Libo

五燈會元巻第七

宋 · 普济 · 第38巻 / 144

音釋

音釋

謴(古困切)𤞞(餘玉切)譸(竹尤切)嗢(烏汶切)噦(乙劣切)

謴(古困切)𤞞(余玉切)譸(竹尤切)嗢(烏汶切)噦(乙劣切)

五燈會元巻第八

青原下七世

青原下七世

瑞巖彥禪師法嗣

瑞巖彦禅師法嗣

南嶽橫龍和尚

南岳橫龍和尚

初住金輪。僧問。如何是金輪第一句。師曰。鈍漢。問。如何是金輪一隻箭。師曰。過也。問。如何是祖師燈。師曰。八風吹不滅。曰。恁麼則闇冥不生也。師曰。白日沒閑人。

初め金輪に住す。僧が問うた、「如何なるか是れ金輪の第一句」。師は言った、「鈍漢」。問うた、「如何なるか是れ金輪の一隻の箭」。師は言った、「過なり」。問うた、「如何なるか是れ祖師の燈」。師は言った、「八風吹きて滅せず」。曰く、「さようらば暗冥生ぜざるなり」。師は言った、「白日に閑人無し」。

溫州瑞峰院神祿禪師

溫州瑞峰院神祿禅師

福州人也。久為瑞巖侍者。後開山創院。學侶依附。師有偈曰。蕭然獨處意沉吟。誰信無絃發妙音。終日法堂唯靜坐。更無人問本來心。時有朋彥上座問曰。如何是本來心。師召朋彥。彥應諾。師曰。與老僧點茶來。彥於是信入。

福州人。久しく瑞巖の侍者たり。後に山を開き院を創り、學侶依附す。師偈有りて曰く、「蕭然として獨處し意を沈吟す、誰か信ぜん、無絃の妙音を發するを。終日法堂に唯靜坐し、更に人の本來心を問ふ無し」。時に朋彦上座問うて曰く、「如何なるか是れ本來心」。師朋彦を召す。朋彦應諾す。師は言った、「老僧に點茶せし來れ」。朋彦是に於て信入す。

玄泉彥禪師法嗣

玄泉彦禅師法嗣

鄂州黃龍山誨機超慧禪師

鄂州黃龍山誨機超慧禅師

清河張氏子。初參巖頭。問。如何是祖師西來意。頭曰。你還解救餈麼。師曰。解。頭曰。且救餈去。後到玄泉。問。如何是祖師西來意。泉拈起一莖皂角曰。會麼。師曰。不會。泉放下皂角。作洗衣勢。師便禮拜曰。信知佛法無別。泉曰。你見甚麼道理。師曰。某甲曾問巖頭。頭曰。你還解救餈麼。救餈也祇是解粘。和尚提起皂角。亦是解粘。所以道無別。泉呵呵大笑。師遂有省。住後。僧問。不問祖佛邊事。如何是平常之事。師曰。我住山得十五年也。問。如何是和尚家風。師曰。琉璃缽盂無底。問。如何是君王劒。師曰。不傷萬類。曰。佩者如何。師曰。血濺梵天。曰。大好不傷萬類。師便打。問。佛在日為眾生說法。佛滅後有人說法否。師曰。慚愧佛。問。毛吞巨海。芥納須彌。不是學人本分事。如何是學人本分事。師曰。封了合盤市裡揭。問。急切相投。請師通信。師曰。火燒裙帶香。問。如何是大疑底人。師曰。對坐盤中弓落盞。曰。如何是不疑底人。師曰。再坐盤中弓落盞。問。風恬浪靜時如何。師曰。百尺竿頭五兩垂。師將順世。僧問。百年後。缽囊子甚麼人將去。師曰。一任將去。曰。裡面事如何。師曰。線綻方知。曰。甚麼人得。師曰。待海鷰雷聲。即向汝道。言訖而寂。

淸河張氏子。初め巖頭に參じて問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。巖頭は言った、「汝還た救糍を解するか」。師は言った、「解す」。巖頭は言った、「且く救糍せよ」。後に玄泉に到りて問うた、「如何なるか是れ祖師西來意」。玄泉一莖の皂角を拈起して曰く、「會すか」。師は言った、「會せず」。玄泉皂角を放下し、洗衣の勢を作す。師便ち禮拜して曰く、「信に知る、佛法別無し」。玄泉曰く、「汝甚麼の道理か見る」。師は言った、「某甲曾て巖頭に問へり。巖頭曰く、汝還た救糍を解するか。救糍も只だ是れ粘を解くなり。和尚の皂角を提起するも、亦た解粘なり。所以道ふ、別無しと」。玄泉呵呵大笑す。師遂に省有り。住して後、僧が問うた、「祖佛邊の事を問はず、如何なるか是れ平常の事」。師は言った、「我山に住して十五年を得たり」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「琉璃の鉢盂底無し」。問うた、「如何なるか是れ君王の劍」。師は言った、「萬類を傷つけず」。曰く、「佩びる者如何」。師は言った、「血は梵天に溅ぐ」。曰く、「大好きは萬類を傷つけざるなり」。師便ち打つ。問うた、「佛在りし日は衆生の為に法を説き、佛滅して後法を説く人有るや無し」。師は言った、「佛に慚愧す」。問うた、「毛は巨海を吞み、芥は須彌を納るるは、是れ學人の本分事にあらず。如何なるか是れ學人の本分事」。師は言った、「封じ了りて合盤の市里に揭ぐ。問うた、「急切相投、師に通信を請ふ」。師は言った、「火は裙帶を燒き香を放つ」。問うた、「如何なるか是れ大疑の人」。師は言った、「對坐の盤中に弓の盞に落つ」。曰く、「如何なるか是れ不疑の人」。師は言った、「再び坐する盤中に弓の盞に落つ」。問うた、「風恬み浪靜かなる時如何」。師は言った、「百尺の竿頭に五兩垂る」。師將に順世せんとす。僧が問うた、「百年後、鉢囊子は甚麼人將て去る」。師は言った、「一任將て去れ」。曰く、「裏面の事如何」。師は言った、「線綻びて方に知る」。曰く、「甚麼人か得る」。師は言った、「海燕の雷聲を待ち、即ち汝に向ひて道はん」。言訖りて寂す。

洛京栢谷和尚

洛京栢谷和尚

僧問。普滋法雨時如何。師曰。有道傳天位。不汲鳳凰池。問。九旬禁足三月事如何。師曰。不墜蠟人機。

僧が問うた、「普く法雨を滋す時如何」。師は言った、「道有りて天位に傳へ、鳳凰池を汲まず」。問うた、「九旬禁足三月の事如何」。師は言った、「蠟人の機に墜ちず」。

懷州玄泉二世和尚

懷州玄泉二世和尚

僧問。辭窮理盡時如何。師曰。不入理。豈同盡。問。妙有玄珠。如何取得。師曰。不似摩尼絕影豔。碧眼胡人豈能見。曰。有口道不得時如何。師曰。三寸不能齊皷韻。瘂人解唱木人歌。

僧が問うた、「辭窮まり理盡きる時如何」。師は言った、「理に入らず、豈に同盡せん」。問うた、「妙有の玄珠、如何にして取得する」。師は言った、「摩尼の影艷を絕するに似ず、碧眼の胡人豈に能く見ん」。曰く、「口有りて道ひ得ざる時如何」。師は言った、「三寸の鼓韻に齊しからず、啞人木人の歌を解唱す」。

潞府妙勝玄密禪師

潞府妙勝玄密禅師

僧問。四山相逼時如何。師曰。紅日不垂影。暗地莫知音。曰。學人不會。師曰。鶴透群峰。何伸向背。問。雪峰一曲千人唱。月裡挑燈誰最明。師曰。無音和不齊。明暗豈能收。

僧が問うた、「四山相逼ぐ時如何」。師は言った、「紅日影を垂れず、暗地は知音なし」。曰く、「學人會せず」。師は言った、「鶴群峰を透らば、何をか向背を伸向せん」。問うた、「雪峰一曲千人唱ふ、月裏に燈を挑ぐ、誰か最も明なる」。師は言った、「無音和らぎ齊はず、明暗豈に能く收めん」。

羅山閑禪師法嗣

羅山閑禅師法嗣

婺州明招德謙禪師

婺州明招德謙禅師

受羅山印記。靡滯於一隅。激揚玄旨。諸老宿皆畏其敏揵。後學鮮敢當其鋒者。嘗到招慶。指壁畵問僧。那箇是甚麼神。曰。護法善神。師曰。會昌沙汰時。向甚麼處去來。僧無對。師令僧問演侍者。演曰。汝甚麼劫中遭此難來。僧回舉似師。師曰。直饒演上座。他後聚一千眾。有甚麼用處。僧禮拜。請別語。師曰。甚麼處去也。次到坦長老處。坦曰。夫參學。一人所在亦須到。半人所在亦須到。師便問。一人所在即不問。作麼生是半人所在。坦無對。後令小師問師。師曰。汝欲識半人所在麼。也祇是弄泥團漢。清上座舉仰山插鍬話問師。古人意在叉手處。插鍬處。師召清。清應諾。師曰。還夢見仰山麼。清曰。不要上座下語。祇要商量。師曰。若要商量。堂頭自有一千五百人老師在。又到雙巖。巖請吃茶次。曰。某甲致一問。若道得。便捨院與闍黎住。若道不得。即不捨院。遂舉金剛經云。一切諸佛及諸佛阿耨多羅三藐三菩提法。皆從此經出。且道此經是何人說。師曰。說與不說。拈向這邊著。祇如和尚。決定喚甚麼作此經。巖無對。師又曰。一切賢聖。皆以無為法而有差別。則以無為法為極則。憑何而有差別。祇如差別。是過不是過。若是過。一切賢聖悉皆是過。若不是過。決定喚甚麼作差別。巖亦無語。師曰。噫。雪峰道底。師訪保寧。於中路相遇。便問。兄是道伴中人。乃點鼻頭曰。這箇礙塞我不徹。與我拈卻少時得麼。寧曰。和尚有來多少時。師曰。噫。洎賺我踏破一緉草鞋。便回國泰代曰。非但某甲。諸佛亦不奈何。師曰。因甚麼以己方人。師在婺州智者寺。居第一座。尋常不受淨水。主事嗔曰。上座不識觸淨。為甚麼不受淨水。師跳下床。提起淨瓶曰。這箇是觸是淨。事無語。師乃撲破。自爾道聲遐播。眾請居明招山開法。四來禪者盈於堂室。上堂。全鋒敵勝。罕遇知音。同死同生。

羅山の印記を受け、一隅に靡滯せず。玄旨を激揚し、諸の老宿皆其の敏捷を畏れ、後學其の鋒に當るを敢てする者鮮し。嘗て招慶に到り、壁畫を指して僧に問うた、「那箇は是れ甚麼の神」。曰く、「護法の善神」。師は言った、「會昌沙汰の時、甚麼の處に向ひて去り來れり」。僧對無し。師僧をして演侍者に問はしむ。演曰く、「汝甚麼の劫中にか此の難に遭ひ來れり」。僧回りて師に擧げ似す。師は言った、「直饒演上座、他後一千の衆を聚めても、有らん甚麼の用處」。僧禮拜して別語を請ふ。師は言った、「甚麼の處か去れり」。次いで坦長老の處に到る。坦曰く、「夫れ參學は、一人の所在も亦須く到るべく、半人の所在も亦須く到るべし」。師便ち問うた、「一人の所在は即ち問はず、作麼生か是れ半人の所在」。坦對無し。後に小師をして師に問はしむ。師は言った、「汝半人の所在を識らんと欲するか。也只だ是れ泥團を弄する漢」。淸上座仰山の插鍬の話を擧げて師に問うた、「古人の意は叉手の處に在るか、插鍬の處に在るか」。師淸を召す。淸應諾す。師は言った、「還た仰山を夢見るか」。淸曰く、「上座の語を下すを要せず、只だ商量を要す」。師は言った、「若し商量せんと欲せば、堂頭自ら一千五百人の師在り」。又雙巖に到る。雙巖茶を喫さしめんことを請ふの次、曰く、「某甲一問を致さん。若し道ひ得ば、便ち院を舍てて闍黎に與へて住さしめん。若し道ひ得ざれば、即ち院を舍てず」。遂に《金剛經》を擧げて曰く、「一切諸佛及び諸佛の阿耨多羅三藐三菩提(意は「無上正等正覺」、佛の證する圓滿の正覺)の法、皆此の經より出づ。且く道へ、此の經は是れ何人の説くぞ」。師は言った、「説くと説かざると、拈じて這邊に向ひ着けよ。只だ如し和尚、決定して甚麼をか喚びて此の經と作さん」。雙巖對無し。師又曰く、「一切賢聖、皆以無為法に因りて差別有りと、則ち無為法を以て極則と爲す。何を憑へて差別有る。只だ如し差別、是れ過か、是れ過あらざるか。若し是れ過ならば、一切賢聖悉く皆な是れ過なり。若し是れ過あらずんば、決定して甚麼をか喚びて差別と作さん」。雙巖亦た語無し。師は言った、「噫。雪峰の道ふなり」。師保寧を訪ふ、中路に於て相遇ふ。便ち問うた、「兄は是れ道伴中の人」。乃ち鼻頭を點じて曰く、「這箇は我を礙塞して徹せず、我と拈却して少時得るか」。保寧曰く、「和尚有り來りて多少の時」。師は言った、「噫。洎に我を賺して一緉の草鞋を踏破らしむ」。便ち回る。國泰代えて曰く、「但だ某甲のみならず、諸佛も亦た奈何せんず」。師は言った、「甚麼の故にか己を以て人を方る」。師婺州の智者寺に在りて、第一座に居る。尋常淨水を受けず。主事嗔りて曰く、「上座觸淨を識らず、甚麼の故にか淨水を受けざる」。師牀を跳び下り、淨瓶を提起して曰く、「這箇は是れ觸か是れ淨か」。主事語無し。師乃ち撲破す。自爾道聲遐く播まる。衆請ひて明招山に居り法を開かしむ。四來の禪者堂室に盈つ。上堂、「全鋒敵勝す、罕に知音に遇ふ。同死同生は、

萬中無一。尋言逐句。其數河沙。舉古舉今。滅胡種族。向上一路。啐啄猶乖。儒士相逢。握鞭回首。沙門所見。誠實苦哉。拋卻真金。隨隊撮土。報諸稚子。莫謾波波。解得他玄。猶兼瓦礫。不如一擲。騰過太虗。祇者靈鋒。阿誰敢近。任君來箭。方稱丈夫。擬欲吞聲。不消一攫。僧問。師子未出窟時如何。師曰。俊鷂趂不及。曰。出窟後如何。師曰。萬里正紛紛。曰。欲出不出時如何。師曰。嶮。曰。向去事如何。師曰。劄。問。如何是透法身外一句子。師曰。北斗後翻身。問。十二時中如何趣向。師曰。拋向金剛地上著。問。文殊與維摩對談何事。師曰。葛巾紗帽。已拈向這邊著也。問。如何是和尚家風。師曰。齩得著是好手。問。放鶴出籠和煙去時如何。師曰。爭奈頭上一點何。問。無煙之火。是甚麼人向得。師曰。不惜眉毛底。曰。和尚還向得麼。師曰。汝道我有多少莖眉毛在。新到參。才上法堂。師舉拂子卻擲下。其僧珍重。便下去。師曰。作家。作家。問。全身佩劒時如何。師曰。忽遇正恁麼時又作麼生。僧無對。一日天寒。上堂。眾才集。師曰。風頭稍硬。不是汝安身立命處。且歸暖室商量。便歸方丈。大眾隨至立定。師又曰。才到暖室。便見瞌睡。以拄杖一時趂下。師問國泰。古人道俱胝祇念三行呪。便得名超一切人。作麼生與他拈卻三行呪。便得名超一切人。泰竪起一指。師曰。不因今日。爭識得瓜洲客。師有師叔在廨院不安。附書來問曰。某甲有此大病。如今正受疼痛。一切處安置伊不得。還有人救得麼。師回信曰。頂門上中此金剛箭。透過那邊去也。會下有僧去。住庵一年後卻來。禮拜曰。古人道三日不相見。莫作舊時看。師撥開胸曰。汝道我有幾莖葢膽毛。僧無對。師卻問。汝甚麼時離庵。曰。今朝。師曰。來時折腳鐺子。分付與阿誰。僧又無語。師乃喝出。問。承師有言。

(師引き続き曰く、)萬中無一。言を尋ね句を逐ふ、其の數河沙なり。古を擧げ今を擧げて、胡の種族を滅す。向上の一路、啐啄も猶ほ乖る。儒士相逢へば、鞭を握りて首を回らす。沙門の見る所、誠實に苦しき哉。真金を拋却して、隊に隨ひ土を撮む。諸の稚子に報ゆ、波波を謾る莫れ。他の玄を解し得るも、猶ほ瓦礫を兼ぬ。一擲して太虚を騰過するに如かず。只だ這の靈鋒、阿誰敢へて近づかん。君の來る箭に任せて、方に丈夫と稱す。聲を吞まんと擬せば、一攫を消せず」。僧が問うた、「師子未だ窟を出でざる時如何」。師は言った、「俊鷂趁ふも及ばず」。曰く、「窟を出でし後如何」。師は言った、「萬里正に紛紛」。曰く、「出でんと欲して出でざる時如何」。師は言った、「險」。曰く、「向かひ去る事如何」。師は言った、「札」。問うた、「如何なるか是れ法身外を透る一句子」。師は言った、「北斗後に翻身す」。問うた、「十二時中如何に趣向せん」。師は言った、「金剛地上に拋向して着けよ」。問うた、「文殊與維摩對談するは何事」。師は言った、「葛巾紗帽、已に拈じて這邊に向ひ着けり」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「咬み着くは是れ好手」。問うた、「鶴を放ちて籠を出で煙と和して去る時如何」。師は言った、「争奈、頭上の一點何」。問うた、「無煙の火は、是れ甚麼人向くを得る」。師は言った、「眉毛を惜しまざる的」。曰く、「和尚還た向くを得るか」。師は言った、「汝道へ、我に多少莖の眉毛か在る」。新到參す。纔かに法堂に上る、師拂子を擧げて却って擲げ下ろす。那の僧珍重して便ち下去す。師は言った、「作家、作家」。問うた、「全身劍を佩ぶる時如何」。師は言った、「忽ち正に恁麼なる時に遇はば又作麼生」。僧對無し。一天天寒にして上堂。衆纔かに集る、師は言った、「風頭稍硬し、是れ汝の安身立命の處にあらず。且く暖室に歸りて商量せよ」。便ち方丈に歸る。大衆隨ひ至りて立定す。師又曰く、「纔かに暖室に到れば、便ち瞌睡を見る」。拄杖を以て一時に趁下す。師國泰に問うた、「古人道ふ、俱胝只だ三行の咒を念じて、便ち一切人を超ゆる名を得。作麼生か他に與ひて三行の咒を拈却して、便ち一切人を超ゆる名を得ん」。國泰一指を豎起す。師は言った、「今日に因らずんば、争でか瓜洲の客を識らん」。師に師叔有りて廨院に在りて安からず、書を附して來りて曰く、「某甲此の大病有り、如今正に疼痛を受く、一切處伊を安置するを得ず。還た救ひ得る人有るか無し」。師信を回して曰く、「頂門上に此の金剛箭を中て、透りて那邊に去れり」。會下に僧去りて、庵に住すこと一年の後却って來り、禮拜して曰く、「古人道ふ、三日相見ざれば、舊時の看を作す莫れ」。師胸を撥開きて曰く、「汝道へ、我に幾莖の蓋膽毛か在る」。僧對無し。師却って問うた、「汝甚麼の時庵を離る」。曰く、「今朝」。師は言った、「來る時折脚の鐺子を、分付して阿誰に與へし?」僧又語無し。師乃ち喝出す。問うた、「師に言有るを承る、

我住明招頂。興傳古佛心。如何是明招頂。師曰。換卻眼。曰。如何是古佛心。師曰。汝還氣急麼。問。學人拏雲㸕浪。上來請師展缽。師曰。拶破汝頂。曰。也須仙陀去。師便打。趂出。師有頌示眾曰。明招一拍和人稀。此是真宗上妙機。石火瞥然何處去。朝生之子合應知。臨遷化。上堂告眾。囑付訖。僧問。和尚百年後向甚麼處去。師擡起一足曰。足下看取。中夜問侍者。昔日靈山會上。釋迦如來展開雙足。放百寶光。遂展足曰。吾今放多少。者曰。昔日世尊。今宵和尚。師以手撥眉曰。莫孤負麼。乃說偈曰。驀刀叢裡逞全威。汝等諸人善護持。火裡鐵牛生犢子。臨岐誰解湊吾機。偈畢。端坐而逝。塔院存焉。

(僧引き続き問う、)「我明招頂に住し、興傳す古佛心。如何なるか是れ明招頂」。師は言った、「眼を換却す」。曰く、「如何なるか是れ古佛心」。師は言った、「汝還た氣急なるか」。問うた、「學人雲を拏み浪を攫み、上來して師に鉢を展ばんことを請ふ」。師は言った、「汝の頂を拶破せん」。曰く、「也須く仙陀去べし」。師便ち打ちて趁出す。師頌有りて衆に示して曰く、「明招一拍して和する人稀なり、此れ是真宗の上妙の機。石火瞥然として何處か去る、朝生の子合に應に知るべし」。遷化に臨み、上堂して衆に吿げ、囑付訖る。僧が問うた、「和尚百年後、甚麼の處に向ひて去る」。師一足を擡起して曰く、「足下看取せ」。中夜侍者に問うた、「昔日靈山會上、釋迦如來雙足を展開し、百寶の光を放てり」。遂に足を展べて曰く、「吾今多少を放つ」。侍者曰く、「昔日の世尊、今宵の和尚」。師手を以て眉を撥いて曰く、「孤負せざるか」。乃ち偈を説いて曰く、「刀叢の裏に驀地して全威を逞しうす、汝等諸人善く護持せよ。火裏の鐵牛犢子を生み、岐に臨みて誰か吾が機を湊するを解せん」。偈畢り、端坐して逝く。塔院存り焉。

洪州大寧院隱微覺寂禪師

洪州大寧院隱微覺寂禅師

豫章新淦楊氏子。誕夕有光明貫室。年七歲。依本邑石頭院道堅禪師出家受具。歷參宗匠。至羅山。山導以師子在窟出窟之要。因而省悟。後回江表。會龍泉宰李孟俊請居十善道場。闡揚宗旨。上堂。還有騰空底麼。出來。眾無出者。師說偈曰。騰空正是時。應須眨上眉。從茲出倫去。莫待白頭兒。僧問。如何是十善橋。師曰。險。曰。過者如何。師曰。喪。問。資福和尚遷化向甚麼處去。師曰。草鞋破。問。如何是黃梅一句。師曰。即今作麼生。曰。如何通信。師曰。九江路絕。問。初心後學。如何是學。師曰。頭戴天。曰。畢竟如何。師曰。腳踏地。問。如何是法王劒。師曰。露。曰。還殺人也無。師曰。作麼。問。如何是龍泉劒。師曰。不出匣。曰。便請出匣。師曰。星辰失位。問。國界安寧。為甚麼珠不現。師曰。落在甚麼處。

豫章新淦の楊氏子。誕夕に光明室を貫く有り。年七歳、本邑の石頭院道堅禅師に依りて出家し具を受く。宗匠を歷參し、羅山に至る。羅山師子在窟出窟の要を以て導き、因りて省悟す。後に江表に回る。會して龍泉宰の李孟俊、十善道場に居り宗を闡揚せんことを請ふ。上堂、「還た騰空の者あるか。出でよ」。衆出づる者無し。師偈を説いて曰く、「騰空は正に是れ時、應に須く眉に眨上すべし。茲より倫を出でて去れ、白頭兒を待つ莫れ」。僧が問うた、「如何なるか是れ十善橋」。師は言った、「險」。曰く、「過ぎる者如何」。師は言った、「喪」。問うた、「資福和尚遷化して甚麼の處に向ひて去る」。師は言った、「草鞋破る」。問うた、「如何なるか是れ黃梅の一句」。師は言った、「即今作麼生」。曰く、「如何に通信せん」。師は言った、「九江路絕す」。問うた、「初心後學、如何にか是れ學」。師は言った、「頭戴す天を」。曰く、「畢竟如何」。師は言った、「脚踏む地を」。問うた、「如何なるか是れ法王劍」。師は言った、「露」。曰く、「還た人を殺すや無し」。師は言った、「作麼」。問うた、「如何なるか是れ龍泉劍」。師は言った、「匣を出でず」。曰く、「便ち匣を出でんことを請ふ」。師は言った、「星辰位を失ふ」。問うた、「國界安寧なり、甚麼の故にか珠現ぜざる」。師は言った、「甚麼の處にか落つ」。

衡州華光範禪師

衡州華光范禅師

僧問。靈臺不立。還有出身處也無。師曰。有。曰。如何是出身處。師曰。出。問。如何是西來意。師曰。道。問。如何是佛法大意。師曰。驗。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。自由自在。曰。見後如何。師曰。自由自在。問。如何是佛法中事。師曰。了。

僧が問うた、「靈臺立たず、還た出身の處有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ出身處」。師は言った、「出」。問うた、「如何なるか是れ西來意」。師は言った、「道」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「驗」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時如何」。師は言った、「自由自在」。曰く、「見し後如何」。師は言った、「自由自在」。問うた、「如何なるか是れ佛法中の事」。師は言った、「了」。

福州羅山紹孜禪師

福州羅山紹孜禅師

上堂。有數僧爭出問話。師曰。但一齊出來問。待老僧一齊與汝答。僧便問。學人一齊問。請師一齊答。師曰。得。問。學人乍入叢林。祖師的的意。請師直指。師曰。好。

上堂。數僧有りて爭ひ出で問話す。師は言った、「但だ一齊に出で來りて問へ、老僧一齊に汝と答へんを待て」。僧便ち問うた、「學人一齊に問はん、師に一齊の答を請ふ」。師は言った、「得」。問うた、「學人乍に叢林に入る、祖師的的の意、師に直指を請ふ」。師は言った、「好」。

西川定慧禪師

西川定慧禅師

初參羅山。山問。甚麼處來。師曰。遠離西蜀。近發開元。卻近前問。即今事作麼生。山揖曰。吃茶去。師擬議。山曰。秋氣稍熱去。師出至法堂。歎曰。我在西蜀峨嵋山腳下拾得一隻蓬蒿箭。擬撥亂天下。今日打羅山寨。弓折箭盡也。休。休。乃下參眾。山來日上堂。師出問。豁開戶牗。當軒者誰。山便喝。師無語。山曰。毛羽未備。且去。師因而摳衣。久承印記。後謁台州勝光。光坐次。師直入身邊。叉手而立。光問。甚處來。師曰。猶待答話在。便出。光拈得拂子。趂至僧堂前。見師乃提起拂子曰。闍黎喚這箇作甚麼。師曰。敢死喘氣。光低頭歸方丈。

初め羅山に參ず。羅山問うた、「甚麼の處か來る」。師は言った、「遠く西蜀を離れ、近く開元を發す」。却って近づき前に問うた、「即今の事作麼生」。羅山揖して曰く、「茶を喫しに去れ」。師擬議す。羅山曰く、「秋氣稍熱し去れ」。師出でて法堂に至り、歎じて曰く、「我西蜀峨眉山の脚下に一隻の蓬蒿の箭を拾得し、擬して天下を撥亂せんとす。今日羅山の寨を打ちて、弓折れ箭盡きたり。休、休」。乃ち下りて衆に參ず。羅山來日上堂す。師出でて問うた、「戶牖を豁開せば、軒に當る者誰」。羅山便ち喝す。師語無し。羅山曰く、「毛羽未だ備はらず、且く去れ」。師因りて衣を抠め、久しく印記を承く。後に台州勝光に謁す。勝光坐する次、師直に身邊に入り、叉手して立つ。勝光問うた、「甚處か來る」。師は言った、「猶ほ答話を待ち在り」。便ち出づ。勝光拂子を拈得し、趁りて僧堂前に至り、師を見て乃ち拂子を提起して曰く、「闍黎這箇を喚びて甚麼と作す」。師は言った、「敢へて死して喘氣す」。勝光頭を低めて方丈に歸る。

建州白雲令弇禪師

建州白雲令弇禅師

上堂。遣往先生門。誰雲對喪主。珍重。僧問。己事未明。以何為驗。師曰。木鏡照素容。曰。驗後如何。師曰。不爭多。問。三臺有請。四眾臨筵。既處當仁。請師一唱。師曰。要唱也不難。曰。便請。師曰。夜靜水寒魚不食。滿船空載月明歸。

上堂、「先生の門に遣往す、誰か喪主に對すると道ふ。珍重」。僧が問うた、「己事未だ明らかならず、以て何をか驗と爲す」。師は言った、「木鏡素容を照らす」。曰く、「驗し後如何」。師は言った、「多く爭はず」。問うた、「三臺請有り、四衆筵に臨む。既に當仁に處り、師に一唱を請ふ」。師は言った、「唱ふるを要するも亦た難からず」。曰く、「便ち請ふ」。師は言った、「夜靜かに水寒く魚食はず、滿船空しく月明を載せて歸る」。

虔州天竺義澄常真禪師

虔州天竺義澄常眞禅師

在羅山數載。後因山示疾。師問。百年後忽有人問。和尚以何指示。山乃放身便倒。師從此契悟。即禮謝。住後。僧問。如何是佛法大意。師曰。寒暑相催。

羅山に在ること數載。後に羅山疾を示すに因り、師問うた、「百年後忽ち人の問はん有らば、和尚何を以てか指示せん」。羅山乃ち身を放ちて便ち倒る。師此れより契悟し、即ち禮謝す。住して後、僧が問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「寒暑相催す」。

吉州清平惟曠真寂禪師

吉州淸平惟曠眞寂禅師

上堂。不動神情。便有輸贏之意。還有麼。出來。時有僧出禮拜。師曰。不是作家。便歸方丈。問。如何是第一句。師曰。要頭將取去。問。如何是活人劒。師曰。會麼。曰。如何是殺人刀。師叱之。問。如何是師子兒。師曰。毛頭排宇宙。

上堂、「神情を動かさず、便ち輸贏の意有り。還たあるか。出でよ」。時に僧出でて禮拜す。師は言った、「是れ作家にあらず」。便ち方丈に歸る。問うた、「如何なるか是れ第一句」。師は言った、「頭を要らば將て取れ」。問うた、「如何なるか是れ活人劍」。師は言った、「會すか」。曰く、「如何なるか是れ殺人刀」。師之を叱る。問うた、「如何なるか是れ師子兒」。師は言った、「毛頭宇宙を排す」。

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