白月現じ、黑月隱る。曰く、但だ名を聞くのみならず、今日親しく見たり。師曰く、且く道え、寶は什麼の處に在る。曰く、古殿戸開けて光燦爛、白蓮の池畔社中の人。師曰く、別の寶は他の碧眼の胡に還せ。又僧有りて衆を出でて、坐具を提起して曰く、師の答話を請う。師曰く、放下著。僧又勢を展ぶ。師曰く、收。曰く、昔年劍客を尋ぬる、今朝作家に遇う。師曰く、這裏は是れ什麼の所在ぞ。僧便ち喝す。師曰く、老僧を喝する那。僧又喝す。師曰く、放過すれば又怎んぞ得ん。便ち打つ。上堂、乾坤大地、常に圓音を演べ、日月星辰、每に實相を談ず。翻えりて先黃龍の説くを憶う、秋雨淋漓として、宵を連ね曙に徹し、點點私無く、別處に落ちず。又曰く、滴りて汝の眼睛を穿り、浸りて汝の鼻孔を爛れしむ。東林即ち然らず、終に大海に歸して波濤と作らん。禅床を擊ち、下座。上堂、老盧字を識らずして、頓に佛意を明らむ、佛意文墨を離るるが故なり。白兆書を識らずして、圓に宗乘を悟る、宗乘言詮に非ざるが故なり。此の如くの老婆心、分明に泥水に入る。今時の人猶ほ尚ほ橋柱を抱きて澡洗し、纜を把りて船を放す。沈黙許久して曰く、怎んぞ老僧を怪むを得ん
隆興府寶峰克文雲庵真淨禪師
隆興府寶峰克文雲庵真淨禅師
陝府鄭氏子。坐夏大溈。聞僧舉。僧問雲門。佛法如水中月。是否。門曰。清波無透路。師乃領解。往見黃龍不契。卻曰。我有好處。這老漢不識我。遂往香城見順和尚。順問。甚處來。師曰。黃龍來。曰。黃龍近日有何言句。師曰。黃龍近日。州府委請黃檗長老。龍垂語云。鐘樓上念讚。床腳下種菜。有人下得語契。便往住持。勝上座雲。猛虎當路坐。龍遂令去住黃檗。順不覺雲。勝首座祇下得一轉語。便得黃檗住。佛法未夢見在。師於言下大悟。方知黃龍用處。遂回見黃龍。龍問。甚處來。師曰。特來禮拜和尚。龍曰。恰值老僧不在。師曰。向甚麼處去。龍曰。天台普請。南嶽遊山。師曰。恁麼則學人得自在去也。龍曰。腳下鞋甚處得來。師曰。廬山七百五十文唱來。龍曰。何曾得自在。師指鞋曰。何甞不自在。龍駭之。開堂日。拈香祝聖。問答罷。乃曰。問話且止。祇知問佛問法。殊不知佛法來處。且道從甚麼處來。垂一足曰。昔日黃龍親行此令。十方諸佛。無敢違者。諸代祖師。一切聖賢。無敢越者。無量法門。一切妙義。天下老和尚舌頭始終一印。無敢異者。無異則且置。印在甚麼處。還見麼。若見。非僧非俗。無偏無黨。一一分付。若不見。而我自收。遂收足喝一喝曰。兵隨印轉。將逐符行。佛手驢腳生緣老。好痛與三十棒。而今會中莫有不甘者麼。若有。不妨奇特。若無。新長老謾你諸人去也。故我大覺世尊。昔於摩竭陀國。十二月八日。明星現時。豁然悟道。大地有情。一時成佛。今有釋子沙門某於東震旦國。大宋筠陽城中。六月十三日。赫日現時。又悟箇甚麼。以拂子畫曰。我不敢輕於汝等。汝等皆當作佛。僧問。如何是佛。師呵呵大笑。僧曰。何哂之有。師曰。笑你隨語生解。曰。偶然失利。師喝曰。不得禮拜。僧便歸眾。師復笑曰。隨語生解。問。江西佛手驢腳接人。
陝府鄭氏の子。大潙に在りて夏に坐し、僧の擧ぐるを聞く、僧雲門に問う、佛法水中の月の如し、是か否か。門曰く、淸波透る路無し。師此に於て領解す。往きて黃龍に見ゆるに契わず、卻って曰く、我に好處有りて、這の老漢我を識らず。於是往きて香城に順和尚に見ゆ。順問う、甚の處より來る。師曰く、黃龍より來る。曰く、黃龍近日何の言句か有る。師曰く、黃龍近日、州府黃檗長老を委請す。龍語を垂れて曰く、鐘樓の上に讚を念じ、床脚の下に菜を種う。人語を下して契う有れば、便ち往きて住持せしむ。勝上座曰く、猛虎路に當りて坐す。龍於是去りて黄檗に住せしむ。順覺えず曰く、勝首座只だ一轉の語を下して、便ち黃檗に住するを得る、佛法未だ夢に見る處に在らず。師言下に於て大悟し、方に知る黃龍の用處を。於是回りて黃龍に見ゆ。龍問う、甚の處より來る。師曰く、特に來りて和尚を禮拜す。龍曰く、恰も老僧の在らざるに值う。師曰く、什麼の處に向かって去る。龍曰く、天台普請し、南岳山に游ぶ。師曰く、恁麼ならば學人自在を得て去らん。龍曰く、脚下の鞋甚の處より得來る。師曰く、廬山七百五十文を以て買い來る。龍曰く、何ぞ曾て自在を得ん。師鞋を指して曰く、何ぞ嘗て自在ならざらん。龍之を駭く。開堂の日、香を拈じて聖を祝す。問答罷みて、便ち曰く、問話且く止め。只だ知る佛を問い法を問う、殊に知らず佛法の來る處を。且く道え、什麼の處より來る。一足を垂れて曰く、昔日黃龍親しく此の令を行ず。十方の諸佛、敢えて違う者無く、諸代の祖師、一切の聖賢、敢えて越ゆる者無く、無量の法門、一切の妙義、天下の老和尚の舌頭始終一印、敢えて異なる者無し。異無ければ則ち且く置くとして、印は什麼の處に在る。還た見るか。若し見れば、僧に非ず俗に非ず、偏なく黨なく、一一分付せん。若し見ざれば、而れ我自ら收めん。於是足を收め、一喝して曰く、兵印に隨って轉じ、將符に逐い行く。佛手驢脚生緣老、好く痛く三十棒を與えよ。而今會中甘ぜざる者有るべきか。若し有れば、奇特なるに妨げず。若し無くば、新長老汝の諸人を瞞して去らん。故に我が大覺世尊、昔摩竭陀國に於て、十二月八日、明星現ずる時、豁然として道を悟り、大地の有情、一時に佛と成る。今釋子の沙門某有りて、東の震旦國大宋筠陽城中に於て、六月十三日、赫日現ずる時、又個の什麼を悟る。拂子を以て畫して曰く、我敢えて汝等を輕んぜず、汝等皆な當に佛と作るべし。僧問う、如何なるか是れ佛。師呵呵として大笑す。僧曰く、何の哂う所有る。師曰く、汝の語に隨って解を生ずるを笑う。曰く、偶然利を失う。師喝して曰く、禮拜するを得ず。僧便ち衆に歸る。師又笑い曰く、語に隨って解を生ず。問う、江西の佛手驢脚人を接す
和尚如何接人。師曰。鯰魚上竹竿。曰。全因今日。師曰。烏龜入水。問。新豐吟雲門曲。舉世知音能和續。大眾臨筵。願清耳目。師以右手拍禪床。僧曰。木人拊掌。石女揚眉。師以左手拍禪床。僧曰。猶是學人疑處。師曰。何不腳跟下薦取。僧以坐具一拂。師曰。爭奈腳跟下何。問。遠遠馳符命。禪師俯應機。祖令當行也。方便指群迷。師曰。深。曰。深意如何。師曰。淺。曰。教學人如何領會。師曰。點。問。馬祖下尊宿。一箇箇阿漉漉地。唯有歸宗老較些子。黃龍下兒孫。一箇箇硬剝剝地。祇有真淨老師較些子。學人恁麼還扶得也無。師曰。打疊面前搕𢶍。卻曰。若不同床睡。焉知被底穿。師不答。僧曰。這箇為上上根人。忽遇中下之流。如何指接。師亦不答。僧曰。非但和尚懡㦬。學人亦乃一場敗缺。師曰。三十年後悟去在。問。承古有言。眾生日用而不知。未審不知箇甚麼。師曰。道。曰。忽然知後如何。師曰。十萬八千。僧提起坐具。曰。爭奈這箇何。師便喝。上堂。天地與我同根。萬物與我一體。腳頭腳尾。橫三竪四。北俱盧洲火發。燒著帝釋眉毛。東海龍王忍痛不禁。轟一箇霹靂。直得傾湫倒嶽。雲黯長空。十字街頭瘳鬍子。醉中驚覺起來。拊掌呵呵大笑曰。筠陽城中。近來少賊。乃拈拄杖曰。賊。賊。上堂。道泰不傳天子令。行人盡唱太平歌。五九四十五。莫有人從懷州來麼。若有。不得忘卻臨江軍豆豉。上堂。世尊拈華。迦葉微笑。拈拄杖曰。洞山拈起拄杖子。你諸人合作麼生。擊香卓。下座。上堂。裩無襠。袴無口。頭上青灰三五斗。趙州老漢少賣弄。然則國清才子貴。家富小兒驕。其奈禾黍不陽艶。競栽桃李春。飜令力耕者。半作賣華人。上堂。佛法兩字。直是難得。人有底不信自己佛事。唯憑少許古人影響。相似般若所知境界。定相法門。動即背覺合塵。黏將去。
(僧接續いて問う、)和尚如何に人を接する。師曰く、鮎魚竹竿に上る。曰く、全く今日に因る。師曰く、烏龜水に入る。問う、新豐の吟、雲門の曲、世を擧げて知音和續する能し。大衆筵に臨み、願わくは耳目を淸くせん。師右手を以て禅床を拍す。僧曰く、木人掌を拊し、石女眉を揚ぐ。師左手を以て禅床を拍す。僧曰く、猶ほ是れ學人の疑處。師曰く、何ぞ脚跟の下に薦取せざる。僧坐具を以て一拂す。師曰く、怎んぞ脚跟の下を奈何せん。問う、遠々符命を馳せ、禅師機に俯應す。祖令當に行ずべし、方便に群迷を指す。師曰く、深。曰く、深の意如何。師曰く、淺。曰く、學人をして如何に領會せしめん。師曰く、點。問う、馬祖の下の尊宿、一個個阿漉漉地なり、唯だ歸宗の老較えて些子有り。黃龍の下の兒孫、一個個硬剥剥地なり、只だ真淨の老師較えて些子有り。學人恁麼に還た扶し得るや無しや。師曰く、面前の搕𢶍を打疊せよ。又曰く、若し床に同じく睡らざれば、焉んぞ被底の穿るを知らん。師答えず。僧曰く、這個は上々の根人を上と為す。忽ち中下の流に遇えば、如何に指接せん。師亦た答えず。僧曰く、但だ和尚の懡㦬なるのみならず、學人亦た乃ち一場の敗缺。師曰く、三十年の後悟り去るに在り。問う、古の言に承る、衆生日用して知らず。未だ審かに個の什麼を知らざるを知らず。師曰く、道。曰く、忽然知りて後如何。師曰く、十萬八千。僧坐具を提起して曰く、怎んぞ這個を奈何せん。師便ち喝す。上堂、天地我と同根、萬物我と一體。脚頭脚尾、橫三竪四。北俱盧洲に火發し、帝釋の眉毛を燒著す。東海の龍王忍痛禁じえず、一個の霹靂を轟かし、直に湫を傾け岳を倒し、雲長空を黯ぜしむるを得たり。十字街頭の瘳胡子、醉の中に驚覺起きて、掌を拊して呵呵として大笑して曰く、筠陽城中、近來賊少なし。於是拄杖を拈じて曰く、賊、賊。上堂、道泰にして天子の令を傳えず、行人盡く太平の歌を唱う。五九四十五。人懷州より來る有るべきか。若し有れば、臨江軍の豆豉を忘却するを得ず。上堂、世尊花を拈じ、迦葉微笑せり。拄杖を拈じて曰く、洞山拄杖子を拈起す、你の諸人合作麼生せん。香台を擊ち、下座。上堂、裩襠無く、褲口無し、頭上に青灰三五斗。(「灰」底本僻寫と作る。)趙州の老漢賣弄少なし。然る則ち國淸の才子貴く、家富む小兒驕り。其れ奈んぞ禾黍陽艶ならざる、競い桃李を栽う春。翻えって力耕する者をして、半ば賣花の人と作さしむ。上堂、佛法の兩字、直に是れ得難し。人有りて底に自ら佛事を信ぜず、唯だ少許の古人の影響に憑り、般若の知る所の境界、定相の法門に相似たり。動けば即ち覺に背き塵に合し、黏ぎ將て去る
脫不得。或學者來。如印印泥。𮞏相印授。不唯自誤。亦乃誤他。洞山門下。無佛法與人。祇有一口劍。凡是來者。一一斬斷。使伊性命不存。見聞俱泯。卻向父母未生前與伊相見。見伊才向前便為斬斷。然則剛刀雖利。不斬無罪之人。莫有無罪底麼。也好與三十拄杖。上堂。洞山門下。要行便行。要坐便坐。缽盂裡屙屎。淨瓶裡吐唾。執法修行。如牛拽磨。上堂。洞山門下。有時和泥合水。有時壁立千仞。你諸方擬向和泥合水處見洞山。洞山且不在和泥合水處。擬向壁立千仞處見洞山。洞山且不在壁立千仞處。擬向一切處見洞山。洞山且不在一切處。你擬不要見洞山。鼻索又在洞山手裡。擬瞌睡也把鼻索一掣。祇見眼孔定動。又不相識也。不要你識洞山。但識得自己也得。上堂。汾陽莫妄想。俱胝竪指頭。古今佛法事。到此一時休。休休。卻憶趙州勘婆子。不風流處也風流。拈拄杖曰。為眾竭力。上堂。頭陁石被苺苔裡。擲筆峰遭薜茘纏。羅漢院裡。一年度三箇行者。歸宗寺裡參退吃茶。上堂。師子不食鵰殘。快鷹不打死兔。放出臨濟大龍。抽卻雲門一顧。拈起拄杖曰。雲行雨施。三草二木。師崇寧改元。十月旦示疾。望乃愈。出道具散諸徒。翌日中夜。沐浴更衣趺坐。眾請說法。示偈及遺誡宗門大略。言卒而逝。火葬。𦦨成五色。白光上騰。煙所至處。皆設利。分骨塔於泐潭.新豐。
(師接續いて曰く、)脱するを得ず。或いは學者來れば、印の泥に印するが如く、遞に相い印授す。唯だ自ら誤るのみならず、亦た乃ち他を誤る。洞山の門下、佛法人に與える無し、只だ一口の劍有り。凡そ是れ來る者、一一斬斷して、伊をして性命存せず、見聞俱に泯びしむ。卻って父母未だ生ぜざる前に向かって伊と相見ん。伊を見る纔かに前に向かえば、便ち為に斬斷す。然る則ち剛刀利なりと雖も、罪無きの人を斬らず。罪無き有るべきか。亦た好く三十の拄杖を與えよ。上堂、洞山の門下、行かんと要すれば便ち行き、坐さんと要すれば便ち坐す。鉢盂の裏に屎を屙り、淨瓶の裏に唾を吐く。法を執りて修行するは、牛の磨を拽くが如し。上堂、洞山の門下、或る時は和泥合水、或る時は壁立千仞。你の諸方和泥合水の處に向かって洞山を見んと擬すれども、洞山且く和泥合水の處に在らず、壁立千仞の處に向かって洞山を見んと擬すれども、洞山且く壁立千仞の處に在らず、一切の處に向かって洞山を見んと擬すれども、洞山且く一切の處に在らず。你洞山を見ずんと擬せば、鼻索又洞山の手裏に在り。擬すれば瞌睡するも鼻索を一掣して、只だ見る眼孔定動して、又相い識らざるを。汝をして洞山を識らしむ要なし、但だ自己を識得すれば亦た得たり。上堂、汾陽妄想する莫れ、俱胝指頭を竪てたり。古今の佛法の事、此に到りて一時に休す。休休。卻って憶う趙州の婆子を勘ぐるを、風流ならざる處も亦た風流。拄杖を拈じて曰く、衆の為に力を竭く。上堂、頭陀の石苺苔に裹まれ、擲筆の峰薜荔に纏わる。羅漢の院裏、一年に三個の行者を度し、歸宗の寺裏、參退して茶を喫す。上堂。崇寧改元、十月旦に疾を示し、望日乃ち愈ゆ。道具を出だして諸徒に散ず。翌日中夜、沐浴し衣を更え趺坐す。衆法を説くを請う、偈及び宗門を遺誡する大略を示す。言卒わりて逝く。火葬すれば、焰五色と成り、白光上に騰る。烟の至る處、皆な舍利と成る。骨を分かちて泐潭、新豐に塔す
南康軍雲居真如院元祐禪師
南康軍雲居真如院元祐禅師
信州王氏子。僧問。如何是道林的旨。師曰。劄。曰。隨流認得性。無喜亦無憂。師曰。汝皮袋重多少。曰。高著眼看。師曰。自領出去。問。如何是祖師西來意。師曰。胡天雪壓玉麒麟。問。如龜藏六時如何。師曰。文彩已彰。曰。爭奈處處無蹤跡。師曰。一任拖泥帶水。曰。便與麼去時如何。師曰。果然。上堂。過去諸如來。更不再勘。現在諸菩薩。放過即不可。未來修學人。謾他一點不得。所以教中道。若人慾了知。三世一切佛。應觀法界性。一切惟心造。雖然如是。雲居門下。正是金屑落眼。上堂。凡見聖見。春雲掣電。真說妄說。空華水月。飜憶長髭見石頭。解道紅罏一點雪。擊禪床。下座。上堂。龜毛為箭。兔角為弓。那吒忿怒。射破虗空。虗空撲落。傾湫倒嶽。牆壁瓦礫放光明。歸依如來大圓覺。擊禪床。下座。上堂。月色和雲白。松聲帶露寒。好箇真消息。憑君子細看。黃龍先師和身放倒。還有人扶得起麼。祖禰不了。殃及兒孫。擊禪床。下座。上堂。一切聲是佛聲。以拂子擊禪床曰。梵音深遠。令人樂聞。又曰。一切色是佛色。乃拈起拂子曰。今佛放光明。助發實相義。已到之者。頂戴奉行。未到之者。應如是知。應如是信。擊禪床下座。今諸方三塔。師始創也。
信州王氏の子。僧問う、如何なるか是れ道林の旨。師曰く、札。曰く、流れに隨って性を認得すれば、喜ぶ無く亦た憂う無し。師曰く、汝の皮袋重さ多少。曰く、眼を高くして看よ。師曰く、自ら領して出でて去れ。問う、如何なるか是れ祖師西來の意。師曰く、胡の天雪玉の麒麟を壓す。問う、龜の六を藏るが如き時如何。師曰く、文彩已に彰れり。曰く、怎んぞ處處蹤跡無きを奈何せん。師曰く、泥を拖び水を帶ぶに一任す。曰く、便ち恁麼に去る時如何。師曰く、果然。上堂、過去の諸の如來、更に再び勘えず、現在の諸の菩薩、放過せば即ち可ならず、未來の修學人、他一點を瞞すを得ず。所以に教の中に説く、若し人了知せんと欲せば、三世一切の佛、法界の性を觀ずべし、一切唯心の造る所と。然りといえども此の如し、雲居の門下、正に是れ金屑眼に落つ。上堂、凡見聖見、春雲電を掣く、真説妄説、空華水月。翻えりて長髭石頭に見えしを憶う、解けて道う紅爐の一點の雪。禅床を擊ち、下座。上堂、龜毛を以て箭と為し、兔角を以て弓と為す。那咤忿怒して、虚空を射破る。虚空撲落して、湫を傾け岳を倒す。墻壁瓦礫光明を放ち、如來の大圓覺に歸依す。禅床を擊ち、下座。上堂、月色雲を和して白く、松聲露を帶びて寒し。好個の真の消息、君に憑りて仔細に看せん。黃龍の先師身を和して放倒す、還た人扶け起こし得る有るか。祖禰了えざれば、殃兒孫に及ぶ。禅床を擊ち、下座。上堂、一切の聲は是れ佛聲。拂子を以て禅床を擊ちて曰く、梵音深遠にして、人をして樂聞せしむ。又曰く、一切の色は是れ佛色。於是拂子を拈起して曰く、今佛光明を放ちて、實相の義を助發す。已に之に到る者は、頂戴して奉行し、未だ之に到らざる者は、應に是の如く知るべく、應に是の如く信ずべし。禅床を擊ち下座。今諸方の三塔、老師の始めて創めしなり
潭州大溈懷秀禪師
潭州大潙懷秀禅師
信州應氏子。僧問。昔日溈山水牯牛。自從放去絕蹤由。今朝幸遇師登座。未審時人何處求。師曰。不得犯人苗稼。曰。恁麼則頭角已分明。師曰。空把山童贈鐵鞭。
信州應氏の子。僧問う、昔日潙山の水牯牛、放ち去りてより蹤由を絶てり。今朝幸いに師の座に登るに遇う、未だ審かに時人何の處か求めんを知らず。師曰く、人の苗稼を犯すを得ず。曰く、恁麼ならば頭角已に分明なり。師曰く、空しく山童に鐵鞭を贈る
瑞州黃檗惟勝真覺禪師
瑞州黄檗惟勝真覺禅師
潼川羅氏子。居講聚時。偶以扇勒窻櫺有聲。忽憶教中道。十方俱擊皷。十處一時聞。因大悟。白本講。講令參問。師徑往黃龍。後因瑞州太守委龍遴選黃檗主人。龍集眾垂語曰。鐘樓上念讚。床腳下種菜。若人道得。乃往住持。師出答曰。猛虎當路坐。龍大悅。遂令師往。由是諸方宗仰之。上堂。臨濟喝。德山棒。留與禪人作模範。歸宗磨。雪峰毬。此箇門庭接上流。若是黃檗即不然。也無喝。也無棒。亦不推磨。亦不輥毬。前面是案山。背後是主山。塞卻你眼睛。拶破你面門。於此見得。得不退轉地。盡未來際。不向他求。若見不得。醍醐上味。飜成毒藥。上堂。寂兮寥兮。蟾蜍皎皎下空谷。寬兮廓兮。曦光赫赫流四海。曹谿路上。勦絕人行。多子塔前。駢闐如市。直饒這裡薦得倜儻。分明未是衲僧活計。大丈夫漢。須是向黑暗獄中敲枷打鎖。餓鬼隊裡放火奪漿。推倒慈氏樓。拆卻空王殿。靈苗瑞草和根拔。滿地從教荊棘生。
潼川羅氏の子。講聚に居る時、偶扇を以て窓櫺に勒れて聲有り、忽然として想起す教の中に説く、十方俱に鼓を擊ち、十處一時に聞く。因りて大悟す。本講に白すれば、講參問せしむ。師徑りに黃龍に往く。後に瑞州の太守龍をして黃檗の主人を遴選せしむに委ねたり。龍衆を集めて語を垂れて曰く、鐘樓の上に讚を念じ、床脚の下に菜を種う。若し人道い得れば、乃ち往きて住持せしむ。師出でて答え曰く、猛虎路に當りて坐す。龍大いに悅び、於是師をして往かしむ。此に由りて諸方宗として仰ぐ。上堂、臨濟の喝、德山の棒、留めて禅人に與えて模範と作さん。歸宗の磨、雪峰の球、此の個門庭上流を接す。若し是れ黃檗なれば即ち然らず、喝も無し、棒も無し、亦た磨を推さず、亦た球を滾らさず。前面は是れ案山、背後は是れ主山。汝の眼睛を塞卻し、汝の面門を拶破す。此に於て見得すれば、不退轉の地を得て、未來際を盡くして、他に向かって求めず。若し見得せざれば、醍醐の上味、翻えって毒藥と成る。上堂、寂として兮寥として、蟾蜍皎皎として空谷を下る。寬として兮廓として、曦光赫赫として四海を流る。曹溪の路上、人行を剿絶し、多子の塔前、駢阗として市の如し。直饒這裏に倜儻分明を薦得すとも、未だ是れ衲僧の活計ならず。大丈夫の漢、須らく是れ黑暗の獄中に向かって枷を敲き鎖を打ち、餓鬼の隊裏に火を放ち漿を奪わん。慈氏の樓を推倒し、空王の殿を拆卻す。靈苗瑞草根を和して拔き、地に滿ちて荊棘の生ずるを教えん
隆興府祐聖法𡨢禪師
隆興府祐聖法某禅師(底本此の字生僻、未だ確指する能わず)
潮陽鄭氏子。晚見黃龍。深蒙印可。上堂。此事如醫家驗病方。且雜毒滿腹。未易攻治。必瞑眩之藥。而後可瘳。就令徇意投之。適足狂惑。增其沈痼。求其已病。不亦左乎。法堂前草深。於心無增。
潮陽鄭氏の子。晚く黃龍に見え、深く印可を蒙る。上堂、此の事は醫家の病を驗する方の如し。且く雜毒腹に滿ちて、未だ攻治し易からず、必ず瞑眩の藥にして、而して後瘳ゆべし。就いて意を徇いて之を投ぜしめば、適ち狂惑を足し、其の沉痼を增さん。其の已に病むを求むるは、亦た左ならずや。法堂の前草深くして、心に增す無し
蘄州開元子琦禪師
蕲州開元子琦禅師
