五燈會元卷第十五
泉州許氏子。依開元智訥。試經得度。精楞嚴.圓覺.棄謁翠巖真禪師。問佛法大意。真唾地曰。這一滴落在甚麼處。師捫膺曰。學人今日脾疼。真解顏。辭參積翠。歲餘盡得其道。乘間侍翠。商搉古今。適大雪。翠指曰。斯可以一致苕帚否。師曰。不能。然則天霽日出。雲物解駮。豈復有哉。知有底人。於一切言句如破竹。雖百節當迎刃而解。詎容聲於擬議乎。一日。翠遣僧逆問。老和尚三關語如何。師厲聲曰。你理會久遠時事作麼。翠聞益奇之。於是名著叢席。翠歿。四祖演禪師命分座。室中垂語曰。一人有口。道不得姓字為誰。後傳至東林。總禪師歎曰。琦首座如鐵山萬仞。卒難逗他語脈。未幾以開元為禪林。請師為第一世。上堂。虗空無內外。事理有短長。順則成菩提。逆則成煩惱。燈籠常瞌睡。露柱亦懊惱。大道在目前。更於何處討。以拂子擊禪床。上堂。四面亦無門。十方無壁落。頭髼鬆。耳卓朔。箇箇男兒大丈夫。何得無繩而自縛。且道透脫一句作麼生道。良久曰。踏破草鞋赤腳走。僧問。須彌納芥子即不問。微塵裡轉大法輪時如何。師曰。一步進一步。曰。恁麼則朝到西天。暮歸唐土。師曰。作客不如歸家。曰。久嚮道風。請師相見。師曰。雲月是同。谿山各異。
泉州許氏の子。開元智訥に依りて、經を試みて度を得たり。《楞嚴》《圓覺》に精し、棄て去りて翠巖真禅師を謁え、佛法の大意を問う。真地に唾して曰く、這の一滴什麼の處に落つる。師膺を捫して曰く、學人今日脾疼す。真顏を解く。辭して積翠に參ず、一年餘りにして盡く其の道を得たり。間に乘じて翠に侍し、古今を商榷す。適ち大雪にして、翠指して曰く、這れ以て苕帚を一致すること可ならんか。師曰く、能わず。然る則ち天霽れて日出で、雲物解散すれば、豈に復た有らんや。有るを知る底の人は、一切の言句に於て竹を破るが如く、百節に當るも刃に迎えて解けるに雖も、豈に聲を擬議に容れん乎。一日、翠僧を遣わして逆に問わしむ、老和尚の三關の語如何。師聲を厲くして曰く、你久遠の時の事を理會して作麼。翠聞きて益々之を奇とす。於是叢席に名著る。翠殁すれば、四祖演禅師座を分かつを命ず。室中に語を垂れて曰く、一人口有りて、姓字の誰と為るを道うことを得ず。後に東林に傳わりて、總禅師歎じて曰く、琦首座は鐵山萬仞の如く、卒に他の語脈を逗き難し。程なく開元を以て禅林と為し、師を請じて第一世と為す。上堂、虚空に內外無く、事理に短長有り。順えば則ち菩提と成り、逆えば則ち煩惱と成る。燈籠常に瞌睡し、露柱亦た懊惱す。大道目前に在り、更に何の處にか討たん。拂子を以て禅床を擊つ。上堂、四面も亦た門無く、十方壁落無し。頭は蓬鬆、耳は卓朔。個個男兒の大丈夫、何ぞ繩無くして自ら縛るを得ん。且く道え、透脱の一句作麼生に道う。沈黙許久して曰く、草鞋を踏破して赤脚に走る。僧問う、須弥芥子を納るるは即ち問わず、微塵の裏に大法輪を轉ずる時如何。師曰く、一步進めば一步。曰く、恁麼ならば朝に西天に到りて、暮に唐土に歸る。師曰く、客と作るは家に歸るに如かず。曰く、久しく道風に向かい、師の相見んを請う。師曰く、雲月は是れ同じく、溪山各々異なり
袁州仰山行偉禪師
袁州仰山行偉禅師
河朔人也。東京大佛寺受具。聽習圓覺。微有所疑。挈囊遊方。專扣祖意。至南禪師法席。六遷星序。一日扣請。尋被喝出。足擬跨門。頓省玄旨。出世仰山。道風大著。上堂。大眾會麼。古今事掩不得。日用事藏不得。既藏掩不得。則日用現前。且問諸人。現前事作麼生。參。上堂。大眾見麼。開眼則普觀十方。閤眼則包含萬有。不開不合。是何模樣。還見模樣麼。久參高德。舉處便曉。後進初機。識取模樣。莫祇管貪睡。睡時眼見箇甚麼。若道不見。與死人何別。直饒丹青處士。筆頭上畫出青山綠水.夾竹桃華。祇是相似模樣。設使石匠錐頭。鑽出群羊走獸。也祇是相似模樣。若是真模樣。任是處士石匠。無你下手處。諸人要見。須是著眼始得。良久曰。廣則一線道。狹則一寸半。以拂子擊禪床。上堂。皷聲才動。大眾雲臻。諸人上觀。山僧下覰。上觀觀箇甚麼。下覷覷箇甚麼。良久曰。對面不相識。上堂。道不在聲色而不離聲色。凡一語一默。一動一靜。隱顯縱橫。無非佛事。日用現前。古今凝然。理何差互。師自題其像曰。吾真難邈。斑斑駮駮。擬欲安排。下筆便錯。示寂。闍維獲五色舍利骨石。栓索勾連。塔於寺之東。
河朔の人なり。東京大佛寺にて具を受け、《圓覺》を聽習し、微かに疑う所有り。囊を挈げて方に游びて、專ら祖意を扣す。南禅師の法席に至りて、六たび星序を遷ず。一日扣請するに、尋いで喝出せらる。足門を跨がんと擬して、頓に玄旨を省る。世に出でて仰山に居り、道風大いに著る。上堂、大衆會するか。古今の事は掩うを得ず、日用の事は藏るを得ず。既に藏掩するを得ざれば、則ち日用現前なり。且く諸人に問う、現前の事作麼生。參。上堂、大衆見るか。眼を開けば則ち普く十方を觀て、眼を合せば則ち萬有を包含す。開かず合さざるは、是れ何の模樣ぞ。還た模樣を見るか。久參の高德は、擧る處便ち曉り、後進の初機は、模樣を識取せよ、只だ睡を貪るを管すること莫れ。睡る時眼に個の什麼を見る。若し見ざると道わば、死人と何の別か有らん。直饒丹青の處士、筆頭の上に青い山綠の水、夾竹桃の花を畫き出すとも、只だ是れ相似の模樣。設し石匠錐頭に群羊走獸を鑽り出すと雖も、亦た只だ是れ相似の模樣。若し是れ真の模樣ならば、處士石匠に任すとも、汝の下手する處無し。諸人見んと要せば、須らく是れ眼を著けて始めて得べし。沈黙許久して曰く、廣ければ則ち一線の道、狹ければ則ち一寸半。拂子を以て禅床を擊つ。上堂、鼓聲纔かに動けば、大衆雲の臻るが如し。諸人上に觀て、山僧下に覗う。上に觀ては個の什麼を觀る。下に覗いては個の什麼を覗う。沈黙許久して曰く、面に對して相い識らず。上堂、道聲色に在らずと雖も聲色を離れず。凡そ一語一默、一動一靜、隱顯縱橫、佛事に非ざる無し。日用現前して、古今凝然として、理何の差互か有らん。老師自ら其の像に題して曰く、吾が真邈め難し、斑斑駁駁。安排せんと擬すれば、筆を下して便ち錯り。寂を示し、闍維して五色の舍利骨石を獲て、栓索勾連せり。寺の東に塔す
南嶽福嚴慈感禪師
南岳福嚴慈感禅師
潼川杜氏子。上堂。古佛心。祇如今。若不會。苦沈吟。秋雨微微。秋風颯颯。乍此乍彼。若為酧答。沙岸蘆華。青黃交雜。禪者何依。良久曰。劄。
潼川杜氏の子。上堂、古佛の心、只だ今の如し。若し會せざれば、苦しく沈吟せん。秋雨微微、秋風颯颯。乍ち此く乍ち彼く、若んが為に酬答せん。沙岸の蘆花、青黄交雜す。禅者何に依る。沈黙許久して曰く、札
潭州雲蓋守智禪師
潭州雲蓋守智禅師
劍州陳氏子。遊方至豫章大寧。時法昌遇禪師韜藏西山。師聞其飽參。即之昌。問曰。汝何所來。師曰。大寧。又問。三門夜來倒。汝知麼。師愕然。曰。不知。昌曰。吳中石佛。大有人不曾得見。師惘然。即展拜。昌使謁翠巖真禪師。雖久之無省。且不捨寸陰。及謁黃龍於積翠。始盡所疑。後首眾石霜。遂開法道吾。徙雲蓋。僧問。有一無絃琴。不是世間木。今朝負上來。請師彈一曲。師拊膝一下。僧曰。金風颯颯和清韻。請師方便再垂音。師曰。陝府出鐵牛。上堂。緊峭離水靴。踏破湖湘月。手把鐵蒺蔾。打破龍虎穴。飜身倒上樹。始見無生滅。卻笑老瞿曇。彈指超彌勒。上堂。昨日高山看釣魚。步行騎馬失卻驢。有人拾得駱駝去。重賞千金一也無。若向這裡薦得。不著還草鞋錢。上堂。舉趙州問。僧向甚麼處去。曰。摘茶去。州曰。閑。師曰。道著不著。何處摸索。背後龍鱗。面前驢腳。飜身筋斗。孤雲野鶴。阿呵呵。示眾。不離當處常湛然。覓即知君不可見。雖然先聖恁麼道。且作箇模子搭卻。若也出不得。祇抱得古人底。若也出得。方有少分相應。雲蓋則不然。騎駿馬。繞須彌。過山尋蟻跡。能有幾人知。師居院之東堂。政和辛卯。死心謝事黃龍。由湖南入山奉覲。日已夕矣。侍僧通謁。師曳履。且行且語曰。將燭來。看其面目何似生。而致名喧宇宙。死心亦絕叫。把近前來。我要照是真師叔。是假師叔。師即當𮌎敺一拳。死心曰。卻是真箇。遂作禮。賓主相得歡甚。及死心復領黃龍。至政和甲午示寂時。師住開福得訃。上堂。法門不幸法幢摧。五蘊山中化作灰。昨夜泥牛通一線。黃龍從此入輪迴。
劍州陳氏の子。方に游びて豫章の大寧に至る。當時法昌遇禅師西山に韜藏せり。師其の參に飽きたるを聞き、即ち往きて見ゆ。昌問う、汝何の所より來る。師曰く、大寧。又問う、三門夜來倒れたり、你知るか。師愕然として曰く、知らず。昌曰く、吳中の石佛、大いに人未曾だ見るを得ざる有り。師惘然として、即ち拜を展ぶ。昌彼をして翠巖真禅師を謁えしむ。久しきと雖も省る無く、且つ寸陰を舍てず。及び積翠に於て黃龍を謁えて、始めて疑う所を盡くす。後に石霜に首衆し、於是道吾に法を開き、雲蓋に徙る。僧問う、一の無弦の琴有り、是れ世間の木に非ず。今朝負いて上り來りて、師の一曲を彈くを請う。師膝を拊つ一下。僧曰く、金風颯颯として淸韻に和し、師の方便再び音を垂れんを請う。師曰く、陝府鐵牛を出だす。上堂、緊峭水を離るるの靴、踏破す湖湘の月。手に鐵蒺藜を把りて、打破す龍虎の穴。身を翻して倒に樹に上りて、始めて見る生滅無きを。卻って笑う老瞿曇、彈指して彌勒を超ゆ。上堂、昨日高山釣魚を看て、步行馬に騎りて驢を失却す。人拾得して骆驼を去らしむる有り、千金を重賞すとも一も無し。若し這裏に向かって薦得せば、草鞋の錢を還すに著かず。上堂、趙州の僧に問うて何の處に向かって去ると擧ぐ。曰く、茶を摘みに去る。州曰く、閑。師曰く、道著くも著かずも、何の處にか摸摸索せん。背後の龍鱗、面前の驢脚。身を翻す筋斗、孤雲野鶴。阿呵呵。衆に示す、當處を離れずして常に湛然、覓れば即ち君の見るべからざるを知らん。然りと雖も先聖恁麼に道う、且く個の模子を作りて搭卻せん。若しも出づるを得ざれば、只だ古人の底を抱得するのみ。若しも出づるを得れば、方に少分の相應有らん。雲蓋則ち然らず、駿馬に騎りて、須弥を繞り、山を過ぎて蟻の跡を尋ぬ、能く知る人幾人ぞ。老師院の東堂に居る。政和辛卯、死心黃龍に事を謝し、湖南より山に入りて覲を奉ずるに、日已に夕なり。侍僧謁を通ず。師履を曳き、且く行き且く曰く、燭を將て來れ、其の面目何の似たる生ぞを看て、名を宇宙に喧からしむるを致せしを。死心も亦た叫び絶える、近づけて前に來れ、我照らして是れ真の師叔か、是れ假の師叔かを要す。師即ち胸に當りて一拳を殴る。死心曰く、卻って是れ真個。於是禮を作す。賓主相い得て歡び甚だし。及び死心復た黃龍を領し、政和甲午に寂を示す時に至りて、師開福を住して、訃を得て上堂、法門不幸にも法幢摧え、五蘊の山中灰と化せり。昨夜泥牛一線を通じ、黃龍此より輪回に入らん
福州玄沙合文明慧禪師
福州玄沙合文明慧禅師
僧問。如何是道。師曰。私通車馬。僧進一步。師曰。官不容針。
僧問う、如何なるか是れ道。師曰く、私に車馬を通ず。僧一歩進む。師曰く、官針を容れず
楊州建隆院昭慶禪師
楊州建隆院昭慶禅師
上堂。始見新歲倐忽。早是二月初一。天氣和融。擬舉箇時節因緣與諸人商量。卻被帝釋梵王在門外柳眼中努出頭來。先說偈言。褭褭颺輕絮。且逐風來去。相次走綿毬。休言道我絮。當時撞著阿脩羅。把住雲。任你絮。忽逢西風吹渭水。落葉滿長安一句作麼生道。於是帝釋縮頭入柳眼中。良久曰。參。
上堂、始めて見る新歲倏忽にして、早く是れ二月初一。天氣和融にして、個の時節の因緣を擧げて諸人と商量せんと擬すれども、卻って帝釋梵王門外の柳眼に在りて頭を努り出だして、先に偈言を説く、裊裊として輕絮を揚げ、且く風に逐い來去す。相い次いで綿球を走らす、道うを休めよ我を絮と。當時阿修羅に撞著きて、把住して曰く、你を絮と任す。忽ち逢う西風渭水を吹き、落葉長安に滿つる一句を作麼生に道う。於是帝釋頭を縮めて柳眼に入る。沈黙許久して曰く、參
安吉州報本慧元禪師
安吉州報本慧元禅師
潮州倪氏子。十九為大僧。徧歷叢席。於黃龍三關語下悟入。住後。僧問。諸佛不出世。達磨不西來。正當恁麼時。未審來不來。師曰。撞著你鼻孔。上堂。白雲消散。紅日東昇。仰面看天。低頭覷地。東西南北。一任觀光。達磨眼睛。斗量不盡。演若何曾認影。善財不往南方。衲僧鼻孔遼天。到此一時穿卻。僧出禮拜。曰。學人有一問。和尚還答否。師曰。昨日答汝了也。曰。今日作麼生。師曰。明日來。上堂。僧問。諸佛所說法。種種皆方便。是否。師曰。是。曰。為甚麼諸法寂滅相。不可以言宣。師曰。且莫錯會。僧以坐具一畫。師喝曰。諸法寂滅相。不可以言宣。今之學者。方見道不可以言宣。便擬絕慮忘緣。杜塞視聽。如斯見解。未有自在分。諸人要會寂滅相麼。出門不見一纖毫。滿目白雲與青嶂。師坐而不臥。餘三十年。示寂。塔全身於峴山。
潮州倪氏の子。十九にして僧と為り、遍く叢席を歷り、黃龍の三關語の下に悟り入る。住して後、僧問う、諸佛世に出でず、達磨西に來らず。正に當る恁麼の時、未だ審かに來るや來らざるを知らず。師曰く、你の鼻孔に撞著く。上堂、白雲消散し、紅日東に升る。面を仰ぎて天を看、頭を低れて地を覗う。東西南北、觀光に一任す。達磨の眼睛、斗量し盡くさず。演若何ぞ曾て影を認めん、善財南方に往かず。衲僧の鼻孔遼天にして、此に到りて一時に穿却す。僧出でて禮拜して曰く、學人一問有り、和尚還た答うる否。師曰く、昨日汝に答え了れり。曰く、今日作麼生。師曰く、明日來れ。上堂、僧問う、諸佛の説く所の法、種種皆な方便。是か否か。師曰く、是。曰く、什麼を以てか諸法の寂滅相、言を以て宣べるべからざる。師曰く、且く錯會する莫れ。僧坐具を以て一畫す。師喝して曰く、諸法の寂滅相、言を以て宣べるべからず。今の學者、方に道の言を以て宣べるべからざるを見て、便ち慮を絶ち緣を忘れ、視聽を杜塞せんと擬す。斯の如きの見解、未だ自在の分有らず。諸人寂滅相を會せんと要するか。門を出でて一纖毫を見ず、目に滿つるは白雲と青嶂。老師坐して臥せざること三十餘年。寂を示し、全身を峴山に塔す
吉州仁山隆慶院慶閑禪師
吉州仁山隆慶院慶閑禅師
福州卓氏子。母夢胡僧授以明珠。吞之而娠。及生。白光照室。幼不近酒胾。年十一棄俗。十七得度。二十徧參。後謁黃龍於黃檗。龍問。甚處來。師曰。百丈。曰。幾時離彼。師曰。正月十三。龍曰。腳跟好痛與三十棒。師曰。非但三十棒。龍喝曰。許多時行腳。無點氣息。師曰。百千諸佛。亦乃如是。曰。汝與麼來。何曾有纖毫到諸佛境界。師曰。諸佛未必到慶閑境界。龍問。如何是汝生緣處。師曰。早晨吃白粥。如今又覺饑。問。我手何似佛手。師曰。月下弄琵琶。問。我腳何似驢腳。師曰。鷺鷥立雪非同色。龍嗟諮而視曰。汝剃除鬚髮。當為何事。師曰。祇要無事。曰。與麼則數聲清罄是非外。一箇閑人天地間也。師曰。是何言歟。曰。靈利衲子。師曰。也不消得。龍曰。此間有辯上座者。汝著精彩。師曰。他有甚長處。曰。他拊汝背一下又如何。師曰。作甚麼。曰。他展兩手。師曰。甚處學這虗頭來。龍大笑。師卻展兩手。龍喝之。又問。𢤱𢤱鬆鬆。兩人共一椀作麼生會。師曰。百雜碎。曰。盡大地是箇須彌山。撮來掌中。汝又作麼生會。師曰。兩重公案。曰。這裡從汝胡言漢語。若到同安。如何過得(時英邵武在同安作首座。師欲往見之)。師曰。渠也須到這箇田地始得。曰。忽被渠指火罏曰。這箇是黑漆火罏。那箇是黑漆香卓。甚處是不到處。師曰。慶閑面前。且從恁麼說話。若是別人。笑和尚去。龍拍一拍。師便喝。明日同看僧堂。曰。好僧堂。師曰。極好工夫。曰。好在甚處。師曰。一梁拄一柱。曰。此未是好處。師曰。和尚又作麼生。龍以手指曰。這柱得與麼圓。那枋得與麼匾。師曰。人天大善知識。須是和尚始得。即趨去。明日侍立。龍問。得坐披衣。向後如何施設。師曰。遇方即方。遇圓即圓。曰。汝與麼說話。猶帶唇齒在。師曰。慶閑即與麼。和尚作麼生。曰。近前來。
福州卓氏の子。母胡僧の明珠を授くるを夢み、之を吞みて娠す。及び生まれて、白光室を照らす。幼にして酒肉を近づけず。年十一にして俗を棄て、十七にして度を得、二十にして遍く參ず。後に黃檗に於て黃龍を謁えたり。龍問う、甚の處より來る。師曰く、百丈。曰く、幾時彼を離るる。師曰く、正月十三。龍曰く、脚很好く痛く三十棒を與えよ。師曰く、但だ三十棒のみならず。龍喝して曰く、許多の時行脚して、點の氣息無し。師曰く、百千の諸佛、亦た乃ち是の如し。曰く、你恁麼に來りて、何ぞ曾て纖毫諸佛の境界に到らん。師曰く、諸佛未だ必ずしも慶閑の境界に到らず。龍問う、如何なるか是れ你の生緣の處。師曰く、早晨白粥を喫して、如今又飢えるを覺ゆ。問う、我が手何ぞ佛手に似たる。師曰く、月下に琵琶を弄す。問う、我が脚何ぞ驢脚に似たる。師曰く、鷺鷥雪に立つも同じ色に非ず。龍嗟咨して視て曰く、你鬚髮を剃除して、當に何の事を為さん。師曰く、只だ事無きを要す。曰く、恁麼ならば數聲の淸磬是非の外、一個の閑人天地の間なるか。師曰く、是れ何の言歟。曰く、靈利の衲子。師曰く、亦た消するに足らず。龍曰く、此の間に辯上座と為る者有り、你精彩を著けよ。師曰く、他に甚の長處か有る。曰く、他你の背を拊する一下に又如何。師曰く、什麼を作す。曰く、他兩手を展ぶ。師曰く、甚の處にか這の虚頭を學び來る。龍大笑す。師卻って兩手を展ぶ。龍之を喝す。又問う、𢤱𢤱松松、兩人一碗を共にするを作麼生に會せん。(二の字心に從う、未だ確指する能わず、句は松松散散を謂う。)師曰く、百雜碎。曰く、大地を盡くして個の須弥山と為し、撮め來りて掌の中、你又作麼生に會せん。師曰く、兩重の公案。曰く、這裏は你の胡言漢語に從うも、若し同安に到らば、如何に過るを得ん。(當時英邵武同安に在りて首座と作る、師往きて之に見えんと欲す。)師曰く、渠も亦た須らく此の田地に到りて始めて得べし。曰く、忽ち渠に指されて火爐を曰わん、這個は是れ黑漆の火爐、那个は是れ黑漆の香台。甚の處か是れ到らざる處。師曰く、慶閑の面前、且く恁麼に説話すに從う。若し是れ別人ならば、和尚を笑い去らん。龍一拍を拍す。師便ち喝す。明日同じく僧堂を看る。曰く、好き僧堂。師曰く、極めて好き工夫。曰く、好きは甚の處に在る。師曰く、一の梁一の柱を拄す。曰く、此れ未だ是れ好き處ならず。師曰く、和尚又作麼生。龍手を以て指して曰く、這の柱恁麼に圓なるを得、那の枋恁麼に扁なるを得。師曰く、人天の大善知識、須らく是れ和尚始めて得べし。即ち趨り去る。明日侍立す。龍問う、坐を得て衣を披く、向後如何に設施せん。師曰く、方に遇えば即ち方に、圓に遇えば即ち圓に。曰く、你恁麼に説話するも、猶ほ唇齒を帶びて在り。師曰く、慶閑即ち恁麼、和尚作麼生。曰く、近づき前に來れ
為汝說。師拊掌曰。三十年用底。今朝捉敗。龍大笑曰。一等是精靈。師拂袖而去。由是學者爭歸之。廬陵太守張公鑒請居隆慶。僧問。鋪席新開。不可放過。師曰。記取話頭。曰。請師高著眼。師曰。蹉過了也。室中垂問曰。祖師心印。篆作何文。諸佛本源。深之多少。又曰。十二時中。上來下去。開單展缽。此是五蘊敗壞之身。那箇是清淨法身。又曰。不用指東畫西。實地上道將一句來。又曰。十二時中。著衣吃飯。承甚麼人恩力。又曰。魚行水濁。鳥飛毛落。亮座主一入西山。為甚麼杳無消息。師居隆慶未朞年。鍾陵太守王公韶請居龍泉。不逾年以病求去。廬陵道俗。舟載而歸。居隆慶之東堂。事之益篤。元豐四年三月七日。將示寂。遺偈曰。露質浮世。奄質浮滅。五十三歲。六七八月。南嶽天台。松風㵎雪。珍重知音。紅罏優缽。泊然坐逝。俾畫工就寫其真。首忽自舉。次日仍平視。闍維日。雲起風作。飛瓦折木。煙氣所至。東西南北四十里。凡草木沙礫之間。皆得舍利如金色。計其所獲幾數斛。閱世五十五。坐夏三十六。初。蘇子由欲為作記。而疑其事。方臥痁。夢有呵者曰。閑師事何疑哉。疑即病矣。子由夢中作數百言。其銘略曰。稽首三界尊。閑師不止此。愍世狹劣故。聊示其小者。子由其知言哉。
(黃龍接續いて曰く、)汝の為に説かん。師掌を拊して曰く、三十年用いる底、今朝捉敗せり。龍大笑して曰く、一等是れ精靈。師袖を拂って去る。是に由りて學者爭いて之に歸す。廬陵の太守張公鑒居を隆慶に請う。僧問う、席を鋪き新たに開く、放過すべからず。師曰く、話頭を記取せよ。曰く、師の高く眼を著けんを請う。師曰く、蹉過し了れり。室中に問を垂れて曰く、祖師の心印、篆して何の文と作さん。諸佛の本源、深きこと多少。又曰く、十二時中、上り來り下り去り、單を開き鉢を展ぶ。此れ是れ五蘊の敗壞する身、哪個か是れ淸淨の法身。又曰く、東を指し西を畫くを用いず、實地の上に句を將て道い來れ。又曰く、十二時中、衣を著き飯を喫す、什麼人の恩力を承る。又曰く、魚行けば水濁り、鳥飛べば毛落つ。亮座主一たび西山に入りて、什麼を以てか杳として消息無き。老師隆慶に居ること未だ一年に滿たず、鐘陵の太守王公韶居を龍泉に請う。年を逾えずして病を以て去るを求む。廬陵の道俗、舟に載せて歸り、隆慶の東堂に居る、之に事うる益々篤し。元豐四年三月七日、將に寂を示さんとして、偈を遺して曰く、露の質浮世に、奄の質浮滅す。五十三歲、六七八月。南岳天台、松風澗雪。珍重知音、紅爐優鉢。泊然として坐逝す。畫工をして就きて其の真を寫さしむれば、頭忽然として自ら擧起し、次日仍ほ平視す。闍維の日、雲起こり風作り、瓦を飛ばし木を折る。烟氣の至る所、東西南北四十里。凡そ草木沙礫の間、皆な金色の如き舍利を得たり。其の獲る所を計れば幾數斛。世を閱ること五十五、夏に坐すること三十六。初め、蘇子由記を作らんと欲して、其の事を疑う。方に瘧に臥すに、呵する者有りて夢に曰く、閑師の事何の疑うか有らん。疑うは即ち病矣。子由夢の中に數百言を作る。其の銘略して曰く、稽首す三界の尊。閑師止まらず此れ。世の狹劣なるを愍む故に、聊か其の小なるを示す。子由其れ言を知るかな
舒州三祖山法宗禪師
舒州三祖山法宗禅師
僧問。如何是佛。師曰。吃鹽添得渴。問。如何是道。師曰。十里雙牌。五里單堠。曰。如何是道中人。師曰。少避長。賤避貴。問。如何是善知識所為底心。師曰。十字街頭一片甎。曰。如何是十字街頭一片甎。師曰。不知。曰。既不知。卻恁麼說。師曰。無人踏著。上堂。五五二十五。時人盡解數。倒拈第二籌。茫茫者無據。為甚麼無據。愛他一縷。失卻一端。上堂。明晃晃。活鱍鱍。十方世界一毫末。拋向面前知不知。莫向意根上拈掇。拍一拍。上堂。架梯可以攀高。雖升而不能達河漢。鑄鍬可以掘鑿。雖利而不能到風輪。其器者費功。其謀者益妄。不如歸家坐。免使走塵壤。大眾。那箇是塵壤祖佛禪道。
僧問う、如何なるか是れ佛。師曰く、鹽を喫して渴を添うるを得。問う、如何なるか是れ道。師曰く、十里に雙牌、五里に單堠。曰く、如何なるか是れ道中の人。師曰く、少は長を避け、賤は貴を避く。問う、如何なるか是れ善知識の為す所の心。師曰く、十字街頭の一片の磚。曰く、如何なるか是れ十字街頭の一片の磚。師曰く、知らず。曰く、既に知らずして、卻って恁麼に説く。師曰く、人の踏著する無し。上堂、五五二十五、時人盡く數を解す。第二の籌を倒拈すれば、茫茫たる者據る無し。什麼を以て據る無き。他の一縷を愛して、一の端を失却す。上堂、明晃晃、活溌溌。十方世界一毫の末。面前に抛向して知るか知らずか、意根の上に向かって拈掇する莫れ。一拍を拍す。上堂、梯を架すれば以て高きを攀すべし、升ると雖も河漢に達すること能わず、鍬を鑄れば以て掘鑿すべし、利なると雖も風輪に到ること能わず。其の器なる者は功を費やし、其の謀なる者は益々妄なり。家に歸りて坐するに如かず、塵壤を走るを免れしめん。大衆、哪個か是れ塵壤。祖佛禅道
隆興府泐潭洪英禪師
隆興府泐潭洪英禅師
邵武陳氏子。幼頴邁。一目五行。長棄儒得度。訪道曹山。依雅禪師。久之。辭登雲居。睠其勝絕。殆終於此山。因閱華嚴十明論。乃證宗要。即詣黃檗南禪師席。檗與語達旦。曰。荷擔大法。盡在爾躬厚自愛。所至議論奪席。晚遊西山。與勝首座棲雙嶺。後開法石門。久之遷泐潭。僧問。逢場作戲時如何。師曰。紅罏𪹼出鐵烏龜。曰。當軒布皷師親擊。百尺竿頭事若何。師曰。山僧不作這活計。僧擬議。師曰。不唧𠺕漢。又僧禮拜起。便垂下袈裟角。曰。脫衣卸甲時如何。師曰。喜得狼煙息。弓弰壁上懸。僧卻攬上袈裟。曰。重整衣甲時如何。師曰。不到烏江畔。知君未肯休。僧便喝。師曰。驚殺我。僧拍一拍。師曰。也是死中得活。僧禮拜。師曰。將謂是收燕破趙之才。元來是販私鹽賊。問。臨濟栽松即不問。百丈開田事若何。師曰。深著鉏頭。曰。古人猶在。師曰。更添鉏頭。僧禮拜。師扣禪床一下。乃曰。問也無窮。答也無盡。問答去來。於道轉遠。何故。況為此事。直饒棒頭薦得。不是丈夫。喝下承當。未為達士。那堪更向言中取則。句裡馳求。語路尖新。機鋒捷疾。如斯見解。盡是埋沒宗旨。玷汙先賢。於吾祖道。何曾夢見。祇如我佛如來。臨般涅槃。乃雲吾有正法眼藏。囑摩訶迦。付囑摩訶大迦葉。迦葉遂付阿難。暨商那和修優波毱多。諸祖相繼。至於達磨西來。直指人心。見性成佛。不立文字語言。豈不是先聖方便之道。自是當人不信。卻自迷頭認影。奔逐狂途。致使竛竮流浪生死。諸禪德。若能一念迴光返照到自己腳跟下。褫剝究竟將來。可謂洞門豁開。樓閣重重。十方普現。海會齊彰。便乃凡聖賢愚。山河大地。以海印三昧。一印印定。更無纖毫透漏。山僧如是舉唱。若是眾中有本色衲僧聞之。實謂掩耳而回。笑破他口。大眾且道。本色衲僧門下一句作麼生道。良久曰。
邵武陳氏の子。幼き時穎邁にして、一目五行を下す。長じて儒を棄てて度を得、曹山に道を訪い、雅禅師に依る。久之しくして、辭して雲居に登り、其の勝絶を眷みて、殆ど此の山に終老せんと欲す。《華嚴十明論》を閱するに因りて、乃ち宗要を證す。即ち黃檗南禅師の席に詣る。檗語と旦に達し、曰く、大法を荷擔するは、盡く爾が躬に在り、厚く自ら愛せよ。至る所の議論席を奪う。晚く西山に游びて、勝首座と雙嶺に栖む。後に石門に法を開き、久之しく泐潭に遷る。僧問う、場に逢いて戲を作す時如何。師曰く、紅爐鐵の烏龜を煅出す。(「煅」底本火に從う、文意に據りて讀む。)曰く、軒に當りて鼓を布き師親く擊つ、百尺竿頭の事若何。師曰く、山僧這の活計を作さず。僧擬議す。師曰く、唧溜せぬ漢。又僧有りて禮拜起きて、便ち袈裟の角を垂下し、曰く、衣を脱ぎ甲を卸く時如何。師曰く、喜び得たり狼烟息み、弓弰壁に懸かる。僧卻って袈裟を攬上し、曰く、衣甲を重整する時如何。師曰く、烏江の畔に到らざれば、君の未だ休せんを肯ぜざるを知らん。僧便ち喝す。師曰く、我を驚殺す。僧一拍を拍す。師曰く、亦是れ死中活を得たり。僧禮拜す。師曰く、將に燕を收め趙を破るの才と謂えり、元來是れ私鹽を販るの賊。問う、臨濟の松を栽うるは即ち問わず、百丈田を開くの事若何。師曰く、鋤頭を深く著けよ。曰く、古人猶ほ在り。師曰く、更に鋤頭を添えよ。僧禮拜す。師禅床を一下扣きて、便ち曰く、問うも亦た窮まり無く、答うるも亦た盡き無し。問答去來、道に於て轉た遠し。什麼を以て。況んや此の事を為さば、直饒棒頭に薦得すとも、是れ丈夫に非ず、喝下に承當すとも、未だ達士と為らず。哪か堪えん更に言の中に向かって則を取り、句の裏に馳求し、語路尖新、機鋒捷疾せん。斯の如きの見解、盡く是れ宗旨を埋沒し、先賢を玷污す。吾が祖道に於て、何ぞ曾て夢に見ん。只だ我が佛如來の如く、般涅槃に臨みて、乃ち説く吾に正法眼藏有りて、摩訶大迦葉に付囑す。迦葉遂に阿難に付し、商那和修、優波毱多に暨ぶ。諸祖相い繼ぎ、達磨西來するに至りて、直に人心を指し、性を見て佛と成り、文字語言を立てず。豈に是れ先聖の方便の道ならずや。是より當人信ぜずして、卻って自ら頭を迷い影を認め、狂途に奔逐し、致して伶俜として生死に流浪せしむ。諸の禅德、若し能く一念光を回らし返り照らして、自己の脚跟の下に到り、褫剥して究竟將來すれば、謂うべし洞門豁として開き、樓閣重々、十方普く現じ、海會齊しく彰ると。便ち乃ち凡聖賢愚、山河大地、海印の三昧を以て、一印印定して、更に纖毫の透漏無し。山僧是の如く擧唱す、若し是れ衆中に本色の衲僧之を聞かば、實に謂う耳を掩うて回り、他の口を笑破せん。大衆且く道え、本色衲僧門下の一句作麼生に道う。沈黙許久して曰く、
天際雪埋千尺石。洞門凍折數株松。上堂。釋迦老子。當時一手指天。一手指地。雲天上天下。唯我獨尊。釋迦老子。旁若無人。當時若遇箇明眼衲僧。直教他上天無路。入地無門。然雖如是。也須是銅沙鑼裡滿盛油始得。上堂。顧視大眾曰。青山重疊疊。綠水響潺潺。遂拈拄杖曰。未到懸崖處。擡頭子細看。卓一下。上堂。寶峰高士罕曾到。巖前雪壓枯松倒。嶺前嶺後野猨啼。一條古路清風掃。禪德。雖然如是。且道山僧拄杖長多少。遂拈起曰。長者隨長使。短者隨短用。卓一下。上堂。顧視大眾曰。石門𡾟嶮鐵關牢。舉目重重萬仞高。無角鐵牛沖得破。毗盧海內作波濤。且道不涉波濤一句作麼生道。良久曰。一句不遑無著問。迄今猶作野盤僧。師因知事紛爭。止之不可。乃謂眾曰。領眾不肅。正坐無德。吾有愧黃龍。敘行腳始末曰。吾滅後火化。以骨石藏普同塔。明生死不離清眾也。言卒而逝。
(師接續いて曰く、)天際雪千尺の石を埋め、洞門凍りて數株の松を折る。上堂、釋迦老子、當時一の手天を指し、一の手地を指して、説く天上天下、唯だ我獨り尊しと。釋迦老子、傍ら人若き無し。當時若し個の明眼の衲僧に遇わば、直に他をして天に上るに路無く、地に入るに門無からしめん。然りと雖も此の如し、亦た須らく是れ銅沙鑼の裏に滿ちて油を盛りて始めて得べし。上堂、大衆を環顧して曰く、青山重疊疊、綠水潺々と響く。於是拄杖を拈じて曰く、未だ懸崖の處に到らざれば、頭を擧げて仔細に看よ。一下卓す。上堂、寶峰の高士罕だ曾て到らず、巖前に雪枯松を壓して倒る。嶺の前嶺の後に野猿啼く、一條の古路淸風掃う。禅德、然りと雖も此の如し、且く道え山僧の拄杖長さ多少。於是拈起して曰く、長き者は長く隨い使い、短き者は短く隨い用う。一下卓す。上堂、大衆を環顧して曰く、石門巉險にして鐵關牢なり、(「巉」底本山に從う、文意に據りて讀む。)目を擧ぐれば重重萬仞高し。角無き鐵牛衝き破るを得れば、毘盧の海內波濤と作る。且く道え、波濤を渉らざる一句作麼生に道う。沈黙許久して曰く、一句問を著くるに遑あらず、今に迨るまで猶ほ野盤の僧と作る。老師知事の紛爭するに因りて、之を止むる可ならざれば、便ち衆に對して曰く、衆を領して肅ならず、正に坐すは德無し。吾黃龍に愧あり。行脚の始末を敘述して曰く、吾滅して後火葬し、骨石を以て普同の塔に藏めて、生死清衆を離れざるを明らめん。言卒わりて逝く
金陵保寧寺圓璣禪師
金陵保寧寺圓璣禅師
福州林氏子。僧問。生死到來。如何迴避。師曰。堂中瞌睡。寮裡抽解。曰。便恁麼時如何。師曰。須知有轉身一路。曰。如何是轉身一路。師曰。傾出你腦髓。拽脫你鼻孔。曰。便從今日無疑去也。師曰。作麼生會。曰。但知行好事。不用問前程。師曰。須是恁麼。上堂。道源不遠。性海非遙。但向己求。莫從他覓。古人與麼說話。大似認奴作郎。指鹿為馬。若是翠巖即不然。也不向己求。亦不從他覓。何故。雙眉本來自橫。鼻孔本來自直。直饒說得天華亂墜。頑石點頭。算來多虗不如少實。且道如何是少實底事。良久曰。冬瓜直儱侗。瓠子曲彎彎。上堂。春雨微微。百事皆宜。禾苗發秀。蔬菜得時。阿難如合掌。迦葉亦攢眉。直饒靈山會上。拈華微笑。算來猶涉離微。爭似三家村裡。老翁深耕淺種。各知其時。有事當面便說。誰管瞬目揚眉。更有一般奇特事。末後一著更須知。擊拂子下座。上堂。廣尋文義。鏡裡求形。息念觀空。水中捉月。單傳心印。特地多端。德山臨濟枉用工夫。石鞏子湖飜成特地。若是保寧總不恁麼。但自隨緣飲啄。一切尋常。深遯白雲。甘為無學之者。敢問諸人。保寧畢竟將何報答四恩三有。良久曰。愁人莫向愁人說。說向愁人愁殺人。師示寂。闍維。有終不壞者二。糝以五色舍利。塔於雨華臺之左。
福州林氏の子。僧問う、生死到來せば、如何に回避せん。師曰く、堂中に瞌睡し、寮裏に抽解す。曰く、便ち恁麼の時如何。師曰く、須らく知れ身を轉ずる一路有るを。曰く、如何なるか是れ身を轉ずる一路。師曰く、你の腦髓を傾出し、你の鼻孔を拽脱せん。曰く、便ち今日より疑い無く去らん。師曰く、作麼生に會せん。曰く、但だ知る好事を行うのみ、前程を問うを用いず。師曰く、須らく是れ恁麼。上堂、道源遠からず、性海遥かに非ず。但だ己に向かって求め、他に從い覓る莫れ。古人恁麼に説話す、大いに似たり奴を認めて郎と作し、鹿を指して馬と為すに。若し是れ翠巖なれば即ち然らず、亦た己に向かって求めず、亦た他に從い覓えず。什麼を以て。雙眉本より自ら橫に來り、鼻孔本より自ら直なり。直饒説き得る天の花亂墜し、頑石頭を點くとも、算來すれば多くの虚は少しの實に如かず。且く道え如何なるか是れ少しの實の底の事。沈黙許久して曰く、冬瓜直に儱侗、瓠子曲彎彎。上堂、春雨微微、百事皆な宜し。禾苗秀を發し、蔬菜時を得たり。阿難如く合掌し、迦葉亦た眉を攢む。直饒靈山の會上、花を拈じ微笑すとも、算來すれば猶ほ離微を渉る。怎んぞ比せん三家の村裏、老翁深く耕し淺く種え、各々其の時を知る。事有れば面に當りて便ち説く、誰か瞬目揚眉を管せん。更に一般の奇特の事有り、末後の一著更に須らく知るべし。拂子を擊ち下座。上堂、廣く文義を尋ぬれば、鏡の裏に形を求む。念を息めて空を觀ずれば、水の中に月を捉う。單に心印を傳うるは、特に地に多端。德山臨濟枉しく工夫を用い、石鞏子湖翻えって特に地と成る。若し是れ保寧總て恁麼せず。但だ自ら緣に隨って飮啄し、一切尋常なり。深く白雲に遁れて、甘んじて無學の者と為る。敢えて諸人に問う、保寧畢竟將に何を以て四恩三有に報答せん。沈黙許久して曰く、愁人は愁人に向かって説く莫れ、愁人に向かって説けば愁殺せん。老師寂を示し、闍維す。終に壞れざる者二有り、五色の舍利を以て糁す。雨花台の左に塔す
南安軍雪峰道圓禪師
南安軍雪峰道圓禅師
南雄人也。依積翠日。宴坐下板。時二僧論野狐話。一雲。不昧因果。也未脫得野狐身。一雲。不落因果。又何曾墮野狐來。師聞之悚然。因詣積翠庵。渡㵎猛省。述偈曰。不落不昧。僧俗本無忌諱。丈夫氣宇如王。爭受囊藏被蓋。一條楖栗任縱橫。野狐跳入金毛隊。翠見為助喜。住後上堂。舉風幡話。頌曰。不是風兮不是幡。白雲依舊覆青山。年來老大渾無力。偷得忙中些子閑。
南雄の人なり。積翠に依る日、宴坐して板を下す。當時二僧野狐の話を論ず。一曰く、因果を昧くせざれども、未だ野狐の身を脱するを得ず。一曰く、因果に落ちざれば、又何ぞ曾て野狐に墮ち來らん。師之を聞きて悚然たり。因りて積翠の庵に詣り、澗を渡りて猛省す。偈を述べて曰く、落ちず昧くせず、僧俗本より忌諱無し。丈夫氣宇王の如し、争いか囊藏被蓋を受けん。一條の楖栗縱橫に任せ、野狐金毛の隊に跳入る。翠見て、他の為に喜を助く。住して後上堂、風幡の話を擧げ、頌して曰く、是れ風に非ず兮是れ幡に非ず、白雲依舊として青山を覆う。年來老大渾て力無く、忙中の些子の閑を偷得す
蘄州四祖山法演禪師
蕲州四祖山法演禅師
桂州人也。僧問。如何是心相。師曰。山河大地。曰。如何是心體。師曰。汝喚甚麼作山河大地。上堂。葉辭柯。秋已暮。參玄人。須警悟。莫謂來年更有春。等閑蹉了巖前路。且道作麼生是巖前路。良久曰。嶮。上堂。主山吞卻案山。尋常言論。拄杖子普該塵剎。未足為奇。光境兩亡。復是何物。良久曰。劫火洞然毫末盡。青山依舊白雲中。上堂。佛祖之道。壁立千仞。擬議馳求。還同點額。識不能識。智不能知。古聖到這裡。垂一言半句。要你諸人有箇入處。所以道。低頭不見地。仰面不見天。欲識白牛處。但看髑髏前。如今頭上是屋。腳下是地。面前是佛殿。且道白牛在甚麼處。乃召大眾。眾舉頭。師叱之。
桂州の人なり。僧問う、如何なるか是れ心相。師曰く、山河大地。曰く、如何なるか是れ心體。師曰く、你什麼を喚びて山河大地と作す。上堂、葉柯を辭す、秋已に暮る。玄を參ずる人、須らく警悟すべし。謂う莫れ來年更に春有らんと、等閑に巖前の路を蹉了す。且く道え作麼生なるか是れ巖前の路。沈黙許久して曰く、險。上堂、主山案山を吞卻すは、尋常の言論。拄杖子塵刹を普該すとも、未だ足らず以て奇と為すに。光境兩く亡ぶるは、復た是れ何の物ぞ。沈黙許久して曰く、劫火洞然として毫末盡く、青山依舊として白雲の中。上堂、佛祖の道、壁立千仞。擬議馳求せば、還た額を點ずるに同じ。識は識る能わず、智は知る能わず。古聖這裏に到りて、一言半句を垂れて、你の諸人に個の入る處有らんを要す。所以に説く、頭を低れて地を見ず、面を仰ぎて天を見ず。白牛の處を識らんと欲せば、但だ看よ髑髏の前を。如今頭上は是れ屋、脚下は是れ地、面前は是れ佛殿。且く道え白牛什麼の處に在る。於是大衆を召す。衆頭を擧ぐ。師之を叱る
南康軍清隱潛庵清源禪師
南康軍淸隱潛庵淸源禅師
豫章鄧氏子。上堂。寒風激水成冰。杲日照冰成水。冰水本自無情。各各應時而至。世間萬物皆然。不用強生擬議。上堂。先師初事棲賢諟泐潭澄歷二十年。宗門奇奧。經論玄要。莫不貫穿。及因雲峰指見慈明。則一字無用。遂設三關語以驗學者。而學者如葉公畫龍。龍現即怖。
豫章鄧氏の子。上堂、寒風水を激して冰と成し、杲日冰を照らして水と成す。冰水本より自ら情無し、各々時に應じて至る。世間の萬物皆な然り、強いて擬議を生ずるを用いず。上堂、先師初め栖賢𬤊、泐潭澄に事え、歷ること二十年。宗門の奇奥、經論の玄要、貫穿せざる無し。及び雲峰に因りて慈明に見ゆるを指されれば、則ち一字の用無し。於是三關の語を設けて以て學者を驗すれども、學者は葉公の龍を畫くが如く、龍現ずれば即ち怖る
安州興國院契雅禪師
安州興國院契雅禅師
僧問。請師不於語默裡答話。師以拄杖卓一下。僧曰。和尚莫草草怱怱。師曰。西天斬頭截臂。僧禮拜。師曰。墮也。墮也。上堂。心如朗月連天靜。遂打一圓相曰。寒山子聻。性似寒潭徹底清。是何境界。良久曰。無價夜光人不識。識得又堪作甚麼。凡夫虗度幾千春。乃呵呵大笑曰。爭如獨坐明窻下。華落華開自有時。下座。
僧問う、師の語默の裏に於て答話せざるを請う。師拄杖を以て一下卓す。僧曰く、和尚草草匆匆する莫れ。師曰く、西天頭を斬り臂を截る。僧禮拜す。師曰く、墮ちたり墮ちたり。上堂、心朗月の如く天に連なりて靜かなり。於是一個の圓相を打ちて曰く、寒山子呢。性寒潭に似て徹底淸し。是れ何の境界ぞ。沈黙許久して曰く、價無き夜光人識らず。識得すれば又堪えて什麼と作さん。凡夫虚しく幾千の春を度す。於是呵呵として大笑して曰く、争いか如かん獨り明窓の下に坐して、花落ち花開きて自ら時有るに。下座
齊州靈巖山重確正覺禪師
齊州靈巖山重確正覺禅師
上堂。祖師心印。狀似鐵牛之機。針挑不出。匙挑不上。過在阿誰。綠雖千種草。香祇一株蘭。上堂。不方不圓。不上不下。驢鳴狗吠。十方無價。拍禪床。下座。
上堂、祖師の心印、狀は鐵牛の機に似たり。針挑いて出ださず、匙挑いて上がらず。過は阿谁に在る。綠は千種の草なりと雖も、香は只だ一株の蘭。上堂、方ならず圓ならず、上ならず下ならず。驢鳴き狗吠えて、十方價無し。禅床を拍し、下座
䖍州廉泉院曇秀禪師
䖍州廉泉院曇秀禅師
僧問。滿口道不得時如何。師曰。話墮也。問。不與萬法為侶時如何。師曰。自家肚皮自家畫。問。如何是學人轉身處。師曰。掃地澆華。曰。如何是學人親切處。師曰。高枕枕頭。曰。總不恁麼時如何。師曰。鶯啼嶺上。華發巖前。問。如何是衲僧口。師曰。殺人不用刀。
僧問う、滿口道い得ざる時如何。師曰く、話墮ちたり。問う、萬法と侶と為らざる時如何。師曰く、自家の肚皮自家畫く。問う、如何なるか是れ學人の身を轉ずる處。師曰く、地を掃き花を澆る。曰く、如何なるか是れ學人の親切の處。師曰く、枕を高くして枕す。曰く、總て恁麼ならざる時如何。師曰く、鶯嶺上に啼き、花巖前に發く。問う、如何なるか是れ衲僧の口。師曰く、人を殺すに刀を用いず
南嶽高臺寺宣明佛印禪師
南岳高台寺宣明佛印禅師
