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五燈會元卷第五

宋 · 普济 · 第36巻 / 144

福州長生山皎然禪師

福州長生山皎然禅師

本郡人。久依雪峰。一日與僧斫樹次。峰曰。斫到心且住。師曰。斫卻著。峰曰。古人以心傳心。汝為甚麼道斫卻。師擲下斧曰。傳。峰打一拄杖而去。僧問雪峰。如何是第一句。峰良久。僧舉似師。師曰。此是第二句。峰再令其僧來問。如何是第一句。師曰。蒼天。蒼天。普請次。雪峰問。古人道。誰知席帽下。元是昔愁人。古人意作麼生。師側戴笠子曰。這箇是甚麼人語。峰問師。持經者能荷擔如來。作麼生是荷擔如來。師乃捧雪峰向禪床上。普請次。雪峰負一束藤。路逢一僧便拋下。僧擬取。峰便蹋倒。歸謂師曰。我今日蹋這僧快。師曰。和尚卻替這僧入涅槃堂始得。峰便休去。雪峰問。光境俱亡。復是何物。師曰。放皎然過有道處。峰曰。放汝過作麼生道。曰。皎然亦放和尚過。峰曰。放汝二十棒。師便禮拜。住後。僧問。古人有言。無明即佛性。煩惱不須除。如何是無明即佛性。師忿然作色。舉拳呵曰。今日打這師僧去也。曰。如何是煩惱不須除。師以手拏頭曰。這師僧得恁麼發人業。問。路逢達道人。不將語默對。未審將甚麼對。師曰。上紙墨堪作甚麼。閩帥署禪主大師。莫知所終。

本郡の人。久しく雪峯に依る。一日僧と樹を斫る次、雪峯曰く、「心に到るまで斫りて且く住せよ」。師は言った、「斫り却せよ」。雪峯曰く、「古人心を以て心を伝う、你何為にか斫り却すと道う」。師斧を擲げ下して曰く、「伝」。雪峯一拄杖を打ちて去る。僧雪峯に問うた、「如何なるか是れ第一句」。雪峯良久たり。僧挙げて師に似す。師は言った、「此れ是れ第二句」。雪峯再び那の僧をして来り問はしめ、「如何なるか是れ第一句」。師は言った、「蒼天、蒼天」。普請の次、雪峯問うた、「古人道う、誰か知らん席帽の下、元是れ昔の愁人と。古人の意作麼生」。師笠子を側に戴きて曰く、「此の箇是れ甚麼の人の語」。雪峯師に問うた、「経を持する者は能く如来を荷担す。作麼生なるか是れ如来を荷担する」。師便ち雪峯を捧げて禅床上に向かわしむ。普請の次、雪峯一束の藤を負い、路に一僧に逢い便ち抛げ下す。僧取らんと擬す、雪峯便ち踏み倒す。帰りて師に対して曰く、「我今日此の僧を踏みて快なり」。師は言った、「和尚却て此の僧に替わりて涅槃堂に入りて始めて得べし」。雪峯便ち休み去る。雪峯問うた、「光境俱に亡びて、復た是れ何物」。師は言った、「皎然を放ち過して道う処有り」。雪峯曰く、「你を放ち過す作麼生に道う」。曰く、「皎然も亦た和尚を放ち過す」。雪峯曰く、「你に二十棒を放つ」。師便ち礼拝す。住して後、僧問うた、「古人に言有り、無明は即ち佛性、煩悩は須らく除かざるべし。如何なるか是れ無明即ち佛性」。師忿然として色を作し、拳を挙げて呵して曰く、「今日此の師僧を打ち去るなり」。曰く、「如何なるか是れ煩悩須らく除かざるべからず」。師手を以て頭を拏えて曰く、「此の師僧は是くのごとく人の業を発するを得たり」。問うた、「路に達道人に逢い、語黙を将て対せず。未だ審かならず甚麼を将てか対せん」。師は言った、「紙墨に上る堪えて作麼せん」。閩帥禅主大師と署す。終わる処を知らず。

信州鵝湖智孚禪師

信州鵝湖智孚禅師

福州人也。僧問。萬法歸一。一歸何所。師曰。非但闍黎一人忙。問。虗空講經。以何為宗。師曰。闍黎不是聽眾。出去。問。五逆之子。還受父約也無。師曰。雖有自裁。未免傷己。問。如何是佛向上人。師曰。情知闍黎不奈何。曰。為甚麼不奈何。師曰。未必小人得見君子。問。在前一句。請師道。師曰。腳跟下探取甚麼。曰。即今見問。師曰。看闍黎變身不得。問。雪峰拋下拄杖。意作麼生。師以香匙拋下地。僧曰。未審此意如何。師曰。不是好種。出去。問。如何是鵝湖第一句。師曰。道甚麼。曰。如何即是。師曰。妨我打睡。問。不問不答時如何。師曰。問人焉知。問。迷子未歸家時如何。師曰。不在途。曰。歸後如何。師曰。正迷在。問。如何是源頭事。師曰。途中覓甚麼。問。如何是一句。師曰。會麼。曰。恁麼莫便是否。師曰。蒼天。蒼天。鏡清問。如何是即今底。師曰。何更即今。清曰。幾就支荷。師曰。語逆言順。師一日不赴堂。侍者來請赴堂。師曰。我今日在莊吃油餈飽。者曰。和尚不曾出入。師曰。你但去問取莊主。者方出門。忽見莊主歸謝和尚到莊吃油餈。

福州の人。僧問うた、「万法一に帰す、一は何の所にか帰する」。師は言った、「非ずんばあらず闍梨一人のみ忙し」。問うた、「虚空経を講ず、何を以て宗と為す」。師は言った、「闍梨是れ聴衆に非ず、出で去れ」。問うた、「五逆の子、還た父の約を受くるか無しや」。師は言った、「自裁有ると雖も、未だ己を傷るを免れず」。問うた、「如何なるか是れ仏向上の人」。師は言った、「情に知る、闍梨奈何せざるを」。曰く、「何為にか奈何せざる」。師は言った、「未だ必ずしも小人君子を見るを得ず」。問うた、「前に在る一句、請う、老師道え」。師は言った、「脚跟の下に探り取る甚麼か」。曰く、「即今問うを見る」。師は言った、「闍梨の身を変ずるを得ざるを看よ」。問うた、「雪峯拄杖を抛げ下す、意作麼生」。師香匙を以て地下に抛す。僧曰く、「未だ審かならず此の意如何」。師は言った、「是れ好き種に非ず、出で去れ」。問うた、「如何なるか是れ鵝湖の第一句」。師は言った、「甚麼を道う」。曰く、「如何にか即是」。師は言った、「我が睡を打つを妨ぐ」。問うた、「問わず答えざる時如何」。師は言った、「人に問わば焉んぞ知らん」。問うた、「迷子未だ家に帰らざる時如何」。師は言った、「途に在らず」。曰く、「帰りて後如何」。師は言った、「正に迷う在り」。問うた、「如何なるか是れ源頭の事」。師は言った、「途中に甚麼を覓める」。問うた、「如何なるか是れ一句」。師は言った、「会するか」。曰く、「是くのごとくせば莫れ便ち是か否か」。師は言った、「蒼天、蒼天」。鏡清問うた、「如何なるか是れ即今の」。師は言った、「何ぞ更に即今」。鏡清曰く、「幾と支荷に就かん」。師は言った、「語逆らい言順う」。師一日堂に赴かず。侍者来りて堂に赴くを請う。師は言った、「我今日荘に在りて油糍を喫して飽けり」。侍者曰く、「和尚曾て出入せず」。師は言った、「你但だ荘主に問い取れ」。侍者方に門を出でんとし、忽ち荘主の帰るを見、和尚の荘に到りて油糍を喫せしを謝す。

杭州西興化度院師鬱悟真禪師

杭州西興化度院師郁悟真禅師

泉州人也。僧問。如何是西來意。師舉拂子。僧曰。不會。師曰。吃茶去。問。如何是一塵。師曰。九世剎那分。曰。如何含得法界。師曰。法界在甚麼處。問。谿谷各異。師何明一。師曰。汝喘作麼。問。學人初機。乞師指示入路。師曰。汝怪化度甚麼處。問。如何是隨色摩尼珠。師曰。青黃赤白。曰。如何是不隨色摩尼珠。師曰。青黃赤白。問。如何是西來意。師曰。是東來西來。問。牛頭未見四祖時如何。師曰。鳥獸俱迷。曰。見後如何。師曰。山深水冷。問。維摩與文殊對談何事。師曰。唯有門前鏡湖水。清風不改舊時波。

泉州の人。僧問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師拂子を挙ぐ。僧曰く、「会せず」。師は言った、「茶を喫し去れ」。問うた、「如何なるか是れ一塵」。師は言った、「九世刹那の分」。曰く、「如何にか法界を含むを得ん」。師は言った、「法界は甚麼の処に在る」。問うた、「渓谷各々異なり、老師何ぞ一を明かにせん」。師は言った、「你喘みて作麼せん」。問うた、「学人初機、老師に入路を指示することを乞う」。師は言った、「你化度の甚麼の処をか怪む」。問うた、「如何なるか是れ色に随う摩尼珠」。師は言った、「青黄赤白」。曰く、「如何なるか是れ色に随わざる摩尼珠」。師は言った、「青黄赤白」。問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「是れ東来西来」。問うた、「牛頭未だ四祖を見ざる時如何」。師は言った、「鳥獣俱に迷う」。曰く、「見て後如何」。師は言った、「山深く水冷たし」。問うた、「維摩と文殊と対談するは何の事」。師は言った、「唯だ門前の鏡湖水有り、清風は旧時の波を改めず」。

漳州隆壽紹卿興法禪師

漳州隆寿紹卿興法禅師

泉州陳氏子。因侍雪峰。山行見芋葉動。峰指動葉示之。師曰。紹卿甚生怕怖。峰曰。是汝屋裡底。怕怖甚麼。師於此有省。尋居龍谿。僧問。古人道。摩尼殿有四角。一角常露。如何是常露底角。師舉拂子。問。糧不畜一粒。如何濟得萬人飢。師曰。俠客面前如奪劒。看君不是黠兒郎。問。耳目不致處如何。師曰。汝無此作。曰。恁麼即聞也。師曰。真箇聾漢。

泉州の陳氏の子。雪峯に侍するに因り、山行に芋の葉の動くを見る。雪峯動く葉を指して之に示す。師は言った、「紹卿甚だ怕怖を生ず」。雪峯曰く、「是れ你の屋裏の、怕怖する甚麼か」。師此に於て省有り。尋いで龍渓に居る。僧問うた、「古人道う、摩尼の殿に四角有り、一角常に露ると。如何なるか是れ常に露るの角」。師拂子を挙ぐ。問うた、「糧一粒を畜えず、如何にか万人の飢を済すを得ん」。師は言った、「侠客の面前は剣を奪うがごとく、君を看るに是れ黠児郎に非ず」。問うた、「耳目致さざる処如何」。師は言った、「你此の作無し」。曰く、「是くのごとくせば即ち聞くなり」。師は言った、「真箇の聾漢」。

福州遷宗院行𤦆仁慧禪師

福州遷宗院行𤦆仁慧禅師

泉州王氏子。上堂。我與釋迦同參。汝道參甚麼人。時有僧出禮拜。擬伸問。師曰。錯。便下座。問。如何是西來意。師曰。熊耳不曾藏。問。直下事乞師方便。師曰。不因汝問。我亦不道。問。如何是西來意。師曰。白日無閑人。

泉州の王氏の子。上堂、「我釈迦と参を同じくす。你道え、甚麼の人に参する」。当時僧出でて礼拝し、問を伸ばさんと擬す。師は言った、「错」。便ち座を下る。問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「熊耳曾て蔵せず」。問うた、「直下の事、老師に方便を乞う」。師は言った、「你の問うに因らずんば、我も亦た道わず」。問うた、「如何なるか是れ西来の意」。師は言った、「白日に閑人無し」。

福州蓮華永福院從弇超證禪師

福州蓮華永福院従弇超証禅師

僧問。儒門以五常為極則。未審宗門以何為極則。師良久。僧曰。恁麼則學人造次也。師曰。好與拄杖。問。教中道。唯有一乘法。如何是一乘法。師曰。汝道我在這裡作甚麼。曰。恁麼則不知教意也。師曰。雖然如此。卻不孤負汝。問。不向問處領。猶是學人問處。和尚如何。師曰。吃茶去。上堂。長慶道。盡法無民。永福即不然。若不盡法。又爭得民。時有僧曰。請師盡法。師曰。我不要汝納稅。問。諸餘即不問。聊徑處乞師垂慈。師曰。不快禮三拜。問。大眾雲集。請師說法。師曰。聞麼。曰。若更佇思。應難得及。師曰。實即得。問。摩尼殿有四角。一角常露。如何是常露底角。師曰。不可更點。師一日上堂。於座邊立。謂眾曰。二尊不竝化。便歸方丈。

僧問うた、「儒門は五常を以て極則と為す。未だ審かならず宗門は何を以て極則と為す」。師良久たり。僧曰く、「是くのごとくせば則ち学人造次なり」。師は言った、「好き拄杖を与えん」。問うた、「教中に道う、唯だ一乗の法有り。如何なるか是れ一乗の法」。師は言った、「你道え、我此処に在りて甚麼を作す」。曰く、「是くのごとくせば則ち教意を知らざるなり」。師は言った、「此くの如くすと雖も、却て你を孤負せず」。問うた、「問う処に向かい領せず、猶お是れ学人の問う処。和尚は如何」。師は言った、「茶を喫し去れ」。上堂、「長慶道う、法を尽くせば民無しと。永福は即ち然らず。若し法を尽くさずんば、又争で民を得ん」。当時僧曰く、「老師に法を尽くすことを請う」。師は言った、「我你に納税することを要せず」。問うた、「其余は即ち問わず、聊径の処、老師に垂慈を乞う」。師は言った、「快く三拝を礼せずや」。問うた、「大衆雲集す、老師に説法を請う」。師は言った、「聞くか」。曰く、「若し更に佇思せば、応に及ぶこと難きべし」。師は言った、「実なれば即ち得す」。問うた、「摩尼の殿に四角有り、一角常に露る。如何なるか是れ常に露るの角」。師は言った、「更に点ずべからず」。師一日上堂、座辺に立ち、衆に対して曰く、「二尊は並び化せず」。便ち方丈に帰る。

襄州雲葢雙泉院歸本禪師

襄州雲葢双泉院帰本禅師

京兆府人也。初謁雪峰。禮拜次。峰下禪床。跨背而坐。師於此有省。住後。僧問。如何是雙泉。師曰。可惜一雙眉。曰。學人不會。師曰。不曾煩禹力。湍流事不知。問。如何是西來的的意。師乃搊住。其僧變色。師曰。我這裡無這箇。師手指纖長。特異於人。號手相大師。

京兆府の人。初め雪峯を謁え、礼拝の次、雪峯禅床を下り、背を跨いで坐す。師此に於て省有り。住して後、僧問うた、「如何なるか是れ双泉」。師は言った、「惜しいかな一双の眉」。曰く、「学人会せず」。師は言った、「曾て禹の力を煩はさず、湍流の事は知らず」。問うた、「如何なるか是れ西来の的の意」。師便ち搊え住す。那の僧色を変ず。師は言った、「我此処に此の箇無し」。師手指纎長にして、人に異に特す、手相大師と号す。

韶州林泉和尚

韶州林泉和尚

僧問。如何是一塵。師曰。不覺成丘山。

僧が問うた、「如何なるか是れ一塵」。師は言った、「覚えずして丘山を成す」。

洛京南院和尚

洛京南院和尚

僧問。如何是法法不生。師曰。生也。有儒者博覧古今。時呼為張百會。謁師。師問。莫是張百會麼。曰。不敢。師以手於空畫一畫曰。會麼。曰。不會。師曰。一尚不會。甚麼處得百會來。

僧が問うた、「如何なるか是れ法法生ぜざる」。師は言った、「生ずるなり」。儒者有りて古今を博覧し、時に張百會と呼ぶ。師に謁す。師は問うた、「莫れ張百會か」。曰く、「敢へて是れあらず」。師は手を以て空に一画し曰く、「會すか」。曰く、「會せず」。師は言った、「一尚會せず、甚麼の処か百會を得て来らん」。

越州洞巖可休禪師

越州洞巖可休禅師

僧問。如何是洞巖正主。師曰。開著。問。如何是和尚親切為人處。師曰。大海不宿死屍。問。如何是向上一路。師舉衣領示之。問。學人遠來。請師方便。師曰。方便了也。

僧が問うた、「如何なるか是れ洞巖の正主」。師は言った、「開き着く」。問うた、「如何なるか是れ和尚の親切に人と為る処」。師は言った、「大海は死屍を宿さず」。問うた、「如何なるか是れ向上の一路」。師は衣領を擧げて之を示す。問うた、「學人遠く来たる、師に方便を請ふ」。師は言った、「方便せしめ了んぬ」。

定州法海院行周禪師

定州法海院行周禅師

僧問。風恬浪靜時如何。師曰。吹倒南墻。問。如何是道中寶。師曰。不露光。曰。莫便是否。師曰。是即露也。

僧が問うた、「風恬み浪静かなる時如何」。師は言った、「南牆を吹き倒す」。問うた、「如何なるか是れ道中の寶」。師は言った、「光を露さず」。曰く、「莫し便ち是れか」。師は言った、「是れは即ち露なり」。

杭州龍井通禪師

杭州龍井通禅師

僧問。如何是龍井龍。師曰。意氣天然別。神工畫不成。曰。為甚麼畫不成。師曰。出群不帶角。不與類中同。曰。還解行雨也無。師曰。普潤無邊際。處處皆結粒。曰。還有宗門中事也無。師曰。有。曰。如何是宗門中事。師曰。從來無形段。應物不曾虧。

僧が問うた、「如何なるか是れ龍井の龍」。師は言った、「意氣天然に別に、神工畫き成さず」。曰く、「甚麼の故に畫き成さざる」。師は言った、「群を出でて角を帶びず、類中に與せずして同じ」。曰く、「還た雨を行るを解するや無し」。師は言った、「普く潤すに邊際無く、處處に皆粒を結ぶ」。曰く、「還た宗門中の事有るや無し」。師は言った、「有り」。曰く、「如何なるか是れ宗門中の事」。師は言った、「從來形段無く、物に應じて曾て虧かれず」。

杭州龍興宗靖禪師

杭州龍興宗靖禅師

台州人也。初參雪峰。誓充飯頭。勞逾十載。嘗於眾堂中袒一膊釘簾。峰覩而記曰。汝向後住持有千僧。其中無一人衲子也。師悔過回浙。住六通院。錢王命居龍興寺。有眾千餘。唯三學講誦之徒。果如雪峰所誌。僧問。如何是六通奇特之唱。師曰。天下舉將去。問。如何是六通家風。師曰。一條布衲。一斤有餘。問。如何是學人進前一路。師曰。誰敢謾汝。曰。豈無方便。師曰。早是屈抑也。問。如何是和尚家風。師曰。早朝粥。齋時飯。曰。更請和尚道。師曰。老僧困。曰。畢竟作麼生。師大笑而已。

台州人。初め雪峰に參じて飯頭を充つるを誓ひ、労すること十載を逾ゆ。曾て衆堂中に一膊を袒ぎ簾を釘づけたり。雪峰見て記して曰く、「汝向後住持して千僧有らん、其中一人の衲子も無からん」。師悔過して浙に回り、六通院に住す。錢王命じて龍興寺に居らしむ。衆千餘有り、唯だ三學講誦の徒のみ、果して雪峰の志せしが如し。僧が問うた、「如何なるか是れ六通の奇特の唱」。師は言った、「天下に擧げ將て去れ」。問うた、「如何なるか是れ六通の家風」。師は言った、「一條の布衲、一斤に餘り有り」。問うた、「如何なるか是れ學人の進前の一路」。師は言った、「誰か敢へて汝を謾らん」。曰く、「豈に方便無からんや」。師は言った、「早く是れ屈抑なり」。問うた、「如何なるか是れ和尚の家風」。師は言った、「早朝の粥、齋時の飯」。曰く、「更に請ふ、和尚道え」。師は言った、「老僧困めり」。曰く、「畢竟作麼生」。師大笑するのみ。

福州南禪契璠禪師

福州南禪契璠禅師

上堂。若是名言妙句。諸方總道了也。今日眾中還有超第一義者。致將一問來。若有。即不孤負於人。僧問。如何是第一義。師曰。何不問第一義。曰。見問。師曰。已落第二義也。問。古佛曲調請師和。師曰。我不和汝雜亂底。曰。未審為甚麼人和。師曰。甚麼處去來。

上堂、「若し是れ名言妙句ならば、諸方總て道ひ了れり。今日衆中に還た第一義を超ゆる者有りて、將に一問を致して来らん。若し有らば、即ち人に孤負せじ」。僧が問うた、「如何なるか是れ第一義」。師は言った、「何ぞ第一義を問はざる」。曰く、「見に問ふ」。師は言った、「已に第二義に落つ」。問うた、「古佛の曲調、師に和せしめんことを請ふ」。師は言った、「我は汝の雜亂と和せず」。曰く、「未だ審らかならず、甚麼の人と和する」。師は言った、「甚麼の處より去り来れり」。

越州越山師鼐鑒真禪師

越州越山師鼐鑑眞禅師

初參雪峰而染指。後因閩王請。於清風樓齋。坐久舉目。忽覩日光。豁然頓曉。而有偈曰。清風樓上赴官齋。此日平生眼豁開。方信普通年遠事。不從𦵇嶺帶將來。歸呈雪峰。峰然之。住後。僧問。如何是佛身。師曰。你問阿那箇佛身。曰。釋迦佛身。師曰。舌覆三千界。師臨終示偈曰。眼光隨色盡。耳識逐聲消。還源無別旨。今日與明朝。乃跏趺而逝。

初め雪峰に參じて指を染めたり。後に閩王の請に因りて清風樓に齋す。坐すること久しく目を擧げ、忽ち日光を睹て豁然として頓に曉り、偈有りて曰く、「清風樓上官齋に赴き、此の日平生の眼豁開す。方に信す、普通年の遠き事、蔥嶺より將て來らずと」。歸りて雪峰に呈す。雪峰之を然とす。住して後、僧が問うた、「如何なるか是れ佛身」。師は言った、「汝問ふ、阿那箇の佛身」。曰く、「釋迦佛身」。師は言った、「舌は三千界を覆ふ」。師臨終に偈を示して曰く、「眼光は色に隨ひて盡き、耳識は聲に逐ひて消ゆ。源に還るに別旨無し、今日は明朝と與す」。便ち跏趺して逝く。

泉州福清院玄訥禪師

泉州福淸院玄訥禅師

高麗人也。泉守王公問。如何是宗乘中事。師叱之。僧問。如何是觸目菩提。師曰。闍黎失卻半年糧。曰。為甚麼如此。師曰。祇為圖他一斗米。問。如何是清淨法身。師曰。蝦蟇曲蟮。問。教雲。唯一堅密身。一切塵中現。如何是堅密身。師曰。驢馬貓兒。曰。乞師指示。師曰。驢馬也不會。問。如何是物物上辨明。師展一足示之。

高麗人。泉守王公問うた、「如何なるか是れ宗乘中の事」。師之を叱る。僧が問うた、「如何なるか是れ觸目菩提」。師は言った、「闍黎半年の糧を失卻せり」。曰く、「甚麼の故に如此」。師は言った、「只だ他の一斗の米を圖るが為」。問うた、「如何なるか是れ淸淨法身」。師は言った、「蝦蟆曲蟮」。問うた、「教中に説く、唯一の堅密身、一切の塵中に現ず。如何なるか是れ堅密身」。師は言った、「驢馬貓兒」。曰く、「師に指示を乞ふ」。師は言った、「驢馬も亦會せず」。問うた、「如何なるか是れ物物上の辨明」。師は一足を展げて之を示す。

衢州南臺仁禪師

衢州南臺仁禅師

僧問。如何是南臺境。師曰。不知貴。曰。畢竟如何。師曰。闍黎即今在甚麼處。

僧が問うた、「如何なるか是れ南臺の境」。師は言った、「貴を知らず」。曰く、「畢竟如何」。師は言った、「闍黎即今甚麼の處に在る」。

泉州東禪和尚

泉州東禪和尚

初開堂。僧問。人王迎請。法王出世。如何提唱宗乘。即得不謬於祖風。師曰。還奈得麼。曰。若不下水。焉知有魚。師曰。莫閑言語。問。如何是佛法最親切處。師曰。過也。問。學人末後來。請師最先句。師曰。甚處去來。問。如何是學人己分事。師曰。苦。問。如何是佛法大意。師曰。幸自可憐生。剛要異鄉邑。

初めて堂を開く、僧が問うた、「人王迎へ請ひ、法王出世す。如何に提唱の宗乘、即ち祖風に謬らざるを得ん」。師は言った、「還た奈得するか」。曰く、「若し水に下らずんば、焉んぞ魚有るを知らん」。師は言った、「閑言語を作す莫れ」。問うた、「如何なるか是れ佛法の最も親切なる處」。師は言った、「過なり」。問うた、「學人末後に来たる、師に最先の句を請ふ」。師は言った、「甚處か去り来れり」。問うた、「如何なるか是れ學人の己分の事」。師は言った、「苦なり」。問うた、「如何なるか是れ佛法の大意」。師は言った、「幸ひに自ら可憐なり、剛く要す異郷邑」。

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