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五燈會元卷第五

宋 · 普济 · 第37巻 / 144

杭州大錢山從襲禪師

杭州大錢山從襲禅師

雪峰之上足也。自本師印解。洞曉宗要。常曰。擊關南鼓。唱雪峰歌。後入浙中謁錢王。王欽服道化。命居此山而闡法焉。僧問。不因王請。不因眾聚。請師直道西來的的意。師曰。那邊師僧過這邊著。曰。學人不會。乞師再指。師曰。爭得恁麼不識好惡。問。閉門造車。出門合轍。如何是閉門造車。師曰。造車即不問。作麼生是轍。曰。學人不會。乞師指示。師曰。巧匠施工。不露斤斧。

雪峰の上足。本師の印解より宗要を洞曉す。常に説く、「關南の鼓を擊ち、雪峰の歌を唱ふ」と。後に浙中に入り錢王に謁す。錢王道化に欽服し、命じて此の山に居りて法を闡かしむ。僧が問うた、「王の請に因らず、衆集に因らず、師に直に西來の的々の意を道はんことを請ふ」。師は言った、「那邊の師僧、這邊に過ぎ着けり」。曰く、「學人會せず、師に再び指さんことを乞ふ」。師は言った、「争でか如此の好惡を識らざる」。問うた、「門を閉じて車を造り、門を出でて轍に合ふ。如何なるか是れ門を閉じて車を造る」。師は言った、「車を造るは即ち問はず、作麼生か是れ轍」。曰く、「學人會せず、師に指示を乞ふ」。師は言った、「巧匠工を施し、斤斧を露さず」。

福州永泰和尚

福州永泰和尚

僧問。承聞和尚見虎。是否。師作虎聲。僧作打勢。師曰。這死漢。問。如何是天真佛。師乃拊掌曰。不會。不會。

僧が問うた、「承聞く、和尚虎を見たり、是か否か」。師虎聲を作す。僧打勢を作す。師は言った、「這の死漢」。問うた、「如何なるか是れ天眞佛」。師便ち拊掌して曰く、「會せず、會せず」。

池州和龍壽昌院守訥妙空禪師

池州和龍壽昌院守訥妙空禅師

福州林氏子。僧問。未到龍門。如何湊泊。師曰。立命難存。新到參。師問。近離甚處。曰。不離方寸。師曰。不易來。僧亦曰。不易來。師與一掌。問。如何是傳底心。師曰。再三囑汝。莫向人說。問。如何是從上宗乘。師曰。向闍黎口裡著得麼。問。省要處請師一接。師曰。甚是省要。

福州林氏子。僧が問うた、「未だ龍門に至らず、如何に湊泊せん」。師は言った、「命を立つも存し難し」。新到參す。師問うた、「近く離るる甚處ぞ」。曰く、「方寸を離れず」。師は言った、「易からずして來れり」。僧も亦曰く、「易からずして來れり」。師一掌を與ふ。問うた、「如何なるか是れ傳ふるの心」。師は言った、「再三汝に囑す、人に向ひて説く莫れ」。問うた、「如何なるか是れ從上の宗乘」。師は言った、「闍黎の口裏に着け得るか」。問うた、「省要の處、師に一接を請ふ」。師は言った、「甚だ省要なり」。

建州夢筆和尚

建州夢筆和尚

僧問。如何是佛。師曰。不誑汝。曰。莫便是否。師曰。汝誑他。閩王請齋。問。師還將得筆來也無。師曰。不是稽山繡管。慙非月裡兔毫。大王既垂顧問。山僧敢不通呈。又問。如何是法王。師曰。不是夢筆家風。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛」。師は言った、「汝を誑かず」。曰く、「莫し便ち是れか」。師は言った、「汝他を誑く」。閩王齋を請ひて問うた、「師還た筆を將て来るや無し」。師は言った、「是れ稽山の繡管にあらず、慚ぢて月裏の兔毫に非ず。大王既に顧問を垂れ給ふ、山僧敢へて通呈せざらんや」。又問うた、「如何なるか是れ法王」。師は言った、「是れ夢筆の家風にあらず」。

福州極樂元儼禪師

福州極樂元儼禅師

僧問。如何是極樂家風。師曰。滿目看不盡。問。萬法本無根。未審教學人承當甚麼。師曰。莫寐語。問。久處暗室。未達其源。今日上來。乞師一接。師曰。莫閉眼作夜好。曰。恁麼即優曇華拆。曲為今時。向上宗風。如何垂示。師曰。汝還識也無。曰。恁麼即息疑去也。師曰。莫向大眾前寐語。問。摩騰入漢即不問。達磨來梁時如何。師曰。如今豈謬。曰。恁麼即理出三乘。華開五葉。師曰。說甚麼三乘五葉。出去。

僧が問うた、「如何なるか是れ極樂の家風」。師は言った、「滿目看て盡きず」。問うた、「萬法本來根無し、未だ審らかならず、學人に何をか承當せしむるを教ふる」。師は言った、「寐語する莫れ」。問うた、「久しく暗室に處り、其の源に達せず。今日上來す、師に一接を乞ふ」。師は言った、「眼を閉ぢて夜を作す莫し好し」。曰く、「如此ならば即ち優曇花拆れ、曲に今時の爲。向上の宗風、如何に垂示する」。師は言った、「汝還た識るや無し」。曰く、「如此ならば即ち疑を息めんと去る」。師は言った、「大衆前に向ひて寐語する莫れ」。問うた、「摩騰の漢に入るは即ち問はず、達磨の梁に來たる時如何」。師は言った、「如今豈に謬らん」。曰く、「如此ならば即ち理は三乘に出で、花は五葉を開く」。師は言った、「甚麼の三乘五葉を説く。出でよ」。

福州芙蓉山如體禪師

福州芙蓉山如體禅師

僧問。如何是古人曲調。師良久。曰。聞麼。曰。不聞。師示頌曰。古曲發聲雄。今時韻亦同。若教第一指。祖佛盡迷蹤。

僧が問うた、「如何なるか是れ古人の曲調」。師良久にして曰く、「聞くか」。曰く、「聞かず」。師頌を示して曰く、「古曲聲を發して雄なり、今時の韻も亦同じ。若し第一の指を教ふれば、祖佛盡く蹤を迷はん」。

洛京憩鶴山和尚

洛京憩鶴山和尚

僧問。如何是憩鶴。師以兩手鬪雲。鵓鳩鳩(風穴雲。鶴唳一聲喧宇宙。群鷄莫謂報知時)。問。駿馬不入西秦時如何。師曰。向甚麼處去。

僧が問うた、「如何なるか是れ憩鶴」。師兩手を以て鬪して曰く、「鵓鳩鳩」(風穴曰く、「鶴唳一聲宇宙に喧し、群雞時を報知と謂ふ莫れ」)。問うた、「駿馬西秦に入らざる時如何」。師は言った、「甚麼の處に向ひて去る」。

潭州溈山棲禪師

潭州潙山棲禅師

僧問。正恁麼時如何親近。師曰。汝擬作麼生親近。曰。豈無方便。師曰。開元龍興。大藏小藏。問。如何是速疾神通。師曰。新衣成弊帛。問。如何是黃尋橋。師曰。賺卻多少人。問。不假忉忉。如何是和尚家風。師曰。莫作野幹聲。

僧が問うた、「正に如此の時、如何に親近せん」。師は言った、「汝擬く作麼生親近せんと」。曰く、「豈に方便無からんや」。師は言った、「開元龍興、大藏小藏」。問うた、「如何なるか是れ速疾の神通」。師は言った、「新衣弊帛を成す」。問うた、「如何なるか是れ黃尋橋」。師は言った、「多少の人を賺却せし」。問うた、「忉忉を假らず、如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「野干の聲を作す莫れ」。

吉州潮山延宗禪師

吉州潮山延宗禅師

因資福來謁。師下禪床相接。福問。和尚住此山。得幾年也。師曰。鈍鳥棲蘆。困魚止濼。曰。恁麼則真道人也。師曰。且坐吃茶。問。如何是潮山。師曰。不宿屍。曰。如何是山中人。師曰。石上種紅蓮。問。如何是和尚家風。師曰。切忌犯朝儀。

資福の來謁に因り、師禪床を下りて相接す。資福問うた、「和尚此の山に住し、幾年を得たり」。師は言った、「鈍鳥蘆に棲み、困魚濼に止まる」。曰く、「如此ならば則ち眞の道人なり」。師は言った、「且く坐して茶を喫せ」。問うた、「如何なるか是れ潮山」。師は言った、「屍を宿さず」。曰く、「如何なるか是れ山中の人」。師は言った、「石上に紅蓮を種う」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「切に朝儀を犯すを忌む」。

益州普通山普明禪師

益州普通山普明禅師

僧問。如何是佛性。師曰。汝無佛性。曰。蠢動含靈。皆有佛性。學人為何卻無。師曰。為汝向外求。問。如何是玄玄之珠。師曰。這箇不是。曰。如何是玄玄珠。師曰。失卻也。

僧が問うた、「如何なるか是れ佛性」。師は言った、「汝佛性無し」。曰く、「蠢動含靈皆佛性有り、學人は何の故にか却て無き」。師は言った、「汝の外に求むるが為」。問うた、「如何なるか是れ玄玄の珠」。師は言った、「這箇は是れあらず」。曰く、「如何なるか是れ玄玄珠」。師は言った、「失卻せしなり」。

隨州雙泉山梁家庵永禪師

隨州雙泉山梁家庵永禅師

僧問。達磨九年面壁。意旨如何。師曰。睡不著。師問護國長老。隨陽一境。是男是女。各伸一問。問問各別。長老將何祇對。國以手空中畵一圓相。師曰。謝長老慈悲。國曰。不敢。師低頭不顧。問。如何得頓息諸緣去。師曰。雪上更加霜。

僧が問うた、「達磨九年面壁の意旨如何」。師は言った、「睡り着かず」。師護國長老に問うた、「隨陽の一境、是れ男是れ女、各々一問を伸ばし、問問各別なり。長老將に何を以てか祇對せん」。護國手を以て空中に一圓相を畫く。師は言った、「長老の慈悲に謝す」。護國曰く、「敢へず」。師低頭して顧みず。問うた、「如何にすれば諸緣を頓に息め去るを得ん」。師は言った、「雪上更に霜を加ふ」。

漳州保福院超悟禪師

漳州保福院超悟禅師

僧問。魚未透龍門時如何。師曰。養性深潭。曰。透出時如何。師曰。才昇霄漢。眾類難追。曰。昇後如何。師曰。垂雲普覆。潤及大千。曰。還有不受潤者也無。師曰。有。曰。如何是不受潤者。師曰。直杌撐大陽。

僧が問うた、「魚未だ龍門を透らざる時如何」。師は言った、「性を深潭に養ふ」。曰く、「透り出づる時如何」。師は言った、「纔かに霄漢に升り、衆類追ふ難し」。曰く、「升りし後如何」。師は言った、「雲を垂れて普く覆ひ、潤び大千に及ぶ」。曰く、「還た潤びを受けざる者有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ潤びを受けざる者」。師は言った、「直杌は太陽を撑す」。

太原孚上座

太原孚上座

初在揚州光孝寺講涅槃經。有禪者阻雪。因往聽講。至三因佛性。三德法身。廣談法身妙理。禪者失笑。師講罷。請禪者吃茶。白曰。某甲素志狹劣。依文解義。適蒙見笑。且望見教。禪者曰。實笑座主不識法身。師曰。如此解說。何處不是。曰。請座主更說一遍。師曰。法身之理。猶若太虗。竪窮三際。橫亙十方。彌綸八極。包括二儀。隨緣赴感。靡不周徧。曰。不道座主說不是。祇是說得法身量邊事。實未識法身在。師曰。既然如是。禪德當為我說。曰。座主還信否。師曰。焉敢不信。曰。若如是。座主輟講旬日。於室內端然靜慮。收心攝念。善惡諸緣。一時放卻。師一依所教。從初夜至五更。聞鼓角聲。忽然契悟。便去扣門。禪者曰。阿誰。師曰。某甲。禪者咄曰。教汝傳持大教。代佛說法。夜來為甚麼醉酒臥街。師曰。禪德自來講經。將生身父母鼻孔扭揑。從今已去。更不敢如是。禪者曰。且去。來日相見。師遂罷講。徧歷諸方。名聞宇內。嘗遊浙中登徑山法會。一日於大佛殿前。有僧問。上座曾到五臺否。師曰。曾到。曰。還見文殊麼。師曰。見。曰。甚麼處見。師曰。徑山佛殿前見。其僧後適閩川。舉似雪峰。峰曰。何不教伊入嶺來。師聞。乃趣裝而邁。初至雪峰廨院憩錫。因分柑子與僧。長慶問。甚麼處將來。師曰。嶺外將來。曰。遠涉不易。擔負得來。師曰。柑子。柑子。次日上山。雪峰聞。乃集眾。師到法堂上。顧視雪峰。便下看知事。明日卻上禮拜曰。某甲昨日觸忤和尚。峰曰。知是般事便休。峰一日見師。乃指日示之。師搖手而出。峰曰。汝不肯我那。師曰。和尚搖頭。某甲擺尾。甚麼處是不肯。峰曰。到處也須諱卻。一日。眾僧晚參。峰在中庭臥。師曰。五州管內。祇有這老和尚較些子。峰便起去。峰嘗問師。見說臨濟有三句。是否。師曰。是。曰。作麼生是第一句。

初め揚州光孝寺に在りて涅槃經を講す。禪者有り雪に阻まり、因りて往きて講を聽く。三因佛性、三德法身に至りて廣く法身の妙理を談ずるに、禪者笑ひを失す。師講を罷めて禪者に茶を喫せしめ、白して曰く、「某甲素より志狹劣にして文に依りて義を解す。適へ笑はるるを蒙る、且く教へを見んことを望む」。禪者曰く、「實に座主の法身を識らざるを笑へり」。師は言った、「如此解説せば、何處か是れあらざる」。曰く、「座主に更に一遍を説かんことを請ふ」。師は言った、「法身の理、猶ほ太虚の若し。豎には三際に窮まり、橫には十方に亘り、八極を彌綸し二儀を包括す。緣に隨ひ感に赴きて周遍せざる靡し」。曰く、「座主の説くの是れあらずと道はず、只だ説き得たるは法身量邊の事、實に未だ法身を識らず」。師は言った、「既然として是の如し、禪德當に我が為に説くべし」。曰く、「座主還た信ずるか否」。師は言った、「焉んぞ敢へて信ぜざらん」。曰く、「若し是の如くんば、座主旬日に講を輟め、室內に端然として靜慮し、心を收め念を攝め、善惡の諸緣を一時に放卻せよ」。師一に教へに依る。初夜より五更に至り、鼓角の聲を聞きて忽然として契悟し、便ち去りて門を扣く。禪者曰く、「阿誰」。師は言った、「某甲」。禪者咄して曰く、「汝に大教を傳持し、佛に代りて法を説かしむるを教ふ。夜來何の故にか醉酒して街に臥せる」。師は言った、「禪德自ら來たり經を講じ、生身の父母の鼻孔を扭捏す。今より已去、更に敢へて是の如くならず」。禪者曰く、「且く去れ。來日相見せん」。師遂に講を罷め、遍く諸方を歷り、名宇內に聞ゆ。嘗て浙中に遊び徑山の法會に登る。一天大佛殿前に於て、僧有り問うた、「上座曾て五臺に到れるか否」。師は言った、「曾て到れり」。曰く、「還た文殊を見たるか」。師は言った、「見たり」。曰く、「甚麼の處に見たる」。師は言った、「徑山佛殿前に見たり」。那の僧後に閩川に適き、雪峰に擧げ似す。雪峰曰く、「何ぞ伊をして嶺に入らしめざる」。師聞き、乃ち裝を趣りて邁ぐ。初め雪峰の廨院に至り錫を憩む。因りて柑子を僧に分かつ。長慶問うた、「甚麼の處より將て來れり」。師は言った、「嶺外より將て來れり」。曰く、「遠く渉り易からず、擔負して得て來れり」。師は言った、「柑子、柑子」。次日山に上る。雪峰聞き、乃ち衆を集む。師法堂上に到り、雪峰を顧視し、便ち下りて知事を看る。明日却って上りて禮拜して曰く、「某甲昨日和尚に觸忤せり」。雪峰曰く、「是の般の事を知れば便ち休せよ」。雪峰一天師を見、乃ち日を指して之を示す。師手を搖ぎて出づ。雪峰曰く、「汝我を肯んぜざる那」。師は言った、「和尚頭を搖ぎ、某甲尾を擺す、甚麼の處か是れ肯んぜざる」。雪峰曰く、「到處も亦須く諱却すべし」。一天衆僧晚參す。雪峰中庭に臥す。師は言った、「五州管內、只だ這の老和尚較些子なり」。雪峰便ち起ち去る。雪峰嘗て師に問うた、「見説く、臨濟に三句有り、是か否か」。師は言った、「是」。曰く、「作麼生か是れ第一句」。

師舉目視之。峰曰。此猶是第二句。如何是第一句。師叉手而退。自此雪峰深器之。室中印解。師資道契。更不他遊。而掌浴焉。一日。玄沙上。問訊雪峰。峰曰。此間有箇老鼠子。今在浴室裡。沙曰。待與和尚勘過。言訖到浴室。遇師打水。沙曰。相看上座。師曰。已相見了。沙曰。甚麼劫中曾相見。師曰。瞌睡作麼。沙卻入方丈。白雪峰曰。已勘破了。峰曰。作麼生勘伊。沙舉前話。峰曰。汝著賊也。鼓山問師。父母未生時。鼻孔在甚麼處。師曰。老兄先道。山曰。如今生也。汝道在甚麼處。師不肯。山卻問。作麼生。師曰。將手中扇子來。山與扇子。再徵前話。師搖扇不對。山罔測。乃敺師一拳。鼓山赴大王請。雪峰門送。回至法堂。乃曰。一隻聖箭直射九重城裡去也。師曰。是伊未在。峰曰。渠是徹底人。師曰。若不信。待某甲去勘過。遂趂至中路。便問。師兄向甚麼處去。山曰。九重城裡去。師曰。忽遇三軍圍繞時如何。山曰。他家自有通霄路。師曰。恁麼則離宮失殿去也。山曰。何處不稱尊。師拂袖便回。峰問。如何。師曰。好隻聖箭。中路折卻了也。遂舉前話。峰乃曰。奴渠語在。師曰。這老凍膿猶有鄉情在。師在庫前立。有僧問。如何是觸目菩提。師踢狗子。作聲走。僧無對。師曰。小狗子不消一踢。保福簽瓜次。師至。福曰。道得與汝瓜吃。師曰。把將來。福度與一片。師接得便去。師不出世。諸方目為太原孚上座。後歸維揚。陳尚書留在宅供養。一日謂尚書曰。來日講一遍大涅槃經。報答尚書。書致齋茶畢。師遂陞座。良久。揮尺一下曰。如是我聞。乃召尚書。書應諾。師曰。一時佛在。便乃脫去。

師目を擧げて之を視る。雪峰曰く、「此れ猶ほ是れ第二句。如何なるか是れ第一句」。師叉手して退く。自此雪峰深く之を器とす。室中に印解し、師資道契り、更に他遊せずして浴を掌る。一天、玄沙上り、雪峰に問訊す。雪峰曰く、「此の間に老鼠子一箇有り、今浴室裏に在り」。玄沙曰く、「將に和尚と勘過せん」。言訖りて浴室に到り、師の水を打つに遇ふ。玄沙曰く、「上座を相看す」。師は言った、「已に相見せり」。玄沙曰く、「甚麼の劫中に曾て相見せし」。師は言った、「瞌睡して作麼」。玄沙却て方丈に入り、雪峰に白して曰く、「已に勘破せり」。雪峰曰く、「作麼生か伊を勘ふ」。玄沙前話を擧ぐ。雪峰曰く、「汝賊に着けり」。鼓山師に問うた、「父母未だ生ぜざる時、鼻孔は甚麼の處に在る」。師は言った、「老兄先ず道え」。鼓山曰く、「如今生ぜり、汝道へ、甚麼の處に在る」。師肯んぜず。鼓山却て問うた、「作麼生」。師は言った、「手中の扇子を將て來れ」。鼓山扇子を與へ、再び前話を徴す。師扇を搖ぎて對へず。鼓山罔測し、乃ち師に一拳を毆る。鼓山大王の請に赴く、雪峰門に送る。回りて法堂に至り、便ち曰く、「一隻の聖箭直に九重城裏に射て去れり」。師は言った、「是れ伊未だ在らず」。雪峰曰く、「渠は是れ徹底の人」。師は言った、「若し信ぜずんば、某甲が去りて勘過せんを待て」。遂に趁りて中路に至り、便ち問うた、「師兄甚麼の處に向ひて去る」。鼓山曰く、「九重城裏に去る」。師は言った、「忽ち三軍の圍繞に遇はば時如何」。鼓山曰く、「他家自ら通霄の路有り」。師は言った、「如此ならば則ち離宮失殿して去るなり」。鼓山曰く、「何處か尊を稱せざらん」。師袖を拂ひて便ち回る。雪峰問うた、「如何」。師は言った、「好き只だ聖箭、中路に折却せしめ了んぬ」。遂に前話を擧ぐ。雪峰便ち曰く、「奴渠語在り」。師は言った、「這の老凍膿猶ほ鄕情有り」。師庫前に立つ。僧有り問うた、「如何なるか是れ觸目菩提」。師狗子を踢れば聲を作して走る。僧對無し。師は言った、「小狗子は一踢を消せず」。保福瓜に籤する次、師至る。保福曰く、「道得れば汝に瓜を與へて喫さしめん」。師は言った、「把り將て來れ」。保福一片を度し與ふ。師接得して便ち去る。師出世せず。諸方目して太原孚上座とす。後に維揚に歸り、陳尚書宅に留めて供養す。一天尚書に對して曰く、「來日一遍の大涅槃經を講じ、尚書に報答せん」。尚書齋茶を致し畢り、師遂に座に升る。良久、尺を一揮して曰く、「如是我聞」。乃ち尚書を召す。尚書應諾す。師は言った、「一時佛在り」。便ち乃ち脫去す。

南嶽般若惟勁寶聞禪師

南岳般若惟勁寶聞禅師

福州人也。師雪峰而友玄沙。深入玄奧。一日問鑑上座。聞汝註楞嚴。是否。鑑曰。不敢。師曰。二文殊作麼生註。曰。請師鑑。師乃揚袂而去。師嘗續寶林傳四卷。紀貞元之後宗門繼踵之源流者。又別著南嶽高僧傳。皆行於世。

福州人。雪峰を師とし玄沙を友として、深く玄奧に入る。一天鑑上座に問うた、「聞く、汝楞嚴を注す、是か否か」。鑑曰く、「敢へず」。師は言った、「二文殊を作麼生か注せん」。曰く、「師に鑑みんことを請ふ」。師乃ち袂を揚げて去る。師嘗て《寶林傳》四卷を續き、貞元已後宗門の繼踵の源流を紀す。又別に《南岳高僧傳》を著はし、皆世に行はる。

感潭資國禪師法嗣

感潭資國禅師法嗣

安州白兆志圓顯教禪師

安州白兆志圓顯教禅師

僧問。諸佛心印甚麼人傳。師曰。達磨大師。曰。達磨爭能傳得。師曰。汝道甚麼人傳得。問。如何是直截一路。師曰。截。問。如何是佛法大意。師曰。苦。問。如何是道。師曰。普。問。如何是學人自己。師曰。失。問。如何是得無山河大地去。師曰。不起見。問。如何是畢缽羅窟迦葉道場中人。師曰。釋迦牟尼佛。問。如何是朱頂王菩薩。師曰。問那箇赤頭漢作麼。

僧が問うた、「諸佛の心印、甚麼人傳ふる」。師は言った、「達磨大師」。曰く、「達磨争で能く傳ふるを得ん」。師は言った、「汝道へ、甚麼人傳ふるを得る」。問うた、「如何なるか是れ直截の一路」。師は言った、「截」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「苦」。問うた、「如何なるか是れ道」。師は言った、「普」。問うた、「如何なるか是れ學人の自己」。師は言った、「失」。問うた、「如何にして山河大地無きを得ん」。師は言った、「見を起さず」。問うた、「如何なるか是れ畢鉢羅窟迦葉道場中の人」。師は言った、「釋迦牟尼佛」。問うた、「如何なるか是れ朱頂王菩薩」。師は言った、「那箇の赤頭漢を問ふて作麼」。

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